衆議院

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第9号 平成25年6月13日(木曜日)

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平成二十五年六月十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 後藤田正純君

   理事 あかま二郎君 理事 伊藤信太郎君

   理事 小里 泰弘君 理事 土井  亨君

   理事 西村 明宏君 理事 黄川田 徹君

   理事 椎木  保君 理事 高木美智代君

      石川 昭政君    小田原 潔君

      大久保三代君    勝沼 栄明君

      門  博文君    菅家 一郎君

      菅野さちこ君    木内  均君

      黄川田仁志君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    小松  裕君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      桜井  宏君    島田 佳和君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      高橋ひなこ君    津島  淳君

      冨樫 博之君    中川 俊直君

      橋本 英教君    藤原  崇君

      湯川 一行君    郡  和子君

      階   猛君    福田 昭夫君

      吉田  泉君    小熊 慎司君

      三木 圭恵君    村岡 敏英君

      石田 祝稔君    中野 洋昌君

      井出 庸生君    柿沢 未途君

      林  宙紀君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      井上 信治君

   国土交通大臣政務官    赤澤 亮正君

   最高裁判所事務総局家庭局長            岡 健太郎君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     上田  健君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉池 浩嗣君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           大木 高仁君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山下 和茂君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       新村 和哉君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           黒羽 亮輔君

   政府参考人

   (厚生労働省職業能力開発局長)          山田  亮君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    岡田 太造君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           佐々木康雄君

   政府参考人

   (水産庁漁港漁場整備部長)            宇賀神義宣君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            守本 憲弘君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        塚本 和男君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥主 喜美君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  柿沢 未途君     井出 庸生君

  林  宙紀君     佐藤 正夫君

同月三十日

 辞任         補欠選任

  畑  浩治君     村上 史好君

六月三日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     柿沢 未途君

  佐藤 正夫君     林  宙紀君

  村上 史好君     畑  浩治君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     小松  裕君

  門  博文君     木内  均君

  佐々木 紀君     湯川 一行君

  郡  和子君     福田 昭夫君

  柿沢 未途君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     門  博文君

  小松  裕君     小田原 潔君

  湯川 一行君     佐々木 紀君

  福田 昭夫君     郡  和子君

  井出 庸生君     柿沢 未途君

    ―――――――――――――

五月二十日

 東日本大震災・原発事故からの復旧・復興に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六七〇号)

 原発事故の影響から子どもたちの未来を守ることに関する請願(笠井亮君紹介)(第七一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第七一五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第七一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

後藤田委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、去る五月二十七日、福島県に、また、去る六月三日、岩手県及び宮城県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。菅家一郎君。

菅家委員 福島県に派遣された委員を代表いたしまして、団長にかわり、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、後藤田正純委員長を団長として、理事黄川田徹君、委員勝沼栄明君、門博文君、菅野さちこ君、佐々木紀君、高橋ひなこ君、吉田泉君、足立康史君、小熊慎司君、中野洋昌君、林宙紀君、高橋千鶴子君、畑浩治君及び私、菅家一郎の十五名であります。

 初めに、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、いわき明星大学内にある福島県立の双葉高校、双葉翔陽高校及び富岡高校を視察いたしました。これらの学校の本校舎はいずれも旧警戒区域にあるため、昨年度から、同大学内の施設を借りてサテライト校として開設されております。

 福島県の田代教育次長から、自前の実習施設や体育館等がなく不便を来しているが、少人数の利点を生かして、生徒には懇切丁寧な指導を行っているとの説明がありました。また、刈屋双葉高校長、渡辺双葉翔陽高校長、大和田富岡高校長から、順次、教育の現況等を聴取し、双葉郡の教育復興ビジョンの一つとして検討されている中高一貫校の設置場所や既存の学校との役割分担、就労、進学への支援等について意見交換を行った後、校舎及び授業の様子を見学いたしました。

 次に、いわき市役所において、鈴木副市長から、復興の現状と課題について説明を聴取した後、避難者の受け入れに係る避難元自治体との費用負担の調整の実態、放射性物質に汚染された下水汚泥等の廃棄物の保管状況、水産物、農産物等の放射能検査を行う業者への支援等について意見交換を行いました。

 次に、福島県立富岡養護学校において、小野校長から、震災後の学校や児童生徒の動向について説明を聴取し、生徒の卒業後の進路等について意見交換を行いました。同校は、福島県立聾学校平分校の校庭に仮設の校舎が建設され、授業が行われており、意見交換後、校舎及び授業の様子を見学いたしました。

 次に、有限会社とまとランドいわきにおいて、トマト、パプリカの栽培を視察いたしました。

 温室で水耕栽培が行われており、元木専務取締役から、震災直後、至るところで配管が破損して生産不能になったこと、出荷規制はないものの流通段階で価格の低下を招く等の風評被害を受けたが、検査機器の早期導入や積極的なPRにより売り上げがほぼ震災前の水準にまで回復したこと等の説明がありました。

 最後に、広野町役場において、山田町長から、広野駅東側開発整備事業の実現に向けて必要な用地費等についての確実な予算措置、旧緊急時避難準備区域の田畑も財物賠償の対象とすること等を求める要望書が提出され、復興の現状及び住民の帰還を進める上での課題について説明を聴取いたしました。その後、広野町として優先して解決すべき課題と国に期待する支援策、避難者や帰還者に対する原子力損害賠償のあり方等について意見交換を行いました。

 以上が調査の概要でありますが、私は、この調査を通じまして、地震、津波のほか原子力事故に見舞われた福島県の特殊性を改めて認識するとともに、一日も早く被災者の皆様が震災前と変わらない生活に戻れるよう、公共インフラのみならず、住宅、教育、医療等の生活環境の整備、農水産物等の風評被害の払拭など、さまざまな課題への取り組みに力を尽くす決意を新たにした次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 以上であります。ありがとうございます。

後藤田委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 岩手県に派遣された委員を代表いたしまして、団長にかわり私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、後藤田正純委員長を団長として、理事あかま二郎君、高木美智代君、委員小林鷹之君、瀬戸隆一君、津島淳君、中川俊直君、階猛君、三木圭恵君、村上史好君及び私、黄川田徹の十一名であります。

 初めに、私からも、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様方に対し、衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、釜石市上中島地区にある災害公営住宅を視察いたしました。

 釜石市の復興推進本部復興住宅整備室の担当者からは、この住宅は、民間企業が整備した建物を釜石市が買い取り被災者に貸与するという官民連携により早期整備が実現したものであり、建築コストが安く工期も短い特殊な工法によりつくられているとの説明を受けました。また、釜石市全体では平成二十七年度中を目途に災害公営住宅の整備完了を目指していることから、速やかな土地利用計画の決定と用地の取得が必要となる旨のお話がありました。

 次に、釜石市役所において、嶋田副市長及び上野岩手県副知事から、復興の現状と課題について説明を聴取した後、所有者が不明であるなど用地取得に課題のある土地への対応、復旧復興事業における人手不足の問題、JR山田線の復旧に向けた鉄道会社との調整の現状及び課題、復興交付金の対象となる事業の範囲及び自由度の高い財源の必要性等について、意見交換を行いました。なお、岩手県からは、被災地復興のための人的支援等を求める要望書をいただきました。

 その後、片岸海岸防潮堤及び鵜住居水門建設現場を視察いたしました。

 岩手県土木部の担当者からは、被災前は六・五メートルであった堤防高を十四・五メートルに、幅は七十メートル超にまで広げて復旧する計画の概要について説明がありました。また、この事業は、復興庁、法務省、国土交通省の連携チームによるモデルケースに選定され、用地取得の迅速化のため、現行制度の範囲内でさまざまな運用改善が図られているところですが、これらによってもなお、用地取得には課題が多く、事業のスピードアップのためには何らかの包括的な施策が必要ではないかとの現場の声がございました。

 最後に、大槌町中央公民館のある高台において、碇川町長から、防災集団移転促進事業の進捗状況、用地取得に係る課題と対応等についての説明、また、集団移転先の大槌、小鎚両河川の中流域間を結ぶトンネルの整備、JR山田線の早期復旧等の要望を受けた後、用地取得のための人材確保や職員の心のケア、民間事業者の事業活動の状況等について意見交換を行いました。

 以上が調査の概要でありますが、私は、この調査を通じて、被災地における復旧復興事業及び住宅再建の加速化の必要性を改めて認識するとともに、現行制度の運用改善にとどまらない、迅速な用地取得のための新たな方策の検討や、新たな町づくりの核となる、鉄道を初めとする交通インフラの整備等、さまざまな課題への取り組みに力を尽くす決意を新たにした次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様方に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

 ありがとうございます。

後藤田委員長 次に、伊藤信太郎君。

伊藤(信)委員 宮城県に派遣された委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、理事小里泰弘君、土井亨君、西村明宏君、椎木保君、委員小田原潔君、大久保三代君、郡和子君、吉田泉君、井出庸生君、高橋千鶴子君及び私、伊藤信太郎の十一名であります。

 初めに、私からも、東日本大震災により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞い申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、石巻市の水産加工業者「三政」を訪問し、現在、石巻市の水産加工業が置かれている状況について話を伺いましたところ、売り上げや価格の低迷の問題に直面しており、また、風評被害の影響も大きく、ビジネスマッチングの場などを通じて販路の拡大に努めたいとのことでありました。亀山市長にも同席いただいており、市としては、防災集団移転促進事業で買い上げの対象とならない土地の問題などについて要望したいとのことであり、さらに、石巻商工会議所からも、グループを構成できない事業者を認定グループの構成員に追加できるようにするグループ化補助金の運用見直し等についての要望書をいただきました。

 次に、女川町では、まず、災害公営住宅が建設される総合運動公園陸上競技場において、建設計画について説明を受けました。二Kから四LDKまでの集合住宅二百戸が建設され、本年度末以降、順次入居予定とのことであり、須田町長からは、迅速に必要戸数を確保するため集合住宅としたが、可能なところでは戸建ても検討したい、また、今後、建設費用の上昇が懸念されることから、引き続き支援をお願いしたいとのことでございました。委員からは、入居者の募集や住宅における高齢者対策等について質問が出され、次いで、隣接する野球場に建設されている仮設住宅を外部から視察し、住宅の遮音性や建設コスト等について意見を交換しました。

 次に、塩竈市において、佐藤市長にも同行いただき、まず、浦戸諸島の寒風沢島及び桂島を視察いたしました。

 寒風沢島にはカキの共同処理場が、桂島には干しノリの共同加工施設がグループ化補助金により建設されており、順調に稼働しているとのことでありました。いずれの島においても、地盤沈下による土地のかさ上げ、津波に備える四・三メートルの防潮堤建設を行い、防災集団移転促進事業を進めるとのことでした。

 風光明媚な松島湾ではありますが、特別名勝という特殊な事情もあり、浦戸地区の区長の方々からは、連名により、浦戸諸島のよさを生かした復興を進めたいという要望書をいただきました。

 引き続き、塩竈市役所において意見交換を行い、塩竈市の関係者からは、グループ化補助金の運用改善を求める要望や、大手企業の寡占による中小水産業者の苦境、円高、消費増税など、地域経済の先行きへの懸念が表明されました。

 また、佐藤市長からは、長い間住みなれた土地で安心した生活を送ることを基本理念に復興を進めているとの説明があり、産業の復興や被災者の生活支援などについて要望書をいただくとともに、委員からは、塩竈が目指す水産業の姿、仮設商店街の今後、新たな財政支援のあり方などについて質問が出されました。

 最後に訪問した名取市では、当委員会の参考人としておいでいただきましたJA名取岩沼の今野青年部委員長に御案内いただき、まず、下増田北釜地区を車中から視察いたしましたが、震災前は七百棟のビニールハウスでチンゲンサイやメロンが栽培されていたという農地は、雑草が生い茂る荒涼たる風景が広がっているばかりで、本当に胸ひしぐ思いがいたしました。

 続いて、小塚原地区のカーネーション栽培農家を訪問し、震災により全てがなぎ倒された後、どのようにして再び花を咲かせることができたかについて話を伺い、その後、若手の農家の皆さんと意見交換を行いました。皆さんからは、農業の復興にかける熱い思いとともに、それを阻む制度の改善を求める切実な声が聞かれました。

 市役所に行って断られるとほかに相談する窓口がない、三軒以上で組合をつくれば補助が受けられるといってもキュウリ農家は二軒しかありません、いずれ自力で立っていくので、それまで支援してほしい、ずるをしてお金をもらおうと思っているわけではないなど、淡々とした語り口の中に、かえって状況の深刻さが感じられました。

 私たち委員も、限られた時間ではありましたが、丁寧に要望事項を伺い、助言に努め、私から、皆さんの声は聞きっ放しにしませんとお答えした次第でございます。

 以上が調査の概要でありますが、本当に必要な人に支援が行っているのだろうか、視察を終えて率直に感じた思いであります。特に、名取の若手農家の皆さんの声は、恐らく被災地に共通する声ではないでしょうか。

 被災地の方に委員会に来ていただき、話を伺う。我々が被災地に足を運び、被災地の姿を見て、声を聞く。それを委員会で議論して、必要な施策を講じていく。これを何度も何度も繰り返さなくてはなりません。委員各位とそのような決意を共有してまいりたいと思います。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

後藤田委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官上田健君、法務省大臣官房審議官萩本修君、法務省大臣官房審議官吉池浩嗣君、文部科学省大臣官房審議官大木高仁君、文部科学省大臣官房審議官山下和茂君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君、厚生労働省職業安定局次長黒羽亮輔君、厚生労働省職業能力開発局長山田亮君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長岡田太造君、農林水産省大臣官房審議官佐々木康雄君、水産庁漁港漁場整備部長宇賀神義宣君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長糟谷敏秀君、中小企業庁経営支援部長守本憲弘君、国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、国土交通省土地・建設産業局次長塚本和男君、国土交通省都市局長川本正一郎君、国土交通省住宅局長井上俊之君、国土交通省鉄道局長滝口敬二君、環境省大臣官房審議官奥主喜美君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、原子力規制庁次長森本英香君及び原子力規制庁審議官山本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 次に、お諮りいたします。

 本日、最高裁判所事務総局岡家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

後藤田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

後藤田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大久保三代君。

大久保委員 宮城県石巻を選挙区としております衆議院議員の大久保三代でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、選挙区支部長に昨年六月になりましてから、ブログとフェイスブックで情報発信をしておりまして、何とか有権者の皆様に、国会議員も親しみやすさですとか、あと、ああ、きっと似たようなことを考えているんだなというような共有をしたいなと思って情報発信はしているんですが、反面、やはり、こういうつもりで書いたんじゃないんだけれども、どんな伝わり方をするかわからないな、それも一斉に伝わってしまうんだなという怖さがあるのもインターネットではないかなということも感じております。

 毎日新聞の六月十三日の報道ですが、復興庁の幹部がツイッターに暴言を繰り返していたというような報道がありますが、その件について大臣の御所見を伺いたいのですが、お願いいたします。

根本国務大臣 現在、その点については事実関係を確認中であります。仮に、御指摘の発言が事実とすれば、国家公務員としていささか不適切な発言であり、関係者の皆様に不快な思いをさせたのであれば、率直におわびを申し上げたいと思います。

 いずれにせよ、現在、事実関係を確認中であり、その結果などを踏まえて、同職員への指導を含め、適切に対処していきたいと思います。

大久保委員 それでは、大臣、よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、このたびの視察を踏まえまして、御質問させていただきます。

 私たち復興特別委員会の委員十一名は、平成二十五年六月三日、宮城県の被災地を視察いたしました。まずは、視察の過程で上がりました要望をもとに、御質問申し上げます。

 現行では、基準値一キログラム当たり百ベクレルを超えるものについて出荷制限が課せられております。水産物の放射能汚染に対する国内外からの懸念に対応する国の姿勢は理解できるとともに、水産業が重要産業である、今回訪れました宮城県石巻の生産者の方からは、基準値の厳しさが出荷を難しくさせ、復興の足かせになっているとの声が聞かれました。私も小さな子供を育てておりますので、お母さんたちの不安な気持ちもわかりますし、一方で、丹精込めて育てた農産物や、体を張ってとってきた魚や貝をなかなか出荷できないという苦しいお気持ちもまたわかるなという気持ちで聞いておりました。

 改めまして、食品の出荷制限の基準を百ベクレルとした経緯を再度御説明願いたいと存じます。

新村政府参考人 お答えいたします。

 福島原発事故の直後におきましては、緊急的な対応として、原子力安全委員会で定められていた指標、これは一年当たり五ミリシーベルトでしたけれども、これに基づきまして暫定規制値を設定いたしました。当時は、一般食品五百ベクレル・パー・キロでございました。

 その後、モニタリング検査の結果で、多くの食品からの検出濃度が時間の経過とともに相当程度低下傾向にあったということを踏まえて、昨年四月に見直しを行いました。その際は、食品からの被曝量が国際機関の指標であります年間一ミリシーベルト以下になるように設定したものでございます。この指標をもとに、男女別、年代別の食品摂取量と、国際放射線防護委員会、ICRPが設定しました代謝や体格を考慮した線量係数がございまして、これを用いて計算いたしました結果、最も厳しい値となったのが、十三歳から十八歳の男性、これにつきまして、百二十ベクレルでございました。これをさらに安全側に切り下げて、百ベクレル・パー・キロを一般食品の基準値として設定したものでございます。

大久保委員 ありがとうございました。

 それでは、消費者及び生産者の声というのは、私だけではなく、省庁にも届いているかと思うのですが、現在、基準緩和または厳格化について検討がなされているのかどうか、現況について御説明をお願い申し上げます。

新村政府参考人 基準値の設定に当たりましては、関係府省や多くの専門家と丁寧に議論を重ねまして、食料供給への影響にも配慮しつつ、科学的な見地から安全性を確保できるように設定したものでございます。

 昨年の四月以降の状況を見ますと、基準値を超える食品は、ヒラメなどの底魚や川魚、原木シイタケ、あるいは野生動物など限定的なものとなっております。こうした中で、生産者の方々からは、現行の基準値以下の食品であれば安全が確保されているということを国がもっと周知すべきだという声もいただいております。

 こうした状況の中で、現行の基準値を緩和することは、かえって消費者、国民の方々の不安、あるいは市場の混乱を招くというおそれもございますので、現行の基準値について見直すことについては慎重に対応した方がよろしいのではないかと考えております。

 なお、食品中の放射性物質につきまして、基準値を超える可能性がある品目に対する、よりきめの細かい検査体制を確保することとしております。

 また、今後とも、基準値に適合した食品は十分に安全であるということ、また、実際の食品中の放射性物質は極めて少ないといった結果も出ておりますので、こういったこともあわせまして、消費者の方々あるいは国民の方々に丁寧に御説明に努めていきたいと考えております。

大久保委員 ありがとうございます。

 これからも、被災地の選出であり、さらに、小さい子供を育てる議員として一緒に議論を深めてまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、私が先々週そして先週、地元を歩いて伺った要望から御質問を申し上げます。

 石巻市の雄勝という地区にお伺いしたのですが、地震で地盤沈下が起きまして、津波にも襲われました。その漁港の仮の修復の際に、かさ上げが、住民の意向を十分反映されることがなく、住民の方からするとちょっと一方的に行われた結果、海に浮かぶ船と港の高さの差が一・五メートルを超え、高齢の漁業者は仕事にならないという声がございました。

 今は仮なんですけれども、今後の本復旧工事に当たっては、地元のニーズを十分に踏まえた対応がなされると考えてよろしいでしょうか。

宇賀神政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災におきましては、多くの漁港施設が被災しただけではなく、地盤沈下により、水揚げなど漁業活動に重大な支障を来しているところでございます。

 中でも、委員御指摘の石巻市雄勝地区におきましては、地盤沈下の大きい地域の一つでございまして、早期の機能回復を図るため、地元の意見も一応お聞きして、応急仮復旧工事で岸壁を被災前の高さまでかさ上げしたところでございます。

 その後になりまして、宮城県におきましては、広い範囲で地盤の隆起が発生をいたしました。このため、特に高齢の漁業者が利用しにくい状況が生じたことから、岸壁の高さを見直してほしいという意見が漁業者の方から上がっていますことは、宮城県からお聞きしているところでございます。このため、今後行ってまいります岸壁等の本復旧工事におきましては、改めて地元漁業者の意見を十分にお聞きして工事に着手するよう、県、市町村に対し、指導してまいりたいと考えております。

 今後とも、県、市町村及び地元漁業者等の意見を十分にお聞きいたしまして、一日も早い復旧復興に向けて、引き続きしっかりと支援してまいりたいと考えております。

大久保委員 地元の漁業者の皆さん、悲しい経験を乗り越えて、しっかり復興しようと頑張っておりますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。

 続きまして、国保財政についてお尋ねいたします。

 震災で職を失った方が、市町村国保に大量加入いたしました経緯がございます。また、地元を歩いておりますと、仮設住宅の生活を余儀なくされている方々の生活不活発病の進行に伴い、医療機関受診の必要性の増加傾向が見受けられます。市町村国保財政の逼迫が懸念されるのです。

 平成二十四年度は、国の調整交付金により、震災による医療費の増加など、特別事情に配意をいただき、市町村国保財政悪化のスピードは緩和された状態にはございますが、平成二十五年度以降、被災地の市町村国保への財政的支援策について、検討状況をお聞かせください。

神田政府参考人 先生御指摘のように、被災地では、被災等による医療費の増加ですとか失業等による低所得者の増加によりまして、保険料収入が減少していることから、財政状況が悪化しているものというふうに認識いたしております。

 国民健康保険制度におきましては、被災地であって震災前と比べて一人当たり医療費の増加に伴う財政負担増が三%以上となっている市町村に対しまして、その負担増の八割を国が財政調整交付金によって支援することとしております。平成二十四年度におきましては、百八十七の市町村に対しまして、二百八十九億円の財政支援を行っているところでございます。また、震災によって失業者が多く発生したこと等によって所得水準が下がった市町村に対しましても、国の調整交付金を増額して支援を行う仕組みとなっております。

 平成二十五年度におきましても、平成二十四年度に引き続きまして、こうした仕組みを通じまして、被災等による医療費の支出増、低所得者の増加による保険料の収入減少について、市町村国保に対して支援をしていくこととしております。

大久保委員 安心いたしました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 最後の質問です。

 原発事故による放射能の影響により、子供の屋外活動の自粛や生活環境の変化、それに伴うストレスが生じております。また、学校の校庭に仮設住宅とか仮設校舎が設けられているところもございますので、子供たちの運動不足の結果、運動能力、体力低下や肥満などの生活習慣病の増加が見受けられるのです。

 六月五日、復興推進会議が「「新しい東北」の創造に向けて(中間とりまとめ)」を出しましたが、特に子供のストレス、運動能力、体力低下や生活習慣病の増加について、どのように政策を展開していくのか、復興大臣に伺いたいと存じます。

根本国務大臣 復興推進委員会で中間取りまとめをいただきました。

 復興推進委員会で議論していたのは、震災からの復興の中で、単に従前に復旧するのではなくて、やはり復興を契機に、これから我が国や世界のモデルとなるような創造性と可能性ある未来社会を形成する、そういう目的で、復興推進委員会で調査審議が行われました。

 復興推進委員会の中間取りまとめに当たっては、五つのテーマを設定して具体的な展望を示していただきました。

 例えば、元気で健やかな子供の成長を見守る安心な社会、あるいは高齢者標準による活力ある超高齢化社会、あるいは持続可能なエネルギー社会。五つのテーマを設定して、これからの将来像を取りまとめていただきました。

 先生御指摘の子供の問題、子供のストレス、運動能力、体力低下等々への対応策としては、復興庁として、原発事故の影響により人口が流出し地域の復興に支障が生じている地域について、既に、ソフトとハードを一体的に支援することができる子ども元気復活交付金を創設いたしました。

 この中間取りまとめを踏まえて、これから、東日本大震災復興推進調整費を活用して、地域の先導的なモデル事業の創設等々の施策に早急に取り組んでいきたいと思っております。健全に子供が育つ環境を整えていきたいと思います。

大久保委員 ありがとうございました。被災地は課題が山積をしており、インフラの整備だけでも大変ですので、子供のことがどうしても後回しになりがちなのです。大臣のお言葉、とてもうれしゅうございました。どうぞよろしくお願いします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、小林鷹之君。

小林(鷹)委員 自由民主党の小林鷹之でございます。

 まず冒頭、ただいまお話ございました、けさの毎日新聞の朝刊の件に関しまして、ただいま大臣からは事実関係を調査中であるという御答弁をいただきました。これがもし事実だとすれば極めて遺憾な話でございますし、私自身は憤りすら覚えます。それは大臣も同じかと思います。

 震災で多くのものを、とうといものを失われた方たちが必死になってあすをつかもうと頑張られておられる中で、また、そうした被災者の方を懸命になって支援されている関係者の方々に対しても、これは極めて失礼な話だと思っております。

 これがもし事実だとすれば、私は与党の一員だからこそ申し上げたいんですけれども、これは、私たち政府・与党が、あるいは野党の皆様も含めて、大切にしてきた被災地との信頼関係、これを大きく損ないかねない問題であると認識しておりますので、これが事実だとすれば、大臣に対しましては、今回の件、厳しい対応を求めさせていただきたいと思いますし、こうしたことが二度と起こらないような再発防止策をお願いさせていただきたいと思います。

 それでは、私の質問に移らせていただきたいと思います。

 私自身は、先日、同僚の議員の方々とともに、岩手県、釜石と大槌町の視察に行ってまいりました。まず、復興作業で大変お忙しい中、現地の方々からは大変貴重な御意見と、またお時間をいただいたことに、心から感謝を申し上げます。

 その中で、先ほどの報告にもありましたけれども、用地取得の迅速化やインフラの整備あるいは自由度の高い財源の確保、さまざまな課題を伺いましたけれども、多くの方が言及されていたのは、やはり人手が足りないということでございました。

 根本復興担当大臣の強力なリーダーシップのもとで今復興作業が加速化していると思いますけれども、一方で、被災地の町づくり、あるいは災害公営住宅の建設などハードの事業に携わる方、技術職の方、あるいは用地買収、埋蔵文化財調査を担当する職員など、被災地の自治体のマンパワーが非常に不足しているという切実なお声をいただきました。

 確かに、被災自治体への人的支援については、政府として既にいろいろ精力的に取り組んでおられるものと承知しております。現に、先日訪れました釜石の副市長は私の昔の職場の後輩でございまして、弱冠二十九歳ながらも、真剣に被災地のことを考えて汗を流している姿に大変感銘を受けましたし、心強く感じました。

 ただ、その上で、復興のさらなるスピードアップを図る観点からは、現在行っていただいている国や他の自治体からの人的支援の継続、そして豊富な経験と専門性を有した即戦力となる人材を供給する意味でも、民間企業を定年退職された方や、あるいは国家公務員、退職国家公務員でも構わないんですけれども、そうしたスキルのある方を国としても任期つき公務員として採用していただいて、被災地へさらに多くの人材を人的支援という形でお願いさせていただきたいと思いますが、大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

根本国務大臣 委員御指摘のように、現在、被災自治体におけるマンパワー不足、これが大きな課題ですから、全国の自治体から職員を派遣していただく取り組み、そして公務員OB、民間実務経験者などの任期つき採用を促進するための取り組みが行われております。

 我々、さらなるマンパワー確保のために、委員がおっしゃられたような国家公務員OBそして青年海外協力隊帰国隊員、民間実務経験者を国の職員として採用して市町村に駐在させる、このような取り組みで、被災市町村の復興関連業務を支援するということに今取り組んでおります。

 直接復興庁が採用して派遣する方、これは本日時点で五十五名になっておりまして、当然、各都道府県からの応援職員もたくさんおられますが、国としてはこの取り組みを今年度から強力に推進しておりまして、引き続いて、被災自治体の体制支援のために、このような取り組みをしっかり進めていきたいと思います。

 ただ一方で、被災自治体の事務負担を軽減する取り組み、これも私はあわせて重要だと思います。そのために、CM方式、コンストラクションマネジメント方式の導入というような発注方法の工夫、土地買収関連業務の補償コンサルタントへの委託、要は事務のアウトソーシング、こういう事務負担を軽減する取り組みもあわせて講じていきたいと思っております。

小林(鷹)委員 大臣、前向きな御答弁、ありがとうございました。

 次に、人材不足に関して伺ったのが、現地の産業を担う人手がやはり圧倒的に不足しているという話でした。例えば、釜石市では、有効求人倍率が平成二十三年四月には〇・二〇と過去最低を記録したにもかかわらず、昨年の十一月には一・四五倍まで上昇したということで、数字だけを見れば、副市長もおっしゃっていましたが、空前の好景気だと。しかしながら、復興を担う土木関係の作業員の方、あるいは水産業、あるいはスーパーのレジ打ちの方、こうした方たちが本当に足りないという声をいただきました。

 また、大槌町の方からも同じでございまして、現地の産業である水産加工業、これについて再建をしようと頑張っておられるということでしたが、用地を確保してグループ補助金で建物を建てても、そこで働く担い手が、特に若手、中堅の方を中心に、町の外に人口が流出しているという関係で、ほとんど人が集まらないというお話を伺いました。

 特に応急的に現地で求められているのは、水揚げした魚の骨を抜いたり、あるいは魚を切ったり、こうした製造ラインに並ぶ方たちでございまして、現時点では、研修生という形で入ってこられている外国人の労働者、この方たちに今頼らざるを得ない状況になっているとのことでした。

 そういう観点から、研修の期間を三年から五年に延ばしてほしいとかそういう御要望をいただいたんですけれども、一方で、私自身、むしろ意識しなければいけないと思うのは、この水産加工業を、大槌という町の成長産業としてやはり中長期的に育んでいく必要があるんじゃないかと。そのために、我が国の、特に失業率が高い若年層の労働力を何とかして引きつける必要があると感じました。水産加工業をより付加価値の高い産業へと進化させていくためにも、商品開発ですとか、あるいは営業ももちろん必要になってくると思いますので、そうしたところに若い方々の力を活用できるような形で仕組みを何とかつくっていく必要があるのかなと思っています。

 そこで、厚労省の方にお尋ねさせていただきますが、被災地の水産加工の現場に見られるように、こうした喫緊の短期的な労働力の確保と、中長期的な特に若手の労働力の確保、人材登用について、政府の取り組み状況と今後の方針についてお伺いしたいと思います。

黒羽政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地の雇用情勢は、委員おっしゃるとおり、全体としては落ちついてきておりますけれども、沿岸地域につきましては依然として厳しい状況にございまして、特に沿岸地域の基幹産業であります水産加工業では、求人倍率は高いものの、雇用者数は回復しておりません。

 このため、水産加工業の労働力の確保に向けまして、被災地のハローワークの求人情報を被災地以外の地域のハローワークへ提供する、また圏域をまたいだ職業紹介を行うなど、ハローワークの全国ネットワークを活用した広域的な取り組みを進めているところでございます。

 特に、被災地における水産加工業の再建のためには、委員御指摘のとおり、中長期的な労働力の確保が重要でございまして、将来を担う若者の雇用確保が不可欠であると認識しております。

 厚生労働省では、若者の採用や育成に積極的であることを宣言した企業を、若者応援企業として広く地域の若者にその魅力をアピールするとともに、若者応援企業を対象とした就職面接会を行うなど、若者応援企業宣言事業を推進しておりまして、この事業を積極的に活用して、若者と被災地の水産加工業とのマッチングに取り組んでいきたいと思っております。

 今後とも、若者を初め、女性、高齢者など、就職を希望する方に対する支援に努めまして、被災地の労働力の確保に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

小林(鷹)委員 ただいま若者、青年応援事業というお話がございましたが、こうした仕組みというかシステムを形だけのものに終わらせずに、しっかりと現実に活用していただきたいと思います。

 最後に、私は千葉県選出の議員として、実はこの委員会ではまだ余り取り上げられていないんですけれども、液状化に対する国の支援のあり方について、最後にお伺いしたいと思います。

 二年前、私の選挙区である千葉市、習志野市から湾岸の浦安市にかけてのエリアでは、大規模な、広範囲にわたる液状化という被害が生じました。人命に大きな被害がなかったことは不幸中の幸いでございまして、これを東北地方の災害とやはり同列に論じることはできませんし、そこは性格が大きく異なると思っております。

 しかしながら、私ももちろん選挙区内におりまして、あの大きな揺れとともに地面が割れて、電柱が倒れてきて、そしてどこからともなく水が湧き出てくる、そんな光景に大変愕然といたしましたし、昔から小学校で先生から、この地区は液状化が起こるかもしれないんだよと言われていたことがまさにこういう形で目の前で展開することになるとは、本当に想像だにしませんでした。

 そうした中で、千葉県の湾岸エリアの自治体、ここでは、液状化に関する知見の蓄積がやはり乏しくて、なかなか対応がうまくいっていないと思っています。ただ、国からの御支援のおかげで、被災自治体の道路、下水等の公共施設についてはほぼ復旧が完了しておりますけれども、その一方で、市街地の液状化対策というのが思うように進んでおりません。

 これは、皆さん、手探りの状況の中で、どういった工法がいいのかとか、とにかく現時点で想定できるベストの対策、工法を今各自治体ごとにやっているんですが、なかなか、今の時点で出てきているこうした工法をもとにすると復興の費用が高くつくということ、あるいは、首都直下の地震が想定される中で、国としてやはりこうした工法についても主導的に開発していただきたい、そうした要望もございます。

 また、最後に質問として申し上げたいのは、今、道路、下水等の公共施設と隣接住宅地等を一体的に液状化対策を進めていこうとする観点から、一定の要件のもとで国からの補助を受けられる仕組みがございます。しかしながら、国の補助に上乗せとして、例えば千葉市では最大二百万円出るんですけれども、一番財政力のある千葉市でさえも自己負担額がどうしても大きくなってしまう観点から、国から補助を受けられる要件である所有権者や借地権者の三分の二以上の同意というのがどうしても確保することが難しい状況にありますし、今後、平成二十七年の集中復興期間が終わるまでの間に、本当にこうした液状化対策を進めていくことができるのか、懸念を持たれている首長の方がほとんどでございます。

 私の質問としましては、こうした住民の負担軽減策やあるいは支援期間の延長、そうした声があることをお伝えした上で、液状化対策を今後国としてどのような形で推進していく方針なのか、国交省から見解をお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のように、東日本大震災では、大変広い範囲で、建物被害が大体二万七千棟に及ぶような液状化被害が発生したところでございます。

 私ども、御指摘がございましたように、公共施設と宅地を一体的に扱いまして液状化対策をすることによりまして、被災した個人の方についても負担が小さくなるようにということで、事業を組み立ていたしまして、補助を行うということをスタートいたしました。

 工法につきましても、再液状化の防止の効果でありますとか、負担の軽減、事業費全体の軽減といったような観点も加えまして、有識者の委員会で検討いただいて、御指摘のあった地下水位を低下させる工法と格子状の地中壁をつくる工法という二つの工法について取りまとめをしまして、ガイダンスをつくって公表いたしたところでございます。

 御指摘のように、こういった工法を使うという場合につきましても、一定の住民の負担というものは発生するわけでございます。地元からは少しでも負担を小さくしたいというお声があるのも事実でございまして、私ども、実際に事業化に係るところにつきましては、住民の方々に対する情報提供について、公共団体を支援しますとともに、具体的な事業のやり方につきましても、コスト、全体の事業費が下がる、そうなりますと個々人の方の負担も下がるということになりますので、そういったことができるように技術支援等を行ってまいりたいというふうに考えております。

 また、この二つの工法以外につきましても、これらの工法と組み合わせをして使えるような工法でありますとか、それ以外の工法につきましても技術的な検討を進めてまいりたい、このように考えております。

小林(鷹)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、瀬戸隆一君。

瀬戸委員 香川県の瀬戸隆一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 先日、六月三日に復興特別委員会の委員派遣で釜石と大槌町の調査に行ってまいりました。本日は、その調査の際に被災地より出されました要望等を中心に質問してまいりたいと思っています。

 私の被災地との関係でありますが、かつて、岩手県に赴任して働いていたこともあります。また、東日本大震災の直後には、内閣府の方に出向し、被災者生活支援チームにおいて被災地の支援をしてまいりました。それから、私的にも、ボランティアで炊き出し、また子供の心のケアに行ったところであります。そういったころから、岩手県は私の第二のふるさととも思っておりまして、少しでも早く被災地の復興を進めたい、その思いはこの二年三カ月たった今も少しも変わることはありません。

 先日の委員派遣による被災地訪問は、衆議院の選挙もありましたので、私にとっては約一年ぶりの被災地訪問でありました。復興は全然進んでいないとマスコミ等から聞いていただけに心配しておりましたが、確かに一見進んでいないようではありましたが、一年前と比べますとつち音が幾らか聞こえてきているということで、少しは進んでいるのかと安心したところであります。

 しかし、釜石そして大槌町を訪問し、意見交換をいたしましたが、課題はまだまだ山積しているというのが実感でございました。

 まずは、大槌町の道路整備についてお伺いしたいと思います。配付の地図をごらんいただきたいと思います。

 東日本大震災の際、大槌町では、大槌、小鎚両河川下流域にある中心市街地、地図の右側の方になりますが、壊滅的な状況となりました。そのようなことから、低地部を災害危険区域に指定し、両河川中流域への集団移転を行う計画を進めているとのことです。

 復興庁にお伺いいたします。

 大槌町における集団移転計画について、どのようになっているのか、教えてください。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 大槌町の集団移転促進事業それから住宅の整備事業、十三地区で、防集事業が合計五百三十五戸、それから災害公営住宅整備事業が九百八十戸というふうになっております。

 そのうち、今議員御質問の大槌川沿い、それから小鎚川沿いにつきましては、大槌川沿いでございますが、下の方の沢山地区というところから柾内地区というところまで、防集団地が三十八戸、公営住宅が三百六十七戸、合わせまして四百五戸、それから小鎚川沿いでございますが、これも下の寺野地区というところから三枚堂地区というところまで、防集団地百五十三戸、災害公営住宅五十七戸、合わせまして二百十戸、こういう公的な事業によります住宅再建が計画されているところでございます。

瀬戸委員 大槌、小鎚両河川の中流域への集団移転によりまして、防災対策が着実に進められているということと思います。そしてまた、新たな市街地におきましても、非浸水、水に浸水しないということでありまして、十分な対策がとられてきているのではないかというふうに思われます。

 しかしながら、現在、河川の大槌と小鎚を結んでいる大きな道路は、写真を見ていただきますと、国道四十五号線のみということが見てとれると思います。

 三・一一の大震災の際、津波や山火事による二次被害の発生によりまして、山間部へ難を逃れようとする車と内陸からの緊急輸送車両で町内の主要道路、四十五号線を初めとする主要道路が大渋滞となったということであります。今後の災害発生時を想定した場合、県立大槌病院への町民の迅速かつ安全な移動の確保、また消防車の動線の確保が重要になると思われます。

 そこで、このような課題を解決するためにも、大槌、小鎚両河川の中流域を横断する道路、トンネル、赤い点線で示しておりますが、整備をし、動線を確保することが必要と思われますが、復興大臣の御見解をお伺いいたします。

根本国務大臣 大槌町において、今後、委員の御指摘の事業の具体化に向けた調査実施の意向がある、これは私も承知をしております。

 他方、被災自治体からは数多くの道路整備に関する御要望を承っているところでありますが、復興交付金であれ、復興枠の社会資本整備総合交付金であれ、復興予算で整備する場合には、著しい被害を受けた地域の復興まちづくりに密接に関連のあることが明確な事業であるということが必要であると考えております。

 こういう状況の中で、個別路線については、復興まちづくりとの整合性、事業規模、確実性などを精査した上で、支援の対象としているところであります。

 御要望の道路につきましても、今後、大槌町の復興まちづくりの進捗状況、そして、これと当該道路の関連性をよく見きわめた上で対応を検討してまいりたいと思います。

瀬戸委員 ありがとうございます。

 このトンネルがありますことで、災害時、消防車が渋滞に巻き込まれることもなくなるでしょうし、また、市民の病院へのアクセスが容易になるというふうに思われます。

 また、大槌町の両河川中流域の便利さが増して、集団移転の促進にもつながるのではないかというふうに思われます。ぜひに御検討いただきたいというふうに思っております。

 次に、被災地における働き手について御質問させていただきます。

 現在、中小企業基盤整備機構による店舗、工場といった仮設施設の整備など、国による数多くの支援策によって、事業の再開に進展が見られるところであります。ただし、被災地においては、震災による人的被害が甚大であり、人口の流出も深刻であるために、求人に対して求職応募者が不足する状況が続いております。被災事業者が事業再建を進める上で、必要な労働力の確保が大きな課題となっております。特に、外国人雇用者においては、震災後、風評被害もあり、日本から去った方々も多いと聞いております。

 そこで、お聞きします。岩手県における外国人雇用者数について、震災前と震災後でどのような変化があったでしょうか。

黒羽政府参考人 厚生労働省では、受け入れ企業から外国人雇用状況を届け出いただいておりまして、毎年十月末現在の数字を取りまとめております。

 これを見ますと、岩手県では、震災前の平成二十二年十月末時点の外国人雇用者数は二千四百二十五名でありました。震災後の平成二十三年十月末時点の外国人雇用者数は千六百七十六名となっておりまして、震災によりまして外国人雇用者数は約三〇%落ち込んでおります。

 また、足元の外国人雇用者数は持ち直しておりますけれども、平成二十四年十月末時点では二千六十五名でありまして、二十二年十月に比べまして約一五%減、震災前の水準までは回復していないところでございます。

瀬戸委員 外国人雇用者について、震災直後の減少ほどではありませんが、現時点においても、震災前と比べてやはり減っているという状況だと思います。

 そこで、大槌町や釜石市において、水産加工業者におきましては、外国からの技能実習生が雇用されて働いていらっしゃいます。現在の技能実習生の滞在期間は、最長三年となっております。しかし、それらの方々の中には、語学も上達しつつある中で、また技能も学びつつある途中で、残念ながら帰国となる方々も多いようです。

 そこで、お伺いいたします。被災地において、技能実習生の滞在期間の延長が要望されているところであります。平成二十一年、入管法改正の際には、附帯決議において、技能実習制度の見直しが求められているところであります。現在の検討状況はどのようになっていますでしょうか。

吉池政府参考人 技能実習制度につきましては、管理団体による指導監督体制を強化し、研修生、技能実習生の保護の強化と法的地位の安定化を図ることを主な目的としまして、平成二十一年に入管法の改正を行ったところであります。

 この法改正の際に、衆参の法務委員会の附帯決議におきまして、技能実習制度のあり方の抜本的見直しについて総合的に検討することとされました。

 法務省におきましては、法改正後の新しい制度の運営状況を見るため、管理団体に対する実態調査を現在実施中であり、加えて、新しい制度で入国した者が三年間の技能実習を終了することとなる本年七月以降、帰国する技能実習生に対し、新しい制度での技能実習の状況についてのアンケート調査の実施を検討しております。

 研修・技能実習制度の抜本的な見直しにつきましては、この実態調査やアンケート調査の結果を踏まえるとともに、関係者から意見を聴取するなどもしながら、御指摘の附帯決議の求める技能実習制度のあり方について、関係省庁とも連携しつつ検討していくこととしております。その結果を得る時期についてですが、まだ具体的にお示しできる段階にはありませんが、できるだけ早期にというふうに考えております。

 それらとは別に、被災地における技能実習制度のあり方について、被災自治体等からの御要望があれば、技能実習制度の趣旨を踏まえながら適切に対応してまいりたい、このように考えております。

瀬戸委員 技能実習生の滞在期間の延長を望む声は、被災地においても、また、私の出身地香川県においては手袋工業もございますが、そういった産業においても大きいものがあります。ぜひしっかり議論していただきたいというふうにお願いいたしたいと思います。

 最後に、除染についてお聞きしたいと思います。

 先日、福島県浪江町に視察に行ってまいりました。そういった中で、汚染土壌を一時的に保管した緑のフレコンバッグがところどころに見られるという異様な光景でありました。現時点で、汚染土壌は、焼却等の処理をせず、そのまま中間貯蔵施設に搬入することになっているということであります。中間貯蔵施設の設置がなかなか進んでいない現状におきましては、こういうフレコンバッグに覆われた汚染土壌の山がどんどんふえるだけではないかというふうに思われます。

 そこで、お伺いいたします。

 除染後の土壌について、中間貯蔵施設の設置が進まない中で、減容化を進めていくことが必要ではないでしょうか。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 土壌の減容化につきましては、重要な課題であるというふうに認識しております。ただ、現時点におきましては、除染後の除去土壌の減容化につきましては技術実証段階というふうな段階であると認識しております。

 ただ、効果的かつ経済的な減容化技術が実現した場合には、除去土壌の処理全体が進むことになるという可能性もあるため、引き続き、実証研究と対応を検討してまいりたいと考えております。

瀬戸委員 こういった減容化技術は幾つかあるようでありますが、減容率が高く、また除染率が高いというものを見出していただきたいというふうに思っています。回転加熱によるセシウム昇華技術というようなものもあると聞いておりますので、ぜひ新しい技術を見出して実現に結びつけていただきたい、そのように思っております。福島の復興をより目に見えるものにするためにも、ぜひ早急な検討をお願いしたいというふうに思っております。

 以上、質問を終わります。

後藤田委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、質問の時間をいただいて、ありがとうございます。

 質問に入る前に、政府・与党の皆さんに申し上げます。

 民主党、日本維新の会、みんなの党、日本共産党、生活の党、社会民主党、野党六党の国会対策委員長がそろって予算委員会の開会を申し入れをしております。

 山本予算委員長が理事会において、総予算可決後、丸二日間、計十四時間の総理入り、テレビ入りの集中審議を確認しているにもかかわらず、約束がいまだに果たされておりません。安倍総理隠しも甚だしい問題であり、国会と国民を冒涜するものであります。

 参議院選挙を前に、安倍総理も正々堂々と国会論戦をするべきだと思っておりますので、どうぞ、気の弱い安倍総理とよく相談をしていただければと思っております。お願いを申し上げます。

 さて、それでは、質問に入らせていただきます。

 福島再生を早める方策について質問させていただきますので、簡潔にお答えをいただきたい。

 五月の二十七日、六月の三日、二日間にわたって、当特別委員会の皆さんは、福島県、岩手県、宮城県の現地調査をされたわけでありますけれども、私は残念ながら参加できませんでしたので、その概要を見ながら、具体的な提案を申し上げながら、根本復興大臣を初め、政府の考えをただしてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それでは最初に、福島県を初め、六県の指定廃棄物の処分についてお伺いをいたします。

 栃木県や茨城県、群馬県、千葉県、宮城県そして福島県の指定廃棄物の最終処分場の現状と今後の見通しについてでありますが、四月十六日の環境委員会で私が質問をいたしましたけれども、その後どう進んだのか。特に五県、栃木、茨城、群馬、千葉、宮城の現状と今後の見通しについて、簡潔にお答えをいただきたいと思います。

井上副大臣 指定廃棄物の最終処分場の検討状況と今後の見通しということであります。

 五県におきましては、本年三月末から、順次、市町村長会議を開催しておりまして、四月に御質問いただいた時点では、一巡目の市町村長会議を開催しているところでありました。現在、五月末から市町村長会議は二巡目に入りまして、並行して開催をしております有識者会議で取りまとめていただいた候補地の選定手順案などについて環境省から説明をし、議論をいただいているところであります。各県によりまして状況は異なっておりますけれども、地域の実情や意向を踏まえていくということが非常に重要であります。

 実際に、市町村長会議の場では、市町村長の皆様からさまざまな御意見をいただいているところであります。これらの御意見を踏まえて、引き続き市町村長の皆様と意見交換を十分に行いながら議論を深め、できるだけ早期に最終処分場が整備できるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

福田(昭)委員 きょうは、井上副大臣がちょっと都合が悪そうだと言っていたんですけれども、出てきてくれて、ありがとうございました。

 今の話を聞いておりますと、実は、なかなかこれは進まないんですね。栃木県の例を申し上げますと、二回、市町村長会議を開いても全く、合意どころか説明も了解をしない、そういう状況になっております。

 そうした中で、栃木県の中では、知事と市町村長が少し険悪な状況になっておりまして、鹿沼の市長などは、私の主張と同じように、ここはやはり被災地の皆さんと膝を交えて率直な話し合いをして、しっかり国が土地を買い上げて、生活再建を早めるというのが一番いいんじゃないか、そんな提案をしたり、日光の市長などは、日光へ持ってくると言っても絶対反対するよ、住民も反対をするだろうけれども、私も反対運動に立つよ、そんな話をしたり、それから、那須町の町長などは、何だ、これだけ放射性物質で苦労しているのに、傷口に塩をなすり込むのか、そんな話が出たり、とてもとてもまとまるような状況にはありません。ほかの県がどんな状況かわかりませんが、多分、似たような状況じゃないかなというふうに思っております。

 それでは、次に福島県。福島県の方は、十万ベクレル以下の指定廃棄物については民間の管理型の最終処分場を利用するということでありましたが、その方はどうですか、少しは進んでいますか。

井上副大臣 福島県内の指定廃棄物の最終処分場の現状であります。

 福島県内におきましても、指定廃棄物、多くを事業所や自治体が抱えております。保管場所が逼迫しておりますので、一刻も早い処分を進めなければいけないと考えております。

 福島県内で発生する十万ベクレル以下の指定廃棄物につきましては、双葉の地方町村、福島県と国との意見交換会において、環境省から、富岡にある民間管理型処分場での処分をしたいということを説明しております。事業者の方は前向きに引き受ける意向を示していただいておりますけれども、町そして県との協議を続けている段階であります。

福田(昭)委員 井上副大臣、続いて、中間貯蔵施設がどうなっているのか、簡潔で結構ですから、現状と今後の見通しをお話しください。

井上副大臣 中間貯蔵施設につきましても、福島の除染の推進に必要不可欠な施設であると考えております。こちらの方も、現在、除染した後の土壌が仮置きされている、そういう状況ですから、これを解消するためにも、中間貯蔵施設の整備を一刻も早く行ってまいりたいというふうに思っております。

 現状としては、事前調査を行った上で、施設の具体的なイメージをお示しして、そして地元の理解を得つつ、平成二十七年当初から中間貯蔵施設の供用を開始できるように、このスケジュールに基づいて努力をしているところであります。

福田(昭)委員 努力はしているが、なかなか進まないというのが現状だと思うんですが、栃木県の場合、実は、放射性物質の実害と風評被害でずっと悩まされ続けているんですね。山の幸、川の幸、これが出荷停止が続いていたり、何とか川の方は戻ってきましたけれども、しかし依然として、中禅寺湖などは相変わらずキャッチ・アンド・リリースで釣り大会をやらざるを得ない、そういう状況がずっと続いているんですね。

 ですから、風評被害はおかげさまでだんだん少なくなってきましたけれども、観光客が完全に戻ったとはまだ言えない、そういう状況にございますから、さらに、この指定廃棄物を引き受ける市町村なんというのはまずいないというのが実態かなと思っています。

 そうしたことを踏まえて、それでは、福島の再生を、福島でも決まらない話でありますが、前回御指摘しましたけれども、楢葉の町長さんでしたか、大変な厳しい話をしておりますので、そういったことを含めれば、やはりこれから、政府が大きな決断をしないとこの問題は解決の方向へ行かないということをぜひ提案をしながら、御質問してまいりたいと思います。

 福島県の住民の意識と再生を早める方策についてということで、これから時間の中で質問してまいりたいと思いますが、まず、住民の意向調査結果についてでございます。これは政府の方は御承知のはずですが、皆さんのお手元に、復興庁にまとめていただいた資料をお渡ししてあります。

 まず、資料の一には、今回、見直しがされた避難指示区域の帰還困難区域と居住制限区域、避難指示解除準備区域、その面積と人口、そして、それぞれの市町村の住民の意向がどういう意向かということをここにまとめさせていただきました。

 ここでごらんいただけばわかりますように、住民意向調査の欄を見ていただきますけれども、大熊町、双葉町、富岡町、浪江町から八町村の意識調査がありますけれども、戻りたいという人は、大熊、双葉、富岡、浪江の四町では平均すると一〇・五%であります。その下の村と町と市を入れますと、これでもやはり八市町村で一〇・九二%ということで、戻りたいという人は、昨年の段階で、実は一割ちょっとしかいないということであります。戻らないという人が上記の四町では三五%、下の市町村を加えた八町では二八・四六%が戻らないと、昨年の時点で答えているわけであります。この数字は非常に重要な数字だと思っております。

 ことしの三月五日の読売新聞でありましたけれども、福島県の避難者はいまだに約十五万四千人、避難指示区域の方々が約八万五千人。帰りたくない理由、八割を超える人たちが放射線を挙げている。つまり、原発事故が収束をせず、放射線量がいまだに高い、これが帰りたくない理由の八割以上を占めた。

 そして、四月十一日の朝日新聞。双葉郡七町村と飯舘村を加えた八町村で小中学校を再開したけれども、本来在籍していたはずの五千九百二十一人のうち、千五十六人、一八%、二割弱しか小中学生が戻ってきていない。ことしの四月ですよ。これが実は福島県の現状だということであります。

 特に、第一原発周辺の皆さん、住民の意識と、それから学校へ戻っている子供たちの割合、そうしたことをやはりしっかり厳粛に受けとめて、政府は考え方を決めていくべきだと私は思うんですね。

 この住民の意向調査を見て、井上副大臣、改めてお聞きをいたしますが、どう思われますか。

井上副大臣 被災地の除染あるいは復興を進めるに当たって、被災者の方々の意向を最大限尊重していかなければというふうに思っております。

 そういう意味では、被災者の方々もいろいろな御意見があるということが現状であります。確かに、お示しをいただいたアンケートによりましても、明確に戻りたいという方は一割程度かもしれませんけれども、条件つきとかそういう留保をつけた上で答えているという数は相当数に上ると思います。

 ですから、むしろ、きちんと放射線量が下がれば帰りたいという被災者の方々の声を受けとめて、しっかり除染を行っていくということが大事だと思っております。

福田(昭)委員 先日も質問をしましたけれども、除染にも限界があるわけですよ。除染をして全部きれいになるという話じゃないわけですね。それは前回もお話し申し上げましたから、そこのところは先に飛ばして、時間がなくなっちゃいますので。

 それでは、これは規制委員会ですか、航空機モニタリングの線量の推移を先日発表いたしました。この皆さん方の見通し、これから避難指示区域ごとの空間線量の推移、それから今後の見通しについて、ぜひお答えをいただきたい。

森本政府参考人 空間線量率の予測地図というものは、昨年の四月に、まだ規制委員会が発足前でございますけれども、一旦、報告、公表してございます。

 原子力規制委員会、先ほど先生御指摘のように、航空機モニタリングによる空間線量率を初めとしまして、そのほかに、走行サーベイによる空間線量率や、土壌に含まれる放射性物質の濃度測定といったさまざまなデータを今蓄積しているという段階でございます。

 ベラルーシでは、まず汚染の状態というものを把握……(福田(昭)委員「簡潔でいいですから」と呼ぶ)はい、恐縮です。

 規制委員会においては、さらにデータを蓄積して、将来の予測の充実改善に努めたいと思いますが、少し時間をいただきたいと考えてございます。

福田(昭)委員 これから規制委員会がきちっと期間を決めて測定をしていくという話ですが、しっかり下がっていけばいいわけでありますけれども、先日も指摘をしたんですが、ベラルーシでは、二〇五六年まで地域ごとにどういうふうに放射線量が下がっていくかという地図までつくって対応しているということであります。

 それで、次に、財物の損害賠償の基準についてお伺いしたいと思いますが、昨年三月に、原子力損害賠償紛争審査会が避難区域の見直しに伴う家や土地の賠償の指針をつくり、そこでは、同等の建物を取得できる価格とするよう配慮すること、こう明記をしたということでありますが、損害賠償、これはどうなんですか。今までの経産省、エネ庁がつくった基準に基づいて損害賠償を行っているんですか、どうなんですか。お伺いをいたします。

赤羽副大臣 お答えさせていただきます。

 まず、宅地建物等の財物の補償につきましては、本年三月から東京電力によりまして請求手続が開始され、今どのぐらい進んでいるかということは結構ですか。(福田(昭)委員「それはいいです」と呼ぶ)始まっております。

 宅地の賠償につきまして、適正な取引価格とされております公示価格をもとに支払うこととしております。また、建物の賠償につきましては、今御指摘がありましたように、中間指針の第二次追補で書かれておりますように、本件事故発生直前の価値、これは、例えば居住用の建物につきましては同等の建物を取得できるような価格とすることに配慮するなど、個別具体的な事情に応じて合理的に評価するものとされているところでございます。

福田(昭)委員 経産省がつくった損害賠償ではとてもとても安くて第二の住みかがつくれない、そういう声が続出しているわけでありますが、そうしたことを踏まえて、今回、紛争審査会が賠償の基準を見直したんだと思いますが、要するに、今までの残存価格ではなく、再取得価格でしっかり補償していくという方針に切りかえたかどうか、そこをちょっと確認させていただきます。

赤羽副大臣 これは、先生が言われるのは、例えば被害地域の方が避難されているいわき市とか福島市で、同じ広さの同じ程度の建物というようなお話かと思いますが、建物についてはそれなりの工夫はできると思いますが、土地が違うところのことについて、いわき市で同じ広さのものを再取得できるというようなことは、かなり限界がある、なかなか難しい問題だと思っております。

 ですから、事故発生直前の当該の不動産、宅地に対しての算定方法について、できるだけ被害者の皆さんに不利にならないような形でという原則を踏まえつつ、今後、地域に対しての帰還がどうなるかというような推移を見ながら、個別に、柔軟に対応して、東京電力に指示をしていきたい、こう考えております。

福田(昭)委員 損害賠償を請求する方々が大変大きな不満を持っている、そういう実態があるようでありますから、ぜひそこはしっかりと改善をしてほしいなと思っています。

 それでは、時間の関係で早く行きたいと思いますが、根本大臣、先日、チェルノブイリを視察してこられたようでありますが、チェルノブイリを視察してきて、何か学ぶことはございましたか。福島に生かせるということがございましたら、教えていただきたい。

根本国務大臣 私も、委員のお話のように、五月にチェルノブイリ訪問をしてまいりました。私の問題意識は、チェルノブイリと日本と、どこに共通点があって、あるいはどこに相違点があるのか、そのチェルノブイリ原発事故後の復興施策、これを私の目と耳で確かめたいという思いで訪問いたしました。

 チェルノブイリ原発の事故では、沃素換算した場合の放射性物質の放出量、これは東電福島第一事故の六倍でありました。また、プルトニウムなど半減期の長い放射性物質も福島よりも大量に放出されている、こういう状況だということを改めて認識いたしました。この状況の違いで、チェルノブイリと福島で、その後の対応の施策は変わってくるものと思いました。

 一方で、チェルノブイリでは、健康診断センターや社会心理リハビリセンター、こういうものを設置して、地元から信頼されるお医者さんを中心にカウンセリングなどを行っておりまして、こうした健康管理に関する取り組みは、福島の再生復興を進めていく上でも参考にすべきものだと考えております。

福田(昭)委員 具体的にどんなところを参考にして、具体的にどういうふうに取り組もうとしているんですか。

根本国務大臣 まず、チェルノブイリと福島の原発事故の違いによって、その後の対応する施策は変わるということは申し上げました。

 一方で、チェルノブイリに行くと、例えば汚染した地域から移住されている方の心理的ストレス等々もあって、こういう健康診断や社会的心理リハビリ、これが非常に重要で、チェルノブイリではそういう拠点的施設を設けておりました。そして、お医者さんを中心にカウンセリングなどを行っておりましたので、こういう取り組みは、健康管理という面から、私は参考になると思っております。

福田(昭)委員 チェルノブイリでは、確かに降った放射線量は違うかもしれません、また中身も違うかもしれません。そうした中で、チェルノブイリでは、事故以来ずっと立入禁止区域にしたものを、二十七年たっても解除しないんですよね。日本の場合はすぐ解除の手続にいろいろ入ってきちゃっているわけですが、その辺の違いはどう思いますか。

根本国務大臣 チェルノブイリでは、三十キロ圏内を立入禁止にいたしました。私は、やはりそこは状況の違いだろうと思います。そして、一定のエリアは、農業が中心のところは、除染するというよりも、むしろ移住を選択した。向こうは国が強制的な移住をさせられますから。そういうことだろうと思います。

 福島県の場合は、我々、やはり帰還したい人にはふるさとに戻ってもらおうということで、線量に応じて見直しをして、今回、区域再編が一部を除いてほぼ終了いたしました。それぞれの区域ごとの空間放射線量をベースに区域再編をし、そして帰還のできるところは帰還してもらおう、こういう判断に我々は立っているということだと思います。

福田(昭)委員 それでは、福島の場合、帰還困難区域の皆さんはどの程度で帰れると考えているんですか。

根本国務大臣 帰還困難区域の設定に当たっては、事故後六年はそこには帰れないという地域が帰還困難区域ですから、住民の皆様はそこの期間は帰れないと判断をすると思います。

福田(昭)委員 では、六年たつまで、帰っていいか帰って悪いか判断できないということですか。

根本国務大臣 避難指示をした地域については、もう先生御案内だと思いますが、線量に応じて三つの区域に再編をいたしました。帰還困難区域については、事故後六年、ここは線量の問題があって帰れませんというのがその地域の設定であります。

 ただ、いずれにしても、帰還準備区域あるいは居住制限区域、帰還困難区域、これも我々除染を、例えば帰還困難区域についても、モデル除染もしながら、早期に帰れるような状況になるように、帰還準備区域、居住制限区域、そして帰還困難区域も含めて、住民の皆様の御意見、市町村の皆様の御意見を十分お聞きしながら、その整備に努めてまいりたいと思います。

福田(昭)委員 そうすると、五年間は住民の皆さんは判断できない、こういうことですか。

根本国務大臣 少なくともこの地域の設定の考え方がそういう考え方ですから、その限りにおいては、その時点ではやはり判断はできないと思いますが、我々は、それぞれの住民の方が判断できるような情報も提供しながら、よく市町村住民の方と意見を交換しながら、取り組みを進めていきたいと思います。

福田(昭)委員 私は、大熊町の、千七百名もの署名を集めて、我々の土地を政府がまともな値段で買い上げて中間貯蔵施設をつくってくれという要望書を出した代表の人と話をしておりますが、また、双葉郡の現職の町会議員とも話をしておりますが、我々ももう帰れないことはわかっているとはっきり言っていますよ。ですから早く政府が決断をしてほしい、こう言っています。

 ですから、五年たってから、やはり帰れませんでしたと言われたときに、その地域の人たちの第二の住みかや人生設計はどうなりますか。先ほども申し上げましたが、朝日新聞の世論調査では、本来なら在籍すべき子供の数、小中学校、二割弱しか戻ってきていないんですよ。読売新聞によれば、みんな、放射線が怖いから帰らない、八割の人がそう言っているんですよ。そういう現状を根本大臣は地元の復興大臣としてどう捉えているんですか。

根本国務大臣 帰還困難区域、放射線量が高い地域の復興、これについては、先生御指摘のように、困難な問題がさまざまにあるということは事実だと私も思います。

 一方で、住民意向調査によると、戻らないと決めている方が一定の割合でいる一方で、戻りたいと考えている方、また判断できないという方を合わせると、いずれの自治体においても半数以上いらっしゃる。そして、被災自治体も帰還に向けた復興プランを進めておられる。あるいは、モデル除染事業の成果なども含めて線量低減の状況を見きわめる必要があると思っておりますので、我々はそういう考え方で取り組んでいきたいと思っております。

福田(昭)委員 そういう考えでいる限りは、この問題は前に進みませんよ。これは、政府が決断をすれば、まだ決められない人たちもしっかり決断をすると思います。したがって、この帰還困難区域は、やはりここは立入禁止区域と指定をして、土地などを政府が買い上げて、その土地を有効に活用していく、そのことが福島の再生を早める方策だ、私はそのように考えております。

 したがって、そういった意味では、今まで、我が政権時代からそうでありましたけれども、除染をして帰れるという考え方、それから、放射性指定廃棄物は五県にそれぞれ最終処分場をつくるという基本方針、これをやはりしっかり見直して、申しわけないけれども、皆さんの地域は二、三十年帰れませんよ、したがって皆さんの考えを率直にお聞きしたいと、住民の皆さんと膝を交えて率直に意見交換をする中で解決策を見出していくというのが私は政府がとるべき対応だと思っております。

 先日も申し上げましたけれども、足尾鉱毒事件のときは、栃木県の谷中村という村は廃村になったんです。そして、一部の人が北海道へ移住をいたしました。私は、今回の原発事故でもそういうことが十分考えられるんじゃないかと思っています。

 ですから、地域の人たちの健康やこれからの生活再建、特に子供たちの健康を考えたら、それこそ若い親御さんは絶対帰ってきませんよね。そういったことを踏まえて、考え方を抜本的に変えるということを提案したいと思いますが、根本大臣、いかがですか。

根本国務大臣 やはりその点については、住民の皆様、そして地元自治体の皆様と十分に話し合いながら、私は、少なくとも、希望を持って我々は復興を進めていかなければならないと思っております。

福田(昭)委員 時間が来たから終わりますけれども、それぞれ、町ごとに再生計画をつくりました。しかし、再生計画がそのとおりできないじゃないですか、三つの区域に区分されちゃって、帰還困難区域。双葉町なんか、帰還困難区域が町の九六%ですよ、避難指示解除準備区域はたった四%、これでどうやって再生計画を進めるんですか、全く。

 したがって、そうした絵に描いた餅のような計画をいつまでも進めようとしていると、福島の再生はこれ以上なかなか進まない、そして、福島の皆さんが一番困る話になる、ここをしっかり考えて取り組んでいくべきだということを提案して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 私は、復興を迅速に進めるためには、大きく二つのことが必要だと思っています。一つは、復興の障害となっている制度や財政面の制約を取り除いて、復興に必要な人、物、金が円滑に流れるようにすること。もう一つは、復興に取り組む人たちが元気が出るようなプロジェクトをやっていくことだと思っています。

 後者の方からまずお話をしたいんですが、先ほど瀬戸委員も取り上げておりました大槌町のトンネル道路、この話をちょっと私も取り上げたいと思います。

 資料一をごらんになってください。先ほどの瀬戸委員の資料は、先日、私も視察に伺ったときに大槌町から出された航空写真のものでしたけれども、それ以前に私はこの資料をもらっていました。この絵を見ていただくと、実は、先ほどの航空写真には出ていなかったんですが、三陸縦貫道というのが別途これからできることになります。

 私、ちょっと私の素人考えだったんですけれども、この三陸縦貫道ができて、そして、これもちょうど大槌川流域、小鎚川流域を結ぶような形でありますから、今、インターチェンジは大槌川の方にしかないんですけれども、小鎚川の方にもインターをつくれば同じような効果が得られるんじゃないかと思って地元に聞いたところ、いやいや、それは違うんですと言われました。なぜかというと、地元が欲しいのは、主要な幹線道路ではなくて、集落を結ぶ生活道路が欲しいんですということでありました。

 この生活道路の役割を果たすのが、先ほど瀬戸委員も取り上げていたこのトンネルの道路です。私の図でいいますと、真ん中よりやや左上の、黄色で囲んである両矢印の部分ですけれども、これができることによって大槌川流域と小鎚川流域の集落が結ばれて、復興にも資するということだと思います。

 先ほど瀬戸委員への御答弁の中で、私が聞いていてちょっとこれは官僚的な大臣の答弁だなと思ったのは、この道路の対応について、復興まちづくりの進捗状況と当該道路の関連性を勘案して検討していくというお話でしたが、復興まちづくりの進捗状況に合わせて道路をつくるかどうか考えるということだと、私は、これでは手おくれだと思っています。

 まず、この道路をつくるんだということを政治の意思で表明した上で、それがなされることによって復興は進んでくる。復興まちづくりの進捗を待っていては、この道路ができるかどうかわからないということで、なかなかこの地域に人が集まってくるということは、そうなりにくいと思うんです。

 その点について、もう一度大臣から、この道路の重要性に鑑みて私は前向きな御答弁を期待したいと思いますが、どうぞよろしくお願いします。

根本国務大臣 被災自治体からは数多くの道路整備に関する御要望を承っております。

 復興交付金、あるいは復興枠の社会資本整備総合交付金というものがありますが、復興予算で整備する場合には、著しい被害を受けた地域の復興まちづくりに密接な関連のあることが明確な事業である必要がある、これは基本としてそう押さえております。

 個別の路線については、その意味では、復興まちづくりとの整合性と、それから事業規模、確実性、これを精査した上で支援の対象としておりますので、大槌町のこの道路についても、その辺の関係をよく見きわめた上で対応を検討していきたいと思っております。

階委員 町の方ももうちょっと明確にビジョンをつくっていただければ、より検討が前に進むのではないかと思っていますので、私もその点についてはフォローしていきたいと思います。

 次の質問ですけれども、復興の障害となっているものの大きなことに、復興に必要な用地をなかなか取得するのが大変だということがあります。

 先日、大槌町と釜石に行って伺ってきたところによりますと、例えば大槌町の高台移転の用地の取得状況ということで、移転元の土地、全体の筆数が二千七百あるそうなんですが、そのうち買収済みが一六%しかない。所有者は全体で二千名います。その所有者や所有者の所在がわかっていないものが二四%あります。また、相続が未了なのが二二%あるということです。これが移転元の数字。

 それから、高台移転で、移転先の数字です。これは、全体の筆数が三百八十で、まだ買収済みのものがほとんどない。全体の所有者が百八十名いて、所有者やその所在が不明であるものが三八%、相続未了が一六%ということで、やはり、所有者やその所在不明な土地をどうするか、それから相続未了な土地をどうするかということが大きな問題になっているということです。

 まず、所有者が不明、あるいは所有者はわかっているけれどもその所在が不明、こういったことの調査を、民間の補償コンサルタントを使って、今、国の方でも進めるようにしているということなんですが、私、ちょっと不勉強で恐縮なんですが、補償コンサルタントなるものの、補償コンサルタントになるための必要な資格とか、あるいはそれを満たす者の数、さらにはこれまでの補償コンサルタントによる調査活動の実績などについて、これは役人の方で結構なんですが、御答弁をお願いできますか。

塚本政府参考人 今お話がございました補償コンサルタント、国土交通省におきまして、公共事業に必要な土地の取得それから建物の移転に伴う損失の補償など用地補償業務の受託を行う業者を、告示に基づき登録をいたしております。

 土地調査など八つの部門ごとに、七年以上の実務経験を有する者などを専任の者として置くことを登録要件といたしておりまして、現在、登録業者数、二十四年度末で二千七百三十八社でございます。

 復興事業に関しましても、迅速な用地取得のためには、補償コンサルタントへの業務発注が効果的であるというふうに考えております。被災市町村を訪問して外部発注のアドバイスなどを行うとともに、補償コンサルタントに対しましても、被災自治体の用地取得の円滑化、迅速化に向けた取り組みに協力するよう要請をしているところでございます。

 昨年末に被災市町村にアンケートをしたところによりますと、約半数の自治体におきまして、補償コンサルタントなどへの外注を行っているということでございます。

階委員 その外注の件数とか、全体の中で外注が占める割合というのはおわかりにならないですか。

塚本政府参考人 件数自体は把握をいたしておりません。

階委員 今、社数ベースで二千七百何がしというお話でしたけれども、私が聞いたところだと、補償コンサルタントのうち権利者調査をする人数でいうと四千人ぐらいいるということを、きのう、別途お聞きしています。これだけの方がいるわけだからもっと活用すべきだと思っていますが、今、お話の中では、半分ぐらいの自治体でしか活用されていないということと、件数も把握されていないということで、私は、補償コンサルタントを活用するほか、国として、権利調査を迅速に行うためにいろいろな手だてを講じるべきだと思います。

 釜石市に伺ったときにお聞きした話だと、市が行方不明者がいると思われる自治体に直接問い合わせても、なかなかそちらも業務が繁忙で、調査に時間がかかるということもお聞きしました。また、そもそも釜石市の市役所の人も相当忙しいわけで、こういう権利調査に時間をとられている暇は余りないと思います。

 国が積極的に外注を促したり、その他、権利調査を迅速に進める手だてというのが必要だと思っていますが、この点、いかがでしょうか。大臣、お願いします。

根本国務大臣 被災自治体の用地取得の支援、これについては、国と県による実務支援チームが直接自治体を訪問して、その支援に取り組んでおります。

 私も、委員御指摘のように、補償コンサルタントの活用が非常に重要だと思います。用地取得のための権利者調整、これは、補償コンサルタントなど外部の専門家への外注を促進しようと。促進するために、市町村用地交渉業務や権利調査の外注ノウハウを紹介する、今、その支援を進めております。

 現在、岩手県においては、国から県に仕様書や積算基準などの外注ノウハウを提供して、既に外注準備を完了させたところであります。その他、幾つかの自治体においても、実務者支援チームが専門家への外注に向けた相談を進めているところでありまして、こういう補償コンサルタントがあって、こういうところに外注するとこういう効果がありますよと、具体的なノウハウを、市町村の皆様に実務者支援チームを通して今相談を進めておりますので、このような取り組みを引き続き強力に進めていきたいと思います。

階委員 それでは、権利調査の方もぜひ積極的に取り組みをお願いします。

 資料二という方をごらんになっていただきたいんですが、これは相続関係が不明な場合のフローチャートということで、衆議院の法制局に協力していただいてつくったものでありますが、調査の結果、相続人が判明して、全員が死亡されているということがわかると、相続人不存在で、右上の相続財産管理人というのが選任されます。

 一方、相続人が判明して、一部はいらっしゃる、それから残りが行方不明だというような場合については、失踪宣告の場合と、失踪宣告しないで不在者財産管理人を選任する場合、これは赤で囲った部分です、というふうに枝分かれしてくるわけです。

 ただ、現実問題は、失踪宣告の効果は死亡したものとみなされるということですから、なかなか赤の他人、すなわち市町村などが利害関係人だといって失踪宣告を申し立てるということは、これは現実には無理な話ですし、恐らく法の解釈としても無理だと思います。

 市町村が利害関係人として申し立てられるのは、不在者財産管理人の選任の方です。不在者財産管理人を選任するということなんですが、先ほども申し上げましたとおり、大変な筆数の土地について、多くの土地のその相続関係が不明で、相続登記が未了だという話がある中で、不在者財産管理人もこれから相当な需要が出てくるだろうと思っています。

 これまでの運用では、不在者財産管理人は弁護士とか司法書士の中から選んでいる。岩手県でも実際そうなんですが、法制度上は、別にそれに限らず、素養のある方であればいいわけで、国が、そういう不在者財産管理人の需要増を見込んで、人材を養成していくということも考えるべきではないかと思いますが、この点について、大臣の所見をお願いします。

根本国務大臣 被災自治体においては、財産管理制度の活用の経験、ノウハウがないので、なり手の確保など、運用について懸念を有しているということは私も承知をしております。

 我々がこれまでやってきたことは、例えば、四月九日に、住宅再建・復興まちづくりの加速化措置第二弾を打ち出しました。これは特に、用地取得をいかにして円滑に進めるかという観点から、財産管理人のなり手の確保についても、法務省から、最高裁事務総局、日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会に対して協力を要請いたしました。

 この結果、事実関係、現状を申し上げますと、岩手県では、盛岡家裁において県弁護士会や県司法書士会に候補者の推薦を要請して、弁護士六十三名、司法書士三十名の候補者を確保しました。宮城県においても、仙台家裁において県弁護士会に同様の申請をし、弁護士百六十七名の候補者を確保しております。

 財産管理人のなり手については、今後、被災地における財産管理人選任等の申し立ての状況、あるいはその見通し、これを丁寧に把握して、まずは専門家である弁護士会、司法書士会の協力を得ることが重要と考えております。

 委員の御提言のような考え方もあるかと思いますが、基本的には、弁護士会、司法書士会の協力を得ることが重要で、必要な管理人のなり手の確保に努めていきたいと思います。

階委員 岩手の実情をお話ししますと、私も一応、岩手弁護士会に登録している弁護士なんですが、弁護士は沿岸にはほとんどいらっしゃらなくて、沿岸の被災地から離れた盛岡など中央部にいらっしゃるということと、当然のことながら、不在者財産管理業務だけではなくて、たくさんの業務を抱えているということで、不在者財産管理業務を手がけることを数多くこなしていくというのはなかなか大変だと思います。

 そういう意味で、単純に数が要るということだけに着目するのではなくて、弁護士とか司法書士の偏在の状況であるとか、あるいは、実際どの程度この業務に携われるのかということもきめ細かく考えていただいて、需要に応じて機動的に人材を確保していく、この取り組みが必要だと思っていますので、よろしくお願いします。

 その上で、不在者財産管理人が首尾よく選任されたとします。ところが、首尾よく選任されるといっても、今回のいろいろな土地の取得の問題の中には、相続登記が未了で何代にもわたって相続が繰り返されたことによって、共同相続人がたくさんいて、その中で複数の方が行方不明である、こういうケースもあるわけです。

 複数の方が行方不明の場合に、民法の原則からすると、双方代理といいまして、複数の不在者間で利益が相反するだろうということで、その場合は、一人の人が二人分の代理人になることはできませんよという考え方があります。これが不在者財産管理人にも反映されているようでございまして、例えば、先般、郡委員のこの委員会での質問に対する法務省の答弁ですと、「不在者相互間で利益が相反することもあるため、原則として、不在者ごとに異なる管理人を選任する運用がされている」ということでした。

 要は、不在者が複数いれば、その不在者ごとに、例えば不在者が十人いれば十人、一つの土地について不在者財産管理人を選ばなくちゃいけないということです。これは、それだけの人を確保するのも大変ですし、確保したとしても、その間での意見調整、利害調整というのは大変なことであります。

 そこで、私ども民主党の方で今考えているのは、先ほどの答弁の中でも、原則としては不在者ごとに異なる管理人だと言っていますけれども、例外もあり得るだろうということを考えます。

 そこで、法務省、きょう来ていただいていますが、行方不明の共同相続人それぞれについて不在者財産管理人を選ぶのではなくて、一人だけ選任するということも可能なのかどうか、もし可能であるとしたら、それはどういうケースなのかということを御説明いただけますか。

萩本政府参考人 不在者財産管理人となり得る者の適格性につきましては、法律上、明文の定めが置かれておりませんので、理論上は、共同相続人の中の複数の不在者について同一の管理人を選任することは可能だろうと思っております。ただ、先日も答弁いたしましたとおり、実際には、原則として、その利益相反を考慮して、不在者ごとに異なる管理人が選任されている実情にあろうかと思います。

 今御質問ありました、では、どのような場合ならば例外として許されるのかという点ですけれども、共同相続の場合は、実際に遺産分割の協議をしてみないと、利益が相反するかどうか、協議の開始時点ではわからないという問題がまずあろうかと思います。

 ただ、協議の結果、例えば寄与分ですとか特別受益ですとか、そういった遺産分割で間々問題となるような論点について相続人間で争いがない、それゆえに具体的な相続分についても争いがないということが決まっており、かつ、遺産分割の方針というんでしょうか、処分の方向性についても相続人間で争いがない、そういったような場合であれば利益が相反する場面がないということになりますので、そのような例外的な場合であれば、複数の不在者について同一の管理人を選任することは理論的には可能だろうと思います。

 ただ、冒頭申し上げましたとおり、それはやってみないとわからないことでして、選任する当初に、そういうことはないだろうから同一の管理人で済ませてしまおうということが裁判所としてできるかというと、なかなか難しいのではないかと考えているところでございます。

階委員 率直な答弁でよかったと思いますが、私は、そこでやはり立法府として手だてを講じなくちゃいけないだろうと思います。

 私どもとしては、不在者財産管理人が専門的な能力を持つ弁護士とか司法書士の方であれば、それぞれの業界の規定で倫理違反については厳しい罰則もあるということなので、こうした方たちが不在者財産管理人の場合に限って、複数選ぶのではなくて一人で足りるというふうにすれば、遺産分割の迅速化と復興用地の取得の迅速化が図られるのではないかと思っています。

 この点について、大臣、どのようにお考えですか。

根本国務大臣 私も、その点については同じような問題意識で検討したことがあります。

 やはり大事なのは、今法務省から答弁がありましたように、利益相反の有無が容易に判断できないようなケースで同一の管理人を裁判所が選任することは困難ではないか、こういう趣旨の答弁がありましたけれども、私は、これを超えるためには幾つかの法制的な課題があって、これは民法の運用、解釈の話ですから、そこのところの論点をきちんと詰めて、果たしてそういう法制度が可能か、ここは理論上しっかりと詰める必要があると思います。

階委員 私どもでも、どういう制度がいいんだろうと、最初はもっとドラスチックなことを考えていました。市町村がそういう土地については包括的な管理権、処分権を持つようなところから考えましたけれども、より現実的にさまざまなことを考えていくと、不在者財産管理人が複数必要となるような場合について例外を設けることで、一〇〇%これで進むとは言いませんけれども、ある程度の障害は取り除けるのではないかと思って、こういう案を今考えているところであります。

 ぜひ議論を前に進めていきたいと思いますので、御指導をお願いしたいと思います。

 それから、その場合に、行方不明者について不在者財産管理人が遺産分割協議なりを行うということなんですが、その行方不明とされていた人が将来あらわれてきた場合に、その人の権利をどう守るかということも私は論点としてあると思っています。

 行方不明者の権利保護ということなんですが、これは法務省にお尋ねしますけれども、現存する共同相続人、今現にいる人が復興に必要な土地を取得する、それで行方不明である共同相続人が将来仮にあらわれた場合は、その時点で、その方の持ち分相当額について現存する共同相続人が金額の支払い義務を負うという遺産分割手法をとればいいのではないかと思いますが、こういう分割手法はとれるかどうか、法務省、お願いします。

萩本政府参考人 今委員から御指摘のありましたような遺産分割の方法は、現実に行われているようでして、帰来時弁済型の遺産分割協議などと呼ばれることもあるようでございます。

 このような内容の遺産分割協議をすることができるかどうかにつきましては、つまるところ、今まさに委員から御指摘がありましたとおり、不在者の権利を害することがないかどうかという問題に帰着するところであります。例えば、不在者が帰ってくる可能性、不在者の推定相続人の有無、相続財産の種類、不在者が取得すべき代償金の額、不在者が帰ってきた場合に代償金の支払い義務を負う共同相続人の資力が確保されている見込みなど、そういったもろもろの諸事情を総合考慮して、不在者の権利を害するおそれがないと認められるような場合であれば、御指摘のような遺産分割も可能ではないかと考えております。

階委員 本来であれば、原則的には不在者財産管理人が、自分が代理している不在者の持ち分をちゃんと預かっておけばいいのでしょうけれども、そうするとその不在者財産管理人の管理業務に報酬が発生するということで、預かっているお金からどんどん差っ引かれるということだと、いずれはなくなってしまう。それは非常に手間もかかりますし、かつ、行方不明者があらわれたときの権利保護という面でもこれは実効性が乏しくなるということなので、今の帰来時弁済型遺産分割というのをこういう場合には広く活用できないかということも考えております。

 そして、その場合に一つ気になるのは、現存する方が、将来の行方不明者の出現に備えて、その方の持ち分の支払い義務を負うわけですけれども、その支払い義務を何十年も負うということになると、これはこれで義務が重過ぎるだろう。よって、その弁済義務の期間を限定するというのも、先ほど、帰来時弁済型遺産分割は既に行われているということでしたが、その遺産分割の中で弁済義務の期間を限定するということも行われているのかどうか、これも聞かせてください。

萩本政府参考人 弁済義務の期間を限定するような内容が同時に盛り込まれているかということについては、盛り込まれた例は承知しておりません。

 そのようなことが可能かどうかと考えてみますと、まさに一定の期間に限定した場合には、一定の期間が経過することによって不在者が本来得られるはずの財産的利益を失ってしまう、こういうことを意味することになろうかと思いますけれども、そうなりますと、その不在者の権利が一方的に害されるということになりますし、仮に不在者が死亡していたとしましても、その相続人の権利がやはり一方的に害されるということになってしまうだろうと思います。

 したがいまして、御指摘のような遺産分割をすることができるかと聞かれますと、やはり一般的には困難ではないかと考えております。

階委員 時間が迫ってきましたので、最高裁への質問はちょっと割愛させていただきます。申しわけございません。

 次に、これは視察とは関係なく、私が地元のある防水施工会社の経営者に聞いたことです。

 被災三県では、入札不調、すなわち公共事業の落札が決まらないケースがふえているということで、先般、報道によりますと、昨年四月からことし一月の間、岩手では一五%、宮城では三八%、福島では二四%という入札不調があったということです。

 その原因としてよく言われるのは、作業員の不足や資材の不足で価格が高騰しているからだというふうに言われているんですが、この経営者さんによると、入札要件を満たすのに必要な技能士資格をなかなか取れないというのが問題になっているということでした。

 その理由として、実は、私どもの民主党政権のときに、技能士検定を行うための補助金を見直そうということで、補助金を減らしたというのがあります。

 資料四をごらんになってください。

 補助金を減らしてけしからぬと言われることがないようにちゃんと説明しなくちゃいけないと思うんですが、上の段は補助金額の数字でございまして、確かに、平成二十五年度にかけて大きく減っております。ただ一方で、この仕分けのときに何を言ったかというと、単に予算を減らすだけではなくて、多くの検定職種を整理統合しなさいとか、なるべく民間でやって、補助金を使わないようにしなさいということも言っています。

 その点、その下の方に技能検定職種等の推移ということが出ておりますけれども、平成二十一年度、仕分けの年度から平成二十五年度にかけて、若干は減りましたけれども、ほとんど減っていなくて、かつ、民間に委託したものは三件ほどあるんですが、これはいずれも、新規に試験を行うものについて民間が試験の業務を行うということで、既存のものについて補助金なしに切りかえたというものはないんです。

 こうしたことで、補助金を減らしたのがダイレクトに試験回数の減少に結びついて、それが、技能士が少なくなって、入札の要件を満たせなくなったということなんです。

 この点について、厚労省の時間がちょっとないので、最後、大臣に質問します。

 今のような現状を踏まえますと、復興に必要な復興事業の入札に参加したくても、入札条件を満たすために必要な技能士が不在で参加できないというゆゆしき状況があるので、被災地では、技能検定を頻繁に行えるように復興予算で補助を行うということも考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 今、私、階委員のお話を聞いていて、なるほどなと思って聞いておりました。補助金を削減した、しかし一方で、職種を再編成して効率化しなさいよ、そういう制度設計をしたんだけれども、実は現実はそう動いていなくて、こういう問題が起こったということですよね。やはり、私は、きちんと制度が動くような対応を常に考えておいて、やる必要があると改めて思います。

 それから、私も問題意識は共通しています。技能士が少ない、だから、もっと早く取ってもらうようにする必要があるのではないかと思います。

 ただ一方で、この削っちゃった予算を復興予算でやれという話になると、やはり、使途の厳格化の観点から、今、被災地域の復旧復興に直接資する施策のみを復興特別会計に計上することを基本としておりますので、これを復興予算でやることが可能かどうか、これは使途の厳格化の観点も踏まえながら検討する必要があると考えております。

 それから、技能試験の頻度の話もありましたが、制度の所管省庁である厚生労働省においてしっかりとこれも対応してもらいたいと思います。

階委員 これで終わりますが、私、全国でこの復興予算を使えと言っているわけではなくて、被災地で技能士が特に必要なところに限ってという趣旨で申し上げました。

 本当にきょうはありがとうございました。

後藤田委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 これまで、この委員会のほかでもいろいろ議論をしてまいりましたけれども、いわゆる線量について、今、原子力災害対策本部の方で防護基準についての検討を行っているところでありますけれども、冒頭、改めて、この線量基準に応じた防護措置についての詳細をお聞きいたします。

森本政府参考人 御指摘の点は、三月七日の復興推進会議、原子力災害対策本部合同会議で、原子力災害対策本部に、線量水準に応じて講じるきめ細かな防護措置の具体化ということが決定されたというものでございます。

 それを受けまして、現在、原子力災害対策本部に属する関係省庁で検討を進めてございます。具体的には、防護措置というのは、例えば、どのような健康面での対策あるいは配慮が必要であるか、あるいは汚染の状況のできるだけ正確な把握、例えばでございますけれども、そういったものが含まれると考えてございます。

 原子力規制委員会としては、その中で、科学的、技術的な見地からの役割を十分果たすということになってございますので、関係省庁と連携して、しっかりやっていきたいと考えてございます。

小熊委員 この防護の基準、これと連動してくるものが幾つかあると思います。いわゆる子ども・被災者生活支援法、これはまだ一定の基準の地域、その対象地域が示されていないわけでありますけれども、過日の原子力特委の方でも規制委員長にお聞きをいたしましたところ、あくまでも、除染に関しては、二十ミリ以下は、生活を継続しながら年間一ミリ以下を目指していく、そうした答弁もいただいたところであります。

 今ほどありましたとおり、復興推進会議、原子力災害対策本部合同会合、三月七日のところで、これは経産大臣の発言なんですけれども、この基準によって、客観的な線量水準、基準を出した結果、除染もそれによって随分量などが変わってくるという発言があるんですけれども、田中委員長は、あくまでも除染は一ミリを目指しますと答弁いただいているんですね。

 三月七日の経産大臣の発言はそれとはちょっと違うような発言になっていますけれども、これは、あくまでも田中委員長の一ミリを目指すというところの方が正しくて、防護基準が示された結果、除染の量が変わるというのは、間違った認識ということの確認でよろしいですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今委員の御指摘のとおりの御理解でよろしいかというふうに考えているところでございます。

小熊委員 これは復興大臣のところでやっているわけですけれども、線量基準の見直しというふうに、今回、その防護基準の検討が受け取られているところが世間一般でもあるわけであります。

 これはしっかりと、除染については一ミリを目指すということは何ら変わりはないということは、過日のほかの委員会でしたけれども、田中委員長がしっかりと明言をされておりますので、改めて復興大臣に、ここはそのとおりだという答弁をいただきつつ、そうであるならば、今回の検討の結果を踏まえていわゆる支援法の一定基準を決めていく、その対象地域を決めていくということになっているんですけれども、これはほぼイコールということでこの防護措置の数字がそのまま支援法の対象地域になることではないという理解でもよろしいですか。

 この二点についてお願いします。

根本国務大臣 除染の基準については、長期的な目標として一ミリシーベルトというのを、全体としてそう決めているわけですね。一方で、線量二十ミリシーベルト以下のところは帰還できますよと。ただ、その前提として、除染もやりながら、あるいはインフラ復旧もやりながら帰還していただきましょう、こういう考え方に立っている。

 それから、防護措置との関係では、どの程度の線量ならどういう防護措置が必要ですか、その防護措置には除染も含まれるし、線量をきちんとモニタリングするということも含まれるし、あるいはガラスバッジで実効放射線量をきちんと把握する、いろいろな防護措置があると思います。

 その意味で、どの程度の線量ならどういう防護措置が必要ですかということを今規制委員会で検討しているということですから、我々は、支援地域の一定の基準の検討に当たっては、これは放射性物質の影響という専門的な内容を含むので、ここは専門的、科学的、技術的観点からの検討が必要であると思っておりまして、防護措置を含める一定の基準についても、これは参考として、専門的、科学的、技術的観点から我々もこの対応を考えていきたいと思います。

小熊委員 そうであるならば、三月七日の経産大臣の認識というのはあくまでも誤りであります。防護基準を示した結果、除染で出てくる指定廃棄物の量が変わるという認識は間違いです、あくまでも一ミリを目指して除染をしていくわけですから。減容化の結果、量が変わるという意見ならいいですけれども、基準が変わることによって量が変わるというのは誤解を生む認識でありますから、ぜひ大臣の方から、経産大臣には認識をしっかりとしていただくようお伝えいただきたいというふうに思います。

 この支援法の対象地域、科学的知見をもってしっかりと判断をしていくということであります。支援法ができて一年以上経過して基本方針も示されないということは、私も、立法にかかわった人間としてはじくじたる思いであります。年内をめどにこれが検討、示されて、その結果、基本方針を策定して指定対象地域も決まってくるというふうに思いますけれども、これは予算措置を伴うものでありますから、年内といっても、予算の編成作業の前には決まっていないとこの法律が動いていかないというふうに思います。

 昨日も規制委員会とちょっとやりとりをさせていただきましたけれども、この予算措置、やはり意識をしていますから、年内といえども早目にやっていくということでありますので、予算措置の前にはしっかり決まっていくということの認識でいいですか。予算編成の前には決めないと、これは政策に反映されませんから。

根本国務大臣 我々、この一定の基準については、国会の立法過程でもいろいろな議論がありました。そして、地域を分断するとか、あるいはどの程度の線量がいいのかとか、いろいろな議論があるということは私も承知をしております。

 だから、この一定の基準については、放射性物質の影響という専門的な内容を含みますから、ここはやはりきちんと、この部分については専門的、科学的、技術的観点からの検討が必要だということで、今、一方で検討しているということです。

 それから、もう一つ。基本方針の中身は、政策支援地域、これは二十ミリシーベルト以下であって一定の基準以上ということで、政策支援地域。そして、具体的な施策も、基本的な内容を基本方針に盛り込む、こういう形ですよね。

 私は、一定の基準がなかなか決められないので施策がおくれるということがあってはいけないと。ですから、私は大臣に就任してから、事務方も督促して、とにかく具体的な施策は前に進めろ、進めようということで、三月に政策パッケージをつくりました。例えば、自主避難者のための高速道路無料化をしてほしい、そういう要請がありましたよね。ですから、ゴールデンウイークに間に合うように、高速道路の自主避難者の方の無料化措置も講じました。

 ですから、政策がゼロかといえば、実は、今の段階で盛り込むべき施策はつくって、しかも、それについてはそれぞれの予算措置も講じられておりますので、施策はどんどん前に進めるという構えでやってきたということであります。

 いずれにしても、一定の基準については、早期に、できるだけ早く結論を出して、基本方針の策定に取り組んでまいりたいと思います。

小熊委員 その策定は予算編成に間に合いますか。年内をめどにこの基準の検討をするということではあるんですけれども、今大臣が言ったように、今、支援はゼロではないんですけれども、残念ながら、一方で、やはり足りていない、まだまだ本筋が通っていない、こうした御意見もあるわけですから、この基準、指定地域が示されるのは予算編成に間に合いますか、どうですか。

根本国務大臣 例えば、今取り組んでいる施策というのは、施策ごとに対象地域があるんですね。それが重なって、結果的に政策支援地域に政策が講じられていると私は思っておりますが、要は、大事なのは、拡充が必要なもの、それについては当然我々取り組んでいきますので、そこは同時並行的に進められるべきものだと考えております。必要な施策の拡充は当然取り組んでいきたいと思います。

小熊委員 であるならば、この支援法が、基本方針が予算編成に間に合わない、指定対象地域もそこまでの検討がなされないということであっても、春に出した支援パッケージを今言われたとおり拡充したり、新たなプラスアルファをする支援政策が来年度の予算には反映できるよう今努力しているということの確認でよろしいですか。(根本国務大臣「はい」と呼ぶ)

 まあ、間に合わなければそうやっていくしかないわけでありますけれども、この支援法がしっかりと動いていくことを待っている人たちからすれば、やはり本体が動かなければいけないということでありますから、そこは最大限の努力をしていただいて、もちろん、最悪の状態で間に合わなければ、今大臣の言われたとおり、政策でとにかく個別にしっかりやっていくということも必要ですけれども、それで逃れることなく。

 きょうも、先ほどの質疑でもありましたけれども、一部報道で、担当官のツイッターの問題もありました。こうしたことが出てしまえば、地域住民にとっては不信、やはりそうなのか、この支援法が動いていかないのはそういうことなのかということが広まってしまいましたから、一年間もここで進んでいないことも、やはりそういうことだったのかということになってしまいますから、先ほどの答弁の中でも、しっかり事実を把握するということですけれども、これはしっかりと復興庁全体で、こうしたイメージを払拭していくためには、やはり行動で示していかなければならないわけですね。

 そういう意味では、早急な基本方針の策定、そして指定対象地域を、年内でといっても早い段階でやっていただき、来年度の本予算にしっかりと反映できるよう最大限の努力をしていただかなければ、けさのこの報道が、一部の職員の行動であったとしても、これは復興庁全体がそうなんだろうというふうにうがった見方をされても仕方がないというのが現実だと私は思いますので、ぜひそこは大臣、しっかりとリーダーシップを発揮して、前に進めていっていただきたいというふうに思います。

 一方で、この基準を決めた、指定対象地域が決まったときに、住民説明というのが非常に重要だというふうに思っています。一ミリという数字があって、除染も一ミリで進めている以上、もし仮にこの指定対象地域が一ミリじゃない数字が出てきたときには、やはり一ミリのところも指定対象地域にしてくれという意見が出てくると思うんですね、科学的知見によってその基準を出したとしても。

 そういう意味では、支援法の明確な、指定対象地域を決めるときの地域住民説明、リスクコミュニケーションといったものに対しては、どのように対応していきますか。しっかりとやっていかなきゃいけないと思うんです。一ミリという数字がもう植えつけられていますから。この検討の結果によっては、指定対象地域が一ミリじゃなくなる可能性もあるわけですよね、一ミリにしたら、これは大幅な、大規模な地域になってしまいますから。それはそれで、もしそう決めたらそうやってほしいんですけれども。

 ここのおそれに対して、そうした推測されることに対して、大臣どうされますか。

根本国務大臣 まず、一ミリかどうか。除染については、原状復旧という観点から一ミリシーベルト、それは長期的目標というのが一ミリシーベルトですね。

 それから、どの程度の線量が健康に影響があるのか。これはやはり専門的、科学的、国際的な知見も踏まえないといけない。我々、軽々に、どの程度の放射線量が健康に与える影響があるのかということですから、そこは私は、政府としては十分に、もろもろの判断を加えていかなければならないと思います。

 それから、政策支援地域については、一定の基準は一定の基準で勘案材料ですけれども、立法過程でもありましたよね、一定の基準も含めて総合的な判断をしていくべきだ、さまざまありましたので、そこはよくよく我々考えて対応していきたいと思います。

小熊委員 こうやってしっかり今冷静に取り組んでいるところでありますから、けさの新聞報道のことが事実であれば、これはまさに被災者の感情を逆なですることでもありますし、今、大臣初め多くの職員、そして関係者が努力している行為に泥を塗ったことになりますので、事実として確認されたのであれば、私も立法にかかわった議員として、これは厳重に処分をしていただかなければならないというふうに思いますけれども、大臣のお考えを改めてお聞きいたします。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

根本国務大臣 事実を確認して、適切に対応したいと思います。

小熊委員 対象の職員とは、この支援法の議員連盟の中でも何度かお呼びをして、ちょうちょうはっしのやりとりをしていたときに、そういうことを言う人だろうなということも私も何となく感じておりまして、やはりそうだったのかと。そうしたことを先送りすることが問題の解決だなんて言わせることは、これは絶対あってはならないので、ぜひ事実確認ができたら厳正に処分をお願いいたします。

 次に移ります。

 東電のこの原発事故、過日も東電の方から廃炉にかかわる計画を前倒ししていくということが出たわけでありますけれども、前倒しをするといっても、何十年とかかる厳しい作業工程の中で、最終的に収束を迎えなければ、やはりその周辺地域の人たちというのは、これは先ほど福田委員からもありました、帰る帰らない、帰す帰さないといういろいろな議論がありますけれども、空間線量、また、その地域のそうした除染が進む、インフラ整備が進むといっても、最終的に収束に至っていない原発がある以上、やはりそこに帰るという意思決定はなかなかしにくいというふうに思います。

 また、今、冷温安定しているということではありますけれども、これは普通の原発施設とは違う、事故の起きた原発施設でありますから、何かあったときに、普通の原発事故とは違うまた深刻な状況も想定をされるわけでありますから、最終的にこの原発事故が収束するまでは、やはり一定の距離のところの地域というのは帰すということがあってはならないと思うんです、何かあったときに避難してもらわなきゃいけない深刻な事態が起きるということを想定するのであれば。

 この収束をしていない原発施設の周辺地域に対する安全確保といったものは、どういうふうに検討していますか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、福島第一原子力発電所の状況でございますが、委員御指摘のとおり、現在も事故の状態が続いているということでございますので、これの安定化をしっかり図っていく。これは、私ども規制委員会として、しっかり法律に基づいて対応していくというのがまず第一でございます。

 それから、周辺地域につきましては、原子力災害対策指針の中で、福島第一の周辺についてどう扱っていくかということについては、これは大きな課題として今挙げられておるところでございます。これは、福島第一の状況を踏まえながら、防災のあり方はどうあるべきかということを今検討しているところでございますので、それを踏まえた適切な対応をしていきたいというふうに考えておるところでございます。

小熊委員 今、先ほども議論でありましたけれども、この地域の町村によっては復興計画も立てているところでありますから、今検討と言いましたけれども、これはいつまでされるんですか。

山本政府参考人 お答えいたします。

 明確な時期は申しにくいところがございますけれども、福島第一原子力発電所の今の状況を踏まえて、どういったリスクで、そういう防災面での対応が必要かといった技術的な面の今検討を行っているところでございます。できるだけ早期に行っていくべきだというふうに考えているところでございます。

小熊委員 これは、今、損傷した炉心がどうなっているかわからないという状況でもありますから、科学的にしっかり客観的に判断するとはいえ、やはり、これは感情的な問題ですけれども、地域住民からすれば、完全廃炉になるまでそばに行けないというのが住民感情ですよ。科学的知見もありますけれども、そうした地域住民の心理的なものも踏まえて、ある一定、距離になるのか、どういう形になるのかわかりませんけれども、やはり原発施設の周辺には帰れないんだ、ここは危険な地帯なんだということは早目に言わないと、町の復興計画にも大きく影響してくるところであります。

 大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、今、帰宅準備地域とかいろいろ線引きがありますけれども、もちろん、今の答弁であったとおり、収束していない原発施設の周辺は、空間線量とかそうしたもの以外にも、しっかり安全を確保する。何かあったときのために、収束していない原発の周辺地域は、そうしたことも配慮に入れて、線引きの見直しというのは今考慮に入れているという認識でよろしいですか、大臣。

根本国務大臣 まず、区域を再編しました。区域再編については、当然、一定の考え方で、空間放射線量をベースに、その後、除染を進める、あるいはインフラ復旧を進めるということで、例えば帰還準備区域という区域も設定をしております。

 まず、今お話がありましたように、何よりも原発事故の収束に向けた取り組みを安全確実に進めて、周辺地域を含めた安全確保に万全を期す、これが私も大前提だと思います。今お話がありましたが、我々も、帰還を望む方々が安全性に不安を感じることがないように、関係省庁と、このような認識に立って着実な対策を講じてもらいたいし、講じていきたいと思います。

小熊委員 そうであるならば、完全収束に至っていない、もう本当に近いような地域に関しては、やはり最終的な収束までは帰れない地域も出てくるということが想定されるという確認でよろしいですか。

根本国務大臣 とにかく、今答弁をいたしましたが、きちんとした、まず原発事故の収束に向けた安全確実な取り組み、そして周辺地域を含めた安全確保に万全を期す、私はこれが基本だと思います。

小熊委員 安全確保は当たり前なんですけれども、その場合にしっかりと、住民の意識もありますけれども、やはり今の作業の中で、またさらに大きな地震が来る、津波が来るということも、ないだろうとは思いますけれども、それはわからないわけですよね。そうしたら、最悪の事態を考えて、地域住民にまたこのような厄災が降りかからないようにしていくためには、ある一定の地域は収束するまでは帰れないんだということが出てくることは容易に想像されますので、これは早く示しをしないと、当該地域住民も当該町村も、今後の復興、帰還に向けては、人生選択、また町、村の選択ができないということであります。

 安全を確保していきます、ちゃんとやっていきますということを具体的に、早期に、早急に、このエリアは何かあったときには大変になりますから、原発が完全収束するまではやはり帰宅はできませんよということを早目に示すということが重要だというふうに思いますので、ぜひ、そこは大臣、しっかりと、具体的にどうしていくのかというのは早く示していただきたいというふうに思いますが、見解があればお願いします。

根本国務大臣 そこはいろいろな考え方があると思います。

 住民の皆さんが、例えば帰還困難区域、こういう地域を中心に、将来にわたって帰らないとの意向を持っている住民も一定程度いらっしゃる。一方で、帰りたいと考えている住民の方々や、あるいはもう帰れないと考えている住民の方々、あるいは新しい生活を求めている方々もおられる。

 その意味では、このような地域のあり方については、さまざまな思いを抱く住民の方々がおられる、これをしっかりと念頭に置いて、地元の方々と一緒になって丁寧に検討を進めていきたいと思います。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

小熊委員 表向きはいい答弁なんですけれども、残念ながら住民の総意はもうはかれないというのは大臣もわかっているとおりですよ。いろいろな意見がありますから、どれをとっても総意というふうにはならないですよね。

 帰しますといって、帰りたい人は帰す、その意思を尊重して。帰らないという人は、であれば、規制を外して帰すとなったら、その人はもうそこに帰らないというので土地、家を売らなきゃいけないんですけれども、買う人はいませんよね。では帰るといっても、一〇〇%帰るわけでもない。

 今、帰ってもいいとなっている川内村も、半分ぐらいしか人が戻ってきていない、しかも高齢者ばかり。そうしたことが想定をされますし、ほかの質疑の中でも言いましたけれども、これは原発事故にかかわらず、災害が起きたところは過疎化が加速しているという状況でもありますから、すかすかの町や村になってしまうということも想定をされるところであります。

 これは補償にもかかわってきますけれども、帰すとなったら、それは補償しないわけですから、戻すわけですから、そこでも住民の意見はどっちに立つかによって大きく変わるんですね。その間の意見、決断なんというのはできないわけでありますけれども、ただ、大事なことは、早目にこの地域をどうするのかということを決めないと人生選択ができないということであります。

 私、個人的にはもとの町や村に戻るということが理想ではありますけれども、これはなかなかそうはならないということであれば、英断を下して、帰す地域、帰さない地域、明確に、それは何年かかかれば帰れるけれども、その時間をかけることによって失われていく人生の時間もありますから、今、早い段階で、帰す帰さないというのは、その地域をしっかり示していかなければいけないというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 きょうのお昼過ぎに、参議院の方ではありますけれども、野党七党共同でいわゆる原子力規制委員会設置法の改正案が提出をされます。これは参議院の方で提出をされて、つるされることなく、残り少ない国会の時間の中でしっかりと審議をして可否を決めていただきたいというふうに考えているところでありますけれども、この設置法の改正について具体的にお伺いをしていきたいというふうに思います。

 原発事故の収束に向けて今の最大の課題は、損傷した原子炉の管理と、廃炉の道筋をしっかりとつけて、完全廃炉に至るそうした作業が円滑に進むよう定めていかなければならない、そうした意味において、この改正法を我々野党七党が提出したところでもあります。

 この間、廃炉に向けて、停電とか汚染水の問題、これがまた情報を出してくるのが東電がおくれる、こうした不信感にある中で、やはり国として廃炉に向けてのしっかりとした具体的な対応をとっていくという意味では、この法案はぜひ成立をしていただきたいというふうに思っているところであります。

 事故の起きた原発施設の廃炉が非常に重要な課題になっているところなんですけれども、現在における原子力規制委員会の設置法では、廃炉というものが明確に規定をされていません。ですから、この設置法において廃炉を明確に規定する、明記する必要があるというふうに思いますけれども、御見解をおただしいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 原子力規制委員会につきましては、先生御指摘のとおり、この設置法に基づいて、原子力の安全に関する規制を一元的に担う機関として設置をされたものでございます。

 御指摘のように、原子力の安全の中には当然廃炉も含まれるものとして、廃炉については重要な規制課題というようなことで、現行法におきましても、原子炉の設置から廃止に至るまでの一貫した規制ができるものであるというふうに考えておりまして、それに基づいたしっかりとした安全規制を行っていくことが重要な任務であるというふうに考えているところでございます。

小熊委員 これは我々の改正案ではしっかり明記をしていますので、今の趣旨をしっかりと明文化したものになっていますから、否定されたものではないということで、しっかりとこれはやっていただきたいというふうに思います。

 また、現在の設置法の中では、審査会は原子炉安全専門審査会と核燃料安全専門審査会のみで、廃炉の安全性に特化した審査会が規定をされていません。今ほど復興大臣も、廃炉に向けての安全性ということは、姿勢を示してはいただいておりますけれども、やはり具体的に原子力規制委員会設置法の中に廃炉安全専門審査会を設置して、そうした廃炉に向けての国の施策としてしっかりと実行していく、そういう姿勢を示す、またそういう仕組みをつくるという意味でも、廃炉にかかわる審査会を新設すべきだというふうに思いますけれども、御見解をお聞きいたします。

山本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、廃炉に関しましては、先生御指摘のように、大変重要な課題でございますので、これについてはしっかり取り組んでいくということが基本であろうというふうに考えております。

 ただ、現行法におきましても、委員御指摘のように、規制委員会には原子炉安全専門審査会というものを設置することが規定されております。これは、原子炉の設置から廃炉に至るまでの一貫した規制を行う観点から、必要に応じて、廃炉の安全性につきましても調査審議ができるものであるというふうに考えてございます。

 いずれにしましても、廃炉に関して、専門的な知見が必要となる場合については、こういう外部識者の意見を聞くような形で進めていきたいというふうに考えております。

小熊委員 やり方はいろいろあるとは思うんですけれども、廃炉というのは非常に重要な案件でもありますので、しかも、なるべく早く完全廃炉、原発事故の収束ということが求められているわけでありますから、この委員会の仕組みとしても、こうした審査会を設置するということの有効性は非常にあると思いますので、設置をしっかりしていかなければならないというふうに思います。

 また、今、原子力規制委員会においては、今回のこの東電の事故の教訓を踏まえて、やはり二度とこういうことがあってはならないというのは当然のことであります。今後、この事故の収束に向けて、最善の措置を積極的に、今やっていないとは言いませんけれども、積極的に講じていく、そうした姿勢を示すためにも、この規制委員会設置法の中に規制委員会としての責務を、しっかりと責任を明確化していくという規定も入れるべきだというふうに思いますけれども、このことについて見解を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 まず、福島第一の原子力の事故につきましては、まず事故を起こした発電所の安定化、あるいは事故の収束、あるいは廃炉に至るまでの安全をしっかり確保するということが大変重要でございます。

 これにつきましては、既に実行法の中で、つまり原子炉等規制法の中で、福島第一原子力発電所を特定原子力施設に指定するなど、その安全確保に関する取り組みについてはしっかり今規制を行っているところでございます。

 それからもう一つの、福島第一原子力発電所の事故の教訓につきましても、これをしっかり生かしていくことが大変重要でございます。

 事故の原因、それから原子力事故により発生した被害の原因を究明するために調査を行う、これが規制委員会の所掌事務の一つとして明記されているところでございますので、福島第一の技術的にはまだ未解明の部分についても、しっかり調査検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

小熊委員 これは大臣にお聞きしたいんですけれども、この設置法の改正の内容は、今申しましたとおり、廃炉をしっかりと明記すること、また、廃炉安全専門審査会を設置すること、原子力規制委員会の責務を明記していくことといったものを盛り込んだ改正案を、このお昼に参議院の方に提出をいたします。これは、本当に国会終盤ではありますけれども、今国会の中でしっかりと審議をして、採決まで、成立することを我々目指しますけれども、大臣、この改正案についての御見解があればお伺いいたします。

根本国務大臣 それはこれから国会の場で議論されるということだと思いますので、その議論を注視していきたいと思います。

小熊委員 これは院で決めることでありますけれども、ぜひ、大臣の方も、これが委員会にかかった際には積極的に質疑に応じていただきたいということをお願いいたします。

 次に移ります。

 この原発事故以来、福島県内における医療というものの再生が非常に困難をきわめているところであります。現在、国においても基金を通して、これは福島県がやっていることではありますけれども、国が基金に予算を投じて、この医療再生に向けてはさまざまな施策が講じられているところでありますけれども、現段階で、二十七年度ぐらいまでしか予算措置の見通しが立っていないんですね。

 二十七年までに、こうした医療の崩壊から再生に向けて、再生がなされるという時間としては足りないというふうな声を現場からもいただいています。医師不足の問題や看護師の不足、また医療機関の不足といったもの、これはやはり、あと数年でもとに戻るという状況ではないわけであります。県の方の見解では、国からの予算措置がなされなければそうした医療再生の支援というものもとまってしまうでしょうというような声も聞こえてきているところで、関係市町村においてはそこが非常に不安な状況にあるわけであります。

 そこで、この医療支援制度、今現在はやっておりますけれども、長期的な体制になっておりませんので、そこでやはり、長期的に医療再生に向けて支援をしていくということを、予算措置も含めて明確に示していかなければならないというふうに私は思いますけれども、御見解をお聞きいたします。

神田政府参考人 先生御指摘の被災地におけます医療提供体制の復興につきましては、町づくりの構想などとあわせまして、復興後の地域の状況を想定しながら、地域の医療提供体制を再構築するという観点から進めることが必要だというふうに考えております。

 厚生労働省としましては、福島、宮城、岩手の三県におきまして、それぞれ市町村や地域の医療関係団体などの意見を踏まえながら、将来の生活を見据えた医療体制の構築に、復興に係ります医療の復興計画というものを策定していただいております。これにつきまして、現在、被災三県の地域医療再生基金に対しまして千四百三十五億円の積み増しを行ってきているところでございます。

 この中におきましても、当面の対策として、今後、住民の帰還に合わせた医療機関の診療の再開の支援ということのほかに、例えば、相馬エリアにおきましては、震災前から不足していた脳卒中に係ります医療提供体制を整備するということから南相馬市立総合病院脳卒中センターを整備するとか、いわきエリアの三次救急を担いますいわき市立総合磐城共立病院の建てかえ整備、さらに、地域の高齢化等に対応する在宅医療の提供体制を整備するための設備整備など、中長期の医療体制についても、この基金を用いまして支援をしていくということにしているところでございます。

 この地域医療再生基金につきましては、全国の一般の都道府県におきましては二十五年度までということでございますけれども、被災三県については二十七年度までということで、期間についても一定の配慮をしているところでございますけれども、今後、計画期間内に終了しない場合などにつきましては、事業の実情などを踏まえながら弾力的に対応してまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 弾力的にということであれば、私は今、問題意識としては、二十七年度までではやはり足りないだろうと。それは再生のまだ緒についたばかりであって、原発事故が収束していませんから、特殊な事情が福島県内はありますし、そういう意味ではやはり長期の取り組みが求められていて、だからそこが不安なんですね、今、二十七年度までで。

 弾力的なということであれば、しっかりと現状を踏まえて、これはさらに延長していく。しっかりと再生がなされるまでは、極端な話、十年、二十年でも支援をしていくという理解でよろしいですか、今の弾力的という言葉は。

神田政府参考人 現在の地域医療再生基金につきましては、これまで補正予算などを活用しまして積み増しをしてきているところでございます。

 ただ一方で、今、社会保障制度改革国民会議の中におきましても、地域におけます医療提供体制の整備について、基金などを設けて整備を進めていくという議論もされておりますので、補正予算を用いた地域医療再生基金の積み増しなのか、あるいは、恒久的な、そういった地域におけます医療提供体制を整備する基金を用いるのか、そういうことも含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 支援体制がしっかり実行されれば、現場としてはこれは重要な話になってきますから、時間で区切るのではなくて、しっかり現状に合わせて、これはもちろん本当は地域で医療が自立していくということが前提ですが、本当は支援がなくたってやっていけるんだということがなきゃいけないんですけれども、なかなか現実はそういう状況ではありませんから、しっかり現状を踏まえて、また現場の声を聞いて。

 また、いろいろな現場からの声もあったときには、二十七年度で終わるということでもありませんよ、ちゃんと現状を踏まえて対応していきますという説明も今のうちからしていかないと、非常に不安な中で今医療再生に取り組んでいる関係者もおられますから、今後の見通し、それは政府が決めて国会で決めていくことではありますけれども、ぜひ関係省庁においては、その可能性とか方向性をしっかりお示しをして、そうした関係者に不安が生じないようにしていただきたいというふうに思います。現場の声を拾うときにも、そうした方向性についてはしっかりと明確に説明していっていただきたいというふうに思いますが、その点についてお願いいたします。

神田政府参考人 現在のところは、先ほど申し上げましたように、平成二十七年度までとしているところでございますけれども、地元の市町村あるいは県の意見も十分伺いまして、地域の事業の実情などを踏まえて対応していきたいというふうに考えております。

小熊委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 次に移ります。

 これもほかの委員会でちょっとやったんですが、政府のことではないのであれですけれども、福島県内の原発施設は、事故の起きたもの以外全て、福島県内の各政党は全て廃炉にすべしというような意思を表明しているところでありまして、地域の支部組織と国の方の見解が違うということで、参議院選挙に向けていろいろ報道でもされています。

 この件について、先日、これは復興大臣ではなくて赤羽副大臣ではありましたけれども、福島県の原発施設に関しては、福島県民の考え、また気持ちというものも配慮をしなければならないという答弁もいただいたところでありまして、福島県はほかの原発施設の再稼働のスキームとはまた別に考えてもいいんじゃないのかと言ったら、それも否定するものではないという答弁もいただいたところであります。

 ただ、現状では、今の法律では、福島県内にある原発施設を全基廃炉にするためには、そのための法律がありませんから、法改正が必要となってきます。これについても、赤羽副大臣は、否定するものではないということをおっしゃっていただきましたし、福島県の原発施設に関しては、地域の実情、また県民の感情といったものも判断の材料にしなければならないといった趣旨の答弁もいただいているところであります。

 そこで、復興大臣にお聞きいたしますけれども、こうした福島県の県民の意見、また今の現状を踏まえて、全基廃炉に向けて法改正をするような、そうした具体的検討をする可能性があるのかどうか、大臣にお聞きいたします。

根本国務大臣 その問題については、基本的に経産省が所管ですから私は具体的な答弁を差し控えたいと思いますが、ただ、県民の皆さんの思いはよくわかりますよ、私も地元におりましたから。

 ですから、そこは、福島県の皆様の心情を考えると、他の原発と同列に考えることは難しいと私も認識をしております。

小熊委員 これは、福島県自体が再生可能エネルギーで県を復興させていくんだという方針をもう打ち立てていますから、そういう意味では復興にかかわる問題でもありますので、もちろん所管は経産省ではありますけれども、やはり復興の責任者は根本大臣でありますから、これはしっかりと復興の中の位置づけとして、福島県の原発の取り扱いについては、逆にリーダーシップを発揮して、経産省と連携しながら、今大臣がおっしゃっていただいたとおり、福島県の県民の気持ちをしっかりと酌み取って対応をしていっていただきたいというふうに思います。

 原発全基廃炉に向けて、復興大臣として、具体的な検討に入るよう経産省に申し入れをしていただきたいというふうに思いますが、大臣はどうですか。

根本国務大臣 私は、福島県のエネルギー政策については、自然エネルギー、そして再生可能エネルギー、思い切ったエネルギー対策が必要だと思います。

 今の小熊委員の御指摘については、この問題については経産大臣が所管ですから、そこの基本的考え方は所管大臣にというのが私は基本であると思っております。

小熊委員 それは経産大臣が所管ではあるんですけれども、やはり復興にかかわることですから、別にそんな縦割りのようなことを言っていなくて、復興に向けて全基廃炉が必要だからということはどんどん言っていいと思うんですよね、具体的作業はそれは経産省にやらせればいいんですけれども。そこをもうちょっと踏み込んでやっていかないから、一部報道であるとおり、地方と国の中央の組織がねじれているというふうに批判されているわけですよ。

 そうしたことを払拭するために、大臣、そこは遠慮しないで言っていったって別に経産大臣は怒らないと思いますよ。地元の福島県民も喜ぶと思いますよ。ぜひそこはしっかり、そんなに逃げないで、縦割りのような答弁をしないでやっていただきたいというふうに思いますし、これを我が党でもしっかり検討して、各党に呼びかけしながら対応していきたいというふうに考えております。

 次に移ります。

 先ほども支援パッケージの話が出ました。大臣からも、高速道路無料化の事案も出していただきました。それを利活用されている方もいらっしゃいます。これはなくていい災害だったんですけれども、この災害によってきずなが深まった、確認されたといった側面もありますけれども、一方で、原発事故というのはきずなを逆に断ち切っていった災害でもあります。そこを何とかつないでいこうというのがこの高速道路の無料化だったというふうに思います。

 ただ、自主避難の方々の中の意見で、遠くに行かれた方は、例えば福島県からずっと西の方に行かれた方は、車で帰るということでもないんですね。新幹線を使ったり飛行機を使ったりということになってきていて、そこの支援がないんです、高速道路の無料化だけで。そうしたことを今後どう対応されていくのか。

 先ほども、支援パッケージの拡充といったことも考えているということでありましたから、ちょっと細かな案件ではありますけれども、これはどういうふうに対応していきますか。しないということでもあるんでしょうけれども、こうしたことをどう捉えているか、大臣、よろしくお願いします。

根本国務大臣 高速道路の無料化については、考え方としては、母子避難者等に対する高速道路無料化措置、さまざまな要望がありました。子供を中心とした健康不安により、離れ離れに暮らしておられる御家族が再会されるために、要望が多いことから実現をいたしました。現時点においては、私も、必要な施策は盛り込んで、さらに必要な施策は拡充をしたいと思っております。

 いずれにしても、放射線量が時間の経過とともに徐々に減少していく中で、どのような地域にどのぐらいの支援が必要か、今後とも、自主避難者の要望把握や支援施策のフォローアップを引き続き行いながら、各施策を担当する関係省庁とも、ともに検討していきたいと思っております。

小熊委員 自主避難者の支援に関しては、私自身もまだ整理はされていないんです。自主避難、それは選択の自由ですから批判するものでもないですけれども、一方で、しっかりと踏みとどまって町を再生させていく人たちもいる中で、残念ながら避難をされているという現状もあって、私は、全ての自主避難者の対象とすべきは、あの原発事故が起きた当時の福島県民、またその子供たちは、健康調査とか、そうした健康に配慮したことは福島県外にいても措置を講じていくべきだとは思いますけれども、必要以上の自主避難者の支援というのは、もう少し冷静に議論をしていかなければならないというふうに思っています。

 今も、高速道路の無料化をしたら、新幹線代を出してくれ、飛行機代を出してくれという声が出てきているわけですよね。考えたら、今大臣が言われたとおり、家族のきずなを保つために移動に関して補助をしたんだけれども、それは車だけなんです。御承知のとおり、北海道から沖縄まで自主避難者は散らばっているわけですよ。北海道からは車で来られませんし、沖縄からも車で行けないわけですよ。西日本からも、車で行けるけれども何時間もかかる。そうしたら、やはり新幹線や飛行機を使う。でも、そこに補助が出ていない。これは、そういう意味では平等になっていない。

 では、平等性を発揮するために全てに支援をするかというと、またそれもどうなんだろうという議論になってくるわけであります。必要な拡充は必要ではありますけれども、やはり自主避難に関しては、支援が必要な部分もありますが、私は今明確に言えるのは、健康調査といったものはしっかり長期にわたって、当時福島県にいた人はやっていくべきだと思いますけれども、それ以外の部分は、ある意味では大丈夫なところだということになっているわけですよね、そこから逃げている方で、それは個人の見解ですから、科学的な何か情報を見て、政府は大丈夫だ、残っている人も大丈夫だと言っていながら、本人はそれは大丈夫じゃないから逃げるという個人の判断でもありますから、それはやはりどこかで線引きをしなければいけません。

 あと、いつまでやるかという問題なんですね。これは子供の安全を考えて逃げているわけです。高校を卒業して大学どこかに行くというところまで、子供はやはりほかのところで育てたいという意識になっているわけでしょう。そうしたら、被災のときに生まれた子供が高校を卒業するまでと考えると、今二年経過していますから、あと十六、七年間、家族が離れ離れということが最長で想定されるわけですね。そうなってくると、そういう長い期間、こうした支援を続けていくのか。そのぐらいの想定をしているのかどうか、改めてお聞きいたします。

根本国務大臣 自主避難者の方たちに対する支援については、放射線量に対する健康上の不安の解消がその大きな目的だと思います。そういう観点からさまざまな施策を講じております。この施策をどう考えるか。やはり真に支援を必要とされる方に適切な支援を行うということだと私は思います。

 今、何年、何歳までやるかという話もありましたが、一方で、我々、福島県については除染も行って、放射線量も下がっている。今、帰還困難なところでも、除染もやりながら放射線量も低減していきますから、その地域の再生に向けて、一日も早く戻れるような、一方でそういう地域政策もやっているわけですので、その辺の、地域の復興状況との兼ね合いの中で考えていくべきことではないかと私は思います。

小熊委員 そうした方向性は私もいいと思いますけれども、自主避難者の中には過敏に反応して逃げている人もいますから、多分、こうなって除染もあってしっかりなっていますよと言っても、その理解はなかなか得られないと思います。

 今大臣の言ったとおり、復興の状況に応じて、自主避難に関しては、過剰な支援策をやっていくということは、逆に家族を離れ離れにさせておく、長期の避難生活、福島の再生が図れないということですから、しっかりとそこは決断するときはして、だらだらと長く長期的にやっていくということは、必ずしもそれは避難者にとっても福島県の再生にとってもいい方向ではないのではないかというふうに考えられますので、ぜひそこは明確な態度で、いつの日かは打ち切っていかないとずっと続くような形になってしまいますから、そこは客観的に判断をしていただく瞬間が出てきてもしようがないというふうに思っています。

 ただ、今の現状でいえば、自主避難者の要求は日増しに大きくなってきているところでありますから、それもしっかりと冷静に判断をして支援策を決めていってほしいと思っています。

 私としては、先ほど申しましたとおり、健康調査とかそういった部分に関しては徹底的にやっていく、それは必要であるというふうに思いますけれども、それ以外の支援策は、やはり余り長く続くとそれに寄りかかってそれが当たり前になってしまいますから、それでは自立する県民ではなくなってきますので、そこはしっかり、福島県民もそんな甘えてやっている県民ではありませんから、自立してやっていける能力も人材も多くいる、そういう県民でありますから、そういう方向に向かって整理をしていただきたいというふうに思っております。

 時間がないんですけれども、最後に、最終処分場に関してはいろいろ努力をしているところでありますけれども、まずは中間貯蔵というのが今の政府の立場ではありますが、やはり、中間貯蔵が最終処分場化してしまうんじゃないか、恒久化してしまうんじゃないかということが一番懸念しているところであります。

 最終処分場、努力しているというのはそれは簡単に言えますから、具体的にいついつまでに決定をするんだという目標年次を、それは現実厳しい問題ですからならないかもしれない、目標年次を設定すべきだと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

奥主政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、中間貯蔵施設につきましては、福島の除染の推進に必要不可欠な施設と考えております。

 現在、除染した後の土壌が各地で大量に仮置きされている状態でありまして、このような状態を一刻も早く解消したいということで、まずは中間貯蔵施設の設置に向けて、地元の御理解を得られるよう全力を尽くしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。

 最終処分場につきましては、これは非常に重要な問題であると承知しております。地元の意見、いろいろお考えもあると思います。そういった幅広い意見を聞きながら、今の段階ではじっくりと考えていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

小熊委員 この件についてはこれからも質疑させていただきますけれども、じっくりということは絶対だめなんですよ。それはだめですよ。それは改めていただきたい。今後のまた違う機会で審議をしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

後藤田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十六分開議

後藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、六月三日、岩手の、特に釜石市、大槌町に伺わせていただきました。七時過ぎに東京駅を出発しまして、帰りは七時半近く。この十二時間半近いうち、現地滞在は二時間少しという状況でございまして、いかに岩手の方たちが遠いところから日ごろ陳情に見えたり、また私どもに説明に来てくださったりしているのかと、改めてそのことを痛感した次第でございます。

 私は、ちょっと質問の順番を変えさせていただきまして、また後ほど大臣にも少し御答弁をお願いしたいと思っておりますが、先ほど来議論になっておりました用地取得の加速化に向けまして、土地収用の簡素化についての質問をまずさせていただきます。

 我が党の石井政調会長が、二月七日の予算委員会で、用地取得が円滑に進むように何らかの特別措置を講じるべきではないかと質問をいたしました。

 そのとき、根本大臣初め関係大臣から、具体的な前向きな御答弁をいただきました。例えば、財産管理人制度についても、法務省、最高裁の協力を得つつ、地元の弁護士会、司法書士会、家庭裁判所と前広に相談を実施している、また、土地収用手続については、審査の簡素化あるいは自治体へのきめ細かなノウハウの提供に取り組む、また、釜石市の防潮堤事業を対象にモデル事業を進める中で、具体的な問題、課題、解決策が出てくるので、これを一般的な制度として適用していく等々の御答弁をいただいたところでございます。

 土地収用の手続につきまして、その後どのような改善がなされたのか、伺いたいと思います。

 あわせまして、鵜住居川、また片岸海岸の防潮堤事業につきまして、現地まで私ども伺わせていただいたときに、担当者の方たちから、課題のある土地以外については所有者も協力的で、説明会から二、三週間で早々に契約ができた、しかし、残された相続未了等の土地は、これから収用裁決を受け、手続に一年程度はかかると思う、その間工事に入れない状況が続く、これをいかに早めていくかが課題であるという説明を受けました。

 今後一年とおっしゃっているわけですが、そこまでかかるのかどうか、それをどのように迅速化するのか、あわせて答弁を求めたいと思います。

 国交省からお願いいたします。

西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地では、防潮堤の建設に収用手続を活用した事例がなかったものですから、ノウハウの不足によりまして手続が長期化するのではないかというような懸念がございました。

 このため、今委員御指摘のとおり、釜石市の防潮堤事業をモデル事業として選定いたしまして、岩手県とか、私ども、あと復興庁、法務省等の関係省庁も現地に行って集まりまして、具体的な課題への対応を図ってまいりました。まず、モデル事業の事業認定の申請書類の作成に当たりまして、被災県からの相談に応じながら、しかも、自治体の職員に並行して実務研修も実施させていただきまして、ニーズに応じたノウハウの提供にきめ細かく取り組んでまいりました。

 この結果、申請書の作成につきましては、県は当初一年から二年かかるのではないかという懸念をされておられましたけれども、モデル事業の選定から短期間で、具体的には相談が始まってから約四カ月程度で、既に申請書類は概成をいたしております。

 また、例えばモデル事業について、土地収用法上の説明会が必要でございますが、これは、他の事業の説明会と兼ねるというようなことを示しまして、予定よりも三カ月程度前倒しで、もう既に開催しております。

 今後、岩手県からは、今月中に事業認定の申請がなされる予定と聞いておりまして、これが行われましたら、私どもの事業認定庁であります東北地方整備局で迅速に、約二カ月程度、通常三カ月かかっておりますけれども、審査を行い、処分を行うということでございます。

 それからもう一点、一般化につきましては、このモデル事業により得られた知見を踏まえまして、今後の収用制度の迅速化に向けてということで、いわゆる被災三県で、事業主体と事業認定庁、収用委員会、三者それぞれに通知を発出いたしまして、認定手続の短縮とか収用裁決手続の円滑化というような措置を講じることといたしております。

 今後とも、いずれにいたしましても、被災地の実情を踏まえるというのが第一でございますので、要望とか実情を的確に酌み取りながら、収用手続の迅速化に最大限努力してまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 土地収用法の手続の方はかなり簡素化していただきながら、時期も短縮をしていくということで、そうしますと、私はもう一度答弁をお願いしたいんですが、一年というふうに現地はおっしゃっていますが、今後、例えば事業認定の申請がなされた場合、その後の手続は大体どのくらいかかるか、数字でお示しいただけますか。

西脇政府参考人 あくまで岩手県から聞いている予定でございますが、今月中に事業認定の申請が出されますといたしますと、六月末でございますから、二カ月程度で認定の処理をしたいというふうに思っておりますので、そうしますと八月の末ということになりますが、それまでに事業認定の手続を終了したいというふうに考えております。

高木(美)委員 それでは、この手続が終了するということは、当然、収用委員会等の審理も全部終わるということでよろしいんでしょうか。

西脇政府参考人 収用法の手続を若干御説明いたしますと、事業認定というのは、その事業の公益性なりを認定いたします。その後は、実は一つ一つの土地につきまして、これは県の方の収用委員会の方で裁決をいたしまして、土地の価格とか面積とかを確定して、所有者がおられない場合はそれを供託するとかいう一つ一つの収用委員会の裁決手続に入りますが、それに入るための大前提といたしまして事業認定というのが必要になりますので、まず、その前段階をうちの方で迅速にやっていただく。

 先ほど申し上げましたけれども、迅速化の通達につきましては、県の収用委員会宛てにも、趣旨等、あと具体的な迅速化のやり方なんかについても通達でお願いをしておりますので、この後は、逆に収用委員会の方をなるべく早くやっていただくというようなことも引き続き我々として努力してまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 重ねて済みません。そうしますと、この収用委員会自体の手続といいますのは、これは大体どのくらいというふうに見ればいいんでしょうか。最短、最長、いろいろあるかと思いますが。

西脇政府参考人 実はこれは、一つ一つの土地について個性がございます。ちょっと正確には、もし、ならば後で訂正いたしますけれども、逆に、権利の安定性から、事業認定がございましたら、法律上、一定の期間内に収用の手続に入らなきゃいけないということで、たしか一年だと思います。それを最大三年まで延長できるということなんですが、逆に言えば、なるべくその中で速やかにやっていただくというのが趣旨でございますので、それは、実は土地の数とか地権者の数とかによって変わってくるわけでございますが、なるべく迅速にということで、今答弁したような範囲内でやっていただきたいというふうに我々としては考えております。

高木(美)委員 やはり、現地で一年とおっしゃっていて、この防潮堤の着工自体が地元の再生の一丁目一番地。この防潮堤ができなければ、その後、住宅をどこにつくるか、再生に向けても動きが始まらない、そこで一年間は工事が始まらない。であれば、一年、まさに復興がその地域においてはもうじっと待つしかない、こういう状況になってしまうわけですので、一年から最大三年までというお話でございましたが、この一年をどこまで短縮することができるのか。恐らく今までのさまざまなノウハウもあるかと思います。

 ただ、先ほどお話ありましたように、岩手では、この土地収用法の手続を使うということ自体が今まで例がなかったという話も聞いておりますので、そこのところをしっかりまた寄り添っていただきながら、モデルケースをどのように完結させていくのか。ぜひとも協議を進めていただきながら、スピーディーな処理をお願いしたいと思います。

 また、一年がどこまで短縮できるのか。これは恐らく、この後の収用委員会の審理も一人で可能にするとか、いろいろなこともお考えのようでございますけれども、この点も含めて速やかな結論をお願いしたいと思います。

 大体、そういうめどが地元で立ちますと、このモデルケースを見合いながらほかの地域も進めているようですので、メッセージになるかと思いますので、またその発信もお願いをしたいと思います。

 それで大臣、午前中の階議員が質問されていた、用地取得を進めるためにということで、確かに、ここで、現地も大変手が足りないという中で頑張っていらっしゃるわけですが、不在者財産管理人の選任についての何らかの措置が必要ではないかという御提案がありました。それに対して大臣は、先ほど、民法の運用解釈を詰めていかなければいけない、理論上詰める必要があるのではないかという御趣旨の御発言をされまして、私も全く同様の考えを持っております。

 六月三日、委員派遣で行かせていただいて以来、このことについて関係各所から私も話を聞かせていただきました。例えば、不在者財産管理人、モデルケースと言われる鵜住居地区、ここの片岸海岸のところで使った例といいますのは、今、わずか二件だけ、そういう状況でもあります。

 また、もう一つは、家裁が相談に応じながら供託とかいろいろな手法を、今までもう既に我が国には蓄積をしながら持ってきている事例等もあります。ただ、そういう事例が、都道府県はもとより、市町村は、なかなかそういうノウハウまで持っていないというのはあるかと思います。

 恐らく、大槌町のように多数の職員の方が被災された、亡くなられたという、本当に痛ましいそういう市町村におかれましては、なおさら、そうした法の処理とか、そこに詳しい方もいらっしゃらないかもしれません。

 私は、もう一歩、大臣がおっしゃる、理論上詰める必要がある運用解釈のところ、そこのところを、今、当然、法務省におきましても、ホームページでもいろいろ出されているわけですけれども、現地の職員の人たちにとって、何ができて何ができないのか、またどこがこうした民法に抵触をしていくのか、地方法務局なり、また家裁なり、そういうところと、私は、もう一回大臣のもとで、これはどのように支援をしていくか御検討いただきながら、できれば、これは出張相談とかという形で、法務局とか家裁が現地の市町村に出かけていって、この人の場合はこうなるとか、ここまで手順が調えばこうなるとか、今モデルケースで展開をしてくださっているようなそういう例につきましても、今ちょうど、皆さん、地域で苦しんでいらっしゃる段階と思いますので、そのような何らかの前に進める措置が必要ではないかと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

根本国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

 確かに財産管理制度というのはあるんですね。私も、財産管理制度があるので、これをどう活用する必要があるか。その意味で、住宅再建・まちづくりタスクフォースに、法務省の局長も入ってもらって、あるいは文化財の部長も入ってもらって、全体の関係局長に入ってもらって、用地取得から施行までの一連の手続をいかに具体的に運用上解決するか、そういうタスクフォースをつくりました。

 その中で、財産管理制度も法務省も考えていただいて、財産管理人も、あらかじめ言ってくれれば用意しますよと、先ほど言ったような財産管理人の候補者を選んでもらっています。それから、家庭裁判所の方でも、相談窓口あるいはQアンドA、そういうものもつくっていただけると言われて、やっておりますので、大事なのは、具体的な制度をどう運用していくかですから、そこのさまざまなノウハウを集積して円滑に進むように。

 それからやはり、経験したことのない制度を利用することになりますから、そこは、ノウハウを含めて支援する仕掛けが必要で、その意味で、支援チームを自治体に応援で派遣して、いろいろ相談にあずかってやってもらおうということをやっていきたいと思います。

 それから、先ほどの財産管理制度で、民法上の話で詰めなければいけないと申し上げたのは、利益相反という話がありますので、仮に法改正するとすると、そこがクリアできるか、そこをちょっと立法論として詰めていかないとという趣旨で先ほど申し上げました。ここは民法の考え方ですから、ここは専門的にしっかりと詰めていかなければならないことではないかということで、先ほど申し上げました。

高木(美)委員 よくわかりました。

 ぜひとも、この支援チームの派遣のところ、特に、私は以前、総合特区法をやりまして、条例の上書き権をどうするかという議論をしましたときに、各市町村に少し話を聞きました。条例をつくるノウハウといいますか、法的な知識のある職員というのは実に少ないということをその現場で実感をいたしました。大きな市がつくったのを横で見ながら条例をつくって、それを市町村で通している、実態はこうなんですよということも改めて知りまして、それだけに、やはりこうした法的な支援チームの派遣というのは不可欠であると思っております。

 また、これが必要なところに必要なときに派遣できますように、ぜひともまた大臣のリーダーシップをお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、心のケアの質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、文科省にお伺いしたいと思います。

 私も釜石市に伺わせていただきまして、これまではずっと福島に通い、そして当初のころは宮城に通わせていただいておりましたが、岩手は申しわけないことに初めてでございました。

 釜石の奇跡、防災教育の重要性を世に知らしめたという事実であるわけでございますけれども、また、最近、一般紙にも掲載されておりましたが、児童生徒の心のケアはこれからが肝心なんだ、奇跡と聞くと全てが円満に終わった印象すらあるけれども、それは全く違うんだという関係者のお話もあり、現地視察をさせていただいた一人として、胸つかれる思いでございました。

 やはり、これから、仮設暮らしだったり、また親御さんに仕事がなかったり、顕著になり始めた被災家庭間の復興格差が生徒の心にどう影響するか、この一般紙の指摘というのはそのとおりかと思っております。

 そこで、岩手は、県教育委員会がスクールカウンセラーを学校に派遣し、また、市の教育委員会も独自にスクールカウンセラーを確保したと聞いております。阪神大震災では、震災後、二年から四年に心のケアを必要とする子供たちが多かったと言われております。

 私は、釜石の奇跡は、そういう意味では防災教育ともう一つ、その後の心のケア、これをセットで広げられるべきではないかと考えております。そのための取り組みも国が後押しして後世の参考にしていくべきではないかと考えますが、文科省の対応を伺います。

久保政府参考人 心のケアの推進につきましては、委員御指摘のとおり、防災教育と並んで極めて大事な課題と考えてございます。

 これまで、スクールカウンセラーの派遣、教職員向け指導参考資料の増刷、配付など、子供の心のケアのための緊急的な取り組みを実施してきたところでございます。

 平成二十四年五月には、東日本大震災による子供の健康状態を把握いたしますために、非常災害時の子どもの心のケアに関する調査を実施いたしました。八月には、その調査結果の一部を活用して、心のケアシンポジウムを仙台市において開催するなど、震災後の子供の心の状態や適切な対応についての周知に努めてきております。

 今後、さらに被災地へのスクールカウンセラーの派遣を引き続き行いますとともに、子供の心のケアに対する適切な対応についての研修会やシンポジウムの開催、それから健康観察やメンタルヘルスの進め方等について解説しました指導参考資料の作成も手がけまして、それの配付を通しまして、学校における子供の心のケアのさらなる充実を図っていきたいと考えているところでございます。

高木(美)委員 ぜひ、このときに、タイミングを逃さず強化していただきたいと思います。それが一生涯PTSDという形で続くことのないように、手当てをお願いしたいと思います。

 また、厚労省にお伺いいたします。

 大槌町でも言われましたが、震災から二年たち、町民に心身の不調が出てくるころだと思う、生活不活発病や高齢化率の上昇も心配される、高齢者一人一人の見守り制度をつくっていかなければならないと考えているという御指摘でございました。こういう段階で心のケアの実態を把握し、強化すべきと考えております。今後の方向性につきましてお伺いします。

岡田政府参考人 被災者の心のケアにつきましては、震災によるPTSDの症状が長期化したり、避難生活の継続でうつ病や不安障害の方が増加したりすることが考えられますことから、必要に応じまして適切に専門的医療につなげる体制が重要だと認識しているところでございます。

 このため、岩手県、宮城県、福島県の各県に活動拠点となります心のケアセンターを設置しまして、心のケアに当たる専門職の人材が、被災者からの相談を受けた上で、必要に応じて専門的医療支援を行っているところでございます。

 被災地の子供の心のケアにつきましては、安心こども基金を活用いたしまして、児童精神科医の配置や巡回相談、保育士などの子育て支援にかかわる方々に対する研修を行うなど、被災自治体の実情に応じた取り組みを支援しているところでございます。

 お年寄りなどにつきましては、時間の経過や地域の実情に応じて必要な取り組みを進めていくことが重要だという観点で、地域支え合い体制づくり事業というものを実施しております。これによりまして、被災地のサポート拠点におきまして安心した日常生活を支えるため、きめ細かな相談支援、生活支援サービス、地域交流などを支援しているところでございます。

 また、被災地におきます保健師などの人材確保につきましては、被災地健康支援事業などにより支援をしているところでございます。

 引き続き、これらの支援を通じまして、被災地における心のケアの体制の充実を図っていきたいと考えているところでございます。

高木(美)委員 最前線の保健師の人材の確保が急務であると思いますので、ぜひその点、しっかり力を入れてお願いしたいと思います。

 申しわけありません、短い時間の質問でございましたので、国交省、中小企業庁、また次の機会によろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。

 震災復興特別委員会で初めての質問の機会をいただきました。質問に当たって、これまでの議事録を読ませていただいたんですが、各委員の皆様、何度も被災地に行かれ、そうした並々ならぬ思い、また、大臣の復興にかける思いを随所に議事録から拝読をさせていただきました。

 私も、皆様ほどではないですが、被災地に何度か参りました。また、この震災の前、私は宮城県でずっと報道記者をやっておりまして、当時から三陸沿岸は防災意識が非常に高い地域ではあったんですが、その中で防災報道にもかかわってきた身として、今、本当にさまざまな思いを持っております。そうした決意を込めて、きょうは質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、大臣にお伺いをしたいんですが、大臣就任から約半年、そして、この特別委員会の約半年間にわたる議論について、総括というか、振り返っていただきたい。さまざまな課題が、多くの課題があると思います。しかし、そんな中でも、中には手応えを感じていらっしゃる部分もあるかと思いますし、そういった手応えの部分、また課題として考えられているところを簡潔にお願いいたします。

根本国務大臣 後藤田委員長を初め、理事、委員各位におかれては、復興策の推進について熱心に御議論いただくとともに、先々週には福島、先週は岩手と宮城、それぞれ御視察いただきました。心から感謝を申し上げます。

 特に、福島特措法、これについては、福島の復興や再生の加速化に向けて、平成二十五年度予算案や税制改正大綱で盛り込まれた措置を実現するため、迅速に議決いただいたことに、地元選出議員としても改めて御礼を申し上げたいと思います。

 委員からお話がありました、現在現場で最も望まれていることは、住宅再建と、福島では帰還の見通しをつけるということだと思います。

 このため、私も、就任以来、復興加速のための施策の総点検、これを実施いたしました。復興庁の司令塔機能の強化と現場主義の徹底、復興予算に関するフレームの見直し、復興の加速策のさまざまな具体化、具体策、これについて措置を講じてまいりました。

 そして、委員会の御議論も踏まえながら、ただいまもいろいろな議論がありました、土地収用手続の簡素化などによる事業の加速、あるいは、原発事故の避難住民を受け入れている市町村に対する財政措置の充実、福島復興局への予算執行権限の移管など、具体的な課題、問題に一つ一つ対応してきているところであります。

 これからも、常に施策の点検を怠らずに、現場主義に立って迅速な対応を進めて、大震災からの復興に全力を挙げて取り組んでいきたいと思います。

井出委員 今、さまざまな、福島については、住宅の再建、また帰還の見通しですとか、そのほかたくさんの課題があることを御答弁いただきました。

 私、個人的に今感じておりますのは、これからさまざまな課題がある中で、目の前の問題を一つ一つ解決していくという視点と、また長期的、大局的に復興を進めていくという二つの見方、視点で復興に取り組んでいかなければいけないのではないかなと感じております。

 その中で、きょう一つの問題として取り上げさせていただきたいのですが、それは、先日、六月三日に視察に私も行かせていただきまして、きょう伊藤信太郎先生の報告にもございました、名取市で農業をやっている今野さんのお話の件であります。

 今野さんは、五月八日にこの委員会に参考人としても来ていただいて、御発言をされています。その中で、被災地域農業復興総合支援事業の運用について改善を求められました。簡単に言ってしまえば、津波で農業機械を失った、それを、市町村がかわりにその機械を買って農家にリースをしていく事業がその中に入っていると。

 ただ、伊藤先生のきょうの御報告の中にもありましたが、名取市においてはそれが団体に限った適用になっている。今野さんのお話ですと、農家が三戸以上集まらないと適用をしていない、そういう実態があるようです。私も名取市の方に確認をいたしました。そして、国の方に、この事業はそういうたてつけになっているのかと聞いたところ、国の方は、個人にも適用をしている、そういう答えがありました。

 私だけでなく、参考人の今野さんのお話を聞いた委員の皆様、また視察に行かれた委員の先生方、伊藤先生の報告にもありましたが、もう少し、支援を本当に求めている、今野さんの言葉をかりれば、本当にやる気を持って一生懸命やっている農家に、全ての人にそういう支援が回るようにしてほしい。この事業をもう少し柔軟にしていくすべはないものかと考えておるんですが、そこの見解を農水省にお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先生から御指摘ありました、被災地域農業復興総合支援事業でございますけれども、この事業は、東日本大震災によりまして被災された地域の農業復興を図るために、農業用施設の整備でありますとか、農業用機械の導入を支援するために実施させていただいているものでございます。

 個々の農業者の方々が被災した施設でありますとか機械を復旧整備することは大きな負担になるということでございますので、被災された市町村が施設ですとか機械を整備して農業者の方々に貸し付けるということで、できるだけ早期に営農が再開できるように、そういうふうになるような仕組みにしているところでございます。

 県や市町村におきましては、農業の再開とそれから復興への展望、あるいは営農者の方々の意欲といったことなど、それぞれの地域の実態に合わせまして、この事業を運用していただいているところでございます。

 委員御指摘のありました名取市におきましては、過大な投資にならないように、共同利用による組織経営体に貸与するというふうな指導がなされているというふうに伺っているところでございます。

 いずれにしましても、今後とも、この事業の推進に当たりましては、復興庁との連携を図りながら、被災地域の実態を最もよく把握されている被災県、市町村の意向や計画を尊重した上で、多くの農業者の方々の早期の営農再開がなされるようにしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

井出委員 今御答弁いただきましたが、こういった制度ですから、どこかで線引きを、ある一定の基準を設ける、その必要性は私も理解はしております。それが名取市においては団体というくくりであったり、農家が三つ以上というくくりなのかなとも思います。

 しかし、今御答弁あった、農家の意欲に合わせてというお話ですが、意欲に関して言えば、今野さんのお仲間、キュウリ農家の方が困っているわけなんです。それは伊藤先生の報告を読んでいただければおわかりだと思いますが、意欲に関しては、私は、十分支援を受けられるものだと感じております。ただ、自治体の運用ですから、そこに国が口を挟めるのかどうかというところもありますし、私は、この問題は、個別の誰かの、特定の農家の利益ではなく、本当に制度としてそこを何とか救済されないものかと思っているんです。

 端的にお伺いしますが、名取市のこの運用の仕方について、国の方で何とか改善を求めるとか、そういったことというのは現実的に可能なんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 名取市における運用は、被災される前の状態が、一戸一戸の農業者の方々の規模が必ずしも大きくない方々が結構な数いらっしゃる、そういう構造であったということが背景としてございまして、復興に当たりまして、機械の効率的な利用といったことを主として進めていかれたいという政策目的をお持ちで、そういったこととの兼ね合いで、機械の稼働率なりを高められるようなことを促すための指導がなされているということだと伺っております。

 いずれにしましても、委員御指摘のように、営農の意欲が大変旺盛で、復興を目指して頑張っておられる方々の意欲が損なわれることがないようにしていくというのが基本であろうと思っておりますので、よく連絡を密にしながらやらせていただきたいと思っております。

井出委員 ありがとうございます。

 ぜひ、連絡を密にという部分のところ、きょうの議論があったということだけでもしっかりとお伝えをいただければと思います。

 この質問をさせていただいたのは、復興していく上で、一つ一つ目先の問題を解決していきたいという思いがあって、参考人にもいらっしゃいましたし、視察にも伺わせていただいたので、目の前のものを何とかしたいということできょうお話をさせていただいたんですが、もう一つ、私が冒頭に述べました、大局的な視点で復興計画、年度の予算を執行していくですとか、そういった長期的な視点に立ったときに、私、この委員会の議事録をずっと拝読していて、やはり福島の問題、そして福島以外の地域の問題、本当にさまざまな課題があると思います。そうしたときに、私は、福島と東北、今、震災復興全体でこの特別委員会があるんですが、それが本当に一つでいいのかなと。

 特に、福島に関して申し上げれば、さきに大臣がお話あったように、帰還の見通しという問題もあります。大臣、過去のこの委員会の答弁、たしか四月の三日だったと思いますが、福島の避難されている方が、帰りたい、帰れない、そういったさまざまな声があって、地域の人々にとって、その判断を決めるためには一定の時間が必要だ、慎重に検討していくべき課題だとおっしゃっております。

 また、この問題に関して、五月八日に参考人でいらっしゃった南相馬市立病院の及川副院長のお話の中で、国会の皆さん、政府の皆さんにお聞きしたい、本当に二十キロ圏内、三十キロ圏内の市町村を復興させるのか、そういった御発言もありました。

 一定の時間が必要だ。ただ、そこに議論ですとか判断材料を深めていくとなれば、やはり、福島は原発の問題があります。その福島とそれ以外の地域で、特別委員会を二つにする。もっと言えば、私は、大臣は本当に一生懸命やっていただいていると思うんですが、それぞれ大臣を立てるですとか、国会、国の体制の見直しを考えなければいけないのではないか、そういう強い思いを持っておるんですが、大臣の御見解を伺いたいと思います。

根本国務大臣 委員御指摘のように、この東日本大震災、地震、津波からの復興。これは、岩手、宮城県は地震、津波からの復興、そして福島の場合は、地震、津波そして原子力災害からの復興と、地域が抱えている問題点、課題、これは当然それぞれ違うんですね。ですから、それぞれの目的に沿って復興を確実にやっていく。

 例えば、地震、津波被災地からの復興については、一番大きなテーマは住宅の再建、町づくり、これが私は最優先課題だと思います。当然、なりわいの再生がついていくわけですが。

 それと、福島の場合は、一方で、原子力災害からの復興については、当分の間帰還できない区域もある。ただ、お話の二十キロ、三十キロ圏については、区域を再編して見直しをしましたから、それぞれの区域の、この地域は早期に帰還できる、あるいはこの地域はしばらく帰還できない、そういう区域再編、見直しも行ったところであります。

 それで、地震、津波の災害と福島を切り分けられるかというと、福島の場合は、浜通りが典型ですが、津波でもやられているし、地震でもやられて、そして原子力災害という問題もあるということですから、実は、共通するものもあるし、それぞれ特有の、福島県特有の問題、事情もあるんですね。

 地震、津波からの復興について得られた教訓、これは実は、福島の方においては、原子力災害からの復興においても生かしていけるだろうと思いますので、先生の御意見は御意見として、私もそういう意見もあるだろうなと思いながら聞いておりましたが、やはりそこは、福島の場合は地震、津波、原子力災害、岩手、宮城は地震、津波が中心と、それぞれの特徴がありますけれども、やはり政策は双方関連してくる分野も施策もありますから、そこはさまざまなノウハウを総動員して、それぞれの地域の早期復興に向けて頑張ってまいりたいと思います。

井出委員 福島と岩手、宮城地域の問題は関連性がある、そういうお話でしたが、課題の数が非常に多いと思うんですね。その一つ一つの議論を深めていく、スピードアップをしていくためには、やはり国会も、国の方もマンパワーが必要だ。現場でマンパワーが必要だというような議論は何度もこの委員会でも出てきていると思いますが、それは国会の方にも当てはまるのではないか。

 最初に申し上げましたが、この委員会で質問に立たれる委員の皆さんは、かなり、被災地に入られたり、本当にそれぞれの思いを持っております。そうした方々がお集まりになるのに、例えば参考人招致で福島、宮城、岩手の方を、十一人を一日で、そのお話を短い時間で伺っていくですとか、また、先ほど高木委員のお話にありました、岩手に視察に行っても現地の滞在は二時間だ。そういった、対応できる、意欲を持ったメンバーが党派を超えてそろっていると思うので、ぜひ、きょう私がお話しさせていただいたことをちょっと頭に置いていただきたいと思うんですが、最後に一言いただけますか。

根本国務大臣 今回の東日本大震災、極めて広範囲な地域での災害であります。その意味で、課題はたくさんあるんですね。課題はたくさんある、それを復興庁が、司令塔機能を強化して、しかも現場主義に立って、束ねて、縦割りを排しながら総合的に大きく動かしていく、これが私は復興庁の務めだと思います。

 それから、国会の委員会をどうするかというのは、それは国会でお決めになることでありますので、私はいろいろな形があるんだろうと思いますが、ただ、いずれにしても、どういう形をとるにしても、この復興については総合的に動かしていかなければなりませんから、そこは復興庁が中心になって各省庁の施策を、縦割りを排しながら大きく動かしていく、そして早期の復興加速につなげていくということだと思いますので、引き続き頑張っていきたいと思います。

井出委員 時間になりましたので、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

後藤田委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 五月二十七日の委員派遣で、いわき明星大学の中にあるサテライト校を視察いたしました。双葉郡内の三つの高校、富岡、双葉、双葉翔陽の生徒さん百八十三名が現在学んでおられます。本委員会での参考人質疑の際に、大熊町の商工会会長の蜂須賀礼子さんが、ぜひサテライトの実態を見てほしいと訴えたことがきっかけでありました。ただ、実際は、時間が非常に少なくて、十分実態をつかめたとは言えません。でも、大事なことである。だからこそ、そういう思いを込めながら、きょうは、サテライト、避難している子供たちの学びの場について質問させていただきたいと思います。

 まず、資料の二枚目に、今紹介した双葉郡内だけではなくて、県内のサテライト校の在籍数を示しました。これは、一番左に書いている学校名が、もとの高校の名前であります。その隣がサテライト、今のいわき明星大学など幾つか書いてあって、何らかの避難区域を抱えている双葉郡、相双地区の計八高校から、現在九カ所、八百八十六人がサテライト校に在籍をしていることになります。ただ、このうち富岡高校は、静岡県三島も含めて四カ所に分散をしています。一年前は千九十五名、そして震災直後は千四百六名でした。でも、震災前は二千三百九十三名の子供たちがこの高校にそれぞれいたということを見れば、多くの生徒たちが避難先でそのまま転入するなどして移っていったということが読み取れるかなと思っております。

 まず、今現在サテライトで学んでいる子供たちの教育費ですとか宿舎、交通費などに対する支援がどのようになっているのか、簡潔にお願いします。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 被災した生徒等が安心して学ぶことができるよう、必要な経済的支援を行うことは重要であると考えております。このため、東日本大震災で被災し、経済的に就学困難となった生徒に対して、平成二十三年度の第一次及び第三次補正予算におきまして、被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金、これは全額国庫負担でございます、これを創設し、高校生に対する奨学金事業等の支援を実施しているところでございます。

 また、サテライト高校等の通学用のスクールバス及び宿舎費等に要する経費につきましては、国費でございますけれども、震災復興特別交付税の算定項目に含まれておりまして、こうした措置も踏まえまして、福島県においてサテライト高校に通う生徒の通学支援や宿泊施設の確保に関する事業を実施しているところでございます。

 以上でございます。

高橋(千)委員 現時点では、国庫負担による特例交付金ですとか震災復興特別交付税という形で措置がされていて、それを、福島県がその実情に合わせて支援をしているという中身だったと思うんですね。

 例えば、食費が一律二万五千円だ。当初は、魚の切り身、おかずがそれだけしかなくて本当に貧弱だったというのが、声を上げていって改善をされたということも聞いています。ただ、例えば土日に親元に帰る際の欠食、当然、いないんですから食事は食べないわけですけれども、その分も含めて一律徴収をされているとか。

 やはり、二重に避難をしている、親元も避難をしているし、自分も宿舎にいる、そういう中での特別な負担というふうなことがあるわけですね。そういうことも含めて、実態把握などをされているのか、伺いたいと思います。

山下政府参考人 先生御指摘の、親元からサテライト校に通うことができない生徒の就学のための経費あるいは食費、こういったことについて、これは、先ほど申し上げましたように、福島県において、例えば通学費補助事業あるいはサテライト校宿泊施設支援事業というものをやっているわけでございますけれども、この運用について、私どもの方で詳細は今、申しわけございません、ちょっと把握できておりません。

高橋(千)委員 きょうは下村文部科学大臣にもおいでいただいていますので、後の質問のときにぜひお答えいただきたいと思いますので、今の、聞いていただきたかったなと思うんです。

 やはり、子供たちが今、四人部屋の寮生活だったり、帰省するのも仮設住宅。ですから、本当にどこに行っても狭くて、遠慮しながらの生活であります。私たちが行った明星大学というのは、三校入っていて、それぞれに確かに職員は配置されているんですけれども、合同の保健室なんですね。ですから、唯一、子供たちが逃げることができる場所であっても、そこがほかの学校の子供たちと一緒である。だから、本当に泣く場所が欲しいんだというのが子供たちの本音だということを養護の先生方がおっしゃっているんですね。そういう実態をやはり踏まえていただいて、特別な環境なんだということにどう応えていくかというのをぜひ後でお答えいただければと思います。

 それで、資料の一枚目に戻っていただいて、今、双葉郡の五校の生徒を受け入れる中高一貫校を新たに設立するんだということが協議をされています。現在のサテライト校は、その間は暫定的に休校とする。要するに、両方とり合うだけの生徒さんがいないという現実があるわけで、双葉郡の教育復興ビジョンの骨子案の中でそれが示されたというのが報道であります。

 私たちが伺ったときは、この設置場所、どこに置くのかということがまだ決まっておりませんで、いわき市という報道があったんですけれども、ただ、双葉郡内に学校がなくなるということは、もう双葉の子供がいなくなるということに直結するわけですよね。そういう自治体の大変複雑な思いを感じることができました。ただ、帰還の時期については、同じ双葉郡内といっても、まるっきり自治体によって違うということがございます。

 そういう中で、今、双葉郡の教育復興協議会がどこまで進み、文部科学省としてはどのようにかかわっているのか、伺いたいと思います。

大木政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県双葉郡の教育復興につきましては、双葉郡八町村が、国、県、大学等の関係機関の協力も得つつ、郡の今後の教育のあり方について中長期的視点から協議を行う福島県双葉郡教育復興に関する協議会において議論を行っているところでございます。

 この協議会でございますが、昨年の十二月からこれまで七回開催をされておりまして、中高一貫校の開校やカリキュラム内容を含め、郡の教育復興全般について議論を重ねているところでございます。この六月中を目途に、教育復興ビジョンを取りまとめる予定と承知をいたしております。

 文部科学省といたしましても、従来から、協議会に職員を派遣し、創造的復興教育の取り組みについての事例紹介を行うなどして協力を行っているところでございますが、協議会から教育復興ビジョンが示され次第、必要な支援について検討してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 中高一貫校というのは、特別な今の状況の中で双葉の町村から出てきた要望でありますので、それ自体に私がどうこう言うつもりはないんです。また、ここに建てるべきだということも、非常に微妙な問題ですので。

 ただ、本当に、自治体の皆さんがよく考えて、それぞれで役割分担しながら、ぜひ建てていきたいというふうなことをおっしゃっていますので、よくそこを踏まえていただければありがたいかなと思っております。

 それで、肝心なことは、やはり子供にとって何が一番大事なのかということだと思うんですね。避難生活が続く中でも、最善の努力で、やはり学びの場が確保されるべきではないかと思います。

 サテライトに学ぶ子供たちは、何度も避難を繰り返してきました。二〇一一年の五月に、第一原発から三十キロ圏内にある九つの高校と飯舘村にある相馬農業飯舘高校、この高校が、全県で二十六の高校の教室や体育館を間借りしてのサテライト方式で学んでおりました。体育館をボードで区切っただけという、学びの場とは到底言えない学校だったわけですけれども、ただ、自分の学校で卒業できるという説明を受けていたわけですね。

 ところが、避難準備区域の解除などに伴ってサテライトの集約が発表されて、翌年、二〇一二年の四月に、富岡高校を除いて、さっき言った二十六あるというのが一つに集約をされたわけです。ですから、何度も避難をしていた子供たちが、今度は自分も親元を離れて、寄宿舎に入ることを余儀なくされた。ですから、そういう経過の中で今があって、今度もまた子供たちが翻弄されることを非常に残念に思うわけですね。そこを本当に大事に捉えて、来年の春には、サテライトに入学してサテライトから卒業する子供たちも出てくる、そういう状況にいるわけであります。

 それで、復興大臣にまず伺いますけれども、今後の復興計画に大きくかかわってくることであります。子供たちの将来にかかわる問題であるけれども、だからこそ今が大事なわけであって、今の環境を本当に最大限学びやすい環境にするためにも力を尽くしていただきたいと思いますけれども、復興庁としても立場を伺いたいと思います。

根本国務大臣 震災後、双葉地区、相馬地区内の生徒の学習の場を確保するために、福島県教育委員会が、保護者の希望などを踏まえて、県内の他地域の高等学校の施設等を使って教育活動を行っている、これは先生御指摘のとおりであります。

 国においても、先ほど来答弁がありましたように、さまざまな支援に努めているところですが、復興庁としても、これからも双葉郡の子供たちの高等教育の場が適切に確保されるように、文科省と連携しながら適切に対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、下村大臣に伺います。

 先ほど子供たちの声も紹介をしましたけれども、教職員も被災者であります。家族がばらばらになっている中で、片道二時間から二時間半の通勤をしている先生、あるいは、要するに教科の関係だと思うんですけれども、三時限目までは会津で授業をするんだけれども、五時限目からはいわきで授業をしている、そういうびっくりの実態などもございます。こういう中で、先生方は、子供たちの思いを受けとめながら、よりよい環境づくりということでも頑張っていらっしゃる。

 そういう意味で、通勤時間ですとか経済的な負担、勤務地の配慮、あるいは手厚い職員配置、こうしたことでの手当てということが一層求められると思いますけれども、いかがでしょうか。

下村国務大臣 私は、大臣に就任してすぐ視察に行ったところが福島でございまして、三学期が始まったその日に、今先生から御指摘がありました、いわき明星大のサテライト校にも行ってまいりました。ここには三つの高校が入っておりますが、三つのそれぞれの校長からもお話をお聞きしましたし、また、ずっと県の教育長も同行されておりましたし、関係の自治体の局長もおられましたので、現状の話についてはよくお聞きしました。

 また、三日前には、原賠ADR時効消滅法が国会で成立をしていただいたということもありまして、すぐ、福島県知事初め、この関係の双葉郡の自治体の長や教育長にもいろいろとお話をして、地元の要望は最大限、国としてバックアップをしていきたいというふうに思います。

 ただ、今御指摘の教職員の人事、これは、個々の事情を踏まえた上で、任命権者の権限と責任において判断されているものでございます。福島県において、人事配置に際して、教職員の勤務環境に配慮しつつ、教職員個人の意向を踏まえながら対応を行っているというふうに聞いているところでございます。

 また、高等学校の教職員配置については、サテライト校における教員の増配置を行うため、今年度は、福島県の申請どおり、七名の教育復興支援加配も行っているところでございます。

 私としても、福島県それから各自治体の教育長あるいは首長の意見を一〇〇%反映できるように努力をしていきたいと思いますが、第一義的には、それぞれの任命権者である自治体の判断するところであるというふうに思います。

高橋(千)委員 一〇〇%というお言葉が出ましたので、大変ありがたく思っております。

 この間、加配を繰り返し行ってくださっていたこと、また、サテライトに対しても七名の加配があるということをおっしゃってくださったことは大変感謝を申し上げたいと思います。確かに、任命権者も県であるということは当然承知の上で質問をしています。ただ、全体の合理化の流れの中で加配をするということをしてきましたので、自由に配置をできるというほどの余裕があるわけではなかったり、そもそも休校しているので定員は足りている、最初はそういうしゃくし定規的な対応がされてきたという中でのそういう要望があって、少しずつ改善をされてきたということだったと思いますので、ぜひ、先生方の実態もつかんでいただいて、また応えていただければありがたいかなと思っております。

 その上で、やはり今後の復興計画を決めるに当たっては、子供たちと親が、期間の見通しが見えないので帰らないとか、あるいは、避難先の学校に転入してようやくなじんだ、そういうような率直な声も聞こえております。ですから、子供が帰らないと町が復興しない、当たり前のことです。だけれども、大人の都合ではなく、やはり子供にとっての最善な道を選ぶ必要があろうかと思います。

 復興計画、学校をどこにということも含めて、決めるときには、やはり子供や保護者の要望をしっかり受けとめて、そういう意見を聞く場を大いに設けて進めていく必要があると思うんですけれども、これは下村大臣と根本大臣にそれぞれ伺いたいと思います。

下村国務大臣 先ほども政府参考人がお答えさせていただきましたが、地元の双葉郡の教育長の方々がお集まりになって、これから地域におけるよりよい教育をどう根づかせていくかということの一つとして、中高一貫の学校も考えられているということでございます。

 私も、三日前に双葉郡に行ったとき、広野町の町長から、特にこの問題については強く要請をされました。また、富岡町の町長にお会いしたり、南相馬市の市長にお会いしたり、それから飯舘村の村長にお会いする中、それぞれ共通の要望や、あるいは地域によって個々にそれぞれ異なった要望もあるということをお聞きしました。

 この中高一貫教育についても、できたら、やはりふるさとにできるだけ、首長の立場からすれば、あるいは教育長の立場からすれば、子供たちに戻ってもらって、もう一度この地域を、ふるさとをぜひ若い人たちの世代によって引き継いで、さらに活性化してもらいたい、そういう思いの中で中高一貫学校の創設を考えておられるのではないかと思います。

 これは、施設整備等、金銭的な部分は国がしっかり応援をしていきたいと思いますが、まずは、地域の復興復旧については、やはり地域の方々がどう自立して自分たちで町を、地域をつくっていくか、その中で学校教育をどう位置づけるかということが、長い目で見るとやはり一番大切なことであるというふうに思います。また、その協議会の中には文科省の役人も入っておりますから、常時いろいろな話をお聞きしながら、最大限、国としてやれることはやっていきますが、まずは地元自治体が連携して、それぞれコンセンサスが得られるような、そういうフォローアップをさせていただきたいと思います。

根本国務大臣 今、文科大臣から答弁がありました。

 復興庁としても、双葉郡の教育復興、これについては、協議会において、今、今後の教育のあり方についての中長期的観点から協議を実施しておりますが、文部科学省や福島県とともにこの協議会に協力をしております。

 大事なのは、この双葉郡の教育復興に向けて、関係者が十分議論を重ねて合意形成を図ることが重要だと思います。復興庁としても、文部科学省と連携しながら、適切に対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 残念ながら時間が来ましたので終わりますけれども、お二人の大臣に、その声を踏まえてという答弁をいただいたと思います。

 教育復興協議会でも、子供の会議を開いて、それを受けた後の三月三十一日の協議会の様子を見ますと、やはり子供たちの声を踏まえた学校や授業運営が本当に参考になるとか、子供たちが学校規模の確保について大変重視しているということで、何かちょっとそれまでの議論と違う議論をしているなということをすごく感じました。

 きょうは、もう少し紹介したいことがあったんですけれども、やはりそこが基本なんだろう、どこにということよりも、子供たちの声を踏まえた環境づくりということをまずはお願いしたいということで、ここで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 まず、流用についてちょっと取り上げて、お伺いしたいと思います。

 復興予算の流用が問題になって、新聞等でも取り上げられて、例えば、震災等緊急雇用対応事業が一千億、被災地とは関係ない事業に流用されたという報道もございました。これは一部だろうと思います。

 これで問題だと思うのは、本当に必要なところにお金が使われていないということだと思います。

 例えば、これまで、住宅の再建が不十分だ、支援が不十分だという、そのおくれが指摘されてきましたけれども、この一千億がどれぐらいのそういう支援に当たるかというのをちょっと計算してみたんですが、この一千億あれば、例えば、住宅再建支援に一人五百万、まだ足りない足りないと言われていますが、一人五百万を配ったとしても、二万人が助けられる。二万人助けられるというのは、例えば岩手県だと、応急仮設住宅に暮らす被災者は、一万五千八百三十九世帯の三万七千二百二十四人だそうです。ということは、ほとんどの人を、これまで生活再建支援金とか補償とかありましたから、これに五百万加えると、大体家を建てられるわけですよね。こういうのに使える。

 そして、例えば災害公営住宅でも、この一千億円あれば、五千戸から五千五百戸程度、建設が可能だそうです。ということは、先ほど申し上げた一万五千八百三十九世帯、三万七千二百二十四人のうちの大体三五%程度がこのお金だけでも災害公営住宅に入居可能になる、かなりの住宅支援を行うことができる。つまり、一千億というのはかなり大きい額なわけです。

 ちょっとお伺いしたいんですが、この流用に対する認識というものと、そしてこの流用の実態、全容解明を含めた調査をいつまでに行っていくかということ、その点を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

根本国務大臣 現在指摘を受けている全国向けの事業に係る基金、これは民主党政権下においてほぼ全て二十三年度第三次補正までに措置されたものであったと承知をしております。その時点においてどういう議論があったか。これは、復興とともに、あのときはサプライチェーン等々になって、日本経済の再生という緊急性の観点から復興予算として計上されたもの、そういう経緯がありました。

 昨年十一月に前政権下で行われた、平成二十三年度第三次補正予算及び平成二十四年度当初予算についての復興予算の使途の厳格化においては、執行済みの支出は除かれておりました。したがって、基金についても、もうその時点で執行済みとして整理されたと承知をしております。これが今までの経緯であります。

 政権交代後、現政権においてですが、平成二十四年度補正予算及び平成二十五年度当初予算においては、復興予算の使途の厳格化を厳しく図ったところであり、しっかりとした対応をしてきたと私は考えております。これに加えて、現在、復興庁、財務省及び基金所管省庁で、全国向け事業を含む基金について執行状況等の調査を行っているところでありまして、早急に結論を出していきたいと思います。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

畑委員 使途の厳格化とおっしゃいましたが、これは公共事業みたいなものであればできるんですが、今図らずも大臣がおっしゃったように、基金、この基金は自由に使えるお金ということで、これからどの程度の厳格化が図られるのか、その基金のチェックのシステム、その辺が問題なんだろうと思います。

 私、以前、本委員会で、山田町のNPO法人に対する緊急雇用創出助成金の支出の問題を取り上げたことがあります。このときも、基金だから、既に措置されていて調査しにくいという話がありましたが、私は、公金を使うというのはそういうことじゃないと思います。そこは、例えば基金ですが、公共団体に調査をかけて、そしてどれぐらい使ったんだと正直に報告させればわかることで、それに対しては返納させるかどうか、これは違法な支出じゃありませんから返納はできないでしょうけれども、これについてどう別の予算で対応するかも含めて考えるというのが政治だろうと思います。

 そういう意味で、例えば今回、「「新しい東北」の創造に向けて(中間とりまとめ)」で、十九兆から二十五兆に拡大したという話があって、必要な財源は確保されたと言っていますが、やはりここのところをしっかりやらないと、穴のあいたバケツに水を入れるようなものであって、問題が何ら解決しないと思います。

 これは民主党政権で措置されたかどうかではなくて、民主党政権が基金を措置したのは地方に自由に使わせるというか地域主権だろうと思いますが、地域主権だって、おかしい使い方は事後にチェックするものであって、そこはどうするかというのは、これは政治の責任であります。だから、そういう答弁を私は、ちょっと不適切というか、してほしくないんです。

 私がお伺いをしたいのは、今後、この流用をチェックする体制も含めて、どのような対策を考えていくのか、今後のこと、この点をお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 先ほども申し上げましたが、二十四年度補正予算そして二十五年度予算、これは使途の厳格化をしっかり図りました。そして、基金についても、現段階でしっかりとこの基金の状況を精査して、そして使途の厳格化の観点を踏まえながら、執行を見合わせるものは執行を見合わせるなど、しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

畑委員 今後の推移をぜひとも見守っていきたいと思います。使途を厳格化することと、今後の使途の厳格化もそうですが、基金で今まで不適切な使用がされた場合はどうなるのか、その部分を含めて、方針をまたまとめていただきたいなと思います。

 では、次の質問に入らせていただきます。

 先ほどちょっと申し上げましたが、「「新しい東北」の創造に向けて」、これは復興推進委員会の中間取りまとめですね、これについてお伺いしたいと思うんです。

 これも施策が網羅的に入っておりまして、よく見ると、確かに全部網羅されております。ただ、ちょっと残念なのが、めり張りがないというか力の入れぐあいが曖昧で、この方向にがあっと引っ張っていくんだという、そんな感じがない。よく言えばそつなくまとめた、悪く言えば官僚の作文だなという感じがします。

 実は、平成二十三年六月二十五日に前政権の復興構想会議というのがあって、そのときの報告がまとまったのを見ると、これはこれで、震災直後の熱気もあったんでしょうけれども、各省が競って自分たちの施策を入れて、かなり骨太になっているなと思います。

 それに比べてちょっと骨太さが少ないような気がしますが、いずれにしましても、これは全体を網羅されておりますので、問題は、これを踏まえて、具体的な政策がどうなされるかということだろうと思います。

 この点について、今後どのように施策化されていくのか、お伺いしたいと思います。

根本国務大臣 新しい東北の創造に向けて、中間取りまとめをしていただきました。

 被災地は、人口減少、高齢化等の地域の抱える課題が顕著であって、復興事業を進める中で、単に従前に復旧するのではなくて、復興を契機に、このような課題を解決して、我が国や世界のモデルとなるような、創造と可能性ある未来社会を形成するために調査審議が行われております。

 調査審議に当たって、要は、未来社会へ向けてのテーマとして五つのテーマ、例えば、元気で健やかな子供の成長を見守る安心な社会、あるいは高齢者標準による活力ある超高齢社会、こういうテーマを設定して、精力的に御議論いただいて、今回の中間取りまとめをまとめていただきました。

 中間取りまとめですから、年度末に向けてさらに深めていきたいと思いますが、この中間取りまとめをベースに、骨太の方針にその内容を盛り込みました。

 そして、東日本大震災復興調整費を活用して今我々がこれからやろうとしているのは、地域の先駆的な取り組みを加速化するためのモデル事業の創設、人材派遣や民間投資の促進に向けた官民連携の新たな仕組みの構築、こういうものに早急に取り組んでいきたいと思います。

 それから、いろいろ成長戦略などに基づいて各省庁が準備している研究開発等の施策、これについては、各省と連携して、東北で展開するように、これも進めていきたいと思っております。

畑委員 ぜひとも、骨太な施策化ということで、よろしくお願いしたいと思います。

 モデル事業的なことというよりも、新しい東北をつくるためには、各県からいろいろ提案が出ましたが、研究開発拠点も、ちまちまものではなくて、福島の原子力関係というか、医療関係、放射性関係もありますが、しっかりと、東北ならではの位置づけをぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 それでは次に、まさに、この前、岩手に視察に行かれた話題の一つで、JR東日本山田線の復旧についてお伺いさせていただきたいと思います。

 まず、JR東日本山田線復旧ですけれども、今いろいろな協議がされているというのは存じ上げておりまして、端的には、以前私が別の委員会で質問したときに、旅客の安全確保、町づくり計画との整合性、費用分担の条件が満たされることが必要だというふうに答弁をいただいて、理解しております。

 ここで、ちょっと質問を一つ飛ばさせていただきまして、費用についてということなんですけれども、費用、これは、どういう理屈をつけてどれぐらい出すかということがあれですが、いずれにしても、国として出せる余地があるかどうかという総枠の考え方からしますと、その点、私は、新政権の予算、フレームを十九兆から二十五兆にしたことは評価させていただいております。必要なところにどんどんお金を出すということがこれで明確になって、地域に安心を与えたんだろうと思います。この中間報告についても、必要な財源が確保されたと明言しておられて、非常に心強いなと思っております。

 こういうことを踏まえてお聞きしたいんですが、結局、JRとの調整の中で、国の支援が欲しいと言われた場合に、どの程度というような枠がまだ決定はしていないわけですが、想定される範囲では支援についての予算確保は問題ないと理解してよろしいんでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。

上田政府参考人 御答弁申し上げます。

 JR山田線の復旧につきましては、JR東日本の方から、原状復旧を要する場合のお金、それから、やはり復興でございますので、町づくりを考慮してかかり増しになる費用というものが一応提示をされております。

 JR東日本本体に助成をするというのは、私ども、難しいものというふうに国土交通省からもお伺いしておりますけれども、町づくりに伴うかかり増し費用の部分について、関係機関、国土交通省、それから、復興庁ももちろんでございますけれども、県、関係市、JRと、今、個別の箇所ごとによって関係する事業も違いますし、町づくりでどういうふうに理屈をつけて復興の予算の中で見ていけるかという、それぞれの詰めが必要でございますので、そういう調整を鋭意やっておるところでございます。

 この作業はもう鋭意やりますので、復興のフレーム、十九兆円、二十五兆円ということとは特に関係なしにどんどん進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

畑委員 ぜひともしっかりやっていただきたいんですが、その場合に、これは、既存の予算措置の中で、復興交付金なら交付金で出すのか、あるいは来年度概算に向けての予算要求の作業の中でまた別途検討していくのか、いろいろ手法があると思うんです。

 十九から二十五というのは関係なくとおっしゃっていましたが、私、お聞きしたかったのは、国としては、必要な財政支援ということは当然その用意はあるんですねということも含めてお聞きしたかったんですが、今、町づくりという中で出す方向で議論していると。そういうことで、国費は理屈をしっかり精査する中で出すということで理解していいんでしょうか。ちょっとそこのところも改めてお伺いしたいと思います。

滝口政府参考人 JR山田線につきましては、ただいま復興庁の方からお話がございましたけれども、JR東日本では、原状復旧する場合には約百四十億円、また、かさ上げなどの町づくりを考慮した場合にさらに七十億円の増額ということで、トータルの復旧事業費は約二百十億円といった概算額を示しております。

 これに対しまして、JR東日本は、このような原状復旧を超える約七十億円の増額分については公的負担を求めております。これは、安全でまた鉄道を利用しやすい町づくりと一体となった鉄道復旧を行うために必要な増額分だというふうに理解をしているところでございます。

 このため、このような町づくりとしての機能を持つ施設整備については、国としてどのような支援、助成が活用できるかといったことで、この約七十億円につきまして公的負担をする方向で、県、関係市町、あるいは復興庁といったような関係者と現在協議をしているところでございます。

畑委員 実は協議がずっと続いていまして、地元から見ると、国とJRがボールを投げ合って、押しつけ合っているようにしか見えないんですよね。要は、ずっと調整をしているんですよ、今の論点について。ということは、そろそろ結論を出していただきたい。

 結局、これは新聞をきょうお配りしましたが、委員長にも来ていただきまして、しっかりとした苦言を呈していただきまして、本当にありがたく思っております。要は、押しつけ合うんじゃなくて、今もう三条件あるわけですから、特に費用負担については、町づくりの計画に左右される。ただ、町づくりの計画は、熟度は高まっている。だって、この夏ぐらいから区画整理に入るんですもの、地元は。ということは、もうそれを前提にやっているんだから、そして、さらに細かく言うと、駅の場所とかかさ上げの高さでもちろん費用が変わってくる。だから、そういう細かいところであれば、どこを詰めなさいと指導するべきなんですね、地方に対して。

 そういうことをした上で、国としては、JR東日本側に対して、貴社の求める条件についてはこのように整理した、ついては、この条件のもとで再建するかどうかについて、いつまでに、期限を切って、明確にしてほしいという言い方をしてもいいと私は思うんです。

 そういう指導を行うような法的根拠というのは国にあるんでしょうかというのをちょっと最後、聞きたいと思って。というのは、例えば、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の附則三条では、利便性の確保とか鉄道の経営とか、そういうものに対して指針をつくって、それに対して国が指導できるという根拠規定がございます。こういうことの活用も含めて、やはり、そろそろ明確に指導していただきたいなと思います。

 やはり鉄道の復旧のつもりで地元はやっていますし、詰めるのは、それは時間がかかってもしようがないんですが、鉄道復旧をまず明言してもらわないと、何となく町づくりも腰が据わって進まないし、地元に対して勇気も与えられないんですよね。そこに対して、何とか国でそういう法的根拠を持った指導もお願いできませんでしょうか。よろしくお願いします。

赤澤大臣政務官 委員御指摘の、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律、附則の第三条、これの指導及び助言は、この法律に基づく、民営化されたJRがその事業を営むに際し当分の間配慮すべき事項に関する指針を踏まえる必要があると認められる場合に行われる。指針においては、これも今委員御指摘だったかと思いますが、JR東日本などが、国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他の新たな事情の変化を踏まえて現に営業する路線の適切な維持に努める、それから利便についても、御指摘のとおり書かれていたと思います。

 このような、努めるものとするという規定が指針に定めてある、告示でありますけれども定めてあるということをまさに受けて、国土交通省としては、復興調整会議の開催などを通じて、鉄道での復旧に向けた関係者間の合意形成を図ってきている。過去五回開かれておりますけれども、いろいろな場で合意が形成されてくる、その状況を見て、六回目をしかるべき時期に開きたい、そういう状況に来ているわけでございます。

 したがって、JR山田線について、町づくりに伴い必要となるかさ上げの具体的な箇所などについて、参加者間で共通認識が得られつつある、検討が進んできている、そういう認識に立っておりますので、残された課題について、引き続き、復興調整会議などの場を通じて、関係者の合意形成を促していきたい、それに全力を尽くすという考え方でございます。

畑委員 もともと採算が厳しい路線でありますけれども、震災という自分の責めによらない事情がやめる口実となってはいけないわけでして、そこを踏まえて、JRがこれを理由にやめるなんてことがあってはならないと思いますし、そういう感じで協議が進んできていると。

 ただ、これは、今国会で復興特が行われるのか、あるいは次の臨時国会に持ち越されるかわかりませんが、やはり、ある程度までに明言がされない、そういうずるずるした状態が続くのであれば、私は、JR東日本株式会社側の事情の説明も聞きたいと思います。そういうことで、適切な時期にJR東日本をお呼びいただくことも委員長にお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

後藤田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


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