衆議院

メインへスキップ



第3号 平成23年10月5日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十三年十月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      相原 史乃君    浅野 貴博君

      石田 三示君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      江端 貴子君    小野塚勝俊君

      小原  舞君    大山 昌宏君

      加藤  学君   菊池長右ェ門君

      櫛渕 万里君    小宮山泰子君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    白石 洋一君

      杉本かずみ君    菅川  洋君

      竹田 光明君    辻元 清美君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      中屋 大介君    長尾  敬君

      橋本  勉君    畑  浩治君

      水野 智彦君    矢崎 公二君

      谷田川 元君    柳田 和己君

      山尾志桜里君    山岡 達丸君

      井上 信治君    稲田 朋美君

      小野寺五典君    加藤 勝信君

      梶山 弘志君    小泉進次郎君

      長島 忠美君    西村 康稔君

      吉野 正芳君    斉藤 鉄夫君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    浅尾慶一郎君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

      園田 博之君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       中川 正春君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   農林水産大臣       鹿野 道彦君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            山岡 賢次君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   政府参考人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   参考人

   (東京電力株式会社取締役社長)          西澤 俊夫君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月五日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     道休誠一郎君

  市村浩一郎君     浅野 貴博君

  太田 和美君     山尾志桜里君

  沓掛 哲男君     矢崎 公二君

  斎藤やすのり君    加藤  学君

  階   猛君     山岡 達丸君

  中野渡詔子君     江端 貴子君

  森本 和義君     磯谷香代子君

  山口 和之君     水野 智彦君

  若井 康彦君     石田 三示君

  若泉 征三君     杉本かずみ君

  秋葉 賢也君     稲田 朋美君

  小里 泰弘君     西村 康稔君

  斉藤 鉄夫君     高木美智代君

  柿澤 未途君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  浅野 貴博君     稲富 修二君

  石田 三示君     小野塚勝俊君

  磯谷香代子君     森本 和義君

  江端 貴子君     中野渡詔子君

  加藤  学君     斎藤やすのり君

  杉本かずみ君     若泉 征三君

  道休誠一郎君     相原 史乃君

  水野 智彦君     竹田 光明君

  矢崎 公二君     今井 雅人君

  山尾志桜里君     小原  舞君

  山岡 達丸君     階   猛君

  稲田 朋美君     秋葉 賢也君

  西村 康稔君     小泉進次郎君

  高木美智代君     斉藤 鉄夫君

  浅尾慶一郎君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     櫛渕 万里君

  稲富 修二君     小宮山泰子君

  今井 雅人君     沓掛 哲男君

  小野塚勝俊君     若井 康彦君

  小原  舞君     太田 和美君

  竹田 光明君     橋本  勉君

  小泉進次郎君     小里 泰弘君

同日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     中屋 大介君

  小宮山泰子君     大山 昌宏君

  橋本  勉君     山口 和之君

同日

 辞任         補欠選任

  大山 昌宏君     市村浩一郎君

  中屋 大介君     石津 政雄君

    ―――――――――――――

九月三十日

 一、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法案(参議院提出、第百七十七回国会参法第一二号)

 二、東日本大震災復興の総合的対策に関する件

の閉会中審査を本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件(東日本大震災復旧・復興等)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 本日は、東日本大震災復旧・復興等について集中審議を行います。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として人事院総裁江利川毅君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本日は、参考人として日本銀行総裁白川方明君及び東京電力株式会社取締役社長西澤俊夫君に御出席をいただくことになっております。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要でございます。

 復興特で初めての質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。

 私、福島の現地の対策本部長、三カ月終えまして、東京に戻ってまいりました。そのときに、久しぶりに野田総理と電話でお話をした記憶がございますが、まさに総理になられる直前でございましたが、私も、現地の思いをそのまま持ち帰って、もし仮に新しい総理になられたとしたら、まさに東北復興、被災地の復興、そしてなかんずく福島の原発の問題、軸足をしっかり置いて政権運営をやっていただきたいというふうに申し上げた記憶をしております。

 その後、総理のいろいろなときでの発言、そして所信表明の中で、総理から、福島の再生なくして日本の信頼回復はありません、そのように力強く強調していただきました。ふだん、なかなか、現場の本部長をやっておりますと、東京に現場の声が届かない、こういうことで、多くの首長さんや議長さんや、あるいは私自身も痛感をしておりましたが、そのときだけは本当に、野田新総理、しっかりと受けとめていただいた、そのことが大変うれしく感じた次第であります。心から感謝を申し上げます。

 そこで、最初の質問でございますが、福島の再生なくして日本の信頼回復はありません、まさに福島の皆様にとっても大変ありがたいお言葉ではあるけれども、裏を返せば、福島の再生が一番困難であるということを意味しているというふうに思います。もう言うまでもありませんが、地震、津波に加えての原発事故災害ということです。人的災害という意味では、宮城県、岩手県の方が多いにもかかわらず、非常に事を複雑にしているこの東京電力の原発事故、そして、多くの方々が家があるのに家に住めない、こういう実態があるわけでございます。

 そこで、最初の質問、総理にお伺いいたしますが、一番困難と総理も認められておりますこの福島の再生のために、当然、ほかのところの支援に加えての上乗せの支援ということを考えていかなければいけない。これまでどういうような姿勢で具体的な策を講じてきたか、あるいは、これからどのような方針でどういう策を上乗せで講じていこうと考えておられるか、まずその点をただしたいと思います。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 田嶋議員におかれましては、三カ月間、福島の現地に入って、まさに対策本部の責任者として、被災地の皆様とさまざまな意見交換をし、さまざまな声を受けとめてこられました。そうした声を踏まえて私にさまざまな御提起をいただきましたことを感謝申し上げたいと思います。

 野田政権の最大かつ最優先の課題は、東北の今回の東日本の大震災からの復旧復興、この加速であります。その中で、とりわけ福島の場合は、原発の事故もございました、その事故の収束、全力を挙げるということでございます。そうした中で、所信表明演説で、福島の再生なくして日本の信用回復なし、日本の再生なしと申し上げさせていただきました。この思いは強く持っております。

 特に、今、今回も三次の補正予算等々、編成の準備に当たっておりますけれども、まずは除染、これを国が責任を持って対応するということが大事だと思います。

 ただ、除染は、マイナスからゼロに向けて、ふるさとに帰れるまさに前提条件でありまして、さらにそれに加えて、事業の再生であるとか雇用の確保といった地域経済の活性化にも福島の場合は特段努めていかなければならないだろうというふうに思っております。特に、福島の佐藤知事からは、基金をつくりたいという強い御要望もいただいています。

 そうした御要望なども踏まえて、また引き続き田嶋議員からも被災地の声をお聞かせいただければと思いますが、まずは具体的に三次補正の予算を組んで、そしてそれを一日も早く執行するということが肝要であるというふうに思っておりますし、そうした思いを具体化するのが予算だと思っておりますので、しっかりした予算を組んでいきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 ぜひ、その三次補正をしっかり実現させていただいて、福島の困難に対応していただきたいというふうに考えております。

 今総理からもおっしゃっていただきました除染の問題、大変重要ではあるけれども、マイナスをスタートラインに戻すということでございまして、除染だけではもちろんいけないわけであります。しかし、そうはいいながらも、福島の復興の第一歩はやはり除染であるということも現実でございまして、続きましての質問として、細野環境大臣に、除染に関しての質問をさせていただきます。

 きょうはちょっと、パネルを一つつくりましたので、国民の皆様にも見ていただきたいと思います。私が福島市に駐在をしていたときの生データ、あるいはいただいたデータからつくらせていただきました。

 これをごらんいただくと、私のいたときには小学校の校庭等の除染が盛んに行われて、福島市でも、この表では二十六校でございますけれども、屋外、除染前と除染後で、およそ九割近くの放射性物質が除去できるという状況でございます、左側。そして、屋内でも六割近く落ちるということでございまして、この数字を皆さんどのようにごらんになるか。大変効果があるなというふうに考えるかどうかでございます。

 私も、この数字自体は、除染というのはこれだけ大きな効果がある。屋内が少し効果が低い理由としては、恐らく屋根の除染が十分できていないということなんだろうというふうに思います。

 しかしながら、私は、この除染という復興の第一歩、最重要でありながら、かつ、これからのことに関しては非常に難しいだろうなということをいろいろ心配もしてございます。なぜならば、学校の除染というのは、恐らく一番簡単な除染の一つではないかなというふうに感じているからでございます。

 特に、私は、常日ごろ申し上げているのは、子供たちが安心ならばだれにとっても安心だ、子供たちが戻ってこれるのならばみんな戻ってこれる。したがって、この福島の対策、除染を考えるときは、やはり子供の目線で常に考えること、妊婦さんの目線で常に考えることが最重要であるというふうに考えてございます。

 そこで、次にどこを除染するか。

 今、除染もいよいよ本格化していると思いますが、私は、よく通学路とかそういう話が出るんですが、どうも合点がいきません。大事なことは、子供たちが一日のうちどこで長い時間を過ごすのか。学校で長い時間過ごすから学校を除染した、多くの子供たちがそこを使う、それは結構ですが、その次は、やはり何といっても子供たちの住んでいる家を一日も早く除染しなければいけない。

 しかし、私申し上げたとおり、子供たちの家はなかなか難しい。なぜか。学校は基本的には鉄筋コンクリートが多い。子供たちの家は基本的には木造が多い。しかも、細野大臣とも現地も行きましたけれども、周りが裏山とか、いろいろな野山に囲まれている御自宅が大変多いわけでございまして、これは細かい話かもしれませんけれども、放射線というのは七十二メートル飛んでエネルギーが半分になる。言ってみれば、半径百メートル全部除染しないとそのお宅の線量は大きく下がらないのではないかと私は懸念しているわけであります。

 そういう意味で、この表にありますとおり、学校は比較的難易度の低い除染であったと私は思っておるわけでございますが、したがって、子供たちの健康ということを考えたときに、何といっても最優先に子供たちの住んでいる自宅の除染を急いでやらなければいけないというふうに考えておりますが、細野大臣、その点の日程、あるいは国としての覚悟に関してお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 総理からも御発言がありましたけれども、田嶋委員におかれましては、事故の後の本当に混乱した状況の中で、ずっと三カ月踏みとどまって福島の皆さんと一緒に苦楽をともにされてきたというふうに思っておりまして、そのことに関して心より敬意を表したいと思います。

 また、田嶋委員が一番力を入れてこられたのが子供の安全の問題だということも私よく承知をしておりまして、その観点からこういった形で御提案をいただいたことに関しても心より感謝を申し上げたいと思います。

 除染の対象でございますけれども、国が出しておる基本方針の中でも、子供に最大の、しっかりと焦点を当てていくという方針は明確にしております。これは、方針そのものについては私が担当しておりましたので、私自身の意思としてそういう書き方をいたしました。その書いた、一番多くの情報を提供していただいたのが田嶋委員であるということも申し添えたいと思います。

 そして、その中で書いておりますのは、二年間で年間推定被曝線量をおおむね六〇%減少した状態を実現するというふうにされております。六〇%というこの根拠も、今御指摘をされたように、学校や通学路や公園のような公的な施設については、これはもう徹底して除染をしますので、お示しをいただいたように、この八割とか九割とかいう数字は現実的な話でございまして、これは絶対やらなければなりません。

 加えて、これだけではなかなか六割という数字を達成するのは恐らく難しかろうというふうに思っておりまして、そこは、私有地であってもこれは例外ではない、地域の皆さんにいろいろ御努力をいただいて、一緒に国が責任を持ってやっていくという意味では、個人の御自宅も除染の対象として例外にすべきではないというふうに私は考えております。やり方は、例えば地域の皆さんに一緒にやっていただくとかいうことになる部分も出てくると思いますけれども、私は、そこも対象としてとらえる中で六〇%目標を達成する、そういう目標を立てましたので、やっていくということであります。

 めどがいつまでかということに関しては、二年で六〇%というのが現段階で出しておる目標でございますので、それに向けて、できるだけ前倒しができるように努力をしていきたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 全体のお話として二年で六〇%は私も理解はしておりますが、そういう時間軸で福島のお父さん、お母さん方が耐えられるかなという心配を私は持っております。例えば、私が訪問した福島市の大波小学校、一学期は三十人おいででございましたが、夏休みが始まったときに七名が転校しました。全校二十三名でございます。一年生はゼロになりました。二年生、女の子がお一人おいででございます。

 私は、低学年あるいは就学前の子供たち、あるいは妊婦さん、どこのお宅にどういう学年の子供がいるかをちゃんと把握して、お宅は何月何日ごろにきちんと除染をします、そういうミクロの除染計画を立ててさしあげないと、いつになったら除染ができるのか、してもらえるのか、不安でたまらないのではないかなというふうに思っております。国が全部やるということにはもちろんならないかもしれませんが、最終責任は除染は国でございますので、そのミクロの部分までしっかりフォローしていただきたいというふうに思っております。

 そこで、この基本計画の中に、確かにいろいろ書いてございますが、「子どもたちが受ける被ばく線量を低減させる取組みを引き続き着実に実施する。」このように書いてございますが、では、除染以外は、国は何をできる、何をしようとされているのか、その点について、同じく大臣、お願いします。

細野国務大臣 できるだけきめ細かくという御指摘がございました。

 今予算要望しておりますのが、環境省として現地でしっかりと対応できるスタッフを整えるべく、四十名の来年からのスタッフ、さらには来年度からは二百名のスタッフを設けて、福島環境再生事務所ということで、しっかりときめ細かく対応できるように今体制を整えておりますので、それをできるだけ前倒しして実現できるように努力をしてまいりたいと思います。

 今御質問の、外部被曝以外の取り組みでございます。

 六〇%という目標自体は外部被曝を主な対象として立てた目標でございますけれども、実際には、例えば線量管理、これも非常に重要でございますし、食品の安全というのも大変重要であるというふうに考えております。

 まず、線量計でございますけれども、既に福島県内のすべての小中学校に積算線量計を配付しておりまして、現段階では、先生方につけていただいておおよそのめどを立てている、こういう状況でございます。それをできるだけ子供さんにも持っていただけるように今配付を行っている、こういう状況でございます。

 続いて、食料品でございますが、簡潔に答弁を申し上げます。

 やはり一番皆様の関心は給食だというふうに思っておりまして、今、厚生労働省、農林水産省、さらには文部科学省、それぞれ所掌があるわけでございますけれども、どういうふうにすれば、もちろんいろいろと配慮はこれまでもしてきて、それこそ基準値を超えるものが出ないように、これはしっかりやっておりますけれども、加えて、できるだけ安全な食料をしっかりとお子さんが口にできるように、そこはさらなる工夫が必要であるというふうに考えております。

田嶋(要)委員 いろいろと充実させていただいておるかと思いますけれども、しかし、私は、それでも少しまだ重要なところが抜け落ちているのではないかというふうに感じております。

 子供たちと今でも住むことを余儀なくされているのは、警戒区域の中ではない、計画的避難区域の中ではない、そういうところ、つまり何々区域や何々スポットに指定されていないところには、三・一一の前も後も同じように住んでいる方がたくさんおいででございまして、福島市や伊達市やそういうところでございます。

 したがって、そういうところの子供たちは今でも毎日低線量の長期被曝にさらされており、そこには余り国際的な知見がないという現実があるわけでありまして、したがって、お父さん、お母さん方の心配は本当に大きい。

 細野大臣と一緒に、小学生、幼稚園のお母さん方とミニ集会も福島でやらせていただきました。お母さん方も、やはり本当に不安な気持ちをそういう場で、泣き出してしまう、こういう現実を私も目の当たりにして、本当にストレスの大きい日々を過ごしておられると思いました。

 そこで、もう一問総理にお伺いしますけれども、やはりこれは、自主避難をされる方もたくさんおいでで、かつ、自主避難をされずに、福島の現地で苦しみながらもとどまっている方も、いろいろな意味での大変なコストを払いながら日々送っている。例えば、子供たちに保険を掛けたお母さん方もおいででした。あるいは、毎週末、郊外に離れて住んでおられる方もおいででした、二重生活ですね。そういった方々にやはり国がしっかりとした財政的支援を検討する必要があるというふうに私は考えておりますが、総理、その点いかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 自主避難に対する賠償については、現在、原子力損害賠償紛争審査会において適切な対応を検討中であり、相当因果関係がある損害については東京電力による円滑な賠償が進むことが必要であるというふうに考えておりますが、また、自主的な避難をされた方々については、災害救助法による民間賃貸住宅の借り上げも含めた応急仮設住宅の供与、さらには、雇用保険における受給要件や給付日数に関する特例措置などが講じられております。

 今後も、さらに必要となる支援を検討した上で、被災された方々の生活の安定を図るきめ細かい対応に万全を期していきたいというふうに思いますし、現地の声を踏まえた御提起も、これからも真摯に受けとめていきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 自主避難をされていないケース、つまり、相変わらずずっと三・一一より同じところに住まわれている方もいろいろなコストが実は発生している、そこを私は見落としてはいけないというふうに思っておりますけれども、総理、もう一度そこをお願いできますか。

野田内閣総理大臣 今は自主避難をされている方の場合を申し上げましたが、されていないケースについても、よく現状を踏まえた対応をさせていただきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 最後の質問でございますが、この復興の財源ということを考えたときに、私もずっと前から気になっておるところでございますけれども、やはり国民の皆様にとっての納得感というのが一番大事だというふうに思います。

 せんだって、朝霞の公務員住宅、凍結という判断をしていただきました。政治判断には敬意を表するところでありますが、あれはあくまでも象徴的な意味で重要だということを私も申し上げておりました。しかし、実質的な意味で極めて重要なことは、民主党も政権交代のときに掲げさせていただいた国家公務員の総人件費の二割削減、そして、まず隗より始めよ、議員定数の削減ということでございますが、これが少しぼやけてしまっているのではないかという心配もございます。

 そしてまた同時に、被災地で事務処理量が膨大になっているから、これは少し仕方がないのだというような話もちらりと聞くわけでございますが、総理、これは、残された最長二年弱のこの政権の中で、不退転の決意で私はどちらもやらなければいけない、断行しなければいけないと考えてございますが、野田総理の覚悟をお伺いしたいというふうに思います。

野田内閣総理大臣 公務員人件費二割削減、御指摘のように、平成二十五年度までに実現をするということになっておりますので、二十五年度までに実現できるように全力で取り組んでいきたいと思います。

 その前に、国家公務員の給与については、去る六月三日におおむね給与を八%減額する法案を国会に提出をしておりますので、その早期成立を図りたいと思います。

 議員定数の問題、あるいは一票の格差の問題、これは政党間の協議が必要だと思いますので、これは民主党の代表としてでありますが、党としても積極的にかかわって、実現方に努力をしたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 この際、近藤洋介君から関連質疑の申し出があります。田嶋君の持ち時間の範囲内でこれを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 早速質問に入りたいと思います。

 まず総理、野田政権が発足をして一カ月間が経過したわけであります。所信表明にも示されているように、野田政権の最重要課題は震災からの復興と掲げておるわけであります。特に、この復興の道筋を確かなものにするためには、漁業を初めとする農林水産業、さらには機械や電機などといった製造業の再生、そしてさらには商店街、中小企業の再生といった、産業の復興が進んで初めて地域社会に希望が回復される、こう認識をしております。失われた雇用を回復し、生活の基盤を立て直す上でも、産業なくして復興なしであろうかと思います。

 こうした観点から、我々民主党としても、現在検討中の第三次補正予算の中で、特に東北地方は農林水産業と並んで製造業、大変いい工場がたくさんあり、かつ被害を受けているわけでありますが、この製造業を中心に、企業の生産基盤を立て直すための立地補助金の大幅な拡充を提言いたしております。この立地補助金、総理の御判断もあり、政府内においては大変大幅に拡充をする方向で検討が進んでいる、このように伺っております。

 総理、産業復興は日本の再建のかなめ、かつ震災復興のかなめと認識しておりますが、改めて総理の御所見をお伺いします。

野田内閣総理大臣 近藤さんの御指摘のとおり、東北地方は、一次産業だけではなくて、今回サプライチェーンの寸断が大変大きな影響を及ぼしたように、すばらしい部品関連の会社がたくさんございました。

 ということで、今回、これは被災地中心に、例えば立地補助金を大幅に拡充しよう、第三次補正予算に盛り込もうと思っています。過去に千四百億ほど経済対策としてこの立地補助金を取り入れてまいりましたけれども、当然、被災地だけではなくて、日本経済が元気になって、復興のサポートをするわけでございますので、立地補助金を全国的にしっかりと拡充をするべく、それにまさに取り組めるだけの予算措置をしっかりと行っていきたいというふうに思います。

 日本経済の再生なくして復興はないし、その復興なくして日本の再生もないと思いますので、これは相互に関連をしていると思います。その中で、立地補助金の拡充を一つの柱にしていきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ぜひここは思い切って拡充をして、総理の御指摘のとおり柱にしていただきたいと思いますし、総理の御判断を我々も与党として後押しをしていきたい、こう思うわけであります。特に、今円高もあるわけでありますし、これは日本経済全体への波及効果も大きい、こう思うわけであります。

 ただ、一方で、被災地域の現場を見ますと、やはり地域の産業を復活させる上で大きな重荷となっているのが、いわゆる二重ローン問題であります。津波の被害を受けて、工場やお店が流されて、事業を再開しようにも、これまでの借金が返せない、さらには新しい資金を借り入れることもできないという問題であります。

 政府そして与党としても、また野党の方々とも協議を進めながら震災後から対策に取り組んできたところであり、現在、政府においては、各県ごとにこれまでの債権を買い取る新たな機関として産業復興機構を設け、また、地域の相談窓口として、ワンストップの相談窓口として産業復興相談センターを設立することで各県ごとに調整を進めておると聞いております。

 まず、政府と被災県の調整状況、進捗状況を経産大臣に伺います。

枝野国務大臣 まず、岩手県がかなりスピード感を持って進めていただいておりまして、産業復興センターは九月三十日に事務所を開設し、三日に開所式を実施しました。七日から、沿岸部の十二事務所を含め、一斉に相談受け付けを開始いたします。産業復興機構の方は、九月中に運営会社を選定済みで、実質的な設立がなされているという状況でございます。

 宮城県については、既に準備委員会を九月中に設立、開催しておりまして、十月中には産業復興機構を設立する方向で県及び金融機関と調整中でございます。

 福島、茨城、青森それぞれについては、現在、説明会等を複数回開催し、県及び地元金融機関との調整が進んでいるところでございます。できるだけ早く設立、開設ができるよう、さらに後押しをしてまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 十月三日に岩手で開所式が行われたということを皮切りに、各県ごとに着実に進んでいる、こう認識しております。もうちょっと早くてもよかったかなという気もしますが、見切り発車でいいかげんなものができるよりは、地域金融機関と連携をしての設立が進んでいるわけであります。

 過去の借金について、事業の再生を後押しするために公的な機関が債権を買い取るというこの措置は、阪神・淡路大震災、中越沖地震とさまざまな震災がありましたけれども、こういうスキームは過去に例がなかった、このように認識しております。過去の連続性から見ますと、今までの震災の方々は救われていないのにこれだけ何なんだという声もないわけじゃないかもしれません。しかし、これだけの大震災でありますので、思い切って一歩踏み出した、こう認識をしております。

 さて、この債権の買い取りというのでしょうか、この対象債権なんですが、過去、被災三県などを中心にすると一体どれぐらいあるのか。なかなかいろいろな数字が言われておりますけれども、政府において、大体どの程度の規模が買い取り対象になって、そのうち実際に買い取るのはまたその中で絞られるか、こう思いますが、全体として対象がどれぐらいになるのか、現在の時点での数字をお答えいただけますでしょうか。

枝野国務大臣 この間、金融庁の試算によりますと、ことしの六月末時点で、被災三県において約定返済を一時停止している債権額、それから条件変更契約を締結した債権額は、住宅ローンを除くと約五千億円となっております。

 また、農林漁業関連では、農林水産省の試算によれば、沿岸部の農協、漁協の貸出金残高が総額で約三千八百億円となっています。

 厚生労働省によりますと、医療関係では、独立行政法人福祉医療機構の沿岸部の医療機関等への債権額が総額で約二百八十億円となっております。

 それぞれ推定債権額の算出の範囲が異なっておりますので、単純に合算することは困難でありますが、仮にこれらの数字を足し合わせると、約九千億となるところでございます。

 御承知のとおり、債権買い取りだけが再生の手段ではありませんので、さまざまな手段を被災事業者の実情に合わせて用いることになること、それから、買い取り価格は事業の将来の見通し等をもとに算定することなどを踏まえると、必要となる資金の総額はこの約九千億を下回るのは間違いないだろうというふうに思っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 大体のイメージを持って、後ほど質問をいたしますが、与野党間で協議している新たな機構の件もございます、この二つの機構がどういったものを対象にするのかというのが、大体今の時点で九千億円と。ただ、大事なのは、これをおくらせるとやはりどんどん膨らんでいく可能性がある、こう思いますので、やはりスピード感を持った対応が重要か、こう思います。

 さて、この二重ローン問題の一つのかぎになる債権の買い取りでありますけれども、これは非常に難しい問題がございまして、買い取り価格であります。この買い取り価格を逆に高くすると、実は、被災者の方というよりは、ある意味では貸している金融機関の助けにはなるけれども、被災者の方には余り助けにならないという問題も出てくるわけですね。余り高くすると、何だこれは、金融機関への補助金じゃないかと言われかねない部分も出てくるわけであります。

 ですから、いずれにしろ、この買い取り価格というのをどうするかというのは難しい問題なのですが、ここでお伺いしたいのは、やはり事業を再生するためには、国も一生懸命やるけれども、貸し手である民間金融機関をきちんと再生に協力させる、コミットさせる、このことが非常に大事だと。まあ、言葉がどうかは別にして、買い取りをさせたら縁切り寺みたいなものにしては絶対いけない、こう思うわけであります。

 そこで、その地域金融機関の関与を、もちろん被災地においては地域金融機関も被災企業でありますが、逆に、地域金融機関がかかわることでその地域金融機関も再生するということに必ずつながると思いますので、その関与についてどのように担保をしていくべきなのか、復興担当大臣、お考えを聞かせていただけますでしょうか。

平野国務大臣 近藤委員におかれましては、二重ローン問題等々の対応につきまして、党で先頭に立って取り組んでいただいていることに敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 まず、地域の金融機関が、顧客企業等に対するコンサルティング機能を発揮しながら、経営改善や事業再生に向けた経営努力を最大限支援していくということは大変重要なことだというふうに私も認識をしております。

 このため、金融庁におきまして、コンサルティング機能の発揮に当たりまして、金融機関が果たすべき具体的な役割等を記載した監督指針の策定等の対応を行ったものと承知をしております。また、個別金融機関の検査監督に当たりましては、今年度の検査基本方針、監督方針に基づき、金融機関によるコンサルティング機能の発揮状況を重点的に検証しているものというふうに承知をしております。

 また、先ほど来の議論がございますけれども、産業復興機構というのがもう既に岩手県で起こっておりますが、この産業復興機構において債権を買い取るという場合には、金融機関からの融資が義務づけられているという状況になっておりまして、この観点から金融機関は積極的にかかわっていかざるを得ない、そういう仕組みも用意したということでございます。

近藤(洋)委員 この金融機関のかかわりというのはやはり重要なので、引き続き、きちんとかかわれるような仕組み、それを促すことを、運用を見ながらさらに検討するべきかな、こうも思うわけであります。

 さて、この二重ローン問題、先ほど枝野大臣からも御答弁ございましたが、債権の買い取りだけで措置できるわけではありません。ただ、やはりこの買い取りについては、より広範に見た方がいいだろうという意見もあるわけでございます。

 同時に、参議院においては、既に野党の方々が提案した法律が成立しているということもございまして、このことを受けて、民主、自民、公明三党の実務者協議を進めてまいりました。この切り離しの重要性、深さにかんがみて、現在政府において進めている復興機構に加えて、全国組織となる新しい組織を、法律に基づいて支援措置を広げることができるかということを我々民主党としても真剣に協議しているところであります。現在被災県と政府が設置をしている組織と産業復興機構との役割分担を明確にする、例えば、新しくできる機構は、より農林水産業や医療機関などにも機動的に対応できるとか、小規模企業の事業者とできるかといったことを現在協議中であります。

 いずれにいたしましても、この協議はまだ協議中でございますから、どうなるか、これから真剣に前に進めていきたい、こう思っておるわけでありますが、現在岩手等で設立している産業復興機構も、またこの新たな機構も、予算措置がこれから必要になる可能性が出てくるわけであります。また、先ほどの枝野大臣のお話のように、それ以外でも、例えば中小企業支援、新規の投資を支える政策、例えば中小企業がグループになって新しい工場や店舗をつくるといった中小企業グループ施設復旧補助事業、これなどは非常に資金ニーズも高いわけであります。

 経済は生き物でありまして、こうした要望に対応するためには、もちろん補正予算、三次補正予算というのもあるでしょう。しかし同時に、予備費というのもあろうかと思います。こうした予備費と三次補正を絡めた、柔軟かつ機動的かつ大胆な対応が必要と考えますが、所管をされる安住財務大臣、財務省の責任者としてどのようにお考えでしょうか。

安住国務大臣 御指摘のありましたお話は、本当に近藤委員は、もうずっと熱心にやっていただいておりますけれども、政府といたしましても、予備費それから三次の補正を活用しながら、しっかり対応していきたいと思っております。

 なお、三党で今精力的に、新しく債権買い取り機構等の設置を含めてやっていただいているわけですけれども、私が国対委員長時代に、何とか臨時会で成案を得るということで頑張ってやっていただくということになっておりますので、ぜひ、いろいろな相違点を克服しながら、近藤委員におかれては、もう大変いいところまで来たと聞いておりますので、ぜひそうしたことを……(発言する者あり)谷先生はまだまだとおっしゃいますけれども、あと一歩でございますので、ぜひ頑張って、被災者のためにこれを成案を得て、三党で合意していただければありがたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

近藤(洋)委員 自民党からは谷先生、そして公明党、石田先生、大口先生等々、真剣に議論されておりますけれども、同じ船に乗れるところまで来たのかなという気はしておるので、ぜひいいものをつくって、政府にきちんと投げて、実行できるような形に急ぎたい、こう思うわけであります。

 さて、今回の与野党協議の中でも大きな論点となりました、土地の買い取り問題であります。

 被災された土地の買い取りについては、基本的に、産業復興機構、さらには現在検討中の組織でも扱わない方向で、土地そのもののことを広く扱うことはしない方向で今協議を進めておるわけであります。これは、二重ローン問題として土地を扱うと地域の復興計画に支障が出る、こういう悪影響もあるのではないかということで判断したわけであります。

 しかし、どうであれ、土地の再生といいましょうか、土地計画、地域の田園の再生、土地問題というのは極めて重要であります。現在、津波被害が予想される地域について、高台移転を促す防災移転促進事業、これを大幅に拡充するなど、政府においてきちんと対応すべきと考えますが、復興担当大臣、いかがでしょうか。

平野国務大臣 津波の被災を受けた地域の中で、一番大変な、しかし最も重要な作業というのは、復興計画、特に土地利用計画をどのようにつくるかということでございまして、この土地利用計画の策定過程の中で、住宅を高台に移転しなければならない、そういう話がまとまった場合の防災集団移転事業、大変重要な事業制度でございまして、今この事業制度の拡充等々についても鋭意検討を進めているところであります。

 そしてまた、土地の問題につきましては、委員おっしゃいましたように、土地利用計画の中でどうしても使えなくなった土地、私は土地はどういう土地であっても有効利用するというのが大原則であると考えておりますが、どうしても使えなくなった土地、それをどうするか。これも防災集団移転事業の中で考えられるような仕組みにしたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 きちんとした予算措置も必要かと思います。

 もう一点、これはちょっと指摘だけにさせていただきたいと思いますけれども、二重債務問題について、民間企業のコミットメントが第一というと同時に、やはり政府系金融機関も補完的にきちんと後押しする、こういう措置が必要かと思いますので、経済産業省を中心に、ぜひこの辺も三次補正予算において御検討いただきたい、こういうことを申し上げたいと思います。

 最後になりますが、総理、野田内閣の大きな特徴は、大ぶろしきは広げないけれども言ったことはきちんと実行する、まじめに実行する、かつ、判断したら即実行するという、この実現の政治だろう、こう思うわけであります。

 二重ローン対策についても、貸し手、借り手、そして国がそれぞれの負担を分かち合う、実現可能な仕組みをスピード感を持って実行することが肝要かと思いますが、最後にこの二重ローン問題についての御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。

野田内閣総理大臣 二重ローン問題は、御指摘のとおり大変重要なテーマであります。

 先ほど枝野大臣が御答弁をされたように、ようやくその取り組みがスタートしてきましたが、その動きを加速していきたいと思いますし、今、近藤議員も入って御議論いただいている政党間の協議も注意深く見守りながら、結論が出たならば、これは積極果敢に、スピーディーに対応していきたいというふうに思います。

古賀委員長 これにて田嶋君、近藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、額賀福志郎君。

額賀委員 自由民主党の額賀福志郎といいます。

 きょうは、復興特ができ上がって、五月ですから、初めて野田総理がお見えでございます。

 私と野田総理は、千葉県と茨城県という地理的な関係もあり、共通の友人を通して政治的な議論をしたこともあります。まず、国家国民のために、総理就任に当たりまして、心からエールを送りたいというふうに思っております。また、期待にこたえてくれるものというふうに思っております。

 そこで、総理は、これからの政治の最大課題は、東日本大震災の復旧復興、それから原発事故の収束である、繰り返しこうおっしゃっているんですね。福島原発の事故がここまで拡大してしまったということについては、政府でも事故調査委員会をつくり、また、今度国会でも事故調査委員会がつくられて、真実を究明しようとしております。いずれ全容が明らかになってくるもの、こう思っております。

 私は、こうした中で、物理的なあるいは技術的なものはこれからはっきりしてくるんだと思っておりますが、やはりこの事故の原因というものの奥深いところには何か別なことがあるのではないか、別な要因があるのではないか、そういう思いがするのであります。

 その一つは、戦後六十年の間に、我々国民の意識、一人一人の意識なのでありますが、これは私を含めてのことでございますけれども、都合の悪いことは余り聞きたくない、危険なことは見たくない、できるのなら楽をして生きたいね、そういう、戦後の社会的な生活感覚、一貫して流れる、適切な言葉かどうか、怠惰な生きざまが私は遠因になっているのではないか、そんなことを感じるのであります。

 もう一つは、日本人の国民性として、農耕民族に宿ってくる習性というものが原因になっているんじゃないか。

 ということはどういうことかというと、我々は、春に種をまき、夏に水と肥料をやれば、秋には食料を得ることができる。サイクルさえ守っていれば、一定の基準さえ守っていれば安心感が生まれてくる。そういうことが、大丈夫だという、そういう油断を生じさせているのではないか。私は、日本人のこういったことが、一定の基準とかサイクルが狂ったり壊されたりしたときはどうするのかという思考が停滞している、これが我々の弱点になっているのではないか。

 これに対して、アングロサクソンとか狩猟民族は、やはりサイクルで食料が生まれるわけではない。狩猟に行っても、一匹も獲物を得ることができないことがある。常に緊張感を持って、生活環境、それから自分を守ることを迫られている。そういうところに我々は違いを感じざるを得ない。

 そこで、この福島の原発事故は、戦後のいろいろな日常生活、産業生活、社会生活、そういう中で、それぞれの一定のサイクル、基準が壊された場合はどうするのか、これからの安全を、これからの国民の安心をどうつくっていくのか、そういうことを見直していかなければならないのではないか。総理、どういう感想を抱かれますか。

野田内閣総理大臣 額賀先生におかれましては、この衆議院の復興特の筆頭理事として、復興に向けた議論のまさに先導役としてリーダーシップを振るわれていること、心から敬意を表したいというふうに思います。

 今先生の御指摘の、いろいろな反省点があると思います。そういうことがあって、残念ながら、政府も、そして事業者も科学者も含めて、安全神話に余りにもどっぷりと浸り過ぎてきたことが今回の事故につながっていると思います。このことをしっかりと、政府の中で設けた検証委員会でもしっかり検証しますが、今回、国会の中にもこういう委員会をつくることになりました。もちろん政府も全面的な協力をさせていただきたいと思います。

 そうした検証を踏まえながら、国民の不安を和らげる、そして安全であると確信のできるようなエネルギーのベストミックスをつくるとともに、まずこの検証を踏まえた対応をしっかりすることが大事だと思います。御指摘を参考にさせていただきたいというふうに思います。

額賀委員 いろいろな場面で、例えば北朝鮮の金正日委員長、それからイラクのサダム・フセイン、みんな、我々とか我が国とか世界じゅうに脅威を振りまきました。そういうことから、我々も安全保障についてようやく目覚めて、法的な措置を整備してきて今日に至っている。

 したがって、今の政府は、我々ももちろん協力をいたしますけれども、あらゆる分野でそういう見直しをして、しっかりとした危機管理体制をしいていくことが国民の生活、日本の安全をつくっていくということを肝に銘じなければならないということだと思いますので、やはりこの原発の事故をきっかけに、日本のそういう意識の立て直し、そして国民がそういう共通の意識を持っていくということに政治の責任があるというふうに思っておりますので、しっかりやっていただきたいというふうに思っております。

 それから、野田総理が誕生してから一カ月半ぐらいたつわけですね。この二年間の間に、鳩山総理、菅総理と三人目ですね。鳩山総理は、普天間問題で沖縄県民を裏切り、日米関係の信頼を破壊しました。菅総理は、エネルギー問題あるいは原発事故の対応に失敗して、混乱を招きました。私どもは、破壊的な行動をしたのではないかという評価をせざるを得ない。

 私は、その意味では、野田総理は同じように破壊者になっていくことは絶対いけないと思いますね。やはり、破壊された日本を立て直さなければならない。その立て直しは、創造的な立て直しをしなければならない。大いに期待したいと思います。ちゃんと筋が通っているならば、我々も協力は惜しまない。

 ところが、野田総理、何か、みんな政治家から聞いたりマスコミから聞いたりしておりますと、総理は、同僚とか閣僚に対しても、余計なことは言わない、やらない、しない、派手なことはしない、突出しないなんということを政治的な共通の思いとして共有しようではないかと言ったそうですが、本当ですか。

野田内閣総理大臣 鳩山元総理そして菅前総理についての評価をお聞かせいただきましたけれども、私は、両先輩とも、国民のために懸命に努力をされて、血みどろになって頑張ってこられたと思います。その評価は歴史的な評価に今後ゆだねたいというふうに思いますが、いずれにしても、私は三人目になりました。がけっ縁であるというふうに強く意識をしています。それを踏まえて対応したいと思いますが、今御指摘の、三つぐらい何かやらないようなお話は、私、申し上げたことはございません。

額賀委員 そうすると、みんなが言っていること、新聞に書かれていること、これは誤報なんですね。(野田内閣総理大臣「あのように言った記憶、全くありません」と呼ぶ)それでは何の抗議もしないんですか。

野田内閣総理大臣 明確に何か記事に書かれたとも、いつ、どの時点で私が言ったとも書いていなかったので、よくあることないこと書かれますので、一つ一つ目くじらを立てようとは思っていません。

額賀委員 しかし、これまでの総理のマスコミあるいは国民に対する、あるいは国会での発言だとか言動を見ていますと、やはり沈黙は金なりみたいにだんまりを決め込んでいるという評価が圧倒的ですよ。

 例えば、あるマスコミの人から言わせると、ぶら下がりについて、この一カ月で五十三回の問いかけをしたけれども四十四回は無視されたというふうに言っております。我々は、自民党が政権を持っていたころは、やはりぶら下がりをきちっとやったし、そして記者会見もした。それから、マスコミは必ずしも的確な報道をするとばかりは言えないんだけれども、私どもとしては、マスコミを通して、我々の考えていること、政府の考えていること、あるいは政策について、しっかりとメッセージを発信してきた。そういうことは今の野田政権、野田さんの対応には全く感じられない。これが、我々は何とかどういうことからこうなったのかなと類推するんだけれども、党内人事とかそれから組閣でも党内融和ということを余りにも重んじ過ぎた結果、深い泥沼に野田ドジョウもはまり込んでしまって、何も言えなくなってしまったのではないか、そういう印象が持たれているんですよ。

 私はやはり、例えば復興増税のごたごただとか朝霞宿舎の建設の凍結の問題だとか、そういうことを考えてみても、リーダーシップがちっとも見えない。昼あんどんを決め込んでいるとも思えない。そういうことから、私は、野田政権は、夏が終わったばかりでやっと秋に突入したばかりなのに、早くも冬ごもりの準備をしているんじゃないのかという感じがしないでもない。

 はっきり言って、民主党は、これまで二年間の間に、総選挙で掲げたマニフェストは詐欺的な公約で実現できませんと謝罪しました。しかも、なおかつ多くの民主党の幹部の皆さん方が、かつて自民党が一年で総裁が、総理がかわったときに、国民に信を問えと言ってきた。民主党もこの二年間で三人もかわっている。私は、そういうことをきっちりと政治家として愚直に受けとめますならば、野田総理は、できるだけ早い時期に国民に信を問うというのが、政治家としての、まじめな野田総理のとるべき対応ではないかというふうに思っておりますが、どうですか。

野田内閣総理大臣 多岐にわたる御指摘をいただきましたけれども、最後の御質問については、解散をするべきである、そういうお話でございましたが、私の内閣の最大かつ最優先の課題は、まさに東日本大震災からの復旧復興と、そして原発事故の一日も早い収束であります。その道筋をつけなければいけないというこのときに、今、政治的な空白をつくるべきではないというふうに考えております。

額賀委員 それでは、本来の、震災からの復旧復興についてお尋ねしたい、こう思っております。

 まず、このパネルをちょっと見てください。これは、自由民主党を初め公明党、野党の主導により成立した主な震災関連の法案であります。

 東日本大震災復興基本法というのは、震災の復興計画が、縦割りの弊害に侵されることなく、ワンストップでスピーディーに実施されるような権限を付与して、復興庁が被災者、被災地の期待にこたえるということが原点なのであります。

 それから、一番目の津波対策推進法案というのは、津波対策を推進するための調査などを実施しようということであります。

 三番目は、もう御承知のとおり、災害弔慰金の支給対象となる遺族に対しまして、死亡した者の兄弟姉妹を加えるということであります。

 原子力損害賠償仮払い法案は、損害賠償を東電にかわってまず国が被災者にお支払いをして、その上で東電に後で請求をするという、これは被災者側に立った、我々の提案した法律でございます。

 原子力損害賠償機構法案は、国と東電が責任を持って、それは風評被害を含めて対応するということ。

 瓦れき処理法案は、これは議員立法でしっかりと、国が九九%、交付税を入れれば一〇〇%面倒を見るからしっかりやりなさいという法律です。

 災害弔慰金等の差し押さえ禁止二法案、これは、支援金等の見舞金あるいはまた弔慰金については差し押さえを禁止するというもの。

 放射性瓦れき処理法案は、放射性瓦れきの処理を国が責任を持って行うということ。

 それから、東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法案は、先ほど申し上げたように、国会で事故調査を、究明していこうというものであります。

 そのほかに、継続審査中のもので、先ほど議論がありました二重ローン救済法案、それから私立学校建物等の特別助成措置に関する法律案、東日本大震災臨時交付金の交付に関する法律案等が継続案件になっているわけであります。

 これらの法律は、ほぼすべて、自民党それから公明党、野党が提案し、政府が提案した閣法を取り下げて、委員会提出の形で成立したものです。これは、総理、そうですね。

野田内閣総理大臣 御指摘のように、特に通常国会の後半、そしてさきの臨時国会を含めて、御党を初め野党の皆さんから御提起をいただいたこと、大変ありがたいというふうに思っております。

 復旧復興というのは、本当にオール・ジャパンでやっていかなければなりません。政府の足らざる部分を御指摘いただきながら、こういう形で実を結んだということは、私は国会の一つのあるべき姿が見えてきているというふうに評価をさせていただいております。これからもよろしくお願いをしたいと思います。

額賀委員 法案によっては、中身は、ほとんど野党の言い分が組み込まれております。ある意味では、政府側が丸のみをしたという形の法案もあるわけであります。当時、八月末まで与党側の筆頭理事をなさっていた官房長官の藤村さん、そういう認識を持っておられますか。

藤村国務大臣 額賀筆頭理事には、つい先般までは、私はここの与党筆頭として、本委員会に対してさまざま御指導、御支援をいただきながら、今御紹介をいただいた多くの法案をこの委員会で可決し、そして国会の成立ということに至ったこと、本当に改めて御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 今、順におっしゃったので、この委員会で扱ったのは、そこにパネルが出ている中では、二番目のいわゆる基本法。これについては、閣法があり、そして野党提出の法律案があり、さまざま議論をした末に、双方を取り下げて、いわゆる委員長提出の法案ということで、本当にこれは与野党合作でできた一番最初の基本法であろうかと思います。

 その後、一つ一つは申しませんが、この復興特別委員会においては、与野党が本当にあるべき国会の審議の形を示してきた、そういう意味で、私も、総理同様に、この委員会の運びについて大変評価をさせていただいておりますし、また、御協力に感謝を申し上げます。

額賀委員 政府に対しては大変申しわけないけれども、震災が起こった、一連の対応については、政府側は常に後手後手でありました。我々は、阪神・淡路大震災とか中越地震とか、一定の経験を持っていたので、やはりその地域の皆さん、国家国民のために、こうした方がいい、こうすべきだという提言をして、こうした法律をつくり、予算を編成し、即実行してくれるように政府にお願いをしてきた。

 これは、きょうテレビを見ておられる国民の皆さん方も、野党主導でこういう法律が、自民党、公明党を中心とする野党中心にこういう法律が展開されて、震災の復興のレールが敷かれてきたということをぜひ理解していただきたいというふうに思っております。

 しかし、第一次補正、第二次補正、六兆円ぐらいの予算を組み立てましたけれども、遅々として、瓦れき処理だとか、あるいは港湾、漁港、道路、なかなか進んではいない。予算はつくったけれども、これが実行に移されていないというのが現実でございます。

 これは、私どもは、行政がやはりきちっと実行に移すまでの対応が後手後手になってしまっている、行政のリーダーシップがないし、行政が現場に行って指揮をする、現場の皆さん方と協力をしてやっていく、そういう気概がないから結果的にこれだけのおくれを生じているというふうに思っております。これから十分に注意してほしいというふうに思っております。

 次に、第三次補正予算、復興予算について質問をいたします。

 まず、財務大臣に第三次補正予算の内訳を聞きたいと思っております。

 今回の第三次補正予算は、復興予算のほかに、円高対策だとか防災事業だとか年金の臨時財源だとか、いろいろなことが含まれております。それぞれの予算措置は幾ら幾らになっているんですか。

安住国務大臣 お答えいたします。

 総額で約十二兆円というふうに見込んでおりますが、そのうち、先生御存じのように、年金の国庫負担分が二分の一、二・五兆。それから、B型肝炎分が幾ばくか、〇・一以下だと思います。そのほかにつきましては、おおむね九兆強ということになりますけれども、この内訳については今精査をしておりまして、近く、今週中になると思いますけれども、自民党、公明党初め各党に提示をさせていただきたいというふうに思っております。

額賀委員 これは、円高対策とか、全国の防災事業を前倒しするとか、年金だとか、B型肝炎だとか、そういうことを除いたものは九・一兆円ですよね。あとは、みんな復興予算じゃないんですよ。ごちゃごちゃなんですよ。

 例えば、防災事業の前倒しとか、今度の台風十二号の災害復旧の予算なんというのは、四条国債でもいいんですよ。円高対策とかそんなものは、本当は予備費とか特例公債でもいいんです。年金とかB型肝炎とか、こんなものが復興債で手当てされるなんというのは、木に竹を接ぐようなものですよ。

 私は、そういう意味では、政府・与党がつくったこの第三次補正予算というのは、全く哲学も理念もなく、ただ財務省が考えている、これ以上負債をふやしたくない、そういう数字合わせ、収支じり合わせの予算と言ってもおかしくはない。ある意味では、どんぶり勘定と言ってもいい。

 私は、復興債の財源措置を考えていくということはいいことだと思いますよ。しかし、表現は悪いけれども、くそもみそも一緒にしてはいかがなものか、こう思っているんです。

 私は、普通は、平時は、入るをはかって出るを制すだと思うんです。しかし、非常時の場合は、出るをはかって入るを考えるんですよ。

 財務大臣をこの前まで務めていた野田総理は、マスコミだと、いかにも財務省の言うとおりだ、こう言われているんですが、感想はいかがですか。

野田内閣総理大臣 十二兆円規模の三次補正の内訳については先ほど財務大臣がお話しされましたけれども、御理解いただきたいのは、例えば年金の部分が入っていますよね。これは三党合意に基づいての議論でございますので、いろいろ入りまじっているというお話ございましたが、いろいろ経緯があるということはぜひ御承知おきいただきたいと思います。

 それらの、B肝とか年金部分を除くと九兆円ちょっとでありますが、例えば全国的な防災事業を前倒しでやるということも、これも阪神・淡路大震災のときにもやったことでありますので、この際、やはりしっかり三次補正で位置づけるということは、これは過去にもあるし、また、過去の教訓でもありますので、中身をよく見ていただけると私は御理解いただけるんだと思いますし、それは別に財務省主導ではなくて、まさに政治主導でこの骨格を決めてきているということ、このことについても御理解をいただきたいというふうに思います。

額賀委員 私が言いたいのは、何も復興債でやらなくてもいいんですよ。きちっとそれぞれ財源のことを考えていくべきだ、こう思っているわけであります。

 それから、復興予算の財源について、民主党あるいは政府は迷走をしましたね。それぞれ、例えば財源について、官房長官は十一・二兆円と言うし、民主党の税制調査会長は十一・二兆円、これに対して前原政調会長は九・二兆円と、復興税の規模について真っ向から対立しましたね。官房長官、そういうことがありましたね。

藤村国務大臣 これは正確にちょっと申し上げますと……(額賀委員「簡単に」と呼ぶ)短く、はい。

 政府・民主党の合意という中で、一枚紙で書いてあるこの紙の、自分なりに砕いて皆さんに説明する仕方がちょっと違ったので、基本的には、全く政府・与党で合意した内容というのは変わっていないというふうに、私は記者会見などでも申し上げたところでありました。

額賀委員 税外収入については、政府側では五兆円、前原政調会長は、政府側の五兆円に二兆円を上積みして七兆円を主張したんですね。増税幅、収入幅に大きな食い違いをもたらしたんですね。

 この二兆円の腰だめ的な考え方について、従来の予算編成の理念ではなかなか考えられないような、その財源の根拠として想定をした、いろいろな財源措置について想定をしたという文字が書いてあるんですが、二兆円の根拠を示してください。

安住国務大臣 この想定は、もう先生御存じのとおり、JT株の三分の一から全株売却と、それから政府保有のエネルギー株の売却を見込むということでございますが、特にJT株に関しては法律改正等が必要でございますし、エネルギー株につきましても、これから関係団体それから経産省を中心に議論をしていくという、そういう条件が、前提がどうしてもつくものですから、この十年の中でそれをやっていこうと。ただし、すぐにはできないので、それは、先ほど官房長官が申し上げましたように、十一・二でスタートをさせていただくと。

 つまり、税外収入は五兆でスタートをして、十年の中で今私が言ったものを何とか処分できれば二兆円上積みができるという考えでございます。

額賀委員 私は、予算編成をする場合に、本当に、いいかげんな想定のもとで予算の数字をはじき出すなんということはとても考えられませんよ。そんないいかげんな、不確かな根拠で予算編成をする。しかも、なおかつ、これだけ激動する世界経済の中で、あるいはEU経済が崩壊するかもしれない、アメリカも停滞している、日本経済は、東日本大震災もあってどうなるかという心配が、下振れリスクがあるというときに、今後税収見積もりがどういうふうになるかなんというのは、なかなか予測ができないし、それからまた、そういう不確かなもとで予算編成なんというのはすべきではありません。

 しかも、この報道がされたら、JT株は急落しましたよ。それから、資源株だって、世界が資源大戦争をしているときに、本当に国家が関与しなくていいのかということも我々は考えていかなければならない。

 自民党は、JT株の問題、それから葉たばこの生産者を擁護するという形で、やはりたばこ税の値上げについても慎重にやるべきだと、反対の姿勢を持っているわけでございます。

 そういう意味で、今、安住財務大臣は、十年の間に何かそういう株が売却できたりしたら二兆円を得て、それを復興債の返済に充てたい、こういうことを言っているのでありますが、私は難しいだろうと思いますね。

 逆に質問したいんですが、この十年の間に十一・二兆円の復興予算をさらに増額していくことは全く想定していないんですか。年末には、恒例のように、社会保障だとか義務的経費のことで恐らく補正を組むでありましょう。私は、当然、震災の被災地とかあるいはまた被災者から、この復興予算の増額は物すごく強く要求されていくと思いますよ。

 そういう意味で、この十一・二兆円の枠の中で考えていくなんということはとても考えられないんだけれども、感想があれば言ってください。

安住国務大臣 十九兆円、そして復興期間トータルでまず二十三兆という積算をいたしました。

 この積算については、阪神・淡路大震災等を要するに推計をしてということでございますけれども、今先生おっしゃるとおり、これから原子力の問題等々でどれぐらいの被害が積算をしてきて、必要となってくるかということについては十分想像できますので、この予算でしっかり復興が完全になし遂げられるというふうに思っているわけではなくて、むしろそれは、出ていく可能性の方もあるだろうというふうには想定しております。

額賀委員 時間もないのではしょっていきますが、これから、先ほど来議論がある除染の問題だとか、原発の収束だとか、さまざまな予算が増額してくることは目に見えているし、それはまた、予算の枠内だからという発想ではなくて、まず事態をどうやって収束するか、そういう視点から考えていくと、大幅に予算がふえていくことは当然のことだと思っております。

 ところで、税外収入として公務員の人件費も見込んでおりますね。一方で、今度、人事院勧告では給与引き下げ〇・二三%です。単年度で、国家公務員人件費百二十億円、地方公務員人件費四百二十億円の削減となっているわけです。恐らく先ほど、総理だったと思いますが、給与法案で出しているものは八%前後で、六千億円ぐらいの税収を見込んでいるわけでありますが、この関連はどういうふうに位置づけるんですか。総理、答えてください。

野田内閣総理大臣 先般、人勧の勧告をいただきました。それを今、政府内で、関係閣僚によって、対応をどうするかという協議をしている最中でございます。

 一方で、御指摘のとおり、六月に八%程度の減額を内容とする給与の改定の法案を公務員制度改革関連法として提出をしています。私どもは、この提出をした法案の成立に基本的には万全を期していきたいし、御協力をいただきたいというふうに考えております。

額賀委員 そうすると、これは財務大臣のころだったか、時期ははっきりしませんが、総理は、国だけではなくて、やはり公的な負担は全体的に、地方も含めてしっかりと考えていかなければならないというようなことをおっしゃっているんですけれども、この基本的な考え方は変わりませんか。

野田内閣総理大臣 法案については国家公務員の給与についてでございまして、地方は地方で独自に決めるということがございますが、あのときは、私が申し上げたのは、国家公務員、地方公務員、そして議員を含めて、公的なセクターでしっかりとサポートしていく必要があるのではないか、そういう問題意識を申し上げたということでございます。

額賀委員 私は、国家公務員の給与が地方公務員との差が出たときに、国がどういう対応をするかということについて、やはり総理は一定の考え方を示していたのではないかというふうに解釈しておりました。そのことはどうなんですか。

野田内閣総理大臣 国の方で一つの方向性が決まったならば、地方においてもそういうものを踏まえていただくことを期待する思いを申し上げたということでございます。

額賀委員 時間もないので、もう一問だけ。

 復興債の償還期限について、政府は十年ぐらいだと言っておりますけれども、復興債の仕事は、恐らく社会資本の整備的なものが多いわけですね。そうすると、私は、十年ではなくて、建設国債的な償還期限でしっかりと考えてもいいのではないかというふうに考えておりますが、償還期限を思い切って、総理は現世代の時代にきちっとするということでありますから、現世代というのは三十年とかあるいは四十年とかあると思うんですね。そういうことも含めて、延長のことについてはどう考えるか。

 それから、将来、総理は社会保障と一体改革をするということを言っておりますから、そのときに財源を考えていく場合も、できるだけその復興財源のもととなっている所得税等の税率は低い方がいいと思うんですよね。そういうことから考え方を聞かせてください。

野田内閣総理大臣 まず、償還期間についてのお尋ねでございますけれども、復興の基本方針の中で、これは七月に閣議決定をしたものでございますが、将来世代にその財源を先送りするのではなくて、負担を先送りするのではなくて、今を生きる世代が連帯して負担を分かち合うということが書かれております。

 それを踏まえた対応とした場合に、では、今の世代で分かち合うとすると、どの期間が整合的なのか。特に、集中復興期間、復興期間、それぞれ五年、十年でありますけれども、いわゆる復興期間と償還期間が整合的であった方がいいのではないかということで、十年を基本という形で今政府・与党の中では案をまとめさせていただきました。これから与野党の協議がありますけれども、御意見をしっかり承りながら対応していきたいというふうに思っております。

額賀委員 時間も経過してしまっておりますので、復興庁についてお聞きしたいと思います。

 最近、復興庁についていろいろ新聞報道が出ているんですが、これは、我々が、この基本法の中で復興庁のあり方について議論をし、また決定をしてきたわけであります。基本法においては、震災からの復興に関する施策の企画立案をし、しかも、なおかつ、その施策の実施も行うものとされているんです。ところが、政府が考えている復興庁は、政策の立案と調整しかやらないというような意味のことが書いてあります。それではもともとの政府案と一緒であって、我々が与野党協議をして、復興庁に強い権限を持たせて、ワンストップで被災者あるいはまた被災地の期待にこたえていく、そういう我々の目標が全く無視されている、骨抜きにされている。これではとても賛成できませんから、平野大臣、よく心していただきたいというふうに思っております。

 先ほど政治主導と総理は言いましたけれども、官僚をうまく使うことと政治主導というのは、決して矛盾しないんですよ。だから、思い切って、きっちりと復興庁に権限を持たせて、それこそ政治主導でやっていくことがこの基本法のねらいなんです。簡単に一言言ってください。

平野国務大臣 今、復興庁については、法案策定、それから全体の制度設計を急いでおります。その考え方は復興基本法の趣旨にのっとってやっているということは当然でございまして、今委員の御指摘の中に、実施はやらないという御指摘がございましたけれども、例えば復興交付金、これは復興庁で所管をいたします。それから、復興特区、そういったものについても復興庁で所管をします。そういった実施と調整、調整については権限を強化します。そういった全体で復興庁を成り立たせる、そういうふうに考えておるところであります。

額賀委員 これは全く一部の行為だけのことを申しております。全体的な権限を持たせなければいけません。そうでなければ政治主導はできない。(発言する者あり)

古賀委員長 御静粛にお願いします。

額賀委員 そこで、もう一つ、復興庁は、復興庁の出先機関の復興局を宮城、岩手、福島の三県に設置する、そういう方針を伝えておりますね。

 総理、ちょっとお聞きしたい。被災地というのはどこなんですか。三県だけですか。

野田内閣総理大臣 東日本大震災の被災地は、三県だけではなく、先生の地元の茨城県も含め、さまざまな地域はまだほかにもございます。(発言する者あり)もちろん千葉県も入っております。

額賀委員 各委員それから閣僚の皆さん方にも「茨城県の被災状況について」という資料を配っておりますよ。茨城県は、各統計を見ても、トップではないけれども、いずれのデータも二番目か三番目ですよ、いずれのデータも。我々は、津波も受けていましたし、地震も強度の地震を二回受けまして、内陸の被害が相当強いんですよ。私は、千葉県も被災地なんだけれども、きっちりと茨城県に被害地としての、各閣僚はその認識を新たにして、しかもなおかつ、復興庁の権限を拡大し、茨城県にも復興庁の出先を置いてしっかりとフォローしていく、そういうことが一番大事だというふうに思っております。大臣。

平野国務大臣 茨城県も津波、地震の被害、大変大きな被害が出ております。私も現地に行かせていただきまして、状況も見させていただきました。この復興に当たりましては、政府も全面的にサポートしなければならないというふうに考えています。これは当然のことであります。

 なお、出先の問題につきましては、これはさまざまな議論がございますが、津波被害の中で特に特有のものとしてあるのは土地利用調整であります。こういったものに関しては、今、チームを派遣して、さまざまアドバイス等々やっておりますが、こういったものを協力を進めるためにはやはり出先が必要だということが大きな背景にもなっております。

 ただ、いずれ、この出先をどうするかということについては、今委員からも御指摘ございましたので、そういったことも踏まえながら、引き続き検討をさせていただきたいというふうに思います。

額賀委員 ぜひ、茨城県を初め、茨城県の中には、群馬とか栃木とか千葉も含めて、北関東それから千葉、それぞれ被害地ですから、そういった全体の中心部として茨城県にきちっと置いておくことが閣僚のあるいは政府の誠意だ、こう思っておりますので、しっかり頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それから、細野大臣、除染の問題ですね。

 除染の問題で、福島の人たちが、一ミリシーベルトから二ミリシーベルトの被災地、被災地というか汚染線量の多い地域について、五ミリシーベルト以下それから五ミリシーベルト以上というようなことについて区分けしたことに対して、地域の人たちは激怒していましたね。それで、慌てて細野大臣は、それは五ミリシーベルト以下も国でやりますと言いました。こういう、本当に現地の人たちの心を心としないで、画一的に、機械的にやっていくことは政治のあり方としては望ましくない、こう思っております。その意味で、私は、福島県の皆さん方にちゃんと大臣は謝罪をして、今後の対応について明確に言っていただきたい。

 それから、もう一つは、除染に関する緊急実施方針という中で線量の多い地域と線量の少ない地域について区分けしたことの文言、中身については、基本方針をしっかりと書き直さなければなりません。そうでなかったら、あなたの発言が福島県民の皆さん方に理解されないと思います。答弁願います。

細野国務大臣 除染につきましては基本的な考え方を何度か提示しておりまして、その中では、一ミリシーベルトを目標にするということは一貫して掲げてきてまいりました。

 私も福島には本当にちょっと数え切れないぐらい行っておりまして、福島の皆さんのお気持ちを考えたときに、しっかりやり切るということが重要であるということはよく承知をしておりまして、その意味では、実はちょっと、目標は変えておらなかったんですけれども、皆さんへのお伝えの仕方や、また表記の仕方として必ずしも適切でなかったところがあって、いろいろ皆さんに御迷惑、御心配をおかけしたことは本当に申しわけない、そのように感じております。その点については心よりおわびを申し上げたいと思います。

 これからなんですけれども、除染についてさらに考え方を明確にしていかなければならないというふうに思っておりまして、その中で、表現ぶりはしっかりと改めるべきところは改めて、一ミリ以下を目標にしっかりやってまいりたいと考えております。

額賀委員 この除染については、各首長さんに私は話を聞きましたよ。そうしましたら、やはり、いろいろこれまでも、四月ごろから学校の表土を削ったり通学路をやったり公園をやったりしてきているんですよ。そして、土をどこかに盛り上げたりしているんです。

 今度、仮置き場ということを言っておりますけれども、地域の住民は、仮置き場を何年たったら中間貯蔵地域に移すのかと。それが確定しない限りは住民の理解を得ることはできない。だから、これはしっかりと国が明確に、中間貯蔵地域はこれまでにやって、あなたたちには三年か四年で心配をかけないようにするということを言うということ。

 もう一つは、なぜ民主党政権になって仕事がおくれているか、後手後手になっているかというと、この除染処理一つとっても、地元の首長さんは、だれに土を掘り起こしたり草を刈ってもらうんですか。地元の建設業者が中心なんですよ。みんな放射能の扱いについては素人です。環境省が組織をつくって、企画立案をして、そして人員をふやしている。そんなばかなことをやっているんではなくて、現場に行って、あるいはまた電力会社の放射能を扱う専門家の業者を振り向けて講習会を開いたりして、しっかりと仕事ができる体制をつくることなんですよ。そうでなければ、この福島の復興なんてあり得ません。

 あなたたちは、仕事のやり方が頭でっかちで、足元が何もないんですよ。そこのところをしっかりとやらなければだめです。

 総理、最後に話を聞かせてください。

野田内閣総理大臣 政府としては、これまで一生懸命取り組みを行い、着実に実施できている部分もあると思いますが、御指摘のような、まだ十分行き届いていない部分であるとか、あるいは遅いという御指摘もいただいていることも事実でございますので、そういう声をしっかり踏んまえて対応していきたいというふうに思います。

額賀委員 ありがとうございました。

古賀委員長 この際、西村康稔君から関連質疑の申し出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。西村康稔君。

西村(康)委員 おはようございます。自民党の西村康稔でございます。復興特で野田総理に初めて質問をさせていただきます。

 もう言うまでもなく、この大震災、大津波で東北地方の皆さんは大変な被害を受けられた。そしてまた、これは東北地方のみならず、日本経済、日本社会にとっても大変な打撃であります。

 被災地の復興がおくれていることは、この後また同僚の長島委員あるいは小野寺さんからも、現地の様子を、現地を代表しての御質問もあると思いますが、サプライチェーン、いわゆる部品の企業のネットワーク、これも壊れてそのままになっている。いろいろなことがおくれているわけでありまして、経済も、この四月―六月期は三・七%減、GDPが三・七%も減るという状況であります。

 最近になってようやく全国の自粛ムードも落ちついてきて、また復興需要への期待もあって、景気回復への期待が出てきているわけでありますけれども、しかしながら、ここへ来て、原子力発電所が定期点検でとまっていく、そしてその再開がなかなか思うようにいかない。さらには急激な円高、これまでのデフレに続いて急激な円高で企業の海外移転が加速をしている。空洞化が本当に加速をして、地域経済の雇用を含めて大変な心配が今広がっている。まさに日本経済は大変な危機を迎えているということだと思います。

 きょうは、こうした視点に立って、原発・エネルギー政策と円高、空洞化対策について、ぜひ総理にいろいろなことをお伺いしたいと思います。

 まず、原発の再稼働についてお伺いをさせていただきます。パネルの一枚目をお願いします。資料にお配りもしております。

 総理は、九月二十日に、アメリカのウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えてこのように言われています。ことしの夏を乗り越えて、冬も大丈夫だろう、来年の春以降、夏に向けて、稼働できるものは再稼働していく、そうしないと、電力不足になった場合には経済の足を引っ張る、これはきちっとやっていかなきゃいけない、こう述べられております。この認識に今も違いはありませんか。

野田内閣総理大臣 定期検査で停止中の原子力発電所の再起動、再稼働をする際には、幾つかの手順を踏んでいかなければいけないというふうに思っております。それは、一つは事業者によるテストを行うということ、そのテストの評価を保安院が行う、さらには安全委員会がその確認を行うといったプロセスを経た上で、地元の皆様の御理解をいただいているかどうかとか総合的な判断を最後は政治が行う、そういう手順を踏んでいこうということが前提にあるということであります。

 ウォールストリート・ジャーナルの記事は、電力需給の件から御質問があったものですから、この夏は厳しかったけれども何とかやった、冬も厳しい事情は残りますけれども、一番心配なのは来年の夏以降だということを認識した、その認識を示した中でお話をしたということでございます。

 プロセスは、さっき申し上げたとおりでございます。

西村(康)委員 プロセスについてはまた後ほど枝野大臣にもお伺いをしたいと思いますが、総理、これは認識が非常に甘い。

 まず、ことしの冬、地域によっては一〇%近く供給不足になる、これはもう御存じだと思います。再稼働できるものはできるだけ再稼働していかないと冬の電力需要に対応できない。これが一つ目。そして二つ目は、空洞化がもう進んでいるんです。この電力不足、電力供給への不安が企業の海外移転を加速しているんです。

 次のパネルをごらんいただきたいと思います。表が二つあります。これは経産省の調査で、これも御存じだと思います。

 左側、諸外国から海外進出の誘致を受けている。大手の企業の八割が。当然そうでしょう。法人税は安い。韓国は、例えばTPPもある、電力料金も三分の一に近い。当然この機会に誘致をするでしょう。現に、右側の表ですけれども、七割が、自社も含めて、あるいは自分のネットワークの中、海外に移転をする可能性があるという二つ目の表があります。この二つの表ですね。

 空洞化が加速している、その理由は何か。

 その次のグラフですけれども、これは帝国データバンクの調査による資料です。海外流出が加速する要因は何か。一つは円高です。当然でしょう。円高で輸出ができない、国内に立地しても海外に輸出がしにくくなる、当然値段が高くなるから。三つ目に入っているのが、このエネルギーの供給問題。電力の不足に対する、供給に対する不安、これが加速をしているわけであります。

 総理、こうした日本経済の今の現状、空洞化を加速してしまっているんです。まさに地域で雇用が失われようとしている、不安が拡大している。こうした観点からも、もちろん再稼働に向けて安全は徹底的に確認をするとしても、ぜひ、国民の理解、地域の理解も得ながら、できるだけ早く再稼働していく。来年の夏に向けてなんて言っている場合じゃないんです。できるものはできるだけ早くやっていく。総理、いかがですか。

枝野国務大臣 電力供給が不足をしていることが、この夏、製造業に大変御迷惑をおかけしました。この冬から来年に向けて、全体としての電力供給は原子力発電所の稼働状況によって大きく変わってくることは間違いありません。

 ただ、そうしたことの中で、よりきめ細かく節電等御協力をお願いするにしても、例えば、まさに電力供給量とその生産のコストとか量が比例をする部分と、それから、いわゆる民生用とか業務用とかという部分で、さらなる節約をお願いしてもいわゆる経済に対する悪影響を及ぼさない部分、ここをよりきめ細かくお願いをしていかなきゃいけないということの検討を進めております。

 またさらに、節電等あるいは新エネルギー等についても、もちろん本格的には時間がかかりますけれども、できるだけ前倒しということで今進めているところでございます。

 さらに、この冬の電力供給の状況については、これはエネルギー・環境会議が中心になりまして、経済産業省も協力をしまして、今月末をめどに、具体的に今のようなことも含めた供給の見通しをお示しして、特に産業用、生産用の電力について御心配をおかけする部分をできるだけ少なくするように考えております。

 同時に、空洞化に対しては、電力以外の部分のところでのさまざまな政策手法を駆使する中で空洞化を抑えたいというふうに思っております。

 一方で、この原子力発電所の再稼働の問題については、安全、安心が確認されるならば早い方が望ましいというのはそのとおりかもしれませんが、現時点での、例えば、きょうも新聞に載っておりますが、関西電力は今回の事故後、保安院から指示した調査に対して不十分な調査しかしてこなくて、今度、三度目の、しっかり調査をしろという指示が出されています。こういった状況の中で、安全だということを申し上げ、周辺住民の皆さんに安心だと言っていただけることのためには、今のところで時期を示すことはなかなか難しいというふうに思っています。

西村(康)委員 総理、では後ほどお答えいただきます。

 枝野大臣、ストレステストの状況についてお伺いをしますが、これは今どんな状況ですか。電力会社からいつごろ申請が上がってきて、申請が上がってきたら、結果が上がってきたら、今度は保安院、安全委員会、どのぐらいのペースでやられるんですか。

 ちなみに、欧州は六月に始めて、先般、約四カ月で報告を出し、しかも、これは稼動しながらストレステストをやっています。コンピューター上でいろいろシミュレーションをし、どこまで耐えられるかというテストであります。

 どのぐらいのスケジュール感でやっておられますか。

枝野国務大臣 個別の原発ごとのことについては、済みません、私のところへ通告、そういったことは来ておりませんでしたので、個別にはお答えできませんが、一個一個、できるものについてはできるだけ早くと思っております。

 ただ、今申し上げました関西電力の、指示に基づく調査が、データが、原典、原本にまで戻らずに、どこのデータなのかよくわからないような情報を報告してくるなどというような状況が繰り返されている状況ですので、こうしたところはストレステストに入る前段階、ストレステストをするためのデータそのものが、どこが出典なのかがわからないデータを堂々と原発事故以降も保安院に上げてきているという状況の中では、今まだストレステストに入る以前の問題のところが少なからずあるというのが現状です。

西村(康)委員 いや、いいですよ、それは。まじめにやっていないところは徹底的にやってくださいよ。徹底的にやればいい。しかし、まじめにやっているところについてはどういうスケジュール感なんですかと聞いているんです。それをお答えください。

枝野国務大臣 できるだけ早く、きちっとしたデータに基づく検査がなされれば、それに基づいてできるだけ早く保安院がチェックをし、安全委員会にお諮りいたします。

西村(康)委員 総理、お伺いしますけれども、当たり前のことですよ。しかし、全く、一カ月なのか二カ月なのか半年なのか、もちろん、それは中身にもよりますよ、当然。しかし、まじめに事業者がシミュレーションをして、まじめにやってきている。これはぜひ、再稼働に向けて早く進めていく、当然じゃありませんか、総理。

 先ほど申し上げた、日本経済がもう大変な危機に来ている。この観点からも、エネルギー供給不足の不安で海外へ出ていってしまうんです。どうですか、総理。総理の決意を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 さっき申し上げたプロセスがございました。事業者がテストを行って、それから保安院、安全委員会と、それぞれ評価、確認をして、そして最終的には政治が判断をするというところですが、その前段のプロセスはきちっとやってもらわなければいけないと思います。やはり、国民の皆さんが一番不安に思っているのは、安全が今まで以上に確保されるかどうかだと思います。そのプロセスを経た後に、特に政治のレベルでは、その安全性が確保できた場合には、きちっと地元の皆様に、あるいは自治体に、しっかりと前面に出て説明して、そのスピードを速めるというのが政治の役割だと思います。

 電力不足によって日本経済が、基本シナリオでは、下振れリスクがありますけれども、来年は基本シナリオだと二%後半成長というのもあります、一応政府の試算では。ただし、それを実現するためには、電力不足という制約を乗り越えていかなければなりません。そういう問題は常に頭の中に入れながら対応しなければいけないと考えています。

西村(康)委員 電力不足への不安と、それから、この後議論しますけれども、円高、デフレへの不安、これについてぜひ決意を持って対応していただきたい。本当に、企業はもう雪崩を打って海外に出ていこうとしている。これをとめないと、日本経済は本当に空洞化をし、雇用が失われていく、働く場が失われていくということでありますので、ぜひ御認識いただきたいと思います。

 あわせて、エネルギー計画、これについてお伺いしますが、当初、年内にエネルギー計画を策定するというふうにお聞きをしておりました。しかし、それが春になり、今、夏になりということで、いろいろな報道がなされておりますが、新しいエネルギー基本計画はいつ策定されるのか、総理、お答えいただければと思います。

枝野国務大臣 エネルギー基本計画の改定が年内ということを確定的に申し上げたことは、前内閣も含めて、ないというふうに私は思っております。

 エネルギー・環境会議を中心にして、原子力委員会、そして総合エネルギー調査会などと連動しまして、今回の原発事故を踏まえた、エネルギーや原子力などを総合的に見直さなければならないということの一環で、今年内に一つの大きな方向、方針を示していこう、このことは先日のエネルギー・環境会議でも確認をしたところでございます。

 そして、エネルギー基本計画の見直しという意味では、そのエネルギー・環境会議での大枠を踏まえながら、連携、連動しながら、つい先日、基本問題委員会をスタートさせまして、そこでの議論を踏まえて、最終的には来年の夏を目途にエネルギー基本計画の新しい計画を私が決めたいと思っておりますが、そこに向けて、エネルギー・環境会議の議論とも混乱することのないよう、ことし、年内には一つの中間的な整理はしなければいけないと思っております。

西村(康)委員 来年の夏に最終的に新しい基本計画をつくるという認識だと思いますが、来年夏だと、来年は二十四年度ですね、二十五年の概算要求にも間に合わない。新しい基本計画を実施していくための予算が間に合わない。いつからこの新しい基本計画を実行していくんですか。

 つまり、企業の立地の補助金を今回三次補正でやられるんでしょう。これは私も賛成です。できるだけ企業は国内にいていただきたい。そのためのいろいろな支援をしていく。しかし、エネルギーの、先ほどから申し上げている電力不足がどうなるのか、再稼働がいつになるのかわからない、しかも基本計画は来年の夏まで出てこない、こんな中で、どうやって企業は立地計画をつくるんですか。

 総理、これはぜひ前倒しをしていただいて、企業の今後の投資計画、今本当に危機に来ているんです、海外に投資をしようとしている。これをとどめて、もちろん補正予算も使い、税も使い、国内にいていただく。さらには、エネルギーが安定的に供給される、やはりそれがあって初めて企業は安心して国内に投資をするんだと思います。細かい議論はもう結構ですので、総理、この決意だけをお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

野田内閣総理大臣 一つは、基本方針はエネルギー・環境会議が一定の方針は年内にというふうなお話が今経産大臣からありました。最終的なエネルギー基本計画は来年の夏を目途にということであります。

 この間、やはりやらなければいけない議論は、原発事故の検証もあります。きちっとした検証を踏まえて、国民の不安を和らげる、安心のできるエネルギーのベストミックスをつくるということでございますから、急がなければならないという気持ちも当然わかります、それはやはり企業にとっては見通しがありますから。ただ、国民全体の感情からすると、では、将来的に代替エネルギーがどこまで開発できるのかとか、省エネ社会はどこまで築いていけるのかとか、そういうことを冷静な議論をやって、そしてきちっとした計画をつくる必要もあると思いますので、基本的には来年の夏というのが遅過ぎるということはないというふうに私は思います。丁寧な議論は必要だというふうに思います。

西村(康)委員 原発は再稼働がいつになるかわからない。そして、再生可能エネルギーの法律も与野党で合意をして成立しました。恐らく年明けぐらいには価格が決まって、いろいろな投資計画も出てくるでしょう。七月からはこれも施行されるんです。そうしたことを踏まえて、想定しながら、できるだけ早く前倒ししてやっていかないと、企業は投資の計画がつくれません。

 もちろん、総理おっしゃっているとおり、事故に対する調査、これは我々自民党が強力に、この国会に事故調査委員会を設置する、政府とは独立した、徹底的な調査をやる、これは我々が求めてきたことです。我々の過去の政策も含めて検証していただいて、原子力政策をもう一回つくり上げていく。これは、最終的に民主党さんも合意されましたので、設置されます。これは徹底的にやったらいいですよ。しかし、それは並行的に、やはり企業が国内に残ってもらう、雇用はしっかり守る、その観点からのエネルギー政策、できるだけ早く方向性を出していく、これはぜひお願いをしたいと思います。今後まだ幾つか議論しますので、あわせてまたお答えいただければと思います。

 原発の輸出についてお伺いをしたいと思います。

 この原発の輸出についての総理の発言がどうもぶれている、方針が必ずしもはっきりしていない、そんな感じがしますので、この点、きょうただしたいと思いますけれども、まず総理、これは一般的な質問ですけれども、全世界で今後原発は幾つぐらいつくる計画があるのか、ざっくりした答えで結構です、御存じですか。

野田内閣総理大臣 数は正確にはわかりませんけれども、今後かなり、原発をつくっていって、その国のエネルギーの、まさに政策の柱にしていこうという国はたくさん存在しているというふうに思っていますし、それは多分数十基単位になるのではないかなというふうに思います。

西村(康)委員 これは通告しておりませんでしたので、一般的な感覚として、どのぐらい原子力政策を認識しておられるのかという視点でお聞きをしたいと思ったんです。

 実は、世界原子力協会が報告をしているのは、二〇二五年までに四百九十六基であります。計画されております。五百基ですよ。総理の考えておられるものの十倍、世界はエネルギー需要の増加に対して、特に新興国、これが原子力を使っていこうとしている。

 その原子力技術、世界の原子力発電所に日本の技術がどれだけ使われているか、次のパネルを見ていただきたいと思います。

 表をお配りしております。ちょっと細かい表でありますけれども、いわゆるBとPの二つに種類が分かれます。そして、規模も、小規模、大規模とあります。いろいろな国のいろいろな企業がつくっていますが、ここにあるとおり、緑の部分は日本のメーカーが関与をし、日本の技術を使っている原発であります。唯一、下の二つ、ロシアのロスアトムと韓国のドゥーサンがみずからやっている部分があります。しかし、世界の大半は、日本の技術を使って原発をやっているんです。

 その原子力発電の技術の輸出について質問をしたいと思いますが、枝野大臣、三月の震災以降、こうした日本の技術が世界各国に輸出されているのかどうなっているのか、その現状をお聞きしたいと思います。

枝野国務大臣 震災以降も、原子炉圧力容器の部材、蒸気発生器などの主要資機材の輸出の実績がございます。

 ただ、個別の輸出案件の詳細な内容については、民民の、私企業間の契約でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

西村(康)委員 そうなんです。今お答えのとおり、日本の技術は世界で求められており、私の調べた範囲で、数件以上は、おっしゃられた圧力容器のかまを初めいろいろなものが輸出されているんだと思います。

 特に日本製鋼所のつくる圧力容器というのは、継ぎ目がないんですね。圧力容器、一般の方々もよく御存じだと思いますけれども、つないでつくっていけば、すき間があればそこのすき間から放射能が漏れてくる。しかし、その継ぎ目のない技術、大型のものは世界で日本製鋼所しかつくれないわけであります。これは日本の技術であり、最も安全な、漏れないわけですから、これを世界で活用していくというのは、私は、当然、いわゆる原子力の平和利用を率先していく日本の貢献だというふうに思います。

 そして、このことについて、政府の答弁書、これは同僚の小野寺議員の質問主意書に対する答弁書でありますけれども、この上に書いてあるとおり、今後も原子力協定については信頼を損なうことなく留意して進めていく、こうした観点から、今、国会に出されているヨルダンやその他の国々の協定についても引き続き了承をお願いしたい。これは菅内閣のときですけれども、野田内閣になっても、答弁書については方針に変わりはない、引き続き踏襲するという答弁をなされています。

 さらに、野田総理は国連の原子力に関するハイレベル会合でこのように言われているんですね。日本は原子力利用を模索する国々の関心にこたえます、そして最後に、今後ともこれらの国々の我が国の取り組みへの高い関心にしっかりとこたえていきます、つまり協力をすると。これを聞いた世界の人たちは、日本は引き続き日本の技術を輸出するんだな、こういうふうに認識をしました。新聞もそう書いています。

 私も、先々週、ヨルダンを訪問してヨルダンの国王と直接話をしました。国王は、日本の技術に対する高い期待を表明されました。総理も国連で演説されましたねと言われています。

 しかし、総理、この間からの記者会見、これはどういうことでしょう。この間の記者会見、徹底的な事故の検証を踏まえながら、これはいいでしょう、これはもちろん我々も進めるべきだと思って法案を提出しました。ところが、輸出を解禁するような話に受けとめられていますよね、そんなことは一言も言っていませんと。これは、総理、発言が違うんじゃないですか。

 私は、総理はそんな、あちこちで発言を変えるような方だとは思っていません。総理は、信念を持って、日本の国をよくしていこう、そしてこの日本の技術で世界に貢献していこう、そういう思いで国連で述べられたんだと思います。

 総理、もう一度確認をしますが、協定を結んでいる国々については、今もう既に輸出が、きょうもひょっとしたらされるかもしれない、これは認められています。さらに、新しい協定を結んで、日本の技術、さっきも申し上げたように世界で最も安全な技術があるんです、これをしっかりと使ってもらう、この方針に変わりはないですか。

野田内閣総理大臣 別にころころ変えているつもりは全くないんですけれども、国連で申し上げたことは、まず第一に、今回の事故の教訓、そして反省、そこから得た知見というものを国際社会と共有するということを申し上げました。

 そして、御指摘のとおり、我が国は核兵器を持ちませんが、原子力の平和利用で技術を蓄積してきた部分があります。その上で、原子力協定を含めて、関係国とのまさに信頼関係があるものもあるんです。そういうものを踏まえた協力はこれからもやっていくし、そのために国際的な原子力の安全向上に我が国は貢献をしていく、そういう決意を申し上げています。

 ただ、このときの質問は、ちょっと、私の受け取り方だったんですが、輸出をどんどん解禁してがんがんやっていくようなイメージを持たれたような印象での御質問があったので、そうではないと。輸出するかどうか。今までの関係国、原子力協定を結んでいるところとは、これは外交関係、いろいろ信頼を損なわないで、我々の今回得た知見も含めて引き続き御協力をしなければいけないと思いますけれども、これからどんどんと積極的に輸出するのかという、そういうことではありませんので、それはしっかり事故検証を踏まえて今後の方向性は結論を出していくということを申し上げているところでございます。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

西村(康)委員 確認しますけれども、原子力協定を結んだところは、信頼関係もあるし、IAEAの保障も入る、平和利用するということで確認がとれるので、これまでも輸出をしてきているわけですね。

 今後、さきの国会から、ヨルダンを初め幾つかの国の原子力協定について承認をしてほしいということで答弁もされて、それを踏襲されるということで、野田内閣で閣議決定もされました。つまり、こうした国々と協定を結んで、そして相手国でIAEAの保障も含めて平和利用をされるということであれば、これは信頼関係に基づいて輸出をする、そういう理解でよろしいですか。総理、ぜひ。

枝野国務大臣 前内閣以来一貫をして、既にある原子力協定、あるいはそれについての交渉が進んでいて国会にお願いしている案件、あるいはいわゆるインフラ輸出的なところで既に進行している案件、これはもう、国際間の信義の問題があります、従来どおりしっかりと進めていく、このことでございます。

 ただ、原発輸出といったときに、今御指摘いただいたような、いわゆる大きな全体としての原発システムの中の部材を日本企業が輸出するという話、それを従来協定のある国との間でやるという話から、これはいろいろな御批判もありますが、少なくとも原発事故までの間はかなり国家戦略として強力にシステムとしての原発輸出を進めてきた、こういったことが従来どおりでいいのかという話から、原発輸出といってもいろいろな種類のものがあるわけでありまして、少なくとも従来の協定であるとか従来の信頼関係を持つところとはやりますということの上で、その一番極端な、システム輸出を国家戦略でがんがん政府としても後押しするというようなことに象徴される原発輸出がどうあるべきかということについては、これは時間をかけて議論をさせていただきたい、こう申し上げております。

西村(康)委員 もう一度繰り返しますが、原子力協定を結んでいる国々とは、信頼関係もあるし、相手国も平和利用をする、IAEAもちゃんと査察、保障をしているというところですから、これは引き続きやっていく、当然だと思います。

 さらに、今後そういう原子力協定を結んで、相手国が平和利用をする、そしてIAEAの査察、保障措置もとる、こういう国々については、今後も輸出をするということでいいんじゃないですか。これは、システム全体の輸出であろうが部品の輸出であろうが、協定がないと輸出はできません。同じことです。そんな、協定のない国と幾らでも輸出をしろとは言っていません。我々は平和利用なんですから、それを率先していくわけですから、平和利用をしっかりしてくれる国、IAEAの保障措置をしっかりとってくれる国にだけ我々は輸出をするわけです。

 総理、同じことを何度も言いますけれども、こうしたヨルダンを初めとする国々、平和利用をする、そして日本と協定を結びたい、こうした国々とは協定を結び、そして輸出をしていく、これは今後進めていくんですね。どこの国でも、幾らでもやれとは我々も言っていません。私も言っていません。このことだけをぜひ確認したいんです。

野田内閣総理大臣 だから、それは問題意識は同じだと思います。

 これまでの外交関係で、それは信頼を損なうことはできません。その上でも、今回の我が国の事故の検証もしっかり踏まえてお伝えをしていくということは大事だと思います。一方で、これから新たに、どんどんと新たな協定を結んでいこうとか新たな国際協力をとか、営業努力していこうということではないです。それについては、しっかり事故検証を終えた後で方向性をきちんと見つけなければいけないというふうに思います。

西村(康)委員 もちろんです。

 もう一回だけ確認させてください。つまり、今原子力協定を結ぼうとして交渉に入っている国々とは引き続き交渉を進めて協定を結び、日本の技術を提供していく、こういう理解でいいですね、総理。そのことだけちょっとお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 これまでの外交交渉の積み重ねなどを踏まえながら、今、日本で起こったこともきちっとお伝えをしながら、きちっとそういう関係は、協力できることは協力をしていくということになると思います。

西村(康)委員 我々も、この経験を生かして、安全に対する、世界最高水準の安全をつくって、その上で日本の技術も生かしていただくということだと思いますので、問題意識は共有しているということで認識をし、この点についてはぜひエールを送りたいと思います。

 関連で、宇宙、衛星の災害への利用についてぜひお伺いをしたいと思います。

 総理と私は、宇宙基本法をつくるときに、これは超党派の議員立法でつくりましたが、民主党の代表として参加をされ、私は超党派の事務局長として議論を重ねて、宇宙基本法をつくらせていただきました。総理には大変なリーダーシップも発揮していただき、御指導もいただいて、この法律ができました。そして、その一環で昨年、これは民主党政権で打ち上げられたのは大変我々自民党にとっては残念ですけれども、準天頂衛星を打ち上げました。

 パネルを見ていただきますと、準天頂衛星というのは、釈迦に説法ですが、いわゆるGPSというアメリカの衛星を補完する形で日本の上、そしてアジア太平洋の上を回り、正確に位置情報を提供していく。

 今回、この東北の大災害でも、津波の情報、津波はセンサーが海の上にありますから、それを探知して、いろいろな津波情報を伝えた。しかも携帯にもそれを伝えていった。道路の壊れている状況なんかも伝えた。非常に評価をされたわけでありますけれども、この準天頂衛星、さらに閣議決定を先般されて、これは資料にも配付をしております、四基から七基の体制をつくる。しかし、この四基つくるのが「二〇一〇年代後半を目途に」、こうなっているんですね。

 実は、御案内のとおり、中国も同じように三十五基飛ばして、このエリアでの地理情報、空間情報を自分たちが主導権をとってやろうとしてきています。我々はアメリカと、日米関係、日米同盟に基づいて協力関係をしながら、アジア太平洋で、我々の技術でそうした災害情報を伝えていく、あるいは船舶の航行の安全をしっかり確保していく、そのための、これは貢献ができる分野です。

 総理、「二〇一〇年代後半」とこの閣議決定の中には書いていますけれども、ぜひ、できるだけ前倒しをして、早く四基体制、中国は一気に三十五基やろうとしています。七基体制まで早く持っていきたい。総理、一緒に宇宙基本法をつくらせていただいた、そのときの思いを込めて、ぜひお答えいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 日本は本当に、国土面積は世界で六十番目の小さな国ですが、宇宙の開発利用、このスペースを考えたときには無限の可能性を持っているというふうに思っています。そういう思いから、その開発利用をしていこうという、まさに委員は同志でございました。

 具体的にこういう準天頂衛星システムの推進を閣議決定で決めさせていただきましたけれども、もちろんこれは早まれば早まるにこしたことはないと思いますが、まずは四基体制をしっかりとやって構築をした上で、次の七基を目指して、「二〇一〇年代後半」と書いていますが、ここはなるべく早くはしたいなというふうに思っております。

西村(康)委員 ぜひ総理に引き続きリーダーシップを発揮していただいて、ある意味、覇権争いと言うとちょっと大げさですし、皆さんが心配されるとあれですけれども、やはり日本がこのエリアでしっかりと地理空間情報をほかの国にも伝えていく。その技術はあるわけですから、災害対策にも生かせるわけですので、ぜひ前倒しをしていただきたいと思います。

 その関連でもう一つ。

 この宇宙基本法をつくったときに、各省ばらばらにやっている宇宙の政策を一元化していこう、そして当時は、日本版NASAをつくろうとか宇宙庁をつくろう、こんな議論で盛り上がったことを総理も覚えておられると思います。

 宇宙開発委員会、これはもう廃止をすべきじゃないか、こんな議論も当時させていただきました。宇宙本部ができましたので、そこで長期計画はつくりますから、この宇宙開発委員会の役割というのは、もう任務を終えている。いまだに二千万近い給料をもらわれている委員長、委員、多々おられるわけでありますので、ぜひこれはできるだけ早く廃止をして一元化をする、そして本部をつくる。当時の立法者の意思、我々の意思としてはできることなら宇宙庁をつくっていくということですけれども、それは宇宙庁か局か、形は問わないにしても、ぜひ一元化をしていく。そのためにも、司令塔機能を強化するためにも、宇宙開発委員会はもう役割を終えた、こういうように思いますが、総理、いかがですか。

野田内閣総理大臣 これまでの宇宙開発利用、各省ばらばらでやってまいりました。日本は、衛星もロケットも飛ばせるし、国際協力のもとで宇宙飛行士も育ってきている、射場もあるという意味では非常に可能性を秘めた国ですが、残念ながら縦割りの弊害があって、これが戦略的にめり張りをつけてできなかったという反省があって、委員御指摘のように、宇宙庁をにらみながら、その司令塔をつくって一元化していこうということでございました。

 今回の閣議決定の中でその推進体制の構築についても閣議決定をしておりまして、現段階では宇宙庁的な一元化ではないけれども、ただ、「実効的な宇宙開発利用体制を構築すること。」「宇宙庁については、科学技術・イノベーション政策の検討とも連携しつつ、将来的な課題として引き続き検討する。」こういう位置づけのもとで、とりあえず今、内閣府でまとめて、そして予算要求等をしていくというステップを踏み始めたということなので、ぜひこれからも温かい目でお支えをいただきたいというふうに思います。

西村(康)委員 もちろんそれはそのとおりなんですが、宇宙開発委員会、これはもう本当に役割を終えていますので、総理、廃止、そうした方向を検討するとお答えいただければ、これは総理はおわかりになっていると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

野田内閣総理大臣 私が余り改廃の話を断言的に言ってもいけないと思いますので、まず司令塔的な機能をつくっていくということでございますので、ぜひきょうはその辺で。

西村(康)委員 ぜひ総理のリーダーシップを、一元化、司令塔をつくる、世界の中で日本が中心的にこの宇宙政策をやっていく、貢献できる分野ですので、そのリーダーシップを期待したいと思いますし、また別の機会にこの点についてはお聞きしたいと思います。

 枝野大臣に、計画停電の話を一点だけお伺いします。

 今回、計画停電あるいは夏の節電、いろいろな問題、課題を提起したと思います。一点だけ、今の省エネ法は、それぞれの事業者にとっては、合理化目標があって、年間の使用量、この目標について定められている。したがって、ピークであろうがピークでなかろうが、全体で目標を達成すればいいということですので、やはりピークカットの概念を、そんな目標をこの法律の中に入れていくべきじゃないか。

 あるいは、トップランナー方式で、これは電気機器や自動車も入っています。しかし、建材とか新しいものについては入っていない。これも考えるべきではないか。私の地元はかわら生産地でありますけれども、かわらも非常に断熱効果がある。こうしたものを評価していただいて、使っていただく。

 それから、自家発、今回評価されました。電力が足らないときに自家発をどんどん入れてもらってくれと。しかし、自家発を入れて重油を使えば使うほど、エネルギー合理化計画とは反対の方向へ行くわけですね。

 この省エネ法の見直しをぜひ考えていただきたいと思いますが、枝野大臣、いかがですか。

枝野国務大臣 大変建設的な、有意義な御提案をいただいて、感謝を申し上げます。

 御指摘のとおり、現下の電力供給の状況を踏まえれば、特にピーク時をどうやって抑えて平準化をして、産業に影響を与えることなく、そして我慢の節電をお願いせずに電力を節約できるか。そのためにあらゆる政策手段を駆使しなければいけないと思っておりますので、御指摘をいただいた法改正についても勉強させていただき、検討させていただきたいと思います。

西村(康)委員 ぜひよろしくお願いいたします。また別の機会でもこれは議論したいと思います。

 きょうは日銀総裁にもお越しいただいておりますので、この電力不足、円高、デフレ対策、空洞化対策をぜひお伺いしたいと思います。これまでも何度か議論させていただいておりますが、ちょっと表を出していただきたい。

 スイスの取り組みを見ていただきますと、ユーロに対して、これは今、青線がスイス、赤線が日本円、ともに安定通貨と評価をされて、そういう評価、特に日本の円は、相対的な評価だと思いますが、スイスも円も非常に通貨高になった。ところが、スイスは、九月六日に無制限に介入をする、こういうことを言って、反転しまして、今も通貨を自分たちの適正水準と思われるところに維持をしている。大変な決意であります。

 次の、これもかつて議論させていただきましたが、国債の買い入れをもっとやって緩和すべきである。グラフがあります、日米の比較があります。日本はなだらかに買い入れをしている。これは、買い入れをふやしているという意味では評価をしたいと思いますが、アメリカは大胆にふやしていくんですね。日銀の政策はすべて予想の範囲内です、この傾向のままに買い入れている。大胆に、市場の予想を裏切るような、びっくりするような大胆な政策を打ち出さないと、為替は変わらないんです。総裁、よくわかっていると思います。

 あわせて、もう一つ、次のスイスのお話をしますが、スイスも相当大胆な買い入れ、バランスシートの比較をしていただくと、GDPは、日本の四百七十兆に対してスイスのGDPは四十六兆ですから、約十分の一です。しかし、バランスシート、つまりどれだけ買っているか、これは、百四十兆に対して、二十三兆も買っているんですね。GDP比でいうと、日本は約三割ですけれども、スイスは五〇%も買っている。一日に二十兆円もの介入をしている。GDPが四十六兆の国ですよ。GDPの半分もの介入をやっている。そのぐらい大胆なことをやって自国の通貨防衛をやっているわけです。残高も、そこにあるとおりで、大胆に引き上げをしております。

 総裁にお伺いします。

 大胆な金融緩和、これまでの継続の範囲内ではなくて、思い切ったことをぜひやっていただきたい。銀行券発行ルール、これを認めるかどうかは別としても、仮に認めたとしても、二十兆まだ買えます。これも含めて、あるいは基金で、別枠で国債買い入れをやろうとされています。これももっとふやして、ぜひ大胆にやっていただきたいと思いますが、総裁の決意をお伺いします。

白川参考人 お答えいたします。

 日本経済の現状、それから先行きにつきましては、先生と同じように、大変厳しい認識を持っております。そうした認識のもとに、日本銀行は、これまでも日本銀行なりにさまざまな知恵を絞りまして、強力な金融緩和を行っております。

 強力な金融緩和のやり方は、それぞれの国の経済の置かれた状況、それから制度的な枠組みの違いによってもちろん違ってまいります。

 先ほどお話のございましたスイスでございます。無制限の為替市場介入ということでございます。為替市場介入それ自体につきましては、これは日本銀行ではございません、政府の権限ですので、私の方からお答えするのは適切ではないと思いますけれども、スイスの置かれた状況というのは、御存じのように、周りがすべてユーロ圏に囲まれた、いわばスイスは、ユーロの中にある島のような、そういうふうな国でございます。そうした国において、無制限に為替介入を行うということを決断したということでございます。

 ただ、日本銀行、中央銀行という立場から見ますと、実は、日本銀行も潤沢に資金を供給しております。先ほど、先生のグラフがございましたけれども、経済全体にとって重要なお金は、中央銀行が民間銀行にお金を供給し、さらに民間銀行が最終的に企業、個人にどれだけお金を供給するか、その量でございます。その量でございますと、先ほどの先生のグラフにはございませんけれども、日本の方が水準もはるかに高く、かつ伸び率も高いということでございます。

 いずれにせよ、スイスとの比較で見た為替介入につきましては、私の所掌外ですので、ちょっと答弁は控えさせていただきます。

 アメリカとの比較でございます。長期国債も、我々大量に買っております。日本銀行として、現在大量の買い入れを行っておりまして、しかも、今後とも買い入れを行うということを、今そういうペースで行っております。

 いずれにせよ、日本銀行としては、この国債の買い入れもそうでございますし、それからETF等、ほかの中央銀行でも行っていない大胆なこともやっている。いずれにせよ、問題意識はしっかり受けとめてやってまいりたいと思います。

西村(康)委員 ぜひ、予想を上回る大胆な介入をやっていただきたい。

 今、日本経済は大変な危機、空洞化をして、雇用が失われようとしている。アメリカには、FOMCには雇用最大化、雇用の安定という目標が法律の中に入っています。日銀の中には、雇用の安定、雇用最大化が入っていないんです。だから、雇用に対する関心が少ないんじゃないか。日銀がもしやらないなら、大胆な緩和をやって雇用をふやす、その意識がないなら、我々は日銀法改正をぜひ出したい。雇用拡大、ぜひ出したいと思います。そういう我々の決意でこれから臨んでいきたいと思いますので、ぜひ総裁も、大胆に金融緩和について進めていただければと思います。

 最後に、一問だけ総理に御質問します、もう時間が来ましたので。

 実は、大変なこの東北の震災、そして台風十二号、十五号、私の地元でも、紀伊半島とすぐ隣の淡路島、ここでも床上浸水があり、河川がはんらんした。写真をお配りしておりますけれども、私の首の高さまで水が来ています。これは、フェンスが倒れ、ちょうど稲刈りの季節でしたので、稲わらも流されてきた。写真もお配りしております。このぐらいの高さに来ている。

 コンクリートから人へ、この名のもとに、やはり工事がおくれているんです。この河川も、別の河川につないでいく、そうした工事の計画を立てた。しかし、これがおくれているんです。

 最近、民主党の人はどなたもコンクリートから人へと言わなくなりました。マニフェストを忘れたのか、どうしているのか。もちろん無駄な公共事業はやる必要はありません。我々も減らしてきました。しかし、コンクリートが人の命を守るんです。総理、こうした河川改修、あるいはため池、防災対策、もう最後ですので、こうしたものに対してしっかりと予算手当てをしていく、このことだけぜひ総理にお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 これまでも真に必要なインフラ整備はやってきたつもりでありますが、今回の大震災であるとか、委員御指摘の今回の大雨の災害とかを踏まえた、そういう教訓を踏まえて、命を守る公共事業、防災対策、災害対策についてはしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

西村(康)委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

古賀委員長 この際、長島忠美君から関連質疑の申し出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは貴重な時間をいただきまして、大変ありがとうございます。

 早速質疑に入りたいのでありますが、冒頭、総理、御就任から初めてこうやって重要な復興特別委員会を開催いただきました。このことについては感謝を申し上げますが、総理のお考えを若干お聞かせいただきたいと思います。

 先ほど、我が党の額賀筆頭の質問の中で総理は、政治空白をつくりたくないという御発言がありました。私は、国民に対して政治空白をつくりたくないという総理の意向は承りました。同時に、総理として国会の中に政治空白をつくってもいけないんだろう、私はそう思うんです。

 ですから、これが閉会中のこの重要な会議になったことについては、私は、会期を延長してでも、やはり会期中にこの委員会を開催すべきだった。民主党がずっとおっしゃっていたように、この東日本大震災の復旧復興は日本の再生の基盤だという思いがあるんだとしたら、やはり国会を閉じることなくやるべきだった、私はそう思っていますが、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 さきの臨時国会、会期延長をさせていただいたことも、そして閉じたことも、これは各党間で合意をいただいて決めていただいているというふうに承知をしております。

 これからも、それぞれの党の主張があるかと思いますが、それぞれ合意したことで国会の運びは決まりますし、私どもはそれに従っていきたいと思います。

 加えて、こういう形で、復興特については、閉会中でもきちっとこういう議論をしていくということですので、事実上政治空白はないというふうに思います。

長島(忠)委員 このことについては深く議論をしている時間はないんですが、総理の姿勢として、せっかく新しい総理が誕生して国民から期待をされているんですから、国会を開会しながら、ほかの委員会も含めて、東日本大震災の克服のために議論を進めていくという姿勢を私は示してほしかったなということだけ申し上げておきます。

 東日本大震災が発災をして、間もなく七カ月が過ぎようとしています。この間、我々は何をできたのか、そしてこれから何をやるべきなのか。もう遅いかもわからないけれども、その時期に来ているんだ、私はそう思います。

 基本方針の中で、政府は、復興期間を十年、集中期間を五年というふうに定めております。一方で、仮設住宅の使用期限は二年です。再延長もあり得ることはわかっておりますけれども、逆に、二年ということをひもといたら、我々政治の座にある者は、二年で仮設の暮らしを脱却してあげられる施策をつける必要があるんだということなんだと思うんです。

 そのことを踏まえて、三月十一日発災以来、避難生活、仮設暮らし、そしてこれから先のことについて、どんな、もし反省をしていらっしゃるところがあったら反省点、そして、これから改めていかなければいけないところがあるんだったらそのことを率直にお聞かせをいただきたいというふうに思います。

平野国務大臣 今委員から御指摘のありました仮設住宅の生活でございますけれども、これは委員も御指摘のように、できるだけ短くしなければならない、これが基本であります。

 しかし、これはもう委員は御経験されておりますから重々御承知のとおりかと思いますけれども、津波、あるいは山古志村の例で申しますと水没してしまった地域、そこからの移転をどうするかということについては、地域住民のいろいろなさまざまな話し合いの中、その中でさまざまな葛藤があったと思いますけれども、その合意をつくった上でやらなければならない。今、被災地域の、津波の地域の市町村は、そのことに大きなエネルギーを割いて、計画を提示し、被災者の方々の合意形成を図るべく努力しております。

 この合意形成ができた場合には、手続は簡略化する、それから予算はしっかりつける、このことだけはしっかりやっていこうというふうに思っております。

 ただ、その過程の中における地域の合意、これは本当に私どもは後押しをします。後押ししますが、その問題については、何といっても地域が決めなくちゃならないという中で、早く決めるべく我々はさまざまな環境を、条件は整備していきますけれども、そういう状況もしっかり認識しなければならないということでございます。

小宮山国務大臣 今御指摘ありましたように、山古志村でも仮設住宅は二年から三年に期限を延ばしておりましたから、その二年という期限にこだわらずに、柔軟にそこは対応したいと思っております。

 ただ、これまで、仮設の中で本当に、ひとり暮らしの方とか体が御不自由な方とか、いろいろな形に対応しようとしていろいろな施策も出してはおりますけれども、なかなか現場まで届いていない、そういう実態も今あるのではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、今、仮設にサポート拠点を三県とも用意をしようとしていまして、もう既にできているところ、今予定をしているところなどもございますので、孤立化を防ぐこととか、あるいは、これから当然ながら寒さ対策として、二重窓ですとか断熱材とかあるいはエアコンの設置とか、いろいろなことをこちらがお金も補助をするからできますよと通達をしても、なかなか市町村まで届いていないというところもございますので、先ほども宮城県の知事ともお話をいたしましたけれども、こちらとしてもしっかりと目配りをしながら、一人一人のところ、一つ一つの仮設に届くように、最大限努力をしていきたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 私は、仮設住宅をつくっていただいて、仮設住宅に入居をさせていただいて、三年二カ月仮設におりました。

 ただ、今大臣が、二年の期限が来たら三年に延長するんだからということでは、私は住民は納得しないと思うんです。私は、その間に、いかに可能性を示してあげることができるのか、そして、その間の生活をどうやって支えてあげることができるのかということが重要な観点だと思うんです。

 今、何が起こっているか。余りにも大きな、甚大な被害のために、避難するときにばらばらになってしまった。そのことをまだコミュニティーとして再生ができていない。そして、新たに仮設に入居をしたけれども、仮設のコミュニティーがまだ起き上がってきていない。そのことを一日も早く解消してあげるのが今政府がやるべき仕事なんだ、私はそう思うんですが、そのことは、平野大臣でも総理でもいいですけれども、お答えいただけますか。

平野国務大臣 仮設住宅を建設する前に、被災者がそこに移転するときに、地域の中から、できれば集落ごとにまとまって移転をしたい、あるいは、地域ごとにまとまって移転したいという声はございました。しかし、仮設住宅を建設した後、どの地域を選定先に入れるか、そういった選定に迷ったということもございまして、結局抽せんでやったという自治体が多いようでございます。

 結果として、委員の御指摘のように、地域のコミュニティーがなくなっている、そのなくなったことによって、ひとり暮らしの高齢者の方々が暮らしに困っているというようなこともございます。

 そういう中で、コミュニティーの再生ということは、たとえ二年であっても三年であっても重要な問題であるというふうに思っておりまして、例えば、雇用創出基金事業等々を活用して、自治体がそういったコーディネートをする方を雇いながらやっている取り組みも今始まっております。

 それからあと、仮に復興住宅ができた場合には、これはまた新しいコミュニティーの創設というのが大事だろうというふうに思っておりまして、これはもう委員が山古志村で御経験されたように、新しい移転先の集落をつくったときには、コミュニティーの再生に向けて大きな努力をされました。こういったことも参考にしながら、復興住宅をつくっていったときに、あるいは新しい町並みができたときに、どのようにコミュニティーを再生するか、これも大きな課題でございまして、私どももそれに向かって準備をしなければならないと考えております。

長島(忠)委員 仮設住宅の中でただ暮らすだけではなくて、あすへの希望を見つけられる環境にしてあげなければ私はいけないと思っているんです。

 この前、平野大臣が私の地元に来ていただいて、被災者の復興の公営住宅等を御視察いただきました。今、パネルに掲げさせていただきましたけれども、これが、我々のところが選択をした、戸建てに近い形の被災者の公営住宅です。

 ここをどこに配置をしたかということは、普通の、自力で再建をした住宅が多分写真の後ろの方に少し見えていると思います。つまり、もとあった集落に公営住宅であろうと帰すことによって、もとあった人たちとともに暮らす、コミュニティーを取り戻す、文化を取り戻すということを選択させていただきました。

 私は、今回の東北の被災地、多分、都市圏と農村部と漁村部とあるんだと思うんですけれども、こういった形の住宅再建、つまり、自力で再建できる人も、少し手助けが必要で再建できる人も、そして、どうしても自力で再建できない人も、もし同じコミュニティーに住んでいたんだとしたら、その住民の選択によって、同じ新たなコミュニティーの中で生活することを可能にしてあげるということを政府としてやはり示してあげるべきだろう、私はそう思うんですが、そのことについてお答えを。

平野国務大臣 この山古志村、長島委員が率先して取り組んだ例、大いに参考になりました。

 特に、こういう住宅ができるんだよ、個人の住宅であればこういう住宅ができて、コストはこれぐらいなんですよ、集合住宅であればこういう住宅ができて、コストはこれぐらいなんですよと。この住宅は、県産材を利用して、本当にきれいな立派な住宅でした。こういったことを被災者にしっかり見せるということも大事だというふうに思っております。

 今、国土交通省で前田大臣を先頭に、こういった住宅ができるじゃないかというようなさまざまな例を今つくっておりまして、これを今、被災地に見せるということも始めております。

 あわせて、そうした先ほどのコミュニティーの再生につきましても、新しいミニタウンができた場合にどういうコミュニティーづくりをしなくちゃならないか、こういったことに対しての準備を進めるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。

長島(忠)委員 もう一枚資料で配っている写真は、コンクリートの基礎が高くなっていると思います。これは、実はうちは雪が多いために克雪住宅でやっているんですが、今回、東北の人たちが来ると、津波対策としても有効ではないかという指摘をいただいたので、それをモデル住宅でつくったんですが、資料としておつけをしておきましたので、ぜひごらんをいただきたいと思います。

 総理にお伺いをしたいんですが、今、被災者は多分目標を欲しがっていると思うんですね。何年で我々は生活再建ができるのか、生業再建ができるのか、住宅再建ができるのか。冒頭言った十年、五年という政府の方針は、多分、我々も知っているぐらいだから、地域もわかると思うんです。では、我々が住宅再建ができるのはいつなんだということを一日も早く知りたいと思っていると思うんです。

 その辺は総理としてどんなお考え方でいらっしゃるか、少しお聞かせをいただけますか。

野田内閣総理大臣 先ほど来、経験に基づく説得力ある御提起をいただきまして、本当にありがとうございます。

 政府全体としては、集中期間五年間そして復興期間十年間ということで、やるべき事業を復興に向けて全力を尽くしてまいりますが、個々の、それぞれの被災者の皆さんにとっては、事業をやっていらっしゃった方、それも、業種によっても、農業であったり水産業であったり中小企業であったり、いろいろなケースがあると思います。それぞれ各様の、戻りたい生活のイメージがあると思います。

 そういうもの一つ一つにきめ細やかに対応するのはなかなか難しいところもありますが、できるだけそういう声に寄り添いながら個別の対応をしていけるように万全を期していきたいというふうに思います。

長島(忠)委員 私は、何年で帰れるか、あるいは何年で生活再建ができるか、目標を示さない限り、住民は避難生活に耐えていくことは、ますます日にちとともに困難になっていくと思います。

 資料におつけしました。これが現物です。

 当時、そこに村はありました。でも、残念ながら帰ることができなかったんです。そのときに、工事関係者を阻害しないために、行政を阻害しないために、住民が約束をして、合い言葉は「帰ろう山古志へ」、車の番号を書いて、この番号のある車だけ中に入ることを許す、そんな思いで、ふるさとに帰りたい思いを維持してきた。

 こういうものが被災地に満ちあふれるようにしてほしいと思うんです。集落ごとでもいい、市町村ごとでもいい、大きな目標を共有できるように支援をしてあげてほしいな、それが被災者の心を砕かないことだと思う。

 私は、助かった命をこれ以上なくすようなことがあったら、私も政府も無策だと言わざるを得ない。絶対に守ろうという覚悟だけ、厚生労働大臣なのか、総理なのか、担当大臣なのか、お聞かせをいただきたいと思う。

平野国務大臣 中越地震、たしか平成十六年だったと思います。

 当時、土砂ダムができてどんどん水没していく、そして田畑も荒れ放題になっている、そういう状況の中で、もうこの山古志村には帰れないんじゃないかというふうに思った方がたくさんいる中で、当時長島村長さんだけは、絶対帰るんだということで、村民を鼓舞して、こういったものをつくりながら帰還を実現したということでございます。

 私も、その中で、目標を示す、展望を示すというのは大変大事なことだと思います。ですから、私どもも、例えば公共施設につきましては、今大まかなスケジュール表を示しました。さらに、個別の地区で、例えばどの港湾はどのタイミング、どこまでで復旧するかというスケジュールも年内に、できれば三次補正の提出あるいは成立に合わせて出していきたいと思っております。

 それから、同時に、市町村がつくる復興計画の大まかな中身についても、ほとんどの市町村で年内に出てきます。その中で、具体化の中で、どこにどういう住宅をつくるかということについての大まかな計画も出てきて、そこでできればスケジュールも出すことを考えたいというふうに思っておりますし、今、国の支援チーム、大体十人ぐらいで支援チームが各市町村に入っていますけれども、そういったスケジュール表をつくって、そしてさらに、先ほど申し上げましたように、こういった住宅があるんですよというようなこともさらに示すような、そういったことをしっかりやっていきたいというふうに考えております。

長島(忠)委員 私は、復興をしていくには、官の大きな支援は確かに必要だと思います。でも、民間が自分たちで、被災者が自力で立ち上がるということをやはり応援するシステムがどうしても必要だと思います。

 そのために、私はずっと、復興基金を創設してほしい、民間の使い勝手のいい、市町村の近いところに窓口のある復興基金をつくってほしい、場合によっては、商店がなければ生活ができない、床屋さんがなければ生活ができない、ガソリンスタンドがなければ生活ができない、そういった人たちに生のお金として少し支援する方法が可能になる復興基金を創設してほしいとお願いをしてきましたけれども、今回の三次補正でも、復興基金という構想は漏れ聞こえるところによってもなくて、そのかわりに復興交付金という、使い勝手がいいというふうには説明をしているようでありますけれども、私は、民間が自分の意思で使う復興基金とはその交付金は意識が異なるのではないかなというふうに心配を実はしております。

 この交付金、使い勝手がいいということは、例えば申請が簡単なのか、それとも、市町村が例えば民間、個人資産にも使えるような形で使っていくことができるのかということをお聞かせいただきたいと思う。

 そして、今パネルに掲示をさせてもらったように、阪神、中越、中越沖、六カ月を過ぎる時点では、すべての災害で復興基金を創設してもらって、民間は、自分たちが立ち上がってスコップを持つことを始められた時期。災害が重大であれば重大であるほど、民間が早く立ち上がるように支援をしてあげるべきだと思うので、そこのところを少し聞かせてください。

平野国務大臣 今、政府で用意しているさまざまな制度、これは、阪神・淡路大震災、その後の中越地震、あるいはさまざまな災害、そういったことの経験を踏まえましてつくった制度でございまして、かなりメニューは充実しているという感じはします。

 その一方で、基金につきましても、例えば障害者に特化した基金でありますとか医療に関する基金でありますとか、こういったものも既に用意してございます。

 さらに、自治体が使い勝手のいい補助金制度ということで復興交付金という今制度設計を行っておりまして、二つのパーツから成ります。

 一つは、自治体の裁量で、要するに復興の推進に必要な経費、自由に使えるという部分、それからあと、防災集団移転事業あるいは簡単な道路の整備等々のいわゆるハードの整備に係る部分と二つに分かれておりまして、全体としてこれをパッケージとして一括してお渡しをする、そういう制度設計で今考えているところであります。

小宮山国務大臣 今、平野大臣からもお答えいたしましたが、それぞれ個別の分野の基金をいろいろつくっております。

 例えば、雇用をしっかりしないと再建ということができない。その中で、雇用については、当面は、最初は重点分野雇用創造事業で、どんな仕事でも、さっきお話にあったような避難所でのいろいろな見守りとか、そうしたことも事業になるようにいたしましたし、今度三次補正で、県の方で主体的にやるその地域の製造業ですとか農林水産業とか、そうしたことを産業と一体になって支援する基金と、今おっしゃったような、地域の市町村が使い勝手よく、NPO、市民の皆様とも協働して、高齢な技術者から若い方への技能の伝承ですとか、あるいは、女性も、障害を持った方も働けるようなこととか、そうしたことを基金事業として三次補正に仕事の面で盛り込んでいる。

 それから、地域の医療の再生につきましても、地域医療の再生の基金を三次補正で積み増しまして、それぞれの県の中で民間の病院も含めてお使いになれるようにしておりますので、それぞれの分野で基金を積んでやっているということを御理解いただければと思います。

長島(忠)委員 済みません、私は今大臣からお答えをいただいたときに、市町村が使い勝手のいい基金なんか必要ないんですよ。被災者が使い勝手のいい基金が必要なんですよ。その発想が根本的に違うんですよ。被災者が自分たちで地域を守ったり家族を守ったりするために、どういうものに使わせてくれという基金が必要なんですよ。

 市町村が使う基金をつくるぐらいだったら、私はばらばらな基金なんか必要ないと思う。被災者がみずから選択することを許してほしいと私は言っているんですよ。

 総理、考え方はありませんか。(発言する者あり)

古賀委員長 御静粛にお願いいたします。

小宮山国務大臣 市町村を窓口にしてという意味で、先ほど申し上げたように、NPOとか市民の方が使えるような形の基金を雇用について考えております、三次補正の中で。

長島(忠)委員 私は目線が違うと思う。だって、縦割りで幾ら基金をつくったって、そんなの被災者なんかわからないですよ。だれが理解するんですか、それぞれ雇用が、厚生労働省にできた、農林水産省にできたって。だから上意下達だというんですよ。わかりやすくシンプルにするためには、被災者が一発で自分たちの生活再建のために考えられる基金をつくってくださいと私は言っているんですよ。

平野国務大臣 形態は基金という形か交付金かわかりませんが、自治体あるいは被災者の方々の要望を聞いて、その市町村、自治体がこういうものに使うという使途を決定するということについては、復興交付金は間違いなくそういう形の使い方ができます。上が判断をするということではなくて、一定の部分について、総額で大体五千億程度というふうに今考えておりますが、そういった部分については、今委員の言われた考え方に沿った交付金になるということだけは断言できます。

 ただ、それを基金という形にするかあるいは交付金という形にするか、その形態の違いは若干ございますけれども、どちらの形にせよ、委員の言われたような趣旨での使い方はできるというふうに考えております。

長島(忠)委員 私が言う基金の運用をもし交付金という形でやるとしたら、初めて政府は個人資産にも踏み込むことを可能にするということになるんですが、それでいいんですね。

 我々は個人資産にも復興基金を使わせてもらったわけですから、個人資産にも交付金という形で踏み込むことを政府は認めるということで解釈していいですね。

平野国務大臣 個人資産という意味がどういう意味かわかりませんが、例えば、個人の住宅に対する建設費用ということにつきましては、これは被災者再建支援法等々がございまして、そちらでの支援の方がございますが、その家のところに、例えば今の補助金制度を今国が用意しているかということは考えておりません。

 ただ、そのお金をどのように使うか。それがどうしてもそういうことが必要だということであれば、地域の中でそれが推進する上でどうしても必要だということについては、具体のイメージがちょっとわきませんけれども、その部分については場合によっては市町村との協議というのが必要になるかもしれませんが、原則は、個人資産ということについてはなかなかちょっと想定しづらいのではないかというふうに今の段階では考えます。

長島(忠)委員 例えば、復興基金でメニュー化したことの中に、個人の商店がどうしても地域に必要なんだと。帰るときに、少し手助けをしなければ再建することはできない。その人に対してお金を支払うことは、この交付金の中で可能になりますか。

平野国務大臣 ちょっと話が変わるかもしれませんが、グループ補助金というのがございます。これは、中小企業が再建をする場合、一定の計画をつくった場合に、四分の三、国が二分の一、県が四分の一という制度でございますが、これは企業の再建にお金を出すという画期的な制度でございまして、今までにない制度であります。

 その考え方に立ちまして、例えば、商店街について、どうしても再建する場合に何らかの支援が必要だというようなことがあるのであれば、個人の資産ということではなくて、地域のためにそこに役立つということでございますから、そういったものは私は可能ではないかというふうに思います。

長島(忠)委員 可能でいいんですね。

 例えば、地域の共有する財産、集会所は当然でしょうけれども、例えば神社、文化遺産、これを取り戻すために交付金は使えますか。

平野国務大臣 使える交付金にしたいと思います。

長島(忠)委員 そのメニューはいつ示していただけますか。

平野国務大臣 これに使えるというメニューで出すか、あるいはネガティブの方式でこういったものはだめだという形にするか、それはちょっと検討させていただきたいと思います。

長島(忠)委員 私は、お願いをしておきますよ。交付金はやはり確認作業が複雑で、許可が必要で、申請をして、許可をもらってという順序があります。復興基金を市町村の窓口に置いて、自分たちが申請したことを、市町村が基金事務局に申請をしたら出るようなシステムの方がいいと思いませんか。

平野国務大臣 委員の趣旨に沿ったような交付金の制度設計をしたいというふうに思っております。

長島(忠)委員 では、住民が選択をできる交付金という形が初めて生まれるという理解でいいですね。

平野国務大臣 そういう方向にできるだけ近づくように制度設計したいというふうに思っております。

長島(忠)委員 私は、交付金という性格がそういう形にできるのかどうか、今はまだ少し疑問ですけれども、これを可能にするということですから、基金と同じ性格にしていただけるということを確認したということでいいですか。総理からちょっとお聞かせください。

野田内閣総理大臣 担当大臣から補足があると思いますけれども、委員の御提起も含めて、今ちょうど交付金の制度設計の詰めをやっているところでございますので、本当に被災者、被災地にとって使い勝手のいい交付金に制度の詰めを行っていきたいというふうに思います。

平野国務大臣 釈迦に説法で申しわけございませんけれども、例えば、特別交付税で基金をつくったとします。これは、財源とすれば、もともとの原資は国費でありますけれども、特別交付税になった瞬間に地方の財源になります。ここに関しては、国は一切口を挟むことはしません。また、できません。

 一方、国が国費一〇〇%であれどういう形にせよ基金を積みますと、この基金はこういうことに使いますよという一定の制約がかかるということは委員御承知のとおりかと思います。だから、その制約がありますから、できるだけその制約は外していくような制度設計をしたいということを申し上げているということであります。

長島(忠)委員 私は、この交付金、まだ漏れ聞こえてくるだけですから、どういう形になるかはこれから制度設計をされるという話ですから、どうも補助事業をかさ上げしたり、例えば、市町村が選択するのに補助事業をつけやすくするような形での範囲なのではないかなとちょっと危惧をしておりまして、そうではなくて、本当に個人資産まで踏み込めるんだったら、わざわざ交付金なんかにしないで基金にして、シンプルに、住民が合意を得たものを、市町村が窓口になって、基金事務局を、岩手県だったら岩手県になるのか、宮城県、福島県、茨城県と各県につくった上で、そこの基金事務局が判断をして出せる。政府は、そのお金を、あるいは都道府県と相談をして出した時点で、そのことから外れるということの方がよほど被災地はいいのではないか。交付金という縛りだと、どうしても政府から判断をしていただかなければいけないということがついてくるんじゃないですか。

 だから、時間がないので、その方向をいつまでに出していただけるかだけ教えてください。

平野国務大臣 三次補正予算ではしっかりそれを計上いたしますので、そのときに制度設計、制度の中身についてもきっちりお示しできるというふうに思っております。

 また、今の長島委員のお考え方、よくわかりましたので、今の御指摘も踏まえた制度設計をやりたいというふうに思います。

長島(忠)委員 ぜひお願いしますよ。使い勝手をよくしなかったら、基金を各省庁ごとにつくっても、それを知らせているというけれども、当該市町村の職員は通常じゃないんですよ。そのことをお互いに精査して示し合っている時間なんかなかなか持てないと思うんですよ。だから、総合的な基金をつくってくださいと言っているんですよ。ここで考えているのと被災地は全く違うということを理解してほしいなというふうに思うんです。そのことだけ要望しておきます。だから、三次補正でその議論ができるという確認でいいですね。

 せっかく大臣にいっぱい来てもらっているのですが、だんだん時間がなくなってきたのですよ。

 農水大臣が来ていらっしゃるので、私はどうしても聞きたいことがあるんです。

 私が何回か質問をしたときに、政府は、原発被災地の家畜について、助け出すことは不可能だから、農家に理解を得て、やむを得ず殺処分をしてその場所に埋めることを選択するんだよと。私は賛成はできなかったけれども、政府の方針だよというふうに聞かされました。

 私は、その後現地へ行っていないのでわからないのですが、報道で聞くと、牛が野生化という表現はどうかわかりませんけれども、牛や豚が放たれたまま、そのままになっている。この状態は当時私に答弁してくれたことと違っていると思うんですけれども、そこはどうなっているんでしょうか。

鹿野国務大臣 事実関係だけ報告をさせていただきますと、この警戒区域内におけるところの家畜につきましては、これまでに、いわゆる民家を荒らすという放れ豚を中心といたしまして、豚を約三千頭でございますか、それから牛につきましては約二百四十頭の家畜を安楽死処分いたしております。

 これにつきまして、専門家の四名を福島県に常駐させまして、そして技術的ないろいろなことで連絡会議を開きながら取り組んでおるところでございまして、また、福島県からも協力要請というふうなものもある中で、安楽死の処分作業に二十三名従事する、こういうふうな体制を整えながら、福島県と協力をいたして今作業を支援いたしておる、こういう状況でございます。

長島(忠)委員 頭数も違うし、なかなか同じことはできなかったんだろうと思うんですけれども、私は、牛を飼っていた人たち、あるいはともに暮らしていた人たちに、再び、もう一回、家族として牛を飼ってもらえるかと思うと、あの状態に放置をしたら、再び牛とともに暮らすことを選択していただけない可能性が強いような気がするんです。

 だから、やはりそこのところは思いがわかるようにきちんと、とにかく被災地から助け出して、使えないにしろ、どこかで天寿を全うさせるなりという方法はできないのかということを私はずっと言ってきたんですが、そこはできないということで、そういう答弁でしたけれども。それすらもやれていないということは、ますます被災者にとってつらい思いが募るのではないかな、そんなふうに実は思っています。そのことだけ少し。

鹿野国務大臣 長島先生のその思い、また自主的に警戒区域内におけるところの家畜に従事しておった方々の思いというものは、私自身も直接お話を伺わせていただき、またいろいろな面で関係の方々のお話も聞かせていただき、きょう改めて先生からも御指摘ございました。その思いというものは十分受けとめながら今後対処をしていかなきゃならないと思います。

 今、具体的な形で、埋却の件につきましては、七月六日以降、非常に要望の強かった一時埋却も可能となったところでございまして、具体的に、川内村、あるいは現在も南相馬市、楢葉町におきまして作業を実施いたしておるわけでございまして、そういうことを含めながら、今後、県とも協力をしながら、今先生からの御指摘の、まさしく現場の思いというふうなものを受けとめて対処をしていきたい、こう思っておるところでございます。

長島(忠)委員 総理にお願いというか、お考えを聞きたいと思います。

 被災者は、約束してもらったことを果たしてもらえないことほどつらいものはありません。どんなに厳しい約束でも、約束をした以上はやり遂げてもらわないと、被災者は希望がつながりません。その覚悟を聞かせてほしい。

野田内閣総理大臣 先ほど来の議論の中にもありましたけれども、被災をされた皆さんにとっては、見通しをどう確保するかというのが一番大きなテーマだと思います。その見通しを考える上で、政府が約束したことは、その見通しを考える際の前提条件になるというふうに思いますので、お約束したことはしっかり守り抜いていく、そういう決意でございます。

長島(忠)委員 最後に、皆さんに来てもらって聞けなかったことをおわびいたしますが、放射性物質に汚染をされた稲わら、家畜のふん尿、あるいは放射性物質の下水道汚泥、これをどう処分するのか、最終的な方向を一日も早く決めていただかないと、離れたところでもそういう状況を迎えているわけですから、そこのところを、政府として、いつまでに方向を出していただけるかということだけお聞かせいただきたいと思います。

鹿野国務大臣 今、私どもの汚染された稲わらにつきましてお話がございました。

 このことにつきましては、具体的に申させていただきますと、いわゆる八千ベクレル以下のものは一般廃棄物として処分を進める、こういうことを決めておるところでございます。

 それから、八千ベクレルを超えるというふうなものは、いわば鉄筋コンクリートなどで放射線を遮へいする効果の高い建物内での隔離、こういうふうなことでございますけれども、実は、このことにつきましては、なかなか困難なところもございますので、原子力安全委員会等々ともお話をさせていただき、人がむやみに立ち入らない場所の選定、あるいは遮水シートによるところの水のいわゆる浸透防止、飛散防止、あるいは保管場所の境界の空間線量が高い場合は、稲わら等の周囲の盛り土や土のうによるところの覆い遮へい、立ち入りを制限するためのさくやあるいは標識の設置というようなことの保管方法を示して、今、周知に努めているところでございます。

長島(忠)委員 今、私を含めて国民が一番知りたがっていることは、放射性物質の最終処分についてどうするのか。それは、稲わらやふん尿だけではなくて、下水道汚泥あるいは水道の汚泥も含めてだと思うんです。ただ中間処分場に積み置け、これはとりあえずの措置ですから、それから先どうするのかということを早急に結論を出してほしいというのが国民の願いであり、全国市町村の願いであると私は思うんです。それをクリアしない限り、数字で説得することはできないと思います。八千ベクレル以下は安全だと我々は理解しても、国民は、放射性物質という言葉を聞いた以上、この前の京都のまき、あるいはこの前の花火みたいなことがこれからも起こってくる。だとしたら、政府としてきちんと、そのことの最終処分はこういうことに、いつまでにやりますからということを一日も早く示すことが私は大事だと思うんです。

 そのことについて、いつまでにという考えがあったら教えてください。

細野国務大臣 先ほど稲わらについては農水大臣の方から話がございましたし、汚泥については国土交通省の方でさまざまなことについて取り組んでいただいておりますが、最終的には、やはりそれらをしっかりと統合した上で処理していかなければならない、その責任は環境省にあり、環境大臣である私にあると考えております。

 十月中には、正直言いますと非常に難しい作業ではございますが、ロードマップをお示ししたいと考えております。すなわち、仮置き場に置いていただくのはどれぐらいの期間になるのか、中間貯蔵についてはどのような考え方になるのか、最終処分というのが、これは一番悩ましいところでございますが、できるだけの考え方は提示をしたいと思っております。ただ、残念ながら、十月ということに関して言いますと、場所までは特定するには至りませんので、そこは、できるだけ丁寧に御説明をする中で、最終的な場所の問題についても方向性を出していきたいというふうに考えております。(発言する者あり)大きな責任は政府にございますし、この問題をしっかりやらなければならないのは環境省、環境大臣、私の責任であると考えております。

長島(忠)委員 私は、どこに、いつまでにという目線が、やはり国民にとって一番知りたいところだと思うんです。だから、そこの目線で。検討している、検討します、できるだけ早くという言葉は、実は国民にとっても被災者にとっても希望はつながりません。ですから、いつまでにと。

 手前事ですけれども、私は、自分の村に帰るのに二年という目標を掲げました。無理だと言われました。でも、この目標を掲げてよかったと思います。二年という目標を掲げなかったら、限りなく二年に近づくことはあり得なかったと思います。そんな目線で、ぜひ総理を初め政府の皆さんから頑張っていただきたい。

 我々は、今日まで、自由民主党は全面協力をしてきたつもりですし、これからも被災地のことに関しては全面協力をしていくつもりであります。そのためには、情報公開と胸襟を開いてほしい、そのことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 これにて午前中の審議を終了いたします。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、小野寺五典君から関連質疑の申し出があります。額賀君の持ち時間の範囲内でこれを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。よろしくお願いいたします。

 まず、野田総理には、先日、総理御就任直後、今回の津波被災地の一番初めに私どもの地元気仙沼を選んでいただきまして、大変ありがとうございます。私どもも、地元の代表として現地の状況をしっかり説明させていただきました。

 また、七カ月がもう既にたちます。私もこの七カ月間は、振り返ってみると、やはりさまざまな思いがあります。発災直後は、家族を捜して真っ暗な中、避難所をずっと歩き回りました。その後は、消防団の皆さんと一緒に瓦れきの中を歩いて、少しでも生存者の救出に役立つように仕事をさせていただいたことを、ついこの間のように覚えております。

 また、全国からさまざまな物資が来ました。当初は車が使えなかったので、リヤカーと、それから徒歩で、この物資を避難所やさまざまな孤立しているところに運んでいった。ヘリコプターを使わせていただいてお医者さんを派遣したことも、記憶として生々しいことであります。

 また、気仙沼には大島という島がありまして、ここは全部が孤立をしてしまいました。約四千人の島民がおりますが、そこの復旧のために、船がないということでNGO団体にお願いをしましたら、広島県の江田島からフェリーを借りてきていただいて、そして、それで復旧復興に当たった、そういう思いもあります。

 今でも多くの支援の方々がこの被災地に足を運んで、お金を出していただいて、物を送っていただいて、支援をいただいております。私どもの現地事務所にも毎日このようなお申し出が今でも来ております。心から感謝を申し上げたいと思っています。

 その中で、残念ながらやはり見えてこないのが、国の復興の姿、国のあり方だと思います。

 ちょっとパネルをお願いいたします。

 皆様のお手元にも写真をお配りしていると思いますが、これはちょっと恥ずかしいんですが、気仙沼の私の家の前の風景になります。つい数日前の風景です。大潮になりますと、土台が残っている建物のところまで、実はこのように水が浸水してきまして、魚が泳いでおります。ですから、当然、これから復旧復興のためには、まず初めにここをかさ上げしないと何も前に進まない、これが現地の姿です。

 総理にまずお伺いしたいんですが、このかさ上げ、私ども、こういう被災地のかさ上げの予算、これは五月の時点から政府に早くつけてくれ、早くつけてくれとお願いしていますが、このかさ上げの予算というのは、一次、二次補正、現在まで予算がついているものでしょうか。教えてください。

平野国務大臣 こうしたかさ上げ予算、例えば集団防災移転事業等々の中でもできますし、これは三次補正が成立すれば対応が可能でございます。

 なお、ここを例えば全面的にかさ上げするのがいいのか、あるいはまた応急措置として、大潮のときに水が入ってこないように、ある程度先に低い堤防をつくってしまう方がいいのか、そういった工法の選択の余地もあろうかというふうに思います。

小野寺委員 今のお話でおわかりのとおり、実はまだこのかさ上げの予算というのが、一円も予算としてついていないんです。ですから、被災地は、今でも何も実は復興のために前に踏み出していない、そういう状況にあります。

 まず、このかさ上げの予算、これは、今までの政権が恐らく手当てをしてこなかったということだと思います。野田総理にかわられました。十分な予算をつけていただけるか、まず確認をしたいと思います。

野田内閣総理大臣 御答弁させていただく前に、先般、九月十日、気仙沼を視察した際には、道の駅や市場等々、小野寺議員には御案内と御説明をいただいたこと、感謝申し上げたいと思います。

 今大臣が答弁をしましたとおり、かさ上げについては、第三次補正で実行できるように、実施できるように対応していきたいというふうに思います。

小野寺委員 かさ上げの予算がついていないので、実は復興の手がまだついていない。まず、これが一番最初だと思います。

 そして、次に御指摘をさせていただきたいのは、今、平野大臣からもお話がありましたが、集団防災移転、私どもが高台移転と言う事業、これは被災直後から地域住民から大変な要請、要望がございました。

 ちょっとお伺いをしたいんですが、この高台移転事業、今までこの震災によって採択をされた例というのはあるんでしょうか。

平野国務大臣 ちょっと手元に個別の地区のリストは持ってきておりませんが、ございます。

小野寺委員 きのう宮城県に確認をしました。先ほども宮城県知事に直接確認をいたしました。宮城県では、この高台移転事業は一件も採択をされておりません。(平野国務大臣「今回の災害でですか」と呼ぶ)はい。今回の震災に応じて、一件も採択をされておりませんが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 今回の災害については、まだでございます。

小野寺委員 政府のさまざまな審議会でも、あるいは菅総理も高台移転のことに言及をして、これをどんどんすべきだとお話をされています。ですが、事業がありながら、まだ一件も実は採択されていない、一つもこの事業が動いていない、その理由をぜひきょうは知っていただきたい、そう思っております。

 実はこれは、宮城県の南三陸町、この地元でお話を伺ってまとめた数字です。高台移転事業に係る予算。事業費、これは南三陸町という一つの町です。そこの総事業費が一千三百九十五億円。これは、宮城県と町が中心でまとめた数字です。この予算で復興するんですが、国が出す予算、これが六百三十六億円、そして宮城県が出すお金が百十三億円、南三陸町が出さなければいけないお金が何と五百九十億円、そしてJRが五十六億円。

 この南三陸町が出さなきゃいけない五百九十億円というのは、南三陸町の一年間の総予算が七十四億円なんです。町長に聞くと、一億円か二億円出せて限界だと。そうすると、五百九十億円出せと言われたら、町の約六百年分の予算が必要になってしまう。

 こういう町と県の負担が過重にあるから、事業があっても、どこの自治体も手を挙げて、うちの方で高台移転してくれ、やりたい、住民はこういう声があっても、自治体はこれを受け取ることができない、これが実は実態なんです。

 改めてお伺いをしたいと思います。

 この実態、きょう総理、前から御存じだったでしょうか、そして、もし今回、この実際の積み上げの数字が、これはやはりおかしいとお考えであれば、町と県の負担を国がしっかり対応する、そのようなお考えを示していただけないでしょうか。

野田内閣総理大臣 一般的に、高台移転についてはコストがかかるというお話は聞いておりましたが、南三陸町の個別のケースは、きょう初めてこの資料で拝見をいたしました。

 いずれにしても、被災地の地方公共団体の御要望なども踏まえながら、どうやって現実的に対応できるかということが大事だと思いますので、その点については担当大臣にお答えをさせていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 平野大臣はよくおわかりなので、改めてお答えいただきます。

 総理に知っていただきたいのは、総理は前財務大臣でいらっしゃいました。ですから、当然、この高台移転の予算、事業費のことも知っていて、なぜこんなに地元から要望があるのに高台移転が一つも採択されないんだろう、なぜ町や県が高台移転したいのでという申し出がないんだろうと普通は不自然に感じるのが、私は政治家の役割あるいは閣僚の役割だと思います。異常ですよ。事業があって、住民がこれは大事だと何度も何度も期待しているのに、一件も事業が採択されない。実は、この地元負担を軽減していただきたいという声は、地方自治体から何度も何度も政府に上がっています。

 ぜひこの認識をしっかり受けとめていただいて、平野大臣にお伺いしますが、町と県の負担、これはこの際国が全部見る、本来総理が言うべきだと思いますが、平野大臣に改めてお伺いしたいと思います。

平野国務大臣 その前に、若干御説明をさせていただきたいと思います。

 集団防災移転事業は確かに採択がございません。一つは、制度の最終的な詰めをしているということもございますが、それ以上に大事なことは、例えば、先ほどの写真のかさ上げですけれども、本当に全面的なかさ上げが必要かどうか。例えば、かさ上げが必要だと言える地域には加工施設と住宅が一緒にまじっています。住宅は多分そこにはできないと私は思います。そうしますと、住宅がどこかに移転をしなくちゃならない。結果として空き地が出ますから、同じかさ上げをするにしても、残った施設の集約化が必要だと思います。

 これは何回も申し上げていますけれども、こういった計画づくりには、合意づくりに時間がかかります。それから、集団防災移転事業についても、もうこれは小野寺先生が一番おわかりだと思いますが、ここに移転してくださいという総論はオーケーになったとしても、その地域住民の合意をとるのにまた時間がかかります。さらに、ここに移転するといっても、どういう町並みをつくりますかということについてまた合意を得るのに時間がかかります。

 今その計画を、気仙沼市であれば気仙沼市と、南三陸町であれば南三陸町、県と、国も今そこに入って計画づくりをしていまして、この計画ができて、ある程度の住民の合意ができた段階では、予算はどんとつけます。ただし、そのときに、例えばここを全部かさ上げしましょうといったときにはコストがかかりますから、では土地の集約をしましょうということで、コストがかからないような工夫もお願いしなければならない。そういった中での時間がかかるということであります。

 それからもう一つ、最後のあれですが、国庫、県負担、それはかかります。おっしゃるとおり、余りにも事業費が多く、これ以外にも瓦れきの処理もありますし、何でもありまして、一%の負担でも市町村の財政はパンクしかねないという状況の中で、県、市町村についてはできるだけ負担が生じないように、実質国が、特別交付税という形になると思いますけれども、処理するような形を今考えております。

 ただし、だからこそ、コストの意識は自治体にはしっかり持っていただかなくちゃならない。今でも持っておりますけれども、コスト意識だけはしっかり持っていただかなくちゃならないということを申し上げなければなりません。

 済みません、長くなりまして。

小野寺委員 平野大臣、多分少し違うんだと思います。

 私は五月から、実は、住民の高台移転のための期成同盟会、そこにもう何回も何回も、しかも七カ所も八カ所も住民要望が来ています、そこに出ています。そして、そこの住民の方が、皆さん同意して移転したい、しかも、移転する先は、皆さんが、もともと共有の土地であったりして土地も全部もう用意できている、あとはこの移転の事業費だけあれば動けるんだ、これは五月の段階で何度も何度も私ども地元からお話をいただいております。

 総理に改めて確認をしたいんですが、今回、この町と県の負担、これは無理ですよ、南三陸町に何百年分の予算を出せと言っても。ぜひこれを国の今回の三次補正でしっかり手当てをする、その一言をお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 高台移転の、これはいろいろなケースがあると思うんです、小野寺さんが御指摘したような地域に住んでいらっしゃる方の合意がもうとれているものと、それから、まだ地域の中で復興計画をつくっている中で、どういう形で住まい方をするかというところがまだ検討がおくれているところと、いろいろな事情があると思いますけれども、いわゆる実際に事業を推進する際に、これだけ、これは一つの試算が南三陸町で出ておりますが、国の負担、加えて地元の負担分は、先ほど担当大臣がお話しされましたように、特別交付税等々で対応はできるように工夫をしていきたいというふうに思います。

小野寺委員 多分、話が逆になるんだと思うんです。国がこうやって出しますよ、県と市の部分を、町の部分を国が出しますよ、そういうメッセージがあれば、実は地方自治体、町も市も、復興計画でうちの町はこうつくりたい、こうつくりたいとつくれるんですよ。何で遅くなっているかというと、国のこの方針が示されない。ですから、高台移転の計画をつくっても、国が出さなきゃ絵にかいたもちじゃないですか。

 話は逆なんです。初めに国が方針を示していただければ、安心して町も県も、よし、では、こういう町をつくろう、この事業を使ってこうやってやろうというふうになるので、まず国から示していただく。

 再度お伺いします。ぜひお願いしたいと思います。国が面倒を見る、その一言でいいんです。

平野国務大臣 いずれ三次補正で制度設計、地方の負担のあり方も含めて、しっかりとした制度を出します。

 ただ、もう一点だけ申し上げますけれども、制度を示す、確かに制度設計、いろいろな詳細の詰めがあって今日までかかってしまいました。ただ、片山総務大臣時代から私どもが申し上げてきたのは、この復興によって地方財政が破綻するようなことは絶対しない、させない、そういう制度設計をするから、その前提でさまざまな計画をつくっていただきたいということは繰り返し繰り返し申し上げてきたということだけはちょっと申し添えさせていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 平野大臣は何度も被災地に来ていただきまして、私は、直接携帯でいろいろな御要望を毎日のようにさせていただいております。信頼をしております。今後、三次補正の中で、この地方負担分がない形でしっかり高台移転ができるように、もちろん自治体はコストを考えて一番いい最適な方法を提案しますから、そのことにぜひ国として責任を持つということをお願いしたい、そう思っております。

 さて、もう一つ、実は今回の復興に対して、午前中の質疑でも平野大臣からも御答弁ありましたが、グループ化をした事業に対して国が支援をする、こういうありがたい支援制度があります。

 簡単に言いますと、水産加工場とか冷蔵庫とか、こういうところを復旧復興するときに、その四分の三を、グループ化して計画を立ててくれれば国が支援する。これは大変ありがたいんです。これで、よし、町を再建しよう、仕事を再建しよう、もう一度魚がとれるようにしよう、こうやってみんな大変期待していたんです。

 ところが、この採択の事例を見てください。今採択されているグループ化事業の採択率です。宮城県は、応募者の中で採択されたのが一三%。今回大きな被災を受けた、きょうは安住大臣いらっしゃいます、御地元の石巻、私の地元の気仙沼、採択率は三%ですよ、三%。期待がたくさんあって、みんな、こんな厚い申請書を書いて、これで何とかこの秋にはサンマがとれるように頑張ろう、もう一回雇用できるように頑張ろう、そう思って期待を込めて申請書を出したんですよ、五月、六月。採択してみたら、三%ですよ。なぜか。聞いたら、予算がないから。これは、私は大変つらい。

 きょうは、財務大臣いらっしゃいます。同じ被災地の仲間でもあります。安住大臣に改めてお伺いします。このグループ化予算のお金を希望している事業者にしっかりと出していただきたい。そして、三次補正を待たずに、予備費でも何でも使って出していただきたい。その決意をお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 これは私も最初怒りまして、一次補正と二次補正で二百五十億だったですよね。小野寺さんの地元の気仙沼も私の石巻も、これは八戸なんかもそうですけれども、大手企業で申請を出したところだけ採用して、地元企業ゼロという状況だったんですね。

 なおかつ、これは県の裏負担が四分の一あるものですから、今度は、宮城県も岩手県もなかなかそれは出せないということで、採択をほとんど切られてしまった。何のための制度かと。

 私は、そういう意味では、今回、この中小企業のグループ化というのが逆に言えば非常に人気があって、小野寺さんの地元でも私の地元でも、グループ化をすることによって企業再生をするその切り札になるということは十分わかりましたので、ここの部分については、以前から小野寺さんからも指摘がありましたように、予備費を使って、一次、二次で二百五十億ですけれども、今回は一千億円を超える額を予備費でやれと。そのかわり、その裏負担分、地方自治体、宮城県等についても、先ほど、私も村井知事にもお会いしましたけれども、それも含めて、三次を待たずにやれるものからやっていくと。

 実は、これがなかなかいい制度だということで、福島県、茨城県等でもこのことについて非常に興味を持っておられる方々が……(発言する者あり)千葉県も出てきたということでございますので、今後、それはいろいろな、本予算等も含めて考えないといけませんが、とりあえず、企業再生のやはり重要なこのグループ化については、御指摘いただきましたので、予備費を使ってしっかり対応したいというふうに思っております。

小野寺委員 予備費だけでは恐らく希望全部に今後対応できないんだと思います。恐らく被災県が広がっていく中で、この事業というのは大変重要で、皆さん大変高い関心を持っています。

 この事業が大切なのは、これで実は産業、仕事を復興するんです。仕事が復興できれば人を雇うことができるんです。失業手当はそれ以上出さなくても済むようになります。

 もっと大きいのは、やがて私たちは、これで復活して町をつくって、産業を再生して、もう一回納税者として今回支援していただいたものを国民の皆さんにお返しすることができるんです。働かせてほしい。その思いでこの予算をしっかりとっていただき、ぜひ希望するところには手当てをしていただく。そして、後で、私たちはこれを使って町を再建して、働いて、納税して、今回支援していただいたものをお返ししたい、その決意の人がたくさんいることを改めて知っていただきたいと思います。

 そして、今までこうして御指摘させていただきましたが、七カ月たちました。結局、かさ上げする予算も実は一円もついていなかった。そして、グループ化して企業をこうやって再生する予算も被災地では数%しかついていなかった。仕事を再開したくても、働きたくても、実はこの地域は何も仕事がない、こういう場所になってしまったんです。だから、泣きの涙で失業手当をもらって、そして一日も早い事業の再開をみんな願っているんです。でも、ここまで遅くなってしまいました。

 今回、失業給付を延ばしていただきました。二回にわたって政府が延ばしてくれました。来年の一月までこの給付が切れずに、とりあえずはしのぐことができます。ですから、この給付が切れる前に、このような仕事、そのための国としての支援をしていただきたい。仕事ができないんです、国の支援がまだ見えないから。ぜひこのことを重く感じていただきたい、そう思っております。

 さて、もう一つ御指摘をしたいと思います。今この瞬間もまだ避難所で生活されている方がおります。仮設住宅でみんな不自由な生活をしています。決して仮設住宅というのは住みよい場所ではありません。これから冬が来て寒い、プライバシーの問題もある、大変つらい。これから必要なのは復興住宅だと思います。きちっとした復興住宅をつくることが大切。

 例えばこの三陸沿岸でも、海の真ん前はそれは危険かもしれない。でも、ちょっと離れたら、町の中であれば、今回の被害で津波が来たかもしれないが、せいぜい一階が浸水しただけ。こういう場所であれば、復興の住宅、例えば、大変申しわけないんですが、朝霞の公務員宿舎、三LDKとか、何かそういうのをたくさんつくるという話、今回凍結されたと伺っていますが、ああいう建物をこの被災地につくっていただいて、一階はお店にしていただく、二階は集会所等にしていただく、三階以上に被災者が安く住めれば、そして、その上の一部は高齢者仕様にして将来のケアハウス対応にすれば、ここにずっと住めるんですよ。

 そして、この予算で、朝霞の百億円ぐらいでたしか八百五十戸ができると聞きました。気仙沼では約三千戸から四千戸、石巻でも七、八千戸だと思いますよ。それをつくれば、何百億かで実はこれからもずっと住める、しかも、そんなに山の中に行かなくてもいい、市街地ができる、一階に行けばお店がある、こういう新しい町ができるはずなんです。こういう予算をしっかりとっていただきたい。

 この復興住宅をいち早くつくっていただく。そして、それは、できれば七、八階建てにしていただいて、一階はお店、二階は集会所、三階以上に住むようになれば、今回と同じような津波が来ても、夜中に例えば津波が来ても大丈夫なんです。そういう考え方ができないでしょうか。お伺いします。

平野国務大臣 津波の被害を受けた地域の住宅の再建をどのようにするか、大変難しい課題でございます。しかし、幾つか案がございまして、その一つが高台移転、それからもう一つは、委員が今御指摘のように、もとあった場所に住む。だけれども、いつかまた堤防をつくったとしても津波が来るかもしれない。そういう中で、一階を店舗にする、あるいは倉庫にする、二階もあるいは貸しオフィスにする、三階以上に住んでいただくとか、そういった考え方もあると思います。

 今、国交省の方では、そういった一つのモデルを示しながら、その地域地域で復興計画をつくっていただいている、そういう段階だというふうに理解しております。その復興計画ができますれば、先ほども申しましたけれども、それがきちっとした計画、住民の合意が得られている計画だということであれば、あとは、予算をつけるというのは私ども政務三役の仕事だというふうに思っております。

小野寺委員 今回、国、学識経験者、県から示された復興案の中にこんな案がありました。まず堤防をつくってくれと。高さ十一メートル。高さ十一メートルというと、ここの天井の倍以上になるんでしょうか、そんな壁の中で私たちは今から住んでくれと。そして、恐らくこれを三陸沿岸に回したら、万里の長城よりもっと何か、恥ずかしい形になったら大変だなと思うんですけれども、これをつくるのは莫大なお金がかかります。恐らく何兆円規模です。もしかしたら、必要なところでそういうものが必要かもしれない。だけれども、全部は多分必要ないんですよ。

 ましてや、海とともに暮らしてきた私たちです。であれば、まず復興住宅、数百億円で何千人の方が入れる復興住宅。しかも、一階が店舗で二階が集会所、三階以上に住めば大丈夫なわけです。こういうものの建設をより促進していただきたい、そう思っております。

 その中で、ちょっとつらいことを一つ総理にお伺いいたします。

 朝霞の公務員住宅のことについては、これはもう世論が大変沸騰し、また被災地の方に関しても、今の時期これはいかがなものかということで指摘がありました。

 実は、同じく、これはきょうの報道で出ておりましたが、国の地方庁舎。今までマニフェストで、国の出先の地方の庁舎の新設や改築、これは凍結すると民主党はおっしゃっていましたが、今回、既に今年度予算で四カ所、来年度予算でさらに四カ所、計八カ所の、これは総事業費は六百億円になるそうです。この時期に、公務員の宿舎だけじゃなくて、地方庁舎を廃止するとおっしゃっていた政権の公約と全く反して地方の庁舎の建設を始める、これもやはり国民としては理解できないんじゃないかと思います。正直言って、このような予算があるんだったら、まず、被災者のとりあえずの復興住宅、復旧に回していただきたいと思いますが、この事業予算についてのお考えをお伺いしたいと思います。

野田内閣総理大臣 朝霞の公務員宿舎については、小野寺さんの御指摘のとおり、昨年の十二月に、全体で一五%削減という中で、極めて合理的なものについては認めていくという話で、地域の御要望とか含めて、しかも、独身者やあるいは中堅、若手向けの住宅それから宿舎であったということから、まずは着工を認めたのでありますけれども、御党も含めて国会の中でもいろいろと御提起をいただきました。被災者の思い、三月十一日からすると、政策の優先順位を変えた方がいいのではないか、こういう御指摘も踏まえて、私も現地に行きまして、着工し始めたといっても、まず、本体の建設をやっていなかったものですから、五年間、少なくとも集中の復興期間については凍結という結論を出させていただきました。

 加えて、きょう、御指摘に、新聞の一面に、「国の地方庁舎、新設再開」という報道がございました。

 これをちょっと御説明したいんですけれども、政権交代後の二十二年度予算で、国の出先機関が入居予定の合同庁舎については、二つの基準でやっていこうと決めているんです。それは、整備の緊急性が真に高いこと。というのは、入居予定の現庁舎の半分以上が耐震性基準を満たしていないとかそういうことであります。それから、出先機関の地方移管が行われたとしても、入居官署の見直しにより無駄を生じさせないよう対応できること、この二つの要件で一応基準、ルールをつくってまいりました。

 その結果、今回の概算要求時に、三十五カ所のうち二十二カ所については整備の見送りをさせていただきましたけれども、御指摘のような要求が出ているということは事実でございますが、今御指摘のような点、金額の問題とか、あるいはつくるかつくらないかも含めて、これからが予算編成プロセスに入りますので、その辺はよく精査をさせていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 今、国の出先の庁舎のお話がありました。耐震基準を満たしていない、さまざまなお話があるんですが、被災地に住んでいらっしゃる方は、耐震基準どころか、まだ仮設住宅すらあてがわれていない、体育館で寝ている、そのような被災者もおります。そして、現地で仕事をしている方も、プレハブだったり、あるいは、当然傾いている中で、危険を承知でもその中で仕事を再開される方もたくさんおります。私は、国の官僚だけが、耐震基準を満たしていないからということで今回この時期に新しくまた庁舎をつくったり建て直すということは、国民の感情としてはやはり理解できないものだと思っています。

 信頼する野田先輩ですので、国民からまた指摘を受けないように、そして、今回はさまざまな復興増税案を出されております。増税するということは、その前に私どもがしっかり身を正すことが大事。そのためにもこの問題はしっかり片づけをしていただいて、私、こういうことでまた国会が紛糾して、そして復興予算の審議が遅くなることだけは許せないんですよ。だから、事前にしっかりとしていただきたい、そういう思いで、きょうはあえてこのようなことを提起させていただきました。

 さて、きょうは東京電力の社長にも来ていただいております。ありがとうございます。

 今回、実は私ども宮城県、沿岸部は震災で被害を受けました。ですが、内陸部は放射能の被害で大変な状況になっております。特に、汚染された稲わら、これがたまたま農家に出回り、そして、これを与えた牛の問題で、宮城県の畜産農家、肉牛農家は牛の出荷ができなくなっておりました。七月、八月、九月、ようやく最近再開しましたが、その出荷頭数もごく限られた頭数、そして、その金額ももともとの値段の半分近くまで下落している、こういう状況なんですよ。

 そして、この肉牛農家は、総理、聞いてください、収入はこれしかないんです。一生懸命育てた牛を売って、それを市場に出して初めて収入があるんです。これしかないんです。これで家族を養い、牛のえさを買い、子供の教育費を払うんです。それが、この東京電力の事故の後、七月からずっと所得がないんですよ、収入がないんですよ、生活に困っているんです。

 でも、この方々が罪があるか。原因をつくったのは東京電力、そして、汚染稲わらについてしっかりと対応を周知しなかったのは、申しわけないんですが、やはり国にその責任がある。これは前国会で菅総理も認めていただきました。とすれば、本来十分な補償を早くすべき。

 だけれども、きょう、社長いらっしゃいます。被害を受けた農家は、所得がない、お金がない、サラ金から借りられない、そして、子供の教育費をどうしようか、泣いています。東京電力は社員に給料が出ています。ボーナスだって、半分に減らしたというけれども出ているんですよ。何で被害を受けた人が生活できないで泣いていて、何で加害者がしらばっくれた形で対応できるのか。

 きょう、社長いらっしゃいます。つらい立場はわかりますが、今この被災されている農家の方がまず思うのは、風評被害。今、全頭検査をちゃんとやっています、放射能の検査をやっています。ですから、下落した部分、これは今もう風評被害です。この被害に対して、地元の農業者団体から、農家から、東京電力に請求、こういう基準でやってくれ、さまざまな要望が出ています。これにしっかりとこたえていただきたい。今一番被害に遭っている農家のこの要求にしっかりこたえて安心させていただきたい、そう思いますが、いかがでしょうか。

西澤参考人 このたびの事故、本当に皆さんに多大な御迷惑をおかけしております。おわび申し上げます。

 先生御指摘の肉牛、それからそれに伴います風評被害、これにつきましては、畜産農家の皆様からの御請求については、原則として各県の協議会で今お取りまとめをいただいております。この御請求に対しましては、迅速かつ公正に、きちんとお支払いいたします。よろしく御理解のほどお願いいたします。

小野寺委員 社長、今一つ私、耳に残った言葉があります。公正にというお話がございました。公正にということ、それは、東京電力の会社とすれば、たくさん恐らく弁護士さんもいるんでしょう。経済関係に通暁した知識者もたくさんいるんでしょう。相手は農家ですよ。自分の弁護士さんだって雇えないような農家が、手書きで、牛幾ら、えさ代幾ら、それをまとめて積み上げた数字なんですよ。それを、あなたたちは大きな組織ですよ、多分たくさん弁護士さんの給料を払っているでしょう、それを私たちは求めているんじゃないんです。

 あなたにお願いしたいのは、こうやって日々苦労して、子供の教育を考えている農家の皆さんにしっかりと対応する、公正という言葉、その言葉ではなくて、誠心誠意対応する、その言葉を期待しているんですが、もう一度お答えいただけないでしょうか。

西澤参考人 先生のお気持ちは十分受けとめております。迅速にきちっきちっとお支払いさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。(小野寺委員「誠意を持ってと一言」と呼ぶ)はい。誠意を持ってこれはきちんと、我々の責任でございますので、きちんと誠意を持ってお支払いさせていただきます。

小野寺委員 ぜひよろしくお願いします。

 それからもう一点、実は午前中の質疑でも汚染稲わらのお話がありました。

 恐らく、農家の方の稲わらという印象をまだ明確にわからない方もいらっしゃるんだと思います。きょう、ちょっと私の写真と一緒で恐縮なんですが、どういうものかということを改めて写真で提示させていただきました。このロールになった、これが汚染された稲わらです。そして、農家の畜舎に、倉庫にこうやって山積みになっています。一個が百何十キロある。こういうものがたくさん実はこの被災地にあるんです。

 農林大臣にお伺いします。この稲わら、宮城県で何個あるかおわかりになりますか。

鹿野国務大臣 申しわけございませんが、具体的な数字は承知いたしておりません。

小野寺委員 宮城県ということなので仕方ないと思いますが、宮城県では四万三千個です。こんな稲わらが宮城県だけでも四万三千個あるんです。

 そして、これを国は、八千ベクレル以下はそれは廃棄物だから処分していい、それ以上については何か別な考えをするとおっしゃっています。でも、八千ベクレル以下だからということで、では、これを燃やしていいのか、どこで燃やすのか。これは地元で燃やすことになるんですよ。そして、どこでもそうです、その汚染された稲わらの処理について、では、地元だから燃やしていい、地元の住民の方が、はい、そうですかと言う、やはりそんな状況ではないんだと思います。

 そして、燃やせないんだったら、農水省はこう言っているんです、田んぼにすき込んでいいと。ちょっと待ってくださいよ。牛に食べさせたら大変だということでみんな隔離しているのに、田んぼにすき込んでいい。そこから出た米はどうするんですか。

 私は、ぜひこの稲わらの対策、四万三千個ですよ。きょう、東京電力の社長いらっしゃいます。こんな言い方は多分無理だと思っても、改めて言います。これを引き取っていただけませんか。四万三千個です。その対応について、これはもう国が前に出ないと自治体では何ともならない。ぜひこの対応についてお伺いしたいと思います。

鹿野国務大臣 この汚染稲わらの処理方法につきましては、八月十九日付の通知によりまして各県に対して周知をいたしたところでございます。

 予備費についても、九月九日に閣議決定されたことを受けまして、宮城県を初めとするところの関係都道府県に対して要望調査を実施いたしたところでございます。

 特に宮城県につきましては、汚染稲わら等の隔離一時保管を速やかに進めるように、九月の十五日でございますけれども、農林水産省の方から担当官を派遣いたしまして、汚染稲わらの隔離や封印の状況、あるいは予備費の活用等によるところの汚染稲わらの保管の方法などにつきまして打ち合わせをさせていただいたところでございます。

 そういう中で、これからも県の方とも連携をとりながら、農業団体等を通じまして、汚染稲わらの処理方法や予備費によるところのいわゆる支援というふうなものが個々の農家に伝わるようにきちっとしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。

小野寺委員 大臣、農家はお金を出してほしいとか、そういうことじゃないんです。これを何とかしてほしい、これをどこに持っていったらいいんだと。このすぐわきにみんなうちがあるんですよ。農家だって子供がいるんです。その子供がこの汚染稲わらのすぐわきでみんな生活をしているんです。

 宮城県だけで四万三千個あるんです。これは農家の責任じゃないんです。何とかしてやるのが私ども政治の責任だと思います。ぜひ国が前面に出て対応する。市町村に任せたら、市町村だって困りますよ。それをぜひお願いしたいと思います。

 きょうは、震災についてのさまざまな質問をさせていただいております。

 一番初めにお話ししたのは、津波で被害を受けた方、この地域に対して、実はそのかさ上げの予算も、あるいはグループ化して個人の企業の再建の予算も十分ではなかった。ですから、今まで復興していないのは、これは残念ながら私どもも含めて政治の責任、そう深く認識していただきたいと思います。

 ですから、今でも失業給付、小宮山大臣に来ていただいていますが、何度も延ばしていただいている。これは、被災された方の責任ではなくて、復興が遅くここまで延ばしてしまった国の責任、だから延ばさなきゃいけない。そのことを深く認識していただきたい。

 それからもう一つ、雇用保険を受けられる方、失業保険を受けられる方は、まだ少しは恵まれているかもしれません。個人事業主、自分のところが今回被災して、かさ上げできないから事業の再建ができません。収入がないんですよ。ほかにも、パートで働いている方、さまざま、失業保険の対象にならない方もたくさんいます。

 特に農林漁業者。今回、前国会で大臣にお願いをしまして、漁業者の方、漁場環境の整備、瓦れき撤去をするということで日当一万二千何がしを出していただきました。私どもの要望を聞いていただいて、ありがとうございます。それも間もなく切れるんです。ですが、まだ地元では漁業の復興、復活ができない。

 お願いしたいのは、こうして復旧がおくれているということ、そしてそのために失業手当は延ばす、でもその恩恵にあずかれないさまざまな雇用されている方がいる、そういう方々にもぜひ仕事という形でこれからも万全の対策をしていただきたい。

 先般、我が党の小泉委員と私と二人でつくった、例の、雇用保険を受けながらボランティア就労をする、そのことについては速やかに対応していただきました。今、月額五万円までは、仕事をして対価を得ても、これは費用弁償、交通費ということで、失業保険をもらいながら五万までは被災者は仕事が、自分のもといた工場を復旧するための仕事ができるようにということで、きのう認めていただいたと伺っております。

 私ども、協力して、ぜひ、こういう地元被災者の一つ一つの声を形にしていただきたい。安住大臣はあそこでああやっていますけれども、実は、直接電話をして、あなた、この予算何とかしろよと、済みません、いつも厳しく言っております。そういう、今回はオール・ジャパンで復活をしていきたい、そう思っています。

 そして、きょう、東電の社長いらっしゃいます。こんな言い方は、被災地の人間ということでお許しいただければと思います。

 今回の原子力発電所、これは東京電力の原子力発電所の事故なんです。場所は福島にあるけれども、この電気は、東京の皆さんに電気を供給するために東北が受け入れてきた原子力発電所、総理の地元の千葉県もこの電気が行っているはずです。ですが、私ども、福島も宮城もそうですが、電気は東北電力です、東京電力じゃないんです。東京の皆さんに、恐らく多くの方はそう思っていただいていると思います、感じていただきたいのは、東京の電力を供給するために私ども東北人が今回このような被害をこうむっている。

 一部報道がありました。地元の松の薪を燃やすと放射能の問題がある、断る。地元の農産物、放射能検査を何度もして全然問題ない、だけれども風評被害で売れない。私は、かつての日本人だったら、自分たちが使っている電力を供給して被害に遭った東北の皆さんに、まず私たちから率先して力を、手を差し伸べよう、多くの方がやっていただいています。

 東京電力社長、お願いしたい。ぜひ前面に立って私ども東北の支援をしていただきたい、そう思っております。

 きょうは貴重なお時間をいただきました。そして、我が被災地の中でも、みんなきょうこれを見ていると思います。きょう、地元は寒い、曇り、間もなく雨が降ります。これから雪が降る季節になります。一日も早い復興を私どもも全力で協力することをお誓いし、総理に一言、改めて決意を伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 東日本大震災からの復旧復興は、我が内閣の最大かつ最優先の課題でございますので、一生懸命取り組んでまいります。ぜひお力もおかしください。

小野寺委員 ありがとうございました。終わります。

古賀委員長 これにて額賀君、西村君、長島君、小野寺君の質疑は終了いたしました。

 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 質問をさせていただきたいと思いますが、本来の質問の前に、朝霞の住宅についてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、総理も視察に行かれて、五年間の凍結、こういうお話のようでありますけれども、私はいろいろな経緯も新聞等で拝見しておりますが、中途半端に凍結というのはやめて、もう中止にしたらどうですか。財務大臣、総理大臣から、それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。

安住国務大臣 総理の御指示は、まず五年間の集中期間中、これを凍結するようにという御指示でございました。それを受けて、その後のことについてはいろいろな状況を勘案しながら最終的には判断したいというふうに思いますが、参議院でも白浜先生からもそういう御指摘をいただきましたものですから、決断をさせていただきました。

石田(祝)委員 総理の指示を受けて凍結、こういうことですから、総理、凍結とかいう中途半端ではなくて、また五年間も凍結してその後どうしますかという話じゃなくて、これはもういっそ中止になさったらどうですか。これは総理にお伺いします。

野田内閣総理大臣 今回、まずは五年間凍結という形の政治判断をいたしました。それに加えて、公務員宿舎のあり方について、懇談会を設けて財務大臣のもとで全体の検討もしていただくことになっておりますが、そういう全体検討の中で、まずは今凍結でございますけれども、判断をさせていただきたいというふうに思います。

石田(祝)委員 これ以上申し上げませんけれども、また改めていつかの時点で中止ということにならないように、ならないというか、私はそうした方がいいと思いますよ。五年間、総理は五年間やられるつもりかもしれませんけれども、今首を振っていますからこれはわかりませんが、私は、中止の方がいいのではないのかな、このことをあえて申し上げておきたいと思います。

 それで、きょうで三・一一の発災から二百九日目です。約七カ月、こういうことになりました。

 総理、前内閣のときも総理は財務大臣という内閣のかなめのところにいらっしゃって、今は国の最高責任者、こういうことであります。この約七カ月間、総理の実感として、自分が内閣の中心に座っておって、この東日本大震災への対応、政府としてどうだったのか。よかったと言うとおかしいかもしれませんが、これはちゃんとやってこられたのか、それとも、もう少し早くやれればよかったな、こういうことであったのか。率直な総理の実感というんでしょうか、これをまずお聞きしたいと思います。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、菅内閣のもとで財務大臣をやっておりました。そうした中で三月十一日の震災の発災がございまして、それを踏まえて第一次補正予算約四兆円、第二次補正予算約二兆円、合わせて六兆円の予算規模、加えてこの間に予備費もさまざま使っておりますけれども、こうした対応で、復旧については我々なりには万全を期したつもりであります。

 仮設住宅の建設であるとか、被災者の生活支援であるとか、瓦れきの撤去、こうした取り組みをやってまいりましたけれども、ただ、まだ遅いであるとか、行き届いた支援ができていないという御指摘もいただいております。そういうことを踏まえまして、もっとスピード感を持って、これからいよいよ復興でありますけれども、スピード感を持って加速をさせていきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 約七カ月間、それぞれ熱心に一生懸命やられたことは、私は間違いないだろうと思います。しかしこれは、客観的にどうだったのかということ。私は、必ずしも、熱心だったという言葉とはちょっと違って、少々遅かったのではないのか、こういう実感がいたしております。

 それは、まず仮設住宅にしても、いまだでき上がっていないんですよ。たしか前総理のときは、お盆までには希望者全員が入居できるようにする、こういうお話だったと思います。しかし現実には、まだでき上がっていないところもある、こういう状況ですよね。

 瓦れきの処理にしても、私たちは、これはおくれている、そういう認識で、政府がなかなか法案を出してこないから、瓦れき処理の法案についてもしっかりやろうじゃないか、こういうことで取り組みをいたしました。しかし、そのときの担当大臣の認識はやはりちょっと違っておりまして、いや、順調だ、こういう認識でしたので、大変我々と認識のギャップがあるな、こういうことも思いながら取り組みをしてまいりました。

 そういう中で、午前中にもお話がありましたが、特に復興の基本法、これについては、政府も出した、また自由民主党も法案を出した、私たち公明党は要綱を発表した。そういう中で、閣法も自由民主党の案も取り下げていただいて、民主党、自民党、公明党とで案をつくって、委員長提案で成立をさせた。これが成立をしたのが六月の二十日であります。ですから、今から考えると三カ月半ぐらいになります。

 その中で、その後出てきた課題もありまして、取り組みいたしておりますが、一つは二重ローンの問題。これは、考えますと、七月の二十九日ですか、そのときに参議院を実は通過いたしております。その問題と、そして私がお聞きしたいのは、復興特区と復興庁設置法、これについてまずお伺いをいたしたいんです。

 この二重ローンの法案について、まず、これは安住財務大臣が国対委員長のときに、たしか、次期臨時国会で成立させる、こういうことであったと思いますが、残念ながら臨時国会では成立できませんでした。これは、総理、いつ次の国会が始まるかわかりませんが、私は、冒頭ででも成立をさせる総理のお気持ちがあるのかどうか、そしてまた、特区法案と復興庁設置法、これをいつ出されるおつもりなのか、まずそのことをお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 確かに、先生御指摘のように、私と当時の逢沢委員長と漆原委員長の間で、できるだけ臨時会でということでございました。

 先生初め、精力的にやっていただいていることはわかっておりましたけれども、今回の臨時会の会期の中では間に合わなかったということでは大変申しわけなく思っておりますが、今先生お話ありましたように、我が党の方でも近藤委員を中心にやっておりますので、次の臨時会の冒頭にはぜひ処理をしていただければ、私の書いた証文もちゃんと守られるのではないかなと思っておりますので、期待をしております。

平野国務大臣 復興特区法、復興庁法案につきましては、次の国会が開会され次第できるだけ速やかに提出すべく、今準備を進めております。

石田(祝)委員 ちょっとパネルを出します。これは、前臨時国会の予算委員会で我が党の石井政調会長が使ったものと全く同じパネルであります。

 あれから政府の中でもいろいろな御議論があったと思います。いろいろと今新聞等にも、復興特区の内容というのが五月雨式にマスコミにも出ておりますので、正式な中身、閣議決定したものというわけでは当然ないでしょうけれども、どこからかそれらしいものが出てきて新聞紙上に載っている、こういうことだろうと思います。ですから、あながち的外れ、全然違っているよということではないと思います。

 大臣、総理でも結構ですけれども、この復興特区のポイント、強力な法人課税の特例措置、条例による法律の上書き、土地利用の手続の一元化、特区ごとに国、地方の協議会を設置と。けさの新聞を見ますと、「復興特区での設備投資 初年度に全額を償却」、こういうことも新聞には出ております。我が党の提案も踏まえていただいていると思いますが、どうでしょうか、この四つが特区法案の中に全部入っていますか。

平野国務大臣 そこにある四項目の中で、一番、三番、四番、ここについては、十分議論した上で規定を盛り込んでございます。

 それから、二番目にある条例による法律の上書きにつきましては、これは総合特区法案のところでもかなり議論したのでありますが、政府として法律の上書きというものを閣法の中で入れるということについてはなかなか難しいなということを感じておりまして、このことについては、可能であれば国会の方で、立法府で議論をいただければありがたいなという思いをしております。

石田(祝)委員 今、大変大事な御発言があったと思います。特区法案については閣法で出すけれども、この中の二番目については国会でしっかり議論をしてやってほしいと。これは、大臣の立場で閣法を出すという段階ではこれはなかなか自分たちではできない、しかし、国会の中での議論をやって、これは入れてもいいんじゃないかな、こういうことを言外に言っているようなことではないか。

 実は、復興基本法の議論の中で、やはり与党の、民主党の方もおっしゃっている人がいたんですよ、これは閣法では出せないと。しかし、ぜひ公明党さん、やってもらいたい、私たちも賛成だ、こういう方も、一人じゃないですよ、複数の方がいらっしゃいました。

 これは、なぜそういうことを私が申し上げるかというと、今回の被災は、それぞれ地域によって違うんですよ、災害の顔というものが。だから、法律という全国一律のものじゃなくて、やはり自分の地域をどう復興させていくかについて、法律ではこうだけれども、隣の町と違う被災の状況から、自分たちはこうしたい、こういうものが私はあると思うんですね。ですから、それを何とか私たちはかなえてあげたい、こういう思いで、条例で上書きができればと。

 これは、条件を私たちもつけております。その後の国会でしっかりと認めてもらわなければそれで終わりだよ、こういうことも条件としてつけておりますけれども、やはりこれは、地域の声を最大限に復興に生かす、こういう観点でございますので、特区法案を出されたら、多分この委員会で議論になると思いますけれども、私たちはしっかりと、また与党の御理解もいただいて、被災地の思いがかなえられるような法案にすべく、これは国会での修正ということも当然考えていく、こういうこともまず申し上げておきたいと思います。

 それでは、次に参りまして、復興庁についてお聞きをいたしたいと思いますが、この復興庁についても最近にわかに新聞に記事が出だしてまいりました。

 これは平野大臣にお伺いをいたしたいと思いますが、大臣もあちらこちらで復興庁についていろいろなお話をなさっております。

 これは新聞の記事ということでまず御了解いただきたいんですが、ですから、てにをはがどうだったかとか、すべてを見てというわけではありませんので、その点だけは御了解いただきたいんですが、一日に東京で開かれた会合で、平野復興担当大臣はこういうことをおっしゃっております。復興庁について、東京と地元に置かなきゃいけない、そして東京都に復興庁の本部を置く、岩手、宮城、福島、被災三県にはそれぞれ支部を置く、そしてその中で、県内にもそれぞれ出先を置こうかというお話もなさったようでありますが、この記事の中で、「地域から上がってきた意見を調整し、各省に割り振ることが主になる」、こういう括弧書きで記事が載っております。

 これは大臣の発言ということで多分括弧をつけていると思いますが、復興基本法をつくったときの私たち、民主党を初め自民、公明、その立法者の意思とは異なっていると私は思いますが、大臣のその発言が一〇〇%正しいかどうかということも御意見があろうかと思いますので、その点も含めてお答えをいただきたいと思います。

平野国務大臣 復興庁につきましては、今、法案を提出すべく準備をしているところでございます。その復興庁の基本的な考え方でございますけれども、これは復興構想会議の中にも出ていますが、復興の主体は地域である、あるいは市町村である、そういう前提に立って制度を組むことが大事だというふうに思っております。

 私が申し上げたのは、復興庁にあらゆる権限を集中して、これやれ、これやれというふうな省庁は考えておりません。今、地域が主体となって復興計画をつくって、土地利用計画等々の調整を進めています。その調整の結果出てきた復興計画が円滑にできるような環境をつくる、これは復興庁の責任であろうし、仕事でございまして、そのために、復興特区あるいは復興交付金、こういったものを考えているということでございます。

 あわせて、各省が今さまざまな取り組みをしておりますけれども、そういった各省の主体的取り組み、こういったものを結集してやるということも復興庁の役割だ、そういう趣旨で申し上げまして、その過程の中で、組織については、県レベルで復興局というものがあるという構想もある、本部については、本部と言ったかあれですけれども、復興庁の本部は今のところ東京で考えているというような、そういう趣旨で申し上げたと思います。

石田(祝)委員 大臣、それは、閣法も出されている、また自民党も提案された、そして私たちも案をお示しした復興の基本法、そのときの修正の協議の、いわゆる与党も入っての立法者の意思とはちょっと違っていると私は思いますよ。

 もともと政府が出してきた案は、復興庁の設置については、附則で、一年後に必要かどうか検討する、こういう中身でしたよ。それを、やはりこれではまずいということで本則に入れて、なお実施の事務もやらそう、こういうことで相当な議論をしましたよ。その結果、いわゆる総合調整だけじゃなくて、実施の事務も明確に法文に書かれております。

 ですから、私は残念なんですが、一日に、これがそのまま一字一句違わずとは私はわかりませんけれども、平野大臣の括弧書きで新聞に書かれているのを見ると、これは受け付け官庁ですよ、はっきり言って。だから、これが違っているんだったら、しっかり書かれた人にそれは違うよと言ってもらいたいと私は思いますし、今の御答弁も立法者の意思とは私は少々ずれていると。ですから、これはまた復興庁法案を出されるでしょう、出されたときに、復興基本法という大もとになった法律にのっとって、私たちはしっかり、復興庁が本当にワンストップで被災地の皆さんの期待にこたえられるような、そういう役所にしていかなきゃいけない。

 それで、大臣は、これも恐縮ですが、私の地元の新聞なんかも書いているように、十二年度の概算要求に具体的な人員や経費を盛り込めなかったので、平野復興担当大臣は肩を落とした、こういうふうな書き方になっておりますので、どういうことがあったのかわかりませんが、相当頑張っていただいたということはあるとは思いますけれども、残念ながら、当時の復興基本法の立法者の意思、また被災者の御期待にこたえるものに、今の段階ではどうもなっていないのではないか、こういうふうに言わざるを得ないと思います。それは、いずれ次の国会が始まったらお出しいただくということですから、そのときには私たちも基本法にのっとってしっかりとやらせていただきたいと思います。

 それでは、この点で最後に一つお聞きしたいんですが、総理は予算委員会のときに、自由民主党の齋藤委員の質問に対して、本部は現地に置く、こういう答弁をなさっていますね。復興担当大臣は本部は東京だと言っている。総理が現地だと言っているのに、復興担当大臣は東京だと言っている。これは総理、どうなんですか、総理の発言を大臣が覆しているということですか。これははっきりおっしゃってください。

野田内閣総理大臣 正確には平野大臣がお話をしたとおりでございまして、若干私の方は言葉足らずだったと思うんですけれども、現地に復興のための組織を置いて後押しをしていくという意味で申し上げたんですが、復興庁本体という言葉で語ったものですから、誤解を呼んだと思います。そのための局をそれぞれに置いていくということで、復興のための組織を置く、そういうことを念頭に置いて発言したものでございました。

石田(祝)委員 これはたしか衆議院の予算委員会の二日目だったと思いますから、その後、参議院でもそういうチャンスがあったと思いますが、私も衆参の予算委員会の会議録、斜め読みといえばそうかもしれませんが読みましたけれども、総理はそれに対して、いや、こうだったんだよ、真意はこうだよという御説明は多分なかったと思います。

 ですから、こういう会議録の残る国会の中での発言としては、総理の現地にというものと、そして平野復興担当大臣が、国会の外ででしょうか、東京だ、こうおっしゃっていることしか残っていないんですよ。だから、総理はそれを訂正して、東京だ、こういうことなんですね。

 では、ちょっと時間がないので、それで結構でございます。

 引き続きまして、仮設住宅についてお伺いをいたしたいと思います。

 これは、九月の三十日に厚生労働省が調査をして発表した、こういうことでございます。これにつきましては、私はこの御努力は多としたいと思いますが、小宮山大臣、簡単に、この調査の結果をごく短く簡潔にお答えいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 アンケート調査の結果でございますけれども、応急仮設住宅に入居する三千二百三十一世帯に聞きました。その調査で、冬の寒さに対する主な御意見がございまして、二重サッシとかペアガラスが必要、壁に断熱効果がない、玄関をあけると雨や風、雪が入り込むので囲いをつくってほしい、そのような御意見が寄せられております。

石田(祝)委員 時期は厚生労働省よりも若干早いんですけれども、私たち公明党も、宮城県本部が中心になりまして、六月末から七月二十日ぐらいにかけまして、県内九市七町、これで千五百十八世帯、主に面談を中心に調査をいたしました。中身は、世帯構成とかそういうものについて、また困っていること等についてはこの調査と、厚生労働省の調査と大体一致をしておりました。

 それで、時期が若干早かったものですから、今どういうことが心配されているかといいますと、これからは寒さですね、冬に向かっていく。考えてみますと、三月十一日の発災のときも、雪まじり、みぞれまじりの中で避難所で本当に御苦労されている姿を私も拝見いたしました。それから夏を越えて、今度はまた冬に向かっていく。

 そういう中で、仮設住宅、断熱工事もしていただいているようでありますけれども、大変希望が多いのは、今、大体二DKが中心の間取りですが、エアコンが一つあるんですね。このエアコンについても、追加でエアコンもいいよ、こういう通知も発出をしていただいたようでありますけれども、希望が多いのはストーブなんですよ。これは私は心配して、火災報知機がそれぞれの部屋にあるのだろうか、こうお聞きしましたら、それは全部ついていると。

 火事のことはそれぞれ気をつけていただかなきゃいけないと思いますが、ストーブをぜひというお声があります。これについて、寒さ対策としていかがでしょうか。

小宮山国務大臣 寒さ対策につきましては、御党の調査結果も拝見いたしましたが、万全を期していきたいというふうに思っております。

 今御紹介あったエアコンの追加設置、それから窓ガラスの二重化、断熱材の追加など、これは取り組みを強化するように被災県に促しておりまして、今お話にありました石油ストーブでございますが、これは災害救助法に基づいてやってきたので、これまでストーブは対象になっていませんでした。けれども、これから被災県、本当に寒い地域で冬を迎えるということもございますので、御要望のあります石油ストーブなどの暖房器具、これはホットカーペットですとか電気こたつも含めまして、応急仮設住宅にお住まいの方々に対して供与ができるように検討していきたいというふうに考えております。

石田(祝)委員 これはぜひよろしくお願いしたいと思います。検討していただくのは大変ありがたいんですが、東京と違って冬が早く参りますので、その点はよろしくお願いをいたしたいと思います。

 引き続きまして、私もたびたび宮城県、被災地、また岩手にも参りましたが、福島にも参りましたけれども、特に宮城の仙台、ここは三月十一日というよりも、四月七日の余震のときに大変大きな被害を受けている。これは土壌ですね、要するに地盤が崩壊している、こういうところです。東黒松だとか折立だとか緑ケ丘、青山、こういう地名を私もお聞きしながら、そういうところを御説明いただきました。

 そこで、きょうは二点だけお伺いしたいんですが、災害関連の事業でこれはぜひと思いますのが幾つかあるんですが、その中で、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業、こういうものがございます。もう一つ、急傾斜地の崩壊対策事業、こういうものもあるんですが、特にのり面等、またがけ等の下に道路があったり、またお家があったり、こういうところののり面等がひびが入っている場合があります。

 これについて、人工のそういう構造物については今はなかなか難しいということでありますが、阪神大震災のときに砂防部長が特例措置の通知を出した、そして、人工のところも対象だ、こういうことをしていただいたようであります。今回はまだその通知が出ておらないようですけれども、これはぜひ早く出して安心させていただきたいと思いますが、国交大臣、いかがでしょうか。

前田国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、阪神震災、あるいはまた中越においてもそういった措置を講じました。今回もそのような方針で、今対策を急いでいるところでございます。

 適用対象等について今調べているんですが、とにかく早い復興につながるように、また今回の特性を踏まえて、どういうように広げられるか、その辺も検討しております。

石田(祝)委員 もう一点、大規模盛土造成地滑動崩落防止事業、こういうのもあるんですが、これが補助率が四分の一なんですよ。これはいかにも低い。この四分の一を少なくても半分以上に私はぜひしていただきたいと思いますが、この点、いかがでしょうか。

前田国務大臣 御指摘についても、補助率のかさ上げ等、今鋭意検討中でございます。

石田(祝)委員 時間がなくなってまいりましたが、最後になるかもしれません、農林水産大臣にお伺いをしたいと思います。

 今回は、沿岸部に大変被害がありました。いわゆる水産業に対する被害、それを何とかしなきゃならぬ。そして、水産業の方は船があれば、魚はいるんだ、こういうことで、第一次補正で共同利用漁船等復旧支援事業、これを、五月二日に第一次補正が通りましたよね、そのときに約二百七十四億、こういう予算でありましたが、これは現在、九月末で、一体どれだけお金が出されているんですか。

鹿野国務大臣 この事業が、四月一日以降着手しているものから補助の対象としておりまして、九月末現在で約七百隻が復旧をいたしておりまして、予算の執行につきましては、北海道に十四億円の交付決定済み、岩手県は近日中に百二十億を交付申請する予定、北海道には九月二十七日、二千六百万円、こういうような状況でございます。

石田(祝)委員 最後になりますけれども、五月二日に予算が通っていますよね。今、五カ月ですよ。五カ月で支出された金額が二千五百万ですよ、二百七十四億を予算つけて。これはいかにも遅いじゃないですか。申請がないからということもあるかもしれませんけれども、やはり予算を、一次補正を、私たちも大変な協力をして早く通そうと、たしか四日間ぐらいの審議で、五月二日に成立したと思いますよ。それで、五カ月たって、二百七十四億の予算で二千五百万ぐらいしか支出されていないんですから。

 これはもう時間がありませんので答弁は結構でありますけれども、そのほかの事業も、これはせっかく組んでいるわけですから、支出がまだされていないだとかごく一部だとか、お金がないんじゃない、あるんだけれども金庫に眠っているわけですから、こういうことのないように、事業が進むように、ぜひ一段と御努力をお願いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 この際、高木美智代君から関連質疑の申し出があります。石田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。機会を与えていただき、感謝申し上げます。

 閣僚の皆さんは、先ほど来伺っておりますと、福島原発は収束に向かっているとおっしゃっていますが、とんでもないと思います。原発自体はそうかもしれませんが、地域にはますます問題が重なり、また広がっております。私もたびたび福島に行っておりますが、放射能によって、福島の方たちの心はずたずたに切り裂かれております。政府の考えは甘いと申し上げざるを得ません。その福島県民の悲しみ、苦しみをわかった上で政治に携わっていただかなければならないと思っております。

 私は、きょう、怒りの声を紹介させていただきたいと思います。

 これは、南相馬市の子供がお母さんに訴えた言葉です。僕には未来がないんだよね、三十年後にがんになるから。また、福島市の渡利地区のお子さんで、マスクを外さないお子さんがいます。そのお子さんが、やっぱり、僕、被曝しているんでしょう、こういうお声です。また、あるお子さんは、これまで三回避難をして、三回転校しました。また引っ越すから、もうお友達はつくらなくていいよね。私も二人の娘を持つ親でございますが、この子供の希望の見えない声に、胸が張り裂けそうになります。

 また、きのうの報道では、長野県のNPO法人と信州大学病院が福島県内百三十人のお子さんたちの健康調査をしたところ、十人のお子さんの甲状腺機能に異常があった、変化が見られたとありました。当初、沃素剤を投与すべきとアメリカが主張したにもかかわらず、それを断ったのは政府です。これは国の責任ではありませんか。

 そこで、総理、まず申し上げますが、こうした子供やまた親御さんの不安を一刻も早く解消するには、正確な検査が不可欠と思います。早急に、福島の子供のすべて、三十六万人に対して血液検査を行うべきと考えます。予定している超音波検査では、全く足りない、腫瘍になるまでわからない。この対応をどのようにされるのでしょうか。

 また、内部被曝についての不安に対しましても、市町村単位をめどにホール・ボディー・カウンターを設置して、早急に配備して、内部被曝検査の早期実施、またそのための検査人員の増強等を図るべきと考えますが、お考えを伺います。

枝野国務大臣 福島を初めとして、特にお子さんをお持ちの親御さん、あるいはお子様御本人も、被曝による健康被害の不安というものに大変つらい思いをされているということをしっかりと受けとめて、そうした不安を少しでも解消できるようなさまざまな施策を進めてまいらなければならないと改めて決意をいたしているところでございます。

 そして、一部の報道にございました甲状腺機能についての調査の結果というものを、私も最初、見出しを拝見しましてびっくりいたしまして、調べさせているところでございますが、IAEAやWHOの国際機関の見解では、甲状腺機能低下症は、甲状腺の被曝線量として五千ミリシーベルト以上の線量を浴びなければ生ずることはないとされております。このため、甲状腺がんの方に着目をした健康管理を行うということで、十八歳以下の方全員にまず甲状腺の超音波検査を行うこととしたところでございます。

 ただ、こういった国際機関の見解は出ておりますが、当該報道のようなことをごらんになれば、親御さんを初めとして不安になられるというふうに思いましたので、今、例えば、同じような調査を事故の前にやっているデータとか、あるいは今回の事故の影響を受けていないであろう例えば九州とか沖縄の皆さんのところで同じようなデータがないのか、本当に今回出てきたデータが原発事故の影響によるものではないということを裏づけられるようなデータとか調査とか研究とかはないのか、そういったことも厚生労働省とも連携をして調べてみろと。そういったことがあれば御安心の要素になるだろうし、そうではないとしたら、さらに、さまざまな知見を集めて、本当に今回発表されたデータに基づいて、大丈夫なのかということをしっかりとチェックをしなきゃならないというふうに思っております。

 それから、ホール・ボディー・カウンターについては、二次補正で九百六十二億円を被災者・子ども健康基金に計上し、福島県を全面的に支援しているところでございます。この中でも、新たに五台の移動式ホール・ボディー・カウンターを福島県がこの基金で購入するという予定であります。

 もちろん、県、あるいは県と一緒にやっている例えば福島県立医大などを初めとして専門家の皆さんとも御相談をしながら、あるいは厚生労働省とも連携をしながらやっていかなければなりませんが、できるだけきめ細かく被曝線量についての調査ができるような、その努力はしっかりと関係機関と御相談をしながら進めてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 お母様たちは、三・一一以降に政府が何も教えてくれなかった、だから子供を外で遊ばせてしまった、また、水をもらうために五時間も六時間も並んでしまった、わかっていれば子供を外に出さなかった、何かあったら自分の責任だ、こういう恐怖、そしてまた、その後もずっとそこで生活をしている内部被曝の恐怖、こういう、不安というよりも恐怖と今闘っていらっしゃるんです。

 大臣、安全と安心は違うんです。個々にまた全部違うんです。安心をどう確保するかということ、これが今政府に一番求められていることではありませんか。そこに手が届かないから、いつまでたっても福島の方たちがこの恐怖におびえなければいけない。残っている方たちも、また避難した人たちも、同じ苦しみをそれぞれが味わいながら今闘っていらっしゃるというのが福島の現状ですから、当然ほかの地域との比較もあるでしょうが、やはりこの血液検査、予備費を投入して、日本の未来を、福島の子供の未来を育てるつもりで、ぜひここはやるべきと考えます。

 ぜひ今後の検討をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

枝野国務大臣 安全と安心は違うという御指摘は、私もまさにそのとおりだというふうに思っております。幾ら専門家が大丈夫だと言っても、本当に親御さんなり御本人なりがそれで安心をしていただくことができないとしたら、それは安心をしていただくためのさまざまな努力をしなければいけないというふうに思っております。

 先ほど申しましたとおり、一例として申し上げたものでありまして、本当に安心をしていただくためにできることは何かということについては、これは医学的な知見などは厚生労働省とも御相談をしまして、何ができるかということはしっかりと検討してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 早急な検討をお願いいたします。

 また、公明党が強く主張いたしまして、全県民対象の健康管理調査が始まりました。また、子どもを守る緊急プロジェクト事業もスタートをしております。その中に、ガラスバッジの配付がございます。これは、十五歳以下の子供、妊婦に配付されまして、そのバッジをつけていますと、日常生活の中の放射線の積算量がわかる、そういうシステムでございますが、高校生には配付をされておりません。不公平だという声が高校生から上がっております。

 これは、今福島に残って頑張ってくれている子供たちに対して、政府の補償の一環として、高校生まで医療費の無料化をしてはいかがかと思います。中三まで既に無料化をしている福島の自治体も多くあります。補償の一環として実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 補償ということになりますと、原発事故との相当因果関係がある健康悪化や疾病などが万が一生じた場合には、これはすべて東京電力の損害賠償の対象となってまいります。

 ただ、それを超えて、まさに健康チェックなどのところでどこまで何ができるのかということについては、これは厚生労働省の方で、まさに医療政策の、あるいは被害者に対する支援という範囲の中で御検討いただくことだというふうに思っております。

小宮山国務大臣 公的医療保険制度の中では、被災地にお住まいの方で住居が全半壊、全半焼などの被災をされた方ですとか、原発の事故に伴って政府の避難指示等によって避難を余儀なくされた方に対しては窓口負担等を免除しております。

 おっしゃいました高校生までの無料化ということでございますけれども、福島県下の子供たちの医療費について一律に高校まで無料化するということは、ちょっと医療提供体制の確保ですとかほかの施策との関連でなかなか課題があるのかと思っております。

 引き続き、個々の状況に応じてきめ細かく対応できるように検討させていただきたいと思います。

高木(美)委員 小宮山大臣は子育て支援をずっと一貫してやっておられたわけですから、そういう冷たい答弁はないと思います。やはり福島の現実の子供たちと向き合いながら、若いお母様たちと向き合いながら、一度タウンミーティングとか、小宮山大臣と枝野大臣と御一緒にやられたらどうですか。現地のそういう生の声を、本当に悲しみの声を聞いていかなければ、政策はそこからしか出てこないと思います。あれがある、これがある、いつもそういう答弁ではありませんか。私はもっと心のある政治を求めたいと思います。

 また、重ねまして、今福島は学校給食では安全を確保するために県外の野菜を使用しまして、県内野菜は、福島県産は一切使われておりません。農家の方たちからは、学校給食に野菜を納めてきた、それが今全部打ち切られた、引き取り手がない、補償してほしい、実はこういうお声もあります。こういう声もあるということを、きょうお越しいただいております東電の社長はぜひ認識をしていただきたいと思います。

 また、地元でとれた野菜を近くのセンターに持っていけば、そこで計測できて、その地元産のものが食べられるのかどうなのか、自分がつくった野菜を食べられるのか、そういうシステムの整備を求めるお声も多くあります。

 福島ブランドがまた販売できなければ、復興にもつながりません。放射能検査した食品については、これは出荷用になると思いますが、検査済みシールを張るとか、やはり見える化をはっきりして、これは大丈夫です、そういうはっきりとしたメッセージを出し、安心を提供すべきではないかと思いますが、お考えを伺いたいと思います。

山岡国務大臣 基本的に先生のお考えはよく理解をさせていただいております。

 先生十分御案内のとおり、一般論でいくと、食品の放射性物質についての検査等々は都道府県において今行われているところでありまして、暫定規制値を超えるものがあれば、原子力災害対策特別措置法に基づいて、出荷制限あるいは市場に流通しない、そういう措置がとられておりますので、まずもってそのことを徹底させていく必要がある、こういうふうに心得ております。

 そして、現状においても、各事業者が、放射性物質の検査結果が暫定規制値以下というものについてそれぞれが表示をされることは、正確な数値であれば問題がないと思っております。しかし、これは個々の事業者が自主的な判断によって取り組まれているものであり、そういうものであるべきということで今進めております。

 そして、国の制度として放射性物質検査シール制度をと先生の御提案でございますが、非常によく理解できます。現実的な対応としては、今そのことを表示することは結構なことだと思いますが、一方においては、表示されていないものは安全性が担保されていない、こういう誤認を与えるおそれがあるものでございますから、その点については、よく理解をしつつも、十分研究をしていかなくちゃならないものと思っております。

高木(美)委員 当然、そのためには検査体制の整備が不可欠と思います。これは福島の復興にかかわる話でございますので、一刻も早く検査体制を整えていただき、それができたものについてはシールで明記をする、そこからまず始めていただくことを重ねて御要望いたします。

 ちょっと時間がなくなってきているのですが、除染につきまして細野大臣に答弁を求めたいと思います。

 今、緊急避難準備区域が解除されまして、そこに戸惑いのお声が広がっております。除染と解除の順番が逆じゃないか、帰りたいけれども、まだ医療を初めとする生活基盤もない、学校も、南相馬市では五校を再開するとは言っているが、学校の校庭の除染は終わっているけれども、通学路もその周りも何もできていない、こんな中で帰れというのは、むしろ政府は自主避難扱いにして賠償を打ち切りたいんじゃないか、こういう懸念すら生まれております。これは対応をどのようにお考えでしょうか。

細野国務大臣 高木委員御指摘のとおり、特にお子さんをお持ちのお父さん、お母さん、そしてお子さん御本人は大変な不安を抱えておられます。私も現地で御父兄、お母さんたちと対話集会をやったことがありまして、特に残っておられる御家庭が非常に精神的な御負担も感じておられるので、非常に重要な御指摘をいただいたと思っております。

 御指摘の緊急時避難準備区域でございますが、ここの地域に関しましては、もともと放射線量ということで区域に指定されたわけではなくて、炉の危険がまだ考えられるので指定をしたという経緯がございます。ただ、一たん出た方が戻られるというのは、皆さん、それこそ物すごく大変な思いをされた後、戻られるわけでございますので、除染を徹底するということは極めて重要であると思っております。

 五市町村ございます。それぞれの市町村ごとに復旧計画をつくっていただいておりまして、いつごろ学校を開きたいと思っておられるのか、そこはもうかなり明確になっておりますし、行政機能の回復の時期もほぼ見えてきております。したがって、その時期までに除染をするというのが政府としての責任だというふうに思っておりまして、特に、人が余り戻っておられないところについては政府が全面的に責任を負って除染を先行させる、そういう方針でまいりたいと思います。

高木(美)委員 もう一問、細野大臣に簡潔に御答弁いただきたいのですが、大臣は除染につきまして知事に対して、除染は国の責任だ、我々の目標は一ミリ以下にする、対象は一ミリから五ミリの地域も当然国がやる、そういう趣旨の御発言をされました。これは間違いはないでしょうか。その場で、恐れ入ります、間違いないですか。はい。

 それで、要するに、自治体によりましては、既に自発的に計画を策定しまして除染作業を進めているところがあります。そこに対してはどう対応するんでしょうか。むしろ、本当に高い線量のところまで自分たちでやる、そういう計画を立てているところもあります。やった費用は全額国が負担するんでしょうか。

 これをやるときに、地域に任せますと、住民がやります。住民がやると、避難している人、残っている人、要するに残っている人が全部やる、こういう話になるわけです。今度は、避難している人が除染が終わって帰ってこられるのか。あなたはあのとき避難していたよねと言われたら帰りにくい、こういうお声も実は生まれております。こういう本当に深い心情のところを私は知っていただきたいと思うんです。

 ですから、ここは、事業会社、事業団をつくったり、またそこに福島の方たちを雇用して、民間委託をして、費用を国が負担する、こういうシステムをつくっていかなければならないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 確かに、それぞれの地域で本当に皆さんで協力してやっていただけるところとやっていただけないところ、やっていただく場所でも、なかなか怖くて参加をできないという方がおられたりして、複雑な事情があるということは私も聞いておりまして、非常に難しい課題だというふうに思っております。

 そこで、そこはこういうやり方でということですべて国の方から何か押しつけるようなやり方ではなくて、できるだけ地域ごとに即したやり方をサポートしていく、そういう方針で臨みたいと思っております。したがって、地域でやれるところについては、さまざまな費用面でのサポートはしながら地域でやっていただく。しかし一方で、やはりプロによる除染というのも極めて重要でございまして、そのことによって皆さんがまた新しい仕事につけるという面もありますので、そういう事業者にしっかり委託をする、そういう仕組みもサポートをしてまいります。

 したがって、もちろん国の責任ではございますけれども、それぞれの地域事情というのがございますので、市町村としっかり連携をしながら、地域のやり方に根差したやり方をしっかりと後押しをする、費用については国が当然責任を持っていく、そういう体制で臨んでまいります。

高木(美)委員 国の責任というふうに細野大臣はよく御発言されるのですが、具体的にどこまでどうするのか。例えば、費用も国の責任とおっしゃいましても、最終的には市町村にも負担を求めるなんということがあってはならないわけです。ということも含めまして、また明確な、除染につきまして国としてどう考えるのか、はっきりとした計画をお示しいただくことを要望させていただきたいと思います。

 そこで、総理に申し上げます。

 今さまざまお話を聞いていただきまして、ここにもありますとおり、総理が福島の復興なくして日本の復興はないとおっしゃいました、まさに福島の復興は国の責任でございます。これだけの、まだまだ書き切れないたくさんの課題があるわけでございますが、総理は、就任早々、公明党の公明新聞の「直言」を読まれてすぐに行かれたということも伺っておりますが、二カ月に一度は福島の現地に足を運ばれ、進捗状況を御自分で確認してはいかがかと思います。

 私も毎月一、二回伺っております。被災者に寄り添う意味から、各大臣も当然のことながら、総理みずから足を運び、そして課題を解決し、福島県民を勇気づける。世界が注目する福島の復興でございます。総理のお考えを伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 まず、私以外でも、平野大臣、細野大臣などは頻繁に福島に入って、現地の声もよくお聞きしながら対応していると思いますが、御指摘いただいたとおり、九月の八日に、まずは、総理に就任してから最初に福島に入りました。また近々お伺いをして、現地の状況をよく踏まえた適切な対応をするべく努力をしていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 もう一つ総理にお伺いしたいと思います。

 震災対策全般、特に復興庁につきまして申し上げさせていただきます。

 この復興庁につきましては、先ほど石田委員からの質問もありましたとおり、公明党が提案をし、復興基本法に盛り込まれたものでございます。

 その骨子案では、各省より一段高い位置づけにするという趣旨にされております。また、総理を長として、事務を統括する復興大臣を置く。名称は復興大臣という名前にはなっておりますが、その大臣は担当大臣、いわゆる無任所大臣であって主任の大臣ではありません。そういう大臣ではないわけです。内閣法に十四人の国務大臣の枠がありますので、そのためにふやせないという事情はよくわかります。しかし、総理、この主任の大臣枠をふやすということを本当に考えなくていいんでしょうか。

 前回の内閣法、余りよくない内容でしたので、我が党は反対をいたしました。しかし、復興庁につきましては、莫大な予算をつぎ込みまして……(発言する者あり)そうですね、政府の方でお取り下げになられたわけですが、復興庁は、莫大な予算をつぎ込んで、税金も使って、大きな力を発揮していただけなければ困る、むしろしっかりやってもらわなければ困るという省庁でございます。したがいまして、そこに主務大臣を置かないのはいかがかなとずっと私も考えておりました。

 実は、私は、党におきましては、内閣法の改正を担当する内閣部会長を今務めさせていただいております。しかし、あえて個人的意見を申し上げるならば、これまで想定しなかった業務でございます、また、復興が大事という国民の意思から考えますと、十分理解がされるのではないか、十年に限りという条件つきであれば、世論も恐らく賛同していただけるのではないかと考えます。

 これは、民主党さんのために申し上げていることではなく、被災した方々のために、日本の復興のためにあえて申し上げさせていただく内容でございます。どうも、今伺うところ、内閣法の改正までお考えではないようですけれども、総理、この大臣をふやすというお覚悟はおありなんでしょうか。

野田内閣総理大臣 とても有益な御提起をいただきまして、勇気づけられました。

 御承知のとおり、復興庁をつくると相当事務量も出てまいります。そういうことを踏まえると、国務大臣を増員して復興大臣を置くということは本当に必要になってくると思いますので、今の御提起を受けまして、真剣に検討させていただきたいと思います。

 内閣部会長という要職からの御提言も、さらに勇気づけられました。ありがとうございました。

高木(美)委員 あくまで個人的な意見でございます。

 さて、科学技術・イノベーション特別委員会に提出をしました、切り張り、黒塗りの事故時運転操作手順書につきまして東電にお伺いいたします。

 再提出を求められておりましたが、まだ委員会には提出されておりません。原子力保安院に渡したと言われていますが、いつお渡しになったんでしょうか。

西澤参考人 お答えいたします。

 十月三日、四日に、保安院の方の、経産大臣の方から報告徴収を受けておりますので、お渡ししてございます。

高木(美)委員 三日の夜、東電が原子力安全・保安院に提出した報告書によりますと、九割の非開示が妥当とあるようです。とんでもない話と思います。それはむしろ東電の考え方であって、保安院としてはすべてを出すべきと考えます。大臣、お出しになる御決意はおありでしょうか。

枝野国務大臣 まず、私からの報告徴収の指示に基づいて、保安院には全面黒塗りのないものを既にお預かりしています。その上で、情報公開法などの基準に基づいて、本当に出せないものがあるのかどうかということで、その意見聴取を東京電力から行ったところでございます。

 残念ながら、全体で見ると半分ぐらい、出せない、出さないでくれという要請をいただいておりますが、今、まずは保安院において一個一個、本当に出せないのかどうかということについて具体的なヒアリングをさせているところでございます。

 最終的には私が判断をいたしますが、例えば東京電力以外の知的所有権など、どうしても出せない部分はあるのかもしれませんけれども、最終的には私が判断をして、出せる部分について最大限公開をするという形で国会に御報告をさせていただきます。

高木(美)委員 東電にお伺いします。

 この資料は、いわゆる畑村委員会、内閣に置かれた検証委員会、ここから提出は求められておりますか。

西澤参考人 お答えいたします。

 求められております。ただ、具体的な内容はちょっと、差し控えるようにとは言われております。

 それから、先生の先ほどの御質問でちょっと訂正させていただきます。

 提出しましたのは九月の二十七、二十八日で、理由等、こういうところは、先ほど大臣おっしゃいましたけれども知的所有権の話とか、それから原子力の設備の安全上で差し控えていただければという意見書は、十月の三日、四日で出したという形でございます。

高木(美)委員 済みません、社長、出されたんですね。畑村委員会にはもう既に提出をされたんですね。取り扱いに気をつけるようにというお話だったということでよろしいですか。

西澤参考人 先生おっしゃるとおりでございます。

高木(美)委員 これは大変重要な話でございまして、畑村委員会にはすべて提出をした。恐らく、今聞くところによりますと、一号炉、二号炉、三号炉、すべて各五冊、全部で十五冊のファイルがあると聞いております。それを提出された。しかし、片方の科学技術・イノベーション特別委員会、要するに国会の調査権に基づく資料提出については協力できない、どこかはやはり、これはどこまで出せるか、そういうふうにしなければならない。これは余りにおかしい話ではありませんか。

 当然、そのために国会におきましても事故調査委員会も設置されておりますけれども、やはりこれは早急に全部委員会に提出すべきということを改めて申し上げさせていただきます。そうでなければ事故の原因究明はできません。そうでなければ、国会法の百四条に基づきまして、内閣に対し、委員会は提出命令をかけられます。だめなら、理由をつけて説明しなければならない。それがだめならば内閣声明をお出しになるんでしょうか。そんなみっともないことをされるんでしょうか。その点をよくお考えになりまして、大臣また総理の賢明な措置を求めるものです。

 事故究明、一日も早く、これは日本のためだけではなく、世界のためにもお願いをしたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 これにて石田君、高木君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 大震災と原発事故から半年以上が過ぎましたけれども、まだまだ被災者一人一人の生活の再建、そして復興の道筋が見えてはきておりません。

 日本共産党としても、全国からたくさんの救援ボランティアに応援をいただきながら、また、地元の議員さんは、みずから被災をし、仮設住宅に入っていたり、まだ避難所に入っていらっしゃる方もいます。そういう中で、本当に被災者救援のために奔走されている。そうした姿を見て一緒に頑張ってきたつもりでありますが、やはり国がもっと頑張らなければならない、そのことを強く言わなければならないと思うんです。私たちも、そのためには本当に提言も協力も惜しまない、そういうつもりでありますので、国として本当に決意と明確な答弁をいただきたい、このように思うわけであります。

 さて、九月の末に、先ほど少し紹介がありましたが、応急仮設住宅の住環境改善を求めるプロジェクトチームが、自治体と入居者個人からアンケートを集めて発表をいたしました。そして、寒さ対策、これは県ごとのばらつきが非常に多かったというのがわかったんですけれども、政府は、九月二十八日に通知も出して、断熱材等の追加・補強、畳の設置、エアコンの追加整備、また雪捨て場の配置、こうしたことを行った場合に「災害救助法による国庫負担の対象となる」、ここが大事ですので、ということを通知されたわけです。

 要望も多く、自治体で対応も非常にばらばらなんですね。ですから、本当に東北の冬が乗り越えられるように、しっかり、かつ柔軟に対応すること。そして、仮設住宅にやっと入ったと思ったら、台風で既に床上浸水の方がいらっしゃいます。二重三重に被害のあった方たちへの対応は当然災害救助法で速やかに行う、このことを確認したいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、九月三十日にアンケートを取りまとめた結果、先ほど御紹介したような、特に寒さに対する多くの御要望がございましたので、エアコンの追加設置、それから窓ガラスの二重化、断熱材の追加など、こうしたことを示しまして、取り組みを強化するように被災県に促しております。

 今委員おっしゃいましたように、被災三県で取り組みにかなりばらつきがございます。岩手県、福島県はかなり取り組まれているのですが、宮城県がちょっといろいろ取り組みがまだというところもありまして、きょう午前中も知事ともお話をさせていただきました。

 それで、今、宮城の方もようやくいろいろできるようになってきたということでございますけれども、そこがいろいろ事務的な要員が足りないというようなお話もございますので、そうしたところへの応援も含めて、しっかりと支援をしながら取り組みを進めたいと思います。

 それから、最後におっしゃいました、台風などで二重三重の被害があった地域につきましては、その被害のあった応急仮設住宅の補修等について、これは当然のこととして、災害救助法の国庫負担の対象とすること、これは関係県には直ちに連絡をしておりますので、二重三重に遭われた方に対してもしっかりとした対応をしていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 あえて私が名指しをしなかったのに大臣が県名をおっしゃいましたけれども、三県のばらつきがないように思いが込められておりましたので、よろしくお願いしたいと思います。

 政府のアンケートにも、また、私ども、赤旗新聞の調査、また議員団が訪問調査もずっとやっておりますので、やはり出されてくるのは、今後の生活に不安がある、このことであります。

 二年で仮設を出ろといっても、どこに、家がもともとあったところに建てられるのか、国、行政は住まいの展望を示してほしい、二年はすぐ来る、仮設を出た後どうなるのか、公営住宅をつくってほしい、こうした声が出されております。

 私が今回非常に不思議に思ったのは、被災した直後に被災地を歩いていますと、まだ仮設住宅に入る前から、入ると二年なんでしょうということを皆さんおっしゃるんですね。だれかがそれを言ったのかなと思うんですけれども、別に二年で区切っているわけではない、それは三年でも延長できる。だけれども、そのことよりも、なぜそういう思いが出てくるのかということにきちんと着目するべきなんです。

 つまり、自力で家を建てられる当てがない、これをどうしていいかわからないのに、仮設に入っている時間が一定来ますと、一人抜け、二人抜け、自分だけは当てがない、そういう大変焦る気持ちが出てくるんです。だからこそ、大丈夫です、仮設後の住まいはちゃんと確保されているというメッセージを早く出すことが絶対必要なんです。

 そこで、先ほど来議論がありましたけれども、一般の公営住宅よりも補助率が高い災害復興公営住宅、家賃の減免制度もございます、これは大変大事なことで。そういうことで、この復興公営住宅を、必要とする被災者にはすべて提供できるようにつくる、このことを約束していただけるでしょうか、国土交通大臣。

前田国務大臣 高橋委員の御指摘のとおりでございまして、公営住宅の整備については、一次補正においても既に相当の額を確保しております。さらには、これは当然、執行する自治体の負担のことを考えて、土地代についても補助ができるというふうにいたしました。今のところ……(発言する者あり)ちゃんと実行していないじゃないかというお話もありましたが、自治体の方で、それぞれの自治体が今鋭意取り組んでおりまして、相当の数が今出てきつつあります。

 そして、いずれにしろ、三次補正においてもさらにできるだけの支援をいたしまして、委員が御指摘のように、希望する方々にはちゃんと公営住宅が支給されるように頑張ってまいる所存でございます。

高橋(千)委員 まず、必要とする被災者にはきちんとということが確認できたと思います。

 着手はまだ非常におくれておりまして、目立っているところで仙台市で二千戸の計画が始まったというくらいであるわけですよね。そういう点で、ここで本当に必要な戸数を確保していくという取り組みが求められるわけです。

 今回非常に注目されているのが、福島県相馬市の公営住宅、今、百六十九戸予定されているということですが、これは二つパターンがありまして、パネルにしましたのは、ひとり暮らしのお年寄りなどがどのくらいいるかということを市の方で調査しまして、これはグループホームのような形をしておりまして、高齢者対応の共同住宅、これをつくる予定である。NPOに委託して、管理者もいるということであります。それから、もう一つのプランは、若い世代が将来払い下げもできるような戸建ての住宅もつくる。こういう二つのことを考えている。

 そうすると、公営住宅を今までみたいに集合住宅型でやりますと、高齢者が集まって、その後の管理が心配だとか、そういうことがこの間あったわけですね、自治体が二の足を踏む。そういう中で、やはりニーズに応じて特色あるものをつくるということがすごく大事ではないか。仮設のときは急いでいましたので、指摘をされてきたように、孤立ですとか、高齢者、障害者優先といって入ってみたらバリアフリーではなかったとか、地域のコミュニティーがばらばらになってしまった、ここを本当に配慮することが大事なわけです。

 そこで要望が出ているのは、四分の三という補助率をさらに引き上げて地方負担を減らすこと、それから、今相馬市も言っていますけれども、払い下げも可能になるように緩和をしてもらいたい。この要望についていかがでしょうか。

前田国務大臣 今御指摘のことなんですが、一つはもちろん、激甚災害に指定しておりますので、最大限の四分の三ということにしております。もちろん、地元の負担については交付税等で特別の措置もいたしますし、負担の軽減というのは最大限図るつもりであります。

 それから、払い下げの御指摘がございました。四分の一という制約があるというのは委員御存じのとおりでございます。木造であれば、そういう住宅だと木造で三十年ですから四分の一というと七・五年でしょうか、そういったことが短縮できないかという御提案も入っていたと思うんですが、そこは四分の一ということに私どもも余り拘泥せずに、地元の事情で、地元の自治体と入居者あるいは市民とのバランス等も考えた上での御提案であれば、前向きに受けとめてまいりたい、このように思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 後段の方はかなり前向きな答弁であったのではないかと思います。これまでの払い下げの期限である七年半、これにこだわらずに、地元のニーズにこたえていきたいということであったかなと思います。やはり、この払い下げ、ある程度の負担をしても自分の家を持ちたい、そういう意欲のあるうちに結論が見えてくるというのが大事だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。

 もう一つの財政の方がちょっと声が低かったかなという気がするんですけれども、実は、きょう随分議論がされておりましたが、この公営住宅の建設、またまちづくり、これは、土台となる土地をどうするかが最大のかぎになるわけであります。地盤沈下した土地のかさ上げ、それから高台移転、希望がありますが、国がどこまで支援をしてくれるかが見えないために市町村の復興計画がつくれないわけです。先ほど年内には全部出そろうだろうという平野大臣のお話もあったと思うんですが、もっと早くつくるはずだったんだけれども、国の姿勢が見えないということで市町村が待っている事態もあるわけです。

 宅地被害、液状化も含め、復興交付金の中にまちづくりを一体として入れるということが今度の補正の中で検討されているということを聞きました。自由度が高く、ワンストップで、しかも地方負担をなるべく減らすんだというのが復興の基本方針にも書いてありますので、期待をしたいんですけれども、これは一番基本となる問題ですよね。要するに、住まい、土地をどうするのかということ、これをみんな交付金という中に丸め込んでしまうと、本当にできますかということを言わなければならないと私は思うんです。

 だから、必要なことはちゃんと名前をつけて出して、これをやりますということを言って、それ以外に、私は本当は基金がいいなと思っていたんですけれども、自治体が自由に使える自治体独自のお金に組み込んでいくのが大事なのではないか。例えば、一部損壊だけでも五十八万戸数以上あるわけですよね。そういうのに、今、自治体独自の助成制度をやっているわけです。そういうところにも手が回るような仕組みの方が本当はいいのではないかと思うんですが、これは総理に伺います。

古賀委員長 平野達男復興担当大臣。(高橋(千)委員「呼んでいないんですけれども」と呼ぶ)手を挙げられました。

平野国務大臣 私は呼ばれなくても出席が義務づけられておりますので、気になさらないでも結構であります。

 復興交付金につきましては、今おっしゃったような高台移転についても交付金の中に含めようと思っております。私は、これを入れたからといって補助率が変わるわけではない、制度が見えなくなるというわけではございません。パッケージとしてお示しした方が自治体は理解をしやすいのではないかというふうに思います。

 あわせて、使い勝手のいい交付金あるいは基金という話は長島委員からも御議論がございましたけれども、使い勝手のいい交付金というのもこの復興交付金の中でぜひ実現をしたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 総理は、九月二十日の閣僚委員会で、復興関連予算について、青天井でいい、しっかりと要求を出していただくと述べたと報道されているわけですね。ですから、予算は青天井だ、出すだけは出したんだけれども、組んでみたら頭打ちということになっては、やはり、メニューだけはそろったんですけれども、できませんよ、つまりこの枠しかとれませんよとなったら、では我慢しなきゃいけないのかいということになりかねないんですね。

 ですから、地方の要請にはこたえていくんだということを一言おっしゃっていただけますか。

野田内閣総理大臣 基本的には委員の御指摘のとおりです。被災地の実情を踏まえて、被災地のニーズに合わせて事業を行って予算を組んでいくということで、その意味で青天井という言葉を言いました。国が勝手にかさを決めちゃうんじゃなくて、出てくるニーズについてはちゃんとこたえていこうと。

 ただ、これは、とかくありがちなのは、役所が悪乗りをする可能性もありますので、そこは精査しなければなりませんが、被災地の実情をよく踏まえて、必要な事業はしっかりやっていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 悪乗りという表現はどうかとちょっと思いますけれども、本当に必要なものが、しかも待たれていたものが、地震が起きて、津波が起きて、原発事故が起きて、真っ先にやるべきことがここまでおくれたということがあるわけですから、本当に必要なものが青天井に出されたいろいろなものに紛れてできなくなるということがないようにということを重ねて指摘させていただきたい、このように思います。

 さて、福島の皆さんにとっては、やはり仮設住宅の訪問をして尋ねていても、もっと先が見えないということで、深刻な声が寄せられているわけであります。その話をしていきたいと思うんです。

 九月三十日に、緊急時避難準備区域が解除されました。該当する五つの市町村、川内村、広野町、南相馬市、田村市、楢葉町、それぞれ、帰還の目途、これは来年三月というところもあれば来年中にというところもございます。ばらばらですけれども、国が一斉に解除を宣言した理由は何でしょうか。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

枝野国務大臣 これについては、原子炉の状況で、解除が可能な状況という時期が来ました。それに、その前からなんですが、周辺自治体の皆さんとは、解除されたらどういう段取りでどういうことをすれば実際にお帰りいただけるかということを相談いたしまして、その上で、実際に解除できる状況、環境になった段階で、おおむね一カ月ぐらいをめどに計画を相談しながらつくりましょうということを申し上げました。

 そうしたことの中で、実際に復旧計画をまとめて提出いただいた時期がほぼ同時期でございましたので、だとすると、こっちが早いとかこっちが遅いとかということのずれが出るというよりは、一斉である、どこかにお待ちをいただいたりとか、どこか無理やり急がせてというようなことはなく、ほぼ同じ時期に計画ができ上がったということで、同時期に解除をいたしました。

 そのかわり、それぞれの地域の事情に応じて、その計画の中で、御指摘いただいたとおり、実際にお帰りいただける時期等については、これはずれが出ているということでございます。

高橋(千)委員 今回の緊急時避難準備区域の設定が、やはり原子炉の安定性に着目して、避難に余裕を持たせる区域指定である、ですから直接放射能の汚染とリンクしているわけではないというのが説明であったのかなと思うわけですね。

 しかし、それに向けて、五市町村の全部の復旧計画が手元にございますけれども、それぞれの市町村が計画を出した。一番最初に出して、来年の三月に帰りますと宣言した川内村の遠藤村長は、自分たちが出さなければやはり国がその気にならない、そういう決意でつくったということをおっしゃっておりました。

 やはり、これは四月に指定をしたわけですから、長い時期がかかっていて、いろいろ不自由な暮らしぶり、あるいは矛盾を抱えたままですから、解除イコールもとどおりにならないのは当たり前のことなわけですよね。帰れない、先が見えない、帰っても田んぼや畑はできないと思う、つくっても食べられるかどうかわからない、新鮮な野菜を食べられないのがつらい、生活空間の除染も終わっていないのに解除を言うのは順番が逆、除染をして、安全だから解除するというのが筋だと思う、帰れるものなら戻りたいですが仕事もありません、こういう被災者の声にこたえるべきだと思います。

 南相馬市では、区域内の五つの小中学校が今月再開するようですけれども、児童から戻りますと連絡があったのはわずか十一人のみだったと読売新聞が報じているところであります。こうした実態を本当に受けとめていただきたい。

 そこで、損害賠償が、解除した後の避難は対象にならないということはまず絶対ないということを一つ確認したいということ。それから、自治体の復旧計画は、国の支援なしにはできないということが本当に書かれています。除染だけではないんです。ライフライン、雇用、医療、教育、全般にわたる、これに対してきちんと全面的に支援していくということをおっしゃっていただきたい。

枝野国務大臣 御指摘いただいたように、解除をしたからといってすぐ帰れるわけではない。除染のこともあります。インフラの整備、復旧のこともあります。

 したがいまして、この解除は、警戒区域で立入禁止のところを解除しましたから、さあ、今まで全く入れなかった人が戻れます、入れますということとは意味が違いまして、まさに解除をして、解除をしたことによって実際の本格的なインフラの復旧であるとか本格的な除染にいよいよ着手をしますということで、したがって、しっかりとした計画に基づいて、具体的に帰っていただく時期について地域の事情に応じた計画をつくっていただいた、こういうものであります。

 そして、当然のことながら、このインフラの復旧であったり、除染はもとよりでありますけれども、こうしたことについては関係各省とも連携をして、しっかりと、財政的な面を含めて、自治体と一体で仕事を進めていかないと、それぞれの自治体、財政的にもそうですし、それから実際に町役場の皆さん、村役場の皆さんも避難をされてきていたりとかという経過、さまざまあります。ここについては万全を期してまいりたいというふうに思っております。

 また、賠償についても、解除をしたから、そこから先、避難をしていることについて賠償の対象にならないとは全くなりません。まずは、そもそも、国も御相談をしてつくった各自治体の計画でございますので、その計画に基づいてお帰りをいただくことが想定されています。さらに、その計画でお帰りいただくという時期についても、無理やり帰るというような線を引くわけではありませんで、ここまでには何とか帰れる状況をつくりますという計画でございます。

 実際に、原子力損害賠償紛争審査会の中間指針においても、解除から相当期間後に生じた避難費用は特段の事情がある場合を除き賠償の対象とはならないと書いてありまして、逆に読みますと、相当の期間の間はしっかりと賠償の対象になります、相当の期間を経過しても特段の事情があれば賠償の対象になりますと言っております。

 具体的期間等については、今後、これは文部科学省の審査会において指針について検討をしていただけるものというふうに思っております。

高橋(千)委員 ここは反論しないつもりでしたけれども、最後にちょっと大臣が長くおっしゃいましたので一言言っておきたいんですけれども、相当の期間というふうにおっしゃいました。これは、どっちでもとれる表現なんですね。やはり、緊急時避難準備区域を設定するときに、いわき市の一部が外れましたよね。ただ解除しただけですかと聞いたら、その後四カ月ですか、同じように対象になりますということが指針に基づく結果でありました。それが相当の期間だと言われては、来年中に帰れるかどうかと言っているのに、それでは困るわけです。

 そういうことを含めて指摘をしましたので、避難の実態が続いている、町としてまだ復旧しましたと宣言できる段階ではないのですから、そこを踏まえていただくということでいいですね。

枝野国務大臣 今の相当の期間のその視点は、町や村で立てていただいた計画でこのころに帰りましょうと言っている時期から計算して、考えて相当な期間ということであると私は認識をしておりますので、解除からではありません。

高橋(千)委員 はい、確認をいたしました。

 そこで、まず、条件となる除染の問題がやはりあるわけですけれども、二十八日に政府が、線量率が五ミリシーベルト未満の地域は国の財政支援はしないと発言したことが伝えられて、大きな怒りと混乱をもたらしました、その後訂正をされたわけでありますけれども。原発に最も近い警戒区域や、あるいは今回の計画的避難区域、飯舘村などを国直轄で除染を行うのは当然のことだと思うわけです。問題は、それ以外の地域についても徹底した除染を行って、内部被曝を本当に避けるということが共通した願いであると思います。

 八月二十六日の、対策本部が出した除染推進に向けた考え方、これによれば、推定年間被曝線量が二十ミリシーベルトを下回っている地域においても、市町村、住民の協力を得つつ、効果的な除染を実施し、推定年間被曝線量が一ミリシーベルトに近づくことを目指す、また、子供の生活圏の徹底的な除染を優先し、一日も早く一ミリシーベルトに近づき、さらにそれを下回ることを目指すというのが確認だったと思います。

 ですから、一ミリにいけばよいという意味ではないのだ、さらに下回るということが目標なんだということを確認したいんですね。

 そういう中で、五ミリという突然こういう数字が取りざたされるのは、除染しなければならない地域を何かできるだけ小さくしたい財政の事情があるのかなと。それで、福島の外はもう対象じゃないよ、あるいは福島の中でも対象じゃないところがあるよ、そういうねらいが見え隠れするわけであります。

 そこで、総理に伺いたいんですけれども、放射能の被害の範囲が大量でかつ広範囲だ、大変だ、だからといって、これまで言ってきた基準を緩和するなんということは絶対あってはならないと思いますが、いかがでしょうか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

野田内閣総理大臣 間違ったメッセージが出たことは深くおわびを申し上げたいと思います。

 除染に関する緊急実施基本方針において、これは、福島県の内外かかわらず、除染の長期的目標を一ミリシーベルト以下として、国として責任を持って除染に取り組んでいくというこの基本方針は変わりません。

 このため、国は、おおむね一ミリシーベルト以上の地域について、市町村の行う除染への支援を行うこととしております。

 まずは、除染に関する優先順位等、県や市町村からの具体的な御要望をしっかりお伺いをした上で、必要な対応をしていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 今のお話は、一ミリでよしとしない、それ以下も目指していくんだということであったと思います。

 そうすれば、今、一ミリシーベルトを換算しますと〇・二三マイクロシーベルト毎時ですので、これを超えているのは千葉などにもたくさんございますし、当然、福島県だけでは足りないのだということになります。

 資料の二枚目に「予備費による事業の全体の流れ」というものがございますが、よく言われている、予備費で二千二百億除染に使いますよと言ってきましたが、そのうち千八百億円は基金でございます。福島県のみでございます。しかも、福島県にしても余りにも小さいという声が既に上がっています。「福島県外を含む」というところを見ていきますと、全体で、先ほどの農業系廃棄物処理なども入れて百八十億円。ホットスポットだけだと、本当に限られてくるなと思うわけです。

 ですから、この枠を大きく超えていくんだということを一言言っていただけますでしょうか。

細野国務大臣 先ほど野田総理からもありましたけれども、間違ったメッセージが出てしまったことについては、本当に申しわけないというふうに思っております。

 ただ、五ミリシーベルト以下を財政支援しないと言ったわけではないんです。やり方についていろいろな条件を付すようなそういった表現があったものですから誤解を与えてしまったということでございます。重ねておわびを申し上げたいと思います。

 財政的な枠組みをしっかり確保することは極めて重要でございまして、二次補正や三次補正、さらには来年度の予算、さらに二十五年度の債務負担行為を合わせると一兆一千四百億円というかなりまとめた予算をとっておりますので、それで一ミリシーベルトを目指すということで政府として責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 予算の確保については今後もやっていくということだったと思うんですが、大臣、今の、お金の話じゃなくてやり方の問題なんだとおっしゃったんですけれども、そのやり方にも問題があるんですよ。

 つまり、五ミリを超えるところは面的に除染をするけれども、それ以下のところはスポット的に、要するに、たまりやすい側溝ですとか、そういうふうなところをやっていくという説明だと、やはり、そうじゃないんだと。面的に、今もこれほどの期間がたっても、以前よりも高いところが出てきたりする。そういう原因は何かということを考えていったときに、やはり林野の影響などもあるんですから、当然、面的にやらなければならないんだということを含んでおりますので、もう一言よろしいでしょうか。

細野国務大臣 御趣旨はよく理解をいたしました。しっかりやります。

 私、かなりの除染の現場を見てまいりまして、かなり専門家と話してきたんですけれども、面的と局地的というのは、これはちょっと、なかなか二つに分けられるものではないんですね。ですから、体育館や小学校をやることもある種の面的な要素だし、地域で全体を見ながら濃いところからやるというのも面的な要素があるわけですから、それぞれの地域において全体が下がる仕組みをしっかりと確立してやっていく、そういう方針で臨みます。

高橋(千)委員 では、引き続いてお願いしたいと思います。

 そこで、最後に、そのための財源ですけれども、当然、頭の中で財源が回っているかもしれないということですけれども、私はきょうその一部を提起したいと思うんですが、本当はそのための財源は、既に国民は積み立ててきたではないかということなんですね。

 一昨日から、東電の経営状況をチェックする第三者委員会の報告が出まして、国民は必要以上に電気料金を払ってきたんだということが指摘をされているわけです。

 ただ、それだけではないだろうということが言いたいわけです。パネルを示しているわけですけれども、もともと電気料金には、太陽光促進付加金ということで、一キロワット当たり三銭取られております。東京電力の平均的な家庭の一月の使用量が三百キロワットで、九円払っているわけであります。

 そうすると、原発付加金というのは、領収書の中には出てこない、見えてこないわけですけれども、これは実は一キロワット当たり七十三銭かかっている、月二百十九円になる。

 まず、この数字が間違いありませんかということを確認したいのと、その上で、原発関係の九電力会社が積み立ててきた付加金、今残高はどのくらいになっているのか。

枝野国務大臣 ただいまの御指摘の電力料金に含まれているバックエンド費用及び電源開発促進税については、一キロワットアワー当たり七十三銭。平均家庭、標準家庭月間使用量を三百キロワットアワーで試算すると、二百十九円でございます。

 これらを積み立てた、あるいは引き当てた総額でございますが、電力九社が原子力環境整備促進・資金管理センターに積み立てている再処理等積立金の残高は二兆三千五百七十四億円。九社の原子力発電施設解体引当金の残高は一兆五千九百三十一億円です。高レベル放射性廃棄物等の最終処分の実施主体である原子力発電環境整備機構が積み立てている最終処分積立金については、これは電力九社以外の納付した拠出金も含まれておりますが、区分経理されていませんので総額で申し上げますと、八千三百七十五億円でございます。

高橋(千)委員 我が党の吉井議員もこの問題を繰り返し指摘してきたことですけれども、まず、見えていないということ、これをどう思うかということですよね。六千二百億が随分取りざたされたけれども、それよりも大きいお金が実はあるんだけれども見えていない、国民はちゃんと払ってきたということ。

 大臣は、昨日ですか、会見で、電気料金のあり方全体を見直しをするということをおっしゃっていますけれども、その見直しもあるのか。そして、やはりもう再処理というものは要らないわけですね。これをきっぱりやめるという政策的な決断をすれば十分な財源が出てくる。全部とは言わないけれども、二兆何がしのお金は出てくる。ここはいかがでしょうか。

枝野国務大臣 まず、電力料金の全体のあり方については、まさに電力の抜本的な制度見直しの中で、ゼロベースで見直してまいります。したがって、先ほどの付加金等についても、その中で見直しをしてまいります。

 それから、積み立てられているさまざまなお金についてですが、今のところ、一応これらは、今ある原子力発電所、その他の原子力発電所含めて、それらを廃炉にしたり何とかするようなためのお金として積まれているので、それらは、今後原子力政策をどうするにしても必要なお金でありますので、軽々に取り崩すわけにはいかないだろうと思っておりますし、例えば再処理のお金についても、もし再処理を今後行わないとしても、さまざまなこれまでにかかっている費用等について十分なお金が引き当てられていないというのが現時点での報告でございます。

 当然、今後の全体の検証の中でそうしたことも検証してまいりますので、その上で使えるお金があれば使っていくということにさせていただきたいと思います。

高橋(千)委員 まず、この原発付加金も含めて見直すということが最初の一歩かなと思います。

 ありがとうございました。終わります。

古賀委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 休会中審査の中で委員会を開いていただいた、このことに感謝を申し上げながら、早速質問に入らせていただきます。

 大震災が発生をしてから七カ月目、総理は、歴史的な国難から日本を再生していくためにすべての持てる力を結集しよう、こう国民に呼びかけました。野田政権が誕生し一カ月半、総理の頑張っている姿に敬意を表しながらも、理解のできない点も多々あります。時間が二十分と制限をされておりますので、三点まとめてお伺いをさせていただきます。

 まず第一点目は、政治と金の問題でございます。

 家族も住宅も失っている、そしてその中で頑張っている被災者から、九月二十七日、一審判決が出た翌日でございます、被災者から抗議と大変きついおしかりを受けました。自分自身、返す言葉もございませんでした。おしかりを受けたのは、私だけでなく、多くの議員がいるだろうというふうに思っております。政治と金の問題で政治が国民から不信感、信頼を失う、このことは大きな損失でございます。

 民主党は、二〇一〇年のマニフェストで、政治と金の問題による政治不信を払拭できなかったことをおわびしながら、クリーンな民主党、このことを打ち出しているわけでございます。しかし、払拭どころか、野田政権誕生に伴い、政治資金パーティーを開催したり、さらには企画をしている議員、閣僚含めて十六人もいる、こういう報道がされたところでございます。

 こういう状況であれば、まさに国民そのものは納得し得ない、さらには政治不信が募る、このことになるだろうというふうに思っております。政治と金の問題について、まず野田総理の見解をお伺いさせていただきます。

 第二点目は……

古賀委員長 三件まとめてですね、御質問は。(吉泉委員「三点まとめさせていただいていいでしょうか。でなければ一点一点で」と呼ぶ)

 それでは、野田内閣総理大臣。

野田内閣総理大臣 ただいま御指摘いただいた野田内閣における政務三役のパーティー、そういう報道が出ておりました。

 御指摘のパーティーの開催に当たっては、国民の疑惑を招くことのないように、みずからを律し、大臣等規範の趣旨を踏まえていただくことが肝要だというふうに思います。まずは、きちっと御本人が説明責任を果たせるような、そういうやり方をぜひしてほしいというふうに思います。

 その問題も含めて、政治と金をめぐる問題、さまざまな御指摘をいただいております。しっかりと政治家が襟を正していく、特に我が党もいろいろ御指摘をいただいておりますので、しっかりと襟を正していかなければいけないというふうに承知をしております。

吉泉委員 ぜひ、これまでこの政治と金の問題について払拭できなかった、このことについてはやはり今回の野田総理の手のもとでしっかり襟を正し、けじめをつけていただきたい、こう申し上げさせていただきたいと存じます。

 二点目は、原発の再稼働の問題でございます。

 福島原発事故の収束が見えない中で、閣僚から、二月、四月、再稼働容認、こういうふうに受け取られる発言に対して、自分自身、大変恐ろしい、そういう感じをさえ受けるわけでございます。

 きのう、玄海原発が緊急停止をいたしました。今、日本にある原発五十四基のうち、稼働しているのは十基だけでございます。再稼働しなければ企業の海外移転、産業の空洞化が加速する、こういう考え方の中で、容認する動きが強まっているのも事実でございます。しかし、いまだに収束が見えず、放射能物質の拡散がとどまることを知らない、こういう状況の中で、不安な毎日そして声が強まるだけでございます。

 先日、福島県二本松の米から、五百ベクレルと高いセシウムが検出をされました。何で、こういう思いでございます。東北は、太平洋と日本海、まさに奥羽山脈でそれぞれ今の状況、地形になっている中で、日本海側の方には飛散は来ないだろう、こういう思いもあるわけでございます。

 しかし、農林省は先日、福島県県土の約七割の森林全域を対象に放射能汚染の測定、このことを打ち出しながら、今実地測量に入ったばかり、こういう報告を自分自身受けているところでございます。

 そんな中では、再稼働ではなく、今求められているのは代替エネルギー確保であり、省エネルギー対策に総力を挙げること、このことだと思っております。まずは事故収束、事故検証に全力を挙げ、安全対策を確立し、その上で、どうしても再稼働しなけりゃならない、こういう状況のときには住民の同意を得ていくことが最低条件でなければならない、こう思っております。

 きょうも総理の方から、同じ考え方が私は答弁としてあったというふうに思っております。しかし、産業界含めて強まる再稼働について、総理の再稼働に対する見解を改めてお伺いさせていただきます。

野田内閣総理大臣 定期検査で停止中の原子力発電所の再稼働については、これは一連のプロセスを踏まえていく必要があるというふうに思っておりまして、まずは事業者がストレステストを行う、その結果については保安院が評価をする、そしてさらには安全委員会が確認をする、そして、地域の皆さんに御理解をいただいているかどうか、あるいは国民の皆さんの御理解をいただいているかどうかを含めて政治が最終的に判断をする、こういうプロセスをたどりながら、安全性の確保がまず最優先であるということであります。

 したがって、先ほどもちょっといつまでに論というのがありましたけれども、電力の需給の関係で、経済界を含めて、例えば関西地区は二月がどうのとか、いろいろ議論がありましたけれども、今のプロセスをしっかりたどっていくということが前提にあるということは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、やや中長期的な話になりますけれども、国民の不安を和らげて、安心のできるエネルギーのベストミックスをつくるためには、これは来年の夏までに、エネルギー・環境会議を中心に冷静な議論をやっていきたいというふうに考えております。

吉泉委員 ぜひ、今の総理の考え方、夏までにきちっと対応をお願い申し上げたい、こういうふうに思います。それぞれ、再稼働容認、一日も早く、こういう声なんかも出てくるだろうというふうに思っていますけれども、しっかり総理の態度を堅持していただきたい、こうお願いを申し上げたいと存じます。

 そして、三点目がTPP問題でございます。

 これは、恐らくこの次の国会等の中で相当議論になるんだろうというふうに思っています。しかし、私自身、山形でもございます。そして、東北はまさに食料基地でございます。そして、今この大震災に伴って大変苦労している、こういう状況もございますし、ましてや、この復興にとっては、農業の再生、これなくしてあり得ない、私はこういうふうにも思っております。そんな中で、放射線で汚染された水田なり、さらには塩害、そしてまた今のJTの株の売却。東北には葉たばこ農家が相当多くございます。こういう状況が、今どんどん農家そのものに不安が募るような動きが出てきている中で、TPP参加の問題について早めたい、こういう動きもあるようでございます。

 総理は所信表明の中で、産業空洞化を防止していくためにも欠かせない課題、こういうふうに強調しながら、TPP参加交渉について結論を出す、こういうふうに言明をしております。そして、マスコミの報道によれば、近々閣僚会議を再開しながら、十一月に開催されるAPEC首脳会議に臨むのではないか、こういう報道もされております。自分自身、時間がない中で結論を急ぐ、このことはあってはならない、こう思っているところでございます。

 総理のこのTPP問題についての考え方、あるところでは、参加に前向き、こういうふうに言われておりますけれども、そんなことを自分自身は信じておるわけではございませんけれども、総理のこれからの進め方、こういったことについて御所見をお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 基本的な姿勢は、前内閣のときに、八月十五日に閣議決定をした「政策推進の全体像」を踏まえて対応していくということでございまして、委員御指摘のように、さまざまな論点、観点があります。そういうものを含めてしっかり議論をしながら、TPPについてはできるだけ、そうはいいながらも、どうするかということは結論を出さなければいけないと思いますので、そういう議論をしていきたいというふうに考えております。

 同時に、東日本大震災からの復旧復興は、これは何度も申し上げたとおり、我が内閣にとっては最大そして最優先の課題でございます。

 その中で、農業の活性化やあるいは再生も重要でありまして、先般の、これは八月二日でありますけれども、食と農林漁業の再生実現会議で中間提言を取りまとめさせていただきました。そこで、農業は国のもとなりとの発想のもと、東北の被災地の基幹産業である農業の再生を図ることを突破口として、食と農林漁業の再生実現会議の中間提言に沿って、早急に農林漁業の再生のための具体策をまとめていきたいというふうに考えております。

吉泉委員 それぞれ、もう時間がないということで、要望なり、さらには、JAなり関係する人方から多くの意見が寄せられております。ぜひしっかり議論しながら進めていただきたいというふうに思っているところでございます。

 次に、環境大臣にお伺いをさせていただきます。

 復旧復興の大きな課題、難題、これは汚染廃棄物の処理、そして除染作業であるというふうに思っております。

 原発事故で敷地外に放出された放射能汚染に対処する法律は、前国会で成立をしたばかりでございます。そして、これから具体的な方針が出てくるんだろうというふうに思っております。

 そんな中で、緊急時避難準備区域の指定が解除になったわけでございますけれども、その中に、被災地においては複雑な思いでこれを見ているわけでございます。大臣は被災地に数多く足を運んでおります。指定解除について、大臣、率直な思い、この部分を語っていただきたい、こう思います。

細野国務大臣 被災地の中において、福島というのは非常に特別に厳しい状況が続いてきておりまして、それだけに、区域の解除というのはいろいろな意味で大きな出来事であったというふうに思っております。

 ずっと原発事故が続いておりましたので、災害が終わっていなかったというのが福島の現実であったと思っていまして、言うならばずっと撤退を強いられてきた中で、何とか踏みとどまって、一歩とは言いませんが、何とか半歩踏み出したというのが、これが解除ということなのではないかと思っております。

 ただ、半歩と申し上げたのは、ああよかったということで帰ってこられる方ももちろんいらっしゃるわけですが、帰ってくるのをちゅうちょしておられる方、まだ帰れないと思っておられる方、そういう方がたくさんいらっしゃいます。そういった皆さんの不安を取り除く最も象徴的な作業が除染であるというふうに思っておりますので、今御指摘のとおり、国会で本当にありがたい法律を通していただきましたので、その法律にのっとって、できるだけ早く除染がしっかりと進んでいくように努力をしてまいりたいと考えております。

吉泉委員 大臣の方にもう一問お願いを申し上げます。

 指定解除を受けた首長の中には、町民に、安全、安心が確保されない限り、また、確保されるまで戻らないように、こう呼びかけている首長さんもおるわけでございます。これから、進め方そのものについては、環境回復検討会、これでたたき台を出して、そして一月以降から本格的に進める、こういうふうに伺っております。

 しかし、今、汚染灰なり、さらには汚染された土なり、どう保管をしていくのか、各自治体はもう頭が痛い、そういう状況なわけでございます。そして、先日、福島県知事と意見交換した際に、大臣は、この除染は国が責任を持ってやる、こう答弁をされているようでございます。

 そういう状況の中では、一度方針を出したものがまた変わる、こういう状況であってはならない、こういうふうに思っております。この回復検討会でまとめていく、そういう意見の中に、それぞれ被災地の現場の、さらにはそれぞれ住民の声を反映しながらその方針を出していく、こういう一つの方向性というものにしていかなきゃならない、私はこういうふうに思っております。

 そういう点について、大臣としての、この検討会、そしてたたき台を出していく一つのスキームを御答弁お願い申し上げます。

細野国務大臣 吉泉委員から非常に貴重な御提案をいただいたと思っております。

 先日の除染をめぐるやりとりも、やはり地元の皆さんとのしっかりとしたキャッチボールができていなかったことが原因であると思っております。したがいまして、環境回復検討会というのは、今環境省がやっておる最も大事な検討の場所でございますので、その場所でしっかりと福島の皆さんの声が反映をできるように、私としても、直接いろいろな話をする、そういうことをやってまいりたいというふうに思います。貴重な御提案をいただきまして、本当にありがとうございます。

吉泉委員 大変時間を経過いたしました。環境大臣で終わってしまって、それぞれ復興大臣の方に質問通告もさせていただいていたわけでございますけれども、大変申しわけございません。

 以上をもって終わらせていただきます。ありがとうございました。

古賀委員長 これにて吉泉君の質疑は終了いたしました。

 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 きょうは、震災からの復興について、増税によらずにやっていくべきだ、まずは自分たちの身を切る立場で、具体的な提案をさせていただきたいと思いますので、ぜひ前向きな答弁をお願い申し上げたいと思います。

 その具体的な提案の中で一つだけ、きょうの午前中の質疑でもあったことでありますけれども、通告をしておりませんが、民主党は国の出先機関原則廃止ということで閣議決定もされたというふうに伺っておりますけれども、そのことを差しおいて、概算要求で新たに出先機関を建設するというのが出てきております。

 私は、出先機関は原則廃止ということがあるわけでありますから、新規の建設の概算要求を、精査するのではなくて、この場で総理みずからが、それは認めないんだ、認められないと言った方が、よっぽど世の中の人には本気で身を削る覚悟があるんだということがわかると思いますが、そのことについて一言御意見をいただきたいと思います。

安住国務大臣 新聞に出るとすぐ質問なさるわけでございますけれども、概算要求時には三十五カ所あったところを二十二カ所整備を見送ったということは、もう既に総理が申し上げております。

 つくるときの条件というものを厳しく課しておりまして、出先機関の地方移管が行われたとしても、入居官庁の見直しにより無駄を生じないこと、このことをきちっと地方自治体、例えば仙台とか広島とか、そういうところで見合わせた上で、条件がかなうのであればいいよということで、今年度、世田谷、前橋、立川、熊本は認めて建設をしております。

 二十四年度については、今後、要求が来ておることは事実です、三カ所。さらに、私の地元の仙台の一カ所、これは非常に老朽化をしていて、なおかつ、今申し上げましたように、仮に国の出先機関が必要なくなったとしてもこの建物を有効に利用できるということがきちっと説明できるという範囲において、認めるということを前提に、今、概算で要求が出てきたということです。

 ですから、何か国民の皆さんから見て、いかにも印象悪くとられるようなことになっておりますけれども、実はきちっと、三十五のうち政権交代してから二十二はとめているということを改めて申し上げます。

浅尾委員 いろいろ言っておられますけれども、具体的にこれから少しずつ提案をしていきたいと思います。

 我々は、まず議員歳費も削減だということを申し上げております。その上で、きょうは、いただいた資料を見て私もびっくりしたんですが、今年度、平成二十三年度の予算ベースで国家公務員の総人件費を人数で割ると、一人平均で一千十六万という数字になります。全産業の中で人件費一人当たり一千万を超えることを払える産業というのは私はないと思うので、そういうことも含めて質問させていただきたいと思います。

 ちなみに、国家公務員と今申し上げたのは、自衛官を除くベースであります。自衛官は任期つきの自衛官ということでありまして、それを入れると少し低くなりますけれども、いずれにしても、産業別でそれだけのものを払えるものはないんだろうということを申し上げた上で、例えば、これは人件費に含まれておりません、人件費の外数の中に公務員宿舎というのがあります。この公務員宿舎はそもそも、都心三区の公務員住宅の売却というふうに安住大臣は言われましたけれども、これはもともと骨太の二〇〇六の中にあったことだと思います。その骨太の二〇〇六との比較で、どうそれを一時とめていたのか、そしてそれをどうスピードアップさせるのか、その点について御答弁いただきたいと思います。

安住国務大臣 ですから、二〇〇六年のときには、出しましたけれども、結果的には、私が今回打ち出した部分でいえば、十六カ所は、とまっていなくてそのまま宿舎として使われていたということですね。それについてはもうやめると。

 なおかつ、危機管理上、本当に必要なものを集約しますから、私はさらにそれの上積みは可能ではないかと思っておりますし、今、藤田幸久副大臣を長に、財務省の中でもう一回洗い出しをしようと。全体で一五%という話ですけれども、さらに出せるものがあれば、やはりしっかり出していく。

 なお、これは国民の皆さんにも私はお伝えしたいと思いますが、宿舎のかなりの部分というのは自衛官や警察官なんですね、あと、例えば皇宮警察の方々とか。そうしたことを全く除いて、とにかく悪いんだ、悪いんだと言うのは私はどうかと思うので、先ほどの給与の話も、浅尾さん、自衛官は国家公務員の全体の六割ぐらいを占めるんじゃないですか。そこをすこんと抜いて給与が高い安いと言うのは、私はやはり少し乱暴な議論じゃないかと思います。

浅尾委員 まず、自衛官は国家公務員の六割も占めません。三分の一ぐらいです。そこは事実として申し上げておきたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、自衛官が安くなっているのは、任期つきの自衛官ということで、要するに定年まで勤める人が少ないから安くなっているという事実なので、これを一緒にして比較するというのはおかしい話だということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、何か朝霞の宿舎を、建設をとめると違約金が発生するというふうな話が出ておりましたけれども、調べてみたら、これは要請だけしておきますが、理財局がとっているいろいろな形の違約金の予算というのは、理財局の発注している整備費三百六十億に対して六十九億と結構大きいんですね。国土交通省が持っている四兆円の公共事業予算に対しては、賠償償還及払戻金というのは八億なんです。四兆に対して八億なんだけれども、理財局の予算に対しては、三百六十億に対して六十九億ととても大きいので、これはぜひ精査をしてほしいということを申し上げて、これは要請だけさせていただいて、時間の関係で本題の質問に入らせていただきたいと思います。

 今、国家公務員の人件費が高くなる、高くなる理由をこれから申し上げたいと思います。

 まず、今申し上げた人件費には、いわゆる共済負担分、年金というものも入ります。この年金を比較してみますと、厚生年金の一人当たりの平均支給月額、これは基礎年金を除いてですけれども、七万三千五百七十三円というような数字になります。国家公務員共済年金は十三万六千百九円と、月額でこれだけ違うということ、地方公務員になるともっと違うわけですね。

 こういう違いがある中で、これはなぜ違いがあるか。いろいろな理由は言われると思いますが、まず、国家公務員あるいは地方公務員の年金には職域加算という制度があります。職域加算というのはどういう理由で存在するんでしょうか。これは多分、所管は総務大臣だと思いますが。

安住国務大臣 ちょっと丁寧に時間をかけて説明します。

 厚生年金と共済年金の一、二階部分の四十年加入のモデルで計算しますと、その数字ではございません。十六万五千九百七円で、ほぼ同一水準なんです。浅尾さんも今申されたように、七万三千円と十三万六千円ではどう違うのか。全部ひっくるめて割っているからです。

 全部ひっくるめて割るというのはどういうことかというと、公務員の皆さんと例えば厚生年金の違いでいうと、女性の二十年未満の勤務の比率が、圧倒的にやはり民間会社の方は多いんですね、つまり、寿退社と昔言われていましたけれども、そういう形でおやめになる方が二八%ぐらいいる。

 これに対して公務員は、御存じだと思いますけれども、ほとんど三%ぐらいになっていますから、そういう意味では、早期退社が、民間の企業の場合は非常に回転が速いものですから、そういう点で、結果的に厚生年金はそういう数字になってしまうということは事実だと思うんです。

 ですから、モデルのとり方によって、何かいかにも大きな数字が出ますが、同じような水準で、例えば四十年勤続をしっかりやった民間会社と公務員の方だと、実は、年金の一階、二階部分というのはほとんど変わらない数字だということは事実だと申し上げます。

 あと、職域加算のこともいいですか。(浅尾委員「どうぞ。職域加算は多分総務大臣だと思うんですけれども」と呼ぶ)

 共済年金の職域部分については、昭和六十一年から加算をされております。これは、さまざまな公務員の皆さんの労働権の制約等々を総合的に勘案して、当時の状況でこれを設けようということになったということでございます。

浅尾委員 この職域加算というのが、二割、厚生年金の二階建てを押し上げているんです。それは事実ですから、そこはまず認めていただきたいと思います。

 では、職域加算がなぜあるか。労働権の制約というのは実はうそでありまして、労働基本権の制約は人事院がその代替をしているので、これはそのために職域加算がある必要はない。

 では、何がその制約要因かといいますと、これは所管が総務大臣で、かつて竹中総務大臣のときに、公務員が持っている身分上の制約、これが職域加算が存在する理由と。身分上の制約というのは何ですかと聞くと、突き詰めていくと守秘義務ということになるそうであります。でも、守秘義務というのは、民間企業においても就業規則で縛られている。では、就業規則で縛られている守秘義務と職域加算の存在は何が違うかというと、強制法規で縛られているものとの違いがあるということを御答弁されたわけであります。

 例えば、具体的には個人名は申し上げませんけれども、かつて核の持ち込みを認めた事務次官という方もいらっしゃいました。これは守秘義務に反しているんじゃないか。でも、その人の年金が減ったということも寡聞にして聞かないわけでありまして、実際はその論拠というのは成り立たないということだと思いますが、引き続き、川端総務大臣においても、職域加算は今申し上げた守秘義務があるからということで存在するという解釈を踏襲されるかどうか、伺いたいと思います。

川端国務大臣 御案内のとおり、先ほどは財務大臣がお答えしましたけれども、昭和六十一年にこの制度が設計されたときには、民間において種々の企業年金が相当程度普及している点も考慮するとともに、公務員の身分上の制約等が課せられたこと等を踏まえて設けられたということが制度設計のときの理由であります。

 したがいまして、今言われたように、いわゆる身分上の制約、兼職禁止もあると思うんですけれども、兼職禁止やその他、今言われた守秘義務等々で制約されていると同時に、民間において種々の企業年金が相当程度普及しているということで設計をされたということでありますので、そういう意味では、現在人事院において比較されていることも踏まえて、一定の効果を持っていて、官民格差の解消というか、バランスをとるという意味では一定の成果を上げている制度だというふうに認識をしております。

浅尾委員 官民格差を是正するというか、官民格差を増長する制度だと私は思いますけれども、その理由を申し上げます。

 今、二枚目のパネルで出しておりますけれども、民間と公務員の退職金、表面的に見ると、これは随分、同じように見えるんですね。二千九百八十万円、国家公務員二千九百六十万円、ほぼ一緒です。しかしながら、この二千九百八十万円の中には、企業年金を一時金でもらったらこの金額ですよという千五百三十五万円というのが入っています。

 そもそも、企業年金がある企業というのは大企業ですよね。大企業と比較しちゃいかぬとまでは言いませんが、企業年金を一時金でもらうと千五百三十五万、これを含めて二千九百六十万円というものを支給しています。ですから、そうすると、企業年金分は退職時に受給されている、いただいている。にもかかわらず、年金が月額で、さっきいろいろおっしゃいましたけれども、これだけ違う。その一番の理由は職域加算というものがある。

 職域加算、今大臣は企業年金の代替だというふうにおっしゃいましたけれども、企業年金分はもう既に退職金でもらっているんですよ。ですから、職域加算を継続するのであれば、企業年金分というのを調査対象から外せばいい。これは調査対象から外すだけで、別に法律改正は要りません。

 ちなみに、企業年金分を調査対象から外したら、過去の国家公務員に対して支給された退職金額からどれぐらい減額ができるかというのが次のパネルでありまして、平成十七年で三千四百六十六億円、平成十八年で四千五百二十四億円、平成十九年で二千五百九十億円というふうな形で、直近、一番新しい資料でいうと二千百十三億円が企業年金分、この二重支給分で減額できる。地方公務員の方を出させていただきますと、こちらはもっと大きいですね、直近でいうと一兆四千三百七十六億円、そういう大きな金額になります。

 野田総理大臣は国家公務員の人件費二割削減ということを、きょうの午前中の審議の中でもそういうふうにはっきりと言われたわけでありますけれども、だとしたら、制度としておかしいところに手を入れていくべきだろう。既に年金の受給が確定している人を減らすというのは憲法上の問題があっていろいろあるでしょうけれども、これから支給される退職金において、調査対象を民間の企業年金から外すだけで、単年度で、国、地方で一兆円を超える、一兆数千億お金が出てくるわけでありますから、そういうことを具体的にやられないと、なかなか二割削減、真水でできませんよ。それをやられる覚悟があるかどうか、伺いたいと思います。

安住国務大臣 この内閣になる前から、そこの、民間と公務員の格差の退職金のところの認識で浅尾さんと政府側でずれがあって、退職金の二千九百六十万の中に職域加算分は入っているというのが政府側の考え方なんですね。それに対して、浅尾さんの方は二千九百六十万円、今、パネルがちょっと違うかもしれませんが、それは二百二十万円弱の、下の職域加算分、それが入った上で退職金としてですから、それを引けば決して、民間会社の二千九百八十万円に比べて、二百万強ですか、退職金は実は安くなっているというふうに我々としては認識しています。

浅尾委員 職域加算分が入っているというふうにおっしゃいますけれども、実額でいえば、さっき申し上げた、これだけ差がある。なおかつ、二十年以上の勤務をしている人と比較しても、厚生年金は月額十一万七千百二十七円、共済年金は十六万二千八百三十六円と大きな違いがあるわけですよ。ですから、それだけ大きな違いがあるということは、そもそも支給されている年金が多い中で企業年金分を入れるのはおかしいというのが私の主張であります。

 なぜそれが大きくなるか。これはまた言ってもいろいろとおっしゃるでしょうから、一つだけ申し上げておきますと、共済年金には民間の年金にはないその他の追加費用という、要は、単純に言うと、給料から一万円引かれると会社が一万円を負担するのが厚生年金の世界、公務員も給料から一万円引かれると役所が一万円負担するんですが、それとは別に、その他の追加費用というのが毎年国で数千億、地方でいえば一兆円ぐらい出ている。ですから、入ってくるパイが大きいから払える額が多いんだということだけは申し上げておきます。ですから、そこにメスを入れていかないといけないということであります。

 それからもう一つだけ、きょうは人事院の総裁も来られていますから申し上げておきますと、私、公務員の昇給制度もなかなか独特なものを持っておられるなというふうに思います。どういうことかといいますと、最近は評価制度を導入されたようであります。評価自体は絶対評価です。この評価自体は絶対評価でいいと私は思いますが、絶対評価で評価したものを、その中で上位五%は従来よりも倍昇給するようにした、それからその次の二〇%は一・五倍昇給するようにした。絶対評価を相対的にして五、二〇%という数字を出しているんですが、しかしながら、では、従来より昇給する人が出るということは、従来以下の昇給をする人が出ないと全体のバランスが合わないわけですけれども、制度としては、従来の半分の人、それから全く昇給しない人という制度がありますが、そこには全体の三%しか割り当てていない。

 そのことをかつて予算委員会で指摘いたしましたところ、江利川人事院総裁はこういうふうに答えられたんですね。たしか、公務員の方は試験を受けて採用しているので、基本的には皆さん一生懸命仕事をしてもらうというのが基本でございます、特によくできる人は高くしておりますが、低い方は基準を定めておりませんと。

 私、試験で採用しているから特によくできる人は高くできるけれども、低い方は基準を決めないというのは、何かちょっと論理的におかしいと思いますが、どういう理由でそうなるんでしょうか。

江利川政府参考人 公務員の採用は試験でやっているというのはそのとおりでございます。試験ですそ切りをしておりますので、その能力評価が正規分布になるということではないんではないか、そういうことを申し上げたわけであります。また、評価につきましては、絶対評価でやっておりますが、よくやっているという人が大変多く出ますと、逆に昇給をたくさんしなくちゃいけなくなるということもありますので、その頭を抑えるということで上の方の割合を決めているということであります。

浅尾委員 質問に対する答えとしてよくわからないんですが、見ておられる国民の皆さんもよくわからないと思います。

 要は、特別昇給という制度がかつてあって、これは六年に一回か七年に一回、従来の倍、全員が、全員というか持ち回りで昇給していたのを変えたからその原資があるということなので、そもそもそこがおかしいと思います。

 そういうことも含めて、総理に、時間になりましたので、最後、具体的におかしいところにはちゃんとメスを入れて、二割本当に削減できるのかどうか提案をいたしましたので、お答えいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 平成二十五年度をめどに公務員の人件費二割削減に向けて全力で取り組んでいきたいと思いますし、今、国会に提出をさせていただいた給与約八%の減額、この法案の成立に当面は全力を尽くしたいと思います。

 さらに、二割削減までにはいろいろやらなければいけないことがありますので、御提起本当にありがとうございます。きょうのところは、ちょっと官民の比較の仕方等でいろいろ議論、技術的なものがあったと思いますが、受け入れられるものはどんどん受け入れていきたいというふうに思います。

古賀委員長 これにて浅尾君の質疑は終了いたしました。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.