衆議院

メインへスキップ



第1号 平成22年4月27日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十二年四月二十七日(火曜日)

    午後二時三十分開議

 出席委員

  環境委員会

   委員長 樽床 伸二君

   理事 太田 和美君 理事 木村たけつか君

   理事 橋本 博明君 理事 山花 郁夫君

   理事 横光 克彦君 理事 齋藤  健君

   理事 吉野 正芳君 理事 江田 康幸君

      石田 三示君    大谷 信盛君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      櫛渕 万里君    小林千代美君

      斎藤やすのり君    田島 一成君

      田名部匡代君    玉置 公良君

      村上 史好君    森岡洋一郎君

      矢崎 公二君    山崎  誠君

      吉川 政重君    小池百合子君

      近藤三津枝君    福井  照君

      山本 公一君    吉泉 秀男君

  経済産業委員会

   委員長 東  祥三君

   理事 柿沼 正明君 理事 北神 圭朗君

   理事 杉本かずみ君 理事 三谷 光男君

   理事 吉田おさむ君 理事 塩崎 恭久君

   理事 平  将明君 理事 佐藤 茂樹君

      稲富 修二君    太田 和美君

      加藤  学君    笠原多見子君

      金森  正君    川口  博君

      木村たけつか君    黒岩 宇洋君

      近藤 洋介君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    白石 洋一君

      平  智之君    高松 和夫君

      高邑  勉君    花咲 宏基君

      藤田 大助君    松岡 広隆君

      向山 好一君    森山 浩行君

      山本 剛正君    柚木 道義君

      渡辺 義彦君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    金子 恭之君

      近藤三津枝君    高木  毅君

      永岡 桂子君    西野あきら君

      江田 康幸君    吉井 英勝君

    …………………………………

   議員           江田 康幸君

   経済産業大臣       直嶋 正行君

   環境大臣         小沢 鋭仁君

   外務副大臣        福山 哲郎君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   経済産業副大臣      増子 輝彦君

   環境副大臣        田島 一成君

   経済産業大臣政務官    近藤 洋介君

   経済産業大臣政務官    高橋 千秋君

   環境大臣政務官      大谷 信盛君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房技術総括審議官)       小栗 邦夫君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  本田  勝君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  寺田 達志君

   経済産業委員会専門員   綱井 幸裕君

   環境委員会専門員     春日  昇君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 地球温暖化対策基本法案(内閣提出第五二号)

 低炭素社会づくり推進基本法案(野田毅君外四名提出、衆法第七号)

 気候変動対策推進基本法案(江田康幸君提出、衆法第一五号)

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案(内閣提出第三〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

樽床委員長 これより環境委員会経済産業委員会連合審査会を開会いたします。

 両委員長の協議により、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、地球温暖化対策基本法案、野田毅君外四名提出、低炭素社会づくり推進基本法案、江田康幸君提出、気候変動対策推進基本法案及び内閣提出、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案の各案を議題といたします。

 各案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉木武志君。

斉木委員 ありがとうございます。経済産業委員の斉木武志でございます。

 きょうは、環境と経産の連合審査会ということで、まさに我々民主党が掲げております環境による経済成長というものをいかに遂げていくのか、そういった趣旨で質問をいたしますので、小沢環境大臣そして直嶋経済産業大臣を初めとした政務三役の皆様には、ぜひその理念を語っていただきたいというふうに思っております。

 まず、質問させていただきます。

 日本は物づくり大国でございます。燃費のいい自動車であるとかオートバイであるとか、そういったものを輸出していく、そして、エネルギー効率の高い新幹線を初めとした鉄道インフラであるとか、世界で最もCO2を出さない石炭火力発電所、そして原子力発電所、こういった日本の持っている環境技術、これまで輸出してこなかった環境インフラ、これを世界にこれから売っていくというのは、やはり今後二十年、三十年の日本の経済成長をまさに左右してくる重要な戦略だというふうに感じております。特に、年間で二百兆円近いインフラ需要というのが世界ではあります。そういったところに今まで売っていっていなかったものを売っていくというのは、非常に重要であります。

 ただ、幾ら輸出をしても、火力発電所にしても自動車にしても、相手国の発展途上国のCO2を減らした、でも、なかなかそれが日本の削減量としてカウントしにくい仕組みが今あります。ですので、日本のすぐれた環境インフラを輸出した、これは、地球全体でCO2を減らせばいいという話でございますので、やはりその相手国のCO2削減に貢献した分をいかに日本の貢献量、世界の温暖化効果ガスの排出量に対する削減の努力として、日本の削減量としてカウントできるか、やはりこの仕組みをつくっていくというのが非常に重要ではないかというふうに感じております。

 ですので、きょうは、排出量取引制度、この地球温暖化対策基本法案の中にも理念が触れられておりますが、この排出量取引制度について、まず冒頭お聞きしたいというふうに感じております。

 現行ですけれども、日本の環境技術を輸出していくときに、国連を中心としたCDMの制度があります。国連で申請をして、相手国に輸出した分を日本の削減量として認めてもらうという制度が現行あります。ただ、民間の事業者、企業に諮ってみても、申請してもなかなか認められない、最低二、三年はかかってしまうということで、非常にいら立ちが募っているのが現状でございます。

 この国連を中心としたCDM制度の現状と問題点をどのように認識されているか、両政務官にお伺いしたいと思います。

大谷大臣政務官 環境政務官でございます大谷です。

 おっしゃるとおりでございまして、三つ、四つの問題意識を今の国連のプロジェクト登録に持っております。

 一つは、委員おっしゃったように長いということ。それからもう一つは、そのプロジェクトを登録するときの審査の基準が明確ではないということ。もう一つは、まさにおっしゃるとおり、日本のすぐれた製品が海外でCO2削減に役立つ、こういうものが十分技術として認められて貢献をするようなポイントにならないということ。四つ目は、申請されたプロジェクトの中で、どの国が一番たくさんプロジェクト登録できたかというようなことに関しては偏在性がある、偏っている。

 この三つ、四つの課題がございますので、今後こんなことを解消できるように、しっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

高橋大臣政務官 委員御指摘のお話は、まさに鳩山イニシアチブの核になる部分だろうというふうに思います。

 我々経済産業省の方としては、先ほど原発のお話を出していただきましたけれども、まさに日本の強みの部分を輸出していかなければなりません。

 しかし、先ほど御指摘があったように、現行のCDM制度というのは、国連の手続で大体二年以上かかるというようなことと、それから非常に煩雑な審査だというようないろいろな問題点があって、十分に活用されているとは言いがたいというふうに認識をしております。

 原発の話もありましたが、日本は石炭火力の効率化等でも世界一の技術を持っておりますし、自動車や家電など日本の本当に強みとする部分を売り込んでいくためには、製品や技術においてこのCDMの活用が事実上困難になっているというのは我々も認識をしております。

 そういう中で、経産省としましては、途上国における温室効果ガスの排出削減を強力に進めるために民間資金とか民間技術の活用が不可欠だというふうに考えておりまして、民間企業がここに参加をしたいと思うようにするためにも、もっと柔軟性のあるメカニズムの制度の改善を図っていきたい、そのように考えております。

斉木委員 今回の法案の中にも「貢献を適切に評価する仕組みの構築」というのが第二十九条にうたわれております。これに基づいて進められていくと思うんですけれども、まず、では現状どういうふうに排出量取引というものが日本の経済に影響を及ぼしているかという点から質問させていただきたいと思います。

 現状は、京都メカニズムに沿って、二〇一二年度末にマイナス六%ということを目指して、排出量削減に日本は取り組んでおります。この削減目標を達成するために、官民あわせてクレジットを途上国から買っている状況でございます。

 どれぐらい買っているか。二〇〇八年から二〇一二年のこの五年間で、電力業界で二・五億トン買っている、そして鉄鋼業界で五千九百万トン買っている、そして国、政府で一億トン買っている。およそ四億トン強のクレジットを取得しております。これに要している金額というのが、およそ四千億から六千億円程度、クレジットにお金を投じているという現状がございます。

 ただ、これは、六千億を中国やインドを初めとする発展途上国に対して投じているわけですけれども、もったいないじゃないかと。二国間協議でクレジットを認証するような枠組みづくり、今はCDMということで国連を介して三年かけてやっておりますけれども、これからの体制としては、二国間、日本と中国であるとか、日本とインドであるとか、そういった二国間の協議で、やはり私たちの石炭火力を買っていただいた、ならば、お国の削減に貢献した分の一定割合ぐらいは日本の削減分としてカウントできないだろうか。それに関しては、かなり安い値段であるとか無償であるとか、そういった値段の面の交渉も含めて、そういった二国間で日本の削減分に反映させる仕組みづくりというのも必要ではないかと考えるんですが、その点、両省の政務三役はどのようにお考えでしょうか。

直嶋国務大臣 今委員御指摘のとおりで、私たちが考えていますのは、地球温暖化対策をチャンスととらえてグリーンイノベーションを推進する、こういう発想で、そのことによって、環境対策だけではなくて経済成長にも資するようにしていこうということであります。

 そういう面でいいますと、我が国が有するクリーンな技術や製品あるいはインフラ等の国際展開を通じて世界の排出削減に貢献をする、それとあわせて経済成長を実現し、先ほど申し上げた環境と経済の両立を実現していくという基本的考え方に立っております。

 このため、従来のCDM等にとらわれず、世界での排出削減への貢献を適切に評価する新たな仕組みを構築することが必要であるというふうに思っております。

 審議中の地球温暖化対策基本法案や途上国支援に関する鳩山イニシアチブでもこうした考えを盛り込んでおりまして、その実現に向けて、産業界や関係各省と連携をとりつつ、また、国際交渉の動向も踏まえながら、積極的にこれらの実現に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小沢国務大臣 委員御指摘のように、今回の排出権取引、この問題のそもそも論でいいますと、要は、CO2を減らして温暖化をストップさせる、こういうことでありますので、国内で減らそうと海外で減らそうと、その大もとのところは同じであります。しかし、先ほど来政務官から答弁がありましたけれども、今の国連のCDM制度のもとにおいてはそこに一定の条件がついていて、なかなかそこは厳しい、こういうことであります。

 五月の二日からボンで温暖化の閣僚委員会がございますので、もし国会が許せば、私はぜひ参加をさせていただいて、そういったまさに排出権取引あるいはクレジットのあり方論を、私自身も、今委員が御指摘の問題意識を持って提案していきたい、こう思っておりますけれども、国連という立場でいいますとなかなか難しいところがございます。

 それは二つありまして、やはり、各国の排出量をどう正確にカウントしていくのかという話が一つと、それから、残念ながら、途上国の方も余りもろ手を挙げて賛成という感じじゃないんですね。なぜかというと、途上国はいわゆる先進国に先取りされちゃう、将来、自分たちが、ある程度経済が発展していって排出権のキャップをかけられていったときに、そのときは、今度はそれを減らしていくのが大変になる。こういう話もあって、必ずしももろ手を挙げて賛成ではない。

 しかし同時に、今、直嶋大臣がおっしゃったように、国にとってはやはり経済発展の一つのベースにもなる。そんな気持ちでいるのが今の途上国の気持ちだろう、こう思っておりまして、そういう中にあって我が国は、先ほど委員が御指摘のように、これを推進することがCO2の削減にも通じるし経済成長にも通ずる、そういう道で、両省力を合わせてその道を達成できるように努力をしてまいりたいと思います。

斉木委員 ありがとうございます。

 まさに二国間で、スピーディーに日本の貢献分を日本の削減量としてカウントできる仕組み、これが本当に日本の経済成長の肝になってくる部分ですので、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 ただ、二国間でということになりますと、これは国際的な信用力をどのように担保するかというのも問題になってきます。現状は、国連が間に立っておりますので、国際信用力がございます。ただ、日中であるとか日印であるとか、二国間でということになりますと、ではそれを世界にどう認めさせるかという部分も重要になってくるんですけれども、その信用力の担保というのはどのように図っていくのか。両政務官、どうぞ。

高橋大臣政務官 まさにその部分が大変重要になってくると思うんですが、今回議論していただいております地球温暖化対策基本法案の第十条のところにも明記をしておりますし、鳩山イニシアチブの中にも、「適切なクレジット制度の構築」という部分で明記をしておるんですけれども、これについては、大変重要だということで、政府として積極的に取り組んでいきたいというふうに思うんです。

 具体的には、今後、産業界と協力をしながら、特にアジア諸国が中心になってくると思うんですけれども、具体的な削減プロジェクトを実施しながら、その有効性とか測定方法だとか検証の仕組みなどのあり方について検討、実証を行いながら、支援の実績みたいなものをつくっていきたいというふうに思っております。

 こうした成果を生かして、ほかの関心を有する国が多分出てくると思うんですけれども、そういう国々と協調しながら、今後の国際交渉の進展を踏まえて、新たな仕組みの実現に向けて取り組んでいきたいというふうに思います。

斉木委員 実は、私の選挙区は静岡なんですけれども、トヨタやホンダの創業者の出生地であり、スズキの本社工場があり、まさに日本の自動車産業の中心地と言えます。

 現状は、自動車を幾ら海外に売っていっても、日本の車は燃費効率がいいんですが、ただ、それの削減分が日本の削減量としてカウントできなかったりという課題がございます。ですので、今後、そうした自動車であるとか鉄道であるとか石炭火力とか、どのような品目を輸出していって、そのクレジット、削減量として日本に持ってこようということをお考えなのか。どの品目でできそうかというふうにお考えでしょうか。経産、環境、どちらかの政務三役の方にお聞きできればというふうに思います。

小沢国務大臣 あらゆる商品がその対象になっていいと思っておりますが、今、高橋経産政務官からもありましたように、いわゆるMRVのところをどういうふうにしていくかというのが最大の課題だということが一つと、それから、あと、鳩山内閣としては、個別単体の商品だけではなくて、いわゆる社会的インフラと呼ばれているものも、特にアジア諸国においては受け入れ可能ではないか。こういう話で、単体の商品あるいはインフラ、あらゆる商品がその対象になると思っておりますが、課題は、繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、その測定の方法がどうかという話になる、そういうことだろうと思っています。

斉木委員 ありがとうございます。

 今、インフラを考えていきたいという御答弁がありましたけれども、そのインフラの輸出に絡んで、先日、経済産業委員の数名の議員とメキシコ政府関係者と会談をいたしました。

 そのときに、メキシコ政府は日本の新幹線の整備に大分関心を示しておりまして、現状、年内に、フロリダ、カリフォルニアなどを初めとしますアメリカ、そしてブラジル、リオを中心とします、新幹線ですね、北米と南米では入札があるやに聞いております。そこに日本の新幹線も売り込もうということが始まっていると聞いておりますが、中米諸国も、南米が、ブラジルが新幹線を入札するよということであれば、カリフォルニアで走り始めるよということであれば、メキシコも貨客はあるけれども旅客が少し弱いので、そういった新幹線に、非常に安定走行もするし、インターネット環境もそろっているすばらしい車両なので、興味を示しているというふうに伺いました。

 現状、国交の担当者になると思いますけれども、メキシコに対する新幹線の売り込みというのは進めていらっしゃるのでしょうか。伺いたいと思います。

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、我が国の新幹線に代表されるすぐれた鉄道技術は、とりわけCO2の排出量が少ないということで、現在、各地からも注目を浴びております。

 そうした中で、今お触れになりましたメキシコにつきましては、本年二月にモリナール通信運輸大臣が訪日をされまして、国土交通大臣と会談をさせていただきました。その際にも、省エネ性あるいは安全性ともすぐれた新幹線技術についてお互いに意見交換をさせていただいたところで、今後、メキシコ側の対応を待って我々としても考えてまいりたい、かように考えております。

斉木委員 メキシコからは、六月になりますけれども、経済担当の大臣が来日するそうでございます。そのときに、成田から入って、帯広なども空路でございますが行くんですけれども、その間に新幹線に乗ってもらうということを大使館側でも考えているそうでございますので、こういった機会を通じて、相手国の経済担当大臣がせっかく来日するチャンスですので、そういったときに我が国のすぐれたインフラを試乗していただいて売り込んでいく、こういった戦略もぜひ考えていっていただければというふうに感じております。

 本当にこういった形で、我々委員も、まさに政務三役の目となり耳となり、いろいろ、ともに経済成長を遂げていくような委員会にしていきたいというふうに当委員会は思っておりますので、ともかく輸出したインフラをしっかりと日本の削減量としてカウントできるスキームをぜひしっかりとつくっていっていただきたいというふうにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、笠原多見子君。

笠原委員 民主党の笠原多見子でございます。

 前置きはなしにして、早速質問させていただきます。

 まず、地球温暖化対策基本法について、脱化石燃料化の趣旨をお伺いいたします。

 温暖化対策の重要性は理解しておりますが、最も大切なのは、我々の生活を支えるライフラインの確保、エネルギーの安定供給だと私は思っています。省エネ化が進み、石炭、石油等でも利用効率は上昇していますし、中長期的に見ても化石燃料をなくすということは大変難しいのではないかと思います。

 脱化石燃料化と言われていますが、それは化石燃料をゼロにするという意味ではなく、減らしていくという考えであるとの認識でよろしいのでしょうか。環境大臣にお尋ねしたいと思います。

小沢国務大臣 脱化石燃料社会という言葉は、閣僚委員会の中で議論をしている中から生まれてきた言葉でございます。結論から言うと委員の御判断で結構かと思いますが、ただ、そのときに出た意見を二つほど申し上げておきたいと思います。

 一つは、やはり化石燃料というのは炭素を含んでおりますので、将来的には、これは遠い将来でありますけれども、なくしていくという話が、CO2を削減していくという意味においては、ある意味ではそれで一〇〇%ということですから、それを目指そうじゃないか、こういう意見がありました。

 しかし、今委員が御指摘のように、そんな簡単なことではないぞということと同時に、やはり化石燃料を有効活用していく、生かしていくという道もこれまた必要だよ、こういう話もあって、例えばCCSというような技術が進んでいけば、化石燃料を使ってもCO2は大気中に出てこない、こういう話もあり得るわけです。

 そういう議論を重ねながら、しかし我々としては、とにかくCO2、Cを外に、大気中に出さない、そういう社会を目指そうじゃないか、こういう話がありまして、最終的に法案の中に書き込んだ次第であります。そこは相当議論をさせていただきました。結論から言うと、委員の御判断で結構かと思います。

笠原委員 ありがとうございます。

 また、第四章第一節第十六条に「温室効果ガスの排出の量がより少ないエネルギー源への転換を促進」とありますけれども、どのようなエネルギーを想定しているのか、お伺いしたいと思います。

小沢国務大臣 これはもう端的に言って、化石燃料的な話でいえば、天然ガスだとかLPGだとかそういう話も含まれますし、さらに将来的には、太陽光であるとか、そういった再生可能エネルギーができるだけ多くなるように、こう思っているところでございます。

笠原委員 次に、エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案についてお尋ねいたします。

 機械類であって、エネルギーの消費量との対比におけるその性能の向上の程度が高いと認められるもの及びその使用に際してのエネルギーの消費に係る環境への負荷の程度が低いと認められるものとして主務大臣が定めるものなどと定義されております。

 そこで経済産業大臣にお尋ねしたいのは、LPガス自動車についてです。

 LPガス自動車は、平成十四年二月にはクリーンエネルギー自動車として位置づけられて、グリーン購入法に指定されております。また、エネルギー基本計画において、環境負荷の低いCNG自動車やLPガス自動車については、「経済性の確保に留意しつつ、」「燃料供給インフラの整備や一定の環境基準を満たす自動車に適用される自動車税及び自動車取得税により、引き続きその導入を促進する。」と明記されております。しかしながら、LPGは低公害車に認定されておりません。

 現在では、その七五%をLPGとして輸入し、その大部分は天然ガス田や油田の随伴ガスから生産されるものとなっております。石油精製からの生産から変化しているのが現状であります。

 また、LPG車は、ガソリン車と比較すると、CO2排出量を六%から一三%削減することができると言われております。お隣の韓国では、国がLPG車を低公害車として位置づけて税制面等の政策的支援を施しておられますが、経済産業大臣は、LPG車をエネルギー環境適合製品として位置づけされるお考えはおありでしょうか。お尋ねいたします。

直嶋国務大臣 この法案では、エネルギー消費効率がすぐれているものをエネルギー環境適合製品として定義しております。法案の第二条第三項第二号に、「機械類であって、エネルギーの消費量との対比におけるその性能の向上の程度が高いと認められるものとして主務大臣が定めるもの」といたしております。

 すべてのLPG車が自動的にエネルギー環境適合製品に該当するわけではありませんが、市場に普及をしているLPG車のうちエネルギー消費効率がすぐれているものについてはエネルギー環境適合製品に位置づけられる、このように考えております。

笠原委員 ありがとうございます。

 皆様の御記憶の中にあると思いますけれども、阪神・淡路大震災のとき、都市ガスは復旧までに約三カ月を要しました。LPGは実質約十日間で復旧し、ライフラインの確保に貢献しました。また、都市ガス配管の中でつながっていない地域にも供給されています。現在の日本においては、危機管理上欠かせないエネルギーであることは間違いありません。

 私が危惧するのは、地球温暖化対策を進める中で、また非化石燃料化をうたうことによって廃業への道を余儀なくされる業種が出てきて、事業転換することのできない方々及び中山間地域や過疎地に暮らす人々が取り残されてしまうのではないかということです。

 現在、中山間地域や離島などで、地域に根差して頑張ってきたガソリンスタンドが、その形を残し、営業をやめているところをしばしば目にします。厳しい価格競争による収益性の低下や人口減による需要の減少でやむなく廃業への道をたどっていると聞いております。二〇〇八年の調査によると、町村内にスタンドがゼロになったところが五カ所もあるそうです。今はその数はさらに多くなっていると思われます。

 その結果、中山間地域などで暮らす方々は、何十キロも離れた町まで、ガソリンを入れるため、また灯油を買うために、ガソリンを消費しなければならないという悪循環に陥っています。取り残された中山間地域の方々には負担が増すとともに、省エネにも逆行する、そういったことを考えると、いろいろと課題が多いと思っております。

 電気自動車の普及促進はすばらしいと思いますけれども、電気自動車及び新エネルギーの促進、非化石燃料をうたうばかりに、事業の廃止を迫られる人々や、中山間地域を初めとする過疎地とか離島など、不便を強いられている人々のことを我々は忘れてはならないと思います。政治は常に相反することに目を向けなければならないと思います。

 地方経済が疲弊している中、経済産業省はそういった地域に住む人々のことを新たな施策とともに考えるべきだと思いますが、経済産業大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

    〔樽床委員長退席、東委員長着席〕

松下副大臣 笠原委員にお答えいたします。

 私も中山間地、山奥に住んでおりますので、よくそういう状況を目にしております。

 御指摘のように、石油製品のサプライチェーンというのは、最前線を担う給油所が年間に二千件程度減少してきておりまして、かつては六万ほどあったんですけれども、今は四万二千ほどになってきている、中山間地や山奥の方から減少してきているということでございまして、国民生活にやはり大変支障を生じているということでございまして、そうならないようにしていかなきゃいかぬ、そう思っています。

 経済産業省としましては、給油所のネットワークが維持されて、今後とも地域に根差して石油製品の供給を担っていけるように、一つは、給油所の地下タンクの入れかえとか環境対応への支援をしていきたいということでございまして、これは一度仕分けされたんですけれども、その中を改善しながら、過疎地や中山間地の方からしていきたいというふうに制度を変えていきました。

 それから、給油所過疎地における課題解決の事例紹介があるんですけれども、いろいろなことを地域で知恵を出してやってもらっております。住民が出資して、JAがやっていたガソリンスタンドが閉鎖するのを食いとめた。そして、ちょうどその地域は河川改修の地域に当たっていたものですから、その改修の賠償資金も充ててミニスーパーチェーンもつくったりして、ストアもつくってやっていこうというような工夫もしておりまして、いろいろな地域の工夫もいただきながらしっかり支えていきたいというふうに考えています。

笠原委員 ありがとうございます。

 次に、適合製品に認定を検討している、次世代自動車である電気自動車について質問をいたします。

 例えば、現在市場に出ている電気自動車については、家庭用の百ボルト電源で約十四時間の充電時間を必要とし、走行距離も約百六十キロにとどまります。このため、政府では、約三十分程度で充電可能な急速充電設備の普及に取り組んでいますが、三十分という時間は急速なのでしょうか。二台、三台と並んだら、一時間ぐらいはかかるんじゃないでしょうか。皆さん想像していただければわかると思います。また、設備の本体価格は約三百五十万と、それに同等の設置費用も必要となることが考えられます。大変課題が大きいと思います。

 このような観点からは、走行距離を延ばすといった電気自動車自体の性能向上にまずは力を入れるべきなのではないかなというふうに思います。また、その場合に、現在設置を進めている充電設備が無駄とならないような検討が必要かと考えますが、経済産業省ではどのように考えているのか、お尋ねいたします。

松下副大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、電気自動車は、現時点では、ガソリン車と比較しても走行距離が短い、それから値段も高いということで、その普及拡大に当たりましては、基盤の技術である蓄電池の高性能化と低価格化、この二つが最重要課題でございまして、今そのことに取り組んでおります。

 リチウムイオン電池の高性能化それから低価格化に向けた技術開発を行うとともに、次世代の革新的電池の研究開発を進めております。リチウムイオンを開発された吉野彰先生に一昨日お目にかかってまいりましたけれども、そういうリチウムイオン電池の性能をさらに高めていくための研究センター、民間の二十社ぐらいの企業の力もかりて進めていこうというのができたばかりでございます。

 また、電気自動車の普及には、ユーザーが電池切れの不安感なく利用できる環境を整える、御指摘のとおりでございまして、そのことが大事でございますので、この充電インフラの本格的な整備をしていかなければいかぬというふうに考えています。

 無駄が生じないように、EV・PHVタウンといった自治体レベルの町づくりとも連携して、集中的、計画的な整備を通じて、将来の本格的な普及に向けた的確な整備につなげてまいりたいということで、気合いを入れて進めてまいっております。

 いずれにしましても、次世代自動車戦略二〇一〇を取りまとめたところでございまして、今後も、技術開発やインフラ整備を含む普及策をしっかりと講じてまいりたい、そう考えております。

笠原委員 ありがとうございます。

 地球温暖化対策の中で、再生可能エネルギーに係る全量固定価格買い取り制度の創設がうたわれておりますけれども、自然エネルギーは、太陽光にせよ風力発電にせよ、天候などの気象条件に大変影響されやすく、需給バランスが難しく、配電網の強化が必要と言われています。

 第十五条二項において電力系統の整備の促進をうたっておりますけれども、最近、スマートメーター、あるいは、きょうも本会議場で使われましたけれども、スマートグリッドという言葉を経済産業省は使われておりますけれども、人それぞれに解釈が異なる気がいたします。

 政務三役の皆様は、スマートコミュニティ・アライアンスなど、そういった会合に出席されておりますけれども、スマートメーターとかスマートグリッドという言葉の定義を教えていただきたいと思います。

高橋大臣政務官 先日、東委員長にスマートコミュニティ・アライアンスという話をしましたら、横文字ばかり使うなといって怒られたんですけれども、御指摘のとおり、スマートグリッド、スマートメーターというのは、まだ完成していない部分もありまして、定義がはっきりしていないところもありますが、やはり対象を明確化していかないと進んでいかないと思いますので、明確にしていく必要があると思います。

 ただ、スマートグリッドにつきましては、ここ一年ぐらい随分使われるようになりまして、随分議論は収れんしてきていると思うんですが、御指摘のように、風力発電だとか太陽光発電だとかいろいろなものが出てくると、安定的に供給するのは大変難しくなってまいりますので、IT技術を使って自然エネルギーの導入拡大に対応していきたい。そのための、電力などの需要を調整しながらエネルギーの安定供給を可能にしていくものだというふうに考えております。

 それから、スマートメーターなんですけれども、一部外国では使っているところもあるというふうに聞いているんですが、電力会社の検針は、今は女性の方が回って、くるくる回っているメーターを見て毎月の電気代を決めているわけでありますけれども、検針とか料金徴収だとか、そういうものをもう少しオンラインを通じて便利にするようなものであったりとか、それに加えまして、見える化、エネルギーの使用量を、今どれぐらい使っているかというのが見えるような形にして省エネを進めていくという方法もありまして、こういうホームエネルギーのマネジメント機能も有したものであるというふうに考えております。

 こうしたさまざまな考えがあることを念頭に置きつつ、これから明確にしていきたいというふうに思っております。

笠原委員 ありがとうございます。

 ぜひ定義を明確にしていただきたい。今のままですと、言葉がひとり歩きしているということに大変懸念を感じておりますし、全量買い取り制度を進めていく上では絶対国民に周知徹底が必要かと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。そして、実証実験が先行して既成事実化されるようなことにならないためにも、まずもってお願いしたいと思います。

 外国に住んだ経験のある方なら、日本の電力供給のすばらしさというのを痛感された経験をお持ちだと思います。自然災害後の停電の復旧の早さも大変感心いたします。現在の日本のエネルギーの安定供給は世界一と言っても過言ではないと思います。それでも、全量買い取り制度導入のためにその供給システムの変更を余儀なくするならば、そして金銭的負担を強いるならば、国民の同意を得られるような説明をぜひともしていただきたいと思いますけれども、どのようなお考えでしょうか、お答えしていただけますでしょうか。

高橋大臣政務官 御指摘のとおり、出力が不安定な太陽光発電だとか風力発電だとか、そういう再生エネルギーを大量に導入されると、余剰電力の発生ということが出てまいりまして、電圧の上昇等の問題が起こる可能性がございます。

 電力の安定供給を維持するためには、系統安定化対策というのは当然重要なことでありますけれども、蓄電池だとか、そういうものにためておくという必要もございます。

 そういう中で、経産省では、再生可能エネルギーの全量買取に関するプロジェクトチームというのがございまして、三月末に、国民負担とか系統安定化対策も含めて、再生可能エネルギーの買い取り制度についてのオプションを国民の皆様に提示させていただきました。

 現在のところ、幅広く意見募集を行っているんですけれども、委員の地元の岐阜ではできないんですが、近くの名古屋では五月十六日に全量買い取り制度に関するフォーラムというのを開催します。全国二十一カ所で開催いたしまして、地域の皆さんから御意見を伺う予定にしております。

 今後とも、いろいろなところで国民の皆さんの意見を聞きながら、この費用等についても検討していきたいというふうに思っております。

笠原委員 ありがとうございます。

 私は、昨年の七月までの十年間、岐阜県議会議員をさせていただいておりました。昨年六月に岐阜県議会の一般質問において、経済産業省の低炭素社会に向けた技術発掘・社会システム実証モデル事業についての質問をさせていただいたんです。それで、社会システム実証といいながら、観光施設を、また耐震性にすごく問題のあるところを選定された。そういうことに大変疑問を感じて質問させていただいたわけですけれども、このような選定基準に疑問がある場所の事業には賛成できないなとそのとき思っておりました。

 私は、国のお金だからという考えがどうしても地方にあることを本当に残念に思っています。岐阜県は、有利な起債があるといいながら、国の施策に乗って多くのプロジェクトを推進して、借金まみれとなって、もうそのうち財政再建団体に陥るんじゃないかというところまで来ています。

 そういった中で、経済産業省はいろいろとこれから施策を講じていくわけですけれども、地球温暖化対策の名のもとに、環境省も含めて、前政権のような無駄な公共事業が行われないことを本当に切に願っています。

 経済産業省は、次世代エネルギー・社会システム実証地域として四カ所選定されておりますけれども、競争力強化のためにしっかり集中と選択をしていただいて、ぜひとも無駄な公共事業にならないことを重ねてお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

東委員長 次に、高松和夫君。

高松委員 民主党の高松和夫であります。経済産業委員会に所属をしております。

 四つか五つ質問がありますので、時間は非常に短いものですから、的確に御答弁をお願いしたいと思います。

 今笠原議員から質問があったことに重複するんですけれども、省の中に研究会を持ちまして、固定価格全量買い取り制度を進めているということでございますけれども、見通しについてはいかがでございますか。簡単でいいです。副大臣でも結構ですよ。政務官でもいいですよ。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 今高松委員の方から御質問がありました見通し、私どもとしては、しっかり温暖化対策を進めていきたい。鳩山政権としては二五%削減をどうしても実現するということはまさに一番の大事な肝でありますから、経済産業省としても、環境省を含め、政府を挙げてしっかりとこの問題に取り組んでいく、私どもそういう決意に変わりありません。また、これは与野党問わず、国家のあるべき姿として極めて重要な課題だと私は思っておりますので、ぜひこれは皆さんにも御協力をいただいて、この二五%削減を実現するために、あらゆる手段を講じて全力で頑張っていきたいと思いますので、どうぞ御理解をいただきたいと思っております。

高松委員 固定価格全量買い取り、これはすべての再生可能エネルギーに関して、優先的にではすべて買い取ってあげましょう、これは一体でございますね。もちろん太陽光に関しては、昨年の十一月、キロワット当たり四十八円ということで全量買い取り制が決まっておるわけでありますけれども、きょうは、再生可能エネルギーの中の風力を中心にしてちょっと伺いたいと思います。優先的にすべてのものを買い取りする、優先接続と一体であると解釈していいんでございますね。

増子副大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 買い取り制度につきましては、先ほどもお話がありましたとおり、昨年の十一月、法改正によって、私ども余剰電力を倍額で買い取るという制度を取り入れました。

 その際、やはり、この問題については、今後の再生可能エネルギーをどのような形で取り上げていくかということについてさらに議論をして、新しい制度設計も当然必要になってくるだろうということで、附則の第二項に二年後に見直すということを実は入れて、事実上の修正をさせていただきました。そのときに、全量買い取りということになれば、当然、これは太陽光、風力、バイオマス、あるいは地熱、さまざまな再生可能エネルギーをしっかりと私どもとしては取り入れていきたいということを前提として、今その制度設計をしたいというふうに思っております。

 経済産業省としても、今PTをつくりまして、この制度に対する四つのオプションをしっかりとつくり上げまして、国民集会を重ねながら、全国で二十三カ所ほど今予定しておりまして、既に八カ所終わりました。これらの御意見も踏まえながら、できるだけ早目にこれを取りまとめていきたい。そのときに、どのような形がいいのか。全量買い取り制度という言葉の中で、余剰電力だけにするのか、あるいは、まさに全量を買い取った後に使用した電力を差し引くのかとか、さまざまなケースがございますので、これらを踏まえて、一体とするかどうかも含めて、これから取りまとめに私どもは取り組んでいきたいと思っております。

高松委員 私が全量買い取りにこだわるのは、二〇〇三年にRPS法が成立しまして、これは、ある一定枠内で買い取らなきゃならないという義務づけをしましたね。これができたんですけれども、結局は、いろいろな理由があって、風力にしましてもなかなかうまくいかなかった、こういう事情があるわけであります。言ってはなんですけれども、経産省の皆さん方もやる気がなかったのかどうか知りませんけれども、産業界も余りやる気がなかった。そういうことで、立派な法律ができたけれどもうまくいかなかった。

 ですから、今度、固定価格全量買い取り制度が成立しますと、これは私は経済産業省にとっては革命的な法律だと思っておりますよ。すばらしい法律だと思っております。ぜひ、これは期待しておりますから、やっていただきたい、こう思います。

 それから、次の問題ですけれども、再生可能エネルギーの導入量が上限で三千七百七十三万キロワットですね。三千百二万キロワットから三千七百七十三万キロワットでございますけれども、この中で、太陽光に関しては二千八百万キロワット、風力に関しては五百万キロワットを目標値にしていると伺っておるわけであります。

 二〇〇五年の太陽光は百四十万キロワットですけれども、二〇二〇年にはこれの二十倍の二千八百万キロワット。風力に関しては、二〇〇五年は百八万キロワット、昨年は二百六万キロワットですけれども、これは二〇二〇年には三倍の五百万キロワットでしかないんですね。太陽光は二十倍だけれども風力はたったの三倍なんです。

 私は、風力の目標値が極端に低いと思うんです。これの根拠は何ですか、副大臣。お教えください。短くで結構です。

増子副大臣 この件については、高松委員はよく御存じでお聞きになっていると思いますけれども、いずれにしても、私ども、再生可能エネルギーの導入については、先ほど申し上げたような形の中で導入をしていきたいと思っております。

 基本法の中にも一〇%達成ということをうたっておりますが、現実問題として、一〇%達成もなかなか厳しい数字であります。しかし、これは先ほど来申し上げたとおり、しっかりと、私ども、二五%削減のために一〇%も達成しなければならないという強い気持ちを持っております。

 その中で、風力に対する数値が今出されましたが、これはあくまでも、私ども、導入の目標量ではなくて、一定の前提をもとに試算を行ったものでありまして、今後、風力に関する技術開発、あるいは立地におけるさまざまな法規制の見通し等によって、当然この利用というものは私は変わってくるものだと想定しておりますので、私どもできるだけ、太陽光のみならず風力等についても大きな余地を残しながら頑張っていきたいと思っておりますので、ぜひ御協力をいただきたいと思います。

高松委員 私どもが聞いている風力の目標値と言われる五百万キロワットというのは、固定化されたものではないというふうに解釈していいですね。一言で答弁を。

増子副大臣 固定されたものではありません。しかし、当面としてはこのような数値をとりあえず設定して、さらに、先ほど申し上げたようなさまざまな条件の中で、当然、これについては変わっていく可能性がある。そのために、一〇%達成ということをさらに私ども努力するために、当然、それは変わり得る可能性もあるということであります。

高松委員 私は、その数値が低い、このことにこだわっておるのは、実は日本風力発電協会からいただいた資料によりますと、日本全体で一億三千三百万キロワットの可能性、ポテンシャルがある。その中で、陸上は六千五百万キロワット、洋上で六千八百万キロワット、合計で一億三千三百万キロワットの可能性がある。しかし、その中で、電力会社の御事情もあるし、あるいは自然公園もあるし、いろいろな制約がありますね。こうした中で、実際やるということになると一千百万キロワットは可能性があると、実際に仕事をしている日本風力発電協会からこういうデータが出ているんです。

 私も何年か前に、イギリスの調査会社のデータを見てみましたけれども、四、五千万キロワットの可能性が、日本にはこういう風があるということを言っている。実はそういう背景がなければ私も言うわけがないし、理由はつければ百だって二百だってつくんですよ。やる気があれば幾らでもやれるわけでありまして、これだけの好条件がある。

 そして、世界の流れが今どうなっておるかと申しますと、皆さんももう十分承知だと思うんですけれども、去年、太陽光に関しては、世界で七百二十万キロワット。風力に関しては、去年の世界全体の導入量が三千五百七十万キロワット。断然風力が多いんです。そして、これまでのすべてのものを累計しますと、風力に関しては一億五千七百九十万キロワット、太陽光に関しては二千百九十万キロワット。極端に低いんですよ。これは風力の七分の一ですね。

 なぜかと申しますと、太陽光は風力に比較した場合にコストが二分の一なんですね。それからもう一つ、いわゆる風力発電の設備利用率が、太陽光の実は二倍あるんですよ。ということは四倍ということですね。

 日本においては、さっきの話に戻りますけれども、太陽光の方は導入エネルギー量が二千八百万キロワット、風力は五百万キロワット。世界の状況を見ておりますと、一億五千七百九十万キロワットが風力で、太陽光が二千百九十万。これは全く日本の状況は逆を行っているんです。世界の流れの中で、コストも安い、すべての面で風力が優位なんですよ。

 そしてもう一つ、二〇〇九年の世界の動きですね。アメリカは既に風力発電に関しては三千五百十六万キロワット、ドイツが二千五百七十八万キロワット、中国が二千五百十万、スペイン千九百十五万キロ、インド千九十三万キロワット、日本はたったの二百六万キロワットなんですね。極端に低いんですよ。

 世界と拮抗しているというならいいけれども、全く逆行しているんです。この状況から見て、私は、五百万キロワットが固定化された目標値だったら、それはもう世界の潮流に乗りおくれることになる、こういうふうに判断しておるわけであります。

 ですから、その辺、くどいですけれども、副大臣、これは政治家が旗を振らなければできるわけがない。役人の皆さんなんか、どうでもいいと言っては失礼だけれども、政治家が旗を振らなきゃこれは進む話じゃない。二〇〇三年のRPS法の経験があるわけでありますから、せっかくここで革命的な法律をつくるわけでありますから、やっていただきたい。

 どうですか、副大臣。もう一度。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 今高松委員の方から大変詳しく世界の風力発電の状況等も御説明をいただきました。私どもと全く認識は一致しております。実は、ことしの一月、経済産業省として、二班に分かれて、再生可能エネルギー導入のための固定価格買い取り制度をつくるために、欧州の視察に出ました。私も第一班として、イタリア、スペイン、フランスに行ってまいりました。確かに、外国、特に欧州では風力が主力になってきていることは間違いない事実であります。ですから、私どもとしても積極的に風力を取り入れたいという考え方はございます。

 ただ、先ほど申し上げましたとおり、まだ日本には若干法的な規制もございますし、さらにバードストライクや、あるいは風向きの問題があって、日本というのは意外と風力に欧州ほどは適している地形ではない、そういう条件もございます。

 しかし、そういう中でも、先ほど来申し上げているとおり、再生可能エネルギー一〇%達成をするためには、風力の導入も積極的にやっていかなければいけないということを強く認識しておりますので、五百万キロワットというのも、結構高い数字を私どもとしては出したつもりであります。

 しかし、先ほども申し上げたとおり、立地規制の緩和とかさまざまな要因を含めながら、何とか、これは固定したものではなくて、今後増加する可能性もあるということで私ども考えておりますので、その辺は御理解をいただきながら、再生可能エネルギーの導入、その中の風力発電の積極的な導入ということにひとつお力をおかしいただきたいと思っています。

 全力で頑張ってまいります。

高松委員 小沢環境大臣、一言聞きたいんですが、あなたは、副大臣は五百万キロワット、これはひとり歩きしているんですけれども、私が承っている数値ですと、風力に関しては一千百万キロワットが目標値だ。この背景と申しますか、随分差があるんですけれども、根拠を一言だけ、一言でいいですよ、時間がございませんから。

小沢国務大臣 私どもの中期ロードマップでの目標は一千百万キロワットでございます。根拠は、一言でということでございますので申し上げますと、先ほど委員が御指摘の日本風力発電協会の長期導入目標の数値、一千百三十一万キロワットを参考にして、それをつけさせていただきました。

 しかし、先ほどの五百万キロワットとの違いでありますが、政治も政策も風頼みではいけませんので、地に足がついた議論を経産省と一緒にしっかりやって、最終的な数字をまとめたいと思っております。

高松委員 大臣、副大臣、省庁間の調整が必要なんですよ。環境省は環境省でこうやって高い数値、あなたらはあなたらで五百万キロワット、これでは勝負になりませんよ、はっきり申し上げて。

 ですから、森林法とか海岸法とかいろいろな法律がございますね、今環境大臣の方も環境アセスをやっている。これは他の構築物と同じように、弱小資本である風力も対象にするや否やいろいろ省内で議論しているという話も聞いている。しかし、そういうことも含めて、自然公園法もありますから膨大な用地を抱えている、そういう権限も持っておるわけでありますから、新しい産業を興すために、そこはまた、一言で言えば、規制官庁かもしれませんけれども、柔軟にひとつ、広い見地に立って、高い視点に立って調整していただくことを希望しておきたいと思います。時間がありませんので答弁は要りません。

 最後に、直嶋経産大臣、そういうことで省庁間の調整も必要でございますけれども、再生可能エネルギーの中で、太陽光そしてまた風力発電、これは重要なあれだと思います。ですから、今のところ、全産業の中で非常に小さいものだと思いますけれども、いずれは、これはやっていくうちに、あっという間に日本の産業構造を変えるような大きなものになっていくと私は思っております。アメリカのオバマ大統領がグリーンニューディールを掲げましたけれども、産業革命をねらっていると思いますよ。それぐらい実はスピーディーに外国の場合はこの問題に取り組んでいるんですよ。

 この失われた二十年を振り返ってみますと、決して私は産業政策が成功したとは言いがたい、今日の数値を見ておりますと。ですから、率先して世界に向けて大手を振って、そして産業構造の転換を図るんだというぐらいの気構えで、大臣、ひとつ取り組んでいただくことを心からお願い申し上げます。一言、御答弁をお願い申し上げます。

直嶋国務大臣 今の御議論の中にありましたが、再生可能エネルギーの導入拡大というのは、エネルギー源の多様化、それから地球温暖化対策、それに、今御指摘のように環境関連産業育成という意味で、新しい産業の育成という意味から非常に重要であるというふうに思っていまして、先ほど増子副大臣からもお答えさせていただきましたが、特に再生可能エネルギーは、さまざまな分野で、関連機器、設備や部品、それから製造、販売に至るまで、すそ野が広い産業です。そういう意味で、経済効果も大きいというふうに思っておりまして、したがいまして、我々としては積極的に取り組んでまいりたいという考えでございます。

高松委員 大変ありがとうございました。これで私の質問を終わります。時間でございます。

    〔東委員長退席、樽床委員長着席〕

樽床委員長 次に、近藤三津枝君。

近藤(三)委員 自由民主党の近藤三津枝です。

 本日は連合審査でありますので、政府が提出しました基本法案につきまして、環境省と経済産業省がそれぞれどのような考え方を持っておられるのか、この点を中心に質問をさせていただきます。昨日、およそ二十問の質問項目を事前に提示しております。六十分と限られた貴重な連合審査であり、私も端的に質問させていただきます。

 四月二十日、衆議院本会議で、法案趣旨説明とこれに対する質疑が行われました。その際、小沢環境大臣は次のように答弁されています。

 先ほど、ある政党の方の趣旨説明の中で、政府案の二五%削減を推進すれば、当たり前のこととして我が国の経済成長が失われる、成長の阻害要因になるという一方的な指摘があった、批判するなら、具体的にどこがどういうふうに悪いのか批判をいただければ幾らでもお答えするけれども、そういった具体的な提示がないまま批判するのであれば答えようがない、このように指摘されました。

 私は、極力具体的な内容をもって指摘させていただきますので、抽象的な答弁ではなく端的で明快な答弁を、環境大臣そして経済産業大臣初め答弁者の方たちにはお願い申し上げます。

 私は、今回基本法案につきまして、鳩山政権発足後、環境委員会で四回、そして先日は環境関連法案の審議で経済産業省にも質問をいたしました。また、三月十九日に質問主意書も提出しています。

 その内容は、今回の政府案は、法律の組み立て自体が過去に例がない異例なものであり、憲法四十一条に定められた、国権の最高機関であって唯一の立法機関である国会の権限を侵すような法案であるというものです。実は、国会答弁で環境大臣も私の質問主意書への答弁漏れを認めていただきましたので、再度の質問主意書を昨日提出いたしております。

 このような再三の国会質問、質問主意書への政府からの答弁をもとに、政府提案の基本法案の問題を指摘させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、それではこちらのパネルをごらんいただきます。日本の温室効果ガス排出量の推移です。政府案は、二〇二〇年まで、あと十年間で九〇年の排出量十二億六千百万トンを二五%削減する、すなわち、二〇二〇年までに我が国の排出量を九億五千万トンにする、三億一千万トンも削減するという目標を示しています。

 日本の近代産業の幕あけといいますと、八幡製鉄所の第一号の高炉に火が入ったときかと思います。それが一九〇一年、今から百十年も前のことです。そのような我が国の近代産業の活動の歴史からしますと、二五%削減をしなければならないこれからの十年というのは極めて短い期間です。とても達成が困難な目標であるというふうに私は認識をしております。

 鳩山政権がマニフェストに掲げたことは、昨年夏の総選挙後、最大四年間の任期を視野に置き実行する、このように鳩山総理を初め各閣僚は再三発言をしておられます。

 二〇〇九年夏の総選挙から四年後といいますと、二〇一三年の夏までとなります。すなわち、今後十年間の三分の一の期間を視野に入れて実行するということになります。そして、二〇一三年、京都議定書の第一約束期間が二〇〇八年から二〇一二年までですから、その第一約束期間を終えた次の年がちょうど二〇一三年ということになります。

 それまでに二五%の削減量、つまり、先ほど申し上げた三億一千万トンのうち、どれほどの量を削減できると推計しているのか、お伺いいたします。小沢大臣試案という議論のたたき台を作成された環境大臣から御回答ください。

小沢国務大臣 二〇一三年の夏、こういうことでございましたけれども、まだ現時点においていわゆる真水論、内訳論を示しておりませんので、そこのところに関しましては数字は示しておりません。

 ただ、二〇一二年までに京都議定書のマイナス六%を実行していくということでございますので、その計算を当てはめれば二〇一二年の暮れには約七千万トン、こういう話になろうかと思っております。

近藤(三)委員 二〇一三年までというふうに総理、閣僚がよくおっしゃいますので、二〇一三年まで一体どれぐらいの量になるのか。このパネルにありますように、京都議定書以降、産業界を中心とした必死の省エネの努力にもかかわらず、一九九〇年から二十年間で六%を削減するということすらままならない。確定値が出ています二〇〇七年、これはごらんのように十三億七千百万トンも出していますから、プラス八・八%増加しているというのが現状です。

 そのような現状の中で、仮に百歩譲って現政権の最長任期二〇一三年までに一九九〇年の排出量まで削減できたとします。削減できたとして、二〇二〇年まで残された七年間で毎年何%削減しなくてはならないかという数字をこちらに出しております。計算したんですけれども、毎年四%ずつ削減しないといけないということなんです。

 中期目標の問題は、現政権の後も二〇二〇年まで引き続き取り組まなければならない継続性が求められる、場当たり的な政策であってはならないと思います。

 先ほどの仮定でも、民主党政権からバトンタッチする政権は、国際公約の達成のために年率四%の削減が必要だということになると思います。そのために、経済政策の縛りをかけ、国民に達成のための金銭的な大きな負担を求めなければならないということになります。

 世界各国の背中を押すという美名のもとに、みずから政権を担う可能性のある前半の四年間についてはなかなか削減量の方が明らかに出てこないというのが今の政権ではないでしょうか。子ども手当の後づけ等の負担と同じだと思うんですが、非常にこの数値が法外な目標値であるということをまず認識していただきたいと思います。

 この数字、二五%の数字の内訳というものをまず御理解いただきたいという気持ちでこのパネルをつくりました。

 続いて、各国の限界削減費用による目標値の比較をパネルにまとめました。これは、四月二十一日の経済産業委員会の審議でもこのパネルを示させていただきました。地球環境産業技術研究機構、RITEが分析したグラフです。

 各国がこれまでに示している中期目標を達成するためには、CO2を一トン削減するのにどれほどの費用を必要としているのか、すなわち限界削減費用を示したグラフですが、鳩山政権が打ち出している二五%だけが、つまり日本だけが突出して限界削減費用が高い。四百七十六ドル、日本円にして約四万円となっています。EUを見ていただきますと、二〇%削減を目標としているんですね。この限界削減費用は、真ん中の方にあります四十八ドル、日本円にしますと四千五百円にしかなりません。EUは最大三〇%削減を行う用意があるとしていますので、仮に三〇%削減に目標を引き上げたとしましても、限界削減費用は百三十五ドル、日本円で一万一千円です。つまり、日本の二五%削減の方がEUの三〇%削減より、削減目標を達成するためにかかる必要な費用、コストが高いということです。つまり、削減率の大小でそのためにかかる費用の大小をはかれないということです。

 さて、今回自民党が対案として提出している低炭素社会づくり推進基本法案の中期目標である二〇〇五年比一五%削減を見ていただきますと、こちらは百五十一ドルです。この図にありますように、EUが最大の努力をして三〇%削減を行うとしてもそれにかかるコストは百三十五ドルですから、自民党の一五%削減の方が限界削減費用が上回っているということがこのグラフからもおわかりいただけると思います。

 このことから見ましても、自民党の目標である二〇〇五年比一五%削減は、既に国際的に見て意欲的な目標であると考えております。鳩山政権が打ち出している二五%削減は、EUの目標と比べても突出しており、削減費用で見れば四倍から十倍にもなります。このように突出した目標では、国富が流出することになると私は考えております。

 RITEのCO2の限界削減費用の分析結果は、OECDの報告書を初め、国際研究機関におけるそれぞれのモデルの比較においてもよく利用されている信頼性の高い分析結果というふうに私は考えておりますが、公平かつ実効性が確保された地球温暖化の防止のための国際的枠組みの構築は大変重要です。その際、限界削減費用は、公平性をはかる上で重要な尺度だと私は考えております。

 そこでお聞きしたいのですが、小沢大臣は、限界削減費用の国際的な認知は十分に得られていない、このようによく御答弁しておられます。私は、政府が最終的に各国の削減量を評価する際には、限界削減費用は三条件の一つ、公平性の評価尺度になると考えております。この点において、環境大臣も私と同じ見解をお持ちなのか、簡潔にお答えいただきたい。

 また、この限界削減費用の考え方は、公明党の斉藤先生が環境大臣であられたときに、当時の政府が対外的な説明に役立ててきた分析手法です。今後のCO2削減の各国比較についても役立つ分析手法と公明党も考えておられるのか、答弁をお願いいたします。

 環境大臣そして公明党答弁者の順でお答えください。

小沢国務大臣 限界削減費用に関しましては、公平性を示す大変重要な概念の一つだ、こう思っております。ただ同時に、公平性を測定する、あるいは判定するという意味においては、国際社会の中ではさまざまな考え方がございまして、いわゆる歴史的排出責任であるとか一人当たり排出量であるとか、さまざまな公平性の概念があると思っています。

 それからまた、限界削減費用の算出の仕方もいろいろあると思っております。しかし、日本が最もエネルギー効率をもって取り組んできている、この事実に関しては私もそういう認識を持っております。

江田(康)議員 近藤先生の御質問にお答えいたします。

 限界削減費用は、日本は既に高度な省エネ技術が導入されておりますので、EU、アメリカと比べて限界削減費用は相対的に高いと一般的に言われております。

 御指摘の、今後の国際交渉の中で主要国が示す中期目標を評価する際の評価軸になり得るかということに関しましては、私どもも限界削減費用がその有効な一つになると考えております。

 ただ、主要国との国際的公平性を検討するには、政府のタスクフォースの中間取りまとめにもございますけれども、限界削減費用のほかに、GDP当たりの対策費用とか、一人当たりの排出量がございます。それらの、特にGDP当たりの対策費用等も含めて、この指標については十分考慮する必要があるかと思っております。

 ちなみに、今、政府案においては二五%を表明しているだけで、その中の幾らが国内対策、真水の部分になるかということが示されていないのが非常に大きな欠点の一つでございます。その真水の部分が幾らになるかということでまた評価は変わってくるわけでございまして、そういう意味においてもしっかりと詰めなければならないと思っております。ともかく、限界削減費用の均等化で見るということは一つの重要な指標であると思っております。

近藤(三)委員 ありがとうございます。

 公明党答弁者からはしっかりとしたお考えを伺えたようですけれども。

 私は、三条件の一つ、公平性の評価尺度となるとお考えかというふうに環境大臣には伺ったのですが、それに対してのお答えはいただけなかったということ。質問に対してのお答えをいただけないというのは、この委員会の意味が何なのかなというふうに考えておりますが。

小沢国務大臣 言い方がまずかったのかもしれません。もう一度申し上げたいと思います。

 大変重要な指標の一つだと思っておりますが、その他にも、いわゆる歴史的排出責任であるとか一人当たり排出量であるとか、あるいは総削減費用の対GDP比、これは先ほど江田議員もおっしゃっていましたが、等々の指標がございますので、唯一限界削減費用のみが公平性のいわゆる指標になるという意味にはなかなかなり得ない、こういうふうに思っております。

近藤(三)委員 この点につきましてはもう少し議論をさせていただきたいと思っておりますが、一言だけ。COP15の場におきましても、日本政府代表団から各国政府団にRITEの分析結果は配付されているという事実だけはコメントをさせていただきます。

 さて、小沢環境大臣は四月二十日の法案説明の演説の中で次のように発言されました。「二〇二〇年までに一九九〇年比で二五%削減という野心的な目標を掲げ、地球温暖化の防止のための二〇一三年以降の次期枠組みの構築に向けて議論を前進させてまいりました。」小沢大臣、私はこの発言だけには得心いたしました。と申しますのは、二五%削減という野心的な目標を掲げる、この野心的なという言葉です。

 広辞苑で野心という言葉を引いてみたんです。オオカミの子は、人間に飼われても山野を忘れることはできず、飼い主にも危害を加えようとする荒々しい心を持つことから、「人に馴れ服さないで、ともすれば害しようとする心」のことを野心というんだそうです。もう一つの野心の意味が、「身分不相応の大きな望み。」このように広辞苑に書いてあったんです。

 確かに、二五%削減といいますのは、国民に害を与えるようなことになる、日本の身の丈をはるかに超えた身分不相応な望み、目標だと環境大臣も思っていらっしゃるんだなという意味で、私は、ああ、初めて意見が合ったなというふうに思ったんです。つまり、二五%削減は、小沢大臣の野心、野望のために国民に大きな負担をかけ、日本の産業に少なからずダメージを与える野心的な目標というわけです。

 一方で、気になりました小沢環境大臣の発言、次の部分です。こちらのパネルをごらんいただきます。

 二十二年四月二十日、衆議院本会議で、小沢環境大臣の地球温暖化対策基本法案の説明から抜粋をさせていただきました。こちらのパネルです。抜粋ですけれども、ちょっと読ませていただきます。中期目標などを達成する取り組みは、「経済の阻害要因となるのではなく、むしろ経済成長を牽引し、新たな産業の創出を通じた雇用の増大、国民の暮らしの豊かさの実現につながるものであると確信しております。」

 特に気になるのが、確信というコメントなんです。これもまた広辞苑を引いてみたんです。確信は、「かたく信じて疑わないこと。」とあります。

 端的に言いますと、小沢大臣は、二〇二〇年までに二五%削減することは経済の成長につながり、雇用もふえ、国民の暮らしも豊かになることを確信していると発言されたわけです。そして、そのためにこの基本法案を提出した次第です、このように発言しておられます。

 環境大臣は経済政策全般に責任を持っておられるわけではないと思いますので、経済成長、雇用の分野は経済産業大臣の重要な政策課題だと考えます。

 そこで、この一見バラ色の基本法案に対する環境大臣の確信、つまり、二〇二〇年までに二五%を削減することは経済の成長につながり、雇用もふえ、国民の暮らしも豊かになるという確信を、経済そして産業を所管する直嶋大臣も持っておられるのでしょうか、お伺いいたします。

直嶋国務大臣 昨年、我が国の成長戦略を議論する際に私が申し上げましたのは、この地球温暖化対策、確かに高い目標だと思いますが、しかし、これをコストととらえるのではなくて、むしろ地域温暖化対策に人類全体が取り組むということを大きなチャンスとしてとらえよう、そして技術革新を進めて新しい産業を起こそうではないか、こういうことを申し上げまして、このカクシンは技術革新の革新だ、こういうふうに私は思っています。

 もうちょっと申し上げますと、地球温暖化対策そのものについては、もう言うまでもなく、やはり環境と経済のバランスをとる。このままでいくと、環境がもたなくなって、やがて人類も経済ももたなくなるという問題意識で、持続的な経済成長を達成するためにということで、そもそも気候変動対応の国際的な議論が始まったわけであります。

 そういう意味では、私どもは、環境と経済を両立させる、そして、産業の国際競争力を高める中で、雇用や国民生活への影響といった観点にも留意をしながら地球温暖化対策をしっかり推進していきたい、このように思っております。

小沢国務大臣 今、確信の方は直嶋大臣に答えていただいたんですが、野心的なという話は、これは大変、近藤委員に僣越至極で申しわけないんですけれども、私もその野心的なという言葉は最初は違和感があったんですが、アンビシャスという言葉をこの世界では使っておりまして、それの訳語であることは委員も御存じのとおりだと思います。そういう意味で使わせていただいています。

近藤(三)委員 今は確信のことをお伺いさせていただいたんですけれども。

 とにかく、環境大臣そして経済産業大臣ともに、私が今の御答弁をお伺いして感じますことは、現在の政権を担う政治家もそして官僚も、二五%削減によってバラ色の未来が広がっているというふうに確信しているのではなく、ただバラ色の未来が広がっているという夢を追っている、現実を直視していないなというふうに私は感じさせていただいております。

 次の質問に移らせていただきます。

 昨年末、十二月十一日に環境省は、地球温暖化対策の基本法の制定に向け、国民に意見募集をしました。中期目標についての意見はこちらのパネルにあります。このパネルは、環境省から発表されたものをそのまま掲載させていただいています。誤解があるといけませんので、環境省が発表した原文をそのままパネルにしてあります。

 一番多かった意見、表の中の1の意見で、五百二十一件です。その意見は、これまで鳩山総理が表明してきた、二五%削減を目標に定めるための前提条件、すなわち、すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が我が国の国際社会への約束であるという前提条件を堅持すべきである。現在、この前提条件の確保が不明な中で、我が国の国内での削減目標を先行して決めることには反対である。

 この反対意見は、こちらの表にありますとおり、五百二十一件、全体意見の三八%を占めています。つまり、現在、前提条件の国際的な確約がとれていない段階で、政府が基本法案の中で先行して削減目標を決めるのは反対であるという意見です。再度申し上げますと、この国民の意見は、前提が確保できていない現時点で、今回政府が提出している基本法案の中で二五%削減の中期目標を決めることには反対の意見であるというふうに物語っていると私は考えております。

 直嶋経済産業大臣もこの国民意見を私が述べたように理解しておられるのか、見解を、直嶋経済産業大臣のお考えをお示しください。

直嶋国務大臣 これは、環境省の方でホームページで募られた国民の皆さんからの意見ですか。

 私は一番は賛成です。すべての主要国の参加による意欲的な目標の合意が、我が国の国際社会への約束の前提であります。このことは、経済産業委員会でも委員に御答弁申し上げました。国際的な枠組みをつくっていかないと、地球温暖化問題の解決にはならないということであります。

 日本のCO2排出量の世界に占めるウエートは四%です。例えば中国も二〇%を超えていますし、アメリカも約二〇%です。したがって、こうした多量の排出国も含めて国際的に努力をしていこう、そういう合意ができることが、CO2あるいはそれを通した気候変動の問題を解決することにつながるというふうに思っていまして、ここは鳩山内閣の全精力を挙げて国際的な枠組みづくりに努力をしていきたい、今その努力中であるということでございます。

 それから、今ざっと見た感じで申し上げますが、いずれにしても、ここで国民の皆さんから御指摘をいただいています、例えば経済、雇用への影響、企業や国民の経済的負担、国民生活への影響、こういったことは、私どもも、これからしっかりと国民の皆さんとの対話を行いながら、その御意見をお聞きする中で、どういう影響が出るかということも提示をしながら、合意づくりに努めていきたいというふうに思っています。

 それから、三点目の、産業の国際競争力を低下させ産業の空洞化を招く、こういう御指摘もございますが、先ほど申し上げたとおり、このことを理由に日本から海外へ出ていく企業はできるだけ少なくするといいますか、私の気持ちとしては、もうそういう企業は出ないようにしたい、そういうふうに思っています。

 そういう中で、先ほどお話ししたとおり、新しい産業を積極的に育成していく。そして、従来から日本が蓄積をしてまいりました環境対応技術を生かす中で、新しい産業を育て、そして、それを活用する形で日本の経済成長を図っていきたい。

 御承知のとおり、アジアの諸国が今大変高い経済成長率を示しております。先般も、中国のことしの一―三月の経済成長が一一・九%という大変高い数字が発表されました。リーマン・ショックの不況でまだ日本は苦しんでいるんですが、アジア諸国はもう既にそれをくぐり抜けて、新しい成長過程に入っているというふうに思っています。

 特にその中で申し上げますと、私はよく、アジアの平均像は東京オリンピックのころの日本のような状況だと。それはどういうことかといいますと、それまでの輸出主導で稼いできた経済を、今、内需主導の経済に、それぞれ自律的な経済成長に向けて経済構造が変わっている、こういう状況であります。したがって、アジアの経済発展をしっかり日本が後押しを、技術を使ってサポートをしていけば、それがおのずから日本の経済成長につながってくる、このように思っています。

 いずれにしても、国民の皆さんの御意見をしっかりお聞きしながら、今後の具体的な道筋をつけていきたい、このように思っております。

近藤(三)委員 私が質問させていただきましたのは、この1の部分ですが、国民の五百二十一件の意見であるこの反対意見は、直嶋経済産業大臣も反対意見であるとお考えでしょうかというふうに質問をさせていただいているわけです。

 お答えになっていないように思いますが、再度質問をさせていただきます。国民の意見は、前提が確保できない現時点で、今回政府が提出している基本法案の中で二五%の中期目標を決めることには反対であるとこの1の答えは物語っていると私は考えておりますが、直嶋大臣もそのようなお考えなんでしょうかというふうにお伺いしたのです。

直嶋国務大臣 先ほどお答えしたつもりだったんですが、二五%は、委員も御指摘のように、いわゆる国内の真水だけではなくて、シンク部分とか排出権取引を含めた数字でございます。したがいまして、ここにあるように、削減目標を真水でまだ示しておりません。それは、先ほど申し上げたとおり、私たちは、国際的な枠組み合意ができなければ温暖化対策そのものが実効性がないというふうに思っているわけですから、まず枠組みをしっかりつくっていくということでございます。

近藤(三)委員 枠組みが必要だ、枠組みがなければこの二五%は前に進まないというお話だと思うんですが、実は、これと同じ質問を三月二十三日の環境委員会で、私、小沢環境大臣にいたしました。そのときの小沢環境大臣の答弁は、次のようなものでありました。「私どもの理解では、決して二五%に反対ではない、しかし今、各国の状況がわからない中で、その前提条件はしっかりつけてくれよ、こういう意見というふうに受けとめております。でありますので、それを逆に条件つき二五%賛成論という話に考えますと、数字は極めて拮抗している、」こういうふうに小沢大臣は答弁されたんです。

 この答弁に、委員会も、そして私も凍りつきました、唖然としました。五百二十一件の、これは反対意見です。反対意見を小沢環境大臣は賛成意見にすりかえられたわけなんです。まじめに政府の求めに応じた、意見を寄せていただいた国民の皆さん方を愚弄するようなものです。黒いカラスを白いハトと言えというようなものですよ。このような小沢大臣の姿勢ですから、本当に国際交渉を任せていいのかなというふうに思うわけです。

 ぜひ、直嶋大臣には軸をしっかりと持って国際交渉に臨んでいただきたいと思います。

 コペンハーゲンでのCOP15を間近に控えた昨年の十一月二十日の環境委員会で、私、このパネルに示す三条件について、一つ一つの定義の説明を小沢環境大臣に求めました。第一条件、すべての主要国の参加、第二条件、公平なかつ実効性が確保された地球温暖化防止のための国際的枠組みの構築、第三条件は温室効果ガスの排出量に関する意欲的な目標について合意。この三つの前提条件の定義について国会で取り上げたのは、この十一月二十日の環境委員会での私の質疑が最初でした。

 その際、小沢環境大臣は次のように答弁されています。具体的な数字で答えてほしいとの質問と思います、数字として前提条件を現時点で示すことは国際的な交渉の中にあるのでなかなかしがたいということをぜひ理解していただきたいと思います。この答弁が、今回の基本法に対する政府のスタンスだと思います。すなわち、国際交渉、これを盾にとって答弁を避ける戦術に終始しておられる。さらに、小沢環境大臣は、政府間合意に向けて日本としてCOP15で全力で議論を引っ張っていくというふうに発言されました。

 小沢大臣は国際的な合意を前提にCOP15に臨まれたわけですから、当然、昨年十二月のCOP15に、三条件の定義、そして評価基準を決めて国際会議に臨まれたことと思います。小沢大臣、その内容を明らかにしてください。三条件の具体的な内容。COP15の前だから明らかにできないとおっしゃいましたので、今はもう四月です。その内容を明らかにしていただけますでしょうか。

小沢国務大臣 例えば、すべての主要国のという、その主要国は何かとか、そういうことをお求めなんでしょうか。ということであれば、現在もまだ、いわゆるCOP15、確定をしたわけではございません。二五%の数字も確定したわけではございません。国際交渉は依然として継続をしています。

 ただ、大事な話は、これは例えば、先般本会議で総理も答弁をされていましたが、EUも今回、同じ条件つきで条約事務局の方に提出をしております。やはり、こうした条件をつけることが、まず各国の背中を押していく、そういう話にも役立ちますし、国際公約としてのある意味では実効性の一つの条件、根拠にもなるわけでありまして、こういった条件を持つことは極めて私は有効だ、こういうふうに思っております。

 現実に、さまざまな場面で話をしているときに、やはりそれは、日本はとにかく二五%をやろうとしているんだ、だからあなたたちもやってくださいよ、そして同じ枠組みをつくりましょうよ、そういう言い方は極めてやりやすいわけでありまして、この条件は現場でなかなか使い勝手がいい条件でございます。

近藤(三)委員 この三条件について、国際交渉の最中だから今は言えないという御答弁なんでしょうか。

 本日は、経済産業省から、COP15に出席された増子副大臣も出席しておられます。今環境大臣は、COP15に三つの前提条件の評価軸をもって交渉に臨んだということですが、その内容を増子副大臣も御存じだったのでしょうか。知っておられるとすれば、その評価軸は増子副大臣から見て満足のいく評価軸であったのか、見解をお示しください。

増子副大臣 お答えを申し上げます。

 本来であれば直嶋経済産業大臣がCOP15に参加をする予定でございましたけれども、国会の都合で出席できないということで、私がかわりに行ってまいりました。その際、小沢大臣、そして福山外務副大臣と三人でよく連携をとりながら、鳩山総理を補佐しながら交渉をしっかりとリードしていこうということで、我々よく連携をしてきたものと思っております。

 その中で、今環境大臣もお答えになったとおり、やはり、今回のCOP15は、コペンハーゲン合意を何としてでもまとめなければいけないという私どもの強い意思の中で、そして総理がここで強烈なリーダーシップを発揮していただいて、気候変動の枠組みを新たにつくっていこうということが当然大きな条件の一つでございました。私は、鳩山総理もこれについてはリーダーシップを十分発揮したものと思っております。

 今環境大臣がお答えになったとおり、三つの条件、当然、私どもは三人で打ち合わせをしながら、それぞれが理解をしながらこの交渉に臨んだわけでございます。

 いずれにしても、コペンハーゲン合意が、何らかの形を含みますけれども、これは辛うじて合意をなされて、一月三十一日の世界各国からの数値の提示ということにつながっていったわけでありますから、私はそういう意味で大変よかったと思っています。

 私どもの臨んだ姿勢、世界の国々の温暖化対策をしっかりリードしていこう、そのとき三条件というのは当然必要になってくることでございますから、そういう意味で、私どもは小沢環境大臣と全く同じ姿勢、考えで臨んだということでございます。

近藤(三)委員 このように、すべては国際交渉というコメントで片づけられてしまいます。

 さらにCOP15について申し上げますと、十一月二十日の環境委員会で、小沢大臣はこのように答弁しておられます。私、環境大臣としては、もし前提条件が満たされない場合は二五%の数字を変更する可能性はゼロではないが、環境大臣としてはとにかく世界の温暖化をとめたい、大事な地球の環境をいかにして守っていくかという意味において、私、個人的に環境大臣としては、もし国際合意が成り立たないとしてもぜひとも二五%の目標は頑張って努力をしてまいりたい、こんなふうに答弁されたんですね。つまり、前提条件が国際交渉で満たされなくても、環境大臣個人としては二五%削減を日本の削減目標にしたい、このように答弁されたわけです。

 環境大臣が、日本だけがひとり世界に突出した重い目標を背負い込むつもりでいることに、私は唖然といたしました。このような発言を公然とする環境大臣です。幾ら前提条件つきの二五%削減だといいましても、政府代表団のトップの環境大臣が、個人的には国際的な合意が成立しなくても二五%の削減をしたい、こんな考えで交渉に臨んでいるということでは大臣としての責任を果たしているとは言えないと思います。この点につきましては改めて政府の姿勢をただしてまいります。

 次の質問に移らせていただきます。

 先ほど示しました限界削減費用のパネルをもう一度ごらんいただきます。自民党は、自公政権時に決定した、国内ですべてを削減するということを前提として、すなわち真水一〇〇%で二〇〇五年比一五%削減を中期目標として、今国会に低炭素社会づくり推進基本法案を提出しています。このパネルのように、二〇〇五年比一五%削減でも百五十一ドルの限界削減費用がかかるということを先ほどもお示ししました。他国に比べて高いコストをかけてCO2を削減していこうという案ですので、私ももちろんこの一五%の削減は意欲的な目標に当たると考えています。

 経済産業大臣にお尋ねしますが、この削減目標は政府案の三つの前提条件の一つ、意欲的な削減目標であるのかないのか、見解をお聞かせください。仮に意欲的な目標でないとお答えになる場合は、冒頭に申し上げたように、具体的な提示がないままの批判では困りますというふうに環境大臣もおっしゃっていますので、ぜひ具体的に、どこがどういうふうに意欲的な目標ではないということなのかをお示しいただけたらと思います。その理由をお示しください。

直嶋国務大臣 一五%という、これは真水の目標ですから、私はそれなりに高いレベルの目標だと思います。特に、近藤委員御指摘のように、限界削減費用を物差しにしてはかりますと、確かに高い目標だということは言えると思います。

 ただ、私たちが言っている目標は、あくまでも国際的な枠組みの中でそれぞれの国が意欲的な目標を示すということを申し上げているわけでありまして、意欲的という言葉だけを取り出して、いろいろな定義の仕方はあると思うんですが、そういう趣旨で申し上げているわけではなくて、国際的な枠組みをつくる上での意欲的な目標、こういう言い方をしているわけでございます。

 そういう意味では、自民党さんのおっしゃっている数字にはそういう部分が入っていませんので、そもそも同じレベルで比較することは難しいのではないかというふうに思います。

近藤(三)委員 これは意欲的な目標とお考えになっているということですか。

直嶋国務大臣 さっき申し上げたように、限界削減費用という物差しを当ててみると国際的に比較してそれなりのレベルだと。ですから、それは意欲的と言えば意欲的と言えないこともないかもしれません。

 ただ、ここでお示しの数字が〇五年比一五%ですから、九〇年比に置きかえますと約八%ぐらいだと思います。そういう意味では、私どもが言っているレベルとはかなり差があるということでありますし、そもそも意欲的という言葉の使い方が、前提条件が違うんじゃないか、こういうことを申し上げているわけであります。

近藤(三)委員 三月二十三日の委員会で、同じ質問を小沢環境大臣にさせていただきました。小沢大臣は、自民党案の二〇〇五年比一五%は意欲的には物足りない数字である、鳩山内閣が掲げます意欲的な目標とは言えないというふうに発言をされました。

 この点につきましては、環境大臣と経産大臣の意見が分かれているというふうに感じたのですが、いかがでしょうか。

小沢国務大臣 そのときに私が申し上げたのは、やや控え目な数字ではありませんか、こう申し上げたと思います。

 九〇年比八%という数字は、直嶋大臣のおっしゃるように、限界削減費用の物差しを当てれば諸外国よりも高いけれども、国際交渉を引っ張っていくには物足りない数字、こういうふうに今でも思っております。(発言する者あり)

樽床委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

樽床委員長 速記を起こしてください。

 近藤三津枝君。

近藤(三)委員 小沢環境大臣に再びお伺いいたします。

 小沢環境大臣の真水での評価はどうなのか、それをお伺いさせてください。

小沢国務大臣 それは自民党の数字に対する評価でよろしいんですよね。いわゆる真水で九〇年比八%、こういう数字に対する評価はどうか、こういうことだと思いますが、それでよろしゅうございますね。(近藤(三)委員「はい」と呼ぶ)

 この間も申し上げましたように、やや控え目な数字だろうと思っておりまして、国際交渉を引っ張っていくにはやや物足りない数字、こう思っております。

近藤(三)委員 直嶋大臣とは考え方が違うように思うのですが。

 直嶋大臣、もう一度お願いします。

直嶋国務大臣 私がさっきから申し上げているのは、限界削減費用という物差しを当てればこういう数字ですが、我々が言っていることは、国際交渉の枠組みをつくる中でそれぞれの国が意欲的な目標を掲げるということを言っているわけでありまして、意欲的なという言葉の使い方が違います。したがって、これを意欲的かどうかという一般的な評価は難しいということを申し上げているわけであります。

近藤(三)委員 堂々めぐりになるようですので、次の質問に行かせていただきます。

 これまで環境大臣の基本的な考え方について質問してまいりましたが、ここで少し具体的な問題について質問します。風力発電についてです。

 小沢大臣試案、議論のたたき台には、風力発電について次のように記述されています。二〇二〇年の風力発電導入量については、二〇〇五年の百九万キロワットから千百三十一万キロワットと十倍に増加させる、このようにあります。一方、経産省の長期エネルギー需給見通しでは、風力発電の最大導入ケースで五倍の五百万キロワットとなっています。

 我が国の陸上での風力発電は、六百四十万キロワットが限界とされています。もし、環境大臣の試案を実現しようとするのであれば、海の上、洋上や、環境大臣が所管する国立公園内にも風力発電を林立させなければこの目標は達成できないのではないかと思います。しかし、このような場所に風力発電を設置しようとすれば、漁業補償の問題、そして自然環境の保全、景観の問題、環境アセスの問題などが出てきます。

 二五%削減の前提条件の一つとしています、十年後の二〇二〇年に風力発電を千百三十一万キロワットとする目標値は本当に実現可能なのでしょうか。小沢環境大臣、お答えください。

小沢国務大臣 先ほどの質問の方にも申し上げましたけれども、私どもとしては、社団法人日本風力発電協会の長期導入目標の数字を議論させていただいて、そして千百という数字を出させていただきました。当然のことながら、そこの長期目標は、いろいろな前提条件もあるかと思いますけれども、さまざまな条件を考慮してつくってきているもの、こう思っておりますし、私は、政策いかんにおいては今でも十分可能だ、こういうふうに思っております。

 しかし、また同時に、先ほども申し上げましたように、これはあくまでも環境相試案、小沢鋭仁試案でございますので、政府としての最終的な数字に関しましては、よく経産省と協議をしながら、そしてまた国民各界各層の意見を聞きながら、最終的に決めさせていただきたい、こう思っております。

近藤(三)委員 辺野古への埋め立ては自然への冒涜と発言される鳩山総理のもとの環境大臣の発言とは思えないと思います。

 四月二十一日、経産委員会で、私は増子副大臣に同様の質問をしました。そのときのお答えです。次のように答弁されています。

 大変厳しい指摘であり、委員指摘のとおり、小沢試案の中では、経済産業省としてもなかなか厳しい数字だと認識しているが、あくまで小沢試案であり、我が国としてこれを決めたわけでもなく、経済産業省としてもこの数値を認めて達成目標に向けてやっていくということではない、あくまでも小沢試案ということであり政府の案ではないということだけは御理解をいただきたいと、非常に明快な御答弁をいただきましたが、明らかに閣内不一致です。

 このような、閣内でも意思統一ができていないような、政府案でもない小沢試案なるものをもとに、十年後に二五%を削減するという削減目標を明記した政府提案の基本法案、国会で議論しろと言われましても、私たち野党は非常に困るわけです。このような認識の中で、このような状態の中で、つまり二五%の道行き……(発言する者あり)そう、ロードマップがないんですよ、試案なんですから。国際交渉の行方が不透明な中で、政府案を今国会で政府は本当に成立を目指しているんでしょうか。直嶋経済産業大臣の見解をお伺いします。

増子副大臣 私の発言を引用しての御質問でございますので、まず私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 試案ということでございます。近藤委員は、先ほど来、野心的という言葉とかいろいろお引きになっておりますので、ぜひ、この試案という言葉もお調べいただければ大変ありがたいと思っておりますけれども、いずれにしても、これは閣内不一致なんということには全くならないと私は思います。

 例えば、小沢環境大臣の試案というものが内閣のすべての案ということであって、私どもが御答弁申し上げたようなことであれば、それはそういう指摘も甘んじて受けることは当然だと私は思いますが、全くそのようなものではありません。

 私どもとしては、お互いがそれぞれの目標を掲げながら、今後よく横ぐしを刺しながら、そしていろいろな機会をとらえながら、この案をまとめていきたいというのが私どもの考え方でございますので、これから幅広く国民の皆さんの御意見を、そしてこれからこの連合審査あるいはそれぞれの委員会の中でしっかりと審議をしながら、ロードマップやさまざまな肉づけをしっかりとしながら、政府の最終的な案を決めていきたいと思っております。

直嶋国務大臣 今、増子副大臣からもお答えいただきましたが、例えば、私ども、今エネルギー基本計画の見直し作業をいたしております。その中でも、二〇二〇年に風力発電、さっき数字の議論がございましたが、そういう数字を今検討いたしているところであります。

 そして、こういうものと私どもが作成したものと合わせまして、小沢試案ともいずれすり合わせをしていく必要があるというふうに思っていまして、例えばこの温対基本法で申し上げますと、この法律を成立させていただいた後、政府で基本計画と実施計画とをつくることになっています。したがいまして、具体的に申し上げれば、そういう計画の中に政府として統一したものを入れ込んでいくということで今考えているところでございます。

近藤(三)委員 今の御答弁の中で、もう一度伺わせていただきます。

 直嶋経済産業大臣、このロードマップがない中で、二五%削減目標を織り込んだ本法案の成立を目指してやっていこうと本当にお考えであるのかどうか。

直嶋国務大臣 先ほどお答えしたとおりです。

 この法律を成立させていただきますと、政府として、基本計画と実施計画とを作成してまいります。(発言する者あり)

樽床委員長 静かに。

直嶋国務大臣 したがって、その中でより具体的な数字に基づいた計画をつくる予定でございますので、その段階で、政府としてまとめた数字も織り込んでまいりたいというふうに考えております。

近藤(三)委員 お言葉を返すようですけれども、しっかりここは申し上げておきたいと思います。

 三月二十三日の環境委員会でも、この点について小沢環境大臣にお尋ねしました。小沢大臣も、基本法であるので、基本法の性格からして、すべての細部を決めているわけではないという趣旨の答弁をされました。大変失礼ですけれども、小沢大臣もそして直嶋大臣も、この点に関しては基本的に誤解をなさっているのではないかと思います。

 基本法といっても、さまざまなものがあるんです。純粋の理念的な基本法もありますが、他方、特定分野の政策を推進するような改革基本法、それから推進基本法のようなプログラム的基本法もあります。

 しかし、本法案は、その題名からしましても対策基本法です。このように名づけていることからもわかるように、少なくとも、基本的な理念、その枠組みを決めるだけの基本法ではなくて、具体的な対策を盛り込んだ法案であるという意図が端的にこの法案の名前にあらわれています。

 つまり、地球温暖化に対処するための対策の基本法であり、国内排出量取引制度、環境税、全量買い取り制度の創設など、具体的な施策が盛り込まれております。そして、その最たる具体的な事項が、先ほどから申し上げている十年後の二〇二〇年までに我が国の温室効果ガスを二五%削減するという中期目標、これも盛り込まれているわけです。決して基本的な理念やその枠組みだけを決めるというような基本法案ではありません。

 二五%削減という目標の達成のための対策基本法であるからには、政府の統一見解としてのロードマップが提出されていないというのは問題であるということを先ほどから私は申し上げているのです。

 小沢環境大臣の試案を、先ほどから申しておりますパネルのように、増子経済産業副大臣から、あくまで小沢試案ということであり政府の案ではないということだけは御理解をいただきたい、こんな答弁が飛び出すような状態の中で、国権の最高機関たる国会でこの法案を審議する段階にはないというふうに申し上げているわけです。

樽床委員長 もう時間が経過をいたしております。まとめに入ってください。

近藤(三)委員 では、もう時間が来たようですので。

 世界の背中を後押ししたつもりが、実はタフな交渉相手にはね返されて、厳しい国際交渉の舞台から日本が転落してしまう、こんなことがないように政府にはぜひ対応していただきたいと思います。

 中期目標を幾らにするかは、二〇二〇年という今後十年間の国民生活、産業活動などに直接影響を及ぼす可能性があります。決して野心的にならずに、冷静な判断を政府に重ねて求めたいと思います。この二五%削減という数字がひとり歩きして、我々の夢を、そして我々の将来を壊すことがないように、政府のしっかりとした対応を求めたいと思います。

 以上で終わらせていただきます。

樽床委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 政府提出法案について質問をさせていただきます。

 昨年鳩山総理が二五%削減目標を掲げ、これを〇五年比で計算しますと三〇%削減になるということであります。今まで京都議定書で二十年間かかって六%削減するのに四苦八苦している国が、十五年間で三〇%削減しようということでありますので、当然のことながら、国民各層から、本当にどうなってしまうんだろうか、説明責任を果たしてほしいという声が沸き上がりました。したがいまして、国会でも、国民生活や産業界、あるいは国民負担、そして真水はどうなるんだ、そういう質問をしてまいりましたが、小沢環境大臣試案という形で半年たってようやくそれが示されたわけであります。

 そして、その試案の前提となりますモデルが伴先生のモデルです。モデルというのはもちろん限界があります。私ども国会議員がモデルの中身を議論するほど知識は持ち合わせておりません。

 ただ、我々がやらなくちゃいけないことは、そのモデルが本当に今日本が抱えている専門家の人たちの英知を結集してつくられた分析結果なのかどうか、その点を検証した上で、そうだということであれば、そこから先、中身の議論に入っていくというのが私は順番だろうと思います。

 伴先生のモデルは、きょう、実は環境委員会で参考人質疑がございました。そしてその場で、東京大学の山口先生も、専門家による検証が必要だ、現状ではモデルの評価が困難だと。そして伴先生自身も、検証が当然必要だということをお答えになりました。

 私には素朴な疑問があるんです。

 伴先生のモデルは、一五%削減よりも二五%削減をした方が雇用がふえるという結果になっているわけです。それを小沢環境大臣は引用して、雇用がふえる、こういう形で小沢試案というものを発表された。素朴な疑問というのは、もし一五%削減よりも二五%削減、つまりCO2を削減すればするほど雇用がふえるのであれば、なぜ国際交渉は難航しているのか。中国もアメリカも、自分たちも二五%じゃなくて三〇%でやるよ、こうなるのじゃないでしょうか。なぜ国際交渉は難航しているんですか。このモデルを見ると、そういう素朴な疑問があるわけです。

 そして、この疑問に対して、山口先生なり、そして伴先生御本人が検証が必要であるということですので、ぜひ大臣にお願いしたいのは、私この間の質疑で確認をさせていただきましたが、このモデルは、環境省の中の中期目標検討委員会でも一回しか議論していない、そして中央環境審議会でも議論していない、各省の専門家とも議論していない。そういうものであるわけですから、しっかりと公開の場で、きちんとした専門家の参加を得て検証していく必要があると思うんですが、そういう場を立ち上げて謙虚に検証するお考えがあるかどうか、小沢環境大臣にお伺いをしたいと思います。

小沢国務大臣 モデルの検証につきましては、中央環境審議会の中長期ロードマップ小委員会において、オープンな検討の中で、これまでのモデル分析によるさまざまな試算結果ともあわせて議論することを考えてまいりたいと思っております。

 しかし、今国会、現時点での法案は基本法の話でありまして、その参考ということであれば、伴先生のモデルは既に専門家による審査を経たものであり、十分信頼できるものと私は認識をしております。

 さらにまた申し上げますと、平成十年において、齋藤委員は御存じないかもしれませんが、当時の自公政権のもとで、地球温暖化対策の推進に関する法律案を閣議決定したのが四月二十八日、いわゆるロードマップを決定した、推進大綱を決定したのは六月十九日でございます。何らおかしいことはないと思っております。

齋藤(健)委員 十五年間で三〇%という大きな目標を掲げるわけであります。それがどういう影響を与えるかということを国民に対して説明する責任は、私は政府としてあると思います。なぜなら、法案は政府提出法案でありますし、二五%というのを法案に書き込んでいるわけでありますので、その説明責任は私は政府にあると思っております。

 しかしながら、今出てきているものは、先ほど申し上げました伴先生のモデルで、一五%削減よりも二五%削減は雇用がふえるというようなものであるわけであります。したがいまして、中央環境審議会でもどこでもいいんですが、きちんとした、これだけの専門家をそろえて検証しましたという形で、国会で基本法の審議ができるように早急に検証をしていただきたいと思います。

 検証が必要だと御本人も含めて専門家が言っている、そういうモデルだけで国会なんか十分、あとは強行採決をすればいい、まさかそういうお考えだとは思いませんが、検証結果を、この基本法の審議に間に合うように、しっかりと検証して出していただけませんでしょうか。再度お願いを申し上げます。

小沢国務大臣 まず、申し上げておりますように、四つのモデルを出しておりますので、伴先生のモデルだけではございません。

 それから、今回の法案の審議は基本法の審議でございますし、それに対して、私としては、精いっぱい、参考になる四つのモデルを示させていただいたわけでありまして、そのモデル、ロードマップを決める審議ではございません。十分だと思っております。

齋藤(健)委員 民主党の皆さんは権力を握ったんですよ。権力を握ったら、もう少し謙虚に。一五%より二五%削減することによって雇用がふえるというようなものを大臣の名前で発表されているわけです。そこについて専門家からいろいろな疑義が出ているわけです。そして、それを検証したらどうかと申し上げているんです。高い目標と、それから、特異なモデルと言うと言い過ぎかもしれませんが、少なくとも、今まで出ているモデルと、環境省の国立環境研究所が出したモデルともかなり結果が違います。そういうものをベースにして説明をされる以上は謙虚にちゃんと検証をすべきじゃないか、それを申し上げているんです。

 時間がなくなりますので、また引き続きしつこくやりますが、直嶋大臣に一つだけお伺いします。私も経済産業省に長く勤めておりまして、どっちかというと向こうの後ろの方で大臣のサポートをしている人間だったんですけれども、こういう形で質問をするというのは私もかなり違和感があるんですが、一つだけ。

 二〇二〇年に二五%削減ということが経済とか産業にどういう影響を与えますかというのを、今まで小沢環境大臣にずっと聞いていたんですけれども、よく考えてみると、これは経済産業省に聞くべき話だったのかなという気がしているわけであります。

 この法案が通れば、そして国際交渉がうまくいけば、二五%という義務がこの国にかかるわけであります。その際、経済や産業にどういう影響が出るかということを、この国会で二五%目標を議論する以上は、経済、産業に与える影響を経済産業省として国会に提出して審議をすべきだと思いますが、経済産業省の影響分析の見解を国会審議に提出されるお考えはあるのか、もしないのであれば、なぜ提出されないのかをお聞かせいただけたらと思います。

近藤大臣政務官 齋藤先生にお答えをいたします。

 この問題は大変大事な問題だと経済産業省としても受けとめておるわけであります。現在、経済産業省においては、地球温暖化対策のあり方について、エネルギー基本計画の見直しの議論を総合資源エネルギー調査会において進めております。またあわせて、成長戦略の観点も踏まえつつ検討しているところであります。

 エネルギー基本計画と、環境相の中長期ロードマップの試案、そして成長戦略とは相互に関連をしておるわけであります。これを政府全体として最終的に整合性のとれた形で取りまとめることが肝要だろう、このように考えています。したがいまして、政府全体としては、成長戦略の議論の中で収れんすることになるのかな、このように考えているわけでありますが、今後、オープンな場で関係者の方々の意見を十分に伺いながら検討していくことが極めて大事であり、経済産業省としては、省内に立ち上げた環境・エネルギー政策に関する国民対話も活用しつつ、幅広く国民の皆様の御意見を伺って検討を進めてまいりたい、このように考えております。

齋藤(健)委員 二五%削減目標というものが国内経済にどういう影響を与えるか、この基本法の審議では経済産業省は見解を示さない、そういう御答弁だったと理解してよろしいでしょうか。

樽床委員長 質問時間が終わっております。

齋藤(健)委員 では、これで最後。(発言する者あり)

樽床委員長 不規則発言はやめてください。

近藤大臣政務官 経済産業省としても、副大臣級会合のもとに設置されたタスクフォースでは、いずれの研究機関からも、九〇年比二五%を達成する場合には、国民負担の増加やGDPの減少等のマイナスの影響が出るとの分析結果が出されております。他方、世界全体での削減の取り組みが進むことにより、こうした経済的影響が緩和できる可能性も示されているところでございます。

 引き続き、我が国の前提とするところの国際的な枠組みの構築を実現すべく最大限の努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

齋藤(健)委員 続きは後日。

 ありがとうございました。

樽床委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 先ほどは公明党の提案者として答弁に立たせていただきましたが、今度は質問者として質問をさせていただきます。

 地球温暖化による気候変動対策の基本法案として、政府案、そして公明党案、自民党案の三法案が出そろって、いよいよ議論が始まったわけでございます。この地球温暖化、気候変動問題は、日本の国の将来の姿を明らかにしていく議論であると思っております。いずれの法案も、基本認識は共有しているところがございます。議論の上でよりよいものにしていく、そういう認識で質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 政府案の最大の問題点は、温室効果ガス二五%削減目標に、全主要国による公平で実効性ある枠組みの構築と意欲的な目標の合意といった前提条件をつけたことであると思っております。前提条件が満たされたと政府が判断したら二五%削減の中期目標を設定する、それまでは二五%削減の目標は施行しないということになります。いわばこれは、二五%を凍結する、また二五%を放棄する法案と言わざるを得ない。

 今、政府に求められておりますのは、持続可能な低炭素経済に転換するという明確なメッセージを国民に発信することでございます。明確なメッセージがあってこそ、国民も企業も大胆に行動を開始して、投資や技術革新も進む。これこそ環境を軸にした成長戦略の柱ではないでしょうか。

 にもかかわらず、二五%削減目標を行方のわからない国際交渉に依存して、実際に施行するかどうかを政府に全面的にゆだねるというような法律では、何のメッセージにもならないと考えるわけでございます。

 政府案にある前提条件を外して、公明党案にあるように、国際動向、最新の科学的知見を勘案して、必要があると認めるときは法律の改正をもって中長期目標を見直すことができるとする規定を設けた方が適切であると考えます。

 このような視点から質問をさせていただきます。

 まず、直嶋大臣にお伺いします。

 大臣は、平成十九年九月以降に民主党の政調会長でございました。その際、民主党が国会に提出した地球温暖化対策基本法案には、中期目標として二〇年までに九〇年比二五%以上削減のみが書かれております。今回の閣法のような前提条件はございませんでした。また、民主党マニフェストにおいても、二〇二〇年までに九〇年比二五%削減、二〇五〇年までに六〇%超減を目標とすると明記されているだけで、閣法のような前提条件はつけられておりませんでした。

 この前提条件によって、先ほども言いましたように、二五%削減目標は凍結、放棄することすらできることになります。なぜ前提条件をつけたのか。公約違反ではないか。民主党マニフェストの責任者であった直嶋大臣にその見解をお伺いいたします。

直嶋国務大臣 先ほど来お答えしていますように、我が国のみが高い削減目標を掲げても気候変動をとめることはできない。したがって、国際的な枠組みをつくる必要があるということで、今御指摘の前提条件をつけているわけであります。

 そして、この九〇年比二五%という思い切った目標を掲げることにより、その枠組みづくり、つまり、国際社会の主要国の背中を押すということでこうした目標を掲げたわけでございます。

 それで、民主党のマニフェストにはここまでは書いておりません。ただ、民主党のマニフェストの中で申し上げていることは、政策目的として「国際社会と協調して地球温暖化に歯止めをかけ、次世代に良好な環境を引き継ぐ。」そしてその下に「CO2等排出量について、二〇二〇年までに二五%減、二〇五〇年までに六〇%超減を目標とする。」ということを書かせていただいています。

 マニフェストをつくる段階では、先ほどの鳩山総理の提案のところまで具体的には詰めませんでしたが、このマニフェストにうたっていますように、国際社会と協調して地球温暖化に歯どめをかける、そしてそのために九〇年比で二五%減とする目標ということでございまして、決してマニフェストで言ってきたことと異なることを私どもが方針として掲げているわけではないということでございまして、御理解賜りたいと思います。

江田(康)委員 それでは、閣法の前提条件について具体的に聞いてまいります。

 まず、公平な国際的な枠組みというのはどういう意味か。確認しておきますけれども、どの程度の公平性がないと日本の産業界に悪影響を与えると考えておられるのか、何らかの指標を示していただきたいと思います。直嶋大臣にその見解をお伺いいたします。

 また、あわせて、公平性の指標にはさまざまございます。これは、例えば政府の地球温暖化問題に関する閣僚委員会、タスクフォースの中間取りまとめでは、先ほども近藤先生が議題に出されましたけれども、限界削減費用、またGDP当たりの対策費用、一人当たりの排出量の三つの指標で比較しています。それによれば、EUはおおむね九〇年比三〇%以上のレベルに達しないと日本の二五%レベルには達しない。アメリカはというと、GDP当たりの対策費用で見ても、九〇年比三%と今言っておりますけれども、それを五%、もしくは一一%、一七%、そういうような数字に引き上げないと日本と均等にはならないわけでございます。

 EU、アメリカについて、そのような目標引き上げの可能性はありますか。直嶋大臣の見解をお伺いいたします。

増子副大臣 江田委員にお答えをいたします。

 アメリカやEUを含む主要国の目標が十分なものであるかどうかは、予断を持つことは適当でないと考えております。我が国としては、引き続き、前提条件つきの目標を掲げ、主要国の積極的な取り組みを促していきたいと思っております。

江田(康)委員 この公平性については、先ほども申しましたように、直嶋大臣に、どの程度の公平性がないと日本の産業に悪影響を与えているのか、そういうことも含めて聞いております。

 この日本の公平性というのは、日本の二五%を含めても公平ということなのか、日本は別として世界全体を見ておおむね公平ということなのか。それもあわせてお伺いをいたします。

直嶋国務大臣 各国の温室効果ガスの削減目標を評価する際には、先ほど委員もおっしゃいましたが、限界削減費用も含めてさまざまな評価の仕方がございますし、また考え方もさまざまでございます。

 先ほど来答弁していますように、我が国の前提条件つきの目標は、主要国の背中を押して、より積極的な取り組みを進めるために掲げたものであります。したがって、何が公平であるかというのは、今後の国際交渉を踏まえる中で判断をしていくことが適当であるというふうに思っております。

 それから、何が公平かを判断する際の日本の目標ということでございますが、これは当然、私どもが掲げています数値も含めて公平かどうかという判断をすることになるというふうに思います。

江田(康)委員 次に、それでは実効性が確保された国際的な枠組みというのはどういう意味なのか、直嶋大臣の見解をお伺いします。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 我が国が前提として掲げる、すべての主要国が参加をする公平かつ実効的な枠組みがどのようなものであるかについては、今後の国際交渉の進展も踏まえつつ判断をしていきたいと思っております。

 気候変動問題への実効性ある枠組みを構築するには、米中はもとより、先進国、途上国の別なく、温室効果ガス排出削減に相応の貢献をなし得る国々がすべて参加して、お互いに検証、評価できる形で、その状況に応じた最大限の目標を掲げることが重要と私どもは考えております。

江田(康)委員 それでは、京都議定書のような強制力がなくても、つまりコペンハーゲン合意のようなプレッジ・アンド・レビューの方式でも実効性ある枠組みと考えておりますか。

増子副大臣 お答え申し上げます。

 コペンハーゲン合意は、既にその賛同国が百二十カ国を超えております。世界の二酸化炭素排出量の八割以上をカバーするなど、着実に支持を集めているところであります。

 このコペンハーゲン合意を基礎として、我が国の前提を満たす新たな包括的な一つの法的文書の速やかな採択に向けて、私どもは国際交渉に取り組んでいきたいと思っております。

江田(康)委員 いろいろ言われましたけれども、一つの包括的な枠組み、これが実効性が確保された国際的な枠組みということであって、京都議定書とまた別の新たな枠組みが併存するというようなことではないということでよろしいかと思います。

 さらに、意欲的な目標についての合意とは何を意味しますか。直嶋大臣の見解をお伺いします。

増子副大臣 意欲的な目標が何であるかについては、今後の国際交渉の進展も踏まえつつ判断していくべきものだと考えております。

 いずれにせよ、すべての主要国がお互いに検証、評価できる形で、それぞれの状況に応じて最大の目標を掲げることが重要だと考えております。

江田(康)委員 アメリカで今、二〇〇五年比で一八%、九〇年比で三%という数字が提示されております。また、中国は、二〇〇五年から四〇から四五%GDP比で削減する。こういうような目標は意欲的ではないということを環境大臣は委員会の中でおっしゃったかと思いますが、こういうような数字、基準がわからない。二五%目標というのは、国民生活に重大な影響を及ぼしてまいります。

 その目標設定の有無を政府にゆだねることを求めている、政府が決めてしまう、そういう法律であり、これは非常に問題があると思っています。基本法ですからせめて一定の判断基準を示すべきだと思いますが、直嶋大臣の見解をお伺いします。

直嶋国務大臣 それぞれの判断については、先ほど増子副大臣からもお答えさせていただきましたように、やはり外交交渉の中で判断をしていきたいというふうに思っております。この点はぜひ御理解いただきたいと思います。

 それから、もう一点申し上げますと、今、アメリカの数字と中国の数字がございました。

 これは、昨年末に出ましたときに、私ども、やはりそれぞれについてもう一段努力が必要だという評価をいたしました。これは小沢大臣のお答えと同じだというふうに思います。

江田(康)委員 結局、いろいろ申されますけれども、前提条件というのはあいまいです。政府の恣意にゆだねられている、こういうふうに思われても仕方がないような思いがします。したがって、この二五%が凍結されたり、また放棄法案になり得ること、これを懸念するわけです。

 また、さらにお聞きいたしますけれども、これは小沢環境大臣にお聞きいたします。

 国際合意が成立せずに、この前提条件が成立しない、そのような状況の間、二五%は凍結されることになるわけでございます。これはそうですよね。閣法では、そのようなときに、中期目標が設定されるまでの間においても、長期目標の達成に資するよう基本的施策について積極的に講ずるものとしているわけです。

 しかし、長期目標の達成に資するようといっても、排出削減経路はいろいろございます。どなたかが資料の中で示されたかもしれませんけれども、さまざまな排出経路がございます。国際的な共通の認識である、長期的に温暖化ガスの濃度を安定させる、それは二度C以内にしていかなければ、この人類の危機を回避することができない。そのために早期のピークアウトというのが求められておるわけですけれども、長期目標だけしかない場合においては、早期のピークアウトもできるかどうかがわからない、こういうような状況になります。

 そこで、小沢大臣にお聞きしますけれども、前提条件が満たされるまでの間においても、国際約束とは切り離して、国内対策として二五%を可能な限り真水で実現するための対策を進めるべきと国会で何度も答弁をしておられますが、これは間違いないでしょうか。本当にやれるでしょうか。一大臣の見解だけでなくて、政府としてどのようにこれを担保するのでしょうか。また、それで社会に発する強いメッセージになるのでしょうか。小沢大臣の見解を改めてお伺いいたします。

小沢国務大臣 江田委員とは恐らくほとんどのところが一致していると思いますが、いわゆる条件のところで考え方がちょっと違う、こういうことなんだろうと思います。

 ちょっと、そもそも論から申し上げて恐縮ですが、今回のこの基本法は、環境委員会では何度も申し上げておりますが、連合審査でぜひ経産の皆さんにも聞いていただきたいと思うのですが、やはり、普通の法案の構成とかなり違うのは、その条件がついているところだ、こう思います。

 では、なぜこれがついたのかということを考えたときに、国際交渉でこの数字が確定をしていないということであります。

 しかし、では、国際交渉で確定していないけれども、我々はなぜこの基本法を提案したのかということに関しては、今までの六%という数字と二五%という数字の差が余りにも大きいし、それを実現していかなければならない。そのためには、温暖化対策税だとか排出量取引制度だとか買い取り制度だとか、新たなそういった大きな制度設計もしていかなければいけない。それをするためには、やはり基本法という形でしっかり理念、考え方を示して国民の皆さんに理解を得ていただくことが不可欠だ、こう思ったからつくらせていただいたということでございます。

 その条件に関しては、公明党さんの方は、国際情勢、さまざまなことを見ながら、もし条件が変わったらそこで見直せばいい、こういうお話でありまして、我々は逆にそれを条件つきで法案の中に書いた、こういう違いであって、そこは、私としては、二五%達成していかないとこの地球を守り切れない、そういう思いに関しては全く同じだろうと思っております。

 でありますので、そういった条件がついていない場合であっても、二〇一三年以降、あるいは今日からでもいいのですけれども、国際合意の形成に向けて最大限の努力を傾け、それまでも八〇%削減に向けての努力を行い、そして、環境大臣、環境省としては、できる限り二〇二〇年、二五%の真水での削減を目指して頑張っていく、この姿勢は今も変わりはございません。

 政府としては、最終的にはよくすり合わせをさせていただいて決めさせていただきます。

江田(康)委員 私が聞いているのは、大臣が、この前提条件が満たされていない、その間でも、二五%を可能な限り真水で実現する、このことを強く決意されているわけです。

 しかし、今お話を聞くと、二五%はやらねばならない、地球を守るためにも何としてもやらねばならないという大臣の一見解のようにお伺いいたします。かつての六%から二五%へと、国民の理解を得るためにこの法案に二五%をつけて、それで法案として成立をさせようとされている。言いかえれば、法的担保はないんですね。

 また、公明党のように条件を見直す見直し条項を入れた方がいいかもしれないけれども、それはほとんど与党の提出法案と一緒だとおっしゃいますけれども、全然一緒じゃない。この見直し条項は、これはやはり国会の場で法律の改正をもって見直すわけですから、重たいですよ。でも、内閣提出の法案は、これは条件も決まっていない、基準もない、そういう中で政府が勝手に決めてしまう、そういうような不安定なものであるということを指摘しておきます。

 直嶋大臣、小沢環境大臣が二五%を可能な限り真水で実現をするとおっしゃっておられますが、大臣はどうでしょうか。

直嶋国務大臣 環境大臣のそれを目指したいという心意気はよく理解しているのですが、ただ、再三申し上げておりますが、地球温暖化対策、環境対策というのは、イコールこれはエネルギー対策でもあります。我が国が今後どういうふうにエネルギーの供給を確保していくかということと、いわばコインの裏表のような関係であります。

 それから、再三申し上げておりますように、私どもは、環境対策を一つのチャンスとしてとらえて、新しい産業を興して経済成長をしていこう、こういう目標を持っているわけであります。

 したがいまして、今、経済産業省において、エネルギー基本計画の見直しでありますとか、あるいは成長戦略の詰めを行っておりまして、それらのものと最終的にはやはり整合性を持たないと、持続的な環境対策、経済対策にならないというふうに思っておりまして、それらの整合性を求める中で最終的なところは決めてまいりたいというふうに思っております。

江田(康)委員 端的にお答えいただきたいのですが、では、真水二五%はできますか。また、真水、国内対策分をどの程度と考えておられるのか。補足があればお願いします。

直嶋国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、率直に言って真水二五%というのは非常に難しい数字だというふうに思っております。したがって、実効性も含めてきちっと詰めていきたいということでございます。

江田(康)委員 今大臣がおっしゃったのが正直なところではないかなと思います。私どもも二五%の削減目標を立てているけれども、真水だけではないです。二五%の中に、国際貢献分を、また森林吸収分を含む、そういう数値目標として決めています。例えばそれは、一五%が国内対策であり、一〇%が国際貢献分かもしれません。そういうことをやれますか、また、それを明らかにしなければ、国内対策はいろいろ制度設計がこれからあるけれども、それはできないでしょうということを言っているわけでございます。

 中期目標もない、真水の目安もまだ言えないでは、これから地球温暖化対策を強化しようとするこの法律をつくるのに、四十年先の目標があるだけで何の当面の目標もないということになるということを大変懸念するわけでございます。それが、マニフェストで地球温暖化対策を強力に推進すると言われていた民主党の政策なのか。

 そこで、私、公明党から二つ提案をさせていただきたいと思うんです。

 長期目標の八〇%も中期目標の二五%も、これは科学の要請する二度C目標を実現するためにこそあるわけでございます。それは異論がないと思います。早期のピークアウトの必要性と科学の要請によることを明確にするために、基本原則に二度C目標を書き込む、このことが、国際交渉上、また内外への強いメッセージとして、一つの法的担保として、どうしても必要になってくるのではなかろうかと思います。

 この際、小沢環境大臣に、これは何回か質疑応答させていただいております、前向きな御答弁をいただいてはおりますけれども、これについてのお考えはいかがでしょうか。

小沢国務大臣 二〇二〇年までに二五、五〇年までに八〇削減という中長期の削減目標を掲げていることから、あえて二度C目標を法案に書き込む必要はない、こういう判断でつくらせていただきましたが、二度Cにおさめるという目標については、全く思いは一緒でございます。

 今後、国民各界各層の皆さんと議論をして、さらにそういったものを明示化した方がいい、こういう意見であれば、例えば今後の基本計画の中に書き込んでいくとか、いろいろな工夫の仕方があるんだろう、こう思っておりまして、私どもとしては、いわゆる二度C以内におさめるという目標に関しては全く気持ちは同じでございますので、いろいろ検討をしてまいりたいと思います。

江田(康)委員 時間があと五分になってまいりましたのでちょっと内容をはしょらせていただきますが、もう一つの提案についてはまた御議論をさせていただきたい。せっかく外務省から福山副大臣が来られているので、これを外すと後からにらまれますので、質問をさせていただきます。

 国内排出量取引制度についてお伺いをいたします。

 経産省は、原単位方式を採用している例としてイギリスの制度を挙げておられますね。三月に、英国エネルギー・気候変動省の担当者が来日して、公開ワークショップで英国の排出量取引制度について説明を行って、外務省、環境省、経産省の幹部らと意見交換をなさいました。

 このときのことについて福山外務副大臣にお聞きします。

 英国気候変動省の担当者から、原単位方式、我々も問題と思っておりますが、この原単位方式による排出量取引制度は、国全体の総量目標の達成につながらず、日本政府に対して推奨できないことを明確に説明しているとお聞きしております。

 原単位目標を認めることは、排出量取引制度の根幹である総量削減の担保を放棄するもので、次期国際枠組みのもとで設定される我が国の総量削減目標を達成するための柱となる政策として不適当であると思います。さらに、諸外国に日本の政策の後退を強く印象づけることになるのではないか、次期枠組み交渉の進展に重大な悪影響を及ぼすものではないかと考えますが、副大臣、どうでしょうか。

福山副大臣 お答えをさせていただきます。

 私はまず、諸外国に日本の政策の後退を強く印象づけることというのはないというふうに思います。前政権下での法律がなかったことから考えても、コペンハーゲン合意での日本の貢献、さらには、それから直後での温暖化対策法案の提出等々も含めて、間違いなく国際社会の中では日本はこの問題については積極的だという認識があるというふうに思っておりますので、その心配はないと思います。

 二点目、イギリスの原単位方式の評価は先生の御指摘のとおりだというふうに私も承っておりますが、しかしながら、御案内のように、アメリカも今法案の審議が上院でストップをしている状況ですし、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアも検討に入っているところでございます。

 これから国際社会の中で排出量取引制度がどのような形で設計をされていくのか、そして、当然のことでございますが、我々は法案の中に、総量方式を基本としつつというふうに述べさせていただいておりますので、両方式の重要度の違いはおのずと明らかだというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

江田(康)委員 そのように外務副大臣からお答えをいただきましたけれども、総量方式を基本として、原単位方式も検討して、その導入も検討する、こういうことに今なっているわけでございますけれども、この原単位方式については、例えば、生産量がふえれば排出量がふえてしまう、排出量がふえれば、この二五%削減を守るためにだれか別の人が負担することになるわけで、それは国民ですよ、家庭ですよ。だから、ある企業が収益を上げるために生産量をふやしたことによる排出量増加分を、だれかほかの人がカバーしなければならないという不公平もあるわけですよね。それから、原単位を改善しても、生産量増で排出量をふやした企業が排出枠の売却で利益を得るという可能性すら出てくるわけです。

 このような原単位目標の問題点というのは種々指摘をされております。どういうような設計をなされていくか、よくよくその中で考えていただかなければならない点として御指摘をしておきますけれども、経済産業大臣の見解を伺いたいと思っております。

 ちなみに、環境大臣は、総量方式と原単位方式の問題についてイデオロギー論争だということを委員会の中でおっしゃいましたけれども、私は、そうではなくて、重大な制度上の問題であるということで、これは経済産業大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

直嶋国務大臣 私は、原単位目標もやはり捨てるべきではないということを申し上げてきました。それはなぜかといいますと、先ほど来お話ししていますように、私どもは、このことによって技術革新を推進して新しい産業を起こそうということであります。総量目標で割り振りますと、成長する産業とか新規に参入する企業にとってはなかなか厳しいことになるわけでございまして、そういう側面も含めて制度設計をすべきだ、こういうことで考えております。

 すべて原単位目標でやるべきだと言っているわけではなくて、産業や企業の状況に応じて、やはり成長すべき産業の成長の芽を抑制するやり方は、結果的には技術革新をおくらすことになり、環境対策も後手に回るのではないかというふうな意味で申し上げてきたわけでございます。

江田(康)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、成長分野への原単位方式の採用というようなところが考えられているかと思いますけれども、この国内排出量取引制度、これは経済産業省にとっても環境省にとっても、政府にとっても物すごい効果であり、影響がある制度でございます。この制度設計をする中でまたしっかりと議論を、というか、この基本法がその制度設計の方向を示しておかなければならないのに示していないから、こうやってこの委員会の場で質問をさせていただいておるところでございます。

 きょうは、前提条件並びに国内排出量取引制度、この二点についてだけでございましたけれども、質問をさせていただきました。今後、連合審査もさらに続くかと思います。この基本法、三法そろって、さらによりよいもの、その議論をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

樽床委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 温暖化対策基本法について考える上で、まず、現実の地球温暖化の現状と、事実としてあらわれている異常気象の問題、そして海面上昇、氷河、氷床の減少などは、地球温暖化対策に地球的規模で緊急に取り組まなければならないということを示しているというふうに思います。それだけに、二酸化炭素排出量を二〇二〇年に一九九〇年比で二五%削減するという法案の目標は、科学の要請、IPCCの期待する削減目標に見合うものとして評価できると考えているものです。

 それだけに、法案第一条、第十条二項、附則第一条で、主要排出国の参加が得られたときに発効するとして、二五%削減の実現を、法律上実行を停止する措置を書き込んでいる部分、ここがやはり問題があると思うんです。

 そこで、まず環境大臣に伺っておきますが、ここで言っている主要排出国とは具体的にどの国とどの国のことを言っているのかを伺います。

    〔樽床委員長退席、山花委員長代理着席〕

小沢国務大臣 何度も申し上げておりますけれども、主要国としては、米国や中国など世界全体のCO2排出量に占める割合が大きな国を想定してはおりますけれども、具体的にどの国が該当するかにつきましては、国際交渉の最中でございまして、あらかじめ申し上げることは控えさせていただきたいと思います。

 私としては、我が国が前提条件として掲げる先ほどの条件の実現に向けて最大限の努力を傾けてまいりたい、こういうことでぜひ委員にも御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 これは法律のことですから、後にやはり逐条解説といいますか解釈といいますか、これに生きてくるものをきちんとしておかなきゃいけないんですね。主要排出国とは何かと聞いたら、少なくともこの国、この国、この国ですとか、あるいは排出量が何%以上の主要な国とか、やはりそこを明らかにしないとおかしいというふうに思うんです。

 次に環境大臣に伺っておきますが、この法律上、停止措置を解除するのは政令ということになりますね、附則一条で。この政令の基準は何か。具体的にどういう状況になれば解除するという判断を下すのか。国際的枠組みというわけですが、国際的枠組みとはどういうことを意味しているのか。各国の意欲的な目標という言葉が使われておりますが、その目標数値は何なのか。この四点、固めて伺っておきます。

小沢国務大臣 これも繰り返しで申しわけありません。ただ、先ほど委員も聞いていただいたと思いますけれども、今回のこの基本法の最大の特徴は、昨年のCOP15において具体的な数字がまだ中期目標として決定をされていない、こういう条件のもとでこの基本法が構成されているということでございます。でありますので、その国際交渉は依然として今続いている、こういう状態でございます。

 しかし同時に、確定をしております数字は、二〇五〇年、八〇%、この長期の目標に関しましてはしっかりと確定をしているわけでございまして、その目標は条件なしで書かせていただいているところでございます。

 でありますものですから、改めて申し上げますと、国際的な枠組みを初めとする先ほどの前提条件につきましては、国際交渉が依然として動いておりますので、その時点においては、まだ明快なものを示すことは政府としては戦略的にもさせていただかないということで、何とぞ御理解をいただきたいと思います。

    〔山花委員長代理退席、樽床委員長着席〕

吉井委員 要するに、私、二五%削減はいいと言っているんですよ。しかし、これを停止する条項、条文がついているわけですね。その内容について書いてある法文を、これは何の意味ですか、何が基準ですかと言ったら、それがはっきりしていない。ここはやはり法律としておかしいと思うんですよ。

 ですから、環境大臣にこの問題でもう一つ伺っておきたいのは、第一条で、今言ったことですね、すべての主要排出国云々にかんがみと。第十条では、「目標は、すべての主要な国が、」云々とあって、「意欲的な目標について合意をしたと認められる場合に設定される」ですね。附則第一条では、この規定は、「すべての主要な国が、」云々とあって、「意欲的な目標について合意をしたと認められる日以後の政令で定める日」。ですから、せっかく二五%を掲げようとしているんだけれども、法律上はこれは死んでしまっているんですよ。

 だから、これは私、率直に伺いますが、この条項のこの条文を削除するべきだと思うんです。大臣に改めて伺います。

小沢国務大臣 吉井委員の方から、せっかくの二五%という目標が死んでしまっている、こういう御判断が示されましたが、決してそのようなことはないと私は思っております。

 例えば、EUの目標の二〇%、あるいはまた同じように、各国が意欲的な目標を提示することによって三〇%、そういう目標の提示の仕方をEUがしているのは委員も御存じだと思いますが、私としても、それは三〇%という数字が死んでしまっているとは少しも思っておりませんし、ぜひEUも三〇の数字に踏み込んでくれ、そうすれば我々も二五をやるんだ、そういって各国に働きかけを行っている、そういうツールになっているわけであります。

 同時に、先ほどの質問者の中にもありましたけれども、いわゆるパブコメの中にも、中期目標については前提条件を明記すべきという声が一番多かったわけでございまして、そういった意味でも、戦略的にも、国民の声に従うという意味においても、この前提条件つきの中期目標というのは、私は、なかなか削除という選択はできないということを御理解いただきたいと思いますし、これは本当に、先ほども申し上げましたけれども、交渉上大変有効であります。

 ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

吉井委員 私は、二五%を生かしていこうじゃないかということを言っているんですよ。その生かそうとするのに、何か酸素を断ってしまうような法文をつけるから、それはやめるべきだということを言っているんです。

 次に、これは政府参考人に伺っておきますが、地球温暖化にかかわる二酸化炭素の累積排出量ですね。いわゆる積分値での責任というものですが、これで多いのは、一八五〇年以降のデータで、これはワールド・リソーシズ・インスティチュートのもので、アメリカは二九・九%、三割と断トツなんですね。中国、ロシアが大体八%。

 これら人口大国に比べると、人口で十分の一の日本、あるいは四分の一という日本が排出量では半分の四%を占めているという状態だと思うんですが、まずこの事実を政府参考人に伺っておきます。

寺田政府参考人 おおむね御指摘のとおりと思います。

 ちょっとお手元のデータと違うかもしれませんので念のため申し上げますと、ただいま環境省の把握しておるところでは、委員御指摘の世界資源研究所、WRIのデータで、一八五〇年から二〇〇六年までのCO2排出量の累計で、米国が二九・〇%、中国が八・六%、ロシアが八・一%、日本は三・九%と承知しております。

吉井委員 いや、私の言うておったとおりのことを言うてはるだけですよ、それは。

 一人当たりの二酸化炭素排出量についても伺っておきますが、リーマン・ブラザーズ破綻後の経済危機に入る前の二〇〇七年の資料で見ると、インドを一とすると英国は六・六倍、日本とドイツが八・一倍、カナダが十四・五倍で、アメリカが十五・九倍、中国は日本やドイツの半分以下という状況でした。

 そこで、環境大臣にここで伺っておきたいのは、先ほどの主要排出国として挙げられている国の中には当然発展途上国もあるわけですが、途上国が先進国と同じように発展していくことを目指す、発展する権利についてはこれを認めて尊重しなければいけないと思うんですが、この点についてのお考えを伺っておきます。

小沢国務大臣 途上国においては、持続可能な発展をしていく権利を有するものと認識しております。

 そういった認識を持ちながら、この温暖化の問題に関しましては、共通だが差異ある責任という言葉を用いまして、それぞれの能力のもとで持続可能な発展に取り組んでもらう必要がある、こういう認識でございます。

吉井委員 ですから、発展途上国が持続可能な発展をしていくということについて、発展しながら二酸化炭素の排出をふやさない、そういう経済的、技術的支援を行うということが先進国には求められると思いますし、アメリカや日本など先進国は、みずから意欲的な目標を掲げて二酸化炭素排出削減に取り組むと。

 だから、そういう点では、日本が二五%を掲げることが、よそがついてくるように、よそがやるまでやりませんじゃなくて、逆なんですね。積極的に支援もすれば、日本も取り組む。この特別な重たい責任というものが日本やアメリカにはあると思うんですが、重ねて大臣に伺います。

小沢国務大臣 委員のおっしゃるとおりだと思います。

 この分野においては、そうした責任といいますか、それぞれの役割に関して、いわゆる削減と適応、削減問題、適応問題という分け方がありますが、当然、先進国は、削減の責任もある、適応に対するいわゆる途上国支援の責任もある、こう思っております。

吉井委員 現在の途上国の二酸化炭素排出量の中には、実は先進国の多国籍企業が進出して排出している量が随分大きな比重を占めております。

 環境省と経産省の両大臣に伺っておきますが、中国、インド、ベトナム、フィリピン、タイ、インドネシアの各国における、二〇〇七年における二酸化炭素排出量とその国に進出した多国籍企業の排出した二酸化炭素の量がどれぐらいになるかということですね。

 経産大臣の方には、各国の鉱工業生産額とその中に占める多国籍企業の割合というもので大体計算することができますから、伺っておきます。

 それから、環境大臣の方には、その比率に応じて各国の二酸化炭素排出量を、その中での多国籍企業のCO2排出量が幾らかということも試算できますから、CO2の排出量について今の各国別のものを伺っておきます。

直嶋国務大臣 最新のIEAの統計、これは二〇〇七年でございますが、今御指摘の国全体のエネルギー起源の二酸化炭素の排出量については、中国六十億トン、インド十三億トン、ベトナム〇・九億トン、フィリピン〇・七億トン、タイ二・三億トン、インドネシア三・八億トンとなっております。しかし、このうち先進国の多国籍企業による排出がどのくらいあるかについては、統計上明らかになっておりません。

 それから、あわせて御質問がございました鉱工業生産額のうち外資系企業の占める割合についてでございますが、これも統計のとれる国ととれない国とがございます。

 例えば中国について申し上げますと、以前にも議員にお答えしたと思いますが、鉱工業生産額は発表されてはおりませんが、企業収入が五百万元、約六千六百十万円以上を対象とした二〇〇八年の全国工業統計によれば、工業付加価値額のうち外資系企業が一九・四%を占めるというふうに公表されております。

 また、ベトナムについては、ベトナム統計局が発表する二〇〇七年のベトナム統計年鑑によれば、鉱工業生産額は一千四百六十九兆二千七百二十三億ドン、約七兆一千九百九十四億円でございますが、このうち外資系企業の占める割合は四四・六%であり、六百五十五兆三千百十二億ドン、約三兆二千百十億円となっております。

 ただ、この外資系企業の定義が余りはっきりしておりません。一説によりますと、一円でも外資が入っていれば外資系企業に入れているという説もございます。

 それから、インド、フィリピン、タイ、インドネシアについては、鉱工業生産額のうち外資系企業の占める割合は公表されておりません。

 以上でございます。

吉井委員 環境大臣に伺いましたけれども、排出量の方はもう経産大臣が答えてくれはったから。

 ただ、経産大臣は工業付加価値額の方でおっしゃったんですが、実は別な統計もあって、鉱工業生産額でいきますと多国籍企業の割合は大体三割なんですよ。ですから、中国の出している二酸化炭素排出量の三割は多国籍企業。さらには、日本なんかは、ギョーザ問題で明らかになったように、委託加工生産が随分多いんですね。中国企業であっても、日本の工場が向こうに委託して加工してもらうという分がありますから、排出量が随分大きいものになります。

 IEAの報告で紹介ありましたが、御承知のように、ベトナムの排出量というのは、一九九〇年までが二酸化炭素の排出量が大体千七百万トンなんですね。しかし、二〇〇〇年以降急増し、二〇〇七年では九千三百六十万トン。その中で海外企業の割合が、先ほどのお話の四四・六%です。ですから、最近増加した七千六百万トンの四四・六%、半分近くは、特にアジアへ進出しているのは日本企業が多いんですが、多国籍企業が出している分だということになってきます。

 そこで、環境大臣に伺っておきたいんですが、やはり、アジアのすべての国についての二酸化炭素の排出量、それから多国籍企業のそれぞれの国での排出量、母国が日本の企業の多国籍企業として排出している分とか、あるいは委託加工生産方式によって海外で排出している分、これはフードマイレージということは農水省や環境省は取り組んでおられるからよくおわかりのように、内包環境負荷という問題は非常に大きい問題なんです。

 ですから、日本で出す分を海外で出している。それについての対策をとらなかったら、やはり途上国支援にならないだけじゃなしに、国際的に見ても、二酸化炭素の排出を抑えて地球温暖化対策をとるということになっていきません。

 ですから、日本企業はよく、これ以上削減できないほど高い水準で抑制していると言うんですが、実際には、発展途上国へ出ていって二酸化炭素の垂れ流しをやっているというのが実態です。ですから、日本が二五%削減に取り組むときには、途上国へ進出して垂れ流しをしている企業の削減にも責任を持たせないことには、地球的規模での削減に日本が役割を果たすということにはなりません。

 環境大臣に伺っておきたいのは、そういうアジア各国の状況についての調査をきちんとやっていくかどうかということと、もう一つは、今回の法律で、日本の多国籍企業の海外での排出についてはどんな削減義務を負わせることになっているのか、伺います。

小沢国務大臣 諸外国、特にアジアにおける日本の多国籍企業のCO2の排出量の把握等々は、残念ながら今のところしっかりしたデータを持ち合わせておりません。

 委員の御指摘の、いわゆる海外でCO2を排出した多国籍企業についてのこの基本法の立場ということでございますが、個々の企業の問題という話は、これは基本的な理念を示すということで出しておりませんし、ましてや海外のものに関しては、この分野に関してはそれを扱っておらないというのが現状でございます。

吉井委員 時間が参りましたので、締めくくりをさせていただいて終わりたいと思います。

 まず、データのない部分については、精力的に調査をして、やはり本当に海外での日本企業の排出についても明らかにしていかないことには、地球的規模での取り組みで日本が政治的役割を果たすということができない問題でありますから、とりわけ、発展途上国に多国籍企業が二酸化炭素をどんどん持ち込んで排出する、これは、開発輸入もあれば、最適地調達、最適地生産ということで今どんどんやっているわけですが、そこについてやはり日本がもっと責任を持つ。それは今回の法律ではないというお話ですが、やはり改めて地球的規模で責任を果たす上ではそれを考えていかなきゃいけないし、これは国際会議の中でも日本政府として提起をして取り組んでいかなきゃならない問題だということを申し上げ、内包環境負荷の問題など、引き続き次の連合審査のときに質問したいと思います。

樽床委員長 本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十二分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 地球温暖化対策基本法案

 低炭素社会づくり推進基本法案

 気候変動対策推進基本法案

は環境委員会議録第九号に掲載

 エネルギー環境適合製品の開発及び製造を行う事業の促進に関する法律案は経済産業委員会議録第八号に掲載


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.