衆議院

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第1号 平成22年4月28日(水曜日)

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平成二十二年四月二十八日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

  農林水産委員会

   委員長 筒井 信隆君

   理事 石津 政雄君 理事 梶原 康弘君

   理事 小平 忠正君 理事 森本 和義君

   理事 森本 哲生君 理事 北村 誠吾君

   理事 宮腰 光寛君 理事 石田 祝稔君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      金子 健一君    京野 公子君

      後藤 英友君    佐々木隆博君

      高橋 英行君    玉木 朝子君

      玉木雄一郎君    道休誠一郎君

      中野渡詔子君    仲野 博子君

      野田 国義君    福島 伸享君

      三宅 雪子君    柳田 和己君

      山岡 達丸君    山田 正彦君

      和嶋 未希君    伊東 良孝君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      谷川 弥一君    長島 忠美君

      保利 耕輔君    西  博義君

      吉泉 秀男君    石川 知裕君

  国土交通委員会

   委員長 川内 博史君

   理事 阿久津幸彦君 理事 小泉 俊明君

   理事 田中 康夫君 理事 橋本 清仁君

   理事 岸田 文雄君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 竹内  譲君

      阿知波吉信君    石井  章君

      加藤  学君    神山 洋介君

      川島智太郎君    川村秀三郎君

      菊池長右ェ門君    熊田 篤嗣君

      黒岩 宇洋君    小林 正枝君

      中川  治君    中島 正純君

      長安  豊君    畑  浩治君

      早川久美子君    馬淵 澄夫君

      三村 和也君    向山 好一君

      谷田川 元君    若井 康彦君

      赤澤 亮正君    金子 恭之君

      北村 茂男君    林  幹雄君

      穀田 恵二君    服部 良一君

      柿澤 未途君

    …………………………………

   議員           竹本 直一君

   議員           坂本 哲志君

   議員           谷  公一君

   議員           西  博義君

   農林水産大臣       赤松 広隆君

   国土交通大臣       前原 誠司君

   農林水産副大臣      山田 正彦君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   厚生労働大臣政務官    山井 和則君

   農林水産大臣政務官    佐々木隆博君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   政府参考人

   (消防庁次長)      株丹 達也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      西阪  昇君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   農林水産委員会専門員   板垣 芳男君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案(内閣提出第四五号)

 地球温暖化の防止等に貢献する木材利用の推進に関する法律案(竹本直一君外四名提出、衆法第一六号)


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     ――――◇―――――

筒井委員長 これより農林水産委員会国土交通委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案及び竹本直一君外四名提出、地球温暖化の防止等に貢献する木材利用の推進に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 両案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野渡詔子君。

中野渡委員 おはようございます。いつもにこにこ元気印、民主党の中野渡詔子と申します。

 本日、国土交通委員会との連合審査会の場で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 先日、赤松農林水産大臣初め政務三役の皆様に、自分の地元の十和田市の、まっしぐらという品種一〇〇%の米粉パイをお届けいたしましたが、御賞味いただけましたでしょうか。多くの地域で個人の方が六次産業化に取り組んでいらっしゃるということを改めて知っていただければと存じます。

 さて、冒頭、赤松農林水産大臣に、口蹄疫と捕鯨の問題についてお伺いいたします。

 まず、宮崎県で発生しました口蹄疫の問題について、四月二十日に疑似患畜が確認され、即時に防疫対策本部を設置されるなど、緊急対応をしていただき、ありがとうございます。しかし、現時点でまだ政務三役が宮崎県入りをされていないということに納得ができません。

 確かに、三役が動くことでマスコミを含め大勢が動くことになり、口蹄疫を拡大させる可能性があるため自粛をされているということは十分に理解できますが、現場への立ち入りはせずとも、県庁や被害町役場へ訪問し、現状をその地元で聞くということが、地元酪農家、地元畜産家の皆さんの安心につながると思います。早急に対応をとっていただきたいと考えますが、どのようにお思いでしょうか。お願いいたします。

赤松国務大臣 まず冒頭、先日いただきました米粉によるパイ、本当においしくて、やはり米粉というのは、ああいうもちもち感と同時に焼くと非常においしいということで、私の近くの浜松のうなぎパイもうまいんですけれども、青森のあのパイの方がずっとおいしいなということで、これからも宣伝に努めていきます。ありがとうございました。

 さて、今御指摘のありました口蹄疫でございますけれども、あらゆる手だてをやってまいりましたけれども、残念ながら、けさも三件、また新たな口蹄疫が確認をされまして、実はきょう八時過ぎから対策本部も開催をしていたところでございます。

 そして、今委員御指摘のとおりに、なぜ政務三役は行かないんだというお話もございましたけれども、特に感染力が非常に強い病気なものですから、人体には全く影響ありませんし、口蹄疫にかかった牛肉、豚肉を食べても全く人間には影響ありませんけれども、ただ、動物同士の蔓延力は物すごくあるということで、今も、人が牛舎にいろいろ行って、それで広がったんじゃないかとか、あるいは、いろいろな飼料を配る車がそれをあれしたのではないかと。

 今、専門家の調査に付しておりますけれども、そういうこともあるものですから、マスコミの皆さん方にも、ぜひ、情報はどんどんとすべて早急にお流しするので、現地の取材はやめてほしいと。平成十二年も、マスコミの方がいっぱい行かれて現地は大混乱し、それが蔓延につながったとは言いませんけれども、そういうこともあったものですから、そういうことをお願いしている手前、私どもが、パフォーマンスとは言いませんけれども、そういうことでもって行くというのはいかがかということで、実は今まで遠慮しておりました。

 ただ、農水省としては、今、現地の九州農政局の部長を常駐させて対策本部で指揮をとらせておりますし、また本省からも、二十三人だったと思いますが、獣医師を初めとして、そういう者も現地に派遣をして万全の体制でやらせていただいています。

 また、各都道府県にも今お願いして、獣医さんと、九州は自分のことをやってください、そのほかの遠い地域はぜひお一人でもいいですから出してくださいということで人を送っていただいて、既に十名、他県から今、宮崎に入っていただいています。来週ぐらいには、全体で今二十八名まで確認ができていますので、そういう方たちも入ってもらうということにしています。

 しかし、委員からのそういう御指摘でございますので、私どもも、技術的にはアマチュアかもしれませんけれども、政務三役として、しっかり取り組みをしておる皆さん方を激励することも、これもまたプラスとも思いますので、今の御指摘を踏まえまして、あすにでも山田副大臣に、農水省を代表して、県庁なりあるいは対策本部なり、農場というんじゃなくてそういう本部のところに、激励と檄を飛ばしに行っていただこうというふうに今思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、地元農家の皆さんを安心させていただきたいと思います。お願いします。

 また、今後の拡大を考えたときに、牛の埋却地や豚のふん尿処理地の不足等が生じる可能性があります。拡大しないことが一番なんですけれども、万一に備えて早期に対応していただきたいと思いますので、重ねてお願い申し上げます。

 次に、先週四月二十二日、IWCが日本に対して、沿岸小型捕鯨の再開を認めるかわりに、南極海での調査捕鯨捕獲数を今後十年間で四百頭、二百頭へと段階的に減らすこと、北西太平洋では捕獲数を半数以下とすることの議長案を提出されました。

 今回の議長案は、日本が水面下において調査捕鯨頭数を半減してもいいという提案を踏まえていると思われますが、この議長案では将来的に調査捕鯨を禁止するという内容に受け取られます。沿岸の商業捕鯨が認められることは確かに一歩前進と言えますが、調査捕鯨が負ってきた資源確保、生態系解明等の意義が大きく損なわれることになります。

 今後、日本として、六月のモロッコで開催される年次総会に向けてどのような対応をとられるのか、また、非常に厳しい交渉になると思われますが、結果の好転、暗転にかかわらず、今後の調査捕鯨に対する体制の整備をどのようにお考えか、お答えをお願いいたします。

赤松国務大臣 IWCの事務局案というものが先日発表されました。この十数年間、私どもの捕鯨に対する基本的な考え方、日本の主張というのは、大きく言って二つ柱があると思います。

 一つは、今、調査捕鯨は認められておりますけれども、商業捕鯨はだめだということになっております。私どもとしては、堂々と商業捕鯨を認めさせる、胸を張って、商業、取引、商いのために捕鯨をやるんだ、またそれは日本の食文化でもあるんだということをまずきちっと示したいということが一つ。

 それからもう一つは、特に沿岸における小型の捕鯨、これについて、ぜひしっかりとそれを認めさせて、やりたい。なぜかといえば、今、日本近海の漁獲量というのは、魚の資源というのは非常に減っております。すべてそれが理由だとは言いませんけれども、調査によれば、少なくとも人間の三倍から五倍、年間三億トンから五億トンのイカ、サバ、アジ、イワシというようなものが鯨によって食べられているということで、それが資源の枯渇にもつながっているのではないか、そういう調査の結果もあるわけです。

 その意味で、悲願でもあります沿岸捕鯨をどうしても認めさせたいということがありまして、その二点を中心にしながら、今、反捕鯨国のいわゆる筆頭でありますアメリカとも水面下での交渉を続けながら、一部、南太平洋の、南極海での捕鯨頭数を減らしてでも、ぜひ今の二点を実現したいということで、今回、ある意味でいえば私どもの主張が入りまして、調査とか商業とかそういうカテゴリーをなくして、単に鯨をとるということの、まずそういう一つの枠組みにできた。それからもう一つは、日本沿岸における捕鯨をきちっと認めさせた。これは大きなプラスだと思っています。

 ただ、中野渡委員が今御指摘のあったように、一番不満な点は、五年間はそれでいいよ、四百頭ですよと。しかし、五年たったらそれは二百頭にしなさい、十年後はそれからまた決めましょうということは、だんだん減っていくというのは、ゼロに近づいていく前提ともとれないわけではないので、四百頭そのものはともかくとしても、それがずっと、やはり十年後も四百頭という形でなければ、いわゆるゼロにすることを前提として認めるということにもとられかねないということで、これは非常に厳しい交渉になると思いますけれども、私自身が先頭に立って、何としてもこれを認めさせるということで、全力を挙げて、モロッコへも行きまして、頑張ってやっていきたい、このように思っております。

中野渡委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 日本が調査捕鯨において果たしてきた役割と、食物連鎖、科学的意義の観点からも、正しいデータを諸外国に理解してもらえるよう、引き続きの御尽力をお願いいたします。

 では、本法案の質疑に入ります。

 今の社会は、経済も生活もまだまだ厳しい状況にあり、その中で、民主党を中心とする政権が、森林・林業再生プランを打ち出し、そして今回、本法案を提出されたことは、林業に関係する多くの方々に希望を与えるものと受けとめています。

 本法案では、国の責務として、みずから率先して木材の利用に努めるとあります。国の公共建築物として、私たちの目の前には、本年六月竣工予定の議員会館があります。

 そこで伺いたいのですが、新議員会館において、どのくらいの木材が使われているのか、また、使用箇所が主に何であるのかを教えてください。

長安大臣政務官 私は米粉パイはいただいておりませんけれども、御答弁させていただきます。

 今御質問のございました新議員会館でございますけれども、この議員会館、PFIで、民間事業者の建設となっております。この業務要求水準書の中に、木材を有効活用するようにということで定めさせていただいておりまして、利用の促進に努めておるところでございます。

 具体的には、議員事務室ほかの、幅木ですね、それからエントランスホール、エレベーターホール、また国際会議室でも使われておりますし、また階段の手すりなどにも木材が使われておるところでございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 お答えから、たくさん使われているような印象はありますが、実際には、床面積の延べ面積であったりとか、その資材の量からすれば、一%に満たるか満たないか、そういうような内容になっています。全然木材が利用されておりません。

 この新議員会館は、平成十五年に予算要求が決定されまして、平成十七年に事業費等が計上、平成十八年より着工されています。平成十三年に森林・林業基本法が改正され、森林・林業基本計画も策定されました。その中に、一部省略しますが、関係府省、地方公共団体等が連携して、展示効果やシンボル性の高い公共施設や公共土木工事の木材利用を推進するとあります。

 当時、既に森林・林業は苦境に立たされており、地球温暖化問題も世界的に取り上げられていたことを考えれば、今回、議員立法で提出された議員の皆さんは、この計画を途中で変更して、新議員会館の内装に国産材を使用し、木材利用を促進することが可能だったのではと思うのですが、いかがお考えでしょうか。

竹本議員 お答えいたします。

 議員会館の整備事業ですが、私も、これを計画するときに議院運営委員会の理事をやっておりまして、いきさつはよく知っております。全政党の代表がそこに集まりまして、全政党の御意見を聞いてこのようにしたわけです。

 それで、今、先生が見られたら、木材が十分利用されていないんじゃないか、こういう御意見ですけれども、そういう側面があるのも事実だと思います。

 と申しますのは、公共施設において木材を積極的に活用すべきだという法律も当時はありませんでした。ただ、我々は別途、木材を公共施設等においてもっともっと活用すべきだ、そうすることによってCO2を減らし、日本の環境を浄化するのに木材を活用すべきだと。要するに、木材はCO2を固めたものですからね。そして、木材を切った後に新しい木を植えれば、それがまた若い木がどんどんどんどんCO2を吸収するから、そういう社会をつくろうという運動はしておりましたけれども、まだそういうことが法律として成っておりませんでした。何よりも、各政党の御意見を全部聞いて、このようにまとめたわけであります。

中野渡委員 ありがとうございます。

 衆議院の第二議員会館にモデルルームがありますので、まだごらんでない議員の皆様には、よしあしの判断は別として、ぜひ見ていただきたいと思います。

 例えば、学校の木造校舎と鉄骨校舎では、学力、健康面で差異が生じているというデータが出されています。私たち議員も、日常から木のぬくもりに囲まれた中であれば、より健康になり、より洗練された思考を持って、より一層いい政治ができたのではないかと残念に思います。

 さて、公共建築物における木材の利用促進について、農林水産大臣と国土交通大臣が基本方針を定めるとありますが、第六条第二項について、どのような内容になるのか、具体的な御説明を赤松大臣、前原国土交通大臣、両大臣にお願いいたします。

山田副大臣 私の方から、大臣にかわって答えさせていただきたいと思います。

 パイは大変おいしくいただきました。

 基本方針ですが、まず、木造にすることについての温暖化対策の意義、それから、ターゲット、どういうところをその対象にするか。例えば、三階より下の公共建物はすべて木造でやるとか、あるいはそれ以上高い建物についても、内装については木造ですべて行う。

 また、供給面についても、川下、川上といいますか、いわゆる林業の施業、路網の整備とか、人材の育成とか、あるいは加工工場の水平化とか、新生産システムの構築とか、そういったものが基本計画の中にきちんと盛り込まれていくものだ、そう考えております。

前原国務大臣 中野渡議員にお答えします。

 私も米粉のパイをぜひいただきたいと思います。

 基本方針の概要につきましては、今、山田農林水産副大臣が御説明をされたとおりでございますが、特に国土交通省としましては、国が整備をする公共建築物における木材の利用の目標を定めるに当たりまして、比較的木造化が容易な低層の公共建築物については、原則としてすべて木造化を図る、こういうことを決めておりまして、今後、農林水産省並びに関係省庁と調整をしながら定めてまいりたいと考えております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 この基本方針のもとで、国産材利用が推進されることになりますので、両大臣におかれましては、コンクリートから木への思いを新たに、また現場で汗を流していらっしゃる林業家の方たちを思って、一層力強い法律となるよう、お取り組みいただきたいとお願い申し上げます。

 木材の利用については、これまでも、地方公共団体や民間では積極的に取り組んできているところもあります。これに対してさらに頑張れというのでは、押しつけ法案になってしまいかねません。地元産木材を使用する、あるいは国産材を使用する場合、林業家の皆さんの所得補償につながる、より優遇された助成制度を拡充していくべきと思います。

 建築用木材というと、地域地域の名木もあります。例えば、青森ヒバや秋田杉がありますが、主には杉です。では、広葉樹はどうでしょうか。成長の早い杉に比べると、広葉樹を育てるのは根気と年月が必要になりますが、森を元気にする、土を生き返らせる、海を豊かにするためには、混合植林をもっと推進し、広葉樹も建築用木材としてもっと利用を促進すべきではないかと思われますが、赤松大臣、どのように思われますか。

山田副大臣 きょうは、大臣にかわって、済みません。

 広葉樹林も針葉樹林と同様に、これから非常に大切になります。私は、北海道の富良野に、広葉樹と針葉樹の混合林を一回見せていただきましたが、これから秋田のヒバとかブナとか、そういったものも大変大事な建築材になりますし、混合林の大切さを、農水省としてもしっかり頑張っていきたい、そう思っております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 今回、赤松農林水産大臣、前原国土交通大臣に御質問させていただきまして、ありがとうございます。

 農業、林業、漁業は切り離して考えることができない産業だからこそ、農林水産業と総称されているんだと思います。森が元気になることで土が豊かになり、里が恵みをもたらされ、海が実る、農林水産業を一体ととらえた制度を確立していくために政府を支えていきたいと思っています。どうぞ両大臣におかれましては、山に、森に、地域に人が戻る、山も森も生き返り、人と動物が共生できる里山づくり、地域づくり、そして真の地域主権確立のために御尽力いただけますようお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

筒井委員長 次に、川村秀三郎君。

川村委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの川村秀三郎です。

 私の地元で口蹄疫が発生いたしましたので、口蹄疫について質問したいところではありますけれども、時間が短く限られておりますし、大臣にも二度お会いいただきまして、迅速な対応をしていただいておりますので、引き続きの対応をお願いしまして、早速、本題であります公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案、これについて御質問をさせていただきます。

 現下の森林・林業、それから木材産業、木材利用の現状を考えますと、この法案はまことに時宜を得た、木材利用の拡大に活路、そして突破口を開く極めて有意義な法案だというふうに思っておりまして、心から賛同いたします。この法案を取りまとめられました農林水産省、そして国土交通省、政務三役を初め関係の皆様に深く敬意をまず表したいと思います。

 御案内のとおりでございますけれども、木材価格の長期低迷から、山の手入れが思うように進んでおりません。そしてまた、森林関係の産業の衰退を招いております。こういった危機的な状況を打破する、そして、日本学術会議等で試算されております七十兆円という公益的機能、国土保全とか水資源の涵養、そしてまた昨今問題になっております地球温暖化のCO2の吸収源、こういった機能を持っていますが、これを高度に発揮させるという意味でも、そしてまた、地域を支えている林業、林業関係の産業、こういったものを再興するためにも、木材の利用の拡大を進めて、そして需要を増大していく、これがまさに本筋だということで、そういう意味で賛意を表するわけであります。

 ただ、言うまでもないことではありますけれども、法案をつくるだけではだめなわけでございまして、この法律の施行を確実に実施していく、そしてまた、この法律は公共建築物等ということで対象が限られておりますが、これを牽引車として、他の木材の需要拡大の取り組みをさらに強化していく、あわせて行っていくということが肝要かと思います。

 そこで、まず前原大臣にお尋ねをしたいと思いますけれども、まず、この法案の直接の対象となります公共建築物等、今も御答弁がございまして、基本的に低層のものについては木造を義務化する、こういうことでございます。ただ、これまで公共建物は基本的にはRC一本で進んできまして、木造建築というものには非常になじみが薄い、なれていない、そして専門家も少ないということがございます。そういう意味で、官庁営繕の木造化の技術基準といいますか設計基準、これが大きな意味を持つと思いますので、これについてどういうことで進められるのか。また、国もそうですけれども、地方も、やはり木造建築、特に大型のものについてはふなれだと思うんですね。そういう意味で、地方への普及をどうされるのかということを、まず一点としてお願いしたいと思います。

 それから二つ目は、これは公共建築物等ですが、それ以外にも、例えば土木工事で構築物あるいは工作物。木材というと耐久性が弱い、強度が弱いとかということがございますが、今技術が進歩して、私の地元でも、大型の橋でも木製でつくるとか、そういうことも現になされております。こういうこともありますので、こういったものについてどう進められるのか。

 それから、やはりすそ野を広げるという意味で、三点目でございますけれども、一般の建築物、特に住宅、こういうものに木造を進めていかなくちゃいけないと思います。そのための対応策。補助事業など用意されているようでございますけれども、これについての決意を改めてお伺いしたい。

 それから四点目として、この法律をしっかり管理していくという意味では、進行管理、これが大事だと思いますので、毎年でも進捗状況をチェックしていただいて、そして本当に確実にこの法案を実行していただく、そういうことが大事だと思います。

 その四点について、ちょっと長くなって恐縮でございますが、国土交通大臣にお答えいただければと思います。

前原国務大臣 川村委員にお答えします。

 進捗状況につきましては、長安政務官からお答えをさせていただきます。

 今御指摘ありましたように、木材利用というものを公共、民間、あるいは橋、そういったものにも広めていくためにどうしていくのかということでございますが、公共建築物等での木材利用を推進するための、先ほど委員も御指摘ありました木造建築物の官庁営繕基準というのがございます。これを作成して、民間の建築物や住宅についても木材の利用が推進されますように、まず一つは、構造、そして防火面の先導的な設計や施工技術を導入する大規模木造建築物の建設に対する補助、これを基準の中に策定して入れてまいります。そして、木造建築物の設計上のポイントを用途別にまとめた事例集による情報提供を、これは地方やあるいは民間に対してもしっかりやっていきたい、このように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほどお話がありましたように、木造建築物にかかわる技術基準を整備して、これをしっかり地方公共団体や民間にも伝えていくという役割を国としてしっかり行い、先ほど申し上げた補助制度も活用しながら、広めさせていただきたい、こう考えております。

長安大臣政務官 お答え申し上げます。

 木材利用の推進状況について国交省としてどのようにフォローアップをしていくのかということでございますけれども、地方公共団体、民間事業者、さらには国民全体に対しまして木材の利用の意義また効果をアピールするには、国みずからが、今回法律の中にもございますように、基本方針に基づく取り組みの内容や目標の達成状況等を積極的に国民の皆様に明らかにすることが重要だと認識をいたしております。

 国交省といたしましては、農林水産省と連携を図りながら、国の庁舎における木造化や内装の木質化の取り組み状況等についても調査を行うとともに、ホームページ等でも公表することを検討してまいりたいと考えております。

川村委員 今、前原大臣、そして長安政務官からお答えいただきました。本当にありがとうございます。そういうことで、ぜひこの法案を本当に実効あるものにしていただきたいなということを重ねてお願いいたしたいと思います。

 次に、法案にも書いてありますが、木材の需要拡大を図る上では、供給面でどう対応していくかということも極めて、需要があるのに物がロットとしてまとまらない、品質が落ちる、こういうことではなかなか木材の利用拡大は進まないと思います。

 この法案にも、木材の製造高度化計画等、入っております。そういった専用の木材を供給するということももちろん大事でございますけれども、通常供給されているものを組み合わせて、トラス構造とかいろいろやりますので、そういうものをちゃんとやるということ。供給体制を単に特殊なものに特化するということではなくて、普通の、通常材も活用してできるといったような体制をとらないと、需要と供給のバランスで立ち行かなくなるという事例も宮崎ではありましたので、そういうことをぜひ考えていただきたいと思います。

 木材の供給、自給率五〇%ということで、森林・林業再生プランでも盛り込まれましたけれども、まず、大臣の供給面での努力、そして五〇%に向けての決意をぜひお伺いしたいと思います。

赤松国務大臣 川村委員御指摘のとおり、林野庁長官をやられた方ですので専門家ですから、その辺のところはもう十分御承知で御質問されていると思いますけれども、幾ら森林の整備を進めても、切り出した木材が有効に活用される、安定的にそれを受け入れていただけるということでなければ、いわば川上だけの整備ではだめなわけで、川下についても、製材メーカーの皆さんあるいはハウスメーカーの皆さん方とも今いろいろ協議をしながら、しっかりといい国産材をそういう形で利用していただく。あるいは、新技術も利用しながら、米松と日本の杉とを合わせたようなそういう新しい使い方、付加価値を高め、強度も強くしというようなことも含めて、しっかり取り組ませていただきたい、このように思っております。

川村委員 どうもありがとうございました。

 まさにこの法案は、冒頭申し上げましたように非常に画期的な法案でございますので、ぜひ、国土交通省、農林水産省が一丸となって所期の目的を達成していただきたいと思います。

 特に木造建築につきましては、まだコストがかかるとか、強度が低いとか、いろんな偏見といいますかそういうものがございます。また、現場の建築士とか建築関係者を含めて、木造建築に対する意識といいますか、そういうものがまだ低いと思いますので、そういう面も含めて、ぜひ両省が一丸となって取り組んでいただきたいということをお願いして、質問を終わらせていただきます。

筒井委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。きょうは質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 実は私は、衆法の提出者でもあります。したがって、ルールにより衆法提出者には聞けず、政府案について幾つか質問をしたいと思います。限られた時間でございますので、各大臣におかれましては簡潔に答弁を願えれば幸いであります。

 さて、質問に入る前に、昨日、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体陸山会の土地購入をめぐる事件で、検察審査会は小沢氏について、審査員十一人の全員一致により起訴相当と議決をされたところであります。

 私は、この決定、判断は重く受けとめなければならないと思います。まして、我々政治家は人並み以上に国民の思い、感覚ということを大事にしなければならないし、その判断も尊重しながら身を処していかなければならないと思っております。

 前原国土交通大臣、昨日の決定をどう判断、政治家として受けとめられましたか。御所見をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 谷委員にお答えいたします。

 この件について、特にコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

谷委員 昨日のテレビでも同じような大臣のコメントをお聞きいたしましたが、もう一度、それでは一般的に、検察審査会のこの判断、一般的にですよ、決定ということは、私は重く受けとめなければならないと思います。

 私の地元兵庫でも、明石の歩道橋で警察署の幹部がこの審査会の決定により起訴されました。また、同じ兵庫県でちょうど五年前に起きた、前原大臣もこの前、追悼式典に出席していただきましたが、JR西日本の福知山事故にかかわる事件で、元社長三人が起訴ということになりました。

 一般的に、こういう検察審査会の判断、決定ということは、政治家として前原大臣、大臣はどういうふうに受けとめるべきだ、受けとめなければならないのか。御所見をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 お答えします。

 この検察審査会という制度については、一回目に起訴か不起訴かということで判断がなされて、起訴となれば三カ月以内に検察がそれを受けてどうするのかしないのか、それにおいて、また何もしないとか、あるいは不起訴相当と検察がした場合に、また検察審査会によって判断が下される、こういうことでございますので、物事が確定をするのは、次の二回目があるかどうかわかりません、検察がどう動くかわかりませんが、そのことによって定まってくる、そういう認識を持っております。

谷委員 何か、ややすれ違いでございましたが、しかし、きょうは木材利用の審議でございますので、本題に入らせていただきます。

 別に与野党を問わず、これから我が国を、政治をリードする、リーダーたり得る前原大臣だからこそ、しっかりとした政治家としての所見を私は聞きたい、そういう思いがありましたが、やや残念でありました。

 木材利用について、さて、これから質問をさせていただくわけでございますけれども、中身は三つの項目に分かれております。

 一つは、やはり私なりに、私も山村と言われる地域に生まれ育って、現在も住んでおりますけれども、いろいろな壁がある。一つは町づくりをするに当たっての壁、そして二つ目は建築基準法と各省庁の施設の設置基準という壁、そして三つ目は農林水産省の壁であります。まず、町並みづくりの壁についてからお話に入らせていただきたいと思います。

 お手元にカラーの写真があろうかと思います。これは、各議員が用意するということで、何ときょうは合同審査でカラーで百二十枚も、いや、実際、大変物入りでございました。しかし、これは白黒であれば、この町並みの景観というのが出ないんです。

 これは私の選挙区の兵庫県北部の城崎温泉であります。千四百年の歴史を誇る大変古い温泉です。この城崎は、大正十四年に北但大震災という地震、そして大火災で壊滅的な被害を受けました。当時の写真を見てみますと、外湯は倒壊、旅館街も消滅、焼け野原という言葉がありますけれども、まさしくそういう感じの状態になりました。この城崎地区、七百戸ぐらいあったんですけれども、当時、五百四十八戸が焼失している。死者も二百人をたしか超えたかと思います。

 そして、この壊滅的な震災を受けて、町の人たちは立ち上がりました。自分たちの土地を提供して道路を広くして、そして河川の幅を広げて、木の橋をコンクリートもしくは石の橋にして、そして木造の三階建ての棟ばかりではなくてコンクリートの建物を入れる、そして公共施設は自分たちで頼んで防火の用をなすようにした、あるいは防火壁も設置した、そういう町づくりを続けてきました。

 あわせて、景観に配慮した、ここに今各委員の皆さん方のお手元にもあると思いますが、情緒のあるこういう町づくりをずっと進めてきたところであります。地域の方々が自主的に、外壁の色とかテントとか屋根とか壁面とか、そして看板とか、あるいは、冷暖房機の室外機というのがありますけれども、それを自主的に目隠ししよう、こういうこともやりました。自販機も、あれは赤とか割と派手な色がありますね。それをメーカーに話をして、周囲に調和するように色も変えてくれ、そういうことも今やり、そしてそれが実を結んで、まだ完全ではありませんけれども、電線地中化にも一部既に取り組んでいまして、こういう町並みができ上がってきたところであります。

 そして、古い日本の木造三階建て、写真の一ページ目にございますように、こういう旅館も今なお残っております。一ページ目の左下が、かの有名な志賀直哉が大正の初めに「城の崎にて」を書いた三木屋旅館です。右側が、一番今では由緒あると言われている、大きい、格式の高い西村屋という旅館であります。こういうふうに綿々と残っている。

 しかし、このときも、私の現地を見た写真を添付させていただいているんですけれども、やはり町の方が言うには、今は何とかこの景観を守れている。しかし、木造がいつまでも永久にもつものではありません。また建てかえなきゃならない。では、そのときに同じような建物が建てられるかというと、壁がある。壁は二つだ。建築基準法と消防法だ。大変厳しいと。

 それで、私なりにいろいろ考えて、やはり今の、それぞれ各省庁も頑張っていると思います。しかし、建物ごとの規制ということで、こういう城崎のように、町全体で一生懸命、防火壁をつくって、土地を提供して道路を広くして、災害に強い町づくりに建つ、そういう町にある建物と、そうでない、いわば自然発生的に密集している建物と、規制は基本的に同じなんですね、建築基準法もあるいは消防法も。

 このことについて、大変硬直的といいますか、町全体の安全性ということを加味した規制になっていないのではないか。その辺について、これは今すぐはなかなか難しいです。難しいんですけれども、そういう観点でこの問題をとらえて、法規制のあり方というのをぜひ考えていただきたいと思うんですが、前原大臣の御所見をお伺いします。

前原国務大臣 お答えをいたします。

 私も、大学のときに友人たちと初めて城崎温泉に行ってから大変好きになりまして、もう数え切れないぐらい城崎温泉には行っておりますけれども、大変いい町並みで、外湯もすばらしくて、本当にすばらしい温泉地だと思っております。

 それで、今、谷委員から御指摘ありました建築基準法におきましては、火災に対する安全性を確保する観点から、建築物の用途や規模に応じた規制がなされておりますけれども、これに加えて、都市計画法に基づいて地方公共団体が防火地域や準防火地域などを指定して、防火に関する規制を強化することが可能となっております。

 防火地域や準防火地域の指定は、地方公共団体の判断で解除することが可能だということになっています。例えば、私の選挙区の京都市におきましては、祇園という地域があります。祇園の南側、それこそ電柱地中化になって非常にいい町並みが続いているところでありますが、あの地域は、平成十五年の二月に、防火地域及び準防火地域の指定を解除した上で、建築基準法に基づく条例を定めて、それ以降、自主的な防火に対する取り組み等を考慮して、防火地域及び準防火地域よりも緩やかな独自の防火規制を実施しております。

 今、先生が御指摘をされた兵庫県の城崎温泉では、防火地域や準防火地域の指定はされておりませんが、特定行政庁である兵庫県が屋根、外壁についての防火の観点から規制の区域に指定をして、防火に関する規制が今強化をされております。したがいまして、京都市の場合と同様に、兵庫県が、特定区域の指定を解除した上で建築基準法に基づく条例を定めていただいて、自主的な防火に対する取り組み等を考慮して、防火地域及び準防火地域よりも緩やかな独自の防火規制を実施することは、制度上可能となっている、こういうたてつけになっております。

谷委員 今の大臣の答弁、そのとおりだと思います。私も京都の木屋町、それは聞いています。ただ、私がここで大臣にお伝えしたかったのは、現実はなかなか厳しいということなんです。現実にそういういろいろな手続をとって。ですから、制度、建築基準法による規制そのものを、町全体の安全性というものを加味したような法体系を目指していくべきではないかという、いわば問題提起なんです。それをしっかりと受けとめていただきたいと思います。

 きょうは消防庁にも来ていただいていますが、消防の規制も同じようにやはり単体の規制で、町全体の安全性というのはほとんど加味されていないと思うんですね、現行法規では。株丹次長にお尋ねします。

株丹政府参考人 委員御指摘ございましたように、消防法、原則といたしましては単体の建築物で基準を考えてございます。これは、火災となりました建物において必要な応急対策の実施を確保するというのが考え方のもとにございまして、そういう意味では、なかなか、先生が御提案いただきましたような、地域全体の町づくりの取り組みを、直ちに緩和して、基準をその地域全体で緩和するというのは難しいところがございます。

 ただ、今の消防法令の中におきましても、消防用設備等の基準、スプリンクラー等をつけていただくというようなものでございますけれども、これにつきまして、全国画一、必ず一律ということでは必ずしもなくて、建物の位置なり構造なり設備なりの状況に着目をして、基準を一律に適用しなくても防火の安全性が確保されると考えられる場合には、地元の消防機関、消防庁でありますとか消防署長さんの判断で、個々の建物単位でこの基準の適用を除外するということはあり得る、こういう制度になってございます。

谷委員 ありがとうございました。

 すぐには難しいと思いますけれども、ぜひ。もともと消防法は、国の法令の規制はなかったんですね、株丹次長。それで、昭和三十五年に、それまで各自治体がばらばらに条例をしていたのを、余りにもばらばらじゃないかということで、いわば国の方で、今の地方分権と逆の流れなんですね、それぞれの自治体がしていたのを消防法規でした。

 しかし、私の問題提起は、そうではなくて、もう一回、それぞれの地域の実態に合うような仕組みづくりということも視野に入れて、検討し直してはどうかという問題提起ですので、しっかりとその点は受けとめていただいて、今後検討をお願いしたいと思います。

 具体論。建築基準法と省庁の設置基準という壁に移りたいと思います。

 我が国では、建築基準法で、木造建築物の三千平米以上はだめだという規制がございます。これは昭和二十五年の建築基準法に決められたものでございますけれども、根拠があいまいであります。いろいろ調べてみたところ、二十五年が建築基準法で、昭和二十二年に発生した学校火災の校舎が三千二百平米だったからどうも三千平米になったのではないかと言われています。学校火災というのは、私が調べたところ、二十二年八月の広島高等師範の火災か、二十二年十二月の広島医科大学の火災、いずれも三千平米ぐらいだったと言われているようでありますけれども、それ以降、ずっと三千平米というのが基準としてあるわけです。

 しかし、その後、基準法でさまざまな厳しい規制がとられるようになった、あるいは消防法規も、それは昭和二十年代、スプリンクラーなんかも全くありませんでした。だんだんだんだんそういう厳しい規制ができてきた。

 一方、外国に目を向けると、必ずしも別に三千平米なんということではないんですね。カナダでは、スプリンクラーを設置すれば七千二百平米までいい、そういう法規制だ。

 そういうことから考えると、三千平米そのものも見直すべきではないか。特に、今回我々が審議しています木材利用促進の観点から、ぜひ前向きに見直していただきたいと思いますが、前原大臣の御意見を、御所見を、考え方をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 今委員が御指摘をされましたように、建築基準法におきましては、延べ面積が三千平方メートルを超える建築物については、周辺地域一帯への延焼を防止する等の観点から、当該建築物の壁や柱等について耐火構造とすることを義務づけているところでございます。

 先ほど先生が引用された他国の例でございますけれども、他国におきましても、木造建築物の用途に応じて、それぞれの固有の気候、風土、また建築技術の水準や災害の経験等を踏まえた規制を実施しているところであります。これも、先ほど委員が指摘をされましたカナダについては、スプリンクラーがあるかないかというところで高さ、階数も違ってまいりますし、面積も違ってくる。アメリカもそういう基準になっております。

 そういう意味におきましては、さまざまな観点からの取り組みが行われているということで、見直しをということでありますが、重大火災が今までも起きているという観点から慎重にはならざるを得ないと思いますけれども、スプリンクラーの設置とか、さまざまな観点での検討を加えていくということは、委員御指摘のとおり大事なことなのではないかと考えております。

谷委員 ぜひ前向きに大臣にお願いしたいと思います。

 これは昭和二十五年なんですよ。まだ私の生まれる前から。これほど前のを何か金科玉条のごとく、そんな必要性は全くないと思います。安全ということは、それは大事です。これは当たり前です、人の命がかかっているわけですから。ただ、それを加味した上でも、この今審議している、それでも木材は人間の心の面にもたくさんのいろいろなメリットがあるわけですから、ぜひ前向きにこの見直しの検討をお願いしたいと思います。

 さて、それの関連で、学校の校舎なんですね。学校の校舎、なぜ三階建ての木造建築物ができないのか、これももうひとつよくわかりません。

 三階建ての実績というのはございますか。文部科学省の西阪部長が来られているんですかね、お願いします。全国で三階建ての木造の実績があるかないか。

西阪政府参考人 公立学校施設につきまして毎年調査してございますが、木造の校舎で三階建てのものはございません。

谷委員 大変残念なんですね。いや、法律上は三階建て以上でも建築可能ですと実は国土交通省は言うんです。しかしそれは、耐火性能設計法での設計で、実際には天井が四メートルとか、そういう校舎をつくらなければ基準がクリアできないんです。また、そんな校舎を建てるはずが現実にないですわね。ですから、今文科省の西阪部長からお話がありましたように、全く実績が出てこない。

 そして、私の聞いている限りでは、三重県の熊野市、これは全国有数の木材の生産地です。そこで学校の建てかえがあった、中学校の改築があった。地元はぜひ木造で建てたかった。しかし、この法律が壁になって、結局断念してコンクリートにした。木材の生産地でコンクリートの学校の校舎ですよ。

 ぜひこの辺についても、先ほどの建築基準法の改正の問題と絡むわけでございますけれども、積極的な見直しをお願いしたいと思います。

 各種の木材利用の壁は、建築基準法だけではありません。各省庁の設置基準です。

 建築基準法を見られたら、大臣はもうよく御存じでしょうし、委員の方も、ここに、私は手元に基準法がありますけれども、大変細かいです。一般的な法律でも何でもない。建物でも、特殊建築物はこれこれこれこれと定義して、階数とかいろいろなことも事細かに書いている。しかし、各省庁の補助金をもらって施設を整備するときに、この建築基準法だけではなくて、また各省庁独自で設置基準というのを決めている。しかも、それが合理性があるのかというと、どうも首をかしげるような設置基準もあります。

 保育所、特別養護老人ホームは、なぜ二階建ての木造建築物はできないのですか。きょうは山井政務官に来ていただいていますので、その根拠、合理性について御説明をいただきたいと思います。

山井大臣政務官 谷委員にお答えを申し上げます。

 保育所に関しましても、特別養護老人ホームに関しましても、耐火構造のもので木造建築の例というのはございます。

 ただ、谷委員も御承知のように、例えば保育所に関しましては、乳幼児は単独で避難が困難であり、職員の介助、誘導が不可欠であること、また、通所施設であるものの、昼寝、夕寝をしている時間帯があることという特性を考慮し、二階以上に保育室を設ける等の耐火基準に関して、児童福祉施設最低基準において、建築基準法の規定に上乗せをして規定しております。これに関しましては、平成十四年に改正を行った際にも、保育団体の方々や、また建築専門家の方々の意見を聞きながら改正をさせていただいたところであります。

 また、今審議中の地域主権改革推進整備法案におきましては、保育所の最低基準に関しては基本的に条例に委任し、保育所の耐火基準に関しましては、国の基準を参考にすべき基準として、各自治体が地域の実情に応じて異なる内容の条例を定めることができるとする予定であります。

 また、特別養護老人ホームにおきましても、昨年三月に起こった「たまゆら」の火災により十人もの方がお亡くなりになりましたが、そのことでもおわかりのように、入所者が避難するのに通常より時間を要するものであり、特別養護老人ホームに関しては原則として耐火建築物にしなければならないというふうにしておりますし、このことについては、先ほどの保育所と同様に、地域主権改革一括推進法案の中で、耐火建築物等の設置基準についても参酌する基準とされまして、この法案の成立後は、防火体制については、厳重な注意を必要とされますが、地域の実情に応じた対応が可能になるということになっております。

谷委員 山井政務官も、筋の通った答弁のようでありますけれども、全然納得はできません。

 建築基準法で規制があるんですよ。体の不自由な、それはわかっています。私の弟も特別養護老人ホームをやっていますから、それは十分わかっています。わかっていながら、建築基準法の規制に上乗せして、特別養護老人ホームについていいますと、設置基準の第十一条で「特別養護老人ホームの建物は、耐火建築物でなければならない。」準耐火建築物じゃないんですよ。「耐火建築物でなければならない。」と厚生労働省は省令で決める。プロである国土交通の建築基準法を上回るものを。この理由がよくわかりません。

 では、厚生労働省はプロがいるのか。私が調べたところ、いないですよ。文部科学省は、きょう来られていますけれども、文教施設企画部という部があって、その中に建築のセクションもあるんです。厚生労働省は、そんなセクションはないでしょう。専門家がいないのに、専門家が決めた建築基準法を上回るあれを、安全性の確保だという美名のもとに木造を規制する、こういうやり方は私は納得できません。

 本当にそう厚生労働省が思うのであれば、建築基準法の改正を厚生労働省は主張すべきです。それが筋ではありませんか。自分のところだけで決められる省令では厳しく言っていて、建築基準法は、あれは知らないよと、これはどうかと思いますが、政務官、もう一度、ぜひ。

 私の立場は、木材の利用をぜひ進めたいという立場で質問しているんです。

山井大臣政務官 先ほども申し上げましたように、特別養護老人ホームでもツーバイフォー木造耐火建築による例もありますし、また谷先生にもお渡ししましたが、広島県の福山市の保育所でも木造のケースもあります。これも調べてみましたら、それほど費用は変わらないということですが、なかなかそういうことをやれる業者が今少ないというふうに聞いておりますので、谷委員のおっしゃるように、木造の方がやわらかく居心地がいいという部分もありますから、そこは耐火構造と含めて、そういうものがふえていけばいいなというふうに考えております。

谷委員 それは厚生労働省なり、あるいは文部科学省が独自に設置基準を決めるというのはわかります。園児一人頭の広さとか、そういうのを決めていただければいいんですけれども、建物について決めるのであれば、しっかり合理的な説明はしなければならない、そういうものでなければならないと思うんです。

 なぜ木造であれば安全性が確保されないのか。本当にそれをしっかり、そういう社会的弱者を守る、あるいは弱い子供たちを守るということであれば、法改正を求めるべきだと私は思います。ぜひしっかり議論をしていただいて、きょうの法案は、木材利用を促進しよう、そのための法案なんですから、ぜひその観点からも前向きに御検討をお願いしたいと思います。

 あと、農林水産省で自給率目標をなぜ法案に入れないのかということをお尋ねしたかったんですけれども、時間となりましたので、ぜひまた修正協議の方、前向きによろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

    〔筒井委員長退席、川内委員長着席〕

川内委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 おはようございます。質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 法案についての質問に入る前に、私も、実は口蹄疫についてちょっとお話を伺いたい。

 私、おりませんでしたけれども、大臣から、八例目、九例目、十例目が疑似患畜と確認をされたということで御報告があったというふうに承知をしております。特に、八例目の川南町については牛が千十九頭ということで、大変規模が大きい。加えて、九例目、これはもっと意味が大きいかなと思うのは、えびの市というのは鹿児島県の県境の方と近いということで、端的に言えば、前回の和牛全共は米子大会でして、私の地元でやりましたけれども、そこで日本一になった宮崎県と、前々回の岐阜大会だったと思いますが、日本一になった鹿児島県、その両方が口蹄疫に今襲いかかられている、こういう状況であります。

 我が国の和牛の生産にとっても、これは致命的な打撃を与える可能性もありますし、本当に深刻な問題だというふうに私は認識をしております。それで、十例目が出てきたということであります。

 二十日、第一例目が確認された時点で、とにもかくにも霞が関に本部が置かれたということは、これは防疫指針に基づいて行われたそうであります。

 私が思い出すのは、平成八年から十一年にかけて、私は、旧運輸省勤務のときに、北海道庁に交通対策課長で出向いたしました。その際、平成十年だったかと思いますが、口蹄疫の疑似患畜が確認をされたんですね。その当時のことは今でも鮮明に覚えていて、運輸官僚でしたから口蹄疫について深い知識もありませんでしたが、家畜の病気の発生で道庁を挙げての大騒ぎになったことについては、いまだに記憶に新しいです。こんなにインパクトがあるんだと。

 端的に言えば、北海道や宮崎県、鹿児島県のような大畜産酪農県にとっては、多くの県民の生活の糧が失われかねない、奪われかねない事態であって、見ようによっては、人間の新型インフルエンザの発生よりも大きな衝撃を持って受けとめられておかしくない、こういう事態であるというふうに考えております。

 言うまでもなく、感染の拡大及び再発の防止、原因究明も当然含まれてまいります。そしてもう一つ、疑似患畜が発生した農家及び移動・搬出制限を受ける農家の救済の両面で、政府に万全の対応を求めるものであります。

 過去に江藤拓議員初め関係の議員が質問をしていますので、お答えはもうわかっているところはあるんですけれども、初動が遅くなかったのかということについては、遅くないんだ、霞が関で本部は即日つくったし、こういう話なんでありますが、少なくとも、私も再度申し上げたいのは、初動が遅い。地元の畜産連盟なんかにも、国からあるいは国からの指示が県経由でといったものがなかなか入ってこない、何をやっているんだという現場の声は、現に、現地に足を運んだ自民党議員なども含めて、いろいろなところから伝わってきているわけであります。

 この点は、今、感染を防止することが一番大事な段階でありますから、この場で余りその点を追及してということはいたしませんけれども、これが一段落をして、しっかりこの件が終わった時点で、一体国はどういう段階でどういう指示を出したのか、それがしっかりしたものだったのか、防疫指針に従っていればいいのか、もっとマニュアルみたいなものをつくって国の初動を早くする努力をしなくていいのか、こういう点についてはきちっと再検討していく、今回万全だったのだからこれでいいという問題ではないと私は思っていますけれども、大臣の御認識を簡潔にお伺いいたします。

赤松国務大臣 お答えを申し上げたいと思います。

 私どもは、今お話があったように、常に謙虚に、これで本当によかったのか、もっとやることはなかったのかという姿勢でこれらの問題に対処していきたいと思っています。けさも、実は、けさ五時ごろに判明したものですから、急遽八時過ぎから対策本部をやりまして、そして、今考えられ得るすべてのことを実施させてもらいました。

 発生そのものは宮崎県からほかへ行っているわけじゃありませんけれども、先ほど言ったように、十キロ以内、二十キロ以内で線を引くと、熊本、鹿児島の一部にそれが入ってしまうということで、万全の体制という意味で、本日、指示をいたしまして、九州の南全域、大分県も別に全く円も何もかかっていませんが、大分、熊本、鹿児島、宮崎という四県に対して、すべての農場で薬剤散布ということで、薬剤の確保もしてございますので、すべてのところに事前の策ということで、前もっての策ということで、そうした対応も直ちにとらせていただいた。

 人についても、常駐者、これは農林省の職員が常駐するのは当たり前ですけれども、全国から都道府県の応援もいただきながら、特に獣医を初めとする専門家をどんどんと今投入しているというところでございます。

 きのう知事もお見えになって、もうほかにやることはないですか、どんどん遠慮なく何でも言ってくださいよということをお話ししましたけれども、知事の方も、本当によくやっていただいています、もう何もありませんと。あと、強いて言えば、ふん尿がたまっていくので、その処理のところだけ、どこかきちっとしたところで処理ができるように、これを考えていただければということで、今後もいろいろなことがあるかもしれませんので、遠慮なく、また知事さんから、地元からおっしゃってくださいということも申し上げました。

 地元と力を合わせて、一体になって、とにかく今委員がおっしゃったように、これ以上広げさせない、何とかここで封じ込めるということに全力を挙げていきたいと思っております。

赤澤委員 七例目が確認されたのが二十五日で、まだおさまっていないという話を申し上げようと思って来たら、まさにきょう八例目、九例目、十例目ということであります。拡大が続いているので、家畜の伝染病について言えば、これはもう本当に厳しい闘いでありますから、単に結果責任、結果責任というだけでは本当に酷な感じはいたしますけれども、現時点でとにかく抑えられていないということについては深刻に受けとめて、対応をお願いしたいと思います。

 先ほどおっしゃった薬剤散布ということですけれども、消毒に効くようなビルコンSとか、そういったものの確保を万全を期していただきたいということを改めて申し上げておきます。

 加えて、やはり私がちょっと心配をするのは、知事が足を運ばれて、万全で、これ以上やってほしいことはないと言うのは、ある意味非常にうかつであって、現場の農家の方たちが聞けば怒るような発言だと思うんですよ。それは主に何に関係するかといえば、感染拡大について初動が遅かったという声があるということに加えて、疑似患畜が発生した農家や移動・搬出制限を受ける農家の救済について、特に、まず経済的な面での対応は万全なのかということについて、懸念点を大臣としてお持ちでないのか、その点をお伺いいたします。

赤松国務大臣 これは、法に従いまして、一つの農場で一頭でも出れば、そこにいる全部を殺処分するわけですから、それについては五分の四の補てんをする。それに加えて、融資関係についても、牛や豚を出せなくなるわけでありますから、その意味で、融資枠も二十億から百億にふやす。あるいは、新マル緊の拠出金についてもそれを出すのは大変でしょうということで、それも免除をするというようなこと。そして、そのほかのことでも相談があればぜひ遠慮なく言ってくださいということで窓口もつくりまして、今やらせていただいております。

 もうこれで全部やったんだ、やり切ったんだから、そういう意味ではなくて、私どもが考えつくものを今すべてやらせていただいておりまして、まだここが足りないぞという御指摘が委員からももしあれば、それは言っていただいて、どんどんやっていく。

 既に財務省とも相談をいたしまして、今三千頭を超える殺処分をしておりますので、五分の四なんということは、これをやっていけば当然資金が足りなくなるわけでありますけれども、追加の措置ということについても財政当局の御理解をいただいて、予備費等の流用をする、どれだけ金がかかってもやり切るということで準備体制は整えております。

赤澤委員 大変力強い取り組む意思を表明されたので、その点は評価をいたします。

 今のお話の中でも、新マル緊の生産者拠出金を免除する、ここは評価を受けていい、そういう対策の打ち出しだと私は思っていますが、具体的に懸念点があればということをおっしゃったので一つ申し上げておけば、まず、五分の四ということでいうと、端的に言って、共済も上限八割ということですから、二割の部分については償える制度になっていないということは、当然、農家としてはつらい。そこは、金を借りて補うということであればこれは返していかなきゃいけないということがあります。

 もう一つ具体的に伺いたいのは、私は改めて互助事業のパンフレットをちょっと手に入れて検討しましたけれども、淘汰の互助金、経営支援互助金、焼却・埋却等互助金で、これは、基本となるお金は国が半分出して、残りは農家の方たちが積み立てたお金かと思いますが、出ていくときには全額が出ていくということであります。では、大臣に伺いたかったのは、十例あります。互助事業にこの十件の農家は全員参加をしていますか。

赤松国務大臣 お答えします。

 きのう知事と話しましたのは、とにかく、補助の比率はそれぞれ決まっています。埋める方、殺処分したのを埋めるのなんかは、御指摘のように二分の一ですが、国が二分の一、県が二分の一です。しかし、その県の二分の一については全部特別交付金ということで、結果的には国がまた措置をしますので、実際上は県は負担がほとんどかからないという仕組みにしています。

 ただ、共済なんかは、これはもともとの掛金で本人の掛金分がありますから、共済制度というのはそういう制度ですから、その部分は御自身の負担ということはお許しをいただきたいと思います。

赤澤委員 ちょっと細かな話になるので、今、大臣の答えが全くかみ合っていなかったので、こっちでちょっと申し上げますけれども、この互助事業について言えば、私の理解しているところ、宮崎の牛についても九五%の農家しか加入していません。当然のこととして、加入していない場合には制度の淘汰の互助金、焼却・埋却等互助金ももらえませんし、経営を再開しようとしたときの経営支援互助金ももらえないんです。

 こういった方たちは、再生産を開始するのに大変な負担を決断しないといけないということであります。ちょっと確認しただけでも、最初の七例の中でも実際に互助事業に加入していない方がいます。そういう入っていない方について、どういう対応を大臣は考えておられるんだということを具体的にお伺いしたかったわけであります。

赤松国務大臣 風評被害その他の関係もあるものですから、なるべく個別の名前を出したりしないようにしております。

 ただ、私が理解をしておりますのは、殺処分した約三千頭のうちの多くのところは、ある一つの系列のところの頭数だというふうに理解をしていまして、今、赤澤委員御指摘の方についても、一件、二件これはあるかもしれませんが、それは確認をして、そういう人たちに対するどういう手当てができるのか、これは考えさせていただきたいと思っています。

赤澤委員 今、考えてみるということなので、大変ありがたく、その言葉を重く受けとめます。農家の方も、大臣から前向きな検討結果が聞けることを大変期待するだろうと思います。

 その互助事業に加入していない方については、もう一回生産を再開するということは非常に負担があるんじゃないかと私は懸念しているので、その点は、今大臣からの前向きによく調べて検討するという話なので、確認をしてみてください。残り、きょう出た三例の中でもあり得るということだと思いますので、そこは見てみていただきたいと思います。

 それで、加入していない方の救済については、本当に東国原知事ともよく御相談いただいて、何とか再生産できるような道を探していただきたいということを改めて強くお願いしておきます。

 感染の拡大防止、これが非常に重要である、加えて、原因究明して再発防止も図っていく、そして経済的な負担を軽くするということが肝要なわけであります。ただ、私がもう一つだけ大臣に申し上げておきたいのは、農家の救済というのは心の面の救済というのが極めて重要だと思っています。再生産を開始しよう、あるいは生産を再開しようという意欲が何としてもわいていただかないと、要するに、日本の和牛の雄であります宮崎県が大打撃を受ける、こういうことなんですね。

 自分の経験を一つ言えば、鳥取県の私の選挙区で日南町というところで、二年ぐらい前だったと思いますけれども、二十分か三十分にわたって直径五センチのひょうが吹き荒れて、収穫間際のリンゴが全部落ちて、稲は全部倒伏をし、長ネギなんかは爆弾が破裂したみたいになって全部張りついて、その現場に片づけなどの手伝いに何度も入りましたけれども、もう農家は茫然としているわけですよ。要は、経済的な埋め合わせがあるかどうかの前に、自分が本当に頑張って育ててきたものがそういう目に遭って茫然としているという状態があるわけです。

 それをどうやって支えるのかというところが非常に大事なところであって、そういう意味で私が心から期待をするのは、やはり大臣あるいは少なくとも政務三役が現場に足を運んで、前回の和牛全共米子大会で日本一に輝いた宮崎牛を褒めたたえて、国民が本当に心配をしている、被害に遭われた農家の皆様による日本一の宮崎牛の生産の再開を国民が心から望んでいると伝えて励ます、できることはやる、こういうことをしっかりと伝えていただくことが必要だと思うんです。

 そういう意味で、御紹介すれば、我が党の農林部会長は一例目の確認された翌日にはもう現地に入らせていただいておりますし、きょう実は、谷垣総裁も現地に足を運んでおります。

 ということでありますので、その点、私の理解するところ、大臣含め政務三役はまだ現地に足を運んでおられません。先ほど、知事がこちらに来られて要望を言ったというようなことをおっしゃいましたけれども、私の好きな言葉では決してないですが、地域主権を標榜されるのであれば、むしろ大臣も足を運ばれて、主権者たる東国原知事では言い方がおかしいかもしれませんが、むしろ地元に足を運ばれて、我々ができることはないのか、心から心配している、こういうことを少なくとも県庁に足を運んで表明するとか、そこで、知事と力を合わせて農家の皆さんが心配ないように万全の対応をすると力強いメッセージを発するとか、心のケアをするという意味でやれることは幾らでもあると思うんですが、その点についてのお考えを伺います。

赤松国務大臣 今お話あったような、風評被害を極力抑える、あるいは、例えば、残念ながらそうした牛を出してしまったところが周りに対して、自分のところがこれでみんなに迷惑をかけたみたいなことにならないように、いろいろなメンタルケアも必要だと思っています。

 それから、これは全国三千のスーパー等を千七百人の職員を使って当たらせたんですけれども、例えば、このスーパーでは宮崎県牛は扱っていませんなんということを書かせないように、チェックをしまして、多分ないだろうと思ったんですが、残念ながら九州で二件そういうところがございまして、直ちにその紙ははがさせるというような指導も今しております。

 それから、政務三役が行く問題ですが、先ほど申し上げましたように、マスコミの皆さんに、極力、行ってそう騒ぎ立てないでくれ、行くことによってまた病原菌が拡散するということもあり得るのでということをお願いしている手前、九州農政局の部長は責任者として常駐させ、獣医その他専門家は大変な数を行かせていますけれども、政治家たる我々が行って、何かパフォーマンス的にとられる、そういうのもいかがなものかというふうに思ったものですから、今までは正直遠慮させていただいておりました。

 しかし、そういう御意見も多いし、今、全国から都道府県の獣医さんたちにも来てもらって、各県から来ていますので、そういう意味で、あす山田副大臣に農水省を代表して行っていただくということの決定を、けさの対策本部でさせていただいたということでございます。

赤澤委員 いろいろな配慮があったんだと思います。赤松大臣がパフォーマンスが嫌だというお気持ちは私も尊重しないではないですし、一方、マスコミをぞろぞろ連れて感染区域の近くを歩き回れば、それが原因で万が一広がることもあり得るので、一定の配慮があったことは私は認めます。

 しかしながら、ぜひ山田副大臣、県庁に足を運ばれて、例えば、知事と並んでメッセージを発して、前回の和牛全共で日本一になった宮崎の牛、本当に我々は万全を尽くして守るというメッセージをやはり発していただいて、そのことで農家に安心してもらう、それが、今本当に茫然自失しておられるであろう農家に何より大事なことだということは、ぜひ認識を共有していただいて、そういう方向でやっていただきたいと思います。

 私どもの総裁も、そのつもりで現地に入っておりますので、ここはもう、ある意味、与野党を超えてこの口蹄疫を克服し、宮崎牛、そして我が日本が誇る和牛を、しっかりともう一回発展の軌道に乗せるということをやらなきゃいけない、そういう思いでありますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 残り十分ほどで、今度は法案についてお話を伺いたいと思います。

 まず、提案者にお伺いをしたいんです。それは何かというと、私は、今、日本の林業は大分、自公連立政権のもとの政策も効果があって、いい方向に向いていると理解をします。私の地元などでは、農業は元気ないけれども、林業は大分よくなったと。

 それはもう今から御説明あると思うので、それを受けて私もお話をしますが、木材自給率が、ここしばらくで顕著に反転をしてきているというふうに私は理解をしております。一時期一八%ぐらいまで落ち込んだものが、二四%に戻ってきているということです。食料自給率の議論を考えたら、ここ三年かそこらで自給率が六%戻ってくるなんということは、間違いなく顕著なことであって、大きなことであると私は理解していますけれども、その理由について、どのように認識をされているのかを提案者にお伺いいたします。

坂本議員 お答えいたします。

 赤澤委員言われるとおりであります。我が国は、戦争時の空襲で、一回焼け野が原になります。そして、応急的にいろいろな木造建築が建ちます、先ほど谷議員が言われましたように。それから、大火が各地区で発生いたします。商店街、学校、すべて焼ける。そういうことがあって、昭和二十五年に今回の法の趣旨と全く逆の決議を衆議院でしております。都市を不燃化すること、そして不燃材を使うこと、特に官公庁については、不燃構造でこれからの建築をやるというようなことを決議しております。

 そういうこともあり、昭和三十年代は、木材の自給率は八〇%になりましたけれども、先ほど言われましたように、平成十四年に一八・二%まで減りました。その後やはり、路網の整備、それから間伐材、二百四十億を十九年、そして三百六億を平成二十年度、こういったものが功を奏したと思いますし、木材に関するさまざまな技術開発も行って、今まさに追い風のときだと思います。

 世界的にもCO2の削減ということで、これからが反転攻勢の時期であると私たちは思って、この法の大切さというものを認識しているところであります。

赤澤委員 政策の効果については、もちろん謙虚に評価をしなきゃならないと思います。木材供給量自体が減っているとか、北洋材の値段が上がった、あるいはロシアが輸出税を課すというような、いろいろな情報も流れてくる。

 いろいろなものがあると思いますけれども、今御説明あったように、地球温暖化防止という目的で間伐の予算を相当思い切ってつけた。加えて、路網の整備、高性能林業機械、こういったものの整備をがっちり予算をつけてやった、強い林業づくり交付金だったかと思いますが。加えて、技術的にも本当に、かつらむきをするロータリーレース、これが二十一ミリの直径を残せば全部削れるようになった。小径木あるいはB材、C材といったようなものを存分に、合板あるいはLVL、集成材といったものに活用できるようになった技術の進歩。ありとあらゆるものが国産材の利用を促進する方向にうまく働いている、その結果の自給率の反転なんだと私は思っているんです。

 ここで大臣にお伺いをしたかったのは、要するに、私どもからすれば、自給率が六%ここ数年で戻るような、今、本当にいい状態ですね。攻めに転じるべきときに国産材の木材利用は来ているんだと。私どもとしては、自公連立政権の打ってきた政策も正鵠を射ていて、効果を上げてきたという自負もあるわけです。その場で、出してこられる木材利用の法案が、公共建築物に限ったような話になっている、あるいは、積極的に、前向きに目標を掲げておられない。そのあたりについて、私は、何か、過去の政策の認識について、またほかの分野でもあるような、自公連立政権がやってきたものは全部だめに決まっておるんだ、林政も悪い状態にあるに違いないと思って小さく固まっておられるような気がするわけですよ。

 林業については、まさにチャンスのときですから、しっかりとすべての分野に内容を広げて、そして、自給率についても、十年後五〇%ということではなくて、その目標も掲げていけば達成できる、そういういいチャンスだと私は思っているので、本当に、森を元気にして、林業関係者あるいは森林所有者にも活気を感じてもらう、さらに勢いを増していくという意味では、そういったかなり全面的な取り組みをやった方がいいんじゃないかなということを感じているわけです。

 特にきょうは、修正協議もやっていただいているようで、決してとめるなよということを言われています。予算委員会や国土交通委員会であったような、とめるようなことはいたしませんので、仲よく議論をさせていただきたいと思いますが、いかがなものでございましょうか。

赤松国務大臣 わずかながらでも、どんどん自給率が高まってきているということは、私は大変いいことだと思っています。

 ただ、その背景は、一つには、戦後の植林、杉、ヒノキが中心だったんですけれども、これが四十年、五十年たってきて、ちょうど製材に利用できる、そういう価値を持つようになってきた。あるいは、ロシア、中国、それぞれ、今まで安い木材がどんどん入って、そっちを使えばいいじゃないかと言っていたのが、これはもうなかなかそうは簡単に入らなくなった、あるいは価格も上がってきた。もう一度国産材を見直してみよう、そういう雰囲気もある。それから、環境問題を初めとして、非常に木材の利用に対しての、あるいは吸収源としての森林を整備していこうという追い風もある。

 そういうものをしっかり受けとめながら、私どもとしては、こういういいときに、いいチャンスにこれを生かしながら、特に公共建築物が一番悪いんですね、木材利用率が七・五%なんですから。ですから、ここにターゲットを絞って、役人が、政治家が、そういうことを言うんだったら、まず自分の足元からやれよというふうに言われているわけですから、公共建築物について木材利用をしっかりと、まず隗より始めよでやっていこうということでございます。

 一つだけ言わせてください。一つ決定的に前と違ったのは、今までは、例えば林野庁が国土交通省へ行って、官庁営繕なんかへ行くと、話にも乗ってもらえなかったんです、残念ながら。ところが、政権交代か、大臣がよかったのかわかりませんが、こういう体制になって、今度は、相談に行ったら、官庁営繕の人は、林野庁さん、一緒にやりましょう、いいことじゃないですかということで言ってくれているんです。

 それからもう一つは、さっきから建築基準法の問題がいろいろ出ました。これも、今までそういうことに我々が、文章の中に、白書なんかで触れると、これはおれのところの領域だ、おれのところは了解していないぞみたいな話になるんですけれども、建築基準法の見直しも、両省で相談してやっていきましょうよ、いい方向へ行きましょうよということで、国交省も非常に前向きに考えていただいている。それを今しっかり受けとめて、私ども、協力してやっていきたいと思っているところです。

赤澤委員 わかりました。

 そういう方向が出てきたということは、私も、いいことだなと思いますし、ぜひやっていただきたいと思います。

 ちょっと認識の問題で、私の心から尊敬する森本筆頭が、さっきからぼそぼそと横で、林業はまだ厳しい、こういうことを言い続けているわけですね。私は、そこは本当に、自分の御地元も調べてみてほしいと思う。

 私の地元については、路網整備それから林業機械を入れたことで、何がよくなったかというと、冬の間、四カ月間、山に入れなかったものが、一月半ぐらい入れない時間を過ごせば、あとはもう山に入れます、今までは立米一万円で出せと言われてもきつかったのが、七千円でもマッチできるぐらいの意欲を持ってやっていますというのが、例えば日南町の生産組合です。そこが集成材をつくるオロチという会社に卸していて、うまく回り始めているようなところがある。

 だから、やはり路網整備や高性能林業機械を入れれば、本当にコストが下がって、元気が出てきている山は現にあって、正直なところ農業より大分元気だというあたりがあるのを、尊敬する森本筆頭には御理解をいただいて、いい傾向が出てきているんだ、政策の効果が発現しているいい分野があるということを理解して、今後、ぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 加えてもう一つ、今度、提案者にお伺いをしたいのは、木材利用がなかなか進まない障害の具体的なものですね。よく言われるのは、価格の問題があるだろう、あるいは品質の問題があるだろう、規制の問題があるだろう。三点言われますが、特に品質や規制の問題について、どのような認識をお持ちかをお伺いしたいと思います。

竹本議員 木材利用が進まない理由は、何といっても価格なんですけれども、それは、内外価格差が少なくなり、また、非木造との格差も少なくなったから、少しよくなってきたと思います。

 まず、価格面でございますけれども、木造住宅を建築する者に対する助成、それから税制上の措置、金融上のいろいろな支援、こういったものをさらに強化していけば、大分よくなるのではないかと思っております。

 また、品質につきましては、木材の耐久性等についての国民の認識を改めるために、実地の検証等に基づく研究を徹底して行い、その利用可能な範囲を明らかにして、あわせて、これらの研究成果を踏まえて、加工技術、工法の開発、技術の開発を積極的に進めていく必要があろうと思います。

 今まで話題になっておりましたように、例えば、三千平米以上の巨大な建物、あるいは学校で、三階以上の学校をつくる場合、これは全部耐火構造物。さらに言えば、十三メートル以上の木造建築物は耐火構造物となっております。となると、東大寺や法隆寺なんというのは本来できないはずなんです。そういうことを考えますと、技術を駆使すれば、こういった従来だめだと言われていたものも木造で可能になるということであります。

 そういった点を、建築基準法を担当している国交省ともよく相談の上、緩和できるものは緩和して、今まで木材を利用していなかったところに、もっと木材、できれば国産材を多様に利用していただくことが、我々の法律をつくる趣旨に非常に合致していると思っておる次第であります。

赤澤委員 今のような話があるということでありまして、先ほど赤松大臣から、大変国交省といい関係で話が進みそうだという話です。ただ、ある意味で、財源のあるある詐欺とか政策やるやる詐欺というのにちょっと国民は飽きてきているところがあるので、しっかりと結論を出していただきたい。

 加えて、私の地元でちょっと聞いてみて感じたことは、建築士さんたちに話を聞くと、やはり彼らは、規制が厳しい、木造でつくるのは面倒くさいという感覚を持っているんですね。私が恐れるのは、学校関係者が学校をつくってくれというときに、やはりRCで持ってくる、それを建築士さんの方も当然だと思って受けとめる、疑問がない。

 ところが、できれば、周知の活動をきちっとやることで、建築士さんの側からも、どうですか、木造でつくる選択肢もありますよ、このスペックであればやろうと思えばできますよみたいな話をきちっとしてもらって、そのあたり、プロの世界で、こういう選択肢もありますという話がきちっと出るようにしていってもらわないと、実際はなかなか物が動かない。

 いよいよ、規制の緩和も両大臣で相談してもらえばいいものが出てくるんでしょう。それを周知するところに本当に問題があるんだ、そこが多分、障害の実は最後に残された大きなものなんだということを強く感じるんですね。

 なので、公共建築物はもちろんなんですけれども、この法案の修正協議次第でどうなるかは、私はまだ確定的なものを承知しませんが、学校関係者、あるいは民間の施設も含め、そしてさらに言えば、必ずかかわってくる建築士さんというプロにしっかりと周知をするということがポイントなんだということは、ぜひ両大臣にも認識いただく。特に建築士となれば前原大臣にお願いしなきゃいけないことかと思うので、ひとつよろしくお願いをします。

 最後に、もう一言だけです。

 政治主導でありますから、そのかけ声のもとなわけですから、ぜひ、パフォーマンスは嫌いだと言わずに、これは大臣、副大臣が、口蹄疫について、宮崎の農家が、そして全国の畜産、酪農家が、よし、やってくれるぞ、よし、守ってくれるぞ、こう思うような力強いメッセージを発して、それに見合う政策をぜひ打ち出していただきたい。そのことを最後に強く申し上げて、私の質疑を終わります。ありがとうございました。

川内委員長 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 私も、いわゆる野党案、対案の提案者の一人でございますので、残念ながら野党案に対する質問はできないということで、政府の関係者の皆さんに御質問を申し上げたいと思います。

 先ほどから、ほとんどの質問者が自給率の問題に触れられました。今回の法案に自給率を入れるべきだという御意見、また自給率というものを重視した御意見が多かったわけですが、私も最初にそのことについて触れさせていただきたいと思います。

 木材の利用のうちの約四〇%が建築に使われる、建築材になっている、その建築に使われるものの約一〇%が公共の建築に使われる、こんなことをお聞きしました。つまり、四〇%の一〇%ですから、現状では四%ということで、いわゆる政府案の今回の法律では、ここでこれをてこにして木材の自給率ということについてはなかなか難しいのかなという印象を受けました。

 ただ、私どもが提案させていただいた対案では、必ずしも建築物に限っておりませんで、バイオマスも含めてすべての木材ということを規定しております。

 確かに、大臣がおっしゃるように、この自給率そのものも、いろいろな要素があって、結局、自給率何%、今は二四%ということにおさまっていくわけで、すべて、国が方針を決めたからといってそこに沿っていくということではないというのは、私たちも十分承知をしております。

 しかし、公共の建物は今七・五%だとか、こういうふうに、この議論そのものが、我々は自給率というものを一つの基準として用いているということを見ましても、また、昨年末に農水省、つまり政府が出された森林・林業再生プランでも、大どころの一番トップのところに、木材自給率五〇%、二〇二〇年までに目指す、こういうことを書いているということを見ましても、やはり自給率というこの考え方そのものが非常に大きな物事の判断の材料になっていくんだろう、こういうふうに思います。

 全体の法案の組み立てが、今、幸いにして野党の案も聞いてやろうという時期に来ているというふうにお伺いしておりますので、私はその部分も期待しているんです。であるならば、この自給率という考え方についても、ぜひ目標の一つとして入れていただきたい、このように思っておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

赤松国務大臣 お答え申し上げたいと思います。

 私どもは別に、自給率を否定しているわけでも何でもありません。現に、今御指摘ありましたように、森林・林業再生プランの中で、十年後五〇%を目指して頑張ろうということで、きちっと目標を定めて、それに向かって頑張っているわけですから。

 ただ、そのことと、今公共建築物の木材利用の促進法案にそれを書き込むかどうかということとはまたちょっと別の問題です。特に、再三申し上げていますように、公共建築物の木材利用の率が七・五%と非常に低い、ここにやはりターゲットを絞って、そして、まず隗から始めよで、公共のものにしっかりと木材利用を、義務化という言葉は使っていませんけれども、いわばそういう精神でもってやっていこう。そうすれば、学校教育現場だとかあるいは社会福祉のいろいろな施設だとか、そういうところについても、国に見習って地方自治体も、どんどんとそれをつくっていただけるんじゃないか、そういう意図でやっております。

 いわば川下の限られたところの利用率を上げていくというところに絞った法案でございますので、自給率というのはやはり全体の話ですから、そこにそれをあえて書き込むことはいいのかどうかということでもって、私どもの政府案、閣法の中ではそれは明記をしていないということで御理解をいただきたいと思います。

西委員 この件については、私も、修正していただける、若干議論に乗っていただけるということは聞いておりますが、まだ詳細を承知しておりませんので、そこはその当事者の作業に任せたいというふうに思うわけでございます。

 続きまして、政府案につきまして、林業の持続的かつ健全な発展により森林の適正な整備に資することを目的としております。しかし、木材の利用が公共建築物等に限定されており、これでは目的を達するのに十分ではないというふうに私どもは思っております。

 森林・林業再生プランで公共建築物への利用とともに木質バイオマスの利用にも言及しているように、いわば総合的な木材の利用というものをプランではねらっている、そういうふうに思っております。そういう意味では、森林・林業再生プランの方向性からすると、もっと総合的な木材利用というものを考えるべきではないかというふうに思いますが、お答えをお願いいたします。

山田副大臣 西委員にお答えします。

 先ほどの自給率もそうなんですが、総合的な全体、住宅も地方の建物もというのはわかるんですが、今回は、私どもの建物は、まさに先ほど大臣が言っているように、公共建物は何せ七・五%しか木造がない。昭和三十年の閣議決定もあるとおりです。そんなことで、まずは隗より始めよ、まず公共建物からやろうという、いわゆる限定的な法律ですから。

 そういう意味で、自給率については、いずれ基本法に基づく森林・林業基本計画の中で自給率目標はきちっとやっていただければいいんじゃないか、また、基本計画の中で、いわゆる総合的な、住宅とか地方の公共建物とか、そういったものも企画して考えていくような方針を出していけばいいんじゃないか、そう我々は今考えているところです。

西委員 基本計画でそういうことを考えるというのは、私も、何もこの法律そのものに反対しているわけじゃなくて、せっかく森林・林業再生プランという大きな全体の方向性を見出したわけですから、そこのところ全体をぜひ見出してほしいなと。こういう一覧表をここにいただいておりますが、この中の「木材利用の拡大」の一項目に「公共施設等への木材利用の推進」、これが今回の法案ということになるのではないかと思って、もう少し視野を広げてお考えいただければと。次に何らかの形でそういうことをお考えなのかもしれませんが、そういう感想を持っているところでございます。

 次に参ります。今度は国交大臣の方にお願いしたいと思うんです。

 政府案は、公共建築物等における木材利用促進の基本方針を定めることと、認定木材製造業者に関する制度の導入、この二点が実質的な内容だというふうに思っておりまして、木材利用の推進にはまだまだ不十分だという考えを私は持っております。理由は先ほど申し上げたとおりでございます。

 木材利用を推進する上で、課題としては、一つは予算を十分確保すること、二つ目には木材を扱える設計士さんをふやすこと、それから三番目には木材の確保ができるよう木材製造、流通を改善すること、この三つを主な項目として私は挙げさせていただきたいと思います。

 まず、公共建築物の予算について、中には学校施設のように補助単価が低いというふうに言われている問題点もありますが、今後、政府としてどのように予算を十分に確保しようとしているのかということについて、大臣にお伺いをしたいと思います。

前原国務大臣 西委員にお答えをいたします。

 国土交通省の中だけの話をさせていただきますが、少子化また高齢化、そして人口減少、莫大な財政赤字、こういった制約の中で、国土交通省として、前年度比一五・三%という公共事業の削減を行ったところでございます。

 その流れの中で、例えば官庁営繕関係費というのは、官庁営繕費だけで申し上げますと前年度比一六%減ということでございまして、なかなか予算確保というのは難しい状況にあると思っております。また、委員もおわかりになっていただけますように、最も後回しにするのが役所の官庁営繕ということになろうかというふうに思っております。

 しかし、そういった中にもありまして、選択と集中を図って、またこの法案の趣旨にのっとって、できるだけ木材を使っていただけるような方向で努力はさせていただきたいと考えております。

西委員 それぞれの省庁に営繕部門はあると思うんですが、建築基準法を中心に全体の建物の総元締めでもある国土交通省に、ぜひとも省内だけではなくてリーダーシップをとっていただきたい、こういうふうにお願いを申し上げます。

 一般的に、公共建築物等に木材を利用する場合は、他の工法に比べて費用が高くなるというふうに言われている向きがあります。経済産業的な面だけでいえば、木材の利用は予算の無駄遣いということになってしまうのかもしれません。これは、せっかく木材でつくるからといって少しランクを上げた、いわば華美な建築物をつくるということも含まれているかもしれません。しかし、よく言われていることは、木材は高くなる、こういうふうに言われていると思います。

 しかし、環境面を考慮すると、木造は長く使えば使うほど、私たちの考えでは、炭素を固定化するという大きな役割も兼ね備えていると考えていいというふうに思います。私どもの法案の中に、わざわざ地球温暖化の防止に貢献という題名をつけたのは、環境面での役割を通じて、木材の利用に関して納税者、国民の理解を得るという考えがそこに入っているからでございます。

 例えば、公共建築物に木材を利用した場合をポイント化して環境への貢献度を見える化するというふうなことにすれば、納税者や国民の理解をもっと深めることになる。つまり、国民の皆さんに、公共の建築物に木材を使うことに対する理解がもっと深まるのではないかというふうに思いますが、農水大臣の御意見をちょうだいしたいと思います。

山田副大臣 西委員にお答えいたします。

 見える化についての西委員の御意見、私どもも検討させていただいておりまして、大変いいアイデアだと思っております。

 確かに、これから先、木材をどれだけ使っていくか、それをエコポイントにできないかどうか、そういった意味では、見える化についての手法、どういう形でそういったものができるのかどうか、それを今検討させていただきたいと思っているところです。

西委員 もちろん、公共建築物だけではなくて、民間についてもこれはまた広く認識をし、また実施もできることだと思いますので、積極的に今の考えを推し進めていただきますようにお願いをしたいと思います。

 先ほど申し上げました二つ目の課題としては、設計段階における問題がございます。先ほどもどなたか質問されておりました。

 どのような建築物にするかということは、結局、設計段階で決まっていくわけですね。したがいまして、木造の建築物を推進できるかどうかというのは、ある意味で設計士さんやそれから設計事務所の方針にかかっているというふうに言ってもいいと思います。

 しかし、多くの設計士や設計事務所では、今まではほとんど鉄筋コンクリート製の建築物を扱っておりまして、特に、大型の公共建築物のような木造のケースというのは、今までほとんど経験がないと言っていいと思うんですね。そんな意味で、大規模木造建築の設計、施工管理というのは、木の特性や構造など、十分な知識と経験が必要であるというふうに思います。

 大規模木造建築を推進するためには、少なくとも知識を普及していただく必要がある。そんな意味で、講習会それからガイドラインの作成など、設計段階での課題が数々あると思うんですが、このことについてどう対処されようとしているのか、お伺いしたいと思います。

前原国務大臣 西委員御指摘のように、こういう木造建築物の建設につきましては、その計画、設計が円滑かつ効果的に行われるためには、必要な知識そして技術を持つ人材の育成が極めて大切な課題でございます。このため、木造建築物の設計上のポイントを用途別にまとめた事例集による情報提供などの取り組みを進めることとしております。

 あわせて、先導的な設計・施工技術を導入する大規模木造建築物の建設や設計に対する助成を行うなどによりまして、木造建築物の設計に関する知識の普及、人材の育成に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

西委員 次に、官庁施設の設計ですが、この設計料は、業務報酬基準という基準で定められている、これは国交省の関係だと思うんですが、算定されます。標準的な業務内容を実施した場合の建築物の用途に応じた標準的な業務量が書かれておりまして、これに基づいて報酬が算定されるということになります。

 ところで、算定に関しては、建築物の類型及び用途に応じた業務量がありますけれども、木造か鉄筋かということについて、材料に応じた区別は実はないんですね。

 国交省の報酬基準に関する告示には、例えば、不整形な特殊の形状の建築物、それから軟弱な地盤など特殊な敷地上の建築物などについて、一・二から一・三の倍数を掛け算して報酬を算定する、つまり、二割、三割上げて算定している、こんなことができるようになっております。

 例えば、鉄筋コンクリートの設計に比べて、木材利用の設計はより手間がかかるというふうに言われておりますけれども、木材を利用した設計料を引き上げるなど、こういうことを利用して新たな措置を考えられるのかどうか、また考えようとしているのかどうか、このことについてお伺いをいたします。

前原国務大臣 西委員おっしゃいましたように、官庁施設の設計業務委託料につきましては、国土交通省官庁営繕部が定めました、官庁施設の設計業務等積算基準に基づいて算定をしております。

 同基準によりますと、構造設計上の特殊要因がある場合は業務量を補正することで、委託料が若干増加をする、先ほど先生がおっしゃったとおりであります。

 例えば、敷地が以下に該当する場合として、構造設計に相当程度影響のある軟弱な地盤であるとか、あるいは構造設計に相当程度影響のある高低差がある場合、こういうのは一・二倍。そして、平面が以下に該当する場合、アトリウムとかピロティー等を有することが計画上明らかである場合、これが一・三倍。そして、今の二つのいずれにも該当する場合は一・四を乗ずるということになっているわけであります。

 お尋ねの官庁施設を木造とした場合については、木造としたからといって一律に委託料を上げるということは、なかなか今の仕組みの中では困難であると考えておりますが、例えば木造の場合におきましても、個々の施設の条件において適切に補正をしていきたい、このように考えております。

西委員 特に大型の木造建築の分野は、この法律が成立するとこれからどんどんと進んでいく可能性があります。どれだけ日数がかかるとか、技術的に必要だとかいうことが蓄積されていくと思いますので、やはり、ぜひともこのことについてもきちっとした決定をお願いしたいというふうに思います。

 それから、今回、製造業者についての言及がありましたけれども、木材製造業者の立場からは、製造する木材の需要見通しが立たないと、設備投資を行うのは現実にはなかなか難しいというふうに思います。製造業者の需要見通しが立つような方策は、何か農水省の方で考えているのかどうか、お伺いをいたします。

山田副大臣 確かに、現在、どこにどれだけの木材を供給できるかという情報というのは定かじゃないというか、少ないというのが現状なんです。そういったものをデータベースでもって処理できて、インターネットでも、どこにどの木材が、乾燥した木材があるかということのセンターを、今、私ども予算をつけて予定しております。また、今度は需要側においても、いろいろなところですぐにでもその需要に対応できるような、そういう需要供給面での情報のマッチングみたいなところをしっかりと図っていきたい、そう思っているところです。

西委員 今後、国は基本方針を定める、先ほどから議論がありましたが、こういうことになっております。基本方針だけではなくて、実需に具体的に結びついていく基本計画をさらに、ぜひともつくっていただきたい。

 公共の建築物で、今大臣がおっしゃられたように七・五%というふうにされておりますが、その計画につきましても、どの程度まで上げていくのか、これが一つ質問でございます。

 また、予算額、木造率、木材の使用量、木材の自給率、こんなことで具体的な指標が基本計画に示されないと、法律はつくったけれども、なかなかうまく現実に進んでいかないということが気になります。そんな意味で、この数値目標を明確に示した基本計画をつくるべきだ、こう思いますが、御答弁をお願いします。

山田副大臣 これからいわゆる森林・林業基本計画をつくっていくわけですが、その中において、一つ、目標数値をどのようにして入れたらいいのかということ。目標数値というか、自給率目標はぜひ入れたいと思っているんですが、公共建物をどこまでの目標数値に入れていくか、民間住宅をどういう目標まで入れていくかというところまで具体的に計画できるかどうか。できればそう考えたいとは思っておりますが、これからさらに検討を進めさせていただきたい、そう思っているところです。

西委員 この法律をつくった最大の目的は、公共の建物だからかなり計画的に木造化できるというところが、この範囲を小さくした唯一と言ってもいい理由じゃないかと私はずっと見てきたんですが、ここで、計画の中でそれもなかなか難しいということになると、一部の公共建築物の中身も全く予定どおり目標が立てられないというのは非常に厳しいと思いますので、ぜひともやはり、ここの部分は真剣に、どの程度計画をしていくのかということは明記をしていただきたい、このように思います。

 時間がなくなってきました。最後になりますが、基本計画ができれば、最低限どの程度の規模のものがいつごろまでにということがだんだんと、おぼろげながら全国的な規模ではわかってくるということで、製造業者も需要の見通しが立ちやすい、こんなことになり、設備投資についても踏み切る一つのきっかけになるんじゃないか。こういう意味でも、かちっとしたものをつくっていただきたいという趣旨でございます。そうすれば、製造業者が高度化計画を作成して、いわゆる認定木材製造業者の認定を受けよう、こんな動きもついてくるのではないか、こう思います。

 さて、三番目の課題です。木材の製造、流通の改善も進むが、大事なことは、発注者や設計者などが木材の確保の見通しが立つように、どこに木材がどれだけあるかという情報を的確に提供する必要がある。

 今の鉄骨などの工業製品ですと、規格品がどの程度どこにあるというのは、いとも簡単にわかるわけですが、木製品の場合は、それぞれサイズも違いますし、長さも違いますし、樹種も違いますし、さまざまなものがどこにどれだけあるかということが設計する段階でわからないと、必要だから山から木を切って使うといっても、それは、製品になるまでは乾燥も含めて時間を要するわけです。すぐに使える条件というものを整えるためには、ぜひとも必要な条件ではないかというふうに思います。

 木材の安定供給の確保に関する法律、こういう法律があるんですが、先ほどちょっと副大臣が触れられました日本木材情報センターが木材の生産や流通に関する情報を提供する、こういうふうになっているわけですね。しかし、残念ながら、実際に設計士さんがこのタイプの木材はどこにあるかということを必要としても、その情報は、提供するだけの情報網には今なっていないというふうに私は聞いております。ぜひとも、この供給に対する情報を徹底することが必要であるというふうに思いますが、その考えをお伺いしたいと思います。

 また、日本木材情報センターの現状の業務について、農水省としてどうお考えになっているのかについても、あわせて御答弁をお願いいたします。

山田副大臣 確かに、一番大事なところだと思っております。

 先ほどちょっと触れましたけれども、財団法人日本木材総合情報センターが、それぞれの製品ごとに、いわゆる価格、規格、そういったもの、どこに乾燥材があるかということについてのデータベースをやっているわけですが、不十分だということでございます。

 確かに、木材の供給そのものが、まだまだ乾燥材が不足しているとか、あるいはグリーン材、生木でも使えるものも結構あるとか、いろいろなこともわかってまいっておりますので、さらに幅広く、いろいろな木材がどこにあるかという情報、そういったものについて、私ども農水省としても、需要者に向けてしっかりと供給側の情報ができるように本当に頑張らせていただきたい、そう思っております。

西委員 最後に、これは先ほどちょっと熊野の話が出てきましたので、「熊野林業」という雑誌なんですが、日本林業経営者協会の速水さんが寄稿している文章の中に、こういうことが書いてあります。日本は世界から木材を入れているんですが、アラスカから非常に大きな、五百年から千五百年という立派な木材を輸入してきて、それは、例えば神社とかお寺の古い建築物の補修なんかに使っているんですね。日本でいうと、屋久杉みたいな、非常に木目の密に入った強い木なんですが、そういうものをアラスカから持ってきて使っている。その最後に、「南東アラスカの原生林からの千年の木を使ってお社を建てて、横に生える二百年のスギの木に注連縄を回して、拝むとは如何なものか。」こういうふうなことを書いているんです。

 日本の林業が本当に、川上から川下、また再生に向かってうまくサイクルが回っていくように、もちろん諸外国の林業事情というものを十分考慮して、有効に利用されるような法律に仕上がれば本当にすばらしいことだな、こういうふうに思う次第でございます。

 ぜひともまた、修正のことにつきましても積極的に応じていただけますように、心からお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

川内委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 赤松大臣に一言、口蹄疫の問題についてお聞きしたいと思います。

 私どもも早速、私どもの農水委員である紙参議院議員を派遣しました。

 私は、二つあると思うんですね。一つは、今や、宮崎県だけではなくて広がりを見せる可能性がある。そういう意味でいいますと、やはり国が万全の対策をとらなくちゃならぬ、体制をとらなくちゃならぬということだと思うんです。

 もう一つは、やはり、今後起こるであろう、畜産経営が成り立たなくなる、壊滅的な打撃を受ける可能性がある、こういう点での損失補償という問題が出てくると思うんですね。

 その二点だけ、ちょっと簡潔にお願いしたいと思います。

赤松国務大臣 今、二点について御指摘がありました。

 一つは、できるだけこれ以上広がらないような措置をするということで、先ほども少し申し上げましたけれども、まだ発生が確認をされていない周辺地域、大分それから熊本、鹿児島、そういう地域にも、すべての畜産農家に対して薬剤の散布をする。約五十万トンぐらいの薬剤を確保しておりますので、これは十分対応できるというふうに思っております。これが一つ。

 それから、あと、人につきましても、既に二十三人の本部の職員、そして、九州農政局、部長をトップといたしまして、これも対策本部に入れて現地で頑張らせていただいておりますが、加えて、さらに本部からの職員、それから全国からの各都道府県の獣医さんたちの応援ということをいただいて、今対応しております。

 それから、経営の問題でございますけれども、とりあえずは、法に従って五分の四の補てんということはできます。

 それから、あとは、埋めたときの費用だとか、あるいは、今後立ち上がるときに、今度は新たに子牛、子豚等を購入してということになりますので、そういうときの購入資金等のための融資ということで、融資枠も二十億から百億にふやしまして、これも万全の体制。

 そして、通常ですと新マル緊は、豚、牛を出荷して、その得たお金でもって個人の負担を払うわけですが、出荷できないわけですから、そのお金が入ってきませんので、その分については免除というようなことの対策。

 そのほかにも、細かなところの、原皮ですね、豚の皮や何かがあれですけれども、そういう原皮に対する補償等についても、額も決めて、今一枚百円だったですか、ちょっと額は正確にまたお伝えしますが、そういう形で、とれるところはすべて対策をとる。

 しかも、都道府県の、この場合は宮崎県の負担ということが大変大きくなりますので、それは特別交付金でもって措置をするということまでは決めさせていただいております。

穀田委員 やはり畜産農家そして畜産業全体に大きな影響を及ぼしますから、国としての万全の対策が必要だということを改めて申し上げ、また私どもも、現地をさまざまな形で視察し、研究し、要請を次々と申し入れていきたいと思います。

 法案について、入りたいと思います。

 これは国交省にお聞きしたいと思うんです。

 私は、国産材の需要拡大についてまず聞きます。

 需要をふやしつつ、山から加工、流通、消費の流れをつくる。すなわち、国産材を使う需要と供給のルートを地域で再建することが決定的な仕事だと私は考えています。

 木材は、その特性から、切り出してから乾燥させるなどして、実際に利用できる状態、製材品にするには時間がかかります。実際に、木材が使われる前の年には切り出しておく必要があります。木材の大量発注の際に、地元地域産材を使おうと思っても、単年度の公共事業では地域産材はなかなか対応できません。発注してから実際の工事は翌年度に実施する二段階方式の採用や、公共事業に使う木材を確保しておくストックヤードなどをつくることなどの改善が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 穀田委員にお答えいたします。

 WTO協定の内外無差別の原則との関係から、国等の工事の発注におきましては、地元産材の優遇はできないこととなっております。しかしながら、地元産材をできるだけ有効に利用することは、地域経済の活性化また雇用創出に貢献するものと認識をしております。

 一方で、大規模な建築物を地元産材でつくるといたしましても、地元には工事に適した木材が余り流通していない場合が多いと考えられます。地元産材をできる限り使うためには、工事の期間に多少の余裕を生じさせること、例えば、設計は前年度に行い、工事は次年度に行うということが考えられると思います。

 また、本法案によりまして、大規模な加工施設の整備などを通じて公共建築物向け木材の円滑な供給が進めば、木材の調達に要する期間が短縮されるのではないかと期待をしております。

穀田委員 その余裕を持ったやり方というのを、どうしても私は、もう少し余裕を広げてやっていく必要があるだろうと考えています。

 次に、第九条第一項の「木材の製造を業として行う者」の認定に関連して、二点聞きます。

 この認定は、大手だけが受けるということはないな、特に、地域の加工、利用の実態に即した認定を行うんだなということを確認しておきたい。これが一点。

 もう一点は、地域産木材を生産する森林組合や素材業者が製材所などの加工業者と連携をして、工務店などの利用者まで含んだ団体、グループも、私は指定の対象にすべきだと考えていますが、その点についての見解をお聞きしたい。

佐々木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 二つの点、御質問をいただきました。一つは、製材工場等の規模にかかわってでありますけれども、このたびの高度化計画の認定は、製材工場の規模の大小にかかわらず、製造業者が木材供給能力の向上ということを通じて、品質や性能の確かな木材、それから、求められている量、求められる納期に適切かつ責任を持って供給できるかというようなことを条件にしておりますので、そこの点は、そういう計画さえしっかりつくっていただければ、大丈夫だということになります。

 グループ等の複数の事業者についてでありますが、発注に対して、共同事業体を組織して単一の事業として木材製造を行う場合、それからもう一つは、事業協同組合を組織して当該組合の一元的な経営管理体制のもとで木材生産を行う場合、このいずれも計画の認定を受けられるというふうになってございます。

穀田委員 なぜこんなことを言っているかというと、現実にいろいろなことが進行していて、努力されているからなんですね。森林組合が出した地域の木材、それを地域の製材業者が加工し、そして地域の建築業者が利用する、この一貫した流れをつくることを応援する仕組み、そういう立場からの内容がやはり必要だと思うんです。

 滋賀県の高島市では、高島の木の家グループ、これは森林組合や製材所に、さらに工務店まで、木材を使う四十五の業者がグループをつくっております。間伐材の利用など、自然を生かした町づくりを進めているとなっているわけですね。

 公共事業という大量の需要の発生を契機として、地方自治体がそういう意味での援助をし、主導していくというグループを立ち上げるのもよいし、国は、そういう動きがあれば応援すべきだ、こういう点を私は考えているからなんです。

 そこで次に、公共建築物等における木材の利用をさらに進め、数値目標を設定して取り組むべきだ、これが私の考えなんです。そこで一つ、工作物まで広げるべきだという問題について聞きたいと思うんです。

 私は、需要の拡大を考える上では、木材の活用を工作物までに広げることが必要だ。木製のガードレールはなぜ対象にならないのか、そして、木製ガードレールの設置都道府県と箇所並びに設置延長キロについて御報告願いたい。

金井政府参考人 木製のガードレール、いわゆる防護さくということでございますけれども、現在のところ、コストの問題もありまして、環境上、景観上、配慮が必要となる地域を主要なところとして運用させていただいております。

 現在のところ、延長は、車両用の防護さくに関しては約四十キロ、歩行者用の防護さくについては約百四十キロ、計百八十キロを整備させていただいたところでございます。

穀田委員 これは四十一都道府県で実行されているんですね。だから、多くの都道府県で実行しているということなんですよ、いろいろあるけれども。

 景観といやしの効果が指摘されているということでありまして、これは野党案の中にも書かれておりまして、「国及び地方公共団体は、木材を利用したガードレール、高速道路の遮音壁、」云々かんぬんといって「必要な措置を講ずるよう努めるものとする。」と。これはちょっと聞きたかったんですが、時間がないもので。

 私は、やはりコストが高いというだけでまずいという理屈は成り立つのかということなんですね。そこは今後議論していく必要があると思うんですよ。つまり、長期的に見て、では本当の意味で、地域経済との関係や環境の問題や景観の問題からして、これでいいのかということが問われていることだけを私は指摘しておきたいと思います。

 最後に、作業道の充実について指摘し、質問をします。

 私は京都に住んでいます。間伐材の活用にすぐれた経験をつくっている日吉モデルの地域でもあります。このモデルの大きな特徴は、一つは、間伐作業などの集団化、集約化で利益を上げつつ、面積的、作業的な効率化を進めること、二つ目に、補助金なども有効に使いながら、作業道の設置で間伐材を運び出しやすくすることなどであります。

 今後の発展方向についてはまたこれからも私、議論していきたいと思うんですが、きょうは効率的な作業道の問題について、効率的な森林の整備、保全、さらに木材生産を進めるためにも重要だと考えています。

 一ヘクタール当たりの日本における整備率、進捗状況を他の林業大国と比較して述べていただきたいし、おくれの原因についても見解を述べていただきたいと思います。

赤松国務大臣 今御指摘のとおりに、例えばドイツと比べますと、ドイツはヘクタール当たり百十八メートルだと思いました。日本の場合は十七メートルということで、十倍まではいきませんが、七、八倍の差がある。ただ、ドイツの場合は地域が非常に平面で、日本の森林のように急峻な場合とは少し違いますので、単純に比較はできないと思いますけれども。

 どちらにしても、私もこの間、高知県だとかいろいろなところを見せていただいていますが、昔と違って、間伐をするのもほとんどもう今機械化をされてやっていますから、機械が十分入れるようなちゃんとした路網の整備がされていないと、間伐も、利用間伐もほとんどできないし、せいぜいやれても切り捨て間伐、雨でも降ればそれが流れ出て災害につながっていくということですから、路網の整備、作業道の整備については、まず森林整備の大前提というふうに考えております。

穀田委員 確かに、急峻な土地だということがあるのはわかっています。でも、同じ急峻なところでも、オーストリアだって八十七メートルの整備がされているわけで、余り理屈にはならぬと思うんですね。

 おくれているという現実をどうするか。そうしますと、私の日吉のところでもそうですけれども、やはり作業道だけじゃなくて、間伐材の活用と林業をやっている方々の今後の利益、それから作業道、一体となって進めているところによさがあるわけですね。ですから、目標を持って私は進めるべきだと思っています。林業にとってこの十年が、今後極めて大事な岐路に立っていると思っています。

    〔川内委員長退席、筒井委員長着席〕

 私どもは、今までの輸入木材一辺倒といいますか、それの重視から、国産材という、そういう意味での考え方、また国の基幹産業としての位置づけをしっかりさせるという立場から、今後とも質問していきたいと思います。(赤松国務大臣「委員御指摘のとおりだと思っております」と呼ぶ)

筒井委員長 大臣、指名でしてください。

赤松国務大臣 はい、済みません。

 御指摘のとおりだと思います。

 私どもは、森林・林業が持つ多面的な機能ということも重視をしながら、そしてまた、森林の活性化が地域全体の活性化につながっていく、その視点から、委員の御指導もいただきながらしっかり取り組んでまいりたい、このように思っております。

穀田委員 終わります。

筒井委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは連合審査ということで、質問の時間を与えていただきまして、心から御礼を申し上げます。

 まず、パネルをつくりましたので、ごらんをいただきたいと思うんですけれども、この建物は、私の地元の江東区新木場にあります木材会館といいまして、東京木材問屋協同組合の創立百周年を記念して建てたものであります。地上七階、そして地下一階のビルですけれども、ごらんのとおり、非常に近未来的なデザインのビルの外装に、木がふんだんに使われています。

 構造躯体そのものはコンクリートでありますけれども、それを覆う形で百五ミリ角の国産のヒノキ材、ちなみに岐阜県東濃産だそうでありますけれども、このヒノキの角材を使用している。これは住宅用に製材をされて市場に流通している三寸五分角の角材を用いているということで、日本で一般的に入手できて、かつ、日本で最初に規格化され、製造された材料であり、安定的に供給されている材料をあえて使っているわけであります。

 七階のホールの方なんですけれども、この七階のホールの部分は完全に木造です。天井高五・四メートル、そして、二十四メートルに及ぶスパンのはりを木造で実現しています。この木材会館には、まさに、次の百年に向けた木材需要拡大のランドマークにするという木材問屋協同組合の意気込みがあらわれております。

 今までは、木材は燃えるという既成概念から、不燃化すべき都市建築には適さない材料として、木材の使用は忌避されてきました。しかし、この木材会館では、木材を原則として不燃化することなく外装や内装に用いております。問題は、材料が木材かどうか、可燃か不燃かということではなくて、火災の際に建物が安全かどうか。木材会館では、耐火性能の高い鉄筋コンクリートで構造躯体はつくっていますけれども、外装にヒノキ材を使い、また、外壁が炎上した場合でも上の階に燃え広がることがないように、階の途中に不燃処理を施した燃えない木材をファイアストップ材として設置しております。

 室内ですけれども、これも本来、内装制限によって不燃材の使用が義務づけられていますけれども、二〇〇〇年の建築基準法改正によって認められた、安全に避難できる安全性が確保されれば制限を緩和できる避難安全検証法を利用して、不燃処理せずに無垢材を用いることができるようにしました。

 このため、この木材会館は、建物に近づいただけで木の香りが漂ってくる、中に入れば木造住宅のような木の香りに満ち満ちております。こうしたビルが、準工の、しかも防火地域に建てられるんです。

 こうしたケーススタディーを踏まえれば、今回の法案は三階以下の低層の公共建築物に対象を絞っておりますけれども、中高層の公共建築物の内外装にも木材を積極的に活用していくことができるのではないか。もっと申し上げれば、このすぐ近くの霞が関の庁舎でも、同じような形で木を外装に使って、まさにこれはランドマーク、シンボリックな形でこのような庁舎を建てられるのではないかというふうに思いますけれども、御見解を伺います。

赤松国務大臣 私も、機会があれば、ぜひ一度その木材会館に行かせていただこうと思っておったところでございます。この建物も、木造建築ということにはなりませんけれども、しかし、木質化という意味では理想的な建物なのではないかと思っております。

 そういう意味で、今回も私どもは、基本的に森林・林業再生プランや林業白書の中では書いておりますけれども、木造化ともう一つは木質化ということで、ぜひ内装、外装にも木質化を進めていただきたい。先ほど来、各委員からありましたように、ガードレールへの使用だとか、あるいはバイオの関係でチップを今度は石炭火力に利用するだとか、いろいろな意味での木材利用を総合的に考えているということでございます。

 ただし、今回の法案については、木造化の率の一番劣っている、低い、七・五%という公共建築物、公共建築物といっても地方へ行けば三階以下の建物はいっぱいあるわけですから、これは我々が決意さえすれば直ちにできることですから、まず足元から、隗より始めよじゃありませんけれども、まずそこから始めていこうと。そうすれば、今言われたような高層建物でも、中に鉄筋は使わなきゃいけないけれども、委員御指摘のように、内装だとか外装に木質化をどんどんと進めることができるということにも、また学校にも社会福祉施設にもということで、徐々に民間の皆さんも含めてお願いをしていきたいと思っております。

柿澤委員 一度、木材会館を見にいらしていただけるということで、ぜひ御案内を申し上げたいというふうにも思っております。

 今言った公共建築物の先導的な役割、これは非常に重要だと思っております。だからこそ、先ほど霞が関の庁舎の話を申し上げたわけであります。

 地元にこんな建物がありますから、私、今回、木材会館に行って、新木場の材木屋さんの方にお会いして、今回の法案に関する御意見を聞いてきました。必ずしも構造躯体を木造にするということにこだわる必要もないんじゃないかというような考え方もございました。RC、コンクリートと比べて、木造の躯体というのは強度の面ではいろいろと、なかなか難しい点もあるということは認めた上で、こういう建物の外装にやはり積極的に使っていく、こうした視点を持ってもらいたいというのが地元の意見だったということを申し上げておきたいというふうに思います。

 また一つは、年間千五百万平米の公共建築物の新築、改築が行われていくということでありますけれども、そのうち低層が、四分の一の六百万平米、五百万平米が新たに木造化されていくということに、この法案が通ればなるわけです。そうすると、丸太換算で百五十万立米の国産材の新たな需要が生まれるということになります。これは大変歓迎すべきことなんですけれども、しかし、国産材の供給がそれに追いつくのかどうかという疑問があります。

 需要に供給が追いついていかないとすれば、木材価格の過剰な高騰につながっていくおそれもなしとはしません。その点、国産材の需要と供給のバランスをどのようにとっていこうとしているのか、御見解をお伺いします。

山田副大臣 まず国産材についての供給ですけれども、供給については、新生産システム、いわゆる大規模の工場といいますか、全国に十一カ所ぐらい、そういう生産システムによってそこに集めて、そういう乾燥材をつくって供給する。また一方、水平連携といいますか、いわゆる中小の、山にある製材所は、乾燥までいかなくてもある程度の、皮をはいで、そして製材、引き裂く、割るところまでやって、今言った新生産システムの中核工場の方に運んでくる。

 そういう形での、いわゆる供給側の体制のシステムと、同時に需要側についても、先ほど委員がお示しになりました木材会館のように、中高層以上の建物においてもどんどんそういう木材を利用していく。そういう形によって、民間も含めますと需要はこれから限りなく、最近、岡山で三階建ての特別養護老人ホームが木造でできているというお話を聞きましたが、そういう形もこれからどんどん進んでいくんじゃないか。

 需要はある、供給もできる、そういう形でぜひ推進していきたい、そう思っております。

柿澤委員 大変力強い御答弁をいただきました。

 さらに、今の建築基準法も少し見直さないといけないんじゃないかという問題です。

 例えば学校ですけれども、先ほど谷委員からもお話がありましたが、確かに三階建て以下は多いんですけれども、延べ面積が三千平米以上の学校も多い。そうなると、耐火建築物にしなきゃいけない。そのときに、鉄筋コンクリート、RCと木造の併用構造にするのが効率的だったんですけれども、二〇〇七年の改正建築基準法以来、建築確認が厳格化されて、技術基準が明確でない箇所の判断を建築主事が避けるようになった。木造の学校をつくるに当たって、最大の障害となっているのが建築基準法であるというような指摘もあるわけであります。

 その点をどのようにお考えになられているか、国土交通副大臣に御答弁いただければと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘の、建築基準法の改正によって、混構造、併用構造について大変建てにくくなったといったお声ということであります。これにつきましては、十九年六月に施行された改正基準法で、構造計算適合性判定の対象ということで、実務者から大変建てにくくなったという声が寄せられているのを承知しております。

 現在、私どもとしては、この基準法の見直しについて、来年度通常国会にて提出をすべく、検討を始めさせていただいております。

 三月に、この基準法について、建築基準法の見直しに関する検討会を立ち上げました。この中でも、混構造の問題についてさまざまな御意見をいただいております。例えば、混構造については、その構造計算方法、あるいは法適合審査方法の合理的な確立が必要である、またさらには、工学的に無意味な法令の廃止あるいは見直しが必要だという観点から、併用構造の場合の地震力設定における延べ面積制限を行うべきである等々、こういったものを見直すべきであるといった御指摘もいただいております。

 いずれにいたしましても、こうした検討会の中で、私ども、夏ごろをめどに取りまとめを行う予定でございまして、その結果を踏まえて、委員御指摘の方向も踏まえて法改正の検討をさせていただきたいというふうに考えております。

柿澤委員 今、お話がありましたとおり、夏には、建築基準法の見直しにおいて、この部分についても御検討をいただいて一つの方向性が見出されるということでありますので、ここは大いに期待をしたいというふうに思います。

 最後に、公共建築物の、建物の木造化だけでいいのかという話です。

 国土交通省では、平成十九年十二月に、オフィスビルのCO2排出量削減方策を業界横断的な検討会で取りまとめています。また、今、東京都の条例によって、都内の一定規模以上のオフィスビルにも排出量の削減義務が課されました。そこで、太陽光パネルであるとかLED照明であるとか、こういうことでCO2削減に取り組んでいるんですけれども、しかし、なかなか目標数値に到達できず、オフィスビルはどこも四苦八苦しているのが実情のようであります。

 そこで、私はオフィス家具の木製品化を提案したいというふうに思います。

 木材の材料当たりの重量の五割弱が、CO2を吸収し、固定化したものとされております。矢野経済研究所というところが調べた数字ですけれども、オフィス家具の市場規模というのは、三千九百三十二億円規模。質量ベースの数字というのはありませんけれども、しかし、これの何割か、スチールの棚やあるいはプラスチックのオフィス家具、こういうオフィス用品が木製品に置きかわっただけでも、CO2の固定化に大きく寄与するのではないかと考えられます。これは建築基準法には影響を受けないわけです。建築基準法に影響を受けないオフィスでの家具の木製品化は、費用も少なく、また早急に実現できる施策の一つだというふうに思っております。

 国土交通省が進めるオフィスのCO2削減対策の中で、オフィス家具の木製品化を排出量削減の一環として認め、導入していくべきではないかということをまず国土交通大臣にお伺いし、また、公共建築物等におけるオフィス家具の木製品化というのを、本法案と同じ視点に立って、先導的役割として推進していくべきではないかということを農林水産大臣に、あわせてお伺いをいたしたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、このオフィスビル部門、いわゆる業務その他部門におけるCO2の排出量に関しましては、基準年からもう既に四三%増ということです。産業部門、工場等は一三・二%減、あるいは運輸部門も、八・三%、これは基準年より若干伸びておりますが。こうした数値が、平成二十二年四月十五日、環境省の発表で排出量として提出されております。

 こうした中で、私どもとしても、オフィスビルがなかなか苦労されているということも重々承知しておりますが、一方で、企画、建設、あるいは設計、工事、また賃貸、管理、更新といった一連のプロセス、その中でのCO2削減に対して中間取りまとめを行っていただき、またさらにはその上で、運用管理のガイドライン、また省エネ診断・改修の促進など、一定の方向性を示しているところでございます。またさらには、業界団体における環境自主行動計画の見直し、こうしたものも進めさせていただいております。

 委員御指摘の、こうしたいわゆるビル管理あるいは建設といった観点のみならず、什器、備品に関するものまでも一定のガイドラインで示すべきであるという御意見は拝聴に値するものと思います。

 ただ一方で、こうしたものについては、その中に入るテナントさんの自主判断というものに十分にゆだねられる部分もあるかと思いますので、これは関係各方面と協議しながら進めさせていただきたいというふうに考えております。

赤松国務大臣 木の持つ安らぎ、ぬくもり、そうしたものは、人が仕事をする、あるいは勉強する環境に非常に大きな影響があると私は思っております。

 一例で申し上げますと、学校も、コンクリート校舎と木造校舎とでは不登校の子供が倍ぐらい違う。それから、インフルエンザで学級閉鎖の数を調べてみたら、これも倍違う。やはり、いかに木造校舎が子供たちの健康にとって、あるいはそういう環境にとっていいかという証左だと思っております。

 同様に、今、ビジネス街でのオフィスのお話もありましたけれども、最近、先進的な企業が、パソナなんかやっていますが、屋上に農園をつくったり、それからまた、できるだけ内装の木質化等にも取り組んでおられるということで、民間の場合は、最後は価格ということが無視できない、これは正直なところですね。木製家具がいいとみんな思うんですけれども、ではスチール製と比べてどうかというと、やはり木製の家具の方がどうしても高くなりますので、問題は、それぞれの価値観の中でやられることですけれども。

 私どもとしては、できるだけ環境に優しい、そしてまた、これからのあるべき姿として、こうした民間の皆さん、各企業の皆さんともいろいろと相談をしながら、太陽光もそうですし、太陽パネルもそうですし、今言った屋上の農園化もそうですし、また、委員がずっと一貫して御指摘をされた木造化、木質化の問題についても、公、民間を問わず、一生懸命に取り組んでいきたい、このように思っております。

柿澤委員 御答弁がちょっと一般論になってしまったなということで、非常に残念な思いもあるんです。しかも、もしよかったら前原大臣に、今の提案について本当はコメントを求めたいところもあるんですけれども。

 いずれにしても、この公共建築物等における木材利用の促進に関する法案というのは、まさに、公共建築物が先導的な役割を果たして、そして需要が拡大をすれば価格も下がって、流通も回っていく、こういう考え方に立っているわけですから、私は、オフィス家具に関して木製品化を進めていくという上でも、やはり同じ考え方に立って推進をしていく。安価で、またお求めやすいオフィス家具をどうやったら木製品で提供することができるのかということを、ぜひ皆さんも考えていただきたいというふうに思っております。

 私ども地元の新木場では、まさにこういうことに取り組んでいる仲間もおりますので、幾らでもお知恵をおかしいたしますので、そのこともお願いを申し上げまして、最後になりましたけれども、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

筒井委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時九分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律案

 地球温暖化の防止等に貢献する木材利用の推進に関する法律案

は農林水産委員会議録第七号に掲載


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