衆議院

メインへスキップ



第5号 平成26年4月10日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十六年四月十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 泉原 保二君 理事 大塚 高司君

   理事 北村 誠吾君 理事 永岡 桂子君

   理事 原田 憲治君 理事 郡  和子君

   理事 重徳 和彦君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    岩田 和親君

      小倉 將信君    鬼木  誠君

      金子 恵美君    小島 敏文君

      佐々木 紀君    瀬戸 隆一君

      田畑  毅君    田畑 裕明君

      武井 俊輔君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      野中  厚君    比嘉奈津美君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      藤原  崇君    細田 健一君

      堀井  学君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    山田 美樹君

      泉  健太君    大西 健介君

      武正 公一君    中根 康浩君

      上西小百合君    河野 正美君

      清水鴻一郎君    國重  徹君

      浜地 雅一君    柏倉 祐司君

      井坂 信彦君    穀田 恵二君

      青木  愛君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            森 まさこ君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   内閣府大臣政務官     福岡 資麿君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     山崎 史郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    菅久 修一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       新村 和哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   参考人

   (独立行政法人国民生活センター理事長)      松本 恒雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           清水  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月八日

 辞任         補欠選任

  柏倉 祐司君     三谷 英弘君

同日

 辞任         補欠選任

  三谷 英弘君     柏倉 祐司君

同月十日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     佐々木 紀君

  武井 俊輔君     宮内 秀樹君

  比嘉奈津美君     中山 展宏君

  宮崎 謙介君     牧島かれん君

  宮崎 政久君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     穴見 陽一君

  中谷 真一君     瀬戸 隆一君

  中山 展宏君     比嘉奈津美君

  牧島かれん君     宮川 典子君

  宮内 秀樹君     藤井比早之君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     宮崎 政久君

  藤井比早之君     岩田 和親君

  宮川 典子君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     細田 健一君

  岩田 和親君     野中  厚君

同日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     武井 俊輔君

  細田 健一君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五四号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国民生活センター理事長松本恒雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として消費者庁審議官川口康裕君、消費者庁審議官菅久修一君、法務省大臣官房審議官萩本修君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君、農林水産省大臣官房審議官福島靖正君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀井学君。

堀井委員 おはようございます。自由民主党の堀井学でございます。

 本日は、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案の審議に際しまして、質問の機会を与えていただき、委員長を初め理事の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思います。

 また、森内閣府特命担当大臣におかれましては、当委員会所管の消費者及び食品の安全に関する問題はもとより、少子化対策、男女共同参画、女性活力・子育て支援を初め、毎国会、重要法案の御答弁に立たれ、衆参両院の本会議、委員会において獅子奮迅の御活躍をなさっておられますことに、かねてより心の中でエールを送らせていただいておりました。(発言する者あり)体いっぱいに。

 御地元福島県に思いをはせられますと、震災復興に関する課題が山積されていることと存じますが、このように公務に邁進されるお姿を拝見いたしまして、改めて、この場をおかりいたしまして、心から敬意を表する次第でございます。本日はどうぞよろしくお願いを申し上げます。

 さて、質問に先立ちまして、一点申し上げたいことがございます。それは、昨今の日本人のあるいは日本全体のモラルの低下についてであります。

 このたびの法改正は、昨年来多発いたしました食品の不当表示や、近年急激に増加してきた高齢者の消費者被害が一つのきっかけになったものと考えております。食品の不当表示につきましては、既に問題が指摘された企業、ホテル、レストランなどにおいて再発防止に向けた取り組みが進められていることと存じますし、決してそのことを蒸し返すつもりで申し上げるわけではありません。ただ、まことに残念なことは、長引く不況の中で厳しい経営環境にあったこととは思いますが、老舗、一流と言われたホテル、百貨店を初め、日本じゅう、広範囲にわたって、広く不当または不適切とされる表示が行われてきたことであります。

 昨年十二月、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、元来、私たち日本人は、物をつくることにこだわりを持ってきた民族であります。メード・イン・ジャパンの工業製品が世界じゅうで高い評価を受け、信頼を受け、経済発展を支えてきたことは申すまでもありません。一つ一つの伝統工芸にしても、そのすぐれた技術が私たちの生活を豊かにしてきました。

 この我が国特有の物づくりの文化は、つくり手の、見えないところで手を抜かない、むしろ、見えないところこそ丹念に仕上げるといった、職人さんや板前さんの心意気と申しますか、そうした物づくりへのこだわりといった、日本独自の考え方によって育まれてきたものだと思います。

 東京オリンピック招致活動の際、おもてなしという言葉が用いられ、昨年の流行語大賞にも選ばれましたが、このおもてなしの中には、見えないところをきっちり仕上げて期待と信頼に応えるということも含まれているのではないかと思います。

 その意味におきましては、さらに法律を改正して規制しなければならないことは残念でありますが、一連の不当表示の発覚を機に、いま一度、日本人がモラルの原点に立ち返る必要があるのだと思います。

 また、私たちは、子供のころから、お年寄りは敬わなければならない、大切にしなければならないと教わって育ってきました。ところが、振り込め詐欺のような犯罪は申すまでもなく、最近の一部の悪徳業者の中には、高齢者を狙って不当な商品を売りつける、また、一度被害に遭った方のリストが闇の世界でやりとりされ、第二、第三の悪質勧誘に使われているといった嘆かわしい事例が起こっております。ここまで参りますと、モラルということだけでは解決されませんので、ここはしっかりと法律を改正して対処していかなければならないものと思っております。

 そこで、今回提出された不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案について森大臣にお尋ねをいたします。

 今日、我が国の経済社会において、商品、サービスは複雑化、高度化し、取引の形態も多様化しております。そのような中にあって、国民は、消費者としてさまざまな問題に直面し、時に被害者となる可能性があります。消費者の利益をいかに守っていくか、地方公共団体とどのように連携して課題に対処していくか、消費者庁の役割はますます重要となっております。

 今回提出された不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案は、これらの課題にどのように対応しようとしている内容でしょうか。また、それはどのような背景から改正されることになったのでしょうか。この法案の内容及び背景について、改めて大臣にお伺いしたいと思います。

森国務大臣 心温まる応援のお言葉、ありがとうございます。

 消費者被害でございますけれども、まず食品の偽装表示について挙げられましたけれども、とんでもない事件でございまして、ホテル業界、レストラン業界という、本当に一流の場所で行われていた偽装表示でございまして、すぐに大臣室に各業界のトップに来ていただきまして、私から申し上げましたけれども、中身をよく精査いたしますと、実は、仕入れと売り値の利幅が薄いからやったんだということではなくて、安く仕入れたものを高く売っているんですから、これは消費者をだまして、安く仕入れたものを高く売っている。これは不況は言いわけになりません。

 そういう意味で、私、その後、本当に本物を仕入れて本物として売っている、イセエビを仕入れてイセエビを出している三重県まで視察に行ってまいりました。小さな旅館ですよ。そこは目の前の浜でイセエビがとれるから、本物を仕入れて本物を売っているんです。

 ところが、にせのことが行われていたことによって、今イセエビの値段は三倍に高騰しています。しかし、その旅館では、お客様にお出ししている価格を変えるわけにはまいりませんので、この事件の後、大変苦しい経営になっているんですね。真っ当な商売をしているそういった小さな業者が苦しむようなことを大手のホテルやレストランが行っていたということ、その遵法意識の鈍麻については私は大変な危機感を抱いておりまして、本法案で対処しているところです。

 それからもう一つ、地域の高齢者等の消費者被害がございますが、私も消費者弁護士として二十年間やってまいりましたけれども、豊田商事の事件を初めとして、後を絶ちません。そして、今日まで、規模も大きく、被害金額も大きくなっておりまして、高齢者の皆様一人当たり五百万円平均の被害でございまして、人によっては一千万円、何千万円という被害も出ているわけでございます。

 これらは、規制を強化するだけではなかなか被害を絶つことができないということで、規制の強化もいたしますけれども、それと同時に、地域の見守る目というものを強化していこうということです。そういう意味で本法案を出しました。

 つまり、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第四項、消費者庁ができたときのものでございます。五年前でございますけれども、これで書いてある、「地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援の在り方について所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずる」、そういうふうにされていることを踏まえまして、地方を初めとする消費者行政の体制整備のための措置を講ずるのが本法案でございます。

 まず、景品表示法の方は、先ほどのような不正事案の多発を契機として、具体的に、一つ目として、事業者に表示を適正に管理するために必要な体制の整備を義務づける、二つ目に、国による監視指導体制を強化する、三つ目に、地方による監視指導体制を強化するために、都道府県知事に措置命令権限等を付与するということを講じました。

 それから、後半部分の消費者安全法の改正では、高齢者等の消費者被害の深刻化から、地域体制の強化を図るということで、一つ目には、都道府県は、市町村の消費生活相談の事務の広域化に関する必要な調整を行うことができる、二つ目に、地域の見守りネットワーク、地域協議会を設置することができる、三つ目に、内閣総理大臣、国民生活センター及び地方公共団体の間で情報を共有できることとする、四つ目に、消費生活相談員を職として法律で位置づけるとともに、その任用のための資格試験を整備する等々の改正を行ったところでございます。

堀井委員 森大臣のこれまでの消費者弁護士としてやってきた政治にかける思い、そういう気持ちが伝わってまいりました。

 食品表示等の不正事案の多発もこのたびの法改正の一つの契機とのお話でございますが、食品以外の業界でも、住居品、被服品、教養娯楽品、保健衛生品、車両・乗り物等々、生活に身近なさまざまなところで不当表示は行われており、消費者の立場からすれば、行政による指導監督、取り締まりの強化を求める声も高まっていると思います。

 不当景品類及び不当表示防止法の改正は、行政の監視指導体制の強化、執行力の強化を図るものと理解していますが、一方で、法執行の主体が広がることで、判断基準にばらつきが生じ、行政裁量が大きくなるのではないかとの指摘もございます。

 消費者庁を中心とした国の執行体制の強化、都道府県知事の権限強化とあわせて、同時に、業界に自主的なルールづくりを促していくことも必要ではないかと考えます。

 政府としては、具体的にはどのような形で取り組もうとしているのか、いま一度お伺いしたいと思います。

森国務大臣 済みません、事務方から詳しいことはお答えをいたしますが、今、一点、私の先ほどの答弁で、高齢者の被害額の平均が二百万円のところを五百万円というふうに間違えて申し上げてしまいましたので、訂正をさせてください。

 あとは、事務方から答弁させます。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、国におきましては、事業所管大臣等に委任するということでございますけれども、委任するのは調査権限でございまして、措置命令等につきましては消費者庁長官が引き続き一元的に行うこととしておりますので、法執行の判断基準にばらつきが生じるということはないものと考えております。

 また、都道府県におきましては、現在、実務上の工夫といたしまして、消費者庁と都道府県との間でネットワークを活用いたしまして、情報共有を密に行っているところでございます。したがいまして、実際に都道府県ごとに異なる運用がなされているといった問題は、現在、現に生じているということはないものと認識しております。

 また、本法案では、国や都道府県等の密接な連携に関する規定が設けられております。今後も、統一的な解釈、整合性のある運用がなされますよう、実務上も、個別事案の事務処理手続を定めるなどいたしまして、情報共有を一層密に行い、消費者庁において十分な調整を行っていきたいというふうに考えております。

 また、業界の自主的なルールづくりでございますが、これは極めて歓迎することでございます。業界において自主ルールを策定する意向があるところに対しましては、その取り組みを積極的に今後も支援していきたいというふうに考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 都道府県知事にも措置命令権限や合理的根拠提出要求権限を付与し、体制を強化していくということで、私も、消費者の利益を守るためには、国と都道府県が一体となって取り組んでいくことが必要と考えますので、その点はどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 そして、実際に成果を上げていくためには、権限の付与にとどまらず、国と都道府県が相互に連携を図っていくことが重要と考えます。

 しかしながら、都道府県の現状を鑑みますと、専任の職員を配置している都道府県はまだまだ多くなく、権限を行使していく上でも十分な体制が整っているとは言いがたいと思います。

 消費者庁としては、そのような地方の現状をどのように改善し、具体的にどのように連携を図っていこうとしているのか、お尋ねをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、都道府県知事に措置命令権限が付与されることに伴いまして、都道府県の景品表示法の担当職員に対します研修会の開催、そういったことを行っていきたいというふうに考えております。

 また、実際に事案の調査を進めるに当たりましては、消費者庁からその都度、都道府県からの相談に応じてということでございますが、必要なアドバイスを引き続き行っていきたいというふうに考えております。

 また、都道府県におきましても、景品表示法の担当職員に対する研修など、事業者に対する指導、また、法執行等の強化を図るための事業に地方消費者行政活性化交付金を活用することも可能でございます。この積極的な活用も期待しているところでございます。

 また、消費者庁と都道府県との間では、景品表示法の解釈、運用についての必要な情報交換を行っておりますし、また、具体的な事案の処理に当たりまして、事案を担当する主体、どこが担当するか、また執行上の連携、そうしたことを行いまして、より効率的な法律執行を行っていきたいというふうに考えております。

 こうした国、都道府県との連携でございますが、これまでも、先ほど申しましたように、ネットワークを活用いたしまして行ってきているところでございます。今後も、より一層密接な連携を進めるため、個別事案の処理手続を定めるなどいたしまして、しっかりと進めていきたいというふうに考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 もう一点、課徴金制度についてお尋ねをしたいと思います。

 このたびの法改正によって不当表示を監視、取り締まる体制が強化されても、不当表示によって事業者が得る利益、いわゆるやり得は事業者の手元に残ることには変わりありません。このやり得を防ぎ、不当表示をより効果的に抑止する仕組みとしては、やはり課徴金制度が実効的であり、早期に導入を図るべきと考えます。

 課徴金制度の導入については、産業界の一部に慎重な御意見もあるとは承っておりますが、実は、企業体としては製造者やサービスの提供者の立場にある方々も、一たび個人として生活者の立場となれば、これはもう国民全体が消費者と言えるわけであります。事業者側が当たり前のことをしていれば課徴金を課せられることはないわけでして、ここはぜひ、消費者を保護する観点から、課徴金制度の導入を前向きに検討していただきたいと思います。

 このたびの改正案では、この法律の施行後一年以内に、課徴金に係る制度について検討を加え、必要な措置を講ずるものとするとされておりますが、課徴金制度の導入に向けた今後のスケジュールについてお伺いしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 課徴金制度のあり方につきましては、現在、内閣総理大臣からの諮問を受けました消費者委員会において御議論いただいているところでございます。

 消費者庁といたしましては、消費者委員会での御議論をにらみながら、課徴金制度導入に係る法案提出に向けた作業を同時に進めているところでございまして、六月にも予定されております答申を踏まえまして、できる限り早く法案を提出したいというふうに考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 次に、消費者安全法の改正についてお伺いをいたします。

 現在、我が国の高齢化は急速に進展しており、二〇二〇年には人口の約三割が六十五歳以上になると推計されております。特に、地方では、少子化、高齢化により限界集落や過疎地域が生まれており、地域経済へも大きな影響を及ぼしております。

 このような中で、お年寄りの抱えるお金、健康、孤独といった不安につけ込んだ消費者被害が深刻化しております。高齢者の消費者被害について、ニュースや報道でも後を絶ちませんが、実際の被害状況について教えていただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の消費生活センターに寄せられた高齢者、六十五歳以上の方々に関する消費生活相談件数でございますが、平成二十五年度分、これはまだ全てが登録されているわけではございませんが、現時点で約二十六万件ということでございます。五年前の平成二十年度に比べますと既に五七%増と、約六割の増加となっているところでございます。この間、人口は約一割の増加ということでございますので、急増しているということでございます。

 また、高齢者の相談一件当たりの契約・購入金額でございますが、ここ数年、約二百万円で推移しております。詳しく申し上げますと、平成二十二年度から二十三年度は二百万円を超えておりました。その後、健康食品の送りつけという一件当たり五万円程度の被害が急増いたしておりまして、その影響で、平均金額にしますと少し減少しております。平成二十五年度は約百六十七万円ということでございますけれども、健康食品を除きますと二百万円に近い金額になっているところでございます。これは、高齢者以外の平均金額の約一・六倍という高額でございます。

 以上でございます。

堀井委員 相談件数が二十六万件の五七%増、急増でありますし、また、一人、平均契約、百六十七万円、これも大変とんでもない金額であります。

 消費者トラブルの解決の第一歩は、まず、トラブルを抱えた人が身近なところで消費生活相談を受けられるようにすることが必要だと思います。高齢者を含め、消費者がどこに住んでいても、困ったときにすぐ相談でき、万一被害に遭ったときにすぐに助けてもらえるように地域の体制を整備する必要が、これは早急にしなければならないと考えます。

 そのためには、小規模な市町村においても質の高い消費生活相談を受けられるよう、きめ細かな体制づくりが必要ですが、現状としては、特に人口五万人未満の市町村においては、消費生活センターの設置や消費生活相談員の配置などを見ても、十分な体制が整っているとは言えません。

 このような体制づくりからのスタートは国としても従来にない取り組みではないかと察しますが、新しい制度に基づく消費生活相談員、指定消費生活相談員はどのように任用され、配置されるのでしょうか。また、その確保や資質向上、将来の処遇まであわせて考えますと、当然のことながら財政的な取り組みも必要になると思われますが、どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 今般提出しました法案の消費者安全法部分の改正案でございますが、消費生活相談員は、消費生活相談員資格試験に合格した者、またはこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事もしくは市町村長が認める者であることを要件としております。

 また、現行法では、消費生活センターを設置していない市町村では消費生活相談員の配置についての規定はございません。ただ、今回の改正案におきましては、これを改めまして、消費生活センターを設置していない市町村に対しましても消費生活相談員の配置について努力義務を課しているところでございます。

 さらに、市町村における消費生活相談等の事務の実施に関し必要な助言その他の援助を行う者といたしまして、都道府県の消費生活相談員の中から、消費生活相談員資格試験に合格し、かつ、一定の実務経験を有する者を指定消費生活相談員として指定することを都道府県の努力義務としているところでございます。

 消費生活相談を支える人材の確保、資質の向上及び処遇改善ということにつきましては、地域における消費生活相談体制の強化という観点から、非常に重要な課題であると認識しているところでございます。

 消費者安全法第十一条におきまして、消費生活相談員の適切な処遇、研修の実施等の措置を講じ、消費生活相談員等の確保及び資質の向上を図るよう都道府県等に努力義務を課しているところでございますが、地方消費者行政活性化基金を通じた当面の政策目標でございます地方消費者行政強化作戦、この強化作戦におきましても、相談体制の質の向上を目標の一つの柱として掲げたところでございます。

 今後、法施行に向けまして必要な財政支援を検討してまいりたいと思っております。

堀井委員 ありがとうございました。

 私の地元北海道では、平成十五年に北海道消費者被害防止ネットワークが設置されております。行政機関、警察、消費者団体、法律の専門家、教育機関、福祉関係機関、地域団体などが連携して消費者被害の防止に取り組んでおります。

 北海道は大変広い地域でありますから、このネットワークの中にも、札幌のような大都市もあれば、人口二千人の自治体もあります。その取り組みを通じてわかってきたことは、消費者被害の防止には、不特定多数を対象にした注意喚起には限界がある、個々に向き合う、顔の見える呼びかけがより効果的だということであります。

 このたびの消費者安全法改正により設置される消費者安全確保地域協議会は、地域における見守りの取り組みをどのように普及し、強化する機関になるのか、その機能についてお伺いしたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道の例におきましては、私ども、消費者の安全・安心確保のための「地域体制の在り方」に関する意見交換会の中で御紹介をいただきまして、参考にさせていただいたところでございます。

 消費者安全確保地域協議会は、地域における消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保するための取り組みを効果的かつ円滑に行うことを目的といたしまして、国及び地方公共団体の機関が、病院、教育機関、地方公共団体の長が委嘱する消費生活協力団体または消費生活協力員を構成員として組織するものでございます。

 御指摘のとおり、高齢者等の消費者被害を効果的に防止するためには、地域包括支援センターあるいは民生委員など、日ごろから個々の消費者と顔の見える関係にある地域の関係者によるきめ細やかな見守り体制を構築する必要があると認識をしております。

 今後、地域の実情に応じた取り組みを後押しするため、関係省庁あるいは地方公共団体と連携をいたしまして、地域協議会の運用指針を作成するとともに、効果的な先進事例を提供するなど、地域における見守りの取り組みが全国的に普及し、強化されるよう支援してまいりたいと考えております。

堀井委員 ありがとうございました。

 本日は、不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案につきまして質問をさせていただきました。

 先ほども相談件数を確認させていただきましたが、二十六万件、五七%の増、そして平均契約・購入額は百六十七万円、一・六倍となっているというふうにお伺いをさせていただきましたが、早急にこれを、被害者をとめなくてはいけない。これ以上、被害に遭われる高齢者、全国の国民がいろいろな問題に悩まされることは断じて許されることではございません。

 私も、微力ながら、引き続き消費者の利益を守る施策の推進に取り組んでまいることを申し添え、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 本日は、景品表示法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。

 早速、中身の方の質疑に入らせていただきます。

 今回の景表法改正法案の七条一項には、事業者は、表示等の適切な管理のため、必要な体制の整備その他の必要な措置等を講じなければならないと規定されておりますが、ここで、まず、この景表法改正法案七条一項の立法趣旨について森大臣にお伺いします。

森国務大臣 今般の一連の食品表示等の不正事案が生じた原因、背景の一つとして、事業者のコンプライアンス意識の欠如、事業者内部の連絡不足など、表示に関する管理責任体制が不十分であったことなどが指摘をされておりました。

 そのことに鑑みまして、事業者に表示等の管理のため必要な体制の整備等の措置を義務づける、そしてその遵守を求めていくことで事業者によるコンプライアンス強化を促そうとするものが趣旨でございます。

國重委員 では、次に、その七条一項を受けまして、七条二項には、趣旨で申し上げますけれども、内閣総理大臣は事業者が講ずべき措置に関して必要な指針を定めるものとすると定められておりますが、内閣総理大臣がこの景表法改正法案七条二項に基づいて定める必要な指針とは、具体的にどのようなものを想定されているのか。これは、事業者の業種とか事業規模によってこの指針の内容というのは変わってくるものなのか、お伺いします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 指針におきましては、事業者内部において表示等を適正に管理するために必要な措置ということにつきまして、遵守すべき事項や留意点などを示すことを予定しております。

 具体的な内容といたしましては、例えば、表示を管理するための担当者をあらかじめ定めることといったことや、表示の根拠となります情報を確認すること、また、必要な情報の伝達を確実に行うことなどが考えられると思っておりますけれども、今後、経済団体、消費者団体などの意見をよく聞きながら、より実効性のある内容にしていきたいと考えております。

 また、事業者の規模や形態に応じまして、必要な体制や表示等の管理の措置、必要な措置というのは異なるというふうに考えられますので、そういうことを適切にとることができるよう、指針におきましては、画一的な基準を示すのではなく、さまざまな事例を示すことによりまして、事業者の方々が柔軟に対応できるようなものにしていきたいというふうに考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 今、御答弁で、画一的なものではなくて、できるだけ柔軟なものにという御答弁がございました。冒頭に森大臣の方から事業者のコンプライアンス機能を強化するとありましたけれども、これをいかに両立していくかということが大事になってくると思います。余りに指針でがちがちに固めると事業者にとってかなりの負担になりますので、自主的な取り組みをできるだけ尊重しながら、しかもその中でコンプライアンス機能を強化していく、そういった指針にしていただければと思います。

 次に、この七条一項に基づいて事業者が必要な体制とか必要な措置を講じた場合に、これを事業者がどこかに報告する義務があるのか。もしあるとすれば、それはどこに報告すればいいのか、報告先はどこなのか。

 また、事業者が講じた体制、措置というものが景表法改正法案の七条二項の内閣総理大臣が定めた指針に沿うものなのかどうなのか、これは一体誰がチェックするのか。この指針と全然外れた場合、外れているような体制とか措置をしている場合には、これについてどのように指導監督等をするのか、これについてお伺いします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者が講ずべき措置といいますものは、主といたしまして、景品表示法に違反しないための事業者内部に関する事項でございます。したがいまして、できる限り事業者の自主的な取り組みを促していくことが望ましいと考えておりまして、報告や届け出の義務は課していないところでございます。

 しかしながら、何らかの端緒情報によりまして事業者が必要な措置を講じていないということが疑われる場合には、消費者庁から報告を求めることが必要になることもあるというふうに考えております。

 また、不当表示の疑いで措置命令を目的とした調査を行う中で、それと付随して事業者が講ずべき措置に関する調査も行うということも考えられるというふうに考えております。

 必要な措置がとられていない事業者に対しましては、通常は、まず指導助言を行うこととなるというふうに考えております。

 具体的には、指針においてどのような措置が求められているかということを示しまして、業種や規模が類似する事業者におけます優良事例を紹介するなどいたしまして、表示等の管理のために事業者は具体的にどのような措置を行えばよいか助言し、自主的な改善を促すということを考えております。

 このような指導助言によりましても自主的な改善が図られないとき、または違反の程度が著しいときなどには、勧告を行うことになるものと考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 今の御答弁では、報告義務は特に定めないということでしたけれども、こういうような報告義務がないと、事業者は、仮に内閣総理大臣が定めた指針を知っていても、こんなのは面倒だから、もう一々やっていられないよということで、体制も整備しない、措置も講じないというようなことも考え得ると思います。また、そもそも内閣総理大臣が定めた指針なんて知らないというような事業者も、もしかしたらたくさん出るかもしれません。

 今回、事業者のコンプライアンス機能を強化するということで必要な指針を定めるんでしょうけれども、質問には、明確な通告はなかったですけれども、今の関連で、今回のこの体制、措置を講ずるに当たって、どうやってこれを事業者に促していくのか、お考えがあれば、お聞かせください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今後作成していくということになりますけれども、指針を作成するに当たりまして、まず、事業者の方々、事業者団体に広く御意見を伺おうと思っております。そうした中で、指針の存在また指針の内容について周知をしていきたいと思っておりますし、また、パブリックコメントということも考えておりますので、そこでこの指針について御認識いただけるんじゃないかと思っております。

 また、これができた後につきましても、当面は自主的な取り組みを促していくということで、さまざまな説明会など、機会がありましたら、積極的にそういうところにこちらから赴きまして、指針というものについて説明をし、その取り組みを促していきたいというふうに考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、景品表示法違反行為の調査の端緒といたしまして、今回新たに食品表示モニター、これは仮称のようですけれども、食品表示モニターの導入を行うこととされております。

 私は、行政事業レビューシート、これをちょっと調べたんですけれども、平成二十一年度、景品・表示調査員関係業務で、一般消費者一千百名に景品・表示調査員、これは通称消費者モニターと言われておりますけれども、消費者モニターを千百人に委嘱して、景品類及び表示について消費者としての経験、見聞等の報告、実態調査、試買検査会への出席など、消費者庁表示対策課の業務に協力したというふうに記載がされております。

 ただ、これは、平成二十二年度以降、電子商取引表示調査員に担わせることとし、平成二十二年度は予算要求を行わなかったとあります。

 この電子商取引表示調査員というのは、人数もがくんと二桁に減っているというふうに私は認識しておりますけれども、今回、食品表示モニターというものを導入するということで、これまで調査の端緒が結構脆弱な体制になっていた、これを強化するものだと思いますけれども、どのような者をどの程度の人数採用するのか、また、その導入時期、導入期間についてお伺いします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきました食品表示モニター制度、食品表示監視調査システムとも呼んでおりますが、これは、全国の一般消費者五百名に対しまして、食品表示監視員として、または食品表示モニターといっておりますが、五百名を委嘱いたしまして、身の回りの食品表示について監視を行い、報告していただくということを予定しているものでございます。

 現在、このモニターを募集するためのいろいろ手続を行っているところでございまして、今後、その必要な手続を踏んだ上で、六月中の監視開始ということを今予定しているところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 この導入時期も今御答弁いただきましたが、これは、導入期間というのは、これからずっと継続的にこれを導入するというふうにお考えなんでしょうか。どうでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的にはそのように考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 今回のこの食品表示モニターの予算措置というのは平成二十五年の補正予算ということで聞いておりますので、継続的にするのであれば、次から本予算ということで何とか頑張ってやっていただきたいと思います。

 では、続きまして、景品表示法改正法案十二条では、消費者庁長官の権限の一部を事業所管大臣等に委任することができるとされておりますけれども、その一部の権限の内容と、これを委任することができるとした立法趣旨について、森大臣にお伺いします。

森国務大臣 これは、所管する事業について監視、監督等を行い、当該事業に関する知見を有する事業所管大臣に対して権限を委任することができるものとすることで、より迅速かつ的確に不当表示を認知、調査するとともに、違反に対する行政処分は消費者庁が一元かつ効率的に対処をすることにより景品表示法の執行力を強化する、そういう趣旨でございます。

國重委員 では、大臣、今のところで少しお伺いします。

 今、迅速にということで御答弁いただきましたけれども、これはやはり、消費者庁、今約三百名ということで聞いておりますけれども、この陣容ではなかなかやはりマンパワーとしては少ない。そういうところで、各省庁と連携をとって迅速に対応していく、この一つの要因としては、やはり消費者庁の人員不足ということもその背景にはあるということで認識、理解してよろしいでしょうか。

森国務大臣 いえ、今言った趣旨で連携して強化をしていくということです。

 別途、人員が足りないという御指摘もございますので、私の方で人員は強化をしてきておりまして、昨年度、プロパーの職員を初めて入れまして、今年度はプロパーを十一名入れました。その間に中途採用で、これもプロパーを五名ふやしておりまして、量とともに質も充実をしていくということで、しっかり消費者行政を回していこうと思っております。

國重委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 平成二十一年九月に消費者庁が創設されまして、景品表示法も公正取引委員会から消費者庁に移管されました。その景表法の移管後、公正取引委員会の地方事務所、ここが直接の景表法違反行為の執行に携わらなくなって、個別の事件ごとに調査権限の委任を消費者庁から受けて今処理している現状がございますけれども、この景品表示法については、公正取引委員会と消費者庁の共管にすべきじゃないかというような御意見をおっしゃる方もいます。

 あるいは、公正取引委員会の地方事務所の職員が消費者庁の職員を兼任することも考えるべきじゃないか、一々、公正取引委員会に一件一件これを委任していたら手続上の無駄が多いんじゃないかというような御意見があって、何らかの形で権限を共有すべきじゃないか、こういう識者もいらっしゃいますけれども、これについての見解をお伺いします。

森国務大臣 國重委員の御質問、一番最初に趣旨から入って、やはり同じ弁護士でございまして、我々、司法試験を受けるときから、立法趣旨、要件、効果、判例というふうに、法律全体も条文も押さえてくるんですが、今の御質問も、趣旨から申し上げますと、最初に消費者庁ができたとき、どの部分を共管にして、どの部分を消費者庁専管にするかという議論を、本当に長い時間かけてやりました。

 ここの景表法のところは、消費者庁が所管することというふうになりました。これは、消費者庁が発足するのに伴いまして、表示の基本法たる景品表示法については、消費者利益の保護、これを目的とするということを明確化する、そういう観点から、公正取引委員会のそれまでの、独占体制というところを見ていく公取から引き離して、消費者庁の専管とすることが適当であるというふうにされたものです。

 これを、今現在の実務の目先の便宜を見て、また共管に戻すということになりますと、二重行政とか、目的が不明確化、曖昧化していくというリスクもあろうというふうに思います。ですから、私は、これはしっかりと、専管としつつ、連携関係をしっかりとっていくことが必要であろうかと思います。

 現在、公取から職員も来ていただいておりまして、そこから、今まで積み上げてきた公取のノウハウはしっかりと職員の方に指導していただいておりますし、今申し上げましたように、プロパーの職員を、今まで、前政権下では採用していなかったところを、安倍内閣になりまして消費者庁のプロパー職員をふやしてきておりますので、そこでしっかりと専管事項については趣旨が徹底されるように、頑張ってまいりたいと思います。

國重委員 大臣、どうかよろしくお願いします。

 続きまして、景表法改正法案十二条十一項には、消費者庁長官の権限の一部を都道府県知事に付与することができるとされておりますけれども、この権限の一部の、一部の内容と、これを都道府県知事に付与することができるとした立法趣旨について、森大臣にお伺いします。

森国務大臣 一部の内容でございますけれども、都道府県知事に対してどのような権限を付与するかは政令において定めることとしておりまして、具体的には、調査権限のほか、措置命令権限及び合理的根拠提出要求権限を付与することを予定しております。

 一般消費者に対して表示を行う事業者は全国各地に多数存在しているところ、都道府県の監視指導体制を強化することによって各地域の不当表示に迅速かつ厳正に対処することができるようにすることは、行政の効率を向上させ、全体的な執行力強化に有効であるというふうに考えます。

 その点、これまで複数の地方公共団体から措置命令権限の付与を要望されてまいりましたところ、昨年の十二月には全国知事会からも要望書が出されまして、消費者委員会からも積極的な検討を求められておりました。

 運用に当たっては、今回、法律において、国や都道府県等の密接な連携に関する規定を設け、全国統一的な運用、解釈が行われて、都道府県においても整合性のある運用がなされるよう、実務上も運用方針を明らかにするなどしてまいりたいと思いますし、先ほど来の御質問のとおり、消費者庁は手足が地方にございません。そのような中で、地方自治体の消費者保護の意識を向上させていくためには、ある程度の権限を与えていくということも有効であろうかと思っております。

國重委員 ありがとうございます。

 今、御答弁の中にも、都道府県も措置命令権限等を与えてほしいというような趣旨の声があったということでしたけれども、景品表示法に基づく法的措置件数、消費者庁が作成されました資料がございますけれども、これを見ますと、都道府県ごとに執行実績のばらつきがございます。

 例えば、平成二十五年度を見ますと、北海道は三十六件ありますけれども、私の地元大阪、大阪は犯罪が多いということで、これを何とか、汚名挽回ということでさまざまな取り組みをしておりますけれども、大阪を見ますと、平成二十三年度から二十五年、ゼロ件ということでなっております。

 各都道府県を見ましてもかなりのばらつきがございますけれども、このばらつきが生じている原因は何なのか、これについてお伺いします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に、個別事案の処理件数というのはさまざまな事情で変動するということもあるわけでございますけれども、御指摘いただきました、景品表示法に基づきます法的措置件数、これが都道府県によって異なるということにつきましては、例えば都道府県ごとの体制の違いなど、それぞれ都道府県が抱えます事情、状況が異なっているということによるものではないかというふうに考えております。

國重委員 ありがとうございます。

 では、少し関連してお伺いしますけれども、景表法を専任で担当する職員がいる都道府県というのは、ごくごく一部に限定されているというふうに私も資料等で認識しております。景表法を担当する都道府県職員の体制が、非常に少ない、脆弱であるがゆえに、今回、措置命令権限等を都道府県知事に付与したとしても、実際にこれは実効性があるんだろうか。

 先ほど堀井委員の方が、では今後どのようにして都道府県の体制を強化していくのかという趣旨の御質問をされて、その答弁として、研修会をやっていくんだとか、あと、消費者庁と都道府県がしっかりと情報共有をして連携をとっていくというような答弁がありました。

 私は、ここは、もちろんそれも大事だと思います、限られた人数の中で、どう質を上げていくのか、レベルを上げるのかということも非常に重要だと思いますけれども、その一方で、やはり都道府県のこの職員も、余りにも人数が足らなくて、質を上げたところで、もう手が回らない、もうこれ以上自分たちに言われても困るというような実情もあると思います。

 このマンパワー不足に関して予算措置を講じる等抜本的な対策を講じないと、結局、措置命令権限を与えても、一部のところはそういうのを実際に使えるけれども、多数のところは使えないんじゃないか。消費者庁が創設されて四年がたちましたけれども、この景表法に基づく指示を一度も行っていない県が二十二県あるということで、新聞にも、昨年の九月の新聞報道ですけれども、掲載されておりました。

 このような観点から、消費者庁として、都道府県の自治事務であったとしても、原則は自治事務だから、あなたたちやりなさいよということであったとしても、消費者庁として、この体制強化のためにどのようなことが考えられるのか、お伺いします。

森国務大臣 おっしゃるとおり、地方自治体によって消費者行政の力の入れ方は、強弱あります。

 そこで、今まで、地方消費者行政活性化交付金というのがあったんですが、これに対しては補正で積み増し、積み増しというふうにされてきまして、補正で積み増しされても地方の方は年度当初にきちっと計画を出してできない、そういう現状がございます。

 やはり地方も財源の中で消費者行政の優先度をもっと上げてやっていただかなければならないというふうに思いまして、私になりまして、当初予算でこの交付金を積み増すとともに、インセンティブをつけまして、十分の十の部分があるよ、地方の裏負担がないよ、それの部分でしっかりと消費者行政について注意喚起して、しっかりやっていこうということを促してまいりました。

 特に、ことしは当初予算の積み増しを昨年の六倍にいたしまして、十分の十の部分の中に、こういったことをやったらどうかというふうに項目立てもいたしまして、地方消費者行政の活性化に対する地方のインセンティブを付与しているところです。

 景表法の専任で担当する職員も少ないんだということでございますが、特に食品の表示、景表法に関する偽装表示の食品の部分等に関しては、そういった職員を設けるとか、それからそれに対する研修をするとかいうときには、この十分の十の交付金を活用することも可能であります。

 そういったこともしっかりと周知をしながら、地方自治体の消費者行政の全面的な底上げを図ってまいりたいと思います。

國重委員 ありがとうございます。

 今の御答弁を聞きまして、森大臣になられて、本当にリーダーシップを発揮されて、次々とさまざまな改革をされているということも理解できました。本当に、弁護士時代、消費者事件に一生懸命尽力されてきた森大臣ならではの改革だと思います。引き続き、しっかりとリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 質問をたくさん用意しましたけれども、残り五分ということで、ちょっと飛ばし飛ばしに質問させていただきたいと思います。

 先ほど、課徴金制度、堀井委員の方からもございました。私もこれをできるだけ早期に導入すべきだと思いますけれども、先ほど堀井委員は、全体的なタイムスケジュールという質疑をされまして、それについての御答弁がございました。

 この課徴金制度について、課徴金を単に国庫に納付するだけでいいのか、被害者保護の観点をもっと考えるべきじゃないか、被害回復の視点を入れ込むべきじゃないか。例えば、課徴金を取る前に、被害額を控除してからそれを課徴金として、控除した額に関しては被害回復に充てるべきじゃないかとか、また、課徴金制度をやる前に、そもそも、事業者に被害回復しなさいよと返金を促すとか、こういった、課徴金を単に国庫に納付するだけでない被害者回復の視点、被害回復の視点、これを入れるべきというような意見もあって、私もそれも一考に値すると思いますけれども、これについての政府の見解をお伺いします。

森国務大臣 課徴金制度を含む消費者被害における違法収益の剥奪の制度、私が消費者弁護士時代の研究テーマでございまして、海外にも留学をして研究をしてまいりました。事前規制をかけるのか、それとも、事後に、消費者に被害を及ぼした者から違法収益を剥奪するのかということで、やはり事後の剥奪というものが非常に大きな抑止効果があるんだ、消費者被害を起こすことに関する事業者に対する抑止効果があるんだということは世界でも通説だと思います。

 さまざまな制度がございまして、消費者庁においても、検討会があって長年ずっと検討されておきながら、ほとんど玉虫色の報告しか出ていないんですけれども、今回、私は、課徴金制度を積極的に導入したいということで、検討室を置いて、大臣室直轄で検討をさせているところでございます。

 実は、課徴金という行政から課したものについて消費者に還元するということは、なかなか世界にも例がございませんで、訴訟の中で、取り上げるということを行政が訴訟するというのはあるんですけれども、行政処分としての課徴金を、取った後、消費者に還元する制度というのは、なかなかほかにも例がない、新しい制度ではございますけれども、やはり消費者の被害をできるだけ回復するということに注目をして、これは検討する価値があるものだというふうに考えております。

國重委員 ありがとうございます。よろしくお願いします。

 最後に一点、消費者安全法八条四項で、消費生活相談員の秘密保持義務が定められておりますけれども、消費生活相談員のスキルアップのための事例勉強会の妨げにこれがならないのかどうなのか、妨げにならないと理解していいのか。

 事例勉強会への萎縮効果を及ぼさないために、どのような場合に秘密保持義務違反になるのかをガイドライン等で明示すべきではないかと思いますけれども、これについて端的に御答弁をお願いいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費生活相談事例の適切な共有とその分析、検討は、消費生活相談の技能向上に不可欠というふうに認識しておりまして、御指摘を踏まえまして、法律で守秘義務を課すことによる過剰反応が起きないよう、消費者庁において、具体的なケースを明示してガイドラインを整備することとしていきたいと思っております。

國重委員 以上で終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、お諮りいたします。

 本日、政府参考人として消費者庁次長山崎史郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑を続行いたします。郡和子君。

郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。

 民主党の一時間の質問時間のうち、二十分頂戴いたしました。早速質問に入らせていただきます。

 三月二十八日の代表質問で、来年六月施行予定の食品表示法との関係を大臣にお尋ねいたしました。その際、大臣は、不当表示について、食品以外の多様な商品、事業、すき間なく消費者の利益を守るためには、景表法違反に対する執行力の強化が必要かつ適切と判断したというような答弁がございました。

 景品表示法は、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることで一般消費者の利益を保護するということを目的にしていて、実際のものよりも著しく優良であるとの表示、不当表示等を禁止するものです。そこには安全を確保するという視点が入っていないわけで、これを盛り込むことは困難なわけでございます。

 一方、食品表示法は、自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保することのみならず、食品を摂取する際の安全性の確保も目的とされています。

 昨年クローズアップされました問題の中には、小麦や乳といったアレルギー物質を含む牛脂注入牛肉それから成形肉、これについて、単にステーキという表示がございまして、アレルギーを有する人たちにとっては極めて危険な状態というのが放置されていたということもわかったわけでございます。

 そこでだというふうに思うんですけれども、先月の二十八日にガイドラインが発表になりましたけれども、成形肉を使用している場合のアレルギーの表示については、景品表示法上の問題となるか否かにかかわりなく積極的な対応が求められると、アレルギー表示に関する注意事項が記載されました。

 具体的な文章を読ませていただきますと、「アレルギー表示を行ったり、料理の注文を受ける際にアレルギーの有無を確認するなど、食物アレルギー疾患を有する方に対する情報提供を充実することが求められます。」というものでした。求めますでもない、求められますという、人ごとのような対処だなというふうに思ったんです。ぜひ、食品表示法の改定が必要と考えております。

 牛脂注入牛肉や成形肉に乳等のアレルギー物質が含まれていることを飲食店の関係者が知らなかったというような報道もございました。このことは、アレルギー表示に対する認識の甘さがあらわれているとも言えると思います。

 現在、アレルギー物質については、表示基準内閣府令において、食品を販売する場合には表示が義務づけられておりますけれども、外食については適用外でございます。こうした義務づけのないことが、外食産業の事業者のアレルギーに対する認識の甘さを助長しているんじゃないだろうかと思う次第です。

 現在、消費者庁は、食品表示法に基づく食品表示基準の策定の準備をされていますけれども、外食に適用することはないというふうにされているようでございます。

 アレルギー表示に対して、現行の食品衛生法に基づく表示基準内閣府令の改定を直ちに行った上で、改定内容を、新たに作成される食品表示基準に盛り込むべきであるというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

森国務大臣 冒頭、景品表示法と食品表示法の関係について引用されましたが、御答弁申し上げましたとおり、景表法と食表法、趣旨が異なっておりまして、今御質問のアレルギー表示に関する問題のやはり重要な点は食品の安全の方だと思います。ですから、アレルギーについては、食品表示法の表示の関係で検討していくべきであるというふうに考えます。

 そして、食品表示法はどうなっているかと申しますと、今般のこの法案とは別でございますけれども、前国会で成立をいたしました食品表示の一元化法の中で、今、一元化の作業が行われていまして、国会の中でも質疑されましたけれども、本当に、次なる課題の中でも最優先の問題ではないかというふうに、アレルギー問題について指摘をされたところでございます。

 この点は、実は、郡議員が政務官の時代、民主党政権時代もずっと指摘をされた問題でして、ちょうど郡政務官がいらっしゃった平成二十四年の八月に食品表示一元化検討会で報告書も出ておりまして、今ちょっと、他人事のようなというふうに引用されましたけれども、同じようなことで、検討会を設けるべきではないかというふうに記載されておりますが、その後、検討会は設けられませんでした、民主党政権の中では。

 そこで、私のもとで、食品表示法の一元化の作業、今、本当に最優先で忙しく行っておりますけれども、その後の課題とされてきましたけれども、アレルギーについては大変重要だということで、検討会を近々立ち上げるということで準備をしてまいりました。近日中に有識者の意見を聞く検討会を立ち上げまして、アレルギー情報の情報提供のための方策をしっかりと検討してまいりたいと思います。

郡委員 大臣、お尋ねしていないことまでおっしゃられましたけれども、やはりこれは、人ごと、私どもの政権にあったときにもそういうふうなことだったというふうに言われればそうかもしれませんけれども、それじゃいけないという思いを持っているから、なおここで取り上げさせていただいているわけです。今回の検討の中でも、これは外されました。これではいかぬということを強く申し上げたいと思います。

 次は、事業者の表示管理体制の強化として、事業者が講ずべき表示等管理上の措置が規定されて、この講ずべき措置について必要な指針を定めることというふうにされております。

 この指針について、どのような内容にするのかと本会議場で質問をいたしました。大臣は、「表示等を適正に管理するために必要な体制の整備に関する事項など、事業者内部において必要な措置を示す」というふうに答弁をされていて、この指針は、想像するに、表示責任者の指定や、それから表示の根拠の確保などではないかというふうに思っているところですが、今回は、問題になった事例の中に、七年以上も前から食材の偽装や誤認表示、これが継続しているケースもあったわけです。このような事態が長い間明らかにならなかったのは、従業員らによる公益通報というのが全く機能していなかったということを証明しているというふうに私は思います。コンプライアンスの観点からも、実効性ある公益通報者保護制度の必要性がより明確になったということだろうというふうに思うわけです。

 公益通報者保護制度が機能し、食品偽装、誤認表示等の不正が公益通報によって防止あるいは是正できるように、通報者の範囲の拡大、また通報対象事案の事実の範囲の拡大、また外部通報の要件の緩和や、それから外部通報先の範囲の拡大など、より保護される範囲を広げることも考えるべきではないかというふうに思うんです。公益通報を理由とした不利益取り扱いなどを行った事業者に対するペナルティーの導入、これも必要ではないかというふうに思うわけで、ぜひ検討していただきたい。大臣の所見を伺います。

森国務大臣 先般の代表質問に対する答弁を引用されましたけれども、七年も継続をしていた事案があるということで、大変私も遺憾に思っております。

 これまで、消費者庁ができて安倍内閣になるまでの間に、十七件もの偽装表示の案件がございました。さっき御質問になられました牛脂注入の事件も、実は過去にもあったんです。しかし、それらに対して、新たな法案改正等の検討は一切されてまいりませんでした。

 今回、法案を出しましたけれども、それと同時に、今御指摘の公益通報者保護制度というものがより機能することが必要であるかと思います。この点、平成二十二年度に開催をされました消費者委員会公益通報者保護専門調査会でもさまざまな意見が示されておりましたけれども、意見に両論があるということで、一致には至りませんでした。

 また、ペナルティーの典型例としては罰則が考えられますけれども、公益通報者保護法では、個別法で通報者に対する不利益取り扱いを禁止し、これを罰則によって担保することを排除するものではなく、この旨は法第六条に規定をされておりまして、例えば原子炉等規制法や労働者派遣法などでは、通報者に不利益取り扱いを行った事業者に対する罰則が定められております。

 いずれにしても、保護範囲の拡大、それから公益通報一般において罰則等を設けることなどについては、さまざまな御意見がありますけれども、しっかり、私の方は、有識者や関係者の方々からも幅広く話を聞くなどして、一歩進めた検証、分析を行ってまいりたいと思っております。

郡委員 ぜひやっていただきたい。

 次に移ります。

 課徴金についてお尋ねをしたいと思います。

 景表法が禁じる不当表示に対する課徴金制度の導入について、ことし二月に発足した消費者委員会の専門調査会が検討を進めていて、四月の一日に中間整理が発表されました。

 大臣は、制度の対象範囲や課徴金の金額の算定などを議論し、六月にも予定されるこの答申を踏まえてできる限り早く法案を出すと先日の本会議でも答弁され、きょうもまた菅久審議官から同様の答弁がございました。すなわち、これは、早ければ秋の臨時国会での法案提出を目指す覚悟を示されたというふうに受けとめております。

 課徴金制度の公平性、透明性というのが担保されなければ、事業者の信頼を低下させることにつながりかねません。不当表示の中には、軽過失あるいは無過失と評価される可能性のある事例も考えられるわけです。無過失についても課徴金を賦課するというのは少々酷ではないかなというふうにも思うわけで、示された中間案でも、事業者が注意していたにもかかわらず不当表示とみなされた場合には、課徴金は免除される方向のようでございます。

 しかし、その過失がなかったということをみずから証明する必要がある。お母さんやお父さんがやっているような小さな事業者みずからが証明するというのは困難じゃないだろうかなというふうに思ったわけで、事業規模によって対応できるところ、できないところが出てこようかと思います。どのように対応するおつもりでしょうか。

森国務大臣 示された案というのは消費者委員会の方で御議論いただいているものでございまして、消費者庁の方の案ではございませんので、そこの部分は、引き続き、消費者委員会で議論を進めていただいているところです。お示しになられたのは中間報告でございまして、さまざまな論点がありまして、その中でも一つ、難しい論点であろうというふうに思っております。

 この制度については、実は、前の自民党政権のときに、たしか福田さんのところで法案を準備した経緯がございまして、そのときに、故意、重過失かのような要件が付されておりました。これはまだ消費者庁ができる前のことでございますけれども。これは刑罰ではございませんので、故意、重過失という主観的要件が明示的に課されるかどうかというと、それは非常に難しい問題でございますし、刑事裁判における立証責任というものと同列に論じることもできないものというふうに思っております。

 ただ、郡委員の御質問の趣旨は、小規模零細の事業者が、真っ当に事業を行っている方がこういったことで過大な負担が起きるということは、消費者の保護とのバランスを図る上でおかしいのではないかというような、そういう趣旨であろうと思います。

 消費者庁としては、小規模零細な事業者が真っ当な商売を行っていらっしゃるときに、そこに過大な負担が生じるというような制度にならないように配慮をしてまいりたいと思っております。

郡委員 時間が限られておりますので、大臣、少し短く答弁をお願いしたいと思います。

 この中間報告では、課徴金の対象事案に不実証広告規制を入れるかどうかというのは今後の検討ということになりました。ですが、例えば、レーシック手術を受けて危害が生じたという情報を受けて消費者庁が行ったアンケートでは、きょう資料にお配りしています、広告等をきっかけに手術を受けた事例、これが四割弱ございまして、サービスの質などについて誤解される可能性のある情報が掲載されているというふうに確認されたということでございます。

 また、エステや美容医療についても、二〇一一年の消費者委員会の建議の中に、不適切な表示、広告の取り締まりを徹底することなどが厚労省、消費者庁に対して出されまして、それぞれ取り組んでいただいていると承知はしておりますけれども、いまだに不適切な表現や広告が多く見られます。

 PIO―NETにはごらんのような相談件数があるわけでして、不実証広告規制についても課徴金の対象に含めるべきと考えますけれども、これはいかがでしょうか。

森国務大臣 不実証広告については、不適切な広告で消費者に被害を生じさせた場合に、その広告の裏づけになる合理的な理由があるんですかといったときに、業者さんの方でそれが証明できないというようなことでは私はいけないというふうに思っております。消費者委員会の中間整理においても、積極的に否定する意見はなかったというふうに承知をしております。

 ちなみに、被害、苦情件数も多いわけでございまして、措置命令の件数も、百十件のうち三十件が不実証広告規制でございますので、消費者庁としては、委員の御意見も踏まえまして、ここはしっかりと立法事実等を検証して検討を進めてまいりたいと思います。

郡委員 資料にもう一枚入れさせていただいておりますけれども、二酸化塩素を発生させるグッズ、部屋に置いたり首からかけたりするだけで空間を除菌できるという宣伝、これは根拠がないとして、優良誤認に当たるとして、消費者庁は先月の二十七日、販売する十七社に再発防止などを求める措置命令を出しました。これらはインフルエンザ対策などでかなりヒットした商品でして、対象になったのは二十五品目。

 その措置命令を受けたすぐ後に、新聞に一部メーカーが、製品の有効性を主張する新たな広告を掲載しました。これにまた消費者庁は、根拠がないと、さらに懸念を伝えたという報道がございますけれども、この経緯を説明してください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の件でございますが、先月の三月二十七日の、景品表示法第六条の規定に基づきます措置命令を行った次第でございますが、御指摘の新聞広告は、「「クレベリンゲル」を用いた一般居住空間における検証も行っております。」などと、今回の措置命令の対象となった表示に裏づけがあるかのように、一般消費者に誤解を与えるおそれがあるものでございます。

 そこで、消費者庁としましては、この新聞広告が掲載されました三月三十一日に、担当課から事業者に対し、一般消費者に誤解を与えてしまう懸念がある旨厳しく申し伝えまして、さらに四月三日にも改めて懸念を厳しく申し伝えたところでございます。

 先方からは、表示の改善等を早急に検討したいとの返答を受けておりましたが、四月七日に先方の訪問があり、当該新聞広告と同様の表示を行っていたウエブサイトについて一部修正を行った旨の途中経過の報告を受けております。

 これに対しまして、消費者庁からは、引き続き、一般消費者が誤解をするおそれのある表示について修正を行うように求めているところでございまして、現在、先方で修正作業を行っていると承知してございます。

郡委員 また、同じような商品で、次亜塩素酸ナトリウムを使う、首からぶら下げる携帯型のウイルスプロテクター等の除菌グッズでやけどの被害が相次いで、二〇一三年二月に消費者庁が使用中止を呼びかけております。効果に疑義があったことですとか、やけどの被害があったことなど、どれぐらいの消費者に伝わっていたんだろうかなというふうに思います。

 この被害情報の端緒はどこだったでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、昨年二月十八日に使用中止を呼びかけてございますが、同日以前に関しましては、その事故情報として、地方公共団体の消費者担当部局から三件、医療機関から三件の計六件の事故情報が消費者庁に寄せられてございます。

郡委員 それらの事故情報があって、そして中止を呼びかけたということですけれども、この広報体制というのもまだ課題が大きかったんじゃないだろうかというふうに思いますし、情報が入ってきた中に、医師から国民生活センターに情報提供もあったということなんです。

 消費者庁は、医療機関を利用した、患者から消費者の事故情報を収集する取り組み、医療機関ネットワークという事業をやっております。これは二〇一〇年十二月から開始をしたものでして、当初は十三の医療機関で、これでは余りにも少ないと私も努力をさせていただいて、今、二十四病院まで広がったというふうに聞いて、ほっと胸をなでおろしておりますけれども、昨年は皮膚科や眼科も対象になったということです。

 しかし、二十四病院というのはまだ少ない。しかも、今回情報を上げてくださった医師というのはこの医療機関ネットワークには参画していないということで、ぜひとも、空白区もありますし、多くの医療機関をふやすよう努力をお願いしたいということを申し述べて、質問を残してしまいましたけれども、私の質問を終えます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 一時間のうちの二十分、つなぎ役を行わせていただきたいと思います。

 当時の資料ということで少し、法律案ということになっておりますが、もう既に成立した法律で、いわゆる障害者優先調達推進法というものがあります。

 この法律によって、国の全ての省庁は、調達方針をつくって、障害をお持ちの方が働いておられる事業所のサービスやあるいは製品などを優先的に使ったり買ったりしなければならないということで、これは全ての政党が賛成をして成立をしたということでございます。

 二十五年の四月一日から施行されているということでございますが、消費者庁においてもこの調達方針というものがつくられていると思いますけれども、どのようなものになっているか、簡単に概要をお示しいただければと思います。

森国務大臣 消費者庁におきましては、障害者優先調達推進法に基づく、障害者就労施設等からの物品等の調達の推進を図るための方針を作成しております。

 その中では、消費者庁における障害者就労施設からの物品等の調達の目標を掲げ、そして調達の推進にかかわる適用範囲、随意契約の活用等、そして推進体制の整備、そして調達実績の報告、取りまとめ及び公表の方法について定めております。

中根(康)委員 それで、この法律が施行される前の年度になりますけれども、資料二として添付をしておきました。

 小さな数字で恐縮でございますけれども、真ん中から少し下、消費者庁。そういった面では、法律施行前はそういった配慮がほとんどなされていなかったということになります。

 わずかに使ったのは一件、手話通訳、翻訳という部門において、これは単位は円ですから、一万六千二十円、これが消費者庁の全てであったというわけでございます。もし手話通訳だとすれば、必要があってお一人一日ぐらいお使いになられたということでありますが、これは優先調達とか配慮とかというようなことではなく、必要があって使ったということにすぎないというわけであります。

 資料三、これは厚労省の資料でございますけれども、クリーニングだとか清掃だとか印刷だとか、あるいはお弁当だとか、いろいろと、こういうふうな分野でというか、こういうサービスや製品を使ってはどうですかという例示もされているわけでありますが、これを見れば、消費者庁においても利用できそうなサービスや製品は恐らく幾つかあるんだろうというふうに思います。

 それで、先ほどの調達方針で、目標を定めという御答弁もあったわけでありますけれども、平成二十四年度、法律施行前はほとんど全く障害者に対する配慮が、この面においてはなされていなかった消費者庁ということになりますけれども、法律施行後、どのような目標を、具体的な数値目標というものがあるんだろう、また、なければいけないんだろうと思います。

 どんな目標を立てておられるか、改めてお伺いをしたいと思いますし、二十五年度においてはどんな実績が上がったか、あるいは二十六年度においてはさらにどんな上積みがされようとしているか、御答弁をお願いしたいと思います。

森国務大臣 二十四年度はほとんどなかったということで、二十五年度においては、前年度の実績を上回るということを目標に掲げました。上回りはしたんですけれども、わずかしか上回っておりません。調達の機会は拡大をしたんですが、結局、最後のところで契約に至らなかったケースがほとんどでありまして、契約に至ったのが件数で二件、総額で七万円にとどまっております。

 本年度については、昨年度の実績を大きく上回るように引き続き調達機会の拡大を推進してまいりたいと思いますし、初年度、実施をしまして、さまざまな課題も見えてきたと思います。機会がふえても、なかなか、最後は競争で落ちてしまうというようなことがあったかと思いますので、そこのところをさらに進めるように工夫をしてまいりたいと思います。

中根(康)委員 一万六千円を上回ることはそんなに難しいことじゃない。実績としては七万円だった。七万円ということであれば、もうすぐにでも何か、何に使ったんですか。何だったんですか、七万円というのは。

森国務大臣 まず手話通訳業務に一万五千三百二十円、それから図書館用品の購入ということで五万九千十円でございます。

中根(康)委員 さらに上積みを目指して、これは頑張ってもらわなければならない。

 もう一度聞きますけれども、目標というのは、二十六年度、大体どれぐらいに。七万円が十万円になったぐらいでは、目標を達成したといっても、これはそんなに褒められたものではないわけでありますので、どうですか、百万円とか、そういうところに目標を置いていますか、置いていませんか。

森国務大臣 目標については、調達機会の拡大と前年度実績を上回ることというふうに定めておりまして、今現在、消費者庁のホームページに掲載をしているところでございますけれども、委員の御指摘もございますので、大幅に上回るように頑張ってまいりたいと思います。

中根(康)委員 ぜひ大幅な、大幅といっても、もちろん品質面であるとかサービス面であるとかということで、良質なものでなければならないということではありますけれども、そういった公平な目で見て、なおかつ、障害をお持ちの方々が頑張っているというところを支援するというお立場で、ぜひ大幅な上積みを、来年の今ごろまたお問い合わせをしたときには、胸を張って、どうだというような御答弁をいただけるように期待をさせていただきます。

 資料四でございますが、障害者に関する年度別の相談件数ということで、これは国民生活センターの統計が示されております。

 年々、障害をお持ちの方々からの相談件数はふえているということでございます。もちろん、相談内容から被害の実態を推測することはできるし、相談件数が年々ふえていることから見て、消費者被害というものも多くなっているのではないかという推測もできるわけであります。あるいは、ふえているということは、これまで潜在化していたものが単に顕在化したということなのかもしれません。

 いろいろな推測はできるわけでありますけれども、障害をお持ちの方々の消費者被害の実態というもの、特に、意思表示が難しい、知的障害をお持ちの方々を中心といいますか、スポットを当てたような調査というものが行われているかどうか。

 消費者庁の白書を見ても、高齢者はたくさん、そういったデータが掲載されているんですけれども、障害者のものは余り見当たらなかった。見落としたのかもしれませんが、見当たらなかったわけなんですけれども、障害者の消費者被害の実態調査というものは行われていますか、いませんか。

森国務大臣 障害をお持ちの方の相談件数というものは調査が行われておりまして、こちらは障害者白書の方に掲載をしております。

 今お尋ねの知的障害者の皆様につきましては、PIO―NET等の相談事例を見ますと、知人に頼まれて知的障害のある家族が携帯電話を五台契約してしまったけれども解約できないかといった相談でございますとか、知的障害のある家族が訪問販売で断り切れずに次々と寝具類を購入してしまったとか、それから、知的障害のある子供が、子供がというふうになっておりますけれども、消費者金融からお金を借りるように言われ、借りたお金を渡してしまったというような相談が寄せられております。

中根(康)委員 障害者白書にあるということは、これは厚労省の調査ということですか、それとも、消費者庁の調査ではないですか。どうなんですか。

森国務大臣 内閣府の障害者担当の調査でございます。

中根(康)委員 特に知的障害の方々においては、被害の自覚すらない場合もある、相談すらできない場合があるということでいえば、ぜひ森大臣、この面にも御注目といいますか、関心を高くお寄せいただいて、埋もれている消費者被害というものを掘り起こし、そして救っていただく、あるいは未然に防いでいただく。一番弱い立場の方々の一人であるわけでありますので、ぜひ消費者庁として、この分野にこれから、これまで以上のお力をお注ぎいただけますように、よろしくお願いを申し上げます。

 それで、消費者安全法について少し聞いてまいりたいと思います。

 これは、概要は資料五に添付されたとおりということでございますが、その十一条の二というところに、消費生活上特に配慮を要する消費者とありますけれども、これはどのような方々を指しているのか。

 高齢者、障害者、多重債務者というような説明も聞いておりますが、全てのこういった方々は、高齢者、障害者、多重債務者ということに該当する方であれば全て、内閣総理大臣は地方公共団体の長からの求めに応じて情報を提供できるという方々に該当するということになるのかどうか、御答弁をいただければと思います。

森国務大臣 消費生活上特に配慮を要する消費者とは、高齢者や障害者など、消費者被害に遭いやすい特性を有するため、きめ細かな対応を必要とする者を想定しておりますので、御質問のとおりでございます。

中根(康)委員 それで、この情報提供の対象となるということは、本人にも知らされるということになるのか、あるいは、本人の意思が、私はそんな対象にされたくないという場合があったとしたら、その場合、本人の意思に反してでもその対象として指定といいますか、対象となるのかということについてはいかがでしょうか。

森国務大臣 私は、当然本人の意向は尊重されるべきと思っておりますので、本人の意向に反して見守りの対象になるということは、ならないと思います。

中根(康)委員 中には、制度、法律の趣旨を十分御理解いただかなくて、単に、何となくそういうものに、対象になるのは嫌だというようなことで拒否をされる場合もあるかもしれません。

 いずれにいたしましても、本人の権利あるいは暮らしを守るという視点に立って、まずは制度や法律の中身を十分説明し、周知し、御理解をいただいた上で、こういった弱い立場の方々が守られる、その上での消費生活上特に配慮を要する消費者として消費者庁が守っていくということにしていただければと思います。

 十一条の四に、消費者安全確保地域協議会は、構成員に対して、消費生活上特に配慮を要する消費者に関する情報の提供や、意見や協力を求めることができるとあります。そして、特に配慮を要する消費者と適当な接触を保ち、状況を見守るなど必要な取り組みを行うというように書いてあります。

 この適当な接触とかあるいは必要な取り組みとはどういうものかということや、あるいは、その中にはいわゆる継続的な支援であるとか事件解決の仕組み、サポート、こういったものも含まれるのかどうか、お伺いいたします。

森国務大臣 この地域協議会というのは、既に地方、地域におきまして活動していらっしゃる民生委員の皆様でありますとか、高齢者に関する福祉施設の職員さん、または自治体の職員や弁護士会、司法書士会、法テラスの方々、さまざまな方々を、その地域の特性に応じてネットワークを組むということになっているんですが、今までの活動の中で適切な接触をしていらっしゃると思います。その中で、消費生活上特に配慮を要する消費者に関しては、地域協議会の中で研修をしたこと等を活用して見守っていくということを予定しております。

中根(康)委員 消費生活上特に配慮を要する消費者にこだわりますけれども、についての情報は、協議会においては誰が責任を持って管理をするのか。本人の意思に反して外部に漏れて、悪意を持った人の手に渡って、悪徳商法、悪質商法の被害のターゲットになる、そういうふうに結果的になった場合に、協議会において誰がどう責任をとるということになるのかについてもお尋ねいたします。

森国務大臣 この情報自体については、地方公共団体において管理することとなります。個々の情報は、協議会の構成員が共有することができますので、それについては適切に共有をしつつ、効果的に見守りが行われるように運用指針を策定していこうというふうに思っております。

 高齢者の被害が特に増大、そして被害金額も大きくなっているわけでございますが、こういった被害者のリストがいわゆるカモリストとして、悪徳事業者から悪徳事業者の手に渡っております。一つの悪徳事業者がある地域で高齢者の詐欺をした後、そこの場をすぐ去って、検挙されないように逃げるわけですが、そのときにその被害者のリストをカモリストとして裏ルートで売る、そういったものをまた入手して次の悪徳事業者が被害を生じさせるということで、同じ被害者が二重、三重に被害に遭うということが起こっているわけでございます。

 こうしたことに適切に対応をしてまいるような運用の仕方をしっかりと工夫してまいりたいと思います。

中根(康)委員 大臣が今御答弁されたことは本当に大事な、極めて注意深く見きわめていかなければならないところだと思いますので、御答弁どおり十分取り組んでいただきますようによろしくお願いいたします。

 時間が参りましたのでこれで終わりますが、国連の障害者権利条約というものにも批准をいたしました。あるいは、障害者差別解消法というものもできました。その意味で、消費者庁行政においても、障害者に対するいわゆる合理的配慮というものがどのようなものであるかということも、ぜひ大臣、今後十分御協議というか庁内で御検討いただいて、適切な施策を行っていただきますようにお願い申し上げ、きょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 法律の質問に入る前に、一問、商品先物取引についてお聞きをしたいと思います。

 四月の五日、経産省及び農水省は、商品先物取引法の施行規則を改正して不招請勧誘禁止の一部を緩和するということを発表されました。

 不招請勧誘というのは、顧客の要請によらないで電話や訪問での勧誘をすることをいうんですけれども、商品先物取引については、長年深刻な消費者被害が生じてきたことから、平成二十一年の法改正で不招請勧誘の禁止というのを入れたんですね。森大臣も弁護士でいらっしゃいますけれども、今回の規則改正については、法の趣旨を骨抜きにするのではないかということで、弁護士会からも反対の意見が表明されています。

 また、一昨日の記者会見で、大臣は、私も記者会見の映像を見せていただいたんですけれども、このことについて消費者庁に対して事前の協議がなかった、協議を関係省庁に申し入れたいというふうに思うということで、不満の意を表されていたんですけれども、大臣は、この不招請勧誘禁止の緩和というのに対して反対ということでよろしいのか、そして今後どういうふうに対応していかれるのかについて、改めてこの国会の場でお答えいただきたいと思います。

森国務大臣 閣議決定で、顧客の保護をしっかり守った上でやるということになっているんですよ。ですから、私は、顧客の保護を守ると書いてあるその部分は消費者担当大臣として意見を言わせてくれないと困りますねということで、記者会見の後すぐ、協議の場の開催ということで申し入れをいたしました。近く協議がなされると思います。

 どのような制度になるかということはわかりませんけれども、どのような制度になっていくにしても、まず手続面として、しっかりと意見を聞いていただきたいということとともに、内容面については、今後、今委員が御指摘のような改正の経緯があるわけでございますので、それから消費者庁が持っている苦情件数等の数字もありますので、そういったことを示しながらよりよい制度にしてまいりたいと思います。

大西(健)委員 今大臣がお答えになったように、やはり実際に消費者被害があったから法改正をしているわけですから、その後その法改正がどういうふうに機能したのかというようなこともしっかり検証していただいてやるべきだと思いますので、大臣、ぜひ期待していますので、頑張っていただきたいと思います。

 それでは、次に、法案の提案理由説明の中で、提出の背景として、食品表示等の不正事案の多発などによって消費者の安全や安心が揺るがされているということが指摘をされていますけれども、この安全の部分について、昨年末からことしにかけて、冷凍食品に農薬が混入されるという事件が起こりました。

 食品への毒物混入については、かつて、皆さんも覚えておられると思いますが、二〇〇八年に、中国製の冷凍ギョーザに殺虫剤が混入されていたという事件があって、それをきっかけにして厚労省でも研究班が設けられて、ガイドラインを作成した。また、各食品事業者においても対策をとらなきゃいけないということで対策が進んできたんですけれども、今回、このような事件が起きたということです。

 また、アメリカでは、同時多発テロ以降、意図的な食品への毒物混入、これを食品テロ、テロの一部だということで捉えて、二〇一一年に食品安全強化法という法律が施行されています。

 今回、冷凍食品へのマラチオン混入事件に関して、三月の十四日、消費者安全情報統括官会議が消費者庁で開催をされて、大臣もそこに出席をされたというふうに聞いております。今後、こうした意図的な食品への毒物混入だとか食品テロ、こういうものに政府としてどのように取り組んでいかれるつもりか、先日の会議の内容も踏まえてお答えいただきたいと思います。

森国務大臣 食品への毒物混入というのは、本当にあってはならないことで、許されない事件であるというふうに思います。

 中国ギョーザ事件が起きまして、そのときに、私も、当時の野田聖子大臣と一緒に官邸まで行って、対策案を党として持っていったわけでございますけれども、そのときに、消費者安全情報統括官会議というのが、その後の政府の決定で、毎年行う、統括官による危機対応訓練を行うということが決められました。

 毎年、年末に行っていたようではございますが、私が大臣になって、十二月二十六日に大臣になりました。そして、その年の年末も開かれたんですよ。だけれども、それを見る限り、非常に形式的なものでした。そこで、私は、その会議の直後に統括官会議第一回を開いたんです。この三月十四日は三回目になりますけれども、そこで、このような形式的なことを毎年行っても意味ないでしょうということで、中身の改革をしてまいりました。

 特に、年末の場合は、中国ギョーザもそうですけれども、事案が起きたときに情報が上がってきにくいということを、徹底的に、どういった経緯で情報が上がってくるようになるか、そのルートの検証も含めて行ってまいりました。

 その結果、三月十四日に決まったことは、まず、これも私の方で主宰をして招集する会議でございますが、各省から局長級が出ております。農水省の方にやってもらうこととして、食品防御の取り組みをさらにグレードアップしてくれということで出してあります。そして、厚労省の方は、中国ギョーザのときに、厚労省の方でガイドラインを出して、それを踏まえて各自治体で条例が策定をされているんですけれども、今回は、保健所等に相談が上がってきませんでした。保健所に上がってくれば、これは行政の網の中にひっかかりますけれども、それがなかったわけでございますので、そういった情報の収集のあり方をさらに検討するようにということで宿題を出しております。

 消費者庁としては、リコール情報の周知の取り組み、それから、さらなる迅速化でございますとか、関係省庁による緊急時訓練をより実践的なものにしていくものの取り組みといったことを決めまして、関係省庁で連携して取り組んでいるところでございます。

大西(健)委員 食品工場等は性善説に立っているということなので、このような事件が起きると、こうすれば本当に世間を恐怖に陥れることができるということがわかれば、これは今後起こる可能性もありますので、今後とも、ぜひ取り組みをしっかり進めていただきたいと思います。

 次に、今回の法案提出の背景として、昨年来、全国のホテルやレストランで起きたメニューの不適切表示ということがあるわけでありますけれども、これに対して、三月の末に新たなガイドラインというのが発表されました。

 このガイドライン、私も中身を見せていただいたんですけれども、その中では、例えば、アカニシガイをサザエとか、ロコガイをアワビとか、こういうのはだめですよということが書かれているんですね。以前、この委員会で、私もすしの代用ネタという話をさせていただいたんですけれども、まさに、ロコガイ、アワビというのは、代用ネタの一つの代表みたいなものなんです。

 そこで、改めてお聞きをしたいんですけれども、回転ずしで代用ネタと、ネット上とか雑誌とかでもいろいろな指摘をされていますけれども、今後、こういうことはもうできないことになる、つまり、正確な魚介類の名称を書かなきゃいけないという理解でよろしいんでしょうか、確認です。

福岡大臣政務官 ガイドラインにおきましては、一般的な料理の名称として確立しているものについての考えを明らかにさせていただいております。

 一般的なすしの名称として、そのネタがその名称のすしに現に広く使われていることが社会的に定着している場合など、一般消費者がその名称のすしの選択において、それらのネタの違いに通常影響されないと認められる場合には、そのすしの名称を単に表示するだけで直ちに景品表示法違反となるものではございません。

 ただ、一方で、ガイドラインに書かせていただいていますアカニシガイやロコガイの事例と同様に、すしネタの名称として表示されている食材そのものを使用している旨を表示しているにもかかわらず、実際には当該食品とは異なる食材を使用している場合には、景品表示法上問題となるというふうに考えております。

大西(健)委員 ちょっと抽象的で少しわかりにくかったんですけれども。

 ちなみに、皆さんのお手元に、水産庁のガイドラインというのを配らせていただいています。ここの中にも、下の方の段ですけれども、外国から輸入されている新顔の魚は、消費者が高級な魚の仲間と誤認するような紛らわしい名称は使用しないことということですね。JAS法上も、今、スーパーとか鮮魚店で売っている場合には、こういう表示というのは使えないんですよね。

 ただ、今回のガイドラインでは、料理に使用された場合であっても、景表法の優良誤認という考え方に立って、先ほど政務官からも御答弁いただきましたけれども、普通の人はアワビと聞いたらそれはロコガイとは思わない、それをあえてアワビと表示しているのは、実際のものをそのまま表示するよりも売り上げが伸びると期待しているからであり、問題があるということをガイドラインの中にも書いているんですね。

 その同じような考え方に立った場合に、私は、ちょっと話は違いますが、例えば、外国産の原材料を使用しているにもかかわらずそれを表示していないというようなケースについては、消費者は、外国産だったら買わないのに、それを知らないから買っている、つまりそこに誤認が生じているんじゃないかというふうに思っているんです。

 具体例でちょっとお示しをしたいと思うんですけれども、資料の二枚目をごらんいただきたいんです。ちょっと写真が余り写りがよくないんですけれども、これは、よくスーパーで売っている、個別包装された、お総菜として売られている焼き鳥なんですけれども、ラベルには国内製造と書いてあるんです。これはうそではないんです、国内製造なんです。ただ、これは実は、半加工したものを輸入してきて、それを味つけとかをして国内で売っているものなんです。原材料のところを見ると鶏肉としか書いていないんです。だから、実際には、半加工していますから、これは外国産なんです。

 あるいは、下の方を見ていただきたいんですけれども、これは、下処理をしたブラジル産のチキンをスーパーの店内で揚げてパックして売っているという事例なんですけれども、これも、総菜等については、原材料について今のところ表示しなくていいということですから、チキンが外国産かどうかというのはわからないんです、これだけ見ただけでは。

 総菜等では、原材料について、国産の場合は殊さらに強調して、外国産の場合には消費者にマイナスイメージを与えるからということで表示をしない、これが一般的になってしまっているんですね。

 このように、販売側が原材料に関する情報をコントロールして、そして販売に不利になると思われる情報は表示しない、こういうケースというのは、消費者の自主的、合理的な食品選択を阻害しているんじゃないかと私は考えますが、大臣、この事例を見てどのように思われますでしょうか。

森国務大臣 食品の原材料の情報は、消費者が商品を選択する上で重要でございますので、御指摘の事案についてもさまざまな課題があると思います。

 この点、現行では、JAS法でございまして、小売については原材料の表示をしなければいけませんよと義務化されている一方で、農水省の告示において、中食、外食について、一般消費者に製造加工して直接販売する場合はこの限りではないということで、抜いている、除外しているわけでございます。

 この点については、さまざまな御意見もあることでございますので、今後、検討が必要であると思います。今、消費者委員会の方で検討中でございます。

大西(健)委員 今まさに私が指摘した加工食品の原料原産地表示、それから、先ほど郡委員が中食、外食へのアレルギー表示の話をされました。これらは、まさに、この間の食品表示法の法改正のときに今後の検討課題として残された問題なんですね。

 三枚目の資料を見ていただきたいんですけれども、百八十三回国会で成立した食品表示法が公布をされたその日、二十五年の六月二十八日に、実は、こっそりとというわけではないんでしょうけれども、消費者基本計画の改定が行われているんです。その改定の中身というのが、ここに書いてあるとおりなんですけれども、加工食品の原料原産地表示、中食、外食へのアレルギー表示、食品添加物表示、遺伝子組み換え表示といった今後の検討課題の実施時期について、「新たな食品表示基準の策定について目途がついた段階から」と書いてあるんです。

 今までは順次検討すると言っていたのを、めどがついた段階からということに、私はこれは先送りしているんじゃないかと。

 つまり、消費者庁は、まず、ばらばらになっている食品表示基準を一つに束ねて新たな食品表示基準をつくることを優先的にやって、それができたら、次に、この今後の検討課題をやるということなんですけれども、先ほどの郡委員の御指摘にもあったように、私は、それでは遅いと思うんです。同時並行的にこれを進めていかないと、今私が言った加工食品の原料原産地表示もそうですし、アレルギー表示もそうですけれども、優先順位をつけているのもわからないではないんですが、やはり、それをやらないと、幾ら今回の法改正で体制を強化しても、抜け落ちている部分があると言わざるを得ないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

森国務大臣 めどがついた段階から検討を実施しますというのはずっと言い続けていることですので、後退したわけではないということを申し上げさせていただいた上で、私は、アレルギー表示については、やはり安全面という問題から重要性が高いと思っておりますので、これは近く検討会を設置させていただきます。もうその準備をして、委員の選定等も進めているところでございます。

 このように、さまざまな課題がございますので、しっかりと進めてまいりますが、この基準、表示を一元化するということも、これは大変大事な課題でございまして、法律の要請です。これを消費者にとってわかりやすくするということがございますので、しっかりとそれを行いながら、積み残しの課題は順次行ってまいりたいと思います。

大西(健)委員 ぜひ、もちろん新たな食品表示基準をつくるのは大切ですけれども、できれば同時並行的にやるぐらいの勢いで、今アレルギーについてはそういう方向でやっているということですけれども、お願いしたいというふうに思います。

 今回の法改正で、消費者行政の体制強化の一環として、相談員資格の法的位置づけを明確化して、新たな国家資格を創設するということが入っています。

 現在、消費生活相談に関する資格というのは、三つの資格があります。お手元の資料の四ページに、消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタントという三つの資格を比較した表をつけておきましたけれども、現状は、例えば、受験料も違っています。更新がある、ないというのも違っていますし、更新の費用も違っています。試験の内容も違っているわけですけれども、こういうふうに違っているんですね。

 今回、法案では、登録要件に適合した法人に、新たに登録試験機関として登録をするということなんですけれども、例えば、この三つの法人が全て法律的な要件を満たしていれば登録試験機関になれると思うんですけれども、そういった場合に、三つともなっちゃうと、受験者の奪い合いが起きないのか。例えば、受験料を統一するのかどうなのかわからないんですけれども、受験料を安くするとか、試験を受かりやすくするとか、では対策講座をやっていいのかとか、結局、受かりやすいところの試験機関で受けるということになるんじゃないかとか、そういう具体的なところがちょっとこの法案からだけではよくわからないんですね。

 試験機関ごとに、試験内容だとか水準、今言った問題の難しさ、これがもしばらばらであれば、今回、相談員資格を法的に位置づけて、その目的の一つというのは、私は質を向上させるということだと思うんですけれども、逆に、試験問題を簡単にするなんということになったら質的向上が図れない、あるいは、ばらつきがあるということであれば質的向上が図れないということで、今回の法律の趣旨にも矛盾するところが出てしまうのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

福岡大臣政務官 委員御指摘のとおり、現在あるこの三団体も、その要件を満たす機関ということであれば、今後、試験を実施することができるということでございます。

 その中で、やはりこれまでもそれぞれの団体は独自性を発揮していただいておりまして、そういった観点でいうと、多様な人材を消費生活相談の現場に送り出すという意味では有益であったというふうに思いますが、一方で、今回は、試験科目であったり、試験委員の要件等、試験の内容に係る事項等を法律で規定させていただいておりますので、それぞれの試験の特色は排除しないまでも、相談を受けていただくに必要な最低限の知識は全員に得ていただくということを定めさせていただければというふうに思っております。

 現状におきましても、さほど、大きな競合とか奪い合い等があっているというふうには承知しておりませんので、今後もそういうところはしっかり見ていきたいと思います。

大西(健)委員 今申し上げたような懸念についても注意を払いながら制度設計していただければと思います。

 最後に、この資格を国家資格化するというのは、今言った質の向上と、プラス、やはり相談員の処遇改善が一つの目的だと思うんですね、社会的地位を向上させると。

 資料の最後につけましたけれども、これを見ていただくと、何と、相談員の九五%は非正規職員、二二・四%で雇いどめが行われている。この雇いどめについても、二〇一一年の二月に、消費者庁長官が自治体宛てに雇いどめをやめてくださいと言っているんですけれども、その後も、このグラフにあるようにふえ続けているんです。

 ですから、今回、国家資格化することによって本当に処遇改善につながるのかどうなのか、これはつなげないとうそだと思うんですけれども、この点を最後にいただいて、質問を終わりたいと思います。

森国務大臣 相談員の雇いどめや処遇の改善ということは、長年の大きな課題で、消費者庁長官からお手紙を出しても全然変わらないということで、私の方でついにペナルティーを科すことにいたしまして、地方消費者行政活性化基金の期間を雇いどめを行ったら切るよというふうにいたしまして、大分県の方はこれで雇いどめが解消されました。

 順次、この雇いどめについては解消を図ってまいりたいと思いますし、お話を聞きますと、やはり、相談員の皆様お一人お一人の声として、地方自治体の中で働いていると、法的資格を持っている者はやはり処遇が上なんだ、金額が上であるということがございますので、法的資格を与えたということで処遇改善につながることをしっかりと自治体にも訴えてまいりたいと思います。

大西(健)委員 終わります。

山本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 まず、私も、先物取引問題について一つ質問しておきたいと思います。

 問題は、株式などと比べてリスクが大きい。長年にわたって深刻な消費者被害が発生してきたことから、二〇一一年の法改正で、取引を望まない消費者に電話や訪問で勧誘することを禁じた。

 しかし、一方で、この先物勧誘の規制を緩和すべきだという動きはいろいろありました。安倍政権になって、昨年六月に閣議決定した規制改革実施計画で見直しを促したことで、経産省と農林水産省が今月の五日、規制を緩和する商品先物取引法施行規則の改正案を公表し、パブリックコメントの募集まで始めた。

 この点に関して、私は、消費者保護の観点からも重大な問題があり、先ほど、手続面とかよりよい制度などという話をしていましたけれども、問題は、きっぱり反対の意見表明をするべきだというふうに思いますが、再度、私の方からも質問しておきたいと思います。

森国務大臣 私は、消費者被害が生じないという観点から、きっぱり意見を申し上げたいと思います。

 まず、協議の場を設けていただきまして、先般の法改正の経緯、そして、その後の消費者相談の件数がずっと下がっていること、これはやはり改正の効果であるという評価がございますので、そういったことをしっかりお示しをしてまいりたいと思っています。

穀田委員 消費者委員会は、到底容認できないということで、反対の意見書を公表しています。多くの消費者団体からも驚きと怒りの声が上がっています。大体、そういうことでパブリックコメントの募集まで事態が進行していること自体が私は問題だと言わなければなりません。

 今後、今、きっぱりとありましたけれども、このような規制緩和は許してはならない。そういう意味では、消費者庁の役割が問われるということだけ言っておきたいと思います。

 そこで、今度は、消費税増税の問題について一言聞いておきたいと思うんですね。

 四月一日から消費税率が五%から八%に引き上げられました。森消費者担当大臣は、一日の朝、都内のスーパーの視察に行ったと報道されていますけれども、何を見に行ったんですか。

森国務大臣 いつもスーパーには行っているんですが、あそこもよく行っているんです。何でかといったら、十一時まであいているので、働く母としては非常に便利でありまして、あした出さなきゃいけない幼稚園のお遊戯の布とか、そういったものが売ったりしております。

 そういったことで、いつも見ているスーパーの表示がどういうふうに変わったのか、そしてその表示をどのように工夫して表示されているのか、また、それにかかった準備等についても、事業者から、スーパーの方からお話を聞きました。

 消費者庁としては、消費税のこの四月一日からの引き上げに際しまして、二つ。

 一つは、消費税還元セールというもので、消費者が消費税を支払う部分を店の方で負担しますよ、そういうような還元セールが行われていないかどうかということのチェック。それからもう一つは、便乗値上げがないかどうかということのチェック。この二つを、担当しておりますので、その点も見てきたところでございます。

穀田委員 夜まで行かれるというのはそれは結構なんですけれども、個人的な話を聞いているわけじゃなくて、朝行った話を聞いているんですけれどもね。今言った、店が負担しているかどうか、簡単に言うと、転嫁の問題を見に行っているということですわな。

 麻生太郎財務金融担当大臣は、四日の記者会見で、消費税率引き上げで円滑に進むか懸念されている中小零細企業における増税分の価格転嫁について、増税分がきちんと転嫁されるよう監視していくという方針を示したと報道されています。

 しかし、日本商工会議所が三月に中小企業約三千百社を対象に行った調査で、消費税率引き上げ分を転嫁できないと答えた企業は全体の約三割に上ると指摘しています。また、信金中央金庫が全国の信用金庫を通じて聞き取った調査によれば、三九・五%の中小企業が消費税の増税で売り上げが減少することを懸念しており、増税分を販売価格に全て反映できるというのは三社に一社という状態だそうです。こういう状態であります。

 それで、大臣にちょっと率直にお聞きしたいんだけれども、価格に転嫁できない、理由は何だと思いますか。

森国務大臣 確認を最初にさせていただきたいんですが、私の答弁に対して、要するに転嫁の部分を見に行ったんですよねというふうにおっしゃられていましたけれども、そこは違いますので申し上げておきます。私は、消費者庁として、消費庁の役割は、還元セールの消費者に対する表示の部分、それから、便乗値上げで消費者に過大な不利益を与えていないかというところをしっかり見てまいりました。

 しかし、これがしっかり転嫁されているかどうかというところは、もちろんこれは政府全体としては重要な側面でございまして、担当の茂木大臣、稲田大臣のところで政府一体となって進めているところでございます。

 転嫁がどうしてされていないかということは、担当の大臣の方でしっかり取り組んでいる問題だとは思いますけれども、私、担当ではございませんが御答弁をさせていただきますとすると、これは、中小企業また弱小の下請に対するさまざまな取引上の優越的な地位等を利用して行われることに問題点が一つはあるというふうに思っております。

穀田委員 それは一つで、いわば製造業における大企業だとかそういったところが下請に対してやっているという事実はもっとひどい実態がありまして、前回でも、消費税増税分をはなから計算しないで単価の切り捨てや維持ということをやられたというのは枚挙にいとまがありません。

 それで、還元セールをやっているかどうかという話でいえば、それは勝手にやっているということじゃなくて、消費税を身内でやっていて、転嫁していないということを事実上別の側面から見ているというような話にすぎないんですよ。

 問題は、何で転嫁でけへんかという話について言えば、それは下請との問題では、それは一つはあるでしょうけれども、小売業における問題などというのはもっと深刻なんですよ。中小零細企業にとってみますと、適正な転嫁転嫁というけれども、どんな現状か。

 私は京都に住んでいますけれども、京都でも喫茶店なんかに行きますと政治談義になりますよ。そこの中で、マスターは、ホットコーヒー四百円、今までも消費税を上乗せしてきてへん、今度八%になったからといって十円や二十円上げられるか、お客さんのポケットからの四百円なんや、それをしたら客も減るし、売り上げも落ちる、転嫁なんかでけへんと。

 要するに、売り上げが減る、客が来なくなる、結果として、商売、店が潰れるという心配からやっているんですよ。

 そういうことについて、何といいますか、担当大臣、要するに消費者の担当をしているということからしますと、私は、消費税の担当大臣かどうか、それはほかの人はどうか知らぬけれども、消費者の末端で起こっている事実について、また中小零細企業や、その苦労ということについて、やはり身を寄せなあかんでということを言っておきたいと思います。ちょっと、全然観点が違うなという感じがしました。

 次に、法案の問題について質問します。

 消費者安全法に関連して、消費者相談員の人員確保について聞きます。

 消費者安全法の改正は、高齢者を中心とした消費者被害や、迅速な対応のため、被害者により身近な都道府県、市町村における消費生活相談等の体制を整備しようというもので、それは私どもも評価したいと思うんです。

 ただ、現状は厳しいと言わざるを得ない。体制を整備するためには、消費者庁として、財政的支援を初め、本腰を入れていかなければならないと思います。

 本法案に対する調査室の参考資料によりますと、消費者庁の地方消費者行政の現況調査という資料が掲載されています。

 その中身によりますと、地方消費者行政の予算を見ると、一九九六年度には合計で百九十億円あったものが徐々に減っていき、二〇〇八年度には約半分の百億円、その後少し持ち直したものの、昨年度は百四十五億円と減っているのが現状です。

 だから、地方自治体における役割を強化しようと思えば、予算的にも改善する必要があると思うんだけれども、これはいかがかということが一つ。

 それからもう一つ、今の現況調査では、二〇一三年四月時点の相談員数は三千三百七十一人、うち四%が正規職員、七六%は非常勤職員、残り二〇%は委託となっています。

 相談、あっせんの効果の点でも、今回の改正案にある指定消費生活相談員の業務遂行の点でも、相談員に一定数の正規職員が必要と考えますけれども、大臣は正規職員四%という数字をどう認識しているのか。

 この二つ、答えてくれますか。

森国務大臣 まず、予算の面でございますけれども、地方の消費者行政の財政的な支援をしますために、地方消費者行政活性化交付金を当初予算でつけるということを私になって初めてさせていただきました。そして、今年度は、昨年度の六倍にふやしまして、三十億円を当初でつけたところでございます。

 そして、さらにその中に、十分の十ということで、インセンティブをつけた、テーマを設けた予算をつけておりますので、これを見て、地方自治体が、十分の十であればやってみようということで取り組んで、地方における消費者行政の重要性を認識し、そして優先度が上がっていくということを期待しているところでございます。

 二点目の御質問の、消費生活相談員のうち、非常勤の占める割合が多いことは非常に憂慮をしておりまして、それに対する一つの方策として、今回提出した法案において、消費生活相談員の職及び任用要件を法律に位置づけて法的資格とすることによって、こういったことの改善につなげるようにと思っているところでございます。

穀田委員 いつも大臣は、自分のときにこうやったというのを割とひけらかすんやけれども、さっき言いましたけれども、百九十億円あったものが百億円になっている。だから、そういう実態に対してやはり事実を見なくちゃならぬということだけは言っておきます。

 そこで、相談員の話ですけれども、相談員を対象としたアンケートでは、週三日の勤務では急ぐあっせんがうまく行えない場合もある、相談員は週に三日から四日と業務が限定されているため、あっせんを行う時間が足りないといった意見があります。

 そういうように、非常勤という勤務形態ゆえに、消費生活相談に十分に対応できない状況があります。だから、私は、一方では待遇、処遇ということでの面と、受ける、消費者側の相談をする側にとってみれば、その相談をする体制、それの強化という点からいっても極めてまずいという状況がある。

 したがって、それらを、さまざまな消費生活相談を行政の課題へと収れんしていく点からも、正規職員の率を明らかに僕はふやさなきゃならぬと。四%なんて、およそ、公的なそういういわば行政にかかわる、法律化していく上でも、私はふやさなくちゃならぬと思うんですね。

 そこで、非常勤の相談員のうち、正規職員としての雇用を望む方はどの程度いるか、把握しておられるでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、非常勤の消費生活相談員のうち常勤となることを望む割合の把握でございますが、これに関しましては、消費者庁の方ではそういう調査は実施してございません。

 なお、少し関連するものでございますが、二〇一三年十二月に、全国消費生活相談員協会、この協会の方で会員に対する実態調査を行ってございます。その中で相談員について働き方の希望を聞いておるわけですが、これは大体非常勤の職員が多いわけですけれども、回答者のうち五・五%の方が「その他」という欄で、この中には正規職員になりたいという方が入ってございますが、そういう数字が出ているというところでございます。

穀田委員 私、現場の話をよく聞かなあかんと思うんですけれども、先ほどもありましたけれども、非正規、非常勤という勤務は大変なんですね。低賃金だ、それから社会保険の関係も非常に不十分だ。一方では雇いどめもある、先ほどありましたけれども。それから、私がさっき言いました京都などでも、あからさまなんですよ。ボーナスを支払わなくていいような形の勤務形態として働かせるという状態だということが、直接、多くの方々が言っていますよね。

 だから、多くの非正規雇用の方々は、安定した雇用、正規雇用を求めています。しかも、政府の白書でも、大体、今、非正規雇用の増大が今日の給与を大幅に減らした原因である、これを何とかせなあかんということを言っているぐらいなんですよ。だから、もっと率先してこのことについては当たらなあかんということは言っておきたいと思うんです。

 全国どこでも相談員に相談できる体制を確立するためには、小規模自治体に相談窓口等を設置していくことは重要です。

 相談員一人、週一日ないしは二日受け付けといった体制では、あっせんの実を上げることも難しいことは容易に想像できます。相談員の資質向上の点でも差しさわりがある。

 消費者行政の地方の体制について、最低基準を設けるという意見は以前よりありますけれども、消費者庁は一体全体、人口当たりでもいいですし、相談件数当たりでもよいですけれども、どの程度の数の相談員が必要だと考えてはりますか。ちょっと率直にお聞きしたいと思うんです。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地域の消費者の安全、安心を確保するためには、何としても質の高い消費生活相談体制を全国的に整備する必要がある、この点は、私どももそういうふうに考えてございます。

 ただ、一体どれぐらいの数もしくは基準で定めるかということについては、現在のところ、一概にそういう示す基準は持っていないところでございます。

 実は、全国の自治体におきましては、まだ相談員そのものを置いていない空白の自治体が五百強ございます。こういったものについて、しっかり、まずはそこの底上げを図っていくということも必要でございますし、さらに、先生御指摘のように、その増員を図っていくという形でこれを後押しする形で、先ほど来大臣の方から申し上げておりますが、地方消費者行政活性化交付金を使いまして、強化作戦というものを今展開してございます。その中で、都道府県及び自治体においてこういう配置を強化していくということについて私どもも支援してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。

穀田委員 人口が五万人未満の市町村というのは、大体、消費生活相談員を配置しない自治体が多くなっているんですね。今ありましたけれども、市町村の約三七%が消費生活相談員を配置できていないという現実があります。その意味で、今お話があったように、空白をなくすという意味は、打開しようという意味は確かにわかるんですね。

 そこで、その重要性なんですけれども、やはり、どの程度は全国的にいえばこれは必要だよねというのは、目標を定めていくという意味でも大事なんですね。

 大体、ちょっと古くなりますけれども、二〇〇八年の国民生活白書によれば、相談員の勤務人員が多い窓口と消費者相談の受け付け件数には正の相関が見られる、それから、「消費者被害にあった約三割の人が誰にも相談しないでいる状況を鑑み、仮に相談の受付が消費生活相談員の人数により制約を受けているとすれば、結果として潜在的な重要相談案件が消費生活センターに届いていない可能性がある。」と言っているぐらいですよね。

 だから、私は、今、相談の深刻化といいますか、それとあわせて、潜在化しているという現実、そこに沿った形できちんと相談員の重要性をよく見て、全国的にもこういう目標を持ってやろうじゃないかということを私どもは提起しておきたいと思います。

 次に、景品表示法について質問します。

 この法案というのが提出されたきっかけとなったのは、昨年発生した一流ホテルや百貨店、レストランでのメニュー等の食材虚偽表示問題でした。

 そもそも、このような外食メニューの偽装表示、虚偽表示が蔓延したのは、さきの食品表示一元化法審議でも議論になりましたように、消費者が利用する機会が多い中食、外食は、明確なルールと日常的な監視体制が用意されている食品表示法の規制の対象となっていないことに私は問題があると思います。だから、私は、本委員会で、外食産業も対象にすべきだと提起してきたところです。

 もう言うまでもありませんけれども、メニュー等の食材虚偽表示というのは、消費者の信頼を裏切ったばかりか、真面目にこつこつ料理に取り組んできた同業者への信頼を揺るがし、食材を提供してきた生産者の努力も踏みにじることになりました。

 昨年の本委員会での質疑を通じて、この問題の背景には、業界団体のリーダーシップをとるべき大手事業者のコンプライアンス意識の不足、社会的モラルの欠如があったことも明らかとなりました。

 大臣も、私の質問に対し、「個別に今、調査、立入検査をしているその内容を見ても、コンプライアンスの欠如や社会規範の遵守意識の欠如が見てとれます。ですので、私は、この問題の解決として、関係業界における適正化というものを徹底してまいる必要があるというふうに考えております。」と答えています。

 今日まで、何を、どのように徹底されましたか。

森国務大臣 まず、事件が起きましてすぐにしたことは、過去の処分例をまとめて渡しました。これは、今まで消費者庁も研修等で使っておりましたけれども、さらにわかりやすくしたものを迅速にまとめて渡しました。

 その上で、ホテル、レストラン業界の代表者に大臣室に来ていただきまして、報告とともに、私の方で厳重注意を行ったところでございます。

 さらに、今回法案を出したわけでございますが、その中で、事業者に担当者を置く。これが、今御指摘のように、中食、外食でございますけれども、食品衛生法の方では責任者を定めて置くということになっておるんですが、表示のところで、いないんですね。

 なので、食品表示法というよりは、これは景品表示法の世界ですので、景表法の上で、役員を、一人責任者を決めていただく。そのことによって、周知徹底を社内にして、事件が起きたときも、誰がどこでやっているのかわからないといったことはなくすといったことを徹底してまいる等のことをしました。

 それから、ガイドラインも先般作成し、公表したところでございます。

穀田委員 消費者それから健全な事業者の信頼を揺るがした今度の問題を踏まえて、消費者をして誤認させる不適切な表示を行い、不当な利益を得ようとする今回のような大手の事業者に対しては、厳正な対応をすべきだと思います。

 一方で、景品表示法は全事業者が対象となります。例えば、食品業界のように中小零細事業者が多い業種も存在します。このような実情を踏まえれば、事業者の規模、業種によっては、管理体制の整備や見直しが過度の負担とならないよう考慮する必要があることは言うまでもないと思います。

 もちろん、事業者が法令を遵守し、正しい表示を提供することは、消費者にとってメリットがあるばかりでなくて、事業者にとっても、自社の製品に対する商品選択性を高めることにつながります。

 しかしながら、本法の改正後の整備の仕方によっては、事業者に能力を超えた負担が課せられる可能性も考えられるため、わかりやすい説明会の開催や、事業者から行政への問い合わせの体制の整備など、事業者側にとって十分な準備ができる環境整備を図られる必要があると私は思います。

 本改正案における中小零細事業者への配慮規定について、どのように検討されているか、御報告いただきたいと思います。

森国務大臣 委員おっしゃるとおり、一方で中小零細の事業者に対する配慮は必要であると思っております。

 中小企業者、個人事業者に対して過度の負担とならないように、先ほどの表示管理責任者におきましても、代表者みずからが担当者となることもできますよとか、中小事業者において取り組まれている優良事例等を指針の中に盛り込むなどしていきたいと思いますし、この指針の策定に際しては、事業者を初めさまざまな御意見を幅広く伺いながらつくってまいりたいというふうに思います。

穀田委員 景品表示法改正案第七条では、繰り返される不当表示に対する事業者の管理体制の強化を図るとして、今あった事業者の表示等の管理上の措置を義務づけるとされて、この措置内容については指針で定めるとされていますよね。今あったように、広く消費者委員会の意見を聴取すると聞いているわけだけれども、どういうことを策定すべきかということを聞いておきたいんです。

 私は、百八十五国会におきまして、食品表示等問題参考人質疑があったときと、それから集中審議がありましたよね。その中で、食品表示の執行体制整備の大前提として、帳簿管理の必要性について提起したところであります。

 景品表示法改正案の事業者の講ずべき管理体制に関する指針については、納品書等の保存、管理による帳簿管理の徹底に係る義務づけなどを盛り込むべきじゃないかと思うんですが、それはいかがでしょうか。

森国務大臣 指針の具体的内容については本法案の成立後に策定していきますが、そこで事業者等の意見もしっかり聞いていきたいと思います。

 御指摘の、納品書の保存、管理につきましては、事業者が表示を適正に管理するためにあり得る方法の一つと考えられますが、それが中小零細事業者にとって過度な負担とならないかといった観点も踏まえつつ検討する必要があると思います。

 御指摘の点も含め、今後、消費者団体、事業者団体等、各方面から意見を聞きながら、事業者自身が適切に対応をとって、違反の未然防止につながる内容としたいと思います。

穀田委員 過度にというふうにならぬように、それはそうなんですよね。だけれども、お互いに納品書その他はもらっているわけですから、それ自身の管理という問題について言うならば、大丈夫だと私は思います。

 時間もそろそろ終わりにかかっていますので、私は、明らかに虚偽表示を行った場合については罰則規定を考える必要があるんじゃないかということの意見なんですね。

 これは、本景品表示法というのは、不当な表示に対する是正措置として、違反行為に対する差しとめや再発防止策の実施を命ずる措置命令がありまして、同措置命令違反の場合は罰則規定というたてつけになっています。

 今回の食品偽装表示問題の重大性を踏まえ、その再発防止のために同法の運用強化を図る観点からも、先ほど言いましたように、明らかに虚偽表示を行った場合は、同法に基づく直罰規定の必要性も含めて、厳正な対応、罰則強化についても検討をする必要があるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

森国務大臣 おっしゃるとおり、直罰規定になっておりませんで、措置命令に違反したときに打つというふうになっております。

 刑事罰というのは、違反行為に対して道義的、社会的非難を加えることを目的としておりますので、今回は、それとは別途、違反行為者のやり得を剥奪して消費者被害を未然に防止するというところに主眼を置きまして、課徴金制度について一年をかけて検討するというふうになっております。

 刑事罰については、直罰まで科すということは、現在のところは考えておりません。

穀田委員 一言だけ。

 私は、ガイドラインとかその他だけでは不十分で、だって実際の、例の、先ほど言いましたけれども、牛脂注入の加工肉をステーキと表示してはならないという、従来からの景表法のガイドラインにも書かれたわけですよね。

 そういう点から横行していたという現実から見ましても、私は、効果がある措置を検討する必要があるということを改めて言って、終わります。

山本委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 午前中最後になりました、結いの党の井坂信彦です。

 本日は、景品表示法と食品安全法についてお伺いをいたします。

 まず、大前提となる消費者庁の監視、指導、執行体制について伺います。

 消費者庁、前回も申し上げましたが、いわゆる各省庁の縦割りのすき間をこぼれ落ちてくるさまざまな事案を消費者の目線で、ある意味ワンストップの受け皿となってすき間事案を拾っていく、こういう高い理想を掲げてつくられた省庁でありますから、勢い、問題が起こるたびに、守備範囲、やらなければいけないことがふえていく。それに対して、なかなか人員、予算は、昨今の財政状況の中でそう簡単にふやせないということで、消費者庁の運営自体、大変難しいハンドルさばきが必要であろうというふうに理解をしております。

 その消費者庁の人員ですが、昨年八月時点で二百八十九名。そして、この二十六年度予算で、要求は二十八名の増員を求めましたが、実際の増員は十二名にとどまったということであります。

 消費者庁には出先の機関もなく、表示適正化に向けた監視体制の強化をしていくのに十分な人員体制なのか、まずは大臣にお伺いをいたします。

森国務大臣 人員の増強が課題でございます。ただ、おっしゃるとおり、量をやみくもにふやしていくということは、これは財政上の問題もございます。

 そこで、数は着実にふやしてきておりますが、量とともに質の充実ということで、プロパーの消費者庁職員、今までいなかったわけでございますが、昨年度一名、そして昨年度から今年度の間の中途採用でプロパーの職員を五名ふやしまして、今年度のプロパーの四月の入庁を十一名というふうにしまして、一名、五名、十一名というふうにふやしてきているところでございます。

 また、監視体制の強化ということにつきましては、地方自治体や他省庁との連携をしっかり図ってまいりたいと思います。

井坂委員 他省庁あるいは地方自治体ということで、引き続き、その点をお尋ねしたいわけであります。

 本法案では、消費者庁の調査権限をほかの省庁の大臣に委任できるということであります。例として、農林水産省の食品表示Gメンが具体的に該当するであろうわけでありますが、この食品表示Gメンは、農水省や地方農政局の職員で構成され、約一千三百名いるということであります。

 同様に、百貨店やスーパーなど小売店は経済産業省、またホテルや旅館は国土交通省、お酒などは国税庁、こういう守備範囲になっているわけでありますが、この調査権限の委任先は、各省で具体的に想定をされておりますでしょうか。大臣にお伺いをいたします。

森国務大臣 調査権限の委任先は、例えば食品に関しては農水大臣というふうに、該当する事業を所管する大臣に委任することとなっております。

 今般は、偽装表示の中でも、特に食品の偽装表示について問題になったわけでございますので、農水大臣と協議をいたしまして、Gメンの方に、今回、併任ということでかけさせていただきまして、消費者庁の職員にもなっていただきまして、活躍をしていただいているというところでございます。

井坂委員 事前にかなり詳しい通告、今申し上げたのは全部通告の文書に入っている内容でありますから、それは大臣に委任するのは当たり前でありまして、ただ、実際の実動部隊が足りないのではないですかという一問目の文脈の後でお尋ねをしているわけであります。

 農水省は一千三百人のGメンがいる。一方で、小売店、経産省ではどういう実行体制をお考えなのか、あるいは、ホテル、旅館など、国交省ではどういう実行部隊を想定されておられるのか、お酒では、国税庁でどうなのか、こういうことを明快にお尋ねをしておりますので、その点について再度御答弁をいただきたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、事業所管大臣に対する調査権限の委任というのは、必要な場合に行うということになっております。したがいまして、現在の状況におきますと、まさに食品ということが問題になっておりますので、この法施行後には、基本的には、農林水産大臣には権限を委任し、引き続き業務を行っていただくということは想定しているところでございます。

 その他の事業所管大臣については、そのような必要性が生じたときに、その所管大臣と協議の上、詳細については決めていきたいというふうに考えております。

井坂委員 今後問題が起こってからということであります。

 続いて今度は、都道府県との連携した監視執行体制の強化についてお伺いをいたします。

 さきのほかの党の方の質疑でもありましたが、現行法の運用については、都道府県ごと、また年度ごと、執行実績のばらつきがかなりあります。この中で、調査や措置命令など権限の一部を都道府県に移譲という話もありましたが、全国一律に的確な法執行を行う必要性から、都道府県に対する執行体制の強化をどのように考えているのか。

 特に、いただいた資料によりますと、二〇〇〇年以降、都道府県では、消費者行政の担当職員、特に事務方が激減をし、人手不足に陥っているのではないかと思いますから、この点、参考人にお伺いをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県の執行体制の強化についてでございますが、まずは、都道府県におきましては、いわゆる地方消費者行政活性化交付金でございますけれども、景品表示法の担当職員に対する研修など、事業者の指導また法執行等の強化を図るための事業ということで、この交付金を活用することも可能でございますので、その積極的な活用というものを期待しているところでございます。

 また、実際の法執行の実務面ということで申しますと、今般の法案で、都道府県知事に、事業者に合理的な根拠の提出を要求する権限というものを付与することになっております。この権限が付与されることによりまして、調査の効率化というものが見込まれるんじゃないかというふうに考えております。

 また、都道府県の職員の調査能力の向上また強化という観点から、都道府県の景品表示法の担当職員に対します研修会を開催するといったことも行っていきたいと考えておりますし、また、実際に事案の調査を進めるに当たりましては、その都度、都道府県に対して必要に応じアドバイスをするということで、事案の処理を円滑、適切に進めるための必要な協力をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。

井坂委員 いろいろ御説明いただいたのは主に質的な強化ということかというふうに思いますが、私が今大変問題意識を持っております人員、人手、こういった面に関してはどうでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる予算的な面というもので申しますと、冒頭に申しました、まさに交付金の活用ということを期待していることでございますが、もう一つ加えますと、今回の措置権限の付与ということにつきましては、全国知事会からの要望というものに応えるものでございますので、そういうことで、昨年の秋以来、各都道府県においても、この景品表示法の強化ということについての意識が高まっているというふうに認識しております。

 各都道府県の御努力というものにも期待したいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 都道府県における執行体制の強化のために、現在、全国で十一の団体が認定をされております適格消費者団体とはどのような連携を考えておられますか。お伺いをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県知事は、今回の法案によりまして、措置命令権限を有することになるわけでございますが、適格消費者団体、これは既に景品表示法上の不当表示に関する差しとめ請求権を持っているということでございます。

 そして、この法案では関係者の密接な連携に関する規定というものもございまして、この規定を踏まえまして、具体的には、例えば、都道府県知事と適格消費者団体との間で景品表示法の解釈、運用について必要な情報交換を行う、そうしたことによりまして、具体的な事案の処理また差しとめ請求、これをより効率的に行うことになるのではないかというふうに考えております。

 このような関係者相互の連携が一層図られるようになりますと、全国各地で景品表示法の執行体制が強化されることになりますので、消費者庁としても、このような取り組みについてしっかりと協力していきたいというふうに考えております。

井坂委員 知事とこういった団体の連携、協議、こういった話がありました。

 今回、法案で、消費者安全確保地域協議会、こういう地域ごとに関係者が集まる場の設定もされるわけでありますが、実は、同じように、平成二十四年の消費者教育推進法に基づいて各地に設置をされております消費者教育推進地域協議会、これも、メンバーを見渡しますと、今回つくるとされている安全確保地域協議会と大変似通っているように見えるわけであります。

 平成二十四年につくられた地域協議会と本法案でつくろうとしている地域協議会、この両者の関係はどのようになるのか、重複、またそういった問題についてお伺いをしたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案で予定しております消費者安全確保地域協議会でございますが、地域における消費者の消費生活における被害を防止し、その安全を確保するための取り組みを効果的かつ円滑に行うことを目的といたしまして、地方公共団体等が、病院、教育機関等を構成員として任意に組織するものでございます。

 これに対し、消費者教育推進地域協議会でございますが、消費者教育推進法に基づき設置されるものでございまして、都道府県及び市町村が当該区域における消費者教育を推進するために組織するものでございます。被害に遭わない消費者の育成にとどまらず、消費者市民社会の構築に向けまして、積極的に関与する消費者を育成する取り組みの推進に関して議論を行うものでございます。

 したがいまして、制度上、消費者教育推進地域協議会と消費者安全確保地域協議会は、目的及び役割は、似ているところもございますが、基本的には異なるものとまずしっかり認識することが必要だと思っております。

 しかし、消費者安全の確保が消費者教育とも密接に関係する、これもまた事実でございますので、両協議会の目的及び役割の相違を十分に理解した上で、消費者安全確保地域協議会が消費者教育推進地域協議会と一体的に運営される、そういうことも問題はないというふうに考えておりまして、また、現実的な場合も多いというふうに理解をしております。

 消費者庁といたしましては、両協議会の目的が十分に達成されるよう、それぞれの協議会の趣旨等の理解、推進、促進を図りつつ、地方公共団体ごとの実情に応じた柔軟な運用を図ることにより、取り組みを後押ししてまいりたいと思っております。

井坂委員 御答弁の後半の方にありましたけれども、確かにそれは、根拠法も違えば、趣旨、目的も違うということでありますが、実際、こういう仕組みを地方におろしていけば、結局、集まってきてくださるメンバーというのは、もう本当にほぼ同じ方が来てくださることが想定され得ると思うんです。

 特に、消費者庁は、地方に手足がない、実行体制がないという形ですから、今後、課題が起こるたびに、やはり、地域協議会のようなものを地方につくっていくという考えになりやすいと思うんです。

 それはいいと思うんですが、やはり、法律のたびに一個ずつ地域協議会をつくっていく、我々も、一個ずつ法律を見ていけば、いい仕組みだなと思うわけでありますが、ただ、現場は、また新しい法律ができて、また新しい枠組みの地域協議会をつくれと言われて、そこのテーブルに行ってみたら大体いつもと同じメンバーが集まっている、こういうことを、実際に現場から、実は勘弁してほしいという話も一部伺っている部分があります。

 柔軟に運用してよい、重なって、同じ会議体のような形でやってもよいということではありますが、ぜひ、やってもよいというだけでなく、今後、協議会の仕事をふやしていく、政策課題がふえたときに、新しく協議会をつくるだけでなく、既存の協議会の守備範囲を広げる、あるいは政策課題をそこにもう一つおろしていく、こういった形を、ぜひ実効性ある形として今後検討していただきたいと思いますが、ちょっとその点に関して、大臣、今のやりとりをお聞きいただいて、コメントだけいただければというふうに思います。

森国務大臣 重要な御指摘だと思いますので、現場がうまく回るように、しっかりと意見を聞いて、検討してまいりたいと思います。

井坂委員 続きまして、課徴金についてお伺いをいたします。

 法施行後一年以内に検討し、必要な措置を講じるというのでは余りにも遅いのではないかと御質問申し上げようと思いましたが、もう、さきの委員とのやりとりの中で、しっかり進めていくということでありますので、この質問は飛ばしまして、課徴金について、消費者被害の回復など消費者行政のために、納付された課徴金を再利用できないか、こういうことをお尋ねしたいと思います。

 もちろん、原則は、課徴金は国庫納付ということでありますが、また、先ほど大臣が、海外なども行かれて、いろいろとこうしたことを研究されたという答弁も伺いましたが、国庫納付とはいえ、例えば別建てで管理をしていく、納付された課徴金は、消費者行政のためということでまず別建てで管理をしていく、こうした考え方についてどうお考えか、大臣に伺います。

森国務大臣 不当表示事案では、違反行為者は、本来実現できなかったはずの売り上げによる利益、いわゆるやり得、これを手にすることになりますので、このやり得を違反行為者が保持する合理的な理由はありません。

 しかしながら、不当表示事案では、その特性上、民事訴訟になじまない場合も多いので、消費者裁判手続特例法も含め、民事訴訟手続による対応だけでは十分とは言えないというふうに考えられます。

 この点、諸外国では、行政が訴訟するということで、リスティテューションとかディスゴージメントという訴訟形態で違法収益を剥奪するという制度がございますが、現在検討している課徴金制度は、それらの手続とも違う行政処分でございますけれども、消費者被害の回復という要素を、そのやり得の剥奪に加えて、何とか加えることができないかというふうな御指摘、重要な御指摘であると思います。

 この点、消費者庁の中において、この違法収益の剥奪と被害者の被害回復ということについては長年議論をされてきたというふうに承知をしております。そして、さまざまな意見が出されていると承知をしております。

 消費者庁としては、そういった今までの議論、さらに消費者委員会における現在の議論を踏まえつつ、被害回復の観点を進めてまいりたいと思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 今、主に被害回復という観点からの御答弁をいただきましたが、私はもう一点、別建てで、納付された課徴金をとっておくということで、私が本日これまでいろいろとお尋ねをしてまいりました、要は、消費者庁はなかなか、やらなければいけないことはたくさんあるのに、人員、予算が足りない、あるいは、何かを予防するような、そうしたことにももしかしたら予算が足りないのかもしれない、こういうふうに思うわけであります。

 被害回復について以外にも、まさに、消費者行政のさらなる拡大、推進のために、別建てでお金を管理して、それを使っていく、こういったことは考えられないかどうか、重ねてお伺いをしたいというふうに思います。

森国務大臣 やり得を回収したということになりますと、そのお金は被害者が拠出したものということになるわけでございます。一般財源に入れるということになりますと、税収と同じになりまして、税金というのは国民が、使い道を、予算案を国会で審議した上で、納付をしているものですけれども、そういうものと、被害者が被害に遭った損害金であるということで、性格が異なるということはあると思います。

 そういうものを別建てにするという御意見も、十分に尊重に値するというふうには思います。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、課徴金でもう一点。

 ほかの委員さんからも少し議論がありましたが、いわゆる不実証広告、事業者が広告の合理的な根拠を示せない、具体的には、飲むだけで痩せると根拠なく書いてあるような、こうした不実証広告を不当表示と認定するということについて、私、いろいろ見ますと、経団連さんあたりはやや否定的な見解を示しておられるのではないかというふうに見ております。もちろん、消費者の連合会の方では、消費者がだまされていることには全く変わりはないんだ、不実証広告も含めるべきだとしておりまして、経済界と消費者との見解は対立しているように見受けられます。

 先ほども御答弁、一部ありましたが、やはり消費者庁としてはどうなのか、この不実証広告も課徴金の対象にすべきと考えているのか否か、明快な御答弁を、これは大臣にお願いをいたします。

森国務大臣 課徴金の導入の可否と不実証広告規制についてでございますけれども、不当表示規制の実効性を確保するためには、課徴金制度を導入し、違反行為者のやり得を許さない仕組みとする必要があると考えまして、現在その検討を進めているわけでございますけれども、不実証広告規制につきましては、消費者委員会の中間整理についても、積極的に否定する意見は見られなかったものというふうに承知をしております。

 そもそも、消費者に被害を生じさせたというときに、その契機となった不適切な広告が、どういう理由ですかと聞かれても、その合理的な根拠を示すことができないということは大変ゆゆしき事態であるというふうに思っておりますので、この不実証広告については、景品表示法の優良誤認表示に係る措置命令百十件のうち三十件を占めているという現状も踏まえつつ、立法事実等を検証しながら検討を進めてまいりたいと思います。

井坂委員 お考えは御答弁の中でにじむわけでありますが、もちろん検討過程ではありますが、私は、やはりこれは、事前の委員会、審議会でもそういう、特に反対意見も出ていない、大臣も当然そうすべきだと、近いことをおっしゃっているわけですから、不実証広告も課徴金の対象にすべきだと思うわけでありますが、もうそういうふうに捉えさせていただいてよろしいかどうか、大臣にお尋ねをいたします。

森国務大臣 今、消費者委員会において検討中であります。出されたものは中間報告でございまして、最終報告を待ちたいというふうに思っております。その上で、消費者庁として決定をしていきたいと思います。

井坂委員 わかりました。

 続きまして、消費者安全法で、相談業務の民間委託ということについて、地方公共団体は、消費生活相談等の事務について民間委託できるということになっています。全国で七十八の地方公共団体が相談事業の民間委託を行っておりますが、この場合、民間委託の適合基準というものが存在するのかということです。

 少なくとも、消費者トラブルに直接的な利害関係を有しない者であることなど、こういう要件を明示する必要があるのではないかと考えますが、参考人にお伺いをいたします。

岡田副大臣 お答えをいたします。

 消費生活相談等の事務を民間団体に委託することにつきましては、専門性を有する民間団体のノウハウの活用等のため行われてきた例があるわけであります。

 最近では、行政改革の一環として民間委託が選択される例、あるいは、価格を重視して一般競争入札により受託者が決定される例が見られ、消費生活相談の質の低下が懸念されるところでもあります。

 このため、本来、地方公共団体で判断されるべき消費生活相談等の事務の委託先につきまして、受託しようとする者が、消費生活相談、あっせん等の事務を行うに当たって不適切とならないよう、全国一律の要件を示すこととしました。

 要件の具体的内容は、これから内閣府令で規定することとなりますけれども、井坂委員御指摘の趣旨につきましても、内閣府令に盛り込む方向で検討していきたいというふうに考えております。

井坂委員 次に、国民生活センターについてお伺いをいたします。

 前回の一般質疑の中でも、一部、独法改革という趣旨で質問をさせていただきました続きであります。

 時間がありませんので一つ飛ばしますが、平成二十五年十二月十三日、森大臣の名前で公表されました「独立行政法人国民生活センターの在り方について」という中では、まさに、この国民生活センターを必要不可欠な存在であると結論づけておられるわけであります。

 これは、そのちょうど三年前の閣議決定とは正反対の方針でありまして、国民生活センターの是非について、これはもちろん議論があるわけでありますが、とりわけ、平成二十二年の段階では多くの委員がこれはもう廃止だと明言をしておられた相模原研修所についてお伺いをいたします。

 これも昨年末の閣議決定では、相模原研修施設の再開については、施設の利用見込み、長期を含めたコスト等を総合的に勘案した上で、ことし、平成二十六年夏までに結論を得ると、廃止決定の大幅な後退が見られた。また、森大臣の国民生活センターの在り方という文章の中では、この相模原研修所について、需要を満たすような研修を今から拡充すれば稼働率が高まることが見込まれるので、具体的なあり方をさらに検討して、再開の妥当性を確認して、研修施設として利用を再開することとしたいと、利用再開に向けた方向性まで述べられているわけであります。

 現状、試算として施設の利用見込みやコストをどのように見積もっているのか。見積もりはどなたがしておられるのか。また、再開の妥当性、一体どこまでいったら再開妥当という、そういった物差し、基準はあるのか。参考人にお伺いをいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、国民生活センター相模原事務所研修施設の再開につきましては、平成二十五年十二月二十四日の閣議決定、独立行政法人改革等に関する基本的な方針の中で、「施設の利用見込み、長期を含めたコスト等を総合的に勘案した上で、平成二十六年夏までに結論を得る。」とされているところでございます。

 現在、閣議決定に基づきまして、消費者庁に設置いたしました国民生活センター相模原事務所研修施設の活用に関する懇談会におきまして、有識者及び関係者に、閣議決定に沿いまして、施設の利用見込み、長期を含めたコスト等の見積もり等、具体的な検討を始めていただいているところでございます。

 どのような場合に再開が妥当かという点についても、具体的な基準があらかじめあるわけではございません。閣議決定に示されている施設の利用見込み、長期を含めたコスト等を総合的に勘案した上でという点に即した具体的な検討をお願いし、現在、懇談会において検討を進めているところでございます。

 ただ、会合はまだ開催されたばかり、第一回が開催されたところでございますので、ただいまここで御報告するような成果は上がっていないところでございます。

 なお、委員の方でございますが、消費者分野、行政分野でのすぐれた知見を有する学識経験者、公認会計士、消費者団体……(井坂委員「リストは持っていますので」と呼ぶ)そうですか。

 そういうことで選定をし、お願いをしたところでございます。

 以上でございます。

井坂委員 私は、この問題に関しては、もう再開ありきの、いわばできレース的な議論が行われるのではないかということを危惧しております。

 妥当性基準すら、そもそもあるのかないのかよくわからない。しかも、要は、もともと稼働率一三%でニーズがなく、ほとんどの検討会委員が廃止すべきとした施設を、わざわざ今から活性化して、どうやって稼働率を高めるかという議論に人手をかけること自体、この人手不足の消費者庁にあって本末転倒ではないかと思うんですが、ちょっと最後に大臣、その点だけお伺いして、もう質問を終わりにしたいと思います。

森国務大臣 相模原研修施設、ごらんになったことはございますか。隣とつながっていますよね。

 国民生活センターの商品テスト、あれは大規模な商品テストで、例えば、電気製品の爆発事故なんかが起こったときの再現実験ができます。そことつながっているんです、建物自体。売るときはそれを切って売るのかなとか、土地自体も分筆されておりません。そういったところとつながって、中の暖房設備も何も一緒になっているものを買ってくださる方がいるのかなということも考えなきゃいけないと思いますし、今現在、研修を何もしないというわけにいきませんので、研修は別途コストがかかっているんです。あそこを使っちゃならぬということで、別のところで年間六百万以上かけて研修している。

 だけれども、その研修は、あの相模原研修施設のような宿泊施設がございませんので、地方の、今本当に、先ほどから指摘されている、弱体化している地方の相談員さんが遠くから来て、日帰りで帰るんですよ。今までは、ここに宿泊して、グループ実習などもできていました。

 私は、それをもっと稼働率を高めていって、そのよいところを伸ばしていくというのも必要かなと思います。ですから、必要性の観点と、それからコストが、実際全部やめて、ほかのところで研修して、売って、どうなるのかということを、それぞれの専門家に入っていただいて、数字でちゃんと示してくれと。

 そういった検証が、前回決まったときは何も出ておりません。ですから、そういう材料をしっかりそろえて、そして夏にしっかり判断すべきだというふうに思っています。

井坂委員 ぜひ両面から、おっしゃった分筆、売却の方も含めて、両者、具体的な検討、くれぐれも結論ありきの議論にならないようにお願いを申し上げまして、本日の質疑を終わります。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合です。

 本日も、前回同様、国民の生活に深くかかわるテーマを取り上げさせていただきますが、多くの質問がございますので、的確に、そしてわかりやすく御答弁をお願いいたしたいと思います。

 昨年、随分と報道をにぎわせました、一流ホテルやデパートで、例えば国産と表示されていたものが実は外国産の冷凍物であったなど、こういった問題は、多くの国民に不信感を抱かせ、そしてまた、一時的ではあるかもしれませんが、信頼の厚かった日本の外食産業から国民の足を遠のかせたのではないでしょうか。ですので、遅過ぎた感さえある今回の改正法案は、まさに時宜を得たものだと確信をいたしており、早期成立を祈るものでございます。

 消費者庁は、発足からまだ間がなく、地方の出先機関も皆無。ですから、何かあったときに国民が一番に相談に行くのは、国民生活センターや地域の消費生活センターであろうかと思っております。その国民生活センターが国民にとって頼れる存在であり続けるには、まず何よりも、国センそのものが透明性の高い、そして国民の理解が得られる存在でなければならない、このように思っているわけでございます。

 私は、前回の三月二十五日の当委員会の質問で、国民生活センターが実施する土日祝日の消費生活相談業務の入札が、開始以来ずっと一者のみの入札参加で、入札の体を結果的になしていないことや、その応札団体である公益社団法人全国消費生活相談員協会と国センの間に不明朗な人事交流があるとのうわさも絶えないことから、公益法人へ国民生活センターから天下りをされた事例はないかというふうにお尋ねをいたしましたら、国センのあっせんで国センの職員が当該協会に就職した例はないという御答弁をいただきましたので、再度お伺いをしたいと思います。

 私は、人事交流がある等、情実的な背景があり一者入札が行われているのではないか、こういったことを懸念しており、それが杞憂であってほしいからこそ、そのような人事交流や奇妙な癒着はないですねと、こういうふうにお伺いをしているわけでございます。

 あっせんの有無は関係ありません。国センで役員をされた方が、全相協の役員や顧問など影響力のある立場に就任された方はいらっしゃらないでしょうか。再度御答弁をお願いします。

松本参考人 国民生活センターの役員であった者で、公益社団法人全国消費生活相談員協会の役員や顧問等に就任した者は、特殊法人時代に四名、独立行政法人になってから二名でございます。

 現在も当該協会の役員や顧問等の職にある者は二名でございます。

上西委員 わかりました。

 実際に、四名、そして二名今もいらっしゃるということで、前回の御答弁では、まさに、どなたもこういった人事交流はない、そういったふうに受け取れるような御答弁だったと思います。

 あっせんの有無など関係なく、私は、該当者がいるのかいないのかを伺い、そのように答えてくださいというふうに通告もいたしておりました。まるで言葉遊びのような理論で、論点をずらしたような御答弁しかいただけなかったのが本当に残念でなりません。

 私が、野党の新人で、そして女性議員だったからなんでしょうか。どのような思いで理事があのような御答弁をなさったのか、お気持ちはわかりませんが、私は、憲法四十三条によれば、全国民を代表する立場を多くの国民の皆様に負託されているのですから、真実をまさに覆い隠そうとするかのような御答弁は、まるで国民が欺かれているかのように思え、決して容認できるものではございません。

 松本参考人におかれましては、社会通念に照らし合わせて、ここで国会議員が真に何を問いたがっているのか、これをお察しの上、真摯に御答弁をいただくように、改めてお願いを申し上げたいと思います。

 今御答弁にもありましたように、実際は、複数の国セン理事長や理事経験者が全相協の役員や顧問に就任され、現職のままの方もいらっしゃるようです。落札価格が六千数百万円から七千万円を超える年もあった。高額の契約相手を探す側と、そして応じる側が、少なくとも人事面では不離一体である、こういった実態が今の御答弁で証明されたということでございます。

 そこで、伺います。

 平成十九年七月から平成二十二年三月三十一日まで国センの理事長をされた方が、平成二十二年三月には全相協の顧問に就任をされています。すなわち、少なくとも数日間は国セン役員と全相協の影響ある地位を兼任されているわけです。加えて、国センの最高責任者の理事長が現職のまま次の地位を探す、こういった行為は、誰が見ても、地位の利用、または国センのあっせんであり、天下りにほかなりません。

 そうすると、前回の国センの理事の御答弁は虚偽ではないんでしょうか。御答弁をお願いいたします。

松本参考人 前回、三月二十五日の本消費者特別委員会における発言につきましては、現在全国消費生活相談員協会の理事長経験者が国民生活センターの理事に就任しているが、それ以前に全国消費生活相談員協会の役員から国民生活センターの役員になった者があるかという御質問だと思いましたために、いないとお答えしたところでございます。

 ただいま御指摘のあった場合のほか、国民生活センターと同協会との役員兼務につきましては、特殊法人時代に三名、独立行政法人時代に二名いたところでございますが、妥当ではないと判断いたしまして、平成二十二年五月に全て解消しておる次第でございます。

上西委員 今、解釈の問題でそのように答えたというふうにお答えいただきましたが、先ほども申し上げたとおり、国民目線で考えていただければ、私はこういう履歴表を出していただきましたが、とてもじゃないですけれども、この事実を拝見いたしますと、天下りというふうに言うしかないような人事となっているんですね。

 ですので、こういった質問機会を私は与えていただいているんですから、真摯な御答弁を本当に重ねてお願い申し上げて、次の質問に移りたいと思います。

 全相協は、おととし十一月に事務所を移転されております。移転前の全相協所在地と国センの所在地を教えてください。

松本参考人 全相協の移転前の所在地は、港区高輪三の十三の二十二であり、国民生活センターの所在地と同じでございます。

上西委員 今、皆さん、聞いていただいたでしょうか。所在地が一緒ということなんですね。入札執行側の事務所へ一者応札の落札者が長年同居していた、これが実態です。

 例えば、時代劇等を見ておりますと、大家といえば親も一緒、まさに大家とたな子は切っても切れない、こういった関係の代名詞なんですね。お答えいただいたような人事交流あるいは人事交換があれば、随意契約的になってしまうのも当然だと国民の多くが判断されると思いますが、同じフロアで間借りをしている者が、そして、その一者だけが応札している、こういった現状もさらに不可解だと思います。

 その際、全相協は、誰に対して、月額幾らの家賃を納めていたのでしょうか。占有面積や築年数もあわせて教えてください。また、国センの入っているビルと土地の所有者はどなたで、国センは何平米を占有し、幾らの家賃をどこへ納めているんでしょうか。御答弁をお願いします。

松本参考人 全相協は、移転前におきまして、国民生活センターに月額約十万六千円の家賃を納めておりました。また、当該協会の移転前の所在地の占有面積は百十二・三八平米、建物は築四十一年でございます。

 それから、国民生活センターが所在する建物は、東京国税局が所有しております建物と合築されておりまして、国民生活センターは、建物全体の七千八百四十八・一七平米のうち五千四十三・二六平米を区分所有しております。また、土地三千三百五十七・八四平米を所有しております。

 このほかに、国民生活センターが所有する建物の一部は東京国税局が所有している土地上にございますことから、同局から五百四・一九平米の使用許可を得ておりまして、同局に土地使用料として年間約一千八百万円を納めているところでございます。

上西委員 わかりました。

 今御答弁いただきましたとおり、まず、場所的には、品川駅にほど近い国センビルの周辺は、家賃は、築年数にもよると思いますが、民間では通常一平米当たり五、六千円が相場のようでございます。全相協が今約百平米の物件を賃借されているとお伺いをいたしましたが、それであれば、本来五、六十万円はしたのではないか、このように思います。

 現実に、現在では従前よりも三倍以上の三十五万円の家賃を支払って物件を借りていらっしゃるというふうにお伺いをしております。本部事務所の同居は、国民の目から見れば、まさに国センと一者応札の全相協の癒着、このように考えられても仕方なくはないのでしょうか。

 疑わしきは罰せずは司法府の基本でございますが、行政府そして我々立法府は、李下に冠を正さず、そして瓜田にくつを入れず、こういった精神でまさに取り組むべきだと考えますが、とにかく、今御答弁いただいたことを顧みますと、余りにも癒着の構造が見え隠れし過ぎています。新幹線も停車する品川駅近くの百平米の事務所が一カ月わずか十万円少々、国センは全相協を優遇し過ぎではないかと思うんですが、御所見をお聞かせください。

松本参考人 月額家賃の件でございますが、東京国税局の土地使用料をもとに試算した金額に、国民生活センターの大会議室を消費者団体に貸し出す際の使用料における割引率、これは六分の一でございます、これを乗じた額の事務室使用料と、建物の警備や清掃、光熱水料等の共益費を加えた額が家賃として支払われていたというふうに理解をしております。

 なお、当センターと全国消費生活相談員協会との関係につきましては、平成二十二年の四月二十八日、行政刷新会議ワーキンググループの事業仕分けにおきまして、継続的な取引関係の見直しを指摘されております。また、独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針、これは平成二十二年十二月七日の閣議決定でございますが、ここにおきましても、「事務所の場所、契約等を通じ密接な関係を有する社団法人全国消費生活相談員協会との関係を見直す。」とされていたところでございます。

 これらの指摘を踏まえまして、当センター東京事務所内に賃借をしておりました同協会の事務所の契約については、平成二十四年十一月二十四日で解約をした次第でございます。

 特定法人との関係について疑念が生ずることがないよう、今後もしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

上西委員 密接な関係を指摘されと言われると、やはり密接な関係だったのかなというふうにも聞こえてしまうんですが。

 今、その十万円というのは東京国税局の試算からということなんですが、私先ほど申し上げましたように、本来民間で借りれば五、六十万円はしたのではないかというような物件なんですね。

 これについて、民間との差、月四十万円、五十万円の差が生じているわけですが、このことに関してはどのようにお考えでしょうか。

松本参考人 全国消費生活相談員協会の事業活動は、公益を目的としており、かつ、営利を目的としないものであり、消費者利益の確保に資するという観点から、その活動を支援することが重要であるということを考えまして、消費者団体としての割引率を、六分の一を適用した次第でございます。

上西委員 わかりました。

 民間のこういった意識、民間の水準というのも今後ぜひ考慮していただきまして、入札する側とされる側ですから、密接な関係というのが今後起こらないように、こういった配慮をしっかりとしていただきたいと思います。

 今年度、国民生活センターでは組織が大きく変わり、経理部が廃止されました。その理由と、ここ五代の経理部長の出身省庁と経理部長の退任後の異動先を御説明ください。

松本参考人 第三期中期目標及び中期計画を踏まえた平成二十五年度の年度計画におきまして、政府における総人件費削減の取り組みを踏まえ見直すために、さらなる業務の効率化や職員の重点配置を行う業務の検討を行い、それを踏まえた次年度の人事異動計画を策定し、人員配置の適正化を図るとされております。

 また、平成二十五年十二月二十四日の閣議決定でございます独立行政法人改革等に関する基本的な方針におきまして、平成二十七年度より、新たな独法制度のもと、自主性を発揮しながら、機動的、弾力的な業務運営の考え方から、PDCAサイクルが機能する目標、評価の仕組みが構築されるということになりました。

 これを踏まえまして、業務、予算、人、一体となる体制を整備するとともに、広報啓発部門の充実を図るため広報部の新設を図る必要があったことから、総務部と経理部を統合したものでございます。

 また、過去五代の経理部長の出身官庁は財務省でございますが、経理部長を退任し財務省に戻った後の異動先については、承知をしておりません。

上西委員 多分、次の質問もずっと今お答えをいただいたんだと思うんですけれども、私がお伺いをしたいのは、ここ五代の経理部長の出身省庁、今、退任後はわからないというふうにお伺いしたんですけれども、経理部長の出身省庁、五代前、お伺いできますでしょうか。

松本参考人 失礼いたしました。

 財務省でございます。

上西委員 五代続けて財務省ということでよろしいんでしょうか。はい。

 ずっと国民生活センター経理部長というポストは財務省出身者が占めている、今このように御答弁をいただきました。

 当該ビルの建つ土地の一部は国有財産、そして、正確には国税庁のものだと先ほどお伺いをいたしました。そして、国センは年間千八百万円の賃料を国税庁に支払っているともお伺いをいたしましたが、町の不動産業者の話では、あれだけのロケーションであればこの価格は超破格だということです。

 したがって、これを管理する相手、すなわち財務省への優遇措置のように思えてなりませんが、これに関して御所見をお伺いできますでしょうか。

松本参考人 今の御質問の趣旨は、財務省に支払っている金額が安過ぎるという趣旨だとお伺いしたわけですが、それでよろしいでしょうか。済みません、ちょっと……

山本委員長 質問はできません。

 では、もう一度、質問の趣旨を。

上西委員 時間が余りないんですけれども、要するに、このビルの土地の一部は国有財産、そして国税庁のものでありますね。そして、国センは年間一千八百万円の借料を国税庁に支払っている。要するに、今、財務省から経理部長に就任をされているということですが、破格での借料、これを鑑みますと、財務省への優遇措置のように思えてならないんですが。

 では、聞き方を変えますね。

 財務省から経理部長に就任させる、これは何か意図があるんでしょうか。

松本参考人 失礼いたしました。

 独立行政法人の円滑かつ効率的な運営をするためには、国の会計制度に詳しい方を活用する必要があり、相応の知見を有する者を経理部長として採用しているところでございます。

上西委員 独立行政法人のそういったポストは、国の仕組みをしっかりと理解している者でしかできない、そういった人が適格だということであれば、どこの独立行政法人もそういった人を雇わなければいけないということになると思うんですね。いわゆるたたき上げの人がいなくなってしまうのではないかというふうに思いますが、それ以上の御説明は出てこないと思いますので、次に移らせていただきます。

 今回の経理部の廃止は、行革の一環で、今御説明いただきましたように、ふえ過ぎた管理職の定数を削減する、国センのスリム化というふうに御説明をいただいたわけですが、逆に、広報室が広報部に昇格しているとお伺いをしています。そして、調べてみますと、管理職数は減らないままということですから、決してスリム化しているとは言えないと思います。

 ところで、世間では、所得をめぐる官民格差、民民格差の問題がクローズアップをされています。その中で、保険や年金やボーナスで非常に不利な立場にあるパート、アルバイトなど非正規雇用の問題は、我々政治家がひとときたりとも忘れてはならない大切な課題だと認識をしております。

 厚生労働省の資料によると、二〇一二年の非正規雇用の割合は三五・二%にも上り、危険水域に達しているような報道が続いております。

 ところが、国民生活センターの正規職員は八十九名、管理職一名を含む任期つき職員が十二名、非常勤職員数は九十名、その合計、百九十一名です。それには事務補助員や派遣社員は含まない、こういった資料がございました。すると、正規職員ではない非正規職員は、何と百九十一名分の百二名というわけになりますから、五三・四%にも上ります。しかし、実際には事務補助員と派遣社員が五十名ほどいるとの報告もあり、その方々を非正規雇用に加えると約三分の二、こういった数字が非正規雇用という、異常ともいうべき数値をあらわしております。

 森大臣は、独立行政法人改革の閣議決定がなされた昨年十二月二十四日の会見で、この閣議決定に沿って、今後とも、国民生活センターの各機能を最大限に発揮し、消費者行政を推進するためにしっかりと取り組む、このように決意を述べられましたが、一者入札の上、その相手と国センの事務所の同居、不明朗な人事交流、そして、加えて、述べてきましたような好ましいと言えない職場環境、そのような状況の中で、国民生活センターが、法の目的とする国民生活の安定及び向上に寄与する、こういったことがスムーズにできると国民は納得できるでしょうか、職員の皆様は安心して真摯に職務に全うできるんでしょうか、また、そのような状況で国民の被害に対して適切な対応ができるのか、甚だ疑問でございます。

 また、全相協は、先ごろ成立した、二段階訴訟で国民の利益保護に奔走していただく適格消費者団体でもあります。

 以上について、森大臣の御所見をお願いいたします。

森国務大臣 国民生活センターの各種機能については、消費者庁ができる前から長年消費者保護に携わってきた立場としての長い経験と知見、これを生かして活躍していただきたいと思っておりますが、その上で、国民の皆様に、透明性を持って、今お示しいただいたような疑念についてはしっかりと晴らしていかなければならないというふうに思います。

 安倍内閣は、行革によって独立行政法人に対してさらにグリップをきかせていこうとしているわけでございますが、今までの、つまり、現行の制度を説明させていただきますと、現行では、独立行政法人通則法に基づき、達成すべき業務運営の目標となる中期目標を定め、これを指示することとなっております。

 そこで、現行、中期目標が定められておるわけでございますけれども、これを私の方で見ていくわけですが、この中で、「契約については、原則として一般競争入札等によるもの」としております。そして人事面については、「人員配置の適正化を図りつつ、非常勤職員を真に必要な業務に限定する」ということを指示しているところでございます。

 また、内閣府独立行政法人評価委員会によって、これら中期目標に基づく取り組み等について毎年度評価をいただいているところでございます。

 国民生活センターの役員については、その重要な任務を担うに足る優秀な人材を取りそろえる必要があり、現在の役員についても理事長が人事権を持っておるわけでございますけれども、理事長によって、国民生活センターが行う事務事業を適切に遂行するにふさわしい高度な知識及び経験を有している方が選任されているものと理解しております。

 御指摘のあった、国民生活センターの役員が全国消費生活相談員協会役員に就任した件については、解消をいたしております。

 また、国民生活センターの東京事務所内に賃借をしていた同協会の事務所の契約については、現政権下では解約をしております。

 国民生活センターが引き続き、理事長のもと、消費者問題に関する中核的な実施機関としてその機能を十分に発揮できるよう、しっかりと指導監督してまいりたいと思います。

上西委員 今御答弁いただきまして、少しずつ解消はされているということなんですけれども、財務省出身の方が経理部長というポストにつかれている。これは、こういった能力を持っている人が必要だからという御答弁を伺いましたが、国民の目線から見れば、これは天下り、そして癒着、これにほかならないと思います。

 ですので、森大臣、国民生活センターといえば、国民の皆様が不安を抱えて相談する、要するに、信頼を大変重視されるところでございますので、国民が、不可解だ、そういった疑念を抱くことがないように、しっかりと大臣の権限を生かしていただきまして御指導いただくように、今後もお願いをいたしたいと思います。

 いろいろお話を伺ってきましたが、やはり国センと公益社団法人全国消費相談員協会の関係は本当に不明朗だと言わざるを得ません。

 入札執行側役員が入札参加側へ再就職をする。予定価格や積算方法を詳細に知っているのだから落札できる。入札を企画競争にするか総合評価式にするかなど、詳細までわかるわけです。両者が組めば、そのようなシチュエーションはすぐにできるわけです。その者を相手に入札競争をしても勝てるわけがないと判断するから、最近では、入札説明の参加者も全相協だけ、こういった状況が続いているのではないでしょうか。

 おまけに、入札があることをホームページと国セン前の掲示板でしか公告しないのですから、入札参加者がふえるわけもなく、限りなく全相協に有利な、随意契約同様の条件で委託しているのではないでしょうか。

 私が今述べましたことに関して、御所見、そして改善をなさる気があるのかないのか、そして、改善をする気があるのでしたら、改善方法もあわせてお答えください。

松本参考人 役員の兼務あるいは事務所の賃貸につきましては、解消したところでございます。

 御指摘の一者入札が続いているという点につきましては、結果として事実でございます。我々としては、そうならないようにさまざまな対応を考えているところでございます。この状態でいいというふうには決して思ってはおりません。

上西委員 今、さまざまな対応というお答えだったんですけれども、国民の皆さんからしたら、何をしてくれるのか、何を改善してくれるのか。実際、三月二十五日、私が質問でこの国民生活センターのことを取り上げた後、私の事務所に、こういった入札があるんですかということで、派遣会社の方から二件問い合わせがありました。それだけ知られていない、この入札はオープンなところでされていないと私は受け取っておるわけでございます。

 ですので、改善する気があるとおっしゃいましたので、具体的な改善方法をお願いいたします。

松本参考人 入札方法につきましては、入札期間の延長や応札の条件については、さまざまに既に対応してきているところでございます。

 入札をしていただける団体、事業者に対して、こういう入札がありますから応募しませんかということを直接言うのは、入札の構成上は恐らく許されないことだろうと思います。それ以外の形でどのように多数の方に知ってもらえるかにつきましては、検討したいと思います。今のところは、インターネットで公表するということと、センターの所在地で公表するということしかやれておりません。それ以外に適切な方法があるかどうか、検討してまいりたいと思います。

上西委員 今でしたらインターネット上と所在地での公表ということですので、やはりそれではいけないと思いますので、今後、改善方法をしっかりと出していただきまして、また、御報告を私の方にいただければと思います。

 落札金額の積算方法など、まだまだ聞きたいこともあったんですけれども、質問時間が終わりましたので、重徳委員にバトンタッチして、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 日本維新の会の重徳和彦です。

 引き続き質疑をさせていただきたいと思います。

 今、委員の皆様方にもお聞きいただいたとおりで、非常に、人的な交流、人事を通じて、特に、役所の指定席となっているようなポジションが独立行政法人国民生活センターにあったり、それから、国民生活センターと全相協、公益社団法人全国消費生活相談員協会との間の関係も、人的あるいは物理的、いろいろな関係を保有しながら一者入札というものを続けてきたという状況でございます。

 理事長御自身がお認めになるように、密接な関係をつくってきたということでございますし、入札の参加機会を他社にはなかなか与えることもせず、前回は理事長も、なぜ参加者がいないのかにつきましては、我々としても原因はわかっておりませんというようなこともおっしゃっておりましたけれども、そのあたりも、しっかりと原因を、原因といいましょうか、どうやって解消していくか、改善していくかということも常々考えなければ、大もとになっているのは国民の皆さんからいただいた税金なわけですから、その使い道として、できるだけ適切な手段、方法、金額であるべきだと思います。

 その意味で、消費税増税の折、それは確かに転嫁の問題とかいろいろありますけれども、やはり、税金を預かっているのはひとえに政府なんですから、政府から、さらにそこから運営費交付金という形でまとめてどんとお金が行っている国民生活センターには、しっかりと襟を正していただきたいと思います。

 それで、一点、国民生活センターの、これは上西委員から通告があったと思いますが、この問いについて、私からかわって質問させていただきますが、きょう、午前中にも他の委員から質問がありましたけれども、国民生活センターの相模原事務所において、果たしてこれはいかがなものかと思われるような事業がございます。医療機関ネットワーク事業というものがあるんですけれども、これについて伺いたいと思います。午前中に結いの党の井坂委員から質問があった、相模原事務所です。

 この医療機関ネットワーク事業というのは、身の回りの商品やサービスが要因となってけがをした方の事故情報を収集、分析し、同様の被害や事故の再発防止に向けた取り組みを推進するという事業で、このネットワークを構築するのに三千五百万円が投じられ、年間のシステム維持費は約四百四十万円。そして、情報収集、これは医療機関から情報収集します、その謝礼金が約千四百七十万円ということでございます。そして、これだけの巨額の資本投下をされまして、まだ全国では二十四しか参画医療機関がない。

 こういう状態なわけですが、こういった事業、無駄な事業の典型例のようにも見えますが、現状と、今後どのようにこれを、続けていくのか、どうするのか、このあたりについて松本理事長からの御答弁をお願いしたいと思います。

松本参考人 医療機関ネットワーク事業は、消費生活上の事故情報を医療機関から収集する仕組みを構築し、同種、類似事故の再発防止に資する取り組みを推進するため、平成二十二年十一月に、当初十三の医療機関の参画を得て立ち上げたものでございます。

 現在のシステムは、二十四年六月に運用を開始し、途中、システムの変更を含め、構築費用の合計は御指摘のように約三千四百九十六万円でございます。年間維持費約四百四十万円でございます。このほか、参画医療機関への謝金として、平成二十五年度は約一千四百六十八万を支払っているところでございます。平成二十六年四月現在、参画医療機関は二十四機関でございます。これまで約一万八千件の消費生活上の事故情報を収集してまいりました。

 医療機関ネットワーク事業は、消費者庁と当センターとの共同事業でございまして、収集された情報は事故の拡大防止等に向けた消費者への注意喚起や事業者への改善等に活用をされております。例えば、公表件数では、平成二十二年度は二件でございました。二十三年度四件でございましたが、二十四年度十三件、二十五年度七件ということになっております。

 医療機関ネットワーク事業に要するランニングコストは年間約二千万円となっているところでございますが、収集される情報には、窒息による死亡事故のほか、刈り払い機による指の切断、電動工具での内臓損傷や電気ケトルの熱傷など、不可逆性の事故も多いわけでございます。こうした事故に対して消費者に注意喚起を行い、事業者等への製品の改善や表示の徹底などを要望することにより、事故の再発を防止する効果が高いものと考えられます。

 引き続き、情報収集の能力を高めるとともに、消費者被害の防止に取り組んでまいりたいと思います。

重徳委員 年間数件ということですね。やはり費用対効果はしっかり考えていかなければならないと思います。

 民主党政権になったときに、事業仕分けが行われましたね。私も、公務員の立場でありましたが、事業仕分けを担当する行政刷新会議事務局というところに所属をいたしておりまして、やはり、官の部門におきます行革の姿勢というのは、私は、民主党政権は非常に前向きというか、非常に厳しい姿勢で臨んでおられたと思います。今は自民党政権で、何かと前の政権が全て悪かったような言い方をされることが、閣僚の皆さん、みんな一様にそういうことを言っていて、非常に私は気になります。

 これから、消費税も増税される、こういう局面において、何よりも身を切る覚悟、そしてそういう行革努力というものをしっかりとやらなきゃいけないのは政治家自身でもあり、また、官と言われる行政組織だと思うんです。そして、さらにそこから連なる独立行政法人、その委託先、そういうところが、最近でも、厚生労働省から、JEEDと言われる独立行政法人に対する入札、これも一者応札ですね。こういうところをしっかりと正していく姿勢は、私は、前の政権の方が明確だったと思っております。ですから、今の政権にも、何か、消費税で増収があって、使える金がふえたかのような態度で、予算も大盤振る舞いで、このような姿勢は本当に看過できないものがあると思っております。

 松本理事長は御答弁はここまでで結構でございますが、もうちょっと関連する発言は続けますので。済みません。

 その意味で、今後、今回の法案におきましても、消費生活相談員の資格試験を、登録試験機関として政府が指定する機関を設けるわけですよね。

 そこは、今までは、これは国民生活センターも一つありましたね。それから、日本産業協会と言われるところ、日本消費者協会と言われるところ。こういうところにやはり税金が入っているわけですよ、今までの消費相談員に関する資格が。年間八千万円とか三千万円とか、そういうオーダーでお金が入っているわけです。

 これから新たに整理統合される消費生活相談員の資格試験、それを行う登録試験機関、こういうところとの関係を、これからやはり政府との関係、癒着の関係とか、そういうものが厳しく問われていかなければならないと思っております。

 そういうことで、私としては、国会議員の重要な仕事、これは与党も野党も一緒だと思います、国会議員たるものは、政府の税金の使い道、これをしっかりと監視して改善していく。そして、政府はその声に基づいて直ちに改善を全力を挙げて行っていく。こういう姿勢が必要だと思います。

 森大臣にこの点に、こういう大きな話ですから、特段通告なしでもお答えいただきたいんですが、こういったことについて襟を正してこれから取り組んでいただきたいと思うんですが、御所見をお願いいたします。

森国務大臣 先ほどの上西委員の御質問にもお答えをいたしましたけれども、国民生活センターの問題に対しては、中期目標を定め、これを指示しておりまして、それに基づく解消等がございましたこと、さらにその上の改革努力をしていく旨申し上げたとおりでございます。

 今御指摘の医療機関ネットワークについてでございますが、その前に、相模原というふうにおっしゃっていたと思うんですけれども、相模原の施設の問題と医療機関ネットワークの問題の関連性がちょっと私、理解がちょっと困難でございましたけれども、いずれにせよ、さまざまな御指摘、委員の御指摘を踏まえて、この平成二十二年に立ち上がったネットワーク事業、しっかりと見直してまいりたいと思います。

重徳委員 見直しをするという明確な御答弁がありましたので、見直していただくということでお願いしたいと思います。

 それでは、理事長、ここで結構でございます。ありがとうございました。

 今回の法案につきましての質問に入りたいと思います。

 今回の法改正のきっかけとなりましたレストラン、ホテル大手のメニュー偽装事件がございましたが、これは今まで消費者庁が主体となってさまざまな調査や実態把握に取り組んでこられたと思います。

 私、以前から、今回起こった事件の中には、詐欺罪のような刑事事件、あるいは、民事の不当利得、債務不履行、それに基づく損害賠償、こういったことに発展し得る事例もあるのかどうかということについて、それだけ重大な問題なのではないかというのが本意なんですが、そういったものがないかどうか、つまり、民事、刑事に問われるようなものがないのかどうか、こういったことを問い続けてまいりました。

 特に刑事事件については、捜査当局に余り明確な御答弁をいただくようなことができる性格のものでもありませんでしょうから、民事として、これは要は、お客さんがメニューを見て注文した時点で契約が成立したけれども、メニューに書いてあったものとは違うものが出てきた、それによって本来の利益よりも上回る利益を売り手側が得たという意味において、債務不履行、不当利得、こういったものに当たる可能性があるのではないか。

 これは、実際、事を起こす、裁判にならなければ何にもならないわけなんですけれども、理論的にはそういったものに該当する事例というのがあるのではないかということについて、御答弁をいただきたいと思います。

萩本政府参考人 民事につきましても、具体的な事案における法律関係をどう考えるかは、個別の事情を踏まえた事案ごとの判断になりますので、あくまで一般論ということでお答えをすることになりますが、いわゆるメニューの偽装表示が問題となる事案において、メニューに表示された産地や銘柄の食材を使った料理を提供すること、それがレストランとその客との間の契約の内容になっていると認められるような場合には、そのような食材が実際には使われていなければ、民事上、レストラン側に債務不履行や不法行為が成立し、客側に損害賠償請求権が発生する場合もあり得ると考えております。

重徳委員 一般論としてはそういうことだと思います。

 森大臣、今回の法改正は、これからの対応、体制をつくって、しっかりと制度をつくっていくということだと思うんですが、これまで数カ月間調査をした結果として、今回の事件について、大臣は非常にこれはひどいというようなことをおっしゃっておりますが、結局、これまでの調査に基づいて、今回のメニュー偽装事件全体をどのように総括しておられますか。

 消費者庁として、今回の法律をつくって対応するというのは、これからのことはいいんです。いいというか、それはそれでまた議論させていただきますが、今回の調査の結果を踏まえて、今回事件を起こした各業者などに対してどのような対応をしていくかということについても、少し、これはちょっと通告しておりませんでしたが、お考えをお聞かせいただきたいんですけれども。

森国務大臣 今回の事件においては、迅速に行政処分をいたしました。

 私が今回の事件で、これまでのことを起こした事業者についてどのような感想を持ったかというような御質問でございますけれども、まず一つには、私は、プロであるべきホテル業界、レストラン業界の方に大臣室に来ていただいて、ホテルマンとしてのプライドはどこに行ったんですかというふうに申し上げましたけれども、遵法意識が鈍麻していたと思います。

 しかし、それに対して、行政庁としての消費者庁も反省すべき点があるというふうに思いました。そこで、今般の事件もそうですけれども、五年たって、消費者庁が今までやってきたことを全てレビューをして、しっかり見直しをして、今後の対応をつくるということも指示をしたところでございます。

 そういった観点で見ますと、今まで同様の食品偽装表示が十七件あったにもかかわらず、しっかりとした迅速な行政処分さえ打っていなかった。つまり、現行法でできる最低限の対応さえしっかりしていなかったということです。そういう意味で、消費者庁の中の体制も見直しました。

 さらに、業者がそれに甘えて対応をしていなかったということに対して、業界団体に対して、これからの業界の中での自主努力、これについても要請をいたしまして、それに使うツールについても、講師の派遣、またはガイドブックもつくりました。過去の処分例もつくりました。勉強会には協力するということも申し入れているところでございます。

 さらに、その上で、現行法で足りないという部分を今回の法案で出したということで、業界の中に食品衛生法と同じような管理責任者を置いて、その役員が、何かあったときにはしっかり責任をとる。

 今回あったように、一体誰が悪かったのかということが、会社の中でも、たらい回しになって、よくわからない。役員はわからない、仕入れの人もわからない、調理場でもわからない。そして、現場の調理場の方を一人首を切って、それで終わらせるというようなことが起こっていたわけでございますが、責任をとる体制とともに、そこまでやってもだめだった場合の課徴金を検討するというふうにしたところでございます。

重徳委員 ありがとうございます。

 それでは、消費者安全法の今回の改正におきます秘密保持義務規定の運用について、質問を移したいと思います。

 今回の消費者安全法の改正案におきましては、消費者安全確保地域協議会の事務に従事する者、していた者、あるいは消費生活協力団体の役職員の方、あるいは消費生活協力員の方、これらに対しまして新たに秘密保持義務規定が設けられました。知り得た秘密を漏らしてはならないという規定でございます。

 これまではこういう規定がなかったわけですけれども、実際には、さまざまな、例えば民生委員の方とかケアマネの方なんかが、地域で高齢者などの消費者被害の情報を得て、それをどういうふうに扱ってきたかということ、これまでどうだったのかな、実態がどうだったと捉えておられるのかなと思っております。個人情報だからということで、なかなか、人に言っていいんだか悪いんだかわからないということもあったかもしれません。一方で、余計な人に余計なことを言ってしまうということもあったかもしれません。

 このような秘密保持義務規定、義務を課すことによって、当然、萎縮効果が出てくる可能性はあります。本来伝えるべき情報を伝えないとか、そういうことも心配されるわけなんです。

 質問なんですけれども、これまでこうした情報の取り扱いは、現場においてはどのような課題があったと認識されていて、今回、秘密保持義務規定を設けることによって、これをどう解消させていくということでしょうか。ガイドラインを設けるという話も本会議で御答弁があったと思いますが、今言ったような趣旨で、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

森国務大臣 御指摘のとおり、深刻化する消費者被害に対して、きめ細やかな対応を行う観点から、これまでも地域において、さまざまなネットワークづくり等の取り組み、支援の取り組みが行われております。

 そして、そのそれぞれが、守秘義務を課しているものもあり、課していないものもあります。例えば、足立区の取り組みなどでは、これは条例でしっかりと守秘義務を課しているというふうに聞いております。

 守秘義務を課さなかった場合に、個人情報を保有して見守り等に使う場合に、それが漏えいをされるということに対する懸念の声があるというふうに承知をしております。

 今般、この法案で皆さんに共有される情報というのは、よりセンシティブなものでありまして、高齢者の皆様が多額の現金を詐欺でとられている等の情報でございますので、ここは、見守りネットワークに誰が入るかということは地域ごとに、もちろん自由に組めるわけでございますけれども、既に守秘義務を課されている職業におつきの方ももちろんいますけれども、それ以外の方が入る場合には、少なくともそこは守秘義務を課してくださいというふうにしたわけでございます。

重徳委員 それでは次に、地方向けの基金、三十億円という金額の基金の予算が、今年度は当初予算からついた。

 今までは、なぜか補正予算でいつも対応していたわけなんですけれども、金額も三十億円という金額で、それを地方に交付して、都道府県において、それは基金として積んで、都道府県自身が使うこともあれば、その県内の市町村にさらに交付することもある。こういう基金を今年度から特に充実させていくという意味において、消費者行政としては、これは大きな前進なのではないかなと思います。

 法案の説明をする中においても、この基金について議論をさせていただきまして、この基金はいろいろなものに使える、人件費にも充てることが、最初は、できないんだという説明もあったんですが、できるというふうにきのう確認させていただいたんです。

 やはり消費者行政体制強化のためには、各自治体の人員を増強しなきゃいけない、これは各委員の皆さん方もおっしゃっているとおりだと思います。

 そこで、この三十億円の予算がどういうふうに全国の自治体に行き渡るのかというイメージを持ちたいというふうに思っておりまして、国から都道府県への交付のルール、配分のルール、これをちょっとお伺いしたいと思います。

 今年度の交付先が決まっていなければ昨年度でもいいんですけれども、配分実績を教えていただきたいと思います。具体的な方がいいので、具体例として、私の地元の愛知県、それから愛知県内市町村、これがどうなっているのか、このあたりを教えていただきたいと思います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、交付決定額の設定方法でございますが、基本的に、交付決定額の算定に当たりましては、都道府県ごとの定額分、人口割分ということで今年度は対応したところでございまして、金額は既に確定し、通知をしているところでございます。

 地方公共団体ごとに対する定額分と、予算額から各都道府県の定額分の合計を差し引いた額を人口割りにした額を合計した額を各都道府県の限度額といたしまして、要望がそれに満たない場合は要望額まで、要望が限度額を超えている場合は限度額までを配分しているところでございます。

 ちなみに、愛知県ということでございますが、愛知県につきまして、平成二十五年度の数字でございますが、平成二十五年度の事業実施のために配分された額は一億三千六百万円でございまして、事業計画としては、県事業として二千五百三十万円、市町村事業として九千五百八十万円の事業が実施されているというふうに理解をしております。

 分野別の基金の活用状況、これも愛知県を例にさせていただきますと、消費生活センター等の整備に百四十万円、消費生活相談員の研修等に八百三十万円、消費生活相談員の雇用等の人件費に、御指摘いただきました人件費でございますが、三千七百十万円、消費者教育、啓発に七千四百二十万円となっているところでございます。

 以上でございます。

重徳委員 ありがとうございます。

 最後に、話題の課徴金について議論させていただきたいと思います。

 現時点では、消費者委員会でさまざま専門調査会を置いて幅広く議論されている状況だと思いますので、今の段階で明確な方向性ということは、ここで明言はできないのかもしれませんので、ちょっと三点ほど論点を私なりに考えてみました。

 一つは、課徴金を賦課する場合の主観的要件ですね。いわゆる故意、過失、これを要件とするのかどうか。要件とするのは通常なのかもしれませんが、仮に、故意、過失を不要とする仕組みとした場合、どのような課題があるのかということが一つ。

 二つ目は、立証責任の転換ですね。不法行為なんかだったら、大体、被害を受けた側が故意、過失についても立証しなきゃいけないと思うんですけれども、この立証責任を転換して、むしろ故意、過失がなかったということを事業者側が立証する、こういう仕組みとした場合に、どのような課題があるのか。

 それから三つ目に、これは、独禁法上、課徴金という制度があるんですが、そこにおいては、課徴金を賦課するかどうかについて役所側の裁量はないというふうに聞いております。すなわち、裾切りなんて言われるらしいんですが、一定額以下の課徴金である場合は不問に付す場合があっても、それ以上の金額であれば、客観的な事実が判明すれば必ず課すという仕組みだそうです。

 同じ仕組みにするんだったらそれはそれなんですが、もしそうでなく、裁量権があるよ、消費者庁の判断いかんで賦課する、しないという判断ができるよという仕組みとした場合に、どのような課題があるか。

 この三点につきまして、法律家でもあります森大臣の御見解をお願いします。

森国務大臣 課徴金をどうして課すかといいますと、行政目的である偽装表示を抑止するという抑止効果、これが主たる目的でございます。

 人に抑止をさせる場合には、全く故意、過失がない人に課徴金を課すというふうにしてその抑止になるかといったら、なりませんから、そういう意味では、主観的要件というのは必要であろうという説が一般的だと思います。

 ただし、この景品表示法では、そもそもの構成要件として、著しく優良であると誤認させるというふうになっているんです。消費者に著しく優良であると誤認させる表示をするときに全く軽過失もないということがあるんだろうかという論点も一つございます。現に、今まで行政処分が課されている案件を見ますと、これは本当に故意、重過失がありましたねというような非常に悪質なものであります。

 そういう意味で、故意、重過失という主観的要件を付すかどうかというのはまだ決定はしておりませんけれども、消費者委員会の中間整理では、そういった故意、過失がないことが証明された場合に例外的に課徴金賦課の対象外とするという、反対から書いてあるような文章ですけれども、そういう意見が多数であったというふうに承知をしております。

 いずれにせよ、消費者庁としては、消費者委員会における御議論をにらみながら、今、大臣室直轄で課徴金検討室というのを設けておりまして、そこで諸外国の事例などとともに制度を検討しておりますが、この主観的要件の要否を含め、適切な要件設定をしてまいりたいというふうに思います。

 二点目の御質問でございます、立証責任の転換でございますけれども、これは刑事上または民事上、裁判上のものではございませんでして、課徴金というのは行政処分でございますから、そこで立証責任を転換させるというようなことは、ほかに類例がない仕組みでございます。

 ただし、まだ消費者庁ができる前に、前の自民党政権時代に法案が検討されていたときに、立証責任の転換のような書きぶりのものがあったようでございますけれども、具体的に、課す上で、行政処分の迅速な執行、それから業者の方の、真っ当な業者さんが仮にそういったことになった場合の賦課等、さまざまなことを検討して決めてまいりたいと思います。

 三つ目でございますけれども、消費者庁に裁量性を持たせるかどうかということでございますが、行政裁量を持たせますと、やはり、それが不透明になったり、これは公平であるかというような疑念を生じるということがあるというふうに思います。

 一方、裾切り要件というふうにいたしますと、公正取引委員会で、過去に課徴金を導入したときに、導入当初はぐっと行政処分の件数が減ったということで、大量のものを、今までの行政処分に加えて課徴金について認定作業等をしていかなければならない、そういう論点もございますけれども、委員会の御議論を参考にしながら、慎重に決定してまいりたいと思います。

重徳委員 ありがとうございました。

 引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 以上です。

山本委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いをいたします。

 景品表示法改正案ということで、レクで、例えばどういうものかと聞いたら、グリコのおまけで、そのおまけの片足がとれていたりして、こういうのが問題なんですというような話を聞いて、なるほどと思ったんですが、最近はもう時代も変わって、グリコのおまけを目当てに子供がその商品を買うというようなことは、昔、ピカチュウのものがありましたけれども、最近はほとんどないということです。最近は、どちらかというと、女性誌なんかはバッグがセットになって売られている。男性誌は何かDVDがセットになって売られている。

 こういうようなことがあって、景品の方の、看板に偽りありじゃないけれども、派手な文言で、景品でもって物を売ろうという時代になってきている。そこの景品の、看板に偽りありは困るというような内容、そこを正すべき法案だというふうに理解をしております。

 私にも大学生の娘がいるんですけれども、景品の話を聞きましたら、バッグが欲しくて本を買うのか、たまたま買った本にバッグがついていたのかどっちなのと聞いたら、やはりバッグが欲しくて買うことの方が多いというわけでした。

 もう、そういう時代になってきたのかなと。これは商魂たくましいというのか、やはり購買意欲をそそる工夫というのは、それぞれの会社が工夫を凝らしてやっているんだなと。ただ、やはりそこには、きっちりとした品質管理、そして最低限の規制というものはしっかり設けていかないといけない、それが今回の法案の趣旨だというふうに理解をしております。

 前段が長くなりましたが、質問をさせていただきます。

 内閣総理大臣が定めることとしている、事業者が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針というものがあるかと思います。この指針というのは、全ての業種について当てはめるのかどうかというところをまず一つお聞きしたいと思います。

 例えば、私は内科医なんですけれども、既に、医療業界でいいますと、医療法の第六条の五から第六条の八までの規定及び医療法施行令、施行規則によって、医業、歯科医業に関する広告の制限、診療科名等々の規制があります。

 このように、業法でもう規制の行われている業種についても、今回この指針を定めるのかどうか。そして、その場合、何を指針に書き込むのか。これについてお答えいただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法は、そもそもあらゆる商品、役務に適用されているものでございまして、その指針ということでございますが、これは、事業者が景品表示法を遵守するために必要な措置に関するものとして定めるものということでございます。そういうことでございますので、この指針の適用範囲というのは、全ての事業分野、商品、サービスに及ぶものというふうに考えております。

 各業法におきましても、今御指摘ありましたとおり、特定の業種についての表示に関する制限、規制が規定されている場合がございますが、本法案で新設いたしますのは、そういう表示規制そのものではございませんで、表示等の適正な管理のために事業者が講ずべき必要な措置、景品表示法を守るために必要な措置ということでございます。

 したがいまして、全ての業種、商品、サービスに関してこの指針は適用ということを考えているところでございます。

 この指針の内容といたしましては、そういうことでございますので、事業者内部で表示等を適正に管理するために必要な措置ということにつきまして、遵守すべき事項また留意点、こうしたことを示すということを予定しているものでございます。

 また、指針を定めるに際しましては、各事業所管省庁と協議を行うことということになっております。この協議の段階では、先生御指摘のような各業法の規定の存在ということは踏まえつつ協議が行われることになるんじゃないかなというふうには考えております。それ以外にも、今後、経済団体や消費者団体、各方面の意見を聞きながら、実効性のある内容にしていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 ということは、医療業界に関しては、今回この改正によってそんなに大きな影響はほとんどないというような理解でよろしいでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のこれは、まさに今でも違反である不当表示を起こさないために必要な措置をとってくださいということでございますので、基本的には、医療業界だけでなく、既にそういった取り組みをしている方にとっては、さらなる追加的な大きな負担になるものではないというふうに考えております。

柏倉委員 わかりました。

 医療業界は、独自にといいますか、医師会等々で標榜科、できる標榜科ですね、そういったものもしっかり、自主的にといいますか、当局の指導のもとにやらせていただいておりますので、そこのところは余り今回大きく変更はないという理解をいたしました。

 やはり標榜科に関しては、看板なんかもいろいろと変えなきゃいけないような具体的な出費、支出もありますので、そういったところ、問い合わせ等々がもしありましたら、迅速に対応していただきたいと思います。

 続いて、消費者庁長官の権限の委任等についてお伺いしたいと思います。

 都道府県知事への権限の移譲に関してなんですが、この規定で都道府県知事が行使できる範囲は、調査権限、措置命令の権限、あと優良誤認が疑われる事案についての合理的根拠を示す資料の提出要求、三つというふうに考えてよろしいんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、調査権限、措置命令権限、それから合理的な根拠の提出を求める権限、この三つというふうに考えております。

柏倉委員 都道府県知事によって行われる措置命令が消費者庁長官から委任された権限だということを考えれば、例えば、私は栃木県なんですが、栃木県知事が、これは優良誤認表示だというふうに認定して措置命令を発した場合は、これは全国に適用されることになるんでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在想定しておりますのは、都道府県知事に措置命令の権限を付与した場合に、都道府県はその県域内の不当表示について措置をとるということになると考えております。

 したがいまして、基本的には、その県の域内で表示が行われた場合、また県の域内で販売されている商品、役務についての表示、これが対象になると思いますので、そこの県、まさにその表示が禁止されるということになります。

 ただ、法の解釈また運用は、基本的には各都道府県で変わりませんので、同様な表示が他の県で行われた場合には、他の県の知事も、それは不当な表示であるというふうに判断するものと考えております。

柏倉委員 そこは、これは不当表示だと、例えばA県で認定されて、ただ、B県では、これぐらいいいんじゃないかという意見が起こり得るかと思うんですが、そういう場合は、消費者庁としては、消費者庁みずからがきっちりと評価をしていくのかどうか、ちょっと答えてください。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 複数の県にまたがって同じ表示が行われているような場合、複数の県にまたがって売られている商品について例えば行われている表示ということでございますと、最初から消費者庁の方で対処するということを考えております。

 したがいまして、御指摘のようなケース、ある事業者が複数の県にまたがって表示をしているような場合については、基本的には消費者庁の方で対応するということを想定しております。

柏倉委員 ということは、A県でのみ表示されている商品はA県の県知事が判断をするということなんですね。

 ただ、物流等々、ネット等々の環境で、今ほとんど、県に限定した商品というのはだんだん少なくなっているように思うんですね。やはりどんどんどんどん積極的に広告も打ち出しますし、ネット、テレビ、さまざまな媒体を使ってコマーシャルするわけなんですが、そういう本当に地域限定のもの、例えばでいいんですが、一つでもいいので、ちょっと教えていただけますか。

菅久政府参考人 例えばで申しますと、地場のスーパーマーケットなどが地元の一定の地域にビラをまく、チラシをまいたような、そういうものですと、地元だけで広告されておりますので、そういうものはその県で対応することになろうかと思います。

 また、例えば何々市に所在するレストランなどでございますと、多分、そこに来るお客様は基本的にはその市ないし県域の方だと思いますので、そういうものについてはその県が対処するということになろうかと考えております。

柏倉委員 よくわかりました。

 これはいちゃもんをつけるわけじゃないんですが、理屈でいうと、なるほどなと今思いました、ビラを配る、地元のレストラン。ただ、やはり県境というのはありますので、そのまたいだところでもやはり起こり得る問題ですので、そこのところをどう対処していくのか、しっかりとこれは、もう決まっているのであれば、指針をアナウンスしていただきたいと思います。

 ただ、現状においても、都道府県知事による法的措置というのは、調べますと、かなりこれはばらつきがありますね。

 二〇一〇年度から二〇一二年度の間に指示を行った都道府県というのは、各年度とも、大体十ちょいなんですね。また、全然行っていないものもある。例えば、青森、富山、石川、福井、山梨、三重、岡山、広島、鹿児島というのは、二〇〇三年から二〇一三年度の間まで、これは指示を出していない県なんですね。

 これは、地域性なのか、やはり知事の判断がずっと継続しているのかというのはわかりませんけれども、昨年の臨時会でも、甲南大学法科大学院の根岸哲参考人は、現状のままで措置命令権限を付与しても絵に描いた餅である、財政的支援などもないまま都道府県に権限を委任するのはかえって無責任ではないかというような意見もあったようです。

 その件についてはどのようにお考えでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 確かにそういう面もあろうかと思っております。

 したがいまして、今回、いわゆる地方消費者行政活性化交付金でございますが、都道府県におきまして、景品表示法の担当職員に対する研修など、事業者への指導また法執行、こうした強化を図るための事業にこの地方消費者行政活性化交付金を活用することも可能でございますので、その積極的な活用というものを期待しているところでございます。

 また、具体的な執行実務といたしましても、都道府県の景品表示法の担当職員は、必ずしもその調査に関して知識経験が豊富でない場合もございます。

 したがいまして、今後、そうした職員の方々に対しまして研修会を開催する、また、具体的な事案を進めるに当たりましては、消費者庁の方から必要なアドバイスをして、事案の円滑な処理に協力するといったことをしっかりと進めていきたいというふうに考えております。

柏倉委員 財政的手当てもしっかりつけるというふうに認識はいたしました。

 やはり人ですね。専門的な人もしっかりと拡充をしていかなければ精査できませんので、そこのところの地元の声というのもしっかり酌み取っていただきたいと思います。

 次ですが、課徴金についてちょっと一点だけ。これはもう先ほどからもずっと出ていますが、確認だけさせていただきたいんです。

 課徴金というのは、取ったら国庫に納めてしまうわけですね。実際は、被害を受けたのは消費者なわけであります。国庫に罰金として納めてもらうわけですけれども、ただ、被害を受けた消費者の人にやはり還元するということも一つ考えるべきでないのかなと思いますが、そこのところの御見解をお願いします。

森国務大臣 現在、我が国にある課徴金制度、公取、金融庁のもとでは、おっしゃるとおり、国庫に属すことになっておりますが、今般、導入を消費者庁のもとで検討しております不当表示の事案、これはやはりいわゆるやり得というのを手にするということ、またそして、被害者というものが厳然と存在するということで、違反行為者が保持する合理的な理由がございません。

 そして、民事裁判、刑事裁判の手続で取り戻すことも可能なんですけれども、その特性上、なかなか民事訴訟になじまない場合も多くございます。新しくできた集団的訴訟制度も含め、この対応だけでは十分とは言えないというふうに考えられることから、何とか消費者被害の回復という要素を織り込んでいきたいと思って検討をしているところでございます。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

柏倉委員 特に、前回質問させてもいただきました、お年寄りがなけなしのお金を使って、例えば老人ホームのところに投資をしたけれども、結局、詐欺という形で、一千万、二千万というお金を詐欺をされてしまったというようなこともあります。これが、お金のあるところであれば、それは泣き寝入りもあるかもしれないんですが、そういったことでやはり悲観をして自殺をしてしまうというようなことがないとも限りません。

 こういうところを考えていただいて、直接的に、課徴金が幾らだから、幾ら被害者の方にお返ししますというような一対一対応はできないにしても、やはり消費者被害に遭われた方の救済というのをしっかりと、一つのセーフティーネットとして張っていただきたいと思います。ぜひ御検討をお願いいたします。

 次は、地方消費者行政の執行体制についてお伺いをいたします。

 今国会に提出をされております地方自治法の一部を改正する法律案では、新たな広域連携制度の創設として、連携協約制度や事務の代替執行制度ができることになるということでございます。連携協約制度、複数の地方公共団体が連携して事務処理に当たっていく、基本方針、役割分担をきっちり定めて、連携をできるような法律、制度なわけですね。事務の代替執行制度は、当然事務を、A町の事務の一部をB市の市長に、A町長の名において管理、執行してもらう。行政改革という意味では非常に意味のある法が今後生まれるわけでございます。

 そういったことを考えていくと、全ての自治体に消費生活センターを設置して、消費者生活相談等に当たってもらうというような、今、流れかもしれませんが、これらの制度を上手に活用することで地方消費者行政の強化を図る。やはり小規模の自治体というのは、人もない、お金もないわけです。寄り合って、寄り添って、工夫をして対応していくしかないというふうに考えているところもあります。

 消費者庁としては、消費生活センターをどのように設置、運営していくのか、答弁をお願いいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁におきましては、地方消費者行政活性化基金を通じました当面の政策目標といたしまして、本年一月に定めました地方消費者行政強化作戦の中におきまして、消費生活センターの設立促進を政策目標の一つとして掲げているところでございます。具体的には、都道府県ごとに、人口五万人以上の全市町、かつ人口五万人未満の半数以上の市町村において、消費生活センターの設立を目指すこととしているところでございます。

 ただ、先生御指摘のように、地方公共団体の規模によっては、単独での消費生活センターの設置は負担が大きくなる場合もあり得るということは考えられるところでございまして、消費生活相談の実施には専門的な知識や技術を有する人材が求められるという中で、規模によっては単独の設置は負担が大きくなることがあり得るということでございますので、複数の市町村による事務の共同処理、あるいは他の市町村への事務の委託を行うということも考えられるところでございますし、実際にそうした例も見られるところでございます。

 そうした手法も活用した上で、この目標を達成していただければと思っているところでございます。

 このため、本法案では、改正後の消費者安全法八条第三項におきまして、こうした関係市町村間の調整の円滑化が図られるよう、都道府県がより積極的な役割を果たしていただくことを期待いたしまして、市町村相互間における必要な調整を行うことができるという規定を盛り込んだところでございます。

 今後、広域連携制度の利用促進、また、先生御指摘の地方自治法の改正規定が設けられた場合にはその活用も含めまして、積極的な取り組みが行われますよう、そうした取り組みを通じまして、可能な限り速やかに目標が達成されるよう努力してまいりたいと思っております。

 以上であります。

柏倉委員 やはり地域地域、各基礎自治体で、違う面もありますけれども、文化的にはほとんど同じだというところもあります。そういうところ同士の、物の考え方、価値観、そういったものがリンクされているところであれば、当然、事務を連携協約していくこともスムーズにいくと思いますので、これはしっかりプッシュをしていただきたいと思います。

 では、次に、消費者安全確保地域協議会についてお伺いします。

 これは、もう前段からずっと議論をされておるところでございます。お年寄りを見守っていく、消費者被害から守る、そのための協議会なわけでございます。これに関しては、今回私は議論はいたしませんけれども、何回も申し上げているとおり、地域地域、特に地方に行きますと、この協議会自体を担う人材というのが、どうしても介護や看護の方々、あとは社協の方々になるわけです。ただでさえ忙しいときに、こういった役割も引き受けなければいけない。これはやはり何らかの、お手当というわけじゃありませんけれども、インセンティブもしっかりつけていただけるような政策をお願いしたいと思います。

 今回は、お年寄りの見守りということではなくて、今の時期、桜も咲いております。当然、桜が咲く時期というのは、大学、高校、中学、受験で新たに、成功して入学をする、就職をする、そういう若い人たちの旅立ち、門出の時期でもあるわけでございます。

 そういった人たちをターゲットにした悪質な消費者被害というのも多々あるわけでして、どうやってそういう若者を守っていくか、これも考えていかなきゃいけないと思います。例えば、大学や企業のオリエンテーションの中で、気をつけてください、パンフレットの中に入れてもらう、こういう具体的な働きかけを私はやっていくべきだと思うんです。

 確かに今の若い世代は、ネット世代ですから、そういったところを流していけば、きっちりキャッチアップしてくれるかもしれません。しかし、もともと若い人というのは、自分がそんな消費者被害に遭うなんていうことはみじんも思っていませんから、アンテナは立てていないんですね。ツールはあるけれども、アンテナが立っていない。

 ですから、そういう人たちに向かってしっかりと情報発信する工夫、今申し上げました、大学、就職、そこのオリエンテーションの場で情報を発信する等々の、若い人たちの消費者被害対策、これについて伺えればと思います。答弁をお願いします。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 若年層の消費者被害でございますが、急速に普及した携帯電話、スマートフォン等の情報通信機器あるいはインターネットの利用による契約トラブルが増加しているところでございます。

 消費者庁といたしましては、まず、先生御指摘のようないろいろな場で使える教材をつくるということで、注意喚起のための取り組みを行っております。

 例を申し上げますと、マルチ商法による被害防止のため、「いわゆるマルチ取引の被害に遭わないための五つのポイント」というのを取りまとめた上で、その内容を踏まえたパンフレットの作成、配布を行ったところでございます。

 また、インターネットを活用した消費者取引のうち、ソーシャルゲーム、口コミサイト、サクラサイトの三つの分野に関しまして、また消費者が実行すべきポイントについてまとめまして、消費者庁ウエブサイトによる啓発に努めてきたところでございます。

 また、消費者教育という重要な任務もございまして、昨年六月に閣議決定いたしました消費者教育の推進に関する基本的な方針によりまして、各ライフステージでの体系的な消費者教育の実施が必要とされております。高校段階までに、社会において消費者として主体的に判断し責任を持って行動できるよう能力を育むということが目標とされたところでございます。

 これまでも、若者、高校生向けの消費者教育の副教材ということで、「もしあなたが消費者トラブルにあったら…」といった、教育現場あるいは大学のオリエンテーションなどで活用が可能な教材を作成してきたところでございますので、こうした教材の使用も働きかけながら、消費者トラブルに関して積極的な注意喚起を図ってまいりたいと思っているところでございます。

 以上でございます。

柏倉委員 今後、積極的に働きかけていくというふうに理解をいたしました。

 若い人がウン千万というお金の被害に遭うとは思いませんが、説明にあった、いわゆる携帯またコンピューター、そういったさまざまなアプリ、そういったものの被害なんかもやはりありますので、しっかりと、これはしつこいぐらい啓蒙をしていただきたいと私は思います。ぜひ、よろしくお願いいたします。

 それでは、時間もございません、最後、消費生活相談員資格についてお伺いしたいと思います。

 今回、新たな資格制度を創設するということなんですけれども、既に三つ資格がありまして、消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント、こういった三つの資格があるわけですね。しかし、新たな資格を創設するということなんですけれども、この三つの資格、これにどういった限界があって新たな資格をつくらざるを得ないのか、そこの説明をお願いします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、消費生活センターで消費生活相談等を実施する、消費生活相談について専門的な知識及び経験を有する者、これが現在の法律の規定の仕方でございますが、これにつきましては、内閣府令でございます消費者安全法施行規則第七条におきまして、具体的な三つの資格と資格付与団体が限定的に列挙されているところでございます。

 この現状の制度の問題点でございますが、資格そのものの問題というより法的位置づけの問題が大きいと理解しております。

 まず、その資格が指定されるに足るとされた判断の要件あるいは指定の手続、これが定められておりません。二番目に、資格により確認される消費生活相談員に求められる知識及び技術の内容、これも定められておりません。さらには、三番目でございますが、資格付与団体に対する国の関与の仕組み、これが法令上定められていないということでございます。

 こういう事情でございますので、相談員資格の法律における位置づけが不明確ということでございまして、消費者、事業者、行政から見てわかりにくいというところがございます。消費生活相談員があっせんをするなどに当たりまして、事業者や消費者からどのような資格を有しているかと問われて答えても納得を得られないという場合もある、また、地方公共団体の中でも、適切な研修機会、これが十分確保されないという問題が生じているところでございます。

 以上でございます。

柏倉委員 法的位置づけの問題だということなんですけれども、より包括的な専門資格、かなり高度なレベルの、私はこの領域でキャリアアップが図れる、キャリアパス的なものをつくってもいい時代に今はなってきていると思います。

 やはり、消費者コンサルタント、コンサルタントといいますけれども、なかなかこれ一本で生活ができるという資格じゃありません。今、これぐらい大事な、景品表示等々、消費者問題が先鋭化している中で、消費者をいかに守るか。これはやはり、消費者セキュリティーのスペシャリストをしっかりつくっていくというのも消費者庁さんの役割かと私は思います。

 あと、いろいろな登録試験機関ごとに試験のレベル等々、どのように変わっていくのか、その辺も質問したかったんですが、もう時間がございません。

 今は消費者受難の時代でございます。誤表示だけではなくて、やはり悪質な景品表示を根絶するために、ぜひ、森大臣を先頭にして、消費者庁に頑張っていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、景表法の改正について、その中でも、国の監視指導、執行体制強化の必要性についてお伺いをしたいと思います。

 消費者庁は、出先機関もなく、限られた人員で調査、情報収集をし、違反か否かを判断し、是正措置を行っておられることと思います。

 こうした中で、不当表示に対する措置を強化するため、本法律案では、消費者庁長官の調査権限を各事業所管大臣等に委任できることとされております。

 改正景表法の第十二条第三項では、「消費者庁長官は、緊急かつ重点的に不当な景品類及び表示に対処する必要があることその他の政令で定める事情があるため、」という前提のもとで、各事業所管大臣等に報告の徴収及び立入検査等の調査権限を委任することとされています。

 まず、この「緊急かつ重点的」というのは、具体的にどういう事態を指すのか、消費者庁にお伺いをいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 この法律に書いております「緊急かつ重点的に」というのは、まさに今回の、秋以来の、メニュー、料理の表示問題、このような、そういう一定の分野について非常に多くの事業者が不当表示を行ったというような事案でございまして、今回、まさに緊急的に、消費者庁だけではなく、関係省庁にも団体を通じての調査をお願いしたり、いろいろ対応したわけでございますが、こういう事態が予想される場合がまさに典型的な例として挙げられるかというふうに考えております。

青木委員 今回の食品に関する不当表示ということでございますけれども、これからさまざまな事案が考えられるわけでございますけれども、この趣旨といいますか、この法律にあえて明文化をしたその目的を再度お伺いさせていただければというふうに思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の十二条でございます。十二条の第三項を新たに入れた趣旨でございますけれども、国における景品表示法の執行の体制というのは、現在は消費者庁と公正取引委員会の地方事務所で行っているということでございます。

 これに加えまして、まさに今回のような事態、また、その他、現行の体制では必ずしも不十分というような場合には、措置を効果的に行う上で必要がある、そのような事態の場合には事業所管大臣に対しても調査権限を委任することができるようにする、そのことによって景品表示法の執行力を強化する。そのために、この規定を入れたということでございます。

青木委員 それでは、もう一点お伺いをいたしますが、やはりこの第三項の中で、「その他の政令で定める事情があるため、」というこの「政令で定める事情」というのは、具体的にはどのような内容を想定されているのでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今、具体的にこれこれということは、まだ検討中でございまして、全て網羅的にあるわけではございませんが、例えば今回の事態ですと、複数の省庁にまたがって集中的に対処をしなきゃいけない事態でございました。

 一方で、ある特定の商品または役務について非常に多くの事案が生じるという場合もあり得ると考えております。そういう場合、消費者庁と公正取引委員会の地方事務所ということでは必ずしも迅速に対応できないというような場合を定めていきたいというふうに考えております。

青木委員 それでは、森大臣に確認をさせていただきたいと思いますけれども、一月の記者会見の中で、農林水産省食品表示Gメン等の併任発令に関連をして、本改正案には恒久的な監視体制ができる措置を盛り込むことを言及されたかと思います。

 また、三月の本会議では、国の食品表示等問題への監視業務体制について、併任発令した農林水産省の食品表示Gメン等、合計二百九十人に関して、本改正案の後も、切れ目なく継続して監視の任務を行うこととなるという御答弁をされておられます。

 森大臣がここで言及されている恒久的の意味するところを教えていただきたいと思います。

森国務大臣 今般は、この食品表示の問題が全国的に広がった、その重大性に鑑みまして、緊急的な措置として、農水省の食品Gメンを併任発令させていただきまして、二月二十六日付で併任発令をいたしましたけれども、すぐにこれは、これまでの食品Gメンの職務に加えて偽装表示等についても見ていただくというふうに措置をしたところでございます。

 その後の体制でございますけれども、私としては、これをしっかりと恒久的な措置にしてまいりたいと思いまして、その具体的内容については、今現在検討しているところでございます。

青木委員 そうしますと、この食品表示のGメンというのは、恒久的に消費者庁の職員として今後もこの食品表示の監視に当たる方向だということでよろしいのでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 現在は、まさに緊急的な措置として、消費者庁の職員に併任をして仕事をしていただいているということでございます。

 この法案が成立後は、この十二条三項によりまして、農林水産大臣に対しましてこの調査権限を委任するということになりますれば、この法律の規定、まさに農林水産大臣がこの十二条三項に基づいて調査をする、食品Gメンが調査をすることができるということになるということでございます。

青木委員 この「緊急かつ重点的に」という文言が入ったことで、森大臣がおっしゃっておられた恒久的という、意味するところから後退をしているのではないかなというふうに思いました。

 この緊急かつ重点的に不当表示に対処する必要がある事情が、一時的、重大性のある事案だけということになりますと、やはり、これは問題が発覚してからの対応となろうかというふうに思うわけでございます。問題が発覚してからしか消費者庁長官が事業所管大臣等に委任できないのではないかというふうに懸念をしているわけでございます。

 このタイミングですが、消費者庁にどれだけの疑義情報ですとかPIO―NETの相談等が寄せられた時点で他省庁に権限委任するという判断をされるのか。問題が拡大してからでは対応が遅くなるのではないかという懸念のもとに質問をさせていただいているのですが、その辺についてはいかがでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 数量的に何件ということではございませんが、まさにその必要が生じたら直ちに、また、特に、この法案が成立いたしますればこの規定がございますので、この規定に基づいて必要な事業所管大臣との間で直ちに相談をいたしまして、調査をお願いする、権限を委任するということになろうかと思っております。

 また、現状におきましては、まさにメニュー、料理、食品の表示が問題になりましたので、農林水産省との間では既に話をしておりまして、現在臨時的な措置が行われておりますが、この法律成立後は、そこから切れ目なく、引き続き景品表示法に基づく調査も行っていくということでやっていきたいというふうに考えております。

青木委員 ぜひとも、被害の未然防止ということの観点から、できれば恒久的に所管大臣に委任できればそれにこしたことはないというふうに考えております。

 そういう意味において、例えば金融商品関係ですけれども、高齢者の被害金額も大変大きいと御報告を受けておりますが、食品表示と同様に、金融庁長官に恒久的に委任をするということも有効かと思いますが、そうしたことも考えられるのでしょうか。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁も、もちろん、この規定に基づく調査権限を委任することのできる相手でございます。

 それにつきましては、まさにその必要性ということについて金融庁ともよく相談をしたいというふうに考えております。

青木委員 もちろん、この景品表示法の不当表示規制というのは消費者庁が所管官庁でありますが、しかしながら、地方支部がないですとか、限られた人員であるということから、今回の権限移譲の規定が盛り込まれたと承知をいたしております。

 日常業務におきまして、既に他省庁が各業法に基づいて調査等、措置を行っている経験やノウハウ、これを活用することは大変有用と思いますけれども、他方、他省庁がこれまでに調査対象としていない業種、すき間事案ですとか、そうした案件に対してどこまで機動的に権限委任ができるのか、懸念するところであります。

 例えば、インターネット上の仮想通貨でありますビットコインをめぐり、当初、政府においては、その対応に苦慮されていたと伺っています。例えば、このような所管省庁がはっきりしない新たな問題が生じた場合、はっきり所管はしていなくても、関係の深そうな省庁に権限を委任して調査をしてもらうということも可能なのでしょうか。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者安全法の規定の中に、すき間事案に対する対応という規定がございます。財産的被害につきましては、所管する省庁がない場合で非常に大きな消費者被害が発生している場合には、消費者安全法に基づく対応ということができることになっております。

 したがいまして、所管がない事案でありまして、かつ、消費者被害がある場合には、まずは消費者庁の方で対応したいというふうに考えております。

青木委員 消費者庁の方の対応でできればそれにこしたことはないのですが、さまざま懸念するものですから質問させていただきました。

 他省庁にとっては調査対象が拡大する事態になっても、押しつけ合ったりですとか及び腰になることがないように、消費者庁がどれだけ権限委任できるかが重要となるというふうに思いますので、ぜひ日常的に協議、連携をしていくことが重要だというふうに考えます。

 次に、食品衛生法に基づきます都道府県の食品衛生監視員についてお尋ねをさせていただきます。

 この食品衛生監視員がふだんから食品表示に関してどのような活動をしておられるのか、厚労省にお伺いをいたします。

新村政府参考人 食品衛生監視員はさまざまな業務をしておりますけれども、厚生労働省が管轄しております公衆衛生上の観点からお答え申し上げます。

 都道府県の食品衛生監視員は、飲食に起因する公衆衛生上の危害の発生防止の観点から、食品等事業者に対して監視指導を行うために、都道府県知事等により、その職員のうちから任命されております。

 具体的には、都道府県等が食品衛生監視指導計画を毎年度作成しておりまして、これに基づきまして、飲食店等の食品関係事業者に対する食品衛生に関する指導、食品関係施設への立入検査、食品等の収去検査、また、食中毒等の健康被害が発生したときの原因究明及び再発防止等、食品衛生法に基づく業務を実施しております。

 また、飲食店を営業したり食品を製造販売する場合の営業施設への許可事務、また、これら営業施設が許可基準に合致しているかを確認するための実地調査も行っているところでございます。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

青木委員 また、食品表示等問題の適正化に当たりまして、この食品衛生監視員を、今後、消費者庁職員として兼務をさせるような、そういうお考えはありますでしょうか。消費者庁にお伺いいたします。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 今のところ、そのような予定はしていないところでございます。

青木委員 次に、農林水産省の食品表示監視職員、いわゆる食品表示Gメン、また、米の米穀流通監視官というものがございますが、通常、表示の適正化に向けてどのような監視活動をされているのか、お伺いいたします。

福島政府参考人 お答え申し上げます。

 食品表示Gメン、いわゆる食品のGメンでございますけれども、これは、全国の地方農政局それから地域センター等に約千三百名配置をしておりまして、JAS法に基づきまして、年間約三万店舗の小売店舗等を巡回いたしまして、食品の表示の欠落、表示すべき事項を書いてないとか、あるいは原産地の偽装、あるいは賞味期限の改ざん、そういうものがないかどうか、そういう品質表示基準の違反の有無ということについて調査を実施しておりまして、この巡回調査の結果や、あるいは、食品表示一一〇番に消費者の皆さんから寄せられました疑義情報に基づきまして、立入検査等を随時実施しております。

 また、米穀流通監視官でございますけれども、これも全国の地方農政局、地域センター等に配置をしております。これは約八百名配置をしておりまして、米トレーサビリティー法等に基づきまして、年間約八万店舗の外食事業者等を巡回して、米の産地情報の未伝達、あるいは産地偽装というものの違反の有無について調査を実施しております。そして、この巡回調査の結果、あるいは米穀流通監視相談窓口に消費者の皆様から寄せられました疑義情報に基づきまして、立入検査等を随時実施しているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 消費者庁は、今般、併任発令しました合計二百九十人のGメンの職員の方々に対しまして研修を実施したというふうに伺いました。景表法に基づく外食店への監視業務を行うこととされまして、既にこの監視業務が開始をされたというふうに伺っておりますが、この農水省の食品表示Gメンの職員の皆様に対しまして、いつこの併任の発令が行われ、どのくらいの期間で、どのような内容の研修を行ったのか、お伺いをさせていただきます。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の食品表示Gメン、そして米穀流通監視官等につきましては、二月二十六日付で併任発令をしております。

 これらの併任をしました職員に対します研修でございますが、三月四日から三月十八日までの間、景品表示法についての基本的な考え方でありますとか景品表示法の違反事例、こうしたものを内容といたしまして、全国八ブロックにおいて実施したところでございます。

青木委員 これまでの質疑の中身を総括いたしますと、改正景表法の第十二条第三項における政令の中身を今後どうしていくのかという部分が非常に重要となってくるかというふうに思いますので、また国会の審議も十分に踏まえて策定されるべきというふうに御要望を申し上げたいというふうに思います。

 そして、他省庁等への権限の委任でありますけれども、あくまでも、消費者の利益擁護の観点から、やはり実効性のある権限でなければ意味をなさないというふうに考えます。私は、先般の一般質疑の際にも触れさせていただきましたが、日常的に本来業務としていない職員の方々が突然権限を委任されても、やはり迅速かつ的確な対応がどれだけ図れるのかが疑問に残るところでございます。

 今もお話がございましたが、全国で食品表示Gメンが約一千三百名、そして米穀流通監視官の皆様が八百名、こうした方々が、常時、店舗などを巡回し、食品表示一一〇番等を通じて一般消費者からの疑義情報を収集し、そして情報分析を行い、その上で立入検査等、調査、また必要な措置を行っているということでございました。

 JAS法や米のトレーサビリティー法に基づく巡回検査等の監視業務のノウハウを持つ専門官、専門の方だからこそ、こうしたある意味短期間の研修で対応ができたのではないかというふうに推察するところでございます。

 しかしながら、景表法は、食品のみならず、全ての商品やまたサービスに関する不当な表示を禁止しなければならない法律でございます。ましてや、事業者の自主基準すらない業種に対して、国、地方が何を基準に調査をするのかと考えますと、やはり、どれだけ実効性ある監視指導ができるのか、懸念が残るところでございます。

 消費者庁におかれましては、あらゆるこうした懸念についても想定されていることと思いますけれども、今後、食品表示以外の課題も含めて、こうした懸念に対してどのような対応を行い、監視指導体制の強化を図ろうとされているのか、改めて消費者庁にお伺いをしたいと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 景品表示法で対象にしている不当な表示、これは、今御指摘ありましたとおり、あらゆる商品、サービスが対象でございます。

 また、一方で、特に問題になりますのは、事業者の方々がお客様に積極的にアピールをして大きく宣伝をしたりする内容、そうしたものが、問題がある、つまり、うそであるというような場合が問題でございます。

 したがいまして、世間に大きくアピールしておりますので、これまでの経験ですと、さまざまなところから問題がある表示という情報が入ってくる傾向がございます。そうした情報をもとに、その情報の内容に応じまして、消費者庁または都道府県、担当部局で情報を共有いたしまして、執行しているところでございます。

 今後も、そうした情報を活用するとともに、また、もちろん、体制の整備、それから職員自身の能力の向上というものにも努めながら、しっかりと法執行していきたいというふうに考えております。

青木委員 ぜひしっかりと取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 そして、これは午前中の質疑にもございましたけれども、公取の地方職員を消費者庁職員として併任することは考えておられるかということ、そして、そのときに森大臣が、消費者庁が立ち上がった経緯も踏まえて、消費者庁の本体の人員増加を今図っているということの御答弁があったかと思いますけれども、消費者庁自体の、本体の増員体制を今後続けていくという場合、どのような見通しで、いつごろまで続けていく予定なのか、その辺の具体的なところをちょっとお聞かせいただければと思います。

菅久政府参考人 お答え申し上げます。

 公正取引委員会との関係で申しますと、消費者庁になっていまして、公正取引委員会から消費者庁に景品表示法が移管されまして、現在では、消費者庁を中心に、ある意味では、公正取引委員会の地方事務所等が、こういう言い方をしていいかわかりませんが、消費者庁の地方組織として、まさに一体となって調査を行い、執行を行っているところでございます。

 例えば、北海道事務所などでやった案件でありますと、北海道事務所でやった案件であるということも発表文に明示し、共同で発表するというようなこともやっております。

 したがいまして、ある意味、非常に円滑に進んでおりますので、今の円滑な状態を引き続き続けていきたいというふうに考えております。

青木委員 このような課題を踏まえまして、前回、適格消費者団体に対する国を挙げての支援が消費者にとってもプラスになるのではないかという質問をさせていただきました。

 消費者庁は、地方消費者行政強化作戦として、政策目標に適格消費者団体の空白地帯の解消を掲げられておりまして、私も全く同感でございますが、地方に根づいて消費者問題の対応をされている適格消費者団体を育成して支援することは大変有効だというふうに考えております。

 その上で、今回の食品偽装のような、外見や味だけでは不当表示の判別が難しい困難な案件など、不当表示問題に対しては、適格消費者団体の差しとめ請求権行使の実効性強化を図るために、事業者が合理的根拠を示す資料を提出しない場合不当表示とみなす立証責任の軽減規定を設けることや、スーパーコンプレイン制度導入の検討を提案したものでございます。

 ぜひ、自立した消費者と地方消費者行政の構築のために、国のできることをもう一度考えていただきまして、適格消費者団体への支援について、できれば森大臣の御所見をお伺いしたいというふうに思います。

森国務大臣 適格消費者団体空白地域の解消のために、インセンティブを設けて展開をしております。

 これまでも、適格消費者団体は、まず、差しとめ請求の権利、それを法案ごとに拡充してまいりましたので、その差しとめできる事案が今広がってきております。

 さらには、PIO―NETの情報を提供いたしまして、その差しとめに役立てていただこうということでやっております。

 さらに、適格消費者団体が特定適格消費者団体になるための支援というものも、これもインセンティブを与えて、裏負担なしという形で進めて、特定適格消費者団体になった暁には集団的訴訟を提起できるということで、次々と支援をしているところです。

 その中で、今おっしゃいました立証責任の転換ということは、これは、訴訟の制度とはまた違う、行政処分に適用するということ、それからまた、合理的根拠を有していないことをもって違反とみなす行政行為に景品表示法第四条第二項を引用されましたけれども、これは行政行為でございまして、行政行為を行う行政機関ではない適格消費者団体に対して付することは適当ではないというふうに思っております。

 また、スーパーコンプレイン制度というのはイギリスの制度でございますが、消費者行政の全体の構造を見たときに、イギリスには消費者庁というものがございませんでして、OFTという公正取引委員会に似たようなところが一部取引関係、それから、食品についてはまた他省庁で行っているわけでございます。そのような中で、消費者被害に対して外部から監視をするというチェック機能ということで、スーパーコンプレイン制度が消費者団体、それも一部の認定された消費者団体に付与されているというふうに承知をしております。

 日本においては、消費者庁、そして、そこに勧告、建議をする消費者委員会というものがございますので、全体のそういった構成も見ながら、適格消費者団体の支援となるように、さらに検討を進めてまいりたいというふうに思います。

青木委員 行政措置であることも十分わかってはおりますけれども、なかなか地方の組織がない中で、やはり全国の適格消費者団体の力をかりるということは大変有効ではないかというふうに私は考えております。

 質問の方は、国の監視指導ということで、執行体制強化の必要性ということで質問をさせていただきましたが、申し上げたかったことは、問題が起きてからではなくて、被害を起こさないという抑止力とするためにやはり日常的な、恒常的な監視指導体制が必要なのではないかというふうに思いまして、あくまでも、これは消費者利益の保護の観点から本日は質問をさせていただきました。

 時間でございますので終了いたしますけれども、引き続き、都道府県の役割等々についても、また次回、質問をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、来る十五日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.