衆議院

メインへスキップ



第4号 平成24年3月6日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十四年三月六日(火曜日)

    午後三時十一分開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 大島  敦君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 中川  治君

   理事 橋本 清仁君 理事 谷  公一君

   理事 額賀福志郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石原洋三郎君

      石山 敬貴君    市村浩一郎君

      太田 和美君    川越 孝洋君

      菊池長右ェ門君    沓掛 哲男君

      斉藤  進君    阪口 直人君

      階   猛君    白石 洋一君

      瑞慶覧長敏君    菅川  洋君

      高井 美穂君    辻元 清美君

      中野渡詔子君    長尾  敬君

      畑  浩治君    森本 和義君

      柳田 和己君    山口 和之君

      若井 康彦君    若泉 征三君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      加藤 勝信君    梶山 弘志君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      斎藤やすのり君    吉泉 秀男君

      柿澤 未途君    園田 博之君

    …………………………………

   厚生労働大臣       小宮山洋子君

   国土交通大臣       前田 武志君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   復興副大臣        松下 忠洋君

   内閣府副大臣

   兼復興副大臣       中塚 一宏君

   厚生労働副大臣      牧  義夫君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山崎 史郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月六日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     川越 孝洋君

  谷田川 元君     阪口 直人君

  若泉 征三君     瑞慶覧長敏君

同日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     石山 敬貴君

  阪口 直人君     高井 美穂君

  瑞慶覧長敏君     若泉 征三君

同日

 辞任         補欠選任

  高井 美穂君     谷田川 元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法案(内閣提出第二三号)

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長山崎史郎君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、二月十日に復興庁が発足して初めて平野大臣に質問をする機会をいただきました。また、各省の大臣にもお出ましをいただいておりますので、順次質問をさせていただきたいと思います。

 二月十日に復興庁、これはもちろん遅かったという現地の皆さんの御意見もございます。考えてみますと、昨年復興基本法で、復興庁を設置する、こういうことを決めまして、六月の二十日に復興基本法ができました。それからすると、私は、ちょっと時間がかかったかなという気も実はいたしております。

 ちょっと去年を振り返ってみますと、当初、政府案では、復興庁については附則での検討課題、一年後に検討するということでした。そこで、私たち公明党そして自由民主党は、私たちは復興庁、自由民主党は復興再生院、これをつくるべきである、こういうことで提案をいたしまして、復興基本法に盛り込まれました。

 そのときに、やはり一元的に事業をやるとなると、これは各省庁の調整も大変だ、だから年末までに成案をつくって通常国会でやりたい、こういうお話でした。私たちは、それはある意味でいえば若干時間がかかるだろうということでやむを得ないなと思っておりましたが、残念ながら、出てきた復興庁の案が余りにも、私たちが当初予定していたというか、三党で合意をして委員長提案にした中身とは違っておりました。それで少々時間がかかりまして、いろいろと三党で協議をして、他の党の御賛同等もいただいて二月十日を迎える。

 本来、何とか私たちは、遅くなっても三月十一日までには、こう思っておりましたが、一カ月程度前倒しをして復興庁がスタートをした、こういうことでございます。

 それで、初代の復興大臣ということですから、本当は平野大臣にお祝いを申し上げなきゃいけないんですけれども、これはお祝いを申し上げていいのかどうか、大変な役割になると思いますので、頑張っていただきたいということだけ申し上げたいというふうに思います。

 それで、質問通告はしておりませんでしたけれども、これは事実関係とかじゃありませんので、まず復興大臣としての御決意を御開陳いただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 復興庁の発足まで、また、今までの政策を練る段階で、石田委員には本当にいろいろな形で御支援をいただきました。また、さまざまな御叱咤もいただきました。おかげさまで、先ほど委員からお話がございましたように、まずは二月十日、復興庁が発足いたしました。そして、間もなく三月十一日、一周年を迎えるということでございます。

 現場では、我々も一生懸命、復旧復興が進むように取り組んでまいりましたけれども、まだまだおくれている、そういう御指摘もいただいております。

 何といっても、ことしは、復興のつち音が聞こえる、復興が始まった、そういうことが多くの被災者の方々に見えるような年にする、そのことを実現する、そういう決意で臨みたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 復興大臣の所信にも、一万五千人を超えるお亡くなりになった方、また三千二百人を超える行方がまだわからない方、こういう数字もございまして、私も、改めて、その被害の大きさ、そしてお亡くなりになった方、心からまた御冥福もお祈りを申し上げたいと思います。

 最初に、復興庁についてお伺いをいたしたいんですけれども、これからさらに突っ込んだ話が順次出てくると思いますが、この復興庁、リコンストラクションエージェンシーということで、これはホームページなんでしょうか、大臣の顔写真入りの資料を私、持ってきました。大臣、非常に若いときの写真じゃないかな。髪も真っ黒で非常に若々しいお写真ですので、そういうお気持ちでぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それで、復興庁、これは皆さん、大変大きな期待をしていると思うんですが、この体制をちょっと確認させていただきたいんです。人数の問題ですね。

 大臣、復興局が三つあって、それで支所が六つ、事務所が二つありますが、大臣とか政治関係の方は除いて、これは全部で一体何人の体制で今やられているのか、ちょっとその人数だけ教えてください。

平野(達)国務大臣 今委員から御指摘がございましたように、復興局は、岩手、宮城、福島の三県に設置しております。この三県の沿岸部にそれぞれ二カ所の支所を設置しておりまして、青森、茨城に事務所を設置しております。

 各復興局でおおむね三十名程度の職員、それから、各支所で、場所によりますけれども、二名から五名、各事務所においては三名から四名の職員数となっております。

 あわせて、今現在、地元の民間人材の公募手続を進めておりまして、これによりまして、各復興局においては三十名から四十名程度、各支所、各事務所においては四ないし六名程度の職員数となる予定でございます。

 人員配置は、おおむねこういう形でございます。

石田(祝)委員 大臣、私がお聞きしたとき、岩手復興局が約三十人、支所が大体二人から四人だ、それは復興局の内数である、こう言われておりました。ですから、ある意味でいえば、各復興局三十名、九十名という体制ですね。

 人数が多ければ比例的に仕事が全くそのまま進むというわけではないとは思いますけれども、ちょっと九十人という体制は少なくないですか。これは今後どういうふうにお考えなのか、その点だけ。

平野(達)国務大臣 私、ちょっと説明不足でした。内数でございます。おっしゃるとおりでございます。

 それで、人数につきましては、今、この三十名をフル活動しまして、復興局、極端な話でいいますと、盛岡なら盛岡にいなくてもいい、できるだけ現地を歩くということで歩かせております。この三十名でこれから十分かどうか、私は今の体制で十分ではないかというふうに思っておりますけれども、これから本格的に復旧復興が進む段階でこの復興局の役割がいよいよ大きくなってくると思いますが、その状況を見ながら、この人数については適宜検討をして、必要な場合には増員等々をすることも考えなければならないというふうに思っております。

石田(祝)委員 私がなぜそういうことを申し上げるかといいますと、三月十一日で一年になりますが、やはりいろいろな調査の発表がありまして、復興が進んでいるか、こういう質問に、余り進んでいないと全く進んでいないを合わせると七二%。これは、私たちも、与野党超えて協力すべきは協力する、こういうことで熱心には取り組んできたつもりでありますけれども、被災地、被災者の皆さんからすると、やはり復興が遅い、こういう御評価で、これは私たちは甘んじてそういう厳しい評価を受けとめなきゃいけない、こう思っております。

 ですから、そうなりますと、人数の多い少ないではないかもしれませんけれども、やはり物理的にどうしてもこれだけの人数は要るんだ、こういうことになってきはしないのか。基本的には全てのことを復興局、支所、事務所でまず受けとめていただかなきゃいけない。それを考えますと、やはりちょっと九十人では少ないなと思います。

 ぜひ大臣、そこのところを、復興がおくれているという評価をどう受けとめていらっしゃるのか。それから、それに対して、私が申し上げたように、もうちょっと人数を充実すべきではないか。極端に言えば二倍か三倍ぐらいにするぐらいのお気持ちでやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 復興がおくれているという御指摘は、これは真摯に受けとめなければならないと思います。

 ただ、復興がおくれているというふうに指摘される一番の背景には、現地に行ってみればわかりますけれども、まず、瓦れきの一次処理は一応終わった、これから二次処理、広域処理等々がございますけれども、その終わった跡地をどのように使うか。あるいは高台移転等々についても、計画がぎっちり決まった、ぎっちり決まったというのは、移転する側の皆さん方全員の同意がとれた地区も、まだそんなに数は多くありません。そういった形での、目に見える形、特に住宅とか、土地の利用に大きな変化が見えたというような状況にまだ至っていないということが大きな背景だと思います。

 ですから、私は、ことし一年は、できるだけこの土地利用計画を急ぐ、そして、高台移転あるいは災害住宅等の建設の実施計画を急ぐということに集中したいというふうに思っております。

 それから、あと、委員からの御指摘の中で、人の配置の問題でございます。

 国の復興局の体制もございますけれども、何といっても、これは、前に委員からも御指摘を受けたと思いますけれども、被災自治体の絶対的なマンパワーの問題があるかと思います。これにつきましても、国交省さん、農水省さん、総務省あるいは環境省等ともいろいろな形で御協力いただきながら、各自治体から人の派遣をお願いするとか、こういったこともお願いして、これもこれから引き続き強力にお願いをしていかなくちゃならないというふうに思っております。

 あわせて、先ほどのお話の関連でございますけれども、現場の国の職員、実はこの国の職員は、復興局以外に東北整備局とか農政局の職員も現地にいます。こういった方々との連携を深めながら、全体の体制を随時見直していきながら、必要な増員等々があればそれはやっていく、こういう姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 続いて、瓦れきの処理についてお伺いをいたしたいと思います。

 これはやはりなかなか進まない、進んでいない、こういうことが総体的に言えるのではないか、このように思います。若干進んだかもしれませんが、二月末ぐらいの新聞では、瓦れき処理五%どまり、こういう数字も報道されております。

 細野大臣になると思いますけれども、この処理、基本的に、もともとその県内で処理は全部はできない、ですから、福島を除いて、岩手、宮城、これはどうしてもほかのところでお願いをしたい、広域処理をお願いしたいと。これがたしか四百万トンぐらい予定されていたと思います。

 なかなかいろいろ進まないようでありますけれども、これは大臣、この進捗状況をどのようにお考えになっているか。また、私は進んでいないと思いますけれども、その理由というのはどういうふうにお考えですか。

細野国務大臣 この瓦れきの問題につきましては、公明党の皆さんに大変御協力をいただいておりまして、まずその点について心より感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 昨日の時点で処理が終了したものが六・二%ということでございますので、一次仮置き場への移動というのは、多くの皆さんに御協力をいただいて比較的早い段階でできてはおりましたが、その後の処理はまだなかなか進んでいない、そういう状況でございます。

 二千二百万トン以上の瓦れきが発生をした中で、広域処理は四百万トンと少しということでございますので、ほとんどのものは被災地で処理をするわけですが、やはりどうしても処理し切れない分については、そのほかの地域で何とか御協力をいただけないかというふうに思っております。

 進んでいない理由は、大きく分けて二つあると思っております。

 一つは、被災地で処理できるのではないかと思っておられる方が実際には国民の皆さんの中にまだ多いということです。そこは我々の、被災地の努力に対する説明不足というのがあるというふうに思っておりまして、仮設の焼却施設を二十五基つくってあるとか、再利用も積極的にしているとか、そういったことも含めてしっかりとお伝えをする努力を、これから継続していきたいと思っております。

 そしてもう一つは、やはり放射性物質に対する懸念でございます。福島県は、大変申しわけないんですけれども県内で処理をさせていただいて、安全性が確保できたものについてのみ広域処理をお願いしておるんですが、それについての不安がまだ払拭できていない、そういう状況でございます。

 もちろん、環境省でも責任を持って計測をして、安全性を確保して広域処理をお願いしたいと思っておりますが、それでは十分ではないというお考えの方がたくさんおられますので、引き受けを検討していただいている自治体であるとか、場合によっては自治体の住民の皆さんにも、みずからはかっていただいて、安全性を直接確認していただいた上で処理をしていただけるように、予算のあり方などについても、昨日、具体的に直接的な支援ができるような形で提示をさせていただいて、何とか御理解をいただきたいと思っておるところでございます。

石田(祝)委員 広域処理、これは実は私たちも、昨年十一月末に、災害廃棄物広域処理推進チーム、こういうチームをつくりまして、全国で応援をしようじゃないか、こういう体制をつくりまして、それぞれ十二月議会で、県議会等で、受け入れをしたらどうか、こういう質問も各議会で私たちの同僚がいたしました。県知事等は理解をしていただいた方もいらっしゃいますけれども、具体的にはなかなか進まない、こういうことでございます。

 その理由として、大臣がおっしゃったように、やはり誤解に基づくもの、例えば福島の廃棄物も入っているのじゃないのか、こういうことも実は、誤解に基づいてそう思い込んでいらっしゃる方もいるんではないのか。

 あとは、いろいろな理由があると思うんですね。最終処分地がないだとか、お金の問題等を含めて、できないところはできないところの理由が当然あると私は思うんですが、そういうものを一つ一つ取り除きながら、やはり全国で応援をしないと、もともと無理な処理の数量ですから、これは私たちもさらに努力をしていきたいと思います。

 それで、十二月に入りまして、私たちは、山口代表以下、党で東京都の処理の状況を見に行ってまいりました。そのときにいろいろとお聞きをすると、現地から最終処分するまで六回ぐらい線量をはかっているんですね。それをオープンにして、心配ないですよ、そういうことを十二分にデータを公開して、当初、東京都にも三千通ぐらい抗議のメールが来たというふうに聞きましたけれども、そういうことを見せていくとだんだんと減ってはきております、こういうお話もされておりました。

 私が聞いたときには、東京都のごみを焼却したときの放射線量と、二〇%宮城のごみをまぜて焼いたときの放射線量、かえって下がっているというんですね。ですから、これは裏返せば、実は東京も相当影響があるんだけれども、よその廃棄物を受け入れるということの拒否感ですか、これは、石原都知事の人間性というかリーダーシップもあるかもしれませんけれども、もっともっと私たちも努力をさせていただきたいな、こういうふうに思っております。

 それで、最近の世論調査ですけれども、八六%の市区町村が難色を示している。しかし、住民のアンケートをとると、七五%の人は放射線に問題がなかったら受け入れてもいいんじゃないのかと。だから、実際の住民の方の思いと首長さんの思いが正反対になっているんですね。

 これは、私がちょっと想像してみますと、首長さんは、反対される方の意見、大きな声で言われるとやはりそれを受けとめなきゃいけない、あえてやることはないんじゃないのかと。しかし、住民の方は、放射線だけ心配なければ受け入れてもいいよ、処理すべきだ、七五%いるわけです。そのところの違い、その乖離をどう埋めていくのかということが大変大事だと私は思うんですね。

 きょうは官房長官にも来ていただいておりますので、官房長官にお聞きをいたしたいと思います。

 実は私は、昨年の十二月五日に当委員会で、瓦れきの処理について、災害廃棄物の処理についても、これは国が挙げて取り組むんだ、そういう姿勢を見せるためにも、官房長官が例えば議長みたいになって、ほかの役所の大臣の方にも入ってもらって政府全体で進めていくという姿勢を見せないと、これは残念ながら、今環境大臣が熱心に取り組んでいらっしゃるんですけれども、やはり環境省だけがやっている、こういう印象に受けとめられているんじゃないのか。政府が全力を挙げて、全てのことに責任を持って私たちがやるんだ、何かあれば国が責任を持ちます、こういう姿がやはり国民には映っていないと思います。

 私が質問してから大体三カ月がたちました。六・二%ということでは進んでいるとはとても言えないと私は思います。

 官房長官、私は三カ月前にそういう提案をいたしましたが、やはりいま一度、政府を挙げてやる、こういう姿勢を対外的にも国民にも示していただきたい。そのためにも、三カ月前の提案と同じでありますけれども、官房長官がトップで、各省に入ってもらって政府全体でやるという姿勢を示していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 石田委員には昨年十二月五日の本委員会において御質問いただいて、今のお話の趣旨というものでございまして、私はそのときは、環境省を中心にやらせていきたい、そういう内容の答弁であったかと存じます。

 ただ、ここへ来て、今の数字などを見るにつけ、というか、年が明けてから、そういうことがなかなか大変だと。かつ、目標は、この災害廃棄物の処理というのは被災地の復興の大前提ですから、発災から三年後の平成二十六年三月末までに処理を終える、こういう大目標を掲げてやり始めておりますので、さまざま、ここへ来て少しスピードアップしてきた部分もございますが、これは内閣を挙げてやるべきということでございまして、むしろ総理大臣が今、かけ声をかけ始めてくれています。

 それから一方、御党もそうですし、自民党さんもそうですが、それぞれの県連なんかにもそれぞれの党で、私ども与党もそれぞれの県連にまた、これは政党間ではありますが、働きかけをしながら、ここへ来て相当、いろいろな意識の面、住民の意識はさっき数字をいただいたような、そういうことで上がってきていると思います。

 こうした中で、さらにきのうは細野環境大臣の方では、一つは、処分場における放射能測定に係る費用を国が負担し、あるいは、受け入れ自治体からの要請により、国も自治体とともに放射能測定を実施する、あるいは、受け入れ自治体での処理費用や最終処分場などの容量の減少分への支援を行うなど、ここへ来て、具体的にもさらに各広域処理のお願いをしていける体制をだんだんにつくってまいりました。

 さらに、このところは、いわゆる報道におかれましても、朝のあるいは昼の帯番組、報道番組においても、割に積極的にみんなで引き受けようじゃないか、こんなことも少し広がってきているようにも思います。

 そういう意味では、むしろ内閣総理大臣を中心に、各閣僚を挙げて取り組んでいきたいと思います。除染とこの瓦れきというのは、実は閣僚会合も開いておりますが、一体となって取り組んでいきたいと存じます。

石田(祝)委員 官房長官、私は昨年、官房長官に直接そういう提案をしましたので、きょうあえて来ていただいて、官房長官にという思いでお聞きをしたんですが、それだったら、ぜひ総理がトップになってやるようなチームにしてくださいよ。どうですか。

藤村国務大臣 総理大臣にかけ声をかけていただきながら、事実上、私中心に打ち合わせはずっとしてきております。表へ出る顔ということをおっしゃっているかとは思いますが、顔の面では細野大臣も役割をずっと務めていただいているとは思います。

 本当にいい御提案をいただいているので、その方向で進めてまいりたいと思います。

石田(祝)委員 官房長官、しつこいようですけれども、やはり、国がこういう体制をつくった、一つの組織体をつくったということと、総理が適時いろいろなことをお話しすること、これは違うんですよ。ですから、そこのところは、要するに、引き受けたいな、引き受けるべきじゃないかなと思っている自治体の住民の方がどう受けとめるかということなんですよ。

 確かに、細野大臣も一生懸命やっていますよ。そして総理も、もっと受け入れ自治体に応援をしようじゃないか、こういうことをおっしゃっていますよ。しかし、政府が組織体としてこれに取り組んでいるという姿じゃないんですよ、残念ながら。だから、組織体としてやっているのは環境省がやっている。それを応援しよう、いろいろなことを総理もおっしゃる、官房長官もおっしゃるんだけれども、やはりそういう姿を見せないといけないというのが私の意見なんです。

 なぜかといいますと、やはり、放射線の問題もありますけれども、政府がどこまで責任を持ってやるのか。はっきり言ったら、いろいろな数字が信用できないという人も多いんですよ。政府に対する不信感もあるんです。これは、信用しろ、信用しない方が悪いという話じゃなくて、信用してやってもらうためにどうするかということを目に見える形でやるべきだと私は思うんです。そういう提案を私はしているわけです。

 ですから、実際の仕事は環境省がやるかもしれませんけれども、一つの組織体としてしっかりして、総理ないし官房長官が頭になって、ほかの省庁も入れてやっているんだということを見せるということが大事だ。

 そういうことで、きょうは官房長官、お忙しいところを来ていただきましたが、そういう方向でということをおっしゃっていただきましたので、これは進めるということで、私たちも協力はいたしますので、ぜひ進む方向を考えていただきたい。このままいったら、絶対に三年で終わりませんよ、もうあと二年しかないわけですから。そこのところをぜひお考えいただきたいというふうに思います。

 それで、総理が受け入れ自治体について支援をということで、今官房長官もお話をいただきましたけれども、実はお金の話というのは、大事な話なんだけれども、私はこれはやはり二番目だと思うんです。一番目は、協力をしよう、そのために住民が政府を信用して、理解をして、やってあげよう、手伝ってあげよう、お互いに助け合おうじゃないか、こういう気持ちになることが大事なんですね。ですから、そのために目に見える形で政府の対応をつくった方がいいのではないか、こういうことで私は申し上げました。

 受け入れ自治体への支援についてお聞きしようと思いましたが、官房長官、お答えを先ほど若干していただきましたので、これはもう結構でございます。そういう点、国を挙げて、政府も私たち野党もしっかりとこれはやるべきである、こう思っておりますから、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 官房長官、もう質問いたしませんので、どうぞ、結構でございます。

 続きまして、私もたびたび厚生労働大臣にお伺いをいたしておりますが、また、厚生労働大臣もいろいろな方から似たような、同じようなことを言われて大変御苦労ではありますけれども、きょうは何点か具体的なところ、特に仮設住宅のニーズについてお伺いをいたしたいと思います。

 アンケートを公明党宮城県本部で、去年もとりましたけれども、また改めてとったときに、仮設住宅に必要なもの、こういうアンケートでは、一番が物置の設置、二番目が追いだき機能のお風呂、三番目が結露防止、この三つが、皆さんの要求が非常に多いんですね。

 順次お聞きをしてまいりたいと思いますが、三つ一緒に答えていただいても結構でありますが、この追いだき、結露、物置の設置、これについて今後どうお考えなのか、厚生労働大臣に御答弁をお願いします。

小宮山国務大臣 このお風呂の追いだきについては、本当に多くの方から御指摘をいただいていますし、私も実際に宮城県などの仮設に行ったときに一番多くお声をいただいたところなので、私自身、何とかしたいということで、いろいろ検討はしてまいりました。

 ただ、そういう冬場の仕様になっていないということもありまして、全体のお風呂をかえるとか、湯沸かし器全体をかえるとなりますと、これはまたお金がかかるということと、廃棄物が出るということと、いろいろなことがありまして、なかなか対応が困難。

 その中で、追いだき機能に代替するような、お風呂の中に入れて保温するものがある、そういう御提案もあって、いろいろ調べたんですけれども、限られた企業でつくっていて、二千個ぐらいしか、それも生産がなかなか追いつかないとか、やはりお湯の中に入れて御高齢な方が感電しないようにとか、安全面でもいろいろな配慮が必要というようなこともございまして、今のところ、まだそれは回答が出ていないという申しわけない状況にございます。

 やはり、何とか差し湯をして入っていただくしかないというのが申しわけないことに現状で、さらに、これはまた皆さんからいろいろなアイデアを寄せていただいているので、一つ一つ丁寧に検討して、少しでも解決できないか、やらせていただきたいと思います。

 それから、物置のことにつきましては、あいている仮設住宅を柔軟に利用するような取り扱いにより、これはかなり解決ができると思っています。

 空き住戸がない仮設住宅があること、また、今後も被災者の入居が見込まれる、そのようなことがある中で、収納スペースが不足しているということで、倉庫を設置する、これは仮設住宅の共同利用の一環として、例えば倉庫がつくれないか、そんなようなことも前向きに検討したいと思っておりますし、結露防止についても対応をさせていただいているところでございます。

石田(祝)委員 物置は今前向きな御答弁をいただいたと思いますが、私もそういう要望を受けて社会・援護局の方にいろいろお聞きをすると、いや、あいているところを使ってもらってもいいんですよ、こういうのがまず第一声なんですよ。

 しかし、そういうことを私なんかに言ってくる人は、その一団の仮設住宅のところにはあいているところはないんですよ。あいていても、全く同じ間取りの部屋のところが一つあいているわけですから、物置は物置としてのプレハブを、例えば五十戸に一個だとか二十五戸に一個だとか、管理はそこの方々に責任を持ってやってもらう、中をどう間仕切りするかとか。これはやはり一つ二つ建てて、物置は物置として使う。空き住戸を使っていいですよという話ではなかなか難しいと、私は正直、思います。

 ですから、大臣、もう一言お願いしたいんですが、ないところは、物置、倉庫を建てる、こういうことでよろしいでしょうか。

小宮山国務大臣 それは、先ほど答弁させていただいたように、倉庫を設置するという方向で前向きに対応したいというふうに思っています。

石田(祝)委員 これはいい御答弁をいただきましたので、ありがとうございました。

 ちょっとしつこいようですけれども、追いだきですね。

 大臣、まだ寒いですけれども、もうすぐ、だんだん暖かくなる時期にはなってくるわけですね。ですから、ことしの冬はもうしようがないなと思っても、では、来年の冬は例えば災害公営住宅がちゃんと建ってそちらに移れるのか、また、高台移転等をして、もとのような住居に住めるのか、これはなかなか見通しが立たないと思いますよ。そうすると、また来年もこういう寒い思いをするのか、お湯を差しながら入りゃいいのか、これは余りにも酷じゃないのか。

 ですから、私は百歩譲って、ことしの冬、今はちょっと辛抱してくださいと。しかし、これから時間がたって、十月、十一月、考えればまだ半年以上あるわけですから、これは私はできると思うんですよ。

 それで、大臣のお言葉ですけれども、これは確かに、今あるものを外してつけかえると、今まで使っていたものは不要なものになりますよ。しかし、仮設住宅というのは、復旧したときには全部が要らなくなっちゃうんですよ。仮設住宅のプレハブそのものが使い道がないんです、はっきり言ったら。以前、これをとっておこうということでやったところもあるようですけれども、結局、保管料が高くなって処分してしまった。

 ですから、これはあくまで仮住まいで、どうしても最終的には処分しなきゃいけない、そういう前提の建物で御苦労されているわけですから、あと半年、六カ月、七カ月ありますので、これはぜひお考えをいただきたいなと思います。

 それで、誰とは言いませんけれども、人によっては自分のところもないんだよなんと言う人がいるんですよ。そういうことを言っちゃいけないな、それはやはり考えてあげなきゃいけないんじゃないのかと思います。

 これは大臣、もう一言、半歩ぐらい前に進んだ答弁が出ませんでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほど申し上げたように、私自身も直接伺っておりますので、本当に担当課とは毎週のように、何とかならないのか、ここではだめなのかということをやっているんですが、申しわけないことにこの冬はなかなか間に合わない。

 おっしゃいますように、来年の冬に向けて、さらに皆様からもいろいろな情報もいただいているので、また、復興大臣とも政府内でも相談をしながら、何とか半歩、一歩、来年は進めるように努力をしたいというふうに思います。

石田(祝)委員 では、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 結露のことは言っていただきましたので、これはもう進んでいく、こういうことでよくわかりました。

 もう一個、大事なことが抜けていました。民間の賃貸住宅、みなし仮設。

 これは今回、非常に英断をしていただきまして、今まで余り積極的に認めていなかったのではないかと思いますけれども、民間の住宅をみなし仮設、こういうことで入ってもいいですよと。そして、個人で契約した人も、県が契約をし直して仮設住宅扱い、こういうことで大変喜んでいる方もいらっしゃいます。

 しかし、一年になるわけですね。そうすると、やはり仮設住宅扱いだったら二年になったら自動的に出なきゃいけないのか、こういう御心配もなさっているわけです。

 ですから、これはどうも定期的に二年間という契約をしているというふうにもお聞きをいたしますけれども、状況によって、さっき言ったような公営住宅がすぐにできるとかそういうことでなければ、二年というのは自動的に切れるという話ではない、それ以降も状況に応じて仮設住宅という扱いでお住みいただいても大丈夫だ、こういうことだと思いますけれども、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 仮設住宅は提供期間は原則二年でございます。やはりこれは、恒久的な復興住宅などに少しでも早く移っていただきたいとは思いますが、なかなかそうもいかない現状がございますので、おっしゃったように、二年で自動的に打ち切るということはしないで、そこに入っていらっしゃる方がお困りにならないように柔軟な対応をさせていただきたいと思っています。

石田(祝)委員 続きまして、復興の交付金についてお伺いいたしたいと思います。

 これも昨日、相当激しいやりとりがあったように、私も横で見ておりましたが、私のところにも、仙台の我が党の議員さんからも東日本大震災復興交付金に関する緊急要望書、こういうものがけさ方送られてまいりました。これは多分、きのう自民党の小野寺先生がいろいろと御質問なさったこととほとんどダブっていると思います。これについてはまたしっかりやらなきゃいけないと思いますが、項目だけ申し上げておきたいと思います。

 一つは、交付金制度の創設目的に即した運用の徹底をしてもらいたい。これはやはり、厳しい絞り込みが行われた、こういう認識をしているわけですね。

 それから二番目が、被災地方公共団体の立場に立った支援と事務量の軽減。これもきのう質問があったと思います。通常の補助金の申請よりも三倍ぐらい書類が必要だった、こういうお話もきのう質問であったと思います。第一次申請においては従来の国庫補助事業を上回るほどの資料提出を求められた、こういうお声もありまして、またもう一点、復興庁と関係省庁との間で十分な調整が行われていたのか、行われていなかったのじゃないかと。ですから、両方に説明しなきゃいけない、両方から説明を求められたということだろうと私は思いますけれども、事務量の軽減もしてもらいたい、こういうことでございます。

 三番目が、計画対象区域の設定。これはいろいろとあろうかと思います。著しい被害を受けた地域、こういう前提の中の交付金であるというお話もきのうあったかと思いますけれども、やはり線引きをされたその外側も一体として復旧復興しよう、こういう計画を立てている。しかし、著しい被害じゃないじゃないかと言われてぽんと切られてしまったら一体的な復興というのはそごを来す、そういうことも要望としてございます。

 あと、効果促進事業の有効活用に向けた運用の改善。これは、やはり基幹事業四十事業、そしてそれに対する効果促進事業は三五%の範囲でいいよ、しかし基幹事業との関連性、どうしてもこれは必要だよと。これは随分、実は修正協議のときに大議論をしたんですよ。そこで、何らか一筋でも関係があれば柔軟に認めていくんだ、こういうお話で、私たちも、それならやむを得ない、こういうことで了解をしたわけでありますけれども、そこは現地に行くと、やはり相当厳しく、全く密接な関係でなきゃだめだと。がちがちに固められたような親亀子亀では困る、こういう意見であります。

 あとは、交付方法の見直し。これは、市町村が事業の実施主体で、県が交付金の交付主体となる事業、いわゆる間接補助事業については市町村に直接お金を送ってほしい。

 こういう五点の要望であります。これについては、またこれから機会をいただきまして、しっかりと質問もさせていただきたいと思いますが、今申し上げた点について、きのうからの質疑等も踏まえて、大臣から何かございましたら、一言お願いします。

平野(達)国務大臣 今いただいた五項目については、恐らくきょう村井知事が私のところに来られるということで、同じような内容の要望というふうに、マスコミでは抗議と言っておりましたけれども、そういうものがあるというふうに聞いております。

 それで、一言だけ申し上げたいのでありますけれども、今回は、どうしても交付金という制度になじまないというものもあったと思っております。

 それ以外の部分につきましては、まだ事業量が算定できるほどまで計画が詰まっていないのに事業量を出してきている。それからあと、単価についても、本当にこんな単価でいいのかといった単価の設定がされている。きのうもちょっと申し上げましたけれども、全体として被災地の自治体は忙しいですから、そのところについて十分またチェックする時間もなく、コンサルさんか何かのものをそのまま持ってきたということもあったのかもしれません。

 私どもは、それを査定するということではなくて、いい計画にするということで、今回、ここを外した、だめだと言ったということではないんです。もうちょっと時間をかけてこれを議論しましょうということであって、これは二次交付、三次交付、四次交付、これからずっと続きますから、そういう中で計画を被災地と一緒に練っていきましょうという観点で今作業をやっているということだということも、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 ただ、冒頭申し上げましたように、全く被災地とは関係のないところで例えば耐震化を図りたい。耐震化は重要でございますけれども、それは交付金事業としてなじむかどうかということについては慎重な姿勢をとらざるを得ないということについてはきのうも申し上げましたけれども、そういったものについてはほかの事業でやってもらうように進言をしているということもこれはございます。

 ただ、それ以外については、先ほど言いましたように、今、これはだめだと言ったのではなくて、計画をともにつくっているんだということについても、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

石田(祝)委員 時間が余りなくなりました。この点は、また改めて御質問させていただきたいと思います。

 それでは、予算の執行についてお伺いをしたいんですが、復興庁が取りまとめて、第三次補正までの分で、予算額が十四兆三千四百四億円、執行額が七兆八千二百八十七億円、執行率が五四・六%、こういう数字でまとめられております。

 まず大臣、この執行という意味、これは私は、執行ということは当然お金が出ていっている、もう払われている、こういうことだと思いますけれども、この執行額というものはまさしく、もう役所から全部出ていって、県も通って、実際に使われているという意味の執行額でしょうか。

平野(達)国務大臣 ちょっと説明が長くなるかもしれませんが、御容赦を願いたいと思います。

 今申し上げたのは、私どもが執行額として予算委員会で提示したデータ、資料でございます。執行額という場合には、いわゆる実施計画という決定段階と内示という段階、このものをもって執行というふうにこの前は定義をさせていただきました。

 では、この実施計画の決定段階というのは何かといいますと、これは公共事業等々において、図面等を見ながら、これだけの事業費が確定された、この事業費で結構でございますといったことをもって実施計画の決定段階といいます。

 もう一つ、内示というのは、公共事業以外には、例えば心のケアといった問題で自治体からこういう予算が欲しいんですけれどもといったときに、別に図面があるわけではありませんから、ではこういうものについてはこれだけの予算が必要ですねといって合意したときに内示という、二つの行為がございますけれども、その二つの行為が確定したことをもって執行というふうになりました。

 では、これはお金は使われたのかというと、そうではございません。お金は、それから交付申請を受けまして、お金を出しまして、契約をして、それでお金を出したということで初めて執行ということになるわけです。

 なぜ数字をとれないかということでありますが、通常のベースでありますと、公共事業なんかでは発注率、執行率ということで、途中経過でとったりはします。これは、自治体が発注した額を三カ月に一遍、四カ月に一遍ぐらいずつ集めてもらってとることはできます。ただし、これは大変な作業が伴います。今回は、被災自治体が今大変な人手不足ということがございまして、一つ一つの事業について、あなた契約しましたか、執行しましたか、お金を支出しましたかということについては、これはしばらくは私はできないというふうに思っております。

 ですから、この段階での執行率というのは、先ほど言った実施計画それから内示という通常のやり方とは若干違うんですが、とにかくそういうことでお金を出す準備はできましたよということをもってかえさせていただいているということでございます。

 むしろ、執行額は、そういうお金の数字のことで見るのではなくて、現場に行ってみると、例えば住宅の建設まだだね、あるいは海岸の堤防建設着工したといってもまだだね、そういった現地の状況の実際の進みぐあいでいろいろ御判断いただけるのが一番いいのではないか。最後はちょっと余計なことかもしれませんが、老婆心ながら、そういうことも考えられるのではないかということであります。

石田(祝)委員 最後に一言申し上げたいんですが、なぜ私がこういうことを言うかといいますと、私は農林水産委員会で何度も質問をして、これは私たち野党も、法律を通した、予算も賛成をした、だから順調に進んでいるだろうと思った事業が、いや、全然現地に金は来ていないよと。調べてみたら、そのとおりなんですよ。

 やはり国民が見たら、執行という言葉を出されると、これは使われているなと。それが内示額です、交付予定額です、これは大変な誤解を生むわけです。

 実は私も農林水産委員会で、共同利用の漁船の事業というのをやったんですよ。五月二日に二百四十三億の予算が通っているのに、十一月で使われている金が二千万とか三千万なんですよ。ということは、船ができていないということなんです。

 それは、おくれている原因があるわけなんですよ。書類が多過ぎるだとかいろいろな……(発言する者あり)いや、それはそうなんです。大臣は御存じないかもしれませんけれども、例えば宮城県は新しく組合もつくらせているんですよ。組合をつくらせてやっているから時間がかかっているんですよ。

 そういうことで、実際に使われているかどうか、現地にお金が行って、当初の目的どおりに早く執行させなきゃいけないという意味で、私は質問しているわけです。

 ですから、この執行額という言葉は非常に誤解を招くので、実際に使われた額、交付予定額、内示額、こういうふうに分けないと本当の姿はわからない、私はこのことだけは申し上げて、質問を終わりたいと思います。

古賀委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 東日本大震災から間もなく一年になろうとしています。二月に復興庁が誕生し、ようやく本格復興に向けた一歩を踏み出したという感があるわけですが、その一方で、仮設住宅で孤独死など、避難生活の深刻さは深まるばかりであります。一人一人の被災者の暮らしとなりわいの再建あってこその復興だと思いますので、さらに政府・与党にも頑張っていただきたいし、私どもも被災者に寄り添って一層奮闘してまいりたいと思っております。

 さて、津波、沿岸地域で水産業の復興が、地域経済にとっても雇用にとっても大きな課題であります。年末に、南三陸町で仮設の造船所を見せてもらいました。船の型枠をつくっているところでしたが、新しい船ができていくプロセスというのは、大変心弾む思いで見ていたわけですけれども、地盤沈下がそのままで、津波で流されたところはまだほとんど変わっていません。それでも、船が少しずつ浜に出ていく、そしてエンジン音が聞こえてくる、それだけで頑張ろうという気持ちになってくる、そういう漁業者の声を聞いてきたわけです。

 そこで出されたのが、水産庁の共同利用漁船等復旧支援対策事業についてであります。ちょっと先ほどの議論もありましたけれども。漁船建造費等を国、漁協、漁業者で三分の一ずつ負担する。ここを、岩手県では、県と市町村が分担して、漁業者負担は九分の一に、宮城県では六分の一までにしております。資料をつけておきましたが、一次と三次補正で三百八十六億七千九百万円措置をされました。

 また、水産庁の調べによりますと、二万八千六百十二の漁船被害があったのに対し、一月末現在の復旧数はまだ七千五百二十七にすぎないという状態でございます。

 そこで、補助事業の期限が平成二十五年三月末だ、これではつくれる数はもう決まっている、ですから何とか延長してほしい、船主の要望に応えられないということが訴えられております。大船渡市でも、造船所が臨時で人も雇い、何とか漁協の要望に応えようとするんですけれども、無理に一遍に注文を受けても、限りがありますので、それはもう、無理やり期限内におさめようとすると逆に不完全な船になってしまう、こういう指摘もあるわけです。

 ですから、これはぎりぎりになってから決めるというのでは遅いんです。見通しがないと今これをやるということが決められませんので、期限は延長するから大丈夫だと言ってもらいたい。筒井副大臣に伺いたいと思います。

筒井副大臣 先生がおっしゃったような事情があることは、農水省としても十分承知をしております。

 ただ、予算の単年度主義ということもございまして、その中でそういう漁民の皆さんの要請に何とか応じていきたいということで、二十三年度の補正予算に係る建造に関しましては、それがさらにもう一年延びたとしても対応していく。

 二十四年度で今要求しているものもございますが、それに関しても、二十四年度中になかなか、いろいろなそういう事情で延びた場合にもう一年間延長する、これは先生の要請どおり、この場でお約束をしたいというふうに思っております。

 さらにその先の延長に関しましては、漁業者の実情等々、状況を見ながら検討をさせていただきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 今の答弁は多分、繰り越しが可能だということだと思うんです。ただ、二年くらいは延長してくれというのが現場の要望なんですね。

 被災三県の三十三造船所全てが被災をしました。そのうち二社が廃業も検討中ということで、数は限られているわけですから。型枠をつくったからといって次から次とつくれるわけではなくて、大体半年くらいかかるわけですね。タイプの違う船をまた枠から、一からつくっていかなければならないということですので、本当に、期限の中でつくれる船は幾つ幾つというのがわかってしまっているんです。

 そういう意味で、延長だとはっきり言ってもらいたいというのが要望なんです。もう十分酌んでいただいていると思いますが、もう一声、もしあったらお願いしたいと思います。

筒井副大臣 延長そのものは、今申し上げたように、行うというふうに答弁をさせていただきたいわけでございまして、そのさらに先の延長に関しては、その延長期間中の状況を見て判断をさせていただきたい、こういう答弁でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。二年は少なくとも可能なんだろうということで受けとめたいと思います。

 そこで次に、復興交付金の問題です。

 第一回の交付決定について、先ほどもちょっと議論があったわけですが、宮城県は六割にとどまっていることなど、随分議論になっております。

 それで、三月末に第二回の事業計画の提出を受け付けると聞いておりますけれども、今回保留となった事業の再提出、これは当然認めるということだと思うんですが、そこの確認と、事業費ベース三千五十三億円に対して、一体、効果促進事業というものがどのくらい拾われたんだろうかと。報道などでも指摘をされているように、十分な検討時間もなくて、効果促進事業というのがまだ、活用といいますか、提案されているほどではないというのが実態だと思うんです。

 ですから、一旦今回採択されたけれども、それに追加して効果促進事業もセットしていく、そういうことも可能だということを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず、今回の第一回の交付に当たりましては、要望されたものと違ったものを交付する場合に、二種類あったと思います。

 一つは、交付金という事業に、必要性はわかるんだけれども事業になじむかどうかという問題。例えば、これも何回も申し上げましたけれども、周辺の地域が全く地震等々の被害は出ていないんですけれども学校だけ耐震化をしたい、そういったものについては、これは今回は交付から外しました。

 再提出という御質問でありますけれども、それ以外の部分について、例えば、これはもうちょっと計画をしっかり見直した方がいいんじゃないか、単価等々の問題があるというのは、これは再提出ではなくて継続協議という形になっております。ですから、継続協議という形になっておりますので、その段階で、市町村との計画の中で、これはいいね、いい計画になったねということであれば、これは交付をしていくという形になるかというふうに思います。

高橋(千)委員 では、継続協議だと。それはわかりました。

 それで、効果促進事業を新たにセット。

平野(達)国務大臣 効果促進事業も、その事業費が決まると同時に、効果促進事業というのを要望するところは交付決定できるところもありますし、追加としてやることも、これは可能でございます。

高橋(千)委員 それは確認しました。

 それで、私は、数字だけを見て、随分厳しいんじゃないかとか絞り過ぎじゃないかとかということは、やはりまだ判断はできないと思っているんです。大臣の理由も随分きのうから何度も聞きました。ですから、当然個別に見ていくことは大事なんだろう。だけれども、市町村にとっても当然言い分があるわけです。大臣にしてみたら、これは被災地じゃないだろうといったところも、十分関連があるという場合もあるわけです。

 ですから、そういうことを考えると、実は、この特区法案が成立したのは十二月七日です。その後、要綱ができて、実際に事業の内容や補助要件というのができていくのは相当遅いわけですよね。ですから、私も、ポンチ絵みたいなものは質疑のときにいただいていましたが、それぞれの事業の要綱はどうですかと言ったら、やはり各省に聞いてください、こういうことになるわけです。各省、国土交通省なら国土交通省。そうなると、ワンストップだとか縦断的だと幾ら大臣がおっしゃっても、やはりそこで手間取ってしまうし、自治体も大変な作業になるわけですね、これだけの短い期間で。

 ということは、これまでの答弁を振り返りますと、やはり復興庁自身が計画を一緒につくっていくんだということをおっしゃっていたと思うんです。そうすると、復興庁が聞かれたことにちゃんと答えられるくらいの、そういう、国交省に聞いてよなどということにならないように、事業に熟知して、組み合わせや最適なプランの選択など、一緒に取り組んでいく、これが本来の役割ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 まさに委員のおっしゃったような復興庁にしなければならないというふうに思います。

 第一回目は、復興庁は、その交付金の配付ということで、今までどちらかというと各省に任せてきたものを途中で引き継いだということがございますので、これ以降は、復興庁と各省、連携をとるべきものは連携をしっかりとる、そしてできるだけ復興庁の担当者が答えていく、これは徹底をさせたいというふうに思います。

高橋(千)委員 ぜひお願いいたします。その上で、当然、復興庁の体制も十分ではないという指摘もございますから、やはり各省の出先機関などとの連携を本当に密にとりながら、熟知をしている体制がとれているという状況をつくっていただきたいと思っています。

 そこで、少し提案したいと思うんですが、例えば、仙台市の宅地被害について、この間も随分議論をされてきました。造成宅地滑動崩落緊急対策事業、これはほぼ満額の回答でありました。大変ありがたいと思っていますが、一方で、崖崩れ対策事業の方は、四十三カ所申請したのに対して、十カ所にとどまってしまったわけです。非常に少ないなと思っているんですが、これを、崖崩れがだめであれば、では滑動崩落の方で拾えないかとか、少し知恵を出して、やはり復興交付金の中で何とかできないかということを、一つ今仙台市として考えております。

 それから、個人の宅地が対象とならないということがネックとなって、結局踏み出せないということがあるわけですよね。そうすると、団地を再生したいと思っているのに、自力で再生した人と無理だと諦めた人がおうちが点在していて、結局、全体としては再生したことにならないわけです。自分のうちは建っているんだけれども、周りのところは崩れたままとなってはだめだし、せっかく公共で復興しましょうという事業をつくったにもかかわらず、うちが戻ってこないというと、やはりそれも効果としてはどうかというふうになるわけですね。

 そういう意味で、やはり団地の再生、全体の再生イコール公共である、そういう発想に立って公共の範囲をなるべく広く捉える。効果促進事業の活用や、あるいは総務省の復興基金の組み合わせなどもいろいろ考えながら、丸ごと再生できる、そういう道が見えるように知恵を出すべきだ、そういうふうに思っている。

 ですから、そういうことを、現場でもっと復興庁として仙台市の思いも聞きながら取り組んでいただきたい、ここでもうだめよということにならないように頑張っていただきたいと思うんですが、もし一言決意がありましたらお願いします。

平野(達)国務大臣 今の崖崩れ関係の事業については、どういう背景で今回交付決定にならなかったのかということについて、ちょっと今詳細を把握しておりませんが、いずれにせよ、住宅が被害を受けているということであれば、補助できる範囲というのは一定の範囲に限られる場合もあるかと思いますが、これは何かの形での支援をすることになるかというふうに思います。いずれ、できるだけ現場の声を聞きながら、できるだけの支援をやるという姿勢で臨みたいというふうに思います。

 ただ、やはり個人の財産に係る部分について云々というのは、もう繰り返しませんが、この委員会でも、あるいはほかの委員会でも申し上げたとおりでございます。

高橋(千)委員 高さの問題ですとか戸数の問題ですとか、本当に細かい条件を少しずつクリアしていって、特例措置もしながらここまで持ってくることができたわけです。仙台市も随分そういう詳細な調査を行い、要望も出して、それでここまで来たわけですから、何か無理な要望となっているということでは決してないわけですよね。ですから、そこをよく見ていただいて、私が提案しているのは、そういう意味で公共の範囲が広がれば、当然、市はここまで頑張れるよということで、あとは、では自分たちで頑張れるなというところが見えてくるわけですから、そういう意味で言っていますので、ぜひ知恵を出していただきたいということで、要望にしたいと思います。

 次に、復興公営住宅の問題ですけれども、資料の三枚目につけておきましたが、特別の枠組み、通常の公営住宅にも家賃を低減していくという補助事業はあるわけですけれども、さらに今回は、大震災ということで特別の枠組みがつくられました。

 こういうことも、入居者の実情に応じて自治体が判断すれば無料にしていく、こうしたことも、必要な方に対してですよ、何もかもと言っているわけではありませんので可能だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

前田国務大臣 委員御指摘のように、公営住宅の家賃については、地方公共団体の判断によって減免することができます。加えて、この図を見ておりまして、特別家賃低減事業というのが復興交付金の基幹事業に指定されているわけですから、それで対応するということが可能でございます。

 さらにその先のことなんですが、これは復興庁担当平野大臣がお答えになると思いますが、とにかく、今後とも被災者の方々の住居の安定確保は、国交省としてもできる限り支援をしてまいります。

高橋(千)委員 その先を聞くと、さっきのような答弁が大臣からまた来るのかなと思うので、きょうはその先を聞きません。

 というのは、まず一つは、減免がどこまでできるかということをちゃんと知らせてほしいということなんですね。一万七千円からというふうな数字がちょっと新聞に載りました。そうすると、それ以上下がらないのかなと思ってしまうと、いや、もうとにかく仮設が壊れるまで住ませてくださいみたいな話になってしまうわけです。実際には、この特別措置を使うと一万円を割るところまで来るわけですよね。そこから先の、本当に今どうにもならない人に対しての支援ができないかということを提案をしています。

 ここは、仮設に移るときも、避難所にいなければ、結局、支援が何もなくなると食べてもいけないという人たちがいらっしゃいました。同じことがまた起こるかもしれない。本当はそれは望ましいことではないわけです。そういうことでもっと踏み出してほしいということを、ここは少し問題提起としてとどめたいと思います。

 それで次の問題も、同じように大きな課題なんですけれども、防災集団移転促進事業、これも、住宅団地の用地の取得それから造成に要する費用について、移転者等に分譲する場合、分譲価格を超える部分は補助対象となるということになっていますよね。ですから、市町村が住宅団地を取得するときに、当然、津波の被災地よりも高くなっているであろう、そういうことでその差額を補助する、自治体の負担をなくするということでいい制度だと思うんですけれども、同じように、移転者にもその補助の仕組みを使って実質等価交換にすることができないのかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

前田国務大臣 これも委員御指摘のように、造成した造成費というのが高くつく場合に、市場価格を超えるようなところは国がちゃんと補助をするという制度になっておりますが、委員の言われるのは、被災をした土地の売却価格よりもそれでも高いでしょう、その分をということだろうと思うんですね。

 その辺については、なるべく買い取り価格を、これもきちっとした制度によって、不動産鑑定士の評価等を参考にして決めるわけでございますが、あくまでもそれは将来計画等を入れた上で算定するわけですから、その辺には知恵を出していただきたいと思います。

 そのほか、移転先で取得する土地の面積というものが、今までいた海に近いところよりも比較的価値の高いところであれば、確かに多少市場価格として高いでしょうが、面積等でうまく調整ができれば、何とか売却価格が取得価格に近づくのではないかと思います。

 いずれにしろ、この辺については、いかにいろいろな知恵を現地で組み合わせるかというようなことになるかと思います。

高橋(千)委員 確かに、前いたところは大変屋敷が広い、少し狭めればはみ出すものがないよ、等価交換もあり得るよということが一つあったと思います。

 本当は、これを前に説明を受けたときは、自治体の裁量によって被災者にとって結果として負担が出ないようにすることができるという説明だったものですから、ちょっと残念だなと思っているんです。

 ただ、無償で賃貸という形では、自治体が判断すればそれは可能であると、これは確認をさせていただきます。

前田国務大臣 そこは自治体の判断だ、このように思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。ここは確認させていただきたいと思います。そういうせっかくの支援を、自治体の負担をなくするということが支援としてできた、だけれども、それが結局、被災者にとってもプラスになるように動かなければ意味がないわけです。

 防災移転事業は、二〇〇四年の中越地震以降なかったわけでありますし、また、これだけの規模で、今回の第一次だけでも十五市町村、約七十九億円の計画、まだ用地取得とか測量とかそういう計画ですけれども、それが大変規模が大きいわけですから、これまでにない踏み込みが必要だということで、さらに要望していきたいというふうに思います。

 次に、被災地に仮設店舗が大変目立つようになりました。少しずつ活気が戻ってきたように思っております。この期限については、仮設なので一、二年を目安というふうにあるわけです。ようやく動き出したばかりですので、これはもう二年でなく認めるべきだと思いますが、まず簡単に確認をいたします。

柳澤副大臣 お答え申し上げます。

 私も、実は九月から、原子力災害の現地対策本部長として、ずっと仮設店舗、仮設工場も歩かせていただいておりまして、これは原則は中小企業基盤整備機構から市町村の要請に応じて仮設工場や仮設店舗を整備しておりますので、期限に関しては市町村が決定するということになっているのは先生も御承知だと思います。

 ただ、経産省としても、これをもっと柔軟に対応していただくように、できるだけ連携を図っていきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、今、復興に当たって、住宅の再建あるいは移転、公営住宅の建設など、そういうお話をしてきました。やはりそのときに、仮設の店舗も一緒に再建をしていく、これが望ましいことだと思っているんです。

 そこで、国土交通大臣と柳澤副大臣にそれぞれ伺いたいと思うんですが、例えば復興公営住宅の活用の中で一階に商店もセットしていく、そういう仕組みがあっていいと思うがどうかということ。それから、当然、仮設店舗をやっている数年の間で、次の新しい店舗、本物の店舗をつくるまでの資金を生み出すのは大変現実的ではない。そういうことで、新しい店舗、本工場、こうしたものに移っていけるように、今活用されているグループ補助の新たな形、そういうことが当然必要になってくるなと思うんですけれども、いかがかということです。

前田国務大臣 災害公営住宅の整備とあわせて店舗を併設する場合、住宅部分や一階部分、特に一階部分、商店等ということになると、これはなかなか対象になりにくいわけなんですが、ピロティーなどの災害公営住宅に必要な構造部分だとか、その辺も、いかに知恵を出して読むかというようなところになるかと思います。

 こういう災害公営住宅に必要な部分というのは、当然、復興交付金の基幹事業の対象になっているわけですから、そこで可能でありますが、商店そのものについては、ここはそれこそ、また平野大臣に御判断をしてもらわないかぬわけなんです。

 ただ、先生、先ほどからの議論を通じて、これからの、新しく再興する、もちろん防集であったりしても、またこういうケースであったりしても、やはりコンパクトに、持続するような形にしていかないかぬというところでは、まちづくりそのものの考え方も大分違ってくると思うんですね。しかも、エネルギーもどんどん省エネ、断熱していくというようなことも含めて、いろいろな国交省側のまちづくりの手段というのも援用できるかと思います。

柳澤副大臣 今、実は、震災復興支援アドバイザーを派遣して相談に乗る等はしておりますけれども、この後、グループ補助金も含めて、新たに再生していくということに対しては、具体的にまた御相談をさせていただいて進めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、最後は復興大臣が決断をしなければならないというところで、もう一問聞く予定でしたけれども、今の趣旨を受けとめていただいて、やはり住まいと事業所が一緒になって再建できるようにお願いしたいと思います。

 終わります。

古賀委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 貴重な時間をいただきました。被災地の声を受けて質問をしたいと思います。

 早速ですけれども、平野復興大臣、復興交付金の理念、それからルールを、ちょっとわかりやすく説明していただけないでしょうか。よろしくお願いします。

平野(達)国務大臣 災害という場合にどういう制度で対応するかというと、まず災害復旧制度というのがございます。これは、災害、地震あるいは津波でもそうなんですけれども、破壊された、あるいは被害が出た施設等々を原則原状に復旧する、場合によってはかさ上げ等があってもいいんですけれども、そういった災害復旧事業がございます。

 しかし一方、今回の場合は津波ということで、これは何回も申し上げましたけれども、被災した現場での再建ができない。また新しいまちづくりをするということになりますと、これは災害復旧事業では対応できません。

 そして、なおかつ、またいろいろな新しいまちづくりになりますと、家のみならず、下水道あるいは道路、こういったものを総合的に投入する必要があるということで、いろいろな事業を束ねた事業をつくらなくちゃならないということで、四十事業のいわゆるバンドルというか、束にした制度をつくったわけです。これは地域戦略交付金と考え方は同じですが、地域戦略交付金は十事業ぐらいの束ねしかございません。それよりはるかに大きな事業を束ねたということでございます。その上に、ハードだけじゃなくて、さまざまな使い勝手のいいということで効果促進事業を重ねる、こういう二階建てにしたということでございます。

 要は、従来の災害復旧という概念ではとても今回の災害には対応できない、新しいまちづくり、新しい地域づくり、そこに対応した交付金制度という形で創設をさせていただいた、そういうことでございます。

斎藤(や)委員 今、大臣から使い勝手のよさというキーワードが出ました。この復興交付金のキーワードは、使い勝手のよさというキーワードと、最小限の国の関与、それから簡素な手続。恐らく、昨年の秋に大臣が記者会見していたときに、この三つのキーワードを挙げていたと思います。

 ただ、今回の交付金の件で、特に宮城県の自治体の皆さんは大変怒っているというのが現状です。きょうも宮城県知事それから仙台市長が平野大臣に要望というか、きのうは小野寺委員が、いや、きょうは抗議に来るんだよということを言っていました。特に奥山市長は、市議会があるんですけれども、それに休会届を出して東京に来て要望する、それぐらいやはり強い危機感を感じられているようなんです。

 自治体の方から聞いた話では、国の関与が最小限であるということと使い勝手のよさ、それから簡素な手続、この三つの看板は、今回の配当を見ると完全に看板倒れになっているんじゃないかというふうに言って、怒っている方がいます。

 一つ目は国の関与ということなんですけれども、今回、宮城県が一番怒っていたのはこの件なんです。最初に宮城県が二千三十二億円の事業計画というのを提出いたしました。一月三十一日です。ところが、国から数回にわたって修正を求められて、それに従って修正をして、二月末に一千七百億円の計画で申請をした。この段階でもう既に、最小限の関与どころか大分国がコミットしていて、最大限の関与をしているように思えるわけなんですけれども、もっと問題はこれより先でございます。言われたとおりの計画で、一千七百億円で出したのに、出てきたのは、それよりもさらに八百七十億円もの減額をされた交付額だった。

 なぜこんなことになってしまったのか、大臣、説明していただけますでしょうか。

平野(達)国務大臣 委員はこの計画をちょっと見ておられませんから、トータルの額で議論されていますのでこういう見方になると思いますし、ある意味、この数字を見た限りでは、国が相当の関与をしたというふうな形でとられてもしようがないかもしれません。

 しかし、きょう知事にもちゃんと丁寧に説明しますけれども、個々の事業を見ますと、これはもうちょっと時間をかけて議論した方がいいというのが結構あるんです。例えば防災集団移転事業、九百億円の事業で要求しているのがあります。しかし、一つの単価を見ますと、結構高い単価になっています。もうちょっとこれは議論させていただけないでしょうかと。これで今回取り下げられますと、ここで九百億円落ちてしまいます。ただし、これが、あと何週間か、あるいは何日間か議論して、工夫の余地があって、オーケーとなれば九百億円は交付対象になります。

 そういう、事業の熟度といいますけれども、例えば単価一つとってみても、それからあと、全体の計画の、例えば道路の配置、こういったことを見ても、ちょっと知恵を出すと違うのが見えてくるというのがあります。こういったものについて、だめにしたということではないんです。あくまでも、これはちょっと時間をかけて議論させていただきましょうかと。

 自治体は、どちらかというと、自分の出したものを、ふっとそのままやっていただくとありがたいと思います。ただ、きのうも申し上げましたけれども、今、災害時であります、緊急時であります。だから、国の関与はできるだけ少なくしたいと思います。

 ただ、同時に、使う側にも責任がある、それから交付する側にも責任がある、この最低限の責任は果たしていかなくちゃならないということで、大事なことは、後で委員の質問にもありますけれども、コミュニケーションをしっかりすることだったというふうに思います。恐らく、こういう状況になったというのは、私どものコミュニケーション不足がやはりあったのかなと。ここは真摯に、ちょっと今、今回のところの経緯をもう一回見まして、各自治体にもきっちり説明したいと思いますし、実は今、スタッフが各自治体に歩き回って、こうこうこうだと説明を丁寧にやっているということでもございます。

斎藤(や)委員 今回却下された事業の中で、何でこれが却下されたのかというのも実はありまして、先ほどちょっと東松島市の市役所の方に聞いたんですけれども、雨水を排水する下水道の施設がございます。これが津波で壊れてしまった。そのままになっていて下水処理ができないということで、実はこれも、事前に事業計画の修正を求められて、そのとおりに再提出したのに出てこなかったということなんですね。

 私、今回の件を見て思うのは、国の本音は、実は重点的にやってほしい事業があって、国は自治体にそれを進めてほしいというのがあって、一方、建前では、四十事業のメニューがあって、自治体が主体的にこのメニューから選んでいい制度になっている。国の本音と事業の建前が余りに乖離してしまって、これが結構自治体の怒りにつながっているのではないかなというふうに思います。

 質問します。

 今回の交付金の交付と不交付の境界は何だったのか。大臣がきのうおっしゃっていた熟度の基準というのは一体何だったのかというのを教えてください。

平野(達)国務大臣 今のような、例えば下水道というか下水施設、これが実際に機能していないということであれば、これは何らかの措置をしなくちゃならないというのは当然でございますから、どういう形かで、時期は今回外れたということですが、多分何らかの理由があったんだろうと思います。いずれ、きちっとした形での交付決定には多分なるだろうというふうに思います。

 それから、熟度の基準でございますけれども、熟度というのは、こうこうこういう形で熟度が達しているということではございません。計画を見て、私が見ても、これはもうちょっとというのが結構あります。総事業費が百億単位、千億単位であります。そういったものを、もうちょっと検討すれば、違った角度あるいは違った単価になるんじゃないかということについて、今これから、きょう、自治体と私らの方で議論をしようと。この議論の中でお互い納得すれば、それでその事業はつけるということであります。

 繰り返しますけれども、実際に大きく被害が出ていて、そこに対して支援をしない、あるいはそれを復旧の対象から外す、こういったことはないです。今やっているのは何かといいますと、それを効率的に、そして各いいものにするためにはどうすればいいかということの観点でやっているということだけは、これはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 コミュニケーション不足については、先ほど申し上げたとおりであります。

斎藤(や)委員 今回の交付金の配分を見てみますと、災害公営住宅、防災集団移転、それから宅地災害、水産・漁港施設整備、この四つで八割ということですから、最初から国は、自治体に向けて、この四つを重点的にやっていきますよというふうにメッセージを出すべきだったのじゃないかなというふうに思います。

 それが、やはり自治体は、さっきも言ったように、四十のメニューがあるから自由にとってこられるんじゃないかというような誤解、やはり乖離があったということですので、これは……(発言する者あり)誤解というか、次に向けてぜひこのあたりは修正をしていただきたいというふうに思います。

 それと、今回、よく自治体から言われるのが手続のことなんです。簡素な手続ということを、大臣、昨年の秋におっしゃっておりましたけれども、気仙沼の市の職員の方は、手続が大変だった、これは改善してほしいと。それから、仙台の奥山市長は、事務量が膨大だったと。村井知事は、国庫の補助事業を上回るほどの資料を求められたと。

 こういう声に対して、やはりこれだけ問題があるということですから、二回目、三回目以降の交付に向けて、この手続の緩和というか、手続をもっと簡素にするということ、何か具体的にプランは、大臣、ございますでしょうか。

平野(達)国務大臣 まず一つは、今回の交付金制度という制度自体をつくったことが、手続としては相当簡素化される。つまり、さまざまな事業を一つの手続でやれるという意味で、相当簡素化されるという制度になっていることは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、改めて私、どういう提出資料を求めているんだということを言いましたら、確かに、社会資本整備交付金という既に国交省で発している制度がございますけれども、それに比べると、求めている資料、今回災害が大きかったということもございますので、確かに資料は多かったです。もう一回これは見直して、どうしても必要かどうかということについては、再検討を今命じました。

 ただ、全体としては、第一回目ということで、市全体の災害の状況というのもある程度把握する必要がある、そんなこともありまして、今回のは、多少要求資料が、各自治体が想定していたよりも多かったというのはあったのかもしれません。

 いずれ、これから、そういったものについてはできるだけ簡素化する。不急不要な書類については、できるだけ省略できるものは省略させるということを徹底させたいと思います。

斎藤(や)委員 本当に今、被災地の事務量というのが莫大になっていまして、際限なく仕事がふえているような状況です。特に宮城県では、約千人の人手不足が発生していると言っています。それから、昨年の震災前に比べると、七〇%も、うつ病だとか精神疾患の人がふえているということですから、これ以上事務量をふやさないように、うまく、それこそ復興庁を使っていただきたいというふうに思います。

 それから、今回、宮城県では、復興交付金の申請に対する配付の割合が、たしか五割強で、六割弱ですか、岩手は九割強ですよね。それだけ宮城と岩手の差が出た。これは、もしかしたら、それこそ先ほど大臣が言われたように、現地の復興局と自治体間のコミュニケーションの密度のぐあいによって差が出てしまったんじゃないか。国のコンセプトというものをきちんと岩手の復興局はわかっていて、それを自治体に伝えていたんじゃないかというふうに私は思ってしまうので、そのあたりの全体的な、宮城も、岩手も、福島も、コンセンサスをしっかりととっていただいて業務していただければというふうに思います。

 実は、今回の復興交付金の四十事業の中で、これは、交付金ではなくて、国が主体的に進めなければいけないんじゃないのというのもありました。これは何かというと、造成宅地滑動崩落緊急対策事業です。先ほど高橋委員からもありましたけれども、土砂災害の、宅地災害の事業でございます。

 仙台では、三・一一の地震、それから四・七の余震で、切り土、盛り土した宅地で、庭の擁壁が崩れたり、それから大きな亀裂が入ったり、地盤沈下したりして、四千戸もの被害が出てしまいました。多くのお宅は、一年間これを放置されちゃったんです。

 宅地災害を補償する事業がなかった。これは、私、何度も何度も平野大臣に要望にお伺いしましたけれども、昨年の秋にようやくそれが実って、事業ができました。しかし、この事業の予算というのは、三次補正から計上される復興交付金のメニューに入っているんです。ですから、秋に三次補正が成立しても、すぐに事業が始まるわけじゃなくて、仙台市から復興交付金の申請が出て、それを国が査定して、ようやく支給される。この間に宅地災害の発生したところは、台風で土砂崩れが発生してしまったということで、すごく手間も時間もかかってしまっているスキームになっているというのが現状です。その間にどんどん土砂災害が起きてしまっております。

 そんな中で、宅地災害を受けた被災地にお住まいの方は、相当おびえながら暮らしていたということがございます。先週、交付金の配分が決まったばかりですから、恐らく工事が始まるのは桜の咲くころということになってしまうと思うんですが、台風の前に、これは例えば予備の予算とか、あるいは二次補正にこの事業の予算を盛り込むことというのはできなかったんでしょうか。この見解をお願いします。

平野(達)国務大臣 いずれ、住宅の被害でございますから、事業計画を早くつくっていただきまして、交付できるものは交付するということは、これは基本だと思います。

 ただ、一方で、今の委員のおっしゃったような緊急の度合いがございますと、何回もこれも自治体に申し上げているんですけれども、査定前チェックをやってくれと。もうそれは首長さんの判断でできるんです。本当に緊急性があるならばどんどんやったらいい。後で、やったものについての精算の段階で、国の補助するところを話し合えばいいんです。そこについては、繰り返し繰り返し言って、やっているところとやっていないところがあります、自治体によって。そういうことについては、そういう制度も利用していただきたい。

 ただ、基本はやはり、本当に安心できないということもあるんだろうと思います、国の姿勢が。これは急ぎたいと思います。急ぎたいと思いますが、住宅によってそれだけの緊急度があるという場合については、逆にこれは、もう一回、きょうも市長さんにお会いしたら、査定前チェックをどんどんやったらいいというようなことはまた強く促したいというふうにも思います。

斎藤(や)委員 これはもう一年過ぎてしまった話ですから、次の東海、東南海でも同じようなことが起こる可能性がありますので、ぜひ今回のことを反省して、新しいスキームをつくるときは、ぜひ今回のを念頭に置いていただきたいと思います。

 それから、ちょっと時間がないんですけれども、先週、週末に被災地を歩きました。木材加工の会社の社長さんにお話を伺いました。この方は、プレカットといって、原材料、木を住宅用の資材に加工する会社をやられているんですが、全部資材が水につかってしまいました。ということで、このプレカットをもう一回、被災地で事業を始めたいと。ただ、そのプレカットの機械が四億五千万もかかっちゃうと。

 六億円事業に必要だということで、六億円のうちの四億五千万円を、国の補助事業も融資事業も使って、四億五千万円何とかしたんだけれども、残りの一億五千万円、これがどうにもならないということで、民間の金融機関に頼んだ。ところが、その民間の金融機関は貸してくれなかった。これはなぜかというと、担保になるはずの土地が、津波をかぶったことで担保価値が落ちてしまったということがございます。

 これは、昨年の十一月一日に、国税庁が、震災による地価下落を路線価に反映させるための調整率を公表したことに由来します。なぜ土地の価値を下げるようなものをリリースしたのかといいますと、これは被災者の相続税や贈与税の税負担を引き下げるためで、下げたということがあるわけなんですけれども、例えば宮城県の女川では、調整率が〇・二倍、つまりは、震災前に比べて、路線価が何と八割も下落してしまった。

 私は、これは想像するには、金融機関が機械的に融資判断に織り込んでしまっているために、土地の担保価値がなくなって融資できなくなってしまっているのではないかと想像しているんですけれども、これは金融庁の見解をぜひお伺いしたいんですが、中塚副大臣、よろしくお願いします。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

中塚副大臣 まず、一般論で申し上げますと、金融機関の担保評価というものは、これは路線価のみを用いるものではないということでございます。

 金融検査マニュアルは、担保評価において、現況に基づく評価が原則ということにいたしております。御指摘の調整率というのは、震災発災直後の土地の価格を算定するということのためのものであるということでありますが、仮に相続税路線価を担保評価に用いるという場合でも、調整率を一律に用いることにはならないということを、金融検査マニュアルの想定問答集といいますか、FAQにおいて明らかにいたしております。

 いずれにしても、中小企業、大企業を問わずですが、資金繰りにつきましては、金融機関に対しては金融機能強化法というものを用意しております。また、中小企業金融円滑化法の適用ももちろんございます。国会でおつくりをいただきました東日本大震災事業者再生支援機構も稼働をいたしました。いろいろな手段を通じて資金繰りに万全を期していきたい、そう思っております。

斎藤(や)委員 どうもありがとうございました。

大島(敦)委員長代理 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社会民主党の吉泉秀男です。

 時間は十五分ということで限られておりますので、早速質問させていただきます。

 雇用問題から入らせていただきたいと思います。

 年が明けてから、働きたくても働けない若者、そしてまた世帯の中心になっている方々が、今、無給状態になってきております。それは、大変厚労省の方から、百二十日という失業給付の延長、そしてまた、さらに九十日の延長、こういう一つの温かい手当て等々の施策をやっていただいたわけでございますけれども、残念ながら、まだ就職の場につけない、こういう方々が、今、日を追うごとにふえてきている、そういう状況でもございます。

 私どもは、このことに対して、やはりもう一度この雇用保険の受給の延長を考えられないのか、このことを再三にわたって言ってきたわけでございますけれども、このことについてはまだ具体的にはなっていない、こういう状況にございます。

 まだまだ被災三県の状況から見れば、大変、雇用を確保する、こういう状況についてはまだ難しい状況もあるというふうに思っております。そうした中で、働く場を求めて他県に職を求める人たちも多く出てきております。しかし、やはり離れられない、こういう人たちも多くあるわけでございます。

 こういう状況について、厚労省として、この認識、この部分について、まずお伺いをさせていただきます。

牧副大臣 大変、被災地における雇用情勢というものがまだまだ厳しいものがあるという認識は、委員と共有するものであります。

 ただ、延長給付というもの、これはやはりよほど慎重に考えなければいけない話でありまして、本来、仕事をして、そこから給料をいただいて、それで生活するというのが本来的な人間の姿だと思いますので、ただいたずらに延長延長という形が果たして望ましいのかどうなのかというところは、慎重に見きわめなければいけないと思います。

 今後の復興段階でそれぞれの希望を実現させるためにも、働くことで収入を得られるようにするということがまず肝要だと思っておりますから、これまでも、「日本はひとつ」しごとプロジェクトによって、被災地の雇用対策として、復興事業で生じる求人をハローワークで開拓、確保し、一方で、個々の求職者に応じたきめ細やかな職業相談の実施や職業訓練への誘導を行ってきたところであります。

 被災地の強みである農林漁業、水産加工業、医療福祉業などへの産業支援策と一体となった雇用面での支援を行う事業や、女性の活用などといった雇用モデルの創造のための事業実施などの推進を図ってきたところであります。特に、広域延長給付を受給中の方等に対する就職支援の充実策は、これまでもハローワークに随時指示してきたところであります。

 さらに、こうした方々に対して、求人情報の送付、セミナーの開催案内等の送付、ハローワークのサービスメニュー等の送付、電話連絡での近況確認などによる積極的な就職支援を行うこと、また、ハローワークでの臨床心理士などによる心のケアを実施すること、再就職意欲の高い者や母子家庭の母などに対して、担当者制などによるきめ細やかな支援を実施すること、そして、就職に向けて訓練を必要とする者に対しては、求職者支援制度を含む職業訓練への積極的誘導を図ること等の具体的に取り組むべき内容を労働局に対して指示し、現実、その実施に取り組んでいるところであります。

 政府のこうした雇用対策が支給終了後も継続的に一人一人に届くような支援を実施してまいりたいと思っております。三次補正においても、これからの産業の復興と一体となった、より長期的な雇用に結びつく施策をとっておりますので、御理解を賜りたいと思います。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

吉泉委員 大変長い答弁、ありがとうございます。

 しかし、その中で、今副大臣から発言があったわけですけれども、いたずらに給付を長くすればいいというものではない、私もそれはそう思います。しかし、今、職を求めているその人から見れば、本当に真剣なんですよ。正月以降、ゼロですよ。お金をもらっていないんですよ。どこからも得るものがないんですよ。

 そして、昨年の十月の中において、能力開発事業を行ってきた雇用・能力開発機構、これも廃止をされて、そして、今の、受給しながらそれぞれの技能を磨いていく、身につける、この場所もなくなったわけですよね、公的な部分からいえば。

 ですから、そういう意味の中では、一生懸命に、給付の期間の段階についても、能力を、技術を、さらには民間の方に行って、失業給付をもらっていた段階の中でそれを身につけてきた、こういう方なんかも相当多くいて、その方々については一定程度職にありつけている、こういうことも事実なわけでございます。

 しかし、残念ながら、現状の中で、今の段階で全然職にありつけない。三カ月にもなる。こういう方々を、今私たちは、やはり手を差し伸べていかなきゃならないのではないか。

 確かに今、被災地の中では、一生懸命に、それぞれ企業の再建をしていく、さらには仕事の、雇用の場をつくる、こういうことの中で言って、そして今、頑張ってきている、そのことはわかります。

 しかし、今の百二十日、そしてまた九十日延ばしてきたその経過、そのことは、ただいたずらに延長したものではなくて、延ばしたらば、何とかその間の中において、失業給付が切れても職にありつける、その期間だろう、こういうことで努力をしてきたのだろうというふうに思っております。しかし、それが実らなかったという状況の中で、今全然職にありつけないで無給になっている、そういう方々がいるわけでございます。

 だからこそ、私は、そういう意味の中においては、もう一度、今、徐々に雇用の場が出てきた、こういう状況があるわけでございますけれども、やはり再々延長というものについて私たちも考えていかなきゃならないのではないか、こういう一つの思いなんです。

 ですから、そういった面で、もう一度副大臣の考え方をお聞きしたい。

牧副大臣 いたずらに延長を重ねるという表現が、ちょっと語弊があったのかもしれませんけれども、働くことの中から収入を得るという本来的な姿を追い求めるというのが、やはり人間本来のあるべき姿だと思いますので、働くあるいは求職する意欲そのものをどんどん阻害していくような給付の延長というのはあるべき姿ではないという意味で申し上げたわけであります。

 そして、給付を受けながら訓練を受けるという求職者支援制度等も、きちっとした制度として十月からスタートしておりますし、制度の谷間がない中で、しっかりと職を探していただく、そして、復興と相まって産業も再生していく中で、より安定的な、長期的な雇用に結びつけるための施策もしっかりと講じてまいっていくつもりでありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

吉泉委員 本来であれば、それぞれ会社の中で中堅なり、さらには一生懸命やっている方々でございます。それが大震災で職が失われたわけですよ。モチベーションはやはり常に持っている。その中で一生懸命、これまでの、年明けの前までは、就職活動なんかを今もやっているわけですね。しかし、ありつけない。それは完全に今、二千人までは行っていない、そういう状況だろう、数字は千八百何人というふうに私は押さえているわけですけれども、これがどんどんふえてくるわけですよ。

 ですから、もっと真剣に、そのことについて、雇用の問題について取り組んでもらわないと、これはやはり他県に流出したり、いろいろな面で課題が、復興のまちづくりについても大きな課題が残るということでございますから、ぜひよろしくお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。

 次に、損害賠償の問題についてお伺いをさせていただきます。

 今、支援機構がこれまで東京電力に支払った金額、この分が五千五百八十七億円と聞いております。そして、そのことについては、東京電力が申請した緊急特別事業計画、このことが十一月四日に政府に認定されて支払われたものである、こういう理解をしているわけでございますけれども、そのほかに、文科省が十一月二十二日に、損害賠償の措置額千二百億円、これが東京電力に支払われているわけでございます。合わせますと六千七百八十七億円、これが損害賠償のために東京電力に支払っている金額というふうに私どもは受けとめているところでございます。

 しかし、三月に入っているわけでございますけれども、私の数字は二月二十七日現在でございます。東京電力がそれぞれ損害賠償に対して支払ったお金、これは仮払いとして一千四百十八億、そして十月以降の本払いが二千七百四十億、合わせまして四千百五十八億、これしか払っていないわけでございます。何と、その差が二千六百二十五億円。これが保留をされているわけでございます。

 こういう事態をどういうふうに受けとめていけばいいのか。ただ単に、東京電力の損害賠償に対する事務手続とか、そういうものでは片づけられない問題だろう、こういうふうに思います。それぞれ、政府として、さらには支援機構として、これだけの、五千五百八十七億円を東電に渡して、そしてそれが今現在の段階で二千六百二十五億も保留になっている、こういう事態をどういうふうに見ているのか、お伺いをさせていただきます。

柳澤副大臣 質問をありがとうございます。

 実は、私は九月から原子力災害現地対策本部長をしていまして、御指摘のとおり、昨年の八月から本賠償の手続が開始されたんですが、委員おっしゃられるように、書類の確認等で非常に時間がかかっておりました。それに対して、経産省として十二月に、かなりスピードアップをする体制を整える、十二月の二十七日に原子力損害賠償円滑化会議ができまして、私もそのメンバーに入って、スピードアップをさせております。ということで、今順調にスピードアップはしてきております。

 それで、先生のおっしゃる、支援機構から東京電力に渡しているお金というのは、この後、賠償にかかるお金が見えたところで積み増しています。例えば、自主避難百五十万件の賠償も出てきます。ということで、支援機構から東京電力に渡しているお金は、この後進むために、見えたところで積み増していますから、その実績を、東京電力に早くやれということを今強く指導しているというのが現状でございまして、どうしてもギャップがあるというのは御理解をいただければというふうに思います。

吉泉委員 終了しましたというのが来ましたんですけれども、しかし、私ども国民から見ても非常に関心が高い。さらには、被災者から見れば、私が調べている段階では、例えば漁連なり、さらには農協さんの関係、非常に九割近い、そういうものに対して支払われている、こういう話は承っております。しかし、避難者に対してはなかなか対応できていない、こういうやはり現実なんですね。

 それで、今の自治体のところの中において、双葉郡なんかにおいては、南相馬市なり、さらには双葉町なりは、それぞれ自治体がその避難者の個々的な部分をまとめて、そしてその請求なり等の手続、さらにはそういう動きをしているわけでございますけれども、個人的なところの中の支払いという部分について、特に避難者個人がなかなか対応でき得ない、請求がなかなか出されない、こういうやはり現実があるわけですよ。

 ですから、そういう二千何億も保留をしながら、そして、上がってくる、そういった部分を待っている、そういう部分ではなくて、やはり支援機構で、それだけのお金を渡しているわけですから、それをなるべく早い段階で避難者の手元に渡るような、そういう一つの政府としての指導というものがあってしかるべきだ、こういうふうに思います。

 これからもっとどんどん出てくる、そのために、予備として、必ず出てくるだろうからということで、前に、先渡しする、こういうふうな問題ではなくて、現に、今それぞれのところの中で請求なり困っている方がいっぱいいるわけでございますから、それを速やかに支払える、そういう指導をぜひお願いしながら、終了いたしましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質疑、これから福島復興再生特措法案の審議にも入ることになるわけであります。

 三・一一の被災者の中で、福島県の被災者は、東京電力福島第一原発事故によって放出された大量の放射性物質によって、他とは違う、しかも長期にわたる生活への多大な影響をこうむっていると思います。帰還の見通しもつかず、みずからがどれだけ被曝したのかはっきりわからない中で、健康にも不安を抱えながら、離れた地での避難生活を送っているわけであります。

 こうした損害については、加害企業である東京電力に一義的に賠償に応じる義務、責務があるわけですけれども、原発事故被害者への迅速かつ適切な賠償の支払いが、被害者の生活の安定及び再建、ひいては福島の復興のためにも重要である、こういうふうに考えますけれども、福島の復興再生に責任を負う復興大臣の立場で、御見解をまずお伺いさせていただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 委員から御指摘がございましたように、特に福島県では、津波、地震の被害に加えまして、原発の事故によって放出された放射能、日本最大の汚染事故と言っていいかと思いますけれども、この放射能にいろいろな形でおびえながら生活されている方々がたくさんおられます。小さなお子さんを持った親御さんもそうですし、子供自身もそうです。そういった方々に対して、どういう補償措置あるいは賠償措置をやっていくか、これは大事なことだというふうに思っております。

 あわせて、十五万人の方々の避難者がおられます。そのうち六万人は県外でありまして、これは、北は北海道から南は沖縄まで、いろいろな経緯をたどって避難をされているということでございまして、その方々が、自分たちの預金を取り崩しながらとか、いろいろな御苦労をされて今生活をされています。こういった方々に必要な賠償もしくは補償、賠償支払いを行うということについては、これは私はやはり喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

柿澤委員 重ねてのお尋ねになってしまうんですけれども、その場合に、東京電力という加害企業に期待される役割というのは一体何であるかということを大臣にお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 委員も御案内のように、原子力損害賠償法に基づきまして、一義的には無限、無過失の責任がやはり東京電力にあるものというふうに認識をしております。

 東京電力におきましては、まずは、やはり何といっても相当の大企業でありますから、その企業だということにおごることなく、まず被害者の方々の目線に立ちまして、御事情を丁寧にお伺いし、親身、親切な賠償を迅速に進めていくということが大事だというふうに思っております。

 東京電力も職員を派遣して、被災者の家に、方々に、一軒一軒あるいは一人一人、お邪魔して、いろいろな相談に乗っているようであります。その評価もまちまちでありますけれども、概して非常に丁寧な対応をしていただいているという声はいただいております。しかし、まだ全体として賠償がおくれているということがございますので、東京電力さんも、迅速化にやはり努めるという責務は、当然のことながら、あるというふうに思っております。

柿澤委員 賠償がおくれている、迅速化に努めるべきである、こう最後に御答弁をいただきました。

 さて、原賠法の規定に基づき原子力損害賠償紛争審査会が設置をされ、その下に設置をされた原子力損害賠償紛争解決センター、ここが具体的な損害賠償申し立て案件の和解の仲介を行っております。きょうは資料をお手元に配付させていただいていますけれども、総括委員会の下で、仲介委員の弁護士百二十八人、補佐役の調査官の弁護士二十八人が具体的な申し立て案件の和解交渉の仲介に当たっているわけであります。

 昨年九月より申し立てを受け付けているわけですけれども、被害者数の多さを反映して申し立て件数が加速度的にふえていて、申し立て件数は三月一日の段階で既に千件を上回っている。その一方で、センターにおける標準的な仲介期間を三カ月程度ということで掲げているんですけれども、昨年九月一日に申し立てがなされた第一号案件を見ると、二月二十七日にようやく和解が成立し、解決までに半年近くかかっております。

 二月十五日現在での和解成立は五件、現在でも十数件程度だというふうに聞いています。この現状をどう見ておられるか、お伺いをいたしたいと思います。

平野(達)国務大臣 原子力賠償紛争解決センターでございますけれども、今委員御指摘のように、今まで申し立て件数は一千百九十七件ございます。このうち、今まで和解が成立した件数は十八件でございまして、当初言われた三カ月以内の和解成立ということからいいますと、時間がかかっているということは事実でございます。

 これは、今まで十八例の和解成立をさせたわけでありますけれども、今後の先例となるために審理に慎重を期したこと、本人申し立てが多く、申請書の記載が不十分なものもあることから調査に時間を要していること、それからまた、東京電力につきましては、全般的に被害者が主張する損害を認めるか否かにつき留保する場合が多いこと、中間指針で類型化が困難である個別の損害について協議に必ずしも積極的ではないといったことがあるというふうに聞いております。

 いずれにせよ、三カ月ということは、やはり被災者にとってもぎりぎりの期間なんだろうというふうに思います。いずれ、こういう状況を踏まえまして、やはりできるだけ早く和解が成立するように、関係省庁と連携しまして取り組みの促進を図ることも大事ではないかというふうに思っております。

柿澤委員 遅延には種々の要因があると思いますけれども、しかし、東京電力が和解交渉の解決促進に当たって極めて後ろ向きな姿勢をとっていることは見過ごせないというふうに思います。

 東京電力が支援機構と共同で政府に提出して、十一月に政府に認定された特別事業計画では、五つの約束と題して、迅速な賠償の支払い、きめ細やかな賠償の支払い、和解仲介案の尊重、親切な書類手続、誠実な御要望への対応、こういう五つの項目を掲げて、これを確実、誠実に実行に移すことを約束しております。

 にもかかわらず、特別事業計画で和解仲介案の尊重を掲げながら、現実のセンターでの和解交渉でどのような態度をとっているか。

 第一号案件でいえば、これは原発五キロの大熊町の自宅から避難した夫妻が、住めなくなった家屋の損害賠償等を求めたものですけれども、こうした家屋等の財物弁償について、基本的に除染の成否を見きわめる必要がある、こういうことを言って、家屋等の財物弁償に一義的に応じない、こういう姿勢をとり続けてきました、最終的には譲りましたけれども。

 そして、精神的損害に関する慰謝料についても、中間指針の下限値であるはずの月十万円を、国が決めた額だから、これを上回れない、こういうふうにかたくなに主張して、結果、センターからの和解仲介案を拒否するケースが多数に上っている、こういうふうに聞いております。現場の弁護士の方々に聞くと、東電の対応というのは和解仲介案にまず拒否をするというのが基本的なスタンスだ、このようにも聞くところであります。

 こういう対応は、和解仲介案の尊重という、みずからが政府に約束をした誓約を破るものではありませんか。政府として調査の必要があると考えますけれども、政府の見解をお聞かせください。

藤村国務大臣 今までのところは、和解仲介の協議過程のものは除いて、原子力損害賠償紛争解決センターから示された最終的な和解案を東電が拒否した案件はない、このように聞いています。それぞれ協議中であるということではあろうと思います。

 一件、御指摘の大熊町の件ですが、これは、警戒区域内の財物や精神的損害の増額分の賠償について、東電が和解案を拒否したと報道されたケースであります。報道時、まだ和解協議中であって、東電は二月二十七日に、財物の賠償あるいは精神的損害の慰謝料の増額分も含めて、原子力損害賠償紛争解決センターが示した和解案を受け入れる旨回答しているというふうに聞いております。

 緊急特別事業計画においても、今委員がおっしゃった「五つのお約束」の一つとして「和解仲介案の尊重」が掲げられておりますので、今後ともこれを遵守するよう、政府として厳しく指導していきたいと考えております。

柿澤委員 今、拒否をしたという案件はない、こういうお話をされましたけれども、それまでのプロセスの中で東京電力がどういうスタンスをとってきたかというところをきちんと見てもらいたい、私はこのように思うんです。

 申し立てが行われた場合に、東電は答弁書で認否を返答しなければならない、こういうことになっているわけですけれども、こういうときに返ってくる東電の答えというのは、認否留保という返答が非常に多い。

 結局、第一号案件について見ても、財物損害について、拒否は確かにしなかったかもしれません。しかし、三回の審理において、認否留保、認否留保、認否留保で、三カ月も引っ張ったんですよ。こうやって、引き延ばしとも思えるような対応をしている。

 これも、特別事業計画に掲げられた「迅速な賠償のお支払い」という誓約にみずから反するものではないかというふうに思いますが、この点についても私は詳細な調査が必要だと思います。御答弁をお願いいたしたいと思います。

柳澤副大臣 お答えします。

 委員御指摘の件は、私どももちょっと把握をしておりまして、実は、原子力損害賠償円滑化会議は毎月開いております。二月の二十八日に三回目をする中で、東電が非常に消極的な問題があるという指摘も聞きまして、こちらでも今チェックをさせていただいております。

 その円滑化会議で、東京電力に対して、答弁書等で速やかに認否するなど和解仲介委員による論点整理等に協力をしなさいという強い申し入れを、こちらからもさせていただきました。

 今後、レビューもきちんとしたいと思っておりますし、特に、被害者の立場に立った親身、親切な賠償が進まなければだめだということを今一番のテーマにして進めさせていただいておりますので、またいろいろな御意見がありましたら、ぜひ聞かせていただければと思います。

柿澤委員 時間もないので次に移りたいと思いますが、この特別事業計画というのは、原子力損害賠償支援機構法四十一条の一項に基づき、国が約一兆円の資金援助を行う前提となったものであります。迅速な賠償の支払い、和解仲介案の尊重、こういった五つの約束もそこに盛り込まれている。つまり、一兆円の資金援助を政府が行う前提になったものです。

 調査の結果、このような約束事項が満たされないと政府が認めた場合、私は、資金援助そのものを停止ないしは回収する必要がある、こういうふうに思いますけれども、御答弁をお願いいたしたいと思います。

藤村国務大臣 原賠機構法に基づいて支援機構が東電に対して行う資金援助は、あくまで被害者に対する迅速かつ適切な賠償を万全にするためのものである、これは基本的なことであります。したがって、被害者救済の観点からは、一旦決定した資金援助を撤回することは適当でないと考えております。

 むしろ、しっかり賠償が行われるよう、緊急特別事業計画の認定要件である賠償の迅速かつ適切な実施について、その履行状況を、主務大臣、内閣総理大臣及び経産大臣でありますが、しっかりチェックしていくことが重要である、このように考えております。

柿澤委員 そうではなく、まさにこの資金援助がなければ東京電力は資金繰りに行き詰まってしまう、こうした切迫した状況の中で政府が求めることがやはり東京電力の姿勢を大きく変えることにつながる、こういうふうに思うからこそ、お尋ねをしているわけであります。

 東京電力は、センターを通じた和解交渉に当たって七千人ものスタッフを用意して、少額の和解交渉にも弁護士を必ずつけている。一方、賠償申し立てをする被害者は、弁護士をつけているケースは二割程度、大半が本人申し立てです。

 このため、東京電力から和解仲介案拒否というか認否留保、あるいは回答書がこんなのが来た、こういうことをやっているうちに諦めて申し立て取り下げに至る、こういうケースも見られるというんです。さらに、申立人には高齢者も多くて、どんどん弱っていく。東京電力が回答を遅延している間に体調を崩したり、あるいは亡くなられたりして、相続人による申し立てになる、こういうケースも出てきているというふうに聞きます。こういう仲介人をやっているような弁護士さん、中立であるべき立場の方々からも、見てはいられない、こういう声が上がっている状況です。

 このような、東京電力に対する圧倒的劣位、弱い立場に置かれている原発事故被害者の状況をどのように考えて、どのように支援していくのか、これは、復興全体を担当する大臣の御所見を、政府の中でどういうふうに発揮していくかも含めて、所見をお願いしたいというふうに思うんです。

平野(達)国務大臣 何といっても、冒頭申し上げましたけれども、東京電力は大企業でございます。その大企業を相手にとって、個人で賠償を請求する、あるいは双葉町のように集団で賠償を要求する、いろいろな形式がございますけれども、やるというのは、なかなかこれは、思いどおりの賠償額を得るというのはかなりの努力が必要なんだろうというふうに思います。

 そういうことが本当はないように、東京電力は今の被災者の置かれている状況をよく見て、何が必要かということも、東京電力として、企業防衛だけではなくて、やるべきことをやるという姿勢は大事だというふうに思います。

 私も、現地を歩いて、さまざまな避難者の声を聞いておりますけれども、気になるのは、賠償の請求書を出せる人はまだいいです。先ほど柿澤委員の質問の中に高齢者という話がありました。どうも、書き方がわからないという人もまだいるように思います。それから、賠償という概念すらまだ十分自分で理解していなくて、請求できるのかどうかもわからないという方もいるような気がします。

 今、全体として六割の人の申請書が上がってきているといいますが、四割の方、実は、この方々をどういうふうにするかということは、東電にもしっかり考えていただかなくちゃならない課題であると同時に、私ども復興庁、政府も考えなくちゃならない大きな課題であるというふうに私自身は認識しております。

柿澤委員 自主避難等の論点もありますので、明日以降の法案審議の中で、また続きをやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

古賀委員長 次に、内閣提出、福島復興再生特別措置法案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。復興大臣平野達男君。

    ―――――――――――――

 福島復興再生特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平野(達)国務大臣 福島復興再生特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島の置かれた特殊な諸事情を踏まえ、福島の復興及び再生のための特別の措置を定め、これを推進することにより、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生に資するため、提出するものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する基本理念及び国の責務を定めるとともに、政府は、この基本理念にのっとり、福島の復興及び再生に関する施策の総合的な推進を図るための基本的な方針を定めなければならないものとしております。

 第二に、内閣総理大臣は、福島県知事の申し出に基づいて、避難解除等区域の復興及び再生を推進するための計画を策定するものとし、その計画に基づいて国がみずから公共施設の工事等を行うことができることとしております。また、避難解除区域における課税の特例、公営住宅法の特例等について定めております。

 第三に、放射線による健康上の不安を解消するとともに、安心して暮らすことのできる生活環境を実現するため、健康管理調査の実施、農林水産物等の放射能濃度の測定等の実施の支援、放射線の人体への影響等に関する研究及び開発の推進、医療及び福祉サービスの確保のための施策等の措置を講ずるものとしております。

 第四に、福島県知事は、原子力災害による被害を受けた産業の復興及び再生の推進を図るための計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けることができるものとし、認定を受けたときは、規制や手続の特例措置の適用を受けることができるものとしております。また、東日本大震災復興特別区域法の特例、農林水産業の復興及び再生のための施策等を定めております。

 第五に、福島県知事は、新たな産業の創出等に寄与する取り組みの重点的な推進に関する計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けることができるものとしております。また、国は、認定を受けた計画の実施に関し、研究開発の推進、企業の立地の促進等のための施策を講ずるものとしております。

 第六に、原子力災害からの福島の復興及び再生の推進に関し必要な協議を行うため、原子力災害からの福島復興再生協議会を組織するものとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

 以上でございます。

古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明七日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.