衆議院

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第3号 平成23年10月24日(月曜日)

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平成二十三年十月二十四日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 額賀福志郎君

   理事 石田 祝稔君

      石田 三示君    石津 政雄君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      市村浩一郎君    大西 孝典君

      太田 和美君    金子 健一君

      川越 孝洋君   菊池長右ェ門君

      沓掛 哲男君    熊谷 貞俊君

      斉藤  進君   斎藤やすのり君

      階   猛君    白石 洋一君

      菅川  洋君    中後  淳君

      辻元 清美君    中野渡詔子君

      長尾  敬君    畑  浩治君

      森本 和義君    谷田川 元君

      柳田 和己君    山口 和之君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      加藤 勝信君    菅原 一秀君

      長島 忠美君    松野 博一君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       中川 正春君

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (東日本大震災復興対策担当)

   (防災担当)       平野 達男君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   内閣府副大臣       中塚 一宏君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   内閣府大臣政務官     郡  和子君

   厚生労働大臣政務官    津田弥太郎君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 宮内  豊君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  外山 千也君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            森山  寛君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山崎 史郎君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     金子 健一君

  石山 敬貴君     川越 孝洋君

  階   猛君     大西 孝典君

  梶山 弘志君     菅原 一秀君

  吉野 正芳君     松野 博一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     階   猛君

  金子 健一君     熊谷 貞俊君

  川越 孝洋君     磯谷香代子君

  菅原 一秀君     梶山 弘志君

  松野 博一君     吉野 正芳君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     中後  淳君

  熊谷 貞俊君     石田 三示君

同日

 辞任         補欠選任

  石田 三示君     石原洋三郎君

  中後  淳君     石山 敬貴君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として財務省大臣官房審議官宮内豊君、文部科学省高等教育局長磯田文雄君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、厚生労働省健康局長外山千也君、厚生労働省職業安定局長森山寛君、厚生労働省社会・援護局長山崎史郎君、厚生労働省老健局長宮島俊彦君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本清仁君。

橋本(清)委員 本日は、当委員会で質問の機会を得ましたことを心から感謝申し上げます。

 冒頭まず、昨日、トルコでマグニチュード七・二の地震が発生いたしました。お亡くなりになられた方々に哀悼の誠をささげるとともに、被災なされた方々に対しまして心からのお見舞いを申し上げさせていただきます。

 東日本大震災におきましては、トルコから宮城県に三月十九日、三十三名の救助隊員を派遣いただき、御遺体の捜索や救助活動の御支援をいただきました。私は、先日の復興特の視察の際、救助に当たられた隊員の方々に直接御礼をしてまいったところであります。

 日本とトルコは本当につながりの深い国です。明治時代のエルトゥールル号乗務員救出から始まり、イラン・イラク戦争での邦人救出、トルコ北西部地震への日本からの支援など、お互いが困ったときには支え合ってきた間柄です。政府におかれましては、既にトルコ政府と連絡をとり合っておられるということでありましたけれども、しっかりと御支援いただきますようお願い申し上げます。

 まず、平野大臣への質問です。

 東日本大震災において、平野大臣の地元岩手においても大変に深刻な被害がございました。大臣の御友人や後援者の多くの方々が亡くなっておられる状況の中、深い悲しみをこらえながら、被災地で、そして国会で、復興に向けて昼夜を問わず全力で頑張っておられることは、私だけでなく多くの人々が知るところでございます。

 そんな中、我が党の研修会のお話の中で、亡くなられた御友人に対して発言なされたことが一部マスコミで報道されております。この点について、大臣の発言の真意をお伺いいたします。

平野国務大臣 去る十月十八日の講演において、あの場の表現としては適切さを欠いた表現であったと思います。あの表現によって不快な思いをされた方、あるいは改めて悲しい思いをされた方々がおられるかと思います。この場をおかりしまして心からおわびを申し上げます。

 その心情、そのときなぜそういった表現を使ったか。個人的思いが出てきたという表現しかございません。あとは、あの場は民主党という議員の研修の場でした。マスコミオープンの場でもありました。この表現が、例えば字面になったときにどうなっていくか、そういったものについての配慮も足りなかったというふうに思っています。

 この心情のものについては幾ら説明しても、説明するというか、私は弁解を余りするべきではないというふうに思っていまして、今回のことを踏まえまして、しっかりとこれから復興に取り組んでいきたい、その心構えを新たにしたい、そういう思いでございます。

橋本(清)委員 同じ被災地選出の議員といたしまして、大臣には、復興に向ける取り組みの手をこのことによっておくらせてほしくはありませんし、またこれからも頑張っていただきたいと思います。これから我々委員会一同お支えいたしますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 それでは、細野大臣に質問をさせていただきます。

 細野大臣におかれましては、七月二十三日、私の選挙区にある丸森町にお越しいただきました。丸森には、福島の南相馬から三十名以上、丸森の学校に避難をなされている方がおられました。そのときに、大臣は、時間を十分におとりになり、しっかりとお話し合いをなされ、そして、原発事故というと福島県にだけ目が行ってしまうけれども、福島県外においても多くの人に迷惑をかけていることを改めて確認しました、しっかり対応していく必要がある、特に丸森町のように福島県と隣接していて原発からの距離が近いところが一番不安だと思うので、こういった場所の健康不安を取り除くことからスタートしたいとおっしゃられました。

 先日、復興特の視察で、私、チェルノブイリに視察に行かせていただきました。事故当時のソ連邦ウクライナ共和国保健大臣であり、放射線医学センターの元所長であられるロマネンコ氏にお話を伺う機会をいただきました。そのお話の中で、心理的、精神的問題を強調したい、政府が国民の不信を払拭することによって精神疾患の発生比率を下げることができるのだというアドバイスもちょうだいしたところです。

 大臣、丸森にお越しになられた際、私と大臣は同じ年ですけれども、我々よりも若いお母さん方、小さいお子さんにマスクをされて、プラカードを持って、どうにか対応してほしいという痛切な願いを大臣はお受けとめになられたと思います。病は気からという言葉もございますけれども、宮城県民の不安、不信の払拭のためにもっともっと頑張っていただきたいと思いますし、除染を初めとして、住民に対する説明会、内部被曝の状況把握など、健康を守る取り組みが非常に重要であると思います。この点について大臣の御所見をお伺いいたします。

細野国務大臣 橋本議員の御地元の方とお話をしたときの記憶というのは鮮明にございまして、特に若い方が、多分そういう話を聞きつけて来られたんだと思うんですけれども、待ち構えておられて、切実な訴えをされたのは忘れることができません。

 その意味では、あれが七月のもう終わりごろだったかと思うんですけれども、それから月日がたっておりますので、依然としてまだ不安な状況に置かれている方がたくさんいらっしゃるということに関して、本当に申しわけないなという気持ちでいっぱいでございます。

 二点、御質問をいただきました。まず除染なんですけれども、この除染については、福島県内外で区別はしておりませんので、一ミリシーベルトを目標に国が責任を持って取り組んでいく、この方針にこれは偽りはございません。それでやってまいります。

 ただ、これまでの経緯からすると、どうしても福島県の方に基金をつくってそこでやってきたという経緯がございますので、福島県内で少しずつ本格的な動きが出てきているのと比べると、他県がおくれていることは否めない状況でございます。そこで、宮城県の方ともいろいろ協議をしておりますけれども、特に南部の方ではそれぞれの市町村によって状況が随分違いますので、環境省の方から直接、必要な市町村には足を運びまして、そこで除染が実施をできるように、そこは急ぎたいというふうに思います。

 もう一点、健康調査の方なんですけれども、こちらも宮城県の方と協議をしてまいりました。そこで、宮城県の方では有識者の会議を設置して、健康調査等について、必要性についての検討が始められるというふうに伺っております。

 まずは、これは宮城県の方でそうした会議を設置されるということでございますので、私どもとしては、その検討状況を踏まえて、必要があればいつでも対応できるような準備は怠らずにしてまいりたいというふうに思っております。

橋本(清)委員 細野大臣、ありがとうございます。

 七月以来、私の相談にも本当に親身になって乗っていただいておりますし、また、自治体の方にも足を運んでいただいて丁寧に御説明なさっている、本当にその真摯な対応、心から感謝を申し上げます。

 そうはいいましても、なかなか住民の方々には国会の動きというか政治の動きというのが見えづらい、特に内々で事務的に調整をしている段階ではわかりづらいというところが数多くございます。その中で、現地で対策本部長をなされている郡和子大臣政務官に、放射線と健康の関係の部分で、県との交渉などさまざまな部分について、県議会では国から正式な通達がないんだとかそういったことも言われておりますけれども、内々でお話しになられていると思いますけれども、お話しできる範囲でお話しいただければというふうに思っております。

郡大臣政務官 御質問ありがとうございます。橋本委員におかれましては、地元でさまざまなお声に耳を傾けていただき、これまでも本当に大変な取り組みをしていただいていることに、まずもって感謝を申し上げたいと思います。

 私も、宮城県の村井知事とは、現地本部長に就任いたしましてから、一週間に一度のペースで意見交換を行わせていただいております。この放射性物質にかかわる健康を守る取り組みにつきましても、この間、知事に直接お話しをさせていただいたところでございます。先ほど細野大臣の御答弁にもございましたけれども、宮城県の中で健康被害の調査に関する有識者会議というのが、あす第一回目が開催されることとなりました。細野大臣のお話にもございましたように、この会議での審議の行方を見守りながら、国そして宮城県との橋渡し、連携をしっかりと深めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

橋本(清)委員 三カ月目で、やっと徐々に成果があらわれてきつつあるのかなというふうに思いますけれども、なかなか県の立場等、いろいろあるんでしょうけれども、以前の七月の新聞に、県内版に、県の幹部の発言として、調査はやらない方がいい、やっても余計に騒がれるだけだ、そういった発言もマスコミに報道されましたけれども、実は私自身も県の幹部からこの言葉を聞いているんですね。なかなかこういったところの調整、現地での調整、非常に困難なことだとは思いますけれども、本当に住民の方々、不安で不安で仕方ないと思いますから、難しいと思う調整ですけれども、ぜひとも頑張って前に進めていただきたいなというふうに感じております。どうかこれからもよろしくお願い申し上げます。

 次に、再び細野大臣に質問させていただきます。

 瓦れきの広域処理のための放射性物質の基準の統一化についてお伺いいたします。

 この被災地の瓦れき、これは被災地だけで処理できるような量ではとてもございません。そういった中で、被災地の瓦れき処理を推進させるために、広域移動させることができることが必要です。そのため放射性物質の基準をお決めいただいたわけでございますけれども、実際には自治体が、地元住民の反発やさまざまなことがあるんでしょう、そういったものを恐れて、放射性物質含有がゼロであることを条件にする自治体などもあらわれてきております。そういった中で、自治体が国の基準を容易に上乗せしないような、そういった取り組みについて、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 橋本委員御指摘のとおり、広域処理というのは極めて重要でございます。特に宮城県の場合には、一年間の廃棄物処理可能量の二十倍は出ている、単純に県内だけでこのまま処理を続けると二十年かかる、そういう大量の廃棄物が出ておりますので、広域処理はぜひ推進をしたいと考えております。

 環境省の方ではガイドラインを設定しておりまして、やはり受け入れ側の自治体で追加的な措置が必要となると、それはそれでまたそれぞれ大変な御負担をおかけすることになりますので、そうならないようにするために、焼却灰の放射能濃度が一キログラム当たり八千ベクレル以下となるようにという基準を設けております。したがって、この基準が安全性を確実に確保する基準であるということをしっかりとそれぞれの自治体に御理解いただけるようにお伝えをしてまいりたいと思っております。

 ただ、若干難しいところがあるのは、ゼロという基準は、正直言うと、なかなかそれだと難しいという状況があるんですけれども、若干低目の基準を設定することで受け入れてもいい、そういう自治体も出てきておりまして、そこはいろいろな自治体の考え方の若干の幅というのは我々も受けとめつつ、現実的に広域処理が進むように努力をしてまいりたい、これはもう環境省の大きな責任であるというふうに考えております。

橋本(清)委員 大臣、本当に御苦労なさって、処理を受け入れていただける自治体にまで足をお運びになって説得されているということは本当に被災地としてはありがたく思っておりますので、大変な仕事ではありますけれども、ぜひとも頑張っていただきたいというふうに思っております。

 次に、瓦れきの火災について質問させていただきます。

 被災地の瓦れき、多くの仮置き場では高く瓦れきが積み上げられたままでございまして、火災が相次いでおります。火災は、私が八月二日の東日本大震災復興特別委員会で指摘した後も続いております。この点について、私の質問の後、国としてどのような対応をなされたのかについて質問させていただきます。

高山大臣政務官 今、橋本議員から御質問いただきまして、八月のときも、なかなか顕在化していないというか、気づかれにくかった仮置き場での火災の問題、橋本議員が足でいろいろ現地を見ていただいて御報告いただきまして、本当にありがとうございました。

 ただ、もちろんそれまでにも、五月の段階から、仮置き場に対して、火災発生防止に対して留意事項をまとめたものは各自治体には通知させていただいておったんですけれども、残念ながら、八月、九月にも数件の火災が起きてしまったということは事実でございます。

 我々といたしましても、各県に常駐している環境省の職員、また技術者、こういった支援チームが巡回して支援を今まで続けさせていただいておりますし、また、九月二十一日に、再度、今までの留意事項と、さらに、ガス抜き管を入れましょうですとか、細かい注意事項を各県に対して通知させていただいたところでございますが、引き続き、ぜひ橋本議員にも、生の、実際御自身で見られたことをまたお知らせいただければと思います。

橋本(清)委員 高山政務官、ありがとうございます。さまざまな対応をとっておられたということでございます。

 これは、現実に未然に防がれた災害もあるんですね。私の地元の岩沼市では、この話があった後に、二十四時間体制で警備員を常駐させていただいて、夜中にどうやら煙というかぼやがあったらしいんです、そのときに、重機でそこを掘り出して消火して火災を未然に防いだということもございます。本当に被災地はやることが多過ぎて、なかなかパンク状態にある状況ですけれども、皆さんからそうやってアドバイスをいただくと効果は上がるものでございますから、今後とも、粘り強くそういった指導の方をよろしくお願いしたいなというふうに感じております。

 次に、小宮山大臣に御質問をさせていただきます。

 仮設住宅の問題です。

 もうそろそろ寒い季節になりました。断熱設備のない仮設住宅で本当に寒い思いをしている状況でございます。宮城県での仮設住宅の断熱化のおくれについて、大臣の御所見をお伺いいたします。

小宮山国務大臣 厚生労働省としましては、応急仮設住宅の寒さ対策について、何回かにわたって通知を出して、その取り組みを促してきています。

 まず、三月十九日に、応急仮設住宅の仕様は寒冷地に配慮するよう周知をいたしました。六月二十一日には、既に完成した応急仮設住宅について、断熱材の追加や窓の二重ガラス化など寒さ対策として追加的に対応した場合の費用も国庫負担の対象となるということを通知しました。

 しかし、入居者の方へのアンケート調査で、依然として寒さ対策が不十分だという回答が寄せられましたので、九月二十八日に、エアコンの追加設置など寒さ対策の具体的な方策を提示いたしまして、早急に取り組みを強化するよう改めて促し、さらに十月七日には、プレハブの応急仮設住宅に対しストーブ等の暖房器具の設置も国庫負担の対象となる旨、通知をいたしまして、なるべく早く万全を期すようにと促しております。

 なお、十月二十一日、先週開催されました応急仮設住宅の居住環境改善等に関するプロジェクトチームでは、宮城県の方からも、おっしゃるように宮城県が一番遅かったんですけれども、寒さ対策への取り組みを強化して、県として対応するものは十二月中の完了を目指すという報告を受けています。

 ただ、もう既に寒くなっているということですので、宮城県に対しまして、寒さ対策の進捗状況をさらに定期的に報告を求めて、対応を徹底していきたいというふうに考えています。

橋本(清)委員 皆さんに本当に一生懸命親身になって御支援いただいていることを感謝いたします。これからもどうかよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、山口和之君。

山口(和)委員 民主党の山口和之でございます。

 まず初めに、トルコ南東部の大地震におきまして亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、今なお被災の真っ最中の方々に対してお見舞いを申し上げます。我が国からもぜひとも国際的なしっかりとした協力をしていただきたいと思っております。

 さて、私は福島県に生まれ育ちました。長年、医療とリハビリテーション、そして福祉の世界で生きておりました。リハビリテーションとは、可能なあらゆる手段を使って、人生の再建、その障害を取り除いて再びチャレンジできる世界です。

 東日本大震災は、現状はまだ混乱期の様相で、喫緊に解決しなければならない課題が山積みですが、この復興の先にあるものは景気の回復であり、安心できる地域社会、コミュニティーであり、健康寿命の延長、そして幸せであると思っています。

 福島の復興なくして日本の復興はない、この力強い信念を貫き通していただきたいと、被災地域の国会議員として質問をさせていただきます。

 まず初めに、復興には一刻も早い地方行政の立て直しを行う必要があると思われます。現状と対策についてお伺いをいたします。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 山口委員さんには、三月十一日の発災以来、たびたび被災地にお越しいただきました。そしてまた、持てる分野で大変な御尽力をいただきました。被災者の一人としても深く敬意を表する次第であります。厚く感謝申し上げる次第であります。

 さて、自治体機能の回復でありますけれども、まずもって、総務省として、人的支援、そしてまた財政的支援、これに万全の措置を講じていこうと思っております。

 人的支援につきましては、御案内のとおり、それぞれの各自治体へ支援、派遣されておりますけれども、総務省としても、全国市長会あるいはまた全国町村会の協力を得まして支援体制を構築しておるわけでありますけれども、最近は特定の課題といいますか、専門的な職員の派遣あるいはまた中長期的な派遣、これに取り組んでおるところであります。

 そしてまた、岩手にあっては大槌町あるいはまた陸前高田、宮城では南三陸、女川等々、津波で大変な被害に遭ったわけでありますが、もちろん、山口さんのところの原発の関係ということで、行政そのものを移転しなきゃいけない、そういう状況にあります。

 そういう中にあって、津波流失等によって生じた部分で、庁舎の再建といいますか、仮庁舎の再建につきましては、これまで制度設計になかったのでありますけれども、新たに仮庁舎建設に関して国庫補助の財政制度設計をしたということであります。これもしっかり取り組んでいきたいと思っております。

 最も自治体が心配しておるところでありますけれども、みずからの財源をしっかりと確保できるのかというところであります。一次補正、二次補正でも特別交付税を増額しましたけれども、この第三次補正においては、一兆六千六百三十五億円、しっかりと確保していきたいと思っております。

 いずれ、現場に課題が存在しております。しっかりと自治体の声に耳を傾けて、私も、この職責をいただきましたので、大臣のもとに汗をかいていきたいと思います。

 以上であります。

山口(和)委員 黄川田総務副大臣におかれましては、ぜひとも我々の先頭に立って頑張っていただきたいと思います。ありがとうございます。

 続きまして、福島県としてですが、放射能を心配して若い人たちがたくさん出ていっております。除染等々が安心のための大きな課題となるんだとは思うんですけれども、除染にはさまざまな方法があって、あるいは、その後の廃棄物処理方法についてもいろいろな方法があって、あちこちからこういうのはどうだという話が出てくるんですけれども、最も効果的であるとか、あるいは、これはかなりいけるという話もあるんだと思いますが、どういうふうに選択をして、どうやって評価して活用していくのか、ぜひとも教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

細野国務大臣 山口委員も、本当に福島でずっと地元の皆さんと、いろいろな悩みを聞かれながら活動してこられていまして、改めて除染の問題について御指摘をいただきましたので、しっかり取り組まなければならないというふうに思っております。

 技術の問題については、実はけさも、私、二件新しい提案もいただいておりまして、私がいただいた提案だけで百を超える技術があるわけです。私だけではなくて、いろいろな方が提案を受けていますので、恐らく数百の技術的な提案はいただいていると思っております。そのすべてが、それこそこの国難とも言える状況を乗り越えるべく何とかできないかという皆さんの思いの結晶でございますので、大事に、何が実用可能なものなのかということを見きわめる必要があるというふうに思っております。

 ただ一方で、除染はまず進めるということが大事でございますので、基本的にはこういう考え方をとっております。

 いろいろとこれまでやってきた我々の経験からいうと、やはり物理的にはぐのが一番放射線量は下がります。ですから、まずそれを重点的にやらせていただきたい。それと並行していろいろな技術開発が必要でございまして、例えば減容化をする技術もそうですし、セシウムを取り除く技術なんかも必要であります。そういったものを並行していろいろなチャレンジをする中で、例えば、その集まった土から、そういった技術を生かして次の段階に行くことができるのではないか。そこを並行してしっかりと受けとめてやっていく、そういう体制をとっていきたいと思っております。

 体制なんですけれども、環境省の方で基本的に受けて、技術的なさまざまなアドバイスをいただける、例えばJAEAなどに検討していただく、さらには、いろいろな専門的な知識を持っていらっしゃる専門家の方々もいろいろなアドバイスをいただいておりますので、そういった方々に伺った上で、何が実用可能かということについて政府としてもしっかり見きわめていく、そういう体制を現在とっているところであります。

山口(和)委員 どうもありがとうございます。

 最も効果的な方法、あるいはコストも含めてですけれども、そのことによって多くの方が安心して地域で生活できるようになると思われますので、細野大臣には、大変な仕事ですけれども、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 続きまして、復興にあるべき姿は、だれもがもう一度仕事ができるようになって、生活が安定することが喫緊の課題と考えます。現在実施されている雇用環境への対策はどのようになっているのでしょうか。よろしくお願いします。

森山政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、雇用の状況でございますが、被災三県におきましては、有効求人数が、復旧復興事業の求人増などで約十万人となっております。ただ一方で、有効求職者、仕事を求める方が十五万人を超えるという高い水準でございまして、依然として厳しい状況でございます。

 そういう中で、今先生の御質問でございますけれども、雇用対策としましては、「日本はひとつ」しごとプロジェクト、これの実施に全力で取り組んでいるところでございます。

 具体的には、重点分野の雇用創造事業の基金の積み増し、それによりますいろいろな各種事業の雇用、あるいはまた瓦れき処理、公共施設の整備などの復旧事業の推進による雇用創出、また被災された方を雇い入れる企業への助成、これは出張相談、求人開拓等による就職支援、それからまた訓練の拡充等々の対策に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、厳しい雇用状況でございますので、雇用対策に全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

山口(和)委員 雇い主、雇用主の方も大変な状況ですので、なかなか難しいと思います。支援をぜひお願いしたいと思いますし、以前にトライアル雇用という話があったと思いますけれども、このトライアル雇用の活用の仕方もまた応用拡張等を考えながら、いろいろな施策を講じていただきたいと思います。

 次に、復興特区、補助金などについてお伺いいたします。

 福島県の場合、健康世界一、最先端の医療、福祉の環境、そのためにも医療の世界最高水準をとの話が出ております。総合的医療等復興特区としてどのような支援の用意があるのか、お聞かせいただきたい。

 また、世界じゅうから研究者や企業等の誘致を考えれば、投資環境をよくする必要があると思います。インセンティブとして税制上優遇措置を五年との話がありますが、五年で大丈夫なのでしょうか。その根拠についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

平野国務大臣 復興特区制度というのは、今委員から御指摘があったように、地域の、例えば医療あるいは教育、そういったもの、何でもいいんですが、何でもいいというのはちょっと適切な言葉じゃないんですが、復興に向けての創意工夫、こういったものを軸にして地域をこれから復興させるんだ、そのアイデア、考え方をしっかりと受けて、それを実現させるための一つの制度でございまして、その中身は、規制の緩和、あるいは税制の優遇措置等々、あるいは手続の簡素化、さまざまな措置が今回入っております。

 こういったものを活用して、福島県の場合は特に医療最先端、その中でも放射線に関しての医療の研究機関をつくりたい、そういった要望が強くございます。こういった要望に沿うためにもこの復興特区制度をぜひ活用していただきたいと思いますし、あわせて国としては、地域の意向に沿った形での予算制度も三次補正では今用意させていただいているということであります。

 それから、そういったものを設置して実際に有効に機能してもらうためには、人材の確保あるいはコミュニティー等々のさまざまな御指摘がございますけれども、そういったこともあわせて国として支援していく必要があるというふうに考えております。

山口(和)委員 平野大臣には、ぜひとも東北の復興をもって日本の再生、日本の発展を遂げていただきたいと思います。

 医療、福祉につきましては、成長戦略の一つとしても挙げられております。未来に向けた日本をつくり上げるためにも、ぜひとも東北に投資していただきたい、そのように思います。

 もう一つですが、一たん閉鎖した事業の再開についての支援、この災害で閉鎖せざるを得なかった事業主の方々がいらっしゃいます。また、若者が夢を持って起業できる、失敗しても再チャレンジできるぞ、これは震災前からこういう話は出ていたと思いますけれども、そんなチャンスのある被災地なら地域全体に活力が生まれてくると思います。若者がチャレンジできる東北、再チャレンジもできるぞ、創造日本、夢が膨らみます。こう思うんですが、どう思われますでしょうか。

平野国務大臣 まず、今回の震災で営業あるいは操業がストップすることを余儀なくされた企業でございますが、これにつきましては、例えば仮設工場の建設あるいは中小企業グループ化によって、その再建に向けてのさまざまな支援、こういったことについては制度を用意して今その活用方に努めているところでございます。

 あわせて、二重ローン問題については、岩手県を皮切りにその二重ローン問題の相談窓口等々の開設が進んでおりまして、こういったものを活用していただきまして、まず被災した企業、これはできるだけ早急に復活させることに全力を挙げたいというふうに思います。

 加えて、それだけではなくて、復興特区制度、先ほど申し上げましたけれども、地域のさまざまなアイデア、こうしたことで地域の復興を図りたい、そういった考え方についてはその地域の考え方を尊重する形でできるだけの支援をする、こういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。

山口(和)委員 どうもありがとうございます。

 今度は介護と高齢者のことについてなんですけれども、介護予防のサポートセンターというものが仮設住宅のところにつくられているんですけれども、どうもその進捗が思わしくないという話を聞いております。現実に、実際には進んでいないようにも思えます。高齢者の生活不活発病、廃用症候群ともいいますけれども、このことが問題になっております。さらに冬を迎えて急増が予想されますけれども、この対策の強化についてお伺いしたいと思います。

宮島政府参考人 生活不活発病についてのお尋ねですが、まずサポート拠点、現在二十五カ所開設、それから設置が見込まれているのが八十六カ所ということで進んできてはおります。

 さらに、生活不活発病対策といたしまして、保健師さんやOT、PTさんにやってもらうというのではマンパワーが足りないということで、こういう方たちに研修をしてもらって、地域住民がみずから健康生活サポーターというような形で高齢者宅を訪問したり、あるいは体操とか食事会に誘ってもらうというような活動を今後進めようと思っています。

 あわせて、仮設診療所での看護師さんによる健康相談でありますとか、訪問看護ステーションの看護師さんによる健康生活相談、こういったさまざまな取り組みにより、なるべく要介護状態に陥らないような対策を講じていきたいと考えているところでございます。

山口(和)委員 ありがとうございます。

 阪神・淡路大震災のときに、二次災害と申しましょうか、亡くなられる方もいらっしゃいました。しっかりとした対応がないと、これはもう早急に支援体制をつくっていかないと、二次災害を起こしては絶対いけないと思いますので、この支援体制を早急に行っていただきたいと思います。

 また、そのサポートセンターが、これは仮の支援体制なんですね。そうすると、仮設住宅支援の終了後どうするかということもありますし、あるいは今仮設住宅から離れて賃貸の方に入られている方もいらっしゃいます。そういうことを考えていくと、どういうふうなあり方が一番いいのかということになると思いますが、その辺のことをお伺いできればと思います。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 今は、仮設住宅があって、そこに仮設のサポートセンターを置いている。そこで訪問介護ですとかデイサービスセンターを置いて支援するということですが、今後、仮設住宅や賃貸住宅から、本格的に復興に向けて、高齢者住宅ですとか公営住宅ですとか、市街地、住宅が形成されるということになりますと、ここのサポート拠点で行っていた事業も継続してサービスを提供しなければいけませんから、新しいそういうつくられたところへデイサービスとかサポートセンターの機能が移っていくというような、そういった方向ではないか。

 これは、関係自治体ともよく相談しながら、サービスの途切れることのないような取り組みをしてまいりたいと考えているところでございます。

山口(和)委員 従来から、同様の目的でつくられました地域包括支援センターというのがございます。これも活用して、一緒にセットになって、地域の安心、安全をつくっていただければと思います。

 プライマリーヘルスケアというものがWHOの方から出されています。これは、健康だけを守ればいいのではなくて、地域全体で、いろいろな分野が一緒になって、まちづくり、地域づくりをしていくものだと思います。今回の災害においてこれがしっかりとなされることが、ひいては国際社会に貢献できる、あるいは地域住民が安心できるものだと思っております。今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 まず、昨日二十三日、トルコ時間で十三時四十分、日本時間では昨日の十九時四十分、トルコ東部で地震が起きました。お亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 私たちも東日本大震災で大変な被害を受けたときに、トルコから温かい手を差し伸べていただきました。

 まず、質問通告はしておりませんでしたが大臣に、このトルコ地震、日本からももうお申し出をなさっていると思いますけれども、積極的に救援のことを我が国からも申し出るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平野国務大臣 まずもって私からも、トルコにおいて非常に強い地震が発生しまして、たくさんの方々が亡くなられたという報道が入っております。亡くなられた方々に対しての御冥福をお祈りするとともに、一刻も早い救助に全力を挙げていただきたいというふうに思っています。

 そこで、我が国の震災のときに、委員から御指摘もありますように、トルコからも援助を受けました。我が国の方では、在トルコ大使館より首相府災害緊急事態対策局地震部に電報で、我が国として緊急援助を行う用意がある旨既に伝達をしております。しかし、現地では多分相当の混乱の状況に今ありまして、それに対しての受け入れ云々というところについての返事はまだいただいていない、そういう状況だというふうに聞いております。

 これからも、もしそういった受け入れがあれば、日本政府としてしっかりと対応していくことが大事だというふうに思っております。

石田(祝)委員 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 先週、大臣から所信をお聞きいたしました。そのときに、事前に大臣の所信ということでペーパーをいただいておりましたが、そのペーパーを読み上げられた後、大臣があえて、去る十月十八日の講演におきまして云々と、このことをお話しになりました。極めて異例ですよね。

 所信のときに、普通、私たちが事前にちょうだいをして、それに沿って大体お話しになって所信をお述べになるわけですが、それに加えてこういうことをおっしゃった。しかし、これは会議録を見ますと、何のことを言っているかわからないんですね。

 これは、大臣、何について不快な思いをさせたのか、どういう趣旨でお話しになったのか、このことについてまず御説明をいただきたいと思います。

平野国務大臣 十月十八日の参議院・民主党新緑風会での講演でございまして、東日本大震災の状況についての報告ということを行わせていただきました。

 最後の部分に、これからの対応ということで、東日本大震災におけるさまざまな教訓を生かさなくちゃならないという中で、なぜ亡くなったのか、これだけの犠牲者が出たのかということについてもしっかり検証していきたいという中で、たしか消防団の話、あるいは、ここは安全だと言われてそこに逃げて、消防団の方々は門扉を閉めに行って被災されたという話、それから、ここは安全だというふうにかねてから言われているところに避難して波にさらわれたという方々の話、そこまでは客観的な話をしましたけれども、そこから私の友人の話になりまして、やや表現とすればあの場ではふさわしくない、適切さに欠けた表現になったかと思いまして、逃げなかったばかなやつがいるというふうに言いました。

 これがさまざまな形で報道になったわけですが、結果として、不快な思いをされた方々、深い悲しみを持った方々、おられると思います。そのことに対して心からおわびを申し上げなければならない、そういう思いで、ああいう冒頭の所信表明の中での、あいさつの最後に私の考え方を言わせていただいたということでございます。

石田(祝)委員 これはこれ以上申し上げませんが、同じ日に災害対策特別委員会、これも大臣、災害担当大臣、全く同じことですよね。所信を述べられた後、同趣旨のことをお述べになりました。これはこれ以上申し上げませんけれども、大変悲しい思いをされたり、御自身の身内の方が亡くなられた方、そういう方もいろいろな複雑な思い、これは新聞で見る範囲でありますけれども、なされているということは事実であります。ですから、大臣も、今後、自分の大臣としての発言がどう受けとめられるか、このことはぜひ御留意をいただきたいな、これだけのことで、私はきょうはこの問題は終わらせていただきたいと思います。

 大臣の所信について、その中でお述べになっていることで少々お伺いをいたしたいんですが、復興庁と復興特区、このことについてお触れになっておりますけれども、これは法案を準備している、法案の中身が固まっただとか中身はこうだというのが新聞等でよく出ますけれども、これはそんなに外れていない中身だろうと思いますけれども、私たちはまるで、中身は全然見ておりません。

 そういう中で、これは早く出してほしいというのが、私たち、また被災地の皆さんも同じお気持ちだろうと思いますが、これは大体いつごろ中身が固まって国会に提出をされる予定ですか。できるだけ早くという答弁ではなくて、ある程度明確な日程を発表していただければと思います。

平野国務大臣 今、両法案とも閣議決定を目指して準備をしておりまして、閣議決定が得られ次第、速やかに国会には提出をしたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 大臣、その答弁は、できるだけ早くと同じなんですよ。閣議で決定しなきゃ法案は出せませんよね。だから、当然、その閣議決定をいつやるつもりで進めているのかということをもうそろそろはっきりさせた方がいいんじゃないですかということを私は言っているんです。

平野国務大臣 恐縮ですけれども、ここで閣議決定は何日というところまで閣内全体や政府全体としてはまだ合意、調整をしているわけではございません。いずれ成案をつくるべく、最後の詰めを今やっておりまして、そんなに遠くないといっても、国会の会期中でありますから当たり前なんですが、近日中に出せるように頑張りたいというふうに思います。

石田(祝)委員 まあ、できるだけ早くが近日中になったので、若干具体的になったかというような気もしますけれども、閣議は火曜日、金曜日でしょう。それで、二十八日は三次補正を閣議決定してお出しになるわけですね。そうすると、その次で、近ければ四日ですか。一週間後が四日、そのあたりということでしょうかね。(発言する者あり)そうだという声が与党の席から聞こえてきますけれども。

 これは、大臣、なぜ申し上げるかといいますと、十二月九日が会期末でしょう。その後、二十四年度の予算編成、政府原案の決定もありますよね。そういう中で、当委員会では二重ローンの問題もあるんですよ。そして、これから二十八日に三次補正、所信があって、衆参本会議、予算委員会、そういう日程を考えると、その後、質疑に入れるのは十一月の半ばごろじゃないですか。そうしたら、その中で、二重ローンもやらなきゃいけない、復興特区、復興庁もやらなきゃいけない。そうなると、十二月九日までに間に合いますかということなんですよ。だから、私は、できるだけ早く出すべきではないのか、こういうことをおもんぱかって申し上げているところでございます。

 それ以上幾ら聞いてもお答えはないでしょうから、いろいろとマスコミ等で報道されていること、また私たちが聞いたことの中で、特に復興庁についてお伺いをいたしたいと思います。これは後で官房長官にもお聞きをします。

 私たちが復興庁について修正案をつくったときの議論とは少々離れているような気が私はいたします。これは、復興基本法では、復興庁については具体的に、「復興に関する施策の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」、そしてその次は「復興に関する施策の実施に係る事務」、そして「復興に関し必要な事務」、こういう三点を明確に書いております。そして、復興の基本方針、これにも年内に成案を得て云々ということも書かれております。

 実施の事務ということを私たちは当然求めてきたわけでありますけれども、復興庁設置準備室、ここで私たちがいただいたペーパーの中の基本的な考え方で、所掌事務については「1 復興に関する国の施策の企画、調整」「2 地方公共団体への一元的な窓口と支援」と、どこにも施策の実施に係る事務という言葉なんか入っていないんですよ。これは、大臣、どういうふうなことでしょうか。復興基本法の趣旨と違うんじゃないでしょうか。

平野国務大臣 復興庁につきましては、復興基本法について今委員からも御指摘ございましたけれども、企画立案、総合調整機能のみならず、実施事務についても担うこととされております。

 地域の復興は、地域住民と市町村が主体となって行うことが基本であるという考え方に立ちまして、復興庁の実施事務につきましては、市町村が復興事業を円滑かつ迅速に行えるよう支援する観点で検討しているところでございます。

 現時点では、復興庁の実施事務としては、被災自治体がみずから行うハード事業全般を横断的に網羅した復興交付金制度、この中には、道路、病院、学校、こういったものが入ります。さらには、思い切った規制、制度の特例や税制等の経済的支援などで被災自治体の復興事業を実施する復興特区制度、それから、被災自治体の復興計画の作成と実施について、要望等を一元的に受けとめて行う支援等を担うことにより、市町村の復興事業を総合的かつ強力に支援することも考えているところでございます。

石田(祝)委員 ですから、そのときの議論を思い出していただくために、きょうは官房長官に来ていただきました。

 それは、官房長官が当時のこの復興特の与党の筆頭理事として、もともと出された政府案ではとても被災地の期待にこたえることはできない、これは私たち野党の共通する思いでございまして、それにやはり被災地を含めた与党の皆さんも、それはそうだ、こういう同じ思いに立っていただいたと思います。

 そういう中で、政府案では、私も再三ここでも申し上げておりますが、もともと附則に、一年たったときに検討する、こういう文面になっておりました。これではとてもだめだと。やはり本則に入れて、実施の事務、こういうことを入れました。そのときに、やはり総合調整、企画立案ということはありましたよ。しかし、それではワンストップで被災自治体の思いをかなえることができないと。ですから、縦割りを排して復興庁で全部ができるようにしよう、こういうことだったんですね。

 ですから、この復興庁の設置法案については、私たちは早くやれということを申し上げてきましたけれども、しかし、既存の組織との二重行政云々、いろいろな問題があるからすぐにはできない、時間をもらいたい、こういう議論で、年内に成案を得てというところまで私たちは譲ったんですよ。それで、通常国会冒頭で処理をしようと。そして、早ければ何とか、私たちは、三月十一日の一年というものがありますから、その前にという思いもありましたけれども、やはりそれは二重行政等の問題もある、こういうことでこの法案をつくったんですよ。

 ですから、そのときのことは私は官房長官が一番御存じだと思いますので、そのときの議論を振り返っていただいて、この復興庁の考え方で本当にいいのかということをぜひ官房長官から御答弁いただきたいと思います。

藤村国務大臣 石田委員には、復興庁法案、復興基本法、それから瓦れき処理法、そしてさらには今度の復興の基本的な考え方についてもさまざま御提言をいただき、そして成案を得ることができたということで、改めて感謝、御礼を申し上げます。

 私はそのときに、当然、筆頭理事として携わっておりまして、私も、この復興庁というものが、単に企画立案ということだけでなしに、きちんとした仕事ができるということ、御主張はごもっともだと思いました。そこで、当時、そのときに議論されたのは、復興庁は総合調整のみならず実施についても担うということ、このことを確認したところであります。

 その際、実施事務としては、例えば復興特区制度、特区の制度、これは復興庁がきちっとやってもらう。それからもう一つは、使い勝手のいい交付金、これについてもきちっと復興庁がグリップする。こうした経緯があった上で、今回、この法律を今つくっているというところだと思います。

 一方で、今地方との打ち合わせ等々をしてくる中では、復興事業の効率的あるいは効果的な実施ということを考えたときに、新たに設置する復興庁においては、総理を長とするとともに復興大臣を配置し、勧告権それから予算要求の調整権を含む相当大きな総合調整機能というのを持たせます。さらに、実施事務として、復興特区制度それから復興交付金制度に係る事務や被災自治体の復興計画の作成、実施の支援等を行って、市町村の復興を総合的かつ強力に推進していくというところに今だんだんに固まってきた、こういうことでございます。

石田(祝)委員 それは今の法案の説明でありまして、復興基本法をつくったときの、これははっきり言って、民主党、自民党、公明党、三党が中心になってつくり上げて、閣法も、また自民党の提出の法案も取り下げて、新しいものを委員長提案として提出したわけですよね。

 ですから、そのときの立法者の意思というのは、今官房長官が今の法案の内容の説明をなさっておりますけれども、そうじゃなくて、やはり我々は、繰り返しになりますが、早くしなきゃいけないんだけれども、それでも二重行政になっちゃいけないと。そこの工夫に時間がかかるから年内まで時間を下さい、たしかこういう政府側のお考えを、私たちも、これはやむを得ない、少々遅くなるけれども、そういう二重行政でかえって混乱させちゃいけない、そこに時間がかかるだろう、こういうことで私たちは法案をつくったんですよ。そうじゃなかったと思いますよ。

 今官房長官がおっしゃっているのは、私たちが言ったことを認めるようなことを言いながらも、今の法案の説明をなさっているんですよ。ですから、立法者の意思というものはそうじゃなかったんじゃないですか。そして、そのときは、どこを本部にするかとか、そういう詰めた議論はしなかったようにも記憶しておりますけれども、やはり、省庁ごとに霞が関へ出てきていろいろやらなきゃいけないんじゃだめだ、地元で全部できるようにするんだ、それも縦割りを排して、こういう趣旨が、残念ながら、今の復興庁の準備室の説明資料をいただくと、どこにも実施の事務が入っていない。ただ交付金を配るとか、地元被災自治体の要望を受け付けるだとか、こういう受け付け官庁じゃないと私は申し上げたんですよ。実施官庁なんですから、やらなきゃいけないんですよ。

 そこのところは、きょうは時間もありませんからこれ以上申し上げませんけれども、復興庁設置法、これは閣法で当然出てくるでしょう。しかし、今言ったような、もともとの三党で、また大多数の賛成を得て復興基本法ができた、そのときの立法の意思というものは尊重されなければならない、私はこのように思います。ですから、今聞いている範囲では、若干、実施の事務、ここのところが棚上げにされているのではないか、このことだけは私は申し上げておきたいと思います。

 なお、同僚の議員からもまだ質問が多分あるだろうというふうに思います。このことはまた法案が出てきたらしっかりとやらせていただきたいと思います。

 それで、厚生労働大臣に来ていただいておりますので、仮設住宅についてお伺いをいたしたいと思います。

 先日、集中審議のときに、寒さ対策でエアコンではなくストーブもということで前向きな御答弁をいただいて、その後、十月七日に通知を出していただいたと思います。やっていただいたことは私は大変感謝を申し上げますけれども、そこに、通知に、新たに建設されたというんですか、新しくつくられた仮設住宅という書き方になっているんですね。

 それで、今、避難された方が、被災された方が新しく住宅に入られている場合、建設されたいわゆるプレハブの仮設住宅と、みなし仮設、いわゆる民間賃貸住宅の借り上げ、またその他いろいろな住宅にお住まいになっている方、これはどっちかというとそちらの方が多いんじゃないでしょうか。そういうところの方が、ストーブについては非常にありがたいけれども、どうして新しくつくられた仮設住宅だけなんですか、こういう要望もやはり出てきているんですね。

 そのあたりについて、今回は津波でお家が流されていますから、仮設住宅に入った方もみなし仮設に入った方もひとしく家財は失われているわけですよね。そういう観点から考えた場合に、断熱性とかいろいろあると思いますけれども、そういうところへ行かれている方の思いは、一緒にしてほしい、こういう御希望があるんですが、この点、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 委員御指摘のように、新しくつくった仮設については、十月七日に、石油ストーブなども対象とするというふうにいたしました。ただ、民間賃貸住宅とか公営住宅というのはいわゆる一般の住宅で、今委員もおっしゃったように、断熱とかが一応できているものというふうになっておりますので、寒さ対策については一定程度は整っているというふうに考えております。

 このたびの東日本大震災では、民間賃貸住宅や公営住宅などの借り上げによる応急仮設住宅も、エアコンが設置されていない場合には、その設置に必要な経費を災害救助法による国庫負担の対象としているということで、それ以上のところは、一般にお住まいになっていた住宅ということで、やはり壁の厚さの違いとかそういうところから考えさせていただいているというところでございます。

石田(祝)委員 これは、断熱性があるということと中を暖めるための手段ということはちょっと別の問題だと思うんですね。一度暖めれば断熱性があるから保温効果はあるんでしょうけれども、暖めるもとがないんですから、これはもうちょっと考えていただかないと。そういう思いをお持ちの方がいらっしゃる、これはぜひ御理解をいただきたいと思います。また別の角度から改めてお伺いもしたいというふうに思います。

 それで、もう一点、きょうは災害弔慰金について若干お伺いをしたいんですが、厚生労働大臣、災害弔慰金を出すときに、主たる生計維持者、その他の方、こういう形で五百万と二百五十万に分かれていますよね。これは、主たる生計維持者の定義というのはあるんですか。

小宮山国務大臣 御指摘の、生計を主として維持していた場合の考え方、これは実際の今の家計の実態に合わなくなってきているというふうに私も考えております。そこの中でこういう御指摘も受けていると思いますので、どのような運用ができるのか、地方自治体の状況も勘案しながら、これは検討してまいりたいというふうに思っています。

石田(祝)委員 今実態に合わなくなっているというお話でございますけれども、もともとこの主たる生計維持者の考え方というのは政令にも省令にもどこにもないんですね。通知の中で、例えば、いわゆる配偶者に当たる方が所得があったら、その人は自分で稼いでいるんだから扶養されていない、だから生計維持者がいないんだと。

 実際、今回私がお聞きした方は、御主人がお亡くなりになって、奥さんが商売をしていて若干収入がある、所得が厚生労働省の通知の金額を超えているので、そのお家は主たる生計維持者がいない、こういうことで、その残された奥さんには、普通でしたら御主人の収入が多い、その中で亡くなったら、主たる生計維持者はその御主人だろうと思うのが通例ですね。しかし、その家は主たる生計維持者がいないことになっているんですよ。それで弔慰金が二百五十万、こういうことになっているんですね。ですから、これは通念とは合わない、こういうふうに私は思います。

 それで、財務省に来ていただいておりますから、これは財務省、そこのところで厚生労働省が使っているのが所得税法の控除対象配偶者に係る所得の金額なんですが、これについて、これは厚生労働大臣、御存じでしょう、昭和五十年の一月の通知しかないんですよ。三十六年前の通知が延々と今生きているという変な話なんですが、これは財務省として、主税局として、この課税の問題については、この数字を使われていることについては特に何か意見がありますか。ちょっと、手を振らないで答弁しに来てください。

宮内政府参考人 財務省といたしましては、その数字につきまして、厚生労働省の方で使われているということにつきまして、特段ございません。

石田(祝)委員 これは大臣が見直すということをおっしゃっていただきましたのでこれ以上申し上げませんが、この主たる生計維持者のところを、これが当時の厚生省の社会局長通知ということで出されていて、やはり災害が大きくなっていますから、弔慰金というものは非常に、残された家族、これはお金にかえられないということは当然だと思いますけれども、少なくても今後の生活を考えた場合に、その弔慰金で今後の見通しも若干立てられる、こういうこともあると思いますし、ぜひ政令か省令で明確にお決めいただいたらどうでしょうか。五十年のものがまだ生きているなんというのはちょっと信じがたいことですので、この通知等についても再度、政令、省令等でしっかり決めたい、こういうことでいいのかどうか。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、私も、今のこの時代には合っていないのできちんと対応を考えさせていただきたい。ただ、それを政令、省令という形でするかどうかについては検討の中でまた考えさせていただきたいと思いますが、はっきりとわかりやすい形でお示しをしたいと思っています。

石田(祝)委員 ありがとうございました。終わります。

古賀委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず初めに、日本時間二十三日十九時四十分ごろ、トルコ東部の地震によりまして多数の方たちがお亡くなりになられ、心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げるものでございます。

 さて、やっと復興特区法案また第三次補正予算が提出されるということで先ほど大臣からもお話がございました。余りに遅いと言わざるを得ません。東北の冬は早く寒い。一にも二にもスピード、スピードでやっていただきたいと思います。

 私からは、地元の要請をもとに質問をさせていただきます。

 まず、子供に関する質問でございます。

 我が党と福島県と連携をしながら、ふくしまの子どもを守る緊急プロジェクト事業を夏に実現することができました。中でも体験活動応援事業、林間学校等を利用しながら、一たん県を離れて思い切り太陽のもとで過ごすという事業でございますが、二十万人の申請がありました。今後、冬休み、春休みも含めまして、来年度も継続できるよう国が支援をすべきと考えます。

 中でも、障害児は同行支援がないので参加できなかったというお声もあります。社会的養護施設利用者等にも配慮をしながら、さらに進めるべきと考えますが、文部科学大臣のお考えを伺います。

中川国務大臣 お話しのように、これは非常に人気がありまして、それこそ二十万人を超える皆さんが参加をしていただいておるということでありますので、ぜひ私としても継続をしていただきたいというふうに思っております。

 基本的には、実は福島県が経済産業省の交付金によりまして福島県健康管理基金というのをつくっておりますが、その基金をもとにしてこの事業をやっております。ですから、この状況を見ながら、また経産省とも連携をしてやっていきたいと思います。

 実は、文部科学省も類似のことをやっておりまして、文部科学省としては、リフレッシュキャンプというのをやっています。これは子供たちだけを対象にしたキャンプなんですが、これも非常に評価が高いものでありまして、今のところ七千人に向かって人数が伸びておりますので、こういうことを組み合わせていきながら頑張っていきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 あわせまして、福島県内から長野県に避難した子供に対して、十月の初めでしたか、甲状腺に関連する血液検査で、いわゆる甲状腺の機能に対して変化が認められたという報道がありました。大変私も衝撃を受けました。その後、日本小児内分泌学会が正式に学会声明を出しまして、一般的な小児の検査値でも時に見られる範囲のものである、また、放射線被曝と結びつけて考慮すべき積極的な理由はないとした正式な見解を出されました。

 このように、子供を取り巻く課題につきましては、報道がなされる、そしてまたその後正式な表明がなされる、しかし、残るのは最初の報道でございます。したがいまして、保護者の方たちも不安は残ったまま、こういうことが、食についても、またこうした健康についても多く見受けられます。

 そこで、子供を取り巻く課題につきまして正しい情報伝達がなされますように、学校を通じて家庭に届くシステムを積極的に活用すべきではないかと考えます。二世代、三世代で住んでいらっしゃる方も福島にはまた多くいらっしゃいますので、文部科学大臣のお考えを伺います。

中川国務大臣 それぞれ、発表の仕方とか、あるいは出てきた事象がどのようなことを意味していくのかということを、専門家の知見を入れて、できるだけ工夫をして速やかに国民に対して説明をしていく、あるいはマスコミに対して説明をしていくという工夫と努力はしていきたいというふうに思います。

 それからもう一方で、基本的な放射線に対するリテラシーといいますか、基礎知識みたいなものは大事だろうというふうに思います。そういう意味で、一つは、放射線の性質と利用ということで中学校学習指導要領の理科において工夫をしているのと、もう一方で、先般からこの国会でも議論をいただいて、副読本ですね、これについて、全く基本からやり変えまして、新しい副読本ができました。これを今、二十五万部ですが、福島県の小中、全域に配付をするということで、十一月の初めにはできると思います。

 もう一方で、子供だけではなくて、地域あるいは親御さんも含めた取り組みというのも必要だと思いますので、ここも工夫をしていきたい。それを、福島県だけじゃなくて、日本全国でこの副読本を使いながら基本的な知識が広まっていくというような対応もぜひとっていきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 我が党はかねてより、放射線教育、それから防災教育、がん教育、これは今求められている大事な三教育だと思っておりますので、ぜひとも文科大臣のさらなるお取り組みをお願い申し上げます。

 文科大臣に対する質問は以上でございますので、御多忙と思いますので、どうぞ御退席くださって結構でございます。

 次に、除染につきまして伺わせていただきます。

 細野大臣にお伺いいたします。

 福島環境再生事務所を設けると大臣は御発言されました。どのような規模で、いつ設けるのでしょうか。

細野国務大臣 御指摘のように、福島環境再生事務所を来年の一月一日からスタートさせたいというふうに考えております。人員の募集もしなければなりませんし、体制もつくらなければなりませんので、ほぼめどが立ってまいりましたので、一月一日の立ち上げはできるのではないかというふうに思っております。

 当初は五十名程度の人員を配置いたします。その後、五十名では到底人員としては足りませんので、そこは各省からもしっかりと人を出していただいて、今そのお願いをしておるんですが、そこも含めて、さらには環境省としてもしっかりと独自の人員を配置して、少なくとも二百名規模の体制に早急に拡充して、除染を本格的にしっかりやってまいりたいと考えております。

高木(美)委員 今の件は、また後ほど質問をさせていただきます。

 重ねて細野大臣にお伺いしますが、月末までにお示しになるという除染の工程表についてです。これは、いつ、どのような場で発表されるのか。地元の福島からは、関係市町村がいる場で発表をするのが筋ではないかという発言も来ております。また、あわせて、除染をいつまでに、国が行う除染特別区域につきましても除染の期限の設定というのはされるのかどうなのか。また、あわせまして、中間貯蔵施設はいつできるのか。こうしたスケジュールも含めまして、お考えを伺いたいと思います。

細野国務大臣 まず、ロードマップなんですけれども、これは、もちろん除染についてもしっかりと踏まえてやらなければならないんですけれども、除染のロードマップというよりは、仮置き場、さらには中間貯蔵施設のあり方について、そこをできるだけ皆さんにわかっていただくためのロードマップということでございます。

 これを出します期限でございますけれども、従来から月末ということでやってまいりましたので、迫ってきておりますが、今最終の調整段階に入っているという状況でございます。

 どこでどういった形で出すのかということについても、いろいろな御意見があるのは私も聞いております。ただ、やはりまずは国が責任を持ってお示しをする、これからいろいろとお願いをしていかなければならないわけですけれども、やはりそこは国がしっかりと出していくというのが筋ではないかなというふうに思っておりまして、どういった場所でそれを発表するかというのはまだ決めておりませんけれども、国がしっかりと出すというところからスタートをしたいというふうに思っております。

 除染のさまざまなことに対する期限なり考え方なんですけれども、先日、放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針というのを出しておりまして、その中でさまざまなことについての目標なりめどなりを示しております。例えば、二年以内に、平成二十五年の八月末までに、推定年間被曝線量を五〇%にする、子供については六〇%をする、我々としてはこれが一つの目標になるというふうに思っております。さらには、平成二十六年三月末までには、除染特別地域につきましても、一部非常に線量の高いところはどこまでできるか、まだ確たることは申し上げられませんけれども、それ以外のところについては、土壌等の除染の措置を行って、そこから発生する土壌などを適切に管理された仮置き場へ逐次搬入する、そういう考え方をとっております。

 なお、仮置き場の期限であるとか中間貯蔵施設の期限など、県民の皆さんや全国のいろいろな心配をされている多くの皆さんが御関心を持っていらっしゃるのはよく承知をしておるんですが、今まさに最終調整中でございまして、そこはロードマップの発表の時期に合わせてしっかりと皆さんに御説明を申し上げたいというふうに思っております。

高木(美)委員 既に福島の関係の新聞では、除染廃棄物三年仮置きとか、中間貯蔵は数十年かとか、さまざまな報道がなされております。恐らく、これが正しいのかどうなのか、それが月末というお話ですので、あともう一週間というところまで参りましたので、一週間以内にはお出しになるということでよろしいんでしょうか。

細野国務大臣 月末がちょうど一週間後でございますので、それまでにはしっかりお示しをしたいと考えております。

高木(美)委員 あわせまして、これは計画的避難区域の村長さんからですが、計画的避難区域と指定するときは関係省庁が常駐して取り組んでくれた、除染が国の最重要課題であるなら、むしろこの除染についても常駐して一緒に取り組んでもらいたい、こういう切実なお声がありました。そこが恐らくこの福島環境再生事務所、こういうことになるのかと、今お話を伺いながら結びつけました。また、避難準備区域の方たちからも、解除されたら除染は市町村任せなのか、こういうお声も出てきております。

 こういう除染特別区域外であっても、線量の高い地域は高い技術を持つ国が直接実施すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 御指摘のとおり、特に緊急時避難準備区域、ここは、今もずっと生活をしておられる方がいらっしゃる地域もあるんですけれども、実際にはほとんど避難をされていて、町の機能がほぼ喪失をしているような、そういう地域もございます。そういったところで除染をするのに市町村任せというのは、これはうまくいかないのは明らかですので、できる限り国が責任を持ってやっていきたいと思っております。

 今お住まいになっている方がいらっしゃるところも含めて、責任は国にあるというふうに考えておるんです。ただ、実際に、どこで優先順位をつけてやっていくのか、どういうやり方をするのか、また、大変恐縮なんですけれども、地域の皆さんに御協力をいただかなければなりませんので、そういった地域の皆さんとのコミュニケーションとか、そういったところについて、市町村の皆さんにいろいろ御負担をおかけしているということでございます。

 ただ、繰り返しになりますけれども、すべての地域について、除染については責任は国にあるということは明確にしておきたいというふうに思います。

高木(美)委員 そうしますと、例えば、今ネックになっているのがまさに仮置き場であるわけです。これもいろいろな案が飛び交っています。国有林という案も出ています。ある村長さんからは、林野庁との調整を県や市がやるのかといったお声もあります。国が探すと言っていることと矛盾しているじゃないか、こういうお話です。

 こうした仮置き場の具体的な調整は、どこがやるんですか。

細野国務大臣 一番市町村の皆さんに御負担をおかけしているのが仮置き場でございますので、国が責任を持って調整をしなければならないと思っております。

 場所の選定というのがなかなか悩ましゅうございまして、これを国が前に出てどんとやってしまうとなかなかうまくいかないというのが、これまで見ておって率直に感じているところでございまして、国有林も含めて、場所の選定というのはできれば市町村にお願いをしたい。そこに実際に仮置き場を設置するのに必要な調整は、私どもでしっかりやらなければならないと思っております。

 これまでも農林水産大臣や林野庁の方に対しても私ももちろん要請はしておりますけれども、個別の場所について調整がなかなかうまくいっていないところがないかどうか、もう一度確認をして、責任を持って国として調整に当たってまいります。

高木(美)委員 もう一つお伺いします。

 住民の方たちから、特に二十キロ、三十キロ圏内から避難をしている方たちにお会いしますと、必ず、いつ帰れるんでしょうか、それをはっきりしてもらいたいというお声です。

 実施計画について、これは来年一月一日施行の法律ですので、国が定めるいわゆる実施計画、これについて、いわゆる除染特別区域については期限の定めというのがありません。いつまでに除染を終了するのかというのがこの法律の中には書かれていないです。しかし、市町村等が行う重点調査区域については、実施計画は開始と終了期限をはっきりさせる、これが法律上明確にされております。

 国が行う除染特別区域の除染の終了のめどというのはいつごろなのか。いろいろなところから意見書も出ています。日弁連からも出ています。そこでは、本当に帰れるのかどうなのか、そこも含めて判断をすべきだといった内容も書かれています。こういう判断をいつ、どこで行っていくのかという時期のめどというのは、今ちょうど生活再建に向けて皆さんの意識がずっと高まっている中で大事な課題だと思います。

 現実、双葉町から加須市に七百三十四名がまだ避難中です。この避難所にいらっしゃる方たちは、もう帰れないなら帰れないとはっきり言ってもらいたい、そこを町長が必死で今持ちこたえながら支援をしているという状況です。皆さんからは、先が見えないから力も出ない、そんなお声もいただいております。

 こういう二十キロ圏内、三十キロ圏内に関する除染のお考え、大臣はどのようにお持ちでしょうか。

細野国務大臣 まず、除染特別地域の除染なんですが、これは、やはり二年というのを一つのめどにしっかり結果を出していかなければならないと思っております。数字は先ほども御紹介をいたしましたけれども、方針の中でも書いてありますので、場合によっては、それをどう具体化していくのかということも含めて、もう少し踏み込んだ考え方を示す必要があるかもしれません。御指摘も踏まえて、目標がどこにあるのかというのを明確にお示しをできるように努めてまいりたいと思います。

 その区域から避難をしていただいている皆さんでございますが、一番御苦労をおかけしている皆さんでございますので、本当に苦しい思いを引き続いてしておられるということで、大変申しわけなく思っております。こうした皆さんなんですけれども、二年除染をするのでそれまで待ってもらいたいというわけにはいかないと私は思っております。

 ただ一方で、若干、夏前後に、情報のいろいろな行き来の中でいろいろ御不快な思いをされた方はいらっしゃるんですけれども、国が一方的にこれぐらいの期間こうなんだというのを押しつけるのも、これもなかなか受け入れていただくことは難しかろうというふうにも思っておるんです。

 そこで、今考えておりますのは、モデル事業もやっておりますので、それぞれの地域について、これぐらいの放射線量で、それが取り除けるにはどうも時間的には例えば何年ぐらいかかりそうだというのを、とにかくまずはそれぞれの自治体にお示しをしようと思っているんですね。お示しをすればおのずと、ではそれまではこういう状況で待とうというそれぞれの御判断があると思います。またもしくは、これだけ帰れないならば新しい生活をしたいという方も確かにいらっしゃると思います。そうした皆さんに、ではこういうこともあり得るんじゃないかというような、そういう多様な選択肢を用意しておいて、それをそれぞれの自治体にお示ししながら形をつけていくというのが現実的なやり方ではないかなというふうに思っております。

高木(美)委員 私も全くそう思います。その工程をやはりこうした除染の工程とあわせまして、生活上の再建の工程、これをぜひセットで、セットまで少し時間はかかるかもしれませんが、モデル事業をやってみてこうです、そこの具体的な話をぜひ進めていただきたいと思います。そういう方たちは御自分で住宅ローンも払い続けながらやっていらっしゃる方というのも多くいらっしゃるということも申し添えさせていただきます。

 今、細野大臣からいろいろお話を伺っておりまして、大臣は先ほど、福島環境再生事務所、ここに環境省から二百人ぐらい派遣したいというお話がありましたけれども、環境省の職員はたしか千名だったと私は記憶をしております。各役所の中でも、人数の規模も予算の規模も一番小さい省でございます。

 これは官房長官にお伺いいたしますが、例えば、これは今福島がさまざまやっておりますけれども、除染推進のための人材がいないので、人材バンクを県がつくるというような提案があります。私は、こういうのはむしろ国がしっかりやるべきではないか。環境省の中に福島除染推進チームというのが置かれていて、ここと連携してやるという話なんですが、これだけの除染の規模、しかも、瓦れきをこれからどうするかというと、山手線全体ぐらいに瓦れきがあるのではないかとか、さまざま予測されていることを考えますと、やはり除染推進のための明確な司令塔を置くべきではないかと考えます。除染推進本部というようなものを設置しまして、当然、環境省が主軸になるのでしょうが、関係省庁との調整など、強い権限を持つ本部を設置しなければなかなか進まないのではないかと思います。

 環境省はこの基本方針の骨子案を最初の案から若干変更されまして、指定廃棄物の処理については、厚労、国交、経産、また農水と連携して環境省が行う、中身は何ですかと聞くと、意見交換だという話なんですね。意見交換では始まらないのではないか。また、関係行政機関と連携して環境省が行うと言っていましても、この連携が不安定では除染自体が進まない。むしろ、環境省にも人員を増強しまして、国交とか文科とか、そうしたノウハウを持っている、人材をしっかり抱えている、そういう省庁から人を集めて、実施業者の確保であるとか研究開発も含めて総合的に推進しなければ進まないのではないかと考えますが、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

藤村国務大臣 環境省や農水省や国交省やと。先日、実は細野大臣からは、人員の件では、これは十月十二日でしょうか、必要な人員を環境省に配置するというお願いを農水省、国交省等にいたしました。そういう意味で、今おっしゃったとおり、環境省は人が少ないですから、ここへきっちりと人を送っていく。先ほどの福島環境再生事務所、これは二百人規模で来年一月一日、スタートいたします。

 ただ、今おっしゃるように、いろいろな役所がそれぞれ連絡はするけれども何か具体的な進行があるのかということを、私もそのように感じるところがありまして、これはちょっと別な例ですが、つい先週なんですが、福島県以外の例のホットスポット、これの対応というものは、ではどことどこでやるのかというので、これはばらばらでございました。実は、私のもとに、文科省、環境省、それから内閣府の原子力被災者生活支援チーム、この三者を集めまして、がちっと一つの仕組みを組み合わせまして、先日、先週の金曜日ですが、当面の福島県以外の地域における周辺より放射線量の高い箇所への対応ということで、チームをつくらせました。そういう意味で、いろいろな役所をつなぎ合わせる必要があるかと思います。

 今、各関係省庁間の調整ということだけでなくて、やはり除染というのは国で責任を持ってやるということからも、除染推進本部の設置という御提案をいただきました。貴重な御提案を受けとめて、私の方でしっかり対処していきたいと思います。

高木(美)委員 建設業者を持っているのは国交省、また研究の専門人材を持っているのは文科省、こうしたものを全部がちっと合わせて、ぜひ主導していただきたいと思います。

 最後に、済みません、小宮山大臣、お待たせいたしました。

 仮設住宅のバリアフリー化ということで、手すり、段差がない程度で、車いすではトイレも浴室も使えないという、障害者の方たちから多くの悲鳴をいただいております。対応を急ぐべきだと思いますし、仮設住宅の場合の規格を定めるべきと考えます。また、寒さ対策でも、体温調節機能が低い人は凍傷になりやすいなど、早急な対応が望まれます。厚労大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 私も、現地でそういう声もしっかり伺ってまいりました。

 六月に、簡易スロープ、手すり、敷地内通路の舗装などの追加工事を促進するように、被災県には通知をいたしました。さらに、アンケートの中でもバリアフリー対応を求める声を多くいただいています。そのため、十月二十一日の応急仮設住宅住環境等に関するプロジェクトチームで、バリアフリー化を含む追加工事について、被災三県で団地ごとの必要性を踏まえて優先順位をつけて早急に取り組むことということで、具体的な例も挙げております。

 厚労省としましては、被災三県にこうした追加工事の進捗状況について定期的に報告を求めて、バリアフリー化を徹底していくことにしたいと思います。また、現在の仕様のあり方について、関係省庁、関係団体等と連携をして検討していきたいと思っています。

 また、寒さ対策、特に御高齢な方のためには、御党から提案をいただいた石油ストーブ、ホットカーペット、こうしたことについても強化の取り組みを被災県に促しておりますし、こちらも定期的に報告を求めてしっかり対応したいと思います。

高木(美)委員 浴室等も、例えばそういうサービス事業者をしっかり支援するとか、当面の対応もお願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 自由民主党の加藤勝信でございます。

 まず冒頭、先日のトルコ東部の大震災で多くの方々がお亡くなりになり、また、新聞報道等によりますと、まだまだ瓦れきの下敷きになっている方もおられるということでございます。亡くなった方に対する心からの弔意とともに、一日も早い御救出を心からお祈りを申し上げる次第でございます。

 また、トルコも日本も大変地震の多発する国という間柄でもございます。東日本大震災におけるトルコ側からのさまざまな支援、やはり我々はまだまだ東日本大震災からの復興復旧を抱えているわけでありますけれども、まず冒頭、政府においても適切な対応を心からお願いをする次第でございます。

 そういう中で、実は私どもも、先々週でありますけれども、厚生労働委員会の視察で岩手県の方にも行かせていただきました。私も何度となく被災地の方に訪ねながら、発災直後のあの何とも言えない非常に衝撃的な情景、そして、今既に瓦れき自身はかなり、いわゆる中間置き場というんでありましょうか、そういうところへ片づけられているわけでありますから、逆に、特に高い建物が余りなかった地域ほど本当に何もなくなってしまって、唯一、建物の基礎というんでしょうか、それだけが残っている風景というのにも、また別の意味での衝撃を受けて帰ってきたところでございます。

 そういうところで、これからさらに、もともとが人口が高齢化したり減少化したり、きょうの新聞にも、集落がもう崩壊してしまっているというようなこともございました。そういう中で、これからどうこの地域を立てていくのか。本当に時間との闘いであり、また同時に、これまでの延長線ではない、さまざまな知恵や、まさに地域のその時々の状況に対応した復旧復興というものを本当に率先していかなきゃいけない、こう思うわけでございます。

 たまたま、田老地区の仮設保育所へ行かせていただきました。あのグリーンピアの跡地というか、あの地域にございまして、ある意味では皮肉な部分もございましたけれども、ただ、そこで子供さん方が本当に元気にされておられた。また、木をたくさん使ったすばらしい仮設の保育所で、国はなかなかやるなと思ったら、残念ながら国ではなくて寄附をしていただいた、こういうことでございました。

 ただ、そういう環境というものが変わっていくことで、もちろん子供さん方が、また、子供さん方が変われば地域の方々も変わっていく。ぜひ適切に、この三次の問題を含めて我々も協力できることは協力していく、しかし、適切にやっていかなきゃならない、このことを冒頭申し上げておきたいと思います。

 そういう中でどうしても触れなきゃならないのは、先ほどからお話がありましたけれども、復興大臣、先日の大臣の所信の中でもおわびの話がございました。ばかなやつという表現そのものが、やはり、公の席における、また公的な大臣のお言葉として、的確ではなかったというのは全く私はそのとおりだと思います。

 しかし、他方で、御友人に対する個人的な心情というのはいろいろな部分がございます。友人同士の会話の中においてそういう言葉が出るということも、あながち私は否定できないのではないかな、かように思うんです。

 そういう中で一つお聞きをしたいのは、大臣のおっしゃった、そのばかなという、そこの指しているお言葉自体が、お亡くなりになった御友人の方が、いろいろな方から早く逃げろとか言われておりながら、どういう理由かわかりませんけれども逃げなかったというようなことを指しておっしゃっておられるのか。具体的にどういうことをお指しになってそういう表現をお使いになられたのか、そこのところは大臣としてもきっちりと私は御説明をされるべきではないかと思いますが、その点について一点お聞きをしたいと思います。

平野国務大臣 東日本大震災の教訓をとにかく後世に伝えなくちゃならない。その中で、逃げた方々、避難の、釜石の奇跡等々ということが言われております。こういった方々も、明るい話題として、勇気の出る話として、そしてまた何をやったかということでしっかり検証して伝えなくちゃならない。と同時に、二万人近くの方が亡くなったり、また行方不明になっております。なぜそうなったんだろうか。これもしっかり検証しなくちゃならないという思いはずっとございまして、その中で、亡くなられた方々の例を何例か挙げまして、そして、ふと自分の友人の話になりましたら、ほとんどそれは個人の思いということでの話になっていたのではないかと私は思います。

 実は私、余りこの点については弁明すべきではないというふうに冒頭申し上げましたけれども、こういった同じ表現というのは、同窓会、同級会等のしのぶ会みたいなところでもちょっと言ったなという記憶がございまして、それをそのままあの場に持ってきたということについては、まさに閣僚としてといいますか、不適切だったというふうに思いまして、結果的に適切さを欠いた表現になってしまったということについて深く反省をしているところでございます。

加藤(勝)委員 おっしゃる中で、その方が、周りから早く逃げた方がいいよとかそういうような話があった中での、残念ながら亡くなった、こういう結果、そういう経緯の中でのばかなやつ、こういうことで理解すればよろしいんですか。

平野国務大臣 私の思いは、逃げれば逃げられたはずだったんじゃないかということであります。その一点に尽きます。

加藤(勝)委員 これ以上突っ込んで議論してもと思いますけれども、いずれにしても、心情は心情として、公式的な発言についてはまた十分御注意いただきながら、逆に、こういう議論がこういう場で行われるということ自体がやはりある意味では適切でない、こういうことにもなろうかと思いますので、御注意をお願いしたいと思います。

 次に、まず、先ほども石田先生からお話がありました。私も、石田先生初め野党、そして民主党の皆さん方ともかんかんがくがく議論をして、あの復興基本法案をつくり上げさせていただいたわけでございます。

 お手元の方に、これは復興庁の準備室というんでしょうか、そこがとりあえずの段階でお考えになられた「復興庁設置法案(仮称)の基本的な考え方」とそのポンチ絵というものをいただいたところでございます。その前から新聞等でもございましたけれども、先ほどの御指摘のように、ここにあります「所掌事務」におきます「1 復興に関する国の施策の企画、調整」、中身がいろいろ書いてございます。それから、「地方公共団体への一元的な窓口と支援」、いろいろ書いてございます。

 こういう中身と、また、お手元の方に、東日本大震災復興基本法の抜粋をお配りさせていただいておりますけれども、この第二十四条に、私どもがいろいろ議論した結果として、第三項、「復興庁は、主体的かつ一体的に行うべき東日本大震災からの復興に関する国の施策に関し、次に掲げる事務をつかさどる」ということで、一号として「施策の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」とともに、「復興に関する施策の実施に係る事務」、こういうことを記載させていただいているわけであります。

 そして、答弁でもいろいろ出ておりましたけれども、まさにこの復興庁は、被災地からのさまざまな要望をワンストップで受けて、スピーディーに、そして現場の感覚というものを持ちながら対応していくんだ、そして縦割り行政を排していくんだというところに大変なウエートがあった。そういう意味でも、事業官庁も含めて、権限、責任、予算、こういったものを一元化するスーパー官庁なんだということを私も何度となく答弁させていただいたところでございます。

 しかしながら、今いただいているこの案が現状そのまま生きているかどうか、私は確認しておりませんけれども、このままだと私どもが想定していた復興庁とは余りにも隔絶した存在になってしまうのではないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、現時点での大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

平野国務大臣 今、各省は、復旧復興に向けて主体的な取り組みをどんどん進めております。一方で市町村は、復興に向けての土地利用計画、その中心は例えば集団移転等々が入ってきますけれども、そういった計画づくりを進めております。

 復興庁の基本的な役割というのは、私はやはり、地域の考え方、それを踏まえて各省庁等の総合調整をするのが第一ではないかというふうに思っています。それで、その心は何かといいますと、復興の主体はあくまでも市町村、地域であるという考え方であります。

 その上で、それだけではなくて、復興庁は調整する上でそれなりの権限を持たなくちゃならないということで、勧告権あるいは予算編成におけるさまざまな調整といった規定も考えております。

 それだけではなくて、市町村の意向、考え方を踏まえて、復興を円滑に進めるためのツールとして復興特区制度、これは復興庁が所管をいたします。さらに、さまざまな事業制度、この中には集団防災移転事業等々が入っておりますけれども、そういった事業を束ねた復興交付金、こういったことについても復興庁が、できればそこで担当させるという、この大きな二つのツールを持ちながら、かつまた、市町村のさまざまな要望を聞いて、各省が主体的に取り組む環境づくりをする。それからまた、すき間に落ちた事業については、復興庁が主体的に持って調整をして、そのすき間ができないようにする。

 そういう役割が復興庁に求められておりまして、そういう役割をしっかりこなすことが、私は復興復旧を進める上で一番いいのではないかというふうに考えておるところであります。

加藤(勝)委員 今の御答弁を聞きながら、ちょっと正確に把握していないところがあったらまた御訂正いただきたいと思いますけれども、復旧というのはまさに字のとおり、もとに戻すということでありますけれども、復興というのは再び盛り興していく、こういうことになる、だから、やはり随分違う部分だと思いますし、冒頭述べたように、同じ場所にある程度同じものをつくりながら、それにプラスアルファをしていくというものとは今回は全然違うという部分が多いと私は認識をしております。

 そういう意味も含めて、地元の皆さん方が、あるいは市町村が、あるいは市町村長さんたちがいろいろお考えになっていただく、それをもちろん国は支援をしていく、こういう形であります。しかし、そこには一緒に入っていきながら、そしてそこで答えを出していくんだよ、そのためには、やはりそこに行った人たちがまさに全権大使のように、わかったということで判断していけるんだよ、それだけの権限を持っていくんだよというのが、私は復興庁に対する思いでありました。

 ただ、今の大臣の御答弁を聞いていると、むしろ、そうじゃなくて、そこには各省の方々が直接、間接行かれて、その調整を復興庁がするかのように私の耳には聞こえたわけであります。各省の主体的なとおっしゃいましたけれども、そうではなく、政府が主体的に一元的に取り組むのがこの復興庁であって、そのもとに各省庁とは連携をしていく。

 勧告権というお話もありましたけれども、私は、そんな勧告とかいうのではなくて、復興庁がやるんだと。したがって、それについて、いろいろな意味で来てもらう。だから、説明の中で、いや、勧告権もありますよという御説明をいただきましたけれども、それは従たる部分で、必要なのかもしれませんが、主たる話では全くなくて、もっと一元的にできる体制をしていくべきじゃないか。

 実は、今大臣から、東日本大震災復興交付金とか復興調整費等々のお話がございました。二十一日ですか、第三次補正予算の閣議決定がなされておりまして、従前からもいろいろ御説明をいただきながら、私も各予算の詳細まで通じているわけではありませんけれども、ぱらぱら読ませていただきますと、確かに復興交付金というのも一つのアイデアだと私は思います。

 しかし、各省で要求されている、例えば心のケアに対する施策、法務省にもあります、文部科学省にもあります、厚生労働省にもあります。それを読むと、それぞれの役所にのっとった施策だと思うんですけれども、しかし大事なのは、各省の守備範囲の中で何かをするのではなくて、そこのまさに被災者の皆さん方の心のケアにとって何がいいかということをしていくんだというところが復興庁に通じていく話であり、また、医療の関係でも、文部科学省や経産省や厚労省にかなりの金額の要望が出てきておりますけれども、それもあんな、各省ばらばらなんですかねと。やるのは基本的には県であり、それぞれの地域だということであれば、そういったものは全部復興庁に一元的に予算もつけていくというのが、我々が少なくとも考えていた本来の復興庁のありようではないかというふうに私は思うんです。

 大臣、見られましたか、第三次補正の各省庁の中身を。それを見てもなおかつ、そうした事業はすべて各省が、復興庁は別途におやりになる方がいい、こういうふうにお考えですか。

平野国務大臣 今委員がおっしゃいましたように、今回の震災地域の復興復旧、復興復旧とあえて言わせていただきますけれども、それは政府一体となってやるんだ、そのとおりだと思います。

 今、政府は、各省がさまざまな施策を持って、さまざまなノウハウを持っています。そのノウハウをいかに結集して効率よく被災地域に提供するか、これが国の役割だと思います。

 今回の災害については、非常に範囲が広い、また被害の額も多い。その復旧復興を進めていく中に当たって、どうしても各省の単独の事業だけでは賄い切れないものがたくさん出てきます。ですから、そのすき間に落ちたものについてもしっかり対応するような仕組み、それが復興交付金の、例えば一つの制度で対応する、そういった仕組みを考えながら対応することも大事ですし、あわせて、各省が持っている力、それを有機的に連携させることでそういった自治体の細やかなニーズにも対応できる。そうしたことの調整と実施に向けた体制づくりをやるということが復興庁の大きな役割ではないかというふうに考えているということであります。

加藤(勝)委員 ちょっと大臣と我々は、やはり根本的なところが違うような気がしてしようがないんですね。そして、大臣のおっしゃるようなものだったら、すぐにできますよ、こんなに時間かからずに。

 そうじゃなくて、我々は、各省庁がやっているものも最大限この復興庁に集めて、だからこそ、いろいろ切り分けが大変なんです。大臣がおっしゃっているように、各省庁がおやりになる、残ったところだけやる、いわば落ち穂拾いという言い方が適切かどうかわかりませんが、そういうようなものだったら、別にこんな時間がなくたってすぐできますよ。まさに今の対策本部がそうなのかもしれません。そうではなくて、対策本部ではだめですよ、復興庁じゃなきゃだめですよと申し上げてきた。やはりそのことをしっかり踏まえて議論をし、成案を出していただかないと、何ぼ御提案いただいても我々は全く今の案では賛成することにはならないということを強く申し上げておきたいと思います。

 それから、あわせて、逆に、先ほども御議論がありました、いつまでにお出しいただくのか。

 私がちょっと気にかかったのは、大臣の所信的お話の中で、復興特区のところには早急にという文言が入っていたんですね。復興庁には早急にという文言が入っていないんですね。この辺も何かお気持ちがあるのかなと、うがった見方をさせていただいたんですけれども、その辺を含めてお話をしていただきたいと思います。

平野国務大臣 今、復興本部とすれば、復興特区と復興庁両方の法案をセットでやるというふうに考えております。いずれこの二つの法案についてはしっかり御審議いただきまして、早期の成立を図っていただくようお願いをしたいというふうに思います。

加藤(勝)委員 早期の成立が図れるような内容をぜひお出しいただきたいと思います。しかも、復興基本法案という、国会で通った、成立した法律があるわけですから、その趣旨に従った法案をお出しいただきたいということを切にお願いしておきたいと思います。

 続けて、東日本大震災復興交付金のことについて一点お伺いしたいんですけれども、似ているというのか違うというのか、ここはなかなか難しいところでありますが、参議院で我が党等が提案をさせていただいて、可決されて、衆議院に今送付されております東日本大震災災害臨時交付金法案というのがございますけれども、この法案とこの災害復興交付金、これはどういうふうに位置づけておられるんですか。

平野国務大臣 三次補正予算では復興交付金ということでこれを計上しておりまして、これは二階建てで成っております。

 下の部分が、あえて下の部分と言いますが、下の部分が今で言う一括交付金みたいな仕組みで、今の補助金を束ねた形の仕組みになっております。

 上が、使い勝手のいいということで、自治体の裁量でもって基本的に、今は、これに使ってはいけませんよということで、特に個人財産に係るようなものに対する補助金、こういったものに使ってはいけませんよというような、どちらかというとネガティブ方式での規定を置こうかなというふうに考えておりますが、逆に言えば、それ以外については何でも使ってよろしい、そういう使い勝手のいい交付金の二階建てになっております。この上の部分につきましては、東日本大震災災害臨時交付金法案の考え方とは基本的に一致しているのかなというふうに思います。

 特に、復興計画をつくって、復興計画に沿った形で、それを受けた形で交付金を交付するといった考え方、所管大臣は総務大臣になっておりますけれども、そこがちょっと違いますが、全体としての流れ、それから交付金の位置づけということについては共通するものがあるかなというふうに思っていますし、私どもも、今回、復興交付金の制度設計をするに当たっては、この法案を参考にさせていただきながら制度設計をさせていただいたつもりでございます。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤(勝)委員 この法案をつくられた方からはやや違う感想が私の耳に入ってきておりますけれども、いずれにしても、既に参議院から、参議院を通過して本院に来ているということをしっかり踏まえた制度設計をぜひ、必ず図っていただきたいと思います。

 続けて、復興基本法案のときに議論になったのが特別会計の話でありまして、あの議論の中では、結果的に検討課題ということで位置づけがされて、法案の中にはそういう内容は盛り込まないということで最終的に相なったわけでありますけれども、今回の三次補正予算を見ていると、残念ながら一般会計に計上されているということなんですが、特別会計という形で計上しなかったその理由をぜひお示しいただきたいと思います。

安住国務大臣 先生一番よく御存じなわけですけれども、特別会計でやるということになりますれば、もちろん、財務省、日銀、会計検査院等、システムの変更を含めて大変な作業も必要になるわけでございます。第三次補正までは、やはり一般会計の中で区分管理という形にして、予算にいわばミシン目をつけてしっかりとわかりやすくさせていただくということで対応して、いわば最優先はスピードである。ですから、すぐに執行をするということであれば今回は区分管理でやると。

 もちろん、三党の協議の中で、御党からも、今後のことについてもそうした対応をすべきではないかという議論があることはもう十分私も心得ておりますので、そこは今後の議論としてさせていただきます。

 特別会計をめぐるいろいろな問題というのは、もう私ここで多くは申しませんが、さまざまあると思います。古くは日露戦争の戦費調達から始まって、戦後、特に高度成長、また、特別会計の、大なたを振るった自民党政権下で大整理も行われました。透明性をどう確保するかという問題も一方で特別会計にあったわけですから、厳格にその目的として使うという考え方がある一方で、やはり非常に硬直化して、議会のチェックや管理が甘くなるという問題もあって、課題がそれぞれ、賛否、デメリット、メリット、それぞれだと思いますので、そこはぜひ今後議論をしていただければいいというふうに思っておりますが、とりあえず三次補正まではスピード感を持たせていただくということで特別会計にはしなかったということでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、今の大臣の御答弁のニュアンスからすると、二十四年の当初予算以降については、特別会計にするかどうかを含めて議論をしていく、こういう認識、そういうふうに私どもは受けとめてよろしいんでしょうか。

安住国務大臣 私は、区分管理がスピード感もあるし融通もきくんじゃないかなと。これが十年、それ以上ということになってくれば、なおさら融通をきかせた方がいいと思っていることは思っているんです。

 しかし、先生おっしゃるように、これは三党の話し合いの中でどういう経緯、経過をたどっていくかということは私個人としても十分見ながら、先ほど申し上げましたようにメリットもありますし、そこは三党でぜひお話し合いをしていただければいいと思います。

 とにかく、被災者のために、合理的で、スピードアップして、本当にスピード感を持った予算執行ができるようにしていただくということが重要だと思います。

加藤(勝)委員 いずれにしましても、この問題は先ほどの復興庁の話ともこれは密接に絡んでくる話でございますので、そこはしっかり連携させていただきながら、我々の考える復興庁ということになれば、少なくとも特別会計ということにもつながっていくし、それの方がうまく執行できるのではないか、私はそういうふうに考えているところでございます。

 それでは次に、復興財源の関係でお示しをいただきたいと思いますけれども、この復興財源、単に三次補正だけではなくてこれから以降の復興財源をどうしていくのか、大変大きな問題でもあります。当然、この復興財源が全体として幾ら要るのかというのは、政府から十九兆あるいは二十三兆、こういう数字も出てきておりますけれども、これ自体がこれからどうなっていくのかわからないというのはもちろんありますけれども、同時に、それをやはり歳出の削減あるいは税外収入等々で対応する。あるいは我々は、直接予算でなくても、民間のさまざまな資金を活用するというやり方もあるのではないかということも法案の中に盛り込ませていただきましたけれども、まず、そうしたことがある。そして、それ以外のところは結果的に税にゆだねる。

 では、一体それを、どれだけの期間をかけて復興財源を確保していくのか。それが今与野党間でも議論をさせていただいているところですが、その一つの前提で、私は事務方にもお願いをしながら、なかなか数字を出していただけないのは、国債費の利払い費の不用なんですね。

 平成二十二年度補正予算というのは、ちょうど今ごろ出てきたわけであります。そのときに、一兆二千億円の財源として、不用が計上されておりました。そして、その後、最終的にはさらに六千億ぐらいの剰余金が出て、トータルで、平成二十二年度の一般会計に係る国債費の利払い費は、一兆八千億円を超える当初予算から比べれば減額、逆に言えば不用が立った。

 そして、平成二十三年度も、私がお伺いした限りでは、二十二年度とほぼ同じ考えに立って当初予算は計上されている。そして、この半年間の流れを見ると、二十二年度よりも今年度の方が金利水準は低いんです。そして、発行している金利も低いんです。ということは、それ以上に不用が立っているはずなんですね。

 これをどう使うかという議論は後にさせていただくとして、しかし、これだけ、二兆円も近いお金が今一体どうなっているかということを示さないということは私は非常に不誠実だと思うんですけれども、大臣、お示しいただけますか。

安住国務大臣 先生御指摘のように、昨年は、一次補正、十月末という時点で、一兆二千億等のお金について補正をやったということでございます。

 今回、先生今前段で御指摘のあったように、幾らこれが出てくるのかということになると、昨年並みぐらいのことは計算できるのかなと思いますが、正確な確定額は多分十二月の初旬から中旬にかけてであって、おおよそのところははじき出せるわけでございますけれども、そのことを確定する以前に、やはり予算に、これを三次補正に計上するのは適切ではあるまい。

 今後、不用額について、出てきたものをどうするかということは、これはまた与野党で話をしていただく等、必要性は出てくると思いますけれども、現時点では、あらあらのことはわかりますけれども、確定額ではないので、今回、三次補正には盛り込まなかったということでございます。

加藤(勝)委員 大臣、確認いたしますが、平成二十二年度の補正予算はいつ閣議決定されたんですか。

安住国務大臣 たしか十月の二十九だったような気がいたします。

加藤(勝)委員 一週間しか違わないわけでありますけれども、それで、あのときは予算に計上できるものを出されて、今回は、今の御答弁では、確かなものしか出せないと。それはないんじゃないかな。

 やはり大臣、何に使うか、この話をすると四次補正の話と突っ込まれていくわけですからあれかもしれませんが、これだけのものがありますよということは示して、しかし、それは毎年毎年、本当であれば、あるいは去年の経験でいえば、この三次補正の中に本来なら年度末処理のものを入れたってできないことはないんです。これまでの補正予算のタイミングでこの時期にやったこともあるわけであります、通常は十二月の終わりぐらいではありますけれども。

 やはりそういうことを考えてみると、では大体このぐらい、あるいは歳出の方もこのぐらい、そのめどというのは当然ある。そうしたら、残余のものが私の目の子でやや一兆円近く出てくるんじゃないかと想定しております。だったら、まず、そういうものを復興のお金に充てる、これが私は当然のことでありますし、復興法の第七条の第一項にも、そういう思いでこの文章を書かせていただいているんですよ。

 だから、大臣、まず、それを使うか使わないか、それはこれからの議論としても、この段階で一体どのぐらいあるのかというのはお出しをいただきたいと思います。

安住国務大臣 ですから、おおむね、多分一兆円強ぐらいにはなるのではないかなというふうに、今、私のところでは思っているということです。

 これは先生、主計局におられたので一番御存じのとおりでございますけれども、これから年末にかけまして、生活保護等の負担金等、やはり追加財政措置の必要になってくることもありますし、今お話がありましたように、今後これを具体的に、何も使わないと言っているわけではなくて、もしそれが出てきた場合には、いろいろな意味で、これは政治的にもいろいろな話し合いをさせていただくということでございまして、三次補正の編成は御存じのとおり八月の段階からスタートしていたものですから、まだこの速報値も出ない中でこれを計算には入れなかったというだけでございます。

加藤(勝)委員 ですから、三次補正の議論とは別にして、その数字をお出しください。それはこれからの、単に、復興財源確保法案の議論というのは別に三次補正だけの話じゃないでしょう。これからの流れ全部、すべての復興財源の議論をするわけですから、当然そのときにそういう数字をお出しになるのは、私は政府の義務だと思いますよ。

 もう一回、きょうお手元になければ今すぐ出してくれとは申しませんけれども、少なくともこれから予算の審議が始まるまでには責任ある数字を出していただきたいと思いますが、いかがですか。

安住国務大臣 ですから、まだ私の手元で持っている数字ではないんです。ただ、おおむね一兆円強ぐらいにはなるだろう、昨年の経過をたどれば。ですから、わかった段階では、別に隠す数字ではございませんので、それは出させていただきたいというふうに思っています。

加藤(勝)委員 いや、本当にわかった段階というのは、年度が終わって全部の会計処理が終わらなきゃ出てこないんですよ、大臣。だから、あなたがちゃんと指示して、今の時点でどのぐらいあるのか、少なくとも二十二年度の補正と同じ考え方にのっとったらどうなるのか、そういう数字をやはりお出しになるのが、大臣、あなたの責任じゃないんですか。

安住国務大臣 ですから、一兆強ぐらいはあるだろう、それは二兆もあるとは思いません。ですから、先生、大体想像している範囲だと思いますが、正確なところはやはりまだ、何円まで確定は、それはもちろんすることでございますけれども、十二月の確定値が出る前までぐらいにはきちっと議論に資するような形をとらせていただきたいと思っております。

加藤(勝)委員 いや、これは、ここで今押し問答していてもと思いますけれども、我が党としては、少なくとも補正予算の議論の前提として、やはりそういったものを出していただくことを強く求めていきたいというふうに思います。

 それから、大臣、やはりこれから当然増税の議論になっていくわけですよね。そうしたら、最大限そういったものを出して、あるいは、後で聞かせていただきますけれども、いろいろな基金とかいろいろなお金を出して出して出し切って、残ったからこうだ、それが当然じゃないかと思いますよ。しかも、その数字も、二十二年度のちょうど同じ時期に出しておられるんだから、一つの仮定計算として出せないことは絶対ないわけでありますので、それはぜひ議論の前提としてお出しいただきたいと思います。

 私は先日、大和総研さんが、子供二人、小学生の子供さんが二人いる、御主人か奥さんかどちらかが働いている、こういう四人世帯の計算を出していましたよね。年収四百万でどうかというと、平成二十三年から二十四年にかけてそういう世帯が九万七千円も、児童手当のこともあります、年少扶養控除のこともあります、厚生年金の保険料が上がることもあります、さらにはこの臨時増税があったら、九万円、約十万円減りますよ、さらに二十五年には三万五千円もさらに手取りが減りますよという試算も出されているわけですよね。

 ですから、そういうことも含めて、やはり増税を、今回の所得税の増税は、それは一人当たり決して多くないのかもしれません、金額的には。しかし、やはりトータルとしては相当な負担を受けているわけですから、できるだけそれを少なくしていく、それを議論していく、そのための材料を政府は国会に対して提供する義務があるんだ、このことはしっかり認識をしていただきたいと思いますし、ぜひ補正予算の議論までにはそういった数字を大臣の指導でお出しをいただきたいと思います。

 それから、今申し上げた基金の関係について、実はこの間、会計検査院が、「国庫補助金等により都道府県等に設置造成された基金について」、こういう報告書をお出しになっております。これは勧告ではなくて報告ではあります。

 しかし、その中を読みますと、これは、私どもが与党のときに景気対策とかいろいろな形でさまざまな基金を造成した、そういったことが結果として必ずしもうまく使われていない部分がある、簡単に言えばこういう指摘でありますけれども、その中で、例えば、二十三年度に事業終了を予定する基金の事業について、二十二年度末で一兆円まだ残高が残っていますよ、そして、これについて会計検査院のコメントとして、基金事業終了後に多額の執行残が生ずるものと思料、こういうふうに記述がされております。

 それから、二十四年度以降に事業終了を予定する基金事業についても、二十二年度の末で約一兆円残っていますね。しかも、これも大方が残念ながら期限を延長して二十四年度以降になっている。こういう経緯からすれば、これも相当程度の執行残が残りますね。

 トータルで言えば、二十二年度末においては、二兆円のお金についてそれぞれ相当程度執行残が残りますね、こういう指摘があるわけであります。

 こういう基金、これはしっかり洗っていただいて、もちろん、中にはしっかりやらなきゃいけないものもあると思いますけれども、チェックしていただけますか。

安住国務大臣 これは、日経新聞の記事を私もちょっと読んで、その後、事務方にも確認しました。

 確かにこれは、少し事実の認識が違うのは、二十二年度で事業が終わるのは二事業なんですね。学校給食の畜産物利用拡大基金等二つで、残りは先生、二十三年以降も二十五年ぐらいまで続くものなんですね。その中で、執行が例えば思いどおりにいっていないのではないかという指摘があるのもあるんです。

 例えばしかし、これも前回の予算委員会で問題になったんですが、公明党の富田先生からあった学校の耐震化、例えば社会福祉施設耐震化等臨時特別基金とか、それから高等学校の修学支援基金等、これもこの予算委員会で、復興特ではありませんでしたけれども、問題になった部分です。

 こういうものについては、できるだけ文科省等についても、厚労省も改善をしていって、なおかつ、今回、使い勝手のいいものに三次補正で充当をするなど利用を図るということになっておりますので、一本一本について厳格にやって、決してこれが無駄になるとかそういうことにならないように私としては管理をしていきたいと思っております。

加藤(勝)委員 いや、無駄になるとかならないというんじゃなくて、一つ一つきちんと精査していただいて、一応検査院からもこういう話が来ているわけですから、それから、今言ったように財源を、非常事態だからいろいろなところから、そして、最後足らないから税金だという話になっているわけですからね、大臣。そこは、今のここに指摘されている一本一本について、それは、先ほど申し上げた中には、その執行の仕方を変えて、より使ってもらうようにしなきゃいけないものもあるでしょう。しかし、さらには、もうかなり目的は遂げて、これは国庫の方に返してもらわなきゃいけないものもありますから、そこをしっかり精査していただいて、やはり財源をぜひ捻出していただきたいと思います。

 そういう中で、最後、たばこ増税についてぜひお伺いをしたいと思っております。きょうは総務大臣にもおいでいただいておりますけれども。

 もともと私は、たばこ増税、もう既にたばこ耕作者というのも、ここ一年で四割も減少しておりまして、私どもの地元でも、かつては多くのところで、時期時期になれば、たばこの苗に三角帽子というんでしょうか、それをつけた風景が見れたんですが、もう今はほとんど見ることができなくなりました。県下でも二十軒を切るということでございますし、それから、たばこを売られる方々も年々一万店以上が廃業されている、こういう厳しい状況もございます。先般上げたばかりだということもございます。これ以上のこうした、しかも、たばこを吸われる方だけに特定にかかる税金というものをこういうときに使うのは、私は適切ではないというふうに思うのであります。

 政府から出していただいている資料、ちょうど今お手元に用意をさせていただきました。これは、いただいた資料を私なりに書いたものでございます。違いがあれば御指摘をいただきたいと思うんですけれども、まず、国税分については、たばこ税やたばこ特別税とは別途に、たばこ一本に対し一円のたばこ臨時特別税を創設するということで、資料では〇・二と書いてありましたけれども、十年間分にすると一・七でございますから、多分〇・一七兆円と書かせていただきました。一年で一本一円増税すると、それだけふえて、十年間で一・七兆円、こうなっているんですが、他方で、地方税の方は、地方たばこ税の税率をたばこ一本に対し一円の引き上げ、こうなっておりまして、これは〇・〇九兆円となっているんですね。

 同じ一本に一円課税しているのに、片や〇・一七兆円の増収があって、他方で〇・〇九兆円しかないというのは、これはどういうことなのかな、こう単純に疑問を感じるわけでございますが、その点について、それぞれ御説明いただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 数字的には、確かに御疑念をいただく表現になっていることは事実でございますので、説明させていただきます。

 国と地方のたばこ税の増収額については、基礎数値としては同じ数値を使っております。約千八百億本現在吸っていただいているということになっているのが、約百億本ぐらい減るであろうということで、厳密に言いますと、一千六百六十億本になるという前提であります。したがいまして、国税の場合は一円ということで、先ほど一・七というお話がありましたけれども、一年間で一千六百六十億円という計算をしております。地方税も、増収分という意味では一千六百六十億円入ります。

 ただ、地方税は、現行の地方たばこ税の税率の引き上げを行うということにしておりますので、これは、想定からいいますと、値上がりすることによって約百億本減るということでありますので、本体の、現行にかかっている地方たばこ税が減収になるという分を相殺いたしますと、七百億円減るということになりますので、増収分千六百六十億円から七百億円引いて九百六十億円に一年間でなるということであります。したがいまして、五年間でありますので、そういう数字に、〇・四八兆円という計算をしました。

 一方、国税の場合は、復興特別たばこ税という税を新しくつくるということでありますので、一円分そのままカウントされております。たばこ税に関しましては、先生御案内のとおり、国税は、国たばこ税というものと国たばこ特別税という構成になっておりますが、これに加えて新たに復興特別たばこ税というものをということでありますので、本来の税は減収になるんですけれども、この分はカウントをここの税ではされないので、こういう形の表現になりました。

 なぜ相殺したかといいますと、地方税の分は、地方のいわゆる震災に伴う防災機能の強化の分を自前でやっていただく分でありますので、地方税は一千六百六十億円ふえずに、これだけしかふえないということもはっきりと明示しないと、地方に混乱をもたらすということであります。

 以上です。

安住国務大臣 今総務大臣から御説明していただいたとおりで、こちらとしては、新しい税をかぶせる、上乗せするということで、手続的にはそうなるんですが、実は、数量等を含めると、税収ということは十分想定しますが、法体系上はこういう書き方になるということでございます。

加藤(勝)委員 そうすると、今の議論の中で、復興財源で、たばこ税で一・七兆円、こう入れておられるわけですけれども、国税そのものから見ると、今おっしゃった、たばこの今回の臨時特別税については、確かにそれだけ上がるにしても、既存のたばこ税とか、たばこ特別税でしたか、トータルとしたたばこに関する税収というのは、十年間でいえば八千億程度減ってしまうわけですよね。これはどうされるんですか。要するに、一般会計の中に本来あるべきものがそれだけなくなるわけですから、それはどういうふうに手当てされるんですか。

安住国務大臣 先生、これは一般会計で、年間の額の中でいえば大体七百億前後の減収ということは想像し得ると思いますが、この減収を何かで、財源で手当てするかといえば、個別具体で手当てをするということではなくて、トータルの予算編成の中で対応していくということになると思います。

加藤(勝)委員 いや、大臣、別にたばこ増税しなくたって、七百億円掛ける十年、七千億円出てくるじゃないですか。違いますか。そういうふうに認識していいんですか。

安住国務大臣 いや、そうではございません。これは区分管理して、きちっと税として税収をそこで復興に確保するということです。つまり、変動幅がありますから、今から七百億が経年でずっといくとも限らないわけでございますので、そうした点では、当て込んでそれに何か手当てをするということではなくて、全体の収入の中でこれを考えていくということになると思うということでございます。

加藤(勝)委員 申しわけありませんが、全然理解できなかったですね。

 要するに、今のお考え自体が、一兆七千億入ってきますよ、ある意味では想定の中での話ですよ。もちろんそれは、さらにたばこを吸う方が減られればもっと減る、それはそうでしょうし、それから、法人税だって所得税だって経済等々の動向によっては増減がある、これは当たり前だと思いますが、ただ、この想定している中で、今お話があったように、実は、一兆七千億、丸々国税収入がふえるわけではなく、他方で、七千億ですか八千億ですか、本体の方、実は減っているんですよ。しかし、その分どうするんですかと言ったら、大臣は、いやいや、いろいろやりくりしてやるんですよ、そうおっしゃった。

 それであれば、八千億やりくりしてやれるんならば、これは別にたばこ増税をしようがしまいが、八千億ぐらいやりくりできるんだということで復興財源をお考えになればよろしいんじゃないんですかというのが私の論理でございまして、それはそのとおりじゃありませんか。

安住国務大臣 先生の一つの考え方だろうと思いますが、先生御存じのとおり、我々も、好きでたばこ、何とかお願いするというわけではないわけです。ただ、全体の中で、所得税、法人税等もできるだけ御負担をかけないようにして、本当に、たばこを吸っている方には申しわけないわけでございますけれども、今のその七千億の話だけでなくて、地方分を含めれば、やはり上げさせていただくことでかなりの復興の財源というのは、三兆円近く出てくるわけでございますので、毎年のその税収分における、経年で幾らになるか今後わかりませんが、喫緊で考えれば四十四兆のうちの七百ということになりますから、そこはいろいろな景気の変動等の中でやりくりをしていくしかないのかなというふうに私は思っているということでございます。

加藤(勝)委員 少なくとも、こういうふうに税目を分ければ確かにこういう数字でありましょうけれども、たばこに係る増収額というのはその半分しかないんだということでありますし、やはりそれを前提に議論すべきではないか、こういうふうに私は思います。

 それから最後に、この復興債の対象経費ですね。

 これから、復興債、どういうものに充てるか、これは我々も確かにいろいろ悩むところがございます。復興基本法の中にも、書きようで、あるいは読みようで、いろいろなものが入ってくるわけでありまして、例えば全国的な防災、これはやはり一つの対象にある程度なるだろうな、こう意識をしながら、しかし、防災と言われるものを全部復興債の対象経費にしては、これはどこまでが防災かわからないというところもあります。

 それから、ちょっと円高は、本当にそこまで、いろいろなものを言い出せば、それは何でもかんでも絡んでくるわけでありますけれども、それがここまで入るのかな。その辺の一つ考え方をきちんと精査していかないと、今はどちらかというと復興中心の予算でありますけれども、これから二十四年度以降の本予算等々になりますと、その辺が入りまじってくると、そもそも復興債は、特に財源をしっかり確保しよう、こういう性格なものでありますから、私はそこはもう少しきちっと仕分けをしていくべきではないかと思いますが、少なくとも今回の三次補正において、その仕分けを大臣はどのように考えておやりになられたのか、基本方針をお示しいただきたいと思います。

安住国務大臣 確かに円高の問題というのは当初の想定をかなり超えたラインに来ておりまして、復興でこれをやるのかという議論は、確かに先生おありになると思います。

 ただ、例えば東北地方の、私の郷里の方でございますけれども、自動車集積関連企業なんかが非常に点在をしておりまして、サプライチェーンの問題でいえばダメージが非常にありますので、そこに輪をかけてこの円高ということでございますから、そこはやはり復興と関連づけてもいいのではないか。これが九州や中国地方等の関連企業にもまた波及をするものですから、そこまでは、やはりそういう点では、この復興で今回対応させていただくということにしたということでございます。

加藤(勝)委員 要するに、今申し上げたかったのは、先ほど申し上げた、そういうことを考えると、最初の十九兆とか二十三兆と想定していたものにそこまで含まれていたのかどうか、となると、その規模も変わってくるんじゃないか。そういうことを含めて、まだこれから三次補正の議論も含めてしっかりやらせていただきたいと思います。

 最後に大臣、最初に申し上げた国債費の利払いの不用額、よろしくお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

古賀委員長 次に、秋葉賢也君。

秋葉委員 自由民主党の秋葉賢也です。

 震災から七カ月がたちまして、まだまだ地元は大変な状況でございます。菅前総理は夏までの仮設への住宅移転を約束されましたけれども、宮城県では残念ながら来月いっぱいまで残るところがございます。

 そして、信じがたいことに、七カ月たった今でも、毎日のように県内のどこかで遺体が発見されている状態が続いております。まあ正直、もはや原形をとどめていない状態の中で、DNA検査のためにしっかりと回収をして最前線で頑張っていただいている皆さんに、改めて衷心より感謝の誠をささげたいと思います。

 地元でのこうした厳しい状況が続く環境の中、トルコにおいても大変甚大な被害が発生したことは、本当にざんきにたえません。特にトルコは親日国、私の選挙区にもトルコの人たちが開設をしたインターナショナルスクールもございます。また、トルコ政府からは、東日本大震災に当たって大変な御尽力をいただきました。改めて感謝を申し上げ、また、我が国としても、今回のトルコの、千人を超えるだろうと言われているこの大地震の被害救済、国内も大変な状態ではございますけれども、日本政府としても最大限の支援をしていかなければならないと思っております。

 きょうは、いろいろと聞きたいことが山ほどありますけれども、時間が限られております、何点かに絞って伺いたいと存じます。

 まず初めは、復興庁の設置法案でございます。

 政府が検討している概要を拝見して、非常に残念に思っております。

 結論から言ってしまえば、この程度の役割を復興庁に担わせるんだったら、通常国会、すなわち八月末までに出せたはずだ。それが臨時国会の、まだ提出の時期も明らかになっておりませんけれども、この程度の復興庁の設置法案なら簡単に書き切れるじゃないですか。

 私は、党内でも、政府がなかなか遅いから自民党として復興庁の設置法案を出すべきだということで党内議論をしてまいりました。いろいろ議論しましたけれども、どんな権限を束ねるのか、場合によっては関係法律の改正も出てまいります。各省に照会をかけて、地域の実情を伺いながら一元化していく作業ですから、それなりの時間もかかるし、なかなか野党の立場では限界があるということで、我々も独自案を出すのを断念した、こういういきさつがございます。

 通常国会でも、平野大臣とはこの問題で何度もやりとりをいたしました。やはり当時、大臣の考えも、どんな権限を任せるのか時間がかかるということで、臨時国会には出したい、こういうことでございました。ですから、私も、各県、各省庁の権限を一まとめにして、そこに若手のばりばりの官僚を、もう五年は戻ってくるな、あるいは十年は戻ってくるな、そんな思いとともに、強力なスーパー官庁が組織されるものだと期待をいたしておりました。

 ところが、政府から、今巷間伝えられている「復興庁設置法案(仮称)の基本的な考え方」を拝見いたしますと、十年間の設置で、本部は東京、出先三カ所も置くようではございますけれども、具体的な権限は何かといえば、どうも復興特区の中身をどうするのかという調整が精いっぱいで、あとは従来どおり、今ある本部と同じじゃありませんか、各省の調整機能を担うだけ。

 私たちは、復興基本法の中で、先ほど加藤代議士も取り上げられましたけれども、二十四条に盛り込んだ方針というのは、理念というのは、やはりワンストップで、行政の二重行政、屋上屋を架さないように、本来なら各省にまたがるような権限をこの復興庁に束ねて、そしてできれば地元に本部を置いてやれば、地方自治体もあっち行ったりこっち行ったりしなくていい、そして一々上京しなくてもいい、そういうことで訴えてまいりました。

 こうした中途半端な権限しか与えない、しかも本部は東京、こういう法案がもし今後この臨時国会に出てくるのであれば、我が党は断じて賛成はできません。しっかりとした修正協議をして、そして、少なくても、現況、今検討されているいわゆる権限を越えた大きなものになることを最低の条件と考えておるわけでございます。

 まずは、復興庁創設の今仮称で言われている基本の考え方。私、正直言いまして、この準備室のトップを瀧野さんが務められているということもあって、彼は非常に地方行政に明るい方ですから、実際問題、宮城県があるいは仙台市がどんな権限を束ねてもらえれば助かるのかということを十分承知の上で検討していただけるものだと思っていたので、本当に期待していたんです。ところが、このレベルでございました。これでは本当に今ある本部と何の違いもないと思いますけれども、こうした法案が今検討されている状況の認識、平野大臣に率直に伺いたいと思います。

平野国務大臣 秋葉委員とは、復興庁のあり方について前国会でもやりとりをさせていただきました。そのときに申し上げたのは、復興庁、基本的に大きく二つの役割があるだろうと。一つは、何といっても、中央省庁において各省庁はさまざまな役割を持っておりますけれども、それを効率的に動かすための調整、そういった役割、それから二つは、現地において現地のさまざまなニーズにこたえる形でさまざまな実施を支援する。

 今回の法律では、そのためのツールとして復興特区法案というのを用意しておりまして、復興特区制度をぜひともつくりたいというふうに思っております。その中に、あわせて復興交付金制度というのをつくりまして、地域の主体的な取り組みを支援する、これも復興庁が実施の役割を担っているということであります。

 今回の復興庁の本庁につきましては、やはり冒頭申し上げました二つの中での各省庁との調整、これが必要だということ、それから立法府への対応、予算の対応等も必要であります。それから、茨城県など被災三県以外への対応も行う必要があるということなどから、復興庁は今東京に置くということを考えております。かつまた、現場のニーズをしっかりとらえるという意味において、特に被害の大きい三県、岩手、宮城、福島の三県には十分な機能、権限を備えた復興局を置きまして、さらに、県庁所在地から相当離れた地域においては場合によっては支所を設置する、そういったことを考えているということでございます。

秋葉委員 基本的なこの地方分権時代の中で、本来ならば、各自治体が自分の条例をつくってどんどん自由なことをやれればいいんですけれども、それができないから特区でやっていくという話なわけですね。ですから、特区にどの程度の権限がゆだねられて今後実行されるのかということとも大分密接に関連してくるわけです。

 ただ、今、我が県の村井知事が求めている漁業権の民間への拡大の特区でありますとか、幾つかの具体的な特区構想は、いろいろと巷間言われておりますけれども、それがどのエリアで、どういったボリュームになるのかということがまだはっきりしません。

 ですから、私どもは、特区の中ですべて権限を一元化していくという考えではなくて、基本的には基礎自治体が自由にやれるようなものを、従来ですと各省に伺ってやるということを、復興庁にお伺いを立てれば、特区に限らず、そこで実施も含めた判断ができるように組織がえしていくということが非常に大事じゃないかなと思うんですね。ただ単なる調整機能、吸い上げの機能ということであれば、私は十分ではないと思うんです。

 私、びっくりしたのは、今、宮城県の復興対策本部長もかわりましたけれども、前任者が一度ちょっと来てくれと言うので伺いましたら、宮城県の復興現地本部長ですよ、車もないんですよ。専任の車もなければ、自分の秘書官はいるけれども、各省から来た人たちはいるけれども、スタッフもいなくてやっているんですよ。現場の地方局の役割というのは、まさに毎日のように、真っ黒になってもらって、現場に駆けつけて、現地、現場を見てもらったことを中央に吸い上げるというのが出先のトップの役割じゃありませんか。それが、車もない、スタッフもいない中で、まあ失礼な話ですけれども、あなたは何をやっていたんですかと思わず言ってしまいました。

 ですから、この復興庁も、野田総理の答弁を聞いていると、専任の大臣を置かなきゃいけない規模になるだろうぐらいの答弁をしているわけですよね。であれば、これは相当の規模になるわけですね。ですから、そういうところに、特区だけの権限でごまかしていくんじゃなくて、基本的なこれまでの分権改革の流れで、なるほど、今回の震災を機に特区はこの三県を中心にやっていくけれども、いずれこの三県で成功したものを分権改革にもつなげていくんだという思いで、この復興庁には強力な権限を束ねていく、そういうスタンスが大事だと思うんですよ。

 平野大臣も被災地であられます。本当に一生懸命やっていただいていると思うんですけれども、まさに御地元の大先輩である後藤新平さんが総裁になって、関東大震災のときには、一九二九年、八年ですか、復興庁を、当時は復興院ですね、つくって、あれは震災から一カ月後ですよ、そしてそこに権限と財源を束ねて、それでスピーディーにやることができた。いろいろな国会での論戦で、提案した予算の半分になったというような話もありますけれども、やはりそれぐらい政府が前面に出てやらなきゃいけないんですよ。

 私、特区がだめだと思うのは、結局各省の寄せ集めになっちゃうんですよ、各省の寄せ集め。各省の寄せ集めで、その中でそれを運営管理、進行管理していくだけ、こういうふうになりがちなんですね。だから、そうならないように、やはり基本的には、今各省がやっているような権限を、地方の要請に基づいて、この復興庁にまずはげたを預けるということにすればまさに文字どおりワンストップでサービスが進むわけですから、そういう復興庁にしていただきたいと思います。

 先ほどの大臣の答弁でも本部は東京に置くと考えておりますと言うんだけれども、九月二十七日の予算委員会で我が党の齋藤議員が野田総理に質問しましたね。ここにはっきり野田総理は言っているわけですよ。現地に置いて復興の後押しをやっていくということで、被災地に設置を考えているという答弁をしているんですよ。

 この答弁は、地方局を置くなんという答弁には当然読めませんよね。どこに置くんですかということを聞いて、被災地に置くことを考えていると言っているわけですから、当時、野田総理の頭の中にあったのは、当然ヘッドクオーターを現場に置くという話だと思うんですね。それが、なぜ地方局を置いてお茶を濁すことになったんですか。

平野国務大臣 まず、秋葉委員の今の御意見の中に、地方分権の趣旨にのっとって、そういう趣旨の御発言があったと思いますが、基本的には、特区制度、総合特区制度、今回の復興特区制度もその考え方に立っております。

 しかし、同時に、秋葉委員も御承知のように、自治体が今相当傷んでおります。傷んでいるというのは、自治体自体が被災をしてしまっているという中で、その自治体をしっかり支える仕組みというのも必要でございまして、だからこそ今、一つは、市町村間の連携でさまざまな人が応援に行っております。県からも、県間の調整でさまざまな応援が行っておりますし、国も人を出しております。これから復興計画をつくって復興を実施するに当たっては、やはり市町村をしっかり応援する体制が大事だと思っています。ですから、私どもは、現場をどのようにするか、それが支所であり復興局であり、それの機能強化というのは大事だというふうに考えております。

 今、車の問題等々がございますが、申しわけございませんが、予算がなかったものですから、しばらく我慢をしていただきました。そういった点も含めまして、復興局あるいはその支所としての機能をしっかり強化すると同時に、仕事ができる環境づくりもしっかりしなくちゃならないというふうに考えております。

 要は、市町村の地域の自主性を尊重する、そのとおりでございますけれども、同時に、その自治体にしっかり寄り添って、さまざまなアドバイスをしながら、ともにとにかく復興計画をつくって実施をする、そういうことが必要でありまして、そのための出先の強化を考えると同時に、そういった仕事をするために各省のさまざまな制度、法律を持っておりますけれども、そういった法律の縦割りの弊害の解消、あるいは、自治体や地域がこの法律の規制を外してもらいたいといった場合に、ここは外させるようにするといったような調整、これが多分、復興庁の大きな仕事になってくるのではないかというふうに思います。

秋葉委員 今の平野大臣の答弁を聞いていても、私が質問したのは、なぜ仙台に本部をつくっちゃだめなんですかと聞いているわけで、それに対する説得力のある、なぜだめかという答えにはなっていないと思うんですね。

 本来的に言えば、地方の出先をつくるよりも、仙台というのは、福島県庁から、盛岡の県庁まで一時間かからないんですよ。福島県庁まではわずか二十五、六分、盛岡までも一時間弱でかからないわけですから、まさに、地方庁をつくることこそ二重行政、屋上屋になるのであって、被災地にワンストップの本部を置いてやっていくという、そのことが被災地の皆さんに対しても、政府は本気なんだな、もうそれだけでそういうメッセージの発信にもなると私は思うんです。

 きょうは、ほかにもいろいろな問題を取り上げたいので、最後に、この問題については必ず我々は修正案を出しますから、しっかり政府側においてももう一度再考をいただきたい、こう思うわけであります。

 次に、集団移転事業について伺いたいと思います。

 ようやく私の地元でも住民のヒアリングを終えて、本来なら十月と予定していたんですが、やはり住民の意見も多種多様でございまして、この集団移転については、考えている以上にいろいろなハードルもあってなかなか難しいなという思いを強くいたしております。

 仙台市が危険区域に指定をしても、やはりどうしても地元に住みたいというニーズもございます。そして、何よりも私が一番心配をしておりますのは、震災前、一戸建てに暮らしていた人がほとんどなわけでありますが、この人たちが一戸建てに新しく住居を構えて住めるようになる、そうした経済的な余力のある世帯あるいは住民、この七カ月間いろいろヒアリングを町内会へ出て重ねてまいりましたが、間違いなく三割はいないと思います。二割を超えればいい方じゃないかなと。つまり、七割はやはり災害住宅のようなアフォーダブルなものを提供していかざるを得ない。

 ただ、これは仙台市に限らず言えることですけれども、今回の津波被害を受けたエリアの特徴というのは、どちらかというと、市内でも広目の、一戸建ての大きい、庭つきにお住まいの方々が多いんですね。そして、残念ながら、仙台市においても沿岸部は割と高齢化世帯が多かった。こういう特徴がございます。

 そういう中で、震災前のように一戸建てを持てる人が三割いないだろう。では、七割の人をアフォーダブルな災害住宅、高層マンションに住まわせていいんだろうか。私は、何とか、リース方式や、あるいは、これはもちろん仙台市の事業計画にも今後盛り込んでいくことになりますが、賃貸の一戸建てというものも、これは単価は高くなりますけれども、プロデュースしていく、つまり、多様な移転先の選択肢をつくり上げていくということが極めて重要じゃないかな、こう思っております。

 まずは国交大臣、こうした集団移転事業のこれからのメニューの中に、そうした、災害住宅に対する支援は今度の三次補正でも盛り込んでいただきますし、また、集団移転事業も、地元が四分の一負担はありますけれども、最後は特交でちゃんと見ましょうということも、さきの予算委員会で野田総理からお示しがありました。ですから、事業全体のスキームとしてはそれなりに進んでいくんだけれども、従来のような枠組みでやっちゃうと、結局は、戸建てを何カ所か用意して、災害住宅ができて終わり、これだけになっちゃうから、今言っているわけです。

 多様な選択肢を残すために、新たな補助対象として、そうした一戸建てのリース方式のようなものもつくり上げていくべきだと思いますが、いかがですか。

前田国務大臣 秋葉委員の御提案を含めてお答えいたします。

 まずは、防災集団移転促進事業については、もう委員も随分とこれの中身については御検討されての御指摘なんだろうと思うんですね。これも、なるべく使いやすいようにするために、随分と中身の運用については広げているわけでございます。

 そして、加えて、今委員が御指摘のこと、私も今御提案としてお聞きするわけなんですが、復興交付金制度というのがいよいよできるわけでございますが、その中の事業というのが、対象事業がたしか四十幾つかあるはずなんですね。そういう中で読み切れるかどうか。それに読み切れない場合には、さらにその対応として、最終的には、とにかく移転地で、今言われたようなことも含めて、何とか新しいコミュニティーを形成していただくということが目的でございますから、賃貸というものについての補助を、今の段階で特に検討して制度としてつくっているわけではありませんが、御提案としては、私は大いに聞くべきものがあると思います。

 特に、自治体そのものは経営体でございますから、当然、民との関係でかなり広げて受けとめられるはずでございますから、その提案の部分については検討をさせていただきます。

秋葉委員 大臣から極めて前向きな答弁をいただきましたので、ぜひ多様な選択肢をプロデュースするように御検討をいただきたいと思います。

 そして、集団移転事業に関連して一点だけ申し上げたいと思うのは、この事業の事業主体は言うまでもなく地元市町村でございます。ですから、買い取り後の土地は市有地になってくるわけですね。そうすると、買い取った後の、もうあれだけめちゃくちゃにやられているわけですから、いろいろな意味での、公園にして利用する、あるいはスポーツ施設をつくる場合でも、当然、地元負担になっていくわけですね。ですから、私は、エリアを限定しなきゃいけないとは思うんだけれども、市町村事業ではあるけれども、買い取った後は国有地化に転換をするということを事業化すべきだと思うんですよ。

 そして、あわせて、時間がないから続けて伺いますけれども、この事業のスキームでは、買い取りの価格は時価と規定しているんですね、要綱を読むと。震災前でも、うちの選挙区でいうと、宮城野区というところは市街化区域だから、それなりの値段がついているんだけれども、残念ながら、若林区というのは市街化調整区域でございますから、震災前の値段で買い取ってもらったとしても、余り高い値段はつかないんですね。ましてや、時価なんていったら、値段がつかないじゃありませんか。大臣には、ぜひ、この全体事業の中での買い取りの部分についての、また別枠での支援策というのを考えてほしいんです。

 ですから、具体的に二つ提案させていただきます。一つは、今の要綱では時価となっていますけれども、少なくても震災前の値段で買い取るという政府方針を打ち出してほしいということ。そして、仙台市がまずはそこを買い取るんだけれども、その後は、ぜひ国有地化してさまざまな事業管理をすべきだ、こう思うんですが、いかがでしょうか。

前田国務大臣 今の二点についても、新しい御提案ということでありますが、一つ、時価の話でございますが、私も不動産鑑定士等にいろいろ聞いてみたら、結果としては、今まで確立された鑑定の方法によりますと、必ずしも、値段がつかないとかそういうことではなしに、かなりリーズナブルな、リーズナブルというのは、要するに、そこにまた町が戻ったときにつくであろう価格ということで、現在価格に引き戻してということですから、そうむちゃくちゃな値段にならないというふうには聞いております。

 それから、二点目の国有地にしたらどうかというお話でございますが、ここについては、その趣旨から申し上げて国有地にすべき理由づけができる場合にはそういうことになると思いますが、一方で、先ほどの、前の御質疑のところの御提案のように、むしろ自治体の方がかなり自由度を持って民と一緒に連携してPPP的なこともできるんだろうと思うんですね。その辺は含めて検討させていただきます。

秋葉委員 基本は、今大臣おっしゃったように、自治体のニーズにこたえてやっていくということですよ。ですから、自治体が望んでもいないところを国有地化してくれなんて一言も言っていないので、私の質問の意図をしっかりわきまえていただきたいと思うんですね。地元が、もう管理も大変だし予算も大変だと。だから、全部というわけじゃないんだけれども、一部どうしても必要だという要望が来た際にはということを申し上げているわけですから、何とぞよろしくお願いします。

 この問題については、平野大臣もかかわられていかれると思いますので、あした私も災害対策特別委員会でまた質問させていただきます。同じことを伺いたいと思いますので、ぜひ御準備よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりました。この移転問題、内陸の宅地被害についても一点だけ伺っておきたいと思うんですけれども、私もこの間の質問で、仙台の被害地はやはり自然のり面だけじゃなくてほとんどが人工のり面ですから、これの事業の対象緩和を要望いたしました。

 十メーター以上のがけ高を三メーター以上にしていただいたのは大変評価できますし、私がずっと要望してまいりましたとおり、人工斜面も対象にしていただいたことは心より御礼を申し上げたいと存じます。

 しかし、仙台市の現況をもう一度つまびらかに申し上げますと、二メーターから三メーターまでのところの被害が全体の七割なんです。ですから、もう一段、二メーターまで下げていただけないかということが私の今回の要望なんですが、最後に大臣、いかがでしょうか。

前田国務大臣 今の委員の御指摘の話は、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業及び災害関連の地域防災がけ崩れ事業、この二点のことを言っておられると思います。

 これについては、相当の運用の基準を緩和いたしまして、まあまあ精いっぱいのことをさせていただいているわけですが、さらに三メートルを二メートルというお話がありました。一応、今までのところは三メートルぐらいが一つの常識的な線であるというふうに、全体を調べた結果でこういうことになっているわけでございますが、その辺は、他の事業等も含めまして、まずは対応をさせていただきたい、このように思います。

秋葉委員 ぜひ、今申し上げましたとおり、二メーターまでにしていただかないと、仙台市内の場合は救済対象にならないところがかなり出てまいりますので、もう一段の御検討をお願いしたいと思います。今回の緩和自体は本当によくやっていただいた、実態を踏まえた対応だと思いますので、ここのことは評価しているんですが、ぜひ大臣、あと一メーターの見直しをよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは総務大臣にもおいでいただいております。二点、時間もなくなってまいりましたが、お伺いをさせていただきたいと存じます。

 今回の三次補正の中で、三次補正の財源から捻出したわけじゃありませんけれども、いわゆる復興基金、これは、特交からこれだけ、二千億出すんだったら、何でこの間の国会で出してこないんだという思いが非常に強いんですね。これは担当者に聞くと、査定していた、積み上げしてきていたといろいろな言いわけばかりするわけですけれども、まず現場で何が大変だったかというと、予算の裏打ちがないから仙台市だって宮城県だって何もできない、だるま状態という状態が続いたわけですよ。十分な基金があれば、では、これは基金で見ようということで、ソフト、ハード問わず対応ができたんですね。

 ですから、特交の財源から今回積み増しで二千億やるというんだったら、何でこの間やらなかったのかということとあわせて、具体的な質問としては、全体で二千億の中で本県は六百六十億ということなんですが、これはなぜ基礎自治体も今回対象にしないかと思うんですよ。これは、災害の規模とか何かを積み上げて、県から市町村に配る分も含めてこれを積み上げた数字になっているというのは理解していますよ。しかし、市町村は市町村で、別に県を通さなくても、やりたいことはいっぱいある。我々のところにいろいろな陳情が来ているんですよ。そもそも、阪神大震災のときの見合いの規模でいけば三千億ぐらい積まなきゃいけないわけでしょう、被害の程度は阪神を上回る規模なんだから。そもそも、二千億という積み増しのこの状況に私は大変不満ですけれども。

 いずれにいたしましても、質問の趣旨としては、なぜこの時期になったのか、特交から持ってくるんだったらもっと早くできただろうということ。

 そして、市町村対象の基金もつくるべきだ。特に、沿岸の津波被害に遭った自治体には都道府県とは別枠で基金を造成すべきだということが二つ。

 それと、時間がありませんので、最後に、いよいよ来月の十一月から宮城県で県会議員の選挙が始まります。仙台の市議選は八月に終わっておりました。もし九月中に宮城県の県議選も実現できていれば、四年後は同日選挙が制度的には可能でございました。しかし、今回二カ月以上ブランクができたことによって、四年後は仙台市議選と宮城県議選が別々になってしまいます。これはやはり政府としても特例法を出してもらって、これはやはり長い方に合わせるしかないんでしょうね。仙台市議の任期を今回のように少し延ばして十一月に合わせるというやり方が一番妥当なんじゃないかと思います。

 ぜひ大臣、選挙はまだ始まっておりませんけれども、四年後に向けてそうした選挙の特例法をつくって、ぜひ仙台市と宮城県の同日選挙になるような検討をお願いしたいと思うんです。

 参考までに、仙台市と宮城県が市議選と県議選が同日に行われますと、今までの実績で比較をいたしますと、大体二億円以上の経費が浮くだろう、こう言われております。そして、投票率も少しは上昇するんじゃないか、こういう見立てがございますので、ぜひ特例法を出していただきたい。

 この三点について伺って、私の質問を終えたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 時期がおくれたではないかという御指摘でありますが、さまざまな要望がそれぞれの地域から出ていることは事実であります。したがいまして、それを踏まえて、三次補正で使い勝手のいい一括交付金、そして、それを地方負担がゼロになるようにという検討と積み上げがされてきました。その方向性が見えた中で、それであってもなお使い勝手のいいきめ細かな対応をしたいというものが特別交付税の対象としてあり得るということでありますので、今回二千億の措置をしたということで、三次補正を含めたトータルの流れであることはぜひとも御理解をいただきたいと思います。

 その中で、額といたしましては、このように一次、二次、三次の補正を含めて、いろいろな災害対策を県、市町村にやってきた部分と、阪神・淡路の部分の交付額のトータルの規模、それからそれを受けている地域の財政事情、兵庫県と今回のは随分違う部分もありますので、それを勘案した部分で計算いたしまして、額的には倍でありますけれども、規模的には、補完する基金でありますけれども、トータルとしては遜色のない規模であるというふうに私たちは判断をいたしました。

 市町村等々でありますが、今回は市町村を合わせますと百六十八団体あります。そういう意味で、被災県も含めた対象の九県、岩手、宮城、福島に加えて、青森、茨城、栃木、千葉、新潟、長野ということで対応いたしました。このそれぞれの県において、この制度は、九県が取り崩し型の復興基金を設置することとなる場合において特別交付税で措置するということにいたしました。

 県を主体にいたしましたが、これは、市町村を入れますと百六十八団体あります。そして、それぞれニーズはきめ細かくあります。そういう意味で、県が中心となって、市町村を含めた部分でどういう形の基金にするのがいいのかということを含めて、密接に、緊密に連携をしてやっていただきたいということでありますし、阪神・淡路のときには神戸市がやりました。これは、兵庫県と神戸市が共同で拠出して設置した基金でありまして、そういうことを含めて、まず宮城県でぜひとも対応していただきたいということで、見守っていきたいというふうに思っています。

 最後に、選挙のことをお問いであります。

 統一選挙を、どういう期限の部分の選挙を一緒の期日に投票するかというのは、それぞれの時期で、国において、おっしゃいましたように、統一地方選挙の実施のための法律を出しております。その部分において、国会においてどういうことにするのかを判断することになるというふうに思います。

 阪神・淡路のときは、おくれた部分が二カ月でありました。今回は、四カ月から七カ月、そして市と町で変わってしまいました。そういう意味で、議会の議員及び長の任期にかかわる事項であり、国会でもさまざまな議論がされているところでありますので、今後、各党各会派でいろいろな御議論をいただく中で、政府としても対応してまいりたいと思います。

 以上です。

秋葉委員 どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、小里泰弘君。

小里委員 自由民主党の小里泰弘でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、瓦れき処理への対応からお伺いをしてまいります。

 復旧復興への第一歩であるという観点から、瓦れき処理につきまして、特に、瓦れき処理特別措置法を私どもが立案、提起しまして、国会審議の上に八月十二日に成立をいたしました。

 その中で、費用の負担につきましては、私どもは一〇〇%国庫補助というものを目指したところでありました。そして、与野党の審議の結果、国庫補助率平均八六%であったものを平均九五%まで引き上げる、残り五%については交付税措置をするが、これについては地方交付税で別枠加算を行う、そしてそれに充てる地方債については早期償還を図るということを附則で定めたものであります。

 そこで、先ほどから議論にありますように、今回、例えば農業、農村の復興事業であるとか土地区画整理事業であるとか、もろもろの復旧復興事業に対して震災復興交付金を設け、また一方で、その裏に充てるものとして復興特別交付税というものを設けられるということでございます。これは第三次補正で手当てをされるというところでございますが、特に復興特別交付税は今回の瓦れき処理に充てられるものと期待をするところでありますが、間違いありませんか。

川端国務大臣 間違いございません。

小里委員 とすれば、第三次補正で年度内に措置されるわけでありますから、自治体にしてみれば、地方債を立てる必要がなくなるということでございまして、まさに実質的に一〇〇%国庫補助に等しいものになっていくわけであります。そういう受けとめ方でよろしいですか。

川端国務大臣 そのとおりでございます。

小里委員 まさに、私どもが当初から目指してまいりました一〇〇%国庫補助が実質的に達成をされるということでございます。また、その他もろもろ提案をしてまいりました瓦れき処理の対策案、そのほとんどが我々の提案どおりにこれで実行されていくものと期待をするところであります。

 そこで、一、二点、お伺いをしてまいります。

 私どもは、この費用負担のみならず、あるいは代行規定のみならず、瓦れき処理がおくれている要因をいろいろな角度から分析いたしまして、検証して、それぞれについて対応策を図るべく、この瓦れき処理特措法案において盛り込んでまいったわけでございます。

 その中で、特に、国は、災害廃棄物の処理に係る契約の内容に関する統一的な指針の策定をするものと第六条三項において定めているところでございます。この統一的な指針の作成状況、実施状況についてお伺いいたします。

高山大臣政務官 小里議員には、まさにこの特措法で一番御提案もいただきましたし、御尽力いただいたところでございます。

 今お尋ねの件は、国が講ずべき措置という六項目の明文化のところだと思われますけれども、端的に、まずお尋ねの点をお答えいたしますと、契約に関する統一的な指針、ここに関しましては、現在、関係各省と連携してその内容を検討しているという段階でございまして、取りまとまり次第、関係自治体に周知していくということになっております。

小里委員 特措法の成立から二カ月半を経過しているわけでありまして、その特措法の中における特に枢要な対策案、指針の策定がまだなされていないということでございます。復興大臣、これはしっかりと反省をしていただいて、お取り組みをいただきたいと思います。

 特に、この指針におきましては、瓦れき処理というものは、遺留品等が中にまざっておりまして、それをえり分けながらの複雑な作業が必要になってまいります。あるいは、受注者がまた非常に資金繰りに困っている、その前渡金の問題等々も考慮に入れるべきでありますし、受注後の設計変更、あるいはまた市町村やよって立つ根拠法によって単価が違ったり、いろいろちぐはぐした対応になっております。そういったところをしっかりと統一的な指針を定めて、円滑に瓦れき処理を実施していただきたい、そういう思いを込めてこの対策案を盛り込んだわけであります。

 今後、復興庁設置後、特に復興大臣がその総合調整に当たられることを想定しているわけであります。復興大臣、決意をお伺いします。

平野国務大臣 瓦れきにつきましては、まずは飛散した瓦れき、これの一次処理を進めてきたわけでありますけれども、その一次処理につきましては大体めどが立ってきまして、これから半壊もしくは全壊状態に近い建物の解体、それから集めた瓦れきの二次処理、こういったものが大きな仕事になってまいります。その中で、必要な基本指針、こういったものについて策定がおくれているという御指摘でございました。これを急がせるよう環境省にもお願いしたいと思いますし、一刻も早い瓦れきの処理ができるように、引き続き私も努力をしたいというふうに思います。

小里委員 指針につきましては、海の瓦れき処理に関する指針も求めております。あるいは、災害廃棄物の再生利用も求めておりまして、その他、いろいろな角度からこの対策案、措置法におきまして求めているところであります。それぞれ、まだほとんど進んでいないと認識をいたします。改めてこれはこの場で取り上げてまいりたいと思いますので、しっかりとそれぞれの対策を急いでいただきたいと存じます。

 続きまして、二重ローン問題についてお伺いをしてまいります。

 まさに被災地の復旧復興、産業の再生に当たりましての大事な要素であります。当初、政府・民主党は、従来の産業活力再生法上の対応で足りるとして、産業復興機構による対応を図ってまいったところであります。

 しかしながら、従来の制度は平時を想定しております。制度の仕組み、実績からいっても、一定規模以上の中小企業を対象としてきた制度であります。そしてまた、再生が確実な中小企業を原則として対象としてきたように認識をしております。さらにまた、個人事業者、農林漁業者、病院、老人ホーム等のまさに救済すべき対象を救済するにはいかにも無理があるという認識で私どもはとらえてまいりました。

 そこで、新たな法案により新たな機構を創設して対応を図ってまいるべく議員立法を企図いたしまして、これは七月二十九日に参議院を通過したわけであります。それでもなおかつ、政府・民主党におかれましてはこの法案に消極的でありましたが、八月から実務者による協議を重ねてまいりました。その結果、野党案をベースにして修正、成立を図ることで合意をいたしました。その中身についても大枠の合意をなしたところでございます。

 ここに至るまでの間、参議院通過後三カ月、震災発生から実に七カ月半ということになります。ここまでの経緯、政府の対応についてどのように認識をされておるか、これは復興大臣でよろしいですか、お伺いします。

平野国務大臣 これから復旧復興を進めていくに当たりましての二重ローン問題の解決、これは重要課題であるということについては私どもも深く認識をしております。

 そういった観点から、まずは産業復興機構、これを立ち上げまして、民間の出資も募りながら、この機構を動かすべく、各県において今準備を進めております。岩手県がまずは相談センターを開設いたしまして、引き続き、福島、宮城あるいは茨城等々においてもそういった動きが今出てきているものと承知をいたしております。あわせて、この間、今委員が申されたような御指摘もございまして、小里委員を初め、与野党間で精力的な議論がなされてきたというふうに承知をしております。

 今、この参議院で通った法案についての修正案を得るべく引き続き検討がされているということでございますので、その検討の結果を受けまして、国会で審議していただいた結果につきましてはきっちりと受けとめまして、その方向に沿ってこの二重ローン問題の解決に努めてまいりたいと考えております。

小里委員 抜本的な再生への対策を打っていくべく重ねてきた議論であります。ここまでおくれてしまったことを、私どもの対応も含めまして、被災地に対して大変申しわけないなと思うところでございます。かくなる上は、迅速な国会審議によりまして早期の成立を図ってまいりたい、それに向けてまた御指導をいただきたいと存じます。

 二重ローン問題の対策の本質は、債務免除によりまして事業者の痛みを和らげる、債権買い取りによりまして金融機関の痛みを和らげる、そして二次ロス、そこから将来的に生ずる二次ロスにつきましては、なるべく国がそれを、痛みをとろう、そういうことでございまして、もって国と金融機関、そして事業者が互いに痛みを分かち合って、相互に連携をし、努力をしながら被災地の産業の再生を図っていこうというところにその本質があると認識をいたします。復興大臣、同様でございますか。

平野国務大臣 同じでございます。

小里委員 引き続き、平野大臣にお伺いをしてまいります。

 そのような考え方のもとに、野党案をベースにして、また民主党の実務者の皆様の協力を得ながら、債務免除、債権買い取り、二次ロス問題のそれぞれを法案でもってとらえていこうということであります。また、対象としましても、個人事業主、農林漁業者、病院、老人ホーム等を対象としてとらえるに至ったところであります。

 ここまでは画期的なことであったなと思うところでございますが、ただ、債務免除は、野党案では義務規定でありましたが、今回の合意ではいわゆるできる規定となりまして、そして、これを念頭に今後参議院通過法案の修正を図っていこうということになりました。

 債権買い取り価格は、適正な時価として、法案の附則において指針を定めようということで合意をしたところでございます。

 なおまた、新規融資につきましては、野党案では、金融機関が行うと同時に、機構がこれを業務として行うと企図したところでございましたが、合意におきましては、支援機構の融資はつなぎ融資など限定的なものに限る、そしてまた金融機関が行う融資を政策金融機関が補完をするということでとりあえずの合意を見たところであります。

 こういったスキームで今後実効あるものとなるか、これはまさに今後の指針の取り決め、そしてまた運用によるところが大きいわけであります。そこで、私どもは、被災事業者の債務の負担を軽減する、そして再生を支援するという本来の目的を踏まえた対応となるように、また附帯決議等における確認を求めていこうというところでございます。

 かつまた、復興庁設置後の担当大臣としましては、現場に近い復興大臣を想定しております。

 平野復興大臣、以上を踏まえまして、今後の具体的運用における考え方、すなわち、これを実効あらしめるために、現場にしっかり届けるためにどういった考えで臨まれるか、お伺いしたいと思います。

平野国務大臣 まずは、既に先行しております産業復興機構、これがまずしっかり動くようにしたいというふうに思っております。

 あわせて、今委員さまざま御指摘をいただいたように、この機構だけではまだまだ不足である、そういう観点から、これではしっかりとした支援ができないという観点から与野党で議論が進められております。この議論を進めていただきまして、成案をぜひつくっていただきたいというふうに思います。

 そして、この実行に当たりましては、これから議論されるであろう、あるいはこれまでの議論等々も踏まえまして、しっかりとした運用ができるように、そして何よりもやる気のある企業がこういったスキームを使ってしっかりと復興できるように、復興庁として、復興庁はまだできておりませんけれども、政府としてしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

小里委員 まさにおっしゃったように、今後の条文化、また国会審議を経てこれが実施をされていくわけであります。過去の災害時はこういうことはやらなかった。過去の災害時との整合性、あるいは地域間の整合性、従来の制度との整合性等、いろいろな議論がありました。しかしながら、これだけの大災害でありまして、このままほうっておいては貴重な産業が、そして人がどんどん流出していきかねない。ここは従来の制度、また過去の経験等との整合性を超えて対応していかなければならない、そういった理念のもとに取り組んでまいったつもりであります。

 そしてまた、被災地はまさに農林水産業が基幹産業であります。農村、漁村で生産された生産物、農林水産物が加工業者によって加工される、さらに運搬、運輸業者によって運ばれる、さらにサービス業者によって提供される。まさに産業の輪でもって被災地の産業は成り立っております。この全体を救っていかないといけない、そういった理念で取り組んでまいったわけでありますから、ぜひそれに基づいてしっかりした対応を図っていただきたいと思うところでございます。

 続きまして、合併特例債延長問題について一点だけお伺いをいたします。

 これは、これまでの議論の結果、震災に起因する、市町村建設計画に基づいて行う事業が遅延をした場合に備えて、合併特例債のいわゆる地方債を起こすことができる期間を延長するとなったものであります。

 さらに、これを全国に広げて、被災地以外であっても、この大震災に起因する事情により市町村建設計画に基づく事業が遅延した場合、そういった影響が出た場合に同様の措置を図っていこうということで法案作成に至ったと認識をしておりますが、この法案作成の進捗状況についてお伺いをいたします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、合併特例債については、さきの通常国会で議員立法で、東日本大震災の被災地に限って発行期間を五年延長する法律が成立いたしましたが、その際の衆参の総務委員会の決議を踏まえて、現在、総務省としては、合併特例債の発行期間を、復興事業の膨大さや幅広さの事情を受けて、被災地にあってはさらに五年延長、被災地以外にあっては、津波被害等震災時の被害想定見直しによる事業の見直し、追加の事情が存在することを受けて、これも五年延長する方向で、この臨時国会への法律提出を目指して準備をしております。

小里委員 例えば、今回、被災地の経験にかんがみて、従来予定していた公共施設を高台に設置するように変更しよう、あるいは今回はまずは防災対策を急ごう、優先しようといったようなことで、計画の変更が行われる市町村が出てきているように伺っております。あるいはまた、震災復旧復興の影響で資材が足りなくて、そのためにまた計画がおくれるんじゃないか、そういったことも懸念をされております。さまざまの、大震災に起因するところによりまして計画がおくれていくことが予想されます。しっかりと迅速に対応できるように、円滑な法案の作成、そしてまた成立を目指していただきたいと思うところでございます。

 最後になりますが、鉄道復旧事業についてお伺いをしてまいります。

 まずは、いわゆる三セク鉄道、この復旧を急いでいかないといけない。ところが、まず、三セク鉄道は国の補助率が四分の一なんですね、これをかさ上げしなくてはいけない。その上で、早期に予算措置をして復旧事業を急いでいかなければならない。そういった観点から、災害発生当初から私どもは求めてまいったわけであります。しかしながら、政府の対応はおくれまして、残念ながら、今後の三次補正でやっと措置される。補助率のかさ上げ、また先ほどの特別復興交付金、交付税の対象にもなるやに聞いておりますが、そういった措置が行われるに至ったわけであります。

 ここに至るまでの間に、例えば仙台空港鉄道、阿武隈急行線等、四線は大体もう自力で復旧に至っていると認識をしております。そこに当然予算措置をまた行っていかないといけないわけでありますが、三セク鉄道の三陸鉄道、これも急がれたわけでありますが、予算措置がなされないままに、自治体から借金をして、今、自力での復旧事業が始まっていると認識をしているところでございます。

 なぜここまでおくれたのか、国交大臣にお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 小里委員のお父上には大変お世話になったことがありまして、しかも、阪神震災でお父上とともに随分と復旧復興に活躍されたわけですから、先ほど来の御議論を聞いておりまして、非常に的確、示唆に富んだ御議論だったと思います。

 そして、もう既に、私が持っております、答えようとする答案についてお触れになった。まさしく三セクの旅客鉄道については、六路線かある、六会社かあるうちの四つについては既に復旧して動いておりますが、残りの三陸リアス鉄道、北と南ですね、これが非常におくれているという御指摘でございます。

 確かに御指摘のとおりなんですが、事業収入がわずか三億円のところに被害額が百八億円というわけですから、壊滅的な打撃を受けたわけでございまして、どのように復旧していくか、どのように路線を引いてどうやっていくか、そのこと自体がなかなか、鉄道会社の方で計画等をやっていく、それだけの資源をもうなくしていたと言っても過言ではありません。

 そんなところについて、鉄道・運輸機構等の支援もいたしまして、やっとで議員御指摘のような新しい支援制度というのも整ってまいりまして、いわば五〇%支援をする、そして自治体の方については震災復興特別交付税等で手当てをするということになりました。

 いずれにしろ、おくれたということはまことに遺憾ではありますけれども、あの現地の状況からいたしますと、ある程度は時間もかかりますし、やむを得なかったところもあるかと思いますが、これから懸命に早急に対応をしてまいります。

小里委員 三セク鉄道につきましては、復興計画、まちづくりとは関係ありません、原状復旧でありますから。そして、トンネルが六割を占めておりまして、そのトンネル部分はやられていないわけであります。そして、単線であります。したがって、その気になれば復旧事業は決して難しい話ではないわけであります。

 実際のところ、国交省におきましては、当初から大変このことを心配して、一生懸命訴えてこられたというようなことは承知をしているところでございます。財源の壁が厚かったんだろうなと思います。これは政府全体の取り組みにおいて大変大きな責任があるんじゃないかな、特に、こういったことは政治主導で、まちづくりなんか関係ないんだからどんどんやっていこうということで即座に補助率を引き上げて、制度をつくって、スキームをつくって取り組むべきであったなと思うところでございます。

 今大臣からお触れをいただきましたように、復興交付金、復興特別交付税の対象になり得るということでもございました。今年、第三次補正で手当てをされるところでありますが、さらにこれは、二十五年の春の開業、再開を予定していると聞きます。すなわち、二十三年度、二十四年度と、同じようなスキームで財源を確保していく必要があろうと思いますので、そこはしっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 最後に、JRについてお伺いいたします。

 JRは、原状復旧とはまいりません、復興計画の中でまちづくりと絡んで進んでいくんだろうなと予想するところであります。従来の線路を大きく移設する必要もあるんだろうなと思います。

 JRはもうかっておりますから、その点は、三セク鉄道のような財源措置をするわけにはいかぬのだろうなということは認識をするところでありますが、ただ、線路を移設するとなりますと、用地の確保に大変難儀をするんだろうなと思います。なかなかJR独自ではその部分が難しいんだろうと思います。用地の確保をどのように支援をしていくのか、お伺いをしたいと思います。

前田国務大臣 お答えいたします。

 JRについて、具体的には六路線あるかと思いますが、鉄道が山側に移転するというところもあります。あるいは、なるべく現状のところを通ってくれというところもあります。私自身も何カ所か現地を見てまいりました。

 そういったことで、地元の自治体、JR東日本、東北地方整備局、東北運輸局から成る復興調整会議というものを立ち上げておりまして、そこで今、中身の詰めというのを精力的に行っております。

 そして、今の御指摘のことですが、用地については、移転の場合については、これは新しいまちづくりの当然中心になってくる、特に駅なんというのは中心になってくるわけですから、当然、都市計画といいますかまちづくり計画の中で、例えば市街地開発事業、区画整理事業であったり、そういったところでできるだけの手当てをしてまいる所存でありまして、その中でかなりのところまで解決できるのではないか、こういうふうに思っております。

小里委員 瓦れき処理、二重ローン問題、そして復旧復興事業とお伺いをしてまいりました。申し上げましたように、それぞれにつきまして、まだまだ多くの課題がございます。それぞれにつきまして、今後、この場において、またそれぞれの委員会においてお伺いをしてまいります。しっかりと対応を図っていただきたいと存じます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。よろしくお願いいたします。

 きょう午前中、宮城県の南三陸町、ここで仮設の市場ができました。また、沿岸漁業、今、カキ、ワカメの養殖の準備をしております。そういった中、水産業の復活がないと、私ども地域の雇用はありません。そして、その雇用を生み出すためには、例えば冷蔵庫や水産加工場、この再建が必要です。

 平野大臣も現地にお入りいただきました。今、今回の津波というのは、この工場や冷蔵庫を壊しただけではなくて、実は水没をしている、大潮のときには水面下になっている、こういうところが例えば気仙沼の魚市場周辺や鹿折でもございます。安住大臣の御地元、魚町や門脇あるいは渡波、そういうところにもございます。

 ここは、かさ上げをしないと実は工場等をつくることができない、まずかさ上げが必要だ、そのように思っておりますが、国土交通大臣にお伺いいたします。

 今回、このかさ上げの事業、特に私ども、冷蔵庫や水産加工場、こういうところをかさ上げしてくれないと、何もその後いろいろな補助で建物をつくれない。このかさ上げについての事業が、国土交通省の中で都市再生区画整理事業ということで今回設定していただいていますが、このような冷蔵庫とか水産加工場、こういうものは当然このかさ上げ事業の中で対応していただけますでしょうか。

前田国務大臣 お答えいたします。

 端的に申し上げると、ちゃんと対応できるように考えております。

 今までのスキームであるとなかなか拾えないところもあるかと思うんですが、津波復興拠点整備事業というのを創設いたしました。そういったものをうまく適用すれば、拾えなかったところもカバーできるというふうに思っております。

小野寺委員 大臣に再度確認をしたいんですが、この都市再生区画整理事業を初め、土地区画整理事業の区域以外、ここの民間の土地、冷蔵庫や水産加工場、こういうところのかさ上げ、盛り土も、この事業の中で今読み込んでいただけるという発言ですが、そのとおりでよろしいんでしょうか。

平野国務大臣 現行制度上は、土地区画整理の対象になった地域では今回かさ上げをするということで、これは今、前田大臣が申し上げたように、その制度を今変えようとしています。しかし今、制度上、土地区画の整理の対象外ということになりますと、この土地区画整理事業では当然のことながら対応できません。

 しからばどうするかということでありますけれども、私どもは、ここの部分については、もう今、小野寺委員の、早く急ぎたい、急がないとそういった水産関係の施設の復旧ができないということでありますから、使い勝手のいい、いわゆる復興交付金の自由に使える部分の枠組み、これをまず提供することで対応できるのではないかというふうに考えておりまして、これが成立したら、できるだけ早く計画を提出いただければ対応できる、対応するという形で今考えております。

小野寺委員 なぜこういう質問をしたかというと、実はこの土地区画整理事業、これは先週、各地方自治体に説明がありました。その説明会の折に、例えば都市、人が住む住居、こういうところであればこの事業の対象になるが、水産加工場とか冷蔵庫とか商業用地とか、こういうところはかさ上げの対象にならない、このような発言を実は各地方自治体の首長が承って、理解をできなかったので、私どもにそういう発言がございました。

 再度確認したいんですが、今回、都市部じゃなくても、例えば商業用地とか工業用地とか、そういうところの土地区画整理事業がもし行われれば、そこのかさ上げについては、このような事業の中で都市じゃなくてものみ込むということ、そして、それ以外、例えば土地区画整理がなかなか進まないようなところでかさ上げをしたい場合には、今お話があった交付金の中で対応するということ、その両方で、とにかく民有地のかさ上げについても国のお金で対応できると理解してよろしいのでしょうか。

平野国務大臣 基本的には、そのとおりであります。

 ただ、一点だけ、どこもかしこもかさ上げをするというような計画、これは図面を見てみなくちゃわかりませんが、必ずしもすべてがオーケーできるとは限らない場合もあります。前にも申し上げましたけれども、かさ上げする範囲はできるだけ土地を集約化して、そのためにはさまざまな権利調整も出てくると思いますが、そういった努力もぜひしていただきたいというふうに思います。

 ただ、そういったものについては、繰り返しになりますが、土地区画整理事業で対応するところは土地区画整理事業、それ以外のものについては今の復興交付金という形で対応できるということで、必要なところについての支援はするということであります。

小野寺委員 これから市町村がそれぞれ、独自の地域について、ここはかさ上げをして、ここは水産加工場や冷蔵庫をつくり、もちろん防災機能を持たせる、そのような場所もあるでしょう。また、都市の再生ということで、ある面では防災を強くして町をかさ上げするという、この事業に沿うようなところもあるでしょう。

 いずれにしても、私ども、無駄なところをかさ上げするとか、そんな気持ちは全くありません。まず私どもの地域の再生にとって必要なかさ上げ、これを、この事業にかかわらず、しっかり地元の意見を聞いて柔軟に対応していただけるということを、済みませんが、この所管をする復興担当それから国土交通大臣に再度確認をしたいと思います。

平野国務大臣 その方向でしっかり対応させていただきたいと思います。

 国土交通省、前田大臣ともしっかり連携をとりながら対応させていただきたいというふうに思います。

前田国務大臣 平野大臣のお答えになったとおりでございまして、もちろん、管轄する区画整理事業でも、今回のことをちゃんと受けとめて、適用の運用のところでなるべく広げます。そして、冒頭お話ししたように、新しい津波防災事業というようなものも創設をいたしました。

 言ってみれば、区画整理といいましても、一ヘクタール当たり、どのくらいだったですかね、四、五十人という、かなりまばらなものでも拾えるぐらいの基準になっていると思いますので、区画整理事業そのものでも相当広げて対応いたしますし、それでももちろん対応できないところは交付金制度、さらには津波防災というような新しい事業の創設。

 それぞれ、制度が幾つかできてきて、地元では多少わかりづらくなっているかと思いますので、そういったこともわかりやすく説明できるように、人的な応援といったようなこともさせていただくつもりです。

小野寺委員 ぜひ、地元自治体がやりたいというところについて、これは、無駄なところはなく最低限必要だ、税金を使う話ですから、そのことについてはしっかり対応していただきたい、そう思っております。

 さて、防災集団移転のことについていろいろな質問はあったと思いますが、一つ確認をしたいのは、実はこれは、おおむね集落の半数以上がまとまって移住をする、移転をするということが採択要件になっております。戸数は今回低減されましたが、集落のおおむね半分というお話になります。

 あくまでも、移った上で、そこで家を建てるのは、それぞれ個人が家を建てることになります。六十を過ぎた方々は恐らく住宅ローンを組めない、そういう状況もあるんだと思います。半数以上という今の制限がありますが、この弾力的な運用、これをお願いしたい。

 あるいは、集団移転した先に自分で家を建てられる方は建ててもいいと思いますが、それ以外の方は、同じ場所に例えば復興住宅をつくって、お年寄りで、六十以上で、もうローンを組めない方、そういう方は同じ敷地の中にある復興住宅に住んで、集落が、家を建てられる人も一緒に、建てられない方はその復興住宅に、こういう優しい配慮もお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

前田国務大臣 お答えいたします。

 小野寺議員御指摘のようなことに対応できるように、できる限り対応させていただきます。補助採択要件の緩和だとか戸当たりの補助限度額の撤廃等を含めて、大幅な制度拡充はやっておりますし、今言われたように、御自分で移転先で建てられない場合の公営住宅的なものをちゃんと用意する。

 いずれにしろ、コミュニティーが持続可能なようにしていくのがこの新しいまちづくりの大きな目標でございますから、なるべく御指摘のようなことを含めて対応させていただきます。

小野寺委員 ぜひ、この半数以上という制限で集団移転を希望する地域が阻害されないように、しっかり対応していただきたいと思っています。

 それから、今回、かさ上げについても集団移転事業についても、交付金、交付税措置ということがさまざま出ております。一般的に、交付税あるいは交付金というのは、何か、どの道にどう使うかというのが余り明確に見えない。ですから、措置をしているということで地方自治体はお金を受け取るわけですが、実際にこれが本当にその事業に必要十分にあてがわれるかどうか、それに不信がございます。

 ぜひ今回は、この交付金について、この事業について何十億、何億というお金を交付金としてしっかりつけましたとわかる形で明確に対応していただきたいと思いますが、総務大臣にお伺いいたします。

川端国務大臣 このたび予定しています第三次補正予算では、一次、二次補正分も含めた東日本大震災の復旧復興事業に関する地方負担分について、地方交付税を一兆六千六百三十五億円増額確保することといたしました。この増額分については、震災復興特別交付税として通常の特別交付税と別枠でやる、個々の被災団体における負担がゼロとなるように事業実施状況に合わせて決定配分することになりますので、委員御指摘の御懸念は全くないというふうに御理解いただきたいと思います。

 したがいまして、防災集団移転促進事業の地方負担分についても、震災復興特別交付税によりその全額を措置することになります。

 以上でございます。

小野寺委員 ぜひ明確な形で、自治体に不安を与えないようにお願いをしたいと思います。

 さて、今回、私ども被災地で感じますのは、津波の被害に対して一番何が役立ったのか。いろいろな今回役立ったものがございますが、例えば三陸縦貫道、この高速道路。今回、恐らく、我が気仙沼含めて、南三陸もそうですが、この道路が早くできていれば助かる命ももっとあったんじゃないか、そう思う方もたくさんあります。また、今後、新しく地域をつくる、高台に新しい町をつくるにしても、交通アクセス、道路アクセスの問題で、この三陸縦貫道、これがしっかり位置づけられることになります。

 ぜひこの三陸縦貫道の早期建設をお願いしたいと思っておりますが、国土交通省、従来から、これを十年という期間をさらに前倒しして五年ないし七年で完成したい、そのようなお話がございますが、今回の補正の中にも組んでいただいていますし、恐らく二十四年度予算の中にもしっかり位置づけていただけると思いますが、国土交通大臣のこの三陸縦貫道の建設の見通しについてお伺いしたいと思います。

前田国務大臣 確かに、この三陸縦貫道、被災を受ける一週間前に開通しただとか、私も現地を、各所を回ったんですが、この地域高規格道路、三陸沿岸道と称される、できているところは被災も一切受けずに、見事に、本当に命の道の役割を果たしているわけですね。そういったことから、私も着任以来、早くこの命の道をつなげと。

 ただし、高規格のすべてをフル規格で完成させるというのには時間がかかる、しかし、現在ある、現国道なんかでちゃんと使えるようなところはそれも使いながら、早くつなげるところをつないで全体としての機能が発揮できるようにしようじゃないかということを申し上げていて、そういう意味でも、なるべく早く、前倒しして機能が発揮できるようにしたいと思っております。

 具体的には、八月の三十日にほぼこの三陸沿岸道についてはルート等を確定して、今、三次補正で要求しているわけですが、新規事業採択時の評価の手続を実施しているところであります。

 いずれにしろ、早期にこれをつないでいきたい、こう思っております。

小野寺委員 従前から、七年ほどで最低つながるようにしたいという意欲を国土交通省は示していますが、大臣もその言葉でよろしいでしょうか。確認したいと思います。

前田国務大臣 そのとおりでございます。

小野寺委員 またいつ津波が襲ってくるかわかりません。私どもは、一日も早くこの道路の全線開通、そしてまた命の道として活用させていただきたい、そのように思っております。

 さて、次に、グループ補助金についてお伺いしたいと思います。

 今、自治体を回りますと、あるいは地方の都市を回りますと、今回、このグループ補助金、この制度で何とか冷蔵庫やあるいは工業団地、商店街、さまざま復活、復旧をして、雇用をつくり、少しでも失業者をなくしたい、そういう経営者で満ち満ちております。

 今回、安住大臣いらっしゃいますが、何度も大臣にもお力添えをいただきまして、この予算がだんだんだんだんふえてきております。現在、予備費の前倒しで約一千二百五十億ということになっていますし、二十四年度では五百億という金額になっていますが、今、この事業の大変有効な状況ということを多くの方が知るようになりまして、ますますこの希望がふえております。

 まず、今後、この一千二百五十億、既に手当てをしている内容で、これから採択をしていくわけですが、恐らく希望にすべてなかなかこれはマッチしない、さらにまた今後新規の希望が出てくるかもしれない、そういうことに財政的にさらに手当てをしていただきたい。平たく言うと、もっと予算が欲しいということですが、この事業についての今後の予算の見通し、もっとふやしていただきたいという地元の声にどうこたえるか、お伺いしたいと思います。

安住国務大臣 できるだけそうしたいと思っております。(小野寺委員「何かあっさりし過ぎじゃない。もうちょっと言ってください」と呼ぶ)

 小野寺さんも御存じのとおり、これは水産業から飲食店まで、非常にいいということで、非常に枠も広く、これは間もなく内示が出せるのかなと、経産省でやっていただいているようでございますけれども。今後、来年の予算についても、必要なものがあれば、もちろん適格性というのは調べさせていただくということになると思いますけれども、今後もニーズがあればできるだけ対応していきたいなというふうに思っております。

小野寺委員 その中で、今度は経産大臣にお話をしたいんですが、どうしても、先ほど来お話をしているように、もう再開したいんだ、工場をつくりたいんだ、冷蔵庫をつくりたいんだ、そう思ってこの事業に申請をするんですが、実はその前提として、かさ上げしないと、既に水没しているその地域に新たに冷蔵庫をつくることができない。ですから、まずかさ上げやあるいは土地区画整理ということがあって、その後にこのグループ化事業を使って再建ということになります。

 とすると、現在の使用年限あるいは期間というのにもしかしたら当てはまらない、マッチしない、そういう方も今後出てくるのではないかと思うんですが、この年度内の契約締結ということ、この条件緩和、例えば、もう既に金融機関にしっかりとした事業計画を出し、そして役所としてもこのグループ化をしっかり受けとめますという中で、仮に、そのかさ上げ事業、これがまた別な予算で今後国土交通省でやっていくと思います。それと合わせわざじゃないと実はできなくなってくる。

 ですから、既に事業としては採択をするけれども、国土交通省のかさ上げの事業ができた段階でこれは執行する、そのような少し条件緩和ということ、期間の弾力性、こういうことを見ていただけないかと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 お答え申し上げます。

 補助金交付を決定した案件については、原則として当該年度中に事業を終了していただくということになっておりますが、御指摘のとおり、特にこの震災後の状況で、さまざまな事情、状況がありますので、実際には工期がおくれたり物資調達が想定どおりいかないというケースは少なからずあるだろうというふうに思っております。

 当然、補助金を使用し終わらなかった場合に翌年度へ繰り越す制度が設けられておりますが、問題はその運用だというふうに思っておりますので、経済産業省としても、現場に対しても、これは柔軟に対応するようにということの指示を改めてしっかりとおろしたところでございます。

 また、そもそもまだ計画が立てられないというような地域が、かさ上げなどとの関係等もございますので、そうしたことにも備えて、予備費はしっかり積んでいただいたと思っておりますが、来年度予算の概算要求においても五百億程度の、来年度に入ってから申し出ていただいてそれに対応できるような措置も備えているところでございます。

 この両面において、しっかりと復旧復興の状況に応じた必要な補助金が交付できるように努力をしてまいりたいと思っております。

小野寺委員 かさ上げするのも国の事業、そしてこのグループ補助金で冷蔵庫や水産加工場をつくっていくのも国の事業。ですから、国の事業が進めば実は速やかにこの冷蔵庫や水産加工場の皆さん、商店街の皆さんが前に向かっていけるわけです。ですから、いずれにしても国の責任になります。例えば、国土交通省が遅いから経産省はこのグループ補助金は出せませんということはないんだと思いますよ。これはやはり一体化になって計画をしっかりつくっていただいて、そしてその計画がちゃんと軌道に乗っているのであれば、多少の運用、そこは今回しっかり対応していただきたい、そのように思っております。

 さて、もう一点、東日本大震災の復興交付金の基幹事業について、ちょっとお話をお伺いしたいと思っております。

 この基幹事業、これは今回、交付金ということで基幹事業が設定されますが、実は各地方自治体も当然、これに合わせて地域の復興のさまざまな計画をつくっていきます。そうしますと、やはりこの事業の使用年限というのがかっちり決められてしまうと、せっかくこの事業でやりたいやりたいと思ったとしても、いろいろなことが追いついていかない。どうしてもある程度時間がかかることもございます。

 ぜひ余裕を持った期間に活用できるように、今回の交付金は、自由度が高い、そのようなものにしていただきたいと思いますが、総務大臣のお話を伺います。

平野国務大臣 復興交付金につきましては、何回もこの委員会等々でも御説明しましたけれども、二つの仕組みで成り立っております。

 一階部分は、今の一括交付金という考え方に近いものでありますけれども、今の一括交付金よりもはるかに範囲を広げてございます。そこで自治体が自由にメニューを選べるように、そういうことで配慮したつもりであります。

 もう一階の部分については、効果促進事業ということで、これについては基本的に自治体が何でも使える、そういう予算の仕組みになっておりまして、この交付金を使うに当たりましては、とにかく基本的には自治体の意向に沿って、例えば繰り越しの問題とかそういったものについても、できるだけ自治体の意向に沿って、やりやすい仕組みにしたいというふうに考えております。

小野寺委員 では、具体的に自治体から出てきている要望ということで少しお話をしたいと思います。

 まず、この基幹事業の中で、実は観光、物産拠点、こういうものがこの基幹事業の中に入っておりません。今回、沿岸地域の中で、観光あるいは物産販売、こういうものがどうしてもこれから地域の付加価値を高めるために必要になります。基幹事業の中にこれを入れていただけないかということ。

 それからもう一点、今回どうしても、被災工場の中で、水没して、ここにかさ上げしてつくるのは難しいという場合、少し内陸の方に造成をして、そこで工場を移ってもらう。恐らくかさ上げしたり高い防波堤をつくるよりは、そちらに移って、工場用地もそちらで少し整備した方がこれはコスト的にも安いということもある場所もあると思います。このような、例えば被災工場の移転の用地の造成とか、あるいは今後、企業の誘致をする場合の企業誘致に対する奨励金とか、こういうものもこの基幹事業の中で見ていただけないかという要望ですが、これについてはいかがでしょうか。

平野国務大臣 物産の施設等々については、物産施設という名前でやるのかどうかは別として、これは基本的に建物の建設及び関連施設ということになると思いますので、これはちょっと検討したいと思います。

 それからあと、そういった造成費につきましては、全体の中で、これは土地区画整理事業等々も入っておりますし、これは対応できると思います。それで、あと、効果促進事業のお金も使えます。

 あと、企業の、具体的な引っ張ってくるためのさまざまな補助金ということになりますと、ちょっと個別具体のお話の中でどういうふうに対応ができるか、その点についてもちょっと検討はしてみたいと思いますが、もうちょっと具体的なお話で御提示いただければありがたいというふうに思います。

小野寺委員 また後ほど個別に、このような形の誘致の助成では今回の基幹事業にのせやすいんではないかという御相談、知恵を出していきたいと思っております。

 さて、東北地方、御案内のとおり、もう寒い時期に入ってまいりました。今、仮設住宅の寒さ対策ということがございますが、先般、仮設住宅で火災が発生しました。今後、恐らく寒い時期になり、お年寄りだけ、高齢者の方、あるいはなかなか気持ちもすさんでいる、こういう状況の中で、さまざま暖房をとる中で、例えば灯油、石油ストーブ、今、仮設住宅を回って聞こえる声は、この灯油をどこに置いたらいいんだろうと。御存じのとおり、二十リットルのポリ缶にみんな入れて、通常はどこか家の中の車庫とかそういうところに置くんですが、仮設住宅はそういう場所がございません。

 ですから、細かい話ですが、灯油を置く場所がない、あるいは、外に露出して置いた場合に、これはもしかしたら火災の心配はないのか。もし火災が起きてしまったら、あのような密集したところですから、大変な惨事、しかもお年寄りもいる。私は、できるだけ今回の暖房は、電気を使ったエアコンやホットカーペットや、そういうところで対応していただきたい。

 きょう、同僚の議員もたくさんいらっしゃいます。恐らく地域を回って、今回のこの仮設住宅で火災が心配と思う方がたくさんいると思います。ところが、これを全部電気にしちゃうとかなり電気代がかかるんです。我が家もそうですが、実は灯油の方が安い、だからみんな灯油を使うんですが、これを全部電気にしてしまいますと、寒いところですから、かなり電気代が大変になる。

 ちょっと厳しい質問かもしれませんが、一定の金額でいいんです、月例えば五千円とか一万円とかそういう金額でいいものですから、寒冷地に対してのこのような電気代の補助、支援、こういうものを、この冬を乗り切るために何カ月間、考えていただくということはできないものなんでしょうか。

津田大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまで、エアコンだけでは足りないということで、エアコンの追加設置、あるいは石油ストーブあるいはホットカーペット、暖房機器の設置経費も災害救助法の対象とするということで取り組んでまいりました。あわせて、断熱材の追加あるいは二重サッシ、畳の設置、これなどにつきましても、災害救助法による国庫補助の対象として応急仮設住宅そのものの断熱効果を高めるよう取り組んでおるわけでございます。

 大変恐縮なんですが、電気代の補助については、応急仮設住宅以外にお住まいの被災者の方々も負担していただいていることとの公平性の観点から、被災者生活再建支援法による支援金や義援金、災害援護資金などにより対応いただきたいというふうに考えておりまして、災害救助法による国庫負担の対象とならないということについて御理解を賜りたい。

 しかし、いずれにしても、すき間風の防止用のシートの追加あるいは補強、あるいは断熱材の追加など、電気代を節約するための取り組みには全力を注いでまいりたいというふうに考えております。

小野寺委員 私が心配しているのは、この寒い冬で、もしこの仮設住宅で火災が起きて何人もの方が亡くなったときに、それが石油ストーブが原因だったら、私たちこれは後悔しますよ、この国会の今の答弁では。

 ですから、ぜひお願いしたいのは、平野大臣にもお願いしたいのは、きょうここで答弁は要りません。ですが、こういう実態があって、一世帯月五千円出してくれれば、恐らくストーブじゃなくて電気で何とか対応しよう、少しでも火災を防げる。実は、仮設住宅の中では石油ストーブを使わせないという場所も一部あると聞いています。ここに何とか優しい手当てをお願いできないかということを申し添えたいと思います。

 最後に一つだけ、これは我が地元の話で大変恐縮なんですが、気仙沼地域というのは実は大変陸の孤島と言われております。センター試験、来年受けますが、センター試験、私も受けました。この試験を受けるためには、実は今までは石巻で受けさせてもらいました。でも、今回、石巻専修大学が被災をして、そこで受けることができない。そうすると、私ども、仙台に行って受けなきゃいけない。試験は二日間にわたります。最低三日泊まることになるんです。今、仙台は復興需要でホテルがいっぱいになっています。何とかこの二百数十人の子供たち、この子供たちが泊まり代も電車代も全部かけて苦労するんじゃなくて、気仙沼で、高校で会場をつくって、ここでセンター試験を受けさせてもらえれば、この多くのコストがかからないんです。ぜひこの配慮を今回お願いできないか、最後にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。

磯田政府参考人 センター試験の試験会場の設置につきましては、各都道府県単位で教育委員会や校長会等の意向を踏まえつつ決定するところでございますが、今回は、地元の校長会から、受験生が精神的に安定して試験に臨めるよう、被災地から離れた地域での受験を望む、こういう要望書をいただきましたので、東北大学はそのような対応をしたわけでございますけれども、今回、地元のPTAから、試験会場の気仙沼市内での設置、もしくは仙台への交通手段及び宿泊施設での配慮等の嘆願をいただいたところでございます。

 現段階でいろいろ厳しい面がございますが、被災受験生の進学機会を確保する、これを基本に、どのような措置が可能か、現在、地元を含めた関係者で検討を鋭意進めているところでございます。

小野寺委員 今この手元に、PTAの会長から副会長名で陳情が来ています。これは中川文部科学大臣にも出しています。ここには、大学入試センター試験を気仙沼でやってくれと。校長先生の話を聞くんじゃなくて、私は、受験生を持っている親御さんの声を聞いていただきたい、しっかり受けとめていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来、各委員から御発言があったところでありますけれども、私からも冒頭、昨日トルコでマグニチュード七・二という大規模な地震があり、死傷者一千名を超えると報じられているところであります。亡くなった皆さんに心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆さんにお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、トルコは、十月十三から十四日、復興特別委員会の視察で訪問したばかりでございます。九九年のトルコ北西部地震からの復興を学び、東日本大震災への救援に対する謝礼を述べてきたばかりでありました。救援隊の皆さんは、二十五日間宮城県にとどまり、捜索活動に当たったということで、印象に残ったエピソードなどをお話ししてくださったわけですけれども、日本の人たちが大きな災害を乗り越えてくれることを願っています、このように激励をしてくださいました。本当にその思いにこたえていきたいと思っております。

 また、トルコの被害を最小限に食いとめ、一日も早い復旧へ向かうことを祈念するものでありますが、日本もまだ復興の途上ではあるけれども、政府としてのこうしたトルコに対する支援について、平野復興大臣に一言お願いしたいと思います。

平野国務大臣 トルコにおいてマグニチュード七・二の地震が発生しまして、たくさんの方々が亡くなられたというニュースも入ってきております。まず、一刻も早い行方不明者の捜索、そして復旧に向けての取り組みがされることを期待申し上げたいというふうに思います。

 日本においても、トルコ時間二十三日十六時四十五分、在トルコ大使より首相府災害緊急事態対策局地震部に架電しまして、我が国として緊急援助を行う用意がある旨、伝達をいたしました。

 ただ、先ほども答弁いたしましたけれども、今トルコの国内は大変な状況でありまして、まだ受け入れられる準備ができていない、そういう旨の答えが返ってきたようでありまして、いずれ、その準備ができ次第、もし日本の方に、そういった要請の受け入れの用意があるということの返事が来ますれば、大至急そういったことの対応をするということになるかと思います。

 トルコ国からは、今回の震災において救援隊も派遣をいただきました。そういったことも踏まえまして、いずれ日本としても、友好国トルコに対してできることはしっかりやる、そういう形で臨むことが大切なことではないかというふうに思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

高橋(千)委員 よろしくお願いをしたいと思います。

 きょうは、原発事故による放射能被害について幾つかの角度から質問したい、このように思います。

 まず、文部科学省の放射線審議会の基本部会が、十月六日、二〇〇七年の国際放射線防護委員会の勧告である現存被曝状況の放射線防護の考え方、これを適用すべきであるという提言案を了承しました。これによれば、年一ミリシーベルトは長期的に目指す線量としつつ、漸進的に改善を図っていくために、中間的な目標、これは参考レベルという表現をするそうですが、これを採用してもよいとしております。

 基本部会の議論を見ますと、年一ミリシーベルトを絶対的な基準のような形で社会が理解してしまった、一ミリシーベルトという数値がどんどん走っていくと懸念が示され、まずは実現可能な目標を設定して被曝低減を図るべきだとの意見が出されたと報じられているところであります。

 ちょうど六日の前の日は、私、また、五ミリシーベルトが線引きされないようにという議論をしたわけですけれども、そこから五ミリという数字も出てくるのかなという思いをいたしました。

 私たちは、逆の意味で、一ミリシーベルトという言葉が絶対的なものになってはならない、つまり、そこまでならよいという意味ではなくて、さらに下げるんだという意味で使ってきたと思っております。

 緊急時避難準備区域が解除となり来年の帰還を目指す南相馬市や川内村など、除染をして安全を確認しながら帰還を目指すと書いて、その基準について国が示すことを求めているわけであります。国が一ミリシーベルトを目指し、それ以下を目指すとしてきた方針を変えるものではないということを確認したい。そして、この数字がもろもろの指標に、例えば避難と帰還あるいは財政支援の基準とか、そういうものに影響しては困るわけです。この点で、文科大臣に伺いたいと思います。

中川国務大臣 まことにおっしゃるとおりで、私たちも、そういう懸念を持ちながら、発表には注意をし、そして十分な説明をしていきたいというふうに思います。

 御指摘のとおり、現在、放射線審議会で議論をしているのは、復旧期、今の段階ですね、戻ろうという人たちがそこに戻って、除染をしながら平常時に持っていって、最終的な一ミリシーベルト以下、さっきのお話のように、一ミリシーベルトが目標じゃなくて、年平均一ミリシーベルト以下というところに向いて持っていくということ、これが目標としているところであります。

 だから、結論から言うと、平常時に一ミリシーベルト以下を目指していくという我々の努力は、これはもう当然のことでありますし、それに向かって頑張っていくということであります。

高橋(千)委員 ですから、これはある意味技術的な問題で、二十ミリシーベルトを超えている、超えるんだということで避難をさせられた方たち、その方たちの、いわゆる除染をして戻ってほしいという取り組みをされる行政や国が、心の中で幾つかの指標として持つのはいいかもしれない。でも、その数字がひとり歩きをしてしまうと、やはり、では五ミリといったら帰っていいということですか。私は帰れない、そこで迷うことになるわけです。

 そこで国の施策が揺らぐことがあってはならないし、そういう意味では数字を出す必要はない、私はそのように思うわけですけれども、もう一言、いかがですか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

中川国務大臣 それを受け取っていただく立場の皆さんというのもさまざまにあるわけでありまして、除染に従事する人たちも含めて、やはり数字を出すというのはケース・バイ・ケースで考えていくんだというふうに思っています。

 そのときに、先ほど何回も申し上げましたが、出し方だと思うんですね。誤解のないように、そして、私たちの平常時の目標というのが一ミリシーベルト以下だということ、このことを揺るぎなく説明をしながら、それに向かってみんなで頑張っていこうというメッセージを出していきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 確認をしたいと思います。高いところもそうですが、低いところも、逆にそれが緩和されちゃったのかなということになっては困りますので、重ねて指摘をさせていただきたいと思います。

 さて、本格的な除染活動が始まっているわけですけれども、五日の本委員会のときに、除染の予備費がまだまだ少ないじゃないかという質問をしまして、そのときに細野大臣は、資料の囲みでちらっと書いておりますけれども、予備費、三次補正あるいは来年度予算や債務負担行為などを通して一兆一千四百億円というまとまった予算をとっていると答弁をされております。

 そこで、では、第三次補正の中身を、二千四百五十九億円あるわけですけれども、どんなふうに使われるのかというのを分解してみたのがこの図であります。

 警戒区域、計画的避難区域の除染が四百十九億円、地方補助分が一千四十七億円、その他仮置き場の施設整備費など五百三十一億円ということになって、こうして分解してみますと、決して大きな額ではないなと思うわけです。吹き出しに書いておきましたけれども、例えば伊達市小国地区の民家三軒の除染費用だけでも三百二十万円だった。そうすると、全体の対象戸数でいいますと二万九千八百世帯なので、単純計算しても、家屋の除染だけでも三百十五億八千八百万円、これだけかかるんだなと。

 そうすると、面的にやっていくということを繰り返しお話ししているわけですが、それを本当にできる予算をしっかりつけるんだということで確認をさせていただきたいと思います。

細野国務大臣 今御紹介をいただいたのは三次補正ということでございますけれども、二次補正の予備費で約二千二百億円、これはもう既に使える状態になっておりまして、それに加えて、今回の三次補正でこうした金額がついております。

 来年度の当初予算にも要望を出しておりますので、そこは必要な予算はしっかり確保する。仮に、この予算の中でおさまらずに、さらに予算が必要になるということは、逆に言うと除染がそれだけ進むということですから、そこは必要に応じて予算を確保する。ここは、本当に国のあり方というか姿勢が問われるところだというふうに思っておりますので、そういう覚悟でやってまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ここの部分は、放射性瓦れきの廃棄物の特別措置法がございますので、当然国が責任を持ってやる部分である。ですから、おさまらなければ拡充していくというのも当然であろうと思うわけですね。

 ただ、それでもどうかなということを今指摘させていただいたわけですけれども、問題は、次の地方補助分一千四十七億円。では、これはどこにどのように使うのですか。

細野国務大臣 ここの地方補助分というのは、ここで書いていただいております警戒区域であるとか計画的避難区域以外の地域で住民がお住まいになっているところについて、それぞれの市町村で除染に取り組んでいただいた場合に費用の負担をするものでございます。ちなみに、二次補正でついております二千二百億円の予算のほとんどはそれでございます。ですから、今年度の二次補正、三次補正合わせて約三千億円近い予算が、この警戒区域と計画的避難区域以外の除染の費用に充当されるということになってまいります。

高橋(千)委員 もっと具体的に聞いております。

 これを担当官に聞いたときは、どうやってこの数字を割り出しましたかと言ったときに、今把握されているモニタリングの調査に基づいて年一ミリシーベルトを超えるであろう地点をピックアップしたら、三県であったと。最初はそうだったわけです。

 二枚目に、きょう東京新聞が大変いい地図をつくっていただいたのでコピーをさせていただきましたけれども、今これは八都県になるわけですね。まだ十二都県でこうした汚染マップがつくられている段階で、一ミリシーベルトを超えているところで五ミリシーベルト未満のところというのがこの青いしみになっていまして、この青いしみがちょっとでもついている県を数えると、確かに八都県になる。せいぜいその程度を言っているのかなと。

 ということは、まだ全容がわかっていないということになりますよね。つまり、まだこうした地図ができていない県もございます。宮城県までは入っていますが、岩手県も十分に高いところがございます。毎時一マイクロシーベルトを超えたところがもう既に指摘をされてあるわけですけれども、そういうところも踏まえて入っているのでしょうか。一千四十七億円、来年度はせいぜい二百数十億と聞いておりますけれども、いかがですか。

細野国務大臣 この数字自体は、それぞれの状況に応じて一定の前提を置いて計算をしておりますので、このすべてがきちっと全部入っているかと言われると、その後出てきたデータもございますので、やはりさらに加えなきゃならないところもあるかというふうには思います。

 ただ一方で、ぜひ高橋委員に御理解いただきたいんですけれども、大体二年間でそれぞれの放射線量というのは四割ぐらい落ちる、半分ぐらいにはなるということになるんですね。つまり、今、追加線量が一ミリシーベルトのところも、しっかりとそういったことはモニタリングはしていかなければなりませんけれども、一定の期間で落ちつきを見せるという面もあるわけです。ですから、そういうところで、ここは除染をした方がいいだろうという御判断のところについては、できるだけ市町村の意向に沿ってやってまいりますけれども、例えばこのすべてを除染して全部土をはがなければ問題が解決をしないということでは必ずしもないということは、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ただ、繰り返しになりますけれども、除染については一ミリシーベルトを目標にしておりますので、福島県外でも市町村でここはというところがあれば積極的にしっかりと財政的な負担をしてまいりたいと思いますし、逆に、国の方から見てここは高いなというところがあれば、こちらから市町村としっかりと対話をして除染をしていくということも含めて、そこは徹底的に対応してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 一定の期間で落ちるとおっしゃいますと、逆に言うと、手だてがおくれたから時間を非常に要してしまったということになるんですよ。今は低いかもしれないけれども、当時高いときに何の手だても打てなかったことによって、避けられることができた内部被曝を起こしたかもしれない、そういう立場に立って必要なことをすべてやっていかなければならないのではないか。

 今のお話ですと、全部入っているとは言えないかもしれないとおっしゃって、それはいいんです。試算の時点でそうだったというのであれば、きちんと測定に基づいてやっていくということをお答えいただきたいということ。

 同時に、地上一メートルでは子供目線ではないねという批判もございます。自治体や民間団体がホットスポットを見つけたときに支援をしていくという方針が出されたわけですけれども、私、それ自体は大変大事なことだと思うんですね。測定を自治体や民間団体と連携しながら行っていく。でも、その前提として、どれだけ測定できるかというものも、いわゆる機材の問題ですとか、それに対してもきちんと支援をしていかなければならないんですが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 このモニタリングは除染の大前提になります。しっかりとモニタリングをしてデータをはかって、高いところを除染するということを繰り返し繰り返しやっていかなければなりませんので、こちらについても非常に国の責任は大きいと思っております。

 お示しをいただいたデータは、航空のモニタリングを、かなり全体を鳥瞰する形でとったモニタリングですが、除染をするとなると、さらに細かいモニタリングが重要になります。警戒区域などはかなり、例えば車やバイクではかりまして、詳細なモニタリングができておりませんが、そのほかのところで十分にできていないところがありますので、必要なところは、地上のモニタリングも含めてしっかりやっていく、そういう体制で臨みたいと考えております。

高橋(千)委員 しっかりやっていくのは国ですか。それとも、市町村がそういう細かい取り組みをやるのに対して財政支援もあるという意味でよろしいですか。

細野国務大臣 国もしっかりやらなければならない、国がと申し上げましょう、やらなければならないと思っております。

 ただ一方で、住民からすると、自治体がはかって身近なところで結果が出るということに対しても信頼を置く、そういう考え方もあるわけですね。ですから、国もやるし、自治体がやられるのであれば、そこについてもできる限りの財政的なバックアップをする、それはもう車の両輪だというふうに考えております。

高橋(千)委員 私は、このことは、除染の予算を今後また必要に応じて拡充していくわけですから、やはりモニタリングと除染を一体として組み込むということを提案したいと思います。実は、モニタリングはどうなるのと聞くと、それは文部科学省ですからと言われますので、やはりそこで縦割りになっちゃいけないんだということで、どちらがやってもいいんですが、きちんと予算とセットにするべきだということを提案させていただきたいと思います。

 次に、資料の三枚目にあるわけですが、現物もここにございますけれども、IAEAの調査団が助言を行いまして、朝日新聞の見出しは「除染やりすぎは非効率」というふうな形で書かれております。

 ちょうど、先ほどお話しした復興特のメンバーでIAEAに行ったときに、除染の調査が日本に行っているということですれ違いになりまして、残念ながら、直接そのメンバーとお話しできなかったということがあったわけですけれども、その中身を読みますと、例えば、農地の除染などでも慎重になり過ぎる可能性があるですとか、都市部は十分低いので、ですから、特に一般の産業廃棄物などと一緒に中間貯蔵など考えなくてもよいとか、そういうような書き方がされているわけです。

 そうすると、ここまでせっかく言ってきた、市民レベルでモニタリングをやったり除染をやったり、それを、では国も応援していこうというふうなところまで来たわけですけれども、下手すれば、それに水を差しかねないことにもなると思うんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

細野国務大臣 IAEAは、国際除染ミッションというのを政府の方から依頼いたしまして、出していただきました。私が直接事務局長にお願いをした件でございまして、助言自体は非常にありがたいものとして政府としては受けとめたいと思っております。ただ、まだこれは暫定版でございまして、本物というか最終的な報告書はこれから出てくるということですので、そこをしっかりまず見たいと思います。

 できるだけ効率的に優先順位をつけてやるべきだという趣旨の提案は、それはしっかり受けとめた上で、我々としての目標は、一ミリシーベルトに向かってしっかりやっていく、それは変えずにやってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今一言でおっしゃったその効率的にということがやはり、健康被害を少しでも低減させるということよりも、経済的なことも兼ね合わせて折り合いをつけるべきだというのが、どうも国際機関の今の標準ではないかということを非常に思うわけですね。しかし、先ほど来、政府は一ミリシーベルトよりも下げるんだということをせっかく言って市民レベルの努力が始まったわけですから、そこに水を差すようなことにならないように一言言っておきたいと思いました。

 次に、食品の問題で、小宮山大臣が食品の暫定基準値についてさらに厳しくなるという見通しを示したということが既に報道されております。私、これは、六月の厚生労働委員会で細川前大臣に質問をしているわけなんですね。

 やはり、食品安全委員会が今示している生涯百ミリシーベルトというのでは非常に、ある意味、基準があってなきようなものということで、何を基準にやればいいんですかということがあるわけですね。

 それと、もう一つ言いたいのは、割合を決める必要はないと思うんです。つまり、空間線量が何割で、食品が何割で、そういうことを言う必要もないのではないか。そもそも今までだって、生産者が大分努力をして、消費者も大分努力をして、例えば五百ベクレルと言っていますけれども、今、出たとしても、せいぜい十ベクレルとかその程度なわけですから、もう思い切って下げる必要があるんだと。

 同時に、子供に対する基準も今まで、考慮しろと言っているだけで、ありませんでした。これもやはり明確にすべきだと思いますが、お願いいたします。

小宮山国務大臣 現在の食品の放射性物質暫定規制値、これは一年間に許容できる被曝線量を五ミリシーベルトと設定しています。これは緊急時のものですから、新たな規制値を設定して、より一層食品の安全性を確保する必要がある、ということは、今よりは厳しくなるということだというふうに考えています。

 今後、内閣府の食品安全委員会の食品健康影響評価が月内に取りまとめられると聞いていますので、この評価書やさまざまな専門家の御意見も踏まえて、できるだけ早期に新たな規制値を設定して実行に移していきたいと考えています。

 その際には、今委員がおっしゃいました子供への配慮について、これはコーデックスとかアメリカは、大人と子供、一緒の基準を出していますが、EUなどは、乳幼児用食品というベビーフードとか、それから粉ミルクについては別の基準を置いていますので、具体的にどのような措置を行うかといった点も十分に議論をしていきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 小宮山大臣、もう少し踏み込んだ答弁をされるかなと思ったんですけれども、かなり慎重な物言いであったかと思います。当然、子供に対する、今、子供だけがとるミルクや離乳食とか、そうしたものに対してきちんと基準を設けるということで、ぜひ確認をさせていただきたいなと思います。

 問題は、基準ができるまで一定の期間があると思うんですけれども、これから先は厳しくなるんだ、今よりはもっと厳しくなるということがはっきりしているのに、基準値以下でしたと言うだけで何の数値も発表されないというようなことは、もうやめるべきではないか。もしかしたら、今五百ベクレル以下だけれども、これからつくる基準よりは超える可能性もあるわけですね。それではやはり安心は確保できません。いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 地方自治体の検査結果につきましては、放射性物質が検出されれば検出値を公表し、検出されなかった場合でもその検出下限値を公表するようにということを、十月の三日にそのような形で通知をしていまして、毎日、厚生労働省で取りまとめて迅速に公表をして、正確な情報提供をしていきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 工夫が少し進んだということだと思いますけれども、できれば、すべてにおいてそうしたものが手に入るようにしていただきたいということであります。

 時間がかなり押してきましたので、枝野大臣にも質問させていただきたいと思います。ちょっと二つまとめて質問いたします。

 健康調査が福島県で既に始まっていて、十二市町村、避難を余儀なくされたところを中心として、四千四百人の内部被曝結果が示された、そのことを簡潔に御報告いただきたいと思うんですけれども、それと同時に、やはり、どんなに微量でも、先ほど来基準の話をしてきたわけですけれども、被曝したという現実に向かう子供さんのショックと、また、我が子を被曝させてしまったという親のショックも非常に大きいものがあると思います。特に内部被曝の場合は、微量だから健康に影響ないとは言い切れないのが、専門家がこれまでも言われてきたことでありますし、そういう意味で、本当に継続して調査、そしてケアを行う体制を整えていくことが大事だと思いますけれども、考え方を伺います。

枝野国務大臣 十二市町村の住民の皆さんに対しては、六月二十七日から内部被曝のホール・ボディー・カウンターによる検査が行われております。九月三十日現在で四千四百六十三名の方が検査を受けられました。

 そして、セシウム134及び137による預託実効線量、つまり内部被曝によって一生の間でどれぐらい被曝をするのか、大人の場合は五十年、子供の場合は七十歳までを合計した数値でありますが、九九・六%、実数でいいますと四千四百四十七名の方は一ミリシーベルト、一生を通じても一ミリシーベルト以下ということであります。

 最大の方で三・五ミリシーベルト、これも相当低い数値ではございますが、御指摘いただきましたとおり、特に内部被曝をしてしまっているということに対しては、精神的にも大変御負担が大きいというふうに思いますし、また、万が一にもという、そうした御不安にこたえるためにも、従来から申し上げておりますが、原子力被災者・子ども健康基金という形で既に九百六十二億円を計上しております。

 福島県が主体となりますが、国として全面的にこれを一体となって支えてまいりまして、長期にわたって、こうした、微量とはいえ被曝をしたお子さんが健康に被害がないことを確認していく、万が一にもそういったことがあれば、しっかりとモニタリングでそれを早期に発見できるという体制を万全なものとして、さらに工夫をしていきたいと思っております。

高橋(千)委員 同時に、ぜひ、子供さんをまず最優先というのは当然なんだけれども、しかし大人も内部被曝を調査してほしいという強い要望がございます。

 これに対して、言われているホール・ボディー・カウンターもまだまだ、前の補正で五台、福島県で設置するということを聞いていますが、まだこれからなんですね、来るのは。だから、それだけでは、なかなか全県民にというところまではいかないわけで、そうすると、やはり、例えば、子供さんは甲状腺エコーなどもやっている。大人は一般の健診と同じメニューなんですね。

 ですから、その健診のメニューの中で、尿検査でセシウムもはかれるようにするとか、血液検査で甲状腺の異常を見ることができるようにするとか、当然、今できる技術を使って健康診断をより被災者の側に立った内容に充実させていくということをぜひ考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 ホール・ボディー・カウンターが一番しっかりと内部被曝がはかれるわけでありますが、御指摘のように、尿検査などでできないかという御指摘はあろうかと思います。

 ただ、なかなか、実際には尿検査で内部被曝の量を正確に推定するのは大変難しいというふうに専門家の皆さんから報告を受けておりまして、また、血液検査の方については、避難区域等の住民の方と、それから、それ以外の方でも、全県民を対象として実施中の基本調査の結果必要と認められた方については血液検査を行うということにしております。

 ただ、これは確かに、いろいろな創意工夫、それから技術についてもいろいろな知見があろうかと思いますので、さらに、これでいいんだということではなくて、常にアンテナを張って、よりしっかりとしたものができないかということは常に留意してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 絞り込んでから検査をやるよりも全体でやる方が外部被曝との関係なども見えてくるということもございますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 平野大臣に通告しておりましたが、時間の関係で申しわけありません、あしたよろしくお願いいたします。

 終わります。

古賀委員長 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 大震災の特区の、特別区域について、まず冒頭お伺いさせていただきます。

 構造改革特区とは別個に、復旧復興に向けて特区を用いて取り組む、このことについては賛成の立場でございます。しかし、法案の骨子案、これを見ると、直接的な被害を受けた地域に限定した内容になっている、そういうふうにも受けとめられます。

 この特区に対して、秋田県、山形県等々の方から多くの要望も来ているところでございます。自分自身、東北選出議員の一人として、しっかりした特区制度をつくらなければならない、こう思っているところでございます。

 御案内のように、東北は日本の食料基地でもあり、自然エネルギーの宝庫でもございます。また、大震災で工業製品のサプライチェーン寸断で東北地域の物づくりが世界の中で重要な役割を果たしている、このことも明らかになったものだというふうに思っております。これまで復旧復興に向けて、直接的被害のみならず、風評被害、人的受け入れなど、東北一丸となって取り組んできた経過からすれば、直接被害地域に限定する、こういったことについては問題があるだろうというふうに思っているところでございます。

 今、新しい東北に向けて、新エネルギー導入特区、産業集積促進特区などを創設しながら復旧復興に向けた動きが各県で見られます。特区対象地域を東日本全体に目配りした大きな構想の中でこの特区を考えていかなきゃならない、こう思っております。そういう立場の中で、この地域の問題も含めて大臣の構想に対する考え方をお伺いさせていただきます。

平野国務大臣 現在の法案では、復興特区制度は、区域を限定しまして思い切った規制、制度の特例措置、税、財政、金融上の支援措置を講じるものでありまして、その適用区域については被災地の震災による被害状況等を踏まえたものとするのが適当であるという考え方に立っております。この考え方はあくまでも、津波、地震によって大きな被害を受けた、そこから復旧復興をするためにどういう支援が必要か、そのための税制措置、あるいはさまざまな手続の簡素化、あるいは規制の緩和等々をこの復興特区制度に盛り込んでいるものであります。

 なお、特区制度ということに関していいますと、そのほかに総合特区制度というのが既に走っております。これを活用するというのはほかの県においてはできるわけであります。それからさらに、実は、東日本大震災からの復興の基本方針におきましては、東北の復興に当たっては、東北地方の有する多様性や潜在力を最大限生かし、一体となって取り組むことにより、新しい東北の姿を追求する、このように明示しておりまして、これを踏まえまして、今回の三次補正においても、例えば東北全体をカバーして食料基地をつなぐ物流拠点機能強化等の支援事業、こういった事業制度等々を補正予算等々にも盛り込んでいるところでもございます。

吉泉委員 今はっきり、被災地を限定、こういう特区なんだ、大臣からこういう発言がございました。しかし、これまでの経過も含め、そしてまたこれまでの復興会議の提言でも触れられているように、やはり東北一円となってやっていかなきゃならない、そしてまた、そういう面の中において、三・一一以降それぞれ各県において復旧復興に向けて取り組んできた経過、この部分をやはり大事にしていかなきゃならない、こういうふうに思っております。

 今の状況では秋田県と山形県が外れる、こういう中身だと私は受けとめております。しかし、今の現状から、それぞれのところの中で、この特区から外れれば、いわゆる総合特区、そして構造改革特別区域、地域再生法、この部分があるんじゃないか、こういうお話もあったわけでございますけれども、あくまでもこの部分については応募、公募、こういう限定になるわけでございます。

 やはり今の現状というものを踏まえれば、大きく構えながらやっていかなきゃならない、こういうふうに思っておりますので、今はまだ骨子案でございますから、基本的な法律ができる、そういう状況においては見直していただきたい。もう一度、見直す考え方はないのか、お伺いいたします。

平野国務大臣 復興に当たりましては、被災県のみならず、特に東北との関係において言えば、例えば、岩手、宮城において被災した当初、物が入らなかった時期があります。そのときに、自衛隊の協力もあったわけでありますけれども、それとあわせて、秋田、山形、あっちの港からさまざまな物資、特にえさあるいは食料、燃料、そういったものが入ってきまして、東北の横の連携の中において当面の復旧対応ができた、応急復旧、応急対応ができたということもございまして、東北一体としてさまざま、これからも取り組むということは大変重要な観点だというふうに思っています。

 ただ、特区ということに関して言いますと、やはり、ちょっと繰り返しで恐縮でございますけれども、今回の津波、地震においては大変大きな被害を受けた、その地域が復旧復興していくに当たっての支援措置ということに特化をした特区制度になっているということでございまして、この考え方に立って今回の復興特区制度は組んでいるんだということにつきましては、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 あわせて、東北一体というこのことについては、さまざまな予算制度を通じまして一体的に取り組むべき、この姿勢だけはしっかり堅持をしなければならないというふうに思っております。

吉泉委員 被災三県の状況、確かにわかります。そういう状況の中においても、それぞれ、これからこの特区を用いてやっていく場合については、やはり計画なり国との連携、そういうものが必ず必要なわけでございますから、そういう面の中では、もし総合特区の中で対応していかなきゃならない、そういう状況にあっても、東北の中においてそれぞれの考え方、そのことを大事にしながら、復興特区と何ら変わらないようなシステム、そういった部分も含めて、今後検討を含めてお願いを申し上げたい、そういうふうに思います。

 次に、枝野大臣にお伺いをさせていただきます。

 もう既に原発事故が起きてから七カ月以上も経過をしております。収束の見えない中で不安な毎日を送っている、そういう現状。さらには、福島からはるか遠い、離れた鳥取のナシにまで風評被害が起きている。さらには、子供の将来の健康も不安にさらされている。

 こういう状況の中で、今それぞれ事故原因調査、こういったことについても本気になって対応しているわけでございますけれども、これまで明らかになったことは、技術的な面も含めて対応できなかった、こういうことについても事実として次々と明らかになってきているところでもございます。ましてや、マスメディアの世論調査の結果からも明らかなように、国民の六〇%から八〇%が原発によらない社会を目指していきたい。そして、ここに来て、南相馬市、浪江町、薩摩川内市など、今年度の交付金を申請しない、こういう動きも出てきているところでもございます。

 こうした状況を踏まえていったときに、今大臣は、新成長戦略実現会議において、この大事な会議の中の副議長という要職にもあるわけでございます。そして、環境・エネルギー大国戦略の見直し、このことに向けて今検討されておりますけれども、大臣は、この会議の中において発言をする際には、大臣の考え方、このことについてはこの会議の中で大きな意味合いを持っているんだろうというふうに私は思っております。

 戦略の基本理念、このところを見ますと、原発への依存度を低減していく、こういうシナリオを描くんだ、そしてまた、反原発、原発推進、こういう二つの対立を乗り越えた議論を展開する、こういう一つの方向も出されておるわけでもございます。そうした中で、今後のスケジュールを見ますと、夏ごろまでにはそれぞれの方向づけを決定していく、そういう一つの戦略会議のスケジュールにもなっているようでございます。

 ぜひ大臣の方から、原発によらない社会の構築、そのための再生エネルギーの本格的な取り組み、このことについて強く求めていきたい、こういうふうに思っておりますけれども、大臣としての考え方をお伺いさせていただきます。

枝野国務大臣 今回の原発事故を受けて、野田総理も、原子力に依存しないで成り立つ社会を目指していくということをおっしゃっております。私も全く同じ思いのもとで、できるだけ早く原子力に依存せずに成り立つ社会をつくっていく。そのためには、一つには、新エネルギーの研究開発と普及を強力に進める、そしてもう一つは、省エネルギー、我慢ではない省エネルギーを強力に進めていく。このことは、特に、経済産業省が直接の所管でございますので、最大限のことをやっていきたいというふうに思っております。

 そして、どういったタイムスケジュールで、どういった最終的な絵姿を目指していけるのかという具体的なことについては、専門家の皆さんのさまざまな御議論や具体的なデータ、これは私の直接の所管ではございませんが、例えば発電のコストについても、エネルギー・環境会議を中心にして再検証しています。それについてのデータをしっかりと提供するという意味で、経済産業省、資源エネルギー庁も、協力というか一体になって進めているわけでありますが、こうした客観的なデータも含めて、できるだけオープンにお示しをしていきたい。

 特に全体のエネルギーのあり方についてはエネルギー基本計画という形で構築をされておりますので、これについては、経済産業省の総合資源エネルギー調査会における議論、ここも、従来ではこうした場の委員にはならなかったであろうとマスコミの皆さんがおっしゃられるような方にたくさん入っていただき、すべてインターネット中継を通じて国民の皆さんにフルオープンで議論をしていただくというようなことで始めているところであります。

 具体的にも、三次補正において、住宅用の太陽光発電や、定置用、据え置き型の蓄電池、さらには家庭用燃料電池の導入支援などの再生可能エネルギー促進に向けた予算措置の拡充を図っているところでございますし、また、特に福島県ということで、世界一の浮体風力発電を目指した実証研究あるいは再生可能エネルギーに関する研究開発拠点の整備などの予算も盛り込む予定でございます。

 来年度予算の要求におきましても、次世代型の太陽電池あるいはポストリチウムイオン電池等の先端的な研究開発事業や、それから、今度は着床式の洋上風力等の実証事業等の取り組みをさらに強化するとともに、新たに、地熱資源の調査やこれの実際の事業を行うための支援、小水力のモデル事業等を開始するための予算措置を盛り込んだところでございます。

 さらには、既に国会でお通しをいただいております再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の運用をしっかりと行っていくこと。さらには、自然エネルギーについては立地規制がたくさんございます。これも関係各省との間でできるだけ早期に、かつ柔軟に緩和をしていただくよう調整を進めて、こうしたことを総合的に進めて、最大限、特に再生エネルギー、新エネルギーの開発と普及を進めてまいります。

吉泉委員 大臣の発言は大変大きいものがある、そういうふうに思っております。その中で、今の、冒頭触れましたのですけれども、立地地域対策交付金、このことについてお伺いをさせていただきたいというふうに思っております。

 さきの党首とそれから総理のそれぞれの懇談の中において、共産党、さらには社民党の党首の方からもそれぞれこの項について触れられたわけであって、総理としては、この部分についての縮小、こういう方向も返答に出されたというふうにもお聞きをしております。

 その中において、この交付金の活用の部分については、やはり交付金の使途、いわゆる再生エネルギー、こういった部分についても、今の現状において交付されている自治体の中において、太陽光も含めながら、波力も地熱も、そういう点で使い道をやはりもっと違った面の中で考えていく、そういう法律改正なんかも必要ではないかなというふうにも思っておるんですけれども、その点について、この縮小方法とそれから使途の問題について今どのように検討なされているのか、お伺いいたします。

枝野国務大臣 電源立地地域対策交付金あるいは電源開発促進税の使途ということについては、今回の原発事故を踏まえて、原発に依存しないで済む社会を目指すという観点の中から見直さなければならないと思っております。

 ただ、電源立地地域対策交付金については、地方の皆さんとお約束をしていることでございます。みずから申請しないという自治体もいらっしゃいますけれども、そうではなくて、約束なんだからきちっと支払ってもらわなきゃ困るという自治体の皆さんもいらっしゃいます。これは国と地方との約束でございますので、それは大事にしなければいけないということは御理解をいただけるかと思っております。

 その上で、まさに使途を拡大していく。電源開発促進税は、法律で原子力、水力、地熱という基幹発電、地熱までは入っておるんですが、までしか使えないという法律の体系になっております。これから、先ほど申しました抜本的なエネルギーについての議論の中で、この三つだけを取り上げるという前提条件は少なくとも変わっているのではないだろうかと私も思っております。したがいまして、エネルギー基本計画の見直し等の議論の中で、必然的にこの使途を拡大できるような、特に再生可能エネルギー、新エネルギーに関連するところに使えるような方向で、法改正も含めた見直しを進めていくことになろうかというふうに思っております。

吉泉委員 もう時間がなくなってきたわけでございますけれども、環境大臣にお伺いをさせていただきます。

 一月に向けて、今、基本方針の骨子案、これをつくって、そして二十六日までそれぞれの意見の募集を出されているわけでございますけれども、少し自分自身腑に落ちないのは、四月に県を通じ、さらには自治体を通じながら、それぞれの瓦れきの処理のやり方について調査をしたわけでございますけれども、その中において、住民の方から非常に汚染の問題についての不安が出されていく中で、非常に二の足を踏む、こういう状況があったわけでございます。しかし、今回もそれに向けて、そのところを具体的にきちっと総括をしないままにまた調査を出した。そして、それが二十一日まで、こういうふうになっている。

 だとするならば、私は、この骨子そのものについて、それぞれこれまで、四月なり、そして各県、各自治体の意向、住民の意向、そのことを踏まえた骨子案にはなっていないのではないか、こういう心配も実はしているところでございます。これから本当に本格的になっていく大変な量の瓦れき、このことに対して、やはりもっともっと、各自治体、さらには住民の意向を踏まえながらの方針でなければならない、こういうふうに思っております。

 確かに、時間がない、そういう状況の中でそれぞれの骨子案をまとめた、そのことについては敬意は表するわけでございますけれども、しかし、余りにも国と県と市町村と住民のずれがあってはならぬ、こういうふうに思っておりますので、この点についてお伺いさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

細野国務大臣 廃棄物の処理というのは、自治体とそして住民の理解がなければ進みませんので、今、吉泉委員が御指摘されたのは非常に重要な点だというふうに思います。

 今、自治体の方の話をされたのは、これは広域処理の件でしょうか。(吉泉委員「そうです」と呼ぶ)そこは何とか御理解をいただけないかと思っておるんですね。先ほど、宮城県の瓦れきの問題、質問が出ていましたけれども、二十年分ありまして、もちろん臨時の焼却施設なんかもつくってやっているんですけれども、このペースだとどうしても時間がかかるわけです。ですから、そこをぜひ全国で助けていただきたい。そのときに、安全性については国がしっかり保障しますので、御理解をいただきたいということでアンケートをとらせていただいております。

 ただ、アンケートというのはあくまで全体の対応でございまして、例えば、個別に広域処理を考えていただけるところがあれば、そこはもう、本当にひざを突き合わせてしっかりと相談をして、納得をしていただいてというプロセスをとりますので、できる限り丁寧にやってまいりたいというふうに思います。

 御指摘はしっかり受けとめて、これからもっともっと国が前に出なければならないテーマだというふうに思いますので、しっかりやってまいります。ありがとうございました。

吉泉委員 各自治体も、それぞれ被災地に任す、任せる、こういう考え方は一切ないわけです。何とかしていかなきゃならない、こういう気持ちはそれぞれ自治体も住民も持っているんです。ただ、そのことが、やはりその気持ちを逆なでするような動き、こういうふうな状況なんかも、もっともっと誤解を解消するような進め方、このことについて、ぜひ慎重に諮っていただくようお願いを申し上げながら、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 今月九日から十五日の日程で、この復興特の海外派遣で、ウイーンのIAEA本部、ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所、そしてトルコの一九九九年の地震被災地の復興住宅を視察してきました。特に、ウクライナ・チェルノブイリにおける現地視察と専門家からのヒアリングは貴重な示唆に富むものでありましたが、それを受けての質問はあすの科学技術・イノベーション特別委員会で細野大臣にお伺いしたいと思っておりますので、この復興特ではそれ以外の震災復興にかかわる問題について幾つか質問をしたいというふうに思います。

 震災復興に当たり、住宅の再建は最重要課題の一つだと思います。被災三県の住宅、建物被害は全半壊合わせ二十六万戸を超えるということであります。被災者が自前で住宅を再建するための支援制度として、住宅金融支援機構、旧住宅金融公庫の災害復興住宅融資というのがあります。住宅や宅地に被害をこうむった被災者向けに長期固定の低金利で融資を行う。今回の震災では、さらに当初五年間は金利ゼロ%、こういう優遇措置もとっております。

 ところが、この災害復興住宅融資、今回の震災では、現状、全然活用されていないようなんですね。住宅金融支援機構が今月十七日、災害復興住宅融資の申し込み件数が三月から九月までの半年間で千八百三件にとどまったということを発表しております。阪神大震災では、この半年間で九千五百件申し込みがあったということですから、わずか五分の一しか申し込みがないということになっています。実際に融資を実行した件数は百十七件で、融資額は十三億円ということですから、被害の甚大さに比べると余りにも少ない。どうしてこんなことになるのかと調べてみると、あることがわかりました。

 仙台市若林区のある建設会社、自宅が地震で大規模半壊をした。屋根がわらが落ちて、この前の台風のときは、二階に水がじゃあじゃあ入って雨漏りがしたというんですね。布団を敷いて、衣装ケースを横に倒して雨水を受けて、たまった水をバケツで外に出す、こういうふうにしたというんですけれども、よく住んでいますね、そんなところにと近所の人に驚かれるまで、余り自分のことを考えていなかったというんです。若林区ですから、目と鼻の先まで、自宅を土台まで根こそぎ流されたうちがたくさんあって、そういう人たちを助けるのに手いっぱいで、自分の家のことを考えていなかったと。

 こういうことで、自宅建て直しのために災害復興住宅融資を受けようと、住宅金融支援機構に足を運んだ。千四百六十万円の建設資金の融資があるんですけれども、これを受けようとして行ったところ、あなたには貸せません、こういうふうに言われてしまったというんです。これはなぜか。

 私の手元にあるのは住宅金融支援機構の東北支店が配っている「災害復興住宅融資のお知らせ」という、これは四枚紙のペーパーなんですけれども、済みません、お配りはしておりません、四枚になるので。ここに何が書かれているかというと、融資を受ける条件として、「建物及び敷地に機構のための第一順位の抵当権を設定していただきます。」こういうふうに書かれているんです。つまりは、住宅金融支援機構が土地建物に第一抵当権を設定するのが融資の条件ですよということになっているわけです。

 しかし、先ほど建設会社の方だというお話をしましたけれども、中小零細企業の経営者は既に自宅の土地や建物を担保に入れて、事業資金の借り入れをしているケースがほとんどではないかと思うんです。

 この建設会社のケースでも、事業資金として国民金融公庫から二千万円、中小公庫から二千万円、計四千万円の融資を受けていて、その担保として自宅と建物が既に第一抵当に入っていた、だから貸せないんだというんです。これだと、中小零細企業をやっている人は、ほとんど自宅の建て直しの融資を受けられないということになってしまうのではないでしょうか。建てたいのに建てられない。現に、この建設会社の取引先の建材屋さんも塗装屋さんも、同じように自宅の建て直しの融資を次々に住宅金融支援機構に断られているというんです。

 土地及び建物に第一抵当権を設定するということを災害復興住宅融資の条件とする、このような対応は実情に応じて柔軟に考えるべきだと思いますが、住宅金融支援機構が独立行政法人である、こういう純然たる民間の金融機関でないということを考え合わせて、ぜひこの点についてお考えいただきたいというふうに思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。

後藤副大臣 お答え申し上げます。

 柿澤先生おっしゃるとおり、住宅金融支援機構の案内の中では、抵当権が、建物及び敷地の購入、第一順位の抵当権を設定していただきますというものが確かに記載をされております。

 これは、先生も御案内のとおり、今政府から距離がある機構でありますので、機構としてもその返済を確実に実施するということで、新築の場合、第一順位の抵当権を設定するというのが条件であるというふうに聞いております。

 ただ、先生がおっしゃるように、被災者の方の負担軽減ということでは、第一次補正で五百六十億円を盛り込み、災害復興住宅という制度をつくり、新築の場合はローンの五年間金利ゼロ、旧債務については最長五年間の元利据え置き等々、いろいろな形でサポートをしていることについては、まずぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 そして、私もいろいろな形で話をお聞きし、では、機構が、第一抵当ということを金融機関同士で調整ができないかということについてちょっと話をしてみました。そして、今できることは、阪神大震災の際にはできなかったことでありますが、まず、今回の東日本大震災の金融機関への説明という部分で、借入希望者が、既存抵当権者である金融機関に対して、機構融資の担保等の融資条件について、これも説明を希望する場合という条件がついてしまいますが、住宅金融支援機構は借入希望者からの依頼に基づいて当該金融機関への説明を行うということで、先生が御指摘をいただいたような、できるだけ住宅金融支援機構がより積極的な役割を果たすように、国交省の方にも、大臣、私の方からもきちっと依頼をしたいというふうに思っています。

柿澤委員 今、最後の御答弁というのは、ほかの金融機関に対して、できないんですということを説明する、こういう話ではないですか。これでは被災者のためには全然ならないということだと思います。

 この人は中小公庫に言われたんだそうです、わかりました、では建物は譲りましょう、でも土地までは譲れませんと。建てた家がいきなり減価するわけではないわけですから、新しい家に第一抵当を入れれば住宅金融支援機構としては債権回収には十分なはずでしょう、なぜ土地まで第一抵当に入れなければいけないんですかと。これはもっともなことだというふうに思うんですよ。前から決まっているから、住宅金融支援機構はそうやっているからと、しゃくし定規に、棒をのんだように、土地も建物も第一抵当でなければ融資できない、これで最優先課題とも言えるこの住宅の復旧復興が進むのかというふうに思います。

 このような形で震災被災者向けの災害復興住宅融資を断ったケースが相当程度あるというふうにもお伺いするんですけれども、それは例えば全体の何%とか、こういう形で数字を出すことができるのかどうか、お伺いをしたいと思います。

後藤副大臣 先ほど先生が、三月以降九月末現在で災害復興住宅融資実績全体で、受理をした部分が千八百三件で、実行が百十七件については、これは事実でございます。

 ただし、先生、その前に、やはり私も家を何年か前に建てたときに、融資をそれですぐ実行できないわけですけれども、まず相談というところから始まります。三月十二日から十月二十日までの実績、この災害復興住宅融資に係る相談件数は、コールセンターを通じてが一万六千八百十一件、東北支店に御相談があった件数が三千七十九件、トータルで一万九千八百九十件でございます。そして、今先生の御指摘をいただいている抵当権の問題で断ったというふうに把握しているものが十七件だというふうに聞いております。

柿澤委員 現実にはもっと多いんではないかというふうに思いますけれども。

 いずれにしても、こういう形で事業を営みながら自宅の再建を行う、特に中小零細企業であればあるほどそれが困難になる、こういう状況になっているわけですけれども、先ほど来ずっと何かを書かれておられるので、平野大臣に、ぜひ御答弁を踏み込んだところでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

平野国務大臣 今、柿澤委員の指摘されている事項をずっとメモっておりました。

 そういう状況があるということについては認識をいたしましたので、後藤副大臣がさまざま今検討しておりますけれども、何ができることがあるかどうか、ちょっと検討しなければならないというふうに考えていたところであります。

柿澤委員 現段階でできる精いっぱいの御答弁をいただいたというふうに理解をしたいというふうに思います。

 さて、今回の視察の現場も踏まえて、一つ質問をします。

 昨日もトルコ南東部で地震が発生をし、多数の被害が出ております。被災された方々に謹んでお見舞い申し上げたいと思います。

 私たちは、今回、トルコ北西部地震の被災地であるコジャイリ県に行って、復興住宅というのを見てきたわけです。これは、家屋倒壊十万戸の被害が出たコジャイリ県、その住民のためにつくられたわけでありますけれども、コジャイリ県では、この復興住宅というのが二万戸近くつくられたそうなんですけれども、地震から一年半後の二〇〇一年から入居が開始をし、一年後の二〇〇二年には仮設住宅からの入居が完了しているということであります。

 それで、どんな家かなと思って見てみたけれども、この写真のようなアパートメントなんですね、今お配りをしている。何と一部屋当たり床面積百平米です。応接間二つ、寝室二つ。私たちが住んでいる家よりよっぽど広いです。住んでいる人に何人か話を聞きましたが、満足度も高いようであります。これを、聞くところでは、月々三万円相当、分譲住宅ローンのような形で支払って住んでいるそうです。

 翻って我が日本ですが、寒さ対策もできていない仮設住宅のプレハブでの生活が二年あるいは三年と長期化する可能性が言われているわけです。一年半でこの写真のようなパーマネントハウジングに入居できるか、日本の場合、甚だ心もとないと思います。

 トルコでできたことがなぜ日本でできないのか。一つは、建設コストだろうと思いました。百平米の部屋、一戸当たりの建設コストを現場で聞いてみたところ、一万二千ドルだというんです。今のレートだと百万円以下の計算になりますね。他方、日本ですけれども、これは復興住宅ができていませんから仮設住宅についてお伺いしたいんですけれども、設置コストは一軒当たり平均幾らになっていますか。

後藤副大臣 先ほど大臣がお答えした部分で、融資の件については、今後いろいろな形で大臣と御相談をしながら、できるだけ幅広く検討していきたいというふうに思っています。

 建設コストでありますが、これは今、平成十二年の厚生省告示で、応急仮設住宅は、およそ一戸当たり二十九・七平米を標準とするということが決められており、その設置のために支出できる費用は二百三十八万七千円以内とするということになっております。これが一つの標準となって、標準仕様の中で、台所、バス、トイレ、家族に応じた居室、エアコン、給湯器などが設置されるというふうなことでございます。

 ただし、先生が御指摘をし、この委員会でも何度か御議論があったように、寒さ対策、断熱補強や積雪補強等々、バリアフリーの問題も今対応しておりますが、それらについてはそれ以外のコストということになります。

柿澤委員 これは、法律上決められた基準的なお値段はおっしゃっていただいたんですけれども、今回、震災に当たって五万戸がつくられたこの仮設住宅の平均的なコストについては言及がありませんでしたが、これは数字がないということですか。

後藤副大臣 今、私どもが聞いている範囲は、少なくとも標準コストに従ってまずつくっているということでありますが、今までの、多分先生お聞きをいただいた、整理をしている部分でいえば、例えば、岩手・宮城県沖地震のときにも応急仮設住宅をつくりました。標準的なものに、それ以降、寒冷地対策、高齢者対策等々の機能を加え、最終的には四百五十一万円というコストになっております。

 今回の分については、標準コストで整理をしているという話以上、今のところ私の情報ではございません。また整理をして、改めて御報告をします。

柿澤委員 この数字は、ぜひ私たちに明らかにしていただきたいというふうに思いますので、後ほど委員長にもお願いをしたいというふうに思います。

古賀委員長 はい。

柿澤委員 仮設住宅、狭いわけです、防寒対策も不十分です。二年か三年後は、これは必要なくなれば壊すんです。これにこれだけのコストをかけている。今、四百五十一万円と言いましたか、やはり高過ぎるんではないでしょうか。この高コスト構造をそのままにして恒久的な復興住宅をつくろうとすると、予算的な制約が、供給戸数の制約要因、そして復興住宅の広さ等のスペックにおける制約要因になりかねないと思うんです。金がないからこんなものしかできませんでしたということになりかねないと思います。

 こういう点について、大臣、ぜひ、低コストで良質な住宅をつくる、この視点が極めて重要だと思いますので、御答弁いただきたいと思います。

平野国務大臣 これから本格的な復興住宅あるいは災害住宅の建設が始まってまいります。その建設の中で、良好な住宅を提供する、そしてまた低コスト、経済的な住宅を提供するということは、これはしっかりと心がけなければならないことだと思います。

 ちなみに、トルコの例が示されましたけれども、自治体の方で今何が一番ネックになっているかというと、やはり土地問題だというふうに私は理解しています。特に、三陸のようにもともと平場が少ないところの中で、集団防災移転、集団的な移転をしなければならないところの移転先をどこに持っていくか。そこの、かなり地形が急峻なところだと大変コストもかかる、場合によったら埋蔵文化財もある、そういった中で、さまざまな権利調整がちょっと必要だということも聞いております。

 いずれ、こういった仮設住宅、いつまでも長く住んでいただくわけにはいきません。だから、しっかりとした復興住宅を早期に建設して、一日も早くそういった方々がその住宅に入れるように努力する、これが基本だというふうに思っております。

柿澤委員 トルコでは三年後には入居が完了しているという、このことをぜひ胸に刻んでいただければと思います。

 枝野大臣に来ていただいていますので、最後に一問だけ御質問をさせていただきたいと思います。

 この委員会で議論した原子力損害賠償支援機構法の運用についてであります。

 本法で、原発事故の被害者への賠償責任を一義的に負うとされているのは東電、その東電が、賠償資金の支払いを自前の資金では不可能な場合、機構が交付国債を現金化して東電に交付して賠償支払いに充てることになっている。交付国債の発行枠は二兆円であります。交付国債を振り出して現金化できる上限が二兆円。

 これを上回る賠償支払いが東電において発生をし、東電が資金ショートになるおそれがある場合、どうなるか。この場合、政府は機構に対して必要な資金を現金で交付することができるようになっている、これがお手元の資料二枚目の第五十一条の内容です。

 さらに御丁寧なことに、国からの金の返済に充てるための東電の機構への特別負担金について、決められた額を負担した場合東電が資金ショートに陥ってしまうというおそれがある場合には、このときも政府は機構を通じて現金を交付して助けることができる、これが法の六十八条の内容です。

 つまりは、賠償金や負担金の支払いで東電が資金ショートで倒れそうになったら、政府がすかさず機構を通じて現金を交付して東電を救済することができる、こういう仕組みが整えられているわけです。

 交付国債を現金化した特別資金援助の部分については、損益計算において利益を出して、もろもろの相殺をしてもなお返済できる場合には、国庫に返納しなければならない、これは五十九条で規定をされています。曲がりなりにも返済規定はあるわけです。

 ところが、今の五十一条と六十八条の、政府から資金ショートを起こしかけた東電への機構を通じた現金交付については機構には政府への返済義務がない、ジャーナリストのお尋ねに対して、ありませんというふうに答えたというんですね。これは本当なんですか。

枝野国務大臣 機構法五十一条それから六十八条による資金交付は、交付国債による資金援助の補完的な措置として定められているものと理解をいたしております。

 その上で、今二兆円とおっしゃいましたが、これは現在の予算措置で二兆円としているものでありまして、当然、今後もし賠償額が大きくなっていった場合には、その都度、予算措置で交付国債をお願いするということになってまいります。

 その上で、まず六十八条でございますが、これはもうまさに賠償額が、著しく大規模な原子力損害の発生その他の事情に照らし、膨大な賠償額が生じている場合ということを想定しているものでございまして、相当厳しい要件が付せられております。少なくとも、今回の東京電力の福島の事故においては、これの条文に該当することを私は想定しておりませんので、これを使うつもりは私はありません。

 それから、五十一条の方は、これは政府提案ではございませんで、国会でお決めをいただいたものでございますので、国会の趣旨に従って運用したいというふうに思っておりますが、いずれにしろ、これも直ちに出せるものではありませんで、国会で定める額の範囲内において交付することができるとなっておりますので、議員修正で出されているものでございますので、国会の趣旨を踏まえた運用をしてまいりたいと思っております。

柿澤委員 今、枝野大臣は二つの重要なことを言ったと思います。交付国債二兆円だという枠が設定をされているわけですけれども、これは足りなければふやす、そういう可能性があるんだというか、そうするんだというお話。もう一つは、今の資金供与、六十八条、これについては想定していない、厳しい条件が課せられていて、私はこういうことで資金援助を政府から機構を通じて東電に行うということを考えていませんよというお話だったというふうに思うんですが、本当にそれで済むのかというふうに思います。

 調査報告の、私たちから言わせれば極めて甘い想定でも四・五兆かかる。そして、除染の費用が、五ミリシーベルトを前提としていた時点で一・一四兆円、一年間の予算立てをしているわけです。これは、一ミリシーベルト以上ということで細野大臣の言うとおりにやれば、対象面積は七倍になるわけですから、例えば八兆円とかかかるということになれば、足し算すれば十二・五兆円ですよ。これを本当に、交付国債二兆円の枠を使い切りました、そしてどうするんですか。これを何とか手当てしていくためには、政府が資金援助するしかなくなるということになるではないですか。こういう状況を結局はもたらして、そしてその返済は求められないということであるとすると、これのどこが国民負担の最小化なのかというふうに思います。

 そのことを極めて疑問に感じておりますし、私たちは、この原子力損害賠償支援機構法案の審議に当たってもその点を指摘して、最終的には反対をさせていただきました。この法律は非常に問題の含まれたものだと思いますので、今後もしっかり議論を続けたいと思いますし、最終的にはゼロベースの撤回が求められるものだというふうに思っております。それを最後に申し上げまして、時間を超過しておりますので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十分散会


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