衆議院

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第13号 平成23年7月14日(木曜日)

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平成二十三年七月十四日(木曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 柿沼 正明君 理事 後藤  斎君

   理事 橋本 清仁君 理事 藤村  修君

   理事 三日月大造君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      相原 史乃君    石田 三示君

      石津 政雄君    石山 敬貴君

      緒方林太郎君    梶原 康弘君

      川口  博君   菊池長右ェ門君

      工藤 仁美君    郡  和子君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    菅川  洋君

      高邑  勉君    中後  淳君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      永江 孝子君    長尾  敬君

      橋本 博明君    畑  浩治君

      浜本  宏君    村上 史好君

      村越 祐民君    室井 秀子君

      森山 浩行君    山口 和之君

      若井 康彦君    秋葉 賢也君

      井上 信治君    伊東 良孝君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    河野 太郎君

      齋藤  健君    長島 忠美君

      吉野 正芳君    斉藤 鉄夫君

      高橋千鶴子君    吉泉 秀男君

      柿澤 未途君    園田 博之君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   厚生労働大臣       細川 律夫君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣

   国務大臣

   (原子力経済被害担当)  海江田万里君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十四日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     山口 和之君

  石山 敬貴君     中後  淳君

  太田 和美君     工藤 仁美君

  近藤 洋介君     室井 秀子君

  階   猛君     森山 浩行君

  高井 美穂君     浜本  宏君

  長尾  敬君     相原 史乃君

  谷田川 元君     村上 史好君

  鷲尾英一郎君     橋本 博明君

  小里 泰弘君     河野 太郎君

  加藤 勝信君     伊東 良孝君

  長島 忠美君     齋藤  健君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     長尾  敬君

  工藤 仁美君     石田 三示君

  中後  淳君     石山 敬貴君

  橋本 博明君     緒方林太郎君

  浜本  宏君     永江 孝子君

  村上 史好君     谷田川 元君

  室井 秀子君     菅川  洋君

  森山 浩行君     階   猛君

  山口 和之君     石原洋三郎君

  伊東 良孝君     加藤 勝信君

  河野 太郎君     小里 泰弘君

  齋藤  健君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     太田 和美君

  緒方林太郎君     鷲尾英一郎君

  菅川  洋君     近藤 洋介君

  永江 孝子君     高井 美穂君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 原子力損害賠償支援機構法案(内閣提出第八四号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力損害賠償支援機構法案を議題といたします。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野太郎君。

河野委員 自由民主党の河野太郎でございます。

 この法案の提出に先立ちまして発表された、東京電力福島原子力発電所事故に係る原子力損害賠償に関する政府の支援の枠組みというものがございます。この中で、「損害賠償、設備投資等のために必要とする金額のすべてを援助できるようにし、原子力事業者を債務超過にさせない。」という文言がございますが、これは閣議決定と了解してよろしゅうございますか。

海江田国務大臣 そのとおりだと思います。

河野委員 ということは、東京電力の上場は廃止される、そう考えてよろしゅうございますか。

海江田国務大臣 今、上場を廃止されるとおっしゃいましたか。上場を廃止されるということではないと承知しております。

河野委員 株式会社を政府が債務超過にさせないということは、これはもう上場する意味がないのではないでしょうか。債務超過にさせないんだということを閣議で決めているような株式会社が上場されることに、どういう意味があるんですか。

海江田国務大臣 上場をするかしないか、あるいは、上場をしていた企業がその資格を失うかどうかということは政府が決めることではございませんので、まずそれを一点、押さえておいていただきたいと思います。

 それから、私どもが閣議決定でそういう内容を決めましたのは、これは言うまでもございません、やはりこの原子力災害によって大きな被害を受けた方々がいらっしゃるわけでございますから、その人たちに迅速かつ着実に賠償金が支払われるようにということでございます。

 あと、もう一つだけつけ加えるとすると、今、まだ事故が完全に収束をしておりません。この事故の収束のために当たっておりますゼネコンの方々でありますとか、あるいはいろいろな会社の方々がここに入って、そして本当に一生懸命になって事故の収束のために頑張っているわけでございますから、やはりそういう人に対する支払いなども滞らないようにという思いがございました。

河野委員 つまり、損害賠償その他の費用で東京電力はもはや単独ではやっていけない、債務超過に転落をするおそれがある、だから政府が出てきて助けるのではありませんか。

海江田国務大臣 債務超過になる企業を助けるということよりも、私どもは、先ほどもお話をしましたけれども、やはりどうやったら、今の原賠法の決まりでは東京電力に第一義的な支払いの責任があるわけですから、もちろん、その原賠法については、もう大分時がたっておりますので、これの見直しをしようじゃないかという議論があることも承知をしておりますが、しかし、今の現行法の、この原賠法に基づく第一義的な賠償の責任は東京電力にあるわけでございますから、その東京電力に、先ほどもお話をしたように、しっかりとまず賠償金を払っていただこう、政府はそのための支援をするということになっております。

河野委員 つまり、東京電力は、みずからが負った債務を支払うと債務超過に転落するおそれがある、そういうことですね。だから、政府がそれを助けるんじゃないんですか。理由はともかくとして、財務上、債務超過になる会社を政府が債務超過にならないように助ける、そういうことですね。

海江田国務大臣 これは、先ほどもこれまたお話をいたしましたけれども、現在、まだ事故が収束をしておりません。やはり私は、まず事故を収束させる、少なくとも、もう二度とあのような……(河野委員「委員長、質問に答えさせてください」と呼ぶ)いや、それが私のお答えでございますので、お許しをいただきたいと思いますが。

 どうしてそういうことを言ったかというと、それによって損害の賠償金も決まってくるわけでございます。まず、やはりその賠償金を抑える。賠償金を抑えるということは、何もお金を払うのが嫌だということではありませんで、二度とそうした、これからの退避ですとか、そういうことのないようにしなければいけないと思っております。

黄川田委員長 河野委員、また別の切り口で、しっかりと答弁できるような質問の仕方もお願いいたします。

河野委員 答えていないのは大臣じゃないですか。委員長、その言いぐさは何ですか。(発言する者あり)黙っていろよ。

 債務超過にならない企業なら、閣議決定でなぜ債務超過にさせないなんていうことを言う必要があるんですか。

海江田国務大臣 ですから、債務超過というのは、どの時点でなるかということがまだ確定をしたわけではございませんから。しかし、債務超過になることによって万々が一にも賠償金が支払われないようなことがあってはいけないという思いで、その項目を書き込んだわけでございます。

河野委員 債務超過になる企業ならば、債務超過になった時点できちんと破綻処理をして、しかるべき責任をとらせるのが筋じゃありませんか。

海江田国務大臣 これももう委員はつとに御案内のことだと思いますが、債務超過になって法的な整理ということになりますと、今私が、本当に何よりも優先させなければいけないという賠償の権利でありますとか、あるいは事故に、収束に当たっております企業の方々のそうした支払いの権利でありますとか、こういうものが、例えば電力債を買った方々よりも劣後するということがございますので、そういうことのないようにしたいという思いはございます。

河野委員 劣後してカットされた賠償金は、国が払えばいいんじゃありませんか。

海江田国務大臣 その点は国会で御議論をいただければよろしいかと思いますが、私どもはそういう考え方に立っていない、今度の機構法はそういうたてつけになっていないということでございます。

河野委員 これまでに東京電力の賠償金の支払いは申請の何%が支払われているか、大臣、御存じですか。

海江田国務大臣 数字でございますので、少しメモを見させていただきますが、まず、真っ先に仮払いが始まりましたのは、これは言うまでもございませんが、事故によりまして避難を余儀なくされた方々。この方々は本当に着のみ着のままで飛び出しましたので、その方々への仮払いを優先するべきだということは予算委員会などでも指摘をされまして、これが大体、第一回の払い。これは一世帯当たり百万円という金額でございます。およそ五万世帯ありましたけれども、この五万世帯に対する百万円の支払いは、もうすべて終わったと承知をしております。

 それから、今度はその第二次分としまして、これは世帯当たりではありませんで、一人一人の、個人当たりという形で金額を決めてございます。これは、家の中で避難の準備をしていた方、それから本当に、実際に避難をされた方々によって若干金額は違ってまいります。それから、何カ月避難を余儀なくされたかということによって違ってまいりますが、この第二次の支払いに今着手をしているところでございます。

 これが避難を余儀なくされた方々でありまして、そのほかに、農林水産業の方々でございますが、これは、出荷制限対象になっております農林漁業者について、四月二十八日で第一次指針が出されましたので、これを踏まえて、七月十三日までに五つの県の農業団体及び二つの県の漁業団体に対して約四十一億円が支払われております。これは、六月の中旬までになされた請求額のうち、協議に基づく仮払い額、これは原則二分の一ということでございますが、このほぼすべてでございます。

 さらに、中小企業が避難区域等においてこうむった営業損害については、七月十三日までに請求のありました約五千五百社のうち、約三千九百社に対して約四十九億円の支払いがなされております。

 そして、この申請額というのは精査をしているわけでございますので、この申請額はまだ精査中で、申請額が幾らということが確定しませんので、お尋ねのような、今何%が支払われたかということは、残念ながらここでは申し上げることができません。

河野委員 いやいや、申請された金額が幾らなのかというのはわかるじゃありませんか。それを東京電力に払わせれば、東京電力はけちをつけてそれを値切ろうとするから、やれ申請額が決まらないということになります。だから、支払いがどんどん滞るんじゃありませんか。

 それならば、まず国が一義的にきちんと賠償金をお支払いして、それを東京電力に後から求償するのが筋じゃありませんか。当事者に払えと言ったら、当事者はそれを値切るに決まっているじゃありませんか。

海江田国務大臣 私も、今は国会もございますし、それから原子力の担当大臣が新たに任命をされましたので、毎日東京電力へ行っているということではございませんが、毎日行っておりましたときは、本当に、常にこの損害賠償の支払いということを念頭に置きまして、口が酸っぱくなるほどそういうことを言いまして、そして、その日その日の、今何%進捗をしておりますというような報告も受けました。

 最初のうちはやはり、各世帯ごとの、世帯がいろいろなところへ避難を余儀なくされておりますので、この把握が難しかったわけでございますが、約五万三千ぐらい世帯がございましたか、その把握が何とかできて、そして、その意味では、この把握ができましたことにより、これから二次の払いなどが、それはやはりかなりスピードアップする。

 それから、それにかかわる人員も、最初は三百人か四百人ぐらいでやっておりました。しかし、今は千人体制でやっておりますので、確かに、おっしゃるような国の仮払いという制度もございますが、やはりこれをやるとなると千人ぐらいの体制が必要なことは、これは事実でございます。そういう体制をこれから国がとるということになりますと、もちろんこれは法律的な手当てもございます。それから、そういった体制をどういうふうにやってつくり上げていくのかということも考えますと、今動いております東京電力のこの体制をさらに強化してもらって、そしてさらに督促をして早くやってもらうというのが今の時点では最適なやり方だと私は思っております。

河野委員 被災者のことはどうでもいいんですか。一刻も早く賠償金を支払って、きちんと被災者の方々の生活を軌道に乗せるという考えは、政府にはないんですね。

海江田国務大臣 私は、そんなことを言った覚えはございません。いろいろなお考えがあります、それは自由でございます。しかし、まさに私は私なりに被災者のことを考えて、どうやったら早く確実に届くかということを考えて、今お答えをしたわけでございます。

河野委員 それならば、なぜ国がきちんと前面に立って仮払いをやらないんですか。東京電力は自分のところから金を払わなきゃいけないわけですから、値切れるなら値切る、遅くするなら遅くする、そうしたくなるのは当然のことじゃありませんか。それなら、第三者として国がきちんと仮払いの前面に立ってお支払いをスピードアップする、そしてそれを東京電力に対して求償すればスピードアップできるじゃありませんか。

 困っている被災者の方々を一刻も早く助けたいというならば、国が責任を持って払う、お金も用意をする、そしてそれは最後は東京電力に求償すればいい。払う体制も国がつくれば、きちんと支払いをすることができるじゃありませんか。なぜそれをやらないんですか。

海江田国務大臣 今これは、お金を仮払いにしろ払うということになりますと、予算的な措置も講じなければいけないということもございます。そして、そのための法律的な枠組みもやはり決めなければいけないわけでございますから、これはいろいろな形で御議論がされているやに伺っておりますので、私どもは、先ほど来答弁申し上げておりますように、これは、本当に最初のうちはなかなか遅々として進まずということがございましたけれども、その意味では、今やっと、この仮払いに対する体制が整って、そしてスピードがアップされるようになりましたから、あとはこの機構の法案を通して、そして資金繰りに万遺漏なきようにして、そしてスピードアップを図る、そして着実に払っていくという形が最善だと思っております。

河野委員 補正予算が出るじゃありませんか。なぜ補正予算に仮払いの予算を計上しないんですか。野党が出している仮払いの法案がありますよね。政府はこの法案を支持されますか。

海江田国務大臣 ですから、そこはまさに国会で、議論で、参議院で御議論いただければよろしいと思います。

河野委員 政府は仮払い法案を支持するんですかと聞いているんです。答えてください。そして、なぜ補正予算に仮払金を計上しないんですか。

海江田国務大臣 なぜ仮払金を計上しないかといえば、そういう仕組みがまだでき上がっていないからであります。そして、私どもは、先ほど来お話をしておりますように、今動いておりますこの制度を利用するということが一番速い、スピードということでいうと速いというふうに思っておりますから、それを利用するという考え方でございます。

 しかし、そうでない、また別な考え方もあろうかと思いますから、それはまさに国会の中で与党と野党の皆さん方が御議論をいただいて、そして、まさに国会は立法機関でございますから、こういう法律ができましたということであれば、私どもはそれに対してしっかりとした予算の手当ても行うことになろうかと思います。

河野委員 野党提出の仮払い法案を政府は支持するんですか、しないんですか。

海江田国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほどお答えを申し上げましたけれども、今、私どもは、東京電力が、これは本当に原賠法からずっと演繹される理屈立てでございます。そして、現実問題、やっと、その意味では千人余りの人員が配置をされて、それはもう本当に被災者の方々から見れば、まだまだ遅いという思いがあろうかと思いますが、しかし、とにもかくにもそういう体制ができて、そして動き始めているということでございますので、これを利用するのが、私どもは、その意味では被災者の方々の期待に少しでも沿える方法だと思っているからでございます。

河野委員 東京電力に賠償金を支払えと言えば、それは東京電力は値切ります、遅くします。当然のことじゃありませんか。だから、かわって国が前面に出て仮払金をお支払いしようというのが我々の野党の考えであります。

 今の答弁を聞いている限り、東京電力にやらせるのが政府だ、補正予算にも賠償金を計上する必要はないというのが菅政権の立場だとするならば、菅政権は被災者の方々に寄り添うのではなくて、東京電力にすり寄っているとしか思えません。これが、被災者の方々に一刻も早く賠償金をお支払いして生活を再建していただこうということでは全くないと思います。

 この賠償金のスキームについても同じことが言えます。この法案でいけば、最後は消費者が、東京電力の支払う特別負担金を転嫁されてお支払いをしなきゃいけません。そうすると、この賠償金をだれが負担するのかといえば、最後は東電の消費者が負担をすることになります。

 それならば、なぜ経営陣をまずきちんと総退陣させないのか。次に、一〇〇%減資をして、株主の責任をなぜ追及しないのか。そして、債権者の責任をなぜ追及しないのか。経営陣、経営者と顧問がのうのうと生き残り、株式は減資されず、債権者の債権もカットされずに、消費者に全部の負担を転嫁する、それがこの政府案じゃありませんか。大臣、おかしいと思わないんですか。

海江田国務大臣 まず、今回のこの機構の法案の中には、特別負担金と一般負担金がございます。

 この一般負担金については、これはもちろん東京電力も、その一般負担金の分についての負担もいたしますけれども、そのほかの電力会社、これは、原子力発電所を持っておらない沖縄電力は別でございますが、原子力発電所を持っております各事業者が、この一般負担金については一定の基準で負担をするということで、一般負担金の部分のこの金額については、これは委員御指摘のように、電気料金に全く上がらないということではありません。

 しかし、この電気料金というのは、下がるときは届け出でよろしゅうございますが、上げるときには経産大臣の認可が必要でございます。ですから、その意味では、ここは本当に、上げるという場合、その上げる根拠が正当であるか、国民の方々の、電気の利用者の方々の御理解が得られるものかということはよく精査をするつもりでございます。

 それから、特に東京電力が負担をいたします特別負担金というのは、これは電気料金に転嫁をしないということをはっきりうたってございます。

 ですから、そこの違いというものがございまして、そしてそのためには、先ほどもお話を申し上げましたが、いよいよこの法律が成立をすることによって国の関与が明らかになったときに、法律の専門家、会計の専門家、あるいはリストラの専門家と申し上げますか企業再生の専門家と申しますか、そういう方々に入っていただいて、そして、しっかりとしたデューデリジェンスを行っていくということでございます。

河野委員 大臣、ごまかしちゃいけませんよ。負担金は、その分、電力料金が下げられるのに、負担金があるから下がらないことになるじゃありませんか。結局、負担をするのは消費者じゃありませんか。

 消費者に負担をさせる前に、なぜ経営陣、株主、金融機関に責任をとらせないんですか。本来責任をとるべきステークホルダーの責任をあいまいにして、なぜ消費者が、電力料金が上がる、あるいは電力料金が下がらない、そういう形で負担をしなきゃいけないんですか。

海江田国務大臣 確かに、委員、先ほどの質問で御指摘ありましたけれども、私、余り答弁が長くなってはいけないと思いまして、そのステークホルダーの負担の部分をお話し申し上げませんでしたけれども、重ねてのお尋ねでございますので申し上げますが、私どもは、国民の負担を最小化するということははっきりうたってございます。そしてその上で、あらゆるステークホルダーですから、その中には、もちろんこの会社の役員、あるいは働いている方々、あるいは株主、あるいは東京電力の債券の保有者、あるいは東京電力との間に債権債務の関係がある方々、あらゆる方々が入ろうかと思います。

 そして、このあらゆるステークホルダーに協力を求めて、その協力があった場合、特に金融機関などにつきましては、どういう協力があったかということをきちっと報告をする。報告をするということはどういうことかというと、それをすべて明らかにするということでございますから、この程度のこのステークホルダーの負担ではおかしいじゃないだろうかという意見があれば、それはまた委員会などを通じておっしゃっていただいて結構でございます。

 それから、例えば、どうしてそういう表現にしたかということでございますが、これはもう委員もつとに御案内だろうと思います。それから、先ほども私、言いましたけれども、やはり今の法律のたてつけでは、例えば、電力債の債権を持っておる方々の方が、賠償の権利を有している方々、あるいは、現地で働いておって現場で事態の収束のために頑張っておられて、そして東京電力に対して債権を持っている方々よりも優先をしてしまいます。つまり、賠償の債権、あるいはそうした働いているところの一般債権、こういうものが劣後してしまいますので、そういうことがあってはいけないと思っております。

河野委員 国民負担を最小限にするのは当然でございますけれども、公平の原則がなければおかしなことになります。破綻する企業ならば、株主、経営陣、金融機関、債権者、その責任をきちんとルールにのっとってとるのが当然じゃありませんか。中で適当にごちゃごちゃやって報告だけしますというのは、極めて不透明なやり方じゃありませんか。

海江田国務大臣 先ほどお話をいたしましたけれども、中で、何か見えないところで勝手に決めているということではございませんで、東京電力へ特別資金援助、つまり、国のお金を使って東京電力が賠償を行う場合は、東京電力が特別事業計画というものをつくることになります。

 この特別事業計画の中に、経営責任の明確化のための方策をそこに記入しなければいけない。それから、株主を含めた利害関係者への協力要請の状況をそこに書き込まなければいけない。それから三番目として、機構による東京電力の資産に対する厳正かつ客観的な評価及び経営内容の徹底した見直し等について、これは明示的に記載をするようにということでございますので、そこはそうした内容に、この特別事業計画の内容を精査することによって委員の御懸念も払拭されるのではないだろうかと思っております。

河野委員 全く払拭されません。

 それならば、なぜきちんと法的破綻処理をしないんですか。法律にのっとった破綻処理をするのが一番公明正大じゃありませんか。それをやらないで、株主その他には、要請をします、御協力をしてくださいと。何かこの間、枝野さんも金融機関に御協力の要請をされましたけれども、その程度の話になってしまうわけではありませんか。それならば、きちんと経営陣には責任をとらせる、株式は一〇〇%減資をする、金融機関の債権もきちんとカットする、公明正大にやるべきじゃありませんか。

 国民に負担を求めるならば、少なくとも、その前に責任をとるべき人間が責任をきちんととらなければ、国民に負担を求めるわけにはいかないじゃありませんか。

海江田国務大臣 今委員がおっしゃった、国民に負担を求める前にそれぞれやることがあるのではないだろうかという点については、私もそのとおりだと思っております。

 ただ、その負担のとり方あるいは責任のとり方というものはいろいろあろうかと思います。今、株式は一〇〇%減資、株券が紙くずになるということだろうと思いますし、それから、金融機関の貸出債権なども、これは全額その債権をゼロにするということだろうと思いますが、そこへ至る手前のところで、幾つかの負担の仕方、責任のとり方というものもあろうかと思います。

 例えば株式につきましては、実際問題として、上場はすることになっても、配当というものは期待できなくなってしまいます。今、何年間無配になるということは言えませんけれども、かなりの長期にわたって配当がなくなるということ、これはやはり株の持ち主にとっては、もちろん一〇〇%の減資とはまた違うわけでございますが、それなりの責任のとり方ではないだろうかと。あるいは、新たに優先株などによって株がふえることによって一株当たりの権利が希釈をされるということ、このこともやはり一つの責任のとり方ではないだろうかというふうに思っております。

 それから、金融機関についていえば、やはりこれは債権放棄という前に、例えば何%の金利で貸しているんですか、ではその金利の負担分は遠慮願いますとか、いろいろな順番があろうかと思いますので、全く無傷で、そして全くそういう権利が確保されて、そして利用者だけにその責任を、責任と申しますより、負担を押しつけるということはあってはならないことだと思っております。

河野委員 大臣、今の言い方だったら、株式はしばらく無配だけれども持っていてください、そのうちに配当が出てきます、そういうことじゃありませんか。全く影響のない、全く関係のない国民は、その間、電力料金という形で賠償金を負担するんです。国民より前に責任をとらなきゃいけない株主は、今の大臣のお話だと、しばらく無配になるけれども持っていてください、そのうち配当が戻ってきます、そういうことじゃありませんか。そんなことを許すんですか。

 さっきの、賠償金の支払いを東京電力に任せますというのもそうですよ。国が前面に出てもっと早くお支払いをする方法は幾らでもあるのに、補正予算に賠償金を予算計上してきちんとお支払いをする方法があるのに、それが嫌だから、東京電力がやるんです、そういう話じゃありませんか。

 国民に電力料金で御負担をお願いする前に、責任をとるべき人間にきちんと責任をとらせるのが筋じゃありませんか。それが法の前の公平というものじゃありませんか。違うんですか。

黄川田委員長 改めて答弁してください。国務大臣海江田万里君。

海江田国務大臣 私は、今の株主の責任のとり方についても、できるだけ丁寧にわかりやすく話をしたつもりなんですよ。私は本当に耐えるに耐えてきていますので、少し声を荒げられても私は動じませんから。

 ただ、私は理解をしていただきたいから気持ちを尽くして話したんですけれども、それに対して、あなた、何年かたてば、株持っていてください、私はそんなことは言いませんよ。それは少し信用してくださいよ。

河野委員 では、なぜ最初から一〇〇%減資にしないんですか。

海江田国務大臣 ですから、それも一つの方法としてはございますけれども、やはり、それが株式市場に与える影響でありますとか日本の経済に与える影響でありますとか、私は確かに特命大臣で、原子力の被害者に対する損害賠償をしっかりやらなければいけないという、総理からそういう特命を受けましたので、こうやって皆さん方にこの法案の審議をお願いをして、できる限り自分なりに、不行き届きもございますけれども、できるだけ丁寧に説明をしているつもりでございますが、もう他方で、やはりこれは経済産業大臣という立場もございます。

 日本の経済を、これだけ大きな事故がありました、これだけ多く日本の国民も打ちひしがれておりますけれども、やはり何とかしなければいけないという立場もあるわけでございますから、そういう立場からの発言も時として出てまいりますので、それは御勘弁いただきたいと思います。

河野委員 きちんとルールにのっとって、法律にのっとって破綻処理がされるというのが一番日本の経済のためになるわけで、何かあったら、電力業界のような政治的に力のあるところが出てきたら、きちんと処理がされないでどがちゃがされてしまうというのは、極めて日本経済にとって悪影響を及ぼすではありませんか。公明正大にその処理がされるかどうか、それを見ているのであって、菅内閣ができないなら、どうぞ退陣してください。それを私は声を大にして申し上げたいと思います。

 先ほど、電力債の話がございました。そういう不都合があるならば電気事業法を改正して、電力債の一般担保を外すべきですね。大臣、どうお考えですか。

海江田国務大臣 そういう考え方もあろうかと思います。

 ただ、今、電力債を買っていた方々、特に三月十一日の前に買っておられた方、これはいろいろな方がいらっしゃると思いますけれども、やはりその方々が、そういうものではないというもので買っていたわけでございますから、そこは議論をしていただいて、むしろ、そういうところで、さかのぼってということであれば、それはそれで法律をつくっていただければ、そのようになります。ただ、私は、いろいろな方がその中にはおられると思っております。

河野委員 一般担保がついていた電力債の一般担保を無効にしろと言うつもりはありません。しかし、これから発行されるものについては、少なくとも普通の市場で発行される債券と同じ扱いをされるべきではありませんか。

海江田国務大臣 ですから、そういうことも本当に冷静に議論をされたらいいだろうと思います。

河野委員 この六月の国際会議で、我が国の政府は、これから発展途上国にCDMを利用して原子力をつくり、そこで削減された二酸化炭素は我が国の京都議定書にカウントしたい、そういうことを発言してひんしゅくを買いました。大臣、まだそのおつもりですか。

海江田国務大臣 これは菅総理もきのうの会見でお話をいたしましたけれども、海外に対する原子力のプラントの輸出の問題についても、私もこちらの日本にいますトルコ大使とお目にかかったとき、トルコ大使は、せっかく日本にお願いをしたのでぜひお願いをしますというような意見も聞いておりますが、やはり、そこはもう少し待ってください、今とにかく国内の原子炉の安全性の確保についていろいろな手だてを講じているところですからということを言いましたので、その意味では、これまでと同じような形で推し進めることはできないだろうと思っております。

河野委員 日本政府が主張した、原発をCDM、クリーン開発メカニズムにカウントしろ、その主張は、もはや日本政府はしないんですね。

海江田国務大臣 これは私どもだけの考え方でありませんで、環境省でありますとか、そういう方面と相談をしなければいけないと思っております。

河野委員 時間も残り少なくなりましたので、文科大臣にお伺いをします。

 文科大臣、日本エネルギー法研究所という研究所の存在を、原子力損害賠償紛争審査会の委員を任命するときに御存じでしたか。

高木国務大臣 河野太郎委員にお答えをいたします。

 日本エネルギー法研究所といいますいわゆる電力の研究所でありますが、この件については、先日の本会議で御指摘があって承知をいたしました。

河野委員 文科省のこの審査会の担当部署に聞いたところ、このエネルギー法研究所の所長さんを会長にするのはまずいということで、その人を外して紛争審査会の会長の選任が行われた。大臣、そのことを御存じでしたか。

高木国務大臣 いや、そのことについては承知をしておりませんでした。

河野委員 この損害賠償紛争審査会のメンバーになっている法律学者のほとんどが、この日本エネルギー法研究所という、大臣がおっしゃった電力会社の研究所のメンバーでございます。所長さんもいれば研究班の主査の方もいらっしゃいます。

 このエネルギー法研究所というのは、やはり電力会社の研究所であります電中研から研究を受託しております。事務部門はすべて東京電力からの出向でございますし、研究員はすべて九電力からの出向でございます。ホームページを見ると、リンク集のところはすべて電力会社へのリンクが張られている。

 そういう研究所の所長さんであったり、研究班の主査であったりという方々が、法律家を代表してこの損害賠償紛争審査会の委員になっているということは、この審査会の中立性を著しく損なうと大臣は思いませんか。

高木国務大臣 今、紛争審査会の委員は九名でございまして、御指摘の委員は三名だと承知をいたしております。

 委員も御承知のとおり、この紛争審査会については、政令に基づいて、法律関係、医療関係あるいは原子力等の学識経験者を選任することとされておりまして、私が決定をいたしました。

 今回の事故については、これまでにない大変な被害者そしてまた分野にわたることは既にいろいろ議論があるところでございまして、まずは民法に卓越した識見を持つ方、放射線障害や放射線防護に関する深い見識を持つ方、あるいは原子力損害賠償についての国際的な情勢についても詳しい方、そして、前回、ジェー・シー・オー事故における対応の経験のある方、こういう中から専門家を任命したところでございます。

 この専門家の中に三名、いわゆる日本エネルギー法研究所にかかわる方がおられました。今、私が聞くところによりますと、ほとんどということではなかったかと思いますけれども、九名のうち三名がかかわっております。

 そのお一人の野村委員につきましては、現在、国の法制審議会の委員でございまして、民法の権威と言われております。

 また、大塚委員につきましては、現在、環境省の中央環境審議会の委員を務めておられまして、この方は民法や環境法のこれまた権威と言われておりまして、さきのジェー・シー・オーの紛争審査会でも携わっておる方でございます。

 また、高橋委員につきましては、この方は今、総務省や、そしてまた国会同意人事でもあります国の公害等調整委員会の委員もされております方で、いわゆる行政法とか環境法に詳しい方だ、このようなことで、私どもとしては適任であろうというふうに決めたわけでございます。

 なお、御承知のとおり、この紛争審査会の運営、今まで一次、二次、そして二次の追補という形で報告、指針を出しておりますが、七月の末までにも中間取りまとめ、最終的な案を今調査研究しておるところでございます。

 この審議に当たりましては、これは内容も全面公開でございまして、今、透明性は図られておりまして、実際、中立性を疑われるような発言など、そういう指摘は受けておりませんで、私どもとしましては、公正中立の運営をさらにお願いしたいと思っております。

河野委員 九名のうち、法律家が全員なわけではありません。民法の専門家、環境法の専門家というのは、ほかに大勢いらっしゃいます。大勢いらっしゃる中で、わざわざこのエネ法研のメンバーを選んだ。しかも、大臣にはその事実を知らすことなく委員の選任が行われた。これは非常におかしな話だと私は思うんですね。

 本来、この人間がどういう人間なのかということをきちっと、大臣が任命をする前に、説明を受けられたときに、この人間はエネ法研のメンバーですよというのは極めて重要な話です。法制審や環境審ならば、それは重要なファクターではないのかもしれませんけれども、少なくとも、東京電力が起こした事故の賠償をどうするかという紛争審査会の委員になるかどうかということについて、電力会社の研究所にいたというのは極めて大きなファクターで、それを大臣に知らせることもなく委員が任命をされたというのは、これは私は極めて重大な問題だと思います。

 民法の専門家というのは、この九人の中で限られた人数しかおりません。そして、その人間がみんなこのエネ法研のメンバーだというならば、少なくともその分野の議論はゆがみます。その人間がジェー・シー・オーの紛争審査会にも任命をされていたというのは、原子力関係、電力関係の審査会には既にそういう手がこれまでも回っていたということを示す大きな証拠じゃありませんか。

 このままで、大臣、中立だと本当に国民が納得するか。被災された方々が、この紛争審査会で指針を出され、それに基づいて賠償を受ける人間が、本当にそれで、この紛争審査会は中立だ、そう納得すると思いますか。

黄川田委員長 河野委員の持ち時間が過ぎておりますので、簡潔に答弁いただきます。

高木国務大臣 任命したのは私でございます。私としては、これまでの審議の状況も聞いておりますし、これからも公開の中での審議でございまして、しっかり公正中立は保たれる、そのように考えておりますし、そのように努力をしていただきたい、このように思っております。

河野委員 終わります。

黄川田委員長 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健でございます。

 きょうの私の質問は二本立てで行いたいと思います。

 まず初めは、私の地元の周辺、松戸市、柏市そして流山市が周辺地域よりも放射線量が少し高いということで、週刊誌などでホットスポットと呼ばれて、危険だ危険だという書かれ方を随分されておりますものですから、住民の、とりわけ小さいお子さんを持ったお父さん、お母さんの心配が大変高まっております。この点についてはまだ国会で取り上げられていないということでありますので、私の方からきょうは質問をさせていただきたいと思います。

 それから、もう一本は、法案につきまして、きょう、先ほど河野先生からお話がありましたけれども、自由民主党の中にもいろいろな意見がありまして、この法案に対しましてどういうふうに対応していくか、これから懐深く、しかし責任野党としてしっかりとやっていかなくちゃいけないわけでありますが、きょうは、私は私なりの視点から大臣に質問させていただけたらと思います。いずれも端的に質問させていただきますので、お答えの方も端的に答えていただければありがたいと思います。

 まずホットスポットの問題からですが、この問題は、心配されたお父さん、お母さんはもう引っ越しを考えるというぐらいまで高まってきております。そして、この不安はどこから出てくるのかということを私なりに整理をしてみますと、三点あろうかと思います。

 一つは、きちんとした計測がされているのか。ちゃんとした機関でちゃんとした計測が行われているのかということについて非常に不安があるということ、この点をどうするか。

 それから二つ目は、仮にきちんとした計測がされていたとしても、それをどう評価し、受けとめていいか、余りに難しい話なのでそこがよくわからないというのが二つ目の不安だろうと思います。

 それから三つ目は、学校や幼稚園における規制が非常にあいまいでありまして、そこに不安を感じる。例えば、学校や幼稚園を経営しているサイドはどうしていいかわからない、お父さん、お母さんの方は、学校がそういう感じですから、それを肌で感じて不安に思うということがありまして、この学校や幼稚園に対する規制、国の指導、これが非常にあいまいである点が三つ目の不安の要因であろうと思います。

 きょうは、これらの不安の解決策を一つ一つ大臣と議論させていただきたいと思っております。

 まず、私の質問に入る前に、この問題を議論する大前提として、ここをとらえ間違えるとこの先の議論は迷走してしまいますので、あらゆる議論の出発点として大臣にお伺いをしたいんですが、この地域がほかの地域に比べて放射線量が高い、なぜそうなったかといいますと、もちろん福島第一の原発の事故があって、そこから放射性物質が放出をされて、それで放射線量が高くなっているわけであります。現在、高くなってしまって不安が高まっているというこの責任、一体だれが原因で、だれが責任を負う問題なのか、このホットスポット問題は。その肝のところを確認したいと思うんです。

 私の意見は、まずは事故を起こした東京電力に、当然のことながら、こういう事態を引き起こした責任はあると思いますし、もう一つは、国にもあると思います。なぜなら、国がこの福島第一原発の安全審査を担当し、安全だというお墨つきを与えているわけでありますので、当然、事故の責任は国もありますし、こういう事態を引き起こした責任は国にもあると思います。私は、東京電力と国、このホットスポット問題の、事故を起こした責任というのはこの両者にあると考えますけれども、大臣はいかにお考えになっておられましょうか。

高木国務大臣 齋藤委員にお答えをいたします。

 齋藤委員の御指摘のとおり、起きてはならない原子力発電所の事故が起こりました。もちろん、大きな地震、そしてまた大津波ということも起因しておるわけでありますが、しかし、それはそれとしても、私どもとしては、原賠法じゃありませんけれども、東京電力、事業者に対してもありますし、我々は原子力政策を進めてきた、そういう立場もございますから、責任は我々としては、ひとしく私は感じております。

 そういう中で、やはり何といいましてもその事態の収束、一日も早くこの事態の収束のために全知全能を国としても傾けて、もちろん現場の作業員の皆さん方は日夜分かたぬ大変な仕事をされておりますけれども、そういった人たちの健康や安全の管理をしっかりしていただいて、一日も早くいわゆる安定的にコントロールができる状態に持っていくこと、これに尽きるのではないかと思っております。

 ただ、一方で、そのような放射能のリスク、これは決して甘く見てはならないと思っておりまして、不安があるのは十分承知をしておりまして、特に千葉県の流山地区についても、あるいは柏地区、松戸地区、比較的高い線量がある、ここはいわゆるホットスポットということが言われておる、そういう認識はしております。

齋藤(健)委員 お願いでありますが、私の質問に端的にお答えいただければありがたいなと思います。解説は結構ですので。わかっておりますので。

 今、国と東京電力に両方責任があるという御答弁だったと思います。もちろん原子力政策を推進してきたのは自由民主党でありますので、だからこそ、我々は国の責任をしっかり踏まえて対応していかなくちゃいけないと思っているわけでありますので、その点は誤解のないようにしていただきたいと思うんですが。

 一方で、今の御答弁で、市町村ですね、今このホットスポットで苦しんでいる市町村にこの事故の責任はあると思いますか。確認だけです。

高木国務大臣 それはないのではないかと思っています。

齋藤(健)委員 それでは、先ほど私が整理した三つの不安に即しまして一つ一つお伺いしたいと思いますが、まず、この地域の人たちの一つ目の不安で、きちんと本当に計測をされているのかということについてであります。

 私は、まず何よりも大事なのは定点観測ではないかと思います。きちんとした観測を、定点観測をしていれば、何か異変が起きたときにはすぐわかりますので、すぐ対応をとることができます。ですから、まず基本として大事なのは、こういったホットスポットで不安が高まっている地域につきまして、きちんとした定点観測体制を築いていくということがまずは大事なんだろうと思うんですが、現在、この定点観測体制というのは、いわゆるホットスポットと言われている地域につきましてどのようになっているのか、御教示いただければと思います。

高木国務大臣 現在、千葉県においては、市原市のモニタリングポストの監視を行っておりますが、同時に、千葉大学そしてまた木更津高専などの協力を得て、積算線量を測定しております。

 また、先般、六月の八日でありますけれども、四十七都道府県に対しまして、もちろん千葉県も含みますけれども、いわゆる各自治体の広範な線量計測をするために、可搬型、動けるものですが、可搬型のサーベイメーターを用いて計測をしていただく。千葉県においても、既に各市町村において測定が開始されておりまして、例えば、流山市は最大毎時〇・四六マイクロシーベルトが測定されていると承知をいたしております。

 同時に、質問に簡潔にと言いますけれども、そういう中で、私どもとして、都道府県に各一つ、もちろん大学はプラスアルファでございますが、一つではやはりいけないだろうと。特に千葉県の皆さん方からも、いろいろ御要請がございました。少なくとももう少し、徹底的な計測というのがまず第一でありますから、きめ細かいモニタリングのために、第二次補正予算において、モニタリングポストを約二百五十基ふやしていく、それから、各都道府県にゲルマニウム半導体検出器を備えて環境試料の分析に当たっていただく、こういう必要な経費をこの予算にも計上しております。

 しかし、不安は尽きないわけでございますが、言われたとおり、まず第一の計測、正確な計測をしっかりやることが大事ではないか、このように思っております。

齋藤(健)委員 この定点観測というのは本当に大事だと思いますので、ぜひその予算も国の負担で、先ほど申し上げましたように、大臣もお認めになったように、国の責任、そして市町村の責任はないわけでありますから、国の責任、国の負担で、皆さんの不安が解消されるような定点観測体制をぜひしいていただくように、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 もう一つ私が申し上げたいのは、二つ目の不安についてでありますが、放射線についての知識というのは、相当勉強しないと、なかなか納得するというところまでいかない難しい問題だと思います。今回のホットスポット問題も、そういうある意味よくわからないがゆえの不安というものが非常に大きいと思います。

 したがいまして、この二つ目の不安にこたえるために一番いい方法は、今何が起こっているかというと、市役所の職員さんに、大丈夫なんですかとお母さん方が迫るわけです。それから市議会議員に迫るわけです。県議会議員に迫る。私も迫られますが、専門家でないから確たることは言えないし、口ごもるとかえって不安をあおるということにもなりかねません。

 二つ目の解決策として大臣ときょう議論したいと思っていますのは、こういうホットスポットで放射線に関して非常に不安を感じている方々からの相談を受け付ける、そういう相談窓口といいますか、専門家がきちんとアドバイスをできる、そういう窓口を、国に責任があるわけですから、国の責任で、国の負担できちんと開設をしていくのが唯一の答えではないかと私は思いますが、その点についての大臣の御見解を伺えたらと思います。

高木国務大臣 委員の御指摘のとおりです。

 いかに計測をしようが、それがどういう評価であるのかということがわからないと、不安は尽きません。したがって、しっかりした正しい計測を早くすることと同時に、それの解説、評価を教えてやるということです。私も専門家じゃございませんので、やはりこの点については専門家の判断をお伝えすることになろうと思います。

 そういう意味では、いわゆる発災以降から、私どもとしましては、独立行政法人の日本原子力研究開発機構、それからまた、千葉にあります放射線医学総合研究所、いわゆる放医研の協力を得まして、この件に対して説明をする健康相談ホットラインを開設しております。七月十三日十八時現在で、既に三万五千六百八十一件のお問い合わせをいただきました。

 そういう中で、私たちとしては、これからもしっかりそういう説明ができるように体制をとっていきたいと思っております。

 なお、既に、四月の開校に合わせて、私どもは、校庭での、学校での教育活動の考え方、いわゆる暫定的な考え方を出しました。その折にも、特に教職員、また御父兄の皆さん方、そういう方々に、いわゆる専門家からいただいた放射線についての基本的な、わかりやすい、分厚いものじゃありません、そういうものをつくりまして、学校、教育委員会を通じまして配付をしている。しかし、これは限度はございませんので、折に触れてしっかりそういう説明の機会を、していかなければならぬ、このように思っております。

齋藤(健)委員 この問題は、私が考えますと、説明会を開くから来いということではなくて、不安に思ったときに常に相談ができる体制というものを構築していくということが一番有効な手段だと思います。それに必要な予算があるのであれば、これはもう本当に与野党協力して組み立てていけばいいわけでありますので。

 今、放医研に窓口があるというのも私も存じ上げているんですが、お父さん、お母さんに聞くと、非常に敷居が高過ぎるということもありますので、私ももう少しこの利用状況のフォローをしっかりさせていただきたいと思っておりますが、この相談窓口の充実については、引き続き大臣に要請をしていきたいと思っております。

 それから三つ目は、学校や幼稚園等における規制があいまいだ、これは何としても私は是正をしていかなくてはならないと思います。

 大臣御案内のように、福島県では毎時三・八マイクロシーベルトで線を引きまして、これは年間に直すと二十ミリらしいですが、この三・八マイクロシーベルトで線を引いて、それを超えれば、それ以上であれば、校庭で遊ぶ時間を減らすとか砂場で遊んじゃいけないとか、具体的な規制がかかるわけですが、それ未満であれば通常どおりでいいということになっているわけであります。もちろん、できるだけ気をつけなさいという指示はあるんですけれども、本当に通常どおりでいいのかという不安が非常にありますし、本来これは福島県以外にも適用されていなくちゃいけないものでありますけれども、どうもそうなっていないらしいということもあります。

 したがって、私は、どこの県でもこういう基準になったらこういうふうにしなくちゃいけないというきちんとした基準を国として示してあげないと、三・八という非常に高いところに線が引っ張ってあって、そこから先は規制がかかるけれども、そこから下であれば基本的には通常どおりでいいんだということに対して非常に不安が高まっているということであります。

 そういうことがあって、五月二十七日に、大臣御案内のように、学校における児童等が受ける線量について、当面、年間一ミリ以下を目指す、そういうペーパーが出されているわけでありますが、ここまで来ると本当にわけがわからなくなるわけであります。三・八マイクロシーベルト未満であれば通常どおりでいいと言っておきながら、でも、学校における線量は当面一ミリ以下を目指すというふうに言われると、普通の人はわけがわからなくなるわけであります。

 確認ですけれども、目指すということですから、この通達上は別に何もしなくてもいいということになりますか。

高木国務大臣 三・八マイクロシーベルトの件につきましては、これはもう何度も申し上げましたけれども、ICRP、国際放射線防護委員会の勧告に基づくものでございます。そのことを一つの物差しにしながら、学校での線量というのを、一応のめど、目安をつけたわけです。一日、屋外で八時間、屋内で十六時間、こういうことでした。

 非常にこれは、ある意味では安全サイドでずっとやっておりまして、何か二十ミリシーベルトというのがひとり歩きをして誤解が一部にありましたけれども、私どもとしましては、少しでも少なくしていく、当たらない方がいい、こういう考え方でございまして、より安心をいただくために、一ミリシーベルトを目指す、こういう表現を使わせていただきました。

 したがって、今も、その意味で、例えば土壌の改良など、あるいは除染などをしていきますと、毎時一マイクロシーベルトぐらいに改善をされておるという事実がございまして、今後は、福島県以外におきましても、御指摘のとおり、毎時一マイクロシーベルト以上の学校の土壌に関しては、設置者の希望に応じて私たちとしては財政支援を行うこととしたいと思っております。

 また、我々としては、福島県を初め多くの方々にこの問題で大変御苦労をかけております。私も、委員の質問があるということで、手に入りましたけれども、齋藤委員のチラシを見させていただきました。本当に私どもが当然にして皆さん方に広報し説明しなきゃならないことをしっかりここに記載していただいておりまして、私たちは、こういうものが一つの不安の解消に役立っておるだろうと思っております。

 私どもとしましては、これからも、福島県内にかかわらず、線量の比較的高いところ、これについてはそういう対策をとっていきたいと思っておりますし、言うならば、三つの点、重ねて申し上げますが、まずしっかりした計測をする、それから評価をする、説明をする、そしてしっかりした、あいまいではなくて、できるだけわかりやすく、専門家の知見もいただきながら努力をしてまいりたいと思います。

齋藤(健)委員 大臣の努力は多としたいと思うんですが、繰り返しになりますけれども、三・八マイクロシーベルト以下であればどうこうしろということが一切ない、ただ目指しなさいということでありますので、私は、やはり全国に共通する、このくらいになったらこういうふうにすべきだ、こうなっているから大丈夫だということを、目指しなさいという指導じゃなくて、きちんと示さないと、幼稚園の園長先生はわかりませんから。わかりやすく、こうなったらこうだという指導をしないとまた不安が高まる。私がお父さん、お母さんと接している範囲において、それは断言できると思いますので、きょうは余り時間がありませんので、この規制のあり方についてはまた引き続き議論させていただきたいと思います。

 そして、最後に質問したいのは、この地域の放射線量が周辺より少し高いということは一体どういう理由によるものか、これがわからないのも不安になっているわけですね。構造的に、こういう地形だから高くなるのか、それとも、たまたま何かがあって、一時的に高くなる要因があったのか。その違いだけでもわかれば、一時的なものであれば、二度三度繰り返されることはないと少しは安心します。しかし、構造的にこの地域は高いんだということになると、これは心配が一気に高まります。

 なぜこの地域が高いかという説明、これをぜひ大臣にお願いしたいと思うんです。

高木国務大臣 極めて難しいテーマでございますけれども、原子力発電所のサイトの事態の中で、当時、それが空に舞い上がり、そして雲の中、また雨が降る。その雨も、それぞれの地形も影響しましょうし、風向きも影響しましょうし、そういった中で流山地区などが線量が高くなった。もちろん、福島県内でもそのようなことが町々にあります。

 私どもとしましては、さらにこの件については分析、検証しますけれども、それは何よりも、しっかりきめ細かなモニタリングをやっていく、そしてそういう地域の皆さん方の不安解消に努めることではないかな、そういう思いでございます。

齋藤(健)委員 最後にまとめさせていただきますけれども、きょうの大臣との質疑におきまして、まず、定点観測については大臣も重要性を非常によく認識していただいておりまして、ただ、まだはかられていない地域もたくさんあります。これは事実であります。その地域の人たちが不安に思っているのも事実です。しかし、無限にやることもできないのもよくわかっております。ですから、適切な配置というものがありますので、今後、本当に適切な配置になっているかどうか、なっていない場合には、国の責任において、国の負担においてきっちりとそれを整備していかなくちゃいけない、この点について認識を共有させていただきたいと思います。

 それから二つ目につきまして、相談窓口につきましても、やはり敷居が高い、相談しにくいという声が非常に強くあります。私もこれはもう少しトレースをさせていただいて、本当に適切な相談体制になっているかどうか、これも引き続き大臣と議論させていただきたいと思います。もしなっていない場合は、国の責任で、国の負担で整備をしていくべき問題だと思います。

 三つ目の規制のあり方につきましては、私はやはりいまだにあいまいだと思います。これも、きょうは時間がないのでこれ以上議論しませんが、これでは現場の幼稚園の先生たちは本当に困ります。学校も本当に困りますので、困らないようなしっかりとした、みんな放射線について素人ですから、困らないようなきちんとした指導、目指しなさいじゃなくて、きっちりとした指導をするように、今後、また私もここで議論をさせていただきたいと思います。

 それから、最後の、放射線量がなぜ高いのかの原因については、これは非常に重要だと思います。物すごく重要な、やはり政府の研究しなくちゃいけない課題だと思います。

 SPEEDI、事故があった後、いろいろ批判されました。SPEEDIは目的が違うというわけですが、少なくとも、昭和六十年度の予算から始まりまして、二十五年間で百十六億円もつぎ込んでつくった仕組みがこの分析一つできないというのでは、やはり困ると思うんですね。

 ですから、今後のこともありますので、この地域の放射線が周辺よりなぜ高いのか、こんな基本的なことが、ある程度のことがわかるように、しっかりと国で取り組んでいただかなければ、なかなか不安は解消されない。少なくとも、構造的なものなのか一過性のものなのか、そのぐらいの判断を国で示していただけるように、この点、お願いを申し上げたいと思います。

 最後に、私が質問をするということで、これは、私がじかに住民からいろいろ言われるものですから、もっともだと思うものですから質問しているんですが、何か、地元の市町村が私に頼んで国会で質問をさせるなんてけしからぬみたいなことを言う声が少し聞こえているようでありますので、そういうことは断じてないということを大臣から、最後、一言いただければありがたいなと思います。

高木国務大臣 私としては、まさに国民の、特に子供たちの健康を守る、地域の不安を解消する、そういう立場で大所高所から御質疑があったと思っています。

齋藤(健)委員 ありがとうございました。

 それでは、時間も少なくなりましたが、法案についての質問をさせていただきます。時間が少ないので、論点を絞りたいと思います。

 お伺いしたいのは、私は、海江田大臣、この原子力という本当に重い重いテーマを苦しみながら前進をさせている点については敬意を表したいと思います。とりわけ、はしごを外されたり、手柄をとられたり、いろいろされる中で歯を食いしばってやられている大臣の姿は、私は一定の敬意を持っていつも見させていただいております。その意味で、この法案も、我が党として真剣に対応方針を今考えているところでありますが、私は、時間がないので、きょうは一点だけお伺いしたいと思います。

 大臣は、今回の福島の事故の責任につきまして、東京電力は当然責任がありますし、国も責任がありますが、そのほかの電力会社、関西電力も中部電力もありますが、この福島の第一原発の事故についての責任について、国と東京電力以外の電力会社と、どちらが重いと思われていますか。

海江田国務大臣 私も齋藤委員と何度か経産委員会などで質問のやりとりをやっておりますので、齋藤委員がこういう質問をしたときは、次にどういう論理展開になるのかなということがわかりまして、意が通じたということだろうと思いますが、そのことも考えなければ、答弁をしなければいけないなと思っております。

 ただ、実は、他の電力事業会社も今回のこの福島の事故の収束に当たってはいろいろな形で支えていただきました。ですから、そういうような功績も含めてということで計算をしますと、私はやはり国の方が重いのではないだろうかという結論でございます。

齋藤(健)委員 福島で東京電力が起こした事故について、関西電力に責任があるというのはなかなか言いにくい話だと思います。むしろ福島の安全審査をした国の方に、関西電力や中部電力よりも責任が重いというのは、私は当然だと思います。大臣もそういう趣旨で答弁をしてくださったんだろうと思います。

 今回の法案は、この東京電力以外の電力会社から負担金を徴収するという仕組みになっております。その負担金は、使われ方が二種類あって、一つは、東京電力の賠償がどうしても足りない場合には使われる、それからもう一つは、将来の事故が起こったときに備えての保険的な意味合いで、東電以外からも負担金を集めるということになっております。

 東京電力が補償する際に、支払えなくなる、その場合に備えてという意味合いも持っているわけでありますね、この負担金は。そうしますと、そもそも電力会社より国の責任は重いのに、国が負担金を払わないで東京電力以外の電力会社が負担金を払うというのは、少なくとも事故の収束に関して、私は順序が違うんじゃないかと思いますけれども、大臣はどのようにお感じになられますか。

海江田国務大臣 まず、国は一原子力発電所につき千二百億円の補償金を払うということでございます。それから、六十五条がございまして、今回の補償が大変巨大なものになって国民生活に影響を与えるというような場合は、国が返済を求めない支払いを行うということ。それから、あともう一つあるのは、交付国債を出しまして、そこの利子の負担分を国が行う。大宗この三つが国の負担になろうかと思っております。

 一方、各電力事業者は、まさに今委員お話のありましたように、あってはならないことでありますけれども、将来の事故に対する備えということになろうかと思いますが、その将来の備えと同時に、やはり過去の事故に対しても、その意味でよく足らず前という言葉が使われますが、本来だったらこの制度はもっともっと早くつくられていなければいけなかったわけでございますが、遅まきながらでき上がった、よしわかった、それならお互い、武士は相身互いということで負担をしようじゃないかということで、実は私はきのうの当委員会の参考人の質疑を大変耳をそばだてて聞いておりまして、そういうお答えもございましたものですから、本当に心から感謝を申し上げると同時に、ただ、国もしっかりと、その意味では負担できるところは負担していかなければいけないと思っております。

齋藤(健)委員 今大臣がおっしゃったことの揚げ足をとるわけじゃないんですが、最初におっしゃった原賠法の千二百億というのは一回限りの措置であります。他電力が支払うと言われている金額は年間一千億で、それがずっと続くということであります。ですから、そういう意味でいうと、やはり国の方が腰が引けているなと。

 それから、六十五条については、条文をどう読んでも、この国の経済が本当に立ち行かなくなるとか、そういうときに限って出ますと書いてあるので、そうならないときには出ないというふうに読むのが普通でありますので、六十五条が適用されるケースというのは極めて少ないのではないか、普通の条文の読み方ならそうなります。

 それから、交付国債は、あくまでも後で返せという話でありますので、電力会社の負担金は返してもらえない金額でありますので、どう考えても、事故を起こした部分の賠償に関して言えば、国の方がもっと出なければ、何で事故を起こした賠償を関西電力が国よりも負担するのか、今の時点で私には論理的に理解ができないわけであります。

 国が負担しても電力会社が負担しても最終的には国民が払うんだと言われればそうかもしれませんが、しかし、これは自民党にも責任がありますが、国が推進してきた以上、やはりその推進してきた旗頭としての責任というものをみんなに見える形でしっかり果たしていかなければ、これからついてくる人たちがいなくなるんじゃないか、私はそういうふうに思います。

 それから、時間がないので、もう一点お伺いしたいと思います。

 今回、ステークホルダーの責任をどう問うかという議論がありまして、先ほど河野議員の方からも質問がありましたが、私が一点だけ伺いたいのは、株主とかお金を貸している貸し手の人たちの責任を問うべきだという声があります。これはもう当然だと思うんですけれども、今回の福島の事故に関して、国の責任と株主や貸し手の責任と、大臣はどちらが重いと思われますか。

海江田国務大臣 これもなかなか答えが難しい問題でございまして、ただ、先ほどの他電力と国の場合はある程度類概念というのが一つでございましたが、今の株主と国というのは若干類概念が違うんじゃないだろうか、私が齋藤さんが好きかあるいはリンゴが好きかというようなお尋ねではないだろうかと思っております。

齋藤(健)委員 時間切れが迫ってきているんですが。

 ややもすると、何か国が出ていく前に、株主が責任をとれ、某官房長官も言っていましたけれども、金融機関が責任をとれという議論があります。

 それで、私が一つ思っておりますのは、今回は、金融機関の救済と違いまして、国が安全審査をし、国がお墨つきを与えた事業だということであります。したがいまして、株主は、国が安全だとお墨つきを与えたから安心して買っていたわけであります。お金を貸した人も、国が安全だと、お墨つきを信じてお金を貸していたという面が非常に強くあります。したがって、国が責任をとる前に、おまえの方が責任をとるんだと言われると、国を信じた者がばかだったということにもなりかねない問題をはらんでいるということであります。

 確かに、だまされた人が悪いと思います。だますという言葉が適当じゃないかもしれませんが、結果としてそういうことになっているのは事実であります。そういうだますような形になってしまったわけです。では、それをつくった人とだまされる形になってしまった人とどっちが責任が重いかというと、私は、だます形になった人の方が責任が重いと思います。そうしないと、国の言ったことを信じている人がばかを見る社会にこれから日本はなってしまいます。

 ですから、これからの責任のあり方を考えるときに、やはり簡単に、自分たちの責任をきちっと、だれもがわかるような形で責任をとった上でないと、軽々に国のことを信じた人たちに責任を負わせるような発言をするというのは、この国のあり方として非常に危険をはらんでいるのではないかなと私は思います。

 私はリンゴでもどっちでも結構なんですけれども、とにかくその点について、大臣も答弁をしづらいと思いますが、そういう意見も強くある、この国のあり方として、政府の信頼という観点からあるということをぜひ腹の中におさめておいていただけたらと思います。

 あと一問ぐらい聞ける時間が残っておるので、質問させていただきます。

 今回の法案につきまして、東電以外の電力会社から支払われる負担金につきましては、先ほど申し上げましたように、二種類に分けられる。将来の事故に備えるものというのは、私は、今ある原賠法、千二百億の上限、国の支出を決めているものですが、その原賠法も今のままでいいのかという議論がありますので、原賠法とあわせて、電力会社がどういう負担をすべきか、国がどういう負担をすべきかというものをやはりセットで今後見直していく必要があろうかと思います。

 ところが、そういう議論をせずに、きちんとした議論を積み上げずに、今回、将来の備えを急場でつくるということについては、やや議論が十分ではないのではないか。では、原賠法との関係はどうするのかと。

 ですから、本来であれば、今回の各電力会社が出す負担金については、東京電力の事故に充当するものと将来に備えるものとに分けて、将来に備えるものについては、原賠法自体の見直しと同時にしっかりとしたものをつくり上げていくというのが筋ではないかと私は思いますが、大臣はどのようにお考えになるでしょうか。

海江田国務大臣 先ほどの、齋藤さんかリンゴかというのは、ちょっと私、質問の真意をはかりかねたのでああいう答弁をしてしまいましたけれども、質問の趣旨は、説明を聞いてよくわかりました。それについての答弁は求めないということでございますので、今いただいた質問に対してお答えをさせていただきます。

 一つは、勘定を分けるべきでないだろうかという議論がございます。そういう今のお考えも全く理解できないということではありませんが、現実の問題として、勘定を分けたとき、これはまさに東京電力の負債という形で会計上立ってしまいますので、債務超過に陥る可能性がないかということが一番大きな懸念でございます。

 そして、この法律自体は、特に何年後の見直しという規定ではございませんが、やはりこれは必要があれば直していただいて私は構わないと思いますし、そのような表現ぶりになっておろうかと思いますが、その直すタイミングというのは、今委員が御指摘のあった、この法律の、機構法の基本になっております原賠法が大きく変わるということになれば、これは当然、この法律も直す一つのきっかけではないだろうか、そう思っております。

齋藤(健)委員 今、債務超過の話がありましたが、先ほどの議論を踏まえれば、東電以外の電力会社が負担するよりも、国が負担する方が責任が重いから先だという議論をしますと、東電以外の電力会社が出す負担金のかわりに国が負担金を出せばいいだけの話でありまして、そうすれば、債務超過の話もなくなるし、国とほかの電力会社との責任関係も明確になると私は思いますが、時間がないので、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

黄川田委員長 次に、吉野正芳君。

吉野委員 吉野正芳でございます。質問をさせていただきます。

 まず初めに、私と原発とのかかわり合いをお話しさせていただきます。

 私の地元は、まさに第一、第二の原子力発電所でございます。ですから、原子力と共生をしてきておりますので、原子力について、私の立場は、推進をしてまいりました。それも、正しく理解して怖がる。原子力はやはり怖いものです、暴れます。ですから、正しく理解して怖がる、こういう立場で推進をしてきた者です。

 原子力は、ある意味で環境にいい、CO2も出しませんので、原子力によくなってほしかったんです、私は。ですから、きょうよりはあしたよくなってほしい、あしたよりはあさってよくなってほしい、そういう意味で、きょうの改善すべき点を徹底的に、ある意味で文句ばかり言ってきたのが、私のこの十年間の国会議員としての活動でございます。

 例えば、保安院の分離独立、これを十年言ってきました。梶山弘志先生も同じ立場であります。自民党が与党のとき、十年言い続けてやっと原子力大綱に、保安院の分離独立の検討という、たった一行なんですけれども、この一行を入れるのに十年かかってしまったんです。

 ただ、保安院の分離独立が行われないまま今度の大災害、大事故になったわけでありまして、本当に地元の皆様方に対して申しわけないな、もし保安院の分離独立がなされていたのであれば、例えば安全基準の電源喪失、これは関係ないんだという、そんなところも、きちんとした独立性を持った保安院であったならば防げたかもしれないな、こんな思いをしているところです。

 さて、その保安院の分離独立ですけれども、民主党政権になって、ある意味で私は期待をしました。保安院の分離独立をすぐやっていただけるのかな、委員会等々でも、これについて質問をすれば、やるという方向で早急に検討している、そういう前向きな答弁もあったんですけれども、なぜ民主党政権で保安院の分離独立ができなかったのか、その辺のところを聞かせていただきたいと思います。

海江田国務大臣 一つは、民主党政権ができまして事故が起きるまでの間に、まだ一年数カ月でございましたから、最初に着手をしておけば、もちろん、一年あればそれはできたわけでございますが、残念ながら、その意味では、そういう政策の優先順位の中で前に来ていなかったというのが実情だろうと思います。

吉野委員 今回、保安院の分離独立を大きな原子力政策の柱として掲げてくれました。本当に、ここは評価をするところです。

 もう一つよくしてほしいというところで、ダブルチェック体制があるから大丈夫なんだ、こういう論理で言われました。ダブルチェック体制というのは、二回審査するからいいんだということらしいんですけれども、データが同じなんです。保安院のデータで保安院は安全、同じデータで安全委員会も安全だと。同じ方向、これは三回やったって答えは同じなんです。ですから、ダブルチェック体制というのは、別な角度で見ていかないとダブルチェック体制にならないのではないのか、こう思うんです。

 このダブルチェック体制についていかがお考えなんでしょうか。

海江田国務大臣 今、私どもは、ストレステストを行うということで、そのストレステストの内容をどういうものにしようかということで、まさに今委員御指摘のあったような点も議論をしておるところでございますが、ただ、おっしゃるような、そのダブルチェックというのは、まさにその意味では、違うストレスをかけてというか、違う角度からの点検と、それから、同じ角度からの点検でありましても、やはりそこは、それぞれ独立性を持ったところが行うことによって、また最初のチェックでは見つからなかった点も見つかろうかと思います。

 ただ、申し上げれば、おっしゃるように、せっかく二つの機関がチェックをするのならば、それは角度は違った方がいいということは、これはもう当然であります。

吉野委員 もう一つ、いわゆる三十年以上たった高経年化の原子炉なんですね。

 私たちは、反省なんですけれども、部品ばかりに目をとられておりました。部品を取りかえれば大丈夫なんだ、特に、部品を取りかえられないのは圧力容器でありますから、この圧力容器の劣化といいますか、ここだけチェックしていれば、あとの部品は取りかえられますので、そうすれば大丈夫なんだ、そんな思いでおったんです。

 三十年、今、Fの一は四十年たっていますけれども、三十年以上たったいわゆる安全設計思想、ここには目が行かなかったんですね。でも、部品ばかりでなくて、安全設計思想、Fの一、あと美浜等々にもあると思うんですけれども、やはり安全設計思想のレベルが低いわけであり、今のABWRの高度の炉と比べると安全設計が低い。そこについては保安院はどういう形で今まで検討していたのか、お伺いしたいと思います。

海江田国務大臣 炉の高経年化につきましては、今委員御指摘のように、まず三十年ということで、おっしゃったような検査をやった。そして、その後、もちろん十三カ月ごとの定期検査はやっておりましたけれども、その次の大規模な検査というのは十年後ということでやってまいりました。

 今度、それこそストレステスト、中身は今検討中でありますが、これはやはりすべての発電所、すべての炉に対してその意味ではテストをかけるわけでございますから、そこで当然のことながら、その高経年の問題、これは、一つは高経年全般の問題、特に、圧力容器でも、中性子が長いこと当たることによる劣化というような問題も最近は指摘されておりましたから、そういう高経年と、そうした、例えばストレステストで行う裕度ですね、余裕度が、やはり相関関係があるのかどうなのかということ。

 それからもう一つは、今、幾つか四十年以上たっておる炉のお話が、福島の場合、美浜の場合とありましたけれども、やはり同じ四十年でも、これまでのトラブル歴と申しますかいろいろな、重大なトラブルということではなかったかもしれませんけれども、幾つかふぐあいを起こしたというようなものもあろうかと思いますから、そういうものにもすべてストレステストをかけることによって、そういうこれまでのふぐあいと高経年との関係でありますとか、その意味では、多角的なところでチェックをしてまいりますので、そこから、おのずから高経年の炉に対する一つの方向性というものが出てこようかと思っております。

吉野委員 ストレステストをすれば、安全設計の思想が高いか低いか、ここもわかるわけですか。

海江田国務大臣 設計の安全基準ということになりますと、これはやはり新たにつくり直しをしなければいけないと思います。

 今、炉の実際の、運転をしている、あるいはとまっている中で、いろいろな自然事象がございます。恐らく地震、津波ということになろうかと思いますけれども、その地震、津波のそれぞれの程度に応じてどのくらい余裕度があるかということがはっきりしてまいりますので、それはまた、その意味では、安全委員会が今特に安全基準の見直しというのをやっておりますので、その中にも反映されることになろうかと思います。直接ではありませんが、間接的に反映されることになろうかと思います。

吉野委員 ちょっと今のところを議論したいんですけれども、時間がないので次に行きます。

 実は、きのうの総理会見、六つのことを総理は言ったんですね。

 一つは、原発依存度を段階的に下げて、将来は原発なしの社会を実現していく。これは長期的な、時間をかけてやっていく。

 次は、停止中の原発の再稼働がなくても、ことしの夏とことしの冬は電力供給は対応可能だ。

 これは、どういう積算でこういう言葉が出たんですか。きちんと供給と需要の積算をして、今我々は一五%節電しているんです。どういう根拠でこんなことを言ったんですか。

海江田国務大臣 需給の問題につきましては、需給がどういう状況になっているのかということを間もなくはっきりお示しができようかと思います。

 経産省としましては幾つか需給のもとになる数値を出してございますが、ただ、それが最終的な、需給の問題について一番オーソライズする会議というのは需給対策本部というのがございますから、それが恐らく、まだいつということは申し上げられませんが、開かれて、そこで需給がはっきりすることになろうかと思っております。

吉野委員 節電はみんなそれぞれ頑張っているんですけれども、やはり熱中症でお亡くなりになるお年寄りもいるんです。電気があれば死ななくて済んだ方もいるんです。このように国民は我慢しているんですね。いわゆる自分の生活、死人が出ても我慢して節電している。それに甘えて、それをいいことに、大丈夫なんだと総理が言っていいんでしょうか。これから需給関係をきちんとお示ししますと。でも、現実に、もう熱中症で亡くなっている方がいるんです。企業だって、海外シフトを真剣に考え、現実にもう海外シフトをしている企業がいっぱいいるんです。中小企業もそうです。

 その現実を踏まえると、こんなことを軽々に言えるんでしょうか。もう一度。

海江田国務大臣 今お尋ねの件、確かに、本当にみんな我慢をしているわけでありますから、そしてその我慢の中からいろいろな、熱中症でありますとか、あるいは経済も、大変海外への逃避というようなこともございますので、その意味では、やはり今のこの状況が本当にみんなが歯を食いしばっている我慢の上に成り立っているんだということを自覚しなければいけないというふうに思います。

吉野委員 国民の、そういう我慢をしているというところをきちんと政府は理解して、これからの政策といいますか、こういうものを発表してほしいと思います。

 もう一つは、首相と関係三閣僚の判断で原発再稼働を認めることも十分あり得る。

 これは逆なんですね。ストレステスト、いわゆる政府統一見解を出しましたよね。これがあれば、すぐ原発は再稼働させるんだ。最初に、段階的に稼働率を低くしていく、これはこれでいいですよ。技術革新をして、原発に頼らない、そういう世の中をつくっていく、これはいいと思います。でも、認めることも十分あり得るというこの言葉はおかしいんじゃないんですか。いかがですか。

海江田国務大臣 ここは、申しわけありませんが、メモを見て答弁をさせていただきます。

 原発依存度を段階的に引き下げるということは、将来のエネルギー、電力供給の方向性として示されたものであると認識をしているということで、一方で、国民の生活や産業にとって必要な電力を安定的に供給することは政府の責務であるということ。こうした観点から、新たに導入した安全評価に基づき安全性が確認された原子力発電所の再稼働を認めることは整合性に欠けるとは言えないというのが政府の立場でございます。

吉野委員 だったら、こういう言葉は使わないでくださいよ。これは、認めることも十分あり得るという日本語なんですね。ということは、この裏は、ほとんど認めないよ、だけれども認めるものも少しはあるよというふうに私は理解するんですけれども、これは逆でしょう。ほとんど再稼働を認める、しかし、例えば三十年、四十年たっている美浜等々は、ストレステストをやった結果認める再稼働もだめだよ、こういう解釈ならわかるんですけれども、もう一度お願いします。

海江田国務大臣 昨日の総理の会見というのは、今、吉野委員からお話のありましたような、原発再稼働を認めることも十分あり得るということでございますから、十分ということだろうと思います。

吉野委員 海江田大臣の苦しい心根を理解しましたので、もうこれ以上はお話ししません。総理によく言っておいてください、言葉が逆だと。

 帰宅への工程表。

 細野大臣、福島に行ってくれて本当にありがとうございます。また、地元紙とのインタビュー、本当にありがとうございます。この間の質問で、廃炉と帰宅は全く違うんだ、帰宅の方が早くなるんだ、帰宅をするためにはこういうことをすれば帰宅できるんだということを、明確にわかりやすくお答えいただきました。感謝を申し上げます。

 もう一つ、ではいつごろまでに帰れるんだという工程表、時間軸、長くても結構ですから、時間軸もこれから示してほしいんですけれども、いかがでしょうか。

細野国務大臣 三週連続福島に行っておりまして、今週も参りますので、週末は福島ということでこれからもやってまいりたいと思っております。

 気がつきましたのは、避難所に行きますと必ず、福島民友さんと福島民報、この二紙が置いてありまして、皆さんそれをごらんになっているというのを私ずっと見ておりました。したがって、私も今購読をしておりますし、また、自分の一言一言がその新聞に出ることによって、福島の皆さんが本当に喜ばれたり、がっかりされたりするということでございますので、言葉にも細心の注意を払いながら、できるだけ正確な情報を皆さんにお伝えしたいと思いまして、先日、インタビューに答えさせていただいたということでございます。

 福島の皆さんの最大の関心は、いつ帰れるのかということにあると思っております。来週、第一ステップを終了いたしますので、その工程表をまた更新いたします。特に警戒区域の皆さんが一番深刻な状況にあって、心待ちにされていると思うんですが、やはりこの警戒区域については慎重な対応が必要だというふうに思っておりまして、基本的には、第二ステップ、冷温停止状態が達成をできた段階で帰っていただくことができる前提が整うということになろうかと思います。

 ただ、第二ステップが終わってから、そこから準備をするのでは、また大変時間がかかってしまう可能性がありますので、第一ステップが終わった後、できるだけ早い段階でモニタリング、そして除染、さらにはインフラの整備、そういったことをやれるだけ早く並行してやる。そして、第二ステップが達成できたときには、帰っていただけるところの皆さんにはできるだけ早く帰ってきていただけるように、また、それが一日でも前倒しをできるように努力してまいりたいと思っております。

吉野委員 ありがとうございます。ぜひ、そういうことをわかりやすく、双葉郡、南相馬の方々、また計画的避難区域から避難されている方々が帰れるような、そんなことをお願いしたいと思います。

 さて、牛肉です。

 実は、きょう、小野寺先生が福島県の相馬で牛の競り市、枝肉ですね、ここのところに行ってきました。その最新のデータ、Aの5、一番いい肉です、これで九百円、ここに書いてあります。こういう形で、Aの4、七百五十円、Aの3、六百円、もう半値以下です。これが今の福島県の牛の状況です。

 福島県の農家、特に畜産をやっている農家のためには、もう全世界に福島の牛は絶対だめだと一瞬のうちに広がってしまいましたので、この状況、不信感を取り除くためには、やはり全頭検査を本当に一刻も早くやらねばならないと思うんですね。

 その全頭検査の中で、やはり検査体制、特にきょうも、小野寺先生のお話ですけれども、競りをした方、買った方が、放射能がどれだけあるか証明書を添付してくれ、もうこの声でいっぱいだったそうです。そのためにも、どういう形で検査体制をしいていくのか、お伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 今先生からの御指摘の全頭検査のことにつきましては、福島県もそういう姿勢で、考え方でやっていきたい、こういうふうなことでございますので、農林水産省からも人員を派遣いたしまして、そして今、どういう形で具体的に全頭検査をやっていくか、厚生労働省とも連携をとりながら取り組んでおるところでございます。

 そういう意味では、福島県のそういう基本的な考え方に沿って、農林水産省も全面的に支援をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。

細川国務大臣 厚生労働省といたしましても、今、鹿野農林大臣が答弁いたしましたように、全頭検査に向けて、農水省、そしてまた私ども厚生省、既に現地に職員も派遣をいたしまして、福島県庁の職員と打ち合わせをいたしているところでありまして、全頭検査に向けまして早急に結論を出して実施をしていく、こういうことにいたしたいというふうに思っております。

吉野委員 一刻も早く、一秒でも早く全頭検査の体制を整えてくれるようにお願い申し上げます。お願いします。

 また、今回は、牛の内部被曝、えさから肉に入っていった、そういうことが推察されるわけですので、えさの管理、これがどうきちんと現場の農家の方々まで、何か農林省は、三月十一日以降の干し草は余り食べさせないでくださいというような通知を出したらしいんですけれども、それがきちんと現場に伝わっていなかった。まさにこれは人災なんですよね。情報が伝わらなかったからで、まさにこれは人災。

 今度の牛の肉の問題はまさに人災というふうに私は思うんですけれども、そのえさの管理をどういう形でこれから指導を徹底していくのかをお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 事実関係だけ申し上げますと、本年の三月の原子力の事故発生を受けまして、農林水産省におきましては、三月十九日に、東北、関東の都県に対しまして、事故前に収穫され、屋内で保管されていた牧草等をえさとして与えるなど、適正な家畜の飼養管理を行うよう技術指導通知を出しました。

 これを受けて福島県は、三月二十二日に関係団体等にこの旨を通知するとともに、三月二十五日には農業技術情報といたしましてホームページ等によりまして周知をいたしております。

 さらに、農林水産省では、四月十八日でございますけれども、計画的避難区域及び緊急時避難準備区域の設定に伴いまして、これら区域からの家畜の移動に当たっては、スクリーニングを行うとともに、適正な飼養管理が行われていたことをチェックリストで確認するよう福島県に通知を発出いたしました。

 そして、このような状況の中で事例が生じたわけでございまして、私どもといたしましては、この適正な飼養管理の徹底、あるいは家畜保健衛生所によるところの詳細な飼養管理状況の聞き取り点検を行うということを趣旨としたところの通知を七月九日に改めて発出をしたところでございます。

 そして同時に、今日まで、利用できないような牧草の代替飼料の確保を図るために、国内の粗飼料の供給可能性というふうなものはどれだけあるのか、可能量というふうなものはどの程度あるのかという調査、あっせんを行ってまいりました。三月十四日からこのような調査を始めたところでございます。

 そして、外国からの粗飼料の輸入に向けて、主なる粗飼料の輸入団体に協力を要請してまいりました。これが四月二十一日からでございます。

 そして、福島県内の農家に対しまして、農林省所管の独法から粗飼料というものを無償提供、二百二十五トンでございますけれども、三月二十二日以降、このようなことを行ってきておるわけであります。

 そういう意味では、この粗飼料の管理というふうなものについて、徹底的にこの管理がなされるように、これからも私どもといたしましては周知徹底することの努力をするとともに、これから飼料というふうなものが確保されるように、あらゆる努力をしていかなければならないと思っております。

吉野委員 もう二度とこのようなことが起こらないように、徹底した管理をお願いしたいと思います。

 時間もありませんので、本題の支援機構法案についてお尋ねをしたいと思います。

 私の立場は、被災地の国会議員として、一時国有化です。どうしてか。国の責任。

 今度の機構法案を見ると、ずっと今までもそうなんですけれども、国が前面に出る、こう言っていながら、いざといった場合は必ず一歩下がっているんです。今度の機構法案の枠組みでも、国はあくまでも支援者です。お助けするよ、こういう立場なんです。自分の責任、加害者としての責任、東電も国も連帯責任です。

 私の予算委員会の質問で、菅総理は、連帯して責任がある、認めたんです。安全審査、国が認めたんです。だから、国は連帯して責任がある、このことを認めたわけでありますので、そういう意味では、その連帯した責任を果たすということは、国は一時国有化すべきなんです。前面に出るべきなんです。そのことが、私たち被災民にとっては安心を与える。国が出てきたんだから補償は絶対大丈夫だ、こう安心感を与えるということを、まず私の立場を述べさせていただきます。

 先ほど、河野太郎先生の質問の中で、なぜ仮払いの予算を二次補正で計上していないんだと。海江田大臣の答弁で、体制ができていなかったから計上をしていないんだということです。

 今、参議院で、仮払いと基金法案、議員立法です、私たち福島県の四人の衆参の国会議員が中心となって、多くの仲間の賛同を得て提出した法案です。もし、これが参議院を通過し、そして衆議院で民主党の皆様方の賛同を得ることができて成立したならば、五千億です、予算計上できますか。(発言する者あり)

海江田国務大臣 今、予備費というお話もございますが、とにかく私は、国会がしっかりと立法府の機能を果たしていただいて、そこで本当に成案がいただければ、それが一番いいことだと思っております。そういう意味では、成案を得られるよう、私が政府の立場で言うのも差し出がましいかと思いますが、やはりぜひお話がまとまるようにしていただきたいと思っております。

吉野委員 まさに立法府である国会の法律ができれば、執行機関である内閣はそれをやるということが義務でありますので、これから衆議院に回ってきます、仮払いと基金法案です、これを何としても民主党の皆様方の御理解を得て成立をさせていきたいと思っていますので、成立の暁には、ぜひ予算計上をお約束願いたいと思います。

 さて、機構のガバナンスなんです。

 八条で、発起人三人以上。また、運営委員会、これも委員八人以内、プラス理事長、プラス理事四人以内、合わせて十三名。この中で、特に発起人の場合は、電気事業に精通した者、専門家である者ということが書かれています。運営委員会の委員八名についても、電気事業に秀でた者、専門家という形で書かれています。

 やはりガバナンスは中立でなければならないと思うんです。なぜ、電気事業者という形で多くの人をいわゆる運営委員会、役員等々に送り込むのか、中立性が保てないのではないのか、こう思うんですけれども、大臣の御意見をお聞かせ願いたいと思います。

海江田国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、機構のガバナンスというのは大変大事でございます。

 電気事業者を選ぶということではありませんで、これは「電気事業、経済、金融、法律又は会計に関して専門的な知識と経験を有する者」の中から選ぶ、これが正確な表現でございますということ。

 それから、今委員御指摘のありました、委員の任命に当たっては厳正中立な立場をやはり貫くべきではないだろうかという指摘はそのとおりでありますので、今まだ具体的人数などについて決まっているわけではありませんから、委員の御指摘のあった点も、これは多くの本席にいます委員の皆様方も恐らく同じようなお考えだろうと思いますので、そのことはしっかり意を体して、中立性を確保した人選に当たっていきたいと思います。

吉野委員 今大臣が言ったのは、運営委員会の委員八名の方々についておっしゃいました。発起人は、三人なんですけれども、ここはやはり電気事業に精通した者が発起人になるべきだと。発起人というのは、イコール理事になる確率が高い方々ですので、ぜひ中立性を守った形でお願いしたいと思います。

 次、各社に求める一般負担金です。

 これは、実用の発電炉、原子炉を持っている者、そしてまた実用の再処理施設を持っている者、プラス原子炉の運転等をしている者であります。

 「運転等」、ここが大変解釈が難しいんですけれども、例えば浜岡の一号、二号、これは廃炉を決定しております。廃炉を決定しているこの浜岡の一号、二号も、負担金を求めるための計算の根拠に入るのか。ここら辺はいかがなんでしょうか。

海江田国務大臣 これは結論を先に申し上げますと、浜岡の一、二号炉、廃炉を決定しておりますけれども、これは、御案内だろうと思いますが、核燃料物質の廃棄の途上にございますので、「原子炉の運転等」の中に含まれるという考え方でございます。

吉野委員 まさに廃炉で、すべての放射性物質がなくならないと、全部「運転等」に入る、こういうことらしいんですね。

 そうすると、動いて稼いでいる原子炉と、廃炉で稼がない原子炉と、負担金率を同じくするのはちょっとかわいそうな気もするんですけれども、いかがなんでしょうか。

海江田国務大臣 そういう意見があるということは承知をしておりますが、委員、今回の東京電力の福島の事故でもわかりましたように、例えば四号炉は、炉の中には燃料棒が入っていなかったわけで、使用済み燃料プールのところに全部入っておりましたけれども、その使用済み燃料プールの温度が大変上がったとか、そういうやはり完全な、この一般の負担金というのは、まさにこれからの事故というものに対応した一種の相互扶助の積立金、保険金だろうと思いますので、その意味では、廃炉に決めたからといって、そこではまだ事故の可能性が全く、完全にゼロになったというわけではありませんので、そこは御協力をいただいているということでございます。

吉野委員 負担金を払うのはいいんですけれども、格差はつけないんですか。

海江田国務大臣 まだそこまでは、今、私のところでは決めたことではございません。どういう基準にするとかということも含めまして、これからの話でございます。

吉野委員 次、四十四条です。

 これは、交付国債を入れるためには特別事業計画を作成せねばならない。特別事業計画というのは、会社更生法で言えば更生計画みたいなものなんですね。ここで、まず、経営の合理化の方法、関係者への協力要請、資産の評価、経営責任の明確化等々書いてあるんです。まさにこれは、法的整理の場合、会社更生法の場合はこういうことをきちんとせねばならないんです。

 会社更生法で求められているものと、四十四条、これは全く民民の世界で、任意の、東電が要請して、そしてステークホルダー、銀行がオーケーするという形になっているんですけれども、何かこの四十四条が、法的整理を装っているんだよというような印象を受けるんですけれども、それは私の印象です。

 では、具体的に。関係者への協力要請。

 例えば、銀行に債権放棄を東電は求めていく。きのう、銀行協会の会長さん、債権放棄は極端の中の極端でという答弁をしました。ほとんど受け付けませんよ、こういう答弁だったんです。

 民民の世界で、四十四条で協力要請した場合、きのうの銀行の会長さんのお話を見れば、債権放棄はとても受け付けられない、協力できないという印象を受けたんですけれども、その辺は、だから私は、法的整理をせねばならない、国の責任をきちんと示すためにも一時国有化、加害者の責任としての国有化を今言っているんですけれども、その債権放棄についてはいかがでしょうか。

海江田国務大臣 この特別事業計画については、先ほどもお話をしましたけれども、株主を含めた利害関係者への協力要請の状況、それから機構による東京電力の資産に対する厳正かつ客観的な評価及び経営内容の徹底した見直しなどについて、これは明示的に記載をしてくるようにということでございますので、ここではやはり、すべてのステークホルダーにどういう依頼をして、そしてそれぞれのステークホルダーがそれに対してどういう回答をしたかということがはっきりしてくるだろうと思います。

 そして、債権放棄という話でございますが、これは昨日の全銀協の会長からのお話もあったということでございますが、私は、債権放棄に至る手前でも、いわゆる貸し手の責任というものはそれなりに果たすことができるのではないだろうかというふうに思っております。

 ですから、そうしたことを含めて、その貸し手の責任、貸し手責任という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、やはり貸し手の側もステークホルダーの一つとしてそれなりの分担をしてもらうということは、債権放棄をとらなくても私はできると思っております。

吉野委員 この間、富岡町の避難をしている方とお会いしたんです。私は会社を首になった、東京電力の社員は半分だけれどもボーナスが出た、おれは首になって何にもない、だれが悪いんだ、こういう言葉を富岡町の避難をしている方から私は直接言われました。

 まだまだ、本当に申しわけなかった、この心がないと思います。半分だろうとボーナスをもらったんです。加害者です。加害者がボーナスをもらって被害者が失業、これが現実の姿です。本当に、東電の責任、連帯責任ですから国の責任、国の加害者としての責任、ここのところを私は強く求めていきたいと思います。

 経営者の責任の明確化、経営責任の明確化、ここの計画に書かれています。どういうことなんですか。

海江田国務大臣 もちろん、経営者の責任ははっきりさせてもらわなければいけませんが、先ほどのボーナスの件でも、これは当然のことながら、代表取締役は全額、それから常務取締役は総報酬の六〇%、執行役員は四〇%、これは役員の報酬でございますが、これがこれでいいかどうかということはいろいろな議論があろうかと思います。

 ですから、ただ、率先垂範じゃありませんけれども、やはり上に立つ者が、しかもそうした人たちというのはもともとの金額が高いわけですから、まずやはり上の人が厚くそういう責任を感じて、それから給料なども当然カットすべきだというふうに私は思っております。

黄川田委員長 持ち時間が過ぎておりますので、まとめてください。

吉野委員 まだまだ述べたいことはたくさんあります。まず、国は加害者責任がある、このことをきちんと認めてほしい、このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

黄川田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三分散会


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