衆議院

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第10号 平成23年7月11日(月曜日)

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平成二十三年七月十一日(月曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 柿沼 正明君 理事 後藤  斎君

   理事 橋本 清仁君 理事 藤村  修君

   理事 三日月大造君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      大泉ひろこ君    太田 和美君

      岡本 英子君    梶原 康弘君

      金森  正君    神山 洋介君

      川口  博君   菊池長右ェ門君

      近藤 洋介君    斉藤  進君

      階   猛君    菅川  洋君

      平  智之君    高井 美穂君

      高邑  勉君    中後  淳君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      畑  浩治君    初鹿 明博君

      水野 智彦君    村越 祐民君

      森本 和義君    山岡 達丸君

      若井 康彦君    鷲尾英一郎君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    斉藤 鉄夫君

      塩川 鉄也君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      園田 博之君

    …………………………………

   法務大臣

   環境大臣         江田 五月君

   財務大臣         野田 佳彦君

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国土交通大臣       大畠 章宏君

   国務大臣

   (金融担当)       自見庄三郎君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       山口  壯君

   総務副大臣        鈴木 克昌君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   総務大臣政務官      浜田 和幸君

   政府参考人

   (内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長)            北川 慎介君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房政策評価審議官)       田中  敏君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           清水美智夫君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十一日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     山岡 達丸君

  郡  和子君     初鹿 明博君

  近藤 洋介君     磯谷香代子君

  斎藤やすのり君    仁木 博文君

  谷田川 元君     神山 洋介君

  小里 泰弘君     北村 茂男君

  小野寺五典君     北村 誠吾君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     近藤 洋介君

  神山 洋介君     菅川  洋君

  仁木 博文君     水野 智彦君

  初鹿 明博君     平  智之君

  山岡 達丸君     石山 敬貴君

  北村 茂男君     小里 泰弘君

  北村 誠吾君     小野寺五典君

  塩川 鉄也君     高橋千鶴子君

同日

 辞任         補欠選任

  菅川  洋君     大泉ひろこ君

  平  智之君     金森  正君

  水野 智彦君     岡本 英子君

同日

 辞任         補欠選任

  大泉ひろこ君     谷田川 元君

  岡本 英子君     中後  淳君

  金森  正君     郡  和子君

同日

 辞任         補欠選任

  中後  淳君     森本 和義君

同日

 辞任         補欠選任

  森本 和義君     斎藤やすのり君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力損害賠償支援機構法案(内閣提出第八四号)

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長清水美智夫君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 平野復興担当大臣におかれましては、御就任まことにおめでとうございます。同じ岩手の国会議員として、ぜひ平野大臣には頑張っていただきたいと思っております。

 先ほど、新幹線で地元から戻ってまいりました。その地元の今週末の反応、本当に平野大臣の誕生を喜んでおられました。ただ、その一方で、率直に申し上げますと、二つ、苦言といいますか不満といいますか、そういう声がありました。一つは、菅総理はいつまで続けられるのか。もう一つは、小沢さんにも復興の中心となって頑張ってほしい。この二つが、よく聞いた声でございます。

 前段について、平野大臣はどのように、菅総理はいつまで続けられるのか、ここをお聞きしたい。

 もう一つは、小沢元代表については今裁判が行われておりますけれども、つい先日、秘書の方たちの裁判の中で、小沢さんが陸山会という資金団体の会計帳簿の虚偽記載の問題について関与しているという趣旨の調書の証拠能力が否定されました。ということになりますと、小沢さんの裁判においては、その調書がまさに決め手となって検察審査会が起訴をしているわけでございます。その大もとの根拠である調書の証拠能力が否定されたということでございますから、もはや小沢さんについては裁判の理由がない。

 翻って、今民主党では小沢さんが党員資格停止ということになっていますけれども、その停止の理由もなくなるのではないか。そうなれば、小沢さんにも晴れて復興の中心となって活躍していただける。そこで、平野大臣にお願いですけれども、ぜひ、菅総理、党代表でもありますので、小沢さんの処分取り消しについて御進言いただけないか。

 この二点についてお聞かせください。

平野国務大臣 階委員から二つの御質問がございました。

 まず一点目は、菅総理はいつまで続けられるかという、さすが元六大学野球のエースピッチャーらしい、ストレートの剛速球の質問ではなかったかというふうに思います。

 まず、冒頭の一問目の問いに答えさせていただきますけれども、基本的には、これは菅総理が判断されるということなんだろうと思います。ただ、いろいろなマスコミあるいは国会等々においても、総理はいつやめるんだと。それからまた、階委員の今のような質問も、どちらかというとこの委員会の中では余り唐突な質問には映らない。こういうこと自体が非常に異常な事態だというふうに思っています。

 こういう状態を早く解消させるということについては、これもまた私は総理の仕事ではないかというふうに思っておりますし、少なくても菅総理は、そういう意識は明確にお持ちになって今仕事をやっているのではないかというふうに考えております。

 二つ目の問題につきましては、これはなかなか難しい問題でございますけれども、一般論として申し上げさせていただきますと、今回の地震、津波、それに関連して発生した福島原発の事故、残念ながら福島原発の事故につきましては今も継続中であります。今回の災害の規模、災害の大きさ、こういったものを見ますと、言うまでもなく未曾有の災害でございまして、国難という時期であります。

 こういう国難という時期の中に与党・政府一体となって取り組むというのは当然のことでありまして、その一体として取り組むという中に、例えば政治経験の豊かな、判断力のすぐれた、この先生の言うことだったら同じことを言っても信用できるなというような政治家をきちっと配置して、助言を求めたり、一定の仕事をお願いして担ってもらうということはぜひ大事なことでありますし、そういう体制をつくることも私はトップリーダーの仕事だというふうに思っています。

 その上で、そういう方を活用するということに党内事情でもって何らかのネックがあるということであるとすれば、活用するということがこの国難を乗り切る上でプラスだというふうに判断されるのであれば、そういった党内事情については一時棚上げをする、あるいは取り消すということは当然あってしかるべきだというふうに思います。

 質問に直截の答えはできませんが、いずれ、階さんと私、今まで同じ考え方で行動をとってまいりました。そこについての考え方で差異はないというふうに思っております。

 以上です。

階委員 私の思いと同じである、同じ考え方であるということで、大変私も心強く思いました。

 政策の方に話を移しますけれども、きょうお配りしております資料をごらんになってください。

 ちょっと細かい数字で恐縮なんですが、表の一という上段のところが「東日本大震災後の被災三県の人口動向」ということで、人口というのは三県合計で五百七十万人余り、これは昨年十月の国勢調査をベースにしたものです。それから、次の欄が転出超過数、これはちょうど先週末に総務省が発表したものでございまして、震災後から、この三月から五月の間に三万一千七百五十二人の方が県外に流出している。さらに、死亡者、行方不明者、直近でこういった数字になっている。合わせますと震災後人口増減数は五万人を超える、こういうことでございます。

 もとより、国勢調査の結果を見ますと、表の二でございますが、平成十七年から昨年、二十二年までの間に、この地域は人口減少が進んでいたわけであります。十二万八千人という人口減があったわけでありますけれども、これを勘案したとしても、五万二千六百九人という、ここであらわしている数字というのは極めて大きな数字ではないか。

 さらに、表の二の左側の方には年齢別の人口割合というのも掲げさせていただいておりますが、この三県では六十五歳以上の割合が二五・三%である、これは平成十七年からの五年間で三・二ポイントも上昇している、こういうことでございます。

 それぞれ考え合わせますと、復興のためには、若い世代を何とか呼び戻してにぎわいを取り戻すという政策を実行すべきではないかと考えます。

 具体的に申し上げますと、まず第一に、安全で魅力のある被災地のまちづくりを実現できる制度が必要ではないか。大臣もかねがね、復興のためには土地利用の仕組みを考えなくてはいけないということで、私もそう思います。地域主導で、市街地や農地、森林など従来の土地利用に縛られずに、大胆に区域割りを変更する新たな仕組みを設けるべきではないかと考えます。

 こういった理解でよろしいかどうか、お願いします。

平野国務大臣 被災三県の人口の動向はこのとおりであります。さらに追加させていただきますと、特に、被災した地域、その中でも石巻あたりから北のいわゆる三陸地域におきましては、過去十カ年で人口が一〇%以上減少している。それから、高齢化率につきましても三五%を超える、こういう地域がございまして、本当に、人口減少が進んでいる、あるいは高齢化が進んでいる地域でこの災害が起こったということであります。

 これから足元の問題としてやらなくちゃならないのは、何といっても、まず雇用の場の確保が必要だということでございまして、水産業等々を中心とした雇用の場の確保を急ぐということでございますし、あるいは、被災した産業の復活、そのために仮設工場の設置等々についての施策もございますけれども、こういった施策を使いながら雇用の場を確保するということが急務であります。

 その上で、階委員から先ほど提言があったように、災害に強い、安全で魅力のあるまちづくりに取り組んでいくということでございまして、その中のかぎは土地利用調整でございます。

 土地利用調整につきましては、これは復興特区という形でいろいろな手続の簡素化を考えていこうと思っておりますが、実はこれは階さんが私以上に詳しいわけでありまして、党では、階委員が中心になってこの具体化にも御議論いただいておりますけれども、こういった土地利用の調整をやりやすくする、手続をやりやすくする、こういった仕組みについては、ぜひこれを法律化して、取り入れていくことが必要だというふうに思っております。

階委員 今大臣からも御指摘がありましたように、今、党の中でこの案を詰めているところなんですが、やはり少し気になるのは、大胆な区割り変更をできるようにする、その陰で、今まで既存の土地について権利を持っていた方たちの利益をどのように保護するかということが非常に悩ましい問題です。

 この点について、大臣のお考えをお願いします。

平野国務大臣 今回の被害は津波でありまして、これからのまちづくりは、津波対策ということを強く意識したまちづくり、防災に強いまちづくりをしなくてはなりません。

 その中で一つ大変なのは、今まで仕事をしていた工場があったところでこれからも続けて工場をつくって仕事ができるのか、これまで住んでいた住宅地がこれからも引き続き住宅地として利用ができて住宅が建てられるのか、こういった計画図、土地利用計画が必要でございまして、これを策定するということについて、今、地元の市町村はかなりいろいろな調整をしながら策定を進めております。

 この結果として、例えば、従前地がもとどおりの土地利用ができなくなってしまった、あるいは一般的な土地利用ができなくなった場合の土地をどのように扱うか、これにつきましては、買い取るといったことも一つの手段かと思いますが、全体の計画をつくる中で、それを実行するという過程の中でじっくり議論していく内容ではないかというふうに思っています。

 いずれにせよ、今回の復興に先立って、土地所有者が不利益を生じるといった場合には、その不利益についてはきちんと補てんされるのが原則であるということは申すまでもない点だというふうに思っております。

階委員 新しいまちづくりのための大胆な区割り変更と、一方で権利者の権利保護、両面をぜひ、私も知恵を出したいと思いますし、平野大臣とも一緒に進めていければと思っております。

 次に、若い世代を呼び込むために私が必要だと思う政策は、良質の雇用を生み出す付加価値の高い産業をこの地域で育成するということだと思います。

 その中で私が特に着目しているのは、太陽光や風力、地熱など自然エネルギーの関連産業です。技術進歩とコストダウンで付加価値を高められる余地が大きいとともに、東北に製造拠点、発電拠点としてふさわしい場所がたくさんあります。今、実は、黄川田先生や畑浩治先生と一緒に、このプランを岩手の中で、あと中野渡先生にも加わっていただいて検討しているところでございます。これについてはちょっと時間の関係で答弁は求めませんけれども、ここもぜひやらなくてはいけないと思っております。

 それから第三として、若い世代を呼び込むためには、被災地を含めて東北各地の交流や連携を活発にする、そのための交通網の整備が必要ではないか。三陸自動車道はもちろんですが、太平洋側と日本海側を結ぶ高速道路も整備すべきではないかと思います。この点について御見解をお願いします。

平野国務大臣 交通網の整備、ネットワークの整備ということでございますけれども、それはもう階委員の御指摘のとおりだというふうに思います。

 今回の復興に先立ちまして、交通基盤の整備というのはその基本であるというふうに思っております。ただ、できるだけコストをかけないネットワークづくり、この観点も忘れないで取り組んでいくことが大事だというふうに思っております。

階委員 続いて、海江田大臣にお伺いします。

 先般来いろいろ報道もされておりますけれども、先日の参議院の予算委員会で、大臣の御答弁で、いずれ時期が来たら私も責任をとるということでございました。しかし、私は、なぜ責任をとらなければならないのかよくわかりません。

 海江田大臣が六月十八日に、原発の安全性を確認したので再稼働したい、このように述べ、総理もそれに同調するような発言をされたわけです。その後、突如、総理がストレステストを経ることを原発の再稼働の要件としたわけでございますが、これについては専ら総理が前言を翻しただけでありまして、海江田大臣が責任をとる理由はないのではないかというふうに私は思います。

 この点について、いかがですか。

海江田国務大臣 階委員にお答えをいたします。

 私は、人間関係の上で大切なのは信頼と申しますか信用と申しますか、特に政治家は信なくば立たずということも言われますが、やはり信頼が失われたところではもう何を言っても聞いてもらえないんじゃないだろうかというふうに思っております。その意味で、私は、玄海の町長との間において信頼を失ったということ、これが一つ大きな、ああした発言をした背景にございます。

 それからもう一つは、先週の末の衆議院の本会議で、公明党の議員から、ルース・ベネディクトの「菊と刀」を引用して、恥について言及がありました。

 もちろん、日本人というのはこれまでも恥を大変大切にしてきたということでございますが、これは私自身も大変な恥ずかしい思いをしておりますが、ただ、私自身の恥というのは自分の努力によってそそぐこともできます。しかし、私が、玄海の町長、岸本英雄さんでありますが、この方に与えてしまった恥というのは、申しわけございませんという気持ちがいっぱいでございますが、私だけの努力ではそそぐことができないということでございまして、まさに岸本町長に与えてしまった恥に対して、やはりそれは責任をとらなければいけないのではないだろうか、そう思った次第でございます。

階委員 非常にお心のこもった答弁だったと思います。私は海江田大臣のお人柄を尊敬します。ぜひ、これからもこの国のために頑張っていただければと思います。

 最後に、海江田大臣に質問しますけれども、今回、二重ローン対策ということで、私も党の方でいろいろかかわっております。その二重ローン対策の二次補正予算案という中で、相談窓口となる中小企業再生支援協議会の体制強化ということで三十億円計上されております。

 私が思うに、人員をふやすのであれば、窓口に待機しているのではなくて、積極的に現地の被災企業に出向いていろいろなニーズを探り、再生のために知恵を出していく、こういう姿勢が必要ではないかと思います。この点について、お願いします。

海江田国務大臣 確かに、委員御指摘のように、これは今回の補正で三十億円手当てをしてございます。

 その三十億円で、まず第一には、ワンストップサービスですから、来ていただいた分にはその場ですべて説明がついて手続ができるということ、これが大変大切なことであります。

 そして、その上で、今委員御指摘のありましたような、むしろこちらから出向いていけということでございますので、確かにいろいろな事情があってワンストップサービスのところまで来られない方がいらっしゃいますから、それは積極的に出向いていくようにということで周知徹底をしたいと思っております。

階委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたが、最後に一つだけ、委員長に御提案です。

 きょう質問していて、よくよく考えてみたら、私も岩手、黄川田先生も岩手、そして平野大臣も岩手、なぜ東京でこのような質問をしているのかということをちょっと不思議に思いました。ぜひ一度、被災地の岩手あるいは宮城、福島、それ以外の被災地でも結構ですが、現地でこの委員会を開かれてはどうかということを提案申し上げます。

黄川田委員長 きょうは被災から四カ月目です。ちょうど節目の日であります。

 皆さんも現場を見られたと思いますけれども、なかなか被災者に伝わらないところがあります。

 理事会で協議をさせていただきます。ありがとうございます。

階委員 ありがとうございました。

 終わります。

黄川田委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 被災地で復興特別委員会を開こうと。私どもも大賛成でございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 実は、私は、きのう宮城県、被災地に行ってまいりました。塩竈市を中心といたしまして、近隣五市町の市長さん、町長さん、議長さん、県議さん、そしてまた地元国会議員の皆様方と意見交換会をやってきたところでございます。

 認識を新たにいたしましたのは、瓦れき処理に対する思いであります。いまだもって抜本的な改善策が施されない、今一番の課題は瓦れき処理である、その瓦れき処理に対する抜本策を求める痛烈な思いでありました。

 私どもは、三月三十日の第一次緊急提言に始まりまして、五月二十七日の第三次緊急提言に至るまで、五百七十七項目の具体策を提案してまいりました。その第一次緊急提言の段階から、瓦れき処理につきましては、具体策を数次にわたりまして提案してまいったところでございます。

 ところが、御案内のとおり、なかなかこの抜本策が講じられませんで、瓦れき処理における遅々とした、対応が進まない状況が見受けられるところであります。

 そこで、私どもは、ここは具体的に立法化を図ることによりまして政府にその推進を図っていただこう、そのような思いで議員立法へと作業を進めてまいりました。そして、四党の共同提案によりまして、七月一日、当衆議院に提出をしたところでございます。

 簡単な内容を申し上げますと、要するに、瓦れき処理は国が行うんだと国の責務としたところでありまして、国が主体的にもっと前面に立ってこの瓦れき処理を行う、そのために国による代行の規定を設けまして、そして、瓦れき処理に係る費用は全額を国が補助するとしたものでございます。国が主体的に前面に立つ、そのために、工程表等も定めまして、広域的に、そして効率的にこれを進めていくということを求めているわけであります。

 被災市町村の要請があり、かつ、実情を勘案して必要と認めるときは、国が被災市町村にかわって瓦れき処理を行うものとしたところでございまして、なおまた、国の代行にかかわらない、被災市町村が行う瓦れき処理につきましても、その費用を全額国が見る、国庫補助で行うとしたものであります。

 さらにまた、瓦れき処理が進まないその要因というものをさまざまの角度から分析をし検証いたしまして、その対応策を五、六項目にわたりまして求めているところでございます。

 まず、この法案、政府からも先週金曜日に提案がなされておりますが、当然この復興特において審議がなされるべきものであると思いますが、復興大臣としての見解をお伺いいたします。

平野国務大臣 政府からも、国の代行制度というものを柱とした法案が、既に国会提出されたというふうに理解しておりますが、出されております。御党の提案の法律も含めて、どこで議論するかということについては国会で決めていただけるものというふうに思っております。

小里委員 復興大臣におかれては、これはおれがやるんだ、瓦れき処理はおれがやるんだ、そういう意気込みをぜひ示していただきたいと思います。

 当然、この瓦れき処理は復旧復興への第一歩であります。瓦れき処理があって初めて道路の復旧が進む、瓦れき処理があって初めて海岸の復旧、漁港の復旧、そしてまちづくりへ向けて進んでいくわけでありまして、当然、復興大臣のもとで、当委員会で審議がなされますように求めてまいりたいと思います。

 まず、中身でありますが、政府案には国の責務規定がありません。国が主体的に責任を持って瓦れき処理を行っていこうというその姿勢が見られないと思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

平野国務大臣 この瓦れきにつきましては、何といっても、その量の多さが今回の取り扱いを非常に難しくしているということについては、小里委員も認識は共有されております。

 全体的にはおくれているのは事実でございますが、ちょっとお話をさせていただきますと、例えば岩手県北の市町村、これはほとんど一次処理は終わっております。一方で、これは石巻でありますが、石巻一市でもって、環境省の見積もりによりますと、岩手県全体の瓦れきよりも多い。石巻全体の進捗率は非常に小さいんですが、扱っている量は、今まで石巻市の一次処理で扱った量はかなり多い量になっております。

 そういう中で、集中的に集まっているところにどういう処理をしていくかということを中心に、国はもうちょっとさまざまな助言をすると同時に、専門家もどんどん送り込んでこういうサポートをしなくちゃならないというふうに考えております。

 いずれ、小里委員御指摘のように、これから中間処理あるいは最終処理の段階に入ってきます。この段階に入ってきますと、県レベルあるいは広域レベルの調整が入ってきまして、その中では、国が今まで以上に主導権を握って先頭に立って取り組まなくちゃならないということになってきますので、そういうことで、しっかり環境省とも連携をとりながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小里委員 お話にありましたように、仮置き場への搬入の段階でまだ進捗率は三割程度でありまして、最終処分の見通しも立っていないという状況でございます。大臣がおっしゃるように、国が前面に立って、すなわち、おれがやるんだ、そういう姿勢をぜひ法文上明記していただきたい、我々の案をのんでいただきたいと思うところでございます。

 なおまた、野党案におきましては、国が瓦れき処理に工程表を策定すること、また、地元自治体の意向を最大限尊重しながら国がしっかりやっていくんだ、そういう規定も書いてあるところでございます。野党四党案におきましては、国が代行すると規定をしておりますが、すなわち、国の責任で、国を挙げて瓦れき処理を行うんだ、そういう姿勢を示したものであります。

 これに対して政府案では、相変わらず、環境大臣は代行するとしておりまして、従来の縦割り行政に固執をしている、そういう姿勢がまだ見受けられるわけであります。いかがでありましょうか。

平野国務大臣 いずれ、政府一体となって取り組むということでございます。

小里委員 ぜひそれも法文上明記をしていただきたい、我々の案をのんでいただきたいと思います。

 国の全額補助の問題でございます。

 我々の案によりますと、国が代行する場合も、被災市町村が瓦れき処理を引き続き行う場合におきましても、そこに係る費用を国が全額負担をするとしたところでございます。

 これに対しまして、政府案では、国の代行の場合も、市町村みずからやる場合においても、その負担は従来どおり、市町村負担は残るとされております。費用面における国の対応が不十分であると考えます。

 なおまた、政府案の規定はここまででありまして、それのみであります。それ以上の一切の対策が記されていないわけであります。いかがでありますか。

江田国務大臣 今の経費の関係については、既に国による補助率のかさ上げはしておりますし、さらに、その余についてもさまざまな特別交付税等の措置を講ずることで、実際にはほとんどの市町村で、ほとんどといいますか市町村の方の負担はなくしておるわけですが、今回の私どもが出しました代行に関する法律案でその点を明確にして、これは特別交付税、さらにその前の災害特例債ということですから、若干、市町村において、後どうしてくれるのか、そういう不安をお持ちのところもあるかと思いますが、それはもうぜひ御心配なく、国の方でしっかりと責任を持って措置をいたします。どうぞその点は御懸念のないように願います。

小里委員 制度の仕組み、また自治体における現状というものを全くおわかりになっていない、そう感じざるを得ない御答弁であります。

 現行制度では、最大九割までを国庫補助で行いまして、残るうち九五%を普通交付税で見よう、そして五%を特交で見ようという制度であります、普通交付税が先でありますが。

 これではやはり、これは自治体の経験がおありであれば、また自治体と接触をされた経験がおありであれば当然おわかりになると思いますが、後々本当に国から手当てされるんだろうか、あるいは、手当てされてもどれが瓦れき処理の分だ、あるいは、瓦れき処理の分があってもその他の部分を減らされるんじゃないかとか、いろいろな思いがあるわけでありまして、自治体は今極めて不安な状況にあります。

 瓦れき処理額全体が大きいものですから、その中の一割とか二割とかいっても、巨額な借金を一時的にせよ背負わなければならない、それがまた後々国から担保されるかわからないという現状でありまして、今極めて不安な状況に自治体が置かれているということを申し上げるわけであります。

 きのうの意見交換会でも、例えば塩竈の市長さんが、瓦れき処理に関して国から何の抜本策も聞こえてこないとした上で、特に、十分の五とか十分の九を交付税や特交でと言うが、今までの例では安心できない、もし持ち出しということになれば五%でも億単位になる、我々は再建団体に転落をしてしまう、そういう切々たる声が上がっているわけであります。議長さんも、瓦れき処理が一番の課題なのに、政府案では一番大事なところが入っていないという御指摘でございます。

 ぜひ、ここはわかりやすく、全額国庫補助ということで、特に財務大臣、よろしくお願いしたいと思います。これはまた次の機会に議論をさせていただきます。

 さらに、政府案におきましては、市町村負担分についての交付税措置を第四条第二項で定めていると見られます。ところが、ここには、「必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。」と、努力義務規定にとどまっているわけであります。かえって現在の政府の方針、交付税措置をするという条文、規定よりも後退している印象すらあるわけでございまして、本当に被災地の現状をわかっておられるのかな、極めて疑問に思わざるを得ないということを申し上げたい。

 そしてまた、我々の案におきましては、処理施設の新設の費用並びにその運営の費用まで、全額国が補助をすることを求めておるわけでございます。現行法では、御案内のとおり、施設の復旧には補助がありますが、新たな施設の設置には一切ないわけであります。直接的な規定はないわけでありまして、ぜひそこをわかりやすく、しっかり手当てをしていただきたいと思います。

 御答弁があれば。

平野国務大臣 まず、復旧復興でございますけれども、これはやはり国と地方との共同事業であるということが大前提だというふうに思います。共同事業であるという前提である以上は、国も負担をする、ただ、自治体も負担をいただく、この原則はやはり貫くべきだというふうに私自身は思っております。

 ただし、その場合、今回の災害は非常に規模が大きくて、地方から取るといっても、自治体の中で負担し切れるものではありません。だから、普通交付税、特別交付税ということになるんですが、普通交付税については、これは御案内のとおり、見ている見ていると言いながら、ミシン目がないものですからなかなか見えないという嫌みはあります。

 ありますが、先ほど委員が御指摘されたように、例えば再建団体に陥って仕事ができなくなるとか、こういうことは被災地の市町村にあってはならないことでありますから、こういったことが起きないように、総務省も片山大臣を中心に、被災地の市町村についてはしっかりとした支えをするということが前提になっているということだけは申し上げさせていただきたいというふうに思います。

小里委員 国の事業であり、地方の事業だ、互いにそれを負担し合っていくんだ、その姿勢は平時であればいいんでしょう、こういう緊急時においてはなかなか現場には通じない話であります。

 特に、この瓦れき処理というのは、極めて甚大な災害における最も大きな要素をなすわけでありまして、復旧復興へのまさに第一歩であります。その処理額においても莫大なものに上る。ここを何とかしよう、まさにそこにつかえているのが地方負担の部分でありまして、この部分をぜひわかりやすく国が見ていただきたい。

 財務省あるいは総務省の間でそこは見るんだといっても、国においては、財務省だ、総務省だという議論はあるかもしれぬ。しかし、地方から見れば、総務省も財務省も一緒なんです。国がどうやって見てくれるか。交付税だ、補助金だと言う前に、そう言っているんじゃなくて、すんなり、すっきりと国が全額補助していただきたい、そういう思いは極めて強いわけであります。

 地方自治体、被災自治体が憂いなく安心して円滑に瓦れき処理に取り組んでいけるように、そしてまた、国が前面に立ってやっていくんだ、こういう極めて重大な課題については国が先頭に立つんだ、その前面に立つんだ、それはまさにこの費用から始まるわけでありますから、ぜひそこは考えを改めていただきたい、我々の案をのんでいただきたいと思うところでございます。

 なおまた、私どもは、今回の瓦れき処理が進んでいないその実態にかんがみまして、さまざまな角度からその要因を分析いたしました。それぞれの対策案を、第五条のところで七項目にわたりまして提案しているところでございます。

 まず、何といっても、仮置き場、最終処分場の確保が大きな課題であります。

 これにつきましては、全国の自治体に広域的に協力を求める。そして、そこに係る費用は全額国が見る。そしてまた、私有地の土地の活用をしっかり図っていく。あるいはまた、この処分場、仮置き場への道路、橋が渋滞をしておりまして、大変な状況になっている。その辺の道路、橋等の輸送手段の整備も図ることを求めているわけでありまして、こういった全体として国が責任を持って、国の責任で、国の費用でやっていくことを求めております。大臣、いかがでありましょうか。

平野国務大臣 瓦れき処理を迅速に進めるというのは復旧復興の大前提でございます。自民党さんからいただいた提案、提言、その一つ一つをしっかり吟味しながら対応していきたいというふうに思います。(発言する者あり)

 大変失礼しました。野党四党でございました。

小里委員 なおまた、第五条におきましては、瓦れきの再生利用についても提案をしております。

 瓦れき、重さにすればその四割がコンクリートくずであります。このコンクリートくずを、例えば防潮林を地盤を高くしてつくる必要がある、そこに使えばどうだろう。あるいはまた、まちづくりに当たりまして、瓦れきを再生利用することが必要なんじゃないか。これはまた最終処分にも資する話であります。これについては御異論はないと思います。この対応を当案においては求めております。

 なおまた、実際に作業を進めるに当たりまして、遺留品をえり分けしながら作業を進める、非常にきめ細かな作業になります。これが遅滞につながっている一つの要因でもあります。あるいは、市町村によって発注単価が異なる。さらには、事業者において、前払いをしてもらわないと資金繰りに困る。これは一応通達があるけれども、なかなか徹底をされないという実態でありました。その他、設計変更等々を含めまして、契約に関する統一的な指針というものを策定して、これをしっかり進めていかれるように求めているところでございます。これも御異論はないだろうと思います。

 なおまた、アスベスト被害、これもしっかり留意して、作業に当たる人の健康被害の防止に努めなければなりません。

 海の瓦れきも、御案内のとおり、例えば港湾は国交省が管轄をする、漁港は水産庁、海岸は県や市が管轄をします。漁場は水産庁と思いきや、ここが意外とはっきりしていない。さらに、公海に至ってはなおさらはっきりしない。また、境界がどこにあるのか。実施主体すら明確には地元に全く伝わっていないという実態であります。そういったことを勘案しまして、海の瓦れきにつきましても、主体の明確化を初めとした指針を策定することを求めております。

 ヘドロにつきましても、感染症の発生の予防、悪臭の予防といったところをしっかり留意をいただきながら、その上で、無害化処理を行った上でヘドロについても再生利用を図っていかれるように、そういうことをこの法案においても求めているわけであります。

 一切合財、政府案にはそこが落ちております。ぜひ、我々の案をそのまま取り入れていただいて、瓦れき処理が適切に円滑に進められるように図っていただきたいと思うところであります。

 総じて大臣の見解をお伺いします。

平野国務大臣 今、御提言、お話をいただいたことにつきましては、私、早速持ち帰って検討をしたいと思いますし、国会でもしっかり御議論いただければというふうに思います。

小里委員 松島の町長さんがきのうおっしゃいました。自治体ではノウハウ的にも能力的にも対策を出せない、ぜひこのような具体案を軌道に乗せていただきたい、実施をしていただきたいということでございます。

 そしてまた、この法案が実現をすれば瓦れき処理は大きく進むと皆さんが賛同されたわけであります。さらに、この法案につけ加える部分はない、余分な部分もないということでありましたが、ぜひこの委員会でしっかり迅速にまた議論をいただいて、早期に運用の運び、施行の運びとなりますように、よろしくお願いをする次第でございます。

 続きまして、エネルギー政策について若干触れさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、海江田大臣、玄海原発の安全性を確認した上で、再稼働に向けまして、頭を下げて現地に対して要請をしてこられました。そこに突然のストレステストでございまして、すなわち追加検査を実施することを表明されたわけであります。これは、今まで海江田大臣が重ねてこられた努力、そして何より現地が海江田大臣の表明を受けて重ねてこられた努力を踏みにじるものでありまして、現地における政府への怒り、そして不信というものは今きわまっているわけであります。

 この期に及んでも、総理は佐賀県知事との面談を拒んでおられるということでございます。先ほど大臣が、この恥は私一人でそそげるものではないとおっしゃいました。まさに総理が現地に赴いて、まずは謝罪をして、経緯を説明し、今後の方針を説明すべきであると思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

海江田国務大臣 今委員御指摘のありました点については、せんだって佐賀県知事が東京にお見えになりまして、そして総理にお目にかかりたいということでございましたが、御承知のように、総理は国会の答弁がございまして、やむなく官房長官が佐賀県知事とお目にかかったわけでございます。

 そこでどういうお話があったかということを私つぶさには承知していないわけでございますが、官房長官から懇切丁寧にこの間の経緯を御説明して、そして佐賀県知事はそれについて一定の了解をいただいた、そのように私は官房長官からお話を聞いております。

小里委員 いいところは自分でやり、厳しいところは部下に転嫁する、そういった総理の姿勢はいまだに続いているわけであります。

 方針転換であります。今までの法令に基づく検査あるいはバックチェック、さらにはシビアアクシデントへの対応に関する確認措置等々に基づく今回の安全宣言であったと思いますが、今までの措置は不完全であったという認識でありましょうか。大臣、お伺いします。

海江田国務大臣 今までの措置につきましては、原子力安全・保安院から報告の徴収を事業者に対し発しまして、そして事業者から報告が出ましたので、保安院が法律に基づく権限でそれを確認したということでございます。そして、その段階では、こういう報告を徴収しますよということは安全委員会などにも意見を聞いておりますので、その意味では法律的な瑕疵はないかと思っております。

 その上で、しかし、私ども玄海に行きまして、玄海で玄海の町長とお話をしました。そのときに、唐津の市長も同席をされておりました。玄海の町長は私の話を十分御理解いただきまして、そして数日後に、再稼働にとって問題なしという判断をしていただいたわけでございますが、同席をしておりました唐津市長は、同じお話をしたにもかかわらず、大変残念なことでありますが、御理解をいただけなかったという経緯もございます。

 そうした経緯を踏まえて、さらなる安全、安心のために今お話のあったストレステストを行うということでございますので、その意味では、先ほど、総理も入れた、官房長官、細野大臣、私と、四者で新たな方針を確認いたしましたので、その新たな方針にのっとって、ストレスチェックを行った上で、そして再稼働できるものについては再稼働をお願いする、こういう運びになりました。

小里委員 極めて苦しい答弁だなと同情を申し上げるところでございます。

 普通は、ストレステストにしましても、学術的に詰めてしっかりと出すべきものでありましょう。その過程が一切ないと思います。そしてまた、いかにも取ってつけたような、まさに菅総理らしい、場当たり的なこのテストであります。その法的な根拠というものは求めないでいいのか。法的位置づけというものは要らないのか。

 そしてまた、EUにおきましてはストレステストと並行して稼働をするということであります。本来大臣はそう思っておられると思いますが、例えば再稼働をしながらストレステストをやっていくという方法もあろうと思いますが、その辺の方針はどうお考えになりますか。

海江田国務大臣 私は、今まさに小里委員からお話がありましたように、まず法律の手続にのっとって、そして安全性を確保して。

 これは一部の方に、私もいろいろな方とお話をして、ああ、これは誤解だなと思いましたけれども、今とまっている原子力発電所、とりわけ号機は、何かトラブルがあってとまったということではありませんで、これは十三カ月の定期の検査の時期が到来をしましたから、その定期検査というのも三カ月ぐらいかけまして、しっかりとそれぞれの原子炉の、わかりやすく言うと部品と申しますか、いろいろな継ぎ手でありますとか、そういうところにかなり丹念なチェックをやって、それを確認した上で再稼働ということになるわけでございます。

 私どもは、それに加えて、三月三十日と六月七日、今委員おっしゃっていただきましたけれども、そういう確認をしたわけでございますから、それは再稼働させていただいて、さらなる安全性確保ということでいいますと、これはまさにストレステストをやはり私はやらなければいけないと思っておりました。

 ただ、このストレステストの中身というのも、これはIAEAが、我が国の東京電力福島第一発電所の事故を参考にしてと申しますか、事故から教訓化をしたものをまさに緊急のストレステストとして行った部分もございます。

 ですから、そういう部分もあるわけでございますから、その部分というのは私どもは三月三十日と六月七日で手当てが済んでいると思いますが、さらに、いろいろな与える条件、ストレスの条件を変えていって、そこでどれだけ耐えられるのか、各号機ごとにそのテストをやるということは私は別段拒むものではありませんし、それは最初からやっていただいて結構、あるいは、やっていただいた方が安心、安全を増す上では好ましいことだ、そういう認識でおりました。

小里委員 再稼働をした上で並行してストレステストをやっていく、そういう方法もあるという認識でよろしいのでしょうか。

海江田国務大臣 それはこの間の、今からおよそ一週間ぐらい前の私の考え方でございまして、今、大変そのことで皆さんに御迷惑をおかけいたしましたので、先ほど総理も交えまして基本的な方針を確認いたしまして、その中では、これはストレステストをやって、しかる後に再稼働をするという方向で方針が決まりましたので、今はそういう方針でございます。

小里委員 いずれにしましても、政府に対する不信がきわまっておりまして、今さら並行してやっていこうということも望むべくもないことであろうなと思うところでございます。このまま不信があり、また、ストレステストのやりようによりましては、いつまでも原発が再稼働しないという状況が続いてまいります。来年の春にはすべての原発がストップをしてしまうということにもなりかねないわけであります。

 週末、地元に帰りますと、ある養鶏農家が、我々にとって、夏場のファンがとまりますと一時間ですべての鶏が死んでしまうんだ、そういう心配をされておりました。

 燃料費の大幅上昇によりまして、一般家庭では一八%、大口顧客で三六%、電気料金が値上がりをいたします。日本のお家芸とも言える金型、あるいはスマートフォンなどに使われる超薄型の銅箔といったものは長時間連続して大量の電気を必要といたしますが、計画停電が実施されるとなりますと、不良品を生んでしまい、そしてまた操業停止に追い込まれかねないわけでありまして、炭素繊維、半導体工場、また製造業全般にわたりまして大変な影響が出てまいります。

 そしてまた、そういった業種におきましては、もう今から来るべき事態を想定しながら、海外生産を進めていこうという動きも進んでいるやに聞いております。そうなりますと、当然に国内の雇用は失われる、日本の大事な技術が流出をしかねないということを心配しなくてはなりません。

 エネルギー投入量は生産活動に比例をいたします。したがいまして、原発がもし、例えば半分しか他のエネルギーで代替されないと仮定しますと、日本の生産は五・五%落ち込むという計算になります。火力発電用の原油、石炭等の輸入によりまして経常収支が悪化をいたしまして、これもまたGDPを押し下げる要因となってまいります。エネルギーコストの上昇で物価が上昇し、家計や企業の所得を減らしていく、これがまた消費に影響を与え、また設備投資に影響を与えて、GDPがまたまた減少をしていきます。

 菅総理は、こういった国民生活や産業への影響はお構いなく、脱原発を政権浮揚のてこにしよう、その一心で今回の対応に及んだのだ、そういう見方は衆目の一致するところであります。すなわち、原発再稼働に総理がゴーサインを出してしまったのでは総理の言う脱原発が色あせてしまう、そしてあわよくばこれを総選挙の争点にしよう、そういった思惑も見え隠れをするところでありまして、まさに究極の延命策と言わざるを得ないところでございます。

 我々も、原発になるべく依存しない社会を目指そうということでは同じような方向性を持っていると思います。肝心なことは、原発の安全性をいかに確保して、国民生活や産業への影響をいかに抑えながらソフトランディングを図るかということであろうと思いますが、大臣、見解をお伺いいたします。

海江田国務大臣 その点は、委員と私どもは認識を同じくしております。

 原発の再稼働について、確かに、国民の間にはまだ多くの方が今の時点での再稼働ということに不安を持っておられるということは否めない事実でございます。

 私どもが再稼働に踏み切るということを、私がそういう判断をいたしましたのは、経済産業大臣だから、経済産業省は原発推進だから、その流れの中でそういう判断をしたのではないだろうかというような新聞論調などもありますが、私は、経済産業省の役割というのは、もちろん原子力発電の安全性を確認するということも大変大事なことでございますが、それと同時に、今委員の御指摘のありました、日本の国の経済全般に責任を負うと。

 とりわけ、やはり電力の供給の事情から日本の企業が海外へ出ていってしまう、これは、私どもが幾つかの企業にアンケート調査などもやっておりますが、企業自身がそういうふうに考えている。あるいは、そういう時期でありますから、外国の自治体でありますとか外国の企業から誘致を受けた、こういう例もございます。

 そういうことをやはり考えたときに、もちろん安全性は十分確保しなければいけない、その安全性を確保するためにストレステストというものがさらに有効であればこれは活用しなければいけないという立場でございますが、日本の経済全般に責任を負うということも、私どもとすれば、そういうことを念頭に置いてのこれまでの行動であったということで御理解をいただきたいと思います。

小里委員 原発再稼働の問題にしましても、再生可能エネルギー措置法案の扱いにしましても、全体のエネルギーをこれからどうしていくのか、ベストミックスをどう考えていくのか、民主党の基本計画との整合性、新たな基本計画をどう策定していかれるのか。あるいは、CO2二五%削減との絡み、環境税との絡み、排出量取引との絡み、さまざまの要素から議論をしていかなければなりません。

 今回の再稼働の問題にしましても、エネルギー法案の扱いにしましても、その中の一つのツールを突然取り出して総理が言い出された、それがためにまた多くの混乱を来しているところでございまして、ぜひ全体としてしっかりした議論をお願い申し上げまして、質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 自由民主党の吉野正芳でございます。

 きょうは七月の十一日です。震災そして原発事故が起きてから丸四カ月、黄川田委員長おっしゃいました節目の日であります。私たちの福島県、まだ災害が継続中です。そういう中にあって、質問をさせていただきます。

 これはきのうの朝日新聞です。「縮む福島」、福島の特集が朝日新聞で組まれております。縮んでしまったんです、私たちの福島県。高校生の来年春の求人、四一%減です。これは、被災地の中で一番多いです。なぜか。原発事故が大きな影響を果たしていると思います。このように縮んでしまった福島県をもとに戻すにはどうしたらいいか、これがきょうの私の質問のテーマでございます。

 まず最初に、平野大臣。平野大臣のいわゆる所信、この特別委員会での初めての意見発表の中で、余りにも大臣の心が伝わってこない。短過ぎる。これは官僚が書いたんでしょう。大臣が書いたんじゃないんでしょう。なぜ自分の言葉で書かなかったのか、その点をまず最初に聞きたいと思います、通告していませんけれども。

平野国務大臣 自分の思いは込めたつもりでございますけれども、伝わらなかったということであれば、私の不徳のいたすところかもしれません。

 ただ、いずれ、私も、被災地の思い、被災民の方々の思い、これをしっかり受けながら仕事をやっていきたいというふうに思っております。

吉野委員 ぜひ、被災地、被災を受けた方々の立場になって大臣の職務を務めていただきたいと思います。

 復興構想会議の提言の中の第三章、原発関係ですけれども、最後の文章、私、大変気に入りました。「福島の大地がよみがえるときまで、大震災からの復興は終わらない」、文学的表現で、私、大変気に入っております。「大地がよみがえる」、まさにここなんです。大地をよみがえらせなければならないんです。

 この「大地がよみがえる」という平野大臣のイメージ、具体的にどういうことなのか、どういう感想を持っているか、お尋ねしたいと思います。

平野国務大臣 これは私のあくまで復興担当大臣としての思いでございますけれども、「福島の大地がよみがえる」ということでございますから、できるだけ早い段階で三月十一日以前の状況に戻す、それが一〇〇%無理だったとすれば、できるだけその近い状況に戻すということが最初のイメージだろうというふうに思います。

 しかしながら、現実は大変厳しいものもございます。

 まずは、足元の問題としては、福島第一原発の冷温停止状況を一日も早く実現して放射性物質の発散を防ぐ、そういう状況を一日も早く確保するということでございます。その上で、今、二十キロ圏内あるいは準備区域、計画的避難区域からたくさんの方々が自分の意に反して外に出て、避難されております。そういった方々が一日も早く地域に戻れる状況をつくること、そのためには除染が必要でございます。それから、傷んだライフライン、社会資本の整備等々も必要でございます。こういった状況をつくること、これが次のステップだろうと思います。

 その上で、ちょっとこれは長い話になるかもしれませんが、廃炉という問題もございます。廃炉等が終わって、その原発のプラントの近くにも人が行けるような状態、かなり長い時間になるかもしれませんが、そこをしっかりスケジュールの最終ゴールと置いて、これに取り組んでいくということが私は必要ではないかというふうに思っております。

吉野委員 全くそのとおりです。双葉郡の方々が一日でも早くふるさとに戻れるように、そして、今、ゼロからマイナスになってしまったんです。マイナスからゼロに戻してはだめなんです。ゼロよりも上に行けるような、こんな施策を、これは政治でなければつくることができないと思います。ぜひ政治の力で、ゼロから上に行けるような、朝日新聞に、「縮む福島」ではなくて、伸びる福島、発展する福島、拡大する福島というような見出しで書かれるような、そんな福島をつくってほしい、このように要望します。

 もう一つ、大臣の中で「現地対策本部の機能を積極的に活用し、」という言葉があります。具体的には現地の本部長に権限とお金を渡す、ここまで大臣として腹を決めておりますか。

平野国務大臣 御案内のとおり、現地対策本部を福島にも設置しておりまして、吉田政務官をトップに、今仕事をしていただいております。

 まずもって、今大事なことは、これからの復興、福島の場合は復興というのは必ずしも使いません、地域の中でどういうニーズがあるのか、何を求めているのか、こういう情報を今一生懸命吸い上げていただきたいというお願いを現地対策本部にはしております。その上で、これからさまざまな対策を講ずるに当たって、必要な権限は付与したいと思っております。

 それから、予算執行の権限につきましては、どういう形で予算執行すれば最も効率的で、かつまた地元のニーズに応じられるかということについては、これはさまざまな形態が考えられますので、これからこのことについては検討してまいりたいというふうに思います。しかし、基本は、現地対策本部にしっかりと動いてもらう。

 少なくとも、現地対策本部の意向は復興本部、復興を預かる担当大臣としてしっかり尊重させてもらう、その姿勢はしっかり堅持していきたいというふうに思っております。

吉野委員 おとといですか、廃炉までに数十年かかる、こういうことを菅総理は述べました。私たちの双葉郡の方々は、廃炉まで数十年ですから、これはこれでいいんですけれども、この数十年という言葉が、戻れるまで数十年かかってしまうんだ、こういう誤解をやはり多くの方々がしているんです。

 そこで、廃炉は数十年かかるけれども、もっと早く戻れるんだという、ここのところをきちんと分けて、きちんとした明確なメッセージが欲しいんですけれども、細野大臣、いかがでしょうか。

細野国務大臣 吉野委員におかれましては、原発立地の選出の議員として活動をされているというふうに承知をしておりまして、日ごろの活動に対して本当に心より敬意を表したいと思います。

 私も三週連続福島に参っておりまして、原発事故を担当するということは、とりもなおさず、福島の復興そのものにかかわる人間だという認識のもとにこれからしっかりと仕事をしてまいりたい、平野大臣と協力しながらやってまいりたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 御質問をいただきました、廃炉と、それこそ警戒区域の皆さんに戻っていただけるというこのタイミングの問題でございますが、これは全く別の問題であるというふうに思っております。

 廃炉そのものに関しましては、まだ確たることを申し上げられるような状況ではありません。ある程度冷却機能の方が安定化してから、プールの燃料を取り出す作業が三年ぐらいで始められるのではないか、さらには、その先、炉の中から燃料を取り出すということになると、さらに多くの月日がかかるということでございまして、そろそろその本格的な検討に入らなければなりませんので、担当大臣として、原子力委員会の方にそういう検討を要請いたしておりまして、間もなく、そういった検討作業が政府として本格的にスタートするという状況でございます。

 一方で、いわゆる警戒区域などの解除の問題でございますが、これは、第一ステップから第二ステップになり、これが安全だという状況になった段階で地元の自治体の皆さんとしっかり協議をさせていただいて、まだしばらく時間はかかるというふうに思いますけれども、できるだけ早い段階で御相談に入れるような準備をしているところでございます。第二ステップの終了が第一ステップから三カ月ということでございますものですから、そこが一つの目安になろうかと。

 前倒しできることがないかということも含め検討をしておりまして、全く廃炉の問題とは別問題として、できるだけ早く双葉郡の皆さんを含めて帰っていただけるところの方には帰っていただける、そういう努力をしていきたいというふうに思っております。

吉野委員 ありがとうございます。

 二十キロ、三十キロの準備区域のみならず、二十キロの中も帰れるところは帰れる、そんな努力をしてほしいと思います。

 廃炉は総理大臣のお話のとおりでいいと思いますけれども、ふるさとへ戻れる手順、細野大臣は、どんな手順で、これとこれとこれが終わればいわゆる二十キロの中であっても戻れるよという、どんなイメージをしておるんでしょうか。

細野国務大臣 お帰りいただくための条件はやはり幾つかしっかりと確認をしなければならないことがあるというふうに思っております。

 まずは、炉の状態が安定をし、そして、基本的には、放射能そのものが本当にわずかな部分以外は出ていないという状況が確認をできなければ、なかなか皆さんに帰ってきていただくということになりませんので、その発電所の状況を確認しなければなりません。

 そして、それを確認するだけでは十分だというふうには思っておりませんで、やはりその地域の放射線量をしっかりモニタリングして、はかるということが重要になってくるというふうに思っております。そして、そこのモニタリングをした上で、ある程度以上の放射能の量が測定をされた場合については、除染がなされなければ帰っていただくことができませんので、その作業も並行して進めなければならない、そのように考えております。

 加えまして、この警戒区域に関しては、社会インフラが相当破壊をされております。下水や上水、さらには野積みになっている廃棄物、放射性の物質を帯びた廃棄物が野積みになっているところもまだ警戒区域にはございますので、そういったことも並行して取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

 いずれも非常に難しい課題ではございますけれども、着実に一歩一歩進めるように、すべてを並行して努力してまいりたいというふうに思っております。

吉野委員 福島の大地がよみがえるときまで、本当に全力を尽くしてほしいと思います。

 今、汚染水が大変です。この汚染水の処理をきちんとしていかなければ、まず海が汚れて、福島県の漁業が壊滅をしてしまいます。今たまっている水を外に出さない。工程表、五月十七日の改訂版で見ると、その工事は、中期的課題、こういう位置づけになっているんです。第二ステップまでに検討する。私は、それでは遅いと思います。もっと前倒しで、すぐにでも、地下ダムといいますか、遮断の工事をしてほしいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 汚染水の漏えいをしっかりとめていく、それだけではなくて、特に地下水に対して流れ出ている部分がないのかどうかということについては、これはしっかり確認をしていかなければなりませんし、万が一にもそれが拡大をすることがないような努力は、吉野委員おっしゃるとおり、非常に重要であるというふうに思っております。その意味で、御指摘の遮水壁というのは極めて重要なプロセスでございまして、これまでも検討を続けてまいりました。

 御指摘のとおり、これは第二ステップで検討して、それから具体的に着手をするという形になっておりますが、今、前倒しを検討しております。すなわち、第二ステップの早い段階で検討を終了し、できるだけ早い段階での着手ができないか、そういう検討を始めました。

 さらにもう一点は、この遮水壁は、やり方も今検討しておりますが、大工事になります。これを果たして東京電力という民間の会社だけで行い得るのかどうか、政府としての関与のあり方がどういったものがあるのか、そのこともあわせて現在検討しておりまして、私としては、ここは国が一歩前に出てでも前倒しをして着手すべきではないかというふうに考えておるものですから、その努力を今やっているところでございます。

吉野委員 ありがとうございます。

 国が一歩前に出て、国の責任として、海が汚れてしまうというのは、民間企業とかそういうレベルではありません、すごく公共性の高い事業でありますので、ぜひ国が前に出て、この工事を一日でも早く進めてほしいと思います。

 まず除染です。除染をすれば戻れるんです。今、伊達市は、元原子力委員会の委員長代理、田中先生をアドバイザーとして、全部、全市、山も含めて除染するんだということで取り組みを始めております。福島県も、学校、モデル三校を使って、学校だけではなくて通学路も含めて、町内会も含めて、いわゆる面として、学校、子供たちの健康を守るという意味で、除染の運動をしております。まさに、町とか市とか県の方が先行しているんです。

 なぜ国はきちんとしたマニュアルを示せないのか。そして、そこのお金は国が全部持つんだというメッセージを前もってきちんと言うべきであると思うんですが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 御指摘いただきましたとおり、現在、福島県では各所で、もちろん行政としてもやっておられますけれども、町内会などの取り組みを通じて、できるだけ放射線の濃度を下げていく、そういう除染の努力がされているというふうに承知をしております。

 国も決して単にそれを見ているということではなくて、例えば、学校の放射線を下げるための方法を検討し、お示しをしたり、また、農地については、既に今さまざまな取り組みが飯舘村などを中心に開始をされているところでございます。

 この点もこれからの非常に重要なテーマになるというふうに思っておりまして、これから御審議いただきます第二次補正予算では、子供等に対する放射線影響の緊急防止策についてということで、百八十億円というかなりのまとめた予算をつくっておりまして、除染ガイドラインの作成についても二億円の予算をつくっております。

 率直に申し上げまして、これだけの広範囲のエリアをしっかり除染していくという方法について、諸外国からもさまざまなアイデアをいただいておりますが、まだ確たる方法が見つかっていない部分はございます。そこは、いろいろな方法を試すということも含めて、国としても、これから非常に大切な作業になってくるというふうに思っておりますので、自治体の皆さんとしっかり協力をしながら、できる限りの早期の除染、結果が出るように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

吉野委員 除染の仕方についてさまざまな方法を今検討しているということであります。

 実は、総合科学技術会議、ここの予算で科学技術戦略推進費というのがあるんです。この予算を使ってプロジェクトを立ち上げました。放射性物質による環境影響への対策基盤の確立ということで、文科省と農林省。

 まず、文科省においては、きめの細かい汚染マップをつくっていくという事業です。七億一千万ついています。期間は、三カ月でやれ、三カ月をめどにやるという本当に緊急性を重視した事業です。

 もう一つは、農地土壌等における放射性物質除去技術の開発ということ。これは農林省。農業環境技術研究所等々を使った、これも三カ月で一つの答えを出しなさいという事業を今緊急にやっているわけです。

 両方について、今の進捗ぐあい、そして、いつごろ結果発表できるのか、今お話しできる知見も得ることができたのか、その辺、御答弁願いたいと思います。

高木国務大臣 吉野委員にお答えをいたします。

 吉野委員、冒頭に昨日の新聞のことを述べられました。私もそれを読みました。決してそうしてはならない、私は強く決意をさせていただいた一人でございます。大変御心配をかけております。

 したがいまして、一日も早いサイトの収束のために全知全能を尽くすべきだ、また我々もそのような決意で臨まなきゃならぬと思っております。

 その上で、今お尋ねの平成二十三年度の科学技術戦略推進費、この中で、私どもとしましては、我が国は科学技術立国も宣言をいたしております、残念ながらこのような事故が起きて、そして放射能の防護あるいは除染、こういった面についてもさらなる技術開発をする必要がある、こういうことから、戦略会議としては、プロジェクトを立ち上げて、福島県初め近隣の各県についても、六月六日から空間線量率の測定と土壌調査をやっていこうと。

 これは、これまでも環境モニタリングをやってまいりましたが、それ以上に詳細なデータを集める、そして、県民の健康や、あるいは環境への影響を十分に、将来につながるデータのために、既に我々としては、日本原子力研究開発機構、いわゆる原研機構、そしてまた全国の大学などの協力もいただきまして、車によって約二万キロの走行サーベイ、そしてまた空間線量の測定を行いながら、計二千カ所以上において、地表面から一メートルの空間線量率の測定、そして土壌の試料の採取を行いました。そして、その分析を行って蓄積状況を調べ上げる、こういう意味での放射線量等分布マップを八月の公表に向けて、今鋭意その作業を進めさせていただいております。もちろん、御指摘のとおり、農林水産省の方でもこのプロジェクトの一環として農地等の分布図の作成をするということも聞き及んでおります。

 いずれにいたしましても、政府として、しっかりした分布マップを早急に公表してまいりたいと思っております。

鹿野国務大臣 今、先生からのお話でございます具体的な取り組みでございますけれども、農地の汚染状況の把握のために、農地土壌のモニタリング調査をするとともに、具体的には、福島県の飯舘村におきまして、また川俣町におきまして、表土を除去することによる除染、あるいはまたヒマワリ等を用いた植物吸収、川俣町におきましてはアマランサス、そういう植物を実験といたしまして植えて、今実証をしているところでございます。

 それで、八月末には、何とかここを目途に、農地の除染技術の効果というものを実証して、もしその効果というものが確認されたということでありますならば、その技術を直ちに導入してまいりたいと思っております。

吉野委員 まさに、戻れるか戻れないか、そこの重要な研究をなさっているわけですので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、これは総務省なんですけれども、今福島県は、福島県の外に三万六千人避難しております。県内で八万一千人避難しております。自分の町から離れています。ですから、ほかの町に行っているんですけれども、そこのほかの町で行政サービスを受けることができるような、そんな法改正をしていきたいと思っているんですけれども、総務省はどのように取り組んでいるんでしょうか。

鈴木(克)副大臣 御答弁申し上げます。

 今委員御指摘の、原子力発電所の事故により市町村の区域外に避難を余儀なくされてみえる福島県の避難元市町村の住民の皆さんに対しては、当該市町村が行政サービスを提供することが原則であるわけでありますけれども、事実上、対応が困難な行政サービスは避難先市町村に提供してもらうということが必要だ、このように考えております。

 このために、福島県の避難元市町村が、区域外に避難している住民に対してみずから提供することが困難な行政サービスについて、避難先市町村において提供すべきことを申し出た場合には、避難先市町村がサービス提供の主体となるような仕組みを検討しているところでございます。

 あわせて、住民が避難先の市町村への転出を選択した場合に、引き続き避難元市町村の行政運営について参画の機会を確保するなど、福島県の避難元市町村とのきずなを維持する方策についても検討をいたしております。

 六月四日、七月四日及び本日、福島県及び関係市町村との意見交換を開催させていただいておるところでありますけれども、引き続き、県、市町村の意向を確認しつつ、関係府省とも協議の上、できるだけ速やかに成案を得てまいりたい、このように思っております。

 以上であります。

吉野委員 まさに、町が溶けてなくなる、きずながなくなるわけでありますので、ぜひ今の制度を実現してほしいと思います。

 次に、厚労大臣にお伺いいたします。被災者雇用開発助成金についてでございます。

 これは、例えば、大熊町が会津若松に避難しました。会津若松の会社に雇われると、雇用主は一人九十万の開発助成金が出るんです。でも、三月十一日からもう避難しているんです。十二日は水素爆発です。ですから、三月中には避難し、そして会津若松の心ある事業主は、避難している方々の仕事がない、では、うちの会社で雇ってあげよう、こういう本当に優しい、すばらしい気持ちで、三月、四月、雇用したんです。でも、この方はもらえないんです。なぜかというと、一次補正の成立日、五月二日以降じゃないともらえない。こんなばかな話はないと思います。

 ぜひ、厚労大臣、何とかしてください。お願いします。

細川国務大臣 この被災者雇用開発助成金につきましては、一次補正予算でつくったわけでありますけれども、これは、被災者が失業している、その失業している人をできるだけ雇用してもらう、雇用してくれたら助成金を出す、こういうことで雇用を進めるといいますか、そのためにつくらせていただいた制度なんです。したがって、既に雇っておられる方については、この制度の趣旨とちょっと異なりますので、そこで適用がされない、こういうことになります。

 ただ、私といたしましては、雇用された方についてはいろいろと大変だというふうに思いますので、この制度そのものは、そもそも、被災者が職を失っている場合にぜひ雇用をしてもらいたい、そのためにつくった制度でありますから、そこは適用できませんけれども、しかし、それ以前に雇っていただいた企業の方もいろいろと費用もかさむというふうに考えますので、別の形で、委員が言われます、ぜひそういう人たちにも配慮すべきだ、それを実現するための制度を今検討して、やりますから、ぜひそこは今の段階では御了解いただきたいというふうに思います。

吉野委員 厚労大臣、本当にありがとうございます。

 法的になかなか今の制度では難しい、今の制度を当てはめることは難しいにしても、同じような制度、新たな仕掛け、仕組み、これをぜひ工夫してください。絶対、厚労大臣ならやれると思います。役人は、絶対できないよと私に、例えば雇用調整助成金でもそういう役人の答弁があったんですけれども、大臣の一言でがらっと変わることがありますので、ぜひ、できるような方向で進めてほしいと思います。

 次に、自見大臣にお伺いします。東電の賠償スキームでございます。

 御存じのように、機構をつくって、その機構から全部ファイナンス、お金を出して、そのお金で被災地、被災を受けた方々に対して賠償していく、図面ではそうなっているんです。でも、例えば廃炉のお金、これも機構から出るんです。今、広野の石炭火発六号機、東京電力が一生懸命つくっています。まだ中途半端です。このお金も、この機構からファイナンスされたお金が出ていくんです。

 ですから、私から言わせると、本当は死に体の東京電力でありますけれども、上場を維持するために民間会社を装った、そういう姿になっていると私は思います。民間会社なら自分の力でファイナンスするんです。資金手当てをするんです。でも、これは政府保証がなければ銀行は貸してくれない、国が関与しなきゃならないという、ここのところが今度の機構法案にございます。

 そういう意味で、金融庁のいわゆる上場を維持するための監査制度、監査法人が会計監査をします。これは世界の四大監査法人の系列ですから、全部、世界共通の大きなルールの中で監査法人は監査をしているわけなんです。

 ある意味でにせもの民間会社の監査をするに当たって、監査法人として、きちんとした、適正であるという判こを押せないのではないのかな、投資家に対して、外国の投資家に、日本国内の投資家に対して、きちんとした監査報告書の判こは押せないのではないのかなと私は思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

自見国務大臣 吉野議員にお答えをいたします。

 今先生が申し上げられたように、今回の支援スキームにおいては、まず、「機構は、原子力損害賠償のために資金が必要な原子力事業者に対し援助(資金の交付、資本充実等)を行う。援助には上限を設けず、必要があれば何度でも援助し、損害賠償、設備投資等のために必要とする金額のすべてを援助できるようにし、原子力事業者を債務超過にさせない。」これが閣議決定をした案件でございまして、基本的にこの精神を踏まえて法律になるというふうに皆さんにもお願いをさせていただいているわけでございます。

 いずれにいたしましても、個別の企業の財務状況や監査に対するコメントは差し控えさせていただきたいが、一般論として申し上げれば、まず開示企業が、今申し上げました、機構が援助できるということが法令になっているという前提のもとに立てば、当然、関係する各種法令や会計ルールに従って財務諸表を作成するものだというふうに思っております。

 また、自由主義の国でございますから、監査人が独立した立場から適切な監査手続に従って企業の財務諸表が適正に表示されているかどうかについて判断し、結果を表明するものとされているところでございますから、法律ができれば、きちっとこの法令を守るということも当然企業あるいは一般の社会のルールでございますから、そういった意味では、きちっと整合性を持ってやっていけるというふうに私は思っております。

吉野委員 民間会社というのは自分の力できちんとした資金調達ができる、これが最低限の条件だと思います。国の力がなければファイナンスができないという民間会社はあり得ない、私はこう思っておりますので、ぜひお願いします。

 最後になります。

 特定避難勧奨地点というのが今度指定されました。伊達市、百十三地点が指定されました。これは、例えば、全部調べて、そして国からぽおんと個人のうちにお手紙が来るんですね。だから、この地域の方々のだれが指定されたのか、誰もわからないんです。指定された人と指定されない人では、ある意味で、補償額、お金が絡む問題ですので、そういう意味の地域の疑心暗鬼といいますか、地域のきずなが壊れてしまう。ある人は、おれは自分ちは全部表土をはいじゃったから、はかったら低かった、だから勧奨地点にはならなかった、こういうお話をしています。そういうふうに、地域が崩壊をしてしまう、きずなが薄れてしまう、こんな結果をもたらすのではないのかと思います。

 そういう意味で、地点ではなくて、一戸一戸のうちではなくて、組長さんがおりますので、本当の最小単位で結構ですから、地域、勧奨地域という、ある意味の面、点ではなくて面、こんな形で行ってほしいと思うんですけれども、これについての御意見をお伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 まさに、私どもは地点ということでこれは指定をしておりますが、その地点を離れれば、その意味では、年間二十ミリシーベルトを超える懸念というのはぐっと少なくなるわけでございますね。

 地域でありますと、いろいろな生活上、行き来で、その地域にとどまっていなければいけないということになりますけれども、地点でございますので、そこを離れて、例えば職場に行くでありますとか、あるいは生活活動を行うということによって、この二十ミリシーベルトに至らないというケースが大きいわけですから、今お話のありました地域というのは、そうした生活、個人個人の方々の生活パターンというものをある程度念頭に置きながら、やはりこれは面的な広がりがあって、ここにいていただく、あるいはここでいわゆる生活をしていただくという場合には、今お話をした二十ミリシーベルトを上回るおそれがありますので、そういう形で地域と地点を分けているわけでございます。そこはぜひ御理解をいただきたいと思います。

吉野委員 私の隣組はたった五軒です。ここで、五軒がばらばらに、指定を受けた家と受けない家があるんですね。最小単位の隣組単位でいいんです。なぜ一軒一軒にこだわらなきゃならないんですか。地域のきずなが壊れちゃうんです。

 ここのところをもっと、私たちは日本人なんです。日本人はやはりきずななんですよ。きずなを大切にしない日本人はいない。何のために隣組制度があるんですか。これを壊すことになるんです。もう一度御答弁お願いします。

海江田国務大臣 この指定に当たっては、不公平があってはいけないということで、それこそ、モニタリングをする地点を決めまして、玄関でありますとかあるいは庭先でありますとか、同じような条件でそれぞれはかったということでございまして、そうしますと、今委員御指摘のような、隣でありながら、そこの数値が違ってくるということもあろうかと思います。

 ただ、その場合は、先ほどもお話をしましたけれども、御自宅のところから一歩外に出れば、そういう年間で二十ミリシーベルトを超える可能性というものはないわけでありますから、その意味では、その方々には申しわけありませんけれども、今言った避難勧奨地点という指定を行いまして、そして、先ほど細野大臣からもお話ございましたけれども、まず原子炉を安定させる、それから放射性物質の飛散というものを防いでいく、そういうことができましたときには、やはりここの地点の方々についても、しっかりと除染作業などもやりまして、そしてお帰りいただけるところにはお帰りいただける、この指定を解除するという形で努めていきたいということでございます。

 委員のお話にありました、五軒の隣組とか、そういうきずなを断ち切ってしまうんじゃないだろうかという御指摘はそのとおりでございますが、それが未来永劫続くということではありませんので、私どもは、できるだけそういう、今現在、地域の、特に隣組とのきずなを切断しているところがあれば、なるべく早い機会にこのきずなを取り戻すための努力というものは最大限行うつもりでございます。

吉野委員 わかりました。

 でも、指定された地点は、モデル事業でいいですから、徹底的な除染、どういうふうに除染すれば解除できるのか、ここのところをぜひやってください。モデルでいいです。どこまで除染すれば戻れるか。これは、ある意味でモデル事業として、ここをちょっとお約束願いたいと思います。

海江田国務大臣 今お話ししましたが、おっしゃるように、優先的に重点的な除染作業というものを行いたいと思っております。

吉野委員 これで私の質問を終わります。

 本当に皆さん、福島の大地がよみがえるときまで頑張りますので、お力添え、よろしくお願いします。ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 本当に東京も仙台にも増して暑いものですから、上着を脱がせていただきますことをお許しいただきたいと思います。

 さて、震災からちょうどきょうで四カ月たちました。実は、きょうは午後二時半から、仙台市主催で合同慰霊祭を今とり行っている最中でございます。私も、本来であればこれに参列をさせていただく予定でおりましたけれども、きょうのこの質疑をいただきましたので、質疑優先でこちらに参ったわけでございます。

 改めて、本当に、被災された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、無念のうちにお亡くなりになりました皆様に対しまして、心から御冥福をお祈りしたいと思います。

 本当に、四カ月たってようやくお葬式が出せる、このことが、いかに今回の被害が甚大であったのかということを雄弁に物語っているんだろうと思います。

 直近の現況を申し上げますと、大臣も御案内のとおりでございますけれども、四カ月たってもなお今二万四千人の皆様が五百七十五カ所の避難所で避難所生活を、普通の自宅においても夜暑苦しくてなかなか寝つきにくい中、大変な思いでしのいでおられる現状でございます。

 私の地元の仙台市は、ようやく三百人を切ってまいりました。宮城野区の避難所も一カ所、そして若林区は四カ所にまで減ってまいりましたけれども、宮城県全体ではまだ三百五カ所の避難所が運営をされておりまして、その中で一万四千人の方々が大変な思いをされております。

 また、義援金の配分も、宮城県全体では三八・五%ですけれども、日本全体で見ますとまだ二二・七%ということで、なかなかこれも進んでいない。以前、我が党の小泉議員が大臣に二次配分は一律でということで、そのようにしたいという御発言があったんですが、残念ながら、これも状況に応じての差がつく中での配付だったものですから、本当にぜひスピードというものを大事に考えていただければと思うわけでございます。

 また、仮設住宅も、総理のお約束どおりお盆前にすべての人が対応するのがなかなか難しいという状況でございます。

 そういう中で、きょうは久しぶりの委員会なものですからいろいろ申し上げたいことはたくさんあるんですけれども、まず初めに、移転の問題といいますか、被災した土地をこれから再生していくときに、復興会議でも、あるいは宮城県でも、職住分離ということでなるべく高台に移転をしてもらおうというようなこと、いろいろな提言が出ておりました。早ければこの夏、遅くても秋には取りまとめの作業を行う予定にしておりますけれども、仙台市では、この八月におおよその方針を出すべく今準備をしているところでございます。

 私は、きょう、まず大臣に冒頭伺いたいのは、この集団移転に伴って、従来取り組んでまいりました防災集団移転促進事業、これの中で整備をしていく部分というのが当然メーンになるわけですけれども、この移転事業とはまた別に、仙台の場合には、大臣にもおいでいただいていると思いますけれども、広範な面積がすべて流されて、もう基礎しか残っていないような、コンクリートの基礎が残っているのが精いっぱいのような状況でございます。そして、気仙沼や南三陸町と違って、仙台の場合には、すぐ近くに、平地の中に代替地も用意できますから、移転事業の移転先は、比較的用意は可能だろうと思っております。

 ただ、問題は、住宅だけを対象にそこに移転して、被災されたところが民有地のまま残ってしまいますと、そこの管理が行き届かなくなって、まるで荒れ地のようになってしまう。かといって、これを仙台市として買い取ることも難しいんだろうと私は思っているんですね。

 仙台平野の場合には、太平洋がありまして、砂浜の真っすぐな海岸線が走っていて、その海岸線の内側に、防風林といいますか防潮林といいますか、松林がずっと連なっていて、その松林がすべて流されたわけでございますが、松林を過ぎますと、伊達政宗公が築いた貞山堀というのがございます。そして、この貞山堀よりも松林と砂浜のところ、これはすべて国有地なんですね。

 私がきょう大臣に冒頭伺いたいのは、この貞山堀から陸側にかけて、もうここは事実上建築ができないようなエリアになるだろうということが地元では言われています。面積にいたしますと、大変な面積になるんですけれども、およそ八十ヘクタールぐらいが民有地ですね。そして、その貞山堀という堀と県道塩釜亘理線の間に八十ヘクタールぐらいの面積で九百世帯がそこにございます。

 ここの部分については、県道亘理塩釜線から東部道路、ここの間はなかなかに難しいんですけれども、残っている家があったりもするわけですが、海岸線にございます貞山堀から県道亘理塩釜線の間については、私は、すべて国有地という形で、移転事業の枠組みじゃなくて国有地という形で、目的は公園整備事業ということで、ぜひ買い取りを検討していただけないかと。国が全額でこの仙台平野の貞山堀から県道亘理塩釜線にかけては国有地化して公園として整備したい、こういう決断をお願いしたいと思っているんですが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 これから地域が主体になって、基本は市町村が単位になると思いますが、復興計画の策定がなされていきます。その基本になるのはやはり土地利用計画でありまして、今、秋葉委員から御指摘がございましたけれども、特に名取川から南側の地域におきましては広大な平地が広がっておりまして、いわゆる防潮林に隣接してぽつぽつと住宅地もあったというところでございます。そこが、大変残念なことに、津波でほとんど流されてしまったということでございまして、その地域に住宅を建てるかどうかというのは、これは基本的には地域の選択なんですが、結論を申しますと、なかなか難しいだろうということであります。

 そして、最終的に計画をつくるときに、一つは、防潮林それ自体もどこにつくるのか、あるいは、地域全体として海岸保全施設だけで足りないということであればもう一つ何らかの施設をつくるのか、さまざまな議論があるだろうというふうに思います。その議論を踏まえて最終的に土地利用計画ができて、従前地の土地がもうほかの土地に使えないというところが場合によっては出てくる可能性もあります。これは今、秋葉委員がそういうことを前提としてさまざまな御指摘をされましたけれども、そういう土地が出てくる可能性があります。

 その土地を買い上げるのがいいのかどうか、あるいはどうすべきか。これは復興計画を策定しながら、実施に向けてきちんと検討しなければならない課題でございまして、その検討の中で、少なくとも買い上げというのも一つのツールとしてはあり得るというふうに思いますし、いずれ、そういう土地を公園として使うのか、あるいはほかの土地として使うのか、そういったことも含めて、私は個々の復興計画の中で議論されていくものであるというふうに思っております。

 いずれ、秋葉委員の問題意識というのは、私もほとんど共有いたします。土地の扱いをどうするかということについては、きっちり議論を重ねて方向性を示していくことが必要だというふうに思っております。

秋葉委員 大臣も被災が激しかった岩手県の御出身でございますし、現状は本当に前の大臣にも増して御理解いただいていると思います。

 申し上げたいことは、これはなかなか理解されにくいことなんですが、流された、被災されたところの集団移転ということになる場合に、集団移転促進事業として取り組むのがメーンになるのは私も理解しているんです。その考えとは別に、仙台市の場合には余りにも面積が広大なものですから、あくまで沿岸部の一部という意味なんですね。沿岸部は、住んでいた人は当然移転するんですけれども、この集団移転促進事業の枠組みじゃなくて、一定の線を引いたところから海側はすべてもう移転事業という考えじゃなくて、まず国有地として買い取ってあげますよ、震災前の価格でしっかり買い取りますよということをやった上で、あと県道亘理塩釜線よりも陸側についてはまさに移転事業で対応してもらえればいいと思うんですけれども、そういう切り分けてやっていくということが非常に大事だということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、私もきょうは地元から帰ってきたものですから、先ほどの数字の紹介にちょっと追加を申し上げなければなりません。

 先ほど大臣に沿岸部の国有地化を申し上げたのは、荒浜地区の面積と世帯数でございました。この荒浜地区というのは、まさにニュースで、仙台市若林区で二百から三百の死体、こう報道されました、ここの場所でございます。唯一この場所だけが貞山堀よりも海側にございます。ここだけなんです。

 ですから、少なくても、この八十ヘクタール、九百世帯の分は、ここだけが民有地なんですよ。貞山堀からこっち側は全部これは国有地でございますから、ここだけどういういきさつで民有地になっていたのかわかりませんが、少なくてもこの地区については早く買い取りの方針を打ち出してほしいと思うんです。もちろん、地元も建築規制をかけて集団移転対象地区にもうリストアップしているわけですから、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

 さらに、貞山堀よりも県道亘理塩釜線の方全体ということで見ますと、これはさらに面積がふえて、三百八十ヘクタールに及びます、亘理線から海側だけでも。そして、ここに一千三百の世帯がございます。この貞山堀よりも海側の荒浜地区と、それから県道亘理塩釜線、これは沿岸部から二キロも離れていないんですね。そして、もうすべて、物の見事に、小学校以外の建物はすべて流された場所でございますから、ここを集団移転事業の対象にするとかとなりますと、いずれ仙台市有地になって管理していかなきゃいけない。

 そして、そもそもこの促進事業も、大臣の御判断でかさ上げ措置が将来されるのかどうかわかりませんが、現状では四分の三しか国は負担しないことになっているんですね。これは、局所的な災害であれば四分の三でも十分ありがたいんですけれども、面積が多くなってまいりますと、四分の一だけが地元負担だと言われても、これは大変な金額になってくるわけですね。

 ですから、私は、そういう意味もあって、仙台市や宮城県の財政負担の問題もあるものですから、国有地として、こういう部分はということで基準をつくって、買い取りを検討したいということを打ち出してもらう必要があるんじゃないかということなんですよ。地元から上がってくるのを待つとか、そういうことじゃないと思うんです。

 今、地元の被災者の方と話すと、やはりみんな一番心待ちにしているのは、とにかくもとの生活に戻れるんだろうかと。何とか仙台市は仮設住宅には入った、しかし二年間で移転地にちゃんと戻れるのか、そういうこと。そして、早く線引きしてもらって、中にはもう修理して住みたいという人もいっぱい出てきているわけです。ですから、国有地として買い上げますという部分と集団移転促進事業の中でやりますということを国がはっきり指針を示すべきなんです。

 この間の国の復興会議の提言の中には、このように書いているわけですよ。「なお、必要な公的事業として土地を買収する場合を除き、」いろいろな角度から検討してやっていこうということで、要するに、逆に読めば、国が必要な公的事業だと認めれば国有地化して買うことも検討しようということをここに明記していることになるわけですね。

 ですから、このための基準を早く打ち出してほしいということなんですよ。ぜひ、集団移転事業としてやる部分と、そうじゃなくて、ここはどう考えても、もう事業所も含めて規制しなきゃいけないというエリアもあるわけですから、そのことを、もう一度大臣の御決意を伺いたいと思います。

平野国務大臣 土地を買収するという行為は、これはなかなか大変な行為だというふうに私は思っております。土地を買うということについては、それなりの考え方、それから使い方をどうするか、そういったことを踏まえてしっかり検討しなくちゃならないというふうに思います。

 しかし、被災地からは、使えなくなった土地については何とか買ってもらえないかという声がたくさん出ているのは事実でございまして、繰り返しになって恐縮ですけれども、これから復興計画をつくりながら、つくる過程の中で、制度設計の一環として、これはきちんと答えを出さなくちゃならないというふうに思っております。秋葉委員の思いは十分伝わりました。

 ただ、一点だけ、提言につきまして秋葉委員が御指摘になりましたので、提言はこう言っているということを、おわかりになっていると思いますが、ちょっと紹介させていただきます。

 提言では、「必要な公的事業として土地を買収する場合を除き、公的主体が被災地の土地を買い上げることには、公的負担で利用価値の乏しくなった土地を取得するという難点と、被災者が他の地域に移転した場合、地域の再生や復興には直接つながらないという難点があることに留意したい。」というふうに指摘されておりまして、十分検討してもらいたいという趣旨ということでも書いておりますので、この趣旨を踏まえることも大事ではないかなというふうに思っているということでございます。

 最後は蛇足であったかもしれません。

秋葉委員 大臣の御指摘もごもっともなんですけれども、私も、先ほどそれを、まさに前段を読み上げさせていただいたので、よくわかっています。

 私は、むしろ大臣とは違って、非常にこれを素直に読めないものですから。つまり、これを素直に読むということは、大臣の今の御答弁のように読むということは、やはりかなり国は厳選するということを書いているわけですよ、これは。国はやはり厳選せざるを得ないという提言書になっているんです。

 これでは私はだめだという意味で、前段の部分が、公的な事業として国が認めればということですから、やはり被災の程度の激しいところ、そして、きょうは何度も力説をさせていただいておりますとおり、もともと海岸部は国有地なんですね。海岸と松林は全部国有地になっているものですから、それにちょうど隣接して、はみ出して、その部分だけという意味なんです。何も飛び地を国有地化してくれという話を私は言っているんじゃないんですね。もともとが国有地で松林が整備されているわけですから、その続きの部分を。そして、貞山堀よりも内側は、先ほど言いました荒浜地区だけがなぜか民有地に、いろいろないきさつがあってなったのでしょう。しかし、貞山堀から海側は全部、今でも国有地なんですよ。

 今回、その貞山堀から県道亘理塩釜線までのエリア、ここは、地続きになって、国有地に指定してもらって、また防災の観点から松林を植えてもらう、あるいは公園としての整備事業というふうに国が位置づけてもらえれば買い取るよということで、私は前段の方を強調したい。

 後段の方は、やはりこれをよくよく読むと、何か私は、かなり厳選して対応しますよということを言われているようにしか聞こえないものですから、これの解釈論を言ってもしようがありませんけれども、ぜひ集団移転事業で早く将来制度設計を示していただくということが大事な中で、それとは切り離して、国有地として選定して、買い取る場所も、これは地元からの要望ということ以上に、国ももう少しこの基準づくりをしてもらって、考えていただきたいと思うんです。そのことを改めてお願いしたいと思います。

 きょうはこの問題ばかりをやっておるわけにいきませんので、次の課題について伺いたいと思います。

 さて、大臣の所信表明の中にもございましたけれども、政府側のいろいろな伝わる話を聞いておりますと、復興庁の創設については、どうも頭の中には、もう来年でいいやという思いしかないような気がしてならないんですね。私は、本来ならば、七十日間延長になったわけですから、八月末までに設置法をつくって、そして何とか年内には、年末には稼働できる体制を目指すべきじゃないかと思うんですよ。

 これは民主党の皆さんにも御協力をいただいて、我が党案を受け入れていただきました。企画立案、調整だけじゃなくて、実施までこれでやっていただくことになったわけですね。ということは、いろいろな仕事を束ねなければいけませんから、恐らく、どういう権限を移管するのか、こういうことをめぐって、もちろん、やはり数カ月の時間はかかるんだろうと思います。しかし、基本法が通ってからもう大分なるわけですから、今、恐らく我が党も、そういう作業を党の部会で始めています。どういう権限を束ねればいいのかという検討をもう我が党の中でも始めていますから、恐らく政府においても当然着手いただいているんだろうと思います。ですから、それが間に合わないから来年だという考えなのか。

 私は、例えばですよ、この延長国会で何とか設置法を通して、そして年末、十二月から、できれば被災地に本部を置いて稼働していただきたい、こう思っておりますけれども、復興庁の設置の見通しについて、大臣のお考えをお伺いしたいと存じます。

平野国務大臣 復興庁につきましては、今、秋葉委員から御指摘ございましたけれども、復興基本法の策定の際の与野党協議において、政府においては、一日も早く復興庁の業務の全体像を示せるよう作業を進め、年内に成案を得て、速やかに設置法案を国会に提出すべき旨合意されたということでございます。

 一方で、復興本部の仕事でございますけれども、今、急がなければならないものが多々ございます。

 その第一点目が、何といっても基本方針の策定でございまして、この基本方針に基づきまして、できるであろう復興庁あるいは各省、今各省はもう各大臣の判断でどんどん仕事を進めておりますけれども、各省がこれから復旧復興に向けて仕事をするという大事な基本方針でございます。

 また、その中でも、全体の要するであろう事業費の規模、これも作業が単純ではございませんで、この事業費の確定もしていかなければならない。それを受けて、これは基本方針の後を受けてでございますけれども、財源の道筋等々も示さなくちゃならない。

 あと、地元がまず求めているのは自由で使い勝手のいい交付金の創設でございまして、これは急がないかぬと思う。というか、急がなければなりません。何としても三次補正には計上しなくちゃならないというふうに思っておりますし、あわせて、復興特区の創設も急がなくちゃならない。

 それから、これからの各種政策のスケジュール等々についても、これは各省の大臣にお願いして、策定もお願いしなくちゃならない。多々仕事がございます。

 その中で、セットとして復興庁の制度設計もやっていこうということで考えておりまして、復興庁の創設もできるだけ早く、急ぎたいという思いは同じでございますけれども、まずそういった優先順位もつけながら、しかし、復興庁は年内に成案を得ろということについては与野党合意しておりますので、これだけは最低限守らなくちゃならないというふうに思っておりまして、そのことを前提に今作業を進めているということでございます。

秋葉委員 今大臣が、成案を年内に得たいというのは、どういう意味でおっしゃったのか、確認したいんですね。

 つまり、この延長国会ではやれないから、時間がかかるから、秋の臨時国会、いつになるかわかりませんが、その中で成案を得るという意味なんでしょうか。ですから、秋の臨時国会でとなると、成案というのが法律の成立ということだけの意味だとすれば、設置は来年になるということでよろしいんですか。その設置の時期も含めてお考えを伺いたいと存じます。

平野国務大臣 この趣旨は、いずれ、早くとにかくつくれという趣旨だというふうに理解しております。

 年内に成案ということについても、できるだけ一日も早く復興庁を設置するということを前提に成案を得ろという趣旨だと理解しておりますので、それを目がけて仕事をしたいというふうに思っております。

秋葉委員 そうすると、今の大臣の御答弁は、臨時国会になるかこの延長国会になるかわかりませんが、年内にはもう法案ができていて、復興庁が設置されている、年内の設置を目指しているということでよろしいですか。

平野国務大臣 そういう方向を目指すということであればということについては、そこに対しての異論はございません。

 ただ、先ほど言いましたように、優先させなければならない業務もあるということで、こちらを優先させることの方が地域にとってはプラスになるという面もございますので、私はそこの点についても頭の中心に置きながら仕事をするということでございます。

秋葉委員 いろいろな諸事情もあろうかと思いますけれども、鶏と卵の議論をしても始まりません。私は、むしろ復興庁に束ねていって一元的に集中的にやっていくという考えもあろうかと思いますし、同時並行でも進めるぐらいのつもりでやっていただきたいと思います。

 大臣からは、とにかく年内に設置を目指すんだということでは御答弁をいただきました。では、やはり目指すのであれば、何とかあと一カ月半あるこの延長国会、八月末、例えば、極端なことを言えば、衆議院で一日、二日、参議院で一日、二日あれば、審議も終わって成立もできると思います。八月の二十五日までに法案を出してもらえれば何とかこの延長国会で設置法が通るわけでありますから、この延長国会に法案を出すおつもりはありませんか。

平野国務大臣 そういう期待というか、復興庁を早く設置してもらいたいという秋葉委員の御指摘はしっかり受けとめたいというふうに思います。

 今、復興本部では先ほど申しました仕事をまずは優先的にやっておりまして、今国会での法案提出というのは物理的にはなかなか難しいかなというのが率直な気持ちでございます。

秋葉委員 そうなりますと、臨時国会が九月に入ってすぐ開かれるのかどうか、その時期にもよるわけでございますけれども、一般論で言えば、この国会で出すのが物理的に難しいということになりますと、臨時国会でようやく法案が出てきて、そこに書き込まれているのは、設置の時期はやはり来年、早くても四月、こういうふうになる可能性が高くなっちゃうんじゃないですか。いかがですか。

平野国務大臣 ちょっと私の舌足らずな面があった面がございますが、物理的にという意味は、労力的に難しいという意味ではございません。

 まず基本方針を決めまして、その中で、復興の基本方針を決めて、これから復興がどういう考え方で、どういう内容で、どういうスケジュール観でやっていくかということがまず決まってくると思います。その上で、その中身をどういう体制で実施するのが望ましいのか、最も効率的かという議論がやはり始まるんだろうというふうに私は思います。

 そういった手順を考えますと、まず今国会、ここ一カ月については基本方針、これは集中でございますし、あるいは、さまざまな事業のスケジュールについても各省主体でつくっていただくようお願いしなければなりません。そういったことをまず優先させて、そういったことにある程度のめどが出てきた段階で、ではどういう体制でやっていくかということが順序ではないかというふうに思います。

 では、そうしないとすべての事業が滞るかというと、そうではなくて、今、各省は各省で、各担当の大臣、現場を見ながら、省としてやれるということについては積極的にやっておりますので、この体制をしっかり維持しながら復旧復興に当たっていくということでございます。

秋葉委員 ぜひ年内の設置を目指して、越年だけは最悪しないように。

 理想的には、やはりこの延長国会で、設置法には今検討していただいている基本方針などを盛り込んだ上で、余り細かいことまでは、そこはゆだねればいいという考えも私は持っているものですから、できればこの延長国会で設置法を仕上げて、年内、十二月にはもう稼働するんだというような、エンドを決めて取り組んでいただくということも一つの考えだと私は思います。

 まさに、大臣の御地元出身の後藤新平さん、よく一九二三年の関東大震災のときと比較されるわけでございますけれども、あのときは震災の一月後には復興院が設置されているわけですね。当時と今といろいろな諸事情は違いますけれども、私は、想像するに、あれだけの震災の中で、やはり当時の政府の意気込みというものがああいう形を実現したんじゃないかな、こう思っているんですね。

 ですから、来年の設置ということになりますと、まさに震災からようやく一年たって政府も本格的な窓口をつくるのかというようなことにならないように、ぜひ大臣も、きょうの委員会の後、事務方にもう一度、何とかこの延長国会に出すことはできないのか、そして、仮に臨時国会に延びたとしても、年内の創設はできるのかどうか、ぜひ御指示をいただきたいと思います。

 重ねて御質問申し上げたいと思いますが、ぜひ復興庁の本部を被災地に置いてくれという声が大変強いものがございます。今でももちろん副本部長がそれぞれ三県に入っていただいておりますけれども、現場での対応、現場のスピード、いろいろなことを考えたときに、やはり地元にその本部を置いていただくということも前向きに御検討いただきたいと思いますし、宮城県などではそういう要望も正式に大臣にさせていただいております。その見通しはどのような状況でございますでしょうか。

平野国務大臣 復興庁創設に対する秋葉委員の思いは重ね重ね伝わってまいりました。

 ただ、一点、秋葉委員に申し上げておきたいなと思うのは、今、実はこういう復旧復興に関しましては、かなりの制度が、不十分であるとはいえ、甘い面もございますけれども、もう整っている。それから、特に復旧復興面に関しましての経験豊かな職員もたくさんおりますし、各省も今、現時点において、各大臣を先頭にそれに取り組んでいるということで、既に一つの体制がもうできているということであります。そしてまた、その上に調整機能あるいはさまざまな執行機能を持つ復興庁ということでございますから、そういうことがまずという前提での復興庁だということはもう重々御承知のとおりだと思いますけれども、そういう状態だということはちょっと申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 復興本部をどこに置くか、地元ということも含めまして、これからしっかり検討してまいりたいというふうに思います。

秋葉委員 検討はしていただくんですが、大臣御自身はどのような考えでしょうか。

平野国務大臣 これは各省庁との調整等々もございます。一方で、地元主体の復興ということでもございまして、その両にらみをしながら場所を決定していきたいというふうに考えております。

秋葉委員 そのタイミングのときには、ぜひ大臣、菅内閣がかわろうとも大臣だけはずっとこの問題を担当していただくようになるんだ、またそうしてもらわないと困るわけですね。やはり本当に親身に被災者の目線で、被災者に寄り添って政府はやっていくんだ、そのメッセージを発することが大事なんですよ。これがもし被災三県じゃないところで、やはり東京でやりますとなると、霞が関のもう本当に環境のいいところで現場のことを何をわかっているのかと。

 きょう私、冒頭あえて申し上げましたでしょう。今、いろいろなことが全然進んでいないわけですよ、相変わらず、四カ月たっても。いろいろ頑張っていると大臣はおっしゃって、実際頑張っていただいているんだけれども、現場で結果にあらわれていないんですよ。ですから、これは大臣として、私はこうだということを、地元だ、こういうことをしっかりと主張していただきたい。そのことを心からお願い申し上げたいと思います。

 きょうは国有地化の問題とこの復興庁の設置の見通しについてほとんど時間を費やしてしまいまして、たくさん質問を用意していたものですから限られた残り時間になってしまいましたが、あと簡単にそれぞれお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、瓦れきの処理について、我が党は、国が代執行できることはもちろんですが、ポイントはやはり全額国費負担だということで、既に法案を提案させていただきました。政府もようやく対案のような形で法案を出していただきましたけれども、我が党案と政府案と何が違うかというと、代行できるスキームは一緒なんですけれども、全額国費かどうか、この違いなんですね。

 これは、もちろん財務省も最初から全額やるとは言いづらかったのかもしれませんけれども、瓦れき処理のスピードを上げるためにも、全額国費で対応していただきたい。そして、国が責任を持ってやるんだということで手続をしていかないと、三年どころか五年かかってもこの処理は難しい、私はそういう見通しを個人的に持っております。

 いかがでしょうか。これから国会でも修正議論ということになると思いますけれども、瓦れき処理の問題について、政府案と我が党案、大臣、どういう御認識をお持ちでしょうか。

平野国務大臣 瓦れきの処理がこれからの復旧復興の前提になるということについては、災害発生以来私もずっと考えている大前提でございます。

 今、秋葉委員の御指摘の中に、まず一つ、財源負担の問題がございました。財源負担の問題で市町村にさまざまな不安を与えているという御指摘は、先ほども別の委員からも御指摘をいただきました。

 ただ、その一方で、例えば岩手県の野田村あるいは久慈市、こういったところ、特に野田村は、瓦れきの量が結構ありますけれども、一次処理はほとんど終わっておりまして、ちょっとまだ私現地まで行くことができませんでしたけれども、現地の写真等々を見ても、かなりきれいな状況になっております。

 その一方で、石巻市は、一市で岩手県の瓦れきの量を上回る量がありまして、これは負担の問題というよりは、まさしく、それだけ集まっている瓦れきをどのように処理するかという、その処理の仕方の問題であろうというふうに思います。

 その処理の仕方の中で、だれが主体になるかという問題については、これは非常に大きな問題でございまして、政府も国の代行制度という法案を今回出しております。いずれ、そういったいろいろな事業主体の選択肢をつくりながら、国が主体となって、国が前面に出て瓦れき処理を進めていくということが必要だろうと思います。

 これから、一次処理から二次処理、特に中間処理以降の最終処分までにおきましては、県内全体での調整、あるいは県外との調整も必要でございまして、そういった観点からすれば、国の役割というのは今まで以上に重要になってくるということでございますから、その重要性をしっかり認識して取り組んでいくことが必要であるというふうに考えております。

秋葉委員 今、大臣から御答弁あったように、順調にいっている自治体もあるかもしれませんが、宮城県などでは、仙台市を除けばおおむね大変厳しいような状況が続いておりまして、我々、よくこれを認識しないとなかなかぴんとこないんですけれども、宮城県だけで、これは見込みですけれども一千八百万トンぐらい、二十三年分だ、こう言われているんですね。これの処理費用、四千億はもう間違いなくかかると言われているんですよ。

 ですから、九割国が持つと言われると何となくすごいような感じがして、地元は一割でいいんだなと思いがちですね。しかし、四千億ですよ。四千億のうち四百億が地元負担ですから。小さい町の年間の一般会計、一千億ない自治体がほとんどですよ。二けたの予算でやっている町もあるわけですよ。五十億という町もあるんです。そういう町がある中で、四百億、一割負担だからいいだろう、そういう発想はぜひやめてもらいたいということなんですよ。

 これは宮城県庁からもらった、やはり国でどうしても、何でやってもらわないと困るかというと、手続が十一も入っちゃうんですよ。例えば、まず市から県への委託があって、県から市への受託があって、そして、そこでの事務処分があって、概算請求があって、概算払いがあって、交付決定があって、実務報告があって、精算が二回入る。こういう事務作業を市町村と県の間で何回も何回も繰り返していかなきゃいけない。物すごい事務量だというんですね。

 そして、四千億の一割ですから、国はその一割についても交付税で見るということを言っていますけれども、これはさっきの集団移転事業も一緒だけれども、本当に持ってくれるのかという不安もあるわけですよ。

 ですから、松本前大臣のことは申し上げたくありませんけれども、私は大臣の発言で一番許せなかったのは、岩手県知事にこう言ったんですよ、仮設住宅は県の問題だからなと。岩手県知事に向かって、仮設住宅は県の仕事だからなという発言があったんですね、岩手県庁に来たとき。いろいろな放言の中でも、私はこの発言はかちんときましたよ。

 もちろん、仮設住宅は県ですよ、ごみは市町村ですよ、平時は。でも、今は非常事態なんですよ、非常事態。本来ごみの処分を担っている市町村がそれをやれない。そして、本来県が仮設住宅を供給しなきゃいけないけれども十分やれないから、やむなくプレ協との契約の中でやってもらった、こういう非常時だということを考えて。

 そして、ロットが甚大なわけですよ。大臣の御答弁のように、小さな自治体でうまくいっているところがあるかもしれないけれども、南三陸や石巻や、特に多賀城のような小さいところでは、一次処理置き場の選定も、つい最近ようやく見つかって、もう学校の隣に規制の五メーターぎりぎりで積み上げている。そういう中で苦労してやっているわけですね、地元では。ですから、一割負担といっても、その金額は甚大なんだということと、そして事務手続が本当に大変なんだということを国はもっともっと深く認識してもらいたいと思うんですよ。

 ですから、私どものところに首長さんが来て何と言っていると思いますか、みんな。とにかく、後年度の交付税措置というのは、口では言っているけれども、本当にやってもらえるかどうかわからない、補助金もありがたいんだけれども、補助金の申請業務だけで今職員が手いっぱいで大変だ、だから、できれば一括交付金みたいなもので、あるいは、さっき大臣も御答弁の中にございました、早く基金を創設して使い勝手のいいものでやらせてほしい、こういう声が強いんです。

 ですから、私は、何とか政府にも、この瓦れき処理については費用も国費負担でやる、そういう方針転換をぜひ心からお願いしたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

平野国務大臣 この点につきましては、小里委員ともいろいろ議論をさせていただきました。

 基本は、復旧復興は国と自治体との共同作業であるということがまず大原則だというふうに私自身は思っております。その大前提で考えれば、やはり地方にも地域にも一定の負担はお願いするというのは、これは当然の流れではないかというふうに思います。

 ただ、秋葉委員が御指摘されましたように、何せ、今回の場合は震災の規模が違います。例えば一%の負担であったとしても、当該市町村にとってみれば大変な負担になるということであります。問題は瓦れき処理だけではございません。これから、復興住宅の建設、あるいはさまざまなライフラインの復興、こういったものについての復旧、こういったものにも一定の負担が求められてきます。

 大事なことは、そういう負担が求められた結果として、市町村がほかの仕事ができなくなる、あるいは立ち行かなくなる、こういうことは絶対あってはならないというふうに思います。だからこそ、普通交付税、特交、特別交付税という制度でありますが、あわせて、国の負担もできるだけ持つという流れになっているのではないかというふうに思います。

 普通交付税についてはさまざまな御指摘があるということは私も承知しております。ただし、片山総務大臣もおっしゃっていますけれども、こういった措置、今回は異常事態でありますからきちんと措置するということは、地域でのいろいろな懇談会の場でも答弁されておりますし、ほかの委員会でも答弁されているというふうに私は承知しております。

秋葉委員 時間が参りました。

 きょうは、二重債務の救済法案について、あるいは復興基金の創設や指定避難所のさらなる強化について、関係大臣の皆様にもぜひ伺いたいことがたくさんあったんですけれども、御臨席をいただいて質問ができなかったことをおわび申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ぜひ、上から目線ではなくて、従来の枠組みでの発想ではなくて、やはり平時と違う、非常事態なんだという意識を持って政策立案と執行に当たっていただきますことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、時間をいただきましたので質問をさせていただきたいと思います。特にきょうは、久しぶりの衆議院での復興特別委員会でございますし、復興基本法が成立をして、対策本部もできて、大臣も任命されて、その後の委員会でございますので、各大臣にはよろしく御答弁をお願いいたしたいと思います。

 まず、復興に取り組む決意をお伺いいたしたいと思います。これは、平野大臣、そして今回御就任になりました山口副大臣、阿久津政務官、それぞれお聞きをいたしたいというふうに思います。

 特に平野大臣は、六月二十四日に発足をしてもう既に二代目の大臣、こういうことになるわけですね。まあ、そのことはさておき、山口副大臣は、復興基本法、ともに委員会の理事としてしっかりと取り組んでいただきましたし、かける思いもあると思います。また阿久津政務官も同様、新たな決意でお考えだと思いますので、それぞれ、大臣、副大臣、政務官から今後の決意をまずお伺いいたしたいと思います。

平野国務大臣 三月十一日の夜、官邸から電話がかかってまいりまして、福山副長官からの電話でございました。現地対策連絡室長ということで現地に行ってもらえないかということで、次の朝、スタッフと防衛省からヘリコプターで現地に行きました。

 早速、現地を上空から見させていただきまして、黄川田委員長の陸前高田が直接上空から見た一番最初のところでございまして、まず、陸前高田が、こういう表現が適切かどうかわかりませんが、なくなっていたということに、もうすさまじい衝撃を覚えました。その後、沿岸をずっと北上して地域も見ましたけれども、山火事も発生しておりまして、本当に、上空から見ただけでもそのすさまじさはわかりました。

 二日目に釜石に入りまして、翌日に大槌に入りました。本当に想像を絶する状況でございまして、私が大変お世話になっている方々の家もなくなっておりましたし、例えば、ここに市場があったというようなところについてももう瓦れきで覆われているというような状況で、本当に、立ち尽くすというようなそういう状況でございまして、あのときに感じたその立ち尽くした思いというのはきっちり大事にしながら、一日も早い復旧復興に向けて、今現地では、たくさんの被災者の方々がそれを願って大変厳しい状況の中で暮らしておられますし、また仕事もされております。

 一日も早い復旧復興、地域主体でございますけれども、先頭に立ってそれに臨む、そういう覚悟で取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

山口副大臣 石田理事には、三月十一日以降ほとんど毎日でしたけれども、当時は党の実務者会合ということでお世話になりまして、毎日、最初は物資のことですかね、その次には計画停電のこと、あるいは避難所のこと、仮設住宅のこと、いろいろと政府との間でもって一緒に会合を持たせていただいたこと、本当に感謝感謝です。

 二十回にわたってした中で、それをこの特別委員会で引き継ぐという格好になりました。その中でまた復興基本法においては、復興特区という大きな知恵もいただきましたことを本当に感謝申し上げます。

 あと、復興庁、さらには復興債のことについてもみんなで議論させていただいて、それがこの復興基本法になったわけですけれども、私自身、この特別委員会でみんな一緒に頑張らせていただいたこと、みんなの魂を全部受けとめさせていただいて、そして平野大臣を支えながら頑張っていきたいと思いますので、石田理事、これからもよろしくお願いします。

阿久津大臣政務官 石田委員におかれましては、機会を与えていただきましてありがとうございます。

 大臣が示された方針に従いまして、山口副大臣とともに、復興基本方針の策定を進めるなど、積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。

 また、役どころということで申し上げれば、私は、これまで緊急災害現地対策本部長代行として宮城県の方でずっと復旧対応に携わっておりました。これまでの経験を生かし、復興対策に地域の実情を反映する、そのことに意を用いてまいりたいと考えております。

 よろしくお願いいたします。

石田(祝)委員 大臣、副大臣、政務官からそれぞれ御決意をお伺いいたしました。

 これから個々の問題についてお伺いをいたしたいと思いますけれども、まず、大臣、六月の二十四日に復興対策本部ができました。また、現地対策本部もできたわけでありますけれども、それぞれこういう体制になるだろうということは言われておりましたが、具体的に、復興対策本部、また現地対策本部、どういう体制になっているのか、簡単に御紹介をいただきたいと思います。

平野国務大臣 まず、復興対策本部でございますが、本部長は総理大臣でございまして、そのもとに、枝野官房長官と復興担当大臣、私が復興副本部長という役割を仰せつかっております。そして本部員としては、全閣僚並びに関係する副大臣等々から成っております。その下に事務局がございまして、事務局は、峰久事務局長以下、現在六十五人体制でございます。

 それからあと、現地対策につきましては、御案内のように岩手、宮城、福島に設置してございまして、本部長として、岩手県においては津川政務官、宮城におきましては末松内閣府副大臣、福島では吉田財務大臣政務官が任命されまして、現地で今仕事をしておるということでございます。

 体制としては今そういうことでございます。

石田(祝)委員 体制については今御紹介をいただきましたが、私はちょっとこの体制で大丈夫かと。人の問題ということじゃなくて、その人の素質とか能力という意味じゃなくてちょっとお聞きをしたいんですが、特に現地対策本部、これはそれぞれ本部長が政務官、副大臣ということで任命はなっておりますが、常駐の職員が事務局に五人しかいないんですね。これで果たして現地対策本部として、ある意味でいえば、そこで相談をしてほとんどのことを解決してもらいたい、一々霞が関へ行って相談しなくてもいいように、これが現地のお気持ちではないかと私は思いますけれども。

 大臣、いかがですか。この岩手、宮城、福島、それぞれ常駐が五名ということはいかにも手薄ではないでしょうか。これは五名のままいかれるんですか。もっと体制を充実しよう、人をふやしていこう、こういうお考えはないんでしょうか。

平野国務大臣 これからの復旧復興は地域が主体ということが原則でございまして、その地域主体で進める中で県、国がしっかり支えるということでございます。

 その支える主体の中心はやはり現地対策本部ということでございまして、現段階では、御指摘のとおり常駐五人と非常勤が大体二十名ということになっておりますが、常駐の職員につきましては、これからの復旧復興、仕事がどんどん多くなっていきますので、それに応じた拡充というのは必要だというふうに考えております。

石田(祝)委員 これは、私は、五人はいかにも手薄だ、このように思いますので、ぜひ体制を、こっちの本部の方に六十五名で、現地が五人ずつ三本部、十五人、これはやはりちょっと逆じゃないかな、こういう気もいたします。これから、きょう四カ月になりましたから、四カ月で早いか遅いかという議論は当然出てきますし、本格的に復興対策本部ができましたから、これはもう全力でやっていただきたいので、その体制についてはしっかりと組んでいただきたいな、このように私は思います。

 それで、改めてお伺いをしたいんですけれども、大臣もお触れになっていたと思いますが、復興基本方針を決めよう、こういうことだろうと思いますが、これについては、大臣はいつごろこの復興の基本方針を決めよう、発表しよう、どのようにお考えですか。

平野国務大臣 基本方針については、総理から、七月中に策定しろ、公表しろという指示をいただいております。その指示に従って、七月中の策定をするということで今作業を進めております。

石田(祝)委員 復興の基本方針、ぜひこれは、七月中ということですから、しっかりと取り組みをしていただきたいというふうに私は思います。

 先週の金曜日、大臣の所信でしょうか、これはあいさつなんでしょうか、正直言って私はちょっと残念だったです。

 これだけの大きな災害が起きて、そして復興の基本法をつくって、復興対策本部ができて、残念ながら前大臣には所信を聞くチャンスがありませんでした。初めて復興担当大臣として委員会で所信を開陳する、そういうチャンスであったと私は思います。私も、実は委員会の前段の理事会、理事懇談会等で、しっかりした所信を述べていただきたい、こういうことも申し上げたんですが、枚数にして三枚、これも大きな文字ですから字数としては大変少ないわけですよね。ですから、正直、これは私は非常に残念であった。

 この後ちょっとまだ引き続いて触れたいことがありますけれども、この所信については、ですから、これは大臣としてまだ御自身で言っていないのではないか、いろいろとお考えの点があってもこの所信ではお述べになっていないんじゃないかな、こういう点もあると思いますが、そういう点も追い追いお聞きしていきたいと思います。

 復興基本方針については七月中、こういうことをお話しになりました。それで、続いて復興特区制度についてお伺いをいたしたいんですけれども、この復興特区は、復興基本法をつくるときに三党でいろいろとアイデアを出してきて、我が党も我が党のアイデアを出して、特に復興特区については、やはり特別区域を設けて復旧復興に当たるべきである、こういう提案もさせていただきまして、復興特区が盛り込まれたわけであります。

 この復興特区の制度について、大臣としてはいつまでに具体的なものをお出しになろうとしているのか、またその中身はどうなのか。そして具体的に、大臣として、復興特区は法律を別途定める、こうなっておりますから、この法案作成の指示を出したのかどうか。この点をお聞きします。

平野国務大臣 まず、私のこの委員会における所信に対しての御指摘、石田委員からいただきましたし、また先ほど吉野委員からも同趣旨の御指摘をいただきました。この御指摘についてはしっかりと受けとめて、今後の活動に反映させていきたいというふうに思います。

 復興特区制度でございますけれども、復興特区制度につきましては、今法案化の作業を急がせております。でき得れば、秋の次の国会に法案を提出して御審議をお願いしたいというふうに思っています。

 その中身につきましては、公明党さんからもさまざまな御提言をいただきましたし、そういったことも踏まえて、かつまた、復興構想会議でも幾つか具体的な提言をいただいております。その中の基本的な中身は、土地利用調整についてはワンストップでやれるようにすべきだ、あるいは税制等々の問題についても、一定の配慮でしたか、表現がちょっとあれですが、そういった記述がございますので、そういったことを踏まえまして具体化を今急がせております。

 法案化に向けての作業でございます。中身につきましては、基本的には今もちょっと申し上げましたけれども、手続の特例、例えば縦割りになっている手続についてはできるだけそれを省略する、それからあと、さまざまな産業、あるいはいろいろな、自然再生エネルギー等々のそういったものを導入するための規制改革等々、あるいは税制、こういったものが柱になってくるかと思います。

 ただ、税制につきましては、すぐに事務方でやれるものではなくて、一定のプロセス、具体的には政府税調等々の議論も必要だというふうに思っていますし、そういったことを踏まえながら法案化をしたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 再度確認をしますが、法案作成の指示はもう出されているということでいいんですね。

平野国務大臣 出しております。

石田(祝)委員 なぜ聞いたかと申しますと、私が先週聞いたところ、まだ大臣から明確な指示はない、こういうお話がありましたので、あえてお聞きをいたしました。法案作成の指示をなさったということですから、御答弁のとおりだろうと思いますので、これはそれ以上は申し上げないことにいたしたいと思います。

 これは提案でありますけれども、この復興特区の制度について、法案作成の指示も出した、こういうことでありますから、どういう中身でやるかもこれから詰まっていくと思いますけれども、私は一つ提案をしたいと思います。

 我が党は、復興特区、三党で法案をつくり上げるときに申し上げたときに、これは県という単位では大き過ぎるのではないか、やはりそれぞれの被災の地域、市町村ごとに事情も十二分に異なっているだろう、こういうことで、地方自治体、地方公共団体単位で復興特区が申請できるようにすべきだ、こういうことを私たちも考えております。

 これから復興の基本方針を七月中にお出しになるということでありますけれども、やはりこれは、一つは今回できるだけ被災自治体の意見を取り入れよう、上から方針を強制するんじゃなくて、それぞれの被災地域のお声を十二分に大事に聞いていこう、こういうことと同時に、しかし現実には、行政機能が大変損なわれておったり、こういう復興特別区域というのになれていない、そういうことでなかなか考え方がまとまらないということも私はあると思うんですね。

 ですから、これは、それぞれの被災自治体に対して、国と県と地元の市町村、そこで協議体をしっかりつくって、そこでどういう復興にするのかと。これは、国が入ってということで押しつけたりすることは当然あってはならないことでありますけれども、現実に、お金の問題だとか法律、制度の問題、政令、省令、いろいろなことがあると思いますので、お互いに対等な立場で話し合っていく。その地域の復興をどうするか、この一点に絞っての協議体をつくったらどうか、こういうことを私は提案したいと思いますが、この点、いかがでしょうか。

平野国務大臣 国、県、地元市町村が対等の立場に立った協議体ということにつきましては、今の御指摘の趣旨も踏まえながら検討を進めてまいりたい、ぜひこれも私も実現すべきだというふうに思っております。

石田(祝)委員 その前段として、私はもう一点提案をしたいんですが、省庁横断のチームをつくって、ぜひ現地調査を行っていただきたいというふうに思います。それぞれの役所が行かれていると思いますけれども、例えば、国土交通省は国土交通省だけで行っている、農林水産省は農林水産省、また環境省は瓦れきのことがあるでしょうから環境省、こういうことで、それぞれ省庁別にひょっとしたら行かれているんじゃないか。

 例えば、国交省、農水省、環境省、また厚生労働省、そういうところが一つのチームをつくって、ある市町村にしっかりと調査に入る、こういうことも私は大事ではないかと思いますけれども、この点は、大臣、いかがでしょうか。

平野国務大臣 これまでも、調査というよりは意見交換会なんでありますけれども、政務、それから例えば被災者生活支援チームのスタッフ、そして各省の政策担当責任者が一つのチームになりまして、各市町村にお邪魔しまして意見交換会等々を重ねてまいりました。こういう体制をさらにこれからもしっかりつくりながら、必要な調査をやっていくと同時に、市町村がつくる復興計画についても同じような体制で臨むことが必要ではないかというふうに考えております。

 御指摘の趣旨を踏まえて、きちんと検討してまいりたいというふうに思います。

石田(祝)委員 続いて、土地利用についてお伺いをいたしたいと思います。この問題は先ほど同僚の議員も質問されました。

 私も被災地に五度ばかり参りまして、特に、農林水産委員会で宮城県の閖上地区というところに参りまして、貞山堀のお名前も何回か出てまいりましたけれども、現実に現地に足を運びまして、現地に足を運ぶと確かにその事情はよくわかります。しかし、行った時間帯によってわからないこともあるわけですね。ですから、私が行ったときも、これが潮が込んできたらやはりつかるんですよと。だけれども、行っているときは、引き潮のときはそれはわからない。現実には、潮が込んでくると、排水機場が壊れている、また水門も壊れている、そういうところで結局潮が入ってくる。

 こういうことも、時間の経過で一日いればもちろんわかりますけれども、そういうところも見てまいりまして、そのときに、これは鹿野大臣のところになるかもしれませんが、ここで本当に農業が一体できるんだろうか、こういう率直な疑問であります。そしてさらに、人が住んでいる地域も被害を受けている。

 こういう土地利用が明確にならないと、なかなか復興計画というものを立てられないんじゃないだろうか。これは先ほど申し上げたように、地元の御意見を最大尊重するということと同時に、ある一定国が方針を決めないと、これは鶏が先か卵が先かみたいな話でして、地元が決めてくれれば国が応援するよ、地元からしたら、国がある程度方針をはっきりさせてほしい、そうしないとこれは計画が立てられない、こういう両方の声があると思います。

 基本方針については七月中、今こういう明確な御答弁でありましたので、それはそれとして、私は、まず、いろいろなほかの問題がありますけれども、特に土地利用について、特に平野大臣、けさ方から私はずっとNHKのニュースをラジオで聞いておりました。朝の六時、七時と、ニュースの中で、大臣が土地利用について御発言があった、こういうことでありますけれども、大臣はNHKのインタビューをいつ受けられたのか、内容はどんなものだったのか、ちょっと御紹介してください。

平野国務大臣 インタビューを受けたのは、きのうのお昼でございます。

 中身については、復興担当大臣を拝命したことに伴う抱負でありますとか、あるいは復興特区の考え方、復興構想会議の提案をどのように実現させていくか等々、かなりいろいろな質問を受けましたので、そういう内容だったというふうに思います。

石田(祝)委員 私は、六時は半分寝ているような状況で聞きましたので、改めて七時に、もう一度ひょっとしたら放送されるんじゃないか、こういうことで、そのときはメモをとりました。

 大臣はこうおっしゃっているんですね。土地利用の線引きの指針を早急にまとめ、市町村に示すと。御記憶にありますか。そして、病院、学校は高台に、商業施設は早く決めなきゃいけない、また、住宅地域については県や国、専門家の意見を参考にして場所を決めるよう市町村に促す、こういう大要、中身だったと思いますけれども、これで間違いないですか。

平野国務大臣 実は、そのインタビューのときにも申し上げたかもしれませんが、中央防災会議の専門会議が、前回、中間報告を出しております。

 その中で、これから地域のいろいろな復興計画をつくるに当たって二つの津波を考えなくちゃならない。巨大津波と大津波であります。巨大津波は、基本的には、三陸等々に関すれば今回のような津波がそれに該当するのではないか。一方で、大津波につきましては、海岸保全施設によって津波を防ぐ、そういった防げる程度の津波ということで、発生確率は巨大津波に比べればかなり高くなります。しかし、今回の震災の大きな教訓は何かといえば、海岸保全施設に依存した防災計画には限界があるということでありまして、先ほども申しましたように、避難を軸とした防災計画もこれからしっかりつくらなくちゃならないというのが提言の趣旨でございました。

 この趣旨を踏まえますと、これから復興計画をつくるに当たって、その前提となる土地利用計画、これは何回もほかの委員の質問のときにも申し上げましたけれども、従前地、住宅であったところが住宅として使えるのかどうか、従前地、工場であったところが工場として使えるのかどうか、この線引き、判断が非常に難しいということでございます。

 私が申し上げたのは、こういったことに対しての指針というか考え方については、これは国交省を中心に今まとめていただいておるところであります。これを基礎に、中央防災会議の提言等も踏まえまして、これから、今、各市町村、かなり市町村の方では具体化をやっているところもございますし、まだこれからというところもございますけれども、復興計画をつくるに当たっての一定の考え方を示しながら、かつまた、その過程の中で市町村の意見も吸収しながら、復興計画をどういうふうにつくっていけばいいかというようなことについての考え方、これはぎっちり決められるものではございません、一定の考え方をまとめてそれを提示したい、こういう趣旨で申し上げました。

石田(祝)委員 私が放送でお聞きしたのは、土地利用のところの放送がありまして、これはNHKの判断で全部じゃなくて大事だと思うところを放送されたと思いますけれども、指針を早急にまとめ、示すと。これは大臣、いつごろのことをお考えですか。

平野国務大臣 準備ができ次第ということでございまして、大体骨格はまとめつつあるというふうに理解しておりますが、なおこれは政府内でいろいろ議論していただきましてできるだけいいものにして、繰り返しになって恐縮ですが、これで決めということではございません。これを示した中でまた議論をして、最終的に、基本的な考え方、方針という形でまとめることができればいいなというふうに考えております。

石田(祝)委員 大臣、それはまずいですよ。なぜかといいますと、六時と七時で、私は聞いただけですけれども、これは全国の人が聞いているわけです。それで、被災地の皆さんは、先ほどお話しした閖上地域だとかいろいろなところが土地利用が決まらない、これでは復興計画が立てられない、こういうところもたくさんあるわけです。

 そこで、大臣が就任なさって、その土地利用の線引き、私が聞いたときは線引きと言いましたよ、土地利用の線引きの指針を早急にまとめ、市町村に示すと。まとまったら示しますというのは、一定のめどがついたらと同じ話じゃないですか。これは私はまずいと思います。ですから、お話しになった以上は、いつごろということをはっきりしないと、これはまた一体いつになるのかなと。これはぜひ明示をしていただきたいと思います。

平野国務大臣 いずれ、そう遠くないときにきちんと示したいと思います。

 それから、もう委員も重々御承知のとおりかと思いますが、土地利用というのは、こういう線引きをしなさい、ここはこういう利用をしなさい、そういうやり方は私は通用しないというふうに思っています。あくまでも、ここはこういう土地利用をしたい、そういう中で、さまざまな地権者がそこに関係してきます。その地権者とのいろいろなやりとりの中で、最終的にその土地利用が決まってくるというふうに思います。

 実は、国土交通省で一次補正で七十一億の予算を計上して、その復興計画に向けた準備というものを各市町村ごとにやっておりまして、そこに国土交通省の職員も行きながら、今いろいろなシミュレーションをやっております。その中で、例えば私が知っている自治体で何をやっているかといいますと、何回も何回も地域に足を運んで地域の意向を酌みながら、ここはどういう土地利用にすべきかみたいなことを聞いております。それを重ね重ね何回も何回も聞いて、これからも必要だというふうに思います。

 多分相当つらい作業、大変な作業になると思いますが、そういう作業の上に地域の土地利用が決まってきて復興計画が決まってくるものだというふうに思っていまして、私が線引きの、土地利用の指針というのをどういう言葉で言ったかということについてはもう一回私は確かめなくちゃなりませんが、そこについては、一種の指針というつもりで申し上げたつもりでございます。

 それから、ちなみに、地域の土地利用計画で自治体が御苦労されているというのはそのとおりであります。しかし、大方の首長さんは、自分たちが主体でつくらなくちゃならないという強い意思を持ってやっているということについては、私は確信を持ってそのように申し上げられるというふうに思っております。

石田(祝)委員 この時期の問題は、これ以上申し上げても明確なお答えは出ないでしょう。しかし、NHKという大変皆さんが耳を傾ける放送機関で、私のメモが間違っていなければ、線引きの指針を早急に市町村に示す、こういうことをおっしゃっておりますので、これは間違いであったらぜひNHKに抗議をしていただかなくちゃいけない、このように思います。多分、しゃべっていると思いますので。

 それと、私はもう一つ、最初に、今回、大臣が金曜日にお話しいただいた所信としては非常に不満である、このことを申し上げました。それはなぜかといいますと、この土地利用については大変それぞれの地域が苦労している、そういう中で、この所信には一言も触れていないんですね、土地利用をどうするかということについて。それを、初めて国会で大臣として御発言のときにおっしゃらずに、まあNHKはだめだと申し上げませんけれども、大臣が国会で発言をせずに外でこういう大事なことを発言なさる。これは私は順序が逆じゃないのかと。

 ですから、もうちょっとこの所信についてはしっかりと書いていただかないと、大臣が一体何をしたいのか、これを読んだだけでははっきりわかりません。ですから、土地利用について申し上げたのも、大変大きな課題であるがゆえに申し上げましたし、残念ながら所信で一言もお触れになっていない。そういう中で、放送の方、国会の外でそういう大事なことをお話しになっている。これは順序が逆だ、私はこういうことを申し上げたいと思います。

 それで、大臣もお話しになりましたけれども、これから国土交通大臣、そして農林水産大臣、また法務大臣にもお聞きをいたしたいと思いますが、この土地利用の問題で、土地を強制的に移っていただかなきゃならない、そういう仕組みもございます。しかし、これはなかなかやれないだろう。それは地元の意見も聞かなきゃいけないことは当然であると思います。

 先ほどもちょっとお話がありましたが、今回、私も行った、農林水産大臣も行かれたと思いますけれども、閖上の地域とかああいう地域は農業はことしはもうできないだろう、来年もわからない。では、そういうところは国が何かしてくれるかどうか、こういう方針は私は出せると思うんですね。ですから、そのことを申し上げているので、ここをこういうことに使いますという明確な決め打ちで、強制的にそこにいる人をどこかへ行かしたりとか、これはなかなかできないと思いますけれども、国の基本の考え方として、国が例えば預かりますよだとか買いますよだとか、こういうことは私は言えるだろうというふうに思うんですね。

 そのことについて、これから国土交通大臣、農林水産大臣、法務大臣にお伺いしたいんですが、国土交通大臣、今私が申し上げた仙台の近所の名取市のところ、ここについて、いろいろとお考えで調査もなさっている、今後の方針についてもいろいろ検討している、こういうことをお聞きしておりますけれども、検討の状況を簡単に教えてください。

大畠国務大臣 石田議員からの御質問にお答えを申し上げたいと思います。

 ただいまの御質問でございますが、いずれにしても、これからの土地利用が大変難しいという地域、特に、市街地がほとんど丸ごと浸水する、そういう被害の大きさ、あるいは平地が少ないという地理的な要因、そういうことから、今後どういう形でこの土地を利用していくか、こういうことが現在の復興を進める上で大変難しいといいますか、問題として挙げられております。

 現在、国土交通省としても、先ほど御指摘のように、都市計画法あるいは森林法というのも個別法としてございますが、それぞれで進めるのではなく、一括して迅速に処理することが必要だろうと考えておりまして、それらを新しい法律をつくって対処することができないか。復興本部というものを中心として、例えば土地の所有者が不明というところも出てきておりますので、自治体の皆さんのいろいろな御意見も賜りながら、新しい法律の中で、例えば自治体が一時的に土地を管理する仕組みというものも検討しなければならないと思いますが、関係の省庁とともに、現在、新しい法律でどのような形ですべきかということを検討しているところでございます。

石田(祝)委員 では、同じ問題意識で農林水産大臣に御答弁をお願いします。

鹿野国務大臣 今回のこの大震災におけるところの被害というのは大変甚大なものでありますので、基本的には一から町をつくり直す、こういうふうな考え方が必要になってくるわけであります。ところが、現行法でということを考えますと、事業の実施や、あるいは再ゾーニングということになった場合に、都市計画法なりあるいは農業振興地域整備法など、いわゆる個別法の手続を経る必要がある、そうなってくると大変おくれをとってしまう。

 このようなことから、今委員が御指摘のとおりに、一つの計画のもとで各種手続を一元的に進めることによってまちづくりを迅速に進めることができないだろうか、こういうようなことで、国交省とともに、今特別なる仕組みをつくるべく検討させていただいているところでございます。

石田(祝)委員 これは、農振法とか漁港漁場法、森林法とか都計法、たくさんの法律がありまして、それぞれが協議しなくちゃならぬ、それが大変大きな負担になる、スピードも上がらない、こういうことで、今、国交省、農水省でともに検討していただいている。これはぜひ検討を私は進めていただきたいというふうに思います。

 その中で、問題は、これは土地の問題でありますから、当然国有地もあれば、はっきり言えば民有地の中で今回の震災でお亡くなりになったり、また、そのお亡くなりになった方の、ある意味でいえば遺産として相続をされる方もはっきりわからない、所有者が不明の場合がある。これは、そこが不明の土地があってもう一歩も前に進まない、こういうことも考えられるわけですけれども、土地の所有者が不明またはお亡くなりになっているのではないか、安否がわからない、こういうものについては、これは法務省の管轄だとお聞きしておりますけれども、江田大臣、どのようにお考えでしょうか。

江田国務大臣 これは委員よく御承知のとおりでございますが、こういう大震災の復興に土地利用というものがネックになってはならない、土地利用のいろいろな規制が円滑に進んでいくということが必要なことは言うまでもないので、所有権を持っている者の同意というのが基本ですが、しかし、同意をいろいろと制約したり、あるいは同意がなくてもいろいろな利用が可能な、そういう制度もございます。

 いずれにしても、今委員御指摘のとおり、所有者がいなくなっているとか、あるいは、どうも相続にはなったんだけれども相続人がどこにいるかわからない、こうしたことがあるのは、まさにその例は枚挙にいとまがないということではないかと思っております。

 そういう場合にどういうふうにしていったらいいのか。これは、不在者の財産管理であるとか、あるいは相続財産の管理であるとか、いろいろな制度がございますが、今、国土交通省あるいは農水省がいろいろと御努力をいただいていることだと思っておりまして、民事基本法を所管する法務省としては、極力そうした復興に資するように知恵を絞っていきたい、こういう基本的な構えで向かっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

石田(祝)委員 この問題はまた改めて、さらに別の角度からも議論をしてまいりたいと思います。

 農林水産大臣に一つだけお伺いをしたいんですが、漁業の特区の問題で、実はこの特別委員会でも参考人の方に来ていただいたことがありました。そのときに、これは参考人の方の御意見だと思いますが、その方は、私の記憶では、漁港の集約はいいだろう、しかし、漁業権を株式会社等に渡すのはだめだ、こういうお話をなさっておりました。

 今回の復興構想会議の提案には、漁業協同組合に劣後しない形で漁業権を与える、それの具体化をする、たしかそういう表現もあったと思います。これについてはいろいろな御意見が私はあると思いますが、これは復興構想会議全体の提案ですけれども、きょうは漁業のところだけをお話ししますけれども、これについては、大臣、率直にどうお考えですか。

鹿野国務大臣 今先生御指摘のとおりに、復興構想会議から漁業特区についての提言もちょうだいしているわけでありますけれども、先生もいろいろと各地区をお回りになっておられるとおりに、やはり県によっても漁業のあり方なり、あるいはまたその規模なりというのはそれぞれ違うわけでありますし、また特性も違ってくるわけであります。

 そういう意味で、これからどういう形で復旧復興というふうなことを考えたときには、やはり県なり市町村なり、あるいは漁業関係者の方々の話をしっかりと聞いて、そして、そういう中でマッチングというものを考えていく必要があるのではないか、こんなふうなことを踏まえて取り組んでいきたいと今思っているところでございます。

石田(祝)委員 時間の関係で最後になるかと思いますが、厚生労働大臣にお聞きをいたしたいと思います。三点申し上げますので、順次御答弁をお願いしたいと思います。

 一つは、いろいろなところでも取り上げられておりましたが、生活保護について、義援金、賠償金は収入に認定されるのかどうかということ。これは、補償金はなるということはありましたけれども、賠償金については書かれているものはありません。

 それから、失業給付が収入認定されて、医療費の自己負担分の窓口払いが請求されている。失業給付ですから、仕事がなくなった後の話です。その後もどうなるかわからない。それを収入で認定をされて非常に困っている、こういうお話。

 それから、災害救助法で住宅の応急修理のお金も出るようになっておりますけれども、これは厚生労働省からの通知、連絡が必ずしも私は明確でなかったと思います。地元の受けとめ方で、優先順位が決まっているんだ、この順番でお金を使ってくださいと。だから、そのお家に当てはまらないような使い方をある意味でいえばせざるを得ない、こういう例もあったようであります。これについて、優先順位はないんだ、それぞれのお家の被害状況に沿ってやってもらう、生活を守るという観点の応急修理である、こういうことだろうと思いますが、その三点、順次お答えいただきたいと思います。

細川国務大臣 石田委員の御質問にお答えしたいと思います。

 生活保護に関しての賠償金、東京電力からの賠償金のことだと思いますが、これは生活保護の関係での収入に入らないのではないか、こういうことでございますが、私どもとしたら、義援金とか賠償金につきましては、生活保護受給者にとっては一応原則としてこれは収入になる、こういう考えでございます。

 ただ、これは、生活保護法の一方の立法趣旨といたしまして、生活保護を受けている方たちの自立更生、このことも当然助長していく、こういう建前でもございますので、当然、被災者の皆さんはいろいろな大きな被害も受けているわけですから、いろいろな日用品、家電、そしてまた教育費、住宅の補修費、あるいはまた、私は、場合によっては自動車なども自立更生に充てられると。こういうことで、収入として取り扱わない、それは収入から除外をする、こういう柔軟な措置をすべきだというふうに考えております。

 また、義援金等につきましては、個々の、具体的に何に使ったかというような判断ではなくて、全体的に、包括的に、幾らはもう収入には入れさせない、今、こういうことで処理できるようにということで、これも通知もさせていただいております。

 私、いずれにしても、被災者の皆さんのいろいろな状況のもとで、個々にしっかり対応していくべきだというふうに考えておりまして、今委員が言われました、賠償金については入らないのではないか、そういうのは具体的に書かれていないのではないか、こういうお話でありますけれども、これは、取り扱いの規定で賠償金については書いてはありませんけれども、その規定そのものがいろいろな例示をしているものだというような私どもの解釈でございます。

 それから、医療費の関係で、失業給付の、窓口負担の問題でありますけれども、これは、収入が被災によってなくなった場合、生活に困っている方については窓口負担を免除している、こういうことになっております。ただ、失職して現在収入がない方については、基本的に、失職前の収入、例えば所得保障としての失業給付があれば、これは一応免除の対象にはならないというふうな解釈をいたしておりますけれども、しかし、ここからが大事ですが、収入金額やあるいは扶養家族の人数等を勘案いたしまして、収入が十分でないような場合には保険者の判断によって柔軟に対応することが可能だという通知をさせていただいておりますので、収入の点について不十分な場合には窓口の免除で扱う、こういうことにさせていただいております。

 それからもう一つ、災害救助法に基づきます住宅の応急修理の点について、厚生労働省の通達によって順番があるのではないか、その通達によっていろいろ現地で混乱しているのではないかという石田委員の御指摘でございまして、私の方でもいろいろと検討もさせていただきました。

 これについては、そういう優先的な順位をつけることによって、例えば屋根の修理なんかを最優先させているような場合に、かわら職人がいないような場合にこれができないということで、現地でそういう混乱もあるようでございますから、そういう優先順位についてはとらわれずに柔軟に対応するようにということで私も指示をさせていただきましたので、委員御指摘の問題については今後は解決されるものだ、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。

黄川田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 東日本大震災の発災、そして原発事故から四カ月となりました。この暑い夏で、体育館などの一次避難所だけでも、内閣府の避難者数のまとめで、二万四千人を超える方々がいらっしゃる。仮設住宅などに入居をしても、光熱水費や食費といった経済的負担が生じることに心配の声などがあります。そもそも、避難者がこの四カ月にどのような苦労を強いられてきたのかに心を寄せることが何よりも基本であります。

 私、昨日、福島県いわき市に伺いまして、広野町の避難者の方、仮設住宅に伺ってお話をお聞きしました。避難が呼びかけられて、まずは東京に逃げて、それから埼玉、いわきと移ってきた。やっと仮設住宅に入れるようになったけれども、その間、父が透析を受けていた、入院暮らしだったものが、東京の避難先での病院で亡くなるということもあった。孫が中学生で、今まで元気にしていたけれども、引きこもるようになってしまった。こういう家族のさまざまな苦難もあった中での避難生活の四カ月だった、こういうことにしっかりと思いをいたすことが必要であります。

 避難者のこれ以上の苦しみを軽減できるような、被災者のニーズにかみ合った支援が必要であります。その点で、避難者の実情に合った住環境の改善も求められております。

 そこで、きょうお尋ねしたいのが、被災者向け家賃無料の住宅、そういう中でも特に民間賃貸住宅の借り上げの問題についてお尋ねをしたい。

 そこで、最初に質問をしたいのが、被災者向け家賃無料の住宅への入居状況の確認です。少し丸めて平野大臣にお答えいただければ結構なんですが、一つは、公務員宿舎やUR賃貸や雇用促進や公営住宅等といった公的住宅への避難者、被災者の入居戸数が幾つなのかというのが一点。それと、プレハブ建設の応急仮設住宅、ここへの入居戸数が幾つか、これが二点目。三点目に、いわゆるみなし仮設と言われています民間賃貸住宅の借り上げへの入居戸数、これは幾つか。この三点についてまずお答えいただけますか。

清水政府参考人 応急仮設住宅などへの入居状況について、実務的に御説明を申し上げます。

 仮設住宅は、国土交通省に御尽力賜って県において建設が進んでおるところでございますが、七月八日時点で私ども把握しておりますところ、完成戸数三万七千四十六戸に対し、入居戸数二万二千九百二十一戸。それから、民間賃貸住宅につきましては、被災三県を中心に全国で合計四万四百二十九戸御入居いただいているということでございます。その他、公営住宅など六千戸強、国家公務員宿舎など二千戸、地方公務員宿舎百戸弱、雇用促進住宅五千戸強ということで、七月八日時点でまとめますと、合計七万七千ということになるというふうに聞いてございます。

塩川委員 三つの点になっていないんですけれども、要するに、建設の応急仮設住宅が二万三千ぐらいで、公的住宅が一万三千ぐらいということ、それと民間賃貸住宅の借り上げ、いわゆる民賃と言われているものが四万戸を超えているわけであります。

 そこで、平野大臣にお尋ねしますが、このように民間賃貸住宅の借り上げの利用が進んでいる現状というのをどのように受けとめておられますか。

平野国務大臣 震災がございまして被災された方々、家がなくなった方々は、避難所に移られる、あるいは知人宅に移られるということがまず最初だったというふうに思います。

 その後、避難所生活、やはり共同生活でもございますし、プライバシー等々の確保等、非常に難しい問題もあります。自力で、自分でアパートに移りたいという方々は、いろいろなつてを頼って、あるいは御自身で民間のアパートに移られた方もたくさんおられます。特に、民間賃貸住宅についてもきちんとした助成対象になっていますよということについて、これは厚生労働省が通達を出しまして周知徹底して以降、その動きはさらに加速されたのではないかというふうに思います。

 しかし、一方で、仙台のようなところなら別でありますけれども、例えば岩手県の三陸地域は大体大きく被災しておりまして、そもそも民間の賃貸住宅自体が非常に少なくなっているという中で、やはり仮設住宅というのはどうしても必要でございまして、だからこそ仮設住宅の建設も急いだということであります。

 ただ、仮設住宅の難点は何かといいますと、やはり建設するまでに時間がかかってしまうという中で、さまざまな事情、その間待てないんだということで、子供の教育もあろうかと思いますが、民間の賃貸住宅の方に移られた方が多かったのではないかというふうに推察いたします。

塩川委員 実際に、それぞれの個々の家庭の事情によって、自力で民間のアパートに入る方もいらっしゃった。仮設は時間がかかって、それが待てないということで、子供の学校の学区との関係もあって民間賃貸を利用することになっている、そういう事情というのはまさにそうだと思っております。実際、民間物件の多い仙台市などの都市部で利用が進んでいるわけですし、また、原発事故による避難という特殊事情で首都圏などへの避難者も多い中で、民賃のニーズが非常に高いということでもあります。

 ただ、仮設は立地が不便だったり、公的住宅の空き住宅も不便な場所だったり、エレベーターのない建物の五階が空き住宅になっているような公的住宅も多いわけですから、そういう点でも、避難者、被災者の実情に合った住宅の確保という点で、民間賃貸住宅の借り上げというのは選択の幅が広く、利用度が高い、積極的に活用が図られるべきだと考えます。同時に、制度の改善も求められます。

 そこで、厚生労働省細川大臣にお尋ねしますが、四月の三十日に、被災三県あての厚生労働省の通知、「東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借上げの取扱について」が出されておりますけれども、この通知の趣旨について、ポイントを御説明いただけますか。

細川国務大臣 この四月三十日の通知につきましては、これは今委員も御指摘がありましたように、被災者の皆さん方が避難所生活を解消して安心して生活をしていただくために、応急の仮設住宅の建設を急ぐとともに、あわせて民間賃貸住宅の借り上げを促進して、そして被災者の皆さん方に安心して居住の場所を提供する、こういうことを目的として、民間の賃貸住宅の借り上げについての通知を発したところでございます。

塩川委員 通知の中身の確認をしますけれども、この通知では、現に救助を要する被災者がみずから民間賃貸住宅に入居している事例も少なくなく、民間賃貸住宅借り上げの活用が求められているとして、発災以降に被災者名義で契約したものであっても、その契約時以降、県名義の契約に置きかえた場合に、災害救助法の適用となって同法の国庫負担が行われる、この取り扱いは県外への避難者についても同様とするとなっている。

 つまり、被災者がみずから契約をし、家賃を払っていた場合でも、さかのぼって県が家賃を負担するということを周知するものであります。そういうことでよろしいですか、確認で。

細川国務大臣 今委員が言われたとおりでございます。

塩川委員 この通知の趣旨が実際に実行されているかどうか、周知されているかどうか、この点検、確認をすることが必要であります。

 実態はどうか。例えば、宮城県の五月十六日付の通知、「民間賃貸住宅借り上げによる応急仮設住宅について」では、「平成二十三年三月十一日から平成二十三年四月三十日までの期間に契約したものについては、平成二十三年五月一日付けで県の契約に切り替え、その後二年間を契約期間とする」としています。つまり、国の通知では三月十一日近くまでさかのぼって対応可能とされていたものを、宮城県は三月分、四月分はさかのぼりませんとしているわけですね。ですから、現地で我が党の県議団などもこの是正を求めてきたわけであります。

 こういう働きかけの中で、その結果、七月七日付で被災三県に厚労省が通知を出したことは承知をしております。その通知では、「被災者が賃貸人に対して家賃等を支払い済みであれば、賃貸人は被災者が支払い済みの家賃等相当額を返還すべきであるが、県、賃貸人、被災者の三者間の承諾が得られれば、賃貸人が被災者に対し、県から当該家賃等相当額を受領する権限を委任することも可能である。」として、つまり、県が被災者に対し家賃の立てかえ分を直接支払うことができるようにする仕組みをつくるということがこの通知の趣旨だと思います。

 しかしながら、そもそも、このような通知を改めて出さなければいけないように、厚労省の通知の趣旨が徹底をされていない。結果として避難者に負担を押しつけるような事態になっているのはなぜなのか、これで改善されるのか、このことをお尋ねしたい。

細川国務大臣 御指摘の点につきましては、これは厚生労働省といたしましては、最初の被災者が契約をしたときにさかのぼって県と契約をすれば、それについては最終的に国が支払う、こういうことにしたわけでありますけれども、これが周知徹底が不十分であったということもあるかと思いますが、宮城県の方では、住宅のあっせんをされる協会の方なんかとのところでうまく運ばないところがあったようでございまして、その点につきましては、厚生労働省が中に入りまして、今、塩川委員から指摘がありましたような形で、県の方から被災者が支払った分について被災者の皆さんの方に支払う、こういうことを決めまして、そこで、今後はそういうことがないように、きちっといくように私どもの方としても指導もしてまいりたい、このように考えております。

 委員が御指摘になったような、そういう周知徹底の点で足らざるところがあったことについては、これは厚生労働省としても、今回、三者で話し合いもいたしまして、そのような形での通知を出させていただいたところでございます。

塩川委員 なぜこんな、避難者に負担を押しつけるという仕組みのままでずっと来ているのか、七月までそういうのを引っ張ってきている、なぜなのかというお答えはありませんでした。

 この点について最後にお聞きしますけれども、要するに、この間、宮城県とも話をして、今言ったような整理で、被災者が発災から直後に借りたようなことであれば、さかのぼって県が直接被災者に支払うような仕組みということで、宮城県の方でも同意をされたということだと思います。

 その点で、これは宮城県だけの話じゃないんです。首都圏の各都県も同じような状況なんですよ。例えば埼玉県でも、既に個人で契約をし民間賃貸住宅に入居している世帯について、県名義に置きかえ可能な制度をつくるとしております。今週中にその要綱を出そうという話もされているわけですけれども、中身を聞きましたら、その際には入居時にさかのぼっての置きかえではないとなっているんです。入居時にさかのぼっての置きかえではない、つまり、七月の一定の、これから要綱を発表する時点で切って、それ以前にはさかのぼりませんよというのが埼玉県の制度の中身なんですよ。これが、私聞きましたら、東京都もそうでした。神奈川県もそうでした。千葉県も同じです。みんな遡及しないんですよ。

 だから、厚労省の方は遡及できますよというので、宮城県が三月、四月、遡及しなかったという問題について、ここで是正しましたという話をしておりましたけれども、でも、受け入れ県の首都圏の埼玉も千葉も神奈川も東京も、遡及しないという制度にしているんですよ。

 こういう事態が起こっているということを御存じですか。こういう事態は直ちに是正すべきだと思いますが、その点いかがですか。

細川国務大臣 厚生労働省といたしましては、そもそもこの問題が発生をいたしましたのは、いろいろな公的な関係の住宅などを提供するということでやっておりましたけれども、しかし、それだけでは足りない、民間からの賃貸住宅を借り上げて、それを仮の住宅として被災者の皆さんに提供する、こういうことが委員も御指摘のように被災者の皆さんにとっていいことだ、こういうことで始めたわけでありました。

 しかし、そのことを決める以前から、既に被災者の皆さんが民間の住宅を借りて住んでおられた県がございました。そこで、そういう方についても、家賃とかあるいは敷金、権利金について、当然これは最終的に国が支払うべきだろうという判断のもとで、厚生労働省としては、こういう場合の契約について、県が契約をするということに切りかえていただいて、そしてさかのぼって適用をしていく、こういうことに決めたわけでございます。

 したがって、その点については、そういうような形の通知などもしたわけでありますけれども、それが徹底していなかったということであれば、それはしっかり先ほどの宮城のような形での対応をとらせていただく、こういうことであります。

塩川委員 ですから、厚労大臣として実情を承知されていなかったということであるわけで、答弁にありましたように、これについてきちんと、被災三県だけではなくて、受け入れの都道府県、四十四都道府県に対してもしっかりと周知を行う、被災者支援をおくらせるようであれば災害救助制度の仕組みの見直しも必要だということを強調しておくものであります。

 そこで、問題点の二つ目として、民間賃貸住宅の借り上げに当たって、家賃の限度額というのが設定されているわけなんです。例えば埼玉県の場合に、四人家族までなら月六万円となっているんですよね。

 細川大臣、県南で草加、越谷をお考えになっても、例えば四人家族で、では草加で月六万円以内の物件が探せるか。これは実際どうお思いになるか、借りられると思いますか。

細川国務大臣 家賃というのは、都会と地方の場合、これはまたいろいろ違うだろうと思いますし、あるいは、駅から近いかどうかによって、いろいろと家賃については違うんです。事情が違うということをまず御理解いただきたいと思います。

 そこで、被災三県のところには、前の岩手・宮城内陸地震のときの借り上げの家賃というのが大体六万というようなことから、一応目安については六万というようなことで、そういうことを通知の中には書いたのでありますけれども、しかし、その中に、いろいろな事情によって、地域によって事情は違う、しかも世帯によっては人数だって違うわけでありますから、当然、世帯人数が多ければ、部屋の数だって多くなれば、それは家賃も高くなるわけでありますから、そういうことはすべて柔軟に対応をしてほしい、こういう内容も当然私どもの方としては出させていただいております。

 したがって、しゃくし定規にそのような、六万とかあるいは七万とかいうような具体的な形の設定というのではなくて、柔軟な対応にしていただく、こういうことで私どもは対応をさせていただいているところでございます。

塩川委員 柔軟に対応してほしいということをおっしゃっておられるのは、通知の趣旨にもありますし、また大臣の答弁でも承知をしております。ただ、実際にはしゃくし定規になっているんですよ。

 そこで、お聞きしますけれども、大臣も引用されました、「岩手・宮城内陸地震の際には一戸当たり月額六万円としたことを参考とされたい。」とありますよね。この参考値の六万円の算出方法はどういうものかというのは御存じですか。

細川国務大臣 それは、私は詳しくはわかりませんけれども、その当時のいろいろな家賃の情報をもとにしてそういう設定にされたのではないかと思います。

塩川委員 これは厚労省に確認しましたけれども、岩手・宮城内陸地震において民間借り上げの実績というのは二十三戸なんですよ。これは宮城県の栗原市での事例なんです。この二十三戸の平均額が六万円なんですよ。この月額六万円というのは平均額なんですね。だけれども、埼玉県はこれを限度額、上限額にしているんですよ。

 大臣もおっしゃるように、家賃については、それぞれの地域の実勢の相場もありますし、また家族構成によって家賃の額が当然違ってくる、そういうことへの配慮が必要だ、柔軟に対応してほしいと言っているんだけれども、実際に受け入れの県で見ると、この事例にあるように、平均で出している六万円が限度額になってしまう。家賃の相場も高いであろう埼玉県などで限度額が六万円になってしまうということ自身は、これは不適当ですよね。

 こういう点はしっかりと改めてもらうように、被災者、避難者第一の是正というのをぜひとっていただきたいんですが、いかがですか。

細川国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、そういう固定的な家賃というのではなくて、柔軟に対応をしていただくように、それは自治体の方にもこちらから申し上げてそのような対応をしていただくように、事務方にも話しておきたいというふうに思います。

塩川委員 ぜひそういう点で、被災者、避難者第一の施策として生かしていただきたい。

 この厚労省の四月三十日付の通知に引きずられて、家賃相場の高い埼玉県で六万円が設定をされ、しかも参考値、平均額ではなく、限度額となっている。ほかの首都圏の都県も大体同じような話なんですよ。結果として、家族構成を考慮して物件を探しても、限度額を超えると利用が認められない仕組みにもなっているという点も重大なんです。

 さらに、遡及借り上げについても、限度額を超えた物件を避難者が借りた場合にはそもそも対象とならない。六万円を超えたような物件を借りていると、そもそも遡及もしませんよというのが各都県の通知、要綱の中身なんですよ。

 だから、大臣としてそういうことも知らないわけだから、こういう実態をしっかりつかんで、是正をする必要があるんですよ。私は、直接話も聞いて、ヒアリングもした中で言っているわけですから、知らない話をしているわけじゃなくて事実に基づいて言っているわけだから、こういうことをしっかりとやってもらいたいということであります。

 その上で、何でこういう自治体の対応が後手後手というか、どうしても、限度額を定めたり遡及しないとかという話になると、やはり金目の話になってくるんです。災害救助法のスキームの問題点がそこにある。

 そもそも救助法というのが被災県の要請を受けてという仕組みですから、どうしても受け入れ県にしてみると後手後手の対応にならざるを得ない。金目の話についても、被災県と相談しなくちゃいけないという仕組みですよね。同じように、受け入れ県の方としても予算措置が必要ですから、大体、都県、首都圏で見ると、みんな六月の補正予算待ちなんですよ。補正予算でお金を組んで、そこからスタートですから、この七月、八月とかに実際制度を始めるというのが首都圏の都県の実情だということもしっかり見ていただきたい。

 この点については福島県などが要望も出しているわけですけれども、そもそも、県として、全国的な広域応援や被災者受け入れが全国に広がっている状況を踏まえ、災害救助費用については、応援自治体が被災自治体に求償するのではなくて、応援自治体が直接国に請求する仕組みをつくってくれと。これは知事会などもそういう趣旨の要望が出ているということがあるわけですから、こういった見直しをぜひやっていただきたい。

 この点について厚生労働大臣と復興担当大臣で一言ずついただいて、終わりにします。

黄川田委員長 塩川委員の質疑時間が終えていますので、簡潔明瞭にお願いします。

細川国務大臣 今委員が御指摘の点を踏まえまして私どもが考えましたのは、被災県への求償手続、これは大変な膨大な事務量になるだろう、こういうことも考えまして、応援をした都府県からの請求につきましては、まず厚生労働省の方に請求をしていただく、厚生労働省がその求償の代行をして、そこで書類などの整理もきちっとして被災県の方に請求をしていく、こういう手続をするということを決定させていただいたところでございます。

 したがって、今、塩川委員が言われました点については、代行をするということで、その方に近づくものだというふうに思っております。

平野国務大臣 厚労大臣が答えたとおりだと思います。

塩川委員 細川大臣の答弁というのは、事務手続を厚労省が代行するだけなんですよ。金の話は被災県を通してですから、そこはやはり大もとから改めるということを改めて要求しまして、終わります。

黄川田委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 大震災が発生をしてからちょうど四カ月。復旧復興に向けて政治の力が大きく求められているのに、今、国民は日を追うごとに政治離れ、政治に対する不信感がどんどん広がってきております。私ども、週末、地元に帰り、さらには被災者さんに会っていろいろな話をするわけですけれども、一体何をやっているんだ、こういう声が圧倒的でございます。

 大臣から、復興庁の立ち上げまでのプロセスが答弁なされました。しかし、私からするならば、この基本法が成立するまでに復興庁の位置づけを含めて相当の時間議論された、こういうふうに思っています。そして、復旧復興がおくれていく。

 そういう一つの心臓部、その復興庁に対して、これまでの行政、いわゆる縦割り行政がやはり弊害になっているし、それをなくして、そして今、現地に主体性になり得る権限と財政を集中しながら、復興庁というものを中心にしてやっていこう。そして、復興庁ができるまでは時間がかかる、だからこそ対策本部について、復興庁のある程度の機能を見込んで対策本部に預けながらやっていこうじゃないか、こういう議論が基本法の成立まで大きく焦点が当てられ、時間をとったものだというふうに私は思っております。

 しかし、大臣の方からの答弁が、この復興庁に対するプロセスが年内に成るかわからない、そしてまた、七月に基本方針をつくって、その後いわゆる権限、さらには財政等々について検討する、こういうふうな答弁がなされたんだろうというふうに私は思っています。少し残念だなというふうにも思っております。

 そういう面の中では、私は、今四カ月にもなり、ましてや、福島県においては、子供たちが長そでで通学をしている、そしてまた冷房もない、そういう施設の中で、窓を閉め切った中で勉強している、こういう状況というものを見た場合に、やはり私たちは復旧復興に向けてのプロセス等を含めてもっとスピードを上げてやっていかなきゃならない、こう思っているところでございます。

 そういう面の中で、もう一度、復興庁の立ち上がりまでのプロセス等について再度質問をさせていただきます。よろしくお願いします。

平野国務大臣 復興庁につきましては、繰り返しで恐縮でございますけれども、復興基本法の策定の際の与野党協議において、政府においては、一日も早く復興庁の業務の全体像を示せるよう作業を進め、年内に成案を得て、速やかに設置法案を国会に提出すべき旨合意されたということでございます。

 この合意の趣旨を踏まえまして、立ち上げ時期については、立ち上げのものについては、できるだけ早い時期に立ち上げを目指して準備を進めたいというふうに思っております。

 その前に、これも繰り返しでございますけれども、復興本部としては、基本方針の策定、全体の復興に要する概算の決定、復興特区の法案の制定作業、それから自由な交付金の制度設計等々、そしてさらには土地利用計画に向けてのさまざまな作業、策定に向けての一定の指針となるような指針づくり等、さまざまな作業がございまして、そういった全体の作業の中で、あわせて復興庁の制度設計もしながら法案を策定していくということになるかというふうに思います。

 したがいまして、先ほどほかの委員との議論の中で、例えば今国会での復興庁の法案提出といった御提案もございましたけれども、なかなかそれは難しいのではないかということも申し上げました。しかし、復興庁というのがこれからの復興の大きな司令塔になる組織でございますから、この立ち上げについてはできるだけ急ぎたいという思いは強く持っているということでございます。

吉泉委員 被災地の各自治体の方からこういう話がなされております。今回の大震災、余りにも広範囲で、そして甚大である、まさに国家的な危機だ、こういう立場に立って対応してほしい。そして、確かに、財政面の中において、先般、財政援助及び助成に関する法律等々が成立をして、そしてかさ上げされたわけでございますけれども、それだけで各自治体が対応できない、もっとしっかりしてほしい、こういう声も出されているわけでございます。

 平野大臣は人一倍東北の関係さらには被災地については明るい大臣でございますから、そんな面を含めてひとつよろしくお願いを申し上げたい。そして、一刻も早くそれぞれの中で対応してほしいし、瓦れき撤去についても、一つの省だけでなくて、横の連携を含めながら、大臣が音頭をとって速やかに進むように要望を申し上げたい、こういうふうに思います。

 それから、特区の問題でございます。

 特区については、被災地に限定をした部分の特区の手法、このことについては今の基本法に入っているわけでございますけれども、提言の中においては、それを超えた形での特区の手法、このことも提言をなされているわけでございます。

 私は、構想会議のこの提言というのは非常に重みがあるものだ、こういうふうに思っております。とりわけ、今回の震災において、太平洋側に産業さらには人がそれぞれ集中をしていく中で、日本海側と太平洋側、この部分の一体となった東北の復興、このことが今求められている、こういうふうに自分自身思っております。

 提言の中には、確かに、物流と、この一つの関係の中で東北一体、こういう立場での提言がなされておるわけでございますけれども、全体的に東北一体で復興そのものをやっていく、そういう視点について、大臣としての考え方をお伺いさせていただきます。

平野国務大臣 今回の震災によって太平洋側の港湾機能が一時的にストップしてしまった、今その復旧過程にございますが。それにかわる措置として、日本海側から、例えば家畜のえさについては運んでいただいた、大至急運んでいただいた、そういう中で、この東北というのはやはり一体だなという感じを私自身も改めて持ちました。

 今、東北、被災地は太平洋側に集中しておりますけれども、いろいろな物流という観点から見ますと、特に東北は密接に結びついている分野が多いというふうに私も認識をしております。そういった観点からすれば、復旧復興はやはり被災地が中心になりますけれども、同時に、特に物流という点一つとってみても、関係するいろいろなところにきめ細かく配慮しながら復旧を進めるという観点は、これは私も大事だというふうに認識をしております。

吉泉委員 この特区の関係でございますけれども、これからの進め方、さらには基本方針等々含めてこれは進んでいくんだろうというふうに思っていますけれども、その中で、今、提言に出された漁業権の問題、これは農林大臣の方から答弁がなされました。しかし、この漁業権、特に一つの浜に二つの管理体が出てくる、そういう一つの大きな問題がやはりあるんだろうというふうに思っております。

 大臣としては、慎重に、そしてまた、各県段階さらには浜の状況を含めて対応していきたい、こういうふうな答弁であったわけでございますけれども、この提言に盛られた中身、この部分について、大臣としての考え方をちょっとお伺いさせていただきます。

平野国務大臣 今回の提言でございますけれども、もう委員御案内のように、漁業権には、定置漁業権、特定区画漁業権、そして共同漁業権、三つがございまして、その中で特定区画漁業権については順位づけ、定置漁業権も順位づけがされておりますが、それよりもさらに細かく、特定区画漁業権、これは基本的に養殖でございますけれども、設定されておりまして、ここはかなりきちんとした提言がされておりまして、「具体的には、地元漁業者が主体となった法人が漁協に劣後しないで漁業権を取得できる仕組みとする。」という、かなり詳しい、きちんとした書き方がされております。

 現在の順位づけがされているということについては、もうこれは委員は重々御承知のことかと思いますけれども、漁業権をめぐっては、長い歴史、長い今までの議論の経過がございまして、浜の秩序ということをよく漁師の皆さん方はおっしゃいます。その秩序を踏まえた上での体系になっているんだということでございまして、それを変えるということにつきましては、その地域のさまざまな事情等々もしっかり踏まえる必要があるというふうに思っております。

 ただ、こういうふうに復興構想会議でも提言されたということでもございますので、基本的には、まず大事なことは、地域の意向、地域で合意をつくるということでございますが、その合意をつくる段階において、例えば、国も中に入って一緒に協議をする、あるいは調整をするということが必要だということであれば、積極的に出ていって調整に当たるということもあるのではないかというふうに思っております。

吉泉委員 それぞれの立場で、やはりこれだけ多額の被害が出された中で、どういうふうにして立ち上げていくのか、一次産業、さらには漁村をどう復興させていくのか、そういう立場でのそういう提言だろうというふうには思っております。しかし、やはり、現にやっている組合なり、さらには漁師さんの方から反発を買う、こういう状況であってはならぬ、こういうふうに思っております。そんな面では、大臣の方から、それぞれの考え方等含めて、農林水産大臣との関係もあるというふうに思っておりますけれども、よろしく御指導の方を含めてお願いを申し上げさせていただきます。

 もう時間がありませんので、最後になります。福島の問題でございます。

 今、吉野さんの方から大変重みのある質問なり、そして答弁がなされたんだろうというふうに思っております。

 そして、復興会議の提言の中においても、福島さらには東北の中に、それぞれ、再生エネルギーの産業の集積、さらには研究機関等々についてきちっとやっていくべきだという提言がなされております。東北、まさに風の問題、さらには太陽の問題、地熱、波力、いろいろな、やはり東北は再生エネルギーの宝庫だというふうにも思っております。

 そんな面で、提言がなされた、そのことを受けながら、大臣としての、この集積等に対する提言、このことに対して見解を求めたいというふうに思います。

阿久津大臣政務官 復興構想会議の提言、七原則の中にも、「自然エネルギー活用型地域の建設を進める。」とあります。再生可能エネルギーの導入促進は、エネルギー源の多様化、地球温暖化対策、新規産業並びに新たな雇用の創出等の観点からも、東北の復興において極めて重要であると考えております。

 また、東北地域は、先ほどおっしゃったように、太陽光発電や風力発電、地熱発電やバイオマス、さらに小水力発電等の再生可能エネルギーの潜在的可能性が極めて高いというふうに考えております。復興構想会議の提言においても、東北の復興において、再生可能エネルギーと、それを活用した地域エネルギーシステムを先導的に導入すべきとされており、政府としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

吉泉委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 平野復興担当大臣の御就任に当たっての所信に対する一般質疑ということでございまして、改めて震災復興のかなめの御重職を担われることに大いに御期待を申し上げたいというふうに思います。

 大臣は岩手県選出であって、被災地の土地柄、被害の甚大さが肌で感じられる方であるかと思います。ぜひ被災地のため、また被災者のために頑張っていただきたい、こう思っております。

 きょうは、復興関連でもう一つ、いわば抜てき人事がありましたので、その方の御出席をお願い申し上げております。浜田総務大臣政務官であります。

 浜田政務官は、もともと鳥取県選出の自民党参議院議員だったわけですけれども、菅総理によりますと、浜田議員は震災復興に力を発揮したいという思いを強く持っていた、だから復旧復興にぜひ携わってほしい、こういうことで総務大臣政務官に就任してもらった、こういうことであります。

 私は自民党じゃありませんので、別に、自民党から一本釣りしてけしからぬとか、与野党の信頼関係を損なうとか、そういうことを批判したいというふうには思っておりません。ただ、復興担当政務官と称されたように、このような極めて重要なポストにつかれるわけですから、ポストにふさわしい見識を持ち、ポストにふさわしい仕事をしていただきたい、こういうふうに思っているわけなんです。

 平野大臣にまずお伺いしたいと思うんですけれども、平野大臣は、浜田政務官がどのような方で、どのような個性を発揮して、どのような仕事を復興において担ってもらうことを期待していますか。お尋ねを申し上げたいと思います。

平野国務大臣 浜田政務官とは今回の人事によってお会いしたということでございまして、実は、先週から浜田政務官とはいろいろ打ち合わせをしようということで日程調整をしておりましたけれども、なかなかかなわず、きょうから浜田政務官とも打ち合わせをしながらいろいろ仕事を進めようと思っております。

 その中で、浜田政務官は非常に国際経験が豊かでありまして、海外でのいろいろな震災、災害に対しての対応等々についての知見も集めている、豊かであるということを聞いております。そうしたものを浜田政務官からしっかり聞き取りまして、その中で有用なものにつきましてはこれからの復旧復興計画に役立てる、そういうことでやっていきたいというふうに考えております。

柿澤委員 今聞きますと、平野復興担当大臣は、復興担当政務官として自民党から一本釣りをされて政務官に就任をした浜田政務官、きょうで就任から十五日目、二週間以上経過をしているわけですけれども、いまだ復興担当大臣と復興担当政務官は日程調整がかなわずに打ち合わせも一回も持たれていない、こういうことだというふうに御答弁がありました。ちょっと驚きのことであります。復興対策本部のラインでは浜田政務官とはやりとりが事実上なされていない。

 それでは、御自分が所属をしている総務省においてどうか、こういうことなんですけれども、私は総務委員会に所属をしているんですが、総務省における浜田政務官の所掌事務を書いたペーパーをもらって、ちょっと驚いてしまったんです。

 総務政務官というのは三人いまして、内山、逢坂、森田政務官が職務分担していたんですけれども、辞任した内山政務官の職務は、今、逢坂政務官がすべて引き継いで、いわば二人分の仕事を逢坂政務官が背負っている状態です。人事行政、行政管理、行政評価、統計、地方行政、地方財政、地方税制、消防、全部逢坂政務官の所掌事務ということになっております。

 一方、浜田政務官が担っているのはどんな所掌事務かというと、東日本大震災復興対策本部との連絡等、大臣の指示する特定の政策及び企画に関すること。東日本大震災復興対策本部との連絡、これ以上の明確な所掌事務はないわけであります。その復興対策本部の担当大臣と浜田政務官が二週間以上も打ち合わせすらできていない、これは本当に驚きであります。

 さらに言えば、片山総務大臣は、浜田総務政務官について、就任について感想を求められて、総務省の直接の仕事をしていただくわけではないので私の方で特段の感想はないと極めて冷淡に突き放しているんです。事実上、総務省内ではやることがない状態ではないですか。そして、復興対策本部とは全くやりとりがない。

 これでは本当に、浜田政務官は全く、政務官といっても、具体的には何の役割もない、機能しない、いわばお飾りのポストに座っているだけではありませんか。御答弁ありますか。

平野国務大臣 まず、浜田政務官には、復興本部の関係閣僚あるいは中心スタッフが集まっている会議、これは定期的に開催しておりますけれども、これにはずっと参画して、御意見もいただいております。

 それから、浜田政務官の名誉のために申し上げますけれども、私が大臣を拝命しまして、副大臣のときは直接の接触はなかったんですが、大臣を拝命して翌々日には、早くいろいろお話をさせていただきたいという要望を強く受けていました。ただ、こちらのスケジュール、予算委員会等々の日程もございまして、そのスケジュールがかなわず、きょうまで延びたということが事実でございます。

柿澤委員 私は、復旧復興を政治主導で力強く進めていくべきときに、総務大臣政務官のポストを実質的に一つ減らしてまでつくったポストがこれでは、松本前復興大臣の発言以上に、これは被災地と被災者に対する冒涜ではないかと思いますよ。こんなことだから、菅総理は政局のために復興にかかわる重要ポストをもてあそんだんだ、こんなふうに言われてしまうんだというふうに私は思います。

 浜田政務官、六月二十七日に御就任、その後十五日間、二週間以上、どんなことをやってこられたのか、そして御自分の任務が何にあるのか、ぜひお答えをいただきたいと思います。

浜田大臣政務官 お答えいたします。

 私は、菅総理から何を一番求められたかと申しますと、今の復興のために日本が力を合わせることは当然ですけれども、海外、国際社会から寄せられている善意、そして具体的な、瓦れきの処理や塩害対策、そういう申し出を現地のニーズとうまくマッチングさせる、そのことによって国難状況を一日も早く乗り越える、そのための枠組みをつくるという使命をちょうだいいたしました。そして、総理補佐官とともに現地を訪問し、瓦れきの状況、そして塩害や漁港の厳しい状況を見ました。

 実は、三月十一日以降、数多くの、アメリカや中国、オーストラリア、ロシアといった国々から、具体的な形で、被災地の復興のために役立てる技術を提供したい、人も、そしてお金も出したいという話が来ていました。そういうものをしっかり受けとめて、現地とのニーズと合わせる、そのことを今、精力的に取り組んでいる最中であります。

柿澤委員 浜田大臣政務官、まさに被災地の復興に強い思いを持っているということで、国際的なさまざまな知見や申し出、こうしたものを復興に生かしていく、自分はその役割を担っていくんだ、こういう思いを語っていただきましたけれども、政務官は、御就任後、一度被災地に足を運んでおられると思いますけれども、三月十一日以降、さまざまな海外からの声が寄せられる中で、御自身が東北地方の被災三県に三月十一日以降で足を運ばれたということが何回あったんでしょうか。

浜田大臣政務官 お答えいたします。

 一度もございません。しかし、私は、東北地方には数多くの友人、知人がおります。そういった方々からさまざまな情報を得ておりましたし、何も、被災地の選出の国会議員でもない立場上、現地に必ずしも足を運ぶこと自体が役立つことか、ということではないという判断でありました。

柿澤委員 今の答弁を聞いて、野党の皆さんのみならず、与党の皆さんもどう思われたか、感想を聞いてみたい気がいたします。

 先ほど来、平野大臣もおっしゃっておりましたし、御自身でも自負をされておられるようですけれども、国際経験豊かなところで、海外の震災の経験なども情報を集めておられて、独自の考え方をお持ちのようだ、この経験や人脈などを活用して震災復興に役立てていただきたい、平野大臣は大略そんなお話をされたと思います。

 鳥取県の地元紙、日本海新聞のインタビューでも、浜田政務官は就任に当たっての経緯を説明されておりまして、枝野官房長官から、菅総理の意向で私の海外の人脈やパイプを生かして国際的な震災復興への協力体制を築いてほしいと言われたと説明しておられます。海外の人脈、パイプ、前職は国際政治経済学者でいらっしゃるわけですから、こうしたことがおありだということは、まあそうなんでしょう。

 そこで、浜田政務官の国際政治経済学者時代の論文をきょうは資料として配付させていただきました。「スマトラ沖地震に隠された仰天情報」、私なりに要約すると、アメリカが気象コントロール技術の研究をしていて、二〇〇四年のインドネシア・スマトラ沖地震と巨大津波も、アメリカの開発した地震兵器、津波兵器が引き起こしたものである疑いがある、文字どおり、仰天するような内容がここに書いてあります。

 資料の三枚目、「アメリカの思惑」として、地震と津波の襲ったこの地域は熱烈なビンラディン支持者が多い、東ティモールの独立勢力も一掃された、アメリカの石油資本にとって、長年の敵が消滅し、願ってもない自然災害だったと書いてある。最後には、悪の枢軸国に対しては地震や津波兵器を使うこともいとわぬアメリカ、こういうふうに書いてあります。

 浜田政務官がこのような発言をしたり論文を書いたりしたのは、一度や二度ではありません。いわば浜田政務官の持論であり、信念であると言って差し支えないと思います。

 こういう方を公認して選挙に擁立した自民党もなかなか勇気があるなというふうに思いますけれども、菅総理に至っては、この海外の人脈やパイプを生かして国際的な震災復興の協力体制を築いてほしい、何をどうしてほしいというんでしょうかね。正直、スマトラ沖地震と津波はアメリカの地震・津波兵器のしわざだと言われたら、国際的な震災復興の協力体制といったって、むしろ、アメリカだって、こんな人を登用するなんて日本国政府は何を考えているんだと思われてしまうのではないかというふうに心配をいたします。

 どう思われますか、浜田政務官。

浜田大臣政務官 お答えいたします。

 地震兵器とか自然改変装置というのは、別にアメリカだけではなくて、旧ソ連、今のロシアも、中国も、多くの国々が研究開発に余念なく取り組んできた事実があります。しかも、地震あるいは津波を人工的に起こすということは実は技術的には十分可能だと言われているのは、国際政治、軍事上においては常識化されているわけであります。そういった意味で、スマトラ沖の問題にしても、そういう可能性があるということを十分踏まえた上で世界の国際政治の現実ということをとらえる必要があるというのが私の基本的な考え方であります。

 だからといって、そのことによってアメリカ政府やアメリカのさまざまな企業が日本のために援助をしない、そんなことは決してありません。現実に、さまざまなアメリカの軍の関係の技術、国立のさまざまな研究所から、今回の大震災に関して技術的な協力をしたいという申し出が寄せられているという事実があるわけであります。

 以上です。

柿澤委員 日本政府の一員の方がこのような答弁をされるということに、私はいささか驚きを覚えてしまいます。先ほど平野大臣自身がおっしゃられた、この経験、知識、知見をまさに震災復興に生かしたい、こういうことを平野大臣は言ったことになってしまうわけです。

 先ほど申し上げたとおり、浜田政務官の総務大臣政務官として与えられた仕事は、唯一、復興対策本部との連絡、これだけですので、この方を通じて総務省と連絡をとり、復興に当たってのパートナーとして仕事をしていくわけであります。

 平野大臣、この御発言をどう思われますか。私は率直に、御感想というか感懐をお伺いしたいと思うんです。

平野国務大臣 先ほどの柿澤議員のこの論文に対する御指摘、それから、それに対する浜田政務官の答弁、少なくとも今回の震災復興には全く関係のない話だというふうに思います。

柿澤委員 四カ月たっても、まだまだ避難所の問題や、あるいは、きょうは本当は石巻の学校給食の問題なども取り上げたかったんですけれども、本当に震災からの復旧も復興も満足に進んでいない、こういう中で、復興担当政務官という名のもとに引き抜かれた方が、総務省でも復興担当本部でも、事実上、居場所もなく、何の機能も果たしていない、これでいいのかと私は申し上げたいというふうに思います。

 この人事に関して極めて強い疑問を呈して、時間が過ぎておりますので、質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

黄川田委員長 次に、内閣提出、原子力損害賠償支援機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房原子力発電所事故による経済被害対応室長北川慎介君及び文部科学省大臣官房政策評価審議官田中敏君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柿沼正明君。

柿沼委員 民主党の柿沼正明でございます。

 原賠機構法案質疑のトップバッターを務めさせていただきます。若干概括的な質問も多くなると思いますが、よろしくお願いします。

 まず、この法案は、原賠法、原子力の損害を定めた一九六一年にできた法律がある中で、この新しい法律をつくると。

 そもそも、原賠法の三条では、異常に巨大な天災地変によって生じたものであればこの限りではない、この限りではないというのは、原子力事業者の賠償する責めに任じないということが、これはただし書きですけれども、書かれております。それを受けて、三月末には、民間のメガバンクが東京電力に対して約二兆円の融資を行ったわけであります。私も関係者からも聞きましたけれども、これは勝手に解釈したと言えばそれまでですが、金融機関の方では、当時はもしかしたら、東京電力の関係者も、この三条ただし書きは生きている、こうこれが解釈されるんだという思いもあったのではないかと思います。

 一方で、実は、きょうは文科省の方に来ていただいていますけれども、三条の本文と十七条に基づいてこの法律をつくったんだろうと思います。

 多くの人が最初のころに言っていましたけれども、この地震はマグニチュード九。恐らく、地球上で起こるマグニチュードは最大でも十ぐらいです。世界で四番目に規模の大きかった地震、これが異常に巨大な天災地変ではないという判断に基づいて三条の本文をとって、そして十七条に基づいてこの法律をつくる、その判断に至った経緯について文科省にお尋ねしたいと思います。

田中政府参考人 お答えをいたします。

 原子力損害の賠償に関する法律第三条第一項ただし書きには、先生御指摘のとおり、異常に巨大な天災地変についてという文言がございます。この文言につきましては、昭和三十六年の法案提出時の国会審議におきまして、人類の予想していないような大きなものであり、全く想像を絶するような事態であるというような説明がなされているところでございます。この趣旨は、原子力事業者にそのような責任を負わせることが余りにも過酷な場合以外には原子力事業者を免責しないという趣旨であるというふうに理解をしているところでございます。

 このような理解を踏まえまして、文部科学省としては、今回の福島原子力発電所の事故につきましては、過去の事例あるいは現在の科学的知見ということも踏まえまして、この第三条第一項ただし書きではなく、原子力事業者が責任を負うべきであるとする三条一項の本文、これを適用するということを前提に対応を進めているところでございます。

 また、先生御指摘の十七条ということがございました。多分これは十六条ではないかと思いますが、十六条の「国の措置」というのは、ただし、原子力事業者がその責を負うようなものを超えるような場合については国が援助を必要に応じ行うというふうに書いてございまして、十七条はただし書きのことについての措置ということでございますものですから、第三条本文と十六条ということで今回の機構法ということの経緯があるというふうに理解をしているところでございます。

柿沼委員 ありがとうございます。

 いろいろ難しい話をされているんですけれども、ちょっと一言だけ、巨大な天災地変、何か例がありますか。

田中政府参考人 たしか、チリの地震でありますとかアラスカの地震でありますとかというのは九を超えるような地震であったかなというふうに思います。今ちょっと数字は、持ってはきたんですが、どこにあるかわからないんですけれども、四つほど、九を超えるような地震というのが、人類が経験をしてきた地震というところでございます。

柿沼委員 この三条ただし書きが適用になる事例をお聞きしているんです、チリの地震とかじゃなくて。まさか、チリの九・三はよくて、この九・〇はだめなんですか。

田中政府参考人 国際的には、それぞれの各国の事情に応じて原子力損害賠償法の規定がございます。この三条ただし書き、こういう書き方をしてございますのは、日本の原子力損害賠償法ということでございます。

 原子力損害賠償法が適用されましたのは約十年前のジェー・シー・オーの事故一件限りでございまして、今回が二件目ということでございますものですから、ただし書きが実効上発令されたというのはこれまでございません。

柿沼委員 これ以上やってもちょっと神学論争にもなりますけれども、三条のただし書きが適用されるのはどういう場合か、今回のが使えないんだったら、どういうことがあるのかということを聞きたかったんです。ちょっとお願いします。

黄川田委員長 質問者に的確に答弁してください。

田中政府参考人 恐縮でございました。

 三条ただし書きが使用できる場合として、具体的にはということで、昭和三十六年当時、関東大震災の三倍から四倍程度の地震ということでございましたけれども、それは当時の知見において関東大震災の三倍から四倍ということでございました。これが現時点についてどのぐらいのものかというと、関東大震災の三倍から四倍というのは、通常経験し得るような地震だろうというふうに思ってございます。

柿沼委員 ちょっと長くなり過ぎますけれども、恐らく関東大震災はマグニチュード七・八ぐらいですかね。これは九ですから、マグニチュード一上がると三十倍以上になりますから、そのくらいの、これはただし書きに規定されることなんじゃないかなと思います。ちょっと神学論争になるのでやめますけれども。

 党の部会でもいろいろ議論が出ました。これは本当に民間会社である東京電力に、一義的にという言葉もありましたが、責任を押しつけるようなことでいいのか、これは国の責任がもっと明確に示されなくちゃいけないんじゃないかと。

 これだけの天災地変がありました。ただ、この原子力の政策というのは、別に東京電力が進めてきたわけじゃありません。日本国政府として戦後ずっと進めてきたことであります。去年のエネルギー基本計画でも、原子力を重要なエネルギーと位置づけて推進を図ろうとしてきた。その政府の責任というのは、やはりこれは事業者と共同責任としてやらなくちゃいけないんじゃないか、こう思うわけであります。

 この原賠機構法案の中で国の責任が明確に示されているとはこの段階ではちょっと思えないのではありますが、これは運営委員会で決めるんでしょうけれども、この法案を通じてどう国の責任を果たそうとしているのか、ちょっと教えていただければと思います。

海江田国務大臣 柿沼委員にお答えをいたします。

 柿沼委員の御指摘のような議論もございました。しかしながら、今答弁がありましたように、結果的に、三条ただし書きはこれを採用しないということでございますので、私どもは、閣議決定の際に、これは政府の支援の枠組みの中で、政府としても、原子力事業者と共同して原子力政策を推進してきた社会的責務を認識しているという文言を記述いたしまして、そして、これを踏まえて、今般、迅速かつ適切な損害賠償の実施に万全を期するため、必要な資金を供給するための支援を行うという形で私どもの責任を明らかにしているということでございます。

柿沼委員 大臣、ありがとうございます。

 国も責任をある程度感じながら、この法案の中で、援助という形で交付国債を出すとか、それを無利子にするとか、まさにこの機構をつくること自体が、その意味では、国が責任を引き取ったことでやっていくということだろうと思います。

 この法案の六十五条に、いわゆる真水を入れられると読める条項もございます。今のスキームでいきますと、まだ総額がわかりませんけれども、ちまたでは五兆円を超えるんじゃないか、一部マスコミでは十兆円を超えるんじゃないか。もしそういう大きな金額になったときに、原子力事業者、東京電力プラス八事業者ですか、これでこれを賄っていく。十兆円だったら、今想定されている年間の負担金は四千億円ぐらいですかね、それで十年で四兆円です。十兆円ということになると二十五年かかるわけです。その総額が今第三者委員会の方でいろいろ調査されているわけですけれども、その金額次第では、この六十五条の発動は考えられるんでしょうか。

海江田国務大臣 六十五条の規定では、事故の発生により負担金の額が著しく大きくなって、その結果国民生活などに重大な支障が生じるようなケースでは、例外的に、政府が機構に対し、予算で定める額の範囲内において、事後の国庫納付を前提としない資金の交付ができるという規定がございます。

 では、その損害賠償金の金額が、今委員御指摘のように十兆円になったらなのか五兆円になったらなのかとか、そういうことは、今の段階、まだ損害賠償の金額全体がはっきりしていない段階ではお答えをすることはできませんが、先ほどお話をした条件のもとで、例外的に、そういう国庫納付を前提としない資金の交付ということも書かれてございます。

柿沼委員 ありがとうございます。

 六十五条の規定は、ある程度、エネルギー政策のあり方ですとか賠償の総額ですとか、いろいろな諸条件の中で柔軟に対応いただけるというふうに私はお聞きしましたので、これはすぐ三次補正ということじゃないでしょうけれども、一年、二年で、附則六条では見直し条項もありますので、そういう中で議論をまた国会の場でさせていただいて、ぜひ、これは日本全体の産業活力にもかかわってきますし、非常に大事なものですので、柔軟に検討いただければというふうに思います。

 次に、中身も少しお聞きしたいと思います。

 その根幹をなすものは、資金援助の方法が二つ法案には書かれておりまして、通常の資金援助と特別資金援助。恐らく、いろいろな原子力事業者に負担を求めるのが通常の資金援助で、一種これは将来の原子力事故に備えた相互扶助的な、保険的なものであろう。特別資金援助というものは、まさに今回の東京電力の事故にかかわる援助金というふうに推定します。というのは、法案に明確には書いてありませんで、法案を読む限りは、交付国債で機構が調達する場合を特別資金援助というふうに書かれております。

 それでは、どういう場合に交付国債で調達するのか、したがって、特別資金援助になるのか、そこは明確な区分はあるのでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございました、通常の資金援助それから特別資金援助の違いでございます。

 この機構は相互扶助という考え方を基本にしてございますけれども、まず通常の資金援助、これは、国から交付国債の交付を受けることなく、参加している事業者の相互扶助により対応が可能な場合でございます。

 一方、御指摘の特別資金援助でございます。これは、原子力事業者間の積立金では足りずに、大規模な災害ということで政府から交付国債の交付を受ける必要がある、こういった場合において実施される資金的な支援でございまして、国の支援の度合いがより強くなるものでございます。

 こうした性格上、特別資金援助を受けるに当たりましては、原子力事業者は、経営合理化あるいは経営責任の明確化を明記した特別事業計画を作成いたしまして、主務大臣の厳正な査定を受けた上で認定を受けるということにしてございます。

 以上でございます。

柿沼委員 余り明確には書かない方がいいのかわかりませんけれども、何か明確なお答えは聞けなかった感じでございます。でも、これは運営委員会でしっかりとチェックをして、経産省でもチェックをして、しっかりと運営していただきたいというふうに思います。

 機構のキャッシュフロー、運営の方もお尋ねしたいと思います。

 機構の資金は、この特別じゃないものは、政府保証借り入れ、政保債によって調達します。それを原子力事業者に、この場合、多分東電だと思います、これは明確に書いていないんですけれども、この時点で、政府保証借り入れや政保債で調達するその資金は、少なくともこの一、二年で、この賠償総額、四兆円か五兆円かわかりませんが、これに一たんは使い果たすということでよろしいでしょうか。そして、その後、原子力事業者、まあ東京電力は特別負担金なんでしょうけれども、各事業者から後で、これは返済じゃないんでしょうけれども、負担金として受け入れをする。

 キャッシュフローとしては、当初、機構は、調達したものをぽんと東京電力に渡して、被害者に賠償する、その後、十年ぐらいにわたって原子力事業者から受け入れていく、私はこういう理解で、この法案を読む限り、感じております。

 そうなると、万が一の事故に備えた保険機能として、他の、東京電力以外の事業者が支払う負担金は恐らくその借入金の返済ですとかそういうものに充てられて、これは積立金としてしばらく、十年ぐらい残らないんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっとその辺、キャッシュフローを教えてください。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 お金の流れは二つございます。

 一つは、直ちに損害賠償に充てる資金でございまして、これは交付国債によりまして、現在、二次補正で二兆円のお願いをしてございますけれども、これを直ちに東京電力が用いまして損害賠償に充てるということでございます。こちらのお金の流れにつきましては、先生御指摘のとおり、後ほど負担金という格好で各電力会社から国庫納付されてくる。これは大変大きな時間のずれがございます。今回の機構は、このずれを利用してお金を回していくというものでございます。

 もう一つの流れは、東京電力が設備投資あるいはプラントの収束ということに使うお金でございまして、これは政府保証借り入れ、有利子で行います。これは市中から政府保証で借り入れて行うという別の流れでございまして、それはまた別の考え方でございます。

 以上でございます。

柿沼委員 事故に備えた保険的な積み立てというのは、今お答えにならなかったんですけれども、それはあるんでしょうか。それであれば、多分、経理上の区分というのは本来必要な気がするんですね。そうじゃないと、どんぶりでいろいろな勘定から資金が融通されていってしまうわけですけれども、ちょっとそこのところを教えてください。

北川政府参考人 失礼いたしました。

 今の負担金の積み立てでございます。これにつきましては、当初は東京電力の資金援助あるいは国庫納付に充てられますので、積立金というものは発生いたしません。これはまた賠償金全体で管理をすることになります。

 一方で、これは先ほど申し上げた設備投資用の資金とは別でございます。

柿沼委員 これは、勘定を区分するといろいろな問題が起こるとか、明確なお答えはいただけませんでしたけれども、いろいろ問題があるんでしょうから、また多分あした以降、きょうも私の次の方も質問すると思いますけれども、明確にしていっていただければと。

 ちょっと時間がないので、次に移りたいと思います。

 電気料金に転嫁されるのは一般負担金、これは事業コストに含められるということであります。この一般負担金について、電気料金に転嫁できるということになった場合に、もちろん電力事業者もリストラもすればいろいろなことをやるんでしょうけれども、今この段階で、政府として、どのくらいの電気料金の引き上げになるか、家庭であればどのくらいか。

 私自身も金融機関出身なもので、自分で試算しましたら、二千億円ずつと四千億円、十年かけて負担金として払う場合は、家庭料金で月百二、三十円、そのくらいの引き上げにはなるんじゃないかと思っていますけれども、政府はどういう計算をしていますか、教えてください。とりあえず四兆円の場合。

北川政府参考人 御答弁申し上げます。

 今の一般負担金につきましては、これは、原子力事業者の相互扶助機能を維持するための事業コストとして料金原価に含まれるものであると考えてございます。

 しかし、電気料金の引き上げ、これは各社さんの経営判断に基づくものでございますけれども、今のところ、各社の経営努力によりまして、電気料金を極力上げずにこのスキームを維持するという考え方で認識をしてございます。

 したがいまして、委員御指摘のような損害賠償を幾らと仮定するかということには当面かかわりませず、電気料金が実際にどれぐらい上昇するかということは、今申し上げたような合理化努力というのを考えますと、現時点で確たることを申し上げることはできない状況にございます。

 いずれにいたしましても、電気料金の値上げを行うに当たりましては、経済産業大臣の認可ということでございますので、非常に厳格な審査が行われるものと考えてございます。

 以上でございます。

柿沼委員 ありがとうございます。

 電気料金には簡単には転嫁できないようにいろいろ経産省の方でも管理していただくという御答弁だったと思います。

 次に、特別資金援助。今回、東京電力では間違いなく、今、北川審議官からもお話がありましたとおり、この特別資金援助をやると。その大前提は、これは海江田大臣が五月の段階で、すべてのステークホルダーの協力を求めるという内容でありました。実は、これは金融市場も巻き込む非常に大きな話だと思っております。

 まだ政府の支援の内容は、羅列的に法案では書いてありますけれども、もう巷間いろいろ言われておりますから、それについてちょっとお尋ねします。

 まず株主。この法案の大前提は、東電は債務超過ではないと。債務超過ではないということは、資産超過ですよね。ということは、株主の株式の価値はゼロより上なんだろうということですね。そうすると、株主にはどういう負担を求めていくのか。巷間言われているのは、政府は株式の引き受けができると書いてありますので、大幅なダイリューションをやって、政府が株を引き受けてダイリューションして株の価値を調整するということが言われておりますけれども、それはそういう方向なのかどうか。

 そして債権者。債権放棄は、これは債務超過じゃないのに、株主がまず一番劣後するものですから、そこがゼロではないのに債権者に負担を求めるというのは非常に無理があるし、ある意味、金融機関の側でも株主代表訴訟も含めて非常に厳しい、そういう話になるんだろうと思います。

 もちろん、債務超過の前の累欠状態で、金利を減免するとか返済スケジュールを長引かせるとか、デット・エクイティー・スワップといいまして、債権を株式にするとか、そういうやり方はあると思うんですけれども、この段階でどういうふうに政府として、まあ、言えないことはあるかもしれませんけれども、言える範囲で、この段階で想定されることを、決めつけでなくても結構ですから、教えてください。

海江田国務大臣 株主、これもステークホルダーでありますけれども、すべてのステークホルダーの協力を求めるということでございますが、一つは配当の問題があろうかと思います。その期間がどのくらい続くかということはまだ今の段階で申し上げるわけにはいきませんが、やはり賠償をしっかりやっていくという中から、なかなか配当は厳しい状況になろうかと思います。

 それから、今幾つかお話にありましたけれども、例えば優先株などを発行することにより株主の一株当たりの権利が希釈をされるということもあろうかと思います。

 それから、債権放棄ということでございますが、これについてはいろいろな議論がございましたけれども、私どもの正式な表現というのは、すべてのステークホルダーに協力を求めるということでありまして、特に債権者の中で、今電力債の問題もありましたけれども、あと、広義の債権者ということになりますと当然金融機関も入りますから、その金融機関などの債権者に対して特にどういう協力を求めたかということは報告をいただくということになっておりまして、直ちに債権放棄をしてくださいというようなことは私どもからは申し上げません。

 まさに、市場が今大変ナーバスと申しますか、そういう時点でございますので、そういう市場に与える影響というものを十分考えて、そしてこの法案の審議、そしてこれを成立していきたい、こう考えております。

柿沼委員 丁寧な御説明をありがとうございます。

 民間と民間の取引ですから政府がどこまで口を出せるかという問題もあろうかと思いますけれども、大体、債務超過じゃなくて、この機構で東京電力を会社として存続させていく、その中でしっかりと被害者への賠償をしてもらって、そしてこれからの、恐らく中長期的なところまでは東京電力にエネルギー政策を担ってもらおうという御判断でこの法案になっているものというふうに思います。

 そこで、最近、一部マスコミなどで東京電力を法的整理すべきだというような話も聞かれております。そのことについて、どちらでも結構なんですが、その社会的コスト、どのくらいあって、だからこれなんだということをおっしゃっていただければと思います。

海江田国務大臣 これは柿沼委員よく御案内のとおり、社会的コストということの中に、これはかなり広義な考え方でございますので、先ほどの債権の順番がございまして、やはり今回のこの機構法案は、原子力災害によって被害を受けた方たちに迅速にかつ適切にその損害賠償を行うということが目的でありますので、先ほどの社債の保有者と損害賠償の請求権の保持者との間でいきますと、社債の方が先になってしまって、そして賠償請求権の保持者が劣後をしてしまいますので、そういうことがあってはいけないということも今回法的整理の道をとらないということの一つの理由でございます。

柿沼委員 もう時間になりましたので、最後の御質問をさせていただきます。

 これから原子力の損害賠償を、東京電力その他の原子力事業者も含めて、長年にわたって、ある意味延々と、恐らく、二千億円とか一千億円とか、事業者によって違うでしょうけれども、支払いを続けていくということになると思います。

 一方で、菅総理が話をされていますけれども、これから脱原発で、言ってみれば、もう原子力の新設、増設は世論上もかなり厳しいという状況の中で、新たな再生可能エネルギーをふやしていくとか、エネルギー政策が転換されていく流れの中にあります。

 エネルギー政策の転換をしようというときに、エネルギーの中の一つの根幹である電力業界がこういう負担を延々と続けていくことは、エネルギー政策の転換のある意味の足どめになってしまうんじゃないか。ちょっとそこが、もっと全体的な計画が欲しいなと。エネルギー基本計画の見直しも含めて、この夏と言っても間に合わないでしょうから、秋口ぐらいまでにはその新しい大きなエネルギー政策の方向性を政府としてつくっていただければということ、これは、御質問じゃなくて、お願いとして話をさせていただきます。

 時間になりましたので、終わりたいと思います。ありがとうございます。

黄川田委員長 次に、長尾敬君。

長尾委員 民主党の長尾敬でございます。

 きょうは、歴史あるこの第一委員室で初めて質疑に立たせていただくことを大変光栄に思っております。

 七月の十一日ということで、発災以来四カ月、節目でございますので、改めて、亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、また一日も早い被災地の方々の、決して特別ではなく、ごくごく当たり前の普通の日常生活が一刻も早く戻されることを、この復興委員の一人としてお誓い申し上げたいと思っております。

 私ごとでありますが、民間企業に勤めまして、転勤族で十七年、思い出の最後の勤務地が福島県でございました。当時の上司や部下、また取引先のお客様と、よもや震災の対応ということで十数年ぶりにお目にかかるとは思わず、私も、大阪出身の議員ではありますが、被災地の皆さんの心をしっかりと受けとめながら、今この場に立たせていただいております。

 地震、津波、そして今回は原子力事故並びにその風評被害ということで、まさにこの機構法案は、被害者への迅速かつ適切な損害賠償のための万全の措置を目的とする。国会の原子力災害に対する対応というのは、被災地の方々はもとより、もちろん風評被害を受けられている方々、そして全世界が注目をしていると私は思っております。まさにその渦中にいる自覚を持って、その職責にかかわるすべての者が職責の恐れというものをひしひし感じながら取り組んでいかなければならないと思っております。

 まず、経済産業大臣にお尋ねをいたします。

 先ほど柿沼委員のお話にもありましたように、昨年の六月に、二〇三〇年度までに新規の原子炉を十四基以上、依存率五三%というエネルギー基本計画を決定したわけであります。これは一つの節目として、エネルギー政策は前政権時代に粛々と進められたものではあるけれども、一たんこれを継承したということであれば、現政権も過去の政権も、将来にわたって、過去に対して責任追及をともに共有する議論でなければならないと私は思っております。

 同様に、今回の原子力事故に接して、今度は国と事業者の責任のあり方についてもそういった観点で議論をしていかなければならない。国の責任の明確化、国と原子力事業者の責任の負担のあり方について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 長尾委員にお答えをいたします。

 私も長尾委員と同じ考え方を持っておりまして、私どもは政権を引き継いだわけでございますから、それは従来の政権与党の進めてきたこともやはりしっかりのみ込んで、そして今後の対応に努めなければいけない、これが基本的な考え方であります。

 それぞれの時点で、特に民主党になりましてから昨年のああした新しいエネルギー基本計画がございましたけれども、私どもは、特に地球環境の観点、これが、私どもに政権交代してから鳩山総理も二五%のCO2の削減ということがあって、そこで新たにアクセルを踏んだということが、やはり大きな流れからいうとその流れではないだろうか、そういうふうに思っております。その意味では、政権交代しましてからも国策としてまさにこの原子力政策を進めてきたわけでございますから、それ相応の責任は負わなければいけない。

 ただ、先ほども御答弁申し上げましたけれども、今の原賠法の枠組みの中では、第一義的には、これは事業者である東京電力に責任がある。しからば、その国策として進めてきた社会的な責任をどうとるかということにおいて、先ほどお話をしたような形で、まず枠組みをつくって、しっかりと資金のショートをさせないように援助をする。それから、それでもなお足りないときには、これは返していただかなくて結構ですよという形での交付を行う。そういう形で、私どもの現時点での責任のとり方があろうかと思っております。

長尾委員 大臣の、目をぐっと私を見詰めたそのひとみの中に、本当に誠実な答弁をいただきました。ありがとうございます。

 今質問をしようと思ったんですが、間違いなく、原子力政策を推し進めたのは政府であります。そして、政策の安全基準を決めたのも政府であります。それを認めたのも政府であるということで、原子力政策は国策であったという御答弁をちょうだいいたしました。結局は、ならば責任の負担が明確であるべきだという課題認識をいただいているということは、今の答弁でよく理解をすることができました。

 原賠法についてちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。原賠法の目的をお答えください。

高木国務大臣 長尾委員にお答えをいたします。

 委員お話しのとおりに、民間の保険会社にもお勤めになられて非常に詳しいと承知をしておりますし、また、東北で勤務をされたということで、今回の災害については殊のほか強い救済の思いがあろうかと思っております。

 今、原子力損害賠償法についてのお尋ねがございました。

 この目的は、言わずと知れた被害者の保護と原子力事業の健全な発達、これが目的とされております。

 そういう中で、この法律は、無過失責任と責任の集中ということ、それから無限責任、こういう原則にのっとっております。原子力事業者に厳格な賠償責任を負わせる一方で、国は、賠償額が原子力事業者の講ずる賠償措置額を超えて、かつ、被害者の保護等の目的の達成のために必要と認められた場合には、原子力事業者に対して必要な援助を行う、こういうことになっておりまして、その責任のあり方、分担のあり方については法に明らかにされておる、こういう認識でございます。

長尾委員 ありがとうございます。

 昭和三十六年につくられた法律でありますが、実は、今大臣の方から御説明をいただいた内容について、私はこれはどうしても、国と事業者の責任のあり方というのが明確であるという印象を全く受けないんですね。

 ちょっとその前に、今回の事故以前に、これまでこの原賠法が適用になった事例について、また、その支払い金額を教えてください。

高木国務大臣 過去の事例であります。

 民間責任保険による保険金が支払われた実績といたしましては、平成十一年に発生いたしましたジェー・シー・オーの臨界事故がございます。

 ジェー・シー・オーは、最終的に総額約百五十四億円の賠償金を被害者に支払っておりますが、そのうち、ジェー・シー・オーが行っていた濃縮ウラン加工事業に対する当時の賠償措置額十億円が保険金として損害保険会社からジェー・シー・オーに支払われた、このように承知をいたしております。

長尾委員 資料をちょっとごらんいただきたいんですが、先ほど大臣の方からお話がございましたように、この法律の原則には、無過失責任、責任集中、無限責任という三要素があるわけですが、実は、私はこの無限責任という部分がどうも腑に落ちないんですね。

 仮に有限という議論を始めた場合には、それは損害賠償を前提、想定するという話になってくるわけですね。つまり、原発にはリスクがある、事故を前提としているということになる。ちょっとうがった見方をいたしますと、当時、恐らく、風潮として原発は絶対安心、安全という理論構成にとって、著しい障害になったのではないかとさえ考えたくなるわけであります。

 今までのようにリスクが顕在化していないときは、そのメリットを国と事業者で享受をして、残念ながら起こってはいけない今回のような事故が起きたときに、急に国が事業者に対して責任が回避できるようなふうに当時原賠法は成立させられたのではないかな、私はそう思ってしまいます。

 当時、なぜ無限責任になったのか、有限であるべきだというような議論はなかったのか。また、諸外国、例えばアメリカでも結構ですので、どういうような形になっているのか、御答弁ください。

高木国務大臣 既に委員も御承知だと思いますが、我が国の原子力損害賠償法は、先ほど私が申し上げましたように、無過失責任、賠償の責任の集中、それから被害者の賠償措置に上限を設けない、いわゆる無限責任を原則としております。これは、万一事故の際に、被害者の救済を万全なものにしなきゃならぬ、こういうことであろう、私はそういう認識でございます。

 各国の原子力損害賠償制度を見てみますと、原子力事業者の無過失責任、責任の集中ということはほぼ共通の基本的な仕組みであります。

 その一方で、事業者の賠償責任、賠償責任金額の上限の有無などについては各国の政策的判断であろうと思っておりまして、例えばアメリカやイギリスについては有限責任となっておりまして、この委員会の中でもたびたび御議論もございました。もちろん我が国がそうですが、ドイツやスイスについては無限責任となっております。

 事業者の責任を有限にするという考え方、これも一つの案だと考えられますけれども、まず国が無限責任をとることになりますと、当然にして国民負担ということがふえてまいります。その一方で、事故を起こした事業者は、財政的な余力を有する事態が生じかねないとも限らない、こういったこと。あるいは、原子力事業者の規模が多様でありまして、想定される損害も極めて多様であります。

 確かに安全神話というのがございましたが、今回は、本当に残念ながら、起きてはならない事故がありました。そういう中で、適切な限度額の設定が、どこを限度にするかという設定が極めて困難であった、そういうことがある点で慎重な検討が必要であろう、私はこのように考えております。

長尾委員 ありがとうございます。

 今、限度を推定するのが非常に困難であったという御答弁をいただきました。私も、恐らくそうなんじゃないかなというふうに思っております。

 ただ、もう一歩踏み込んで申し上げますと、はっきり言えば事故を想定していなかったんじゃないか、そこまで私は言いたくなる思いであります。

 この資料の中ですが、民間保険契約と政府補償契約、いわゆる自動車保険で言う自賠責、任意保険、どっちが自賠責かというのはおいておきまして、原子力損害賠償責任保険、これは先ほどの、ジェー・シー・オーの事故で支払われた事業者と民間損害保険会社の契約であります。あと、事業者が支払う保険料というのは、この場合、民間保険会社が事故を想定して損害賠償額を推測して、これを逆算して保険料を定めていく。

 ちなみに、民間保険会社は、事故発生率に加えて、一件当たりの損害額の統計をベースに保険料を算定したり、また、よく自動車保険で無制限保険というのを皆さんイメージされると思いますが、あれは別に保険金が青天井というわけではなくて、実は、過去支払われた実損を基準として支払い限度を想定しているから、保険契約として成り立つわけであります。

 ちなみに、生命保険会社の場合は、収支相等の原則で、保険料の入り、そして出が相等になるように、加えて、被保険者の年齢、平均余命、健康診断のデータ等々などで危険選択をして支払い事由に備えている。

 何を言いたいかというと、やはりあらゆる契約、保険制度というのは事故を想定している。

 では、お尋ねしたいのですが、こちらの政府補償契約の方、事業者と政府が交わしたこの契約の保険料の算定は、どのような方法で算定されているのでしょうか。

高木国務大臣 賠償補償契約の保険料になってくるわけでございますが、原子力事業者は、法律に基づいて、原賠法に基づいてですが、一年当たり、賠償措置額に補償料率を乗じて得た額の補償料を国に納付しなきゃならぬ、こういうことになっておりまして、この補償料率は、民間責任保険における原子力リスクの評価などを踏まえまして、損害賠償措置額の一万分の三としております。

 今、賠償措置額が一千二百億円ですから、これに一万分の三を掛ければ、福島第一、福島第二、年間の補償料、保険料はおのおの三千六百万円となります。

長尾委員 リスクを踏まえてという部分でさらに質問をさせていただきたいところですが、きょうは時間の関係もございますのでこれにて終わらせていただきたいと思いますが、もう一つ、今の政府補償契約の事業者が支払った保険料は、会計上、どの勘定で積み立てられてきたのでしょうか。

高木国務大臣 補償契約分の補償料については、原子力事故に伴う損害が発生しない限りにおいては、これは先ほどのリスクとの関係でございますが、毎年度特定の支出がなくて、長期間にわたり不用資金を滞留させることに結果としてなるわけでありまして、政府補償契約に基づく補償金の収入は一般会計の歳入となっておりまして、積み立てられてはおりません。

 実際に原子力事故に伴う原子力損害が発生した際には、予備費あるいは補正予算等で臨機応変に、国の一般歳出として対応しておるというのが今の実情であります。

長尾委員 私は、保険と補償は違うということは実は百も承知で申し上げております。ただ、今の、一般会計に入っているというのはどうしても解せない部分があります。一般会計に入っているということは、事故のために積み立てられていないということになるわけです。どうせ結果的に国がどこかで支払うんだから一般会計に置いておいてもいいだろうという理屈は私は通らないと思いますので、今後、この問題については、政府として適正に対処していただけるよう強く申し入れをさせていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、先ほど柿沼委員が触れられていた三条一項ただし書きについてであります。

 やはり私は、昭和三十五年の政府答弁と矛盾はあるのかないのかといえば、あるのではないかなという印象を持たざるを得ません。ただ、百歩譲って政府の側に立って考えるならば、概要にあります一番右の部分ですね、全部事業者免責というふうにさせてしまうと、事業者のいわば責任を問うことがなくなるということになります。これもまた私は困ったことだというふうに思います。

 ならば、やはり無限責任というものを有限責任というような形でいけば、しっかりと国と事業者との明確な責任区分ができるのではないかということを御提案させていただきたいと思っております。

 それでは、機構法案の質問をさせていただきます。

 私は、この法案の目的を考えたときに、つまりは原賠法では不十分であるからという部分で、まさに万やむなしというところで、本国会で本法案は成立させなければいけないというような思いでおります。

 御質問します。この法案で言う主務大臣とはどなたなのでしょう。また、先ほどの質問と重複しますが、第一義的責任は東京電力とする根拠についてお尋ねいたします。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 この主務大臣でございます。まず、機構の主務大臣といたしまして、内閣の重要政策に関する基本方針に関する企画立案及び総合調整、これは内閣官房が担当することになってございますけれども、これを内閣官房といたしまして担当することができないということでございますので、内閣府の所掌といたしまして、この場合、主務大臣は内閣総理大臣ということになります。

 また、複数の条文においてそれぞれ所掌を決めていくという書き方になってございます。例えば特別事業計画の認可、こういったものに当たりましては、電力の安定供給と密接に関係がございますので経済産業大臣、あるいは、委員御指摘の、今御議論がありました原子力損害賠償、これにつきましては文部科学大臣ということでございまして、このような主務大臣が入ってくると考えてございますけれども、いずれにいたしましても、国会での御審議も踏まえまして所要の整理をしてまいりたいと考えてございます。

長尾委員 この機構法案につきましては、どうも私は、あくまでも国が責任を負うというのではなくて、支援をする、責務を認識するという枠組みを出ないような状況については納得できない。しかし、一刻も早くやはり損害賠償を解決しなければいけない、被災地の方々の一刻も早いという部分で、私はこの法案に賛成の方向で理解をしたいというふうに思っております。

 それで、負担金の問題についてちょっとお尋ねをいたします。

 一般負担金は、将来の大規模な原子力事故に起因する損害賠償のために使われるのか、それとも今回の東京電力の事故の賠償に充てられるのか、御答弁ください。

北川政府参考人 負担金につきまして、今回の枠組み、これは原子力事業者による相互扶助ということを考えてございます。これは、現実問題といたしまして、大規模災害が発生した場合には、単独の事業者のみでは損害賠償あるいは事後の措置に対応し切れないという現実に立ったものでございます。

 今回、一般負担金につきましても、今回の賠償に充てるということを考えてございます。もしこれをそのようにいたさないということになりますと、事故を起こした事業者に単独ですべてを対応させるということになります。そうしますと、一つは、その結果、対応し切れず、損害賠償や事故処理に支障を来すというおそれがあるということと、もう一つは会計上の扱いということでございまして、すべての債務を単独の事業者が直ちに負うということになりまして、これは企業経営上、債務超過のおそれということも十分考えられます。経営が立ち行かなくなるおそれもございます。

 こういったことを避けるためにも、国民生活、国民経済における事業者の役割あるいは責任にかんがみますと、このような、分けて対応させないということは望ましくないのではないかと考えてございます。

長尾委員 今の部分でもまた改めて時間をたくさんいただきたいところでありますが、時間がありませんので、今後の東京電力のあり方、エネルギー政策のあり方について御質問をしたいと思います。

 東京電力という企業は特異な会社であり、一民間企業であります。今回の原子力に関しては、やはり私は、事業者として万死に値する、もう永遠に補償はしっかり継続しなければいけないという部分は容易に理解することができるわけであります。

 しかし、その一方で、今例えばこの瞬間にも、電力の安定供給のために、東京電力が事業者として当たり前の日常生活を支えるために、日本経済躍進のために今まで下支えをしてきたという部分は非常に私はとうといことだというふうに思っています。

 ですから、すべての責任を押しつけていくのではない。東京電力を何かゾンビのように生き長らえさせるのではなくて、私は、厳しくある一定の償いを負っていただく部分と、先ほど柿沼委員が最後に言いたかった部分だと思うんですが、さらに社会のために役に立っていただくというような、両方、気持ちを持ち合わせています。

 いずれ遠くない時点で、私は、賠償を果たし続ける機構と、新たに電力の安定供給を担っていく機構、この二つの柱で問題解決をしていくべきだと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

海江田国務大臣 今回のこの機構法の中に、機構法の目的でまずやはり一番最初に来るのは、被害を受けた方々に適切な賠償が行われること、しかも迅速に行われること、これが一つです。

 それから二番目にありますのが、今委員からお話がありました安定供給の義務ですね。一都七県が東京電力の電気の配電を受けているわけでございます。ここにやはり安定供給をしてもらわなければいけない。

 それから三番目に、今現地で原子炉の安定のために頑張っている、これは下請企業であったり、あるいはゼネコンであったり、こういう企業がいるわけですから、やはりここに対する支払いも滞るようなことがあってはいけないということでございます。

 二番目の安定供給の中に、実は、今現在こうやって毎日毎日、毎時毎時、毎秒毎秒電気を供給するということと同時に、将来のエネルギー政策、これからしっかりと国民の皆様方と議論して決めますが、やはり将来のエネルギーに対する設備投資などもやっていただかなければいけないわけでございますから、安定供給等という恐らく表現になっておろうかと思いますが、そこの中には、東京電力自身が、新たなエネルギー源、これは主に再生可能エネルギーになろうかと思いますが、そういうところにもしっかりと設備投資はやっていただきたいということで、そのことも、私どもはそこに資金が回るような形にもしていきたいと思っております。

長尾委員 この法案、このままずっと継続的になりますと、例えはよくないのかもしれませんが、東京電力が何か終身刑に遭っているような印象がちょっとありまして、そういう会社に優秀な人材も投資などもやはりなかなか集まりづらいんじゃないかなということを気にしますし、また、そこで働く職員の方々や関連会社の方々がモチベーションがこのままずっと維持できるような形の部分も、国として対応、環境整備をするべきではないかなというふうに思っております。

 時間が参りましたので、最後に私は、被害者への一刻も早い事態の収束を最優先とするがためということで、先ほど来何度もこれを申し上げました。どうか政府におかれましては、原賠法のさまざまな疑問点、欠陥と言っては失礼かもしれませんが、十分御承知おきをいただきまして、不断の努力義務を持って、今後いずれのときにか、いわゆる安全確保、並びに、起きてはならない万が一の事故を前提とした原子力損害賠償制度の見直しを再検討していただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

黄川田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明十二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十七分散会


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