衆議院

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第2号 平成26年11月6日(木曜日)

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平成二十六年十一月六日(木曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   会長 保利 耕輔君

   幹事 中谷  元君 幹事 根本  匠君

   幹事 平井たくや君 幹事 船田  元君

   幹事 古屋 圭司君 幹事 保岡 興治君

   幹事 武正 公一君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 北側 一雄君

      泉原 保二君    江崎 鐵磨君

      衛藤征士郎君    小田原 潔君

      鬼木  誠君    黄川田仁志君

      熊田 裕通君    河野 太郎君

      桜井  宏君    櫻田 義孝君

      鈴木 馨祐君    田中 和徳君

      田村 憲久君    高木 宏壽君

      棚橋 泰文君    土屋 正忠君

      中谷 真一君    永山 文雄君

      鳩山 邦夫君    平口  洋君

      福井  照君    前田 一男君

      牧原 秀樹君    山下 貴司君

      若宮 健嗣君    長島 昭久君

      長妻  昭君    古本伸一郎君

      松本 剛明君    伊東 信久君

      柿沢 未途君    畠中 光成君

      三木 圭恵君    斉藤 鉄夫君

      浜地 雅一君    西野 弘一君

      三谷 英弘君    笠井  亮君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 阿部 優子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月六日

 辞任         補欠選任

  石原 伸晃君     鬼木  誠君

  上杉 光弘君     小田原 潔君

  櫻田 義孝君     桜井  宏君

  新藤 義孝君     中谷 真一君

  橘 慶一郎君     永山 文雄君

  棚橋 泰文君     黄川田仁志君

  若宮 健嗣君     前田 一男君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     上杉 光弘君

  鬼木  誠君     石原 伸晃君

  黄川田仁志君     棚橋 泰文君

  桜井  宏君     櫻田 義孝君

  中谷 真一君     新藤 義孝君

  永山 文雄君     橘 慶一郎君

  前田 一男君     若宮 健嗣君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(今後の憲法審査会で議論すべきこと)


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     ――――◇―――――

保利会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、今後の憲法審査会で議論すべきことについて自由討議を行います。

 この自由討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派を代表する委員が順次発言を行い、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派を代表する委員の発言に入ります。

 発言時間は十分以内とし、その経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申し出がありますので、順次これを許します。船田元君。

船田委員 自由民主党の船田元でございます。

 党の憲法改正推進本部長という立場で、今議題となっております今後の憲法審査会の審議のあり方につきまして考えを述べたいと存じます。

 まず、これまでの審査会の議論でありますが、さきの通常国会では、憲法改正国民投票法の改正を行い、法施行後四年間は二十から、五年目以降は十八歳から投票することとし、いわゆる年齢問題を解決いたしました。

 公務員の運動規制のあり方あるいは一般的国民投票のあり方など、なお宿題は残るものの、いよいよことしの六月二十日からは憲法改正が名実ともに実施できる環境が整ったと申せます。

 このことは八党合意のもとで進められたのでありますが、その合意のもとでは、さらに、同じ参政権グループである選挙権につきましても、できるだけ速やかに十八歳に引き下げるため、公職選挙法も改正するという課題について、現在鋭意取り組んでおります。

 さらに、この話し合いの中では、高校三年生の一部が投票することとなるために、中立的な政治教育あるいは歴史教育を充実することも大きな課題として浮上しており、この解決にさらに努力をしなければいけないと思います。

 なお、憲法改正国民投票法が改正され、将来、投票権が十八歳から与えられることなどに対しての国民の認知度はまだまだ低い状況にあるため、当審査会としても、予定されている地方公聴会を初め、さまざまな手段で広報活動を行っていく必要性を指摘しておきたいと存じます。

 当審査会としては、いよいよ憲法改正の中身を真剣に議論すべきときを迎えたと思います。憲法に新たにつけ加えなければならないこと、憲法が現実と乖離する箇所が出てきたことなど、憲法改正の必要性は論をまちませんが、我が党は、既に二年前に日本国憲法改正草案を発表いたしております。各政党の皆様にも、憲法をどのように変えるべきか、また変えないべきか、改正の全体像を具体的にお示しいただけると幸いと思います。

 我が党の草案の主な内容は、まず前文については、憲法の三原則を明記するとともに、我が国の文化や伝統を大切にすることなど、日本国籍を持った憲法前文にふさわしいように全文を書きかえます。

 第一章天皇におきましては、天皇は国家元首であること。

 第二章戦争の放棄においては、九条一項は、平和主義の象徴であり、変えてはなりませんが、二項以降におきましては、国防軍を置いて、自衛権の存在を明確にし、その行使の範囲については下位法に委ねます。

 第三章国民の権利及び義務に関しては、新たに環境権やプライバシー権などを加えるほか、家族を尊重すること、権利には義務が伴うことを自覚すべきこと、公共の福祉を公益及び公の秩序に変更し、その概念を明確にします。

 第四章国会については、会期の設定を柔軟にすることなど。

 第五章内閣については、総理大臣の権限に衆議院の解散権や国防軍の最高指揮官の地位を付与して強化します。

 第七章財政におきましては、財政規律を守ることや予算単年度主義を是正すること。

 第八章地方自治では、地方自治の本旨を明確にし、基礎自治体と広域自治体の二層構造を示すこと。

 また、新たに緊急事態を章立てし、緊急事態においては政省令や予算の国会事後承認や一定の私権制限を許容することといたします。

 第九章改正においては、国会の発議要件を三分の二から二分の一に緩和します。

 これらの改正項目を参考にしつつ、各党の皆様と精力的に協議していきたいと存じております。

 ところで、国会法六十八条の三に、「憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うもの」と規定されています。これが個別発議の原則と言われております。

 これに従えば、憲法改正とは、一度に全て行うのではなく、何回かに分けて行うこととなります。部分的な改正が続くわけですが、憲法全体のバランスを失しないように配慮すべきこと、さらには、改正作業全体が長期間を要したり途中でとまってしまってはいけないことは言うまでもありません。

 それでは、初回の憲法改正として何を取り上げたらよいでしょうか。

 優先度の高いものから取り上げていく、そういう方法もありますが、国会も国民も、何しろ初めての経験でございますから、できるだけ多くの政党が合意できる項目から取り上げていくのが適切ではないかと思います。

 具体的には、例えば、先般行われた審査会の海外派遣の際、派遣メンバーの多くが関心事項としておりました環境権、緊急事態、財政規律などが挙げられます。

 しかし、環境権と一口に言っても、国民の権利として規定するのか、国の責務として規定するのか、さらには、国民の環境に関する訴訟にどの程度影響が与えられるのかなど、現行の法律などとの整合性も図らなければいけません。

 緊急事態につきましても、衆議院の解散を凍結するだけでいいのか、宣言された後の政府の権限をどこまで認めるのか、個人の権利の制限というのは認められるのかどうか、多くの問題を抱えています。

 財政規律条項の設定についても、累積債務が一千兆円という膨大な金額にまで積み上がっており、その必要性はますます高まっておりますが、時の政府の予算編成権にどの程度影響を及ぼすのか、難しい課題があると思います。

 さらには、裁判官の報酬が下げられないとした七十九条や、公の支配に属さない教育に公金を支出することを禁じた八十九条は、明らかに現実と乖離しており、早急に改正されなければなりません。

 また、意見の分かれるところかもしれませんが、国会発議の要件として、両議院の総議員のそれぞれ三分の二以上の賛成を規定した九十六条の改正も視野に入れたいと思います。いずれかの院の三分の一の議員が反対すれば、国民の憲法判断の機会が奪われることとなり、憲法についての民意は反映されなくなります。

 それぞれの項目について、今後、審査会において深掘りの議論を行い、第一回目の憲法改正の原案作成につながるようにしていかなければいけないと存じています。

 私たち自民党や与党だけで憲法改正ができるとは全く考えておりません。これまでの国民投票法などの環境整備において大切にしてきました幅広い合意を、憲法改正のときこそ大切にしていかなければいけないと思います。

 今後もさまざまな困難と課題が山積すると思いますが、憲法審査会は、憲法を本来の意味で国民の手に取り戻すために、勇気と忍耐を持って議論を進めていくべきだと考えております。

 御清聴ありがとうございました。

保利会長 次に、武正公一君。

武正委員 おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 今後の憲法審査会で議論すべきことということで述べさせていただきたいと思います。

 二〇〇〇年、憲法調査会設置以降十四年を超える議論の経過、これを、当審査会とすれば、尊重し、継承していくというのがまず基本と考えております。

 この間、与野党議員による丁寧な進め方、合意形成に努めてきたのは、衆参両院の三分の二以上での発議要件があったからであり、その間、第一次安倍内閣、第二次安倍内閣での憲法改正をめぐる発言と強引な国会対応、九十六条改正の発言などがあったにせよ、与野党議員の真摯で冷静で前向きな対応により、さきの通常国会における改正国民投票法案の可決、成立、施行に結びついたと考えます。

 憲法調査会以来の議論の確認は必要でありまして、例えば、平成十七年四月に取りまとめられた憲法調査会報告書には、「日本国憲法の制定に対する一連のGHQの関与を「押しつけ」と捉えて問題視する意見もあったが、その点ばかりを強調すべきではないとする意見が多く述べられた。」とまとめられております。多くというのは、三分の二以上の意見として確認をされております。

 民主党としては、現に生じている社会問題について、現在の憲法で足らざる点、補うべき点として明らかになっている事態に着目して、優先して議論に着手することも提起をしたいと思います。

 以下二点は、特に、最近の憲法にかかわるテーマとして取り上げるべきと考えます。

 まずは、立憲主義であります。

 七月一日、現内閣は、集団的自衛権行使容認閣議決定という憲法解釈の変更を行いました。近代立憲主義憲法は個人の権利、自由を確保するために国家権力を制限することを目的とするという点からは、一内閣が恣意的に解釈変更をすることは、あり得ないことであります。

 さきの視察でも、ギリシャでは、憲法解釈の変更は憲法改正手続を経ることになっておりました。

 二点目は、人権についてであります。

 ヘイトスピーチという社会問題がございます。ヘイトスピーチ、すなわち人種などを理由とする差別的な表現を行う団体に対して日本政府は十分対応できていないという国際社会からの指摘があります。団体側は表現の自由を、政府は憲法における権利の侵害を懸念し、行動の規制に、国際的な指摘ですが、及び腰になっているとされております。人種等を理由とする以外にも、差別的行為が同じような形態で行われておりまして、早急に着手、検討すべきではないでしょうか。

 そのほか、以下の点を、議論する主なものとして挙げたいと思います。

 まず、統治機構であります。

 縦割り行政の弊害を正そうということで、前政権でも取り組んでまいりました。国家戦略局などをつくり、各省各庁の分担管理の弊害是正、これは憲法七十四条、内閣法三条、国家行政組織法五条一項に係るところでありますが、残念ながら、道半ば、やり切れなかったという点がございます。この縦割り行政の弊害という点は、必要ではないでしょうか。

 次に、地方分権について。

 補完性の原理に基づく分権国家を民主党は求めてまいりました。前政権では、都道府県、政令市に一括交付金を実現いたしましたが、残念ながら、これも政権交代後撤回をされておりまして、沖縄では唯一残っており、高い評価を受け、成果も上がっております。道州制も含め、地方への税源、財源、分権についての議論は深掘りを必要としております。

 続いて、憲法裁判所。

 最高裁判所による違憲判断の事例が極めて少ない司法消極主義のもとで繰り返されてきた政府、内閣法制局の憲法解釈ではなく、憲法に対する国民の信頼を取り戻し、憲法秩序をより確かな形で維持するため、違憲立法を専門に行う憲法裁判所の設置の検討、これを民主党は二〇〇五年憲法提言でうたっております。最高裁判所のあり方も含めて、取り上げるべきと考えます。

 続きまして、国民の知る権利、国民主権、新しい公共についてであります。

 平成二十一年九月、政権交代後の内閣の初閣議で、運営基本方針として、国民主権を確認いたしました。平成二十二年春、日米密約の解明、同年、外交文書三十年ルールの確認、これは訓令であります、などを行ってまいりましたが、これも、特定秘密保護法で報道の自由とともに後退したと言わざるを得ないところであります。また、新しい公共を提唱し、NPO、NGOなども含め寄附税制の見直しを行い、五割の税額控除を認める改正も行っております。こうした点についても、議論の深掘りが必要だと考えます。

 続いて、安全保障についてであります。

 二〇〇五年憲法提言では、憲法の根本規範としての平和主義を基調とした上で、国連憲章上の制約された自衛権について明確にする、国連の集団安全保障活動を明確に位置づける、民主的統制、シビリアンコントロールの考えを明確にするとした上で、二つの条件を明示しました。一つが、武力の行使については最大限抑制的であること、二つ目、憲法附属法としての安全保障基本法(仮称)を定めることといたしました。

 党としても、北東アジアのみならず、世界における非伝統的なさまざまな状況の出現に、与野党の垣根を越えて現実的な対応をとるよう努めてまいりました。政権を担う経験が、それをさらに後押ししております。現在、領域警備法の作成にも当たっているところであります。

 さて、七月の当審査会欧州視察でポイントとした四点について述べれば、環境権については、環境保全のような社会共通の課題については、国家、企業、家族、個人の協力が必要であり、これらの課題に挑戦するため、国民の義務にかえて、共同の責務という考えを提示してまいりました。

 特に、福島の原発事故を踏まえると、今、原発再稼働という政府の決定を前に、再生可能エネルギーの振興、これはすさまじい努力が必要であるといった点なども含め、環境権についての議論を深めるべきではないでしょうか。

 続きまして、緊急事態条項についてでございます。

 過去、民主党は、基本的人権の制限の歯どめ、国会による民主的統制の確保、この二点を緊急事態条項については申し述べ、また、二〇〇四年三月には、三党合意で、緊急事態基本法を国会に提出することも合意しております。すなわち、国家緊急権を憲法上に明示し、非常事態においても、国民主権や基本的人権の尊重などが侵されることなく、その憲法秩序が維持されるよう、その仕組みを明確にしておく、国家非常事態における内閣総理大臣の解散権の制限であります。

 続いて、財政規律条項について。

 社会保障と税の一体改革法案を成立させた背景には、国際舞台、G20などでの国際公約もありました。二〇一五年には二〇一〇年の半減、二〇二〇年にはプライマリーバランスという、この財政再建目標が国際公約でないということは理解できません。

 歳出の見直し、国民への説明責任から、事業仕分け、行政事業レビューなどを初め、租特透明化法案なども成立をさせました。憲法提言二〇〇五年では、現在及び将来の国民に与える影響の予測、未来への責任と明記している以上、憲法か法律かでの何らかの手当てが必要と考え、議論の深掘りを求めたいと思います。

 最後に、憲法、政治、歴史教育についてであります。

 憲法改正国民投票の十八歳投票権を踏まえ、附帯決議に盛り込まれた高校生への憲法教育など、これは政治教育、歴史教育も含まれますが、その徹底周知が必要であります。また、実際、高校の現場での対応措置にはさらなる議論そして工夫が必要であり、それを深めていくことが求められます。

 一般的国民投票のあり方については、その議論を深めようと、憲法審査会四、五回に一回、テーマとすることも合意をされておりますので、行っていく必要があろうかと思います。

 そして、来る十一月十七日、当審査会は、地方公聴会を盛岡で行います。改正国民投票法施行を受けてというものでありますが、こうした地方公聴会を開催していくことは必要であります。なぜならば、改正国民投票法施行について、ほとんどの国民の方は御存じないのではないのかということであります。

 憲法改正の議論も、もちろんこの憲法審査会で深めようという御意見があるのは承知をしておりますが、こうした国民への周知、これがなしに、国会での議論のみが先走っていくことは、やはりいかがかと思いますので、改正国民投票法施行を受けて、機運醸成のためにも、周知を各界各層に行うべきと考えます。

 以上です。

保利会長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 維新の党の伊東信久です。

 維新の党の現行憲法に対する考え方、そして認識をお伝えしたいと思います。

 まず初めに、維新の党は、統治機構改革により、この国の形を決める仕組みをグレートリセットすべきであると考えています。

 我が国では今、急速に少子高齢化が進んでおり、出生中位推計で見ても、総人口は、二〇三〇年に一億一千六百六十二万人を経て、二〇五〇年には約九千九百万人、二〇六〇年には八千六百七十四万人になるものと見込まれています。生産年齢人口は、二〇一〇年の六三・八%から、二〇一七年に六〇%台を割った後、二〇六〇年には五〇・九%になるのに対し、高齢化率は、二〇一〇年の二三%から、二〇一三年には二五・一%、五十年後の二〇六〇年には三九・九%となり、六十五歳以上の割合が約四〇%になると言われています。このままでは地方は疲弊し、国全体の統治機構に重大な影響を与えてしまいます。

 また、有識者の人口問題研究会では、全国の市町村のうち八百九十六の自治体が人口減少によってなくなり、消滅の可能性があると言及され、大きな波紋を呼びました。

 そして、我が国は今、経済のグローバル化と国際競争の荒波の中で、新陳代謝がおくれ、国力が停滞あるいは弱体化し、国民は多くの不安を抱えています。我が国がこの閉塞感から脱却し、国民の安全、生活の豊かさ、伝統的な価値や文化などの国益を守り、かつ国の将来を切り開いていくためには、より効率的で自律分散型の統治機構を確立することが急務です。

 このような統治機構を確立するため、まず、国と地方の役割を抜本的に見直す必要があります。国の役割を外交、安全保障、マクロ経済政策などの国家的に取り組むことがふさわしい課題に集中させる一方で、地方にできることは地方に任せるべきです。

 住民に身近な課題は基礎自治体が担うとともに、広域地方政府として道州制を導入し、権限と財源の地方への移譲、さらには規制緩和を図り、国からの上意下達によらない、地域そして個人が自立できる社会システムを確立するのです。道州制は、地域、個人の創意工夫、民間の自由な競争によって経済社会の活性化を促す成長戦略として可能性を有しています。

 国家的課題に取り組むためには、国においては、天皇を元首とし、首相公選制を導入し、政治主導の体制整備を図るべきです。あわせて、国の会計制度への発生主義、複式簿記の導入、そして、強力な会計検査機関を国会に設置、財政運営のコントロールと財政健全化を盛り込むべきです。

 次に、我が国を取り巻く国際情勢に目を移します。

 年々、アジア太平洋地域の重要性が急速に高まっている一方で、北東アジア地域では、大規模な軍事力を有する国、さらには核開発を強行する国も存在し、かつ、ミサイルが日本に向けて設置されているという緊迫した状況下において、地域の平和、安全を確保する基軸として、日米同盟の意義はいまだ大きいものがあります。そして、我が国を取り巻く環境が大きく変化する中で、我が国の安全と防衛のために自衛権の再定義が必要であると維新の党では考えています。

 従来からの政府見解では、自国に対する武力攻撃が発生したか否かで個別的自衛権及び集団的自衛権を区別し、憲法で認められるのはこの定義に沿った個別的自衛権のみとしてきました。しかし、仮に我が国が直接的に武力攻撃を受けていない状況下であっても、密接な関係にある他国に対する攻撃の結果、我が国に戦禍が及ぶ必然性が相当に高く、国民がこうむることとなる犠牲も深刻になる場合には、自衛権を行使することは憲法解釈上も許されるものと考えます。

 また、ただいま述べたような自衛権の再定義を行う場合など、恣意的な憲法解釈や、それに基づく運用は避けなければなりません。憲法の解釈に際しては、最終的に、憲法裁判所もしくは最高裁判所の憲法部などの憲法判断を担う司法機関によることが必要であると考えています。

 これらの提案には憲法改正が必要です。大幅な統治機構の改革には、何より、主権者である国民の皆様にその案を提示し、その手で意思決定をしていただくことが重要です。国民的な憲法議論を喚起するためにも、憲法改正発議要件、九十六条のハードルを下げることが重要です。

 また、国民投票年齢の引き下げにつき、維新の党は、国民が直接的に主権を行使し、この国の方向性を決める国民投票がいつでも行えるように、一日でも早く環境を整えるべきだという考えから、改正法の施行後、なるべく早い時期に国民投票年齢を十八歳に引き下げるべきだと考えます。

 また、選挙権についても、同様に十八歳に引き下げるべきであると考えます。しかしながら、選挙権についてはまだ検討すべきことがあり、成人年齢を十八歳にすることを前提に議論を進めることが大切であると考えます。

 また、日本国憲法は、憲法施行後六十八年たった今も一度も改正されておらず、現実に即した条文が整備される必要があります。自然による大災害や感染症のパンデミック、また有事の際など、国民の生命や国土を守るべく国として最善の対処をするために、緊急事態条項を検討することは喫緊の課題であると考えます。

 いずれにしましても、このような憲法改正については、国民の皆様に直接判断していただく機会を早急に整えていくべきであると考えております。

 以上でございます。

保利会長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

 きょうは、これまで党内の憲法調査会で議論し、節目節目でまとめてきた内容や、この衆議院憲法審査会、前身の憲法調査会、調査特別委員会等で発言してきた事柄を総合いたしまして、現時点における公明党の憲法及び憲法改正についての考え方を述べさせていただき、今後議論すべきことの問題提起とさせていただきたいと思います。

 まず、現行憲法をどう評価するかという点です。

 この審査会等を通じ、我が党は、現行憲法は戦後の日本の復興と平和に大きく貢献し、国民に定着していること、特に、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義の三原則は、立憲主義の立場からも今後も堅持すべきであること等を繰り返し表明してまいりました。

 その上で、時代の進展に伴い提起されている新たな理念を加えて補強する加憲という憲法改正の方法もあるのではないか、また、加憲方式こそ最も現実的な、妥当な方式ではないかとも提案してまいりました。

 本日は、どのような加憲の項目が党内で検討されてきたか、また、いるかについて申し述べさせていただきます。もちろん、まだ議論途中であり、決定されたものは一つもありません。また、ほとんどの意見にはその反対意見も党内に存在し、議論が交わされている段階であるということを前もって御承知おきいただければと思っております。

 まず、憲法前文についてですが、憲法三原則の明確化ということで、前文に記載のない基本的人権の尊重を含めた憲法全体を貫く三原則を明確に盛り込むべきであるという点です。

 また、国際社会で名誉ある地位を占めたいとの記述では不十分であることから、人道復興支援など国際貢献についてはもっと明確に打ち出す必要がある、その際、人間の安全保障についての理念がさらに一層強く反映されるべきである等の意見がございます。

 そのほか、地球環境、生命倫理といった人類普遍の原理に通ずる価値については加憲するにふさわしいという意見とともに、日本人のアイデンティティーを共有できる日本固有の価値の記述が必要であるという意見もございます。

 次に、第一章ですが、象徴天皇制と国民主権の関係をより明確にするため、独立した条文で主権在民を明記する、国民主権の明記が必要という意見が大勢でございます。

 次に、第二章戦争の放棄について、九条一項、二項を堅持の上、専守防衛の実力行使主体としての自衛隊の存在を認める記述を置くべきであるという意見と、既に実態として合憲の自衛隊は定着しており、違憲と見る向きは少数派である、また、憲法九条の解釈はこれまでの議論の積み重ねで確定しており、あえて書き込む必要はないという考え方、二つの意見が存在しているというのが実情でございます。

 国際貢献については、明確化を望む指摘がございます。ただし、九条に書き加えるか、前文に盛り込むか、別建てで起こすか、あるいは法律で対応すれば済むと意見が分かれております。

 また、核廃絶について、唯一の被爆国として、その非人道性の指摘等、何らかの規定が憲法に盛り込まれてしかるべきと考えております。

 次に、第三章国民の権利及び義務についてでございますが、新しい人権全般については、より積極的に明示すべきである、憲法に明記することによって事前の人権保障を可能とし、時代の変化に対応した積極的な立法措置を可能にすることが望ましいという考え方がある一方、新しい人権を憲法上の権利として承認できるかどうかは、特定の行為が個人の人格的生存に不可欠であるばかりでなく、その行為を社会が認め、他の基本的人権を侵害するおそれがないかなど慎重に判断すべきであり、権利のインフレを招くべきではないとの強い主張、また、それらは立法においてなすべきだとの主張があり、新しい人権を考える場合、これらを踏まえる必要があると考えております。

 次に、今回の海外視察でも議論の中心の一つとなった環境権について、現在の憲法十三条と環境基本法で十分だという意見もあります。一方、憲法制定時にはなかった自然との共生も含んだエコロジカルな視点に立った人間の存在の考え方、また、開発、経済成長と環境は相対立するものではなく、環境保全こそ成長の基盤であるという考え方に立った環境権、国と国民の環境保全の責任を定める必要があるという意見もあるところです。

 また、生殖医療、再生医療、遺伝子技術の発展に伴う生命倫理のあり方について、二十三条に規定する学問の自由の存在が余りにも大きいため、逆に、そのバランス上、憲法に生命倫理の条項を加えるべきではないかという意見があります。個人の尊重、学問の自由を超えた生命の尊厳という概念を憲法に明記することは重要ではないかと考えております。

 そのほか、プライバシー権、名誉権、知る権利、犯罪被害者の権利、生涯学習権、裁判を受ける権利等についても検討が必要であると考えております。

 次に、第四章国会関係です。二院制について、両議院の役割分担を明確にし、特に参議院の良識の府、再考の府としての位置づけを明らかにする必要があると考えております。国政調査権の拡大については、国政調査権を議員個人の権能とすべきとの意見もありましたが、これは少数意見でございます。

 第七章財政では、私学助成の重要性を踏まえて憲法上の表現について検討すべきであるということ、また、財政規律や財政の健全化を憲法に明記することを検討すべきという意見のほか、複数年度予算、企業会計の導入、決算についての意義づけ、会計検査院について明記すべきであるという意見もございました。

 次に、第八章につきまして、地方自治の章がわずか四条しかないことは極めて抽象的で脆弱な規定であり、地方自治の本旨として団体自治と住民自治を規定しているが、具体的な内容を明確にすべきではないかという意見がございます。また、財政的自立についても、地方自治の財政基盤を確保するため財政的自立を明確にすることを規定すべきであるという意見もございます。

 第九章改正につきましては、三分の二という発議要件は高過ぎるということは決してないが、これを、例えば三原則以外については一定程度緩和することについては、議論の余地があり得るとしております。

 また、緊急事態についても、衆議院解散時における対処方法を初めとして、現行法規定には大きな空白があり、憲法に書き込んだ上で法律を整備するなど、何らかの規定が必要だという意見が大勢でございます。

 以上、加憲の対象となるのではないかということで議論されている項目を紹介させていただきました。

 今後、党内での議論をなお一層加速させていきたいと考えております。

 以上です。

保利会長 次に、西野弘一君。

西野委員 次世代の党の西野弘一です。

 次世代の党の見解を申し上げます。

 解散前の日本維新の会時代に、一度、中間報告として、党としての憲法改正の方向性を示しました。次世代の党も、この中間報告を尊重しつつ、新たに党内で憲法調査会での議論を始めております。

 次世代の党は、自主憲法制定を党是として発足いたしました。我が党の党首の平沼赳夫議員は、初挑戦の選挙から一貫して自主憲法の制定を公約の第一に掲げ、私自身も、さきの選挙では、日本維新の会の自主憲法制定という公約のもとに戦いました。

 自主憲法制定という言葉そのものがイデオロギー化しているという指摘がありますが、我が党としては、占領下に押しつけられた占領のための憲法から早期に脱却し、日本国民みずからの手による憲法を制定すべきと考えております。

 そういう趣旨からすれば、本来ならば全文一括改正が望ましいのでありますが、党内の意見としては、手続的な現実論から、逐条改正を繰り返すことにより最終的な全面改正を目指す方向でまとまっております。

 具体的にどのように改正していくかでありますが、まず真っ先に取り組まなければならないのは、緊急事態に係る条項の追加であります。

 御案内のとおり、現行憲法には緊急事態における行政機構のあり方が規定されておりません。これは、昨今の国際情勢や頻発する大災害、今後懸念される伝染病の流行などに適時に対応していく上で、甚だ心もとない状況です。緊急時には迅速かつ効果的に執行権限を行使できる仕組みとともに、有事にあっても憲法秩序を維持し、民主主義を尊重し、権力の濫用や簒奪を防ぐための仕組みが必要です。

 例えば、各党や民間団体の憲法案では、内閣あるいは内閣総理大臣による緊急事態宣言が盛り込まれています。我が党も、これに加えて、内閣が機能しなくなったときのための規定、例えば、衆議院議長、参議院議長などが、順位を定めて、次の総理大臣が指名されるまでの間、その職務を代行するなどの規定が必要だと考えております。

 また、現行憲法には自衛権の規定が全くありません。その結果、幸福追求権から自衛権を導くという甚だわかりづらいテクニックを用いております。平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼するという大前提が崩れている以上、国家の独立と国民の平穏を守るために、新しい憲法には明確に自衛権の保持が掲げられるべきであります。

 現役世代の次世代への責任という立場から、国家財政に対する責任や環境に対する責任も規定されなければならないと考えます。

 次世代にツケを残さない国家運営を図っていくためにも、財政について、国会のチェック機能を明確にすべきです。

 環境についても、自然環境保護だけでなく、エネルギー問題を含め、次世代が享受すべき幸福を現役世代が乱費することを戒めなければなりません。

 行政、立法機構について、我が党は、基本政策の政策実例として、日本型州制度の導入とともに、首相公選制や国会一院制の方向性で議論すると掲げましたが、これについては、将来的に州制度を導入するに当たってふさわしい機構とは何か、これからゼロベースで議論を深めてまいります。

 憲法前文についても、我が国の国柄、精神や文化、伝統について四百字から八百字程度で書かれた、子供でも暗唱できるような美しい日本語で書かれていることが望ましいと思います。

 現在、次世代の党では、我が党の憲法改正原案を議論する前段階として、各議員からそれぞれの議員の前文私案を提出いただくことといたしました。同時に、国民にも広く呼びかけ、憲法改正への機運を高めてまいりたいと思います。

 改正手続について申し上げます。

 さきの国会で、八党合意のもと、国民投票法が改正され、手続上はいつでも憲法改正を発議できる環境が整いました。私ども次世代の党も、引き続き、八党合意を尊重し、憲法改正の環境整備に尽力してまいります。

 しかし、一言申し添えれば、選挙権年齢については公職選挙法改正、成人年齢については主に民法など、それぞれの所掌で国民投票法の議論を尊重しつつやるべき議論であり、憲法改正を議論する上でそれらを取り上げていく積極的理由はないように思います。

 憲法九条をノーベル平和賞にという活動があります。ことしは、一部マスコミも盛り上がっておりました。全く笑えない悪い冗談だと思います。

 憲法九条の原文はどこから来たかと探せば、一九二七年のパリ不戦条約に行き着きます。パリ不戦条約では、侵略戦争を禁じていました。しかし、その後に第二次世界大戦の勃発を防ぐことはできませんでした。

 戦後、日本が国家間の戦争に直接巻き込まれることがなかったのは、日本国民のたゆまぬ努力と、自衛隊の皆さんの命がけの研さんと、そして何より、日米安保の存在があったからだというのが現実であります。

 しかし、一見、平和に見える一方で、奪われた領土、奪われた国民は、いまだ異国の手にあります。憲法九条があったことで、北方領土が返ってきたでしょうか。竹島から韓国が出ていったでしょうか。尖閣諸島の領有権の主張を中国が引っ込めたでしょうか。また、北朝鮮に同胞が拉致されて、四十年以上も取り戻すことができない。母が子を抱き締める日が来ないのです。憲法九条があっても、現に、我が日本の平和は侵され続けているのです。

 我々次世代の党は、既に平和は侵されているという現実の認識に立ち、その認識の上で、いかに我が国の独立と国民の安全を取り戻すのか、世界の平和に貢献していくのかを議論してまいります。

 昨今は、小笠原諸島、伊豆諸島沖の我が国の排他的経済水域内で、中国漁船による違法なサンゴ漁が確認されております。二百そうを超える大船団に対して、我が国は、数少ない海上保安庁と水産庁の巡視船が警戒に当たっております。本来であれば、かかる事態に対しては、海上自衛隊も含めて、持てる戦力を投入すべきだと考えます。

 我が党は、領域、領海警備に関して新たな立法を準備しております。こういった事態を想定して対処すべき法律がこれまで存在しなかったというのも、一つには、平和憲法という建前に遠慮して、現実を冷徹に見据えた議論を怠ってきたという国会の不作為があったのではないかと考えます。

 我が党の石原慎太郎最高顧問がさきの予算委員会で指摘したように、憲法前文は助詞が不正確な部分が多数あり、また、天皇の国事行為を定めた第七条には、国会議員の総選挙の施行の公示という、明らかに誤った記述もあります。

 戦後七十年を間もなく迎える今こそ、これまでの国会の不作為に真摯に向き合い、国民への、そして次世代への責務として、我が国の成り立ちと伝統に基づいた、日本人による日本人のための憲法を制定しなければなりません。

 次世代の党としては、平沼党首の代表質問にありましたように、改憲案の発議に必要な衆参両院の三分の二の勢力の結集を呼びかけながら、環境整備を進めつつ、再来年の参議院通常選挙と同時に憲法改正のための国民投票を実施するべく、国会での憲法改正原案づくりに取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

保利会長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 いよいよ、憲法改正国民投票法制が整備をされまして、憲法改正というものが具体的な俎上に上ってきたということについては、まずもって賛意を示したい、非常に喜ばしいことだというふうに考えております。

 その上で、本日は、みんなの党の憲法改正に対する考え方として、九点述べさせていただきます。

 我々みんなの党は、みんなの日本二〇五〇というテーマを設定いたしまして、将来の日本のあり方というものをただいま党内で議論させていただいております。その中で、一人前の自由主義国家として必要な憲法の改正、法整備というものは積極的に行っていくべきだという立場でございます。

 まずは、天皇の位置づけでございますけれども、これは、国家存立の基本中の基本でございます。この基本をまずは明確化するということでございます。日本国の元首として天皇を位置づけるということは不可欠であると考えております。

 また、日章旗を国旗に、そして君が代を国歌にということを明確に位置づけることもまた必要であるというふうに考えております。

 それから三点目、いわゆる憲法九条、平和主義の考え方でございますけれども、国際平和に貢献し、我が国を防衛するためということで、自衛権のあり方を憲法上明確化していくべきだというふうに考えております。

 我々みんなの党といたしましては、内閣による憲法の解釈変更そのものは可能だというふうな立場をとっておりますけれども、しかしながら、内閣法制局の解釈によって、この憲法の解釈ができる、できないということで不安定な立場に置かれるということについては、これは逆に官僚統制というものが強まってしまうとの懸念から、そうであるべきではないという立場をとっております。

 そういう意味では、この自衛権のあり方、個別的自衛権及び集団的自衛権については、議論を重ねた上で、これを認めるということであれば、しっかりとまずは憲法を改正して、これを憲法上明確に位置づけていくということを行っていくべきだというふうに考えております。

 それから四点目になりますが、いわゆる地域主権型道州制というものを憲法上しっかりと定めていく、それが必要だというふうに考えております。

 ただいま、人間、財源、権限、この三ゲンがどうしても国に一極集中になっておりますけれども、それを地方に移していくということが不可欠であるというふうに考えております。

 また、それに関連してですけれども、今まで国家が行ってきたそういう役割を地方公共団体が行うというたてつけになりますので、外国人の地方参政権というものに関しては、これを認めるということに対しては非常に慎重であるべきだ、我々の党としては、反対をするべきだというふうに考えております。

 それから五点目です。今の国民の政治への参加のあり方ということを考えた際には、総選挙ということで総理大臣がかわる場合はよろしいですが、そうではない場合に、総理大臣が次から次にかわっていくというあり方が国民の不信を一層増幅させてきたという今までの経緯から、首相公選制というものを憲法上位置づけるべきだというふうに考えております。首相公選制というものを定めた上でも、天皇が元首であるというようなたてつけには影響がありません。

 その意味で、首相公選制というもの、これは現行憲法下でもできるというふうに我々は考えておりますけれども、将来的には、憲法改正を行った上で首相公選制というものを定めるべきだというふうに考えております。

 それから六点目、立法権のあり方ですけれども、道州制との関係でさまざまな権限を地方に移していくという関係から、司法ですとか外交、それから安全保障、そういったものに立法事項を限定していくべきだというふうに考えております。

 また、それに伴いまして国が行う役割というものも少なくなるという関係から、両院統合による一院制というものを実現するべきだと考えております。

 また、この立法権のあり方という意味で、切っても切れないのが一人一票の価値の問題でございます。我々みんなの党といたしましては、誰もがひとしく投票権の価値を持っているということが重要であるというふうに考えております。憲法改正という名のもとに、この一人一票という考え方が葬り去られてしまうことだけは避けなければならない、このように考えております。

 また、この立法権との関係では、今の国会での動きというものを考える際に、どうしても切っても切り離せない政党のあり方というものを、しっかりと憲法上位置づけるべきだというふうに考えております。

 それから、先日も、東日本大震災がありました。次はこの東京でも直下型地震が起きるかもしれないと言われている中で、やはり不可欠なのは非常事態法制、これをしっかりと憲法上定めていくことも不可欠であるというふうに考えております。

 ただいま、この衆議院、参議院がありますけれども、では、衆議院が解散されているときにどうするのかもしっかりと考えていく、そういったことをやっていかなければならないんだろうというふうに考えております。

 それから八点目になります。八点目としては、今の憲法の性格、硬性憲法というふうになっておりますけれども、戦後一貫してなかなか憲法の議論が深まらなかったということの最大の要因は、やはり何といっても、憲法改正を行うための発議の要件が余りにも厳格に過ぎたということが指摘できるのではないかというふうに我々は考えております。

 憲法改正を具体的なスケジュールにのせていく、そのためには、今までのような、三分の二、三分の二、衆議院、参議院両方というようなことで、果たして引き続きよいのかどうか、これはしっかりと国会内で議論していくべきだ、そして、この改正手続を簡略化させていくということによって、時代の変化に伴った、必要な憲法の改正というものは行っていくことが必要である、我々はそのように考えております。

 最後になりますけれども、いわゆる新しい人権の考え方というものも、これは検討していかなければならないというふうに考えております。

 我々みんなの党といたしましては、あくまでも小さな政府というものが重要であるという観点から、この新しい人権、例えば環境権ですとかプライバシー権、そういったさまざまな権利というものが考えられるところではありますけれども、今まで以上に国家の統制、国家の関与というものが強くなり過ぎないような形で、本当に必要な人権というものを議論していくということに関しては、これは重要なことではないか、我々としてはこのように考えております。

 いずれにいたしましても、我々みんなの党といたしまして、そして個人的にも、憲法が今まで一回も改正されてこなかったということに関しては非常に残念なことだったというふうに考えておりますし、これは個人的な意見ではありますけれども、必要な憲法改正をすることによって初めて我々日本国民が、戦後、みずからの手で憲法を定めていくんだというようなことになるのではないかと考えております。それを自主憲法というふうに位置づける、そういう考え方を私もとっておりますけれども、そういう憲法の改正というものが、これから国家を挙げての議論となっていくことを期待いたしまして、私、三谷英弘の、そしてみんなの党を代表しての意見とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

保利会長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 本日は、今後の憲法審査会で議論すべきこととのテーマでの自由討議ということでありますが、国民は改憲のための議論は求めておらず、憲法審査会は動かす必要はありません。むしろ、国民は憲法の諸原則に反する現実の政治に批判を強めており、国会は、それを正すことにこそ役割を発揮すべきです。

 日本の平和をめぐっては、安倍政権による集団的自衛権の行使容認の閣議決定と日米ガイドライン再改定が憲法上の重大問題となっています。

 閣議決定は、二度と戦争はしないと誓った憲法九条を覆し、海外で戦争をする国に道を開く、国のあり方の根本的変更を意味します。しかも、憲法改定に等しい大転換を一片の閣議決定で強行するなどというのは、立憲主義を根底から否定するものにほかなりません。

 ガイドライン再改定に向けた中間報告は、その閣議決定を適切に反映すると明記し、これまでの周辺事態という概念も後方地域という概念も取り払い、地球的規模で日本が米国の戦争を支援しようというものです。

 閣議決定に対して、この間の世論調査でも、集団的自衛権の行使容認には、反対が六割、評価しないが五割、六割にも及び、安倍政権は国民に十分説明していると思うかの問いには、八割が思わないと答えています。ますます国民の批判が強まっているのが現実です。

 九条あってこその今日の日本であります。国民の多数は、安倍政権の憲法破壊の政治を憲法の諸原則に基づき正すことをこそ求めています。閣議決定は直ちに撤回し、それを具体化する一切の作業は中止すべきであります。何より、今こそ憲法九条の精神に立った外交で、紛争を絶対に戦争にせず、平和的に解決して、北東アジアに平和協力の枠組みをつくり、日本と世界の平和と安定を築くことであります。

 国民生活と経済にかかわってはどうか。

 円安による物価上昇に消費税増税が加わり、働く人の給料が目減りし、実質賃金は十四カ月連続のマイナスです。アベノミクスによって、国民の暮らし、中小企業の営業は苦境に立たされています。年金は、マクロ経済スライドの適用によって減額され、積立金の株式運用によって大きなリスクにさらされようとしています。

 七十五歳以上の高齢者八百六十五万人に対する医療保険料の特例の廃止を初め、高齢者から現役世代まで、手当たり次第に医療費の負担増を押しつけられようとしています。要支援者は介護保険から締め出され、生活保護の老齢加算廃止に加え、生活扶助基準が引き下げられ、住宅扶助や冬季加算の削減まで狙われているのであります。まさに、社会保障のためという消費税大増税の口実がでたらめであることが誰の目にも明らかになっているのです。

 この臨時国会において、直接雇用の原則に風穴をあける労働者派遣法をさらに改悪して、臨時的、一時的という労働者派遣の原則をも覆そうとしていることは断じて許されません。

 個人の尊重と幸福追求権をうたった憲法十三条、生存権を定めた二十五条、勤労の権利を保障した二十七条など憲法の基本的人権の尊重の原則に立って暴走政治を正すこと、消費税一〇%への増税は中止し、企業から家計に軸足を移す経済政策に転換し、人間らしく働ける雇用のルールを確立することが必要です。

 全国の原発再稼働の突破口として、九州電力川内原発の再稼働が強行されようとしています。しかし、火山の巨大噴火をめぐって、専門家からは、予知は無理との声が出されています。ところが、巨大噴火は数年単位で予知できるなどと新たな安全神話がつくり出されようとしているのです。住民の避難計画も、肝心の避難に要する時間が一切書かれていません。こんなずさんな対策で再稼働を強行するなど、断じて認められません。

 去る五月二十一日、福井地方裁判所は、大飯原発の運転差しとめを命じる判決を下しました。個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益全体を人格権とし、この人格権は憲法上の権利であって、これを超える価値を他に見出すことはできないと述べ、この権利が極めて広範に奪われる事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差しとめが認められるのは当然と断じるなど、画期的な内容となっています。

 続いて、八月二十六日、福島地方裁判所は、避難生活中に自殺に追い込まれた女性に対して損害賠償を命じる判決を下しました。

 人類と原発は共存できないことを示した二つの判決に立ち、原発は再稼働させず、原発ゼロの決断こそ行うときです。

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設には県民の八割が反対しているにもかかわらず、新基地建設を強行しようとしていることに激しい怒りが噴き出しています。最近も、沖縄県議会が工事の即時中止を求める意見書を採択し、名護市議選挙では、新基地建設反対の稲嶺市長を支える与党の当選者が過半数を占めました。民意は明確です。辺野古への新基地建設は断念し、普天間基地の無条件撤去、基地のない平和な沖縄こそ目指すべき道だということであります。

 以上、るる述べてきたとおり、こうした政治の現実を、憲法の国民主権、恒久平和主義、基本的人権の尊重という諸原則に照らして、本会議とそれぞれの各委員会でただしていくことこそ、国会に課せられた役割であることを重ねて強調するものであります。

 これまでも、本審査会で議論すべきこととして、環境権、緊急事態、財政規律などの問題が挙げられてきました。

 前回の審査会でも発言しましたが、環境権は、文字どおり国民の闘いによって獲得されてきたものであり、憲法上、基本的人権として認められていることは、今日では当たり前となっています。問われているのは、憲法に明文の規定があるかどうかではなく、憲法を生かした立法政策に政治が本気で取り組むかどうかです。

 憲法に緊急事態の規定を設け、総理大臣に権限を集中すれば大規模災害に対処できるなどというのは、問題のすりかえです。

 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の被災者支援、被災地復興のため、憲法を生かして、必要な法律や制度の整備、国会事故調の設置などに国会が取り組んできたという現実とも違うものであります。

 外部からの武力攻撃への対処とも言いますが、そのような事態を起こさせないためにこそ日本国憲法があるのであって、この点でも、憲法を生かす政治こそ求められていることを強調したいと思います。

 今日の財政危機を口実に、憲法に財政規律の規定をというのも、歴代政権の財政運営が招いた危機を省みない議論であり、問題のすりかえだと言わなければなりません。

 憲法は、財政民主主義の原則を初め、財政運営についても、国民主権に基づき、恒久平和主義、国民の人権保障に資するよう、財政に関する諸原則を定めています。憲法に規定された諸原則に基づく財政運営へと正すことこそが政治の仕事であることを確信するものであります。

 本日の審査会も、他の委員会と同時並行で開催をされております。委員会室を見渡しますと、他にも同じ事情の委員の方がおられるのかもしれませんが、私は、これから原子力問題調査特別委員会で質問に立つために、けさの幹事会での了承のもと、これにて退席せざるを得ませんが、まさにそういう点でも、この間繰り返し主張してきたとおり、この審査会が重複する日程で設定されるということはすべきでないということを改めて強調したいと思います。

 いずれにしても、最後に申し上げたいのは、憲法審査会を動かす必要は全くない、国民が改憲を望んでいないのに、国会を改憲の議論あるいはそのキャンペーンの場にしてはならない、そういう我が党の立場を重ねて表明して、私の発言といたします。

 以上です。

保利会長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の党の鈴木克昌であります。

 今後の憲法審査会で議論すべきことについて、私どもの意見を表明させていただきたいと思います。

 まず、議論の前提として、私は、すばらしい会議運営について、一言付言をしたいというふうに思います。

 発言時間の割り当てということでありますけれども、我々のような小さな会派にも十分な配慮をしていただいて、平等に発言時間を与えていただいておるという、憲法調査会以来踏襲されてきたこの運営方法というのは、本当に、護憲、改憲の枠を超えた我が国の憲法議論に多大な貢献をしておる、私はこのように思っておりまして、今後の憲法審査会においてもぜひこの伝統を堅持していただきたい、このことをまず議論の前提としてお話しさせていただきたいと思います。

 それでは、今後の憲法審査会での議論すべき内容でありますけれども、まず、確認をしておきたいことがあります。それは、当たり前の話でありますけれども、憲法とは何かということであります。

 憲法とは、私たち国民がより幸せに、より安全に生活するためにみんなで定めた共同体のルールである、このように思います。したがって、憲法は、まず、国民生活の安定と向上のためにあるのでなければなりません。

 国民の一人一人が、社会の中で、他の共同体のメンバーと協力し合いながら、自由に自分の人生を生きていけるようにする、これが基本的人権の尊重ということであります。そして、この基本的人権の尊重を貫徹するためには、共同体のルールとして、国家を運営するための組織と権限、すなわち国家権力に対するしっかりとした制限を設けておかなければなりません。憲法は国家権力を縛り、国家権力は憲法の定める範囲内でのみ行使することができる、これが立憲主義の考え方であります。

 基本的人権の尊重と立憲主義、これらが憲法にかかわる全ての者にとって基本中の基本というべき事柄であり、多くの方に共感していただけるのではないか、このように思っております。

 現行憲法に対する生活の党の考え方をお話しさせていただきます。

 我が党では、この基本的人権の尊重と立憲主義という基本を押さえた上で、我が国の将来像を思い描きながら、党内で冷静に、理性的に憲法論議を行ってまいりました。そして、この議論をもとに、「憲法についての考え方」を昨年五月九日に発表させていただきました。

 この「憲法についての考え方」では、一つ、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という憲法の四大原則は、現在においても守るべき普遍的価値であり、引き続き堅持をすること。二つ、国民主権から発する諸原理の安易な改正を認めないという憲法の趣旨から、現行の改正手続規定は堅持すること。三つ、憲法の基本理念、原理を堅持した上で、時代の要請を踏まえ、国連の平和活動、国会、内閣、司法、国と地方、緊急事態の関係で一部見直し、加憲をすること。以上の三点を基本的な考え方といたしております。

 順次、御説明申し上げます。

 憲法の四大原則の堅持についてであります。

 まず、日本国憲法の理念、基本原則とは、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調であり、この四つの理念は、人類普遍の価値であって、いかに時代が変わろうとも変えてはならない理念であります。これを否定するような改正は憲法の否定であり、到底認められるものではありません。この四大原則は今後とも堅持すべきであります。

 一方で、憲法は、国民の生命や財産、人権を守るために定められ、平和な暮らしを実現するための共同体のルールとして国民が定めたものでありますから、四大原則を堅持しつつも、時代や環境の変化に応じて、必要があれば、改正すべき点は改正し、足らざる点は補うべきであります。

 第一に、国際社会の平和の重要性が増す中で、国際平和のために我が国が積極的に貢献していくために、一つ、国連の平和活動に自衛隊が参加する根拠となる規定や、二つ、国連の平和維持活動への参加に際しては、実力行使を含むあらゆる手段を通じて世界平和のために積極的に貢献する旨の規定が必要と考えます。

 ここで、九条に関して申し上げなければならないことがあります。それは、集団的自衛権の一部行使容認を主な内容とする本年七月一日の閣議決定であります。

 安倍政権は、戦後一貫した集団的自衛権に関する憲法解釈を、いとも簡単に、一内閣の権限のみで変更しようとしております。九条の解釈は、戦後から現在までの長い間にわたる国会審議において、国会と政府の共同作業によって練り上げられてきたものであり、十分な国会審議を経ることもなく、一方的な閣議決定によって軽々に変更が許されるものではありません。

 この閣議決定については、立憲主義にかかわる問題であり、看過できないため、憲法審査会の場で議論する必要があることを幹事会の場においても主張いたしました。今後の憲法審査会で議論すべき案件に相ふさわしいと考えるものであります。

 第二は、統治機構の問題です。

 特に、ここ数年の政治の混迷、決められない政治と言われる事態が生じた原因は、突き詰めれば、やはり現行の二院制に内包された問題ではないかと思われます。そのほかにも、司法制度、国と地方の関係のあり方など、統治機構には数多くの改善すべき点があると考えます。

 第三に、緊急事態の関係であります。

 現行憲法には、緊急事態に対処するための規定がありません。緊急事態に際しては、政府による超法規的措置に頼るのではなく、あらかじめ緊急事態宣言の根拠規定を設けておき、立憲主義の枠内で対処できるようにしておくべきであると考えます。

 ただ、一方で、変えてはならないと考える事項もあります。それが、九十六条の改正手続規定であります。

 この条項は、憲法の硬性憲法としての性格を位置づける条項でありますが、憲法の四大原則の堅持との関係でも重要な意味があります。四大原則は、人類普遍の価値であって、改正してはならない条項でありますが、改正手続を緩和すると、これを否定するような憲法改正が形の上では容易になってしまうのであります。我が党は、これを許容することはできません。九十六条はあくまで堅持すべきであり、その改正を前提とした議論には賛成できません。

 このほか、憲法審査会に課せられた課題として、さきの常会で改正された憲法改正国民投票法に付随する事項が挙げられます。

 八党の憲法問題に関係する代表者が合意、署名した確認書の内容を踏まえ、現在各党間で協議されている選挙権年齢の引き下げ等についても、憲法審査会において議論をフォローする責任があると考えます。

 また、選挙権年齢の引き下げに伴い、若年者に対する憲法教育、政治参加教育の充実についても議論が必要となってくると考えます。

 最後に、我が党は、国民がより幸せに、より安全に生活ができ、我が国が世界平和に貢献するためのルールづくりを目指し、国民とともに積極的に議論してまいる決意を申し上げまして、発言を終わります。

 ありがとうございました。

保利会長 これにて各会派を代表する委員の発言は終了いたしました。

    ―――――――――――――

保利会長 次に、委員各位による自由討議に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にあるネームプレートをお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。発言が終わりましたら、ネームプレートは戻していただくようにお願いいたします。

 発言は自席から着席のままで結構です。また、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようにお願いいたします。

 なお、幹事会の協議によりまして、一回当たりの発言時間は五分以内といたしたく存じます。委員各位の御協力をお願いいたします。

 発言時間の経過については、終了時間一分前及び終了時にブザーをもってお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、ネームプレートをお立てください。

長島(昭)委員 たった今御発言された鈴木克昌委員の御議論の中で、七月一日の閣議決定を憲法審査会で議論すべきだという御議論、私は全く賛成であります。

 というのは、あの閣議決定というのは非常によくできておりまして、当事者の方も、北側先生おられますけれども、いろいろな、我が国の平和主義を考える上での有益な素材がたくさん詰まった内容になっているというふうに私は感じておりまして、あの問題は、単に自民党と公明党の代表者の議論だけではなくて、野党も含めた活発な議論をぜひこの場でやっていただきたいというふうに思っています。

 と申しますのは、一つは、あの閣議決定で、一般には、集団的自衛権の行使が容認された、そういう認識でありますけれども、私が見る限りは、本当にそうだろうかと。公明党の一部にも、あれは実は集団的自衛権の行使を認めたものではなくて、個別的自衛権を多少拡張したものである、こういう議論がなされているやに仄聞しておりますので、ここはぜひ徹底的に議論していくべきだというふうに思います。私自身は、あの閣議決定というのは、憲法が許容する自衛権の範囲をもう一度再確定したものであったという認識を持っています。

 その意味で、先ほど武正会長代理の方から民主党の考え方の説明が少しありましたが、この際、ぜひ、憲法附属法としての安全保障基本法のようなものについて、与野党の間でこの場で議論を深めていくことは大変有益ではないかというふうに思っておりますので、御提案申し上げたいと思います。

 もとより、憲法九条の規定を読めば、当然、憲法九条が許容する自衛権の範囲というのは、ある一定の制約が課されていることは自明であります。

 例えば集団的自衛権の行使、私個人は認めるべきだという立場をずっと三十年来貫いておりますが、集団的自衛権の行使一つとっても、例えば、アメリカと一緒にアフガニスタン爆撃をしたイギリスのように、あるいはNATOと一緒にコソボ爆撃をしたドイツのように、他国の領土、領空、領海の中に入って、そこで武力を行使するといったような、そういう意味での集団的自衛権をあの九条から導き出すことはなかなか難しいというふうに思っております。

 とはいえ、現実の国際情勢の変化あるいは軍事技術の進歩などを勘案しながら不断に憲法解釈というのは変更されてきたし、今後も変更は認められるべきだというふうに、現実に合わせる形で、国民の生命財産を守るために憲法をどう解釈するかということ、この点について、やはり憲法解釈というのは不断に見直されてしかるべきだというふうに思っています。

 その点で、行政解釈が、解釈には、憲法上、行政解釈、それから立法府がやる立法解釈、そして司法がやる司法解釈、三つあるわけですけれども、これまでのところ、ともすると、政府解釈がかなり前面に出て、もちろん立法を通じて国会とコラボレーションしてきたわけですけれども、どうも立法府の立法解釈については政府の後追いといったような、そういう印象が否めませんので、ここでやはり、立法府が立法府として憲法解釈をきちっと明確化するという意味で、安全保障基本法の議論をぜひこの場で深めていくことを改めて御提案申し上げたいというふうに思っています。

 ありがとうございました。

中谷(元)委員 ただいまの発言につきまして、私も賛成でございます。

 七月一日の閣議決定につきましては、昭和四十七年の第九条の定義を再確認して、その上で現在の状況また見解について検討した結果の結論でありまして、非常に限定的でありますが、我が国の安全保障上必要な最低限の自衛の権利を定めたものでありますので、ぜひ、この際、国民にもこれを正しく理解していただく意味においても、立法府においてこれを議論していただくということは非常に大事なことでございます。

 また、司法の場におきましても、砂川判決等を通じまして昭和三十四年に最高裁で憲法九条のあり方等についても見解が出ておりますが、そういった根幹的な根拠をもとに、この際、大いに憲法議論をしていただくということは非常に意味のあることでございますので、私たちも賛成をいたしたいと思います。

保利会長 ただいまの件は、幹事会で後に議論をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

古屋(圭)委員 ただいま各政党からお考え方について意見を拝聴させていただきました。

 この憲法審査会は、やはり、先ほど鈴木委員からも御指摘があったように、それぞれの政党が平等に発言をしていくという非常に民主的な運営をしていて、私も好ましいことだと思います。

 そこで、それぞれの政党の共通点というのは一体何だったのかということを今見ますと、共産党以外はただ一つ共通点がございました。それは、緊急事態条項。この中身については、それぞれの考え方があります。しかし、緊急事態条項については、全ての政党がみんな言及をされています。これが唯一の共通点でもございました。

 そこで、審査会長を初め理事の皆さん、あるいは委員の皆さんにもぜひ御提案をさせていただきたいのは、やはり、今後ここで議論をしていくに当たって、緊急事態条項というものを一つのテーマとしてこの憲法審査会で議論していくということは、これは、そもそも共産党さんはこの設置自体に反対でございますから、なかなかちょっと、枠の外にいらっしゃるんでしょうけれども、それ以外の政党は全部賛成をしているということでございますので、ぜひ審査会長におかれましてはそういった視点で調整をしていただくことを、これは私から提言をさせていただきたいと思います。

 以上です。

保利会長 緊急事態条項については、幹事会において議論をしたいと存じます。

 ほかに御発言ございませんでしょうか。

長妻委員 民主党の長妻でございます。

 発言の機会をいただいて、ありがとうございます。

 今後の憲法審査会で議論すべきことということでありますけれども、今もお話が出たような個別の案件を議論するというのももちろん重要だと思いますが、それと並行して、もう少し大ぐくりの議論もひとつした方がいいのではないか。

 今、委員の御発言の中でも、日本国憲法、あるいは日本の国自体が権利を認め過ぎて、もっと義務を課す必要があるんじゃないのか、こういうような議論も出ました。こういう話については、かなり緻密に、精密に議論をして、委員の間で共有をするということが何よりも重要だと思っております。

 例えば、現行憲法における公共の福祉。基本的人権は公共の福祉という一点のみで制限をされる、こういうふうに理解しておりますけれども、では、その公共の福祉というのはどういう考え方で、今現在どういうふうに具体的に制約がかかっているのかというようなことについての基本認識が、まだそれぞれの政党、委員の間でばらばらになっているのではないのか。これをひとつ、現状認識をしていく必要がある。

 その上で、現在の権利の中で認め過ぎている権利というのはあるのかどうか、あるいは、もっと認める必要がある、認めなさ過ぎている権利というのは一体どういうものなのか、あるいは、権利は認めているけれども、実質的に、例えば所得の問題やいろいろな問題でその権利が実際には満たされていない、その場合、国は積極的にどこまで関与する必要があるのか、そういう議論をした上で、憲法の考え方に反映をさせていく。

 あるいは、公共の福祉という権利の制限について、自民党の憲法改正案では、これを公益及び公の秩序、こういう言葉に変えるというようなことでありますけれども、では一体、権利を制限するときにはどんな目的があれば、どういう考え方で制限をすべきなのか、制限をするときに許される手法というのはどういう手法なのか、あるいは、制限するときにどういう程度が許されるのか、こういうことも緻密に議論をしていかないと、私は、非常に抽象的に、権利を認め過ぎているから義務をもっと課さなきゃいかぬという抽象論がひとり歩きするのは大変問題があるというふうに考えております。

 その意味で、明治憲法の中でも、権利の制限の考え方は公共の福祉という考え方ではなかったと承知をしておりまして、明治憲法での権利の制約の手法に問題があったのかなかったのか、なぜ明治憲法の権利の制約の中で、治安維持法等々、いろいろ問題のある法律が出てきて、戦前あるいは戦中の日本というのが形づくられてしまったのか。そういう反省の検証も委員の間、政党の間で共有化するという、ここは大変、立憲主義の中で一番重要な話だと思っております。

 ぜひそういう議論も並行して、個別案件とともに大ぐくりな議論も進めて、委員の間での共有化を図っていくということで、抽象的に議論が先行して、イメージが先行するというのはよくないのではないのかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

北側委員 公明党の北側でございます。

 きょうも各政党各会派の御意見を伺っておりまして感じたところは、憲法というのは、国の根本的な規範、秩序を定めているのが憲法だというふうに私は認識をしておりますが、この理念のところについて、やはり意見の違いというのは相当あるな、各政党においてあるな、そのように認識をしております。国のあるべき姿として、どう憲法規定を改正していくのかということは非常に大事なことでございますので、理念は理念として、しっかりと論議をしていくことが重要だと思います。

 その一方で、冒頭、船田先生がおっしゃっておられましたが、先般、国民投票法の改正が成立をいたしまして、今既に施行されております。いつでも憲法改正の発議ができる状況にようやく我が日本においてもなったということだと思います。

 そこで、私たちも、そして国民の皆様も、憲法改正国民投票ということの経験が全くないわけですね。また、私どもがつくりました制度も、実際にやってみれば、いろいろな問題点、課題があるかもしれません。そこはまた変えていかないといけないというふうに思うわけでございます。

 憲法改正国民投票、では、まず具体的にどこからやるかということについては、私は船田幹事がおっしゃっておられた意見に同調いたします。多くの政党、多くの会派が、そこはやはり変えた方がいいねというふうなところをまずしっかり議論し、そして成案をつくり、この審査会でもしっかり議論をして、国民に問うていく、こういうことが現実的ではないかというふうには思っております。

 憲法規定をずっと見ておりまして、ここはやはり変えた方がいいなと思うところが私自身は幾つかあるんです。

 例えば、憲法五十四条の一項の規定なんですけれども、「衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、」こう書いているんですね。

 これは憲法の規定ですから、衆議院の解散があった以上はこの規定に従わざるを得ません。例外なんてことはあり得ない、憲法規定ですから。しかし、先ほど来お話が出ているように、例えばあの東日本大震災のような本当に大災害が起こったときに、仮にそこで衆議院の解散が既になされていて、投票日が間近に迫っているというふうなときに、果たしてそれはそのとおりやっていいのか。これは、衆議院議員の任期にかかわる問題でもあるわけなんです。

 そういうことを考えると、そういう緊急的な、本当に国家として、国として緊急的な事態のときに、その対処にまさしく集中をしなければいけないような局面において、この五十四条一項の規定というのは、これはやはりよく議論した方がいいんじゃないか、検討した方がいいんじゃないかというふうに私はかねてから思っておりました。

 これに関連することはまだ多々あるかと思うんですけれども、例えば、先ほど緊急事態の対処の問題が出ました。そのように、何を盛り込んでいくかという問題があるんですが、少なくともこの五十四条一項の規定は、私は、やはりよく検討した方がいいんじゃないか、議論した方がいいんじゃないかと思う対象の具体的な一つでございまして、こんな議論をまずはスタートでやっていくことが大事なのかなというふうに考えておりますので、これもまたぜひ幹事会で御検討いただければなというふうに思っております。

 以上でございます。

衛藤委員 先ほど、みんなの党の三谷英弘委員から一院制国会についての言及がありました。

 憲法第四十一条、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と。国会のあり方、これはまさに国政の原点そのものであると思います。

 衆議院と参議院を対等に統合して一院制の国会にすべし、こういう考え方を持った方々が、四百八十名の衆議院議員の中で三百四十一名います。衆議院、参議院を対等に統合する、この議連がございまして、現在三百四十一名が参加されております。衆議院の三分の二は三百二十ですから、三百二十を二十一名オーバーする三百四十一名という方々がこのようなお考えを持っておられるということ。私は、この憲法審査会で、憲法第四十一条、国会のあり方についても議論をすべし、このように提言したいと思います。よろしくお願いします。

中谷(元)委員 審査会で検討していただきたいことで、ただいまの衆参のあり方を議論すること、これは私も必要だと思います。

 それに加えて、議員の定数のあり方、また配分のあり方、今の国民の声として、やはりこれは議論する時期に来ているのではないか。

 というのは、一票の格差ということで、現在司法の方でこれの是非が判断されていますけれども、これは本来、立法府のあり方のことについて、やはり立法府自身が議論して判断するべきではないか。つまり、憲法四十三条には「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」「議員の定数は、法律でこれを定める。」と記されておりまして、やはり憲法でも、国会のあり方においては、国民を代表する国会議員でこれを定めるという趣旨があります。

 時代の流れとともに、情報化、また交通、人口の異動等があるのは確かでありますが、ただ単に人口でこれを判断するだけではなくて、やはり地方の行政の区画とか地理的、また交通の手段とか、そういった条件を判断して、いかにすれば国民の意見が適切に反映されるかというような要素もございますので、ぜひ、議員の定数のあり方、配分、先ほど衛藤委員が言われたような衆議院及び参議院の役割、また意思の決定のあり方、これは今我々に求められていることではないかなというふうに思います。

保利会長 ただいまの御発言は、憲法上からいえば、法のもとの平等という言葉から出て、一票の格差という問題に至ってきているんだろうと思います。ここら辺は憲法問題でもありますので、しかるべき時期にまたいろいろ議論したいと思います。

保岡委員 きょうは、各党から、今後この憲法審査会で改憲の具体案をどうつくっていくかという前提となる、各党が考える改正を検討すべき課題についてお話があって、共産党は全く変える必要はないという前提がありますから、ちょっと立場が根幹的に変わるんですが、非常に私は興味深く伺いました。

 既に我が党の古屋幹事や公明党の北側幹事からもお話がありましたとおり、私も、前から、この憲法で一番問題なのは緊急事態の規定がないことだと思っております。これは、今度の東日本大震災のような大震災が起こって、非常に国民全体が共通の課題として受けとめやすい、また受けとめるべき課題だと思います。

 首都直下型地震とか南海トラフ等の大地震の予想も、この数十年のうちに、三十年ぐらいでしたか、とにかく、かなり発生率が高いということ、これはまたいつ起こるかわからないということを考えますと、北側幹事からもお話がございましたが、阪神・淡路震災のときも、選挙ができずに、地方の議員あるいは首長の選挙を延期しているんですね、半年とか。これは、公職選挙法の改正でできるからよかったんです。ただ、あのような事態が国政選挙と重なってくる場合、これはもう明らかに、先ほど北側幹事が挙げられた衆議院の解散の時期あるいは任期というものは、憲法事項に明らかに反することを法律で決めるということはできないわけです。

 ですから、こういう事態があった場合に、立法で、憲法の規定にかかわらず、それこそ緊急避難的に、国家としてどうしてもやらなきゃいけないといって、憲法にないことをやるということ自体が、憲法保障を非常に根幹から危うくするものである。したがって、緊急事態のときの予算措置、あるいは緊急にとるべき行動その他、きちっと議論すること自体が、そういう巨大地震が起こった場合に、あるいは場合によっては有事かもしれない、そういったことが起こった事態のときに、憲法の保障をしっかり守りつつ、かつ的確な、具体的な対応ができるようにするためには、やはり、こういう憲法議論を通じて議論を深めておくこと自体が、巨大地震やいろいろな非常事態に対応する体制を国家がとり得る重要なプロセス、あるいはどうしても踏まなきゃならない過程だと私は思います。

 そういった意味で、先ほど保利会長からも幹事会で話をしようという話がございましたが、私は、一つ一つこういう議論をまだ重ねて、テーマをえり出して、あるいは絞り込んで、まず第一歩としての憲法改正の歩みを、国民とともに、国民が最大関心を持ち、かつ国家に必要な憲法の欠点を補完するという趣旨で、緊急事態に関する条項の検討などは直ちに取りかかってもいい課題ではないか、こういうふうに思います。

保利会長 緊急事態の条項は案外難しさがありまして、これは、災害だけではなくて、国際的なフリクションに対してどう対応するかという問題がやはり緊急事態の一つの側面としてあるわけであります。

 そこのところをどう組み合わせるのか、あるいは組み合わせないのか、そういった議論が今後されていくと思いますので、非常に時間がかかるかもしれませんけれども、大事な条項として、よく私どもも記憶をしておきたいと思いますし、今後検討をしていきたいと思っております。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 改めて発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今お話にありましたとおり、緊急事態法制の議論というのは、具体的に詰めていくと難しい部分があるかもしれませんけれども、各党がそれに対して共産党を除いて賛成をされているということであれば、しっかり進めていくという皆様の意見には私も賛同させていただきたいと思います。

 それから、先ほどの議論にありました国会のあり方に関して、こちらの憲法審査会の方でぜひとも議論させていただきたいというふうに思っております。

 先ほど衛藤先生にも御賛同いただきましたけれども、一院制というものもしっかりと見据えていくということ、それから、先ほど中谷先生に御指摘をいただきました一票の格差の問題というものも、これもしっかりと、憲法上重要な議論でもございますし、国のあり方に重大な影響を与えるものでございますから、ぜひとも議論させていただければと思っております。

 これに関連して、先ほど保利会長が、一票の格差の問題は憲法十四条の問題だというふうに整理をしていただきました。そのこと自体は、そうなんだろうというふうに思うんですけれども、ただ、一方で、ただいまさまざまなところで裁判闘争というものが行われている中で、必ずしもこの問題は憲法十四条の問題ではない、そうではなく、民主制の根幹にかかわる問題であるという主張もなされております。

 といいますのも、民主制というのは、多数決の原理、百人いたら五十一人の意見を認める、これが多数決である。しかしながら、今の選挙のもとでは、残念ながら、四十人ぐらいの投票によって五十一人の、これは雑駁なパーセンテージでの指摘ではございますけれども、国会では五十一人の議席を占めることができるというような形になっております。

 実は、国民の声というものを今の選挙制度は正確に反映していない、本当の意味での全国民の多数決というものがこの国会での多数決にはなっていないという可能性がある、今の選挙制度だとそうなっているということでございますので、これは民主制そのものの存立に大きな影響がある議論だというふうに、私もそのように考えております。

 そういった理解がなかなか浸透しない部分もありますので、ぜひとも国会で議論させていただく機会を与えていただければと考えておりますので、そういった意味でも、この憲法審査会で、国会のあり方、選挙制度のあり方というものも議論の対象に加えていただければというふうに考えております。

 以上です。

中谷(元)委員 ただいまの三谷委員のお話について、まさに、国民の意思をどう決めるかということは、非常に議論すべきだと思います。

 そのためには、衆議院と参議院、何のために、どういう違いがあるのかという点において、アメリカでも中間選挙がありまして、上院、下院ともに今回選挙結果が出たわけですが、やはり上院と下院の制度が違っておりまして、上院は各州から一名代表で出ていますが、下院はきちんと人口割りになっているというようなことで、それぞれの国において、国民がどのような形で民主主義をつくっていくかということになると思いますので、ぜひそういう観点でも議論するべき価値があるのではないかなと思います。

衛藤委員 中谷委員、また三谷委員から御発言がありました。その関連で申し上げたいと思います。

 御案内のとおり、国権の最高機関、この国会、その構成員である国会議員の身分について、最高裁は、選挙結果について違憲状態にあると。

 憲法に対して違憲状態にある、こういうことですが、私は、立法府におきまして、この憲法審査会で、国会、選挙制度、そして、大選挙区か、中選挙区か、比例選挙区かという選挙区、その選挙区の定数、選挙区の最小定数を憲法に規定する、そうすると憲法違反ではなくなるわけであります。そうしないと、いつまでたっても、今の制度がずっと移行していくと、選挙ごとに違憲状態が発生するという可能性があります。そういうところまで踏み込んでこの憲法審査会で議論してほしい、そう思います。

古屋(圭)委員 きょうの一般質疑は、それぞれの政党から意見を聴取するということでございました。それで、先ほど私も、その中で一番の共通点は緊急事態条項だと。そのことについて、保岡幹事もあるいは北側幹事も補足をしていただきました。私も全く同感でございます。

 そしてもう一点、八党のうち五党が言及をしたことがございます。それは、改正条項の緩和でございます。自民党以外にも、公明党さんは一定の条件のもと、維新さん、次世代、みんな、この五党がこれに言及して、賛意を示していただいております。反対をされたのは、民主党、生活の党さん、この二つですね。

 やはり、できるだけ最大公約数になっていくものからやっていくということになりますと、異論がないのは緊急事態条項。これは、中身が相当、今、保利会長の方からも御指摘があったように、議論にはかなり時間がかかるとは思いますけれども。

 一方、二番目の共通点は、九十六条を改正すべしという言及でございます。したがって、これもぜひ、具体論の議論の中の一つにこの審査会としても入れていただくように、これは、この審査会の運営が、できるだけ共通点を見出して取り組んでいくという非常に民主的な運営をしておりますので、その考え方に基づいて、改めて提案をさせていただきたいというふうに思います。

 以上です。

武正委員 緊急事態については、先ほど民主党としての考え方も示したわけでございますが、先ほど保利会長が付言されましたように、さきに視察で伺ったギリシャでは、憲法四十四条にこの規定があり、国際的なフリクションというお話では、リーマン・ショック後、大統領令が二十一回、これが乱発されたというようなことが述べられておりまして、こうした点もやはり十分検証していく必要があろうかというふうに思っております。

 また、今九十六条のお話が出ましたが、十四年間、憲法調査会以降、衆議院あるいは参議院とも、丁寧な合意形成、議論の積み重ねをしてきたのは、やはり三分の二条項があったからだというふうに思っておりまして、この積み重ねというものは堅持をすべきではないかというふうに思っております。

 加えて、先ほど長妻委員が付言しましたが、歴史の検証ということはやはり非常に大事ではあるというふうに思っております。

 というのは、六月十九日にAct18ということで、選挙権年齢を十八歳にしようという会、これは来週、十一月十二日にも院内で行われるようでありますが、そのとき、高校生三百名に私から質問をしました、中学、高校の歴史の授業で第二次大戦まで習った方は手を挙げてくださいと。そうしますと、手を挙げた方は三割であります。これが日本の歴史教育の現実でございます。

 やはり、歴史に学ばなければ、現在そして未来は語れないということがございますので、こうした不断の努力もこの憲法審査会でも続けていくべきではないかというふうに思います。

保利会長 それでは、大体御意見も尽きたようですので、船田さん、最後にひとつお願いいたします。

船田委員 自民党の船田でございます。

 きょうは本当に、各党の皆様から、各党の憲法に対する考え方、また、改正するのであればどこを改正すべきか、大変率直なお話をそれぞれ聞かせていただきまして、大変参考になりました。大変意義のある会だったと思っております。

 憲法改正に向けて、我々は評論家であってはいけないと思っています。やはり、一つ一つの項目あるいは条項について、変えるべき、変えないべき、変えるならどう変えていくかということについて、立法権者として見識をしっかり持って、そして分析もしっかりして、一歩でも前に進めていくという態度が大変重要であるということを、きょうの議論を聞きまして改めて認識をいたしました。

 また、鈴木委員からもお話がありましたように、この憲法審査会、これは憲法調査会以来の伝統でございますが、当然、議席の違い、多寡はあるんですけれども、各党とも同じ時間の中で議論をするということをずっとやってまいりましたので、この手法というのはこれからも尊重されるべきものというふうに感じた次第でございます。

 今後、どのように議論をしていくかということについては、来週以降、幹事会あるいは幹事懇で、きょうの議論をしっかりと踏まえてテーマの絞り込みをやっていくということになりますが、忘れてはならないのは、やはり憲法全体を俯瞰する、そういう目を持った上で、それぞれ個別の議論というのを進めていかなければいけない。余り個別を重視するために全体が見えない、あるいは全体のバランスが崩れるということだけは避けなければいけないと思っております。

 その上で、きょう、多くの皆さんの共通する課題あるいは話題として出ましたのは、確かに、緊急事態、それから環境権を含めたいわゆる新しい権利、もちろん、権利の中には、権利と義務の関係をどう見るのかという非常に大きな命題もありますけれども、そういった新しい権利のこと、それから国会のあり方、これは、一院制の問題も含めた衆参の役割分担など、あるいは選挙制度にかかわることも当然議論としては相当出たと思っております。それから九十六条、これは私も申し上げましたが、いろいろと議論が分かれるものもありますが、やはりこれも視野に入れておくということは大事なことであろうと思います。

 九条について、あるいは集団的自衛権のことについて、先般行われた閣議決定について、これの言及も各党の皆さんからあったわけでございますが、この点については、これはなかなか難しい問題、各党の間での認識あるいは考え方の違いというのがまだまだ相当あるというふうに感じた次第でございます。

 同じ方向を向いているかなと思うのは、緊急事態、あるいは環境権を含めた新しい人権ということでありますので、そういったところがまずテーマとしてはふさわしいのかなと思っておりますが、今申し上げた他の項目についても、これはやはり幹事会でもよくよく議論をして、テーマにするときには冷静、客観的に取り組んでいく必要がある、このように思っております。

 きょうの議論は大変有意義であり、憲法改正に向けて具体的な第一歩を踏み出せたかな、あるいは出せるかなというところまで来たと思いますので、今後、審査会あるいは幹事会での議論をきょうの議論をしっかりと踏まえてやっていきたいと思いますので、各党の皆様の御理解また御協力を心からお願いしたいと思います。

 以上でございます。

保利会長 もう時間が来ておりますので、この辺にいたしたいと思います。

 私から申し上げますが、きょうは、本当に立派な御意見を頂戴いたしましたし、また、考え方あるいは御主張というようなことがたくさんございました。また、精密な議論をすべきであるということも、印象的な言葉として私の頭の中に入りました。

 各党内で御議論をいただいて、党内の考え方をできるだけまとめていただいて、そして、党としてはこうだということを今後も御披瀝いただきたいと思いますし、また、それを詰めていったところは最終的には条文案である、法律案であるというふうに考えますので、それを意識して御議論をいただきたいなと思っております。

 条文があって初めてここの審査会では議論が具体的に進んでまいりますので、それをぜひ御記憶いただいて、御努力をいただきたいなと思っております。

 それでは、発言も尽きたようでございますので、自由討議はこれで終了いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十分散会


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