衆議院

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第3号 平成26年6月6日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年六月六日(金曜日)

    午後一時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷畑  孝君

   理事 岩屋  毅君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 橋本  岳君 理事 松本 洋平君

   理事 望月 義夫君 理事 辻元 清美君

   理事 今村 洋史君 理事 遠山 清彦君

      赤枝 恒雄君    穴見 陽一君

      池田 道孝君    池田 佳隆君

      大野敬太郎君    勝沼 栄明君

      門  博文君    神山 佐市君

      神田 憲次君    助田 重義君

      高木 宏壽君    津島  淳君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      中川 俊直君    中谷  元君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      野中  厚君    橋本 英教君

      福山  守君    船橋 利実君

      星野 剛士君    前田 一男君

      牧島かれん君    村井 英樹君

      湯川 一行君    枝野 幸男君

      奥野総一郎君    岸本 周平君

      玉木雄一郎君    井上 英孝君

      中丸  啓君    馬場 伸幸君

      石井 啓一君    岡本 三成君

      大熊 利昭君    林  宙紀君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         小野寺五典君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       長田  太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 長谷川浩一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岡   浩君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 河野  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官)            佐藤 尚之君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    佐藤 雄二君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房長)   黒江 哲郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  中島 明彦君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   衆議院調査局海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別調査室長           齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  武部  新君     門  博文君

  冨樫 博之君     神山 佐市君

  藤井比早之君     穴見 陽一君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     村井 英樹君

  門  博文君     勝沼 栄明君

  神山 佐市君     冨樫 博之君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     武部  新君

  村井 英樹君     福山  守君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     藤井比早之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件


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     ――――◇―――――

谷畑委員長 これより会議を開きます。

 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房総合海洋政策本部事務局長長田太君、外務省大臣官房審議官長谷川浩一君、外務省大臣官房審議官岡浩君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、外務省大臣官房参事官下川眞樹太君、外務省大臣官房参事官河野章君、外務省大臣官房参事官大菅岳史君、外務省北米局長冨田浩司君、国土交通省大臣官房危機管理・運輸安全政策審議官佐藤尚之君、海上保安庁長官佐藤雄二君、防衛省大臣官房長黒江哲郎君、防衛省防衛政策局次長真部朗君、防衛省運用企画局長中島明彦君、防衛省地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)委員 皆様、こんにちは。自民党の中谷真一でございます。

 本日は、私のような若輩に質問の機会をいただきましたことに対しまして、委員長を初め関係各位の皆様に心から感謝を申し上げます。

 ただ、時間が十分ということでございますので、早速質問を始めさせていただきたいというふうに思います。

 国際協調主義に基づく積極的平和主義、これは安倍首相が打ち出された概念でございますけれども、私はこれに心から賛同する一人でございます。

 冷戦期に平和を希求いたしました米大統領のケネディは、真の平和は、多くの国が生み出すもので、多くの行動の積み重ねによってもたらすものでなければならないというふうに言っております。これは、なぜなら平和は結果ではなくてプロセスだからだというふうに言っているわけであります。私も、全くもってこのとおりであるというふうに思っております。

 また、積極的に関与していくということは、やはり私は、皆のために汗を流すという、これを美徳としている日本人の価値観にも合致をするものだというふうに思っているわけでございます。

 さらに、今、どこまでできるかという議論をしているんだというふうに思っております。これは集団的自衛権の議論であります。そういった意味では、これはどこまでできるのか、どこまでするべきかという議論はございますけれども、現在、今、現時点でできるところまでは積極的に行っていくべきだというふうに私は思っております。

 そこで、質問をさせていただきます。

 資料の一枚目にきょう準備をいたしましたのは、CTF151という任務についてでございます。この任務は、ソマリア沖・アデン湾で、海上自衛隊が艦艇二隻、また航空機P3Cを二機出して行っている任務であります。これは概要は、詳細はこの資料の中に書いてありますが、幾つかの国が参加をいたしまして、そしてゾーンディフェンスのような概念で輸送船舶の防護に当たっているというものであります。

 司令官任務というのがありまして、この司令官については、参加国が、参加している国が三カ月ごとに交代しながら行っているというものであります。ところが、実はこの司令官の任務を日本は受けていないというところであります。

 私は、受けない理由は何なのかなというふうに考えますと、やはり、指揮下に入った外国の部隊が武力行使をした場合に、その武力と一体化とみなされるのではないかという懸念を持っているのではないかというふうに思っております。

 ただ、しかし、この任務、司令官任務というのはあるんですけれども、指揮下部隊というふうになるのではなくて、各国との関係は連絡調整という関係になっております。また、海賊は国または国に準ずるものではないというところでありますので、たとえ武力行使をしても、これは武力と一体化とはみなされないというふうに考えております。

 私は、積極的平和主義を標榜されている首相のもとで、やはりやれるべきことはやるという意味では、このCTF151の司令官任務を海上自衛隊は受けるべきだというふうに考えておりますが、防衛大臣、また外務大臣の御見解をいただきたいというふうに思います。

小野寺国務大臣 自衛隊の水上部隊、それから航空隊もCTF151に参加をしまして、アデン湾の警戒監視に当たっております。

 現状において、CTF151の参加国の一つとして海賊対処行動を着実に実施しているところであり、自衛隊からCTF151司令官を派遣することについては、CTF151の任務の実情や我が国国内法との関係を踏まえ、しっかりと検討していきたいと思います。

岸田国務大臣 ソマリア沖の海賊問題ですが、これは航行の自由を脅かす深刻な課題だと考えておりますし、海賊対処行動、御指摘の積極的平和主義の実践の一つとして、これは大変重要な行動であると認識をしております。

 その上で、具体的なCTF151の司令官の派遣につきましては、防衛省においてしっかりと検討していただくべき課題だと承知しております。

中谷(真)委員 ありがとうございます。ぜひ、前向きな御検討をよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に移らせていただきます。

 先月の二十四日でございますけれども、ジブチにあるレストランで、イスラム過激派による爆弾テロがございました。このレストラン、これはスポーツバーのようなレストランでありました。この被害に遭った方々の内訳を見ますと、亡くなったのは三名で、これは爆破犯二を含むんですけれども、残りの一人はトルコ人であります。さらに、負傷された方々については、フランス人が七、ドイツ人が四、スペイン人が三、現地人、現地のジブチ人が一人だというところであります。これは明らかに外国人を狙ったテロであるというふうに言えるんだと私は思っております。

 また、さらに、資料の二を見ていただきたいんですが、このレストランの南側、航空隊活動拠点というふうに書いてありますが、ここに実は先ほど申し上げましたP3Cの乗組員、またその整備員など合わせて二百名がここで活動をしております。この距離は大体五キロぐらいなんですね。さらに、ジブチ港というのが西側にあるんですけれども、ここには艦艇二隻が停泊をするというところでございます。これは大体四百名ぐらいの海上自衛官がここで停泊をするというものであります。

 実は、このレストラン、海上自衛官も使っていたとか、この日に爆破があったときにはそれを視認していた隊員もいるということは、その近くにいたということなんでございます。そういった意味では、非常に近いところで起きたテロ事件だったというふうに言えるんだと思っております。

 ここで申し上げたいのは、やはり、現地の活動拠点、これは基盤でありますので、この周辺における隊員の安全をしっかり確保していくということは、この活動において非常に重要なことだというふうに思っております。

 そこで、どのようにして隊員の安全を確保するかというところを考えますと、私は元自衛官でありますので、大体どういうことをやるかというふうに想像しますに、多分、拠点における警戒監視をしっかりと行うということをまずやるだろう、さらには外出を禁止していくんだろうなというふうに想像するわけであります。

 ところが、この任務、大体四カ月任務でありまして、では、四カ月間、この任務に当たりながら、外出も制限していくということが本当に可能なのかということも考えていかなければならないというふうに思っております。

 そういった意味では、やはり私は、艦艇が停泊する位置をもう少し安全な地域に変えたりとか、また、外出ができないのであれば航空隊の活動拠点の中にしっかりとした福利厚生施設をつくるとか、こういった措置というものが必要になってくるのではないかというふうに思っております。

 この点についての御検討をされているかどうか、防衛大臣にお伺いしたいと思います。

小野寺国務大臣 ちょうどこの事案が発生した二週間前、私は、ジブチ、現地におりました。そのときにも、このアルシャバブのテロのさまざまな情報がうわさとしてありまして、現地の司令官はそのことに対しての対応をしていたと思います。ただ、今回のような大がかりな事案が実際に発生したということでありますので、引き続き、しっかり治安情報の入手に努めるということが大切だと思います。

 ただ、現地の任務は大変厳しいですので、やはり一定期間外に出ての精神的な高揚、リフレッシュが重要だと思っております。ホテル等を使用するとか、安全な場所での隊員の士気の高揚についてはしっかり配慮する必要があると思っております。

中谷(真)委員 やはり隊員の士気は活動の成果に顕著にあらわれてくるというふうに思いますので、ぜひ御検討のほどをよろしくお願い申し上げます。

 最後の質問になります。ソマリア沖・アデン湾における海賊対処全体のことについてであります。

 これは、二〇〇九年に始まりまして、二〇〇九年については二百十八件、そして二〇一〇年二百十九件、二〇一一年二百三十七件、二〇一二年七十五件、そして二〇一三年については十五件に減少したというものであります。この減少を見て、もういいんじゃないかというような声も起きているというふうに聞いております。

 ただ、資料三枚目でございますけれども、これは、UKMTOとIMBが出した統計であります。紫色の部分はいわゆる不審船というものの数をあらわしているものであります。UKMTOがどういうものかについてはきょうは申しませんけれども、いわゆる、守っているので不審船のままでいた、海賊になり得なかったものがここの中に多分に入っているのではないかということを考えますと、私はまだ軽々に引く時期ではないと。キャパビルとか貧困対策、こういったものも行っていますけれども、まだこの効果も限定的だというふうに聞いております。

 そういった意味では、まだ他国も引くということを検討していないという状況でありますので、この状況で引くということは余り考えにくいだろうというふうには思っておりますが、防衛大臣と外務大臣、もう時間が終了していますので、短く、検討状況の方をよろしくお願い申し上げます。

小野寺国務大臣 海賊対処を継続しなければ、再び海賊の活動が活発化するおそれがあるということであります。

 私も現地に行きまして、現地のハッサン国防大臣や米軍、フランス軍の司令官と会談をし、この必要性については一致をいたしました。引き続き、この海賊対処行動を確実に実施していく必要があると思っています。

岸田国務大臣 御指摘のように、海賊事案の発生件数、近年、低い水準で推移をしておりますが、やはりこうした海賊を生み出す根本原因でありますソマリアの国内の貧困ですとかあるいは若者の就職難、こうした基本的な原因につきましては、いまだ解決しておりません。決して手を緩めることはできないと認識しておりますし、やはり外務省としましても、こうした根本原因の解決を行わないと海賊の発生件数を本当の意味で抑え込むことはできないと考えております。

 ぜひ、こうした貧困ですとか就職難、根本原因を解決するべく、しっかりとソマリアに対する支援等を行っていきたいと考えております。

中谷(真)委員 ありがとうございました。

 貧困対策、また今行っている活動、これはまだソマリアにとって必要なことである、シーレーンを守るためにも必要なことであるというふうに思いますので、またさらなる活動のほど、よろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問通告をいたしました順番が若干前後することをお許しいただきたいと思います。

 まず初めに、最近テロ活動が激化しておりますイスラム過激派組織ボコ・ハラムについて、外務大臣に質問させていただきます。

 このボコ・ハラムというのは、和訳をいたしますと西洋の教育は罪という意味でありまして、本年四月十四日にナイジェリアにて女学校を襲撃いたしまして、州政府の発表によりますと、二百七十六人の女生徒が拉致をされまして、そのうち五十三人は脱出したものの、今なお二百二十三人が行方不明となっております。

 その後、このボコ・ハラムは、犯行声明ビデオを公開しておりまして、被害者女学生を奴隷として拘束しているという発表をし、人身売買で売ると宣言をしております。

 この事件に関しましては、国際社会は敏感に反応しておりまして、アメリカ、イギリスは専門部隊を現地に送り込んでおりますし、フランス、イギリスにおきましては、その周辺諸国との会議を継続的に持ち、またカナダも、さまざまなその女学生を発見するための機材、また救出するための機材を提供することを約束して、専門部隊を送り込んでいるというような報道もなされています。

 加えて、国連は、五月二十二日にボコ・ハラムに対しまして資産凍結及び渡航禁止措置の指定対象にいたしまして、民間NGO等のデモ活動等も考えますと、今、世界で最もホットな注目の事件というふうにされています。

 この件に関しまして、我が国では、外務大臣が五月九日に非難の談話を発表されたわけですけれども、その迅速な非難の発表につきましては、私、高く評価をしておりますが、それ以降、何ら具体的なアクションをとられていないということに関しまして、若干もどかしさを感じているようなところもあります。

 このボコ・ハラム、先日、六月三日には、ナイジェリアの北東部のボルノ州で四つの集落を攻撃しておりまして、死者が数百人に上っているというふうに報道されていまして、我が国以外のメディアではこの話題で持ち切りであります。

 したがいまして、こういう流れもありまして、G7の首脳コミュニケの中では、我が国も含めまして、ボコ・ハラムを名指しで非難いたしまして、ナイジェリア政府に対して可能な全ての支援を行うと決意表明をしています。

 そこで、外務大臣にお伺いいたしますけれども、我が国としてどういう支援ができるという方向で具体的に検討されているのか、今後何を具体的に行っていくのか、お答えいただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘の事件について、五月九日、外務大臣談話を発出したわけですが、その後の動きとしまして、例えば六月四日から五日に開催されましたG7のブリュッセル・サミットにおきましても、G7においてボコ・ハラムによる女子生徒の拉致事案を非難し、そして、ナイジェリア政府に対して可能な限り支援をする、こういったコミュニケを発表したところです。

 これまでも、我が国は、ナイジェリアを含むサヘル地域におけるテロ対処能力向上支援を行ってきました。昨年七月も、国連薬物犯罪事務所のサヘル地域刑事司法・法執行能力向上計画、こうした計画に対しまして六億四千二百万円の無償資金協力を行っているところです。

 そして、この事件そのものに対する我が国の支援としましては、今現在、ナイジェリア政府と国連機関の間で具体的なこの支援のあり方について協議が行われています。そこで具体的なニーズが今出てきつつありますので、我が国としてこの具体的なニーズを把握して、我が国としてできることをしっかりやっていく、こういった方針で今この協議の行方を注視している、こういった現状にあります。

岡本委員 大臣が五月九日に非難声明を発表されて以来、国際的には公に日本の立場を表明したものはまだないという状況でありますので、委員長、私、ぜひ本日提案させていただきたいことがございます。

 当委員会といたしまして、ボコ・ハラムの女生徒誘拐を含めたテロ行為に対して非難声明を発表し、一刻も早い生徒の救出へ向けた、その行動のために日本も最大限の貢献をすることを表明するような決議をぜひお願いしたいと思いまして、文案もつくってまいりましたので、ぜひ委員長の御検討をお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。

谷畑委員長 岡本三成君の今の趣旨につきましては、ボコ・ハラム事件について、テロ・海賊委員会の理事会で、真摯に受けとめて、協議をして、できればそういう方向で行けるのなら行きたい、私自身はそう思っておりますので、協議をいたします。

岡本委員 委員長、ありがとうございます。

 国際社会の中において、積極的平和主義を訴える我が国が、実際には公の訴えは何もやっていないように映ってしまうことを大変に危惧しておりますので、ぜひ前向きな御検討と実行をお願いできればと思います。

 続きまして、ソマリア沖の海賊の問題につきましても、一言だけ言及をさせていただきたいと思います。

 前に中谷委員が御質問されたことに私も賛同いたしまして、我が国自衛隊の皆さん、この現在も五百九十人の方が、一クール四カ月という非常に長いミッションのその献身的な活動の中で、昨年は十五件にまで海賊の事案が減ってきております。

 皆さん、「キャプテン・フィリップス」という映画はごらんになりましたでしょうか。この映画は昨年公開をされまして、二〇〇九年にソマリア沖で起きました、リチャード・フィリップス船長をフォーカスいたしました映画ですけれども、この映画、映像の中ではありますが、海賊の恐怖というものを本当に感じるような映画であります。

 このアラバマ号事件が起きて以来、このことを起点といたしまして、我が国もその領海におきまして活動をやっているわけで、先ほど外務大臣おっしゃったように、根本的にこの問題を解決するとなれば、その映画の中でも、これは実話ですけれども、海賊の方はその地域の、ソマリア地域の漁民の方なんですね。この漁民の方が、食べていくのに困って、そして犯罪に手を染めているという状況がありますので、例えば、ソマリアは二十二年ぶりに内戦が終了いたしまして、ハッサン大統領も我が国に三月に来日をしていらっしゃいますので、その治安を維持するような新しい仕組みを構築するためのノウハウを支援したり、その後、その地域における産業の構築、雇用の創出等につきまして、我が国を挙げて支援をしていくような体制をぜひお願いしたいと思いますが、御決意、一言お願いできますでしょうか。

岸田国務大臣 海賊の発生につきましては、先ほども答弁させていただきましたように、海賊発生の根本的な原因をしっかり取り除かなければ、状況はすぐにでも悪化してしまう、こういった状況にあると認識をしております。そして、その根本的な原因を取り除くために、御指摘のように、ソマリア国内の治安ですとか貧困、こういったものにしっかり取り組まなければならない、我が国もしっかりと貢献していかなければならないと考えております。

 そして、治安の部分について御質問をいただきましたが、我が国は二〇〇七年以降、ソマリア警察支援を含む治安強化あるいは人道支援、それからインフラ整備、こういった経済活性化の分野等も含めて、総額約三億四千万米ドルのソマリア支援を行っております。

 ぜひ、こうした分野への支援をしっかり今後も続けていくことによりまして、ソマリア国内の安定化につなげ、そして海賊発生の根本的原因を取り除く、こういった結果につなげていきたいと考えております。

岡本委員 我が国国内でのさまざまな議論の中で、世界の中で発生しているさまざまな事案に対しまして積極的に行動を起こしていこうということが議論をされ、準備をなされている一方で、世界に対する発信が十分でないがゆえに、日本のみが、世界の共通の敵に対して行動を起こそうとしていることが明らかにされていないということに対して、非常に残念だなというふうに思っております。

 先ほどのこの委員会での決議もそうですけれども、ソマリア地域に対する根本的な問題に対する解決の手法も含めまして、我が国にしかできないような支援の方法ということを、今後も議論をいただきながら実行していきたいと思いますので、ぜひ御尽力をよろしくお願いいたします。

 以上で終了いたします。ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 民主党の辻元清美です。

 本委員会では、海賊、国際テロリズム、そしてもう一つ使命があります。それは、我が国の協力支援活動等ということで、私は、本日は我が国の協力支援活動等と、今議論されております集団的自衛権の行使など、これは関連してまいりますので、あわせて質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、きょう報じられたニュースについてお聞きしたいんですが、国連決議に基づく多国籍軍などへの自衛隊の後方支援について、今までは戦闘地域と非戦闘地域ということを明確に分けて、武力行使との一体化にならないように緻密な議論をしてきたと考えられますけれども、これは法制局長官にお聞きします。武力行使と一体化の支援は、どんな支援であっても我が国はできないということでよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 いわゆる他国の武力の行使との一体化の考え方は、我が国が行う他国の軍隊に対する補給、輸送等、それ自体は直接武力の行使を行う活動ではないとしても、他の者の行う武力の行使への関与の密接性などから、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受ける場合があり得るというものであり、そのような武力の行使と評価される活動を我が国が行うことは憲法第九条により許されないという考え方であり、いわば憲法上の判断に関する当然の事理を述べたものでございます。

 政府としては、従来から、我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかどうかについては具体的状況に即して個別に判断すべきものであるが、例えば現に戦闘行為が行われている前線へ武器弾薬等を輸送することなどは、他国による武力の行使と一体化し、我が国も武力の行使をしたとの法的評価を受けるおそれがあり、憲法上問題が生ずると考えている旨答弁してきているところでございます。

 他方、例えば戦闘が行われている場所と一線を画されたところまで物資を輸送することなどは問題がない旨答弁してきております。

辻元委員 今、最後のところを確認させていただきたいんですが、戦闘が行われていることと一線を画したというところの部分です。

 これは、私は今ここに内閣法制局作成憲法関係答弁例集というものを持っております。これはほぼ全部読みました。その中で、戦闘行為の線引きですけれども、これは、戦闘行為が行われておらず、この後です、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる。今だけじゃなくて、今たまたま戦闘行為が行われていないわけではなくて、ずっと戦闘行為が行われないだろうということがしっかり示される、非戦闘地域というのはそういう地域ということであると書いてありますが、これでよろしいですか。

横畠政府特別補佐人 これまで、いわゆる周辺事態法あるいは旧テロ対策特別措置法などにおいては、自衛隊の補給、輸送等の活動の地域を、後方地域、あるいは、いわゆる御指摘のありましたような非戦闘地域に限定するなどの法律上の枠組みを設定し、他国による武力の行使との一体化の問題が生じないようにしてきたところであり、これにより、現場の隊員がその都度憲法判断を迫られるといった事態を回避しつつ、円滑な活動が確保されるよう、制度を構築してきたところでございます。

 いわば戦闘行為が行われることがないのであれば、一体化することもないという考え方でございます。

辻元委員 今そういう話が出ておりますが、小野寺大臣にお聞きしたいんですが、何かこの線引きを、今までの定義を変えなければならない事案が生じているんでしょうか、それとも変えようとしているんでしょうか。いかがですか。

小野寺国務大臣 この内容については、これは今まさに与党の中で議論が行われていることと承知をしております。

辻元委員 なぜ与党の中に提起したんですか。その理由はどういうことでしょう。

小野寺国務大臣 これは、今、与党協議の中で行われていることについて政府が資料を求められているということで、それは内閣官房の方で提出をされているということでありますので、内閣官房に聞かれるのが適切かと思います。

辻元委員 今までの戦闘地域、非戦闘地域の線引き等も踏まえて、協力活動のあり方の問題提起を内閣官房がしたということですが、内閣官房、お答えいただきたいんですが、どういう問題意識でしましたか。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 安全保障環境が大きく変化をする中、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに、自衛隊が幅広い後方支援活動等で十分に貢献できるような法整備をすることが必要でございます。また、後方支援活動等を今まで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の安全の確保の観点からも極めて重要でございます。

 これまで、我が国による後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において、自衛隊の活動地域は非戦闘地域や後方地域に限るといった仕組みを採用してまいりました。政府としては、武力の行使との一体化の考え方をもはやとらないとする安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することは、従来の政府の立場に照らして難しいと考えております。

 他方、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとし、具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのか明確にし、どのような後方支援が可能であるか検討することは課題の一つと認識してございます。また、従来から、非戦闘地域、後方地域という概念についてはさまざまな議論もあり、この点も含めた検討が必要ではないかと考えてございます。

 与党協議会では、このような問題意識のもと、政府として対応を検討していくに際しての考え方について説明をしたところでございますけれども、いずれにしても、現在、与党協議が進められているところでございまして、具体的な結論を得ているわけではございません。

辻元委員 精緻な基準というのは何ですか。

武藤政府参考人 与党協議会では、先ほど申し述べましたような問題意識のもと、現時点で政府の検討状況を説明したところでございますけれども、与党協議が継続しておりますので、詳細を述べることは差し控えたいと思いますが、これまで、政府としては、他国による武力の行使と一体化する行為であるかどうかについては、他国の活動の現況、我が国の活動の具体的内容、他国が戦闘行動を行う地域と我が国の活動場所との地理的関係、両者の関係の密接性等の諸般の事情を総合的に勘案して、事態に即して個々具体的に判断すべきものであるとしてきたところでございまして、そのような立場も踏まえて説明を行ったところでございます。

辻元委員 今、四つの条件、これはずっと国会でも議論されてきたことですけれども、それらの立場を踏まえてとおっしゃいましたが、この四つの条件を変える、または変更する検討をするということですか。

武藤政府参考人 与党協議が継続しておりますので、詳細を述べることは差し控えたいと思いますけれども、ただいま申し上げたような考え方、今の四つのもの等の諸般の事情を総合的に勘案して、事態に即して個々具体的に判断すべきものであるとしてきたような立場も踏まえて説明を行ったところでございます。

辻元委員 法制局長官にお伺いしますが、四つの基準というのは、非常に議論をして、法制局でもいろいろ精緻な詰めをされたと思います。これを再検討し直すということは、武力行使との一体化の条件を根本から変える可能性があると思いますが、いかがでしょう。

横畠政府特別補佐人 四つの条件という御指摘でございますけれども、四つに限らない、諸般の事情を考慮しなければいけないという状況にございます。

 実際に我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するか、現実に一体化するかという判断は、個々の具体的な事例に応じて、まさに個別の事情によって判断する必要がありまして、その場合の考慮事項ということで、そのような要素を申し上げてきているところでございます。

辻元委員 現実にというお話ですけれども、武力の行使と一体化しない最大の歯どめ、一線が非戦闘地域という概念だったわけです。それをつかさどる四つの条件なわけですよ。そこに手をつけるということは全く違う話になると思うんです。

 個別の事情とおっしゃって、では、法制局の先輩がかつて国会で答弁された、「戦闘が行われているような医療部隊のところにいわば組み込まれるような形でと申しますか、そういうふうな形でまさに医療活動をするような場合、」「問題があろう」、これはできないという答弁をしているんですが、変わりませんね。

横畠政府特別補佐人 そのような問題意識は変わりません。

辻元委員 この四つの条件をいじるということは、戦闘地域でも医療活動をしに行けるようにしようとか、それから、武器弾薬を今まで運べなかったものを運べるようにしようとか、そういうように変えていこうということも含むと思われますが、武藤さん、いかがですか。

武藤政府参考人 あくまで先ほど述べましたような問題意識のもとで、これを今、政府としての考え方も与党協議の中に御説明をしまして、また与党の中で今御協議をいただいているということでございますので、その結論等を予断するということは差し控えたいと思います。

辻元委員 この議論は、本委員会ではありませんでしたけれども、この間ずっと、国際協力隊、PKOを送るときも、それからイラク特措法のときも、ずっとやってきたんですよ。そして私も、実際、そこで何回も質問してきました。

 なぜ区切っているかといえば、この歯どめは絶対外せないはずなんです。なぜかといえば、例えば、医療品を運んでいます、食料や水を運んでいますと言っても、戦闘地域に入った途端に、武器弾薬を運んでいるのか、武装した兵士を運んでいるのか、医療品を運んでいるのなんか、外から見たら、相手から見たらわからないんですよ。この議論、ずっとやってきたんですよ。メディカルと書いてあっても、では、敵というか相手は、メディカルと書いてあったら許してくれるか、そんなはず絶対ないわけですよ。だから、この一線は外せない。

 太田大臣にお聞きしたいんですけれども、例えば、私、これはずっと言っているわけですよ、水とか食料とか、うちはメディカル運んでいますから、いい子ですから、攻めないでね、撃たないでね、戦闘地域に入った途端、そんなことは私は通用しないと思うんですね。いかがでしょうか。この点だけで答弁は結構ですので、いかがでしょうか。

太田国務大臣 まさにその辺のことを今お話を与党の間でしているところですから、私がここで答えることは公明党所属の議員としては適当ではないと判断をします。

辻元委員 私は何も見解を聞いているわけではなくて、水とか食料を運んでいるからといって、戦闘地域に近づく、または入ったら、それは武器弾薬を運んでいようが何しようが、同じように攻撃の対象になりますよと。一たび攻撃の対象になったらどうなっていくか。戦闘するんですよ。

 例えばイラク戦争とアフガニスタンの戦争も、実際はサマワでとまった。これは、憲法九条のもとで非戦闘地域と戦闘地域というこの分け方をしたから、サマワでとまったんです。それを、戦闘地域まで行ったらどうなるか。イラク戦争の場合ですと、二〇〇三年の三月に始まって二〇一一年の十二月まで戦争しているんですよ。

 一たび、これは戦闘に巻き込まれるんじゃないんです、戦争に入っていく、後方支援というのはロジスティックサポートで、戦闘地域に入った途端にこれは戦争の一環になる。これは小野寺防衛大臣にお聞きしたいですが、ロジスティックサポート、後方支援というのは戦闘行為の一環である、軍事常識でいえば、そういうことでいいですね。

小野寺国務大臣 一般的に、後方支援というのは、作戦部隊に対する補給、整備、輸送等の活動を示す概念であるということであります。

 この活動をどのように捉えるかというのは、そのケース、ケースによって違うと思いますので、一概にお答えすることはできないと思います。

辻元委員 今お聞きしたのは、戦争の作戦行動の一つである、ロジスティックサポートは。ですから、周辺事態法の議論のときは後方支援という言葉は使えなかったわけです。日本は、戦闘行為の一環、要するに戦争の一環である後方支援はできない。わざわざ後方地域支援という言葉をつくったんじゃないでしょうか。

 もう一度お聞きします。戦闘地域で水や食料、いわゆる兵たんですよ、これを補給する、そういう活動は戦争の一環である、でいいですか。

小野寺国務大臣 繰り返しますが、一般的に、後方支援とは作戦部隊に対する補給、整備、輸送等の活動を示す概念でありまして、委員が御指摘のことについては、ケース・バイ・ケースでありますので、一概には言えないと思います。

辻元委員 いや、それは、戦闘地域に入って武器や弾薬を運ぶ、それ、防衛大臣、日本の防衛大臣としていかがですかね。

 戦闘地域で武器や弾薬や、医療活動もそうです、これは全部、作戦の一環ですよ。この議論は、では、どうして後方地域支援という、わざわざ後方支援じゃなくて後方地域支援という切り分けを周辺事態法のときはしたんですか。小野寺大臣。

小野寺国務大臣 今御指摘の周辺事態安全確保法の後方地域支援とは、周辺事態に際して日米安保条約の目的に寄与する活動を行っている米軍に対して、後方地域において我が国が行う物品、役務の提供、便宜の供与などの支援措置をいうということであります。後方支援に対して、活動する地域にも着目したものということであります。

辻元委員 わざわざその概念をつくったんですよ。後方支援、ロジスティックサポートと書けなかったんです。それは戦争行為の一環とみなされる、国際的に見たら。または相手から見たら戦争行為の一環にみなされるので、そこには踏み込めない。これは、憲法九条がある限り踏み込めないということだったと思いますよ。私、今の御答弁を聞いていて、防衛大臣ですよね、一般的なこともしっかり答えていただきたいと思います。

 与党協議でここまで出してくるかと思いました。この一線を外す、そして、四つの条件とかいろいろ積み重ねがあったわけですけれども、私は、これは幾ら考えても外せない一線であると思いますが、小野寺大臣、いかがですか。何を検討するんですか。

小野寺国務大臣 繰り返しになりますが、現在、この問題については与党間で協議をされていると承知をしております。

辻元委員 同じ答弁ばかりになりますので、関連して、もう一つ違う角度から、今回の、十五の事例を出されている、これも出されているわけですよ。お聞きしたいと思います。

 よく似ているのが機雷の除去なんですよ。これも協力活動だと言っているわけですね。多国籍軍と、国連決議があったときの協力活動だと言われているわけです。

 それでは法制局長官にお伺いしたいですが、安倍総理が先日、こういう発言をされております。これは衆議院予算委員会、機雷を敷設した後、それを取り除くというのは、遺棄機雷でない限り、いわば武力行使に当たるのは、これは国際法上そうなっている、現在はそれはできないとなっているわけでございましてというふうにお答えになっているわけですけれども、よろしいですか、これで正しいですか。機雷を、遺棄機雷でない、要するに停戦合意などが結ばれる前の機雷の掃海というのは武力行使に当たる、でいいでしょうか。

横畠政府特別補佐人 一般論として申し上げますが、従来から政府は、機雷の除去につきまして、遺棄された機雷など、武力攻撃の一環としての意味を有しない機雷については、我が国船舶の安全確保のために必要な場合には、自衛隊法第八十四条の二に基づき除去することができるが、外国による武力の行使の一環として敷設されている機雷の除去は、一般に、当該外国との関係で、我が国による武力の行使に当たると解され、我が国に対する武力攻撃が発生していない状況下でこれを行うことは憲法上許されないと考えるとお答えしてきているところでございます。

辻元委員 もう一度確認したいんですが、ということは、戦闘中の機雷の掃海に参加することは、例えば多国籍軍への参加とか、これは武力行使を目的とした、仮に自衛隊が行った場合ですよ、自衛隊の海外派兵ということになりますね。

横畠政府特別補佐人 いわゆる海外派兵に当たるかどうかについては、お答えしづらいところがございます。定義のいかんによるわけでございますけれども。

 いずれにせよ、憲法九条のもとで、これまで、我が国に対する武力攻撃が発生していない場合には武力の行使は許されないと解してきているところでございます。

辻元委員 実は、一方、安倍総理は、武力行使を目的にして海外派兵はしませんと言っているんですね。岸田外務大臣、聞いたことあるでしょう。ところが、ホルムズ海峡などに機雷がまかれた場合は、遺棄機雷でなくても掃海しなくていいのかと。この二つは矛盾していると思いませんか。岸田外務大臣、いかがでしょう。

岸田国務大臣 まず、総理は、集団的安全保障との関係において、武力の行使を目的として戦闘に参加することはない、イラクあるいは湾岸戦争等に我が国が武力行使を行うことはない、こういったことを五月十五日の記者会見で発言されたということは承知をしております。

 そして一方、機雷の敷設についてでありますが、機雷の除去に関して、武力行使との関係については、先ほど法制局長官からあったとおりであります。

 いずれにしましても、総理としては、そういった事態に対して我が国として現状対応できません、このことについてどう考えるのか、問題提起をされたものだと承知をしております。

辻元委員 その問題提起は成り立つんですかね。矛盾していないですか。

 湾岸戦争のときに、仮に、自衛隊が機雷の除去、遺棄機雷ではなくて、行っていたとしたら、これは武力行使を目的として派遣していることになるんじゃないですか。どうですか。

岸田国務大臣 その例につきましては、現状の憲法解釈においては、我が国として対応することはできないと考えております。それについてどう考えるのか、問題提起をされたものだと承知をしております。

辻元委員 これは解釈を変えてもできないと思いますよ。

 では、ちょっとお聞きしたいんですが、太田大臣にお伺いしたいんですが、過去に、海上保安庁が機雷の掃海に出て被害が出たということがあると思いますが、その事例を教えてください。

佐藤(雄)政府参考人 お答えします。

 海上保安庁は、昭和二十五年六月に発生いたしました朝鮮戦争におきまして、当時、米国からの要請に基づき、同年十月から十二月にかけて朝鮮半島沿岸部の掃海作業に従事いたしました。その際、掃海船二隻が機雷に接触するなどして沈没し、死者一名、負傷者十八名が発生いたしました。

辻元委員 国会で、これについてこういうやりとりがありました。掃海艇が粉砕、撃沈いたしまして、一名の死者、また十八名の負傷者も出す事故が発生しております。要するに、海上保安庁の職員が米軍の指令に基づいて従事した結果、こうなったということでございます。

 このときは、随分昔の話なんですけれども、機雷の除去というのは、通常、戦闘が行われているときに余り行かない。それは要するに、湾岸戦争のときも、行っているのは、実際にサウジアラビアが自分の領海内の機雷の掃海とか、それからイギリスとアメリカが、これは陸上でも戦闘していますので、戦闘中に機雷の除去、これも内容はなかなかよくわからないと外務省がおっしゃっています。普通は停戦合意してから機雷の除去に行くんです。機雷をまかれたらどうすんねんという話がありましたけれども、それが戦場の割合常識だと思います。なぜかといえば、機雷の除去というのは非常に、戦闘中にやるということは攻撃も受けます。

 小野寺防衛大臣にお聞きします。

 戦闘が継続中に自衛隊を機雷の掃海のために送って、そして今のように被害が出る、撃沈される、そうしたらどうしますか。引き返すんですか。さらに、撃沈されたじゃないか、許せぬと言ってさらに戦闘に突っ込んでいくんですか。どちらですか。

小野寺国務大臣 防衛省・自衛隊としては、さまざまな事態に適切に対応できるよう万全を期していきたいと思っております。

辻元委員 戦闘行為の一環として行動するというのは、海の掃除に行くんと違うんです、この機雷の除去も。戦闘行為、戦争の一角に入っていくということなんです。ですから、その後のことを考えなきゃいけない。撃沈されたらどうするのか。そのとき日本はどういう判断をする。撤収できないですよ。もっと戦争に参加しろとなるかもしれない。

 そして、きょう私は朝の安保委員会で、米軍の艦船が攻撃されているときの日本の自衛隊による防護の話をしました。米軍の艦船が公海上で攻撃されるのはどういうケースがあるのかと聞けば、魚雷などだ。そうすると、魚雷を察知した防護している自衛隊が潜水艦を撃沈したら、これは相手から見れば先制攻撃、要するに戦争への参画じゃないか、これも突っ込んで言いました。実際に、先ほどの魚雷の例は北朝鮮を想定した話でしたけれども、そうしたら、北朝鮮からミサイルで原発を狙われたら一発で終わりじゃないかという話もしたんですよ。この機雷も同じじゃないですか。

 ですから、集団的自衛権の行使での武力行使も国際協力活動の武力行使の一体化論、要するに、武力行使に踏み出さない、国際協力であろうが集団的自衛権の行使であろうが、武力行使は同じなんです。色はついていないんです。戦争にちょっとだけ参加するということはできないんですよ。行くか行かないかですよ。

 そして、戦争の一環の行動に出た途端に報復があります。そしてさらには、報復だけじゃなくて、こちらも集団的自衛権の行使で、米軍がやられたら日本が行こうか、例えばイランやイラクが北朝鮮と仲がよくて、相手も集団的自衛権の行使で、別のところが参戦してくる可能性があるんです。ですから、日本はそこには踏み出さないと決めてきた。

 しかし、そこに踏み出そうとしていることを、さっきから与党協議、与党協議って、何人で協議しているんですか。そんなところで決められると思いますか。

 これはやはり、憲法九条を変えるんだったら変える。そういう言ってみれば戦争の連鎖も、ちょっと掃海に、掃除に行きますと違う、そこからどんどん発展していく可能性がある、先ほどの後方支援の話もそうです。そういうことを今総理が提起している。憲法改正を提起してやるのならまだしも……(発言する者あり)していないじゃないですか。解釈で変えようとしているじゃないですか。

 ですから、リアクションが来るんです。報復が来るんです。ここに出ている事例のその先があるんですよ。

 最後に小野寺防衛大臣にお聞きしたいと思いますけれども、今私が申し上げた、リアクションが来る、報復が来る、北朝鮮から原発にミサイルを撃たれたら防ぎ切れないと防衛省は言っているじゃないですか。そういうことも想定して、今あなたの立ち位置で集団的自衛権の行使や国際協力の基準を検討するということは、私は間違っていると思いますが、いかがですか。

小野寺国務大臣 委員と私とは多分、問題認識の前提が違うんだと思います。

 私ども、今この議論が与党で行われているのは、我が国の安全、我が国国民の生命と財産にさまざまな影響が出るようなことが想定されることについて議論をされていると承知をしておりますので、それと全く離れたところでの、例えば武力の行使とか、そういうことの議論ではないと思っております。

辻元委員 我が国の安全を守るために掃海に行ったために、どんどん戦争の泥沼に入っていく、そして潜水艦を撃沈して日本がミサイルに狙われる、どちらが我が国の国民の安全を考えているのか、これは見解の違いかもしれないけれども、実際にそういうことが起こり得るというところまでしっかり想定して安全保障を議論すべきだと私は思います。

 これは、続きはまたやりますので、太田大臣の意見もお聞きしたいですよ。公明党、頑張っていただきたいと私は実は思っているんです、本当に。

 今みたいな事態で、私は非常に安易だと思います。この事例も、一つ一つ反論はできます。ですから、委員長、本委員会ももっと開いていただきまして、国際協力一つにしてもさまざまな問題が、今、与党協議と言われていますけれども、リンクして出てきていますので、開いていただきたい。そのことを申し上げて、終わります。

谷畑委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 日本維新の会、中丸啓と言えるのも、あと何度あるか。海賊・テロではひょっとしたら最後じゃないかというふうに思いますので、きょうは、自立、新保守、次世代、このコンセプトをもとに質問をさせていただきたい、このように思います。

 まず初めに、小野寺大臣にお伺いします。

 五月二十一日に、沖縄県の久米島沖の鳥島射爆撃場におきまして、米軍の訓練と思われる大きな爆発とキノコ雲が上がったという報道が沖縄の琉球放送等、新聞等でありました。

 これは、なかなかこちらの大手マスコミではほとんど取り上げられていなくて、爆発したときの動画であるとか、インターネットサイト、いろいろなところで出ていたんですけれども、その翌々日、私が内閣委員会で官房長官に御質問させていただいたところ、そんなことがあったんですかという答弁だったんですね。マスコミが取り上げて、現地の人が見ているのを政府は知らなかったとも聞き取れる答弁だったんですけれども、後日、御報告は防衛省の方から私の方にいただきました。

 防衛大臣、これは、防衛大臣はいつお知りになられましたか。

小野寺国務大臣 正直言いますと、やはり、委員会で委員からこういう質問があるということで、改めて私の方にこういう説明があったと承知をしております。

中丸委員 なぜこういうことになるのかというのを防衛省の方の方にお伺いしたら、もちろん射爆撃場ですから、従来、訓練で使っているところなので、きょうは何の訓練をしますという細かい情報はなくて、この期間は訓練を行いますよという通達はあったということだったというふうに認識しています。

 ただし、これだけ近隣の人がびっくりするぐらいのことがあるときは、やはり事前に通告をしてほしいという申し入れはすべきだと思うんですけれども、外務大臣、いかがお考えですか。

小野寺国務大臣 今委員の方から御指摘がありましたが、この鳥島射爆場での演習については、四月十七日に現地米軍から沖縄防衛局に対して、五月四日から三十一日の間に実施をするという通報がありましたので、沖縄防衛局は、直ちに第十一管区海上保安本部、地方自治体及び関係漁協にお知らせをさせていただきました。

 この期間の間の演習ということですので、私ども、その演習の中でどのようなことが行われるかということについては、その都度、きょうは何が行われる、きょうは何が行われるというような通報は従前からしておりませんでした。

 ただ、今回、委員の御指摘がありました、五月二十一日、久米島北方の沖合に黒い煙、爆発音が起きたということ、この事実については、これは報道もございましたので、沖縄防衛局から現地米軍に確認したところ、五月二十一日の十時から十一時の間、鳥島射爆場において米軍の航空機が訓練を実施したという回答がありました。これを、また地元の自治体等に情報提供したということであります。

 今回、このような報道になるような状況でありますので、私どもとしては、もしまたこのような地元からの問い合わせが複数回ある場合には、これは米側にも、地元に対してのこのような情報提供はさらにしっかりするようにということで対応することを検討したいと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、やはり住民の方の不安という、特に沖縄の場合は、それでなくてもやはりナーバスな問題もはらんでいると思いますから、そういった配慮も基地負担軽減の一つではないかというふうに思います。

 ちょっと話題をかえまして、ここは海賊及びテロリズム特別委員会ということでございますので、テロリズムというのを一つ違った見方で考えますと、アメリカのバージニア州のフェアファックスの郡庁舎の敷地において、慰安婦を祭る碑が設置されたということを聞いていまして、私のところへ現地の方からさまざまなことが来ています。いただいたお手紙の中から少し読んでみたいと思います。

 ワシントンDC、まずこれはワシントンですけれども、DC近郊者がよく利用する掲示板がありまして、そこで、お子さんについて、日本人への差別で苦しんでいる内容を見かけます。最近その一つに、高校のESOLクラスに籍を置いている子供がいます。日本人は我が家の子供だけとあって、中東人一人以外は全員中国人と韓国人だそうです。その中韓の子供たちが常に、小日本、小日本とか、あと、母国語で何か悪口みたいなのを言ってくるそうです。あと、中指も何回も立ててくるそうです。その中東人の子供も、どちらかというと韓国寄りだそうです。いつも無視していたけれども、きょうはすごくまとわりついてきて、子供も頭にきて中指を突き立て返した、そうしたら、胸を押されて壁に押しつけられた。その中韓の子供たちは、いつも先生が見ていないときにうまくやっている、訴えようにも証拠などがそろいにくいとこぼしていました。子供には、とにかく相手の挑発に乗ったり自分を不利な立場に置かないようにしなさいと言いましたが、私自身、アメリカの学校というものがよくわからず、どうするのが一番よいかと考えてしまいます。こういうときどうしたらよいのでしょうか。どなたか経験のある方は教えてください、こういうことが掲示板に書いてありました。

 それ以外にも、日本人の生徒が少ないからだと諦めていましたが、物すごく他国との差を感じ、負担も大きかった。さらに、学校にとって韓国人がお得意様ということもあってなのか、教師が日本人をばかにする言動が目立ちました。日本人の私がよい成績をとると、疑いの言動まで頻繁に浴びせました。アメリカの先生は、ことごとく日本をばかにしていました。全てにおいて真っ向から日本を否定するのです。日本に肯定的な答えをすると、ばかにしたように否定するのです。私がけげんそうな顔をするのか、見ていてそれを楽しんでいるようでした。こういったことがありまして、子供たちも、韓国人の生徒は悪いことをすると、日本人ですと叫んでいました。韓国人たちは、私が日本人だと知ると、同じクラスでない韓国人までもがにらんできたり、本を投げつけたり、威嚇をする態度をとってきました。

 ほかにもたくさんあるんですけれども、こういうことがなぜ起こっているかといいますと、一連の、グレンデールの慰安婦像や、こういった問題が人種差別になって、アメリカ、オーストラリア、そういったところで、何の罪もない日本人の子供たちとその御家族が被害に遭っているんです。

 歴史認識がどうの、河野談話がどうの、そういった問題ではなく、そういった子供たちを守る、在外の邦人を守る、これは日本国の責務であると思いますけれども、岸田外務大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、慰安婦の設置ですとか歴史問題を通じまして在留邦人が差別を受ける、あるいは在留邦人の安全な生活が脅かされる、こういったことはあってはならないことであります。こうした状況につきましては、在外公館等を通じまして、まずはしっかりと実態を把握しなければならないと考えています。

 そして、例えば、慰安婦像や碑が設置されている地域等においては、在外公館が窓口となって相談や連絡を受ける、こうした窓口を設置するなど、こうした相談やあるいは苦情に応えていく体制をとっています。こういった窓口の設置等につきましては、ホームページですとか、あるいは現地日本人会の安全対策委員会等を通じまして周知を行っているところです。

 そして、こうした窓口等を通じて実態を把握し、そして実際に嫌がらせ、いじめ、こういったものが確認された場合には、現地の地方自治体等における相談窓口等に相談するなど、具体的な対応も考えていかなければならないと存じます。こうしたきめ細かな対応を通じまして、御指摘の点等において在留邦人の方々が不安を感じないようにしっかりと対応していかなければならない、このように考えます。

中丸委員 ありがとうございます。

 石碑が五つ、少女像が一つ、今アメリカにそれだけ、外務省から教えてもらったんですが、いつできたかという資料もあるんですけれども、起こったいじめ、日本人に対する人種差別、それを一つ一つ潰していくのは非常に大変です。米国全土に広がっているわけですから。

 私は、ぜひ、歴史問題ではなく、日本人に対する人種差別が行われている、さまざまな人種の人たちがつくり上げてきたアメリカの建国精神にも反するじゃないか、こういった差別を言う像は即刻撤去しろと日本国政府として抗議すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか、大臣。

岸田国務大臣 御指摘の、バージニア州のフェアファックス郡の慰安婦の碑等も含めまして、こうした慰安婦像あるいは碑の設置というのは、我が国の政府の立場と相入れない、極めて残念なものであると受けとめております。

 これまでも、我が国としましては、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によって日韓間の請求権の問題、これは完全かつ最終的に解決されたということ、あるいは、第一次安倍内閣で閣議決定した政府答弁書の内容、すなわち、政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった点、さらには、我が国は道義的な見地からアジア女性基金等を通じた取り組みを行ってきた、こうした我が国のこれまでの立場ですとか取り組みについて丁寧に、米国の政府、議会、マスコミ、有識者、地方自治体の首長、多くの関係者に働きかけを行ってきました。

 実際、御指摘のように、米国の中には、韓国系の住民が多いなど、選挙事情も絡みまして、大変難しい事情が存在する地域はあります。しかしながら、今申し上げましたような働きかけによって、実際、慰安婦像の設置の動きがとまる、おさまる、こういった実例も数多く確認をされています。具体的に、おさまった事例をここで申し上げるということは、また逆にマイナスの動きをあおることになってしまうので、これは控えさせていただきますが、ことしに入りましても、そういった実例は存在いたします。

 こうした我が国の今日までの立場、取り組みに対する理解は、外務省あるいは在外公館としましても、これはしっかりと理解を得るべく努力をしていかなければならないと思いますし、やはり基本的には、韓国政府そのものにも我が国の今日までの取り組み、立場をしっかり理解してもらうことが重要なのではないかと考えております。

 四月より、日韓の局長級協議も開始されました。ぜひ、この局長協議においても、我が国の取り組み、考え方、立場、しっかり理解を得るべく努力をしていきたいと思いますし、こうした問題を初め、さまざまな課題について、日韓政府間、高い政治のレベルでの対話、これが重要だと考えます。

 難しい問題があるからこそ対話を行うことが重要だという認識のもとに、しっかりと韓国政府に働きかけていきたいと思っていますし、ぜひ韓国側にもこれに応じてもらいたいと強く願っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今、岸田大臣に、非常に踏み込んだ御答弁をいただいたというふうに受け取っております。

 結局、やはりさきの大戦まで話が戻っちゃうんだろうと思います、突き詰めれば。

 私は、岸田大臣と同じ広島県で選挙を戦わせていただいております。この自虐史観の根本の話をすれば、私は広島から出た被爆二世の国会議員として、やはりどうしてもあの平和公園の原爆慰霊碑、この文言にも大きな自虐史観の原罪があると今でも思っております。これについてはきょうは触れませんけれども、本当に、次世代の子供たちが日本人に生まれてよかったというものを残していくのは、我々大人がどう行動するか、これでしかできないということだけお伝えさせていただきます。

 それでは、話を違う方向に変えまして、先ほども民主党の辻元議員の方と激しい論戦があったと思いますが、私は、集団的自衛権の行使容認について、大きく二つ、議論の中で何か迷走している部分があるんだろう、その一つをちょっと取り上げさせていただきたいと思います。

 さきの予算委員会でも安倍総理に申し上げましたけれども、国連加盟時の約定、加盟申請書に書いてある、国連加盟国としての義務を、有するその全ての手段をもって履行することを約束するものでありますと。我が国の諸事情をとりあえず隣に置いておいて考えれば、集団的安全保障、国連での制裁行為、ここだけ読めば、我が国は本来、条約上は全て行いますというところから国連に加盟しているわけですね。ただし、日米安保条約にもありますけれども、我が国の憲法も鑑み、できることを現実的に考えて行っていきますというのが本来の国際的な我が国の立ち位置であります。

 今の議論は、憲法九条があるから、これまでの答弁がこうだった、これまでの解釈がこうだった、全て内向きな議論を行っていると思います。非常に私は、まだ一期目でございますので、経験も浅いので、諸先輩方から見れば、おまえは知らないからだと言われるかもしれませんが、でも、それが私は一般的な国民目線であると。

 きょうはテレビ中継はございませんが、インターネットで数万人の人がこの議論を見ているわけです。きょう見ている皆様に、あえてそういう大前提があっての内向き議論をやっているように映る国会運営だというふうに私は思うんですが、小野寺防衛大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 今委員が御指摘されたように、国連加盟時の約定の中では、集団安全保障あるいは集団的自衛権、さまざまなことが書かれておりますし、一方、日本としては憲法との関係もございます。今までは、この内容については、集団的自衛権については、これは有しているけれども行使しないという内容でずっと来ているというふうに思っております。

 いずれにしても、この問題については、今、与党協議の中での議論が行われておりますので、その議論を私どもとしては待ちたいと思っております。

中丸委員 そういう意味で、日本維新の会では、集団的自衛権についての見解ということで、そういったさまざまな国際的視野から見ても、諸外国から見られても、今の憲法に照らし合わせても、やはり現実的に考えて限定容認という解釈にする方が普通ではないかということで、適正化という言葉を使ってやっておりますけれども、諸外国と常に対面される岸田外務大臣、いかが思われますか、限定容認という考え方について。

岸田国務大臣 限定容認についてどう考えるかという御質問ですが、まさに今、我が国においては、五月十五日に安保法制懇の最終報告書が出され、総理の基本的方向性に基づいて議論が行われております。そして、安保法制懇の報告書の中には幾つか考え方が示されましたが、その中にあって、集団的自衛権に関しましては、国家の安全に重大な影響が生じる場合という限定的な場合に集団的自衛権を行使することが、従来の我が国の憲法解釈に言う最小限度の範囲内に入るかどうかということについて研究を進めるということになっているわけであります。

 まだ今、議論の最中であります。集団的自衛権の行使そのものについても、まだ何も結論が出ているものではありませんが、いずれにしましても、我が国を取り巻く安全保障環境は大変厳しさを増す中にあり、また、サイバーや宇宙ですとか、容易に国境を越えてくる新しい脅威も現実的なものになる中にあって、どの国も一国ではみずからの国の平和や安定や繁栄を守ることができない、これが国際的な共通認識になりつつある今日において、我が国がどのような安全保障の法的基盤を整備するべきなのか、政治の立場にあって、これは真剣に取り組まなければならない重要な課題であると認識をしております。

中丸委員 一言で構いません、岸田大臣。限定容認、マルかバツか三角か。これは一つでいいです、お答えください。

岸田国務大臣 政府としましては、安保法制懇の最終報告を受け、総理の基本的な方向性に基づいて、今、与党の議論をお願いしている段階です。ですから、今の段階で、私の立場から、マル、バツ、三角、これを申し上げること自体が適切ではないと存じます。ぜひ、しっかりとした議論、丁寧な議論に貢献して、政府としてしっかりとした結論を出したいと存じます。

中丸委員 ありがとうございます。

 我が党はマルでございます。私は中丸でございます。そういう意味では、この集団的自衛権、まあ解釈云々、事例どうのというのはあるんですが、やはり法治国家でございますから、これは政府はもとより、自衛隊、警察、海上保安庁、さまざまな部門がかかわってきます。一つ一つの法、自衛隊法も含めて、つくるに当たっても、まず、国家としてどう考えるかという意味では、国家安全保障基本法、こういったものを立法する必要がある。これを立法した上で、それぞれの法律をつけていかなければ、その根拠になる法律は何なのかというまた議論が出てくるわけです。

 そういう意味では、逃げずに、この国家安全保障基本法というものを前向きに捉えていくべきだ。今、超党派の議連で、民主党の長島先生とかとも一緒にやらせていただいていますけれども、今国会は間に合わないかもしれませんが、これはぜひ出していきたいと我々は思っているんですけれども、この基本法案について、防衛大臣、どのようにお考えになりますか。

小野寺国務大臣 集団的自衛権の問題等を含め、我が国の安全保障に関する基本的な考え方を明らかにするという観点から、いわゆる国家安全保障基本法を制定すべきという御意見があることは承知をしています。

 この集団的自衛権等の問題については、現在、与党協議が進められており、その結果に基づき政府としての対応を検討し、憲法解釈の変更が必要と判断されれば、閣議決定をすることとなると承知しています。

 その後、準備ができ次第、必要な法案を国会にお諮りすることになりますが、その具体的内容等については政府全体で検討すべきということでありまして、防衛省として、現時点では申し上げられる段階ではないと思っております。

中丸委員 同じ質問なんですが、やはり海上保安庁というのは非常に大切な現場、本当にまず第一線で行われている。

 個人的見解で構いませんので、太田大臣、国家安全保障基本法、必要か否か、イエスかノーかで構いません、お願いします。

太田国務大臣 今、与党で論議をしているときでありますので、それにかかわりのある内容ということになりますので、私からは答えるべきものではないと。

 海上保安庁の強化ということについては、領海を守るということについて、私は、大事なことだということで取り組んでいるところでございます。

中丸委員 答えられるお立場ではないというのは重々承知の上でお伺いしているんですけれども、そういう意味では、強化していくことは必要だということで間違いないというふうに受け取らせていただきました。

 この集団的自衛権に関してさまざまな議論が出ているんですけれども、先ほど辻元議員の方からもありました。私も、基本的に、通常見れば真反対にいるのかなと思っていましたけれども、非常に同意できる部分がございました。そろそろ憲法九条に向かい合うべきだ、これはもう全ての人が、国民全て。

 そして、私はよく申し上げますけれども、国防は、法律がつくるんじゃないんです、自衛隊がやるんじゃないんです、国民全部が国防意識を持つことこそ最高の抑止力になるんです。私はそう思っていますけれども、防衛大臣、いかがでしょうか。

小野寺国務大臣 閣僚は、憲法の遵守義務がございます。その中で、私どもとして、自衛隊という実力組織を動かす立場でありますので、憲法で認められた法律の範囲内での自衛隊への行動命令を発出するのが私どもの役目だと思っております。

 ただ、今委員がおっしゃっておりますが、この議会でもそうでありますが、憲法についてはさまざまな議論が行われていること、これは重要なことだと思っております。

中丸委員 議論は、本当に丁寧に丁寧に、国民の皆さんの声も聞きながらやっていかなければとは思いますけれども、今の国際情勢で、やはりこの憲法九条、これに照らし合わせて、鑑みてどうか、これができるかできないかという議論があるんですけれども、実は、憲法というのは九条だけで構成されているわけではございません。

 憲法十三条、生命を守り、幸福を守る、簡単に言えばですね。この憲法十三条の非常に重要視すべき点は、最大であると書いてあるんです。最大ということは、憲法のどの条文以上にも最大である、それによって立法も、そういう趣旨のことがうたってあるわけです、憲法十三条。

 九条は、非常に大事だ大事だという議論はするんですけれども、十三条、これとのバランスというのは、防衛大臣、どのようにお考えになりますか。

小野寺国務大臣 憲法は、どの条文一つ一つも大変重要だと思っております。

 ただ、十三条につきましては、憲法の前文でも確認をしております日本国民の平和的生存権、そして、生命、自由及び幸福の追求権、このようなことが書いてある大事な条文だと思っております。

中丸委員 そこの最後の、十三条の後ろの「最大の」というところがポイントなんです。この「最大」という言葉をどのように捉えられているかということをお伺いしたかったのですが、いかがですか。

小野寺国務大臣 「最大の尊重」というのは、最大の尊重ということだと思います。

中丸委員 今、小野寺防衛大臣から最大の尊重というお言葉をいただきましたので、私はしっかり記憶させていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、もう一問なんですけれども、ポジティブリストとネガティブリストの作成について。

 事例集で、何ができるかとやるのは、本当に現場の瞬時の判断の影響もあるんですけれども、私が一番危惧していることは、抑止力の低減なんです。これをとにかく、手のうちを明かせば明かすほど抑止力というのは低減していきますので、そうならないために。それと、現場で部隊の司令官が、一人一人の隊員の皆様が瞬時の判断ができるためには、やってはいけないことをきっちりと出す。これしかないんですね、世界的に、ネガティブリスト。

 そういう意味では、事例集の議論を、ぜひとも、そういった視点を踏まえて、ネガティブリストをどんどん作成していくというふうに見直すことというのはできないんでしょうか。小野寺防衛大臣、これはお願いも込めて質問させていただきます。

小野寺国務大臣 自衛隊員に対して常日ごろから大変な御支援と御理解をいただいて、感謝を申し上げます。

 今のポジティブリスト、ネガティブリストの議論でありますが、いずれにしても、現場を預かる防衛省・自衛隊の立場として、私として申し上げれば、法律上、自衛隊に求められる任務その他に必要な権限が与えられていることは当然必要でありまして、また、自衛隊が現実に起こり得るあらゆる事態に迅速かつ的確に対応するためには、部隊の行動基準、ROEの策定を含め、何ができるかだけではなく、何ができないかということをあらかじめ明確に議論しておくこと、これは重要だと思っています。

中丸委員 ありがとうございます。

 時間になりましたので、本日はこれぐらいにさせていただきたいとは思いますが、私も今回、党をかわるという決意をいたしましたので、そういった中で、これからも是々非々で政府の皆様とは議論をさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷畑委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、昨今、アメリカの報道が中心ですが、アメリカの軍人の方とテロリストとのいわゆる捕虜交換、このニュース、グアンタナモの基地のテロリストを解放するかわりに、アフガンで捕まっているアメリカの軍人、この方は任務を逸脱して逃亡したのではないかという報道も一部でございます、その辺の真偽はわからないんですが。このいわゆる捕虜交換、これについて最初に伺います。

 こういったことの国際法上のルールはどういうものであるのか、まず教えていただきたいと思います。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員御指摘ございました、いわゆる捕虜交換と申しますのは、本年五月三十一日に、タリバーンに拘束されていましたバーグダール米陸軍軍曹がアメリカに引き渡されて、この同じ日に、グアンタナモ米軍基地で勾留されていた五名のタリバーン関係者がカタールに移送される、こういう事案であるというふうに承知しております。

 このようないわゆる捕虜交換というものを規律する国際法についてのお尋ねでございますが、そのような国際法はないというふうに承知しております。

大熊委員 ちょっとびっくりをいたしました。

 次に、続いて通告をしております質問、では、それに対応した国内法はどうですかという質問を用意したんですね。ということは、答えは恐らく、国内法上もないんだ、こういうことなんですが、確認で、それでよろしいですね。国内法上もない。

河野政府参考人 国内法につきまして外務省としてお答えする立場にございませんが、国際法のところにはないということでございます。

大熊委員 通告してあるので、政府のどなたかがお答えください。

谷畑委員長 政府参考人、挙手をしてください。

 防衛省運用企画局長中島明彦君。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の議論は、恐らくは、捕虜の交換という話とテロリストの交換という、二つ議論があろうかと思います。

 捕虜自体につきましては、国際紛争の交戦資格を持つ者としての捕虜につきましては、捕虜に関する国内法がございますけれども、他方で、テロリストと捕虜の関係については、必ずしもそこについての法制がないというふうな趣旨での御答弁だったと思います。

大熊委員 いや、ですから、国内法はどうなっているんですかと聞いているんです。

中島政府参考人 そこにつきましての国内法はないという御理解で結構だと思います。

大熊委員 あれですよね、今回、集団的自衛権あるいは国連の活動その他で、海外に積極的平和主義で出ていくわけですね。ということは、いわゆる捕虜になってしまう事案というのは、これは出てき得るわけですよ。そうですよね。だって、予算委員会で総理は、これは民主党のどなたかの御質問に対してですけれども、たしか参議院だったでしょうかね、見たくないもの、聞きたくないものも、目を閉じずにシームレスに対応するとおっしゃっているんだから。でも、こういった事態は当然予想されるわけですから、だから今回、もちろん、閣法で出せていないにしても、今は法律の検討はしているんですよね。

中島政府参考人 現在、事例についての与党協議ということで、与党間の議論に資するということで事例をお出ししているところでございます。

 他方、今先生御指摘いただきました捕虜の交換ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、ジュネーブ条約系列の捕虜としての資格を有する者であるかどうかということに係る点でございますので、こういった点につきましては、やはり具体的な状況に応じて、枠組みが決まった後に検討されるというふうに考えております。

大熊委員 秋か来年かわかりませんが、大枠が最初、もとが決まってからなんでしょうが、こういったこともあわせて国内法の整備をやっていかないと、片手落ちに、見たくないもの、聞きたくないものをすっ飛ばして、犠牲者だとか捕虜は出ないんだ、そういう前提で進めていくというのは、非常にこれは危ない話だろうというふうに思います。

 次に行きたいと思います。

 時間も押しておりますので、順番をちょっと飛ばしまして、先ほども出たかもしれませんが、いわゆる船舶の強制臨検、これについて伺いたいと思います。

 海賊行為の場合は、いわゆる旗国主義の例外ということが認められておりまして、要は、船長の同意がなくても停船検査等ができる、こういう非常に例外的な、北朝鮮の船についての国内法でも北朝鮮の同意が必要になっているところ、海賊についてだけは、人類共通の敵ということで、できるということでございますが、夜の暗がりで、あの船が海賊かどうかはっきりしない、でも海賊かもしれないなという場合はこの適用になるのか、同意がなくても強制臨検が可能なのかどうか、教えていただきたいと思います。

佐藤(雄)政府参考人 お答えします。

 国際法上は、公海上において海賊行為を行っていることを疑うに足りる十分な根拠がある場合には、旗国主義の例外として臨検の権利が認められていると承知しております。

 国内法上は、海賊対処法第五条第一項により、海上保安庁法第十七条第一項に基づき立入検査を行うこととしておりますが、具体的には、当該海賊行為の疑いのある船舶が停船要請に応じない場合、船舶の外観や航行の形態、当該船舶の抵抗の程度などに応じて、警察比例の原則のもと、最終的には強制的に停船させ立入検査を行うこととしております。

大熊委員 きょうはちょっと具体的に突っ込むというまで時間がないんですが、要は、疑いがあってもそれは可能である、疑いの段階で、合理的な、疑わしい、そういうことが判断されれば可能である、こういうふうに理解して差し支えないでしょうか。よろしいですか。

佐藤(雄)政府参考人 通常の哨戒などで、一般的な漁船あるいは商船というものは我々常々見ているわけであります。あるいは、これまでの海賊事案の事例というのも、東南アジアやあるいはソマリア沖で起きているわけでありますから、そういったことを踏まえまして、船舶の外観や航行の態様、乗組員の異常な挙動など、その他周囲の事情などを勘案した上で合理的に判断するということになると思います。

大熊委員 わかりました。ちょっと個別にはまた別の機会でやりたいと思いますので、次に行きます。

 続いて、先ほども出ました機雷の掃海の関係、遺棄機雷以外の機雷の掃海。遺棄機雷以外でも、本当のといいますか、戦闘行為の程度というのも大分違うと思うんですよね。上陸阻止用にまかれた機雷で、実はもう陸の方から上陸作戦が完了しているケース、これは先ほど出ていました、昭和二十五年の朝鮮半島の元山港の沖の機雷掃海活動がそうなんですよね。

 あれは上陸阻止のための機雷掃海をやる任務で、実は隊員には秘密で、海上保安庁だったんですが、そういう任務なんだと。実は、行ったときは、十月の十日前後には、陸の方からもう制圧が終わっていたという意味では戦闘が終わっていた、そういう事案で、その後に犠牲者が出ているんですけれども、これまた非常にやるせないのではないかなと。しかも、三十年間隠蔽されてきた、こういう事案なわけなんです。

 いずれにしても、ちょっと具体的に伺いたいのは、遺棄機雷とそうでない機雷の掃海ですと、御専門家だと思うんですけれども、損害あるいは被害の可能性、死者等も含めた、船体の損害を含めたこの可能性、これは非常に高まるというふうに一般的に考えられるわけなんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまでも一般論で恐縮でございますけれども、掃海の実施、いろいろな形態があろうかと思います、いろいろな状況があろうかと思います。この実施中止などにつきまして、あくまでも一般論ですけれども、自衛隊の部隊がこういうふうな作戦をする場合におきましては、損耗状況に加えまして、この作戦の目的、他の作戦との関係、それから事態全般における被害の状況等、多くの要素を判断して行われるということで、ちょっと一概に、どういう損耗があるかということで中止するかということを申し上げるのは難しいと思います。

大熊委員 では、遺棄機雷と遺棄機雷以外の掃海活動の損害の程度の予測値、これは変わらないと思っているんですか。

中島政府参考人 遺棄機雷の処理、それから、いわゆる我が方が武力攻撃を受けているという事態で、七十六条が発動されている段階での機雷の掃海ということで、損害の状況というのは、いろいろな状況によりますので、変わる変わらないということも含めまして、なかなか一概にちょっとお答えをしづらいというふうに思っております。

大熊委員 わからないということですか。戦闘状態じゃない機雷の掃海、それから戦闘状態における機雷の掃海、普通、常識的に考えれば、後者の方が犠牲者を含めた損害はふえる蓋然性が高いと思うんですが、違いますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 機雷のまかれた場所、性能、こちらが持っておる機雷の掃海具の能力、いろいろな要素がございます。

 ただ、先生御指摘のように、一般論で申し上げますと、やはり任務を遂行する上では隊員の安全ということも考えますので、その意味では、遺棄された機雷の掃海の方が損耗は低いということが一般には言えようかと思います。

大熊委員 そうですよね。そうすると次に、ようやく議論に入れるんですが、損害の程度が大きくなる可能性、蓋然性はそれなりに高まるわけですよ。それは個別の状況によって、どのぐらいの損害が予想されるのかというのはわかりませんけれども。

 ついでに言うと、先ほどの議論で出てきました、掃海艇というのは木でできたりプラスチックでできたりしていますので、攻撃を受けやすいわけですよね。つまり反撃を受けやすい状況です。つまり、それでもいわゆる二次損害、触雷して損害を受けるというのを一次損害と呼ぶと、相手から反撃を受けてくる二次損害、こういったことも含めて、損害の可能性というのは格段に高くなるわけでございます。

 事前にそういう作戦計画をつくるのであれば、そういった損害の部分、つまり、入るときの要件、これは、まず、現状三要件のものを拡大して、五要件になるのか六要件になるのかわかりませんが、それは今与党で議論中、こういう質問をすれば、そういう答えになるんでしょう。そういうことじゃなくて、出る要件、要は作戦を中止する要件について、具体的には何ですかと聞きませんから、そういったことも検討していますか。

小野寺国務大臣 私どもとしては、任務が遂行できるように、この任務というのは隊員の安全も含めての対応でございますが、当然その都度、これは、できるできないの判断の以前に、私どもとして、やはり防衛省・自衛隊としての任務の遂行については検討することになると思います。

大熊委員 時間がないので、私の方から申し上げます。

 要望といいますか、御提案といいますか、やはり戦争、これは釈迦に説法ですけれども、入るときももちろん難しいんですが、出るときの方がもっと難しいですよね。入ってオペレーションをやっている、ある程度、二割なり三割損害が出た、ということは、脆弱性があるから損害が出るわけであって、ほっておくと、現場のそのときの臨機応変の判断とかでやっていると全滅する可能性があるわけです。

 あらかじめ基準を決めておいて、ここまでやられたら出るというような、それは個別によっていろいろ違いますよ。だけれども、あらかじめ何か指針なり基準がないと、現場任せ、現場は一生懸命やるでしょうから、それで士気も高かったりすると、全滅のおそれがあるというか、そういう危険を高めるというふうに懸念をしておりまして、やはり出る要件、これもしっかり与党の中で議論していただきたい。

 入る要件と同時に出る要件、やめる要件、それは大臣がおっしゃるように、順調に、簡単なオペレーションで、簡単なオペレーションはないと思いますけれども、任務が遂行できた、ホルムズ海峡は機雷がなくなりました、油を積んだ船が通れます、これは順調にいけばそれはいいですよ。だけれども、物事、順調にいきますということはまれでございまして、戦争ですから。悲観的なシナリオにも耐えられるような分析を、ぜひ与党の皆様方にお願いをしたいなと申しておきます。

 あと二、三分でございます。順番は戻りまして、外務大臣に来ていただいたので、ぜひ一問お願いしたいと思うんです。

 テロの方の話に戻るんですが、九・一一のテロ、私も十時過ぎのNHKニュースで、その場をライブで、生で突っ込んだあの瞬間を見て、まだ焼きついているんですけれども、ああいったテロリストがなぜ、あのときはサウジのウサマ・ビンラディンという人とその周辺なんでしょうが、どうしてああいう人が発生し、増殖していくんだろうかということについてお伺いしたいんです。

 一般的には貧困だと言われますよね。私は貧困じゃないと思うんですよ。なぜかというと、簡単な話、ウサマ・ビンラディンは大富豪の息子だからですよ。金がうじゃうじゃあるわけですから、全然貧困じゃないんですよ。

 だから、テロやテロリストを抑える、テロリスト集団を増殖させないことイコール貧困の撲滅というふうに、よく外務省のアナウンスメント等で聞いたりもするんですが、間違っていたら御指摘いただきたいんですが、必ずしも貧困なんじゃないんじゃないかというふうに思うんですが、大臣、私見でも結構なんですけれども、教えていただければと思います。

岸田国務大臣 テロ発生の根本的な原因については、さまざまな考え方があり、見方がありますが、一般論としてよく言われる議論としましては、まずは、一つは、今御指摘にありました貧困ですとか格差ですとか、あるいは経済開発のおくれというのはありますが、それとあわせて、政治ですとか民族ですとか、あるいは宗教ですとか思想ですとか、こういった面もこうしたテロ発生の原因になるのではないか。今申し上げた政治、民族、宗教、思想に根差した対立、これがテロ発生の一つの大きな原因ではないかと認識をいたします。

大熊委員 ありがとうございました。

 やはり、格差とか貧困というよりも、今大臣がお話しになった方がより大きなファクターを占めるのかなというふうに、私、個人的には思っております。

 要するに、なぜアメリカ・ニューヨークのあの場所を狙ったのか。それはワシントンの国防総省とかも行っていますが、あれは、ニューヨークのウォールストリートがみんなもうかっているからあそこに突っ込んでやろうと思ったわけじゃ多分ないわけですよね。お金の問題、格差の問題じゃない。だって、ウサマ・ビンラディンは大金持ちなわけですから、そういうことじゃない。やはり恨みだろうと。

 言われているのは、最初のクウェート侵攻のときに、イスラム圏にアメリカの軍隊が入ってきたことが恨みのもとであるというふうに言っているようなんです。やはりこの恨みというものが人類共通のそういうモチベーションになるのではないかというふうに私は思うんですね。

 だから、やはり、貧困とか格差の解消じゃなくて、恨みを生じさせない、あるいは一旦生じさせてしまった恨みをどうやって縮小させていくかということが重要なんじゃないかというふうに思うんですが、アメリカは引き続き、この恨みの解消に取り組んでいるとは余り思えないんですがね。

 日本の役目というのは、そういう役目があるんじゃないかな、そういう欧米に向かったイスラム圏の恨みの解消を、アジア人というか日本人としては、彼らには、白人の皆様にはできない独特の役割を果たせるんじゃないかなというふうに思うんですが、一言、大臣、御意見をいただければと思います。

岸田国務大臣 先ほど申し上げましたように、テロの発生には、政治ですとか、宗教ですとか、民族ですとか、思想ですとか、そして今委員の御指摘になられた恨み、こういったさまざまな要素が背景にあると存じます。

 ですから、昨年、アルジェリアで邦人も犠牲になる痛ましいテロ事件が発生しました。その後、我が国の対策としまして、こうしたテロに対するしっかりとした対応とあわせて、やはりイスラム圏あるいはサヘル地域との意思疎通、理解、こういった点も大切なのではないか、こういった視点から対応策を考えたところであります。

 ぜひ、こうしたさまざまな地域との意思疎通や共通の認識醸成等、こういった面におきましても我が国として努力をし、結果としてテロの発生を抑えていく、こういった努力も必要なのではないかとは認識いたします。

大熊委員 ありがとうございました。終わります。

谷畑委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 きょうは、久しぶりに地元宮城の大先輩でいらっしゃいます小野寺大臣に質疑ができるということで、楽しみにしてまいりました。ぜひよろしくお願いをいたします。

 先ほどの中丸先生ではないですけれども、私も常日ごろ、いつまでこの名前を名乗らせていただけるんだろうなと戦々恐々としながら質疑に立たせていただくんですけれども、しっかりとこの立場で質疑をさせていただこうというふうに思っております。

 私は、ふだん、こういった安保の関係のものですとか外交関係のところに質疑で立つ機会が余りないものですから、自分の中で基本的な事項であろうと思うところをきょうは中心にお伺いしたいと思います。ちょっと観念的になるところもあるかもしれませんので、お答えいただける範囲でぜひお願いしたいと思います。

 きょうは、集団的自衛権等についても皆様方からるる質問があるというところでございます。私も、ちょっとこの集団的自衛権、少し確認をしておきたいなということできょうは質問するんですが、まず、これは小野寺防衛大臣に率直にお伺いしたいなと思うんです。

 今、与党での議論でというところだとは思うんですが、もちろん、政府側としても、今後集団的自衛権というのはどうしていくべきなのか、それぞれのお立場でお考えだとは思うんです。

 集団的自衛権を認めるということについてなんですけれども、仮にこれの行使を認めたということになった場合は、少なくとも、従来に比べた場合に、今の状況だと自衛隊の皆さんということになろうと思いますが、自衛隊の皆さんが戦闘をするという可能性が出てくる、それに伴いまして負傷あるいは命にかかわるリスクを多少ならずとも負っていく、そういう可能性があるんだということは、これはこれでよろしいんでしょうか。

小野寺国務大臣 林委員には、震災直後から大変ふるさと宮城の復興に努力をしていただき、改めて感謝を申し上げます。

 今委員の方からお話がありました、集団的自衛権の行使の容認が自衛隊員の戦闘にどのような関係があるかということですが、これは、集団的自衛権の議論の前に、まず、自衛隊の役割というのは、我が国の領土、領海、領空を守り、そして国民の生命と財産を守るという仕事があります。その役割の中で、私どもとしては、服務の宣誓をしながら、我が身を顧みず努力をするというのが役目だと思っております。

 そのもとで言わせていただきますと、これは当然、私はこの自衛隊を指揮命令する役目になりますが、自衛隊の活動を命ずるに当たりましては、任務を適切に遂行できるように、当該任務に従事する自衛官の安全も考慮するということが当然であります。そのために、各幕僚監部の軍事的、専門的な見地からの補佐も受けながら、国民の生命財産を守るという国民の負託に応えてまいりたいと思っておりますので、あくまでも私どもとしては、国民の生命財産を守るというのは、これは任務の遂行ということでありますし、その任務を適切に遂行するためには、当然その任務に従事する自衛官の安全も考慮するのが、私ども指揮官の役割だと思っております。

林(宙)委員 今おっしゃっていただいた、まさに最後の方の部分は、非常に重要なことだと私は思っています。

 というのは、今こういった議論がなされる中で、もちろんこれが集団的であろうとなかろうと、当然、日本が攻撃されればそれは自衛隊の皆さんがまずは日本の防衛に当たる、その中で当然伴うリスクというのはあるわけなんです。それを議論する際に、議論をするのはこの国会の場であるというのが、私はもうちょっと重く考えられるべきなんじゃないかと思っているんです。

 私も、集団的自衛権というものを考えるときに、先日はいわゆる十五事例集なども御提供いただきましたし、こういうのを見るにつけ、ああ、これはもうやった方がいいものだとか、あるいはこれはそうではないのかもしれないとか、いろいろな見方があると思うんですが、私も、ある程度これは容認しなきゃいけないんじゃないだろうかと思う過程で、しかしながら、それを議論するところにいる私たち国会議員というのは、恐らく戦闘という場になったら、その場にはいないでしょうということになると思うんです。すなわち、実際に戦闘をするのは、今の体制であれば、自衛隊の皆さんです。その自衛隊の皆さんに戦ってくださいと言わなきゃいけない立場というのが国会議員である、それがひいては閣僚の皆さんだったり、安倍総理だったりという形になっていくわけですね。

 何が言いたいかというと、政府の皆さんは当然として、私たちも、くしくもこういった国会議員という立場をいただいているわけですから、日本が仮に戦闘に巻き込まれるというか、日本で戦闘があるといった場合にも、恐らく、できる限り安全なところにいるような状況ということを用意されるんじゃないのかなと思っているんです。しかしながら、私たちは、そういう安全なところにいるということがほぼ担保されているような立場でありながら、一方で、自衛隊の皆さんには、戦いに行ってくださいということを言わなければならない立場というのは、これはもっと重く受けとめなきゃいけないんじゃないのかなと私は常に思っています。

 ですので、私も先ほど言いましたけれども、集団的自衛権については、どこまでかわかりませんが、やはり容認しなきゃいけない部分があると私も認めている立場なんですけれども、その都度悩むんですよ、これを軽々に言っていいのかなと。悩んで悩んで悩んで、そして最後に、でも、日本を守る、あるいは日本人を守る、領土、領海を守る、領空を守る、こういったときになってくると、それはお願いしなきゃいけないのかな、そういう結論でようやく到達するわけです。こういうことを何回も何回も私自身の中でやっています。

 今議論を聞いていると、恐らくほとんどの方々はそういった覚悟をお持ちなんじゃないのかなと思ってはいるんですけれども、何となく、軽々に、勇ましく、ただただ、それはやるべきだ、日本ももっと攻撃をするべきだといったような議論になりがちなんじゃないのかなと思っているわけです。

 そこで、きょうは外務大臣にもお越しいただいているわけですので、外務、防衛、お二方の大臣に、こういったことを考えるときに、政府の立場でというのはもしかしたら言いにくいかもしれませんけれども、個人の考えというところでも結構ですので、こういった覚悟をしっかり持って考えていらっしゃるということをぜひおっしゃっていただきたいなというふうに思っていますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、政治にとって、国民の生命、そして平和な暮らしを守る、これは最も大きな責務であり、政治にかかわる者は絶えず状況の変化の中にあってどうあるべきなのか、真剣に考えていかなければならない大切な課題であると認識をしています。

 我が国を取り巻く安全保障環境はますます厳しくなっていると認識をしておりますし、国境を容易に越えてくるサイバー、宇宙を初めとする新しい脅威も現実のものになっています。こういった中にあって、平和と安定、そして繁栄を守るためにどうしたらいいのか。

 現在、我が国においては、安全保障の法的基盤について今真剣な議論が行われています。ぜひ、この現実の中にあって、政治にとって大切な責務、国民の命、暮らしを守るためにはどうあるべきなのか、真剣に、なおかつ丁寧に、しっかり議論をしていかなければならないと存じます。

 そして、こうした役割をしっかり果たしていくのとあわせて、御指摘のように、自衛隊員の皆さんの安全確保、こういったものを最大限に確保するために努力を傾注する、こうしたことも行っていかなければならない、これが政治の立場であると認識をいたします。

小野寺国務大臣 先ほど来、私どもとして、しっかりとした任務に応えられるようにさまざまなことを想定していくということは、これは重要だと思っております。

 もう一方、今回、これは安倍総理の記者会見で総理が発言されておりますが、私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守る、そのためには、いかなる事態にも対応できるよう常日ごろからすきのない備えをするとともに、各国と協力を深めていかなければなりません、それによって抑止力が高まり、我が国が戦争に巻き込まれることがなくなると考えますという発言もございます。

 私ども防衛当局の中の一般的な考えとしては、紛争を起こさないための最大の抑止力というのは、やはりしっかり我が身を守る、そのような能力を高め、すきのない対応をすること、これが逆に言えば紛争につながらない一つの方向だとも考えております。

林(宙)委員 その一つの方法だということももちろんそうなんですけれども、他方で、そこでもし武力を行使しなければならない状況が生まれるんだとしたら、それは一転してリスクになるというところは、これはもちろんそのとおりだと思っていますので、やはり、そういったことも可能性としてあるんだよということを議論の中で絶対に忘れないようにしながら、この先、進めていかなきゃいけないと思うんです。

 先ほど来、与党の中で今御議論いただいているという御答弁ですが、それが終われば、今度は政府の中で、では、それを受けとめてどうするんだというステージになってきますので、そのときに、今、岸田外務大臣も、それから小野寺防衛大臣も、やはり重い決意をその中に入れてお答えいただいたと思うんです。それをぜひ忘れないように御議論を進めていただきたいなと思うわけです。それは当然、私たち野党ももちろんそうなんですけれども、そういったことをぜひ皆さんにももう一度考えていただきたいなというふうに思って、きょうはこの質問をさせていただきました。

 そうすると、ここからは、容認するのかしないのかというそれぞれの立場になってくると思うんですが、では、仮に容認するという立場をとったときに、一方で、現実的にどこまでできるんだろう、そういう問題も生じてくるんだと思います。

 なぜならば、多少そこには追加的な予算が必要なのかもしれませんし、追加的に軍備の増強等、人員の増強等も必要なのかもしれませんし、そういったことを考えていくと、ではどこまでできるだろうということも、あわせて想定していかなければいけないんだろうと思うんです。

 それを前提にして、次の質問をさせていただきます。

 先ほども少し出ていたかもしれませんが、テロという意味でいくと、日本というのは今まで、国際的なテロというものが日本で発生するというリスクについては非常に小さかったんじゃないのかなというふうに思っております。

 その要因の一つとして、やはり、日本は海外で武力行使などをしなかったので、その結果、先ほどの大熊委員のお話ともちょっと関連しますが、要は、恨みを買うというようなことがかなり抑えられてきたんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、これについて、外務大臣はどのように御見解をお持ちでしょうか。

岸田国務大臣 我が国がこうした武力の行使を行わない、そのことによって恨みを買わない、結果として我が国に対するテロ等が少なかったのではないか、こういった考え方ですが、これはさまざまな議論があるとは思いますが、私自身は、今厳しい安全保障環境の中で、しっかりとした我が国の備え、安全保障の法的基盤を整備していく、このことによってしっかりとした抑止力が高まって、そして、テロあるいは紛争、これを回避することにつながる、こういった考え方で努力するべきではないかと考えています。

 現実、テロにつきましては、備えの弱いところが狙われるという指摘があります。ぜひ、しっかりとした備えをし、備えを万全にすることによってテロのリスクを下げていく、こういった体制を整えるべきではないか、このように考えます。

林(宙)委員 今おっしゃったことは、まさしくそのとおりではあるんです。しっかりと万全の体制を整えることで、攻め込むすきを与えない、これは非常に重要なことなんですけれども、一方で、先ほどまさに大熊委員の質問の中にあったように、では、その動機づけというところが、やはり、もちろん一つの要素としてはあるんじゃないかなと思うんです。

 そういう意味では、先ほど私が申し上げた、武力行使をして、例えばですよ、一人でもそういった過激派の命を奪ってしまったといった場合に、そこから怨恨の連鎖が始まっていくみたいなことも当然あり得るわけで、そういう要素もあるからこそ、今まではなかったリスクというのが今後発生していく可能性もあるんじゃないかということをお伺いしているんですけれども、それは防衛大臣はどのようにお考えですか。

小野寺国務大臣 仮にもしテロリストがいて、そのテロリストを私どもとしては厳しく社会で罰せなければ、テロリストは増長してしまう。逆に、そのテロリストをもし罰してしまえば、テロリストから恨みを買う。いずれにしても、今委員が指摘されるように、テロの脅威というのはなくならないんだと思っています。

 ですから、やはり備えを万全にすること、このことが重要ですし、国際社会として、テロを許してはいけないということのメッセージは常に発する必要があると思っております。

林(宙)委員 今お二方の大臣からいただいている答弁の中でも、万全の備えというか体制といったものの中に、私は、そういったモチベーションというんですか、動機づけをさせないということも一つ入っていると思うんですよ。

 そういうことも、もちろん防衛大臣ですから、小野寺大臣なんかは、では防衛という枠の中でどう考えるかとか、そういった領域はあると思うんですけれども、そもそも、攻撃しようと思わせないというところにどういった腐心をしていくか、ここも非常に大事なんです。

 今、そこの議論というのは、今まであったのかもしれませんけれども、少なくとも私が当選させていただいてから、ずっと集団的自衛権ですとか安全保障の話を私なりに見ている限りで、余りそういうところの議論というのは多くないんじゃないのかなと思っているんです。ですので、そこも一つ含めて、それも備えの一つなんだよということは、私は常に考えなきゃいけないと思っているんですね。

 万が一そういうことが、日本側が相手の命を奪うなどということが発生した場合にも、これだって可能性としては否定できないわけですから、今後もし集団的自衛権を容認したら、そういうリスクは発生していく。では、その先どうするんですかという想定は、当然あってしかるべきということだと思うんです。

 その意味で、最後、ちょっとお伺いさせていただきたいのは、先日、十五事例というものをいただいたんですけれども、これをざっと見ていって一つ思ったのは、これはいろいろな事例があるんですけれども、要は、今ここがこうだからできない、だからこれをやるべきなんじゃないかというところで終わっているんですよ。

 さっき辻元先生から、リアクションという話があったと思います。今私もリアクションの話をしましたが、まさにこの事例集の中でも、ではここをできるようにした場合には、どの部分に、どの範囲に、どういった攻撃が想定されるのか。そういったところまで、この段階ではいいと思いますけれども、今後、それを含めた説明というのも必要になってくるんじゃないでしょうかと思っているんですが、これについて、政府としてはどのようにお考えでしょうか。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、十五事例を含む事例集は、与党からの指示に基づきまして、与党協議における議論のために、現在の国内法制では十分に対応することができないのではないかと考えられる事例を、国民にわかりやすく示すための作業の一環として、政府が作成したものでございます。

 現在、そうした事例に十分に対応するために、新たな措置を講ずるか否かを含め、与党において協議が進められているところでございまして、政府としては、その結果を予断するようなことを申し上げることは差し控えたいと思いますが、現在、お尋ねの点を含めて、与党において十分に議論していただいているというところでございまして、政府としては、そうした与党協議の結果に基づいて対応を検討していくこととしてございます。

林(宙)委員 当然そのようにお答えになると思っておりましたけれども、今私が申し上げたことというのは非常に大事だということは皆さんにもおわかりいただけると思いますし、ここの事例に入っていなくても、それはおのずと考えなければいけないことだと私は思っていますので、そういったところも踏まえまして、今後、議論をしていく際には、このシミュレーションというのをぜひしっかりとやっていただきたいなというふうに御要望申し上げて、私のきょうの質問を終わらせていただきたいなというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

谷畑委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 集団的自衛権の問題について質問をいたします。

 事例集には、事例八として、総理が記者会見で示した邦人輸送中の米輸送艦の防護が挙げられています。我が国近隣で武力攻撃が発生し、我が国への武力攻撃がなされたとは認定されないもとで、在留邦人も輸送する米軍の輸送艦を自衛隊が防護するというものです。「我が国近隣で武力攻撃が発生し、」と述べていますが、なぜそのような事態が発生するのかについての説明はありません。

 朝鮮半島で実際に軍事攻撃の危険が高まったのは、一九九三年から九四年にかけてのことでありました。九三年に北朝鮮がNPTからの脱退を表明し、九四年に、当時のクリントン政権のもとで、北朝鮮の核施設に対する空爆が検討されました。当時、国務次官補を務めたガルーチ氏は、寧辺の核施設を軍事的に破壊する計画を検討したことを、二〇〇四年に出版した書籍の中で明らかにしています。そのことは、当時のペリー国防長官も、九五年の米議会での証言で明らかにしています。

 こうした検討が行われたことは、外務大臣、お認めになりますか。

下川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる北朝鮮の第一次核危機の際に、米国政府内で軍事的手段の検討が行われたという証言があることは承知しているところでございます。

 我が国は、北朝鮮問題について米国と緊密に連携してきておりますけれども、米国政府内における政策の検討過程についてコメントすることは、適当ではないというふうに考えております。

赤嶺委員 当時、核施設への空爆は、検討はされましたが、実際には採用されませんでした。全面戦争の可能性を排除できなかったからであります。

 当時のアメリカの見積もりでは、戦争になれば、四十万人の米軍兵力の投入が必要となり、米軍の死傷者は三万人、韓国軍の死傷者は四十五万人になり、百万人以上の民間人が死傷するというものでした。

 軍事的な選択肢はとり得なかった、そういうことではありませんか、外務大臣。

下川政府参考人 二〇〇四年の四月にガルーチ元国務次官補が本を出版した際に行った講演会において、第一次核危機について、以下のように述べたというふうに承知しています。

 すなわち、第一次核危機の際、当時のクリントン政権は、寧辺の核施設に対する攻撃を計画していた、軍事攻撃が第二次朝鮮戦争を惹起し、在韓米軍及び同盟諸国に甚大な被害が出ることが懸念されたが、結局攻撃は回避された、こういうふうに講演会において述べたというふうに承知しております。

赤嶺委員 その認識を、やはり外務大臣にはちょっと伺っておきたいと思うんです。

 九九年に、アメリカが核政策の見直しを行いました。いわゆるペリー報告書が公表されております。そこでは、軍事対応を排除し、外交による解決を強調しました。北朝鮮の政権を転覆、崩壊させようとする政策はとるべきではないし、朝鮮半島での戦争抑止は効果を上げていることを強調しています。軍事的な選択肢をとれば朝鮮半島でも日本でも甚大な被害が想定される、だから軍事的な選択肢は現実にはあり得ないし、あってはならないということだと思います。

 岸田外務大臣は、どのような認識ですか。

岸田国務大臣 我が国は平素から、米国との間において、安全保障を初め、さまざまな課題について緊密な連携、意思疎通を図っております。しかしながら、米国内において政策の検討が行われた、このことについて、我が国の私の立場で何かコメントすることは控えなければならないと考えます。

赤嶺委員 私は、沖縄の生まれではありますが、軍事的な選択肢をとってはならない、本当にそのように思います。

 この問題で大事なことは、国連安保理決議に沿って、国際社会が一致して、平和的、外交的に解決に力を尽くすということであります。軍事的な選択肢はあり得ない、そのことをしっかりと据えた対応が政府には求められているということを強調しておきたいと思います。

 この事例にかかわりまして、一点確認をしておきます。

 政府は、九九年の日米ガイドライン関連法の審議の際に、自衛隊法を改定して、自衛隊による邦人輸送の手段を、従来の航空機から船舶にも拡大いたしました。念頭に置かれていたのは、朝鮮半島からの邦人輸送でありました。

 ところが、先日、官房長官は、邦人の輸送を米軍に要請する理由として、韓国が自衛隊を受け入れないかもしれないと発言した、このように報じられております。

 当時、自衛隊法を改定して輸送手段を拡大したにもかかわらず、韓国側が受け入れるかどうかわからないということをおっしゃっているのか。あるいはまた、今、当時のその計画はどういう計画になっているのですか。これは防衛大臣ですか、答えていただけますか。

小野寺国務大臣 日米のガイドラインの協議の中では、さまざまな日米の役割分担ということを協議していくということになります。

 そしてまた、今、自衛隊の邦人輸送の件についても、自衛隊法の中の言及がございましたが、いずれにしても、特定の国、特定のケースを想定して、私どもとして、邦人輸送を行うための法律をつくっているわけではないということだと思います。

赤嶺委員 ガイドライン関連法が審議をされていた一九九九年四月二十三日の特別委員会で、当時の高村外務大臣は、我が国は、米国など友好国と、緊急事態における自国民保護と退避について必要に応じて話し合ってきている、だから、韓国にいる邦人のことについても必要に応じて話し合ってきている、このように答弁をしております。

 日米ガイドラインでは、周辺事態における自国民の退避と現地当局との関係については、日米両政府がおのおの責任を有する、このようにしております。在留邦人の退避とそのための韓国政府との調整は、日本政府の責任であることが確認されているわけです。

 米艦防護の議論の前に、日本政府の計画と韓国側との調整がどうなっているのか、受け入れの見通しが立っていないのであればそれはなぜなのか、まずそこを明らかにすべきではありませんか。外務大臣。

岸田国務大臣 政府としましては、韓国政府あるいは米国政府、こうした関係国との意思疎通を平素から行い、幅広い分野で意見交換を行っております。ただ、具体的、個別的な事案について申し上げることは、相手国との関係もあり、控えなければならないと存じます。

 一般論としまして申し上げるならば、海外におけるさまざまな緊急事態の発生に対してどう対応していくのか、これは、その個別具体的な状況に応じて対応していくということになるのではないかと考えます。

赤嶺委員 今、現に皆さん、与党協議の中で具体的な例を示してやっているじゃないですか。

 しかし、韓国との間で、ガイドラインでおのおの自国政府が検討するということになっていた、あの問題はどうなっているのか。事例の検討の前に、まず、ガイドライン以来議論をされてきたことを国民の前に明らかにすべきではないんですか、こういうことを聞いているわけです。

 二〇一二年に、韓国との情報保護協定の署名が直前になって延期をされました。その背景には歴史認識の問題がありました。韓国側が自衛隊の受け入れに応じないとすれば、それは、過去の侵略と植民地支配の事実を正面から認めようとしない歴代自民党政府の姿勢に根本的な原因があるということではありませんか。

岸田国務大臣 まず韓国との関係ですが、日本と韓国は大切な隣国同士であり、自由や民主主義を初めとする基本的な価値観を共有し、そして、北朝鮮問題を初めとする安全保障分野におきましても、しっかり連携をしていかなければならない大切な関係にあると承知をしております。

 ぜひ、韓国政府との間においては、しっかりとした意思疎通を図り、対話を積み重ね、連携をしていかなければならない、このように基本的に考えております。現実、今、韓国との間においては、さまざまな問題があり、難しい局面の中にあります。こうした問題があるからこそ、これは対話をするべきだと呼びかけているところであります。

 特に韓国との間においては、歴史の問題あるいは領土の問題、こうした問題が存在いたしますが、こうした問題は、それぞれ国民世論もあり、これは一朝一夕に何かやれば解決するという簡単なものではありません。だからこそ、粘り強く対話をしていかなければなりません。

 こうした対話に対する考え方、我が国としましても引き続き韓国にしっかり訴えていきたいと考えておりますし、韓国側にもぜひ受け入れてもらいたいと考えます。

赤嶺委員 ガイドラインの際に、今問題になっています事例八について、邦人保護について、ある程度の枠組みができ上がっているわけですね。だから、日本は、韓国政府と独自に調整をすることになっているわけです。それが今までたって全然進んでいなくて、そして今度は邦人を輸送する米艦船を保護するという話に話がすりかわっていく、これはおかしいと思いますよ。これまでの経過を踏まえていない議論だろうと思うんです。

 日本政府の歴史問題での姿勢を不問にして、アメリカ側に邦人輸送を依頼することを前提にして米艦防護の議論を進めるというのは、本末転倒と言わざるを得ません。日本が米艦を防護しなければ日米関係が壊れるかのような議論が行われていますが、もともと、アメリカ側は、日本に対して避難民の韓国国外への輸送協力や日本国内での受け入れ支援を求める一方で、在留邦人の保護にはかかわらないという方針でありました。こういう経緯があったのではありませんか。

岸田国務大臣 日本と韓国の間におきましては、安全保障の分野におきましてもさまざまな意思疎通を図り、また事務レベルでもさまざまな議論を積み重ねてきております。

 一方、今現在我が国として議論しておりますのは我が国の安全保障の法的基盤の整備でありますが、その際に、できるだけ国民の理解をしっかり得ていかなければなりません。国民にとってわかりやすい議論をするために、A国、B国、C国等、具体的な事例を挙げて議論を進めている次第であります。

 いずれにしましても、この議論においては、具体的な事例ですとか具体的な国を挙げて議論をしているものではないと承知をしております。

赤嶺委員 過去の朝鮮半島の際に起こったいろいろな問題、その当時、日米間でいろいろ話し合われたガイドラインの問題、その中には邦人の保護もありました、これらのことをまるで全くなかったかのようにして新しい問題を提起して、アメリカの艦船を保護しなければ日米関係が壊れる、こういう議論はまさに我田引水で、通るものではないということを指摘して、終わります。

谷畑委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 最後の質問者となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、海賊対処活動について何点かお尋ねをしたいと思います。

 ソマリアにおける海賊事案というのは昨年も減少したということで、自衛隊の皆さんを初め各国の努力によってそういう状況が生まれたと、改めて敬意を表したいと思います。それと同時に、ソマリアの政情、二十一年ぶりに統一政府が樹立をされたということで、政治的にも安定をしてきたのではないかとも言われております。

 その点について、まず外務省の方に、ソマリアの現状、そして今後の展望についてお伺いをしたいと思います。

 あわせて、三月の十二、十三にソマリアの大統領が来られまして、約四千万ドルの支援パッケージが決定をいたしました。その内容についてもお尋ねをしたいと思います。

河野政府参考人 お答えします。

 まず前段の、ソマリアの現状というところにつきましてお答えを申し上げます。

 ソマリアの国内情勢は、今委員からも御指摘ございましたけれども、一九九一年以降、全土を統一的に支配する政府というものがございませんでした。ただ、最近、国際社会からの後押しというものを受けまして、二〇一二年の十一月、二十一年ぶりに統一政府が誕生し、国土の大部分を実効的に支配に治めるというふうに至っております。現在、ハッサン大統領のもと、海賊対策、軍及び警察の強化等の治安対策を含めまして、着実に国づくりが進展しておるところでございます。

 また、アフリカ連合、AUでございますが、こちらのソマリア・ミッション、それからソマリア軍の努力によりまして、イスラム過激派勢力でございますアルシャバブのソマリア国内における活動というのは大きく低下してきております。ただ、このアルシャバブによるテロ攻撃というものが依然としてやはり発生していることは事実でございまして、その意味では、治安状況は依然として不安定であるというふうに認識しております。

 政府といたしましては、ソマリアの海賊問題の根本原因の一つと考えられます貧困といったものへの対処が重要であるということから、今委員の御発言にもございましたけれども、本年三月、ハッサン・ソマリア大統領が訪日されまして、安倍総理からソマリアの国づくりを支えていくということも方針を伝達しましたし、外務大臣も先方に同行しておりました外務国際協力大臣と会談いただきまして、二国間関係の強化で一致したところでございます。

 引き続き、ソマリア政府の取り組みを後押しして、この地域の安定のために積極的に貢献していきたいと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まさに自衛隊の皆さん、また、今質問いたしますけれども、海上保安庁の皆さんも努力をして、安定化に向けて今進んでいるという状況でございます。外交的そしてまた経済支援という形で、いわゆる海賊の大もとの原因となっている貧困を根絶やしにするために、我々も今後とも努力をしていかなければならない、そして早く収束をしていきたいな、そのように思っております。

 そこで、海上保安庁にお伺いをしたいんですけれども、ソマリアで今活動をされているとお聞きしておりますが、具体的にどのような活動をされているのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤(雄)政府参考人 お答えします。

 海上保安庁では、今、ソマリア周辺海域におきます海賊対策として、現地に派遣されております海上自衛隊の護衛艦に海上保安官八名を乗せて、主に司法警察活動等に従事しております。

 また、ソマリア国を初めソマリア周辺沿岸国の海上保安機関の職員に対しまして、JICAと連携いたしまして、我が国国内において、現在、法執行機関としての能力を付与するためにさまざまな研修を行っているところでございます。

村上(史)委員 研修は我が国で行われているわけですか。

 あわせて、ごめんなさい、ちょっと時間がないものですから、そのことと、それを取り組む意義ですね。といいますのは、テロの終息と同時に、海外の支援部隊が、あるいはそういう組織が撤退をする中で当事国に引き継いでいくということになりますと、いわゆる終息の方向に向かっているのかなという思いもいたしますけれども、その点についていかがでしょうか。

太田国務大臣 その研修には、ことし、今回初めてソマリアが参加したということでありますけれども、JICAが平成十三年から毎年実施をしている海上犯罪取り締まり研修でございます。

 そういう意味からいいますと、研修、指導ということを我が国の中で行って、海上の犯罪等々についての法執行能力が高まるようにということを指導、訓練しているという状況でありまして、その後もこれは非常に有効に仕事ができるようになるんだというふうに思っています。

村上(史)委員 どうもありがとうございました。

 それでは、海賊行為を行った者の訴追についてお尋ねをしたいと思います。

 グアナバラ号事件というのがございました。この船は日本関係船舶ということで、海賊行為をした者が拘束をされて、そして拘束された者がアメリカ経由で日本に送還をされ、日本で訴追をされているという事例でございます。今も係争中でありますけれども。

 ただ、EUやあるいはアメリカにおいては、ケニアと協力関係を結んで、ケニアに訴追を依頼しているという事例がございます。なぜ日本はそれをしないのか、そのことについてお尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、各国が海賊被疑者を訴追する目的でソマリアの周辺国に引き渡す、ケニアもそうでございますけれども、この場合は、引き渡しに関する政府間の枠組みをつくり、これに基づいて引き渡しを行う、これが慣行でございます。

 グアナバラ号事件の発生当時を含め、我が国はソマリア周辺国との間でこのような政府間の枠組みを有しておらず、そのため、周辺国には引き渡さず、我が国において訴追をしたところでございます。

 現在、我が国としても同様の枠組みをつくるべく、ソマリア周辺諸国との間で外交交渉を重ねておるところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 今後はEU、アメリカのように、どの国になるかわからないけれども、訴追をその国に委ねる、依頼をするということで理解をさせていただきました。

 次に、海賊対処行動は、一年ごとに更新をしていくということになっております。ことしは七月二十三日がその期限となっておりますけれども、ことしも延長するのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

小野寺国務大臣 現在、ソマリア沖・アデン湾における海賊事案の発生件数は減少傾向にあるものの、これは自衛隊を含む各国部隊による海賊対処活動等が大きく寄与しております。このため、各国部隊が連携して効果的に海賊対処を継続しなければ、再び海賊の活動が活発化するおそれがあります。

 また、国際社会がこれらの取り組みを行っている中においても、海賊による脅威は引き続き存在しており、海賊問題の根本的な原因であるソマリア国内の貧困等も依然として解決しておりません。

 私自身、五月九日にジブチを訪問し、現地の隊員を激励するとともに、ジブチのハッサン国防大臣や米国軍及びフランス軍の司令官と会談を行い、今後も協力して活動を継続していく必要性についての意見の一致を見ました。今回の訪問を通じ、関係各国と協力しながら、平和な海を守るという我が国が果たすべき重要な役割を引き続き実施していくべきという意を強くいたしました。

 こうしたことから、自衛隊としては、今後も引き続き、CTF151を初めとする諸外国の部隊や国際社会と連携し、当該海域における海賊対処行動を確実に実施していく必要があると考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まだまだ息の長い活動、取り組みになると思います。自衛隊の皆さんを初め海上保安庁の皆さんも、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、テロ対策について何点かお尋ねをしたいと思います。

 いわゆる九・一一型のテロというのは、その後、ああいう形態のテロは起こっておりません。今は、個人型といいますか、あるいは国内型、内戦型にテロの形が変わってきているというふうに思います。

 そういうテロの形態が変わってきていることについて、どのように御認識をされているのか、お尋ねしたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇〇一年の同時多発テロ当時に比べまして、アルカイダ本体は弱体化しつつあると認識しております。

 他方、近年、各地に分散したアルカイダ関連の組織やイスラム過激派組織の活動が活発化しております。委員より、国内型、個人型というお話がございましたけれども、例えば昨年の四月には、ボストン・マラソンを狙ったテロ事件、これは個人型でございます。また、シリアの内戦、マリとかリビアとか、各地において過激なテロ活動が活発化しており、このように国際的なテロの脅威はむしろ拡散しており、全体として見ると依然として深刻であるというふうに考えております。

 この背景には、例えばアルカイダを初めとするイスラム過激派組織が、インターネット等を効果的に活用し、過激思想を伝播させているといった現状があると考えております。

村上(史)委員 そういうテロの形が変わっていく中で、今後、国際テロの対象となる、例えば日本においては、二〇二〇年の東京オリンピック、その前のサミット、また、ラグビーのワールドカップなど、日本を舞台とした国際的なイベントあるいは政治行事というものがメジロ押しでございます。

 そういうものに対する対応をどのように今後進めていくべきなのか、お考えをお示しください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、我が国国内で各種の大規模な行事が予定されております。これについてのテロ防止は極めて重要な課題でございます。

 外務省といたしましても、例えば各種のテロ協議等、国際的な枠組み等におきまして、関係省庁とも連携しつつ、知見の共有、情報収集に全力で取り組んでおるところでございます。

 また、水際対策の一環といたしまして、在外公館において査証審査の厳格化を図ることにより、好ましくない外国人の入国を未然に阻止すべく努めてまいりたいと考えております。

村上(史)委員 まさに、テロを未然に防いでいくというのは、情報をいかに把握し、そしてその情報をもとに対応していくか、そのことが問われていると思います。

 そういうテロの問題から若干関連する質問をさせていただきたいと思いますけれども、いわゆる在外邦人の避難、保護についてであります。

 テロというのはいつ起こるかわかりません。しかし、テロが内戦に発展をしたり、そしてその内戦が周辺国と紛争を起こしていくということも今まで見てまいりました。その際、外務省としては、邦人の保護というのが大変重要な課題だと思うんですけれども、その邦人の保護、避難の手順について、あるいはいろいろな危険のランクがあると思います。そういうことも含めてどのように進めていくのか、お尋ねします。

河野政府参考人 お答え申し上げます。

 在留邦人の保護及び退避についての手順というお問い合わせでございますけれども、個々別々の状況に応じた対応ということになります。

 ただ、そういうことを申し上げた上で、一般論として、テロなどの邦人を巻き込むような事態が発生した場合、その事態が発生した地域の在留邦人の安否確認というのをまず速やかに実施いたします。それとともに、渡航情報を発出いたしまして、その最新情報を提供する。

 渡航情報というのは、今委員から御指摘いただきましたとおり、現在、四段階ございます。一番下が「十分注意してください。」というところから、一番高い四段階目が「退避を勧告します。」ということになりますけれども、これをその状況に応じて、要するに上げていくというふうなことをいたします。

 さらに、その事態の推移というのを注視しながら、退避というのが必要になるような事態になった場合ですけれども、まず私どもがやっておりますのは、通常、民間定期便が動いている間にこれを利用して外に出るということをお勧めしております。

 さらに事態が進んで民間定期便での出国等が困難となったような場合には、個別具体的な状況に応じてでございますけれども、政府でチャーター機を手配するとか、あるいは友好国の支援というものを求めるとか、あるいは政府専用機を含みます自衛隊機などの派遣など、さまざまな可能性から最も迅速かつ安全な手段というものを活用して邦人の退避支援というものに最大限努めていくことになります。

 以上でございます。

村上(史)委員 もう時間が参りましたので、本来、今からが本当に聞きたかったことなんですけれども、有事の際は、基本的には、既に民間を含む邦人はその当事国にはいないというのが外務省のオペレーションの成果であるはずなんですね。

 ですから、集団的自衛権の事例のように、在留邦人を米国が大量に輸送するという状況は本来つくられてはいけないことではないか、その以前に、外務省を初め関係省庁が連携をして、邦人の保護、避難は有事の際には終わっていなければならないはずだと思っております。

 そういう面で、この事例というのはいわゆるフィクションではないのかということを最後に外務大臣にお聞きしたかったんですけれども、時間がありませんので、次の機会にさせていただきます。

 ありがとうございました。

谷畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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