衆議院

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第5号 平成23年5月30日(月曜日)

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平成二十三年五月三十日(月曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 後藤 祐一君 理事 橋本 清仁君

   理事 藤村  修君 理事 三日月大造君

   理事 山口  壯君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      打越あかし君    太田 和美君

      奥野総一郎君    梶原 康弘君

      金子 健一君    川口  博君

      木村たけつか君   菊池長右ェ門君

      郡  和子君    近藤 洋介君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    高井 美穂君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      中林美恵子君    長尾  敬君

      畑  浩治君    平山 泰朗君

      三村 和也君    村越 祐民君

      谷田川 元君    若井 康彦君

      鷲尾英一郎君    赤澤 亮正君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      伊東 良孝君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    小泉進次郎君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      高木美智代君    佐々木憲昭君

      高橋千鶴子君    服部 良一君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君    園田 博之君

    …………………………………

   議員           石破  茂君

   議員           加藤 勝信君

   議員           石田 真敏君

   議員           齋藤  健君

   議員           橘 慶一郎君

   総務大臣         片山 善博君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国務大臣

   (防災担当)       松本  龍君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   外務副大臣        伴野  豊君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   経済産業大臣政務官    中山 義活君

   環境大臣政務官      樋高  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     柿澤 未途君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  山内 康一君     柿澤 未途君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     木村たけつか君

  石山 敬貴君     金子 健一君

  打越あかし君     平山 泰朗君

  近藤 洋介君     三村 和也君

  高井 美穂君     磯谷香代子君

  若井 康彦君     奥野総一郎君

  鷲尾英一郎君     稲富 修二君

  秋葉 賢也君     赤澤 亮正君

  小里 泰弘君     伊東 良孝君

  長島 忠美君     小泉進次郎君

  斉藤 鉄夫君     高木美智代君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

  吉泉 秀男君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     高井 美穂君

  稲富 修二君     鷲尾英一郎君

  奥野総一郎君     若井 康彦君

  金子 健一君     石山 敬貴君

  木村たけつか君    石原洋三郎君

  平山 泰朗君     中林美恵子君

  三村 和也君     近藤 洋介君

  赤澤 亮正君     秋葉 賢也君

  伊東 良孝君     小里 泰弘君

  小泉進次郎君     長島 忠美君

  高木美智代君     斉藤 鉄夫君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

  服部 良一君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案(内閣提出第七〇号)

 地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件(内閣提出、承認第五号)

 内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七一号)

 東日本大震災復興再生基本法案(石破茂君外四名提出、衆法第八号)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、東日本大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、地方自治法第百五十六条第四項の規定に基づき、現地対策本部の設置に関し承認を求めるの件及び内閣法及び内閣府設置法の一部を改正する法律案並びに石破茂君外四名提出、東日本大震災復興再生基本法案の各案件を議題といたします。

 この際、各案件審査のため、去る二十七日、福島県、宮城県及び岩手県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの後藤祐一君、橋本清仁君、藤村修君、自由民主党・無所属の会の谷公一君、額賀福志郎君、公明党の石田祝稔君、日本共産党の高橋千鶴子君、社会民主党・市民連合の吉泉秀男君、みんなの党の山内康一君、そして私、黄川田徹の十名であります。

 初めに、この災害により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様方に対し、衷心よりお見舞い申し上げます。

 それでは、審査の概要について御報告申し上げます。

 まず、福島県自治会館において、佐藤知事から、地震、津波、原子力発電所事故及び風評という四重苦のもとでの被害及び対応状況について説明を聴取するとともに、被災者の生活再建を支援するための制度の拡充、災害復旧経費の全額国庫負担、原子力災害からの復興を検討する協議の場の設置等について要望を受けた後、復興基本法案に対する所見、被災地の復興に対する国の関与の程度、復興のための国の組織のあり方、原子力災害による被災者に対する賠償等支援策のあり方、原子力発電所事故の被災者に対し被災者生活再建支援金が支給されない問題、今後のエネルギー政策、避難者に対する支援策等について意見交換を行いました。

 次に、宮城県庁において、村井知事から、被害及び復旧状況について説明を聴取するとともに、災害復旧事業費等の全額国庫負担による一括交付金化、平成二十三年度第二次補正予算の編成に向けての追加予算措置、災害廃棄物への国の関与の強化等について要望を受けた後、復興のための国の組織のあり方、瓦れき処理の進捗状況、瓦れきの県外処理の見通し、日本の米が国際競争に勝てるような農業の仕組み、地すべりによる宅地の地盤崩壊への対策、復興基金の造成に対する国の支援の必要性、宮城県が検討中の水産業復興特区についての考え方、平成二十三年度第一次補正予算の執行状況と使い勝手、東北地方の高速道路無料化に向けての課題等について意見交換を行いました。

 最後に、岩手県庁において、達増知事から、津波被害の概況及び復興への取り組みについて説明を聴取するとともに、復旧復興事業に対する国庫負担率の引き上げ、補助対象の拡大及び採択基準の弾力化、早急な追加予算等による被災住民への強力な支援、三陸沿岸地域を縦貫する道路など社会資本整備の促進等について要望を受けた後、復興基本法案に対する所見、被災地の復興に対する国の関与の程度、市街地の高台への移転という考えに対する地域住民の反応、平成二十三年度第二次補正予算の提出時期、被災した医療機関への支援の必要性、防潮堤等の防災施設の効果の検証、復興基金の造成についての考え方、被災者や被災企業の二重ローンの解消方策、被災者生活再建支援制度の充実の必要性等について意見交換を行いました。

 以上が審査の概要でありますが、私どもはこの審査を通じまして、被災地域を一日も早く復旧復興し、被災者の皆様方がもとの生活に戻れるよう、国と被災地方公共団体が緊密に連携して、復興施策を早急かつ強力に推進するとともに、福島第一原子力発電所の事故による被災地域については、この事故を何としても早期に収束させ、きめ細かい支援を行っていく必要性を痛感いたしました。

 最後に、今回の審査に御協力をいただきました皆様方に心から御礼を申し上げ、派遣の報告とさせていただきます。

 この際、お諮りいたします。

 各派遣地からの要望事項につきましては、これを本日の委員会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔要望事項は本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

黄川田委員長 引き続き、お諮りいたします。

 各案件審査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島忠美君。

長島(忠)委員 おはようございます。自由民主党の長島忠美でございます。

 質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 東日本大震災の初動のことについて、少しきょうはお聞かせをいただきたいなと思います。

 つい先日、黄川田委員長のふるさとである広田半島、広田小学校に寄せていただくことができました。黄川田委員長は、御家族を亡くされながら、なお震災復興のために身を粉にしてこの重責をお務めいただいておりますことに、心から改めて敬意を表させていただきたいと思います。

 特に、黄川田委員長の大事な秘書さんでいらした菊池さん、六年半前、中越大震災の折に我が山古志村が被災をしたときに、長岡高等学校という体育館に駆けつけていただいて一カ月ほど住民のそばに寄り添っていただいた青年でありますが、残念ながら今回の津波によってとうとい命を犠牲にされた。旧山古志村民一同、悲しみの中で、心から哀悼の誠をささげたい、そんなふうに思うところであります。

 そのためにも、この委員会の議論、実りあるもの、被災者目線でなければならないと改めて覚悟をしながら質問させていただきたいな、そんなふうに思います。

 きょうは、厚生労働大臣が少しお時間の関係がございますようでありますので、冒頭、厚生労働大臣に少しお聞かせをいただきたいと思います。

 政府の予定では、仮設住宅の完成が八月、お盆ということでございます。かなり、この規模で、政府としては早いということなんでしょうが、私は、被災を体験して避難所で暮らした経験からすると、この夏、お盆まで避難所の中で暮らすことには大変大きな困難がつきまとうんだろうと思うんです。ここまで来た八十日余り、さらに新たな対策がやはり必要だと思うんですが、支援の具体的な方法の考え方があったら、少し厚生労働大臣からお聞かせをいただきたいと思います。

細川国務大臣 おはようございます。

 私の方から、この夏に向けての対策などについてお話を申し上げたいと思いますが、いよいよ避難生活も長期間にわたって、梅雨に入って暑い夏を迎える、こういうことになります。まずはしっかりした仮設の住宅、ここを国土交通省の方で頑張っていただいておりますけれども、仮設の住宅に入っていただけるようにまずすること、そしてその仮設住宅については、私ども、民間の住宅も借りまして、それを仮設の住宅として使っていただくということで仮設の住宅をふやす、こういうことがございます。

 それから、健康面で、これから夏に入ってまいりますから、この点については十分な対策を立てていかなければいけないというふうに思っております。夏に入り熱中症が心配もされますので、暑さ対策、そのために、都道府県に対しまして既に連絡をいたしておりますけれども、冷房機の設置とかあるいは仮設の洗濯所、簡易シャワー、仮設のふろの設置とか、いろいろな工夫をされて、夏の暑さに対応できるような、そういうことをぜひやってほしい、こういうことをお願いいたしております。

 それから、網戸の設置とか殺虫剤、アルコール消毒とか衛生の用品、それらも大変大事だというふうに思っておりますし、これらについては、健康管理のために、保健婦さんの巡回等でしっかりした栄養管理、そういうこともやっていただきたいというふうなところを今進めているところでございます。

 あれは新潟県の中越地震のときでしたでしょうか、あのときには、車で避難生活をしている方なんかがその車の中で亡くなられるというようなこともございました。そういうことについての対策もしっかりやらなければいけないということで、避難所における熱中症予防対策ということで五月二十六日付で事務連絡をいたしまして、夏の体育館の暑さに対応するようなことを進めているところでございます。

長島(忠)委員 仮設の対策というふうに聞こえたんですが、避難所の体育館を本当に冷房で冷やせる対策は、具体的にはどういうことですか。

細川国務大臣 これは確かに難しいと思います。

 考えられることは、大きな冷房装置を設置するとか、あるいは氷の柱を体育館にどんどん立てて涼感を味わっていただくとか、そういうようなことしか余り考えられませんけれども、これまでの経験としては、氷を立ててやるのなんかがお年寄りの皆さん方にとってはいいのではないか、こういうことも期待もされておりまして、それらについて進めていただく、こういうことを考えております。

長島(忠)委員 柏崎のときの経験からいうと、氷と大型の冷房機では冷えませんよ。何が起こるかというと、夜は比較的冷えやすいでしょう、若い人は昼間働きに出ていますよ、一番熱中症の被害を受けやすい高齢者が昼間体育館に残っているんですよ。

 やはり、その人をどう熱中症から救うか、健康被害から救うかという目線からいったら、もし検討されているんだったら、本当にそのことを実践して、有効かどうかは調べる必要がある、それだけの覚悟はあるのかどうか、お聞かせいただきたいのと、私は、究極は、仮設住宅の完成時期を避難所に明示して、その間少し温泉施設とかそういったところに避難をさせていただく方法を検討しているぐらいの話は聞きたかったんですよ。そうしなかったら、長期の避難生活の中で多分健康を守れないですよ。その辺の考え方についてちょっと。

細川国務大臣 これは失礼いたしました。私の方から申し上げればよかったんですけれども、長島委員の方からも以前からこのことについては御提言もいただいておりまして、これについては、避難されている方が、一時期、期間を決めて、避難所を離れてホテルとかあるいは旅館等へ行ってリフレッシュしていただく、こういうこと、これはぜひやっていただきたいということで、これは厚生労働省としても全面的に、避難されている皆さんにお勧めをしたい。自治体の方もそれに取り組んでいただくように、それはこちらからお願いをし、御連絡もさせていただいたところでございます。御提言は本当にありがとうございました。

長島(忠)委員 それでも避難所を離れたくない人たちが出てくると思うんですね。そのときに、やはりきちんとした暑さ対策あるいは健康対策、夏場は多分、今はほとんどの避難所は週三日ぐらいしかふろへ入っていないようですけれども、週三日ぐらいのおふろで健康が管理できるとはちょっと思いにくいですね、特に、ほこりの舞うところで作業に当たったりすると。だから、やはりそこのところは早急に検討して、結論を出して、自治体にお金を含めて配分していただくということが大事なことなんだと私は思うんです。

 仮設住宅のことをさっき大臣は少しお触れになりましたので、仮設住宅にバリアフリーという発想はありますか、どうですか。ちょっとお聞かせください。

細川国務大臣 これは、仮設住宅の中でも、特に御高齢の方、要介護の方もおられますので、そういう皆さんのためにも、仮設についてバリアフリー的なことについては考えて設置をしていただいているところでございます。

長島(忠)委員 多分、個別の住宅の玄関のバリアフリーのことを厚生労働大臣は想定してお答えになったんだと思うんですが、仮設住宅が設置をしてある敷地内の道路のバリアフリーについては想定をしていますか、どうですか。

細川国務大臣 これは、避難所には、当然その周辺の敷地あるいは道路とかを利用されるわけですから、それはバリアフリーも考えていかなければいけないというふうに思いますけれども、今のところ、指摘をされて私もあっと思いましたけれども、これはやはりバリアフリーをしっかりやっていかなければというふうに私は今思いまして、これは指示されていなかったら指示をするようにしたいというふうに思います。

長島(忠)委員 多分予算の関係だと思うんですけれども、バリアフリーという構想の中で、多分、今、国交省が一生懸命やっていただいている仮設住宅の周りの敷地は砂利敷きだと思うんですね。これが仕様になっていると思うんです。ただ、高齢者のことを考えたら、砂利敷きでは二年、三年という仮設住宅暮らしの中でかなり困難ではないかなと思いますよ。

 敷居の一段を上がるのに大変苦労をされる高齢者も仮設住宅に入ることを考えたら、砂利の一粒一粒がやはり歩くときの障害になります。それともう一つ、どうしても手押し車で歩かなければいけない高齢者もいることを考えたら、砂利敷きで二年、三年生活をさせるということについて、私は非常に心配をします。

 だから、それはお金の問題だと思うので、厚生労働省が仕様の中に仮設住宅の周りの舗装を入れていただいて国交省に配分してもらえば国交省はやっていただけるんだと思うんですが、その辺の考え方はどうですか。

細川国務大臣 大変よい御指摘をいただいたと思います。その点については前向きに検討して、国交省とも相談をさせていただきたいと思います。

長島(忠)委員 特に高齢者の皆さんが長い間仮設住宅で暮らすことについて、ストレスも含めてかなり困難でしょうから、ぜひできるだけのことをしてあげてほしいなと。それはもちろん費用がかかることですから大変なことはよくわかりますが、ただ、費用をかけることを惜しんで命を失うようなことがあっては、これはたまったものじゃないと思うんですね。だから、ぜひ国交省にお金を回していただいて、国交大臣から取り組んでいただけるように、できるだけ早く善処していただきたいと思います。

 厚生労働大臣、お時間がないようですので、あとは結構です。どうぞお願いをいたします。

 それでは、前向きに検討をいただいたので、ちょっと優しかったかもわかりませんが、国土交通大臣に。

 被災者に約束をして国会に公開をした三万四百五十九棟の期限があしたになりました。今の進捗状況について、率直にお聞かせをいただきたいと思います。

大畠国務大臣 長島議員にお答えを申し上げます。

 ただいまの応急仮設住宅建設の現在の状況でございますが、きのう時点でございますけれども、着工済みの戸数が三万六千五百十九戸であります。それから、完成戸数が二万一千三百七十七戸でございます。

 また、いろいろと現在の状況について調査をいたしました。きのう時点でありますけれども、あと二日間で八千六百戸というのは完成は非常に難しいということで、現在、五月末時点、あした時点での完成戸数の見込みは二万五千四百戸。この二万五千四百戸というのは、百戸単位とか五十戸単位のところで全部完成したものを集計したのが二万五千四百戸でありますが、その百戸単位の中でも完成している戸数等々がございますので、そういうものを含めますと千八百戸、要するに建築工事の終了した戸数が約千八百で、合わせまして二万七千二百戸ということになるわけであります。

 私としては、五月末を一つの目標として三万戸建設しよう、こういうことで全力を挙げてまいりましたが、この間、自治体あるいは県、市町村、そして工事関係者の方、きのうの暴風雨、きょうもそうでありますが、この中でも一生懸命工事に当たっている皆さんには心から感謝を申し上げますが、現実の状況としては、今申し上げましたように、三万戸まで届かないというのが率直な状況でございます。

長島(忠)委員 国土交通省も現場におられる企業の皆さんも最善の努力をされていることを私も評価したいと思います。

 この二万七千戸、三万戸に届かない二万七千戸にとどまったということを私はきつく非難するつもりではなくて、被災者が、三万戸ということの中で、五月末になったら入れるという希望を持っていた人たちの気持ちを考えると、どこに原因があったのか、では、これからさらに何をしていったらいいのかということの反省と対策がやはり必要だと思うんです。

 そのことについて、考え方があったら少しお聞かせをいただきたいと思います。

大畠国務大臣 お答えを申し上げます。

 私としては、五月の初旬におおよそ三万戸の着工に入りましたので、三週間から四週間あれば完成する、こういうことで三万戸建設が達成されると思っておりましたが、現実のところ、ちょっと写真がございますけれども、造成に非常に手がかかる用地等に今入っておりまして、その用地造成に大体一週間以上かかっているというのが現状でございます。

 そういうことで、私の当初のもくろみの三万戸というのは、大変申しわけなく思いますが、一週間程度おくれる、こういう状況になってきております。

 ただ、私としては、確かに土地の確保が難しいという状況でありますが、工事関係者の方が一生懸命頑張っていただいておりますし、長島議員から御指摘のように、一日も早く避難所から仮設住宅等々に移れるように、そのお気持ちというのは私も同じでありまして、先ほどから御論議をいただきましたが、避難所での生活を一日も早く終えて、仮設住宅なりホテルや旅館なり、あるいはアパートなり、そういうところに移っていただくためにあらゆる努力をしてまいります。

 いずれにしても、土地の確保が非常に難しかった、これが主原因であろうと私は考えているところであります。

長島(忠)委員 個別の仮設住宅について国土交通省が最善の努力をされていることは私も認めています。ただ、これから八月、お盆までですか、総理が約束をした、すべての仮設住宅を完成させるということに、今日やはり障害がそれだけ出てきているわけですよ。だから、そのことを踏まえて、今、土地という問題を話されましたけれども、では、本当にそのことを約束できるものにするために、やはり検討を新たに加えて公表する必要があるんだと思う。

 私も、仮設住宅の現場、何カ所か行ってきましたけれども、現場に資材を搬入する道路について全く対策がなされていないですね。これは、やはり工事を遅くしますよ。JRの不要な用済みの架線が上を通っている。それを外したら、クレーン車も大きな資材も入るんですよ。それをノーと言って、まだゴーサインを出していないんですよ。こういったことが仮設住宅の完成を遅くしているんじゃないですか。

 だから、私は、国交省が努力をしていることは認めているけれども、やはりそういった個別の案件について障害があるかないかをもう一回きちんと調査して、障害はできるだけ早く除去するようにやってほしいな、そう思いますが、どう思いますか。

大畠国務大臣 ただいまの仮設住宅建設のおくれている遅延の環境というものをもう一回よく調べて、それを除去したらどうかという御指摘については、私もそのように思いますので、その状況をよく把握しながら、その阻害要因を解決するように努力を申し上げたいと思います。

 それから、長島議員から再三御指摘を賜っておりましたが、五月末までに完成する見込みの仮設住宅の一週間ごとの市町村別の完成戸数というのを長島議員の方にもお届け申し上げましたが、後半部分につきましても、めどがつく限り、市町村別のおおよその完成時期というものを整理しまして、市町村にといいますか、避難所生活をされている方々にお知らせをするように努力を、取り組んでいきたいと考えているところであります。

長島(忠)委員 八月、お盆という約束、これはもう限界を迎えますよ。その約束を今回みたいに二千戸、三千戸おくれるということでほごにしてしまったら、そこまで何とか頑張れば仮設住宅で家族の生活をまた再開できるんだと思っている人たちが、希望ではなくて絶望になりますよ。総理が大臣に知らさないまま約束をしたことかもわからないけれども、それは政府としてやはりやらなきゃいけないことですよ。この約束を破ったら、被災者は救われないですよ。一生懸命やっているのは認めるけれども、やはり、そこのところの約束だけはきちんと大臣からやってほしいなと思います。どうぞ。

大畠国務大臣 長島議員はよくこの件については御存じだと思いますが、何分にも住宅というのは土地の確保がなければできないというのはそのとおりであります。ただ、総理が、お盆のころまでには希望者の方々を全員、仮設住宅に入っていただくという趣旨の答弁をされておりますので、それを踏まえて、現在、私どもも、各県あるいは市町村の協力をいただきながら、おおよそ八月の中旬ぐらいまでには完成させる。岩手県は大体七月の中旬ぐらいまでには完成するという見込みでありますし、それから宮城県、福島県でも八月の中旬ぐらいまでには完成させたいということであります。

 今御指摘のように、避難所生活をされている方々にとって、一日も早く仮設住宅に入りたい、この気持ちもよく私もわかっておりますので、今御指摘のように、毎月毎月、どのくらいまで完成させるかという一つの目標を定めて、それを守るように全力を挙げていきたいと考えているところであります。

長島(忠)委員 積み上げた計画でないのが私は非常に残念なんです。総理がおっしゃった八月中、お盆ですか、それは、国土交通大臣なりいろいろな部署で積み上げて、確実に七万二千戸いけると積み上げた発想ではなくて、上から、お盆ごろまでおいておいたら批判が強くなるだろうから、ここまでに何とか完成させろみたいな発想で言ったんだとしたら、これは、そのときが来たら許されることではありません。安易に希望を与えて、その次、絶望に住民をおとしめるようなことがあったら、これは政治家として、やはりきちんと潔く約束を守れなかった責任をとっていただきたいということをあえて申し上げておきたいと思います。

 時間がなくなるので、官房長官に少しお聞かせをいただきたいと思うんです。

 私は、この復興の一次補正を組んだということで、政府の方は、二次補正については必要なものについてはというような発言をされているような気がします。きのう、日曜日ですか、朝、安住国対委員長も、必要なものがあればというような話をされていましたけれども、私は、ある意味、被災地やあるいは国民全体に政府はきちんと予算立てをして、被災地の復興に努めるという目線がやはり必要だと思うんです。二次補正は、幾ら早くても早過ぎることはないと思うんです。幾ら多額であっても多額過ぎることはないと思うんです。それが被災地に対する希望につながるんだ、私はそう思うんです。

 我々の被災、それは規模が違いますし、いろいろな思いが政府の中にあるのかもわからない。でも、我々は、被災から二カ月で仮設住宅に移していただいて、その日から復興計画に住民全員参加で立ち上がることができた。その中で何が必要か、住民はみずから自立するためにどうやって努力をしていくか、そのためにどう後押しをしていただけるかという施策をつけてほしいということだと思うんです。

 この災害の中で、私は二次補正が先に延びることを一番懸念している一人なんですが、復興基金という構想はいつどんな形で政府としてお出しになるつもりなのか、官房長官から少しお聞かせをいただけますか。

枝野国務大臣 二次補正について、まさにおくれることなく、しっかりと国会で御審議をお願いしたいというふうに思っております。

 既に、それぞれの自治体あるいはさまざまな関係者の皆さんから、自民党からもいただきましたけれども、こういった部分のところが一次補正では直ちに対応できないのではないかとか、あるいはこういったものは早く予算をつけて執行すべきではないかといったものが、具体的に御提起もいただいておりますし、また、各省においても、それぞれ実際に復旧作業の行政事務を行う中で、これについては予算措置が必要ではないかといったものが順次集まってきておりますので、そういったものをおくれることなく国会で御審議をお願いしたいというふうに思っております。

 また、今御指摘いただきました基金につきましても、これも、いろいろな基金について、基金という名前のもとで幾つかの御提案があるようでございますが、こうしたものを今さまざまな御意見を集約して一番効果的な形というものを整理して、おくれることなく国会で御審議をお願いしたいということの検討を進めております。

長島(忠)委員 私が官房長官にお願いをしたい基金というのは、住民がみずからの地域を再生するために、生業を再生するために使い勝手のいい基金という意味です。政府が基金メニューをつくって示すのではなくて、総額を基金として造成した後に、住民や地方自治体が地域の再生や生業の再生のためにメニューをつくって、それを活用できるという基金を創設するつもりがあるのかないのかということと、やるんだったら私は早い方がいいと思うんですが、いつごろやっていただけるのかについて少し踏み込んでお答えをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 踏み込んでという御期待をいただいて、何とか踏み込んだお答えをしたい気持ちはございますが、まさに、従来必ずしも、今御指摘いただいたような使い勝手のいい形での制度がなかった中で、しかし、これだけ大きな災害に対して、それぞれの地域ごとに被災の状況が違うということを考えれば、従来の延長線上ではなく、今御指摘いただいたような必要性を十分考慮しながら今検討しておりまして、できるだけ早く政府としての考え方をお示ししたいというのが、きょうお答えできる限界だと思っております。

長島(忠)委員 政府は全域のことを仕切ろうとし過ぎているんじゃないですか。市町村によっては、独自の伝統や文化やコミュニティーのあり方があったりする。ある市町村で必要なことが、ある市町村では必要でないことがあるかもわからない。そういった目線からいったら、やはり自治体やそういったところは使い勝手のいい基金メニューというのが必要じゃないですか。

 私は、新潟県のとき基金で随分助かりましたよ。三千億円、二%の利子運用で十年間、六百億円。それでも個人の商店の再生、そして軽微な災害復旧には基金で対応できる、素早く対応できるということがすごく利点になって、通常の災害復旧事業でしかできないところはやはり二年、三年とかかるところを、軽微な災害復旧事業を復興基金事業でやることによって翌年の春には作付ができる。これは住民にとってはやはり大変大きな再生への力になるんですよ。

 だから、そういったメニューをいち早くつくる必要があるのではないですかということを言っているんです。踏み込んだとか踏み込まない、官房長官としてそういった方向性が必要だと思うのかないのか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 具体的な制度の組み立てについては、これは関係省庁としっかりと調整、合意をした上でないと、私一人の責任で申し上げることはできませんが、今御指摘をいただいたような考え方、つまり、それぞれの地域ごとに事情が異なっており、それぞれの地域の事情に応じて、しかも柔軟に対応できる資金が必要である、したがって、そのための手段としての基金を考えるべきであるという考え方については私も全く同感でございます。

 したがいまして、関係省庁と調整をいたしまして、具体的な施策についてできるだけ早く御提起できるように、さらに議論、検討を加速させたいと思っております。

長島(忠)委員 関係省庁と連絡調整は要らないですよ。基金をつくるかつくらないかは内閣でやればいい話なんですよ。メニューなんか県や市町村が考えることなんですよ。メニューまで関係省庁と連絡したり調整しているから時間がかかって、市町村が使い勝手が悪いことになるんですよ。だから、そこの考え方を改めてもらわないとだめだと思うんですよ。これは新潟県、私どものときに、復興基金メニューは百三十項目。

 農水大臣にお聞かせをいただきたいと思うんですが、査定が必要な重大災害でない、例えば重機の借り入れが必要で、重機の借り入れを少し補助してあげたら簡単に田んぼや畑が復旧できるところは、今、農水省ではどういう災害復旧事業で対応できますか。

鹿野国務大臣 私どもとしては、現場の要請、要望に合った形で、それに即対応できるようなそういう考え方において、今回の第一次補正におきましても緊急応急措置として策を講じさせていただいておりますので、まずその施策を活用していただきたい、こういうふうに思っておるところでございます。

長島(忠)委員 済みません。今私が言ったのは、軽微な、査定とか何かが必要ないぐらいの被害のところで、少し重機の借り上げ等を補助してあげたら簡単に復旧できるところについては、予算措置がしてありますかどうかということですよ。

鹿野国務大臣 それは、具体的な今先生からの御指摘の件について、それが今回の施策において対応できるかどうかというふうなことを確認いたしまして、それに当然対応できるように私どもとしてはしていきたいと思っております。

長島(忠)委員 多分、大臣は勘違いしていらして、国の災害復旧事業は、補助しようが何しようが査定が必要で、やはりきちんとしたシステム、手続が必要ですよ。

 おくれるから、だから復興基金メニュー事業みたいに県や市町村を窓口にして、例えば、重機を借り上げた場合には七五%補助しますから、早く生業再建、そして農業再建をしてくださいよという施策の方が有効じゃないですか。そのために復興基金というのを活用できるんですよ。我々は活用させていただいて、いち早く田んぼに苗を植えることもできたし、池にコイを飼うこともできたんです。

 だから、そういった制度は、国で余り仕切り過ぎないで、市町村や県にお金を渡して考えさせたらどうですか。それが復興基金メニュー事業だということなんです。

 経済産業大臣にお聞かせをいただきたいんですが、多分、商店街の再生なんかは二つの支援が必要だと思うんですよ。仮設店舗をするためにまず第一義的な支援ですよ。そしてもう一つは、本当にまちづくりができたときに再生できる支援ですよ。まちづくりができるときに、今、利子補給とかいろいろ考えられているみたいだけれども、この前、参考人のときも、二重ローンの問題を解決できないとなかなかできないと。

 では、どこで支援をしていくのか。その仮設店舗で支援をしていくのか、生業再建で支援をしていくのかということについて、基本的な考え方があったら少しお聞かせをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 私どもは両方だと考えております。

 ただ、両方にもそれぞれ今、問題点がございます。資金繰りの面でいきますと、一〇〇%の保証で、今回特別の、据置期間も長くしまして、そういう制度をつくりましたけれども、今委員御指摘のような二重ローンの問題がございます。

 ですから、この二重ローンを、本当にまずこの問題を解決しなければいけないということで今検討しているところでありますが、ただ、この二重ローンがなくて、二重ローンは、リスケジュールをやっておりますから、リスケジュールの方でとりあえず返済は先延ばしにして、そして、例えば福島県なんかの場合は、新しい借り入れは金利がゼロになりますから、では、それを利用しようかという方たちが出てきていることは確かであります。

 もう一つの仮設店舗のことでございます。これはもう既に、私どもは、仮設店舗と仮設工場の手当ては今度の補正予算で用意しておりますが、これも実際に話を聞いてみますと、例えば仮設店舗の場合でも、できるだけ仮設住宅に近いところがいいという声があることも確かであります。ですから、これは仮設住宅の進捗とあわせてこの仮設店舗の話もこれから進んでいくと思いますが、ただ、既に、仮設店舗それから仮設工場についてのお申し出は、五月の二十七日までに三十市町村から百七十六件の要望が寄せられています。

長島(忠)委員 農水大臣も経産大臣も少し聞いていただきたいと思うんですが、利子補給で生業再建、いわゆる店舗とか企業の再建ができるほど、多分、地方の商店街は体力があれだけの被災を受けるとないと思うんです。利子補給だけではなかなか立ち上がれない。

 では、どうやって町にとって必要な企業を再生してもらうかというときに、住宅の再生のときも議論をしたけれども、個人資産に政府から直接お金を回すことはなかなかできない。だとしたら、復興基金メニューみたいな中で、自由に町のために必要な企業を真水であるお金で少し補助をしてあげよう、そういったところがない限り、多分、負担に耐え切れるものではないと思いますよ。

 中越では、おかげさまで復興基金メニュー事業の中で、それは一〇〇%ではないけれども、ガソリンスタンドであろうが床屋さんであろうが民宿であろうが酒屋さんであろうが、地域の人たちが必要とする事業に対しては、真水でやる、直接お金でする支援メニュー事業をつくってもらった。そういうものを国が仕切り過ぎるとどうしても公平公平という論の中で個人資産に踏み込めないでいるから、復興基金メニュー事業をいち早く立ち上げたらどうですかという話をしているつもりです。

 官房長官、これを受けてどうですか。

枝野国務大臣 今委員が御指摘になった点については、全く同感でございます。

 私が先ほど関係省庁と申しましたのは、今御質問があられた、農水省や経産省なりそれぞれでメニューをつくっていただいてということではなくて、御指摘のとおり余り公平公平と言い過ぎてもいけないということは十分承知しておりますが、今回の場合、被災地域も大変広うございますので、それぞれの例えば自治体単位でどういう配分をするのか、どういう使い方ができるようにするのか等については、これは一定の検討をしませんと、全体でどんと積んだけれども、各市町村単位からすれば使い勝手が悪いとかということになったのでは意味がありませんので、そうしたことを財政当局や防災担当、総務省等と検討させていただいているということでございまして、趣旨は私も全く同感でございますので、できるだけ早く検討をして、具体的な御提起ができるように努力をしたいと思います。

長島(忠)委員 聞きたいことはいっぱいあったんですが、なかなか聞けないうちに時間が来るようであります。

 基本的なことについて、少し官房長官にお聞かせをいただきたいと思うんです。

 原発のことは後で同僚の伊東先生が聞くと思いますから、そのことも踏まえて、原子力発電所の災害、これを封じ込めることは確かに東京電力の責任かもわからない。そして、これ以上広げないために努力をすることも東京電力の責任かもわからない。ただし、政府のやれることは、どんなときでも最悪の事態を想定して、最悪の事態が来ないように先手先手で手を打って、国民の命の危険や生活を失わないようにすることが、私は政府の第一義的な責任だと思うんです。

 その点から考えると、二カ月たって、メルトダウンが起こったとか、そして線引きの外の方が放射線量が少し高かったとか言うことは、これは国民にとってはどの情報もすべて信じられない結果になりますよ。その情報をきちんと信頼性を高めるために、やはり政府はきちんと国民に対して命を守る責任があるということをもう一回明確に示すべきだと思いますよ。

 その姿勢だけ、どうあるべきか、官房長官から少しお聞かせをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおりだと私も思っております。

 この間、国民の皆さんには大変御心配をおかけしておりますし、また、その御心配をおかけしております原因の中に、十分に国民の皆さんに情報がわかりやすく伝わっていないということがあることについては大変反省すべき点があるというふうに思っております。

 今御指摘をいただきましたメルトダウンであるとか、それから三十キロ圏外で計画的避難区域をお願いせざるを得ないような放射線量の地域があるということについても、メルトダウンをしている、つまり、全体が溶融しているということについては最近明らかになったことでありますが、炉心が溶融している可能性があって、その場合の最悪のケースを想定して避難地域等の設定をして、避難をお願いしたものでございます。

 また、計画的避難区域についても、これは最終的な検証はしっかりと、今後、健康診断等をしていただいたり、それから、残念ながらまだまだもしかすると東京電力等にこの間の情報等で明らかになっていないものがないかどうか、しっかりと検証しなければいけないというふうに思っておりますが、少なくとも現状で把握している中では、長期にわたってそうした地域で放射線量を浴びるということであると健康にリスクが生じるおそれがあるということで、計画的避難区域ということでお願いをいたしております。

 これまでの私が得られている情報からでは、直接的に健康に被害を与えることはない状況の中で来ているというふうに思っておりますので、今後もしっかりと、命と健康を守るということを最優先に、そしてそれについての情報をしっかりと、同時に、わかりやすく国民の皆さんにお知らせできるようにさらに努力をしてまいりたいと思っております。

長島(忠)委員 私の持ち時間がなくなりました。最後に一言だけ。

 やはり政府に私は求めたい。私が今感じていることで、欠けているのは、どんなことがあっても国民の命と財産を守るのが政府の仕事だというメッセージが少し欠けているような気がする。東京電力に責任をとらせることもそれは大切なことだけれども、どんなことがあっても国民の命と財産を守る。避難所に行ったら、今何を言っているかわかりますか。働きたいんだよ、おれたちの声も聞いてくれよと。その姿勢が政府に欠けているような気がするので、もしそのことができないんだとしたら責任をとっていただきたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、伊東良孝君。

伊東委員 おはようございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。明日、原発関連の集中審議があるということでありますが、私、放射性廃棄物等々について少しお伺いをしたい、このように思うところであります。

 震災後二カ月半以上が経過したわけでありますけれども、福島第一原発の方は一向に収束の気配を見せません。周辺住民も、いつになったら自宅に帰れるんだろう、あるいは避難されている方々が、いつになったら仕事ができるだろう、こういう心配を皆さんお持ちなわけであります。

 この間、報道によりますと、有機栽培を一生懸命やっていた農家の経営者が絶望して自殺をされたというお話をお伺いいたしました。これはもう日本全国はおろか、海外からも不安視をされているわけでありまして、風評被害におびえる方々もたくさんいらっしゃるわけであります。

 放射能というのは、私たちの目にも見えないし、においもしないし、どこにあるかわかりません。大気中で放射線量として浴びる場合も、あるいは放射能物質として雨などに入ってきてかかる場合も、さらには食べ物として口に入って内部被曝を起こすような場合も、さまざまあるわけであります。これは今、我が国の国民の一大関心事になって、今まで全く放射能なんというのは無縁、無関心であった人たちが今非常に大きくここを心配しているのであります。

 さて、大量の放射能汚染物質が今回は放出をされたところでもありまして、汚染をされたものもあります。この物質について、これまでどのような処理、処分をしてきたか、あるいは今後処理をされるか。ロードマップは示されておりますけれども、しかし、まだあれは項目だけでありますので、順次お伺いをしてまいりたいと思います。

 通常、一般的に、稼働中の原子力発電所、日本全国五十数カ所あるわけでありますけれども、所内で使用した防護服あるいはペーパータオル等々について、これは低レベルの放射性廃棄物として処理をされているものでありますが、政府として、どのようなものを何種類くらいこの低レベル放射性廃棄物として認識しているのか、あるいはその国内の排出量の総量はいかほどなのか、まずお伺いをいたします。

中山大臣政務官 低レベルの放射性廃棄物の種類としては、今お話がありましたように、防護服、ビニールシート、工具等があります。それらは、焼却、圧縮、濃縮等の処理が行われた後にドラム缶型の容器で密封され、各原子力発電所の固体廃棄物貯蔵庫と六ケ所埋蔵事業所に保管をされております。

 最新のデータである二十一年度時点の低レベル放射性廃棄物の総量は、各原子力発電所の固体廃棄物貯蔵庫にドラム缶六十四万八千本相当が保管されているほか、六ケ所埋蔵事業所に二十一万九千本相当が埋蔵されて管理をされているところでございます。

伊東委員 この膨大な合計八十五万本を超える低レベルの放射性廃棄物、ドラム缶の中に皆これは密封されて、それぞれの原発の格納庫に保管されているということでありますが、福島の第一原発において、この低レベル放射性廃棄物、ドラム缶何本くらい、どこに保管されていたか、お伺いします。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力によりますと、低レベル放射性廃棄物、福島第一原子力発電所構内の固体廃棄物貯蔵庫で保管されているものでございますけれども、もともと、二十三年の一月末現在で、先ほどの二百リットルドラム缶、これで十八万六千本相当の低レベル放射性廃棄物が保管されているというふうに承知してございます。

伊東委員 それではお伺いしますが、高レベル放射性廃棄物、これは使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを抽出した後にできる廃液でありますが、厚さ五ミリメートル、そしてまた直径四十センチ、高さ百三十センチメートルのステンレス容器、キャニスターといいますけれども、この中で硼珪酸ガラスでガラス固化をさせるものであります。これは六ケ所村の日本原燃のところで製造し保管をしているわけでありますが、極めて高い放射線量を持つものであります。この埋設本数、製造本数といいますか、これとあわせて管理の現況はどうなっているか、お聞きします。

 また、安全対策は原発以上の厳重な、あるいは厳しいレベルのものが求められるというふうに私は考えておりますけれども、今回の震災後、どのような安全対策、強化対策が講じられたのか、お聞かせください。

寺坂政府参考人 高レベル放射性廃棄物に関しましては、ガラス固化体の状態におきまして、六ケ所村にございます日本原燃株式会社の廃棄物管理施設で管理されてございます。その本数は、現在、千三百三十八本でございます。

 これらの高レベル放射性廃棄物に関しましては、鉄筋コンクリート壁で囲まれました貯蔵区域内にあります鋼製の収納管に入れまして、自然の通風力を利用して流れる空気により冷却しながら貯蔵をしているところでございます。

 また、今回の電源喪失、そういったことを受けました東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けまして、六ケ所の処理施設におきましても、電源喪失が生じました場合の電源の確保、そういったことにつきまして、あわせ対応策につきまして検討をし、今実行をしているところでございます。

伊東委員 放射線量についてお答えがなかったのでありますが、これは、できたての高レベルのガラス固化体一本、一万四千シーベルトという、人間が近づけば一秒か二秒で即死してしまうぐらいの超強力な放射線があると聞いておりますけれども、これは間違いないですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 そのような内容の高レベル放射性廃棄物でございます。

伊東委員 だからこそ、今の原発の安全基準をはるかに上回る安全対策が求められている、このように思うものであります。

 さて、私は先ほどから低レベルと高レベルというお話をさせていただいておりますが、放射性廃棄物の区分というのはこの二種類しかないのかどうか、どこら辺でこの区分を分けているのかどうか、お聞かせください。

海江田国務大臣 お答えをいたします。

 放射性廃棄物の処分につきましては、原子炉等規制法の施行令がございます。これに定める放射性物質の種類ごとの放射能濃度に応じて、いわゆる高レベル放射性廃棄物と低レベル放射性廃棄物に区分をしております。

 低レベルと申しますが、実は低レベル放射性廃棄物の中でも種類がおおよそ三つに分かれまして、放射能レベルが極めて低い廃棄物、これは従来でいえば原子炉周辺のコンクリートなどでございます。それから、放射能レベルの比較的低い廃棄物、これは洗濯の廃液ですとかフィルターでありますとか廃器材でありますとか、こういうものが挙げられます。それから、もう一つが放射能レベルが比較的高い廃棄物ということで、原子炉内の構造物など。それぞれに応じて埋める深さなども違ってまいります。

伊東委員 二〇〇五年の原子炉等規制法の改正で、クリアランス制度という、極めて低いレベルの廃棄物というのが導入された、こう聞いているわけでありますけれども、私は何を聞きたいかというと、これから大量に発生するであろう、あるいはもう現に発生している廃棄物についての処理をどのような形で進めていくかということなのであります。

 第一原発の三号機の建屋付近では、九百ミリとも千ミリとも呼ばれるシーベルトの、防護服を着ていても近づくことができない瓦れき、廃棄物がたくさんあると聞いているわけでありますし、二号機、三号機のタービン建屋内の汚染水は、千とも二千ミリシーベルト以上とも言われる極めて高濃度汚染水が滞留している。これらを低レベル放射性廃棄物という形の中で一律に本当に呼んでいいのかどうかという問題が生ずると思うわけであります。

 区分の仕方、今、低レベルの中でも三種類あるというお話でありましたけれども、その考え方を今回の瓦れきあるいは汚染水処理にそのまま適用されるのかどうか、まずこれについてお伺いします。

海江田国務大臣 委員にお答えをいたします。

 先ほどもお答えをいたしましたけれども、原子炉等規制法の施行令で定めております。そしてそれは、人の健康に重大な影響を及ぼすおそれがあるものとしての定めでございますので、今現在この定めを改めるというつもりはございませんが、ただ、後で御質問もあろうかと思いますが、汚染水などについては厳重な管理というものを行っていかなければいけないと思っております。

伊東委員 後ほどまたこの件についてはお聞きしますけれども、さて、その原発の事故現場で働く東電の協力企業の作業員が、過日、私が見ておりましたら、報道ステーションの中でインタビューを受けておりました。その派遣社員は、派遣先の企業から誓約書を書かされたと言うわけであります。その中に、将来がんや白血病になっても補償しない旨のことが書かれていた、このようにインタビューに答えていたわけでありますけれども、災害対策本部としてこのような事実は承知しているのかどうか、さらにはこれに対する対策というのはどう講じられたのか、お聞きします。

中山大臣政務官 ただいまの御質問は、五月九日のテレビ朝日、報道ステーションで報じられた件だというふうに思います。

 御指摘の誓約書の件については、東京電力に確認したところ、把握はしていないという回答でございました。

 一般論として言えば、御指摘のような誓約書を仮に派遣企業が労働者との間で交わしたとしても、使用者は強行法規である労働基準法上の義務や災害補償責任等を免れることはできません。

 私たちも、いずれにしても、作業員の健康と安全を確保しつつ、事態の収束に向け引き続き最大限努力していくのが経済産業省の立場だと思っております。

 なお、作業員の募集等のあり方についてはさまざまな御指摘を受けているところでございまして、東京電力としても、協力企業に対し、作業員の募集等に関する法令を遵守するように文書により周知徹底を図るとともに、作業員から直接電話相談を受ける窓口を設置するなどの対応を行っているところと承知をいたしております。

伊東委員 政府として関与していないような言い方というのは、私はまずいと思う。あそこに働くのは東電の社員だけではなくて、協力企業、さらには警察も自衛隊も消防の人も含めてあの周辺にはいるわけでありますので、この将来の健康被害に対する危険性に対して、下請企業だから、あるいは協力企業だから東電に確認すればいいという話ではないというふうに私は思います。

 あそこに働くみんなひとしく命の危険を冒して、今、事故対策あるいはまたその収束に向けて頑張っていると思うときに、しっかり調査をし、これは一人一人きっちり話を聞いて、あるいは政府としての対応を、やはり東電だけに任せるのではなくて、やらなければならない、改善をきちっと指示しなければならない、このように思うわけであります。

 もう一度、この点についてお聞かせください。

小宮山副大臣 委員御指摘のとおり、福島の第一原発で緊急作業に従事する労働者の安全衛生につきましては、先日、東京電力に対しまして、厚生労働省といたしまして、下請労働者も含めて発電所に立ち入るすべての労働者の被曝管理や安全衛生教育を徹底するように指示をしたところでございます。

 先ほど政務官もお答えになりましたけれども、原発作業員にかかわらず労働者はすべて、労働基準法等の労働法規、これは労使当事者間の労働契約の内容にかかわらずに適用されて、使用者は災害補償等の責任を負うこととなっています。したがいまして、御指摘のような誓約書を労働者との間で交わしたとしても、使用者は、強行法規である労働基準法上の義務や災害補償責任を免れることはできません。

 委員が挙げられたこの誓約書の例は、労働基準法等への正しい理解を妨げて、また危険な業務に従事する労働者に無用の不安を与えることにもなりかねないので問題があると考えておりまして、厚生労働省といたしましてもしっかり指導していきたいと考えております。

伊東委員 私は、この仕事に従事して二、三日後に、あるいは三カ月、半年後にこういったものが発症するのであれば、今のおっしゃられたことで理解できるんですよ、これは有効でないと。これはしかし、五年、十年先にがんが発症する、あるいはまた白血病になる、そうしたときに、かつて十年前にあの福島の原発の事故現場で何日間働いたから私はがんになったんだということが果たして通用するかどうかということなんです。これは確率の問題でありますから、いついつという話にはもちろんなりませんけれども、間違いなく放射性物質あるいは放射線を許容範囲以上に浴びることによってがんの発症リスクというのは絶対高くなるということは言われているわけでありますから、どうか、こんな誓約書が許されるなんということにはなりませんので、厳しく御指導をお願いしたいと思います。

 今、ちょっと関連しますが、一時、線量計が足りなくて個人別の管理ができなかったわけであります。命がけで復旧に努めている作業員にとっては本当にお気の毒だと思いますが、この線量管理はもちろん、健康管理も非常に重要であります。

 何回も何回もテレビやあるいは週刊誌で取り上げられておりますけれども、宿泊環境あるいは食事、さらにはまたふろからトイレから、衛生面などを含めて、極めてその労働環境がよくない。私も、体育館の中で防護服を着たまま寝る姿を見て、どうして命がけで頑張る人たちがこんな待遇で、境遇で仕事をしなければならないんだろうという思いをいたしました。相当改善されたと聞いておりますけれども、また、つい最近、病気で亡くなられた方も出ましたけれども、医師の常駐を含め、この医療環境あるいは生活環境についてどのような改善がなされているか、お聞きします。

小宮山副大臣 現在は、福島第一原発での緊急作業に従事する作業員の多くは、自宅のほか、いわき市内の宿泊施設等で宿泊をしていますが、現在も、これは五月二十七日現在ですが、四百七十人が福島第一原発の免震重要棟と福島第二原発の体育館で宿泊をしています。

 事故発生当初は、おっしゃいましたように、寝袋や毛布で就寝をし、食事の回数なども制限をされていた。そのため、厚生労働省では、四月二十日、五月十三日の二回にわたりまして、職員の就寝場所や食事の改善について指導を行ってまいりました。

 現在、作業員の生活環境は、当然のことながら、一日三食の食事の提供、そして、福島第二原発で二段ベッドがつくられまして、シャワーも使えるということで、今第一の方から第二の方に移っているところでございます。さらにまた、今後、Jヴィレッジ内に仮設宿舎をつくって、千六百人分の宿舎を確保すると聞いております。

 厚生労働省としては、引き続き、日々懸命に作業に当たられている皆様の生活環境をさらに改善するように、こちらの面でも指導を図っていきたいと思います。

 それから、先ほどおっしゃいました、作業員でお亡くなりになったということは、大変不幸な、あってはならない事故だと思いますが、厚生労働省としても、東京電力が第一義的にはということをいつも政府の方から申し上げますが、やはりこれは国としてやらなければいけないということで、厚生労働省関係の労災病院から医師を手配しまして、昨日から二十四時間体制で医師が常駐するようになっております。

 また、先ほどおっしゃいました離職した後の作業員の問題ですが、これは下請作業員まで含めまして、今は東電とそれからそれぞれのメーカーの方の系列の主なところでとにかく線量把握をきちんとしておいてもらいまして、政府としても、データベースをつくって、離職後もずっと長期にわたって健康管理ができるような体制を今整えようとしているところでございます。

伊東委員 ぜひ、その点につきましてはよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、ニュースを見ても毎日出てくるのは、あの防護服に包まれたたくさんの方々、自衛隊の方もいらっしゃいますし、あるいはまた警察の人も東電の人も経産省の人も県、市町村の職員も、さらにはまた一時帰宅する人もあの白い防護服を着るわけであります。

 過日、私は、防衛省の皆さんにお話を伺いました、どのようにあの防護服を調達しているんですかと。いや、私たちは独自で調達しております、この震災からもう二万着以上使いました、補正予算で二十万着発注をいたしましたという話でありました。

 さて、自衛隊は自衛隊でそうやってみずから調達する、それでは、今お話ししたほかのそれぞれ組織別あるいは市町村の自治体、あるいは一時帰宅者などを含めて、これらの防護服というのはどういうような形で調達されているのか。これは一着二千五百円だというふうに聞いております。夏物の薄手のものが出たというものですから、それを聞いたら、それは一時帰宅者のものだけだというお話でもありました。

 この単価交渉も含めて、防護服の調達についてどのような形で政府としてお進めなのか、お聞きします。

中山大臣政務官 ただいま防護服のことについて御質問がございました。本当に、作業員の命を守るという観点、健康を守るという観点で大変重要なことだというふうに私たちも認識しておりまして、委員と同様の問題意識を持っております。

 実は、私もこの間APECに行ったとき、外国の方からも今委員のおっしゃったようなことを聞かれまして、本当に作業員の健康が守られているのかどうかと。また、防護服についてもいろいろ御指摘がございました。軍の使っているアメリカのものでも、日本で、ちょうど小泉委員から見せていただいたんですが、四十万相当で、大変重いものもございまして、場所によってはなかなか使い勝手が悪いのかなとも思いました。ただ、私たちは最善の努力をするということをまずお約束申し上げます。

 それと、我々の経済産業省では、立地都道府県が防護服を初め防災資材等を整備するために必要な予算は必ずつけております。これにより、福島県には計三千着程度の防護服が整備されており、また、その他の道府県から福島県に提供された防護服等も合わせると、現時点で把握しているところでは、その数は計八千着程度であると承知をいたしております。

 また、経済産業省から独立行政法人原子力安全基盤機構への交付金により、約千六百着の防護服を調達いたしております。

 その他、公的機関については、まず地元警察や消防、市町村については、福島県から貸与を受けている防護服が主として整備されていると承知いたしております。また自衛隊においては、今お話しのとおり、防衛省が二万から三万着の防護服を調達したと聞いております。

 東京電力については、今般の事故を受けて、福島第一、第二原子力発電所等で使用するために四万五千着程度の防護服を調達したと聞いております。

 なお、安全については全力を尽くしてまいりたいと思います。

伊東委員 防護服についてなぜお聞きするかというと、一番最初に、低レベル放射性廃棄物、これがそれぞれの原発の中でどういうふうなものかというお話をさせていただきました。この防護服というのは、もちろん使い捨てであります。一度着ると、これを使い捨てで処理するわけでありますけれども、これが今までは、低レベル放射性廃棄物としてドラム缶に詰められて格納庫に、貯蔵庫に保管されていたわけであります。

 この防護服の、いわゆる福島の原発の敷地内あるいは敷地外、いろいろありましょうけれども、平均的、あるいは高い低いありましょうが、どのくらいの被曝量があって、恐らく数千、数万単位の使用済みの防護服をだれがどのような形で今管理しているのか、お伺いします。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 関係各機関が、必要な防護服、先ほど政務官から御答弁申し上げましたように、みずから調達したり、あるいは時には東京電力から貸与を受ける、そういったこともあるわけでございますけれども、使用済みの防護服の管理につきましては、福島県で収集いたしました使用済み防護服、それから自衛隊で使用されたものを含めまして、最終的には東京電力の方で保管管理をしてございます。

 それで、その管理状況でございますけれども、使用済みの防護服をビニール袋に詰めまして、全数倉庫などで保管管理をしているわけでございます。これは、数そのものについては、申しわけございません、ちょっと数字は把握してございませんけれども、容積ベースで申し上げますと、福島第一原子力発電所の敷地内で約三百立方メートル、それから福島第二発電所敷地内で八十立方メートル、それからJヴィレッジ、ここで約六百立方メートルの量となっているものでございます。

 汚染の程度につきましては、ビニール袋ごとの放射線計測そのものは、一つ一つは行ってございませんけれども、この保管場所の空間線量をはかってございまして、今現在は、毎時一マイクロシーベルトから二マイクロシーベルト程度ということで、低い値ということでそのような管理を行っているところでございます。

伊東委員 今までは、日本全国の原子力発電所でこれらのものは低レベル放射性廃棄物としてしっかり処理され、そして専門の格納容器あるいは格納庫に入っていたわけでありますけれども、今ビニール袋に入れて、それぞれ三カ所でばらばらに倉庫で保管している。確かに空中線量は少ないかもしれない。しかし、私はこれは適切とは思わないわけであります。

 今回の事故で発生した原発敷地内の瓦れき、あるいは放射性廃棄物等々の処分というのは大問題になってくるわけでありますが、これらの防護服以外のいわゆる敷地内の放射性廃棄物、その物品、瓦れきについて、その対象物あるいは数量、また放射線量についてどういうふうに把握しているか、お伺いします。

中山大臣政務官 現在、東京電力福島第一原子力発電所敷地内の放射性廃棄物としては、瓦れきを初めとして、作業に伴い発生する防護服等がございます。今後は、道筋に示されている対策を講じるため、既存の設備から取り外した部品等も放射性廃棄物として発生するものと想定をいたしております。

 なお、廃棄物を集めるときや何かは、無人の機械を使ってやったということでございます。

 現在、敷地内にある瓦れきについては、総量は把握できていませんが、線量については、高いものでおおむね百ミリシーベルトから二百ミリシーベルト程度と聞いております。最大では、一千ミリシーベルトの瓦れきが一つ存在をいたしております。

 これまで、四立方メートルのコンテナに二百二十個余り保管されており、コンテナの表面線量は一ミリシーベルト以下から四十ミリシーベルト程度と聞いています。これらのコンテナは、今後、コンクリート壁で遮へいされた固体廃棄物処理建屋にて保管していく予定でございます。

 なお、今後発生が想定される放射性廃棄物の量や線量は具体的には把握はしておりませんが、実際の処理に当たっては、まず事故の収束に全力を挙げ、収束状況を見つつ計画を検討することになろうかと思います。

伊東委員 瓦れきとともに大変なのが高濃度汚染水だ、私はこのように思っているところでもあります。十万トンほど低濃度、高濃度の汚染水がある、こう報道されているところでもありますけれども、政府として、正確な数字をちょっとお示しいただきたい。

 さらにまた、二号機と三号機のタービン建屋に千ミリシーベルトを超える高濃度汚染水がたまっておりまして、これが二号機から集中廃棄物処理施設、先ほどの、低レベルの放射性廃棄物のドラム缶を十八万本ためている、その施設に九千トン以上を移送しているわけであります。また、三号機から雑固体廃棄物減容処理施設、これは同じ集中廃棄物処理施設の隣にある建物でありましょうけれども、ここに高濃度汚染水を四千トン移送しており、両方とも満杯になっていると聞いているわけであります。

 この後の高濃度汚染水の状況について、実態について今どうなっているか。その後注水はずっと続いているわけでありますし、もう既に梅雨あるいは台風シーズンを迎えつつあるところでありますけれども、その水や雨がこの放射能を帯びた瓦れき等々あるいは地面、建物等から流れ出て、これが地下水やあるいは海に漏れ出している可能性が心配されるわけでありますけれども、この可能性についてもお伺いするものであります。

海江田国務大臣 まず、汚染水の総量でございますが、今委員はおよそ十万トンというお話でございましたけれども、私どもの推計では、およそ八万五千トンとなっております。

 内訳を申し上げますと、二号機、三号機のタービン建屋の地下に滞留しております量が、二号が一万三千トン、それから三号が九千六百トン、これはタービン建屋でございます。もう一つ、原子炉建屋がございます。この各号機の原子炉建屋、それから今お話をしましたタービン建屋、あとトレンチと申します溝がございますが、ここにたまっているすべてを合計して、先ほどお話をした約八万五千トンということでございます。

 そして、この処理の方法でございますが、今委員お話のありました集中廃棄物処理建屋、これは集中ラドと呼んでおりますが、この建屋の中には幾つか種類がございます。三つぐらいございますか。まず、ここにしっかりと止水の工事をやりまして、そして今そこに運んでおりまして、最初のところに運びまして、実はこの建屋自体の容量は六万トンぐらいあるんですけれども、ただ、地下水との関係で、余りここにため込んでしまいますと地下水への浸透が心配されますので、できるだけここの水位は低くして、そして隣のもう一つの集中ラドに運んでいるということでございます。

 究極的にはと申しますか、これは既に私どもの、東京電力がつくりまして私どもがそれをチェックしました道筋の中では、循環型にしなければいけないということで、その集中ラドからもう一回、パイプを使いまして、これを除染、そしてまた原子炉の方に持っていきまして、そこから冷却水として使うということでありまして、これができますと、汚染水の量がふえるというのは抑えることができるんじゃないだろうか。

 今まず除染をする機械、これはアレバ社の機械でございますが、これが六月の中旬をめどに作動が始まるのではないだろうかということでございますが、若干のおくれはあるかなと思っている。ただ、毎日その進捗ぐあいをチェックしておるところでございます。

伊東委員 私がちょっと心配したのは、この集中廃棄物処理施設は、十八万六千本のいわゆる低レベル放射性廃棄物のドラム缶が貯蔵されているところでありますけれども、ここを緊急のこととはいえ高濃度の汚染水のいわゆる保管場所として、タンクとして使用してしまったということであります。

 そうしますと、この十八万六千本の低レベル放射性廃棄物のドラム缶も汚染されているのかどうかということが一つ知りたいことでありました。これが、もしドラム缶のすき間も含めて汚染水を入れたとしたら、この低レベルのものが高レベルになるのではないかという心配や、その後の復旧ということにもかかわるところでありますので、この実態についてお聞きしたい、このように思うところであります。

 また、今大臣からお話がありましたアレバ社の汚染水の浄化装置、六月中旬から稼働ということでありますけれども、この汚染水のいわゆる浄化能力やあるいは処理能力というものは、果たしてこの八万五千トンもあるものを使えるようにすぐすることができるのかどうか、その能力についてもお伺いします。

海江田国務大臣 アレバ社の能力の方は保安院がこの後お話をしますが、おっしゃいますこの集中ラドでございますね。これはやはり、それまでおっしゃるようなドラム缶を入れておりましたので、それを全部どけまして、そして一月ぐらいかけましたか、一月弱だったかもしれませんが、水密性を高める工事を随分やりました。丹念にやりました。かなり早くということで私どももその工程を監督していたんですが、かなり丁寧にやりましたので、その意味では、今水を入れて、そしてそれが外に漏れないような措置は講じてございます。

 この後は、済みませんが、保安院から報告させます。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 集中廃棄物処理建屋、ここで減容をしたり圧縮をしたり、そういった作業をするところでございますけれども、その作業をする施設のところと、それから固体廃棄物貯蔵庫、貯蔵をしている場所とは別のところでございまして、そういった点も含めまして、廃棄物処理については、問題が生じないように、循環システムの構築などを含めましてしっかりと対応してまいりたいと考えているところでございます。

伊東委員 これら一連の廃棄物処理には膨大な費用あるいは時間がかかるもの、こう思うわけでありますけれども、責任につきましては、基本的には、第一義的には東電なのでありましょう。しかし、東電だけで果たして本当に処理できるか、負担し切れるかどうかという心配があるわけでありまして、この費用について、国とほかの電力会社がつくる新たな機構でこれについても責任を負うという考え方なのかどうか。あるいは、現在、放射性廃棄物の処理についての、あるいは管理、保管についての責任は、だれの責任と指示で、どのように進められるのか、お伺いをいたします。

海江田国務大臣 先日、私どもの関係閣僚で決定をいたしました例のスキーム、あれはあくまでも今度の東京電力の事故に伴う経済被害を賠償するための仕組みでございますから、あそこから今のこの事態の収束に向けた資金が出るということにはなっておりません。

 委員が恐らく御心配になっておられますのは、特にアレバ社の処理の問題で、十兆円かかるというようなテレビ報道がございました。しかし、実際にこれは東京電力で詳しく調べましたところ、これは東京電力はもう既に発表したところでございますが、一年間におよそ五百億円ぐらいだろうと、そういう随分違う話でありまして、これはもう私も何度も確認をしまして、全体でおよそ五百億円ぐらいだろうというお話でございますから、これは東京電力の方が負担をするということでございます。

 ただ、委員御指摘のありましたように、やはり国がやるべきことは何なのかということについて、今東京電力の方からもどういうことを国にやってもらいたいのかというリクエストも受けまして、その中で、国でできることは国でしっかりやっていかなければいけないなというふうに思っております。

伊東委員 時間でございますので、最後の一問にさせていただきます。

 これは、参議院で川口順子先生からちょっと質問が出ていたこと、私も全く同感でありますけれども、原発敷地内の放射性汚染物質、いわゆる廃棄物と、敷地外では、これは本当に普通の災害廃棄物になってしまう、法的に何の定めも根拠もなくなってしまう。これが果たして、こんなことでこの先いいのかどうかということをやはり一つ問わなければならない、こう思います。

 もう一つ、高レベル放射性廃棄物である圧力容器あるいは格納容器内の核燃料あるいは燃料棒その他、こういったものは、廃炉計画がこの先進むでありましょうから、この中で、この原発をどういうふうに廃炉にするか、後始末するか、場合によっては二十年も三十年もかかるのではないかという、そんなお話が聞こえてくるわけでありますけれども、これをはっきり工程、長期スケジュールを示さないと、住民は、もう戻ることも仕事をすることも将来の計画を立てることも、一つもできない、近隣市町村そのものが消滅してしまいかねない、こう思うものであります。

 復旧復興の絵をかくためにも、この廃炉スケジュールを含め、廃棄物処理を、政府としてその工程をしっかりと示さなければならないと思いますけれども、これについて最後にお聞きし、私の質問を終わります。

海江田国務大臣 今委員からも御指摘ありました、参議院の委員会で、敷地外に出ております放射性物質に汚染された瓦れき等の処理ということでございますが、国会での議論がございましたので、今、これは環境省、地元の自治体、経産省、それから一部は文科省も入っていると思いますが、協議体をつくりまして、一日も早くこれを処理するという形での話を進めているところでございます。

 それから、最終的な廃炉の話でございますが、確かにこれは、東京電力がせんだってまとめました道筋については入ってございません。これは、あの道筋そのものが、最初、事故が起きましてから三カ月、あるいはそこからさらに三カ月―六カ月ということで、いわば足元の対策の道筋をつけたものでございますから、せんだって、一カ月目の見直しのところでは中長期ということについてもある程度触れておりますが、これはまさに中長期、とりわけ中期というより長期的な課題でございますので、やはりそこへ向けて、それから、その費用をどうするのかということも含めて検討していかなければいけない課題だと思っております。

伊東委員 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、まず初めに申し上げさせていただきたいと思いますが、きょう実は、細野首相補佐官の出席を求めておりました。

 なぜ、細野首相補佐官が出席できないのか。今まで福島原発海水注入につきまして国民に説明もし、またアピールをしてきた一番のキーマンではありませんか。しかも、国会で一週間にわたりまして議論が続きました。あの班目原子力安全委員長が、私は何だったのでしょう、このような言葉を述べていらっしゃいましたが、国会のこの一週間にわたる審議は何だったのでしょうと改めて申し上げるものでございます。

 私は今まで、首相補佐官については、まさに、立場といたしましても、内閣総理大臣に進言し、また、命を受けて、内閣総理大臣に意見を具申する、これが内閣法に規定された首相補佐官の役割でございますけれども、今回、福島原発事故対策統合本部の事務局長、また、改組された後も統合対策室の連絡責任者、総理直属の担当者でございます。私は、政府におきましても、異例の措置をとって、この委員会に、そしてまた国会に対して細野首相補佐官の説明を求めるべきと考えますが、官房長官、いかがお考えでしょうか。

枝野国務大臣 総理補佐官の職務それから国会における御説明のあり方等については、補佐官制度発足以来の仕組みでございます。それを超えてどう対応されるかというのは、一義的には国会の方で御相談をいただいてお決めをいただければというふうに思っております。

 なお、細野補佐官は、総理の命を受けて、広い意味での官房のもとでやっておりますので、細野補佐官にお尋ねされたいことについては、私の方から答弁をさせていただきます。

高木(美)委員 余りに今回のこのてんまつにつきましては、官房長官は総理を補佐する、内閣官房を預かる職務であられまして、私は今回、細野首相補佐官は、当然何らかの責任をとって辞表を提出するか国民に深くおわびをすべき状況ではないかと思います。そのことにつきまして長官はどのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 細野補佐官はという主語で言うべきか、政府といたしましては、東京電力から報告があった事項について、国民の皆さんに正確にお伝えをし、また、政府としての認識について、これもまた正直にお伝えをしてきたところでございますが、残念ながら、東京電力の中において、当初政府あるいは国民の皆さんに報告をされていた事実が事実と異なっていたということがございました。

 当然、政府としてもできるだけ早くそうしたことを掌握すべきであったという御指摘はあろうかというふうに思いますが、私どもとしては、東京電力から正確かつ迅速な報告をするようにということをさらにしっかりと徹底して求めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 これは、私は今の政権として重要視していただきたい課題だと思っております。

 東電が間違った報告をしていたというのは事実です。しかし、それがないように細野補佐官が現場で会見をし、チェックをしてきたという、そうした職務であります。

 二十一日の記者会見前の打ち合わせの際に、既に加藤審議官から、班目委員長の発言は違うのではないかと抗議を受けていました。また、班目委員長は、会見十数分前に発表文を示され、配付の中止を申し入れた、しかし、もう配ったから無理だと押し切られたと記者会見で述べています。報告のチェックをする立場にありながら、そうした抗議を押し切って、でたらめな報告をして国会を混乱させている、またそれをそのまま国民に示している、私はこうした責任はまさに重大であると思っております。

 先ほど申し上げましたが、改めて、辞表を提出するか、国民に深くおわびをするべきと重ねて申し上げます。

 このような重大な存在である細野首相補佐官につきまして、国民の前には出て記者会見もする、アピールもする、しかしこの委員会には出てこない、そのようなことは許されてはならないと思っております。この委員会におきまして、出席をいただき、そして明快な説明を求めるものでございます。

 私は改めて、先ほど官房長官は、政府といいますか総理補佐官といいますかという、このような細野さんを弁護されながらお話をされていましたが、私は、国会に対して、今回のてんまつにつきまして、事実関係を調べ、報告書を提出していただきたいと思います。官房長官、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 今回の経緯につきましては、国会でのお尋ね、きょうもこの後もあろうかというふうに思いますが、それについてはしっかりとお答えをさせていただきたいと思います。

 報告書という形式で御報告すべきかどうかについては、国会の方で御相談をいただければと思います。

高木(美)委員 それでは、委員長、そのようにお取り計らいをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

黄川田委員長 高木さんにお答えいたします。

 質疑の中でしっかりとただしていただきたいと思いますけれども、また、ただいまの指摘については理事会で協議を引き続きしておるところでありますので……(高木(美)委員「報告書です」と呼ぶ)ただいまの経緯、経過の報告ですか。

 高木君、もう一度お願いします。

高木(美)委員 委員長、二点お願いいたします。

 一つは、細野首相補佐官の出席を求めます。

 また、もう一つは、国会に対し、今回のてんまつにつきまして、事実関係を調べ、報告書の提出を求めたいと思います。

黄川田委員長 それでは、第一点については、出席につきましては、引き続き理事会で協議をさせていただきたいと思います。

 それから報告、てんまつも、重ねて後刻理事会で協議させていただきます。

高木(美)委員 ただいまの課題につきましては、これは政権への信頼を失わせただけでなく、政治への信頼を失わせた大事な課題であると思っておりますので、委員長、お取り計らいをよろしくお願いいたします。

黄川田委員長 はい。

高木(美)委員 そういうことを考えましても、私は、今回のこの事故につきまして、調査を引き続き行わなければならないと思っております。

 二十七日、報道によりますと、事故調査・検証委員会の人選がほぼ固まったと伺っております。

 しかし、この委員会は、法的裏づけがない、人選は総理指名。また、この委員会の中立性、独立性の担保がありません。権限、責任も不明確でございます。ともすれば、政府、東電の弁護機関になるおそれもあります。最終報告書の提出期限も来年夏というのでは極めて遅いと言わざるを得ません。アメリカのスリーマイル島のときは七カ月後に提出をされております。極めて不十分な委員会でございます。

 我が党は、政府の影響を極力排除した、国家行政組織法第三条に基づく独立行政機関として、新たな立法による組織の設置が必要と考えております。独立性、中立性が担保できる、また、強い権限が必要と思います。

 例えば、鉄道等の事故の際の原因究明を行う運輸安全委員会や、また、破壊的団体を扱う公安審査委員会等と同様に、委員は国会の同意を得て任命をする、また、そうした独立性の高い委員会にすべきと考えます。調査権限も、強制調査権を持ち、応じない場合や虚偽の記述をした場合は罰則が適用をされる、また、大臣や関係機関への勧告権も有し、防止に関する勧告もできる、このような内容でございます。第三者機関といいながら、権限を明確にする必要があります。

 官房長官にお尋ねしますが、なぜこの三条委員会を置かなかったのでしょうか。

枝野国務大臣 この調査・検証委員会のあり方についてさまざまな考え方、意見があるということは承知をいたしております。

 率直に言ってさまざまな検討もいたしました。ただ一方で、今の御指摘の中にもありましたけれども、この事故に対する少なくとも日本政府としてのしっかりとした検証というものは、国際社会からも迅速なものであることが求められております。そうしたことの中では、できるだけ早くしっかりと立ち上げて、権限についてもいろいろ御議論ございますが、これは閣議決定しておりますので、政府関係者はこの閣議決定に法的に拘束されますし、また、東京電力等については、経産大臣の持っております原子炉等規制法に定める権限等を援用することによって、一定の強制力を持ってこの調査・検証機関に対する協力義務を法的に課すことができているというふうに考えております。

 もちろん、今回これだけ大きな事故でございます。これについての検証は、政府においてにとどまらず、さまざまな立場からなされることが私も望ましいというふうに思っておりますが、そうしたことの中で、まず政府としては、できるだけ迅速に検証を進めていくということの中で、こうした形をとらせていただきました。

 委員の皆さんの人選、そして、これからしっかりと独立性を持って委員会の皆さんに仕事をしていただくことをもって、今御指摘いただいた危惧については払拭できるものというふうに考えております。

 なお、最終期限等については、これは委員会そのものが、まさに独立性を持って、どのタイミングでどういうふうに報告を上げていただくかということをこれから自律的にお決めいただきたいというふうに考えておりますが、今回、若干スリーマイルの場合と違いますのは、残念ながら事故そのものが収束をいたしていないということは、最終報告をどの段階でいただけるのかということに関して一定の影響があるのではないかということを私どもとしては考えているところでございます。

高木(美)委員 最終報告につきましては、それはだれしも、まだ経過途中でもありますし、そこは求めているものではありません。

 ただし、早い時期から、今からきっちりとした、むしろ罰則をかけるような強い権限を持った検証を行っていかなければ、本当は何だったのか、いまだに、五月二十三日に出された原子力保安院からの報告の中には、三月十二日二十時二十分海水注入開始というこの記述が残ったままですよ。そうしたことを一つずつ本当に検証しながら、明快に、次の防止に向けての勧告も含めて行うことが必要ではないかと思います。

 私は、いつも民主党政権の皆様の運営ぶりを見ていて思うのですが、枝野官房長官も仙谷前官房長官も弁護士出身でいらっしゃいます。現実、今弁護士としても手腕を振るっていらっしゃるわけですが、しかし、行政の法律原則、これをいつもお守りにならない。閣議決定でこれをつくりました、今回の国家戦略室、また行政刷新会議もそうです。法的根拠のない組織をあっちもこっちもたくさんつくっている。やはり私は、法治主義を守るべきとあえて申し上げさせていただきたいと思います。

 こうした強い権限を持つ委員会を設置するのであれば、私は根拠法を明確にすべきだと思います。そうでなければ、海外からの、IAEA等からの検証、また海外から、これはどれだけの重さがあるのか、日本の法的位置づけはどうなのか、そう問われたときに、申し開きのしようがないではありませんか。

 今からでも遅くありません。明確に、こうした強い権限を持った、罰則をかけた委員会を設置すべきと提案をさせていただきますが、再度官房長官の答弁を求めます。

枝野国務大臣 今回の検証機関も、法律上の規定はございませんが、法的根拠に基づいて設置をしているものでございます。

 それから、今御指摘のような御意見があることは十分あり得ることだというふうに、一つの御意見だというふうに思っておりますが、例えばアメリカのスリーマイルの調査機関も、これはたしか法律に基づくものではなかったというふうに承知をいたしております。

 もちろん、今のような御意見のあることは十分承知をいたしておりますが、だからこそ、特に独立性の観点について、委員の皆さんの人選、そしてこれからの運営に当たって、しっかりと独立性を、広く国民の皆さんに信頼していただけるように、この間も配慮してきたつもりでございますし、さらにしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

高木(美)委員 全く説得力のない答弁でございます。

 やはり、委員会にどのように権限を持たせ、そして手腕を振るってもらうか、せっかく入っていただいたこうした委員の方たちにつきまして、存分に見識を発揮していただかなければ正しい検証もできないと思っております。

 それに対して、法的根拠はないわけではないといったようなお話がありますが、我が国にはこうした国家行政組織法という強い法律があるわけで、やはり私は、国民のだれが見ても、ああ、あの事故調査会のような、あの公安審査会のような、なるほどと言えるような、やはりそうした透明性の高い検証が行われることが必要ではないかと思います。重ねてそのことを官房長官に申し述べさせていただき、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 済みません、きょう自民党さんは復興基本法のことで今お座りいただいているのですが、今の答弁を聞かれましてどのようにお感じになられるか。自民党さんも第三者委員会を置くということを提案していらっしゃいます。中身を読ませていただきますと、いいですか、伺って、三条委員会と同じような内容を考えていらっしゃいます。

 強制調査権がなければ真相究明に実効性が上がらないというのは、同じ考えではないかと思います。しかし、これを国会に置くというイメージがもう一歩よくわからないもので、例えばメンバー等にしても、一つは、国会議員以外のメンバー、また、その十名のうち八名は学識経験者以外という内容でございます。私は、もしこのメンバーを政党会派から推薦するということになれば、政党色がかかってしまうのではないか、本格的な原因究明の調査ができるかどうか、少し懸念をするところでございます。

 我が党の主張する強い三条委員会の設置につきまして、もし何か御感想がありましたらお答えいただければと思いますが。済みません、通告もなしに、恐縮でございます。

石田(真)議員 私は今その法案の担当をしておりませんので、中身について詳しく答弁させていただくわけにはまいりませんけれども、先ほど来の高木先生と官房長官のお話をお伺いいたしておりまして、私は、この原発については、世界が注目していると思います。ですから、世界的な批判あるいは評価にたえられるようなそういうものをきちっとやっていくという意味では、政府内というよりも、やはりきちっとした形で、透明性の高い第三者機関をきちっとつくる、そして、そのことによって徹底的に原因究明を行う、そのことが非常に大事でありまして、私どもの自民党が今検討している案もそういうことを念頭に置いて議論をしているということであります。

 今後、各党の皆さん方とのお話の中で、法案として提出もさせていただくと思いますので、その節には何とぞよろしくお願い申し上げます。

高木(美)委員 ありがとうございます。大変恐縮でございます。

 次に、被災者生活再建支援法につきまして、松本防災担当大臣に伺わせていただきたいと思います。

 この件につきましては、我が党も再三質問をさせていただきました。しかしながら、今、貯金も尽き、食べていけないという悲鳴、そしてまた、避難所を出て今後の生活設計を描こうにも、手元のお金は尽きてしまった等のお声、まさに悲鳴が私どものところにも多く寄せられております。義援金の支給につきましても、被災した役場ではなかなか人手不足で進んでいない。あの日赤の二千億は本当に手元に渡っているのか、こうした問い合わせも今多くいただいているところでございます。

 そこで、この支援金につきまして、支給の現状につきまして、まずお伺いをさせていただきます。

松本(龍)国務大臣 被災者生活再建支援金のお話であります。

 きょう高木委員から御質問があると聞きまして、きのうのお昼に事務を担当しております都道府県会館に行って、督励をしてまいりました。今、五月二十七日までに上がったのが二万三千七百件ございまして、早期に申請のあった方で審査の終了した方、約三千件につきまして、支給したところとお聞きをしました。

 支援金の早期支給につきましては、使い勝手が悪いあるいは手続が長くかかるということで、発災から一週間後に事務方に言いまして、深刻な津波被害を受けたライフラインの回復が見込めない地域については長期避難エリアに設定をいたしましたし、県と市町村の合同審査方式というのも導入をし、対策を周知したところであります。

 これまでに、私どもも、都道府県会館に対しては、支援金支給の迅速化のため、第一次補正予算の成立を踏まえて発出した通知などにおきまして、支援金支給のための迅速な処理を行うよう要請を行い、あわせてデータ入力等に係る人員の増強などの改善方法を提案してまいりました。これに応じて、都道府県会館の体制を四人から十二名に増加するなど、事務処理体制の強化が図られているところであります。

 しかしながら、御指摘のとおり、石田委員からも言われましたし、木庭参議院議員からも言われましたけれども、都道府県会館の事務処理体制は改善後でも十分ではないと考えられて、先週、私みずから都道府県会館に対して適切かつ迅速な処理を強く要請をし、都道府県会館から今週中に処理スケジュールを含め具体的な改善策の報告を受けることとしておるところでございます。

 以上です。

高木(美)委員 今大臣から御答弁いただきましたとおり、申請が二万三千六百八十七件、支給されたのが二千九百二十九件、申請に対しての一二・四%と聞いております。

 これからどれだけの方々が申請をされるかということを考えますと、要するに、平成十六年の新潟県中越地震のときは五千二百七件、このときは領収書をもって後で請求するという方式でした。十九年の中越沖地震のときは三千三十三件。今回は、予測をしましても十万件を優に超えると言われております。

 例えば、お一人百万円と考えましても全部で一千億円という予算規模にもなるわけでございますが、私は、このおくれている理由、先ほど大臣は、人員を四人から十二人に増員という話がありましたが、この事務費につきましては、これは全額、都道府県会館持ちなのではないですか。この事務費を国がこれからどのように補てんしていくかということについてはいかがでしょうか。

松本(龍)国務大臣 その事務費につきましては、具体的に私どもに事務費を国で持ってくれというお話はございません。

高木(美)委員 国で持ってくれという話がなければ、国は動けない。

松本(龍)国務大臣 そういう話でございますし、またマンパワーのことにつきましては、先週また督励をしましたし、今週いろいろなことがあっておくれるようなことがあれば、私どもも要請があればやっていきたいと思いますし、総務大臣ともしっかりその話はしているところであります。

高木(美)委員 もう一つ伺わせていただきます。

 十万件を優に超えると言われていますので、先ほど申し上げましたように、トータルどう考えても最低一千億、今、基金として積まれている残額は五百三十数億円と聞いております。この残り、不足分ですね、この四百七十億、ともすれば五百億、六百億に行くかもしれません。こうした不足分については、私は国が出すしかないのではないかと思うのですが、これは大臣はどのようにお考えでしょうか。

松本(龍)国務大臣 基本的に、この被災者生活再建支援制度は都道府県の相互扶助という意味の中でできまして、今、五百三十八億、基金の中にございます。

 五月二日の第一次補正予算で、私ども、五百二十億、皆さんの素早い対応で補正をつくっていただきました。ですから、今、一千億ございます基礎支援金あるいは加算支援金、これからどういう状況になるかわかりませんけれども、とりあえずはこれで対応していく、全体の様子がまだわかりませんから、とりあえずこれで対応していくということで今やっているところでございます。

高木(美)委員 恐らく都道府県の方は、二分の一、二分の一の負担ですので、五百三十八億を全額ここに使っていいのかどうか、これからまたさまざま天候不順によるような災害が起こった場合に、やはりそこにとっておかなきゃいけないんじゃないか、こうした不安があるわけです。

 この将来像が描けないでいる都道府県の今回のこの状況に対しまして、私は、もしそういう災害があったら、今度はまさに法律を新たにつくる必要があるかもしれません。しかし、そうしてでも国がちゃんと面倒を見るから、今回はまずこれをしっかりと、人数もふやして、事務費も国が持つからちゃんとしっかりやりなさいという、これを大臣、督励という話なのではないんでしょうか。お考えを伺います。

松本(龍)国務大臣 当然のことながら、基礎支援金にしても加算支援金にしても、満額、申請があった部分には必ずお支払いをするということは、ここでお約束をしたいというふうに思っております。

 そういう意味では、基金をどうするかということにつきまして、知事会からも、国と知事会の負担のあり方等々、いろいろお話があっておりますけれども、これもさまざま、総務大臣あるいは財務大臣等とこれからしっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 今の大臣の御答弁を伺っていますと、本当に進みますかねという不安に駆られるのですが。

 例えば、都道府県は、事務費をふやすと自分たちの負担になるわけです。人数をふやすのは構わない。だけれども、その分は自分たちの負担、この五百三十八億の基金のお金がそこから減っていくわけですね。

 それと、先ほど申し上げた、今後の災害にどう備えるか、ここの絵柄が描けないでいる、これに対して明確に手を打つことが必要なんじゃないですか。検討中というお話ですけれども、そうしないと、事務費、人もふやせないではありませんか。それも、せめて国が負担をするから人もちゃんと雇いなさいと、以前の社保庁と同じです、あの年金のさまざまな問い合わせに対して、本当に人を抱えてやりました。

 そういう形で、今回もまさに雇用の一環として、こうした高いスキルを持っている人たち、しかも、都道府県会館はすぐそこにありますので、はるばる地元の県から呼ぶ必要はないわけで、東京都の職員のOBの人たちとか、公務員のOBとか、さまざまな方たちに来てもらって、そこで一気にこれを処理していこう、こういうスピードアップをしていかなければ、先ほども質問にありましたとおり、これから恐らく暑くなります、避難所を出て何とか、そのときに手元のお金が何もない、そして親戚を走り回ってお金を借りる、惨めじゃありませんか。

 そんな思いをさせないために、まず、きちんとした支援金を支払うシステムを国が責任を持って整えるべきと考えますが、大臣、もう一度答弁いただいてよろしいでしょうか。

松本(龍)国務大臣 御指摘のとおり、その問題はずっと御党からも御指摘をいただいておりますので、先週も事務処理体制を急いでくださいという話があって、財政的なバックアップ体制、人的なバックアップ体制等々も含めて、今週、都道府県会館の方から御要請がもしあれば、私たちはやりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 それでは大臣、内々にでも何でも構いませんので、あした知事会が行われる予定と聞いております。そういう意味では、理事長、事務局長、内々に打ち合わせをしていただきまして、そうした形式が必要なのであれば、そうした要請を行うというその形式をきちんと踏んでいただきまして、一刻も早く、方向性の了承をきちんと都道府県の方もとる、そしてまた国もその対処をする、このようなことをお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

松本(龍)国務大臣 今のお話はしっかり承りました。

高木(美)委員 それでは次に、復興基本法の政府案また自民党案、両案につきまして、枝野官房長官、そして自民党の提案者の議員の皆様に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、公明党案の資料、骨子案でございますが、お配りをさせていただいております。

 公明党案につきましては、まず、目的のところでございますが、ここに、基本理念、それから国、地方公共団体の責務と国民の努力云々ありまして、復興庁の設置、また財源、それから、復興特区制度の創設に関する事項を定めると書かせていただいております。

 まず、復興特区につきまして伺わせていただきたいのですが、今回、この復興特区の議論も既に各地で始まっております。また、復興構想会議、きょうの報道によりますと、特区を設置するということで合意したというような報道もあります。

 二十三日、我が党の石田議員が質問をされました中で、復興特区の考え方につきましては、自民党さんも、自民党案の第十条の中で復興特区を念頭に置いて書きました、そうした趣旨の御答弁をいただいております。

 この復興特区につきまして、官房長官は、この法案に盛り込むことを、また復興特区を創設することにつきましてどのようにお考えか、伺わせていただきます。

枝野国務大臣 復興に当たってはいわゆる特区という仕組みを生かす、使うということについては、構想会議でも今御指摘のように御議論いただいておりますし、重要な施策の一つであろうというふうに考えております。

 ただ、基本法に載せるかどうかというところで、私ども、国会に御議論をお願いしている基本法の案には載せておりませんが、復興特区という手法を有効に使いたいという思いは共有しているというふうに考えております。

高木(美)委員 大変前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 次に、基本理念につきまして、公明党案につきましては、憲法の精神に基づき、「人間の復興」ということを書かせていただきました。これは、一人一人の人間に光を当て、憲法に基づく個人の尊厳、幸福追求権、また二十五条に定められる生存権に基づくという考え方でございます。

 実は、一昨日、我が党の全国代表懇談会という会議を行いまして、そこで、福島の我が党の議員でございますが、震災の復興は心の復興からというふうに訴えておりました。私は、この震災の復興は心の復興から、まさに、現地で苦しみながら走り回り、多くの県民の面倒を見ている議員らしい言葉だなと大変感動いたしました。

 この心の復興また人間の復興、これは自民党でおっしゃる「絆(きずな)」ということにも共通すると思っております。また、既にG8のサミットにおきましてもキズナという言葉が使われたと聞いております。

 やはり、一人一人が災害を乗り越え、再び輝いていく、そのための復興の道筋でなければなりませんし、二十一世紀半ばの支え合う社会また共生社会の実現を目指して一人一人に光を当てまして、人間の復興のために、私たち国は被災者に寄り添って、被災者の視点で取り組んでいくという理念、メッセージという意味からも大事であると思っております。

 こうした公明党の基本理念につきまして、官房長官並びに自民党の諸先生方のお考えを伺いたいと思います。

枝野国務大臣 今御指摘をいただきました点、そして御党からの資料にもございます、骨子にある基本理念の(ア)にある考え方というのは、私も大変重要な視点であろうと思っております。

 ともすると復興という言葉からは、関東大震災からの復興などのイメージも、どちらかというと何か町が立派になるとかそういった、個人の暮らしとか一人一人の暮らしというところよりももっと何か大きなというべきなのか、ちょっと違った視点の方に目が向けられがちであろうかなというふうに思っています。

 しかし、今回の東日本大震災において被災をされた地域や、あるいはそこで暮らしていらっしゃる方が例えば高齢者の方が多いとか、さまざまな状況を考えますと、まさに、そういったところでちょっと視点がずれると大変なことになってしまうだろう。

 お一人お一人の暮らしというものにしっかりと視点を置いて、お一人お一人がしっかりと、また地域の中で支え合いながら、もと以上の暮らしができるようなことをつくっていくということこそが今回の復興で求められていることだというふうに思っておりますし、また、御指摘のあります、日本国憲法の個人の尊厳や幸福追求権あるいは生存権などというものをしっかりと軸に置いたところで復興を進めていかなければならないというふうに思っておりまして、大変貴重な御指摘をいただいているものと思っております。

橘(慶)議員 高木議員にお答え申し上げます。

 公明党さんの方の復興の基本理念、人間の復興ということであります。

 憲法の精神に基づいて一人一人の人間に光を当てて、この大変厳しい災害を乗り越えながら豊かな人生が送れるように、こういうことでありますけれども、今ほど来、高木議員からもあるいは官房長官の御答弁もありましたが、町並みが戻っても、学校や事業所がもとに戻っても、それだけじゃいけないんだ、そこで学ぶ人、働く人、生活する人、そういう方々みんながやはりあしたに希望を持って、よし頑張ろう、そういう気持ちになっていく、そういう乗り越え方をしていかなければいけない、まさにそのとおりだと思います。

 そしてまた、「絆(きずな)」という言葉もわざわざ引いていただきました。

 今、震災から二カ月半くらい、みんなが何かをしてあげたい、そしてまた、みんなが被災地で少しでもお役に立ちたい、あるいは、そこにいる方みんなが幸せになってほしい、そういう思いが日本の国内に満ち満ちてきている、このようにも思うわけであります。

 大震災の被害は大変甚大でありました。しかし、御指摘のようにそのことを乗り越えて、心が豊かになるという形で乗り越えていく、そういう日本になっていくということが今大変大事ではないか。

 私どもの自民党案におきまして、そこは、二十一世紀半ばの日本のあるべき姿と書いてございますが、これは当然、そういった、国民のお一人お一人が、生命、身体、財産に関する諸権利が十分に保障され、そしてまた、あすに向けて希望を持って暮らせる、みんなが支え合えるそういう社会、共生社会ということを目指しておるわけであります。

 そういった意味で、御党の御提案ということについて十分共感できるものでありますし、御一緒にまたこの法案を磨いていきたい、こう思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

高木(美)委員 次に、復興庁につきまして伺わせていただきます。

 ここは自民党さんとは名称は異なりますが、考え方は同じではないかと認識しております。この所掌事務につきまして、二十三日、同じく石田議員が、企画立案、総合調整だけでなく、実施の事務ということを明確に入れるべきではないかと質問をされましたのに対し、総理は、内閣という枠組みを使って、閣議決定という形で、あるいは法案という形になりますので、当然、内閣として実施するという意味ですといった趣旨の答弁をされております。

 しかし、それでは、私は、ともすれば省庁縦割りのままでいくということになりかねないと思います。今求められているのは、省庁横断をする、各省の壁を越えて実質的権限を与え、そしてそれを結集しながら強い権限で取り組んでいく、こういうことではないかと思います。むしろ、総合特区制度のように、それぞれの省庁のさまざまな規制も条例で書きかえられる、また、そうしたことを後押ししていくような復興庁の存在が必要ではないかと思います。

 したがいまして、復興に関する施策の実施にかかわる事務ということを明記すべきと考えますが、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 政府案におきましても、被災者の皆さんあるいは被災地の自治体の皆さんの視点から、いわゆる縦割りでいろいろなところをたらい回しされるようなことがあってはいけない、あるいは、物を決めていくに当たっても、各省の縦割りのために物が進んでいかない、おくれたりするということになってはいけないという問題意識は共有をしているつもりでございます。

 そして、附則に復興庁の設置について検討事項として書かせていただいておりますが、新しい府省庁を設置するとなると一定の時間はどうしても必要だということもございまして、まずは、本部と本部のもとの事務局ということで立ち上がらせていただくということで提起をさせていただいています。その上で、将来的にある段階で設置をすることを検討している復興庁においてどこまでの権限を持つかということについても、これも、既存の省庁との権限等をどういうふうに分けるのかということについては、一定の見通しが必要かなというふうに思っております。

 一番極端な例を申し上げれば、例えば、被災地域の道路から農業から、それから中小企業対策から、あらゆる、いわゆる出先機関的な権限を含めて復興庁にまとめてしまうというような考え方もあるかと思います。ただ、この場合ですと、逆に二重行政的になってしまう。つまり、復興庁なり復興院の中に、経産局とか農水局とか環境局とかという今の省庁と同じようなものが局単位ぐらいにできて、結局二重行政になってしまうということもあり得るかと思います。

 ただ一方で、これは内閣の中で諮っているわけではございませんが、きょう御提示いただきました御党の、例えば特区についての御提案を読ませていただきますと、特区の指定権限を復興庁にまとめてしまおうと。これも多分実施に当たるんだろうというふうに思いますが、こういった形で、実際に二重行政をつくらずに、しかし、復興庁が直接やってしまった方が明らかに効率がいいと思われるような部分というのは、恐らくしっかりと御議論、検討させていただければ、あるのではないかというふうに思っておりまして、そういったところをしっかりと調整させていただければ、それほど考えていること自体は違っていないんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひ各党間で御調整をいただければありがたいというふうに思っております。

高木(美)委員 重ねて官房長官にお伺いしますが、復興対策のための第二次補正予算、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 まずは、国会で皆さんに御理解いただいてお通しいただいた第一次補正の執行をできるだけ速やかに進めていくということに全力を挙げているところでございますが、同時に、当然第二次補正も必要な状況であるということは、これはもうだれもが異論のないところでございます。

 現在、具体的に第二次補正として、できるだけ早く予算措置をとらなければ復旧復興に当たって支障が出る問題の具体的な中身について、御党からも御提起いただいておりますし、各党からもいただいております。それから各省においても、それぞれ現場の声や一次補正の執行状況を踏まえながら、そうした論点、視点が順次集まってきているところでございます。

 こうしたものを速やかに整理して、おくれることのないように、必要があるものについては国会で御審議をお願いしたいと思っておりますが、まだそういったものを集約しているところでございますので、具体的にいつかというのはもう少し待っていただければと思います。

高木(美)委員 私はやはり、今国会でぜひとも二次補正はやらなければならないと考えております。やはり、復興予算の第二次補正が、どんなに遅くも今国会、そしてまたさらには、九月ごろには成立しておかなければ地元の復興が間に合いませんし、絵柄が描けないというのがあります。

 しかし、官房長官、これは私、おかしいと思うんですが、その第二次補正を成立させたとして、それを実施に移すのは、今は恐らく対策本部という話になるんだと思うんですが、本来は、一年後に設置される予定の復興庁を、その骨格だけでも前倒しをして、きちんとそれをやっておかなければ、要するに、補正は通った、でも、それを施行する復興庁についてはその一貫性が何となく切れている、これは変な話ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 政府案におきましても、閣僚等を構成員とする本部を設置しますが、そのもとに事務局を設置することになっております。

 そして、この事務局は、相当大きな強い事務局をつくろうということを想定いたしているところでございまして、これを庁と呼ぶのか復興本部事務局と呼ぶのか、そしてその権限の範囲については先ほどのような御議論があろうかというふうに思いますが、実質的に相当強い事務局が復興について各省庁横断的に実務を進めていく。

 そこには復興担当大臣を置かせていただきまして、これは総理の人事権でございますので私から深入りできませんが、いずれ庁になる余地が我が案でもあるわけでございますので、そうしたこととの連続性も含めて総理において判断されるものというふうに思われますので、そうした意味では、一貫性を持って進めていくための準備といいますか、想定は政府案についてもできております。

 繰り返しになりますが、御党を初めとして、復興機関のあり方についてはさまざまな御意見がございますので、各党間での調整が前に進むことを期待申し上げているところでございます。

高木(美)委員 時間があと二分ぐらいになりました。

 最後に、これは私の要望でございますが、きょう、公明党案の基本法の骨子のところにはこのように書かせていただいております。二ページ目の(ク)のところでございますが、今後の復興の施策の策定等に当たりましては、女性、障害者、子供等多様な社会的立場からの意見を反映されるようぜひとも配慮をお願いしたいと思います。こういう文言を明記していただきたいと思います。

 共生社会を目指す観点からこうしたことは必要ではないかと考えますが、官房長官、そしてまた自民党に一言ずつ簡潔な答弁を求めたいと思います。

枝野国務大臣 復興に当たって、御指摘いただいた、女性、子供、障害者等多様な社会的な立場からの意見が反映されるようにすることは大変重要なことだというふうに思っておりまして、政府案においてこうした規定を置かなかったことについては反省をいたしております。

石田(真)議員 高木議員にお答えをさせていただきます。

 我々は、国が主体的に関与する、しかし同時に、やはり地方がしっかり施策の計画立案から実施まで行う、そういうふうに共同していけるようにという考え方を持っておりまして、そしてまた、地方の職員さんを復興院の方にも積極的に登用するとか、あるいは復興再生委員会、そこには首長の方に入っていただくとか、そういうことを盛り込んでおりますけれども、今御指摘いただいた、女性、子供あるいは障害者等多様なという、それはもう当然のことでございまして、そういう趣旨のもとにこの法案を成立させていきたいと思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 地域の多様性を生かしつつ、悪い意味での平等にならないように、国が寄り添い、尊重し、緩やかにしっかりと地方を支えていくという方向性を大事にしていただきたいと思います。その意味では、公明党案は大変すぐれておりますので、ぜひ丸のみをしていただきまして、今後の修正に期待をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 復旧復興を考える前提として、まず、被災した沿岸地域の特徴について確認をしたいと思うんです。

 農林漁業が中心でありまして、零細な中小業者が多い、しかも、高齢者の比率が大変高いという特徴がございます。

 資料を見ていただきたいんですけれども、被災地の人口統計です。一枚目は、ちょっと数字が細かいんですが、津波被害の大きかった岩手県、宮城県、福島県の沿岸部と、計画的避難区域を含む市区町村の統計であります。これは二〇〇五年の国勢調査をもとにしております。二枚目に岩手県、三枚目に宮城県、四枚目に福島県、それぞれ対象地域を示しております。

 一枚目のちょうど真ん中のところに、六十歳以上の人口とその比率が示されております。参考として載せてありますけれども、これを見ても明らかなように、この沿岸地域で六十歳以上の方々が占める割合というのは大変高いんです。岩手県で三五・二%、宮城県で二五・八%、福島県で二八・三%であります。岩手県は特に比率が高い。市町村別に見ますと、一番比率の高いのは岩泉町で四一%、釜石は三九%、陸前高田三八%。人口の大体四割を六十歳以上が占めているわけです。この実態を踏まえた地域経済の復興というのが大変大事だと私は思うわけであります。

 片山大臣にお聞きしますけれども、この被災地の特徴をどのようにとらえておられるか、どのような復興の筋道が必要と考えておられるか、まずお聞きをしたいと思います。

片山国務大臣 今次の大震災の被災地は広範にわたり多様でありますけれども、特に今御言及のありました岩手、宮城などを見ますと、沿岸部は非常に高齢化が進行している、過疎化も進行している、それから、産業基盤でいいますと第一次産業が中心となっている、こういう地域特性があると思います。

 この復興といいますものは、復旧復興は要諦は何かといいますと、現時点で、今本当に不安に駆られて絶望に陥っている皆さん方に、不安を解消して少しでも安心の心を持っていただく、絶望をいやして多少なりとも希望を持っていただく、これが一番の基本だろうと思います。

 そのためには、まず、生活基盤の安定ということで、住むところをいかに確保するか。これは幸いに、長年のいろいろなこれまでの経緯を踏まえまして、既に住宅再建支援というものができておりますので、これを中心に取り組んでいただくということでありますし、もう一つは、生業の安定ということで、特に高齢者の皆さんが多いというところ、一次産業ということですから、その方面で、高齢者の皆さんの生業の取り戻しということもありますし、高齢者の皆さんを地域全体で支える若い皆さん方の生業の場、就業の場ということも必要になってくる。

 したがいまして、まずは生活基盤の安定、それから生業の回復ということ、これが目下の一番の課題だと思います。

佐々木(憲)委員 漁業就業者の高齢化は大変進んでおりまして、二〇〇八年の農業センサスによりますと、被災自治体の漁業就業者のうち六十歳以上の占める比率は、岩手県が五一・三%、宮城県四六・五%、福島県三二・七%、こうなっているわけです。漁業従事者の中で平均して六十歳以上が半分、こういう状況であります。

 復興を考える場合、こういう農業、水産業、中小企業を担ってきている方々、六十歳、六十五歳になってこういう被災に遭って、もう一度事業を復活させるというのは、これは並大抵のことじゃないんです。六十歳以下の方にも当然頑張っていただかなければならない。被災した地域経済の復興というのは、非常に、そういう意味では、どのようにその意欲に対して国が手を差し伸べるかということだと思うんです。

 枝野官房長官に、そういう方々に国がしっかり支援の手を差し伸べるということが大事だと思うんですが、確認をしておきたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、この地域は、過疎化、人口減少と高齢化がもともと顕著であるところでございますし、またその基盤である産業を支えていらっしゃる方が高齢化が進んでいるということでございます。

 地域をしっかりと復興、復活させるためにも、こうした高齢者の皆さんが意欲を持って復興に取り組んでいただけるような支援をしてまいりませんと、そうした個々人の皆さんの暮らしも、そして地域も復旧、復活、復興させることはできないというふうに考えておりますので、しっかりと対応してまいりたいと思います。

佐々木(憲)委員 これらの業者が営業再開する際には、当然資金が必要であります。その場合、私が聞いておるのは、金融機関から非常に不当な扱いを受けているんだという話が伝わってきます。

 例えば、例を挙げますと、宮城県の多賀城市の飲食店の例ですけれども、津波で非常に大きな被害を受けた。そこで、政策金融公庫に相談に行って、二百万円融資を申し込んだ。ところが、こう言われたというんです。前の借入分と住宅ローンの返済を合わせたら、借りても返済できないでしょうと言われて、断られた。津波で店舗がだめになって、それでも何とか営業再開しようというときに、今までの借金分の返済もあわせて返せと言われると、これはだれも借りられないですよ。これでは復興ができない、こういう声が上がっております。

 それから、岩手県の宮古市の業者の場合、震災で仕事がなくなったので、運転資金を借りたいと銀行に相談に行った。ところが、以前に融資を受けたものについての支払い方法の相談には応じるけれども、仕事がないんだから新規は無理です、こういうことで断られた。これは、今までの負債があるから新たな資金を融資しないということでは、再スタートというものは切れないんですよ。

 自見大臣に確認しますけれども、被災者に対して、過去の債務があるという理由で新規融資を断るというようなことがあってはならない、被災した中小企業に対して別枠で融資をきちんと行う、金融庁としてそういう立場で指導すべきではないでしょうか。

自見国務大臣 佐々木議員にお答えいたします。

 震災当日から、三月十一日でございますが、金融庁においては、金融機関に対して、災害の影響を直接、間接に受けている顧客から返済猶予等の貸し付け条件の変更等やつなぎ融資の供与等の申し込みがあった場合には、中小企業円滑化法の趣旨を踏まえて、できる限りこれに応じるように繰り返し繰り返し要請をしているところでございます。

佐々木(憲)委員 そういう要請をされても、実際には現場には届いていないというのが多くの皆さんの声の中にあります。もう一度その点をしっかりと調査していただきたいし、是正をしていただきたい。

 被災した業者が営業再開のときに最大のネックになっているのが、過去の借金を抱えながら新規の借り入れをしなければならぬ、こういう二重ローンの問題であります。

 五月十日に宮城県震災復興金融協議会というのが開催されまして、その場で七十七銀行の頭取はこう言っております。被災企業は工場などを再建しても事業規模が従来に戻るとは限らず、実質的には三重、四重の債務を抱えることになる、多くの企業が債務の大きさに立ちすくみ、やる気を失うのを非常に心配している、こういうふうに発言をしております。

 この委員会でも、マイナスからではなく、せめてゼロからのスタートができるようにしてほしいという言葉が繰り返し皆さんから話されております。

 菅総理は二重ローン解消について、我が党の大門実紀史参議院議員に対しまして、政府として何とかしなければならない大変重要な課題だ、二重ローンにならないようにする大門議員の提案は大変検討に値するスキームだ、しっかりと検討させていただきたい、こう述べたわけです。

 この点について、枝野官房長官、海江田経産大臣、総理と同じこういう姿勢で取り組むということを確認したいと思います。

枝野国務大臣 総理と全く同じ考えでございます。

海江田国務大臣 私も総理と同じ考え方でございますので、枝野官房長官ともども、関係省庁とよく連携をとって、一日も早くこの実施に努めたいと思っております。

佐々木(憲)委員 とりわけ信金、信組の場合は、みずからも被災しながら零細の貸出先を支えているわけであります。

 資料の五枚目を見ていただきたいんですが、これは信用金庫の従業員規模別の貸出先の構成比でございます。従業員がゼロから十人までの零細企業は実に八五・八%を占めております。六枚目は信用組合の場合でありますが、従業員が一人から四人の零細企業は八割台。圧倒的に信金、信組の場合には相手が零細企業でございます。

 そこで、自見大臣にお聞きしますけれども、被災した中小企業や個人向け融資の総額、これはおおよそどのくらいと見ているか、数字を示していただきたい。

自見国務大臣 お答えをいたします。

 被災地の各金融機関において、現在、顧客の状況等について確認作業を進めているところと承知をいたしておりますが、現時点では、先生御存じのように、被災地向けの貸付債権については、利子総額も含めて具体的に正確な数字を申し上げる状況にはないというふうに御理解をいただきたいと思います。

 その上で、金融庁は、預金取扱金融機関、主要行三行、地域金融機関それから労働金庫からのヒアリングをもとに、実は二十二年九月末の時点での被災地に所在する営業店の貸出金残高を集計したところ、これは一兆一千九百億円から二兆七千八百億円となりまして、この貸出残高をもとに、貸出平均金利が二%あると仮定しますと、あくまでこれは仮定に基づいた機械的な推計でございますが、利子総額は年間二百四十億円から約五百六十億円程度になるというふうに推計いたしております。

佐々木(憲)委員 答弁を求めた次の質問の答弁までしていただきまして、ありがとうございます。

 総額として、この地域の被災された中小業者を含む貸出先、これは農林漁業も含んでおりますが、総額として一兆二千億円から二兆七千億円という額ですね。まあ二兆円程度であります。これは利子だけでどのくらいかということで、最後に答弁をされたのは、二百四十億円から五百六十億円なんですね。ですから、金額としてはそれほど大きくはないわけです。

 今の統計は、資料七枚目に三県に本店を置く地方銀行の統計がありますし、三県に本店を置く信金、信組の統計も八枚目にあります。

 それで、被災者の場合、どうしても、過去の債務を何とか棚上げしてほしい、簡単に言いますとチャラにしてほしい、そういうのが率直な気持ちなんです。それが無理なら、せめて、少なくとも既存の債務を一時棚上げしてもらいたいと。

 例えば、二十年ぐらい棚上げして、その間に、当然この利子を払わなきゃならぬけれども、その利子補給をしてもらう、そういうことが考えられるわけですね。そうすると、利子補給だけだと、先ほどの数字でいいますと五百億円以下、毎年五百億円から三百億円程度で、そのくらいの金額があれば、二十年間、これらの何十万という被災者の方々を救うことができるわけです。そのくらいの数字だという点であります。

 そこで、鹿野大臣にお聞きしますけれども、農水省として、東日本大震災の被災地にある農協、漁協に対する支援策というのはどうなっているか。九枚目は農協、漁協の貸出金残高で、合わせて八千億程度でありますが、農水産業協同組合貯金保険機構というのがあるんですね、これを利用したスキームを考えていると伝えられておりますけれども、その内容を説明していただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今、先生から指摘されますとおりに、今回の極めて大きな被害のために漁業者、農業者が甚大な影響を受けておりまして、そういう中で、何とか営農を再開したい、漁業をまた再びやりたい、こういうようなことになってまいりますと、どうしても農協なり漁協というふうなところが、被災漁業者なりあるいは農業者の事情に応じた資金の円滑な融通というふうなところが必要になってくるわけでございまして、そのためには、農漁協等の経営の健全性というものを確保することが不可欠だと思っております。

 そういう意味で、被災地域の金融機関の機能強化については、先般、金融庁におきまして、今般の震災に対応した金融機能強化法改正案が国会に提出されたわけでございますけれども、私ども、これらの動きというものに合わせまして、農漁協系金融機関につきましても同様の措置を講じてまいりたい、こんなようなところで今詰めておるところでございます。

佐々木(憲)委員 これは貯金保険機構を利用しながら行うという点と、それから、これは二重ローンの解消にも役立つと考えてよろしいかどうか、ここをもう一回確認したいと思います。

鹿野国務大臣 前段の件はそのとおりでございますが、二重ローンのことにつきましては、当然、金融機関の体力を強化するというふうなことが必要でございますけれども、それとは別に、やはり二重ローンの問題というものは幅広い観点から対策というものを、先ほど官房長官、経産大臣からもお話がありましたけれども、具体的な措置を講ずるべく検討していかなきゃならないんじゃないかな、こういう認識でございます。

佐々木(憲)委員 この貯金保険機構の活用というのは大変参考になる制度だと思うんですが、銀行の場合は預金保険機構というのがあるわけです。

 自見大臣にお聞きしますけれども、金融機関が支払っている預金保険料の総額は年間どのぐらいか、それから、責任準備金は現在幾らで、来年、再来年の見通しはどうか、数字を確認したいと思います。

自見国務大臣 平成二十二年度の預金保険料の収入は六千八百億円でございまして、これはちょっと、将来の見通しということは、私、資料を持ってきておりませんが、先生御存じのように、これは大体、ことしは日本振興銀行がございましたから、あれで預金保険料は減りましたけれども、通年に戻れば大体六千八百億円ということで、今までずっと、なかなか、金融機関がつぶれましたので、赤字ということも大きかったわけでございますけれども、見通しとしては大体六千八百億円。今後は、収入がきちっと、預金者から当然、一万分の八・四いただいておりますから、見通しとしては、順調に入ってくる予定でございます。

佐々木(憲)委員 今の数字は、一番最後の資料に配付をしたとおりであります。資料で配付しております。

 要するに、過去の不良債権処理というのは既に一段落をしまして、赤字部分はもう解消されて、来年ぐらいからは六千八百億円毎年積み上がっていく、こういう状況にあります。先ほど確認したように、利子補給分だけでも最大五百億円程度、一年間の預金保険料の一割にも満たないわけでございます。

 銀行は、一九九〇年代の金融危機の際に、公的資金の投入を受けて救われたわけですね。赤字だった責任準備金も解消して、毎年黒字が積み上がっていく。今度は、銀行の側が恩返しをすべき番だと私は思うんです。その資金を利用して二重ローンの解消につなげる、こういうことも十分できると思うんですね。

 枝野官房長官、このことも含めまして、財政資金も当然必要だとは思いますが、その前に、銀行にあるこういう預金保険機構の基金、農水産の場合には貯金機構から一定の資金ということもありました。これを含めて、二重ローン解消のスキームとして考えていくということも十分考えられると思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 御指摘のお気持ちはわからないではないんですけれども、言うまでもなく、御承知のとおり、預金保険制度は、万が一の金融機関の破綻時に預金者の保護等を図ることが目的でございます。そして、基本的には、銀行のものというよりは、預金者がその一部を拠出して、それが積み重なるという形になっておりますので、それを今御指摘いただいたような形で使ってしまうことが果たして許されるのかどうかというのは、かなり慎重な検討が要るのではないだろうか。むしろ、もしそうしたことに資金が必要であるならば、財政資金も含めて検討をするべきではないだろうかというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 預金保険機構というのは、預金者を保護するのが基本だというのはわかります。ただ、銀行としての、金融機関の相互の、いわば互助会的な、そういう性格を持った機構でもあるわけです。したがって、こういう被災地を支援する、あるいは、被災地の信金、信組等、弱体化したそういう金融機関、そこを全体として支援していくスキームとしては十分考えられると私は思うわけでございます。

 それでは次に、野田財務大臣に聞きますけれども、二重ローン解消ということについては非常に前向きな答弁も、今まで、我々財務金融委員会で質問されたときに、債務者が困窮していくということは一番避けなければならない、しっかり協議をさせていただきたい、こういうような答弁をいただきました。当然、第二次補正予算案の中にこの二重ローン対策というのも盛り込まれるべきだと私は思うんです。枝野官房長官も、財政資金ということも必要だ、こういうふうに今御答弁がありましたので、ぜひ、二次補正の中に二重ローン対策というものも組み入れる、これは当然のことだと思うんですが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 一応、第一次補正でも、金融支援という意味では二重ローンに対する対応は一定のものが入っておりますけれども、総理からの御下命もございまして、先ほど来、官房長官を中心に御答弁しておりますが、内閣府、金融庁、経産省、農水省、国土交通省等々、今関係省庁と、普通の金融レベルの対応だけではなくて、幅広い検討をしています。そこで成案がまとまれば、当然のことながら、速やかに予算措置、税制措置等を対応させていただきたいというふうに思います。

佐々木(憲)委員 今まで被災地では、二重ローンの問題で意欲を失う方々が非常にふえてきているんです。復興どころではないということになってしまわないように、そういう方々が安心して事業の再建ができるように、政府として全面的な支援、こういうことをやっていただくことを要請いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 きょうは、原子力事故の対応について質問をいたします。

 まず、官房長官に、検証委員会ですけれども、報道では、ことしの十二月に中間報告、来年の夏までに最終報告というふうに報じられておりますけれども、政府としてはどのようなスケジュールで設定されているんでしょうか。

枝野国務大臣 この事故調査・検証委員会については、まず何よりも独立性というものを大事にしなければいけないというふうに思っておりまして、最終的には、委員会のメンバーの皆さんで自律的にお決めをいただく必要があるというふうに思っております。

 ただ、二点だけ、政府としてお願いというか、前提としてあるかなということで申し上げておりますのは、一つは、最終的な報告は、事故の一定の収束後でないと、例えば今の時点も現在進行形でございますので、それは一つ考慮をいただく必要があるだろう。

 ただし、一方で、国内的にも国際的にも、この検証についてスピード感を持ってということが求められておりますので、可能な限りできるだけ早く、できれば遅くともその一次答申といいますか、中間答申といいますか、それは年内ぐらいにおまとめをいただければありがたいということを、内閣の立場からは要望として委員会の方に申し上げようと思っております。

服部委員 きょうは、原子力安全委員長にお見えいただいております。多分、各委員の方も聞きたいことはいっぱいおありだと思いますが、時間がないので一点だけお聞きをいたします。

 安全設計及び耐震設計の審査指針については、見直しはされるんでしょうか。

班目参考人 見直しをする予定でございます。

服部委員 とすれば、いつまでに見直しをされるんでしょうか。

班目参考人 現在、安全委員の間などではしきりと意見交換しているところでございますが、何分にも、事故の事実関係すらはっきりしないということもあって、今のところスケジュールまではちょっと申し上げられません。

 それから、先ほどお話の出た事故調査・検証委員会の御意見というのは、これは当然尊重しなきゃいけないので、それもお聞きしながら進めていくということになろうかと思っております。

服部委員 そうしますと、検証委員会との関係ですけれども、当然、事故の検証を徹底的にやっていただかなければならないわけで、その中身を踏まえて見直すという選択肢もあるでしょうし、あるいはまた、安全委員会としてより積極的に助言をしていくということもあるのか。安全委員会と検証委員会との関係についてどういうふうにお考えなのか、お聞きをしておきます。

班目参考人 検証の委員会の方では、原子力安全委員会自体も検討の俎上にのるというふうに理解してございますが、安全委員会としては安全委員会として、予断を持たずにしっかりとした検討はしていきたいというふうに思っております。

服部委員 官房長官、今、多くの原子力発電所が定期点検でとまっております。その再稼働について、地域住民の方は多くの不安を今持っておられます。

 溝口島根県知事は、津波対策だけでは不十分、地震も冷却系統に影響を与えたり放射能の流出に影響を与えたりしたのか、原因を究明して対応をとらないといけないというふうにおっしゃっているわけですね。

 社民党は、最近、脱原発のアクションプログラムというのを出させていただいたんですが、きょう持ってきていますので、また後で差し上げます。ぜひ読んでいただきたいんです。

 こういった定期点検でとまっている原子力発電所の再稼働について、やはり一つは事故の収束、そして徹底した検証、及びそれに基づいた耐震基準の見直しとか安全対策の実施がされないと再稼働というのは無理だというか、すべきではないというふうに私は思うんですけれども、その件はいかがでしょうか。

枝野国務大臣 今回の福島原発の事故を受けて、特に津波による被害に備えた緊急対応は、各原子力発電所においてしていただいているところでございます。

 また、今までのところ、ここまでのところ明らかになっているデータ等からは、今回の原発事故は津波によって大きな事故となったものであって、津波発生前の、地震から津波までの間については大きな事故につながるような状況ではなかったというのがこの時点まで出ている状況でございますが、これについては、今後、震災発生当時のデータ等をさらに詳細に把握をできれば直ちに公開をするとともに、検証委員会とそれから安全委員会と両面においてしっかりとチェックをしていただかなければいけないだろうというふうに思っております。

 いずれにしても、安全性ということを最優先に、なおかつ地元の皆さんの御理解がなければ、これは再開することは困難であるというのは、社会的、政治的に言える状況だというふうに思っておりますので、原子力安全・保安院及び原子力安全委員会において、しっかりとした安全性のチェックと、それから、そのされたチェックを説得力を持って地元の皆さんに御説明できるかということにかかっていくであろうというふうに思っております。

服部委員 今までは、津波によって非常用電源が喪失された、冷却機能が失われたということで、各発電所では、津波対策とか外部電源の強化ということで安全対策を進められているというふうに認識しておるわけですが、最近、炉心冷却系の配管が地震動によって破損したんじゃないかとか、受電用の鉄塔が倒れたとか、あるいは、三号機では基準地震動の三割を超えた揺れを記録しているというふうにも言われているわけですね。

 ですから、この部分は当然徹底した検証が必要なんですけれども、今の御答弁は、いわゆる津波対策だけじゃなくて地震対策、そして、安全基準の見直しをするというふうに安全委員長はおっしゃったわけですけれども、当然、これに基づく対策をした上で、なおかつ住民の理解を得た上で、原子力発電所の再稼働についてはするんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

枝野国務大臣 まさに技術的、専門的な点も含まれておりますが、いずれにしても、今回の事故のもとで得られた教訓というものをしっかりと踏まえて、安全性がしっかりと確認をされると同時に、その安全性について地元の皆さんに御理解をいただけるということがなければ、再開することは、これは政府がどうこうする以前に、社会的、政治的に不可能だというふうに思っております。

服部委員 浜岡は、中部電力は、水密扉への取りかえ、それから防波壁の設置ということをこの二、三年内にするということですけれども、官房長官としては、この対策をすれば浜岡は立ち上げることは可能だとお考えなのか、あるいは、今おっしゃったように、きちんと耐震設計を見直す、その対策をした上でないと無理だというふうにお考えでしょうか、どちらでしょうか。

枝野国務大臣 浜岡については、御承知のとおり、大規模津波襲来の切迫性という特別な状況を踏まえ、一層の安心確保という観点から一たん停止をするということを要請して、これに中部電力が応じていただいたものでございます。

 この再開に向けては、まずは津波に対する対策というものをさらに万全にしていただくということが前提条件になるというふうに思っておりますが、地震そのものに対する対応については、今申し上げましたとおり、これは浜岡に限らず、一般的に、地震によって得られた教訓は、現時点ですべてのデータ等が集積されて分析をいただいているというふうに私は理解しておりませんので、さらにしっかりとした分析等をいただき、それに必要なものがあれば対応していただき、そしてそれについて地元の皆さんの安心についての御理解をいただくということが、これは浜岡に限らず必要だというふうに思っております。

服部委員 最近のボーリング調査で、浜岡では地震で過去二・八メーター一気に隆起した跡があるということが最近報道で報じられております。この震源域が真下にある、いわゆる直下型地震が想定される浜岡は、これは危なくて廃炉しかないというふうに私は考えているわけです。

 そこでお聞きしますけれども、再稼働ということは当然選択肢の一つというふうに政府は考えておられると思うんですけれども、廃炉ということも選択肢の一つとして考えておられるでしょうか。

枝野国務大臣 まずは、津波に対する万全の備えをとっていただくことを大前提に、今回の福島第一原発での事故を教訓にして、しっかりとした安全性について専門家の皆さんに、しかも情報、データその他について全面的な公開のもとに徹底した検証をしていただいて、安全性が確認をされ、そして、それについて周辺住民の皆さん、地元自治体の皆さんが御理解をいただくということが再開についての前提になるということでございまして、それが得られなかった場合についてという仮定については、現段階では申し上げない方がいいかと思っております。

服部委員 私としては、ぜひ廃炉も射程に置いて検討していただきたいということを申し上げて、次の質問に移ります。

 お手元に資料を配付させていただきました。

 これは、五月二十四日、原子力委員会で河田さんが「土壌汚染問題とその対応」として報告をされた内容で、原子力委員会のホームページにアップされている資料なんですけれども、まず、官房長官、この資料は初めてごらんになりましたでしょうか。河田さんの論文があるんですけれども。

枝野国務大臣 済みません、これに類するような資料……(服部委員「この資料です、この資料」と呼ぶ)そちらの資料は、私は直接は読んではおりません。

服部委員 そうですか。

 私は、この資料を見て大変な衝撃を受けまして、いわゆる二十五年前の事故ですけれども、チェルノブイリで居住禁止区域というのがあるわけですね。ここが、今回の事故で、一平米千四百八十キロベクレル以上の汚染地域が六百平方キロあるよ、そして、特別放射線管理区域、一時移住は可だけれども農地利用はだめですよという区域が七百平方キロありますよという資料なんですね。

 原子力委員会というのは政府の機関でしょう。そのホームページに出ているわけですから、これに対してはやはり政府としての説明責任は当然あるわけだと私は思うんですね。

 これは大変な広さでして、この立入禁止の六百平方というのは東京二十三区と同じ広さなんですよ。そしてこれは、七百と六百と合わせますと、私は大阪ですけれども、大阪府の三分の二に至る大変広大な地域が今回の事故の結果として立入禁止になるかもしれない。実際、チェルノブイリでそうしている数字だというふうに分析をされているわけです。

 この地図をよく見ていただきますと、飯舘とかそういうところじゃなくて、この赤のマークが、伊達市、福島市、二本松、郡山、こういったところまで広がっております。

 これは農業がだめだという地域なんですが、本当に今、子供の被曝も問題になっています。それから、住民の避難計画もある意味練り直す必要があるかもしれない。また、地域住民はもう一日も早く帰りたいけれども、チェルノブイリみたいに二十五年たっても帰れないかもしれない。そういう大変深刻な内容をはらんでいるわけですけれども、これに対して官房長官の御見解を求めます。

枝野国務大臣 御指摘のような内容、趣旨の報告については、多少は把握をしております。そして、土壌に降って土壌に堆積をされている放射性物質の推定量というものは、今後のさまざまな対応に当たって大変重要なデータであるというふうに思っているところであります。

 一方で、今回は、それぞれの地域における空間放射線量をしっかりとかなり詳細にモニタリングをしておりまして、そのモニタリングのデータに基づいて避難等をお願いする地域については判断をしておりますので、そうした意味では、これについてはさらにモニタリングを強化して、チェルノブイリの場合も、距離と関係なく、まだら模様に高い地域があったりしたことがありますので、そういったことがないかどうかとか、さらにチェックしていかなければいけないだろうというふうに思っております。

 そして、確かに、こうした推測、推定値というものは、今回観測されておりますのは例えば放射性物質の半減期の長いものでありますから、今後長期にわたってそうした地域は放射線が出続けるという可能性が高いということでございます。

 しかし、チェルノブイリの二十数年前と違って、今、私どもは、原子力発電所の状況が収束するのを見ながら土壌の改良とか除染とかということをできるだけスピード感を持って進めることによって、放射性物質が堆積している量の多い地域においても、どうしたらそこに戻っていただくことができるのか、あるいは、それほど高くはないところでも、農業ができないのではないかと思われている地域についても、できるだけ早く農業を再開させる方策はないのかということを既に着手いたしておりまして、飯舘村などにおいては、計画的避難を進めていただく一方で、そうした農業のための土壌改良に向けた調査といいますか試験を、農林水産省を中心に進めていただいているところでございます。

 したがって、こうしたことが、チェルノブイリ以降、余りどこの国もやっていないものでありますから、どれぐらいのスピード感を持って除染や土壌改良ができるのかということを今の段階で明確に申し上げることはなかなかできませんけれども、原発事故の収束の努力と同時並行して、こうした堆積している放射性物質を前提にした安全対策と、それから、一日も早く戻っていただくことと、農業の復活に向けた努力を進めていきたいというふうに思っております。

服部委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、神奈川県の小田原市のお茶の汚染も問題になりまして、いわゆる放射能汚染のホットスポットというのもございます。

 これは原子力委員会のホームページにアップされている資料ですので、やはり国としても、この資料に対するきちっとした説明責任を果たしていただきたい、その対策をしっかり打っていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

黄川田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 とうとう日本列島は梅雨入りをしてしまいまして、そして、早くも台風がやってまいりました。そこで、今お伺いをしなければならないことをお伺いしたいというふうに思っております。

 かねてから各委員会で取り上げてまいりましたが、震災から二カ月余りたった被災地で今何が起きているか。今もなお十万人が学校の体育館等で避難所生活をしている、そして仮設住宅がおくれている状況なわけです。

 その中で、さまざまな理由により、多くの被災者が避難所を出ていっております。どこへ行ったか。津波でやられた自分の家に戻ってしまっているわけです。

 典型的には、二階建ての木造家屋で、一階は津波の泥をかぶってめちゃめちゃになっていて、柱もむき出しになっているような状況、こういう家に戻って、そこで二階で生活をしている。石巻市では、壊れたままの自宅に戻って二階などで暮らす人が、避難所にいる人とほぼ同数の九千五百人余りに上っている、こういうことも言われているわけです。

 石巻市渡波地区に万石浦という地区がありますけれども、ここは、地盤の沈降により、朝夕の満潮時には、市民の生活をしている住宅地までが潮が上がって浸水してきてしまう、学校に登校するのに、船に乗って、こいで向かう、こういう光景が見られるそうであります。地元の住民は、毎日が津波だよ、こういうふうに言っているわけですけれども、これは笑い事ではない、本当に危険な状態だというふうに思います。

 先ほど申し上げたとおり、ついに梅雨が来て、また台風も来てしまったわけです。そして、何よりも危険なのは、もう一度大きな地震が来て、同じ地域を津波が襲うことだというふうに思います。これだけの多くの被害を出して手をこまねいているうちに、また津波がやってきてもう一度被害を出したら、これはもう本当に目も当てられない、想定外というわけにはいかない、こういうふうに思います。

 津波水没地の壊れた家屋に多くの住民が戻っている、住んでいるというこの実態について政府はしっかりと把握をしているのか、そして、これにどう対応しようと考えているのか、お伺いをしたいと思います。

片山国務大臣 今おっしゃったような実態があるということで一部の自治体に実情を伺ったりしておりますけれども、まさにお触れになったように、被災した家屋の二階に何とか寝起きできるということで、そこに戻っておられる方がおられるということであります。大変危険だと私も思います。

 例えば、石巻の例をおっしゃいましたけれども、石巻にちょっと伺ってみますと、全貌を必ずしも把握していないということで、これを、被災した建築物の危険度判定などを行う過程で実情を全部把握したいということのようでありますから、それはぜひ早急にやっていただく必要があると思いますし、場合によっては、災害対策基本法に、住民の所有者の皆さんであっても立ち入りが禁止できるという仕組みもありますので、そういう仕組みも市町村が利用されて安全をちゃんと確認する、確保するということは必要だろうと思います。

柿澤委員 これもやはり、先ほどの自民党の長島委員の質問で出ておりましたけれども、仮設住宅の設置がおくれていることが一つの原因にもなっているわけであります。

 今、片山総務大臣から、災害対策基本法における立入禁止の設定というのを市町村が考える必要もあるんじゃないか、こういうお話もありました。これは、市町村、災害対応そして応急復旧のさまざまな事務で今大変な状況でありますので、そういう意味では、こうしたことについて適切な助言というのをやはり国、政府が行っていく必要も私はあるというふうに思っております。

 現状、津波でやられ、地盤沈降までしてしまって、言ってしまえばほぼ無価値となってしまった土地、担保価値もなくなってしまった土地を国が買い上げる、あるいは定期借地権を設定する。そして、国が買い上げた、また借り上げたその対価を被災者が家屋の移転、新築等に活用したり、また当面の生活の糧にする。その間、国が買い上げた、借り上げた土地を、地盤沈降したのをかさ上げして整備をし直して、復興をした後に、住民に払い下げたり、あるいは借りていたのを返還する。こういう仕組みが今いろいろと議論をされていますが、私は、この仕組みは非常に有効だというふうに思います。

 ところが、そのような報道はちらほら出てくるわけですけれども、最終的に国がどうするつもりかということについては、最終的な方針は今もってよくわからないというのが現状です。

 そういう状況の中で、津波で壊れた自宅に多くの住民が戻って生活を始め、そして何が起きているか。津波で壊れた自宅の改修を自前で始めてしまっているわけです。あるいは、家の建て直しまで始まっている。現状、それを妨げる法規はありませんから、建築確認申請をすると、おりてしまう。こういう形で、津波水没地における生活再建、住宅再建が、ある意味ではなし崩しで始まりつつあるというのが今の被災地の状況なんだと思います。

 こうやって各戸ばらばらに自前で住宅再建が進んでいくと、いざ、これから国が買い上げます、更地にして大規模な再整備をしますといっても、これはもう手おくれで、今ごろ言われてもここから出ていくのはできませんよということになってしまって、地域の住民合意がとれなくなってしまうというふうに思うんです。

 それに加えて、将来の国の買い上げを当て込んで、現状、ほぼ無価値となった津波水没地の土地を土地ブローカーが現金を見せつけて二束三文で買いあさっているというではありませんか。こういうブローカーが入ってくれば、国による土地の買い上げ、借り上げは、彼らをもうけさせるような話になりますから、一層難しくなるというふうに思うんです。

 そういった状況の中、復興構想会議の論点整理というのも出ましたけれども、かねて国による津波水没地の買い上げを口にされておられた五百旗頭議長だったんですけれども、今回の論点整理では、こうした津波水没地の国による買い上げや借り上げのアイデアというのはフェードアウトしてしまっている、こんなふうにも見受けられます。

 結果的に、政府の対応がはっきりとした方針が示されないまま、現地の生活再建がなし崩しで進んでしまった。結局、手おくれになってしまって、こういう国の土地の買い上げによる大胆な復興というのができなくなりつつある、こうした状況になりつつあるのではないかと思います。

 改めてお伺いをいたしますが、国による津波水没地の買い上げということは施策として行う可能性があるんでしょうか。お伺いをいたしたいと思います。

枝野国務大臣 今御指摘いただいたような津波水没地、あるいは、今は水は引いているけれども、また津波が来たらどうなるかというリスクの高い地域の土地をどうするかということについては、買い上げであるとか地上権の設定であるとか借り上げであるとか、さまざまな御提起がされているのは確かでございます。そして、急いだ方がいいという御指摘もそのとおりだというふうに思いますが、一方で、どういった地域をどういった形で対応するのかというのは、地域ごとにも事情が相当違っているようでありますし、自治体の御要望等も違っているようでございますので、ここは一定のしっかりとした検討が必要だろうというふうに思っております。

 五百旗頭議長がどういうふうに主観的に思っておられるかは承知をいたしておりませんが、復興構想会議における議論においても、そういった専門的な検討が必要だということで、専門部会の方で大事な論点として検討を今進めていただいているというふうに報告を受けております。

柿澤委員 事実上、こういう形で時間を空費している間に、土地ブローカーが入ってきて津波の水没地を買いたたく。一方で、高台移転になるんだろうということで高台の住宅用地を買いあさって、今岩手県では、きょうの報道によると、岩手県の被災市町村における高台の住宅地の地価は何とバブル期の水準にまで上がってしまっているというではありませんか。

 このことについては、先般、質疑で大畠大臣も御答弁されていましたので、さら問いはいたしませんけれども、こういう形で国の方針がはっきり示されない。確かに、慎重な検討が必要だ、そうした答弁も理解しなくはないですけれども、しかし一方で、こうした状況がなし崩しに被災地で広がってしまっている、こうしたことをしっかりと考えなければいけないというふうに思います。

 残された時間で、電力問題について経済産業大臣にお伺いをいたします。

 夏の電力不足が言われております。節電等の努力が言われていますけれども、しかし、発電能力、使えるものがそこにあるのではないですか。鉄鋼や石油化学といった大量の電力を使うメーカーの事業所などは、まとまった規模の自家発電能力を持っています。経産省のまとめによると、そうした企業の自家発電能力を足し合わせると、全国で六千万キロワットを超す。これは、東京電力の供給能力に肩を並べる規模だと言われています。東電管内だけでもこの埋蔵電力というのは一千六百三十九万キロワットに上っていて、一般家庭の五百五十万世帯分に相当する。これを合わせれば夏場のピークの最大需要を余裕で賄えるボリュームがある、こういうふうにも言われております。

 こうした埋蔵電力の活用が肝要ではないかというふうに思いますが、御答弁をお願いいたします。

海江田国務大臣 委員御指摘のような、自家発電の電気を活用するということも大変大事なことだろうと思って、先般成立しました一次補正においては、新設のみならず、休止しております自家発電施設の立ち上げや発電余力を有する自家発電施設の増出力を行う事業者への補助のために、百億円を確保したところでございます。こうした施策を着実に実行していきまして、供給力の確保に努めるつもりでございます。

柿澤委員 ところが、計画停電まで行うような電力需給の逼迫があるにもかかわらず、震災発生後、こうした埋蔵電力の活用というのはむしろ滞ってしまっているような状況があるようです。

 日本卸電力取引所というのがありますが、電力会社や新規参入の電力事業者が余剰電力を融通し合う、いわば電力マーケットですけれども、東京エリアの取引は停止したままの状況が続いているというんですね。東京電力が、自社の電力供給が不安定なことを理由に、取引所で約定した電力の送電受託、託送を再開しない、こういう対応を続けているためだと。要するに、仮に特定規模電気事業者、PPSと需要家の間で取引が成立したとしても、東電の送電線を経由しなければ電気を送れませんから、それがボトルネックになってしまって東電以外の事業者と余剰電力の取引が成り立たないというんです。電力不足をもたらしておきながら、東電以外の余剰電力の融通を邪魔するかのような対応をしている、東電はこの期に及んで何をやっているのかという気がいたします。

 東京電力による送電受託、託送の再開が早期に必要ではないかと考えますが、御答弁をお願いいたします。

海江田国務大臣 柿澤委員御指摘の、託送供給がとめられたことは事実であります。これは計画停電との関係においてとめられたということでございまして、計画停電の対象となるエリアすべての需要家に対して供給を停止することになりますから、当該エリアに存在する東京電力の需要家のみならず、特定規模電気事業者の需要家にも電気を届ける、いわゆる託送供給を行うことができなかったということでございます。

 これは、東京電力が特定規模の電気事業者との間で締結しております託送供給約款において、緊急かつやむを得ない場合には託送供給を行わないことがある旨定められているところでありますが、今後の供給が立ち直りをしていく中で、そうした問題も考えなければいけないと思っております。

柿澤委員 これは計画停電が理由になってとめられているものでありまして、今、計画停電は行われていないではありませんか。そういう意味で、今の時点でこの託送契約をサスペンドする理由は見当たらないと言わなければならないと思います。

 もともと東京電力にとっては、電力地域独占企業として、こうした新規参入事業者がマーケットを獲得していくことを好まない、歓迎しない、そういう動機があるように思います。こうしたことが、やはり結果的に、電力供給能力が高まっていく、また世界一高い電気料金が維持される、こうしたことに今までつながってきたというふうに思いますので、これから、発送電分離、また電力自由化の流れを推し進めることによって電力供給量をしっかりとふやしていく、こういう方向にやはり政府の施策としてかじを切るべきだというふうに思っております。

 時間も超過をいたしておりますので御答弁をお願いすることができませんが、また大畠大臣には御答弁をお願いできませんでしたけれども、大変恐縮でございました。質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

黄川田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治です。

 この震災復興特別委員会も、開かれてはや二週間目となりますけれども、黄川田委員長、そして理事、委員の皆様、また答弁者の方々の大変な御尽力によって、私は、大変有意義な委員会になっているなということを非常に感じております。私ども野党といたしましても、具体的な課題について指摘をし、そして建設的な提案をさせてもらっておりますし、それに対して幾つもの前向きな答弁もいただいたと思いますので、ぜひ政府の皆様には、この委員会での審議を生かして、今後の政策をしっかり実行してもらいたいと思っております。

 ただ、基本法の審議、そういう意味では少し質疑がまだまだ十分ではないのかなということを感じております。けさ公明党の高木委員がすばらしい質問をしていただきましたけれども、そういう意味では、いよいよ修正協議が始まったというようなことも報道されております。恐らく、各党の理事の皆様方を中心に努力を始められておられるんだと思いますけれども、やはり、委員会という国民に公開の注視の場でちゃんとそれぞれの法案というもののいいところ、悪いところを指摘し合いながらいいものをつくっていく、こういうことが必要だと思いますので、きょう、私はこの基本法を中心に質疑をさせていただきたいと思っております。

 菅総理やあるいは枝野官房長官も、いいものはどんどん取り入れていくというような御答弁もいただいておりますから、ぜひ、我々の案あるいは公明党さんの案、そういったものも取り入れて、いいものをつくってもらいたいと思います。

 それで、政府案につきまして、ただ、私は率直に言いまして、政府案については全く評価できないと言わざるを得ないんです。それは一言で言うと、阪神・淡路のときのあの基本法をなぞらえただけじゃないか。多くの方が指摘しておりますけれども、それがやはり非常に不満です。しかも、法案提出までは、阪神・淡路のときは三十一日、そして今回は六十四日目ということですから、倍以上ですよね。一体何をしていたんだと。そして、その中身につきましても、例えば、縦割りの弊害というものを全く打破することができていないとか、あるいは地方のニーズをちゃんと聞いた法案だとは思えないとか、財源について責任ある項目を入れていないとか、いろいろなことがあるんですね。

 そういう意味で、まずお伺いしたいのは、これもいろいろ質問がありましたけれども、まともな答弁が返ってきていないと思っているんです。なぜこんなに提出がおくれたんですか。まず、この点についてお聞かせください。

枝野国務大臣 提出の時期が今回のような時期になったことについては、幾つかの理由があると考えております。

 一つは、阪神大震災のときとの比較がよくされますけれども、率直に申し上げて、阪神のとき以上に大変大きな震災でございまして、被災地の状況は今なお、この時点においても、まだとても復興などということを考える状態ではないという御指摘を受けるような地域も少なからずございます。

 そうした意味では、救命、救援、そして復旧、そうしたことに全力投球をして、もちろん当然、政府の責任として、その状況の中から復興のことも一方では検討を考えてはいたわけでありますけれども、しかしながら、被災地の状況を考えるときに、余りにも早過ぎる復興の話というのは、被災されている皆さんのその当時の感情、お気持ち等ということなどを踏まえたときには必ずしも適切ではないということが、まず初期の段階についてはございました。

 それからもう一つは、誤解がないように最初に申し上げたいと思いますが、これを申し上げると野党に責任転嫁しているんじゃないかという反論がまた出そうですが、そういうことではなくて、私どもの責任として、できれば提出前に野党の皆さんと合意できることがないだろうかということの模索努力をいたしました。それが十分でなかったということが野党の皆さんからの御意見、お立場だろうというふうに思いますし、そのことについては真摯に受けとめたいというふうに思っておりますが、そのことのために、法案の準備はできておりましたが、提出について若干待ったという部分があった。

 いずれにしても、できるだけ早く国会で御了承いただいて、早くこの法律に基づいた復興へ進んでまいりたいと思っておりますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。

井上(信)委員 いつもの、野党のせいにした答弁に対しては私はコメントする気もしませんけれども、全く違いますよ。

 阪神よりもさまざまな意味で大きい、そんな災害だというのであれば、だからこそ、むしろ阪神よりも早く対応しなきゃいけないじゃないですか。そして、復旧と復興というのは何も、ここまでは復旧、ここまでは復興と、きれいに切り分けられるものじゃありませんよ。同時並行で、復旧しながら復興のことも考えていく、これは当たり前ですよ。現に復興構想会議の方はもうやっているんですから、これまた言いわけにならないと思います。

 それで、私が思いますのは、今回の政府案それから自民党の案を比べますと、いろいろ違いはあるんですけれども、政府案は本当に内容が少ないものですから、政府案で言及されていないことに対して自民党案で措置しているという項目が幾つかあります。例えば財源の問題もそう、それから国の基本計画や責任の問題もそう。こういったことは当然、政府の方もいろいろ考えていると思います。きちんと財源については手当てするなんというのは当たり前のことですからね。

 それであれば、これだけ法案提出がおくれたんですから、阪神・淡路のときに比べて、少なくとも内容は充実させなければいけない。そういう意味で、我が党がいろいろ提案している、この政府案に盛り込まれていない項目について、きちっとこれを取り入れていただきたい。いかがですか。

枝野国務大臣 財源のこと、それから、例えば午前中御質疑がございました特区のことなどについては、御指摘のとおり、ある意味当然のことという思いでございます。

 これは、私も自分の野党時代のことを思い出すと、野党の立場からは、法律にちゃんと明記をして担保させるべきであるということを私も申し上げておりました。逆に、与党の立場になると、それに基づいて執行するという立場でございますので、あえて当然のことを規定するまでもなく、当然のこととして行政執行すればということで規定を置かなかったものでございますが、まさに御関心を持っておられる被災者の皆さんの視点に立つならば、御指摘を踏まえて、内容については若干議論をいただかなければいけないかというふうに思いますが、例えば財源の点であるとか特区の点などについて、ある意味当然のことではありますけれども、法律上明記するということについては与野党間の御協議を踏まえて前に進めていただくということについては、適切ではないかと考えております。

井上(信)委員 今はっきり答弁いただいたので、ぜひ、修正協議に当たられている方には、その官房長官の答弁も踏まえてしっかり対応してもらいたいというふうに思っております。

 それから、一番大きな違い、やはり組織のあり方だと思うんですね。

 我が自民党案では、とにかく、従来の縦割りを排して権限をしっかり移譲していく、そして実際の施策の実施にも当たらせる、そういったいわばスーパー官庁である、そんな復興再生院をつくっていくということを言っております。

 これも私は当然のことだと思いますよ。これができなければ、迅速な、的確な復興というのは、私はできないと思います。どうしたって縦割りというものがある。その中に、やはりそれを打破していくということをやっていかなければいけない。

 答弁を聞いておりますと、それは権限の整理に時間がかかるとかあるいは屋上屋を重ねるとか、そういったような答弁が多いですけれども、これはまさに役所の理屈ですよ、霞が関の理屈。これじゃやはりだめですね。むしろ地方の声を聞いていただきたい。地方の声は、やはり縦割りを打破して、ちゃんとすべてを任せることができる、そういった復興再生院のようなものをつくってくれ、そういうことを地方の方はみんな言っておられますよね。

 この点について、いかがお考えですか。

枝野国務大臣 私も、何度も申し上げておりますが、この復興を担うべき体制は、ワンストップで地域の皆さんの声や地域の状況について把握をし、しかも、それを施行するに当たってもワンストップ的に進めていく強力な体制が必要であるというふうに思っております。それに庁という名前をつけるか院という名前をつけるかということについては、多々あろうかというふうに思っております。

 ただ、問題は、そこで何でもできるようにということは、目標としては私もそれが望ましいというふうに思っておりますが、では、現にある省庁との関係をどうするのか。現に持っている省庁との所管範囲等の関係をどうするのかということについて、よく申し上げておりますが、例えば道路については、では、直轄国道の建設は復興庁なのか、そこの維持、補修、管理はどうするのか、あるいはどこかの道路がぶつっと、どこからどこまでが国土交通省の道路で、どこからが復興院なり復興庁の所管道路になるのかとか、それから、例えば、公共事業についてはもともとの所管官庁から全部持ってくるということはあるかもしれませんが、では、農業振興とか経済産業政策等についてはどうするのか。ここはなかなか、正直言って難しいところがございます。

 もしもこれが可能であるならば、与党、政権運営の経験も長くおありなので、具体的にこういうやり方で整理をすれば問題なくできるということで御提案をいただければ、私は前向きに検討したいと思います。

井上(信)委員 今、答弁の中で重要なのは、やはり官房長官も一元化した方が望ましいとおっしゃいましたよね。望ましいのなら、やればいいじゃないですか。それができないというのは、自分たちの政治主導の力がないということですよ。やればいいじゃないですか。私もやるべきだと思いますよ。

 もちろん、具体的、個別的に言えば、それはいろいろな問題はあります。多少の時間はかかるでしょう。だから、我々の案の中では、別法で定めて、そして改めてその設置法をつくる、そういった案になっているんですね。ですから、そういう意味では本当にそんなに違わないんですよ、理想は。今の官房長官の答弁とは違わないんですが、しかし、出てきたこの政府の法案が違うんですよ。だから、これを直せと言っているんです。

 ワンストップと何度かおっしゃっていますけれども、私はワンストップの意味がちょっと違うと思っているんですね。ワンストップというのは、ただ地方自治体の要望を受け付ける、あるいは相談をもらう、そういう相談窓口としてワンストップだ、それだけじゃ不十分ですよ。やはり相談を受け付けて、それをきちんとその役所で判断をして、決めて、伝えて、実施する、そこまでやらなければワンストップじゃないですよね。やはり、どこまでいっても総合調整ということは、その総合調整の過程でワンストップではできないということなんです。

 どうですかね。これは、地方の現地対策本部の議論もありました。現地対策本部でも、私は官房長官の答弁を聞いていると、ワンストップの意味を履き違えている、不十分だと思いますけれども、いかがですか。

枝野国務大臣 御指摘のようなことが本当に現実的に可能であるならば、私もそうしたいというふうに思っておりますが、例えば、あらゆる施策については財源が必要になります。この国の税金等の管理は財務省が行っておりますので、それから予算編成も財務省が行っておりますので、新たな予算が必要になるものについては、どんなワンストップ化をしても、そこに財務省の機能までワンストップ化させない限りは完全なワンストップにはなりません。私は、そういったことを正直に申し上げております。

 そうした意味で、しっかりとそこにだけ話を持ってくれば、きちっとそこから先は政府の責任として関係する省庁との調整を含めて全部行って結論を出すというところが、責任を持って現実に可能ですということでお答えできることだと思っておりまして、そのことについて正直にお答えを申し上げています。

井上(信)委員 それは全く違いますね。

 今、財務省のお話をされましたけれども、それは予算編成の話じゃないんですか。それは、予算つくるときに、復興再生院が勝手に予算つくることはできませんよ、調整も必要でしょう。しかし、そこでちゃんと予算をつけて、そしてそれを実施する権限があれば、復興再生院の権限でちゃんと事業を実施できるじゃないですか。私は官房長官が何をおっしゃっているかよくわからないです。

 それと、復興庁の話、これは附則で復興庁の措置を書いてありますよね。復興庁に関して、一年以内に検討をして、復興庁を創設する場合には実施権限を与えるつもりはあるんですか。

枝野国務大臣 この実施権限ということについて、当初、私どもは、復興に関するあらゆることについての実施権限をということであれば、なかなか最初に申し上げたように難しいのではないかというふうに思っておりましたが、いろいろと国会での議論をお伺いしていますと、例えば、復興に関する事業のうち、直接復興庁なり復興院なりというところが実施をできる余地というか範囲、対象をつくっておくということについては、これは十分あり得ることだなというふうに思っております。

 ただ、それをどういう範囲で直接やれる範囲をつくるのかということについては一定の検討が必要だというふうに思っておりますが、直接やれる事業の範囲をつくることについてはあり得るのではないかと思っております。

井上(信)委員 ぜひ、これはやはり事業の実施ということをちゃんと復興庁なり復興再生院に私は与えていただきたいと思いますけれども、ただ、今の政府案の附則の条文を見ますと、これはしかし読めませんよね。これはどう読むんですか。あくまで総合調整までですね。検討した結果、事業の実施をちゃんと復興庁にやらせるというのは、この条文上できるんですか。

枝野国務大臣 今申し上げましたとおり、国会での議論をお聞きしておりまして、大変建設的な御議論をいただいておりまして、それを踏まえて、今私がお答え申し上げた、きょうの午前中にも高木委員からのお尋ねのときだったと思いますが、例えばもし特区ということが設置することになれば、特区の認定等の事務などは直接やってもいいのではないだろうかというふうに私は率直に、これは政府として統一して調整しているわけではありませんが、私自身は個人としてそう思いましたので、幾つか直接復興庁が実施をするという部分があってもいいのではないかというふうに今思っているということを申し上げました。

 したがいまして、こうした政府としての、あるいは官房長官としての考えを踏まえて、各党間で修正について御協議をいただいているというふうに思いますので、それについて参考にしていただければと思います。

井上(信)委員 私が聞いているのは、今の政府案の条文の話なんですね。官房長官、弁護士さんでもありますから条文解釈はお得意だと思いますけれども、附則の二条のところで、検討規定があって、復興庁としての定義があって、そこには、企画立案並びに総合調整を行う行政組織をいうというふうに書いてあるわけですね。

 であれば、やはりどんなに検討しようが、定義でこうやって定めている以上、これは総合調整にとどまっちゃう、そういう理解じゃないんですか。

枝野国務大臣 ですから、この法案をお出ししたときには、先ほどのとおり、そういった権限まで踏み込むことは実務上難しいのではないかと考えておりましたが、実施といっても、ある特定部分について直接実施をするということについては、御議論を聞いておりまして、あり得るというふうに思いましたので、提出した案文からはなかなか読み取ることは困難であるというふうに思いますが、そうしたことを踏まえて修正の御協議が進むことを期待しております。

井上(信)委員 困難というか不可能ですよね。ですから、ぜひ、本当に修正をしていただかないと、少なくとも実施できなくなっちゃいますから、ここは最低限やっていただきたいと思っています。

 それと、ちょっと、さっきまだ答弁いただいていないんですけれども、ワンストップというのをどう考えますか。

 今、被災地の方に我々みんな行って、いろんな意見を伺います。そうすると、ただ窓口として要望だけ聞いてくれ、そうすればワンストップで満足だよ、そういう要望じゃないと思いますよ。やはりちゃんと一元化をして、そこで判断をし決断をし実行していく、そこまでワンストップでやってくれというのが自治体の、被災者の方々の要望なんです。

 でも、それを、官房長官は、この委員会でも何度も答弁されました、受け付ければそれでワンストップだと。後は、いろいろほかの、例えば各省庁の地方支分部局とのまさに総合調整を現地事務所でやるんだ、これはワンストップじゃないですよ。いかがですか。

枝野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、完全に一カ所ですべてが完結するのであればそれが望ましいと思いますし、また、そうしますと申し上げたいところでございますが、うそをついて現実と違うことで過剰な期待を持たせてはいけないと思いますので、率直に正直に申し上げますが、例えば、私も被災地を三回ほどお訪ねしておりますが、そこで伺ってくる御要望というのは、確かに、行政限りでできることも少なからずあります、しかし、それを実施するためには予算措置が必要なものもあります、法改正が必要なこともあります。予算措置が必要なことについては、先ほどのお話のとおり、財政当局とも調整が必要です。立法措置が必要なことについては、国会でお決めをいただかなければ立法措置は前に進みません。そうした意味では、完全に一カ所ですべてを完結するということは、これは不可能です。

 ただ、いかに一カ所で情報等を集約し、そして、そこでそうした御要望等を承った者が責任を持ってそれについて実施をするまでのところについて責任ある対応ができる体制をつくるのかということが、現実的に責任を持って進められることであって、それについてはしっかりとした体制をつくってまいりたいというふうに思っております。

井上(信)委員 それでは、今度は内閣法の方を質問させてもらいます。

 内閣法ですけれども、閣僚を三人増員するということですが、実際には具体的な担当はどういう大臣を置くかということは決めておられませんよね。答弁の中では、震災担当だとかあるいは原発問題担当だとか、そういったことをおっしゃっておりましたけれども、しかし、三人ということ、法文上を見る限りそれが何の担当だかよくわかりません。それから、そもそもこれが今回の震災を受けてそのためにふやすということさえ、法文を見る限り何にもわからないんです、答弁はされていますけれども。そして、もう一つ言えば、一体いつまで三人増員していくんだ、これまた法文上は、「当分の間、」としか書かれておりません。ですから、そうなると、この法文上だけでは、我々何だかわからないわけですよ。

 ですから、そこはやはり、閣僚を三人ふやすというのは本当に大きなことですから、どういった閣僚をふやすのか、そしてどれぐらいの期間ふやすのか、それは何の目的のためにふやすのか、やはりこれをちゃんとこの内閣法の改正案の中に入れてもらわなければ、我々も判断もつかないし、国民も理解できないと私は思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 お言葉ではございますが、法律の条文を読めば全部わかるのでしたら、国会の質疑は要らなくなってしまうのではないかと思います。

 基本的には、内閣法については、従来からも、それぞれの数についての規定はありますけれども、担務について具体的に条文等に書くというような法体系にはなっておりません。その分、具体的、明確に、どういう趣旨でということについては、趣旨説明や、あるいは、私にとどまらず総理も含めて、国会における答弁で申し上げてきているところでございます。

 期間については、これは確かに、いつぐらいまでの間ということをより具体的にお示しすることは御指摘のとおり望ましいことだろうというふうに思いますが、残念ながら、今の被災の状況等、これからの復興の見通し等について考えますと、もしかすると仮置きで何年ということは、政治的にはやれば可能なのかもしれませんが、より率直に、この震災対応について一定の落ちつきを見るまでということで、当分の間ということで提案をさせていただきました。

 しかし、これについても、もし具体的に期限を、少なくとも仮置きで切るべきだということであれば、そうしたことで御賛同いただけるのであれば、修正協議において与党においても柔軟に対応していただくよう、私の方からもお願いしようと思います。

井上(信)委員 修正に応じる、そういう姿勢を示すという意味ではありがたいと思いますけれども、私はやはり、これは本当に未曾有の大災害ですよね。それに向けての、まさに内閣法、本当にそれを担当するいわば国のリーダーをふやしていこう、そういう話ですよね。それが、今の内閣法の法体系と同じです、今の法体系では書かなくていいんです、こんな前例踏襲主義では、この未曾有の災害を乗り越えることはできません。国民も理解することはできませんよ。

 ですから、これは堂々と、大事なことですよ、いいことですよ、ちゃんとそれを書いていただきたい。「当分の間、」というのも、確かに何年かかるかこれは難しいと思いますよ。しかし、少なくとも、もう少し定性的に書くとかいろいろなやり方があると思います。「当分の間、」というのはまさに前例踏襲主義で、ただ前と同じ法案をつくっている、役所の言いなりにそれを出してきている、そうとしか思えませんので、この内閣法はこの委員会でも余り審議されていませんけれども、ちょっと、よくこういった視点からも考えてもらいたいと思っております。

 それと、特区の話。特区の話については、午前中、高木委員からも質問がありまして、そして、私もこの特区制度をやっていくべきだと思っておるんですね。しかし、自民党の案の中にも特区制度というのが入っておりません。答弁の中では、そういった特区制度を想定した趣旨で条文を設けている、そういった答弁がありましたけれども、改めて、自民党の提案者の方に伺います。

 特区制度についてどのようにお考えなのか。そして私は、私も自民党ですけれども、やはり自民党もこの特区制度がいいというのであれば、自民党の案もいわば修正をして特区制度を入れ込んでいく、そういった柔軟な姿勢、歩み寄りの姿勢、これも必要だと思いますので、その点も含めてお答えください。

齋藤(健)議員 復興に当たりましては、民間の人材あるいは民間の資金を最大限活用していかなくてはならないと思っております。そのためには、特区は大変有効な手段だと考えております。

 御案内のように、私どもの案でも第十条で、「施策を迅速に実施するため、必要な法制上、財政上その他の措置を講ずる」と規定しておりまして、これは復興特区を念頭に置いたものでございますが、必要ならば、今後の議論の中で、我が党の案の中に復興特区を創設する規定を明示的に盛り込むこともあり得ると思っております。

 大事なことは、この特区と、それから施策の企画立案から実施まで一元的に実施をする復興再生院とは、実は車の両輪だということであります。政府提出法案のように、従来の縦割りをそのままにして本部をつくって対応するというような復興対策でありますと、例えば、農水省と国交省、あるいは経産省と厚労省が対立すると特区も前に進みません。我が党のように、権限を移譲して一元的に実施する復興再生院を創設いたしますと、自分で決めればいいわけですから、特区制度も抜本的に前進するものと考えております。

井上(信)委員 時間が足りなくなってしまいまして、本当は二次補正についてもお伺いしたかったので野田大臣の方にもお願いをしたんですが、大変申しわけございませんでした。

 ただ、きょうの審議をさせてもらいまして、やはりまだまだ政府案、大変不十分な点があるな、そして官房長官の方も、いわば修正に大変前向きな答弁もいただきました。

 私は、自民党の案、それから公明党が午前中に示された案の骨子、それぞれいいと思うんですね。自民党と公明党の案は、恐らく基本的なところはほとんど一緒だと思うんです。ただ、特区制度のように、自民党案になくて公明党案にある項目、その逆もある。ですから、いわば自民党と公明党案をまさに一体として、そして、公明党案を丸のみせよと高木委員は言いましたけれども、自民党案と公明党案を一体としたものをぜひ丸のみしてもらいたい、それを最後に申し上げます。

 どうもありがとうございました。

黄川田委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 まずは黄川田委員長、私が黄川田委員と初めて言葉を交わしたというかごあいさつをさせていただいたのは、私が陸前高田に三月の二十七日に入るその前の本会議場でありました。自民党の理事の谷先生から御紹介をいただいて、黄川田委員長に、先生の御地元に入ります、どうか御容赦ください、そういうごあいさつをしたところ、いや、そんな静かに回るなんて言わないで、元気よく励ましてあげてよ、そんな温かい言葉をかけていただきました。そして二十七日、陸前高田に入って、災害対策本部の中で戸羽市長と黄川田先生と一緒にお会いをして、この復旧復興に関しては党派関係なく力を合わせて頑張っていこう、そういうお話をしたことを今でも覚えております。

 私が災害対策本部で黄川田委員長と会ったとき、あれはもう日没を過ぎて大分暗くなっていたときでした。あの災害対策本部で先生とお会いした後に、大船渡に行きました。大船渡中学校に行ったとき、星がすごくきれいだったんですね。もう本当に真っ暗で、私が行ったときはまだ電気も復旧していませんから、停電のエリアの中を車で走っていったとき、私は何か単純に星がきれいだと言ってはいけないような気がして、それは余りにも、陸前高田、大船渡の被災した現場のあの壊滅度合い、その景色と星のきれいさのギャップが、単純に感想を言えない、そんな気分になったのも初めてでありました。

 きょう、こういうふうに復興特別委員会に呼んでいただいて質問の機会をいただいて、改めて、また陸前高田、大船渡に行って、あのときと比べてこんなに復興したな、そういうときが一日でも早く来るように、またお邪魔をしたいと思いますので、そのときはまたよろしくお願いいたします。

 質問に入りますが、きょう私が質問をするに当たって、実は黄川田委員長にお会いしたその三月の二十七日、陸前高田に入る前に、私は宮城県の南三陸、そして気仙沼にも行きました。きょうの質問をするということで、実は気仙沼の方から連絡がありまして、ぜひこれを政府に届けてほしいと。そんな現実があるので、せっかくですから、きょうは通告をしていないんですが、このことを官房長官にお届けしたいと思います。それは瓦れきの撤去についてです。

 一次補正で、瓦れきの撤去については三千億以上、かなり多額の予算を割いていただきました。しかし、実際に瓦れきの撤去を行う事業者が市町村と契約をした場合、そういったケースでまだ現場でお金がおりていないという現実があることは、官房長官の耳に入っていますか。

枝野国務大臣 お金がおりていないという具体的なことについての報告は聞いておりませんが、宮城県知事から、繰り返し、瓦れきの処理に当たっての国と県と市それぞれの役割分担、国はお金を出すわけでありますけれども、それと瓦れきの量が膨大であるということで、非常に事務が煩雑になっていてなかなか十分な対応ができない、しっかりと対応してほしいという指摘を何度か受けております。

 それに基づいて、先週の金曜日に、樋高環境政務官、現地、宮城県知事とも御相談をいたしまして、きょう御通告をいただいておりませんので詳細まで説明できませんが、そうしたことのないような施策について、知事とも合意をいたしまして進めることにいたしました。

小泉(進)委員 具体的に例を挙げると、三月の二十一日に私が話したその気仙沼の方は町と契約をして、それ以降いまだに支払いはなく、今のところ支払いの予定が翌週の六月の六日、そして七月の頭までには全部の支払いが来る、そういうことでした。

 しかし、被災地の状況というのはいまだに厳しくて、もうその日のやりくりでも四苦八苦をしている状況ですので、これはぜひ官房長官の方から、県との契約の方は大丈夫だということですので、県、そしてまた県から市町村、そういったところにしっかりとお金が回るように再度の指示もしくは対応をぜひよろしくお願いしたいと思いますが、そこのところ、どうかよろしくお願いします。

枝野国務大臣 御指摘のようなことが今後生じないように、また既にお待ちをいただいている方にもできるだけ早くお金がおりるように、環境省の職員も宮城県庁の方にも送っておりまして、これをさらに強化して、その事務手続、お金がおりていく手続、スピーディーになるようにさらに強化をしております。さらに督促をいたします。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 もう一つ、被災者の手元にまだ届いていないお金が義援金です。きょうは残りの時間、義援金のことについて質問をいたしますが、これは細川厚労大臣、今のところ集まっている義援金は幾らですか。

細川国務大臣 五月二十七日現在、二千三百八十九億円でございます。

小泉(進)委員 被災者の手元に届いているのは幾らですか。

細川国務大臣 これも五月二十七日現在、二百八十七億円でございます。

小泉(進)委員 二千三百億ぐらい集まって、手元に届いているのは二百八十七億。つまり、約九から十分の一ぐらい、それぐらいしかまだ手元には行っていないんですね。

 これは、おくれている原因は何ですか。

細川国務大臣 このおくれていることにつきましては、私もこれは大変、なぜこんなにおくれるのかと、本当に少し気持ちとしては腹立たしいような気持ちでございます。

 いろいろ事務方にも検討をさせて、なぜこういうようにおくれているのかということにつきましては、まず一つは、今回の災害が大変規模が大きい、こういうことから、被害は十五都道県にわたっておりまして、配分のルールというのがつくられていなかったということから、発災当初におきまして被災都道県への送金がおくれた、こういうのがまず一つ大きな原因でございます。

 それから、加えて、被災自治体におきまして、特に住宅被害の状況の把握に時間を要しているということ。津波によります住宅の全壊被害、これにつきましては認定を簡略化いたしておりまして、それほど苦労はいたしておりませんけれども、全壊以外の被害につきましては、ある程度簡素化をいたしているものの、全壊と半壊の事実認定、それから被害なしの事実確認、こういうのを市町村の職員が一戸一戸訪問して行わざるを得なくて、罹災証明の発行までに時間を要している、これが一つの原因でございます。

 それともう一つは、やはり、自治体そのものが被災をいたしまして、この配付事務を行う行政機能というのが低下をいたしている、こういうこと。こういう理由から義援金の被災者への配付がおくれている、こういうことの理由のようです。

小泉(進)委員 主に三つ、一つは規模が大きい、それと罹災証明書の発行にかなり時間がかかる、手間取る、それと自治体の機能自体が被災をした、こういう三つだとおっしゃいましたが、もし自治体が罹災証明書の発行に時間がかかる、またマンパワーが必要でしたら、既に国家公務員の被災自治体に対する応援派遣、職員派遣というのはしていますが、これを義援金にチームを派遣するような形で、総務省の方からさらに積極的に被災自治体に国家公務員の派遣、もしくは、今、市長会そして市町村会、このスキームでも地方公務員の被災自治体への派遣をやっていますが、こういった枠組みをさらに強化して対応するお考えは、総務大臣、ありませんか。

片山国務大臣 それは可能であります。というか、義援金の配分も含めて被災自治体ではいろいろな仕事がありますので、そういう仕事に人手が不足しているならば遠慮なく申し出てくださいということで、そういうスキームをもう既に市長会、町村会とつくっております。

 現状を申しますと、要請が六百八十人ぐらいあったんですけれども、今、その後の事情の変化で一千人程度派遣することになっております。これはさらにふやすことも可能であります。

 ですから、義援金にもっと重点的に人を充てたいというところは言っていただいたら結構なんですが、要請をもっとしてくださいと言っても、していただいているんですけれども、現地に行ってみると、被災証明とかに行列がある、それから、今おっしゃったように義援金が届いていない。何か変なことがあるんじゃないかと思いまして、厚生労働大臣と相談をいたしまして、先週から、義援金の特に滞っているところに厚生労働省と総務省の職員を派遣いたしまして、実態がどうなっているのかということを今見させております。

 いろいろなことを言われておりまして、人を送ってもらってもスペースがないので執務の場所がないとか、それはもう今急いでいるんですけれども、それからあとは、中長期の派遣を希望したいけれども、それであれば宿泊所の整備といいますか、宿泊所を用意しなきゃいけないので、それができていないのでとか、なるほどと思われることもあるんですけれども、いずれにしても、いろいろな仕事は早くしなきゃいけませんので、自治体でよくマネジメントをしていただいて、必要な人数を把握して遠慮なくおっしゃってくださいということを再度やっているところであります。

小泉(進)委員 今、総務大臣からお話があったとおり、五月の二十七日、先週の金曜日に、総務省、厚労省の職員さんが共同で岩手県に、三つの自治体に視察に入ったということは伺っております。そして、パソコンとか現場のスペースとかマンパワー、複合的な要因があるという視察の報告があったというのは、先ほど私も厚労省、総務省からメモをいただきました。

 しかし、現場の自治体への配慮、余り迷惑かけては申しわけないという総務省側また厚労省側の思いはわかりますが、これはある程度強いリーダーシップでやらないと、国民の多くの方々の思いが詰まった義援金ですから、一刻も早く形にして届けてあげないと、これからさらに必要なのに、本当に義援金は届くのかな、こういう思いが国民の中で生まれたら義援金の集まりも停滞してしまいますから、これは積極的にやっていただきたいと思います。

 二十七日に、自民党が第三次提言を官邸に持ってまいりました。官房長官も小里先生また石破政調会長から受け取ったと思いますが、その六ページに、他県からの応援職員などは国が全面的に負担をしてやるべきだという提言も書いております。ぜひ、これに対しては可能という総務大臣の答弁ですから、可能なことを限りなく早くやっていただけるようにお願いをしたいと思います。

 ただ、私は、今回この義援金の支給のおくれ、今まで厚労大臣がおっしゃった三つの要因もそうですが、そもそも、それ以上に大きな問題があったんじゃないかなと思うんです。それは配分基準です。

 今回、死亡・行方不明者三十五万円、全壊三十五万、そして半壊十八万、こういう配分基準を配分割合決定委員会で四月の八日にしていますが、これはなぜこういう配分になったんですか。

細川国務大臣 これは、義援金の配分割合決定委員会というのを、日本赤十字社、それから共同募金会、NHK、この三つの募金を受け入れる団体で共同でやっておりまして、そこにこの委員会がつくられておりまして、四月八日に第一回の会合が行われて、これはマスコミあるいは一般傍聴者、すべてフルオープンでやりました。ここで議論をしていただいて、先ほど委員が言われたような配分基準で決定がなされた、こういうことでございます。

 これは配分委員会で決定をされたことでありますし、そもそもこの義援金というのは民間団体が募集して、そして義援金が集まったところでありまして、これは国が管理できるお金ではありませんので、強いことは申し上げられませんけれども、私どもとしては、向こうから要請もありまして、お手伝いをさせていただいたんですけれども、その配分決定委員会の中でこのように決めたということで、それは私どもも決められたことを尊重する、こういう立場でございます。

小泉(進)委員 ちょっと後ろ向きな答弁なんですけれども、この配分割合決定委員会の事務局は厚労省ですよ。つまり、その中の議論もすべてかんでいますよね。聞いていますよ。これはなぜ、三十五万、三十五万、十八万、こういう配分基準になったのか。これは大臣は承知していますか。

細川国務大臣 これは、私への報告では、これまでの、阪神・淡路の震災のとき、あるいは新潟での震災の例とか、そういう例も参考にしながら、今回は義援金がたくさん集まるのではなかろうかとか、そういうことも加味して決定委員会の方で決められた、こういう報告は受けております。

小泉(進)委員 今の大臣の答弁は、私は納得できません。なぜなら、阪神・淡路のときは、配分基準は一律十万なんです。死亡・行方不明、全壊、半壊、一律十万です。もしも、今回の東日本大震災の規模が阪神・淡路よりも明らかに大きくて、そして、広範囲にわたって、被害度も大きい。だとしたら、義援金の配り方はよりシンプルにすることが、まず手元に届けるには一番いいじゃないですか。だから私は、まず第一次配分で三十五万、三十五万、十八万としてしまったことが、手元にまだ十分の一ぐらいの義援金しか届けられていない、その大きな原因だと思うんです。

 ですから、私が大臣にお願いをしたいのは、義援金は赤十字、そして共同募金会、厚労省は余り関係ありません、こういう議論じゃなくて、私から提案をすると、二次配分をまず速やかにやってほしい。そして、その二次配分の方法は、金額一律、死亡・行方不明、そして全壊、半壊、これをすべて一律の額で、十万でも二十万でも構いません、それを速やかにやって、そして、配り終えていない第一次配分を追い越す形で構わないから、まず手元に現金を被災者の皆さんに届ける、そういう対応をぜひ前向きにしていただけませんか。

細川国務大臣 御提案ありがとうございます。

 私も、大変おくれていることについては心配をいたしておりまして、これを早くやらなければいけない。それは被災者の皆さんもお待ちでしょうし、そしてそれは、募金をされた方も、その人たちのお気持ちに沿うことだというふうに思っておりまして、二次配分につきましては早急にやるようにということで、今度の六月の六日が第二回目の委員会の期日でございます、そのときに、委員御提案がありましたように、一次配分で配付し切れていなくても第二次配分はやるように、そのことを事務方を通じて私からもお願いをしたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 非常に前向きな答弁、ありがとうございます。

 もう一つ、あと一歩、前向きな答弁をお願いしたいんですが、今の答弁ですと、六月の六日、第二次配分で、第二次配分の額、基準を決める、一次配分を追い越してもいいから二次配分をやるように事務方を通じて言うと言いましたね。ぜひ、一律でやるということも言ってください。

細川国務大臣 一律ということも、それもこの委員会の中での検討の材料としてお願いをしたいというふうに、それはやりたいと思います。

小泉(進)委員 徐々に、前向きに、前へ前へと進んでいただいていることは大変ありがたいんですが、第二次配分割合決定委員会を六月六日に開き、一次を追い越しても、一律の額で、死亡・行方不明者、全壊、半壊、分け隔てなく二次配分を配る、そういうことで結構ですか。

細川国務大臣 そのような方向で前向きに検討をするような、それは事務方を通じて委員会にお願いをしたいというふうに思います。

小泉(進)委員 大臣の前向きな答弁を信じます。

 私がなぜこういった、第二次配分を、第一次配分を追い越してでも一律でやった方がいいと言うかというと、これは、死亡・行方不明の場合、戸籍謄本の写しとか死亡診断書が必要になって、それだけでも、被災者の負担も、また現地の被災自治体の、行政の負担も出る。そして、住宅の全壊、半壊、この判断も、罹災証明書。

 私、実は、きょう午前中に福島県の郡山市のこの罹災証明書の業務にかかわっている方に電話をして、今どういう状況になっているか、聞いてみたんです。なぜかというと、この前の読売新聞に義援金のニュースが出ていまして、これは五月の二十二日の記事ですが、福島県の郡山市、申請に必要な罹災証明書を出すために、職員が二人一組の約十五チームで被害判定を進めていて、一日十件から十五件が限度だ、そういう新聞報道があったので、これは本当ですか、これは事実ですかという確認を、きょう郡山市の市の職員の方に電話でしました。そうしたら、そのとおりですと。

 実際、何が困っているかというと、全壊、半壊で額が倍ぐらい違うんですよ、三十五万、十八万。だから、被災者の方からすると、市の職員さんが来て、これは半壊ですと言うと、義援金が半額になっちゃうんですよね。ですから、そこで納得しません。そうすると、実際に、いやいやいや、専門家に見てもらえば必ず全壊が出るはずだということで、建築士さん、こういう方々に二次調査、三次調査、これをやらなきゃいけないんですよ。それが積み重なると、どんどんどんどん配分の時期もおくれ、行政の負担がふえる、こういう状況になります。

 総務大臣、どうぞ、次の委員会に行ってください。ありがとうございました。

 こういう状況を解決するためにも、さっき大臣がみずからおっしゃった理由の三つ、災害の規模が大きい、被災しているエリアが大きい、また自治体も被災をしている、こういった義援金の支給がおくれているあらゆる要素をすべて解決するには、二次配分を速やかにやって一律に義援金を配る以外にないだろう、私はそういうふうに思うんです。

 ただ、大臣の不安もわかります。それは、今既にもう幾つか例が出ていると聞きますが、何度も申請に来る方とか、不正ですよね。私は確かにこのリスクは、一律でやったときに懸念はあると思うんです。

 しかし、私は、リスクを負ってでもそれをやるのが政治判断だと思います。これは役所の方々にはできない。大臣が、そのリスクを考慮した上でも、そういう方針でやってほしい、これを言えばできることですので、もしこれを一律でやった上でそういう不正の実態が出たとしても、そのリスクをかんがみた上で出した大臣の決断というのは、私は支持します。ですので、こういったリスクにもしっかり対処する上で、一律配分、速やかにやっていただきますように私からもお願いします。

 最後にもう一度、決意をよろしくお願いします。

細川国務大臣 小泉委員の方からは大変参考になる御意見をいただいて、ありがとうございました。その御意見をしっかりこれからの義援金配分の方法の中に生かしていくように、いろいろと努力をしてまいりたいというふうに思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。六月の六日、第二次配分の配分割合決定委員会、この結果を、きょうの大臣の答弁を信じて、楽しみに待っていたいと思います。

 東内閣府副大臣には、お呼びしたところ、質問の時間がなくなってしまいましたことを心からおわび申し上げます。今後とも、どうかよろしくお願い申し上げます。

 あと三分ありますか。やはり先輩に三分は譲るとして、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子です。

 東京は雨が上がりましたけれども、台風から変わった温帯低気圧、今被災地に大雨を降らせております。私の地元の仙台では、きょう午前中に時間雨量で四十ミリ近い数字を記録しております。私どもの仙台事務所のスタッフが被災地へいろいろ出ておりましたけれども、マンホール、十幾つ逆流しているのがあったというふうな報告もございました。

 午前中、柿澤委員からも指摘がございましたけれども、被災を受けた沿岸部、地盤沈下が進んでおりまして、特に仮設の応急堤防も五月の中旬からつくられてはいるものの、ちょっと潮位が上がるだけで浸水してしまうところも多うございます。大変に心配をされているところです。また、大潮の時期がやってくるんですね。ですから、一日も早い、とにかくしっかりとした対応をとっていただきたいということ。

 それから、官房長官には、私の地元で住宅地の地すべりの現場を視察していただきました。この雨で大変に心配されております。今のところ二次被害の報告は入っておりませんけれども、聞くところによりますと、雨が上がった後二、三日というのが大変危険な状況なんだそうです。ですから、前向きな補助について、今は制度がないわけですけれども、これについて前向きに御検討いただく旨お伝えをいただきましたけれども、ぜひとも一日も早く対応していただきたいということを冒頭申し上げて、質問に入らせていただきます。

 今回の大震災で避難所となりました学校、ピーク時で六百二十二校に上っておりました。今現在も百五十校近くが避難所になっております。ほとんどの学校というのは、給食の調理室がなくても家庭科の調理実習室がございます。調理用具などが十分にそろっていない避難所で提供する食事も、この実習室でつくろうとしたところ、使えなかったんですね。なぜか。水が出ない、ガスが切れているからではありませんでした。教育施設であるから、使用目的が違うというので使わせてもらえなかったんですね。

 私自身も、炊飯器を借りたいんだけれども、お願いしても貸してもらえないという声を聞かせていただいて、要望させていただいたんですが、教育委員会の許しがないとだめだ、こういう回答でございました。

 まさに縦割りの弊害であります。万が一のときに備えて、ぜひ自由にこういうことを使えるようにしておくべきだと思います。

 今も、被災地、避難所になっている学校の調理室で、それこそおばあちゃんとお孫さんと一緒に調理をするというようなことがあってもいいんだろうと思うんです。ぜひそういうこともできるようにしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

高木国務大臣 郡委員にお答えをいたします。

 災害時には、学校施設というのは重要な防災拠点でございまして、それぞれ皆さん方が役割分担しながら、特に学校の教職員もお世話活動をしておる事例をよく聞いております。

 今、調理室が使えなかった、これは教育活動用だからだめだ、こういう御意見もお伺いしましたけれども、私どもとしては、調査をした限りにおいては、そういう事実は把握をしておりません。もし何かの間違いであればと思っておりますが、なお調査をしてみます。

 いずれにいたしましても、災害時に、また避難時に、そういう調理場も含めて活用するというのが避難所でございますから、そういうことがないように、私たちとしては努めてまいりたい。御指摘の点は、なお調査をしてみたいと思っております。

郡委員 それこそ避難所の運営を任されている方にもよるのかもしれませんけれども、こういう事実があったということですので、やはりしっかりと対応していただきたいというふうに思います。

 それからまた、学校には保健室というのがあるわけでございまして、学校医も指定をされております。災害時には、避難者の救急医療や、それからまた被災者の、避難者のケアにも備える学校医の診療施設というのが校内にあってもいいんじゃないだろうかというふうに思います。

 また、こうも考えられるんじゃないかと思うんです。通常でも学校の中に診療所があって、地域の人たちを診察できる。これはまた介護施設であってもいいでしょうし、保育施設であってもいいんだろうと思います。

 こういう複合的な教育施設、学校施設というのがあっていいんだろうと思うんですが、これを複合施設として、補助事業として、ぜひ被災地でつくっていただきたいというふうに考えますが、この私の提案に対してはいかがでしょうか。

高木国務大臣 学校の設置者が、地方公共団体が、学校の教育活動に支障のないように留意をしながら複合化を検討していくということは、私は重要なことであろうと思っております。したがいまして、今後も、まさに復旧から復興という意味では、将来にわたって、学校敷地内でそういうものを合築するということについて、特段の規制はないと思われます。

 診療施設とか介護施設等について、文部科学省としては今の国庫補助の対象にはしておりません。ただ、今後、福祉施設などの複合化については、地方公共団体がそういう取り組みを進めていくのならば、我々もできるだけの支援をしてまいりたい、このように思っております。

郡委員 大臣から、ありがたい、前向きの御答弁をいただきましたが、厚労省としては何か問題あるでしょうか。今後、被災地に建てられる学校施設の中に診療所あるいは介護施設などを設置して被災者に開放することについて、いかがお考えでしょうか。

岡本大臣政務官 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきました、学校施設の一部を利用して診療所をつくるということは、医療法上の規定に基づいて、安全の管理、また衛生の保持、管理区分をきちっと明確にできるか等、患者さんの衛生状態にしっかり配慮した適切な医療を提供できる体制を整えていただくということ、こういった一定の要件を満たしていただければ、診療所は可能だと思います。

 一方で、介護施設についてお話をさせていただきますと、こちらは介護保険法等で規定をされております規定条件、これをやはり満たしていただくということが必要になりますが、この指定基準等を満たした上で、事業者や地方公共団体の判断により、学校内等に設置をすることも可能だというふうに考えております。

郡委員 被災地の学校は、これまでも都会の学校と、夏休み、例えば交流活動などを盛んにやっていた地域が多いところでもございました。今回の大震災の経験を踏まえて、合宿というスタイルでの交流もできて、そして、万が一こういう大きな震災があったときには、そこを避難所、寝泊まりできる場所として利用できるのであればなおいいなということも考えたわけでして、宿泊施設を学校に備える、あるいは簡易ベッドなどを備えるというのはいかがでしょうか。

 子供たちにこれからの防災教育をしていく上でも、一つの拠点として学校というところを利活用しながら合宿スタイルでの交流というのを深められる、そんな思いもするのですが、これについてはどうお考えになりましょうか。

高木国務大臣 具体的な、合宿施設という御意見でございます。

 文科省としましては、先ほどからも申し上げておりますように、学校施設というのは、安全の確保、あるいは避難所としての防災機能の強化、これはこれまで以上に高めていかなきゃならぬ、このように私たちは思っておりまして、公立学校の整備目標、施設整備基本方針を改正いたしました。改めて防災機能の強化を図ることの必要性を示しております。

 したがいまして、この方針に基づいて、学校施設が応急避難場所としてより一層有効に活用できますように地方自治体がそういう取り組みを進めていくならば、我々としても必要に応じて支援をしていきたいと思っております。

郡委員 これまでもこの災害復興特別委員会の中において、この学校避難所の問題で、さまざまな議員から、例えば学校のプールを浄水化できるような、そういう設備があったらいいのではないかですとか、自家発電ができたらいいんじゃないだろうかですとか、いろいろな意見がございました。

 この間、避難所として利用されるに当たって、例えば学校というのは和式トイレが多いものですから、御高齢の方々や足の悪い人たちだとなかなか使いづらいということもございますし、シャワーを備えてみるというのもいいんじゃないだろうかというような、さまざまな意見もあったわけでございます。

 今回、実はこの地域の国公私立学校、被害を受けた施設は七千八百八十七校に上っております。このうち、公立で大規模な改修あるいは建てかえが必要となっている施設というのは二百五施設に上るというふうに聞きました。統廃合も視野に入ってくるものとは思われますけれども、学校というのがなくなってしまえば、若い人たちがいなくなってしまいます。子供たちの声が聞こえなくなってしまいます。そうすれば町全体が寂れていってしまいます。ですから、学校の復旧復興というのが、これからの地域づくりの、そして未来のまちづくりの核になるのは間違いのないことだと思うんですね。

 仙台では学校給食センターが、ちょっと話が違うようですけれども、大きな被害を受けまして、ようやく仙台市内のほぼ全校で六月一日から完全給食が復旧、ようやくなんです、復旧することになりました。これからは、もちろんセンター方式のいろいろなことも見直していくということも出てこようかと思います。スタンダードは、これからつくる学校に関しては、自校式で、学校給食室を設け、そしてそれが地域のお年寄りたちの給食の配食サービスもできるなどなど、いろいろなことができるんだろうと思います。

 いずれにしても、東北のこの被災地から、学校の施設のあり方、学びのあり方、そしてまちづくりのあり方というのをぜひ再考していただけるような、そして東北地域がモデルになるような形で学校づくりに取り組んでいただきたいというふうに考えています。これは、時間もございますので意見のみにとどめさせていただきたいと存じます。

 もう一つちょっと質問がございましたけれども、質問を飛ばさせていただきまして、障害を持っている方の個人情報の保護に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。

 内閣府の調査で、今回の震災で被災した沿岸に住んでいた障害者およそ九千人のうち、二・五%、およそ二百三十人が死亡または行方不明となっていたことが明らかになりました。調査地域全体の住民に占める死者・行方不明者の割合というのが一%以下でございますから、障害を持った方々の犠牲者の割合というのが大変高いということがわかるかと思います。

 震災の渦中、障害を持った方がなかなか情報を入手できない、そして避難もできなかった。あるいは、支援も行き届かずに犠牲になったり、また、今なお厳しい状況に置かれています。

 行政は、障害者手帳ですとか障害者年金の支給手続などを通して、どの地域にどのような障害を持った方がおられるかという情報を持っているわけですけれども、個人情報保護の壁に阻まれまして、障害者の支援者への情報の提供というのが行われませんでした。いまだに安否確認にも支障を来している状況でございます。お願いをしてお願いをして、ようやく行政マンと一緒に、その行政マンが持っているリストで支援者が一緒に回っているという状況でございます。

 命にかかわることだけに、障害者を初めとする要援護者の個人情報について、災害時の介護者、支援者への開示に関するルールをつくっておくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

岡本大臣政務官 御指摘いただきました災害時における障害者の支援というのは大変重要な課題でありまして、安否確認はとりわけ重要なテーマだというふうに考えております。

 一方で、身体障害者手帳等の情報は個人情報でありまして、これを民間事業者である第三者に開示するかどうかは各市町村の判断ということになってくるところであります。それぞれ個人情報保護条例をおつくりでありますから、それに基づいて御判断されると承知をしておりますが、今回、消防庁等において、災害時要援護者の避難支援ガイドライン等により、各自治体に対して、要支援者リストを作成し、災害時において関係者間で情報を共有する取り組み等を促しているということは承知をしておるところであります。

 今先生から御指摘がありました宮城県におきましては、そういった中、厚生労働省の職員が宮城県に派遣されまして、宮城県の方と協議の上、県が持っている障害者のリスト、これは障害者の中でも視覚障害者の方について取り組んだところでありますけれども、こういった方々のリストをもとに、そういった障害者団体に詳しい関係団体や市町村の関係者と連携をして、安否確認を行う仕組みを行ったところであります。

 こういった取り組みのほかにも、例えば岩手県では、四月五日に障がい者相談支援センターを設置して、被害が甚大であった市町に県職員を派遣するとともに、当該市町の身体障害者手帳等の発行名簿と避難所の避難者名簿とを突合することによって被災障害者の安否確認等を行ったところでありまして、それぞれの都道府県においての御判断等もあるところでありますけれども、先生からの御指摘を踏まえ、これからも関係省庁と連携をして取り組んでいきたいというふうに考えております。

郡委員 先日、東京の事務所までわざわざ来てくださった障害の方が、自分のいるマンション、震災に遭って全く動けない状況になっていたんですけれども、どことも連絡がとれないで、数日後に来たヘルパーさんに、この場所はもう危ないのでここにはいられなくなっているんですよと教えてもらって、ようやくそこから連れ出してもらうことができたんだというふうなこともありました。やはり迅速に対応できるように、何らかのもっとはっきりとしたルールをつくっておくべきだろうということを申し添えておきたいと思います。

 次は、仙台市の下水処理に関してなんですけれども、仙台市の沿岸部に南蒲生下水処理場というのがございまして、今回、大変大きな被害がございました。壊滅的と言ってもいい状況で、復旧には五年ぐらいは少なくともかかるだろうというのが見立てでございます。私も行ってまいりましたけれども、今、応急措置で簡易処理をして流しているわけなんですけれども、本当に厳しい状況でございます。

 災害復旧事業費国庫負担法の第八条の二で、復旧事業の期間について定めがございます。「当該年度及びこれに続く二箇年度以内に完了することができるように、」云々ということで、二カ年度以降のことについては国庫負担しないというふうに読めるわけでございまして、これを何とか五年程度に延長してもらいたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

大畠国務大臣 郡議員の御質問にお答えを申し上げます。

 ただいま南蒲生の下水処理場のお話がございました。私も視察で現状を見せていただきましたが、確かに三年以内に直るのかとさまざまな御意見をいただいているところであります。

 ただいまの、三年以内に完了しないといけないのかということでありますけれども、これは昭和三十年のときの建設委員会での御論議等がありまして、できるだけ早く完了することが望ましい、こういうことで、政府は、これらのことが三カ年度以内に完了できるように努力するという趣旨のやりとりがございました。

 私としては、これはいろいろ歴史的に見ると、昭和二十六年のころは八年かかっているわけでありまして、それから三十年を越えて四年とか三年とかということになっておりますが、今回の大震災というのは被害が甚大であることから、災害復旧事業の期間については、被害状況や復興計画などの現状というものを踏まえて、復旧に三年を超える見込みの場合にも、自治体の御意見等をよく勘案しながら復旧を着実に進めてまいりたいと思いますので、特に三年以内にやらないと対応できないということではないと現在考えておりまして、そのような形で着実に下水処理場の復旧事業というものを進めてまいりたいと考えているところであります。

郡委員 ありがとうございます。ほっといたしました。ぜひよろしくお願いいたします。

 もう一つ関連で、被災時の復旧の早さ、それから下水道と浄化槽との建設から維持管理までのトータルコストなどを比べたときに、被災地のこれからのまちづくりには浄化槽というのも大変有力な選択肢になるんじゃないだろうか、そんなふうに思っています。

 仙台市は公共下水道のほかに公営公設の浄化槽も整備していて、こちらの方は市の責任において物すごく早く復旧したんですね。地方自治体において地域の特性を踏まえた適切な選択がなされるように、浄化槽の整備に対する国の支援、助成のあり方、これを見直してはいかがかと思いますが、どうでしょうか。

樋高大臣政務官 郡先生におかれましては、今回の震災対策、大変御熱心にお取り組みをいただいております。心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 大切な御指摘をいただいたと思っております。

 被災地のこれからのまちづくりに際しまして、どのような汚水処理施設を整備するかにつきまして、市町村が地域の特性を十分に把握しながら、下水道等の集合処理、また一方で浄化槽による個別の処理のそれぞれの特徴を生かしつつ、また、経済性の比較なども踏まえさせていただいて、その整備を力強く進めていくことが重要であると考えているところでございます。

 先生御指摘のとおり、浄化槽には特性がございまして、人口分散地において比較的安価である、低コストである、そして二点目といたしまして、ほぼ一週間の工期で設置ができる、スピーディーに設置が完了になるということ、そして、水環境保全上、十分な処理水質を得られる、いわゆる性能が向上しておりまして十分な能力があるといった特徴を有しており、被災地において今後の復興に果たすべき役割は大変大きいものと認識をしているところでございます。

 環境省といたしまして、市町村が適切な汚水処理施設を選択できるように、引き続き支援、助成に全力を尽くしてまいりたい。先生の御指摘をしっかりと受けとめさせていただいて、被災地の生活を一刻も早く取り戻すべく全力投球させていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

郡委員 民主党は、下水道法の第十条の改正についてもかねてから取り組んでいるところでございますけれども、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 ぜひ、一日も早くこの基本法が成立をし、そして、実効性のある各施策に取り組んでいただけるように私も努力をしたいと思いますし、関係委員の皆様方にも御協力をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 民主党の谷田川元でございます。

 私の選挙区は千葉県十区、千葉県の北東部であります。今回の震災は、東北三県が甚大な被害でありますので、なかなか、千葉県も大きな被害を受けたというのが余り報道されておりません。しかし、東北三県とは比較になりませんが、私の地元、香取市なんかは、香取市が発展してから一番の被害を受けたと言っても過言ではありませんし、旭市におきましては、十三名の方が津波で亡くなり、二名の方が依然行方不明でございます。

 それに追い打ちをかけましたのが原発問題。つまり、放射能漏れによる事故が農家の方の出荷制限をもたらした、そういう経過でございます。

 これは、事の発端は、三月の二十日の日に、東京卸売市場で、旭市産のシュンギクが暫定基準値を超えたということで、これは東京都がやった調査ですけれども、何とか出荷を自粛してもらいたいという要請がありました。それから、私ども民主党は、郡司彰前農水副大臣、そして福島代議士を事務局長とする農林水産物被害緊急対策ワーキングチームというのを三月二十五日に立ち上げました。

 郡司そして福島両国会議員は茨城出身であります。茨城というのは、ジェー・シー・オーの事故がございました。ジェー・シー・オーによって農家の方が風評被害を受けた。そして、農家の方というのは、もう日銭がないとだめなんですね。出荷がとまっちゃうと収入が入ってこない。ですから、何としても一時払い、一時金を払わないといけないということを、私どもはワーキングチームで三月二十五日の時点で政府に提言したんです。しかし、残念ながら、いまだに仮払いは行われていない、そんな状況でございます。

 私は、いろいろ原因があろうかと思います、遅くなった理由は。これは私見ですけれども、もし違ったら御容赦ください。これは、例えば原子力損害賠償法は文部科学省が所管しています。そして東電を管轄するのが経産省、そして農家を管轄するのが農水省、もし国が立てかえ払いをするとなれば、財務省も絡んでくる。この四つの省庁が絡んでくるから、やはり、そこに政治家一人がしっかり時間を割いて各省庁との調整機能をするぐらいの覚悟でやっていれば、もっと早く仮払いができたんじゃないか、私はそう思うんです。

 そこで私は、報道を見ますと、五月中に農家の仮払いが開始されるということがありましたけれども、きょうが五月三十日ですから、きょうとあしたしかありませんが、その辺の見通しはどうなのか、お答えいただきたいと思います。

筒井副大臣 おくれたというか、今までまだ仮払いがされていない理由は幾つかあるかと思いますが、ただ、紛争審査会の指針ができるというのを東電は特に待っていたという面もあるかと思います。指針ができまして、そして同時に、指針ができたのが四月二十八日でしたが、各農業団体の請求もそのころから具体的に手続が始まったという経過もございまして、だから、結局は今月中、きょうあすじゅうに東電の仮払いの支払いが始まるというふうに聞いております。

谷田川委員 今、農水副大臣の答弁は、聞いておりますということなので、断定的なことは言えないということだと思うんですが、やはり、ここに私は、民主党が政治主導というのであれば、政治家が責任を持ってやりますということが必要だと思うんですよね。私は、東電に仮払いを任せていては前に進まないような気がするんですよ。

 まず確認しますが、今の法律体系では政府による立てかえ払いは可能なのかどうか、お答えいただきたいと思います。

松下副大臣 被害を受けた住民や事業者と東京電力との間で、損害について政府が東京電力に成りかわってみずから被害者に対する賠償支払いを実施して、事後的に東京電力に対してその支払い分を求償するに当たっては、法令上の根拠が必要となる、そのように考えております。

谷田川委員 ということは、新しい法律をつくらないとできないというお答えだと理解いたします。

 五月十二日の日に、民主党の原発事故影響対策プロジェクトチーム、荒井聰座長が、次のような提言をしております。原発事故の被災者支援のさらなる充実に向けて、原発事故の被災者、生活者、農林漁業者、商工業者等も含めてですね、これに対して、一刻も早く救済するために、今般の政府の支援の枠組みに加え、損害賠償金の政府による立てかえ払いを可能とする制度等の創設を検討することということを政府に提言していると思いますが、これについて政府はどういうお考えをお持ちでしょうか。

枝野国務大臣 ただいま松下副大臣から御答弁申し上げましたとおり、仮払いを政府が行うというためには法令上の根拠が必要であろう。その場合の立てかえのスキームをどう組み立てるのかということを、そういった御提言も踏まえて検討いたしましたが、特に仮払いで、当面の、早くお金を出すという観点に立ったときには、どういう法律をつくるかということを検討して、それを整備して、それに基づいて実際の支払い事務を行うということよりも、東京電力による仮払いをスピーディーに行わせるということの方がより早いというふうな判断をいたしまして、ここまで進んできているところでございます。

 当事者の皆さんからは、これでも遅いと御指摘のあることは当然だろうというふうに思っておりますが、さらにスピードを上げてできるように、政府としても全力を挙げてまいりたいと思っております。

谷田川委員 仮払いという日本語の意味は、一たん払いますよという意味なんですよね。

 先ほど、損害賠償の請求がないと払えないと言いましたけれども、損害賠償の請求がなかろうと、迷惑をかけたので申しわけありませんというふうに払うのが仮払金だと私は思うんですよね。ですから、東電が農家の皆さんに対して、十万でも二十万でもいいですよ、最初、被災した農家に対して一時金を払えば、こんなに文句は出なかったと私は思うんです。

 ひとつその辺、今後このような大規模な原発事故がないことを願いますが、もしかしたら、十年後、二十年後同じようなことがあるかもしれない。そういうときのためにも、やはり一時金を政府が立てかえで払うという制度をぜひ検討していただきたい。それについていかがでしょうか。

枝野国務大臣 こんなに大規模な原発事故というのは二度と起こっちゃいけないということに最善を尽くすことだとは思っておりますが、しかし、現に生じているわけでありますので、今後万が一にもこういったことが生じたときに、今回、避難をされている皆さんには義援金とかそういった別のスキームからのお金が、最低限のものを出す仕組みがあって、これも遅いという御指摘はいただいておりますが、あります。ただ、この出荷規制とか風評被害とかについては全くございません。

 そうすると、今御指摘いただいたとおり、それが実際に支払われるまでの間のつなぎといいますか、そのスキームというものは、今後検討をしていかなければならないだろうというふうに思います。

谷田川委員 では、今の官房長官の答弁をしっかり覚えておきますので、よろしくお願いします。

 私の地元の香取市とか旭市は、合併特例法に基づいて、今から五年前、四年前、それぞれ合併いたしました。

 合併特例法というのは、合併特例債が認められておりまして、要は、合併するに当たって、長期的な視野に立っていろいろな設備を整備しなきゃいけないということで、十年間にわたって合併特例債が認められております。

 しかし、この震災によって、そういった長期的な視野よりも、とりあえず被害を受けた公共施設をすぐに直さなきゃいけない、そこに重点を置きますので、なかなかこの合併特例事業を遂行できないという現状にございます。

 ですから、この辺、この間、小野寺議員の質問に対して片山総務大臣は、合併特例債の延長について、検討に値するような答弁をされましたけれども、私としては何とか五年間ぐらい延長していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

逢坂大臣政務官 お答えいたします。

 今回被災された合併自治体、それぞれの自治体で相当いろいろな事情があるというふうに思っております。したがいまして、まずその自治体の状況をよくお聞きした上で、今先生が御指摘のような措置が必要なのかどうか判断させてもらいたいと思います。

 いずれにしても、この期限は法律に定められておりますので、もしそういう措置が必要だということになれば国会の方にも御相談をさせていただきたい、そんなふうに考えております。よろしくお願いします。

谷田川委員 ありがとうございました。

 次に、液状化に関して質問をさせていただきたいと思います。

 五月二日に内閣府が被害認定基準を見直していただきまして、当初、液状化で、ちょっと傾いたぐらいでは、いわゆる被災者生活再建支援法の支援金をもらえる対象にならなかったんですが、それがもう、全壊、大規模半壊の認定を受けやすくなりました。それはそれで非常にありがたいことで、評価したいと思いますが、しかし、残念ながら、その基準の見直しでも、いまだに救済されないお宅がございます。実は、そのお宅は大畠大臣にも見ていただいたんですが、もう大畠大臣は、これはもう国が助けなきゃいけないとはっきりおっしゃっていただきました。東副大臣もごらんになったのは私も承知しております。

 これがそのお宅なんですが、皆さん、今手元に資料が配られておりますが、ちょっと見えにくいかもしれませんが、左側が震災前、震災後が右側の写真です。

 このお宅は、敷地ごとずどんとおっこっちゃっているんですよ。内閣府の被害認定基準は、敷地から家が沈めば、一メートルとにかく沈めば全壊という形になっているんですが、あるいは、床上が沈んじゃった、それだと大規模半壊。しかし、このお宅のように、敷地ごと沈んじゃった場合、全く大規模半壊にならないんですよ。ですから、被災者再建支援法の支援金をもらえない、そんな状況なんですね。

 しかし、これ、被害状況はほとんど変わらないんですよね。つまり、ジャッキアップして、基礎をしっかり固定して、そしてやるという工事費用を考えますと、大規模半壊と今回のこのお宅の扱いは、ほとんど被害の度合いは変わらないというふうに思うんですね。ですから、この辺、もう少し見直していただきたいなと私は思うんです。

 額賀先生も、この間質問したら、松本防災大臣の答弁でしたけれども、五月二日に見直した後、いろいろ検討しているという答弁がございましたが、その検討しているということは、救済の範囲を広げるということを検討しているという理解でよろしいでしょうか。

東副大臣 谷田川委員にお答えいたします。

 今回の見直しに当たっては、先ほど委員の御説明にもありましたとおり、何度となく、今回の液状化被害を受けた地域、十カ所前後、千葉県、茨城県へ行ってまいりました。香取市のこのお宅も訪問させていただき、宇井市長とも、ともどもに行かせていただきました。

 そのときは、全く知見のないままに訪問させていただいていますから、基本的に谷田川委員と同じような気持ちを持ちました。ただ、専門的な被害の確認でありますから、被害状況をどのように設定するか。我々政治家ですから、できる限りすべて救いたい、これは当たり前です。しかし、本当にすべて救えるのかと。どこかで線切りをしなくちゃいけない。そういうことも含めた上で、その被害認定の専門家、そしてまた、液状化によって種々健康被害も出てこられる可能性もある。お医者さんの知見も入れた上で見直しをさせていただきました。

 そこで、今御指摘の、いわゆる潜り込み状況で、すとんと落ちてしまって、周りの土地との間隔がほとんどない、この場合と、敷地全体が落ち込んでいる、明らかに違いがあるわけですね。敷地全体が落ち込んでしまっている場合で住宅に被害がない、しかし下水道やあるいはまた排水ポンプがいかれちゃっている、これと、潜り込みの場合というのは、家のドアも、玄関もあかない、あるいはまた通風口も機能しない、そこで選別をさせていただいていて、谷田川委員の言われるとおり、潜り込みの場合と地盤沈下の場合に、ここに差が出てきてしまっている。

 松本大臣が言われている視点というのは、この見直しをさらに幅広にやっていくということではなくて、あくまでも住家被害に対しての認定については、一応ここでそれなりの検討をさせていただいた。問題は宅地の造成。そこには、本日来てくださっております大畠大臣の力もかりながら、国交省の枠組みの中でどういうふうに宅地造成、あるいはまた宅地を改善していくことができるのか。そういう意味で、国交省のみならず関係省庁の皆さん方の知恵をかりながら、何とかして、谷田川委員のおっしゃっている趣旨に沿った形で対応できるようにできないものかどうか、こういうことを検討させていただいているというのが松本大臣のお答えだったと思います。

谷田川委員 今の答弁はどう解釈していいかわかりませんが、東副大臣はあのお宅を見ていただきましたね。政治家としては救済しなきゃいけないという気持ちになるのは当然だとおっしゃっていただきましたので、その気持ちを大切にさせていただきたいと思いますし、大畠大臣も同じ気持ちだというふうに聞いておりますので、ひとつよろしくお願いします。

 一つ指摘したいのは、内閣府のホームページから私知ったんですが、平成十九年ですから、今から四年ぐらい前のホームページに、被災者再建支援法の検討会があって、世界各国の、こういう場合どういう救済があるかという一覧表があったんですよ。日本、アメリカ、ドイツ、それからイタリアがあったと思いますが、何とアメリカという国、皆さん、個人主義の国、なかなか政府が個人に手助けする、こういう一人当たり三百万円上げるとか、そういうことはないんじゃないかと思ったら、何と、あのカトリーナの台風のときに、最高で十五万ドル、家を再建するのに出しているんですよ。十五万ドルといいますと、大体、八十円としますと一千二百万円。十五万世帯に対して何と平均五百十万円出しているんですよ、アメリカは。

 ですから、今回、三百万じゃ少ないからもっと上げるべきだという話がありましたけれども、やはりこれは民主党としまして、生活者第一、国民の生活第一と標榜した以上は、やはり全体でもう少し被災者に対して手厚く働きかけていく、そういうのが必要じゃないかなと思うんですよ。ぜひこの辺は……(発言する者あり)自民党も賛成、公明党でした、失礼しました。もう与野党で賛成してくれますので、これこそまさに与野党、枠を超えてやっていく、これが大切だと思いますので、ぜひ皆さん、肝に銘じていただければありがたいと思います。

 最後に、大畠大臣、液状化レベルの問題なんですが、今、香取市なんかもそうなんですけれども、上水道、下水道を復旧するに当たって、液状化で垂直になったり、それから水平になったり、もう不均一で、どうこれから復旧工事をやっていいか戸惑っているというのが現状です。これは何とか国交省の方から技術的にもいろいろな助言をいただきたいというのが切実な各市長の要望なんですが、ひとつこの辺、国交省として積極的に協力する姿勢があるかどうか、お尋ねしたいと思います。

大畠国務大臣 谷田川議員からの、現場を十分に調査した上での御質問にお答えを申し上げます。

 私もあの現場を見せていただきました。当初、液状化という認識はある程度あったわけでありますが、あれほど広範囲にわたって電柱も道路も宅地も川も護岸もという、大変大規模な状況をつぶさに見せていただきました。

 結論から申し上げますと、国土交通省としても、あの面的な被害を受けたところをどのような形で復旧するかということをいろいろ検討させていただいております。下水道の回復というのは非常に重要でありますから、したがって、香取市等を初めとする液状化現象で被害を受けた自治体とも十分な連携をとりながら技術的なバックアップをやっていきたいと思います。

 先ほど、東副大臣から個別のお話がございましたけれども、私も、あの御自宅、見た目にはどこが被害なんだろうかとわからないぐらいでありますが、現実問題、下水の管よりも下に位置していれば水道も使えないというのもわかっておりますので、そこら辺、東副大臣も工夫をすると言っておられましたが、国土交通省としてもいろいろ工夫をして、結果的には、生活をもう一度取り戻せる、そのような形になるように、一番の……(発言する者あり)スピードというお話もございましたが、スピードも含めて、一生懸命頑張って復旧に当たっていきたいと考えているところであります。

谷田川委員 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、中野渡詔子君。

中野渡委員 民主党の中野渡詔子と申します。

 本日、貴重な質問の機会をいただきましたことを心から感謝申し上げます。

 今回の台風二号の土砂災害ということで、被災地の皆様が一層不安な思いをされていることと思います。そして、復旧復興の対策と同時に、迅速に、災害が起こる前に防ぐという対策を進めていかなければいけないと強く思います。ぜひとも政府には、ここのところを十分に踏まえて対策を進めていただきたいとお願いをしたいと思います。

 早速質問に入らせていただきます。

 風評被害について、高木大臣そして筒井農林水産副大臣に御質問したいと思います。

 特に農作物についてなんですが、今回、福島県であったり群馬県でしたか、あと栃木県等々、風評被害の対策をこれからなされるということ、具体的に進められるということが出てきておりますけれども、我が地元青森県、リンゴを台湾に向けて輸出をしています。しかし、今回の風評被害の関係で、安全証明がなければ輸出受け入れをしませんよと。だから、青森県からはリンゴの輸出ができない、あるいは自粛をしている、そういう側面がございます。

 青森県というのは、近隣の県に比べれば離れている地域ではあるんですが、現実に風評被害が起きている。これに対してこれからどういう支援対策を考えていらっしゃるのか、ぜひお聞きしたいということと、また風評被害ということは、御存じのとおり、農作物だけではなくて、工業製品であったり加工物であったりとか水産業についても広く起きています。広くこれからどういう対策をとろうとされているのか、ぜひ教えていただければと思います。

高木国務大臣 中野渡委員にお答えをいたします。

 輸出の際に取引先から求められますいわゆる証明書、安全証明書に係る経費についてはかなりの負担があろうと思っております。

 御指摘の、賠償紛争審査会では既に第一次指針を出しておりまして、この第一次については、政府による避難指示あるいは出荷停止などについてが対象となっております。したがって、第一次指針に盛り込まれていない青森県産のリンゴなどについては、対象区域外のものについては今後検討する旨のことが明記をされておるところであります。

 いわゆる風評被害については、これは第一次指針では対象となっておりませんけれども、この原子力発電所の事故との相当因果関係の観点から、被害の状況あるいは事故との関連性、これについては、多種多様な産業、地域がありますので、詳細に調査をする、検討するということにされたところであります。

 文部科学省といたしましては、この調査検討を踏まえまして、特に安全証明に係る費用や風評被害を含めた賠償の範囲等については、できるだけ早く検討を進めていただいて、その結果を次の段階の指針にぜひ反映していただきたい、このように考えております。

筒井副大臣 特に輸出の問題を中心の質問だというふうに理解いたしますが、外国からいろいろな証明を要求されたり、輸入停止の処分を受けたりしているところがあるものですから、日本にある外国の在外公館に定期的に何回も農水省の担当者が行って、現状のモニタリングの結果や何かを説明して、さらに、外国にある日本の大使館にもその情報を流して、大使館から各国政府に対して直接その説明をしてもらっている。さらには、日本の農水省の担当者が直接中国等の外国に出向いてそれらの説明を行っているところでございまして、特に一番厳しい輸入規制をしているところが中国、その次はEUになるわけでございますが、今度、中国は一部緩和をするという方向性を出しましたので、さらにそれを広げてもらうよう、今、交渉というか議論をしているところでございます。

 菅総理が日中韓等の会合で科学的な根拠に基づいた規制を要請している、これらのことは御存じのとおりだと思います。

 さらに言えば、今、風評被害についての損害賠償をきちんとやる、これは文部科学大臣のおっしゃられたとおりでございます。そして、輸入規制をされている際にいろいろな証明書を要求される、それについて、検査機器の購入についても、それから証明費用についても農水省の予算の中で支援をする、その制度をつくったところでございます。

 以上です。

中野渡委員 ありがとうございます。

 続けて、高木大臣、これは人に対する風評被害だと思うんですけれども、例えば、水産高校の生徒さんが実習で遠洋実習に行く。その実習をやらなければ大型船に乗るための資格がもらえない、だからぜひ行きたい。そうしたら、ハワイ沖に行こうと思ったら、アメリカ合衆国の方から、放射線検査を受けなければ入国させませんよと。生徒たちは、自分たちの自己負担で高額な検査を受けなければ行けない。ただでさえ漁業が衰退している中で、では両親にお金を払ってくれと言えるのか、被災地の子供たちが親に向かって金を出してくれと言えるか。そういう中で、漁業者の後継者を育成していくという中でも、子供たちに対する支援というのをどのようにお考えになるのか。

 また、伴野副大臣、米国だけじゃなくて諸外国に対してもこういうことというのは、例えば語学留学に行きたいという学生さんたちがそういうところでストップさせられるんじゃないか、そういうことも今後出てくる可能性があると思うんです。こういうところの支援というものをどのように考えていらっしゃるか、ぜひお答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 今回の被災地は、我が国でももとより、世界でも有数の水産基地であります。私も、これらの産業がかなりの打撃を受けた、しかも、これからそういう産業、仕事を担う若い人たちの育成がいかになっていくのか、非常に懸念をしております。

 私も、五月の十一日に宮城県に入りまして、水産高校の実態を調査してまいりました。いわゆる救援物資の輸送で小名浜港に入港した福島県の実習船福島丸、原子炉の八十キロ圏内を航行した神奈川県の実習船湘南丸については、米国政府の通達に基づいて、いわゆる実習地であるハワイでの入港時に放射線の測定を行う可能性があるものと認識をしております。

 実習船に係る放射線測定の経緯については、これは委員御指摘のとおり、個人に払わせるようなことがあってはならないと私は思っておりまして、当面、高校の設置者である都道府県の負担となります。

 こうしたことから、先日開催をいたしました、いわゆる原子力損害賠償審査会において、原発事故によって生じた学校の損害の例として、必要な経費が生じることを説明したところでございます。

 したがいまして、漁業の後継者育成のために充実した遠洋航海がまたできますように、被災地の要望を踏まえて的確にできるだけの支援をしてまいりたいと思っております。

伴野副大臣 中野渡委員にお答えさせていただきたいと思います。

 委員御指摘のように、三・一一以降、日本からの輸入や日本からの船舶入港等に際して放射線検査を行う等、非常に規制を強化する措置あるいは保守的な対応をとられる国、地域が出ているのは事実でございます。そうした中で、やはり我が国に対する信頼性というのが問われているわけでございまして、そういった風評被害を回避するためにできるだけわかりやすく、事実をしっかりとさまざまなレベルでお伝えしていくということでございます。

 現在、外務省といたしましては、総理も御自身でおやりいただいておりますが、政務三役が海外出張させていただく節、あるいはさまざまなマルチの国際会議等においてもしっかりと事実をお伝えさせていただいて、できる限り正確な事実をお伝えし、信頼回復に努める中で風評被害に対応させていただいているということでございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 今回のことというのは、本当に子供たちにとって、それこそ想定外のことだと思うんですね。ぜひ子供たちの夢や希望を奪わない、そういう支援策というのを十分に打ち出していってほしいと心からお願いを申し上げます。

 続きまして、海底の瓦れきの撤去について伺いたいと思います。

 一次補正で海底の瓦れき調査の予算がつきましたが、そのスケジュール、どこまで進んだのか、いつまでに終わるのかということの具体的な御報告をお願いしたいと思います。

筒井副大臣 今先生がおっしゃいましたように、一次補正で予算がつきました。そして、現在海底調査を既に始めているわけでございますが、その際にいろいろな機器を県に貸し付けたり、あるいは国の独立行政法人が直接船を出して調査をしているところでございまして、早急に調査を終了させて瓦れき撤去を完了したいんですが、今の時点でいつまでに終了かということを具体的に特定できるという状況にはなっておりません。できる限り速やかにそれをしたいというふうに考えて、今全力を挙げているところでございます。

中野渡委員 ありがとうございます。

 この瓦れき調査なんですけれども、実は地元の大間の漁師さんたちとお話をしてきました。この調査が実は陸地から三百メーターのところの範囲で行われているというようなお話を聞きました。実際に主な漁場というのは陸地から二十キロから五十キロぐらい離れたところにある、範囲でいくと津軽海峡から久慈沖ぐらいまで大間の漁師さんたちは行っているらしいんですけれども、その中で、例えば岩手県とか宮城県の瓦れきが漂流して茨城県に流れついているとか、そういうのもニュースなんかでも見ているんですが、実際、沖の方にどれだけ流出しているのかというのがわからない。そうすると、漁場にどれだけあるのかわからないから、船を出して壊れちゃったら大変で、漁具や漁網というものも破れてしまったらだめになってしまうんじゃないか、そういう不安もあって、なかなか漁に行くという気持ちになれないでいる。

 そういう思いの中で、私たち民主党はこの二十三年度、四月からの予算に対して、漁業者に向けて漁業共済の拡充という形で戸別所得補償制度を打ち出しました。本当に力を込めて、思いを込めてつくったんですけれども、三月に震災が起きてしまった、津波被害に遭ってしまったということで、事故に遭ってしまっているがために、もしかしたらこの戸別所得補償制度では救えないんじゃないかという可能性も今出てきています。

 そういう中で、先日も岩手県、宮城県の組合長がいらして、漁業者と漁港そして加工業者と一体となって浜全体が復旧復興して再興していかなければ、本当の水産業がもとに戻るということはないんだということを強くおっしゃっていましたけれども、加工業が戻らなければ魚価が下がってしまう。風評被害も相まって輸出も滞っているので、海底の瓦れきの状態もわからないから漁に出られない。その瓦れきの撤去の事業に出ればいいじゃないかって、それにも出られない漁師さん、参加できないという漁師さん、特に小型の漁業者、沿岸の漁業者に対して、では、その生業に対してどういう支援を今考えていらっしゃるのか、それをぜひお願いします。

筒井副大臣 ついた補正予算の名前も漁場復旧事業でございまして、これは漁場全体を復旧することが目的でございますから、そんな短い範囲より漁場全体、二十キロ、三十キロ範囲まで今その取り組みをしているところでございます。

 それから、もう一点の方の質問は、漁場、漁港、漁港に通常ありますいろいろな水産加工施設、これら全体も含めて復旧しなければならない、そういう先生の趣旨かと思いますが、まさにそのための補正予算もつけたわけでございまして、特に漁業の場合には、加工して販売する加工施設が漁港の中に、漁港のすぐ近くにたくさん存在する、こういう状況でございますから、冷蔵庫から加工の機械を含めて全体を復旧する、そのための一次補正予算をつけたわけでございますから、先生のおっしゃるとおりの趣旨で、何とか漁業の再生を図っていきたいというふうに考えております。

中野渡委員 ありがとうございます。

 加工業というのは基本的には中小企業庁の管轄になるとは思うんですけれども、漁業者にとっては農林水産省も頼りにしている、水産庁も頼りにしている。だから、縦割り行政の中じゃなくて、やはり横ぐしを通して一体でやっているということをぜひ国民の皆さんに見えるようにやってほしいと思います。

 次に、大畠大臣、これまでの御質問の中で先生方からも、津波からの避難道路ということで三陸道路の早期完成、それに対して大臣からも一歩踏み込んだ答弁というものをいただいたと認識しております。私からは、今回、原発の避難道路についてお伺いしたいです。

 当選後、大畠大臣とともに下北半島の方、御一緒させていただきました。先生御存じのとおり、下北の国道二百七十九号線、三百三十八号線というのは本当に命の道路になっています。これが狭い、急だ、カーブばっかり。何かこの間の地震でも、あの二百七十九号線、風間浦のところをストップ、通行どめ。だれもその先、むつ市内の方に入ってこれない。救急搬送、救急車、ドクターヘリも飛ばない。そういう中で何かあったらどうしようということで、本当に地元の方たちは不安に思っています。

 また、下北縦貫道路、これは県の事業でやっていますけれども、これも避難道路、防災道路、緊急道路として、地元の皆さんが早くつくってほしいと、ずっと何年もかかって県に対しても国に対しても要望してきています。

 こういう本当に主要な道路というものは、県任せとかそういうものじゃなくて、国がきちんと直轄でやるなり、あるいはこれを一番最初にやりなさいと指導するぐらいの、そういう強い姿勢で道路をぜひつくっていかなければ、本当の意味で地元の方たちにとっての避難道路というのはできないと思うんですね。そういうところ、どのように御検討されているのか、ぜひお聞きしたいと思います。

 それともう一つ、済みません。大間は今、原発の建設を中断しています。大間と函館、海の国道二百七十九号線としてフェリーが通っています。これも避難道路としてぜひ認めていただいて、国の支援というものが必要だと強く思いますが、その辺のところ、大臣、どのようにお考えでしょうか。

大畠国務大臣 中野渡議員からの御質問にお答えを申し上げます。

 私も、ジェー・シー・オーの事故のときに、避難道の重要さというのを切に感じました。その後、法律ができまして、この原子力に関する事故のときの避難道等を整備する、こういうことも含めた原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法というのができたわけでありますけれども、いずれにしても、今御指摘の視点というのは大変大事でありまして、国土交通省としても、円滑な避難等を確保するための道路整備を支援し、これまでにも、下北半島縦貫道路の部分供用を含め九事業が完成をいたしました。

 平成二十三年度におきましても、引き続き下北半島縦貫道路に対する補助を行うとともに、社会資本整備総合交付金を活用して合わせて十八事業の整備を支援し、推進してまいりたいと考えております。

 ただいまの議員からの御指摘は、私も、自分の経験に照らし合わせても大変大事な視点でありますから、国土交通省としても、地域の状況をよく把握しながら、事業が推進するよう努めてまいります。

中野渡委員 ありがとうございます。

 できれば、国がしっかりやります、補助じゃなくて直轄でやりますという踏み込んだお話をぜひいただきたかったなと思いますが、時間の関係もありますので。

 済みません、松下副大臣、今回、東北地方を太陽光発電など再生可能エネルギーの拠点とするという復興構想会議の御報告なんかも出てきていますけれども、東北というのは雪国なんです。風の力はあるんです。だから、太陽光というよりは風の力。そして、南の方でぜひ太陽光を進めていただき、両極で自然エネルギーを活性化、使っていく。そして、原発と一緒にその利用、開発ということを進めていくということも十分考えていかなければいけないことだと思います。

 だから、特に東北地方の中でも青森県というのを自然エネルギーの拠点として活用していただくということをぜひともお考えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 時間もなくなりました。

黄川田委員長 答弁は要らないですか。

中野渡委員 いただいてもよろしいですか。

黄川田委員長 はい。

中野渡委員 はい、お願いいたします。

松下副大臣 委員と全く思いは同じにしていますので、全力を挙げてやりたいと思います。

中野渡委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 次回は、明三十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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