衆議院

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第12号 平成23年7月13日(水曜日)

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平成二十三年七月十三日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 柿沼 正明君 理事 後藤  斎君

   理事 橋本 清仁君 理事 藤村  修君

   理事 三日月大造君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    大西 孝典君

      太田 和美君    川口  博君

      菊池長右ェ門君    工藤 仁美君

      後藤 祐一君    斉藤  進君

      斎藤やすのり君    階   猛君

      田中美絵子君    高松 和夫君

      高邑  勉君    玉城デニー君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    橋本 博明君

      畑  浩治君    浜本  宏君

      村越 祐民君    森本 和義君

      森山 浩行君    山口 和之君

      山本 剛正君    若井 康彦君

      渡辺 義彦君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    小里 泰弘君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    吉井 英勝君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      園田 博之君

    …………………………………

   参考人

   (電気事業連合会会長)  八木  誠君

   参考人

   (株式会社東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長)         斉藤  惇君

   参考人

   (一般社団法人全国銀行協会会長)         永易 克典君

   参考人

   (大阪市立大学大学院経営学研究科准教授)     除本 理史君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十三日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     森本 和義君

  梶原 康弘君     浜本  宏君

  郡  和子君     工藤 仁美君

  近藤 洋介君     森山 浩行君

  高井 美穂君     玉城デニー君

  畑  浩治君     高松 和夫君

  谷田川 元君     橋本 博明君

  鷲尾英一郎君     田中美絵子君

  高橋千鶴子君     吉井 英勝君

  吉泉 秀男君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 仁美君     郡  和子君

  田中美絵子君     山本 剛正君

  高松 和夫君     畑  浩治君

  玉城デニー君     渡辺 義彦君

  橋本 博明君     谷田川 元君

  浜本  宏君     大西 孝典君

  森本 和義君     石津 政雄君

  森山 浩行君     近藤 洋介君

  吉井 英勝君     高橋千鶴子君

  中島 隆利君     吉泉 秀男君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     梶原 康弘君

  山本 剛正君     後藤 祐一君

  渡辺 義彦君     山口 和之君

同日

 辞任         補欠選任

  後藤 祐一君     鷲尾英一郎君

  山口 和之君     高井 美穂君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 原子力損害賠償支援機構法案(内閣提出第八四号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、電気事業連合会会長八木誠君、株式会社東京証券取引所グループ取締役兼代表執行役社長斉藤惇君、一般社団法人全国銀行協会会長永易克典君、大阪市立大学大学院経営学研究科准教授除本理史君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木参考人 電気事業連合会の八木でございます。

 本日は、このような機会を賜りまして、まことにありがとうございます。また、先生方におかれましては、平素、私ども電力会社の事業運営に関しまして多大な御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げます。

 まず、三月十一日に発生いたしました東日本大震災によって被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。また、東京電力の福島第一原子力発電所で発生した重大な事故により、地元や周辺地域の皆様はもとより、国民すべての皆様に大変な御不安と御迷惑をおかけしておりますことに、同じ電気事業に携わる者として心よりおわびを申し上げます。

 私ども電力各社は、震災後直ちに、被災した東京電力と東北電力に対しまして、広域停電を解消させるために最大限の電力融通を行うとともに、要員、資機材を全国から提供し、損壊した電力設備の復旧に努めました。

 また、福島第一原子力発電所に対しましても、震災直後に電気事業連合会内部に福島支援本部を発足させ、各社が原子力発電所に保有する放射線防護の衣服や測定機器などを大量に届けるとともに、約三百人の放射線管理の技術専門家を各電力会社から福島県に動員し、現場に出入りする作業車両の除染や周辺地域でのモニタリング、一時帰宅される方々のお手伝いなど、さまざまな支援活動を現在も続けているところでございます。

 一日も早い事故の収束と、避難生活を余儀なくされておられます方々の早期の御帰宅が実現することが大変重要でありますが、そうした中、特に重要なことは、被害を受けた方々への賠償を迅速かつ確実に行うことであると痛感しております。そのために、国による新たな支援の仕組みは不可欠であると考えております。

 また、当事者であります東京電力では、原子炉の安定冷却や放射性物質の放出抑制のためのプロジェクトを着実に進めるために、持てる力をすべて注ぎ込むとともに、代替電源や燃料の確保によって、電力の安定供給にも全力を尽くしているところでございます。これらの取り組みの重要性にかんがみ、厳しい状況の中で着実に遂行できるようにするためにも、新たな支援の仕組みが早急に必要であると考えております。

 以上、申し上げましたような状況から、今回審議されております法案につきましては、福島事故で被害を受けた方々への賠償を迅速かつ確実に行うとともに、東京電力が電力の安定供給を維持し、事故の収束作業を続けていくため、今国会で早期に成立され、新たな支援の仕組みが速やかに実施されることがぜひとも必要であるというのが、全電力会社の一致した基本的な考え方であります。

 その上で、電気事業者といたしましては、本法案の支援の仕組みの具体化に当たりまして、各電力会社のお客様や株主の皆様から御理解いただけるものとするという観点から、特に重要と考えている点を三点申し上げたいと思います。

 一点目は、電力各社が機構に参加して負担金を支払う理由の明確化であります。

 これはまさに、各社が参加する大前提となる重要な点であり、五月に決定された政府支援の枠組みの中では必ずしも明確に示されてはいなかったものでございますが、本法案では、条文によって、将来の万一のときのリスクに備え、原子力事業の円滑な運営を確保するための相互扶助の仕組みであることが規定されたと受けとめております。

 なお、本法案の仕組みが福島の事故の賠償に適用されることにつきましては、今回の事故の賠償を迅速かつ適切に行うことが、原子力発電全体の円滑な運営につながり、電力の安定供給確保に資することを踏まえますと、相互扶助という全体の考え方の中で、合理性はあるものと考えております。

 二点目は、国の責任と負担の明確化であります。

 私どもとしましては、原子力損害賠償法に国による援助が明記されていること、被災者に対する迅速かつ十分な補償が重要であること、原子力は国策で遂行されてきたことから、国の責任をより明確化して、国が福島事故に対して直接の資金負担を行っていただきたいという要望をしてまいりました。

 国による支援といたしましては、損害賠償の資金とするため機構に対しまして国債が交付されることが規定されておりますが、最終的には事業者の負担金で国債相当額を国庫へ納付する必要があります。

 国による直接の資金負担といたしましては、雑則の第六十五条に、著しく大規模な原子力損害により負担金が過大な額となり、電気の安定供給その他の事業の円滑な運営に支障を来す場合、あるいは利用者に著しい負担を及ぼす場合は、国が機構に資金交付できる旨が規定されました。

 国の政策のもとで原子力事業を進めていること、今回の福島事故が史上まれに見る巨大な地震と津波の影響によることを踏まえ、この第六十五条に基づく国の支援を積極的に発動していただくとともに、国による責任と負担をさらに明確化していただくようお願いしたいと思います。

 三点目は、電力各社の負担水準であります。

 これにつきましては、現時点で具体的な金額は示されておりませんが、三十八条で、事業者の収支状況に照らし、事業の円滑な運営に支障を来さないよう、または利用者に著しい負担を及ぼすおそれのないよう、省令で基準を定めることとされました。

 電力各社にとりましては、今後、原子力発電所の安全対策費用に加え、昨今の需給状況を踏まえた追加供給力の確保や燃料調達など、さまざまなコストが発生してまいります。我々電気事業者としては、言うまでもなく、引き続き最大限の経営効率化を進めてまいりますが、負担水準につきましては、安定供給の継続や金融市場からの信用維持にとって支障とならず、お客様や株主の理解を得られるレベルとしていただくことが必要と考えております。

 以上、三点について申し上げましたが、中でも国の責任のあり方や電力会社の負担金のあり方につきましては、今回の事故の賠償総額が見通せない中では、十分な議論を行うことが難しい状況と認識しております。しかし一方では、支援の仕組みの早急な実施が極めて強く求められていると認識しております。

 したがいまして、今回の法律を施行させた後で、福島事故が収束し、賠償総額の規模が判明した段階を一つの基準として、例えば二年後を目途に全体的な負担のあり方を検討し、見直しを行うことが非常に重要であると考えております。こうした点につきまして、ぜひ御理解を賜り、御審議をよろしくお願い申し上げます。

 次に、原子力発電に関する電気事業者としての考えを若干申し上げたいと思います。

 今後、我が国のエネルギー源として原子力をどのように活用していくかについては、エネルギー政策全体について幅広い視点から国民的議論がなされるものと認識しており、私どもといたしましては、そうした議論に真摯に対応してまいりたいと思っております。

 エネルギー自給率がわずか四%であるという我が国の国情を踏まえますと、エネルギーセキュリティーという観点が重要であり、省エネルギーや再生可能エネルギーとともに原子力についても、安全性をしっかりと確保した上で、今後とも有効活用を図っていく必要があると考えております。

 そのため、私ども電気事業者といたしましては、今回の事故から得られた反省と新たな知見を十分に踏まえて、原子力発電所の安全対策に徹底的に取り組む所存でございます。また、七月十一日に政府が表明されましたストレステストにつきましても真摯に対応していく考えであり、これらを通じまして、立地地域を初め国民の皆様の不安の解消、信頼回復に向けて全力を尽くしてまいる所存でございます。

 なお、福島第一原子力発電所の事故に端を発し、現在、全国各地の原子力発電所の多くが停止しており、この夏は全国的に大変厳しい電力需給状況となっております。皆様には大変な御不便と御迷惑をおかけしており、改めておわびを申し上げますとともに、電力各社といたしましては、節電に関する皆様の御理解、御協力をいただきながら、全力を挙げて安定供給確保に向けた取り組みを加速させてまいりたいと思っております。

 最後になりますが、我が国の安定供給確保のために原子力が重要な電源であると考えている私ども電気事業者にとりまして、今回の原子力損害賠償支援の仕組みは極めて重要なものでありますので、成案に向けましてお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、斉藤参考人にお願いいたします。

斉藤参考人 東京証券取引所グループの斉藤でございます。

 本日は、この原子力損害賠償支援機構法案の審議に当たりまして、意見を述べる機会をいただきましたことを大変光栄に存じております。本日申し上げます意見が、充実した法案審議にいささかなりともお役に立つことができればという思いで出席させていただきました。

 かつて私は産業再生機構の社長として幾つかの再生案件を手がけ、我が国の産業再生に尽力させていただきましたので、これを念頭にお呼びいただいたものかと思っております。

 ただ、あらかじめお願いを申し上げておきたいのでございますけれども、現在、私は東京証券取引所の社長として、東京市場の市場運営に責任を持つという立場にあります。本日意見を求められております法案は、私どもに上場しておられます電力会社の経営や、また投資家の投資判断に重要な影響を与える可能性が多々ありますので、かつての経験で意見を申し上げるといたしましても、基本的には一般論の域を出ない範囲のものにならざるを得ないこともあるかと存じます。この点、大変恐れ入りますけれども、あらかじめ御承知いただきたいと存じます。

 産業再生機構では、最終的には法律に基づく、強制力のある再生スキームの利用を念頭に置きながら、主には当事者間における合意に基づく民間ベースでの再生スキームを活用するということで数多くの企業の事業再生を支援してまいりました。

 今回の法案の支援スキームは、電力会社の原子力事故という、極めて特殊な事業者の、かつ極めて特殊な事故を対象としたものであり、再生機構で扱った案件の経験を当てはめられる部分もあるとは思いますが、そうはいかない部分もやはり少なからずあり、それが今回の法案の背景になっていると考えております。

 まず第一に、電力会社は、電力の安定供給の責務を負っておられる公的な企業であるということであります。さらに、地域独占で事業を行っておられますので、経営破綻して事業継続が困難になった場合には、我が国の産業界にとっても、また国民にとっても、一日もなしには暮らせないというこの事業をかわりに行える者は、今のところ少なくともどこにもいないということであります。

 第二に、法案のきっかけとなった事故は現在も収束しておらず、いろいろな形で被害を出し続けております。もともと原子力は、目に見えず、においもなく、何年の後にもならないとその被害を受けたことすらわからないという特殊性を持っておりますけれども、その事故が今でも収束することなく続いていて、こうしている今も被害は拡大し続け、人類がいまだかつて経験したことのない未曾有の事態に至っているということでございます。

 国策としてこの原子力の平和利用を進め、その恩恵を受けてきた私たちには、この巨額で長期にわたる、しかも極めて不確定な賠償債務を、将来にわたって被害者に払い続ける仕組みをつくる責務があるということかと思います。この責務は、国策の遂行を担ってきた電力会社だけが負うべき筋のものでもなければ、民間の一電力会社がまた負い切れる性質のものでもないと思います。

 第三に、原子力事故を起こした電力会社を再生するためには、再生のための事業計画を立てる必要がありますけれども、電力会社の事業は政府のエネルギー政策に負うところが非常に大きく、極端に申しますと、エネルギー政策そのものであると言っても過言ではないと思います。それが今回の事故で修正を余儀なくされているということは明らかですけれども、それではどのようなグランドデザインがあるのかというと、まだ決まったものは何もないと言っても過言ではないのではないかというふうに思います。

 詳細な事実関係を承知しているわけではありませんけれども、事業再生に携わった経験から申しますと、今申し上げましたような事情を踏まえますと、将来はともかくといたしまして、現時点で再建計画を策定して事業再生の道筋をつけるということは、極めて困難というより、不可能に近いというふうに思います。

 なぜなら、欠かすこともなく電力供給を続け、巨額であることだけははっきりしていても最終的には幾らになるか想像もつかないような、そういう賠償金を払い続ける、事業の重要な柱であった原子力発電の継続すら確たる見通しが立たないような電力会社に、民間からスポンサーがあらわれる可能性は全くないと言って過言でもないと思います。

 とりあえずは安定的な電力供給を確保しつつ、事故を収束させて賠償額の見込みが立つようにして、エネルギー政策のグランドデザインを明確にすることができるようになるということが重要であり、それまでは国以外に電力会社を支えられるところはないと思います。

 いずれ事故が落ちつき、賠償額の見通しも立ち、事業活動の将来像も描けるようになれば、その時点で、我々がやりましたダイエーやカネボウのような、合意に基づく民間ベースの再建スキームを利用することもできるかもしれませんし、昨年の日本航空のような、法律に基づく、強制力のある再生スキームを利用することができるかもしれません。

 一日も早くそうあってほしいと思いますけれども、当面は、今回の法案にあるような支援スキーム、つまり、国の支援のもとで、事故の収束、確実な賠償の実行、電力の安定供給を同時に進めることのできるスキーム、しかも、我が国の財政状態を考慮して、国家財政の負担を極力回避することにも意を用いたこのスキームは必要不可欠であるというふうに思っております。

 もちろん、一定の段階になれば、経営者や株主、金融機関を初めとするステークホルダーの責任をどう考えるか、国の責任をどう見るかといった大変重要で基本的な問題について、議論を尽くして見直すことが必要になるというふうに思います。しかし、それはそのときにこそ解決しなければならない問題でありまして、火事場でだれが悪いか言い合っていても、火は消えないどころか、見る見るうちに事態が悪化するのは、それこそ火を見るより明らかであります。

 既に、東京電力に関する経営・財務委員会では、厳正な資産評価と徹底した経費の見直しを検討しているとのことですが、これは、遠くない将来の事業再生に向けた基礎となるものになると確信しております。その日のための議論は既にもう始まっております。まずは、その日を確実に迎えるために、しっかりとした支援スキームを組んでいただけますよう、この法案の審議が尽くされますよう希望いたします。

 簡単でございますけれども、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、永易参考人にお願いいたします。

永易参考人 ただいま御指名をちょうだいいたしました全国銀行協会会長の永易でございます。

 本日は、原子力損害賠償支援機構法案の御審議に際しまして、私どもの意見を述べさせていただく機会をちょうだいし、感謝申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。

 まずもって、私からも、今回の東日本大震災により、とうとい命を落とされた方々に対して、衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々には心からお見舞い申し上げます。

 私どもといたしましては、今回の原子力損害の賠償に関する政府支援の枠組みにつきましては、先般の閣議決定にもございますとおり、次の三点を確保することが重要であると認識してございます。

 まず一つ目が、迅速かつ適切な損害賠償のための万全な措置、二つ目が、福島原発の状態の安定化及び事故処理に関係する事業者等の方々への悪影響の回避、そして三つ目が、国民生活にも不可欠な電力の安定供給でございます。

 そして、私どもは、本法案及び関連する閣議決定に盛り込まれました政府支援の枠組みが、これら三つの課題の克服に資するものとして高く評価させていただいております。具体的には、本枠組みにおいて評価すべき重要なポイントは大きく二つあると考えております。

 まず一点目は、被災者の方々への損害賠償について、原子力事業者が支払いの主体となり、政府が資金支援を行う枠組みが構築されるということでございます。

 すなわち、本法案では、原子力事業者による損害賠償を支援する組織として原子力損害賠償支援機構、いわゆる機構が設立され、大規模な原子力損害が生じた場合には、その賠償に責任を負う事業者に対し、機構が必要な資金の交付等を行うことが定められております。

 また、閣議決定では、一、援助には上限を設けず必要な金額のすべてを援助すること、二、原子力事業者を債務超過にさせないこと、そして三、東電の特別な負担金の支払いは毎年の事業収益等を踏まえて設定する等、さまざまな措置が設けられております。

 こうした枠組みは、被災者の方々への確実な損害賠償の実施だけではなく、事故処理への手当てや電力の安定供給にも大いに資するものと考えられます。

 また、現在別途御審議の対象になっております二次補正予算案では、本スキームにある二兆円の交付国債や二兆円の政府保証枠等が予算計上されており、本法案とともに早期に成立していただくことを期待しております。

 評価すべき二つ目のポイントは、原子力事業者の経営や再生計画に対する政府等の関与が明確化されている点でございます。これは、被災者の方々に対する安定的かつ確実な損害賠償の履行と電力の安定供給に資するものと考えております。具体的には、機構には外部から招聘された委員で構成される運営委員会が設置され、政府、行政の関与のもとで、原子力事業者に対する管理監督、支援を行うたてつけと理解しております。

 さらに、機構は、原子力事業者とともに事業計画を作成し、主務大臣の認定を受けた上で交付国債による特別資金援助を実施するため、原子力事業者の自助努力を含む再生計画の客観性、実効性の向上が期待できると見てございます。

 以上のとおり、本スキームは大変実効性の高いものであり、私どもは、被災者の方々に対する円滑な補償、原子力事故の早期安定化と電力の安定供給の実現には本法案の早期成立が重要かつ不可欠であると考えてございます。

 一方で、万が一、本法案の成立がおくれた場合には、我が国経済にとって三つの大きなリスクが顕在化するおそれが強いと懸念しております。

 まず一つ目のリスクは、東京電力が債務超過に陥り、破綻に向かうリスクであります。

 現在、原発事故に伴う東電の損害賠償につきましては、原子力賠償紛争審査会において種々御検討されているところであり、七月末をめどに中間指針が出される方向で検討が進んでいると認識してございます。

 しかしながら、被災者救済に向けた損害賠償額の確定という課題に迅速に取り組んでいただいている一方で、本法案の成立がおくれる事態となれば、新設される機構により損害賠償に必要な資金が援助されず、東電が債務超過に転落してしまうおそれが高いと思われます。東電が債務超過に陥ってしまった場合には、市場の信用不安の高まりから、東電が上場廃止、破綻を余儀なくされるリスクが高まることも想定されます。そして、こうした事態が現実のものとなれば、原発被害者の方々への早期補償や東電による電力の安定供給といった課題解決に大きな支障を来すのではないかと懸念しております。

 二つ目のリスクは、連鎖的に東電以外の電力会社の資金繰りに支障を来すリスクでございます。

 六月末には国内で最大規模の格付機関である格付投資情報センターが、また、七月初めにはムーディーズが、東京電力以外の電力八社を格下げいたしました。格付機関の見方といたしましては、今回の格付は、電力の安定供給とコスト競争力を支えていた原発の安定稼働が以前より難しくなってきた点、さらに、原賠法の運用が予想以上にシビアで、原子力事業者にとって万が一の際の政府サポートが必ずしも十分とは言いがたいといった見解を反映したものと認識しております。

 既に、関西電力や九州電力が予定していた起債を見送るなど、電力会社の資金調達の環境に逆風が吹きつけておりますが、足元では、このように市場の目が一段と厳しさを増しているのが実情でございます。

 この先、電力十社が、二十四年三月期には一・二兆円、二十五年三月期には一・五兆円の社債の償還が予定されてございます。巨額の償還という予断を許さない状況にあって、本法案の成立がおくれることになれば、電力業界の先行き不透明感の強まりから資金調達環境が一段と厳しさを増し、各社の資金繰りが連鎖的に悪化する可能性は否定できません。この結果、東電のみならず、日本全体の電力供給に大きな支障を生じ、我が国の復興シナリオを根底から覆してしまう懸念もあると考えております。

 三つ目のリスクは、株式・金融市場が再び低迷するリスクでございます。

 東日本大震災後、東電株は、それまでの二千百円前後から六月十日には百九十円まで下落を続けてまいりましたが、本法案及び政府支援の枠組みが閣議決定された後は、東電株が四百円台にまで回復したのを筆頭に、電力各社の株価は上昇してございます。

 こうした株式市場の回復は、本法案のスキームを市場が好感したものであり、万が一、本法案の成立がおくれる事態となれば、これまで醸成されてまいりました市場の期待感がはげ落ち、失望売りの広がりから、東電や他電力各社のみならず、日本企業全体の株価に悪影響を及ぼす懸念も否めないところでございます。

 こうした三つのリスクは、いずれも顕在化すれば、我が国の早期復興の実現に大変大きな障害となるのではないかと懸念している次第でございます。

 繰り返しになりますが、以上申し上げてまいりましたとおり、私どもは、被災者の救済や国民生活の維持には三つのポイント、すなわち、一、迅速かつ適切な損害賠償、二、福島原発の状態の安定化、三、電力の安定供給が必要であり、これを実現するためには、本法案の早期成立が重要かつ不可欠であると認識している次第でございます。

 本法案を御審議いただいております諸先生方に心から御礼を申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 次に、除本参考人にお願いいたします。

除本参考人 本日は、意見陳述の機会をこのような形で与えていただきまして、どうもありがとうございます。

 お手元に資料をお配りしているかと思いますけれども、これからその要旨ということでお話をさせていただきたいと思っております。

 私の専門分野ですが、環境経済学及び環境政策論ということになっておりまして、その立場から、きょうは二つお話をさせていただきたいと思っております。

 一つは、福島原発事故による今回の事故の被害ですけれども、これにつきまして全面的な補償を行うことが大変重要ではないだろうかということでございます。それから二つ目は、補償の財源を考える際に、戦後日本の公害問題で積み重ねられてきた経験に学んでいくことが大変重要ではなかろうかということでございます。

 早速一つ目の問題に入りたいと思っておりますが、福島原発の事故の被害ですけれども、この問題は、極めて大規模な環境汚染事件であるということであろうかと思います。この特徴をまず踏まえることが大事かなというふうに思っております。この被害ですけれども、もう御承知のとおり、広い範囲に極めて深刻な被害が生じているということであります。

 私も、先週、飯舘村の酪農家の方々に聞き取りを行ってきたのでありますけれども、家族同様に世話をされてきた牛たちを屠畜場に送るということで、非常に無念な思いをされていた。ある方は、自分はこの牛たちに対して何て罪深いことをしたのかという思いを語っておられたわけです。こういう被害が、この間も南相馬の肉牛の話が出ておりますが、事故が収束しない中で、依然として拡大を続けているということでございます。

 こういう、事故が収束しないという状況の中で先の見通しがきかないわけでありますから、被害を受けた方々は、将来に向けてどういう行動を起こしていいのかということが大変難しい事態に置かれております。例えば、避難区域にある自分の土地とか財産が今後また使えるようになるのか、あるいはもうあきらめなければならないのかということ自体がわからないということでありますから、例えば会社の経営者なんかは、将来に向けてどういう計画を立てたらいいのか、その前提になる条件自体が定まらない、そういう大変難しい事態に直面をしているわけです。

 こうした被害を受けた方々が、事故がなければ送れていたであろう生活ですとか、あったであろう仕事を取り戻していくことが、補償をするということの目的であるべきだというふうに考えているわけです。そのためには、被害補償の対象を狭く限定して線引きをしていくのではなくて、全面的に補償していくことが大変重要になるということであります。

 したがいまして、全面的な補償とは何かといえば、事故がなければあったはずの生活あるいは仕事と、事故によって、その結果としてこうなってしまっているという現状との間の差の部分をきちんと補償していくということなのではなかろうかと思います。

 こういう被害の全面補償というのは、もう一つ重要な意味を持っていまして、被害が潜在化して、隠れてしまうことを防ぐ。被害を顕在化させて明らかにしていけば何がわかるかといいますと、原子力発電の真のコストをきちんと計算できるということにもなるわけです。そういう意味からも、被害の全面補償をきちんとしていくことが大事ではないかというふうに思っております。

 それから、二つ目の問題に移りたいと思いますが、これは財源の問題にかかわることであります。

 もうこの法案の議論でなされていますように、今、総額としてどれだけの被害かということがまだわかっていないわけですが、そこの被害に対して、どこからその財源を持ってくるかということが大変重要な焦点になってきているわけです。

 この事故は、先ほども申し上げましたように、大規模な環境汚染事件でありますから、戦後日本の公害問題の経験に学んで、その教訓からどういう制度設計が大事かというポイントを考える必要があるかなというふうに思っているわけです。

 私なりに申せば、それはどういうことかといいますと、被害を引き起こした関係主体の責任をきちんと明らかにしていく、そして、その責任に基づいて費用負担の仕組みをつくることが大変重要だというふうに考えています。これがなければ、国民の納得を結局のところ得られないのではないだろうか、責任に基づく費用負担という考え方がなければ、国民の納得が得られずに、結局のところ、むしろ混乱を拡大してしまうことにもなりかねないというふうに考えているわけです。

 今回の責任ということを考える上で、まず、この事故を引き起こした直接的な責任は、もちろん東京電力にあるというふうに考えられます。したがいまして、まず東京電力がみずからの責任を全うすることが大変重要ではないかということです。これは原賠法が定めている内容とも一致するわけであります。

 東京電力の財務諸表を見ますと、今、被害は数兆円というふうに言われているわけですが、これに対して、自己資本が不足していることは明らかであります。そうなりますと、東電の経営者あるいは株主の方々というのは当然ですけれども、場合によっては、金融機関も含めた債権者も一定の負担を甘受するということが筋論としては必要になってくるのではないだろうかというふうに思われます。

 債権者ということでいいますと、被害者の方々も東電に対して請求権を持っている債権者だということが指摘をされているわけですが、これに関しては、かなり多くの方々が一致していると思いますけれども、別途保護する必要がある債権だろうということであります。

 今ここでも議論になっているのは、通常の企業の経営破綻をどうするかというような性質の問題ではありませんで、原賠法の「目的」に掲げられた「被害者の保護」という精神にのっとって、補償財源をどうやって組んでいくか、そういう政策判断の議論を今しているわけでありますから、この前提を逃してしまっては本末転倒な話になってしまいますので、被害者の債権を保護するということは前提に置いた上で、どういう形で財源調達をしていくか、その中で東電の直接的な責任というのをきちんと全うさせていく政策判断が重要になっているということであります。

 この点で申しますと、今提出をされています原発賠償支援法案の中身でありますけれども、これを見ますと、法案の前提は、国会でも議論が出ていますように、東電が補償の第一義的な責任を有することが大前提になっているということかと思います。法案の中身も、確かに、被害者に補償を支払うのは東京電力であるということなんですが、しかしながら、実態を見ますと、その原資の多くが、東電以外の原子力事業者あるいは国、こういうところから出てくることになっているわけです。しかも、それらがさらに電気料金、あるいは場合によっては税金を通じて国民に転嫁されていく可能性が残っている。

 他方、閣議決定の文書にありますように、東電の債務超過は回避すべきであるというふうにされているわけです。ですので、東電の株主あるいは金融機関の債権も、無傷ではないにせよ、守られているということになります。したがいまして、東京電力に第一義的な責任があるというように見えるんですが、肝心な部分が非常に危うい、場合によっては抜け落ちてしまっているというふうにも見える中身であります。

 では、政府は何をすべきなのかということなのでありますが、まず東電の責任を全うさせて、被害補償を進めるための手だてをきちんととっていくことが大事であります。政府の重要な役割はここにあるというふうに考えています。これは政府の責任でもあるわけですが、この間の賠償支援の議論を聞いていますと、政府の責任なのか東電の責任なのかという二項対立の議論がかなりされているようでありますが、そうではなくて、東京電力の責任を全うさせるために政府は何をするかということを考えることが大変重要ではないかというふうに思っているわけです。

 具体的には、政府あるいは何らかの公的な主体が一たん仮に被害補償を引き受けていって、その支払い分を東電の資産をもとに回収していくということが考えられるわけです。この場合、東電の資産からの回収額が、場合によっては、政府が立てかえるという形での支出に見合わない、十分でないという可能性が残されていますから、政府もある程度の負担をするという必要が出てくるかもしれません。

 この場合、責任に基づいた費用負担ということを考えるのであれば、今の法案のように、あくまで東電の支援として国が財政支出を行うというような形ではなくて、政府のこれまでのエネルギー政策を今見直すなどという議論が出ているわけでありますから、これまでの政策責任等にかかわる、責任に基づいた費用負担であるということを、きちんと明確に説明すべきではないかというふうに考えています。

 さらに、責任の問題を広くとらえていきますと、場合によっては原発メーカーあるいは電力業界全体、さらには、原発立地地域に被害を押しつけて電力を消費してきた都市住民あるいは企業といったところ、場合によっては有権者の選択というところまで、広い意味では責任が問われていくことになるかもしれません。こういう議論を今後していけば、電力使用者あるいは国民の負担というのも、単なる負担の転嫁、しわ寄せではないというふうに考えられるわけです。

 最後になりますが、補償財源の問題を契機といたしまして、これまでのエネルギー政策あるいは電気利用のあり方を問い直していって政策転換につなげていく、こういう時期に今差しかかっているのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。(拍手)

黄川田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

黄川田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤進君。

斉藤(進)委員 民主党の斉藤進です。

 本日は、大変お忙しい中、急な御連絡ではあったかとは思いますが、お出ましいただき、また貴重な御意見をいただきましたこと、まことにありがとうございました。

 一昨日で震災から四カ月が経過しました。この間、私も、岩手、宮城、福島の各被災地に赴きまして、瓦れきの撤去やヘドロの除去といった支援活動を初め、避難所のニーズや被災者、事業者向けの雇用の特例制度の運用状況、原発作業員の方々の健康管理、環境改善などの調査活動を行ってまいりました。

 さて、被災地に入った中で、原発災害の関係についてお話ししますと、四月二十二日に原発から二十キロ圏が立入禁止区域となる警戒区域が設定されましたが、その翌日に、私は福島県南相馬市に入り、地元市長の要請もあって、警戒区域内の家畜の状況を調査しました。

 ちょうどその一月前から避難指示が出ており、畜産業者の方々は一カ月間えさを上げることがかなわなかったため、牛舎の中のほとんどの牛は既に倒れて死んでおり、また、自動給餌が切れた豚舎の中では豚が共食いをしているという凄惨な状況を目の当たりにしました。家畜が死んでしまったり、放射線に影響され出荷できなくなり、自転車操業で何とか回してきた経営が完全にとまっていました。同行した畜産業者の方がもう終わりだと言ってその場に茫然と立ち尽くしている姿を忘れることができません。

 さらに、福島県内の線量の高い各地域では、十年後、二十年後、子供だけでなく大人に関しても、放射線の健康に与える影響がどのように出るのか、不安は尽きません。

 福島から遠く離れた私の地元の静岡県でも、放射性物質の影響により、お茶の出荷自粛や自主回収が行われ、かつ風評被害が深刻化しているため、農家、茶商、小売業者が苦しい経営を強いられています。

 本日は、賠償金の総額を見積もることが難しいほどの大規模な原子力損害について、被害者、被害事業者の方々へ迅速かつ適切な損害賠償を万全に行うべき原子力損害賠償支援機構法案について、皆様方の御所見をお伺いしたいと思います。

 まず、電気事業連合会八木会長に二点お伺いしたいと思います。

 一点目は、このたびの法案の審議でたびたび論点となるところでありますが、各電力会社が毎年度機構に納付する一般負担金と、機構から特別資金援助を受ける東京電力が追加的に支払う特別負担金については、機構の中において別勘定とし、今後の原発事故に備えた賠償支援と、このたびの福島第一原発の事故の賠償について分けるという案もございますが、電力会社で、置かれた立場の違いと、また、法案における相互扶助の考えを踏まえて、このようなスキームについてはどのようにお考えになっているか、お聞かせください。

八木参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。

 特別負担金と一般負担金の切り分けという御質問でございますが、これは昨日の委員会の中でも、海江田大臣の方から、東京電力が、そういうふうに分けた場合には負担することになるというお答えがあったというふうにちょっと聞いてございます。

 私どもとしては、仮に東京電力さんが破綻処理をした場合は、被害を受けた方々への迅速かつ適切な賠償が滞ることが懸念されますし、また、原子力発電の円滑な運営を通じた安定供給が困難となります。これは、ひいては東京電力管内以外の地域も含めた、我が国全体の電力の安定供給にも大きな影響が及ぶのではないかというふうに考えてございます。

 また、東京電力の破綻というのはやはり金融市場にも甚大な影響を与えることが予想されておりまして、そうしたことが、私どもの事業の資金調達を初めとした、各社の経営に大きな影響が避けられない事態を招くとも考えられます。

 したがいまして、賠償を適切に行うという観点、それから電力の安定供給に与える影響ということを踏まえますと、今回の事故処理と今後の事故の備えを切り分けるということは、私どもとしては余り望ましいことではないというふうに考えております。

 以上でございます。

斉藤(進)委員 それでは、二点目の方についてお伺いします。

 海江田大臣も衆議院本会議で明言されていたように、東京電力については特別負担金による料金の値上げはあり得ず、経営合理化努力によって捻出されるべきとおっしゃっておりました。既に経営・財務調査委員会を設置し、徹底した経営合理化が特別事業計画において定められる予定です。

 しかし、各電力会社が機構運営のために支払う一般負担金については原子力発電事業のコストとして料金原価に含まれ、これが安易に電気料金に転嫁されれば、顧客、国民の納得を得ることはできないのではないかと思われ、東京電力同様、各社、経営合理化策が求められると考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

八木参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。

 一般負担金の取り扱いにつきましては、私ども、六月十四日の閣議決定の中で、事業に必要なコストとしてこれは明確に位置づけられたというふうに認識してございます。電力各社といたしましては、これまでも同様、引き続き最大限の経営効率化を進め、そして、できる限り当該費用を吸収できるように努力してまいりたいというふうに考えてございます。

 ただ、料金につきましては、いろいろとコスト増要因あるいは収支状況等もございます。したがいまして、これは各社にてそれぞれの状況を踏まえながら、今後また検討していくことになろうかというふうに思っております。

 以上でございます。

斉藤(進)委員 次に、東京証券取引所グループ斉藤社長と全国銀行協会永易会長にお尋ねいたします。

 政府は、東京電力からの支援要請を受ける中で、東京電力に対し、かかわるすべてのステークホルダーに協力を求め、とりわけ金融機関から得られる協力の状況について政府に報告を行うことを確認しております。審議の中でも、負担、責任を求める順位は、まず東電経営者、その次に株主、そして銀行等を含む債権者、社債権者と続き、最後に国民ではないかということも問われております。

 それぞれのお立場から、これらについてどのようにお考えになるか、お伺いいたします。お二人、よろしくお願いいたします。

斉藤参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃいますとおり、債権の優先度というのは法律的に決まっているわけでありまして、エクイティーというのは最も劣後するということでありますが、法案の中でいろいろ御工夫なさったなというところは、御案内のとおり、もしエクイティー権者、一番劣後する者に完全な責任をとってもらうという形を何らかの形でとれば、シニアデットを供給している方々が先に債権回収をするという順序になっていきます。

 社債の場合は、担保も電力債の場合はついておりますし、社債権者は優先性がありますし、もちろん銀行の場合もあるわけです。一番問題は、この法律が目的とする、被災者に対する支援をしようと言っている、そこが一番劣後してしまうという問題であります。

 したがって、この法案をおつくりになった関係者の方々は、そこを非常に苦労なさったんだと理解しておりまして、一ひねりも二ひねりもしてあるなということはわかりますけれども、最もこれが国民に対してはこたえられる案ではないかと私は思います。

永易参考人 先生の御質問にお答えいたします。

 金融協力というのは、実はいろいろ多岐にわたっております。よく出てくる債権放棄という世界でございますが、これはその極にある扱いでございます。銀行にとりましては非常に重い。

 したがって、債権放棄を判断する場合には、まず、債務超過に陥った債務者さんがいらっしゃる、それと債権者、債務者の双方にそれをやることによる経済合理性がある、かつ、債務者さんが確実な再生が見込まれる、実抜とよく言うんですけれども、実現性の高い再建計画がある。いろいろな要素が整わないと、実は、金融機関が債権放棄をいたしますと、常に代表訴訟の対象になるんですね。常にそれはチェックされておりますし、それが金融のルールであるというふうに御理解いただきたいと思います。

 本件の場合は、ただいま現在、少なくとも東京電力さんからの債権放棄の要請はございませんし、今回の法案の枠組みでは債務超過にはされないというふうにうたわれておりますので、少なくとも現時点で債権放棄は我々は想定しているものではないということは申し上げておきたいと思います。

 ただ、何といっても、電力会社は電力の安定供給という重要な社会インフラを担う存在でございます。したがって、例えば三月の緊急融資、これは一兆九千億だったか二兆円だったかというところだと思いますが、こういうものは銀行界としてもできる限り迅速にこたえてまいりたいと思いますし、今後の件につきましても、電気事業法など現行法制を前提とすれば、電力会社が有する事業基盤、収益基盤は維持されていくものと考えております。したがって、各社ごとの業績動向等を見きわめながら、各社さんとの意見交換も頻繁に行い、丁寧かつ的確に、御支援というのか協力というのかは別として、おこたえ申し上げたいというふうに思っております。

 以上でございます。

斉藤(進)委員 このたびの原発災害は、現在進行形ということもありまして、まだ被害額が明らかになってはいないものの、巷間、三兆円から四兆円の賠償額が必要になるのではないかと言われております。

 原子力発電自体は国策として今まで進められてまいりましたが、事故を契機に、人が住めなくなるという放射能汚染の脅威、ふえ続ける高レベル放射性廃棄物と、気の遠くなるような無害化までに要する期間、余りにも高いバックエンド費用や廃炉にかかるコストが明らかになってまいりました。

 先日訪れた楢葉町のJヴィレッジでは、十月には被曝線量の上限を超えてしまうため、現場を熟知する班長クラスがいなくなってしまうのではないかというような懸念もお伺いしました。

 以上のことから、私は、一たん事故が起きると、その収束に国家の力を大幅に割かなければならなくなる現実を認識すると同時に、付随して起きるさまざまな新たな被害を見ると、とても人類が扱い切れるものではないのではないかと感じております。

 世論調査で明らかになりましたが、国民が原発から漸次自然エネルギーへの転換を求める現在にあって、まさにこの法案に参考人としてかかわられた皆様方全員から、今後の原子力発電はどうあるべきなのかについて、それぞれのお立場からの見解をお伺いします。

 それでは、除本さんからお願いいたします。

除本参考人 私は必ずしもエネルギー政策を専門にしてきた者ではございませんので、簡単に、一国民としての意見を述べさせていただきたいと思いますが、今、こうした事態を迎えまして、基本的に、経済学的に考えるべきだったのは、コスト計算にこういう事故の被害がきちんと考慮されていたのかどうか、あるいは経営のリスクの問題としてこうした問題をきちんと考慮されていたのかどうかということが、今改めて突きつけられているわけだと思います。

 ですから、この事故は原賠法の議論などにも今後波及していくと思いますが、今までなされてきた原子力事業を健全に、右肩上がりに発展させていくというような前提自体がそもそもどうであるのかというところの再考からしていかなければいけない、そういう時期に入っているのではないかというふうに考えております。簡単でございますが。

永易参考人 私自身がエネルギー政策に対する知見を持っているかというと、持っておりません。ただ、一国民として考える、ないしは実業家としてどう考えるかということでございますけれども、要は、よく思うんですけれども、ただいまは緊急事態であります。したがって、この緊急事態から復興というか新生日本というか、それに向けての緊急にやるべきプライオリティーの高いものと、本当に大事なんだけれども、ちょっとそれとは、並行でもいいですけれども、違う速度でじっくり検討すべきものがはっきり分かれるべきであるというふうに強く思っております。

 エネルギー問題というのは、非常に大きい、将来の日本国を規定する問題でございます。本当に本腰を入れた検討がじっくり必要だというふうに思っております。

 以上でございます。

斉藤参考人 大変難しい御質問で、私も全く素人でありまして、いろいろな御意見があるということは理解しておりますが、客観的意見だけ幾つか申しますと、私はたまたま世界にありますサステーナビリティーの委員会のメンバーでございまして、イギリスの皇太子がヘッドですけれども、今、世界の人口は六十七億でございます。四十年ぐらいで九十億になっていく。中国はそこを読んで、既にエネルギーの国家独占に入っていっております。そういう国家戦略が着々とエネルギー競争で行われている中で、日本の将来をエネルギー上どうとらえるか、非常に重要な問題だと思います。

 電力のコストが上がる、それをだれが負担するかという問題。あるいは、原子力にかわるもので、さらにコストが下がるものがあれば、これが一番いいわけでありますが、今のところ、もしなければ、電力コストが上がると全国家所得が減少いたします。

 例えば、お隣の韓国、これはいろいろお調べいただいたらと思いますけれども、電力料金について、明らかに国家が介入しております。

 そういう状況で、国際競争力を保とうという戦略を打っている国家もあるというときに、当然、こういう恐ろしい原子力にいつまでも頼ってはいけないという気持ちはよくわかりますが、同時に、そのハンドルの仕方によっては、国家国民の本当の健康的な生活そのものが全く消失するおそれもまた逆にあるということも考えなきゃいけない。幾つかの問題を同時に考えていかなきゃいけないのではないか、こういうふうに思います。

黄川田委員長 八木参考人、質疑者の質問時間が終わっていますので、簡潔にお願いいたします。

八木参考人 お答えいたします。

 原子力発電を含むエネルギー政策全般につきましては、今後、国民的な幅広い観点から議論が行われるものと私どもも認識しておりまして、私ども事業者としては、これに真摯に、また適切に対応してまいりたいという考え方でございます。

 しかしながら、私どもとしては、冒頭もちょっと申し上げましたが、我が国のエネルギー自給率が四%であるといったことの中で、今後のエネルギーの安定供給を支えていくという意味では、原子力はやはり大切な電源ではないかというふうに認識しております。

 したがいまして、私ども事業者といたしましては、今回の事故を十分踏まえた徹底的な安全対策を行うことによって、立地地域を初め国民の皆様の不安の解消あるいは信頼の回復に向けて全力を尽くしてまいりたいという考えでございます。

 以上でございます。

斉藤(進)委員 本日は、皆様方、まことに貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございました。また、原発被害の被災地そして被災者のためにも、私たち国会議員一同、全力を尽くしてまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、まことにありがとうございました。

黄川田委員長 次に、梶山弘志君。

梶山委員 自民党の梶山弘志でございます。

 参考人の皆様におかれましては、きょうはお忙しい中、当委員会においでをいただきまして、大変参考になる御意見を拝聴させていただきました。心より感謝を申し上げます。

 まず、八木参考人にお伺いをしたいんですけれども、今回の法案のスキームとして、相互扶助という概念が出てまいりました。今までの原子力に携わる事業者がともに助け合ってということだと思うんですけれども、今回のスキームを私なりに考えてみますと、大変膨大な資金が必要であるということがまず第一。そしてその次に、その資金をどう捻出するかということで、国も出しましょう、東電も出しましょう、そしてさらには、同業者である、事業者である電力会社の皆さんも出しましょうということで、相互扶助という考え方が出てまいりました。

 そして、相互扶助の考え方に基づいて、将来の事故に対する保険の仕組み、互助の仕組みということで一般負担金が出てきたものと思っております。そこまではいいんですけれども、しかしながら、先ほどお話がありましたように、東電を債務超過にさせるわけにはいかない、そのためには一般負担金も賠償に使わせてもらおうということで、附則に出てきて、遡及適用という形になってくるわけなんです。

 先ほどの質問者もお話ありましたけれども、少なくともやはり勘定を分けてやるべきではないかなとは思っているんです。これを全部一緒に出すとなると、言葉は悪いですけれども、どんぶり勘定になっていってしまう。勘定はなかなか分けられない、会計は区分はできないまでも、例えば、組織内で当然のことながら区分経理をして貸し借りを明確にするというようなことは電事連さんとしてはお考えなのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

八木参考人 お答えをいたします。

 今回の負担金の中身を分けるということの御質問でございますが、私どもとしては、今回の、将来の事故に備えた相互扶助の仕組みであるというふうなこととか、あるいは、やはり賠償を迅速かつ適切に行うということが今急務でありまして、そうしたことが今後の原子力事業の円滑な運営につながっていく、それが電力の安定供給の確保に資するということでありますので、そういう意味では、一般負担金がそういう形で使われていくということには合理性があるというふうに我々は理解しているところでございます。

 以上でございます。

梶山委員 一般負担金が賠償に使われることは合理性があるということですけれども、先ほど申しましたように、どんぶり勘定になってしまう。いずれ事故も収束をし、そして賠償の総額も見えてくる、そういった中で、この一般負担金の仕組みがずっと続くとすれば、また特別負担金の仕組みがずっと続くとすれば、どちらにどれだけ行ったというのはやはり明確にしておく必要があると思うんですけれども、電事連さんとしては政府に対してそういう要望はされていないんでしょうか。

八木参考人 お答えいたします。

 いろいろな考え方があろうかと思っておりますが、いずれにしましても、やはり被害者への迅速的確な賠償ということと、それから私どもの今後の原子力の円滑な事業運営につながる仕組みであるということが重要であると思っております。したがいまして、私どもとしましては、特段、今御指摘のようなことは電事連としては要望はいたしてございません。

梶山委員 私ども自由民主党においても、このスキームについていろいろな議論がされてきました。破綻処理をした方がいいだろう、法的処理をした方がいいだろう、いろいろな過激な意見も当然ありました。しかし、先ほどの斉藤参考人のお話のように、火事場でだれが悪いのか言い合っても仕方ないだろう、そういうことだと思うんですね。

 当面はこのスキーム、しかし、直すべきところは直して、明確にすべきところは明確にして、やはりこのスキームを続けなければならないということで、今、区分経理、内々での、組織内での区分経理ぐらいは少なくともした方がいいんじゃないかというような質問をさせていただいたわけでございますけれども、今のところ、一般負担金も、とにかく国からの交付資金も、そして特別負担金も一緒になって、とりあえず返していこう、それは被害者への迅速な賠償ということに尽きるんだというお話でした。では、現時点ではそういうことだと認識をいたしました。

 先ほど申しましたように、我が党でもいろいろな議論をしたわけですけれども、私どもは、まず第一には被害者への迅速かつ確実な賠償、そしてその次が電力の安定供給、並んで日本経済の安定、この三つを命題にしてこの議論を進めていこうということで、今、党の意見をまとめつつあるところであります。

 この中で、金融市場への影響ということがたびたび論じられてきたわけであります。東電さんの株主が非常に多いこと、ですから株式市場への影響があるということ。また、銀行業界の方に関しては、融資残高がたくさんあるということ、さらには、三月にはまた追加融資もされているということ。また、社債市場における電力債の割合が非常に多くて、今後の社債市場に対する影響が出てくるのではないかという懸念。また、証券市場には全般的な影響があるやもしれぬということではありますけれども、それよりも何よりも、まずは被害者への賠償が第一だということで、このスキーム、今、火事場という前提でこういうことにしたわけであります。

 ただ、次の段階、またその次の段階というふうに事故も収束をしてくると思いますし、賠償の総額も見えてくると思うんですけれども、そういった際に、一般論としてで結構ですから、金融市場への影響というのは、斉藤参考人、そして永易参考人はどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

斉藤参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、例えば株式市場では、先ほどお話がありましたけれども、東電さんは今、株主が七十四万六千九百人、大変な株主でありますけれども、この九九%が個人株主であります。みんな、退職後、リタイア後の配当でいこうかという非常に、我々は、バイ・アンド・ホールドという、何もプレーをするんじゃなくて、非常に健全な株主さんたちがしっかり株を持っておられて、二千百円前後だった株が、今でも四百三十円前後、一時は百四十八円まで下がる、八割暴落しております。多大なる財産を既にもう、評価上ではありますけれども、株主は毀損しておられるということも事実であります。

 また、先生御指摘の債券市場の方も、先ほどもお話がありましたけれども、東京電力さんのシェアは非常に高くて、電力債全体は十三兆八千億ぐらいでございますが、東電さんだけで四兆七千八百億出しておられます。これが償還が来るわけですが、今回の件で、電力債だけで申しますと、去年は四月―六月の間で七千億ぐらい発行がありましたのが、ことしは沖縄電力が百億発行しただけであります。

 こういうふうに、はや金融市場そのものの萎縮が起こりつつありまして、海外がこれをしっかり見ておりまして、日本の金融市場は、直接東京電力さんだけのせいではないわけですけれども、今回の災害をきっかけとして、中国や韓国やほかの市場に比べてもう対象にならないのではないか、こういうふうな空気が出てきておるということであります。

永易参考人 お答えいたします。

 若干、斉藤さんとダブるかもしれませんけれども、現実に金融マーケット、いろいろな、株の世界、社債の世界、通常の貸し出しの世界等々ございますけれども、やはり相当の影響をもう既に受けておりますし、さらに、この法案、冒頭陳述でも申し上げたとおり、順調に成立していただかないと、あらしが相当吹く確率が高いというふうに思っています。

 現実に株の世界でも、私どもは、株式も相当程度保有させていただいておりますので、それは当然のことながら、八分の一になれば、当然、強制減損です。だから、もう損が出ております。

 そういう世界はもう抱えつつ、実は、東電さんの金繰りというのは、一番大きいのは社債で、次はCPというのがありまして、借り入れというのは本当は少なかったんです。五、三、二ぐらいのイメージだったと思います。

 それが、ちょっと危機的な状況になりますと、直接金融の世界はとまります。それはもう現実にとまっております。株でも調達できない、社債でもだめ、CPでもだめというふうになると、もう緊急融資という形で、先ほどちょっとお話しした二兆円というのが出たわけでございます。これが次第に、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、各電力会社さんにも波及しているというのは非常に恐ろしいことだし、それに向けて我々も全力で、支援という言葉が当たるかどうかは別ですが、お貸し出しを続けていくという循環になるかと思います。

 したがって、こういう緊急事態のときには我々は精いっぱいのことをやって、平常時に戻れば、社債も出せるし、CPも出せるという循環に早く戻ってくれれば、巡航速度になるし、それが日本経済全体にも非常にいい影響を与えるというふうに思っておる次第でございます。

梶山委員 除本参考人にお伺いをいたします。

 先ほどのお話、補償の対象が全部だというのはそのとおりだと私も思っております。これからいろいろなところで風評の話が出てきたり、風評といっても実害なんですね。ですから、こういったものをでき得る限り、最後の一円までと言うとオーバーかもしれませんけれども、やはり補償をしなくちゃならないという考えは同じであります。

 昨日の委員会で私も質問をさせていただいて、そして、例えば茨城県、福島県の隣ですけれども、二百十三億、正式に請求が出ているんですけれども、支払われているのは十八億、仮払い率は八・五%だということで、とてもとてもこれじゃ追いつかないねという中で、私どもが仮払い法案を出したり、そして今回の法案でそれを補ってもらったりということで、やはりできるだけ早く払ってほしいという思いなんです。

 先ほど斉藤参考人から火事場の話がありましたけれども、火事場の仕組みとして、とりあえず、除本参考人は先ほど、一たん国が引き受けて、その後に東電との清算、また違う形での清算というようなお話をされたんですけれども、今、やはり国が引き受けるべきだというお考えなのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

除本参考人 全く御指摘のとおりでありまして、今緊急に資金繰りの手当てなどをしなければならないのであれば、これはやれる主体というのは政府なわけですね。しかも、政府もこれまでの原子力政策に責任を負っているということも踏まえて、そうした仮払い等の当面の資金繰りの仕組みをつくるのであれば、これは大変積極的に見るべきことではないかというふうに考えております。

 当面の資金繰りの問題と、最終的にどうやってその費用負担をいろいろな主体に帰着させていくかという問題は分けて考えてもいいのではないかなというふうに考えております。

梶山委員 全体の考え方が同じかどうかはわかりませんけれども、国策として進めてきた、そのためにやはり国がきちっと責任を持っていくべきだというのは、私もそのとおりだと思っておりますし、これからもそうあるべきだと思っております。

 先ほどの話に戻るんですけれども、一般負担金の勘定を分けるべきだということで、電事連の八木参考人に回答をいただきました。これも一般論で結構なんですけれども、斉藤参考人、永易参考人、それぞれのお立場で言える範囲で結構ですので、こういった性格のものは勘定を分けるべきなのか、それとも、これも火事場だということで許されてしまうのかどうかわかりませんけれども、どうすればいいのか御示唆いただければと思います。

斉藤参考人 お答えいたします。

 一言で申しますと、当事者、各電力会社がそれでアグリー、合意だとおっしゃるのならば、それはそれでいいんだと私は思います。

 もちろん、法案を拝見いたしますと、保険的でありますけれども、かなり互助会的なにおいがします。もっとも、その裏にはちょっと法的な準備がありますので、これは恐らく代表訴訟の回避というふうなところで、いろいろ苦労してつくっておられるんだと思います。

 それが互助会かというのはあるかもしれませんけれども、しかし、現実論は、先ほど話しましたように、原子力ということになりますと、東電で起きたことがすぐ、浜岡とか佐賀とか、全電力に及ぶわけでありますので、今回、東電だけがたまたまこうなりましたけれども、本来はこういうものは先にもともとあるべきだったものがなかったわけなので、当事者同士がこれでいいんだとおっしゃるのならば、私は、もうそれでよろしいのではないか、こういうふうに思います。

永易参考人 お答え申し上げます。

 今回のスキーム、ベースのところは預金保険機構の考え方に立脚しているのかなという感じがします、もちろん違うところもありますけれども、互助会的な要素もそうですし。

 十四、五年前でございましたか、我々が本当に、バブル崩壊後の金融危機を日本国だけが迎えて、十年ぐらいストラグルいたしました。そのときの一般勘定という懐かしい名前があるんですけれども、これは、ピークは四兆円ぐらいの赤字を抱えながら金繰りだけつけていたという世界が、実は、ことしの三月に黒字転換したんです。本当に我々としてはうれしいんです。ある面では互助会でございましたが、実際は、〇・〇一二%の通常の預金保険機構の考えだったんですけれども、あのときにはいろいろな損が出ましたので、そこに先に発動したものだから、一般勘定が四兆円ぐらいの赤字を抱えてしまった。それを十四年ぐらいかけて実は終わったのが、感無量なタイミングであります。

 したがいまして、勘定の名前はいろいろあるのでございますけれども、あのときも一気に七倍ぐらいに保険料を上げてやりましたけれども、みんなで協力してこれをクリアしようということであれば、私はそんな詳しいことはないんですけれども、考え方としては、電事連さんの御意見どおりということではないかというふうに思います。

 以上です。

梶山委員 利害関係者、ステークホルダーの責任のとり方ということも、私は、段階的に、どの段階かでとらざるを得ないと思いますし、この法律の中にも、四十四条の中に、特別事業計画の中で「関係者に対する協力の要請その他の方策」ということで、融資に近いものがされるときにはそういったことが要請されるということで、それも認可の要件になろうかと思います。

 あと、最後に一点触れておきたいのは、この法律にも、見直し事項、検討しますよという事項が入っておりますけれども、原賠法自体が、この事故を経て役に立たないものになっているのではないかなと思われる部分もあるわけでして、この見直しの前に、やはり原賠法も見直していくべき時期だと思っております。昭和三十六年にできて初めての適用が十二年前のジェー・シー・オーの事故、それで掛金を上げて、政府補償のお金も上がったわけですけれども、それでもとてもとても追いつかないような状況になっている。また、免責の問題もある。

 そういったことも含めて、ぜひ、参考人の皆様には、これからもそういった法律面でのアドバイスもいただければなと思っています。私の意見としてとどめさせていただきます。

 ありがとうございました。

黄川田委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 参考人の皆様、本当にきょうは、お忙しい中、まことにありがとうございました。

 大変貴重な御意見もいただきましたので、きょう御開陳いただいた御意見を参考にしながら、少々質問をさせていただきたいと思います。

 今回の三月十一日の大震災からもう四カ月が過ぎたわけでございます。御存じのように、地震と津波、そして原子力の事故。地震、津波のところは、いろいろありますけれども、復旧復興に向けて前を向いて進んでいける。しかし、原子力の事故の問題については、まだ収束をしておらない。そういう中で、被害を受けられた方に迅速に、適切に賠償していく、こういうことでこの法案が提案をされているというふうに私は思っております。

 その中で、法律というものは、何のために法律をつくるのかということが当然あるわけであります。ですから、特に「目的」のところに一番端的にあらわれていると思いますけれども、ここには、原子力損害の賠償の迅速かつ適切な実施、電気の安定供給その他原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保を図る、もって国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資することを目的とすると。

 私は、この目的には全く賛成でございまして、この三つの点をしっかりとやるためにも、皆様の御意見をぜひ参考にさせていただきたいというふうに思っております。

 私は、順次お聞きをしたいんですが、八木参考人にまず先にお伺いしたいことがあります。

 参考人は、陳述の中で、いわゆるエネルギーの自給率は四%だ、こういうお話がございました。実は、私は農林水産委員会にも所属をしておりまして、食料の自給率四〇%、これで大変だという議論はいたしますけれども、エネルギーについてはその十分の一しかないと。意外とこのことが国民全体の中には理解がまだされていないのではないか、こういうエネルギーの自給率四%ということをもっともっと私たちは真剣に考えていかなきゃならないのじゃないか、私はこのように思っております。

 その点で、八木参考人として、このエネルギーの自給率四%、この問題について今後どういうふうにお考えになっているのか。法案そのものとはちょっと外れるかもしれませんが、エネルギー全体の問題として、電事連の会長としての御所見をお聞かせいただきたいと思います。

八木参考人 お答えを申し上げます。

 エネルギー政策全体は、恐らくこれからいろいろ国民的な議論が行われると思いますので、私どもとしてはそれに真摯に対応してまいる、基本的な考え方はそういうことでございますが、やはりこの自給率を上げるということになりますと、一応原子力も純国産エネルギーというような位置づけでございますし、あるいは再生可能エネルギーというのもそういうことになると思います。

 したがいまして、今後、将来のエネルギー安定供給を支えるためには、安全の確保というのは大前提とした上で、従来から言われております安定供給あるいは地球温暖化問題への対応、そして経済性、こうしたことを踏まえた上で、原子力、再生可能エネルギーあるいは省エネ、こういうものをベストミックスした形を志向していく、そういう中でいかにこの自給率を上げていくかということを念頭に置きながら考えていくべきではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

石田(祝)委員 引き続いて、斉藤参考人にお聞きしたいんですけれども、陳述の中で、本法案は極めて特殊な事例のことである、こうお話しになって、三点、四点かな、お話をなさったと思います。

 その中で、いわゆる政府のエネルギー計画、これがはっきりしないと再生のための事業計画というのは立てられないじゃないか、そういう趣旨のお話があったというふうに思います。

 現在、エネルギーの基本計画は、原子力を五三%にするという閣議決定がなされて、それはまだ変わっておりませんが、総理が、それを白紙から考える、こういうふうにおっしゃっているんですが、具体的な姿はまだ見えてきておりません。

 こういう中で、再生のための事業計画というのはなかなか立てにくいんじゃないかというふうに私も思うんですけれども、この点について、政府のエネルギー計画というものがなければどうしても事業計画は立てられないものかどうか、その点、お聞かせいただきたいと思います。

斉藤参考人 国際的な状況を見ておりますと、やはりエネルギーというのは、国家が、表に出ているところもありますけれども、裏でかなりしっかり政策を打っているということは間違いないことだと思います。

 もう既に日本で起きていますように、エネルギーに対していささか値段の問題、量的な問題で不安定さが出てきていますと、もう大型中小企業さんを初めどんどん日本を出ていっております。そしてまた、海外の方は、この機会とばかり、安定的なエネルギーをお約束するというようなことで日本企業をどんどん勧誘するという動きも出ておりまして、結果的には、失業者の問題ですとか賃金の問題ですとか、日本そのものの経済力のところに及ぶ問題だと思います。

 エネルギー政策というのは、私は非常に原点ではないかと。アメリカであっても、もちろん先生御存じのとおり、フランスあたりは全く表へ出してきているわけでありますけれども、非常に重要な政策で、この政策が見えない中で、きょうの話は法案の話ですから先にやるにしても、御指摘のとおり、どうあるべきかというのは、二、三年してからでしょうか、ぴしっとやらないといけないんじゃないか、こういうふうに思っております。

石田(祝)委員 それでは、永易参考人にお聞きをいたしたいと思いますが、いろいろと、この法案については早くやってほしいということは、きょうの意見陳述、また、そのほかいろいろなところのインタビューも読ませていただきましたけれども、あるところによれば、この法案の成立というものが金融支援の一つの条件だみたいなことも書かれているところも、私が拝見したものには、ちょっと違っているかもしれませんが、私の受け取りとしては、そういうものもあったように思いました。

 そういう中で、成立がおくれると三つのリスクがあるんだと。債務超過、それから連鎖的に他の電力会社への影響、そして株式・金融市場に影響、こういう三つのリスクがあると。

 私も全くそのとおりだというふうに思っておりますが、特に金融界として、この三つのリスクは全部そうだろうと思いますけれども、永易参考人として、この点がという、三つそのもの全部だと思いますけれども、特にこれだけはというもの、このリスクだけは絶対回避しなくちゃならない、こういうものは何かございますか。

永易参考人 お答え申し上げます。

 三つのリスクと述べさせていただきましたが、これはドミノなんですね。だから、一番のポイントは一番であります。東京電力さんがまずスタート台で債務超過に陥らざるを得ないというところから始まるドミノでありますので、そのスタート台をとめれば、二、三は、ほかの要因でリスクが生じることはございますけれども、この問題から行くリスクとしては、最初をとめれば大丈夫というふうに理解しています。

 したがいまして、まず出だしのところで、東電さんの、処理という言葉は当たらないと思いますけれども、今回の法律を通していただいて、そういう事態が生じないということを確保していただくというのが一番であり、スタートであり、ある面ではすべてかもしれません。

 以上です。

石田(祝)委員 これからお聞きしたいことは、八木参考人、斉藤参考人、永易参考人、それぞれ同じ質問でお答えをいただきたいと思います。

 今回の賠償支援機構法案のスキームでは、東京電力は特別負担金、それから、ほかの原子力事業者は、沖縄電力を除く電力会社等でしょうか、一般負担金、これが一つの機構の中にそのまま一緒に入ってくる、それが合わさったもので支援して東電を債務超過にしない、こういう仕組みだと私は理解しております。

 私が一つ危惧しますのは、例えば、私は高知県なんですけれども、四国電力というところが大変高い割合で原子力発電、電力全体について持っているわけです。そういう、ある意味でいえば、自分のところと直接関係ない、過去の不幸な今回のような事故そのものに対してお金を出すということ、これは、将来的にお互いに応援しようやということは株主も皆さん理解できると思うんですけれども、なぜ過去のものについてやらなきゃいけないのか、それも、違う地域での災害である。こういうことで、私が危惧するのは、万々が一、お互いにということでやったことがかえって変な結果になったら困るんじゃないのかと。

 ですから、私は、これは個人の考えということで申し上げたいと思いますけれども、明確に勘定を分けて、過去のものと将来のものと二つにしておいて、しかし、その将来の相互扶助のところのお金を今回の事故について貸し付けをする、そして一体となって債務超過にしないようにしていく。しかし、それはだんだんと後で返してもらって、将来的には、今回の事故が収束をして賠償のすべてが終わったときに、それ以降は、貸し付けてもらったものに対して、相互扶助のある意味で財布ですか、そういうところに返していく。こういう形をとった方が明確になるのではないか、こういうふうに私は個人的には思っております。

 その会計の切り分けがこれからの今回の法律の修正の大きなかぎになってくるんじゃないかな、こういうことも私は考えておりますが、それぞれについてお三方から御意見をいただきたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 まず、東京電力以外の電力会社も負担をするということにつきまして、私ども一応理解をしておりますのは、やはり今回の事故の賠償を早期に、かつ確実に実施をしていく、そうしたことが今後の原子力発電の円滑な運営につながり、これがひいては電力の安定供給の確保に資するということでございますので、確かに、将来の事故に備えた相互扶助の仕組みであるということもあわせてありますが、負担金を今回の賠償に使っていくということについては、一定の合理性はあるというふうには理解をしております。

 ただ、会計的なことにつきましては私どもよくわかりませんが、いずれにしても、我々の原子力事業の円滑な運営につながる仕組みであるということが大事でございますから、そういう観点から御検討いただければありがたいと思います。

 しかしながら、この負担水準について今明確になされておりませんので、私どもとしては、こういうスキームではあるものの、やはり具体的に、私ども電力会社のお客様とか株主の皆様に御理解いただけるということが大事でございますので、できますれば、そういったところのレベル感などの御配慮などもいただければありがたいというふうに考えております。

 以上でございます。

斉藤参考人 先ほども申しましたように、まことに参考人としての意見として申しますと、電力会社さん同士がそれで納得されるのであれば、スキームとしては、それはそれで決着するのではないかと私は思います。

 もっとも、相当これは苦労してそういうふうにされたんだろうと拝見しますけれども、これは余計なことですけれども、やはり、機構から電力さんへ出ていくお金の形が、債務のどんどん積み増し、債務の拡大だけになっていきますと、債務超過の形をとってくるおそれがありますので、その辺のことを考えてこういうふうなスキームをお考えになったんだろうと理解しておりますので、電力会社さん同士で、それはそれでいいや、仕方がないということであれば、それはそれでよろしいのではないかと私は思います。

永易参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、結論から言えば、電事連さんのお考え方でいいのではないか。金融界なんかの例も、一般勘定と称しながら、相互扶助的にいろいろなものに使ったなという気がいたしております。

 それと、一点だけ申し上げておきますと、私も会計の本当の専門家でないので何とも言えないのでございますけれども、たしか、海江田大臣がお答えになっているときに、一般勘定とこれを分別管理すると、要するに資金の貸し出しになっちゃって、これは債務超過になっちゃうんですよという、何か新聞記事だったと思うんですけれども、そういうことがコメントでありました。だから、それは、私の頭の隅では非常に気になっているところでございます。

 以上です。

石田(祝)委員 債務超過にならないということと、各電力会社のそれぞれの事情を考えると、やはり経理の区分みたいなところも大事じゃないかなというふうに私は思うんです。

 除本参考人に最後にお聞きをしたいと思います。

 意見陳述をお聞きしておりまして、中身の肝心な部分が不透明だというお言葉があったと思いますが、これは具体的にどういうことを、まあ、不透明なところだから具体的になかなかわからないということだろうと思いますけれども、御自身のお考えになっているところで、ここはもうちょっと明確にした方がいいというお考えがあっておっしゃったのではないかと思いますので、最後にその点をお聞かせいただきたいと思います。

除本参考人 今の御質問の点、不透明というよりは、もうちょっと正確に申し上げますと、建前と実態が乖離しているのではないかというように見えてしまうということであります。

 つまり、東京電力が補償の第一義的責任を負っているので、被害者に対しては東京電力が直接相対しているのは、形の上ではそうなんですが、その財源のところを見ると、結局のところ、今の一般負担金の話ともかかわりますが、ほかの原子力事業者あるいは国からお金が注入されていくということで、では、ほかの原子力事業者あるいは国から出されているこのお金はどういう性格の費用負担なのかというのが明確でないという意味で申し上げたということでございます。

石田(祝)委員 最後に、御礼かたがた申し上げたいと思います。

 きょうは、大変貴重な御意見をまことにありがとうございました。後日、会議録ができ上がってまいりますので、しっかりともう一度皆さんの御意見を熟読玩味させていただいて、よりよい法律にするためにしっかりと務めを果たしてまいりたいというふうに思っております。

 きょうは、まことにありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、お忙しい中、四人の参考人の皆さんには大変ありがとうございます。

 最初、八木参考人の方に伺っておきたいと思うんですが、今回の福島事故、これは、もともと、全電源喪失についても炉心溶融についても、何度何度も国会でも警告してきたわけです。それを聞き入れないで、対策をとらないでやったということが非常に重大な問題であったというふうに思うんです。

 せんだって、七月の八日なんですが、本会議で菅総理に質問しますと、今回の原子力事故について、原子力に関する安全神話が政府にも事業者にもあったということを謙虚に反省すべきだという答弁が菅総理の方からありました。

 そこで、電事連として、やはり安全神話があったということを考えていらっしゃるのかどうか、これを最初に伺っておきたいと思います。

八木参考人 お答えいたします。

 今回の福島の事故は、私ども電気事業者全体としても大変深刻に受けとめているところでございまして、立地地域はもとより、国民の皆様に御迷惑、御心配をおかけしたこと、これは、原子力を進めている事業者として、本当に心からおわびを申し上げたいと思います。

 私どもも、原子力の安全性確保につきましては、安全最優先ということでこれまでも鋭意各社努力をしてまいっておりました。そして、そうした我々の安全の取り組みにつきましても、地元の立地地域の皆様はもとより、国民の皆様にも御説明を差し上げてきたところでございます。

 しかしながら、結果としてこういうことが現実として起こったということは、私どもは真摯に受けとめております。したがいまして、今回の事故を踏まえて徹底的な安全対策を行うことによりまして、皆様の不安の解消、信頼の回復に全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

吉井委員 要するに、やはり、安全対策には努力したんだけれども、安全神話はあったということですね。

八木参考人 お答えいたします。

 安全神話というかどうか、そこまではちょっと私、十分お答えを申し上げることは、今よくわかっておりませんが、少なくとも我々としましては、これまで、安全対策をしっかりやり、通常、原子力は五重の壁というようなことで御説明をさせていただいてきております。

 そうしたことで、私どもがこれまでやってまいりました安全対策をしっかりすることで国民の皆様あるいは立地地域の皆様に御安心をいただくという御説明をしてきたという意味では事実だというふうに思っております。

 以上でございます。

吉井委員 よくわからないんですね。

 その五重の壁が全部崩れたんです。これは、あらかじめ、全電源喪失が起こる事態も、そうなれば炉心溶融になる事態も、きちんと国会で何度も何度もやってきたんですが、それを無視してしまって起こしたわけですから、そこにあったのは、安全の説明が不足だったんじゃなくて、やはり電気事業者の皆さんには安全神話というものがあったんじゃないですか。

八木参考人 お答えいたします。

 私ども、これまでも、今回のような地震の対策、津波の対策等々、いろいろな過去の知見を踏まえて、その時々の知見を反映し、最善の対応をしてきたつもりでございますが、御指摘のように、結果として、今回このような地震及び津波によってこういう被害が起こったという意味では、これは大変、我々のこれまでの対策が不備であったという意味で、真摯に反省をいたして、徹底的な安全対策に努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

吉井委員 どうも安全神話という言葉はお使いになりたくないみたいですが、次に伺っておきたいのは、電事連傘下の原子力事業者は、今度、一般負担金を出すことになっていますね。これは電力各社の将来万一の原発事故に備えての相互扶助的なもの、先ほどもそういう発言をいただきました。将来の原発事故は起こり得ないという立場に立てば、一般負担金は要らないということになるのではないかと思うんですが、この点はどうですか。

八木参考人 お答えをいたします。

 私ども電力事業者といたしましては、このたびの福島第一の事故を本当に真摯に反省いたしまして、二度と決してこのようなことは起こらぬことで、強い決意を持って、しっかりと徹底的な安全対策を行ってまいるつもりでございます。

 そういう意味では、二度とこういうことは起こさないという強い決意のもとでございますが、スキームとして、将来の事故に、どういう形の物事が起こり得るか、これは私ども、わからない面もございます。したがいまして、将来の事故に備えた相互扶助の仕組みであるという仕組みを今回つくっていただきますことは、私どもとしては大変ありがたいというふうに思っております。

 以上でございます。

吉井委員 いずれにしても、これまでから、もともと将来にわたって、万一のこういう事故は起こらないんだ、五重の壁があるんだ、こういうことでやってきたわけですね。しかし現実には、そういうことは崩れるということを国会ではずっと警告してきたんです。その警告に耳を傾けないでやっちゃったわけですよ。ですから、本当に、今おっしゃるように、もう二度とこういうことは起こさせないんだ、将来万一の事故はあり得ないようにするんだということであれば、そもそも相互扶助としての一般負担金は要らないことになる。このことだけ申し上げておいて、次に、除本参考人に伺いたいと思います。

 電力会社に無限責任を負わせる原賠法の考え方が無理だとか、免責が当然のような考え方が聞かれるんですが、そこで、原子力事業者の責任制限の主張、考え方というものについて、どう考えるかについて伺いたいと思います。

除本参考人 これは日本経済新聞の社説などでも、こういう責任制限の議論が今出てきているかと思います。

 原子力損害賠償法が制定されて、もう半世紀でありますので、必要な見直しというのは必要だと思うんですけれども、事今回の事故に関して東京電力の責任制限をすべきかどうかという問題でいえば、これは恐らく、かなりの方は、もうそのことは問題にならないんじゃないかというふうに考えていると思います。つまり、東京電力の重大な過失というところまで指摘をされているわけですから、東京電力の今回の事故に関して責任制限をするかどうかという問題でいえば、これは責任制限をすべきでないという意見がかなり大きいのではないかなというふうに考えています。

 それから、今後、その責任制限をどう考えるかということでありますが、責任制限の議論、つまり賠償の限度額を設けるということですね。賠償の限度額を設けるという議論が出てきているのは、私が見るに、原賠法の目的に掲げられた一条に「原子力事業の健全な発達」ということが書き込まれていまして、これとの関係でよく議論されているわけです。

 先ほども申し上げましたように、今これから、原子力事業を右肩上がりに発達させていくというような五十年前の前提をそのまま持ってきて、原子力事業者の経営に足かせにならないように責任制限を設けていくという議論が今ストレートに通るのかどうかというのは、大変疑問だなと。むしろ、原子力損害賠償法の目的の規定のところから、もう一度見直していく必要があるのではないかなというふうに考えております。

吉井委員 次に、今回の法案で本当に東京電力の賠償責任が果たされるのかという問題ですね。

 いつの間にか税金や電気料金値上げなど、実質的に公的資金投入とでもいうべき事態が続くのではないかということが問われてくると思うんです。

 今回の法案と先生がかかわってこられた水俣病補償、その類似性や今回の法案の構造上の問題などについても伺っておきたいと思います。

除本参考人 先ほど少し申し上げたことなのでございますが、今回の法案と水俣病のときに問題になったチッソの金融支援というスキームは非常によく似ているなというふうに思っておりまして、こういう、水俣病で金融支援のスキームを使って、政府が水俣病に関する責任をあいまいにしてきたということが、この間ずっと混乱を、いまだに紛争が続いているわけでありますが、こういう事態を引き起こしているのではないか。したがって、政府も含めて、被害を引き起こした関係主体がきちんと責任を明らかにして、その上で制度を構築することが必要になっているというふうに思います。

 水俣病の場合にやっていることも先ほど申し上げたこととよく似ていて、チッソ金融支援というのは、加害企業のチッソが水俣病被害者に対して補償金だとか一時金という救済金を形の上では支払っていることになっているんですが、例えば認定患者の部分でいえば、全額が熊本県をトンネルにして国から貸し付けられた金で賄われていったわけです。最終的には、チッソはそれによって有利子負債を多額に抱えてしまって首が回らなくなってしまったというような弊害まで引き起こしたわけであります。

 こういうような建前と実態を乖離させるようなやり方というのは余り望ましくなくて、関係主体の責任を明確にした上で、費用負担の性格を明確にした上で制度を構築していくことが大事になっているのではないかなというふうに思っております。

吉井委員 引き続いて、除本参考人に伺いたいと思うんですが、東京電力に全面賠償の責任を持たせるスキームにするか、それとも、東京電力救済スキームとでもいうべきものにするかということについて、政府は政府として、政府の役割をどのように果たさなければならないかについてお考えを伺いたいと思います。

除本参考人 先ほども申し上げたことと重複いたしますけれども、政府が果たすべき役割を余り強調するとあたかも東電を免罪しているかのような議論が一時期よくされたわけですが、そうではないだろうと私は思っているわけです。政府が積極的に介入することによって、東京電力が果たすべき責任をきちんと果たさせるということがむしろ大事になっているのではないだろうかというふうに思っています。

 それはどういうことをしなければいけないかというと、先ほど申し上げたことでありますが、関係主体の責任というのは東京電力だけではないわけですが、政府も含めて、場合によっては、原発を誘致してきた地方自治体だとか都市住民等の責任もあるかもしれません。そういう関係主体の責任をきちんと明らかにした上で、それに基づいた費用負担の仕組みということで制度設計をしていくことが大変重要であります。それが第一でありまして、そのもとで政府が応分の費用負担をするのであれば、責任に基づいた費用負担だということを明確にした上でするということが政府の役割だろうというふうに考えています。

 もう一度繰り返して申せば、国民の納得できる補償スキームを構築することが第一段階でありまして、その中で、応分の費用負担を責任に基づいてするということを政府がしていく必要があるということだろうと思います。

吉井委員 もう一問、除本参考人に伺っておきたいと思うんですが、法案では、国は何度でも資金援助し、東電を債務超過にさせないという東電救済の仕組みをつくるとともに、将来にわたって原子力損害賠償の支払いができるようにする仕組みをつくっているというふうに思うわけです。

 これは、原発依存の継続と、地域独占、総括原価方式、安全神話で構成されてきた、いわば原発利益共同体とでもいうべきものの、この仕組みを何としても維持していこうとしているのではないかとの意図が感じられますが、参考人のこの法案についての見解というものを伺っておきたいと思います。

除本参考人 先ほどお話が出ましたように、もし今後事故が起こらないということであれば、こういう仕組みはもしかしたら必要ないのかもしれないということがあるわけですね。もし、今後も事故が繰り返し起こるということを前提にして、恒久的な制度としてこういう法案を成立させようとしているのか、あるいは、今回の事故に対応する、資金繰りの問題も含めて、当面の資金繰りの対応としてこの法案を成立させようとしているのかというので大分意味が違ってくるだろう。

 もし当面の問題として考えるのであればわからないことはないのですが、今後こうした、先ほど申し上げたような建前と実態の乖離の仕組みを半永久的に持続させようという意味でこの法案が出てきているのだとしたら、これは大変問題ではないかなというふうに考えております。

吉井委員 次に、永易参考人に伺っておきたいと思うんです。

 銀行の場合、常にリスクをとることを考えて貸し付けもするわけですね。社債を引き受けるにしろ何にしろ、やはりリスクをとるということが考えにあると思うんですが、その上では、電力の場合は、今まで原発安全神話があり、総括原価方式があり、地域独占でやってきていますから、絶対に転ぶことがない。リスクをとらなくても確実に利益が入ってくるというものであったわけですね。

 そういう点では、銀行協会として、あるいは銀行として、原発安全神話というものは銀行にはなかったのか、伺っておきたいと思うんです。

永易参考人 お答えいたします。

 神話的なものがあったとは申せないと思います。これは、電力であろうがトヨタさんであろうが松下さんであろうが、そのクラス、やはり格付というのもありますし、総合的な企業評価というのもやっております。

 したがって、要は、返済能力十分ということになりますと何にあらわれるかというと、結局はスプレッド、コストがありますけれども、それに幾ら利幅を乗せるか、ここにきいてくるんですね。ですから、電力業界さんは、それは非常にちっちゃなスプレッドでずっときたということだと思います。

 かつ、さっきちょっと申し上げたとおり、もともと信用力が大変あるから直接金融、だから社債、CP、そちらの方はまさにスプレッドだけの話で、銀行の方は多少違うんですけれども、それで十分に調達ができた。その中で資金調達をされてきたというふうに思います。

 したがって、神話的なものは確かに、東電さんだけではなくていろいろなところに、ここは絶対よねというような、格付一というんですけれども、国並み、それに準ずるぐらいというレベルであったことは事実だということは申し上げておきたいと思います。

吉井委員 ですから、安全だということできたわけですから、今後の処理の過程で債権放棄ということが出てきた場合に、銀行協会としては、銀行としては、きちんとそのことは覚悟を持って臨まれる、こういうふうに理解させてもらっていいですか。

永易参考人 お答えいたします。

 全くそういうことではないというふうに思っております。それは、先ほど申し上げたとおり、債権放棄というのは我々の金融支援の極にある世界ですから、これは繰り返しませんけれども、大変いろいろなバーを設けておりまして、それを全部クリアしない限り、それは応じないというのが原則的な立場でございますので、少なくとも、ただいま現在でそういうものを想定しているかといったら、想定していないということだけははっきりお答えしておきたいと思います。

 以上です。

吉井委員 斉藤参考人にも伺いたかったのですが、ちょうど時間が来たといって札が回ってまいりましたので。

 きょうは、参考人の皆さんには、お忙しいところ、どうもありがとうございました。これで質問を終わります。

黄川田委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 中島隆利でございます。

 本日は、大変お忙しい中、わざわざ国会に足を運んでいただきまして、参考人の皆さんの貴重な意見を聞かせていただきました。大変ありがとうございました。

 私からも、それぞれ参考人の皆さん方に少し質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、八木、斉藤、永易参考人さんに、それぞれ同じ意見をお聞きしたいと思います。

 今回の法案は、加害者である東京電力救済の性格を非常に持っているというふうに思っているのですが、この点についてお尋ねをいたします。

 特に、今回の法案については、東電による賠償に事前の上限を設けないという点では評価できると思うのですが、賠償のスキームが加害者である東京電力救済の中身になっているという指摘が非常に多く出ております。

 というのは、創設される原子力損害賠償支援機構には、十一の原子力事業者から負担金が拠出されます。資金不足をする場合は国から交付国債が発行される仕組みになっていますが、しかも、被害補償だけではなく、場合によっては設備投資の費用も賄えるようになっています。

 あくまでも、すべて被害者を最後まで救済していくことが目的の法案であるわけでありますが、ともすれば加害企業の救済になりかねない仕組みになっている点が非常に強いわけであります。この点について、お三方の御所見をお尋ねしたいと思います。

八木参考人 ただいまの御質問にお答え申し上げます。

 御質問は、恐らく、東京電力以外の電力会社がこの負担をするということから、東電救済の色合いが強いのではないかという御質問の趣旨かと思いますが、先ほど来から、私、答弁させていただいておりますが、やはり、まず今回の事故の賠償を迅速かつ適切に行う、そうしたことは今後の原子力発電の円滑な運営につながっていく、これは、ひいては私どもの東電以外の電力会社の電力の安定供給の確保に資するというところにつながってまいる、そういう考え方をしております。加えて、将来の事故に備えた相互扶助の仕組みであるということも規定していただいておりますので、我々としましては、一定の合理性があるものというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

斉藤参考人 お答えいたします。

 法案の目的は、決して東電救済ではないと私は理解します。

 やはり目的は、どうやって、今現場でお困りになっている農漁村も含め、いろいろな方々が大変な犠牲になっておられる、その方々に賠償金を払わなければならない。だれがどうやって払うかという問題だと思いますが、先生おっしゃいますとおり、東電がたっぷりお金があって、何らかの方法があるのならば、それはそういうことかと思いますけれども、まずは賠償金だけでも幾らになるかもわからない。そして、今、炉が四個、修理というか、撤去といいますか、いろいろ行われていますが、スリーマイルアイランドで、先生御存じのとおり、かなり今回のケースよりも軽くて、一個でしたけれども、二兆五千億かかって、いまだに時間がかかっております。したがって、アメリカの友達と話すと、四個あれば十兆だと言います。

 そういうような多大な金額をできるだけ早く、何とか現場の方に届ける方法はどうするかということが、私はこの法案の目的になっているのではないかと理解しておりまして、物の見方でありますけれども、それは東電の救済ということにはなっていないのではないかと理解しています。

永易参考人 お答え申し上げます。

 やや繰り返しになりますけれども、本スキームというのは、一番は損害賠償をぴしっとやること、電力の安定供給に向けて、冒頭陳述でも申し上げましたが、非常に実効性のある案だと思っております。先生御指摘の、東京電力救済色の強いスキームではないかというふうには考えておりません。

 やはり東京電力による最大限徹底した自助努力が大前提であり、直近も、東京電力の西澤社長さんにおかれても、就任の会見でも言われておりましたけれども、とにかく徹底的に合理化しないと社会の信頼は取り戻せないということも明らかに言われております。

 さらに、経営・財務調査委員会が、徹底的に東京電力の事業計画、リストラ等をチェックするスキームもできております。主務大臣が認定するたてつけにもなっております。したがって、少なくとも自助努力の十分性は十分に担保している。

 ただ、今回のポイントは何かというと、全体の損害額が決まっていないということですね。したがって、こういう案にせざるを得ないというふうに思っているわけでございます。

 金融取引機関としても、やはり取引先の十分合理性のある計画というのは必須でございます。我々もよく見させていただいて、意見を言うべきところは言ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 以上です。

中島(隆)委員 次に、除本参考人にお尋ねをいたします。

 原子力事業者に一般負担金あるいは特別負担金が求められているわけであります。しかし、十一の原子力電力事業者に相互扶助で毎年負担金をさせるわけでありますが、その負担金に対して、電力事業者は、事業コストへの算入なり、あるいは一般家庭の電気料金に転嫁をされます。東電も当然、今後、原発にかわる火力発電燃料コスト増加を合わせまして、毎月の電気料が二割程度値上げになるということも報道されています。

 そこで、法案の第六十五条、負担金の額が過大になる場合は、国が機構に対して予算の中から必要な資金を交付する、これも可能になるというふうにされています。

 ということは、税金が直接投入される可能性もあるわけでありまして、損害賠償の負担が最終的には電気料金や税金など国民に転嫁されかねないということでありますが、これについてのお考えを除本参考人にお尋ねをいたします。

除本参考人 今御質問ありました点は、どういう順番で費用負担の仕組みを走らせていくかということなのでありますが、東京電力の責任ということをきちんと明確にした上で、当面の資金繰りの問題として、さまざまなところから持ってくるという意味合いでそういう仕組みをつくるということであればわからないでもないんです、先ほど申し上げましたように。こういうものが、先ほど御説明あったような、東電が払うことになっているんだけれども、実はいろいろなところから機構を通じてお金が出てきているというような、建前と実態が乖離している仕組みが、当面の問題ではなくて、これが本来あるべき恒久的な制度なのであるという形で提示をされていくというのは、先ほど申し上げたことでありますが、大変問題があるなと思っております。

 その前提から申せば、一般負担金を通じた、例えば全国の、東電の管内以外のところも含めた電気料金への転嫁ですとか、あるいは国民全体への税金を通じた転嫁というのが、実は東電の責任の遂行を支えるための支援措置だと位置づけられるべきではなくて、そうした電気利用者の負担というのは、本来、電気利用者が支払うべき責任があるから負担すべきなんだという、きちんと表に出す形で負担の仕組みをつくるというのがむしろ望ましい。

 その意味では、税金と電気料金とどっちが望ましいかといえば、税金を通じて取るよりは、私は、電気料金を通じて電気利用者からお金を取った方が、むしろ明確な説明がしやすいのではないかなというふうに思います。

中島(隆)委員 除本参考人に再度お尋ねいたします。

 今も御答弁ありましたし、先ほども述べられました、第一義的には東電の責任であって、それを全うさせるのが政府の責任であるということも申されたわけであります。

 そこで、責任と補償主体というのは一体であるべきだというふうに考えています。第一義的にも、東電がまず保有する資産からしっかり賠償する、その仕組みがしっかり機能するように国が支援する、こういうことだと思います。

 そこで、東電は今回、資産売却で六千億以上、それから投資費用やコスト削減で五千億以上の費用捻出をするということが言われています。しかし、補償は、先ほど来出ているように、数兆円、十兆円にも上る。今後、膨大な賠償金が伴うわけでありますが、今年三月末の連結貸借対照表では、電気事業固定資産だけで約七・六兆円を持っているというふうに言われています。とりわけ、送電、変電、配電設備の資産が約五兆円であります。

 政策的にいって、これまで、送電それから配電の分離の検討が、総理を初め政府首脳から再三述べられております。この点、発送電分離も視野に置いた、東電資産の売却を中心にしながら賠償を進めるという考え方について、除本参考人のお考えをお尋ねしたいと思います。

除本参考人 私が最近読んだところでは、例えば日弁連がそうした提案をされているようであります。国が一たん損害賠償を肩がわりして、その債務を引き受けることと引きかえに、東京電力から送配電の資産を受け取る形をとるというのが提案をされているようであります。

 これは、先ほど申しましたように、東京電力がみずからの資産を吐き出してきちんと責任をとるという一つのやり方として考えられるのではないかなと思っています。本当に徹底的に自己責任でやったら債務超過で破綻してしまうわけですが、それを避けながら、東電の資産から損害賠償をしていく一つの方法ではないかなというふうに考えております。

中島(隆)委員 今後、多額の国の支援も伴うわけですし、国民の負担も伴っていくだろうと思うんですが、やはり基本は、第一義的な責任のある東電が、資産、あらゆる補償を担保しながら払っていく、こういうことが中心ではないかと思います。そういう点で、今のお話は参考にさせていただきたいと思います。

 次に、斉藤参考人にお尋ねをいたします。株主責任や経営責任、あるいは貸し手の責任はどのように問われるのかという点であります。

 法案は、東電で法的に整理すると賠償スキームが進まない可能性があるとして、今回、東電の債務超過や、あるいは電力供給に支障を来さないということを原則に、限定しながら、このスキームができたわけでありますが、結果、加害者である東電の責任があいまいになり、経営責任はおろか、株主責任、あるいは債権者である銀行や貸し手責任も十分問われないのではないかという気がするわけでありますが、この点、経営者、債権者の責任は問わなくていいのかどうか。あるいは、責任を問うのであればどのようなスキームで考えておられるのか、その点について斉藤参考人にお尋ねいたします。

斉藤参考人 私が理解しますところのこの法案は、今すぐではないんでしょうけれども、後日、いろいろな先生の御指摘のような問題点をレビューすることを、必ずしも忌避してはいないと理解しております。したがって、いろいろな意見が町にも出ているわけでありまして、GM方式がいいとか、いろいろあります。それは後日、また先生方の方でいろいろ論議していただく問題ではないかというふうに思っております。

 我々としては、監査法人が無限定適正という意見を出している会社は、これは我々には何の権限も、上場を廃止したりする権限もありませんし、そういうルールにのっとって我々は経営していくということでございます。

中島(隆)委員 次に、除本参考人にお尋ねいたします。

 先ほど来の答弁の中でも、エネルギー政策の転換の時期に来ているのではないかという御意見がございました。将来の原発事故、この補償スキームでは、エネルギー政策の転換を今後進めなければならないだろうというふうに思っております。

 そこで、先日、私ども社民党で、原発事故に関するホットラインを開設しました。一日でありましたが、百件近く質問、意見がありまして、特に放射能汚染に対する女性や子供さんの不信が大変な状況で、声が聞かれました。こういう、とてつもない大きな広がりを持っているわけでありますが、原子力依存に偏重してきた政府の責任は極めて重大であるというふうに思っております。

 そこで、エネルギー政策の見直し、転換は避けて通れないのではないかというふうに思いますが、今回の補償スキームでは、福島第一原発の事故だけではなく、今後原発事故が起きた場合をも想定しているように見えますが、だとすれば、これまでの原発政策の延長線上にあるものと考えます。

 そこで、社民党は、二〇二〇年までに段階的に原発を廃止し、五〇年までには自然エネルギー一〇〇%の社会を目標とする、こういう政策を打ち出しているわけであります。

 国民的に議論を進めるべきだと先ほど除本教授からもございましたが、今後一たん、これらを進めるとすれば、被害の規模も賠償の規模も特定できないわけでありますが、原発依存から脱却することが今後政府が果たすべき責任ではないかというふうに思うわけですが、これについて再度、除本参考人の御意見をお尋ねいたします。

除本参考人 今提出されている法案の仕組みというのは、お手元の資料でも書いておいたかと思いますけれども、現状維持的な性格が大変強いわけですね。今の電力供給体制のまま、それを継続するためにはどうすべきかという仕組みになっているわけです。

 ですから、先ほど来申し上げておりますように、当面の問題として、対処の仕組みとしてこうしたものをつくるということであればわからないでもないんですが、今後、原発依存から脱却していくということを長期的に展望していくことと、この仕組みが本当に両立するのかどうかというところも考えていかなければいけないだろうというふうに思っております。

中島(隆)委員 時間が参りましたので質疑はこれで終わりますが、先ほど来、四名の参考人の方が申されました。今回の被害補償の財源のあり方、今後の電力の供給体制のあり方、これを含めて、やはりそれぞれの、国の責任、東電の責任、そしてそれにかかわるすべてが、今回の事故を受けて、やはり全面的な被害者の救済ということが前提だと思いますので、そういう面で参考にさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

黄川田委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 四人の参考人の皆さん、本当にお忙しい中をありがとうございました。

 質問を行わせていただいてまいりたいと思いますが、まず、永易参考人にお伺いをいたしたいというふうに思います。

 震災が発生をした直後に大手銀行八行が東電への無担保融資一兆八千六百五十億円を実行しています。あのような状況の中でこの無担保融資を実行する、東電への融資をなぜ実行ができたのか、このことをまずお伺いしたいというふうに思います。

永易参考人 お答え申し上げます。

 あれは、三月十一日に事故が起こり、実際は三月末には全行が実行したという形でございます。

 銀行の融資決定というのはいろいろなプロセスを経ますけれども、やはり、あのタイミングで要請に対してこたえないということは日本の金融機関としてはとれないというのが一番でした。やはりこの状況のもとでお金が必要なわけですから、間違いなくなってくるわけです。これをお貸し出ししなくて金融機関というのは一体何なんだというところに戻ってまいりました。

 いろいろな観点から検討はいたしましたが、最終的には全行一致。これは相談したわけでも何でもありません。全部の銀行が応じたという流れであったと思います。

 以上です。

柿澤委員 今後、東京電力が、経営状況あるいは企業としてどういったことになっていくか、なかなか先が見通せない状況の中で、ある意味では一つの決断として融資が行われたというふうに永易参考人は今御答弁をされたわけでありますけれども、日経新聞の記事によりますと、全銀協の当時の会長で東電のメーンバンクでもある三井住友の奥頭取が、三月二十五日に経産省の松永次官と話し合ったと。松永次官は、我々も責任をしっかり負う、金融機関も支えてほしい、こういうふうに語って、その後、融資が実行されるということになった、こういうことが書かれております。

 こういう経過を見ると、この無担保融資の実行に当たって、政府が何とかするからといういわば暗黙の政府保証を与えて、それをある意味では信用してこの融資が実行された、こういうふうにも見られるわけでありますけれども、こうしたいわば暗黙の政府保証、こういうものをある意味では信用、評価してこの融資を実行した、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

永易参考人 お答え申し上げます。

 そのような事実は一切ありません。おのおのの銀行が、精いっぱいのルールの中で判断したことでございます。そういう報道がされていたというのは存じております。私自身も直に聞いた話でもありませんし、そういう動きが事実だったかどうかは別として、少なくとも私は知らない、そういう位置づけでございますので、総合的に判断したということしかないと思います。

 以上です。

柿澤委員 三菱UFJ銀行さんもこの流れの中で三千億円という融資を行っておられるわけでありますが、株主の立場からすれば、この無担保融資、いかなる状況であるにせよ、最終的にはどうやって回収していくんだ、こういうことにもなるわけですので、私は、そうした中でこのような政府のコミットメントがあったとすれば、それはそれで融資の実行の判断の背景としてあり得たのではないかというふうにも思いますが、そうしたことに基づいてはいないということをおっしゃっておられます。

 今回の法案に関しましては、私たちは、東電は一社で賠償債務を支払えない、つまりは、企業として事実上破綻をしているということを認めているにもかかわらず、普通の企業の破綻処理では当然求められる株主や債権者、ステークホルダーを優先的に守って、そのツケを事故とは無関係のほかの電力会社や国民に押しつける、およそ資本主義の原理に反する法案だ、こういうふうに思っております。

 そういう意味で、私たちは、まずこの東電の問題、賠償スキームをつくるに当たっては、やはりステークホルダーとしての株主さん、また債権者、金融機関さん、こうしたところ、しっかりと責任を追及というか、とってもらわなきゃいけない、こういうふうに思っております。

 そういった意味で、債権放棄のことについてお伺いをしたいと思うんですけれども、債権放棄については、応じなければ国民の理解は到底得られない、こういうふうに枝野官房長官が一度は発言をいたしました。しかしその後、海江田大臣は、この債権放棄について、政府として求めることはしない、こういうふうに答弁をされておられます。しかし、そうは言いつつ、きのうの本委員会の質疑を聞いておりますと、既往の債務についてはあらゆるステークホルダーに協力をお願いする、金融機関にはどういう協力があったか報告をしてもらうと言っていて、事実上、金融機関の自主的な協力という形で債権放棄が行われることに期待感を示しておられるような、こういう答弁をされています。暗黙の政府保証と先ほど言いましたけれども、一方で暗黙の要請があるようにも見られます。

 金融機関に債権放棄を求めるこうした暗黙の要請というのをどのように受けとめておられるか、お伺いをしたいと思います。

永易参考人 お答え申し上げます。

 あれは五月の十三日か十四日だったと思いますけれども、官房長官が債権放棄についてちょっと触れられました。十六日の月曜日に、私は非常に唐突で違和感があるというコメントを差し上げたと思います。

 少なくとも、今、期待値云々ということを言われましたけれども、これは完全に民民の話でありまして、それは将来的に、十年後ぐらい、収拾の段階で云々というのであったら話はわかるし、法律でそういう規定をするのであればわからぬでもありませんが、少なくとも民民の間の契約であり、かつ、それについて東京電力さんからそれをお願いしますというような要請は来ていないわけです。

 我々も何回も繰り返して申し上げておりますが、債権放棄というのは金融支援。今言われている共通語というのは、金融の協力なんですね。協力というのはいろいろな種類があるわけで、債権放棄は極であります。極については、これは今回でも三回目の回答になりますので、るるは申し上げませんが、ただいま現在は全く想定していないということであります。

柿澤委員 ただいま現在は全く想定していないというお話でありました。現実化するとすれば、例えば十年後だ、あるいは法律で規定をされた場合、こういうこともおっしゃられておりました。

 私は、現段階では考えていないということを、よくこういう国会のやりとりの中で反対解釈をして、現段階では考えていないということは、将来的にはやはり求められれば一定程度応じざるを得ない、こういうことがあるのではないかというふうに思いますけれども、手も挙げておられますので、永易参考人にお答えをいただきたいと思います。

永易参考人 ちょっと申しわけないですけれども、そういうふうにとられるのでは、私なんかはここへ出てこられません。言ったことと反対方向を言っているんだよねと言われるような御質問は、申しわけないけれども、ちょっと言葉で言うのはなかなか難しいですね。

 ただ、言えるのは、我々は、金融の世界なんていうのはグローバルベースで全部つながっているんですね。一部のルールで動いたとすると、日本国は大変なことになりますよ。日本国はそういう世界なんだという認定を受けますよ。そうすると、資本も何も入ってこなくなりますよ。その循環になるおそれが十分にあるような案件だということだけは申し上げておきたいと思います。

柿澤委員 私たちは、今回の機構法案によってつくられる原子力損害賠償機構、この機構を通じて東電の企業としての存続を保障しつつ、国やあるいは電力会社、ひいては電力料金を負担する国民、こうした方々の負担によって東京電力のいわば企業体としての存続、経営を支援していく、この枠組みそのものが、ある意味では非常に特殊な枠組みだ、こういうふうに思いますし、まさに今参考人がおっしゃったことが、この法案そのものが当てはまってしまうのではないか、こういうふうにも思います。まあ、これ以上答弁はいただきませんけれども。

 電事連の会長さんに、八木参考人に伺いたいと思います。

 国の責任について言及をされました。私たちも東電の一時国有化を主張しているぐらいですから、賠償支払いに関する国の最終的な責任は明確化されなければいけない、こういうふうに思っています。それに、余計なことですけれども申し上げれば、結局は東電を債務超過にしないために国のお金がずるずる逐次投入されていって、そうした展開になっていくのではないかというふうに今の現状を危ぶんでいるところもあるんです。

 一方、条文上を見ると、全くそうはなっておりませんね。それどころか、「国民生活及び国民経済に重大な支障を生ずるおそれがあると認められる場合に限り、」ということで、国の支援、負担については極めて限定的に条文上は書かれています。

 電事連さんの、八木参考人の先ほどの陳述を聞いておりますと、よくこの条文上の書きぶりで納得をされるなというふうに思うんですけれども、どういう見解をお持ちになられているのか、お伺いをしたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 第六十五条の中に、御指摘のように、著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情がある場合には国民生活等への重大な影響を回避する観点から政府が必要な資金を交付することができる旨定めてあるということで、私どもとしては、一応国の責任の明確化という意味では、ある程度この趣旨が込められているというふうに理解しておりまして、本条を積極的に活用していただくようお願いしたいというところであります。

 あわせて、冒頭の陳述で申し上げましたが、やはり国の政策で原子力事業を進めてまいっておりますことを考えますと、国の責任と負担のさらなる明確化については、かねてからお願いを申し上げているところでございます。

 しかしながら、今は、まずは被害を受けた方々への迅速適切な賠償の実施、そして東京電力が電気の安定供給を続けていく、その責任を果たしていくというためには、この法案が早期に成立して支援の仕組みが開始されることが最も重要であるというふうに考えております。

 したがいまして、まだ賠償総額が見通せない中で、国の責任のあり方等、あるいは電力会社の負担金のあり方等につきましては、例えば事故が収束して規模が判明した段階において、附則の六条に書いていただいておりますけれども、一度見直しを行うことが重要ではないかというふうに理解しておりますので、ぜひそういう方向で進めていただければありがたいと思っております。

 以上でございます。

柿澤委員 それは、要するに、この条文について、附則に基づいて一定の段階で見直してほしい、こういう趣旨だというふうに理解してよろしいですか。

八木参考人 今回は、まずはこの法案の早期成立をお願い申し上げます。そして、まだ賠償総額がわかっておりませんので、国の責任のあり方等、それから我々の負担金のあり方等につきましては、ぜひ附則六条に基づいて見直しをしていただければありがたいというふうに考えております。

 以上でございます。

柿澤委員 今回の原発事故を受けた東京電力の、先ほど来申し上げていますけれども、私たちから言わせれば、いわば破綻処理、これを通じて私たちは電力業界の次の未来の姿というものをつくっていかなきゃいけない、そうした、ある意味では前向きな、この業界の新たな姿をこの事故をきっかけとしてつくり出していく、そうした考えを私たちは持っております。

 そういう意味で、今我々が申し上げておりますのは、発電部門と配電を含む送電部門の発送電分離、これを行って、同時に電力自由化によって多様な新規参入を促して、そして電力事業を競争的でまた活力のあるものにしていく、こういうことを考えているところなんですけれども、電力業界のあるべき未来の姿ということをやはり多様な形で考えていかなければいけない、こうしたことは現実の問題として今迫られているんだろうと思います。

 電事連の会長として、電力業界の未来の姿をどのように考えておられるか、発送電の分離を含めてお伺いをしたいと思います。

八木参考人 まず、この発送分離につきましては、過去、十分に議論を行いまして、我が国の実情に合った日本型の制度をつくり上げてきたというふうに認識しております。したがいまして、これから議論がいろいろこれについても行われることと私どもも認識してございますが、現行制度の検証あるいは最近の欧米での自由化の実態等を踏まえまして、目的に照らして、やはりメリット、デメリットを幅広く検討していただくことが大切であると思っております。ぜひともそういう議論をお願いしたいと思います。

 なお、私どもといたしましては、従来から申し上げておりますが、やはり電力の安定供給、これを将来にわたってしっかりやっていくという意味では、供給責任を担う事業者が、電源の調達と送電線等、それから小売も含めて、この確保を一体で行うことが重要であるという考えでございます。

 以上でございます。

柿澤委員 あるべき姿を聞いたんですけれども、今までの日本型の電力供給の姿をつくり出してきて、そして、安定供給のためには発送電一体が望ましいのではないか、こういう話で、現状をそのまま続けるという理解ができるような御答弁をいただいてしまいました。

 電事連についてお伺いをしたいと思います。

 電事連も、電力会社の負担で成り立っている団体であります。電力会社が機構への巨額の負担金を求められる状況にある中、電力会社が電事連への負担をする、この負担金についてもやはり縮減が求められる、こういうことになるのではないかというふうに思います。

 その中で、電事連は、相当な規模の広報予算をこれまで投じて、原発はクリーンな電力のつくり方、こういうキャンペーンを展開してこられました。その額はどのぐらいかというと、これは任意団体だから、こうした広報予算にどれだけかけているか公表していないわけでありますけれども、テレビCMあるいは新聞広告、こうしたものから類推すると、相当な規模に上っているというふうに思います。こうした形で原発推進のキャンペーンを、電事連としても予算を使って進めてきたわけですけれども、このような広告はもうやめたらいいんじゃないかと私は思います。

 それと、そもそも電事連は広報予算をどのぐらい投じているのか。こうした広告、広報を通じて、いわばメディアが電力業界のあり方になかなか物を言いにくい状況が生まれている、こんなふうにも指摘をされているところでもありますので、ぜひ透明性と、また、電事連の予算を使った原発推進等々の広報、こうしたものはもはややめるべきではないか。お伺いをしたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 電気事業連合会におきましては、日ごろから、電気事業全般に対しまして御理解をいただくために、広報媒体広告とかホームページなどを通じまして、情報提供などの広報活動を行っているところであります。

 そうした中のテーマには、エネルギーセキュリティーの問題、電源のベストミックス、あるいは地球温暖化、再生可能エネルギー拡大に向けた取り組み等々、電気事業全般に関するものがございます。そうした中に、当然、原子力発電や原子燃料サイクルへの御理解というものはその一つとして入っておりますが、明確にこの中で原子力広報という区分での計上はいたしておりません。

 したがいまして、原子力広報という意味での数字は持ち合わせておりませんが、これら原子力以外のテーマを含めて、全体として、テレビ、ラジオ、新聞、報道、マス媒体での広告宣伝費というのは、大体、過去五カ年平均でおよそ二十億ぐらい使ってございます。

 我々といたしましては、今後とも、やはりこれは電気事業全体、我が国の電力の安定供給を、我々、責務を担っております。その責務をしっかりと果たし、日本の経済に貢献するために、事業全般に、これは立地地域の皆様を初め、国民の皆様のやはり御理解がないと進まない事業だと思っております。そういう意味では、そうした皆様への御理解を賜れるような透明性の高い広報活動につきましては、今後とも引き続き精査しながら進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

柿澤委員 原発はクリーンな電気のつくり方、この言葉を引用させていただいたのは、まさにこれが、放送に関するさまざまな審議をする委員会から、ちょっと誤解を招く言い方じゃないかという御指摘を受けた、こういう経過のある言葉であるからであります。

 いずれにしても、これまでさまざまな形で、こうした電事連さんあるいは電力会社さんが広報予算を使って進めてきたさまざまな広報宣伝活動、こうしたものが、一部にさまざまな疑問が投げかけられている、こういう状況でもありますので、今の時代状況の中にあって、ある意味では、ひときわ慎重かつ気を使った対応が求められているということは、最後に申し上げておきたいというふうに思います。

 時間も参りましたので、参考人質疑はこれで終了させていただきます。ありがとうございました。

黄川田委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様におかれましては、貴重な御意見をいただきました。心から感謝申し上げます。まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十七分散会


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