衆議院

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第9号 平成24年8月7日(火曜日)

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平成二十四年八月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古賀 一成君

   理事 近藤 昭一君 理事 近藤 洋介君

   理事 田嶋  要君 理事 橋本 清仁君

   理事 谷  公一君 理事 額賀福志郎君

   理事 石原洋三郎君 理事 石田 祝稔君

      石津 政雄君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      打越あかし君    金森  正君

      黄川田 徹君    沓掛 哲男君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      斉藤  進君    阪口 直人君

      階   猛君    白石 洋一君

      辻元 清美君    中川  治君

      長尾  敬君    花咲 宏基君

      福田 昭夫君    松岡 広隆君

      水野 智彦君    村越 祐民君

      森本 和義君    森山 浩行君

      谷田川 元君    柳田 和己君

      山崎  誠君    若井 康彦君

      秋葉 賢也君    井上 信治君

      小里 泰弘君    小野寺五典君

      加藤 勝信君    小泉進次郎君

      長島 忠美君    吉野 正芳君

      斎藤やすのり君    畑  浩治君

      高木美智代君    高橋千鶴子君

      吉泉 秀男君    柿澤 未途君

    …………………………………

   文部科学大臣       平野 博文君

   農林水産大臣       郡司  彰君

   経済産業大臣       枝野 幸男君

   環境大臣

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (復興大臣)       平野 達男君

   内閣府副大臣       後藤  斎君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   厚生労働副大臣      辻  泰弘君

   農林水産副大臣      佐々木隆博君

   経済産業副大臣      柳澤 光美君

   国土交通副大臣      奥田  建君

   国土交通副大臣      吉田おさむ君

   環境副大臣        横光 克彦君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    稲見 哲男君

   厚生労働大臣政務官    藤田 一枝君

   経済産業大臣政務官    中根 康浩君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    北神 圭朗君

   国土交通大臣政務官    津島 恭一君

   国土交通大臣政務官    室井 邦彦君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     岡本 全勝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          三輪 和夫君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文化庁次長)      河村 潤子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (林野庁長官)      皆川 芳嗣君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     照井 恵光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            徳増 有治君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         坂下 広朗君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  菊川  滋君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            鷺坂 長美君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     関根 正博君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月七日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     山崎  誠君

  階   猛君     水野 智彦君

  辻元 清美君     後藤 祐一君

  谷田川 元君     花咲 宏基君

  柳田 和己君     打越あかし君

  山口 和之君     阪口 直人君

  若井 康彦君     金森  正君

  長島 忠美君     小泉進次郎君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     柳田 和己君

  金森  正君     森山 浩行君

  後藤 祐一君     辻元 清美君

  阪口 直人君     磯谷香代子君

  花咲 宏基君     谷田川 元君

  水野 智彦君     階   猛君

  山崎  誠君     松岡 広隆君

  小泉進次郎君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     山口 和之君

  松岡 広隆君     市村浩一郎君

  森山 浩行君     若井 康彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

古賀委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る一日、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、第一班宮城県及び岩手県、第二班福島県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。

 まず、第一班の派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、自由民主党・無所属の会の谷公一君、公明党の石田祝稔君、民主党・無所属クラブの黄川田徹君、国民の生活が第一・きづなの斎藤やすのり君、畑浩治君、そして私、古賀一成の六名でありました。

 初めに、東日本大震災によりたっとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告をいたします。

 まず、南三陸町役場において、佐藤南三陸町長を初めとして、後藤南三陸町議会議長、高橋南三陸農業協同組合代表理事組合長、須藤南三陸商工会会長、佐々木宮城県漁業協同組合志津川支所運営委員長、阿部宮城県漁業協同組合歌津支所運営委員長、佐藤南三陸森林組合代表理事組合長から、復旧復興状況について意見、要望等を聴取し、佐藤南三陸町長からは、国による継続的な財政支援、土地区画整理の弾力的な制度運用、JR気仙沼線の早期復旧、復旧復興事業に要する人的支援、消費税増税時の被災者の生活再建への配慮、グループ化補助金の期間延長等の要望を受けた後、災害公営住宅の整備等住宅再建に対する支援、高台移転の進捗状況及び課題、農林水産業の復旧復興状況、災害廃棄物処理の課題等について意見交換を行いました。

 次に、陸前高田市役所において、久保田副市長を初めとして、紺野小友営農組合組合長、佐々木広田湾漁業協同組合代表理事組合長、佐々木陸前高田市水産加工業連絡協議会会長、中井陸前高田市商工会事務局長から、復旧復興状況について意見、要望等を聴取し、久保田副市長からは、三陸縦貫自動車道の整備促進、防災集団移転促進事業と土地区画整理事業による住宅再建補助の格差解消、被災企業等への支援策の拡充、放射性物質の農林水産物への風評被害防止、被災した第一次産業の生産基盤等の早期復旧、JR大船渡線の早期復旧と公共交通の確保等の要望を受けた後、若年層の雇用の確保、放射性物質の検査体制の充実、二重債務問題への対応、津波堆積物の処理等について意見交換を行いました。

 以上が調査の概要でありますが、私は、今回の調査を通じて、一日も早く津波被害を受けた市街地が再生され、住民の方々が安心してもとの生活に戻れるよう、被災地の復旧復興に全力を尽くす決意を新たにするとともに、恒久的な住宅の確保等被災者の生活再建に対する支援、農林水産業、商工業に対する支援などの取り組みを加速化させる必要があると痛感をいたした次第であります。

 最後に、調査に御協力をいただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 次に、第二班近藤昭一君。

近藤(昭)委員 第二班の福島県の派遣委員を代表いたしまして、御報告を申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの田嶋要君、自由民主党・無所属の会の額賀福志郎君、国民の生活が第一・きづなの石原洋三郎君、公明党の高木美智代君、日本共産党の高橋千鶴子君、社会民主党・市民連合の吉泉秀男君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、近藤昭一の八名であります。

 初めに、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、福島市役所において、瀬戸福島市長、三保二本松市長、冨塚田村市長、長澤伊達市総務部長、古川川俣町長、山田広野町長、松本楢葉町長、遠藤富岡町長、遠藤川内村長、渡辺大熊町長、井戸川双葉町長、馬場浪江町長、松本葛尾村長、菅野飯舘村長から、それぞれ順次、復旧復興に向けての対応状況及び要望等を聴取いたしました。

 主な要望事項は、除染の迅速な実施及び除染に関する技術的、財政的な支援、仮置き場の設置の際に同意を要する周辺住民の範囲の明確化、三年程度をめどとする中間貯蔵施設の確実な設置、自主避難者なども入居できるような災害公営住宅の整備、分断された地域のきずなと活力回復のための支援、避難指示解除後の帰還を促すための生活空間の整備や生活資金の確保、著しい被害を受けた地域とはみなされない地域への配分など復興交付金の地域の実情に応じた柔軟な配分、農地転用に係る特例の原発事故被災地への適用、本年九月末に期限が来る高速道路無料化措置の継続、ふくしま産業復興企業立地補助金の予算確保、緊急雇用対策事業の継続、国会事故調査委員会報告書の提言への的確な対応等でありました。

 その後、各自治体の要望活動の現状及び要望事項に対する国の対応状況、ふくしま産業復興企業立地補助金についての国と福島県の認識の相違、復興交付金という国が補助する形で事業を進める方式の妥当性等について意見交換を行いました。

 なお、複数の自治体から、国に要望をしてもなかなか回答が得られないことに対し、強いいら立ちと失望の気持ちが示されました。また、今回の複合災害が世界でも例を見ない有事であるにもかかわらず、平時のルールで処理しようとしていること、委員派遣当日の新聞に掲載された、環境省が森林全体を対象とした除染の必要性は乏しいとする方針を示したとの報道内容などに対しても強い不満の意見が表明されました。

 次に、南相馬市役所において、桜井南相馬市長、佐藤相馬市副市長、加藤新地町長から、それぞれ順次、復旧復興に向けての対応状況及び要望等を聴取いたしました。

 主な要望事項は、常磐自動車道、JR常磐線等の交通インフラの早期復旧、防潮林の復旧のための災害廃棄物の利用、被災実態に応じた予算措置や権限の移譲、医療費免除などについて距離による線引きの見直し、看護師など医療スタッフの確保、防災集団移転促進事業、がけ地近接等危険住宅移転事業における事業決定以前の移転被災者への遡及適用、新鮮な魚介類を迅速に市場に流通させるための放射能検査体制の整備、被災した護岸や港湾の整備促進等でありました。

 その後、福島復興局との連携の状況、復興交付金方式による復興のおくれへの影響、国道六号の除染の推進による早期の道路復旧に対する認識、医療、介護の復旧と国の支援のあり方、松川浦の青ノリ養殖の再開に向けての現状と課題、農地を再生可能エネルギーの基地として利用する上での課題等について意見交換を行いました。

 以上が調査の概要でありますが、私は、この調査を通じまして、地震、津波のほか原子力事故に遭われた福島県の復旧復興が一日でも早く実現し、被災者の皆様が震災前と変わらない生活に戻れるように、帰還の前提となる生活環境の整備等、さまざまな課題の取り組みに力を尽くす決意を新たにした次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様に心からお礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

古賀委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官岡本全勝君、総務省自治行政局公務員部長三輪和夫君、文部科学省研究開発局長戸谷一夫君、文化庁次長河村潤子君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三浦公嗣君、林野庁長官皆川芳嗣君、水産庁長官佐藤正典君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官照井恵光君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、中小企業庁経営支援部長徳増有治君、国土交通省大臣官房技術審議官坂下広朗君、国土交通省道路局長菊川滋君及び環境省水・大気環境局長鷺坂長美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。

 きょうは、質問をさせていただく機会をいただきましたこと、委員会の関係者に感謝を申し上げたいと思います。

 先ほど第二班の報告をさせていただきました。現地に参りまして、改めて、本当に被災地の皆さんの御努力と大変な苦しみを感じさせていただいたところであります。

 私も、昨年の三月十一日、東日本大震災が発災をいたしました際、環境副大臣を務めさせていただいておりました。一刻も早い人命救助、そして復旧復興に向けて仕事をさせていただいてまいったわけでありますが、今回、一年四カ月に近い時が発災してからたっているわけでありますが、現地に参りまして、改めて、この間の関係者の皆さんの悲しみとそして今の御苦労に本当に頭が下がる思いであります。

 福島であります。本当に、宮城、岩手、また、宮城、岩手、福島だけではなくたくさんの方が被災をされて、先ほど申し上げましたように、大変に苦労されているわけでありますが、福島で特に声として、一つの特徴として聞かせていただいたのは、やはり東電の福島第一原発事故にかかわる問題でありました。

 もちろんそれぞれの被災地の方が大変な苦労をされているわけでありますけれども、やはり福島の方は、放射能の被害というのは本当に厳しいんだ、もちろんそれぞれの方が悲しみを持っておられるわけだけれども、我々福島においてはゼロからのスタートではない、マイナスからのスタートなんだ、将来どういったことが、いわゆる健康被害もそうであります、そしてまた風評被害、そしてまた将来的な差別ということもあるかもしれない、見えない不安に対して、大変に大きな不安を感じていらっしゃる、そうしたマイナスの中からの出発だ、そういう声が大変に大きく聞こえたわけであります。

 そういう中で、この事故に対して、国会事故調、政府事故調、民間事故調等々の報告が出たところであります。こうした東電の原発事故に対しての調査会の報告が出たところで、こうしたことをどのように反映していくのかということが政府に対しても注文としてありました。このことについてどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

柳澤副大臣 お答えさせていただきます。

 政府としては、地震発生直後から、深刻な事態であるとの認識のもとで、原子炉の冷却や避難についてはその時点時点において全力で取り組んできたと考えております。しかしながら、その後の判明した事実、状況に鑑みると、事態の認識や対応において十分ではなかったという指摘を国会事故調から受けたと認識をいたしております。

 国会事故調の提言は、原子力規制委員会設置法の中でかなり議論をさせていただいております。どちらにしても、規制と利用が分離された新たな組織のもとで、規制制度の強化と危機管理体制の整備をしっかり行っていくものと考えております。

 いずれにしましても、委員御指摘のとおり、政府としては、このような事故が二度と起こることのないよう報告書の内容をよく分析、検討し、直ちに実施すべき分野から速やかに取り組んでいくことが重要だと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 初めて国会の中にこうした独自の事故調査会が設置をされたということであります。この事故調査会の結果をどう受けとめていくのか、国会の中にフォローしていく仕組みをつくるのか、こういうことも議論されているようでありますが、改めて私は、今回現場に参りまして、事故は収束をしていないんだ、しっかりと政府はそのことを受けとめて対応、そしてまた二度とこうした事故がないようにしっかりという厳しい声があったわけであります。ぜひ、政府としてそういう対応をお願いしたいと思います。

 また、今回は東電の福島の第一原子力発電所の事故でありました。しかしながら、こうした事故は、万が一はないと言われている中で、残念ながらやはり万が一があったわけであります。そういう意味では、東京電力だけではなくて、いわゆる原子力事業にかかわる全ての関係者にこの問題についてしっかりと受けとめてもらわなくてはならないと思いますし、それぞれ現地には赴かれていると思いますが、現地の状況を知ってもらいたいと改めて思いました。

 ところで、また現地に参りまして、政府の方としても御努力、また当事者であります東電も努力をしていると思うんですが、賠償が遅い、あるいは賠償の判定の仕方が厳しいなどの批判がありました。中間払いについても、中間的な支払いをしてほしい、こういうような工夫ができないか、こういう要請もありました。このことについてはいかがでありましょうか。

柳澤副大臣 具体的に、この賠償支払いの迅速化については、昨年の十二月二十七日に、原子力損害賠償円滑化会議、経産省、文科省、支援機構、ADR、東京電力が入って具体的に進めてまいりまして、東京電力に対しては五つの約束をしていただき、請求書類の到着から三週間以内をめどに必要書類の確認を終了すること、あるいは、賠償項目が複数にわたる場合は合意に至った賠償項目を先行して支払うこと、資金繰りが厳しい法人、個人事業主に対する概算払いの取り扱いを実施することということを進めてまいりました。

 ぜひ、この取り組みを、円滑化会議も含めて、経済産業省としては東京電力に迅速に賠償支払いを実施するよう引き続き指導をしてまいりたいというふうに思っております。

近藤(昭)委員 いろいろと基準もできたところであります。ぜひ、こうしたことが迅速に進むように御尽力をお願いしたいと思います。被災地の方は本当にそれぞれの方の責任でない中でこうした災害に遭われた、そういう状況であります。精神的にも、また現実の部分でもしっかりとした迅速な対応を望んでおられます。対応をしっかりとお願いしたいと思います。

 また、復興局といいましょうか、復興についての政府の支援のことで質問させていただきたいと思います。

 ワンストップ機能を持つという意味で、現地復興局が設置をされているわけであります。いわゆる省庁の壁を乗り越えて、また、現地でしっかりと声を聞くということでこれが設置されているわけでありますが、このことについての現状。

 そして、限られた時間でありますのでもう一つ質問させていただきますが、やはり、かなり多くの方が、各自治体が、職員の方みずからが被災をされた、あるいは御家族が被災をされた、あるいは亡くなられたということであります。そういう中で、しかしながら一方で、人命救助あるいは復旧復興に向けて大変な多くのやるべきことがある。こういう中で、大変に自治体の職員の方が疲弊あるいは苦労をされているわけであります。

 また、その観点とともに、復旧復興、多くの方が亡くなられ、そして多くの方が避難をされ、苦しい生活を送っておられるからこそ、新しいまちづくりをしっかりとしていかなくてはならないと思うわけであります。そういう中で、なかなか人材が足りない、あるいは、今までとは違った大きな復興計画、さまざまなものと国との連携した復興計画の策定、こうしたものが必要だと思います。

 そういう意味では、都市によっては、国から派遣されている職員の方がうまく国との連携等々をされて復旧復興をされているようでありますが、こうしたことについての、国からの人材派遣の状況についてどのようか、お話をいただけるとありがたいです。

平野(達)国務大臣 まず、現地の復興局でありますけれども、特に津波地域、今回の被災、大変大きな被災であります。その復興に当たりましては、さまざまな政策を総合的に実施しなくちゃならない。計画策定も、土地利用調整等はかなり難しいものがあります。そういう中で、県と連携しながら、復興局の職員、そして国の職員、国交省を初めとした連携チーム、市町村ごとにつくって、定期的に地域に入っていろいろ支援をする、アドバイスをする、そういったことをずっとやってきております。

 その中で、とにかく、寄り添ってという、抽象的な言葉で寄り添ってということを言いますが、計画をとにかく一つつくるにしても、国と県、被災自治体が一体となってつくるということを心がけてやらせるように、今強く復興局には指導しているところであります。

 一方、福島もそういった形で支援に入っておりますが、福島はなかなか、除染一つをとってみても、ある意味で試行錯誤でやっているところがございまして、市町村がいろいろ要望してくることに対して、必ずしもぴたっとした形での対応ができかねているという面もあるかと思います。こういったことについては、引き続き、復興局、復興庁が各省とも連携しながら、被災自治体の要望にできるだけ沿えるような形での施策を打ち出していく、しかも迅速に対応する、こういったことをしっかり心がけていきたいというふうに思っています。

 それから、人的支援でございますけれども、委員から御指摘がございましたけれども、どの自治体も、例えば、この委員会で何回も申し上げましたけれども、通常予算百億の規摸のところで四百億、五百億ぐらいの復興事業をしなければならないという地域がたくさんございます。こういった中では、マンパワー、人的不足というのがどうしても大きな問題になってきますが、一つは国の職員、直接出向して各自治体に行っている職員が今九十七人であります。そのほかに、復興庁、復興局、そして支所がございます。それからあと、国の、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、連携チームということで、特に、大きな問題を抱えている自治体には、定期的に国のチームがそこに行って一緒に計画策定を行う、あるいは支援をする、こういったこともやっておりますし、出先の整備局、農政局もチームをつくって支援をしている、こういうことでございます。

近藤(昭)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。田嶋要です。

 私も福島の方に行かせていただきました。あれだけ多くの首長さん方と意見交換をするのは大変久しぶりでございましたけれども、久しぶりではありましたが、皆さんからのコメント、御意見、そしてその緊張感、一年前と余り変わっていない、私が本部長時代にいろいろ首長さんから伺った話と余り変わらない話がたくさん出てきまして、驚いたというか愕然としたというか、そういうことを共有させていただきたいと思います。

 それで、きょうは復興に関する中身というよりは、そのやり方というか手続ということに関して若干確認させていただきたいと思っております。

 まず、多くの首長さんから出ましたことが先ほどの近藤先生からの報告にもございました。いろいろ要望を出しても、問い合わせをしても国から反応がないという声でございます。具体的には、二本松の市長、要請に無回答だった、広野の町長、政府からの回答がなかった、富岡の町長も、要望に回答がなかった、そして大熊の町長、要望するだけむなしい、そういうような声がたくさんありました。

 私自身が本部長だったときも、首長さん方のそういう憤りの声をたくさん共有して、その都度私も東京にいろいろ連絡をとったわけでございますが、今、復興庁という形でそれはかなり強化をされ、一元化をされ、迅速に現場の声に対応できている状況になっているんじゃないか、私は当然そのように思っていたわけでございますが、相変わらず一年前と同じ苦言がたくさんの首長さんから出てきている。一体これはどういうことになっているのかということを、大臣、御答弁いただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 一つは、一つはというか、さまざまな要望が、特に双葉郡、それからあと南相馬市あるいは飯舘村、川俣町、それから田村市等々から出ております。そういったことについてはできるだけ迅速に回答するということについては、従来以上に心がけているつもりであります。

 具体的に、今委員の中で、どの要望に対しての回答がなかったのか。私が今一つ思い当たるとすれば、グランドデザインということについては八町村から出てきた要望がございまして、これは時間がかかるということで回答がおくれました。そのほかの回答については、具体的にどういうものだったかということについてはちょっとチェックが終わっていない。もう一回事務方の方に確認をしたいと思いますが、いずれ、出てきたものについてはできるだけ迅速に、個人からの要望についても物によっては私は回答文を出していますから、この回答文を出している量だけでも相当の量になっているのではないかというふうに思っています。

田嶋(要)委員 行政府間の意見交換というか懇談会でございますので、私がいた場所でも、後ろに事務方が大勢いらっしゃって、皆さんいっぱいペンを走らせておるわけでございますので、克明にその議事録はとられている。そうすると、一個一個に関してきちんと、恐らく霞が関に戻って担当に割り振られて、これはあなたの回答だよというふうにちゃんと配分されて、それをきちんと報告する。もちろん、その中にはすぐ回答のできるものもあれば、しばらく時間のかかるものもありますので、それは何度にもわたって質問をいただいた特定の首長さんなりに回答されているんだろうと思います。

 半年かかるものもあるかもしれませんが、それぞれの問いに対してステータスをはっきりさせて一個一個消し込んでいく、最後、クロージングといいますか、そこまで持っていかないと、ある意味ボールは霞が関の方に残ったままにあるというふうに私は思っておりましたし、当時、本部長時代もそういうふうにやらせていただきました。そういうような仕組みというのはちゃんと復興庁の中ででき上がっているんでしょうか。

平野(達)国務大臣 被災自治体はいろいろな不安も抱えておりますし、これからどういったことをやっていかなくちゃならないかについての道筋が立っていないという面も多々あります。ですから、さまざまな要望が出てきます。今委員からの質問については、そういった要望についてはできるだけきちっとした回答をするというシステムはつくっているつもりであります。

 一方で、自治体によっては、こういった要望は、一つの要望について、かくかくしかじかでこれは対応しかねるという回答をしたにもかかわらず、同じ要望書が次々毎回毎回出てくるということがございまして、一回回答したものについては回答していない、回答しない、そういった対応もしているのも事実ではございます。そのあたりから、さまざまな御批判、不満が出ているという面もあろうかとは思います。

田嶋(要)委員 私ども、地元でいろいろ集会をすると意見がたくさん出ますよね。即答できないものは調べてちゃんとお返ししますということを私どももやっております。一人一人の有権者を大事にするというのは当然のことですが、加えて首長さん方でございますので、市民等の代表者であるので、一つの問いも回答が漏れるということがあってはいけないと思いますので、ぜひともそれはもう一度、大臣、改めて、そういうことをちゃんとやっているかということ、それから今回も議事録は全部残っていますので、どなたがそういう発言をされたか、先ほど申したとおりでございますので、一つ一つ丁寧に回答していただきたいというふうに思います。

 それから、同じような話でございますが、今度は逆の話でございまして、国の意思決定がどのように首長さん方に情報として伝わるか。先ほどお話が出ました、当日たまたま、森林全体の除染は不要であるという環境省の判断が新聞記事に載りまして、三人ほどの首長さんから、そういうことは聞いていない、葛尾の村長さんからも言われましたし、それから、川内村の村長さんからもそういう話がございました。

 これも、私が本部長時代もさんざん、もううんざりするほど経験しているんです。そのたびに細野大臣が謝っているんですね。何でこういうことが繰り返されるんですかね。いつまでたっても、首長さんが知らないことが平気で記事になっているということで、いつも立腹しています。私も同じように立腹して、もう腹が立って仕方がなかった。いつでも霞が関に文句を言っていました。

 だから、これは何で繰り返されるのか、私にも理解できませんけれども、ここは環境の政務官、来ていらっしゃいますので、どういう状況でしょうか。

高山大臣政務官 田嶋委員に御回答いたします。

 恐らくこれは、八月一日の前の日の七月三十一日に、森林除染につきましてどういう方針でやっていくかということを、環境回復検討会という、外部の先生方を集めての検討会をやりました。

 森林除染に関しましては、まだ結論が出ているわけでもありません。ただ、その回復検討会での意見の中の一つとして、森林全体の除染を行う必要性は乏しいのではないかという意見が出てみたり、また逆に、今は、森林の除染に関しましては、住居から二十メーターということでガイドラインでお示しさせていただいておりますが、かなり福島県からも御要望がありまして、住居からだけではなくて、キャンプ場やほだ場などにも広げるべきだというようないろいろな意見が出て、まだ結論が出ていない段階ではあります。

 ただ、今委員の御指摘のとおり、なぜ情報の伝わり方が、ダイレクトに村長さんや地元の方に伝わらずに、マスコミを通じてということに関しましては、今回のこの環境回復検討会は除染のガイドラインや基準を決めていく検討会でもございますので、フルオープンで、インターネットでも中継できる形で行いました。それで、全体を捉えずに、一部だけの報道がされてしまったという部分もありますが、マスコミへの我々の説明も含めて、より一層丁寧にしていかなければいけないと思いますし、また、このような記事が出たというようなことがございましたので、関係の市町村を回って丁寧にまた説明をさせていただいているところでございます。

平野(達)国務大臣 除染は必要ないという報道だったというふうに聞いておりますけれども、除染は必要ではないということを言っているわけではありません。除染をやることについて、こういう方法ではさまざまな問題があります、限界があります、こういうことを言っているわけです。

 それを称して、マスコミさんが、どうも除染は必要でないというふうに書いたようですが、この部分については誤っている記述だというふうに思っています。このことだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。

田嶋(要)委員 これはたまたま当日の記事でございましたけれども、私がより問題にしたいのは、もうしょっちゅう、首長さん方が知らないことが記事になっているということなんです。だから、いろいろ情報共有ということをおっしゃいましたけれども、もう少しリアルタイムで、まさに現場のことですから、首長さん方に一番関係があるわけだし、彼らが情報を持っていないと、彼らは有権者との関係で非常に苦労するのはもうよくわかっているとおりでございますので、その情報共有のあり方も、もう少しリアルタイムで、おくれないようにということを工夫していただきたいというふうに思いますので、答弁は要りませんけれども、よろしくお願いいたします。

 最後に、一つよろしいですか。

古賀委員長 はい、時間が来ておりますが。

田嶋(要)委員 一点だけ。

 いろいろな除染関係とかの根っこにあるのは、一ミリだ、二十ミリだ、百ミリだという、その基準の問題がやはりあると思います。これに関して、政府から五月三十一日に、これまでの反省を踏まえて、今後しっかりアクションプランを出していくということをおっしゃっておりますが、健康被害をもたらすかもしれない、その安全基準に関してのアクションプランに関しては、今後どういうような日程感で、何をやっていこうとされているのかを簡潔に御答弁いただきたいと思います。

横光副大臣 お答えを申し上げます。

 田嶋委員御指摘のように、今般の原発事故によりまして、原子力被災者はもちろんのことでございますが、多くの国民の皆様方が健康に不安を抱えております。このため、対策として、これを確実また計画的に実施していかなければなりません。そのために、関係省庁等から構成されます原子力被災者等の健康不安対策調整会議を設置いたしまして、この五月三十一日に、健康不安に関するアクションプランを決定したところでございます。

 この中身は、重点施策としては、まずは関係者の連携、そして共通理解の醸成ですね。そして、放射線による健康被害等に係る人材の育成、国民とのコミュニケーション、さらには放射線影響等に係る拠点等の整備、連携の強化、そして国際的な連携の強化、この四つを掲げておりまして、担当する関係省庁等が、当面の取り組みについて着手しているところでございます。

 また、環境省といたしましても、原子力被災者生活支援チームと協力いたしまして、統一的な基礎資料の作成などを行っているところでございます。これに加えまして、引き続き、関係省庁等における健康不安対策関連の予算やあるいは施策を取りまとめるなど、関係省庁と連携をして、そしてアクションプランを確実かつ計画的に推進していくことにより、住民の方々の健康に関する不安に対して適切に対応してまいりたい、このように考えております。

田嶋(要)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、橋本清仁君。

橋本(清)委員 宮城三区の橋本清仁でございます。

 先週、私の地元の岩沼市で、集団移転促進事業の起工式がとり行われました。平野大臣もお越しになられて、私も僣越ながら一緒にくわを持たせていただいて、くわ入れ式に参加させていただきました。一歩一歩復興が進んでいる、そういった部分もあるということを私は実感いたしておりますし、今後とも政府には、平野大臣を初めとして皆様方には御尽力いただきますことを心から深くお願い申し上げます。

 そういった中で、進んでいる部分も本当にあるんだけれども、なかなか進んでいない部分もあるというところもございます。私、毎週地元に戻っていきますと、発災後一年ちょっとは、なかなかお茶の間懇談会とか国政報告会をやれるような状況じゃなかったですから、地元の要望をどうやって政府に伝えて実行していただくかというところで走り回っておったわけですけれども、最近やっと少しずつやれるようになってきました。

 その中で、週末、地元の自治体でお茶の間懇談会を開いたとき、困っているんだ、橋本君と言われたことがあります。それは、私の地元ではまき風呂とかまきストーブというのを非常に多く使っておられる方がおられるんですけれども、このまき風呂に入っておられる方が、お風呂に入った後、まきの焼却灰を、自治体から配付されたビニール袋の中に入れて、そのまま家で保管なさっているというふうにおっしゃられて、これ、どうにかならないかと。

 私も、これは以前から何度も何度も政府にお願いしてまいりましたし、あと、自治体独自で、コンクリート製、鉄板が入ったボックスで密閉して、遮蔽して保管していただいておるといったところがございますけれども、高山大臣政務官からもさまざま自治体にも御指導いただいておると思いますけれども、現場として、まだそういった対応が、住民に多大なる迷惑をかけているという現状がありますから、その点について、さらに一歩二歩踏み込んだ対応を政府の方に求めたいと思いますけれども、その点についてお答えをお願いします。

高山大臣政務官 橋本委員からは、以前から、もう昨年の段階から、このまきストーブから出た灰の問題、これは、御地元ではその灰を、今まではごみとしてではなくて畑にまいたりして再利用されていた、しかし、今回の福島第一原子力発電所の事故の影響を受けて、そのまままいていいかどうか、なかなか悩みがあるというような御指摘もいただきました。

 そういった御指摘もいただきましたので、本年の一月十九日に関係県に対しまして通知を発出いたしまして、まきストーブ、お風呂等から出ました灰に関しましては、市町村が一般廃棄物として収集して処分していただけるようということで、通知を出させていただきました。

 またさらに、その収集の方法につきましても、一月二十三日には、QアンドAという形で、収集方法、飛散しないようにですとか、保管の方法、こういったものを今お示しさせていただいているところでございます。

橋本(清)委員 お示しいただいているんですけれども、結局、それが現場としてしっかりなされていない。

 私も地元にいて、さまざま、細野大臣とか高山政務官と連携させていただいて、内部被曝の調査の問題とか、やはりこれは自治体の、地元の協力とか、あと住民の協力なくしてあり得ないというふうには重々認識しているんです。難しいことだとは思っているんです。仮置き場の場所、これをどうにかしてくれと言うんだけれども、うちの隣に仮置き場が来られたら困るなとか、そういう状況だというのも重々承知しているんですけれども、お金を出すなり、もっともっと親身な対応をしていただけますことをお願いします。

高山大臣政務官 橋本委員御指摘のとおり、我々としては、その保管方法について基準をお示しいたしました。八千ベクレル以上のものに関しては、指定廃棄物としてこれは国が管理を行います。そして、その際には柵を設けることですとか容器へ収納することなどなどをお示しさせていただきました。そして、八千ベクレル以下の場合には、飛散、流出しないように通常の袋に入れて出してくださいというような方法でお示しもしました。

 しかし、委員からも御指摘のように、これは八千ベクレル以下であってもなかなか心配が絶えないという声が実際に聞こえてきていることも事実でございます。これに関しましては、環境省といたしましても、市町村における灰の収集の方法や保管の方法、あるいは住民の皆さんに安心していただけるようなデータの公開や説明、こういったことは市町村と一体となって行っていきたいと思っておりますので、また、議員におかれましても、地元のこういった貴重な情報をお寄せいただければと思います。

橋本(清)委員 高山大臣政務官、ありがとうございます。地元に帰って、お茶の間懇談会で質問を受けた方にきちんと報告させていただきます。

 それで、私は、発災後、宮城県で県庁に陣取ってさまざまな自治体との連絡をとって、与党の幹事長室を通して政府にお伝えしたり、また、現地に与党の副大臣から政務官からたくさんおられましたから、報告して、連携をとらせていただいたわけですけれども、本当に大変な時間だったなと、今考えると実感いたしております。その中で、本当に助かったなと地域を回っていて心強く思ったのは、国の出先機関の方々が各自治体に張りついていただいていたというのは、本当にこれはありがたかったことなんですね。

 地整、東北地方整備局の方なんかは、我々は闇屋のおやじだと思ってくださいという話で、棺おけの調達から、何でもやりますよと。あと、足りない食料とか物資とか、そういったもののヒアリングもしていただいて、本当に助かった、あってよかったなという思いがありました。

 そういった中で、今、国の出先機関改革について、政府の中で問題になっているというところと、あと、与党でもさんざん議論させていただいておるわけですけれども、つい先日、全国五百人の市町村長でつくる、地方を守る会というものがございまして、都内で臨時総会を開いて、国の出先機関の地方移管に反対する決議を採択なされました。その後、与党の幹事長室や、また官邸にお邪魔して、そういった地方自治体の声を政府にも聞いていただいたわけですけれども、こういった反対の声が上がっていることについて、どのように対応していくかということ。

 また、私は、国の出先機関を改革することは本当にいいことだと思います。ただ、なじむもの、なじまないもの、災害対応、また受け皿、そういったものをしっかりしていただいてからやっていただくことをお願いしたいと思いますけれども、その点について、後藤副大臣にお願いします。

後藤副大臣 先生御指摘をいただいたように、昨年のあの大震災の際に地方整備局を含む国の出先機関が大きな役割を果たしたということは、ある意味では当然ですけれども、その皆さん方へも、心から私からも感謝を申し上げたいと思っています。そういう意味で、もう一年がいろいろな意味でたった中で、いろいろなことが進んでいます。

 この出先改革については、もう二年以上前にアクション・プランという形で閣議決定をし、どういう形で、地域に、できるだけ住民に近いところで意思決定をするかという一環であります。そういう意味であるものの、具体的になるにつれ、市長会、町村会初め基礎自治体の首長さんの皆さん方から、拙速ではなく慎重にしろという声があるのは十分承っております。特に、六月六日の市長会の決議、六月十八日の市長会の意見というものも十分に、私自身も、森会長を初め市町村長の皆さん方も、累次にわたりいろいろな意見交換をしています。

 ただ、やはり出先が改革をしても、全てその出先機関がなくなってしまうというよりも、その権限や事務権限を移譲して、丸ごと移譲ということですから、その出先が今持っている機能というものは、仮に広域連合に移っても維持をされるということだと思います。

 特に市町村長の皆さん方が御心配をされているのは、先生御指摘のとおり、やはり大きな災害のときに住民の皆さん方の生命財産をどう守るのかということに一番大きな懸念があるということはよく理解をしています。政府の中ではおおよそ取りまとめが終わり、今、与党の皆さん方の御議論をしているということは十分に承っています。

 いずれにしても、閣議決定で決まっている今国会への提出ということを一つ念頭に置いて、できるだけ与党の皆さん方の合意形成もお願いをしながら、政府としてできるだけ早く法案が提出できるようにこれからも努力をしてまいりたいというふうに考えております。

橋本(清)委員 後藤副大臣には、震災瓦れきや地元の環境未来都市で大変お世話になりました。地元の声をお聞き入れいただいたのも多々ございますので、この点についてもしっかりと受けとめていただければと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 被災地の復興を支えるためには、復興に必要なリソース、人、物、金の円滑な供給が必要であると考えております。きょうは三点、人についてはボランティア、物についてはコンクリート、そしてお金については二重ローンを簡潔に取り上げたいと思います。

 まず、物、コンクリートの話ですけれども、生コンの問題、これは平野復興大臣とも何度かお話しさせていただきました。私は宮古市に行ったときに、海岸沿いで防波堤を新しくつくるためのコンクリート、巨大な塊をつくっているのを目にして、これはこれですごいけれども、一方で、果たしてコンクリートの生産が追いつくんだろうかと思いました。それで調べましたところ、当時の数字だと、需要量が年間四十一万立米、これは民需は除いた国とか県とか市町村が発注する分です。需要量が四十一万立米、それに対して供給が八から十万立米ということで、差し引きすると三十一万立米ほどマイナスになる。ここについていろいろ対策を練っていただいて、今では何とか差し引きがマイナス九万立米ぐらいまでには縮まってきている。

 ただ、ここから質問です、一点目の質問に行きますけれども、今申し上げたように、官需の方については需要供給のギャップが縮まってきていますが、問題となるのは、今後民需がどんどんふえてくると思います、まちづくりの関係等で。そこに、今まだ官需でも、縮まってきたとはいえマイナス九万立米、さらに民需が加わってくると、需給ギャップがまた拡大するのではないか、こう思っています。

 このあたりについて、政府としていかなる対応を考えているか、大臣からお考えをお聞かせいただければと思います。

平野(達)国務大臣 これから復旧復興が本格化してくるに従いまして、いろいろな資材、特に生コンも含めて、逼迫することが予想されます。

 今委員の質問は民需の方ですが、民需の把握については、今のところ、私どもの方ではなかなか把握が難しいということで行っておりません。行っておりませんが、地域地域では、例えば、宮古市の話が出ましたけれども、宮古市等々においては、地域の産業、雇用の場の再生に直結するような工事につきましては、生コンを優先するというような取り決めを行って対応するというようなことを決めたということも聞いております。そういった取り組みにつきましては、政府としてできることについてはさまざまな支援をしなければならないというふうに考えております。

階委員 ぜひ、民需の生コンクリートの点について、これからもしっかりとした取り組みをお願いします。

 次に、二点目ですけれども、二重ローンの話です。

 この二重ローンについては、昨年、私もいろいろな立法にもかかわらせていただいて、今、三つの制度が動いています。一つは、個人向け、かつ、再生というよりは、借金を整理する清算型の個人ガイドラインというものです。それから、再生型のものが二つありまして、当初、我々政府・与党としては、産業復興機構というのをつくりました。その後、野党の皆様からのいろいろなお知恵を拝借しながら、東日本大震災事業者再生支援機構というものをつくったわけです。この二つの事業者の再生向けの機構のうち、後からできた方、こちらが、岩手県を見ていますと、多分、支店が岩手県にないということも影響しているのかもしれませんけれども、最初にできた産業復興機構に比べると、いま一つ活用状況がぱっとしないという感があります。

 そこで、私からお願いしたいのは、まず、後からできた東日本支援機構の方ですけれども、対象業種が医療とか福祉事業者、農林水産事業者を主に考えている、それから震災以前から業績が低迷していて抜本的な経営改善策が必要なところも対象としている、こういう特色をぜひちゃんと説明していただきたい。

 かつ、これは説明する場合に、本当は金融機関が説明していただければいいんですけれども、多分、金融機関にとっては結構面倒なこともあります。債務カットという話あるいは債権棚上げという話になってきますので、なかなか説明しづらいとは思うんですが、ぜひそのあたりは金融機関が丁寧な情報提供をしていただくということと、あと、直接相談の便宜も図ってほしい。復興相談センターにまずは相談してということもあるようなんですが、直接相談した方が早い場合も多々あるわけですから、直接相談の便宜を図ってほしい。

 この二点、大臣のお考えをお聞かせください。

平野(達)国務大臣 まず、支援機構につきましては、委員からもちょっと御指摘ございましたけれども、その趣旨、産業復興とどのように考え方、対応の仕方が違うのかといったことも含めまして、池田社長を初め支援機構のスタッフがかなり幅広くあちこち歩きながら説明をしています。今、やっとその考え方が理解され始めてきたのかなということでありますが、引き続き、このことについては徹底をさせなければならないというふうに思っています。

 それから二点目は、質問は何でしたでしょうか。(階委員「直接相談」と呼ぶ)直接相談は、今、窓口は一応産業復興機構ということになっておりますけれども、直接相談があった場合についてもそれは受け付けるということで、件数的には直接相談の件数がふえてきているというふうに聞いております。

階委員 最後、ボランティアの話ですけれども、復興庁さんでもこういうチラシをつくったりして、「この夏も、ボランティアに行こう!」ということで、全国からボランティアが集まっていただけるようにいろいろ御尽力されているかと思います。

 ただ、実態はどうかといいますと、震災から一年半近くたってきまして、だんだんボランティアの数は減ってきております。例えば、昨年の八月で見ますと、被災三県の合計、十万人ぐらいいらっしゃいましたけれども、直近でわかっているデータでいいますと、ことしの六月時点では、被災三県、岩手、宮城、福島合計で一万六千八百人ぐらいにまで落ち込んでおります。

 私もボランティアに行きました。ボランティアに行って、海岸の清掃をしてきました。海水浴場、一見きれいな砂浜に見えるんですが、ちょっと砂をめくると次から次に、養殖のワカメであったり、あるいは鳥の死骸なども出てきて驚いたりするんですけれども、さまざまなものが出てきて、すぐにでも海水浴はできそうに見えるんだけれども、まだまだ大変なんだなということを感じます。また、これは被災地の人たちの心情にも共通する部分があるかと思いまして、一見、普通に平穏に暮らしているような方たちも、一つ心の中をめくってみればどうなのかなということも改めて感じたりしました。

 そうした中で、ボランティアの方が、今言った海岸の清掃であったり、仮設住宅を訪れていろいろな方たちの話し相手になってあげたりというのは大変重要なことだと思って、私ごとで恐縮ですが、今、自分の高校二年の息子も被災地でボランティアさせて、もう十日ぐらい行っていますけれども、三週間ぐらいやらせようかなと思っています。こういうボランティアがたくさん来ていただけるようなことが今からますます重要ではないか、被災地の方たちもそれが励みになって、つらい時期ですけれども、何とか乗り切っていけるんじゃないかと私は思っています。

 そこで、まず御提案なんですけれども、認定NPOというのが、我々の政権になって新しい公共ということで、ある一定の要件を満たす認定NPOについては、個人の方が寄附したときに、税制の優遇措置がいろいろありますけれども、一つ挙げれば、寄附額の半分ぐらいが税額控除で戻ってくる、こういう仕組みを入れたわけです。ただ、この認定NPOの要件が厳しいのではないかということで、仮認定という制度は設けておりますけれども、仮認定であったとしても、最低でも二期決算を経ないと仮認定を受けられないというお話でした。

 私は、被災地でこれまで一生懸命ボランティア活動をしてきたNPOについては、何とかこの仮認定のNPOとして認めて、そしてそこに皆さんが寄附しやすくするような、そういうことを考えるべきではないかと思っていますが、その点、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 NPO法人の認可については、寄附税制の改正という大きな改正を行って、法人の設立に大きなインセンティブを与えたということでございますが、ちょっと数字だけ紹介させていただきますと、被災三県で平成二十二年度から平成二十三年度でNPO法人は約四割ふえております。一方、全国では同じ時期に四%増ということで、被災地についてはやはりボランティアに対する関心も強いからこういう形になっているのかなということは推察されます。

 あわせて、委員から言われましたように、今回の制度についてはもっともっと徹底をさせて、どこか問題があるならば、それにきちっと対応するという姿勢で臨むということも大切だというふうに思っておりまして、内閣府等々につきましては引き続きお願いをしていきたいというふうに思っております。

階委員 時間が参りましたので、終わります。

 きょうは、岩手県議会の方からも我々の同志がたくさん傍聴に来られて、平野復興大臣を励ましに来ておりますので、ぜひこれからも、我々も一生懸命大臣を支えますので、復旧復興に向けて頑張りましょう。

 以上です。

古賀委員長 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 きょうは、私自身、東日本大震災の基本法あるいは特別会計等々、いろいろな形でその議論あるいはそれをつくる段階で参画させていただいた、そういう立場から幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 まず、復興予算、平成二十三年度、予備費、第一次から第三次補正について六月二十九日の資料が手元にありますけれども、予算現額全体で十四・九兆円、支出済み額が九・〇兆円、翌年度繰越分が四・八兆円、不用が一・一兆円、こういう数字で、年度の執行率だけ見ると約六割だ、こういう話だったのでありますけれども、この中身を見ますと、例えば執行済みといっても、実際それが事業が行われて支出がなされたものから、例えば地方交付税とか基金とか、いわば会計間の移しがえがあっただけで執行済みとなされたものというのはかなりあるわけであります。

 こうした中で、まず、きょうは総務省の方にもおいでいただいておりますが、地方交付税については支出済みが二兆二千四百億程度だ、こういうことでございますけれども、実際地方団体に交付された額はどのくらいになっておられるのか。

稲見大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のとおりでございまして、地方交付税はその全額が一般会計から交付税特会に繰り入れ済み、こういうことで、そこにありますように、二兆二千五百九十七億円の執行、執行率が九五・二%、こういうふうなことになっております。

 しかしながら、実際に市町村にというふうなことでいいますと、交付税特別会計の執行状況、こういうことになろうかと思いますが、それは、予算額二兆三千七百四十七億円に対して執行額一兆三千九十七億円でございますから、執行率五五・二%、これが実際に交付をされた額というふうに理解をいたしております。

加藤(勝)委員 今、地方交付税のことをお伺いしたんですが、かなりの基金が、既存基金に入れたものから新しく入れたもの、いろいろあるんですけれども、大体、基金に対して支出済み額のうち幾らぐらい余っておられるんですか。

平野(達)国務大臣 基金は、二兆六千八百二十億円が基金に積み立てられております。これがどのように使われているかということについては、現在、調査を行っているということでありまして、この調査が終わり次第公表する方向で検討しております。

加藤(勝)委員 そういうことから、地方交付税の中でも約一兆円が、あるいは基金も、今二兆七千億ぐらいという数字をお出しでありますけれども、どうなっているかわからないということですから、実際の、本当に執行が二十三年度にどのぐらい行われたかというと、甚だ、全体の半分にもいかないんだろうな、こういうふうに思うんです。

 問題は、いろいろな意味で復興事業あるいは復興の進捗というのを把握していく。後でももう一回議論させていただきたいと思うんですが、この予算の執行について、やはり復興庁自体が、今回、二十四年度予算からは特別会計ということで、全体を見る、こういう立場でありますから、予算の要求はもとより、いろいろな張りつけ、いろいろ議論いたしました。そして、実際どう動いているのかというのを逐次、毎日見る必要はないと思いますけれども、一定の間隔ではある程度把握をしていきながら、そして進捗の遅いものに対して、なぜ遅いのか、あるいは場合によっては、そこよりは違う方が必要であれば、また予算の流用ができる範囲であれば流用していく等々、いろいろなことを弾力的にやっていく、ゆえにスーパー官庁としてできた復興庁じゃないか、こういうふうに私は思っているんです。

 その辺に対して、今、基金も調査をしていただいている。これは私ども党の部会でもいろいろ議論をしてお願いはしたところでございまして、それにお応えいただいている部分もあるんだろうと思いますけれども、予算全体の把握ということを大臣としてどういうふうに考えているのか、ちょっとその辺の御見解を教えていただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 いずれ、復旧復興を迅速に進めるということと予算執行をしっかりやるというのは表裏一体、セットでございます。復興庁としましても、予算の執行状況についてはきちっと把握して、フォローアップすることが絶対大事だというふうに思っています。あわせて、復興庁の方では、各省と連携しながら、個々の、例えば災害復旧事業、復興交付金の執行も含めて、工程表をつくって、その工程表を管理するということに努めております。

 その中で一番大変なのは、何といってもやはりまちづくりと住宅再建でございまして、このことについては、何回も申し上げましたけれども、単に物をつくるという以前に、土地利用調整をどうするか、それから合意形成をどうするか、これに今各自治体が一生懸命取り組んでおりまして、我々も機会あるごとに現地に行きながら、自治体の方々あるいは仮設住宅に入居される方々と意見交換しながら、この住宅再建、まちづくりの進捗が図れるように、一生懸命、今、背中の後押しをさせていただいているところでございます。

 こういったことを一緒にやりながら、工程管理をすると同時に、できるだけ事業全体が進められるような環境づくりに努めていきたいと思っていますし、このことが予算の適正な、早期の執行につながっていくというふうに考えております。

加藤(勝)委員 何でこういう議論をさせていただくかというと、八月二日の農林水産委員会、きょう、また後で小野寺議員が質問されますけれども、小野寺委員の質問を聞かせていただいておりまして、グループ補助金の話が出ました。グループ化補助金というんでしょうか。非常に要望が多くて、またその話は後でさせていただきますが、そういう補助金であるにもかかわらず、たしか、お出しになっていた事例は、土地をかさ上げする、その上に工場等を展開する、しかし、かさ上げ事業そのものが来年の秋にならなければでき上がらない、となると、当然、その後からじゃなければ上物は多分できない、こういう事例を取り上げられておりました。

 二十三年度の補正でつけたような予算であれば、今回、四・八兆円ですか、翌年度繰り越し分がございますけれども、しかし、これは翌年度。したがって、二十五年度にまで繰り越そうということは、いわゆる事故繰りということで、通常はこういうことがあってはいけませんけれども、災害等があった場合等々に限られているということでございます。そうすると、結果的に、今のままいくと不用になってしまうよね、ちょっとそれは、何か全体の進行からすると、それであれば、もっと違う要望の方に先にしていただいて、順番が来たところでそれを執行するというのがあってしかるべきじゃないのかなという印象を私自身が受けたので、御質問させていただいたんです。

 その前に、確認的に、財務副大臣に来ていただいておりますので、先ほどの小野寺議員の質問と含めて、実際、この翌々年度繰り越しということについて、例えば今回の大震災のこういう事情というものを事故繰り越しの対象として本当に考えられないのかどうか。

五十嵐副大臣 これはもう加藤先生よく御存じの財政法の規定がございまして、明許繰り越しが行われた後に不測の大災害というのが起きた場合には再度繰り越しができる事故繰り越しという規定がおっしゃるとおりございますが、この場合はそれには当たらない話だと思います。

 ただ、やむを得ない事情で、消化していただきたいわけですけれども、翌年度に消化ができない、二十四年度にできないという場合、これは一旦国もそれを認めているわけですから、ほかの方法で、例えば要求官庁とよく相談をしていただいて、結果的にその事業が進むような予算のつき方にすればいいということだと思いますので、それについて、例えば要求官庁から改めてそのやり方について御相談があれば、財務省としても御相談を受けて検討をさせていただくということでございますので、この財政法の明許繰り越しの仕組みを使ってはなかなか難しいということを申し上げております。

加藤(勝)委員 確かに、法律の解釈、これまでの運用はそうだと思います。ただ、今副大臣がおっしゃったことは、認められたんだから認められるであろうということはあるにしても、もう一回同じことをやれということなんですよね、結果的に言えば。だから、これは非常に、常にいろいろなところで議論になりますが、普通であればそういうことなのかもしれないけれども、確かに、今の被災地の話、与党の議員からの御質問もありました、本当にそんな余裕があるのであろうかというところが一番ポイントじゃないかなと思うんですね。

 だから、そこはもう少し、大臣、何か考えていく知恵、確かに知恵と言いましたけれども、場合によっては何らかの法的な議論ということも含めて、少しお考えになられていく。翌年度繰り越しというやり方がいいのか、もう少し基金的な形で物を考えていくのがいいのか、そこはいろいろあろうかと思いますけれども、今のように、いや、もう一回やれば認められますよというだけの答弁では、これはなかなか被災地の方々にその思いは到底届かないのではないかな、こういうふうに私は思います。

 実際、今のようなケースはどのぐらいあると考えておられますか。

平野(達)国務大臣 具体の数は今のところ把握しているわけではありませんが、小野寺委員からの質問がございましたので、現実的に何ケースかあるということであります。

 制度的な話は先ほど五十嵐副大臣からお話がございましたけれども、もう一つ、制度から、質問の趣旨とちょっと離れるかもしれませんけれども、例えば、今のようなケースにつきましては、土地利用計画から分離させて、その地域でその区画だけを先行的にかさ上げするということも可能であります。どうしても被災自治体は地域全体としての土地利用計画をきっちり図ってからやりたいというふうに考えているところも多いという傾向がありますが、もっと現実的にそこを分離しながら、産業のところは先行的にやっていくということもできますので、そういったこともあわせて、その地域にはアドバイスしながら、早くやるということを心がけていきたいというふうに思います。

加藤(勝)委員 迅速に対応していただくというのはもちろんだと思いますが、ただ、国の制度に合わせて復興をやりなさいというのも、またいささかいかがなものなのかなという感じがします。

 きょう、復興庁でお答えいただくのか経産省にお答えいただくのか、あれですけれども、今のグループ化補助金、これは、申請額が七千億ぐらいあって、実際交付されている額が一千五百億ぐらいですか、かなり人気がありながら絞っているんですが、そういう中で、今申し上げたような事情があるとすれば、それは翌年度にということで、むしろ今年度実行できる方へ振りかえれば、それだけ先へ少しでも進むんじゃないかと私は思うんですけれども、その辺はどういう、予算の箇所づけというんでしょうか、そういうところで今申し上げたところは配慮されなかったのかどうか、どちらかでお答えいただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 本来であれば、箇所づけに当たっては、実施可能性もスケジュールもしっかりチェックしながらやるべきということの考え方もあります。しかし、その一方で、やはり被災している事業体にしますと、何としてもまずグループ化補助金についての採択をしてもらいたい、そして当然のことながらできるだけ早くやりたいというふうに思うわけであります。その希望が非常に強いということで、中小企業庁さんも全体のスケジュールを見ながらその採択をしておりますけれども、どうしても、結果、実施の段階では土地利用との全体の整合性の問題でおくれている地区も出てくるということも事実でございます。

 いずれ、これから中小企業グループ補助金、第五次ですか、もうそれが公表になりましたので、今後どうするかということについては、中小企業庁とも経産大臣とも協議しながら進めてまいりたいというふうに思っておりますが、いずれ、災害復旧は働く場の確保が必要でございますから、それに必要な措置はできるだけの措置を講じていきたいというふうに思っております。

加藤(勝)委員 二十三年度だから、こういうことだと思います。二十四年度から、特別会計という形の中でもし計上されていくものであれば、当然、復興大臣がもっと関与した上で行われるという仕切りにたしかさせていただいたと思っておりますから、二十三年度分だからというのではなくて、やはり実際の執行、それぞれ所管官庁も所管官庁としての議論は当然あると思いますが、全体を見ておられる復興庁がやはりもっともっと積極的に関与しながら、うまく予算を使っていただかなきゃいけないと思うんです。

 そういう意味で、二十三年度はいろいろ不用も出ました、そして二十四年度、そうはいっても、今、グループ化補助金のようにもっともっとという希望もあります。まだ今八月の段階でありますけれども、大臣として、今の予算、二十四年度並びに二十三年度からの繰越分があれば二十四年度中の事業は基本的に対応していける、こういうふうにお考えなのか、その辺を教えていただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 まずは、全体として急がなくちゃならないのは前年度からの繰越分と今年度分の予算をしっかり執行するということでございまして、その執行率を上げるということに今集中をしているということでございます。

加藤(勝)委員 財務省との関係もあるから、なかなかお答えいただけないんだろうと思いますけれども、しかし、復興大臣というのは、設置法上、いわば復興に関しては内閣の官房長官みたいな立場に位置づけているわけでありますから、そこはやはり積極的に、今、政局、いろいろこれからあります、それはそれとしながら、やはりきちんと実態を把握して、その機能をぜひ果たしていただきたいと思います。

 続いて、国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の窓口負担等の減免についてお伺いをしたいんですけれども、厚生労働省、きょうは副大臣においでいただいております。

 九月でやり方が少し変わりますよね。そうすると、九月までの適用対象、例えば国民健康保険でいえば、窓口負担が、九月まででいえば六百八団体だったものが、六十五団体と大幅に減るんですね。金額的にいえば一、二割減る程度だと思いますから、実際の利用数はその程度だと思います。

 従前の対応に戻っていくんだということでありますけれども、私がざっと計算しても、各適用できる団体、すなわち、今言った減免総額がそれぞれの負担、保険料等々ですかね、の総額の三%を超えるというたしか条件があったと思いますけれども、そういう団体全てが適用するとすると、やはり四、五十億の負担が地方自治体には加算されていく、こういうふうに思うんですけれども、これはやはり、十月一日からは今のまま実施し、そして対応分については基本的に各自治体が負担をする、こういう整理に変わりはない、こういうことですか。

辻副大臣 先生から御指摘いただきました問題につきましては、平成二十四年九月末までは、減免に要した費用の全額を国が財政支援するということでさせていただいてきたところであります。

 これは、阪神・淡路大震災のときには震災発生後一年間減免措置に対する特別の財政支援をしていたことから、今回の震災でも当初一年間の特別の財政支援を行うこととしていたところでございますけれども、被災状況を反映した被災後の所得が判明して、保険料や自己負担額が被災後の所得に応じたものになるまでということで、さらに半年間、特別の減免のための財政支援を延長させていただいたものでございます。

 二十四年十月以降につきましては、保険者の判断により窓口負担等の減免措置を行った場合に財政支援できる既存の国保等の仕組みを活用いたしまして、財政負担が著しい場合に十分の八以内の額を支援するということにさせていただいておりまして、御指摘のようなこれまでの方針で臨みたい、このように思っております。

加藤(勝)委員 所得把握ができれば、それに応じて負担が下がって、軽減というか、実際に合わせた負担になる等々ということでお話があったんだと思いますけれども、そこはぜひよく見ていただかなきゃいけないなというふうに思います。

 特に、基本的には、いずれにしても特別調整交付金の中でやらざるを得ないということでありますし、二十四年度は基本的にそうやってやってきているわけですよね。だから、そこはある意味では、そう決められたけれども、状況を見ながら違うやり方だって、今言った、執行上できないことではない、するかしないかの判断はもちろん別にある、こういうことだと思っております。

 それぞれの自治体の対応においては、平野大臣も、地方財政措置等、地方団体が財政的に厳しい状況にならないように配慮していく、実態を見ながら施策をすると。しかし、結果としてその地方自治体が財政的に困窮したのでは対応力が落ちてしまうわけでありますから、その辺はよく調整をしていただいて、これから、どこまで手を挙げていかれるのか、それからその自治体の状況がどうなっているのか、そこを見てしっかりと対応していただきたいと思います。

 実際、一月中旬から失業給付も終わっていますよね。質問するつもりはありませんけれども、それも六月二十二日までで約一万五千人の方が終了した対象である。しかし、失業給付が終了した時点では、一万人弱の方がいまだ就職できていないというのが実態なんですね。ですから、それも、やはり地域によってなかなか雇用情勢が厳しいというところがあるわけでありますから、そこはもう少し、通常と同じに戻ってきますよという理屈だけではなくて、やはりきめ細かい対応をぜひお願いしたいと思います。

 余り時間がなくなってまいりましたので、今予算の議論をさせていただきましたけれども、復興状況を把握するということで、復興庁のホームページを見ておりましたら、六月二十六日に、東日本大震災からの復興状況の把握手法等々について幾つか出ておりました。

 やはりこれから、個々のを見ていかなきゃいけないのと同時に、これはマクロ的なデータとミクロ的なデータを含めて、どのぐらい進捗していくのかということを、国自身も、もちろん地方公共団体も、そして被災地以外の国民の方々にもきちんと示していく、こういう努力が私は当然必要なんじゃないかと思っているんですけれども、まだ、こうした復興状況の把握手法をしました、こうですよというレベルで、こうなっていますねという、結論というか、今の復興状況はこうですよというところにはなっていないように見えたんですけれども、いつごろ国として、復興状況について、大体この分野はこうだ、この分野はこうだというような一つの目安というんでしょうか、状況の把握というのを示していくおつもりがありますか。具体的なスケジュールあるいは考えがあれば、お示しいただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 復興庁では、今、「復旧・復興の現状と課題」と称しまして、これに関する資料を取りまとめまして随時公表しております。これは、インフラ等の復旧状況、それから鉱工業や水産業等の生産状況などの復興の現状と課題を把握しまして、これを公表しているということであります。

 それから、あわせてこれから取り組まなくちゃならない課題としては、何といっても住宅の建設のスケジュールでございまして、これもできれば地区ごとにきちっとした工程表をつくってもらいまして、その進捗状況を的確に公表するということについても取り組んでいきたいというふうに思っております。

加藤(勝)委員 事業が進んだということと、効果がありますよね。それによって経済にどういう効果がある、雇用にどういう効果がある、そこがやはり大事なところで、事業だけやっても効果が上がらなかったらということにもなりますから、そこを含めた状況把握というんでしょうか、そういったものをぜひもう少し突っ込んで議論していただきながら、これは試行錯誤だと思うんですよ。一遍にいいものはできませんから、それはやはりいろいろやりながら、それが国民や被災地に対するコミュニケーションにもつながるし、自分たちがどう思っている、国が、復興庁が現状をどう把握しているかということを示していくというのは大変大事だと思いますので、ぜひもう一つ踏み込んでいただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

 例えば養殖施設一つとっても、三月十一日以前に比べてどのように復活したのか、その影響、その関連で水産の流通加工施設がどのように復活したのか、こういったこともできるだけわかりやすい形で把握して公表する、これはしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。

加藤(勝)委員 それと、さっきのミクロという整理の中になるのかもしれませんが、被災地の方々の気持ちや考え方がどうなっているか、こういう調査もされておられますよね。やはりこういうのも非常に大事な指標だと私は思います。

 その上で、復興庁はたしか二月にスタートした。本当は昨年の、もう一カ月以内にということをさんざん言ってきて、二月のスタートになっている。今、半年たったわけであります。スーパー官庁としてつくるよということで、私どももたしか答弁もさせていただいた記憶がありますが、大臣、今、半年、その長としてやってこられた状況を見て、どう評価されていますか。あるいは、もう少しこういうところはやはり強化していかなきゃいけないぞというところがあれば、率直に御答弁いただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 復旧復興は、津波、地震、それから福島の原発の被災地含めて、まだまだこれからであります。復興庁は復興庁で各省と連携しながら、あるいは被災自治体と、県と連携しながら一生懸命取り組んでまいりました。改善された点もありますが、まだまだという点もございます。抽象的な答弁で申しわけございません。

 一方、私は、福島に関しましては、正直言いまして、私が想定した以上の課題があるというふうに思っていますし、今の体制で本当に十分かという問題も今徐々に持ち始めております。国の責任ということもはっきり申し上げておりますし、国が前面に立って取り組まなくちゃならないということも申し上げております。

 そうした体制になっているかどうかということについては、今、事務方にもおろしまして、今の現状と課題ということを精査しております。いずれ、この問題についても、きちっと内部で詰めまして、必要な措置は、組織の拡充なりあるいは改善なりは取り組んでいかなければならないというふうに思っております。

加藤(勝)委員 率直なお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。

 ただ、いずれにしても、よく言われるように、時間との勝負でありますから、それぞれお考えがあれば、我々の方にもまた投げかけていただければ、しっかり我々自民党としても対応させていただきたいというふうに思います。

 そういう中で、今、人事異動の季節ですね。各省庁、人事異動が行われております。当初から、復興庁、特に復興局に行かれた方は、やはり三年から五年はしっかりその場で取り組んでいただきたいし、そうでなければ地域の方とのコミュニケーションもとれないんじゃないかということを指摘されていたと思います。

 大臣、これは多分人事権は大臣にあるんだと思いますが、大臣として、その辺の方針というのは堅持しているのか、あるいはお持ちになっておられるのか、御表明いただきたいと思います。

平野(達)国務大臣 その方針は堅持しているつもりであります。

 それからあと、復興局、特に現地の職員は、平日はほとんど事務所にいなくて現地を歩いているという状況もございまして、人事のこともさることながら、まずそういう、被災地を歩きながらしっかりと寄り添うということを徹底させているというつもりでございますし、職員もそれにしっかり応えていただいているというふうに理解しております。

加藤(勝)委員 ぜひ、やはり信頼関係というのが非常に大事なことだと思いますので、そうしたものを積み重ねていくと、今回、視察でもいろいろな御議論があり、また御指摘の中では、もう半年前、一年前と同じだと。多分、そういうことも確かにずっとあるのかもしれませんけれども、それをやはり解消していくためには、わかり合っている、わかってくれているというところがまず第一歩だろうと思います。

 そういった意味でも、本当に今の人数でそこまでやり切れるのかどうか、そこは、余り現場の方々が、とんでもない負荷がかかっているとすれば、それはやはり人数をふやして対応していかなければいい仕事もできないというふうに私は思っておりますので、ぜひそういう意味での大臣のリーダーシップも発揮していただきたいと思います。

 ただ、最初から申し上げているように、どうもやはり、私は個人的な意味で、もっと早く復興庁に出ていただきたかったし、特別会計も早くつくっておけば、予算費目も全部コード番号が入ってきますから、執行状況というのもそれなりに把握ができたのではないかと思いますし、また復興庁のあり方も、ある程度各省が縦割りで入ってきた後に横串のような形で入ってきているというところに難しさがあったんじゃないのかなということを、強く私どもも反省をしているわけであります。

 今、国会の方も大変波乱含みな状況でございます。何があるかわかりませんが、私どもが仮に与党にならせていただいたら、皆さん方の反省も踏まえながら、よりスーパー官庁たる復興庁がもっと前面に立って頑張っていけるように我々も取り組みたいということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 きょうは、御質問の時間をいただきまして、委員長初め、委員の皆様、本当にありがとうございます。

 今、自民党の青年局では、毎月十一日に被災地を訪問する事業をやっていまして、その現場を見て見聞きしたことをきょうはちょっと大臣にお伺いもしたいと思いますが、今、我が党の加藤委員とのやりとりを聞いていて、私もきょうちょっと質問をしたいなと思っていたことがちょうど最後の方に出たので、そこから質問を始めたいと思うんですが、復興庁のあり方です。

 二月の十日にできてから約半年、この半年間の間で、私は、恐らく大臣の中でも、率直に、当初の復興庁のあり方と、また今の求められている役割と大分変わってきているんじゃないかなと思うんです。

 私も被災地の現地を歩いていて感じることは、やはり復興庁というスーパー官庁みたいな、ワンストップみたいなものができたことで、多くの方々のイメージは、何でもかんでも復興庁ですよ。とにかく復興庁が動けば、復興庁がやってくれれば、そういう思いも強いです。

 ただ、実際に見ていると、大分、今の被災地の状況は、県とまたその県内の市町村との協議や調整、こういったところに委ねられている部分が多々出てきていると思います。

 ただ、その中で、今大臣が実際この復興庁の役割について、福島については想定以上の課題があると痛感をして、これから体制も含めてどういう復興庁にしていくべきかは今ちょっといろいろ協議を、また中で検討している、そういうお話がありました。そこら辺をもう少し具体的に伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 まず、福島の話に入る前に若干ちょっと補足をさせていただきたいんですけれども、津波、地震につきましての復興の主体は地域である、大変だけれども、被災自治体がまず中心になって取り組まなくちゃならないということはずっと被災直後から申し上げてきましたし、その姿勢で今も臨んでいるということは御理解をいただきたいと思います。

 他方、福島につきましては、経験したことのないことが起こっているということもございます。それから、問題のスケールがちょっと次元が違います。

 被災自治体も、正直言って、当初は、何をすればいいかということで、本当にそれすらわからないという状況の中で、まずは避難者に対する支援をするということで取り組んできましたけれども、これから、除染それから帰還、こういったものを進めていくに当たって、除染一つをとってみても技術的にまだまだ未解決の部分がたくさんあります。

 それからあと、十六万人の方々が避難されていますが、うち六万人が県外に出ております。一旦、中には強制的に避難をされた方もございますが、その避難された方々に戻っていただくということについても、これは大げさに言えば世界でも初めての取り組みになるかと思います。

 その中で、地方自治法との絡みがどうなってくるのか、個人レベルで見たときにどういう支援をしなくちゃならないのか、それから、住宅はどのように確保するか、そこに賠償の問題が絡んできますと制度がより複雑になってまいります。こういったことについて今鋭意詰めておりますが、この中で、国の責任ということをしっかり出していかなくちゃならないということを私ども明言しておりますので、それなりの対応をするためにはそれなりの体制も必要だということで、今そのことについての詰めをやっているということでございます。

小泉(進)委員 要は、福島については特に人が足りない、そういう捉え方ですか。

平野(達)国務大臣 人が足りないという以前に、何を詰めなくちゃならないかということをもう一度今精査するということでございますので、結果として、体制の強化が必要だということにつながっていくと思いますが、それはそれでまた整理をするということになると思います。

小泉(進)委員 今、この福島の問題に当たっている復興庁、復興局の方々が何人ぐらいで、それをどれぐらいふやすようなイメージで考えているんですか。

平野(達)国務大臣 人数についての、きょうの段階では何名ということはちょっとまだ言える段階ではないということで、御容赦を願いたいと思います。

小泉(進)委員 今の状況は、足りないという認識だということはよくわかりました。あと、これからどういう体制をつくっていくか、これをしっかりと見ていきたいと思います。

 きょうは、その福島の産業復興企業立地補助金の問題についてちょっと時間を割きたいんです。

 最近のニュースの中でも、復興予算の執行状況は、なかなか用意した予算が使われない部分があって、六兆円とか言われます。その中でも一兆円は実際余ったとか、そういった報道もあります。一方で、福島が特に求めるこういった補助金の状況というのは足りない。

 だから、これは一見して、恐らく福島の方がわからないなと思っていると思うのは、何で、一方で余ったという報道が出て、こっちは足りないと言うのに出してくれないんだろう、これは単純な思いだと思うんですよね。

 そこで、大臣にお伺いしたいのは、これは経産省かもしれませんが、とりあえず、まず、現在の状況についてちょっと御説明をいただきたいと思います。

柳澤副大臣 お答えさせていただきます。

 昨年の三次補正で一千七百億の予算を組みました。そのうち一千六百億が立地補助金で、百億が企業団地等の利子補給ということで設定をしまして、一月から三月までに一次募集を行いました。

 それが、言い方がちょっとおかしいかもしれませんが、多くの企業の皆さんから要望がありまして、二百九十九件、補助申請額で二千六百五十億の申請が上がりました。一千六百億に対して、一千億以上募集が来る。

 これは、一義的に県が全部精査をしていただいて、県の方で精査をして、五月に百六十七件まで選定をしていただきました。その金額が一千七百四十億。

 ところが、実は私、去年の九月から原子力災害現地対策本部長として警戒区域及び避難区域をずっと歩いてきまして、この地域の皆さんはとても申請には間に合っていませんでした。ですから、そこからぜひその分を、県の方にお願いして、特に十億以上の大企業に関しては二割カットをしていただいて、二次募集用の予算を確保してほしいという強い要請を出させてもらいました。六月から七月にかけて二次募集を行いまして、警戒区域を初め避難区域から二十一件、百八十二億の申請が上がりました。

 今、その両方を合わせて県の方に一つ一つ精査をしていただく取り組みをしているというのが現状でございます。

小泉(進)委員 副大臣の御答弁は、要はお金が足りなくなって、今は、申しわけないけれども大企業とかについては補助率のカットを要請しているということですが、この補助率を当初の予定よりも引き下げることをお願いしている理由は、お金が足りないから、これでいいですか。

柳澤副大臣 現在は、一千七百億の予算の枠の中で、一つ一つの申請の企業を、本当に雇用に役立つ、あるいはこの後も雇用の拡大につながるということで精査をさせていただいているというのが現状でございます。それが決まらないと、その後の議論にはなかなかつながらないだろうというふうに思っております。

小泉(進)委員 今の御答弁だと、別にお金が足りないわけじゃない、それを精査するんだみたいな感じですけれども、予算は十分あるけれども、今後の積み増しも考えているけれども、この千七百億円ぐらいをしっかり使うために、もう少しお願いをしているということなんですか。

 私は、これは単純に言ったら、いや、このままの状況でいくとお金が足りないから、最初四分の三、三分の二、こう言っちゃったけれども、まさかこんなに来るとは思わなかったからちょっと泡食った、率直なところそういう感じだと思うんですが、副大臣、そうじゃないですか。

柳澤副大臣 現在は、宮城、栃木、茨城、近県は百四十億という立地補助金なんです。その中で、福島の場合には、五年間にわたって千七百億を有効に活用するということで組まれた予算でございます。

 そのスタートが、非常に多くの要望が出た。とすれば、それをもう一回きちんと、これは国民の大事な税金を使わせてもらうことですから、一つ一つ、本当に被災地にとって、雇用が拡大をしていく、その中で、予算の枠が一千七百億になっていますから、大企業等、あるいは福利厚生施設の要望等、細かいところを今きちんと精査をさせていただいているというのが現状でございます。

小泉(進)委員 副大臣はちょっと、お金がないということを言わないような答弁資料を持っているのかもしれませんけれども、私、ここに来て必要なのは率直な姿勢だと思いますよ。恐らく国側も、制度をつくる段階で、まさかここまで来ると思わなかったんでしょう。県側だってそういう部分もあるかもしれません。

 ですから、そこは率直に、当初の見通しが甘かった、まさかいきなりこんなにぼんと来ると思わなかった、それを受けてちょっとしっかりともう一度考えなきゃいけない、そういう率直な答弁がこれからの信頼の一歩じゃないですか。

 副大臣、もう一度、いかがですか。

柳澤副大臣 小泉委員が言われていることはよくわかります。ですけれども、まず第一歩として、その予算がきちんと精査をして、きちんとなった上でどうするかという議論に関しては、これは復興庁も含めて、関係省庁も含めて、今後の検討課題だというふうに思っております。

平野(達)国務大臣 この復興基金の創設に最初からかかわった者として申し上げますと、これは副大臣からも御答弁がございましたけれども、三年で募集をして五年で使うという当初の想定でした。ですから、そういった意味では、一年目に予算の規模を上回るものが出てきたということは、当初想定していなかったのは事実であります。

 一方で、だからといって今回の見直しをやっているかというと、それだけではありません。この立地補助金というのはほかの補助金と違っていまして、とりあえず、補助率については何分の一以内、普通の補助金は何分の一以内と聞くと上限補助率になりますが、この立地補助金というのは企業が相手でありますから、いろいろな収支をやる中で、これだけの立地補助金をしなくても企業全体としてやっていけるというものがあれば、補助率を下げるということについての調整は従来からやっているというふうに聞いております。今やっているのはその中の一環の作業だというふうに理解を私はしております。

小泉(進)委員 そういう理解だと、恐らく県側との溝というのはやはりまだ残るんじゃないですか。

 きのうも、実は県の関係者にお話を聞いたんですが、先ほどから副大臣もそして大臣も言っていますけれども、この千七百億円は五年間だと。きょうの質問の前にも、参議院の委員会、また衆議院の委員会でも、この五年間を言ったか言わないか、こういう議論がありますが、私が聞いている限り、五年間だと聞いていないと思っていますよ。(平野(達)国務大臣「それはないですね」と呼ぶ)それがないと言うんですか。そこら辺の思いを言ってください。

平野(達)国務大臣 これは、私の理解では、県と何回も調整してやっていますから。この三年、五年ということで、大体この規模で三年間で出てくるだろうということでの、私どもと県との腹合わせはそんな感じだったというふうに私は理解しております。

小泉(進)委員 大臣がそう言うのが仮にそうだとしたら、恐らく県として考えるのは、この千六百億円をどうやって五年間で使うかという年次計画とかを立てると思いませんか。そういうのを立てないで、千六百億円。

 こういった状況を見ていても、本当にこの制度をつくるに当たっての国と地方の、福島県との協議の中で、これは五年間ですよ、この五年間のスパンの中で計画的に使い方を考えてください、こういった腹合わせができていなかったんじゃないですか。

平野(達)国務大臣 いずれ、その一千七百億ですか、それを積んだ段階では、三年間でこれで十分だろう、そういう前提でやったということでございます。

小泉(進)委員 いや、今の答弁を聞いていても、県とのコミュニケーションがとても十分だとは思えません。やはりそこら辺のギャップというんですか、これがいろいろなところで見えているんじゃないですか。

 特に、平野大臣が尽力をしているこの野田政権、就任の記者会見で、福島の再生なくして日本の再生なしと、ここまでぶち上げておいて、これは福島のためにやってくれるだろうという期待を上げたがゆえに、その後のことを見ていると、恐らく失望の連続だと思うんですよ。

 ちょっと話がずれますけれども、私は、これは福島県との信頼関係を築く上で、野田政権の致命的な一つのきっかけになったなと思うのが十二月の収束宣言ですよ。これは、対外的には、国際的にはいろいろな意図があったんでしょう。福島はもう大丈夫ですよ、日本は大丈夫です、元気ですよと、いろいろなことを言いたかった、メッセージを発信したかった、そういった思いもあったのかもしれませんが、野田総理や大臣が福島に行って収束宣言を言えますか。言えますか。

平野(達)国務大臣 事故の収束ということについては、冷温停止状態の達成をもって事故の収束ということで定義をしております。

 他方、いわゆる事故収束という言葉から受け取るイメージと、冷温停止状態ということをもって事故収束と定義したことに対して、ちょっと言葉の違和感を覚えるという御指摘はあちこちから受けていることは事実でございます。

 ただ、政府としては、あの段階では、一定の区切りということ、それから、あのとき何としても冷温停止状態を達成しなくちゃならないということで、現場はもう命がけで作業をやっていたということもございまして、冷温停止状態を達成したことをもって事故収束という言葉を使ったということであります。

小泉(進)委員 こういったことも含めて、私は、もう信頼の前提がないんですから、この企業立地補助金についても、私は国と県のコミュニケーション不足というのは否めないと思っています。その中で、やはりお互いにとって、率直に、こんな事態だとは思わなかったんだ、そういった率直に認めることから始めて、これ、五年間と言ったか言わないかとか、こんな議論をしたって余り建設的じゃないですからね。その後に、では、どうやってお互いが納得できる制度に仕上げていくか、それがこれからの鍵だと思います。

 今回の第一次で認定をされた、採択をされた企業、その中でも県内企業と県外企業、両方ありますけれども、これ、県外企業は今どれぐらいですか。

照井政府参考人 御質問にお答えいたします。

 第一次募集で指定されました百六十七件のうち、県内企業が百五十八件、県外企業が九件ということになっております。

小泉(進)委員 県外企業が一割もいかない九件、これを、副大臣、どう見ていますか。

柳澤副大臣 どう見るかということですけれども、やはり県内の企業ができるだけ地元のためになりたいという思いが非常に強かったというふうに私は捉えています。

小泉(進)委員 今この福島の企業立地補助金の議論の中で出てきているのは、被災地全体の、近隣県とのバランスという議論ですよね。近隣県とのバランスということを含めて、今の質問、ちょっとしたんですけれども、例えば、九件という県外企業だけじゃなくて、もっと仮に多くて、県外からももうばんばん福島に進出をしてきていてという状況の中だと、私、近隣県とのバランスというのは、よりそういう部分もあるかなと、説得力を生むだろうとは思うんですが、今回、百五十八件は県内からの新たな投資だったりですよね。

 そうすると、もともと福島県の企業が福島県でもう一度立ち上がろう、もう一度やってみようという思いですから、近隣県とのバランスという部分を今回の企業立地補助金の積み増しとか増額を慎重になっている論理の一つとして使うことは、私は余りよくないことだと思うんです。

 副大臣、どう認識していますか。

柳澤副大臣 実は、私も現地本部へ入っていまして、基本的には、警戒区域とかあるいは避難区域、特に今警戒区域の見直しをしておりますけれども、その辺を中心に優先順位をつけると動いていただこうという思いだったわけです。だけれども、あの状況ですから、なかなか申請が上がってこないだろう、恐らくそれが、申請が少なくて、二次募集、三次募集がかけられるだろうというふうに思っている中で、実は、福島と話してきたのが、一年目に、警戒区域は四分の三以内、それからその他県内地域が三分の二以内、二年目は、警戒区域が三分の二以内、その他県内地域が二分の一以内というふうに、二年目に補助が減る、そのこともあって、非常に一年目のところに県内も含めて集中したんだろう。

 ですから、県の方にもお願いをして、もう一度その内容を厳正に審査をしていただきたいというふうに動くと同時に、警戒区域のところを中心に二次募集をするということをあわせて、強く県の方に私の方からもお願いをして、今その審査に入っているという状況でございます。

小泉(進)委員 さっきから平野復興大臣、経産副大臣、もう当たり前のように補助率引き下げの話をしていますけれども、それは制度をつくる中でもともと県と協議していたんですか。仮にこういう事態が起きた場合、補助率は下げますよ、そういうこともやっていましたよ、これは協議していたんですか。

照井政府参考人 企業立地補助金を創設するに当たりましては、福島県と昨年の八月から、福島県の要望を受けまして、制度設計に緊密な打ち合わせを繰り返してきたところでございます。

 その中で、五年度間ということで、計画的に管理運営をしていく、補助率についても三分の二以内という形でまとめたところでございます。

小泉(進)委員 そういう答弁だと何も得られないんですけれども。

 三分の二以内だと説明したというのは、もっと掘り下げて説明していただきたいんですが、三分の二以内だから、これは場合によっては三分の二じゃないこともありますよと言いましたか。

照井政府参考人 具体的に、私はそのときに担当ではございませんでしたので、そういう会話をしたことはございませんが、ほかの全国立地補助金につきましては、三分の一以内となっている補助率につきまして、六分の一に下げるというような運用は行っているところでございます。

小泉(進)委員 それは、ほかのところではそういうケースがあるから説明をあえてしなかったということでいいですか。

照井政府参考人 全国立地補助金につきましては、中小企業におきましても補助率を下げるという運用はしているところでございます。

小泉(進)委員 谷先生も今横からボールを投げてくれましたけれども、福島というのは有事の中の有事ですよね。だからこそ、このふくしま産業復興企業立地補助金という、全国の企業を支援するような補助金とは別枠で制度をつくっているんじゃないですか。

 だとしたら、この補助金は、ほかの補助金との扱いはこう違って、具体的に一つ一つ説明をするというのは当たり前のことじゃないですか。今の答弁を聞いていると、そこは説明していないから、今こういう引き下げの議論が出たときに、採択をされた企業、また福島県から反発が来るんじゃないですか。

平野(達)国務大臣 先ほどの三年、五年も含めて、今回の補助率の問題についても、言った言わないという議論というのは、今の段階では余り建設的ではないというふうに思います。

 大事なことは、県庁というよりは各自治体の首長さん、市長さん、町長さんから、私はこういう条件で企業を募集したということで、その条件の中に、三分の二以内ということが、以内まで言ったかどうかわかりません、ただ、補助率ということについての数字は言っています。企業はその段階で、その数字を、例えば以内となれば大体上限でとっているということがありまして、そのことを今各首長さんが責められています、言っていることと違うじゃないかと。そのことも踏まえた上で、今各企業の方と中小企業庁が個別に交渉しているんだということはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 いずれにせよ、せっかく手を挙げていただいた企業でありますから、何としてもその計画に沿った形での投資はやっていただきたいというふうに思っていますし、その原則を崩さない、その考え方を崩さない、崩れない、そのことを前提としてやっているということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

 ちなみに、基本方針の中では、企業立地補助金の増額については、協議という言葉にさせていただきました。これは、かた苦しい言葉で申しわけございませんけれども、国と県は、当然のことながら、当たり前のことなんですけれども、対等の立場に立ってこの増額については協議をしていくということを言ったわけでございまして、今その基本方針に沿って、これから県と協議を進めていきたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 今大臣の答弁も、私は、そういうところがやはり心が通わない、伝わらない部分だと思うんです。それは何分の何以内といったら、そこを期待しちゃうだろうけれども。それは期待しますよ。それは期待します。国会や永田町で出回っているような法案に関する資料とか、普通、読めませんしね。また、新聞だってこのとおりの文言で載せませんよ、読んだってわからないし、わかりにくいから。

 となると、三分の二とか四分の三とか書いたときに、これはどうやって受けとめをされるだろうな、そこも含めた説明をしないと、書いたからこうですというのは私は違うと思いますよ。

 もう既に採択をされた企業の中には、もう土地を買っちゃったから今さら引き下げられたらたまらないとか、そういった声もあるそうですよ。そういうところとか、投資計画を立てているところとか、影響は大きかったでしょう。そういうところに対する丁寧な説明が私はこれから求められると思いますし、何よりも明確にした方がいいのは、足りなければ足しますよと。

 今協議という、まさにこれも霞が関の言葉だと思いますけれども、協議とか調整とか、その文字にいろいろな意味が込められていて、普通の人はなかなか理解をそこまでしないけれども、文言として落とし込まれると、そこは多くの意味が生まれる、そういう意味がある。

 だから、私はわかりやすく、足りなければ足すという前提で協議をする、そういうふうに言えばいいじゃないですか。大臣、いかがですか。

平野(達)国務大臣 委員の御趣旨はわかります。わかりますけれども、先ほど他県とのバランスについて、ちょっと委員から触れられました。

 他県で今どういうことが起こっているか。例えば山形県は、私どもの努力不足がありますが、観光等々に風評被害が物すごく大きいです。それから、秋田県も含めて、今復興需要が太平洋側に起きていますから、建設重機も向こうに持っていく。労働者も行く。そういう中で、地元では建設労働者が足りなくなると同時に、資材価格も上がっているというような話もあります。

 そういった中で、立地補助金についてはどこの県でも欲しいです。福島県は特殊です。そのことは私どもは十分理解しなければなりません。そういった中での全体の状況も見ながら、私どもは今いろいろ考えているということも御理解をいただきたいと思います。少なくとも、福島県の特殊事情、今回の経緯からの、さまざまな企業の募集に当たって、各自治体の首長さんが一生懸命やりましたから、そのことも十分理解しているというつもりでございます。

小泉(進)委員 やはり増額や積み増しというのはどうしても言えない一線なんだな、そういうことがきょうの三十分でよくわかりました。

 民主党政権が、予算がない、お金がないという言葉に、私はすごい抵抗感があるんですよ。無駄を省けば幾らでも金はあると言って政権をとった政権が、現場でこうなったときに、済みませんけれども予算がないんです、持ってくるところがないんです、こうぬけぬけと言うところが、私はすとんと来ない。何を今さら言っているんだという思いが強いんです。

 どうか、そういったことがある上で、信頼を築かなきゃいけない。しかも、福島県という大きな課題を持っている県との関係のあり方、信頼の回復に一歩一歩努めていただきたいと思いますので、先ほど言った復興庁のあり方を含め、改善できるところは常に改善を求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。

 きょうも質問の機会をありがとうございます。

 通告をさせていただいた順番を少し変えさせていただきまして、まず冒頭、防潮堤の復旧整備に関する行政の縦割りについて少し質問をさせていただきたいと思います。

 実は防潮堤、今回の津波、震災を含めて、私ども地域住民は、防潮堤で暮らしを守ってもらうということはどうしても大切なことになります。ですから、今防潮堤をどの高さにどこにつくるかということを住民に説明する住民説明会が地域でそれぞれ行われています。

 その中で、実は住民が大変混乱することがあります。例えば、この防潮堤、住民から見たら全て同じ防潮堤でありますが、その所轄する場所によって事業主体がそれぞれ違ってくる。

 例えば、これは実際にあった例ですが、気仙沼市の階上地区というところ、ここは四・八キロの海岸、ここの管轄が、気仙沼市、宮城県の土木、宮城県の漁港、そして宮城県の農林、この四つの機関がそれぞれ担当するということで、実はばらばらにそれぞれ住民説明会を行っています。

 ですから、住民にしたら、こっちから見える左側のところは県の土木で、そしてその真ん中のところは気仙沼市で、右側の方は農林で、左側の方は漁港だ。一つの防潮堤なのに、四つの機関がそれぞれ説明会を行う。もうわけがわからない。そして、ここの高さをこうしてほしい、ここの場所はもう少しこうしてほしいというお願いをするときに、相談に行っても、これは漁港ですね、これは土木ですね、これは国かもしれない、これは気仙沼市ですね、もうわけがわからない。こんな大混乱が実は現地で起きています。

 防潮堤一つとっても、窓口は一つじゃないんですよ。四つの機関がある。こういう縦割りを直していただいて、防潮堤は全部同じものですよ。高さも恐らく同じ地域になるんでしょう、一つのエリアであれば。そこはぜひ縦割りを排除してやっていただきたい、そう思っています。

 それからもう一つ。同じく防潮堤自身の構造にもあります。被災地の皆さん、例えば横浜国大名誉教授の宮脇昭先生が言う森の防潮堤、できればコンクリートではなくて森が、森林が防潮堤の役割を果たしていただきたい、こういう提案をする方もよくいらっしゃいます。

 では、これを実際実現できるかと聞くと、海岸のところはどうしても防潮堤をつくらなきゃいけないから、これはどちらかというと土木とか、あるいは国でいえば国土交通が技術指導を含めた対応をしますね。ところが、そこから後ろの防潮林、防災林については、これは林野庁とか県の農林関係が担当しますね。

 一つの防潮堤にしても、実は、コンクリートでつくる場合と土でつくる場合と森でつくる場合と、それぞれ役所がみんなまたまた違う。こういう防潮堤一つとっても、地域でも役所がばらばら、つくるやり方に関しても、各省庁がまだなかなか連携がとれていない。

 ぜひこういうものを一つにしていただいて、窓口一つで、防潮堤はここに相談に行けばできますよ、そして、防潮堤のつくり方にしても、住民の方が安心、安全な、あるいは地域の環境にしっかり適応した防潮堤、防災林、これをつくっていただきたいという、ワンストップで考えていただく、そういう仕組みにしていただきたいと思いますが、復興を担当されます平野大臣に、このような縦割り行政の弊害というのをどのように克服されるか、お話を伺いたいと思います。

平野(達)国務大臣 まず、防潮堤でありますか、いわゆる海岸堤防でありますが、委員の御指摘のように、今、四部局が、堤防の背後地に何があるかによって担当を分けまして海岸の整備、管理を行っているということであります。

 現地に行きますと、高さは当然のことながら一つの考え方でやりますが、同じ高さなんですが、所管によって構造がちょっと違う、これは私から見てもちょっとどうかなということもあります。これは古い海岸堤防なのでありますが。

 今回は、各部局が、今回の被災を踏まえた上での構造それから高さ、こういったものについては共同して検討しまして、その方針に沿ってやっていると思います。

 あわせて、現地の対応につきましても、できるだけ地権者の方々あるいは地元の方々の混乱を招かないような仕組みについては、委員の御指摘も踏まえまして、しっかり検討させ、対応させるように指導していきたいというふうに思っております。

 それから二点目でありますけれども、いわゆる防潮堤と防潮林の話であります。

 ちょっと長くなるかもしれませんけれども、今回、防潮堤が随分倒れました。あれがもし倒れないとしますと、例えば、十メートルの津波が来たときに、第一波で倒れたとする。第二波でまた十メートルの津波が来ますと、理屈上は十メートルの水がそのまま奥地に入ってしまいます。もしあれが倒れないで、それが高さが七メートルだとしますと、第二波は三メートルの波しかありません。そうしますと、新潟あるいは宮城のように後背地が広い平地では、堤防がもしあのまま立っていたとすれば、もっと浸水の量が少ないですから、被害が少なかったと思います。三陸は陸と山の距離が短いですからそういう効果はちょっと少なくなりますけれども、少なくとも平野部ではそういうことが言えると思います。

 今、堤防は堤防、防潮林は防潮林ということで分けて施工をやっておりますけれども、これを仮に、一種のスーパー堤防とは言いませんけれども、前面はどうしてもコンクリートでやる必要がありますけれども、それを全体として、背後地を土を盛ってずっと防潮林にしていくということがもしできれば、これは構造上もかなり堅固なものになりますし、環境との共生にとってもいい点が出てくると思います。

 問題は土量がふえるということでございまして、この点につきましては、この点も含めて一体としてやるというようなことがいいんじゃないかということで、林野庁と国交省さんの方にその検討を今求めているところでありまして、構造上もこちらの方がメリットが多いので、今せっかくの委員の御指摘もございましたので、ぜひともその方向で進めるように、さらに強く後押ししていきたいというふうに思っております。

小野寺委員 ありがとうございます。

 防潮堤の相談、これは今後住民の方の非常に高い関心事になりますから、窓口一つで対応できるような、そのための地域の復興庁、復興事務所の役割をぜひ果たしていただきたいと思います。

 また、今大臣おっしゃったように、私は多分こういうことかなと。ハイブリッド型というんでしょうか、海から見ると、海岸のところは当然コンクリートで堅牢なものをつくっていく。両面張りでつくることも必要ですが、ただ、そこから、なだらかな形で土を、内陸部から見たら、土がコンクリートを覆うような形でなだらかに傾斜していく。そこに広葉樹が植えられていく。ですから、越流しても、広葉樹でしっかり第二波、第三波の減災ができる。こういうハイブリッド型、平野方式という名前をつけていただいてもいいですので、新しいこういうやり方をぜひ検討していただきたい、そのように思っております。

 さて、二点目ですが、実は八月二日の農林水産委員会で質問させていただいたことがございます。

 今、地域の復興のために、国としては、例えば農林水産業のいろいろな補助金をつけていただいたり、あるいは経産省中企庁が今回はグループ化補助金をつけていただきました。これは実は、明許繰り越しということで一年しか繰り越しができない。

 被災地に行きますと、先週も私、くわ入れをしたんですが、ようやくかさ上げ工事が始まりました。完成は来年の秋ということになります。そうすると、かさ上げして、ようやくかさ上げした土地ができたので、さて工場をつくろうかと思ったときには、二十三年度の補正予算で一番つけていただいた水産加工とか冷蔵庫のグループ補助金は、もう既に二年たってしまっている。

 前回、五十嵐副大臣がいらしていますが、そこでお伺いしたときに、幾ら何でも、国の事業がおくれてかさ上げができない中で、二年たったから、一回交付内示したお金、補助金を取り上げる、返してください、これは余りにむごいんじゃないかというお話をさせていただきました。ぜひ検討していただきたいということをお話ししましたが、その後の検討状況はいかがでしょうか。

五十嵐副大臣 前回もお答えしましたけれども、会計年度は単年度主義で、かつその年度内に独立して使っていただくという原則のもとにやっていて、その例外が繰越明許なわけでございますけれども、これをさらにというのは、そこにまた縛りがあって、御存じのとおりですけれども、その後、大災害等のものが起きたときにはもう一年繰り越せるという仕組みになっておりますが、これを外してしまいますと、多年度の予算を先取りしてとろうという事業が出てきたり、あるいはさまざまな裁量権が官僚の方に行ってしまったり、いろいろな弊害もございますので、この原則を破ることはなかなか難しいというふうに思います。

 ただし、先生おっしゃるとおり、地元の、国のお金を使いたい、グループ化補助金を使いたいという皆様方が実際に事業ができることが大切ですから、そのためには、いろいろなやり方で事業費を確保する方法があるだろう。

 先ほども実は質問がありまして、平野復興大臣も、そのかさ上げをした部分が全部できなければ次に移らないということではなくて、その部分を、一定の部分を先にやってやるというような工夫もあるのではないかという御答弁をされていたかと思いますけれども、いろいろな方法があると思います。

 要求官庁、調整官庁と相談をしながら、財務省としても、その相談の中でいろいろ検討をしていきたい。実質的に手元にお金が行くように、困らないようにしていただくという方法はあるというふうに御答弁させていただいた次第でございます。

小野寺委員 今のお話ですと、二年の繰り越しはできないから繰り越しできないけれども、とにかく年度内に間に合うように頑張れ、そういうお話だと思うんですが、実際、今月からかさ上げ工事が始まって、早くて来年の秋なんですよ。どうやって、空中に工場を建てろというんですか。じゃないと、このグループ補助金は返せと言っているんですよ。今のお話を聞くと、前回と何も変わらない。

 私、そういうお答えが出たら、申しわけないですけれども、こういうことを指摘させていただきます。

 今回、東日本の復興特別会計、これは財務省が査定しましたよね。この予算の中に、私、ホームページに出ていますから、見て驚きましたよ、何で、武器の購入費二十三億円、弾薬の購入費三億円。これは復興予算ですよ。ほかにもありますよ。官庁の修繕費三十六億、うち十二億は、内閣府が入る霞が関合同第四庁舎ですよ。石巻市は一階が水没したのに、ここに出たお金は二千九百万ですよ。直らないんですよ、石巻市役所は。自分たちのところだけざっくり直して。あるいは北海道と沖縄、必要だと思います、ですが、どうしてここの道路予算に七十八億と二十二億がこの復興予算から使われるんですか。

 何でこんなところにお金を使っておいて、今回、ようやく復興しようと思って、みんな希望を心にともしているこのグループ補助金を含めて、これが国のおくれでかさ上げできないからといって、今度国がそのお金を吸い上げる。こんな血も涙もない財務省、おかしいと思いますよ。こんなことは言いたくない。それはいろいろあるんでしょう、理由は。だけれども、私たち被災地の心にしたら、申しわけないけれども、武器や弾薬を買う復興のお金があるんだったら、被災地の人に出してほしい。そのために私たちは消費税の議論も頑張ってやっているわけじゃないですか。

 昔、野田総理はシロアリというお話をされましたよね。復興にシロアリがたかるようなことは絶対あっちゃいけない。同じ気持ちだと思います。

 改めて副大臣にお話をさせていただきます。もう一度答弁をしていただきたいと思います。知恵を出してください。何とかこの被災地の皆さんが、かさ上げが遅いのは、これは国の事業がおくれたからなんですよ。国の都合でおくれたのに、それでもって予算が使えないから、このグループ補助金初め補助金は取り上げる、こんなむごいことはさせない。政治家として、ぜひもう一度答弁をいただきたいと思います。

五十嵐副大臣 取り上げるというのは結果の話だと思いますが、ですから、結果として取り上げないような方法を要求官庁や調整官庁、復興庁等と相談をしてやらせていただきたいというお話でございますので、取り上げるという言い方は御勘弁をいただきたいということ。

 それから、石巻のお話が出ましたから、例示的でございますけれども、これはやはり本庁舎は事情があって、これは仮の応急復旧措置として当面の修繕を行うということで八千九百万円を活用してやらせていただく。(小野寺委員「二千九百万でしょう」と呼ぶ)いや、八千九百万円を、これは記事の間違いでございます。ということがありまして、それぞれ理由があって、大変厳しい規制に基づいて、それをクリアしたものだけを計上させていただいているということでございます。無駄遣いをしているということには当たらないと思っております。

小野寺委員 霞が関にある国の第四庁舎の修繕費が十二億円ということになっている中で、今、八千数百万円と言いますが、一番市民の方が毎日足しげく、石巻市役所の予算がこの予算。これは、普通は被災地に寄り添うという気持ちではないんじゃないか。

 私はあえてこのことを言わせていただくのは、実は、財務省が相変わらず財政法を盾にとって、今、副大臣はおっしゃいました、取り上げるということじゃないと。だけれども、一回交付を内示したお金が、これは出せませんということで、なくなるのは、これは取り上げるということじゃないですか。そういう、言葉じゃないんですよ、私はやはり心の問題で、しっかり被災地のために働いていただきたい、そう思っております。

 さて、きょう経産省もおいでいただいております。今せっかく副大臣がおっしゃいましたグループ補助金、これは大変皆さん期待をしております。

 一つは、執行が、これは本人の自己都合ではなくて、国のかさ上げができない、こういうようなやむを得ない都合の場合、これにはしっかり対応するということ。そして、まだまだグループ補助金の要望は強いです。この補正なり、もしかしたら来年度予算、こういう中で、このことは経産省としてしっかり要求していく、その姿勢をお伺いしたいと思います。

柳澤副大臣 委員御指摘のとおり、このグループ補助金は非常に効果を上げておりまして、実は私は、福島だけではなくて、土曜日の日に陸前高田に入って、野菜工場それからグループ補助金の水産加工の企業も訪ねて、そこにこれから十三の企業も集まってくるという、それから気仙沼も回らせてもらいました。

 福島も大変ですが、岩手、宮城の津波のところの復興というのは非常に大変なことで、それにはグループ補助金というのは非常に大きな効果を上げるというのは痛感をいたしております。

 ただ、ことし五百億の予算、今、五次募集で精査をしておりますが、もう一度、経産省としても、一つ一つの補助金、いわゆるグループ補助金がどういう状況になっているかというのはまたきちんと確認をさせてもらいたいと思いますし、経産省としては、復興庁、関係省庁とも協力をさせていただいて、今後も補正なり予算の中にグループ補助金はできるだけ確保していかなければいけないというふうに私は考えております。

小野寺委員 ぜひお願いしたいと思います。

 また、大臣、ぜひこの後押しをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 中小企業グループ化補助金については、まだまだニーズがございます。これについてはしっかり対応していくということで臨みたいと思います。

 それから一点、先ほど、かさ上げの話でありますが、かさ上げについては、これは市町村が今実施主体になってやっておるんですが、その地区につきましては、当該企業の部分の切り離しができないかどうかということについては、ちょっと詰めさせたいと思います。これは、施工上とか発注上問題があって、全体の地域を通じて一体にやらなければならないということであればやむなしということになりますが、もしそういうことができるのであれば、その部分だけ先行するということも不可能でないはずでありますから、そこは詰めさせたいと思います。

 その上で、どうしてもこれができないということになると、今の制度の段階では、これはやはり、今は申しわけありませんが、繰り越しは一回だけということでございますから、一旦不用で出していただいて、その次の予算については、これは復興庁は必ずその企業については予算をつけるということで臨んでいきたいと思いますので、このことは明確に申し上げさせていただきたいというふうに思います。

小野寺委員 ぜひしっかり予算をつけていただくこと。

 そして、実は今、先ほどの質問でもありましたが、資材がどんどん高騰しております。時間がたてばたつほど、逆に言えば、今までであれば三億で復旧できたところが三億三千万になったり五千万になったり、そういうことになりますので、おくれればおくれるほど、逆に企業の再開、コストもかかりますし、あるいは、もう一定期間、水産加工物が商品の棚から消えています。再びそこに入れ直すというのは大変な努力がありますので、なるべく早い対応をお願いしたいと思います。

 さて、国土交通省にお伺いをしたいと思います。

 実は、お手元にちょっと資料を配らせていただきました。これは、気仙沼の三陸新報という地元紙です。七月二日、一面、表題は「三陸縦貫道 気仙沼湾を渡る」ということで、十年で全線開通という形で資料が出ております。

 先般、安住財務大臣が気仙沼に来られまして、五年でやると力強い話を言っていただきました。ですから、多くの市民は、当然、当時の大畠国交大臣が記者会見をし、そして安住大臣が先般も気仙沼に来て、五年でやると明言をしていただく、こういうお話になっています。当然これは進むんだろう、きょうはそのことを一つ確認させていただきたい。

 それから、二ページ目をごらんください。

 同じく三陸新報、四月十四日、これは、先般、私質問させていただきました気仙沼の造船団地の構想の記事でございます。これを見ると、記事の中に下線を引いてありますが、「国交省が事業サポートとして、社団法人「日本能率協会」に調査と報告書の作成を委託。」そして「この日、構想が示された。」絵までちゃんと出ています。ですから、これも国がしっかり支援してつくるんだ、そう思っておりました。

 ただ、この造船団地については、前回確認をしましたら、これは構想だけの予算は出しましたが、つくるのは皆さん自分でということで、これは大変な、実は地元では大きな問題になっております。

 この二点。一つは三陸道、大畠大臣が明言しました海を渡る道路ということが、計画どおり間違いないかということ。しかも、財務大臣は、五年でやるということをわざわざ地元でお話しされました。これが間違いないかということ。それから二点目は、前回質問した後に、この造船団地、内部でいろいろな検討をして、もう協議会を持たれるというふうに聞いております。国交省としてしっかり支援するという協議会だと思いますが、その二点について確認をしたいと思います。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

津島大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 まず、三陸の沿岸道路の件でございますが、今先生御指摘のことでございますが、この三陸沿岸道路の気仙沼インターから唐桑南インターにつきましては、平成二十三年の七月にルートの具体化に着手をさせていただきました。地元懇談会等の意見を踏まえまして、気仙沼湾を横断するルート、これを平成二十三年度の三次補正予算で新規事業化させていただき、測量及び設計説明を経まして、今用地測量を進めているところであります。

 また、このルートは気仙沼湾を横断する長大橋が計画されていますから、この橋の設計に必要な測量や地質調査を行っており、今後、橋梁形式や津波に対する安全性について、学識経験者等の意見を踏まえながら、詳細な検討を進めてまいる予定でございます。

 三陸沿岸道路につきましては、引き続き、なるべく早く復興のリーディングプロジェクトとして機能を発揮できますように、取り組んでまいりたいと考えております。(小野寺委員「では、この道路は間違いないということですか」と呼ぶ)やることは間違いありません。五年というのは少しまた検討させていただきながらやらせていただきますけれども、なるべく早くやらせていただきたいと思っております。

 それと、先生のもう一つ御指摘の、この間も御質問をいただきましたけれども、造船所の集約、協業化の話でございますが、気仙沼地域の造船所の集約及び協業化に関するプランを作成しまして、早期に実施するため、地方の関係事業者の方々、気仙沼市あるいはまた宮城県及び関係省庁による官民連携の連絡協議会を設置すべく、今調整を行っているところであります。協議会では、事業者の事業体力、そしてまた資金調達の可能性、利用可能な各種の支援制度も踏まえまして、実行可能なプランとすべく、さらに検討しておるところであります。

 お盆明けに、八月の十七日ぐらいを想定させていただいておりますが、そのころに第一回の連絡協議会を開催するとともに、早ければ、ことしの秋には関係者間でのプランの合意を得ていきたい、こう思っております。よろしくお願いいたします。

小野寺委員 津島政務官、私どもがお願いしたいのは、プランをつくることではないんですよ。プランをつくることは既に国の補助金でできています。あとは、具体的に、この予算を誰がどういう形で捻出していくか。実際、今回、造船場は被災を受けました。ですから、被災を受けた人たちが自分たちでこれから建て直すというのは恐らく大変です。特にドックをつくるというのは大変なお金がかかります。

 また、もう一つ、この漁船の造船場ができないと、実は、前にもお話ししましたが、今ここは沈下しています、ですから、新造船をつくって海におろすことはできるんですが、船というのは車と同じように定期的な点検、修理が必要です、海から船を揚げることができない。ということで、せっかく今浮かんでいる漁船が今後修理ができないということになれば、船の修理をする技術というのは非常に特殊です、漁船の場合。

 気仙沼を含めた三陸沿岸の造船場というのは、実は漁船にとっては非常に大事な基地でもあります。ここを本来であれば水産庁が管轄すれば、こんないろいろな問題なく、ストレートにどんと直すんだと思いますよ、共同化して。ですが、なぜか造船場だけは国交省の担当ということで、プランのお金しか出ませんと。私は、これも、やはり役所の壁を乗り越えていただいて、ぜひしっかり予算を出していただきたい、そのように思っております。

 さて、ここから、実は前回、七月二十六日にも御指摘させていただいて、一応、そのときは指摘でとどまったんですが、具体的にその後どのような検討課題になったかということを少しお伺いしたいと思います。

 まず一つは、水産業共同利用施設復興整備事業、この内陸部への適用ということです。

 ちょっとおさらいさせていただくと、実は、沿岸で被災を受けた水産加工場、冷蔵庫、こういうところは水産庁の予算でも今回は修復をしていただけます。ただ、これはあくまでも被災を受けた町、市町村の中につくった場合ということで限定をされてしまいます。

 これが例えば仙台市のように海岸から内陸は山形県境まで物すごく広い場所であれば、どこでもつくれる。ところが、気仙沼や南三陸や石巻というような、本当に沿岸地域と山側が迫って土地がないところ、ここには再建しようにも土地がない、あるいはかさ上げできないから土地がない。そうすると、隣町。では、隣町はどのぐらい離れているかというと、橋一本、十分ですよ。そこだったら土地がある。だけれども、十分の距離以上に、市町村の境界をまたぐからこの対象にならない。これで諦めている方がたくさんいるんです。

 当然、被災している自治体から隣の町に移るというのは、被災している自治体にとっては、地元の企業が離れるわけですから、これは大変心配があります。ですから、例えば、両方の自治体の首長が合意をしてともに要請書を出せば、この対象として、車で十分、橋一本渡ればすぐにできる隣町にこの事業を適用してもいいよ、このぐらいの運用の改善はしていただけないか。なぜかというと、この工場、沿岸部では土地がないから再建できない。ということは、雇用者は全部失業者ですよ。ですが、車で十分、橋を渡った隣町で再建できれば、今まで働いている人は車で十分行くだけですから、仕事をそのままできるわけです。

 ぜひこういう被災地の立場に立った運用、両方の自治体の首長が、ある面では、両方が要請書を出せば、場合によって、地理的要件も見ながら弾力的な運用をする、このような検討をしていただけないでしょうか、農水省。

佐々木副大臣 先日も同趣旨の御質問をいただきました。そのときもお答えしたと思うんですが、復興庁が持っている、非常に似た名前で恐縮なんですが、水産業共同利用施設復興整備事業、いわゆる交付金の事業ですが、農水省の方で持っている予算は、水産業共同利用施設復旧整備事業という事業がございます。

 この事業は、共同利用施設ということが条件になっておりますが、その他の一市町村という条件はここにはかかっておりません。よって、共同利用施設、例えば漁協なんかが主体的に共同利用施設をやるという場合には、一町村ということの限定をしておりませんので、沿岸部で被災した施設を内陸部に整備するということも可能な事業になってございます。

小野寺委員 ありがとうございます。

 それでは、今お話ありました水産業共同利用施設復興整備事業、これは復興交付金事業ということで復興庁の所管になると思いますが、これも同じように、内陸部を含めた隣町、近接町村に適用する運用の方法は考えていただけないでしょうか。

平野(達)国務大臣 この制度は、沿岸地域において、地域として、個々の企業ということではなくて、エリアとして水産業の共同利用施設を復活させる、復興させていくという、個々のものに注目したものではなくて、エリアのものに注目してやっていくということでありまして、内陸部に例えば一社、二社、会社の都合でそちらの方に移転するということについては、制度の趣旨からするとちょっとなじまないのではないか。むしろ、復旧事業という、先ほど御紹介ございましたけれども、そういったものの活用ができるのであれば、そちらの方を活用していただくということの方が自然ではないかというふうに思います。

小野寺委員 ただ、水産業事業を使うためには、協同組合等の組合でなければいけない。そうすると、個々の企業はまた組合組織にして、そして隣町ということを考えるのであれば、むしろ復興庁の事業の中で、私はやはり、今お話ししたように、両方の自治体の首長の合意がある。

 なぜこんなことを言うかというと、例えば、前回もお話ししましたが、南三陸町の仮設住宅のかなりの部分は、隣の登米市に行っております。また、気仙沼もかなりの復興住宅は、何と隣の県の一関市につくらざるを得ない。こういう地理的要件があって、土地が十分とれる自治体は問題ないけれども、土地が十分とれない自治体は大変苦労している、そして、これはむしろ被災が大きい自治体ほど土地がないわけです。

 ぜひ、とんでもないことを要求しているわけではなくて、道路一本、橋一本渡れば隣町で土地がある、こういうところまで、両方の自治体の同意があれば少し弾力的な運用を検討する、そのぐらいの聞く耳を持っていただきたいと思いますが、とりあえず聞く耳を持っていただけないかということを改めてお伺いします。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

平野(達)国務大臣 いずれ、被災した企業がどういう形であれ復活して仕事をしたいという思いは大事にしなくちゃならないというふうに思います。個々の地区で事情が違いますので、そういったことには十分配慮しながら、一地区、一地区、しっかり耳を傾けて、何ができるかという姿勢で臨んでいきたいというふうに思います。

小野寺委員 期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、これは前回もお話ししましたが、医療費の窓口負担と介護保険利用料の減免の延長についてということでお話を厚労省にお伺いしたいと思うんです。

 前回のお話でも、来年の三月三十一日まで延長いたします、ただ、これは市町村の判断で延長できるし、その延長した費用負担というのは、今までは十分の十、これは国がしっかり準備しましたが、十分の八ということで、自治体負担が今後発生するという答弁をいただきました。

 被災した自治体、実は自主財源はもうほとんどないです。こういう中で、被災して、言ってみれば、被災の程度がもしかしたら軽微で自治体財源が十分なところは、では、私のところはしっかり対応しましょうということができるんですが、逆に、被災して一番苦しくて貧乏な自治体は、十分の八の残りの二を出せということ、こういうことがないようにぜひ手当てをしていただきたいというお話をしましたが、その後、いかがなりましたでしょうか。

辻副大臣 この点につきましては、先生から前回も御質問いただいたところでございますけれども、改めて申し上げますと、東日本大震災における国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険の窓口負担また保険料の減免措置につきましては、原発警戒区域に対しましては、平成二十五年、窓口負担は二月末まで、保険料は三月末まで、そしてその他の被災地域につきましては二十四年の九月末までという方針で申し上げさせていただいたところでございます。

 これは前回も申し上げましたけれども、阪神・淡路大震災のとき一年間だったものを、今次被害の重大さに鑑みまして半年間延ばす、そして、そのことの半年間という意味は、保険料や自己負担が被災後の所得に応じたものになるという意味合いを持っていたわけでございますけれども、そういったことで半年間延ばさせていただきました。

 そして、他の一般の災害との均衡ということもございますし、また、この半年間の措置というものが特別調整交付金という国保等の制度の予算の枠内で対応させていただいたということでございまして、その措置なかりせば他に厳しい市町村国保にも配分されるものを、そこを我慢していただいて対応させていただいたという性質も持っておりますので、そういった中で判断させていただきまして、十月以降は、もともとの国保の制度の中での、御指摘いただきました十分の八以内の額の支援という形に対応させていただいているということでございます。

小野寺委員 副大臣に再度確認しますと、そうしますと、ちょっと私の勘違いかもしれませんが、今回のこの医療費の窓口負担の減免及び介護保険利用料の減免の延長というのは九月三十日で終わりということで理解してよろしいんでしょうか。

辻副大臣 現行十分の十のことは九月で終わるわけでございますけれども、その後は、国保制度の中にある十分の八の措置が、市町村が判断された場合には、それが展開されるといいますか進むということになるわけです。ただ、先ほどおっしゃった三月三十一日までではございませんで、国保の制度としては現行制度の枠内にある制度でありますので、十月以降、そういった要件に合致するものについては、三月三十一日までではなくてそれ以降も継続があり得るということでございます。

小野寺委員 言い方を正確に言っていただきたいんですが、この延長というのは、今回、九月三十日で終わりですよ、そしてそれ以降については、従来の低所得者対策、今までと同じような低所得者対策に関しての十分の八の制度があるから、それを使えばということでよろしいんでしょうか。

辻副大臣 十分の十の補助は九月で終わります。そして、十月以降は、国保制度等の中にもともとある十分の八の補助の制度で出発できるという状況が発生するということです。ただ、三月三十一日で終わることではございません。

小野寺委員 地元の新聞に大きくこれは延長と出ているんですよ。でも、今、副大臣のお話を聞くと、実は延長ではなくて九月三十日で終わりということで、今はっきりおっしゃっていただきました。

 私は、こういう紛らわしいような情報を出すことが間違いだと思うので、もう政府が九月三十日で終わりなら終わりということで明確に言ってくれないと、それが何か先に続くような印象で、新聞に出て、みんなそう思っているわけですよ。被災地の皆さんは、あれ、どうなったのというふうになったときに、これは自治体が今度は矢面に立つ。私は、そういう間違ったメッセージは出さないで、明確にしっかり対応していただきたい。

 それで、再度お願いをしたいのは、九月三十日で終わり。先ほど阪神・淡路というふうなお話をされました。あの震災も私は大変な震災だと思います。ですが、今回、まだまだ復旧がおくれております。瓦れきの処理もまだ終わっていない。仮設住宅に多くの方が今でも住んでいる。これが、私は、前回の阪神・淡路の例をそのままとりますという答弁ではおかしいと思います。ぜひ、もっと延長すること、これを検討していただけないと、きょうはここに同じく被災地の出身の議員がたくさんおります。恐らく、仮設住宅を回ったら、この問題、この心配の話が出てまいります。このことの対応というのは再度御検討いただけないでしょうか。お願いいたします。

辻副大臣 地元のお気持ちを体しての御主張というのは十分耳を傾けさせていただきたいと存じますけれども、一つの国の制度ということを追求しますときに、先ほど申しましたような、阪神・淡路大震災のときに一年間、それを半年間延長させていただきました。そして、他の一般の災害との均衡もあり、かつまた、この措置が国保なり介護保険等の制度の中での予算のやりくりで対応しているということでございまして、そういった中では、こういったことで、九月で一応十分の十についてはとめさせていただいて、それ以降はもともとの制度の中の十分の八の補助で対応していきたい、このように考えております。

小野寺委員 全然耳は傾けていないと、今、同僚議員からのお話がありました。

 ぜひ仮設住宅を回って、御自身の口で今のことを被災住民に説明してくださいよ。私たちはこれから住宅に行って、この話を説明しなきゃいけない。何て答えが返ってくるか、もう目に見えていますよ。ぜひ私のかわりに、申しわけないんですが、ここにいる同僚議員のかわりに、被災地の仮設住宅を、御自身の口で今の話をして、阪神・淡路のときの経験から考えて今回は九月三十日で終わりですと御自身の口で言ってくださいよ。じゃないと、私たち、しょっちゅうこの要望を言われている中で、もう常に無力感を感じている。ぜひ現地に入って、御自身の口でそのことをおっしゃっていただきたい、そう思っております。

 さて、こうやっていろいろな復興のことを地元の声を聞いて検討していくと、どうしても国や県のさまざまな事業、特に国の事業ではなかなか手当てできないところがたくさんあります。何度か取り上げさせていただきましたが、崖地の近接区域の危険住宅移転事業。これが、初めに移転した人はだめ、この事業がしっかり適用になった後の人は適用されるけれども、いち早く、どうしても早く復旧しなきゃいけないということで初めに動いた人はだめ。こういう遡及ができないということも、これは国の制度として大変難しいと、何度もここでかたくなに断られました。

 そういう中で、私は、やはり最後のこの対応ができるのは、例えば取り崩し型の復興基金、これを国が積んでいただきまして、前回の質問の中では、この基金、一番初めはそれぞれ自治体の財政需要額に応じて出したということですから、岩手県、宮城県、福島県、それぞれの額になったと思います。

 ただ、被災の大きさから考えて、やはりうちはまだまだ足りないという自治体が、都道府県がある。ぜひ、前回のお話でも総務省からお話しいただきましたが、この取り崩し型の復興基金、今度は、被災地の被災状況、これに合わせてもっと積み増しをして出していく、その方針を確認したいと思います。それがあれば、私ども、地域から来るさまざまな細かい要望についても、県、市、一緒になって対応できます。

 この基金についての検討状況について教えてください。

稲見大臣政務官 取り崩し型の基金の増額につきましては、宮城県等からの要望を含めまして、七月の二十六日に御指摘をいただいたところでございます。

 もともとは、事業内容を精査できないということで、財政規模等で算出をいたしました。これからは実際の事業が出てまいりますので、そのことにどう対応できるのかということであろうかと思います。

 ただ、全体でいいますと、これは特別交付税で積み増しをいたしましたので、果たして、ことしの一兆四百億円程度の特別交付税で措置ができるのかどうか、来年もそれができるのかどうかというふうな問題であろうかと思います。

 そうしますと、全体の復興事業、十九兆円規模というふうに言われておりますけれども、それがどうなっていくのか、その全体としての増額の措置をどう講じていくのかということの検討の中で、これは総務省だけではなしに、全体として、その対処が可能かどうかを検討していくべき課題ではないかというふうに思っております。

小野寺委員 時間が参りましたが、一言だけ。

 前回のところでも指摘させていただきましたが、今回の復興予算の中で不用額というのが一・一兆円出ているというお話を伺いました。これは改めてこの復興全体の中で使っていくというお話でしたが、ぜひ、その使い道というのは、自治体あるいは被災地、被災者が満足、納得のいくような使い方をお願いしたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、谷公一君。

谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは、同僚の加藤、小泉、小野寺、三人の質問がございまして、それらの質問も踏まえて何点か質問をさせていただきたいと思います。

 震災関連死、復興基金、震災による洋上漂流物への対応、あるいは瓦れき処理、仮の町構想等々、何点かございますが、今、小野寺議員の質問にありました復興基金から入らせていただきたいと思います。

 復興基金の額、今、稲見政務官から説明があり、それぞれ皆さん方のお手元に、三ページでございますが、「東日本大震災に係る「取崩し型復興基金」への対応について」という、これは総務省のペーパーでございますが、この考え方で各自治体に復興基金を措置した。約二千億であります。なぜこの額なのか、しっかりとした合理的な説明はありません。

 この考え方は、要は、阪神・淡路大震災、このときは基金は最終的に九千億でした。当時はそこそこの金利でございましたので、そのファンドの運用益でさまざまな事業をするというやり方でございました。私は、当時、兵庫県にいましたので、この基金の設立あるいは運用に携わったわけでありますけれども、もちろん、過去にこういう例はありませんでした。雲仙・普賢岳の例をもとに、九千億というのをえいやで決めました。当初は六千億だったんです。これは足りないということで、三千億継ぎ足して九千億。要は、当時の政権の地元の要望を踏まえた感覚なんですよ、どれぐらい必要かと。それで、九千億で、十年間の運用益が三千五百億。これで本当に助かりました。助かった。

 では、今回はどうか。阪神・淡路の三千五百億と私が今お話ししましたが、その後、政府の説明によれば、施策が相当充実してきた、ですから、十六年、十七年前は三千五百億必要であったけれども、今の時点で改めて考えると、神戸の例は千二百億ぐらいでいいんだと。それから財政規模をはじいて、この額にしたわけであります。

 しかし、そうした考え方は何が問題なのか。どなたでもおわかりのように、災害の規模は加味していません。実際の財政力、加味していない。地震と津波による災害対応の違い、配慮していません、全く。ましてや、過去に例のない原発事故も全く考慮されていない。今、同僚の小野寺議員も御質問されましたけれども、今までたくさんの方がこの額の増額について要望をされた。これは、私は、復興の状況をあわせて考えるならば、当然増額すべきだと思います。

 今、稲見政務官は、国全体が十九兆円だから、これをどうするか、それと絡めて考えなきゃならないと。それはそうです。それはそうですけれども、地方自治体の財政運営の責任を担っている総務省としてどう思いますか、お答えを願いたいと思います。

稲見大臣政務官 先ほど小野寺委員にもお答えをいたしましたように、当初は、事業の全容があってこの千九百六十億円を積んだわけではございません。むしろ、そういう積算をすることが困難であったということがありまして、今、谷委員の方からもありましたように、阪神・淡路大震災の額三千五百億円、それをベースにして、それぞれ、岩手県、宮城県、福島県、九県に対して、財政規模との関係で一旦計算をしたのがこの千九百六十億円になっているということであります。

 今申し上げましたように、しからば、これからどういう復旧復興事業がなされていくのか、そういう積み上げの中で、この復興基金が適切であったのかどうかということは検証をされていくべき問題であろうかというふうに思っております。

 その場合に、谷委員も御指摘がありましたように、阪神・淡路の場合には、三千五百二十億円の中には、千九百六十億円程度の被災者生活再建支援制度、これにかかわる要素がありました。これは、その後その制度ができまして、今回でいいますと、それが四千四百億円上積みをされております。そうすると、この要素だけでいいますと、千二百億円程度が阪神・淡路のベースになるわけですが、それの倍、約二千億円を積んだということでありまして、現在の段階で阪神・淡路のときの状態に移しますと、六千五百十億円程度になるのではないかというふうに思っております。

 その上で、今、谷委員の方から御指摘のあった、これからどういう復旧復興事業が行われていくのか、それに対して、全体の復興交付金、これがありますから、それに対して総務省がどうしっかりそれを追いかけていくのかということがこれから問題になってくるのではないかというふうに思っております。

谷委員 ありがとうございました。何か評論家のような答弁でありました。

 私が先ほど指摘させていただいたように、災害の規模というのは全く加味していないんですね。実際の財政力、神戸市なり阪神間、全国でも有数の裕福なところですよ。芦屋市、西宮市、そして尼崎市。もちろん淡路島もありました。そういう全国的に見ると比較的裕福であり、民間活力もそこそこある地域で受けた災害と今回の災害とを、全く加味していないじゃないですか。そういうことをもっとしっかり受けとめてやらなきゃならない。また、津波によって相当、地震と違って全てが流された。原発事故もそうです。もう少し、総務省が頑張らなくて誰が自治体を守るんですか。そういうしっかりとした気概というのを持っていただきたいと思いますが、もう一度お尋ねいたします。

 増額を当然すべきと思いますが、そのこととあわせて、復興宝くじもお尋ねしたいと思います。

 復興宝くじ、震災以降二回発行しましたが、収益は百二、三十億ではないですか。十七年前の阪神・淡路のときは、このときも二回発行いたしましたが、私の手元の資料によりますと百八十億です。阪神・淡路にも追いついていない。追加の計画の見込みはないんですか。もっと自治体の財政に目配りをしていただきたいと思いますが、政務官、どうですか。

稲見大臣政務官 取り崩し型の基金の問題であります。これは、先ほど申し上げましたように、特別交付税で措置をいたしておりますので、まずはそのことについて、来年以降どういうふうに検討していくのかというようなことになろうかと思います。

 また、加えて、震災特別交付税という形で、これは復旧復興事業に係る被災団体の財政負担がゼロになるようにということで、当然もともとの補助金のかさ上げもいたしましたけれども、それがゼロになるようにするとともに、被災団体以外の地方公共団体の負担にも影響を及ぼさないように、通常収支とは別枠でこの復興特別交付税も確保して、これは全く新しい仕組み、事態でございます。そういうことも総合的に勘案をしての今後の検討課題になろうかというふうに思っております。

 それから、宝くじの問題でありますが、平成二十三年の七月に東日本大震災復興宝くじを発行しましたが、この場合はサマージャンボとちょっと重なっておりまして、先ほどおっしゃっておりましたように、四十一億円程度の収益にとどまっております。これは、今の分は被災県で協議会をつくっての発行でございました。その後、全都道府県、全指定都市というもともとの発行主体のところにお願いをして、グリーンジャンボを東日本大震災復興支援、こういうふうに銘打って、これについては六百六十億の発売計画のところ、千百四億という発売実績がございまして、そこで百五十一億円の収益、したがいまして、合計百九十二億円の収益になっております。

 したがいまして、今、被災団体からさらに宝くじの発行をお願いしたいという要望はいただいておらないところでありますけれども、御相談が出てくれば、今後、総務省としても十分検討してまいりたいと思っております。

 以上であります。

谷委員 わかりました。復興基金、これ以上質問をしてもいい答弁が返ってくるように思えませんのでもういたしませんけれども、ただ、政務官、ちょっと誤解があるのは、各種の国の補助金の裏をしっかり見たから大丈夫だとか、そういうことじゃないんですよ、復興基金の金というのは。自治体が創意工夫をして自由に使える金が幾らあるかということなんです。ですから、補助裏を一〇〇%見ているという話とはまた別だということをしっかり理解していただきたいと思います。

 それから、宝くじは、今の御答弁ですと、発売計画よりもはるかに上回って、被災地の方は約二百億近く行ったということでありますけれども、十七年前でさえ百八十億行っていますので、ですから、そういう実績も十分踏まえて、また今後検討をしていただきたいと思います。

 次の項目に移ります。震災関連死です。

 大臣、三月末までに一千六百三十二人という、震災では助かったけれども、その後、震災に起因するストレスとかさまざまなことで命を落とした方が三月末までで一千六百三十二人いるということを、この委員会で何度もお願いして公表していただきました。

 改めて、確認をさせていただきます。

 大臣、そうしたら、震災による死者は何人ですかというのは、今の警察庁発表に加えて、震災関連死の方も震災による死者として、政府の方は正式にそれらの関連死の方も含めて死者数の中に加えて発表する、そういう理解でよろしいですか。

平野(達)国務大臣 今の段階で、まだそこまできっちりとした詰めをしているわけではございません。

 阪神・淡路の大震災の際は、直接的に亡くなられた方々、それから関連死された方々の合計の人数を十年後に公表しているということでございますが、まず、現段階では、東日本大震災の発生、直接的にそこで亡くなられた方々、それから震災の関連死の方々ということについては、別々に今公表しているということでございます。

谷委員 全くおかしい答弁ですね。

 震災関連死ということで、自治体の方は、災害弔慰金法に基づいて、それぞれ審査会を設けて、震災関連死と認定されれば、世帯主であれば五百万、そうでなければ二百五十万出るけれども、政府はそれは震災による死者と認めるとはまだ決めていない、そういうことですか。

平野(達)国務大臣 認めていないということではなくて、そこまでまだ検討、頭がいっていないということであります。

谷委員 いっていないというのも、これもまたおかしいですよ。一年前からいろいろな委員会で、私も何度もしましたし、参議院でも何度かこの問題について質疑が交わされています。早く調べてくれ、必要じゃないかと。これほど言っていて、やっと発表していただいたんですけれども、一千六百三十二人は、繰り返します、震災による死者ではないのですか。

平野(達)国務大臣 そこをどうするかということについては、政府内できちっと議論して答えを出したいと思います。

 ちなみに、この関連死につきましては、今現在では、三月三十一日現在で一千六百三十二人ということでございまして、実は、この数といいますか、関連死された方々がどれだけいるかということを調査するというのは、今非常に自治体がさまざまな中で困難している中で、その作業自体が非常に難しいという面もございまして、今これを三月三十一日現在で固定した数字になっております。

 こういったことも含めまして、これを死者と認識するということについては、現段階ではほぼその考え方に立っておりますけれども、もう一度詰めをさせていただきたいというふうに思います。

谷委員 大変不満であります。

 大臣、ある意味では、私はここで確認させていただいてよかったと思います。私の頭の中は、私だけではなくて国会で、これほどいろいろな場で言っているのだから、当然、震災関連死として認定された方は、震災による、あるいは原発事故による死者として政府は捉えておられるのかなと思っていたら、どうもそうでもないというのが今の答弁でありました。

 お手元の資料にありますように、これは七月二十二日付の産経新聞ですが、三月末以降もどんどんふえているんです、確かに。新聞が報じていますように、震災は今も続いているんです、そういう意味では。終わっていないんです。とても収束宣言なんという段階ではないんです。しかも、ふえ続けている。

 そういう認識をしっかり持っていただかないと、二ページにありますように、エネルギー政策のときの意見聴取会で、ちょっと線を引いていますけれども、中部電力の課長のように、「福島原発事故では放射能の直接的な影響で死亡した人はいない。」直接的な影響で死亡した人はいないというのはある面では正しいかもわかりませんけれども、原発事故による死者というのは現にたくさん出ているんです。震災関連死で一番多いのは福島ですからね。双葉郡では当日亡くなった方よりも関連死の方が多いというのは、大臣御存じかと思います。しかも、それも今もふえ続けている。

 そういう関連死とされている方を、もっと温かいというのか、人として尊厳を持って対応していただきたいと思います。震災による、あるいは事故による死者として認めないなんということはあり得るはずはないと思いますよ。十七年前でも認めているんですよ。再度、答弁をお願いします。

平野(達)国務大臣 ちょっと私の言葉足らずな点があったと思いますが、先ほどの委員の御質問の中に、震災で亡くなられた方々、震災の関連死、これを含めて公表というところで今ちょっと力点を置かれたというふうに思いましたので、それについては別々で公表しているということを申し上げました。

 ちなみに、災害関連死ということについては、これはやはり震災によって亡くなられた方という認識で私どもも今臨んでいるということだけは申し上げさせていただきたいと思います。

 それからあと、まだふえているという御指摘がございましたけれども、先ほどの答弁でも申し上げましたが、関連死の状況というものを把握するというのが、結構これは自治体にとっても大変な作業になっています。ですから、今のところは一年に一遍ということで把握しようと思っておりまして、今の段階では、三月十一日時点でございますから、次の全体の状況の把握は来年かなというふうに現段階では考えておるということでございます。

谷委員 大臣の認識と私とは少し違います。国が何が大変なのか、よくわかりません。国は何にもやっていないですよ。市町村がやっているでしょう、あるいは県が代行してやっている。何も、統計をとるだけですよ。現場の申請は大変なんですよ。ただ国が統計をとることが何が大変なのか、私は全然わかりません。誰にも迷惑なんかかけないですよ、こんなもの。一月に一回でも三カ月に一回でも、別に、単に統計をとるだけの話ですから。現場は大変だというのは、私は十分わかります。ですから、個々の市町村ではなくて、この復興委員会のときに当時の片山大臣とそれから細川大臣に両者で話し合っていただいて、共同でつくる仕組みなり、あるいは県が代行する仕組みをつくってもらって今動いているわけですから、そのことだけ指摘をさせていただきたいと思います。

 次の項目に移ります。

 震災による洋上漂流物への対応であります。

 資料の四ページ目の左側にございますが、実は、震災によって今大量の瓦れきが太平洋にまだ流れ着いている。そして、政府の方もこの問題について、内閣官房の方で総合海洋政策本部事務局というところが東日本大震災による洋上漂流物への政府の対応についてということで取り組みを始めているということであります。ただ、ことしの秋ぐらいですか、漂流予測であれば、北米大陸西海岸の沿岸域に相当な数が到達するというふうに政府の方は見込んでいるということであります。

 そうした状況の中で、お手元の資料の4の左側にありますように、細かい記事でありますけれども、先日、日経新聞に、もう既に一部はアメリカに到着して、それで、その費用をアメリカの仕組みではそれぞれの州が見るという役割分担になっているようでありますが、連邦政府が、余りにもお金がかかるということで二十五万ドルを拠出する。しかし、地元の方では、とてもそんな金額では足りない。四千五百万ドルというのはアラスカ州ですか、アラスカ州だけで三十六億円ぐらい要る、そういうアメリカの上院議員のコメントがあるようであります。

 さて、政府にお尋ねします。

 この問題は、東日本大震災で多くの方から大変な協力をいただいた。資金面でも、あるいは人的な面でも、ボランティアでもいただいた。特にアメリカは、言うまでもなく、米軍を初めとする、我が国は大変お世話になった。それで、今は、法的には原因の国が持つという仕組みはないようであります。流れ着いた国がするのが原則ということのようでありますけれども、政府としてどういう考え方で、どのように対応しようとしているのか、そして、その考え方というのは、いつぐらいまでに考え方をまとめるのか、お尋ねします。

室井大臣政務官 先生の御質問にお答えを申し上げます。

 東日本大震災により流出した洋上漂流物につきましては、我が国としても大変憂慮をしているところであります。米国を初めとする関係国と協力して密接に対応していきたい、基本的にはこのような考え方をさせていただいております。

 これまで、総合海洋政策本部事務局を中心といたしまして、関係省庁対策会議を設置いたしました。米国やカナダの関係機関との情報共有や意見交換を積極的に行うとともに、漂着した船舶、また浮き桟橋などの処理に必要な情報提供、また、漂着危険物の取り扱いマニュアルの提供などを行ってきております。

 先日、浮き桟橋の漂流がございましたけれども、米国の方から、これを解体するのにすぐさま設計図を送ってくれ、このような依頼がございまして、直ちにその設計図を送らせていただきまして、非常に感謝をしていただいておるところであります。

 今後とも、米国、カナダの意向も十分に踏まえつつ、可能な限り速やかに対応を取りまとめ、政府として適切に対応していきたい、このように考えているところであります。

 以上であります。

谷委員 ありがとうございました。でも、何をするのか、全くわかりません。

 この前、新聞記事で、外務省がそのための費用を一部、来年度予算で要求するというような記事を見た記憶はありますか。政務官、各省の動き、御存じですか、それは事実かどうかも含めて。わからなければ、わからないで結構です。

室井大臣政務官 各省庁とのその予算というものをはっきりと承知しておりません。

谷委員 これは、それぞれの各省庁の事務方に任せるのもいいですけれども、最悪の場合、そういう問題では済まないと思いますよ。政治的な問題になると思いますよ。大量の漂流物がアメリカに行って、それを、では我が国はどうするんだ。数十億とか言われる、あるいはもっと金額がかかるかもわかりませんね。

 我が身が震災のときに大変お世話になって、それが原因で流れ着いたのはごめんなさいね、我が国が、日本が負担する国際的なルールはないんですということで、本当に外交関係で問題ないのかどうか。その辺もしっかり考えていただいて、そういう意識を持って対応していただきたいということを要望して、次の質問に移りたいと思います。

 きょうは、高山環境大臣政務官にも来ていただいております。瓦れきの広域処理です。

 野田総理大臣も、全国の自治体に協力依頼をしました。そうしたら、先月の末に宮城県の方が、可燃物の受け入れを要請する自治体を限定するという方針を示されました。私は、そのことについて、別に間違っているとは思いません。けれども、お手元の資料にございますように、四ページ、これは私の地元の神戸新聞でありますけれども、これは参っちゃうんですね、地元の方は。だって、政府の方から頼む頼むと言われて、それで、まあ地元もいろいろな声がありますよ、いろいろな声がある中で、前向きに受け入れようといろいろ検討を進めていたら、いや、もう可燃物は結構ですわという状況じゃないかと思います。困惑しているんです、現場では。

 どうして、もっと国がうまく、その辺の宮城県との調整とか、新聞でいろいろ騒がれる前に全国の自治体に、こういうふうにしたいから、今まではこう言っていたけれども、少し方針転換もするというようなことを説明してこなかったのですか。頼むときだけ総理大臣で言って、また総理大臣名で何か文書を出されたんですか、お伺いします。

高山大臣政務官 谷委員にお答えいたします。

 瓦れきの広域処理に関しましては、まず昨年は、全く受け入れ先が見つからない、そして、これは完全な風評被害ではあったんですけれども、放射能の危険性があるのではないか、こういったことで滞っておりましたけれども、委員御指摘のとおり、ことし三月に野田総理大臣名でも全国に要請したこともございまして、兵庫県を初めとして、本当に御検討いただいた自治体には非常に感謝をしております。

 今委員御指摘のとおり、先月の二十五日に、宮城県で災害廃棄物の処理計画が見直しをされました。その前にも、岩手県でも実は見直しがありまして、これらをあわせまして、環境省におきましては、本日、きょう七日、東日本大震災で発生しました災害廃棄物に津波堆積物を加えました処理計画の全体の工程表をお示ししたところでございます。その中では、委員御指摘のとおり、広域処理をお願いする全体量が減ったことにより、現段階で調整を進めさせていただいている自治体以外の自治体に関しては、広域処理をお願いしないということも書かせていただいたところでございます。

 本日このような工程表を策定させていただく前に、事務的には自治体の方にもお伝えさせていただいたところではございますが、実際に御検討いただいている自治体のみならず、住民の方にもきちんと伝えていくということを考えますと、我々も、マスコミに対しましての、また日本国全体に対しましての情報の発信の仕方ということは、委員御指摘のとおり、考えていかなければいけないと思っているところでございます。

谷委員 考えていかなければならないのではなくて、反省しているんですか。

 我々自民党も協力しましたよ、幹事長名で全国の都道府県連に全部出しましたよ。自民党は何も聞いていないです。いや、我が党が聞いていないからとかいうのではなくて、要は、政務官、目配りとか気配りとかが全然足りないんですよ、あなたたちのやり方は。

 では、今度、全国の自治体に総理大臣名で出すんですか。誰の名前で出すんですか。それぞれに指示なり電話をしたんですか、政務三役は。再度お尋ねします。どう思っているんですか。

高山大臣政務官 谷委員にお答えいたします。

 目配り、気配り等が至らなかったという点は、率直にそのとおりだというふうに思っております。ただ、これは非常に難しいのは、めどがついたといっても、実際に処理が終わっておりますのは、必要量のほんのわずかの、まだ八万トンの最終処分をしただけでありまして、広域処理の必要性そのものはまだ変わっていない部分はございます。

 今、谷議員の御指摘は、これから広域処理の調整をお願いしない自治体に対してのお話と思いますけれども、この点に関しましては、まさにきょうの朝、関係閣僚懇を開きまして方針を最終的に決定したところでございますので、議員御指摘のとおり、我々も手分けをして、今までお願いに上がったところには丁寧な説明をこれから心がけていきたいと思っております。

谷委員 本当に、高山政務官、きちんとお願いします。

 これは、次に来るべき災害のモデルです。モデルというか、間違いなくこういうことをまたやらなきゃならないんです、首都圏直下でも南海トラフでも、その地域だけでは処理できないことは明らかですから。ですから、ことし、総理大臣名で協力依頼を出した、その後事態がずっと動いて、今回どういうふうにそれらを、方針を変えるのならば、連絡をどうして、全国の自治体との協力関係をどう保っていくかということが問われている案件だと思いますので、その辺、十分、目配りなり気配りなり心配りをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 時間のあれからするともう最後かと思いますが、福島の問題です、大臣。

 先ほどの加藤先生なりあるいは小泉先生の質問とも絡むんですけれども、福島の問題、本当に大変ですね、大変です。過去に例がない。そして、小泉委員とのやりとりの中で、体制の強化ということも大臣は言及をされました。私は、復興庁はことし二月につくったんですけれども、それとは別に、やはり福島に特化をした、例えば沖縄開発庁と同じような、福島に係るあらゆる問題はそこがみんなやるんだ、そういう組織をつくる必要があるのかなと。

 あわせて、福島特措法もつくりましたけれども、それは、現行の自治体の体制を前提にした法律ですね。それらもやはり、仮の町構想もこれあり、法制度の上でも、また国の組織の上でも、思い切った、しっかり対応できるようなものをつくる必要があると私自身は思っておりますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 委員からも御指摘がございましたけれども、福島の問題という、特に原発の事故に関連する問題、それに絡む、それからスタートする復旧復興への取り組み、やり方、考え方は、津波、地震とはやはり大きく違っております。

 そういう中で、基本的には今復興庁で全体の司令塔として福島の復旧復興に取り組んでいるところでございます。別組織をつくるという考え方もあろうかと思いますが、まずはこの復興庁の中で今までやってきているということでもございますので、先ほどの加藤委員あるいは小泉委員の質問にもお答えしましたけれども、この福島に対応するにはどういう体制がいいかということについては今詰めておりますので、いましばらく、ちょっと時間をいただきたいというふうに思います。

 いずれ、福島の問題というのは本当に大きくて、国が責任を持ってやらなくちゃならない分野が非常に多いということもございますので、そういうことを踏まえての体制のあり方ということについては、しっかり検討して実施に移してまいりたいというふうに思っております。

谷委員 本当に、我々自民党自身も福島の事故の責任は相当あると私自身思っていますので、そういう意味でもやはり、一日でも早い復旧復興というのは余りにありふれた表現ですけれども、それこそゼロからの出発のゼロに、少なくともゼロに早く行くように、しっかりとまた大臣の御健闘を期待申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

古賀委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

古賀委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。畑浩治君。

畑委員 国民の生活が第一の畑浩治でございます。

 本日は、先般の復興特別委員会の視察も踏まえて、また、地元からいろいろ言われていることを含めて質問させていただきたいと思います。

 まず、三大臣にお並びいただいて、本当にありがとうございます。復興において、これは政局を超えて私も尽力させていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、一点目はJR東日本の線路の復旧ということでございまして、これはもう地元からかなり言われておりまして、先般、陸前高田、そして南三陸町を回ったときにもかなり言われたところであります。そして、四十万人の署名も集まって、国交省そして復興庁、それぞれの大臣宛てに恐らくそういう要望も出ているんだろうと思います。

 その中で、特に山田線について、きょうはちょっと議論というか、お伺いしたいんですが、実は、どれも難しさはいろいろあるんですが、その中で山田線というのは、これは線路をつけかえる必要は基本的にはそれほどない、現道の復旧ができる。そして、三陸鉄道が南北にありまして、北には三陸鉄道北リアス線、南に南リアス線。北の方はもうほとんど全通していまして、南も平成二十六年四月には開通することになる。こういうところを考えると、その間が抜けるのは非常にあんばいが悪いということで、今まで平野大臣にもお願いしてまいったところであります。

 山田町としては、駅のかさ上げを含めて、あの辺を中心にしたまちづくりは既に考えておりますし、また、そういうことで、費用も含めていろいろありますが、比較的三線の中では容易で、かつ急務である、できるのではないかなと思っております。

 そこで、平野大臣にお伺いしたいんですが、この山田線復旧に向けた大臣の決意とその認識というものを、ぜひともお伺いしたいと思います。

平野(達)国務大臣 JR山田線につきましては、もう委員も御案内のように、三陸鉄道の北リアス線と南リアス線に挟まれたJRの鉄道ということになりまして、この三陸鉄道につきましては、今、復旧工事真っ盛りでございます。何としても、私の立場からしても、この三陸鉄道は間をあけるわけにいかないということもございまして、山田線については鉄路での復旧を基本として考えていきたいというふうに思っております。

 しかし一方で、JRにもJRさんのさまざまな考え方それから言い分もありますので、そこについても耳を傾けていきながら、これはできるだけ早い段階での復旧の方針の決定と復旧工事の着工を目指しながら、国交省とも連携しながらJR東日本と話し合いをしていきたいというふうに思っております。

畑委員 大臣の方針として心強い方針だと思いますので、よろしくお願いいたします。私も地元の選出の議員として、そして岩手県出身の平野復興大臣と連携して、しっかりやってまいりたいと思っております。

 鉄道のミッシングリンクを生んではいかぬと思います。道路のミッシングリンクはよく言われるんですが、ここが復旧できないと鉄路のミッシングリンクができてしまうということで、その点からも危惧しているところでありますので、よろしくお願い申し上げます。

 それで、次に、まちづくりに絡んだ商店街の復興について、議論というか、お伺いしたいと思います。

 これから町ができていって、店舗の復旧というのが課題になってまいります。現段階では、工場とかこういうものに対する復旧ということに、当面、日が当たっているわけですが、町ができてくると商店街の復旧ができてくるわけですが、その中でやはり地元から聞くのは、商店街を復興する場合でも、なかなかお金が厳しいので、端的に言うと、そこに中小企業グループ補助金を入れていただいて、共同で整備するようなやり方を支援してほしいという声を聞きます。

 中小企業グループ補助金は、もちろん要件というものも恐らく小規模事業者が利用しやすいように変えなきゃいかぬだろうと思いますが、そうした上で、何よりも二十五年度以降の予算を措置していくということが必要になると思うんです。というのは、商店街というものは町ができてくる二、三年の中で課題になってくることであって、今年度ということではないんですけれども、かさ上げしたり地盤改良したり、いろいろなことをして町ができていく中で、商店街の復興というのが二、三年の間で課題になってくると思います。

 そういうことで、ぜひとも中小企業グループ補助金の要件緩和と、そして二十五年度以降も、当面の手当ても大変だと存じておりますが、二十五年度以降もぜひとも、この商店街の復興に向けて、そこを使えるように措置をいただきたいと思うんですが、大臣の御見解をお願いいたします。

枝野国務大臣 商店街を復旧復興させていく、大変重要だというふうに認識をしております。そうした中小の商店街の復興にも、グループで具体的な共同事業を行うということであれば、商店街について復旧整備を図るものも現行のグループ補助金でも対応はできるということになっているところであります。

 なお、今後でありますけれども、まだ具体的な概算要求の段階にもなっておりませんので、具体的なことを今ちょっと残念ながら申し上げられませんが、御指摘のとおり、工業よりも商業の方が、まちづくりとの関係で、どうしてもいろいろなものがおくれるということは間違いないということでございますので、実際に需要があるときに対応する措置がないということでは、これでは商店街などの復旧にはならないというふうに思います。

 グループ補助金に限らず、さまざまな施策について復興庁とも十分御相談をして、実際にまちづくりで、例えば地盤を上げるとか、中心市街地の土台のところが整備される見通しが立った段階で、商店街について、あるいは中小商業者について、具体的な支援についてはしっかりとやってまいりたいと思っております。

畑委員 大臣の心強い答弁、本当にありがとうございます。

 それで、もう一点、その関係でお聞きしたいんですが、中小企業グループ補助金だと、これは補助金をもらって自己負担をして建てるということですが、さらに言われるのは、自己負担さえも出せないので、第三者主体がテナントなり共同店舗をつくって、テナントというか、ショッピングモールみたいなものというか、共同店舗をつくっていただいて、それを格安の賃料、テナント料で貸してほしいなという声もかなりあるんです。

 これについては、恐らく、つくる主体というのは、商工会議所なり、あるいは市等の公共なのか、中小企業基盤機構なのか、NPOなのか、いろいろあると思うんですが、いずれにしましても、そういう何らかの主体に対して国が補助制度をつくって出していただいて、そして賃料を低減した中で貸していただくという制度ができないのかなという思いがありますが、その点はいかがでしょうか。

 言ってみれば、今の仮設で中小企業基盤機構がやっているものがありますが、あの本設バージョンであって、なおかつ安い賃料で貸すというバージョンという制度になると思うんですが、ちょっとそこに対するお考えというか方針をお伺いしたいと思います。

枝野国務大臣 御指摘いただいた中小企業基盤整備機構による仮設店舗については、一定の御評価をいただいて、これがあって助かっているという声もいただいているところです。

 ですから、同じように本復旧においてもというお気持ちは十分わかる一方で、この小売の世界は、地域によって、あるいは形態、業種、小売といっても何を売っているかによって、なかなか一律の施設をつくってというのは難しい側面がありますし、大型ショッピングモールみたいな大きなことをおっしゃっているんじゃないんだろうと思いますが、プロのビジネスでお金もうけでやっている皆さんでも、ショッピングモールみたいなのをつくっても失敗して撤退みたいなことがあるので、それを行政がうまく判断して、ここでこうやればうまくお客さんが来てくれて、商店の皆さんもうまくいくんじゃないか、こういう判断もなかなか難しいところがあるのかなということで、率直に言って、なかなか国が直接やるというのは難しいところがあるのかなというふうには思います。

 ですから、例えば復興交付金などが使えないのかなとか、それぞれの地域で地域の事情に応じた対応ができないのかなといったことを含めて、今すぐになかなか答えが出せる話ではありませんが、御指摘の視点も視野に入れて、何か検討できないかどうか、ちょっと努力をしてみたいということで、きょうのところはお許しいただければというふうに思います。

畑委員 ありがとうございました。いずれにしても、今後時間をかけて検討しなきゃいけない課題だと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、次、通告とちょっと順番を変えまして、農水大臣に来ていただいておりますので、なりわい産業という意味では、商工業とともに、やはり農林水産業、特に水産業でございます、当地は。今まで農林水産省さんには、共同利用船事業とか、あるいは共同利用施設の補助事業といい、かなりやっていただきまして、実は、遅い遅いと言われましたが、着実に基盤整備も含めて進んできておりますので、本当に感謝申し上げている次第でございます。

 あと、これから出口の部分、流通の部分なんです。ここまでやっていただいて、皆さん、地元もほっとしているというか、かなりめどは立っているんですが、問題は、売れない。売れないというのは、放射能汚染の風評被害で、出口の部分がなかなか売れなくて捨てなきゃいかぬとか、いろいろ焼却しなきゃいけないという話が出ております。

 端的には、風評被害対策、心配ないよということも含めてしっかりやっていただくということだと思いますが、そういうことをしっかりやって、そして流通にしっかり乗せていく、これに対する大臣の、ばっちりやるという御見解というか方針をお伺いできればと思います。

郡司国務大臣 畑委員から力強いということのお話がございましたが、残念ながら、これを一つやれば全てがうまくいくという風評被害の対策はなかなかございません。これまでいろいろなモニタリングをして、その数値を正確にいつも発信していただく、そして、市場に出回っているものというものは消費者にとってみれば安全なんですよということをやはり徹底するということが大事だろうというふうに思っておりますので、このことはこれからもやっていきたいと思っています。

 それから、一年半近くになってまいりまして、震災直後のときのように、市場の皆さんあるいは消費者の皆さん、流通や小売の皆さん方が、何とか応援をしようというような機運が少し薄れてきているのかもしれないというふうに思っておりまして、そこのところに、それぞれの団体に対しまして私どももう一度注意喚起をして、そうしたものがきちんと正規に流通がされるように、正規な値段で消費者のところまで流れるようにというようなことを徹底したいなというふうに思っております。

 それからもう一つは、やはり食べて応援をしよう、実際に皆さん方が食べるということを通じて被災地の応援というものにつながるんだということをやっていかなければいけないというふうに思っております。これはこれまで、件数でいいますと、二百三十六件ぐらい取り組まれております。ただ、県別にいいますと、岩手県が五十七件と若干少ないかなという感じがいたします。その二百三十六の中で、農業のもの、それから水産のものと分けると、水産のものも二十一件とかなりまだ少ない件数なんであります。

 したがいまして、私どもも、食べて応援しようというものをいつでも全国で当たり前のように開けるようなネットワークというものをつくっていきたい、そしてその中でやっていきたいなというふうに思いますけれども、これからもう少し簡便な形で、浜ごとに、そして箱ごとに安全性がきちんと担保されるような機械の設計というものも進めていきたいなというふうに思っているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 いろいろなことをやっていただいて、それが恐らく地元の人たちに見える形であることが重要だと思います。いろいろやっていることを見えるようにして、しっかりと安心を与えるような形でお願いしたいなと思います。

 時間がなくなりましたが、あと、最後になりますが、コンクリートの関係をちょっとお伺いしたいと思います。

 午前中、階議員の方からも、生コンが足りない、需給が逼迫というお話が出たわけです。これに対する総論的な対策というのも聞きたかったんですが、ちょっと時間がないので、端的にお伺いしたいと思うんです。

 コンクリートの需給が逼迫してくるとすれば、これは今、防潮堤、防波堤、海洋土木だけで手いっぱいになっているわけですが、これからまちづくりも出てくるし道路も出てきます。そういう中で、コンクリートを使わなくても済むようなものはできるだけコンクリートを使わないような工法も考えるべきで、そこは需給の逼迫をそういうことで解消していくことも私は一つの方法だと思います。

 具体的に、災害公営住宅ですね。これから公営住宅が建ってくるわけですが、これは大体RCが多いわけですが、コンクリートを使います。これは、RCを使わない工法もぜひとも採用して、そこを広めていただきたい。単純なんです。鉄骨工法をやるとか、あるいは田舎ですから木造を多用するということも含めてやっていただきたいと思いますが、そこに対する方針はいかがでしょうか。

奥田副大臣 災害公営住宅ですけれども、当然、鉄骨あるいは木造も可能です。自治体の方の設計、考え方というものが中心になりますので、国土交通省としては、情報交換という中で情報提供に努めてまいりたいと思います。釜石の方でも、スチールハウスなどの提案がもう進められているところであります。

 生コンにつきましては、仮設プラント、そしてミキサー船といったプラントの調達ということも含めて、強化してまいりたいと考えております。

畑委員 ありがとうございました。引き続きしっかりお願いしたいと思います。

 時間がなくなりまして、きょう高山政務官に来ていただいておったんですが、済みません、津波堆積物の件はきょうはちょっと質問できないことになりまして、引き続きまた御相談なりお話を承りたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

古賀委員長 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 国民の生活が第一・新党きづなの斎藤やすのりと申します。

 暑い日が大変続いております。この酷暑で、仮設住宅にお住まいの方はさぞや大変だろうと思いまして、なるべく週末は被災地、特に仮設住宅に足を運んでいるんですけれども、この酷暑に、今、被災者の方は相当つらい思いをされています。

 もともと仮設というのは、皆さん視察などで見ていて御存じのとおり、フラットな屋根で、その下がすぐ部屋になっているという構造なので、屋根の熱が部屋に直接伝わりやすい、それから、屋根を支える鉄骨がむき出しで室内をはっているものですから、熱が伝わってくる。真夏なのに、天然の暖房がスイッチされているというような形です。しかも、立地が野球場とか校庭とかグラウンドなどで日陰がほとんどないものですから、それでぐんぐんぐんぐん気温が上がっていくわけです。

 一昨日、私は、仙台の仮設住宅を訪ねました。行くと、あることに気づきます。どんなことかといいますと、ほとんどの住宅が真っ昼間からカーテンを閉めっ放しなんですね。ほとんど人っ子はいません。暑いので、皆さん中にいます。中にいる皆さんは、カーテンを閉め切って生活しています。どういうことかというと、暑さが尋常じゃありませんから、エアコンをつけないと室温は四十度近くになります。トイレや風呂にも窓がない。それから、住宅が密集していますから、風通しも悪い。だから、エアコンのある居間以外の空間はサウナのような状況になっておりまして、仕方なくカーテンを閉めて、エアコンをきかせて涼しさを保っている、そういう状況でございました。

 そんな暗がりの中で、何か精神衛生上よくないんじゃないかと思われるかもしれませんが、また電気代がかさむんですね。水道代が一万円以上で、電気代が大体六、七千円かかると言っていました。被災地の皆さんは雇用も奪われている方も多いですし、雇用もアルバイトだけやっている方、それから年金だけという方が多いですから、本当に節制されて生活されていますので、そういう形で、精神衛生上も、体力の上でも余りよくないような形です、これはやむを得ないわけなんですが。

 一つ、ちょっと私が気づいたんですが、構造上、エアコンが居間の一台だけでしか使えないというようなことを被災者の方は言っておりました。二部屋、三部屋ある、特に要介護の高齢者の方などは、ちょっと一つじゃ困るよねということで言っておりました。これ以上、政府につけてくれとは言いませんと言っていました。自分でつけるけれども、ただ、つけられない。なぜかというと、やはりエアコンの工事をして穴をあけなければいけないしというようなことを言っておりました。エアコンは要らないけれども、壁に穴をあけて上の方にダクトをつけて、エアコンの空気を隣のリビングの方まで伝えていきたい、その工事をさせてもらえないだろうかというふうなことを、私、要望を受けました。

 ただ、その方は、誓約書みたいなものを書かせられたと言うんですね。それは、壁に穴をあけてはいけない、リフォームしてはいけないというようなことを言われたそうなんです。こういうことは市町村マターで、国が関与をしていないことだとは思いますけれども、最低限のこの暑さに対する対策というのは、やはり国としても何らか指導すべきなんじゃないかなと思うんですけれども、このあたり、平野大臣、どうでしょうか。

平野(達)国務大臣 今お話を聞いていますと、何か公物管理の原則をそのまま当てはめているような、もしそれが、多分事実だろうと思いますけれども、そんな感じがします。

 仮設住宅をそこまで厳密にやらなくちゃならないかどうかということは私自身もちょっと疑問に思いますし、今の点は、厚生労働省、それから国交省の方に検討させたいと思います。いずれ、大変な暑さだと思います、何か工夫でそこが緩和できるということであれば、しっかり対応したいというふうに思います。

斎藤(や)委員 ぜひ、復興大臣からも各自治体に呼びかけていただきたいと思います。弾力的に、リフォームできるように、いろいろ構造上、穴をあけたら崩れてしまうというようなそういうリスクももしかしたらあるのかもしれませんけれども、相当暑い思いをされております。

 仮設住宅に住んでいる方は、生きているだけでも丸もうけだ、ここに住まわせていただけるだけで感謝ですよというようなことを、東北の方は我慢強いし真面目ですから、こういうふうに言います。ただ、やはり早目に、落ちつける場所で住みたいなということを言っておりました。

 家を建てられる方、自力再建できる方はいいんですけれども、どうしても高齢者の方とか収入が不安定な方は復興住宅の建設を望んでおります。全然、復興住宅の建設は進んでおりません。交付金がおくれたということもありますけれども、早急に大臣の方からも復興住宅の建設を後押ししていただければというふうに思います。

 そして、週末、複数言われたのが、やはり医療費、介護保険料の減免措置をしばらく続けてほしいということがございました。報道では、延長するという報道もございます。実は、被災地では介護が必要な高齢者がふえています、どんどんふえています。なぜかといいますと、仕事を奪われて体を動かさなくなったとか、近所づき合いがなくなって家にこもりきりになって体力が低下してしまった、そして介護の世話にならなくてはいけない体になってしまったということがございます。一方で、介護サービスを利用して、生きる活力を戻している方もいます。

 私が仮設で聞いたのは、お母さんが認知症にかかってしまって、もう二十四時間監視しなければいけない。しかし、介護のデイサービスに預けている間に家事をしたりできるから非常に助かっているということで、介護の保険料の減免というのは本当に助かっているんだということを言っておりました。

 ところが、この減免措置というのが九月に終わるという話になっている。仮設に住まわれている方は情報が非常に少ないのか、これが延長になるということはまだ報道などでは聞いていないのでしょう。震災で収入が激減してしまって、減免がなくなると、とてもじゃないけれどもこれは払えないよ、生活の復興もまだなのに、これで打ち切りというのは、何か国から見捨てられたような気分になってしまうと。やはり、仮設に住んでいて、さまざまな減免措置だとか補助だとかそういうものが、まだ仮設に住んでいるのにそれがなくなってしまうと、何か国は冷たいなとどうしても思ってしまうということを痛烈に、私に痛切に言っておりました。

 この減免について、制度の延長が決まった旨のような報道がされています。このことについて、ちょっと細かく説明してください。国は延長を決めたのか。報道されているように、国の補助は八割ということで、あとは、継続というのは市町村に委ねられているという話なのか、そのあたりをちょっと確認したいと思います。よろしくお願いします。

辻副大臣 最初に、恐縮でございますが、先ほど応急仮設住宅のことがございましたけれども、私どもが聞いておりますのは、居住環境の改善のためのエアコン等を設置する工事につきましては基本的に認められているということを宮城県などの設置主体から伺っておりますので、まずは、工事の内容等につきまして県または市町村によく御相談していただければよいのではないか、このように思っております。

 そして、御質問いただいた件でございますけれども、これもかねがね御指摘をいただいているところでありますけれども、国民健康保険などの窓口負担の免除につきましては、警戒区域等以外の被災者につきましては、平成二十四年九月末まで、減免に要した費用の全額を国が財政支援することにいたしております。

 これは、先ほども答弁いたしましたけれども、阪神・淡路大震災のときには一年間財政支援をさせていただきましたけれども、今回の被害の甚大さに鑑みまして、半年間延長する、そして、それは国保や介護の制度の中で支援をさせていただくということで半年間やらせていただき、その半年間を延長するということによりまして、保険料や自己負担額が被災後の所得に応じたものになるということにもつながることであったわけであります。そういったことで、半年間延長をさせていただいて九月までということになっているわけであります。

 そしてまた、他の一般の災害との均衡ということもございますし、国保の特別調整交付金でこの半年間やらせていただくわけですけれども、それは、そのことなかりせば他の厳しい市町村国保に対して行くお金をそちらに重点的に回させていただいているということでもございますので、財政的な制約もこれありという中で判断をさせていただいたということでございます。

 二十四年十月以降につきましては、保険者の判断によりまして減免を行っていただいた場合に財政支援できる国保の制度等の仕組みを活用いたしまして、財政負担が著しい場合に十分の八の範囲内での支援をさせていただいている、こういうことでございます。

斎藤(や)委員 ずっとこの委員会でも答弁があるように、財源がないから国は八割しか出せなくて、あとは、続けるか続けないかはその自治体が決めてくれということだと思うんですが、今話でもあったのは財政上のことのようなんでございますけれども、本当にその財源はないのか、そういう話です。

 私、先日の復興委員会でも言いましたけれども、復興予算が六兆円繰り越されて、一兆円不用になって国庫に返るという話を聞きました。国庫に戻すというのは、これは復興特別会計に繰り入れるということでございますけれども、そもそも、この復興特別会計というものの制度の理念、それから創設の理念というのを国民の皆様にちょっとわかりやすく端的に教えていただきたいんですけれども、よろしくお願いします、大臣。

平野(達)国務大臣 特別会計でございますので、特別会計に関する法律第二百二十二条では、復興特別会計につきましては、「東日本大震災からの復興に係る国の資金の流れの透明化を図るとともに復興債の償還を適切に管理するため、復興事業に関する経理を明確にすることを目的とする。」と定められております。

 この特別会計の設置によりまして、もう委員御承知のように、予算及び決算については、復興に関する歳入歳出は原則として全て一元的に管理されることになります。また、特別会計に関する法律第十九条に基づく企業会計の慣行を参考とした財務書類も作成することとなりまして、復興事業に係る資金の流れの明確化が図られるというふうに考えております。

斎藤(や)委員 ということは、大臣、その復興特別会計というのは東日本大震災の復興に係る事業に対して使うということでよろしいでしょうか。

平野(達)国務大臣 基本的にはそうであります。ただ、基本的にと申しましたのは、国土の防災に係る事業も一部入るということについては、これはたしか法律の中にも入っていたというふうに思います。

斎藤(や)委員 だからといってという話なんですね。

 先ほど小野寺委員からもありましたけれども、武器を買う予算に復興の予算が使われているということがございました。私も復興庁のホームページを見ましたけれども、これは載っています。委員の方にも、釈迦に説法ですけれども、復興庁の予算の使い道をぜひ見ていただきたいんですが、これは一体何だろうなというのも結構あるわけです。

 私も深掘りをしていろいろ調べてみましたら、こんなのがありました。東京都清瀬市の日本社会事業大学の改装費用、三億二千二百九十三万円、それから、さらに被災地から遠い沖縄県の教育振興費に三十一億円、大臣、細目はちょっと質問で通達はしていないんですけれども、復興と全く関係ないところで使われているんじゃないかな、そういうふうに私は思ってしまうんですけれども、これはどうでしょうか。

平野(達)国務大臣 その補助金の内容が、ちょっと今詳しく私は把握しておりませんが、いずれ、今回の特別会計の、私の理解では東日本大震災にかかわるもの並びにいわゆる次の防災に備えた防災予算の一部というふうに私は理解しております。

斎藤(や)委員 ただ、どんどん深掘りするといろいろなものが出てきまして、例えば官僚の方の給与だとかさまざまそういうもの、天下り団体の運営費だとか、そういうものにまで復興予算が使われている。一兆円、復興予算が余って、それが特別会計に繰り入れられて、それで復興に関係のないような事業や団体にどんどん入れられているんです。

 私はこれは一つ驚いたのが、この復興特会から日本原子力研究開発機構、「もんじゅ」を運転している団体、ここに運営費それから設備費として八十三億円、私今計算したんですが、八十三億円の拠出金が出されております。これは一部報道で、核融合エネルギーを研究するITER計画というものに流れているという報道があったんですけれども、これは事実でしょうか。

平野(達)国務大臣 委員からの御指摘を踏まえまして、この点については事務方に確認をさせたところ、いわゆるITER計画、国際熱核融合実験炉、これについては復興特会ではなくて一般会計に計上されている、そういう報告がございましたし、当然そうあるべきだろうというふうに思います。

斎藤(や)委員 それでは、この日本原子力研究開発機構に流れている予算というのはどんなものに使われているんでしょうか。

平野(達)国務大臣 日本原子力研究開発機構への運営費交付金及び補助金というのは、特別会計において百七億円、確かに計上されております。

 その内訳は、まず一点目は、除染等に係る研究開発等に必要な経費に六十五億円でございます。それから、青森県と茨城県における核融合に関する国際的な研究開発拠点の構築に四十二億円というふうになっておりまして、いずれも、東日本大震災からの復興のための基本方針における原子力災害からの復興や地域経済活動の再生に資するものとして、文部科学省が予算計上を行ったものだというふうに理解しております。

 ITERのことについては、先ほど申し上げたとおりであります。

斎藤(や)委員 千歩下がって、除染に復興の特別会計を使うというのは落ちるんですが、やはりどうでしょうか、核融合に四十二億円ということは、被災地の方が聞いたらどうですかね。世論調査では、東北では八割の方が原発の再稼働に反対しております。私も、当然原発推進すべきだという方の意見も聞きますが、多くの方は、原発は最終的にはやはり見直すべきだよ、そういう意見が多い中で、この復興させるべき予算がそういった原発に関連する核融合の四十二億円に流れているということは、これはどうだろうな、国民は納得しないのではないかなというふうに思うんです。

 ですから、復興の予算はやはり復興のために使ってほしい。復興のためは、全国防災の名のもとにさまざまな箱物をつくったり、北海道や沖縄の道路に使ったりということじゃなくて、本当に東日本の復興のために使ってほしい。これが私の、被災地を代表した、被災者の意見だというふうに思いますので、ぜひぜひこのあたりは、平野大臣、お願いします。

 一言、ちょっとお願いします。

平野(達)国務大臣 研究施設につきましては、これはさまざまな御議論がございますけれども、福島県においては、復興の一環の中で、それからあと、個々の災害からの復旧という一環の中で、研究施設の整備も今進めております。調査計画を進めております。

 先ほどの青森県、茨城県も、御案内のとおり、ここは被災地県ということでこの予算に計上させていただいたということなんですが、委員の御指摘も踏まえまして、余り疑義が生じることのないような予算を計上するということには努めなければならないというふうに考えております。

斎藤(や)委員 やはり、まだグループ化補助金も、きちんと必要なところに行き渡っていない。港のかさ上げもまだです。

 私の住む仙台はまだ復興は進んでいますけれども、北の方に行きますと、ぼろぼろの港、それから、鉄路はまだ寸断されています。これもJRの責任だろうと言われればそれまでなんですが、復興はまだ目で見ても進んでいない状況の中で、復興予算が余った、それが特別会計に行った、それが全国防災のもとにさまざまなものに流れているというのは、やはりどう見ても納得できませんので、ぜひそこは考慮していただきたいというふうに思います。

 それともう一つ、予算の使われ方で聞きたいことがあります。瓦れきの広域処理についてでございます。

 そもそもこの広域処理が必要なのかということからです。宮城県では、今や、一次処理置き場から、人が住むエリアから離れた二次処理置き場に運搬されつつあります。一次置き場でも分別が大分進んでおりまして、例えば悪臭とか火事のリスクというのは、去年に比べるともう圧倒的に低くなっております。

 しかも、瓦れきの推計量は、きょう午前中のニュースでありましたけれども、ことし五月に修正されていたわけですが、これよりもさらに大幅に減った。きょう午前中の閣僚会議で、五月の数値よりもさらに八十万トン近く減ったということでございます。

 焼却炉の稼働日数をふやして木材の埋め立ての規制緩和を進めていけば、広域処理せずに、政府が目標としている二〇一四年三月末まではクリアできるんじゃないかという話もありますし、私も、いろいろ焼却量などを計算してみたら、少なくても焼却物に関しては、二〇一四年三月末までにはできるのではないかというふうに思いました。

 これで、広域処理先の住民とのあつれきというものはもう生むことはありませんし、瓦れきを資材として再利用できる、ウイン・ウインなんじゃないか。被災地でのある程度の継続的な雇用確保にもつながる。

 さらなる広域処理の見直し、あるいはもっと突っ込んで、広域処理事業それ自体をなしにしますよという選択肢というのは今後あり得るのかというのをお聞きしたいと思います。

高山大臣政務官 斎藤委員に御回答いたします。

 まず、この広域処理の必要性ということに関しましては、けさ閣僚懇をやりまして、政府の全体計画のロードマップをお示ししましたが、その中におきましても、広域処理そのものは必要であるという結論でございます。

 これは、今議員が御指摘のとおり、岩手県、宮城県、それぞれ推計量の見直しを行いました。可燃物に関しましては、確かに、調整のめどが立ったという言い方をさせていただいております。しかし、これも、実際に可燃物が全て最終処分が終わったということではございません。受け入れ先が決まってきたということでございまして、その受け入れ先の自治体におきましては、いまだに住民説明会をやったり、試験焼却をやったり、そして地元の方と対話しながら進めていくというプロセスも必要です。

 そしてさらに、不燃物や津波堆積物に関しては、実は、去年の推計に比べてふえた部分もございます。こちらも、今、岩手県、宮城県ではそれぞれ県内処理をしていただいておりますけれども、そしてまた、もちろんリサイクルも進めておりますが、まだまだ県内だけでは足りないということで、岩手県、宮城県の両県の知事からの要請もありまして、いまだ広域処理を進めているというのが現状でございます。

斎藤(や)委員 宮城県の焼却処理の場合、今、たしか月の稼働日数を一カ月二十五日で計算していると思いますが、これを一日ふやして二十六日にすれば、これは二〇一四年三月末で終わる計算になります。仙台などは想定された以上に焼却スピードが速くて、仙台の処理場は相当今稼働しておりまして、石巻から受け入れていたりするわけですけれども、少なくても、焼却処理できる瓦れきは片づくのではないかなというふうに私は考えています。

 問題は、木材の埋め立てとかだと思うんですけれども、木材に関しては、これは埋めて例えば堤防にしようとすると有毒ガスが発生したり陥没したりするということを言われたわけなんですが、この前、環境省からヒアリングを受けて、三カ月ぐらい前ですか、では、そのデータを持ってきてくださいと言ったんですけれども、そのデータがまだ私のもとには届いておりません。

 本当に木材というのは陥没するのか、有毒ガスが発生するのか、この事実というものを私は知りたいなと思っております。これを規制緩和すれば相当瓦れきの被災地処理というものが進むというふうに思いますので、ぜひ、瓦れきに関してはさらなる規制緩和をよろしくお願い申し上げます。

 広域処理に係る予算、これも結構な予算だと思います。ことしの春ですか、一面カラーの広告で石巻の瓦れきの山の写真を使って、「みんなの力でがれき処理」というコピーを使って啓発しておりましたけれども、大手新聞社だけでなく地方の新聞社も含めて全国で広告を出しておりました。

 この瓦れきの広域処理に係る広報予算というのは、大体幾らぐらいなんでしょうか。

高山大臣政務官 斎藤委員にお答えします。

 まず、今議員御指摘の木材の処分に関しましては、環境省といたしましても、なるべく盛り土材ですとか防潮堤に使っていただこうということで、丸太に関しては御使用いただいて構いません、しかし、やはり実際に可燃物の中には腐敗して高熱を発するもの、危険なものがありますので、そこは御遠慮いただきたいということで、明確な指針をお示ししております。

 その上で、今お尋ねの広域処理の広報につきましてですけれども、平成二十三年度におきまして、除染の費用と合わせました費用が九億円でございます。平成二十四年度におきましては、十五億円ということで計上させていただいております。

斎藤(や)委員 十五億円という数字で瓦れきの広域処理を、恐らく広告代理店にお金が行っているということだと思います。

 それともう一つ、瓦れきの運搬。このコストは国が面倒を見るたてつけになっているわけでございますけれども、この瓦れきの運搬に係る予算というのはどれほど積まれているんでしょうか。

高山大臣政務官 斎藤委員にお答えいたします。

 広域処理を含みます災害廃棄物処理の全体といたしましては、東日本大震災に係る災害廃棄物処理事業補助金とグリーンニューディール基金を合わせまして、平成二十三年度で七千三百二十九億円、そして平成二十四年度では三千二百八十億円の予算を計上しております。

 今お尋ねの広域処理の運搬のことなんですけれども、広域処理に係ります経費とそれ以外の経費は今、区別ができておりません。また、距離、輸送手段等、さまざまな条件によりまして費用が異なるため、必要とされる広域処理の大部分は今調整中ということになっております。ですので、現時点で広域処理のみに係る総予算及び運搬予算を算出することは困難というふうになっております。

 ただ、参考といたしまして、今わかっているものだけで申し上げますけれども、東京都で処理をしていただきました実績ですけれども、おおむねトン当たり三万円から七万円ということでございまして、例えば、仮設焼却炉の建設費を含めました被災地におけます災害廃棄物の処理単価がおおむね今二万円から七万円ということですので、妥当な範囲というふうに現在では考えております。

斎藤(や)委員 私、今の数字を後で計算してみたいと思いますが、広域処理の予算がトータル一兆円かかっているということでございます。では本当にこれは一兆円かけてやるべき事業なのかということを、私はそろそろ再度検証すべきだと思いますよ。これだけ想定以上に瓦れきの量が減ってきた、それから、本当に被災地で瓦れきの広域処理を望んでいるのかというのを、ぜひ皆さん、一回ヒアリングしていただきたいと思います。

 政府にも体裁というものはあるでしょうけれども、現実と事業のギャップが生じているのであればそれは素直に認めて、広域処理に関してはもう少しダウンサイズしていきますよ、最悪必要はなくなりましたよ、その予算は別の復興予算に使いますよということにしても国民は怒らないと思いますし、納得できるかというふうに私は思います。

 きょう、これまでの委員会のやりとりで、被災地のニーズと国の予算の差配に相当の温度差があるなということを感じました。予算があるのに必要なところに行き渡っていないんじゃないか、どうも復興予算にもシロアリが群がっているんじゃないか、復興予算がいつの間にか全国防災の名のもとに北海道や沖縄の道路建設、霞が関の官庁の建て直しに使われているのではないか、この事実こそ、残念ながら、今の政権が被災地に寄り添うという言葉が言葉だけであるのではないかということを私は示しているんじゃないかなと、厳しい言い方ですけれども、感じてしまいます。こういうところも、不信任案が出るか出ないかというところの一つの要因になっているということを意見させていただきまして、私の質問を終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、石原洋三郎君。

石原(洋)委員 国民の生活が第一・きづなの石原洋三郎でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 伊勢湾台風の際の現地災害対策本部の本部長、本部長代行、副本部長などを担当した役職はどなたか御存じでしょうか。

細野国務大臣 済みません、ちょっと私担当ではないんですが、事前に御通告をいただいておりましたので、確認をさせていただきましたので答弁をさせていただきます。

 昭和三十四年の伊勢湾台風の際には、政府においては内閣総理大臣を会長とする中央災害救助対策協議会を設置するとともに、現地におきましては愛知県庁内に益谷副総理を本部長とする中部日本災害対策本部を設置したというふうに伺っております。その本部には、本部長のほか、石原国務大臣が本部長代理として、各省庁の次官が副本部長として、また各省庁の部局長クラスが本部員として派遣をされ、応急復旧対策に当たられたというふうに承知をしております。

石原(洋)委員 原発事故も続いておりまして、多くの方々が政府の指示で避難生活を余儀なくされております。

 放射能災害でいまだ多くの方々が苦しんでいるわけでありますが、復興大臣、原発事故収束担当大臣はどちらに常駐されておりますでしょうか。なぜ被災地にいないのでしょうか。

細野国務大臣 万一原子力災害が発生をした場合ということで、原災法には規定がございます。そして、それが今回現実のものとなったということでございます。原災法の第十六条第一項の規定によりまして、中央に総理を本部長とする原子力対策本部を設置いたしまして、十七条第八項の規定により現地に原子力災害現地対策本部を設置することとしております。そして、中央防災会議におきまして定められております原子力災害対策マニュアルに基づきまして、現地本部長には安全規制を担当する副大臣を置くこととなっております。

 現在、福島の現地対策本部では、これは石原委員御存じだと思いますけれども、安全規制を担当する経済産業省の柳澤副大臣が本部長を担当しています。地元自治体との密接な連携、また地元の声を東京に伝える役を柳澤副大臣がやっておりまして、被災者の生活支援を初めとしたさまざまな現地の対応について行っているということでございます。

 恐らく、いろいろな連携の話をおっしゃりたいんだというふうに思いますが、そこは、現在は既に情報網については整備をされておりますので、現地の情報について、私を含む関係大臣がしっかりと収集をして対応する仕組みができているというふうに思っております。

 加えまして、これは平野大臣も私も同様でございますけれども、ほぼ毎週のように被災地に行っておりますので、被災地のそれぞれの皆さんのお感じになっていることであるとか課題については、全て解決ができているとは申し上げません、まだまだ課題がありますし、不十分な政府の対応がありますけれども、少なくとも現地の状況についてはかなり把握をすることができているのではないか。そして、至らないところについては、地元選出の議員の皆さんの声もいただきながら精いっぱい対応してまいりたいというふうに考えております。

平野(達)国務大臣 現地には、もう御案内のとおり吉田復興副大臣を筆頭とする復興局が設置されておりまして、現地の原災本部それから除染事務所等々と連携をとりながら、いろいろ対応に当たらせているということであります。

 私自身は、復興庁、本庁は東京でございますから東京を拠点にしておりますけれども、私も週末はほとんど被災地へ、どこかにお邪魔させていただきながら、ぐるぐるぐるぐる回りながら、現地の状況を把握しながらさまざまな施策の実施に努めているというところであります。

石原(洋)委員 今まで多くの方がいろいろ質問されているわけなんですけれども、一年五カ月たっても、結局、被災地からすると何も進んでいなかったり、あるいは政府と被災地との信頼関係が築かれていない、今までたびたびそういう指摘はあったかと思います。そういう中で、災害対策本部のあり方、初動のあり方から私は大きく失敗だったのではないかと思うわけであります。

 例えば、伊勢湾台風のときですと、副総理大臣が本部長、それは現地の本部長ですから。そして、各省の事務次官が現地に入って、そして現地から東京に向かって指示を出すんですね。現在ですと、今まで連絡あるいは調整と。確かに土日は大臣が来るけれども、平日はいないねということで、日々、一刻一刻変わっていく状況の変化に対応できなかったんだと思います。

 ですので、一年五カ月たって、SPEEDIを公表しない、あるいはメルトダウンを隠す、あるいは避難指示が一カ月おくれ、IAEAの勧告よりおくれて来る、あるいは直ちに健康に影響はないといった発言であったり、除染も一月から始まるといって始まらない、そういったさまざまなことをやったときに、せめて、被災地に寄り添うというのであるならば、やはり被災地にいないといけないと私は思いますので、その点をぜひ御考慮いただければと思います。

 除染のためには仮置き場の設置が必要です。しかし、仮置き場を設置しようとすると周辺の地権者が反対をするケースが多いです。ですので、仮置き場のみならず周辺も借り上げて、周辺の地権者の了解を得る、そうすれば仮置き場の設置もスムーズにいくのではないかという声が現場から上がっています。仮置き場の設置推進のためにも周辺も借り上げるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

細野国務大臣 御指摘のとおり、仮置き場は除染に際しては不可欠なものでございまして、そのためには周辺住民の皆さんの理解が不可欠だというふうに思っております。

 環境省といたしましては、仮置き場の設置について財政的な支援措置というのはもちろんでありますけれども、設置場所の周辺の住民の皆さんの安心、安全を確保するためのガイドラインの周知であるとか、専門家を派遣した技術的な支援、また、地元の説明会で私どもが参加をさせていただけるところについては、福島の環境再生事務所の職員を派遣いたしまして、理解を得るべく努力をしているところであります。

 ただ、その中で、なかなか仮置き場について設置をするのに苦労をされている自治体の方がたくさんおられて、十分な対応がし切れていない部分があるところは、これはもう率直におわびをしなければならないというふうに思っております。

 それぞれの市町村によって御事情がありますので、最大限それには柔軟に対応するようにしてまいりたいと思っておりまして、借り上げの仕方としていろいろな御提案があるようであれば、そこは個別に、最大限対応させていただきたいというふうに思っております。

石原(洋)委員 確かに、いろいろガイドラインを設けていただいて、仮置き場の設置をしていくということであるんですけれども、ただ、それを運用していったときに、どうしても現場ではそれが運用できないというケースがあって、市町村がこうしてくれということを申し上げたいときに、やはりそこは政治的決断でもって進めていくということが必要であります。

 ですので、やはり大臣が被災地にいる、市町村長がこういうふうにしてもらいたいと言ったときに、ガイドラインではこうだけれどもそういう現場の実情があるんだったらいいねと大臣がオーケーを出せば、それでみんな動けるんですよ。大臣には現場にいていただきたいとお願いをするところであります。

 そもそも、原発政策を推進してきたのは政府であります。原発事故が起きたのはその安全管理が徹底なされなかったからでありまして、東電が確かに事故は起こしましたけれども、政府にも責任はあります。ですので、現場で被害者が困っているときに、やはり政府がそれを、制約を課す、これしちゃだめ、あれしちゃだめと言うこと自体が私はやはり納得いかない。やはり政府の責任で、被害者の立場に立って、それを優先していただくような対策をお願いしたいと思います。

 ですから、大臣には現場にいてもらいたいと申し上げます。

 森林の除染はするのかしないのか、する場合は何年計画で実施するのか、御説明をお願いいたします。

細野国務大臣 福島県の場合には、森林がたくさんございますので、森林の除染について多くの皆さんが非常に大きな懸念を持っておられることは承知をしております。

 まずは、人の健康の保護の観点から、住宅の近隣の森林について除染を行うこととしておりまして、今その取り組みをしているところでございます。一方で、住宅の近傍以外の森林の除染につきましては、どのような方針にするのか、福島の皆さん、非常に強い関心を持っておられるので、現在、有識者から成る環境回復検討会というのを設置しておりまして、そこで具体的なデータをお示ししながらまさに御議論をいただいているところでございます。

 七月の三十一日の環境回復検討会では、放射性物質の森林からの流出、拡散の状況などにつきまして、現時点で得られている科学的な知見を踏まえて、有識者の皆さんで御議論をいただいたところでございます。その中で、具体的なデータといたしましては、間伐等によりまして除染ができる割合ですが、林野庁の調査によれば、事故後約一年後において、空間線量率で八%から九%程度の低減という形になります。これが間伐による除染の効果ということでありますので、その効果はどうしても限定的だということが明らかになったわけです。生活空間から順番に除染をし、森林の中でも例えばキャンプ場のように人が入る可能性が高いところについての優先的な除染をする中で、森全体をどのように除染していくのかということについては、この七月三十一日の時点の検討会でも、まだ非常に困難な状況についての方向性が出ていないという状況であります。

 何とか八月の末までに一定の方向性を出したい、中間取りまとめとして出したいと思っておりますが、恐らくまず第一弾ということになりますので、大変恐縮ですが、森林の除染についてはもう少し長期戦になるということを我々も覚悟をして、福島の皆さんにもそこは、大変恐縮ですが御理解をいただいて、時間をかけてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。もちろん、前倒しできないかということについてはいろいろ検討してまいります。

石原(洋)委員 山の方に放射性物質がいっぱいありますと、やはり水が飲めない、あるいは山の中に入って山菜もとれない、林業もできない、あるいは田んぼや畑で水が使えない、川でも遊べない、海でも遊べないという声になっているわけであります。

 山林の除染は、やり方はまだ決まっていないけれども、するということで私は受けとめたんですけれども、やるということでよろしいんでしょうか。

細野国務大臣 まず、水でございますけれども、これはセシウムの性格ということになるわけですけれども、水については、汚染をされて飲めないという状況ではなくて、そこは確実にモニタリングする必要がありますが、そこの生活環境という意味では、水は、今まではかっているところでいえば、非常に安全性について確認をできているという状況にございます。

 ですから、森林が除染できないからといって、水が飲めないとか、それこそ住宅では生活できないということではないように、しっかりそこを確認した上で取り組んでまいりたいというふうに思います。

 森林については、時間がかかってでも、やはり徐々に徐々にでも線量を下げていく努力はしたいというふうに思っています。それは、川内村を初めとして、バイオマス発電などに挑戦もされる、今準備をしていると聞いておりますから、そういったものも含めて、いろいろな取り組みを複合的にやる中で、線量の低減を目指して努力してまいりたいと考えております。

石原(洋)委員 中間貯蔵施設について、無人島ではどうですかという質問があったんですが、済みません、それだけ最後にお願いします。

細野国務大臣 そういった御提案もいただいておりまして、検討はしておるんですけれども、中間貯蔵施設の場合は、管理の問題もありますので、無人島というと人がいないということになってしまいますので、そこはちょっと、やはりどうしても難しいところがあろうかと思います。

 中間貯蔵施設が除染において一番重要だというふうに思っておりますので、地元の皆さんとしっかりと本当にそこはいろいろな協議をさせていただいて、前進をさせたいと考えているところでございます。

石原(洋)委員 どうもありがとうございました。

古賀委員長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 先日、八月一日に、私は、宮城、岩手に復興特の視察で行かせていただきまして、現地でいろいろと意見交換をしてまいりました。せっかく現地へ行ってお声をお聞きいたしましたので、そのお聞きをしたお声をどう反映するか、こういう観点からいろいろとお尋ねをいたしたいと思います。

 まず、いろいろと意見交換をした中で私が感じましたのは、一つは、東日本大震災の復興特別区域法の第十一条で、地元から、要するに、特定地方公共団体が総理大臣に提案をできる、また復興特別意見書も出せる、こうなっておりますが、現状は一体どうなっているか、今まで何件ぐらい来ているのか、まず教えてください。

平野(達)国務大臣 復興特区法に基づく復興特別意見書、これは、認定地方公共団体等が新たな規制の特例措置等について国会に対して意見書を提出することができるという制度でございまして、これは、委員を初めとした皆様方からの御提案でもって入った制度でございます。

 これまでのところ、この制度が活用されたという事例はございません。我々も、基本方針の中でもその有効活用をうたっているほか、特区法の説明資料等を用いて周知を図っているところでございますけれども、引き続きこういったことの努力は続けなければならないと考えております。

石田(祝)委員 大臣、私、午前に、この十一条の中で提案というのも入っていますね、総理大臣に対して、特に適用を受けて事業を実施しようとする者はそういう整備について提案するように地方公共団体に要請することができる、こういう項目もありますよね。ですから、提案と復興特別意見書、両方お聞きするということにしたんですが、これは連絡が行っていなかったんでしょうか。

平野(達)国務大臣 内閣総理大臣に対する意見書でございますね。(石田(祝)委員「提案です」と呼ぶ)提案ですね。

 七月二十日に宮城県から復興特区法に基づく新たな特例措置等の提案が行われております。これは、防災集団移転促進事業の移転先の土地売却について五千万円の譲渡所得の特別控除を求める、こういった特例を初め、四点受けておりまして、きょうから法律でも規定されているいわゆる国と地方の協議会を開催しておりまして、この中でさまざまな議論がされます。この協議会の場で宮城県の考え方をよくお聞きして、対応してまいりたいと考えております。

 失礼いたしました。

石田(祝)委員 私どもも、実は、この復興特区法をつくるとき、いろいろな御意見をいただきました。特に、条例による法律の上書きをさせてもらいたいと。要するに、被災地の状況というのはほかのところと違うので、全国一律に適用される法律じゃなくて、やはり、条例という形ではあるけれども、法律を変えなきゃならない。そうすると、その上書きをぜひその地域だけでもして、実際的な復興に役立てたい、こういう意見がありました。

 我々も、議員立法ですから随分いろいろと工夫もしてみたんですが、これはなかなかちょっと難しい、こういうことで、それを担保するという目的で、地方自治法九十九条の議会が出すのではなくて、首長が直接意見を国会に出して、法律を改正してもらうとか、そういう要望を出してもらおう、こういうふうにしたんですが、残念ながら、我々の努力不足もあるかもしれません、そういう点、この周知をどうもされていないのではないか。ちょっと、意見交換したとき、余り知らなかったような印象を私は受けました、それは私の印象だったかもしれませんけれども。

 ですから、これは現実にまだ一件も出ていないということで、まことに残念なんですが、これはぜひ、国会へ出していただくということで行政府としてのかかわり方は難しいかもしれませんが、法律の中で規定をいたしましたので、せっかくのそういう機会を、我々としては精いっぱい考えたつもりですので、ぜひ復興庁の方も、そういう点にも御配慮いただいて、折あるごとに、こういう方法もあると。ですから、その点ダイレクトに言っていただくということが私は非常に大事じゃないかと思っておりますが、ぜひ御尽力いただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 引き続いて、水産庁にお聞きをいたしますが、共同利用漁船事業、私もたびたびお聞きをいたしておりますが、やはりこの意見も出てまいりまして、大変助かっているというお声も当然あります。

 そういう中で、これは具体的に、予算からいくと、いつまでやってくれるんだろうか、こういうお話がありまして、これにつきましては、結局、二十三年度の補正についてはもう申請は締め切っている。ですから、あとはお金を払うだけになるようであります。二十四年度も三十九億の予算をつけていただいておるようでありますけれども、これはやはり引き続いて事業としてやってもらいたい、こういうお声がありますが、現状の執行状況と、それから二十五年度の予算について水産庁はどう考えているか、御答弁をお願いします。

佐藤政府参考人 御説明を申し上げます。

 現在まで、各県から受けた報告によりますと、岩手県で約三千七百隻、宮城県で約九百隻など、七道県で約四千七百隻の船が本事業によりまして復旧されているところでございます。

 二十三年度補正予算の関係でございますが、交付決定額三百七億円に対しまして、岩手県二十億円を筆頭に、七十六億円を概算払いによって支出しているところでございます。

 平成二十四年度予算においても、先ほど委員から指摘がございましたように三十九億円計上しておりますけれども、この予算は繰越明許費となっておりまして、年度内に事業が完了しないものにつきましては翌年度へ繰り越しが可能ということになっているところでございます。

 平成二十五年度以降の予算につきましても、被災地の復旧復興の状況を踏まえながら、復興庁と連携いたしまして、漁業者の漁船建造の要望にしっかりと対応していく考えでございます。

石田(祝)委員 これは復興庁にお伺いしたいんですが、こういう予算は復興庁でまとめて概算要求するようになっていますよね。これは、大臣、概算要求するということでよろしいんですか。

平野(達)国務大臣 概算要求は、おのおのの制度については各省が要求をするということになっておりますけれども、いずれ、こういった予算が必要だということであれば、引き続き予算の確保をするように復興庁としても各省にお願いしなければならないというふうに思っております。

石田(祝)委員 ちょっと確認しますけれども、復興関係の予算というのは、これは復興庁がまとめて要求するんじゃなかったですか。

平野(達)国務大臣 復興交付金等々については復興庁がやりますけれども、これはたしか、復旧支援対策事業というのは復興交付金の中に入っていましたか、そうじゃないですね。これは農水省所管の事業だと思いますので、これについてはこれまでは農水省が要求いたしましたが、特別会計の中ではこれは入っています。ということは、農水省所管の事業ですが、復興庁がまとめて要求するということになります。

 失礼いたしました。

石田(祝)委員 続きまして、林野庁にお伺いをしたいと思います。

 これも地元に行ったときの御意見がありまして、いわゆる森林で、ここは、私も行ったときに、やはり塩害で一万立米ぐらい赤くなっている、そこの処理もまだできておらない、こういうお話でございました。私も何度か農林水産委員会でバイオマスの関係でお聞きをしたんですけれども、森林・林業再生プランで経営計画をつくらなくちゃならない、それがなかなか難しいんだというのが森林の組合長さんの意見なんですよ。それで、ぜひ林野庁に直接来て手伝ってもらいたい、こういう御意見がありました。

 ですから、これについては、いろいろとお考えもあろうかと思いますけれども、そういうお話もありましたので、きょう御紹介をさせていただき、林野庁としてできるだけ協力をしてほしい、こう私は思っておりますが、いかがでしょうか。

皆川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、南三陸町の森林組合の件かと思います。この組合は、小規模ではございますけれども、これまでも非常に集約化に取り組んできていただいたところでございます。ここでやはり被害木の処理等にかなり手間取っているということもあって、経営計画に向けてのいろいろな諸準備がなかなかできかねるというような御指摘かと思います。

 こういったことにつきましては、当然、復興の基本方針の中でも、そういった市町村の能力だとかがもっと発揮できるように、現場実態を踏まえて、いろいろ人材面でも支援をするんだということがうたわれております。委員からの御指摘もございましたので、早速、まず現地の方に職員を派遣しまして、どういった実態なのかということを十分お聞きした上で、経営計画が順調に策定されるように全力で支援していきたいというふうに思ってございます。

石田(祝)委員 これはぜひお願いをしたいと思います。

 前にもお話ししましたけれども、経営計画の申請書類も私、見せてもらったんですが、私がよくわかっていないんだろうと思いますけれども、なかなか大変じゃないのかなと率直に実感をいたしました。それで、現地はそういう災害対応でまだ処理もできていない、さらにこれから経営計画となると、人手が足りない。

 ですから、私は、長官が人を派遣していただくということでしたから、これは非常に結構なことだと思っておりますので、それはよくお声を聞いていただいて、多分、同じようなところはたくさんあると思うんですよ。だけれども、我々が行くと、我々には率直に物を言っていただきますけれども、林野庁の職員が行くと、皆下を向いて、なかなか言いにくい、こういうこともあろうかと思いますので、こっちからやはり声をかけてあげる、どうですかというふうなことが必要だと思います。これは行っていただくということでありますから、よろしくお願いをいたしたいというふうに思います。

 引き続きまして、被災農家経営再開支援事業、これの継続についてもいろいろ要望がありました。

 きょうは、私は、せっかく現地へ行きましたので、現地のお声をやはり大事にしてあげたい、こういうことで、現地の声を中心にお伺いをいたしたいと思っております。この被災農家経営再開支援事業、これは水田作物、野菜、果樹、畜産というふうにあるわけですけれども、この中で、特に水田作物、野菜、果樹、これが十アール当たり三万五千円の補助金があるということであります。これについて、現地のお声では、延長してもらいたい、継続をしてもらいたい、こういうお声であります。

 それで、いろいろとお聞きをしますと、二十三年の補正で七十二億円、これは畜産も一緒で七十二億で、特に水田については六十億で、そのうち五十億はもう使っている。二十四年については四十八億、これはミシン目を入れずに四十八億だということでございますが、これで本当に二十四年で終わるかどうか、こういうことでもあります。

 これは、二十五年に向けて、もう概算の時期も迫っておりますけれども、農林水産省としてどういうふうにお考えなのか、お聞きをいたしたいと思います。

佐々木副大臣 お答えいたします。

 今御質問をいただきました支援事業でありますけれども、これは被災の農業者に復興組合というものを設立していただいて、そして共同で作業を行うという場合に復興組合に対して支援をさせていただいているというものであります。御案内のとおりでありますが、ごみやれきの除去、それから農地や水路の補修、土づくりなどについて支援を行っているところでございます。

 継続ということの御質問をいただきましたが、これは、二十三年度は農水省の補正で措置しましたが、二十四年度は復興庁予算で計上させていただいてございます。二十五年度、引き続き復旧作業を行う必要はあるというふうに認識をしてございます。よって、二十五年度の予算要求においても適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

石田(祝)委員 復興大臣、これはどうも復興庁の予算要求のようですけれども、これは概算要求に入れていただけるんでしょうか。

平野(達)国務大臣 現地の状況等を踏まえながら対応したいというふうに思います。しっかり対応したいと思います。

石田(祝)委員 引き続きまして、今度は漁業の方の話でありますけれども、こういう意見がありました。現地の、宮城県は一県一漁協でありましたが、ここで、ほかの大きな港と比べて、自分のところは若干対応が、こういうようにしたいという思いがあって、それからちょっとおくれている、こういうお話でした。

 衛生管理型施設、いわゆるHACCPを備えた施設をつくりたいということでありましたけれども、なかなかうまくいかない、こういうことであります。どうも、お聞きをすると、復興庁の復興交付金での整備ができるのではないか、こういうことでお聞きをいたしましたけれども、これはそういうことでよろしいんでしょうか。

平野(達)国務大臣 これは対応が可能であります。この案件につきましては、具体的な要望を伺いながら対応してまいる所存ではございます。

 ただ、中には、かなり大きな計画、構想を持っているところもございまして、そういったところについては、やはり他の地区との平等といいますか並びということもございますので、個々のケース、ケースによっていろいろ相談させていただきながら対応したいというふうに考えております。

石田(祝)委員 これは、まだもう一問、私は質問いたしますけれども、我々が現地へ行っていろいろとお伺いをする、そしてきょうのような形で質問をする、そうすると、これは大臣やまたほかの省の方も、当然そういうのはできるはずなので、私が大臣の答弁から受けた印象は、なぜもうちょっと早く現地で率直な要請がなかったのかと、何かそういうものを受けていないような印象も受けるんですが、そういう話というのは地元であったんですか。(平野(達)国務大臣「HACCPの話ですか」と呼ぶ)HACCPを今までやっていなくて、そういうのにかえたいと。

 いわゆる復旧というよりも復興ですよね。原状復旧じゃないわけです。もう一段レベルを上げて復興したい、こういうことですから、当然、原状復旧じゃないわけですね。そういうものに対して、我々が行ったときにこういう要望が出てくる。それは以前から伝わっているかもしれませんけれども、ちょっとそういう印象を受けましたので、これは意見書を直接出していただいてもいいんじゃないかという気も私はしたんですけれども、これは、大臣、どうなんですか、そんな話は全くなかったんでしょうか。

平野(達)国務大臣 原則は、災害復旧事業もそうでございますけれども、復興交付金は災害復旧事業が適用できないからつくった制度でございますが、基本は原状復旧ということが基本であります。しかし、そうはいっても、今回の場合は非常に被災が大きいということでございまして、機能強化を図るということについても積極的に認めるということで調整を進めております。

 では、しからば、どういう事業についてどこまでやるかということについては、一概に線を引くことが難しいということもございまして、どうしてもまず一地区一地区ごとの相談になるというふうになってまいると思います。ここに余り時間をかけるわけにもいきませんので、迅速な対応を心がけるように引き続き現場の方には指示をしたいというふうに思いますが、いずれ、その過程の中で若干のやりとりが出てくるということについては御了解をいただきたいというふうに思います。

石田(祝)委員 原則は原状復旧というのは基本的な考え方でしょうけれども、これはいろいろ意見がありますよね。せっかく直すんだったら、今より以上によくしてやった方がお金も無駄にならないんじゃないか、こういう意見もありますので、また、今回大変な被害を受けているということもありますから、ぜひ、できるだけ現地の要望を酌み取っていただきたいな、こういうことを申し上げておきたいと思います。

 最後になりますけれども、こういう御意見もありました。商工会の方から、やはりグループ補助金は非常にいいと。こういう高い評価の上での話でありますけれども、七月の二十二日に、ある新聞にこういう記事が出ておりまして、石巻市の水産加工会社はグループ補助金を活用した新工場ができる、その建設費の二十億のうち十五億円が補助金だと。これはグループ補助金ですね、四分の三ですから。こういうことで、持ち出しも多いけれども、一気に再建へかじを切った、こういうことで、大いに利用されているだろうというふうに思います。

 それで、この現状を、とりあえず、まず経産省の方からお聞きいたします。

北神大臣政務官 お答えします。

 グループ補助の執行状況ですが、平成二十三年度におきましては四回採択決定をいたしております。累計で、百九十八グループに対しまして、国費で千四百六十八億円、国費と県費を合わせまして二千二百二億円の支援を行ってきている。

 さらに、本年五月に、皆さんに通していただきました平成二十四年度の予算で五百億円を措置しておりますので、これを活用した第五次公募を各県において実施しておりまして、一部、茨城県がちょっと今手続で時間がかかっておるんですが、合計九十二グループに対して、国費で四百六億円、国費と県費を合わせて六百八億円の支援を行っているところでございます。

石田(祝)委員 二十三年の補正は、千五百三億円の予算で千四百六十八億円。ですから、三十五億円が余ったんですが、二十六億は繰り越し。こういうことで、本年度につきましては、五百億円の予算で現状四百六億円、プラス、これから茨城の分が入ってくる。ですから、これはほぼ、五百億は今年度については使う、こういうことになるわけですね。

 それで、午前でも大変要望が多いというお話もありまして、これはもう、五百億の枠で現状四百六億プラス茨城、これは幾らになるか、私も詳しく聞いておりませんけれども、余り余裕がない。そうすると、この第六次ということをやるには、補正をやるか何とかしないと、これは要望に応えられないわけですね。

 非常に人気があるということで、借金をせずにこっちでやろうというお考えの方もいらっしゃるだろうと思いますが、これはせっかくの制度で人気があるということですが、これは経産省にお聞きしたらいいんでしょうか。今後の予算等について、これは復興の中でやるわけですよね、大臣のところですか。今後の見通しを、ぜひ引き続いてということの御要望ですが、どうでしょうか。

平野(達)国務大臣 これは復興交付金とは別枠でございますが、いずれ、要望が多いということは、被災した企業主が、引き続きこの場で自分の工場あるいは加工施設、こういったものについて復旧させたい、そういう強い要望を持っているということでございますから、できるだけその要望については実現をさせるということが復興庁の仕事だというふうに思っております。

 どういう形で予算を計上するかということについては、これから経産大臣、財務大臣ともしっかり相談をしていきたいというふうに思っております。

石田(祝)委員 私は、大体現地の要望を中心にきょうは質問をさせていただきました。本当に、もう五百日を超えて、まだ残念ながらこういうお話が出るというのが現状でございますので、ぜひ現地のお声にさらに耳を傾けていただきますことをお願いして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私も、委員派遣で福島に行かせていただきまして、福島市を初め十四市町村の首長の方から話を伺いました。先ほど来お話がありましたが、どの首長も国に対して怒り心頭という状況でございまして、約二時間半、国は一体何をやっているんだという厳しい叱責を受け続けたという感でございます。除染も賠償も、そして企業誘致や雇用、今後の生活の見通しも進まないとのいら立ち、そしてまた、その方たちは、国や県と、そしてさらに住民との間に挟まれ、並大抵の御苦労ではないと思っております。

 先ほど田嶋議員から、発災直後の対応状況から変わっていないのではないか、こうした御指摘がありましたが、当然のことながら、今も石田議員からも話がありましたように、同じことを何度も何度も私たちも質問をさせていただいております。また、こうした要望で御指摘されるような課題は、もう事故直後から当然予想できてしかるべき内容でありまして、今さらこのような心配を自治体に抱かせている点で、私は改めて、今の政府の統治能力の欠如、指摘をさせていただきたいと思います。鈍い、遅い、心がないと申し上げてまいりましたけれども、遅いにもほどがあるという感がいたします。

 私はまず提案をさせていただきたいのですが、その中から強く御要望がありましたのは、こうした、急に集められて、五分です、十分ですと時間を区切られる、そういう会議ではなくて、国会議員には直接住民から要望を聞いてもらいたい。現地に来て、そして、例えば田村市、田村市はどこにありますか、細野大臣、平野大臣は地図を見るところから始まった、このようにおっしゃっていらっしゃいましたが、私たちもそこに足を運ばせていただきながら、福島県のこうした被災市町村に対しまして、再度委員派遣を当委員会として行っていただき、現地に寄り添った支援、復興ができますように進めるべきではないかと考えております。

 委員長に提案をさせていただきたいと思います。ぜひとも御検討をお願いいたします。

古賀委員長 理事会でぜひ議論をいたして、決定をしたいと思います。

高木(美)委員 また、あわせまして、当委員会ですが、最低月一回は開くべきではないかと思います。

 今まで法案審議等ございましたが、三月八日に福島復興再生特別措置法を通して以来、子ども・被災者支援法案まで約三カ月間、実はこの衆議院でも、当然参議院の審議もありましたので大臣の御予定もあり、開かれていなかったわけですが、やはり恒常的に月一回、ほかの委員会はどうあれ、この復興に向けては超党派で決意をしましてここまで進めてきたわけで、ぜひともこの委員会も月一回は最低開かれますように、そして現地の御要望に沿った質問がしっかりとできますように、委員長の御差配と理事会での協議をお願いしたいと思います。この点、どうぞよろしくお願いいたします。

古賀委員長 そういうことをぜひやれるような政局もまた期待しますし、今の御意見、理事会にて真剣に論議をいたしたいと思います。

高木(美)委員 当委員会だけは政局に左右されず、現地に寄り添って行うべきではないかと私は思います。

 そうでありませんと、政局だからって、何を優先しているのか、どこに私たちの視点があるのか。そこがやはり、現地から言われましたのは、有事なんだ、平時の対応じゃないんだ、そこをわかってほしいという強い強い御意見でございました。どうかその点だけは、各党またそれぞれ国対の方向性もあられるかと思いますけれども、ぜひともこれは一致結束をいたしまして復興のために進める、こうした大きな取り組みというのが国に対して求められていると思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)

古賀委員長 承知いたしました。

高木(美)委員 多くの御賛同の拍手をいただきまして、ありがとうございます。思いが全く同じであるということに私も本当に感動しております。

 今、被災者また避難された方たちからは、いまだに生活再建の見通しが全く立たない、こうした声が多くあります。今後の生活再建また地域復興につきましてどういう見通しを政府がお持ちなのか、これから質問を順次させていただきたいと思います。

 まず、ただいま福島県の副知事とそれからいわき市長が要望にお越しになりまして、私はお会いをいたしました。その中から、特に地域医療の充実につきまして、私はきょう質問をさせていただきたいと思います。

 全部で四点ありましたが、まず最初の地域医療の充実についてです。

 実はいわき、もう皆様御承知のとおり、福島の中でも温暖な地域、そして浜通りの一番中心をなす地域ということで、双葉郡からも二万三千人の方が避難をされ、いわき市自体は今三十三万人の人口、ですから約一割の人がふえている。今、そこに、またさらに原発関係であるとか復興のための従事者が多く入っているという状況で、今までの人口のピークが三十六万人、それを超えている、そういう印象を持っていると市長はおっしゃっていました。

 問題は、もともとの医師不足に加えまして、今回こうした一時的な人口増に伴うさらなる医療の危機でございます。特に、医療につきましても、一つは、地域のこうした医療の再構築を早急に図る必要がある。特にいわき、そこでまた相馬とか、またさらに南とか、そうした方たちの面倒も見ていらっしゃるということから、地域医療再生基金の積み増しをお願いしたいという点が一つ。

 それから二つ目に、浜通り地域におきましては、高度急性期の医療を担い、三次救急医療に対応した、今はいわき市は市立病院がそれを担っているわけですが、耐震化ができておらず、新しく建て直すしかないという状況があります。この地域では今、いわきの市立病院が最後のとりでになっているというお話でございます。したがいまして、新たなこうした市立病院を整備しなければならない。ここが崩壊をしたら、まさに浜通りの医療は崩壊をしてしまう、こうしたお話から、この整備につきまして特段の配慮をお願いしたい。

 また、最後に、医師の招聘また医療従事者確保のための対策を実施してもらいたい。こうした大きな三点の要望でございました。

 実は、医療を考えますと、今、医師にかかる方たち、今までよりも約一六%、これは地元の方ではなく市外の方が受診されているのが一六%、歯科医師の関係者に至っては三三%の方がふえている。いわば、税を払わないということになるんでしょうが、その方たちがここで受診をされているというぐらいに、今、医療にかかる方たちもふえているという状況です。

 こうした中で、やはりどうしても、手当てがしっかりとできませんと、市民から見ますと、あの方たちが、当然、最初は本当にみんな、いわきが大事だから受け入れよう、そういう真心でやっていたものが、だんだん御自分たちの生活が不便になってくる。そういうところから、声の中には、今、例えば災害公営住宅また仮の町構想、こういうこともいわきにつくることには反対だと言い始めた方が九五%いらっしゃる、こういう状況です。今のこの状況が深刻になる前に、私は、国としてはっきりといわきの地域医療を守るという政策を打ち出すべきではないかと思っております。

 きょうは藤田厚生労働政務官にお越しいただきました。答弁を求めます。

藤田大臣政務官 地域医療の充実について、いわき市並びに福島県も含めてですけれども、御要請についてお尋ねをいただきました。

 現在、地域医療再生基金については、福島県に対して合計二百七十億円を震災対応にも活用できるように交付しておりまして、福島県の医療の復興計画によりますと、先ほど委員の方から御紹介がございましたいわき市の新病院の整備、ここに五億円が充当される、このようにも聞いているところでございます。

 地域医療再生基金の積み増しについては、現在、まだ執行が終了していないということもございますので、なかなか明確なことを申し上げるのは難しいのですけれども、今後の地域医療再生基金の事業の成果や政府全体の動きを見ながら、必要に応じて検討してまいりたい、このように考えております。

 また、被災地における医療従事者の確保、これは大変深刻な状況がまだ続いているわけでありますけれども、全国の医療関係団体で構成する被災者健康支援連絡協議会の協力をいただきながら、医師等の派遣の調整を今実施しているところでございまして、この間、いわき市立総合磐城共立病院へは延べ八十八人派遣をしているところでございます。

 また、医師不足病院の支援を行う地域医療支援センターですけれども、昨年度から、運営費に対する国庫補助を開始しておりまして、一カ所三千六百万円支援をさせていただいているところでございます。福島県でも昨年十二月から設置をされておりまして、県外から県内への勤務を希望する医師に対し、面談等を通して、県内医療機関へのあっせんや、県立医科大に配置した医師を僻地医療機関や公的医療機関などへ派遣する、こうした取り組みを実施しているところでございます。

 医療従事者の確保というのは地域医療の再生のために不可欠な課題でございますので、いわき市を含む浜通り地方の医療の確保について、またこれから関係者と連携をしつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 恐らく、今政務官が御答弁いただいたその内容では足りないので、こうした要請につながっているのではないかと思います。どこがどのように足りないのか、そしてまた、いつまでにどのような手当てをしていけばいいのか、そうした現地の積極的な考えもあると思いますので、ぜひともその点をしっかりと受けとめていただきまして、また直接連携をとっていただくなり、何らかの形で丁寧な対応を求めたいと思います。また、その状況によりましては、重ねて後日質問をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

平野(達)国務大臣 今いわき市は、二万以上の人口がここ一年間でふえたという状況でございまして、この多くは双葉郡からの避難者であります。これから、長期避難という方々あるいは県外に出てこられる方々、この方々がどこで暮らされるのかということについては、我々がしっかり把握していかなくちゃならないというふうに思っております。

 現段階では、双葉郡に近いいわき市に希望する方が少なからずおられるという中で、これからいわき市さんがどのように考えられるのかということについては、これからのお話でございますけれども、いずれ、そういった避難している方々の意向を踏まえながら、関係自治体、これはいわき市さんだけではなくていろいろな自治体が関係してくると思いますが、何が必要か、特に医療の体制についてはどういうことが問題になってくるかということについては、先々に議論しながら、いろいろな対策をできるだけ講じる、そういうことを基本姿勢として臨んでいかなければならないというふうに考えております。

藤田大臣政務官 ただいま委員の方から御指摘いただきましたように、その中身はしっかり受けとめてまいりたいと思っています。

 きょう、この後、私も福島県の副知事さんとそれからいわき市長さんとお目にかかるようにしておりますので、現地の御要望についてはしっかり受けとめさせていただきます。

高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、やはり今が一番動いていただく大事なときではないかと思います。これが後になりますと、先ほど少し申し上げましたように、受け入れている側の住民の方たちが疲弊してこられる。そうすると、仮の町構想、そしてまたその先の災害公営住宅、そこまで気持ちが向かなくなってしまう。今ぎりぎりのところだという感触を、先ほどお話を伺いながら受けたところです。ぜひとも早期の御対応をお願い申し上げます。

 続きまして、細野大臣に、除染につきまして伺わせていただきたいと思います。

 この除染も、なかなか進んでいないという厳しい状況にあるかと思います。さまざまな障害も当然あられるわけですが、当初、避難地域に指定されている福島県内十一市町村の地域で、国が直轄で行うことになっている除染が遅々として進んでいません。地元新聞が七月十五日に行った県民世論調査では、進んでいないとする回答が平均で六三・二%でした。特に、線量が高い伊達市、ここでは九〇%、郡山市では七九%。また一方で、進んでいるという回答は平均で七・五%という状況でございます。

 このままでは住民の帰還と生活再建は遠のくばかりという状況でございまして、私は、やはりその一つの大きな原因として、今回、市町村長さんからもお話がございましたが、中間貯蔵施設を本当に三年以内につくってくれるんでしょうねという厳しい御指摘がありました。この設置場所選びのめども立っていないのではないかと思います。

 ことし三月、第一原発のある大熊町など双葉郡の三つの町に国が設置要請をされました。それ以来、協議はたなざらし状態ではないかと思っております。今月から始まる基本設計づくりのめども立っていないのではないかと思います。中間貯蔵施設の設置場所が決まらないために、仮置き場の確保が難航もしています。あえて仮置き場を受け入れると、それが恒久化、固定化されてしまうのではないか。また、ある市では、あえて市の名前は言いませんが、仮置き場がないから除染はしないように、こうした徹底を町会がしている、そういうところも実はあります。

 細野大臣は、何度も、必ず中間貯蔵施設はつくると答弁されていますが、いまだに仮置き場も決まらない、また、除染の実施計画もまとまったのは五市町村のみという状況です。一向に本格化しない現状をどのようにされるのか、まずお伺いをいたします。

細野国務大臣 除染につきましては、各市町村に大変な御努力をいただいておりまして、特に郡山市のように人口が大変多いところについてはなかなか見えにくいところがあろうかと思いますが、町の方も大変な御努力をいただいておりまして、一つ一つ進めている状況にはあるというふうに思っております。

 一方で、国の直轄地域でありますけれども、こちらは、どうしても今、特に避難をされている方がほとんど、もしくは全町村、そういう地域につきましては賠償が優先順位が高い、そういう時期がずっと続いておりまして、その中で除染の実施であるとか中間貯蔵のさまざまな協議というのが進まない、そういう状況が続いてまいりました。賠償につきまして、国としての基本的な方針がまとまりましたので、ここから中間貯蔵についても除染についても、前へ進めることができるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 これまで、双葉地方の町村や福島県と国との意見交換会というのは実施をしてきております。関係町議会の全員協議会でも、説明をさせていただいた町村もございます。住民の説明会も私が伺いまして、大熊町でありますけれども、中間貯蔵施設の必要性については御説明をさせていただきました。

 やはり、除染をするためには、どうしても、まずはどこが適地かということも含めて調査をしなければならないということがございますので、できる限りそうしたことができる状況になるように、そこは関係の自治体や住民の皆さんの理解を得るべく努力をしてまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、近藤(昭)委員長代理着席〕

高木(美)委員 あともう一点、森林の除染について、やらないという報道が流れました。これは八月一日の朝のことでございますけれども、森林全体の除染不要、環境省はそうした方針を同省の有識者検討会に示したとするものでございます。これにつきまして、これは正しいのか違うのか、説明を求めます。

細野国務大臣 森林の除染につきましては、まずは、人の健康の保護の観点から、住宅の近傍についての除染を実施しております。問題は住宅の近く以外の除染でございまして、ここについてはまだ方針を十分示すことができておりませんので、有識者から成る環境回復検討会におきまして、具体的なデータをもとに御議論をいただいてきたということでございます。

 その中で、報道で一部出ておりましたのは、林野庁の調査によれば、事故後約一年後におきまして、空間線量率で、間伐をした場合でも八%から九%程度の低減にとどまる、こういうデータが出てまいりまして、それを受けて、ではこれから具体的にどのような除染をしていくのかということについてまだ方針が出ておりませんので、難しいのではないかというような報道が出たということでございます。

 八月の末までに、さまざまなさらなる検討をいたしまして、大きな方向性について中間取りまとめをぜひまとめたいというふうに思っております。例えば、もう断念をするとかいうことは私はあってはならないと思っていますので、申しわけないんですけれども、ちょっと時間はかかっても、どういうやり方ができるのかというのをもう少し考えていくということになろうかと思います。

 人が比較的立ち入るところについては、できる限り木を切って除染する。そして、人が立ち入らないところについては、長期的にさまざまな、例えばバイオマス発電などと組み合わせて、徐々に放射線量を下げていく、そういった組み合わせをある程度考えていかざるを得ないのではないかというふうに思っております。

 福島県でも、森林の除染について関心を持っておられる方が、特に県内にはたくさんおられますので、そういった皆さんの思いにできる限り応えることができるように対応してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 問題は、間違った報道が流れたと今大臣はおっしゃいましたが、その対応をどのようにされたかということです。

 市町村長は、この報道を見て、そうなのかと。これしか知るすべはないわけです。それに対して、環境省として、報道の訂正についてというような、何かそうした発信はされたんですか。

細野国務大臣 既に地元の首長さんからはさまざまな厳しい御意見をいただいておりますので、現在、福島県には環境再生事務所というのがございますので、そこを通じましてさまざまな説明をさせていただいているという状況でございます。私も、また今月も何度か福島に行く予定がございますので、そこでも直接首長の皆さんに説明をさせていただきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 今、大臣が御回答いただいたそうした答弁書の中身で構いませんので、本来であれば、そうした報道があったときに、本来このように考えているというのを、それを大臣名なりなんなり、市町村の数にすればそんなに、百も二百もあるわけではありませんので、一斉に発信をして、そしてちゃんと首長のもとにその日のうちに届く、こういうシステムが大事ではないかと思います。

 その不信がだんだん募っていって、そして、大臣が必死で中間貯蔵施設も含めて頑張っていらっしゃるわけですけれども、どうしてもそこにずれ、すき間がどんどんどんどん生まれていってしまう。また、首長さんたちは、今度は住民から、そうなのか、上からどんどん放射能はおりてくるじゃないか、川はどうするんだというような、そこで苦しんでいらっしゃるわけです。私は、やはりそうした速やかな対応を今後していただきますように求めたいと思います。

 時間がなくなってまいりました。そこで、済みません、前回もちょっと飛ばしてしまいましたので、平野大臣に高速料金の無料化につきまして伺わせていただきたいと思います。

 これも、今回、大変強い御要望がありました。高速料金の無料化が九月で終わる。期限が来たと言われるけれども、我々にとって期限は来ていない、もとの生活ができるまでが期限なんですというお話でございます。この高速料金も、県内の避難者は今全て無料になっています。しかし、県外の自主避難の人たちが県内に来る場合、有料になります。介護とか親御さんの様子見とかで来ている人も多くいらっしゃいます。

 また、避難指示区域外から福島県内に避難している自主避難者についても、災害救助法によりまして、県外の自主避難者と同様かつ公平な支援を受けられるよう早急な対応を求める声も多くあります。

 この三点につきまして、大臣の答弁を求めます。

    〔近藤(昭)委員長代理退席、委員長着席〕

平野(達)国務大臣 まず、高速道路の無料化でございますけれども、七月以降の東北地方の高速道路の無料開放は、政府として避難を指示したり勧奨したりしている区域等にもとの居住地がある避難者につきまして、一時帰宅等の生活再建に向けた移動を支援する目的から、福島県内の全インターチェンジ等を出口または入り口とする利用を対象として、九月三十日までの予定で実施をしております。これ以後どうするかということにつきましては、被災地、これを利用された方々の意見や福島県の意見等々も聞きながら決めていきたいというふうに考えております。

 一方で、県外からということにつきましては、これは、さまざま内部で議論をしましたけれども、今回は対象になっていないということです。

 一方で、NPOさん等がシャトルバス等々を運営している、そういう活動をしていただいているところもございまして、そういったところには政府もできるだけの支援をするということで臨んでおります。

 また、そのほか、心のケアの問題とか、こういったさまざまな問題がございますけれども、こういった足の問題だけではなくて、いろいろな施策を総合的に実施するということが大事ではないかというふうに思います。

 それから、仮設住宅と借り上げ住宅につきましては、県内、県外にかかわらず、避難者についての制度の差はございません。

高木(美)委員 最後、もう一点の答弁までいただきまして、ありがとうございます。

 この延長も、一年延長されたわけですが、一年ごとではなく、今後、復興がなされない限り、やはりこれはしっかりと延長してもらいたい。災害復興公営住宅等の建設が終わるまでという、そうした強いお話もありましたので、お伝えをさせていただきます。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 昨日は、六十七年目の広島原爆の日でありました。この一年間で五千七百二十九名の被爆者が亡くなり、原爆死没者名簿に登載された方は二十八万九百五十九名にも上るということであります。改めて、深く哀悼の意を表したいと思います。

 今度の式典は、福島第一原発の被害者への思いが強く語られた式典でもあったと思います。

 松井一実広島市長は、広島平和宣言において、今も苦しい生活を強いられながらも前向きに生きようとする被災者の皆さんの姿は、六十七年前のあの日を経験した広島の人々と重なりますと述べ、あの忌まわしい事故を教訓として、我が国のエネルギー政策について、核と人類は共存できないという訴えなど国民的議論が進められていること、市民の暮らしと安全を守るためのエネルギー政策を早く確立してくださいと訴えました。

 野田総理は、脱原発依存の基本方針のもと、中長期的に国民が安心できるエネルギー構成の確立を目指しますと挨拶で述べられました。

 私はやはり、市長の挨拶や、また子供たちの誓いを聞いて、それを受けての総理の挨拶は非常に抽象的で決意がよく見えないな、このように思いました。昨日は、総理はゼロに向けて課題の整理をと指示をしたという報道もありますが、改めて今、政府は原発ゼロを決意すべきだと思います。

 この点について、そして、少なくとも、福島県議会が一致して求めている福島第一、第二原発の全原発を廃炉にすべきだ、このことは既に国として明確に打ち出すべきだと思いますが、藤村官房長官に伺います。

藤村国務大臣 高橋委員にお答えいたします。

 まず、今後のエネルギー政策ということで、脱原発依存という言葉をずっと野田総理も使い続けております。政府の方針であります。これは、中長期的に原子力への依存度を引き下げていく、そういう方向性を示したものであります。

 ちょうど今現在、原発依存度を含む今後のエネルギー政策の具体的あり方については、いわゆる国民的議論を行っていただいているところ、こうした中で、原発依存から脱却するというゼロシナリオを支持する大きな声があるというのも現実、承知しています。一方で、現実的に、ではどう対応するのかといった観点から、また別な意見がさまざまあるということも示されているとおりであります。

 こうした国民の皆様の御意見を定性的に、あるいは定量的に、両面から総合的に評価をしながら、政府として責任を持って今後の戦略を決定していく、今その途上にあるということではございます。

 それからもう一点の、福島第一そして第二原発。昨年十月、福島県議会において、第一、第二の廃炉を求める請願を採択するとともに、さらに昨年十二月、福島県が、国及び原子力発電事業者に対し、県内の原子力発電所について全て廃炉とするということを求められている旨を示した復興計画を決定し、公表されていることであります。

 政府として、まずは立地の市町村も含めた地元の皆様のさまざまな御意見、それから、一方で、この八月からはいわゆる国有化に近い形ですが、東電の経営状況なども総合的に勘案をしながら、原子炉設置者であるところの東電が主体的に適切に今後判断を行っていくべきものである、このように考えているところであります。

高橋(千)委員 今、国民的な議論がされている、必要であるということをおっしゃった後で、現実的にはさまざまな別な意見があるとおっしゃいました。そのさまざまな別な意見のところを、官房長官、きょうはおっしゃっていませんけれども、報道によれば、経済界より、こういう表現を使っているので、国民の圧倒的世論は、既にこの意見聴取会でも七割がゼロを支持しているということが現実ではないか、やはりそこに本当に正面から向き合うべきだと思うんです。

 そして、今官房長官自身がおっしゃったように、県議会はもっと、全体で一致してゼロを言っているわけですから。この中には、もちろん、自民党の議員さんのように、これまでは原発を進めよと増設を言ってきた議員さんもいるわけです。しかし、この事故の教訓を踏まえて、もう廃炉以外にないのだという決意をしたのに対して、国が明確にそれに応えていく、福島法をつくり、基本方針をつくり、今本当の意味の復興再生に向かっていくときに、そこが曖昧だというのはやはりおかしいのではないか。

 もう一言お願いいたします。

藤村国務大臣 将来の中長期的方向性について、今まさにさまざまな議論をしていただいている最中であるということですので、あらかじめ国がこういう方向であるということを今回示さずに、幾つかのシナリオでお示しをしてきたところです。そういう意味では、国民的議論というものが煮詰まってきた中で、国としてきちんと方向性を打ち出したいということであります。

 それから、福島の廃炉問題についてですが、これは、東電が今いわゆる国有化という状態になっていますが、ただ、あくまでこれは東電と原賠機構による総合特別事業計画に基づいて行われた、いわゆる原子力賠償支援機構による出資というものでのいわゆる国有化と言われるわけで、あくまで東電は、一時的な公的管理にはありますが、この計画において、業務運営上の経営判断あるいは意思決定が新経営陣のもと、つまり新しい経営陣のもとで行われるということが何より肝心であります。

 そうした中で、やはりそれは、今、福島の立地の市町村あるいは地元のさまざまな御意見、そして経営状況、これらを総合的に勘案しながら、まずは設置者である東電において判断していただくことであるというのが今の政府の見解でございます。

高橋(千)委員 きょうはこれ以上は、ちょっとほかの課題がありますので、議論するつもりはないんですが、もう東電は事実上の国有化である、そして、この間の福島法の中でも原発を推進してきた国の責任を明確にしたわけであります。それなのに、原発をどうするかについてはやはり東電が決めるのよというのはやはりおかしい。やはりそこは、国がゼロに向かってどうやっていくのかということを、まずそこに立つべきだということを重ねて指摘したいと思います。

 あすは、官邸前のデモに毎週金曜日に取り組んできた方たちと総理がお会いになるということを聞いておりますので、とにかく真摯な答えを期待したいし、引き続きこのことを求めていきたいと思います。

 官房長官、よろしいです、ありがとうございました。

 さて、私も八月一日の視察にも参加をさせていただきました。本当に自治体の長の皆さんの言葉というのは大変厳しいですけれども、それを私たちはやはり受けとめなければならないし、何度でも伺って、現地にも行って声を聞いて、何度でもこういう機会を設けて取り上げなければならない、そういうことでしか私たちはやはり国会に身を置く者として役割を果たせないんじゃないかということを思ったところであります。

 そういう決意を述べて、きょうは賠償の問題を少し中心的に質問をしたいと思います。

 七月二十日、経済産業省が「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方について」を発表しました。そして、二十四日には東電が同じく基準を発表しました。この国の考え方と東電の基準との関係、どのようになっているでしょうか。

枝野国務大臣 基本的には、加害者側としての基準というのは七月二十四日に東京電力が公表した賠償基準でございます。ただ、今回の賠償基準は、国が進める避難指示区域の見直しと密接にかかわるものであること、それから、今後の生活再建に関し、賠償だけでは全ての課題を解決できるものではありませんが、国の取り組み姿勢を示すグランドデザインや関連する施策との整合性を図る必要があることから、東京電力任せにするのではなく、自治体や住民の方々などの意見を伺って、政府としての考え方を示す必要があるだろうということで、七月二十日に「賠償基準の考え方について」というものを発表いたしました。

 東京電力に対しては、この七月二十日の「賠償基準の考え方について」を踏まえた上で、なおかつ、賠償基準というのはあくまでも最低限これだけお支払いするという基準であって、指針や賠償基準から一歩も出ないような硬直的な対応をすることなく、個別の案件についても親身、親切に対応するよう指導することとあわせて、東京電力に対して示したものでございます。

高橋(千)委員 基本的に、東電が示した基準というのが政府の考え方とほぼ一致しているということを説明を聞いておりますけれども、政府が今そういう指導的なことができるという答弁であったんですけれども、国の考え方が東電の基準に対して、言ってみればどういう効力を持つのかということをまず確認したい。

枝野国務大臣 事実上なのか公式になのか、いわゆる行政指導になるんだと思います。

高橋(千)委員 行政指導というのがどういうときに言うのかなとちょっと思ったわけですけれども、説明されているのは、東電とまた政府の側が一緒になって取り組みをしてきたということであったのかなと思うんですね。

 それで、今説明がされたとおり、賠償の基準が避難指示区域とリンクをしている。それで今回、三つの区域になりました。帰還困難区域、いわゆる年間二十ミリシーベルト以上になり、五十ミリを超えるおそれがある、五年以上は帰れないと思われる区域。それから居住制限区域、年間二十ミリを超えるおそれがある区域。また、避難指示解除準備区域、年間二十ミリシーベルトは下回るであろうという区域の、三つの区域に再編をされたわけです。しかし、その再編が、一つの市町村の中で、南相馬市や飯舘村のように三つにも分けられてしまう、そういうこともございました。また、旧計画的避難区域なども一応残っている、ややこしい状況であります。

 小高区のある被災者の方は、この間まで立入禁止と言っていたのに、きょうからは自由に入っていいと言われても、泊まらなければということですけれども、安全なのか、とても理解できない、除染も何も進んでいないのにとおっしゃいました。本当にそのとおりだと思うんですね。ついこの間までは、年間二十ミリシーベルトを超えるから全村避難よなどということを言っていたのに、二十ミリを下回るから何時間いてもいいですよとなったら、一体どこに基準があるのか。とても不安は解消できないわけです。

 ところが、そういういろいろな思いがあるにもかかわらず、この三つの区域とその解除の時期によって、住宅のいわゆる賠償が変わるわけですよね。もう一年以上たっている、五年以上帰れなければ、足し算して六年以上で全損と評価をする。全額支払うけれども、解除の時期によって六分の二とか六分の三というような計算になるというわけであります。非常に、これでは納得がいかないのではないか。

 いろいろな個々の気持ち、解除といっても不安で帰れない、あるいは、道路一つ挟んで基準が違う、そういう人たちの声にどう応えていくのか。もう帰れないという方たちも、一緒に全壊で、全損でいいのではないか、こういう意見も出ていますけれども、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 当事者の皆さんのお気持ちは十分わかるんですが、何か基準をつくる以上は、どこかで線を引かないと基準はつくれません。全ての人のそれぞれの事情に全て応じてそれぞれ対応をするということであれば、逆に基準なしで、ということは、一件一件全部、相当因果関係がある損害がどれぐらいなのかということを立証をお願いするというのも、今回の事故の態様から見て適切ではない。やはり基本的には一定の基準、基準をつくる以上は何かで線を引かなきゃならない。そういったことの中で、なおかつ、これは賠償でありますので、逸失利益がどこに幾らあるのかということで線を引かざるを得ないという性格のものであるということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 ただ、その上で、実際に、ではどういうふうにこれが運用されるのかということでございますが、実際の避難指示の解除の時期でありますが、これは、何か放射線量が下がったから機械的にやりますということではありません。インフラの復旧や除染の進捗状況、あるいは地域の生活環境など、復旧の状況を総合的に判断した上で、なおかつ、市町村と十分に調整し、その意向を酌んで決定をすることといたしております。

 したがいまして、警戒区域の解除は、これは一切立ち入らないでくださいというところから変わるということでは大きな変化のように感じられますけれども、これは本当に念を入れて、万が一に備えて警戒区域は距離でとっていた状況でありますから、警戒区域は解除はできても、実際にそれで避難指示解除準備区域になったからといって、すぐに解除がされるというものではありません。実際に、現実的に、そこにもともと住んでいられた住民の皆さんがそこに戻って、もとの生活ができるという環境が整い、そのことについて地元の市町村などの皆さんの御意見も踏まえて、そういう状況になったなというときに初めて解除されるものでありますので、そして、地区割りで一応の線は引かれていますが、避難指示解除準備区域においても、今のようなことで、結果的に五年を超えて、事故から六年を超えて帰れない場合には、全損の場合と同じ賠償になるということで基準を設けております。

 そうした状況を踏まえた上で、さらに、あくまでもこれは最低基準の基準でありますので、個別のそれぞれの被害状況によって、ここは柔軟に対応していくということが前提になっております。

高橋(千)委員 個別のやり方については後で質問をいたします。

 さっき大臣がおっしゃったように、加害者である東電が基準を決める、それだけではだめなので国もきちっと指導するんだということをおっしゃいました。加害者である東電と推進してきた経産省が一緒になって基準を決めている、これが現実なんですよ。だから、これまで国がいろいろな、例えばSPEEDIの情報を出してこなかったとか、さまざまなことがあって今に至っているわけですから、国民が不信を持ったり、迷って決め切れないでいるとか、さまざまなことがあっての今回の、今の問いになっているわけですから、そこはよく考えていただきたい。

 ただ、一律ではないんだというお答えをしていただいて、現場の声をよく聞いてということだったので、まずそこをちょっと採用したいと思います。

 それで、基準については、もちろん、双葉八町村の首長さんなどの意見も聞いて一緒にまとめ上げてきたということも承知をしています。また、一定評価するということもおっしゃっていました。ただ、本当にそのとおりになるのかというのは、やってみないとわからないというのがあるわけですよね。全損だからこれこれもらえるのかなと思っていると、そう簡単ではないのではないか。

 例えば、土地を事故前の評価額でカウントする、住宅を新築と仮定した上で経年償却、これはでも四十年も五十年もといったら価値がなくなっちゃう、そこで二割の下限を設けると工夫をしてくださいました。ただ、逆に言うと、新しければ新しいほどローンの残債も多いということになっちゃうわけですよね。そこで、一括払いでまとまったお金が入ってローンの債権にとられちゃうと、生活も成り立たず、自宅再建もできず、かつ五年間、後、何もお金が出ないということになっちゃうわけです。

 この間の質問の続きにもちょっとなってしまいますけれども、そこはやはり自宅再建ということもちゃんと考慮しながらローンの問題はやる必要があると思うんですが、いかがでしょうか。

平野(達)国務大臣 賠償金の支払いの方法ということについての御質問かと思いますけれども、今、賠償金につきましては、精神的損害とか就労不能損害、営業損害、一部はこれから支払われることになると思いますが、こういったものについては、一括による支払いと一定期間ごとの支払いと選択できる形になっております。

 一方で、財物と言われるようないわゆる土地建物、こういったものについては、ほかの公共事業もそうなんですけれども、これは、賠償を受ける側がむしろ一括を求めてくる例も多いということもございまして、一括でお支払いするというのが原則になっております。

 ただ、今回の場合は非常に巨額にもなるということでもございますし、ローンに全部とられるというような、そういう御指摘もございましたけれども、これをどういうふうなお支払いでするかということについては、今のような原則をまず基本にしつつも、これから被災者の方々あるいは被災自治体の意見を聞いてみるときに意見も聞くということは大事ではないかというふうに思っております。

高橋(千)委員 ぜひお願いをしたいと思います。一括払いということが逆にあだになって再建の道が閉ざされるということでは問題であるということであります。

 同じく、福島の沿岸部は、津波もあり、原発の二重被害、こういう区域もございます。それで、津波で家が流されたところが今言ったように二重に苦しんでいる。事故直後にはうちに戻ることもできなかったし、あるいは救援や捜索も十分には入れない、そういう特殊な事情がありました。しかし、これは逆に、これも前回もやった話ですけれども、財物賠償は家がなくなっちゃったということで小さくなっちゃう、これもおかしいんじゃないか。帰れないということでは、うちがあるところもないところも同じ全損でいいんじゃないかと思うんですね。いかがでしょうか。

枝野国務大臣 これも、お気持ちは重々わかるんですが、基本的には、やはり損害賠償ということになると、逸失利益を補填するというか補うということでございます。そうしたことから考えると、もちろん土地については、地震、津波の被害を受けた場合であっても原子力損害のみの場合と同様に対応するということになりますが、そもそも津波によって家がなくなってしまっていたという場合には、今回の事故との相当因果関係というのを認めるのは、これは法律ではちょっと無理だということでございます。

 ただ、半壊とか部分損壊等の場合にどの程度それを評価するのかということについては、賠償が不当に低くなることのないよう、東京電力を適切に指導してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ですから、だんだん全損になってくれてかなり考慮してくれているようだと思っても、現実にはこういうふうに思ったとおりにはいかないということがあるのではないか、そこをやはり乗り越えていただきたいということできょう質問をしています。

 それで、きょう、さらにちょっと驚いたのは、本払いが始まったせいで東電が昨年の仮払金、これは単身者が七十五万円、一家族は百万円、これをお支払いしているわけですけれども、仮払いなので返済してくださいということになっているそうであります。これは、被災者は、本当に当時、膨大な資料、もう書けないと大変な思いをして、ようやく書いて、ようやくもらって、ほっとして、そんなことまではわからないわけですよ。後でよくよく聞いたら、書類の一番下に小さく、仮払いなので返してもらいますというふうに書いてあるそうです。

 そうなると、では一体、もうお金はないですよね、そういう中でどうするんですか。全額返金するケースがありますか。本払いとの相殺と聞いていますが、実際に返金が生じた人がどのくらいあるのか。本当にこれは、今、経済的にももう困窮している中で、一方的に引き去りするということがあってはならないと思いますが、どのようにいたしますか。

枝野国務大臣 東電が昨年払った仮払金の返済を求めているケースはないはずでありますので、念のため、国会で御指摘を受けたので、ないだろうなと東電には確認いたします。

 ただ、あくまでもこれは仮払金でありますので、賠償のうちの一部を先に仮に払ったということでありますから、本賠償の際にそれが相殺されるということ、これ自体はやむを得ないことだというふうに思っています。

 ただ、これも、例えば今回、二百万円払いますというときに、既に仮払金が百万ありますから半分ですということを一気にやったりすると、それはいろいろな影響があったりするということもあるでしょうから、今後、どういうふうに相殺をしていくのかということについては、被害者の方々の実情等を踏まえて、しっかりと御相談をしながら、工夫しながらやっていく必要がある。

 こういうふうに努力をしているという報告は受けておりますが、国会でも指摘を受けましたからということで、しっかりと、何か問答無用で相殺なんだから当たり前だみたいな態度はとらないようにと。ただ、制度的には最終的に相殺せざるを得ないのは御理解いただいた上で、ただ、丁寧な対応をさせていきたいと思っています。

高橋(千)委員 これは、東電の資料の中に確かに、調整をしながら相殺を一遍にではなくやっていくというふうな趣旨のことを見つけました。

 ただ、福島出身で、大熊ですとかいろいろ仮設に入って避難されている方を支援している方から、たくさん寄せられているということで訴えられたんですけれども、今度、精神損害に対して月々十万円の賠償がいただけるようになったわけですよね。それが結局相殺だということなんですよ。ここで、受けてきた大変な苦痛に対して、精神損害で認めよう、十万もらえると思ったら、そこから返す以外にないんですよと。相殺していくしかないんです。ほかに収入の道がないのにです。そういう実態になっている。

 逆に、またこれからいろいろな賠償ができてきたときに、申請に行けばまたそういうことになるかもしれないということで、申請に行くこと自体をためらっている、そういう声さえも聞かれているわけなんです。

 ですから、まだまだ本当に生活を立て直す途上といいますか、そこまでも至っていない被災者の実態に照らして、やはりここは、まず調査をきちっとしていただいて、親身な対応をしていただきたいということを重ねて。

枝野国務大臣 実は、東電の社長にも親身、親切な対応ということで指示をいたしましたときにも、そこで社長とも話をしたんですが、大分、新しい執行部、これは我々がかなりコミットして選びましたから、問題意識を共有してもらっていると思いますが、何しろ膨大な職員が対応に当たっています。現場の末端まで徹底することはかなり大変だ、だからそこをしっかりやってほしいと社長にも申し伝えたところでありますし、社長もその問題意識を共有してもらっています。

 ただ、現実にはやはり、本当に何千人単位の方々が現場で対応していますので、適切でない対応のケースがゼロと言うつもりはありません。ぜひ、例えば何月何日に何という職員がこういう対応をしたなどという情報を上げていただければ、これは私、行政指導権を持っていますので、東京電力に対して具体的に指導をすることができます。

 ぜひ、そういった情報を、共産党さん、ほかの政党さんも、情報を集めるのがお得意だと思いますので、そうしたことがあったら、委員会などの場ではなくても、御指摘をいただければしっかりと対応させてまいります。

高橋(千)委員 しっかりお願いします。

 時間がなくなってしまったので、ちょっと最後まとめて、せっかく平野文科大臣がおいでいただいたので、伺いたいと思います。

 今いろいろお話ししてきて、問題がいろいろあるんですけれども、しかし、現場では、きめ細かく対応することもできる、個々に対応することもできるという話になっているわけですね。経産省が事務局となっている原子力損害賠償円滑化会議、これも進められております。また、文科省が事務局、中心になっておりますADRが動き出して、少しずつ頑張っていらっしゃる。その中で、総括基準の要点というものが発表されて、中間指針などに明記されていない損害についても、さまざま紛争に出される中で、こういう要点があるから解決ができるんじゃないかということを整理されてきた、そういう努力をされてきたと思うんですね。

 私は、そういう中で、例えば、いわゆる風評被害として盛り込まれていなかった宮城県ですとか千葉県ですとか、そういう頑張ったところがちょっとずつ盛り込まれたりとかあるわけですよ。それを、もうある程度の積み上げは来ましたから、半年何もしていません、中間指針の見直しをやはりすべきではないでしょうか。

平野(博)国務大臣 今議員御指摘の部分について答えますが、その前に、私どもはADRということで、いかに被害者の立場に立って、この問題、賠償問題についての紛争を解決するか、こういう視点で、今日まで体制強化も含めて取り組んでまいりました。これはもう御案内のとおりだと思います。中間指針含めて、指針を出しながら、その指針をベースに、紛争審査会では、そういう指針を出しながら、いかに類型化したものを含めて、総括基準、こういうものを決めて、より解決の促進に努めるようにと、今日まで来たわけでございます。

 したがって、先ほど枝野大臣の方から、区域の見直し等々、あるいはまた改めた見直しがございますから、今後、必要に応じて、私どもとしては紛争審査会の方でしっかりと対応するようにしてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ぜひお願いします。

 時間が来ましたので、またぜひこういう機会を委員長にお願いして、終わります。

古賀委員長 はい。

 次に、吉泉秀男君。

吉泉委員 社民党の吉泉秀男です。

 委員派遣で、一日、私も福島県の方にお邪魔をいたしまして、福島市長初め、各首長さんと意見を交換させていただきました。大変、各首長さんのいら立ち、そして苦労、そしてまた大変な一つ一つの意見の重み、そのことを感じてきたわけでございますけれども、各市町村長さんのいわゆる悩み、これは家族のばらばらという部分があるわけでございますけれども、地域も崩壊をされている。それぞれ線引きをされることによって、地域のきずな、コミュニティー、このことが壊されてきて、そのことに対するいら立ちというものが、相当強く私たちに意見として述べられてきた、こういうふうに思って私は受けとめてきました。

 その中で、今のそれぞれのインフラ等の復旧復興の関係も、当然これから大事に力を入れていかなきゃならないわけですけれども、しかし、被害者に対する、避難者に対する、それぞれの寄り添った手厚い生活支援、この部分が非常に大事だ、こういう思いもしたところでございます。

 その中で、今福島県から県外へ避難をしている方は六万一千と、こういうふうに、全国の方にそれぞれ避難をしているわけでございますけれども、この人たちに対する対応の仕方というものが、それぞれ、自主避難であろうとも、それから、いわゆる区域内にいる避難の人であっても、各県で対応しているのは私は同じなんだろうというふうに思っておるわけでございますけれども、この対応について、全国で対応しているわけでございますけれども、今、それぞれ、期限が決められているものなり、さらには自主避難の人方はこの制度が受けられないとか、いろいろな差別というよりは非常に不公平感、こういうものがあるように私は受けとめております。

 そうした中において、県外への避難をした人方の、自主避難であっても、それぞれの避難者の段階においても、その現実、現状を今大臣としてどういうふうに受けとめているのか、そのことについてまずお伺いさせていただきます。

平野(達)国務大臣 昨年の原発事故に伴いまして、六万一千人の方々が福島県から県外に避難をされている、委員の御指摘のとおりでございます。

 これまでのところ、受け入れ自治体のかなりの御好意によって、いろいろな御支援をしていただいているということでございます。そして、それに伴う費用等々につきましては、国が特別交付税等々で措置をしているということであります。

 それからあと、今委員の御質問の中に、自主避難者と、あるいは強制的に避難を指示された方々に対しての支援が違うのではないかという御指摘がございましたけれども、少なくとも借り上げ住宅等々の問題につきましては、そこについての差異はございません。借り上げ住宅について、各県が今の災害救助法を適用しつつ、それを支援しているということでございます。

 そのほかに、NPOさんでありますとか、そういったさまざまな活動をしている方々がさまざまな支援活動を展開しておりまして、国としても、そういった状況を把握しながら、支援できるものはしっかり支援する、特にNPOの活動等につきましては引き続き支援をしなければならないというふうに考えておりますし、これは長期に避難がわたるということでございますから、さらに関係自治体との意見交換を進めながら、国として、何が必要かということも見きわめながら対応していきたいというふうに思っております。

吉泉委員 捉え方なんですけれども、例えば自主避難と強制避難との関係について、それぞれの対応はほぼ変わらない、こういう今大臣からの答弁でございましたけれども、今の確かに住宅はそうなんだろうというふうに思っておりますけれども、高速道路の問題なり、さらには健康保険、いわゆる医療の免除なり、そういった面は、私は、それぞれ、自主避難であれば受けられない、こういうふうに受けとめていますけれども、同じという捉え方でいいんですか。

平野(達)国務大臣 高速道路につきましては、県外については今のところ無料化という措置は適用されておりません。あくまでも福島県内の特定のインターについてということで、九月三十日までをとりあえずの期間として今適用しているということでございます。

吉泉委員 実は先般、青森の方にお邪魔をさせていただきました。青森に約六百人ほど避難をしているわけでございますけれども、それぞれ、交流会、そのところに参加をさせていただきました。

 その中には、自主避難、さらには強制避難、それぞれ住むところによって違う人たちが集まったわけでございますけれども、その中において、私自身思うのは、一年五カ月たとうという状況のときに、自分の生活を再建していくために、今のままではだめだ、次のステップに進みたい、こういう思いというものがそれぞれ強く出されました。

 原発事故で被害があった人たちには、それぞれドラマがあるというふうに思っています。おじいちゃん、おばあちゃん、さらには子供、親、そういうものがばらばらにありながらも、それぞれの再建をしていくために、常にやはり話し合う、家族の話し合い、これは昨年の三月の十二日以降からの状況はほとんど変わっていない、こういうふうに思っているところでもございます。

 そういう中において、例えば青森に住んでいた人たちが自分の住むところにもう戻れないから、例えば栃木、さらには群馬なり、そういうところに住みたい、そのところに対して住宅なり土地、そういうものを探しに行く、さらには就職先を探しに行く、そのときに非常に大きい高速料金なり宿泊代がかかる。これが今の現状でいうと期限が切れてしまう。例えば高速料金は九月だとか、今住宅の部分は一年延ばされたわけでございますけれども、こういうふうに予算上の問題もあるわけでございますけれども、今それぞれ被害者が再建をしていく上で、そういう期限を区切って、そして対応するということについては若干寄り添った方策ではないんじゃないか、こういうふうに思っているところでございます。

 そんな面については、やはり生活再建、そういうふうな面からいえば、今期限があるものについて、少し、その期限を設けるということについては、それは外すという考え方がないのかどうか、お伺いさせていただきます。

平野(達)国務大臣 制度を設ける場合には、特に特定の制度を設ける場合には、基本的にはいつまでというふうに期限を切るというのが基本であろうというふうに思います。

 ただ、期限を切ることによって先行きの不安が起きるということについての御指摘も受けております。そういった場合には、制度の趣旨、それから将来の方向性について、確約ができないにしても、一定の方向性を示しながら安心していただくということは、これは大事なことだというふうに思います。

 私、先般山形にお邪魔しました。また、新潟にもお邪魔しています。そのときにも同様の、いつまで大丈夫なんでしょうかという御指摘を受けました。いずれ、きちっと帰れるところまでは国としてのできるだけの支援はします、あるいは賠償措置もありますということについてのお答えをしましたが、そういった安心していただけるようなメッセージはいろいろな形で発していきたいというふうに思っております。

吉泉委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 今現在あるのは、住宅、さらには雇用基金の事業、それから高速道路、さらには健康に関する、いわゆる保険料の免除ですね。こういったところがあるわけでございますから、その点については、今大臣が言われましたとおり、期限が来たからそれで打ち切りというふうなものではなくて、その状況についてきちっと進捗状況を把握しながらお願いを申し上げたい、こういうことを要望させていただきたい、こう思います。

 それから、今回福島に行って一番冒頭言われたのは、福島市長から言われました。津波、さらには地震、それと今の原発、この原発事故、それを一緒に捉えて、それで復興、これはあり得ない。今原発のところでなされているところについて、例えば大熊であっても双葉であっても、十二日以降のそれぞれの姿とほとんど変わらない。私自身も、福島から南相馬にちょうど車で行く途中の中において、道路を走ったわけでございますけれども、飯舘村を通りました。あのパイプハウスが雑草で見えなくなっている、こういう今の状況ですね。

 そういったときに、今の現状からいえば、それぞれ東日本、そういう一つの大きい絡みでなくて、きょう谷理事の方からも意見として出されました、やはり復興の中において一つの原発事故、この部分に対応するものについては、少し分野のところについてきちっとしながら対応していかないと、そして時間がかかるわけでございますから、その点についてよろしくお願いを申し上げたい、こういうふうに思います。

 その中において、今出された意見、いろいろなことがございました。そうした面で、首長さんの方から出されたものについて、やはり大きく出されたのが除染問題です。それぞれ、国でやる部分、それから市町村でやる部分、ここのところが分けられて、そして一生懸命やっている。しかし、仮置き場の問題なんかも含めて、それぞれ首長さん方が大変苦労している。そしてまた同時に、住民からの信頼関係、これも非常に希薄になっている。そういう意味からいえば、除染というものについて、それぞれ線引きしたわけでございますけれども、国で責任を持ってやれないのか、こういうお話が要望も出されたところでございます。

 そういう状況の中において、資料もいただきました。それぞれ、二十ミリシーベルト以下の市町村、このところは今こういうふうになっている、さらには直轄のところではこう進むんだという一つの工程が出されているわけでございますけれども、今大臣として、今の首長の要望なり、さらには現状をどう認識しながら、どうこれから進めていこうとしているのか、その辺についてお伺いさせていただきます。

細野国務大臣 非直轄地域の除染につきましては、現地の市町村の皆さんに大変な御苦労をおかけしている状況だというふうに承知をしております。これは、除染だけではなくて、仮置き場も含めて、地域で住民の皆さんと向き合っていただいて同意を取りつけてやるという作業でございまして、大変な御負担だということは承知をしております。

 実は、直轄地域についても言えることなんですけれども、国が直接やるといいましても、住民の同意を取りつけるのには、どうしても地元の市町村の協力をいただかなければなりません。ましてや、今住民の皆さんが生活をされているということになりますと、仮置き場も含めて、そこで国が直接出ていってもなかなか合意を取りつけるのが難しい、そういう実情がございます。

 したがいまして、市町村の皆さんには大変恐縮でございますが、原因者は東京電力であり、そして国に責任があるわけですので、市町村の皆さんにやっていただくというのは大変恐縮なんですが、実態として、どうしても力をおかりせざるを得ないということであります。

 もちろん、我々も責任を持って対応しなければなりません。ことしの一月には福島環境再生事務所を開設いたしまして、四月からは五つの支所を開設しておりまして、五百人体制でやっております。複数のチームをつくりまして、市町村ごとに担当を決めまして、技術専門家とも連携をいたしまして、個別の市町村の相談であるとか助言を行うことができる体制を構築しております。

 今の御発言、御質問を聞いておりましても、まだまだ至らない点があるということは感じましたものですから、さらに体制をしっかりと充実いたしまして、市町村の悩みに答えられるような体制を国としてつくってまいりたいと考えております。

吉泉委員 それぞれ双葉郡のところについてはやはり相当難しく、さらには計画等もおくれているというふうにお伺いをさせていただいています。

 今大臣からお話がありましたように、工程表の案は案ということはわかるわけですけれども、早急にこれを、やはりそれぞれ各首長なり、さらには住民の方に示しているわけでございますから、このことについて、この工程表に沿って速やかに対応をお願い申し上げさせていただきます。

 あと、時間がなくなったわけでございますけれども、今の原発事故、そのことに対するそれぞれの、国会の事故調では人災、さらには原発依存ゼロ、こういう圧倒的な声、そういうものがあるわけでございますけれども、そのところによって一つだけお伺いをさせていただきたいと存じます。

 私は、これからの進みぐあいというものがあるわけでございますけれども、再生エネルギー、これを取り組むに当たって、電力事業者、このところとの話し合い、さらには、再生エネルギーを電力事業者も積極的に進めていくという方向性がなければ、なかなかこのところは進まない、こういうものなんだろうというふうに思っております。

 そういった点について、今後、政府として、政府の今の再生エネルギーの、いわゆるエネルギー計画の見直しのところについて、電力事業者と同じ考え方に立つのか、その辺についてのいわゆる意見調整というものが今どうなっているのか。それから二つ目として、買い取り制度が始まったわけでございますけれども、このことに対してどのぐらいの申請があって、そして今後、メガソーラーを含めながら、どのぐらいの事業がことしの段階において申請がなされるのか。

 そのことについて、二つお伺いさせていただきます。

中根大臣政務官 まず、経済産業省でございますけれども、これまでの取り組みについて御説明申し上げます。

 各電気事業者に対しましては、二〇〇三年のRPS法施行以降、再生可能エネルギーの導入義務量を年々をふやす形で、再生可能エネルギーの導入拡大に協力を求めてきており、電気事業者も義務量の達成によってそれに応えてきていただいておるところでございます。

 さらに二〇〇九年には、電気事業者の協力も得て、住宅用太陽光発電による余剰電力買い取り制度を開始し、当時、累積五十万だった普及世帯数が、その後三年間でさらに五十万世帯に普及するなど、加速度的に住宅用太陽光発電の設備の普及が広がっております。

 さらに、先月施行した固定価格買い取り制度を通じた再生可能エネルギーの最大限の受け入れや、電力供給が需要を上回る場合の出力抑制についても、法律の趣旨にのっとった形で電気事業者に御協力を賜っておるところでございます。

 今後とも、当然、福島も、被災地も含めて、再生可能エネルギーの導入目標達成に向け、電気事業者が同法の趣旨にのっとって最大限の再生可能エネルギー導入拡大に努めるよう、政府としても引き続き働きかけてまいりたいと思っております。

 さらに、先生御指摘の福島につきましては、洋上風力発電ということにつきましても、実証事業がこれから取り組まれていくということでございますが、経済産業省では、本格的な浮体式洋上風力発電の実証研究にも取り組んでおります。

 具体的には、福島県沖で、世界一となる浮体式洋上風力発電システムの事業化を目指し、平成二十三年度第三次補正において百二十五億円を計上いたしております。現在、海洋調査に着手するなど、具体的に実証事業が動き始めたところでございます。

 再生可能エネルギーの大幅な導入拡大を実現していくためには、洋上風力発電は不可欠の技術であり、経済産業省としては、引き続き全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 メガソーラーにつきましても御質問がありました。

 固定価格買い取り制度の設備認定については、七月三十一日時点において、三万三千六百九十五件、出力にして合計約五十七万キロワットの設備が認定されているところでございます。その多くは、主として住宅に設置される十キロワット未満の太陽光発電が占めているものの、中には、出力一千キロワット以上のメガソーラーが八十一件、出力にして約二十四万キロワットの設備が認定をされております。

 こうした認定を受けた案件を含め、市場では、固定価格買い取り制度の導入を機にさまざまな事業化プランの検討が進んでいると承知しており、政府の試算では、本年度だけでも、設備容量ベースで合計二百五十万キロワット程度の再生可能エネルギーの導入拡大が進むと見込んでおります。

 メガソーラーを含む非住宅の太陽光発電については、本年度だけで、五十万キロワット程度の導入を見込んでいるところでございます。既に二十四万キロワット程度の設備を認定しており、将来の普及拡大見込みを裏づけるものと認識いたしております。

 今後とも、固定価格買い取り制度を契機に、メガソーラーを初めとした再生可能エネルギーの導入が順調に進むことを期待しておるところでございます。

 以上、答弁とさせていただきます。

吉泉委員 時間が終わりましたので、本日は終わります。ありがとうございました。

古賀委員長 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 八月一日の本委員会の委員派遣で福島県を訪れて、同僚委員らとともに県内の十七市町村の首長さんたちのお話を聞いてまいりました。もともと首長さんたちも住民の方々も、自分たちの声が国会に、政府に届いていない、こういう思いがあるなと感じておりましたので、現地視察ではなくて、このような首長さんたちからのヒアリングを実は私から提案させていただいた経過がありました。

 案の定、大変厳しい言葉を浴びせられました。発災直後は対応し切れないほど来た国会議員が年を明けたらばったり来ない、地元は何にも変わっていないよ、変わったのは国会議員が来なくなっただけだ、こういうふうに言われました。

 何よりも言われたのは、ふくしま産業復興企業立地補助金の補助率の事後的変更等で福島進出計画を取りやめる企業が相次いでいる、こういう現状でした。一千七百億円の枠がいっぱいになってしまい、しかも、積んでいた一千七百億が五年分なのか一年分なのか、県と国とで言った言わないの話になっている、こんな話まで聞かされました。

 初年度の補助率を三分の二から三分の一に下げるという話になって、二本松市では、大阪市の企業が、九十一億円の投資規模、当初八十人、将来二、三百人を雇用するという進出計画を立てて、既に用地も市内に確保していたというのに、条件変更のニュースを聞いて、進出を取りやめます、こういう話になってしまったということであります。

 さらに、二次申請に出そうということで、世界的な技術を持っている地元のメーカーが特許申請中の、これは極めて画期的な新技術だそうですが、これを使っての新しい工場を市内の工業団地につくる、こういう計画を立てていたんですけれども、一次募集の予算オーバーで今後どうなるかわからないということで、関連会社が県外に保有する土地でやる、こういうことになって、結果的に、地元企業にもかかわらず市外に流出していく、こういうことになってしまったということも聞かされました。

 こうした立地補助金に関して、枝野経産大臣は、立地をやめるという企業が続出することはない、こういうふうに答弁をされているようですけれども、しかし実際はそんなことはないということなんです。二本松市の三保市長は、これは結果的に自分自身が企業に対してうそをついたことになる、本当に申しわけないことをしている、こういうふうに話しておりました。また、これは詐欺罪じゃないのか、こんなふうに言っている首長さんもいました。

 ちょっと時間の関係もあるので、二問まとめてにしますけれども、進出計画の取りやめが決まった後、例えば予算の増額だということをこれからやるとしても、結局、もう取りやめが決まった後だと後の祭りということになりかねないというふうに思うんです。今すぐの対処が求められる。その意味で、復興交付金の二十三年度の執行率が予算額に対して一六%ですから、これまで何度も言っているとおり、予算額を大幅に余しているわけですから、そうした予算を振り向ける等、速やかに当初の補助率のスキームで大幅な予算増額をしていく、これがやはり福島の復興に資することになると思いますけれども、御見解をお尋ね申し上げたいと思います。

枝野国務大臣 幾つかの話がちょっと混在してお尋ねになられているなということなので、整理してお話し申し上げたいんですが、まず、今回の総額一千七百億円の立地補助金は、警戒区域等の解除や復興の進捗といったスケジュールも見据え、五年間の管理運営を前提として十分な額を措置したものであり、その趣旨に沿って福島県が計画的に運用していくものである、これは明確であります。

 それから、確かに、あえて言えば想定以上にたくさんの企業が手を挙げていただいたということで、一次募集で指定を受けた企業だけでこの一千七百億円を超えるというような状況になっているということを踏まえた中で、例えば一次募集で保留とされた企業の中には、計画の見直しを行っている企業もあるというふうに承知をいたしておりますが、一次指定を受けた百六十七社のうち、一部については補助率について、これも変更ではございません、補助金の補助率は三分の二以内と規定をしているものでありまして、執行に当たって、雇用の増加を通じた経済復興の促進の観点から、補助率の精査を通じた効率的な活用を福島県に求めているところであります。

 そして、この補助率の変更の問題、これも一個一個丁寧にやっておりまして、一律でばさっとやるようなことはございません。その結果として、一次募集で指定を受けた百六十七社、そのうちの一部について、この三分の一の上限に張りつかないものの精査を行っていますが、その中で、進出計画を取りやめるという話は、福島県の方から伺っておりません。

 なお、大変たくさんの企業が、こうした補助制度があれば福島に企業立地をするという声があるという状況をしっかりと踏まえつつ、また、今回の一次指定をされたところに対する補助率等の精査とその効果等を踏まえた中で、今後、福島における産業再生に向けた対応については適切に対応してまいりたいと考えております。

柿澤委員 こういう御答弁であるわけですけれども、これこそが、国及び国会に私たちの声が届いていないんじゃないか、こういうふうに思われている原因なのかな、こういうふうにも感じられるところであります。

 経産大臣に御答弁をいただく質問は以上ですので、もしあれでしたら、お引き取りいただいて。ありがとうございました。

 除染について、でたらめだとか、物すごい言葉で大変厳しい御批判がありました。中でも、ちょうど同じ日に、森林の除染について、必要性に乏しい、こういうことを環境省が方針を示したというようなことで、大変ショックを受けている首長さんが多かったです。村の八〇%以上が森林というところもありますので、森林の除染をやらないと、雨や雪のたびにセシウムが水に溶けておりてくる。これは福島の除染の経験でも観測されていることであります。福島県から再考を求める声が既に上がっていると思いますけれども、この見解を見直すつもりがないかどうか。

 もう一つ。川内村、これも本当に森林が八割を占めるところですけれども、この森林の除染をある意味では計画のうちに入れて、除染で出る間伐材を利用する木質バイオマス発電所の計画を復興事業として掲げてきた。これで売電をするつもりだったんですけれども、森林除染を行わないということになると、これは計画として成り立たない、見直さなければいけない、どうしたらいいのか、こういう話もありました。これはどのように対応するのか、あわせてお伺いしたいと思います。

高山大臣政務官 柿澤委員にお答えいたします。

 まず、委員御指摘の、森林除染を行わないんじゃないかという件でございますけれども、確かに八月一日の新聞でそのように受けとめられるような報道をたくさん私も見まして、これは少し間違えた部分があるなというふうに思いました。

 まず、森林の除染は行います。行う上で、今、基本方針では、住居近隣から二十メーターのところを森林除染を行う、このようにさせていただいております。では、それ以外の部分はどうするんだということで、それ以外の、住居近隣二十メーター以上の奥の部分をどのように除染をやっていくかということで、今回、環境回復検討会というものを開きました。

 八月一日の前日にも第五回の会合がありまして、その中で、確かに、その必要性は乏しいのではないかとかいう意見が出たり、あるいは、ほだ場をやるべきだ、キャンプ場をやるべきだ、今いろいろな意見が出ているところで、もちろん、まだ確定的にはなってございません。その上で、もちろん福島県等の御意見も伺いながら今後結論を出していきますが、何か今確定的な結論が出ているということではまずございません。

 そして、その上で、今お尋ねの、では川内村でバイオマス発電はどうなるんだという件でございますけれども、これも、川内村の方から、確かに、除染をやった上で出てきた間伐材などをバイオマスで利用したい、こういうお声があるのは伺っておりまして、これは復興庁とも相談しながら、実際、木がどれぐらい集まるか、採算性はどうか、こういったことも検討しながら、なるべくやるというような方向で、今、復興庁とも検討を進めさせていただきたいと思っているところでございます。

 くれぐれも、森林除染をやらないというのは、そのように受けとられてしまいかねない報道が出ましたので、これは間違いであったということを、その後、我々の方から市町村の皆さんにもお伝えしているところでございます。

柿澤委員 精査して聞いてみると、余り間違いでもなさそうな御答弁にも感じられるんですけれども、いずれにしても、これから検討するということであるようです。

 南相馬市役所で、桜井市長ら三市町村の方からお話を聞きました。平野大臣も御経験をされてしまったようですけれども、相馬野馬追のときに県道十二号が大渋滞をして、一車線の一本道が三十キロも渋滞した、そこに大臣も少し巻き込まれたやに桜井市長から聞いたんですけれども、いずれにしても、これが浜通りの現状というか、常磐線も不通、そして国道六号線も通行不可、また常磐道は未開通、インフラがないと線量がどうだろうと戻れないということです。

 しかし、インフラというのはこれは道路だけではない。医療や教育といったソフトインフラも必要なわけです。若い医療スタッフほど流出すると帰ってこない、優秀な生徒ほど避難先で早く順応して帰ってこない、結果的にお年寄りばかりの町になる。現に、高齢化率は二六%から三二%に上がっている。

 前々から私はお話をしてきたんですけれども、こういう浜通りの自治体では、地域医療の機能の再生に当たって、看護師初め医療、介護スタッフの確保に物すごい大きな困難を抱えております。特に看護師は、今回聞きましたら、募集年齢を四十四歳に引き上げても、それでも集まらない。これから避難区域内の閉鎖している病院、例えば小高区に小高病院があるんですけれども、こういうものを開いていかなければならない。こういうときに、やはり相当なことを考えなければ人材は集まらないのではないかというふうに思います。

 そして、看護師の配置については、人数がどれだけ集まったかというのが開床できるベッド数にかかわってくる。高齢化率が上がっていますから、人口そのものが減っても必要なベッド数はそれに比例して減るわけではないわけです。看護師の確保に当たっては、ある種特例的な人件費の割り増しとか、どういう方法があるのかいろいろ考えるべきだと思いますけれども、いずれにしても特例的な措置を講じるべきだと思いますが、厚労省の見解をお伺いします。

藤田大臣政務官 今委員の方から、看護職員を初めとした医療人材の確保ということで御質問いただきました。本当に被災地の地域医療というものを確保していくために、この医療人材というのが重要であるということは十分認識をしています。

 今上がってきている数字として、震災前に比べまして、医師は九割、それから看護職は全体の七割確保しているという報告があるんですけれども、とてもとても私はこの数字は甘いというふうに認識をしておりまして、厳しい状況が続いていると考えております。

 特に看護、そしてまた介護、こうした人材を確保していくということになりますと、やはり、例えば住環境の整備であるとかいろいろな意味で長期的な対策ということも一緒に講じなければいけないのではないか、こういう認識を持っているところでございます。

 今委員の方からは、人件費の補助を含めというお話でございました。この間、地域財政支援としては地域医療再生基金というものを活用していろいろと取り組みを進めていただいておりまして、福島県でもいろいろな工夫をしてくださってはいるのですけれども、直接的な人件費の補助という形にはなかなかなっていないというのが現状でございます。

 ただ、今後、ここをどうやって本当にしっかり確保していくのかということは、地域の復興にも大きくかかわることでありますので、先日、厚労省の中でも、復興対策本部、この会議を開催したときに、私ども政務の方からもこの対策について強く指摘をしたところでございます。

 現地の状況というものをさらに細かく把握をさせていただいて、今委員が御指摘ありました人件費の補助ということも含めて、どういう方法が有効なのかということについて、さらにきめ細かく現地の皆さんとも連携をしながら取り組んでまいりたいと思います。

柿澤委員 よい御答弁をいただいたと思います。

 私自身は、この間、被災地における特例的な診療報酬の割り増しということを何度か申し上げてきました。たしか岩手県の医師会の会長さんもそういう御発言をされていたということが去年あったと思うんですけれども、残念ながらなかなか壁を越えられないという状況が続いています。

 でも、こういう形で、ある種医療機関を診療報酬の面で支援をすることによって、結果的に戻って診療を再開し、多くの人を迎え入れて、そして地域医療に貢献をする、こういうことができやすくなると思いますので、ぜひ今の視点に立ってこれからも政府内でのお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 七月二十六日に、委員派遣に先立ってこの復興特の質疑がありました。それで、私は平野大臣に御質問させていただきました。

 復興予算の執行率が低いのは、国にお願いをしてお金をおろしてもらう、こういう復興交付金を初め補助金を使っているからで、被災自治体が自前で決済をできるお金じゃない、このことが問題なのではないかというふうに申し上げました。復興基本法を議論していた去年から、ずうっと同じことを申し上げているつもりです。

 それに対して平野大臣は、復興交付金やあるいは災害復旧制度について、使い勝手が悪い云々の批判は大きく出ていない、こういう認識を語られました。むしろ復興計画の策定がおくれてきたことが原因であるというふうに言われたと思います。

 しかし、先日の福島県内の首長さんからのヒアリングでは、国が権限と財源を握っていることによる復旧復興事業の進捗のおくれを指摘する声が相次いだわけです。

 私が、平野大臣はこうおっしゃっていましたけれどもどうですかというふうにお尋ねをしたところ、双葉町の井戸川町長は、ならば、今すぐ金と権限をおろしてくれというふうに憤然と語っておられました。また、二本松市の三保市長は、復興交付金や基金は何でも使えるから早く使ってくれと言われるんですけれども、国と協議すると、それは過疎債でできるとか、社会資本整備総合交付金でやってくれとか言われると。中通りの市町村は、著しい被害と認められないので復興交付金の対象とならないということにもなっている、その著しい被害の自治体から大量の避難者を受け入れているのにそういう扱いになっていると、悲憤慷慨されておりました。南相馬の桜井市長も、省庁は自分たちの仕組みに合わないとだめ出しをしてくる、それを政治家にお願いしたりして押し返してようやく実現したりする、いつまでこんなやりとりを続けるのかと思う、こういうふうに話しておられました。

 再度お尋ねをしますけれども、復興交付金等の使い勝手云々の批判は大きくない、そして、今の制度のスキームで十分、今後は執行率を上げて、そしてスピード感を持った復旧復興事業を展開していけるんだ、こういう認識なんでしょうか。お尋ね申し上げたいと思います。

平野(達)国務大臣 まず、復興交付金とか災害復旧制度につきましては、先般も申し上げましたけれども、事業実施に先立っての用地の取得の問題、それから復興交付金は、特に、津波で被災された地域の住宅再建等々を念頭に置いて制度設計されております。そういった事業をやるときの土地利用調整、合意形成、こういったものに相当の時間がかかっている、それが全体として執行率の低いことにつながっているということについて、そういう趣旨で申し上げました。その認識は現在も変わっておりません。

 それから、福島県からさまざまな御批判がございますけれども、私は、福島の内陸部については、今でも申し上げておりますが、例えば、今まで、道路を整備したいと思ったんだけれども、できなかったから、今回その整備の予算を出してきた、そういう例もございます。学校が被災していないにもかかわらず、耐震のことをやりたい、そういう要望も出てまいりました。あるいは、屋外プールが使えなくなったといって、プールの全面的な建設の要求を出してきた自治体もございます。

 こういったものにつきましては、実情をよく精査しながら一地区一地区対応してきましたけれども、復興交付金の中では対応できない、これは福島県だけではございません、宮城県でも岩手県でも同じ答えを出しております。この部分については対応できないという答えをしたところ、復興交付金の使い勝手が悪いという批判が出ているということは承知しております。

 しかし、これは制度の問題ではございません。復興交付金の問題としてどこまで支援をするかということの判断の問題でございますから、私の言った、大きな批判は出ていないということについては、考え方は変わっておりません。

 ただ、一方で、きめ細かな対応をしなくちゃならないということについては従来から申し上げているとおりでありまして、各自治体については、この制度について趣旨を説明するとともに、要望が出てきたものについては丁寧に対応しながら、採用できなかったものについては、こうこうこうだという説明は徹底してやっているつもりでございます。

柿澤委員 時間も参りましたが、こうやって聞いてみると、お互いにお互いの言い分があって、本当に、残念ながら、すれ違いを続けているのかな、こんなふうな印象も持つわけであります。そのことが不幸な状況をもたらすことがないように本当にお願いをしたいというふうに思います。

 以上です。ありがとうございました。

古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四分散会


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