衆議院

メインへスキップ



第1号 平成21年5月29日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十一年五月二十九日(金曜日)

   午後三時五十五分開会

    ─────────────

平成二十一年五月二十九日本協議委員は、衆議院議長の指名で次のとおり選任された。

     衛藤征士郎君     鈴木 恒夫君

     佐田玄一郎君    田野瀬良太郎君

     根本  匠君     山本  拓君

     小島 敏男君     下村 博文君

     西  博義君     富田 茂之君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 衛藤征士郎君

            副議長 鈴木 恒夫君

同日本協議委員は、参議院議長の指名で次のとおり選任された。

     石井  一君     小川 勝也君

     亀井亜紀子君     小林 正夫君

     鈴木  寛君     水岡 俊一君

     峰崎 直樹君     森 ゆうこ君

     大門実紀史君     又市 征治君

同日互選の結果、議長及び副議長を次のとおり選任した。

            議 長 峰崎 直樹君

            副議長 石井  一君

    ─────────────

 出席協議委員

  衆議院

   議 長 衛藤征士郎君

   副議長 鈴木 恒夫君

     佐田玄一郎君    田野瀬良太郎君

     根本  匠君     山本  拓君

     小島 敏男君     下村 博文君

     西  博義君     富田 茂之君

  参議院

   議 長 峰崎 直樹君

   副議長 石井  一君

     小川 勝也君     亀井亜紀子君

     小林 正夫君     鈴木  寛君

     水岡 俊一君     森 ゆうこ君

     大門実紀史君     又市 征治君

 協議委員外の出席者

  衆議院事務局

        委員部長    山本 直和君

        予算委員会専門員       井上 茂男君

  衆議院法制局

        第二部長    橘  幸信君

  参議院事務局

        委員部長    諸星 輝道君

        予算委員会調査室長      村松  帝君

  参議院法制局

        第四部長    長野 秀幸君

    ─────────────

  本日の会議に付した案件

平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)

平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)

平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)


このページのトップに戻る

    ─────────────

   〔峰崎直樹君議長席に着く〕

議長(峰崎直樹君) これより平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)外二件両院協議会を開会いたします。

 抽せんにより、私が本日の両院協議会の議長を務めることになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 この際、御報告いたします。

 衆議院の協議委員議長には衛藤征士郎君、副議長には鈴木恒夫君が、また、参議院の協議委員議長には私、峰崎直樹が、副議長には石井一君が選任されております。

 両院協議会は、国会法第九十七条の規定により、傍聴を許さないことになっておりますので、協議委員並びに協議会の事務を執る職員以外の方は御退席を願います。

 それでは、平成二十一年度一般会計補正予算(第1号)、平成二十一年度特別会計補正予算(特第1号)及び平成二十一年度政府関係機関補正予算(機第1号)の三案について、各議院の議決の趣旨を御説明願いたいと存じます。

 先ほどの両議院の協議委員議長及び副議長打合会における協議に基づきまして、初めに衆議院の議決の趣旨について御説明を願います。鈴木恒夫君。

鈴木恒夫君 衆議院における平成二十一年度一般会計補正予算外二案を可決した趣旨につきまして御説明申し上げます。

 昨年秋の米国発の金融不安により、世界経済は戦後最大の危機に直面しております。輸出への依存が高い日本経済は、海外経済の悪化の影響をまともに受け、生産活動が大きく落ち込み、そのことが雇用調整を引き起こすなど、国内においても深刻な影響を及ぼしております。

 これに対し、政府は、国民生活を守り、景気後退から脱出するべく、「景気対策三段ロケット」と呼ばれる総額七十五兆円規模の一連の経済対策を打ち出しました。これらの政策は実行に移され、着実に成果を上げているところでありますけれども、経済情勢はまだ予断を許さない状況にあり、もう一段の対策を行い、日本経済の後押しをする必要があります。このため、政府は、景気の底割れを防ぐだけではなく、生活者の安心を確保すると同時に、未来に向けた経済成長政策を推し進める「経済危機対策」を策定いたしました。平成二十一年度補正予算は、この「経済危機対策」を実行に移すために必要な財政措置でございまして、景気回復と将来に向けての成長を実現するために、その一日も早い成立が待たれているものであります。

 以下、政府原案を可決した主な理由について申し述べます。

 その第一の理由は、景気の底割れを回避するために、雇用対策・金融対策などの適切な対応策を打ち出していることでございます。

 雇用対策としては、雇用調整助成金及び中小企業緊急雇用安定助成金の助成率の引上げ、雇用保険が支給されない人たちへの支援策、地方公共団体における雇用・就業機会創出のための緊急雇用創出事業の拡充などの総合支援策を行うことといたしております。

 金融対策では、中小企業の資金繰り対策として、緊急保証枠の拡大、政府系金融機関によるセーフティーネット貸付けの拡大を行うほか、中堅・大企業の資金繰り対策も実施することといたしております。

 その第二の理由は、中長期的な成長を実現するため、「低炭素革命」、「健康長寿・子育て」、「底力発揮・二十一世紀型インフラ整備」の三つの分野を重点的に推進することとなっていることでございます。

 「低炭素革命」では、公立小中学校への太陽光パネルの設置拡大、環境対応車・省エネ家電の普及拡大のための買換えへの支援等を行うこととなっております。

 「健康長寿・子育て」では、介護職員の待遇改善、介護基盤の緊急整備、地域医療再生のための総合対策、子育て応援特別手当の拡充、安心こども基金の拡充等を行うこととなってございます。

 「底力発揮・二十一世紀型インフラ整備」では、農地の有効利用等による食料自給力の向上、三大都市圏環状道路や主要都市間の道路等の整備による国土ミッシングリンクの結合、スーパー中枢港湾の機能強化等を行うことといたしております。

 その第三の理由は、国民の安心と活力をもたらすため、防災・安全対策に取り組んでいることでございます。そのために、公立小中学校の耐震化の推進、ゲリラ豪雨対策、洪水・高潮対策、公共交通機関のバリアフリー化等の交通安全確保策を行うことといたしております。

 以上、政府原案を可決した主な理由について申し述べました。

 平成二十一年度補正予算は、我が国が直面する様々な重要課題に対処し、国民生活の不安を解消するために必要不可欠なものであり、その一日も早い成立が望まれているところでございます。

 両院協議会といたしましては、衆議院の議決どおり意見の一致を見ますよう、御賛同をいただきたく、お願い申し上げる次第でございます。

 以上であります。

議長(峰崎直樹君) 次に、参議院の議決の趣旨について御説明を願います。森ゆうこ君。

森ゆうこ君 参議院の議決の趣旨説明を行います。

 参議院側が平成二十一年度一般会計補正予算外二件を賛成少数で否決した趣旨を申し上げます。

 否決の第一の理由は、予算の単年度主義の趣旨に反し、四十六もの基金を通じて多年度にわたって支出を行おうとしている点であります。

 我が国の予算は、会計年度ごとに国会の審議を受け、議決を経なければならないことが憲法に定められております。しかるに、本補正予算では、緊急人材育成・就職支援基金や農地集積加速化基金など、四十六の基金に対して四兆三千億円もの予算が配分され、多年度にわたって支出が行われることとなっております。かかる基金からの支出は、毎年度の国会の議決を要しない点で憲法の理念に反するものであり、財政の現状を国民の目から遠ざける許し難い手法であります。特別会計や独立行政法人などの透明性が強く求められているにもかかわらず、基金という新たな隠れみのをつくり出す政府の姿勢を厳しく非難するものであります。

 否決の第二の理由は、官庁や独立行政法人などの施設整備費として巨額の予算が計上されている点であります。

 本補正には、歳出総額の二割に当たる二兆九千億円もの施設整備費が計上されており、「地域活性化・公共投資臨時交付金」として地方に配分される分を除いても、一兆五千億円もの予算が官庁や独立行政法人などの施設整備に使われることになっております。二十一年度当初予算の成立からわずか一か月の間にこれほどの施設整備を行う理由が生じたとは到底考えられず、景気対策に便乗した役所のお手盛り予算というほかありません。アニメの殿堂と言われる「国立メディア芸術総合センター」に百十七億円もつぎ込むくらいなら、母子加算の復活や子育て支援の拡充に使うべきというのが国民の声であり、これに反して従来型の箱物整備を大々的に推進する政府には、もはや景気対策を作成する資格はないと言わざるを得ないのであります。

 否決の第三の理由は、その場しのぎの対策の寄せ集めばかりで、深刻な日本経済や国民生活を改善させる効果が全く期待できない点であります。

 所得環境の悪化で厳しい生活を強いられている子育て家庭への支援策は、三万六千円を一回だけ給付するという本来の子育て支援とは程遠いものであるほか、雇用対策にしても、求職者支援や緊急雇用創出事業など、ほとんどが期間限定の措置であり、まさに場当たり的施策の乱発というほかありません。このような施策に国民の生活不安を解消する力は全くなく、我が国経済を内需主導型経済に転換させる効果も到底期待できないことはだれの目にも明らかであります。

 否決の第四の理由は、政府経済見通しを改定したにもかかわらず、二十一年度の税収見積りを修正していない点であります。

 我々は、当初予算の審議中から、二十一年度の経済成長率がゼロ%という政府経済見通しは楽観的過ぎるとして見直しを求めておりましたが、政府は遅ればせながら補正予算の編成に合わせてマイナス三・三%に下方修正しました。経済危機対策の経済効果はほとんど期待できないことから、この数字もなお非現実的でありますが、更に問題なのは税収見積りを修正していないことであります。マイナス成長になれば税収が減少することは当然であるにもかかわらず、本補正で減額修正を行わなかったのは、国債の新規発行額を税収以下に抑えるという体裁にこだわったからに違いありません。このような小手先のつじつま合わせをしたとしても、今年度中の税収の減額修正と国債の増発は必至であり、財政の姿をゆがめる政府の手法は断固容認できません。

 このように、否決の理由は多岐にわたりますが、両院協議会としましては、参議院側が指摘した諸事項を除去することによって平成二十一年度補正予算三案が成立できるよう、御協力、御賛同いただきたくお願い申し上げる次第であります。

 以上でございます。

議長(峰崎直樹君) 以上で各議院の議決の趣旨についての説明は終わりました。

 これより協議に入ります。

 順次御発言願います。鈴木寛君。

鈴木寛君 民主党・新緑風会・国民新・日本の立場から、平成二十一年度補正予算三案に反対した理由を申し上げます。

 初めに、麻生政権は、我々が再三その欠陥を指摘する中、二十一年度当初予算の成立こそが最大の景気対策だとしておきながら、そのわずか一か月後に過去最大の無駄遣い、十五兆円に上る補正予算を提出をいたしました。この麻生内閣の経済分析、政策立案能力の欠如を強く憂慮するものであります。

 反対理由の第一は、本予算の本質が選挙時にマシンとなる天下り団体等への資金補給であるからであります。現に、予算のほとんどは政府部門内での資金移動であり、本予算で現在確定している家計、企業部門への直接支出は総予算の実に二%余りにすぎず、速やかな景気浮揚効果はほとんど期待できません。我が党が主張する恒久的な子育て支援や病院や介護施設の報酬増、さらには高速道路料金や高校授業料の無償化により家計の可処分所得を増やすことこそが国民生活の安心と内需拡大型経済への転換に必要な施策であります。

 第二は、新規の三十を含む四十六もの基金への四兆円を超える交付金の問題です。

 交付金を基金にプールし具体的な事業が決まり次第順次支出していくというやり方は、結局は予算消化のための無駄遣いの温床となってしまいます。また、今回、国債発行に伴い利払いだけで七百六十八億円が計上されておりますけれども、過去に補助金により造成された基金におきまして多額の使い残しが発生し、国庫返納が行われているという事実がございます。つまり、返納、いわゆる使い残し、返納があった場合に、その調達に要した利払いは全く無駄になってしまうという不合理を抱えているわけでございまして、基金乱造というのは極めて問題だというふうに考えております。

 第三は、補正予算に計上すべきでない経費が多数盛り込まれていることでございます。

 財政法上、補正予算には当初予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となった経費しか計上できないにもかかわらず、本補正には、官公庁の施設費、道路や新幹線整備など、この財政法違反の疑いの濃厚な多額の経費が入り込んでおり、断固容認することはできません。

 第四は、新型インフルエンザ対策など危機管理の視点が欠如していることであります。

 政府の予算はワクチン開発にとどまっております。その他の措置が含まれておりません。第二波の到来が確実視されている中、診断、相談、診療、治療体制の不備が審議でも明らかになりましたが、この最も重要な対策の経費が計上されておりません。こうした課題に対応することがまさに補正予算の本来の意義であり、こうした予算こそ基金にふさわしいとの観点から予算の組替えを求めましたが、これが実現されなかったことは極めて遺憾でございます。

 第五は、本補正予算の財源を安易に埋蔵金や国債に依存していることでございます。

 政府は特別会計の埋蔵金を本補正を含め一連の予算編成の財源として急速に取り崩してきましたが、そもそも特別会計の積立金は国民共有の資産であり、国民生活の安定や景気回復に寄与しない無駄な施策への流用は到底認めることはできません。また、国債による財源調達は将来世代への負担の転嫁にほかならず、本補正のごとき無駄な使途に対する無節操な国債増発は我が国の将来に禍根を残すものと考えます。

 以上、主な理由としてもこれだけの問題がありますことから、民主党・新緑風会・国民新・日本は本補正予算案に反対したものであります。

 以上でございます。

議長(峰崎直樹君) 大門実紀史君。

大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。二〇〇九年度補正予算三案に反対した理由を述べます。

 反対した理由の第一は、貧困と格差を拡大させてきた構造改革路線を根本的に転換することなく、一時的、限定的な生活対策になっていることです。雇用保険を受給していない人への職業訓練期間の生活保障は三年限り、子育て手当も一回きりでございます。また、生活保護の母子加算は全廃されたままです。今求められているのは、社会保障費二千二百億円の削減路線をきっぱりと撤回し社会保障の再建を図ること、派遣法を抜本改正して雇用の安定を図るなど、国民の生活基盤そのものを安定させることです。

 第二に、本補正予算案が、家計や中小企業を応援するよりも、大企業、ゼネコン奉仕の予算となっていることです。事業費一・三兆円の東京外環道など、道路、港湾や官庁施設費など公共事業費と特殊法人への出資金を合わせた投資部門は七・五兆円の積み増しで、当初予算と比べて倍加していますが、社会保障関係費は当初予算の一三・七%増にとどまっております。また、関連法案に盛り込まれた研究開発減税の拡充で恩恵を受けるのは九割以上が資本金十億円以上の大企業であります。

 反対した第三の理由は、今回の経済対策による巨額の借金のツケを消費税の増税によって国民に回そうとしていることです。本補正予算により、〇九年度の公債発行額は四十四兆一千百三十億円となります。国、地方を合わせた〇九年度末の長期債務残高は八百十六兆円に達し、国民一人当たり六百四十万円もの借金を抱えることになります。政府は、消費税の増税は社会保障財源の確保のためと言ってきましたが、巨額の借金の穴埋めのための増税となることはもはや明らかであります。

 以上が、三案に反対した理由でございます。

議長(峰崎直樹君) 又市征治君。

又市征治君 社民党の又市です。

 二〇〇九年度の補正予算に反対をしてまいりました理由は、先ほど森委員が参議院側を代表して申された点、加えて、衆議院、参議院の予算委員会でそれぞれ我が党の委員が問題点をたくさん挙げましたから、このことをここで余り繰り返しても意味がないと、このように思いますから、そうした意味で、これらに反対をしてまいりましたので、むしろ今やらなければならないことは、これらの点を除去するなりあるいは修正をするということが大事だろう、それが両院協議会の意味なのではないか。そうした中で、補正予算の成立を図っていくということの努力することを衆議院側に是非同意を求めたいというのが一点であります。

 二つ目には、そのことと関連をいたしますが、二年前に衆参で多数派が逆転をしている、異なっている、こういう事態が生じて以来、この両院協議会の責任というのはその意味で大変に大きい、修正協議というものをやるべきだということが任務だったろうと思いますが、幸か不幸か衆議院側で与党の皆さんが三分の二を占めておられるということから、三分の二条項を使って、結果的には衆議院優位という立場で今日までそうしてこられたと。

 そのことが一体、今後のことを考えたときに、さて、もし仮に、近々衆議院選挙が行われることは、もう三か月余りであるわけですけれども、そうした結果、三分の二を割る、あるいは与野党が逆転をしてしまえば、これは政権交代が起こるわけですからその問題は起こらないかもしれませんけれども、しかし問題は、いずれにしても、そのことでまるで竹を割ったようなやり方で果たしていいのかということがずっと前から突き付けられていた。

 しかし、そのことが依然として整理が付いていない。前回、三月の二十七日、議事録でございますけれども、衛藤委員長が議長をなさって、そのときに、今後の両院協議会の在り方については、その開催方法、構成、人数、議事の進め方、採決の在り方等の運営、議事録の公開等について、これまでの在り方を踏まえつつ、建設的な方向で検討して、速やかに結論を得ること、以上、各院の議長に報告申し上げるということで合意したということについて結論をお述べになっているわけですけれども、このことが依然として成っていないわけであると。

 その意味で、一項目めに申し上げた意味も含めるならば、このことも早急な結論を出す、この努力がこの場に求められているんではないのかと、こういう立場のことも含めて今日は申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 以上です。

議長(峰崎直樹君) 佐田玄一郎君。

佐田玄一郎君 自由民主党を代表いたしまして、参議院の否決理由に対する衆議院の反論をさせていただきたいと思います。

 参議院側からそれぞれのお立場で平成二十一年度補正予算に対する御意見が述べられました。これらの意見に対して、まず私から本補正予算の概要を申し上げ、衆議院の見解について公明党の富田委員から御説明申し上げたいと思います。

 世界的な経済金融情勢の悪化に伴いまして、平成二十一年度予算を取りまとめた昨年末以降も我が国の景気は急速な悪化を続けております。雇用情勢や企業の資金繰りなど金融環境も厳しい状況にあり、我が国は経済危機とも言える状況にあります。

 本補正予算は、経済危機に対応するため、政府が決定した経済危機対策を実施するための重要な予算でありまして、雇用調整助成金の拡充等、緊急雇用対策、保証貸付枠の拡大など、企業の資金繰りの円滑化等の措置を講ずるほか、中長期的な成長を図るために、低炭素革命、健康長寿・子育て、底力発揮・二十一世紀型インフラ整備の各分野において未来の成長を見定め、緊急に実施すべき施策を盛り込んでおります。

 また、これらの対策については、経済の下支えや将来の成長力を高める施策を厳選したものでありまして、果断な実施を図るべきものとなっております。

 以上、私から本補正予算の概要について申し上げたところでございます。よろしくお願いいたします。

議長(峰崎直樹君) 富田茂之君。

富田茂之君 それでは次に、本補正予算につきまして、衆議院側の見解を御説明申し上げます。

 まず、本補正予算は、非常時に突入した日本経済を立て直し、国民の生活を守るための財政措置十五・四兆円、事業規模五十七兆円に上る経済対策、経済危機対策を実施するための重要な予算であります。環境、医療、子育て、雇用などの重点分野に選択と集中が図られており、まさに非常時の経済対策としてスピード感を持って執行されるべき予算であります。

 また、経済危機対策に盛り込まれた低燃費車、省エネ製品の普及促進、スクール・ニューディール構想などを実施するための公共投資等を実施することにより、平成二十一年度の実質GDP成長率を一・九%程度押し上げ、最大で五十万人程度の雇用を今後一年間で創出するものと見込まれております。

 さらに、GDP比約三%の財政措置については、四月二日の金融サミットにおける成長や雇用回復のためのGDP比二%程度の財政支出という国際社会の共通認識にもこたえたものとなっております。

 以上、何点か申し上げましたが、衆議院といたしましては、可決した補正予算を最良、最善の予算と考えております。参議院におかれましても、この場で改めて御賛同いただきますよう、お願い申し上げます。

 以上です。

議長(峰崎直樹君) それでは、これより懇談に入ります。

 御意見のある方は。

石井一君 私は、今国会で四回目の両院協議会に出席をせざるを得ない立場に置かれまして、過去、与党のメンバーはほとんどそろっておられますので、私から繰り返し申し上げましたことを御理解をいただいておると思うのでございますが、記録の関係もありますので簡単に申し上げたいと存じますが。

 要は、憲法五十九条、六十条、六十一条、六十七条と、この四つに両院協議会規定がございます。五十九条は、衆議院の三分の二の議決によって国権の意思を決定する。六十条は、予算を三十日以内の期間を置いて衆議院に優位性がある。六十一条は、条約案件の締結について同じく三十日の規定を設けて衆議院の優位性を認める。六十七条は、総理大臣の指名において両院の議決が違った場合は、協議会を開いた後、衆議院の議決が優先すると。

 こういうことでございまして、幸いにも今日までこの規定で十分立法府の意思が決定されてまいったわけであります。それは、この国会を除いてほとんどが与党の衆参が多数を占めておったということ、そのことからこれで何の支障もなかったわけでありますし、それから、今国会はねじれ国会と言われておりますが、幸か不幸か衆議院が三分の二の議席を持っておられますために、そのことによって要するに衆議院の議決が決まったと、こういうことなんでございますけれども、今後、未来を想定いたしましたときには、恐らく今度、衆議院で三分の二の議決を与党か野党かが取るというふうなことがなかなか厳しいというふうなことを想定いたしましたときには、憲法のこの四つの規定以外にある国内法すべてが、まさに両院において意思決定ができずに立法府が機能不全になるというこういう厳しい現状にあるということを御指摘申し上げてきたわけでございます。

 与党の皆さんもそれに関しましては十分御理解をされまして、先ほど又市委員が御指摘をいただきましたように、一回目、二回目の協議会では衛藤議長が、両院協議会の在り方については、その開催方法、構成、人数、議事の進め方、採決の在り方等、運営、議事録等について、これまでの在り方を踏まえて建設的な方向で検討し、速やかに結論を得ること、これを議長に報告をすることについて合意をしましたと、こういう報告がありました。

 三回目の協議では河野太郎議長がグアム協定でありましたので議長を務められたわけでありますが、以上の主張に対して、前略でありますが、先輩のお話を今日持ち帰りまして、議長並びに、先輩というのは私のようでありますが、本会議できちっと報告させていただいて、衆議院側も両院協議会改革のためにアクションを取るよう議長にお願い申し上げてまいりたいと思いますと。先輩のおっしゃることは誠にそのとおりでございますので、しかるべき、こちらも動かせていただきたいと存じますと、こういう御答弁がございまして、その後、その三回目の議長である浅尾慶一郎君が、各院の議長に、衆参共に今国会中にしかるべく結論を得るように努力する場所を決めるということで合意をするということで、全員異議なしということでこれが引き取られた。

 そうして今日この四回目の会合に至っておるということなんでありますが、議長にそれぞれ報告はしておりますけれども、その後のアクションが必ずしも取られておりません。議論はされておるのかと思いますけれども、特に衆議院サイドの場合は、総選挙を目前にしてそれどころではないわいというお気持ちがあるかも分かりませんけれども、もし仮に総選挙を経てこれを議論するということになりますと、果たして公正なルールができるのか。これはかなりの法律を調べないけませんし、外国の例も調べていかなきゃいかぬというふうなことでありますが、立法府が機能不全になるということを考えたら、これはどちらが与党になれどちらが野党になり、緊急性の高い最も重要な国権の意思決定を決めるという問題でありますので、ここはこの国会中に何らかの結論を出すということをしなければ、我々立法府の一員としての、しかも両院協議会のメンバーとしての責任は果たせないというふうに考えるわけでございます。

 先ほど別室で、衛藤それから鈴木両正副議長、それから、私の方は峰崎議長と私とが協議をいたしまして、一応の合意に達しました。今国会中にできるだけ速やかに、そのときに私はざっくばらんに申し上げましたんですが、アメリカを始めどこでも上下院があると、両院があると、そして下院の優位性を認めているところもあると、それはそれでもいいだろうと。いずれにしても、衆議院は衆議院の案をまとめてくださいよ、参議院の方は参議院の案をまとめます、それを突き合わせて合意を得るということをやりませんと、もし仮に次の新しい構成ができてそのときに考えるというんなら、その政府を持った方が有利な両院協議会の規定を作る、今度その次に政府が替わったらこちらに有利なような両院協議会をつくるというような不見識なことはできません。これは、あくまでも、だれから見ても公正であり、そして国権の意思を決定できる、そういう権威のあるものをやるということを考えましたときには、次の改選を待ってやるべきことでなく、我々の責任において、この国会の終わりまでにこれを終結する必要があるというふうに考えるわけであります。

 具体的には、国会法をかなり議論をしまして、構成を始め、議事の運営を始めいろいろやらなければいけません。ここで何回もやりましても、僕は、皆さん方の主張、それぞれ正しいと思うんですよ。しかし、主張を言うだけで一切ここは妥協の場所じゃない。これでやっていたら、両方とも違うことを報告しておったんでは、もうにっちもさっちもいかなくて、国内法は全部ストップしてしまうということになるわけでございますから、どうかこの問題をひとつ真剣に今回はお受け取りいただきまして、どれだけの会期延長があるのか分かりませんけれども、この国会中に国会法を改正するというところまではいかずとも、少なくとも衆議院としての意見、参議院としての意見をお互いに提出し、両論併記の上でも次へバトンタッチするか、あるいはそれができなくても、でき得ればもう一度協議をするという形か、何らかの形の進展を我々の責任において果たすべきではないかと、この点を申し上げまして、願わくは、ひとつ自民党サイド、自公サイドからも私に対するひとつ御意見を伺わせていただきたいというふうに思います。

議長(峰崎直樹君) どうでしょうか、この問題に絞って取りあえず。

鈴木恒夫君 今日の世界状況、とりわけ経済を中心とする状況を考えますときに、私は、やっぱり歴史的な曲がり角にある日本の政治は、適正な政策と、それをまたスピーディーに効率良く展開できる、実行できると、これが国権の最高機関の責務であると痛感しております。

 この両院協議会の在り方につきましては、石井先生は四回目ですが、私どもは三回目なんですけれども、このねじれ状況をどう克服して、国民のための、繰り返しになりますけれども、スピード感のある効率のいい政策展開をどうやるかという問題提起をやられてまいりました。この予算をめぐるもののみならず、さきのグアムの協定をめぐる議論、両院協議会でもその議論があったことを私は河野太郎委員長からも聞いておりますし、河野太郎委員長はおやじさんにも報告をしております。

 石井副議長のおっしゃるのは、まさに衆議院がいつ解散があっても不思議でないという状況の中で、しかし今国会中にめどを付けろ、こういう御提案と思います。議長には、これまでの議事録なども、速記録なども届けましてお話を申し上げてまいりました。私は河野洋平議長とは長いお付き合いがございますけれども、今期限りで引退されるからといって、決して自分の任務をサボタージュするような性格の人ではありません。

 したがいまして、今日の石井先生の御提案につきましては、改めてこの協議会の後、議長に報告をいたしまして、議院運営委員会レベルになると思いますけれども、今国会中に具体的な解決をという御提案があったことを報告をし、議長の積極的な取組をお願いするつもりでございます。これはお約束をさせていただきますし、議長もお取り組みをいただけるものと私は確信をしております。

 以上であります。

議長(峰崎直樹君) 参議院側及び衆議院側から、今この問題について、両院協議会の在り方について議論がありましたが、そのほか、懇談でございますので、御意見のある方はこの問題に限ってどうぞ。

亀井亜紀子君 国民新党を代表して一言申し上げたいと思います。

議長(峰崎直樹君) 幅広くいいですよ。

亀井亜紀子君 今年は衆議院選挙がある年ですけれども、思い返せば、四年前に郵政民営化法をめぐって衆議院と参議院の議決が異なり、それに対して両院協議会が開かれずに衆議院が解散をされた、そこから日本の政治はおかしくなったと国民新党は考えております。

 本来ならば、あのときに両院協議会が開かれるべきであったし、また、我が党の党首の綿貫代表は前衆議院議長です。本当は、本来であれば、衆議院は、あのときに開会して、解散をさせるべきではなかった。開会のベルを押すその権利は議長にございますし、議会制民主主義が壊れたのはあの瞬間であると思っております。

 そして、前回の参議院選挙で参議院が与野党逆転をし、衆参の議決が異なるという回数が増えたわけですけれども、やはり今一部では参議院不要論というのも出ておりますが、それは憲法を改正しないとできないことですし、衆参の議決が異なったときにどのようにまとめていくのか、その役割は本来ここにあるべきですので、この機会に真剣に議論をしていただきたいとお願いしたいと思います。

議長(峰崎直樹君) あと、予算内容のことに関してはよろしゅうございますか。

 先ほど、社民党の参議院の側の又市さんの方からも修正とかいろんなアピールございましたということに対してもなしということで取りあえずよろしゅうございますか。

 それでは、これにて懇談を閉じます。

 この際、参議院側、衆議院側双方から発言を求められておりますので、順次これを許します。まず、参議院側石井一君。

石井一君 それでは、本論の補正予算案に関しましてまとめの意見を申し上げます。

 参議院側としては、平成二十一年度補正予算三案に何らかの修正ないし削除を加えることが必要と考えます。既に否決の趣旨説明及び意見表明で述べたところでありますが、本予算は四十六の基金に四兆三千億円もの資金を投入し、予算の単年度主義に反して多年度にわたる支出を行おうとしていること、官庁や独立行政法人等の不要不急の施設整備のため、当初予算を大幅に上回る予算が計上されていること、子育て支援や雇用対策などが一時的又は時限的で効果が期待できないこと、政府経済見通しを下方修正したにもかかわらず、税収の減額補正が行われていないことなど、多くの問題があると考えております。

 両院の議決が異なった場合、何らかの解決策を策定するのが両院協議会の目的であります。このように協議会を開いたわけでございますから、衆議院におかれましても我々の意見をお酌み取りいただき、合意が得られるよう御再考いただきたくお願い申し上げます。

 以上であります。

議長(峰崎直樹君) 次に、衆議院側田野瀬良太郎君。

田野瀬良太郎君 先ほどから平成二十一年度補正予算につきまして参議院側から御意見を十分に賜りました。

 しかしながら、衆議院側といたしましては、先ほどから申し述べておりますように、世界金融危機と世界同時不況の中、経済危機ともいえる我が国の現状を打開すべく決定された経済危機対策を実施するために必要な経費の追加等を行おうとするものであり、現状において最良の予算であると考えておりますので、残念ながら参議院側の御要請をお受けするわけにはまいりません。

 よって、憲法第六十条第二項の規定に基づき、国会法等の定める手続に従い、衆議院の議決どおりお願いしたいと存じます。

 以上でございます。

議長(峰崎直樹君) いろいろ御協議を願いましたが、意見の一致を見るに至りません。

 つきましては、本協議会といたしましては、成案を得るに至らなかったものとして、この旨を各議院に報告するほかないと存じますが、御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

議長(峰崎直樹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

 以上をもって本協議会の議事は終了いたしましたが、先ほどの懇談の中でのお二方の発言、あるいは亀井亜紀子議員の発言もしっかりと受け止めていただきたいなというふうに思います。

 本日は、協議委員の皆様の御協力により議長を無事務めさせていただきました。誠にありがとうございました。

 これにて散会いたします。

   午後四時三十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.