衆議院

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第3号 平成27年5月19日(火曜日)

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平成二十七年五月十九日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂本祐之輔君

   理事 井上 貴博君 理事 小松  裕君

   理事 冨岡  勉君 理事 馳   浩君

   理事 山本 幸三君 理事 津村 啓介君

   理事 伊東 信久君 理事 伊藤  渉君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      尾身 朝子君    大隈 和英君

      大野敬太郎君    勝沼 栄明君

      神谷  昇君    神田 憲次君

      古賀  篤君    田所 嘉徳君

      渡海紀三朗君    豊田真由子君

      中川 俊直君    中山 展宏君

      野中  厚君    藤井比早之君

      古田 圭一君    松島みどり君

      宮崎 謙介君    村井 英樹君

      八木 哲也君    小川 淳也君

      大串 博志君    長島 昭久君

      平野 博文君    丸山 穂高君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      島津 幸広君    真島 省三君

    …………………………………

   国務大臣

   (科学技術政策担当)

   (宇宙政策担当)

   (情報通信技術(IT)政策担当)         山口 俊一君

   内閣府副大臣       平  将明君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   国土交通大臣政務官    鈴木 馨祐君

   防衛大臣政務官      原田 憲治君

   政府参考人

   (内閣官房総合海洋政策本部事務局長)       加藤由起夫君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房宇宙審議官)           小宮 義則君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   森本 浩一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安藤 慶明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  晃憲君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           星野 岳穂君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           高田 修三君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 鈴木 敦夫君

   衆議院調査局科学技術・イノベーション推進特別調査室長           行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  宮崎 謙介君     大野敬太郎君

  八木 哲也君     野中  厚君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     勝沼 栄明君

  野中  厚君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     村井 英樹君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

坂本委員長 これより会議を開きます。

 科学技術、イノベーション推進の総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房総合海洋政策本部事務局長加藤由起夫君、内閣府大臣官房宇宙審議官小宮義則君、内閣府政策統括官森本浩一君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省大臣官房審議官安藤慶明君、文部科学省大臣官房審議官森晃憲君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官村田善則君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、経済産業省大臣官房審議官星野岳穂君、経済産業省大臣官房審議官高田修三君、防衛省大臣官房技術監外園博一君及び防衛省防衛政策局次長鈴木敦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介でございます。

 ようやく、この科学技術・イノベーション特別委員会が大臣所信の質疑というところまでやってまいりました。

 この委員会は、二〇一一年の初頭に設立をされた委員会でございまして、比較的歴史の浅い委員会でございますが、その後、解散・総選挙が二回ございました。当委員会のメンバーの中には、この科学技術特別委員会が、どういった経緯で、どういった趣旨で設立されたかを必ずしも当時の記憶として御存じでない方が大勢いらっしゃると思いますので、冒頭、確認をさせていただきたいというふうに思います。

 大臣は、この科学技術・イノベーション特別委員会の設立の経緯について、前の政務三役の方からどのように引き継がれていらっしゃいますか。

山口国務大臣 実は、私もかつて科学技術委員会に結構所属をしておりまして、当時は、他の委員会にないような、いろいろな科学技術の夢のある議論が結構できたわけで、ただ、私が理事をやるたびに原発事故があって、余り十分な議論ができたという思いは残っておりませんが、その後は御案内のとおりで、省庁再編の中で文部科学省というふうな格好になりまして、結果、委員会としてもそういう形になったわけです。

 しかし、やはり科学技術というのは非常に大事だ、いろいろな法案の中で、なかなか、まさに未来を語るようなさまざまな夢のある議論ができないじゃないかというふうな声があったというふうなのも私、記憶にございます。そういった中で、皆様方のお力で、二〇一一年、科学技術・イノベーション特別委員会ができたというふうにお伺いをしております。

津村委員 御丁寧な答弁をありがとうございます。

 実は、この同じ質問を私は山本大臣にも二年前にさせていただいております。非常にこれは与野党共有すべき大事なことだと思いますので、あえてまた重ねて聞かせていただいたわけです。

 省庁再編ということがございました。その結果、常任委員会、特別委員会の見直しということが、これは立法府の議論ですけれども、ございまして、科学技術の委員会は一時期存在しなかった。これを、四年前になりますけれども、当時、内閣委員会と文部科学委員会がそういう意味では科学技術を所管していたわけですけれども、なかなか内閣委員会というのも法案が多い、文科も同じです。

 そういう中で、実質的に国会でほとんど科学技術の議論がなされていないじゃないか。これは、当時野党だった公明党の遠藤乙彦議員が大きな働きをされたということでありますけれども、議運で議論があって、そして、第百七十七回通常国会、平成二十三年の一月に設置をされたということであります。

 この結果、毎年、少なくとも、大臣所信に対する質疑ということで、今回は四時間ですけれども、三時間ないし四時間の質疑は行われるようになりました。

 また、特筆すべきだと思いますが、二〇一一年のこの委員会設置の直後に、不幸にして東日本大震災そして原発事故が起きた後、当時の川内委員長は、与党の委員長であったわけですけれども、相当厳しく、政府に対してあるいは東電に対して、原発の一次資料を出せという議論をされて、当時、私は与党の理事でしたので、なかなか板挟みになる部分もあったんですけれども、しかしながら、結果としてかなりのものが委員長のイニシアチブによって明るみに出たという経緯もございました。

 そういう意味では、この委員会というのは、与野党を超えて、先ほど大臣もおっしゃられたように、未来を語る委員会として、足を引っ張り合うのではなく、有意義な議論をしていく委員会だというふうに思っているわけですけれども、残念ながら、この大臣所信に対する質疑は、私どもが特段足を引っ張ったという意識はございませんけれども、他の委員会に比べまして開催は大いにおくれたわけでありますし、一部に、この後、法案審議云々という議論もありますが、それにしては、政府・与党のこの姿勢というのは余りにも科学技術政策に対して不熱心というような印象を私は持つんですが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 国会のさまざまな日程の中でこういう格好になったんだろうとは想像しております。実は、私は消費者の方も担当しておりまして、この委員会も特別委員会でございますが、ついこの間、所信質疑がございました。

 恐らく国会のさまざまな事情の中で決定をされていくものだろうと思いますが、先ほど先生の御指摘にもありましたように、やはり、せっかくみんなの努力でつくった科学技術・イノベーション特別委員会ですから、しっかり未来を見据えながら、さまざまな議論をしていきたいと私も思っております。

津村委員 この後、科学技術政策に政務三役が、必ずしも理系の専門家ではいらっしゃらないと思うんですけれども、どういう形でかかわっていくべきかということを具体的な事例に即して、きょうは三十分伺っていこうと思っているわけです。

 冒頭、こちらも、済みません、官僚の作文をしていただきたくなかったので、事前に通告させていただいておりませんし、また、正解のない質問だと思いますので、大臣の思いでお答えいただいたら結構なんですけれども、科学技術政策に政治家がかかわることの難しさ、あるいは、どういうことを日々お感じになっているのか、伺えたらと思います。

山口国務大臣 確かに、私も実は文系で、大学はフランス文学でございます。そういった意味で、科学技術、専門としては全くやってきておりませんでした。

 ただ、さっきもお話し申し上げましたように、私は、かつて科学技術委員会に結構所属をしておったのは、実は、科学というものに対して非常に興味がもともとございました。大臣就任前も自民党で国家戦略本部長をやらせていただいて、とりわけこれからの科学技術のようなことをテーマに、ずっといろいろやらせていただいておりました。

 そういった意味で、今非常にやりがいを覚えながらやっておりますが、お話しのとおり、政治家と科学技術もしくは科学者、非常にセンシティブな部分もあるんだろうと思います。どうしても、十分わかっておらないといいますか、ある程度表面はなでておるんですが、本当にトータルとして十分理解をしておらないにもかかわらず、例えば、司令塔として、こういう分野をやれとかああいう分野をやるべきだと言うのは、やはり厳に注意をしなくてはいけない話なんだろうと思います。

 そこら辺は、さまざまな機会を通じて、いろいろ専門家の皆さん方のお話も聞いたり、ともかく幅広い御意見をいただきながら、しっかりといわゆる大臣としての役割を果たしていければと考えております。

津村委員 非常に立派な御答弁だと思います。

 私なりの言葉で申し上げますと、やはり、科学技術の具体的な理論でありますとか、必ずしも理解できないことは多々あるわけですけれども、ある意味では科学技術コミュニティーで決めるべきことは専門家に任せながら、しかし、科学技術コミュニティーのコンセンサスメーキングに何か手伝えることがないのか。

 あるいは、科学技術コミュニティーがタコつぼのような議論に、ともすれば、周囲からは、専門家の話というのは難しいものですから、国民になかなか理解されない。そういったところを、何か科学技術のコミュニケーションを、科学技術と国民、社会とのかかわりという意味において、政治家はその間に立ってつなぐ仕事もあるのではないか。

 あるいは、この後伺いますけれども、最近、外務省の方で提言がまとめられた科学技術外交、これも政治家が一定の役割を果たすことができるのかな、そういうようなことを思うわけです。

 そういう意味では、科学者にできること、科学者がすべきことを政治家が乗り出して決めていくのではなくて、政治家にしかできないことで科学技術の振興にお手伝いをしていく、そういう姿勢が大変重要なのかなというふうに思います。

 そういう意味では、私は、きょうは議論の本題とはいたしませんけれども、ImPACTであるとかSIPであるとか、ともすれば、科学技術コミュニティーに若干政治が予算を振りかざすことによって手を突っ込んでいる部分があるのではないか。ここは、改めて、場面を変えてしっかり議論させていただきたいなというふうに思っております。

 大臣、この科学技術と政治のかかわりについてなんですけれども、私は、大臣が大変お忙し過ぎることが、今回のこの委員会の議論がおくれたこと、あるいは法案審議がなかなかできないことにつながっていると思うんですが、今、ぱっと御記憶の範囲で結構ですけれども、どういった所掌、担務を兼務されているんでしょうか。

山口国務大臣 確かに結構数は多いんですが、沖縄北方を担当しておりますし、当然、科学技術政策を担当しております。それから宇宙戦略も担当しております。そしてIT戦略、さらにはクールジャパン、再チャレンジ、そして、先般再任された折に、いわゆる消費者の件も担当というふうなことになっております。

 数は多いんですが、その中でいろいろ共通する部分もあるというふうな中で、自分の頭の中ではきちんと整理をしながら、今頑張っておる最中でございます。

津村委員 大臣、僣越ながらアドバイスをさせていただきたいんですけれども、今おっしゃられたような科学技術、IT、知財、宇宙、海洋、消費者、沖縄北方、恐らく遺棄化学兵器とか、いろいろあるかと思うんです。

 そういった部署がありますと、霞が関のお役人は大変勤勉でありますので、それぞれ、週に一度、少なくとも月に一度はいろいろな会議を開催するわけですね。それに大臣が全部、二時間の会議、三時間の会議、出られるのか。出られないと思います。

 その結果何が起きているかといえば、最初の十分だけ、用意された原稿をお読みになって退席をされる、あるいは、出られずに副大臣か政務官にお任せになる、場合によっては、副大臣、政務官もお忙しくて最後までは出られない、そんなことが繰り返されているんじゃないかと思うんですね。

 それではまずいということで、これは山本大臣に、それも二年前に申し上げたことなんですけれども、山本大臣は、二年前の五月に司令塔連携・調整会議というのを立ち上げられました。

 それは、大臣が全ての本部の委員会に出なくても、一堂に会して、科学技術も知的財産もITも宇宙も海洋も原子力委員会もお持ちだと思うんですけれども、こういったもの全て、今大臣がおっしゃられたように、非常に共通性もございますし、ともすれば、会議に出ると重複しているわけです。そうすると、無駄を排するということもありますし、横串を刺すというまさに大臣のお仕事そのものですから、そういった各会議のヘッドを集めて、大臣室でもいいですし、どこの会議室でも、八階の会議室でいいと思いますけれども、まさに横串を刺す会議を山本大臣は立ち上げられました。

 私が仄聞するところでは、一年余りの任期の中で八回ほどその会議をされたやに伺っていますが、山口大臣はそれを引き継がれずに、以後開かれていないと伺っています。なぜ、その連携・調整会議をおやめになったんですか。

山口国務大臣 ただいま津村先生から御指摘をいただきましたように、前山本大臣は、それぞれ司令塔を集めて、さらにその上でということで司令塔連携・調整会議を開催されまして、おっしゃるとおり、八回会議をやって、結果として、報告書を昨年八月に取りまとめていただきまして、これを公表されたわけでございます。同時に、行革の議論の中で、それをもとにしていろいろ議論をしていったというふうにも聞いております。

 そういった調整会議等をやっていただいたおかげで、相当、連携がそれぞれできてきたなというふうな感じを実は持っております。例えば、IT戦略本部と総合科学技術・イノベーション会議の連携であるとか、あるいは知財の方だとか宇宙だとか、それぞれいろいろな会議の中に例えば宇宙の方の担当者が来て一緒に議論をするとか、そういったことも動き始めております。

 例えば、実はこれは私自身も考えておるんですが、先生も御案内のITS、これはいわゆるIT戦略本部の方でやっておるんですが、同時に、総合科学技術・イノベーション会議でも、自動運転ということでやっております。これを一緒にしてさらにすばらしいものにできるのではないかということで、今そういった動きも強めております。

 お取りまとめいただいたものをもとにして、しっかりと連携できるような形で動かしていく、これは私の当面の役割なんだろうと思いますし、同時に、どうしてもうまくいっていないな、やはりばらばらだなというふうな感じがしたときには、またそういった機会もつくっていきたいとは思っております。

津村委員 厳しい聞き方になっていたかもしれませんが、大臣、あと平副大臣、松本政務官にも質問せずに陪席していただいているのは、ぜひこのことを共有していただきたいと思って、失礼ながらお呼びしたんですけれども、これは大臣や副大臣、政務官がより仕事をしやすくするための器だったと思うんです。

 ただ、今、報告書をまとめたとおっしゃられたんですけれども、調整や連携に区切りはないはずで、報告書をまとめたら終わるわけじゃなくて、それからもまたどんどん事案が出てくるわけですから、これはそのためのフローの組織としての連携・調整会議だったわけですから、報告書で終わらせちゃいけないと思うんですよ。

 そして、これは、お役人の立場に立つと、実は余り愉快なものではなかったんだろうと思います。

 内閣府というのは総合調整官庁として立ち上がったけれども、その総合調整するべき案件が余りにも多いためにどんどん肥大化して、そしてその機能の見直しということが言われました。ようやく八号館ができたので、まだましなんですけれども、それまでは、十五、十七というたくさんの建物に分かれて物理的にも縦割りが続いてきて、その議論はたくさんさせていただきましたが、平さんともさせていただいたんですけれども、ようやく器が整って、また、ある意味では、内閣府の機能の見直しということも自民党あるいは政府でされて、多少整理がされていると思うんです。

 まさに役所側からすれば、宇宙は宇宙で経産が、あるいはITであれば総務省だとか、知財は経産省で、科学技術は文科で、それぞれ得意というか縄張りというか、そういうものが結果的に内閣府の中に移植されてしまって、結局、縦割りを改めよう、横串を刺そうという内閣府の中にまた縦割りが生まれているという現実があると思うんですよ。

 そこを何とか横串を刺すというのは、これは役人にはできないことで、内閣府の政務三役の役割というのは非常に大きいと思うんです。そのことを気づかれた山本大臣が、横串をまさに刺そうと。多分、役人としてはこんなことはしたくないから、大臣が交代したのをチャンスだと思って、山口大臣への大臣レクでこのことは余り大事なことだと言わずに、さらっと終わらせてしまっているわけじゃないですか。私にはそう見えます。

 ですので、全部の会議に出るのは私は無理だと思うので、かといって、欠席をされたり、最初の挨拶だけで退席をされたり、出席されている委員の皆さんから見たら、そんなものかという話ですよ。ちゃんと大臣が最後まで二時間席に座っているとか、それは副大臣でも結構ですけれども、会議はそうやってやっていかないと、方向がばらばらになってしまうと思うんですね。

 そして、そのことをやろうというのが、一年前につくったこの総合科学技術会議の司令塔機能強化だったはずで、CSTPをCSTIと名前を変えましたけれども、イノベーションとつけたけれども、結局、これまで科学技術振興調整費の三百九十億だったものを、今のSIP、五百億に百億円ふやしただけだし、それによって、知財やITや海洋や宇宙に特に大臣がかかわったということではなくて、むしろ、日本版NIHを切り出しちゃって、司令塔機能を弱体化させているじゃないですか。私はそう思いますよ。

 だから、もう一度言いますけれども、平さんはこれまでの経緯をよく御存じだし、お三方とも大変熱心な方なわけですから、今からでも間に合うと思いますので、もう少し横串を刺すための工夫をされたらいかがかと思います。

 通告した質問に入っていきます。

 今の問題意識とかかわるんですが、科学技術外交について、先般、五月八日に、政策研究大学院大学の学長でいらっしゃる白石隆先生が、これは外務省の懇談会ですけれども、科学技術外交の重要性について、るる提言をされました。

 それに関連して伺いますが、山口大臣、平副大臣、松本政務官は、この一年間で科学技術政策に関連して海外出張をされていますか。

山口国務大臣 昨年九月に大臣に就任をさせていただいて以降の海外出張ということですが、昨年の九月の二十一日から二十四日にかけて、ウィーンにおいて開催をされましたIAEA総会に出席をいたしました。その後、なかなか機会がなかったんですが、ことしの四月の二十九日から五月の四日にかけまして、IT関連でエストニア、そして宇宙の関係でカタールへお邪魔をさせていただいて、関係閣僚等との会談をしたり、あるいは、さまざまなそういった場所を視察させていただいたということでございます。

 私の方は以上でございます。

平副大臣 私は、科学技術関係の海外出張はしておりません。

松本大臣政務官 お答えいたします。

 私も、副大臣同様に、科学技術関連の海外出張はございません。

津村委員 先ほど山口大臣は二つの出張のことをおっしゃったんですが、大臣御自身がおっしゃられたように、原子力、それからITと宇宙の三つ、行かれたわけです。科学技術の海外出張はお三方ともされていないわけです。

 この委員会が必ずしも大臣を呼ばなくていいようにしているのは、兼務も多いし、先ほど申し上げたように、大臣が、科学技術の専門家でない政治家大臣がやるべきことは、国民やあるいは海外とのコミュニケーションによって科学技術の専門家の皆さんがより仕事をしやすくするためにいらっしゃるにもかかわらず、国会も開かれない、そして海外に御出張もされていない。

 普通、海外出張は、何しに行ったんだというふうに質問することが多いと思うんですけれども、私は、行かれていないことを問題にしているんです。もっともっとされることはできると思うんですね。外務省に提言されている場合じゃないですよ。御専門の大臣がいらっしゃるんだし、副大臣も政務官もいらっしゃるんだから、もっと外に出ていって、日本の科学技術について発信してくださいよ。

 原山さんと久間さん、CSTIの有識者議員の方々、原山先生はOECDの局次長も務めていたという御経験もあるので、海外に随分出られて、いわば大臣、副大臣、政務官のかわりに科学技術外交をされています。ですから、日本の科学技術外交が全然だめだと言う気はないんですけれども、でも、それでは政務三役は何のためにいるんだという話じゃないですか。今後の決意を聞かせてください。

山口国務大臣 大変ありがたい御激励と受けとめました。

 これまでも実は機会はあったんですが、正直、国会の関係で残念ながらということが続いてまいりました。ただ、許される範囲で、国内のさまざまな研究施設とか大学等々はかなり視察もさせていただきましたし、同時に、さまざまな会議の折とか、あるいは、役所をお訪ねいただく海外の科学技術担当大臣等々もおいでになりました。できる限り多くの方々とお目にかかってお話をしてきたつもりであります。

 ただ、御指摘のとおり、科学技術で海外出張というふうなことは、これまでそういった機会をなかなかつくることができなかったわけですが、実は、ことしの九月は、今度はまたIAEA総会がございます。十月にはG7の科学大臣会合、さらには、同月に韓国でOECDの科学技術政策委員会閣僚級会合、これはぜひとも出席をいたしたいと思っておりますが、先生御指摘いただきましたように、しっかりと各国とも連携をし、かつ、我が国の科学技術、しっかりとお話をして、努めてまいりたいと思います。

津村委員 ぜひそうしてください。

 科学技術のコミュニティー、国際的なコミュニティーが非常にあって、それはどこの政策分野でもあるでしょうけれども、その中で非常に中心的な役割を果たしている方というのが何人かいらっしゃる。

 例えば、アメリカのホルドレンさん。私が政務官をさせていただいた五年前も大統領補佐官でしたから、もう随分長くされていると思います。いわば国際的な科学技術コミュニティーの顔役の方ですけれども、大臣は、就任以来一度もお会いになっていないはずです。

 それから、ウォルポートさん、イギリスの科学技術顧問。イギリスの大変国際的な影響力のある方で、前任のベディントンさんは、日本が東日本大震災で大変な時期にあったときに、イギリスの科学技術顧問として、首都から避難する必要はないということをおっしゃって、当時、アメリカなり幾つかの国の大使館が大阪の方に避難しようかという時期だったわけですけれども、イギリス大使館はそのままやればいいということで、ある意味では、パニックにならないように、非常に冷静なアドバイスをしてくださった、大変恩のある方です。その後任のウォルポートさんとも一回しかお会いになっていないと思います。

 やはり、そういったことでは、日本の科学技術の顔として、原山先生の顔が浮かぶのかもしれませんけれども、それではだめだと思うんですよ。もちろん、原山先生にも頑張っていただければいいけれども、やはり大臣に頑張っていただきたいという思いで聞かせていただきました。

 もう一問、国内で地方出張はたくさんしていますよというお話がありました。それでいいますと、日本の科学技術外交にとって非常に大きなチャンスだった国際会議が先月開かれています。四月の末、富山で北極政策に関する国際会議が開かれました。

 北極政策というのは、以前、平さんとは議論したことがあるんですけれども、今非常にホットです。皆さんにお配りしたので、委員の皆さんももしよろしかったら見ていただきたいですが、北極海航路の概要という地図、左側の下を見ていただくと、この十年で夏の時期の北極海の氷がかなり解けている。そのことによって、ロシアの沿岸では、夏の時期であればタンカーが通れるんですね。そのことによって、日本とヨーロッパの間の距離は六割に縮まって、中近東を通らなくていいわけですから、シーレーン防衛の観点からも非常に日本にとってはメリットの大きい、地政学的なメリットの大きい新しい航路が、これは地球環境の変化によって、この十年でポテンシャルが上がってきている。

 そのことについて、ロシア、アメリカ、中国のリーダーは、それぞれ、何とか宣言とか何とか演説というので国民に対して発信をしています。また、砕氷船を一緒に走らせるということをロシアは義務づけていますので、砕氷船、耐氷船の建造ということも各国は進めています。

 しかし、日本は、安倍総理が北極政策について国会で発言されたことはまだ一度もございませんし、そして、砕氷船についても、南極観測船の「しらせ」があるだけで、これも国会で質問しましたけれども、南極にしか使わない、使えないということですから、残念ながら、北極について日本が五年、十年の計画を持っているということではありません。

 私は、平さんに、昨年の十一月に、今まさに策定中の第五期基本計画の中で、北極政策というのを必ず入れ込んでくださいというお話をしました。確約はされませんでしたけれども、しっかり議論をするというふうにおっしゃっています。

 その北極政策のために、外務省は少しだけ動きを始めまして、北極担当大使というのがいます。これは二年ほど前に任命された。そして、昨年もレイキャビクで開かれた国際会議に出ておられますが、ことし、日本で四月に国際会議、世界各国から七百人を集めてこの会議が開かれたわけですけれども、内閣府科学技術部局からはどなたが御出張になったんでしょうか。

山口国務大臣 残念ながら、誰も出席をしておらないというふうに聞いております。

 これは、先生御指摘のとおり、非常に大事な話で、今後、我々としてもしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 ただ、海洋ということに関すると、私の担当から外れてしまいましたので、そうじゃない側面から、例えば、地球温暖化による、氷が解け出しておる話から始まって、気象変動あるいは海底資源等々、そういったものを中心に、総合科学技術・イノベーション会議としてもしっかりと対応していくように考えております。

津村委員 平さん、十一月にそういう議論をしたわけです。そして、きちんと議論するとおっしゃったんですけれども、どうなっているんですか。この国際会議にもどなたも行かれていないというお話だし、基本計画はもうすぐ中間取りまとめがあると思います。きっちりこれは議論されているんですか。

平副大臣 先般議論された際に、事務方に指示をいたしました。また、基本計画、取りまとめの作業になりますので、もう一度私の方でフォローアップをしたいと思います。

津村委員 時間が参りましたので質問を終わりたいと思いますが、最後に、中根さんに謝りたいと思います。

 お呼びしたにもかかわらず御質問を、科学技術アタッシェのことについて通告をさせていただいておりました。今、既に世界に十五人、数え方によってはそれ以上の科学技術を担務とする大使館員というのがいるわけで、その方々をもっともっと科学技術部局との連携、必ずしも大臣に御報告が上がっていないというふうに私は受けとめているんですけれども、外務省と科学技術部局の連携をしっかりとっていただきたいと思いますし、岸田大臣は元科学技術担当大臣でもいらっしゃるので、その問題意識を強く持っていただきたいということをお伝えください。

 終わります。

坂本委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 きょうは、大臣の所信に関連をし、また、先立ちました津村理事の問題意識もしっかりと引き継ぎながらお尋ねを申し上げたいと思います。

 大臣とは同じ四国でございまして、よく御一緒させていただき、また御期待も申し上げるところでございます。

 きょうは、災害監視、災害予知等に関連した技術的な面からの支援について、まず冒頭、お聞きしたいと思います。

 大臣、五月に台風が参りました。それから地震も、東北地方、またネパール、頻発をしている。こういう状況について、まずどのように感じておられるか、冒頭、所感をいただきたいと思います。

山口国務大臣 先生御指摘のとおりで、近年、そういった災害が多発をしておる感じがしておりますし、とりわけ、集中豪雨にしても、こんな集中豪雨は見たことがないというのが例年続くわけで、当然、火山活動もございます。

 私も、先ほど津村先生の御答弁でも申し上げたんですが、国家戦略というものをつくる中で、二〇三〇年ごろの日本というのはどうなっておるんだろうかという問題意識で、実は、科学技術のみならず、地球環境、気象等も関係者に来ていただいて議論をしました。これからますます、もっと荒れるだろうというんですね。渇水はふえるし集中豪雨もふえる、当然、温暖化が進むというふうな中で、では、今何をすべきかというふうな議論も実はさせていただいたことがございます。

 そういった中で、科学技術の果たさなくてはならない役割というのは非常に大きいんだろう。これは、宇宙も含めて、気象観測衛星とかあるいは準天頂衛星も恐らく役立つんだろうと思いますが、そういったものを総動員しながら、やはり災害に強い、あるいは災害に遭ってもしっかり即対応できるような日本ということを念頭に置きながら頑張ってまいりたいと思います。

小川委員 大臣、ありがとうございました。大変意地悪な質問なんですけれども、そのとおりだと思うんですよ。

 しかし、今回、所信の中に災害という言葉は出てこないんですね。もちろん、宇宙開発からさまざまな科学技術・イノベーションまで含めて、いろいろな分野からアプローチが必要ですし、大事だと思います。しかし、この地震国日本、そして火山国日本において、災害監視、災害予知を含めて技術的にどうアプローチしていくかということに対しては、極めて大きな問題意識が必要ではないかと思います。

 所信でどういう言いぶりをされたかなと思って私は探したものですから、それが見当たらなかったということは極めて残念でありまして、指摘をしたいと思います。

 その上で、きょうは国交省からもお越しをいただきました。お忙しい中、ありがとうございました。

 昨年九月の御嶽山における悲劇は、非常につらい現実であり、戦後最悪の噴火災害と言われました。そして、そこから学ばなければならないものも多々あったんだろうと思います。

 そういう意味で、気象庁におかれましてもいろいろと取り組みを強化していると思いますが、つい最近になって、今度は箱根で、噴火ではありませんけれども、非常に緊迫した事態が今なお続いている。

 私は、拝見する限り、非常に箱根の対応は迅速といいますか、丁寧といいますか、そういう印象を一定程度受けております。そこには昨年の御嶽の反省はどう生かされたのか、あるいは生かされつつあるのか、生かされていないのか、そのあたりをちょっと整理して、その後の取り組みの強化なり対策の充実について少し御説明いただきたいと思います。

鈴木大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 昨年の御嶽の噴火の災害を受けまして、火山噴火予知連絡会の検討会におきまして、観測体制の強化、そして情報提供、こういったことにつきましてさまざまな御提言をいただきました。

 例えば、火山活動の変化、その初期段階から現場において地元の関係者との連携をしっかりと深めていくといったこと、あるいは、地元の自治体と協力をして、火山活動の変化を旅行者等に迅速に伝わるようにわかりやすく提供する、こういった趣旨の提言をいただいたところであります。

 それを受けまして、今回の箱根の事案におきましては、まず、四月の二十六日になりますけれども、地震活動が活発になって以降、神奈川温泉地学研究所と専門的な観点からの連携を行いつつ、例えば、あとは気象庁の機動観測班、こういったものを派遣いたしました。そして、四月の二十八日以降に開催をされています地元自治体等から成ります箱根火山防災協議会コアグループ会議におきまして、気象庁からも火山活動について直接説明を行う等々、連携を深めているところであります。

 そして、旅行者への情報提供ということにつきましては、こうした連携のもとで、五月の三日になりますけれども、気象庁の火山の状況に関する解説情報というものを発表いたしまして、これを受けて、箱根の町におきましても、直ちに遊歩道等への立ち入りの規制を実施したところであります。

 こうした形で自治体あるいは地元との連携をより深めるといった形で、御嶽のいろいろな形での教訓をしっかりと受けて適切な対応を実施しているというふうに認識をしております。

 以上です。

小川委員 ありがとうございました。

 御嶽の噴火以降、補正予算によるさまざまな装備品の強化、それから監視すべき火山の追加等も行われているというふうにお聞きしています。

 ことしの三月の二十六日ですか、対策の強化について、有識者からの、今触れられた部分にかかわると思いますが、提言を受けたということのようであります。これは九月の災害から三月の報告ですから、これ自体に半年かかっているということは、迅速さにおいて十分評価されるべきか、あるいはもっと急がなければならないのか、私は、少し時間がかかり過ぎているなという印象です。災害から報告までが半年。

 その後、その報告に示された具体策を一刻も早く実現していくということが重要なわけですが、ちょっと事務的にお聞きしたところですと、噴火警報の発表基準を公表すると。今まで公表していなかった。どういう場合に噴火の危険性なりがあるのかというその基準を公表していなかった。それを公表すべしという提言が三月の段階で行われた。現在、五月です。これはもう公表していておかしくないと思いますが、状況を教えてください。

鈴木大臣政務官 お答えさせていただきます。

 今、その基準につきましては、公表に向けての整理を行っている段階でありまして、一刻も早く公表に向けて取り組みを進めていきたいと思っております。

小川委員 報告からもう二カ月ですよ。基準を公表するというだけの話ですから、これは本当に速やかに対応をお願いしたい。

 加えて、噴火速報。どうも、御嶽の噴火の際は、噴火がありましたという事実を公表するまでに、噴火時点から三十分の時間を要しているというふうにお聞きしています。これは当然、どの程度警戒すべき区域があり得るのか、あるいは、どの程度の災害を想定しなければならないのかという事態の把握に三十分かかった。ですから、噴火しましたということを直ちに報告、公表できていないんですよね。

 それも、もうわからなくてもいいから、まず噴火があったという事実を発表すべきだという提言が有識者からなされている、三月にですよ。もう五月です。それは当然実現しているべきだと思いますが、状況を教えてください。

鈴木大臣政務官 お答え申し上げます。

 噴火速報ということでありますけれども、確かにこれは迅速な対応というものが必要であります。

 その上で、これは新規の、新たな情報発出ということでありまして、当然システムというものを変えていかなくてはいけない中であります。出し手の気象庁と、そして受け手の関係の自治体、あるいは報道機関も含めて、双方において、情報処理をしていくシステムの改修を要しているところであります。

 今、ようやく関係の自治体と、そして報道機関との調整というものが終了をいたしました。具体的に言えば、八月の上旬の運用開始ということを目指して、それぞれの、受け手と出し手の両方においてシステムの改修を今進めている段階であります。

小川委員 大臣、今のやりとりは直接科学技術という切り口ではないかもしれませんが、お聞きのとおりでありまして、私がちょっと事前に事務的にお聞きした範囲で言いますと、いいことを報告を受けているんですが、実施段階に移すペースが極めて遅いという印象であります。そういう中で、五月に入って箱根の状態もございますので、今のやりとりについては大臣もよく胸にとどめていただきたいと思っております。

 最後に、箱根の関連なんですが、今、ロープウエーの停止等を含めて、あるいは、観光に非常に依存した、観光が主力産業の町であります、そういったことのキャンセルなども含めて、経済的には恐らく打撃を受けていると思われます。

 通常、例えば実際に噴火が起きて、建物に被害が出たりとか、あるいは農作物に損害が及んだりとかということになりますと、それぞれ、災害救助あるいは農業共済、さまざまな救済策があり得る。しかし、残念ながら、この観光関連産業については、天災が極めて大きな影響を及ぼし得るにもかかわらず、公的な支援、公的なサポートというのは存在しない、当てにならない。

 この点について、政務官は観光政策も担当されているというふうにお聞きしておりますから、あわせてお聞きしたいと思います。

 現在、箱根はどの程度の経済被害を受けているのか、把握しているのかしていないのか、そして、こういう事態、これは事実上、自主的というよりは公の規制、公のルールによって営業できなくなっているわけですから、観光政策の一環として、何らかの補償なり、あるいは共助の仕組みを公的に考えていくべき、そういう議論があり得ると思いますが、その二点についてお聞きしたいと思います。

鈴木大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 まず、風評ということでありますけれども、例えば、風評に関する報道がさらなる風評の被害を呼ぶ、こういったことも当然考えられるところであります。そうした中で、公表というか、そういったことについては当然慎重にしていかなくてはいけない、そのことをまず御理解いただきたいと思います。

 その上で、現地において、風評の被害を懸念する、そうした声が実際に出ているところであります。当然、箱根の町におきましては、それを把握する努力をしていると承知をしているところでありますが、一義的にこれは自治体の方で把握をする性質のものでありまして、そういった意味では、そのさまざまな情報収集の状況というものを今観光庁としては見守っているという状況であります。

 そして、二点目でありますけれども、実際の支援のスキームというところであります。

 実際に災害指定をされて、実際の被害が出た場合というのは、当然、今、さまざまなスキームで支援というものがされる仕組みになっておりますけれども、風評ということでありますと、その実態というものを把握する、あるいは因果関係を把握するというと、これはなかなか難しい点というものもあります。

 そうした上で、しっかりと、観光産業に被害がなるべく出ないように、あるいはまた、同時に、観光ということでいえば、やはり何といっても旅行者の安全というものが一番大事でありますから、そうした意味では、少なくとも行政においては、正確な情報の提供と、そしてそれがきっちりと正確に旅行者に伝わる、こうしたことをまずはしていくことが大事だと思っておりますし、その上で、さまざまな状況を踏まえながら、いろいろ適切に判断をしてまいりたいと思っております。

小川委員 非常に前向きとはとれない御答弁だったというふうに感じますけれども、観光立国を標榜し、そして同時に災害多発地帯であるこの日本でありますので、やはり観光産業に対する、災害あるいは災害には及ばないが今回の箱根のように緊迫しているような事態に対しては、産業政策の面からも何らかのサポートが必要ではないかということを改めて、重ねて指摘したいと思います。

 もうこれは指摘にとどめますが、大臣、火山あるいは地震に関する研究者の育成、養成、専門家の育成、養成というのも非常に大きな課題だと思います。

 現在、日本では、例えば火山に関連した研究人材は三百人余りというデータをいただいております。一方、同じく観光立国であり、地震火山大国であるイタリアでは六百人近い研究者、専門家がいるということのようでありまして、このあたりも、日本の災害に関連した専門家、あるいは科学技術を含めて、少し差があるということをぜひとどめ置いていただきたいと思います。

 次に、津村理事の御質問の中にもありましたが、科学技術行政の司令塔としてどう実効あるお仕事をされていくのか。これは、私自身も昨年、一昨年と担当の大臣に御質問させていただいた経緯があります。

 司令塔機能というのはたくさんありますし、ちょっと多極分散し過ぎているんじゃないかという気もします。原子力やITや宇宙や海洋や健康や、さまざまな本部と言われるものがある。

 それから、三兆円余りの科学技術予算でありますが、実際に大臣がみずから掌握しておられる予算は微々たるものであるはずです。ほとんどは各省庁の要求分であり、それをホッチキスどめして三兆円余りの科学技術予算だとおっしゃっているにすぎない現実が一方にあります。

 それから、その省庁別の予算のシェアでありますが、私の評価からいえば、十年ぐらい見てもほとんど変わっていません。いろいろと力点、重点を置くべき分野というのは時代の推移によって変わるはずでありますが、ある種、既得権でもあるんでしょう、各省庁のシェアというのはほとんど変わらない。

 こういったことを一つ一つ見ていきますと、やはり、大臣が科学技術全体を所管されるというお立場からどの程度実効性ある仕事をしていくのかというのは、常に大きな課題だということが一つ言えるだろうと思います。

 その意味で、先ほど津村理事もお尋ねになったんですが、この科学技術行政にどうかかわっていくか。極めて端的に、専門家でない政治家と専門家である有識者との連携という観点から、先ほど津村理事がお尋ねになりました。司令塔機能という切り口からも、これは私はお聞きしたいわけです。

 三役有識者会合というものを定期的に開いているというふうにお聞きしています。政務のメンバーと外部から招いた有識者が毎週のように顔合わせをして、科学技術に関連した総合的な会議体を持っておられるということのようであります。

 しかし、ちょっと気になりますのは、この三役有識者会合への関与、出席の状況についてであります。

 大臣からお答えいただきたいと思いますが、例えば直近一年で結構です。どの程度この三役有識者会合が開かれ、そして大臣はそれに実際どの程度出席をされているのか、あるいは、大臣の出席が難しい場合に、先ほどいらっしゃいました部下たる副大臣、政務官を含めて政務のメンバーは、どの程度積極的にこの会議に出席をし関与しているのか、その点、事実関係をお答えいただきたいと思います。

山口国務大臣 先生御案内のとおり、今御指摘いただきましたように、いろいろ会議をやらせていただいておるわけでありますが、できるだけ出席できるようにということで考えております。

 これは原則毎週木曜日に開催をされまして、御質問でありますが、私が就任した昨年の九月以降、先週までに十二回開かれました。政務三役が参加をしない有識者懇談会を含めると十八回、要するに、出席できなかったものを含めると十八回でございまして、この中で、いろいろとスケジュールを調整させていただいて、私も六回出席をさせていただいております。

 そのほか、有識者議員の皆さん方とはいろいろな機会を捉えて実は意見交換をさせていただいておりますが、何とか今後とも時間をやりくりして、しっかりと対話をしながら議論を深めていくことができればと思っております。

小川委員 この会議に限らずさまざまな場面で接触をし御議論いただくというのは大事なことだと思いますし、当然のことだと思います。

 しかし、このせっかく設けられた総合科学技術会議の中の三役と有識者会合という正式の場に、十八回中、大臣の御出席が六回、三分の一。政務三役、副大臣、政務官がおられて、なおかつその三名の政務の誰も出席しないのが六回というのは、ちょっとお粗末、本気度が問われると思いますが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 確かに、さまざまな日程の都合上で、私自身が六回、副大臣六回、政務官八回というふうなことであります。できるだけ、それぞれの機会を活用して、私も発言をするように努めておりますし、先ほども申し上げましたように、これ以外の会合でも意思疎通を図るようにというふうなことで、例えば昼食を一緒にしたり、いろいろな機会をできるだけつくろうというふうに努力はいたしておりますが、確かに御指摘のようなこともございます。日程調整等も含めて、今後もっと出席できるように努めていきたいと思います。

小川委員 これは、御参加いただいた有識者から見てもそうだと思いますよ。行っても大臣がいない、三役がいない。政府の本気度、これは格好だけかという印象を彼らは受けるんじゃないかと想像します。非公式な場面は重要でしょうが、公式な場面はもっと重要です。その点、ぜひ今後の取り組みに反映を、心からお願い申し上げたいと思います。

 最後に、日本の科学技術をめぐりましては、最近特に、やはりSTAP細胞以降特にでありますが、不正研究、研究不正に対する取り組みということも、かつて余り表沙汰に言われることはなかったような気がしますけれども、極めて重要な課題の一つだろうと思います。

 特に、野依前理化学研究所理事長を、ことしの三月をもって、任期を残して、事実上、日本にとって大変大事な先生を引責辞任のような格好で途中辞任させてしまったということは、大変残念なことでありました。したがって、体制が変わったようでありますので、心機一転、こういったことについても積極的にお取り組みをお願いしたいと思いますが、ちょっと気になる事案について、最後に文科省にお聞きをして終えたいと思います。

 ことしの一月ですか、分子生物学会関連の論文に不適切な写真の使い回し等、不正告発があったというふうにお聞きしております。一月でありますから、もう四カ月以上たっているわけでありまして、その後、文科省はこの告発に対してどう対処をし、現在どういう状況にあるのか、この点、御答弁いただきたいと思います。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘の件でございますが、本年一月に文部科学省に対しまして、二十四機関の生命科学系の研究者四十九名の論文八十七本に画像の不正が疑われるとインターネット上で指摘がされていると匿名の告発がございました。

 この告発を受けまして、文部科学省から不正が疑われる研究者が所属する機関に対して、速やかに、告発があったということを連絡した次第でございます。その連絡を受け、各機関において調査が行われております。

 現在、これまでの調査の結果、八十七本の指摘があったわけでございますが、六十四本の論文、十七機関、研究者三十三名分については、不正の事実は確認されませんでした。

 なお、現時点で、二十三本の論文、十機関、研究者十六名分が調査中でございます。

 また、文部科学省としましては、今後とも、各機関における調査状況を確認しまして、各機関の調査において不正が確認された場合におきましては、例えば科研費等競争的資金の申請に制限をかけるなど、厳正に対処をしてまいりたいと考えております。

小川委員 八十七本中六十四本については不正がなかったことを確認したということのようでありますが、残り二十三本。きのうお聞きした時点では七機関だったんですが、正確には、今御答弁になられた十機関なんですね。

 中身を見ると、これはほとんど国立機関でしょう。例えば、大学に関して言っても、私立大学は早々に予備調査をして、今御答弁になられた、不正がないものはないできちんと報告が上がっているわけですよね。文科省が指導なり問い合わせをしたのは二月ですね。現在、それから三カ月たっている。国立機関が予備調査の経過すら報告してこない。これをどう受けとめていますか。より強力な指導が必要なんじゃありませんか。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 我々は、こういう不正研究に対してのガイドラインというものを設けておりまして、委員御指摘の予備調査というものはおおむね三十日以内で行っていただきたい、その予備調査が終わった段階で疑われる場合は委員会をきちっと設置していただく、これも三十日以内にしてほしい、その後きちっと本調査をしていただいて、それもおおむね百五十日以内にしてほしいというようなガイドラインを示しているところでございます。それを単純に全部足しますと、おおよそ七カ月ということになります。

 一月に指摘があって、四カ月ほどたっておりますが、そういうガイドラインの基準からいきますと、あと三カ月程度なのかなとは思っております。

 これは委員もよく御承知だと思いますが、文系の論文等々の不正でございますと、例えば引用しているのに引用していないようにいわゆるコピペをやっていたとか、そういうものはすぐ判断できることでございますが、こういう生命科学等々でございますと、再実験をして、本当にそれが不正だったかどうかということをきちっと確認していかなければならないということもございますので、必ずしも、早く結果が出ればいいのか、あるいは、時間をかけてもきちっと、本当に不正があったのかどうかということを確認した方がいいのか、このバランスというのは大変重要だと考えております。

 何でもかんでもとにかく早く結果さえ出てくればいいというものではなく、きちっと再実験をして、本当に疑わしいものを、疑惑を晴らす。本当に不正があれば、それは、先ほど申し上げたとおり、競争的資金の規制をかける等罰則規定を設けておりますので、そこはきちっと厳正に対応をいたしたいと思っております。

小川委員 確認ですが、では、三十日以内の予備調査に関しては、全機関から、予備調査の結果はこういうことだという報告はあったんですね。

山本大臣政務官 お答えいたします。

 まだ、六機関、研究者十一名、論文十八本分が予備調査中であるという報告をいただいております。

小川委員 早いのが必ずしもいいとは限らないというのはそのとおりかもしれませんが、予備調査で、わからないならわからない、どういうところにもう少し時間を注ぎたいと。

 しかも、私が気になっているのは、これは国立機関ばかりなんですよ。私立大学は真面目にやっている。これは文部科学省の指導力が大いに発揮されるべきではありませんか。そのことを改めて強く指摘して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 この委員会では初めて質問させていただきます。

 また、大臣におかれましては、たくさん所掌のある中、大変御苦労さまでございます。

 先ほど、身内ではありますけれども、津村筆頭の質疑を後ろで聞いておりまして、本当に、科学技術に対する情熱あふれる質疑に感銘を受けました。やはり政治家というのは政策のこだわりというのが本当に必要だなということを改めて痛感しましたし、それに対して非常に真摯に、謙虚にお答えになっていた大臣の姿も非常に印象深く、拝聴、拝見させていただきました。

 やはり与野党の国会の議論というのは、こういう議論を通じて、よりよい政府の施策、行政につなげていく、相乗効果でより高いレベルへ到達していく。そういう意味では、本当にいい議論が展開されているなということを改めて感じます。

 私も、ちょっとこだわりを持っているテーマについて、きょう、大臣に質疑をしたいというふうに思います。それは、デュアルユーステクノロジーについてであります。

 安全保障とテクノロジー、これはもう切っても切れない縁があるわけで、やはり、相乗効果を伴いながら、さらに発展をしていく、さらに高みに到達していくという、本当に大事なテーマだというふうに思っています。

 もともと技術というのはもろ刃の剣とも言われております。鍛冶や研磨の技術、こういったものを追求していく中で、すぐれた包丁もつくれるし、一方で人を切る鋭い日本刀もつくることができるわけでありまして、技術というのは押しなべてデュアルユースであると言っても過言ではないというふうに思います。

 軍事用に開発されて民生用に転換された、それによって世界じゅうの人々の生活を一変させた、例えばインターネット、GPSの技術、こういったものに枚挙にいとまがないわけでありますが、軍事目的で開発をされ、民間に転用された場合、これをスピンオフといいます。そして、民生技術が軍事転用されるのをスピンオン、こう呼ばれておりますけれども、このスピンオンとスピンオフ、軍民どちらも転用できる、利用できる、適用できる、これをデュアルユーステクノロジーと呼んでいるわけです。

 我が国の研究開発の現場というのは、これまで、とかく軍事分野を忌避する傾向がありました。これは敗戦のトラウマでもあるというふうに私は思いますけれども、一方で、日本の防衛研究予算というのは民間の一%にすぎません。したがいまして、我が国においてスピンオフというのは極めて限定的、逆に民生技術の活用によって何とか防衛技術産業基盤というのを維持してきた、これが実態だというふうに思います。

 これに対してアメリカでは、民間の三〇%に当たる国防研究予算を最先端軍事技術に投入しています。広範なスピンオフによって技術革新が起こり、経済成長、経済発展につなげてきた。この中核を担っている組織がDARPA、国防総省のやる国防高等研究計画局であります。ここから、先ほど挙げたインターネットやGPSの技術がつくられている。

 DARPA自体はそれほど大きな組織ではありません。三百名ほどで構成されています。そのDARPAの長官のもとに百五十人ぐらいの技術系の職員が、いわゆるPM、プログラムマネジャーとしてさまざまな研究、多岐にわたる研究の主導をしております。

 スローガンは、ハイリスク・ハイペイオフ、この後紹介するImPACTは、ハイリスク・ハイインパクト、こういうスローガンでありますけれども、アメリカならではのリスクテーキングの文化に支えられて、軍や議会の横やりから完全に独立して、既成概念にとらわれない、まさにアウト・オブ・ボックスの奇想天外な研究開発を続々と重ねてきている。

 さて、山口大臣、我が国もようやくこういったデュアルユース、技術立国、技術大国になるために、例えば宇宙の分野では、新しい宇宙基本計画が策定をされて、安全保障分野もきちっと考えながら技術開発をしていこう、こういうことになりましたけれども、いよいよ、民生、軍事、こういう垣根を越えたデュアルユーステクノロジーを国家戦略として開発していく、そういう入り口に立っているのではないかというふうに私は思っています。

 そこで、最初に質問したいのは、ImPACT、革新的研究開発推進プログラムの現状について。

 去年、開始されたわけです。まだ立ち上がったばかりでありますけれども、これはDARPAを参考にして立ち上げた、こういうふうに言われております。その辺のところも含めて、経緯、そして現状を御報告いただけますでしょうか。

山口国務大臣 先生御指摘いただきましたように、科学技術は、デュアルユースであると同時に、私は、マルチユースじゃないかというふうなこともちょいちょい言うわけです。

 そういった時代の中で、御指摘いただきましたImPACTでありますが、これはもう御承知と思うんですけれども、実現をすれば産業や社会に大きな変革をもたらす革新的な科学技術・イノベーションの創出、これを目指してやって、いろいろな先生方の御協力で、平成二十五年度に創設をすることができたわけであります。

 昨年度に公募を行いまして、六月の総合科学技術・イノベーション会議の本会議で十二名のプログラムマネジャー、PMを決定いたしました。その後、三カ月間の研究開発プログラムのつくり込みを経まして、昨年十月に研究計画を承認いたしました。そして、現在、PMのマネジメントのもとで研究開発機関が研究を実施しておるところでございます。

 ImPACTにつきましては、国内外からも大変関心が高くて、プログラムマネジャー、PMのさらなる募集を期待する声も実はございました。

 そうしたことから、本年の四月のCSTI本会議での決定を受けまして、六月までPMの新たな公募を今実施しておるところでございまして、さらにPMを公募することによって、このImPACTというのをもっと広げていきたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 マルチユースという新しい言葉を聞かせていただきました。

 ImPACTのパンフレット、十二名の方の研究がるる解説、紹介されているわけですけれども、鈴木さんという方、超高機能構造たんぱく質による素材産業革命、クモの糸は既存の材料と比較して全く異次元の性能を持つそうでありますけれども、これを次世代素材として開発していこうと。この方の紹介の中には、デュアルユースと書いてあるんですね。ほかの方のページには、どこにも書いていないんです。

 大臣、安全保障の分野と産業の分野のかけ橋となるようなデュアルユースの技術を、特にImPACTのプロジェクトを通じて、国家戦略としてもっと伸ばしていこう、そういう意図はおありかどうか、お答えいただけますか。

山口国務大臣 先ほど御指摘いただきましたように、例えば宇宙の技術に関しても、今回、我が国としても、いつまでもアメリカのGPSに頼るばかりではだめですから、準天頂衛星を二〇一八年までに四基体制にしてしっかりとやっていく、これは明らかにデュアルユース的な話にもなってくるんだろうと思いますが、今御質問いただきましたのは、ImPACTにおいてというふうなことであります。

 これは、目標をあらかじめ特定の活用先に限定するというふうなものではありませんが、デュアルユース技術、すなわち、国民の安全、安心、安全保障も含めて安全、安心に資する技術と産業技術の相互の転用が可能な技術としての活用につきましては、多様な成果の活用先の一つとして当然視野に入れてやらせていただいております。

 ImPACTにおきましては、産業競争力の飛躍的な向上とか社会的課題の克服につながる成果が期待をされる中で、今申し上げました多様な活用先の一つとして、国民の安全、安心等につながる利用というのは当然考えられるわけであります。したがいまして、ImPACTの研究開発成果の利用につきましては、安全保障を目的とする場合においても当然排除するものではないというふうに考えております。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 技術というのは、もちろん、デュアルユース、あるいは軍事目的、安全保障目的というものを最初から志向している場合もあれば、研究開発を進めていった結果、まあ、利用については、つまり出口については恐らくオープンだと思うんですね。このImPACTのプロセスを通じて、恐らく情報は政府内でも共有される、あるいは産業界とも共有される、そういう中で、こういう素材、こういう技術はもしかしたら安全保障にも役立つんじゃないか、こういうことというのはあり得ると思うんです。

 ImPACTの仕組み、制度の中で、各省いろいろな技術陣がいると思いますけれども、そういうところと連携しながら、そういう結果をピックアップして、それぞれの用途につなげていくというような、そういう仕組み、システムというのはビルトインされているんでしょうか。

山口国務大臣 特に顕在的にビルトインという話ではありませんが、科学技術のいわゆる研究の進展の中で、いろいろなところが、これはうちにも使えるというふうな話が出てくるのは当然で、先ほど御指摘いただきましたたんぱくの鈴木先生のお話も、例えば高機能な防弾服に転用できるというか利用できるというようなお話ももう出てきておりますので、経過の中で、先ほど申し上げましたように、もちろん排除するものではございませんので、ともどもに研究を進めていくというふうなことになろうかと思います。

長島(昭)委員 先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、技術分野というのは、興味が尽きないというか、本当に夢があるんです。例えば、ロボットとか、自動運転技術とか、センサー、セラミック、あるいは、ボルトとかナットを使わないで接合するような技術、それから炭素繊維とか、これは本当にいろいろな用途に使われる可能性を持っている、つまりスピンオンの可能性を秘めた素材なんじゃないかというふうに私は思うんです。

 そういう意味でいうと、その司令塔機能を担う総合科学技術・イノベーション会議、この構成メンバーはもう既に決まっているわけですけれども、正規のメンバーにそろそろ防衛大臣も入れてしかるべきだと私は思うんです。大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 総合科学技術・イノベーション会議のメンバーにというようなお話ですが、今のところ、そういうことは考えておりません。

 ただ、例えば、宇宙基本計画を作成する経過においても防衛省とも当然協議はしておりますし、今回、第五期科学技術基本計画にしても、やはり防衛省等々からのお話も聞きながら進めていくというふうな格好でやっておりまして、特に防衛大臣から強い御要望があれば、また私なりに考えてみたいとは思いますが、今のところはそういう状況ではございません。

長島(昭)委員 防衛省、きょう来ていますね。どうですか、防衛省として。技術本部とか。

 当然のことながら、特に軍事だとか民生だとかというこれまでの既成概念にこだわらずに、防衛大臣が入ると、何か全部、研究自体が物騒な方向に持っていかれるみたいな、そういう既成概念はそろそろ払拭すべきときが来ている。そういうふうにしても、別に国策を誤ることはない。私は、国会もあるし、行政もしっかりしているし、日本はそろそろそういう方向に踏み出す時期が来ているんじゃないかと思いますが、防衛省はいかがですか。

外園政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、科学技術に色はないということでございまして、デュアルユース、また、山口大臣からもマルチユースという御指摘がございましたように、現在、総合科学技術・イノベーション会議で推し進められていますImPACTにつきましては、事務方レベルで非常に十分な意見交換、情報交換をさせていただいていまして、先ほどまさに御指摘のありましたクモの糸につきましても、御指摘どおり、高機能な耐弾材料等に使用可能であるということで、我々も非常に注視をさせていただいております。

 引き続き、こういった現状を踏まえまして、事務方で意見交換をしつつ、科学技術を防衛省の安全、安心の技術に取り入れていきたいというふうに思っております。

長島(昭)委員 山口大臣が、防衛大臣の方から強い要望があればというお話でしたので、私は、直接中谷大臣にかけ合ってみたいと思います。

 続きまして、経産省所管のNEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構、これも今大改革に着手したところだというふうに承知しておりますけれども、こちらもDARPAを参考にしている、DARPA型の転換を目指しているというふうに聞いております。

 経産省、おいでだと思いますが、どういう狙い、どういう方向性でNEDOを改革しようとしているか、御説明いただけますでしょうか。

星野政府参考人 DARPAは、優秀なプログラムマネジャーが、非連続なイノベーションの創出を目的とした研究開発目標を設定した上で、異なる技術を競わせながら目標の達成を目指すマネジメントを行うことで、委員御指摘いただきました、この結果として、インターネットですとかGPSといった革新的な成果を創出しているところでございます。

 我が国におきましても、国際競争力の強化、経済成長のためには、真に非連続なイノベーションの実現を目指すことが重要でございまして、NEDOにつきましては、革新的技術シーズを事業創造に結びつける橋渡し機能強化に先行的に取り組むということが、さきの日本再興戦略の改訂二〇一四などにおいて位置づけられたところでございます。

 このため、NEDOの研究開発プロジェクトを進める上でのプロジェクトマネジメントの方式をDARPA型に転換するよう、平成二十七年、本年の三月にNEDOの中期目標等を変更いたしまして、権限あるいは裁量を有するプロジェクトマネジャーを設置する、それによって、異なる技術を競わせながら目標の達成を目指すといった、非連続でリスクの高い研究開発に取り組むようにしております。

長島(昭)委員 NEDOは、やはりエネルギー分野で物すごい成果を出しているんですよね。

 例えば、レアアースをなるべく使わない技術開発。これは、二〇一〇年に例の漁船衝突事案が起こって、中国に八割、九割依存していたものを急速に半分以下にまで持っていった。これは、外交を通じてレアアースの別の供給元を確保したということももちろんですけれども、同時に、技術開発によって、レアアースに頼らない、そういう体質をつくっていったということで、これは外交的にも、もちろん産業の成長という意味でも非常に意義があった、私はこういうふうに思いますし、ナノテクや燃料電池でも、かなりの技術力、競争力を示しているというふうに思っています。

 そういう中で、こだわるようですけれども、デュアルユースの技術、これをNEDOとして、もちろん新エネルギーという冠を持った組織ですから、ある一定の幅が当然のことながらあるんでしょうけれども、言っているように、デュアルユース技術というのは当然もろ刃ですから、いろいろな用途、大臣がおっしゃったように、マルチに使う、そういうことですから、とりわけ忌避するべきものではないと思うんですけれども、NEDOにおける研究においてデュアルユーステクノロジーというのはどういう位置づけなのか、御説明いただけますか。

星野政府参考人 御指摘いただきましたとおり、NEDOにおける研究開発でございますが、NEDO法に基づきます目的といたしまして、エネルギーの技術あるいは鉱工業の技術に関しまして、民間の能力を活用して行う研究開発、これの産業技術の向上及び企業化の促進を図りまして、経済及び産業の発展に資するということになっておりまして、先ほど申し上げました、イノベーションの推進によりまして、非常にさまざまな分野への適用、波及ということを我がNEDOにおいても期待しているところでございます。

長島(昭)委員 次に、防衛省にまたお伺いしたいと思います。

 我が国はこれまで、防衛装備品の調達先、マーケットが自衛隊に限られていましたので、企業は軍事技術の研究開発には余り積極的ではなかった、こういうことが言えると思います。

 ちょうど私たちが政権のときに、武器輸出原則の緩和を、まず第一弾をやりました。そして、国際共同研究、共同開発、そして生産、こういう方向へ日本が参画できる、そういう道筋をつけました。その後、安倍政権になって、それを引き継いでいただきまして、さらにそれを発展させて、新しい武器輸出原則というのをつくってきました。そういう中で、装備品に係る輸出規制というのが大幅に緩和をされた。もちろん賛否両論あると思いますけれども、この分野の可能性が大きく広がったということだと思います。

 それを受けて、防衛省がいよいよ今年度から新しい制度を実施する。安全保障技術研究推進制度、予算はまだ三億でしたか、非常に小さなところからスタートしているようでありますが、この制度の概要、狙い、現状を防衛省の方から説明していただけますか。

外園政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、近年の科学技術の著しい発展を背景にいたしまして防衛技術と民生技術のボーダーレス化が進展する状況におきまして、防衛に応用可能な先進的な民生技術、いわゆるデュアルユース技術を積極的に活用することが重要であると防衛省として考えております。

 このため、防衛省では、大学、独立行政法人の研究機関や企業などにおける独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するため、今年度から、競争的資金制度である安全保障技術推進制度を開始いたします。

 現在、この開始に向けまして最終的な調整を行っておりまして、早ければ今月中にこの制度を発足させたいというふうに考えております。

 また、この制度に必要な経費といたしまして、約三億円を平成二十七年度予算に計上させていただいております。

 防衛省といたしましては、こういった制度を通じまして、大学、独立行政法人の研究機関や企業などが有するすぐれた先進的技術を効果的、効率的に取り込み、将来装備品の研究開発に活用したいというふうに考えております。

長島(昭)委員 ありがとうございました。ぜひ、小さく産んで大きく育てていただきたい、こう思っています。

 それでは、山口大臣、総合科学技術・イノベーション会議では、かねてから、国の存立あるいは繁栄にかかわるような基礎的な重要技術分野というのを国家基幹技術と呼んで、五年ごとの科学技術基本計画を通じて重点分野を定めてきたと承知しておりますが、ことしの年末までに第五期の科学技術基本計画が策定されることになっている。少しレクを受けましたけれども、今はもう国家基幹技術という考え方はとっていない、第三期から第四期に移るときにそのコンセプトを大きく変えた、課題を解決するにはどうしたらいいかというアプローチにした、こういうことであります。

 まだ最終的には策定されていないわけですけれども、第五期の基本計画の大臣なりの方向性、どこに着目をしているか、特に国家基幹技術のような大変重要な技術をどう維持発展させていくおつもりか、ぜひ大臣の見解を承りたいと思います。

山口国務大臣 今先生御指摘のとおりで、第三期に関しましては、これはまさに国家基幹技術というふうな位置づけをしておりましたが、第四期におきましては、いわゆる課題達成型の重点化に転換をして、国家存立の基盤の保持を掲げてさまざまな重要課題を設定していったわけです。

 今回、第五期の基本計画におきましては、経済社会的な課題への対応及び重要課題の一つとして、国及び国民の安全、安心の確保を掲げまして、その課題例として、国家安全保障への寄与を挙げておるところでございます。

 このように、課題の解決を横断的に支える基盤的な技術の具体的な内容とかあり方につきましては、今後、年末の答申策定に向けて、専門家の皆さん方等の御意見を踏まえながら、さらに検討は進めてまいりたいと思っております。

長島(昭)委員 大臣、本当に大事な指摘をしていただきました。国家、国民の安全、安心の確保、これを課題の一つの大きな柱に据えていただいている。これは大変重要だと思います。

 その意味で、私は、最後に申し上げて質問を終えたいと思いますけれども、やはり国家安全保障という観点は技術革新においても大事だ。技術というのは、民生、軍事、そもそも両用性、両義性がある、デュアルユースの可能性を秘めている。これを殊さら阻害するということは、多くの基礎研究の活動そのものを妨げることになりかねないと私はかねてから考えておりまして、軍事と民生の間のスピンオン、スピンオフ、この相乗効果というのは、国家全体の、あるいは産業全体の科学技術・イノベーションシステムの好循環をつくり出していくことになるんだろうと思っています。

 その意味で、大臣がそういうことを認識され、今度の基本計画の中にも国家安全保障の視点というのをきちっと書き込んでいただく、そういう方向性を示していただいたことを多としたいというふうに思います。私たちも、与党、野党関係なく、こういう問題で、さらに、国家の存立と繁栄を支えていく、その基盤である技術の維持、強化、発展に努めていきたい、このことを最後に申し上げて、半分激励をさせていただきましたけれども、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の党の丸山穂高でございます。

 私からも、大臣に一般質問させていただきたく存じます。私も、この委員会、初めての委員会でございます。大臣に御質問させていただくのも恐らく初めてということでございますし、何より、この委員会も新しい委員会ということでございますので、基本的なところもございますが、大臣の御所見、御見解、種々お伺いしていきたいというふうに考えております。

 まず最初に、私は、この委員会の所属が決まりまして、驚いたとまでは言いませんけれども、びっくりしたことがあります。それは、この委員会の名前にイノベーションという片仮名が含まれているということでございます。ほかの委員会全て見ましても、片仮名が含まれている委員会、衆議院、参議院もですか、ございませんけれども、ここのところ、イノベーションという横文字を使うと。

 このイノベーション、では、日本語で何かなというふうに考えたら、辞書を引きますと、革新だとか、あとは新結合みたいな、いろいろな意味合いを内包しているなというふうに感じるんです。

 まず最初にお伺いしておきたいのが、このイノベーションとは何を指していて、どういう状況でこれが起こり得るものなのか。そして、特に、そこにおいて政府としての役割はどこにあるのかというのは、この委員会での議論を進めていく上で、大臣の御知見、御見解が非常に大事なところになってくると思うんですけれども、このあたりにつきまして、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。

山口国務大臣 イノベーションでありますが、これはもう先生も御案内と思います。辞書を引かれたということでございます。私も、実は、担当大臣に御指名をいただいて、イノベーションという言葉があらゆるところへ出てくるわけですね、これはもう少し厳密な使い方をした方がいいのではないかな等の思いがございまして、辞書を引いたこともございます。

 これはシュンペーターが使い始めた話で、結構広義にわたる、かなり広い意味合いを持っております。そういった意味で、使われやすい言葉なんだろうと思いますが、あえて申し上げますと、新商品の開発または生産、新役務の開発または提供、商品の新たな生産または販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入、新たな経営管理方法の導入等を通じて新たな価値を生み出して、経済社会の大きな変化を創出することを目指すというふうなことになろうかと思います。

 今お話をいただきましたように、こういったイノベーションをしっかりと生み出していくためには、多様な経験とか発想を有する人材が主体性を持って活動して、柔軟な発想や経験を生かして、しかも互いに切磋琢磨をし合う機会を確保、拡大していくことが重要なんだろうというふうに考えております。

 そういった意味で、政府としても、科学技術・イノベーションの実現に意欲的な人材の多様な挑戦、あるいは、さっき申し上げました、切磋琢磨し合って相互作用を促すとともに、そういったものを積極的に受け入れることができる社会風土を実現していくということが必要なんだろうと思います。

 そういったことを踏まえながら、今後とも、世界で最もイノベーションに適した国を目指して、しっかり頑張っていきたい。科学技術に関しては、私は、イノベーションという言葉の使い方、しっくりくるなと思いながらやらせていただいておるところでございます。

丸山委員 ありがとうございます。

 科学技術とイノベーションとは、科学技術においてももちろんイノベーションはあると思うんですけれども、一方で、今大臣がお示しいただいたように、必ずしも、イノベーションに対して、革新的な技術、技術の進歩みたいなものは必要ないということです。今の大臣のお話だと、既存の技術の中でも組み合わせをするとか、もしくは今までにない発想のサービスとか、必ずしも新しい技術革新、科学技術の発展というのは必要ないというのがイノベーションだと思うんですけれども、日本で見てみても、こういった企業さんがどれだけ民間で生まれてくるかというのは、この先、日本経済を支えていく上で非常に大事な観点だと思います。

 これも言われて久しいところですけれども、アメリカなんかは、グーグルさんにしてもフェイスブックさんにしても、特に、グーグルなんかは検索技術は確かに新しい技術の部分があるかもしれません、しかし、フェイスブックなんかは、技術的に何か新しいものがあるかというと、最初はそんなわけでもございません。もう一つ、例えばアップルなんかにしても、技術的には、今までほかの日本の企業の方がすぐれていると言われているようなものに関していわゆるイノベーションを起こして、世界的な企業として今どんどん国富を上げているという現状があると思います。

 では、こうした中で、日本の企業さん、もちろん頑張っていらっしゃる企業もたくさんあるとは思うんですけれども、ただ、こうした世界的な企業はなかなか生まれてこないなと言われてかなり久しい、かなりの時間がたっているというふうに思うんです。

 今、いろいろな経験や知見のある人材が行動を起こす、その調整が必要で、そのために政府がどうされていくのかというお話が少しございました。このあたり、もう少し、どうしてこういう企業が生まれてこないかということを掘り下げていただくとともに、大臣として、ここにどうやったら一刺しするというか、政府としてできていけるのかというのをもう少し詳し目にお話しいただけますでしょうか。

山口国務大臣 グーグルとかフェイスブックという御指摘をいただきましたけれども、我が国にも何かないかな、LINEがあるのかなとか、いろいろ思い浮かべてみたんですが、やはり、規模といい、世界的とはまだ言いがたいような状況なんだろうと思います。

 世界的なIT関連企業、この多くは、御案内のとおり、米国、とりわけシリコンバレーを中心に起業して、成長しておるというのに対しまして、おっしゃるとおり、なかなか我が国ではそういった企業が創出をされてこない、創出がないというふうなのが現状です。

 御指摘の、なぜというふうなことに関しましては、これは実は経済産業省がベンチャー有識者会議の取りまとめということで、平成二十六年四月十四日にこの取りまとめの話が出ております。これによりますと、我が国では、挑戦をする人が少ない、リスクマネーが少ない、そしてグローバル化ができておらない、大企業とベンチャーの連携が不足をしている等々、起業をめぐる社会システムがシリコンバレーなどと比較をして大変異なっておるためというふうなことで、私も認識をしております。

 こういう中で、IT総合戦略本部の中で、昨年十月に、シリコンバレーとの連携あるいはオープンデータ化のさらなる充実等の各府省の施策を、起業家精神を創発するためのIT関連施策パッケージとして取りまとめておりまして、社会への展開に努めてきておるわけであります。

 いずれにしても、こういったさまざまな取り組みを通じて、やはりかなりの部分は人なんだろうと思いますが、しかし、それをサポートするような体制とか社会環境というのが必要ですから、そういったことを踏まえながら、これまで以上に努力をしてまいりたいと思います。

丸山委員 ありがとうございます。

 イノベーションにおける政府の役割というのは非常に難しいなというのが、今の大臣のお話を伺っても感じたところです。

 私も古巣が経産省なので、経産省は特に、この国の基幹産業みたいなものを決めていくのがすごく好きで、次はここだみたいなものをやるんですけれども、果たして、では、それがこの国の産業を育成していく上でうまくいっていたかというと、必ずしもそれはいっていないんじゃないか、むしろそれが阻害をしていたんじゃないかという御意見もよく聞きますし、何より、イノベーションにおいて一番の問題は、日本は規制が多過ぎるんじゃないかということですね。

 このとき、イノベーションにおける、著作権だとか商標とかも含めてそういった権利も、一部の研究によっては、これが実はイノベーションを阻害する可能性もあるというような研究があったり、こういった意味で、政府は、どちらかというと、ある程度プラットホームを整えなければいけない立場にある中での規制を持っているという、非常に難しいバランスの中で行政を進めていかなきゃいけないと思うんです。

 そうした中で、今、長島先生ですか、御質問ありました、政府としても、今後、では、どういった基本計画に基づいて、この国のイノベーションも含めて科学技術の計画を立てていくかということで計画を立てていらっしゃると思います。

 先ほどのお話でありますと、第四期と第五期科学技術基本計画においての違いの一つの大きなところは、国及び国民の安全、安心への寄与ということで、これは、恐らく三・一一の地震以降、大きく国民の皆さんの関心が高まっているところだと思いますので、そこに関連しておつけになっていると思います。

 もう一つ、経済社会の課題への対応というお言葉を出されました。

 第四期では課題解決型ということですけれども、ここのあたりのステップアップを、どのように変わっていくものなのか、もう少し詳しくお伺いできますでしょうか。

山口国務大臣 ただいま御指摘いただきましたような考え方のもとに、来年度から第五期が始まるわけでありますが、今、策定に向けて、総合科学技術・イノベーション会議のもとに基本計画専門調査会を設置して、昨年十二月以降、これまでに八回、実はこの会議を開催させていただいておりまして、今月末ごろには中間取りまとめをまとめる予定というふうなことになっておるわけでございます。

 この第五期につきましては、これは安倍政権としても初めての基本計画であります。また、もともと総合科学技術会議という名前であったのですが、総合科学技術・イノベーション会議に改組してからも実は初めての基本計画ということで、非常に気合いが入って今進めておるわけであります。

 この中間取りまとめでは、特に、第四期基本計画にはありませんでしたけれども、いわゆる大変革時代を先取りするサービスや事業の連鎖を提供するバリューネットワークの構築、そして、システム化などの未来の産業創造、社会変革に向けた取り組みとか、あるいは、世界で最もイノベーションに適した国の実現に向けての産学官の推進体制を初めとします人材あるいは知、資金の好循環を誘導するイノベーションシステムの構築などに対して、相当踏み込んだ方向性を示すものになるであろうと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 今回の五期で、特に、「・イノベーション」が入ったというところは非常に大事な観点だと思いますし、大臣の今のお言葉を聞いて、意気込みもすごく感じさせていただきましたので、しっかりやっていただきたいところです。

 先ほど来申し上げていますように、イノベーションを起こすために国家としてどうかかわっていくかというのは非常に大事な観点です。しっかりやろうというお心構え、大事なところであります。

 でも、イノベーションが起きるときはどういう環境かといいますと、先ほど来申し上げているように、やはり自由さだとか、余り既成の枠にはまらない考え方が恐らくイノベーションでいくのであって、その枠にはまらない考え方はどういうところから出てくるかというと、枠にはまらない社会、規制がそこまであるわけじゃない、自由に考えられる、自由に商売ができる、自由に研究ができる、そういった社会からしか生まれてこないんじゃないかなというふうに私は思います。

 その辺重々、もちろん、やっていらっしゃる現場の皆さん、大臣筆頭にお考えだとは思うんですけれども、この観点を忘れずに、「・イノベーション」を入れていただいた意義、大事だと思いますので、前に進めていただければと思います。

 続きまして、大臣の所信を伺っていまして気になった部分を伺っていきたいと思います。

 大臣の御発言で、二〇二〇年の東京オリンピックをショーケースとしまして、自動走行や水素社会など最先端の科学技術を世界に発信して、大会後もそれをモデルとして地方に展開して、日本の経済成長を強力に推進する取り組みを行いたいという御発言がありました。

 ここの、オリンピックをショーケースにして、それを世界に発信するというのは何となくイメージができるんですけれども、その後、地方に展開するという話もあります。このあたり、詳しくお伺いできますでしょうか。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これは、昨年八月から、内閣府科学技術政策担当大臣が主宰いたしますタスクフォースを設置いたしまして、その場で議論して取りまとめを行ってきたものでございます。

 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会で、その事業の中心となる東京都、それから大会の組織委員会の御協力もいただきながら、各府省連携で取り組むべき九つのプロジェクトを選定いたしまして、その実施計画書を取りまとめてまいりました。

 議員御指摘いただきました自動走行技術でございますが、例えば、全ての人に優しく使いやすい移動手段を提供する次世代都市交通システムということで適用いたしまして、都市のさまざまな規模に合わせて柔軟なシステムを構築いたしまして、それを国際標準化することによって、新興国等を初めとして海外のパッケージインフラ輸出にもつなげていく、こういう構想でございます。

 それからもう一つ、水素社会の実現というのもその中に入っておりますが、これは、大会の会場あるいはその周辺におきまして、クリーンなエネルギーとしての水素の製造、貯蔵、輸送、利用、それぞれの段階におきまして、新たなサプライチェーンをモデルとして国内外に示していこう、こういう構想でございます。

 これらの実施計画書が、ことしの四月の総合科学技術・イノベーション会議の本会議に報告を行ったところでございまして、その折に安倍総理からは、夢を現実に変える技術力を世界に示せるよう官民一丸となって取り組むよう御指示をいただいたところでございます。

 今御質問のありました大会後の話でございますが、大会の場でこれを実証する、社会実装する、これはもちろん大事なことなんですけれども、終わった後に、これをモデルとして地方にも展開をして、日本経済の好循環を実現するように誘導していく、そのためには、民間企業が主体的に各事業に関与をしまして、そのサービス提供によるいい循環ができ上がるような、そういうビジネスモデルを構築していくことが重要であろうと考えております。

 したがいまして、民間企業にも積極的にお声がけをして、その参加を求め、そして民間の発意を盛り込んで、この事業計画をさらにアップグレードしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。

 当然、その場で、研究開発の成果の移転とか規制改革、それから大会の事業としての位置づけ、さまざまな課題を解決していかなければいけないと考えておりまして、関係機関と十分連携、協調してまいりたいと考えております。

丸山委員 自動走行とか水素社会の実現というのは、政府もかなり補助金等を研究につぎ込まれていると思います。そういった意味で、これをどう社会に還元していくかというところは次のステップとして大事だと思いますし、二〇年というのを一つ切って、そこ以降にというのも明確に見え始めているというのはいいことだと思います。

 ただ、先ほど来申し上げていますように、民間の方を入れていくとしても、結局そこが赤字ということであれば、回らないということであれば、これは政府が介入し続けていいのかという話にもなります。まず、そこをどうビジネスに結びつけていくかが非常に大事で、それは政府としては一番難しいところでございますので、そこに来られる業界の方々のお話もきちんと聞きながら、決して補助金漬けで地方に押しつけるということのないように、前に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 その中で、やはりある程度規制をなくしていく、自由経済をつくっていって、その中で日本の経済、富をふやしていくというのは基本原則なところだと思うんですけれども、一方で、自由経済でも失敗する事例で、経済学で初歩で習う幾つかの論点があると思うんですけれども、規模の経済が一つございます。

 電力だとかガスだという大きなところにおいて、新規参入とかなかなかできない中で、価格の決定メカニズムにしても、自由経済のシステムにしても、うまくいかない可能性があるということでございますけれども、そういった中で、いろいろな分野があると思うんですが、その分野の中で、今後、産業として成長が見込めるはずの分野の一つの大きなものとして、宇宙の関連の事業があると思います。

 この関連事業は、どうしても初期投資のコストが膨大にかかりますし、研究の分野でも大きくお金がかかるので、民間としてはまだまだ一部を除いて手を出しにくい分野であって、ここは、恐らく政府側としてしっかりと、将来的な、五十年後とか百年後を見据えて、投資的な意味でも国としてしっかりとやっていかなきゃいけない分野だと強く感じるところでございます。

 とはいえ、世界でもう既に十三兆円程度の市場規模があるんじゃないかと話を聞いたので、これは恐らく、宇宙のロケットをつくったりとか大きなものもあるのかなという気はするんですが、日本市場がまだまだ、これはちょっとその数字が正しいのかどうか、聞いたところによると三千億円前後だというふうに聞いていて、ただし、それが横ばいに続いているんじゃないかというお話を聞いています。

 こうした意味で、まずは、政府としてこのあたり、どのように市場について考えていらっしゃるのか、民間の投資とか参入を促すためにどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、お伺いしたいんです。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 宇宙産業への民間投資を誘引するためには、産業界の投資の予見可能性を高めることが重要であります。

 この観点から、本年一月に決定いたしました宇宙基本計画におきましては、政府が取り組む衛星等の基数、整備年次を具体的に書き込んだところでございます。

 政府としては、今後、この計画に基づきまして、着実に人工衛星などの整備を行ってまいる所存であります。

 また、民間事業者の新規参入を促進し、民需、外需のさらなる獲得を図るべく、ITと宇宙を組み合わせた新産業、新サービスの創出や、宇宙インフラ海外展開タスクフォース、仮称でございますけれども、これを通じた取り組みに加えまして、これらの取り組みを支える法制度整備の一環といたしまして、宇宙活動法案及びリモートセンシング関連法案の整備にも取り組んでまいる所存であります。

 政府といたしましては、これらの方策を通じまして、我が国の宇宙機器産業の事業規模として、十年間で官民合わせて累計五兆円を目指し、その実現に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

丸山委員 非常に意欲的な数字で、十年間で五兆とわかりやすく言っていただいたのはすばらしいことだと思います。

 そういった意味で、今、民間企業さんをどんどんふやしていきたいというお話がありましたけれども、先ほど来申し上げているように、一方で、政府としてどれぐらい後押しをしていくかというのが、多分今の段階では本当に非常に重要なタイミングだと思います。

 ほかの国との比較というのがすごく気になるところなので、予算にしても政策にしても、このあたり、政府として、他国との比較、他国の研究も含めて、どのように考えていらっしゃるのか。我が国の政府として政策面でどのようにお考えになっているのか、お答えいただけますでしょうか。

小宮政府参考人 お答え申し上げます。

 他国におきましても、やはり宇宙政策というのは政府が中心なところがございます。

 例えば、アメリカにおきましては、日本の十倍以上の規模がありますけれども、実は、アメリカの宇宙関連でも、予算の四分の三は軍事用だというふうに言われております。NASA自体が実は日本のJAXAの十倍の予算を持っているところでございまして、そういう中で各国の宇宙政策が進んでいるというのが我々の認識でございます。

 そういう意味では、米欧日、それからその他の諸外国も含めまして、政府が主導して宇宙政策を遂行しているというのが我々の認識でございます。

丸山委員 今お話しになったように、航空機のときもそうですし、ITのときもそうですし、どうしても軍事技術からというのがあると思います。

 今般、安全保障の法制の議論が国会でも進みますけれども、細かいところの論点はそちらの委員会にお譲りするとしまして、とはいえ、日本は余りにもこの点はタブー視し過ぎてきた点から、こういった科学技術の、特に次世代のプラットホームをつくる意味でも、少し後手後手になってきてしまっているかなというふうに思います。

 安全保障分野の研究に対する補助金の議論も昨今ありますけれども、この点、私は、どちらかというと、研究ですから、きちんとやっていかなきゃいけないというふうに、軍事力の行使はどうかは別にして、研究というのはきちっとやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、このあたり、軍事面としての予算との直結、難しい議論ではありますが、ほかの国におくれをとらないように、特に、この分野にかなりの予算を割く隣国に囲まれている国でございますので、しっかりと前に進めていただきたいというふうに考えております。

 そういった意味で、ニュースを見ていますと、JAXAさんが、月面への着陸を無人の小型探査機で、二〇一八年度にも着陸できるような探査機を打ち上げる計画を進められているという報道があったんですけれども、これは事実なんでしょうか。かなり夢のあるお話だと思うんですけれども、詳細をお伺いできますでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 宇宙航空研究開発機構、JAXAにおきまして、将来の月や惑星探査も見据えて、月面着陸の技術実証を行う探査機、SLIMと呼んでおりますけれども、この開発を検討しているところでございます。

 この計画は、ことし一月に策定されました宇宙基本計画におきまして今後十年間に二年に一回の頻度で打ち上げるとされております公募型の小型科学衛星計画の最初のものでありますとともに、世界に先駆けて、デジタルカメラの顔認識技術を応用して高精度の着陸技術等を実現するもので、計画されているものでございます。

 文部科学省といたしましては、宇宙基本計画を踏まえまして、これまでさまざまなプロジェクトを通じて培ってきた技術力と実績をベースに、本計画を初めとする宇宙科学、探査をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

丸山委員 実現しましたら、ソ連、米国、中国に次ぐことになると思いますし、他国でもこれはもしかして考えられている国もあるとは思います。

 一方で、これを進めることで、その中の研究でかなり次の分野に発展していくようなものも出てくると思いますので、やはり目標を持って進むというのは非常に大事だと思います。ケネディ大統領の例をとるまでもなく、大事だと思いますので、しっかりと、途中で折れることなく、諦めることなく前に進めていただきますよう、若い世代の議員の一人としてお願い申し上げます。未来につながるものだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 最後に、時間がもう迫ってまいりましたので、どうしても気になっている点をお伺いしたいと思います。

 少し分野がかわるんですが、基礎研究力の低下について懸念される声が最近上がっているような気がします。特にそれを端的にあらわしているのが論文の引用数といいますか、海外主要国ではこれが増加しているにもかかわらず、日本の研究機関が出した論文の引用数というのは低迷しているんじゃないのかという御意見を種々聞くんですけれども、このあたりの現状についてどう政府は捉えているのか。

 現状認識とそれに対する見解、これに問題があるのならどのように解決をしていくのか、このあたりの政府の見解をお伺いして終わりたいと思います。お願いします。

安藤政府参考人 基礎研究力についてのお尋ねでございます。

 今世紀に入りまして、先生御承知のとおり、ノーベル賞の受賞者が我が国においても数多く輩出されておりまして、自然科学系におきましては世界第二位の実績を上げておるところでございます。我が国の基礎研究力については一定の成果が上がっているという認識でございます。

 他方で、御指摘のとおり、高い被引用度論文数の我が国の国際的なシェアは低下傾向にございます。科学技術・学術政策研究所の調査によれば、被引用度が世界トップ一〇%に入る論文のシェアにつきましては、一九九〇年代から中国が急激に増加をする一方で、我が国あるいは米国等のシェアが相対的に低下傾向にございます。こうした論文の量的、質的観点からの国際的地位の低下が懸念されるというふうに思っております。

 また、基礎研究の多様化が低下をし、さらに、研究者の意識が短期的になって、リスクをとらなくなる、こういった指摘があることについても留意をする必要があると思っております。

 技術の進展等に伴いまして知のフロンティアが拡大し、科学技術・イノベーションの構造自体が大きく変化をしてきている中で、学術研究を初めといたします、多様で質の高い研究開発から生み出される卓越した知識や、その創出を担う人材等のイノベーションの創出基盤が重要と思っておりまして、研究におきましては、広く俯瞰する総合性、挑戦性、融合性、国際性といった現代的要請に応えた対応を行うべきというふうに指摘がございます。

 文部科学省におきましては、こうした指摘を踏まえながら、研究者の独創的な発想に基づく学術研究を幅広く支援する科学研究費助成事業、科研費でございます、また、出口を見据えた目的基礎研究を進める戦略的創造研究推進事業等により、独創的で多様な学術研究や、それにより生み出される卓越した成果を社会経済的価値につなげるイノベーション志向の基礎研究を重視して、継続的に支援してまいりたいと思っております。

丸山委員 ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 ノーベル賞は、やはり十年、二十年前の研究をもとにというふうに、少しタイムラグがあると聞いています。今の論文引用数が低下しているということは、つまり未来に対して少し雲行きが怪しくなってきている数値だと思います。将来の、次世代のために、ここにしっかりと予算をつぎ込んでいくというのは国として大事な点だと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久でございます。

 私は現在、大阪大学の国際医工情報センターの招聘准教授という立場をとっておりまして、研究に携わる者として、今回の質疑の機会を与えていただいたことに心が躍っております。

 国際医工情報センターという名前は本年から改定された名前でして、もともとは臨床医工学融合研究教育センターでございます。医工というのは医学部と工学部の大学院でありまして、それを融合するということです。

 何を融合しているのかというと、名前のとおり医学部と工学部だったわけなんですけれども、というよりも、いわゆる日本の科学技術というのは、当然、各研究機関、各専門分野というのも大事なんですけれども、一体となって科学技術を人類の未来に、そして日本の未来に伝えていくことが大事なのではないかということを私も承知しておりまして、私の立場といたしましては、政府に現場の声を伝えて融合を図っていくということですので、本日も、私の専門とするところの医療のプラクティカルな質問とややなりますことを御容赦いただきまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 さて、一カ月前のことなんですけれども、京都大学のiPS細胞研究所、略してCiRAといいますけれども、CiRAと武田薬品工業がiPS細胞技術の臨床応用に向けた共同研究契約というのを結びました。契約期間は十年間です。武田薬品は、二百億円の費用や百二十億円以上の研究設備を提供するということです。山中教授も、臨床研究に向けて加速度的に資金が必要となり、一刻も早く医療応用の実現を加速させたいと述べております。

 さて、国におきまして、経済産業省は、再生医療関連の国内市場は二〇五〇年には二・五兆円に拡大すると推定しておりまして、日本医療研究開発機構対象経費で、つまり、再生医療の実現化に向けた予算は、平成二十七年度、百四十三億円です。二〇一五年度までにiPS細胞を用いた創薬技術の開発、二〇二〇年度までにiPS細胞技術を活用して作製した新規治療薬の臨床応用と、達成目標を設定しております。

 今申し上げたとおり、日本というのは、世界に先駆けて、再生医療分野の環境設備を確かに整え始めております。ただ、山中教授を初め再生医療に携わる人の大きな悩みというのは、再生医療に関する人材育成でございます。

 私は、神戸大学の医学部を卒業した後、大阪市立大学の医局に入局いたしまして、大学院、研究分野も大阪市立大学でやらせていただきました。そのときに、教室から、実際の研究の場というのは、実験動物舎というのがありました。その中でも、感染実験動物舎といいまして、バイオを使いますのでちょっと隔離されたところにおったんですね。残念ながら、そのとき、きちっとした動物舎がございませんで、古い市立大学の校舎の階段の踊り場の、何となく掃除用具入れみたいなところに山中教授と閉じ込められまして、一緒に動物の世話をしておりました。

 そのときに、本当にいろいろ未来に対しての目を、お教えいただいたわけなんですけれども、研究というのはどうしても地道な作業の繰り返しなので、研究者だけじゃなく、先ほど実験動物舎の話をしましたけれども、その動物を管理する者、その建物を管理する者、研究を支援する人材も必要となってきますし、現実、そこからの試料を分析、解析、そして分析、解析できる下準備をする、そういった人材も必要になってきます。

 ここで一問目の質問に入らせていただきたいんですけれども、本年度の予算の百四十三億円の中に、再生医療に関する研究支援、先ほど武田薬品とかも建物とか設備に対する提供、これは民間からの支援なんですけれども、国として、再生医療に関する研究支援、人材を育てる予算が組み込まれているのか、教えてください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、再生医療の実現化ハイウェイ構想というプロジェクトがございまして、これが百四十三億円ということでございます。このプログラムは、iPS細胞等を用いた革新的な再生医療あるいは創薬をいち早く実現することを目的といたしまして、京都大学の山中教授がセンター長を務めておられますiPS細胞研究所、CiRAを中核拠点として、全国的な研究ネットワークを構築いたしまして、基礎研究の段階から臨床研究、そして実用化の段階に至るまで、なるべく切れ目なく一貫した支援を行って、関係省庁が一緒にオール・ジャパンで取り組んでいこう、こういうプロジェクトでございます。

 この事業の中身でございますが、その中には、今委員御指摘の人材育成の経費も当然入ってございます。そして、特に、研究者が独創的なアイデアとかあるいは発想でもって研究開発をリードしていく、これは当然重要なのでございますが、これを支える、今御指摘がございました、細胞の培養であるとかあるいは動物の管理であるとか、こういう研究支援面でのサポートが非常に重要でございます。

 こういうチームが、チーム力を発揮して、それでいち早くその研究成果を実用化、事業化につなげていく、こういう体制を構築していくことが重要ではないかと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 人材の育成にも、そして、直接的に研究に携わる研究者だけでなく、研究を支援する人材に対しても予算を考慮していただいていると解釈しているんですけれども、医学を製品にするとなると、やはりこれは経産省の分野にもなってきますし、先ほどの試算も経産省の試算でしたし、そこで科学技術を医療とすると、私が今専門としているレーザーのヘルニアの治療というのも、どうしても工学機関、工学部のお力をかりなければいけないんです。

 こういった横串のところ、先ほど津村理事もそういったお話をしましたけれども、これを統括する山口大臣のコメントもお願いしたいんです。

山口国務大臣 伊東先生御指摘のとおりで、科学技術・イノベーションの推進に当たりましては、研究者が、ある意味で独創的な発想に基づいて、これまでにないアイデアの実現といいますか、そういったものを目指して研究開発をするということが大切であります。

 同時に、御指摘をいただきましたように、多様な分野の知見を結集するためにも、それを支えるさまざまな研究支援人材によるチーム力をいかに発揮していくかということが大変重要なことであろうと思っております。

 基礎研究の成果を臨床応用とか実用化に円滑につなげていくためにも、研究開発の中核を担う研究者のみでなく、特定のスキルとかノウハウを持たれたいわゆる研究支援の人材の育成は極めて重要な課題であろうと認識をしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 認識としましては、政府も大臣もそういった認識というのを持っておられるというのは、十分承知しております。

 本当に現場の意見としてここで申し上げたいのは、現在、日本の再生医療に対する研究水準は世界トップクラスであることは間違いありません。しかしながら、日本のバイオに関する研究に、再生医療もバイオなんですけれども、苦汁をなめた過去の苦い経験をやはり思い出します。

 二〇〇二年、政府は、二十一世紀はバイオの時代を合い言葉に、バイオテクノロジー戦略大綱と呼ばれる国家戦略を立案しております。日本におけるバイオに関する成長は、それに反して期待を大きく裏切る結果になりました。原因としましては、一番目に、バイオビジネスの投資資金が少なかったこと、もう一つは、日本は諸外国に比べて特許戦略で出おくれていた、そして三番目に、人材の流動性が低かったということもあります。

 この人材の流動性というのは、国内外の人材でありますし、例えば特許戦略も、それに携わる人材というのも大事でして、山中教授は、過去、この科学技術・イノベーション特別委員会でもお話しされたんですけれども、私は一研究者であって、それを束ねるCEOとリードする人材も必要である、特許のことも含めていろいろなアドバイザーも必要だということでした。

 人材の流動性ということに関しますと、普通の研究枠を超えたような、そういった人材も必要となってきます。ここで、期待を裏切った過去の苦汁も考えまして、そういったところに対する予算措置、本当に、野球でいうところの四番バッター、そういったところを国内外から入れるような予算措置も考慮していただけるのかどうか、もう一度お答えください。

山口国務大臣 実は、私も、山中先生、京都大学等にお邪魔をして何度かお話を聞く機会もあったんですが、やはり今先生御指摘のように、例えば特許とかあるいは実験とか、いろいろな段階でともかくもっと人が欲しい、そういうふうな人材が欲しいというふうな特別なお話も聞かせていただきました。

 先ほども御答弁いたしましたが、非常に重要であるというふうなことを認識しております。文科省の方でも、大学改革等も含めてさまざまな検討をしておりまして、私どもとしても、文科省とも連携をして、そこら辺の人材がしっかり確保できるように、流動性も含めて、頑張っていきたいと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。流動性も含めてということを大臣の御答弁にいただいたことは、非常にありがたいと思います。

 研究を支援する人材を育てるというのは、予算もかかりますし、時間もかかりますので、どうか、日本が世界に誇る再生医療に関する研究水準をより向上させるためにも、この人材育成に何とぞ御協力をいただけるようにお願い申し上げます。

 同じくバイオでありますし、私自身、日本における成長戦略の必ず柱となると思っていますのが、バイオ医薬品の後続品であるバイオシミラーというものです。

 バイオシミラーというのは、遺伝子の組み換えとか細胞培養といったバイオテクノロジーを用いてつくり出された、バイオ医薬品の後続品であります。いわゆる化学合成でつくられるジェネリック医薬品と価格においては同様なんですけれども、捉え方、臨床応用のされ方、使用方法、さまざまなもので違いがございまして、詳しい説明をすると二時間ぐらいかかりますので割愛させていただきます。バイオシミラーが一般に定着してくると、国の医療費の負担額も軽減され、肥大し続ける医療費の抑制にもつながってくると考えております。

 しかしながら、このバイオシミラーも再生医療と同様に大きな不安を抱えております。これは、先ほどのバイオに対する戦略の苦汁と関連していますので割愛しますけれども。

 例えば韓国におきましても、このバイオシミラーはもう既に国を挙げて取り組んで、世界の先端を走っています。しかしながら、日本は全く取り組もうとはしておりません。今、日本は明らかに後塵をとっております。韓国の場合、バイオシミラーの存在がささやかれたときから国で予算をつけています。いわゆるバイオ医薬品ということに関しまして、先ほど特許のお話をさせていただきましたけれども、ことし、二〇一七年にバイオ医薬品の特許というのがどんどん切れ始めてきますので、韓国もそのことに恐らく注目をしていると思います。

 バイオシミラーは、当委員会、科学技術・イノベーションの推進に合致しているので、このバイオシミラーに対して一定量の予算措置を与えてもよいのではないかと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。

福島政府参考人 医薬品市場に占めます抗体医薬品等のバイオ医薬品の割合は増大しておりまして、バイオシミラーを含めたバイオ医薬品に対する支援は重要であると考えております。

 厚生労働省におきましては、本年度から、バイオ医薬品の製造に係る人材育成に対する支援を行うために、バイオ医薬品の品質管理等にかかわる人材育成プログラムの開発を目指す研究につきまして公募をしておりまして、バイオシミラーを含むバイオ医薬品等の開発に資する質の高い臨床研究に対する支援も行っているところでございます。

 今後も、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の開発促進に努めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 実は、今国会が始まりまして、バイオシミラーに関してもう何度となく質問させていただいておりますけれども、私はしつこい性格ではないんですけれども、日本のためと思いまして、続けて質問させていただきたいと思っておるんです。

 やはりこれをリードするお方が必要でして、これを横串で通して、各省庁間を横串で通す、そういった意味で山口大臣への私の期待度というのは大きいんですけれども、このバイオシミラーに関しての大臣のコメントもお願いできたらと思うんです。

山口国務大臣 実は私も、最初は、バイオシミラー、一種のジェネリックだろうなと思っておったんですが、ジェネリックと違いまして、複雑な分子構造等々の中から、若干違うんですね。そこら辺も、そういった意味で、やはり何らかの御協力というか、支援体制というのも必要なのかなというふうな感じを持ったわけであります。

 実は、ちなみに、第五期科学技術基本計画及び科学技術イノベーション総合戦略二〇一五、この策定に向けた検討をしておるところでありますが、この中で、経済社会的課題の解決に向けて、いわゆる健康長寿社会の実現を目指すというふうなことが大変重要と考えておりますので、医薬品等の開発につきましても、そういった観点から、今答弁がございましたけれども、関係省庁ともしっかり連携をして、実のあるようなものができればいいのかなと思っております。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 健康長寿ということに関しまして、やはり、このバイオシミラー、特にバイオシミラーのもととなるバイオ医薬品というのは、かなり難病もしくは生命にかかわる疾病にかかわってきますので、よろしくお願いいたします。

 先ほど二〇一七年と間違えて言ったかもしれないですけれども、二〇一五年にバイオ医薬品の特許が切れ始めますので、よろしくお願いします。

 まずは、バイオシミラーとは何だと思われると思いますので、あさって、三月に立ち上げたばかりの、私が事務局長を務めるバイオシミラー使用促進議員連盟というのもあります。今回は、先ほど大臣おっしゃっていただいたジェネリック、その日本ジェネリック医薬品学会の代表理事にも御講演いただきます。超党派の議連ですので、またお顔でも。ちなみに、最高顧問には元官房長官の河村建夫先生にも御就任いただいております。宣伝でございました。

 それでは、続きまして、遺伝子検査の質問に移らせていただきたいんです。

 一昨年のことになりますけれども、アメリカの女優でありますアンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝子検査により遺伝子の変異が見つかって、乳がんを予防するということで、両方の乳房を切除して世間を驚かせました。今、乳房を切除と申し上げましたけれども、恐らく乳腺部分、報道ベースですけれども、乳腺だけを切除して、同時再建といいまして、同時期に再建も行ったと私は理解しているんですけれども、アンジェリーナ・ジョリーさんが高いリスクを負うとされた家族性の乳がんというのは、遺伝性がはっきりしていたということです。

 二〇一四年の十一月に、ヤフーが、遺伝子解析サービスに先立ち、無料モニターを一万人募集しまして、一週間前の五月十二日、健康関連プロジェクトにおいて、国内最大規模をうたう日本人一万人分の遺伝子情報の反映を開始しました。

 このような個人向けの遺伝子検査の対象というのは、家族性以外のがんや生活習慣病などの、遺伝要因の大きさというのがはっきりしない、遺伝子検査が診断や治療にとっても役に立たない病気ばかりが、この遺伝子検査の対象になっています。

 遺伝子検査といいましても、病院とか、個人向けの対象とか、対象としているものが現実は全く異なっている状態にあるんですね。

 しかしながら、一昔前と比べると、遺伝子検査という、遺伝子という名前が身近なものになっていますし、遺伝子検査も身近なものになっているのではないかと思っているんです。であるのならば、再生医療同様、再生医療とも実は関連はしているんですけれども、この遺伝子検査は、現在、ややもすれば野放し状態なんですけれども、法規制を含めた対応がないんです。

 この遺伝子検査に対する法規制を含めた対応の現状について、まず、医療分野以外の遺伝子検査と医療分野の遺伝子検査に分けて御質問したいんですけれども、医療分野以外の遺伝子検査について、法規制を含めた対応というのはあるのかないのか、教えてください。

高田政府参考人 非医療用分野ということで、お答えいたします。

 遺伝子検査ビジネスにつきましては、個人の遺伝情報という機微な情報を取り扱うことから、個人情報の保護が重要であると考えております。また、消費者保護の観点からも、検査の質の担保や適正な事業者の選定が重要であると考えております。

 このような観点から、非医療の消費者向け遺伝子検査ビジネスに関しまして、経済産業省では次のような対応をとっております。

 まず、法規制という意味では、個人情報保護法に基づいて、遺伝情報を含む個人情報の保護を図っております。

 経済産業省においては、同法に基づき、個人遺伝情報保護ガイドラインを定め、その中において、目的外使用の原則禁止、本人の同意を得ない第三者提供の原則禁止、インフォームド・コンセントの取得など、個人遺伝情報を取り扱う事業者の義務を具体的に規定しております。

 また、消費者保護の観点につきましても、遺伝子検査ビジネスを行う事業者向けに、検査の質の担保、検査結果の解釈の科学的根拠の基準なども含めた、事業者としての遵守事項を取りまとめております。また、消費者向けに事業者選定チェックリストを取りまとめ、これらを公表することで事業の適正な実施を図っております。

 経済産業省としましては、これらの取り組みにより、引き続き、当該ビジネスにおける個人情報保護、消費者保護の確保にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 今、医療分野以外の遺伝子検査ということを教えていただいたんですけれども、現実、市場において遺伝子検査というのは出回っておりまして、私も、私のクリニックの近くにあるスポーツクラブに行ってまいりまして、スポーツクラブに付随している、いわゆるリラクゼーションなり、女性でいうところのエステみたいなところがありまして、そこに遺伝子検査とあったので、飛び込んで、何食わぬ顔をして行ってきました。

 そうすると、口の中の粘膜を綿棒のようなものでとられて、一週間したら検査結果が出ますからと。いただいた情報というのは、確かに私の遺伝子のことが書いてあるんですけれども、あなたは洋梨型ですと。必要じゃないという意味じゃなくて、果物の梨ですね。あなたは洋梨みたいな体と、失礼な書き方で腹が立ったんですけれども。あと、洋梨型、リンゴ型、ブドウ型というよくわからない形をしていて、結局どうしたらいいかというのは、運動して食事制限してくださいと当たり前のことしか書いていなくて、二万円弱取られました。

 こういったこと、再生医療の分野でもそうなんですけれども、本当に必要な情報、今、経産省のお話で、個人情報の保護、まずそういったところからどんどん外堀を固めていって、この法整備の方を始めていっていただきたいと思うんです。

 医療分野の遺伝子検査についても、法規制を含めた対応の現状、私が受けた遺伝子検査のことも踏まえて、厚労省にお教えいただきたいんです。

福島政府参考人 お答えします。

 医療分野におきます遺伝子検査につきましては、他の医療行為と同様に、医療法や医師法等の規定にのっとって実施されるべきものと考えております。

 具体的には、医療法におきましては、医師等の責務として、医療を提供するに当たりましては、適切な説明を行い、医療を受ける方の理解を得るように努めなければならない、こういうふうに規定されております。

 また、医師法におきましては、医師でなければ医業をなしてはならないということで、診断は医師でなければ行ってはならないということになっておるわけです。

 また、医療目的の検体検査を医療機関以外で行う場合におきましては、臨床検査技師等に関する法律に基づきまして、必要な検査機器や人員の確保、あるいは検査の精度管理体制について一定の基準を満たすものとしてあらかじめ登録された衛生検査所において行うこととされております。

 さらに、個人情報保護法に基づきまして、医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドラインを定めておりまして、医療機関においては、このガイドラインにのっとり、個人情報の適切な取り扱いに取り組むことを求めております。

 さらに、遺伝子検査における課題については、昨年度の厚生労働科学特別研究事業によりまして調査を行いまして、課題の抽出、整理を今行っておるところであります。中間的な報告では、遺伝学的検査の質の保証に関すること、あるいは情報の提供方法に関することが主な課題として指摘されておりまして、今月末にこの最終的な調査結果、報告書がまとまりますので、今後、厚生労働省といたしましては、遺伝子検査の課題の整理を行った上で、どのような対応が必要なのか、検討してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 早急に課題の整理というのをしていただきたいと思っております。

 遺伝子の話も再生医療の話もバイオの話も、私にとっては、まずは包括的に、同じ分野として質問をさせていただいておるんですね。要は、本当に国民の皆さんの安全性、かつ、これからの健康長寿に対して有効であることと、安全性、そういったことをきちっと国の方で対応していただきたいということです。

 再生医療の話ですけれども、もう時間もあれなので、衆議院が解散された後の十一月二十五日に再生医療に対する安全性の確保法が出たわけなんですけれども、その際、再生医療に関して、民間クリニックについても、十一月に厚生労働省への届け出が義務づけられました。ただ、一年間の猶予があります。それは、各クリニックの対応というのもあると思うので一年間の猶予があったんですけれども、まだ実態等は把握できていない状況だと思うんですね。

 そんな中、東京都内のクリニックで、自分のおなかの脂肪の中の幹細胞をとって、それを培養する、iPS細胞のSというのはステムセルという幹細胞のことなんですが、人工的につくった幹細胞がiPS細胞なんですけれども、人間の体にある幹細胞を脂肪からとって、その幹細胞だけを培養して、それを点滴投与した七十代の女性の方がおられました。その脂肪幹細胞を、他人の脂肪幹細胞だったわけですね、それの点滴投与を自宅で受けて、もともと体にしびれがあって、そのしびれが悪化したということで訴訟されて、その判決結果、賠償の支払いが命じられたんです。

 こういったことで、法整備がおくれると、どうしても、再生医療に関しても野放しになっていたり、遺伝子に関してもいろいろな野放し状態というのは、やはり政府としてはよろしくない結果になっていると思います。

 時間もあれなんですけれども、厚労省としては、こういった幹細胞の点滴治療、少し昔に京都でも死亡事故があって、私は何回かこの質疑の中でもさせていただいているんですけれども、今回の東京都内のクリニックの点滴による幹細胞、こういった報告というのは聞かれていますでしょうか。

福島政府参考人 これについては、私どもは今承知をしていないところでございます。

伊東(信)委員 五月十六日の読売新聞で報じられたのを最後に取り上げさせていただいたわけです。

 要は、こういったディテールを一個一個把握してください、そういった思いも各現場ではあるんですけれども、やはりこの野放し状態というのは、遺伝子に関してはどうしてもアンタッチャブルな感がありますので、バイオシミラーも含めて、国としての施策、まずは知ることというのが大事なので、そういった観点をよろしくお願いしますということで、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 STAP問題は、個人や少数の研究所の特異な事件ではありません。

 東邦大学麻酔科准教授による百七十二本の論文不正、大阪大学教授による研究データ捏造をめぐり助手が自死した事件、論文五十一本で不適切画像二百十件が調査対象となった東京大学研究室の疑惑など、なぜこんなに日本で研究不正が繰り返されているのか、この点をまずただしていきたいと思います。

 捏造、改ざん、盗用と認定された研究活動における不正行為の件数及び科学研究費補助金の不正使用を行った研究機関数、返還命令額、応募資格停止人数について、過去十年の合計だけで結構ですので、教えてください。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」が策定されました平成十八年十月以降、研究活動における不正行為について、文部科学省の受付窓口への告発があり、その後、捏造、改ざん、盗用の不正行為が認定された件数は十一件でございます。

 なお、文部科学省への告発にかかわらず、平成二十六年度中に捏造、改ざん、盗用の不正行為が認定され、文部科学省で報告を受けた件数は十二件でございます。

 また、あわせてお尋ねのございました科学研究費補助金につきましては、平成十七年度以降、これまでに不正使用を行った延べ九十機関について、七億二千二百六十七万円の返還命令を行うとともに、五百十九名に対して応募資格停止の措置をとっているところでございます。

真島委員 今おっしゃった国が不正と認定したものだけではなくて、報道などにより表面化したものを含めても氷山の一角で、実際のところは何件発生しているのか、実態はよくわかりません。

 しかし、日本分子生物学会が二〇一三年六月に行ったアンケートでは、不正があると聞いたことがあると回答した人が三二・三%に上っております。

 また、独立行政法人科学技術振興機構研究倫理・監査室の松沢孝明氏は、二〇一三年六月に発表した論文「わが国における研究不正 公開情報に基づくマクロ分析」で、研究不正等の発生件数の推移について、一般に広く普及している方法として、各事案の発表、報道年を基準にして、発表、報道件数、推定発生件数、この推移を比較されております。

 松沢氏は、研究不正等の推定発生件数の変動傾向が、我が国の科学技術政策の変遷に比較的よく一致しているとして、次のように指摘をしております。

 例えば、推定発生件数が増加し始めた一九九〇年代中期は、我が国において科学技術基本法が制定され、第一期科学技術基本計画に基づく科学技術政策が開始された時期に当たり、競争的資金の倍増やポスドク一万人計画にあらわされるように、科学技術に対する量的な資金投入が増大した時期と重なっている。また、推定発生件数が急激に増加する二〇〇〇年代前半は、二〇〇一年から始まる第二期科学技術基本計画のもとで、競争的資金の増加と重点四分野への重点化が進められた時期と重なっている。任期制の普及や研究評価の浸透など、競争的環境が一層整備された時期でもあるというふうに指摘をされております。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、科学研究における不正事例が、いわゆる小泉内閣が競争的資金の重点配分や任期制など競争的政策を強めた二〇〇一年ごろから今日に至るまで急増してきている、こういう指摘についてどのように受けとめておられますか。

山口国務大臣 ただいま御指摘をいただきました報告でございますが、これは、一九七七年から二〇一二年の間に研究不正の発表、報道がなされた百十四件、これを対象に分析されておられるようでありまして、近年、研究不正の発表あるいは報道件数自体はふえておりますが、不正の発生年度で見ますと、二〇一〇年以降は減少しておる。

 これについて、同じくこの報告におきましては、二〇〇六年には国のガイドラインも整備をされたとか、あるいは、我が国の取り組みが一定の成果をあらわしつつある兆候であることを期待したいというふうに、国の取り組みを一定程度御評価いただいておるのではないかなと考えております。

 いずれにしても、研究不正というのは、研究活動の本質、趣旨を研究者みずからがゆがめる行為でもありまして、国民の皆さん方の科学技術に対する信頼を揺るがして、それこそ科学の発展を妨げるというふうなことでございますので、その防止につきましても、総合科学技術・イノベーション会議が平成十八年に示した方針に基づきまして、関係省庁において不正防止の指針を整備するなどの対応をしております。

 その後、状況の変化を踏まえて、昨年の九月に「研究不正行為への実効性ある対応に向けて」というのを決定させていただきまして、研究不正にさらに取り組んでいくための基本的な考え方、視点というものをお示しした上で、関係省庁に対して意見具申も実施をしたところでございます。

 いずれにしても、先ほど申し上げましたようなことで、関係省庁とも連携をして、不正防止に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

真島委員 今おっしゃったように、まだ二〇一二年度以降の分はこの中には反映されていないんですね。それで、その後どうなっているかという問題もあるんですけれども。

 STAP論文不正について、昨年六月に、理研外部の有識者による研究不正再発防止のための改革委員会がまとめた提言書は、不正発生の原因分析の中で、科学研究活動をめぐる競争的環境は、一方で研究不正行為に手を染めてでも、競争に勝ち抜きたいとの誘惑を生む、不正の背景には、iPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの理研CDBの強い動機があったと推定されるというふうに指摘をしております。

 さらに、同報告書では、見ただけで疑念が湧く図表や明らかに怪しいデータがあるのに、共同研究者が疑念を追及する実験を行わなかったことを挙げて、特許や研究費獲得や著名雑誌への論文掲載に夢中になって、研究の中身への注意がおろそかになった可能性も指摘をしております。

 政府が進めてきた過度に競争的な政策、つまり、競争的資金の重点配分や任期制など、競争的環境が強まったもとで成果至上主義が助長されて顕著になっている、こういう指摘を私はしっかり受けとめるべきだと思います。

 特に、バイオ研究の分野では、政府が進める成長戦略の柱、科学技術政策の重点領域として巨額の資金投入が行われてきました。それとともに、成果が厳しく追求をされ、研究費獲得を目指して過度な競争が起きていると言われております。

 現場でどうなっているかというのをお聞きしますと、何としても業績を上げなければいけないというすさまじいプレッシャーがある、少しでもインパクトのある論文を一本でも多く一流雑誌に出したいとしのぎを削っている、教授クラスの人でも、今成果を上げなければ研究費がとれないという恐怖を感じてやっているというんですね。

 そういうことで、次に、こういう激しい競争の果てに研究不正が起きるということだけではなくて、さらに、研究者が育つ土台を掘り崩しているという問題についてお聞きしたいと思います。

 大学院というのは一人の人間を教育、指導して一人前の研究者、社会人に育てる、これがあるべき姿だと思うんですけれども、小保方さん、研究ノートのつけ方一つもかなりずさんだったというふうに言われております。

 一九九〇年と二〇一三年で、大学院生の数、そして大学の教員の数、それぞれどうなっているでしょうか。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 大学院生の数につきましては、一九九〇年度、平成二年度におきましては九万二百三十八人、二〇一三年度、平成二十五年度におきましては二十五万五千三百八十六人となっておるところでございます。

 また、大学教員の数につきましては、一九九〇年度につきましては十二万三千八百三十八人、二〇一三年度につきましては十七万八千六百六十九人となっているところでございます。

真島委員 一九九〇年と二〇一三年を比較すると、大学院生は二・八倍にふえて、教員は一・四倍、ふえているんですけれども、大学院生の急増に見合うだけの指導者がふえていないという状況ですね。だから、現場では、教員の不足と過度の競争的環境が相まって、学生をじっくりと教育する余裕が失われていると言われておりまして、いわゆるネグレクトが広がっていると指摘をされております。

 ところで、これはちょっと質問通告しておりませんが、大臣にお聞きします。ピペドというのを御存じでしょうか、ピペド。御存じなければ、御存じないでいいんですけれども。ピペドという言葉があるんですが。

山口国務大臣 ピペドというのは、何らかの省略の言葉、略語なんでしょうけれども、ちょっと今のところ聞き覚えはございません。

真島委員 私も余り偉そうに言えない、一週間ぐらい前に知ったんですけれども。これは、大学院生たちがネット上で、まさにブラック企業のように働かされている状況を自虐的に称してピペット奴隷、その略語としてピペドと言ったのが、今ちょっとそういう関係の人たちの間で広がっているんです。

 このピペドというのは、生命科学の必需品であるピペットという細長い形をした吸ったり出したりする道具をひたすら使って朝から晩まで実験をし続ける若手研究者のことを指しているということなんですね。

 バイオ研究というのは非常に労働集約型で、その作業はなかなか機械化ができないという中で、ピペットでさまざまな試薬をまぜて、反応をさせて、細胞を培養したりという工程が続きます。実験をすればするほど成果が上がっていく、そういう分野でもあるんですね。だから、教授に言われるがままに奴隷のように働かされている。時には、監視カメラがついていることもあるというのも聞きました。若手研究者を奴隷のように使って実験をさせて、業績を得ているという非情な環境もあると。

 一つのポストに何百人もの応募があるというこの分野の厳しいポスト獲得競争、そして、若手の中にも、余りにポスト獲得競争が過度なゆえに、その論文が出なければ失業者になってしまうんじゃないかという恐怖も感じていると。しかも、理系では余り潰しがきかないと言われている生物系は、民間企業の産業規模も小さくて、ほかになかなか行き先がないという状態に置かれております。

 そこで、ちょっとお聞きしますけれども、二〇〇〇年と二〇一二年の、教員の任期制を導入している大学数、そして任期制の大学教員数、いわゆるポスドクと呼ばれる博士研究員数を教えてください。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 教員の任期制を採用している大学数につきましては、二〇〇〇年度については九十四校、二〇一二年度につきましては六百五十一校となっております。

 また、任期つきの大学教員、常勤教職員のベースでございます、その数につきましては、二〇〇〇年度につきましては千三百十二人、二〇一二年度につきましては四万七千六百九十八人となっております。

 さらに、お尋ねがございましたポストドクター等につきましては、調査を開始した二〇〇四年度、平成十六年度以降のデータによりますれば、二〇〇四年度につきましては一万四千八百五十四人、二〇一二年度につきましては一万六千百七十人となっているところでございます。

真島委員 今おっしゃったとおりなんですけれども、文科省によりますと、ポスドクというのは、博士の学位を取得した者または所定の単位を取得の上博士課程を退学した者のうち、任期つきで採用されている者。大学院生と助手の間に位置づけられた、任期が一年から数年の有期雇用の研究者です。

 一九九〇年代から始まりました大学院重点化計画によって大学院の定員がふえた結果、増加した博士号取得者の職を補うという形で、科学技術基本計画でポストドクター等一万人支援計画というのが実施されまして、ポスドクが急増いたしました。

 このポスドクは、先ほど約一万六千人ということですけれども、任期つきの助教を含め、実質的にポスドク的な働き方をする人を加えますと、およそ二万人を超えていると言われております。

 文科省の科学技術政策研究所の調査では、二〇〇八年度実績で、ポスドクの三八・一%がバイオ系、二〇〇九年度実績で、ポスドクの三一・二%が理学系、二八・〇%が工学系となっております。

 これは、大学、研究所の定員がふえていない上に、企業等の博士号取得者採用数が極小化の一途をたどっているということから、将来の展望を確立できないまま年を重ねた博士号取得者が毎年大量にあふれて、また、海外への頭脳流出も起きていると言われております。

 何のためにこのような非正規雇用、任期制の研究者をふやしてきたんでしょうか。

村田政府参考人 任期制の導入についてのお尋ねでございます。

 政府といたしましては、平成八年の第一期科学技術基本計画策定時より、柔軟で競争的な研究開発環境の実現に不可欠な研究者の流動を促進させるため、研究者の任期制の導入を図ってきたところでございます。

 特に、平成九年には、大学等への多様な人材の受け入れを図り、大学等における教育研究の進展に寄与することを目的として、大学の教員等の任期に関する法律が公布、施行され、各大学におきましては、本法律の趣旨にのっとり、任期制の導入を進めてきたところでございます。

真島委員 安定したポストもないまま、期限が来たら、はい、さようならで、使い捨て。雇う側は、研究費がプロジェクト単位になっていたりして、例えば五年間で幾らという資金のつけ方をしますので、その期間に人を雇うという形にならざるを得ない。五年後、継続してそのプロジェクトがあるかどうかもわからないという中で、いわゆる雇用の調整弁として非正規、任期制の研究者をどんどん雇っていくということになっているわけです。

 しかも、大学の常勤職員である助教の数も今減っておりますので、ポスドクの人を雇わないと研究が進まないという状態になっているわけですね。

 短期的なプロジェクトでは、非正規雇用、任期制の研究者を使う必要がある場合もあると思います。しかし、現状は、若手を中心に、任期つきのポストがふやされて、助教など若い研究者の雇用には半分以上に任期がついたという結果、短期的結果が強いられる状況が大学や研究機関を覆っておりまして、特に理系では、十年くらいで、それなりの研究者もそこから出ていかなきゃいけない、じっくり腰を落ちつけて研究できない、こういう事態にもなっております。

 大臣、こんなことでいいと思われますか。

山口国務大臣 るる御指摘をいただきました若手研究者でありますが、やはり一つは、流動性の高い環境のもとで多様な研究経験を積み重ねていただいて、能力の向上を図るということも重要であろう。中長期的なキャリアパスを描いて研究に専念できる環境づくりによって、意欲を引き出すことを通じてその能力が発揮されるというふうに考えておりますが、そのためにも、雇用を安定させながら、同時に、いかに競争的環境を構築していくか、これが課題なんだろうと思っております。

 科学技術イノベーション総合戦略二〇一四におきましては、公正、透明な評価制度に基づく若手研究者の安定的な雇用と流動性を確保する仕組みの拡大、これを促進することにいたしております。

 また、研究分野や課題に応じて適切な評価やマネジメントが行われる環境を整えるということも重要でございますので、今後とも、持続的で発展性のあるイノベーションシステム実現のために、すぐれた人材がその能力を最大限発揮できるような環境が整備されるように、各省の取り組みを促してまいりたいと思います。

真島委員 iPS細胞に象徴される先端的研究の多くを支えているのは大学院生やポスドクで、彼らは研究開発の重要な担い手になっております。

 日本学術会議の調査では、バイオのポスドク及び任期つき助教の年収、四百万円から五百万円が三一・六%と最も多いんですね。次いで、三百万円から四百万円が二六・九%、年収百万円以下の人もいるということがわかっております。先ほど大臣も言われた、研究者の安定した雇用の保障、ぜひ全力で取り組んでいただきたいと思います。

 科学研究費助成事業、これは、研究者の自由な発想に基づく研究を格段に発展させることを目的とする競争的研究資金として、ピアレビューによる審査を経て、独創的、先駆的な研究に対する助成を行うものとして行われてきました。

 この科研費の予算額、これは通告していましたけれども、ちょっと時間がないので自分で言いますけれども、二十年間で約一・五倍になっています。科研費による論文数も一・五倍と成果を上げているわけですね。

 一方で、科学技術基本計画のもとで、日本における科学技術研究は、もうかる研究、経済成長に役立つ研究に今どんどんお金を出すようになりまして、科研費以外の競争的資金予算はこの二十年間で約三倍にふえています。ところが、三倍に資金はふえたのに、科研費以外の競争的資金による論文数は〇・九四倍にとどまっているんですね。日本学術会議が二月二十七日に出しました第五期科学技術基本計画のあり方に関する提言では、これは、競争的資金で雇用されている若手研究者やポスドク等は競争的資金での研究成果を出すことが困難になっていることを示している、プロジェクト以外の研究開発活動に従事できず、科研費の応募もできず、自分の研究を進める機会を持てていないと指摘をしております。

 いわゆるトップダウンで、こういう方向でいきましょうというやり方は、研究者のやる気を引き出せていないんじゃないかということを私は直視すべきだと思うんです。

 二〇〇四年度の国立大学の法人化以降、いわゆる運営交付金になりました。それで、運営交付金が毎年一%ずつ減らされてきましたけれども、二〇〇四年度から二〇一五年度の間にその予算額は幾ら減っているでしょうか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 国立大学法人運営費交付金の予算額につきましては、平成十六年度、二〇〇四年度、法人化した年でございますけれども、一兆二千四百十五億円でございます。平成二十七年度におきましては一兆九百四十五億円でございますので、その差額は千四百七十億円となっているところでございます。

真島委員 二〇〇四年度から二〇一五年度まで、先ほど言いました競争的資金制度の予算額というのは四百四十億円しかふえていないんですね、ふやしたといっても。今おっしゃったように、同期間の国立大学の運営交付金の削減は千四百七十億円。これは、研究予算全体では一千億円以上も減っているんです、現場の予算が。

 政府は大学に外部資金の獲得を奨励して、結局、大学は競争的資金に依存するようになって、トップダウンでもらってくる資金、政府なり一部民間企業も含めて、外から資金を獲得しないと研究が維持できないという体制になっています。

 現場で何が起きているかをお聞きしました。とにかく資金獲得のために申請をし続けなければならない、教授はほとんど研究しておらず、ひたすら書類書きに追われていると。教授は事務屋で、実験するのは若手、そこのすき間に指導の不十分さが生まれて、研究データをいじって、教授が喜ぶ研究成果ばかり持ってくる研究者がいる、教授も喜んでそれを論文にしてしまう、研究結果を真摯に議論して、いろいろな角度から検証することがなくなってしまうと。STAP論文不正問題も、こういうものの氷山の一角だというふうに思うんですね。短期的なお金に現場が支配されてしまっているわけです。

 昨年十二月に出されました科学技術・学術政策研究所のブックレット「日本の科学研究力の現状と課題」というのを見ますと、先ほども議論がありましたけれども、日本の論文生産の量と質から見た国際的ポジションの推移は、日本は、論文数、被引用数一〇%に入る注目度の高い論文、被引用数上位一%に入る注目度の非常に高い論文、いずれにおいても、世界シェア及び世界ランクが二〇〇〇年ごろに比べて低下してきていると。

 また、基礎研究の多様性に関する意識調査というのも行われておりますけれども、これを見ますと、二〇〇〇年ごろと比べて、長時間の時間をかけて実施する研究、基盤的研究が減った、一時的な流行を追った研究、短期的に成果が生み出せる研究がふえたという人が多くて、基礎研究の多様性の減少に危惧が表明されております。

 また、科学技術・学術政策研究所が昨年実施しました科学技術の状況に係る総合的意識調査、報告書が出ておりますが、二〇一一年から二〇一四年にかけて指数がマイナスに変化した上位十位の中にどういうものが入っているか。基盤的経費だけでは研究ができない、博士課程後期を目指す人材が不足している、外部資金が獲得できないと研究がほぼとまってしまう、特定の研究に研究予算が過度に集中している、基礎研究の予算が相対的に減って、研究の多様性が減少している、人員削減による業務の負担で研究時間が足りない、こんな深刻な事態が上位十位に入っているわけですね。

 大臣、こういったことが日本の研究力を低下させていることにつながっているんじゃないでしょうか。

山口国務大臣 ただいまの御指摘の調査というのは、これは毎年、大学、公的研究機関とか産業界における同一の研究者などを対象として実施されておりまして、研究現場の声を反映する上で非常に重要な調査だというふうに思います。

 この調査結果で、二〇一一年からの指数変化がマイナスというふうな質問として、研究環境や研究人材、また基礎研究に関する問題が挙げられておりまして、これらが日本の研究力強化に向けた大きな課題であろうと私も考えております。

 事実、さまざま、現場にお邪魔してもそういった声を私も多々聞かせていただいたわけでありますが、そういったことも踏まえまして、人材の育成、流動化とか、基礎研究力の強化、大学改革と研究資金改革、これの一体的な推進、こういったものを第五期科学技術基本計画の策定に向けた重要な論点というふうに位置づけさせていただいておりまして、今後、具体的な検討をさらに進めてまいりたいと考えております。

真島委員 今引用しました報告書のまとめのところでは、過去十年間にわたり、国は外部資金を増加させることで競争的な環境の醸成を試みた。他方で、国立大学の運営交付金は長期に減少している。これらの結果として、継続性の低い外部資金への依存度を増加させることにつながった。運営交付金の削減が、研究開発に係る基本的な活動に影響を与えている。内発的な動機に基づく研究テーマや挑戦的な研究テーマに打ち込むことができるなど、研究の自由を保つことが必要であり、研究時間や研究資金等の研究環境は、それを実現するための必要条件であるというふうに述べております。

 まさにそういう方向で取り組んでいくということを今言われたと思うんですけれども、具体的に一つ、最後に聞きます。大臣、政府の調査でもこうした結果が出ているわけですから、日本の科学研究力のアップのために、いわゆる研究の基盤的経費、これを増額していくという方向でぜひ頑張っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

山口国務大臣 大変ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、私も、この運営費交付金、非常に重要な問題であろう、まさにこれは必要不可欠な基礎的、基盤的経費なんだろうと思っております。さっきも若干申し上げましたが、私もあちこち行かせていただく中で常にそういう話が出てくるわけで、そこら辺の実態も踏まえまして、先ほど申し上げましたように、第五期科学技術基本計画の中にもしっかり取り込んでいきたいと思いますし、同時に、先生方のお力添えも賜りながら、しっかり予算獲得に向けて頑張っていきたいと思います。

真島委員 もう時間が来ましたのでまとめますけれども、一部の研究機関への競争的資金の集中が過度に進んだ結果、健全な研究者の養成の障害にもなったということが指摘をされています。論文や特許など成果を早く出すことが至上命題になって、大学院生や若手研究者がじっくりと考えて研究者としての能力を磨く機会が失われている、STAP論文もこうした中で起きてきたということも指摘をされております。

 そういう点で、日本学術会議、先ほども引用しましたけれども、二月二十七日に出した第五期科学技術基本計画のあり方に関する提言、次のように警鐘を鳴らしております。

 極端な重点化が逆に総合的な研究力をそぎかねない懸念もある。政府は、第四期科学技術基本計画によって競争的資金の一層の充実を図ってきた。しかし、運営交付金や科研費を削り、基礎研究が担保されない状態で大型プロジェクトの競争的資金を偏重するのは、成功する見込みのある研究に研究者が拘泥し、萌芽的研究の芽を摘むことにつながる危険がある。イノベーションは多様性から生み出される。トップダウンの研究開発に偏ると、イノベーションの芽を摘むだけではなく、長期的にはみずからが思考する独創性豊かな人材の育成にも支障を来し、日本の学術のレベル低下につながると警鐘を鳴らされております。

 不正をなくして、科学研究の健全な発展を図るためにも、研究者倫理の確立を促す大学院教育の充実とともに、不正を助長する過度に競争的な政策を改め、基盤的な研究費の十分な確保や任期つきでない安定した雇用を保障することを強く求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

坂本委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十八分開議

坂本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小松裕君。

小松委員 自由民主党の小松裕でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきましたことに改めて感謝を申し上げます。

 大臣は、所信表明の中で、科学技術・イノベーションは、持続的な経済成長をもたらす原動力となるものであり、未来の成長の源泉である、このように述べられました。全くそのとおりだと感じます。

 午前中の審議でも、イノベーションの定義についての議論がありました。イノベーションとは、単なる技術革新ではなく、経済的あるいは公共的な価値の創造、これを意味すると理解しています。そのためには、基盤となる基礎研究力を高めること、そのための人材育成、そして、研究を日本のイノベーション創造につなげていくための仕組みが欠かせないわけであります。

 私自身、かつては医学部の教官として基礎研究や臨床研究などの医学研究に携わり、また、二〇〇五年から八年間、日本スポーツ振興センターという独立行政法人でありますけれども、そこのスポーツ医学の研究員として研究にかかわりながら、研究という分野の日本におけるさまざまな問題点を感じてまいりました。

 このような中、昨年、研究開発力強化法、独立行政法人通則法が改正されました。これは、いわば我が国の研究力をイノベーションに変えていくための第一歩であり、これからがスタートであるというふうに考えています。言い方をかえれば、我が国の科学技術研究をイノベーションに変えていくためには、まだまだ解決しなければいけない課題があると私は認識しています。

 そこで、本日は、我が国の研究の質を上げていくという観点に立って、特に人材育成を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 研究開発力強化法、独立行政法人通則法が改正され、研究開発成果の最大化を目的とする国立研究開発法人制度がこの四月からスタートいたしました。これは、我が国の研究をイノベーションの実現につなげていくための仕組みと理解しています。

 一方で、日本においては、多くの研究者が大学を拠点として研究をしているという現状もあるわけであります。

 このような中、改めて、新たな国立研究開発法人での研究と大学における研究の役割分担そして連携についてどのようにお考えか、お聞かせください。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 科学技術・イノベーションの実現に向けて、その中核を担う国立研究開発法人と大学が果たす役割は非常に重要でございます。

 まず、大学につきましては、イノベーション創出の基盤となる学術研究、基礎研究等を通じた多様で卓越した知の創出や、イノベーションのさまざまな場での活躍が期待できる多様な人材を育成する機能が求められております。

 他方、国立研究開発法人には、国家的あるいは国際的な要請に基づいて、民間では困難な基礎基盤研究や技術基準の策定等を実施することに加えまして、大学と企業等との橋渡し機能の強化や、産学官の共創促進の場であるいわゆるイノベーションハブの形成が期待されております。

 内閣府といたしましては、大学や国立研究開発法人、企業等のさまざまな主体が連携をして、多様な人材、技術、資金の好循環を生み出す仕組みの構築が持続的なイノベーションの創出に不可欠だと認識しております。

 これらの産学官連携を通じて、基礎的、基盤的な研究開発の成果が実用化、事業化に円滑につながるような、そういう環境を整備してまいりたいと考えております。

小松委員 ありがとうございました。

 いずれにしても、そのようなさまざまな研究環境の中でしっかりと連携をとっていくということが、研究力を高める、そして日本のイノベーションにつながるというふうに理解しております。

 私も、かつて内視鏡の専門家として内視鏡の処置具の研究開発に携わってきたことがあります。私が専門としていたのは、膵臓とか胆管というんですが、内視鏡を使って、胃を通り越して十二指腸まで進むと、膵管とか胆管という、いわゆる膵液や胆汁が流れて出てくる管の出口があるんですね、その出口に細いチューブを入れて、そこからいろいろなものを使って石を取ったりとか狭いところを広げたり、そういった内視鏡の治療を専門としていました。

 安全に、そして効率よくそういうような治療を行うための処置具の開発、こういうことにも興味を持ってやってまいりました。例えば、石をうまくつかむ道具であるとか、石を砕く道具であるとか、それから狭いところを広げるバルーン、こういった研究開発をしてきたわけであります。

 今振り返ってみますと、研究者として、イノベーションという意識があったのかなと思うと、余りなかったなと感じるわけであります。すなわち、世の中のために役に立つものをつくりたい、こういったモチベーションはあったわけでありますけれども、そのことが、イノベーション、特に日本の経済価値の創造につながる、こういった意識はなかったわけであります。

 同時に、一人で、若い研究者であった私が日本の研究企業とうまく連携していく、例えば日本の企業はこんな能力があるとか、こんな素材を持っているとか、そういったことがうまく連携できていなかったなというような反省点もあるわけであります。

 このような経験からも、科学技術・イノベーションが絶え間なく起こるような国にしていくためには、この新たな国立研究開発法人、これは、研究者の側にとっても、イノベーションという意識を持たせるという重要な意味合いがあるのではないかというふうに私は考えております。その活躍にこれからも期待するところでございます。

 同時に、研究開発法人や大学のみならず、産業界、そして公的研究機関などが相互に密接に連携しながら、効率的にイノベーションを推進していかなければいけません。そのためには、全ての研究分野において、研究マネジメント、そして研究支援にかかわる人材の育成も含めて、研究人材を育てていくということが極めて大事であると考えています。

 そこで、全体として効果的にイノベーションを推進していくためのシステム構築や、持続的に研究者を確保したり、若い研究者を育てるための策についてお聞きしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、イノベーションの実現におきましては、企業と大学、それから国立研究開発法人等の関係者が有機的かつ創造的に創造活動を展開し、新たな価値を創出する、そういうようなイノベーションのシステムを確立していくことが重要でございます。

 そのためには、さまざまな分野の知識や技術を持った方々、あるいはアイデア、ノウハウを持った方々、こういう人たちが結集しまして、研究マネジメントあるいは研究支援といった役割を担って、それぞれの能力をお互いに補い合いながら、チームとしてチーム力を発揮して、イノベーションに向けて相互作用、相互の触発、これを起こしていく必要があるというふうに考えております。

 さらに、企業、大学、国立研究開発法人等の連携、協調を活発にするためには、分野とか組織を超えてすぐれた人材が集まってくる、そういうオープンイノベーションの拠点の形成を行うということとか、国内外の頭脳循環のハブとなるような場を設定する、こういうことが重要ではないかと考えております。

 内閣府といたしましては、多様な役割を担う人材の育成を含めまして、人材と知と、そして資金の好循環を生み出すようなイノベーションのシステムを構築してまいりたいと考えております。

小松委員 ありがとうございました。

 今、チーム力というお話がございましたけれども、この点に関しては後でちょっと質問させていただきたいと思います。

 私の経験からも、そして周りにいた研究者を見ていても、これは午前中の審議でもこういった議論がありましたけれども、研究者にとって、自由に真理を探求したいという純粋な気持ちがモチベーションになっているということも事実だと思います。すなわち、目的が決まっているものを研究するのではなくて、将来何の役に立つかわからないけれども、誰もわかっていないこと、知らないことを突きとめたい、こういった欲求であります。これが研究者を仕事に没頭させる力になっているわけであります。

 このような海のものとも山のものともつかない研究というのは、確実に成果が見込まれるような研究開発に比べて、いわゆるリスクが高いということになるわけです。しかし、それが将来大きな成果が得られる場合もある。このような研究開発も重要であると私は考えております。

 このような観点から、政府は、そのようなリスクが高い研究開発の重要性に鑑み、どのような施策を行っているのか、また、そのような研究開発を成功させるためにはどのような人材が必要とお考えか、聞かせていただきたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のハイリスク研究につきましては、困難な課題に果敢に挑戦して、インパクトの大きなイノベーションをなし遂げようとする意欲あふれる人材が思い切って活躍できるような、そういう場をつくっていくということが重要であるかと考えます。

 内閣府におきましては、昨年、必ずしも確実性は高くないけれども、もし成功すれば産業や社会に大きな変革を及ぼす、そういうような研究開発を推進するためのプログラムといたしまして、革新的研究開発推進プログラム、ImPACT、これを創設したところでございます。

 ImPACTでは、御承知のとおり、すぐれたイノベーションの構想とその実現に向けての強い意欲を持っている、そういう方々を集めまして、人物本位の審査プロセスを重視することによりまして、プログラムマネジャー、PMとして、これまでに十二人の方々を選定いたしました。

 革新的研究開発推進会議という母体におきまして全体調整を行いながら、予算と裁量をPMの方に与えて研究開発プログラムの運営を任せるという、我が国としては非常に新しいタイプのプログラムを開始したところでございます。

 こうした取り組みが、飛躍的なイノベーションを生み出すような、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発への挑戦のモデルとなることを期待しておりまして、これが各省が持っておりますさまざまな競争的資金にも波及をしていくということを期待している次第でございます。

小松委員 ありがとうございます。

 本当に私自身もそのImPACT、期待しているところでございますし、これを成功させるためには、しっかりとした目きき役というか、プログラムマネジャーの役割、本当に、今はどうってことない研究かもしれないけれども、これは芽がありそうだぞ、そういった研究を見抜く、そういったアイデアを持っている研究者を見抜く、こういった力をぜひ発揮していただきたいなというふうに思うところでございます。

 同時に、科学技術・イノベーションの実現のためには、今もお話ししましたけれども、多様で優秀な人材を育成すること、そしてそれを活用するということが大事であるというふうに考えます。

 そのためには、研究者をどう評価するのかという点が大きなポイントであると思います。私自身、大学の教官として、研究者の評価ということに関しては、常々疑問を感じることが幾つかありました。

 実際にいろいろな分野の研究者がいるわけでありますけれども、客観的に研究者を評価する指標としては、いわゆるインパクトファクターと言われる、いわゆる質の高い科学論文にどれだけ論文が掲載されたかであるとか、それから、書いた論文がどれだけ引用されたか、そういった論文の質とか数、これが一番客観的な指標として重視されてきたように思います。

 しかし、論文の評価というのは個人の評価でありますし、イノベーションにつながる研究を行っていくためにも、先ほどお話しいただいたように、チームプレーというのが大事になってくるわけであります。

 この点を考えても、研究者の評価という点に関して、チームの指導者としての能力であるとか、どれだけ若い研究者を育てているかといった能力、これは評価するのがなかなか難しいということは理解はできるのでありますけれども、指導力、そして面倒を見る力、こういったことも、チームとしてやっていくためには大変重要なポイントであって、それがしっかりと評価されないといけないんだろうなというふうに思います。

 また、チームプレーということになりますと、野球に例えると、四番バッターだけ九人いてもだめなわけでありまして、そこには、確実に送りバントを決めるような地道な研究者も必要であります。また、そのような地道な研究者も評価されるべきでありますし、論文には名前が載らないような特殊な技術を持った技術者、こういった方も正当に評価されることが必要であるというふうに考えています。

 このような観点から、人材への貢献も評価するなど、適切な評価を実施するということを含めて、研究者のやる気を引き出して、そしてさまざまな人材がそれぞれの能力を十分に発揮して活躍できるような、魅力ある研究環境を整備することが大事であると考えます。

 その点に関しての考えをお聞きしたいと思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、科学技術・イノベーションを担うのは人でございます。さまざまな能力を持つ人材が多様な場で活躍する、これをいかに後押しできるかということでございまして、まさに御指摘の評価の重要性というのは、頑張る者が報われる、こういう仕組みをつくるために、やる気を引き出し、インセンティブを与え、そして能力を最大限に発揮する、こういうために評価制度がうまくできるかどうか、これが肝であるというふうに認識しております。

 それで、これまでも、優秀な人材を引きつけられるようにするためのさまざまな施策を打ってまいりました。具体的には、ただいま申し上げました評価制度を公正、透明なものにすることによって、若手研究者が自立して研究できるように、そういう環境を整備する、それから、世界トップレベルの研究者を諸外国からも呼び込んでいけるような、そういう魅力あふれる世界水準での環境の整備、それから、女性研究者の活躍というのも非常に重要でございまして、研究と出産あるいは育児、介護との両立とか、研究力の向上とか、こういうことを促進することができるような環境の整備に取り組んでまいったところでございます。

 こういう取り組みを通じまして、持続的で発展性のあるイノベーションの仕組みの構築に向けて、若手の人材がすばらしい成果を生んでいただくというために、将来のキャリアパスがよく見えて、自分はこれで頑張っていけば報われるんだ、こういうような仕組みの中ですぐれた人材がその能力を発揮できるようにしてまいりたいというふうに考えております。

小松委員 ありがとうございました。

 今、頑張っている人が報われると。もちろん、そういった頑張っている研究者が報われるという視点も大事であるんですけれども、国として、研究をしっかりとチームで行っていく、それを日本のイノベーションに変えていく、そういう視点に立っての見方がやはり必要だと思います。

 その点で、今言ったように、ただ論文を書くことが評価されるだけではなくて、チームとしてプレーする、指導力があるとか、人を育てるとか、人を引きつける魅力があるとか、そういった人たちが集まって一緒に研究を推進していかないとイノベーションにつながっていかないんだろうと思います。

 日本の研究においては、その点、やはり個人が評価されるだけに、個人に頼っていた、こういった面がどうしてもあると思います。ぜひとも、チームで日本の力にするための評価の仕組み、これをしっかりつくっていっていただきたいなというふうに思うところでございます。

 今もお話しいただきましたけれども、人口減少、そして少子高齢化が進む中で、世界じゅうで人材の獲得競争というのも激化しています。また、今も女性のお話をしていただきましたけれども、若手や女性といった多様な人材の育成強化も不可欠であります。

 実際に、若手研究者の雇用状況は、以前に比べ、任期つき雇用がふえているという現状もあります。これは午前中の質問でもありました。大臣の答弁でも、流動性を高めるんだと。この視点も大変大事でありますけれども、先ほどもお話ししたように、興味があれば研究に没頭する、こういった研究者の人たちでも、やはり生活が安定するということも大変重要なことであるというふうに思います。それがないと、逆に日本のこれから伸びていくかもしれない優秀な人材を手放すということになってしまうわけであります。

 このような状況の中、層の厚い人材を育てるためには、しっかりとした予算措置が必要であると考えます。

 この予算措置として、今までつくられてきた科学技術基本計画、四期まででございますけれども、予算の総額規模が明記されておりました。私が知るところでありますけれども、さまざまな基本計画がありますが、予算の総額規模が明記された基本計画というのは余りないのではないかなというふうに思うわけであります。

 これは大変特徴的なところだと思うんですが、予算総額規模が明記されているということは、研究者にとって大変勇気を与えられる、これで研究ができると。こういった科学技術研究の重要性から考えると、すばらしいことだなというふうに認識しています。

 そこで、若手や女性などの人材育成強化と、現在検討中の科学技術基本計画における政府の研究開発投資総額の規模の明記について、大臣の見解を最後にお聞きしたいと思います。

山口国務大臣 御指摘をいろいろいただきました。まさにそのとおりなんだろうと思いますし、とりわけ、こういういわゆる大変革、大競争時代といいますか、やはり、今後、科学技術・イノベーションの担い手としての、量的にも質的にもすぐれた人材、特に若手とか女性をしっかり育成、確保していく必要があるんだろうと思っております。

 しかしながら、博士課程の進学者は減少しておりますし、また、大学における本務教員のうち若手教員の割合が低下傾向にある、さらには、女性研究者の割合が諸外国と比較をしますと低水準にある。しっかり対応しなくてはいけない課題がまだ数多くあろうと思うわけでありますが、科学技術政策担当大臣としても、若手とか女性がその能力を最大限発揮できるような環境が整備されるように、各省とも連携をし、また督促もしていきたいと思っておるところでございます。

 また、将来への投資である科学技術・イノベーション政策、これが強力に推進できるようにということで、第五期科学技術基本計画において投資総額の目標、この検討についても、御指摘といいますか御激励といいますか、いただきました。これは第四期におきましてはもう御案内のとおりで、また、実は、先般、新たな宇宙基本計画の中でも、十年間で五兆円、ただ、官民合わせてというところでありますが、そういった計画をつくらせていただきました。

 今回の、第五期の科学技術基本計画におきましても、先生方のさまざまなお力添えをいただく中で、いわば世界で最もイノベーションに適した国とすることにふさわしい書きぶりができますように頑張っていきたいと思います。

小松委員 大臣、どうもありがとうございました。

 朝からの審議を聞かせていただいても、本当に問題点をよく理解されていて、そして、それに対する意気込みが伝わってくる大臣の答弁。本当に我々も、科学技術・イノベーションを日本の力にするためにしっかり後押ししていきたい、そのように思います。

 最後に、少し時間がありますので幾つかお話しさせていただきたいと思うんですが、私は、先ほど研究者であったという話をしましたけれども、同時に、スポーツドクターとしてオリンピック選手たちを支えるという仕事もしてきました。五回オリンピックに行ったり、野球、ソフトボール、体操、レスリング、こんな世界大会には毎年行く、そこで、一流の選手たち、そして一流の指導者の方たちと接して、いろいろな話をさせていただく機会がたくさんあったわけであります。

 そこで常々感じていたことは、特に指導者の方がみんな共通しておっしゃることが、選手を育てる、これは技術だけじゃだめなんだ、人間力を育てないと金メダルをとれる選手にはなれないという話をいつもされていました。

 例えば、ロサンゼルス・オリンピックで体操の金メダルをとった具志堅幸司さんが全日本の体操の監督だったときに、一緒に歩きながら、小松さん、あなたは陶冶という言葉を知っているかと。人を育てる、つまり、そういった気持ちを指導者が持っていないと金メダルをとる選手は育てられないんだよ、こういった話を聞かせていただいたことがあります。

 午前中も、研究不正のことも議論になりました。研究者を育てていくということに関して、やはり、研究だけではなくて人間力を磨く、研究者としての人間性もしっかりと磨いていく、このことも大事なんだなと思いますし、これは科学技術・イノベーション以前の問題かもしれませんけれども、そういった視点も大事だなということをつけ加えさせていただきたいと思います。

 また、もう一つ、英語力であります。先ほど論文が評価の対象になっているという話をいたしましたけれども、この論文というのは英語で書くわけですね。私も幾つも英語の論文を書きましたけれども、英語が余り得意でない日本人にとって、英語で論文をすらすら早く書くというのは大変なことです。これはもちろん、論文を書くということによって、英語力があればすらすら書けるんだろうと思いますけれども、当然、まず英語力を身につけるということもこれからの科学技術・イノベーションには大事なことであると思います。

 同時に、英語が余り得意でない日本の研究者をサポートする仕組みというのも大事なんだなというふうに思います。例えば、大企業、世界的な企業なんかが経営する病院というのが幾つかあるわけですけれども、そこの病院のドクターたちが海外の論文を書いたりとか海外の学会に抄録を書くといったときに、その先生が言うには、日本語で書くと会社のその部門が全部英語にさっと直してくれるんだ、そういうふうな話を聞いたことがあります。

 つまり、しっかりしたアイデアを持って研究をして、それを世界に発信するには英語力が必要でありますし、英語力に関して、それを一研究者に頼るのではなくて、それもサポートするような仕組みというのがあれば、日本の研究がもっと早く世界に出ていって、そして認めてもらえる、こんな仕組みができるんだろうと思います。そんな人間力という話、そして英語力、これも科学技術・イノベーションを日本の力にするために大事であるということを申し添えて、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

坂本委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私が本日質問させていただきたいのは、科学技術基本計画、いよいよ四期が終わりまして五期に向かっていくところですが、その内容についてさまざま質問させていただきたいと思っております。

 最初の第一期ができましたのが一九九六年でした。実は私、前職が科学技術庁の職員でおりました。まさしく、第一期ができた時期に私も科学技術庁に入りまして、その最初のポジションが基本計画というものを所管するところにおりました。

 それ以来、一期、二期、三期、四期と変わっていく基本計画をずっと私自身で見てまいりました。見ていまして、私なりに思うのは、これはいい計画だなというものもあれば、まあまあかなというものもありました。

 いろいろな基本計画がある中で、いよいよ今回、来年度から第五期が始まっていくわけですが、今回の第五期の基本計画は、本当にちゃんとした、きちんとしたすばらしいものをつくっていかなきゃいけないと思っております。それは、今、安倍政権が掲げております成長戦略の中で、科学技術・イノベーションというのがまさしく一つの大きな柱だというふうに思っております。そういった意味でも、第五期こそしっかりとしたものをぜひつくっていただきたいと思っております。

 我々公明党では、科学技術委員会というものがございまして、この中で、伊藤渉委員長を中心に、公明党としての提言を今取りまとめております。本年に入りまして、いろいろな方々に来ていただいてヒアリングを重ねて、また、現場に行って視察をして、現場の声も聞いてまいりました。本日は、そういうものを踏まえて議論をさせていただきたいと思っております。

 まず冒頭、政府の研究開発投資の総額の記載、先ほど小松委員からも話がありました。

 これは毎回大きな議論になります。毎回、政府として研究開発投資の目標額、五年間で幾らにするかというもの、最後の最後までいつもブランクです。ずっとペンディングになっています。最後まで財務省とずっと交渉されているんだと思うのですが、でも、最後はどうなるかというと、結果として毎回数字が出てきました。一期は十七兆円、二期は二十四兆円、三期、四期は二十五兆円。

 そもそも、政府の研究開発投資、日本の場合、各国と比較してどうかといいますと、かなり低いレベルであるわけです。アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、あるいはEU全体でもそうですが、研究開発投資の中で、政府は大体三割ぐらいしています。ところが、日本は一七%。

 政府の投資が大事なのは、今、産学連携と言われている中で、政府の投資が民間の投資の呼び水になっていくという観点も非常に重要じゃないかと思っております。

 先ほど、大臣の方の答弁でありましたのは、ふさわしい書きぶりをするという。今ぎりぎりの答えなのかなと思いますが、例えば、政府の研究開発投資をGDP比の一%にする、今までと同じ書きぶりですが、これは別に何ら野心的なものでもないわけです。先ほど各国との比較を申し上げましたが、政府としてこれくらいは明言すべきじゃないかと思います。つまり、今まで書いてきたものを書かないことによって、この政権の科学技術に対する姿勢、態度というものがどうなのかと誤解を与えるようなことがあっちゃいけないと思っております。

 三本の矢の最後の一本、成長戦略、この成否、まさしく成長できるかどうか、今突きつけられているわけです。この中で、財政健全化というものもわかりますが、対外的にもまた、各国に対して明言しないことによってどれぐらい大きなインパクトがあるかということもしっかりと踏まえた上で、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 いま一度、ふさわしい表現というのはまさしくGDP比の少なくとも一%だというものも踏まえて、この研究開発投資の目標を早々に明記していただきたいと思います。大臣の御決意を伺いたいと思います。

山口国務大臣 大変ありがとうございます。財務省に聞かせてあげたいような御提言、御意見を賜りました。

 おっしゃるとおりなんだろうと思うんですね。ただ、いろいろと交渉する中で、例えば宇宙基本計画も当初は非常に厳しかったんです、金額は相ならぬというふうな話で。今回、またとりわけ、御案内のとおりで、二〇一五年のプライマリーバランスというのは何とかああいう格好でクリアできた。二〇二〇年というのは至難のわざで、財政当局も非常にガードがかたいといいますか、焦りもあるんだろうと思います。

 そういう中で、今一生懸命交渉しておりますが、事務方としては、投資総額の目標についても、検討を進め云々ぐらいで、全くなかったところを、私があえてふさわしいと申し上げたんですが、それこそ、他の国々と比べても、あるいは私もよく申し上げておるんですが、いわゆるアベノミクスの三本目の矢ですね、これは、若干時間がかかろうとも、科学技術というものが占める役割、果たす役割というのは物すごく大きいものがあるんだろう。これから人口減時代を迎える中で、やはり科学技術がしっかりしなければ、本当に日本という国はだめになっていくんだろうという思いもございますので、そこら辺は、あえて申し上げますが、恥ずかしくない書きぶりにしていただくように、懸命に頑張ってまいります。

伊佐委員 ありがとうございます。大臣の今言える中での、本当に決意のにじみ出るようなお言葉であったと思っております。

 科学技術特別委員会に属しておる我々は、財務省とのいろいろな交渉もあると思いますが、少なくとも科学技術に対しての応援団だと思っておりますので、しっかりと引き続き応援してまいりたいと思っております。

 次に、人材の話をさせていただきたいと思うんです。

 若手研究者、きょうも議題になっておりましたが、今、若手研究者、何度も議論になっておりますが、特に博士課程の研究者の数というのがどんどん減っている。当然、少子高齢化の中で若者の数が減っていっているわけですが、それ以上のスピードで減っている。それはなぜかというと、進学率というものがどんどん減っている。母数がどうあれ、進学率が減っているわけです。これは、二〇〇〇年との比較で大体半分ぐらいというふうに言われております。

 博士課程に行かない理由というのが、アンケートで一番多いのは、経済的支援がないというところです。博士課程、これは米国の場合、いつも比較されますが、アメリカの場合は博士課程の大体九割の方々が財政支援をもらっている。日本は逆なんです。逆というのは、一割しかもらっていない。しかも、一割というのは、これは多目に、生活費だけでも一応もらったということにしてカウントして一割なわけです。全く大きな差がある。

 さらに言えば、博士課程の研究者の就職、なかなか企業に採用してもらえない。企業にアンケートをとると、大学で教育するよりも、社内で研究者としての能力を高める方がいいんだ、これが六割の企業の答えです。それだと何のための大学教育なのかわからないという状況だと思います。

 こうした何重苦も背負っている博士課程の若い研究者ですが、政府もこの問題をしっかりと捉えて、今までいろいろ努力、さまざまな取り組みをしていただきました。

 その中で、やってきて一つわかったことは何かというと、若手人材の流動性とかあるいは安定化というものをやる中で、結局、その流動していく先、つまりシニアのポストが動かないと、実は若手の行き場所がないということがわかってきた。

 シニアが流動しない、若者は動いてシニアが動かないという流動性の世代間格差、こういうものをまず何とかしなきゃいけないんじゃないかという議論が今なされていると思いますが、では、この世代間格差の解消に政府はどのように取り組んでいくでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、任期つき制度が若手研究者、大学教員に定着をし、流動性が増した一方で、シニア研究者、大学教員の流動性が低いこともございまして、今先生から御指摘がございましたように、いわば流動性の世代間格差ともいうべき状況が発生しているところでございます。

 この解消のためには、特に若手研究者が挑戦できる安定的なポストをさらに拡充していくことが重要であると認識しております。

 文部科学省といたしましては、若手研究者支援のため、テニュアトラック制の導入促進、あるいは、複数機関で安定性と流動性を担保した科学技術人材育成のコンソーシアムの構築、さらには、大学改革の一環として、若手ポスト確保の支援などに取り組んでいるところでございます。

 今後、こうした支援、取り組みに加えまして、年俸制やクロスアポイントメント制度の導入を一層促進することなどによりまして、シニアを中心とした教員の流動性を高めつつ、卓越した研究者が産学官の機関や分野の枠を超えて独創的な研究活動を推進できるような制度の検討を行うなど、引き続き若手研究者の活躍の促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。

伊佐委員 結局、若手の研究者の皆さんの環境を考えましたときに、若手だけで閉じる話じゃなくて、シニアも含めて日本全体の人材の流動性をどう確保していくかという大きな視点が必要だと思いますので、ぜひ引き続き努力をいただきたいと思っております。

 もう一点、安倍政権の中で、若手と並んで重要なのが女性です。女性の研究者にどうやって活躍していただくか。

 指導的地位にある女性を三割にふやすというのが安倍政権の現在の目標でありますが、研究者の世界、今、女性研究者はどうかといいますと、日本で女性研究者の割合は一五%です。これは各国と比べてもやはり見劣りしておりまして、イギリスは四割が女性、アメリカは三割。先ほど申し上げた社会進出という観点においても、例えば女性の学長、大学の学長の割合を比べてみますと、アメリカは二六%、日本は今八%です。

 これを考えるに当たって、私が一つ重要なデータと思いますのは何かといいますと、博士課程の後期の女性比率。

 博士課程にいらっしゃる女性の比率は、実は三分の一いらっしゃいます。三分の一いらっしゃるものが、教員になった途端にがくんと比率が落ちるわけです。一気に落ちる。研究者となる卵はいるのに、それがなかなか、それを将来の仕事として教員になっていかない、研究者になっていかない、こういう状況があるんじゃないかと思っております。

 党内でヒアリングをしたときに、ある理科系大学の副学長、女性の方です、副学長に来ていただいて、この大学のいろいろな取り組み、実は、今まで女性教員が少なかったものを倍増させたんです。その取り組みをいろいろ伺ったんですが、幾つか示唆がありました。

 一つは、まず、政府が今までも女性研究者の支援をやっていただいています。ところが、限られた年限、支援があって、それが終わったら、はい、それまでよということで、例えばこの人がいなくなってしまえば、意味がないわけです。

 しっかりと政府が一度始めたこの支援を、今度は、外部資金で得た女性の活躍のための支援を内製化していく。大学の内部でも引き続きしっかりこの取り組みを続けられるような、こういうような制度、評価というものが必要なんじゃないかというのが一点です。

 もう一点は、よく言われますライフイベント、これは女性に限りませんが、研究者全体の中でいろいろなライフイベント、子育てがあったりとかあるいは親の介護があったりとか、こういうライフイベントの中でどういうサポートを得られるかというのが大事だと思います。

 この大学でしていたのは、研究をサポートしてくれる研究支援員。これは、例えば妊娠でいいますと、妊娠がわかってから週に一、二回、研究支援員が配置される、産休の前後六カ月は専属でポスドクを配置する、産休が終わって復帰した後も、子供が小学校六年生になるまで研究支援員を週に一、二回ずっと配置してくれるというような取り組み、あるいは再チャレンジの取り組みもあります。

 こうして倍増をなし遂げたんですが、女性研究員の活躍というためには、大学とかあるいは研究機関のこうした取り組みを政府がしっかりと後押ししてあげることが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人 女性研究者についてのお尋ねでございます。

 我が国の女性研究者の割合は、年々増加傾向にはございますけれども、一方では、先生から数字を挙げて御指摘いただきましたとおり、諸外国と比較するとまだ低い水準にあるわけでございます。

 これは、お話がございましたとおり、ライフイベントの時期と、研究成果を生み出していく、研究成果を創出するに当たっての重要な時期とがちょうど同じ時期であるというようなことも背景にあるわけでございます。こうしたことから、研究と出産、育児等との両立が課題であるというふうに私どもも認識しておるところでございます。

 このような認識のもとで、文部科学省といたしましては、平成二十七年度においては、これも御指摘がございました研究支援員の配置支援、それから、研究と出産、育児等との両立や女性研究者の研究力向上を図るダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ事業や、研究復帰の支援を行う特別研究員、RPDと申しておりますけれども、RPD事業を実施しているところでございます。

 文部科学省としては、こうした取り組みを通じて、各機関の組織的な取り組みを促しつつ、今後とも女性研究者の一層の活躍促進を促してまいりたいと考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 これは決して、女性、若手もそうですが、一部署の努力で何とでもなるようなものでもありませんし、ましてや個人の努力でもありません。しっかりと組織全体あるいは国全体としてそういう雰囲気をつくっていくということが大事だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、産学連携です。

 いわゆるオープンイノベーションと言われるものですが、今まで、よく、日本の科学技術研究開発は自前主義だと言われました。自分の世界で閉じてやっていましたが、いよいよ投入するリソースだって自前じゃできなくなってきた。資源もそうですし、アイデアもそうですし、あるいはシーズもそうです。やはり一緒になってやった方がいい。あるいは逆に、シーズじゃない、ニーズの方ですね、ニーズの把握力。これもなかなか一つの限られた機関では問題で、やはりオープンイノベーションで多くの人たちが一緒になっていろいろなニーズを入れていく、こういうのが大事だというふうに言われております。

 産学官連携ですが、ノーベル賞を受賞しました青色発光ダイオードの名古屋大学の赤崎先生、これも、もともとは豊田合成との共同、まさしく産学官連携で、国が数十年前に補助金として産学官連携プロジェクトで助成したものがこうして大きな成果になったというものだと伺っております。

 産学官連携は、今少しずつ着実にはふえているんですが、ただ、問題は、いずれも小規模だ、非常に小さい規模でしか育っていない。大学の共同研究を見てみますと、百万円未満というのが大体半分ぐらいで、三百万円未満というのが八割ぐらい。なかなか大規模に育っていないという状況です。

 そこで、今取り組みを進めていただいていますのがCOI、センター・オブ・イノベーション、これはまさしく産学官連携をどうやってやっていくかという大きなプロジェクトですが、炭素繊維を研究しています金沢の方に、我々、党でも行ってまいりました。

 炭素繊維といいますと、鉄の四倍軽い、そしてまた強度は鉄の十倍、次世代の材料として今航空機のボディーとかに使われております。

 炭素繊維といえば日本だというふうに私は思っていたわけです。日本が引っ張っているんだというふうに思っておりました。しかし、現場で話を聞くと、全然違っていたんです。びっくりしたのは、確かに日本の炭素繊維のシェアというのは世界で六割か七割あります。ところが、日本がやっていることは何かというと、大手の海外メーカーの下請企業でしかないというのが現状だと伺いました。

 つまり、海外メーカーというのは、炭素繊維を使っていろいろな市場をどんどんつくっていっているわけです。例えば、最近の再生可能エネルギー、風車の材料をつくったりとか、あるいはゴルフのシャフトをつくったりとか、いろいろな市場をどんどん展開していっている。結局は、製品化のノウハウとか、物づくりのノウハウとか、こういうものは実は海外に蓄積されているんです。日本発の材料が今そういう状況になっている。

 日本はどうなっているかというと、海外に言われて単に素材を提供する、素材提供屋でしかないんだ。だから、日本は余りもうかっていないんです。こういうような状況だ。

 炭素繊維のこれからの市場の可能性というのは物すごいものがあって、例えば、我が国でいえば、我が国は今メンテナンス元年と言われて、老朽化したいろいろなインフラを再整備し直そうと言われております。鉄はさびるんですが、炭素繊維はさびないわけですから。こういう材料を、例えば超高層ビル、まさしく高さ一キロを超えるような、こういうビルだってこの材料を使えば可能かもしれない。あるいは、日本の海洋資源、深海採掘、深いところを掘っても、結局、鉄のパイプでやると何が起こるかというと、自分の重さで切れてしまうわけです。これを炭素繊維でやると、日本の海洋資源の開発は進むかもしれないとか、いろいろな可能性がある。

 だから、申し上げたいのは、単に技術がすごいんだというのじゃなくて、いかに技術を使って社会実装していくか、社会に生かしていくか、こういう産学連携を進めていかないと、材料だけ一生懸命頑張って、技術だけ高めても意味がないと思います。

 そういった意味で、社会実装を目指して、こういう前提で産学連携をさらに強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございましたとおり、革新的なイノベーションの創出に向けては、大学等によります先端的な研究成果の社会実装を進めることが重要でございまして、そのためには、産業界のさまざまなニーズに対して大学等がより効果的、組織的に対応できるよう、大学と産業界との連携を一層強化していく必要があると認識しております。

 このため、文部科学省では、それぞれ産業界や大学のみでは実現できない革新的なイノベーションを実現するためのさまざまな産学連携施策を進めてきたところでございます。

 これまでの取り組みにより、産学官の連携は着実に活性化されてはおりますけれども、産学の共同研究については、総体として、これも御指摘ございましたとおり、まだ小規模で、初期段階の取り組みが多いといった指摘もなされているところでございます。

 文部科学省としては、産と学が一つ屋根の下で研究開発に取り組む、これも御視察をいただきましたセンター・オブ・イノベーション、COIプログラムの充実など、オープンイノベーションを加速するための本格的な産学官の取り組みを拡大してまいりたいというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 次の話題に行きたいと思います。

 社会と科学、社会における科学技術、あるいは社会のための科学技術という観点でもヒアリングを行いました。

 東日本大震災の前後で社会と科学にどういうふうな変化があったかといいますと、こういうアンケートがありました。科学者は信用できるかどうか、あるいは科学者の話は信頼できるかどうか。これは、信頼できるという割合が震災前後で一割減少したというふうに言われています。

 また、STAP細胞の一連のいろいろな騒動もございましたが、今、社会と科学、科学がどう社会にかかわるかというテーマを考えたときに、もちろん科学者のリテラシーというのは重要だと思いますが、同時にもう一つ重要なのは、社会の科学リテラシーをどうしていくか、これも重要な問題じゃないかと思っております。

 梅棹忠夫さん、文化人類学の大家でいらっしゃいますが、生態学の観点、社会学の観点で文明論を論じられた方です。

 この方がおっしゃっていたのは、人間にとって科学というのは業だ、カルマだというふうに言っておりました。知能は性欲だと。つまり、知的探求というのは人類の根底の欲求であって、文明はその結果なんだと。

 これは、つまり、知的探求という本能、それを目的とする科学者にいろいろな物事をどんどん委ねてしまうと、結局、危険性がある、業に走ってしまうことが多々あるんじゃないか、こういう指摘なんです。では、それをとめられるのは誰か、誰がとめられるかというと、欲求に支配されていない、目的を持っていないアマチュア。アマチュアこそがこれをとめることができるんだというふうに指摘しております。

 もう一点指摘があったのは、技術の進歩というのは累積的だ、つまり、積み上がっていく。ところが、人間の倫理的な水準というのは非累積的だ、つまり、積み上がらない、常に変動するものだという指摘です。

 つまり、科学に向き合うときに、科学に内在する問題というのは、科学では解決できないものも多々ある、だから、人間のための科学というものにどう転換していくかが大事だ、こういう指摘をこの人類学者がされております。

 午前中から議論があったのは、政治が科学技術にどう向き合っていくかという議論もございました。具体的に言えば、科学技術のリスクにどう向き合っていくかというふうに言えるかもしれません。

 リスクがゼロだという技術は存在しないわけですから、当然、ゼロに向かって安全を徹底的に追求していくという姿勢、これは忘れちゃいけないと思います。リスクを最小化した上で、では、どういう合意形成を図っていくのかということが重要じゃないかと思います。

 そこで、大臣に伺いたいのは、国のいろいろな重要な課題に対して科学者が果たしていくべき課題、役割、政治がどう向き合うかについて、どう考えられますでしょうか。

山口国務大臣 これも御指摘にもございましたが、近年、自然災害とか気候変動等、科学的な専門知識を必要とする政策課題が台頭してきておるということは事実であろうと思います。

 そうしたことを背景に、科学者が政策形成にかかわる必要性、これは従来にも増してふえてきておる、大きくなってきておるということが一つ言えるんだろうと思います。

 同時に、今、梅棹忠夫さんのお話もございました。私も、好きでSF映画等々をずっとよく見てきたんですが、概して政治家が悪者というストーリーが多いですよね。せっかく科学者が忠告しておるのに聞かなかったとか。だけれども、数少ない例として、やはり、科学者が暴走する、素人がそれをとめるというものもあるわけで、そこら辺はうまくバランスをとっていく必要があるんだろう。

 ただ、さっきも申し上げましたように、やはり科学者が政策決定の過程に関与する機会がふえてくるということは一つあると思うので、そこら辺はしっかりとお互い意思疎通をしながら、どういうふうな役割分担にするか、あるいはどういうふうな組織、システムにしていくかというのも含めて、今後の課題だろうと思います。

伊佐委員 政治と科学のかかわり方について、一つだけ補足をさせていただきますと、午前中の審議でも大臣がおっしゃっておりました、私自身は専門家じゃないけれども、表面をなでているだけで、それで政策判断を行っていく、大分謙虚におっしゃっていただいたんだと思いますが、政策決定を行っていく中でどういう科学的な助言を得るのか。決めるのは最終的には政治の世界だと思いますが、例えば総理に対する助言をどうするのかというのは、非常にこれは重要だというふうに思っております。

 例えば、午前中議論のあったUK、イギリスの場合、東日本大震災のときに、科学技術顧問というのがいて、しっかりと今あるべき状況というものを助言したから、各国と違う動きをしたとか、あるいは、アメリカだって科学技術顧問、ホルドレンさんという方がずっと大統領の科学技術の顧問としていらっしゃる。こういったものは我が国でも私は必要だというふうに思っておりますので、ぜひまた引き続き御検討いただきたいと思います。

 最後に一問、どうしても聞きたいことを大臣に伺いたいと思います。何かといいますと、関西特許庁の構想なんです。

 これは、地方創生の中で、私は非常に大事だと思っています。国会質疑の中でも、機会あるごとにいろいろなところで私は申し上げてきました。経産大臣にも質問させていただきました。本日は、知財担当大臣たる山口大臣に、この関西特許庁について伺いたいと思います。

 昨年の十二月に、まち・ひと・しごと創生長期ビジョン、また総合戦略、これが閣議決定されました。この中で書かれていますことは、企業に対して、本社機能を地方に移していきなさいよ、移してくださいということが書いてあるわけです。でも、当然、隗より始めよ、政府の機関、行政機関をまず地方に移転するということも大事だというのがここに書かれているわけです。

 その中で、関西特許庁、関西に知財のブランチをぜひつくっていただきたいと思っております。

 関西は、今、イノベーション国際戦略総合特区に指定されて、イノベーションの中核拠点を目指しているところです。知財の観点からいいますと、日本全国の特許数のうち、三割が関西なんです。関西から出てきている。

 関西にぜひブランチをという話をすると、特許庁の方は何を言うかというと、例えば、審査の過程で面接があるんですが、この面接も今テレビ電話でできますということを言われるんです。

 でも、実際は、私が地元で中小企業の皆さんと話をすると、いやいや、やはり目の前に行かぬとだめだと。例えば、我々がアピールしたいのは、この部材のこの角度を見てくださいとか、ここのこの肌ざわり、これが新しくて、こういう機能なんです、こういうことを目の前で見てもらわないと、幾らテレビカメラを通じても伝わらぬということを皆さんおっしゃいます。結局、物を持って東京に行くんですと。これは中小企業の皆さんにとっても負担になっているわけです。

 こういう要請もあって、特許庁が最近始められたのは、出張面接というのもやりますよということ、ちょっと流れが変わってきました。でも、これもなかなか難しくて、では、何月何日に来てくださいというふうにわざわざアポイントをとるわけですよ。わざわざ出張費を出して来てもらう。

 そうじゃなくて、地元の中小企業の皆さん、物づくりの皆さんが求めているのは、いつでも気軽に相談に行きたい、今ここを悩んでいて、これをちょっと見てくれといって審査官に相談に行きたい、こういうような関西の拠点をぜひ置いてほしいというお声があります。

 これは地方創生という観点もあるんですが、国家の知財戦略としても、関西特許庁、ぜひ実現に向けて一歩踏み出していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

山口国務大臣 御指摘がございましたように、地方創生の中で、まず隗より始めよというふうなことで、国の機関の地方移転というのが掲げられておるということは承知をいたしておりますし、同時に、まち・ひと・しごと本部の方で、こんなものが考えられるという例示も出ておりました。

 特許庁に関してですが、ただ、同様の機能を持つような地方支部をふやすということは、行政改革等々の考えの中で、なかなか難しいのかなというふうに思っておりますが、現在、全国の経済産業局の特許室に計六十名程度ですか、職員を配置して、とりわけ、さっきもお話がありました、関西圏は非常に多いというふうなこともございますので、知財セミナーなどを行って、さらには、知財関連の相談をワンストップで行う相談体制を整備、強化するなど、いわゆる関西の知財活動支援をできるだけ強化しておるというふうに聞いております。

 また、これもお話があったんですが、出張面接審査とかあるいはテレビ面接審査等も行っておるというふうに理解をしております。

 まことに宮沢大臣みたいな答弁になって申しわけないんですが、そういったことで、当面、皆さん方がお困りにならないように、いろいろな手だては考えていきたいと思っております。

伊佐委員 これは、厚労省は一歩踏み出したんですね。PMDA―WESTというのをつくって、創薬の世界はやりましたので、ぜひ知財の観点でもよろしくお願いしたいと思います。

 以上、終わります。ありがとうございました。

坂本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十八分散会


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