衆議院

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第4号 平成26年4月3日(木曜日)

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平成二十六年四月三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 秋葉 賢也君

   理事 あかま二郎君 理事 橘 慶一郎君

   理事 寺田  稔君 理事 長島 忠美君

   理事 西村 明宏君 理事 黄川田 徹君

   理事 椎木  保君 理事 高木美智代君

      池田 道孝君    石川 昭政君

      小田原 潔君    勝沼 栄明君

      門  博文君    菅家 一郎君

      菅野さちこ君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      桜井  宏君    島田 佳和君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      高橋ひなこ君    武村 展英君

      津島  淳君    冨樫 博之君

      中川 俊直君    橋本 英教君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      玄葉光一郎君    郡  和子君

      階   猛君    福田 昭夫君

      足立 康史君    小熊 慎司君

      三木 圭恵君    村岡 敏英君

      石田 祝稔君    中野 洋昌君

      杉本かずみ君    中島 克仁君

      林  宙紀君    高橋千鶴子君

      畑  浩治君

    …………………………………

   議員           西村 明宏君

   議員           橋本 英教君

   議員           黄川田 徹君

   議員           高木美智代君

   議員           林  宙紀君

   議員           畑  浩治君

   国務大臣

   (復興大臣)       根本  匠君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   環境副大臣

   兼内閣府副大臣      井上 信治君

   復興大臣政務官      小泉進次郎君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   経済産業大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    磯崎 仁彦君

   環境大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    浮島 智子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官)    藤原 正彦君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     吉田 光市君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           栗田 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  徳山日出男君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       塚原 太郎君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     池田 道孝君

  小泉進次郎君     藤井比早之君

  鈴木 憲和君     武村 展英君

  中島 克仁君     杉本かずみ君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     大久保三代君

  武村 展英君     鈴木 憲和君

  藤井比早之君     小泉進次郎君

  杉本かずみ君     中島 克仁君

    ―――――――――――――

四月二日

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(畑浩治君外四名提出、衆法第四号)

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(長島忠美君外七名提出、衆法第五号)

    ―――――――――――――

三月七日

 子ども・被災者支援法の幅広い適用と具体的な施策の実施に関する請願(吉川元君紹介)(第一七二号)

 東日本大震災の被災者の生活再建、東電と原発関連業界による事故の全面賠償を急ぐこと等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三二二号)

同月二十七日

 東日本大震災の被災者の生活再建、東電と原発関連業界による事故の全面賠償を急ぐこと等に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三六四号)

 子ども・被災者支援法の幅広い適用と具体的な施策の実施に関する請願(阿部知子君紹介)(第三七四号)

 同(泉健太君紹介)(第四二七号)

 被災者生活支援等施策の推進に関する基本的方針改定と被災者の立場に立った原発事故子ども・被災者支援法施策実施等に関する請願(阿部知子君紹介)(第三九七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(長島忠美君外七名提出、衆法第五号)

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(畑浩治君外四名提出、衆法第四号)

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

秋葉委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省高等教育局長吉田大輔君、資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官藤原正彦君、国土交通省大臣官房建設流通政策審議官吉田光市君、国土交通省大臣官房審議官栗田卓也君、国土交通省道路局長徳山日出男君、環境省大臣官房審議官三好信俊君、環境省総合環境政策局環境保健部長塚原太郎君及び環境省水・大気環境局長小林正明君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋葉委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

秋葉委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤原崇君。

藤原委員 自由民主党の藤原です。

 本日は、復興特の一般質疑ということで、お時間をいただき、大変光栄でございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に移らせていただきます。

 本日は、いわゆる被災地の土地問題、これはたびたび問題にも上がっていますが、その中でも、土地収用委員会、これに着目をして質問いたします。

 この被災地の土地問題というのは、たびたび質問もなされておりますが、正確な定義があるわけではないんですが、被災地において新しく道路あるいは堤防をつくる際、それぞれの土地を買収しなければいけないということがあります。その土地の所有者がわかっているときはいいのですが、例えば所有者が不明である、あるいは、相続がしっかりとされていなくて五十年、百年前の登記名義人のままになっている、そういう土地もあるということです。

 その登記名義人が例えば百年前であれば、その方の相続人、五人お子さんがいれば、五人全員から判こをいただかなければいけない。その相続が一度であればいいのですが、例えば相続が二回、三回というふうにあれば、ネズミ算式に、御了解を得なければいけない人の数がふえる。その結果、一筆の土地を取得するために、計算上は何十人、あるいは百人以上の方の判こが必要になる。それがなければ任意に土地を取得することはできない、こういうことが問題になっているということであります。

 ただ、この点については、復興庁、特に根本大臣の方が先頭に立ちまして、用地取得に関する手続について検証の結果、通常の被災地外の事業執行の場合と比較すれば、格段に迅速な用地取得が可能になっていると理解しております。私は内陸の出身ではございますが、岩手県、被災県の出身の議員として、根本大臣の力強いリーダーシップと取り組みについては、本当にありがたいと思っております。

 その中で、今回、さらなる用地取得の加速化を図る目的で、我が党、大島理森復興加速化本部長、あるいは、提出者ではありませんが鈴木俊一先生、あるいは、長島先生、吉野先生、西村先生や、石田先生、高木先生、井上先生など、多くの方々の御尽力によりまして、東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案、これは議員立法ということで提案がなされておりますが、この法律の意義について、まずは大臣の御見解を伺いたいと思っております。

根本国務大臣 藤原議員、しっかり勉強、研究されての御質問だと思います。

 復興事業の加速化のためには、用地取得の迅速化が最重要課題、私も、就任以来、非常にここが大事だと思って取り組んでまいりました。

 このため、再三、加速化措置を講じてまいりました。特に、昨年十月に、復興事業における特別の措置などを盛り込んで、用地取得を飛躍的に短縮する用地取得加速化プログラムを取りまとめるなどの抜本改革を行ってまいりました。

 多少具体的に申し上げますと、土地収用手続と財産管理制度、大きく二つありますが、土地収用手続の迅速化については、一つは、測量、設計を並行して実施する。二つ目は、説明会の開催方法を効率化する。事業説明会と収用法上の説明会を兼ねて開催する、これで短縮化いたします。さらに、任意買収と並行した収用手続の進行。これは早期事業認定申請ルール。復興事業においては任意買収と並行した収用手続でいいではないか。さらに、事業認定手続の期間を短縮。通常三カ月を二カ月にする。さらに、緊急使用制度を活用する、促進する。この取り組みをやってまいりました。

 そして、財産管理制度も、さまざまな迅速化措置によって、通常、手続に半年以上かかると自治体が懸念していましたが、裁判所の審理は最短三週間程度でも可能にする、こういう改革をやってまいりました。

 この抜本改革の結果、用地取得に既に大きな成果を上げております。特に収用手続については、釜石市のモデル事業では、通常の場合に比べて二年から三年早く用地確保を完了させることが可能になりました。そして、防災集団移転事業の用地取得率、これは昨年の九月が四八・九%、ことし二月には七五・二%に大きく上昇いたしました。

 このような中で、与党から、土地収用手続のさらなる迅速化のためには議員立法による手当てが必要な点もあると発議をいただいて、政府と与党で密に相談させていただいてきたところであります。

 与党御提案の法案には、特に二つの点について大きな意義があると理解をしております。

 一点目として、緊急使用については、これまで活用実績は非常に少なかったんですが、早期の工事着工につながる使用として、政府としても、活用についての通知の発出、こういうものをやって促してまいりました。今後、土地収用手続を活用する件数がふえる中で、緊急使用の期間が六カ月から一年に延長される、これは、その活用を促進して、早期の工事着工を実現する効果があると期待をしております。

 また、緊急使用の期間が六カ月から一年に延長されることで収用裁決が遅延するのではないかと懸念されますが、収用委員会に対して早期の収用裁決の努力義務を設けることで、収用裁決手続そのものの迅速化も期待できると思います。

 二点目として、収用裁決申請については、被災自治体と何度も打ち合わせをする中で、土地調書の作成など、申請までの準備に時間を要するとの声もお聞きしたところであります。このような新たな課題については法的な措置が必要であり、与党と相談させていただいて、今回の与党御提出の法案において、損失補償の見積もりなどの記載や土地調書の添付を申請段階では不要として、申請後提出すればよいこととされました。

 これによって、起業者による土地調書の作成などと収用委員会による論点整理などを並行して進めることが可能になりますから、収用委員会の審理を早く進めることが期待できると思います。

 これまでの加速化措置の中でも、特に土地収用手続の迅速化は重点的に取り組んできたところでありますが、今回の土地収用手続に関する二点の改正がさらに加わることで、より一層大きな効果が期待できると思います。

藤原委員 ありがとうございます。

 この用地取得、任意交渉でうまくいかない場合には土地収用という手続をとらざるを得ませんので、その場合に、土地収用の手続を改善すること、これは必ず必要なことになろうと思っております。

 そして、第一に検討されるべきは法的に手続を短縮することですが、それと同時に、それが実際に現場で適正に運用されているか、この点についてもこれからしっかりと目を向ける必要があると思います。

 私がいろいろなところで用地取得を担当している起業者の方とお話をすると、土地収用に移行する前に権利者それぞれと交渉を行わなければいけない、非常にマンパワーがかかる、あるいは、遺産分割がまとまるまで待たなければいけない、時間が非常にかかるというようなことをお聞きすることがあります。

 私、素人考えなんですが、遺産分割がまとまっていないのであれば、まとまるまでの時間をかけずに、直ちに収用に移ればいいのではないか。場合によっては、任意交渉を行わずとも直ちに収用の手続、これも検討の俎上に上がるのではと思っております。

 国交省にお聞きしたいのは、法律上、土地収用を行う前に、知れている地権者については必ず任意交渉を行う必要があるのか、あるいは、遺産分割未了の場合には、遺産分割をまとめないと、あるいは遺産分割をまとめるにふさわしいだけの時間を置かないと土地収用をすることはできないのかどうなのか、この点について端的にお答えをお願いします。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 まず、実態としまして、起業者におきましては、地権者あるいはその他の地元関係者との信頼関係の醸成、あるいは他の事業における用地取得への影響、そういうことを考えますと、地権者と一定の交渉を行った上で裁決申請を行うのが通例、あるいは一般的、あるいは実態であるというように考えております。

 ただ、お尋ねは、法律上それが求められているのかということかと存じます。

 土地収用法上、事前に任意交渉を行うということは、収用委員会への裁決申請の要件とはされておりません。また、任意交渉を行っていないことをもって、収用委員会が裁決する際の却下事由ということともされておりません。

 また、遺産分割の協議のお話がございました。その際に、遺産分割協議がまとまらなければ裁決申請ができないということともされておりませんし、また、申請までに時間的猶予を置かなければならないということともされておりません。

藤原委員 ありがとうございます。

 私も、法律上、任意交渉を行うこと、遺産分割をまとめるに足りる十分な時間を置くこと、このことが土地収用を行う際の要件ではないのではと理解しておりますので、その点についても起業者側にお聞きをしたことがあるんです。

 そうすると、起業者側からは、どことはあれなんですけれども一般論として、収用裁決を行うべく土地収用委員会と事実上のすり合わせを始めると、収用委員会から、遺産分割をまとめられる程度のちゃんと時間的猶予を与えたんですかとか、あるいは、買収に反対している所有者さんについてはどの程度説得活動を行いましたか、そういうことを尋ねられるということなんですね。そうすると、起業者側としても、収用委員会からのその照会に答えるだけの実績を事前につくる必要がある、そのために、遺産分割についてはある程度時間を置いてまとまるかどうかを見るんだとか、そういうことになるということなんです。

 ただ、本来的には、土地収用は土地の価格を決める手続ですので、遺産分割をまとめるのにどれくらい時間を置いたかとか、反対者にどれくらい説得をしたかということは、土地の価格には何の関係もないことだと理解をしております。それが現時点でも収用に移る前に求められている、あるいは、少なくとも起業者側においてはそのように理解をして運用している、私はここに今後注目すべきポイントがあるのではと思っています。

 法律上は用地取得の手続は大分加速化をされてきた、これは本当にそのとおりだと思います。ただ、その一方、最終的に土地を移転させる収用委員会の審理手続、これは収用委員会の裁量がございますので、その中で、依然として必要不可欠ではない事柄についてまで手続的に求められているのでは、その結果、起業者側もそれに応えざるを得ない、その結果、今、被災地で、もしかしたら、早期に見切りをつけて収用に移行すべき案件についてまで、収用委員会の求める実績づくりのために、あるいは何とか収用をやらないで済むようにということで、漫然と任意交渉が行われているのではないかと思っております。

 確かに、先ほど審議官のお答えのとおり、通常の事業であれば、土地収用を最後の手段として慎重に慎重を期すこと、これはそのとおりだろうと思っております。ただ、その一方で、この震災復興、非常時でございますので、そういう中で今までどおりの事業のやり方でよいのかどうなのか、そこについてはしっかりと認識をする必要があると思います。

 恐らく、今現在、起業者あるいは土地収用委員会は、そういう平時の土地収用の運用についてのマインドのままではないかなと思っております。ただ、その中でも、何としてもスピードを速くして用地の取得を進めていくこと、このことが大事だと思っております。

 この点に関して、土地収用委員会に対して、国交省から審理の加速化や省力化について働きかけというのは行っているんでしょうか。

栗田政府参考人 国土交通省といたしましても、土地収用における一連の手続の中で、土地所有者などに関する調査は、過失がないと認められるために合理的な範囲で行われれば足りる、そういうふうに考えております。

 こういう考え方のもとで、昨年四月に、被災三県の収用委員会宛てに通知を出しております。その中では、収用裁決申請に要する資料は必要最小限とする、あるいは、所有者不明の場合には不明裁決を適切に活用する、こういったことをうたいまして、収用手続の迅速化を促したということがございます。

 また、昨年九月には、収用委員会における手続の迅速化につきまして、全国の運用事例を調査した上で、被災三県の収用委員会事務局あるいは代表の収用委員が出席される会議の場におきまして参考事例として紹介する、こういった努力を積み重ねてきておるところでございます。

藤原委員 ありがとうございました。

 国交省の方でも働きかけというのはしているということですが、これは私の感覚なんですが、それが十分に意図が伝わっているのかどうなのか、マインドを共有しているのかというのは、少々疑問点がつくところがあります。

 いろいろな方からお話を聞くと、収用委員会の方ではやはり、収用を行ってしまえば訴訟のリスクがある、訴訟を訴えられたくないんだ、だから、そのリスクを軽減するためには手続を慎重にやらなければいけない、だから、手続を慎重にやるというところはどうしても外せないので、国交省からいろいろな通達あるいは技術的助言が来ているけれども、それを軽々に受けとめて手続を迅速化することは率直に言うと難しいんだというようなお話を聞いていたりもしております。

 繰り返しになるのですが、仮にこれが事実だとして、もし、収用委員会がリスクを恐れる余りに過大な事務作業を起業者に課している、その結果、用地交渉が収用裁決の方にスムーズに進まない、あるいは漫然と任意交渉が進められている、そのような状況がもしあれば、それは、立ちどまって、本当にそれでいいのかどうなのか考える必要があると思います。

 国交省としても、収用委員会に対して、これは特定の考え方を一方的に押しつけるというわけではございませんが、収用がスムーズに進むように、一つの選択肢として簡易迅速な手続運用を提示する試み、これを継続的に今後も行っていく必要があるのかどうか、また、それについてはどのような取り組みをするのか、この点についてお伺いをさせていただきます。

栗田政府参考人 御指摘のありました簡易迅速な手続運用という選択肢としましては、過去の収用事案において行われた合理的な権利者調査の実例が参考になりますし、簡易迅速という目的に照らして大変有効ではないかというふうに考えております。

 したがいまして、これまでに所有者や持ち分が確定しないままに収用裁決を行った事例につきまして、また、いろいろなカテゴリーがあります、所有者不明とか相続手続がまだであるとか、そういった事情ごとに整理した上で、起業者が行う権利者の調査方法ですとか、これを受けました収用委員会の対応のあり方について、現在取りまとめ作業をしておるところでございます。あわせて、土地収用に基づく緊急使用につきましても、具体的な実例をもとに、制度を活用できるケース等について取りまとめる作業を行っております。

 今後、判例との整合性も考慮しながら、この作業を急ぎまして、今後の参考となりますように、起業者あるいは収用委員会事務局等の関係者にお示しをし、活用を働きかけてまいりたいと考えております。

 こういった全般的な努力とともに、個々の事案につきましてきめ細かい対応を進めるということも大事であるというふうに考えております。今後とも、起業者や各県の収用委員会と密接に連絡をとり合いながら、個々の具体的な課題への相談にきめ細かく対応する、そういった取り組みも進めてまいりたいと考えております。

藤原委員 ありがとうございました。

 法律上、土地収用の手続を簡略化していったとしても、最終的には各県の収用委員会が審理についての裁量を持っていますので、どの程度の手続の重さになるかというのは裁量によるところが大きいんだろうと思っております。

 しかし、仮にもし簡易迅速に手続が主宰されるようになれば、場合によっては、起業者側も、用地取得業務においては、任意取得の可能性が小さい土地については早期に振り分けをして、漫然と任意交渉を続けずに積極的に収用を用いる、そのようなことも選択肢の一つではないかなと思っております。

 もし、現状がそのような形ではなく、法律的には必ずしも必要でない手続まで求められているとすれば、それについては今後もしっかりと検証していくことが私は絶対に必要だと思っております。

 根本大臣になりまして取り組まれた用地取得の加速化措置、これについては、法制度面あるいは制度の大枠の運用面で非常に大きな取り組みをなさっていただいております。率直な話として申し上げると、これ以上に大きな改善というのは難しいのではないかな、それくらいにやり尽くしたところがあるのではと思っております。

 しかし、その一方で、これから一つ目を向けていくのは、この土地収用委員会の審理についての考え方、これはどうしても各県の収用委員会しかその点については判断ができないもので、その点について、これからは着目をしていくことも必要なのではと思っております。

 法制度とその運用、この二つは車の両輪でございますので、どちらが欠けてもスムーズに事業が執行できない。法制度面ではあらかた取り組みを尽くしたということで、その結果、新規の立法にも等しいのではというところまで来ている、これ以上はなかなか難しいということであれば、今後は、個別具体的な土地収用委員会等の法制度の運用面、これに目を向けていって用地取得の迅速化のために取り組む、これが大事だと思っておりますが、最後に、大臣から、この点について御見解をお願いします。

根本国務大臣 私も、先ほども述べましたように、用地取得については、制度の改革、これをしっかりやってきました。おっしゃるとおり、あとは運用なんだと思うんですね。

 例えば、マンパワー不足、専門家の不足、市町村の現場において非常に不足している。ですから、この課題に対応するためには、用地加速化支援隊をつくりました。

 その意味では、収用手続についても、収用委員会、土地収用手続の中で収用裁決という重要な手続を担っておりますので、その手続の円滑化についても大きな役割があると私は思います。

 収用委員会については、もう既に国交省からお話がありました。手続の迅速化についての通知、あるいは全国の運用事例を調査して被災三県の収用委員会と共有する、こういう支援を行ってきておりますが、今、国交省が示したとおり、具体的事案で、ほかの収用委員会ではこういう手続でやっていますよ、それを共通のルールにして示してやる、運用を迅速化するようにする、これが私も残された課題だと思います。

藤原委員 ありがとうございました。

 これからも引き続き、被災地の復興のために、今まで以上に御指導いただければと思います。

 これをもって私の質疑を終わります。

秋葉委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、私は、福島のことを、大臣、それから浮島環境大臣政務官に質問させていただきたいと思います。

 私は、ずっと福島に通い続けておりますが、先般、我が党におきまして福島復興加速化本部という形をつくらせていただきまして、加速化本部の中で、福島の私は副議長ということで、若松議長と力を合わせて進めてまいりたいと決意を新たにしたところでございます。

 そこで、三月三十日、先週の日曜日、大熊、双葉、いわき市に伺いまして、町長を初め行政の関係者の方たちとも懇談をいたしました。

 きょう申し上げたいのは、昨年の十二月十四日、復興大臣、また環境大臣から、中間貯蔵施設及び管理型処分場の設置並びに活用について、福島県知事に要請をされました。三地域、楢葉、大熊、双葉を使いたいということでございます。

 それに対して、知事から、二月十二日、計画の見直しの申し入れがありまして、楢葉はやめる、大熊、双葉にしてほしい、楢葉は帰還できるようにしてもらいたいといった回答でございました。それに対して、私は三・一一前にということを会議等でも申し上げていたのですが、国としての返答をしたのが三月二十七日。まさしくその三日後に私ども伺ったわけでございまして、今回、さまざまな声がございました。

 どうも、そうしたお話を伺っていますと、国と、それから双葉、大熊、こうした町の間で意見がかみ合っていない。私は、今後の進展を危惧しております。また、こじれさせるわけにはいかないとも思っております。

 大臣が一番現地の状況も聞いていらっしゃると思いますが、大臣は、今の状況をどのように受けとめていらっしゃって、また、今後、県と町とどのように折り合いをつけて出口を見出していかれるおつもりなのか、きょうは、まず、大臣の率直なお考えをここで披瀝していただきたいと思います。

根本国務大臣 中間貯蔵施設については、今委員からお話がありました。二月に、大熊町、双葉町に集約する方向で計画案を見直すことなどについて、福島県知事から申し入れを受けました。それに対して、三月二十七日に環境大臣とともに福島を訪問して、県知事、関係市町村長に回答を行ったところです。

 地元では、県外最終処分の取り扱い、あるいは土地の取得など、さまざまな声がある、これは十分承知しております。引き続き、環境省とともに地元に丁寧に説明してまいりたいと思います。

 特に、双葉町、大熊町は帰還困難区域が多くを占めておりまして、将来の復興に対しても不安があるものと思います。現在、両町においては具体的な復興計画の検討が進められているところでありますが、復興庁としても、これまで計画の検討に参画するなど全面的に協力してきておりまして、引き続き全力で支えていくつもりです。

 例えば、大熊町において、大川原地区復興拠点整備の構想の立案に対して復興庁も参画をいたしました。また、拠点整備を円滑に推進するために、復興庁が仲介して、大熊町と都市再生機構、URの相互協力の覚書も三月に締結をいたしました。

 双葉町においては、双葉町復興推進委員会に復興庁も参画をしております。

 また、赤羽原子力災害現地対策本部長が座長となって産官学の有識者で構成している福島・国際研究産業都市構想研究会、ここにおいて浜通り地域の今後の産業再生のあり方を検討しており、六月をめどに取りまとめを行うと聞いております。

 さらに、将来の線量の見通しや具体的な地域の将来像を提示していくことが重要だと考えております。

 これまでと同様に、両町とよく相談させていただいて、町の復興を進めてまいりたいと思います。

高木(美)委員 今、大臣の答弁を伺って、大臣が膝詰めで町の人たちと話をしていただくべきではないかということを私は痛切に思いました。やはり、いろいろな食い違いもあります。また、大臣のお言葉の中で、もう少し町民に配慮してこういうふうに言っていただきたいなという、私自身感じるところもあります。

 順次質問をしてまいりたいと思うのですが、間に誰かが入るとか、それはいきなり大臣が行ったら大変なのではないかとか、いろいろおありかもしれませんが、特にこの大熊、双葉、ここは今回の東日本の復興の一番の肝のところでございますので、この一番困難なところにどう寄り添っていくのか、どう手を打っていくのか、現地の人たちの思い、何が足りないのか、また、国がどうすればいいのか、そこのところを、やはり実感として私はもう一つ踏み込んでつかんでいただきたいということをまず申し上げたいと思います。

 実は、双葉町の町長は、町議会におきまして、国が帰還できる時期を明示しなければ、国による住民説明会には応じないという姿勢も既に示していらっしゃいます。

 総理が、たしか去年の三月、帰還工程表を夏をめどに公表するというふうにおっしゃっていまして、この帰還見通しにつきましては、避難者それから自治体が今後どういうふうにしていくか、その展望をつくる上で、判断するための重要な情報でございます。その判断材料がない中で、今、現実がどんどん動いて過酷さを増しているというのが私の実感でございました。

 特に双葉町は、九六%が帰還困難区域で、四%が避難指示解除準備区域というところですので、自治体の方たちは、住民がこれからいわき市とか会津若松とか、そういうところの災害復興住宅に入ってしまう、そしてそこの居住地の行政下に入ってしまう、そうすると双葉町の権限、権能というのは届かない、今住所を置いてくれているのは、高速道路の無料化とか医療費とか、いろいろな特典があるからここに住所を置いてくれているんだ、これからその四%という土地になったときに、双葉町という自治体がどうやったら存続できるのか、その支援策を明確にしてもらいたいんだ、こういう御要望もありました。

 これは総務省のことかもしれませんが、むしろ、私は、根本大臣のところでこれを統括しながら、そこでやはり根本大臣が中心になってやっていただかないと進まないのではないかというふうに思っています。

 一番の、将来の展望、また、帰還できるかどうかという工程表、この解決がないまま、現実が、それぞれが散ってしまっている、ばらばらになってしまうという方向に流れ始めているのを必死で自治体の人たちがつなぎとめているというのが今の状況ではないかと思います。

 そこで、まず、この回答書等にもありますが、国は中間貯蔵施設について国有化しかないというふうに言うわけですが、三十年後に本当に別の場所に移すなら、三十年間の定期借地権でいいではないかというお声もあります。また、固定化してしまうんじゃないかという不信感が拭えないというお声も伺いました。

 そこで、法律をつくって保障してほしいと知事は求めていらっしゃるわけですが、その回答の中で、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば、こういう文言がありまして、これに対して、福島の行政の方たちは、これは何なんだろう、むしろ、条件をきちんと示していただかなければ判断もできないじゃないかと。

 言われたのは、話の順番が違うんじゃないか、帰還時期をいつにするのか、どうなっていくのか、また、除染がどうなるのか、その際の補償の内容、また、町の復興計画、そういう、みんながほかの自治体に散っている中で、自治体に対する支援策がどうなるかとか、条件が示されなければ住民への説明もできない、受け入れるかどうか検討もできないというのが町の話だったわけです。

 そこで、浮島政務官にお伺いしたいんですが、この回答文書の、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えばと、環境を先に向こうに言ってしまっている、この真意について説明を求めたいと思います。

浮島大臣政務官 高木委員におかれましては、常日ごろ、現地の方にお入りいただき、また、さまざまなお声をいただき、御指導いただいておりますこと、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 また、今お話にございましたけれども、福島県及び双葉郡は、原発事故に伴い大きな被害を受けていらっしゃいます。その中で、今回、中間貯蔵ということで受け入れをお願いしなければならないことは、本当に心苦しいことと思っております。

 地元には、今お話がございました、法制化を先に行うべき等、さまざまなお声があることは承知をいたしております。現在は中間貯蔵施設の受け入れをお願いさせていただいている段階でございまして、この段階で県外で最終処分を行うことを定めた法案を提出することは、福島県内に中間貯蔵施設を設置することを前提とすることとなってしまいます。こうしたことから、昨年の十二月十四日、要請の際には、中間貯蔵施設を受け入れていただけるような環境が整えば法制化を図りますと御説明をさせていただいたところでございます。

 具体的な法制化のあり方につきましては、現在、政府部内で検討を進めさせていただいているところでございますけれども、地元において受け入れていただけるような環境が整った際には、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるとの内容を位置づける法律案を速やかに閣議決定させていただき、国会に提出できるようにしたいと考えております。

 また、中間貯蔵施設が固定化してしまうのではないかという懸念があることは承知しておりまして、三月の二十七日、福島県知事への回答の中では、中間貯蔵施設の特性に鑑みれば、土地の貸借は困難であるものの、地元の意向も踏まえた跡地利用なども考えて、その方策の可能性を追求していくということも御説明をさせていただいたところでございます。

高木(美)委員 ちょっと大臣にお伺いしたいんですが、これは相当な、私はむしろ交渉だと思います。それはもう御自覚が十分あられると思うんですが。

 例えば、これは知事から来た回答の中で、生活再建策、地域振興策というところが、私はこれは大きいのではないかと思います、それを早期かつ具体的に提示すること、こういうこともありますが、それに対して、政府からの回答は、当然、ニーズに柔軟に応えられるよう云々とありまして、必要な財政措置等を講ずることとしと。

 もちろんこれも大事なんですが、むしろ、こうした具体的なメニューについて、先ほど申し上げたような、賠償額はいつごろどう示しますとか、それについて法制化はこのように、いつごろどうしますとか、工程表を含めながら、また、先ほどの法制化についても、私は、やはり原案、素案の段階で、今こういうことを考えています、そういうことも含めて、柔軟な姿勢で交渉に臨むことが大事なのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 生活再建支援策あるいは地域振興策、特に復興庁は地域振興策ということになりますが、ですから、我々も、早く地元の皆さんに説明をして、そして具体的なニーズを把握して、さらに内容を充実させて進めていきたい、私もそう思います。

 大熊、双葉、これからどう町を再興していくか、本当に重要であります。私も、現地でさまざまなお話をお伺いしてまいりました。そして、現地も訪れて、避難者がおられる仮役場にも別途訪れてまいりました。さらに、住民の皆様の意向、これも丁寧に、住民の意向調査もきめ細かく行っております。例えば、先ほど大熊町の例で申し上げました、あの大熊町のビジョンについては、我々も構想の立案に対して参画して、丁寧に、ともに取り組んでまいりました。あるいはURの提携もそうです。

 大事なのは、やはり、大熊、双葉をこれからどう復興していくか。私も、これを考えると胸の痛む思いがいたします。ですから、早く再興、復興のための対策を、施策を前に進めなければいけないと思います。

 そして、施策を前に進めるためにも、今、県や市町村と国と、県から提示された、あるいは市町村から提示された内容も含めて協議中ですから、我々も、委員のおっしゃるように、被災地の皆様に寄り添って、具体的にどう進めていけばいいのか、今具体的な詰めの作業を急いでいるところでありますから、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

高木(美)委員 今、具体の作業を急いでいらっしゃるということをお伺いいたしました。ぜひとも、現地の方たちがこれならという形でまとめていただきたいと思います。

 ちょっと簡潔に答弁いただければありがたいのですが、環境省にお伺いしたいと思います。

 現地から、こうした場合、当然、中間貯蔵施設といっても、帰りたい人もいる、また、できれば戻りたいという希望のある人もいる。そういう住民に対して、補償の見通しをいつ、どのように示していくのか、その際の補償額は震災前の価値に基づくのか、その具体的なものがないと住民説明できないという町長からのお話もございました。いかがでしょうか。

小林政府参考人 中間貯蔵施設を実現していくために土地を取得させていただきたい、こういうお願いをしてまいるわけでございます。

 その際には、当然、これも公共事業の一種でございますので、予定地になった土地について、公共事業を行う際の補償の仕組み、これは政府統一的なものを持って臨んでまいります。適切な補償を行うことといたします。

 例えば、土地につきましては、現在帰還困難でございますと、なかなか価値の判断が難しいわけでございますが、将来的には避難の指示が解除され、復興計画に基づいて復旧復興が図られる土地だというようなことでその価値を評価いたしまして、補償額を算定していくということになります。

 こういった用地取得の方針につきましては、議会あるいは住民説明会などにおきまして、御理解が得られるようにしっかり説明をしてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 ちょっとまたそこも住民の方と気持ちが違うかもしれません。

 将来復興が見込める土地だということで、その際の評価となりますと、ではどうなるんだ、具体的に、前の価値と違うじゃないか、高くなるのか低くなるのか、当然低くなるじゃないか、そういう懸念を生みかねませんので、ぜひともそこのところはしっかりと詰めていただいて、答弁をお願いしたいと思います。

 それから、これは根本大臣に、帰還困難区域を今後どのようにしていくのか。

 政府で、これは原子力災害対策本部で昨年十二月二十日に出された資料の中で、九ページに、「帰還困難区域の今後の取扱い」ということで、「今後の住民の方々の帰還意向、将来の産業ビジョンや復興の絵姿等を踏まえ、地域づくりや除染を含めた同区域の今後の取扱いについて、地元とともに検討を深めていく。」というのがあるんですが、地元の方たちから、いわゆる帰還困難区域の除染というのは大川原地区が終わったぐらいで、あとはほとんど手つかずです、特に双葉町については除染計画もありません、こういうところを含めて要望をしっかり受けとめて進めてもらいたいということなんですが、大臣、いかがでしょうか。

根本国務大臣 帰還困難区域のように、事故後六年が経過しても放射線量の関係で帰還が難しい地域、この地域では、戻りたいと考えている方々、戻らないと考えている方々、判断に迷っている方々、さまざまな方々がおられます。政府としては、それぞれの判断に応じて丁寧に支援を進めていくつもりであります。

 また一方で、長期避難者のための復興公営住宅、これは、仮設住宅から、安定した生活を送ってもらうようにということで、長期避難者向けの復興公営住宅、これも今精力的に整備を進めております。

 そして、先生のお話のあった、帰還の判断ができない方々もたくさんおられる。その意味では、これらの方々には、将来の線量の見通し、あるいは具体的な地域の将来像、今後の新しい生活を選択するために必要な判断材料を提示していくことが重要であると私は思います。

 関係自治体、関係省庁ともここは十分に相談、連携しながら、情報提供を初め、帰還の加速化に取り組んでまいりたいと思います。

高木(美)委員 大臣、工程表を帰還困難区域に関してぜひ出していただきたいと思います。今ありました線量についてとか、さまざまな材料、これをいつお出しになるのか、また、除染計画はいつまでに、どのようにされるのか、こうしたトータルの姿というものは、私は、これは地元の住民の方たちが一番待っていらっしゃるものではないかと思います。

 これを一日も早く出していただきたいと思いますが、最後に大臣、一言だけ、時間が来ましたので、決意をお願いいたします。

秋葉委員長 根本大臣、簡潔にお願いします。

根本国務大臣 私もそのとおりだと思います。

 除染計画についても、確かにまだつくられておりません。ほかの地域はつくられていますが。除染計画は、まだつくられておりません。

 その意味で、我々は、十分に県や自治体と話をさせていただいて、先生のおっしゃられたような作業を急ぐ必要があると私も思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、玄葉光一郎君。

玄葉委員 玄葉光一郎です。

 きょうは、ため池の除染から質問させていただこうと思ったんですが、ただいまの高木さんの質疑を聞いて、一言だけ申し上げたいというふうに思います。

 今議論になった中間貯蔵施設、これは福島の復興に欠かすことのできない大変重要な課題であります。立場を超えて、受け入れていただくための環境整備を整えなければならないというふうに考えております。

 その意味で、先ほどお話の出ていた帰還見通しというのは、私も大変気になっているんですね。つまり、地元の方々と話をしたときに、これがいわば受け入れの条件というより、その前段の、住民説明会を開く条件だ、こういうふうに例えば双葉の町長さんなんかは言っているという実態があるわけであります。

 先ほど、地元となかなかかみ合っていないのではないかという厳しい指摘が高木さんからあったわけでありますけれども、確かに、私も行くと、安倍さんが去年の三月に、帰還見通しを示すのだ、夏には公表するんだと言ったじゃないか、あの約束はどうしたんだ、こういうふうに言われるんですね。

 根本大臣も、大変御苦労さまだと思うんだけれども、ことしのたしか地元紙のインタビューを私も読みましたけれども、方向性をこの点について示すのだ、こういうふうに言っているんですね。一体どうしたんだと地元の人たちに言われるわけです。

 ですから、私も、何とか受け入れていただくための努力を続けたいと思っているんですが、この帰還見通しについては、大臣がやはり地元の皆さんと、腹を割って、ウエットな関係を築いて詰めていかないと、最後詰まらないんじゃないかというふうに考えているものですから、その点について、いかがですか。

根本国務大臣 帰還見通し、昨年十二月に新たな指針を政府で出しました。そこで、帰還困難区域における除染モデル事業の結果などを踏まえた放射線量の見通し、ですから、私もこれを早く出すようにと指示していますよ。そして、今後の住民の方々の帰還意向、あるいは将来の産業ビジョン、復興の絵姿、これらを踏まえて、地域づくりや除染を含めた今後の取り扱い、地元の皆さんとともに検討を深めていく、これが昨年十二月の政府の指針です。

 ですから、私は、この方向に沿って具体的な詰めの作業を急ぐ必要があるので、今それを急がせていますし、具体的に提示をするようにしたいと思います。

 それと、今、中間貯蔵施設の問題で、まだ住民の皆様に、例えば我々の地域振興策というのがありますけれども、そこが説明されていないものですから、だから、今そういう段階にあるんですね。だから、我々も早く地域振興策、復興庁は地域振興策を担当しますから、これを提示して、住民の皆様とやりとりをしながらその振興策を深めていく、このプロセスが実は玄葉委員のおっしゃるとおり必要なんですよ。

 ただ、今そこが、住民の説明会に入れていないものだから、だから、よく見えないから、ところが新聞にはどんどんどんどん書かれている、だから、どうなっているんだと。私は、そのいらいらする気持ち、本当によくわかります。そして私も、その意味では、大熊町あるいは双葉町も訪れて、そしてさまざまな意見も聞いてまいりました。

 例えば大熊町は、先ほども申し上げましたけれども、大川原地区、あそこを拠点にしようと。大川原地区の復興計画は、将来の線量見通しも、町が復興庁と相談しながら提示しましたから、そこに具体像が見えるんですね。そして、大川原地区、あそこは居住制限区域、あそこは除染しましたから、そういうことで、大熊の場合はビジョンが見える。双葉町はそこが見えていないものですから。

 ですから、委員のおっしゃることは私もよくわかります。ですから、我々はこれを、プロセスを含めてぜひ前に進めて、そして住民の皆様と、県、自治体の皆様と丁寧に話し合いをしながら、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

玄葉委員 その御苦労はよくわかるんです。

 よく伊沢町長と腹を割って、表だけではなくて、やはり非公式に腹を割って話すというのが何より大事じゃないかな、そういう時期だろうなというふうに思います。ですから、中間貯蔵施設の住民説明会というのではなくて、もっと本格的な、本質的な、地域振興のことも含めて話をさせてもらいたいのだというオファーをされたらどうかなというふうに思います。

 さて、ため池の除染、これも昨年末から私の方からも内々要請をしておったわけであります。先般、根本大臣が地元に入ったときに、実施をするという表明をいたしました。一歩前進であるというふうに思っております。

 その上で、福島県のため池は三千八百くらいあると言われております。一千九百ぐらい、農水省等々で調査を行ったというふうに聞いております。ため池の底の部分から放射性物質が検出をされています。大雨が降ってしまうと、農地に流入してしまうことが懸念されているわけであります。

 したがって、農業の振興、あるいはまだ農業が再開できていない地域において再開させるためにも、ため池の除染というものは不可欠だというふうに考えておりますけれども、このため池の除染、その具体的な除染の手法、工法、そしてタイムスケジュール、本来であれば、私は、去年要請をしていた段階では、農繁期には除染はできませんので、ことしの一月、二月、三月に行ってもらいたいという思いがあったわけでありますが、そこは出おくれというふうに言わざるを得ないのですが、これからの具体的な工法とタイムスケジュールについてお示しをいただきたいと思います。

根本国務大臣 私も、ため池の話については要請を受けてまいりました。ですから、私も、ため池のいわゆる除染の問題はやる必要がある。

 ただ、なぜこれが詰まっていたか。ため池の場合は、水がありますから、空間線量をはかると低いわけですね、水は遮蔽効果がありますから。ですから、環境省は、これは除染の対象になりません、こういう話をしてきたわけですよ。

 ですから、私は、空間、環境政策の視点と、それから、委員がおっしゃるように、やはり農地は農民の命ですから、農業の再生、営農の再開、そういう農政の視点から取り組む必要があるのではないか、複合的な視点で取り組む必要がある、これは私の意見。ですから、複合的にするように私もやってきました。みずから議論に参加してきましたよ。そして、今回、その整理ができた。

 では、具体的にどういうことかといいますと、これまでのプロセスを含めて言いますと、まず、農林水産省、福島県と環境省のモニタリング調査をしてきた。そして、放射性物質の堆積状況などがおおむねわかりました。並行して、農水省では、モデル事業で、放射性物質の拡散防止対策技術。やはり、ため池を何とかしろといったって、具体的な技術がないと進みませんから、きちんとどういう手法があり得るのか、これはモデル事業でやってきました。

 そして、そのモデル事業の結果が、拡散防止対策技術の例が四通り出てきました。例えば、底土の巻き上げを抑制するシルトフェンスを設置するとか、あるいは、底土を固化する、被覆する、あるいは除去する、こういう具体的な技術の検証作業をしてきて、具体的な手法が出てきた。ですから、我々も段階を踏んでやってきましたから、そういう前提が整ったので、具体的にこれを早急に進めようと。

 要は、対策の有効性も確認されないといけませんから、これはやってきました。例えば、私が市町村長と話をすると、やれと言われても、この技術はやはり国が示してくれないとやれませんよ、そういう話もいただいていましたので、対策手法も工法もできた。これから、これらの知見を活用して具体的に進めたいと思います。

 対策の基本的考え方ですが、住宅や公園の周辺などに存在して、生活圏の空間線量に影響を及ぼしているため池、これは環境省が除染する。営農再開、農業復興の観点からの対策が必要なため池、これは、農林水産省が福島県などと連携して、今回我々が創設した福島再生加速化交付金事業によって、農業復興に向けた営農再開支援対策を進める。これが基本的な考え方であります。我々、再生加速化交付金についても、このため池の対応をやれるように事業の中に組み込みました。そうすると、全部手だてが整う。

 今後でありますが、福島再生加速化交付金による営農再開のための対策については、まず、事業実施主体となる市町村などの体制整備をしなければいけません。そして、国によって、また農水省を含めて、今回、野沢のため池で実際にモデル事業をやりますけれども、これを通じて技術マニュアルを作成する。これをつくらないと進みませんから、そういうものを用意して、順次、条件の整ったところから開始したいと思います。

 対策に当たっては、やはりリスクコミュニケーションが大事だと思います。委員もそう思っておられると私もお伺いしましたが、リスクコミュニケーションを行う。そして、取水施設の改良、シルトフェンスの設置、底質の固化あるいは被覆、除去、この最適な組み合わせによって、発生土壌を抑えながら効果的に実施するということにしていきたいと思います。

 これからも、農林水産省、環境省、公共団体と連携しながら、我々として、着実に取り組んでいきたいと思います。

玄葉委員 これは、そうすると、早くてことしの秋からというふうに考えてよいのかということと、あと、先ほどおっしゃったように、いわゆる住宅地近くのため池といわゆる農業用のため池、これを分けて考えるということでありますけれども、基本的には、市町村から要望の出たため池は全て除染をするという方向でこれから検討していくというふうに考えてよろしいですか。

根本国務大臣 ため池の除染については、今までモデル事業でやってまいりました。そして、その対策の工法を研究してまいりました。県の方でもそこは調査をしておりますので、要は、必要なところから、どういう工法でやるのか、そういうことも含めて、必要なところから順次やっていくということにしたいと思います。(玄葉委員「秋から」と呼ぶ)

 例えば、野沢のため池、ことしモデル事業をやりますが、ここはモデル事業ですからやっていきます。

 そして、委員が先ほどおっしゃったように、ため池の水を抜きますから、そうすると、底はそういう状況がありますので、底土までやるというところについては秋からということになります。

 ただ、さまざまな工法がありますから、上の方から水を抜くとかシルトフェンスをやるとか、それは柔軟に対応していく必要があると思います。

玄葉委員 通告の三分の一ぐらいしかできませんでしたが、頑張りましょう。

 終わります。どうもありがとうございます。

秋葉委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、冒頭の藤原委員と同様、復興の事業用地の取得についてお伺いします。

 今、チリで起きた大地震の影響で、津波が少しずつ日本の沿岸にも押し寄せている、そういう状況でこの議論をするわけですが、この間、復興事業の用地取得のモデルケースで、岩手の釜石に片岸地区というのがあります。そこの防潮堤用地について取得の迅速化を進めようという取り組みがされてきました。

 昨年の十二月十八日に収用裁決の申請がされて、その後どうなっているのか、私が二月に予算委員会で質疑に立ったときに、たしか太田国交大臣からだったと思いましたけれども、このモデルケースについては緊急使用についても検討していくというような御答弁もありました。

 そこで、事務方でも結構ですが、質問は、そのモデルケースの収用裁決の手続、それから緊急使用の実施の状況、このあたりをお聞かせ願えますか。

根本国務大臣 この事業、これはモデル事業として取り組んでまいりました。それで、用地取得を二、三年短縮する、こういう成果も出てきております。

 そして、今委員のお話がありましたように、十二月十八日に収用法の裁決申請がありました。そして、三月二十四日に審理が開始されました。

 この事業は、本年秋の着工が予定されていますが、現時点においては緊急使用の申し立ては行われておりません。

 ただ、なお、今後の収用審理の進展次第では、着工に間に合う時期までに収用裁決がおりない可能性も考えられると思います。そのため、事業主体の岩手県では、状況に応じ緊急使用を活用することも視野に入れていると承知をしております。

階委員 本来であれば、緊急使用を早期に申し立てることによって、ことしの秋とおっしゃいましたけれども、さらに前倒しで着工することも理論上は可能なわけですね。

 緊急使用が現在なかなか使われていない、そのことが復興をおくらせている要因になっている。

 この点については、もう大臣とはかねがね御議論させていただきましたけれども、やはり我々はもうちょっと、自戒を込めて言いますけれども、危機感を持たなくてはいけないと思います。

 きょうのように、岩手の沿岸で起きた地震に限らず、世界の、本当に二万キロ近く離れたところの地震であっても大津波になる可能性があって、そうした中で、防潮堤がいつまでも整備されないで放っておいていいのか。今も沿岸では、仮設の住宅あるいは仮設の商店街、何とか暮らしている方々がいらっしゃる中で、またそこに新たな津波が来たら、本当にこれは復興どころじゃなくなってしまう、そこに住む人たちがもうやる気を失ってしまうということになりかねません。だからこそ、今やれることはもう、後追いではなくて、どんどん先に、先回りをするつもりでやっていかなくてはいけない。

 根本復興大臣は、課題があればそれに確実に対処していくと。それは堅実なアプローチかもしれませんけれども、被災地の方々はそれでは足りないという思いなんですね。やはりきょうのようなことがあると、とみにそういう感を強くされていると思います。

 そこで、本題に入っていきますけれども、この間、議論させていただく中で、直近では、私、二月の十八日の予算委員会で、この件について特別な法律が必要ではないかということを大臣に対してお尋ねしましたところ、それには明確な御答弁はなくて、加速化プログラムをもって抜本的な改革だと思っているというようなお話でした。また、本日の御答弁でも、これまでの取り組みをるる述べられた後、あとは運用の問題だというような答弁をされていました。

 改めて、復興事業用地の取得に関して特別措置が必要であるかなしかについて、大臣の御見解をお願いします。

根本国務大臣 私も、用地取得の問題、危機感を持って臨んでまいりました。そして、後追い後追いという話がありましたが、我々は先手先手でやってきたつもりです。

 例えば、土地収用法の運用だって、任意買収と並行してやったらいいじゃないかと。今まで土地収用法は、伝家の宝刀ですから、任意買収八割、あるいはくいを打ってから三年、それがルール、考え方としてあって、だから、土地収用法というのは手続法ですから、例えば、被災地特例として、任意買収と並行して事業認定申請する、こういう土地収用手続の迅速化をやるべきではないか。これもやりましたよ。

 我々は、確かに実際の迅速化をやってきました。私は、特別の法律、法律といって、法律自体が目的ではなくて、具体的に前に進める、これが必要だと思います。そして、そこで法律事項があったら、そこは法改正で取り組めばいいと思います。

 先ほど私が藤原委員の話に答えてきたのは、土地収用法、今までの運用の中でここまで迅速化した例はありません、ですから、私は、新しい法律をつくったと同じようなものだと申し上げてまいりました。

 用地取得の問題は、一番の論点は、迅速化できるか否か、これが私は重要な論点だと思います。ですから、どこがネックになって、どこが詰まっているのか、これを乗り越えていく。私はそういうことを、用地取得加速化プログラム、画期的に用地取得を短縮化することで措置したということであります。

 ですから、我々、例えば、具体的に困難事案を教えてくださいと。ということで、そこの困難事案があった場合に、それにどう対応するか。具体的な、新たな課題が出ればどんどんやりますよということは申し上げてまいりました。

 ですから、こういう法律が必要だということになったら、その法律が、では、果たして本当に成立し得るのか。これは、私は、その提案された法律で法制度論として議論をしなければいけないと思います、提案ですから。ただ、我々は、実際に用地取得を迅速化する、この一点でやってまいりましたから、それが結果的に、新たな立法措置を行ったような具体的な迅速化措置、加速化措置を講じてきたということを先ほど私は申し上げました。

階委員 多分、具体的な法律の提案があればこれは検討するというような趣旨をおっしゃっているのかと思うんですが、果たして、それで間違っていないですか。具体的な提案があれば検討するということでよろしいですか。

根本国務大臣 検討するかどうかではなくて、法律というのは、この法律が果たして成立するかどうか、この具体的な検証は必要だということで申し上げました。

 結局、土地収用法という法律がある、その収用法の手続と照らして、例えば、我々が検討するんじゃありませんよ、そういう立法措置をやろうということであれば、そこのところは、今の法体系あるいは憲法上との問題がないかどうか。やはり国民の権利義務の制限にかかわる話ですから、そういう提案された法律については、そこのところの吟味が必要ではないでしょうかということを申し上げました。

階委員 では、政府としては、検討もしない、国会でやられるのであればやってください、そういうお話ですか。

根本国務大臣 いや、階さんのおっしゃっている特別の法律というのはどういうことなんですか。

階委員 逆質問がいいのかどうかというのはありますけれども、きょうは資料も持ってきていますので、では、早速説明させていただきます。

 資料の一枚目でございます。東日本大震災復興特別区域法改正案ということで、ポンチ絵をつけさせていただいておりますけれども、私どもの案、結構大部な案になってしまったので、きのう、ようやく出すことができました。

 まずは、下の方にフローチャートがありますけれども、被災関連市町村等による復興整備計画の告示ということで、復興特区法に基づいて復興整備協議会を開いていただいて、その協議会の中で住民の意見なども聞きながら復興整備計画を決めて、そして、これを告示した後で、用地委員会という新たな組織を設けて、そこに裁決の申請をします。これは、今の土地収用法の裁決とは違う仕組みでございます。

 まず、裁決の申請があれば、二週間公衆の縦覧に供する。そして、異議申し出がない場合は右側の短縮的な手続に入りますが、原則的なケースとしては、まず、縦覧した後、用地委員会が権利取得裁決というものを行います。権利取得裁決を行う中で、各筆の土地の価額を決めて補償額を決める。そして、当該土地の所有権または使用権をこの段階で事業者が取得できる。これが権利取得裁決です。その裁決に応じて、事業者が用地委員会に対して補償金を納付すれば、ここで権利が移転する。

 その上で、用地委員会では、その後から、もう既に工事が着工した後から、各人別の損失の補償等を裁決して、そして各人ごとに補償金を払い渡ししたり、あるいは行方不明であれば供託したり、こういう話になるわけです。

 先ほど、さらに短縮する手続があると申し上げましたけれども、公衆縦覧の結果、異議申し出がない場合は、権利取得裁決前であっても、手続中使用裁決ということで、裁決の申請をした事業者が見積もった補償金の予納をもって、用地委員会がこれでよかろうと認めれば手続中使用裁決をして、即座に工事に着工できるというものでございます。

 なぜ土地収用法の手続とは別にこれが必要かといいますと、やはり現行の土地収用法は平時の土地収用を前提としておりまして、先ほど藤原委員からの質問にもありました、事前の任意の交渉が必要であるということです。

 確かに、法律上はそうした明文の規定はありませんけれども、私も確認したところでは、この土地収用法の逐条解説、多分、実務者のバイブルとなっている本です。ここでは、任意の交渉は省略できないという見解が明確に書かれております。実際に、岩手県でも、収用裁決に至るまでは、二回ぐらい事前の任意の交渉をするんだということも聞いております。

 したがって、やはり現行の土地収用法の手直しだけでは十分には対応できないのではないかということで、この下案をまとめてきました。

 もちろん、我々が独断と偏見でこれをつくったわけではなくて、資料二と三をごらんになっていただければわかるかと思います。

 資料二は、もう大臣御案内のとおり、昨年の十一月、岩手県の方から弁護士会と共同で出された案でございます。これも我が方の案と似通ったものでありますし、つい最近出された、資料三、これは日弁連の方で出してきたものでありますけれども、これもやはり、補償額を支払う前に、土地区域が確定した段階で早期に着工できるということでありまして、現行制度よりも早い段階で工事に着工できる、こういうことであります。

 したがって、大臣もいろいろ御努力はされてきたと思いますけれども、我々、現にこういう提案をしているわけでございまして、これが国会で議論されて進められていくことについては御異論がないというふうに伺ってよろしいでしょうか。大臣、お願いします、この法案。

根本国務大臣 私が言う立場にはないと思います。国会の、個々の委員会で決められるべきことだと思います。

階委員 そうしましたら、大臣としては、こうした問題については、やはり国会がまず決めるべき問題であって、政府としては、今ある制度を粛々と運用する、抜本改革に沿った運用の改善ということで進められていくというお立場に変わりないということでありますか。

根本国務大臣 委員は、これを例えば政府提案で提出しろという御趣旨ですか。(階委員「いいえ、もうその段階ではないと思います」と呼ぶ)

 だから、そういうことでいうと、これは国会の場で、つまり、これについては、私は、この今の階委員が提案されたこの内容が政府提案でやれるかどうかというと、相当、この法律、土地収用法ということと照らし合わせて、この用地委員会、本当にこういう形でやれるのかなという、今見させていただいて、この法案については法律上さまざまな論点があるのではないかと思いますので、この案については、これをどうするかということは国会でお決めになることだろうと思います。

階委員 本当は、昨年の十一月に岩手県の案が出されたときから、私は、政府の方でこうした案を出していただけるのではないかと期待しておりました。あの当時も、岩手県の方からは、契約が必要な土地が全体で二万件ある中で、行方不明で権利者と連絡がとれないものとか、そもそも権利調査が行われていないものとかが半分以上あったというような数字も出ていたと思います。残念ながら、そこが進んでこなかったので、きのう、黄川田先生や畑先生と一緒に国会に法案は出させていただきました。それで、我々はこういう法案を考えております。

 一方で、先週、これは与党の方からも、緊急使用の使い勝手をよくする法案、我々野党からも、四党共同で、やはり緊急使用に着目した法案というのを出させていただいております。先ほど私が説明した法案との関係性でいえば、やはり今すぐやれることというのであれば緊急使用の方だと思います。ですから、与党案を否定するものではありません。

 ただ、より踏み込んだ対策、次の、いつ起きるかわからない災害にも対応できるような踏み込んだ対策ということであれば、ややその準備に時間がかかるかもしれません。施行までは、私の先ほど説明した案では六カ月ぐらいは見なくちゃいけないかなと思っておりますけれども、そうした案についても、この際、同時に成立を図って、緊急にやるべきこと、それから先々を見越してやるべきこと、両方を整備しておくのが私は得策ではないかと思っています。

 話は緊急使用の件に戻りますけれども、緊急使用について幾つか確認したいことがあります。

 今回、野党の案それから与党の案で、収用適格事業にこれまで当たらなかった防集などについて、対象に含めようということなんですが、復興事業のうち収用適格事業に当たらないものについてはどのようなものがあるのか、また、復興事業のうち緊急使用の対象とならないものにはどのようなものがあるのか、これは大臣からお願いいたします。

根本国務大臣 特区法において復興整備事業として具体的に明示されている事業であって、事業の性格上用地の取得を伴うもののうち、収用適格事業に当たらないものとしては、防災集団移転促進事業があると承知をしております。

 ただし、防災集団移転促進事業であっても、委員既に御案内だと思いますが、一定の場合には、都市計画手続を経ることで収用適格が付与されます。具体的には、戸数が五十戸以上の場合、これは都市計画法上の一団地の住宅施設ということになって、都市計画決定をして、都市計画事業の認可を受けることで収用することが可能ということになります。

階委員 済みません。今二つお聞きしたんですけれども、後段の、収用適格に当たるとして、なお緊急使用の対象とならないものというのはどういうものでしょうか。

根本国務大臣 土地収用法百二十三条の緊急使用については、収用対象事業であって、収用委員会への裁決の申請がなされている事業であれば、対象になります。

 復興事業についても、土地収用法第二十条の事業の認定などがされた後、収用委員会に裁決の申請がされている場合には、緊急使用の対象となり得ます。

階委員 ただし、緊急使用の要件として、「事業を緊急に施行する必要がある場合で、明渡裁決が、遅延することによつて事業の施行が遅延し、その結果、災害を防止することが困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼす虞があるとき」という要件が課されておりますので、そういう今申し上げたような要件を満たさない場合は緊急使用が認められないおそれもあると思います。

 復興事業については、すべからく、今申し上げた要件に当たるということであれば私はいいと思うんですが、そう言えるのでしょうか。今の百二十三条一項の要件は、復興事業で収用適格事業に当たれば自動的に満たすというふうに考えてよろしいですか。

根本国務大臣 緊急使用の許可は、事業の実情に照らして、個々の事業ごとの緊急性や公益性の程度に鑑みて具体的な検討を行って、収用委員会が判断するものだと思います。

階委員 そこで収用委員会の裁量が入っているわけで、私ども四党の案については、復興事業であれば緊急使用の要件を満たすということを明確にするものです。

 それから、与党の案では、緊急使用の前、収用裁決の申請前に土地調書というものは不要だという案だと伺っておりますけれども、さて、その収用裁決申請がなされ、その後、緊急使用の申し立てがされる際も、この土地調書というのは要らないのかなという疑問があるわけです。

 一般論として、緊急使用の申し立てに先立って、事業者は土地調書を作成する必要はないのでしょうか。

根本国務大臣 こういう議論をする場合には土地収用を担当しているところも呼んでいただきたいと思いますが、要は、現行法上は、土地調書が策定されている必要があるんだろうと私は思います。

階委員 ですから、仮に緊急使用を申し立てる際に土地調書が不要だということであれば、そこについても立法の手当てが必要だというふうに私も考えております。

 それから、土地調書をつくるということであれば、そこである程度権利者の調査というのもされるからいいと思うんですけれども、仮に土地調書をつくらなかったとした場合、この百二十三条の三項というところに、緊急使用の許可をしたときは、収用委員会は、直ちに、起業者の名称、事業の種類、使用しようとする土地の区域並びに使用の方法及び期間を土地の所有者及び占有者に通知しなくてはいけない、通知の義務が課せられておりまして、これも、誰に送ったらいいのかというのは、事前に知っていないとこの通知というのはできないわけですけれども、その名宛て人の調査というのは誰がどの程度行うことになるのかということも、大臣からお聞かせ願えればと思います。

根本国務大臣 収用委員会は、土地収用法第百二十三条の緊急使用の許可をしたとき、これは直ちに土地の所有者及び占有者に通知をしなければなりません。それは委員のおっしゃられたとおりであります。

 収用委員会は、起業者が登記簿、戸籍、住民票などにより行った土地所有者などの調査により得られた情報をもとに、所有者及び占有者に対し通知を行うことになります。

 土地所有者などの調査は、起業者が緊急使用の申し立てを行う時点で既に行われているものと考えております。収用委員会が通知を行う際に、改めて収用委員会がみずから調査をするということは通常ないんだろうと思います。

階委員 今の御答弁からわかるとおり、通知を行うためにも、事前に土地調書というのが必要ではないかということであります。

 あと、自民、公明、与党さんの案では、緊急使用の期間を半年から一年に延ばすということなんですが、仮に一年を経過しても収用裁決に至らなかった場合、その緊急使用で行われた工事、これはどうなるのかということを確認させてください。

根本国務大臣 緊急使用の期間内に裁決に至らなかった場合、これは、使用権は消滅しますので、工事を続行させることはできないと考えられます。

 ただ、緊急使用については、緊急使用の期間内に裁決を行うことができる見込みがある場合に、裁決手続を進行する収用委員会自身が許可するものであるので、通常は、期間内に裁決を行うことは可能だと考えられると思います。

階委員 そうすると、工事がだめになってしまわないように、やはり収用委員会としては、安全性を見て緊急使用を許可するということになると思うんですね。必ず期間内に収用裁決が行われるという見込みがなければ、危なっかしくて、この緊急使用の許可というのはできないわけですよ。だからこそ、我々四党の案では、場合によっては、これは要件は限定しておりますけれども、延ばした期間をさらに延長ということも考えているわけです。

 我々は、そういうことで、緊急使用を使い勝手をよくするという方向性については与党と同じ方向を向いていると思いますけれども、まだやや不十分な点はあると思っていまして、この緊急使用の点については、与野党協議して、よりよい案をつくれればと思っております。

 その上で、最後に申し上げますけれども、きょうの質疑で明らかになったように、個々の所有者等の調査というのが、やはり現行法では、幾ら緊急使用を使い勝手をよくするといっても、避けて通れないわけです。また、工事を緊急使用で着工しても、緊急使用の期間を徒過すれば工事がストップしてしまうというか、もとに戻さなければならなくなる、こういうリスクもあるわけです。

 個々の所有者等の調査が完了する前に不可逆的に工事に着工できるようにするためにも、私どもが先ほど御説明したような案について、ぜひ我々は、この委員会の皆様の御協力も仰ぎながら、成立を期していきたいと思います。

 ぜひとも皆様の協力をお願いして、私からの質疑を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、各党の委員から、土地の問題あるいは福島を中心とする除染の問題が取り上げられたわけでありますが、きょうは久しぶりの復興特委ということで、私は、東日本大震災の復興ということを考えたときに、常に頭にあるのは、やはり福島第一の廃炉であります。

 今回の震災がいろいろなほかの災害、震災に比べて大きく違うのは、やはり福島第一の事故に至った、この点が大きく違うわけでありますし、福島において、大変多くの方がふるさとを離れて、大変御苦労されておられるということが常に思い至るわけでございます。

 そうした観点から、きょうは、午後の原子力特委でもまたお越しをいただくことになっておりますが、東電の社長にもお越しをいただいております。お忙しい中ではございますが、御協力のほど、何とぞお願いを申し上げます。

 この四月、年度が明けまして、数土会長も福島にまず四月の一日に入られて、佐藤知事と面会をされたと報じられているとおりでございますが、東京電力と福島の復興再生ということを考えたときに、経営体、事業体としての東京電力と福島の復興、これがどうしても、バランスというか、何らかのバランスをとりながら東京電力は経営をしていかなければならない。これは少なくとも、民主党政権で今の形をつくった、今の廃炉の仕組み、特に支援機構等の枠組みをつくられた中で、これは我々が避けて通れないバランスなんですね。福島の復興と東京電力の再生、これをどういうふうにバランスをとりながら、なしていくか。

 新聞報道等で拝見をしますと、佐藤知事からも、東電の再生も大事だけれども福島の復興をしっかり優先してくれ、こういう話があったやに報じられております。

 きょうは四月三日の審議でございますので、ぜひ冒頭、東京電力の方から、この会長が福島でおっしゃられた話を含めて、東京電力の福島の復興にかける思い、これを御表明いただきたいと思います。お願いします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 私どもにとりましては、福島の責任を果たしていく、もちろんその中には、福島の復興ももちろんでございますし、福島第一原子力発電所の汚染水問題、それから廃炉に向けた作業、これをしっかりやっていくということ、これらを含んでおるところでございますが、福島の責任を果たしていく、これは、総合特別事業計画、私ども、今その計画に基づいて事業をやっておるわけですけれども、今般、新しい総合特別事業計画に見直されましたけれども、これは以前の事業計画でもそうですし、新しい総合特別事業計画でもそうですが、一貫して、福島の責任を果たしていく、これが私どもの使命であり、まさに一丁目一番地として両方の計画にもトップにうたわれているというところでございます。

 したがいまして、私ども、福島の復興にとにかく全力で取り組んでいくということに全く同じ考えでやらせていただいております。

 ただ、もちろん、それを行うためにも、これからまた電気事業の方が自由化されてまいりますので、今後とも、自由化の局面の中で、お客様にしっかり引き続き選んでいただけるような経営基盤をしっかり整えていかなければいけないというのも事実でございますので、新しい総合特別事業計画においても、そうしたことに向けた施策もふんだんに盛り込まれておりますので、それをしっかりやっていくということだというふうに思っております。

 また、復興に向けて、東京電力としてどういう体制で取り組んでいくのかということにつきましては、御存じのように、昨年の初めから福島復興本社というのを置きまして、除染であるとか賠償であるとか、あるいは、もちろん福島の廃炉作業も含めて、しっかりとした体制を組んでやらせていただいているところでございます。

 また、足立先生御指摘のとおり、この四月一日からは廃炉推進カンパニーということで、廃炉に向けた体制も整えてきておりますし、また、七月に向けて組織をまた変えまして、福島復興本社の中に復興推進部という組織を、強化して立ち上げまして、そこで、これからの復興に向けて東京電力として当然いろいろなことをやっていくわけですけれども、当然、国の復興庁であったり、あるいは県であったり、それぞれの自治体とまさに共同してやっていかなければいけないという仕事もたくさんあろうと思いますので、そうしたことを、組織を強化してやっていく。

 あるいは、ベテランの管理職を福島に専任化して、これは最終的には五百人規模を考えておりますけれども、これからいろいろな復興の局面でいろいろ難しい仕事も出てまいるというふうに思っておりますので、ベテランの社員の経験なりリーダーシップをそこで活用してもらおうということもやっております。

 また、普通の一般の社員も、この一年以上にわたりまして、二泊三日、三泊四日で福島に入りまして、それこそ雪かきであるとか、あるいは草むしりであるとか、あるいは家屋の清掃であるとか片づけであるとか、そうしたことにとにかく汗をかくという取り組みをずっとやっておりまして、もう既に五万人日以上の、当然でございますけれども、そうしたことをやらせていただいて、社員全員が、福島で今どういう状況なのか、それに対してそれぞれの職場で自分たちが一体何ができるのかということを考えるきっかけにもなると思いまして、そうした取り組みを続けておるところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 今、廣瀬社長の方から包括的に、福島の復興にかける思いを表明いただいたわけですが、復興大臣、ぜひ、一日は数土会長が佐藤知事のところに行かれたということですが、今、廣瀬社長の話を聞かれて、もし復興大臣として、福島の復興にかける東電のこの取り組みについて御所感がありましたら、お願いします。

根本国務大臣 今、東電の廣瀬社長からお話がありました。私も、福島の復興に向けて、東電にはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

足立委員 私、実は、こういう話を新聞報道でも拝見し、また、今、廣瀬社長からお話を伺って、気持ちというか、精神論としては、おっしゃっていることはよくわかるし、それはうそではないというか、心から廣瀬社長もそう思って取り組まれていることは、私もずっと国会においてお話を伺う中で、それを疑うものではありません。ただしかし、大事なことは、これは大変長きにわたる大事業でありますので、仕組みとしてこれが本当になし得るのかということが大変ポイントになってくるわけです。

 まさに、今、廣瀬社長からおっしゃられた、背景には電力自由化。これはきょうのテーマではありませんが、経済産業委員会、あるいはきょうの午後、原子力問題調査特別委員会、そうしたほかの場でも国会で議論をしていくことになるわけでございますが、東京電力というこの事業体は、まさに電力自由化の中で競争、いろいろな意味での競争に巻き込まれていく、競争に対応していく必要があるわけであります。

 実は、その中で、廃炉等の福島第一の問題以前の問題として、そもそも原子力事業をどうしていくんだ、原子力事業というものがそもそもこの電力自由化の中でどういうふうに位置づけられていくのか、これが実はベースにあるんですね。これはきょうはやりません。きょうはやりませんが、電力自由化の中で、果たして今のような制度の枠組みで本当に原子力事業というのは成り立っていくのかという議論が別途あります。

 電力自由化が一階だとすれば、その中で原子力事業をどういうふうに維持していくか、これが二階。その中で福島の廃炉をどうしていくのか、これはもう三階部分なんですね。これをしっかりとやっていくときに、この一階、二階、三階という、大変難しい、長きにわたる事業を本当にやっていくときに、今おっしゃったような、私には気持ちはあるぞということはわかりますが、廃炉推進カンパニー、この御紹介もいただきましたが、これは、十分なリソースを、資金的な面あるいは人的な面でこのカンパニーにどれだけのリソースを配置するかということ自体は会社全体あるいは事業計画の問題かと思いますが、この点は東京電力としてしっかりと担保をできるのか。

 これはやはり、私たちは、気持ちはわかったけれども仕組みはどうなんだというところで大変懸念をするところでありますし、そういう懸念を持っているグループからいえば、だから、やはり本当は震災の直後に別の道を歩むべきだったんだと。破綻処理の議論もあった、議論としてあった、しかし、今、日本はそうでない道を歩んでいるわけでありまして、今の制度の枠組みの中で、東京電力はどうやって廣瀬社長が今おっしゃった思いを形にしていける、それを担保できるのか。その点を改めて廣瀬社長の方からお願いします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 廃炉カンパニーを設立いたしました、この目的から御説明させていただきます。

 先生も御指摘のように、これは三十年、四十年にわたってずっと続けていく、本当に長いプロジェクトでございますので、そうした長きにわたってしっかり、この極めて難しい、極めて大事な仕事をやっていく、まず、そもそもそうした体制をしっかりしようということ。

 それから、国も一歩前に出ていただけるというもとで、社外の、国内、国外あわせまして、専門の方々の知見を十分取り入れてこれからやっていかなければいけないということもございますので、そうした体制をしっかり持っていくこと。

 また、三つ目としては、これはもう少しオペレーショナルな話だと思いますが、現場で、しっかりとした責任体制で、迅速な意思決定等々をしていくこと。

 こうした狙いから、廃炉カンパニーを設立いたしました。

 そうした中で、私が一番懸念をしておりますのは、廃炉カンパニーに所属する人間が廃炉をやればいいんだ、あとのほかの人たちは、それはあの人たちの仕事だというふうになってしまっては一番いけない。これは、正直申し上げて、私が一番懸念をしておったところでございます、この過程において。

 したがいまして、現実にも、これは前にも足立先生の御答弁にも申し上げたかもしれませんけれども、現在、水力発電の専門家が地下水の挙動等々についても手伝っておるわけですし、タンクの話については、火力発電所にたくさんの燃料タンクがあるわけですので、そうした知見、専門家もおりますので、そうした原子力部門以外の人間がたくさん、今、取り組んでおります。

 そうしたことをこれからもずっとやっていかなければ、とても、この廃炉という難しい作業は継続できないだろうというふうに思っておりますし、人の気持ちの部分についても、あんたたちだけがやればいいのだということは決してあってはいけない。全社で、あるいはグループ全部挙げて、この福島の、廃炉も含めて、責任を果たしていくんだということをしっかり担保しなければいけないと思っております。

 したがいまして、これはまさにおとといからできた組織ですので、これからしっかりやっていかなければいけませんが、私としては、そういう思いで、全社、全グループのあらゆるリソースを、適時、必要があったとき、タイムリーに融通無碍に投入できるような、そうした構えは絶えず持っていかなければいけないというふうに考えているところでございます。

足立委員 私の立場からするとちょっと、まあお気持ちはわかる。お気持ちはわかるし、取り組まれていることもわかる。

 ただ、社長、これは御理解いただけると思いますが、今おっしゃっている廃炉推進カンパニーというのは、利益は上げないですね。すなわち、いわゆる会社経営でいうと、明らかにこの廃炉推進カンパニーは、純粋にコストセンターだと思うんですね。純粋にコストセンターです。普通、競争下に置かれている事業体は、コストセンターはとにかくできるだけ小さくという力が必ず働きます。働かないというのは、多分うそになると思うんですね。

 逆に言うと、だからこそ、やはり何らかの、もちろん、廃炉推進カンパニーとして、事業部制みたいなものだと思いますが、独立性を高めることによって得られる何かメリットもあるから、そうされているんだと思いますが、私は、何らかのピンどめ、何らかの仕組みがないと、いや、人も配置しています、お金も、必要だと言えばそれは出します、それはもう精神論なんです。

 社内、あるいは制度でもいいんですが、何かこのコストセンターに、いわゆる東電としての、経営体としての、私はあえてバイアスと言います、経営の観点からのバイアス、経営バイアスがこのコストセンターに働いて、本来必要なリソースが十分に賄われない、一般論としては、そういうリスクがあるということは言えると思うんですけれども、これをとどめる何か仕組み、ピンどめをする仕組みはないんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 済みません、先ほどのお答えに若干舌足らずなところがございました。

 既に御案内のように、私ども、これからの国会審議によるんですけれども、電力のシステム改革というのが行われて、法的分離という話をこれからやっていかなければいけない、そうしたことを見据えて、ちょうど一年前でございますけれども、昨年の四月一日から、社内にカンパニー制度というのを設けておりまして、いわゆる発電カンパニー、送配電カンパニー、小売カンパニーというのを既に発足させて、一年たっております。こうしたカンパニーは、まさに先生御指摘のとおり、いわゆるプロフィットセンターとして、しっかり収益を上げてやっていこうということでございます。

 しかし、その上に、ホールディングの部分に当たりますが、コーポレートと我々は称していますけれども、そうした部門には、ほとんどの部分はいわゆるコストセンターとしてあるわけですが、今回つくった廃炉推進カンパニーというのは、同じカンパニーという名前ですので若干誤解を生じてしまうおそれはありますが、先生御指摘のようにまさにコストセンターでございますので、この廃炉推進カンパニーは、同じカンパニーですけれども、ホールディングの中にずっと置いて、まさに経理部であるとか人事部であるとか、そうした収益を基本的には生まないコストセンター的な仕事というのは会社の中にはどうしてもございますので、そうした部門と同様にホールディングの中に置いて、そして、それぞれの収益を上げる発電カンパニー、あるいは送配電カンパニー、小売カンパニー、こうしたものからの収益をしっかりホールディングの中に集めて、ホールディングとしてしっかり責任を体していくということ、それがまさにピンどめといいますか、組織的な担保だというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 今の点、東京電力廣瀬社長のお立場で御答弁をいただいたわけですが、言うまでもなく、東京電力は、今や実質国有というか、政府が大きな資本を入れているわけでございます。

 これは今、廣瀬社長がおっしゃった内容について、東京電力を監督している経済産業省の立場から、何か東京電力の経営について、趣旨は同じです、今申し上げたように、コストセンターであるけれども、そこに十分なリソースが配置される。これを、東京電力は、それをしっかりやります、こう言っているわけですが、経済産業省の立場からも御答弁をお願いしたいと思います。

磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 委員おっしゃるように、廃炉・汚染水対策、これを確実に推進していくというのは非常に重要でございますし、それとともに、電力の安定供給をしていく、これも現下の中での非常に重要な課題だというふうに思っております。それをやっていくために、東電の体制につきましても、着実な事故の収拾をしますとともに、迅速な賠償をしていく、こういう体制をつくり上げていくというのは必要でございます。

 そのような問題意識から、昨年末に、政府としましても、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」、これは原災本部、閣議決定をして、その中で、東電がことしの四月から社内分社化を通じまして廃炉・汚染水対策に優先的に取り組む、そういった中で適切な意思決定がなされる体制を確保する、そういうことを指摘しました。

 先ほど廣瀬社長の方からお話ありましたように、この四月一日から福島第一廃炉推進カンパニーを発足させて、必要な人的、資金的なリソース、これを投入して、廃炉を実施するしっかりとした体制をつくり上げていくというお話がございました。

 それとともに、一月に大臣も認定しました新しい総合特別事業計画、この中におきましても、東電の原子力部門、コーポレート、各カンパニー、ここにおきましても、「必要なリソースの投入を適切に行う等、資金、人材、技術面で密接に連携し、引き続き東電グループ全体として責任を果たしていく。」ということが記載をされておりますので、この大臣認定しました総合特別事業計画、これをきちんと担保していくためにも、私どもとしましても、この東電の新しいカンパニー、これをきちんと注視してまいりたいというふうに思っております。

足立委員 政務官、ありがとうございます。

 ぜひ、今御答弁いただいた内容について、我々国会サイドからも、応援というか、しっかりと監視をしていきたいと思いますので、ぜひ、この福島第一の廃炉・汚染水対策、何としても、これは福島のためのみならず、日本全体のため、あるいはこの福島第一の廃炉プロジェクトは、私は、実は、コストセンターと申し上げましたが、余りネガティブにばかり捉えているわけではありません。研究開発等を通じて、この福島第一のプロジェクトが、まさに世界で数ある原子力発電でございますので、そのある種の経験、知見、ノウハウの集積を通じて、前向きな意味でのセンターになっていくように私どもはしっかり取り組んでいきたい、こういうふうに思っています。

 もう時間が来ましたが、あと最後に一点だけ。

 そういう中で、二〇二〇年に東京オリンピックが参ります。私は、二〇二〇年の東京オリンピックまでに、何かやはり廃炉事業について、一定の目に見える成果がないのかなと。このまま、何か汚染水がどうなっているかよくわからないような状況のまま東京オリンピックを迎えることについては若干、問題というか、残念な思いがあるわけで、それはぜひ皆さん御努力をいただいて、やはり東京オリンピックがまた大きなステップになるような形をとっていきたい。

 そういった意味で、二〇二〇年の東京オリンピックまでに何か具体的にここまではやるぞと、きょうこの場でコミットいただける内容があれば、答弁をいただきたいと思います。廣瀬社長からお願いします。

秋葉委員長 廣瀬社長、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

廣瀬参考人 福島第一での廃炉に向けた取り組みにつきましては、ロードマップに基づいて、これはもうしっかりやっていくということで、余りに初めにスケジュールありきというのもいかがなものかというふうに思っておりますので、しっかりこれはやっていくということだと思います。

 むしろ、先生の御質問に対して、ちょっと違うかもしれませんけれども、発電所の外で、私ども、石炭火力を二地点でつくって、少しでも雇用なり、復興に役立てたい。あるいはJヴィレッジ、今お借りして、大変重用させていただいておりますが、オリンピックの前に、ぜひきれいにしてお返しして、トレーニング場あるいはキャンプ地としてでもお使いいただけるようになればというふうに思っているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 私個人は、ぜひこの二〇二〇年、計画では多分、核燃料の取り出しが始まる工程表になっていたかと存じます。大変難度の高い、見通しがない、現実ではないところだと思いますが、ぜひ東京オリンピックに合わせて核燃料の取り出しが始まるぐらいの大きな前進が達成できるよう、我々としての決意を申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保です。

 きょうは、子供たち、そして保護者の皆様の気持ちを代弁すべく、声を届けるべく、安倍政権の復興政策が本当に子供たちに向き合っているのか、そういう観点から、大きく二つの論点で質問させていただきます。

 まず初めに、去年の十二月三日の委員会で私が質疑しました、子供たちへの健康管理調査の実施につきまして、改めて質問させていただきます。

 去年十二月の委員会答弁では、有識者会議、つまり、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議、これらの議論を受けて、子供たちへの健康管理調査の実施の有無を判断するという御答弁でした。専門家会議は、これまで四回開催されています。

 まず、この議論の要旨、方向性について御答弁をお願いいたします。

塚原政府参考人 お答えします。

 子ども・被災者支援法に基づきます基本方針が昨年十月に取りまとめられたことを踏まえまして、昨年十一月に、幅広い健康管理対策等の課題について検討を行いますために専門家会議を設置いたしまして、これを前回の御質問に御答弁させていただいたところでございます。

 この三月までに四回会議を開催いたしまして、主に、福島県内外の住民の方々の被曝の線量の把握手法や、内部被曝、外部被曝といったいろいろな被曝の形態がございますので、そういったようなものの評価につきまして御意見をいただいたところでございます。

 今後は、その被曝線量の評価、近々お取りまとめをいただくことになっておりますけれども、それを踏まえた次のステップといたしまして、健康管理対策のあり方などについて御議論をいただくことを予定しております。今年度のできるだけ早い時期に方向性を示していただきたいというように考えております。

椎木委員 去年の答弁でも同様の内容だったかと思いますけれども、来年度、つまり今年度の早い時期という、今御答弁いただきましたけれども、早い時期というのは具体的にいつごろを目標にお考えなのか、御答弁をお願いします。

塚原政府参考人 お答えします。

 被災者の方々のお気持ちを考えますと、できるだけ早く結論を出したいというのが一方でございますが、やはり専門家の間での非常に慎重な議論もありますので、できるだけ早く結論を出したい、しかし、慎重な医学的な検討もお願いをしたいということでございますので、そういうような状況で今議論をしていただいているということでございます。

 いつぐらいまでにということにつきましては、今の段階で、確たることを申し上げる段階にはございませんので、御理解をいただければというように考えております。

椎木委員 昨年の私の十二月三日の質問で、塚原保健部長の方も、心情的には大変理解できるというような文言での御答弁をいただいたと思うんですけれども、私の地元選挙区のお母さん方も、本当に一生懸命、十二月三日以降、今日に至るまで、自費でエコー調査を実施したり、ボランティア等々、時間を惜しまず、子供たちの健康管理ということの、有害性がないのか、さらには子供たちに安心を与えたいという気持ちが、選挙区ですから余計に私もひしひしと目の当たりにしていますので、そういう意味では、本当に、早い時期というのはいつなのかというのを一刻も早く皆さんにお届けしたいという気持ちで私もいっぱいでありますので、その辺のお母さん方の気持ちも十分御理解いただいた上で、早い時期という御答弁をできるだけ早くいただければと思います。

 本当は、現時点で、子供たちの健康管理調査を実施するのかしないのか、マルかバツかということをきょうは聞いていただきたいということで、私も選挙区の皆さんからそういう質問を受けてきたところなんですけれども、今の部長の答弁をいただいた段階では、これ以上はちょっと、私もお聞きすることはと思いますので、現時点でのということの質問については、あえて控えさせていただきます。本当に、心情的にということで、これは人間ですから、何とか期待に応えていただけるように、御努力いただければと思います。よろしくお願いします。

 次に、子供たち、やはり保護者の皆様が健康に不安を現時点でも抱いている、そうした中で、これも昨年十二月三日の質問で私もお話しさせていただきましたけれども、千葉県、現在においては茨城県、これらの住民の皆様が独自に健康調査を行っている。これは、国はもちろんですけれども、市町村の財政的支援も全く受けられない中で、本当に独自で実施しているというケースが、やはりふえてはいるんですよ。

 そういう中で、財政的な部分を含めて、支援策というものも検討していただけているのかどうか、御答弁をお願いします。

塚原政府参考人 お答えします。

 今般の原発事故に係ります住民の方々の健康管理は、医学の専門家の御意見をお聞きしつつ進めることが重要であると認識をしております。

 福島県外におきましては、WHOでありますとか、昨日、四月二日でありますが、国連科学委員会において公表された報告書におきましても、がんなどの健康影響の増加が認められる見込みはないという評価がされているものと承知をしております。そのような国際的な評価も一方ではございます。

 幾つかの自治体におきまして独自に健康診断を実施されているという事例があることは承知しておりますが、福島県外におけます独自の取り組みについて、国として支援するということは現時点では考えておりません。

 一方、被曝線量を把握していこうということにつきましては、福島県の近隣県におきましては、国として改めて住民の被曝線量を正確に把握するため、今年度から、汚染状況重点調査地域におきまして個人線量計を配付いたしまして、個人の外部被曝線量を把握する事業を開始することとしております。

 引き続き、近隣県とも連携をいたしまして、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

椎木委員 医学的な見地でというのは、もう本当にこれまでも何度も御答弁いただいていまして、私も行政に勤めていた立場、経験もありますので、十分わかるんですよね。理解しているつもりなんですよ。

 ですが、今回は本当にあの三・一一、それで、お父さん、お母さん方は、自分のことよりもまず子供のことを考えているわけですよ。子供たちが本当に放射線の被害を受けていないのか、健康であるのかというところに、非常に不安と、健康管理調査を実施して安心をかち取りたい。多分、議員の皆さんもそうだと思うんですよね。自分の子供が勉強ができるできないよりも、まず健康かどうかというのを、やはり何よりも第一に考えると思います。

 だから、そういう意味では、その医学的な見地はよくわかりますよ、わかります。これは理解しています。その上で検討していただけないんでしょうかという趣旨でございますので、これについては本当に何とか、やはり基礎自治体、市町村で賄えるようなものではありませんので、やはり国として何とか支援をできるように、本当にこれは本腰を入れて検討していただきたいと切に願います。

 今の財政的な支援の面で、改めて御答弁がいただければと思います。

浮島大臣政務官 椎木委員から御指摘ございました、不安でということは本当にごもっともなことだと思っております。

 私もずっと現場を歩かせていただいておりますけれども、皆様の御心配、御不安を払拭するために何が大切かというと、正確な情報をいかに早くお伝えするかということが重要であると考えているところでございます。

 また、先ほど塚原保健部長の方からも答弁ありましたけれども、福島県外におきましては、WHOや国連の科学委員会では、がんなどの健康影響に増加が見られる見込みはないと評価がされているところでございます。しかし一方で、今委員御指摘のとおりに不安の声が多いということは私も承知をしております。

 そんな観点から、正確な情報をしっかりと伝えていくという観点からも、先ほどありましたけれども、今回、希望者に対しまして個人線量計を配付して、しっかりと把握をしていく、そしてお伝えをしていくという事業も開始させていただいております。

 また、今回の健康管理のあり方に関する委員会におきましても、今後の支援のあり方等について、今おっしゃっていましたけれども、専門家の視点から科学的にしっかりと検討をしていただきたいと思っております。

 また、先ほど来からございますけれども、今年度中の早い時期、早期に、これをしっかりと検討をまとめて知見を示していただき、その知見に基づいて、また正確、そして早急に皆様にお伝えをさせていただきたいと思います。

 また、今御答弁させていただきましたけれども、個人線量計につきましては、希望者の方に対して、福島県外で六十の自治体ということで、希望のところにお配りをさせていただきたいと思っておりますので、また御理解のほどよろしくお願いいたします。

椎木委員 浮島政務官そして塚原部長、本当に、それぞれ御答弁ありがとうございました。

 くどいようですけれども、今回は本当に医学的な見地を超えて、国がどういう支援ができるかというところが一つの本当に大きなテーマかと思うんですよね。これは支援の大小ではないと思います。多少なりともということで、検討をするということも一つの安心感だと思いますので、最終的な御判断は私がどうこう言える立場ではございませんけれども、本当に医学的な見地を超えた大きなテーマだということを改めてお伝えさせていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に入ります。

 被災から四度目の春を迎え、桜も咲きました。被災直後に中学校に入学した子供たちは、この春、中学校も卒業し、巣立ってまいりました。しかし、仮設校舎、別の学校の建物を間借りしている事例も依然として多いと聞いております。

 その仮設校舎のまま卒業した子供たちも多数いる中、岩手、宮城、福島、被災三県の小学校、中学校、養護学校等義務教育レベルでの仮設校舎、間借りしたままの事例が現在それぞれ何件ぐらいあるのか、御答弁をお願いしたいと思います。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年三月時点におきまして、東日本大震災における被災三県、今委員御指摘の岩手、宮城、福島の三県の小学校、中学校、特別支援学校等の義務教育段階での他校舎、他施設を使用しているものは四十五件、仮設校舎を使用しているものは四十五件と報告を受けているところでございます。

椎木委員 学校が変わるということは、統廃合とか間借りも含めてですけれども、子供たちにとっては劇的に教育環境が変化するということで、これは私も教員経験がありますので、子供たちの真意といいますか、そういう部分も経験上踏まえて質問させてもらっているところなんです。

 仮校舎とか間借りの校舎からの復興というのが、いつぐらいをめどに工程的に計画されているのか。それらについて、もし、復興のめどといいますか、そういう統廃合、間借りの校舎からの脱皮といいますか、そういうもので見通しがあるのでしたら、答弁の方をお願いしたいと思います。

義本政府参考人 委員御指摘のとおり、仮設校舎、間借りを継続している件数はまだございます。

 それは各県によって違いますが、県の状況から聞いていますところにおきましては、岩手県におきましては新校舎を建設中であるということですとか、あるいは宮城県におきましては、他の学校との統合あるいは新校舎を建築する、あるいは地域の復興計画を策定中で、再建場所の決定は困難だと。あるいは福島県におきましては、原発事故によって帰還できないというふうな状況が続いていますので、継続している。

 そういうふうな、さまざまな地域の要因によって、今の現状になっているところでございます。

椎木委員 何といいますか、細かい数字じゃなくて結構なんですけれども、今年度中にどのぐらい解消できるのか。この辺の、先ほどの答弁の件数から算定したもので、パーセンテージでも何でも結構なんですけれども、いずれにしても、どのぐらい本当に解消できるのかという、そのめどがあるのでしたら、答弁の方をお願いしたいと思います。

義本政府参考人 今申し上げましたようにさまざまな要因がございまして、県の方から聞いているところにおいては、現状において確たる形で見通しがなかなか立っていないところでございます。

 一方、今後、統廃合の予定としましては、岩手県、福島県においては、現段階においてはまだ明らかになっていないところでございますけれども、宮城県においては、二件、計画していると聞いているところでございます。

椎木委員 ありがとうございました。

 では次に、今度は子供たちのメンタル的な面で、ちょっとお聞きしたいんです。

 子供たちに与える影響、ストレスや、不登校になる事例、保健室に駆け込む事例等の件数というのを把握していらっしゃるかどうかが一点。

 もう一つは、スクールカウンセラーの拡充、配置等の対策が行われているかどうか。行われているという前提でお聞きしますが、予算措置もあわせて御答弁をお願いします。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 子供たちのストレスによりまして、心の課題を抱えている子供がおりまして、保健室に駆け込んでいるという件数については把握しておりませんけれども、不登校になっている児童生徒数につきましては、平成二十四年度の被災三県の不登校の児童生徒数につきましては、四千九百二十六人、内訳としましては、岩手県が八百四十九人、宮城県が二千五百十一人、福島県が千五百六十六人になっているところでございます。

 また、被災三県において、心のケアの充実を図りますスクールカウンセラーの配置でございますが、平成二十五年度予算におきましては、緊急スクールカウンセラー派遣事業、これは全額国庫負担の事業でございますけれども、それによりまして、岩手県、宮城県、福島県の要望に応える形で、スクールカウンセラーにつきましては、九百六十二名が配置されているところでございます。二十六年度予算についても、同様の措置を進めていくということで、約三十七億円でございますけれども、予算を計上させているところでございます。

椎木委員 時間になりましたので、最後に、安倍総理も三月十日の記者会見で、被災地の皆さんが復興を実感できる一年にしていく決意というものを述べられていると思うんですけれども、何といいますか、復興加速というのは、国土強靱化というものだけに力が入っているような、そういう受け取り方をしている国民の皆さんもやはりまだたくさんいらっしゃると思うんですね。

 決してそうじゃないんだということをぜひ証明していただく意味でも、もう少し、復興政策が本当に子供たちに向き合っているのか、そういう視点で、子ども・被災者支援法を初めとして、本当に子供たちの今後の健康管理等々の課題について、引き続きお願いしたいと思います。私もできるだけお力になれればと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、東北地方における医学部新設問題について伺います。

 医学部の新設は、一九七九年の琉球大学を最後に、大臣告示によって凍結されてきました。東北地方の医師不足は、これまでも大変深刻でありましたが、東日本大震災を契機に、東北に医学部新設をと、私立大学二校や病院が名乗りを上げてきたところであります。

 資料の一枚目にありますように、復興庁、文部科学省、厚生労働省の三省の連名で、昨年十二月十七日、東北地方における医学部設置認可に関する基本方針についてを発表いたしました。アンダーラインを引いておきましたけれども、「目的 震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足、原子力事故からの再生といった要請を踏まえつつ、」云々ということで、震災からの復興と原発事故からの再生というのが明記をされていました。

 だからこそ、ほかではなく東北であり、また一校だけなんだということを言っているんだと思うんです。だからこそ、見るべき成果を上げる必要があると思うんですけれども、まず根本大臣に、東北に医学部を新設することの意義について、認識を伺いたいと思います。

根本国務大臣 委員おっしゃられたとおり、東北地方への医学部の新設、これについてはいいというお話がありました。あの震災からの復興、東北地方の医師不足、原子力事故からの再生という要請を踏まえて、特例として、東北地方に一校に限り医学部新設を可能とするため、関係省庁と連携して基本方針を定めたところであります。

 これから今後、文部科学省の審査において、基本方針が掲げるように、教員などの確保に際し地域医療に支障を来さないような方策や、卒業生が東北地方に残り地域の医師不足の解消に寄与する方策を講じることなどの条件に留意して、被災地のニーズを踏まえた適切な構想が選択されるように対応していきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 そこで、報道では、文部科学省が五月までに、ことしの話ですね、新設構想を受け付けて、有識者の意見を踏まえ、六月に一校を絞り込むとしているわけです。

 資料の二枚目に、スケジュールを書いていたんですけれども、これは、ひと月で採択をする、そして十月には認可、来年四月には開学というスケジュールを書いているわけですが、余りにも拙速ではないか。

 やはり今大臣がおっしゃってくださったように、地域医療に影響がないようにということで、実際、関係者の反対の声も大きいわけですよね。でも、やはりそういう人たちに本当に協力してもらって、東北のためなんだということで進まなければ、ただ、手を挙げた大きな大学がありますよ、条件をかなえていますよというふうにはいかないだろうと思っているんです。そういう意味でも一定の時間が必要だと思っています。

 日程は決まったものではないということを確認させてください。

吉田(大)政府参考人 御指摘のスケジュールは、昨年十二月に復興庁、文部科学省、厚生労働省で連携して定めました、東北地方における医学部設置認可に関する基本方針におきまして、既存の大学に医学部を設置し、平成二十七年四月に開学を行う、こういう仮定を置いた場合の最短のスケジュールの例として示したものでございます。

 この基本方針におきましては、同時に、認可申請及び開学時期等につきましては、大学、自治体等の準備状況を踏まえて弾力的に対応するということも付記をしておりまして、このスケジュールが確定しているということではございません。

高橋(千)委員 ありがとうございます。確認できました。

 仮定を置いた場合での四月の場合はどうなのかというお話だったかと思います。これがどうしてもひとり歩きをしていまして、しかも、新聞報道にもちゃんとそういうふうに書いているものですから、もう決まっちゃったんだろう、今さらあれなんだろうというふうな意見なんかも関係機関から出てくるんですね。そうではないということを確認させていただきました。

 そこで、今の資料の下のところなんですけれども、設置基準があるわけです。四十年ぶりにこれを使うということになるわけですけれども、医学部をつくるためには附属病院が必要であります。一番小さい単位でも、三百六十人収容する場合、入学定員は六十人まで、専任教員が百三十人、そして病床数六百床というふうにあるわけであります。

 これは、全体の病床規制というのも今ある中で、どのように対応するのか。附属病院の体制や指導体制のために、ただでさえ人手不足のところから人材が引き抜かれたり、あるいは、比較的医師が充足している都市部に新しい病院ができるだけでは意味ないじゃないか、そういう見方もできるわけですよね。どのように考えますか。

吉田(大)政府参考人 今委員御指摘の既存の医学部における基準でございますけれども、医学部の新設に当たりましては、基本的には従来どおり、最低でも六百床程度の附属病院を置くことが、医学部におきます教育研究水準の確保ということからしますと必要ではないかというふうに考えております。

 このたびの東北地方における医学部新設に当たりましては、医学部の新設によりまして地域医療に影響を及ぼす懸念があることを踏まえまして、基本方針におきましても、医学部の教員や附属病院の医師の確保に際して地域医療に支障を来さないような方策を講じることを条件の一つとしております。

 具体的には、例えば、広く全国から公募を行うことですとか、あるいは、既存の大学や医療機関、地方公共団体等との連携により計画的な人材確保を行うこと、特に人材が不足している地域や診療科の医師の採用には十分配慮するというふうなことも定めているわけでございます。

 私どもとしましては、今後、厚生労働省等の関係省庁とも密接に連携しながら、適切に対処してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 そうすると、六百床に関しては動かさないということですかね。

吉田(大)政府参考人 基本的には六百床というところを維持したいと考えておりますけれども、ただ、復興という目的や附属病院設置の際の地域医療への影響等に鑑み、必要がある場合には、医学教育上必要な代替措置を講ずることを条件といたしまして弾力的な取り扱いを行う、これも個別の事情に応じましてこれから検討してまいりたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 弾力的なということでありました。

 やはり最初にお話ししたように、いわゆる仙台のような高度な病院が集中しているところにまたということではなくて、それだったら被災地の真ん中にというふうな意見もあるわけです。十分な議論、要するに、必要な病床数というのはやはり教育のためには一定欠かせない、しかし、そのために、どこに、あるいはどんなという形が非常に重要だということで考えていただきたいなと思っています。

 それで、卒業生が東北地方に残り、かつ、地域医療に貢献するということが期待されているわけです。具体的にどういう体制をとるのかということなんですが、国立大学医学部の学費が六年間で三百五十万円に対し、私立大学では三千三百万円と十倍の格差があるわけで、これが卒業生の流出が避けられない根本原因になっていると思います。

 大学側は、大学側はというのは今手を挙げている大学ですね、宮城県に対して、財政援助が絶対必要だということでお願いをしたというのが三月三十一日の河北新報に載っておりました。それで、宮城県の関係課が東北の岩手とか福島とか各県に呼びかけたんですけれども、でも、どういう大学になるのかということで、そう軽々には、じゃやりましょう、協力しますとはならないですよね、当然。そういうニュアンスのことが書いてありました。

 そこで、宮城県の坂総合病院の院長だった村口医師らによる東北地方医療・福祉総合研究所が、新設するなら、やはり東北に貢献できるように公立大学であるべきだと主張しています。実際に、千人の医師らに行ったアンケートがこのほどまとまったわけですけれども、実は、医学部新設には反対が五四・九%で、賛成を上回っているんですね。しかし、その理由は、やはり被災地や東北地方の医師対策にならないためというものでありました。人材の引き抜きと、あげく資源の流出を懸念するのは当たり前のことなんですね。でも、一方で、その反対の人たちも含めて、建てるなら公立でという先生方の意見に対しては私立の倍の賛同者があった。これはすごく重要だと思うんですね。

 ですから、やはり東北全体に貢献する公立大学、自治医科大学の東北版のような、そういう位置づけを考えるべきだと思いますが、副大臣に伺いたいと思います。

西川副大臣 高橋先生の御質問にお答えさせていただきます。

 本当に、今回の東北振興の一つの大きな目玉として、これは各自治体からの御要望で、東北に新設医学部をということでございますので、それに対応してこれからどうやって具体化するかということでございますけれども、今、もちろん、医師不足、医師の偏在とか、こういうことが一番全国的な課題である中で、新たに医学部をつくるということは、大変厳しい現実はあると思いますね。そういうことで、私たちも十分に細心に、その辺のところはしっかり役目を果たしていきたいと思います。

 先ほどの、地域に定着していくことが一番大事だろうということの一つの答えとしては、今回の東北に医学部を設置する基本方針の中で、具体的には、医師不足を解消することに寄与する方策も一つですが、実際にその地域にどれだけの人が残るかという具体的な方策をまず考えるということが第一条件でございます。まず、それをしっかりと、その制度をつくった上で大学の医学部の新設はしたいということの、その条件の一つとなっております。

 それともう一つ、先ほど先生がおっしゃいました、国立で、公立でというお話でございますけれども、今回のこれは、別に私立大学の皆様にお願いしていることではなくて、全部に手を広げておりますので、もちろん、地方自治体からも手挙げしていただいていいですし、いわゆる公立の大学も全く排除していることではございませんので、ぜひ、その辺のところも踏まえて、多くのところから手を挙げていただきたいなと思っております。

 そういう意味で、宮城県の方で、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、各県にまず奨学金の基金を設置するということを検討しておりまして、今、それぞれの県に呼びかけております。まず、その基金をしっかりつくった上で、経済的な一つの学生の負担を減らす、そういうことも考えながら、地域定着率、大学の地域枠の入試とか、そういうところをしっかりと踏まえた上で、連携して、地域医療に貢献する医学部の新設に頑張ってまいりたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今、副大臣は、次の質問も踏まえて、あわせて答弁いただけたのかなと思っています。

 医師増を抑制してきた閣議決定を撤回といいますか、転じたのが二〇〇八年で、それ以降、全国の医学部定員は千二百九十八人ふえたわけです。東北でいうと、国立の東北大学が二十人、公立の福島医大が三十人、私立の岩手医大が四十五人とふやしてきました。それプラス学費の高い、この格差を埋める役割を果たしたのが地域枠でありまして、全国で今六十七大学、資料をつけておきましたけれども、千百七十一人と伸びております。

 これは、定着率を見ますと、私立の岩手医大でいうと、地域枠の卒業生はほぼ一〇〇%、県内に定着しております。そして、それ以外は四割から五割ということでいうと、やはり違いが歴然とするのではないかということで、さっき副大臣がおっしゃった、基金を積むというふうな地域枠の取り組み、これは非常に大事だと思っているんです。

 今、答えを含んでいたので、次の質問をお伺いしたいと思うんですが、それで、せっかく定員増をやってきて、ことしですよね、お医者さんが初めて世に出るのが。これからなんですよ、実がつくのは。そういう意味では、この医学部の新設に定員枠がとられてしまうと、それは納得いかないよというのが各県の、私の地元の弘前大学も含めて、意見なわけです。

 だから、この医学部定員増、今せっかく頑張ってふやしてきた、ここは、今、二〇一七年までの期限になっておりますけれども、当面延長すべきと思いますが、ぜひお願いしたいと思います。

西川副大臣 今先生の御指摘のとおり、平成二十年度以降の増員を行った定員の一部には、平成二十九年度または平成三十一年度までを期限とする臨時定員、これが含まれております。せっかく既存の大学医学部の方で定員をしっかり増員したのにということのそごが起きないように、期限が到来した時点で、医師養成数の将来見通しや地域の事情、その辺をしっかりと勘案しまして判断してまいりたい、そういうふうに思っております。

 確かに、卒業生、これから卒業していくわけでございますので、地域の医師数の確保その他、現状を踏まえて、弾力的にしっかりと対応してまいりたいと思います。

高橋(千)委員 今の答弁の中に、多分、意を含んでくださっていたんだと思います。ばっさり切らないんだよということを発信していただければなと。

 私も、地元の先生方と話し合って、最初はとにかく新設反対だとおっしゃっていた、でも、やはりそうやって頑張ってきたところに国が手を引くということではないんだよということで、きょうお答えをいただきましたので、しっかりと支えていければいいなというふうに思っております。

 それで、資料の最後につけたのは、国家戦略特区においても実は医学部新設が検討されております。成田市、国際医療福祉大学が名乗りを上げて、ここらを軸に検討しているということであります。これは、国家戦略特区の諮問会議に文科省が出したペーパーであります。

 これは、今、拙速ではないようにとか、反対の声もあるけれども貢献するようにと一生懸命に話をしているそばから、何か、いやいや、特区だったらもうできちゃうのかという話になったら、これは大変なことだという思いがするわけですね。東北の構想にも大きな影響が及ぶというふうに考えますが、どのようにされるのか伺います、副大臣に。

西川副大臣 国家戦略特区、ここでさまざまなことが議論されているわけでございますけれども、その中で、いわば医療ということも非常に広く考えて、海外展開とか、いろいろな大きな枠組みの中での一つの議論なんだろうというふうに解釈しておりますが、その中において、大きなそういう新しい国家戦略特区の方での医学部の新設という話、議論が進んでいることは十分承知しております。

 その中で、やはり東北の医学部新設というのは本当に東北振興の大きな目玉の一つでございますので、まずこれをしっかりときちんと、先行すると言うとちょっとあれかもしれませんが、まず東北の医学部新設をしっかりとした形で、ほかの全国的な医師不足に配慮しながら、そういうそごが起きないような形でしっかりとこの計画を達成していく、それがまず先だと、文科省としてはそう思っておりますので、この国際戦略特区の病院、医学部新設と、変な影響が出ないように、東北の医学部新設をしっかりとやってまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 中身を詳しくやる時間がないので、アンダーラインを引いておきました。

 これは、目指すものはかなり違うと思うんですね。まさに国際展開であり、あるいは逆に外国からも呼び込んでくる。しかし、その過程の中で、養成する課程はやはり基本を踏まえなければならないわけですから、影響が出ないはずがないわけであります。

 それで、根本大臣にも一言伺いたいと思うんですが、国際医療福祉大学は、昨年九月の戦略特区ワーキンググループで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを踏まえて、国際基準に即したレベルの高い六百ベッドの医療機関をつくりたい、このように述べているんですね。そうすると、ここでもオリンピックが出てきたかと思って、被災地の皆さんは、本当に今、復興事業の人材や資材もオリンピックにとられちゃうんじゃないか、そういう気持ちでいる。今度は医療をやっと定着させようというときに、またそっちかという気持ちにもなりかねないんです。

 やはり、今、副大臣もおっしゃってくださいましたが、東北の地域医療再建、ここで頑張っていただきたいということで、復興大臣の決意を一言お願いします。

秋葉委員長 根本大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

根本国務大臣 東京オリンピックを成功させるためにも復興をなし遂げる、これが必要だと思います。要は、東京オリンピックの成功と被災地の復興、これを明確な国家目標として進める、これが大事だと思いますので、医療についても、今、文科副大臣からお話がありました。私もしっかり、この東北の医学部の新設に取り組んでいきたいと思います。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、林宙紀君。

林(宙)委員 結いの党の林宙紀です。

 きょうは、福島県に今配置するという方向でおります中間貯蔵施設等々についてお話を伺っていきたい。事実確認というものが中心になると思いますが、きょうは井上環境副大臣にもお越しいただいておりますので、副大臣を中心にいろいろとお伺いをしていきたいと思います。

 まず、先ほど高木先生が質疑されていた中でも同じような内容が触れられていたと思うんですが、改めてお伺いしたいんですけれども、まず、三月の二十七日付の報道で、この中間貯蔵施設に関しまして、中間貯蔵開始から三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる、平成二十四年の閣議決定の内容、これを法制化すると。それを、今国会に法改正案を提出するという形で報道が幾つかなされていたものがあります。

 先ほどの御答弁によりますと、そうではなくて検討だというレベルだというふうに認識をしておりますが、改めてその点の事実確認をさせていただきたいと思います。

井上副大臣 法制化の件につきましては、私どもとしては、中間貯蔵施設の受け入れについて、環境が整えば法制化をさせていただくということで表明をしております。

 ですから、今国会中に法制化するということの方針を決定したというような報道については、これは、そういう方針を決定したという事実はありません。そういう意味で、この報道については大変遺憾であるということを考えております。

林(宙)委員 そういった環境が整ってからということだということで改めて御答弁いただきましたので、そのとおりなんだなと思います。

 きょうは、いろいろな、中間貯蔵施設等々について決めたときの背景を確認させていただこうというふうに思っております。時間も短いですので、次々行きたいと思うんです。

 まず、平成二十四年の福島復興再生基本方針、この中で、先ほど申し上げた旨、除染の廃棄物について、最終処分については福島県外でということが閣議決定なされているわけです。

 この点については、維新の会の小熊先生が何度も御議論をされてきた中だと思いますので、私は、県外での最終処分という点において、その是非についてきょう言うつもりは全くございません。ただし、その決定というか、そのようにしたプロセスについてお伺いをしたいんです。

 これは前の政権でのお話だということになりますので、井上副大臣に、福島県外で最終処分とした、その大きな理由はどういったところにあるのか、どのように御承知されているかという旨、お伺いしたいと思います。

井上副大臣 三十年以内に福島県外で最終処分ということでありますけれども、委員御指摘の、平成二十四年七月の福島復興再生基本方針、この閣議決定の前に、環境省といたしましては、平成二十三年十月、中間貯蔵施設についての基本的な考え方、これを公表しておりまして、そこに記述を初めてしたということであります。

 その理由ですけれども、福島県内で発生する除染土壌、線量の高いものも含めて、本当に膨大な量にわたるものですから、そういう意味では、なかなか、現段階で最終処分の方法を明らかにするというのは難しいということ。あるいは、最終処分のあり方については、今後、土壌の減容化など、これからの技術革新によるところも非常に大きいというふうに思っておりまして、そういう意味で、三十年以内という若干の猶予をいただいたということになります。

 県外処分ということに関しましては、やはり福島県というのは、最も環境の汚染がひどくて、そして甚大な負担をこうむっているということですから、そういう意味で、福島県ではなくて県外でということを決定させていただいた、これが理由であります。

林(宙)委員 ということは、今おっしゃった理由を踏まえて、この方針については、引き続き、現政権でもこれを堅持していくということでよろしいですね。ありがとうございます。

井上副大臣 新政権になってからも、平成二十五年三月、避難解除等区域復興再生計画、これは内閣総理大臣決定という位置づけですけれども、ここに、「三十年以内に、福島県外で最終処分」という文言を盛り込ませていただいて、継承しているということになります。

林(宙)委員 ありがとうございます。わかりました。

 ということは、ここで、やはり先を見ると、本当にそれで、その理由自体はいいんです、理由もそのとおりだと思いますし、御地元の、福島県の皆様のお気持ち等々を考えても、このこと自体は全く異論はないんですが、ただ一方で、これを、三十年以内とはいえ、いずれ県外に運び出さなければならないということは、これはもうそのとおりなのであって、そうすると、次に起こってくる問題は、もうこれは皆さん御承知のとおりだと思いますが、ではどこに移動するんですかという話になると思うんです。

 井上副大臣はもう大変御尽力いただいているんですけれども、私は宮城県の人間ですので、宮城県でいえば、例の、放射性物質に汚染された稲わらとか牧草とか、あの辺をどのように処分していくのかというところでも、井上副大臣には大変御尽力いただいている。だからこそおわかりだと思いますが、あれを、基本的には宮城県内で発生したものなので、宮城県内で処分してくださいということになっていて、今それを、ではどこでやるんだというところで、三つの市町が候補に挙がっています。その候補地を調査するという段階で、皆さん物すごく不安になられており、非常に大きな反発が起こっている、これはもう御承知のとおりであります。

 こういうことが起こっている現状を踏まえますと、では、福島県の外に持っていこう、実際に運び出そうという段階になったときに、やはり同じようなことが確実に発生する、これはもう、ほぼ確実にそうだと思うんです。ということで、県外に決めた、福島県外に持っていきますと決めた、ここはいいんですが、その際に、やはり、福島県の皆さんの感情を踏まえつつ、一方で、外に運ぶということに対して、外の方の意見というのはどのぐらい踏まえたのかなというところが、私は非常にお伺いしたいポイントなんですが、それについて御答弁をお願いします。

井上副大臣 三十年以内に県外処分ということに関しましては、福島県の意向は政府の方針を決定する段階で伺っておりますが、福島県以外の都道府県の意向を確認したということは特にありません。

林(宙)委員 では、そのときに、福島県外ということになれば、ほかの都道府県全て意向を聞けるかといったら、事実上難しいところはもちろんあったと思いますので、それについて云々と言うつもりはないんです。ただ、今の段階では、どこに持っていくか決まっていない、福島県以外の都道府県が全て、可能性としてはあり得るよという状況であることでは間違いないと思うんです。

 そのときに、これはかなりの量の廃棄物が出ると思うんですけれども、ちょっと通告と前後して済みませんが、この中間貯蔵施設に入る予定の除染廃棄物等々は、これは確認なんですけれども、福島県内で発生した廃棄物のみという認識でよろしいですか。

井上副大臣 はい、そのとおりです。

林(宙)委員 ありがとうございます。

 それで、ここでちょっと数字的なものだけ確認させていただきたいんですけれども、その除染廃棄物の量、どのぐらいのもので、このぐらい発生しそうだと見込んでいる量を教えていただきたいです。

三好政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御質問の、中間貯蔵施設に搬入されることとなる除去土壌等の推計発生量でございますけれども、これは、現在実施しております除染等の実績に基づいて推計した量、その中で可燃物を減容化したものといたしましては、最大で二千二百万立米ということになっております。

 なお、施設につきましては、これ以外に、現時点で定量的な推計が困難な要素も踏まえて検討しているところでございます。

林(宙)委員 ありがとうございました。

 今、二千二百万立米というお話がありましたが、これは一体どのぐらいなのかということでお伺いしたら、大体、東京ドームで二十三個分だということでお伺いしました。かなりの量である、これは間違いないことです。

 それで、先ほど副大臣から御答弁いただきましたように、三十年以内に移動をする、移動というか、最終処分場をどこかの場所に決めて、そこに中間貯蔵施設から移動をするということになったときには、当然、技術革新等々で減容化であったり、三十年、三十年というか時間がたちますので、放射線量そのものも低減するであろうという前提のもとで動かしていく、これはそのとおりなんです。

 それで、減容化の技術が今どの程度まで見込まれているのかというのは私にはわかりませんけれども、とにかく、今、東京ドーム二十三個分だと申し上げたとおりで、かなりの量であるということは、これはもう間違いがない。仮にこれが半分の東京ドーム十一個分だったとしても、では、これだけのものを運んでいく場所をどこに確保するんだというところから始まって、何よりも、先ほど申し上げたとおりで、また宮城県の話で恐縮ですが、宮城だけじゃなくて、例の、先ほど申し上げた汚染稲わら、牧草等々については、放射性物質汚染対処特措法に基づきまして、指定廃棄物、それから一般廃棄物、いろいろありますけれども、この指定廃棄物については、その発生した県内において最終処分をしてくださいという、この方針があるわけです。

 これがあって、当然、地元の方々は、これはもういろいろなところで話を聞きましたけれども、宮城だけじゃないですよ、栃木でもそうですけれども、これはやはり皆さん物すごく抵抗がある、これはもう副大臣が御存じのとおりです。やはり、環境委員会でも申し上げましたけれども、自分たちの責任において発生したものではないという前提がまずあります。自分たちは、ある程度、被害者だと言ったら言い方が適切かどうかわかりませんが、要は、そういった汚染源になるものが外から運ばれてきて、そこに発生してしまったというような状態であるわけです。

 これについて、自分たちのところで出たものだから、それは宮城県内だったら宮城県内、栃木だったら栃木県内で処理してくださいねというふうになっている。まず、ここで物すごく大きな感情の反発がある、これはお感じのとおりだと思うんですね。ただ一方で、とはいえ、それはもう、ではどこに持っていくんだとかという話をし出したら切りがないでしょうから、やはり国が方針を示したとおり、その地元の自治体の首長さんたちが、自分たちのところで出たものは、ではそれは自分たちのところでやりましょうということで、今進めようとなさっているわけなんですね。

 ただ、私は、この除染廃棄物、今、中間貯蔵施設を福島県につくって、それで三十年以内に福島県外で最終処分場をつくる、この方針はこれでいいと思いますが、一方で、先ほど申し上げた、ではそれ以外の指定廃棄物については、宮城だったら宮城で発生した、その宮城県内で処理をしてくださいねと。福島県のこの除染廃棄物は県外に持っていってくださいと早々に決めたわけですよね。一方で、今、宮城県なり栃木県なり茨城なりで発生している指定廃棄物については、それは皆さんの地元でやってくださいと。

 いいか悪いかを言うつもりはありません。どこをお伺いしたいかというと、整合性がとれていないんじゃないですかという話なんです。

 これは、もちろん、大体のことをお決めになったのは前の政権のときだと思いますよ。新しい政権になりました。ですから、そのときの判断を引き継ぐという意味では、そんなに私も追及をしたいとかそういうことではないんですが、一応、前の政権の判断を引き継ぐという御決断をされたのであれば、やはりそこは一定の、説明する、まあ責任と言ったら変ですけれども、やはり義務はあると思うんです。

 この辺の整合性がとれていないんじゃないかなと私なんかは思うんですけれども、井上副大臣はこの点、どのようにお考えでしょうか。

井上副大臣 一つは、確かに、宮城県を初め、指定廃棄物を管理していただいている県や市町村にも多大な御負担をおかけしていると思っています。

 ただ、他方で、それは福島県も同じであって、福島県はいわば最大の被害者、御迷惑をおかけしているというふうに思っております。

 そういう中で、では一体どうするのかというときに、ちょっと誤解のなきように申し上げますが、指定廃棄物につきましては、福島県においても、福島県内の指定廃棄物は福島県内で最終処分をするということで決めております。そこは他県と同じ、整合性はとれていると考えています。

 ただ、除染土壌、これにつきましては、先ほども申し上げましたが、本当に膨大な量になるということもありまして、そういう意味では、その膨大な除染土壌も福島県に負担を課すというのは適切ではない、こういう判断であります。

林(宙)委員 今副大臣におっしゃっていただいたとおりで、指定廃棄物については福島県のものは福島県でやるんですよ、そういう意味では整合性がとれている、これはそのとおりなんだと思います。

 ただ、福島県外で除染廃棄物等々を今後最終処分していくという方向、どこでやるんだということを決めていくに当たって、今のところは恐らく場所等もまだ見当もついていないんでしょうし、それから、そこで当然起こり得る反発、それから、先ほど高木先生が触れられていましたけれども、その地域振興策等々、まさしくこれから詰めていく段階だと。ですので、県外だということに決めたこと自体、私は何も異論はありません。ただ、ほかの先生方が、もしかしたらいろいろな議論があるんでしょうけれども。

 ただ一方、宮城県に関しては、やはり除染廃棄物に比べたら、放射線のレベルというんですか、その汚染度も、今言っている指定廃棄物というのは、大分、低いと言ったらちょっと語弊がありますが、除染廃棄物に比べたら量も少ないですし、扱い自体はこれほどのものではない、何とか努力すればうまいところに落ちつくんじゃないかなと思っているんです。

 それで、前に環境委員会で副大臣にもちょっと問わせていただいたとおり、また春以降になったら、その調査の候補地、調査を開始できるように御尽力いただくというような答弁もいただいていましたので、またそちらの方でも御尽力いただきたいと思うんです。

 いずれにしても、そういう理由があって福島県外と決めた、これはこれで構わないんですが、やはり今後、進めていくに当たって、こういうビジョンがあるんです、あるいは、先ほども高木先生に対する御答弁でありましたが、今後、法制化していくという方針であれば、その法律をつくった、原案をつくったという段階で、こういう方向でやっていったらいいんじゃないかというのを、できるのであれば、政府側だけで決めてこうだという話よりも、やはり、この復興特というのは超党派だというふうに皆さん認識されているでしょうから、例えば、これについてもっといい案があるという意見を野党の方が持っているかもしれない、そういうところで御尽力いただきたいというふうに思うんです。

 済みません、質疑通告の中に入れていませんけれども、根本復興大臣、先ほども御答弁いただいていると思いますが、この法案をつくっていく中で、やはり野党も含めて、これはみんなで、超党派で、この法律だけじゃないんですけれども、やっていきましょうということに関して、一言あればお願いしたいと思います。

秋葉委員長 根本大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いします。

根本国務大臣 委員のおっしゃられた趣旨がどういう趣旨なのか、もう一度質問していただけますか。一般論ですか。(林(宙)委員「一般論で結構です」と呼ぶ)

秋葉委員長 簡潔にお願いします。

根本国務大臣 法律というのは、政府提案の法律、あるいは議員提案の法律、いろいろな形があると思いますが、それはそれぞれの法律の性格があるんだろうと思いますし、立法府として、議会として提案する法律、これは議員立法だと思いますが、それはそれぞれの内容、事案によるのではないかなと思います。

林(宙)委員 一般論ということでしたので、それで結構です。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみです。

 また質問の機会をいただいて、感謝申し上げます。

 きょうは、復興の加速化と言われます、その加速化を進めていただきたいというのとともに、三年たちまして、見直しすべきは見直しするといった考え方もやはり取り入れていくべきだ、こういったことを中心に質問させていただきます。

 実は、前回の質問で時間がなくてできなかったんですが、具体的にちょっとNPOの活動について質問させていただきます。

 宮城県の亘理町のイチゴ農家が被災しまして、これに対してNPOの共生地域創造財団というのが活動を活発にされて、今、イチゴ農家で被災されて仮設住宅におられる方々を中心にマイファーム亘理といった組織をつくって、トマトを栽培したり、ミニ大根を栽培して、復興に前向きに取り組んでおられる方々がいらっしゃいます。

 一部NPOで、一種、悪いお金を手にして刑事上の問題になったというケースもありましたけれども、そういったケースは除外して考えて、政府は、前向きに取り組むNPO法人等に対する、復興への活動、これをいかに支援されているかを確認させてください。

小里大臣政務官 マイファーム亘理に対する共生地域創造財団からの支援、これをどう捉えていくかという御質問でございます。

 もともとイチゴ農家であったものをトマトに転換をさせ、そして、販路開拓の面で当財団が寄与しておられるということを伺っているところでございます。

 このマイファーム亘理に対しましては、これが農事組合法人であることから、平成二十四年度において、農事組合法人マイファーム亘理協同組合に対しまして、生産資材の導入を対策交付金によって支援したところであります。

 具体的な内容としましては、トマト生産資材、すなわち、ハウス資材、苗等の導入に対して、国費において七百万円、これを投入したという実績がございます。

 さらに、御指摘の趣旨は、NPO法人に対しても支援はないのかということであろうと思います。

 東日本大震災農業生産対策交付金の支援対象につきましては、被害を受けた農業生産の復旧復興を支援するという事業の趣旨がございます。したがいまして、都道府県、市町村のほか、農業協同組合、農業生産法人等に対して支援を行っているわけでございまして、実際に農業生産を行うことのないNPO法人については、直接的な支援対象とはなっていないところであります。

 なお、御指摘の財団につきましては、正確にはNPO法人ではなくて公益財団法人でありますが、これも同趣旨において支援対象とはなっていないところであります。

 ただ、NPO法人が農業生産法人等と同等の活動内容や構成、半分が農業者であるとか、そういった要件を備えておる場合におきましては、農業生産の復旧復興に取り組む場合には、都道府県知事における特認団体として、その支援の対象とすることを可能としているところであります。

 ケース・バイ・ケースでしっかり判断して対応をしてまいりたいと存じます。

杉本委員 小里政務官、ありがとうございます。

 これはドキュメンタリー番組にもなっていた活動でございますので、こういった活動は、一つに限らず、地域が復興に向けて頑張れるような御支援を引き続きお願い申し上げます。

 次に、今度は道路の問題を伺いたいんですけれども、安倍総理は三月十日に、来年のゴールデンウイーク前に常磐自動車道を全線開通させる方針を示されておられます。

 政務官、この後質問がなければ、もう結構でございます。

 この復興の加速化の基軸として、やはり道路というものは、私も国交委員会におるんですけれども、大いに期待させていただいておりますが、放射線の問題、そういった問題など、阻害要因がこの道路の開通に向けてありやなしや、この辺を確認させてください。

徳山政府参考人 常磐自動車道につきましては、去る三月十日に、先生御指摘のとおり、東日本大震災から三年を迎えるに当たりまして、政府として、来年のゴールデンウイークまでに全通させると公表をさせていただきました。

 一番線量の高い区間は、浪江インターチェンジと常磐富岡インターチェンジの区間でございます。

 障害となることはないかということにつきまして言うと、クリアすべき課題が二つあると思っております。

 一つは、まず、工事の作業時におきまして、線量管理あるいは被曝の防護措置の徹底を図りながら進めるという困難な工事を行うことになります。

 課題はございますけれども、NEXCO東日本、広瀬社長以下、特別な体制を組みながら対応を今考えてくれておりますし、国交省としても最大限の支援をしながら、この目標をクリアしてまいりたいと考えております。

 もう一つは、いざ開通をした場合に、そういう線量の高いところを利用者が通られるのに安全なのかどうかという問題がございます。

 これまで環境省さんにおかれて除染をしてこられましたので、今、作業員もそういう作業をできるところまで線量が下がっております。さらに、今後、舗装工事をいたしますと、アスファルトを上にかぶせることになりますから、結果として、これも線量を下げる方に働くと思います。

 また、ちょうどこのインターチェンジ間が帰還困難区域でございまして、途中でインターチェンジやサービスエリアなどはございませんから、途中で時間を滞留されることもないという有利な条件がございます。したがいまして、利用車両の通過に当たっての放射線の影響は小さいものだろうと考えております。

 ただ、もちろん、開通前には再度モニタリングをいたしまして、きちんと公表させていただいて、利用者の皆様への安全にも配慮したいと思います。

 とにかく、地元の大きな期待に応えて福島の復興を大きく加速させるために、常磐道の全線開通に向けて努力をさせていただきたいと思います。

杉本委員 北の仙台の方からおりていっても、南から上がっていっても、やはりつながっていないというのは、私自身もレンタカーを借りて常に感じることでございますが、線量の問題等をクリアしながら、ぜひとも来年のゴールデンウイークまでに開通をお願い申し上げます。

 次に、福島県の県民の方々の健康の問題でございます。

 県民健康管理調査、甲状腺検査において、年を追うごとに、A1の症状の方が減少していって、A2、五ミリ以下の結節、二十ミリ以下の嚢胞の割合が、二十三年度で三六・二%、二十四年度四四・六%、二十五年度五五・二%と数がふえていっております。

 甲状腺がんの発症というのは時間がたってからということを言われておりますけれども、これが放射線あるいは原発事故による影響でないと言い切れるかどうか、確認させていただきたいと思います。

塚原政府参考人 お答えいたします。

 福島県の健康調査のうち甲状腺検査におきまして、嚢胞やしこりが認められない方、これはA1判定となっておりますが、小さなしこりや嚢胞が認められる方、A2判定でございますけれども、この結果につきまして、実施をいたしました時期や、これは各年度、実施している市町村が違いますので、実施をしています地域によりましてばらつきがあるということについては、御指摘のとおりでございます。

 この甲状腺検査の嚢胞、しこりの頻度が高いのではないかというような御懸念がございましたので、環境省におきましては、平成二十四年度に、青森、山梨、長崎の三県におきまして、福島県と同様の方法で実施をいたしました甲状腺検査が行われております。

 その結果、福島県と同様の頻度で小さなしこりや嚢胞が認められたことから、福島県に見られる状況につきましては、放射線によるものとは考えにくいとされております。例えば、長崎県でありますと、四二・五%がA2判定でして、山梨県におきましては、六九・三%ということになっております。

 また、昨日、四月二日ですが、国連科学委員会におきまして公表されました、事故後の放射線による住民の健康管理等に係る報告書におきましても、福島県で実施をしている甲状腺検査において発見されている嚢胞や結節の割合は、超音波検査による高い検出効率によるものであり、放射線による影響とは考えにくいと、同様の見解が示されております。

 いずれにいたしましても、甲状腺検査を含む健康調査につきましては、長期にわたり実施をしていくこととしておりまして、引き続き、福島県民の健康状態につきましてはフォローアップをしていくということが肝要かと考えております。

杉本委員 ありがとうございます。

 最後の結びのお言葉、しかと受けとめたいと思います。ぜひともフォローをお願い申し上げます。

 次に、大臣にお伺いしたいんですが、復興全体を統括、つかさどっていらっしゃる立場として、安倍総理も言われていますけれども、復興の加速化という合い言葉で進んでいっていると思います。

 しかしながら、被災住民の方々が予定どおり帰還するという形にならず、自治体や地域によって、当初の復興計画の見直しを行うところがございます。

 大臣のお立場として、こういった計画の見直しをいかに評価されるか。現場の状況、ニーズ、これにどう現実的に対応することがいいか。この辺の、加速化する一方で当初計画見直し、こういった調和のバランスをいかにとっていくべきとお考えかを伺いたいと思います。

 参考までに、二十五年十二月二十日時点で、国交省から地公体の担当者宛てに、事業計画の見直しを検討する旨のメールが送られているやに確認しておりますけれども、大臣の全体としての思いを聞かせていただければと思います。

根本国務大臣 被災者の方々に安心できる住まいを一日でも早く、一戸でも多く確保すること、これが重要だと思います。

 その意味では、住宅再建・復興まちづくりに関しては、私のもとで住宅再建・復興まちづくりの加速化のためのタスクフォースを設置しました。そして、用地取得や人員不足、資材不足、四度にわたり加速化措置を講じてまいりました。

 一方で、住宅再建・復興まちづくり事業に関しては一定の時間を要しますので、その間に生じる状況の変化を踏まえて、必要に応じて計画をよりよいものに見直して、予算の執行に際しても柔軟な対応をしていくことが重要だと思います。

 そういう観点から、昨年の三月に、住まいの復興工程表を策定しました。これは、市町村ごとに、地区ごとに見える化をいたしましたが、四半期ごとに更新作業を行うことによって、被災者の方に新しい情報を提供する。一方で、住宅再建・復興まちづくり事業に関する各地区の進捗状況、これをフォローアップ、確認しております。

 このような取り組みの中で、各被災自治体が、住民意向調査などの結果も踏まえながら合理的な見直しを進められた結果、一年前と比較して、民間住宅等用宅地については、被災県で約五千八百戸減少となる一方、災害公営住宅については約一千五百戸の増加となっております。

 復興庁としても、国交省などと連携を図りながら、状況の変化あるいは事業効率化に向けた工夫、さらなる事業の加速化に向けて、きめ細やかに支援をしていきたいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。全体のお話を伺えてよかったと思います。

 次に、東京オリンピック・パラリンピックが決まって、資材不足、人手不足といった点が大丈夫なのかというような声は上がってきていると思っていますが、東京オリンピック・パラリンピックの準備に対して、これからも復興への配慮を十分お願いを、皆さん思っていますが改めて申し上げたく存じます。

 そういった点で、今、こういった二つのテーマを我々は抱えたということでもあると思うんですが、その打開策として、政府・与党では、外国人実習制度の活用、拡充ということを検討されておられると存じております。

 また復興大臣にお伺いしたいんですけれども、この外国人実習制度の活用、拡充が復興の加速化へプラスになる要因というふうに考えられるかどうか。あるいは、逆に、それは地域にはなじまないとか、そういった問題があるのかどうか、御見解を賜りたいと存じます。

 参考までに、国交委員会では、太田大臣からは、人材育成といった観点からも、建設関係の人材育成という意味だと思いますけれども、外国人実習制度を活用すべきというような前向きな御答弁があったことをあわせてお伝えいたします。お伺いしたいと思います。

根本国務大臣 東京オリンピック・パラリンピックの関連施設整備などによる建設業労働者不足への対応のため、即戦力となる外国人材の活用、これは、今、国交大臣から人材の育成も含めてというお話がありましたが、現在、国交省を初めとする関係省庁において検討が行われていると承知をしております。

 復興庁としても、建設業の人材不足への対応などについては、住宅再建・復興まちづくりの加速化に向けたタスクフォースにおいて加速化措置を打ち出してまいりました。

 外国人材の活用策が取りまとめられた暁には、現在本格化している復旧復興事業の円滑な施工確保、スピードアップにも資することを期待したいと思います。

杉本委員 ありがとうございます。大臣からも期待をということを伺いました。私もそのように感じております。

 玄葉元大臣から池の除染については質問があったようなので飛ばさせていただいて、次に、地域ごとにコンストラクションマネジメントといった立場の方々が活躍されているやに聞いております。

 さきのNHKの番組でもあったかと思いますが、女川町のケースだと、高台移転計画が、住民の帰還状況等を勘案して、たしか三つあったものを一つに集約化するというようなことであったり、そもそも高台に移転するので、防潮堤については、高いものというか、そういったものはつくらないというような全体計画があるやに聞いております。

 地公体ごとの個性あるまちづくりというのが復興計画実行に当たって大切でもあると思っています。そのためには、強い首長さんのリーダーシップであり、あるいは地域の住民のニーズをしっかり酌み取ることであり、また、そのバックで支える復興庁さんの現地での存在といったものも大きいと思うんですが、あわせて、民間が主体かとも存じますが、コンストラクションマネジメントの役割が極めて大きく、順調に復興が進んでいるケースがあるやにも聞いておるんですけれども。そうでないのかもしれませんが。

 現実的に、これは非常にうまくいっている、あるいは順調だといったケースがあって、特段、個別の地域を言うのは難しいのかもしれませんが、あえて、復興を加速化する意味からも、この地域は極めて順調にコンストラクションマネジメントが機能して復興が進んでいるというお話があれば承りたいと思いますが、お願いできますでしょうか。

吉田(光)政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のCM方式は、民間の知恵や技術力を活用して、発注者を支援し、段階的に生じます多くの工事を円滑に発注する新たな方式でございます。これまで十二市町で活用されているところでございます。

 メリットにつきまして、まず、CM方式は、一回の発注で複数地区の調査設計、工事施工までの契約が可能でございます。したがいまして、設計のできたところから施工を開始できますことから、事業全体のスピードアップにつながっておると考えてございます。具体例ということでございますが、例えば、東松山市野蒜地区におきましては、当初の予定に対しまして、最大一年半の工期短縮が見込まれているところでございます。

 加えまして、建設業者等の選定におきましては、地元企業を優先的に活用できること、一方で、大手ゼネコン等の全国的な調達力の活用も可能でございます。また、いわゆるオープンブック方式やコスト・フィー方式の併用によりまして、支払いの透明性の確保や下請へのしわ寄せ防止が可能でもございます。こういったことがメリットとして評価されているところでございます。

 今後とも、CM方式のメリットを最大限生かしまして、復興まちづくりの事業のスピードアップを図ってまいります。

秋葉委員長 簡潔にお願いします。

杉本委員 時間となりました。

 復興の加速化をお願いするとともに、適宜適切な見直しもお願いしたいと存じます。

 以上で終わります。

秋葉委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 用地の関係について確認をさせていただきたく、きょうは議論させていただきます。

 私、二月三日の予算委員会の質疑の際に、野党の案を示しまして、五十戸未満の小規模住宅施設についても収用適格性を付与すること、使用期間の更新も含めて、土地収用法の緊急使用の使用を容認することを主な内容としたわけでございます。そこで大臣と議論させていただきました。

 大臣は、きょう階議員との議論もありましたが、岩手県弁護士会の抜本案、これは否定的で、憲法との関係等もあるんでしょう。ただ、私の出した案にも一貫して否定的であったなと思います。私としては、現実的で合理的なんだと自負していまして、いろいろ、御理解をいただくべく、関係方面に説明を行ってきたところであります。

 まず野党で調整しまして、順番からすればそうですが、その後に与党にも御説明しようとしていたところでありますが、それまで否定的でありました政府・与党も、一転して同様の案をまとめて国会に提出の運びとなった。私たちも、野党案として国会に提出したところであります。

 予算委員会の場で、私は、公明正大に案を示しまして、これをプレゼントします、ぱくっていただいて結構ですと述べてしまった手前、私の案をもとに与党の案を検討されたようで、オリジナル案の考案者としては、これは大変光栄だと思っております。

 そこで、お伺いしたいんですが、きょうは、法案の認識とか、それについては結構です。それは国会で議論することなので、立法府で判断しますので、きょう話があったように。大臣のどのような心境の変化があったかということをお伺いしたいわけであります。

 本日、この資料をお配りしております。

 予算委員会の際には、大臣は、五十戸の一団地を下げるということについては、「今までの例ですと、五十戸を下げて収用適格事業にしてくれという事案は、我々も随分いろいろな事案をやってまいりましたが、そういう事案はない、これが事実だと思います。」と述べておられます。記者会見では、ここについては触れておられません。

 緊急使用の更新については、緊急使用をどんどん使ってほしいということを述べられた上で、「半年間の更新が必要かどうか、これは、やはり実態上、私は、一件一件問題事案というのを取り組む必要はあると思いますが、そういう半年の更新をしなければいけない事案があるか。」「形としては、法律上はあり得ないわけではないと思いますけれども。」とおっしゃった上で、記者会見だと、与党案を肯定しながら、きょうもそうでしたが、「ある程度の数が出てきたときに、あらかじめ六カ月を超えるような可能性があるから緊急使用の手続を抑えるということがあってはならない。という意味で、六カ月を一年延長とする。その法的手当ては、私もそれは必要かなと思いました。」と述べておられます。

 そこのところ、議論としてはある、そして、案件が考えられれば検討するということだったんですが、要は、すぐには取り組む気がないという形の答弁だったと思いますが、どのような心境の変化があったのか、まずお伺いしたいと思います。

根本国務大臣 私は、特に心境の変化があったことはありません。

 私は常に申し上げておりましたが、我々は、復興加速化措置、用地の抜本改革、これをやってまいりました。

 そして、私が一貫して言ってきたのは、具体的な困難事案、これを教えてくださいということを申し上げてまいりました。そして、具体的な困難事案が出てくれば、新たな課題が出てくれば対応したいと。その意味で、私は、防災集団移転事業の話も、随分いろいろ調査してまいりましたが、具体的な課題の事案がなかったものですから、こういうことを申し上げてまいりました。ですから、具体的な事案があれば、それは、その具体的な事案に対応する措置を考えよう、こういうことになるわけであります。

 その意味では、緊急使用の話も、もともと緊急使用というのは余り使われたことがなかった。ですから、我々は、早期に工事に着工する必要があるから、緊急使用というのは土地収用法上なかなかやっていないんだけれども、これを活用してくれ、こういう働きかけをいたしました。

 そして、そうなると、緊急使用をやった場合に、では、収用委員会が半年以内にやらなかったらどうなるのか、こういう話も頭の整理としては私は出てくると思います。その意味では、具体的な困難事案に即して対応する必要がある、これは前々からも申し上げておりましたので、この緊急使用の話としては、私も、形として法律上はあり得ないわけではないと思い、こう申し上げておりました。

 そこで、その後、自治体と困難事案をやりとりする中で、この制度的手当てがある方が、あらかじめ六カ月を超えるような可能性があるから緊急使用の手続を抑える、今まで余りやっていなかったんだけれども、どんどんどんどんこれから事案が出てきますから、そういうたくさん事案が出てくる中で、六カ月が緊急使用の手続を抑えるということがあってはならないという意味で、六カ月を延長する、その法的手当ては私も必要かなと思ったということであります。

 具体的な困難事案、あるいは、これからどんどん収用法を適用していく上でたくさんの事案が出てくる、それに備える必要があるということであります。

畑委員 まさに、具体的困難事案は、私も説明して、自治体と意見交換してお示ししたところであります。恐らくこれを提案した後にそういうことをやられたというのは、私は、やはり国の姿勢、取り組みが遅いと思います。

 それから、緊急使用が今まで件数が少ないのは、まさに使いにくいからであります。これは、要件もそうですが、期限が六カ月と決まっている、それでやはりそこはちゅうちょするわけですよ。そこの論理的なことも私は申し上げてきたつもりであります。そこはやっとわかっていただいて、そういうふうに進めていただいたことは、それはそれで一定の評価はするものであります。

 やはりこういうものは、きょう階議員の議論でもありましたが、先に回って想定できるわけですから、霞が関の官僚も頭がいいですから、そこは想定しながら、先んじて手を打たなければなりません。そこに対する復興庁の姿勢に私は不満があります。そのことを申し上げておきたいんです。

 本来ならば、土地収用制度というのは、権利制限、手続に係るものであります。閣法でやるのが私は筋だと思います。現に、私も、案をまとめて各党に説明をして歩いたときに、結論、内容は賛成だけれども、なぜ閣法でやらないんですか、だから共同提案には乗れませんという党もございました。

 大臣、そこまで考えや認識を改めていただいて、正当性を評価いただくのであれば、閣法でやる、なぜそういう検討をしなかったのか、お伺いします。

根本国務大臣 私は、先手先手を打って制度の改革に取り組んできたつもりであります。

 やはり、復興を進めるに当たっては、現場で起こる具体的な事案に即して解決を図ることが重要だと思います。その中で新たな課題が出てくれば、関係省庁とともにしっかり対応したいと申し上げてまいりました。

 そのために、被災自治体と実務上の課題などについて何度も打ち合わせを行ってきました。その中で、困難事案を具体的に言ってくださいと。やはり具体的な話がないと、法改正というのは、私はなかなか説得力がないと思いますから。その中で、具体的な緊急のニーズまではありませんが、例えば、今後土地収用の活用の増加が見込まれる、そして、収用裁決手続に要する期間を一層短縮し早期の工事着工につながる措置がされればありがたいという声をお聞きいたしました。また、国会においても、立法措置のニーズがあるのではないかという議論もありました。

 政府としても、具体のニーズがあれば立法措置により対応することを含めて検討を行っていたところであります。

 しかしながら、このたびの法制上の措置を講ずる内容においては、現時点においては、法律に定めがないことが具体的な事案において支障になっていない、あるいは、他方で私権制限の強化の側面もある、こういう観点から慎重に検討を行っていたところであります。

 このような中で、与党から、土地収用手続のさらなる迅速化のための議員立法を行うとの発議をいただきました。政府と与党で密に相談させていただいた結果、政府・与党として、法制上の措置を迅速に実現する観点から、機動的な対応が可能な議員立法の実現を目指すこととなったものであります。

 なお、これまでも復興の加速化に向けては政府と与党で密に相談しておりますし、また、法的効果においても違いはないことから、今回の立法措置が閣法であるか議員立法であるかは、私は本質的な問題ではないと考えております。

畑委員 そこは本質的な問題だと私は思いますが、いずれにしても、法律を通すのは国会ですから、国会で議論をさせていただいて、通ればいいと思うんです。

 今、大臣、検討もやっていたとおっしゃいましたが、とてもそういう話は聞きませんでしたし、検討をやっているそぶりはありませんでしたが、よろしいでしょう。こういう形で通るのであれば、これはこれで議論させていただきたいと思います。

 そして、そういう事実があるかないかという話をおっしゃいましたので、六カ月の部分、これは必要性がどうなのかというのは、与党案でも一年になっていますので、中身の方でちょっと議論させていただきたいんです。

 まず、事実を確認したいんですが、たてつけは、裁決申請して緊急使用ができるわけですが、土地収用の裁決申請から権利取得裁決までの平均期間はどれぐらいか、そして、権利取得裁決から実際の権利取得、明け渡しまで一般的にどれぐらいかかっているか、ちょっとそこをお伺いしたいと思います。

栗田政府参考人 お答えいたします。

 収用委員会の裁決手続に要する期間についてでございます。

 もちろん、案件の事情によってさまざまであるということは当然でありますけれども、平成二十四年度に取得裁決がなされた案件について申し上げますと、裁決申請から権利取得裁決までの期間はおおむね八カ月程度、権利取得裁決から権利取得までの期間はおおむね二カ月程度、そのような案件が多くなっているというのが実態でございます。

畑委員 今ので足して十カ月半以上となるわけです。この実態から見ても、六カ月の緊急使用は、とても足りないわけですよ。こういうことを考えていただいて立案した方がいいと思うんです。

 それで、結局、この六カ月を延ばす必要がある。これを一年にするかどうかということもありますが。

 ちなみに、六カ月だと、だから、途中で使用権原を失う可能性が高い。では、どれぐらいにすればいいんだというのは、一年で大体入ると思いますが、考えなきゃいけないのは、権利取得裁決から権利取得、明け渡しまで至った場合でも、実は、今回の案件は、念頭に置いているのは多数共有あるいは遺産分割未了の土地ですから、単純に、関係者への通知が順調にいくわけではありません。つまり、公示送達を使わなければいけない可能性が高い。

 公示送達は、二十日間公示しなければなりません。そして、あと、多数当事者の物件を明け渡す案件に対応するためにやはりここは時間がかかるということになってくると、今おっしゃっていただいた十カ月半あるいは十一カ月近くに、ひょっとしたら一、二カ月、やはり二カ月ぐらいアローアンスが必要だということが出てくるんです、運用上、実務上。となると、本当に一年でいいのか、バッファーが必要かという議論はあると思います。

 これはこれで、そこのところの限定的な手続を含めて、しっかりと限定しながら、権利保護にもとらないような形で手続を組まなきゃいけない場合があるのかどうかということは検討課題だと思います。

 いずれにしても、今の期間を見ると、現行の六カ月の緊急使用期間のみだと使用権原を途中で失う可能性が高いということは事実でしょうか。そこの事実の確認をしたいと思います。

栗田政府参考人 可能性の問題と申しますか、事実の問題として、実際に要している期間は、多くの案件が先ほど申し上げたような期間であるということかと思います。

 他方、裁決に要する期間というものは、きょうも再三答弁申し上げておりますけれども、昨年通知を出しまして、収用委員会の方にもいろいろな働きかけをしておるところでございます。そういう努力を通じまして的確な運用を図っていきたいというふうに考えております。

畑委員 そこはお答えになりませんでしたが、これは算数の問題ですから、明らかに六カ月では厳しい、あるいは一年でもちょっとはみ出る部分があるかもしれない、そういうことは申し上げておきたいと思います。

 それから、次の事実確認というか議論をさせていただきたいと思います。

 土地収用法の百二十三条の条文を資料でつけさせていただきました。

 緊急使用というのは、収用裁決申請に係る事業であるということで、収用裁決がなされた場合にできるわけです。

 今回、自公案の方は、収用裁決においては、土地所有者は登記簿にあらわれているのを記載すれば足りる、そして土地調書は省略できるということで、私はこれはいいことだと思います。そう考えた場合に、土地調書が補充されない段階で法理論上は緊急使用が申し立てられるわけです。これは、条文上そうです。

 先ほど大臣は、階議員との議論で、当然土地調書が必要ではないか、緊急使用する権原を取得するわけですからと言っていましたが、これは、運用はそうかもしれないけれども、法律上は、収用裁決で出された、あるいはそこで知られている範囲の土地所有者等へ通知をしていけば足りるし、これは百二十三条三項、あるいは、四項の、土地所有者に損失補償額を払い渡す場合には知られている範囲でいいということだと思いますが、そういう理解でよろしいでしょうか。

栗田政府参考人 一定の場合に、土地調書がまだ完全に、条文上各号で記載されているものの一部を記載しないままの状態でもって緊急使用できるということは制度上認められておるということは、そのとおりでございます。

 さらに、そのときに、では、土地調書をきっちりと記載していくための起業者側のどの程度の努力が求められるかということは、これは、合理的な範囲ということでこれまで運用しておるということでございます。

畑委員 それで、まさに、合理的な範囲でどれぐらい記載するかというところにかかってくるわけですが、資料の最終ページをごらんいただきたいと思います。

 土地所有者への通知、あるいは損失補償の支払いに当たってどの程度調査を尽くさねばならないか。

 土地調書を添付しないで登記簿名義人だけで裁決申請された場合には、登記簿にあらわれた土地所有者で通知とか払うのは足りるという可能性、考え方はあるだろうと思います。法論理的にはそうなります。さはさりながら、これで果たしていいのかどうか。運用上もっと、要は、やはり土地調書を補充しなきゃいかぬという大臣の先ほどのおっしゃり方も、そこの適正な手続というところの危惧があるのだろうと思いますが、いずれにしても、登記簿にあらわれた土地所有者で足りるということが合理的という考え方がある。

 二点目は、それではさすがにあんまりだから、登記簿だけではなくて、住民票等の公簿、書類であらわれている範囲の資料、これを調べて確認できる範囲、やはりそこまでは必要だということがあり得る。合理的であろうと思いますが。

 第三点目は、通常、これは今まで、書類だけではなくて、登記名義人への照会、周辺住民への照会、占有関係等現地調査まで求められる。本来、土地調書をつくってやる場合には、過失なくして確知できない場合はいいといいながら、過失なくしてやるのはどの範囲かという場合で、大体、行政実例だと、この第三点目だったろうと思います。

 そういうことがありますが、合理的に確知できる範囲というのは大体どの辺なのか、ちょっとそこを確認したいと思います。

栗田政府参考人 起業者が収用委員会に裁決申請を行う際に、こういった情報をどれだけ集めるかということでございます。

 一般的には、まず登記簿、さらには戸籍あるいは住民票、そういったもので権利者の氏名や住所を調査するということが必要になります。これは、委員の御資料の中の上の二枠、このあたりに相当すると思います。

 このような調査によってもさらに権利者が特定できないときに、我々が持っております直轄事業の実態的なところで申しますと、例えば親戚の方々、あるいは近隣住民の方々、そういった方々の聞き取りによって調査を補完していくということがございます。

 ただ、それらの調査にどの程度の労力と時間をかけることが求められているかという点につきましては、その調査人員と時間を勘案して合理的な範囲で行えば足りるというふうに考えておりまして、それは個々具体の実例に即して決定されていくべきものというふうに考えております。

畑委員 まさに、その調査義務が運用のところに任されて、どの範囲というのは法律上書けないですからこれは運用なんですけれども、ただ、やはりそこに疑問があるところが、かなり現場にはあります。

 自公案を出していただいて、これはいいんですが、緊急使用をやる場合に、書類が省略されて裁決が出された場合に、法論理上は、先ほど確認しましたが、土地調書は法律上必要とはされない、書いている範囲であればいい、そういうことで、もう一回ちょっとそこを確認します。よろしくお願いします。

秋葉委員長 もう時間が参っておりますので、簡潔にお願いします。

栗田政府参考人 現在の収用法上は、裁決申請時に土地調書に一部欠けている部分があっても、例えば緊急使用についても行えることになっておりますが、その後、起業者においてその情報を補充するという努力が求められるようになっております。

秋葉委員長 畑君、簡潔にお願いいたします。

畑委員 時間が参りました。

 要は、だから、どれぐらいの調査義務を尽くすかというここの部分、これがやはり現場で心配されるところでありまして、ここは、それぞれの案がありますが、そこの部分をどうやって軽減するか、いろいろな可能性を追求していかなければいけないと思います。

 そういうことを申し上げて、本日は質問を終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

秋葉委員長 次に、長島忠美君外七名提出、東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案及び畑浩治君外四名提出、東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。橋本英教君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

橋本(英)議員 ただいま議題となりました東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 復興事業の用地に関しては、所有者の所在が不明である事例や、相続登記が未了であり多数の相続人との交渉が必要な事例が多くありますが、このような事例は土地収用制度を活用して解決することが可能であり、被災地においてもその一層の活用が求められているところです。土地収用制度をさらに活用し、用地取得の一層の迅速化や、復興事業の工事着工のさらなる早期化を図るためには、土地収用手続の期間短縮や緊急使用制度の特例の創設等を行う必要があります。

 このような趣旨から、このたび本法律案を提出することとした次第です。

 次に、本法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、土地収用手続において事業の公益性を判断する事業認定手続の期間について、三月以内に事業認定をする努力義務が課せられているものを、二月以内とすることとしております。これは、政府の用地取得加速化プログラムでの取り組みを法律上も明確化するものであります。

 第二に、収用しようとする土地の補償額等を決定する裁決手続について、裁決申請段階における記載事項や添付書類を簡素化し、早期の裁決申請を可能とするものであります。具体的には、損失補償額の見積もり等の記載や土地調書の添付を不要とし、所有者についても登記簿上の土地所有者を記載すればよいこととするものであります。

 第三に、裁決申請後、収用裁決前に工事着手を可能とする土地収用法の緊急使用について、使用期間を六月から一年に延長することにより、その活用を促進し、早期の工事着工を図るものであります。

 あわせて、収用裁決手続そのものの迅速化のために、収用委員会に対して早期の収用裁決の努力義務を設けることとしております。

 土地収用手続について、以上の新たな措置を組み合わせて活用することにより、現行よりも相当早期の工事着工が可能となります。

 第四に、今後、小規模な防災集団移転促進事業において土地収用制度を活用することが必要となる場合に備えて、五戸以上五十戸未満の集団住宅を収用適格事業とすることとしております。

 第五に、将来の大規模災害の復興においても同様の措置を可能とするため、大規模災害からの復興に関する法律においても、東日本大震災復興特別区域法と同様の改正を行うこととしております。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 本法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

秋葉委員長 次に、畑浩治君。

    ―――――――――――――

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

畑議員 ただいま議題となりました東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、提出者を代表して、提案の理由及び内容を御説明申し上げます。

 我が国に未曽有の被害をもたらした東日本大震災から三年が経過し、被災地において、復興事業が本格化する中、今なお多くの被災者が仮設住宅での不自由な生活を送っており、一日も早い復旧復興が求められております。

 被災地での復興がおくれているとされる理由は、特に住宅整備やまちづくりがなかなか進まないことにあります。

 しかしながら、住宅の高台移転や防潮堤、道路等の建設予定地においては、所有者不明や相続未処理等の土地が多数存在しております。また、被災地における防災集団移転促進事業等の住宅整備事業の大部分は住宅団地の規模が五十戸に満たず、土地収用制度の活用による迅速な用地取得ができない状況にあります。このため、事業用地の取得が大幅におくれており、その迅速な確保が喫緊の課題となっております。

 事業用地の確保については、これまでも、国の住宅再建・復興まちづくりの加速化措置により、土地収用手続の効率化などの措置が講じられているところですが、今後、復興まちづくりの本格化に伴い、同時期に多数の事業が集中する状況にあって、相続手続未処理や多数共有等の難航案件を処理するには、その効果は限定的であります。被災地においては、平時とは異なるこの大災害に対応するため、特別の立法措置により用地取得に係る要件や手続を緩和することが強く求められております。

 私たちは、当初から、被災地の声を受けて、このような問題に対応するためには、先に工事着工を行い、権利者の調査、補償金の算定、支払い等については、工事と並行して行えるような制度が必要であると主張し、率先して関係方面に働きかけてまいりました。

 今回、このような状況を踏まえ、本案を提出したものであります。

 以下、その内容について御説明申し上げます。

 第一に、復興整備計画に記載する復興整備事業に、小規模団地住宅施設整備事業として、一団地における五戸以上五十戸未満の集団住宅及びこれらに附帯する通路その他の施設の整備に関する事業を追加し、当該集団住宅等については、都市計画法に規定する一団地の住宅施設とみなすこととしております。これにより、被災地における防災集団移転促進事業も含めた五十戸未満の集団住宅等の整備事業が収用適格事業とみなされ、土地収用の対象とすることができます。なお、住宅施設は、ある程度まとまった戸数とすることで一定の公共性を備えますが、被災者生活再建支援法及び集団移転促進法の対象住宅戸数が五戸以上とされていることより、五戸以上の住宅施設に一定の公共性を認めることに合理性があります。

 第二に、復興整備事業に係る土地収用法の特例として、緊急に施行する必要がある事業のために土地が使用できる場合、いわゆる緊急使用を許可する要件に、東日本大震災からの復興を円滑かつ迅速に推進することが困難となる場合を明記することとしております。土地収用法によれば、明け渡し裁決の遅延により事業の施行が遅延する結果、災害の防止が困難となり、その他公共の利益に著しく支障を及ぼすおそれがあるときに緊急使用が認められているところでありますが、現行規定だと、公共の利益の著しい支障という要件が厳しく、曖昧で、この制度の活用にちゅうちょする原因の一つとなっていたところであります。この改正により、著しく支障を及ぼすおそれまでは生じない場合でも、東日本大震災からの復興を円滑かつ迅速に推進することが困難な場合が本条の特例対象となることを法文上明確にすることにより、緊急使用の要件が明確となり、被災地において本規定の活用が一層進み、復興整備事業が迅速に執行されることが期待されます。

 第三に、同じく、復興整備事業に係る土地収用法の特例として、土地収用法では六月とし、期間の更新は不可とされる緊急使用の期間を、更新することができることとしております。収用裁決の申請から権利取得裁決までの平均期間は通常でも十カ月半以上かかっています。さらに、復興整備事業については、土地の権利関係が複雑化するとともに、相続手続未処理や多数共有土地等、円滑に収用裁決手続が進まない案件が多数存在することが想定されるほか、復興整備事業に係る収用案件がふえ、収用委員会の事務負担の観点からも、円滑に収用裁決申請手続が進まなくなるといった事情があり、六カ月以内に裁決を行うことが困難な場合が相当程度の確度をもって想定されるといった特殊性があります。したがって、緊急使用の期間の更新を認めることにより、復興整備事業の円滑化、迅速化を図ろうとするものであります。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本案の提案理由及び主な内容であります。

 復興に与野党や党派の別はありません。何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同賜りますようお願い申し上げます。

 ありがとうございました。

秋葉委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十四分散会


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