衆議院

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第3号 平成26年2月25日(火曜日)

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平成二十六年二月二十五日(火曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 橘 慶一郎君 理事 寺田  稔君

   理事 長島 忠美君 理事 西村 明宏君

   理事 黄川田 徹君 理事 椎木  保君

   理事 高木美智代君

      穴見 陽一君    池田 道孝君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      大串 正樹君    勝沼 栄明君

      門  博文君    神山 佐市君

      菅家 一郎君    菅野さちこ君

      黄川田仁志君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      桜井  宏君    島田 佳和君

      白須賀貴樹君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    田畑  毅君

      高橋ひなこ君    津島  淳君

      冨樫 博之君    中川 俊直君

      橋本 英教君    藤原  崇君

      星野 剛士君    玄葉光一郎君

      郡  和子君    階   猛君

      福田 昭夫君    足立 康史君

      小熊 慎司君    三木 圭恵君

      村岡 敏英君    石田 祝稔君

      中野 洋昌君    杉本かずみ君

      林  宙紀君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   復興副大臣        谷  公一君

   法務副大臣        奥野 信亮君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   農林水産副大臣      江藤  拓君

   経済産業副大臣      松島みどり君

   経済産業副大臣

   兼内閣府副大臣      赤羽 一嘉君

   国土交通副大臣      野上浩太郎君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     小泉進次郎君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   国土交通大臣政務官

   兼復興大臣政務官     坂井  学君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    浮島 智子君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山崎 重孝君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   北野  充君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    岡田 則之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       半田 有通君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         荒川  隆君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岡田 憲和君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            山下 正行君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  佐藤 一雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局長)            三浦  進君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     加藤 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中西 宏典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    横田 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           樺島  徹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            西脇 隆俊君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十五日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     穴見 陽一君

  大久保三代君     岩田 和親君

  黄川田仁志君     田畑  毅君

  今野 智博君     白須賀貴樹君

  中島 克仁君     杉本かずみ君

  林  宙紀君     椎名  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     池田 道孝君

  岩田 和親君     神山 佐市君

  白須賀貴樹君     今野 智博君

  田畑  毅君     星野 剛士君

  杉本かずみ君     中島 克仁君

  椎名  毅君     林  宙紀君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     小田原 潔君

  神山 佐市君     大串 正樹君

  星野 剛士君     黄川田仁志君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 正樹君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官山崎重孝君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長北野充君、国税庁課税部長岡田則之君、厚生労働省医政局長原徳壽君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長半田有通君、農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、農林水産省大臣官房審議官岡田憲和君、農林水産省食料産業局長山下正行君、農林水産省生産局長佐藤一雄君、農林水産省農村振興局長三浦進君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官加藤洋一君、経済産業省大臣官房審議官中西宏典君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、中小企業庁次長横田俊之君、国土交通省大臣官房審議官樺島徹君、国土交通省大臣官房審議官栗田卓也君、国土交通省総合政策局長西脇隆俊君、国土交通省道路局長徳山日出男君、国土交通省鉄道局長滝口敬二君、環境省大臣官房審議官三好信俊君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君、環境省水・大気環境局長小林正明君及び原子力規制庁審議官山本哲也君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅家一郎君。

菅家委員 おはようございます。自由民主党の菅家一郎です。ひとつよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 前向きな提言という形で何点か申し上げますので、前向きな御答弁をよろしくお願いしたいと存じます。

 まず初めに、先週の二月十九日、福島原子力発電所における汚染水漏えい事故が発生したわけでありますが、またかというのが県民の切なる思いで、本当に汚染水問題は深刻だなというふうに感じているわけであり、何とかしなくちゃならない。

 いろいろアイデアを出されて、凍土壁云々の対策も考えられていらっしゃるわけでありますが、私としては、一つの御提案は、メルトダウンをしている原子炉、その冷却水、そして地下水がそれによって汚染されているわけですから、こうなったら、そのメルトダウンしている燃料のところを凍結する、凍らせる。周りを凍らせるのではなくて、本丸を氷で凍らせることによって、冷却水も必要ないし、地下水の汚染水も氷で遮断するというようなことも、これは一つの提案として検討して考えていただければなと。

 当然、廃炉までのスケジュールがあるわけで、これはモラトリアムですよね。今の汚染水用のタンクがもう満杯で、毎日四百トンの汚染水をどう処理するかというのが大きな課題ですから、それまでの間、とにかくブロックして、対策を講ずる。これは空冷だって問題があるし、穴を塞いでというのも遠隔操作で、どちらにしてもこれは大きな課題なものですから、いろいろな選択肢の一つにそういった考えがあればということで御提案を申し上げますが、これに対してのお考えをまずお聞きしたいと思います。

赤羽副大臣 原子力災害現地対策本部長を務めております経済産業副大臣の赤羽でございます。

 私も、基本的に週二日、福島原発の被害地域、現場に足を運んで仕事をしておりますので、現地の状況を事実に基づいてお答えさせていただきたいと思います。

 まず、汚染水対策につきましては、大変重大な問題であるという認識におきまして、昨年九月、国の原災本部でこれまでの基本方針を抜本的に改革いたしまして、国が前面に出るということで、現地にも政府の現地事務所も設置をいたしまして、関係各省庁からも現地に出向しておるところでございます。私も議長として、毎月一回、東京電力、また政府、そして規制庁と、現地調整会議ということの徹底的な議論をしておるところでございます。

 今回の二月十九日のことにつきましても、恐らく、多分人為的なミスだと思いますが、なぜ起こったのか、しっかりと分析をし、解明をして、再び起こらないような徹底した対策をとろう、こう考えているところでございます。

 その中で、委員御指摘のように、まず汚染水の発生量を低減させるということが極めて重要でございまして、このことにつきましても、現地調整会議に建屋の止水チーム、漏れをとめるという止水チーム、ワーキンググループを設置して、具体的な検討を進めているところでございます。

 また、廃炉・汚染水対応の全般的な技術につきましては、これは国内外の英知を結集しなければいけない。同時に、このことは、世界に逆に開かれた形で検討していくということが国際社会における原発の事故防止、また安全向上に資する、こう考えておりまして、現在、国際廃炉研究開発機構、いわゆるIRIDを通じた技術公募を国内外に広く行ったところでございます。最終には七百八十件の公募がございました。

 加えまして、昨年の十二月から本年一月末にかけまして、汚染水の発生原因の一つとなっております燃料デブリについて、これも公募をさせていただきました。今、基本的には、原子炉格納容器に水を張って燃料デブリを取り出す方法のバックアップとしてプランを、技術公募を行ったところでございますが、これは百九十件の提案をいただいております。

 その中には、今御提案のような方法も、内容も含まれておりますので、今回、世界じゅうから提案していただいた技術情報につきまして、しっかりと整理、検討を行った上で、必要なものにつきましては技術の検証等を行いまして、今後の本格的な取り組みに生かしていきたい、こう考えております。

 以上です。

菅家委員 加速化しながら、一日も早い抜本的な対策を行っていただきますよう、お願いを申し上げたいと思います。

 次は、やはり一番、県民もそうです、国民もそうですし、この報道によって、観光から農林水産物から、風評被害が起きているわけですね。また汚染水が漏れたのか、福島県は不安だというようなことだと思うんですが、実際、資料を見ていただきますと、十九日の汚染水漏えい事故が起きる前の県内十三地点の環境放射線量、これは新聞からの資料なんですが、それから二十日、十九日の事故の後の環境放射線量のデータがあるわけですが、これを見ますと、福島市が〇・〇一の違いがありますが、あとはほとんど影響がないわけですね。

 つまり、何を言いたいかといいますと、汚染水が漏えいされている、この事故の影響が、環境放射線量においては全く県内各地でも影響がないということなんですね。ところが、やはり不安、東京も大丈夫なのかとか。全く問題ないというのはこれではっきりしているわけですね。

 ですから、私は、事実と風評被害というのは、そうじゃない、不安だから、ここが問題だと思うんですね。これは、やはりこのように科学的なモニタリングをしっかりして、公表するしかないわけですね。

 そこで、一つの御提案なんですが、私も環境放射線量の機械を持って、これはテラなんですけれども、ここの場所が〇・一〇なんですね。ですから、機械が違ったり、あるいは測定する高さが違ったりすると、全体的な信憑性という意味ではいかがなものかと思って、逆に御提案申し上げるのは、やはり同じ機械で、そして同じ、室内なのか室外なのか、高さはどうなのかという、モニタリングシステムというんですか、統一したスタンダード、こういったものをきちっと確立して、市町村であったり、県であったり、国であったり、統一したデータというのが信憑性につながると思うんです。

 いわゆるモニタリング調査の統一マニュアルを策定して取り組むべきと考えますが、この点について、お考えをお示しいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、放射線のモニタリングの信頼性を向上するというのは極めて重要なことだというふうに認識しております。

 このため、東京電力の今回の原発事故が起こった後も、放射線モニタリングにつきましては、国が定めた総合モニタリング計画に基づいて、関係省庁、自治体、事業者等の関係機関が連携して総合的に実施しているところでございます。

 また、こういった各機関が行うモニタリングに使用する測定機器については、その測定の目的によっていろいろ使い分けることもありますので、定期的に点検校正を実施して、信頼性が確保された測定機器を使用する。それから測定の方法についても、放射線測定法シリーズというのを国が定めまして、これに基づいた形で実施していただいているところであります。

 いずれにしても、こういった測定結果の信頼を確保するという努力は引き続き重要な課題でありますので、そういったことに努めて、正確な情報発信をしていくということに努めてまいりたいと思います。

菅家委員 やはり出された数値の信頼性、信憑性ですから、ひとつそこは踏まえて、何とかスタンダードを確立していただきたいと要望しておきます。

 次に、やはりこの比較だと思うんですね。

 私はこの機械で国内、海外も測定してきたわけで、これをちょっとデータとしてまとめてみたんですが、会津若松市も〇・〇九、東京も〇・〇九、熊本が〇・一〇、三沢〇・一〇。南の熊本も北の青森もそう変わらないんですね、これを見ると。当然、この数値は問題ない安全な数値なんです。

 もう一方では、世界の、これはIPUに行ったときに、フランクフルトも〇・〇九、ジュネーブも〇・〇九、ジュネーブの国際会議場が〇・一一なんですね。

 もう一つの資料、世界の測定結果一覧があるんですが、ドイツ・ミュンヘンなんか高いですね、〇・五六、オランダ・ロッテルダム〇・三三となっているわけです。

 この数値を比較することによって、ああ、東京が〇・〇九なのか、これを見ると中国の北京も〇・〇九で同じなんだなとか、あるいはソウルは〇・一四。ソウルは〇・一四だけれども東京は〇・〇九だと。そういう比較によって、安全性といいますか、科学的にアピールすることになる、こう思うわけでありますが、どうなんでしょうか。

 そういう意味で、そういう比較をする。ただ単純にデータを公表するのはなくて、比較してみる。国内においての比較と、それから海外もそうですね。海外においても、先ほどのモニタリングの統一性。

 大使館なんかは、私は、そういう意味では、同じマニュアルに基づいて、世界じゅうの環境放射線量をきちっと測定してみる、そしてそれを公表する。国内との比較をして、世界にやはり日本の風評被害を払拭、安全性をしっかりと訴えていくというようなことが重要なのではないかと思いますが、その対応についてのお考えをお示しいただきたいと思います。

北野政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発それから原発事故にかかわります状況について、国際的な情報発信の重要性ということにつきましては私どもとして十分認識をしておりまして、事故発生以来、さまざまな形で情報発信に努めてきたところでございます。

 今委員から御指摘ございます、我が国の国内の各都市の空間線量率、特にまた福島など関係の地域、それから世界の主要都市との比較ということにつきましては、外国人の観光客の来訪を促進するための機関でございます独立行政法人国際観光振興機構、JNTOのホームページにおきまして、この比較を含めた最新の状況というふうなものを提供してございます。

 今委員御指摘のとおり、このような内容を世界に向けて発信していくということが重要であるというふうに考えておりますので、私ども、在外公館を活用するなど、外務省のチャネルを活用いたしまして、このようなデータ、今委員から御指摘があります比較の点を含めまして、一層効果的な情報発信に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

菅家委員 これは、国内も含めて、どうか考えていただければと思うんです。

 つまり、全く問題ないので、安全なんですよ。つまり、原発事故で環境放射線量としてダメージを受けているところはないんですね。国際的にも問題ないんですから。それをしっかりと当たり前にPRしていくということが重要だと思うんです。

 もう一点、視点を変えまして、農林水産物、これも非常に汚染水でダメージを受けるわけです。日本の基準が百ベクレル・パー・キログラムなんですね。百八十カ国以上ですか、加盟しているコーデックス、ここでの基準は、乳幼児用食品も一般食品も千ベクレル・パー・キログラム。EUは、乳幼児用食品が四百、それ以外、乳製品が千、一般食品は千二百五十、飲料水は千ベクレル・パー・キログラム。日本は、飲料水が十、牛乳が五十、乳児用食品は五十、一般食品は百ベクレル・パー・キログラム。つまり、世界一、安全基準をクリアしているんですね。

 福島県の米は全て全量検査ですから、これだけ低い基準でクリアしていても、福島県産というだけで風評被害ですね。これが一番大きな大きな問題だと思う。大丈夫なんですよ、世界一安全だ、環境放射線量も全く問題がない。

 農林水産物も、この基準をクリアしていれば世界一安全だ。しかし、残念ながら、風評被害で、輸出もできなかったり、あるいは買い控えされている。これが私は何とも残念でならない。

 やはり、これだけの信憑性のある、安全性を確立しているデータに基づいているわけですから、国が何とか表に立って、これは国内、国外も含めて、食の安全をアピールしてほしいし、何とか取り組んでほしいと私は思うんですが、お考えをお示しいただきたいと思います。

江藤副大臣 菅家先生の非常に切実な思いが身にしみるような思いがします。

 私のところも口蹄疫を経験しまして、あれはもう終息をしましたけれども、その後、畜産物だけじゃなくて、ほかの農産品についてもみんな風評被害があったんですよ。しかも、福島の場合は、まだ原発が収束をしていないという現在進行形でありますので、その中で、これだけ安全基準、コーデックスに比べても高い基準を設けて、これがきちっとできているのに、しかし売れない。そのもどかしい気持ちというものは、おもんぱかるに余るものがあるというふうに思います。

 農林水産省としては、確かに補正予算で十六億円の予算をつけてPRしています、TOKIOの人たちにテレビに出ていただいてやっておりますけれども、しかし、十分だとは思っておりません。

 総理も、海外に行かれると必ず、例えば、福島だけじゃありませんけれども、農産品だけじゃなくて水産品なんかも、輸入規制が行われている国、ロシアもそうですし韓国もそうですし、いろいろな国がやっているわけでありまして、そういったことも、懸命に日本の農林水産物の安全性は訴えておりますけれども、三年近くたってまだこういう状況であることについては、やはり我々にも大きな責任があると思っております。

 今後ぜひ、現場の声をもっとお聞かせいただいて、この予算をどう使っていくか、それが有効であるか、御指導いただければと思います。

菅家委員 ぜひ、これは、本当にみんな頼っていますね、国の方に。観光もそうです。食料もそうです。何とかひとつお願いしたいと強く要請しておきたいと思います。

 やはりそういう意味で、情報発信といいますか、安全ですよ、大丈夫ですよというものをどう国民に伝えるか、どう世界に発信するか、ここが大きな課題だと思うんですね。

 私の提案としては、やはりマスコミを使ったらいいんじゃないか、番組を買い取ったらいいんじゃないか、新聞の紙面を買い取ったらいいんじゃないか、あるいは、何とかppmみたいな、昔、道路にあったけれども、ああいった媒体をうまく使ったらいいんだ。

 つまり、正しい情報をいかに国民に伝えるか、ここだと思うんですが、具体的にそういった、予算化をして戦略的に、安全だから国民に訴える、世界的に訴えるというような対策をぜひ前向きに考えていただきたいんですが、お考えをお示しいただきたいと思います。

江藤副大臣 先ほど若干お話をしてしまいましたけれども、二十五年度の補正では予算は確保しました。

 しかし、先ほど先生が言われたように、比較をしていない。〇・一だからそれがどうなのよと、ほかのところと比較をしなければ本当の安全性はわからないんだろうと思います。PRの仕方が悪いと言われれば、そうかもしれません。ただ、私たちとしても、「食べて応援しよう!」キャンペーンであるとか、ほかの関係府省とも協力をして、やはり我々が率先して食べなきゃいけない。

 そして、例えば、私は西日本ですけれども、西日本のシイタケもだめなんですよ。これだけ距離が離れていても、そういう山でとれる農産品はみんな危ないんだというわけのわからない風評被害が実は全国に及んでおりますので、これから農林水産業をいわゆる成長戦略の一環として安倍内閣が支えていくということであれば、こういった理不尽なダメージを払拭するために、予算措置も含めて、前向きにこれからさらに検討していきたいと考えております。

赤羽副大臣 実は、先週月曜日に、廃炉・汚染水対策に関する発信の仕方、情報の提供の仕方について、初めて福島評議会という、地元の福島県、また当該市町村の首長、関係団体の代表、またNPOの女性の代表、青年会議所の代表、こういったメンバーで一回目の会議をさせていただきました。

 御指摘のように、そもそも東京電力の発信が、何か事が起こると、状況がよくわかっていないんだけれども、すぐ発表しなければ隠蔽と言われる。発表して、状況がわかっていないので、質問されると最悪の数値で答えざるを得ない。そうすると、それが既定事実かのようになって、現実とはかなり違ったもの、これを繰り返してきたということで風評被害を相当つくってしまったのではないかと。そのことについて、東京電力、また政府に対する信頼感も相当失っておりますので、その信頼をどう回復していくのか。

 その中に、今御指摘のありましたような、公共放送をどう利用するのかといった御意見も出ておりますので、これを少し定期的に続けながら、具体的な、リスクコミュニケーションをどう図るかというのは今、福島、ふるさとへの帰還を進める上で一番重要なことだと思いますし、また、風評被害対策についても同様のことが言えると思いますので、しっかりと現地対策本部として取り組んでいきたい、こう考えております。

菅家委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、長期避難者の生活支援についてお伺いしたいんですが、会津若松は大熊町を受け入れたので、大熊町に絞ってちょっとお伺いをしたいんです。

 住民意向調査結果の資料、お手元にありますように、集合住宅である復興公営住宅を希望する方は一七・五%だけなんです。判断できない、三三%、入居を希望しない方が何と四八%もいらっしゃるんですね。だから、復興公営住宅整備だけでは根本的な解決にはならない、いろいろ課題があるということになるんですね。

 そのうち、復興公営住宅への入居を希望しない方が希望する住居形態というのが、いわゆる戸建て、これが八二・五%なんですね。なぜかというとやはり、公営住宅に行く方もいますが、家族が多いと、一戸建てでないと家族が一緒に住めない。そして、余生を考えたらやはり住環境をきちっとして住みたいというようないろいろな意見があって、一日も早く戸建て住宅を何とかしてほしい、こう言う。

 今回も、原賠審の追加指針で、移住せざるを得ない方への賠償が七百万円追加された。これは自分で住むということですよね。自由に住んでください、そういう流れが、国で方針が出されている。避難された方も戸建て住宅を望んでいるけれども、残念ながら、現場は集合住宅であり、戸建て住宅に対しては、政策的な、例えば避難された町とか国の方でもまだ弱いような気がするんですね。私は、何とかそういう意向を踏まえた対策を講じてほしいというのが一点。

 このままだったら町がなくなってしまうんじゃないか。おのおのがもらった補償で家を建てて、そこに住んでしまう。アイデンティティーが喪失してしまう。物すごい危機感を持っている。ですから、例えば避難元の町が主体になって、よし、ここでみんなで家を建てて、財産を持って、もちろん、戻るときにはそれをお金にして戻ろうじゃないかというのも選択肢の一つにあってもいいのではないか。

 ただ、その場合、地元の自治体との、交付金の利活用がまだまだ課題だと思っているんですね。やはり、受け入れ自治体も、支えようじゃないか、遠慮しないで、そこで移住される方もともに共存共栄で住み続けられるようなのが私は望ましいと思うんですね。

 そういう意味では、例えば地元自治体の都市計画道路の近くであったりすれば、そういった裏負担というのも交付金で見てあげる。まあ、あくまでもこれは、例えば町がプロデュースした場合に限ってもいいと思うんですけれども、そういうようなことでお互いにこの国難を乗り越えていくべきだと考えておりますが、この二点について、ひとつお考えをお示しいただきたいと思います。

秋葉委員長 小泉政務官、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

小泉大臣政務官 菅家先生におかれましては、東日本大震災発生時の会津若松市長として現地で陣頭指揮をとっていただきまして、まことにありがとうございました。そしてまた、私の地元の神奈川県横須賀市と会津若松市は友好都市協定を結んでいることもあって、市長時代からも大変なお世話になりました。

 今御質問をいただきました二点についてでありますが、御存じのように、今御紹介いただきましたように、大熊町の住民意向調査を拝見しますと、災害公営住宅に入居されない、入居を希望しない方の八二・五%の方が戸建て住宅を希望されている。これは、用地確保などが難しい、そういったところに関しましては基本的に集合住宅で対応していますが、郡部そして郊外などにおいては戸建ての住宅そして低層階の木造住宅、こういった形で、福島県内においても四百戸以上、交付金の措置をしております。

 さまざま、避難生活をされている方のニーズにできる限り応えることができるようにこれからも対応していきたいと思いますが、昨年の末に、自民党、公明党、与党の提言で、福島の帰還を希望される方々に対する支援に加えて、新たな人生を歩む、そういった決断をされた方々に対してのしっかりとした手当てもしていかなければいけないという方向性が出たところであります。

 また、二点目のお話にありました、コミュニティーをどうやったら守れるのか、そういった点におきましても、戸建てかそれとも災害公営住宅か、こういった住居の形態にとらわれない形でコミュニティーを維持そしてまた発展させるための、復興庁としては、コミュニティ研究会、そういった具体的な先行事例も踏まえた上での対応策を検討しておりますので、これからも最後まできちんと取り組んでいきたいと思います。

菅家委員 よろしくお願いします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 東日本大震災の発災からもうすぐ丸三年になるわけでございますけれども、今なお二十七万人を超える方が避難をされている、こういう現状にございます。

 私自身も、徹底して現場に足を運んでいきたいな、現場主義で復興を加速化させていきたいということを、改めてこの場をおかりいたしまして決意を申し上げたいというふうに思いますので、どうか政府におかれましても最大限の努力を要請させていただきたい、こう思う次第でございます。

 通告した順番からは少し違うんですけれども、まず、福島の復興について、二点確認をさせていただきたいというふうに思います。

 私も、昨年は福島県にも何度も足を運びまして、避難指示区域にも足を運びまして、御意見を伺ってまいりました。

 昨年、区域の再編がなされまして、十二月には、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」、これが閣議決定をされたわけでございますけれども、被災されたお一人お一人が今後の生活を一体どこでするのか、帰還する方ももちろんいらっしゃる、新しい生活を選ぶ方もいらっしゃる、それぞれに支援を行っていく、こういうことでございます。

 今避難されている方々というのは、やはり大変不安の真っただ中にいる、このような御意見をよく聞くわけでございます。こうした現状の中で厳しい選択をしないといけない。ひとり暮らしの高齢者の方、こういう方も大変に多くなってございます。丁寧に、現状、支援策、こういうものを説明していただきたい、きめ細やかにこうした対応をしていただきたい、このように思うわけでございます。

 そこで、小泉政務官に質問でございますけれども、政務官、たびたび被災地を訪問されていて、現場の状況を大変よく御存じかというふうに思います。

 復興庁におかれましては、経済産業省としっかり連携をして、こうした説明会あるいはその後の相談体制についてできるだけきめ細やかに整備をしていただきたい、そして、一人残らず、最後の一人まで生活の再建、復興ができるまで取り組み続けていただきたい、このように考えておるわけでございますけれども、政務官の御決意、御意見を伺いたいというふうに思います。

小泉大臣政務官 中野先生におかれましては、前回の、昨年の委員会においても御質問をいただきまして、同じ世代として、被災地の支援に、中野先生がまだ議員になる前から、タンクローリーでの支援だとか、そういったことも尽力されていただいて、大変力強い思いをしております。

 今御質問の福島県の今後のコミュニティーのあり方、またしっかりとした説明そして相談体制のあり方ですけれども、福島再生加速化交付金、こういったことでも取り組むことができるようになりました。

 私も、中野先生と同じ世代の一人として、福島県のこれから取り組まなければいけない原発の収束、そして廃炉という前人未踏の挑戦を、私たちが生きている間に最後まで見届けるんだと。

 そして、復興庁という省庁は珍しい省庁でありまして、なくなることが決まっているんですね。その復興庁が解散をしてなくなる日が被災地にとっては復興という喜びだ、そういったことを考えたときに、一日も早く復興庁が解散できるように、全力をもって最後まで取り組んでいきたいと思います。

 復興庁という存在のあり方がどうなっても、福島県の将来というのは、これから長い時間をかけて取り組まなければいけないことがあると思いますので、同世代として、これから最後まで、福島の子供たちが白地のキャンバスに福島の未来を伸び伸びと描いていけるように取り組んでいきたいと思いますので、今後ともどうぞ、与党の一員としての御尽力、御協力、お願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

中野委員 大変に力強い決意を政務官には述べていただきまして、感謝を申し上げます。私も、全力でまた福島の再生に向けて取り組んでいく決意でございます。

 続きまして、きょうは環境省から浮島政務官に来ていただいております。中間貯蔵施設についてお伺いをしたいというふうに思います。

 昨年の十二月、環境大臣、復興大臣は、福島県に対して、中間貯蔵施設、管理型処分場の設置、活用、これについて要請がされたと承知をしております。そして、今月、二月十二日、福島県知事の方からは、施設の配置計画について見直しの要請があった、こういうことも承知をしております。

 この施設の設置、復興にとっては大変に重要な課題でございまして、できるだけ早く意見集約を行っていく必要があるのではないか、このように思っておりますので、この福島県に対する回答、これはできるだけ早く行うべきではないか、このように考えております。

 本件につきましては、関係自治体との調整など最前線で実務に当たられている浮島政務官でございますので、ぜひ御意見を伺いたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

浮島大臣政務官 中野委員御指摘の、知事に対して回答を急ぐべきだという御指摘でございますけれども、全くそのとおりでございます。しっかりと速やかに対応していかなければいけないと思っているところでもございます。

 また、再検討すべきという旨の申し入れは、県そして双葉郡八町村の総意と受けとめさせていただいているところでございます。

 今、国といたしまして、その内容をしっかりと検討させていただいているところでございまして、今、具体的な回答に関しましては申し上げることはできませんけれども、これからもしっかりと検討を続けながら、できるだけ速やかに、早くしっかりとお示しできるようにしてまいりたいと思っておりますので、どうか、今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

中野委員 ありがとうございます。

 できるだけ早く、速やかにという御回答でございます。次の三・一一には、もうすぐ丸三年ということでございますので、できるだけ早期に、できれば次の、丸三年を迎える前にぜひ回答していただきたいと改めてお願いを申し上げる次第でございます。

 少し話は変わりますけれども、先日、石巻の同世代の方と懇談をする機会がございまして、私はそこで、復興住宅も計画が進んでいます、まさに復興のつち音が聞こえるような、ことしはこういう一年にしていきたい、こういう話をしたんですけれども、逆に、大変に厳しい御指摘もそのときにいただきました。

 と申しますのは、計画がどんどん進んでいったとしても、被災地に暮らしている方の感覚からすると、計画が書面上で進んでいても、なかなかわからない。そして、仮設住宅での住まいがずっと続いているというのが実際に暮らしている方の感覚でございます。

 そうすると、どういう感覚かというと、復興というのは、瓦れきの処理はもちろんどんどん進んでおりまして、まず第一段階として進んだけれども、しかし、階段を上って踊り場で何かずっと足踏みをしているような感覚がある、こういう厳しい御意見をいただきました。そういう意識で加速化をしていってほしいんだ、こういう御意見もいただいたところでございます。

 もちろん、政府・与党といたしましても、やはり復興の道筋を示していくことが大事だということで、住まいの工程表、これをもちろん示しているわけでございまして、そうすると、平成二十六年そして二十七年、復興住宅が多く完成をしていくというのはこれからだ、まさにそれはお示しをしているわけではありますけれども、なかなか、確かに、住まわれている方の感覚からすると、それはわからないところではございます。

 やはり我々、事業に着工した、予算をつけた、そういうことではなくて、どれだけ事業が完成をしているかということをしっかりと注目していかないといけないな、改めて、被災者の皆様の視点に立たないといけないな、こういう決意をした、そんな話し合いでありました。

 復興住宅、これの完成をおくらせないことが大変重要だというふうに思います。計画、場所によっては、入札の関係で少し見直しをしていたり、少し後ろ倒しになっているようなところもある、こんなお話も聞こえてまいりまして、少し不安に思うときもございます。特に資材不足、人手不足、こういうところで計画がおくれるんじゃないか、こういう指摘が多いわけでございますけれども、これに対して、どのように今後措置を講じられていくのか、根本復興大臣にぜひ御決意をお伺いしたいというふうに思います。

根本国務大臣 中野委員、本当に、現場に入っていただいて、被災地の、被災者の皆さんの声を聞いていただいて、そして、きょうこの場で具体的な政策の提言を含めたやりとりをされる、貴重なことだと思います。

 私も、大事なのは、復興、確かに、二十五兆円の財源規模でしっかりとやりますよ、予算は用意をいたしました。それで、予算を用意したから済むということではありません。やはり、具体的に立ち上がっていく、復興を一日も早くなし遂げていく、この具体的な対策、これが必要だと思います。

 そして、その意味では、用地取得をいかにして迅速化するか、あるいは設計、施工の段階では、URという都市再生機構、これはまちづくりのプロですが、これを投入することによって例えば一年半施工を短縮する、そんな実例も出ております。その意味では、具体的な加速化措置をいかにしてつくり上げていくか、これが大事だと思います。

 そういう問題意識で、昨年来、住宅再建・まちづくりタスクフォース、私が陣頭指揮をとって、関係省庁の局長と具体的な制度論、どこまで深掘りができるか、これをやってまいりました。そして、第四弾にわたる加速化措置を講じてまいりました。あるいは、関係機関から成る施工確保に関する連絡協議会、ここで、資材の需給見通し、そして何が足りないか、生コンが足りないのなら公設の生コンプラントをつくろう、具体的な加速化措置を講じてまいりました。

 人員不足については、一つは、広く人材を集める、これが必要なんですね。その意味では、復興JV、地元の企業と域外の企業にJVを組んでもらう。

 あるいは、労務単価を引き上げました。昨年の四月に、被災地を平均二一%引き上げる、全国平均一五%でした。さらに、国交省に御努力いただいて、この二月に、さらに、被災地平均で八・四%、全国平均七・一ですが、この引き上げを図る。

 あるいは、間接経費が被災地でかかりますから、復興係数を掛けて間接経費の上積みを図る、要は、設計単価の引き上げ、これをやりました。

 さらに、もう一方では、人材をできる限り効率的に活用する。この観点では、発注ロットの大型化、あるいは、主任技術者の配置基準を緩和する、さらに、複数の発注機関がありますから、その発注機関の発注見通しを統合して公表する。

 具体的に、さまざまな加速化措置をやってまいりました。

 資材不足については、需給調整会議で、骨材の地域外からの調達、これは私は初めてに近いんだろうと思いますが、公共事業で生コンのプラントをつくる。これは復興道路でもやりました、そうすると、民間の需要を圧迫しませんから。この取り組みにもしっかりと取り組んでまいりました。

 さらに、これも、これからの若手の人材確保という観点から効果が出てくると思いますが、いわゆる施工管理技士の受験資格の緩和、実務経験年数をちょっと緩和する、実際に力がありますから。そういうきめ細かな対策が必要だろうと思います。

 我々、今の中野委員の御指摘がありましたように、復興事業の隘路となる課題、これは機先を制する形で加速化措置を具体的に推進していきたいと思います。

中野委員 大臣、ありがとうございます。

 課題は具体的なものだと思います。一つ一つ対応されて、きめ細やかに手を打たれていることは承知をしておりますので、また、引き続き、どのような課題が出てくるか、政府としても注視をしていただいて、しっかりと対応していただきたい、このような要請をさせていただきます。

 先ほど大臣からもお話ございましたけれども、事業進捗の行き詰まる点として、用地買収のおくれというのが指摘されることがよくございます。

 これは、私もよく経験がございます、もともと国土交通省の職員でございましたので。私は、北陸地方整備局というところで勤務をしていたときに、実際に用地の担当の部署にいたこともございます。用地第一課というところの課長をしておりまして、現場の作業を行っておりました。

 用地買収、公共事業の中では、これが終われば事業は半ば見えたようなものだ、こういう話がよく出ておりましたけれども、大変に労力がかかる作業であります。

 一軒一軒まず訪問をしないといけないですし、そして、訪問して、土地建物の見積もりをしていくわけでありますけれども、まず土地の境界確定をする。そうすると、昔の法務局に公図をとりに行っても、皆さん御承知かと思いますけれども、きれいな公図ではないところが地方部だと多いわけですね。非常に、どこが境界かわからないようなところで、まず確定をする作業から入りまして、そこで争いがあったら、またそれでとまります。

 あるいは、昔の時代ですと、相続をしないままになっている土地というのも大変多うございまして、例えば、地方の集落ですと、水路があったようなときに、村落の共有地のような形で登記をしているところがあったりいたします。それも、全員既に亡くなられている方で、十人、二十人の方の共有名義になっているような土地がいっぱいあったりします。そうすると、もちろん、相続人の方全員に当たる。百人、二百人関係者が出てくるときもございまして、一軒一軒全部潰していかないといけない。大変な労力がかかる。もともとそういう作業でございます。

 そして、もちろん、用地買収、いろいろな手続を短縮していく、あるいは、所在不明のところには、財産管理人制度など既存の制度をいろいろ活用していく、こういう取り組みをずっと続けておられるわけでございますけれども、私は、こういう自分の経験からしても、手続を緩和することは非常に大事ではあるんですけれども、そもそも、市町村、小さな自治体ですと、用地買収のノウハウやそういう人員がもともとほとんどない、こういう自治体が非常に多いわけでございます。

 ですので、ノウハウあるいはマンパワー、これについて積極的に支援をしていかないとやはり進んでいかない、こういう思いを非常に強く持っておりまして、政府にもそのような話は何度もさせていただいておりますけれども、こうした用地買収の加速化、特にノウハウ、マンパワーを支援していく、こういう観点から、今後どのような措置を講じられるのか、谷副大臣にぜひお伺いをしたいというふうに思います。

谷副大臣 中野委員御指摘のように、復興事業においては、用地買収をしっかりやるということが大変大事なことであると思っております。

 根本大臣のもとで、復興タスクフォース、第三弾として、昨年十月に用地取得加速化プログラムなどをまとめまして、相当思い切った対策を打ってきたところでございまして、その成果ということも、財産管理人の選任件数は大幅にふえてきた、あるいは防災集団移転事業の用地取得率が四八%から、三カ月で七割近くになった、あらわれてきていると思います。

 しかしながら、一方で、中野委員御指摘のように、一部の市町村の現場において、マンパワー不足も含めてまだまだ大変厳しい状況がございます。これらの市町村に対しては、より重点的に、きめ細かく、丁寧に支援を行っているところでございまして、今後ともそうした取り組みを強化したいと思っております。

 具体的には、一つは、まず、用地加速化支援隊というのをつくった。岩手県の大槌あるいは陸前高田に既に入っております。二つ目に、補償コンサルタントを、外注ということを最大限使うということで、多くの自治体に既に取り組んでいただいています。三つ目に、これも初めてのことでございますが、司法書士を復興庁で採用し、市町村に駐在させる仕組みというのも開始いたしました。応募は三十人程度あったと聞いておりますが、これから具体的にマッチングをしなければなりませんので、どの程度まとまるかはこれからの話でございますが、そうした取り組みもし、また四つ目に、URによる支援もしているところであります。

 自治体からの職員の派遣は従来から行っていただいているわけでございますけれども、被災自治体に派遣をするという目的で被災自治体以外の自治体が任期つき職員を採用するという取り組みを、東京都とか、私なり中野委員の地元の兵庫県でもやっておりますけれども、新たに埼玉とか神奈川でもそういう動きが見られるところでございまして、しっかりと、そういう特に市町村の用地事務の職員確保に向けて、今後とも引き続き最大限努力してまいりたいと思います。

中野委員 副大臣、ありがとうございます。引き続き大きな課題となると思いますので、しっかりと取り組みをよろしくお願いいたします。

 少し時間もなくなってまいりましたので、手短に質問していきたいと思います。

 先ほどは、ノウハウ、マンパワー、こうしたお話をさせていただきましたけれども、もちろん、用地取得、手続を簡素化するということも大変に大事でございます。

 昨年の用地取得加速化プログラムでは、最後、任意の買収ができないところはもちろん土地収用制度を活用することになるんですけれども、この土地収用制度の活用による用地取得期間の短縮をする、こういうことがうたわれておりました。

 元来、大変に時間がかかります。書類作成にも一、二年ぐらいかかりますし、国の認定も時間がかかります。その後、収用委員会で収用裁決をしないといけない。大変長い時間のかかる手続でありますけれども、これを短縮する、こういうことが発表されておりまして、実際にモデル事業もやって検証をする、こういう話も伺いました。

 しかし、地元の自治体からは、実際はそこまで期間が縮められないんじゃないか、こういう懸念の声も実際上がっているわけでございます。

 この土地収用制度を活用した用地取得、本当に短い期間で収用を行うことができるのか、現状どうなっているのか、国交省にお伺いをしたいと思います。

西脇政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のように、収用制度の活用につきましては、岩手県の釜石市での防潮堤事業をモデル事業として、さまざまな工夫で手続の短縮化を進めております。

 具体的措置についてはちょっと時間の関係で省略させていただきますが、さまざまな措置を講じることによりまして、まず、この釜石の防潮堤では、事業の認定申請書類の作成について、岩手県では最初、今御指摘ありましたように、一、二年かかるのではないかと懸念があったところでございますが、約四カ月で概成しております。

 それから、事業の認定につきましては、通常、努力義務は三カ月でございますけれども、約五十日で認定を行うということで迅速化を進めております。

 それから、この事業用地の中に、明治時代からの四十一名の共有地がございますけれども、これは既に昨年十二月に所有者不明のままで収用裁決の申請がされておりますので、これもさらに迅速化していきたいと思います。

 それから、この釜石でのモデル事業の加速化の取り組みを活用して、宮古市の防潮堤事業では、申請書類を約一カ月で概成し、事業認定申請から五十五日間で認定をしておりまして、今後とも、起業者とか収用委員会事務局の関係機関と連携を図りながら、具体の課題に一つ一つきめ細かく対応して、より手続が迅速になるように努力してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 時間もなくなってまいりましたので、これを最後の質問にさせていただきたいというふうに思います。

 例えば、防潮堤の建設のような事業であれば、土地収用の制度が活用できる。最後に一件、どうしても任意で買収ができない、こういう土地が出てきたときに土地収用をする、こういうことが可能でございます。あるいは、防災集団移転促進事業、こういう事業でございましたら、もし買えない場所があれば計画をそれに合わせて変更する、こういうことも可能であるというふうに伺っております。

 しかし、一つ心配の声ということで私が聞きましたのは、土地区画整理事業を活用する場合、この場合どうするのか、こういうことでございます。

 土地区画整理事業といいますのは土地収用の手続は基本的には使えないというふうに承知をしております。一方、仮に一カ所が工事ができない、同意が得られない、こういう場所があったときに、ではここだけ外して計画を変更するのか。これもなかなか難しいんだろうな、私はこのように思います。

 土地区画整理事業の具体的な進め方といたしましては、仮換地というものを指定しまして、ここで補償交渉をしっかりやる、あるいは、それが指定されずとも工事を始めてもいいよ、こういう任意の承諾、起工承諾を得ることで実際には工事を開始することができるというふうに承知をしておりますけれども、これは、全員に対してやると、いずれに対しても大変に時間がかかって、なかなか、例えば高台移転であれば盛り土工事などをやらないといけないわけでありまして、早く工事をやらないといけない、こういう状況でありますけれども、それの着工がいつまでたってもできないんじゃないか、こういう懸念の声をいただきました。

 これに対して、国交省としてはどのような措置を今後講じられていくつもりなのか確認をして、私の質問を終わりたいというふうに思います。

樺島政府参考人 土地区画整理事業において工事を実施する場合には、仮換地の指定によりまして地権者の土地利用を一旦制限いたしまして行うことが原則型。ただ、工事着手を急ぐ場合には仮換地の指定前に起工承諾を得るという運用が行われているところでございます。

 また、東日本大震災の津波被災地の復興土地区画整理事業において、土地のかさ上げ工事については、委員御指摘のとおり、一部の被災自治体からは、起工承諾がない場合にもさらに早期の工事着手を可能とすることはできないかという要請もあったと承知をしているところでございます。

 このため、今般、工事のための仮換地に関するガイドラインを発出させていただきました。これは、起工承諾による方式に加えまして、津波被災地の土地のかさ上げなど、特に早期に工事着手する必要がある場合につきましては、地権者の土地利用の制約の度合いなども検討の上、仮換地指定を二段階に分けまして、起工承諾の有無にかかわらず、一段階目の仮換地を早期に指定し、工事に着手することができる新たな手法をお示ししたものでございます。

 今後も、被災自治体と緊密に連携を図りながら、土地区画整理事業の円滑かつ迅速な推進を通じ、被災者の居住の安定を一日も早く確保できるよう努めてまいります。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、郡和子君。

郡委員 民主党の郡和子でございます。

 まず、今般の豪雪、被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 被災地宮城でも、農業施設を中心に被害が広がりました。そればかりでなく、大型の低気圧の影響で海も大荒れとなって、沿岸漁業施設にも大きな被害が出ました。復興に水を差す被害だったというふうに思っています。きょう開かれております災害特別委員会でもお示しをいたしますけれども、我が党としても、新たな立法を含めて提案したいと考えております。一刻も早い政府の対応を求め、質問に入りたいと思います。

 私の住まう住宅団地は、実は、宅地被害の大きかったところでございまして、造成宅地滑動崩落防止事業や防災集団移転事業の対象地です。工事は当初の予定よりもかなりおくれているんですけれども、着実に進んでいることを実感できるようになってまいりました。間もなく、あの震災から丸三年です。復興の事業の隘路になっている課題に取り組んでいただいて、現場も頑張ってくださっていることに、まず敬意を表したいと思います。

 ところで、被災の各自治体では、当初想定した人口フレームや入居希望者の数、これにずれが生じてまいりまして、計画の見直しを迫られ、また、災害公営住宅や防災集団移転事業で完成した宅地にもあきが生じて、新たな財政のリスクとして浮上してきています。

 現行の防災集団移転事業は空き宅地の発生を想定した規定がございません。これまでの事業規模と今回の震災の移転事業の規模、余りにも大きな違いがあるんだというふうに認識をしております。これほど大きな規模を想定してはいないわけでございます。全ての国民の皆様方に増税をしてまで復興予算をつくったわけで、無駄遣いはできない、コスト意識もしっかり持とうと努力をしているわけですけれども、この問題は、各市町にとっては頭の痛い課題として浮上しております。

 対象外の被災者に防集の空き地、空き宅地を分譲すれば、交付金の対象要件を満たさないとして、国に返還をするということになるのかどうか。自治体からは柔軟な対応を求める声も上がっておりますけれども、いかがでしょうか。国交大臣政務官に伺います。

坂井大臣政務官 防災集団移転促進事業は、住居の集団的移転を促進することが適当な区域として設定される移転促進区域からの移転を支援するという趣旨でございますので、その移転者以外の者に分譲する住宅地の整備にこの事業の予算を充当するということは困難だと考えております。

 そういう状況でございますので、住宅団地の用地の取得や造成等を実施する際には、改めて移転者の意向の確認を行い、必要に応じて事業計画の見直しを行うなど、整備する住宅団地の敷地が過剰なものとならないよう十分留意をする旨、地方公共団体にも周知をしているところでございます。

 なお、この事業は、必要に応じて移転促進区域を見直すということや、それから、集会所など移転者に関連した施設の敷地の整備がこの防集の事業では可能でございます。ですので、地域の実情に応じて適切に防災集団移転促進事業が推進されますよう、今後とも必要な支援に努めてまいりたいと思っております。

郡委員 既に造成を終えた地区もございます。この問題が大きな課題となっておりますので、それぞれの地域の実情にしっかりと耳を傾けて、どういう解決策があるのか探っていただきたいというふうに思います。

 ところで、既に住宅を再建、購入した世帯を対象とした被災者生活再建支援金制度の加算支援金、最大で二百万円ですけれども、この支給状況について内閣府にお尋ねをいたしました。基礎支援金を受け取った世帯は昨年末で十二万千三百七十八世帯でございまして、このうち自立再建を果たした世帯は二万九百四十八世帯、宮城ではございました。二十五年、昨年の一年だけでも六千世帯ふえております。

 このこと自体は大変喜ばしいことだというふうに受けとめますけれども、残念ながら、公的な宅地整備がまだ完了していない中でのこの数字でございます。必ずしも防集地域だけの被災者とは限らないとしても、宅地整備のおくれから、自力で土地や住宅を確保する被災者がふえていて、整備した宅地にあきが生じる事態も生まれているということではないかというふうにも思うところです。

 民主党といたしまして、復興推進本部がございますけれども、各月、視察をしておりますが、昨年の十二月には、宮城県の石巻、東松島、女川を視察いたしました。その折に、東松島市の集団移転先として造成する野蒜北部丘陵地帯、これを視察いたしました。

 この一月十三日のことですけれども、その現場で大量の土砂を搬出する巨大ベルトコンベヤーが稼働いたしました。移転地での造成でコンベヤーが稼働するのは初めてのことではなかろうかというふうに思っております。

 一戸建てと災害公営住宅、合わせて四百四十八戸の宅地を確保するこの野蒜北部丘陵地では、九十一・五ヘクタール、かなり広いところです。この造成でおよそ五百五十万立方メートルの土砂が発生する見込みで、コンベヤーはこの土砂を分速百二十メートルで運ぶというふうに聞いてびっくりいたしました。一日当たりおよそ一万立方メートルを処理することができるということです。来年の三月までにおよそ三百十万立方メートルを搬出して、半分は盛り土用に、また農地の復旧などに活用されるということでありました。

 視察の折に、東松島の阿部市長が、何よりもスピードが重要なんだというふうに何度も話しておられました。土砂をダンプカーで運ぶ場合、三年以上かかるという試算があって、工期の短縮のためにこの大きなベルトコンベヤーを導入することを決めて、総工費はおよそ七十億円だったというふうに聞いております。なるほど、お金の問題ではないんだ、時間だ、いわば時間をお金で買ったんだというふうにも思ったわけでございます。

 根本大臣に伺いたいと思うんです。

 住宅再建までの時間が長くなればなるほど、被災した人の気持ちも変化をしていくものでございます。復興のまちづくりは、もとより、災害公営住宅への入居者を含めた一定規模の住民が生活となりわいとを営むコミュニティーとして構成をされるわけです。まちづくりのこの構想が足元から見直しを迫られるような事態になるのではないかということを大変危惧しております、時間がかかればかかるほどです。

 基本的には住民自治であるわけですけれども、未曽有の震災からの復興という異例の取り組みに鑑みまして、国においても特段の配慮、支援を重ねてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

根本国務大臣 私は、東日本大震災は本当に未曽有の災害だと思います。阪神大震災のときも復興は時間がかかりました。東日本大震災の場合はさらに時間がかかるのではないか。

 なぜなら、東日本大震災の場合は、津波被災地で、例えばそこを、今お話がありましたけれども、かさ上げして区画整理事業をやる、あるいは山を切って防災集団移転事業をやる。阪神の場合は、直下型でしたから、瓦れき処理が終われば次々に立ち上がっていく。ここが私は阪神大震災と東日本大震災の違いだと思います。

 ですから、用地取得の問題、あるいは施工の問題、今まで考えられなかったような加速化措置をやらなければいけない、これが我々の、郡委員も同じ認識だと思います。

 その意味で、用地取得についても抜本改革をやりました。私は、土地収用制度あるいは財産管理人制度、ここまで制度を深掘りして迅速化したのは戦後初めてだと思います。そして、設計、施工。これは、東松島の例はUR。URは専門家ですから、URを投入することによって設計、施工を一気に短縮化する。例えば一年半短縮化できる、そういう見込みになっております。とにかく、その意味では、いわば東日本大震災被災地特例ルールの感覚でやっていかなければならない。

 それで、一方で、津波被災地を含めて、東日本大震災は、もともと人口減少や高齢化や過疎化の課題を抱えておりました。これが実は、将来、二十年後に直面するであろう我が国の課題が今直面している。ですから、これからのまちづくりについても、しっかりと若い人にも定着してもらう、計画的なまちづくり構想の中で着実に立ち上げなければいけません。その意味では、住宅再建、まちづくり、あるいは産業、なりわいの再生、並行してやっていかなければならないと思います。

 そして、その意味では、例えば、市町村によっては、将来の人口フレームも適正に見直しをして、全体の区画整理事業、あるいは防災集団移転事業の規模が適切かという形で見直しをしたところもあります。やはり防災移転事業も、個別の話でいえば、住民の皆さんに何度も意向調査をしながら適正な規模という話もありました。

 その意味では、やはり東日本大震災の持っている問題点の大きさ、これを考えながら、やはり十年、二十年後のまちづくりも考えながら具体的な事業を推進していく必要があると思います。

郡委員 今、津波被害を受けた各地域では、防災集団移転事業、高台移転への造成が急ピッチで行われておりまして、やっとここまで来たんだなというような感慨を持ったりいたします。造成を終えて引き渡しが行われること、これが後に続く被災者の希望にもつながってくるわけです。

 しかしながら、残念ながら、土地の登記のところでまた大きなブレーキがかかっております。特に気仙沼地域。

 気仙沼法務局の体制を伺いたいと思います。

 何人でこの登記の業務に当たっているのか、大変細かい話で恐縮なんですが、法務副大臣においでいただきました。お答え願います。

奥野副大臣 法務副大臣の奥野でございます。

 今御質問の件でありますけれども、私どもも、宮城県の中では気仙沼が大変大きな被害をこうむっておられるということは十分認識しておりまして、今、宮城県内に、本庁が一つ、支所が六つ、それから出張所が一つ、全部で八つの窓口があるわけでありますが、それが力を合わせて今登記作業に取り組んでいるところであります。

 特に、二十四年度は六名で行っていたわけですが、二十五年度に一名追加になって、二十六年二月からさらに二名追加して、九名体制でやっているところであります。

郡委員 南三陸町では、昨年の十二月二十一日に、防災集団移転事業の藤浜団地、これが造成を終えました。ですが、土地の測量、登記に少なくとも三カ月かかるということでございました。

 今後、造成団地の数が大幅にふえていくわけです。法務局の現体制では到底スピーディーにはいかないというふうに思います。体制の強化が不可欠だというふうに思います。

 今、二十五年度、一人増員をし、さらに二人追加をするんだというふうなお話でしたけれども、もっと強力に人員を投下していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

奥野副大臣 一般登記申請については、特に期末にだんだんふえてくるし、それから、非常に大きな団地造成については力仕事が発生するということは承知しております。

 今、先ほど申し上げた宮城県内だけの応援体制ではなかなかできないので、四百二十七ある全国の本庁、支所、それから出張所の体制を総動員して、必要に応じてスピード感を上げていきたいと思っております。

 ただ、そうすると、今度は入れ物、器、これが問題になってくる可能性もありますから、今なかなか器を探しに行っても、器というのは作業をする場所、これを探すのも非常に苦慮しておるんですけれども、できるだけ、端末とか、人間とか、あるいはそういう事務所の拡張、そういったことを含めて最大限努力させていただくところであります。

郡委員 大変心強い御答弁をいただきました。よろしくお願い申し上げます。

 タイムロスを生じさせないように、登記関連の作業を進める間にも並行して建設に入れないかどうか。分筆登記を行って、所有権移転登記をして、整った後にいよいよ建設というのが通常の流れでございます。自分の土地になるであろう土地は、それぞれもう既に確定をしているんですね。先ほどの藤浜団地もそうですけれども、住宅の建設に入るのは春以降になるということでありました。平時ではない対応を考えられたいと思います。

 国交政務官に、おいでですけれども、いかがでしょうか。

坂井大臣政務官 現地の事情を鑑みながら、その場その場、地元自治体や、また、さまざまな関係箇所と御相談をしながら、しっかり対応していきたいと思っております。

郡委員 実際、難しいというふうなことを聞かせていただきまして、やはりここは超法規的な対応が必要なんじゃないだろうか、そういうこともぜひ検討いただきたいというふうに思うんです。

 根本大臣、復興庁は復興の司令塔でございまして、強力なリーダーシップを図っていただきたい。何よりもスピード感だとおっしゃっているのですから、この点について、いかがでしょう。

根本国務大臣 東日本大震災、これは住宅再建、まちづくり、確かに時間はかかります。私がたびたび申し上げておりますが、復興のステージが上がるにつれて、また新たな課題が出てまいります。きょうの郡委員の御指摘はまさにその点だと思います。防災集団移転事業あるいは用地取得の迅速化をやってまいりました。そして、いよいよ用地が供給されるというところで出てきたのが今の御指摘の話だと思います。

 我々、住宅再建・まちづくりタスクフォースというのを、関係省庁の局長を集めて、私がみずから入って議論してきました。何でそういう受け皿をつくったか。これは司令塔機能強化のためであります。例えば法務省は、財産管理制度、通常半年かかるとされていたものを三週間に短縮できる、あるいは裁判所の書記官を二十五名増員していただく、一生懸命やっていただきました。

 必要なのは、具体的な課題、問題が出てきたときに、具体的に動かすということが必要ですから、私も、この問題、非常に、そういう問題があるという御指摘でありましたので、早速事実を確認し、うちの政務もいますから、政務も派遣しながら、事実関係を確認して、具体的にどのような迅速化策があり得るか、関係省庁と一緒に取り組んでいきたいと思います。

郡委員 ぜひよろしくお願いします。

 この時間の短縮は、土地問題に係る人材の供給ももちろんですけれども、かさ上げの土の土量も不足しておりまして、土量調整会議も行われていて、一定の効果を上げているのも承知しておりますけれども、ストックヤードとなる用地の不足、これも時間のかかる要因の一つになっております。このストックヤードの整備、管理に関する経費、それから、運搬などで道路が損傷します、これに対する経費などなど、復興交付金事業として採択をお願いしたいという要請も受けておりますので、これも御検討いただきたいと思います。

 副大臣にも御質問するつもりでしたけれども、時間の都合上、ここは割愛させていただきまして、交付金の適用期間が二十七年度までになっていることで、これを、ぜひ、そんじょそこらじゃ終わらない、必要な期間というふうにするようにお願いをしたい、そういう要請が多いんですけれども、これについてお答えいただきたいと思います。

谷副大臣 郡委員御指摘のように、今、復興基本方針では、復興期間が十年間、そして、当初の五年間を、平成二十七年度末までを集中復興期間と位置づけて施策を進めているわけであります。それを、交付金を二十七年度以降も延ばしてほしいという要望は確かにたくさんいただいております。

 我々といたしましては、当面は、集中復興期間、それでも五年でございますので、それに全力を挙げる。それで、集中復興期間後の平成二十八年度以降の復興事業につきましては、住まいとまちづくりの復興の進捗状況、そういったものを十分踏まえて、そして財源も含めて、今後、支援のあり方について検討を行っていくことになろうかと思います。

郡委員 ありがとうございます。

 ちょっと話題をかえます。

 復興庁は、昨年の十一月、住宅再建・復興まちづくりとそれから産業・なりわいの再生の両輪に加えて、三本目の柱として、健康・生活支援を加えられました。

 東日本大震災は、被災地域がとても広い上に、津波、原子力災害という複合災害で、復興への道筋はまだ長く続きます。被災者の健康面を中心とした影響、また、災害公営住宅などへ入居した被災者においても、そこでの生活の定着にはさまざまな不自由が懸念されるわけでして、大臣の十二月十三日の会見でも、健康・生活に関する施策パッケージとして、特に重点的に検討した五項目を挙げられておりました。心強く思いました。

 仮設住宅入居者等の避難者に対する健康支援、子供に対する支援の強化、医療、介護人材の確保、恒久住宅の整備と仮設住宅などからの移転に伴う課題への対応、市町村の業務負担に対する支援の強化、この五つの項目です。

 現在、仮設住宅では、御承知のように、見守りシステムがつくられていて、拠点となる施設も、仮設住宅ごとに、その中につくられております。サポートする拠点施設を仮設団地の中でつくって、地元のさまざまな団体が、孤独死の防止活動、それから、お年寄りの見守り、介護、生活支援、交流促進などに当たっているわけで、とてもいい仕組みをつくったものだなというふうに思っているところですが、災害公営住宅にはこの仕組みが盛り込まれておりません。

 集会所はつくられる方向ですけれども、その集会所は、あくまで住民が集う場所です。それぞれ入居する人たちの情報を管理し、サポートできる、このような拠点をやはりつくるべきだと考えています。また、空き部屋が災害公営住宅の中にできるとすれば、その一室をサポート拠点として利用できるようにすることも考えてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

坂井大臣政務官 郡委員の御指摘は大変重要な点だと国交省も認識をいたしております。

 そして、災害公営住宅に移った際にも、災害公営住宅の中に設計段階で集会所、そして集会所は多少広くするなど工夫をしていただく、もしくは、集会所のほかに、このサポートのための拠点というスペースをつくるというような工夫をいただくことによって、同様の使い方ができるように整備することが可能でございます。

 また、その整備費用につきましても、復興交付金で支援するとともに、被災自治体に対しても、そういうことができるんだということを含めて、積極的に取り組むように周知を図ってまいりました。

 また、後段、空き部屋の活用につきましてでございますが、これも、本来入居すべき方の入居を妨げない、侵害をしないという条件がございますが、空き部屋をサービス拠点などへ活用することは可能でございます。そういう場所をつくって、あとは中身の、どういうサービスを提供するかということもございますので、地方自治体と厚生労働省と連携を図りながら、できる限りの支援を国交省もしていきたいと思っております。

郡委員 ありがとうございます。

 実は、その中身なんですけれども、仮設住宅の中にある見守りサービス、これは厚労省の予算でつくられているものです。厚労省としては、災害公営住宅でのこのサービスを継続していただけるのでしょうか。

赤石大臣政務官 郡委員にお答え申し上げます。

 私も生まれが青森県の出身で、ただ、私の青森県は、被害が幸いにして少なくて、災害住宅は六十七戸で、既にもう完成しておりますが、先生の出身の宮城県は、一万五千戸もの公営住宅をこれからつくるということで、まだ一千戸ぐらいしかできていないということで、これから高齢者の方が順次移転していくわけで、非常に重要な問題だというふうに厚生労働省としても認識しております。

 被災地における災害公営住宅が今後順次建設されてくる場合でありますけれども、高齢者の日常生活を支えるため、介護サービスの充実や地域での見守り体制の強化を図りつつ、地域包括支援センターが高齢者の相談窓口等の役割を果たし、必要に応じて支援につなげることが重要であるというふうに認識しております。この場合には、地域包括支援センターは、地域の実情に応じて、障害者や子育て中の方など、支援が必要な方の窓口にもなり得るものと思っております。

 これに加えまして、災害公営住宅の建設期間中も含めた支援としては、例えば、仮設住宅のサポート拠点による自治会や地域包括支援センターへの情報提供などの支援、さらに、地域支援事業を活用した介護予防等のための通いの場の充実、さらには、地域コミュニティ復興支援事業を活用して、地域のコミュニティーを再構築し、地域で孤立するおそれのある方への生活相談、交流の場、居場所づくり、見守り等の面的支援など、地域の実情に応じたさまざまな取り組みが可能となっております。

 国としては、引き続き、これらの事業等により災害公営住宅の高齢者等の支援を行っていきたいと考えております。

郡委員 ぜひ、平時の政策をつなぎ合わせるということではなくて、根本大臣には、仮設から恒久住宅への移転に伴う課題を柱に据えたわけですから、しっかりと司令塔の機能を果たしていただいて、この新しい災害公営住宅での見守りのシステムも恒久化できるようにしていただきたいというふうに思います。

 余り時間がなくなってまいりました。

 大臣が所信でも示されました被災者に対する健康・生活支援に関するタスクフォース、子供に関する支援も強化されるというふうに聞いていて、大変ありがたく思ったところです。

 私は、ことし元旦に届いた河北新報の記事で胸が痛みました。「「児童に震災影響」七割」「家計の苦しさ突出」との見出しでございました。河北新報社が宮城の沿岸小中学校にアンケートをとったもので、家に戻った子、戻る予定のある子、いつ戻れるかわからない子が学級内に混在している、経済力の差が出てきている、不登校になる生徒の増加が心配だ、経済的困窮によりDVや離婚の増加も遠因としてあるなど、自由記述にはさまざまな困難な状況が記されておりました。

 私も実際にお話を聞かせていただいたんですけれども、NPO団体で、被災地の子供支援を行っているキッズドアという団体がございます。きょうは資料をお配りしているんだと思いますけれども、塾に通えない子供たちにタダゼミなどを行っていて、実はフードバンクを利用した食料支援も行っております。

 このフードバンク、どういう仕組みかは、きょうお渡しした資料にございますけれども、包装が破れたり賞味期限が迫ったりして物流ルートからはじかれる食品、品質は確かなんだけれども、廃棄するのはもったいないということで、企業から無償で譲り受けて、食料の支援を必要とする団体や福祉施設に送っている活動で、この活動は、アメリカでは一九六〇年代にさかのぼりますけれども、日本ではまだ十年ほどです。法的な位置づけもございませんし、食品関連企業においての認知度も低いものでして、ここが問題になっているんじゃないだろうかと思います。

 食品を提供することを優遇する税制のメリットをつけたり、普及に向けて大きな支援が必要ではないかというふうに思うのですけれども、農水副大臣、おいでですので、時間が参りましたので、短目で結構ですので、御答弁願います。

秋葉委員長 江藤副大臣、簡潔にお願いします。

江藤副大臣 おっしゃるとおりだと思います。日本のフードロスは八百万トンほどあると言われておりますけれども、これは、企業で滞留している分が半分、冷蔵庫で半分。これを、必要としている人に有効に生かしていく、こういう税制上の措置もあります。しかし、NPO法人として自治体から認定されることが必要となっておりますので、いろいろな手続も見直して、もっと日本でも推進できるように努力してまいりたいと思います。

郡委員 よろしくお願い申し上げます。

 貧困の連鎖を断ち切っていくということが重要だと思います。

 きょうは西川文科副大臣にもおいでいただいたんですけれども、あのとき小学校六年生の卒業を終えた子供たちは、中学校を卒業いたします。中学校の卒業式当日にあの震災を受けた子供たちは、ことし高校を卒業いたします。子供たちの間で貧困の格差が広がっているという大きな心配もございます。

 被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金、これもぜひ延長を願いたいと思いますので、御要請だけで大変申しわけありませんが、終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。本日はよろしくお願いいたします。

 ソチの冬のオリンピックが終わりましたけれども、私もずっと野球をやってきて、スポーツは大好きであります。冬のオリンピックといえば、九八年の長野オリンピックを思い出すわけですけれども、そのときに子供だった方が今選手となって、今回のオリンピックでも大活躍されて、中にはメダルをとった方もいらっしゃるということで、このように、やはり、オリンピックはスポーツの祭典ですけれども、世界からそうしたトップの方が集まって、そして子供たちに刺激を与える、こういうことは非常に大事かな、スポーツだけではなくて、ほかの分野でもこういうことは必要かなと思っております。

 そこで、きょう取り上げたいのは、資料をお配りしておりますけれども、国際リニアコライダー計画についてです。

 この国際リニアコライダー計画、今お配りしたのは、私も議連のメンバーですけれども、国際リニアコライダーを日本に誘致しましょうということで建設推進議員連盟というのがありまして、そこで昨年の夏にまとめたレポートの要約版でございます。

 ちょっと解説しますと、そもそも国際リニアコライダー、ILCとは何かということなんですが、全長三十キロメートル超の地下トンネルに設置された超電導加速器によって電子と陽電子を光速近くまで加速し、これらを衝突させることで宇宙の誕生の謎に迫る。このような研究施設に、世界約五十カ国から研究者二千名以上が協力して設計、開発に取り組んできて、その成果がまとめられたのが一昨年の暮れでございます。

 建設費が八千三百億ということで巨額な費用がかかりますけれども、もしこれが日本にできると、二〇二八年ぐらいに、まさにスポーツの祭典ならぬ頭脳の祭典という国際リニアコライダーが日本に生まれ、そして、この国際リニアコライダーがいわばメーン施設となって、その周辺には国際研究都市が生まれて、地域の活性化にもつながるということであります。

 ちなみに、国際リニアコライダーの前提となる、今研究されている施設がヨーロッパにあるわけでございますけれども、LHCというのがあります。ここができたことによって、この資料の真ん中あたりに書いてありますけれども、イギリスではLHCの効果で理工系に進学する割合がここ五年で二割増加したというようなことが言われております。理科離れを食いとめて、人材育成の特効薬となるというのは、日本のような物づくりの国にとっては非常に重要ではないか。

 その下に、日本生産性本部の試算というのが書いてありますけれども、ILC建設で誘発されるイノベーション効果は三十年間で約四十五兆円ということで、まさにこれこそ成長戦略のこれからの中心となるべき話でもあるのではないかと思っています。

 昨年の八月に、この国際リニアコライダーについて、国内の研究者の中の議論で、適地としては岩手の北上山地というのが挙がったわけでございますけれども、場所は今の段階ではともかくとして、とにかくこれを日本に誘致するということについて、政府として積極的に取り組んでいくべきではないかと思っております。

 そこで質問でございますけれども、先ほども申し上げました、巨額な経費がかかるために、日本だけでは到底賄い切れない、国際的な支援、協力が必要だと考えております。そこで、国際的な協力を得るための取り組みについて今どのようなことをされているかということを、文科副大臣、お越しいただいていますので、お願いいたします。

西川副大臣 御質問ありがとうございます。

 階先生が御指摘のように、このリニアコライダーの計画は、まさに宇宙創成の謎を解く壮大な計画でございますので、日本にとっても本当に、かなり、日本はその前段階のCERNを決める段階において、大型加速器をつくるときの技術、こういうものにも大いに貢献しておりますし、ノーベル賞の物理学賞も六名輩出している。そういう意味で、日本が手を挙げることの必然性というか、それはすごく、かなり大きいものがあると思うんですね。先生がおっしゃったように、さまざまな効用もあるわけです。

 ただし、本当にこれは大きな、一兆円近くのお金がかかるということで、かなりこの計画を、本当にではどうするんだということは、非常に慎重に討議しなければいけない問題だと思っております。

 現在、我が国の科学技術・学術コミュニティー全体の議論、このことを踏まえまして、そして、米国、欧州における大型実験計画などの国際的動向、これを非常に重視しながら、いわば意見交換というんでしょうか、これが非常に機密性を要するというんでしょうか、本当に実効的な情報というのはなかなかお互いに本音は言わないようなところがありまして、大変厳しい、情報を得るというところもあるわけですけれども、そういう中で、日本は、今回、平成二十六年度予算案において、調査検討費として五千万円を計上いたしまして、そして調査検討をさらに進めていく、集中的にこの二、三年やっていくという方向を出しております。

 この計画に関心を持つ国あるいは機関、これはCERNを前提としていますけれども、こういう問題の計画の科学的意義や諸課題を議論し、今回、この計画の実施の可否判断に必要となる情報を得ることが最大の重要課題だと思っております。

 特に、素粒子物理学で実績のある米国、欧州との間で情報交換を綿密にやっているところでございまして、下村大臣も、モニッツ米国DOE長官との会談でその問題について話し合ったり、いろいろなことを現在しておりますが、非常に、国際的な経費分担、日本がどのくらい分担、本当にみんながこの費用をある程度平等というか、そういう費用を分担するのかとか、そういうところがまだかなり不明でございますので、きちんとそういうことを、費用の問題も含めて、そして地質の問題、その他いろいろなことも含めまして、この二、三年、集中的に、慎重に対応してまいりたいと思います。

階委員 どのような国際的な活動をされているのかということをお聞きしたかったんですけれども、具体的に、何か今取り組んでいらっしゃることはお答えになれませんでしょうか。

西川副大臣 今申し上げましたように、大臣が米国のDOE長官と意見交換をした、あるいは、二月十三日に土屋文科審議官が、欧州委員会のスミッツ総局長、ホイヤーCERN所長との間で現在の各極の状況について情報交換を行う、あるいは意見交換を共有しているというところでございます。

階委員 ぜひ、これからも国際的な政府間の協力関係の構築のために御尽力いただければと思っております。

 復興の関係でいうと、この国際リニアコライダーのようなものができるというのは、まさに新しい東北の扉を開くものだと考えておりますので、復興大臣についても、ぜひ御関心を持って、この動向については前向きな御意見を賜れればと、今は答弁を求めませんけれども、今後よろしくお願いいたします。

 話題をかえまして、東北地方に医学部の設置を認可するという基本方針が、昨年の暮れに、これも文科省を中心に出されたということであります。

 東北地方は、御案内のとおり、医師が足りない傾向にあるということなんですが、そもそも医師が足りない東北に医学部を新設するということは、そこでまた教員などで多くの医師が必要になるわけです。専任教員、附属病院の専属医師ということで、少なくとも三百人が必要だと言われておりますけれども、そういう三百人を医学部新設によって集めることによって、そもそもお医者さんの少ない東北地方の地域医療への影響というのはどんなものなのかということが懸念されております。

 これは、この方針が出された後に私も地元の医師会の方とかからもお聞きしていることなので、この方針が出された後もそういう意見があるという前提で、文科省としてどのようにお考えになっているかということをお答えいただけますか。

西川副大臣 東北に新たに医科大学をということは、宮城の知事その他、その地域の市長会での陳情からそもそも始まったことでございまして、ある意味では、医療分野における貢献度ということもプラスですが、東北復興の一つの大きな象徴にしたいという、そんな思いもあってのことで、それに文科省としても対応していこうということでございます。

 その中で、先生が今御指摘されました、他の医療機関への、地域への医師不足の影響、この影響に対する懸念というものは、十分文科省も持っております。

 そして、この点を踏まえまして、厚生労働省、復興庁と連携をいたしまして、東北地方における医学部設置認可に関する基本方針というものを決めさせていただきました。「教員や医師、看護師の確保に際し引き抜き等で地域医療に支障を来さないような方策を講じること」これを第一の留意点ということで明示しております。

 さらに具体的に、例えば、ではどうすればいいのかということでは、「広く全国から公募を行うこと、既存の大学や医療機関、地方公共団体等との提携により計画的な人材確保を行うこと、特に人材が不足している地域や診療科の医師の採用には十分配慮すること」。

 これらの留意点に十分配慮がなされるように、設置認可審査の前に、実は新設構想というものを受け付けまして、地域医療への影響について十分配慮されているかどうか、その辺をしっかり審査した上での設置認可を行う、そういうことを一つの共通認識として今持っております。

 文科省としては、特に今の、これは厚生労働省の分野でもありますけれども、全国の医師の偏在の問題や、西日本に比べてやはり東北は医師が不足している、そういう現状も踏まえまして、十分に懸念の声に配慮しながら対応してまいりたい。

 これは、はっきり言って、まだ決まったわけでもございませんので、しっかりと皆様の、地元の声、そしてそういう配慮、そういう懸念を払拭する方向で検討してまいりたいと思っております。

階委員 確認ですが、今、最後の方で、決まったわけではないというのは、一校必ず設置するということが決まっているわけではないという理解でよろしいですか。

西川副大臣 もちろん、方針は決まっております。ただし、どこにとか、いろいろな、きちんとした、どこの大学とか、そういうことが現実にまだ決まっているわけではないということでございます。

階委員 つくることはつくられるということですよね。

 そこで、やはり、医学部を新設する上で、既存の医学部の定員増加ではなぜだめなのかという疑問があるわけですね。

 というのは、仮に、これから医師の需要が右肩上がりでどんどんふえていくというのなら医学部を新設するというのもすとんと落ちるんですけれども、実際には、人口減少がこれから進んでくるのと、特に東北地方は、この間、増田元岩手県知事も論文で書いておりましたけれども、特に地方では、人口減少のステージがもう先に進んでいて、高齢者もどんどん減ってきている段階になってきているということなんですね。

 ですから、今は医療の需要が高いかもしれませんけれども、この先、果たして、医療の需要がどうなのか、それから医師の需要がどうなのかということは慎重に検討した上でないと、私は軽々に医学部新設ということは言えないのではないかと思っています。

 そこで、文科省として、今後の東北地方の医師需給について詳細な検討を行ったのか。もし検討を行ったのであれば、その概要を教えていただけますか。

西川副大臣 東北地方の、もちろん全国も含めて、医師の需給関係に関しての調査検討は、主に厚生労働省の方で行っております。

 文科省としては、この厚生労働省の随時に行われた医師の需給推計等を踏まえた、そして、その上で政府の方針に従って対応するというのが文科省の立場でございますので、この辺の、東北地方に限定した医師需給というのはやっておりませんが、厚労省の全国調査の結果を踏まえて、文科省がそれに対応するということでございます。

 震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足、原子力事故からの再生といったさまざまな要因がありますので、そういうことを踏まえた中で適切に対応していきたい、そう思っております。

階委員 この件については、私自身は、一時的な医師不足ということを見込むのであれば、むしろ、新設する医学部というものは、特段特殊な教育を行うのではない限り、既存の医学部の臨時の定員の増加でも足りるのではないかと思っていますので、ぜひ、医学部をつくられるのであれば、具体的な、詳細な今後の医師の需要と、あるいは医師の配置の見込みなどもちゃんと示していただかないと、私は、国民全体の理解、特に東北地方の医師の少ない地域の理解というのは得られないのではないかと思いますので、その点はよろしくお願いいたします。

 ここで、質問を終わりますので、西川副大臣、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 さて、復興のメーンテーマであります被災地の用地取得について、きょうも、移らせていただきたいと思います。

 二月十八日の予算委員会でも復興大臣に御質問しましたけれども、その際に、大臣の方から、「所有者不明ならば、不明裁決というのは、私は多分早いんだろうと思う」という御答弁をいただきました。

 私は、その不明裁決というものについても勉強させていただきましたけれども、三つぐらいボトルネックがあるのではないかということで、きょう持ってきました資料の二枚目をごらんになってください。

 三つネックがあると申しましたけれども、左側に手続の流れを書いております。収用委員会の裁決手続ということで、二つ目の箱に裁決の申請というのがあります。これは、起業者、自治体側が収用委員会に対して申請をするわけですが、その際、不明裁決を申請する場合には、起業者が過失なくして知ることができない土地所有者等については申請書類に記載不要ということでございまして、今この資料の右側の方を読んでおりますけれども、要するに、過失なくして知ることができなければ記載が不要ですから、過失があるかどうかというところが気になるところでございます。

 そこで、私は、この問題については、岩手県の用地取得の特例要望もこの点に大きくかかわっていると思っていまして、不明裁決を申請する際に要求される作業の内容、すなわち、過失を免れる作業の内容というものを明らかにする必要があるのではないかと思っています。例えば、権利者の調査について、通常は住民票、戸籍、不動産登記簿などで書面上の調査を行うわけですけれども、これだけでは不十分なのか、不十分だとすれば、ほかにどのような作業をする必要があるのかということを明らかにしなくてはいけないと思っております。

 これは国交副大臣の方から、今の点について、どのような作業が求められるのか、教えていただけますか。

野上副大臣 お答え申し上げます。

 起業者が収用委員会の裁決申請を行う際には、まず、今お話にございましたとおり、登記簿、さらには戸籍、住民票等によりまして、権利者の氏名や住所を調査することが必要になります。このような調査によっても権利者を特定できない場合には、例えば親戚ですとか近隣住民等からの聞き取り、寺院からの聞き取りなどによって権利者の調査を行うことがあります。

 しかしながら、それらの調査についてどの程度の労力と時間をかけることが求められるかという点につきましては、これは調査人員と時間を勘案して合理的な範囲内で行えば足りると考えておりまして、その上で不明者を確知し得ない場合には、収用委員会は不明裁決をすることになります。

 例えば、釜石市の防潮堤事業での四十一名の共有地におきましては、国交省としては、他県での同様の事案での裁決事例を情報提供しまして、起業者が収用委員会事務局と具体的な協議を行いながら、相続している可能性のある者に対し郵送によって権利関係を確認するなど、合理的と考えられる調査により裁決申請ができるように支援を行ってきたところであります。

 今後とも、他の案件においても、起業者が円滑に裁決手続を進めることができるように、具体的な相談にきめ細かく対応してまいりたいというふうに思っております。

階委員 権利調査については合理的な範囲でという話でしたけれども、そこがちょっと現場としては迷うところであります。

 また、権利調査の結果、複数の権利者とおぼしき人がいることが判明したという場合に、当事者が多数で、かつ分散しているという事情があった場合に、当事者間の権利調整が著しく困難だと外形的に判断できるのではないかと思っています。こうした場合はどの程度の作業をすれば先ほどの不明裁決の申請というのはできるのか、この点についても御見解をお願いします。

野上副大臣 今お話ありましたとおり、収用委員会に裁決の申請をする際には、申請書の添付書類に土地所有者等の氏名を記載することが必要となります。しかしながら、当事者間で権利の存否ですとか帰属をめぐって争いがある場合には、土地所有者が確定できないため、氏名を記載することができないこととなります。

 このため、土地収用法では、起業者が過失なくして知ることができない土地所有者等の氏名については記載する必要がなく、不明裁決の申請を可能としております。この場合、起業者が当事者間の権利調整をする必要はなく、例えば遺産分割協議がまとまらないなど、権利の存否や帰属が確定しない旨の資料を添付して不明裁決を申請することとなります。

階委員 今、口頭でるる説明していただきましたけれども、今のような点について、不明裁決申請のガイドラインを策定すべきではないか。この点は、十二月三日のこの委員会で畑委員からも御指摘がありまして、太田大臣は、できるだけ個別事例の相談ということを迅速に対応できるよう努力ということなんですが、ケース・バイ・ケースの対応では、現場はやはりなかなか、せっかくの不明裁決という制度も使うのに二の足を踏んでしまうということで、ガイドラインをぜひつくっていただきたいなということ。

 それから、もう一つのネックとして、申請はしました、しかし、収用委員会が決定を出さないと進まないわけです。その収用委員会の方では、権利者を確知することができないときということが決定の要件になっています。その確知することができないときということを、余り厳密に判断の手続をしてしまうと、収用委員会の方でも審理に時間がかかってしまうということなので、収用委員会としては、先ほどのガイドラインがつくられるという前提で、そのガイドラインに沿った申請がなされていれば、ガイドラインに適合しているかどうかだけをチェックして、余り実体判断には入らないで速やかに不明裁決を出すというような運用にすべきではないかと思いますが、この点について、いかがでしょうか。

野上副大臣 土地収用手続におきましては、土地所有者を確知することができない場合について、土地所有者等不明のまま裁決手続を進めることが可能でありまして、これは各県の収用委員会の判断に基づいて、個別のケースごとに不明裁決の活用を図るということとされています。

 国土交通省といたしましては、被災地の起業者及び収用委員会に対しまして、所有者不明の場合の手続の進め方について、申請前にあらかじめ収用委員会事務局に相談することによって不明裁決の適切な活用が図られるように、昨年四月に通知を出したところであります。

 また、各県の収用委員会における取り組み事例を把握して、収用委員会間で情報共有を図ってきているところであります。

 そういう中で、今御指摘ありましたとおり、不明裁決とするかどうかは、具体の事業をめぐる個々の事情を踏まえて判断するものではありますが、今後の事案の参考となるように、委員の御指摘も踏まえまして、これまでの不明裁決事例をカテゴリー別に分けまして、所有者不明ですとか、あるいは相続手続未了など、不明裁決とした事情ごとにわかりやすく整理をして起業者や収用委員会事務局等の関係者にお示しすることについて、これは前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。

階委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、ここで質問を終わりますけれども、先ほどの資料の二枚目を見ていただきたいんです。

 今、二つほどネックの点を指摘しましたけれども、もう一つのネックは、審理のところで時間がかかってしまうというところで、私は、緊急使用という仕組みを活用すればこの点は解消できるのではないかと。

 すなわち、不明裁決の申請がなされて、審理が行われる際に、一回目の審理で権利者があらわれてきたら丁寧な審理をすべきだと思いますが、一回目であらわれなければ、もうそこで緊急使用をしても、事案は早く解決するだろうということで緊急使用に持っていくような運用をすべきではないかということを提言申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

秋葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。三木圭恵君。

三木委員 日本維新の会の三木圭恵でございます。

 東日本震災が起きてから間もなく三年となるわけでございますが、汚染水や健康問題、除染、農産物の残留線量など、深刻の度合いは増していると思われております。

 福島第一原発の事故については、常にチェルノブイリの事故との比較で論じられることが多いのですが、まず、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がん等の発症の経過と規模、発症数、死亡者数並びに事故と疾病の因果関係について、政府として把握している内容と所見についてお伺いいたします。

塚原政府参考人 お答えします。

 チェルノブイリ原発事故に伴います放射線の健康影響に関し、国際的にコンセンサスのあるものとしましては、原子放射線の影響に関する国連科学委員会の二〇〇八年報告書が挙げられます。

 この報告書によりますと、チェルノブイリ原発事故におきましては、事故時十八歳未満の子供では、事故後四ないし五年後から甲状腺がんがふえ始め、二〇〇五年までに、約六千八百例の甲状腺がんが見られ、その中で十五名が死亡しているということが報告されております。因果関係につきましては、この六千八百例の甲状腺がんの発症につきまして、その多くは、沃素131による牛乳の汚染に対する迅速な対応策が欠如していたため住民の甲状腺に大量の内部被曝を与えたことによるものとされております。

 以上です。

三木委員 衆議院議院運営委員会の理事会メンバーを中心とする超党派の衆議院チェルノブイリ原子力発電所事故等調査議員団が平成二十三年十月に実施した現地調査の報告書によると、「チェルノブイリ事故による健康被害に関しては、曖昧な試算しか出されておらず、現在も論争となっている。唯一、議論の余地のない事実は、事故処理作業員、子ども、妊婦が最も影響を受けているということである。」というふうに報告をされております。また、「ほぼ統一見解とされているのは、ベラルーシ、ウクライナ、ロシア南西部の子どもおよび大人の甲状腺ガンと内分泌系の病気が、事故後数日の広範囲に渡る放射性ヨウ素131」、今御答弁いただいたところだと思うんですけれども、「を起因として、劇的に増加したことである。」との報告がなされております。

 しかし、福島についての政府等のこれまでの見解は、チェルノブイリほどの健康被害は発生しないということが繰り返し述べられておりますけれども、その根拠についてお伺いいたします。簡潔にお願いをいたします。

塚原政府参考人 お答えします。

 国連委員会の二〇〇八年の報告書によりますと、チェルノブイリ原発事故において、放射線被曝に起因する住民の健康影響としては、小児甲状腺がん以外には確認されるものはないとされております。

 福島県におきましては、県民健康管理調査としまして、被曝線量の把握や、事故時に十八歳以下であった方を対象とした甲状腺超音波検査などを実施しております。また、子供や妊婦を対象としたホール・ボディー・カウンター検査による内部被曝検査も実施をされております。

 具体的に申しますと、外部被曝を推計します基本調査におきましては、全県民を対象として、行動記録をもとに、震災後四カ月間におきます外部被曝線量の推計を行っております。これまで全県民二百六万人のうち約四十六万人の推計が終了しておりまして、このうち九九%以上の方が十ミリシーベルト未満であったというふうに報告をされております。

 また、内部被曝の方ですと、ホール・ボディー・カウンター検査につきましては、これまで約十八万人が検査を受けまして、約九九・九%の方は一ミリシーベルト未満と、相当低い結果が得られております。

 いずれの結果も、放射線による健康影響があるとは考えにくい値とされておりまして、国際的な評価も同様でございます。

三木委員 先月の二月七日、福島県県民健康管理調査の検討委員会が発表した最新の調査結果によると、当時十八歳以下だった子供を対象に実施している甲状腺検査で、三十三人が甲状腺がんと確定したことがわかったと。甲状腺がんが確定した子供の数は、前回、昨年十一月の二十六人から七人ふえて三十三人になって、がんの疑いも、前回の三十二人から九人増加して四十一人になったとのことでございます。

 三十三人が甲状腺がんと確定しており、平時の発症率に比して大き過ぎるという識者の意見が多々ありますけれども、これに関する見解はいかがでしょうか。

塚原政府参考人 福島県の健康管理調査では、事故時十八歳以下の全県民を対象に超音波によります甲状腺検査が実施されております。

 去る二月七日に開催をされました第十四回県民健康管理調査検討委員会におきまして、甲状腺がんと診断された方がこれまで三十三名であるという報告がされております。

 検討委員会の専門家は、こういった理由といたしまして、今回のように精度の高い検査を無症状の子供に実施した例がほかではないこと、それから、最新の機器を用いて熟練した医師、技師により丁寧な検査が行われていることから、早期の小さながんがこれまで知られている発生率以上の割合で確認された可能性があると分析をしております。また、国際的にも同様な評価でございます。

 実際、数は少のうございますが、過去の例で、大学生や高校生を対象に甲状腺の検査を実施した例が報告されておりますが、甲状腺がんが発生する頻度は、同じような頻度であるという報告もございます。

三木委員 今、るる御説明をいただいたんですけれども、小児甲状腺がんの発症率というのは、私もいろいろ調べてみたんですけれども、百万人に何人が発症するかというのはいろいろな意見があって、百万人に一人から二人という意見もあれば、一人から十七人だという意見もいろいろあって、学術的にこうだと、はっきりと百万人に何人がというのはもう言えない問題だと思うんですけれども、総人口が約二百万人の福島県内で、二十五万人ぐらいの子供たちに検査をして三十三人もがんが見つかったというのは、私はこれはちょっと多いんじゃないかなと思うんですけれども、百万人に一人から二人程度が、二十五万人検査して三十三人、これは本当に多くないんでしょうか。

塚原政府参考人 お答えします。

 百万人、十万人当たり非常に少ないというような御発言が今ございましたけれども、一般的に言われておりますのは、本人さんが何らかの症状を感じて医院を受診して、その結果、甲状腺がんだというふうに診断された方の頻度でございまして、無症状で最初から超音波検査という非常に精密な検査を全員にやるような検査で出てくる頻度と単純に比較はできないということを申し上げたいと思います。

 それから、甲状腺の異常所見がどのぐらいの頻度で、同じようなことをやると起こるのか、発見されるのかということは、数は四千人ぐらいの数字になるんですけれども、青森、それから山梨、長崎において同じような方法で検査をしましたところ、嚢胞ですとか、それからしこりの見つかるお子さんの割合は福島とほとんど変わりがないということもわかっておりますので、繰り返しになりますが、従来言われている頻度というのは、お医者さんを受診して診断をされたという方でございますので、全員に対して精密な検査を最初からするというようなことで見つかった頻度とは違うんだということは御理解いただきたいと思います。

三木委員 おっしゃっている意味はすごくわかるんですけれども、積極的に検査をした、だからほかのデータと比べることはできないんだというのはわかります。だけれども、何で積極的に検査しなくちゃいけなかったんですか。原発の事故があったからでしょう。違いますか。原発の事故があったから積極的に調べなくちゃいけなかったんですよ。それで、積極的に調べた結果、二十五万人に三十三人の子供たちのがんが見つかった、私はそういうことだというふうに理解しているんですね。それで、その三十三人は放射線の影響が全く考えられないと。それは何でかといったら、積極的に検査したからだと。これって、パラドックスに陥っていませんか。

塚原政府参考人 先ほども少し簡単に申し上げましたけれども、事例は少のうございますけれども、同じぐらいの年代の方を調べた、無症状の方に検診をするというような形で調査をした結果、大学生でありますとか高校生という非常に若い人の調査結果がございますけれども、そこで示されている、出てくる頻度というものは、今回、福島県の十八歳以下の方を対象とした検査結果による頻度と同様の結果でございますので、多いんだという識者はおりますけれども、それが本当に多いのかというのは、いろいろまだこれから議論があるところだと思います。

 それから、なぜ福島県において甲状腺検査が始まったかといいますと、私の理解するところでは、発災直後は、今申し上げましたような外部被曝の推計もできておりませんし、ホール・ボディー・カウンターの検査結果も非常に少ないということがわかっていない状況で、福島県の知事さんとそれから国の方でいろいろ相談をして今の県民健康管理調査の中身が決まって、発災三カ月か四カ月ぐらい後だったと思いますけれども、その状況、わかる状況の範囲で判断をして実施したということでございますので、今になって、いろいろな検査結果、あるいはホールボディー検査の結果が出てからの状況とは違う、そういうデータが、はっきりしたことがない段階での関係者の議論の結果と専門家の議論の結果も踏まえて実施することが適当だろうということでスタートしたというように承知をしています。

三木委員 いろいろとおっしゃられても、福島で原発事故があったから、皆さんの不安があるから、やはり知事さんとも相談してこういう検査を始めたんだということは変わらないと私は思うんですね。

 いろいろおっしゃいましたけれども、高校生以下の子供たちに、A、A1、A2、そしてB、Cという検査結果判定を一次検査でやって、二次検査では尿検査とか血液検査とかも含めて総合的に見てやっていくということだとは思うんですけれども、まず子供たちが事故当時どれぐらい外部被曝をしたのかということの調査はしているとはいっても、それの調査結果は多分半分も回答が得られていないと思うんですよ。だから、それの結果を見て、外部線量が一ミリシーベルトとか二ミリシーベルトとか、軽いものだというふうに断定はできないと私は思います。

 放射線の影響が考えられないということを、福島県立の医大とかはずっとそういうふうに見解を出しているわけでございますけれども、これはもう新聞とかにも載っておりますので、これは政府としても同一の見解なんでしょうか。復興大臣にお伺いいたします。

根本国務大臣 今、放射線量の健康影響、今までのさまざまな調査の結果も明らかになってまいりました。その点についてのお話は、今環境省の部長から答弁したとおりであります。

三木委員 では、国の見解も、三十三人、高校生以下の子供たちにがんが見つかったけれども、放射線の影響は考えにくいというふうな見解でよろしいんでしょうか。もう一度、確認だけ。

塚原政府参考人 今まで得られている各種のデータ、あるいは内外の専門家の意見、あるいは国際機関の報告書等々を鑑みますと、考えにくいという結論になるのではないかというふうに考えております。

三木委員 これに関する御意見が親御さんからいろいろ寄せられているのは、皆さん、政府の方はいろいろ調べて、いろいろな国民の皆さんの意見を聞いて御存じだとは思うんです。

 このエコーの検査、十数秒で終わってしまう検査だと。ほかの病院で調べたら、自分の子供はA2だったけれども、ほかの病院でセカンドオピニオンをとったらBに上がったというような方もいらっしゃいますし、例えば、自分の子供がB判定をされて、その後二次検査を受けるまでの間に半年以上あって、自分の子供ががんなのか、そうじゃないのかという心配をしながら半年間過ごして、結局違う病院で先に受けて、がんじゃなかった、ほっとしたというような御意見もありますし、そういった御意見もいろいろあるんですよね。

 国として原子力政策というのを推し進めてきたというのは事実だと思うんですよ。学術的に根拠が確定できないからといって、今福島県で子供たちが三十三人がんだといって確定されたということと原発の影響は関係ないということを、今この場で本当にそこまで言い切ってしまって大丈夫なんですかね。それは、私は時期尚早だというふうに思うんですね。

 チェルノブイリでは四年から五年後に発症してきた、だから、今三年目だから、今発症している人たちはまだ発症が早過ぎるから影響ないんだというような御意見とかもいろいろ言われているようだけれども、私は本当にこの先、四年先、五年先になってきたときに、この三十三人がもっともっとふえてきたらどうしようと思いますよ。

 そういうことに対する懸念とか、あわせて、国の政策として、そういうお子さんたちに手を差し伸べようとか、そういう所見とか御意見とかというのは政府の中ではないんでしょうか。

浮島大臣政務官 三木委員にお答えさせていただきます。

 今ございましたB判定等々、いろいろ御意見いただいているところでございますけれども、健康調査を、どこで、どのような内容で、またどのような方に行うかということを検討するに当たりましては、医学的な専門家の御意見を十分に尊重することが何よりも重要であると考えております。

 その中で、福島県におきまして実施している健康管理調査の内容については、原子放射線の影響に関する国連科学委員会の二〇〇八年の報告など、医学的専門家のコンセンサスとなっているさまざまな蓄積に基づきまして、地元の医師や専門家による会議が行われ、頻度も含めまして、必要と判断された健康調査が行われていると承知をいたしているところでございます。

 今御指摘のありました、B判定等ありましたけれども、この甲状腺検査につきましては、一巡目の甲状腺検査を計画どおり二十五年度内に終了いたしまして、二十六、二十七年度、二年間で二巡目を実施させていただき、それ以降、二十までは二年に一度、それ以降は五年に一度実施する予定とされていますけれども、二次検査が必要とされるB判定、またC判定の方に対しましては、これからも二年を待たずに医師による精密検査が行われまして、医学的な判断に応じ、適切な治療や適切な間隔での経過観察が行われるということでございます。

三木委員 今、B判定、C判定に関しては、Cだともうがんだということだと思うので、すぐに手術なりなんなり、そういったことをしていかなければならない。違いますか、Cはかなり疑いが強いということですか。

 Bでも二年を待たずに再検査をしていくという御答弁だったと思うんですけれども、二年を待たずにというのは、どういう期間で、どういうサイクルで再検査されるんでしょうか。

浮島大臣政務官 今も御答弁させていただきましたけれども、医学的な判断に応じまして、必要とされた場合にはしっかりと適切に対処してまいりたいと思っております。

三木委員 ちょっと今の御答弁ではわからなかったんですけれども、やはりB判定と判定されたお子さん方をお持ちの親御さんは、二年を待つというのは非常に不安であると思いますので、そこはもう少し短い期間で、適切な期間で再検査などをぜひやっていただきたいなというふうに思っております。

 私は、やはり常々、自分が子供を持って育ててきた母親の立場から、いつもいろいろなことを感じたりして、政治家としてもやってきたわけでございますけれども、この福島の原発の事故に関していつも思うことは、被災者・子ども支援法の中でも、科学的に、原子力というか、放射能の健康被害との影響というのはまだまだ未解明な部分が多いから、被災者・子ども支援法とかもあって、福島県内の子供だけじゃなくて、県外の子供にも同様の検査をするべきだとの意見もたくさんあって、ただ、今回、被災者・子ども支援法の基本方針が定まって、それが福島県内にとどまってしまっていることは非常に残念だと思います。

 こういった、今、甲状腺がんが三十三人に見つかったということに対して、百万人に一人から十七人と言われる甲状腺がんが、二十五万人に三十三人の高い割合で見つかってきたということは、非常にお母さん方は心配なさっていることだと私は思うんです。事故当時に外で遊ばせてしまったからうちの子供がB判定になってしまったんじゃないかとか、一刻も早く避難させるべきだったのにその手当てがおくれてしまったとか、そういったことで御自分を責めていらっしゃるお母さん方も大変多くいらっしゃいますし、この被災者・子ども支援法の関係からも、福島県外にもこういった御希望があれば検査をしていくということは決まっていることだとは思うんですけれども。

 まず、三十三人のがんが発症されたお子さん方には本当に気の毒だというふうに感じておりますし、また、福島県の医療制度も、がんの手術に関しては自己負担だということで、大変苦労もされている方が多いというふうに聞いております。

 こういったことについて、影響は学術的には検証はされないかもしれないけれども、やはり全く関係がないとは言い切れない部分もあるんじゃないかなと私は考えておりますので、例えば手術費の助成であるとか、そういったことについて国として支援をしていくというお気持ちはございますでしょうか。

塚原政府参考人 今、医療費の支援というようなお話がございましたけれども、これにつきましては、現在、環境省の中で、子ども・被災者支援法に基づきます健康管理に関する部分が十三条で決まっておりますけれども、その施策を具体化していくための議論を、今、専門家の皆さん、委員会ということでお集まりいただいて議論していただいております。そういった専門家の議論も踏まえて適切に対処していきたいというように考えております。

三木委員 それと、福島県の方からも医療費助成があるわけでございますけれども、県外に避難した子供たちには、住民票が福島県の中にあれば医療費は助成されるけれども、住民票をほかに移してしまえば医療費の助成は受けられないということなんですが、国として、そういった、マルチに、トータルで見て、やはり、福島県に住民票を置いている子供たちも、避難して県外に住民票を置いている子供たちも、一様に医療費の助成などが受けられるべきだというふうに私は考えますが、それは、福島県任せではなくて、国として対策を行うべきではないでしょうか。

秋葉委員長 質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。塚原部長。

塚原政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、現在、環境省の中で専門家における議論をしているところでございますので、その議論を踏まえて対処したいというように考えております。

三木委員 質疑時間が終了いたしましたのでこれで質問を終わりますけれども、私は、やはり三十三人見つかったということは、決して低くない、影響も、絶対に影響がないんだということは言えないと私は思っておりますので、今後の経過も見守りながら、国としては誠実な対応をしていただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

秋葉委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 日本維新の会の小熊慎司です。

 今、同僚の三木委員の、甲状腺の検査、私の子供も小学生が三人いますから、ある日、家に帰ったときに、甲状腺の検査の申込書が置いてあったときは、一瞬、えも言われぬ感情に襲われたのも事実であります。

 私は原発から遠く離れた会津ではありますけれども、全県の子供が対象ということでやっていますが、とりわけ浜通りの子供たち、相馬市の方でも、リスクコミュニケーションをしっかりして、女子中学生に放射線の授業を行った後でも、アンケートをとれば、結婚のときに何らかの不利益が出るんじゃないか、そういう答えをした生徒が四割に上ったという事例もあります。

 事実をしっかり積み上げていくことも重要でありながら、やはり心の部分にもしっかり立ち入っていかなければいけないというふうに思っています。

 そうしたさなかで、非常に複雑な県内の背景がある中で、今、汚染水の課題に対しては国が前面に立つということで対応しているわけでありますけれども、事あるごとに汚染水のトラブルが起きているということは、大変遺憾なことでもあります。

 あり得ないことが起きました、想定していませんでした、その言葉は、この震災以来三年ではなくて、この委員会でも何度も申し述べましたけれども、十年前の東電の事故隠し、データ改ざん、そのときから我々福島県民は、事あるごとに、新たな事実が出ました、想定をしていませんでした、今後気をつけます、そんなことの繰り返しなんですね。

 改善をされているところがあるんでしょうけれども、トラブルが続いていることで、本当に感情的にも解決をできないところまで行っているというふうに私は思います。それでも、さはさりながら、このトラブルのために、事故を克服するためにしっかりやっていかなければならないんです。

 今、汚染水の処理をしているところですが、トリチウムは除去ができないということでタンクにためています。今、四十万トン前後たまっているわけでありますけれども、計画では八十万トンまでというふうになっています。恐らく、今までの計算でいけば、ここ三年、四年ぐらいのところでこの八十万トンもいっぱいになってしまう。

 このトリチウムの扱いについて、政府でも、昨年、トリチウム水のタスクフォースをつくって検討に入って、今年度中に結論を出すということではありますけれども、まず初めに、このタスクフォースの取り組みについて御説明を求めます。

糟谷政府参考人 御指摘のように、多核種除去設備で汚染水を処理した後に残るトリチウム水の扱いが汚染水対策の最重要課題の一つでございます。

 セシウムについては随分理解は深まったけれども、トリチウムについてはよくわからないというようなことをいろいろな方に言われます。トリチウムの貯蔵、放出等のリスクについて、そうした共通の理解、認識が得られていない状況であるというふうに考えております。

 したがいまして、重要なことは、まず、これまでの科学的知見にリスク評価の視点も加味をいたしまして、トリチウムについての情報を整理、分析する必要があると考えております。

 去年十一月末に、IAEA、国際原子力機関の調査団が来日しましたが、その報告書の中でも、あらゆる選択肢を検証するべきという助言をいただいております。

 これを踏まえまして、トリチウムの分離技術に加えまして、大量のトリチウムの長期間の貯蔵ですとか放出をした場合のリスク、それから、環境への影響、費用対効果なども含めて総合的に評価を行うべく、汚染水処理対策委員会のもとにトリチウム水のタスクフォースを設置し、専門家による議論を昨年十二月二十五日から開始したところでございます。

 これまで計三回の会議を開催しておりまして、トリチウムの物性ですとか分離技術、貯蔵技術に関する情報、それから、評価項目や留意事項、トリチウムについての規制基準、トリチウムの環境動態や影響などについて専門的に検討を行っていただいております。

 さまざまな選択肢について、そのメリット、デメリットについて共通の理解を得ることは、合意を形成していく上での基盤だというふうに考えてございます。

 このタスクフォースで検討をする中で、今後、さまざまな選択肢を検討、提示をした上で、地元を初めとして国民の皆様方に、それぞれの選択肢の意義ですとか効果といったことをわかりやすく御説明するなど、必要な取り組みを行ってまいりたい、その上で、どういう取り扱いをするかということの決定につなげてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 これまで、本来であれば、汚染水からトリチウムを取り除く、そういった技術の検討もしてきたんですけれども、なかなか現実的な、今、現時点の技術ではできないということで、さまざまな選択肢、六つ、分離、タンク貯蔵、洋上貯蔵、地下貯蔵、大気放出、海洋放出、大ざっぱに六つぐらいだというふうに私は理解をしているんです。

 いずれにしても、住民との合意形成ということになれば、先ほどの三木議員の甲状腺の議論でもそうでしたけれども、やはり、科学的な議論と精神的な部分というのはまた少し変わってくるということであれば、なかなか今の状況で、まして、先ほど、前段に言ったとおり、トラブルが続いている中で、信頼が醸成されていないわけですよ。そういう中での受けとめ手の冷静な判断というのは、なかなか現実的には難しいということを考えれば、八十万トン、たまることはもう目に見えているわけですよ。となると、これは、しっかり時限を切って今後の工程表をつくっていかなければいけないと思うんです。

 この八十万トン、たまった後、またさらに何十万トンかためるタンクをつくりますという選択肢もありますけれども、そうした時間軸というのは意識していますか。

糟谷政府参考人 八十万トンのタンクをつくる計画を今持っております。

 といいますのは、それだけ持っていれば、それまでに、今、凍土遮水壁など地下水の流入をとめる対策を並行して講じておりますので、そういう対策の効果が出てくれば、汚染水の量に上限、歯どめがかかるということ、それを目指して対策を講じております。

 時間軸は当然意識をしながら、万一にもタンクが足りないということにはならないように常に気をつけながら、今の時点では八十万トンのタンクを速やかに建設していくということで、タンクが足りないという事態にならない、そこは確実に確保しながら進めてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 さまざまな専門家の提言を私も拝見しましたけれども、放出という選択肢を、これはちゃんとした手続とやり方というのは検討しなければいけないんですけれども、そういうことの提案をされていますが、この放出に関して、どんな方法でしっかりやるかというのを明らかにしなければなりません。大気放出、海洋放出、それも、濃度をどうするのか、どのぐらいの量でやっていくのか、希釈してやるのか、そういった部分も含めて詳細に詰めなければいけないというふうに思います。その放出の仕方によって、どのぐらいの年月がかかっていくのかということも想定していかなければいけないわけであります。

 あとは、実際、放出するということで決定はしていないということはわかっていますよ。しかし、放出という選択肢も、これは全ての選択肢を入れるということですから、入っているんですが、想定として、放出の場合、事故の起きたあのタンクの近くからそのまま出すという方法ももちろんあります、何らかの、基準に合わせて濃度を下げたり。

 一方で、違うところに持っていって放出するという選択肢も実はあるんですね。そこまで選択肢に入っていますか。つまり、船なんかに積んで福島県沖ではないところにやるという選択肢は含んでいますか。あくまでも、放出の場合は福島県というエリアだけですか。どうですか。

糟谷政府参考人 このタスクフォースでは、選択肢をどれか一つに絞り込むということは行いません。考えられる選択肢について、メリット、デメリット、それを行った場合のさまざまな影響等を整理いたします。

 先ほど六つとおっしゃいましたけれども、これも今、六つで決定しているものではございません。大気に蒸発をさせるということですとか、海に流すということですとか、それから地中に埋めるということですとか、さまざまな選択肢についての考え方がございます。

 現段階で、選択肢の範囲がここまでということをまだ確定もできておりませんが、今いただいた意見も含めて検討をしたいというふうに考えております。

小熊委員 済みません、私の質問の仕方が悪かったです。選択肢はいっぱいあるというのはわかっているんです。これでということじゃない。

 放出の場合に、どこで放出するかというのも、またこれは選択肢の一つに入れなきゃいけない。それは福島県沖以外というのも選択肢に入ってくるんですかということです。それを検討していますかということです。

糟谷政府参考人 これまで、トリチウムタスクフォースを三回開いた中では、そういう議論はまだありませんけれども、論理的には、どこで放出するかということも含めて選択肢の議論というのは行われる、そういうことになろうかと思っております。

小熊委員 そうなれば、地元の合意形成というのは、福島県だけでしゃべっていてもしようがない話になってくるんですね。そこも想定してやってください。福島県が前提ということでなく、今言ったんですから、選択肢の中で、どこで放出するかというのはいろいろな選択肢があると言いましたから。そうなると、本当に全国民を挙げて、これはしっかりとリスクコミュニケーションをとっていかなきゃいけないということです。

 これは多分、専門家も、現実的には放出というのを言っている人が本当に多いですよ。やる場合には、本当に理解を求めなければいけませんし、どこで放出するか、福島県沖なのか、それ以外なのかということも、しっかりとした理由づけが必要になってきます。

 あらゆる選択肢ということは、あらゆることを決めないということではなくて、あらゆる方策をしっかり詰めておいて、どれでもいけるということをやっておかなきゃいけないんですよ、受け手の側というか、住民合意に至っては。技術的なメリット、デメリットだけではなくて、どの場合でも住民合意が必要ですから。そういう意味では、放出の場合、福島県沖というのが普通想定されることなんですけれども、でも、実はそうではないんです、本当は。どこで放出するかというのは、それは運んでいけばどこでもできるんですから。

 と考えると、しっかりと合意形成に向けて、いろいろな選択肢の中ででも、とりわけどう合意をとっていくかということは重点的に対策をとっていくことを求めて、次の質問に移ります。

 昨日の予算委員会でもやった件なんですけれども、いわゆる指定廃棄物の中間貯蔵、これは福島県内に今、取り組んでいるところでありますけれども、きのうの質問の後も、何人かまだ、そんなものなのかなと思うんですけれども、使用済み燃料の最終処分場化という話も出たり。それとこれとは別なんですね。

 きのう、これまでもずっと言ってきた話ではあるんですが、決められないのであれば、もうこれは、県外なんということは、根本大臣も地元ですからおわかりのとおり、それは本当は理想は県外なんですけれども、県外に本当にできるのか。本当にできるなんて思っている人は今ほとんどいないですよ、福島県内で、誰としゃべっても。それは根本大臣も地元に帰ればわかるとおりだというふうに思います。

 それは、県外にできれば県外につくってもらったらいいんですが、中間貯蔵が恒久化されてしまう、政治が何も決めないということであれば、ますます不信感につながります。

 中間貯蔵みたいなものであれば、逆に、最終処分場みたいなものを、しっかりしたものを管理して、福島県内の原発事故の周辺地域はしっかりと利活用していこうという、利活用というのは、そこの土地にどうするかというんじゃなくて、いろいろな原発事故処理の施設を持ってきたり、もしくは、事故の跡をしっかり管理して、いろいろな人に見ていただいて、今後の、後世の反省に生かそう、そんな提案も今出てきているところであります。中間貯蔵みたいな中途半端なもの、中途半端ではない、ちゃんとしたものなんでしょうけれども、それよりグレードの高い最終処分場をつくって、しっかり管理をして、後世の知見のためにそれを生かしていこうというような意見もあるわけですよ。

 でも、いや、あくまでも、最終処分場を県外につくりますよというのなら、では、法制化をしてくださいというのが福島県の要望になってきているんですけれども、きのうの予算委員会では、まずは中間貯蔵と言っていますよね。でも、何でこれを、分離という言葉を使ったのは私はそれは訂正をして、並行して進められないのか、最終処分場の法制化。

 これは、つくるといったって大変です、最終処分場をほかのところにつくるといっても。中間貯蔵を福島県内につくることでさえ大変な時間を使ってきたわけです。それは今でも最終決定はしていませんから。となると、この最終処分場を、とりあえず中間貯蔵をつくって、そしてそれからですといっても、なかなかこれは進まないんじゃないですか。今からでも並行してやっていくという選択肢は、きのう環境大臣は示しませんでしたけれども、並行して取り組んでいくということはどうでしょうか。改めてお聞きします。

小林政府参考人 この問題につきましては、かねてから先生から御指摘のある点でございます。きのうの委員会でも大臣からもお答えを申し上げました。

 中間貯蔵施設自体の建設は非常に重要でございますので、これは大臣からも申しましたが、大変地元に対しては心苦しい面があるということを考えながら、ぜひとも必要ということで、今受け入れのお願いをしているところでございます。

 それで、施設受け入れの要請の際にも、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば法制化を図りますということをこれまで大臣がしっかり言明をしております。これについては、ぜひ法制化を進めてほしいという地元の声と、また一方で、施設の設置を前提とするような法案提出ということはいかがかということを考え合わせてやっているということでございます。

 そういうことでございますが、具体的な法制化のあり方につきましては、現在、政府部内で検討を進めているところでございますので、速やかに、環境が整えば手続に着手できるようにということで進めてまいりたいと思っております。

 また、最終処分をどうしていくかというのも大変大きな課題でございます。中間貯蔵施設をまず、今いろいろな地元の御意見もございますので、そこをしっかり詰めた上で今後検討していく必要があるというように考えているところでございます。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

小熊委員 この法制化に関して、具体的な場所じゃなくても、その選定に至るスキームとか、実際、住民合意をとらなきゃいけないんですけれども、住民合意の定量的な仕組みもできていないんですよ。何をもって設置する場所の住民合意とするのか。町長さん、村長さん、市長さんがオーケーとすればいいのか、議会の過半数なのか、住民投票をかけるのかも。

 最終処分場の設置地域には住民合意が必要ですよね。それは当たり前のことですよね。何をもってそれを定量化していくのかというのもやっていない。そのスキーム、工程表、そのぐらいの法制化はできるんじゃないですか、具体的にどこにつくるという法制化ではなくて。どうですか。

小林政府参考人 地元に対しまして法制化についてお話をしましたのは、中間貯蔵施設を受けていただきたいというお願いをする中で、最終処分につきましては、もう平成二十四年の段階で、閣議決定で「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる。」こういうことを申し上げているわけでございますが、それをさらに明確にするという意味で、法制化を図ります、こういうことを申し上げております。その具体的な中身は、今検討しているところでございます。

 中間貯蔵をどうしていくかということもいろいろお尋ねがございますが、まずは、今、中間貯蔵自体もどういう形で地元に御納得をいただくかということ、今知事からのお申し出もいただいておりますので、これに対して返答し、さらに地元に説明をしていかなければなりません。そういう中で中間貯蔵自体の具体的な形というものも決まってまいりますので、そういうものを見ながら最終処分についても検討していくというように考えているところでございます。

小熊委員 大臣の答弁だと、まずは中間貯蔵という言葉しか出てこないんですよね。そうではないんでしょう、実際は。ちゃんと並行してやっていくわけでしょう、選定に当たっては。今も作業しているわけですよね、今の説明にあるとおり。きのうのは、ちょっと、余りいい答弁ではなかったと私は思うんですよ。局長が大臣の答弁を越えることはできないけれども。

 根本大臣、どう思いますか、きのうの件については。

根本国務大臣 私は、まずは中間貯蔵施設だと思います。

小熊委員 それはそれで大臣の考えですよ。でも、それによって、だから、最終処分場は結局できなくて、大臣、つまらない顔をしていないで。わかるでしょう、地元でも。それだと中間貯蔵が恒久化されてしまうという不信は払拭できないんですよ。どうやってそれを払拭していくんですか、大臣。まずは中間貯蔵だけで、ゴールがない、それだけで。どうやって理解を求めるんですか。教えてくださいよ。

根本国務大臣 やはり、私は、段階を追って説明をして、納得していただくということが大事だと思います。

 今、福島の復興にとっても、あるいは除染の促進にとっても、中間貯蔵施設がいかに必要か、それは委員も地元なんだからおわかりだと思います。

 そして、最終処分場については、福島再生基本方針において閣議決定していますから、もう方針は明確なんですね。ですから、今、大事なのは中間貯蔵施設で、大変心苦しいですが、中間貯蔵施設をここの場所に設置させてくださいと我々お願いしている段階ですから、その意味では、中間貯蔵施設をまず進めさせていただくということが私は第一だと思います。

小熊委員 その説明を福島県でしても、法制化をしてくださいという要望書が上がってくるんですよ。結局、理解、納得していないということなんです、それでは。していますって、それはしているでしょう。していないと言っていませんよ。しているでしょうけれども、それがちゃんと伝わっていないんですよ。なおかつ、県民の間では、結局は恒久化されてしまうんでしょう、三十年後、中間貯蔵がまたそのままでしょう、半減期も迎えて、まあまあ、これでいいのかとなっちゃうのかななんて、そんな話になっているじゃないですか。大臣、わかるでしょう。

 ここは一歩踏み込んで、中間貯蔵のままなのか、それが四十年、五十年と続くのかによっても、住民の帰るか帰らないかという意識が変わってくるんですよ。これは本当に重要な問題ですよ。

 大体、三十年以内に決めるというやり方が私は間違っていると思うんですよ。しっかり時限を切って、例えば、あと五年以内に決めるとか、最終処分場についてはしっかり決めますとやらない限り、ずるずるずるずるいきますよ。そういう問題、いっぱいあるじゃないですか。ここに決める政治がなかったら何の信頼もないんですよ。

 まさに、中間貯蔵施設をつくることによって除染を進める。今除染は進んでいませんから、それは必要性はわかりますよ。ただ、福島県民の意識としては、中間貯蔵でさえ、仮置き場なんだろうという意識じゃないですよ、これがずっと恒久化されるという意識なんですよ。それを払拭しなきゃいけないけれども、払拭できていないということです。

 であるならば、逆に、ここは英断をして、しっかりとした、これは指定廃棄物ですよ。最終処分場、最終処分場と言うと、福島県の副知事にも怒られましたよ、こんなことを言っていたら。何で怒られたかわかりますか、大臣。中間貯蔵に保管された指定廃棄物の最終処分場を県外でなく福島県でもいいと言ってしまったら、それは使用済み核燃料の最終処分場も福島にという議論になるから、最終処分場は県外にしなきゃいけないんだというふうに言われたんですよ。それで怒られたんですよ。三十年後なんか最終処分場は決まっていないでしょう、副知事と言ったら、いや、三十年後は三十年後考えればいいんだなんと言ったから、私もそれはおかしいなと思ったんです。

 やはり、十年後、二十年後を決めちゃいけないんですよ、今。早く決めなきゃいけない、最終処分場も。県外が本当に難しいのであれば、もうこれは県で受けましょうと。それを背負う覚悟は福島県民としては持っていると思うんですよ。中途半端にしていくことこそ、自立する復興につながらない。

 もし、副知事が言うように、指定廃棄物の最終処分場をつくることによって、全国から使用済み核燃料の最終処分場も福島になんという議論が起きるということは私はないとは思うんですけれども、そんな意識があるんだったら、それは徹底的に闘わなければいけませんし、ましてや、茨城、栃木、宮城、そこで発生した指定廃棄物はそこで最終処分場をつくらなきゃいけない。でも、大臣が説明に行かないで副大臣が行っているぐらいですから、本当に真剣かなと思いますけれども。

 だから、私は、最終処分場をもし県外でというのであれば、時限を切るべきだと思うんですけれども、この件についてはどうですか。それによって、本当に帰るか帰らないかという意識も変わりますよ。信頼も変わるんですよ。今大臣が言ったとおり、中間貯蔵はこうやってやっていますと言ったところで、除染の処理に関しては、それは保管施設は必要なんです。だけれども、結局はというところは全然答えになっていないんですよ。理解されていないんですよ。大臣、答弁を求めます。

根本国務大臣 委員の話を聞いていると、我々は中間貯蔵施設ということでお願いしたい、しかも、最終処分場は、前政権のときから、三十年以内の県外最終処分ということは明確です。ですから、委員はそれを最終処分場にしろとおっしゃるけれども、やはりそこは丁寧な議論が必要なんだと思いますよ。福島県の皆さんの気持ちもあるし、苦しみだってあるでしょう。それは、そう簡単に、あの地域を最終処分場にしろなんて私は言えません。

 今言えるのは、最終処分場を三十年以内に県外に、これは閣議決定でされている。そして、中間貯蔵施設については、今申し入れをさせていただいている。我々は、現実の、目の前にある課題を一つ一つ解決して、そして、いかに福島を復興させるかということだと私は思いますよ。

小熊委員 前政権からもちろんそれはありますよ。でも、移住、生活支援ということも、新たな提案を、逆に、民主党とは違った形でやりましたよね。

 今言ったように、最終処分場を福島になんというのはとんでもないことなんですよ。だけれども、それを県外にということもとんでもないことです。それを言うのであれば、皆さんのところででも、地元ででも、受け入れるという議論が今起きているんですか。今この時点で議論が全国で起きていなければ、十年後、二十年後なんて風化するんですよ。今もう風化も始まっていますよ、いろいろなことで。

 まずは除染は進めなきゃいけない、それは全然私も否定はしていませんよ。問題点は、さっき言ったとおり、中間貯蔵が恒久化してしまうんじゃないかという疑念が晴れていません、どうやって晴らすんですかということなんです。

 そこで、法制化を求めているんですから、場所の具体的な選定じゃなくても、その手続や選定に至る経緯とか、閣議決定しているからいいですといったって、それは納得していないから法制化というのが出てくるんでしょう、要望として。もっとちゃんとしたいから、その言葉を信頼したいからですよ。だから求めているんですよ、法制化を。なぜできないのか。

 大臣、それだけちゃんと県外につくるという意識があれば、それを形に変えていかなきゃいけない、それで納得させていかなきゃいけない、もう要望が出ているんですから。法制化以外で、中間貯蔵は三十年以内に県外に持っていくという信頼を得ることはできないと思うんです。それで、三十年後、やはりできませんでしたと言うぐらいだったら、とんでもないという意見もあるのも事実ですけれども、こういう意見を言ったって、福島県内で何回か質問しましたけれども、クレームは全然来ませんし、よく言ってくれたというのもありました。今、さまざまあります。本当に断腸の思いですよ。

 大変な施設ですよ、これは。では、格好よく福島県外と言ったって、福島県以外で受ける地域だって、これは大変な決断なんですよ、誰かが受けるというのであれば。その簡単じゃないことを、あえて選択肢を示しているんですよ。格好いいことを言うんだったら、では、示してください、本当に県外というのを。ロードマップもつくってくださいよ。

 結局、このままだと、十年、二十年たっても何にも決まらないですよ。この中途半端な状態が一番よくないと言っているんですよ。五十年後に解決したってしようがないんですよ。今この時点で百点をとれなくても、点数を出していかなきゃいけないんですよ。

 最終処分場は県外と大臣が強くおっしゃるのであれば、閣議決定以上の形を示さないと福島の県民は納得しないと思いますが、大臣の今の答弁であれば、それでもとにかく同じような口ぶりで理解を求めていく、それで説明をしていくということの連続をしていくということだけでいいですか、今後の対策としては。

根本国務大臣 委員は、私の言っていることを勝手に解釈でおっしゃっていますが、またこれでいろいろなやりとりになると思うけれども、法制化については、小林局長から答弁している、そして、環境大臣もきのう答弁していますよ。ですから、私も同じ判断に立っているということですね、法制化については。既に答弁したとおりです。

小熊委員 これは引き続きやっていきますけれども、きのう言っていた環境省の資料では、中間貯蔵をつくったら法制化しますという表現ぶりになっていますから、そこはちょっと表現ぶりを改めていただかないと、大臣の真意も伝わりませんから、要検討をお願いいたします。

 質問を終わります。

西村(明)委員長代理 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみと申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは大臣所信に対する質疑ということで、改めて大臣発言を読ませていただきました。大臣の言葉に、「復興大臣として、引き続き、現場主義の徹底、復興庁の司令塔機能の強化、復興のステージに応じた取り組みの三つを信条としながら、復興の加速化に取り組んでまいります。」こう言われております。

 私も、環境委員会におりまして、除染をすれどもすれども除染が必要だということで、実は除染には本当に時間がかかるという実態もあって、こういうことについては丁寧に御理解をいただいていくことも私は必要だと思いますし、一方で、今、小熊議員とのやりとりもありましたけれども、加速化を進めていただくこともやはり重要だと思っております。

 そんな意味から、例としてはいいかどうかわかりませんが、社会保障の関係のプログラム法というのがさきの国会で決まりました。言い方は悪いですが、言いわけ法だなんという言い方もされますけれども、ある意味で、加速を進めていく上で、社会保障の面でスケジューリングを組んだという部分があったと思います。

 そんな意味からも、これは要望でしかありませんけれども、福島並びに東北全体、東日本の復興について、プログラムといったものも考えていく必要があるのではないかということを提案させていただきます。

 大臣は現場主義ということであられますし、ちょっと先走って私がこういうことを言うのは御無礼かもしれませんが、今国会閉会後、内閣改造も議論されるやにあります。しかし、現地の、福島出身の議員でいらっしゃる大臣ということであるので、恐らく、余人をもってかえがたいということで、大きく問題が進展していくまでは、大臣のもとで物事が進んでいくという決意のもとに御尽力をいただきたいなと、僣越ですが、お願い申し上げつつ、また、現場主義ということでございます。大臣も地元ですから何度も入られているのは当然でございますし、谷副大臣も相当数入っておられるし、また、小泉政務官も青年局のときに毎月のように入っておられることは、前国会等含めて、十分存じ上げております。

 手前みそですが、みんなの党も、ACTION11ということで、毎月十一日に現地に入って、できれば解決策をということで、見るということに加えて答えを求めていくということで、宮城に本部を置いて提言を進めていくという形で和田青年局長のもとに活動しておりますので、御協力できるところは御協力させていただき、復興を加速させていきたいと思っております。

 ちょっと質問が相前後するかもしれないし、多くの政府委員の方に来ていただいているので、ちょっと質問の順序を変えて恐縮なんですが、まず、確定申告の時期になりました。そして、私自身も、二カ所以上の給与をいただいている関係もあって、確定申告をやってみようとすると、二・一%の復興特別所得税というのがかかっております。計算してみると結構重たいなという感じがいたしますが、日本国民として応分の負担をするのは当然であるという認識もしております。

 この特別所得税、法人税の方はいろいろ議論があって引っ込んだということもありますけれども、復興特別所得税について、現在の徴税方法、徴税状況、今後の見通し等をお聞かせいただきたいと思います。

岡田(則)政府参考人 お答えをいたします。

 所得税につきましては、みずから申告、納付する場合と、源泉徴収の形で納付される場合とがございます。

 所得税をみずから申告、納付する場合、典型的には、今回の確定申告で事業者の方が納付するような場合におきましては、確定申告の場で所得税と復興特別所得税をあわせて申告、納付していただくという形になっております。

 一方、サラリーマンの場合には源泉徴収という形で納付することになっておりますので、その所得税の源泉徴収義務者、要するに、事業主の方が、給与その他源泉徴収すべき所得を支払う際に復興特別所得税を徴収して、所得税と復興特別所得税をあわせた形で徴収、納付するという形になっております。

 現在の徴収状況でございますけれども、平成二十五年度税収について、十二月末の累計のところまで出ております。ここで、復興特別所得税は、十二月末累計で二千七十五億円という数字になっております。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 国民全体で東日本の復興を支えるということで、引き続き徴税の方も頑張っていただきたいと思います。

 次に、三木議員の方で質疑がもう既にあったので、できるだけ重複は避けたいと思うんですけれども、福島県民の健康調査、健康診断状況、それと、まさしくF1と言われる福島第一原発での作業従事者の健康管理状況、被曝管理状況、こういったものの現在の状況と、今後どう定期的に進めていくか、あるいはいつまで続けていくか、こういった点を確認させてください。

塚原政府参考人 お答えします。

 福島県民の中長期的な健康管理を可能にするため、国では、福島県が創設をいたしました県民健康管理基金に交付金を拠出し、全面的に県を支援しております。

 福島県は、この基金を活用しまして健康管理調査を実施しております。全県民を対象とした外部被曝線量の把握ですとか、事故時に十八歳以下であった方を対象とした甲状腺超音波検査などを実施しております。また、子供や妊婦を対象としたホール・ボディー・カウンター検査による内部被曝検査も実施をしております。

 外部被曝の基本調査の結果につきましては、これまで全県民二百六万人のうち約四十六万人の推計が行われておりまして、九九・九%以上の方が最初の発災直後の四カ月間で十ミリシーベルト以下という結果になっております。また、ホール・ボディー・カウンターの検査につきましては、これまでに十八万人が検査を受けまして、これはほぼお子さんなんでありますけれども、約九九・九%の方は一ミリシーベルト未満ということで、相当低い結果が得られております。

 いずれも、福島県の健康管理検討委員会によりますと、放射線による健康影響があるとは考えにくいとしております。国としては、県民健康管理調査を着実に実施していくことが重要と考えており、今後も引き続き、必要な支援を継続してまいりたいというふうに考えております。

山本政府参考人 福島第一原子力発電所におきます被曝線量の管理についてお答えを申し上げます。

 福島第一につきましては、東京電力それから協力企業を含めまして、放射線従事者という資格を付与いたしまして管理を行っているところでございます。

 具体的な線量管理につきましては、日々の被曝線量につきましては、電子式の線量計、APDと呼んでおりますけれども、これによりまして日々管理を行います。さらに、三カ月に一度、ホール・ボディー・カウンター、これは体内に吸引いたしました放射性物質の量を測定するものでございます。これらによりまして、法令で定めます被曝線量限度の値以内に入っているかどうか、これをしっかり管理するというのが基本的なやり方でございます。

 それから、もちろん、作業の中では非常に線量の高いところで作業をせざるを得ない場合もございます。こういったところにつきましては、あらかじめ計画を立て、どれぐらいの被曝をするのか、それに必要な時間をどの程度制限するか、こういったことを計画的にやっているところでございますし、それから、発電所内はいまだに多くの瓦れき等が散乱しておりまして線量が高うございますので、発電所内の線量を下げていくような行為、こういったことも促しているところでございます。

 規制委員会としましては、こういう東京電力の取り組みがしっかり行われているかどうかをしっかり確認している、こういう状況でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 次に、この七日に福島県の県民健康管理調査検討委員会、そして、去る二十三日に環境省や福島県立医大などが主催の国際研究会というのが開かれておりまして、福島のお子さんたちの甲状腺がんについて、放射線の影響は考えにくいといった結論づけがなされたやに報道がされております。

 こういった結論に至った根拠と、それから、可能性を全否定しているのか、そうではなくて、可能性はまだ残っているという確認がとれるのか、こういった点をお伺いしたいと思います。

 殊に、チェルノブイリは、先ほども議論がありましたけれども、事故後四、五年経過してから甲状腺がんが増加したということで、まだ丸三年に至っていない状況ということを鑑みますと、先ほど、外されております政務官の答弁では、二年を待たずに経過観察を行うという答弁がありましたけれども、今後、定期的に、二年という期間を置かずに、しっかりと経過観察、フォローアップをしていくかどうかも含め、ちょっと質問が重複したかもしれませんが、放射線の影響は考えにくいといった結論づけの根拠並びに全否定ではないという答弁をいただければと思います。

塚原政府参考人 お答えします。

 福島県の健康管理調査では、事故時十八歳以下の全県民を対象に超音波検査をしておるわけでございますけれども、二月七日に開催されました直近の検討委員会におきまして、甲状腺がんと診断された方がこれまで三十三名であるという報告がなされております。

 また、環境省と福島県立医大では、去る二月二十一日から二十三日にかけまして、OECDの原子力機関と共同いたしまして、放射線と甲状腺がんに関する国際ワークショップを開催いたしました。現在福島県の健康調査において見つかっている甲状腺がんにつきまして、国内外の専門家により、最新の知見に基づき評価をいただいたところでございます。

 その中で、甲状腺がんが見つかっている理由といたしまして、国内外の専門家は、今回のように精度の高い検査を無症状の子供に実施した例がほかにないこと、最新の機器を用いて熟練した医師、技士により丁寧な検査が行われていることから、早期の小さながんがこれまで知られている発生率以上の割合で確認された可能性があるというふうに分析をされております。

 原発事故によるものと考えにくい理由といたしまして、これまでに行った調査によりますと、原発周辺地域の子供たちの放射線被曝線量は総じて少ないこと、それから、小児甲状腺がんの潜伏期間は最短でも四、五年と言われていること、今回の検査結果は、原発事故後間もない時期である受診者からの発生であることから、原発事故によるものとは考えにくいのではないか。

 さらに、がんが見つかったときの年齢でございますけれども、放射線に対する感受性が高いのは幼児期ということが言われておりまして、チェルノブイリの場合も幼児期のお子さん方にがんが多発しているという状況だったわけでありますけれども、今回の福島の事例については、幼児期の方は一例だけで、あとは十代の方、それも十代も後半の方のお子さん方が中心であるということから、年齢的にも放射線の影響ということは考えにくいのではないかというような議論がなされております。

 これが全否定なのかどうかということになりますと、これは、非常に低線量の被曝というものに関する評価というのは必ずしも十分なされていない面もございますし、まだ発災後三年を経過した時点ということでございますので、今後も引き続き、専門家による議論あるいは健康診断、健康調査のフォローアップ、こういうものをきちっとしていくことで福島県の県民の健康状況についてはフォローアップをしていくということが重要だというように考えております。

 以上でございます。

杉本委員 ありがとうございます。

 潜伏期間が四、五年ということで、今回該当した三十三名以外の方にもまた可能性が当然あるわけでございますので、そういったことについて予断を持たずに、緊張感を持って、引き続き地域の方々の健康チェックをぜひともお願いしたいと申し上げます。

 次に、福島第一原発の五号機、六号機のことについて伺いますが、去年の十二月十八日に廃炉を決定したということになっておりますけれども、実際、五号機、六号機がどういう状況にあるかというのを改めてこの国会を通じて確認したいと思いますし、今後は実証実験を計画しているということでありますけれども、また、廃炉に向けての工程等、今後のあり方、この点について、五号機、六号機についての現況を改めてお聞かせください。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原発の事故処理に集中するという現場体制を構築するという観点から、昨年九月に総理の方から、五、六号について廃炉することを要請いたしまして、先ほど先生おっしゃいましたように、昨年十二月に東京電力が廃炉を決定いたしてございます。

 福島第一の五、六号につきましては、当然のことながら、一号機―四号機のすぐ横にあるということもありまして、そのスペースが活用できるということで廃炉の加速化に資するというふうに我々としては認識をしております。

 今後の具体的な五、六号の廃止措置についての計画というものにつきましては、現在、東京電力において具体的な中身について検討をしているというふうに聞いております。

 もう少し具体的にということでございますけれども、その一つの案といたしましては、先生もちょっと先ほど触れられましたけれども、一号機から四号機の廃炉作業に向けて研究をやっているその一つといたしましての遠隔操作ロボット、そういったものを実証するというような場に活用していくといったことも含めて検討しているというふうに聞いておりますので、引き続き、我々といたしましても、適切な形でこの五、六号の廃炉が進むことをしっかりとフォローしていきたいと思ってございます。

杉本委員 再度確認したいんですが、五、六号機は三月十一日の日においては運転を停止していた状態だと思いますけれども、ここについての被害は、地震による被害、津波はなかったと思いますけれども、そういった被害は存在していないという認識でよろしいんでしょうか。この点について確認させてください。

山本政府参考人 福島第一の五号機、六号機につきましては、先生御指摘のとき、地震といいますか発災のときには、停止状態でありました。

 ただ、原子炉内に燃料がございましたので、これの冷却を安定的に継続するということがやはり極めて大事でございまして、当時冷却機能が失われたものですから、これを復旧させて、安定的な冷却、技術的には冷温停止と呼んでおりますけれども、そういう状態を維持したということでございます。

 それで、あと、地震の影響につきましては、まだ詳細は、調査はこれからでございますけれども、私どもの以前の組織、旧保安院時代にも、地震の影響については少し調査してございます。

 福島第一、二を襲いました地震動の大きさから、大きな、重要な設備についての影響は小さいだろうという評価を得ているところでございますが、ただ、まだ現場には十分入れておりませんので、今後、研究施設としても使われるかもしれませんけれども、今後、そういう事故分析のためにも、そういった調査もやっていくことが必要であろうというふうに考えているところでございます。

杉本委員 五号機、六号機について、いろいろな形でこれから使われていくようでありますが、むしろ、実態として今どうあるのかとか、あるいはどうだったのかということも、疑いたくはないんですけれども、やはりオープンにしていただくことによって、地域の皆さんの信頼あるいは国民の皆様の信頼が得られると思いますので、この五、六号機についての開示を積極的に進めていただくことをお願い申し上げます。

 あと、私も結構現地に入らせていただいて、ちょっと時間がたったので状況が今進展していればいいなと思っているんですが、広野町に入ったときに、昼の人口と夜の人口が違っていて、昼間、子供たちは学校に来るけれども、夜になるといわきに帰っちゃうというような状況だったり、町の復興という意味で、商店がなかったり、お医者さんも一軒やっているかやっていないかというような状況で、買い物難民だって言っていらっしゃることがあったんです。

 町のにぎわいを復活させていくということも、特に周辺自治体においては必要なことだと思っているんですけれども、こういった点についての、医師不足なんかは先ほど質問があったようでございますけれども、現在、町のにぎわいの回復という点でどういった配慮がなされているか、確認させてください。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災からの産業の機能の復旧あるいはなりわいの回復、それを通じた被災地のにぎわいの回復、これは非常に重要な課題と認識をしております。

 経産省といたしましては、町のにぎわい回復の前提条件となります商業機能の回復に向けまして、中小企業等グループ補助金によります共同店舗の設置、あるいは、付随して、コミュニティー施設等の共同施設の整備、あるいは中小機構によります仮設店舗の整備などを行ってまいりました。引き続き、このグループ補助金によります商業機能の復旧を支援してまいります。

 さらに、津波、原子力災害による甚大な被害を受けた地域において、住民の帰還あるいは産業の立地を重点的に促進するために、平成二十五年度補正予算におきまして、津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を拡充いたしまして、商業施設整備に対します支援措置を盛り込んでおります。

 これらの支援措置を適切に執行いたしますことにより、被災地域のにぎわいを回復して、被災地の復興を促進してまいりたいと考えておるところでございます。

杉本委員 時間となりましたが、残余の質問、政府委員の方、お呼びして、御無礼ながら、申しわけなく存じます。

 一つだけお願いを申し上げておきますけれども、今、宮城の亘理地区で、イチゴ農園だったあたりが塩害で全く厳しい状況になって、そんな中で、一つの例として、マイファーム亘理という、NPOと協力した、今仮設住宅にお住まいの方々がトマトをつくったり、あるいはトマトがうまくいかなかったのでミニ大根に挑んだりということをされておられることをテレビで大臣もごらんになっているかもしれないんですけれども、私もテレビで見た内容でございますけれども、そういったNPOの活動も積極的に支援をして、地域の復興にお力をいただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

西村(明)委員長代理 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 まずは、冒頭、こちらの東日本大震災復興特別委員会におきましても我が結いの党に議席をいただけましたこと、関係各位の皆様に深く御礼を申し上げます。

 私も、宮城をふるさととする人間といたしまして、この復興特別委員会で改めて、地元宮城を含む東北地方の復興のために全力を尽くすという決意をするとともに、大臣、副大臣、政務官、そして委員長以下委員の皆様に、この委員会は党派を超えてという意思で運営されている委員会だということですので、引き続き東北の復興にお力添えをいただきたく、お願いを申し上げます。

 私自身も、この一年間、議員という立場で、地元宮城とそれから東京を行ったり来たりしながら、復興、具体的にどういったことがこれから加速するためにやっていけるのかなということを考えながら活動させていただいた一年間だったなというふうに振り返っております。

 私が議員になる前から、当時は野党という立場でございましたが、例えば、今、私の地元ですと、さまざまな議員の先輩方が野党時代からいろいろな提言を当時の政権にされていて、非常に全力かつ真摯な取り組みだったというところで、そういったところを議事録でも確認させていただいております。

 ただ、一方で、当時、地元にいながら、そういったところで期待感というものを非常に私自身も持っていたので、では一体、今与党にいらっしゃる皆さんが野党時代にやるべきだというふうに主張されていたこと、それを与党になってからどのぐらい取り組まれているのかというところも、私も野党の立場ですので、いろいろとチェックをさせていただきたいなというふうに僣越ながら考えて、活動させていただいているところがあります。

 去年は、当時の秋葉副大臣に、もともと復興庁は仙台に持ってくるべきだと野党時代に主張されておりましたので、その話はその後どうなったんでしょうかという質疑もさせていただきました。

 私自身は、今でも、仙台に復興庁のかなりの機能を移転してもいいんじゃないか、そのように考えているところもありますが、当時の御答弁から、それができない、それをやるよりも今の体制の方がいいんだよという御答弁もありましたので、それはそれで理解しております。

 地元に行けば、復興庁の皆さんの、働きぶりと言ったらちょっと失礼ですが、評価も大変地元の自治体では高い。ただ、やはり東京と地元を往復していますと、東京では大分この復興というものに、意識が風化してきているような雰囲気、これを感じざるを得ないなというのが正直なところです。ですからこそ、野党の時代におっしゃられていたこと、それが今どのぐらいなされているのか、あるいはなそうとされていたのか、それをぜひお伺いしたいなと思います。

 そういうことで、これは前の政権でも問題になりまして、ただ、今になっても被災地に残る問題ということで、移転補償費のお話を再確認の意味でさせていただきたいと思います。

 この移転補償費、皆さん御存じのお話だと思いますから余り詳しくは申し上げませんが、簡単に言えば、津波によって、家、中身も含めて全て流失してしまった方と建物が一部残った方、そこが危険区域になり移転をしなければならないといったときに、建物が残っていれば、その分の移転補償費、お金が出る。しかしながら、津波であろうが何だろうが、解体をしても、建物が残っていなければ補償費は出ませんよ、こういう問題なわけです。

 これにつきまして、当時野党でいらっしゃいました谷副大臣が平成二十四年三月に質疑をされています、この復興特別委員会で。これはやはり問題なので、こういうことを解決するのが政治主導じゃないのかというような問いをされていますが、谷副大臣、改めて今、与党、そして今は副大臣というお立場になられていますので、この点についてどのようにお考えなのか、また、与党になって、これを何とか前に進めようという、どういった議論がなされてきたのかを教えていただきたいと思います。

谷副大臣 お答えいたします。

 復興庁の取り組みについて大変高い評価をいただきまして、ありがとうございます。

 野党時代、私も数十回、時の政府に質問をいたしました。そういう中で、我々が野党になって、大きな目から見れば、復興予算そのもの、体制、さまざまな施策、根本大臣もみずからタスクフォースのさまざまな加速化の取り組み等々で、相当我々が野党時代に主張していたことが実現できている、実現できつつある、基本的にそういうふうに思います。

 今、林委員御指摘の平成二十四年三月の復興特別委員会、たしかこのときは、我々自民党が震災一年を期に十の提言というのをまとめて、一つ一つ政府の姿勢をただした委員会ではなかったかと思います。その中で、防集の移転補償費、全て流れたところは出ない、一部残っているところは出る、これは不公平で、そこを何とかするのが政治主導を掲げる政府の役割ではないかという質問もいたしました。

 副大臣就任後、そういう防災集団移転における住宅の移転料について、これまで事務方と議論を進めてきたところでございますけれども、やはり、国として建物の損壊状況による移転料の差を埋めるということは、さまざま検討を進めたわけでございますけれども、これはなかなか難しい、困難だということで現在に至っております。

 これは、契約時点で、建物として残っていれば移転料が支払われる、仮に建物が取り壊されている場合は、それでも出すということになれば、では、何もないのに公共事業の用地の取得に移転補償も出すのか、そういう制度にも広がるバランス、公平性ということからで、その点については、そういう状況でございます。

 この防災集団移転を進めるときに、それよりも大きな問題になっておりましたのは、委員御承知のとおり、防災集団移転促進事業の対象とならない住宅についてどう支援をするのかということが大きな問題でございましたので、平成二十四年度の補正予算において、震災復興特別交付税で一千億余の増額措置を講じた、そういう経緯がございます。

林(宙)委員 今の後半の御答弁はそのとおりだとして、前半の私の質問に対する御答弁については、これは当時副大臣が御質問されたことに対する政府側の御答弁とほぼ同じなんです。むしろ、例えば移転先の宅地取得の件とか、そういったことも当時は触れられておりましたが、いろいろと難しいことがある、それはわかりますと。それに対して、副大臣は「そこはやはり、うまくそれをするのが知恵ですよ。」とおっしゃっているわけです。

 これについては、当時からこの理由はわかっていたわけで、では、なぜ当時そういった御質問をされたんでしょうか。

谷副大臣 先ほど御答弁させていただきましたように、私は野党の時代に数十回質問しました。質問項目でいうといっぱいございます。ですから、被災地に行っていろいろな声をお聞きする、また、被災地の議員あるいは前議員の方からさまざまな声を聞く、それを踏まえて質問した項目が今の項目ということでございます。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

林(宙)委員 政権につかれてというか、副大臣になられてからというよりは与党に入られてから、その件について、これはやはりやるべきだと思っていたのでやろうというお気持ちがあったんだろうとは推測します。

 だけれども、今の御答弁は、当時の、副大臣がされた御質問に対して何ら答えになっていないと御自身が言った、それと同じなんですよ。だとしたら、なぜそのときこういう質問をして、では、質問をそこでして終わりということの意識なんでしょうか。その後、何とかこれを進めようという意識はなかったということになるんですか。副大臣、お願いします。

谷副大臣 結果的に、平成二十四年当時、私が質問して、たしか津島政務官ですか、いただいた答えと、基本的に今は変わりはございません。そういう意味では同じでございますけれども、その当時と違うことは、今お話しさせていただきましたように、防災集団移転事業の被災者の方を大きく支援したということは明らかに違うと思います。

 ですから、こういう質問をしたことを実現できなかったのじゃないかと言われると、一つ一つの個別のお話をされますと、そのとおりでございますけれども、全体として見て、住まいなり、あるいはまちづくりの進展ということはあるということを御理解願いたいと思います。

林(宙)委員 先ほど、東京と地元と往復していると、やはりどうしても温度差のようなものを感じると言ったわけなんですが、やはりその一つの原因は、時間がたったからもうしようがない、最初だったらやれたかもしれないけれども時間がたったらしようがない、そういう意識があるんじゃないのかなというふうに感じるところが否めません。

 もちろん、それは、最初の段階でやればよかったんだけれども、今だともうできないな、そういうことがあるのは確かなんですけれども、今の問題は、確かに今さらと言われます、いろいろなところでお話をしていると。今になって何でそういうことを言うんだ、今さらだと言われますが、違うんですよ。地元に帰ったら、この問題以外にも、今でもなおという問題がたくさんあるんです。

 これはただの一例ですよ。それに対して、どうして、何かやろうとしたのか、だけれども、こういう理由でやはりできませんでしたと、それはそれでいいじゃないですか。ただ、では、これは進めていけない、そのかわりこういうことをやったと、今御答弁の中にもありましたけれども、そういう前進というのはやはり見せていただいて、地元としてはやはりありがたいと思う方の方が多いんじゃないかなと思いますよ。

 ただ、そういったことがあって、本来だったら、副大臣がこの質問にされたように、こういうふうにやるべきなんじゃないのか、でもできなかったという問題があるわけです。そういうものを次の起こり得る災害にいかに生かしていくかということもやはり大事だと思うんですよ。

 私、去年、どの時点だったかわかりませんが、同じこの復興特別委員会で、そういったものを早くレビューをして、次の災害はいつ来るかわからないんだから、やれるものからやっていって、変えられるものは変えていきましょうよというお話をしました。そのときに根本大臣は、それはもう速やかにやっていきます、そういうおつもりだということを御答弁もいただいています。

 それで、地元でもいろいろと聞きましたけれども、やはりどの自治体も共通して要望したいことがあると。これは既に要望書で出されていることと思いますが、改めて申し上げますと、一番は、いわゆる住宅の損壊基準というところをもう一度考え直していただきたいというお話がございます。

 何かというと、今、災害に際して家が被害を受けたときに四区分あるかと思います。全壊、大規模半壊、それから半壊、一部損壊というものですね。これが、津波をもともと想定していなかった、阪神大震災のあの災害を受けていろいろつくられたところもあるということで、今回、津波に対応するためにこれを適用すると、どうしても無理が出てきてしまう。

 例えば全壊、一番上のレベルです。全壊に関しては、建物全部が波で流失した場合、これも全壊ですし、一階の天井まで浸水したパターンだけれども、外から見た場合に建物はある程度残っているよ、これも全壊、同じくくりになる。これに対して支払われる補償に関しては同じ額です。やはりここにまず起因しているんじゃないでしょうかと自治体の方々は言っています。

 要は、ここで、どう考えても、全部家が流されてしまった人、完全に家がなくなってしまった人への補償という方がやはり大きくあるべきなんじゃないか。何もかもないわけですから、思い出の品から何から。それは、そこも含みおいた補償があってしかるべきなんじゃないかと。

 これは、今、秋葉委員長ですけれども、当時野党だった秋葉委員も、やはり同じ質問をされていますよ。こういうことを、与党になったときに、では今後のためにということでやっていくべきだと私は強く思います。

 これについてなんですけれども、この被害程度の基準、これを政府として、今後、今回の災害に見合った、あるいは今後起き得る災害に対応した、そういう基準にできるだけ早く直していこう、そういったお気持ちはおありでしょうか。まず、谷副大臣、お答えください。

秋葉委員長 谷副大臣、前向きな答弁をお願いいたします。

谷副大臣 委員長である秋葉委員長の方からもそういう質問をされたということも記憶にございます。

 被災地の方々からそうした声を、そう多くはございませんけれども、私も聞いたことはございます。それはそれで、一つの考えかと思います。

 ただ、若干誤解があるなと思いますのは、私も阪神・淡路大震災に遭遇しましたので、地震の場合は、倒れるだけだから、捜し当てれば思い出の品はみんな返ると思っておられる方が多いですけれども、決してそんなことはございません。

 マンションが潰れたり、火災とかそうした場合は、では、どうするのか、土砂崩れで全てうちが埋まった場合、思い出の品を取り出すことが現実にできるか、そういうことのバランスも考えてこの問題は対処しなければならないと私は思っています。

 それに、区分をいろいろ細かにすると、現場では、委員御存じのとおり、また、そのことによって物すごいエネルギーを使って、結果的に判定がおくれる、そういうこともございます。

 しかし、御指摘の点は、確かにそういう声が強い。また、御指摘の意見も、意見としてしっかり受けとめて、これは所管は内閣府の防災でございますので、しっかりそういう問題提起をして、我々もよくウオッチしてまいりたいと思います。

林(宙)委員 本当は、委員長に今の御答弁はどうだったでしょうかとお伺いしたいところですけれども。

 今、地震のお話が出ました。それはそれで、そういったことも勘案しながら今後進めていっていただきたいと思いますよ。

 ただ、毎回思いますけれども、今の御答弁の中で、細かい基準をつくり過ぎると現場が混乱するとおっしゃいましたが、私は逆だと思っています。今余りにも大ざっぱなので、現場がどっちに入れていいか混乱するんですよ。もうちょっと明確に細かい基準があってもいいんじゃないのか。余りにも細か過ぎたら、それは混乱すると思いますよ。だけれども、今のままでは足りないからつくってほしいと各自治体が要望しているんです。そういうこともお考えいただいて、今後進めていっていただきたいと思うんです。

 いつなのかわかりませんが、かなりの確率でというお話で政府の方も想定されていると思いますが、南海トラフの地震に伴って大きな津波があるんじゃないかとか、いろいろな想定がされています。いつ起こるかわかりません。東日本大震災だって、あのタイミングで、大きな地震が来るという確率がすごく高いとは言われていましたけれども、まさかあの規模であのときに来るなんて誰も思っていなかったわけですよ。だからこそ、できるだけ早くこういったことは対応していっていただきたいと思っています。

 最後になりますが、根本復興大臣、きょうこういった質疑をさせていただきましたけれども、今後に向けてどういった御対応をしていくか。できるだけ早くそういった対応をしていく、去年に引き続いて、今もその御決意であるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。

根本国務大臣 私は、この震災からの復興、だんだんステージが上がってくるにつれて、さまざまな新たな課題が出てくる、今までに例にない課題が出てくる、それをいかにして我々が知恵を出して克服していくかだと思います。

 それから、今のお話を聞いておりましたが、そういう具体論をやるのが私は大事だと思いますね。大規模半壊、半壊、全壊の区分、私も地元で被災しましたから、いろいろな住民の方が半壊として認められなかった。では、もう一回、二人の担当者で行って、半壊と認められた。

 実は、区分を細かくするのか、あるいは、ある程度その現場で裁量で判断するのか、これはなかなか難しいことだと思いますよ。

 だから、こういう場合は、四区分にするのかあるいは六区分にするのか、具体的なメリット、デメリットをしっかりと、技術的、専門的な観点もありますから、私は、そういう具体的な議論が解決に導くんだろうと思います。

 そういうことで、私も、一つ一つ具体的な課題、問題、委員と一緒になって頑張って克服していきたいと思います。

秋葉委員長 林君、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

林(宙)委員 私自身も、この委員会は与野党を超えてということでしっかりと受けとめていますので、私たちにできることも全て全力を尽くして御協力をさせていただきたいと思っております。

 きょうは、どうもありがとうございました。

秋葉委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。昨日の予算委員会に続いて、根本復興大臣に質問をしたいと思います。

 一月に陸前高田市に行ったときに、被災者の皆さんが言っていたのは、仮設住宅があいているところがあって、Uターンしてくる息子さんを住まわせられないか、これを問い合わせしたときに、仮設の集約の予定があるからとかいろいろ言って最初は断られた。でも、その後、大槌などの要望もあり、岩手県からも要望が出たということで、県が基準を一定決めればという形で対応したというふうなことを聞いております。

 具体的にどのようにされたのか、伺いたいと思います。

根本国務大臣 仮設住宅の空き住戸の活用、これについては、岩手県大槌町などからの被災者に限らず、Uターン希望者や新規就労者などへの一時的な仮設住宅の空き住戸の活用に関する要望、これをいただいておりました。

 そして、私も、これを検討するようにということを指示して、復興庁を中心に、仮設住宅は災害救助法、これは内閣府が所管していますから、内閣府と調整を進めて、仮設住宅については、これは行政財産になりますから、地方自治法の目的外使用許可ということを運用することによって対応が可能であるということに整理をいたしました。

 ただ、私も、あいているから活用する、これは、なるほど、必要だなとは思いましたが、災害救助法の仮設住宅は被災者向けにつくっておりますので、そこは法律の体系上は直接やるのは難しい。ですから、地方自治法で工夫をさせていただきました。

 一方で、いろいろな意見があるものだなと改めて思いましたが、仮設住宅については、集約、撤去を早く進めることが重要なんですよ、こういう意見も市町村によってはありました。あるいは、仮設住宅にお住まいの住民のお気持ちにも十分配慮をする必要がある、こういう意見もありました。

 ですから、これは、自治体によって置かれている状況が異なりますから、その意味では、具体的な運用については市町村と県で、それぞれの現場での判断を可能とするようにした、こういうことであります。

高橋(千)委員 それぞれの県でということですので、最初は、通知のような形で出されたのかなと思ったら、そうではないわけですよね。だけれども、今のお答えは、岩手県だけではなく、福島であろうと宮城であろうとそれは対応するということでよろしいですね。

根本国務大臣 これはなかなか考えたところなんですが。

 ちょっと突っ込んで言うと、一つの制度論として、通知にすると、こういう体系でやりなさい、こういうことになってしまうものですから、余り一律に方針を、全体の一つのシステムとしてつくるということにするのか、市町村によってそれぞれの判断、状況も異なりますから、ベースとして市町村の主体的な判断を重んじるのかということで、こういう対応が可能であるという形での運用の考え方、これでそういうことに対しては我々は応えるということにしたということであります。

高橋(千)委員 これは本当に悩ましい問題で、仮設住宅、それは長く住まない方が絶対いいですよ、劣悪な環境ですからね。

 でも、今、復興公営住宅、頑張っているけれども、まだ半分まで着工できていない、五百数十という事態なわけですから。そういう中で、せっかく家族を呼び戻して、ここに、当時は被災してはいなかったけれども、息子さんなどが帰ってきて一緒にこの町で住もうと言っているわけですから、それは本当に前向きに受けとめるべきだと思うんですね。その上で、やはり、早く仮設住宅から出られるような環境をつくっていく。これは同時進行でやっていかなければならないわけです。

 それで、仮設住宅の集約があるからとか、住民の気持ちがあるからということもちょっと説明を受けました。だけれども、逆に言うと、住民の皆さんが、周りの人がどんどん抜けていく中で、逆に新しい家族がふえる、隣の人の家族がふえるとかいうことを、そんなに、いやいや不公平だとかいうものだろうかと言うんですね。私はそう思うんです。それはきょうは議論はしませんけれども。

 いずれにしても、では、集約は必要なのかとか、どれだけあいているのかというような実態をつかんではいないと聞いております。今、もう三年目になりますから、環境の問題も含めて、やはり仮設住宅の実態調査ということは必要なんじゃないかなと思っています。どうですか。

谷副大臣 今、正確には承知しておりませんけれども、委員御承知のとおり、仮設住宅は、県営、県が設置するということで、県の方でも市町村の協力を得ながらそれなりに実態は把握しているかと思いますが、我々の方も、しっかりその辺は、御指摘のとおり、把握してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 それで、きょうは国土交通省にも質問したいと思うんですが、復興公営住宅について、これも自治体のいろいろな基準を設けている中で、家賃のこととかいろいろ不安を持っているわけなんですね。

 そのときに、滞納問題。ある自治体においては、市税を滞納していないことを入居の条件としている、そういうことをしているところがあります。そうじゃないところの方が多いと思うんですけれども、これは、特に公営住宅の条件としては決めていないということをまず確認したいと思います。

坂井大臣政務官 今のお尋ねの件でございますけれども、災害公営住宅につきましては、被災市街地復興特別措置法等によりまして、その収入の多寡にかかわらず、現に住宅に困窮していることが明らかであれば災害公営住宅に入居することが法律上は可能となっております。

 他方、御承知のように、公営住宅制度は自治事務でございます。例えば、法律上の入居者資格とは別に、今御指摘がありましたような市町村税の滞納がないことのように、地域の実情を踏まえた各地方公共団体の判断で独自の入居者資格を付することも制度上は可能となっております。

 国土交通省といたしましては、災害発生時には、公営住宅法に定める入居者資格以外の条件は付加しないことが好ましいと考えておりますけれども、納税義務に対応するような要件については一概に否定することもできず、最終的に地方公共団体の判断に委ねるものと考えております。

高橋(千)委員 ちょっと回りくどいというか、わかりにくかったと思うんですけれども、条件ではないということが答弁だったかなと思っているんです。

 特に、今回は被災者ですから、ようやっと公営住宅に入れる、新しい生活の一歩を踏み込むというときに、いやいや、家賃が払えないからもう仮設住宅にずっといたいとか、そういう声が出てくるということ自体が非常に残念に思うわけなんですね。そのときに、さらにハードルを掲げて、滞納があればだめよということは、最低でも、なければいいなと思っております。しかし、これは決めてはいないということを確認して、自治体の方でまた頑張りたいなと思っています。

 もう一問伺いたいと思うんですけれども、公営住宅のみなしということも制度としてありますよねということを確認したいと思うんです。

 アパートなどを借りていた場合、それを借り上げとか、あるいは買い上げという形で公営住宅にみなすということは当然あったと思いますが、いかがでしょうか。

坂井大臣政務官 お尋ねの点に関しましては、地方公共団体が条例に定める整備基準がございますが、これに合致をしているということであれば、一般論としては可能だということでございます。

 しかし、実際問題といたしまして、災害公営住宅への入居を希望する被災者をアンケート等により把握いたしながら、直接建設をしたり、買い取ったり、また借り上げ等の整備手法で、今いろいろと準備、必要戸数を確保いたしております。また、抽せん等の公平公正な選考方法で入居者を決定する、こういう方針であるということも認識をいたしております。

 こういった中におきますと、実際問題といたしますと、個々のみなし仮設住宅をそのまま災害公営住宅として家賃補助を行うということは今想定しておらず、同時に、公平性という観点からなじまないのではないかということも考えているところでございます。

高橋(千)委員 今の、一般論としては可能である、ただ、いろいろな条件があるというお答えだったと思うんです。

 実は、根本大臣、この質問は、私、以前、大臣に対して質問したことがあったと思います。公営住宅をみなし公営住宅として、今アパートを借り上げている人たちに対応できないかと。

 これは何でそういう質問をしたかというと、思い出していただきたいんですけれども、要するに、みなし仮設住宅という形で借り上げに入っていた方たちが、期限が来ましたよとか、家主さんから条件をつけられて退去を迫られる、そういうことがあったわけですよね。

 ですから、誰でも彼でもという話ではないんです。ここで本当に定着をしていて、条件があれば住み続けたいという方たちが、だったら、そのまま公営住宅という形で家賃補助をすればコスト的にも非常に逆にいいことではないかということで、一般論として借り上げとか買い上げという概念があるわけですから、今の起こっている事態に対して、条件があれば、みなし公営住宅ということで認めてもよろしいのではないか。いかがですか。

根本国務大臣 今、坂井政務官から答弁がありました。

 そこはなかなか、いろいろな政策判断があろうかと思います。基本はやはり、公営住宅政策は、それぞれの自治体がどの程度市民のために公営住宅として供給するかという、その計画と、実際の供給をどう対応していくかということなんだろうと思います。

 民間の賃貸住宅を借りて公営住宅にするという道も開かれているのではないか、これは私もうろ覚えだから確たることは申し上げませんが、やはりそれぞれの市町村の住宅行政、そこが基本になると思います。

高橋(千)委員 それぞれの自治体で判断ができるように、これは国としても、それはありなんだということをメッセージとして出していくことが必要なんだ。だから、頭から、今せっかくアパートに入ったんだったら家賃補助しますよと言えと言っているわけじゃないんですよ。だって、追い出されるかもしれないと言っているときに、条件があるんだったらそれは認めましょうということを言っているだけですので、ぜひそこは前向きに発信していただければいいなと思っています。

 それで、さっきから、地元の自治体の公営住宅の考え方ということをおっしゃっていました。それで、ぜひ考えていただきたいと思うのは、やはり、避難先で公営住宅をつくらなければならない、それは福島では現実に起こっている問題ですよね。だけれども、津波の被災地でも若干起こっている問題であります。

 だけれども、被災者というのはやはりいずれは少しずつ減っていって、それで一般の公営住宅になっていくときが来ると思うんですね。そのときに、被災者のための公営住宅だから、それを避難した先でつくるのは、あるいは受け入れるのはだめなんだと言ってしまうと、にっちもさっちもいかなくなっちゃう。つまり、受け入れた自治体も、自分たちのストックとして、公営住宅をいずれ整備したいよというときに、あってもいいじゃないか。

 そういう考え方をきちんと整理してあげないと、やはり受け入れる自治体もつらい。そうじゃないと、一つずつ数えていって、勘定が合わないと戸数はつくれない、つまり、余計につくらないということになっちゃうわけなんです。そこは当然整理していいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょう。

根本国務大臣 これも、大きく言えば、それぞれの市町村、場合によっては県ということもあるかもしれません、その住宅政策の考え方、それはやり方、手法はいろいろあると思いますが、それぞれの市町村の公営住宅政策なんだろうと思います。

 例えば、典型的な例で言えば、福島県では、長期避難者のための復興公営住宅、これを、避難元の自治体と受け入れ自治体と協議組織をつくって、そして、双方で全体のまちづくりの視点も入れながら協議をしてつくっております。

 例えば、私の知っている例でも、ある村が、要は、県営か村営かという話がありますね、例えば村営の長期避難者向けの公営住宅をつくりたい。そして、将来は、長期避難している皆様がそこから移転した場合、これは恐らく、若い人たちの定住を促進しようという観点から、それを若い人向けの公営住宅として使いたいので村営住宅として整備するという判断をしている市町村もあります。

 それは、その村の人口減少対策あるいは地域の活性化、そういう複合的な目的で長期避難者向けの災害公営住宅を活用している例だと思いますが、それは市町村によって、どういう住宅政策をとるのかということとも関連してくることだろうと思います。

高橋(千)委員 よろしいと思います。やはり、八十とか、一定の高齢になって、五年先の復興を待てないから避難した先で公営住宅に入りたいんだという要望だってあります。だけれども、それだったら復興の妨げになるんじゃないかという議論も逆にあるんですよ。

 そうじゃないだろうと。やはり被災者が主役なんだから、被災者がもうこの五年先はなかなか考えられないと言っているんだから、そこに応えてあげて、ただし、その先について、若い人たちも、被災者ではない、これからの世代も入っていける、そういう公営住宅に変えていけばいいんだからということで、今大臣が言ったようなことを、私はぜひ、あっていいんじゃないかなということで提案をさせていただきました。

 きのう、予算委員会で一言言いたかったんですけれども、仙台の仮設住宅の自治会長さんが、本当に我慢も限界だ、早くついの住みかが欲しい、被災者の心の復興を最優先にやってほしい、そう訴えている。心の復興ということをやはり大事にして、被災者が望んでいる立場で進めていただきたいということを要望したいと思います。

 あと、最後に一点。きょうは経産省からも来ていただいておりますが、仮設店舗の本設移転への援助というのがいよいよ目前に迫っているかなと思っているんです。解体撤去についての費用の支援、あるいは新たな本設に向けてのグループ補助の仕組みなどについて、ぜひお願いをしたいと思いますが、どうぞ。

秋葉委員長 横田次長、質疑時間が終了しておりますので、簡潔にお願いします。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁といたしましては、これまで、商業者につきましては、二百八十二の仮設店舗を中小機構で用意しておりまして、約千二百の事業者が営業を行っております。

 こうした中で、地権者の御要請によって、この仮設施設を解体撤去してほしいという御要望があります。地元からの御要請を踏まえまして、来年度予算の中に中小機構がこの解体撤去を行うという予算を計上しております。

 なお、仮設から御移動されて本復旧をされるような中小企業者に対しましては、中小企業グループ補助金による支援などを行っておるところでございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。また、続きをやりたいと思います。

 終わります。

秋葉委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、復興庁の役割、意義ということについて、総論的にお伺いというか、議論させていただきたいと存じます。

 実は、昨年、ある地域のかさ上げ事業の相談を受けまして、それを復興庁につないで、その見通し等について伺う機会がございました。その際に復興庁が言ったことは、まちづくりは交付金事業ですから、これは、復興交付金を配って、後はもう自治体がやることですから当該自治体に聞いてくださいと言われまして、そして、自治体に聞いても要を得ないので、実は、このまちづくり事業はいろいろな事業が絡まって構成要素がありますので、関連のある事業を担当する役所、これは霞が関の某省ですが、そこに聞いたら、それ以外の部分を全体で教えてくれて答えてくれたということがありました。

 私は、これは遺憾だなと思って、こういうのは本当は復興庁がやるべきではないかというふうに思ったんです。復興庁が、ワンストップではなくて、各駅停車のバスストップになっているような状況ではないか、非常に問題だなと思いました。復興から三年たって、やはりそういう緊張感がなくなっているのかなというふうに思ったところもあります。

 今、用地取得の特例枠で、るる、この委員会を初め議論があったんですが、これを聞いていても、最近はいろいろ相談をかなり綿密にやっていただいているようですけれども、ちょっと前までは、用地取得というのは適正な手続をとらなきゃいけませんよ、だから、そういう手続をとらない、とりたくないというのではなくて、ちゃんとやらなきゃいけないんですよという話をしていたようです、公共団体に。大変問題だと思います。

 こういうことを踏まえて、私は、今やはり緊張感を持って、復興、三年たちますから、しなきゃいけないという前提で、復興庁の役割というのは何なのか、そして、被災自治体の相談にどのような体制と方針で臨んでいるのか、改めてここで大臣にお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 私は、復興大臣に就任して以来、三つの信条をベースにやってまいりました。

 一つは、現場主義。地域によって抱える課題、問題が異なりますから、これは現場主義に立つ、現場に解がある。さらに、司令塔機能の強化。現場の声を吸い上げて、各省庁と復興庁がしっかりとスクラムを組んで、司令塔機能を強化していく。それから、時間軸。復興のステージが高まるにつれて、新たな、今まで想定していない課題、問題も出てきておりますので、この復興のステージに応じた取り組み。この三つを信条として復興に取り組んでまいりました。私は、職員にもしっかりそう言っております。

 そして、被災自治体からの要望などについては、復興局の職員が被災自治体に頻繁に出向いてさまざまな要望を一元的に受け付ける、あるいは、課題に応じて、復興庁本庁の担当職員が直接市町村に赴いて対応する、被災自治体に対してワンストップの対応を行っております。いろいろなケースがあると思いますが、基本はそういう基本。

 そして、全職員に対して、復興の司令塔として、被災地に寄り添いながら、復興の加速化に全力を尽くすように求めてまいりました。また、要は現場主義、しっかり現場主義を徹底するようにと。

 これを具体的に体現する仕掛けとして、用地取得問題、ここでも、委員会でもいろいろな議論が出てまいりました。住宅再建・まちづくりタスクフォースというのをつくりました。これは、私が大臣として実際に中に入って議論をしておりますが、それぞれ、現場の課題、問題が、どういう問題があるか、これを住宅再建、まちづくりという大きなテーマで各省庁が共有する。これはみんな局長が入っていますから。そして、例えば土地収用法なら、土地収用の担当は国交省ですから、そこが責任を持ってしっかりやってもらう。それは当然我々は議論しますから。そして、全体の住宅再建、まちづくりを、復興を加速化するための具体的な制度を深掘りしていく。そして、解を出していく。例えば住宅再建・まちづくりタスクフォース、これは現場主義と司令塔機能強化、この例えばの具体例がそのタスクフォースであります。

 職員の対応に対して委員のお話のような御批判があるとすれば、職員に、改めて、被災地に寄り添いながら業務を進めるよう注意喚起していきたいと思います。

 とにかく、復興庁は、縦割りを乗り越えて、被災自治体に寄り添ってしっかり対応するように、これからも全力を尽くしてまいります。

畑委員 よろしくお願いしたいと思います。

 それで、復興庁がみずからの所管じゃない部分が大部分なわけですが、そこで、復興に関することを復興庁を呼んでお聞きした場合には、まずその担当役所も探して連れてくるぐらいで、自分で直接答えなくてもいいんですが、やはり窓口としてしっかりやっていただいて、少なくとも、電話でうちじゃないですよということは、そういう言葉は言ってほしくないと思いますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それで、用地の関係、ちょっと私も議論させていただきたいと思います。

 本日の階議員の議論も聞いておりましたし、これまでの議論の中で、土地収用の緊急使用を使っていく、不明裁決を使っていく。そういうツールがありますから、それはそれで、しっかりそういうことでケーススタディーもやっていくんだろうと思います。

 通告より一つ飛ばしますけれども、ちょっと心配しているのが、この不明裁決とかあるいは緊急使用というのは、当然、収用適格事業、収用対象事業であって、都市計画決定なりあるいは土地収用法上の事業認定がなされて初めて使える制度です、御存じのとおり。収用対象事業じゃなければ、当然、任意交渉によるしかないわけです。

 今、ちょっと心配していますのは、これは大臣とも予算委員会でしたか、議論したんですが、住宅事業、住宅建設事業、これが収用対象事業になっているのかどうかというところなんです。ここが収用に乗ってこなければ、せっかくの収用裁決申請の後の手続の簡素化が使えないということになります。

 ちなみに、結局、都市計画法上、五十戸以上であれば、都市施設として一団地の住宅施設で都市計画決定を打てば、収用の対象になって、事業認定はとらなくても収用裁決申請ができるわけです。ただ、五十戸未満だと都市計画法上はそういうふうにならない。事業認定をとらなきゃいけない部分もあります、一定規模以上で。

 あるいは、防災集団移転促進事業、結局、この部分でやる事業が大部分で、これは五十戸ないところが大部分で、であればこそ、この部分を収用対象にしてほしいということがあって、ここを対象にしないと復興加速化措置が活用できない事態になってしまうと私は思います。

 そういう前提で、結局、この都市計画法上の五十戸を緩和すればどうかという提案もしておりますが、予算委員会のときは、大臣は、そういう必要性はないというか、そういう事実はないとおっしゃっていましたが、今ケーススタディーをやっているのも、実は地元はもともと防潮堤等の収用事業なわけです、公共事業。結局、住宅の部分が問題がある中で、これをどうやって収用に乗っけていくかというところは、私は、検討はちょっと弱いような気がしますけれども、そういう前提でお伺いします。

 防災集団移転促進事業でいいんですけれども、この中で五十戸未満の割合はどれぐらいあるのか、ちょっと事実だけお教えいただければと思います。

樺島政府参考人 お尋ねの割合でございますけれども、被災地の防災集団移転促進事業により整備を予定されております住宅団地のうち、住居の戸数が五十戸未満の住宅団地の割合ということでございます。

 住まいの復興工程表に位置づけられた三百三十三団地がございますけれども、うち二百六十団地、割合としては約八割ということになっております。

畑委員 ありがとうございました。

 まさに五十戸ないところが八割を超えるわけで、ここをどうやって収用の手続に乗っけていくか、このことを考えなければいけないと思います。

 そういうことを議論したときに、やはり復興整備事業に記載された住宅事業については、五十戸なくてもこれは都市施設と見るべきだというのが私の持論でありますけれども、いずれにしましても、この方法にはこだわりませんが、五十戸未満のそういう八割を救う、収用に乗っけてくる、このことを行うべきではないでしょうか。この点についての見解を伺います。

坂井大臣政務官 もう委員御承知のとおり、昭和四十三年の都市計画法制定時に五十戸という数値が入っておりまして、今もそこが大きな一つの規定になっているところでございます。

 まずは、収用対象となる施設といたしまして、この防集ではございませんが、津波防災地域づくりに関する法律の中で、一団地の津波防災拠点市街地形成施設というものがございまして、これに関しましては、一団地の住宅、業務、公益施設等をつくることができるということで、これは収用対象となるということでございます。ただ、当該施設等には住宅の戸数要件そのものはありませんけれども、余りにも少ない数等が想定できないというものはあります。

 津波が発生した場合においても、都市機能を維持するための拠点となる市街地をある程度形成する必要があるということでございますが、こういうところをうまく活用していただければ、このように考えております。

畑委員 この津波拠点まちづくり事業、これがまさに三年前の震災の後、全面買収でできるシステムとしてつくられました。その立案の段階で党の方から私も参画しましたが、実はこれは公共公益施設がなければ使えないんですが、これはこれで、公民館とか箱物、コミュニティーセンターみたいなものをつくればいいとは思うんですが、そこでちょっと地元にそういうことを話すと、誤解を受けている部分がありまして、一市町村二個しかこの事業ができないんだと言われました。

 これはそういうはずはないとは思うんですが、恐らく、予算上の制約でこの事業にお金を出すのが二個なのかなと思うんですが、仮にそうであった場合、予算の出方はまた別として、この事業そのものは何カ所でも規模に関係なくできると理解してよろしいでしょうか。

坂井大臣政務官 市町村ごとの箇所数につきましては、法令上の制限はありません。しかし、実際問題とすれば、拠点という、都市機能維持、都市機能があるということを考えますと、無制限というものではないとも考えておりますけれども、要は、制限というものはありません。

畑委員 戸数の制限はない、その中で、拠点ということを考えた場合に、無制限というわけでもない。

 そういうことを聞くと、ちょっと確認したいんですが、現行の防災集団移転促進事業でやっているレベルのものをこの津波拠点まちづくり事業でやることは可能なんでしょうか。拠点という定義にもよるんですけれども、そこはちょっと、もう一回その点を確認したいと思います。

坂井大臣政務官 そこは各現場現場の状況があろうかと思います。先ほど申し上げましたように、公益的な施設というものも必要になってまいりますので、その辺はいろいろと御相談をいただきながら、お互いに知恵を出し合って、できるものはそれはできるということでございます。

畑委員 ぜひとも柔軟に相談に乗っていただきたいと思います。そうでなければ、五十戸ない現地の住宅事業は収用対象にならないから、やはり収用の都市計画の五十戸の緩和をしろという議論にもつながりますし、そこはその制度を使ってうまくつくっていただければ幸いでございますので、ぜひともお願いします。

坂井大臣政務官 畑委員がいろいろなところでいろいろな方々とお話をされたり、そして、いろいろな御意見を伺っていると思いますが、ぜひ、私どもの方からも、この土地が、この場所がこうなっているというような具体的な案件を、復興庁の、復興局の人間もおりますので、お伝えをいただいて、具体的に御相談を上げていただければ、このように思っております。

 できる限りそれに関しては柔軟に対応させたいと思っておりますし、していくつもりでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 確かに、いろいろ言われておりまして、これは大臣及び小泉政務官等も大槌で御存じの安渡とか赤浜文久とか言われて、権利調整という意味ではかなり詰めてきているんですけれども、結局、権利調整で最後詰められないところは収用にいかなきゃいかぬわけです、不明裁決、論理的には。だから、そこは、まさに収用の必要性がある、そういうことで事例はありますので、今後ともしっかり御相談をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に行かせていただきます。

 ちょっと話は戻りまして、緊急使用について、ケーススタディーをつくってしっかり事例を調査してやっていくという話がございました。そういうことでお伺いしたいんですが、被災地において、今後、緊急使用の活用が図られるよう、具体的な事業ごとに個別事業に照らして検討を行っていくと聞いていますけれども、どのような方法で、そして、どのようなスケジューリングで進めていこうとお考えか、お伺いします。

坂井大臣政務官 まず、釜石の防潮堤事業を、用地取得加速化のモデル事業として今取り組んでいるところでございまして、そこで、この秋にも工事をスタートしたい、着工が予定をされておりますので、それに合わせて緊急使用という制度を活用するということが想定をされております。

 まずは、その釜石の防潮堤事業を使って実際に緊急使用の活用をやってみて、それを一つのモデルケースとして、その後、いろいろな案件にも、いろいろなお声があればそれをしっかりと対応していきたい、それを当てていきたい、このように考えております。

 どちらにいたしましても、緊急使用を活用するという場合になりますと、さっき言いました起業者、この場合は許可主体であります岩手県の収用委員会、そして国、また地方自治体、それぞれいろいろなすり合わせも必要になりますので、この辺の知恵、経験というものをしっかりとまずはここで得たいということでございます。

畑委員 よろしくお願いいたします。

 収用裁決申請をして第一回目の審理が行われるまで、恐らく大体二、三カ月かかるのではないかと思います、運用上。そうすると、緊急使用は六カ月ですから、一回開いて、きょうの議論もありましたが、そこで不明だと判断できるようなレベルであって、それであれば何ら問題もないんですが、一回目を二、三カ月たって開いたときに、実はこういう問題があったというのがわかると、あと二、三カ月で緊急使用の期限内に最終裁決をしなきゃいけないということになって大変なことが起こるかどうか、そこもポイントだと思いますので、ひとつケーススタディーをしっかりやっていただきたいと思います。

 これで六カ月以内にできるということがわかればいいんですが、そうじゃなければ、そこを延長しなきゃいかぬという議論もあるかもしれませんので、そこは引き続き議論させていただきたいと存じます。

 それでは、話がかわりまして、グループ補助金についてなんです。

 これは、過去にグループ補助金の認定をされて交付決定されたものでも、実は、まちづくりがおくれていまして、土地区画整理事業等のまちづくりがおくれると、当然、その上にグループ補助金をもらってつくろうとした工場が建たないんですよね。これは何も被災者なり企業の責めに帰さない事由であります。

 それをどうするかというと、具体的には、一昨年認定をされたグループ補助金なんだそうですが、県からは、一旦取り下げて再申請してくれないか、再申請すれば認定しますと言われているんだそうですが、本当かどうか心配なんだそうです。そういう御指導をされているのかということもありますが、あともう一つは、来年度の予算は予算案で措置されているんですが、再来年度ぐらいに措置される確証があるかどうかも不安だと。

 そういうことも含めて、今の扱いと、グループ補助金の今後について、被災者のそういう企業の人に不安のないような対応をとりますよということをお答えいただければ幸いなんですが。

松島副大臣 まさに御指摘のように、これまでも、自治体の土地利用計画の作成がおくれたり、あるいは土地のかさ上げ工事の進捗状況が悪かったり、また、資材や復旧作業員の確保が困難だ、そんなような理由で、予定した復旧事業、補助金をもらった事業に着手できなかったり、あるいはおくれが生じたり、そういうようなことが多々あると思います。そういったときに、年度内に事業が完了できないという業者も存在しております。

 このような場合におきましては、その年度内に復旧事業を完了できなかった場合でも、その状況を踏まえて、翌年に繰り越す、さらに翌々年に繰り越す、そして、これは異例なことでございますけれども、翌々年の次の年に特例的に再交付という制度、これは予算措置的には財務省には嫌われるのかもしれませんけれども、経済産業省、中小企業庁は、この制度、措置をとっております。

 ちなみに、中小企業等グループ補助金というのは、工場や商店などの復旧を支援するために、これまでに、全部合わせると、五百四十九グループ、九千六百十八事業者に対して、二千八百二十億円の交付決定を行いました。

 ところが、こういったような事情でずれてしまうことがいろいろあって、この二千八百二十億円の交付決定に対して、延べ二千四百二十二億円は繰り越しでやっております。それでも、繰り越しでもだめなときに、先ほど申しました特例的な再交付、これでもう既に三十七億円、こういう形で出しております。

 議員御出身の久慈市におきましても、水産加工業者の復旧に際して、このグループ補助金の交付を決定されたけれども、資材がなかなか調達できないとか人材が不足している、そういうような理由で当初予定していた工事完了時期がおくれるというふうに受注業者が言ってきた、それで補助金を受けた水産加工業者が困ったと。そういうことで、工事を中断せざるを得ないので、予定した年度内の完了が困難な状況になったものについて、既に、二回繰り越しというのを認めた例が三件ございます。

 このように、どうしてもそういった事情によって当該年度にだめなときは次の年、それでもだめなら次の年、さらに、温かく、特例的な再交付というのは、これをさらにチャラにしてもう一遍決めるから、そこからまただめだったら繰り越せるわけですから、そういう長い目で見てまいりますので、御安心いただければと思っております。

 最後にお問い合わせのありました、この四月からの年度でなくて、次の新しい、さらに先の年度までこの補助金があるかという質問なんですけれども、まだ予算の編成にも何も入っていないので、御承知のように、それは確約はできませんけれども、今もらっているものは、そういうふうに、もしもの場合は、事情が事情ならば先送りできるということだけ、御安心いただければと思っております。

 以上です。

畑委員 時間が参りましたので終わりますが、繰り越しとともに、仮に取り下げた場合には、再申請した場合には再交付する決定もしていただくのは、何かちょっと首をひねっておられますが、どうなんでしょうか。何か、岩手県はそう言っているというんですね、一回取り下げてください、再び出してもらったら再認定しますと。

 ちょっと時間が過ぎて済みませんが、そこだけ確認をさせていただいて。

秋葉委員長 質疑時間が終了しておりますが、最後、松島副大臣ですか、簡潔にお願いします。

松島副大臣 取り下げた場合には、取り下げても、もう一度申請していただければ、取り下げというのは、あくまで交付決定していないわけですから。交付決定されているということですか。(畑委員「そうです」と呼ぶ)

 交付決定したけれどもできないというときは、今申し上げましたように、繰り越しだとか、もう一遍繰り越しとか、それでもだめだったら再交付という仕組みがあるので、委員がおっしゃる、県とか市の取り下げの意味がちょっと私わかりにくいんですけれども、とにかく安心していただけるように万全を尽くしてまいります。

秋葉委員長 もう時間が来ております。

畑委員 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

秋葉委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十四分散会


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