衆議院

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第20号 平成23年8月25日(木曜日)

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平成二十三年八月二十五日(木曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 黄川田 徹君

   理事 柿沼 正明君 理事 橋本 清仁君

   理事 藤村  修君 理事 三日月大造君

   理事 谷  公一君 理事 額賀福志郎君

   理事 石田 祝稔君

      石原洋三郎君    石山 敬貴君

      太田 和美君    梶原 康弘君

      金森  正君    川口  博君

      郡  和子君    斉藤  進君

      斎藤やすのり君    白石 洋一君

      高井 美穂君    高橋 昭一君

      高邑  勉君    道休誠一郎君

      富岡 芳忠君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    三輪 信昭君

      森本 和義君    山口 和之君

      若井 康彦君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      加藤 勝信君    梶山 弘志君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      斉藤 鉄夫君    佐々木憲昭君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

    …………………………………

   参議院議員        片山さつき君

   参議院議員        山田 俊男君

   参議院議員        西田 実仁君

   参議院議員        荒井 広幸君

   参議院議員        桜内 文城君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二十五日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     森本 和義君

  菊池長右ェ門君    三輪 信昭君

  階   猛君     高橋 昭一君

  畑  浩治君     道休誠一郎君

  谷田川 元君     金森  正君

  高橋千鶴子君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     谷田川 元君

  高橋 昭一君     階   猛君

  道休誠一郎君     畑  浩治君

  三輪 信昭君     菊池長右ェ門君

  森本 和義君     石津 政雄君

  佐々木憲昭君     高橋千鶴子君

    ―――――――――――――

八月十一日

 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案(参議院提出、参法第一二号)

同月二十二日

 既存債務からの解放を求めることに関する請願(秋葉賢也君紹介)(第二三一五号)

 同(井上義久君紹介)(第二三一六号)

 同(小野寺五典君紹介)(第二三六三号)

同月二十五日

 既存債務からの解放を求めることに関する請願(郡和子君紹介)(第二六五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案(参議院提出、参法第一二号)


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     ――――◇―――――

黄川田委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案を議題といたします。

 発議者から趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員片山さつき君。

    ―――――――――――――

 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

片山(さ)参議院議員 ただいま議題となりました株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案、いわゆる二重ローン救済法案につきまして、提出者を代表いたしまして、提案の理由及び概要を御説明申し上げます。

 東日本大震災の発災から五カ月半が経過した今も、被災者の生活、仕事の再建のめどは立っておりません。多くの被災事業者が、地震や津波、原発被害などによって、担保の建物、設備、農地、漁船などを破壊されたり立ち入りができなくなっているにもかかわらず、債務やリースの支払いは残って、事業再開のための新規のお金を借りようとすると二重債務状態となります。そもそも、この状況では、金融機関、農協、漁協なども融資が行えず、リースもつけることができない状況であります。

 これまで二重ローン問題については、自民党、公明党、民主党の三党による実務者協議も六回にわたり実施し、共同提案いただいているたちあがれ日本・新党改革及び修正を出されたみんなの党、そして参議院で御賛成いただいた社民党、共産党の皆様も超党派で同じような勉強会を重ねてこられました。しかしながら、平時の対応を超えたこの仕事専門の公的な機構を新たな法律のもとに設立することについては政府・与党が反対し、参議院をこの法案は七月二十八日に全野党の賛成で通過しておりますにもかかわらず、きょうになってようやく趣旨説明ができるような状況でございます。

 参議院の審議における政府・与党の方針は、事業仕分けや累次の行革によって厳しい見直しを指摘され続けており、平時における中小企業活力再生が任務の独法中小企業基盤整備機構があくまで収益分配を目的とする投資事業有限責任組合に、バブルの崩壊後三つの過剰対応でつくられ、MアンドAやリストラが手段の主なものである産活法を根拠に八割出資し、残りの二割は金融機関が出資するというファンドで、千年に一度というこの大災害や人類史上最悪のレベルに達している原発事故への対応をやらせるというものでございます。

 被災地に今あるのは、過剰ではなく、欠乏であり、絶望であります。まさに、木に魚を求むとはこのことでしょうか。ちょうどこの部屋で金融不良債権、住専問題の審議をしておりましたころ、金融機関が出資するファンドの不良債権を買い取るそういうものについて、飛ばしと批判していた方が現与党にたくさんおられたことを記憶しております。

 みずからの責任ではなく過大な債務を負うことになってしまった東日本大震災被災事業者に絶望のふちから立ち直ろうと思っていただくには、従来型の中小企業支援、なかんずく収益分配を前提とした投資組合では全く足りません。靴に足を合わせさせるのではなくて、足に合わせた靴を、現場の目線で、政治主導でつくらねばならない。そのためには、リースも含む債権の買い取りなどを通じて債務の負担を軽減しつつ、その再生を支援することによって被災地域からの人口、産業の流出を防ぎ、復興を可能とすることを特別の目的とする、そのための株式会社東日本大震災事業者再生支援機構を設立し、法的安定性のもとで国が最終リスクをとることが不可欠であり、これが本法案を提出した理由であります。

 法律で組織を規定することにより、役職員に罰則や守秘義務を課し、ほかの債権者の過酷な取り立てに対し停止要請もでき、政府保証借り入れを行うことも可能になります。

 以下、本法案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、この機構は、預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構などを通じて国が出資する株式会社であり、支店は、地域別でも産業別でも、柔軟に幾つでもつくることができます。資金調達は、政府保証つきの民間借り入れ、あるいは、財政当局がそちらを希望するのであれば交付国債も可能でございます。今、国債が格付を下げられている現在、一般会計の負担を抑えられるというのは大きなメリットであり、事業者からの返済はすべて民間借り入れ等の返済に充てられることにより、最終的な負担は、二十年後の機構解散時に債務超過であれば、その部分の一部または全部のみとなります。

 二重債務が救済できないと、東北被災四県の被害甚大地域だけで約三万社、三十六万人の働く人々のうち相当数が、ふるさとで暮らそうにも仕事がなく、生活保護に陥ることになり、膨大な財政負担とすさんだ社会がもたらされます。地域で残って働きたい人々の自立のために使う予算は、資本主義国家としても筋の通った支出であります。

 第二に、再生支援を受けることができる対象は、農林水産業者、医療法人など、あらゆる産業が含まれ、事業をする人の再生に主眼を置いているため、転業も可能でございます。この会社の主務大臣は、金融庁所管、関係省庁調整の内閣総理大臣と財政上の所管をする財務大臣のみならず、総務大臣、経済産業大臣、農林水産大臣、厚生労働大臣を含めております。

 第三に、農林水産業の多いこの地域は、土地利用に配慮しないと事業再生は絵にかいたもちとなってしまいます。担保財産の取得や貸し付けができることを法律に明記してあります。そして、支援については、復興には長期間がかかりますから、最長十五年かけてじっくり行うことも法律上明記してあります。

 加えて、支援基準を定めるに当たっては、できる限り多くの事業者に再生の機会を与え、復興基本方針などとの整合性にも配慮することも法律上明記しております。

 なお、この法案につきましては、参議院において買い取り価格などについて修正が行われております。後刻、修正提案者からその部分の御説明をいただきます。

 参議院における法案審議で、金融庁は、返済停止や条件変更した民間金融債権額のみの合計五千五百億円、沿岸部の農漁協分三千八百億円、独法の医療、住宅向け貸し付け千四百九十億円を合計して、対象債権を一兆七百九十億円と回答しております。これに、青森、茨城、千葉を含めた三県以外の被災地域と広がるお茶や稲わら等への放射能被害、リースの債権分、ノンバンク分、さらに、現在までは辛うじて返済できているが、このままの状況では事業再開貸し出しが困難な債務者の債務を考えれば、これを大幅に上回るのは必至であります。

 ちなみに、被災五県の預金受け入れ金融機関の貸し出し合計は約二十二兆円です。

 被災事業者に事業再開への希望、安心感、公平感を持っていただくためには、相当な額の政府保証借入枠あるいは交付国債をアナウンスして、被災地の皆さんにやる気を出していただくことが必要と考えております。

 多くの被災者が、このような法的安定性を持った、大きな買い取り資金枠が設定でき、対象に制限のない二重債務買い取り機構の設立を求めており、日弁連により短期間に十万七千人の署名が集まり、日弁連、商工会、JAなどは参考人として参議院質疑において必要性を御主張され、福島、宮城、東京などにおける各種集会、総会、商工会、商工会議所、トラック、バス業界、リース業界、JA、JFグループ、建設業界から、この法案の早期成立を求める声明が寄せられております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその概要であり、阪神大震災に比べても何倍ものペースで倒産が現実に生じていることにかんがみ、何とぞ御審議の上、速やかに御賛同いただけますようお願い申し上げます。

黄川田委員長 次に、本案中、参議院における修正部分の趣旨について修正案の提出者から説明を聴取いたします。参議院議員桜内文城君。

桜内参議院議員 ただいま議題になりました株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案の参議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 参議院東日本大震災復興特別委員会では、被災地域における事業の再生が地域の復興のための喫緊の重要課題であることにかんがみ、機構の債権買い取り等のスキームの実効性を高めるための措置等について議論を行ってまいりました。本修正は、その議論を踏まえ、金融機関が機構に対し客観的な基準を持ってスピード感ある債権の譲渡をしやすくするとともに、機構に積極的に債務免除を行わせるための義務等を課すことにより、政府、金融機関、事業者という三者間での負担の公平を図るものであります。

 第一に、機構が債権の買い取りを行う場合の価格は、適正な時価によるものとし、東日本大震災の発生直前の当該債権の価額に、対象事業者の事業の再生を図る観点からその被害状況等に応じて主務大臣が定める割合を乗じて得た額を基本とすること、

 第二に、機構は、買い取りを行った債権の管理及び処分に当たっては、当該買い取りの価格がその債権額を下回る場合においては、特別の事情がない限り、その差額に相当する額の債務を免除しなければならないこと、

 第三に、機構は、買い取りを行った債権については、特別の事情がない限り、一定期間、その弁済を猶予しなければならないこととするとともに、一定期間の経過後、特別の事情がない限り、当該債務を免除するように努めなければならないこと

などであります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

黄川田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十分散会


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