衆議院

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第3号 平成23年10月25日(火曜日)

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平成二十三年十月二十五日(火曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 赤松 広隆君

   理事 石関 貴史君 理事 佐々木隆博君

   理事 田島 一成君 理事 武正 公一君

   理事 山花 郁夫君 理事 赤澤 亮正君

   理事 森山  裕君 理事 斉藤 鉄夫君

      石津 政雄君    泉  健太君

      稲見 哲男君    今井 雅人君

      緒方林太郎君    逢坂 誠二君

      奥野総一郎君    加藤  学君

      柿沼 正明君    京野 公子君

      小室 寿明君    近藤 和也君

      近藤 昭一君    高井 崇志君

      高橋 英行君    高邑  勉君

      野田 国義君    橋本  勉君

      花咲 宏基君    福島 伸享君

      藤田 大助君    藤田 憲彦君

      村上 史好君    山尾志桜里君

      山岡 達丸君    石田 真敏君

      加藤 紘一君    佐藤  勉君

      坂本 哲志君    橘 慶一郎君

      中谷  元君    三ッ矢憲生君

      西  博義君    塩川 鉄也君

      重野 安正君    山内 康一君

      田中 康夫君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   国土交通大臣       前田 武志君

   国務大臣

   (郵政改革担当)

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   総務大臣政務官      森田  高君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            遠藤 俊英君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          高橋  亨君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          佐々木英治君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          中城 吉郎君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          斎尾 親徳君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          田中  進君

   衆議院調査局郵政改革に関する特別調査室長     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十五日

 辞任         補欠選任

  大谷  啓君     村上 史好君

  近藤 昭一君     稲見 哲男君

  高橋 英行君     泉  健太君

  福島 伸享君     石津 政雄君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     福島 伸享君

  泉  健太君     高橋 英行君

  稲見 哲男君     近藤 昭一君

  村上 史好君     大谷  啓君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵政改革に関する件


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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 郵政改革に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役高橋亨君、専務執行役佐々木英治君、専務執行役中城吉郎君、専務執行役斎尾親徳君及び常務執行役田中進君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として金融庁総務企画局審議官遠藤俊英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石関貴史君。

石関委員 おはようございます。民主党の石関貴史です。

 今、民主党それから国民新党との連立政権、この政権の中、そして与党にいていろいろ考えるところもございます。不要なダムはやめますとか、年金はちゃんと取り返しますとか医療を充実させます、こういうことをマニフェストで声高に言ってまいりましたが、なかなか進んでいないという現状もございます。こういったマニフェストの内容については、あらかたの部分は、しかし我々の力不足が原因でなかなか進めることができないということであるというふうに反省もしておりますし、我々自身、ねじを巻いてこの約束をしっかり実行していかなければいけないというふうに思っているところであります。

 しかし、これらの問題、課題は、引き続き我々がしっかりと取り組んでいかなければいけない、約束を実現していかなければいけない、こういう課題だと私は考えております。マニフェストの中にも、しかし現状に合わせて修正をしていかなければいけない、こういったものは我々もしっかりと把握をして、それに応じた対応また修正なりしていかなきゃいけない、こういうことがこの前の選挙から今に至る大きな流れではないかなというふうに思っています。

 他方、私は初当選は二〇〇五年のいわゆる郵政選挙でございますが、この郵政選挙と言われて行われた選挙、郵政の民営化につきましては、当時の与党の皆さんの中にも大変御苦労いただいた方々もいらっしゃると思いますし、また、民営化をぜひすべきだということで推進をしてこられましたが、今に至って、今の国の現状、地方の現状、利用者の声、こういった声を聞いて、やはり修正をし、またさらに将来に向かっての改革をしていかなければいけない、このようなお考えの方もいらっしゃるのではないかなというふうに思います。

 こういった現状認識のもとで、幾つか御質問を申し上げたいと思います。

 まず初めに、自見大臣は所信的発言、ごあいさつの中で、被災地へ視察に行かれたということをおっしゃっておられます。三回にわたり、宮城県、福島県及び岩手県の郵便局、郵便事業会社の支店及び移動郵便局を訪問されたということでありますが、この大震災の後、被災地の皆さんにさまざまなニーズがあろうと思います。

 大臣、視察に行かれて、被災地の現場に行かれて、御実感として、どのようなものを見、どのような声を聞いて、今の体制でそのことがしっかりとカバーできているのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

自見国務大臣 石関先生にお答えをさせていただきます。

 今御指摘のように、私も、発災後、宮城県、福島県、岩手県に行ってまいりました。各県でそれぞれ郵便局あるいは郵政関係のいろいろなところを視察し、生の声を聞かせていただいたわけでございますが、やはり郵便局、郵便配達ネットワークは被災地にとっても不可欠な生活インフラの一つだというふうに改めて再認識をさせていただいたわけでございます。

 今回の震災においても、被災地の日本郵政グループは、みずから大きな被害を受けながら、たしか郵政関係で五十九人の方が亡くなられたり行方不明でございます。関連を入れると六十一人でございました。

 先生御存じのように、これはユニバーサルサービスでございますから、実はリアス式の町に村に全部、郵便局というのは明治自来ございます。東北六県で千九百三十二の郵便局があるわけでございますが、そういったことは、JRとかNTTとか全国的組織はいろいろございますが、そういう中で、まさに郵政関係の方は一番そういったとうとい犠牲になられたというふうに私は行って実感したわけでございます。

 今回の震災においても、被災地の日本郵政グループは、今申し上げましたように、みずから大きな被害を受けながら、地域のインフラ機能を担っているという強い使命感から、現地においても献身的に業務の復旧、地域の復興に全力を注いでくれているものと思っております。

 先日も岩手県に行きまして被災地を視察させていただきましたが、釜石の市議会議長さんから、実は被災に遭って、先生御存じのように、電話も全然通じない、そういったときに、大阪か東京にいる友達に手紙で写真を送ったそうです。そうしたら一週間たって着いたそうでございまして、そのとき改めて郵政三事業の貴重さというのを感じ入ったから、ぜひこれは大臣としても、郵政三事業を、こういう被災地の非常に厳しい状況においても機能したわけですから、しっかり維持していただきたいという本当に悲痛な、貴重な御意見をいただきました。そういった本当に被災地の市のトップの方からもお伺いできたわけでございます。

 しかしながら、同時に、五分社化をさせていただきましたので、例えば小グループ、五つの会社に分かれておりますので、車両は、郵便局会社の車両か郵便事業会社の赤いバイクかということで、特に被災のすぐ後に行きました宮城県の石巻では、これをめぐっても非常に現場が混乱したという話も聞かせていただきました。

 あるいは、昔は郵便局では郵便局長さんが一番管理者でございましたが、今は郵便局長さんと郵便事業会社の支店長さんがおられまして、その辺で、現場において指揮命令系統が混乱をするというふうなことも実際お聞きさせていただいて、まだまだ壁には津波が来た跡が残っておりましたけれども、その中でも郵便事業を再開しておられました。

 それからもう一個は、特に昔は、先生御存じのように、共同担務といいまして、郵便配達の人が被災地に行って、お年寄りの方に手紙を届けたついでに公的年金、我々も大体二五%、四人に一人は郵便局で今みんなもらっていますから、郵便貯金をやって、郵便配達の人に、足が不自由だから、あるいは自分は車を運転しないからとってきてくれ、こういうことを昔から、明治四年以来、基本的に共同担務をやってきたわけですね。今は郵政五分社化になりまして、郵便配達の人がもう現金を一切扱えない、そんなことの大変おしかりをいただいたという話も聞きました。

 そういった意味で、被災地において、今るる申し上げましたように、まさに郵政五分社化のマイナスといった面が噴出をしたというふうに、私自身、自分の経験を通じて思っております。

石関委員 ありがとうございます。

 今大臣の御答弁の中にもありました、公的年金を四人に一人は郵便局を利用して受け取っているというお話でございました。

 金融機関としての機能でございますが、全国の各地域で金融機関の統廃合なども進んでいるというふうに承知をしております。

 これは金融庁にお伺いしますが、今お話があったような、金融機関としてのサービスを持っている郵便局以外に金融機関の店舗がない市町村というのが現在日本にどれだけあるのか、また、これはできれば経年で、どういう傾向にあるのかを御教示ください。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便局以外の金融機関の店舗がない市町村については、かつては郵便貯金法十条に基づく総務大臣告示、現在は郵政民営化法百八条に基づく内閣総理大臣及び総務大臣告示において具体的な市町村の名前を挙げて告示しております。それを見ますと、一番直近のものでございますけれども、平成二十三年、本年の八月時点で、そういった郵便局以外の金融機関の店舗がない市町村は二十三市町村になっております。

 これを経年で見てみますと、近年ということでございまして、過去五年間さかのぼってみますと、平成十八年六月では十市町村でございました。それが、十九年十月では十八市町村、二十一年八月では二十一市町村、先ほど申しましたように、現在、二十三年八月では二十三市町村となっておりますので、近年はこういった市町村が増加傾向にあるというふうに言えるかと思います。

石関委員 これは通告しておりませんが、川端大臣、今の御答弁で、郵便局しか金融サービスを提供する機関がない市町村が続々ふえているということでございますが、全国どこに住んでも利便性高く、そして心安らかに生活する、これを確保するのが政府や政治の役割だと思いますが、今の御答弁を踏まえて、総務大臣に感想をお聞かせいただきたいと思います。

川端国務大臣 郵便事業それから金融、保険、すべてをあまねく地方にというユニバーサルサービスの理念からいいますと、経済原理とはいえ、やはりいろいろな状況の中で、地域の郵便局がないという市町村がふえているということは好ましいこととは思っておりませんので、そういうことが起こらないような仕組み、体制をぜひとも整備しなければいけない、このように思っております。

石関委員 最初、自見大臣から、被災地のいろいろな問題と郵政事業のかかわりということについて御答弁をいただきました。また、今、川端大臣から、全国あまねく金融機関としてのサービスも維持していかなければいけないというお言葉をいただきました。

 こういうことを踏まえて、サービスはしっかり確保する、また充実をさせていく、これを前提としていくと、今の郵政の民営化法のもとではどのような問題があるのか、どういったことが問題になってこの維持が難しくなっていくのか、あるいは今のままでいいんですよということなのか、このことについて自見大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

自見国務大臣 御答弁申し上げます。

 五分社化という今の法律でございますと、今、川端大臣も言われたように、郵便だけでなく貯金、保険を含めた郵政三事業のユニバーサルサービスが法律上確保されていない。御存じのように、十年たてば貯金と保険は一〇〇%株式を売って民営化しますので、民間の企業になれば当然ですが利潤が最優先になるわけでございまして、そういった意味で、そのことは大変、私も率直に、今の法律のままだと、過疎地あるいは離島に金融サービスがなくなるのではないかと不安を持っておりますので、それを制度的にそういうふうにしないという法律の改正が必要ではないか、こう思っております。

 それからもう一点は、今、被災の中でも五分社化の矛盾が噴出をしたという話を申し上げましたように、やはり明治四年以来、基本的に三事業一体ということでございましたし、そういった意味で、三事業一体といったことをきちっと保障する、そういった法律の改正が必要ではないか、こう思っておりまして、分社化によって利用者の利便性の低下、それから迅速な意思決定が困難になっている。

 あるいは、職員人事の硬直化。実は、五分社化しましたから、ある課長さんなんて、一人だったのが五人いるというふうになっております。これは、今さっき少し触れました、釜石の郵便局を再びつくるときに、今のだと、郵便局長さんの部屋と郵便事業会社の支店長さんのと、部屋が二つ要るんですね。ところが、法律をもし通していただければ、管理者の部屋は一つでいい。そういった基本的な設計も立たないということを日本郵政の方から強く言われておりますし、国会は最高の意思決定機関でございますから、早く決めていただきたいという声も私の耳に届いておるわけでございまして、そういったこともしっかり勘案していかねばならないというふうに思っております。

石関委員 日本郵政の中にもいろいろな御意見はあるでしょうが、それはそれとして、先ほど川端大臣もおっしゃったように、こういったサービスが地域からなくなって構わない、こういう政治家や議員というのはまずいないと思うんですね。

 ですから、基本的には、これをどうやって、どういう形態で維持していくかということに異論のあるところはまずないというふうに思いますが、今のお話だと、今の法律のもとではなかなかそれが危うくなってくるということですから、今提出をされている関連法案ではこのことがどのように改善されることを期待されているのか、また国民の皆さんに、この法律が通ればこんないいことがありますよということをぜひお伝えいただきたいと思います。

自見国務大臣 これは閣法でございますから、閣議決定して、政府と与党の合意のもと法律を提出させていただいて、私が担当の国務大臣でございますから、私は少なくとも最善なものと思っております。

 今言われましたように、やはり三事業一体、どんな僻地でも日本人であればきちっとこの郵政三事業の恩恵にあずかれる、そういうことを考えれば、民主党の野田代表と国民新党の亀井代表との間で、私は閣僚といたしまして最善なものだというふうに思っておりますけれども、各党の修正協議の合意を図りというふうなことが両党首間でも入っていますから、きちっとこの委員会の御意見も聞かせていただいて、最終的には議会で決めることでございますけれども、そういったこともしっかり視野には入れておく必要があるというふうに思っております。

石関委員 ありがとうございます。

 サービスを維持していく、この目的を達成するために、各党会派いろいろな御意見はあろうかと思いますが、どこかで折り合いをつけて、国民がどこに住んでも安心して心安らかに生活ができる、このことを維持するために当委員会で審議、議論が活発化することを大いに期待して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、高井崇志君。

高井(崇)委員 民主党の高井崇志でございます。

 きょうこうしてこの場で質問に立たせていただけること、本当にありがたく、また万感の思いでございます。

 私、二年前の衆議院選挙で、郵政改革、これを何としてもなし遂げるということを最大の、一番の公約に掲げてまいりました。と申しますのも、私は郵政省の出身でございます。郵便局の現場にも三回出させていただきました。第百二十三代自見郵政大臣にもお仕えをさせていただきました。そうした関係から、今でも私の地元岡山で多くの郵便局の皆さんとお話をする機会をいただきます。皆さん、今のこの中途半端な現状に大変困惑をしています。

 郵政民営化から四年経過しましたが、経営状況の悪化はもう皆さん御承知のとおりであります。では、それを打開しようと思っていろいろな新しいサービスをやろうと思っても、それもできない。株を売ることもできない、郵便配達の人が貯金の扱いもできない、あるいは窓口ではたらい回しになってしまう。

 ある若い郵便局員さんが私に、目に涙を浮かべてこういう話をされました。私は何が悔しいといって、公務員じゃなくなったことが悔しいんじゃないんです、そんなことはどうでもいいんです、ただ、お客様からこうしていわれもない苦情、自分たちがどんなに精いっぱいやっていても、制度がおかしいからこんなに多くの苦情をいただくことになった、これが悔しくてなりませんと、本当に目に涙を浮かべてその局員さんは語っておられました。こうした現状。

 そして、アメリカを見てみますと、ついおとといの読売新聞の記事には、アメリカの郵政公社、USPSの赤字が深刻で、八十五億ドル、約六千五百億円の赤字で債務不履行に陥りそうだ、四割の人員を削減するという計画を考えていて、これが大変な労働組合の反発になっている、そういう記事もありました。

 このようなまさに中途半端な状態が続けば、ユニバーサルサービスの確保はおろか、経営そのものが破綻すると私は危惧をしています。

 自見郵政大臣にぜひお伺いしたいのは、このような現状の制度、仕組みについてどのようにお考えになるか、まずお聞きしたいと思います。

自見国務大臣 高井議員は、旧郵政省、今は総務省でございますが、三回も郵便局の現場に出られたという貴重な御経験をお持ちでございまして、敬意を表する次第でございますが、今も先生が御指摘のとおり、郵政事業を取り巻く環境は日に日に厳しさを増しております。

 数字を挙げれば、何度か国会の方で申し上げましたが、郵便物数は、二百六十二億通ございまして、約六十四億通減って、今、百九十八億通でございます、これはゆうパック、ゆうメールを除くわけでございますけれども。ピーク時からまさに九年間で二百六十億通が二百億通を切る、こういう状態になっております。

 また、御存じのように郵便貯金の残高が二百六十一兆円あったわけでございますけれども、八十六兆円減りまして今は百七十五兆円で、これは十一年間でこれほど減ったということでございます。

 また、保険の契約件数は、八千四百三十二万件ございましたが、実は半分以上減りまして、四千二百六十四万件減って四千百六十八万件という、まさにこの十四年間でこれほどに、先生もよくおわかりでございますが、なっております。

 今の五分社化だと、今先生がおっしゃいましたように、新規事業への進出など機動的な経営が困難でございまして、日本郵政グループの経営に悪影響を与えているということと、郵便局長による集荷ができない、あるいは、私がさっき言いましたように、郵便外務員、郵便配達の方が貯金を一切扱えない。

 それから、先生が言われたように、郵便局といったら大体、明治以来、郵便局長さんがトップだと私も思っていますので、昔でいう集配特定郵便局、十五人ぐらいおりまして、その地域で郵便も配っていたところに、郵便の遅配、誤配がありましても、国民の方は当然郵便局長さんが責任者だと思って電話をするんですね、けしからぬ、おくれたとか、間違って来たとか。ところが、これは全然別の会社の人ですから、一切、全然責任も持てないというのが現実であって、しかし、おしかりだけは、しっかり郵便局長さんが怒られるけれども、全然別の会社の人間である。そういった、先生御存じのように、まさに制度的な矛盾が現場に噴出しているということをお聞きしております。

 また、貯金、保険の全株売却後は、今さっき申しましたように、金融のユニバーサルサービスが確保されないおそれがあって、特に田舎の市町村長さんから私のところにも、自見さん、十年たったらうちの町から村から郵便局がなくなるんじゃないかということを現実にいろいろ聞かれまして、そういった不安があるのも事実でございます。

 要するに、法案を、まさに今さっき申し上げましたように、私はこれがきちっとベストなものだというふうに出しておりますけれども、しかし、国会というのは唯一の立法機関で国権の最高機関でございますから、各党各会派の皆様方のいろいろな考えがあると思いますので、そこら辺はやはり英知を結集して、国民目線に立った本当の意味での改革をしていただければ政治家としてもありがたいな、私はこういうふうに思っております。一日も早くそういった国民利用者の目線に立った郵政改革が実現されるよう、心からお願いもさせていただく次第でございます。

高井(崇)委員 自見大臣のお考えは大変よくわかりました。

 先ほど石関委員の質問にもありましたけれども、今回の東日本大震災で、郵便局も大変な大きな被害が出ました。聞くところでは、被災された郵便局は、簡易局も含めて、全壊が八十三、それから半壊が十八、浸水が三十七、合計百三十八局。建て直しが必要なのは約百局にも及ぶというふうに聞いております。

 そういった中で、早急に新しい局舎を建てなければならないのですが、先ほど自見大臣からもお答えがありましたけれども、この五分社化という現状がどうなるのかによってやはり局舎の建て方が大きく変わってきます。郵便局と集配センターを別々につくろうなんという話もあるし、また支店長室をでは幾つつくったらいいのか、そういったことがまさに復旧復興計画に大きな障害になっている。

 私は、この法案の成立というのは、まさに復旧復興に大きく関連する法案だというふうに考えておりますけれども、自見郵政大臣のお考えをもう一度お聞かせください。

自見国務大臣 高井議員の言われるとおりでございまして、先般、東日本大震災からの復興基本計画に実はそういった問題点がございまして、この郵政法案の行方によって、今たなざらしになっておりますが、現場の復旧復興のレイアウトが変わってくるということもございましたので、ぜひこのことをしっかり国会で御決定いただきたいということを、実は東日本大震災からの復興の基本計画にも一文を、当時の片山総務大臣とも連絡をとらせていただいて、入れさせていただいたわけでございます。

 千年に一遍と言われる大津波でございまして、そういった中で、明治四年以来、やはり地域で郵便局の果たしてきた役割というのは私は大きいというふうに思うわけでございますが、そのことは、我が村の、我が町の郵便局はやはり復興してほしいと住民の方はみんな思っているわけでございますから、そういった意味でも、先生が言われたように、一日も早く本当に国会の英知を結集して郵政を、どこでも、どんな過疎地においても金融サービスが受けられるよ、それから、昔から三事業一体、郵便局員に頼めばみんな、郵便、保険の融通をしていただける、そういったことにきちっと制度的に直していかねばならないということを私は思わせていただいております。

高井(崇)委員 次の質問は、自見郵政大臣それから川端総務大臣、お二方に、共管だと聞いておりますので、お伺いしたいんです。

 郵政三事業を支えているのは、その八割を占めているのがゆうちょ、かんぽの存在でございますが、先ほど自見大臣が御答弁されたように、これが急激に減少していて、この十年間でゆうちょが約九十兆、かんぽが約三十兆、これはよく民業圧迫という声が聞こえますけれども、そっくりそのまま民間金融機関にそれがシフトしているというのがこの十年間の現状でございます。

 特に、新たなサービスということで、例えば簡易保険の第三分野、がん保険というのがありますけれども、がん保険などはアメリカの保険会社が八割を占めています。その会社の利益のさらに八割が日本向けサービスということで、こういったことから、USTRなどはかんぽの新商品に反対をしているわけですよ。これは国益を主張しているのである意味当たり前でありますが、我々日本政府としては、これもまた国益を主張していかなければならないというふうに思っています。

 そうしたことから、今後、ユニバーサルサービスと健全経営を郵政事業が両立していくためには、金融のゆうちょ、かんぽの限度額の引き上げ、それから今申し上げたサービスの自由化、第三分野保険への参入などが必要と考えておりますけれども、自見大臣、川端大臣、両大臣から御見解をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 限度額は政令事項ということで、先に答えさせていただきます。

 先生御指摘のように、いわゆる経営状況の数字でいうと非常に厳しい、ここ十年ぐらい減少にあることは事実であります。

 こういう中で、貯金、保険の限度額については、一つは、この限度額がこのような経営状況にどういう影響、効果を与えるのかという判断、利用者の皆さんのニーズの現状、変化、それから今言われましたほかの民間の金融機関等々への影響等、いろいろな背景を総合的に判断しなければならないということでありまして、過去のいろいろな議論も踏まえながら、引き続き限度額の引き上げについて検討を加えてまいりたいというふうに思っております。

 それから、もう一方の新規サービスの提供というのは、ユニバーサルサービスを下支えする仕組みとして、できるだけ自由度のあるようにということで議論されてまいりました。今回出させていただいている法案においても、新規業務を認可制から許可制に変えたいということで、より機動的に可能とするための措置を盛り込んでいるというふうに承知をしておりますが、実際に今行われているものも、なかなか状況が厳しい部分、やれるけれどもなかなか進んでいない部分もありますので、こういう背景もしっかり分析する中で検討を加えてまいりたいと思っております。

自見国務大臣 高井先生から、限度額についていかん、こういうお話でございましたが、御存じのように、この限度額は、平成二十二年三月に発表された、亀井前郵政改革担当大臣と原口元総務大臣が関係方面の意見を幅広く伺った上で、国民の貯蓄動向、国民の利便性、郵政事業の経営状況等を勘案しつつ、信金、信組等の中小地域金融機関や中小生損保などへの影響等も考慮して、バランスのとれたものとなるように総合的に判断をしたというふうに私は仄聞をいたしております。

 しかしながら、引き続き当該方針を踏まえつつ、法案審議の中でもさまざまな、きょうは皮切りでございますけれども、御意見が出てくると私は思うわけでございますから、適時適切に対処していきたい、こう思っております。

 先生には釈迦に説法でございますけれども、限度額については、これは政令で定める事項でございまして、郵政改革法案の内容とは直接関係がないということは先生もよく御存じだと思うわけでございます。

 それからもう一点、国際的な批判もいただいておりますが、アメリカに私も昨年行きましたが、財務省のブレナード次官から直接、郵貯のことについてアメリカ政府の懸念を聞かせていただきました。彼らは、EUからも言ってきていますが、民営化するかどうか、それは日本国の主権があって、自由だから何も言いませんと。結果、もし法律ができ上がったときに、内外を要するに同質の競争条件にしてくれということを強く申し入れがあったわけでございますが、この法律をよく読んでいただければ、経営の自主性、それからいろいろな仕組みをつくっておりまして、郵政事業だけ特別に有利な状況にならないように幾重にも歯どめをかけておりますので、そういうことを考えて、御心配に及びませんということをブレナード財務次官に直接、私からもきちっと法律の内容を御説明申し上げたところでございます。

 そういった意味で、WTOだとか国際公約には違反することは全くないというふうに私は確信をいたしております。

赤松委員長 川端総務大臣から発言を求められておりますので、認めます。

川端国務大臣 済みません。先ほど認可制から許可制へと申し上げましたが、認可制から届け出制への法案です。申しわけございませんでした。

高井(崇)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、京野公子君。

京野委員 質問の機会をちょうだいしまして、本当にありがとうございます。

 顧みますれば、郵政民営化をめぐって郵政選挙と言われる選挙が行われたときに、私は無所属の県会議員をしておりました。そして、こういう方向で本当に大丈夫なのかなという強い危惧を持ちまして、突然、八月十三日に県会議員をやめまして、立候補し、あっけなく落選をして、その後四年間浪人生活をしながら、議席をいただいたという経歴でございます。

 昨日、自見大臣がおっしゃった所信的発言に、「厳しい自然に囲まれた我が国において、」という表現をお聞きしました。

 私の、もちろんここにいらっしゃる委員の皆様もほぼ同じような地域からの御選出と思いますが、たくさんの過疎地、中山間地を含みまして、これから二十一世紀の先進国の日本の中で過疎地の問題をどうしていかなければいけないのか、あらゆる局面からさまざまな課題を突きつけられている、そういう地域の出身であります。そしてさらには、一年の四カ月にわたって豪雪、二メートルを超える積雪に閉じ込められる地域でもあります。

 ですから、ユニバーサルサービスの維持ということは、全国津々浦々どこでももちろん必要でありますが、私どもの地域にとっては、まさに人生の、生活の質、あるいは生活の最低のレベルを維持するために、どうしても不可欠なものと考えております。きのうは大臣は、そのような厳しい自然的条件、この日本の国土条件を所与の条件として、だからこそユニバーサルサービスをきちっと維持していくんだという力強い御発言、本当に心強く思いました。

 それでちょっと御質問したいと思いますのは、先ほど来包括的に出ていることではありますが、郵政民営化の経緯です。

 衆議院だけで百十時間もの丁寧な質疑を行って、郵政民営化は実現いたしました。民営化そのものが間違っているとかいないとか、そういう議論ではなく、ただ、民営化のあり方として分社化を選択した結果が、全国津々浦々に至るまで、利用者である国民の苦情、切実な声を生むに至っているのではないか、それから一方では、各会社の業績の低迷を招いているのではなかろうかと思います。

 民営化開始の時点で、もしかしたら、分社化のマイナス面がこれほど出ることは予想されていなかったのではないか。分社化のマイナス面について、総括的で結構ですので、どのような認識をなさっていらっしゃるか、改めてお聞かせ願いたいと思います。

自見国務大臣 京野議員が、秋田県だと思いますけれども御選出ですね、四年間浪人された後、志を曲げず国会に来られたということに、政治家として大変敬意を表する次第でございます。

 私も九州の出身でございまして、ユニバーサルサービスというのは極めて、離島、僻地たくさんございますし、大事だと思っております。

 私、一九九七年から九八年まで、たまたま第二次橋本改造内閣で郵政大臣をさせていただきました。当時、郵政省は、勲七等というのがございまして、北海道の雪原で四十年間郵便配達一筋にした方、郵便局員を夫婦ともに叙勲をさせていただいたことを今でも大変印象深く、また、郵政事業というのはまさに、北海道の雪原で四十年間、雪の中をそりで郵便配達をする人たちの一人一人の努力によって、ユニバーサルサービスが明治四年以来積み上げられてきたんだということを実感したわけでございます。

 今申し上げましたように、今度の改革は、昔は国の直営でございましたし、それから郵政事業庁から郵政公社になったわけでございますけれども、我々の法律、先生読んでおわかりのように、会社形態はそのままでございます。これはぜひ間違わないように。国営というようなことではございません。

 会社形態で、五分社化いたしましたが、今さっきから申しますように、金融サービスは十年たったらひょっとしてなくなるんじゃないかという不安を大変たくさんの過疎地の方が主に持っておられますし、そういうことは制度的に実現しませんと。あるいは、三事業一体で、今、大震災の中で、郵便配達の人が、全然貯金が使えないと被災地のおばあちゃんから大変怒られましたという話も私は直接聞かせていただきまして、そういうことがないような制度に変えるわけでございます。株式会社化の中で公共性と公益性、そして同時に収益性と効率性を追求した、今考えられる中でよりいい制度に、国民の目線に立ってよりいい制度に変えさせていただこうという法律でございます。

京野委員 先ほどは失礼しました。選挙区は秋田第三区でございます。

 さて、大臣、ありがとうございます。それで、先ほど大臣もちょっと触れておられましたが、総合担務という仕事の仕組みのことであります。

 郵便局のネットワークは国民共有の財産ということはどなたも否定するものではないと思いますが、私は、特に、郵便局のネットワークが国民的財産であるという認識に至るその背景には、やはり総合担務という仕事の仕組みが人のネットワークとして非常に大きな役割を果たしてきたのではなかろうかと思います。稼働時間の範囲内で、それぞれの職員が時間配分をしながら、配達業務もし、集金あるいは時にはセールスもする、そのような顔の見える関係というものが、特に過疎地や地方の方では信頼関係の醸成につながって業績を伸ばしてきたという側面もあろうかと存じます。

 大臣にお聞きしたいのは、例えば今回の郵政改革法案の成立というふうなことになった場合、この総合担務のような働き方、仕事の仕方、そういう柔軟性、そういう余地が復活といいますか、工夫できるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

自見国務大臣 京野議員にお答えをさせていただきます。

 三事業一体ということで、共同担務をきちっと復活して、国民の目線に、あるいは特に過疎地においてもきちっと住民のサービスにこたえられるような形に株式会社のまま変えさせていただきたいというふうに思っております。

京野委員 さらにもうちょっとまた細かいことを、恐縮ですが。

 郵便事業株式会社と郵便局株式会社が現在は分かれているということで、約千百の支店、そこには管理者が、もちろん支店長、あるいは規模によっては副支店長がいらっしゃる。しかし、二千五百六十カ所でしょうか、現在の大体の概数ですけれども、その集配センターには管理者が配置されていないところが多々ある。そうしますと、その千百の支店の管理者が二千五百六十の拠点を管理のために回って歩く。コンプライアンス遵守とか、やはりこれは管理業務があるわけですから、回って歩く。その目に見えない管理ロスといいますか、こういうものが非常に数多く発生している。

 それは、先ほどの、被災地に新たに郵便局をつくっていく場合に、現行のままだと、郵便事業の支店長室、それから郵便局会社の郵便局長室、そういう二重の部屋を用意しなければならない。そういうふうなロスとちょうどリンクする問題かと思いますが、このようなタイムロスといいますか管理上のロスも、当然ながら郵政改革によって改善されるというふうに考えてよろしいでしょうか。

自見国務大臣 もう先生御存じのように、アメリカでも郵便事業は憲法上の権利でございまして、しかしながら、今さっき質問者の話にもございました、非常に赤字を出しまして、デフォルトになるんじゃないかというふうになっておりますし、またイギリスでもロイヤルメール、郵便がございますが、五千億円を国の税金から投入して、ロイヤルメールのユニバーサルサービスを維持しているという状況になっているわけでございます。

 そういった意味から、できるだけ郵便事業というのは合理化をする必要はあると思いますけれども、今先生が言われました共同担務によりまして、人工的に五つに分けられたので非常に不便になったところがございます。

 例えば、鳥取県に御存じのように米子と鳥取がございますが、伯耆大山のところに、あの辺は過疎地でございますから集配特定局が多いのでございますけれども、ところが、言ったように、郵便局長さんと郵便事業会社の人が分けられまして、まさに管理する人は米子から一時間かけて雪の中を来るというんですよ。今までは同じ集配特定局で郵便局長さんが全部ああだこうだと言ったのに、もう一週間に一遍しか管理者が来ない、自見さん、こんなことで大丈夫かというようなことを言われました。

 まさにそういった分割のロスを、できるだけ郵便の効率性も追求しながら、私は、きちっと三事業一体、共同担務、まさに営業努力でもございますが、解決していただきたいというふうに思っております。

京野委員 先ほど来、郵便物の取扱件数が激減しているというお話がありました。現在、郵政の五分社化の中で、郵便局会社にとって、ゆうちょとかんぽの手数料の占める割合が収益の中で約八割に及ぶ。今後も、やはり郵便物というのはなかなか増加するというものではないと思うんです。通信手段が多様化しているということで、これは先進諸国も同じように長期低落傾向にあると思います。それで、郵便事業自体としてもやはり構造改革をしていく、郵便事業自体もある程度収益の上がるようなバランスのとれた事業形態にしていく必要があると思います。

 それで、大臣におかれましては、昨年の夏、先進諸国の郵便会社等と意見交換をなさった。その会社の中には、郵便事業、郵便物の取り扱いとエクスプレスサービス、それからロジスティックス分野と呼ばれる新規事業の参入で成功しておられるというか安定した財政基盤をつくっておられる企業も、企業といいますか郵政公社、さまざまな形態があるかと思いますが、あったかと思います。

 それで、今、現状のままでありますと、そうした新規分野に参入していく経営の判断といいますか自主的な判断が制限されているのかどうか、それから、郵政改革法案が成立していくならば、そうした面に関しても経営の自由度というものが大きく拡大するという見込みがあるのかどうか、御答弁願いたいと思います。

自見国務大臣 先生の御質問でございますが、一例を挙げれば、今さっき言いましたように、実はドイツ・ポストがDHLという会社をMアンドAで買収いたしまして、これは今、世界の三大ロジスティックといいますか、大きな荷物を運ぶ会社の一つでございまして、この前、ドイツ・ポストに行ってきまして、ドイツのポスト、郵便と大体同じぐらいの利益を実はDHLが上げているという話を聞かせていただきました。

 そういった意味で、今の日本の法律だと、今の状態であれば非常に経営の自由度がございませんで、経営者の方が民間でいろいろな工夫、まさに経営者としての努力で、営業努力を上げようと思っても、今先生御指摘のように、新規事業にはなかなか参入しにくいというふうになっております。

 そこのところを、法律が通れば経営の自由度が与えられるわけでございますから、いろいろな知恵あるいはやり方があるのではないか、こういうふうに思っておりまして、今回の法律で変えさせていただければ経営の自由度が上がるということをぜひ御理解いただきたいというふうに思っております。

京野委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、田中康夫君。

田中(康)委員 与党統一会派、国民新党・新党日本の田中康夫です。

 まず、本日は財務副大臣の五十嵐文彦さんにもお越しいただいていますので、まず最初にお尋ね申し上げたいと思います。

 今回の一連の郵政改革法案というものを財務省としてはどのようにとらえていらっしゃるのか、また、そのメリットというものに関してお話しいただければと思います。

五十嵐副大臣 御質問ありがとうございます。

 御存じのとおりでございますが、今回の郵政改革法案が成立をし、その他、郵政株式会社の経営状況を勘案いたしますけれども、この条件が整えばできるだけ速やかに株式を売却するということで、これはトータルとして震災対策、復興債の償還に充てて、そして、その分余裕があれば償還に充てる税制措置を短縮、縮減できるということでございます。

田中(康)委員 ありがとうございます。

 先般、私どもの亀井静香と財務省の勝栄二郎事務次官とお話をしたときにも、やはり日本の国益のため、あるいは国民益のために一連の改革法案というものを早期に成立させたいという大変心強い御意見をいただきました。

 十月の二十一日に全議員に財務省から配付された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法案(仮称)について」というのがございます。この中に、(4)といたしまして「検討条項(「政府・与党合意」の条文化)」というのがございまして、その中の3として「日本郵政株式会社の株式について、経営状況等を勘案しつつ、できる限り早期に処分する。」また、4として「2、3による財源確保が見込まれる場合、1の見直しに基づく復興費用の見込額を勘案しつつ、復興特別税に係る税負担の軽減のための措置を講ずる。」というふうにお書きでいらっしゃいます。

 これは、この前日に、私ども国民新党・新党日本の会合のときに財務省の方からいただいたペーパーの「復興財源確保法案(仮称)の骨子(イメージ)」とございまして、その中の7として「更なる税外収入の確保 日本郵政株式の売却をはじめとする税外収入等による財源確保に努めることなど平成二十三年九月二十八日政府・与党合意(1、2、4及び5)の条文化」ということがございますが、この書面の御認識でよろしゅうございますね。

五十嵐副大臣 そのとおりでございます。

田中(康)委員 ありがとうございます。

 また、ただいま御紹介申し上げました九月二十八日の政府・与党合意では、各論として、「5 また、(1)日本郵政株式について、郵政改革関連法案の早期成立を図り、成立後の日本郵政株式会社の経営状況等を勘案しつつ、できる限り速やかに売却する」、(2)として「上記の結果得られる日本郵政株式の売却収入金については、今後十年間を基本として、復興債の償還財源に充てることにより、さらに時限的な税制措置の減額に努めることとする。」というふうに記されてございます。

 これに先立っての概論的なところでは、1として「政府は、日本郵政株式の売却をはじめとする税外収入等による財源確保に努め、財源確保額が確定した場合には、それ以降の時点における復興の財源フレームの見直しの際に、その財源確保額を織り込むこととする。 仮に、財源確保額が、復興の財源フレームに見直しによる事業規模の増加額よりも多い場合には、時限的な税制措置を減額する。」また、2として「集中復興期間中の復旧・復興対策の事業規模とその財源(復興の財源フレーム)については、「復興の基本方針」に沿って、一定期間経過後、事業の」「時限的な税制措置を講じる。」加えて、4として「なお、十年間トータルの税外収入等は段階を経て七兆円になり、結果として、増税額は九・二兆円になる。そのため、」中略でございますが、「売却可能となった政府保有株式をできる限り速やかに売却することとする。」というのが政府・与党の合意書でございます。

 先ほど来申し上げました各論、概論、またこのスキームというものもよろしゅうございましょうか。御確認くださいませ。

五十嵐副大臣 先生御指摘のとおりでございます。

田中(康)委員 ありがとうございます。

 昨日の財務大臣の御発言でも、「郵政改革関連法案は、利用者の視点に立って、郵政事業のサービスが全国あまねく郵便局で一体となって提供されることを確保するものであり、早期の成立を図ることが重要と考えております。 その上で、先般閣議決定した平成二十三年度第三次補正予算及び復興財源の基本的方針等を踏まえ、郵政改革関連法案の成立後の日本郵政株式会社の経営状況等を勘案しつつ、日本郵政株式をできる限り速やかに売却するよう努めてまいる所存です。」というふうに言明されていますので、財務省も法案成立に向け全面協力するということだと思います。

 昨日は、財務大臣以外はそれぞれこのような表紙がついておりましたが、きょうも私は先ほど財金委員会に出ましたが、財務省はもとより、このような一枚の紙を無駄にすることなく本文から始まっているという、財政規律をおもんぱかっている省庁でございます。自見大臣も、きのうは表紙がございましたが、財金委員会では表紙なく所信を述べられております。

 まさに私どもは、大増税というものやTPPというようなものには、それは日本の国益を損ねるという観点でございますが、逆に言えば、そうした中でも財政規律を健全化させていく、増税なき復興再建、そして増税なき財政再建という中においても、この郵政の関連法案が早期に成立をするということが国民益であろうかと思います。

 五十嵐さん、どうもありがとうございます。

 ところで、私の選挙区は兵庫八区というところなのでございますが、その兵庫県をフランチャイズとする神戸新聞は、昨年の十一月八日の社説で、「たなざらしは国益損なう」と題して、郵政改革法案に関する社説を掲載いたしました。私が知る限り、いわゆる新聞で最初に社説としてこのことを掲げたのは神戸新聞でございます。

 この中から、「民営化から三年あまり、」現在四年でございますが、「郵政改革は完全に足踏みしているように見える。加えて、肝心の経営がじり貧になりつつあることも不安を増幅させる。」「このまま「改革」が不透明な状態で続くと、郵政の経営基盤が取り返しのつかないほど弱体化しかねない。現場で働く社員の士気低下も懸念されるところだ。」「公共性を守りつつ、非効率な官業体質は刷新する。収益性を高められる部分は大胆に高める。採算を度外視してでも守るべきサービスは、きちんと守る。筋の通ったものにしなければならない。」「ねじれ国会を理由に、停滞させたまま放置することは国益に反する。」というふうに記しました。

 兵庫県は御存じのように、粛軍演説、反軍演説で知られて、国家総動員法案に関しても、この法案は余りに政党をなめている、私は自由主義最後の防衛のために一戦する覚悟だというふうに述べました斎藤隆夫という者を輩出しておりますが、まさにその斎藤隆夫を輩出した郷土の新聞かと思います。

 その直後に、十二月一日にも、日本最大の発行部数を誇る読売新聞が「棚ざらしは国民利益に反する」と題する社説を掲げております。いずれも一年前のお話でございます。また、日本経済新聞も、昨年の十一月三十日の夕刊で「郵政改革論議に道筋を」という見出しのもと、「与野党で法案の修正協議を早急に始めるべきだ。放りっぱなしを続けるなら国民の資産である郵政事業の劣化だけが進む。」というふうに記しております。

 言論の場で一年前から言われてきたことが、このように委員会が開かれ、そして今後法案の審議という形につながっていくのであろうと思いますが、その中で、自見さんとまた川端さんに、端的に改めての御覚悟をお聞かせいただければと思います。

自見国務大臣 田中康夫議員から、今同じ会派を組ませていただいているということもございますが、長野県は大変過疎の県でもございますが、県知事さんをされて、大変、今は兵庫県の出身の国会議員でございますが、今先生が言われた、たなざらしは国益に反するということを神戸新聞が一番最初に書いていただいて、全国大手の論説もそういうふうに書いていただいたわけでございます。

 私の立場としてはありがたいことで、そういったことがまさにこの国会を、国権の最高機関を動かしていただいて、きょうのこういった審議がある、こう思うわけでございますから、しっかり今後とも御指導いただきながら頑張らせていただきたいというふうに思っております。

川端国務大臣 先ほど来御議論ありましたように、郵政の関連企業がこれからの経営形態がはっきりしないということに置かれていることは、国民的にも大変不幸なことであるというふうに基本的に思っております。

 そういう中でどういうことが起こっているかということはもう先生御案内のとおりでありまして、過度の分社化で業務の縦割りが行き過ぎて、非常に硬直化している、利便が低下していることや、あるいは、十年後に完全に民営化されたら、金融、貯金と保険業務がなくなったら、ユニバーサルサービスが担保できなくなる、そして小規模郵便局は経営ができなくなるということで、郵便局の長年のネットワークが崩壊するという危機を何としても脱しなければいけないと思って、この法案の成立に全力を挙げてまいりたいと思っております。

田中(康)委員 三権分立といいますか、マスメディアというか報道機関というものが四権であるとするならば、そこが一年前から述べてきたことをやはり国権の最高機関においてもきちんと議論して、そして答えを出せるということを願っております。

 こちらに承詔必謹というパネルを用意いたしました。どういう意味だろうというふうにおっしゃる方もいるかもしれませんので、日本の戦後の時代の推移というものを感じますが、これは御存じのように、天皇の言葉、命令をいただく際には常に例外なくかしこまった態度をとりなさいという四文字でございます。これがいつの間にか、天皇の命を受けたら必ずそれに従いなさいといういわば拡大解釈的になってきてしまったということが、日本の歴史を振り返る際で大事な点かと思います。

 これはもともと、大日本帝国憲法の第三条に「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」と、天皇は神聖であって、侵してはならないというところから始まっております。これが、いわゆる赤紙というような悲劇にもなってまいりました。

 恐らく、天皇の詔勅が最後に出たのは終戦の詔勅ではなかろうかと思います。私、今、日本が戦後数十年を経まして思いますに、この承詔必謹が、天皇陛下ではなくて、なぜか、マッカーサーさんという方と背丈の違う写真が写って、それ以降詔勅がない。

 天皇制の議論を私は今しているのではございません。今言いましたように、必ず従いなさいではなく、常にきちんと話を受け取るということでございます。

 今、承詔必謹が、私は実は、アメリカ合衆国というところが発するものが、郵政の問題も、TPPの問題も、そのほかの問題も。私たちは、アメリカとはパートナーでございます。夫婦でございます。向こうは子供と思っているかもしれません。しかし、子供であっても夫婦であっても、相手が歩むべき道を見失っているときには、物申すのではなくて、一緒にきちんと議論をして助言をするというのがパートナーでございまして、唯々諾々と従っていくのでは、承詔必謹という言葉の本来持っていた言葉とは違う悲劇になるのではないかと思っております。私は、この郵政改革法案をめぐる議論というものは、日本が戦後の承詔必謹をどのようにアウフヘーベンできるかということではなかろうかと思います。

 保守というものは無謬性なわけではなく、無謬性はむしろ逆に机上の空論の社会主義的になってしまいます。人間というものは至らぬ点がございます。ですから、私どもは可謬性でなくてはなりません。可謬性の上に立って、家族や集落や地域やそして国家というものの悲しみや憂いを幸せや喜びや希望に変えていく。私は、今回の議論を通じて、ぜひともこの法案に関しても、至らなさを改むるにしくはなしという点で、与野党を問わず皆さんが真摯に御議論いただき、早期に結論が出せることを国民新党・新党日本の一員として心から願っております。そのことを申し上げて、本日の質疑といたします。

 ありがとうございました。

赤松委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中谷元君。

中谷委員 昨日の各大臣の所信に対する質疑を行いたいと思います。

 まず、平成十七年十月十四日、郵政民営化六法案が成立しましたが、六年たちました。この法律には三年ごとの見直し規定がありまして、お手元に資料を配付しておりますが、我が党は、平成二十一年三月十日に郵政民営化推進に関する検証・検討PTを設けまして、見直し作業を行っております。

 このまとめにつきましては、日本郵政、郵便局会社、事業会社、ゆうちょ、かんぽ、そして郵便局長会、銀行協会、生保協会、金融庁、財務省、郵政民営化推進室の代表者からも意見聴取をしまして、その結果をまとめまして、論点整理をいたしました。

 まず第一に、運用上できる問題として、日本郵政グループとして対応、検討が可能なものと、そして政府によって検討が可能なものに区分をしまして、その検討内容を具体的に明記しております。それから第二に、法律改正の検討が必要なものとして、四分社化を踏まえた三事業一体的なサービスを確保するための施策や実施形態について検討をすべき四項目を挙げております。

 そこで伺いますが、まず、運用上対応できるものというところで、我々は、法律の趣旨にのっとって郵政民営化を推進する方針で、抜本的な見直しを行わなくても業務運営の見直しで十分改善が可能なものを列挙しておりますが、例えばその1、郵便外務員、これは郵便事業会社ですが、による配達中における貯金の預かり等の制限については、郵便事業会社から郵便局会社に集配事務の一部を委託するか、郵便局会社から郵便事業会社に貯金の預かり等の事務を委託するかの手段が考えられますが、このことについて、運用でこれらが改善できるという検討を政府でされたかどうか、この点についてお伺いをいたします。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 政府の方におきましても、先生御提出の資料と全く同じような問題意識を持ちながら検討させていただいてきているところは確かでございます。

 その中で、改善できるものは日本郵政側にも改善を図るように指示といいますか要請をしたり、あるいはその中でさまざまな意見を提案させていただいたりしているところでございます。

中谷委員 これは銀行法の兼業承認というのが必要なんですね。また、郵便事業会社は銀行法に基づく銀行代理業の許可が必要ということで、これは監督庁が許可、承認さえすればできることでありますので、わざわざ法律改正をしなくてもこういった問題は解決できるんじゃないかと思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 次に2、郵便局長さんが小包の集荷ができなくなったという指摘を受けておりますが、郵便事業会社から委託をされた、例えば軽四輪での集荷の実施などは多くの郵便局長が対応できると思いますが、この点については、その後検討して実施できるようになったんでしょうか。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 郵便局長等の軽自動車を利用したゆうパック等の集荷の制限ということに関しましては、郵便局会社が郵便事業会社から集荷を受託するとともに、貨物自動車運送事業法上の届け出を行うことが必要でございます。この点は委員も御存じと思います。

 そこで、しかし、今まで、郵便事業会社の倉庫が隣にありましても、郵便局会社は、貨物自動車運送事業法に従い、郵便事業会社のものとは別に車庫を整備しなければならない等の負担がありまして、実際のところ、今までに十七局しかその整備ができておりません。

 ただし、利用者の方々、とりわけ生鮮食品等を取り扱われる方々のニーズというものにこたえねばならないという問題意識を自分たちは大変持っておりまして、その中で、臨時運用としまして、郵便局長さん等の自動車による有償運送許可、これは特例許可でございますが、道路運送法に基づき取得しまして、本年十月一日から、まずは新潟県の三十二局で特産品、米などの集荷を実施させていただいております。そして、十一月から、長野県内二十二局で、特産品、リンゴなどの果実というふうに聞いておりますが、その集荷を実施予定でございます。

 以後、順次全国展開できればしていきたいと思っておりますが、ただ、これはあくまで特例認可でございますから、これを固定化して全国展開するにはさまざまな障壁もあるという認識も持っておるところでございます。

中谷委員 これは一部の地域で実施できるということで、届け出をすればできることでありますので、実際こういう話をよく聞きますが、ぜひこのような形でクリアしていただきたいと思います。

 その他、10まで運用の対応ということで列挙しましたが、ほとんどこれは改善をされまして、特にこの運用等についてはそれ以上の障害がないというふうに思います。

 次に、政府によって検討が必要なものといたしまして、限度額の撤廃。これは、郵貯について、通常貯金の限度額管理の撤廃。実は、平成二十二年の三月二十四日に、当時の亀井郵政改革担当大臣と原口総務大臣が、限度額と出資比率案を、談話として、郵便貯金の限度額を現行の一千万から二千万にする、簡易生命保険の加入限度額を一千三百万から二千五百万にそれぞれ引き上げる、そして法案成立に合わせて新しい限度額に移行し、その後の動向を見きわめつつ、所要の見直しを行うとなっていますが、その後、鳩山総理がその線に沿って話し合ってくれというようなことを言って、その後、両人はそのまま辞任をしまして、現在に至っております。

 両大臣に、この亀井、原口大臣の発言がその後継承されて、現在の政府見解として受け取っていいかどうか、この点について伺います。

川端国務大臣 貯金、保険の限度額は政令事項でございます。そういう中で、今先生が御指摘のような両大臣間の合意があったことは事実でございます。それを踏まえながら、限度額のあり方については、政令で決めるというときに、最近のそれぞれの経営状態が非常に厳しい推移をたどっている中で、こういうものが及ぼす効果、影響、それから実際の国民の貯金、保険に関する最近の国民ニーズの変化、それから民間のその他の事業者に対する影響を総合的に判断すべきものと思っておりますので、過去の経過を踏まえながら、限度額については引き続き検討してまいりたいと思っております。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 今先生御指摘のとおり、平成二十二年三月に発表された限度額に関する方針について、亀井前大臣と原口前総務大臣が関係方面の意見を幅広く伺った上で、まず国民の貯蓄動向、それから国民の利便性、それから郵政事業の経営状況等を勘案しつつ、信金、信組等の中小地域金融機関や中小生損保への影響等を考慮し、バランスのとれたものになるように総合的に判断したというふうに仄聞をいたしております。

 しかしながら、引き続き当該方針を踏まえつつでありますが、まさに法案審議の中でさまざま御意見を伺った上で、適時適切に対処してまいりたいと思っております。

 先生も言われましたように、この限度額については、法律ではございませんで、政令でございますので、この郵政改革関連法案の内容と直接は関係ないというふうに認識をさせていただいております。

中谷委員 私が伺ったのはこの発言が生きているかということですが、大半の人は、もうこれで決まったんじゃないかと受け取っている人が多いわけでありますが、今の答弁は、この金額で決めていないという認識でよろしいでしょうか。

自見国務大臣 法案審議の中でさまざまな御意見を伺った上で、適時適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

中谷委員 では、今の発言は、全く現時点ではこれを決めたことがないということで理解させていただきます。

 続きまして、ゆうちょ、かんぽの届け出制についてですが、今回出そうとされております法案の中に、ゆうちょ、かんぽは金融機関として届け出さえすれば自由に新規商品で営業ができるとか、そのような趣旨を経営陣が述べていますが、本当に届け出だけで新規事業や企業向けの融資などを自由に許可させるつもりなのか。例えば、郵政改革法案の十二条に、同種の業務を行う事業者に与える影響を踏まえ、競争の条件の公平性に配慮することとして、限度額は政令で定めるとなっておりますが、この新規業務とか企業向け融資について、何を基準にどう認めるつもりなのか、これも郵政担当大臣と総務大臣に伺います。

自見国務大臣 関連銀行、関連保険会社は、一般の銀行及び生命保険会社と同じ規制の枠内で事業を行うわけでございますが、事業範囲等については、業法の規制に加えて上乗せ規制が課されるなど、一般会社としての経営の自主性と、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性のバランスを考慮した制度設計としております。

 そういった意味で、やはり競争条件の公平性、もう先生御存じのように、これはいよいよとなれば内閣総理大臣の勧告が出せるという、きちっとそういった歯どめと申しますか枠組みも法律の中でつくっております。総理大臣あるいは総務大臣がそういうことをする前にきちっと、たしか十人だったと思いますけれども、委員会をつくって、そういった方々の意見をしっかり聞くようにということが法律上も定められている。

 そういったことをきちっと配慮して、何が何でも届け出をすればすぐそれが認められるというものではないというふうに認識をいたしております。

川端国務大臣 今担当大臣がお答えになったとおりですが、一定の条件を決める中で、その部分を満たすものについては届け出にするという趣旨でありますので、先生が御懸念の部分には当たらないような工夫をしているというふうに思っております。

中谷委員 よく意味がわかりませんが、要するに上乗せ規制を設けるわけですよね。では、その基準は、何を基準にどうすれば認められるのか、これについてどのように考えておられるんでしょうか。

川端国務大臣 繰り返しになりますけれども、金融二社に対しては業法、いわゆる銀行法、保険業法の規制に上乗せして、郵政改革法案でも規制を課しております。それは、金融ユニバーサルサービスの安定供給に必要な収益力を確保するため届け出制に緩和するが、現行認可制と同様に競争条件の公平性を阻害するおそれがないことというのが条件でありまして、その部分の勧告の要否、内容に関する判断に必要な基準は郵政改革委員会で事前に調査審議する、その際は競争事業者を含め関係者の意見を聞く等、透明性を確保するよう委員会に配慮を求めていくということで、勧告は当該新規業務開始前に可能とするということで、ここでしっかりと基準は、上乗せ規制は透明化を図り、関係者にも聞いた中で決めていきたいというふうに思っております。

中谷委員 この辺が、現在の民営化法と今度出す法案の一番違うところであります。

 現在の法律は、できるだけ民営化をして、ゆうちょ、かんぽが民間の中で競争しながら収益を上げて、それで三事業を支えていこうというのが趣旨でありますが、ここに上乗せ規制を設けるという理由はどうしてなんですか。また政府系の金融機関に戻す、そういう意味で上乗せ規制を設けるわけですか。

自見国務大臣 先生御存じのように、限度額は政令で定めるとか、そういったこと。それから、ユニバーサルサービスの義務化というのは、非常に不採算部門で、ユニバーサルサービスの原則に基づいて郵便事業、郵政事業を維持するには当然お金が要るわけでございますから、ただ単に利益が上がるか上がらないかという観点でなくて、やはり郵政事業が明治以来持っている公共性、公益性をきちっと重んじて、いろいろなそういった規制があるわけでございます。

 さっき私が申し上げましたように、さらに届け出制にするということは、これは日本郵政の経営の自由度をある程度高める必要がある。同時に、公共性、公益性もありますけれども、やはり会社形態が持っている効率性あるいは収益性を高める必要もある。

 しかし同時に、今申し上げましたように、郵政改革推進委員会、多分十人だったと思いますけれども、有識者から成るこれを通して、同種の業務を行う事業者との競争条件に公平性がないというふうに判断した場合は、当然ですが、総理大臣あるいは総務大臣が是正勧告を行うようにしてあるわけでございまして、こういった仕組みにより、同種の事業者との競争条件の公平性等を阻害するような無制限な業務拡大は十分防ぐことができるというふうに思っております。

中谷委員 今の説明によりますと、収益性と公益性という点でありますが、非常に論理が一貫しなくなって、かえって混乱するんじゃないかと思います。

 というのは、ゆうちょというのは全国で二万四千の局を抱えていますので、この局がフル活動すれば、地方にある地方銀行とか信組とか農協とかはひとたまりもなく、太刀打ちできない。巨大な政府系金融機関ができてしまうことによって、中小の各金融業者にとってまさに死活問題となってしまう。

 もう一点は、今議論されているTPP。そうなりますと、これも恐らく米国から非関税障壁と指定されて、参加の前提としていろいろな注文がつけられることが予想されますし、先ほどの十二条との関係でありますが、論理的に、これは株をやはり売却しないと、金融機関の自由度というものが生まれずに、本当にゆうちょ、かんぽを支えていくだけの収益をとることができるのかなという点を私は一番心配いたしております。

 もう一点の懸念は、暗黙の政府保証ということで、株を保有してゆうちょ銀行が政府の関与が残ってしまうと、暗黙の政府保証になって、せっかく民間に流れていた金がゆうちょに滞ってしまうということで経済に悪影響が出る、そもそもの郵政民営化の趣旨に全く逆行するような現象になってしまいます。また、民間会社とのイコールフッティングというのも説明ができない中で、恐らく経営の自由度というのはなかなか認められないような状況になってしまいます。

 これを解消するには、株の売却を通じてより自由度を上げるしかないと思っております。つまり、郵政民営化のねらいというのは、サービスの向上と経営の自由度を増す、そのためには少しでも株式を売却して新規事業を認可させる、こうしないと、経営ができなくて、本当に郵便を支えていけるかどうか。一体不可分だと思います。

 そこで伺いますが、政府は、平成二十一年、政権をとるや否や、株式の売却を凍結しました。郵政大臣が所信で、郵貯の残高が八十六兆減少して百七十五兆円、簡保も十四年で四千三百万件減少して四千二百万件となったというんですが、これは明らかに、株式を凍結してゆうちょ、かんぽの新規業務の開始をおくらせたというのが原因でありまして、いまだに一株も売っておりません。これでは、ゆうちょ、かんぽの収益は伸びるはずがありません。

 こういった現状を受けて、まず、株式の売却を可能にするためにこの凍結解除を行うべきだと思いますが、この点、いかがお考えでしょうか。

自見国務大臣 先生よくおわかりのことだと思いますけれども、この郵政改革法案が通れば即株式売却凍結化法は廃止されるわけでございますから、そういった意味で、やはり五分社化の弊害と申しますか、金融二つのユニバーサルサービスが全国的に義務づけられていない、それを実現する法律的な担保がない、あるいは三事業一体にやはり戻すべきだということは、この前、被災地の中において三事業一体というのが国民の皆さんにとって必要だ、そういったことをきちっと確保すれば、株式売却凍結化法はすぐ解除されるわけでございます。

 先生が言われたように、東日本大震災の被災に遭われました、償還財源にも充てるということでございますので、できるだけ早く株式は売りたいと思っておりますが、先生御存じのように、すぐ株式というのはそう簡単に上場できるものでもございませんし、やはりそれぞれが努力をして、当然いろいろ株式上場のクライテリアがございますから、経営者初め一体となって一生懸命努力いただいて株式を上場して、国民の財産でございますから、できるだけ高く売っていただければありがたいなというふうに私としては思っているわけでございます。

中谷委員 まず、お出しになられる法案でいきますと、先ほど前段でお話ししたように、民間との兼ね合いでさまざまなトラブルが発生して、要は、なかなかゆうちょ、かんぽも自由度が増さないという指摘をいたしました。事実、この二年間、株を凍結したおかげで郵政会社の経営そのものが大打撃を受けておりますが、新商品の開発にしても民間の融資にしても、株を売れば民営化委員会が認めるわけでありますので、まさに株を売らないと何も新しい事業ができないわけです。したがって、民主党、今の与党が下した判断というのは間違っていたと私は思います。

 あのとき株を売ったら今ごろは収益の高いような金融会社に育っていたかもしれませんが、もう一度、政府のお考え、今度は川端大臣、お考えがありましたら伺いたいと思います。

川端国務大臣 郵政民営化以降の状況で、株を売っておいたらというのは仮定の話ですので、どういうことになったかはわかりませんが、実際に、現状、株の売買で、必ずしもいろいろな新規事業が、売っていたらできて、売っていなくてもできたかというのは、いろいろな議論があるところだというふうに私は思います。

 それ以外に今問題になっているのは、いわゆる五社化による縦割り組織の弊害が間違いなく地域のサービスの低下をもたらしていることは事実でございますし、そういう中も含めてトータルで、金融市場、保険市場を含めて郵政を取り巻く事業の経営はどんどん悪化をしてきている。と同時に、これはかねがねの議論でありますけれども、将来的に地域のユニバーサルサービスの確保というのはやはり国民的使命ではないのかという観点から見れば、この組織を我々が提案した法律でやるということが今の状況を前に展開していく大きなステータスになるというふうに思いますし、株式を売却したからかどうかということに関しては、仮定の話でありますけれども、私は必ずしもそうではないのではないか、これは個人的な感想でありますが、ということでございます。

中谷委員 社長を更迭し、プログラムを狂わせてしまったということは言えるわけでありまして、この点についてはやはり現実的な対応をとっていただきたい。

 そこで、見直しの検討でもう一つ、法改正の検討が必要なものといたしまして、三事業を一体的にするためにはということで、四つの検討を行いました。このたび政府の方で今の五社体制から三社体制にするという案が出ておりますが、現行の五社体制でどこに問題があって、三社体制にすればどうしてその問題が解決されるのか。

 具体的に伺いたいのは、今の郵政会社におきましては、六十億通郵便物が減少した。やはりメールとか携帯の時代にどんどん文書が減る、また小包も、ヤマトなどの超効率化された組織に対抗しなければならないので、より効率的に図っていかなければならないのに、郵便局、事業をホールディングとくっつけて親会社にすると本当に事業が好転するのかどうか。私は理解できませんが、三社体制にすると事業が好転するという根拠と理由を明らかにしていただきたいと思います。

自見国務大臣 中谷先生が委員長でまとめられました「郵政民営化三年ごとの見直しにあたっての検討事項」というのも私もきのうの夜初めて読ませていただきましたが、全体的な問題意識としては、郵便局会社と郵便事業会社の連携、それから金融二社への金融ユニバーサルサービスの義務づけなど、共有できるところは多々あるというふうに私は認識をさせていただいております。

中谷委員 ですから、ホールディングで局と事業を上にすると、本当に郵便事業が努力するのかなという疑問であります。

 私は、三社を併合せずに、金融二社について、日本郵政に三分の一以上の保有の義務を課すという選択肢もとり得るのではないか。つまり、今でも郵便局と郵便事業会社の全株式は日本郵政が保有し続けることになっているので、あえて三社にしなくても、このような形でホールディングにぶら下げる方がより事業としては一生懸命働くようになるのではないかなと思います。現行でも、相当郵便事業会社は改善されています。職員の意識もサービスもよくなってきておりますが、本当に、三社体制に戻せば、よくならないのではないかと思います。

 それでは、最後にもう一点伺いますが、この法案に株式売却の時期というものが明記されておりません。保有株の処分は、我々は平成二十九年九月三十日までに完全処分するという時期や期限を明記しておりますが、お出しになられる法案においてはこの株式売却時期を明記しておりません。そうなりますと、非常に、目標もなく、効率化や透明性が保たれなく進んでしまう危惧がありますが、こういった時期を明示しなかった理由をお聞かせいただきたいと思います。

自見国務大臣 中谷先生にお答えをいたします。

 株式の処分については、当然、規模の大きさ、それから主として株式市場への上場によることが想定されますけれども、場合によっては、これはもう先生御存じのように、相対で売ることも、実は上場しなくてもその可能性というのは民営化すればあるわけでございます。しかし、基本的には上場するのがごく一般的でございますが、その実現までには一定の時間がかかりますし、また株式の価格は、新会社に関する価値のみならず、その時点での株式市場の情勢に大きく影響されるものであり、株式が適切な価格で処分されるためには、IPO、新規株式上場を含め、株式処分の時期やその時期の判断に関する柔軟性を確保することが必要でございまして、その他の特殊会社、例えばNTTとかJT等についても同様に株式処分の義務や処分期間を法定しないということもございまして、株式上場等により株式の処分を行っているNTT、JTの例もございますので、そういったことが必ずしも非常に特別な例ではないというふうに私は認識をさせていただいております。

中谷委員 きょう質問をさせていただきましたが、全く、よく検討、研究して論理的にまとめられた法案とはほど遠い内容で、本当にこのまま実施したら将来大混乱になってしまうような気がするわけでございます。我々は、ずっと党内で議論をしまして、こういった見直しの検討をまとめました。やはり運用でできるところは運用で行い、どうしてもだめな場合は法改正が必要でありますが、しっかりと、せっかく進んでいる民営化が後退しないようにくれぐれも政府にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤松委員長 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 きょうは、質問の機会を賜りまして、まことにありがとうございます。

 せっかく安住財務大臣にも御出席いただいて、先ほどから、呼んだのに何も聞かないとただじゃおかぬぞという顔をされて、そんなことないですか、ちょっと私の誤解だったかもしれませんが。通告した質問の順番を変えて、安住大臣からまずお話を伺おうかと思います。

 日本郵政の株式の売却による財源捻出で復興財源を賄おうという話が現に出ているわけでありますし、例の二兆円の税外収入の上乗せのかなり有望なものとして扱われておりますけれども、率直に言って、安住財務大臣はこれにどれぐらいの期待をされて、いつごろ、どれぐらいの価格で売れるというふうにお考えかをまず冒頭伺いたいと思います。

安住国務大臣 いつ売れるかは、この法案が通って、本当に体質改善ができて、その上で国民の評価がどれぐらいかということによりますから、私の方から、今の時点で、先生御存じのように、なかなかいつの時期に幾らぐらいでと言うことはできないわけですが、法律上は、三分の二の売却によって、政府のしっかりとしたグリップもききますし、なおかつ、NTTと同じように、民営化に向けて力強い歩みもできるのではないか。

 さらに申し上げれば、この問題というのは実は私も縁がありまして、郵政公社化法のときの野党の筆頭理事、それから民営化法のときの野党の筆頭理事と、この法案に私はつきまとっているわけではないんですけれども、何か縁がありまして、今回も幸か不幸か呼ばれてしまいました。

 私としては、しかし、健全な会社として、全国ユニバーサルサービスをして、あれだけの金融資産も持っている会社ですから、十分国民の期待にこたえられるだけの株価にはなるんじゃないかなというふうに思っておりますので、それを有効にぜひ活用させていただければと思っております。

赤澤委員 せっかくお呼びして一問だけでは申しわけないので、もう一つ続けてまいります。

 そういったことで、非常に縁も感じるし期待もしている、こういうお話でありました。だからこの法案を急いでくれという意味も込められていたんだと思いますが、率直に言って、今の郵便事業の経営状況、あるいはゆうちょ銀行の残高、かんぽ生命の契約高の長期的な減少傾向、こういったものを踏まえると、郵政改革法案が成立したとしても、そう簡単にこれは売れないんじゃないか。議論としては、やはりふわふわしたものを税外収入として見込んでしまって、増税を圧縮してしまうことには財政の観点からも非常に懸念があるということが御党の中でも相当議論があったというふうに報道などで承知をしております。

 端的に言って、売却の展望もないのにとらぬタヌキの皮算用の議論を行っている感じがちょっとするけれども、その点についてどう思われますか。

安住国務大臣 先生、私はNTTが非常にいい参考になるのではないかなと思っているんです。やはり電電公社から変わるときには同じような議論もありました。しかしあのときはバブルだったと言われますけれども、やはり政府がしっかりとした制度設計をして民間会社としてスタートする。今回の郵政の場合は、ある意味、今、中谷先生もおっしゃいましたように、郵便そのものが、明治の時代から始め、新しい時代の中で扱いは非常に激減をしておりますから、どこがやったって大変なところで、しかし頑張って、黒字化するために一生懸命やってきたことは事実なんですね。

 そういう中で、これから金融の取り扱い、そして簡保を含めて健全な運用、そういうことをちゃんとやっていけば、これだけの財力と組織力がありますから、私は、十分魅力ある商品といいますか株式というものを保有できるだけの会社になれるというふうに確信をしております。

赤澤委員 私も、かつて一年間郵政公社のかまの飯を食ったことのある人間として全く同感で、ぜひそうあってほしいと思うんです。ただ、そうあってほしいということと現実というのは往々にして違うということがあるので、関係者は本当に努力をしていかなきゃいけないというふうに感じます。

 そこで、これはイエス・ノー・クエスチョンなんで簡単に答えてほしいんですが、自見大臣、今、郵政株式が売却できない、だから復興財源ができないんだということをおっしゃっていますけれども、郵政株式売却凍結法案を提出したのはどなたですか。

自見国務大臣 先生御存じのように、凍結法は閣法でございます。

赤澤委員 なので、これをリアルタイムでインターネットなどで見ておられる国民の方にぜひ理解していただきたいのは、株が売れないで困る、復興財源ができない、早く売れるようにしてくれというような声が政府・与党から出たときに、売れないようにした法案を出したのは政府・与党なんですよね。

 だからこそ、先ほどから中谷先生がおっしゃっているように、自分たちが出された法案、廃止法案を出されて撤回されれば即売れるようになりますよ。我々の気持ちなんです。しかも、改革法案が成立することが株売却の前提だというような誤った報道。報道もよく政府・与党から聞いたことをそのまま書くものだと思いますけれども、別法なんですよね。株式売却凍結法案は一昨年にもう成立しているんです。このときも強行採決でした。我々はお願いもしていないのに法案が政府・与党から出てきて、株式売却は凍結すると、強行採決をされました。我々が株を売らないでくれと言った覚えはさっぱりありません。

 加えて、この改革法案は、別法として昨年この委員会に出てきた。そのときは、本当に憲政史上初だと私は思いますけれども、理事会で採決の予告もなく強行採決が行われた。これは本当に、過去何十年間全然なかったことだと思います。そういう経緯なのであります。

 一つ確認をさせていただきたいのは、改革法案と廃止法案は別法案ですから、改革法案の検討は、それは大事な問題ですからしっかりとやるとして、株式売却凍結法を直ちに廃止すれば即株が売れるようになるのではありませんか。その辺の事実関係について自見大臣にお伺いします。

自見国務大臣 郵政の株式売却凍結化法案を出したとき、私は閣内におりませんでしたけれども、与党の一員として眺めていた場合は、御存じのように、これは政権交代の前から実は国民の方に、当時、民主党、社民党、国民新党で公約を六つさせていただきました。その中にきちっと、郵政改革法案、見直しということが六つの中の一つにございまして、これは今さっき言いましたように、金融のユニバーサルサービスがきちっと、当然過疎地等々に行きますと、郵便局はそのうち、十年たったらなくなるんじゃないかということを市町村長からも非常によく聞くわけでございまして、そういったことを防止する。

 それからもう一つは、今さっき言いましたように、被災地の中で、郵便配達が行きましても、被災地のおじいさん、おばあさん、昔は共同担務といいまして、郵便の配達員が預金を扱うことができる、あるいは公的年金をおろしてきていただく、この辺のサービスはできたわけでございます。今は郵便配達の方は基本的にはお金、郵便貯金を全く扱えないわけでございますから、そういった中で、まさに共同担務ということが、行き過ぎた郵政五分社化の中でできない。

 そういった短所のところをきちっと改革させていただいて、国民にあまねく広く金融サービスを、どんな地域においても国民として最低限受けることができる、そしてまたより便利な昔の共同担務をできるように、そういった法律を即変えていただければ、御理解をいただければこの株式が売れるわけでございますから、そのことをぜひ御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。

赤澤委員 いつもながら少々関係のないことも非常に丁寧に御説明をいただくわけでありますけれども、一言で言って、改革案が通らなくても、株を売れるかどうかには何の関係もない。

 もう一度確認をしておきたいのは、株式売却凍結法案を出して株を売れなくしたのは政府・与党であるということです。今、それで株が売れないから復興財源が捻出できないと議論されているけれども、責任者はだれなんですか。これは政府・与党が出した法案なんです。撤回されればいつでも株は売れます。改革法案が通らなければ株式売却凍結法は廃止できないなんということも、全く因果関係はありません。自見大臣が今一生懸命説明されたけれども、それは改革法案の方の議論で、きちっと分けてやればいい話であって、その辺のことをきちっと理解された上で合理的な議論をしていただきたいというふうに思います。

 加えて、株式売却のために、この法案だけが問題なわけじゃなくて、それ以外にもきちっとやるべき企業価値を高める努力というのをすべきなんだと思うんですよ。

 私が大変不本意なのは、所信を聞きました、後で詳しく紹介してもいいけれども、書いてあるのは、要は法案を通してくれないからうまくいきませんと書いてあるように読めるんです。そうじゃないでしょう。法案が通らなくたって、先ほど中谷委員からも指摘があったように、経営で改善すべきところはいっぱいありますよ。

 例えば、非常勤の職員を全部正規職員にしてみて、全部といっても一部だというのが事実ですけれども、だけれども、非常勤の職員を突然すごい数、正職員にしてみました、コストがふえます、それって経営判断としておかしくないか。そういうたぐいのおかしなことを多々しておいて、その辺を直さないで、法案が通らないからだめなんですと言われても、どうも説得力に欠ける。

 なので、ここは事務方にもちょっと参加してもらおうと思うんですが、日本郵政の高橋専務が来られているのかな、株式売却のために、法案が通らなくてもできる努力というのはあるでしょう。やれることは当然やるべきだと思うんですが、どんなことを考えておられますか。

高橋参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、会社として企業価値を高めるための努力、これは大変重要なことでございます。民営化されて既に株式会社として発足しておりますので、当グループとしましても、民営化後にさまざまな努力をしてきております。

 まず、既存のサービスをどうやって改善していくかということで、例えばゆうちょ銀行をとりますと、全銀システムと接続いたしまして、お客様の送金決済が、ゆうちょ銀行の範囲だけでなく、それ以外の銀行に口座をお持ちの方とも柔軟にできるようにというようなことも努力しました。

 それ以外にも、民営化後の新規業務といたしまして、郵便事業会社は、先生御案内のとおりでありますけれども、公社時代からの努力の積み重ねとして、国際物流事業へ進出させていただきましたし、あと郵貯資金、簡保資金の運用範囲の拡大も行ってきております。

 さらには、郵貯事業では、クレジットカード業務という従来公社では行えておらなかった業務も開始させていただいております。

 さらには、郵便局会社等におきましては、保有する不動産を活用する事業など、新たな収益源の確保に向けて取り組んできておるところでございます。

 さらに、現在、新しいタイプの住宅ローンでありますとかがん保険といったものの取り扱いについても、システム的な準備が整っておりますので、早く実現できるように要望いたしているところでございます。

 もとより、先生御指摘のとおり、既存の事業の方の改善を大いに図りつつ、新たな取り組みをして、安定的に収益を拡大できるように努力してまいりたいと思います。

赤澤委員 今言ったような話は非常に大事な話で、私は、その点について政務三役はきちっと認識しているのかということを問いたいんですよ。

 所信を見てもらうとわかるとおり、書いてあることは、郵便は大事です、法案を通してください、基本的にその二つですよ。せっかくこの郵政委員会、法案の審議だけでなくて、それ以外の一般的な郵政の問題もできるように目的も変えて、きょうわざわざ一般質疑をやっているんです。今専務がおっしゃったようなこういうたぐいのことを大臣としてどうやって応援していくんだとか、そのたぐいのことが全く意識からすぽっと抜けて、この所信を見る限り、法案を通してくれないからだめなんですよという感じに見えるのは、私は本当に問題だと思っています。

 その辺はぜひ意識を改めていただいて、法案が通るまでであっても、やるべきことをきちっとやっていく。企業価値を高める努力は当然できる。

 さらに申し上げれば、その努力の邪魔をしたんですよ、あの株式売却凍結法案が。あれは、凍結法案を出したので……(発言する者あり)いや、それは全然違うという全く理解できていないやじが飛んでいますけれども、田中委員長が郵政民営化委員会で、株式売却が凍結されたら新規業務なんか始めさせられませんなという趣旨のことを言っておられますよ。凍結して売らないから、いつまでたっても国営だから新しい業務を始められる体制になっていないというのが、郵政民営化委員会の委員長の発言なんですよ。委員長におかしいと言ったってしようがないでしょう。ちゃんと制度を理解した上で動かさないと、国のかじ取りができないということですよ。

 だから、その辺も含めてきちっとやって、ベストな判断をしてもらわなきゃいけない。我々は、株式売却凍結法を廃止するというやり方も十分あると思いますし、そのもとで、廃止された後で新規業務を考えてもらう。今よりもはるかに企業価値を高めやすいと思いますよ。その辺をぜひ考えてみていただきたいと思います。

 次に、一般質疑ですから、地震の話をちょっと聞きたいと思うんです。

 佐々木専務は来られていますね、私の昔の上司だったような方なんですけれども。地震で郵政事業も大きな被害を受けたと思いますけれども、復旧復興は着実に進んでいますか。その辺について簡潔に、時間がないので、よろしくお願いします。

佐々木参考人 東日本大震災に際しまして、日本郵政グループは非常に大きな被害を受けました。御案内かと思いますが、人的被害では、死亡・行方不明者は六十一名、それから物的被害につきましても、郵便事業会社で六支店、二十一集配センター、郵便局会社で郵便局百六局、簡易局三十二局が被害を受けまして、私ども日本郵政グループは、今回の大震災では最も被害が大きかった企業グループの一つだと考えております。それに対して、私どもも今、復旧復興の取り組みを最大限やっているというところでございます。

赤澤委員 それで、ここも私が先ほどから指摘しているとおり、法案が通らないのだけが悪いんだ、あとはおれたちはうまくやっているみたいな感覚を自見大臣がお持ちじゃないかと思って不安になるのは、地震の対応は、所信を見ると、やはり自画自賛のコメントなんですよ。郵便局の被害も著しい、被害の大きさに加え、分社化による不都合も伺いましたと。あるいは、今回の東日本大震災においては、郵便サービスはいち早く復旧し、被災者の生活維持に大きく貢献したと。そして、安住大臣のコメントもたしか、今般の東日本大震災においては、郵政グループ各社が提供するサービスは国民生活に大きな役割を果たしたと。

 それを私は否定しませんけれども、やはりそれとあわせて、これだけの大きな被害を出した、次に同じような被害が、例えば首都直下、東海・東南海・南海が起きたときに、郵便局の被害を少しでも減らすための何か教訓はなかったか、そういうたぐいの観点からきちっとやるべき検討をすべきじゃないですか。

 たまたま手元に最近ヒアリングしたものがあったのでお話しをすると、例えば高速道路のあり方検討有識者委員会というのは、七月十四日に東日本大震災を踏まえた緊急提言なんというのを出しているわけですよ。盛り土の高速が基準が緩かったので地震でかなり崩れたとか、いろいろなことを含めて反省点を出して、被害が次に少なくなるように取りまとめているんです。

 川端大臣にお伺いをします。

 今回の郵政の被害が大きかったこと、さらには避難所におられる方にきちっと郵便を届ける、そういったことも含めて、次の首都直下、東海・東南海・南海三連動なんということが起きたときの備えとして、教訓を取りまとめて、きちっと総務省と郵政グループで共有する、そういうようなことはもうされていますか。

川端国務大臣 今回、御質問いただく部分を含めて、私も、総務大臣としては消防関係のまとめということで、全国の部分の防災関係はいろいろな指示を出しているところであります。郵政に関して、個々の事例を含めての報告はいっぱいいただいて、今、よかった点もありますし、混乱した部分あるいは損害が出た部分ということは個々にそれぞれ分析をしているのでありますが、先生御指摘のように、きっちりとまとめて、この震災に際して起こったこと、それから課題となったこと、これから改めて防ぐことに対しての対処を含めて、系統的に、体系的にしっかりした取りまとめがされておりません。

 そういう意味で、先般急遽、そのことを早急にやるように、それから会社に対してもそういうことの取りまとめを報告するようにということを指示したところでございます。

赤澤委員 だれの指摘で始めようとそれは構いません。きちっとやっていただきたい。

 御案内のとおり、首都直下型地震、三十年以内にマグニチュード七クラス、七割の確率、東海・東南海・南海連動は、それぞれの確率が五〇%から八〇%です。あす来てもおかしくない。

 震災が起きたのは三月十一日ですから、私は、これは本当に大事な話なので当委員会でぜひ議論をしたいし、委員長にちょっとお願いは、総務大臣が、日本郵政グループからこの東日本大震災の教訓をきちっと取りまとめたものを聴取の上、本委員会に提出してもらいたいと思うんですよ。その辺、ぜひ御協議をいただきたいと思います。

赤松委員長 理事会で協議をいたします。

赤澤委員 それでは、質問を続けさせていただきます。

 最後に、法案以外の話でちょっとやっておかなきゃいけないのがTPPです。前に予算委員会で自見大臣にもお伺いをして、なかなか危機意識を十分共有していただけなかった感じがしますが、もう一回繰り返しておきます。

 昨年、二〇一〇年の五月二十一日、米国の通商代表部、USTRのプレス発表資料です。USTRが公表した資料において、アメリカの世界貿易機関大使、WTO大使と欧州連合の臨時代理大使、EUの臨時代理大使が日本大使と協議をし、郵政改革法案は内外企業の平等な取り扱いなどを規定するWTOのサービス協定に触れる可能性があるとの立場を表明したということが報道にもなっています。そのプレス発表自体を私も入手しています。ということで、当時の日本の新聞各紙は、米欧側はWTO本部のあるジュネーブで日本側と協議することで、将来、WTOに提訴する構えを見せたなどと報じました。

 つまり、USTRがプレス発表しているということは、ここに問題があることは我々は気づいていますよと米国議会にアピールしているんですよ。はっきりしたアピールですよ。

 そして、自見大臣も御案内のとおり、TPPに加入するときには九十日ルールがある。アメリカ政府が外国と交渉を始めるには、その九十日前に議会に通告の上、議会の承認を得ないと権限がない、こういうことです。そうすると、これからTPP参加を我々が検討するときに、どこかの時点でアメリカ政府は、九十日前ということで、通告するんです。九十日間審査されます。その中で、USTRのこういう問題認識、プレス発表もありながら、米国議会が郵政のこの法案について何も言ってこないなんということは私は想像できないんですよ。

 備えはできていますか。私が昨年二月の予算委員会でもう指摘しています。自見大臣の対応状況といいますか、問題の認識と、一体どうやって対応するつもりなのか、その辺についてお考えを伺いたいと思います。

自見国務大臣 赤澤議員が、昨年でございましたか、ことしの二月でございましたか、御質問いただいたことを……(赤澤委員「ことしでした、済みません」と呼ぶ)ことしでしたか。よく覚えております。

 我が国の郵政改革に関して米国が関心を有していることは承知しておりますし、午前中も私は答弁させていただきましたけれども、私自身、ワシントンに行きまして、アメリカ財務省のブレナード次官からこの懸念を表明されたわけでございます。

 しかしながら、私も、郵政改革法案において、第十二条で、郵政事業は同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものとすることを基本方針としております。この基本方針のもとで、経営の自主性と競争条件の公平性のバランスのとれた設計としているところでございまして、郵政改革法案は、WTOを初めとする国際的約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えております。その上で、この国際的約束との整合性を確保していく考えでございます。

 また、先日、アメリカの駐日大使が来られまして、どういうふうに郵政を改革するのか、それはお互い主権国家であるから自由でございますと。しかし、結果として、競争条件の公平性をきちっと確保していただきたいということが大使の主な趣旨でございました。

 そういったいろいろな話がございますけれども、これまでも、環太平洋パートナーシップ、TPPでございますが、協定交渉への我が国の参加条件として、米国等の関係国から郵政改革に関する言及はないものだというふうに承知をいたしております。

赤澤委員 一言で言って、甘いと思います。

 もう一回USTRのプレス発表自体の仮訳を読ませてもらうと、先ほど申し上げた大使二人、米国大使それからEUの大使が、国会に提出された郵政改革法案は、日本郵政が現在、民間企業に比して優遇措置を享受するという米国及びEUの懸念に対処するものでないことに対し、失意を表明したということです。その発表内容を議会が受けとめて、何を求めてくるかということにきちっと備えてほしい。私は警告を何度も発していますから、これを申し上げておきます。

 もう一つ、予算委員会でも言わなかったことを言いますが、なぜそれで安心できるのかわからないんですよ。というのは、ブレナードさんというのは次官でしょう。ある役所の次官が自見大臣の説明に納得したって、米国議会が納得するんですか。私はそれは本当に甘いと思いますね。我々国会議員が、どこぞの役所の次官が納得したから、国益に大いにかかわる問題について、それでいいですという話になりますか。私は到底ならないと思います。

 その辺も含めて、もう一回きちっとお話をしていただけませんか。どのように認識していますか。次官や大使が納得しても、議会は黙りませんよ。

自見国務大臣 私も、一九九七年から九八年まで郵政大臣でございまして、当時日本の貿易黒字ということが大変大きな問題でございまして、USTRのバシェフスキー代表と四十五分の日米交渉を、私はワシントンに行きまして、二時間四十五分ほど延長させていただいて、その後きちっとサミットで決着したわけでございます。

 先生よく御存じでございますけれども、アメリカは、行政府と議会と、言う人に言わせれば双頭の鷲、双頭の権力があるということは私も、少しこういうことをさせていただいておりますので、理解をいたしております。そういったことをきちっと視野に入れながら、今さっき言った、原則は原則としてきちっと日本国は貫くべきだ、私はそういうふうに認識をいたしております。

赤澤委員 では、一つ具体的に伺います。

 かんぽ生命について、これまでアメリカからどのような要求があって、政府としてどのように対応しようとされているんですか。少し具体的なことをやりましょうか。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 一言で言えば、内国民待遇ということに尽きるのであろうというふうに思っております。かんぽ生命の商品を拡大する一方、外国の保険会社の販売する商品を日本の二万四千の郵便局で販売することに不利益がないように取り計らわれたいということだろうと思います。

 その上で申し上げますが、現状においても、例えば郵便局においては、一千局を超える郵便局でアメリカの生命保険会社の発売するがん保険を既に販売しております。かんぽ生命のがん保険はありません。

 そういうこと一つ見ても、これは言葉は過ぎるかもしれませんが、いかに日本国がそういったアメリカあるいは外国の要求に対して一定の譲歩を示しているかということのあらわれであろう、そのように思っております。

赤澤委員 もう時間が来ちゃったので、この点はまた別途予算委員会とかでやらせていただきたいと思いますけれども、もう一つ最後に、自見大臣はTPPに賛成ですか。

自見国務大臣 私は野田内閣の閣僚の一員でございます。しかし、私は国民新党の副代表でもございまして、亀井静香代表は大変TPPに反対の強い意見を申し上げております。

 私は、今の立場で、こういった公の席で、TPPに対して、郵政改革あるいは金融を預かる人間としても、今ここでどうだこうだと言うのは、政党人として適当でないというふうに思っております。

赤澤委員 事実上反対だとおっしゃっているわけでありますけれども。

 最後、これで終わりにいたしますが、やはり国民新党は大変つらい立場で、この郵政法案を何とか成立させたい、その思いは私は理解をいたします。しかしながら、実際には、TPP反対、復興増税反対、普天間の辺野古沖移設反対。とにかく、なぜ政権の中にとどまっているのだかわからないぐらいつらい状況だろうと思います。したがって、修正協議、リーズナブルな我々の提案にしっかり応じていただいて、この法案がいい形で成立するように、そこは常識的な行動をぜひお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、坂本哲志君。

坂本委員 自民党の坂本哲志でございます。

 一般質疑ができるようになりました郵政特委員会でありますので、基礎的な、基本的な質問から入らせていただきたいと思います。

 郵政民営化のねらいそのものは何であったのか。幾つかあると思いますけれども、一つは、三十万人と言われる郵政公務員、これを民間人にするということ。そして二つ目は、郵便貯金から無秩序に財政投融資の方に流れておりました資金を出口の方で遮断し、そして特殊法人改革と財政改革を一体的に実行するという、いわゆる行財政改革と言われるものであります。もう一つは、やはり特定郵便局などの既得権益、明治より続いた制度の改革、さらには郵政ファミリーと言われる郵政関連の方々の意識改革。この三つは非常に大きなねらいであったというふうに思います。そのほか、物流に関するイコールフッティング、そういったものもあったのかもしれません。

 そして、平成十七年の選挙ということになりました。やはり、当時国民の皆さんたちは、行政に対して、政治に対して非常に閉塞感を持っていたのだと思います。非効率やあるいは特殊法人の改革、そして既得権益の打破、そういったところに郵政民営化という問題が出てきた。国民の閉塞的な意識と相まって、平成十七年は自民党が大勝したというふうに私は思います。

 そして、その四年後の平成二十一年、これは政権交代の民主党大勝でありますけれども、やはり国民の底流に流れていたのは、官から民へ、あるいは閉塞状態の打破、あるいは天下り、そしてもっと効率的な行政を、こういったものの中で自民党が敗北していったというふうに思います。

 ですから、十七年の総選挙と二十一年の総選挙、勝った政党はそれぞれ自民党と民主党と違いますけれども、国民の底流に流れていた意識は同じものがあった。それを郵政民営化という形でつまんだのか、あるいは政権交代という形で訴えたのか、その手法の違いはあるにしても、問題意識としては一緒であったというふうに思いますが、このことについては、自見大臣そして川端大臣、どのように思われますか。

自見国務大臣 坂本議員の大変大所高所に立った政治家らしい御質問だ、私はこう思っておりますが、私も当時、自由民主党におりまして、郵政論議の渦中におらせていただきました。

 私は、今から考えてみますと、郵政民営化の法律の中では、たまたま一九九七年から九八年まで郵政大臣をさせていただきまして、中谷元議員が郵政政務次官でございましたが、そういった中で、郵便貯金、保険といった郵政事業の基本的サービスが郵便局において一体的に、また、あまねく全国において公平に利用できなくなる可能性があり、国民の利益を失うおそれがあるというふうに感じまして、大変強い抵抗がたくさんございましたけれども、私自身、実は反対票を投じさせていただいたわけでございます。

 それから、先生も御存じのように、今回の改革法案でございますが、今さっきも申し上げましたように、国の直営事業に戻すわけでも、また公社に戻すわけでもなく、この法律、株式会社化のもと、五分社化の中で、今さっき言いましたように、金融サービスのユニバーサルサービスがきちっと保障できるかどうかということを特に過疎地の住民の方が心配をしておられます。

 もう一つは、やはり三事業一体の方が、共同担務でやった方が、国民の視点、目線に立って、今さっき震災の避難先でのお年寄りの話をさせていただきましたけれども、やはり共同担務ということがより国民の視点に合ったものだろうと思いまして、そういった点をきちっと保障できるような改革をやらせていただくわけでございまして、その点はよく十分に御理解をいただきたい。

 しかし同時に、これは閣議決定をさせていただきましたけれども、民主党の野田代表と国民新党亀井代表と、「各党修正協議での合意を図り、」という言葉が入っておりまして、私は担当大臣としてこの郵政改革法案がベストなものだというふうに思っておりますけれども、最終的に決定されるのは、当然でございますが、国の最高の機関であり、唯一の立法機関である国会でございます。国会でいろいろな論議を重ねていただいて、国会が御判断されることだというふうに、当然でございますけれども、憲法上そういう仕組みでございますから、国務大臣として憲法に従うというのは当然のことでございますから、両党首も署名をしたわけでございますから、しっかりその辺はテークノートさせていただいております。

川端国務大臣 前々回の衆議院選挙では、郵政改革という大変大きな流れが自民党を含めた国民の世論でありました。前回は、政権交代という大きな世論でありました。

 先生御指摘のように、この背景は、やはり国民は非常に閉塞感がある、そして、先行きに自信が持てないどころか不安がいっぱい、それだけではなくて、足元がぐらついてきた、何か大胆な転換を政治によってしてほしいという思いという意味で先生御指摘だと思います。私は、その部分の認識はほとんど共有するものでございます。

坂本委員 自見大臣の答弁は私の質問に的確に答えられたものでないんですけれども、川端大臣の方は、やはりそうだと思います。国民の閉塞感、そして行財政の効率化、既得権益の打破、こういったものをやはり国民が望んでいる、それがこの二回の選挙の中で、形は変わってもあらわれてきたんだというふうに思います。

 その中で、本来ならば、では、行財政改革をどう進めるのか、効率化をどう進めるのか、既得権益の打破をどうしていくのかということでこの郵政民営化というのは論議されなければならない、これが入り口であるというふうに私は思いますけれども、しかし、それを避けて、本質を避けて、ユニバーサルサービスとか三事業一体とか、こういったところに反論の焦点を当ててきた民主党、ここに私は論議としての誤りがあるというふうに思っております。

 全国あまねくサービスをするユニバーサルサービス、それはもっともな論理であります。格差を広げないための一つの仕組みでもあります。しかし、本来は、やはり財投改革やあるいは財政改革や、こういったものがあってこそ、改めて、あまねく住民サービスもできるわけであります。それをないがしろにした形で、まずユニバーサルサービスが先に来る、あるいは三事業一体が先に来るということは、これはゆがんだ論理であり、ゆがんだユニバーサルサービスであるというふうに私は思います。

 住民に対してユニバーサルサービスというのは、郵政だけではありません。やはりいろいろなサービスがそこに伴うわけです。ですから、これはこれとして、また郵政とは違った視点でも考えていかなければならない問題であると私は思っております。

 実際に、民間金融機関は、全国千七百七十八の自治体があるわけですけれども、この中で千七百六十二自治体に何らかの金融機関がございます、民間も郵便局も含めて。午前中の質問の中で、徐々に民間金融機関がない自治体がふえている、十六が二十になり、二十一になりというようなお話がありました。これは、郵政の問題とはまた別の問題であるというふうに私は思います。民間の金融機関が消滅していく、同時に、介護や医療や福祉、こういったものも伴っての住民に対するサービスというのをいかにしていくかということが最も大切なところであるというふうに思っております。

 ですから、もっとユニバーサルサービスということを郵政に照らしていうならば、どういう地域のだれたちが本当に困っているのか、その人たちに対して、郵政に関する、郵便に対する、あるいは貯金に対する、保険に対するどういうサービスを与えなければいけないか、そういった細かな分析が必要であると私は思います。ただ耳当たりのいいような、ユニバーサルサービス、あるいは全国あまねくサービスをしていく、こういうかけ声をかけていただけでは何ら問題の本質の解決にはならないというふうに思っております。

 ですから、この郵政を、郵便問題、貯金問題、そして簡保問題をどうするかという問題と、過疎地を救え、過疎も含めて郵便局を残す、あるいはユニバーサルサービスをするというのは、本質的には別の問題である。そしてその中で、郵便は技術的に、あるいは貯金は技術的にどうすればいいかということを考えていかなければいけない。過疎化が進む地域については、郵便も含めて、ほかの、医療も福祉も含めて、それはどうしていくかということをやはりもう一つの視点で考えなければいけない。そこをごっちゃにしているのが今の郵政論議の非常にあいまいなところであるというふうに思いますが、これはまず川端大臣の方からお願いいたします。

川端国務大臣 私もずっと、この一連の郵政改革の議論から、今先生御指摘の部分で思い起こしも含めながら考えておりました。

 郵政民営化の議論のときは、逆に、郵政民営化は、私は、先生言われるように、これからの日本の社会をどうしていくか、過疎地だけではなくて、金融、財政、無駄、行政の機構を含めてというのが日本で問われている一番大きな命題であり、同時に、そのことに対する国民の要望と不満が選挙であらわれたというふうに、認識は共有していると申し上げたのはそういうことであります。

 そういうことを打破するときの一つの手段としての切り口に郵政民営化があったことは間違いないと思うんですが、途中から、いろいろな議論でいうと、感想でありますが、郵政が民営化すれば何かすべてがよくなるような雰囲気もありました。手段と目的が、いつの間にか手段が目的化するような状況であったような印象が、記憶をたどればあります。

 一方で、今、そういうときの状況で、やはりユニバーサルサービスが今の民営化体制の中でいろいろ不安があり、不都合がたくさん出てきているということに関して、ユニバーサルサービスを守らなければいけないということに特化したような郵政の見直しというのがいいのかという御指摘は、見方としては、一つの論としてはあり得るというふうに思います。

 ただ、現実に、今までの、明治以来の長いインフラというか国民の財産として持ってきたネットワークは、郵便、金融、保険という事業だけではなくて、地域社会という意味での、まさに先生言われたような、福祉やそういうものを含めたときの、これからの地域をどうしていくかというときの有力なインフラであることは間違いないと私は思っています。それが、このまま放置していけば壊滅的になっていくことだけはどうしても避けなければいけない。

 そういう意味では、ユニバーサルサービスを改めて強調しながら郵政事業の体制をしっかり再構築したいというのがこの法案、これから御審議いただきたいと思っている法案の背景にあるんだと私は認識しております。

自見国務大臣 坂本議員の話を聞きながら、私は、やはり温故知新ということが大事だと思っております。変えてはならない日本の社会のいいものはきちっと続けていく、しかし、変える必要のあるところは積極的に変えていく必要があるというふうに思っております。

 私は、十三年前、沖縄県の竹富島というところに行かせていただきました。ここは、石垣市だったと思いますけれども、三百人ぐらいおりまして、郵便局は一軒だけございまして、地方公務員も警察官も、それから役所もだれもいない。そこはワンストップ行政サービスをしておりまして、台風があの辺はよく来ますから、来たら、大体一週間から二週間、竹富島から石垣島本島に渡れない。そのとき、まさにワンストップ行政サービスがあって、出生や、あるいは亡くなられた場合の死亡届等々を当時郵便局からできていましたので、今でもよく覚えておりますけれども、三百人の方々が、自見さん、本当に助かっています、我々は今まで台風が来たら本当に石垣島まで渡れなくて、陸の孤島でしたけれども、こんなにうれしいことはありませんと。

 政治家として、その三百人の声を、経費がかかるから、あるいはお金がかかるからそれは無視するという考えなのか、あるいは、三百人といえども貴重な日本人がいるから、やはりその辺の声はきちっと大事にしていくか。それぞれの政治家の世界観、国家観、価値観の違いだと思いますが、少なくとも私は、国民に選んでいただいた国会議員として、また今は閣僚の端くれとして、やはりしっかり残すべき日本のいい価値はしっかり残していく、変えていくべきはしっかり変えていく。

 そういう意味で、明治四年以来、特定郵便局制度というのは世界で初めて、日本だけにつくった制度でございまして、本当に貧しい、貧乏な国の中でも、明治最初の民活でございますから、そういったことをきちっと、いいところは残していくということが政治家として大事だろう、私自身はそういうふうに認識をいたしております。

坂本委員 郵便局の仕組み、これはやはり日本の財産であります。竹富島の話も、これは大事なことであります。しかし一方で、行財政の効率化、そして郵貯をいかに経済活性化のために使うか、これはもっと大きな課題であります。そういうのがごっちゃになって論議されて、どれが最優先として今国家のために、これからの日本の経済のために論議をされるべきことなのか、そしてどういう仕組みをつくり上げていかなければいけないのか、この辺があいまいになっている。この辺の優先順位がそれぞれ考える人たちによってばらばらになっているということであります。

 そういう意味でいいますと、私は、先ほど赤澤先生が言われましたので、この項目は省きたいと思いますけれども、自見大臣の所信の文言のあいまいさ、あるいは中身のなさといいますか非科学的な言葉といいますか、こういったものに非常に愕然といたしました。ユニバーサルサービスを何とかしましょう、あるいは三事業一体を維持しましょう。そこに、さまざまなノウハウとかあるいは技術論とか、こういったものは全く見られていないというふうに感じました。

 その中で、先ほどから、郵政民営化が進んで以来、郵便物が九年間で六十億通減少した、年間二百億通を下回るまで落ち込んでいると大臣はおっしゃいました。それが、あたかも民営化によるものであると言わんばかりでございます。さらに、郵貯の残高も十一年間で八十六兆円減少し、現在百七十五兆円、簡易保険、簡保の契約数も十四年間で四千三百万件減少しているというふうに言われました。

 それは、郵政を民営化し、三事業が一体的でなくなった、そして社員の方々の士気の低下が見られる、いかにもそういったことがすべての原因のように言われているように私には受けとめられます。そうではない。今のこの景気の状態の中で、やはり預貯金が減少するのは当然です。資金の運用がこうやって多様化しています。当然、減少してまいります。そして、先ほどから言われておりますように、この情報通信の時代です。郵便物の取り扱いが減少する、これは仕方がないことであるというふうに私は思います。

 しかし、それでも百七十五兆円という郵貯残高は、あのメガバンクの三菱東京UFJが百五兆円なわけでありますので、やはり大変な数字であります。かんぽにいたしましても、総資産が九十六・七兆円。第二位の日本生命が四十九・八兆円でありますので、これも大変な数字であります。減少したといっても、国民の皆さんの資産をお預かりしている、その重要性は本当に変わらないわけであります。そして、それをどういうふうに運用していくか、どういうふうにして守っていくか、そのことを考えること、これがまず先であります。それを、減ったからといってすべて民営化のせいにしている。それは、そのまま前の体質、郵政ファミリー的な官僚体質が変わっていない証拠であるというふうに私は思います。民営化したけれどもだめだったから、また準国営に返してくださいと言うようなものであるというふうに私は思っております。

 そういう中で、やはり、もっと民営化の現在進行形の中でいかに努力をしていくのか、いかに意識改革をしていくのか、このことが最も今やらなければいけないことである、ただ単に法律を扱うことではないというふうに思いますけれども、いかがですか、自見大臣。

自見国務大臣 今さっきの話に、法律を変えて変わるところと経営努力で変わるところという話がございましたが、私も、法律を変えさせていただく一方、やはりきちっとそれぞれの経営努力、あるいは、まさに郵政人がきちっと本当に、今さっきから申し上げておりますように、公共性と公益性、なおかつ収益性と、効率性がなければなかなか収益性が上がりませんから、そういったことを踏まえて、きちっと一人一人が志を持ってやっていただきたいということを、私は郵政改革の方の担当大臣でございますが、そのことを強くお願いさせていただく次第でございます。

 それからもう一点、財政投融資のことを先生が言われましたけれども、財投改革は、郵政改革、一九九七年以前に、これはもう御存じと思いますが、財投債、財投機関債というのをつくりまして、市場を通すということを、もうその以前に実は、橋本龍太郎内閣だったと思いますが、実行しておられたというふうに私は認識いたしておりまして、昔のように、郵便局に集まったお金が右から左に資金運用部に行って、財政投融資としていろいろな財投機関に持っていったという時代は、既に一九九七年の前に終わっていたというふうに私は記憶をいたしております。

坂本委員 最後の答弁でいいますと、財投機関債というのがそれほど出ていなかったんですよ、発行されていなかったんですよ。やはりそこは財投債であり、国債であったわけです。そこに小泉改革というのはやはりメスを入れたというふうに思います。

 最後に、民業圧迫のことについてお伺いをいたします。

 郵政論争のときに、民主党の代表は岡田代表でございましたけれども、私は、岡田代表は非常にやはりまともなことを言われていたというふうに思います。当時の幹事長は川端大臣でございました。

 岡田代表はこういうことを言っております。郵便事業はユニバーサルサービスが求められるもの、郵貯、簡保は民間でできることであるため民営化するのが筋と考えるというふうに明言されているんです。そして、問題は、三百五十兆円に及ぶ郵貯・簡保マネーが国債引き受けという形で何の歯どめもなく官に流れ込むことが問題であるとも言っておられるんです。特殊法人と郵貯・簡保マネーと国の三者のもたれ合いで、経済が活性化せずに、財政的歯どめもきかないということが一番問題であるということを強調されている。この辺の考え方は、小泉さんあたり、当時の自民党と一緒であるわけです。その考え方は、私もそのとおりであるというふうに思います。

 しかし、民主党は結果的に、組合の身分の保全、あるいは特定郵便局長会の票の欲しさ、こういったことも絡んで、党としての方針をまとめることができませんでした。これからの日本をどうやって運営していくのか、あるいは行財政をどうやっていくのかという大所高所に立って考えなければならないときに、どうしても、持って生まれた民主党のばらばらの体質が出たというふうに私自身は思います。それが結果として、ユニバーサルサービスを必要以上に強調する、あるいは三事業一体を必要以上に強調する、そういう方向になっていったんだというふうに思います。

 そして、さらに恐ろしいことは、岡田代表が当時の小泉さんとの党首討論の中でこういうことを言われているんです。最も危惧されることが一つある、それは、民営化がうまくいかなかったときに、事業規模の拡大だけが残り、結果的に官業肥大化に終わるのではないかということであると。そして、当時の小泉総理に対して、国の出資が三分の一残った企業が、損保、生保の商品を売り、コンビニの経営や住宅のリフォームまで扱うと想定されていることは、準国営会社の肥大化であり民業圧迫であるというふうに指摘をされているわけです。

 今、まさにその危惧が民主党の手で行われようとされているんですよ。三分の一の株を持つ、あるいは事実上の準国営化する。そして、そういう中で郵政民営化委員会という監視機能が廃止される、新規業務が認可制から届け出制になる、新規業務への参入がしやすくなる。そして、ユニバーサルサービスという美名のもとに、またマンモス金融が起き上がるというか動き出すということになるんです。さらに、事業形態、監督官庁が違う三つの事業が一体的に動き出すということになりますと、これは流通部門も含めて、やはり平等なる競争ではなくなる。そこに非常に、以前にやはり指摘されていた物流の非効率、あるいは金融、財政の非効率、こういったものがまた出てくる。銀行関係からも物流関係からも、大いなる不満が出てくると私は思います。

 まさしく民業圧迫以外の何物でもないというふうに思いますが、これは、安住財務大臣そして国土交通大臣、行財政の面から、資金運用の面から、そして物流の面から、御答弁をお願いします。

安住国務大臣 ちょっと私の方から少し反論を。私、このことに関しては武部さんと紙芝居でやり合ったこともあるぐらいなんです。

 それで、先生、一つやはり認識の違いは、実は小泉総理が、当時、自民党の一部の方々も大反発をなさったのは、それは公社化の五年の約束をいきなり二年で、自分の総裁の任期の間に無理やり民営化をしようということで、公社化の制度設計をして順調に二年間進んで、あと三年見た中でどうするかということをやろうとした途中で、ぎりぎりこの法案をつくったんですよ。その経緯をまず認識していただかないと、この話の始まりはどこからなのかという話になるから、私は申し上げているんです。

 そのときは、実は郵便も黒になっているんです。それで、公社化というのは意外といいスタートだったんじゃないかと。その先には、規制緩和をしていた宅急便業者等々との競争や、それからメールが非常に伸びてきて、郵便事業そのものが下がっていきますから。しかし、その中で、金融生態系というのがあるわけですね、地方の。熊本もそうだと思いますよ。農協、漁協、信金、信組、それに地銀、都市銀行、こういう生態系の中でこれをどういうふうに位置づけるかという議論をやりましょうという話だったのにもかかわらず、むしろ無理やり制度設計をして、大変恐縮ですけれども、いわば政局化してしまったことで、巨大な国民のセーフティーネットをつくっていた郵便事業というのが実は非常にゆがんだものになってしまったという私は認識なんです。そういうことを実は当時岡田代表も指摘をなさっておられて、自民党の中にも多くの賛同者がおられたことを私はまずつけ加えたいと思います。先生御自身もそういう考えでなかったかなと私は思います。

 そういう中で、今回、株の三分の一の保有ということと、この五社経営を、やはり合理的でなくて機能的でないと私も尋ねましたけれども、それは、郵便局の中を区切って人的交流もだめだみたいな話をやっていたのでは、これは手かせ足かせが非常にひどくて、むしろ、やはりもう少し経営の幅を持たせて、さまざまな金融商品等を開発しながら、国債を今でも八割近く保有なさっておられるわけですけれども、もちろん国債は十分信用に足る商品ではありますけれども、さまざまな創意工夫の中から利益を出していくような会社に生まれ変わってほしいということですから、我々としては決して、何かコンビニをやれとか薬屋をやれとかという、当時の小泉改革で目指した郵政事業と必ずしも一体的な考え方ではないということを私はつけ加えておきます。

前田国務大臣 国土交通省としての範囲は今御指摘のところには余り直接の関係はないのかな、こう思うんですが、ただ、私個人の思いを申し上げますと、平成十二年、私は衆議院の通常国会における最後の逓信委員長をやりました。その時代に、たしか、財投事業というものをまさしく改革しようということで、財投機関債、財投債ということに変えたわけなんですね。

 その後、私は実はしばらく野に下っておりました。その間の議論がどういうことかわかりませんが、また参議院を通じて復活したときに、本来、財投機関債ということで、市場において、いわゆる公社、公団等がそれを原資にしているわけなんですが、しっかりした経営をやっている機関が発行する財投機関債であれば、市場の評価も受けて、ちゃんとした経営になるだろうと期待していたところ、余りそういうことでもなく、結果としては小泉改革につながったのかな、こんな感じを今持っておりました。

坂本委員 安住大臣が言われましたように、公社になって、五カ年、中期経営計画の途中でありました。それが終わってから民営化を論議するのがいいんじゃないか、これは私たちも一緒だったんです。当初は反対をしておりました。しかし、その後、やはり民営化をした。

 民営化をしたことによって何が変わったか、何がどう不都合になったか、私は、それをもう少しやはり微細に分析すべきだと。その分析がないままに、もう一度昔のような姿に戻ろうとするところがやはり一番危険であり、そういう法改正であれば、これはまた失敗を繰り返すことになるというふうに思います。

 今後、法案についてはまた細かに審議をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 橘でございます。

 どこの委員会へ行っても万葉集を詠んで始めるということに自分としていたしておりますので、万葉集巻十、秋の歌、二千百三番で始めさせていただきます。ハギの花の歌であります。

  秋風は涼しくなりぬ馬並めていざ野に行かな萩の花見に

 ということで、ハギの切手を使わせていただいています。ありがとうございます。(拍手)

 郵政事業の現状、私は、二十三年三月期決算ということを中心に、やはり現状を見据えながら改革法案の審議をやがてしていくということでありましょうから、この決算の概要ということについて順次お伺いをしてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 お手元には、日本郵政グループの二十三年三月期決算、一応一枚紙で全体の資料をお出ししております。この現状につきまして、損益面、サービス提供面、二つの視点から、まず内閣の見解をお伺いして、質問を始めます。お願いします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 平成二十二年度決算、損益面で経営状況を見ますと、現状を見ますと、グループ全体、連結では、最終利益は四千百八十九億円で対前年度比マイナス六・九%と落ち込んでおり、減収減益の厳しい決算と認識しております。

 各社の状況は、郵便事業株式会社は、昨年七月のJPエクスプレス社統合やその後の適正な業務運行確保のため経費が増大し、大幅な赤字決算となっておりまして、営業損失は一千三十四億円の赤字です。郵便局株式会社は、最終利益が三百六億円となっていますが、三事業の縮小傾向を反映し、対前年度でマイナス七%となっております。金融二社は、ともに増益、ゆうちょ銀行三千百六十三億円、かんぽ生命七百七十二億円となったものの、貯金残高や保有契約件数は減少を続け、前年度より減収、ゆうちょ銀行〇・一%、かんぽ生命八%となっております。

 このように、三事業とも、郵便物数、貯金残高、保険契約の減少傾向の継続が経営の大きなおもしとなっている厳しい決算と判断しております。

 一方、サービス提供面については、民営化後においても、部内犯罪あるいは郵便の事故が発生しているものの、サービス窓口である郵便局数は大きな変化はなく、また、郵便送達速度は、民営化前の十八年度九七・三%から二十二年度九八・五%に向上している面もあり、総じて見れば、公社時代とおおむね同水準のサービスが提供されているものと認識しております。

 なお、民営化後に認められた新規業務としては、郵便局スペースを活用したコンビニ、クレジットカード、グループ会社以外の会社が提供する自動車保険、第三分野保険、住宅ローン等の販売がありますが、いまだ広く提供されるには至っておりません。

 以上です。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 いろいろな数字の見方があるんだと思います。例えば、ゆうちょ銀行、かんぽ生命については、確かに減収になっておりますが、ある意味で、当期純利益では増益を果たしながら、来年度も増益の計画を立てて頑張ると。郵便事業会社にしても、あと二年間で当期損益を合わせていく、そういう取り組みを当然会社として一生懸命頑張っておられるということも事実ではないかと思います。

 今、少し損益面の評価としては辛かったかなとも思いましたけれども、個別にお伺いをしてまいりたいと思います。

 郵便事業会社、きょう午前中からもお話があるように、いろいろな社会経済情勢、それからメール、インターネットということもありまして、総取扱物数は二百二十七億八千万通、前年比二・六%減少であります。なかなかこの傾向は変わらないような感じではないかと思いますが、現場で感じておられる肌の感覚を教えていただきたいと思います。

中城参考人 お答え申し上げます。

 郵便事業会社の平成二十二年度における総取扱物数は、前年からマイナス、二・六%減少の二百二十七億八千五十万通というふうになっております。とりわけ、手紙、はがきなどの郵便物は、前年からマイナス、三・七%減少の百九十八億一千二百十万通と、平成十三年度の二百六十三億一千四百三十九万通をピークに、九年連続で減少しております。

 郵便物の取扱物数につきましては、二十三年度においてもマイナス三・二%の減少を見込んでおり、インターネットの普及に加え、企業による通信費や販売促進費の削減等の動きが続いているほか、特に企業差し出しの各種請求書等のウエブ化が進展しつつあるなど、郵便物数の減少傾向が加速していくおそれがあり、今後も厳しい経営状況にあるというふうに認識しております。

橘(慶)委員 郵便事業会社の中では、JPエクスプレスからの事業承継ということで、昨年の七月、その承継時点でいろいろ混乱もあったということもありました。損益がそれで悪化しているということもあるわけですけれども、この承継に伴う一時的な費用の処理というのは全部損益面では終わっているのかどうか。そしてまた、当時起こった問題について、当然その改善、改革に努力されたわけですが、現状すべて解消されているのか、確認させてください。

中城参考人 お答え申し上げます。

 承継に伴う一時的なものとして、平成二十二年度には、研修、引き継ぎ、支店の模様がえ工事など、統合準備に係る一時的費用が百八十億円程度、混乱に伴う収益減や超過勤務対応、お客様への損害賠償など、混乱に伴う一時的損益の悪化が百二十億円程度あったと考えております。

 また、ゆうパックの業務運行につきましては、二十二年度七月にJPエクスプレスから事業を承継した際に送達遅延が発生し、多くのお客様に御迷惑をおかけすることとなりましたが、その後、年末繁忙期を迎えるに当たり、再発を防止するため必要十分な対応策を講じまして、特段の支障なく処理することができ、お客様の信頼を回復することができたというふうに考えているところでございます。さらに、今中元期には安定的に業務運行を確保することができており、七、八月期のゆうパックの取扱物数も対前年比でプラスとなっております。

 引き続き、悪化した損益の改善に努めるとともに、再発防止策及び業務運行管理体制の強化策を着実に実施しまして、安定的な業務運行を確保することによって、お客様の信頼向上に努めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 少し肩を持ちますと、その臨時的に起きた三百億の損失がなければ、多分、連結した数字でほとんどイーブンパーであったんじゃないか。だから、そんなに厳しいということではないということを申し上げたいわけであります。

 さて、続きまして、ゆうパック事業の収支改善ということで、二十三年四月、郵便再生本部を郵便事業会社に立ち上げられました。要員配置の適正化、運送委託費の削減等により、収支改善に取り組むわけであります。そして、二十四年度には単年度営業黒字化ということを決算短信の中で掲げておられるわけであります。

 二十三年四月から、これで半年たちました。この目的に向かって順調に進んでいるのか、二十四年度単年度営業黒字化、郵便事業会社としての単体の営業黒字化の目標は達成できるのか、確認をさせてください。

中城参考人 現在、郵便事業会社においては、業務量に応じた要員の適正配置、臨時便の抑制や運送便の見直し、集配委託契約の見直し等による費用の削減や、お客様との取引条件の見直しや、中小口営業の推進等による収益拡大など、損益改善に向けて取り組みを徹底しているところでございます。

 これらの損益改善の取り組みによる成果につきましては、現在、郵便事業会社において、中間決算の取りまとめ作業を行っているところでございます。現時点では具体的な数字を申し上げることはできませんが、ほぼ計画どおりに進捗しているというふうに考えております。

 しかしながら、下期に向けて損益改善に向けた取り組みを一層確かなものにするためには、引き続き、増収やコスト削減に係る取り組みを着実に実行する必要があると考えているところでございます。

 さらに、先生御指摘のように、平成二十四年度の単年度の営業黒字化につきましては、現在の損益改善の取り組みを着実に実行するとともに、聖域なく改善を図ることにより、黒字化が達成できるよう最大限努力してまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 本当に、会社それぞれにやはり頑張っておられるという気はするわけです。ただ、郵便事業全体としては、取扱物数の減少傾向というのは皆さん御指摘のように否めないわけであります。

 ゆうパック事業について今お話をいただいてきたわけですが、やはり宅配便とて、伸びてきた市場ではあったと思いますが、少子高齢化でもございます、なかなか先行きというのは難しいんじゃないか。ここは、貨物運送事業を所管されている国土交通大臣に、マーケット全体の見通しということでお伺いいたします。

前田国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の点なんですが、宅配便サービスは、これまで個人相互間の輸送から通信販売や企業間取引へと、いわゆるBツーBというんでしょうか、市場を拡大して、取扱個数をふやしてまいりました。近年は、厳しい経済情勢等により、平成十九年度以降は頭打ちの傾向があります。しかしながら、いわゆるBツーCになるんでしょうか、企業、個人間輸送の分野では、宅配便と同様の新サービスとして、平成十二年以降、書籍、カタログ等を郵便箱等に投函する、いわゆるメール便サービスが急速な成長を遂げているほか、インターネットを利用した通信販売など、マーケットのさらなる拡大が見込まれる分野があります。

 国土交通省としては、今後、これらの消費者ニーズに対応した新たなサービス市場の展開を引き続き注視してまいりたいと思います。

橘(慶)委員 今までどおりでは、なかなかこれは難しい、減っていく、しかし、BツーCというような形であれば、またそこには余地があると。そういうことになれば、また今度時間があれば、ヒートテックの話とか、個配送をいろいろお客さんの方にしていくとかいうようなことについては、機会を見て聞かせていただきたいと思います。

 郵便事業会社と郵便局会社の連携ということが、今、改革法案の一つの主眼であろうと思っております。

 郵便局会社におきましては、基本的には黒字ということで推移してきているわけですが、コンプライアンスの問題というのが非常に重視されている決算短信の内容となっております。二十三年度上期も引き続き取り組まれていると思いますが、状況、そしてまた、変な事案は出ていないのかについてお伺いいたします。

斎尾参考人 郵便局株式会社におきましては、平成二十三年度事業計画において、コンプライアンスの徹底を基本方針の一つとしまして、各種施策に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、部内犯罪の根絶のため、平成二十二年一月に総務大臣、関東財務局長に提出をいたしました業務改善計画に掲げております防犯研修、内部監査機能等の充実、局外での営業活動の管理強化等の施策の着実な実施、そして個人情報保護のための基本動作の徹底等について重点的に取り組んでいるところでございます。

 この結果、平成二十三年度上期においては犯罪件数が減少傾向にあり、また、個人情報保護のための基本動作の徹底につきましては、その浸透状況の把握に努めつつ、必要な対応を行っているところでございます。

 私どもとしましては、今後とも、コンプライアンスの確立のために、このような取り組みを確実に実施してまいりたいと思います。

橘(慶)委員 せっかくお答えいただいたんですが、犯罪件数が減少傾向にあるというのは、ゼロではないというふうに理解したんですが、どれくらいあるんでしょうか。

斎尾参考人 どうも失礼しました。

 二十三年度上期の犯罪件数は十三件となっておりますが、前年同期が十七件でございましたので、減少傾向にあるということでございます。

橘(慶)委員 本来的には、みんな職員の方はプロということですから、これはゼロにならなきゃ本当はいけない。これはぜひ取り組んでいただきたい、そういうことではないか。それがなければ、先ほどから大臣がおっしゃっている共同担務とかそういうことも成り立っていかないわけでありますので、よろしくお願いしたいと思います。

 郵便局の数あるいは簡易郵便局の閉鎖問題、郵便局の問題はいろいろと前から議論されているわけですが、全国の郵便局数、民営化当初の二万四千百十六局から、二十三年九月末、直近の数字で二万四千百九十局と、実は全国で七十四局ふやしていただいております。これは国民にとってありがたいことでありますが、当然スクラップ・アンド・ビルドということはあることでありますから、どういう観点でふやし、どういうところは閉めているのか、お願いいたします。

斎尾参考人 郵便局の設置につきましては、郵便局株式会社法第五条及び郵便局株式会社法施行規則第二条におきまして、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならないとされているところでございます。弊社としましては、これら法令に規定されていることを念頭に置きまして、利用動向やお客様の利便性等を踏まえまして、大型店舗への統合やショッピングセンター内への新設等を実施しているところでございます。

 また、民営化以降、簡易郵便局の一時閉鎖が増加しておりましたけれども、取扱手数料の大幅な引き上げ等を行いまして、簡易郵便局の一時閉鎖の解消に努めているところでございます。

 このような取り組みの結果、東日本大震災等の影響によりまして営業を休止している郵便局が平成二十三年九月末現在百二十五局ございますけれども、全体としましては、民営化当初より営業局数が七十四局増加しているところでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 一面、今の体制でも一生懸命やることはやっておられて、黒字をキープしながら郵便局の数もふやし、簡易郵便局の閉鎖問題については、平成二十年五月末の四百五十四局から、現在一時閉鎖の三十二局を含めて二百三十九局まで減らしておられる、このように伺っております。

 そこで、簡易郵便局ですが、今後、二百三十九といいますか、三十二を除くと二百七局でありますけれども、ここの取り扱い、利用者との関係において、どのような取り組みというふうに考えておられるのか、方針を伺います。

斎尾参考人 民営化以降、簡易郵便局の一時閉鎖が増加したわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、取扱手数料の引き上げを行うなどしまして、既存施策の見直しを行った結果、平成二十年五月の四百五十四局をピークに、その後は一時閉鎖が減少しているところでございます。

 簡易郵便局は、直営郵便局と並んで郵便局ネットワークの一翼を担う重要な窓口でございますが、一方で、受託者の高齢化が進んでおりまして、後任の受託者の確保が今後の課題となっているところでございます。

 このため、受託者の確保に向けて、地元自治会等とも連携を密にしながら、受託候補者の紹介を依頼したり、あるいは広報誌を通じた周知活動といった取り組みを行うことによりまして、今後も簡易局の維持に努めてまいりたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 確かに、すべての簡易局をあけなきゃいけないということはないんだろうと思いますが、この数字はやはりちょっとまだ頑張らなきゃいけない数字のようにも、またそういう御判断でもあるようにお聞きをしたわけであります。また、改革法案の中ではどういうふうにされていくかということの政府のお考えもお伺いしたいと思いますが、先へ進みます。

 郵便局では、ワンストップサービスということで、自治体の公的証明書の交付、住民票とか戸籍謄本ですね、また公営バス回数券の販売を行っているということでありますが、どれくらいの取扱量になっていて、それは伸びているのか、大体横ばいなのか、この辺をお願いいたします。

斎尾参考人 郵便局では、ワンストップサービスとしまして、戸籍謄本、住民票の写し等の公的証明書の交付、公営バス回数券、ごみ処理券等の販売、自治体が発行する敬老パス等の交付を行っているところでございます。

 平成二十三年九月末時点での取扱局につきましては、公的証明書の交付については、百六十五の自治体におきまして六百二十六の郵便局で実施をしております。そして、公営バス回数券等の販売につきましては、百の自治体におきまして千三百四十四の郵便局で実施をしております。また、敬老パス等の交付につきましては、十の自治体において千四百十二の郵便局で実施をしているところでございます。

 次に、取扱量でございますが、平成二十二年度の実績で、公的証明書の交付につきましては約十九万七千件、公営バス回数券等の販売につきましては約三十四万一千件、敬老パス等の交付につきましては約百十四万二千件でございます。

 なお、トレンドでございますけれども、取扱郵便局数、取扱量ともに、直近四年間を見た場合に、多少の増減はございますけれども、おおむね横ばいで推移しているところでございます。

橘(慶)委員 これは地域に対する一つの貢献でありますが、しかし、一面、今聞いたとおり、横ばいということは、それ以上はなかなか、今、当然自治体でもされるわけですから、この辺がいいところというふうにも理解しました。

 この関連で一つ、これは前から私はいつも気にしているんですが、年金加入記録の交付ということを今春から、日本年金機構から委託をされて始めたわけであります。

 これは以前質問もさせていただきましたが、全国各ブロックにおいて一つずつの自治体を対象に、そういう仕事を始めてみられたということであります。一件当たり三百円の手数料を申し受けてやっておられるんですが、私は、これは余り郵便局側のメリットはないんじゃないか。いろいろな事情でやらなきゃいけなかったんでしょうけれども、どうなっちゃったのかなと。半年ぐらいたっていますが、取り扱いの現状及び今後の方針について伺います。

斎尾参考人 郵便局株式会社におきましては、ことしの二月二十八日から、日本年金機構からの委託を受けまして、一部の郵便局でねんきんネットサービスを利用した年金加入記録の交付を行っているところでございます。

 これによりまして、私どもといたしましては、お客様は身近な郵便局で年金加入記録を確認できるようになり、地域住民の利便の増進につながっていると考えているところでございます。一方、郵便局にとりましても、お客様に対する行政のワンストップサービスメニューがふえることによりまして、お客様に郵便局に足を運んでいただける機会がふえて、集客効果が高まるメリットがあると考えております。

 現在、試行的に全国二百四カ所の郵便局において当該業務を実施しているところでございますが、試行期間中のお客様の利用動向とか意見等を踏まえながら、厚生労働省、日本年金機構とともに、今後の実施のあり方について考えていきたいというふうに思っています。

橘(慶)委員 取扱量についてお伺いをしていたはずですが、いかがでしょう。

斎尾参考人 取扱量は、平成二十三年の二月二十八日の施行開始から九月末現在の段階で、全国で百四十九件の取り扱いにとどまっております。

 いろいろ問題があるというふうに私どもは考えておりまして、今後、お客様へのPRの仕方とか、お客様へのお勧めの仕方についても考えていきたいというふうに考えております。

橘(慶)委員 二百四カ所の郵便局で百四十九件であります。三百円掛けても、わっと金額も出てしまうような、四、五万円の話であります。むしろ、日本年金機構のねんきん定期便を郵便からネットにされた方がもっと困るんじゃないかな、そこの営業活動を一生懸命やられた方がいいんじゃないかと私は思うわけであります。

 それでは、時間がだんだん減ってまいりまして、ゆうちょ銀行の部分について安住大臣にお伺いしなきゃいけないわけであります。

 ここはどういうことをお聞きしたいかといいますと、ゆうちょ銀行、全体の資金運用残高は減ってきているけれども、大宗は国債百四十六・四兆円ということで、そのほか、社債十二・八兆円、シンジケートローンによる証書貸し付け四兆円ということで、基本的に、審査機能もそんなにあるわけでないので、国債ということで安全運用しておられるという形だと思っております。

 一方、国債の引き受け手としてのゆうちょ銀行でありますけれども、国債全体で、これはいろいろな数字があるんですが、きのう財務省さんからお伺いしたときに、一応、分母八百兆ぐらいで見たときの、それぞれの団体のディスクローズしている数字を教えていただいたんですが、ゆうちょ銀行が百四十六兆円で一位、二位が日銀で八十兆円、三位がかんぽで六十一兆円、四位がGPIFで六十兆円、その後、五位に民間で四十兆円ぐらいというふうに聞いております。

 ゆうちょとかんぽで二百兆。今言った四位までの公的なもので三百五十兆。全体で八百兆ぐらいの分母ですから、四割ばかりがそういう公的なもの。もっと言うと、二五%は、言ってみれば財務省さんの、言い方を変えると、大得意先、大お客さんだと私は思っております。このお客さんに、財務省さんとしてこれからどう対応されていくのか。また、国債も、民営化のころから見たら、国債の残高はふえております。前よりも、市中引き受けということについては、やはり余計引き受けてもらわなきゃいけない状態になっております。そういう中でのお考えをここで安住大臣にお伺いいたします。

安住国務大臣 事実関係は、先生おっしゃったように、大体持っているものの八一・七%を国債で引き受けていただいている、大変ありがたい存在でございます。国債全体を今お話ししていただきましたけれども、一七%ぐらいの比率になるわけです。

 ただ、ちょっと歴史を考えますと、先生、財投の資金運用部の運用をしていたころは、ピーク時で二百五十兆ほどあったんですね。ですから、そういう点からいえば、だんだん預託というのがなくなって、ゆうちょも自主運用をだんだんなさってこられるようになった。その中で、ベストな選択として国債を引き受けていただいているのではないかな。

 だから、私の立場からすると、今後も、さまざまな金融商品の開拓なり、触手を伸ばしていくのは結構でございますが、それに負けず劣らない国債というものの魅力を維持していく。そのためにはやはり財政の健全化というのは絶対必要なことでございますので、ぜひ、税と社会保障等に含めた改革については御支援をいただければありがたいと思っております。

橘(慶)委員 私は、大事な引き受け手だと思いますし、それ以外の運用をいろいろ考えるといってもリスキーだしということを時間のある限りまたお聞きしていきたいんですが、実は、ちょっとこうやって全体の皆さんのお顔を拝見して、私、一つ質問の通告を忘れたな、同郷の森田高政務官がいらっしゃるわけで、質問しておかなきゃいけなかったなと思うわけであります。

 そこで、実は私、こういうふうに思います。今回、所信を聞かせていただきました。ここに活字で持っております。いろいろあった中で一番心に響いたのは、川端大臣から、経営者、社員にとっても好ましい状況じゃない状況にあるんだ、これは継続することが好ましくないので早くこれを解決していかなきゃいけないんだ。私は、本筋はこれじゃないかと思います。別に、大震災だから、株を売りたいから、それは余りにも理屈として寂しい話であります。今汗をかいて毎日頑張っている人のために何が一番いいのか。そのためには、みんなで議論して、直すところは直して、正しい答えを出していかなきゃいけない。そのためにどう汗をかくのか。森田政務官、答弁をお願いいたします。

森田大臣政務官 大変大きな質問をいただきまして、恐縮しております。

 私は、今先の見えない経営状態の中に置かれている従業員の人たち、非常にやはりじくじたる思いで、今の政局あるいはこの法案の審議というものを見ておられると思います。いずれにしても、しっかりした、彼らにとっても人生設計がありますから、それを示すということがまず政治の責任であると思っております。

 その中で、一点だけ先生に申し上げたいことがあります。

 やはり、大震災は発生して大変残念なことでありました。それで、私も震災早期から、例えば陸前高田とか大船渡とか、先般は宮城県、福島県の郵便局も視察させてもらいましたが、彼らは非常に気丈に振る舞っております。その中で地域住民の信頼もかち得ている。結果として、昨年同期と比べても、一部の本当のコアの被災地域では営業成績が伸びております。

 これは何によってもたらされたかというと、暗黙の政府保証とかそういうものでないと私は思うんですね。一義に、使命感であります。公の中に生きるという、そういう歴史の中に生かされてきた彼らの立ち居振る舞い、それが民営化された今日においても生きているということでありますので、ぜひ、彼らの人生設計を明示するとともに、この島国、四方を海に囲まれておって災害も多いこの日本において、その使命感というものがこれからも生きるような民営化のあり方というものを実現したい、そのために自分も最大限努力したいと考えております。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 ぜひそういうお気持ちで、そして、何でも物事真っ正面からお願いします。APECまでにどうしてTPPを決めなきゃいけないのか、どうして人勧を無視しなきゃいけないのか。そんなことはない。真っ正面からいろいろなことを御判断いただくことをお願い申し上げて、質問を終わります。

赤松委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 きょうは、この特別委員会、初めての質疑でございますので、基本的なことをお伺いしたいと思いますし、また教えていただきたい、このように思っております。

 まず初めに、四人の大臣の方にそれぞれお伺いしたいんですけれども、平成十七年十月に郵政民営化関連法案が成立し、また、二年後の十月一日に郵政民営化がスタートして現在に至っているわけでございますが、この民営化をどのように評価しておられるか、そして、それぞれの所管におきましてどのような問題があると考えておられるのか、そのことからお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、山花委員長代理着席〕

自見国務大臣 斉藤議員にお答えをいたします。

 郵政民営化においては、郵便貯金銀行、郵便保険会社の提供する金融サービスについて、他の金融機関と同様の業法を適用することとしたものでありますが、金融のユニバーサルサービスが確保されなくなるおそれがあること、それから、分社化により郵政三事業を郵便局で一体的に提供することが困難となり、利用者に不便をかけている、それから、新規業務への進出などの機動的な経営が困難であり、日本郵政グループの経営に悪影響を与えている等の課題があると評価をいたしております。

 そのため、この郵政改革関連法案については、五分社化によって生じた問題を克服し、郵政事業の基本的なサービスが、利用者の立場に立って、郵便局で一体的に提供されるようにすると同時に、あまねく全国で公平に利用できることを確保し、政府の関与を必要最小限とすることにより、日本郵政グループの機動的経営を可能にするというふうにするべきだ、こういうふうに思っております。

川端国務大臣 現在の郵政民営化というのは、いわゆる民営化でございますので、一つは、経営の自由度の拡大による新規事業への進出あるいは提供サービスの多様化が図られる制度に環境が整えられたということ、それから、民間企業と同じように納税をするということで、税金を多額に納めていただく会社になったこと、それから、民間的な経営手法の採用あるいは分社化による各業務の収支状況の明確化により、コストを意識した経営が導入されたこと等が評価されるべきことであろうと思っております。

 一方で、いろいろこの委員会でも何回か議論がありましたけれども、過度の分社化による分割ロスあるいは利用者の利便性の低下が発生していること、将来的には、金融二社の株式が完全に売却された後に金融サービスが過疎地を含めて提供される制度的担保がないこと、これが課題であろうというふうに認識をしております。

安住国務大臣 手短に申し上げますと、二千五百億円も二十二年度で納税をしていただいたり、民営化というのは、やはりそういう点で公社時代とは違う大変な貢献というのは国民に対してあるだろうというふうに思います。

 他方、今両大臣がおっしゃったように、やはり五社体制の中でユニバーサルサービスを確保しつつという点については少し工夫の余地等がどうもあるだろうということで、今度の法律改正ということを提案させていただいているものだと認識しております。

    〔山花委員長代理退席、委員長着席〕

前田国務大臣 国土交通省関係で申し上げますと、物流事業については、事業主体の郵便事業会社と、それから窓口の役割を担う郵便局会社が別の会社により行われていることから、事業運営が必ずしも効率的で円滑でない面があると考えております。

 今般の郵政改革によって郵便局会社と郵便事業会社が一体となることで、荷主のニーズにこたえたきめ細かいサービスの提供が可能になるものと考えております。

斉藤(鉄)委員 ありがとうございました。

 川端大臣と安住大臣については、民営化についての評価、どう考えるかというお答えをいただいた上で、どういう問題点があるかというお答えをされました。

 自見大臣と前田大臣については、今の所管の問題点というところをお話しになったわけですけれども、こういう問題点があるという意味で民営化の評価ということなのかもしれませんが、もっと端的に、政治家としてあの民営化をどのように考えているかという点についてお聞きしましたので、もう一度お答えいただければと思います。

自見国務大臣 明治四年以来の、先生御存じのように、郵政三事業、元祖はイギリスでございまして、ビクトリア女王のグラッドストーンとディズレーリと言われますけれども、グラッドストーンが郵便貯金制度を、郵便というのは、御存じのように、以前は貴族、王侯が飛脚を使っておったわけでございますけれども、これを国民に広く利用していただくということで、当時あった飛脚の会社を全部国が買収しまして、そうしますと、料金が安くなりまして、結局、大変たくさんの方が郵便を利用するようになった。そのために、イギリス全土に郵便局をつくってくる。

 今度は、グラッドストーンが、当時、十九世紀の中ごろでございますから、産業革命で、いわゆるイギリスの農村地帯からたくさんの次男、三男が都市に出てきて都市の働き手というふうになったわけですね。そうしますと、給料をもらいますと、貯蓄ということを余り知りませんから、ということで、やはりイギリス国民に貯蓄を教えねばならないということをグラッドストーンが言っております。

 それからもう一点、これは大変大事な話だと私は思っておりますが、当時、イギリスは南アフリカのボーア戦争をしておりまして、国債をいっぱい出さねばならない。そうしますと、どうしてもシティーの大変大きな金融資本家に国債を買ってもらわねばならない。そうしますと、政治的な発言力を同時に要求してくるようになった。そういった意味で、国民にたくさん郵便貯金を、少額ですけれどもたくさんの国民に郵便貯金をしていただいて、それで国債を買えば、結局、民主主義国家というのは、先生御存じのように、平等と自由でございますが、やはりお金を持った金融資本家というのはいろいろな政治的要求をしてきますので、そういった意味で、一般の国民に国債を持ってもらうということを考えたという話を今の東大の、税調の教授から聞かせていただいたわけでございますけれども、そういったもろもろの意味を持って、郵政三事業というのはグラッドストーンがしていたわけでございます。

 ここから参りまして、明治四年に、まさにペリー来航以来十五年たって明治維新になったわけでございますから、近代国家にするためには、日本もやはり郵政三事業をつくらなければならない。しかし、国庫はからからでございますから、そういった中で、郵政の民活化といいますか、土地と建物を持った人にそれを国に貸していただく、そのかわり身分は国家公務員だという制度で始めたわけでございます。

 マッカーサーが六十六年前に来たときに、ほとんどの日本の制度というのは改革されたり崩されたわけでございますけれども、郵政事業だけは、だけはとは申しませんけれども、その中でも生き延びたわけでございます。そういった意味で、サッチャーさんの時代、民活で大変有名になりましたけれども、そういった意味でまいりましたことが、まさにそんなことがない時代からきちっと民活をうまくやっていたというふうに私は思っておりまして、この民活である特定郵便局制度が日本だけにある制度でございますから、それが日本人の伝統と歴史と名誉を重んじるということを、当時の江戸時代末期から明治初年のとき、あるいは戦前にうまくいって、戦後もこれが実にうまく機能したんだろうというふうに私は思っております。

 そういったいいところはきっちり残していきつつ、やはり今の時代、時代はどんどん変わってくるわけでございますし、今さっき財政投融資の話も出ておりましたけれども、市場を通して、財投債、財投機関債というのをつくりましたけれども、しかし、三年前のリーマン・ショックがありまして、やはり官と民との役割が非常にコペルニクス的変化を来したと私は思っております。そういった時代の変化にも、やはりきちっと郵政の設計というのを心していかねばならないというふうに思っております。

前田国務大臣 斉藤先生のせっかくの御下問でございますので、個人的な見解も含めて申し上げますと、もちろん、民営化して二千五百億円の納税をしたという評価がありました。加えて、私自身は、民営化することによって、多様なステークホルダー、そして多様なプレーヤーが郵政に参加あるいは関係することによって、非常に大きな付加価値が出てくるのではないかというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 わかりました。

 自見大臣、あの民営化をどう評価されているかというのはいま一つよくわからなかったんですが、これからの質疑の中でわかってくるようになるかもしれません。

 二つ目の質問で、これも四人の大臣の方にお聞きしたいんですが、民営化という言葉の意味をどのように考えていらっしゃるか。これだけ聞いたのでは余りに漠然としておりますので、いわゆる株式保有、国が株式を持っている親会社がまた株式を保有している、ある意味では、間接的ではありますが国との株式保有関係があるということも民営化に反しないか。民営化ということをどのように考えていらっしゃるか、その観点からお伺いします。

 自見大臣、端的にお答えください。

赤松委員長 自見国務大臣、端的にお願いをいたします。

自見国務大臣 はい、端的に。

 民営化という言葉は、私の知る限り、法律上の定義はないというふうに認識いたしておりますが、郵政民営化関連法案において、当時言われたのは、一、職員を非公務員とする、二、国の関与をできる限り控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とする、三、資金の流れを官から民へ転換する、四、従来免除されていた税金を納める等説明されていたものと思っております。

川端国務大臣 民営化は、一般的には、官業でやっていたものを株式会社の形にする。そして、その結果としては、いわゆる国の関与をできるだけ控えて、幅広い活動ができるようにする、経営の自由度を増すこと。民間的な経営手法を活用していくということで、コスト意識をより徹底した事業にしていく。そして、これは先ほどと重なりますけれども、他の民間企業と同様に法人税とか印紙税等の納税を行うという形態になるということを一般的に民営化というのかなというふうに思います。

 その中で、御質問の部分は、例えばNTT、JT等のように、三分の一あるいは二分の一、政府が義務づけて保有している場合もあります。そういう部分で、一定の議決権を保有しなければならない義務が課せられている例もありますから、政府の株式保有義務があるからといって民営化の趣旨に合うとか合わないとかいうものではない、それはケース・バイ・ケースだというふうに承知しております。

安住国務大臣 私も同じですけれども、ペーパーがほとんど同じなものですから。

 ただ、一つだけ私がやはり考えるのは、逆に言えば、株を政府が持たなければならない、持つべきであるというふうな範疇の業種、分野とは何ぞやということが一つあると思うんですよね。通信の分野というのは、やはりそういう意味では非常に重要である。一方、例えばエネルギー関連株でも、やはり保有というものは資源の確保等々がある。それに、JTや高速道路会社等々もあるわけです。

 それからいえば、先生、やはり郵政の問題もあまねくというところが非常に重要で、そのネットワークの維持という観点からすれば、完全民営化という考え方も一つあるかもしれません。これは、宅急便等がどんどんどんどん発達して、確かに民間でもフォローアップがかなりできるようになりましたから。しかし、他方、信書の送達という問題は、長く官営でやってきたという、また僻地についてどうするかというような問題があるということからすれば、政府が三分の一保有しなければならない理由というのはここにやはりあるのではないかというふうに私は考えております。

前田国務大臣 各大臣の御答弁と同じ趣旨になるかと思います。

 加えて、私ちょっと申し上げたように、やはりこれだけの大きな郵政の三事業の組織でございます。末端において、日夜、郵便局あるいは簡易郵便局まで含めて、地域のニーズにこたえてやっていただいているわけですが、また地域の経済社会の構造がどんどん変わっていく、しかもこれだけ複雑化しているわけでございますから、そこは民営化の中で、切磋琢磨といいますか、ニーズに機敏にこたえてというようなことを含めて、申し上げたように、やはり創意工夫みたいなものが直ちに出てくるようなやり方というのは株式会社のよさではないのかな、このように思います。

斉藤(鉄)委員 四大臣の考え方を伺いました。

 現行法で民営化というと、かなり明確に定義づけされて、株式関係がゼロになるということをもって民営化するということです。したがいまして、現在出されております改革法案ということと基本的に民営化の意味が違う、ここの議論がこれから最も大きな、ある意味で埋めるべき溝としての議論になるのではないか、このように思いますが、大臣の考え方は、株式保有ゼロということが必ずしも必須条件ではないというお考えはよくわかりました。

 次に、所信に対する質疑でございますので、所信に対して質問をさせていただきたいと思います。

 所信を昨日聞いて、率直な感想は、短過ぎると。もう少し思いが伝わってくる所信を想像していたんですが、余り思いは伝わってきませんでした。本当にやる気がおありになるのかな、厳しい言い方をすると、そういうのも率直に感じた次第でございます。

 まず、自見大臣の所信に対して、郵便、貯金、保険のサービスを郵便局で受けられるユニバーサルサービスの仕組みは、国家が備えるべき基本的なインフラですというところでございます。

 まず、郵便、貯金、保険の中の郵便。これは、郵便がユニバーサルサービスでなくてはならないというのはもう自明の理というふうに思い込んでいて、深く考えることをしなかったんですが、もう一度ここで、議論の初めに当たって、なぜ郵便がユニバーサルサービス、国家が備えるべき基本的インフラなのか、これをちょっとわかりやすく、短く簡潔に教えていただければと思います。

自見国務大臣 斉藤先生、グラッドストーンが郵便をつくったとき、それまでは、日本にも江戸時代は飛脚というのがございましたね、大名飛脚とかなんとか。結構お金が高いんですね。一般庶民は余り利用できなかったんですよ。ところが、技術が産業革命で近代化するとき、その飛脚の会社をどんどんどんどん国家が買収しまして、結局、国が郵便事業を始めたんです。そうしますと、たくさんの、国ですから料金を均一にできます。ですから、今の郵便事業の基本的な国際的な定義は、国内同一料金だということが郵便というものの、万国郵便条約の一つの定義だと思っております。

 そういうことによって、ある意味ではこれは最初の情報産業でございますから、どこでも、日本でいえば三十円、五十円。アメリカは、実に、郵便を受ける権利、あるいは国家が与える権利。憲法上に、これは、ベンジャミン・フランクリンがおられまして、彼は郵便局長だったんですね。そして、独立戦争をイギリスとするとき、郵便というものの秘匿性と情報の伝達が非常にうまくいって、やはり民主主義国家というのは郵便というのをきちっと国家がせねばならないというのが、今でもアメリカの憲法に明記してある条項でございます。

 そういった意味で、郵便というのは、世界どこでも、国内同一料金で、基本的に公的色彩の帯びたところがやっているというのが、今の時代の、最初の情報産業ですね。パーソン・ツー・パーソン、ビジネス用と個人用とございますが、やはりそのことがどの国でも基本的に保障される、国の、近代国家の基本的な機能だろうというふうに私は思っております。

斉藤(鉄)委員 ちょっとよくわからなかったんですが、近代国家ではそれが常識になっているということなんですが、では、総務大臣にお聞きします。

 例えば、国家が個人に何か知らせなきゃいけない、そのインフラは備えるべきでしょう。個人と個人の親書を届けなきゃいけない義務が国家にはあるんですか。

川端国務大臣 秘密の保持も含めて、あるというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 そうしますと、あるんですけれども、それが国家が備えるべき基本インフラというのがなぜかという質問なんです。

 個人間の信書が確実に郵便事業として受け渡されることを国家が備えるべき基本インフラだというふうに自見大臣はおっしゃっているんですが、皆さん共通の認識だと思いますが、その基本的な根拠はどこにあるかという質問です。

川端国務大臣 間違ったら、不勉強で、おしかりを受けるかもしれませんが、やはり国家として国民の一つの権利を守るというのが考え方の大前提であろうというふうに思います。

 同時に、それで、万国郵便条約を含めて、国際的にも、全部国が、外国においてでもそういうことをそれぞれが担保するということにつながっていっているのではないかと思っております。

斉藤(鉄)委員 わかりました。

 それでは、自見大臣の所信に戻りまして、貯金、保険、いわゆる金融サービスもユニバーサルサービスでなくてはならない、国家が備えるべき基本的インフラとおっしゃっておりますが、信書、郵便についてはわかりました、金融もそうなんでしょうか。

自見国務大臣 御存じのように、明治四年、郵便創業でございますが、明治八年には郵便貯金も始めております。

 そのためには、特定郵便局制度、そういった、土地と建物を国に貸していただきたい、そのかわり国家公務員になれるというふうな制度をやって、たしか東京大学の歴史研究会だと、明治四年に前島密が郵便制度を始めたときに、明治五年に、千葉県に百二十四局ぐらい特定郵便局があったというふうなことでございまして、実は燎原の火のごとく、本当にお金を、政府として一円も使わなくてもきちっとこれが広がったというのは、やはり日本人の秩序を重んじる心だとか、当時、国家公務員でございますから、秩序を重んじる、名誉を重んじるというところに日本のつくった郵便制度というのがきちっと当てはまったんだろうというふうに私は思っております。

 それ以来、金融の、郵便貯金、これはユニバーサルサービスでございますが、例えばドイツなんかは、先生御存じのように、郵便貯金ではございませんが、州立銀行、あるいは市町村がする貯蓄組合が大体五〇%近くございまして、公的金融がないのは基本的にアメリカだけだというふうに私は認識しておりますが、ヨーロッパの国は、大なり小なり、いろいろございますけれども、やはり公的な金融機関というのは、特に金融排除の問題もございますから、そういったことで政策としてやっているというふうに私は認識をいたしております。

斉藤(鉄)委員 自見大臣の御答弁のポイントは最初の方にあって、つまり、税金を使わなくて郵便のユニバーサルサービスを実行するために、貯金、保険も一緒にやらなきゃいけないんだという論理ですね。

 それは、貯金、保険がユニバーサルサービスでなきゃいけない理由にはなっていないんじゃないですか。金融もユニバーサルサービス、かつ国家が備えるべき基本的インフラ、国家がやることなんだというのは、国家が備えるべき基本的インフラだったら税金でやったっていいんじゃないですか。

自見国務大臣 郵政関連法案において、郵便のサービスに加えて、日常生活に必要な決済機能、手元現金を得る手段の確保や計画的に将来の蓄えを行うための貯蓄及び将来の不安に備えるための保険サービスを一体のものとしてユニバーサルサービスの対象とするというふうなことだと思っています。やはり、生活するのに基本的には必要なものだ、それを国家というものがきちっと保障するというのが近代国家の一つの側面だというふうに思っております。

 イギリスも郵政三事業をやりましたけれども、国によって非常に変わってきたところもございますけれども、原型は、郵政三事業というのは、十九世紀に日本が近代国家をつくろうとしたときに、郵政三事業がないと近代国家になれないということで、急いでと言ったら悪いんですけれども、日本の特徴に合わせて郵政三事業をつくってきたというふうに私は認識をいたしております。

斉藤(鉄)委員 次に、総務大臣の所信的発言についてお聞きします。

 実は、自見大臣の所信の中にも、三事業一体でという言葉がございます。川端大臣の所信にも、郵政三事業が郵便局を通じて一体的に提供されていくことが必要である、このように述べられております。なぜ三事業が一体でなければいけないんですか。

川端国務大臣 それぞれの事業が、義務づけられているかどうかは別にして、国民生活に極めて重要な生活上のインフラであることと我々は認識をしております。

 例えば、電力ですと供給義務というのが課せられているんですが、金融サービスは義務づけはされていませんが、結果としては、それを提供する部分を、今まで郵便局が社会インフラとしてその機能を果たしてきたことは間違いない事実だというふうに思っております。そういう中で、不採算地域も含めたユニバーサル事業、ユニバーサルサービスとして、三事業は今後も提供されていく必要があるというのが前提に立っております。

 そういう意味で、特に、小規模、これは目的ではなくて、効果的な運営という意味も入るんだと思いますけれども、不採算に将来なっていく、あるいはなっている場所においても、郵便局が今まで一体でやってきたことによって、少人数、二人局、三人局、四人局で多分七割ぐらいの局がそれを占めていると思いますが、それが効率的に相乗的な効果を果たしながら、こういう形であれば一体的に経営ができるという今までの経過もありますので、郵便局を通じてやるということが、逆に言いますと、不採算地域でほかの金融機関の撤退が相次いでおるという状況を見れば、これを維持するには、郵便局を通じて三事業一体であるということが仕組みとしては非常に効率よく、うまくいけるということを含めて、一体であるべきであろうというふうに考えているところでございます。

 また、この三事業は、特に、不採算地域ということと同時に、高齢者の皆さんの生活にとってはより以上にライフライン的な社会インフラであるということも維持したいということでございます。

斉藤(鉄)委員 今大臣がお答えになったことは、この所信の中に「五分社化に伴う分割ロスやサービス低下等の問題、弊害」という言葉で出てきておりまして、質問としては、それは具体的には何かということ。

 それから、しかし、郵政民営化のときの議論として、三事業がそれぞれ独立性を持って、例えばほかの事業の利益で別な事業の赤字を穴埋めするようなことがあると、トータルとして労働生産性は高くならないし、企業の、いわゆる事業体のモラルハザードをもたらして、結果として社会に大きな負担をかけることになる、そういう意味で、三事業がお金的にそれぞれ明確に独立していることも必要なんだということも言われました。

 五分社化に伴う分割ロスやサービス低下等の問題、弊害、しかしながら、経営規律を明確に分割していることによってもたらされる利益ということも先ほど申し上げたようにあったはずで、それとの関連でどのように考えていらっしゃるか、お聞きします。

川端国務大臣 分割してそれぞれ独立してやるということの理念は、斉藤先生言われたとおり、基本だというふうに思います。

 ただ、私が申し上げたように、小規模のところというときに、五社分割とかいうふうに垣根をつくればつくるほど非効率な部分が生じることは、先生も御案内のとおりのことはあります。

 先ほど来も、郵便貯金の話、例えば郵便局員が受け付けができなくなった、そうすると、これは指定すればできるじゃないか。あるいは、郵便局長がゆうパックの集荷ができなくなったら、これは免許を取ればできる。ということは、そのすき間を、相手の仕事を請け負っていることでしかなくて、結局はやはり、そういう部分でいうと、小規模とかは、壁をつくればつくるほど、業務が現場では一体化している部分を分けると非効率な部分は当然発生してくる。ただ、筋として言えば、分けた方が独立するんだというけれども、やはり現場の話として言うと、小規模のところが独立していない業務になっているというのが現状であるということもあると思うんですね。

 そういう意味で、トータルとして、分社化というか経営の独立の特徴を最大限生かしながら、現地において、小規模、特に非採算が見込まれるようなところに、より効果的、効率的な経営形態が持ち込めるということを工夫して考えて、壁をなくすということをひとつ考えた方がいいのではないかというのが我々の基本的な考え方でございます。

自見国務大臣 今の斉藤先生の御質問は、大変核心の部分だと私は思っています。

 今次の郵政改革において、金融二社の黒字によって郵便事業の赤字を埋め合わせるということがないように、実は必要な措置を講じております。

 郵便事業については、新会社が、現在と同様に、郵便法の規定によりまして、郵便法という別に法律がございます、これは適正な原価を償う形で行うこととされており、郵便事業は他事業からの補てんを受けることなく経営を安定させることがまず郵便法上求められております。

 また、金融二社はグループ会社であっても独立した事業体であり、銀行法及び保険業法のアームズ・レングス・ルール、これは銀行、保険会社とグループ内の会社等との利益相反取引を通じて経営の健全性が損なわれることがないように防止するための規定でございますが、この規定により、新会社等グループ会社を優遇した条件で取引または行為を行うことは禁止されております。

 さらに、郵政改革においては、再編成後の新会社について厳格な損益管理の確保及び情報開示を図るために、業務の区分ごとの収支の状況を総務大臣に提出して、その旨を公表することを義務づけております。いわゆる区分経理でございます。

 以上の仕組みを徹底することにより、御指摘のような金融事業の利益が郵便事業の赤字の穴埋めに使われるといった事態にはならないというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 この三事業一体の必要性、それから金融のユニバーサルサービスも国家が備えるべき基本的インフラなのかどうかということについては、これからもまたこの委員会でしっかり議論していきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきましたので、安住大臣と前田大臣の所信についても聞かなきゃいけませんので、そちらに移ります。

 安住大臣の所信の中で、復興財源の基本的方針等を踏まえという文章がございます。この復興財源ということと郵政民営化、郵政改革の議論、先ほど橘委員がお話しになりましたように、そのこと自体が目的であるというような報道もありますけれども、私どももそういう立場には立ちません。もちろん復興は我々今最大の課題でございますが、この郵政民営化ということとはある意味で立て分けて考えていかなきゃいけない、このように思っております。

 この復興財源の基本的方針、これは内容についてはもう説明いたしませんけれども、基本的方針の中に将来の話が書いてあるわけですけれども、では、将来、この株式の売却収入金が入ってきたときに、どのようにして復興債の償還財源に充てるのか、どの増税項目を削るのかということについてお伺いします。

安住国務大臣 先生、まだそこまでの確たる計画を持って方針に盛り込んだわけではございません。

 特に、九兆と十一兆という論争がいろいろありましたが、今後さらに、政府保有株等の売却ということに関しては、私どもの念頭にありますのは、エネルギー関連株、さらにJT株等について追加的な売却ができればということでございます。郵政につきましては、法律改正ができた段階で、三分の一を残し、残りの三分の二を売却できれば、当然これは、売却益は政府収入ということになると思います。ただ、今の法律上は、国債整理基金への所属がえをすることで、いわば赤字国債の償還に使いましょうというふうな考え方になっていることはもう御存じのとおりでございます。

 これはしかし、私どもの基本方針で書かせてもらったのは、三月の十一日の大震災を経て、そこの考え方というものは、やはり今までの方針とは少し変わって、今後、その十九兆での、集中復興期間での額を今算定して、十年間で二十三兆と言っています。しかし、これは阪神大震災のときのことで、とりあえずの積算ということになっておりますが、本当に専門の分野でございますと、原子力の関係、放射能の関係の例えば除染費等々、今後重なる可能性が、積み重なるであろう、予想外といいますか想定外の出費というものは当然想定できますので、そうしたものにもしかすれば充当する可能性はあるのではないかというふうに私どもとして考えております。

斉藤(鉄)委員 先ほどの答弁の中に出てまいりました特別会計に関する法律附則第十二条に、国債整理基金へ入れて国債償還財源にするという規定がございますが、これとの関係、そうすると、その株式を売った時点で新しい法律をつくって復興財源にするんだという仕組みが新たに必要になってくる、こういう理解でよろしいでしょうか。

安住国務大臣 どういうプロセスを経るかということもまだ決めているわけではございませんが、今私が申し上げましたように、この国債整理基金特別会計への所属がえというところを、やはり規定があるわけでございますが、私としては、今後これを復興に使うということが例えば正式に三党間の協議等々踏まえて合意ができた時点で、やはり使えるような所要の手続を踏むということは出てくると思います。

斉藤(鉄)委員 それからもう一点、株式の売却収入金をふやすということは、国民の財産をふやすということで、大切なことだと思いますが、どのような努力が必要と考えておられるか、財務大臣のお考えをお伺いします。

安住国務大臣 これは、十円でも百円でも一万円でも高くなればいいわけでございまして、一言で言えば、やはり買いたくなる魅力のある企業に変わってほしいというふうに思っております。NTT株のときには、たしか一株二百万、これはバブルのときでもあり、異常な株価の上昇時でございましたけれども、しかし、やはり高ければ、そういう点では、非常に収益性を期待する国民の声がそこに反映するということになるでしょうから、そういう意味では、あらかじめ幾らということではありませんけれども、やはり企業経営にとりましても株価は高ければ高いほどいいのではないかというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 次に、前田国交大臣の所信に対してお伺いします。

 端的に教えてください。

 所信の中に、「貨物利用運送事業や貨物自動車運送事業を所管する大臣として、」このようにございますが、貨物利用運送事業、貨物自動車運送事業とは何か、そしてこの郵政改革の中でどのように位置づけられるのか、お伺いします。

前田国務大臣 お答え申し上げます。

 貨物利用運送事業者とは、他人の需要に応じ、有償で、鉄道運送事業者、船舶運航事業者あるいは航空運送事業者等の行う運送を利用して貨物の運送を行う事業をいいます。端的に言えば、大きな流通業者というようなことになりますね。

 それから、貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業ということになります。トラック協会のメンバーなんかはそういうのが多いんじゃないのかなと思います。

 郵政改革法案においては、日本郵政株式会社が郵便事業会社の権利義務を合併により承継することとされております。このため、貨物利用運送事業者及び貨物自動車運送事業者としての位置づけに変更はございません。

 この法案が成立した場合に、合併に関しては、実施計画の認可を受けることにより、各事業、この二つの事業法に基づく合併認可は既に受けたものとみなす旨の特例が設けられております。

斉藤(鉄)委員 国土形成という観点から、郵便局そして郵便事業をどのように見ておられるか。また、先ほど来議論になっております三事業一体、ユニバーサルサービスということをどう考えていらっしゃるか、国土形成という観点からですけれども、お伺いします。

前田国務大臣 お答えを申し上げます。

 一つは、運輸政策の観点からは、全国的なきめ細かい輸送サービスの提供が重要であると認識しておりますので、郵便局会社と郵便事業が一体になることで、例えば、宅配便などについては全国的なサービスが一層提供しやすくなる。東日本震災のときにもよく言われたケースでございますが、郵便局に問い合わせても、ちゃんと届いているかどうかわからなかった。要するに、営業拠点と運送関係が分かれていたということがありますもので、これがやはり一体化することがサービスの向上につながると思います。

 さらに言えば、三事業一体、ユニバーサルサービスが国土計画にどういうようなことになるかという御指摘でございますが、とにかく持続可能な国づくりということを私は申し上げております。御承知のように、人口の構成の大変化、少子高齢化といいますか、人口がどんどん減っていく。特に、ユニバーサルサービスが求められている地方部においては、どんどん構造が変化していくわけです。そういうところにおいても持続可能な運輸基盤というものを形成してまいりたい、このように思います。

斉藤(鉄)委員 きょうは、大臣所信を中心に質問させていただきました。まだ不明確なところがありますので、今後、質問を続けさせていただきたいと思います。

 終わります。

赤松委員長 次に、重野安正君。

重野委員 社会民主党の重野安正です。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということで、さきに行われました大臣所信に対し、ちょっと具体的に話をしたいと思います。

 まず、自見大臣と川端大臣にお尋ねいたします。

 民主、国民新党そして我が党の三党による郵政事業の抜本的な見直しを含む連立政権樹立に当たっての政策合意がなされたわけですけれども、もう既に二年以上が経過いたしました。その後、法案が提出されるも、例えば参議院選挙のための廃案、さらに昨年秋の臨時国会での法案提出も、三度にわたる継続審査となりました。ようやくこの特別委員会での審議がスタートすることになりました。この国会で十分な審議を行い、法案を何としても成立させなければならないと我が党は考えております。

 そこで、まず、自見大臣、川端大臣の決意を尋ねます。

自見国務大臣 重野議員、先生は社民党の幹事長でございますから御存じのように、二〇〇九年九月九日に、政権交代の前の選挙でも三党の共通政策として六項目の項目を出して国民の御審判を仰いだわけでございますが、その結果、政権交代した後、三党連立政策合意書というのをつくらせていただきました。

 今回、実はことしの八月三十日、野田民主党代表・内閣総理大臣と亀井静香国民新党代表の合意書の一番最初にちゃんと、「二〇〇九年九月九日に合意した「三党連立政策合意書」を尊重し、その実現のために最大限努力する。」というのが第一項目でございまして、そういった意味で、私は、これは大変歴史的な政治文書であったというふうに、私自身も政調会長として少し参画させていただきましたので、そういうふうに思っております。

 これを受けての基本的な法律でございますので、本当に、どういう過疎地に住んでいても、へんぴなところに行っても、日本人であれば郵政三事業のユニバーサルサービスがきちっと受けられる、やはりあまねく公平にという概念が非常に国家にとって大事だ、私はこう思います。それから、やはりずっと長い間、百四十年も三事業一体でやってきたわけでございますから、そういったいいところはきちっと踏まえつつやっていくということは非常に大事だと思います。なおかつ政権交代のときの公約でございますから、やはりそれを踏まえて、重野先生にも大変御尽力いただきましたが、これはぜひ成立をさせていただきたいというふうに思っております。

川端国務大臣 郵政改革は、現在の株式会社形態を維持しつつ、現行の郵政民営化の問題点を解消し、効率的な経営の実現、三事業の一体的なサービス提供を可能とすることで、利用者利便の向上や全国の郵便局が維持できるようにすることを目的で提出させていただいております。

 現状においては、経営者が社員に対して事業の将来像を示せず、先行きが不透明な状態にあり、経営者、社員にとっても、このような状態が続くことは決していいことではございません。

 そういう意味で、経営陣と社員が将来に向かって確信を持って経営方針を定められるよう、そして仕事に邁進できるように環境を整えることは政治の務めであり、郵政改革法案を一日も早く成立していただきたいというふうに思っております。

重野委員 今、両大臣の決意が披瀝されました。ひとつ全力を挙げて、これが成立に向けて、大臣としてやるべきことはしっかりやり抜いていただきたい、このように思います。

 次に、自見大臣に聞きますが、きのうの大臣あいさつでは、日本郵政を取り巻く経営環境の厳しさが指摘されておりました。長引く不況、リーマン・ショック、そして東日本大震災という未曾有の災害は、日本郵政のみならず、多くの企業を苦しめているところでございます。こうした外部環境の悪化が郵政事業の厳しさの原因の一つであることは言うまでもありません。

 同時に、私は、この間の政治にも責任があるのだと思わざるを得ないのでございます。

 かんぽの宿問題あるいは分社化による弊害、ペリカン便との統合問題など、郵政民営化そのものに由来する問題に加えて、郵政改革が二年間も進まなかった、そのことも原因の一つではないかと考えるところでございます。

 例えば、小泉改革の残渣ともいうべき郵政民営化委員会が残ったままでの業務展開の難しさ、郵政事業の困難さについて、政治も責任を逃れることはできないんだと考えるのですが、この点について自見大臣はどのようにお考えでしょうか。

自見国務大臣 重野先生とは思いを同じくさせていただいておりますし、また、二年前から、連立合意ということで、政治行動も信念も、郵政改革法案、先生のところは労働者派遣事業法、これを一緒にやってきたわけでございます。

 私は、多くは申しませんけれども、政治、世の中というのは人間が主人公であるべきであって、やはりマーケットは人間よりも上だという社会は少しおかしいのではないか、私、本職は医者でもございますから、そういうふうに思うわけでございます。

 当時、何もかも、マーケットだ、金だ、あるいはマネーゲームが大変盛んな時代でしたけれども、私にも、もう政治家でございましたから、一端の責任はございますけれども、やはりやるべきところはきちっと、国民のための、国民の目線に立った郵政改革をやっていかねばならないというふうに思っております。

重野委員 視点を変えて、現実、喫緊の状況について触れておきたいと思うんです。

 各大臣から異口同音に、今回の震災での郵政事業の重要性と頑張りが指摘をされました。その中で、自見大臣からは、分社化による不都合という指摘があった。具体的にどういった点でこの分社化の問題点があらわになったのか、お尋ねいたしたいと思います。

自見国務大臣 卑近な例を挙げますと、分社化により、例えばグループ各社の車両、バイク、人的リソースの資産や情報を会社間で弾力的に活用できない。

 これは、特に震災の後、石巻の郵便局に行ったときに、まさに郵便のバイク、自転車も、郵便事業会社のものと郵便局会社のもの、別々でございますから、郵便事業会社の方が郵便を配ってまいりますが、この方は赤い郵便局会社の自転車に乗ってはいけないということで、大変現場で混乱をした。

 郵便局というのは、昔から郵便局長さんが管理者でございましたが、一つの郵便局に郵便局長さんと郵便事業会社の支店長さんといまして、そういった意味でも、指揮命令系統が分かれて、現実に現場が非常に混乱をしたという話を聞いておりまして、業務の再開それから施設の復旧等の場合に、現地間、現場では無理ですから、今度は上のレベルで調整をするというのは時間がかかっているわけでございます。

 挙げればたくさんのことがございますけれども、いわば過度の五分社化でやはりそういった混乱が起きて、その結果、利用者の方々に非常に御迷惑をかけているというふうに私は認識をいたしております。

重野委員 加えて、今回の震災により、どういう状況が現場では出てきたのかという点について具体的に聞いておきたいと思うんです。

 今回の地震と津波でどの程度の被害が発生したのかが一つ。発生した被害のそれぞれの復旧状況はどうなっているのかが二つ。それから、被災局、相当の数の局が被災をしたと思うのですが、そういう非常に混迷した状況の中において、結果として局の非正規の職員の雇用の問題は大きな変化があったのか、いや、そうでなかったのか、そこ辺を具体的にお聞かせいただければと思います。

佐々木参考人 まず、被害状況でございますけれども、人的被害につきましては、郵便事業会社で、輸送子会社を含めまして三十人、それから郵便局会社で二十八人、これは簡易局の関係者も含めてでございます。このほかに日本郵政で三人ということで、日本郵政グループ全体で、死亡・行方不明者は六十一名でございます。

 建物被害につきましては、郵便事業会社の事業所で六支店、二十一集配センターの計二十七カ所が被害を受けておりますが、建物の修繕、仮設などの代替施設の確保等によりまして、被害を受けた事業所が受け持つ集配業務につきましては、すべての地域において再開しております。ただし、原発事故の警戒区域と計画的避難区域は除きますが、すべての地域において基本的に再開しております。それから郵便局会社では、直営局百六局、簡易局三十二局の計百三十八局が被害を受けまして、十月二十四日現在で、このうち六十五局が建物の修繕、仮設店舗等によりまして窓口営業を再開しているところでございます。

 それから、先生の御質問にありました、これらの被災を受けた支店、郵便局等に勤務していた正規社員それから非正規社員につきましては、本人希望等も踏まえまして、業務を再開している支店あるいは郵便局等のほか、近隣の支店、郵便局等において勤務をしているところでございます。

 以上です。

重野委員 百三十八局のうち六十五局が業務再開ということは、残り七十三局はまだ再開していないということですね。

 この震災がきっかけとなって局が消えるというふうなことがあってはならない、これは郵政としてもしっかり対策を講じていただきたい。それが、今後の日本郵政、郵便局会社、郵便事業会社含めて、国民の信頼をより一層重いものにしていくということにつながるわけですから、その点をひとつしっかりやっていただきたいと思います。

 次に、原発事故に関連して伺います。

 福島第一原発事故が発生をいたしました。その結果、多数の住民が避難生活を余儀なくされています。

 そこで、原発事故によって警戒区域などに指定されたところではどの程度の郵便局があるのか、その地域の郵便局の機能は今どのようになっているのか、働いていた局員の皆さん、非正規雇用も含めて、現状どのようになっているのか、そして日本郵政として東電に対し賠償を求めていくのは当然だと考えますが、その点はどうなっているのかを聞きます。

佐々木参考人 まず、警戒区域に所在する郵便局でございますが、これは十八局ございます。郵便事業会社の支店が一支店と五集配センターでございまして、この区域につきましては、政府の避難命令によりまして、当該施設には職員を配置せず、業務を休止しております。

 次に、計画的避難区域に所在する郵便局は九局、郵便は五つの集配センターでございまして、これらの施設につきましても、現在は社員を配置せず、業務を休止しているところでございます。

 緊急時避難準備区域に所在する郵便局は十五局ございます。郵便は一支店、二集配センターでございますが、この指定につきましては、平成二十三年の九月三十日に指定解除されておりまして、当該郵便局、郵便の支店等とも、実はその解除以前の平成二十三年の四月以降、地方自治体と調整の上、業務を再開していたところでございます。

 ただ、郵便事業につきましては、警戒区域等の集配業務を行っていない地域あての郵便物につきましては、避難先への配達または他支店での受け取りを実施しているところでございます。

 警戒区域及び計画的避難区域に所在する支店それから郵便局等に勤務しておりました正規、非正規の社員につきましては、本人希望等も踏まえまして、近隣支店、近隣の郵便局等において勤務しているところでございます。

 それから、三番目の原発による損害の関係でございますが、私ども、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の中間指針において示されました類型に基づきまして、日本郵政グループとしては、例えば郵便局とか郵便の支店の閉鎖による営業損害あるいは配備されている機器類について、財物価値の喪失または減少による損害等とか、あるいはまた、かんぽの宿の風評被害による減収等が損害に該当すると考えられまして、現在、鋭意検討を行っているところでございます。時期等については特段の期限は定められておりませんが、今後、専門家とも相談の上、先生御指摘のような方向で適切に対処してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

重野委員 そうすると、今避難されている方々に出した郵便物は、確実にその避難者に届いているというふうに理解をしていいんですか。

佐々木参考人 先ほど申し上げましたが、避難所にいることがはっきりしている方については避難所、それから仮設に移ったことがはっきりされている方には仮設、ただ、行き先がわからない場合は、一定期間留置しまして、その後差出人の方に還付させていただく場合もございます。

重野委員 非常に困難を伴うと思うのでありますが、やはり出した方の思い、また受け取る方の思いを考えると、最大限努力をして、届くような手段を講ずるように、精いっぱい頑張っていただきたいと思います。

 最後に、株式の売却時期について安住大臣に聞きます。

 先ほど来るるお話がございました。売るということになれば、それは高く売らなきゃならぬですね。ですから、売るタイミングというのは、硬直した考えじゃなくて、そういうところはやはり柔軟にというか的確な判断をして、これは国民の財産でもあるわけですから、毀損することのないようにしっかり、高所、いろいろな立場から判断をして、誤りない結論を出していただきたいな、このように思うのですが、改めて大臣の決意を。

安住国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、今から時期を見通すことはまことに困難でございますし、国民の財産でございますし、こちら側の必要性に応じてというよりは、やはり健全な会社となって、市場で非常にその期待が高まった瞬間に、そのタイミングを見計らってということを念頭に置きながら、しっかりと対応していきたいと思っております。

重野委員 以上で終わります。

赤松委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、被災地における郵政サービスの確保の問題について質問いたします。

 東日本大震災では、郵政事業を担う日本郵政グループも大きな被害をこうむりましたが、ユニバーサルサービスの確保のために職員の皆さんも懸命に奮闘しておられたわけであります。しかしながら、閉鎖された郵便局がいまだに開局されないなど、利用者、住民の方、被災者に不便な暮らしを強いるものともなっております。

 そこで、まず、郵便局ネットワークの維持に関して質問いたします。

 東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島三県での郵便局の被害状況について、郵便局会社にまず確認をいたします。

 被災三県で、閉鎖中の直営局及び簡易局はそれぞれ幾つになっているのかをまずお答えください。

斎尾参考人 岩手県の直営の郵便局数は三百八局でございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は十八局でございます。この十八局につきましては、仮設店舗での再開の予定が七局、移転で再開を計画しているものが二局、計画が未定の局が九局でございます。

 また、岩手県の簡易郵便局数は百二十四局でございますが、このうち震災により閉鎖している簡易郵便局は十三局でありまして、いずれも復旧は未定でございます。

 次に、宮城県の直営の郵便局数でございますけれども、三百六十三局ございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は二十五局ございます。この二十五局につきましては、仮設店舗での再開の予定が六局、移転で再開を計画しているものが一局、計画未定の局が十八局でございます。

 また、宮城県の簡易郵便局数は九十三局でございますけれども、このうち震災により閉鎖している簡易郵便局は九局でありまして、いずれも復旧は未定でございます。

 最後に、福島県の直営の郵便局数は四百三十二局でございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している局は二十六局でございます。この二十六局につきましては、仮設店舗での再開の予定が二局、計画未定が二十四局でございますが、この二十四局の中には原発避難地域にある二十局が含まれております。

 また、福島県の簡易郵便局数は百十六局でございますが、このうち震災により閉鎖している局は七局でありまして、いずれも原発避難地域にあって、復旧は未定でございます。

塩川委員 被災地では、七カ月以上たっても少なくない郵便局が閉鎖をされたままで、復旧の見通しが立っていない状況にもあります。

 そこで、特に被災地を取り出して見た場合にさらにどうなるのか、個別の被災市町村で郵便局の被災状況を確認したいと思います。

 岩手県の山田町及び宮城県の石巻市におきまして、閉鎖中の直営局の数及び簡易局の数はそれぞれ幾つになるでしょうか。

斎尾参考人 石巻市の直営の郵便局数は三十二局でございますが、このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は十局でございます。この十局につきましては、仮設店舗での再開の予定が二局、計画未定の局は八局でございます。また、石巻市の簡易郵便局は五局でございますが、現在閉鎖している局はございません。

 次に、山田町の直営の郵便局数でございますけれども、四局ございます。このうち震災により窓口を閉鎖している郵便局は二局でございます。この二局につきましては、仮設店舗での再開の予定が一局、計画未定の局は一局でございます。また、山田町の簡易郵便局は三局でございますが、いずれも震災により閉鎖中でございまして、復旧は未定でございます。

塩川委員 今御答弁いただきましたように、例えば石巻市では、まだ再開の見通しが立ってない、未定の郵便局が八局もあります。この辺は安住大臣はもちろんよく御存じだと思いますが、合併前の旧北上町には郵便局が三つある。しかし、そのうちの二つはいまだに再開が未定であります。

 ここは、もともと金融機関というと漁協と郵便局だけだったんですが、漁協の方は再開の見通しが立たない。そうなりますと、一番西側にある郵便局が機能しているだけ、橋浦の郵便局だけですね。そうしますと、一番東の方の被災者の方にすると、十数キロ移動しなければ郵便局、金融機関を利用できない状況の中にあるというお話を伺っております。郵便局は地域になくてはならない存在でもありますし、速やかに再開してほしいというのが被災者の声でもあります。

 また、岩手県の山田町では、七つの郵便局のうち二つしか開局していません。これは少し奥の方の郵便局と少し高台にあるような郵便局だけで、湾に面したところの郵便局は簡易郵便局を含めて被災して、開局の見通しが立っていない。役場前に移動郵便局があるだけで、従来の場所からも離れていますし、そもそも多くの仮設住宅から遠いという状況にあります。

 こういったように、被災地においての郵便局の開局のめどが立たないということが、被災者の方々にとって非常に大きな困難を伴うものになっている。

 安住大臣、被災者の方は困っていると思うんですが、いかがですか。

安住国務大臣 おっしゃるとおりなんです。

 私の生まれたところでも鮎川郵便局というのが、海岸の方に面した、沿岸部にあるんですね。ですから、直撃を受けて、今先生御指摘の相川というのは相手の相に川ですよね、私のところは鮎に川なんですが、やはり同じように全壊している。

 ただ、局会社も多分そう考えていると思うんですけれども、避難しているのは高台の小学校だったわけですね、その地域はすべて。ですから、今、立地していた場所にもう一回建てるとなるとちょっと物理的に、市も含めて、無理だと思うんですね。

 ですから、立地する場所をまず、どこかということを特定しなきゃいけませんし、鮎川郵便局については、局長も亡くなっておられますので、そうした点からいうと非常に困難ではないかなというふうに今思っておりますが、利便性という点からいえば、都市計画等々をつくって、どこに町をつくるのかというのをそれぞれの旧町単位でやっておりますので、その計画の中でぜひ郵便局の設置というものをお願いしたいというふうに私は地元議員として思っております。

塩川委員 非常に被災者の方々が困っておられるということで、その方策をどうするのかということにもなるわけですけれども、郵便と郵貯、簡保の三事業を提供する郵便局ネットワークの維持というのは、いわばユニバーサルサービス保障の根幹であります。長期にわたる閉鎖というのは廃止と変わらないわけですから、こんなことがあっていいはずはない。

 このままでは郵政三事業のユニバーサルサービスが保障されないということでもありますので、ユニバーサルサービスの義務づけにも反するような郵便局の閉鎖状況が長期に続きかねない、こういったものについて、国としていつまでに解消するつもりなのか、総務大臣でしょうか、お答えいただけますか。

川端国務大臣 御指摘のように、今回の震災において多くの郵便局が被災し、現在においても六十九局の郵便局が閉鎖している状況にあります。郵便局株式会社においては、被災者の仮設住宅への転居の状況、地域住民のニーズを勘案して、仮設局舎での営業に取り組んでいるところでありまして、現時点で、十一局営業中、十二局建設中、三局が建設準備中であります。

 また、倒壊した郵便ポストは五百二十八カ所に及んでおり、自治体からの要望を受け、随時仮設住宅のそばに応急的に郵便ポストを設けるなど、日本郵政グループを挙げて被災者の生活維持のために努力しているところと聞いております。

 御指摘のように、閉鎖している郵便局や倒壊した郵便ポストを早急に復旧させることは必要なことでありますけれども、今、安住大臣もお触れになりましたけれども、郵便局、郵便ポストをどこに設置するかというときに、全体のまちづくりの中で決定されていくところもございます。このような観点から、地元におけるまちづくり計画が策定されるに当たり、日本郵政グループとの意思疎通や調整が行われるよう、総務省として、必要に応じて働きかけをいたしております。

 いずれにいたしましても、できるだけユニバーサルサービスの提供が遺漏なきように、最大限できる限りのことを尽くしてまいりたいと思っております。

塩川委員 もちろん、まちづくりの復興計画をしっかりつくっていく、それも被災者の立場で早期に行っていくということは当然のことでありますけれども、そうだとしても、自治体の復興計画待ちで、その後に郵便局の再建ということでは、その間の金融を初めとしたユニバーサルサービスの提供が放置されることになるんじゃないのか。

 そういう問題について、何らかの方策で当面の間しっかりとした郵政三事業を提供するような、そういった取り組みを行うべきで、市町村の復興計画がまとまるまでは郵便局の閉鎖状況を放置するということであってはならないわけで、この点についてどうするのかについて、もう一度お聞かせいただけますか。

川端国務大臣 冒頭申し上げましたように、町の郵便局というのは地域においての拠点の一つでもありますので、まちづくりが出ないと本格的なものには手をつけられないということで、今、その計画参画には可能な限りかかわるようにということで地元と連携しているところでありますが、その間は仮設局舎の対応ということが一番有効な機能であるということで、最大限これにおいて対応しているところでございます。

塩川委員 仮設局舎という話なんですけれども、郵便局会社に聞くと、まちづくりの計画を待たなくちゃいけないというところは様子見という話になっているんですよ。例えば、そういうところでも、被災者がいなくなっているわけじゃなくて、仮設住宅などに皆さんいらっしゃるわけですよね。だとしたら、仮設住宅があるところに仮設の郵便局舎をつくるということを行えばいいわけで、そういう措置こそ必要なんじゃないですか。

 まちづくりの復興計画をつくるのを待たずに、現に被災者が暮らしをしている仮設住宅の敷地内の隣接するところに仮設の郵便局舎をつくる、こういうことこそ直ちに行う、ユニバーサルサービスをしっかりと保障するのであればそういう対応こそ行うべき、この立場で国がしっかりと対応すべきだと思いますが、改めて、いかがですか。

斎尾参考人 先生のようなそういった御指摘もありまして、現在、仮設の店舗により、復旧予定の郵便局のうち三局でございますけれども、宮城県亘理町、それから福島県相馬市、いわき市に設置されました大変大規模な仮設住宅がありますので、その近くに仮設の郵便局を設置する計画でございます。

 ただ、復旧の見通しが立っていない郵便局はたくさんございますので、これらにつきましても、地域の復旧状況、仮設住宅の入居状況を引き続き注視しながら対応してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 被災地では数十の郵便局が畳んだままなんですよ。そういうところに、被災者の方が避難生活をしておられる仮設住宅の近隣にしっかりとつくる。今、三つしかないんですよ。こんなことでいいのか、残りの数十についてはずっと復興計画待ちでつくらないのか、このことこそ問われているわけで、やはりここは踏み出すような対策をしっかりと国として示すべきじゃありませんか。改めて、総務大臣。

森田大臣政務官 先ほど大臣が言われて、今斎尾専務が言われて、そして今先生の御指摘なさったことは、まさにそのとおりでございます。

 私も、十月、今斎尾さんが言われた福島・相馬の仮設住宅近隣の郵便局を仮設として見に行きました。その中でやはり感じたことは、仮設住宅の近くに郵便局はつくりますけれども、そこにいる人から見て本当にこれは便利なところかということは、つくったところでもやはり検証は必要です。高台につくった住宅というのは、坂道があります。高齢者の人が入ると、歩いていくのが結構大変かなと思うところもありますので、これから冬になればなおさらですから、そういった住民の目線に立って、近いところでできるだけつくってもらえるように指導しているところです。

 それで間に合わないところは移動郵便車、渉外職員は今フル回転で頑張っております。それに、石巻の集配センターが被害を受けた。牡鹿半島も受けた。そして今、石巻の郵便局から牡鹿半島まで、職員の皆さんが自助努力の中で片道一時間以上かけて集配に行って、努力しています。そういうところにも早く集配センターをつくるなりのことをして、一刻も早く、これは年末までというところがやはり努力目標としてあるんだろうと思います。年賀状のこともありますので、努力をすべく、今後とも指導させていただきたいと思っております。

塩川委員 いつまでにという問いに対して、年末までにという話でよろしいんですかね。

斎尾参考人 すべての局というわけにはいかないと思いますけれども、先ほど森田政務官の方からも言われましたように、できるだけ私どもとしても努力していきたいと思います。

塩川委員 旧北上町とか例えば山田町というのは実際には過疎地に当たるところですから、少なくとも現行の民営化法でも、過疎地に当たるところについての郵便局のネットワークの水準の維持というのははっきりさせられているわけですから、そこの郵便局が現に長期間存在していないんですよ。そういったところにしっかりと仮局舎でもいいからつくるということこそ行うべきで、その立場で、改めて大臣、年末までにしっかりと対応するということについて話していただきたい。

安住国務大臣 塩川先生、鮎川郵便局に例えれば、確かに一日も早くというのはあるんですけれども、そこには今、人は住んでいないんですよ。そこの集落の人たちは別の仮設に分散して住んでいらっしゃるから、そこに局舎をすぐつくれといっても、多分、合理性があるかどうかということで、今、さっき御指摘にもあった飯野川の橋浦郵便局や河北郵便局という最寄りの郵便局から配送を仮設住宅にやっている。

 だから、地域の事情によるんじゃないでしょうか。地域の事情によっては、沿岸部で全く集落の、私の大原浜郵便局も鮎川郵便局も、どんどん私は全部言えますけれども、女川、雄勝、全部言えます。だけれども、それは全部今、実際はそこには人が住んでいなくて、仮設に分散しているという御事情もお酌み取りいただいた方がいいかもしれません。

塩川委員 ですから、仮設住宅の近接するところにつくるということをしっかりと行うべきだ。要するに、金融の窓口サービスの問題なんですよ。金融の窓口サービスを提供する郵便局が必要なわけですから、それをどう保障していくのかということこそ求められているわけです。

 あわせて、簡易局の問題もあるわけです。

 簡易局の方は、委託者の方自身が被災もされておられて、財産も失っておられる。そういったときに、再開できるかどうかということで、非常に悩みの中にいらっしゃるわけですね。

 そういったときに、簡易局をきちっと再開するということであれば、そういう簡易局の委託者に対しての委託の手数料をさらに引き上げるといった対応を行うとか、仮にそういうところで一定の時間がかかるとしても、直営の分室を設けるとか、何らかの措置というのは可能だと思うんです。そういう対応について、ぜひとっていただきたいと思うんですが、いかがですか。

川端国務大臣 もともと大変な困難の中で御苦労いただいている被災者の皆さんにサービスを提供するということで、今、いろいろ御指摘いただきました。

 地域のそれぞれの事情の中で最大限そういうことが前に進めるように今も株式会社としては努力していると思いますけれども、よく実情を把握する中で、御意向をよく踏まえて、前にできるだけ進めるように最大限督促をし、指導したいと思っております。

塩川委員 森田総務大臣政務官が年末までにというお話をされましたから、ぜひそういう対応でこういった再開に向けた働きかけというのを郵便局会社、郵政グループとして行っていただきたいと思いますし、国としてもしっかりとユニバーサルサービス、ネットワークの水準の維持という立場で働きかけを行っていただきたい。

 それから、仮設住宅との関係でも、住んでいる場所が今変わっているわけです。ポストの問題があります。ですから、津波で流されたようなポスト、そこに改めて今ポストをつくれという話には当然なりません。そういう意味でも、この間の被害で、やはり仮設住宅にポストを設置してほしいという要望というのがどこでも上がっているわけです。

 そこで、郵便事業会社にお尋ねしますが、被災三県において、被災したポスト数、その後被災地に設置をしたポスト数がどのぐらいあるのか、お答えください。

中城参考人 お答え申し上げます。

 岩手、宮城、福島の三県で被災した地域に、流失したポストが二百五十三本、損傷度合いがひどく使用不能なポストが二百七十五本、合わせて五百二十八本が使用不能であるということが判明しております。ただし、その中には、原子力発電所事故の警戒区域に所在する本数は除いております。

 これに対しまして、仮設住宅や地方公共団体等からポストの設置の要請があり次第、順次設置しているところでございます。その本数につきましては、震災の影響で新設したポストと経年劣化によって立て直したポスト数を分離して集計することは現時点では困難でありますが、岩手県、宮城県内で甚大な被害を受けた郵便事業会社七支店、宮古、大船渡、釜石、陸前高田、石巻、塩釜、気仙沼について、震災の影響により新設したポスト数につきまして確認しましたところ、現時点で七十七本のポストを設置しているところでございます。

塩川委員 例えば、先ほど紹介しました岩手県の山田町では、仮設住宅の敷地内にポストというのは、設置はどうなっていますでしょうか。

中城参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の山田町でございますが、震災前には三十七本のポストが設置されておりましたが、震災により流失、倒壊したポストは十四本となっております。現時点で新設したポストは三本でありまして、十一月中旬までに設置が決定しているポストが四本となっております。このうち三本が仮設住宅の周辺に設置するものでございます。

塩川委員 今後建設する四本のうちの三本が仮設住宅というお話で、現時点では立っていないんですよね。ですから、七月ぐらいまでにほとんど仮設住宅の建設が終わって入居が始まりました。山田町では四十六カ所の仮設住宅があるわけですけれども、そういった仮設住宅に現時点でもポストが一つもないんですよ。住民の方々がそこに住んでいるにもかかわらず、郵便局舎をぜひと思いますけれども、少なくともポストはあって当然じゃないのか。流失をしているのがたくさんあるにもかかわらず、新たに設置をしたところというのはそのうちのごく一部であって、実際に被災地の仮設住宅の敷地内に立てたというのはほとんどない。例示をした山田町については、現時点では一つもないということです。

 そういう点では、自治体からの要望があれば、あるいは住民からの要望があれば設置をする、仮設住宅の敷地内にポストをつくるということを約束していただけますか。

中城参考人 仮設住宅のポストの設置につきましては、住民の方々からの設置の要望または自治体からの要望というものが関係支店等にあれば、近隣のポストの設置状況をかんがみまして、適切な設置場所の選定及び土地所有者に対する許可等の手続を経て実施するようにしているところでございます。

塩川委員 川端総務大臣も被災地に行かれまして、例えば岩手県の大槌町でも仮設住宅にポストが欲しいという要望があったということをお聞きもしております。そういう点でも、ポストの設置については、ぜひともしっかりと要望にこたえて早急に設置するということを、郵便のユニバーサルサービスをしっかり保障する観点からも、総務大臣として日本郵政、郵便事業会社の方に働きかけをしていただきたいと思いますが、一言いただきたい。

川端国務大臣 ポストの設置について、先ほど会社の方から御説明もありましたけれども、地域の皆さんの御要望を含めて、できるだけ適切な場所に設置できるように最大限の努力をしていただきたいと私からも要請をしたいと思っております。

塩川委員 終わります。

赤松委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 郵便事業会社の経営状態についてお尋ねします。

 二〇〇七年度から二〇一〇年度にかけて、郵便事業会社の営業損益、営業収益、営業費用はどのようになっているか、お尋ねします。

自見国務大臣 山内議員にお答えをいたします。

 郵便事業株式会社における二〇〇八年度以降の決算状況については、営業収益は毎年度減少、それから営業費用は、二〇一〇年度に増加に転じた結果、二〇一〇年度末には千三十四億円の営業赤字を計上したところでございます。

 この結果は、民営化以降も郵便事業株式会社を含む日本郵政グループの事業環境の厳しさに変わりはなく、将来にわたって郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスを税金を投入せずに実施してもらうためには同グループのより一層の経営努力が必要であり、政府としては、経営の自由度を上げるために、速やかに郵政改革関連法案を成立させることが必要であることを促す内容であるというふうに考えております。

山内委員 私は数字だけ聞いたわけです。事務方にもきのうそのようにお伝えしていたと思います。もう一度、三つの数字について、各年度、教えてください。

自見国務大臣 二〇〇八年度は、営業収益が一兆八千六百五十二億円、それから営業費用が一兆八千二百三億円でございます。それから、営業損益が四百四十八億円でございます。

 二〇〇九年度は、営業収益が、全体でございますが、郵便事業、ちょっとお待ちください。森田大臣政務官からさせていただきます。

森田大臣政務官 二〇〇七年以降の郵便事業会社の経常収支ということでよろしゅうございますでしょうか。

 二〇〇七年度におきましては、経常収益が……(山内委員「営業収支です」と呼ぶ)営業収支。こちらには経常収支で数字をいただいておりますが。

 大変失礼いたしました。営業収支を申し上げますが、一兆五百三十六億円、営業収益でございます。そして、営業費用が九千四百九十九億円、そして営業損益が一千三十七億円でございます。

 二〇〇八年度が、一兆八千六百五十二億円、これが営業収益でございます。そして、営業費用が一兆八千二百三億円、営業損益が四百四十八億円でございます。

 二〇〇九年度におきましては、営業収益が一兆八千百三十億円、そして営業費用が一兆七千七百二億円、営業損益が四百二十七億円でございます。

 そして、二〇一〇年度に行きますが、営業収益が一兆七千七百九十八億円、営業費用が一兆八千八百三十三億円、そして営業損益がマイナスの一千三十四億円でございます。

山内委員 二〇〇九年から二〇一〇年にかけて、非常に経営が悪化しているということは間違いなく言えると思うんですね。その原因をどのように自見大臣はお考えでしょうか。

森田大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本郵政グループにおけます二〇〇八年度以降の決算状況に関しましては申し上げたとおりでございますが、やはり物数減ということが非常に響いているのかな、そのように思っているところでございます。

山内委員 そんなに難しい質問をしているつもりはないんですけれども、期待していたこととしては、まず、郵便事業の社員に関して、亀井大臣になってから、例えば契約社員を正社員に変えるといったことがありました。

 郵便事業会社の事業計画というのを拝見しますと、平成二十二年四月一日の段階で正規の社員数が九万六千六百人、これが一年後、平成二十三年四月一日になると十万二千三百人。一年で五千七百人、正規の社員がふえているわけです。それから、契約社員についても、平成二十二年四月一日の段階の契約社員が八万五千人、これが一年後には何と十万二千四百人。正社員も契約社員もかなりふえている。両方合わせると二万三千人ぐらい社員がぐんとふえているわけです。

 先ほどちょっと民主党の石関さんに聞いたら、ペリカン便の統合などで問題があって若干契約社員をふやしたというような事情もあると聞きましたが、それだけでは、二万人近く契約社員がふえている、これはどうも説明がつかないんじゃないか。これだけ社員をふやしたら収益は悪化して当たり前だと思いますけれども、これはどういう背景があるんでしょうか。

自見国務大臣 山内先生にお答えをいたします。

 基本的に、契約社員の正社員化は、日本郵政グループの経営判断により実施されたものだというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、私も当時国民新党の幹事長でございまして、亀井静香担当大臣が、何も正式な話じゃございませんが、人間というのをあくまで人件費というくくりの中で、四十になっても五十になっても六十になっても年収二百万円だ、そういった、あくまで人間を人件費として考えるということは、自分は社会のあり方としていかがと思うと。

 やはり非正規社員化、二〇〇四年でございましたが、労働基準法の規制緩和あるいは人材派遣業法の発展がありまして、確かに経営者としては人件費を抑えることが名経営者かもしれないけれども、今度は、抑えられた人間の方は本当に人間的な生活ができないということを大変強く亀井大臣が言っておられました。これはあくまで経営判断でございますが。

 韓国の場合も、契約社員を正規社員にするとき実は税額控除の税制制度をつくっておりますし、この前聞きましたが、シンガポールも実は、非正規社員を正規社員にしたときに税制上の優遇措置を与えたということでございます。

 私は、千七百万人の非正規社員がおる今、世の中、ずっとこれが増加いたしておりますので、そういったことは大きな政治の課題だというふうに認識をさせていただいております。

山内委員 今おっしゃったことでいうと、契約社員数がすごくふえていることの説明には全くなりません。これはどうお考えでしょうか。

 もう一度言いますね。平成二十二年四月一日、契約社員が八万五千人でした。それが、二十三年四月一日に十万二千四百人にふえております。正社員になった五千何百人契約社員は本来減っていていいはずなのに、ふえているわけですから、合わせると二万人ぐらいふえているわけですね、これをペリカン便云々の問題だけで説明するには無理があるように思うんですが、いかがでしょうか。

森田大臣政務官 先ほどのに補足させていただきます。

 契約社員の増加理由としましては、おっしゃいましたとおりエクスプレスの問題、ペリカン便からの移行を受け入れなければいけなかった方々が三千四百名いらっしゃいます。そして同時に、ペリカン便であればサービス水準維持のためにもう少したくさんの人が必要だったわけですが、エクスプレス移管のサービス水準を落とさないというために七千六百名の雇用増が余儀なくされたわけであります。

 そして、昨年七月前後に遅配問題が起きて、大変なシステムトラブルが起きたわけでございますが、それへの対応、年末・年度末対策として四千百名のさらなる雇用、これは臨時暫定的な雇用と認識しておりますが、それを受け入れざるを得なかった。一方で、正社員登用による減が六千五百名、これがマイナスでございます。

 そして、その他業務にかかわる追加雇用が八千八百名必要になりました。この八千八百名が、いわゆる分社化ロスによります、例えば一人で総合担務ができない、いろいろな局員あるいは渉外職員の担務というものが制限されることに基づいた全国的な措置ということで八千八百名追加をしたということで、都合十万二千名余になったということでございます。

山内委員 二〇〇九年の政権交代以前にもう少し少ない人数でやっていたことが、分社化ロスで八千八百人という御説明がありましたけれども、それにしたってちょっと多いのかな。集配センターの数もほとんど変わっていないし、局の数もほとんど変わっていない。そんな中で何万人ふえる。しかも、先ほど契約社員は非人間的だと大臣がおっしゃいましたけれども、その契約社員がすごくふえているわけですね。そこは大臣はどのようにお考えなんでしょうか。

自見国務大臣 亀井大臣のリードによりまして、私も、信越地方、新潟とか東京だとか、たしか福岡にも行きましたが、郵便局会社の非正規社員の方五十人ぐらいに集まっていただきまして、一時間ほど率直な話を聞かせていただきました。話の一々は紹介しませんけれども、正規社員になったらぜひ結婚したいけれどもという話をしましたが、たしか中国地方でございました。

 当時は一年間にたしか五人ぐらいしか非正規社員から正規社員になれないというような話も聞いておりましたので、そういった意味で、本当に非正規社員の問題というのは今の先進国が抱える極めて大きな問題点だというふうに当時私は認識をいたした。

 しかしながら、先生御存じのように、子供を産むとか育てるという場合、かえって非正規社員の方が都合がいい方もおられました。しかし同時に、そういった中で、同じ、ほとんど変わらぬ労働をして、自分たちはボーナスがたしか二万円から一番多くて十万円だという話をしていまして、どうして我々はこういう低賃金でほとんど変わらない労働をせねばならないのか、あるいは、非正規社員であれば社員訓練というか社員教育も受けられない、そんな声も聞かせていただいたことを思い出します。

 そういった今の社会が抱えている大変基本的な問題点ではないかというふうに、私は亀井大臣と一緒に各地を回らせていただいて、一時間ほど非正規社員の話を聞かせていただきまして、そういうふうに考えたわけでございます。

山内委員 ちょっとかみ合っていないんですけれども、契約社員よりも正規社員が望ましいという大臣のお考えに従うのであれば、契約社員をこんなにふやすのじゃなくて、もっと正社員をふやさなきゃいけなくなるんじゃないですか。分社化ロスが八千八百人とかあるのであれば。なのに、契約社員が二十二年四月から二十三年の間にかけて物すごくふえている。そのうちの一部は一時的な業務だということでよくわかりましたけれども、それ以外も含めて相当ふえている。こんなことをしていたら株はだれも買ってくれないんじゃないか。

 合理化、効率化どころか、どんどんどんどん人がふえていくような、こういう肥大化のみが進んでいるようにしか見受けられないというのが、何となくこの数字から見て思うところなんですけれども、これ以上やっていくとほかの質問ができませんので、次の質問に行きたいと思います。

 亀井大臣と原口総務大臣のころに、郵貯の預け入れの限度額を引き上げるという議論がありました、先ほど来何人かの方が質問されておりますが。野田総理大臣が財務副大臣時代の二〇一〇年三月二十五日にこういうことをおっしゃっているんですね、限度額を引き上げると民業圧迫の可能性がある、よほど注意しなければならないと。これは野田当時財務副大臣がおっしゃったんですけれども、これについて自見大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。

自見国務大臣 今さっきから何度か答弁させていただいておりますけれども、亀井大臣と原口当時の大臣が、各方面の意見を聞きながら、国民の貯蓄動向、国民の利便性、郵政事業の経営状態等を勘案しつつ、信金、信組等の中小地域金融機関や中小生損保への影響等を考慮し、バランスのとれたものとなるように総合的に判断したものだというふうに仄聞をいたしております。

 野田当時の財務副大臣がそういう発言をされたということは今初めて聞かせていただいたわけでございますけれども、いろいろな意見もあると思いますが、引き続き当該方針を踏まえつつ、まさに法案審査の中でさまざまな御意見を伺った上で、適時適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

 先生御存じのように、これは郵政改革関連法案の内容とは直接関係がない政令事項でございますから、そういった意味でも、しっかり適時適切に対処してまいりたいというふうに思っております。

山内委員 それでは、野田副大臣時代におっしゃっていた発言は誤った内容であるというふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。

自見国務大臣 それは、先生、いろいろあるうちの一つの判断材料だというふうに判断させていただいております。

山内委員 今、野田内閣が成立したわけですから、内閣の中で恐らく統一的な意思がないとおかしいんだと思うんですけれども、それでは、もしかしたらまだ野田総理とこの件で意見の調整をされたことがないのかもしれません。

 やはり野田当時財務副大臣がおっしゃった懸念というのはいろいろな人が持っている懸念でありまして、民業圧迫になってしまうんじゃないか。特に、今度の政府案に従うと政府の関与が間接的ながら残るわけですから、一般の人からすると、政府保証がついているんだろうなという感覚を持たれてもおかしくないと思うんですね。

 そういった懸念に対して、懸念を持っている人は決して少なくない数いらっしゃると思うんですけれども、改めてどのように説明をされるんでしょうか、自見大臣のお考えをお聞きします。

自見国務大臣 繰り返しになるようで恐縮でございますが、法案審議の中でさまざまな御意見を伺った上で、適時適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

山内委員 ちょっと時間が中途半端なので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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