衆議院

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第5号 平成28年5月27日(金曜日)

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平成二十八年五月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 今村 雅弘君

   理事 小田原 潔君 理事 亀岡 偉民君

   理事 島田 佳和君 理事 冨樫 博之君

   理事 西村 明宏君 理事 金子 恵美君

   理事 階   猛君 理事 赤羽 一嘉君

      秋葉 賢也君    秋本 真利君

      伊藤信太郎君    石川 昭政君

      越智 隆雄君    勝沼 栄明君

      門  博文君    門山 宏哲君

      菅家 一郎君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 俊一君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君    高橋ひなこ君

      武井 俊輔君    橘 慶一郎君

      辻  清人君    長坂 康正君

      根本  匠君    橋本 英教君

      藤原  崇君    堀内 詔子君

      井坂 信彦君    小熊 慎司君

      落合 貴之君    玄葉光一郎君

      郡  和子君    松田 直久君

      山井 和則君    國重  徹君

      中野 洋昌君    真山 祐一君

      高橋千鶴子君    畠山 和也君

      椎木  保君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       高木  毅君

   国務大臣

   (防災担当)       河野 太郎君

   復興副大臣        若松 謙維君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   環境副大臣        井上 信治君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   復興大臣政務官      高木 宏壽君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   経済産業大臣政務官

   兼復興大臣政務官     星野 剛士君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     熊谷  敬君

   政府参考人

   (消防庁長官)      佐々木敦朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (水産庁漁政部長)    水田 正和君

   政府参考人

   (水産庁増殖推進部長)  保科 正樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中尾 泰久君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  森  昌文君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 亀澤 玲治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   衆議院調査局東日本大震災復興特別調査室長     宇佐美雅樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     武井 俊輔君

  小泉進次郎君     長坂 康正君

  後藤 祐一君     井坂 信彦君

  浮島 智子君     國重  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     小野寺五典君

  長坂 康正君     辻  清人君

  井坂 信彦君     後藤 祐一君

  國重  徹君     浮島 智子君

同日

 辞任         補欠選任

  辻  清人君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

五月二十七日

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(野田佳彦君外九名提出、衆法第三九号)

 災害弔慰金の支給等に関する法律の一部を改正する法律案(野田佳彦君外五名提出、衆法第四〇号)

 東日本大震災復興特別区域法の一部を改正する法律案(野田佳彦君外五名提出、衆法第四一号)

 東日本大震災からの復興の推進のための相続に係る移転促進区域内の土地等の処分の円滑化に関する法律案(野田佳彦君外五名提出、衆法第四二号)

同月二十四日

 大震災・原発事故による被災者の早急な生活再建と全国的な地震・災害対策の充実に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二九〇〇号)

 同(池内さおり君紹介)(第二九〇一号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第二九〇二号)

 同(大平喜信君紹介)(第二九〇三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二九〇四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二九〇五号)

 同(斉藤和子君紹介)(第二九〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第二九〇七号)

 同(清水忠史君紹介)(第二九〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二九〇九号)

 同(島津幸広君紹介)(第二九一〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第二九一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二九一二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二九一三号)

 同(畠山和也君紹介)(第二九一四号)

 同(藤野保史君紹介)(第二九一五号)

 同(堀内照文君紹介)(第二九一六号)

 同(真島省三君紹介)(第二九一七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二九一八号)

 同(宮本徹君紹介)(第二九一九号)

 同(本村伸子君紹介)(第二九二〇号)

同月二十六日

 政府は直ちに福島原発事故収束宣言を撤回し、原発即時ゼロ、子ども・命・暮らしを守ることに関する請願(池内さおり君紹介)(第四〇八二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四〇八三号)

 同(笠井亮君紹介)(第四〇八四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四〇八五号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四〇八六号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇八七号)

 同(清水忠史君紹介)(第四〇八八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇八九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四〇九〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四〇九一号)

 同(堀内照文君紹介)(第四〇九二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四〇九三号)

 同(宮本徹君紹介)(第四〇九四号)

 被災者生活再建支援制度の抜本的拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四三六六号)

 同(池内さおり君紹介)(第四三六七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第四三六八号)

 同(大平喜信君紹介)(第四三六九号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第四三七〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第四三七一号)

 同(金子恵美君紹介)(第四三七二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四三七三号)

 同(斉藤和子君紹介)(第四三七四号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三七五号)

 同(清水忠史君紹介)(第四三七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四三七七号)

 同(篠原豪君紹介)(第四三七八号)

 同(島津幸広君紹介)(第四三七九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四三八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四三八一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四三八二号)

 同(畠山和也君紹介)(第四三八三号)

 同(藤野保史君紹介)(第四三八四号)

 同(堀内照文君紹介)(第四三八五号)

 同(真島省三君紹介)(第四三八六号)

 同(升田世喜男君紹介)(第四三八七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四三八八号)

 同(宮本徹君紹介)(第四三八九号)

 同(本村伸子君紹介)(第四三九〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

今村委員長 これより会議を開きます。

 東日本大震災復興の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、東日本大震災の復旧・復興状況等調査のため、岩手県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 なお、派遣の日程につきましては、当初五月十五日から十六日の二日間を予定しておりましたが、諸般の事情により一週間延期し、去る五月二十二日から二十三日に委員を派遣いたしましたので、御了承願います。

 派遣委員は、理事小田原潔君、島田佳和君、冨樫博之君、西村明宏君、金子恵美君、階猛君、委員鈴木俊一君、藤原崇君、真山祐一君、高橋千鶴子君、畠山和也君、椎木保君、そして、私、今村雅弘の十三名であります。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 二十二日、復興庁岩手復興局より岩手県の被害状況及び復興現状等について説明を聴取しました。

 中でも、水産業及び漁港に係る推計被害額が県全体の約七割を占め、沿岸部の被害率は推定資本ストックの四七%と、他県と比較し極めて高いとのことでありました。水産業の復旧状況については、水揚げ量が約六割、水揚げ金額が約九割回復し、漁船、養殖施設及び水産流通施設はほぼ全てが復旧し、水産加工業者も約九割が事業を再開しているものの、人手不足や販路の回復が課題である等の説明がありました。

 翌二十三日、久慈市、九戸郡野田村及び下閉伊郡田野畑村を視察しました。

 久慈市では、遠藤市長より、久慈港の湾口防波堤の早期完成、再生可能エネルギーの普及に向けた送電網の強化及び津波浸水想定区域内にある小学校の高台移転改築費に対する高率の補助について要望が出されました。その後、久慈市の被害状況及び復旧状況について概要の説明があり、久慈港周辺地域では津波により水産加工施設は全壊したものの、中小企業等グループ補助金制度等の活用によりほぼ復旧していること、観光振興については、ドラマのロケ地となった知名度を生かしインバウンドの誘致にも力を入れていく方針とのことでした。

 続いて、久慈市漁業協同組合のオリジナル商品である冷凍しめサバの加工現場を視察し、市場は全国に展開されているが、現在の課題として水揚げ高の減少による原料価格の高騰、労働力不足、物流ルートの拡大等が挙げられるとの説明が組合長からありました。

 その後、株式会社マルサ嵯峨商店久慈工場を視察し、代表取締役より説明を聴取しました。水産加工施設が東日本大震災復興交付金等により再建したこと、工場再建後は黒字経営が続いていること、年間を通じた生ウニの全国販売に向けた保存技術の開発を模索していること等、震災後の新たな一歩を踏み出した一方で、補助金にかかる重い税負担の現状、会社の継承者問題等、さまざまな課題について現場の生の声を聞く機会となりました。

 次いで、野田村に入り、都市公園整備事業と城内土地区画整理事業を視察し、小田村長より説明を聴取しました。

 野田村が進めている都市公園整備事業は、防災集団移転跡地を災害危険区域に指定することにより、都市公園整備事業として全面的な用地買収を可能としたものであり、整備された都市公園は津波防災緑地としての緩衝機能も期待されるとのことでありました。また、城内土地区画整理事業では、インフラ整備と住宅建設を同時に進めることにより住民の入居までの時間を短縮する試みを行ったとの説明がありました。

 その後、震災当日八十一名の園児と十四名の職員全員が無事避難し、全国からも注目される取り組みを行っていた野田村保育所を視察し、野田村副村長及び保育所関係者から説明を聴取しました。同保育所は、平成十七年、岩手県のハザードマップ見直しにより津波浸水想定区域に指定されたことを受け避難訓練の取り組みを開始し、月三回の早歩き散歩、保護者同伴の避難訓練、年齢に応じた訓練と個別配慮、私有地を横切る承諾の事前取りつけ等を盛り込んだ津波避難訓練計画を作成し、日ごろの訓練を絶やさなかったとのことです。

 次いで、田野畑村に入り、石原村長より復興状況の概要を聴取するとともに、島越地区自治親交会の方々との意見交換会を行いました。

 同地区においては、復興交付金を活用した島越駅前広場整備事業により、津波で流失した島越駅舎が復旧し、コミュニティーの維持を目的とした島越コミュニティーセンターが完成しておりました。

 意見交換会では、二つの団地に分かれて整備された災害公営住宅と自力再建による住まいへの入居もおおむね完了した一方で、津波により水産加工関連施設が全滅したこと等から島越地区の世帯数は震災前の半数近くに減少し、公営住宅を含み現在約百三十世帯となってしまった、小さな地域にもっと目を向けてほしいとの声がありました。また、集落の分断による郵便局や金融機関のある地区への高齢者の移動手段の確保、若い世代が戻り始めているにもかかわらず産業の再生が進まないこと、観光資源の活用や地元の海産物に付加価値をつけて売り出すPR手法のノウハウ不足等といった課題が挙げられました。

 以上が調査の概要であります。

 震災後五年余を経て、水産加工施設の復旧、防災集団移転促進事業や住宅再建等の基盤整備は進展しているものの、産業、なりわいの再生、地域コミュニティーの維持等の課題に対しては、引き続き被災地の声に耳を傾け、よりきめ細かい柔軟な対応が必要であると強く認識いたしました。

 最後になりましたが、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、御報告とさせていただきます。

 以上であります。

    ―――――――――――――

今村委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として復興庁統括官熊谷敬君、消防庁長官佐々木敦朗君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長山下治君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、厚生労働省職業安定局次長苧谷秀信君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君、水産庁漁政部長水田正和君、水産庁増殖推進部長保科正樹君、経済産業省大臣官房審議官中尾泰久君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、国土交通省道路局長森昌文君、観光庁観光地域振興部長加藤庸之君、環境省大臣官房審議官亀澤玲治君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

今村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

今村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木俊一君。

鈴木(俊)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の鈴木俊一です。

 質問に入る前に、九州熊本で大変大きな地震がございました。少なからざる方々が犠牲になり、多くの方が被災されたわけであります。

 五年前に東日本大震災があった被災地の人間として、とても人ごととは思えません。改めて、亡くなられた皆様方に御冥福をお祈り申し上げ、また被災された全ての方々にお見舞いを申し上げるところでございます。

 私どもも、とうとい犠牲の上で今さまざまな教訓を得ることができたわけでありますが、九州においても、これから仮設住宅を建設する、そういう段階でございますので、そうした知見を生かしながら一日も早く復旧がなされますことを心からお祈り申し上げるところでございます。

 質問に入りますが、当委員会で、ただいま委員長から視察報告がございましたが、現地視察がなされました。私の地元であります岩手県の久慈市、野田村、田野畑村を視察していただいたところでございます。きょうは、その視察も踏まえまして幾つか質問をさせていただきたいと思いますので、ちょっと質問が岩手のことに限定されてしまうところがあるかもしれませんが、その点はお許しをいただきたい、こういうふうに思います。

 多くの委員の方々に参加をいただいて岩手県の被災地の復旧復興の状況を視察していただいたわけでありますが、ようやく五年という年月を経過いたしまして、新しい町並みの計画、新しい町並みの様相というものも徐々に目に見える形になってきたわけであります。

 被災地におけますさまざまな課題というのは復旧復興の進捗段階においてそれぞれ変わってくるわけでありますが、今は、これから生活の再建、なりわいの再生というものに注力をしていかなければならない、そういうような期間になっている、そういうふうに思います。

 被災地において生活、なりわいの再生をする、それは一つの中心的な産業をしっかり復旧復興させなければいけないわけでありますが、被災地においては何といっても中心になるのは水産業であるわけであります。

 水産業というのはとても関連する分野が多い。漁労活動、魚をとるわけでありますが、それだけではなしに、とれた魚を市場に揚げる。そういたしますと、氷が必要になります。冷蔵それから冷凍をする。仲買人の人がそれを買い、そして水産加工に回す。魚箱屋さんというのもありますし、流通もある。本当に裾野の広い産業であるわけでありますから、それだけに水産業の再建は被災地の復興にとって重要でございます。

 きょうは、その中で、まず、水産加工業と、三陸沿岸にとりまして重要な漁業資源でありますアキサケ資源について質問をしたいと思います。

 二十三日の現地視察でも、久慈市漁協が経営いたします水産加工場、それから個人経営の嵯峨商店さんの水産加工場を視察したところでございます。東日本大震災によりまして水産加工施設は壊滅的な打撃を受けたわけでございますけれども、グループ補助金の活用等を通じまして、また関係の皆様方の御努力はもちろんでありますが、そういうものによって水産加工場の施設そのものはおおむね復旧ができてきた、こういうふうに思うわけであります。

 しかし、一方において課題はまだまだございます。一つは人手不足。募集をいたしましても、浜のお母さん、女工さんがなかなか集まらない。それから、原魚の安定的確保。そして、事業再開までかなりの期間が経過いたしましたので、その中で失われてしまった販路の回復など、大きな課題があると思っております。

 視察でも、新しい製品の開発、しめサバをつくっていて、パッケージも三鉄のキャラクターをやって、なかなか斬新なパッケージの商品でありますとか、ウニを期間を超えて出荷できるような技術を開発しよう、そういうような水産加工業者の大変な努力という姿を見たわけでありますけれども、被災地における水産加工業の復興の現状と今後の対応について水産庁にお伺いしたいと思います。

水田政府参考人 お答えいたします。

 昨年十二月末時点の調査結果によりますと、営業再開を希望する水産加工施設のうち八割以上が業務を再開している状況にございますが、同時期の本年二月に公表いたしました水産加工業者における東日本大震災からの復興状況アンケートにおきましては、売り上げが八割以上回復した業者が約五割でございまして、復興の問題点として、販路の確保、風評被害、こういったものが最も多く挙げられているというところでございます。

 このため、水産庁におきましては、復興庁計上の復興水産加工業等販路回復促進事業によりまして、被災地の水産加工業者の販路回復に向けまして、専門家による個別指導や年間三十回近いセミナーの開催などを実施するとともに、販路の回復や新規開拓に必要な加工機器の整備等を支援しているところでございます。

 この事業につきましては、今年度には予算額を十八億円と前年度から倍増させたところでございまして、引き続き、復興庁を初め関係省庁、自治体とも連携しながら、被災地の水産加工業の復興の推進に取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(俊)委員 販路回復の取り組み、これも大変大切であります。御指摘のような風評被害もございますので、今後もしっかりやっていただかなければなりません。

 この取り組みとして、昨年仙台で東北復興水産加工品展示商談会というのが開催されて、全国から多くのバイヤーが来て好評であった、こういうふうに聞いておりますが、この商談会によって具体的にどのような成果が上がったのか、お尋ねいたします。

水田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、昨年六月、仙台におきまして、水産庁、復興庁の支援によりまして、東北復興水産加工品展示商談会二〇一五が開催されたところでございます。この展示商談会には、被災地の水産加工業者など九十六社が参加いたしまして、販路回復に向けてのアドバイザーによる指導やセミナー、そして国内外のバイヤーとの商談などが行われたところでございます。

 この展示商談会の成果につきましては、主催者であります復興水産加工業販路回復センターの昨年十月の発表によりますと、商談が行われた四百七十四件のうち、二割弱に当たります九十一件が成立したほか、百二十六件の商談が継続しているということでございます。出展者へのアンケートでも、九割の方から大変満足またはやや満足との回答が得られたなど、高い評価であったというふうに承知をしております。

 この展示商談会は本年も六月七日、八日に仙台で開催される予定でございまして、昨年を上回る約百二十社が出展予定と聞いているところでございます。また、本年は、会場におきまして水産物の安全性に関するセミナーも実施される予定でございます。

 このような展示商談会の成果も生かして、被災地の水産加工業の復興に向けてさらに取り組んでまいりたいと考えております。

鈴木(俊)委員 ありがとうございました。

 次に、三陸沿岸で大変重要な漁業資源でありますアキサケの資源の問題についてお伺いをしたいと思います。

 サケというのは、御承知のとおり、必ず放した母川、母なる川に帰ってくる。そして、帰ってきたサケの卵を活用して人工ふ化、増殖事業を行う。つまり、稚魚をつくってそれをまた放流する、それの繰り返しで資源というものが永続的に利用できる、こういう仕組みになっているわけでありますが、震災によりまして、このアキサケの回帰に大きく影響をいたしました。減少したわけであります。

 アキサケの帰ってくるパターンというのは大体、四年魚、放流して四年目の魚が六〇%、三年で帰ってくるのが一〇%、五年で帰ってくるのが三〇%、こういうふうに言われるわけであります。ですから、四年魚が一番多いので、震災後、震災の年はふ化放流できませんでしたから一番心配されたのは一昨年だったんですけれども、一昨年はどういうわけか、四年魚じゃなくて震災の前の年に放流した五年魚がたくさん帰ってきて一息ついた、こういうことでありますが、昨年はその反動もあって三陸沿岸では最悪と言っていい回帰数であった、こういうふうに思います。

 そこで、三陸におけるアキサケの回帰実績、昨年度のものと一昨年とを比べてどういう状況になっているのか。ちょっと時間が押しておりますので、端的にお答えください。

保科政府参考人 お答えいたします。

 平成二十六年度におけるアキサケの回帰数は、岩手県で五百二十四万尾、宮城県で二百八万尾でありましたけれども、平成二十七年度は大きく減少いたしまして、岩手県で三百六万尾、宮城県で百六十二万尾と、前年比で申しますとそれぞれ五八%、七八%となってございます。

鈴木(俊)委員 今のお話のように川に戻ってくるサケが少ないときには予定どおりふ化放流事業ができない、そうしますとまた四年後に不漁の年が来てしまう、こういうパターンになってしまうわけでありまして、川に上がってくる親魚の不足を補うためには、海で定置などでとれたサケをふ化場に生きたまま運びまして、淡水で蓄養して、おなかの卵が熟した、そうした期間を待って、それを利用してふ化放流する、こういう方法もあります。

 水産庁では平成二十六年度よりこうした海産親魚の利用等に対する支援を行っておりまして、特に昨年はこの支援が効果的であった、この支援があったからこそ昨年もあれだけの不漁の中で一定のふ化放流事業ができた、こういうことで大変地元での評価も高いわけでありまして、今後もこの支援を継続していくべきではないかと思いますが、お考えをお聞きします。

保科政府参考人 委員の御指摘のとおり、水産庁におきましては、震災の影響によるアキサケの回帰数の減少に対応するために、平成二十六年度から海産親魚を利用してふ化放流を行うことを含めまして、放流用種苗の生産等についての支援を行ってきてございます。

 今年度についても引き続き支援を行うこととしておりまして、来年以降でございますけれども、来年においては平成二十四年と二十五年に生まれたサケが回帰の中心となりますけれども、平成二十四年生まれの放流数も震災前の八割程度、これはまだ施設が十分に復旧していなかったということがございまして、そういう状況でございますので、引き続き、親魚の回帰の状況を注視しながら、放流用種苗の生産に支障が出ないように対応してまいりたいと考えてございます。

鈴木(俊)委員 次に、話題をかえまして、再生可能エネルギー施設を設置する際大きな障害となっております送電網について質問いたします。

 久慈に参りましたときに、久慈の市長さんから今村委員長にこの要望書が提出されたわけでありますが、その二項目めに再生可能エネルギーの普及に向けた送電網の強化という御要請があったわけであります。

 東北地方は広大な土地がありまして、風況、地熱資源、日照など再生可能エネルギーのポテンシャルが高いわけでありまして、被災地でも、復興に向けての一つのプロジェクトとして再生可能エネルギーを進めたい、そういうふうに期待を寄せる市町村が少なくないわけでございます。ぜひこれに応えたいと思います。国としても、二〇三〇年のエネルギーミックスの実現はもとより、こうした被災地の期待に応えるために、送電網の整備、支援を拡充することが喫緊の問題と考えております。

 それで、一つお伺いいたします。

 現在、国で、これは風力発電に限定したものでありますけれども、送電設備が脆弱であります北海道、青森、秋田を指定して送電網整備を支援する事業を行っていると聞いております。事業の内容と現在の状況をお聞きいたしますが、済みません、時間がないので。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、北海道それから秋田、青森におきまして、送電網の整備とこれに伴う技術的課題の検討を行うということで実証事業を行っているところでございます。地元企業、電力会社などの出資による特別会社に二分の一を補助するという形で進めております。

 現在、送電線ルートの決定に向けた予備調査などを実施しておりまして、今後、土地の取得、送電設備の敷設といったような実際の整備に入っていくということでございまして、引き続き支援をしていきたいというふうに考えております。

鈴木(俊)委員 ただいま御説明をいただきました送電網整備事業、これは、風況のところに着目して、風況がよいということで北海道、東北では青森、秋田を指定しているわけでありますけれども、肝心の被災地が対象地域になっていないわけでありまして、一つは、この事業の指定地域を岩手、宮城、福島にも拡大することを検討してほしいと思います。そしてもう一つは、被災地で期待されているものは風力発電だけではないので、風力だけでなく波力であったり太陽光など多様であるわけでありまして、こうした多様な再生エネルギーも包含した送電網整備を進めることが重要と思います。

 これに関しては、東京電力が平成二十六年八月から送電線の増強を希望する事業者を募集して、希望者の共同負担、割り勘のような形で送電線の整備を行うスキームでうまくいっている、こういうふうなことも聞いておるわけでありまして、こうした取り組みを被災地で大いに行うべきであると思いますが、現在の状況を教えてください。

藤木政府参考人 ただいま御紹介がございました電源接続案件募集プロセスは、昨年の四月にルール化されたものでございまして、まさに複数の事業者で工事費を分担して負担していただくということでございます。

 それで、現在、東北電力エリアにおきましても、福島県の相馬エリア、宮城県の鳴子岩出山エリア、岩手県の宮古久慈エリアの三エリアでいわゆる入札プロセスを実施するということが決まっているというふうに聞いてございます。

 今後とも、各事業者からの申し込み等々を踏まえまして、広域機関にしっかりと対応していただきたいというふうに考えております。

鈴木(俊)委員 最後に、復興道路と復興支援道路について質問をさせていただきたいと思います。

 復興道路であります三陸沿岸道路、これは、平成二十八年以降も復興集中期間と同様に、全額国で整備をしていただくことになりました。大変感謝をしております。そして、横軸の復興支援道路は一部地元負担、県が負担することになりましたけれども、これも大幅に圧縮をしていただきまして、実質一・七%程度の負担に抑えていただきました。

 この道路につきましては大変地元でも期待が高い。野田村を視察した際も、野田村のまちづくりも、三陸沿岸道路のインターチェンジというんですか、出口のところに道の駅をつくってそこを商店の地域にするというふうに、密接にまちづくりに絡んでいるわけでありまして、何としても復興・創生期間内、平成三十二年度中に完成してほしいと思います。

 これは、まちづくりの観点だけではなしに、私が恐れておりますのは、平成三十二年度以降にずれ込むと、また地元負担の見直しという話が必ず出てくると思うんですね。他の地域は本則三分の一の地元負担、三三%地元負担ですから、この五年が経過する先はもう一回、地元負担をどうするかという議論も出てくる、ですから何としても三十二年度以内に完成してもらいたい、こう思うのでありますが、この道路の進捗状況、そして何が一番の課題かについてお伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えさせていただきます。

 復興道路また復興支援道路は、広域的な連携、交流を通じまして三陸沿岸の復興を支える重要な道路ということで認識しておるところでございます。

 復興道路といたしまして今進めております三陸沿岸道路、これにつきましては、百四十八キロで事業を推進、そして現在まで六十五キロが開通しておりまして、特に用地買収あるいは工事がかなり進捗している区間、例えば山田―宮古南、田老―岩泉、宮古中央―田老といったようなところが二十九年度まで、そして唐桑北―陸前高田、吉浜―釜石間、釜石山田道路の一部、久慈北といったようなところが平成三十年度まで、宮古中央―田老間が三十二年度までというふうにそれぞれ開通する予定で、今、事業を進めさせていただいております。

 また、復興支援道路につきましても、宮古盛岡横断道路という形で、ちょうど五十五キロについての事業を推進、そして現在まで十一キロが開通するということになっておりまして、約十キロ弱につきまして三十一、三十二年度までに開通させるということになっております。

 とはいいながらも、まだやはり、東日本大震災の被災地におきましての資材の高騰、そして人材不足を受けました労務単価の引き上げといったようなことによりまして、復旧復興事業におきましての事業費の増加といったものも見込まれているという課題もあるわけでございまして、今、関係機関と連携させていただきながら、必要な予算を確保した上で、早期開通に向けて事業を推進しているところでございます。

 以上でございます。

鈴木(俊)委員 最後に、やはり私も実感しているんですが、予算がつけばどんどん道路は整備が進むなというのを実感してございます。それで、今の復興道路、復興支援道路を計画期間内に行うというのも、やはり第一は予算の確保、平成二十九年度が一つのピークで山場である、こういうふうに聞いておりますので、来年度の予算獲得に向けて大臣に頑張っていただかなければならない。

 大臣の決意をお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。

高木国務大臣 復興道路あるいは復興支援道路の整備は復興に大変重要な事業だと考えておりまして、今委員から御指摘いただきました二十九年度概算要求はこれからではございますけれども、しっかりと国土交通省と調整しながら所要額を確保してまいりたいと考えております。

鈴木(俊)委員 終わります。

今村委員長 次に、真山祐一君。

真山委員 公明党の真山祐一でございます。

 本日は、復興特におきまして質疑の機会をいただきましたこと、ありがとうございます。

 そしてまた、先般、岩手県沿岸部の視察の機会をいただきましたことに、委員長を初め関係各位の皆様に感謝申し上げる次第でございます。

 さて、岩手県沿岸部、久慈市、野田村、田野畑村と視察をさせていただきました。先ほども委員長の御報告、また鈴木委員の御指摘の中にも多々ございましたけれども、いろいろとインフラ復旧は進んできたものの、やはり被災地のなりわいの再生という観点ではまだまだ重点的に取り組まなければいけない、そういった思いを新たにしたところでございます。

 そして、あわせて、これも意見交換の中でおっしゃっていただいた方がいらっしゃいましたけれども、人口減少、少子高齢化による担い手不足、こういった観点からも、やはり地方創生という視点をしっかり入れた、まさに政府が掲げた復興、創生の取り組みを進めていかなければいけない、その思いを強くさせていただいたところでございます。

 このなりわいの再生について一点お聞きさせていただきたいと思うんですが、先ほど鈴木委員の方から水産関係のお話がございました。こういった水産関係のなりわいについては非常に共通する課題であるというふうに思いますし、また一方で、いろいろなお話を聞く中で共通する課題として、やはり観光振興の要望というのは非常に強いものがあるなということは実感をしている次第でございます。

 この三陸沿岸部は、非常に観光資源も豊かなところでございますし、また、食べ物もおいしい場所でございます。現在、復興庁と観光庁が中心となっていただいて、観光振興による交流人口の増加によって復興、創生をしていくということで、東北観光復興ということが大きく掲げられております。

 この取り組みにつきましては、私も、以前、本委員会におきまして取り上げさせていただいて、その際は、東北全体としての取り組みとして質問をさせていただきましたけれども、全体観に立ちながらも、やはり被災地にいかに人を呼び込んでいくかという観光振興を進めていかなければならないわけでございまして、被災地における観光振興という観点からこの東北観光復興に具体的にどのように取り組んでいくお考えか、復興大臣にお伺いをさせていただきます。

高木国務大臣 お答え申し上げます。

 観光は、地域の産業全体に影響する裾野が広い分野でありまして、東北の産業、なりわいの重要な柱だと考えております。

 しかしながら、御案内のとおりでございますが、東北六県の外国人延べ宿泊者数は、風評被害の影響等によりまして、全国的なインバウンド急増の流れからは大きくおくれていると言わざるを得ない状況でございます。

 このため、ことしを東北観光復興元年と位置づけまして、観光復興予算を大幅に増額するなど、観光復興の取り組みを強化したところでございます。具体的には、インバウンドを呼び込む地域の取り組みの支援、あるいは、東北の魅力の海外への発信などを実施することといたしております。

 これらの予算をより効果的に活用するため、観光に造詣の深い専門家から成る東北観光アドバイザー会議で観光復興の課題あるいは対応策を御議論いただきまして、四月に提言を取りまとめていただいたところでございます。

 この提言を踏まえまして、まさに今でございますけれども、伊勢志摩サミットの開催に合わせて、グローバルメディアを活用した情報発信等、観光復興予算を活用した取り組みが順次進められているところでございます。

 また、三月十日には、総理から、東北の外国人宿泊者数を二〇二〇年には昨年の三倍の百五十万人泊とすることを目指すという目標が示されたところでありまして、根強い風評被害がございます東北にとって、百五十万人泊は大変意欲的な目標ではございますけれども、これまでのおくれを取り戻すという意味においても、高い目標を掲げて挑戦していくことも必要と考えているところでございます。

 この目標の実現に向け、国交省、あるいはまた関係省庁や地方公共団体、民間事業者等としっかりと連携をしながら、東北の観光復興、被災地の観光復興を力強く進めてまいりたいと考えているところでございます。

真山委員 ありがとうございます。

 具体的にはこれから順次施策が展開されていくと思いますけれども、この全体観の中で、いわゆる東北周遊ルートを構築するとともに、そのルートからしっかり被災地に人の流れをつくっていける、そうした工夫を、復興大臣のリーダーシップのもと、ぜひお願いをさせていただく次第でございます。

 続きまして、通告と少し順番を入れかえさせていただきまして、福島の自主避難者への支援についてお伺いをさせていただきます。

 原発事故によりまして、自主避難されている方々が多数いらっしゃるわけでございますけれども、この自主避難者の皆様のお声をいただきまして、その内容を少し具体的にお聞きをさせていただきます。

 具体的に三点お聞きしたいと思います。

 まず一つ目が、雇用促進住宅についてでございます。

 雇用促進住宅に入居されている自主避難者の方も多いわけでございますけれども、この雇用促進住宅、平成十九年に、十五年をかけて廃止措置にするという方針が決定されておりまして、その廃止措置によって自主避難者の方が転居を余儀なくされるのではないかという不安の声が寄せられてございますので、それについてがまず一点目でございます。

 二つ目が、県外避難先、例えば山形県であるとか埼玉県であるとか、こういったところに避難をされている方がいらっしゃるわけでございますけれども、こうした県外避難先の公営住宅の入居支援の状況についてでございます。

 埼玉県では、公営住宅に自主避難者枠を設けていただいているという話も聞いてございます。避難先の公営住宅に入居を希望される方も多いわけでございまして、各県への働きかけをぜひお願いしたいと思います。これが二点目でございます。

 それで三点目が、現在、高速道路の無料化措置を継続していただいておりますけれども、新幹線など公共交通機関を使用される場合も大変多いわけでございまして、経済的な負担も大きいので、高速道路の無料化とはまた別に、交通費に関する何かしらの経済的支援、こういったものが必要ではないかと考えております。これが三つ目でございます。

 自主避難者の支援に関して三点申し上げましたけれども、一点目は雇用促進住宅でございますので厚労省に答弁していただきまして、二点目、三点目は復興庁の見解をお伺いさせていただきます。

苧谷政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用促進住宅に入居されておられます自主避難の方を含む被災者の方のうち、無償提供期間終了後の平成二十九年三月以降、この住宅に継続して入居を希望する方については、有償での入居を可能としているところでございます。

 なお、委員御指摘の雇用促進住宅につきましては、平成十九年の閣議決定により、遅くとも平成三十三年度までに全ての譲渡を完了するということとされてございます。

 それで、現在、所有者である独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が、民間事業者へ売却する手続をとっているところでございますが、買い受けの条件といたしまして、入居者保護のため、十年間、賃貸借契約を維持する等を条件として売却を行うこととしておるところでございます。

若松副大臣 お答えいたします。

 自主避難者への支援についての県外避難者の公営住宅入居支援の状況でございますが、復興庁といたしましては、国交省と連携しつつ、公営住宅への入居円滑化を支援しているところでございます。

 各自治体における優先的な取り扱いの具体的内容でございますが、地域の住宅実情やストックの状況などに応じて異なっておりますけれども、まず、公営住宅の入居に際して居住地要件や収入要件などの入居要件の緩和を行っております。また、自主避難者向けの枠を設定して募集を行っている自治体もあると聞いております。

 ことし四月時点で、既に三十九都道府県十六政令市でこのような優先的取り扱いを実施していただいておりまして、全国の多くの自治体に御協力いただいているところでもございます。

 避難されている方々に、安定した生活を実現するための選択肢の一つとして、このような措置を御活用いただきたいと考えておるところでございます。

 さらに、県外避難者が、福島県の状況を、帰還して情報交換したい、そういう要望もございますので、その際の福島への移動支援の措置はいかがかというお尋ねでございますけれども、特に避難生活が長期化する中で、特に福島県におきましては、自主避難者への仮設住宅提供、先ほど御説明ありましたが、来年三月で終了するということを公表させていただいておりまして、円滑な帰還、生活再建に向けた支援が大変重要な局面になっております。

 その際の交通費の補助についてのお尋ねでございますが、復興庁といたしましては、今年度大幅に拡充いたしました被災者支援総合交付金におきまして、新たに県外避難者支援を支援メニューに追加しておりまして、福島県の取り組みを支援しているところでございます。

 福島県といたしましては、福島県内の県外避難者と県内支援団体や県民の方々との交流会の開催、また各避難先での交流会において、県外から福島に帰還された方々から福島の現状等を聞く機会の提供等を通じて、県外避難者の帰還後の人的なネットワークの形成や福島県の現状の把握について支援を検討されております。

 復興庁といたしましては、福島県で今年度行うこととしております交流会の開催、また参加のために、参加者への交通費の助成を含めて、復興庁の被災者支援総合交付金を活用して、しっかりと支援してまいりたいと考えております。

真山委員 ありがとうございました。

 自主避難者の皆さんも大変情報が不足しているというのもございまして、それによる不安の声も多々あるわけでございます。

 そういう中で、きょう取り上げましたテーマというのは、実は米沢市に避難されている方々でございまして、恐らくこの方々は、若松副大臣にも一度懇談いただいた方々であると思います。ぜひ、引き続きまして、自主避難者の皆様、経済的にも大変苦しい状況がございますので、支援の方をお願いさせていただく次第でございます。

 次に、今、葛尾村また川内村が来月の避難指示解除に向けて取り組みを進めておりますし、また、順次、南相馬市や川俣町も解除が検討されている段階でございまして、いよいよ本格的な復興のまちづくりが始まるという段階でございます。

 そうした中で、放射線への不安や仕事上の理由、また、子供の学校の転校の問題などの理由から、子育て世代はなかなか戻ってこないのではないか、そういった御懸念もありまして、確かにそうした一面もあろうかと思います。

 しかしながら、帰還する子供たちが確かにいるわけでございまして、帰還環境整備として、教育環境の充実、再構築をしなければいけないと思っているところでございます。

 先月五日に、公明党といたしまして、学校を再開する福島県内の小中学校への支援に関する要望を、馳文部科学大臣に提出させていただきました。小中九年間の義務教育を一貫して行う義務教育学校制度の活用や、英語教育やICT教育の充実、また、施策の推進に当たっては、地方創生コンシェルジュの活用などを要望させていただきました。

 解除された地域もこれから解除予定の地域も、具体的に小中学校の再開計画を考えておりまして、学校再開について、移転先から地元に戻る場合に、やはり多くの子供たちや保護者が安心して、また魅力を感じられる特色と魅力ある学校づくりを、文科省、県、市町村が連携して取り組む必要があると考えておりますけれども、文部科学省の見解を伺います。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、先月、お申し入れ等もいただいておりますけれども、避難指示が解除される地域の学校再開に当たっては、御指摘のような懸念も踏まえて心すべき点、特に、多くの子供たちや保護者が魅力を感じるような特色づくりが非常に重要だと考えておりますので、そのためには、文部科学省として、福島県や関係市町村とも緊密に連携協力しながら、最大限の支援を行う必要があると考えております。

 その際、先ほど、例えば義務教育学校の検討あるいは英語、ICTといったようなもの、また、いただきました御要望の中には、例えばふるさと創造学のような地域の特色を生かすもの、そして対応窓口の強化など、いろいろございました。こういった点を含めまして、福島県とともに、きめ細かな支援が必要という観点から、設置者の皆様のニーズ等の把握の取り組みを始めているところでございまして、引き続き、福島県あるいは関係市町村と緊密に連携しながら、行政関係者のみならず、保護者や地域住民の皆様も含めて、各地域の具体的なニーズを丁寧に伺いながら、総合的な支援を行ってまいりたいと考えております。

真山委員 学校の再開につきましては、やはり解除後のまちづくりは重要な要素でございまして、しっかりと復興計画に位置づけて推進していくべきものであると考えております。

 そういった観点でいうと、復興庁の後押し、これは必要不可欠でございまして、この避難指示区域の学校の再開について、復興大臣の御決意をお伺いさせていただきます。

高木国務大臣 避難指示区域内の小中学校のうち、避難指示解除に伴いまして、これまで、川内村、広野町、田村市都路地区において小中学校が再開しているところでございます。

 今後、他の市町村においても、避難指示の解除に伴い、避難元市町村での小中学校の再開に向けた取り組みが進められることになりますけれども、学校の再開に当たりましては、教職員の加配あるいはまたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの配置、児童生徒の就学、通学の支援、また、双葉郡で取り組んでいるふるさと創造学など特色ある教育への支援、また、校舎等の学校施設の修繕、充実などが大きな課題になると考えております。

 次代を担う子供たちの育成は、この地域の復興に極めて重要でございますので、文部科学省あるいはまた福島県と協力して、市町村の考えをしっかりと伺いながら、復興庁としても引き続き全力で支援してまいりたいと考えております。

真山委員 ありがとうございました。

 次に、福島新エネ社会構想についてお伺いをさせていただきます。

 福島復興の夢と希望の柱としてイノベーション・コースト構想が策定されたわけでございますけれども、本構想の新エネ分野を加速するとともに、福島県が掲げる再生可能エネルギー先駆けの地の実現に向けた重要な取り組みとして、ことしの三月、総理の御指示のもと、福島新エネ社会構想が発表され、先般、検討会も持たれたわけでございます。

 このエネルギーに関しても、その分野は多岐にわたるわけでございますけれども、まず一点、具体的にお聞きしたいと思います。

 先ほども少しお話ありました、福島県も非常に風況に恵まれた地域でございまして、県内には二カ所の大規模発電施設が既にございます。そして、福島沖では洋上風力発電が実証実験をされている。そしてさらに、今後の計画として、阿武隈地域また沿岸地域における二カ所で、最大出力百二十万キロワットクラスの大規模風力発電計画が進められておりますけれども、やはりこの系統接続に課題がございます。

 系統接続の課題に対して、この福島新エネ社会構想においてもその必要性の記載がございますけれども、具体的にどのように対応していくお考えか、これは経済産業省のお考えを伺います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、阿武隈山地あるいは福島県沿岸地域において、風況調査や環境アセスメントの準備などが進められていると承知しております。

 このプロジェクトを実現するためには、送電網、送電線の増強ということが重要でありまして、福島県からも大変強い要望をいただいているところでございます。

 こうした問題に対応するために、電力会社や発電事業者などが協力しながら、東京電力の新福島変電所、この機能を活用して送電網、送電線の問題を解決するという仕組みが構築できないかということで今検討を進めているところでありまして、この検討を御紹介いただきました福島新エネ社会構想の中でしっかりと位置づけていきたいというふうに考えているところでございます。

真山委員 時間が迫っておりますので一問飛ばさせていただいて、最後、復興大臣にお伺いをさせていただきます。

 飛ばしました質問は水素社会の実現についてでございます。

 これも新エネ社会構想の重要な柱でありまして、郡山市に開所いたしました産総研の再生可能エネルギーの研究所がございます、ここを中心に水素キャリアの研究が進められておりますけれども、こういったものは、まさにこれからの日本のいわゆる成長戦略に資するプロジェクトでございまして、まさに新三本の矢で掲げるGDP六百兆円実現に向けた日本の成長戦略を牽引する国家プロジェクトとして取り組んでいただきたいと念願しておりますし、そして、本構想実現のためには、やはり関係省庁の協力が必要不可欠でございます。

 福島の復興と直結することから、やはり復興大臣の力が必要不可欠と私は思っているところでございまして、福島新エネ社会構想の実現に向けた復興大臣の御決意をお伺いさせていただきたいと思います。

高木国務大臣 福島新エネ社会構想は、福島イノベーション・コースト構想のうち、エネルギー分野の加速化を図り、その成果も活用しつつ、福島全県における再生可能エネルギーの導入拡大、あるいは水素の効率的な輸送技術を開発するといった、未来の水素社会実現のモデル構築等を目指すものと理解をいたしております。

 こうした取り組みは、原子力災害からの復興再生に資するものであって、復興庁としても、産総研福島再生可能エネルギー研究所の研究を初め、各省の取り組みとよく連携を図りつつ、引き続き福島の復興再生に取り組んでまいりたいと考えております。

真山委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 民進党の小熊慎司です。

 復興集中期間から、今、復興・創生期間に移行して、震災から五年以上が経過をしていますけれども、御承知のとおり、原発事故災害はいまだ継続中の災害でありますし、もちろん解決して進んでいるものもあれば、逆に、積み上がっていく課題なども山積をしているところであって、復興が道半ばというよりは、まだ緒についたばかりとも言える部分もあります。

 そうしたさなかで、この後、同僚議員が質疑で触れますけれども、我が党といたしましても、復興加速四法案というのを過日提出させていただきました。しっかりと復興を進めていかなければならないという思いで、今解決すべき課題についてこの法案をつくらせていただいたところであります。

 まず初めに、高木大臣にお伺いしますが、本年の三月に閣議決定をされた復興の基本方針の中には、原発事故を抱えている福島については、これはやはり、復興・創生期間とはいえども、またそれが五年で終了するとはいえども違うということを指摘していただいていて、「福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、「復興・創生期間」後も継続して、国が前面に立って取り組む。」ということが示されています。

 ここで改めて、国が前面に立つということはどういうことなのか、大臣にお聞きをいたします。

高木国務大臣 先般閣議決定されました「復興・創生期間」における東日本大震災からの復興の基本方針におきまして、委員の御指摘のとおり、「福島の復興・再生は中長期的対応が必要であり、「復興・創生期間」後も継続して、国が前面に立って取り組む。」としているところでございます。

 これは、原子力災害によりまして、福島第一原発の廃炉には三十年から四十年を要するということ、あるいは放射線量の低下に時間を要すること、避難指示区域において復興に時間がかかることなどから、福島の復興再生は中長期的対応が必要としたものであって、こうした災害の影響が残るために、福島の復興に向けて、国は復興・創生期間後においても前面に立って取り組んでいくというふうにしたものでございます。

小熊委員 その心意気というか姿勢はもちろん大事でありますし、今ほど、廃炉がかなり時間がかかる、長期化するという話もいただきました。

 先ほど真山議員も風評被害についてやりましたけれども、まさにこの風評とか風化といった問題も、ずっとこれは、廃炉の作業をしていれば、福島県民挙げて、また政府も御協力をいただいて明るい情報発信、ポジティブな情報発信も福島でしているところではありますけれども、やはりネガティブな情報が多分廃炉になるまでは折々に情報発信をされてしまうというのも事実であって、この風評被害、また風化といった問題も、これは長期的に取り組んでいかなければならないところであります。

 これまで、民主党政権から、また自民党政権にかわってからもずっとこの風評の払拭に関しては努力をしていて、一定程度の効果はあるんですけれども、どうしても固定化してしまって、どうしても理解を得られない割合が色濃く残っているというのも事実であります、これは国内外を問わずですね。

 そういう中で、風評被害について細かく質問していきますけれども、営業損害の賠償が、ざっくり言えば二年分前倒しで一括で払って、その後もこれで打ち切りということではないということは確認はしていますが、大体これで終わるんだろうという感じもしているところであります。

 それで終わりということではなくて、やはりこれは、いろいろな意味で、時間の経過とともに新たな問題も積み上がってくるという場合においては、追加的費用が生じた場合に、言及はされているんですけれども、必要かつ合理的な範囲において支払うと言っているんですけれども、これがなかなか今の現状でも渋くて、狭き門になっています。これは、いまだに風評が払拭されていない、さらにこれからも積み上がっていくということを考えれば、この必要かつ合理的な範囲というのも、しっかり対象の事業者と協議をして、一方的な切り方ではなくて、対象事業者も納得をするということが重要だというふうに思います。

 十分な協議の上に柔軟に対応する、しゃくし定規の対応ではなくて柔軟に対応して、それで、この風評というのは、私もこの委員会でもたびたび言っていますけれども、これは終わることがないんです、廃炉までは確実に続くと思いますし、廃炉になったとしても、その後も世間の印象として福島はどうあるかというのはわからない部分もありますから、今後も、営業損害に対する賠償のあり方とか営業損害に対する国としての支援の仕方とか、これは永続的にやっていかなきゃいけないと思っていますが、今後の対応についてお伺いをいたします。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 東京電力によります商工業者への営業損害賠償につきましては、昨年六月に閣議決定されました改訂福島復興指針を踏まえまして、ただいま先生から御指摘ございましたけれども、事故との相当因果関係が認められる損害が生じている事業者の方々に対して、年間逸失利益の二倍相当額を一括してお支払いする、また、事故に伴い支出を余儀なくされた追加的費用につきましては、負担された実費のうち、必要かつ合理的な範囲の金額を支払うということとなっております。

 そして、その後でございますけれども、個別の事情を踏まえて適切に対応するということになっております。この個別の事情の確認ということでございますけれども、何よりも丁寧な対応が重要だと認識しております。

 東京電力におきましては、事業者の方々を直接訪問し、対面での説明、そして具体的な状況の把握といったことで現地での対応の強化に努めていると承知をしておりますけれども、引き続き適切な対応を行いますよう東京電力を指導してまいります。

小熊委員 現場の声を聞くと、震災直後と最近では東電の態度も担当者の態度も全然違うし、今回の営業損害の一括払いの対象にならないという人たちが弁護士を通じてとかADRを通じて折衝していても、東電の方も担当者が毎日ころころかわって、その都度、電話をかけるたびに最初から説明をしなきゃいけないとか、そうやってごまかしていくのが手なのかなと思うぐらいに、丁寧な対応じゃないわけですよ。これは人の印象もありますけれども、多分経産省にも声は届いていると思いますが、本当に多くなってきています。

 こういう対応の仕方、丁寧にやっているといっても、今現状そういうことですから、これはやはり震災直後の原点に立ち返って、心ある対応をしてもらわなければいろいろな協議が進まないですし、ADRに持ち込まれる案件も今後ふえてくるというふうに思いますし、今声を上げていないいろいろな事業者も決して納得がいっているというわけではありませんので、しっかりとここは厳しくやっていただきたい。

 と同時に、一点経産省に確認しますが、この風評被害というのはもうほぼほぼ終わりがないという認識を持ってやっていただきたいんですが、いつかはなくなる、時間の経過とともになくなるという問題ではないというふうに私は思っているんですね。その認識、ちょっと確認させてください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 まず、先生から御指摘ございました個別の事業者に対する丁寧な対応ということにつきましては、引き続き、心してやってまいります。

 それから、個々の事業者ごとに御事情が違いますので一律的な答えにはなりませんけれども、事故との相当因果関係が認められるという損害が生じているというときには、これは賠償の対象であるというのが基本的な考え方でございまして、そのような意味で、個々の事業者の状況に即しまして、丁寧に一個一個対応してまいります。

小熊委員 相当の因果関係というのが、危険なというか、相当の因果関係がなくたって、では福島のブランドが傷ついていないなんていう証明もできないわけですよ、逆に言えば。事業者の方から証明しなきゃいけないんですが、逆に東電側から、福島、影響ゼロだ、風評もなくなったなんていう、証明しろといったらできないですよ。

 経産省としては、そういう意味では、個別の補償のほかに面的な支え方もあるわけですから、今言ったように、風評というのはなくならないんだ、なかなか時間がかかっても、なくしていかなきゃいけないんですけれども、これは色濃く残るということで支援をしていくという、この方向性はしっかりと認識をして、相当の因果関係じゃなくても、これはいろいろな要因がありますよ、それは人口減少とかいろいろな、景気の動向とかあるけれども、ほかの地域に比べて福島のブランドは傷つけられているというのは事実ですから、これは。では、より具体的に、個別に定量的に数字で示してくださいといったって、できないのもある。できないからといってゼロかといえばゼロではないというその認識は重要ですから、そういう思いに立って風評被害の払拭の対応はしていただきたいというふうに思っています。

 次に移りますけれども、これは、正しい情報発信はしていますが、中には間違った情報発信もされています。いろいろなネットまで言うと、もうとどまるところを知りませんし、私、外務委員会の方でもやった、香港の吉野家が福島のものを使っていませんなんて言ってポスターをつくっちゃうぐらいやっているという事例もあって、これは政府からも、外務省からも申し入れをしてポスターを剥がさせたりしていますけれども。環境大臣の一ミリシーベルトの話も、あれもこういう、ある意味では間違った情報発信のもとに混乱を来しているというところがあります。

 正しい情報発信のほかに、逆に、間違った根拠のない情報発信がされた場合は、これは国は、中立的な立場、客観的な立場からですけれども、しっかりそういうメディアには細かいことも含めて逐次指摘をしていかなきゃいけないと思っているんです。これは、違う案件で、免許を取り上げるどうのと、メディアに対して政府もちょこちょこ言っていますけれども、福島県からすれば、それはそれとして、こういうことにこそもっと神経を張って、メディアに厳しく言っていただきたいというふうに思うんです。

 正しい情報発信をしっかり指導していくという意味において、間違ったこと、誤解を与えるようなことがあれば、これを逐次細かく指摘していかなければいけないというふうに思うんですけれども、この点についての対応はどうですか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 震災から五年を経過した今も、農林水産業や観光業を中心とした幅広い産業分野で風評被害が続いているというふうに認識をいたしております。

 復興・創生期間のスタートとなる本年四月一日には、風評対策タスクフォースを開催いたしまして、大臣より、これまでの取り組みの検証及びさらなる風評対策の強化に加えまして、正確な情報の国内外への発信など、政府一丸となった風評払拭に取り組むことを関係省庁に指示したところでございます。

 なお、御指摘の事実と異なる報道があった場合についての対応につきましては、一般論として、その事項を担当する機関が報道機関に対して適切な事実を指摘すべきであるというふうに考えております。

 いずれにしましても、引き続き、科学的知見に基づく正確な情報発信や風評被害の払拭に向けて努めてまいります。

小熊委員 正しい情報発信、これまでもしてきたんですけれども、そういった中でも風評被害がなくなっていかないし、間違った認識も流布されているという、これは範囲は本当にネットの世界まで言えば幅広くなっちゃうんですが、だから、この点についても厳しく、これまで以上に、間違った情報発信に対してはより厳しく指摘をしていくという対応は、今後一層力を傾けていただきたいというふうに思っています。

 いろいろなPR、各市町村だけではなくて、いろいろな観光関係の民間団体を含め、情報発信に努めているんですけれども、これは、はっきり言えば福島県が被害者なんですけれども、やらざるを得ない。

 その中で、制度的には、市町村復興支援交付金制度を活用しながらPRしているんですね。これはハンデなんですよ、ほかの地域から比べると。ほかの地域は、大臣のところの福井だって、福井はいいところです、来てくださいとやっているだけでいいんですけれども、こっちはより以上PRをしていかなきゃいけない。それが、本来は国の政策で始まった原子力政策、そして東電の事故であるにもかかわらず、被害者の側が自己の負担でやっているということです。

 その中で、交付金制度もあるんですが、この原資も限りがありますし、今ほどお話ししたとおり、風評被害というのは長く続く、対応していかなきゃいけない課題でもある。

 先ほど大臣が国が前面に立つとも言っていただきましたから、継続した、市町村がPRする場合の経費、これはやり方は、国が押しつけてやるよりは市町村のアイデアで情報発信した方がいい部分もありますから、まあ国がPRすべきものもあるんですよ、だけれども、市町村のアイデアでやっていった方がいい。でも、その予算をどうするのか。今の交付金、これも限りがあるけれども、継続的な支援が必要だと思うんですよ、この復興交付金に関しては。この対応は今後どうなっていきますか。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 風評被害対策につきましては、復興特会のほかに、一般会計や、復興庁から県に基金として拠出いたしました原子力災害からの福島復興交付金など、各自治体における取り組みを支援するために国としてさまざまな予算措置などを講じているところでございます。

 引き続き、これらを活用しながら、関係省庁、福島県及び市町村と連携を密にして、官民挙げて風評払拭に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

小熊委員 継続をしていくことが重要ですから、先ほど言ったように、残念ながら、風評被害というのは一朝一夕に解消しないというのが事実なので、継続をしていく。

 その継続をしていくという姿勢がしっかり市町村に伝われば、いろいろな風評被害の払拭で市町村、いろいろな関係団体もやっている中で、いつかは予算が途切れたらどうするんだろうという不安のもとでやるよりは、これはもう継続してずっと支援していくからということを、しっかり国の姿勢を伝えていくということが現場においても安心したPR活動につながっていきますので、そういう継続していくという姿勢、安心感をぜひ与えていただきたいというふうに思います。

 今週、サミットも行われていますが、福島県におきまして、これは初のことだというふうに聞いていますが、関東の四都県五政令都市の首脳会議というのが行われて、共同宣言というのが出されました。その共同宣言の中でも、風化とか風評被害払拭に取り組んでいくんだということを言っていただいています。

 五年たって、いろいろ頑張ってはいるんですが、まあ観光客は戻ってきている。今、とりわけ東北がちょっとインバウンドは振るっていないんですが、先ほど、外国人観光客も政府として高い目標を掲げてやっていく、これはありがたい。

 でも、教育旅行は、実際は福島県、ざっくり言うと全体的に半分も戻ってきていないんですね。そういう中で、埼玉の上田知事のコメントでしたけれども、保護者に対するこの壁を打ち破っていくんだという力強いコメントも福島でしていただきました。

 そういう意味で、教育旅行に関しては、まだ厳しい状況でありますから、安全性のPRと誘客の施策に対して国が積極的に関与すべきだというふうに私は思います。

 逆に、福島はこれまでも数多くの教育旅行、スキー教室とかそういう体験型の旅行まで含めて盛んに来ていただいた。改めて、福島は教育旅行の聖地だということで、特に私の地元は古く日新館というのがあって、これは小泉さんのときに新潟の米百俵の話がありましたけれども、もうそれより以前に、藩の財政が厳しいときに、全部コストカットするけれども、逆に藩校を建てて教育をちゃんとやらなきゃいけないということで日新館をつくって、かの長州の吉田松陰でさえ視察に来ている。まさに教育の聖地というのは昔からあったわけです。そういう意味でも、教育旅行の聖地と言われるぐらいの高い目標を掲げたいというふうに思っています。

 ただ、そのためには支援が必要でありますので、国として、そういう教育旅行、観光プロジェクトの支援というのはどういうふうにしていくのかをお聞きいたします。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 観光庁では、福島県におけます早期の観光復興を促進するために、観光関連復興支援事業というものによりまして、同県が実施します風評被害対策、震災復興に資する観光関連事業に対する支援を行っておりますが、この中で、教育再生の事業ですけれども、福島の観光の魅力を実際に体験していただくための教育旅行関係者の現地への招聘、そしてあと、教員、生徒さんなどに実際に被災地を視察してもらうモニターツアーの実施、あるいは、震災語り部のスキルアップとか震災学習プログラムの造成、教育旅行専門誌等を利用した県外への情報発信の強化、こういったことをやってございます。

 また、この三月に取りまとめられました明日の日本を支える観光ビジョン、この中におきましても、PTA等に対する視察旅行を通じて防災学習も含めた教育旅行の再興を図るというふうにしてございます。

 観光庁としましては、引き続き、復興庁、文部科学省などとも連携をして、福島県への教育旅行の推進に努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 いろいろな取り組みで各学校に説明に上がっているのは、市町村だけじゃなくて民間の団体もやっていて、結局それがどうだったのかという御意見をお伺いすると、やはり親なんですね。

 だから、今回の九都県市の首脳会議でも上田知事が言ったとおり、保護者の壁という言葉を使っていましたけれども、校長先生が、担任の先生が福島に行こうと言っても、PTAの全体じゃなくても、一人、二人の反対を食らうとやはり諦めちゃうというのが現状ですから、今答弁のあった取り組みの中でも、とりわけPTA、親に対する理解の促進というのに力を傾けてやっていかないと教育旅行の復活はなかなかなされていかないのが今の現状ですから、ぜひ、今より以上にPTA。PTAの役員だけオーケーでも、ほかのメンバーがだめと言えば、それでもうPTAの会長も、俺はいいと思うんだけれどもなあとなっちゃうわけですよ。

 だから、PTA全体、親、保護者全体に対するアプローチをどうしていくかというのをもうちょっと工夫して理解促進に努めていくということを、今後考えて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 さらに、次の質問に行きますけれども、ほかの、教育旅行以外の部分も、大分戻ってきているのもあれば、やはりまだまだというところもあるんですけれども、これはやはり、適正なPRにしながらも多少げたを履かせてもらわないとなかなかしんどいなというところもあります。

 これは国じゃないですけれども、東京都なんかでも、あれは石原都知事の時代でしたけれども、福島への旅行をする人には助成金をつけてもらったりというのは非常に助かりましたし、国においては高速道路の割引なんかも一定程度の効果があったのは事実で、今、まだまだ復興半ばである、原発事故災害も続いている、風評被害もそこの部分は固定化しているということを考えれば、やはり、即効性、実効性のある支援策というのは補助制度というものも活用していきたいなというふうに思っています。

 そういう意味で、観光部門に対しての助成制度、旅行業者への補助制度、あと、福島県内でも二次産業とか製造業においては施設の新設とか改修の補助があって、企業支援というのはしてもらっているんですけれども、では観光部門の方はあるかといえば、ないんですね、観光部門の施設新設、改修とかいった補助が。これは二次産業の方でやっているわけですから、観光というのも、最大の世界の産業だとも言われていますし、経済効果も高いというのも明らかであるので、観光部門に対するこういった施設改修、新設などへの支援策というのも創設してやっていくということが必要だと思いますが、この点についてどうですか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりに、福島県では、特にインバウンドなんかも震災前のまだ半分の水準にとどまっているという状況でございます。このため、政府として、本年から、東北観光復興元年ということで、今まで以上に福島を含めた東北の観光復興に取り組んでまいります。

 まず、先ほど申し上げました福島の観光関連の支援事業等しっかりやってまいりますけれども、あわせまして、本年度、東北の各県の地域からの発案に基づきまして、新たな交付金制度というものを創設してございます。この中では、観光案内所の設置でありますとか地域の路線バスとか鉄道の共通フリーパスの造成など、こういったものに対しても助成、支援を行ってまいります。こういったものは、一部民間の方でも使っていただけるということでございます。

 こういった取り組みを通じまして、復興庁などの関係省庁、あるいは自治体との連携を強化して、施策を総動員することで観光復興に取り組んでまいりたいと考えてございます。

小熊委員 これは、全産業をどう支援していくか、バランスよくやっていかなきゃいけませんから、今までハード的なものは観光部門にちょっと少なかったので、ぜひこれをしっかり取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 また、今、観光庁の方で、海外での日本の情報発信、風評被害払拭のための計画をしているというんですが、いろいろ検証してみると、インバウンドで、今、伸び率が佐賀県がいいと。何でだろうと思ったら、タイで番組をやったからということでした。

 映画とかになるとかなりの費用が必要になってきますけれども、そういう観光番組とか、今国内でもバスの乗り継ぎのものがもう映画にまでなっちゃいましたけれども、やるとか、ぶらり旅みたいな観光情報番組がありますけれども、海外でもそういう番組が見受けられます。そういう番組にアプローチして、日本がPR映像をつくって流すということも大事なんですけれども、逆に、タイで佐賀県が伸びたという事例もあるわけですから、そういう海外の映像メディアを被災地に誘致してその国で流してもらうということは、かなり効果があるんじゃないか。実際その効果が出ているわけですから。

 そういう取り組みはどうされますか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、映像によって観光の魅力を発信していくということは、風評被害払拭のために大変有効な手段だと考えてございまして、私ども、今、アメリカのグローバルネットワークのCNN、これを活用して、福島を含む東北の映像を放映してございます。また、今後も、グローバルメディア、欧米、アジアなどにおいて影響のある著名人などを招聘する、こういったことによりまして、映像により東北、福島の観光魅力の発信を行うというふうにしてございます。

 あわせまして、イベントとか祭りの開催時、こういった際にも海外メディアを大規模に招聘するということによりまして、福島を含む東北の観光魅力の発信に努めてまいりたい、こういうふうに考えてございます。

小熊委員 あと、極端に言えば、観光とかそういった海外の旅番組を買い取って福島特集をやるとか、被災地特集をやって、それも楽しい旅行番組ですよ、買い取ってやるというのもちょっと検討していただきたいなというふうに思っています。

 最後に、もう一回高木大臣に聞きますが、国が前面に立つとはいっても、今、この風評被害の払拭でも、与野党ともに、また地方議員の皆さんも、自分の後援会を福島にやっていただいた、いろいろな地元の学校にアプローチするだけじゃなくて。高木大臣の後援会の人が福島に来ているというのは聞いたことがないんですけれども、ぜひ今後やっていただきたい。これは率先垂範です。

 私の知り合いの帯広の市会議員なんかは、帯広から会津まで来るなんて大変なんですけれども、数年にわたって福島に後援会を連れてきていただいて、それが支援だとやっていただいていました。大臣も、もう選挙後どうなるかわかりませんが、率先垂範していただいて、公的な立場からも私的な立場からも復興に資するんだという思いで、それは姿勢を示していただきたいというふうに思っています。

 さらに、国が前面に立つとこれまで言ってきましたけれども、福島の第二の廃炉は事業者任せになっていますから、大臣の答弁もそれ以上の踏み込みがありませんでした。

 この点については、もし、福島県に行かれて、第二の廃炉、どうなっていますか、正直に言っていただきたい。ここは国が前面に立ちません、これは事業者任せなんです、法律をつくれるけれども検討もしていませんと、正直に言ってください、それは。我々は、法律をつくって、これは廃炉に向かう努力をこれからしていきます。でも、今、政府においてはそれはやらないという答弁でしたから、それは正直に福島の人たちに、全基廃炉ということを言っている、まして、選挙のたびに県連レベルでは全党それを指摘しているにもかかわらず、国はやらない、やれるのにやらない。

 そこは、ここは申しわけないが国は前面に立ちません、あくまでも事業者任せなんですとはっきり説明をしてください。我々はそれに向かって努力をしますけれども、政府の立場からすれば、それは幻想ですよと言ってあげてください、正直に。やれるのにやっていないんですから。ここは国が前面に立っていませんというのは明らかにしていただきたい。

 前面に立つというのであれば、しっかり法律をつくっていただきたい。法律をつくらないのであれば、ここは前面に立っていないということの証左ですから。今後もそうですよね、つくりませんし、あくまでも事業者の判断ですよね。ということであれば、国が前面に立たないということですから。

 大臣、一言お願いします。

高木国務大臣 前段の後援会の話でございますが、確かに、なかなか福井から福島というのは、ちょっと後援会の皆さんは来ておりませんが、地元でいろいろな発言をするたびに福島のことを話させていただいて、例えば、市議会の議員の皆さん等に行っていただいたり、あるいは私の住んでおります地元の役所から職員を派遣していただいたりもしておりまして、私なりに復興大臣として、福島の復興に向けて、そういった個人的なレベルにおいても取り組みをさせていただいているということは申し上げたいと思います。

 また、先ほどの二Fの話でございますけれども、たびたび答弁をさせていただいておりますけれども、福島県から県内の全基廃炉の要望があることというのはよく承知をいたしております。福島第一原発で苛烈な事故が起きて五年がたった今なお、多くの福島県の方々が避難されているところでございまして、福島県の皆様の心情を察すれば、福島第二原発の全基廃炉を早急に実現してほしいという思いを持たれることについては理解をするところでございます。

 復興庁といたしましては、こうした地元の思いを真摯に受けとめるとともに、原子力災害からの復興を進める立場から、福島第二原発についても大きな関心を持っているところでございます。

 その上で、福島第二原発につきましては、地元のさまざまな御意見なども総合的に勘案しながら、事業者が判断を行うものと承知をいたしております。福島県民の心情を考えると、他の原発と同列に扱うのは困難と認識をしております。いずれにせよ、事業者や地元の方々の声を尊重していくことが重要だと考えております。

小熊委員 時間が来たので終わりますけれども、大臣が言ったように、関心を持っているだけで、前面に立っていないということが明らかになりましたから。これは、福島県民の前でも、ここは前面に立ちませんとはっきり今後言ってくださいね。何もアクションを起こせないんですから。

 我々は、これに関しては、しっかりと全基廃炉に向かって具体的に今後行動していくことをお伝え申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 民進党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 岩手を視察させていただきまして、現地で皆さんの声を聞きながら、五年間、困難を乗り越えてこられ、そしてその上で前進してこられた岩手県民の皆さんのエネルギーを感じたところでもございました。

 各地を回らせていただく中で、野田村に伺ったわけですけれども、野田村保育所というのは、先ほども委員長からの報告にありましたように、津波によって全て流されてしまったわけですけれども、日ごろから大津波を想定した避難訓練を実施していたため、被災当日通っていた園児八十一名、そして先生方十四名の方々は全員無事だったということで、高台に避難され、奇跡の脱出として話題になったところでもございました。

 実際に、間に合わない場合は私有地も通らせていただく、横切るという承諾を得ていたということもありまして、地域住民の皆さんの理解と協力が存在していたということであります。あらゆる環境を整備していたという状況でございます。

 私は、実は、その話を聞きながら、津波から逃げおくれてしまって多くの子供たちが亡くなった宮城県石巻市の大川小学校のことも思い出していました。今回の野田村保育所からも教訓を得ることがたくさんあります。子供たちの命を守ることができた野田村保育所、そして残念ながら子供たちの命を守ることができなかった大川小学校、両者のケースから私たちは教訓をたくさん得ることができます。それは、やはり必ず大切な命を守っていかなくてはいけない、そのためにしっかりと日ごろからさまざまな取り組みをしていかなくてはいけないということで、災害にしっかりと備えるということがいかに重要かということであります。

 そこで、質問させていただきたいと思いますが、まずは、市町村では、避難訓練を実施し、そしてまた防災訓練、防災教育をしっかりと行うことが必要であるというふうに思います。また、地域が一体となって災害に備えるために、災害弱者となり得る方々についての情報をしっかり把握できるような形で、みずから地域住民を守ることができる自主防災組織の構築というものが必要不可欠だというふうに思っております。

 そこで、国としては、どのように市町村の取り組みを、あるいは地域の取り組みを支えていくのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

酒井大臣政務官 お答え申し上げます。

 発生時に高齢者や障害者等の要配慮者の方々が安全に避難できるようにするため、災害対策基本法に基づいて避難行動要支援者名簿がつくられております。そのことは、実は大変に有効であるというふうに考えておりますけれども、まだ、なかなか各市町村から出てきていないというところも実はあるようであります。

 内閣府といたしましては、その方針に向けて、関係者に対する普及啓発のための研修や訓練の実施などを求めているほか、先ほど申し上げました支援対象の皆さん、高齢者の皆さんたちなどに対しての防災訓練の参加の機会の拡充を通じて、地域住民の皆様に御理解をいただけるように言及もしているところでございます。

 そして、具体的な普及啓発のことに関しましては、これは私の地域でもそうですけれども、地域性が随分あります。それで、地域の実情を踏まえた手法によって市町村において対応されることが適切と実は考えております。

 取り組み指針の周知等を通じてその必要性を市町村に認識いただけるよう、取り組みの促進を図ってまいりたいというふうに思っております。

佐々木政府参考人 自主防災組織の関係についてお答えをいたします。

 委員御指摘いただきましたように、発災後に住民の安否確認を迅速に行うためには、自主防災組織が果たす役割は大変大きいと考えております。自主防災組織に対する日ごろの教育訓練、そしてリーダー養成というのが大事だと考えております。

 このため、消防庁では、教育訓練の指針等をまとめました自主防災組織の手引の作成、あるいは優良な活動事例の表彰、そしてその内容の周知、そして地域の防災リーダーの育成強化を図るための事業、こういったものを実施しております。

 今後とも、こういった施策を通じまして自主防災組織を支援し、地域防災力の向上に努めてまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 表彰を目的として活動するわけではないので、そこにいかに予算を投じたとしても、本当に組織化というのができるかどうかというのはわからないわけです。やはりしっかりと意識を高めていく、そういう取り組みをしていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に行かせていただきます。

 野田村保育所の先生方からお話を伺いまして、当日、子供たちは、パニックになることもなく、とにかく避難先に向けて頑張って歩き続けたということでありました。でも、当時のことを覚えている子供たちというのは今は小学生になっていると思いますが、やはり被災した子供たちというのは心のケアが長期的に必要にもなってくるでしょうし、また、本当に頑張られた先生方も、やはり同じように心のケアが必要だと思います。これは、教育の現場であっても子育て支援の現場であっても同じだというふうに思います。子供たちを守り続けた先生方に対する心のケアも必要です。

 このことについて、あしたになりますでしょうか、大臣、福島入りされるというふうに伺っておりますけれども、そのときに福島の心のケアセンターも訪問されるというふうに伺っておりますので、それも含めまして、心のケアセンター、被災地に三つございますが、それをしっかりと長期的に支援していくべきだというふうにも思いますので、そのことも含めまして御答弁いただければと思います。

高木国務大臣 被災されました子供たちあるいは子供たちを支える教職員の方々については、避難生活が長期化しておりますし、あるいは生活環境の大きな変化等によりまして大変な御苦労をされているものと承知をいたしております。

 その点で、復興庁といたしましても、被災者支援総合交付金を今年度大幅に拡充させていただきまして、見守り、相談支援の実施、あるいは人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくための心の復興、あるいは特に子供たちに対しては、児童精神科医等の巡回相談や心のケア相談会の実施、そういった子供たちを支える親や教職員も含めて支援を進めていっているところでございます。

 また、復興特会を活用いたしまして、文部科学省では、不安を抱える児童生徒へのケアや教職員の支援のため、スクールカウンセラーの派遣や教職員の加配を行うとともに、厚生労働省では、被災三県に心のケアセンターを設置して、医師や臨床心理士などの専門家により自治体や支援団体等の支援を行っているところでございまして、復興・創生期間におきましても、厚労省あるいは文科省、被災自治体等と協力して被災地の子供たちが健やかに成長できるように、子供たちを支える方々も含めて、引き続き支援してまいりたいと考えているところでございます。

金子(恵)委員 引き続きの支援ということでございますので、ぜひよろしくお願いします。

 あした福島入りされましたときには、どのようなケアがなされているか、どのようなサービスがなされているかというのをしっかりとごらんになっていただきたいと思いますし、恐らく各被災地でニーズが若干変わってきていると思いますので、その点についてもぜひ注目をしていただきたいというふうに思っております。福島は福島なりの放射性物質に対する不安感なども含めましてニーズがありますので、よろしくお願いいたします。

 そこで、心のケアも当然必要でありますけれども、やはりハード面での安心、安全の確保というのが大変重要にもなってきていると思います。

 今回の視察で、久慈市では、市長さんの方から、津波浸水区域内にある久慈湊小学校及び長内小学校について、安全、安心な場所に移転改築するとともに、地域防災拠点機能を兼ね備えた公共施設としての整備を進めたいということで御要望もありました。国として、安全、安心確保のためにこの移転を支援すべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。

高木国務大臣 津波浸水区域内にございます久慈湊小学校及び長内小学校の移転改築につきましては、著しい被害がなく、既に復旧、再開された小学校の移転改築であるため、災害復旧及び東日本大震災復興交付金等での対応は困難ではございますけれども、文科省所管の学校施設環境改善交付金において補助が可能な場合があると認識をいたしております。

 津波浸水区域にある学校において子供たちが安心して学校生活を送ることができるよう、文科省など関係省庁とも連携して対応してまいりたいと考えております。

義家副大臣 東日本大震災では、想定を上回る地震により、施設設備も甚大な被害を受けておりまして、子供たちの命を守る観点から、津波対策の重要性が再認識されたところでございます。

 文部科学省では、平成二十七年度より、学校施設環境改善交付金において、津波浸水想定区域内にある学校の建物で改築による高台移転が必要なものについても補助率三分の一の補助対象としているところでございます。生徒児童の安全の確保のため、今後とも、地方公共団体の要望を踏まえながら、津波対策を含め、必要な公立学校整備に取り組んでまいりたいと思っております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。

 まず復興、本当に心の復興、そして子供たちの命を守ることができる地域の復興再生を目指しているということでありますけれども、大臣の方からは文科省の制度でというふうに言われてしまって、またここで何のための復興庁なのだろうというふうに思ってしまいまして、残念でなりません。ここで縦割りを絶対しないでいただきたいと思うんです。

 ただ、副大臣の方から、三分の一の補助制度があるということは伺いました。しかし、やはり被災地は、財政的に厳しい状況にもともとある自治体が被災したという状況もありまして、裏負担の部分が大変難しいことになっているんです。それで三分の一の補助制度を使ってもやはり移転ができないということもあり、何とかしてほしい、ほかにいろいろと課題がある久慈市としても、小学校を移転するための支援をしてほしい、そういう要望なんですね。

 それが、今までの、既存のこういうものしか使えないということであれば、どうやって本当にふるさとが再生するんだろうか、子供たちの未来が本当にあるんだろうか、子供たちの安全、安心というのはあるんだろうかと、本当に今もお困りになっていらっしゃるんだと思います。切実な声を聞かせていただきましたので、何かありましたら。

義家副大臣 地方負担を軽減するような地方債メニューもございますし、さらに言えば、義務教育学校という形で今、学教法が改正して小中を一体的に新たな学校をつくる場合、補助率が今度は二分の一となるとか、いろいろなメニューも想定できますので、ぜひとも久慈市から御相談があったら丁寧に対応させていただきたいと思っております。

金子(恵)委員 文科省からはだめだと言われましたよと現地で私たちも聞いてきているんですけれども。

 であれば、とにかく、どんな負担も軽減できるように、私は本当は負担ゼロでやってほしいと思いますけれども、いろいろな対応をきちんとしてほしいと思います。本当に丁寧に相談に乗っていただけるということであれば、よろしくお願いをしたいと思います。

 それでは次に、最後の質問にさせていただきたいと思いますが、地元でございます、引き続き福島県の課題です。

 ちょうど南相馬市の小高区では、避難指示解除の時期について、地元で説明会が開催されてきたところでもございます。

 ちょうど先日、小高商工会の総会に行きまして、いろいろな課題を伺ってきたところでありますけれども、ふるさとに戻るということを諦めることなく頑張っていらっしゃる方が大変多いということもわかりました。しかし一方で、小高区内にある廃棄物について不安の声も聞かれているということと、そしてまた、避難指示が解除した後も出てくるさまざまな廃棄物、産廃も含めましてですが、その処理についてどのような対応をしていただけるか不安であるという声も聞きました。

 実際に、問題は、対策地域内の廃棄物であっても、国は、住宅のリフォームで出る廃材とか、復旧に当たらない工事などの新たな事業活動で出た廃棄物は産業廃棄物だとして回収せず、民間業者に委ねているということですね。

 そうではなくて、きちんと、そもそもが放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染廃棄物対策地域内の廃棄物ということで、しっかりとここも回収とかあるいは焼却等についても国が前面に出て責任を持ってすべきだというふうに思うんです。

 実際に、八千ベクレル以下の対策地域外の廃棄物でさえ業者が引き受けないで大変困っている、滞っているという実情があるというふうにも聞いているんです。それについては、例えば県が産廃協会等にお願いして民間事業所を紹介していただいているという状況があるというふうに聞いています。

 そういうことではなくて、これは、やはり国が、対策地域の中から出てくるものとしてしっかりと責任をとるべき、責任を持って対処するべきだと思いますし、そしてまた、処理業者とか処理施設の確保についても、たとえ直接的でなくてもやはり国が責任を持ってここは実施すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

井上副大臣 先生おっしゃるとおり、事業活動に伴って発生した産業廃棄物については、廃棄物処理法に基づいて、事業者の責任で処理を行っていただくこととしております。他方で、放射性物質に汚染された廃棄物について、処理先が見つからないのではとの不安の声があること、また、今後、リフォームごみなどの廃棄物の増加が予想され、処理が滞るのではないかという懸念があることも承知をしております。

 福島県がというお話がありましたけれども、環境省としても、処理業者の紹介などを行う、こういったことはやっておりまして、今後も、こういった、できることはやっていきたいと思っています。

金子(恵)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、国が前面に立って対応していただきたいと思います。お願いいたします。

今村委員長 次に、階猛君。

階委員 民進党の階猛です。

 先日は、今村委員長を初めこの委員会の与野党の理事、委員の皆様、お忙しいところ、また遠いところ、岩手の沿岸北部の方に来ていただいてさまざまなところで御意見を伺ったということに対して、私も地元岩手県の議員の一人として心より感謝と敬意を申し上げたいと思います。

 震災から五年たちまして、私たちのことは忘れられたと思っていたと言う方もいらっしゃいました。しかし、我々がちゃんと行くことによって、被災地の方々も、自分たちの方をちゃんと国は見てくれている、国会は見てくれていると思うわけでございまして、大変意義のある視察だったなと思っています。

 特に印象に残ったのは、嵯峨商店に伺ったときです。従業員の方々、岩手の人間というのは、私もそうですが、寡黙で引っ込み思案の方が多い中で、黙々と皆さんは仕事をされていたんですね。ところが、我々が帰りにバスに乗ると、みんな出てきて笑顔で手を振ってくれました。あの姿を見たときに、私たちは本当に行ってよかったなとつくづく思いました。

 またぜひ、機会がありましたら、これまで余り伺えなかった地域を中心に、小さいところにでも足を運んでいくというのは非常に意義があると思いますので、委員長、どうぞお取り計らいをよろしくお願いします。

今村委員長 はい。できるだけそのようにやってまいりたいと思います。

階委員 ありがとうございます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 まず、今回の熊本地震あるいは東日本大震災を踏まえて、昨今では、災害などのときに、憲法を改正して、緊急事態条項が必要ではないかという議論もあります。しかし、私は、それが果たして必要なのかどうか、前のこの質疑でも申し上げましたけれども、現行の災害法制で十分対応できるのではないかというふうに考えております。と同時に、必要でないというだけではなくて、下手にこの緊急事態条項を設けることによって、かえってマイナス面、危険な面もあるのではないかというふうにも考えております。きょうは、その観点から幾つか防災担当大臣に伺いたいと思います。

 まず、自民党憲法改正草案によれば、大規模な自然災害等の緊急事態が生じた場合に、内閣総理大臣は、閣議にかけて緊急事態の宣言を発することができるとされています。その効果は資料の一枚目のとおりでございまして、後で詳しく述べていきますけれども、この資料一の緊急事態宣言の効果、これは、東日本大震災や熊本地震の経験を踏まえると、被害の拡大を食いとめるどころか、かえって被害の拡大を招いたり、国家権力の暴走を招いたりする危険があるのではないかと考えております。

 まず、お尋ねしますけれども、この資料の一枚目の中で、第九十九条の一項のところで、「内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、」その後です、「地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。」というくだりがあります。しかしながら、現場にいない内閣総理大臣の指示が必ずしも適切でないこともあるのではないか。

 例えば、今回の熊本地震におきましては、四月十四日に震度七の前震がありました。そして、十五日、前夜から屋外で避難していた避難者に対して、河野大臣から屋内に避難するような要請がされた。現地での連絡会議で松本副大臣からも、河野大臣からの要請、すなわち、きょうじゅうに屋内避難場所を確保することということについて発言があったというふうにも伺っています。そういう中央政府からの要請がある一方で、熊本県の知事からは、避難所は確保されているけれども、被災者の皆さんはさらなる地震が怖くて外に避難しているんだということで、苦言を呈するような場面があったということでありました。

 そこで起こったのが、四月十六日の二回目の本震です。仮に、政府、河野大臣からの要請に従って皆さんが屋内に退避していたとすれば、逆に被害が拡大していたかもしれません。

 別に、中央政府がまずいことをしたと言うつもりはありませんけれども、やはり、地震の揺れを体感しているのは現場にいる人でありまして、それがどれほどの恐怖を現地の方にもたらしているかというのは現場でなければわからないと思います。

 私は、中央政府が大規模災害時にいろいろと首長さんに指示するよりも、むしろ、現場の首長の判断を尊重して、首長を支援していく、そういう方が被害拡大を防げるのではないかと思っておりますが、この点について河野大臣の御見解を伺います。

河野国務大臣 自由民主党の憲法草案についてお答えする立場にございません。

階委員 憲法草案ではなくて、大規模災害時について、中央政府と首長との関係について伺いたいと思います。

 大規模災害時には、現場の首長の判断を尊重して、中央政府は首長に指示をするよりも首長を支援する方が被害拡大をより防げるように思いますけれども、その点、いかがですか。

河野国務大臣 災害対策基本法においては、緊急災害対策本部長または非常災害対策本部長は、災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは、その必要な限度において、地方公共団体の長などに対して必要な指示をすることができるとされております。

 これは、国として総合的な災害応急対策を効果的に実施するために必要な措置であり、例えば地方公共団体相互間での広域応援の実施の指示や、指定地方行政機関等に対する物資の供給の指示などを想定して設けられたものでございますので、災害のときに何が適切か、ケース・バイ・ケースだと思います。

階委員 ケース・バイ・ケースでありまして、中央政府から指示を出して、それに首長が従うということが必ずしも機能するわけではないということは申し上げたいと思います。しかしながら、この自民党の憲法改正草案では、地方自治体の長に対して内閣総理大臣が必要な指示をすることができるということでありまして、逆に言うと地方自治体の長はそれに従わなくてはいけないということはやや行き過ぎではないかという問題意識を提示させていただきます。

 それから、二つ目、この緊急事態条項の問題点として、いざというときは中央政府がオールマイティーで何でもできるというようにすることは、平時における防災訓練などの準備を怠ることにつながるのではないかという問題意識があります。

 先ほど金子委員からも御指摘がありました野田村保育所に行ったわけですけれども、こちらは、津波で施設は全部流されながら、園児全員が避難して無事だったということです。県のハザードマップが平成十七年に見直されたことを受けて毎月三回ぐらい避難訓練を行って、その避難訓練もかなり実戦に即するといいますか、いざというときに役立つものでありまして、早足で歩く訓練をするとか、あるいは、なるべく最短距離で避難場所に動けるように私有地を横切るための許可を得るとか、大変すぐれたものでした。日ごろの訓練がいかに大事であるかということを痛感した次第です。

 翻って、先ほど申し上げました、緊急時において、いざとなったら中央政府は何でもやってくれるということで現場が思考停止状態になって、せっかくの防災訓練の成果も生かされなくなってしまう危険があるのではないか、それから、そもそも平時における準備というのも軽視されるのではないか、そうした意味においても、緊急事態条項でいざというときは政府は何でもできるというのは被害拡大につながる危険があると思っておりまして、この点について河野大臣の見解を伺います。

河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、自由民主党の憲法草案についてお答えする立場にございません。

階委員 質問をかえますけれども、現在の災害法制の中で重要なことは、やはり平時から準備を怠らないようにするということが確保されているかどうかだと思っております。

 これは、今回、ハザードマップを根拠に現場がちゃんと考えて訓練をされた非常にいいやり方だったと思います。こういうモデルケースがあるわけですから、むしろそういう方向性でやるべきではないか。いざというときに国が何でもしっかりやるから後は任せろみたいな、そういうことよりも、必要な情報は提示するけれども、現場でちゃんと日ごろから訓練していくようにというような方向性の方が私はいいのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

河野国務大臣 災害時の対応として、まずみずからの身を自分で守る自助、地域あるいは職場といったところでお互いに助け合う共助、そして行政がそれを支援する公助、この自助、共助、公助という三つがしっかり有機的に連携するということは大事なことだと思っております。特に、今委員おっしゃいましたように、ハザードマップ、その他の情報に基づいてまずみずからあるいは地域でしっかり災害に備えるというのが大事であるというのは、これはもう言うまでもないことでございまして、それなしに何か災害で対応ができるということはないわけでございます。

 災害対策基本法の中にも、住民の皆様にはそうした準備をしっかりやっていただきたい、努めていただきたいという努力義務規定を入れさせていただいております。それを見ても、自助そして共助が重要であるというのは間違いのないところでございます。

 他方、今回の熊本も、発災直後は、やはり被災地の行政機関あるいは役場、市役所の職員の皆さんも被災をされて、行政機能が著しく一時的に低下をいたしました。そういう際に、国がプッシュ型で支援をする、自衛隊や民間企業の支援をいただいて、それぞれの避難所まで国が調達をした物資を届けるというプッシュ型支援というのも今回非常に役立ったというふうに思っております。ただし、それが発災直後からできるかというと、やはり最初の三日間は少なくとも自力で頑張れるだけの備蓄をしていただくというのは非常に重要だと思っております。

 ですから、やはり自助、共助、公助、この三つがしっかりと有機的に連携をする、その備えを日ごろからしっかりやっておくというのが何よりも大事だと思っております。

階委員 自助、共助の重要性ということをおっしゃられたわけで、まさにそれに資するような国としての方針、制度をつくっていかなくてはいけないという中で、私が申し上げたいのは、緊急事態条項はその自助、共助という部分の意識を低下させかねないという問題があるということを指摘させていただきます。

 それから、内閣法制局長官に来ていただいています。

 伺いますけれども、平成十五年四月二十二日付の、当時民主党の長妻議員の質問主意書に対する答弁書において、憲法上保障される基本的人権の中でも憲法十九条の思想及び良心の自由については、内心の自由という場面にとどまる限り絶対的な保障であるという見解が述べられています。これは政府の答弁書です。その趣旨を説明していただけますか。絶対的な保障という趣旨です。

横畠政府特別補佐人 まさに憲法は、国家と、国家の機関、あるいはそれと国民との間の権利関係というものを規律するわけでございますけれども、御指摘の憲法第十九条の保障する思想及び良心の自由については、国対個人という関係におきまして、国の側が個人の内心の自由というものをいわば絶対的に保障する、そういう趣旨を述べたものと一般に解されております。

階委員 このように憲法十九条の思想及び良心の自由というのは絶対的に保障されるというものですけれども、河野大臣に伺いますが、大規模な災害のときに、この思想及び良心の自由について、これを制約しなくてはいけないような場面というのは想定し得るのかどうか、この点についてお尋ねします。

河野国務大臣 内心の思想の自由を制約する必要があるような災害というのがあるか。それは、災害時ですから、大勢の方が困っていらっしゃる状況において何らかの制約があり得るとは思いますが、それが内心の思想の自由に影響するようなことがあるかというと、ちょっとにわかに考えにくいのではないかと思います。

階委員 私も同感でございまして、大規模災害が仮にあったとしても、幾ら何でも個人の思想及び良心の自由まで制約する必要はないだろうし、絶対的な保障であるというふうに長官もおっしゃられる中で、これを制約するということはあってはならないんだと思います。

 ところで、先ほどの一ページ目の緊急事態宣言の効果、三項というところに、「緊急事態の宣言が発せられた場合には、」云々かんぬんとありまして、「この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」この中に十九条、思想及び良心の自由が含まれております。ここでは、絶対的に保障ではなくて最大限に尊重となっていますから、これは、最大限に尊重されるという中で、制約の可能性もあり得るということを前提にしている規定だと私は考えます。

 この点について河野大臣に尋ねても恐らくコメントはいただけないでしょうけれども、今の御答弁にあるとおり、実際問題、大規模災害のときに思想及び良心の自由の制限というのは想定しがたいということですから、そもそもこの十九条が含まれている緊急事態宣言の効果というのはおかしいのではないかということを指摘させていただきます。

 それから、私、親しい弁護士さんから大変貴重な資料をいただきましたので、きょうはここで紹介させていただきたいんですが、資料の二枚目でございます。

 御案内のとおり、明治憲法のもとでは、緊急勅令や緊急財政処分、非常大権制度といった緊急事態条項と同様の制度が設けられていたわけです。日本国憲法で同様の制度が設けられなかった理由について、この資料二、憲法制定直後に内閣が発行した「新憲法の解説」という本に次のように書かれています。ちょっと読み上げさせていただきますが、資料二の真ん中からやや後ろの方です。

  明治憲法においては、緊急勅令、緊急財政処分、また、いはゆる非常大権制度等緊急の場合に処する途が広くひらけてゐたのである。これ等の制度は行政当局者にとつては極めて便利に出来てをり、それだけ、濫用され易く、議会及び国民の意志を無視して国政が行はれる危険が多分にあつた。すなはち、法律案として議会に提出すれば否決されると予想された場合に、緊急勅令として、政府の独断で事を運ぶやうな事例も、しばしば見受けられたのである。

  新憲法はあくまでも民主政治の本義に徹し、国会中心主義の建前から、臨時の必要が起れば必ずその都度国会の臨時会を召集し、又は参議院の緊急集会を求めて、立憲的に、万事を措置するの方針をとつてゐるのである。

ということであります。

 ちょっと私どもの手違いで、出典は法制局編となっていますが、先ほど申し上げたように内閣が発行で、内閣法制局が閲、検閲の閲という字で本には書かれておりました。法制局閲という意味がよくわからないところもありますが、要するに、今読み上げた部分の見解が現在の法制局の見解と整合しているのかどうか、ここを尋ねたいと思います。法制局長官、お願いします。

横畠政府特別補佐人 御指摘の書籍は、昭和二十一年十一月の憲法の公布当時に、その普及のため、憲法の原理などについて一般国民に容易に理解できるよう、新聞人と書いてありますけれども、山浦貫一氏が内閣の依頼により執筆したものというふうに承知しております。

 書籍の中で示された見解そのものが、閲とありますけれども、当時の内閣法制局の見解そのものかどうかは別といたしまして、そこに記載されている内容については、今日においても十分に理解できるものでございます。

階委員 法制局も十分に理解できるという考え方を示されているわけでして、要は、緊急事態条項のようなものは、明治憲法下の反省を踏まえて必要ないということであります。

 河野大臣にお尋ねしますけれども、日本国憲法下では、民主主義の本義に徹し、緊急の必要があれば臨時国会や参議院の緊急集会で対処することになっているとこの本には書いております。大規模災害時でも、私は、民主主義が形骸化しないよう、この本に書いてあるように、緊急の必要があれば臨時国会や参議院の緊急集会で対処すべきだと思いますし、それは十分に可能であると思います。可能であるかどうか、大臣の見解を伺います。

河野国務大臣 今法制局長官が答弁されたように、この今委員がお示しされた書籍の考えというのは、現時点においても憲法の解釈として十分に理解できるものだと思います。

階委員 ということは、大臣としては、現行の憲法に定められている臨時国会あるいは参議院の緊急集会、これによって大規模災害のときにいろいろな事態には対応できるというお考えだということでいいでしょうか。確認させてください。

河野国務大臣 今、首都直下地震などというものが想定をされております。そのときに東京がどういう状況になっているのか、極端なことを言えばわからないわけでございますから、そういう場合をどう想定するのかというようなことがあるのかもしれません。

 しかし、東日本の大震災あるいは福島の原発の事故、熊本の震災、中越地震、阪神・淡路大震災、大きな災害のときも現行憲法下で問題なく復旧復興に努めてきているわけでございますから、首都直下地震で国会が跡形もなくなくなるような状況になった場合にどうするのかとかということはあるのかもしれませんが、そういう極端な場合をどうするかというのは別にして、これまで我々が経験をしてきた災害のときにはこの現行の憲法でしっかり復旧復興をやってまいったわけでございますので、今後とも、これまで我々が経験したような災害であれば、当然にこの憲法でやっていけるというふうに思っております。

階委員 もう少しこの件についても尋ねたいところでございますけれども、時間の関係で、ちょっと先の方に進ませていただきます。

 これも河野大臣にぜひ伺いたいところでございますが、被災者生活再建支援金の話です。

 私ども民進党、それから野党の皆さんとも共同しまして、被災者生活再建支援法の改正案というものを国会に出させていただきました。

 資料の三枚目をごらんになっていただきたいんです。

 この改正案は、被災者生活再建支援金というのは二階建てになっておりますが、二階建ての二階部分、すなわち加算支援金のところをそれぞれ二倍に引き上げる、これによって一階部分の基礎支援金とを合わせての最高額は、従来の三百万円を五百万円にしようということをまず考えているわけであります。

 この点について、防災担当大臣である河野大臣からは国会で消極的な答弁があったということなんですけれども、河野大臣は行革も担当されているということで、行革の観点からもちょっとこの点は考えてみる必要があるのではないか。実は私も、民進党の中では行革を担当するネクスト大臣というのを拝命しておりますけれども。

 そういう観点から見た場合、まず、民間住宅を被災者が建築する場合と行政が災害公営住宅を建築する場合とで、行政がいろいろな支援をする、あるいは行政みずからお金をかけて物をつくるということがあるわけですけれども、その民間住宅と災害公営住宅、一戸当たりで比較した場合のコストというのはどれだけ違うというふうに見ていらっしゃいますでしょうか。もし把握されているようであれば、お答えをいただければと思います。

河野国務大臣 災害公営住宅につきましては、東日本大震災における災害公営住宅に関して、国交省の資料によると、平成二十五年時点で一戸当たりの建設費が二千百万円というふうになっておりますが、それに対応する民間住宅の建設コストについては、申しわけございませんが、内閣府防災としても把握をしておりません。

階委員 普通はそういうふうなお話になるかと思って、私の方で資料を準備させていただきました。

 資料の四枚目をごらんになってください。

 これは、「検証 被災者生活再建支援法」という本から抜粋したものでございまして、被災者の住宅再建に係る一人当たりの行政コストの試算というものであります。

 上の方が民間住宅を建設するケースの行政コストです。これによると、まず、仮設住宅の建設・撤去費というところも含まれているわけですけれども、六百三十四万円。他方で、住宅を建てていただくことにより固定資産税が行政に入ってきて、これはマイナス百九十万九千円ということですが、要は行政コストではなくて行政の利益になる。そして、先ほど来申し上げている被災者生活再建支援金、最大三百万のコストが発生するということで、これらを足し引き、トータルすると七百四十三万一千円ということになるわけです。

 他方、公営住宅に入居するケース。先ほど、一戸当たりの建設コスト、大臣からは二千百万円という数字が出されましたけれども、ここでも条件を平等にするために仮設住宅の建設・撤去費六百三十四万円、同じ額を計上する。それから公営住宅の建設・維持費、ここでは一戸当たり千七百五万二千円というコストで、内訳はその下に書かれてあるとおりであります。そして、被災者生活再建支援金は、公営住宅の場合は一階建ての基礎支援金のみしか払われませんので、行政コストは百万円であるということです。これらを差し引き、トータルしますと二千四百三十九万二千円ということで、両方比べてみると、民間住宅を建設する方が約一千七百万ほど安上がりである、こういう試算結果になっているわけです。

 こういう数字を見ますと、仮に今回、加算支援金を倍増して最大で二百万ぐらい上乗せしたとしても、なおおつりが来るといいますか、それでも一千五百万ぐらい安上がりなわけです。ですから、行政改革という視点、財政負担をいかに減らしていくかという視点から見た場合、被災者生活再建支援金というのはこの機会に増額して、民間住宅建築を促していくという方が合理的ではないかと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

河野国務大臣 ちょっと御趣旨がよくわからないんです。この資料だと公営住宅の建設費が千二百万円ですか。再建支援金を増額しても千二百万円には到底及ばないわけですから、個人の方がその分を負担されるわけでございまして。それだけの資力があるならば建てられるのかもしれませんが、災害公営住宅に入居される方の多くは資力がないためにここへ入居されることになるわけで。ちょっとこの上の段と下の段の比較というのがよくわかりません。

 災害が起きた後の住宅の再取得は、やはり、ふだんから災害に備える損害保険、災害保険といったものにしっかり加入していただいて万が一のときに住宅を再取得できるような経済的な備えをしていただくというのが、私はあるべき姿だろうというふうに思っておりまして、そのための保険料を、例えば税の減免の対象にするとか、そういう支援のやり方というのは前向きに検討していかなければいけないというふうに思っておりますが、再建支援金を増額することによって、それはないよりはあった方がいいというふうには思いますが、ではそれで再取得ができるかといえば再取得にはならないわけでございますので、ちょっとにわかには賛同しがたいと思っております。

 ただ、今回もございましたが、御高齢の方が住居を失われて、今さらローンを組むわけにもいかないし、仮設に二年だけ入ってもその先どうするんだというような方がやはりいらっしゃいます。高齢化の時代になればそういう方もふえてくると思いますので、そういう方に住宅の再取得をお願いしますと言っても、それはなかなか難しいんだろうというふうに思います。そういう方については、少しいろいろなことを考えて新たな枠組みというのをつくらなければいけないのかもしれないなというふうには思っているところでございます。

 高齢化ですからだんだんそういう人の割合がふえてくるということになるのかもしれませんが、少なくとも、公営住宅を建てるかわりに生活再建支援金を増額してというのは、ちょっとこの比較が余り同じものを比較しているように私には思えないんです。

階委員 では、ちょっと前提を述べたいと思います。

 被災者の方々で今仮設に入っている方の中では、災害公営にするか自分で家を建てるか悩んでいる方がいらっしゃるわけです。大分そういう方も結論は出てきたと思いますが、これから熊本でも同じような問題があると思います。そのときに、岩手の被災地でも、なるべく自分で、自力で家が建てたかったけれどもやはり資金的に苦しいということで、やむなく災害公営住宅に入ったという方がいらっしゃるわけですね。そういう方たちに仮に支援金を上乗せすれば住宅再建の道を選ばすことができた、そういう可能性がある。

 そして、もしそういうことであれば、先ほど言ったコストの比較から見て行政としてもその方がいいのではないか、コストも減っていいのではないかということで、そういう迷っている人になるべく自分で家を建てていただけるような政策ということで、この被災者生活再建支援金の増額というのは意味があると私は考えておりますが、この点、いかがでしょうか。

河野国務大臣 やはり、住宅の再取得については、日ごろから経済的な備えをしていただくというのがあるべき姿だというふうに思っております。国として、いざというときのための災害保険の保険料について減免といったようなことを、私はむしろやるべきだと思います。

 生活再建支援金を一千万、二千万増額できるというんだったら再取得の役に立つのかもしれませんが、それはないよりはあった方がいいよということで百万でもふやした方がいいといえばそうかもしれませんが、それだけで再取得はできないわけでございますし、そもそもこの支援金は見舞金のような性格として創設をされました。また、これは、都道府県がお金を出し合って相互に助け合う、それを国が補助するということで地方のお金をベースにしてきているということを考えると、私は、この支援金を増額して云々ということには慎重でございます。

階委員 今の御答弁は、ちょうど五月十六日に衆議院の予算委員会で共産党の藤野委員の質問に対しても同じような御答弁をされていたので、私、きょう、その点についても真意を確認したいと思って参りました。

 まず、今お話しされた中で、筋としては、事前に保険に入っていただくということを言われました。ただし、今実際に被害に遭われて仮設に入っている方はもう保険に入りたくても入れるわけがないわけでございまして、そういう人たちの救済には保険というのは全く役立たない。この点についてどのようにお考えになりますか。

河野国務大臣 そこは、おっしゃるとおりでございます。しかし、我々はこの災害だけでなく次の災害にも備えなければいけないわけで、我々としては、こうした東日本の大震災、もっと言えば阪神・淡路、東日本、中越、熊本、こうした地震がどこで起きるかわからないというのが今の日本の実情でございますので、いざそういうときに住む家を失った方に住宅の再取得をしていただくためには、これは経済的な備えが必要であるわけでございます。ですから、政府としては、いざというときのために経済的な備えをしっかりしていただかなければいけないということをこれからも強く訴えていかなければならないというふうに思っております。

 住宅の再取得ができるほどの見舞金を出せるというならばそんな必要はないのかもしれませんが、見舞金を増額しても住宅の再取得には足らないわけですから、それは何らかの経済的な備えがなければ住宅を新たにつくり直すというわけにはいきません。ですから、支援金をふやしたから大丈夫だという間違ったメッセージは送りたくないというふうに思っておりますので、政府としては、いざというときのためにきちんと備えて、それはどこでも起こり得る話ですから、経済的にきちんと、保険に入るなど備えをしてくださいということを申し上げていくべきだと思っております。

階委員 ちょっと私の質問に答えていないと思うんです。今後のことを聞いているんじゃないんですね。今後の災害への対応策を聞いているんじゃなくて、今実際に家を失って困っている人は保険じゃどうにもならないでしょうと。だからこそ我々も、全額を出せと言っているわけではなくて、合理的な範囲で上積みすべきだと思っております。

 なぜ三百万を五百万に上げなくてはいけないかというと、これは私も国会で何度も言っていますけれども、震災以降、さっき道路の話でどなたかの質問のときに政府側からの答弁がありましたけれども、資材費、人件費が物すごく上がっていまして、従来の予算では家は建たなくなっているんですよ。岩手県で見ますと平均で一六、七%上がっているというデータがことしの初めぐらいにありました。二千万円の家を建てるとして、仮に一五%値上がりしたら、値上がり分だけで三百万です。三百万の補助金をもらっても、それは値上がり分で消えてしまって、自分で家を建てるのと全く変わりがなくなってしまう。だからこそ我々は、せめてその値上がり分だけでも緩和して住宅再建の後押しをしてあげましょうということでこういう数字を出しているわけです。

 ですから、全部国任せ、国依存ということではなくて合理的な範囲で上乗せする、そして、それは将来のためじゃなくて今困っているような人のために今すぐやる、これをぜひやりたいと思っています。

 私の質問に対して答えていただきたいんですが、保険では何ともならない人たち、今困っている人たちに対してどうすればいいと考えていらっしゃるんですか。

河野国務大臣 今回起きたこの熊本地震に対しては、これまでの枠組みで政府として対応させていただきたいと思っております。

階委員 全くかみ合わないんですけれども、それでは値上がり分は全く考慮されないということで、私は、これでは住宅再建ではなくてコストの高い公営住宅の戸数がどんどんふえてしまうということで、行政改革の点からもいかがなものかということを申し上げさせていただきたいと思います。

 また、五月十六日の答弁の中で、先ほども繰り返しお話しになられましたけれども、見舞金という性格を持っている支援金で住宅を再取得することはできないということでした。金額的に三百万だから再取得することができないという趣旨で言われているのか、それとも、そもそも見舞金という性格だから住宅再建に資するものではないんだ、供するものではないんだという趣旨でおっしゃられたのか、この点を確認させてください。

河野国務大臣 お見舞金でございますから、どのようにそれを使われるかというのは被災者の方それぞれの御事情があるというふうに思いますが、支援金の金額ではなかなか住む家を再取得するというわけにはいかないというのが現実だろうと思います。

階委員 だからこそ、支援金という名称になっていると思うんですね。復旧金とか再築金とか、そういうことではないわけでありまして。もちろん額は建てかえる全額には足りないにしても、この額がある程度あることによって支援がされて住宅を建てられるということですので、見舞金という性格だから住宅を再取得することはできないというのはやや誤解を招く表現だと思っております。

 それから、増額に対して慎重に考える理由として、五月十六日のときに幾つかおっしゃっておられました。三つほどありましたけれども、被災者生活再建支援法の増額は、ほかの制度とのバランスですとか、かつての災害とのバランス、あるいはこれは半額は都道府県が出している財源ですので、そうしたことを考えると対応は慎重にせざるを得ないという三つの理由を挙げられていました。

 かつての災害とのバランスというのは、確かにかつての災害は従来の金額ですからそこは意味がわかるんですけれども、ほかの制度とのバランスとおっしゃいました。ほかの制度とのバランスというのは具体的にどういう意味でしょうか。

河野国務大臣 災害弔慰金などを指しております。

階委員 災害弔慰金というのは、亡くなった方が生計を立てていた場合の遺族に対して払われるものでございまして、なぜその災害弔慰金とのバランスを図らなくてはいけないのかというのが理解できません。もう少し詳しく説明していただけませんか。

河野国務大臣 災害が起きたときに、被災された方にさまざまなお見舞金のような性格のものをお支払いしてございますが、やはりそれは全体としてのバランスを考えてお支払いするべきなんだろうということでございます。

階委員 よくわかりませんけれども、災害弔慰金は五百万円、亡くなった場合には払われるものであります。こちらは最大で三百万円。バランスをとるというのはどういうふうにバランスをとるというか、現在はバランスがとれているとおっしゃるのであれば、どういう意味でバランスがとれていると考えるのか。その点、ちゃんと説明してください。

河野国務大臣 主たる生計を立てる方が亡くなった御遺族にお支払いをするお金、あるいは住む家を失った方にお支払いをするお金、心情的なものその他を考慮して決まっている金額でございます。

階委員 これ以上議論しませんが、やはり、人が亡くなったときに払われるお金と家がなくなったときに払われるお金でバランスをとるという感覚はちょっと違うんじゃないかなと思います。

 あと、三つ目の理由として挙げられました、半額は都道府県が出している財源だということで慎重にということなんですが、確かに、地方自治ということで都道府県の財源に余り踏み込むべきではないというのもわかりますけれども、この点に関して私どもの先ほどの資料の三ページ目の改正案では、これまで半分、都道府県の負担にしていたものを三分の一の負担に引き下げて、三分の二は国が面倒を見てあげようということで、この点についても配慮しているということを申し上げたいと思います。

 それから、金額だけではなくて、私たちがこれから被災者生活再建支援金のあり方として考えていかなくてはいけないのは、今までは、大規模半壊以上にしか基本的には被災者生活再建支援金が払われなかったということです。その結果、これは資料の五枚目にあるんですが、罹災証明書というものをつくる際に被害状況の調査を市町村ごとにするわけですけれども、被害の程度を全壊、大規模半壊、半壊ということで、損害割合がそれぞれ五〇%以上、四〇%以上五〇%未満、二〇%以上四〇%未満と細かく分かれているわけですね。この判定が結構手間暇がかかるということです。

 これも、行政の効率化またコストもなるべくかけないようにするということから考えますと、こういった細かく区分をしてそれによって支援が全く違ってくるというようなあり方よりも、住宅再建を実際に行った方についてはたとえ半壊であっても支援金を支給するといった方が合理的、効率的ではないかというふうに考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

河野国務大臣 罹災証明は、支援金の支払いだけでなく、例えば義援金の配分ですとか、災害復興住宅融資ですとか、あるいはさまざまな災害の後の減免とか、いろいろな被災者を支援する政策の適用範囲を決める、その判断の基礎的資料としてこの罹災証明があるわけでございますので、住宅を建てたところに支援金を払うから罹災証明の発行が要らないということになると、そのほかの支援策の適用範囲をどう決めるのかという問題が出てくると思いますので。

 この判定業務、今回も大変大勢の方に、五百人、六百人の規模で自治体から応援をいただいているというのは現実でございまして、それは確かに行政コストという観点からいえばおっしゃるとおりでございますが、しかし、さまざまな支援策の適用範囲ということを考えると、これはある面やらざるを得ないのかなと。

 今回も、俗に京都大学システムと言われているシステム、あるいは西原村がソフトウエアハウスと連携をしてつくった西原村システムと言われるような、ITを活用して判定作業を効果的にやる、罹災証明の発行事務をもう少し効率的にやるような、さまざまなIT技術を使ったシステムというのができてきておりますので、むしろ、そういうものがしっかり普及し、訓練をすることによって、調査、判定は避けては通れませんが、罹災証明発行に至るまでの一連の流れを合理化、効率化していけるのではないかというふうに思っておりますので、住宅の建設によって、これを変えるというわけにはちょっといかないのではないかというふうに思っております。

階委員 半壊と大規模半壊によって、最大で支援金が三百万払われる大規模半壊と全くゼロの半壊というところで、ここに大きな断層といいますか境目があるわけですね。だから、私は、損害割合が四〇%以上と未満でこれだけ大きな差をつける合理的な意味があるのかどうかということも疑問に思っています。

 この点については、私だけではなくて、有識者の方も疑問を呈されているところでございまして、この先ぜひ政府としても御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

河野国務大臣 これはもともと、全壊、半壊で大きな断層があるということから、この四〇%のところで大規模半壊という枠組みをつくって、いわば後から足したわけでございます。この支援金を支払うというときに、もらえる方ともらえない方がいらっしゃるというそこの大きな差を何とか埋めようとして大規模半壊というカテゴリーを後からつくったわけでございまして、これは委員おっしゃるように、今度は逆にそこと半壊に差があるではないかというのは現実でございます。では、中規模半壊というのをつくってさらに階段をつくるのかというような議論もあるわけでございますが、そういうやり方がいいのかどうか。

 それから、やはり、ここに差があるというのは現実でございまして、罹災証明の発行をするときに、いやいや半壊じゃなくてこっちだろうというような御議論があるわけでございます。それは確かに現実としてありますので、少しそこは、いろいろな御意見をいただきながら、ここをどうするか、もう少しなだらかにどうできるかというのは検討しなければいかぬと思っておりますので、さまざまな御意見を頂戴しながら検討していきたいと思います。

階委員 時間がなくなってきましたので、もう一つのテーマに移らせていただきたいと思います。

 復興のハード面、インフラ面は進んできたというのは今回の視察でも実感しました。他方で、人口の流出がとまらなかったり、あるいは経済実態も芳しくなかったり、そういう現実もありました。

 復興大臣に伺いたいんですが、資料の六枚目、これは岩手県の資料であります。岩手県の復興ウオッチャー調査ということで、被災地の任意の方のアンケートの結果なんです。

 まず、上の段で設問の一つ目、地域経済は被災前と比べてどの程度回復したと感じますかという問いに対して、今回と前回、回復、やや回復がほぼ同水準で横ばいになっている。他方で、この棒グラフ、右側の方を見ていただくと、余り回復していない、回復していないという数値も掲げられております。これを私の方で足し算しますと、前回七・五%だったのが一〇・九%に、むしろふえているということであります。

 さらに、下の段には折れ線グラフがありまして、これは時系列的に、被災者の生活回復度、地域経済回復度、災害に強いまちづくり達成度というのがグラフ化されていますけれども、この折れ線グラフの中で直近で唯一右肩下がりになってしまったのが地域経済回復度ということであります。

 この地域経済回復度が上向かない理由、そのことについて、復興大臣、どのように考えていらっしゃるかお答えください。

高木国務大臣 経済的な復興という視点かなというふうに思います。

 今のこのいわて復興ウオッチャーを拝見させていただいておりますけれども、政府におきましては、これまでも、グループ補助金によります仮設店舗から本設への移行支援や、あるいはまた、まちなか再生計画の認定による共同店舗型商業施設整備の支援、あるいは「結の場」、ハンズオン支援事業によって販路開拓や新商品開発へのきめ細やかな支援、人手不足対策として、ハローワークにおけるきめ細やかな就職支援とあわせて、事業復興型雇用創出事業によりまして、産業政策と一体となって、生産の回復しない初期段階における雇い入れ費用を助成するなど、雇用面での支援を行ってきたところでございます。

 岩手県におきましては、山田町、陸前高田市、大船渡市の三市町のまちなか再生計画を認定済みでございますし、同計画に基づく共同店舗型商業施設が山田町では本年九月、陸前高田市と大船渡市では来年三月までに完成が予定されておりまして、これによる新たな町のにぎわいの創出が期待されているところでございます。

 また、これまで、宮古、大船渡、久慈の三市で「結の場」を開催し、被災地企業の抱える販路開拓等の課題に対し大手企業が解決策を提案するマッチング事例が数多く生まれているところでございます。本年は釜石市と山田町でも開催するべく、今準備を進めているところでございます。

 こうした取り組みを今後加速化することによりまして、産業となりわいの再生に力を尽くして、被災地の皆様が地域経済の回復を実感できるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

階委員 時間が参りましたので終わりますけれども、最後に、金融庁と経産省から政務官が来られているので、一言申し上げたいと思います。

 今回、視察に伺ったところで、嵯峨商店さんという地元の水産加工の中小事業者さんがいらっしゃいました。社長さんががんを患っていて、もうこの先長くないようなことも御自身でおっしゃられていました。事業承継を考えているんだけれども、経営者の保証がないと事業承継ができないということで、なかなか承継先が見つからない。

 経営者保証に関するガイドラインというものを平成二十五年の十二月に金融庁は出されていました。これがどうも徹底されていないような雰囲気、私は印象を受けました。事実関係はちょっとまた詳細を調べなくてはいけませんけれども、ぜひこのガイドラインを生かしていただいて、事業承継時に、後継者に当然に保証債務を引き継がないような扱いを徹底していただきたいというのが一点です。

 あと、経産省の方には、おかげさまで、二重ローン対策ということで、岩手などでは、産業復興機構で被災事業者に対する金融債権を買い取っていただいて、当面凍結していただいていました。そして、どうやら再建ができてきたので、産業復興機構はしかるべき債権額まで圧縮して、つまり債権放棄を一部しまして、それで民間の金融機関に再度引き渡すという手続になるかと思います。

 この債権放棄をするところで、債務免除益というのが事業者側に発生する。この債務免除益に対しては、一時所得ということで多額の課税が発生するということを嵯峨商店さんはおっしゃっていました。せっかく業績が上向いてきたところでそれを払っていくのは資金繰りとしてなかなか厳しいということで、こういったことに対してもしかるべく柔軟な対応をお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 きょうは、今国会最後の質問になるかと思いますので、今までなかなか取り上げられなかった問題について質問させていただきます。

 まず、復興大臣に伺います。

 東日本大震災からの復興の基本方針において、自然環境への配慮はどのように位置づけられ、またどのように取り組んでこられたのでしょうか。

高木国務大臣 東日本大震災からの復興の基本方針におきましては、復興事業に当たっての自然環境への配慮については特段明記はいたしておりません。

 明記はいたしておりませんけれども、復興事業については、それぞれの事業主体において関連法令に基づき適切に自然環境への配慮がなされるべきものだと考えておるところでございまして、復興庁といたしましては、引き続き各事業について適切に実施していただきたい、そのように考えているところでございます。

高橋(千)委員 実は、今おっしゃったように明記されていないんですね。大変残念だと思っております。

 基本方針の中で環境という言葉が出てくるのは、環境先進地域ということで、例えば再生可能エネルギーとか、三陸地域の自然公園構想、いわゆる観光が中心かなと思うんですけれども、こうした点で書き込まれているわけです。ですが、この自然公園等を活用した復興の考え方を環境大臣から諮問された中央環境審議会の自然環境部会の議論の中では、復興の基本方針は自然環境の観点が薄いという指摘が冒頭に出てまいります。こうした立場を、当然の前提だとおっしゃるかもしれないけれども、やはり大事にするべきではないか。

 きょうは、自然との共生と復興は矛盾しない、そういう立場で質問していきたいなと思っております。

 資料の一枚目なんですが、これは宮城県七北田川河川災害復旧事業の概要であります。

 仙台市宮城野区蒲生地区の津波被害については、当時から余り報道されなかったのではないか。仙台市の荒浜やあるいは名取市などと比べても、余り知られていないかと思うんですね。

 ただ、旧堤防の内側には震災前一千百四十九世帯が暮らしていたが、津波でほとんどが被災をされていますし、蒲生地区だけでも三百人もが津波の犠牲となっております。この写真にあるように、海岸側から、南側、七北田川の堤防を越えて、そして北側の仙台港、港の方からということで、三方向から実は津波が押し寄せたということであります。

 今回の防潮堤は、そうした点で、震災前より三メートル高い七・二メートルの高さ、百数十年に一度の津波に対応したものと説明をされております。そこで、七北田川左岸の堤防は、国の鳥獣特別保護区域である蒲生干潟に一部かかることになります。手続上が今どのような段階であるのか、また住民の合意は得られたのか、国土交通省に伺います。

    〔委員長退席、西村(明)委員長代理着席〕

野村政府参考人 お答えをいたします。

 蒲生干潟地区を含む七北田川の河川堤防は、今委員の御指摘のとおり、東日本大震災による被災を受け、河川管理者である宮城県において、河川災害復旧事業により整備が進められているところでございます。当該堤防の建設に当たっては、河川管理者である宮城県が住民の意見や環境にも配慮しながら事業を進めているところと聞いてございます。

 なお、蒲生干潟地区における堤防の整備については、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律、いわゆる鳥獣保護管理法に基づいて、環境大臣の許可が必要であり、現在、宮城県が環境省と事前協議中であると伺っております。

 今後、宮城県は、環境大臣の許可を得た上で、引き続き住民の御意見も伺いながら堤防整備を進めることとしていると聞いているところでございます。

高橋(千)委員 今説明があったように、鳥獣保護管理法に基づいて環境大臣の許可が必要なわけですけれども、今、事前協議中であるというお話でありました。つまり、許可申請そのものはまだ県から出されていないという段階だと思っております。ただ、この干潟にかかる部分の工事の契約は既にことしの二月に行われているんですね。

 そこで、まず一般論で確認しますが、資料の二枚目に、この法律の中の特別保護地区について、第二十九条をつけておきました。今のところの許可の申請ですとか、許可を受けなければしてはならないということは七項にあるわけですけれども、これを見ますと、たてつけ上は、審査の上、工事そのものを取り消すことあるいは変更を求めることが可能になっていると思いますが、一般論でお答えください。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 鳥獣保護管理法では、国指定鳥獣保護区特別保護地区内で工作物の新築等を行う場合には、環境大臣の許可を受けることが必要となっております。

 本件は、宮城県からの許可申請はまだ提出されておりませんが、仮に申請があれば、鳥獣保護管理法の規定に基づいて、鳥獣の保護または鳥獣の生息地の保護に重大な支障を及ぼすおそれがないかについて審査を行うことになります。

 審査の結果、鳥獣の保護あるいはその生息地の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあると認められた場合は許可されないこととなります。また、鳥獣やその生息地の保護のため必要があると認めるときは、許可に条件を付すことが可能であります。

 このように、許可の判断に当たっては、申請案件に係る契約が行われているか否かにかかわらず、鳥獣やその生息地の保護に重大な支障を及ぼすおそれがあるかないかという観点で審査を行うことになります。

 審査の結果、仮に特別保護地区内での工事が許可されなかった場合には、事業者において、工事区域を特別保護地区外に変更することなどを含めて、適切な対応がなされるべきものと考えております。

高橋(千)委員 大変明確な答弁だったと思います。契約があるか否かにかかわらないということでありました。

 そこで、国交省に改めて確認しますが、そもそも工事契約をする前にやはり許可が必要だったのではないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。

野村政府参考人 委員御指摘のとおり、蒲生干潟地区北側七百メートルにつきましては、ことしの二月に議会承認を経て契約が締結されているところでございます。それで、その契約に基づいて受注者が現場で工事着手をするときには、鳥獣保護管理法に基づく許可を得ておく必要があると理解をしてございます。

 したがいまして、工事の契約時点やあるいは工事着手に向けた準備段階では許可を得ている必要は必ずしもないものと理解をしております。

 なお、現在、当該地区においては、工事着手に向けた準備として測量を実施しているところと承知をしております。宮城県においては、環境大臣の許可を得た後に現場での施工に着手することとしていると聞いております。

高橋(千)委員 着手する段階で許可をということで今準備をしているという話だったと思うんですが、私は、この後住民との関係なども議論していくんですが、やはり一つ一つの手続にちょっとずれがあるのではないか、こういう問題意識で指摘をさせていただきました。

 それで、自然再生推進法に基づいて、国、県、市と学識者、そして地元関係者、NPOなどで構成する蒲生干潟自然再生協議会が既につくられておりまして、自然再生全体構想、これも既に震災前につくられているものなんですね。

 春と秋に繁殖地のシベリア、アラスカと越冬地のオーストラリア、それから東南アジアの渡りの途中に飛来するシギ・チドリ類や、世界的に絶滅が危惧されている希少種のコアジサシ、国の天然記念物に指定されているコクガンといった数千キロを移動する渡り鳥たち、この鳥たちが飛来するということをこの協議会の構想の中ではいわば渡り鳥の国際空港という表現をしているんですね。本当に世界的にも貴重な地域だと言えるのではないかと思います。

 それで、もっともっとこれは、仙台港と臨海地域の新産都市に指定になって開発の中で干潟が形成されてきたという経緯もあるわけですけれども、そのことを踏まえて、一九六〇年代後半、蒲生干潟は環境保全と開発が相克した場所のモデルとして全国的に注目されたが、蒲生干潟の自然再生事業は、環境保全と開発が対峙するのではなく、地域の多様な主体の間での信頼と連携により、自然環境の保全、再生と人間との共存を図りながら、地域固有の生態系、風土、そして自然と一体となった地域の文化を守っていくことを基本とすると書いております。非常に重要だと思うし、復興の基本方針の中にも自然共生ということは実は書かれておりまして、大臣、やはりこういう立場で必要なのではないかなと思っているんです。

 なぜ、震災後この協議会は開かれていないんでしょうか。

亀澤政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災による津波の影響を受けて蒲生干潟の湿地環境が激変し、震災前に計画されていた干潟のいわゆるみお筋の水の流れをよくする事業など、干潟の保全、再生のための事業が実施できなくなったことから、震災後の平成二十三年度以降現在まで協議会が開催されていないところでございます。

高橋(千)委員 確かに、震災直後は干潟が消滅したわけです。しかし、それから五年たっているわけですよね。その間に、もう既にその直後から、蒲生を守る会など、四十年来ここで活動している会の皆さんなどがこの干潟の変化を見てきている、そして協議会を開くべきだと。というか、そのための協議会じゃなかったのかな、このように思うわけです。

 資料の三枚目に、今紹介した自然再生推進法に基づく自然再生事業、この全国の取り組みを紹介した環境省のパンフレットの一部、つまり蒲生干潟について紹介している部分を載せておきました。

 ここに、これで干潟のイメージがつかめると思うんですが、写真の右下のところにこう書いてあるんですね。「しかし、平成二十三年三月の東日本大震災による津波の影響を受け、蒲生干潟の湿地環境は激変しました。このため渡り鳥を頂点とする生態系にとって良好な自然環境への修復等に向け、どのような取組ができるのか、自然遷移の経過を見ながら、検討を進めることとしています。」つまり、経過を見ながら検討を進めると環境省がパンフレットで書いているじゃありませんか。

 しかも、この下の写真、確かに、津波の直後の様子が写っておりますが、全然色が変わっています。もう既に干潟が再生を始めているんです。その証拠に、このパンフレットの左端、震災後、蒲生干潟に飛来しているコクガンの群れ。今言った国の天然記念物のコクガンが帰ってきているということを環境省自身が認めているじゃないかということを重ねて指摘したい、このように思います。

 時間の関係で次に進みます。

 そこで、二〇一四年十二月二十日、一昨年の末の地域住民への説明会で、そもそも当初計画のときに鳥獣保護区の中を通っている、なぜこれを無視したのかという問いがあって、被災時点では干潟が消滅した状況から判断し工事ができると考えていたというふうに県が答えている。非常に驚く答えだと思うんです。勝手に判断してよいのかと。

 そもそも、蒲生干潟の自然再生協議会には環境省だけでなく国交省も参加しています。もちろん県も市も参加しています。自然の回復力や防災、減災に果たす自然生態系の役割は十分に認識していたはずなんですね。被災の直後に干潟が一旦消滅したことをもって、干潟をまたいで工事ができると考えるのは余りにも乱暴ではないでしょうか。

 蒲生干潟が再生してきていることを環境省としてはいつ認識したのか。今後モニタリングをして再生協議会を再開すべきと思いますが、いかがでしょうか。

亀澤政府参考人 東日本大震災の津波により蒲生干潟の湿地環境が激変したことから、環境省では震災後の平成二十三年八月から、蒲生干潟を含めた津波被災地域の自然環境調査を実施してきております。

 その後の継続的な調査により、蒲生干潟の湿地環境は全体として徐々に回復しつつあると認識しておりますが、最新の平成二十七年度の調査報告書によりますと、消失した砂浜が回復傾向にあり、干潟に飛来するシギ・チドリ類及びガンカモ類の種の数あるいは個体数ともに震災前の状態に回復していると記載されております。

 自然再生協議会につきましては、自然再生推進法が地域主導のボトムアップの仕組みとなっておりますことから、その再開は国からのトップダウンではなく協議会の構成主体間の調整により決められるものでありますけれども、環境省といたしましては、蒲生干潟が回復傾向にあるという自然環境調査の結果を協議会に提供していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 再生してきていること、全体として回復してきていることを確認したとおっしゃったんですが、これは私はいつと聞いたんですが、今の答えは昨年という意味でしょうか。もっと早いと思いますが、違いますか。

亀澤政府参考人 調査は二十三年度から行っておりまして、その後、特定の時点でというよりは、二十四年度、二十五年度、二十六年度と徐々に回復をしてきているという状況でございます。

高橋(千)委員 二十三年度から、震災の直後からやはり少しずつ回復してきているということが確認をされたということだと思います。とても大事な答弁だと思うんですね。環境省の自然環境部会の中でも、やはりこのことが既に、直後から委員の中から発言がありますよね。そしてその上で、やはり自然の回復力というのを見ていくべきだということを繰り返し指摘されている。そこがなぜ考慮されないのかなということを改めて思うわけであります。

 資料の四、これは昨年の環境白書からとりました。コラムということで説明しているものをかいつまんでお話ししますと、大震災を受けて重要自然マップを作成しましたと書いています。この中に今話題としている蒲生干潟を含む仙台の海岸のことについて書いているわけですけれども、被災地域の復興事業において配慮すべき自然環境の情報として事業者等の事業の参考となるものと言っている。災害復旧事業をやる際に参考としてほしいというふうに国としても取り組んできたのではないかと思っています。

 それから、資料の五、これは今紹介した蒲生を守る会が一貫して調査してきたものをまとめたものを簡単に紹介したものですけれども、政府のレッドデータブックに載っている鳥類というのは四十五年間調べてきて五十七種あるんですが、下の方に書いてあります、震災後四年間で二十九種が既に確認をされている。だから、直後には一旦非常に減っているんですけれども、グラフにあるように回復をしてきているんだということを指摘するんですね。

 当然、鳥類だけではなくて底生生物とかにも関係がございます。カニやらゴカイ類だとか余り聞きなれない難しい名前の生物がいっぱいいるんですけれども、ずっと観察してきて、底生生物が再生してくる様子をVTRで見せていただいて私も自然の力に大変感動したわけですけれども、これをテレビでも紹介しているというふうなことがございました。

 そういう中で、改めて先ほどの手続の話に入るわけですけれども、資料の六枚目を見ていただきますと、宮城県がまとめたものです。大震災があって、まず堤防の測量云々というのを始めてきて、そして環境団体からも意見をもらって、住民説明会、この赤で囲んでいる今回説明会というのが平成二十六年の末であるということなんですね。地域住民に対する説明会はこのときが初めてだと思うわけです。

 そうすると、二十五年のときに既に干潟環境の急速な回復ということが確認されているのに、どうしてこうなっちゃうのかなということで、住民の皆さんからこういう意見が出ました。環境団体に説明する前に、あるいは新聞に出る前に地元に説明するべきだ、なぜできなかったのか、こういう意見。私は当然だと思うんですね。

 地域住民に対しても、もっと早い段階での説明会や丁寧な合意形成など、配慮が足りなかったのではないでしょうか。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

野村政府参考人 宮城県におきましては、今回、さまざまな地元との話し合いの中で少し堤防の位置を八十メーターほどセットバックしたというのは、途中で設計変更をしてございますけれども、その設計変更前の最初の計画につきましては、平成二十四年度には地域住民を対象とした説明会を一度開催していると私は承知をしてございます。

 これは、例えば蒲生を守る会、自然再生協議会にも参加しておられました環境団体と承知していますけれども、平成二十六年度に説明をしておると承知していますけれども、それに先立った時点では、最初の計画に基づいて一応話をしておると承知しています。それから、設計変更が行われた以降も数次にわたり、地域住民を対象にした説明会あるいは地区の代表者の方への説明を行っていると聞いてございます。

 いずれにしましても、引き続き河川管理者である宮城県には丁寧に地域に対して対応していただくことが必要だと考えておりますし、国といたしましても、宮城県から御相談などがございましたら、引き続き必要な助言は行ってまいりたいと考えておるところでございます。

高橋(千)委員 今、数次の説明会を行ってきたというふうにおっしゃいましたけれども、県が昨年一月に二度目の説明会を開いて、一定の理解を得られたというコメントを発表して、報道にも大きく出たわけですね。

 しかし、二回とも説明会を傍聴していた我が党の県議や市議によれば、地権者から質問や意見が相次いだにもかかわらず、提案どおり進めていきますと最後におっしゃって、それに対して意見が出なかったことで合意を取りつけたというふうにまとめられたものですね。それではとても不十分ではないかと指摘をしたいと思っているんです。

 決め手は、このとおりやりますとなぜ言ったかというその前段に、こういうことを県が言っているんですね。既に背後で市のまちづくり事業が進んでいることもありと言って打ち切っている。

 つまり、防潮堤の海側ではなく背後地の区画整理事業が進められておって、いわば危険区域にゾーニングされているために住民らは移転を余儀なくされているわけです。しかし、住民らは移転に伴って一四%の減歩を求められているんですよね。

 蒲生北部は、さっきの地図を見ていただければわかるんですが、仙台の港を新しくつくるときに四割の土地を既に提供しております。それから、背後地や西原地区の区画整理では平均減歩率三割だったんですね。下手すれば三度目の減歩。さっき三方から津波が押し寄せてきたという話をしましたが、今度は三方から減歩を求められる。これではもうやっていられない、だから、生活がかかっているし、早く決めてくれと。だって、防潮堤がこれ以上後ろに来たらまた自分たちの土地が削られるのかとか、そういうことになっちゃうわけですよ。非常につらい話で、環境団体と地域住民が分断されている、こういうことになっちゃうわけで、本当に残念な話。

 何も干潟が憎いわけじゃないわけですよね。世界に誇れる干潟を本当に守っていこうということと、地域の住民の命を守っていこうということは何も矛盾することじゃないんだということを今議論してきました。そのために、環境省だって本当は、さっきの自然再生協議会の議論の中で、指導、助言を果たすという役割もやれということを、ちゃんと役割分担の確認をされているんだということを指摘しておきたいと思います。

 時間がありませんので、最後に、大臣に一言言います。

 私が言いたかったこの間の経過について、仙台で去年防災会議が開かれたときに自然と共生の復興をということで議論されているし、高校生たちもそういう立場でこの防災会議のときに発表していることをちゃんと踏まえていただきたいなと思います。

 復興基本法の議論の際にも、住民合意ということが非常に話題になりました。やはり今後に禍根を残すことのないように、国、県、住民、環境団体との協議の場を持つなど、計画の柔軟な見直しを含めて合意形成の努力をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 これで終わります。

高木国務大臣 合意形成のあり方につきましては事業者である県が判断するべきものだというふうに思いますけれども、当該事業につきましては、これまでも住民の意見や環境にも配慮しながら丁寧に進められてきたと承知をいたしております。

 復興庁といたしましては、事業者において引き続き丁寧に対応していただくとともに、所管省庁と連携して早期復旧に向けて支援してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 終わります。

今村委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 初めに、去る五月二十二日と二十三日の二日間、本委員会の岩手県被災地視察に参加いたしましたが、震災から五年余りが経過し、国の施策や地元自治体の努力によって復旧復興は軌道に乗り始めているとはいえ、被災された地元の方のお話を伺うと、まだまだ多くの課題が山積していることを痛感いたしました。

 最初に訪問した久慈市の遠藤市長との懇談の際、久慈港湾口防波堤の早期完成、再生可能エネルギーの普及に向けた送電網の強化、津波浸水区域内にある小学校の移転改築の三点について要望がありました。私自身、これまで教師の経験を踏まえ文部科学行政にもかかわってきた立場から、この津波浸水区域内にある小学校の移転改築については大変気になっております。

 久慈市としては、津波浸水区域内にある久慈湊小学校と長内小学校の二校について、児童の生命、安全を守るため、高台の安全な場所に移転して、地域防災拠点を兼ね備えた公共施設として整備を進めたいとのことです。

 しかしながら、どこの被災地でも固定資産税の税収が大きく落ち込んでおり、予算編成も極めてタイトであり、高台移転の費用を負担することは大変厳しいと思われます。復興事業で使われる復興交付金を活用することはできないし、文部科学省が行っている学校施設環境改善交付金という国庫補助事業がありますが、原則三分の一が交付されることになっておりますが、現状において使えるメニューはこれくらいだと思います。

 学校施設環境改善交付金、このメニュー以外に考えられる、久慈市の市長の思いを受けとめられるような交付金等がありましたら、答弁をお願いしたい。

堂故大臣政務官 御案内いただきましたように、文部科学省では平成二十七年度より、学校施設環境改善交付金において、津波浸水想定区域内にある学校の建物で改築による高台移転が必要なものについて補助率三分の一の補助対象としているところでありますが、自治体の財政負担軽減のためにも地財措置があります。そういったことの周知についても、御相談いただければ丁寧に対応していきたいと思っています。

椎木委員 私の質問の趣旨は、この久慈市長の思いとしては、復興庁の復興交付金が使えない、これをまず使えるようにしてほしいというのが根底にあるわけですね。一方で、結局のところ文科に振られちゃうわけですよ。文科に振られて、学校施設環境改善交付金というものしかない。これが通常の三分の一なんですね。これでは到底久慈市の財政規模としては対応できない、そういう趣旨なんですよ。

 私もいろいろこの補助のこれまでの要綱とか中身を見ましたけれども、津波の被害を受けた学校が対象になっていますけれども、事前の予防策として津波の被害を受ける前の対応というのも当然これは必要だと思う。

 そういう意味での、視点での質問だということで、再度答弁をお願いします。

堂故大臣政務官 今現在の文部科学省の制度では三分の一。そして、残りの九割については地方交付税措置のある地財措置を適用させていただいています。

 その上の対応については、特別に東日本の震災を受けた地域ということもあって、いろいろな考え方があろうかと思いますので、復興庁と勉強させていただければありがたいと思っています。

椎木委員 二つの視点で、では今度は言い方を変えますね。

 まず、私も教師の経験を持っています。出身が教師です。そういう意味では、この二つの学校の教育の環境というのは全く整っていないと思います。その理由としては、久慈市長が再三再四言われていたのは、先生方は常に避難経路、避難を想定しながら授業を展開していると。そういうはらはらどきどきの、子供たちの人命にかかわるような、そういう思いで授業は決してやらせたくない、そういうことで我々に要望、さらに思いを寄せてきたわけですよ。それが一つです。

 もう一つは、きょう答弁に立たれるということで、堂故政務官、私が承知している限りでは、首長も長きにわたって経験されている。そういう意味では、地方自治体の首長の立場としては、児童生徒の安全を守るだけではなくて、地域住民の命も、久慈市であればオール久慈市民の命を預かる、守る責任があるわけですよね。私はそういう意味では堂故政務官のきょうの答弁には物すごく期待していまして、それが何か、誰が答弁しても同じような答弁にしか聞こえないんですけれども、これまでの長きにわたって首長も経験されてきた思いで、この久慈市長の思いをまた受けて、再度答弁いただきたいと思います。

堂故大臣政務官 心を込めて、思いを込めて答弁したつもりでありますけれども、文科省の制度がこうなっています。自治体の首長のお気持ち、痛いほどわかります。ぜひ勉強させていただきたい、復興庁さんとも勉強させていただきたいと思っています。

椎木委員 時間も限られていますから。

 それでは、今後、制度改正の必要性を踏まえて文科省として前向きに検討していく、そういう考えはおありでしょうか。

山下政府参考人 ただいまの学校施設環境改善交付金の三分の一の補助の件でございますが、これは、東日本大震災を受けて、全国的にそういう津波が来そうな場所、津波浸水想定区域内にある学校について新たに補助制度メニューとしてつくりまして、それで児童生徒の安全を守ろうということでつくったものでございまして、当面、一応、補助率三分の一、あとこれは地方債等のメニューと軽減措置もございますので、そういった中で運用させていただきたいと考えてございます。

椎木委員 全く不誠実な答弁だと思いますね。

 いいですか、津波の被害を受けた学校にだけ交付金、要するに補助金の対象としてという、手厚いものとして対応するだけじゃなくて、高台に移転する必要がある学校についても国としてしっかりとした支援をしてください、そういう趣旨で私は、現場の首長の声を聞いて今質問しているんですよ。そんなマニュアル的な答弁を聞いているんじゃない。再度答弁をお願いします。

山下政府参考人 済みません。説明が不十分でございました。

 津波浸水想定区域内というのは、既に津波を受けたところではなくて、それぞれそういう想定を都道府県等で行った上で、そういうおそれのあるものについては今後対応していくということでございますので、そういったことで、津波を受けたということじゃなくて、これからおそれのあるところについてもこの補助メニューが使えるということでございますので、そういったことで御理解いただければありがたいと思います。

椎木委員 では、この二つの久慈市の小学校も対象となるというような理解でよろしいんでしょうか。

山下政府参考人 津波浸水想定区域内というふうに決定をされれば、これは当然対象になるというふうに考えてございます。

椎木委員 よく現地の調査もしながら、しっかり検討していただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 次に、復興交付金についてお尋ねいたします。

 本年五月十三日の読売新聞宮城版に、復興交付金の使途拡大という記事が掲載されております。東日本大震災の復興事業で使われる復興交付金について、復興庁は、交通量の増加で傷んだ道路の補修や、半島部などの生活が不便な集落への小型店舗設置などにも使えるよう、使途を拡大することを決めた。住まいの再建が進む中、被災者の生活再建にきめ細かな配慮が必要と判断した。県内の沿岸自治体からは歓迎の声が上がる一方、まだ条件が厳しいとの不満もくすぶる。以上の内容です。

 復興庁によると、復興交付金は被災地の要望を踏まえて随時、制度の見直しを実施し運用を柔軟化とあります。今回、復興交付金の使途拡大メニューとして道路補修、観光振興、離半島部の暮らし再建が追加されていますが、公金を投入するからにはしっかりと精査する必要はありますが、被災地の復旧復興とあわせて被災地への生活支援は大変重要なことだと思います。

 そのような観点から、この復興交付金をより使い勝手のよいものにするために、被災地からの要望に対してどのような対応を考えているのか、答弁を求めます。

高木国務大臣 復興交付金は、関連事業の一括化、基金の活用等、これまでにない極めて柔軟な制度でございまして、これまでも効果促進事業の採択対象の柔軟化や事例集の整理、公表を行ってきたところでございます。

 今般、新たに、先ほど御指摘いただきましたように、顕在化している被災地の課題に対応するべく、復旧復興事業により損壊した道路舗装の補修、被災地における観光振興、離半島部における暮らしの再建支援について、効果促進事業の対象を明確化したところでございます。

 また、これまでに、効果促進事業の一括配分の創設、申請書類の三分の一の廃止等によりまして、事務負担の軽減や使い勝手の向上に努めてきたところでございます。

 さらに、復興交付金の申請等に当たりましては、復興庁の職員が個別に相談や助言を行うなどきめ細かく対応しているところでございまして、御指摘のとおり、引き続き、被災自治体からの御要望を丁寧に伺いながら、一刻も早い復興と自立を支援してまいりたいと考えております。

椎木委員 今回、私も根本復興大臣のときからずっとこの特別委員会で委員として加わらせていただいていますけれども、非常に今までと違う決定的なところは、スピード感とか復興の加速という言葉が聞かれなかった。これは本当に、高木大臣を中心に、復興庁の頑張りの結果だと思います。

 我々も一貫してこれまでも委員会等でお話ししてきたとおり、与野党の垣根を越えて超党派で一丸となって協力していきますということをお約束して、それをしっかり履行してきていると思うんですね。そういう意味で、ある意味ではこの特別委員会一丸となって被災地の視察も何度もこれまでやってきて、ここに来てやはり、今度はハードとかインフラ整備が大体もう落ちついてきて、これからどう被災地を創生していくかという段階だと思うんですね。

 最後の被災地の皆さんの声としては、特に先ほども質問しましたけれども、首長の声としては、やはり使い勝手のいいものにしてほしいということなんですね。私も教師もやっていましたけれども行政にも勤めていまして、やはり悩みどころは、申請手続に余りに手間がかかりますね。これは僕は一般的なもので言っているんじゃない。被災地については特例的な扱いをしてやらないと、これは本当に首長に限らず被災地の皆様も、精神的ストレスだけじゃない、やはり重圧といいますか、先が見えてこないと思う。

 そういう意味では、先ほど文科省にも言いましたけれども、申請に当たっては使い勝手をよりいいものにしてほしいという趣旨は、現状を見て、現地の調査をした上で、ペーパーよりも現地調査を踏まえて判断してほしいということだと思うんですよね。これについてはどうでしょうか。こういった使い勝手という意味の申請手続を今後改めて、要するに見直していくというお考えはあるでしょうか。答弁をお願いします。

高木国務大臣 大変な災害に見舞われて、各自治体、ただでさえ大変厳しい人手の中で、ありとあらゆることをやっていただいております。

 委員御指摘のとおり、少しでも事務手続の負担というものをなくしていく、簡素にやっていくということは大変大事な視点だというふうに思っております。これまでもワンストップ化を含めていろいろと対応してきておりますけれども、さらにそうした形で被災自治体の要望に応えるべく努力してまいりたいと存じます。

椎木委員 ありがとうございます。引き続き我々もしっかり本当に、何度も申し上げていますけれども、大臣をある意味お支えしながら復興にしっかり取り組んでいきたいと思いますので。

 文科省においても、これは普通のケースと違うということは重々やはり理解していただいて、とにかく現場を見て、それでやはり適時判断していただければと思いますので、何とか制度の見直しを含めて今後検討していただけることを切にお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

今村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十九分散会


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