衆議院

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第4号 平成27年4月2日(木曜日)

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平成二十七年四月二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 伊藤信太郎君

   理事 小田原 潔君 理事 亀岡 偉民君

   理事 坂井  学君 理事 島田 佳和君

   理事 冨樫 博之君 理事 金子 恵美君

   理事 高井 崇志君 理事 高木美智代君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      石崎  徹君    小野寺五典君

      勝沼 栄明君    門  博文君

      門山 宏哲君    菅家 一郎君

      木原  稔君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    瀬戸 隆一君

      田畑 裕明君    武井 俊輔君

      橘 慶一郎君    谷  公一君

      辻  清人君    寺田  稔君

      土井  亨君    中谷 真一君

      根本  匠君    橋本 英教君

      藤井比早之君    藤原  崇君

      古川  康君    堀内 詔子君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      黄川田 徹君    玄葉光一郎君

      郡  和子君    階   猛君

      伴野  豊君    本村賢太郎君

      小熊 慎司君    落合 貴之君

      升田世喜男君    横山 博幸君

      赤羽 一嘉君    中野 洋昌君

      真山 祐一君    高橋千鶴子君

      畠山 和也君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       竹下  亘君

   復興副大臣        長島 忠美君

   復興副大臣        浜田 昌良君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     熊谷  敬君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (水産庁長官)      本川 一善君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           若井 英二君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  深澤 淳志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 高橋 康夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 小川 晃範君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     藤井比早之君

  小泉進次郎君     石崎  徹君

  小林 鷹之君     古川  康君

  佐々木 紀君     田畑 裕明君

  鈴木 俊一君     寺田  稔君

  松本 剛明君     伴野  豊君

  落合 貴之君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     小泉進次郎君

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  寺田  稔君     鈴木 俊一君

  藤井比早之君     門山 宏哲君

  古川  康君     穴見 陽一君

  伴野  豊君     松本 剛明君

  小熊 慎司君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     辻  清人君

  中谷 真一君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     八木 哲也君

  辻  清人君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  宮路 拓馬君     小林 鷹之君

  八木 哲也君     佐々木 紀君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

伊藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官熊谷敬君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、農林水産省大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、水産庁長官本川一善君、経済産業省大臣官房審議官若井英二君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、国土交通省道路局長深澤淳志君、環境省大臣官房審議官早水輝好君、環境省大臣官房審議官高橋康夫君、環境省大臣官房審議官小川晃範君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君及び環境省水・大気環境局長三好信俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本英教君。

橋本(英)委員 おはようございます。自民党の橋本英教でございます。

 きょうは、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に関する審議でございます。

 残念ながら、私の印象では、福島県は東北被災三県の中でも復興がおくれているのではないかなという印象を持っております。もちろん、その理由は、岩手、宮城と違いまして、原子力発電事故の災害が最大の要因であるということは理解をしております。しかしながら、政府、地元の関係者の御努力で復興への道筋がついてきたのではないかなというふうに感じておるところでございます。

 私の出身地は岩手県の大船渡市でありまして、そこで発生している課題は、やがて、一番おくれているであろう福島の課題につながってくるというふうに認識をしております。したがいまして、岩手県の課題解決の方法が福島県でも役に立つのではないかという思いできょうは質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず最初に、復興事業のうち、建設関連の事業についてでございます。

 先日、地元の建設業者の方々と懇談する機会がございました。大量の公共工事が発注されておりますので、表現方法が適切かどうかわかりませんが、復興特需ともいうべき状況で、さぞかし忙しく、うれしい悲鳴であるのだろうという思いで話を聞いていましたところ、意外な話が飛び出しました。それは、今までせいぜい年間の完工高が十億前後であった小さな建設業者が、大手ゼネコンとJVを組んで五倍も十倍もの仕事の規模を受注せざるを得なくなった、そして、それによって資金繰りが大変になっているというお話でございました。

 それならば、社長さん、無理に仕事を受注しなければいいんじゃないですかというふうにお話をしたところ、そういうことではない、それでは入札不調だらけになってしまう、結果として復興がおくれることになるというお話でございました。彼らには、やはり仕事だけではなく使命感があるんだなというふうに感じたところであります。

 したがって、支払い条件を見直してもらって、多くの工事がスムーズに進むことはできないか、そのような御相談がございました。さらに、事業の発注金額が大きくなると県議会や市町村議会の承認が必要になるので、それも事業推進の上でかなりのマイナスになっている、何とかならないものかという御相談がございました。

 建設業者からの一方的な話かもしれませんけれども、政府の対応として、支払い条件の工夫、議会承認の件、この二点についてどのような工夫をしているのか、取り組み状況をお聞かせいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えをいたします。

 まず、公共工事の円滑な施工のためには、受注者の資金調達が円滑に行われることが重要だと考えております。

 このため、まず、前払い金につきまして、平成二十三年の地方自治法施行令等の改正によりまして、東日本大震災に際し災害救助法が適用された市町村の区域において施工する公共工事に要する経費について、地方公共団体が前払い金をすることのできる割合の上限を通常の三割から最大五割に引き上げたところでございます。また、補正予算の成立に合わせまして、本年二月、国土交通省との連名の通知で、前金払い、中間前金払い制度の導入や、支払い限度額の見直しなどにつきまして、各地方公共団体に対して要請をしたところでございます。

 今後とも、国交省と連携しながら周知を図ってまいりたいと考えております。

 それから、議会の関係でございますが、地方自治法百二条の規定によりまして、地方公共団体の議会は、定例会のほかに、必要がある場合におきまして、特定の事件に限って臨時会を開くことができるというふうになっております。また、同法の百二条の二の規定で、条例で定めるところにより通年の会期とすることもできる、こういったこともございます。

 各議会におきましては、被災地の実情等に応じまして、適時適切に御判断をいただきたいというふうに考えているところでございます。

橋本(英)委員 ありがとうございました。

 工夫をしていることは十分わかりました。ただ、その取り組みを地方自治体の方に徹底していただけるように国からの働きかけをお願いいたしたいと思っております。

 さらに、今回は時間の関係でお聞きできませんが、設計変更による積算の変更、そのためによる工事着工のおくれ、工期の延長、他県からの特殊作業船の回航費用、作業員の宿泊、交通費は見ていただけますが、技術者の宿泊、交通費は出ないなど、実は、被災地の建設関連事業にはまだまだ工夫をしなきゃならないことがたくさんございます。総務省、国土交通省におかれましては、一日も早い復興のために細やかな対応をお願いしたいと思っております。

 次でございますが、被災者の心のケアの問題についてお伺いいたしたいと思っております。

 三月十日、つまり被災から四年目になる前日でありますが、復興庁が取りまとめた復興四年間の現状というペーパーがございます。その中で、主要課題の一番目として、被災者支援という項目がございます。主題は、避難の長期化により避難者の体と心の健康が重要と書いてございます。

 実は、私は、震災以来、多くのボランティアの方々とお会いをし、連携をし、仮設住宅での支援活動を続けてまいりましたが、昨年、岩手県臨床心理士会の方々と意見交換をする機会を得ました。実に献身的に仮設住宅にお住まいの方々の支援をしていらっしゃる。頭が下がる思いでございました。

 しかし、詳しくお話を聞いてみますと、本当に少ない岩手県からの補助金、あるいはNPO団体からの寄附金で活動を継続なさっているという現状でございました。活動は継続したいのだけれども、本音のところは、経済的にかなり厳しいというお話でございました。

 政府は、被災者支援五十の対策を既に具体的に打ち出しておりますが、それがこのような活動をしている方々にうまく伝わっていない、あるいは、国と県との、市町村との連携が密になっていないのか。その理由は幾つかあると思いますけれども、せっかく政府が知恵を絞って出していただいた政策でございますから利用いただけるようにお願いしたいと思いますが、大臣、お願いできますでしょうか。

竹下国務大臣 お話がありましたように、避難の長期化に伴いまして、まさに心のケア、健康のケアというのは非常に重要な課題である、これはもう皆さん共通の認識であろうと思います。

 そういう中にありまして、これもお話がありましたように、見守りですとか、あるいは相談、いろいろな業務に携わる人、お手伝いいただいておりますが、そういう中で、特殊な能力をお持ちの、臨床心理士という資格をお持ちの方々もお力添えをいただいておる、これはすばらしいことだと思いますし、ぜひこれからも続けていただきたい、活用をさせていただきたいと思うわけであります。

 ただ、その予算がどこから出ているかちょっとよくわからないところがありますので、我々は、かなりの予算を積みまして、それぞれの地方で、これは、国がお払いするのではなくて、県、市町村での具体的な対応を支援させていただいておるところでございます。地域とか内容がわかれば、教えていただければ個別にまた相談にも応じさせていただきますが。

 今やっておりますことは、復興特会によりまして、相談員を確保する予算措置でありますとか、復興支援員や見守りの相談業務への活用、例えば、相談員は六百十五人、復興支援員四百五十人、合わせて千名を超える方々にお願いをして地域の見守り体制等々を支援しているところでございまして、今後とも、これは重要な課題でございますので、被災自治体や関係団体と連携をしつつ支援に努めていきたい、こう考えております。

橋本(英)委員 ありがとうございました。

 実は、もう復興庁では被災者支援五十の対策というものを打ち出しておりまして、これを徹底していただければ、それを知らせていただければ、手を挙げる方々がふえるのではないかなというふうに思っております。本当にありがとうございました。

 阪神大震災でも、三年目、四年目以降に心のケアが必要な方々がふえたというお話も、この間神戸で伺ってまいりました。復興庁におかれましては、せっかくつくったメニューでございますので、これを広く周知していただくようにお願いを申し上げたいというふうに思っております。

 時間の関係で最後の質問になります。

 被災地における看護師不足の問題について御質問いたします。

 昨年の夏、我が党の同僚の石田昌宏議員と被災地をめぐりまして、看護師の方々と意見交換する機会を得ました。その際に、切実な訴えとしてお伺いしたのが、看護師の不足の問題でございました。

 震災前に比べて、ほとんど全ての病院で看護師が少なくなっている、そのしわ寄せが勤務のシフトにはね返ってきており、勤務状況が極めて厳しいというお話でございました。さらに、小さなお子さんを持つ看護師さんたちはもっと体力的に厳しいというお話でございました。まさに、勤務時にお子さんを預ける保育園がない、実にリアルな生活の、仕事の現場のお話を伺ってまいりました。

 それでなくても、震災前から看護師不足、加えて申し上げれば、福祉施設などで働く介護士の方々も不足が顕著であった地域でございますので、医療、福祉関係者の方々の悩みは既にピークを超えているんだろうなというふうに感じてまいりました。

 この被災地の現状を厚生労働省はいかに把握し、今後どのような対策を講じるお考えか、お伺いいたしたいと思います。

福島政府参考人 被災地におきます住民の方々が安心して必要な医療を受けられる、そのために看護職員の確保は重要であると考えております。

 被災三県におきます看護職員の充足状況、県全体では、平成二十三年三月よりも、今の二十六年十一月現在でいいますと一〇〇%を超えているわけでございますけれども、沿岸部を中心に、被害がひどかった地域については、一〇〇%を割り込んでいるところが多いという現状にございます。

 このため、看護職員の確保対策として、地域医療再生基金を活用した修学資金の貸付事業などの看護職員確保対策の支援、あるいは地域医療介護総合確保基金を活用したナースセンターの機能強化によります看護職員の復職支援、あるいは勤務環境改善を通じた定着促進、こういう事業を総合的に取り組んでいるところです。また、院内保育、病院内保育所につきましても、運営費あるいは施設整備費につきまして、平成二十五年度までは国の補助事業としての支援でございましたけれども、二十六年度以降は地域医療介護総合確保基金の対象とする事業として引き続き支援を行っていくこととしております。

 今後とも、被災県と連携をとりながら、院内保育所に対する支援も含めまして、看護職員確保対策の支援を行ってまいりたいと考えております。

橋本(英)委員 ありがとうございました。

 多様な制度があり、予算があるのもわかりました。ただし、それを被災地の現場で利用してこそ制度であり、予算であるというふうに思っております。被災地の自治体は、仕事量が多過ぎて、細かいところまで目が行き届いていない感は、実はございます。何とか、国の方からも、政府の方からも被災自治体にお話をしていただきたいというふうに思っています。

 それと、最後になりますけれども、安倍政権になって以来、総理はもとより、根本前大臣、竹下大臣、そして副大臣の先生方、多くの方々が被災地に来ていただきました。本当に感謝をいたしております。もう少しであります。今後とも、先生方、そして政府の方々の特段の御配慮をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、勝沼栄明君。

勝沼委員 おはようございます。自由民主党の勝沼栄明でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。伊藤委員長を初め、理事各位の先生方に改めて感謝を申し上げます。

 まず冒頭に、私自身のことと、あと、やはり地元のことを少し述べさせていただきます。

 私の選挙区は宮城県第五区でございます。石巻市、東松島市、女川町といった、東日本大震災で非常に大きな打撃を受けた町、市を含みます。

 しかし、私は、この地に何ら地縁も血縁もございません。正真正銘のパラシューターでございます。しかも、昨年の衆議院解散後に選挙区が決まり、そして公示の六日前に入るという非常に強行なスケジュールであったため、いまだパラシュートすら畳めていない状況でございます。正直、被災地の代弁者でありながらも、自身が被災していないという後ろめたさもございます。

 しかしながら、東日本大震災発災時、私は、陸上自衛隊北部方面隊予備自衛官として戦後初の待機命令を受けておりました。一旦招集されれば全てをなげうってでも被災地にはせ参じる、そういった覚悟で待機しておりましたが、実際のところは招集はかないませんでした。その日以来、被災地のお役に何とか立ちたい、本当に苦しんでいらっしゃる方、困っていらっしゃる方に手の届く本当の支援がしたいとずっと強く願っておりましたので、今回は、四年たってやっと招集された、そういった思いで、この新しく与えていただいたふるさとをこの身をもって何としてでも守る、その強い覚悟で日々の活動にいそしんでいるところでございます。

 さて、先月、三月二十一日には、竹下大臣、伊藤委員長も御出席された女川町の町開きがございました。全面開通された石巻線に乗る女川小の子供たちの本当にうれしそうな、屈託ない笑顔を見ていますと、本当にぐっと込み上げてくるものがございましたし、また、鉄軌道が開通するということで日常が徐々に戻りつつある、それを実感できる、本当にすばらしい催しでございました。

 しかしながら、その場での挨拶で須田女川町長も述べておられましたが、沿岸部で一番復興が進んでいると言われる女川町ですら、まだ進捗状況は四〇%でございます。いまだ復興は道半ばです。

 そこで、本年、集中復興期間最後の年でございますが、今後の復興に対しての竹下大臣の強い御覚悟と御決意を、ぜひ御自身のお言葉で述べていただけないでしょうか。お願いします。

竹下国務大臣 私も先日、女川の町開きに参加をさせていただきました。やはり子供たちは本当に未来だなということを痛感し、この子たちのためにも絶対に復興をなし遂げるぞと改めて決意を新たにした次第でございます。

 お話にございましたように、集中復興期間、二十七年度で一旦区切りをつけなければならない、こう考えております。集中復興期間に用意いたしました財源をしっかり使って、この集中復興期間の間にできることはまず全てやるということが、今懸命に取り組まなければならない課題である、こう思っております。

 その上で、先般総理から御指示もいただきましたが、後半の五年間について一くくりのものとして考えなさい、キーワードは自立です、そして被災者の皆さん方に引き続き寄り添ってやるようにと、この三点の御指示をいただきました。その指示に基づきまして、まずは、何ができているか、そして何ができていないか、今後やるべき事業は何が残っているかという、総括と今後の把握というものを今急いでやっておるところでございます。

 そして、もちろんその中には、裏打ちとなる財源のあり方についても一固まりのものとして示さなければならない課題だ、私はこう認識をしておりまして、正直言って、日本国はそれほど財政的に余裕がある状況ではありませんが、そんなことは言っていられません。私の仕事は、被災地の皆さん方に安心してもらえるように、五年の一固まりで、事業の進め方、あるいはこれからやるべきこと、そしてその財源のあり方についてもしっかりとつくり上げるということが、安心して復興を進めていただく一番の土台といいますか、よすがになる、こう思っておりますので、何が何でもこれはやり遂げていかなければならない課題である、このように考えております。

 そういう中で、私、たびたび、一部について地元負担もという発言をさせていただいております。

 ただ、皆さん方に改めて誤解のないようにお話をいたしますが、復興の基幹的な事業については引き続き国の十分の十という仕組みでやらせ続けなければならない、こう思っておりますし、原子力発電所の事故に由来する復興事業についても、これは安倍総理が、国が前面に立つ、こうおっしゃっておることの裏打ちとして、これも全面的に国が負担をする形でやり続けていかなければならない。しかし、自立ということは、被災者の皆さん方お一人お一人の人生をしっかり自立していただくためにお支えをするということと同時に、被災した市町村も、自立するんだ、俺たちの町は俺たちがやるんだという思いを込めてやっていただくという思いも込めて、これから丁寧に議論していこうと。

 その地元負担というのは、今、こういう範囲で、あるいはこういう事業についてということを何も決めているわけではありません。これから地元の皆さん方と丁寧に議論をしていかなければなりませんし、特に、被災されました市町村は財政的にそれほど豊かでない市町村が多いという事情もしっかりと受けとめながら、丁寧に考えていかなければならない課題だ、懸命に取り組んでいこうと思っております。

勝沼委員 ありがとうございます。

 やはり、どうしても大臣のこの間の記者会見でのお言葉だけがちょっとひとり歩きしておりまして、被災地の方々も多々誤解されているところがございますので、内閣の閣僚全員が復興担当大臣だというその内閣の中心となって、ぜひ励んでいただきたいと思います。

 石巻に日和山公園というところがございます。そこからは石巻の市街地が一望でき、そして松尾芭蕉も訪れたという非常にすばらしい景勝地でございます。もうすぐ、そこの桜が満開となります。しかし、まだまだ被災者の方々の心は満開とはほど遠い状況でございます。

 石巻市だけでも、応急仮設住宅に住んでいらっしゃる方は一万二千四百十三人おられます。高齢化率も上昇し、生活の不活発化、そしてストレスによる生活習慣病の有病率の増加、そして要介護の方の増加、またアルコール依存症の方も増加しております。住まいの再建、そしてコミュニティーの再建はまだまだでございます。そして、そこに行政も医療機関もなかなか追いつけていないという現状がございます。それは、ひとえに、行政職員そして医療職員の疲弊、さらには圧倒的なマンパワーの不足でございます。

 さらに、そこに外から人を呼ぼうにも、今、石巻では、地価の上昇や家賃の上昇、そしてアパート、マンションの不足、生活用品の値上がりなど、生活関連費用が非常に値上がりしております。したがって、外から人を呼ぼうにも、なかなかうまくいかない。非常に悪循環に陥っております。

 前を向いてどんどん進んでいる方は前に行くし、それに比べて、いまだ前を向けない方、その差がどんどん開いている。また、沿岸部と内陸部の方の復興に対する温度差というのも顕著になってまいります。

 五月三十日には仙石線と東北本線がつながり、仙台―石巻間が開通するといういいニュースもございますし、いろいろな方の御努力で日常が徐々に戻ってきている、そういったところもございますが、何度もしつこいようですが、まだ復興は道半ばでございます。国民の皆様に御負担いただいている以上、無駄遣いは言語道断でございますし、そして、本当の意味で困っていらっしゃる方に手が届く、さらには、先ほど大臣もおっしゃいましたが、御自身の足で立っていただく、そういった支援がこれからより一層必要となります。

 我々地元の者が一番汗をかくのが当然でございますが、竹下大臣を初め、政務三役の先生方、そして復興庁の皆様、そして委員の皆様におかれましては、常に被災者に寄り添いながらも、そっと背中を押してあげるような、そんな支援の継続をぜひよろしくお願い申し上げます。

 本当はもっと言いたいことがたくさんありますし、伝えたいこともいっぱいあるんですが、時間の関係もございますので、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案の質問に移らせていただきます。

 本改正案は、東京電力福島第一原発事故に伴う避難区域の復興拠点整備において、市町村がその関連用地を取得する際、住宅地や商業地、学校地など、その用途にかかわらず、一体で全面的に買収ができ、新たに創設される帰還環境整備交付金により、その上物も整備可能となり、さらには、避難された事業者が帰還後の事業再開時に税制上の特例措置が受けられる、まさしく一つの町を復興拠点として一からつくり上げることが可能となるもので、いわば津波防災地域づくりに関する法律の原子力災害版とでもいうべきものと言えると思いますが、その認識で間違いないでしょうか。

竹下国務大臣 そのとおりでございます。

 原子力被災をした地域にも拠点づくりがしっかりできるようになっております。

 違いといいますと、物すごく大きく言いますと、高台は上げなくてもできる、しかし除染はしっかりやってやらなきゃいけないという違いはありますけれども、基本的には同じ考え方に基づいてやっております。

勝沼委員 ありがとうございます。

 また、本改正案は、地元からの大変強い御要望があり、それを踏まえてのものだと聞き及んでおりますが、実際にこういった都市計画を出されている市町村がどれぐらいあり、そして、出されているとしたら、その具体的な蓋然性のあるまちづくりのイメージといったものはどういったものでしょうか。

竹下国務大臣 今出ておりますし、我々が念頭に置いておりますのは、大熊町の大川原地区が第一でございます。それ以外にも、例えば双葉町の中野地区等々でもそうした動きがあるということも伺っておりますし、これから順次、さまざまな復興が進んでいくに従って具体的な話が出てくる、こう思っております。

 そして、今、使い道について一定の制限は、正直言ってありますけれども、これから新たな、こうした方がいいじゃないかというアイデアが出れば、柔軟に対応していかなきゃならぬ課題だ、このようにも考えております。

勝沼委員 ありがとうございます。

 出されているのがまだ大熊町の大川原地区のみであり、まだ構想段階ということでございますが、今回の改正案において、大川原の復興拠点整備は、既存のインフラを使用するのではなく、全く新しい町をつくり上げることが可能となります。

 しかし、どれほどの規模にするのか、どういった産業を興すのか、帰還される方々の人数や年齢構成、そして帰還後も永住可能なのか、そのほかにもさまざまな解決しなければいけない難問が山積していると思います。当然、まちづくりの中心となるのは地元の方々でございますが、国も相当な覚悟を持って寄り添っていかなければならないと思います。

 やはり、あの突然の災害によっていまだ避難を余儀なくされている方々は、二〇一一年三月十一日で時計はとまったままだと思います。何としても帰りたい、その思いに我々も必死に応えていかなければなりません。

 最後になりますが、帰還したいけれども帰還できない、そういった方々に対する大臣の思いを、簡潔によろしくお願い申し上げます。

竹下国務大臣 帰りたいという強い思いをお持ちの方、あるいは、いや、もう帰らない、新しいところで新しい生活を始めるという方々、あるいは、どうしようかなと迷っている方々、さまざまいらっしゃいます。我々は、そのお一人お一人の事情に応じて、まさに安倍総理から指示を受けた、寄り添うような形で支援をしていかなければならない。帰る人には温かいふるさと、帰らない人には、そこで生活が成り立つようなしっかりした基盤というものを支援していくことが我々の仕事だ、こう考えております。

勝沼委員 ありがとうございました。終わります。

伊藤委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 前回の所信に対する質疑に引き続きまして質問の機会をいただきましたこと、委員長並びに理事各位の皆様に心より御礼申し上げます。

 先日の質疑におきましては、復興大臣より、住まいの復興給付金の出張相談会実施の御答弁をいただきました。本件につきましては、我が党の井上幹事長、また被災地担当国会議員でございます輿水議員の方からも要望させていただいておりました。被災者の方からも、喜びの声をいただいております。何より、現場の声が国政に届き、事が動いたことに対して大変喜んでいらっしゃいます。この声が届くという安心、これが被災者に寄り添う、そういうことであろうということを改めて実感させていただいた次第でございます。御英断くださった大臣に、まずは心より御礼を申し上げたいと思います。

 さて、本日は、福島復興再生特別措置法の改正について質疑をさせていただきます。

 本改正に当たっては、昨年十一月に福島県が取りまとめた要望事項、このほぼ全てを取り入れる形で本改正案に至りましたことについて、心より感謝申し上げる次第でございます。

 その上で、何点か御質問をさせていただきます。

 今回の福島復興再生特別措置法の改正に当たっては、変化する福島の復興のステージに対応するものと理解しております。現在、福島県内では、各自治体において復興計画を策定し、復興拠点の整備が始まった自治体もございます。その一つが、先ほどもお話ありました大熊町大川原地区でございます。

 私も、ちょうど一年ほど前に、当時議員ではございませんでしたけれども、この地域を訪問させていただきました。給食センターの建設予定地を当時視察させていただきまして、関係者のお話をお聞きする機会もいただきました。

 特に印象に残っておりますのが、故郷を次の世代に残すとの使命感に燃えて、防犯パトロールや、一時帰宅の手伝い、また防火用水路の管理、ごみの清掃などに取り組んでいらっしゃいます、通称じじい部隊の皆様の熱い思いに触れたことが強く印象に残っております。

 この大川原地区、三千人が居住できる復興拠点をつくる、これが大熊町の計画でございます。この復興拠点整備を強力に後押しするのが今回の特措法の改正であると認識しております。この改正によって、拠点とする土地の全面買収方式が可能となる上、そのほか、拠点整備に資するインフラ整備事業にも充てられる帰還環境整備交付金が措置されます。この帰還環境整備交付金は、従来の福島再生加速化交付金の一部である再生加速化部分を拡充し、法定化するものと認識しております。

 そこで、お聞きさせていただきます。

 今回特措法の改正によって創設されるこの交付金を活用することで、避難自治体が計画する復興拠点整備が大きく進むことが期待されております。特に、一団地の復興再生拠点整備制度は、さらなる加速をもたらすものと思われます。一方、活用の念頭にある大川原地区以外での活用は難しいのではないか、こういった懸念の声もいただいております。

 そこで、この一団地の復興再生拠点整備制度を初め、帰還環境整備交付金の活用は、市町村のニーズを踏まえ、幅広い活用を認めるべきと考えておりますが、この帰還環境整備に向けた復興大臣の御所見をお伺いさせていただきます。

竹下国務大臣 お話にございましたように、まず、とりあえずは、我々も大川原地区というものを念頭に置いてこの仕組みをつくりました。そして、これもお話にありましたが、その際、県、地元から御要望があったものは最大限組み込ませて、使いやすい、あるいは、地元の人が、旧市街地であっても帰れない、だけれどもやはり同じ大熊町に住みたいということでつくっていくのが大川原でありますので、新たな市街地を整備するということが目的でございます。

 しかし一方で、ほかの市町村においても、住民の方々が円滑に帰還するために市街地を整備するということを考えた場合、制度の目的に照らし合わせまして、復興再生拠点制度を活用されるということも我々は念頭に置いております。

 先ほどもちょっとお話をしましたが、例えば双葉町もそれに続こうという動きが出ておることは事実。全く同じ仕組みではございませんが、双葉町もやはり復興の拠点をつくりたいという思いを持っていらっしゃいますので、この制度を活用していただくことも想定をいたしております。

 それから、それ以外にも、復興に向けてさまざまな政策手段を我々は用意いたしておりますので、住民の皆さん方が円滑に帰還できる環境整備が加速化していくように、これからも被災地に寄り添っていきたい、こう思っております。

真山委員 ぜひとも、この大川原地区だけではなく、各関係自治体、この復興拠点整備、それが一つ復興の目標に定めておりますので、そういったニーズに合わせて弾力的に運用の方をしていただければというふうに要望させていただきたいと思います。

 続きまして、関連いたしまして、帰還環境整備交付金を活用した事業の内容について、この改正法第三十三条においてその内容が規定されております。その一部が復興庁令に委任されているため、従来、福島再生加速化交付金による、実施することができた事業について、法改正後においても引き続き実施可能であるかどうか不安視する声も聞かれております。

 そこで、確認のためにお聞きいたします。

 改正法の第三十三条第一項において、避難指示の対象となった十二市町村以外の市町村は、条文に言うところの特定市町村でございますけれども、改正法第三十三条第二項第二号ヘに掲げる事業を復興庁令において実施することができるとされておりますが、これは具体的にどのような事業を指すのか。また、この事業実施可能な特定市町村とは、具体的にどの市町村を定める予定なのでございましょうか。復興庁にお伺いいたします。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の法第三十三条第二項第二号ヘに掲げる事業でございますけれども、これは、放射線による不安を解消するための事業として個人線量計の貸与に関する事業、あるいは相談員の育成、配置に関する事業など、復興庁令により定めることといたしております。

 また、これらの事業を実施可能な特定市町村の範囲でございますけれども、いわゆる浜通り、中通りの市町村のうち、避難指示の対象となった十二市町村以外のところを定めることといたしております。

真山委員 周辺市町村、今答弁いただきました地域でございますけれども、大変要望の強いところでございますので、ぜひ引き続き復興庁で支えていただきたく、御要望させていただきたいと思います。

 続きまして、課税の特例について御質問をさせていただきます。

 今回の特措法の改正に伴い措置されます福島再開投資等準備金制度は、将来、避難元へ帰還し事業再開を目指す事業者がそのための準備金を積み立てた場合に、その準備金を損金算入することができ、税制上の特例措置を受けられる仕組みというふうに理解しております。当該地域では、事業再開を目指す事業者にとっては大きなインセンティブになると思います。

 この税制上の特例を受けられる期間は復興庁令によって定めるとし、認定後三年間と聞いております。

 そこで、お伺いさせていただきます。

 事業再開に向けた準備金の積み立てを始めて三年が経過した後、つまりこの課税の特例を三年間受けた後に、しかし、商圏の問題、人手の問題、また資金繰りの問題、そういったさまざまな経営上の課題、もしくは事業を再開したい地域、この地域で再開したいという地域が避難指示が解除されていないといった理由も考えられると思いますが、さまざまなそういった理由で事業の再開のめどが立たない、そういった場合が三年後にあった場合に、どういうようなことになるのか。また、それによって趣旨に沿う投資ができないとなった場合に、重加算税等のペナルティーはあるのか。これは復興庁にお伺いさせていただきます。

熊谷政府参考人 準備金の積立期間につきましては、福島県知事の認定後、原則、避難指示の解除後五年を経過するまでの間、最大三年間までとなります。

 お尋ねの準備金の積立期間の終了後に、事業再開のめどが立ちませず、投資が行われなかった場合の取り扱いでございますけれども、その後二年を経過する日を含む事業年度の翌年度から三年間をかけて、残った準備金を均等に取り崩して益金に算入されることとなります。

 なお、益金に算入されました際の課税につきましては、重加算税などのペナルティーはございません。

真山委員 御答弁ありがとうございます。

 ペナルティーに関しては、ないということでございましたけれども、さまざまな事情が発生することも想定されるわけでございます。課税の特例期間三年、そしてその後の二年ということでございますので、その期間に事業を再開できる、そういう環境整備に努めることも非常に重要ではないかというふうに考えているところでございます。

 また、課税の特例について、もう一つお聞きさせていただきます。

 税制上の特例として、区域内にて事業を再開するために設備投資をする場合、つまり課税の特例後に事業を再開できる見込みがついた場合に、特別償却があると認識しております。機械、装置であれば一〇〇%、建物、構築物であれば二五%の特別償却ができるというふうに聞いております。

 福島再開投資等準備金制度にて三年間の積み立てで課税の特例を受け、そして、いざ設備投資をする場合においても特例が受けられるというふうに認識しておりますけれども、これは活用する側にとってみれば大きなメリットでもございますし、事業再開を促す点でも評価に値する仕組みであるというふうに認識しております。

 そこで、お伺いさせていただきます。

 再開投資を行う場合に、事業年度において特別償却が可能というこの仕組みでございますけれども、設備投資を行う時期はいつでもよいのか、これについて復興庁にお伺いいたします。

熊谷政府参考人 再開投資を行う際の特別償却の利用可能期間についてですけれども、本制度の利用は、準備金の積立期間の末日の翌日から二年を経過するまでということになっております。

真山委員 二年ということで、先ほどもお話がありましたけれども、課税の特例を受ける期間三年、そして、投資をする期間二年、このように考えるわけでございますけれども、この五年間の中で事業再開を目指すわけでございます。

 五年後といいますと、まさに二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、一つ復興の大きな節目の年でもございまして、そのときまでに事業の再開をすることができるかどうか、産業復興の意味でも本当に重要な仕組みであると思いますので、ぜひ、被災地の実情に合わせて、またさらに支えていただきたい、そのことをお願いさせていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 鳥獣対策についてお伺いをさせていただきます。

 原発事故発生後、避難指示区域内は、御存じのとおり、鳥獣の生息領域が拡大しております。もともと人間が居住していた地域にもイノシシ等が生息するようになり、食料を求めて住宅に侵入し、家を荒らすという状況もございます。また、一時帰宅した住民、避難指示区域の周辺自治体住民、これから長期宿泊が始まる楢葉町の住民にとっても、鳥獣被害は不安の種であります。人間が居住する地域に鳥獣がいるわけでございますので、それは本当に大きな不安であるというふうに思っておりまして、早急な対策が求められるところでございます。

 そのような中で、今回の特措法改正では、八十九条において、避難指示区域内におけるイノシシ等の鳥獣による被害を防止するため必要な措置を講じると明記されることになりました。地元の実情を踏まえ、明記に至ったというふうに理解しております。

 一方、避難指示区域の鳥獣は区域内で餌を得ているわけでございまして、当然のこととして、比較的に放射能濃度の高い餌を食べていることになります。その蓄積によって鳥獣の放射線量が高くなり、捕獲した場合の処分に懸念が言われておりますけれども、その点についてどのように考えていらっしゃるか、環境省にお伺いいたします。

小川政府参考人 お答えいたします。

 環境省におきましては、避難指示区域のうち、帰還困難区域等におきましては地元の自治体による捕獲が困難な状況でございますので、被害を及ぼしているイノシシ等につきまして、地元の町村と調整を行って、捕獲事業を実施しております。

 平成二十五年度には二百四頭、平成二十六年度には三百八十一頭を捕獲したところでございます。平成二十七年度におきましても、地元の町村と調整を行って、引き続き捕獲を進めていきたいというふうに考えております。

 御質問の、これらのイノシシ等の捕獲後の対応でございますけれども、現在のところ、捕獲したイノシシ等につきましては、町有地などに一時的に埋設をしておる状況でございます。

 これらの最終的な処理、処分についてどのようにするかということにつきましては、今後の捕獲の状況等も勘案した上で検討を進めていきたいと考えております。

真山委員 現在、イノシシ等捕獲したものに対しては一時保管という形になろうかと思いますけれども、出口を見出さなければ、鳥獣捕獲もなかなか進まないという実態もあろうかと思いますので、この処分方法についても、ぜひ早急な対策を求めたいというふうに思います。

 そして、今回の改正の中では、帰還を促進する観点から、鳥獣対策についても、避難指示区域内について明記してございます。しかし一方、区域外の周辺市町村におきましても、また避難指示が解除された自治体を含め、同様に、鳥獣の処分に対して懸念がされているところでございます。

 実際に、原発避難指示区域ではございませんけれども、相馬市では、捕獲したイノシシが処分できずに、冷蔵施設に捕獲した数百頭のイノシシを冷蔵保管しているという報道も先日ございました。

 こうした実態を踏まえ、区域外にて捕獲された鳥獣についても何らかの措置が必要と考えますが、こちらについては農水省にお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 福島県におきましては、被災者の避難の影響などにより野生鳥獣の生育数が拡大、増加していることから、帰還困難区域及び居住制限区域のみならず、避難指示解除準備区域や、避難指示区域外においても捕獲を推進することが重要であると考えております。

 捕獲された鳥獣については、適切に処理することが必要であることから、東日本大震災農業生産対策交付金などにおいて、焼却施設の整備や適切な埋設処理の経費に対して支援をしているところであります。

 今後とも、現場の実情を把握しながら、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。

真山委員 ただいま答弁ございましたとおり、焼却処分含めて、今現在検討を進めているという段階かと思いますけれども、先ほども申したとおり、鳥獣被害、住民の心配、不安の種でもございます。そういった実情を鑑みて、早急にこの出口を見出していくことが必要であろうと思いますし、また、先ほどの相馬市の実情を踏まえれば、腐敗による衛生上の問題も懸念されるところでございまして、早急な対策を求めてまいりたいというふうに思います。

 いずれにしても、この鳥獣被害、被災者にとって不安の種でもございますので、今回の特措法の中に盛り込まれましたことは評価したいというふうに思っておる次第でございます。

 続きまして、別の質問に移らせていただきます。

 福島県におきましては、ふくしま復興再生道路として、八路線が認定されております。福島復興を加速させるために、浜通りと中通りをつなぐ重要路線として、八路線、二十九工区を平成三十年代前半までに完成させようという計画でございまして、できれば二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、復興の一つの節目までに一つの完成を見たいという地元の意向もお聞きしているところでございます。

 国道百十四号や原町川俣線などの工区では既に整備が進んでおりますが、国道三百九十九号、また県道吉間田滝根線、小名浜道路の三路線については、特に整備するに当たって時間と労力がかかる路線でございます。通られた方はわかるかもしれませんが、大変道の細い、狭い道路でもございまして、さまざまな観点から、安全、安心の観点で整備が求められているところでございます。

 また、この路線は、先般搬入がありました中間貯蔵施設への除染廃棄物の搬入ルートでもございまして、そういった観点からも大変心配しているところでございます。

 先ほど言いました、国道三百九十九号、県道吉間田滝根線、小名浜道路のこの三路線について、県としては国の権限代行による整備を求めていると聞いております。そうした地元の権限代行の要請に対して、現在どのように検討が進んでいるのか、こちらについては国交省にお伺いさせていただきます。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県の本格的な復興のためには、特に避難指示が解除された地域の生活を支える道路ネットワークの強化が重要だと認識しております。

 委員御指摘のございました、国道三百九十九号、県道吉間田滝根線、小名浜道路の三路線につきましては、平成二十五年度までに福島県で事業を開始し、本年から用地買収に着手したと聞いております。しかし一方で、国による事業実施の御要望を県の方からもいただいております。

 国としては、当該路線の整備が福島の復興再生に大変重要であることを踏まえ、福島県が進めている事業の進捗状況あるいは実施体制等を勘案しながら、御指摘の国による代行措置も含めて、国としての支援のあり方につきましては、福島県を初め関係機関としっかりと調整してまいりたいと思います。

 以上です。

真山委員 ぜひ、前向きに検討いただいて、早期に決断をしていただきたいと思います。

 先ほども申しましたとおり、県としては二〇二〇年を目指しているというふうに聞いております。この道路を整備するに当たっては、大変時間もかかる箇所でございますので、ぜひ、早急に結論を出していただいて工事着手に進めていただきたい、そのことを要望させていただきたいというふうに思います。

 続きまして、今回の改正の中にも含まれておりますロボット産業のことについて、お伺いをさせていただきます。

 この福島復興の大きな希望であります福島イノベーション・コースト構想でございますけれども、今回の特措法第八十一条の研究拠点整備に、福島県の要望を受けまして、ロボットを追記することになりました。

 この八十一条の内容は、福島県知事が重点推進計画を策定し、これを内閣総理大臣が認定することになっております。八十一条には、「内閣総理大臣は、」少し省略させていただきますけれども、「当該重点推進事項に係る関係行政機関の長の同意を得なければならない。」というふうになっております。つまり、内閣総理大臣によって認定されたものについては、まさに国家プロジェクトと呼んでいいのではないか、私はそのように理解しておるところでございます。

 そういう状況の中で、既に、ロボット研究・実証拠点整備等に関する検討会が行われました。ロボットテストフィールドの設置に向けた検討が現在進められておりまして、その推進に当たって、福島県、内閣府、経産省が参画する事務局を設置し、ロボット実証に関してニーズを持つユーザーの希望を受け、市町村とも連携をしながら、福島浜通り地域で実証区域として受け入れ可能なエリアを、仮称、福島浜通りロボット実証区域として指定する方向で検討しているというふうに聞いております。

 このイノベーション・コースト構想、さまざまな事業の柱がございますが、県としては、ロボット産業の集積、また最先端技術の研究拠点の集積、これによって福島復興を一つ大きな形にしたいというのが希望でございます。

 そのような中で、先ほど申しました福島浜通りロボット実証区域、そういった名称で今後検討が、また事業が展開されるというふうに認識しておりますけれども、そこで、今回の改正の中でロボットが条文の中に追記されることになりまして、そのことも踏まえまして、今後の取り組みについて経済産業省にお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 二月十日、総理を本部長とする日本経済再生本部において、ロボット新戦略を策定、決定したところでございます。この戦略においては、福島に福島浜通りロボット実証区域を設置することとされておりまして、昨日、四月一日から、具体的な案件について事業者から公募を開始したところでございます。

 具体的には、ロボット実証に関してニーズを持つ企業、大学、研究機関等からの公募に基づき、随時、企業と施設のマッチングを行いまして、ロボットの実証を希望する事業者に対して施設等を提供していく予定としております。

 本実証を通して、陸上、水中、空中のあらゆる分野におけるロボット活用の可能性について理解を深めるとともに、中長期的なロボット開発の拠点化に向けた第一歩として、イノベーション・コースト構想の具体化へとつなげてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

真山委員 ありがとうございます。

 それに伴いまして、最後に一つお聞きさせていただきます。以前、予算委員会の分科会でも質問をさせていただいた件でございます。

 地元のロボット産業を担う企業の皆様からお聞きしておりますけれども、ぜひ、これからこの事業を進めていくに当たって、やはり関係研究機関、研究者、または大学生、こういったところとしっかり連携をしながら進めていきたい、このようなお話をいただいたところでございます。

 しかし、御存じのとおり、避難指示区域、原発の廃炉また除染作業によって作業員が大変居住している関係で、宿泊施設がないという実情がございます。研究者、また大学生、こういった方々が宿泊できるような施設、そういったことも含めて、研究拠点環境の整備の取り組みを先般御要望させていただいたところでございますけれども、先般行われた会議においても議題となったというふうにお聞きしておりますが、検討状況はいかがでございましょうか。経産省に伺います。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 産学連携での取り組み促進に向けまして、研究者、そして大学生の宿泊施設の整備についてのお尋ね、こういうことでございます。

 経済産業省といたしましては、福島イノベーション・コースト構想の一部でございます国際産学連携拠点の具体化、この検討の中で、宿泊施設整備についてのニーズの声もしっかりとお聞きをしながら検討を進めまして、一昨日、三月三十一日に有識者による検討会の中間整理を公表させていただきました。

 その中間整理の中では、国際産学連携拠点の構築に当たって、国内外の研究者や技術者を集めるためには、快適な生活インフラや交通インフラのほか、滞在施設、事務所なども一体的に整備していくことが必要であること、このように記載をさせていただいているところでございます。

 今後とも、福島イノベーション・コースト構想の具体化に向けまして、福島県及び関係市町村並びに関係省庁とも連携をしながら、しっかりと取り組んでまいりたいと考えてございます。

真山委員 ぜひ、構想実現に向けて、さらなる取り組みの充実をよろしくお願い申し上げます。

 時間となりましたので、以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 まず、予算委員会あるいはまた特別委員会等でたびたび議論になっております後期の復興期間の財政計画、財源フレームについて、改めて確認しながら具体的にただしていきたい、こう思っております。

 総理は、集中復興期間が終了した後の二〇一六年度以降、次の五年間の新たな復興支援の枠組みをこの夏までに策定したいということであります。そしてまた、地方負担のあり方も含め、被災地の声に耳を傾けつつ検討するということであります。

 一方、復興大臣は、復興の基幹的事業は引き続き国が責任を持つ、まずは、これまでの復興事業の執行状況やその成果を精査、検証し、六月末までには財源フレームを策定したい、こういうことであります。そしてまた、自治体の財政力に配慮しながらも、選択と集中、被災地、被災者の自立を促すということであります。

 そこで、初めに、後期五年間の復興予算の規模をどのように考えておられるか、お尋ねいたします。

竹下国務大臣 今まさに、まず総括をした上で、今後どれだけの事業が必要であるかという精査を行っておるさなかでございまして、各県からそれぞれ出ておりますものを足しますと八兆幾らということになるわけであります。それも一つの参考材料でございますが、今我々も、そうしたものを土台としてしっかりと今後必要な予算というのは精査をしなきゃならぬということで、まだどの程度というものをイメージできておるわけではございません。

黄川田(徹)委員 大臣の記者会見等、さまざまな場面場面でさまざま漏れ伝えられる金額というのがありまして、何か六兆円という金額がひとり歩きしておるようであります。そしてまた、六兆円なのでありますけれども、そのうちの一兆円は復興債の利払いに充てるということでありますので、そうなると実質五兆円ということになるわけであります。

 こういうことについて、なぜこういうふうに漏れ伝えられるわけでありますか。

竹下国務大臣 今、黄川田先生お話しになりました報道があったことは私も承知をいたしております。しかし、そういう数字は復興庁の中にありません。まだ積み上がっておりません。

 ですから、どうしてそういう数字が今出回っておるのか、あるいは報道されたのかについては、私自身も疑問に思っているところでございます。

黄川田(徹)委員 発災直後から、事業を消化できなくて繰り延べしたり大変な状況でありますし、今でも、今年度になりましたけれども、最終年度どれだけできるかとか、これをしっかりと精査しなきゃいけないということは本当に大事なことだと思っております。

 それから、国政の方も一千兆円の借金がありますし、厳しい財政状況にあるということもこれまた認識しなきゃいけないですし、そしてまた地方自治体も二百兆円の借金を抱えておるということであります。

 ただ、六月末には明示するということでありますので、確かに精査しなきゃいけないんですけれども、ある程度の数字というのは本当はあるんでしょうけれども、この場では発言できないということでありますか。

 それでは、次なんですけれども、何兆円かの額となると思うんですよね。前期の五年間であれば、十九兆円、それから二十三兆円、それから二十五兆円、そして今二十六・三兆円でありますか。その財源についてどういう考え方を持っているか、お尋ねいたします。再増税をするのか、あるいはまた安定財源を明示できるのか、お尋ねいたします。

竹下国務大臣 最大の悩みです。

 麻生大臣に、いろいろな形で財源頼みますよという話を、例えば閣議の席であったり予算委員会ですれ違ったときであったり、頼むよという話を何回もしていますが、ねえぞねえぞ、こう言われております。それは、ないぞと言うのが財務大臣の務めでありますので、ありますありますと言うわけにいかないものですから、これから厳しい交渉の中で、しかし、必ず必要なものは確保していくということが復興大臣である私の務めである、こう思っておりますし、安倍総理が一丁目一番地の仕事だ、こう言い続けていらっしゃることの裏づけは、仕事のあり方等含めて、財源の安心感もちゃんとつくれよということであろう、こう認識して努力をしていこうと思っております。

黄川田(徹)委員 なかなか慎重な答弁で、具体がなかなか見えにくいわけでありますけれども。

 前期五年間では、歳出の削減、税外収入と、そしてまた復興増税、法人税、所得税、個人住民税、法人税はちょっと撤退してしまいましたけれどもね。それからあと、後半になって、日本郵政株式の売却収入、そしてまた、景気動向を見ながら決算剰余金等を手当てしたということであります。

 消費税増税も間近に控えておりますので、さらなる国民負担をお願いできるかどうかとか、さまざまあるわけでありますけれども、最後の二十六・三兆円、そこまで行ったときに、先ほどお話しした歳出削減であるとか税収の自然増であるとか決算剰余金とか、不確定要素のものでこの五年間の財源を確保する、そういう思いではないですよね。

竹下国務大臣 正直言って、胸を張って答えたいところではありますけれども、基本的には、例えば決算の剰余金の半額を復興財源に取り込む、これは結果としてそうなることであって、私は、これから五年間の財源の裏打ちにそれはならないだろうと。結果としてそういうものは出てくるかもしれないけれども、そうではない形でしっかりとした財源を確保しなければならない、こう思っておりますし、国民の皆さん方に、例えば所得税の二・一%を二十五年間負担していただいておる。では、これが、再増税ができるのか、あるいは期間の延長ができるのかというのは極めて厳しいと認識をいたしております。

黄川田(徹)委員 総務委員会で質問することがありまして、総務大臣にちょっと振ったのであります。郵政株でありますけれども、まだ売れる部分があるのではないかと。あるいはまた、そのためにも価値を高めなきゃいけないということ、さまざまありますけれども、いずれ、一くくりといいますか、固まりでもって財源も提示するということでありますので、安定財源といいますか、自治体も心配しないような形をぜひともつくっていただきたい、こう思っております。

 それでは次に、前期五年間、初年度はいろいろあったのでありますけれども、全国防災事業の取り扱いなのであります。

 これはどのように、後半戦、後期計画、後期財源フレームはどういうふうな取り扱いになりますか。

竹下国務大臣 全国防災事業についてでございますが、当時は、復興予算を全国のさまざまな防災事業に使われて、それは流用ではないかという御指摘もありまして、二十四年十一月に、全国向けの予算につきまして使途の厳格化を図ったところでございます。

 ただ、その際、そのうちの学校施設の耐震化と津波被害対策の公共事業等については、引き続き復興特会において計上すること、こうされてきたことも事実でございます。

 だけれども、いずれにしても、この部分は、ほとんどというか、ほぼ全て集中復興期間で終わりますので、新たな後半の五年間についてはそういうものはない、繰り入れない、まさに被災地の復興に資するものだけということで考えていこうと思っております。

黄川田(徹)委員 当時は各省庁挙げて復興を頑張るんだということで、それぞれ各省庁は何ができるかということで出していただいて、たしか林野庁は、まあ林業行政、林業振興としての間伐、これは本当に重要な仕事だと私も認識しております。ただ、その理屈が、間伐を一生懸命やるんだ、そうすれば、国産材、その木材が利活用されて被災者の住宅再建にもつながるんだというふうな、そういう理屈の中でさまざまやられましたけれども。

 いずれ、一つ一つ点検した結果、先ほどお話しのとおり、たしか公明さんの方で頑張ってもらっていたと思うのでありますけれども、学校の耐震化、その部分なんかは、大分補正とかいろいろな形で予算措置されて、随分進んだのではないかと思っております。学校なんかは、被災したときの避難場所といいますか、大事なところでもありますので、それはそれで先行してやられてよかった、こう思っております。

 本質的な復興のために枠組みをつくるということの御答弁をいただきました。復興するためには、被災地自治体は、職員が足りないということで、毎年、派遣職員の要請ということになっております。

 それで、この応援職員の人件費の取り扱いなのでありますけれども、地方自治法では、職員を受け入れる自治体が人件費を負担するのを原則とする。平時であればそうだと思いますが、東日本大震災では特例として震災復興特別交付税で全額国が負担ということになっております。

 この次の五年間の応援職員の人件費の取り扱いについてお尋ねいたします。

あかま大臣政務官 お答えをいたします。

 膨大な復興事業を行う上では、マンパワーの確保は極めて重要な課題だというふうに認識しております。

 また、今委員御指摘のとおり、震災復興特別交付税において財政措置をこれまでしてまいりました。もちろん、後期の五年間についてもしっかりと対応ができるように、地方自治体のそれぞれの声を賜りながら、まさに次のフレームについて今検討しておる中では、しっかりと我々も対応してまいりたい、そういうふうに考えております。

 以上です。

黄川田(徹)委員 被災地の小さな町村だと、平時、百人とか百五十人ぐらいの職員なんですよね。それが、派遣職員あるいはまた任期つき採用とか、いろいろな人数を足しますと、倍ぐらいになっているということですよね。平時でも、実は、自前の財源で人件費も賄えぬぐらいの財政力のところもあるわけなのであります。

 そういうことも含め、復興特別交付税、大事な財源と自治体も思っておりますので、その取り扱い、よろしくお願いいたしたいと思っております。

 そしてまた、もう四月の二日でありますけれども、総務委員会で聞いたときに、派遣職員と被災地の、どういうふうな形でマッチングがなっているか、できるだけ要望に応える形で派遣職員をとなっております。先般、地元の河北新報なんかでちょっと出ておりましたけれども、まだまだ足りずに困っているというところがあったようであります。

 そしてまた、集中復興五カ年が終わるということは、逆に、大体ほぼ終わってきたということで、派遣元といいますか、全国でもなかなか派遣する人数も小さくなってくるというか、先細りをするんじゃないのか、そういうことも思っておりますし、それから、何せ五年も派遣というのは、厳しい財政状況、行政改革とかいろいろな中で、人を派遣するということは大変なことだ、こう思っております。

 ただ、まだまだ政令市だとか、体力のあるところもありますので、派遣職員のマッチングについても、総務省、よろしくお願いいたしたいと思っております。

 それでは次に、冒頭、大臣も話されましたけれども、何か被災三県では八・一兆円という話もあるがということを話されていました。この被災三県、岩手、宮城、福島の試算は八・一兆円なんですけれども、漏れ伝えられる六兆円というのがありますので、その差が出ているわけであります。この八・一兆円についてはどういう認識でありますか。

竹下国務大臣 お話にございましたように、各県から出ておりますのは、岩手県一兆七千億、宮城県二兆五千億、福島県三兆九千億、合わせて八兆一千億であるというのが出ております。

 ただ、これは、我々は今、後半の五年間の想定を行おうとしておりますが、福島県の場合はこれから十年間という期間の中での三兆九千億円というお話になっていること。それから、国の直轄事業が試算に含まれているかどうかは県ごとによって扱いが違っていること。さらに、県による試算の中には、必ずしも国の復興財源により手当てすべきものばかりとは限らず、各県独自の考え方に基づいて試算されたものも入っている。例えば、県独自の中小企業全体に対する支援のお金ですとか、あるいは被災地とは直接関係のない内陸部の道路整備のためのお金ですとか、さまざまなものが入っておりますので、これらの試算規模が、十分に事業規模を推しはかれるレベル、完全に一致するものでは多分ないだろうということで、これは一つの土台として、我々も既に各県にいろいろなことを聞いております。

 そして、その上で、復興庁として、もう一度復興庁の立場でしっかりしたものを組み立ててみようという作業に今取りかかっておるところでございまして、きちんと事業を積み上げていく作業というのを、我々としては、できれば連休前ぐらいまでに復興庁としての数字みたいなものをきちっと積み上げる、その上で、それも一つの土台にして市町村と話し合いをする。

 例えば、その負担の割合について、本体事業、基幹的な事業は手をつけるつもりは全くございませんので、基本的には、復興本体に関して、復興に関しては全く不安を持っていただく必要はない、我々はこう考えて対応いたします。しかし、さまざまな要望について、復興庁の考え方を一旦決めてから各市町村長あるいは県とお話をしていかなければならない。

 そして、同時並行的に、その土台が固まりましたら、財務省と、これこそまさに本気の対応をして、できれば六月のいずれかの時点ぐらいまでに今後五年間の絵姿というものをお示しすることができればという方向で今汗をかいておるさなかでございます。

黄川田(徹)委員 大臣お話しのとおり、福島の三・九兆円ですか、これは十年分の予算規模だということであります。ただ、復興債の利払い分一兆円は、この八・一兆円には入っていないというふうなことであります。

 いずれ、四月の下旬ですか、被災四県ですか、これは青森も入っておるんですかね、知事が合同で、特例措置の継続ということで、要望、陳情に復興庁に伺うという話も聞いております。

 復興庁の考え方、それから被災三県、四県といいますか、考え方、十二分に胸襟を開いて、言った言わないの話ではなくて、六月末にフレームを出すということでありますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは最後に、地元負担の検討、これはどうなっているか、具体的にお尋ねいたします。

竹下国務大臣 正直言って、まだ、例えばどういう事業をそうするとか、あるいはどのエリアをそうするとかといったようなことについて、私自身、具体的なアイデアを持ってお話ししているレベルではなくて、私どもは、復興本体にかかわる事業以外については地元負担をしていただくことが、やはり自立ということを考えた場合、極めて重要な要素である、こう思っておりますので、議論をしようではないですかということを呼びかけておる状況でございまして、これからさまざまな議論をさせていただきたい、こう思っております。

 ただ、それに際しましては、それぞれの市町村の財政状況というのも勘案をしなければなりません。丁寧な丁寧な、先ほど黄川田先生がお話しになりましたように、丁寧な議論を積み重ねて丁寧に対応していかなければならない課題だ、こう考えております。

黄川田(徹)委員 先の先を考えますと、地方創生とか、何とか元気を取り戻さなきゃいけないということ、ただし、現実は迫ってきますし、少子高齢化、超少子高齢化であります。ですから、復興すればいいというだけで、身の丈に合ったといいますか、将来を踏まえて、あるいはまた後年度負担が大きくならないようにとか、さまざまな考え方はあると思います。

 ただ、阪神・淡路の神戸、あるいはまた被災三県の中でも仙台、政令市とそうでないところでは大分違いますし、私もたびたび話していますけれども、過疎地域、それこそ、大臣のお膝元島根の知事は過疎連盟のたしか会長だと思っております。ですから、現場といいますか、現実をよくわかっておると思います。

 ですから、私も仮設に入っていますけれども、いずれ自立はしなきゃいけないし、被災者、そして被災地、しっかりと歩を進めなきゃいけないんだけれども、ただし、自立がひとり歩きすると、自立しようとしたのにはしごを外されたというふうな形になるかもしれませんので、財政力、さまざま考えていただきたいと思います。

 一つだけ。自治体といっても、基礎的自治体の市町村がありますし、また県があるわけでありますけれども、県と市町村に差異を設けるとか、そんなことまで考えておるわけでありますか。現時点ではまだ何も考えていないという話をされておりますけれども、何も考えていないというわけにはいかないでしょうから、県と市町村との関係はどうですか。

竹下国務大臣 考えていることを幾つかお話をいたしますと、例えば、先ほどもちょっとお話ししましたが、内陸部の道路の予算、内陸部の、被災と基本的にそれほど関係のない道路の予算については、これは県と相当しっかりと話をしなければならない課題の一つだ、こう思っております。

 また、被災地域にしましても、例えば、屋根つきのサッカー場が必要だ、こういう要望が出てまいります。多分、その地域の活性化のためには必要だと思います。その地域の活性化のために必要だと思うから出してこられた、こういうふうに考えますが、しかし、それを全額国民の皆さん方の負担でやることが正しいのかどうか、こういうところは議論をしてみたい。

 こういうことでございまして、特に県と市町村で差別をしておるつもりはありませんが、そうはいいましても、県と市町村では大きさが全く違うということも事実でございますので、その辺も当然考慮に入ることだろう、こう考えております。

黄川田(徹)委員 初代の復興大臣は、これまでも言いましたけれども、岩手の平野さん、そして二代目は福島の根本さん、そして、三代目は日本海側から来られた竹下大臣ということで、集中復興期間の最終年度が今年度ということで、かなり、一つの節目といいますか、今思えばそれをやらなきゃいけない立場として就任されたのではないかと。

 青森とか岩手とか宮城とか福島からの大臣ではなくて、客観的といいますか、第三者的といいますか、国民負担をどう考えるかとか、いろいろなことの中でこれからつくっていくということでしょうけれども、いずれ、被災地の現場、何度も大臣も来られておりますし、この復興がどうあるべきかということは、私も心底わかっておると思っておりますので、自治体からブーイングが出ないような、そういう財源フレームをつくっていただきたいと思います。

 では、これでまず、集中復興五カ年の後の制度設計については質問を終わります。

 次に、福島第一原発の汚染水対策についてお尋ねいたしたいと思います。

 それではまず、これまでの取り組み、対応とそれに要した費用についてお尋ねいたします。

高木副大臣 ただいま御指摘ありました福島第一原発の廃炉・汚染水対策の対応でございますが、これは、委員御存じのように、世界にも前例のない困難な事業でございますので、東電任せにせず、国も前面に立って取り組んでいくことが重要である。

 その上で、廃炉・汚染水対策のリスクの低減というのが最も重要で、三つあると思います。

 一つは、原子炉の中の燃料が溶けてしまいまして、この燃料デブリをどうしていくかというのが一つ。二つ目は、使用済み燃料、これは使用済み燃料プールにありますので、これを排除していくのが二つ目。そして三つ目が汚染水という、このそれぞれ放射線を発するものに対するリスクの低減をどうしていくかというのが廃炉・汚染水対策の問題であると思います。

 その中にありまして、三十年から四十年かかると見込まれる福島第一原発の廃炉に当たりましては、中長期ロードマップを踏まえまして、使用済み燃料プールからの燃料取り出しのような、これは、短期の対策から、炉内の溶けた燃料、いわゆる燃料デブリ、この収納、輸送、保管に関する技術開発のような長期を要する対策まで全力で取り組んでいるところでございますが、まず、昨年十二月には、四号機の使用済み燃料の取り出し作業が完了いたしました。

 また、汚染水対策につきましては三つございまして、一つは汚染源を取り除く、二つ目に汚染源に水を近づけない、三つ目に汚染水を漏らさないというこの三つの基本方針に基づきまして、想定されるリスクを広く洗い出して、予防的かつ重層的な対策を実施することとしてまいりました。本年三月末には、計画を二年前倒しして、高濃度汚染水を貯蔵するタンクの総容量八十万立方メートルに達したところでございます。

 こういった対策のうち、技術的な難易度が高く国が前面に立って取り組む必要がある研究開発等につきまして、これまで千八百九十二億円を国費として計上し、東電においては、これまで手当てしてきた約一兆円に加えて、今後十年間のコストダウン等によりさらに一兆円、合計二兆円程度の廃炉のための資金を確保することとしており、このうち、直近の、平成二十六年度第三・四半期でございますが、この決算までには約四千億円を支出しているものと聞いております。

 引き続き、廃炉・汚染水対策の着実な実施に向けて、政府としても全力で取り組んでまいりたいと思います。

黄川田(徹)委員 高木副大臣がお話しされた三番目の部分、汚染水の部分ですが、私も、長期にわたる原発廃炉への道でありますので、汚染水の課題を克服できるかどうか、これが本当に大事な仕事だと思っております。

 これまでも、地下水のバイパスであるとかサブドレーンであるとか凍土壁であるとか、海側の遮水壁でありますか、さまざまやってまいりました。そして、工程表があって、汚染水の浄化の完了目標、あるいはまた凍土壁の運転開始、これはたしか三月末ということでやってこられたと思っているのでありますけれども、この状況はどうですか。

高木副大臣 凍土壁に関しましては、汚染水を近づけないということで、山側から、阿武隈山系から地下水が大量に流入しておりまして、これが原子炉建屋に触れまして、それが汚染をされて海洋に流出する、これを何とか防がなければいけないという汚染水対策の中にありまして、阿武隈山系からの地下水を凍土遮水壁をつくってこれでとめようというこの計画につきましては、当初はことしの三月末に凍結を開始、このように考えておりました。しかし、一月にあの死亡事故等が起きまして、一時工事を中断するということもございました。

 その中で、今現在、山側の方は、九九%、削孔といいまして、穴を全部掘り終わりました。あとは凍結管を入れて凍結をする段階になっておりますが、これは原子力規制委員会の方で認可をいただかないと凍結のスタートは切ることができません。原子力規制委員会の方は、これを凍結した段階で地下水の水バランスが崩れるのではないか、こういった疑問もございますので、これは東電の方が規制委員会の方で丁寧に説明をして、先日行われましたこの委員会におきまして、四月から一部凍結をスタートする、そういった観点から、若干計画はおくれておりますけれども、着実に一歩ずつ前進している、このように考えております。

黄川田(徹)委員 先般、会計検査院から指摘を受けたと思いますけれども、その辺もちょっとお話しいただけますか。

高木副大臣 先日、会計検査院から指摘を受けまして、三月二十三日に報告書において、事故当初の汚染水対策について想定よりも効果が確認できていないなどの所見が示されました。

 福島第一原発の汚染水対策、先ほど申し上げました、世界にも前例のない困難な取り組みでございます。試行錯誤、改良を続けながら、重層的な対策を続けているところでございますが、この指摘をされた点、もう既に、一回、これはなかなか効果がないということで、次のステップにもう行っておりますので、こういった点を踏まえまして、引き続き改善を図りながら、効果的な対策を重層的に講じていく、これが最も重要である、このように認識をしております。

黄川田(徹)委員 当初はフランスの技術を導入したり、たしか凍土壁はアメリカの技術ですかね。困難な仕事でありますし、実験ではやっても、それを現場に当てはめるというとさまざまな課題がありますので、厳しい指摘も大事だけれども、いずれ、一歩一歩前進させないと、そしてまた福島県民とともに歩み、復興させないと、お互いに信頼関係がなくなると大変なことになりますので、そこのところを高木副大臣に一生懸命頑張っていただきたいと思います。

 そこで、次の質問に入る前に、去る二月の二十三日の月曜日、民主党として東電福島第一原発の現状を視察いたしました。

 概要説明では、汚染水から放射性物質を取り除く高性能多核種除去設備、ALPSの運転状況、汚染水をふやさないために地下水の流入を食いとめる対策として、止水壁や凍土壁の建設状況、また、二月の二十二日、前の日ですね、発生した構内側溝の排水放射線モニターレベルが通常の最大七十倍に上昇した事案については、現在原因を究明中であるとの説明がなされました。現在、一日当たり約七千人の作業員が働いており、労働環境の改善に努めているとも説明がありました。

 質疑応答では、二月の二十二日、前日ですね、この排水路での放射線レベル上昇はいつからなのか、汚染水処理のために現在タンクを増設しているのか、ALPSの稼働状況はどうなっているのかなどの質問に、東京電力の担当者が、排水路を昨年七月に整備してから今回が初めてだ、現在、汚染水が六十万トンに対しタンクの容量は七十五万トンで、年内には百万トンの容量までふやす予定である、汚染水の増加に加えてALPSから出る処理水を受けるタンクが必要なため、ALPSの運転は比較的順調だが、フルで運転するのではなく、状況を見ながら現在は慎重に運転しているなどと回答されました。

 免震重要棟内で、作業員に対しまして岡田代表は、きょうは視察で訪問させていただいた、非常に厳しい環境の中で皆さんが懸命に作業していることに敬意を表する、廃炉への道は簡単ではなく非常に困難な道だが、日本の将来のために国と皆さんの力が一緒になって何とかしてこれを乗り越えていきたい、我々政治の世界も与野党を超えてしっかりとサポートしていく、汚染水の問題もなかなか心配事が多いが、もう少しのところまで来ていると思うと激励の言葉をかけたわけであります。

 また一方、野田本部長は、総理在任中は皆さんに大変お世話になった、岡田体制のもとで復興推進本部長を拝命して改めて現場を見させてもらった、汚染水問題は大変難しい課題だが、献身的に、懸命に取り組んでいる様子がよくわかった、皆さんのこれまでの取り組みに敬意を表する、私は総理在任中の施政方針演説で、福島の再生なくして日本の再生なしと言った、その気持ちは野党の今も変わらない、これからも皆さんとともに福島の復興のために懸命に頑張っていくと述べました。

 これが、二月の二十三日の視察なのでありますね。

 ところが、その次の日であります。二月の二十四日に、原子炉建屋屋上の汚染雨水が外洋に流れ出ていたと公表されたわけなのであります。本当にみんな頑張っていると激励したわけでありますけれども、こういうことが、隠されていたとは言いませんけれども、こういう状況が続くと、せっかくの福島県民挙げて一歩一歩前に進んでいるんだということが振り出しに戻るになるわけであります。

 そこで、外洋流出して、その後、高木副大臣、どういう対応をされましたか。

高木副大臣 今御指摘ありましたようなK排水路の問題であると思いますけれども、これにつきましては、今御指摘ありましたように、特に漁業者を初めとして地元の関係者の皆様方との信頼関係、これは最も重要である、このように私たちも認識しておりました。そんな中で、今回のK排水路の放射線の値の問題、情報公開がなされていなかったということで、大変不信感が高まったのは確かであると思います。

 これにつきまして、私も、すぐに東京電力に対しまして指示をさせていただきました。

 それは、これまでもリスク点検をしておりましたけれども、どうしても、先ほど申し上げました、地下水が山側から原子炉建屋に来る、それが触れて汚染水となる、この問題、さらにはトレンチのたまり水の問題、こういったものに集中してやってきたのは事実でございます。ただし、それらは大分リスクが低減してきているこの現実の中にあって、今回は雨水が、三・一一後に、一号機または三号機が爆発をいたしまして、その放射性物質が飛び散ったところに雨水が触れて、それが排水路に流れ込んでいる、こういったいわゆる自然全体の問題というのもリスクとしてクローズアップされてまいりました。

 そこで、私の方から、全てのリスクを総点検しましょうと。この総点検の視点というのは、技術者の視点だけではなくて、被災者の皆様方、または県民、国民、そういった普通の人の感覚から見て、例えばこの数値はどうなんだろうか、こういう疑問が出てきます。

 しかし、専門家の方々は、数値の高いという部分でも、例えばこれが人的に関係するのかどうかだとか、そういった科学的視点から、これならばということがありますが、やはり被災者の皆さん方を初め福島県民の方々は、例えばベクレルという数値が出たり、またはシーベルトという数値が、単位が出た場合に不安を抱くというのは確かでございます。そういった点を踏まえて、リスクの総点検を指示しました。

 これについては今検討を進めておりまして、この総点検については、これは東電任せにはせずに、国がその中に入りまして一緒にやらせていただいております。これを近々まとめ上げまして、そのリスク対応、さらにはその情報公開、これもしっかりとやっていくというような対策を組ませていただいたのが現状でございます。

黄川田(徹)委員 当時、視察に行ったとき、サブドレーンと呼ばれる、井戸から汚染された地下水をくみ上げて浄化した後、海に放出する対策、これについては、ことし一月に原子力規制委員会の認可を得まして、あとは漁業者の同意を待つだけという、そこまで行ったときのこの話でありますから、本当に残念至極であります。信頼なくして復興は始まらない、本当にそう思っております。

 残り時間が少なくなって、水産庁長官にまで質問が行かなくなるかもしれませんが、実は、関連して、原発事故後、市町村実施の除染費用として国が二月末までに東京電力に請求した七百六十一億円のうち、東電側が約二%しか支払いに応じず、事実上拒否しているというふうな新聞報道があったのでありますが、これはどういうことですか。

福山大臣政務官 ただいまの質問についてお答えいたします。

 市町村除染にかかわる費用の求償については、これまで、東電が確認すべき証憑書類の範囲について意見の相違があったため、大部分が未払いとなっております。

 このため、東京電力と調整し、全体の一割程度の事業について重点的に事業内容を確認することにより、残りの事業については、その結果を踏まえ、確認過程を大幅に簡略化する取り組みを昨年十二月から市町村とも連携しながら進めております。この取り組みにより、今後、未払い分の支払いが順次進んでいくものと考えております。

 環境省としては、引き続き、放射性物質汚染対処特措法の規定に基づき、しっかりと東電に支払いを求めてまいります。

 以上でございます。

黄川田(徹)委員 環境省も、昔であれば国立公園の部分をやっていればよかった、そんなことを言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、今は大きな省庁になったわけなんですよね、環境省。特に原発事故後、いろいろ忙しいとは思いますけれども、ちょっと仕事が、できたところから厳格にどんどんやっていかないと、やはりこれも信頼関係といいますか。ちなみに、国の直轄の部分は、どんどん求償権に基づいて支払われておるわけですよね。そうですよね。はい。

 実は、除染もあるけれども、指定廃棄物の処理ということで、国の中間貯蔵施設、双葉、大熊は動き始めたということになっておりますけれども、県でも中間貯蔵施設の建設ということがあります。

 私の岩手にあっては、中間貯蔵施設はつくらないのでありますけれども、指定廃棄物の処理ということで動いておりまして、そして、環境省にもお願いして、実は、一関市というところがあるんですが、私の選挙区なのでありますが、農林業系の放射能汚染廃棄物、これの仮設の焼却施設の建設あるいはまた最終処分場の建設ということで、住民の皆さんともう一年以上議論しておるわけなのでありますけれども、残念ながら平行線であります。

 やはりいろいろなことが着実に進まないと、これも信頼関係と同じように、何で我々がこうやって汗をかかなきゃいけないんだ、東電の人に全部やってもらったらいいんじゃないのか、そういう話に、振り出しみたいな話になるわけですよね。ですから、皆さんも忙しいと思いますけれども、一つ一つの仕事は着実にやってほしい、こう思っております。

 本当はもうちょっと深掘りして質問しようと思ったのでありますけれども、時間ですという紙が参りましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、法案の中身に入る前に何点かお伺いしたいと思いますが、先般、福島県町村会、町村議長会の皆様が、復興財源の確保と財源支援の継続について、要請書をお持ちになりました。復興大臣とも面談し、そして直接要望を伝えられたとのことでありますけれども、その内容は、原発事故の影響により復興がおくれている福島県において真の復興を果たすためには相当な時間を要することから、二十七年度までとされる集中復興期間以降の復興財源を確実に確保することや集中復興期間の延長を含め、引き続き、復興財源を全額国庫負担とすることであります。

 大臣は、原発事故がなければ復興がもっと進んだのにという、福島県を特別な場所だというふうに発言もされてこられました。福島県民を代表してのこの要請をどのように受けとめられまして、そしてまた、どのようなお答えをされたのか、お伺いしたいと思います。

竹下国務大臣 確かに、先般、町村会、町村議長会、福島県の皆さん方から要望を受けました。

 一つは、集中復興期間をこのまま延長してくれというお話でございまして、それについては、私は、一区切りつけた方がいい、そして、前半をしっかり見直した上で今後の五年間についてまとめて枠組みをつくるから安心してください、復興を我々は、いや、とまりません、必ずやり遂げますということもお話をさせていただいたところでございます。

 そして、その中で、財政支援についてどう考えるか、あるいは地方負担についてどう考えるかという、そう突っ込んだやりとりをその席でしたわけではございませんが、私としては、私が今考えておりますように、基本的な、復興の基幹的な事業、それから、原子力発電所の事故に由来する復興事業については、心配しないでください、我々は必ず復興をやり遂げますということはお約束をさせていただきました。しかし、それ以外の部分については議論しましょうと。まだ、私自身、頭の中に、どんな事業という仕分けができておるわけではございませんが、幾つかイメージはありますけれども、それも議論してみなければわからないねと。

 それから、町村会の皆さん方でございましたので、財政規模の大小あるいは財政負担能力といったようなものも当然考えなきゃならぬ。事業の進捗状況あるいは財政状況等、被災団体の置かれている状況はそれぞれ違いますので、被災地の声にあくまでも耳を傾けつつ、これは丁寧に議論をしていかなければならない課題だといったようなことをお話をいたしました。

金子(恵)委員 福島は、原発事故がなければもっと復興が進んだかもしれないんです。ですので、それを踏まえながら、これからの復興についての財源確保をしっかりとやっていただきたいと思います。

 原発事故がなければ、多くの福島県民の皆様がこの言葉を出されています。私は、先週の土曜日、帰還困難区域の中にあります大熊町の中間貯蔵施設予定地、そして廃棄物保管場を視察してまいりました。

 ちょうど同じ日に、行方不明者の捜索活動を続けている南相馬市の上野敬幸さんが代表である福興浜団の皆さんが、大熊町の帰還困難区域となっている沿岸にいらっしゃいました。瓦れきの中を、大切な思い出の品や、そして御家族の皆さんを捜すために一時立ち入りをしていらっしゃる大熊町の方のお手伝いをされておられました。

 私は、現地では御一緒できませんでしたが、次の日に南相馬市で開催されました鎮魂植樹祭でこの上野さんたちとお話をさせていただきまして、そのことを知りました。我々は中間貯蔵施設の候補地、その建設をされようとしている状況を見ていて、そしてまた一方では、その皆様方が、放射性廃棄物となっているかもしれないけれども、災害廃棄物、その瓦れきがまだ移動されずにある沿岸部で、御家族そして思い出を取り戻そうと本当に懸命に頑張っていた。こういう状況が今、福島の中で起こっているということであります。

 こういう現状について、大臣はどのようなお考えを持っているでしょうか。

竹下国務大臣 震災、津波というだけでも本当に世界有数の大災害でありますが、それに起因する原子力発電所の事故というものが複合的に起きておるという世界一厳しい災害である、こういう認識をして対応していこうと思っております。

金子(恵)委員 復興大臣、そのとおりです。世界一厳しい状況の中で復興を前進させなくてはいけないんです。どうか、それを踏まえまして、今後の全面的な国の財政支援等もこの福島県にお願いをしたいと思います。

 捜索活動を続けている、今申し上げました福興浜団の上野さんたちは、福島の沿岸部は、宮城や岩手と同じで、津波の被害に遭った、しかし原発の事故があり、捜索、瓦れき処理等がおくれていることを大変憂慮しています。そこに大切な思い出が残されている、そして大切な家族も残されているかもしれない。旧警戒区域等の除染も必要であります。当然重要な課題であります。一方で、同じく津波の被害に遭った沿岸部の瓦れきの処理をして選別を進め、大切なものを見つけ出す、そういう努力もしてほしい、そういう強いお訴えもありました。

 そこで、お伺いします。

 現在までの国直轄による福島県の対策地域内の瓦れきの処理の進捗状況と、そして帰還困難区域の沿岸部の瓦れき処理をどのように今後進めるのか、お伺いしたいと思います。

福山大臣政務官 お答えいたします。

 汚染廃棄物対策地域内の災害廃棄物などについては、帰還困難区域を除き、約八十万トンと推察しております。これらについては、放射性物質汚染対処特措法に基づき策定された対策地域内廃棄物処理計画に沿って、帰還の妨げとなる廃棄物の仮置き場への搬入を優先し、着実に処理を進めているところであります。

 具体的には、平成二十七年二月末現在で、約四十三万トンの災害廃棄物などの仮置き場への搬入が完了いたしております。当面必要な仮置き場二十五カ所が供用開始済みであり、うち二カ所については全ての災害廃棄物などを撤去済みでございます。七市町村八カ所で仮設焼却施設を設置することとしておりますが、このうち四施設が稼働中、三施設が工事中、一施設が地元調整中という状況でございます。

 引き続き、着実な処理を進めてまいりたいと思っております。

 帰還困難区域の瓦れきについての今後の処理方針でございますけれども、帰還困難区域における災害廃棄物などの処理方針については、放射線量の見通し、今後の住民の方々の帰還意向、将来の産業ビジョンや復興の姿などを踏まえ、検討することとしております。

 以上でございます。

金子(恵)委員 繰り返しになりますが、帰還困難区域の瓦れきの中にも、捜し出さなくてはいけないものが残っているということです。命のあかし、人の人生のあかしというものが残っている。それを早く取り戻すために、しっかりとした仕組みづくりが必要になってくるというふうに思います。

 今ほど、対策地域内の災害廃棄物、瓦れきの処理というのは進んでいるというお話もありました。それでも半分の処理だと思います。

 一方で、それと一緒に、やはり、帰還困難区域の災害廃棄物、瓦れきの処理の考え方をしっかりと決めていただきたいなと思っております。

 今おっしゃっていただいたように、もちろん、住民の方々の意向や、そしてまた放射線量の低減をどうしていくかということ、いろいろな課題はあります。しかし、それとともに、新たな仕組みというものをしっかりとつくっていただければと思います。

 除染の手法というものも、最初は全くわからなかった、でもここまでやっと進めることができています。今度は、線量が高い帰還困難区域の瓦れき。私は、単に廃棄物とは言いたくない。その中には、何度も繰り返しになりますけれども、命のあかし、人生のあかしがあるからです。

 ぜひ、しっかりと検討を重ねていただき、そして、早い時期に帰還困難区域の瓦れきの処理について方向をお示しいただきたいというふうに思います。

 一方で、先ほど申し上げましたように、一時立ち入りをしながらも、その瓦れきの中で、本当に、自分たちの思い出を捜し続けている人たちがいるということをどうかどうか御理解いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 もし何かコメントがおありでしたら、お願いいたします。

福山大臣政務官 委員のお言葉をしっかり胸に秘めて、私どもは、福島の復興復旧なくして日本の再建はない、こういう思いをしっかり胸に抱いて頑張ってまいりたいと思いますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

金子(恵)委員 ありがとうございます。心強い言葉をいただきましたので、しっかりお願いいたします。

 今回のこの復興再生特措法の改正でありますけれども、今回の改正案はふるさとへの帰還支援が柱となっております。前回、平成二十五年の改正は長期避難者の避難先での支援が柱でありましたので、今回は帰還支援であります。

 今回の改正により、一団地の復興再生拠点整備制度ができますが、まずは、先ほどからお話をさせていただいております大熊町の大川原地区が対象となるとのことであります。

 そこで、この帰還支援を進めるための前提となっている、避難されている皆様の意向調査についてお伺いします。

 大熊町の皆様に対しての意向調査によりますと、帰還を希望する皆様のニーズを千人、そしてまた町外から移住する住民として二千人を想定して、三千人の団地をつくるということで今計画が進められているということであります。

 この意向調査ですけれども、調査は郵送配布、そして郵送回収で行われました。回収率は五二・八%です。大熊町の世帯数は五千三百五十三世帯ですので、二千八百二十五世帯のみが回答しています。この回収率は、私は高いとは全く思えません。町民全体の意見、意向を把握しているとは言えない数字だと思います。

 昨年八月からことしの一月までの間に行われたほかの自治体の意向調査もやはり回収率は悪く、富岡町は五一・二%、浪江町は五九・五%、双葉町が五一・六%、田村市都路地区五六・六%、楢葉町五五・六%、川俣町山木屋地区五七・四%、川内村四四・六%、飯舘村四七・五%と、いずれも五割以上あるいは四割以上の方々が回答していません。

 意向調査に回答していない住民の皆さんの意向を丁寧に聞いていくことはできないんでしょうか。意向調査では見えない複雑なさまざまな思いというものを酌み取っていただきながら、もっと寄り添って、避難されている方々の生活再建に向けて取り組みをしていただきたいと思います。人を中心とした復興を進めていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

浜田副大臣 今御質問いただきました住民意向調査の回収率の問題でございますが、まず、この住民意向調査は、被災地に対する支援策の具体化を進めるための基礎情報の収集や復興に向けた諸施策の実施などを目的といたしまして、福島県、各市町村と共同で実施しているものでございます。

 当該調査は、今御質問いただきましたように、全世帯に調査票を郵送して実施しておりますが、今御指摘いただきましたように、平成二十六年度の回収率は、大熊町の場合は五三%となっております。

 御回答いただけなかった方々としては、例えば御高齢の世帯や自立して新たな生活を始められた世帯の方々が考えられるのではないか、こう町からは聞いております。

 また、各市町村では、意向調査の結果のみならず、パブリックコメントや町政懇談会の開催などを通じまして、住民の方々の意見を把握することに努めておりまして、そこで出た意見に丁寧に対応していくことも重要と考えております。

金子(恵)委員 この意向調査だけではなく、しっかりと、例えば一対一で、いろいろな意見を聞きながらも、その方々の今後の生活再建の支援のあり方を考えてくださるということだと思います。ありがとうございます。

 本当に、一世帯一世帯あるいはお一人お一人、意向を聞いていっていただきたいと思いますし、また、もっと人を導入して、今、恐らくイメージ的には、説明会などでいろいろな意見を聞くということでありますので、今私が申し上げました手法として、面談調査ということをしっかりやっていただきたいなというふうに思います。例えば、平場で、あるいは公の場で御自分の意見をおっしゃれない方々もいるでしょう。ですので、面談方式の調査というものを、私は、もっと人を導入してもやっていただきたいと思うんです。

 私のところにもいろいろな調査などが来ます。私も、伊達市の出身で、今そこに住んでいるわけですが、以前、特定避難勧奨地点があったそういう地域でもありますので、放射能の問題について等やいろいろな調査が来るんですが、ただ、郵送として送られてきたものというのにどのように対応していくのか悩むところもあります。

 そういうやりとりではなく、人と人との間でのコミュニケーションの中で、しっかりといろいろな思いを酌み取っていただきたいと私は要望をしていきたいと思いますので、どうか、その仕組みも続けていただきたいし、また改善できるところは改善していきながら、本当の住民の方々の意向に合った形の生活再建を求めていただきたいと思います。

 先ほどおっしゃったように、町としては、例えば高齢者の方々とか、あるいはもう自立をしているから答えなくていいんだというようなことをおっしゃっていましたけれども、それは、そういうふうに考えられるということだけで、全く確定した情報ではありません。ぜひ、最後の一人まで、お一人お一人に寄り添っていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 全ての住民の皆さんが安心して帰還できる環境づくりとして、やはり、医療、介護、福祉サービスを充実させなくてはなりません。政府は、被災地における障害のある方々、高齢者を初めとする災害弱者あるいは要援護者の方々に対し、どのような支援策を講じているのでしょうか。

 私は、先日、南相馬市に行きましたときに、こんな事例についてお伺いしました。

 母、障害がある兄、弟の家族三人が被災し、仮設住宅でお暮らしでした。なれない仮設住宅で、お母様は認知症になられました。そして、施設に入所されました。残された兄弟は二人暮らしをしていましたが、弟さんが突然亡くなられ、そして、障害のあるお兄様が一人残されたという事例であります。

 障害のあるお兄さんが通われていた事業所の職員の方が、仮設住宅で亡くなられた弟さんと、そのそばで一人残されたお兄さんを発見されました。地域で暮らしてこられたこの方々は、引き続き地域で暮らしたいと願っています。施設入所ではない選択をしたいと願っているわけです。現在、地域の中で暮らせるようなグループホーム等がないということで、つまりは居場所がないわけです。

 このような事例以外にも、避難をされている障害のある方が帰還をしようとしても、生活ができるそういう場所がないのでふるさとに帰還ができないというケースもあるというふうに伺っています。

 帰還を支援するのであれば、障害のある方々、高齢者を初めとして、災害弱者そして要援護者の方々が安心できるそういう生活の場をつくるということがまず重要かというふうに思います。こういう皆様方、ニーズのある方々のまず安心できる生活の場をつくることによって、その地域の生活の安定、底上げがしっかりとできるということだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、福島からほかの地域に避難されている方が安心をして御帰還いただく、特に、御高齢の方あるいは障害をお持ちの方であっても安心をしてお戻りいただくために、医療、介護、福祉の充実などを図っていくことは極めて大事なことだと私たちも認識をしているところでございます。

 地域医療再生基金の積み増しでありますとか、介護施設の復旧整備に対する財政支援でありますとか、障害福祉分野におきましては、その福祉サービスを円滑に提供できる体制整備のための必要な費用についての財政支援などを行っているところでございます。

 特に、障害をお持ちの方、先ほど一つ事例を挙げてお話しになりましたけれども、グループホームということをおっしゃいました。そうした居住の場を提供していくことも大変大事だというふうに思っております。

 グループホーム等、障害をお持ちの方のための施設の整備というものについて申し上げれば、自治体が作成する障害福祉計画に基づき計画的に整備を推進しているところでございますけれども、その整備に当たっては、福島再生加速化交付金や社会福祉施設等施設整備費補助金というものがございまして、これらにおいて整備費用を補助しておりまして、平成二十七年度予算案や平成二十六年度補正予算におきましても必要な予算の確保に努めているところでございます。

 ただ、実は、御下問いただいて役所の者と議論をして私も認識をしたところがあるんですけれども、予算として我々は確保しておりますが、例えば平成二十六年度の予算におきましては、グループホームの整備に係る、先ほど二つ申し上げました補助金、交付金について、申請が上がってきていないという状況がございます。二十五年度の補正ではありました。二十六年度としてはなかった。

 これはなぜかということについて私どもつまびらかに承知をしているわけではないのでありますけれども、私も、昨年、南相馬に伺いまして、お話を伺いました。そのときは病院の先生とお話をしたんですが、例えばナースの方だとか介護職員の方の人材が不足しているという話もしっかり伺いました。そうしたこともあるのかななどというふうにも思っているところではあります。

 いずれにいたしましても、現場の状況を見ながら、足らざるところを補っていかなければならないと思っておりますし、また、委員の先生方からも御指導いただければありがたいと思っております。

 いずれにいたしましても、御高齢の方、障害をお持ちの方も含めて、避難されている方々が福島でも安心をして生活を送っていただけるように、引き続きまして厚生労働省といたしましてもしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。

金子(恵)委員 政務官おっしゃるとおり、例えばなぜ申請が上がってこないかというお話ですけれども、まさに社会福祉施設等施設整備事業のお話もありましたが、そういう、いろいろなメニューの活用ということでありますけれども、施設整備ができたとしても、やはり医療、介護、福祉のマンパワーが不足しているということであります。

 ただ、今、参入しようとしている人たちはいます。大切にその人材を育成しようとしている人たちもいますので、もう一度、ぜひ、被災地を回っていただきまして、どんなニーズがあるかということを確認しながら、そして、さまざまなメニューがあるということも御紹介をどんどんしていっていただきたいというふうに思います。

 私も、今もさせていただいておりますし、こういうメニューがあります、実際に一緒に動いていきましょうということを地元の方々とやりとりもさせていただいておりますが、ぜひいろいろな意味での支援を厚労省としてもしていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、この特措法の中身について質問させていただきたいと思います。

 一団地の復興再生拠点整備制度の創設、これは、帰還住民の生活再建、経済再建の拠点となる新市街地の整備のための土地の造成をまず目的としたものであります。

 本改正案三十二条に定められました一定の条件及び基準を満たせば一団地の復興再生拠点市街地形成施設を都市計画法における都市施設として定めることができるということでありますが、まず、この条件、基準、これはどういうものでしょうか。

 そしてまた、この中に自然的経済的社会的条件とありますが、これは具体的にどのような条件になっていますでしょうか。

 そしてまたさらに、現在想定されているのは大熊町、先ほど触れられましたけれども、双葉町ということでありますが、それ以外の市町村では、このような条件等に合致するのは大熊町、双葉町に限られるのではないかといった不安の声が本当にあります。本改正案に記載されているこの一定の条件を満たせば、十二市町村のいずれの区域でも都市計画を定めることができるということでよろしいでしょうか。確認をもう一度させていただきたいと思います。

 そして、都市計画を定めることにより、いずれの市町村も一団地の復興再生拠点整備制度の適用を受けることができるのだということを、明確なそういう御答弁をいただければというふうに思っております。

浜田副大臣 今委員が御質問いただきましたように、一団地の復興再生拠点でございますが、このたびの三十二条に規定しておりまして、この一項一号、二号でそれぞれ要件が書いてあるところでございます。

 一号には、今御説明いただきましたように、円滑かつ迅速な復興及び再生を図るために当該避難解除区域等内の帰還する住民の生活及び地域経済の再建のための拠点として一体的に整備される自然的経済的社会的条件を備えているというのが一点。

 二点目には、当該区域内の土地の大部分が建築物の敷地として利用されていないこととなっているんですが、この建築物には、東日本大震災により損傷した建築物とか長期にわたる住民の避難に伴い利用が困難となった建物は除いておりますので、そういうものの場合は建築物とみなさないということになっております。

 それで、今御質問いただきました大熊町、双葉町以外でもあるのかという話でございますが、我々といたしましては、ああいうものもございますし、あれ以外のものもあるという認識をしておりますので、決してそういう大型の、三十数ヘクタールの大型の一団地をつくるというものもあれば、それぞれ町の要望を伺いながら適切に対応していきたいと思っております。

金子(恵)委員 副大臣から、適切な対応をしていくということです。大臣は何度も福島にお入りいただいておりますし、現状も御存じかと思いますが、それぞれの自治体の現状をしっかりと見ていただきまして、それで適切な対応をしていただきたい。ニーズがあるのであれば、しっかりと支援をしながら、この制度がきちんと適用されるようにバックアップをしていっていただきたいと思います。

 この制度の適用を希望する市町村が新たに都市計画を定めることとした場合でありますけれども、これまで計画策定の経験がない自治体もあるかもしれません。その自治体にとってはその事務手続というものが負担となる可能性もありますので、これについてしっかりと、やはり国としても支援をしていただきたいと思います。でなければ、やはりその負担というものが制度利用への足かせとなるということになりますので、まずその支援をどのように検討しているのか。

 そしてまた、さらには、新市街地整備のための面整備事業にとどまることなく、総合的かつ大規模な整備事業計画の立案に当たっても、やはりノウハウが必要でありますが、そのノウハウの少ない地方自治体への国の支援はやはり不可欠だというふうに思いますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

浜田副大臣 この一団地復興再生拠点事業を実施に移すためには、御指摘のとおり、都市計画手続を初め、自治体において計画策定に係る業務や所定の手続を進める必要がございますが、一方、被災自治体において、それらの法的手続のノウハウに乏しい場合や専門的な人材の不足等により円滑に業務が進むかどうか懸念を持たれていることは我々も承知をしております。

 そのため、復興庁といたしましては、被災十二市町村にそれぞれ本庁の担当参事官を置くとともに、先般、担当参事官を中心として、本庁及び福島復興局のメンバーから成る復興まちづくり支援チームというものを設置したところでございます。

 具体的には、復興庁の担当者が市町村に出向きまして、地元のニーズを初め、復興事業や除染の進捗、避難指示解除の見通しなどを勘案しながら、まちづくりのプランニングや適切な支援制度のマッチングなどをサポートしていくこととしております。また、復興庁のみならず、市街地整備の専門家集団でございます都市再生機構の協力、さらには、案件に応じましては関係省庁の協力も得ながら、今後の自治体の検討作業を最大限バックアップしていく所存でございます。

金子(恵)委員 バックアップをしっかりとやっていくということでありますので、よろしくお願いいたします。

 ところで、新市街地への帰還の見通しであります。先ほど、住民意向調査のあり方についてもお伺いさせていただきましたけれども、この調査で見える課題として、新市街地への帰還の見通しはどうなっていくのかということです。

 先ほど申し上げました大熊町の住民意向調査でありますが、調査対象が五千三百五十三世帯というのは申し上げました。回収率が五二・八%でありますが、回答者のうち七〇・七%が五十歳以上であります。若い世帯の回答がなかなか得られていないという状況でありまして、回答があった人たちの中でも、帰還を望む人たちは一三・三%にとどまっているということです。

 今後、若い人たちがいない町がゴーストタウンになってしまってはいけないわけで、これだけの御苦労を重ねてこられて、そして新市街地をつくろうとしているわけですので、今後の帰還の見通し、どのような御見解を持っていらっしゃるのか、お伺いします。

 そしてまた、さらに、このニュータウン、新市街地への住民帰還がどの段階で実現するのか、その期間についてもお伺いしたいと思います。

浜田副大臣 大熊町が本年三月に策定いたしました大熊町第二次復興計画によりますと、大川原地区の復興拠点については、平成二十九年度末を目標として、宅地やインフラの整備を行うこととなっております。

 今前半で御質問いただきました、住民の帰還につきましては、こういう状況を踏まえながら、今後、復興拠点となる事業の進捗を見て、町と相談をしたい、こう思っております。

 また、御指摘いただいた、帰還される方が高齢者が多いんじゃないかという御指摘でございますけれども、確かにアンケートの数字からそういう数字が出ておりますけれども、まだ決めていないという方が結構おられるというのが一点。

 三千人規模のうちの千人が大熊町の方で、二千人は、むしろ、廃炉や、また、研究者の方々、そういう方を見込んでおりまして、そういうことを、全体を含めまして、今後、年齢構成についてもよく町と相談して計画の具体化を進めていきたいと思っております。

 また、こういう三十数ヘクタールの拠点も、一斉に、全体をわっと整備するというのではなくて、段階的に徐々に帰還、定着が進んでいくということを考えておりますので、帰還後の住民の対応も当然ながら十分認識しながら、そういう状況へ一歩一歩進めていくということで、実態に合わせた整備をしていきたいと思っております。

金子(恵)委員 大川原地区以外の十二市町村についても、復興庁が昨年末に設けました福島十二市町村の将来像に関する有識者検討会において、それぞれ、多分、十二市町村の首長様からも、一団地の復興再生拠点整備に関していろいろな意見が出ていると思います。その意見も踏まえながら、ぜひしっかり進めていただきたいと思います。

 一団地の復興再生拠点整備事業、面整備事業でありますが、今回の改正により創設されます帰還環境整備交付金の対象となっているわけです。地方自治体の負担を軽減する意味から、インフラ整備事業全般について震災から復興関連事業の一環と位置づけて、帰還環境整備交付金の対象事業とする必要があるのではないかというふうに思います。

 ですので、復興の進捗状況に合わせて、必要に応じて、帰還環境整備交付金に柔軟に対象事業を追加していくということができないのか、それをどのように検討していらっしゃるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

 そして、あわせてですが、この交付金の交付については、事業計画における地方自治体の意向を最大限に尊重する形で速やかに交付していただきたいというふうに思っておりますが、御所見を伺いたいと思います。

竹下国務大臣 福島の復興が、おくれているとはいえ、新たなステージに入りつつある中で、今回の改正法案におきましては、地元の要望、地元福島県等の要望を、正直言いまして最大限取り入れさせていただく形で、福島再生加速化交付金の支援対象事業にまちづくり事業やインフラ事業を追加、充実をいたしまして、帰還環境整備交付金として法定化するということといたしてきておるところでございます。

 御指摘もありましたが、今後とも、被災自治体のニーズに真摯に耳を傾けながら、必要に応じて支援対象事業の範囲を見直す等柔軟に支援することによりまして、福島の復興を加速化していきたい。

 そして、大事なことは、最後にお話しになりましたように、地元の要望を最大限尊重して交付についても考えろということでございますが、非常に重く受けとめて考えていこうと思っております。

金子(恵)委員 この交付金は、複数年にわたる財源をあらかじめ確保するということを前提に基金化することもできるわけですけれども、この基金化についてもしっかりと柔軟な対応をしていただきたい。必要なものは必要なんだ、しっかりと財源確保しなければ安定した事業も進められませんので、しっかりと、この件についても、できるだけ多くの交付金事業を基金化できるようにしていただきたいと要望させていただきます。

 ちょっと通告の順番を変えまして、鳥獣被害に伴う、避難指示区域等の鳥獣被害対策をいかに進めていくかということを質問させていただきたいと思います。

 まず分けていきますと、避難指示区域とあるいはその周辺自治体、それぞれ所管が違っているということでありますので、まず、どのような対策を講じていらっしゃるのか、お伺いします。

福山大臣政務官 環境省は、被災者が避難しており、イノシシなどが人里に出没する一方で、地元自治体による捕獲対策が困難な帰還困難区域などにおいて、イノシシなどの捕獲事業を行っております。

 具体的には、平成二十五年度から帰還困難区域などにおいて地元の町村と調整を行って、平成二十五年度には二百四頭、平成二十六年度には三百八十一頭を捕獲したところでございます。

 平成二十七年度においても、福島の復興に向けて、引き続き帰還困難区域などにおいて捕獲作業を進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

中川大臣政務官 金子恵美委員の質問にお答えいたします。

 福島県におきましては、被災者の皆さんが避難をされておられるなどによりまして、野生鳥獣の生息数が拡大、増加してございます。避難指示解除準備区域などの避難指示区域だけではなくて、その周辺地域においても鳥獣被害対策を推進することが重要であるというふうに考えているところでございます。

 このため、農林水産省といたしましては、避難指示解除準備区域及び避難指示区域外の区域におきまして、福島県営農再開支援事業や東日本大震災農業生産対策交付金などによりまして、捕獲おりわなの購入ですとか侵入防止柵の整備、捕獲された鳥獣を適切に処理するための焼却施設の整備、埋設処理の経費などについて支援をしているところでございます。

 今後とも、環境省としっかりと連携を図りつつ、現場の実情を把握しながら必要な措置を講じてまいりたいというふうに存じます。

金子(恵)委員 このやりとりに違和感を感じます。

 つまりは、避難指示区域、旧警戒区域とそしてまた周辺自治体の中で、鳥獣被害が大変厳しい状況にあって家屋や農地の荒廃等につながっているという現状でありますので、これは著しく復興の妨げになっているという状況でありますが、動物は線引きされたところでストップするわけではないんですね。旧警戒区域であろうと、そしてまたその外であろうと、移動が繰り返されているわけです。

 それにもかかわらず、今、環境省あるいは農水省の立場で、所管が違うということで、大きく分けますと二つの地域ということでお答えをいただいているわけです。最後に中川政務官がしっかりと環境省と連携をとりながらとおっしゃっていただいたのがありがたい言葉ではありますけれども。そうなんです。ここは、しっかりと横串を刺した復興庁の役目がとても重要なのではないかなと。

 何のために復興庁があるんだろうと私はいつも思っていて、やはり縦割りの行政がまだ残っている状況で、本当にこの地域の、例えば鳥獣被害対策については、避難指示区域内の話だけではなく、周辺自治体にとても大きな影響が起こっている、影響があるからこそ、それぞれこんな状況になっているわけです。

 それぞれのお立場では対応はある程度されているということではありますけれども、やはりこの連携をいかにこれからやっていくかということが本当の課題ではないかと思いますが、例えば復興庁が中心となり、この対策チームなどはあるのでしょうか。そして、それがもし今後立ち上げられるとしたら、どのような形で本当に鳥獣被害対策を進めていけるのか、大臣からお聞かせいただきたいと思います。

 繰り返しになりますが、例えばこれから、営農がもう再開されている避難指示解除準備区域のお話もありますが、そこに今の避難指示区域の影響がどれだけまた起こっているかということもあります。

 そして、今回の改正案の中では、実は配慮規定として避難指示区域における鳥獣被害対策ということが盛り込まれているにすぎませんで、明確に避難指示区域内だけというふうな言い方をしてしまっているという解釈でいいのか。この法律の条文の中で、もっともっと幅広くしっかりと対策をすることができるというような解釈を私はさせていただきたいと思うんです。

 つまりは、区域内から出てきたイノシシなどが区域外にもいろいろな害を与えてしまっているということですので、周辺自治体に対する支援も今回の法改正によってしっかりとすることができると考えていいのかということも含めて、最後にお伺いしたいと思います。

浜田副大臣 今回の条文では避難区域内と書いているわけでございますが、それは、避難区域外または準備区域につきましては営農がそろそろ予定されるということから、農林水産省において今までも鳥獣被害をされていた。ところが、避難区域、いわゆる居住制限区域や帰還困難区域にも鳥獣がおり、それが動いてくるわけですね。そこはほっておくと結局同じじゃないかという話もありましたので、そこは環境省さんにやっていただくということでありますから、ここは復興庁が一応司令塔的な機能を果たしながら、農水省さん、環境省さんが両方やらないと、確かに動物は動いてきますので、両方一体的にやっていくという趣旨でございますので、しっかり復興庁が調整をしながら進めていきたいと思います。

金子(恵)委員 大臣にお言葉をいただければと思ったんですね。きちんとした形でのチームをつくっていくことなどは御検討いただけますか。

竹下国務大臣 私のうちもど田舎でして、イノシシは無限にいますし、鹿の被害もある、猿の被害もあるという地域の出でございますので、被災地を回っておりまして、特に原発で被災をしてほとんど人が入れない状況になったところの鳥獣被害というのはすさまじいものであるというのは実感をしております。

 お言葉をしっかりと受けとめて対応していこうと思っております。

金子(恵)委員 時間が来ましたので終わりたいとは思いますが、しっかりやっていくというお言葉だけでは本当に不安でもあります。地域と、そして地域の皆さんと、その地域の産業、基幹産業である農業を守るということから、しっかりとこの鳥獣被害対策を進めていただきたいということと、そしてそこで捕獲されたイノシシ等の処理というものはしっかりと進めていかなくてはいけない、これは放射性物質を含んでいるということから、専用の焼却施設が必要になっていきます。ぜひ、それについても支援をお願いしたいと思います。

 私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

伊藤委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時三十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時三十分開議

伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案につきまして質疑をさせていただきます。

 これは地元自治体からの要望を踏まえて、県を通して国がこの改正に至ったという経緯は重々承知をしておるところでありますけれども、このいわゆる一団地の復興拠点のところに想定人口が書いてありますが、これは三千人ということですが、町内が千人、町外が二千人ということであろうかと思うんです。

 この想定人口、御承知のとおり、国でもいろいろな住民の意向調査をとっておりますけれども、帰る、帰れない、帰らないというくくりでいうと、年々、残念ながら帰らないという人がふえているところであって、ただ、やはり被災地域をどう復興するかということは、これは努力をしなきゃいけないところでありますけれども、この想定人口が三千人、町内の人が千人ということについて、私はなかなか、コミュニティーを再生するという意味では、今まで一万人、二万人という単位でいた町が、こういうことで本当に町が復活することになるのかという疑問をやはり消すことができないんですね。

 この想定人口、ある意味では、このぐらいで、これで本当に復興に成果が上がるのかどうか、この件について御所見をお伺いしたいと思います。

浜田副大臣 大熊町では、ことしに入りまして第二次復興計画を策定しておりまして、この中で、大川原復興拠点につきましては、住民意向調査の帰還意向などをもとにいたしまして、帰還する住民約千人、廃炉作業等の従業者や研究者を初めとする新たな住民二千人を合わせた合計三千人を見込み、目標を立てております。

 このうち、大熊町の帰還意向につきましては、昨年九月から十月に実施いたしました住民意向調査によりますと、戻りたいと考えておられる方が一三・三%、まだ判断がつかないとされている方が二五・九%、戻らないと決めている方が五七・九%でございまして、大熊町の人口が一万八百八十人、平成二十六年十月時点でございますけれども、これに一三・三%を掛ければ、単純計算では約一千四百五十人になるわけでございます。

 なお、平成二十五年度の意向調査と比較いたしますと、帰還を希望する世帯は、大川原の復興拠点への期待も含めまして、約五%ふえているという状況でございますし、また、帰還についていまだ判断がつかないとされている方も二五%いらっしゃるという状況でございます。

 いずれにいたしましても、現在、具体的な基本計画の策定作業を進めておりまして、このような帰還についてまだ判断がつかないと回答された世帯を含め、引き続き住民の意向を丁寧に把握したいと思っておりますし、また、この復興拠点の事業化につきましては、ニーズに合わせまして、例えば最初から全面整備をするのではなくて段階的に進めていくということもしたいと思っております。

 また、第一弾は大川原ですが、その次はまたさらに大野地区という、順番にこういうふうに、まず全体を進めていくわけでございまして、この三千人の規模で大熊町がおしまいというわけではございません。全て含めて復興庁として責任を持って進めていきたいと思っています。

小熊委員 今後のあり方として、今おっしゃっていただいたとおり、国だけじゃなくていろいろな、マスコミも含め意向調査している中で、判断がつかない、では、どうすれば判断がつくんだというところであると、やはり除染であるとかですね。この除染は計画で見えていく、その結果によってまた上がった、戻ったとかというところも見ていかなきゃいけないんですけれども、これは想像できる範囲というか想定できる範囲がある程度は見えるんですけれども、また一方で廃炉ですね、事故の起きた廃炉の状況を見てというところも結構なパーセンテージになっているんですね、意向調査を見ると。

 そうすると、では、廃炉というのは何だという。確かに、その当該地域、しっかり除染して線量が下がりました、科学的にも、まあ、風評的にはそれはまた新たな問題がありますけれども、住めるところは住めますよといっても、問題点は二つあります。それが、やはりここからまた五年かかるのか十年かかるのかでも、人の生活も変わるし、気持ちも変わるので、長期間であれば、これはどんどんどんどん戻るという気持ちにならなくなる、今避難しているところで生活の根っこが生えますから。早期でなければこれは効果が出ないというふうに思います。

 もう一点は、住めるところとは別に、事故の起きた原発施設がどうなるんだというところになると、これは、完全な廃炉まではもう何十年もかかるわけです。

 まして、この後の質問で入れますけれども、今、四号機のものは共用プールに入って管理をしていますけれども、一号機から三号機のものはどうなっているかわからない。国が一生懸命やって、地元の研究機関、学校、大学等も連携をしてロボット開発を今やる、でも、それも完成は十年を目指しているわけですね。そこからの話ですから、かなり長期な話になります。その取り出したものをどこに持っていくかという問題もありますから。

 そうすると、住民からすると、では、安全に管理はされているけれども、その使用済み核燃料や溶融したデブリと言われるものも、そこに置いておくのか置いておかないのかでも帰る判断が変わってくるわけですよ。そんなものが置いてあるところに行きたくない。あと、中間貯蔵のもあります。中間貯蔵が本当に三十年後に外に行くのか行かないのかということも、帰る、帰らないの大きな要因になってくる。非常に長期のスパンになってくるわけです。

 となると、これはやはり、残念ながら、一自治体でどうこうしようということをやっていると、ばらけていって分散してしまうというふうに私は思います。

 実際、配付した資料ですけれども、この福島十二市町村の将来像に関する有識者検討会、これは直近のこの二月二十七日のものの一ページ分をお配りしておりますけれども、この検討に当たっての視点というのは非常に的確な視点だというふうに私も思います。その中の、人口減少社会という視点、また、地域の広域連携という視点というのが二番目に入っています。

 こういう観点からいうと、この双葉郡内の一町村ずつをどうしていくかということではなくて、双葉郡全体として、今回の改正の趣旨にのっとれば、拠点を、大熊町の拠点、双葉町の拠点ということではなくて、双葉郡の拠点としてまとめてどうしようかという方がその成果も上がるし、帰る人が何割かということであっても、双葉郡の何割という話と一つの町の何割という話では全然違ってきますし、やはりある程度人口がないと、これは住民サービスとしても質の高いものを提供するのは大変な問題が出てくるということがありますから。

 この広域的な意味での整備、町村をまたぐ郡単位、具体的に言えば郡単位ぐらいでこういうことをやるということであれば、私はなるほどなというふうに思うんですが、この検討会でもそういうことだと思うんです。

 この件について、そういう視点についてどう評価されますか。

浜田副大臣 今、小熊委員から御指摘いただきましたこの福島十二市町村の将来像の検討会でございますが、既に年末から第一回目を開催しまして、四回開催させていただいております。

 最初の二回では、十二市町村を六つに分けまして、復興計画の状況等また将来像、それぞれどう考えているかというお話をいただきましたが、三回目以降は、例えば、農業をどうするかとか、また医療をどうするか、教育をどうするかという個別課題を横断的に、ここではそれぞれ有識者を呼んできてヒアリングをするという形の検討に移りました。

 そういう中に入りますと、今委員御指摘をいただいた広域的な連携というのが大きな課題になっているのは事実でございます。

 例えば、教育という面でいいますと、双葉郡では、県立高校は五校ございましたが、今度、ふたば未来学園というのが四月八日にいわゆる中高一貫校として、これについては双葉郡の方々が多く参加いただいて、これも進めさせていただきますし、医療についての連携というのも、それぞれ整備するだけじゃなくて、どこを拠点にするのかという議論も始まっております。

 ただ、まだ議論の途中でございますので結果が出ておりませんが、御指摘のとおりの広域的な連携というのはしっかりと検討していきたいと思っております。

小熊委員 実は、私も参議院時代、浜田副大臣には大変お世話になって、一緒に法律もつくらせていただいたときに、双葉郡の地元の方々の取り組み、副大臣も聞いたことがあったと思うんですけれども、NPOでハッピーロードネットという団体があって、この人たちは、まさに広域で、それも町村単位ではなくて双葉市というのをつくって、そこで帰れる人はちゃんと帰っていただいてその地域を復興させようということを訴えている団体でありますけれども、やはり双葉郡の全体的な最適な施策を求めているわけです。そうじゃないと効果が上がらない、ばらけていたのではだめだ、力を合わせなきゃいけないというふうに提言をして活動している団体です、副大臣御承知だと思いますけれども。

 今、学校を事例として挙げましたけれども、やはり地域の住民からすれば、それは生活全体をどうするかという話ですから、学校はまとまっているけれども行政がばらばら、住んでいるところも点在をしてしまっているということが問題なんですよ。それであれば、そんなすかすかしたところに帰りたくないよねという要因になってくると思うんですね。

 よりよく、今後、早期に広域連携、もしくはハッピーロードネットが言っているように、双葉市、双葉市の中に大熊町とか名前を残すとしても、まさに双葉郡がまとまってどうやっていくか。大熊町を復興させる、双葉町を復興させるということでは時間もかかるし、量的に、また人口的にもこれはなかなか本当に厳しいと思います、これから時間もかかるわけですから。

 であるならば、ちゃんとした核をつくってそれをしっかり復興させていく、そうすることによって、また呼び戻す人たちを呼び戻していくということをやらなきゃいけないと思うんです。時間も余りかけちゃいけないと思うんです、スタートするのに。というのであれば、まず、まとめてスタートしてみるということが大事だと思うんです。

 こうした有識者会議だけではなくて、民間、地元の人たちにもそういう声があるということを踏まえて、再度答弁をお願いします。

浜田副大臣 双葉郡の行政単位をどうするか、なかなか国が一方的にどうこうというのは言いにくい問題だと思っております。ただ、我々としては、広域的な連携は強めていく、そういうソフト、ハードのインフラをつくっていく、これは重要だと思っています。

 例えば、三月一日に常磐自動車道が全面開通いたしました。そうしますと、いわゆる広野から南相馬まで一時間で交流できたりする。また、横の道路なんかの整備も御要望いただいています。いろいろな、そういう交流圏を非常に便利にしていくということ自体をまずやりながら、また、自治体のあり方については、各自治体の首長さんまたは議会の皆様ともしっかり議論しながら考えていかなきゃいけないと思っておりますが、そういうことも含めて、今後、復興庁としてもしっかりと皆様を支援していきたいと思っております。

小熊委員 真面目な答弁なんですけれども、震災、特に福島県は原発事故を抱えた複合災害が今でも継続中。だから、通り一遍の既存の制度とか考え方で復旧復興というのは私は成り立たないというふうに思っています。

 地元自治体の意向というのもあります。わかります。だけれども、今の復興の段階で、地元に任せればいいものを国がやっていて、逆に、国がしっかりやってほしいものをやっていない点というのも多々ありますから、この件は、地元の意向もありますけれども、やはり国として、しっかりマクロ的な視野で、こうすべきだということをもっと出してもいいところだと思うんですよ。

 大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、今副大臣が言われたことは正論です。ですけれども、地元自治体の意向といっても、今や町村長さんたちは一生懸命頑張っています。彼らの、市町村長さんたちの立場からすれば、まず自分の町をどうするかというのを言っていくしかないんですよ、それは立場的に。

 でも、地元の意向、被災者の気持ちというのを考えると、ばらけているのも事実ですよね、この意向調査を見ると。いろいろな思いがあるわけですよ。どれかをとると、どこかを聞かないということになるわけですよ。首長さんはそういうふうに言っているけれども、住民の半分以上はそう言っていない。いろいろな被災者の、しかもいろいろな方向に、ベクトルが全然違う方向に行っているものを、首長さんが言っているということで、それだけをおもんぱかっていいのかどうかということも問われています。

 それを英断を下せるのは、これは地元自治体じゃないんですよ。やはり国が、それは強権を発動するということはやっちゃいけないとは思いますけれども、本当に住民のことを考えて、地域の将来を考えて、首長さんたちと違う判断、違う提案、違う理想像を出すということも、これは大所高所からあるべきだと思うんですよ。

 であるならば、この意向も踏まえ、こうした地元のNPOの活動、また広い視点からいえば、一個一個やっていくという正論ではなくて、政治決断というのをやったことによって早く復興が進むというふうに私は思うんですが、この考え方について、大臣、どうですか。

竹下国務大臣 二つの側面があると思います。

 一つは、浜田副大臣がお話しになりましたように、地元の意向よりも国としての考え方を優先して物事が進むか、私はこれはかなり難しいと思います。特に、例えば大熊町の大川原地区でございますが、地元のおやじたちが、あの地区は必死で自分たちで除染したんです。さらに広げようという、地元にその熱意があるんです。そういうところは私はしっかりと対応しなければならないことの一つである、こう認識をいたしております。

 しかし一方で、これも浜田副大臣がお話をいたしましたが、十二市町村の有識者の懇談会、この夏ぐらいまでに一定の方向を出していただこう、こう思っておりますが、そこで我々もこういうことを話してくださいということをお願いし、有識者の皆さん方もそうだな、そういう方向で話そうという中の大きな一つが、広域的な発想で物事をやりましょうということ、三つある中の一つが広域的な発想でやろうということでございまして、我々は強権を発動するつもりはありません。

 それから、地元の町村長の皆さん方に、双葉郡の皆さん方に、私も全てお会いいたしまして、いろいろな議論をいたしましたが、一つの町で全部やろうとは皆さん思ってはおられないんです。しかし、ここはおらちのふるさとだぞという思いを強烈に持っていらっしゃることも事実でございまして、その二つを両立するのにどうすればいいかという悩みの中の一つの方向性が十二市町村による有識者懇談会でありまして、その中で広域的に物事を考えて方向を出してくださいと。あそこで方向が出てくれば、我々は、それを十二市町村の皆さん方に、懇談会でこういう方向が出たからこれでいきませんかということは本当に粘り強く話をしていこう、こう思っております。

 小熊先生がおっしゃいましたように、上からぼんと言ったのでは絶対うまくいかない。しかし、個別の町村の思いも大事にしながら、広域的に物を考えるという視点も極めて重要だということの接点で、今、正直言ってあえいでいるというのが我々の実態だ、こう思っております。

小熊委員 私も、上からどんということではなくて、大所高所からの意見としてやっていったらどうですかという話で、今大臣、そのはざまに入っていることを吐露していただいて、本当にそのとおりだというふうに思います。

 その中で、いろいろな意見があるんです。これと決めるというのも難しいです。どれをとってもそれは百点をとれないです。だから、地元のNPOの人たちが言っているとおりに、よりベターな、ベストはなかなか見出せないです、意見もばらばらですから。

 だから、この留意点としては、先ほど言ったとおり、首長の意見が全体を代表もしていない、残念ながら。住民の意向もばらばらですが、どっちかといえば、広いエリアであそこを国有化して新しい土地で頑張ってくださいという発言をすると、我が党の政策でも言っていますけれども、怒られるときもありますが、逆に、よく言ってくれたという手紙や御意見を賜ることの方が多いんです。ただ、行政的にはこんなのは出てきません。出てきませんけれども、やはり潜在的には、一日も早く、ふるさとに帰りたいけれども、新しいところでしっかり立て直していきたい。帰れるといっても、もう帰らないから、土地をどうするのと。売るといったって、買う人はいないですよ、本当に。だったらもう国有化して、そして新しい土地をしっかりまとめてやらせてもらった方がいいという意見を言うと、そのとおりだという人が、感覚的にも、私の事務所に直接来るいろいろな手紙や電話も非常に多いです。

 このはざまの中で、大臣、考慮していただければ、強権的にはやらないとしても、こうした福島特措法の中、またいろいろな制度の中で、広域的な取り組み、さっきの学校の例もありましたけれども、まさに町の復興をさせるという面的な、ハード的な意味でも、広域的なものに復興の予算を使っていく制度を構築していく、そういう誘導をしていくというものはありなんじゃないですかね、こうしなさいではなくて。皆さんで力を合わせて復興を果たすように、そういうところに国も支援していきますからというやり方はあるんじゃないですか。それは強権的にならないと思うんですけれども。大臣、もう一度。

竹下国務大臣 その点ではおっしゃるとおりだと思います。

 今我々が十二市町村の有識者懇談会に求めておりますことの一つが、広域的な発想で復興に向けての提言をいただきたいということを求めておりまして、これは、国が考えてこうするというのではなくて、有識者の皆さん方に、十二市町村の市町村長の意見も全て聞いてもらえましたので、それから現地の視察もいただいております、そういう中で、皆さん方が広域的に考えたらこれがいいじゃないかという方向を出してくださいということをお願いしておる段階でありまして、それが出た段階で、また改めて十二市町村とも議論をしなければなりませんし、場合によっては国会で御議論いただくことも一つの方法であろうと思います。

 丁寧に丁寧に対応しなきゃならぬ、こう思っております。

小熊委員 今回のこの法改正、これはこれとして別に否定するものではありませんが、よりよく広域でどうしていくか。だって、想像してみてくださいよ。一万人いた、二万人いた町が、いきなり千人、二千人の町になるんですよ。これは今、地方創生でも人口減少問題に取り組んでいますけれども、何十年かけて人口が半分になった町とかということではなくて、たった数年で町が、半分でもない、十分の一になる。異様な状況なんですよ。これで、復旧しましょうね、復興しましょうねということが非常に現実離れしているというふうに思います。

 ですから、ぜひこれから、今答弁いただきましたので、本当に広域的な連携の中で、そしてこれは、時間との戦いもあります、人の人生は限られていますから。二十年後、三十年後に百点とるんだったら、ここ数年で五十点、六十点とるという方が正しいかもしれないというふうに私は思っています。巧遅は拙速にしかずという言葉もあります。

 ぜひこういう点を踏まえて、時間を意識しながら、よりよく、一日も早い復旧復興、一日も早い町の、地域の再生。それは、既存の制度でも既存の考え方でもなく、未曽有の災害、しかも深刻な災害、継続中の災害ですから。これはそういう意味で、もちろん強権的にやるんじゃなくて、大所高所からしっかりと国としても提言をしていってもいいと思います、そういう意味では。前向きな、それは地域住民のためなんですから。

 とにかく、今後は、よりよく、この法改正でこれで終わるわけじゃないわけですから、復興もこれから続きますから、ぜひともこの広域的な観点の中で、双葉郡の、残念ながら帰らないと言っている人もいますから、人口的にも、帰るというのは全体として少なくなっているので、この少なくなった人口の中で、よりよく力を結集させる方法は何なのか、そこで地域をどうやって再生させていくのかということを強く意識していただいて、今後の制度構築、対応をしていただきますよう求めて、次の質問に移ります。

 それで、帰る、帰らないに多少関連しますけれども、先ほどちょっと触れましたけれども、中間貯蔵、これはまだ建設はされていませんが、搬入が始まっています。これは、東京ドーム二十何個分になるわけでありますけれども、この搬入に関しては昨年の環境委員会で私も質疑をさせていただいて、その前に参考人質疑があって、トラック協会の県の会長さんに来ていただいて、いろいろな御提言をそのときにいただきました。

 その後の環境委員会で私も質疑をして、それを踏まえて環境省も対応していくといった前向きな答弁もありましたし、その昨年の参考人質疑の前は環境省も運送関係に何もコンタクトをとっていなかったんですが、その後しっかりコンタクトをとって、トラック協会の方といろいろ意見交換をして搬入について努力をしていただいているところであります。

 また、その後、私もいろいろ意見をお聞きしましたら、この委員会でも言ったんですけれども、搬入するトラックの確保が難しいんですね、今。復興やいろいろな、アベノミクスの効果もあるから、多少景気がよくなってトラックも動いているというのがあるんですけれども、この確保について、その後どうするかという話もさせていただいたんです。

 延べ二千台ぐらい使わなきゃいけない。使い終わったトラックはどうしますかというと、有効活用してもらうという国の考え方だったんですけれども、実際は、トラック協会の方は、搬入で使ったものをしっかり除染、トラックを除染の処理をして、科学的にはきれいになったといっても、会社としてはやはりそれは使えないというのが、その団体の意見なんです。

 それで、去年の環境委員会でこれを質疑したときに、有効活用してもらうというのが最初の答弁であったんですけれども、ずっと質問を続けていって、最後の方では、それで調達ができないということであればそうしたことも勘案をするということを、当時の小里副大臣に答弁で言っていただいたんです。

 福山政務官にお聞きしますけれども、中間貯蔵施設への除去土壌の搬入にかかわるトラックのあり方について、再度御見解をお聞きいたします。

福山大臣政務官 先生にはいろいろ、そのときは、トラック協会の渡邉会長さん、いろいろ御指導を賜りまして、ありがとうございました。

 私も、そのときの答弁も聞いておりましたし、いろいろその会に出ておりましたので、よくわかっております。

 それで、今の御質問ですけれども、現時点では輸送に使った車両を買い取るといった対応は考えておりませんが、輸送車両の確保を円滑に進めることが重要とは認識はしております。

 関係団体との情報交換などを行うとともに、輸送車両の稼働状況や耐用年数などの実態を踏まえ、長期かつ継続的に車両を確保するなど、適切な対応に努めてまいりたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

小熊委員 この間もトラック協会の会長にちょっとお会いして、トラックのことについては、再三再四、今でも言っているというんですね。環境省は、わかった、適切にと言われましたけれども、その意見は結局は現段階では聞けないということですよね。

福山大臣政務官 今の先生のお話は、ほかの用途では活用はできない、なかなかしにくいということを、トラック協会の会長さんがそういう御発言をしているわけでございます。

 先般のときも、小里副大臣の方が先生の御質問に対してもお話ございましたように、現在、環境省としては、輸送で使用した車両がほかの用途でも活用できるかどうかという点については、輸送車両の円滑な確保についてかかわってくる問題と強く認識をいたしております。

 長期かつ継続的に車両を確保するなどの対応に努めた上で、関係団体とも情報交換しながら、輸送車両の稼働状況や耐用年数などの実態を踏まえつつ、しっかりと考えてまいりたいと思っております。

小熊委員 これはずっと議論が平行線になりますから、またちょっと違うことを聞きます。

 この中間貯蔵施設、法律では、これは三十年後に県外。これは、私、それは持っていきたいけれども、二月の予算委員会でもやりましたけれども、では、例えば竹下大臣の選挙区で適切な、全国が対象になるわけですから、それで対象になる土地があれば、そこに国が折衝していくという段階を踏んでいくわけです。竹下大臣の選挙区にそういう対象地域がある、候補地がある。それを誘致しますか、手を挙げて。福島のうちの選挙区に持ってこようよと言えるのかというと、現実はなかなか言えないと思います。だから、厳しいんですよ、県外に持っていくというのも。

 だから、三十年後に、やはり持っていけませんでした、延長してくださいというのは、本当に酷な話ですから、ここ数年でこれをどうするかというのを本当に決めなきゃいけないんですよ。さっき言ったように、帰る帰らないという要因になっているわけですから、その地域がどうなるかということが。三十年後まで待ってくださいということになるんですよ。

 ここで、さらにちょっと細かくいきます。

 今環境省が言っているのは、それは東京ドーム二十何個分ですけれども、減容化を目指しますと。まあまあ自然な状況でも四割ぐらい減ると言っていますね、これは予算委員会での大臣答弁でもありました。でも、環境省の担当官としゃべると、これから努力して、科学的に努力して、技術的に努力して、うまくいけば東京ドーム一・五個分ぐらいになるというわけですよ。でも、一・五個分のところ、自分の選挙区の山、そういうふうになっちゃうと思うとやはり大変ですし、では、その除去土壌、放射線を帯びたものと大丈夫なものに分けて、この土をどうするんですかと聞いたら、これは建設用資材として有効活用すると言うんですが、それはそのとおりでいいですか。

福山大臣政務官 最終処分に向けた技術開発とあわせて、再生利用についても今年度から調査検討を開始することといたしております。なお、検討に当たっては、研究、技術開発の状況、公共工事などにおける利用可能性、関係者や国民の理解といった点を考慮することが重要であると考えております。

 濃度が低く安全に利用できるとしても、再生利用に抵抗感を感じる方々がいらっしゃることは事実であります。そのような懸念の払拭が、再生利用の促進には不可欠であります。そのため、国民全体の理解はもとより、関係省庁、地方自治体などの理解を得て進めていくことが重要であり、今後、幅広い関係者の理解を得るよう、取り組みを進めてまいりたいと思っております。

 なお、用途については、除去土壌にそのまま適用可能な基準はないのですが、現状でも、一キログラム当たり三千ベクレル以下の建設発生土、コンクリートなどについては、覆土などを適切に行うことにより、例えば下層路盤材など、公共工事などでの再生利用が可能であることとされております。

 こういった例も参考にしつつ、再生利用に係る検討を進めてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。

小熊委員 今、福山政務官が言われたとおり、国民的理解といったものですね、定量的に何割の人が理解すればオーケーというところがないので、その方向性はそのとおりなんですけれども、言葉は立派ですが、現実として、それは何人かが反対すれば使えないですよ。

 これは三十年後ですよ。想像してみてくださいよ。三十年後、きれいなものと汚染されているものを分けて、汚染されているものだけを外へ持っていくというたてつけですから、これは、仕組みが。

 だけれども、減容化して、十分の一まで減容化が成功しましたと喜んでも、九割のもの、建設資材として使いますよといっても、では、お台場を埋め立てますか、どこかの堤防の盛り土にしますか、どこかの住宅開発の客土にしますかといって、科学的に大丈夫です、理解してくださいとやったって、何割かの人が必ず反対しますよ、それは。そんな状況がなければ、風評被害とかいった問題だってないんですから。

 となると、それはもう持っていけない、きれいにはなっているけれども持っていけないものとして、持っていけなかったら、それはどこに行くんですか。よしんば、もう本当に県外にその除去土壌、減容化したものを持っていけたとして、残った、きれいにした残土は、持っていけなかったらどこに置くんですか。それは検討していますか。

福山大臣政務官 再生利用にしっかりと努めてまいりたいと思っております。

 先ほどの御質問の中にありましたように、そういう土壌の中で、濃い、薄いと言ったらおかしいんですけれども、土壌についている分のセシウムを、こちらの方でいえば、分類して、濃く、そしてこちらのを薄く、そういうことも今できるような形になっておりますので、だから、そういう意味も込めまして、そういうことをしっかりと、研究開発を進める中で頑張ってまいりたいと思っております。

小熊委員 それはわかっているんです。

 だから、薄くなっていて安全ですよというものは最終処分場には持っていかないことになっていて、薄いものはいろいろなものに使えますよといっても、使い道がなければ置いておかれちゃうわけですよ。膨大な量ですよ。減容化の技術が進めば進むほど大丈夫なものの量がふえるわけですから。東京ドーム二十個分の残土を有効利用といったって、大変ですよ。これは国会議員挙げて自分の地元の国道を整備する、全部これを使おうぜなんてことにもならないもの。

 そもそも、県外の最終処分というのも、私はもうこれは残念ながら幻想にしかすぎないと思っています、悲しいけれども。だって、引き受けるなんて、私も違う立場で県外にいて、自分の選挙区の人にうちの選挙区に持ってこようよなんてなかなか言えないですよ、それは。でも、そのぐらいの覚悟ある政治家がいなければ、県外に持っていけないんです。なおかつ、この残土にしたって、きれいですよといったって、じゃ、うちの地域で工業団地を整備するからここに使おうぜといったって、こんなの文句を言われるだけで、じゃ、やめておきましょうとなりますよ。

 三十年後、ここにいる我々、もうほとんどいないと思います、私も含め。そのときに政治が何を決断するか。決断するのが政治ですよ。三十年後に先延ばししたってだめですよ。さっき言ったとおり、住民の帰還に関しては、こういうものがどうなるかが目に見えた段階で帰るという割合が多いわけですから、こういうものが中途半端に何も決めないでいて、慎重に検討しますと言っていたら、帰らない人もふえちゃうわけですよ。だから、これはやはり政治がしっかり決断しなきゃいけない。

 我が党は、これはもう本当に涙をのんで、この中間貯蔵施設を県外に持っていくというのは再検討しなきゃいけないと思っています、はっきり言って。三十年間も幻想を追いかけさせていくことの方が酷だと思っています、本来は。だって、残土の行き先も決まっていないんですもの。同じように、残土だってそのとおりで、トラックだってそのとおりですから。

 この後、風評被害についても触れますけれども、これはもう論理的な話じゃないんです、風評被害なんというのは。それを理解、理解といっても、それは今でも一生懸命説明しています、政府も、いろいろな機関も、我々も。だけれども、論理的な話じゃなくて、もうそれはノーと言われちゃうんですから。それを踏まえたら、じゃ、住民の意向とか消費者の意向といっても、どこかで線を引かなきゃいけないんです。引かないと進まないんです、これ。

 しかも、長期にわたる問題です。そのときだけ一生懸命やって、政務官も在任期間だけ一生懸命やって、離れればそれでさようならとなるかもしれないし、この間、環境省の担当者も、一生福島にかかわります、退官してでも福島のボランティアをやりますと言うから、俺は、結構ですと言ったんですよ。逆に、田舎に帰って、地元に帰って、町長さんでも市長さんでもなって、自分の町に福島の残土を持ってこようぜとやってくださいと言ったら、それはできませんと言いますよね、それは。自分がそっちの立場になればノーなんですよ。でも、それを環境省としてはお願いしますとやっているわけです。福島のものじゃなくて、今現に栃木県のものは栃木県、茨城県のものは茨城県、宮城県のものは宮城県で最終処分場をつくると一生懸命お願いしていますけれども、全然進んでいないですよね、これも。それは、自分が地元の町長や地元の住民になったり地元の議員になったりしたら、オーケーと言う人は中にはいるかもしれないけれども、やはり反対者が出ますよ。

 進まないんです、これ。三十年間ずっとこんな感じでいくんです、英断を下さないと。決める政治とはそれでいいんですかということなんです。復興というのはだからここで評価が低いということなんです。いろいろな世論調査で、安倍総理の支持率は高いです。でも、復興政策は評価していないというのは七割ぐらいあるわけですよ。ここなんですよ。

 普通の仕組み、通常どおりの手法で丁寧にやる、これは確かに丁寧にやらなきゃいけないんですが、もはや積み残っている問題は、これは本当に政治決断の問題なんです。この中間貯蔵、最終処分もそうです。だから、私は一部にはひどいことを言っていると言われるけれども、私はこの最終処分場は、これは県の立場も違いますよ、県も最終処分場は県外にと言っていますから。だけれども、私は、そうじゃなくて、しっかり管理をして、福島県内で管理をして、地元の人たちが納得のいく補償をして、新しいところで生活してくださいという方が、こっちの方が正しいと私は思います、その人の人生の時間を一日でも無駄に使わせないためにも。

 この議論は平行ですけれども、とにかく、そういう理想を言っても、現実なのか、理想なのか、幻想なのか、ちゃんと見きわめて、現実的な対応を今後とっていただかないとだめですよ。トラック一つだってそうなんですから。これは平行線でいきますよ、トラック協会も。

 ぜひ、そこを踏まえて、もう一度再検討していただくようお願いしたいと思いますし、減容化に向けて努力するのも結構ですが、その残土の行き先を決めておかないと、これも残されるということになりますから、ぜひ今後の真剣な検討をお願いいたします。

 続いて、また、まさに今くすぶっている東電の第一原発の燃料棒、また溶融物、デブリと言われるもの、これは行き先が決まっていません。

 まず最初に、溶解しなかった四号機、これはしっかり対応していただいて、今、共用プールに適切に管理をしてもらっています。でも、これをどうするんですかという話なんですね。

 これも違う委員会、予算委員会で大臣とやりとりしたときも、むつのキャスクに持っていって管理をして、六ケ所で処分するという方法がある。ただ、事故の起きたものなので、事故の大きなものなので、ほかの原発の使用済み核燃料の一番最後の順番になりますと。というと、六ケ所の再処理工場の三十年、四十年という一番最後ということは、そこまで先まで、あそこの東電の福島の原発施設内に共用プールで管理された状況になっていくんですね、長期にわたって。早く持っていってほしいんです、本当は。

 そういうことで確認して、よろしいですか。

高木副大臣 以前も小熊委員のその御質問がございまして、御存じのように、使用済みの燃料プールから、四号機の方は昨年の十二月に約千五百本、取り出しを終わりました。その後については、海水等の影響で通常とは大きく異なる環境下にあった、これは確かだと思うんです。当面の間は敷地内の共用プールで保管し、状態を注視している、こういう状況でございます。その後の処理については、並行して行う技術の検討の結果を踏まえた上で、今の段階では二〇二〇年を一つのめどとして決定をしていこう、こういうような考え方に立っております。

 先ほどから小熊委員の中間貯蔵の御質問でもそうなんですけれども、決断をするというのも一つ必要なんですけれども、例えば技術的な部分、例えば中間貯蔵もそうですけれども、またこの燃料デブリの部分も、最終的に廃炉は三十年から四十年というふうに言われています。ただ、この年数を見ますと、多くの人たちは、そんなに時間がかかるの、こう思っていますが、実は、先日も、敦賀を初め既存の原発五つが廃炉することが決定いたしました。この廃炉作業というのは、実は通常でも二十年から三十年かかると言われている。例えば、アメリカの場合には大体五十年から六十年を想定しておりますし、イギリスの場合には、廃炉を決定した段階で六十年間はそのまま置いておく、それで、その放射線が低減をした段階で廃炉作業に入るということで、百年を想定しております。

 一般の原子炉においても五十年または百年という単位でやっているこの原子力の問題において、今回の福島第一原発の事故は、四つの原子炉、特に一、二、三号機は溶けてしまった。こういうことを考えますと、まだ、燃料の存在、どこにあるかというのが、先日、宇宙線のミューオンで圧力容器の中にはないというのは一号機で確認されました。さらに四月からは、私は蛇型のロボットと言っているんですが、配管を通って、遠隔操作で、センサーをつけながら、燃料デブリがどこにあるかというのをチェックしに行きます。

 そういった形の状態を把握した上で、今検討を進めていて、二〇二〇年、二一年度から取り出しを図ろう、こういうことを考えておりますので、委員御指摘のように、今決断をする、それを六ケ所に持っていくのか、もしくは県外にどこかに持っていくのか、いやいや、これはそのまま置いておくのか、はっきりさせろという思いは大変、住民の皆様方、特に被災者の方々の気持ちを思えばそういう部分はございますが、ただ、技術的にこれをさらに研究して、まさに、いわゆるほかに持っていくことができるような状態なのか、そこを確認しているというのが今の現状でございます。

小熊委員 今副大臣言ったところは私も承知をしております。ただ、選択肢が幾つかあるということも説明を受けていたんですが、一つの選択肢がないというのが一つあるのは、青森の施設は、通常のものを受け入れるということで地元と合意をしているので、これは、科学的にどうなのか、傷ついているのか傷ついていないのかの検証をして、二〇二〇年にやるんですけれども、もはや青森県は、これは原燃側ですけれども、福島のものは通常じゃないという判断で、地元の合意として言えば、これは対象から外れているというコメントが地元新聞にも載っているんですよ。

 というのであれば、今はまだ検証中で、どれかという決断はないけれども、いろいろな選択肢を検証していますと言うけれども、この選択肢はもう実はないんですよ。だから、置いておくとはっきり言っておいた方がいいんですよ。持っていけませんから置いていきますよと。置いておくかもしれないし、持っていけるかもしれないし、今検証しているんですと立派な答弁をされましたけれども、今の仕組みでは、青森に持っていくという選択肢はないんですよ。再度答弁をお願いします。

高木副大臣 この原子力の燃料の問題、これは、今、六ケ所に再処理という一つの考え方を持っていますが、もう一つ、最終処分場ということも、今、検討をずっとしております。

 この最終処分場についても、この十年間、いわゆる手挙げ方式で各自治体からこれを求めていましたけれども、最終的になかなかそれが進んでいない、そういう段階で、今回、政府の方としては、この方針をしっかり改定をしようと。先日も、原子力委員会の方でも、そういった改定はよろしい、こういうようなことになりましたし、そういうことから考えますと、今後の原発政策のあり方の中で最終処分場もしっかりと決めていかなければならない、そういった中で、再処理をどうしていくのかという考え方とともに、まさに燃料デブリを初め、または使用済みの核燃料、これは海水につかっているけれども、これをどうするか、こういうことについて最終的に決めなければいけないのは確かです。ただ、今の段階で、確実にもう福島に置き続けるんだ、こうは言えない段階で、政府の方が、これはずっと置いておくんだ、こういうようなことは言えない状況というのは御理解をいただきたいと思います。

小熊委員 それが常識的なことですけれども、言ったとおり、住民が帰る帰らないというのは、そこも決めてほしいと。そこが決まらなければ、それは、土地はきれいになったけれども、くすぶった原発のそばに行くという要因にならないわけですよ。そういう心理を見きわめて、復興を果たしましょうとやっていかなきゃいけないんですから、そういう被災者の気持ちをおもんぱかって、通り一遍の答弁というか、それは正しい答弁なのかもしれないんですけれども、そうじゃなくて、本当に被災者の心に寄り添うということに立てば、本当は、さらっとそんなことは言えないんですよ。まあいいです、これはもうあれになりましたが。

 だから、ぜひそういう気持ちをおもんぱかってやっていっていただきたいというふうに思いますし、今は決めないと言っていましたけれども、青森に持っていくという一つの選択肢は、今の仕組みの中では、地元とのやりとりの中では、正常なものだけという話でしかないんですから、あそこは。そもそも選択肢にならないんです、青森は、福島のものが。今の四号機のものでさえ。

 それは、原燃の人もそういうふうに発言しているし、地元の人も、そういう約束で施設がここに置いてあるんですということで。あたかもそこに持っていけるかのような検討をしているということも、それも幻想でしょうという話ですから、ぜひもう一回、そこはしっかり、青森の施設のあり方はどういうふうに立っているのか、地元とのやりとりの中で、海水につかって、でも、ちゃんとまともですよというものだとしても、福島のものはやはり持っていけないんだというのは、ぜひ確認してください。

 次に移りますけれども、過日、大臣も、私の地元の会津若松にお越しいただいて、地元のいろいろな経済人の方と意見交換をしていただいて、私は、その後、参加者に聞きましたけれども、大変いい対応をしていただいて、浜田副大臣もいい発言があったということですが、大臣もそこで聞かれたとおり、もちろん、この原発の事故というのは、放射線のこともあります、いろいろなこともありますが、風評被害というのもあります。

 今、いろいろ応援もしていただいていますけれども、実際、なかなかこの風評被害、これは論理的な話じゃないというのは先ほどお話しさせていただいたとおり、心理的な話の中で、福島県の、我々の県民の中でさえ、何割かの人は、福島のものは食べませんという人もいるぐらいの話ですから。まして県外に至ると、そういう状況が、もちろん、もうそういうのは大丈夫だと言って、買っていただいている方もいますし、海外においては、禁輸措置を解除していっている国もふえてきています。

 ただ、逆に、近隣諸国は、特にアジアの中では外していない。でも、中国は、香港と本土と違う基準でやっていますけれども、日本は百ベクレルですけれども、香港あたりはアジアの中では厳しいんですけれども、三百幾つですよ。そんな基準なのに、日本のこの福島県のものを食わないなんて言っているのは全然論理的じゃないんですよ。でも、そんな国は、幾つかの国はまだ残っていますから、禁輸措置。そんな状況です。

 まして、例えば、修学旅行の話が当時出たと思いますけれども、会津も、私のところも、福島県も、多少観光客は戻ってきていても、やはり子供の観光客というか、修学旅行は戻ってきていません。

 そのとき、大臣は、小中学校というのは所管が市町村ですから、国から、おい、修学旅行は福島県に行けよと言うのは、これは越権になるということを言われた。そのとおりだと地元の人も納得はしていましたが。

 ただ、いろいろな観光団体、地元の人たちも、国の補助制度も支援もなくて、自分たちでキャラバンを組んで、一個一個の教育委員会、学校を訪ねていって、もう一回来てくださいとやっているんですよ。直接国がその当該市町村の教育委員会に行けよと言わなくても、そういうことの支援はできるんじゃないですか、国としてやるべきじゃないですか。どうですか。

竹下国務大臣 風評被害の問題、物すごく頭の痛い問題でありまして、我々も、福島の復興に関連して、必ず乗り切らなければならない課題だ、大きな課題であると認識をして取り組んでおります。

 確かに、こうこうこうすれば大丈夫ですという方程式が確立しておるわけではありませんが、少なくとも、やれることはやろう、まず、三つのことをやろうと。一つは、米なんかは全量検査をして出していますよという、風評のもとになるものを断ち切るということが一つ。二つ目は、しっかりと正しい情報を出して、より理解をしていただくということが二つ。三つ目は、そうはいっても、既に被害に遭っている人たちの事業をお手伝いしていく。この三つのことは、それぞれ効果は非常に小さいけれども、これはやらなきゃならぬことだと思って、これからもやり続けていこうと思っております。

 それから、修学旅行の件でありますが、あのときお話ししましたのは、私、二つでありまして、一つは、中間貯蔵に関連をして、福島県の方に、風評被害対策にも使える一千億という相当使い勝手のいい基金を積ませていただきました。それを利用して、福島県では、修学旅行のバス、最初は一台二十万円、二回目以降は十万円、もう直接その中間貯蔵に関する基金の中からバス代の補助をやっていくということを福島で検討しておられるということを聞いておったものですから、そのことをまずお話をしたことが一点。

 それから、確かに、修学旅行は会津は半分になってしまっています。いまだに半分です。

 だけれども、国が云々ということではなくて、私が言いましたのは、今までは教育委員会が独立をしていて、一人でも二人でも保護者の方が、福島だめ、会津だめ、こう言われたら行けなかった。だけれども、これからは、首長が教育委員長というか教育委員会を一定程度コントロールできる状況に状況が変わってまいりますので、これからは首長の判断というものが一つの大きな要素になるということはお話をさせていただいて、今までとちょっと違ってくるかなということはお話をさせていただいて、国が命令するとかしないとかという話はしておりません。

小熊委員 最後になりますけれども、風評被害、これはずうっと続くと思います、これは本当に廃炉になるまで。平均すると、三日に一遍いろいろなトラブルがあそこであるわけですよ、ボルト一個おっこちたとか、亡くなったという深刻な事故もあったりしますから。そのたびに、福島が福島がとなるわけですよ。下りのエスカレーターに乗っているのと一緒です。ずうっと永久的に努力していかなきゃならない問題でありますし、ですから、今大臣が言ったことは、しっかり、今までずっとやってきているんです、民主党政権時代も、自民党になってからも。でも、効果が出ていないところが一定程度残ってしまうんです。

 それはやはり、新しい発想でやっていかなきゃいけないという意味では、オリンピックなんかでも関連事業を福島県に誘致したいというのもやっていますし、さまざまな国際的な会議とかイベント等をしっかり誘致していって、科学的な情報発信ではなくて、そういうイベントを通じて普通の状態を見せるという情報発信、先ほど言ったとおり、これは心理的な問題ですから。

 ですから、そういう取り組みを今後より一層目をかけていただきたいというふうに思いますし、場合によっては、いろいろな施設を建てて誘致をしていくということを本気で考えて、常に何かの会議をやっている、イベントをやっているという情報発信の仕方が新たな段階では必要だというふうに思いますので、こうしたコンベンションみたいなもの、スポーツイベント等の情報発信で福島のイメージを変えていく、風評被害を乗り越えていく、風化も防止をしていくという取り組みを、今後、新たな展開としてぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 科学的根拠をやっている、検査しているというのは、十分やっていますから。それでも直っていないんですから。今の努力では足りていないということを前提に、ぜひ、新たな取り組みというのを御検討いただいて御尽力いただきたいことをお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

伊藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 時間が限られていますので、早速質問に入ります。

 本改正案では、避難指示が解除された区域へ帰還する方が公営住宅へ入居できるよう要件が緩和されます。その趣旨と内容について、事務方で結構ですので、端的に述べてもらえますか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法第二十八条の趣旨及びその内容についてでございますけれども、避難指示解除区域の建物につきましては、事実上利用不能となっている建物も多く、また、帰還住民の中には同一市町村内でも放射線量の比較的低い地域に帰還することも考えられることから、従前居住されておられた住宅以外の住宅を確保する必要も生じることから、このような住民の帰還を促進するための規定を設けたものでございます。

 具体的な要件緩和の内容でございますけれども、当分の間、現行の公営住宅の入居者資格要件のうち、現に住宅に困窮していることが明らかであるという要件を満たす場合には、収入に係る要件の適用を撤廃することといたしております。

畠山委員 住まいをどうするかは、避難をしている方々の大きな不安のもちろん一つです。実態がさまざまなだけに、安心して暮らせるための選択肢をふやすことは大切で必要な措置だというふうに思います。

 ですが、避難指示が解除されても帰還を迷っている方もまだまだ多いというのはきょうもずっと議論されてきたことです。避難指示が解除された川内村から郡山市の仮設住宅に避難している女性の方は、帰りたい思いはあるけれども、放射能の影響を心配する二人の娘が行かないと言うので孫にも会えないことや、避難中に脳梗塞を起こしたことから医療体制への不安も口にしている例もあります。

 郡山市の仮設住宅自治会から川内村村長へ、昨年十二月十五日付で要望書が出されています。これは日本共産党にも届けられまして、抜粋してそのまま読み上げると、内容は、自治会の総会席上、参加住民から、平成二十八年二月までの入居をさらに延長していただけるよう全会一致で行政に要望の声がありましたとのことです。

 避難指示が解除されても、帰還を迷って、仮設住宅に住み続けるしか選択肢がないという方もおります。もちろん、決して仮設住宅に住み続けたいというわけではないにせよ、今すぐは帰る決断ができない被災者がいる以上、機械的な入居期間の打ち切りはしないというのは当然だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

竹下国務大臣 しません。そういうことはしません。

 御存じのとおり、仮設住宅は二年というのが災害救助法の原則ですが、今まで一年、一年、一年という刻みで延長してきておりまして、これからも、復興の状況等、あるいは長い間住んでいただけるような住宅がきちんとできているかといったような住宅の建設状況等々を勘案いたしまして、県と所管しております内閣府の方でしっかり検討してもらう、我々は、途中で追い出すようなことはしません。

畠山委員 もちろん強制的な帰還を求めることはできないわけでして、今大臣おっしゃってくださったように、これは、ただ、先ほどの要望書が出る背景というのが、やはりさまざまな不安を持っているということでありますので、ぜひともよろしくお願いしたいと改めて思うわけです。

 四年もこういう仮設住宅での長期の避難生活が経過したわけでして、その間、仮設住宅にカビが生えて健康被害が問題になっているとか、杉の木でつくった柱も傾くなど、仮設住宅の住環境の悪化があります。四年間で子供が大きくなって、仮設での生活が手狭になってくるというケースももちろんあります。

 ただ、政府のこの間の対応では、仮設の住みかえということが困難でしたし、また、避難指示が解除されているために、避難先の被災者向け公営住宅にも入れない。その中で、仮設住宅に住まわざるを得ないということがあるのが実態だというふうに思います。

 私は、北海道からの選出なんですが、宮城県石巻市の生まれで、その石巻市にももちろん仮設に住まわれている方はたくさんいらっしゃって、共通する問題ではありますけれども、なお一層、福島では、原発事故の災害が重なり深刻の度は増しているというふうに思うんです。

 住民意向調査でも、川内村では、調査に回答された方のうち、村に住みたいと考えている方でも、帰還に一年から五年と考える方が約二七%、時期は決めていませんが住みたいという方も約二九%いらっしゃる。田村市都路地域でも、同じく、一年から五年以内と考えている方は六割を超えます。帰還を決断するまで、今後一年から数年の時間を必要としている被災者の実情にかみ合った支援が必要だと思います。

 例えば、子ども・被災者支援法では、避難先の公営住宅へ入れるよう優先的取り扱いを受けられる居住実績証明書が昨年十月から発行されていますが、自治体ごとの入居要件はもちろんありますけれども、こうやって国からもお願いをして何とか住居を確保できるようにしてきた。

 そもそもこの法律は自主避難を想定されたものですけれども、例えば、川内村のように避難指示が解除されて自主避難者のようになっている方々にも、本人が希望すれば避難先の公営住宅に入居できるような選択肢を準備することはできないか、伺います。

浜田副大臣 御質問いただきました公営住宅への入居円滑化制度でございますけれども、これは、御指摘のとおり、子ども・被災者支援法の基本方針に基づく制度でございます。

 この制度におきましては、既に現在でも、避難指示区域以外の旧緊急時避難準備区域であった広野町や楢葉町の一部等についても対象としております。

 そういう趣旨を踏まえまして、今後、避難指示の解除の状況を踏まえまして、今御指摘のところについても対象に入れていく方向で適宜見直していきたいと思っております。

畠山委員 政府として、今確認できたように、実態に応える具体化を進めていただきたいというふうに改めて思います。

 問題は、やってはいけないことは、帰還か移住かの二者択一を迫っていくということだというふうに思うんです。それでは避難者が苦しむことになってしまいます。

 三月十一日付読売新聞では、取材を通じて知り合った記者のもとに、ことしは決断のときです、苦しい限りですと避難者からの年賀状が届いたといい、帰るか、帰らないかと十二万人の避難者に迫るのは残酷な面があると指摘しています。

 昨年九月三十日に発表された日本学術会議の提言の中には、「帰還を当面選択しない住民も公平な取り扱いをすること」が挙げられて、「具体的には避難指示が解除された後も、借り上げ住宅を一定期間、継続的に使用できるなど、住居の確保に配慮すべき」と提言しています。ここには避難者の実態が反映されているというふうに思います。

 ですから、最後に大臣に伺いたいんですが、帰還か移住かというのは、もちろん大きな人生の選択になります。迷っているという状況は、帰還することも選択肢に入っているから迷っている。時間がかかるのも当然ですし、避難指示が解除されても、迷っている間は国がしっかりと住居を確保します、帰還が決断できるまで安心して住み続けられるようにしますという立場をぜひはっきりとさせていただきたいと思いますが、いかがですか。

竹下国務大臣 お気持ちとしては、先生おっしゃることはわかるんですが、未来永劫にそれをするわけにはいかない、どこかで決断はしなければならない時期がやってくるわけです。今は、ここ一年、二年、そういう形でしのぐことはできるかもしれません。

 しかし、学術会議の中にも書いてありましたとおり、一定の期間、これをどう読むか、どう判断するかということになると思います。お気持ちはわかりますが、全て受け入れるというわけには、なかなか難しいと言わざるを得ません。

畠山委員 この迷っている間というところの後押しということは、どうしても必要だというふうに思います。

 さまざまな多様な選択肢を国としてきちんと準備するということの具体化を重ねて強く求めまして、私の質問を終わります。

伊藤委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 東電福島第一原発事故による避難によって就労が困難となり、減収または失業状態となった方たちに対して支払われていた就労不能損害が、ことし二月で打ち切られました。これまで支払われた、あるいは合意済みの賠償額は二千二百三十八億円、延べ一万一千六百件と聞いております。ことし二月末というのは、実は昨年の二月に東電が発表したものであります。

 しかし、その時点で、福島県弁護士会も、被害者の個別事情を無視して一律に上限、つまり、賠償終期を決め、原則として就労不能損害の賠償を事実上打ち切るもので、著しく不当なものであると厳しく指摘をしております。

 また、地方公共団体からは、営業損害と並んで、避難による被害が継続する限り、被害者の実情に応じた賠償を継続することと要望が出されていたと思います。

 営業損害については、とりあえず、二月打ち切りは見送られたものの、就労不能損害については切られてしまいました。

 なぜ一律に、しかも加害者である東電が一方的に打ち切るのでしょうか。

高木副大臣 今御指摘のございました就労不能損害でございますけれども、これは、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会が定めた中間指針を踏まえまして、平成二十六年二月末、いわゆる去年の二月末を終期、いわゆる終わりとして、避難指示区域内にお住まいのあった方、またはお勤め先があった方のうち、原発事故に伴う避難によって就労が困難になる、減収または失業となった給与所得者を対象に賠償を行うこととしてまいりました。

 昨年の三月以降については、平成二十七年二月末までの間、就労意欲があるものの、就労ができていない方を対象にさらに賠償を行うこととし、昨年春に、賠償している方々に対しては、その旨をダイレクトメールの形でお知らせしてまいりました。

 今回、本年二月末に賠償の終期を迎えるに当たり、その時点で賠償している方々に対し、改めて、本年三月以降は、就労意欲があるものの、障害をお持ちであることなどの個別のやむを得ない理由で就労が困難である方々については、個別の事情を具体的に伺いながら賠償することとし、その旨を賠償している方々にお知らせをいたしました。

 いずれにせよ、将来に向けて適切な賠償と自立のバランスをとっていくことが重要であって、一方的な打ち切りというより、むしろ、これまで就労不能を前提として一定の要件のもとで賠償支払いを行ってきたものを、就労が困難である方々については個別の事情を具体的に伺いながら賠償する、こういう段階に移ってきたものと承知をしております。

高橋(千)委員 今寄せられている相談や実態というのはまさに就労意欲がある方、そういう方たちばかり、そう言わなければならないと思うんですね。

 資料の一枚目に毎日新聞の二月二十七日付をつけておきましたけれども、福島県南相馬市の化学薬品メーカーで研究職だった遠藤和也さん、富岡町から家族四人で避難をしたと。これを全部読んでいると時間がありませんけれども、ハローワークに五十回以上通った、でも面接にたどり着けたのは四社、いずれも採用されず、期限つきの派遣と就職活動を繰り返している、今は日給の検査の仕事をしている、こういうふうに書いているわけですよね。

 その後ろの方は、本当に、原発にかかわる仕事をしてきて、まさに誇りを持っていて、戻ってこういう仕事をしたいという思いを持って踏ん切れないでいた、こういうことが書かれていると思うんです。

 例えば浪江町や南相馬の私どもの地元の議員さんのところにも、たくさん相談が寄せられております。県外に避難している方から、今の臨時の仕事がいつまで続くか、避難先での安定雇用など考えられない、働きたいが仕事がない、臨時の仕事で、日雇い三カ月とか半年で、ちゃんとした仕事がない、個別解除されても子供がいるので戻れない、こういうふうに訴えられているんですね。

 今、個別の事情に応じてとおっしゃいました。ですが、聞いたところによると、個別の事情で延ばしてくれた方はまだ一件もないと聞いております。

 しかも、一方では、避難解除されて一年以内に帰還した方は、その間、その後一年だけは延長しますと決めているんですよね。だから、自分が決められるか、納得できなくてもとりあえず帰りなさい、そうすればまだ延長しますよ、こういう選択を迫るのでは全くおかしいんですね。個人だからこそ声が上げにくいんです。

 このことをしっかり踏まえていただいて、重ねて丁寧な対応をお願いしたいと思いますが、もう一言お願いします。

高木副大臣 今御指摘のあった新聞記事を私も読ませていただきました。それぞれ個別の事情はあると思います。まさに今委員の御指摘のあったように、やはり被災者の方々にしっかりと寄り添うことが一番大切であると私たちも考えております。

 その一方で、雇用の問題でハローワークに何度も足を運ばれて、年齢の問題だとかそういったことでなかなか適切な就労ができない、こういう現状もあると思われます。

 そういった観点をしっかりと踏まえて、私ども経済産業省も、省を挙げてしっかりと雇用の場をつくっていこうということで、今、省内にプロジェクトをつくらせていただきました。

 というのも、やはり、企業誘致立地補助金等々がございまして、浜通り地域にはなかなか企業が立地していない、こういう現状がある中で、しっかりとそういうことも国を挙げてバックアップをしながら、まさに雇用と生活、そしてそういったことが全体として成り立つような形でしっかりとバックアップするように、私どもも努力を重ねてまいりたいと思います。

高橋(千)委員 重ねて指摘をしますが、やはり、この就労不能損害を当てにして何もしていないのではなくて、本当に、自立をしたい、働きたい、そう思って頑張っている人たちが、支えとなっている損害をただ打ち切られるのは困ると言っているんだ、そこを本当に押さえていただいて、もちろん就労支援をやっていただくということでしたので、そのことと個別の事情をしっかり踏まえていただきたい、お願いをしたいと思います。

 次に、三月十三日、中間貯蔵施設予定地への試験搬送が開始されました。除染による汚染土などは県内四十三市町村から最大で二千二百万立米搬入する計画ですが、予定地内の用地確保はほとんど進んでおりません。そのために敷地内の一時保管場所への運び込みにとどまり、一年間予定どおり進んだとしても、予定の容量の〇・二%にすぎないわけです。それでも汚染土を早く運び出してほしいという搬出元の要望もある。でも、一方では、双葉、大熊両町の地権者らは、搬入に向けた説明がなかった、土地買い取りの条件も話し合っていないのに、なし崩しで施設がつくられるのではないかと不満の声を上げています。

 確認をしたいのは、あくまで今回の搬入はモデル搬入であり、地権者の意向を踏まえ、一方的に進めることはないということをお願いいたします。

福山大臣政務官 建設予定地の住民の皆様には、先祖伝来の土地を手放さなければならないなどのさまざまな思いがあることは承知をいたしております。用地を確保し、事業を推進していくためには地権者の皆様の同意が不可欠であり、親身に寄り添って丁寧な説明を尽くしていくことが重要であると考えております。

 昨年の十月には、大熊、双葉両町長より、地権者への丁寧な説明を行うよう、小里副大臣とともに要請を受けております。私からも、日ごろ、職員に対して、地元の方々の御事情に合わせてこれまで以上に親身に寄り添った丁寧な説明をするように指示をしているところであります。用地担当の職員の増員も行いつつ、地権者の皆様に御理解いただけるよう、今まで以上に精力的に丁寧な説明を行ってまいりたいと思っております。

 また、輸送ルートや安全対策について記載した資料について、住民の皆様への配付やホームページにて周知するとともに、中間貯蔵施設に関するコールセンターや相談窓口を設置しており、引き続き、一人一人の皆様のさまざまな疑問や御意見に対応してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。

高橋(千)委員 政務官、丁寧と親身を何度もおっしゃっていただきましたが、本当にそれが具体化していくようにお願いをしたいと思うんですね。

 それで、資料の二枚目以降に、双葉、大熊両町と県、そして環境省が結んだ安全協定をつけておきました。これをちょっとめくっていただいて、3の第十条に「適切な措置の要求」ということがあります。アンダーラインを私が引きました。「中間貯蔵施設の周辺地域の安全の確保のため特別の措置を講ずる必要があると認めた場合は、丙に適切な措置を講ずることを求めることができる」、また、二のところで、「中間貯蔵施設の建設又は中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入の停止を求めることができるものとする。」と。

 この適切な措置が必要な場合というのはどういう場合かということと、搬入と建設を停止することができる、このことを確認したい。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中間貯蔵につきまして、県、両町、それから環境省の間で二月二十五日に環境安全協定を締結いたしました。

 この協定の第十条第一項におきまして、協定に基づいて行われる異常時の連絡、立入調査または状況確認の結果、これらの結果に基づきまして、中間貯蔵施設の周辺地域の安全の確保のため特別の措置を講ずる必要があると県、両町が認めた場合には、県、両町は環境省に適切な措置を講ずることを求めることができるということになってございます。

 また、同じく、協定の第十条第二項におきまして、県、町からの適切な措置の要求を受けて環境省が対応するまでの間、県、町は中間貯蔵施設の建設または中間貯蔵施設への除去土壌等の搬入の停止を求めることができるということになってございます。

高橋(千)委員 搬入の停止、建設の停止も含めて求めることができるということを確認させていただきました。

 異常時における連絡というのは、第七条のところに異常時というのがどういうものかというのを書いてあるわけですが、例えば「モニタリングにおいて、放射線量等の異常を検出したとき。」、この「異常を検出したとき。」というときに、基準がどうかではなくて、今の状態よりも極端に上がったとき、こういうような形で異常というのだとお聞きしました。最初から基準を高くしておくとかそういうことではなくて、しっかりと変化を見ていくというのは非常に大事なことだと思っております。

 そこで、搬出が本格化すれば交通量が多くなります。搬出元の自治体、ルート周辺などの市街地の住民の不安も大きいです。モデル搬入の期間だけでも十トントラックが一日二十五往復、ピーク時になると約三千七百往復に上るとも聞いております。幾ら高速道路でとまらず走るといっても、台数が多ければ当然同じですし、各自治体の積み込み場、一旦仮置き場から集めてくる場所があるんですね。そこから高速に乗せるまで、当然市街地の中を走るわけです。不安が大きいのは当たり前です。ですから、双葉、大熊町だけではなく、浪江町など周辺自治体との安全協定を考えるべきではないか。

 また、この安全協定に基づいて、資料の5につけてあるんですけれども、環境安全委員会というものがございます。これは、中間貯蔵について報告を求めたり監視を求めたりする委員会があるわけですけれども、結局、両町と、双葉、大熊と県の代表だけが入ることになっているわけなんです。これにもほかの町の首長や住民代表も参加させるべきではないでしょうか。

高橋政府参考人 この安全協定につきましては、昨年の九月、県から建設の受け入れをいただいたときに、搬入受け入れのための五つの項目の一つとして、県それから両町と環境省との間の安全協定の締結というのがございまして、それを踏まえて行ったものでございます。

 委員御指摘のとおり、両町以外にも当然、輸送もございますし、さまざまな影響がございます。そういうことで、両町以外の市町村あるいは議会などに対しても、これまでもさまざまな御説明をしてまいりましたし、今後とも丁寧に説明をしていきたいと思っておるところでございます。

 御指摘の、現在の協定あるいは安全委員会との関係をどうするかという御指摘については、これまでの経緯もございますので、福島県などの関係者とよく相談をさせていただきたいと思っております。

高橋(千)委員 県から言われたのが双葉と大熊だったからというのが単純な答えなんですね。だけれども、相談されていないほかの町にしてみれば、自分たちだって、本当に、自分たちのところを通るのに、一体どうなるのか、発言権がないのかと思うのは当然であります。幾ら説明したって、さっき私が指摘をしたような権限がないわけですから、周辺の自治体でもしかしたら同じような被害をこうむるかもしれないのに、一旦停止するべきじゃないかとか、そういうことを言う権限がないわけなんです。ですから、そういう意見が周りから出てくるのは当たり前です。ぜひここは検討をしていただきたい、重ねて要望をしたい、このように思います。

 さて、そこで、資料の六枚目を見ていただきたいと思うんです。

 これは三十日付の福島民報であります。他の新聞にも幾つか載っているんですが、見出しが「東電が市町村除染費拒否」とあります。一瞬これでどきっとするわけですが、市町村が実施した除染費用のうち、国が請求した七百六十一億円、これを東電側はそのうち約二%しか払っていないというわけです。驚きました。国直轄はほぼ支払いをしているというのであります。

 汚染物質対処特措法によって、国は東電に求償し、東電が負担すると規定されているはずです。しかも、国直轄も市町村委託分も国が一〇〇%立てかえ払いしていることには違いがないはずなんですね。なぜこのようになっているのか、最新の到達の数字をもとに、対応方針を含めて説明してください。

福山大臣政務官 国直轄除染については、これまでに約九百二十五億円を求償し、このうち約九七%に当たる約八百九十九億円の支払いが応諾されております。また、市町村除染については、これまでに約七百六十一億円を求償し、このうち約二%に当たる約十七億円の支払いが応諾されております。

 市町村除染にかかわる費用の求償については、これまで、東電が確認すべき証憑書類の範囲について意見の相違があったため、大部分が未払いとなっております。

 このため、東京電力と調整し、全体の一割程度の事業について重点的に事業内容を確認することにより、残りの事業については、その結果を踏まえ、確認過程を大幅に簡略化する取り組みを昨年十二月から市町村とも連携しながら進めております。この取り組みにより、今後、未払い分の支払いが順次進んでいくものと考えております。

 環境省としては、引き続き、放射性物質汚染対処特措法の規定に基づき、しっかりと東電に支払いを求めてまいります。

 以上でございます。

高橋(千)委員 まず、今聞いていて気がつかれたと思うんですけれども、新聞の記事も、日付は本当は一緒だったんですけれども、国直轄分の支払いが七百九十九億円、八六%と書いていたものが、最新の数字では、八百九十九億円、九七%の支払いになっているんですね。それに対して市町村分は十七億円で、やはり二%にすぎない。

 ところが、これは、事務的にはやることは一緒なんですね。一緒なんだけれども、国がやるものと市町村にお願いしてやってもらうもの、そこでなかなかお願いができないというのが実態だと伺いました。

 政務官が、大変今淡々とお答えがありましたけれども、これは大変なことだと思うんです。だって、書類を東電に出すのに、何百あるいは何千くらいの資料を出せと言われているそうです。放射線量を、使用前、使用後、あるいは写真、詳細な報告書を出さなければならない。それを、本当に大変な事務を市町村にお願いするのはなかなかできないんだ、だからこれほどおくれているんだ、出すものは一緒だけれども、国は我慢してやっているけれども、市町村にはお願いできないという話なんだそうです。

 でも、これはおかしくないですか。どこまで東電は威張っているんですか。本来なら東電みずからが除染しなければならないところをかわりにやってもらい、立てかえまでしてもらっているんでしょう。それなのに、資料を出せ、出さなきゃ払わないと、何でそんなに威張るんですか。おかしくありませんか。もう一回、政務官。

福山大臣政務官 委員さんおっしゃるとおり、私が先ほど答弁いたしましたように、証憑のいろいろな形の中で、市町村の一割の事業をそこで精査することによりまして、残りの事業もそれによって応諾するというふうな形で進めております。

 だから、今まで、全部が全部、一〇〇%そのようにするということではございませんので、そういう形で昨年十二月から協議を進めておりますので、いましばらくの間待っていただければそれは対応できる、かように思っておりますので、御理解のほどよろしくお願いいたします。

高橋(千)委員 何で政務官が東電にかわって御理解してくれと言う必要があるんですか。強く東電に向かって言えばいいでしょうが。

 一割を精査すると。だから、この膨大な資料を、一割はやらないと残りはやらないですよ、残りはようやっと簡素化しますよと言っているんです。何でそこまで威張るんですか、こちらがお願いしなきゃいけないんですかということを指摘しています。

 経産省に伺います。こういう東電に対して直ちに簡素化を迫るべきだと思いますが、いかがですか。

高木副大臣 今御指摘がありましたように、除染の費用の請求のことにつきまして、これは別に東電にかわって申し上げることではないんですけれども、東電の方も、電気料金から基本的に費用等々を払っている、そういった中にありまして、確実に除染の作業である、自治体のやっていることは、私たちの感覚からいえば、しっかりとやっている、こういう認識でありますけれども、それを、事業者にお願いして除染をやってもらったときに、確実にこういう形で費用がかかった、その証拠書類を出していただきたい、こういう話だったと思います。

 しかしながら、高橋委員今お話ありましたように、膨大な資料になりますと、自治体の職員だけでは大変な状況があると思います。そこで、環境省が東電の方としっかりと話をしていただきまして、そういう膨大な資料ではなくて、その一割ぐらい、これを、疎明資料というか、その書類として確認をさせていただければ速やかに払っていく、こういうような段取りになったというふうに伺っておりますので、私ども所管官庁としても、しっかりと東京電力に指導してまいりたい、このように考えております。

高橋(千)委員 そもそも、東電が賠償する資金を国が融資したり拠出したりして支援する仕組みをつくっているんですから、それ自体に我々は反対していますよ。それなのに、何で東電がそういう態度に出るのかということを重ねて、お願いベースではないのだということを指摘していきたいと思っております。

 さて、中間貯蔵の地権者の方たちの話に戻りたいと思うんです。

 会津若松の仮設住宅にいらっしゃる大熊町の地権者の方たちと懇談をいたしました。意見が一つではないんです。本法案で整備する大川原地区に住みたいとおっしゃる方がいらっしゃいました。一方、絶対帰れないという方もいらっしゃいました。自分たちが原発の恩恵を受けてきたかのように言われるが、東電の電気を我々は全然使っていない、そういう怒りの声も伺いました。

 原発が建設が持ち出されたときから、もう四十年以上前ですよね、そのときから何度も、例えば、堰をつくるとか、いろいろな工事をつくる、そのたびに、説明を翻したり、裏切られる思いを重ねてきた、そういう思いをしてきた方たちなんです。本当にその方たちの声は尊重しなければならないと思います。

 そこで、具体的な要望を一つ伺います。

 先祖代々の土地があった、そういうあかしとして敷地内に共同墓地を欲しいという要望がありますが、いかがですか。

福山大臣政務官 中間貯蔵施設予定地内には複数の墓地などが存在していると認識をいたしております。これらは被災者の皆様にとって心のよりどころとなっていることから、気持ちの通った対応を心がけてまいりたいと思っております。

 墓地の取り扱いについては、例えば、既存の墓地への移転、町の御協力を得て新たに代替となる墓地を新設しての移転のほか、墓地が存置されている間の墓参の確保も含めて、さまざま考えられます。今後とも、地権者の皆様の意向と要望をしっかりと伺い、個別の状況に即して、できる限り柔軟に、きめ細やかに対応を行ってまいります。

高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、大臣、一言だけ。

 本当に、帰還ありきではない、大川原地区も一つの選択肢であるということで、そういう迷っている方たちの声に応えるべきだということで、一言だけ決意をお願いします。

竹下国務大臣 帰りたいという強い熱意をお持ちの方には、我々は、どうしても温かい家庭と温かいふるさとは取り戻していただく。しかし、それは、まずは市町村で基本的なことを考えていただく、そして住民の皆さん方の強い思いを実現していくのが我々の仕事だ、こう思っております。

高橋(千)委員 終わります。ありがとうございました。

伊藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、亀岡偉民君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。金子恵美君。

金子(恵)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 一 一団地の復興再生拠点整備制度については、対象となる市町村に制度内容の丁寧な説明を行うとともに、大熊町大川原地区以外にも制度の適用を希望する市町村が幅広く活用できるようにすること。また、活用の前提となる除染を着実に進めること。

 二 帰還環境整備交付金については、地方自治体がその地域の特性に即して自主的かつ主体的に事業を実施することを旨として交付されるものとすること。また、復興の進捗状況に合わせ、必要に応じ対象事業を追加するとともに、機動的かつ柔軟な執行が必要な事業について基金化できるようにすること。

 三 住民の帰還に必要な環境整備を加速化する具体的な措置として、風評被害への対策、JR常磐線等公共交通機関の早期復旧、医療・介護・福祉等の人材確保、子どもの体力向上等に資する教育環境の改善、文化・伝統芸能の継承等の施策を継続的に講ずること。

 四 ロボット産業をはじめ、イノベーション・コースト構想を早期に具体化するため、十分な予算を確保すること。

 五 自主的避難者を含め今なお約十二万人が避難している福島の状況を踏まえ、避難者の心のケア、高齢者をはじめとした避難者の見守りや相談体制を充実するため、また、子どもの健康・生活等に対する支援を充実するための財政支援をはじめとした必要な措置を講ずること。

 六 鳥獣被害に伴う避難指示区域内の家屋、農地の荒廃等の現状を踏まえ、国による鳥獣被害対策を着実に実施すること。

 七 福島の記憶を風化させることなく、復興及び再生を推進する各種施策を着実に講ずるため、平成二十八年度以降の復興支援の枠組みについては、長期かつ十分な予算確保を定めた財源フレームとするとともに、地方自治体における人的資源の確保への支援措置の強化を図ること。

 八 東日本大震災からの復興のための税制上の特例のうち、平成二十七年度末で期限を迎えるものについては、原子力災害に伴い福島の産業復興が遅れていることを踏まえ、延長について検討すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

伊藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

伊藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。復興大臣竹下亘君。

竹下国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨を十分に踏まえつつ、福島の復興及び再生を一層加速してまいる所存でございます。

 以上でございます。

    ―――――――――――――

伊藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

伊藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時七分散会


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