衆議院

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第7号 平成24年5月24日(木曜日)

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平成二十四年五月二十四日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      江端 貴子君    大西 孝典君

      岡田 康裕君    勝又恒一郎君

      岸本 周平君    桑原  功君

      小室 寿明君    近藤 和也君

      篠原  孝君    白石 洋一君

      田嶋  要君    田中美絵子君

      田村 謙治君    玉木雄一郎君

      中林美恵子君    永江 孝子君

      長尾  敬君    野木  実君

      橋本 博明君    花咲 宏基君

      早川久美子君    藤田 憲彦君

      三村 和也君    宮島 大典君

      室井 秀子君    山本 剛正君

      湯原 俊二君    柚木 道義君

      渡部 恒三君    石田 真敏君

      加藤 勝信君    鴨下 一郎君

      菅原 一秀君    田村 憲久君

      竹下  亘君    橘 慶一郎君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      馳   浩君    町村 信孝君

      竹内  譲君    高橋千鶴子君

      宮本 岳志君   斎藤やすのり君

      豊田潤多郎君    服部 良一君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      中島 正純君

    …………………………………

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   文部科学大臣       平野 博文君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   復興大臣政務官      郡  和子君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   参考人

   (日本銀行総裁)     白川 方明君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     花咲 宏基君

  勝又恒一郎君     中林美恵子君

  岸本 周平君     玉木雄一郎君

  田嶋  要君     野木  実君

  田中美絵子君     近藤 和也君

  田村 謙治君     井戸まさえ君

  湯原 俊二君     桑原  功君

  柚木 道義君     磯谷香代子君

  渡部 恒三君     小室 寿明君

  金子 一義君     菅原 一秀君

  田村 憲久君     丹羽 秀樹君

  馳   浩君     橘 慶一郎君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  豊田潤多郎君     斎藤やすのり君

  中島 隆利君     服部 良一君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     田村 謙治君

  磯谷香代子君     柚木 道義君

  桑原  功君     湯原 俊二君

  小室 寿明君     渡部 恒三君

  近藤 和也君     田中美絵子君

  玉木雄一郎君     岸本 周平君

  中林美恵子君     大西 孝典君

  野木  実君     田嶋  要君

  花咲 宏基君     山本 剛正君

  菅原 一秀君     金子 一義君

  橘 慶一郎君     馳   浩君

  丹羽 秀樹君     田村 憲久君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

  斎藤やすのり君    豊田潤多郎君

  服部 良一君     中島 隆利君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     勝又恒一郎君

  山本 剛正君     橋本 博明君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 博明君     岡田 康裕君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁白川方明君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として人事院事務総局給与局長古屋浩明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽秀樹君。

丹羽委員 おはようございます。自由民主党の丹羽秀樹でございます。

 きょうは、社会保障と税の一体改革に関する特別委員会、トップバッターで質問させていただきます。どうぞよろしくお願いします。

 今回の消費税増税の問題、また社会保障の問題、私自身、これは本当に、大きな方向性からいえば、税と社会保障の一体改革というのは正しい方向ではないかというふうに感じております。しかし、大きな問題は、今の総理、野田総理にそういうことを言う資格があるかどうか。総理の発言に資格があるかどうか、大義があるかどうか。

 前回の総選挙で掲げられた民主党マニフェストは、今の状況を見れば、偽りのマニフェストと言わざるを得ないと思っています。私を初め多くの同志の議員があの選挙で、マニフェスト選挙と言われた選挙で苦杯を喫することになったのは、そして、多くの国民の皆さんが民主党さんに寄せられていた、あのマニフェストに寄せられていた期待を裏切られたんじゃないか。

 それを代弁して、野田総理、民主党に消費税増税を言う資格が本当にあるのでしょうか、お尋ねします。

野田内閣総理大臣 〇九年のマニフェストに消費税のあり方を明記していなかったということは事実でございますし、むしろ、口頭で国民の皆様にお訴えしたときは、任期中には引き上げないということを主張させていただいておりました。ということは事実でございますし、その意味では、こういう形で一体改革の方向性については御理解いただいていると思いますが、その点では、選挙時において明確に方向性を我々は打ち出していなかったことについては、おわびをしなければいけないと思います。

 さはさりながら、これはいずれの日にか実現するテーマではなくなって、待ったなしの状況であるというのが今私どもの基本認識であります。特に、社会保障を安定化させる、充実させるためには、やはり何らかの財源が必要でございます。

 その何らかの財源は何かというと、基幹税で検証してみると、これは、多くの皆様、全ての世代で助け合うという精神からすると、消費税がふさわしい、こういう認識のもとで今御議論をいただいているところでございますので、その点、方向性では一致をしているということでございますので、ぜひこれからも議論を深めさせていただければというふうに思います。

丹羽委員 本当に、私は、前回のマニフェスト選挙と言われる選挙で実は負けました。落選しました。一年ほど前の補欠選挙でまた国会に戻ってくることができました。あのマニフェスト選挙のときと一年前の補欠選挙のとき、随分と国民の皆さんの、有権者の皆様方の意見というのは私は変わっていたと実感しております。

 民主党さんに対する期待というのは、また私の補欠選挙は震災直後ということもありまして、復興に対する期待というのが相当大きかった補欠選挙でありました。それを、今の現状を見ていますと、まさに政治が何も進められていないということも、国民の皆さんが政治に対する失望感、不信感を抱いている大きな原因になっていると思っております。

 この公約違反を、この問題を不問にして我々も話し合いに入るというようなことは、国民の皆さんも、これはもしかして納得していないんじゃないか。総理が平成の大改革である消費増税また社会保障の一体改革、これをもし本気でやるつもりであれば、私は、これは答弁は要りませんが、改めて国民の皆さんに信を問うてから本来であればやるべき筋なんじゃないかなというふうにも思います。

 そこで、先般、民間格付会社が日本の長期国債の格付をダブルAマイナスから一段階引き下げ、シングルAプラスに格下げしました。この格下げ理由については、財政健全化に向けた取り組みが切迫感に欠けている点を指摘し、その政治リスクが起因としています。総理は消費税法案に対して、政治生命をかけ、不退転の決意という言葉を頻繁に使って強い覚悟を示されて訴えておられますが、今回の日本国債格下げについて、その決意の本気度が国際社会まで伝わっていないということが証明されたんじゃないでしょうか。総理の御見解はいかがでしょうか。

野田内閣総理大臣 丹羽委員御指摘のとおり、格付会社の評価がございましたけれども、これは従来から、政府の立場としては民間の格付会社の評価について逐一コメントをするということは差し控えさせていただいております。ただし、国際社会、市場等が今回の法案審議の動きを注目しているということはしっかり心しておかなければいけないことだというふうに思います。

 その上で、我が国の財政状況というのは、国と地方の長期債務残高が、これは二十四年度末で対GDP比で一九六%と、主要先進国の中では最悪の水準でもございます。

 こういう危機感をばねにしながら真剣な議論をしなければいけないと思いますし、特に、きのう御党の茂木政調会長からその要因として、バブル崩壊以降の税収減、そして九〇年代は公共事業を随分ふやしましたけれども、最近は社会保障費がふえてきている、フローで見ると自然増が毎年一兆円増。そういう中でどうやって社会保障を安定化させ、充実させるか、その安定財源をどう確保するかという議論をしっかり深めることが、さまざまな不安、懸念が広がっている世の中に対する明確なメッセージを打ち出す唯一の方法だというふうに思っております。

丹羽委員 総理のお気持ちというのは十分にわかりますが、やはり、ただ、総理が何度もおっしゃるように、政治生命をかける、不退転の決意、その姿勢を行動にあらわさないと、私は国際社会は本当に認めてくれないというふうに思っています。その行動とは何か。一つは採決であり、また解散を総理自身が明言してこの法案の採決に行く、それぐらいの覚悟があれば、私は国際社会はもっと、ああ、本気なんだというふうになるんじゃないかと思っています。

 総理の決意の本気度は、国際社会は当然、日本国内、民主党内にも逆に伝わっていないんじゃないでしょうか。総理と輿石幹事長、小沢元代表、来週予定されている三者会談も、これは党内融和だけのパフォーマンスに終わるんじゃないかと私は懸念しております。では、総理、どういった方法で民主党内を説得、同意を得るつもりか、そのお覚悟をお尋ねしたいと思います。

野田内閣総理大臣 幹事長のお名前等、今ございましたけれども、一体改革の推進会議をつくりました。その議長に輿石幹事長が就任をいたしまして、党一体としてこの法案成立に向けて全力を期していくという体制を整えさせていただいているところでございます。

 小沢元代表との会談は、きのうからもいろいろ御議論ございましたけれども、腹を割って、大局観に立って、御理解をいただくような、そういう会談にしていきたいというふうに思います。

丹羽委員 これは、この法案の責任者でもあります岡田副総理、どうお考えですか。

岡田国務大臣 今のやりとりを聞いていまして、総理は非常にかたい決意で、党内をまとめて、そして関連法案、七法案を成立させるという思いでございます。

 あとは、これは党の中のことでありますので、ぜひ、そこのところは我々に、特に野田総理に任せていただきたい。御心配いただくのは大変ありがたいと思いますけれども、しっかりと幹事長と総理との間のコミュニケーションはとれておりますし、信頼関係がございますので、あとはお任せをいただきたいというふうに思っております。(発言する者あり)

丹羽委員 そうなんですよね。

 内政干渉はするつもりはありません。御党のことは御党で決めていただくのは結構なんです。

 しかし、総理、きのう、茂木政調会長、茂木先生の質問で、自民党のこの対案に対して、違和感はないというコメントをされましたよね、協議するつもりはあると。自民党に話を持ちかけておいて、そっちの中が割れてしまったら、もしこれを国民が見たら、本当におかしな図柄になりますよ。党内もまとめられずに、何をやっているんだと。今度は、自民党、民主党、また各政党、政党名を掲げずに選挙をやるつもりですか。(発言する者あり)そうですよ、野党に心配させないでくださいよ。

 もし仮に採決時に、いや、これは民主党代表として私は総理にお尋ねしたいんです。民主党代表として、本当に政治生命をかける、不退転の決意という思いがあるんだったら、もし民主党所属の議員が採決時に退席とか棄権、反対を表明した場合、どういう対処をするつもりですか。

野田内閣総理大臣 これまで、本当に長い時間をかけて党の方針を決めました。そのプロセスに瑕疵はないと思いますし、その丁寧な議論の中で、取り入れる意見は最大限取り入れてきております。その方針のもとで、政府・与党、一致結束して採決に臨んでいきたいと思いますし、そういうことは十分可能だというふうに考えております。

丹羽委員 本当に内政干渉をするつもりはありませんので、もう任せますよ。

 それでも、任せるとしたら、その責任を持たなきゃいけませんよ。小泉内閣のときに郵政の問題がありました。郵政の改革法案がありました。小泉総理は、身内を切って、それでも戦いに臨まれました。私は、あの覚悟ぐらいがないと、この重要法案というのは、本当に国民、議員、また国際社会にも総理の決意、覚悟というのが伝わらない、それぐらいの思いですので、ぜひ、まあ早い話、総理が公の場で解散すると明言しちゃえば、私はおのずと道は開けてくると思うんですけれども、総理、どうでしょうか。

野田内閣総理大臣 余り軽々に早い話で済ませる話ではないと思います。

 やり抜くべきことをやり抜いた上に民意を問いたいというふうに考えております。

丹羽委員 ちょっと話の論点を変えさせていただきます。

 特例公債法案についても、昨年度に引き続き今年度も、まだ特例公債法案が採決に至らずに宙づりになっています。

 歳入歳出をあわせて予算というのが基本認識に欠けた内閣ではないんですか。二年連続、続けてこんなことをやっていたら、不退転の決意という総理のお覚悟を述べられた言葉をどれだけ話されても、到底信用できないですよ。

 その基本認識に欠けた内閣が適切な財政運営ができるのか疑問です。総理、安住大臣の御答弁をお尋ねしたいと思います。

安住国務大臣 財務金融委員会で丹羽先生からもこの話もお話しいただきましたけれども、今、質疑時間でいうと、十時間ちょっと超えたぐらいでとまっております。

 これは、山口筆頭、竹下亘理事にも、私はおわびも申し上げましたけれども、衆議院の段階で、昨年は、自民党、公明党の皆さんに御賛同いただいて成立をいたしました。衆議院の段階で賛成をしていただく環境を与党としてつくる段階まで、あの時点ではやはり至っておりませんでした。

 そういう判断でございますので、私が申し上げたのは、やはり、例えば三党協議ということで、高校の無償化等の問題、農業者の戸別所得補償等、課題となっている問題についてしっかり合意を得て、与党の側として野党の皆様方に賛成をしていただく環境づくりをしっかりした上で参議院に出させていただかないと、一体で出すということはもう全く正論ではございますが、出して、成立の見通しが参議院で立たない状況でそれを送るというのも、また我々にとって責任がありますので、私どもとして、特段汗をかかせていただいて、環境を整備して、賛同をしていただく状況をつくらせていただきたい、そういうことを申し上げましたが、今もその気持ちは全く変わっておりません。

 国民生活への影響の大きさというのは十分認識をしておりますので、私どもとしても、与党にも、ぜひ、この三党での協議をさせていただいて、環境づくりをさせていただく。

 昨日、輿石幹事長の方から石原幹事長にも、正式にそういうことでお願いをさせていただいたということでございます。

丹羽委員 今の問題について、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。

野田内閣総理大臣 今財務大臣が答弁したとおりでございまして、基本的には歳出歳入一体で対応しなければならないというのは原則でございます。

 去年に続いて、去年私は財務大臣でございましたが、こういう形で特例公債が、まだ対応が決まっていないということは極めて残念です。直ちに予算執行に支障が出るわけでは現時点ではございませんけれども、この状況を放置はできないというふうに思っておりますので、財務大臣が答弁されたように、採決ができる環境整備というものを一生懸命やっていきたいというふうに思います。

丹羽委員 安住財務大臣、環境を整備されるというお話をされました、一生懸命これからもまた引き続きやっていくというお話をされましたが、この消費税の問題にしても環境整備をされているんですか、実は。公債特例と消費税法案、どちらが大事かという優先順位をつけるつもりは私はありませんよ。ただ、今の国会の運営の状況、この状況を見ていますと、特例公債法案をおざなりにしているとしか見受けられません。

 これをスポーツのサッカーに例えると、きょう、あすの練習をやらずに二年後のワールドカップを目指しているようなものですよ。きょう、あすの練習をやって、今週の試合に勝たなきゃいけないんですよ。二年後のワールドカップを、それで目指さなきゃいけないんですよ、消費税がワールドカップというのは例えが悪いかもしれませんが。

 総理、財務大臣経験者としてほっておいていいんですか、この特例公債法案。どうお思いですか、本当に。

安住国務大臣 私の方からは、与党の側にも、野党の政策実務者との協議というものを急いでいただいて、そして採決に至るような、賛成をしていただく状況というものをつくっていただきたいとお願いをしております。

 正式に幹事長の方から昨日提案をさせていただきましたので、持ち帰っていただいているとは思いますけれども、私は、やはり自民党の皆さんの賛同を得なければ参議院で通らないことはもう自明の理ですので、そういう点では、納得のいただくような話し合いというものをしっかりやって、合意点を見出していく。

 昨年も、岡田幹事長で、私は国対委員長でございましたが、そういう意味では、子ども手当のことを含めて丁寧にやらせていただいて、八月に何とか成立いたしましたので、時間をかけてやるということに対してお叱りは受けますが、しっかりやらせていただきたいというふうに思っております。

丹羽委員 総理、国会運営について今どうお思いですか。御答弁ください。

野田内閣総理大臣 いわゆる一体改革、こういう形で特別委員会で熱心な御討議をいただいております。でき得れば、今の特例公債も含めましてまだ重要法案が数々ございますので、きのう幹事長会談でもその提起をさせていただきましたが、特に特例公債は、残念ながらどの政権でも一定額の特例公債は発行せざるを得ない。そうしないと予算は組めません。そういう状況なども踏まえながら、そこは御理解いただいていると思いますが、その上で、どうしたら御賛同いただける環境になるのかということをよくお聞きしながら対応していきたいというふうに思います。

丹羽委員 今週の話です。この委員会最中に、私は、御党の長老の議員の先生に呼ばれました。そして、こういう話を受けました、昔、丹羽先生のおじいさんがいたころはなといって。誰からと、私は名前は言いません。こういった重要法案を通すときは、きちんと、政府が正しいから、内閣が正しいからこの法案を通すという、そういう答弁じゃなくて、とにかく低姿勢で、何とかこの法案を通さなきゃいけないんだ。国会運営も低姿勢で、何とかこの国会を、この法案を通して進めなきゃいけないんだ。そういう姿勢が昔はあったけれども、今はなくなってしまったとおっしゃられていましたよ。

 竹下内閣のときの消費税導入についてもそうなんですが、竹下亘先生がきょうは委員としてこの委員会に所属されていますが、本当にいろいろな努力をされて消費税導入というのはあったと思います。今の内閣はそういった努力が私は少しないんじゃないか。この法案、正しいから通せよ、わかってくれよって、そんなんじゃわからないですよ。国民の皆さんにも伝わってこないですよ。

 これは、消費税の増税の話について、例えば一般の市民の生活の話でいくと、総理、軽減税率についてどのようなお考えがありますか。

野田内閣総理大臣 どの先輩がお話しされたか思い浮かびました。

 その上で、軽減税率のお話なんですが、消費税を導入する際、引き上げをする際には、どうしてもこれは、低所得者対策をどうするかというのは大きな論点だというふうに思います。私どもは、議論を積み重ねた結果、給付つき税額控除によって対応することが望ましいと考えておりまして、もちろん、これを前提として番号制度を導入して、それが定着をした暁にと。それまでの間は、簡素な給付措置によって対応しようというのが私どもの基本的な考え方であります。諸外国を見てもそういう事例がございますので、このことはベストであると思います。

 軽減税率についてはいろいろ議論がありますけれども、例えば、事業者の負担が大きいということとか、線引きの問題ですよね。例えば、諸外国の例を見ても、テークアウトするかしないかによって変わったりとか、キャビアとフォアグラと何とかが違うとかが、なぜかわからないとか。あるいは、これはどこの国を見ても、軽減税率にする場合には一定程度の標準税率の高さがあります。そうでないと、税収が余り入ってこないという状況がある等々の、いろいろな課題があるのではないかというのが私どもの基本的な考え方であります。

丹羽委員 総理は多分、検討中、考えていらっしゃると思います、この軽減税率についていろいろ。

 岡田副総理にお尋ねしたいと思います。

 必要な範囲について軽減税率導入というのは、適用範囲というのは、これを何に適用するかによって随分税収がまた変わってくると思います。それを、岡田副総理、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

岡田国務大臣 今総理も答弁されましたように、複数税率、あるいは軽減税率については、いろいろ問題もございます。他方で、我々が御提案させていただいている給付つき税額控除、これにも難しい問題がある。

 そのことについて、我々は、給付つき税額控除がいいと、これは党の中でも随分長年議論してきた問題でありますけれども、それも提案させていただいておりますが、それぞれ、一方で複数税率の方がいいという御意見もあるわけですから、しっかりそれは専門家の間で、各党間で議論していただく。我々は我々の立場、考え方がありますけれども、それぞれのメリット、デメリットについて御議論いただくということは、それは必要なことだというふうに思っております。

丹羽委員 先ほど総理の答弁、また岡田副総理の答弁でもそうですけれども、検討中、議論していくという話がございました。

 キャビア、フォアグラの話もありましたけれども、一般の方々は、キャビア、フォアグラなんかめったに食べないですよ。スーパーのサービスタイムに行って、価格が半額になった刺身を買ったり、とにかく商品の値段について非常にシビアですよ。

 これは検討中とかそういったことを言っていますが、例えば、法案の中で、医療に係る消費税の課税については引き続き検討するという文言が並んでいますが、いつ、どこで、誰が検討を行うのか、はっきり明示してくださいよ。

小宮山国務大臣 それは、社会保障審議会の中の部会できちんと、消費税を上げるまでに、医療関係の損税の問題についてはきちんと結論を出したいと思っています。(丹羽委員「いつまでに」と呼ぶ)消費税を上げるときまでです。

丹羽委員 これは、時間は本当にないと思いますよ。もし採決に至るまでにきちんと議論をまとめていないと、我々若い世代、私は今三十九ですが、同世代は、二十代、三十代の世代は、この一体改革によって将来社会保障がどうなるかと、全然不安を拭い切れていないですよ。

 これは、総理、訴える国民に対して、また我々若い世代に対して、この社会保障をどうしていきたいかという具体像がはっきり示されていないんじゃないですか。どうお考えですか。

野田内閣総理大臣 今回の社会保障と税の一体改革は、むしろ若い人に関心を持っていただきたいテーマなんですね。

 その根幹の考え方というのは、冒頭申し上げましたけれども、給付においては、高齢者中心になっているものを、人生前半の社会保障にも力を入れて、若い世代も社会保障の恩恵を感じられるようにすること、負担の面においても、現役世代中心のものを変えて、全ての世代でやっていこう、そういうまさに若い世代のためです。そのための政策も入っていますが、その全体像は明示をしていて、改革項目とそして工程表を書いてございますので、その中で御理解をいただけるようにお願いをしていきたいというふうに思います。

中野委員長 時間が参りました。

丹羽委員 はい。

 ぜひ、これは総理、本当にもっと真剣になって、全体像を国民、我々若い世代に訴えていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、これで質問を終わります。

中野委員長 これにて丹羽君の質疑は終了いたしました。

 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 丹羽委員に続きまして、質問させていただきます。

 質問の際は、まず万葉集を歌って質問するということにしております。

 きょうは、野田総理、総理としては初めて質問をさせていただく機会であります。富山県の歌で、そして家持が歌った歌で、八つ峰という言葉が出てくる歌がありましたので、これを御披露させていただいて、始めさせていただきたいと思います。

 万葉集巻十九、四千百五十二番。

  奥山の八つ峰の椿つばらかに今日は暮らさねますらをの伴

 胸襟を開いて、またよろしくお願いしたいということであります。よろしくお願いいたします。

 それでは、早速、この税・社会保障一体改革全体についてのお話、あるいは総理の現在の国政運営、いろいろなことについてお伺いしたいわけでありますけれども、今ほど丹羽議員の質疑の中で、ちょっと補足といいますか、あわせてお伺いをさせておいていただきたいことがございます。

 先ほど丹羽議員は、少し声色という形で、大体この方ということでお示しになったように思いますけれども、きょう、国会の大先輩であります渡部恒三先生が産経新聞の方に、この消費税、税・社会保障の一体改革の問題について寄稿されております。

 総理も大変な覚悟と志を持って進んでいかれる、それを与党の皆さん全体がやはり共感をされて、そして、そういう環境を国会全体につくっていかなきゃいけないんじゃないか、こういうお話でございますが、総理、お読みになりましたでしょうか。また、御感想があればよろしくお願いいたします。

野田内閣総理大臣 まずは、冒頭、富山県の八尾にまつわる万葉集を詠んでいただきました。私の父の出身が八尾でございますので、大変ありがとうございました。

 その上で、私どもの大先輩である渡部恒三先生がいろいろなところで、今は産経新聞のお話でございましたが、いろいろなところで書いたりお話をされているということは、大先輩の言葉として、胸にしみるものもたくさんございますので、参考にさせていただいております。

橘(慶)委員 これはよろしくまたお願いをしたいわけですが、この後も富山ということもひとつ思っていただいて、前に、登壇をさせていただいて、総理の前で一度意見を申し上げたことはございました。

 総理の覚悟とか、総理の志、要するに、この消費税にかけるんだ、そのためにいろいろな御発言もされております。そこまではよくわかっているんです。

 ただ、それが本当にでき上がっていくのか、仕上がっていくのかということについては、登山と一緒に例えましたけれども、やはり日々の計画、段取り、この時期までこれをここまでしておこう、しかしまた、この消費税、税・社会保障一体改革が中心であっても、国政にさまざまな問題があるから、そこには遅滞がないように、国民の生活や経済、そういったものにも目配りをしながら、これは当然のことだと思っております。

 そういうことで、幾つかお伺いをしたいわけであります。

 まず、会期末まで、きょうからあと四週間となりました。二十八日間、土日を普通抜くとすれば、あと正味二十日間となっております。どうも、お伺いすると、会期末には総理には外交日程もおありだ、このようなことも聞いております。

 そういう中で、今国会での提出法案、条約案、いわゆる内閣提出の閣法、内閣の条約案というのは、一月の初めに、継続二十三本、新規八十一本、百四本を予定され、十一条約を予定されていた。その後も、追加になって、検討して追加されているものもございます。

 これは、閣議決定をして国会に出すということは、総理もおっしゃったように、ある意味で、トンネルに入っていけば、トンネルを出るまで頑張りたい、また、トンネルを出させてくれというのが当然内閣の姿勢であるべきだと思います。

 あと正味二十日間。この委員会は大変大事であります。皆さん、本当に真剣な議論をされておりますが、ほかの委員会も必要なわけでありまして、この辺、先ほどの特例公債法案はもちろんですけれども、こういった法案の成立ということについて、内閣としてどのようにお考えなのか。総理の考え方をお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 政府としては、国会で御審議をいただきます法律案や条約、今、数は委員が御指摘をいただいたとおりでございますけれども、常に、その時々の政策課題として必要なものを与党とも相談しながら提出させていただいております。提出をする以上は、これは国民生活に不可欠なものばかりでございますので、基本的にはというか、全て成立を期すというのが基本です。

 御指摘のとおり、会期末を考えると、日程的には窮屈でございますけれども、この委員会のみならず、そのほかの委員会においても御審議をいただいた上で、ぜひ御協力をいただけますようにお願いをしたいというふうに思います。

橘(慶)委員 そういうお答えは、よく内閣と立法府とを分けた形でお答えいただくんですが、しかし、本当にあと二十日間というところまでやってまいりました。あえて会期延長云々ということは言いませんけれども、しかし、これはやはり確認をしておきたい。

 内閣として、やはり、与党の皆さんも含めて話をされて、成立のための努力、段取り、そういうものをつけていくことについては、総理も、一生懸命やるんだ、それはもう身を挺してやるんだ、ここは一応確認をさせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 物事をなし遂げていくときには、これはもう委員がある意味御示唆をいただいておりますけれども、覚悟と段取りだと思います。その段取りのあり方について反省すべき点はいろいろあるかと思いますので、しっかり心して、この会期の中でできるだけ多くの法案が通り、条約が通るように努力をさせていただきたいというふうに思います。

橘(慶)委員 なかなか物理的には、会期の中でという、この会期の長さというのは問題があるように思いますが、これはよくお考えをいただいて、ぜひ適切に検討いただきたいと思いますが、今ほどおっしゃったように、段取りにいろいろと、思い返せばちょっと反省する点もあるという御答弁もいただきました。

 実は、五月十一日、今月ですけれども、独法通則法の改正法案が閣議決定をされております。今、百四本というのは、これは一月の初めの話でありまして、その後またいろいろ検討なさって、さらに法案を閣議決定されて国会へ出してくるということです。今ほど総理は、出した以上は成立を期すんだとおっしゃいました。

 しかし、今、もう既にこれだけの、言ってみれば、列車が渋滞しているわけです。車が渋滞している中に、さらにこの渋滞の列にまた一台車を置く。それは、何といいますか、法案を起草したんだ、こういうふうに考えているんだということで、ただ出せばいい、参加すればいいというものではないというのは、今総理がおっしゃったとおりであります。

 もし、それが物理的に無理であれば、そこまでの仕事を今、それこそ皆さん方のスタッフ、公務員の皆さんにそこまでさせるのか。もし秋の臨時国会になるということになれば、それは夏から秋にかけて仕事をすればいいわけでありまして、今本当にそういう仕事をどんどんどんどん、仕事をすることはいいことかもしれませんけれども、それが今おっしゃったように形にならなければ、その仕事は要するに成果にならないわけです。

 今、皆さんのいろいろなお気持ちの中で、御意見の中で、給与もみんな下がっております。さらに仕事をさせ、その仕事が法案として成立しなければ成果にならない。成果にならなければコストパフォーマンスが悪いということであります。そういうことをみすみすさせていくということはおかしいんじゃないかと私は思うのであります。

 ここについて、なぜさらにこういう法案をまたつくらせるのか。それから、出先機関の地方への移譲の法案だって、それは大事かもしれません。知事会と話をされたのも聞いていますけれども、物理的に、国会と内閣が向き合ったときに、今おっしゃったような状況なわけですから、そこで本当にこういうことで、どんどんつくれ、仕事しろということでいいのか。

 これは、行政改革ということからいえば、行政改革というのは、必要な仕事はしなきゃいけない、必要じゃないものはしないというのも行政改革であります。それでスタッフの数も減らせるかもしれません。この辺をどうお考えなのか、確認させてください。

岡田国務大臣 独立行政法人改革、非常に重要であるということは委員も十分に御了解いただけることだと思います。ずっとこれは政府の中で議論をし、そして与党とも協議をしながら進めてきたもので、それがようやく整って、五月十一日に閣議決定をいたしました。ぜひ、この法案も成立させたいというふうに考えております。

 国会日程が非常に窮屈なことは承知しておりますけれども、政府あるいは政府・与党でまとまったところで法案の形にして国会に出す、あとはチャンスを見てそれを成立させていくというのは、これは普通に今までもやられてきたことで、何といいますか、国会が込み合っているから少し見合わせるとか、成案がもう既にできているのに具体的な閣議決定を後送りするとか、そういう必要は、私はないというふうに思っております。

橘(慶)委員 しかし、岡田副総理は行政改革の担当でもあります。私、先ほど少し話を長く申し上げたとおり、どこまで仕事をさせるか、これもまた管理者のといいますか、政府を預かっている皆さんのやはり大事なポイントだと思います。

 やはり、成果を上げさせていく、若い方々に、そうだ、俺のやったこともちゃんと実現したんだと思わせることも、それこそ国家公務員もなさったことのある岡田大臣としては、ぜひそういうこともお考えいただきたい、このことは申し上げておきたいと思います。

 TPPの問題は確かにこの委員会と直接ではありませんが、しかし、私が申し上げる段取りということでいえば、外交の段取りの中では、やはり総理の大きなお気持ちのある部分で大事なことだと思っております。

 きょうは一枚だけ資料をつけさせていただきました。五月二十日の朝日新聞の朝刊、東京版でございますが、実は、ちょっと違和感を覚えた記事でありました。というのは、TPPについて、自動車分野で、記事の見出しからすれば、譲歩という見出しでございます。

 しかし、私は、APECのあの前の熱い議論、いろいろなことを思い起こしても、TPPの中で、例外なき関税化の問題とか、あるいは医療の問題とか、いろいろな問題、懸念も含めてお話がありました。しかし、この自動車というところについて、政府の方もそういうことをお示しになったという記憶がございませんし、余り議論にならなかったようにも思うんです。

 ここは総理しかある意味でわからない部分でありますので、あえて総理にお尋ねいたします。

 日米首脳会談について、外務省の概要、これは外務省がまとめたものであります。引用させていただいてお届けしています。「オバマ大統領からは、自動車、」これが最初に書いてあります、「自動車、更には保険、そして従来から取り上げてきた牛肉について関心の表明があった。」こう書いてあるんです。自動車、さらには保険、そして従来からは牛肉。

 これを裏読みしますと、一つは、自動車というのは、そのオバマ大統領と総理とのお話の中で初めて出てきたんですかという質問が一つ。それから、順番は、自動車、保険、牛肉と書かれている。普通、やはり大事なことから書きますから、オバマ大統領の関心としても自動車、保険、牛肉という順番に今日なっているのか。ここは総理から、実際会談されているわけですから、お答えをいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 先般のワシントンでの首脳会談におきまして、オバマ大統領から言及がありましたのは、自動車、それから保険、牛肉でございまして、物の言い方としては、米国内において関心が高い問題として言及がございました。すなわち、自動車どうしろこうしろという話じゃなくて、関心があるテーマとしてありました。

 その中で、オバマさんとは、直接お目にかかって話したり、電話会談を含めて五回会談をやっておりますけれども、自動車という言葉が出てきたのは初めてであります。それは御指摘のとおりであります。

 優先順位云々というのは、これはわかりません。たまたま、話が出た順番は、今申し上げたように自動車が最初に出てきました。ただ、これは政府としてどうなのかということも、これもわかりません。恐らく、議会関係者とかいろいろステークホルダーが関心を持っているという意味でお話をされたというふうには私は思っておりますが、その政府としての優先順位としては、これはわかりません。

橘(慶)委員 そこで、ちょっと素人質問になってくるんですが、実は、今の会談があった後に質問主意書を出させていただいて、五月十一日付で内閣から御答弁もいただいております。

 この答弁で、今いみじくも総理もおっしゃったように、自動車について、先方には何か関心があるんだ、何かあるんだということにはなっているけれども、米国政府からこのことについて具体的な要求はなされていない、どうしてほしいということは何も言われていないんだ、こういうお話であります。

 きょう、それからまた二週間ほどたちました。きょう時点でも、ただ、関心はあるんだけれども、何も言われていないんだ、何が問題なのかわからないという状況については、きょうも一緒なのかというのが一点お伺いをしたいことであります。

 そして、もしそうだとすれば、これはまた、普通の世の中の物事の交渉とか協議と言われることを考えた場合、関心があるんだと言われたら、関心があるという関心というのは何ですか、何が関心、何が問題なんですか、何が障害なんですか、普通はこう聞いていくのが、言ってみれば人と人の話し合いだと思うんですよ。

 ところが、そこが、答弁書にあるように、全く何かわからない、関心はあるんだけれども、具体的に何かわからないんだ。何かわからないということをもし放置してあるんだったら、それは協議が進まないということになってまいります。

 そこで、段取りの話に戻ります。

 せっかくAPECで、いろいろな議論があった中で、総理なりにやはり決断をされて、参加に向けての協議に入るということを表明されたのが去年の秋であります。しかし、きょう現在も、その協議のもしかしたら中心論点の一つになるかもしれない自動車について、どんなことが問題なのか何もわからないとおっしゃると、では、この協議というのはまだまだかかるのかなと。では、どういう段取りで、どういう思いでこのTPPということをやっておられるのか、よくわからなくなる。

 繰り返します。

 そういうことがあると、ほかのこともどうなのかな、いろいろなものの段取りというのをどういうふうにお考えになっているのかなということが心配になるわけであります。

 この辺、この協議の段取り、あるいはそれはAPEC参加の折と、この自動車を含めて変わらないのか、どのようにお進めになるのか、総理のお考えをお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 オバマさんとの直接のやりとりの中ではそういう具体的な話になっていませんが、関心があるということを表明されたわけですので、それを受けて、実務者間においての情報交換、意見交換は行っております。

 アメリカ側からは、先ほど申し上げたとおり、自動車に限って申し上げますと、自動車の問題は議会や利害関係者が強い関心を有している問題であるという説明であります。

 その上で、関係業界や議会等の意見、要望を踏まえて、今、いろいろのアイデアが伝えられているという状況の中で、現時点では、日米間でそのアイデアを交換している、非公式にアイデアを交換しているというのが現状でありまして、内容についてはまだ立ち入ってお答えをする段階ではございませんけれども、適時適切に、その中で国内に情報提供はしていきたいというふうに思います。

橘(慶)委員 今御答弁の中で、アイデアを交換しているという御発言でありました。しかし、繰り返しになりますが、私の質問主意書への答弁では、「具体的な要求はなされていない。」というのが内閣としての御答弁なわけであります。

 具体的な要求が何もないのにアイデアが交換されるということになれば、アイデアというのは何なんですか、なぜアイデアを交換しなきゃいけないのか、そうすると、やはり何か具体的な論点、具体的な問題があるということになるんじゃないですか、こういうことなんです。

 それは国民に、あるいは国会に、明らかにできないということなのか、ここは確認をさせてください。

野田内閣総理大臣 先ほど申し上げたとおり、いわゆるステークホルダーであるとか議会関係者には、こういう関心があります、こういう意見がある、そういう照会が来ている。それについては、私どもはこういう考え方がありますというようなアイデアの交換で、アメリカ政府としての正式な要求ということではないという意味において、非公式なアイデアの交換という状況になっています。

橘(慶)委員 このあたりが全く、国家戦略室あたりのホームページでも何も出されておりません。一応ホームページも確認しておりますが、あくまで関心があるということだけであって、今のようなアイデア云々ということについても、何も国民の前には明らかにされていないという状況だということであります。

 そこで、一つだけ、これでここの質問は終わりますが、五月二十日付の、きょうお配りしたこの報道の中では、「政権 TPP協議へ米に譲歩」とあります。この文言自体は、やはりちょっと現状としてはおかしいんじゃないかと思います。ここは否定をいただきたい、このように思います。

野田内閣総理大臣 非公式でアイデアの交換の状況の中で、政府間において、ああしろこうしろ、これはおりた、これは進んだ、そういう段階では全くございませんので、否定をさせていただきたいというふうに思います。

橘(慶)委員 それでは、消費税の引き上げの問題について二つ御質問させていただきます。

 一つは、歳入の方の問題は安住大臣に、そしてまた経済の成長の問題ということで、二点お伺いをしていきたいわけですが、まず、埋蔵金といいますか、歳入の問題であります。

 政権交代後のこの三カ年間の予算編成、大変御苦労もあったと思いますけれども、この中で、特別会計から剰余金、積立金を一般会計へ繰り入れされてくる繰入額なんですけれども、二十二年度予算で七兆八千億円、二十三年度予算は四兆二千億円、ことし、今回の二十四年度予算は二兆一千億円ということで、まさにつるべ落としであります。

 埋蔵金という言葉を使ってしまいますと、何となく、油田のようにくんでもくんでもというイメージはあるわけですけれども、しかし、どうでしょうか、実際、こうやって予算をずっと三カ年間編成されながら、もうこの剰余金、積立金ということについての期待というのは非常に薄いのではないか。これは、ある意味で消費税問題のやはり出発点の一つじゃないか、源流ではないかと思うんですが、ここは事実認識をお伺いいたします。

安住国務大臣 特別会計の剰余金、積立金につきましては、今委員からも御指摘がありましたように、三年間で十五兆円、一般会計の財源、及び、昨年は復興財源に充てさせていただきまして、活用はしてまいりました。

 ただ、御指摘のとおり、率直に申し上げまして、一般会計の財源としてこれを活用し見込んでいくということは、かなり一生懸命やってきましたので、今後、そういう点では難しくなってきたということも事実でございます。

 できるだけ出せることは出しますけれども、これは自民党政権下からも実は一生懸命やってこられたものだとは思いますが、我が方としてもやってまいりましたが、率直に言って、余力といいますか、剰余金というものがどんどん出てくるという状況ではないということは事実でございます。

橘(慶)委員 そこで、この特別会計には積立金がいろいろありまして、ただ、その中で、割と残って大宗を占めている国債整理基金、あるいは外国為替資金、また労働保険、そして年金の積立金、この四会計については、現政権におかれても、いろいろなそれぞれの基金のいわゆる趣旨、目的に照らすと、取り崩しは適当ではないんだ、これはもう既に宣言を答弁でされているわけであります。

 そこで、この四積立金を除いた場合に、今ほどお話のあるように、どんどんくみ上げてきたものですから、二十二年度決算ベースでは、四会計を除いた積立金はもはや三兆九千億円しか残っていないという、これは統計であります。これが二十三年度、二十四年度、さらにくみ上げて、今どうであるのかということがまず一つお伺いをしたい点であります。

 そして、そうであれば、マニフェストの議論、二〇〇九マニフェストの話はいろいろ出ておりました。私は、あえて次のマニフェストということで言わせていただきたい。

 それは、必ず総選挙というのはやってまいります。何らかの公約そしてマニフェストというようなものは当然に御準備をなさると思います。民主党さんだってされると思います。

 その際には、もはや、今のマニフェストで言う毎年四・三兆円と七千億円の政府資産売却、この五兆円を一般会計に充てていくなどというスキームというのはもう考えられないのではないか。今度は、やはり消費税を前面に据えたような財政スキームというものを組むしかないんじゃないか。

 この辺、今、実際三年間の御経験の中から、将来に向けての考え方について御答弁をいただきたいと思います。

安住国務大臣 御指摘のとおり、二十二年度決算において除したお金は三・九兆でございます。

 御存じのとおり、国債整理基金や労働特会、年金、それから積立金等を除けば、外為特会を除けば、もう本当にそういう点ではかなりの財源は一般会計等に入れてまいりましたので、そうした点からいえば、今後、やはり消費税というものを、今までも高齢者三経費に充てておりましたけれども、これを社会保障四経費にするための中心に据えるということで今回法律を提案させていただいておりますので、そうした点での認識は同じだと思っております。

橘(慶)委員 安住大臣から、現状を踏まえた御答弁をいただきました。

 マニフェストの今の責任者、これは党の組織でいえば、やはり代表は今、野田総理でございます。今ほど申し上げたこの四会計の取り崩しは適当ではないという御答弁は、実は、野田財務大臣のときの内閣の御答弁でもあります。

 ですから、今の安住大臣の御答弁を踏まえて、次のマニフェストでは、そういう埋蔵金ではなくて、消費税中心に社会保障へ充てていく、こういうマニフェストになる、ならざるを得ないということについて、総理の御認識も確認をさせていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 もともとあの埋蔵金というのは、ワンショットのお金ですから、基本的には、恒久的な政策のためには恒久財源を充てるというのが基本だと思います(発言する者あり)。

 その上で、社会保障については、今回法案でもお願いをしているとおり、消費税を安定財源として、今回は社会保障に使途を限定してお願いをしているわけでございますので、当然のことながら、そういう趣旨のマニフェストの表現になるというふうに思います。

橘(慶)委員 今ちょっとお声もかかりましたが、今の二〇〇九では埋蔵金がフォーショットになっているわけでありまして、そこが問題なんだろう。要するに、一年一年でワンショットワンショット掛ける四というところが、それがエイトショットやトゥエルブショットにはならない、こういうことかと思います。

 そこで、消費税引き上げにつきまして、経済成長について、これは必ずしも法案のたてつけとしては連動というところまではいかないんですけれども、平成二十三年度から向こう十年間、平均年率名目三%、実質二%の経済成長を目指す、こういうことに附則で規定をされたわけであります。

 ただ、今、東日本大震災、こういう不幸な事案の中で、日本の国の電気は非常に需給が逼迫している。ある意味で、物をつくるためにはエネルギーが必要、電気が必要なんですが、その電気については、どうしても、これはなかなかその供給ができないということも非常に厳しい現実だと思うんですね。

 そこで、この電力需給逼迫、こういう成長制約というものを、この二%、三%という際にどのように影響していくと考えておられるのか。もしそうだとすれば、こういうことを附則でうたう以上、やはり電気、物をつくるための原資、これの確保には政府として努めなきゃいけないんじゃないかと思いますが、総理の御認識をお伺いいたします。

野田内閣総理大臣 御指摘のように、法案の附則に、向こう十年間平均して名目三%成長、実質二%成長、こういう政策目標を掲げておりますけれども、そのことと今の当面の電力需給の逼迫が直ちには影響するものではないと思いますが、他方で、やはり景気にとっては、これは当然のことながら、電力の安定供給が不可欠であります。

 中長期的には、原子力への依存を極力低減させていくというのが基本的な方針になると思います。なると思いますというか、そうしなければいけないと思います。

 ただし、当面の問題を考えますと、例えば、日本の電力供給の約三割が原子力に依存していたわけですから、直ちに全てとまったままで対応できるかというと、国民生活や経済への影響、これは当然、悪影響が出ます。

 ということを考えますと、徹底して安全性を確認した上で、それから必要性についてもよく精査をした上で、そうしたプロセスを経たものについては再稼働を判断するということをやろうとしてきている中で、今対象になっているのは大飯の三号機、四号機でございます。

 現在は、いわゆる立地自治体であるとか、あるいは広域連合等々、周辺の自治体の皆様の御理解を得るべく今御説明をさせていただいている段階でございます。

橘(慶)委員 電気の需給をやはりある一定程度確保しなきゃいけない。そして、今総理もおっしゃったように、やはり景気というのは、ある意味で、気と言われるだけあってマインドでありますから、マインドを冷やしてあえて景気を悪くさせていくわけにはいかない、不用意にできないということだと思います。

 昨日の株価が八千六百円を割って八千五百円台、円はまた八十円台を超えて七十九円台へ突入。日本の経済だけでは物事全部が動いていかない、国際経済の中の日本の国だと思っております。

 できるだけここは、やはり、経済、国民生活に目配り、気配りされるのが、当然、内閣また野田総理のお仕事、お務めだと思うんですが、そういう思いの中で、今ほどおっしゃった、四月十三日の四大臣会合で総合的運転再開の必要性を判断し終わっている、この大飯原発の三号機、四号機であります。

 私はこういうことを思うんです。要するに、国民生活あるいは経済に携わる方々に、予見可能性が大事だ。この夏どうすればいいのか、自分たちは何をしなきゃいけないのか、これははっきりやはりどこかで教えてあげる。災害のあった年は、それは皆さんお互い頑張りましょう、だけれども、災害は去年の話でありまして、今はもう所与の条件として一年前からわかっている話。これを、この夏に向けて、だんだん暑くなる夏に向けて、どこかでは、あなた方はこうしてほしいんだ、政府としてこうなんだということをやはり言われなきゃいけない。

 確かに、十八日にはそういったプランは見せられました。しかし、そこでやはり、大飯原発が動く動かないということによって大きくそのプランの取り組みようが変わるということも既に報道されているわけであります。

 そうすれば、段取りです。きょうだからきょうとは言いませんけれども、そんなにこの段取りの中でこれを延ばしていけばいいというものではない。どこかでやはり国民に、経済に携わる方々を安心させていただく、道筋をつけるということが必要だ、こう思うんですね。

 そこで、どういう段取りでお進みになるのか、確認をさせてください。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、大飯三号機、四号機については、政府としては、判断基準を設けて安全性、必要性のチェックをして、今、自治体に御説明をさせていただいております。

 これは、時期的にも、真夏になってからの判断では、企業もいろいろ準備があります、国民の皆様も心の準備があります。需給は精査をさせていただきましたけれども、関西は一番厳しい状況でございました。その中で、大飯原発が稼働するのかしないのかというのは、大きな影響があるというふうに思います。

 そうした御説明をさせていただきながら、特に、約四十年間、立地自治体として原発に向き合ってきた福井県あるいはおおい町の判断というのは大きいと思いますが、おおい町の町議会については、再稼働に同意をするという意思表明をされました。そのことは大変重たい事実だと思います。さらに、今度、福井県のお考えもよくお聞きかせいただきたいと思いますし、さらに周辺自治体にも御説明をしっかりとしていきながら、しかるべきときに判断をしたいというふうに思います。

橘(慶)委員 全体にスケジュール感ということ、TPPにしましても、この電気の問題にしましても、消費税以外についてもスケジュールは迫っているということ、それをぜひお考えになって取り組んでいただきたいということをきょうは申し上げました。

 もうちょっと時間があるんですが、万葉集を卒論に書かれた小宮山大臣にはきょう失礼をさせていただきまして、川端総務大臣、総務委員会でいつもお世話になっております。最後に一問だけ伺わせてください。

 地方で仕事をさせていただいた者にとって、この地方法人特別税、地方法人特別譲与税、地方間のいわゆる法人税に係る税収の偏在性については、大変悩ましい問題であります。今回の一体改革の中では、この問題は、言ってみれば、次の段階に飛ばされたわけであります。

 速やかにとあります。しかし、速やかにでは時期が見えません。ぜひ、ここについて最後にお答えをいただいて、終わらせていただきます。

中野委員長 川端総務大臣、時間が来ておりますので、簡単にお願いします。

川端国務大臣 この法案が提出のときに、速やかにということで、この地方の偏在性のない税制というのは、今のものを変えるというのは、なかなか難しい課題がいっぱいあって、いろいろな意見がございます。

 我々としては、地方消費税率の引き上げ時期を目途というふうにしてあることでございますので、平成二十六年四月から平成二十七年十月、二回引き上げがあります。この時期を目途にして、しっかりと議論をしてやっていきたい。(発言する者あり)一番早い時期はその時期でございます。はい。そういうことでございます。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

中野委員長 これにて橘君の質疑は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 総理、おはようございます。

 総理、今、社会を見ますと、実態とかけ離れて、しかもそれが大きな影響を与えている、こういう問題が私は二つあると思うんです。

 まず一つ目は、円の為替レートですね。

 現在の水準、これは日本の実体経済とは大きくかけ離れている、このことが日本の経済に大変悪い影響を及ぼしている、これが一つだと思っております。

 もう一つ、これは国会の姿でございます。

 国民の意思を正しく反映しているかどうかという観点から見ると、私は、現在の選挙制度は大きな問題がある、このように考えております。つまり、小選挙区制度を中心とした今の制度では、御存じのように、多くの死に票が出てきております。死に票が多いということは、それだけ、国民と、代表者、つまり我々国会議員との間の考え方、また親近感というものに大きな隔たりが出てくる一つの要因だ、こういうふうに考えております。

 代表なくして課税なし、これは有名なアメリカ独立戦争のときのスローガンですよね。イギリスがアメリカに代表を送っていないにもかかわらず課税をした、このことが一つのきっかけとなって独立戦争が起こり、このスローガンになった、こういうことでございます。

 しかし、この言葉がありますけれども、今回、選挙制度を改正し、そして国民の声を適切に反映した代表が、今回のこの社会保障制度の改革、また税制の抜本改革、これを行うべきだ、このように考えております。

 現在、民主党政権、今現在審議しているように、消費税の増税法案、これを提案、審議しておりますけれども、これは明らかにマニフェスト違反と言わざるを得ません。だから、この点についての正当性が問われている、こう考えております。

 よく私は地元で、この消費税を上げてもらうために民主党に投票したのではないという民主党の支持者の皆さんの声を率直にたくさん聞いております。それは明らかに、マニフェスト、彼らが信じて投票したことと、そして今やろうとしていることの間に政府・与党として大きなやはり違反がある、こういうことを私は如実にあらわしているんではないか、このように考えております。そういう意味では、適切な代表なくして課税なし、こういうことをまず最初に申し上げておきたいと思います。

 時間が四十分という限られた時間ですので、順次お伺いをしていきたいと思います。

 まず初めに、経済成長のことについてお伺いを、財務大臣にお願いをしたいと思います。

 野田総理は、大震災からの復興、原発との戦い、それから日本経済の再生、この三本柱に加えて、今回の社会保障と税一体改革、これを、優先的に取り組まなければいけない課題だ、こういうふうに説明をされております。日本経済の再生のためには、先ほど申し上げました円高、デフレ克服、これはもう最優先課題の一つだ、これは当然のことです。今はまず円高、デフレを克服し、景気回復に全力で取り組む、こういう時期だと思います。

 しかし、現在の政府の取り組み、私ずっと拝見していますけれども、本当に私は、不十分ではないか、こう思います。経済がこの状況の中で消費税を増税する、こういうことについては大きな懸念を抱いている一人でございます。

 さて、総理は、消費税増税の理由として次のようにおっしゃいました。東日本大震災などが重なって、その早急な回復が見込めない、そういうふうにおっしゃって、税収の増は期待できない、こういう認識を示されております。一方で、消費税の一%の税収、これは二・五兆円ではなくて、経済成長を見込んで二・七というふうになっております。ということは、ある程度、経済成長というものを前提に議論をしているんではないか、こう考えられます。早急な回復は見込めないという答弁と、そういう意味では若干矛盾を感じるように思います。

 経済成長があるというのであれば、消費税以外にも自然増収は見込める、こんなことになりますが、まずこの点について明確にお答えをいただきたいと思います。

安住国務大臣 おはようございます。

 総理の御発言は、マニフェストとの関係で主としてお答えをさせていただいたものだと思います。そして、経済成長による税収の増というものを否定しているとかそういうことでは私はないと思っております。

 復興需要等で、先生、今回、一―三月期だけを見ますと一%成長しています。年率換算で、順調にいけばですけれども、四%ぐらいの成長は見込めるということでございますので、それに応じて、当然、税収は見込まれる可能性はあると思いますが、ただ、御存じのように、所得税もフラット化をしておりますし、法人税も、一時的に復興のためにもう一段上げさせていただきましたが、基本的には下げさせていただいておりますので、今、急激に仮に経済成長をしてといっても、急激に税収が上がるという構造ではないわけでございます。

 そういう中でありますと、やはり、構造的には一般会計歳出に対して税収が半分以下である、いわば税収基盤が非常に弱い状況、体質であるということから考えますれば、成長しての税収も大事でございますが、それとは別に、安定した財源の確保ということからいうと、消費税のお願いもしなければならないと思っております。

西委員 なかなか今のはすんなりとは受け入れられない話でございますが、これはまた内閣府ということになっていますので内閣府に聞きますけれども、内閣府は経済財政の中長期の試算を行っているというふうに言われております。

 経済成長によって、それでは、消費税増税分を除いた自然増収、これはどうなるというふうに試算しているのか、お伺いをしたいと思います。

大串大臣政務官 おはようございます。

 今お尋ねのありました経済財政の中長期試算、ことしの一月に発表いたしましたが、この中での取り扱いでありますけれども、私ども、慎重シナリオという形での分析をしております。その中で、二〇一二年それから二〇一五年にかけて、経済が成長する中で、国の一般会計税収は十二兆円程度増加するというふうにこの中では試算されています。

 このうち、消費税率の引き上げによる国税分の消費税増収分、これは先ほどおっしゃったように、二・七兆円年額というふうなことを考えて前提とすると、八兆円程度というふうに試算されますので、この消費税増収分を除いた国の一般会計税収の増収額は、二〇一二年から一五年の三年間で四兆円程度、これは年平均でいうと一・三兆円程度というふうに試算されます。

 この上で、経済財政の中長期試算においては、慎重シナリオのもとで、二〇一五年において、プライマリーバランス赤字の半減に向けての、達成する姿が、消費税収及びこういった自然増収を合わせてやっと見えてくる、こういうふうな試算になっているところでございます。

西委員 デフレ下においてそんなことが実現可能かどうか、大いに疑問です。時間の都合で、それ以上のことは議論をするつもりはありません。

 続いて、大震災、原発事故対応のことについてお伺いしたいと思います。

 これについても問題があります。第二回目の復興交付金配分、あしただというふうに聞いております。ことし三月に第一回目の交付金が配分されました。現場でずっとお伺いしていますと、まず、この復興交付金は、地域に復興を委ねる、こういうふうな原則だと思うんですが、そういいながら、地元ではなかなかそういう実態にはなっていない、こう聞いております。復興庁というよりも査定庁になってしまっている、こんなことでは地元の本当に思うような復興ができない、大いに私は危惧をしております。まずは交付金を地方に渡して、そして問題があるのであれば、それを進めながらアドバイスしていく、寄り添っていく、このことが必要だと思います。

 そんな意味で、復興の主体、これは地域なのか、国なのか。こういうことを、私はぜひとも総理に、まず確認をしておきたいと思います。

野田内閣総理大臣 復興の主体というお尋ねでございましたけれども、震災からの復興は、住民に最も身近で、地域の特性を理解している地方自治体が主体的に行うことが基本であるというふうに思いますが、その上で、国は、復興に向けた自治体の取り組みを、予算や制度だけではなくて、人的なサポートなども含めて、総力を挙げて支援をすべきもの、そういう位置づけで取り組みをすべきだというふうに思います。

 復興交付金の関連も少し……(西委員「いや、結構です」と呼ぶ)それはよろしいですか。失礼しました。

西委員 今総理がおっしゃられました、復興についてはさまざまな議論があって、復興特区までつくって、そして地元の自由な、できるだけの自由な裁量のもとに復興を促進し、できるだけの希望を聞いていこう、こういうことで出発しておりますので、ぜひ総理には、先ほど御答弁いただきました方針を復興庁の方にお知らせをお願いしたい、このように思います。

 次に、住宅についてお伺いしたいと思います。

 各自治体の復興計画に基づいて、今、防災集団移転事業、それから土地区画整理事業、これが進み始めております。これらの事業が終了すれば、被災した住民が住宅の再建に入る、こういうことになります。

 まず、防災集団移転事業等の工程を示していただきたい、これが一点です。また、被災者の住宅再建に関して、住宅着工戸数はどのくらいの数になるのか、その時期はどういうスケジュールが予想されるのか、この見通しについてお伺いしたいと思います。

郡大臣政務官 お答えいたします。

 公共インフラ等の復興施策につきましては、先般の第二回復興推進会議におきまして、平成二十四年度予算等の内容を踏まえて見直しました事業計画や工程表を報告して、それを公表させていただいているところでございます。

 まちづくり事業にかかわるインフラの復旧ですけれども、これについては、市町村ごとに事業の工程表を可能な限り記載させていただいているところでございますけれども、お話のありました防災集団移転促進事業あるいは土地区画整理事業の明確な見通しということをお示しするためには、地域において、被災された方々、関係する方々の調整を図る必要があるというふうに考えております。今後とも、これらの事業がより一層進むように私ども努力を続けてまいりたいというふうに思います。

 復興住宅等ですけれども、これらはまさに、防災集団移転促進事業、土地区画整理事業、これらと一体として整備されるものでございまして、その着工時期、また戸数等につきましても、まちづくり事業の進捗に応じて決まってくるものだというふうに考えているところです。

 いずれにいたしましても、できるだけ早期に、被災地の皆さんたちの居住の安定、これが実現できるように、まちづくり事業の促進を含めて、さまざまな面から、市町村のそれらの施策推進のために強力に後押しをしてまいりたいというふうに思っております。

西委員 できるだけ早い復興が望まれるわけですが、私はここで一つ気になるのは、やはり、今回、このようにして八%、一〇%と消費税を引き上げていくわけですけれども、二十六年の四月以降から具体的に消費税がかかってくるわけです。それは多分、全国どこでも、地方によって特別の措置というのがあるのか、それは工夫があるという説もあるかもしれませんけれども、本当に大変な中、住宅を建てていこうという人たちが、これまでに、この消費税五%の間に住宅ができるのかどうか、大いに私は危惧をしております。

 我々は、十分このことについて話し合っていき、また議論していかなければいけないし、また政府の方でもやはり対応をしていただきたい、このように思うんですけれども、このことについて、総理、いかがでしょうか。

安住国務大臣 住宅は、お買い物をなさる方にとって、生涯一番大きな買い物の一つだと言っても過言ではないと思います。

 それで先生、実は、意外と国民の皆さんの中では、消費税が全部にかかる、つまり、土地を買ったり建設をしたら全部かかるんじゃないかというふうに誤解なさっておられる方もおられますけれども、土地については消費税は非課税だし、それから、今復興住宅のことがありましたが、賃貸部分についてはこれも実は課税対象ではございません。

 ですから、そういう点ではあとは住宅ローンを、今現在でも住宅ローン減税もやったりさまざまな控除もしております。震災地域においては、全壊住宅で新しく家を建てる方に関しては三百万円ほどの援助をしているわけですね。

 そういう意味では、御懸念はごもっともでございますので、我々としても、税負担が重くなって、例えば新しい家を、復興を、自分の自立再建をするときに、それが足かせとなって例えば家を建てるのを断念したとか、そういう方ができるだけないように、そういう意味での住宅に対するさまざまな配慮というものは考えていきたいと思っております。

西委員 安住大臣は被災地の御出身の方でもあります。その辺は十分に対応を考えていただきますようにお願いをしておきたいと思います。

 さあ、いよいよ本題に入ります。財政再建についてお伺いをいたします。

 野田総理は、社会保障と税の一体改革は待ったなし、こういう切迫した言い方を、ある意味では自分を追い込まれているかのごとくおっしゃっております。しかし、この言い方とは裏腹に、私は、政府の対応というのは実にのんびりとしている、こう言わざるを得ません。

 本当に状況が切迫したということならば、私は、マニフェスト関連の経費、これの見直しを初め、人件費の削減、政府資産の売却、税制抜本改革など、歳出歳入の両面で政策を総動員すべきだ、こう思いますが、実際に今提案されてきている内容を見たら、どう見てもそういう状態ではありません。

 私たちは、消費税を含む税制の抜本改革などを行い、恒久的な社会保障の財源を確保して制度の安定を図るべきである、こう考えています。そういう意味では、私たちは、正面からこの課題に向き合っているからこそ、税制の全体の抜本改革が必要だ、こう訴えてきているわけです。消費税だけ増税、こういう提案は安易だ、私はこう思います。課題に正面から向き合った結果このような答えが出たとは、私は到底考えられません。財政の健全化を図るために消費税だけに頼っているということは、これは誤りだと私は思っております。

 マニフェスト関連の見直しを初め、人件費の削減など歳出面での削減努力、これも十分ではありません。政府は膨大な資産を保有しておりますが、財政が厳しいというなら政府が保有する資産をまずもっと売却すべきじゃないか、こう思います。

 このことについて、政府の保有する資産についてのお考えを、岡田大臣から御答弁をお願いします。

中野委員長 西君、二人の政務官はもうよろしいでしょうか。

西委員 もう結構です。

中野委員長 それでは、どうぞ御退席ください。

 岡田担当大臣。

岡田国務大臣 先生からいろいろ御指摘いただきました。

 まず、人件費については、既に各党で御了解をいただいて、公務員の人件費の二年間引き下げを決めたところでありますが、それにとどまらず、さらなる深掘りを検討させていただいているところでございます。

 既に決めたこととしては、定年延長といいますか、人事院の方からは、共済の支給開始年齢が六十五歳になるということに伴って、定年を六十五歳まで延長すべきという御意見をいただいておりましたが、六十歳で一旦退職していただき、その後六十五歳まで再雇用する、もちろん条件についてはそのときにもう一度見直すということを決めさせていただいたところでございます。

 それから退職給付、つまり年金と退職金の合計でありますが、官民格差が四百万あるということが人事院の調査で判明いたしました。このことについて有識者会議で議論していただいておりますが、昨日、その中間的な取りまとめをいただきまして、この四百万を速やかに是正するということで、具体的な方法などについてはまだ議論が尽きていないところがございますが、早くその格差を是正するということを実現しようというふうに考えております。

 御議論はいろいろありますが、新規採用の削減もかなり思い切ってさせていただきました。それから、これから四十代、五十代の皆さんの早期退職、それについても具体的な措置というものを今検討させていただいているところでございます。

 そういう意味で、総人件費の抑制について、もちろん減らせばいいというものではございません。しかし、官民比較したときにどうなのか、そういう視点と、それから、やはり若い人がしっかりと仕事ができるために、余り全体として、定年は延長しないにしても、六十五まで働くということになりますと、全体としては平均年齢が上がってまいりますので、そういったことが弊害にならないようなさまざまな措置を今講じさせていただいているところでございます。

 国有財産、国有資産につきましては、公務員住宅については、必要があれば財務大臣の方から御説明させていただきますが、抜本的な見直しを図ったところでございます。その他の資産についても、先般私のもとに設けました行政改革懇談会において取り上げて、しっかりと実施してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。

西委員 御説明いただきましたけれども、いずれもまだ、本当に政府は真剣になってこの問題に取り組んでいる、こういう迫力は残念ながら感じられないというのが私の感想でございます。

 次に、所得税の改正について財務大臣にお願いします。

 税制の公平性を考える上で最も大事なこと、これは、基幹税である所得税の所得再配分をどうするかということが私は基本だと思います。負担の基本的な骨格をなす所得税の姿を見せずに消費税だけ引き上げるということは、公平な税制の改正とは言えない、こう考えております。

 さて、社会保障・税一体改革で、高い所得層を中心として負担が大きく軽減されてきており、結果として所得税の累進性が低下している、こういうふうに認識されておりますけれども、このもとになっている税制調査会で示された資料「給与収入の分布の推移」について、簡単に説明していただきたい。

 また、これに対応する改正内容として、今回、所得課税五千万超に四五%の最高税率を設けております。給与収入千五百万以上の分布がふえているという現状、なぜこの改正が、こういう現状を踏まえた上で、五千万にするというのが適切なのか、このことについてもあわせてお願いをいたします。

安住国務大臣 今回は五千万以上の方のところを五%上げさせていただきましたが、今先生から御指摘の御質問は、格差社会の、ある意味で典型的な例として、高額所得層の部分が、約一万人ちょっとだったのが二・七万人というふうにふえているじゃないかと。そういう点では、一千五百万以上の所得全体の中でも、実は高額所得者の方が今言ったような形でふえております。ですから、そういう点からいうと、そこについての課税というものを引き上げさせていただく。

 ただ、累進率と所得再配分機能をもうちょっと考えたらどうだという御指摘だと思うんです。これは、戦後の所得税の累進率の推移から見ると、七〇%を超える非常に高い時期がありました。そこからどんどんどんどんフラット化をしていって四〇%になりましたけれども、世界的な流れの中では、例えばバフェット氏なんかは、もうちょっと富裕層への課税をしたらどうだとか、そういう意見も出ておりますので、今後いろいろな意味で検討させていただきますが、今回は、そういう意味では、急激にふえている部分をある程度ターゲットにさせていただいて税率の引き上げをさせていただいたというところでございます。

西委員 このことについては、やはり、アメリカでも高額所得者自身がそういう運動をしているという面も見られますし、十分な議論が必要だ、こう考えています。

 所得税の改革に関しては、世代間の公平性という観点から、所得税への過度な負担をかけるべきではない、これは私もそう思っております。

 一方で、所得の再配分機能を回復するための改正を行う、こういうふうに言っておりますが、所得税は基幹税である、公平な税制、税負担を実現するためには、これはきちっと見直しをしなければいけない、こう思います。

 総理は、先日、所得税の改正について、今回の消費税の引き上げや復興特別所得税による負担増もあわせて考えれば、幅広い所得層に対して負担増を求めることは慎重に考えるべきだ、こういう答弁をされております。

 そういうことからすると、今回、二十六年四月、それから二十七年十月、それぞれ消費税が引き上げられるということを考えると、所得税の改正は、この消費税増税がある程度おさまってということになるかなというふうに思います。いわゆる数年間行わない、こういうことが考えられるのかなというふうに思いますが、所得税も含む税制の抜本改革について、いつ行うことになるのか、このことについて説明をいただきたい。

 それとも、幅広い所得層に対して負担とならない所得税改正は何かあるのかということ、もしありましたら、ぜひとも御答弁いただきたいと思います。

安住国務大臣 では、まず最初、私の方から。

 昨年、復興に関して、所得税に増税をさせていただきました。二十五年間かかります。それから、さらに言えば消費税の引き上げもさせていただくという、そうした全体のバランスの中で、やはり、急激に所得税の累進率を今上げるということは、そうはいっても、高額な所得を取っておられる方にとってもかなりきつい話になるんだろうと思っております。

 ただ、今後、先生おっしゃるように、この再配分機能をどういうふうに高めていくかということは、十分私は議論の余地もあると思います。

 もう一つ言えば、やはり資産に対しての課税のあり方も、高齢化社会の中で、今、御存じのように、相続税というのは大体百人のうち四人ぐらいの方にお納めいただいておりますけれども、こうしたところをどう考えるかというふうなところは、今後の税制改正の中で私は真剣な議論というものを早速始めていきたいというふうに思っております。

西委員 今、消費税の増税議論があるからこそ、さまざまな税、資産課税も含めてですが、このことの全体のバランスを考えないとだめだということを私は申し上げたいわけで、そういう前提でやはり総合的に議論するということが必要だと思います。

 いよいよ、消費税についてお伺いします。

 今回、最も問題という観点は、国民の誰が一体どれぐらい負担するのかということが見えてこない、これが問題だと私は思います。

 例えば、財務省の資料をいただきました。勤労者世帯について、年間収入、十分位の階級別に消費税負担がどうなるか、こういうことが示されております。しかし、これは、単身世帯とか夫婦世帯とか、世帯の構造別に詳細に消費税負担がどうなるかということは示されておりません。世帯構造別、所得別に、できるだけ詳細に、自分たちの場合にはどうなるのか、自分の家庭の場合はどうなるのか、こういうことをやはり国民に示さずして、国民との間に十分理解を得るということは私はできないのではないか、こう考えております。

 ぜひとも、今あれば出してもらいたいと思いますが、多分ないと思いますので、そこまでできていないと思いますので、このことについては委員会に資料の提出をお願いしたい、こう思います。

 委員長、よろしくお願いいたします。

中野委員長 理事会で協議いたします。

西委員 このように、必要な情報も十分国民に提示していない中で国民の理解を得る、こういうふうなことは私は難しい、こう思いますが、お考えをお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 今委員御指摘の資料につきましては、政府の中で検討し、誠意を持って対応させていただきたいと思います。

 いろいろな御指摘をいただきました。行革についてはもう少し言いたいこともあったんですが、独立行政法人や特別会計の改革も法案として国会に既に出させていただいているところでございます。いろいろな改革も、この間やってまいりました。

 もちろん、行政改革は、消費税のためにやるというよりは、これは必要だからしっかりと進めていかなければいけないことだというふうに思っておりますが、ぜひ御理解をいただき、そして、社会保障・税一体改革と行政改革を初め、さまざまなことを車の両輪として、ともに進めていただきますように御協力をお願いしたいと思います。

西委員 低所得者の対策についてお伺いします。

 消費税増税の影響をまともに受ける低所得者への対策ということで、まず、簡易な給付措置とはどんな給付なのか。法案では、これは、給付の開始時期、対象範囲、基準となる所得の考え方等は検討の上で給付する、こんなことになっております。

 まだ内容が固まっていないということですが、これを一体いつ固めるのかということです。成立してから決めるなんということになったのでは、国民は全くこの先どうなるかわかりません。

 そういう意味で、基準となる所得の考え方、これは、所得制限のことで、所得のない人、例えば貯金を取り崩して生活している人は一体どういうことになるのか、対象外になるのか、そのようなことがさまざま考えられますが、このことの基本的な考え方について財務大臣にお伺いしたいと思います。

安住国務大臣 私どもの基本的な考え方は、引き上げに当たって、今先生から御指摘のような低所得者の皆さんに対しては、給付つき税額控除の制度設計をしっかりやって、番号制度の本格的な稼働というものがこれは前提になりますが、やっていく。しかし、それまでの間、暫定的、臨時的措置として、簡素な給付措置、これは、私の念頭にあるのは、やはり、現金をある一定のターゲットといいますか対象の方に例えばお配りをして、それで消費税の衝撃というものを比較的和らげる。これは平成元年、平成九年に、例えば臨時福祉給付金等もやられた経緯がございますが……(発言する者あり)はい、ワンショットでやられたことは事実でございます。

 私どもとしては、しかし、この対象の範囲、幅、額、そうしたものを具体的にどういうふうにしていくかということは、今後早急にその制度設計というものはしたいというふうに思っておりますが、今、実は、先生から御指摘のあった金融資産、いわゆる貯金を取り崩して生活している人もおるぞと。ただ一方で、多額の金融資産を持っていて、そうしたいわば手助けをする必要のない人だっておるんじゃないかということも、実はこの委員会の場では御指摘をいただきました。

 それは必要な、大変重要な論点だと思いますので、ぜひそうしたことも含めて、できるだけやはりその金融資産を推知できるようなことをしていきたい。そうしたいわば制度を精緻につくって、できるだけ、低所得者という方々をしっかり公平性を担保しながら定めて、対象を絞って、そうした簡素な給付措置もやっていきたいというふうに思っております。

西委員 こういうあやふやなことでとりあえず認めてくれと言われるのは、これは承服しがたい。国民の皆さんにとっては、ますますそういう状態ではわからない。どれだけ還付されるのか、どういう人が還付されるのかということについて全くわからない。このことについては余りにも大ざっぱ過ぎる、こう申し上げざるを得ません。

 先ほど、財務省の資料をちょっと参考にということで、十分位のときに申し上げたんですが、この資料によれば、第一分位の場合は、収入が三百十九万円、消費税の負担額が、三%引き上げで五万、五%のときは九万円増加する。九万円の負担増に対して幾ら還付されるのか。消費税負担の解消を目指すのか、消費税の負担の緩和を目指すのか。基本的な考え方をもう少しお聞きしたいと思います。

 消費税負担の解消に関しては、これはさまざまな方式があるというふうに伺っています。世界的にもいろいろな方式でやっていますが、例えば、今議論になっていますのが、逆進性の解消ということであれば、カナダの方針なんかが一つの参考になるんじゃないかと私は見ているんですが、例えばそんなことは一体どうなっているのか。やはり基本的な考え方を少なくとも示していただかないと、こんなものは議論にもならない、こう思います。

 必ずしも、今は、私自身は、このことでいいとか、また軽減税率の方がいいとかいう議論をしているんじゃなくて、この法案に則して申し上げているんですが、消費税負担に対してどれぐらいの割合で還付されるのかについても、やはりはっきりしていただきたい。例えば、消費のうち食料支出に相当する部分の消費税負担を還付するということになるのかどうか、こういうことですね。このことについて、財務大臣からもう少し詳しい説明を求めたいと思います。

安住国務大臣 私どもから先生に提供した資料に基づいて少し申し上げさせていただきますと、収入階級別の実収入に対する税負担ということで、五%、八%、一〇%にさせていただいたときの、今先生御指摘の第一分位でいえば、大体、消費税が九万円ですね。これが八%になったところでは五万円ほどアップをする、一〇%になったときは、さらに九万円ですから倍になるという資料だと思います。

 そこで、そうしたものをベースにして、先ほど岡田副総理が申し上げましたが、ではさらに、これは少し単純過ぎるのではないか、もうちょっと生活実態に合った分類、例えば御家族の中で入院なさっている人がいるとか、そういうことも含めて、もう少しさまざまなバリエーションを政府部内で検討して、それは資料ができ次第御提供はさせていただきたいと思います。

 そこで、今先生からも御指摘をいただいたカナダのGSTについては、これは、いわゆる私どもがイメージをしている給付つき税額控除に一つの例として当てはまるものではないかなというふうに思っております。

 ちなみに、カナダの場合は、合算だけでちょっとあらあら申し上げますと、夫婦二人の世帯の場合の受給額というのは大体五・九万円ぐらいになっているようでございます。ただし、所得がだんだん上がってくれば、それに給付額は下がっていく、こういう制度でございます。これは、ただし、生活保護制度を兼ねて補完をしているというふうな報告も受けておりますので、一つの参考例として、こうしたものを中心にこの制度設計というものを図っていきたいと思っております。

西委員 もう時間がなくなってまいりました。

 今の話にしろ、政府はどうしたい、具体的にどういうふうにしたいという、今はまだ簡易な給付措置で、本来の給付というところにならないんですが、それを与野党の協議に任せるとか検討するとか、こういうことでは、私は、政府としての役割を果たしていない、責任を持ってやはりその基本的な方向性ぐらいはせめて出していただかないと私どもの態度も決められない、こんなふうに思います。

 今回の理念として、冒頭申し上げましたように、公平、透明、納得、こういう三つを挙げておられますけれども、これでは到底国民の納得は得られない、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて西君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 総理は、社会保障と税の一体改革を待ったなしだと繰り返し主張されています。そして、政治生命をかける、このようにもおっしゃっています。その理由が、やはりこのままでは後世にツケ回しになる、ツケ回しをしないのだということを繰り返しおっしゃっていると思うんです。

 きょう考えてみたいのは、若い世代が、つまり、いわゆる後世がどんなふうにそれを受けとめているのかなということです。総理はどのようにお考えになりますか。

野田内閣総理大臣 社会保障と税の一体改革については、特に若い人たちに関心を持っていただきたいと思っているんです。その理由は、この改革の一つの大きな理念でありますけれども、給付の面、負担の面で世代間の公平を図っていきたいという思いがございます。

 給付については、これまで高齢者中心でありました。でも、支える側の働き盛りの世代、若い世代がこの社会保障の恩恵を受けているという実感が持てるようにするために、人生前半の社会保障の部分、子ども・子育ての部分、そこにもっと光を当てていきたいという思いがございます。

 それから、負担の面については、現役世代中心の所得税や保険料に頼った形、依存した形ではなくて、全ての世代で支え合う、そういう気持ちのもとで消費税を充てていく、そういう意味で、特に、だからこそ若い世代には関心を持っていただければと思います。

 私も大学でいろいろ講演とか対話集会をやって、そういう場所に行くと、非常に関心があるし、いろいろな御意見も出てくるんです。だから、もっとこれを幅広く喚起できるように努めていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 今、関心を持っていただきたいという答弁だったんですけれども、若い方たちがどう受けとめていると思いますかという質問だったんです。

 例えば、読売新聞の五月十二日付で「若者座談会」という特集がございました。その中で、今総理がおっしゃったような、世代間格差が注目され、高齢世代に比べて若者の方が負担と給付で損をしていると言われるが、どうかという問いに対して、腹立たしい話だとか、確かに今の年金世代は恵まれているという答えとか、消費税の引き上げについてどう考えるかという問いに対して、国にお金が足りないのは明らかなのに、なぜ早く上げないのか、そういう意見もありまして、これを読めば総理が我が意を得たりとにやりとするのかな、こう思ったわけであります。

 ただ、そういう意見ばかりではもちろんありませんで、同じ紙面で、お金が足りないので不安、将来よくなるとのイメージが持てない、普通に働けば普通に暮らせるような国であればと思う、これは無保険で年金未納の二十六歳の独身のフリーターの方です。あるいは、老後は不安、二十年先、国の財政が悪化していたら生活保護も受けられなくなるかもしれない、学歴が高くない人でも資格が取れ、その間の生活保障があるような支援が必要だ、これは三十九歳のパートでシングルマザーです。私は非常になるほどなと思うんです。

 昨日も、被災地の医療機関に勤める若い皆さんの意見を聞きました。民主党のマニフェストに期待して政権が交代したけれども、いとも簡単に破られた、そのことが原因となって、政治不信から漠然とした全体に対する不安につながっているということ、目の前には瓦れきがあり、仮設住宅も、環境が変わっていないのに、こんなときに増税なんて、結婚したとしても、自分の子供に、自分が大学に入れてもらったように同じことをしてやれるだろうか、そういう不安がこもごも語られたんです。

 ですから、後世にツケ回しをしない、つまり、若者のためだと言うけれども、その手段が消費税増税で、本当に若い人たちが将来に希望が持てると思いますか。

岡田国務大臣 若者の今の気持ち、今委員からいろいろ御指摘いただきましたが、私もそう変わるところはございません。

 そこで大事なことは二つだと思うんですね。一つは、やはり将来に希望が持てるために、ある程度日本経済が持続的に成長していくということがなければ、いろいろなことの可能性がないわけですから、そういう意味での成長戦略ということは極めて重要だというふうに思います。

 あわせて、しかし、財政が持続可能でなければ社会保障も持続可能でない、あるいは、そのほかのことについても、いろいろやりようがなくなるということですから、やはり財政の持続可能性ということは非常に重要で、とりわけ今回の社会保障・税一体改革は、社会保障と財政の持続可能性を同時達成しようとするものであって、なかなか目の前の苦しい生活の中で負担増ということに対して抵抗があるのはよくわかりますけれども、そこは本当に説得しながらわかっていただく、その努力をさらに続けなければいけないというふうに思っているところです。

高橋(千)委員 今紹介した声は、目の前の負担増の話ではないと思うんですよ。今の政治の姿から将来が見通せないんだということにどう応えていくかということなんです。

 今おっしゃった、持続的に成長しなければいけないんだ、この話はまさに政権末期の自民党が盛んにおっしゃっていたことではありませんか。今紹介した若者の声にあるように、普通に働けば普通に暮らせる国を目指すべきだと思うんです。

 厚労省の平成二十一年社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査でも、三十歳未満の青年が重要と考える社会保障の分野のトップが、実は老後の所得保障であります。年金、七四・二%。それで、今後さらに充実させるべき社会保障というのは、雇用の確保や失業対策、四五・六%、これもトップなんですね。

 つまり、今そういう老後の問題が重要だ、でも、そのためにも充実させるべきは雇用や失業対策なんだ、私はこれは真っ当な意見だと思うんです。

 そして、それに対する答えは、実は野党時代の民主党にはかなりあったんではないかと思うんですよ、残念ながら。かつては、最低賃金の問題ですとか、均等待遇ですとか、労働者派遣法の抜本改正ですとか、そういうものをみんな投げ捨てた中で、この成長戦略だけ言っているということなわけです。

 そこで、資料の一を見ていただきたいと思います。今の年金の加入状況、これを見ていただきたい。

 二十から五十九歳の方たち、約六千五百万人の公的年金加入者のうち、第一号被保険者、つまり、満額でも今だと六万五千円にしかならない国民年金の加入者が約三割、一千九百万人なわけですね。そういう状態で、まだ、またそのほかに公的年金をもらっていない方は、三%、約八十九万人となっているわけです。つまり、無年金、低年金問題は本当に深刻であります。

 また、これは厚労省自身がよく言っていますけれども、この第一号被保険者の割合が、かつては、この下の資料にありますけれども、自営業者や農業、漁業従事者などが中心だったわけですけれども、今はパートやアルバイトなど非正規雇用の割合が非常に高くなっている、現在二六・一%ということなんですね。

 それで、まず質問しますが、最も若い二十から二十四歳の加入者のうち、第一号被保険者と、そのうち非正規雇用の割合がどうなっていますか。

小宮山国務大臣 二十から二十四歳の国民年金の第一号被保険者の数は、平成二十二年度末で三百八十五万人です。

 また、抽出調査であります国民生活基礎調査の調査結果によると、二十から二十四歳の第一号被保険者に占める非正規雇用の割合は三二・二%になっています。

高橋(千)委員 今お話があったように、第一号被保険者が五割を超えて六割近くいるわけですよね。本当であれば、二十四歳までですので、学生が多いから当たり前なんだ、学生は第一号なんだということになるんですけれども、しかし、それを除いても、後段の部分、三人に一人が臨時、パートだという実態なわけです。そうすると、社会人の第一歩から非正規に入っている。この実態の深刻さということを本当に考えなきゃいけないと思います。

 それで、資料の二は、国民生活基礎調査をもとにつくってみたんですけれども、一番下の代で公的年金の非加入率というのを比べてみて、正規であれば、非加入、つまり公的年金に結びついていない人たちは、二十代でも一・五六%と大変低いです。だけれども、アルバイトが一七・七四%、パートが一一・四%、契約社員が三・五九%という形で、非常に割合が高い。つまり、年金にそもそも結びついていないということがわかるのではないかと思います。

 同時に、支払いの方はどうかといいますと、これは資料の三を見ていただきたいと思うんですけれども、第一号被保険者の保険料納付状況というものを描きました。

 この中で、一号期間滞納者、これは専門用語ですので、過去二年間丸々保険料を納めていない人を一号期間滞納者と呼びます。この方たちが、全体でいいますと四百三十三万人いるわけです、二三・六%。でも、これを下で、二十四歳までの人たちで見ますと、もちろん学生納付特例者というのはいずれ大学を出たときに厚生年金などに結びつく可能性を持っているわけですが、完納している人と滞納者がほとんど同じくらい、八十万人以上が丸々納めていないという実態でございます。

 こういうことを見ますと、年金に結びついていない、結びついていても納めていない、こういう実態。このまま推移すると、若い皆さんが将来年金を受け取れるだろうか、不安が現実のものになるのではないか、大量の無年金、低年金が生まれることにならないかと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 先ほどから委員が御指摘いただいている、若い人たちの非正規がふえて、無年金、低年金もふえ、将来不安だという問題意識、そのことは強く私どもも持っています。

 一つは、新卒で卒業したときにきちんと仕事に結びつくように、新卒のハローワークですとかジョブサポーターをつけるなど、まず仕事に結びつけることを今一生懸命やっておりますし、先ほど野党のとき掲げたものを全部捨てたと言われましたけれども、そんなことはなくて、なるべくその働き方にかかわらずしっかりと働きが評価されるように、均等、均衡待遇、このことはしっかりと法整備の面からも、実態上からも確保していくように今も努力をしているところでございます。

 年金の制度については、今回の法案の中でも、短時間労働者にしっかりと社会保険の適用拡大をするということで、まだまだ不十分という御指摘はいただいていますが、中小企業の経営状況なども勘案しながら、現実的な線として三十時間から週二十時間以上にして、そうしたところにもセーフティーネットを広げていくなど、今努力をしているところでございます。

高橋(千)委員 今、均等待遇と言いたいところを均衡と言わざるを得なかった、そこに大臣の苦しさがあらわれているかと思うんですが、思い切ってやらなければ間に合わないのだということなんですね。

 このまま推移すれば、現役世代が年金世代になったときに、大量の無年金、低年金が生まれるんだ、その問題意識は一致していたと思うんですね。ですから、そういう問題意識から出発して雇用対策やりますよというのであれば、やはりその処方箋は、今、消費税ではないのだということを指摘しなければならないと思います。

 社会人の第一歩が派遣社員や契約社員あるいは無職という実態を変えるのが最優先の仕事です。若者が高齢者になったときも、次の世代がちゃんと支えるようにすればいいわけです。正社員が当たり前のルール、パートや期間社員でも正社員と同じ仕事なら同じ賃金だという均等待遇を実現すること、こうした雇用環境を改善することと安心の社会保障をつくることを一体で進めなければならないと思います。

 ここは次の機会でもう少し掘り下げてやりたいと思うんですが、きょうは、総理がいらっしゃる間にぜひ聞きたいことがありますので、質問をしたいと思います。

 私は、五月八日の本会議質問で、我が党の最低保障年金制度に対する総理の考えを伺いました。そのとき、私たちは、納付実績にかかわらず、全ての方に同額の最低保障年金を土台にするんだ。その額は少しずつ上がっていけばいいと現実的に考えているわけですけれども、その上に納付実績に応じて積み上げていく。ですから、頑張って納めた方は当然その分年金がふえるという、決して納付意欲をそぐものではないわけです。こういうことを言っております。

 民主党の、最低保障年金制度となるかどうかはちょっとわからないですが、新しい年金制度ですね、これはまだ提出されていませんので、先に小宮山大臣に確認します。

 詳細な点で聞くことはできないんですけれども、基本の考え方、これは七万円とよく言われていますけれども、まず、四十年先でなければもらえない、みんなが七万円保障されるわけではない、それから、所得比例と最低年金の組み合わせなので、逆転して、今の制度よりも減る人は出る、これはそうでよろしいですか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったことは、そのとおりかと言われればそういう面がございます。水準の七万円が支給されるようになるには一定の期間入らなければいけない、保険料を支払えるのに支払わなかった人には払わない、こういうようなことがございます。

 さまざまな課題があることは承知をしておりますが、今、民主党の中で具体的な設計をしているところでございます。

高橋(千)委員 まず、そのとおりだということが確認をされました。

 そこで、我が党の最低保障年金の考え方に対して、こんなふうな答弁でした。

 所得が高く、保険料負担能力があるにもかかわらず、保険料を納付しなくても税金で基礎年金の半分を保障する仕組みは、税金の公平な配分や納付意欲の観点から問題がある、こう答えたわけです。

 そうすると、まるで、納付していない人はみんな、払えるのに払わない悪質な滞納者だという考え方なのかと言わなければならないわけです。一号期間滞納者の六割は、もう少し生活にゆとりがあれば保険料を納めたいと答えているんです。最初から納めないなんて言っているわけではありません。

 それから、資料の四にあるように、やはり滞納者の所得の状態は本当に大変です。平均すると百十三万円ですけれども、真ん中は六十三万円。そして、もっと深刻なのは、半数近くが五十万円未満なんですね。

 ですから、確かに高額な人は、数%、わずかにいます。その人たちを見て、みんなが払えるのに払えないというような言い方をするべきではないと思いますが、いかがですか。

野田内閣総理大臣 高橋委員御指摘の五月八日の私の本会議における答弁の趣旨でございますけれども、御党の御提案が、所得が高く保険料負担能力があるにもかかわらず、意図的に保険料を納付しない方も含めて、税金で基礎年金の半分を保障するということであれば、税金の公平な配分や保険料納付意欲の観点から問題がある、そういう趣旨で答弁をさせていただいたものでございます。

 その際にも、これは申し上げておりますけれども、現在の仕組みでも、所得が低くて国民年金保険料を支払えない方は、保険料免除を受ければ、免除期間中については、御党の案の金額と同じく、国庫負担相当分である二分の一相当の基礎年金を受けることが可能であります。

 このように整理して答弁をさせていただいたつもりでございまして、最後に今、納付していない人は皆、払えるのに払わない悪質な滞納者と考えている、そういうことは考えてございません。それは誤解でございます。

高橋(千)委員 どうしてもそこが走ってしまいますので、十分に気をつけなければならないなと思うんです。

 私たちも、当然、総理が我が党の提案を紹介していただきましたけれども、高額の方に対しては、保険料を、上限を引き上げてもいいのではないかという提案ももちろん言っています。それから、意図的に払わない方、高額なのに払わない方に対しては、もともと今の制度の中で、強制徴収、差し押さえなどという手段があるわけですから、それを理由に、払わない人にまでという言い方は成り立たないんだ、むしろ、最低保障年金の制度というものはそういうものなんだということを少し言わなければならないと思うんですね。

 つまり、最低保障年金制度は、国連人権規約委員会から、最低年金を公的年金制度に導入することを勧告すると、政府は実は数度にわたって勧告されているんですね。総理は承知していますか。そして、政府はこれに何と答えてきましたか。

野田内閣総理大臣 国連社会権規約委員会から、二〇〇一年八月に、最低年金を公的年金制度に導入する旨の勧告を受けております。

 これに対して、二〇〇九年十二月に同委員会に対して提出した政府報告では、「二〇〇九年九月の「連立政権樹立に当たっての政策合意」において、最低保障年金を含む新たな年金制度を創設することとされている。」と事実に即して報告をさせていただいております。

高橋(千)委員 そうです。その時点ではそうなんです。「「連立政権樹立に当たっての政策合意」において、」ということで答弁をされました。

 それでは、その政府報告を本当に実現しますか。今、自民党さんや公明党さんからは既に、最低保障年金は撤回をとの要求も出ており、総理も柔軟な姿勢を表明しているのではありませんか。公約だけでなく、国際社会への公約もほごにしようとするのでしょうか。はっきりとお答えください。

野田内閣総理大臣 国際公約というか、取り組んでいる事実の報告をしているということでございますけれども、その上で、一体改革の大綱には、御指摘いただいている最低保障年金なども柱とする新しい年金制度を盛り込んでおります。そして、党内において、その制度設計の詰めを今行っているところでございますので、今そういう過程にあるというふうに御理解をいただきたいと思います。

高橋(千)委員 済みません。過程にあるとおっしゃっても、この間、柔軟な姿勢をという趣旨の答弁がされているのかなと思うわけです。ですから、これは単純に過程ですで済まない話なんですよ。国際機関に対して、最低保障年金制度を創設すると答弁されていることに対して、それをやりますかと言っている、聞いているんです。

野田内閣総理大臣 一体改革の大綱と、そして、今回は法案とは直接、これは入ってはいませんけれども、そういうことを党内の議論をしっかり煮詰めてまとめたものでございますので、それは私たちの考え方の基本でございます。

 何か、私が柔軟にというお話でございましたが、これまでの積み重ねの議論、党の議論、これは大事にしなければいけません。きのう、協議会の提示もございましたけれども、こういう私どもの基本姿勢のもとで協議会で議論していいのか、そういう議論はしましたが、そこで柔軟ではなくて、しっかり自分たちの基本をわきまえながら協議をするということを申し上げていることでございます。

高橋(千)委員 何というんでしょうか、最低保障年金制度の姿がまだ見えていないわけですね。基本的な考え方は先ほど議論をしましたけれども、その段階でありながら、旗をおろすことはしないよねということを言いたかったわけです。協議の場になると、いろいろな議論がされた中で、やはりそれは無理だねということでおさめてはいけないのだ、ここは旗を掲げつつ議論をしていくのだという立場に立っていただきたいということが言いたいことなんです。

 自民党さんなどは、やはりばらまきだということを盛んにおっしゃっていますけれども、いや、そうではないのだ、これは、さっきも言ったように、国連から勧告を受けている基本的な問題であるということ、そしてこのままでは、さっきお認めになったように、無年金・低年金者が大量に生まれて、生活保護しか道がない、これでは逆さまなわけですね。

 やはり、ILOの考え方、二〇〇三年総会への事務局長報告、貧困からの脱却という報告がございますけれども、払えない方、払わない方に対して保険がないという基本はあるんだ、だけれども、税金を財源とする社会扶助計画で社会保険制度を補完し、保険料を定期的あるいは全く支払うことのできない人々のニーズに対応する必要がある、このように述べて、本会議で私が最初に言いましたけれども、単なる保険ではないのだということを指摘しているんです。

中野委員長 高橋さん、時間が参りました。

高橋(千)委員 そういう立場にならなければ、払わない人にはできないという議論にしかならない、それではだめだということを指摘して、終わりたいと思います。

中野委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。どうも、委員長もよろしくお願いいたします。

 この一体改革の議論の出発点である社会保障改革に関する有識者検討会座長の宮本太郎北海道大学大学院教授が、総理は御存じですよね、一体改革が迷走しているというふうに苦言を呈しておられます。

 お手元に資料をお配りしておりまして、その一枚目に、その苦言の中身をいろいろピックアップさせていただきました。

 有識者検討会は二〇一〇年の十二月に安心と活力への社会保障ビジョンを示しましたが、宮本氏は、その後の展開を見ると、全世代対応、再分配強化、参加保障などの文言は辛うじて継承されてきたが、そこで示されたビジョンが全体として受け継がれているとは思えない、改革が矮小化されてきた、あるいは、増税のための口実なのではないかという受けとめが広がっても不思議ではないというふうに批判をされているわけです。一体改革の出発点となる議論を取りまとめた宮本氏が、社会保障の機能強化なのか削減なのかも判然としないとまで言われております。

 総理、この批判に対しては、これは非常に基本的なことだと思いますので、どういうふうに受けとめられますか。

野田内閣総理大臣 宮本太郎先生には、有識者会議でも活発に御議論いただき、また御参加をいただきました。

 その上で、宮本先生からの「世界」での寄稿された論文ですが、御指摘のような厳しい評価をいただいているところもあります。

 ただ、全体は、これはあえて苦言のところを抽出されたんだろうと思うんですが……(服部委員「苦言だらけですよ」と呼ぶ)いや、子ども・子育て支援で一歩足を踏み出したことは評価に値する、世代内の再分配強化についても、それが課題として明示され取り組まれていることは重要である、素案は全員参加型社会を掲げて、基本的には参加保障を強めることを目指している。

 大事なことは、いろいろ苦言もあります、苦言については真摯に耳を傾けなければいけないと思いますが、私たちは一体改革を頓挫させるべきではないという書きぶりもございますので、御批判をいただいている部分、評価をしていただいている部分、多々あると思います。それはやはり、国民の中にある多様な意見と私は軌を一にするものではないかと思います。

服部委員 中身が非常に変わってしまったということをおっしゃっているわけなんですよ。それは、一か百かということをおっしゃっているわけではないのは私ももちろんわかります。

 総理は、騎馬戦型から肩車になるんだという比喩をよくお使いになります。宮本氏は、女性を含めた現役世代が仕事につき、家族をつくることも困難な状況では、肩車さえ成り立たなくなる、社会の持続可能性を高めるためには、分母、すなわち生産年齢人口の支える力を強めることに改革の主眼が置かれなければならないというふうに強調されているわけです。にもかかわらず、これも宮本さんの言葉ですけれども、社会保障改革が雇用の創出や成長のてことなる可能性は封じられ、相変わらず成長戦略や雇用論議とは別建てにとどまっているというふうに御批判をされております。

 具体的には、子ども・子育て支援にわずか〇・七兆円、これはOECDの平均の家族支援支出GDP比一・九%より大きく低いですね。二〇一五年でも一・二%にとどまる。また、大綱には若年層の就労支援などの生活支援戦略を展開すべきということが記されているけれども、財源は全く触れられていないというふうに指摘をされています。

 総理、いいことも書いてあるんじゃないかみたいなことも、何かそんなのんきなこともおっしゃっていますけれども、消費税増税以外に具体性がなく、前向きなメッセージが全く伝わっていないんじゃないんですか、こういうことを宮本さんがおっしゃるということは。

野田内閣総理大臣 先ほどお話しされた肩車の社会になるときに、その支える側、肩に乗せる側に対するもう少し手当てをしなければいけない、これは、若者の就労対策を含めてやっていかなければいけないという問題意識は非常に強く持っています。

 それと同時に、肩車に乗る世代においても、やる気があって元気があるならば働けるような状況をつくっていかなければいけない。そういう問題意識は、一体改革そのものに書いてあるかどうかは別として、それは強く持っているということであります。

服部委員 いやいや、別としてじゃだめなんじゃないんでしょうか。

 要するに、今、宮本さんがおっしゃっているのは、財政の持続性と社会の持続性が同時に問われている時代だ、財政の持続性ということはよく言われるけれども、社会の持続性が一体どうなるのかということに対する認識がちょっと甘いんじゃないかということをおっしゃっているわけですね。私も全く同感だと思っているわけです。

 改めてお読みになって、またぜひ御検討いただきたいなというふうに思います。

 きょうは、そもそも論として、財政再建の必要性というものは理解をしたとしても、何で大衆課税であり、逆進性の高い消費税でなければならないのか、この疑問を持っている国民は、私も含めて大勢いるわけです。消費税だけにターゲットを置くということじゃなくて、もっともっといろいろな検討が可能ではないかというふうに私自身も思っております。

 社民党はもともと、従来からの主張ですと、法人税の引き下げはけしからぬじゃないかというようなことであるとか、あるいは富裕層への累進課税をもっと昔のように強化すべきではないか、こういう議論もさせていただいてきました。そのほか、最近のいろいろな論調、いろいろな雑誌、新聞等を見ていますと、そもそも法人税へのさまざまな優遇税制がもっと見直されなければならないんじゃないか、こういう主張も非常に多いです。

 それから、一千四百兆円と言われる個人金融資産、あるいは不動産資産も含めると八千兆円もあるという資産に対する課税ですね。これも戦後一時期検討されたということなんですけれども、こういった資産課税、これは一%を課税するだけで八十兆、そう単純にはいかないと思いますけれども、出てくるわけです。あるいは、金融取引税ですね。これに課税をしたらどうか。今EUでは、極めてホットな議論がこの金融取引税についても行われております。

 そういう意味で、きょうはちょっと、まず入り口の議論として、なぜ消費税オンリーなのか、幾つかの点で御質問をさせていただきます。

 まず、資料の二をごらんになっていただきたいんです。

 日本の法人税の問題、法人税は高いというふうに宣伝されておるわけですけれども、現実には、大企業の法人税負担水準が非常に低い、軽減税率が適用されている中小企業の方がむしろ負担水準が高いということが示されております。

 この資料は、五月号の文芸春秋、富岡さんの「税金を払っていない大企業リスト」という論文なわけですけれども、実際の法人税率というのは、表面上の実効税率だけでなくて、それを掛け合わせる課税ベースとの関係で決まるわけです。資料では名立たる大企業が並んでいますけれども、これらの企業は、優遇措置あるいは課税特別措置をフル活用して、世界的な節税策を駆使して税負担を抑えている。一方で、黒字を出した中小企業が律儀に一生懸命法人税を払っている、そういう構造になっているわけです。

 それから、資料の三から五は、法人税だけじゃなくて社会保険料の事業主負担というものを考慮すると、いつも国際競争力ということを強調されるわけですけれども、日本の企業負担というのは決して高くないということがわかります。

 資料の四で、例えばアメリカなんかも、公的な支出では低いですけれども、企業が負担をしている私的な保険、その負担率も合わせると、決していわゆる企業の負担というのは高くない。

 ですから、総理、法人税の実効税率だけを捉えて、日本は高いというふうに言っておられる裏で、ある意味、税の空洞化が進んでいるのが実態ではないのか。日本企業の負担は高いというふうに言えるのか、この資料をごらんになった認識をお聞きしたいと思います。

 と同時に、今、法人税は復興税の期間が終了したらまた引き下げるということになっておりますけれども、そのまままた引き下げるおつもりなのか、それもあわせて御質問をいたします。

安住国務大臣 まず、その宮本先生の話でいうと、先生、これは服部さんから示していただいた資料を見ても、社会の持続可能性を高めるために、分母、すなわち生産人口を支える、これを強めていかないといけないと書いてありますよね。

 それから、雇用の創出や成長のてこ、これからいうと、ちょっと反論するわけじゃないんですけれども、やはり企業は元気でなきゃだめだ。それで、特に大企業を中心に、子会社、孫会社というのが大きく日本の場合は雇用をつくっていってくれていますから、そういう意味で、私は、生産経済主体の中で、企業というものを私どもとしてはやはり大事にしていかないといけないと思っております。

 それで、そういうことをまず申し上げた上で、先生に出していただいた資料というのは、確かに、企業によっては、アジアの子会社の優遇税制とかを含めた低税率ですから、そういうものとの連結をして、トータルとして、進出企業の中には、いわゆる実効税率が低いというところもあります。

 しかし、実は、日本の企業はさまざまな企業形態を持っていますので、そういう点から申し上げますと、それと同時に、この中に入っている資料の比較は、イギリスやドイツやフランスやスウェーデン、つまり、率直に申し上げますと、日本が企業の誘致や立地で激しく争っているアジアや新興国とはちょっと違うんですね。

 そういうところと比較をしたりさまざま考えますと、やはり日本の場合、私としては、表面税率を下げて国際競争力や立地の環境をよくしてあげることで、日本の国内で頑張っていただく環境をぜひつくらせていただきたい、そういうことでこうした税制にしております。

服部委員 それでは、ちょっと質問をかえますけれども、峰崎内閣官房参与が、二〇一〇年の六月、財務副大臣時代、G20財務相・中央銀行総裁会議で、国際的な法人税の調和を訴えておられますよね。ですから、総理、法人税のいわゆるダンピング競争、これをやめるべきじゃないかという議論があるわけですよ。あるいは、EUの首脳会議でフランス、ドイツの首脳が提案した、法人税の最低税率の導入という提案もあります。そういった面で日本がもっとイニシアチブをとるということもあってもいいんじゃないんでしょうか。

安住国務大臣 私、先ほど申し上げましたのは現状の分析でございまして、今の服部先生の御提案には私は大変共鳴することが多うございます。

 それで、先般、国際会議の中で、私もそうでございます、昨年でしたが、実はこれは、G7等の加盟国の中からも、法人税率をどんどん下げていって企業を誘致するような競争というものに対して、一定のルールを設けてやらないと、いわば財政再建と真っ向、反対の方向で競うというのは、お互いにとって本当にプラスなのか。ですから、これはいずれしっかりと議論をやはりしないといけない。

 ただ一方で、非常に悩ましいのは、G20なんかに出ますと、やはり、新興国や今成長著しい国々の中では、いかに私たちのようないわば先進国から企業を誘致して雇用を拡大していくかということに対してしのぎを削っている国々が多うございます。ですから、そういう方々に対しても、どうやって私どもの認識というものを、何といいますか、共通の認識を持っていただくかということが、やはりこれからの我々の考えなきゃいけないことだと思うんです。

 私たちにとっては法人税の引き下げというのは、先進国にとっては望ましいかと言われれば、財政再建からいうと悩ましい問題で、これは決して、一〇〇%すばらしいとは全く思っておりません。

 ただ一方で、新興国は、そうでもしない限りやはり対抗できないじゃないか。それで、例えばアジアを見ますと、韓国にしても中国にしても、どんどんディスカウントをして、日本よりはずっといいですというふうな比較をしているということが今の現状だということも、ぜひわかっていただきたいと思います。その壁を乗り越えて、何とかルール化ということは、私も考えております。

服部委員 問題意識は持っているよ、そうしたいとまで言われたかどうかわかりませんけれども、そういう御趣旨だけれどもということなんですけれども、そういう意味も含めて、ぜひ、先進諸国の中で主体となってリーダーシップをとっていただくということが必要だというふうに申し上げておきたいと思います。

 フランスで社会党のオランド大統領が誕生しました。その公約を見てみますと、大企業の法人税率を引き上げる、中小企業は下げる、高額所得者も増税する、それから企業利益を株主分配や経営者報酬よりも再投資や雇用拡大に使うように促す仕組みを導入する。

 それから、アメリカでも、バフェット税の話が出ておりますけれども、金融資本主義に歯どめをかけて、実体経済や雇用を重視して、富の再配分、付加価値の配分のあり方を見直そうという一連の動きというのは、私は大変示唆に富んでいるというふうに思います。

 一体改革ということであれば、改めて、こういった世界的に今議論になっている富の集中、あるいは企業や富裕層の負担のあり方について、見直しをしていくべきだというふうに思いますけれども、総理、フランスのこの政策を聞かれて、どうですか、感想、いかがですか。

野田内閣総理大臣 御指摘のオランド新大統領のその公約、それから御指摘がありましたアメリカのバフェット氏の主張等々、一定のいわゆる所得再分配あるいは格差是正のそういう動きというのは国際的にも出ているというふうに思います。

 我が国が今取り組んでいる税と社会保障の一体改革、社会保障の中では、こうした視点では、年金の最低保障機能の強化であるとか社会保険の適用拡大などの対応をしている。

 税の面においても、これは消費税ばかりが注目を浴びていますが、所得税については、所得の一番高い層についての一定の負担増を求めていくとか、資産課税の見直しも行うということで、所得の再分配については考えた税制改革になっているというふうに思います。

服部委員 消費税にばかり注目が集まっているというか、まさに、みんな国民は、消費税を上げるためにやっているというふうに思っているわけですよ。ですから、もっと総合的にいろいろ税制を見直している、そういう動きをやはりつくっていただく必要があるというふうに私は思います。

 先ほど安住大臣がちょっと手を挙げられたので、今度は安住大臣にお聞きするんですが、先日、二十二日でしたか、企業の内部留保問題、これは増加傾向にある、雇用拡大や設備投資に回すべきだというのはわかるという趣旨の御発言をされていました。

 総理も、財界には要請をしていますということなんですけれども、要請して変わるようなものなんですか。ここは、内部留保をいかに雇用とか投資に使っていくような、そういう仕組みをつくるのが政治の役割じゃないんですか。どうですか、その点。

安住国務大臣 それはもう、私どもも内部留保の使い方についてはそうあるべきだと思っておりますし、働きかけをしております。

 それで、先生、あのとき実は共産党の佐々木先生との議論の中でありましたけれども、内部留保といっても、実際に現金として使えるものもあれば、すぐには現金化をできないようなものも資産としてカウントしているので大きく見えるんです。ですから、実際に投資に回せる額というのは、二百六十兆と書いてありましたけれども、実は大幅にそこから削られるということだけは御留意いただきたいと思います、私は別に企業を守っているわけではなくて、それは事実でございますので。

 その中で、総理も御指摘ありましたように、経団連の方にも積極的な投資と雇用、これをぜひ図るために、これは企業にしてみれば、しかし、営利を目的としていますから、ある意味で、社会福祉のためにやるわけではなくて、やはり、利益が上がって、そしてその中から従業員の皆さんを雇って還元をするということですから、さまざまな知恵と工夫というものを図っていっていただくということで、私どもはその自主性というものを尊重しなければいけないと思います。

 なお、フランスの金融取引税のお話がありました。

 今、オランドさんもそうだし、実はこれはサルコジ大統領の時代からバロワン蔵相は事あるたびにG7の中でも提案しているんです。しかし、これが行き過ぎると国際マーケットに影響が大きくなる可能性もあるのではないかということで、イギリスやアメリカでは、大変にこのことについては懸念を表明しております。

 国際社会の中ではなかなか、そういう点では金融の問題で一致点を見出すのはとても難しいことであるということを、私、ちょっと申し上げさせていただくと同時に、しかし、行き過ぎた取引や金融が、実体経済とは全く何ら関係ないようなところでお金が動くことで国民生活に影響しているという例が非常に最近散見されるようになってきたということも事実でありますので、こうしたフランスの今の御主張というものも、実際どういうふうに世界のルールの中で反映をさせていくかということは、これから議論していきたいと思っております。

服部委員 国際金融税の話が出ましたので、ちょっとそこを質問させていただきますけれども、国際連帯税の創設を求める議員連盟、これは顧問に岡田大臣もなられておりますし、自民党の谷垣総裁もなられております。

 それから、先日、世界連邦日本委員会、中野会長を初め、私もその末席の役員の一人として一緒に野田総理にお会いをさせていただきました、覚えておられるかどうかわかりませんけれども。

 これは世界連邦の提言ですけれども、その中に、税収増につながるオプションを拡大することは喫緊の課題であり、そのための国際連帯税あるいは金融取引税の導入は、欧州を見るまでもなくやらぬといかぬという提案をさせていただいておるわけです。

 総理もあのときは、ちょっと、前向きだったと思うんですけれども、もう一つ歯切れの悪い、今後検討していきますみたいな、そういう感じの返事だったと思うんですけれども、いま一度、消費税だけじゃなくて、いろいろなオプションがあるということについて、どこまで本気で検討されたんですかということを私は非常に疑問に思っているわけですね。ですから、そういう意味で、この金融取引税、政府として本当に真剣に取り組んでいくんだという決意をぜひ述べてくださいよ。

岡田国務大臣 これは、私が外務大臣のときにも政府として取り組んできた問題でございます。いろいろな課題があることは事実、しかし、他方で、EUというかフランスを中心に、連帯税についての積極論もございます。日本もそのことについて精力的に関与してまいりました。

 その前提としては、やはり、金融取引が非常に過度に発達して、実体をはるかに超える金融取引がなされていることに対する懸念というものもあると思います。なかなか、金融取引の自由というものを制約することに伴う弊害もありますので、バランスが求められるところですけれども、国際的には議論されてきたし、日本政府としても議論に今までも関与してまいりましたので、政府の中もいろいろな意見はあるかと思いますけれども、しっかりと政府の中で議論をした上で、国際社会に発信していく必要があるというふうに考えております。

服部委員 先ほど、安住大臣、EUでもいろいろな問題があるということを言われました。国際連帯税をやるということはもう決めているわけですね。ただ、EUだけ突出していいのかとか、そういう議論を真剣にされているわけですよ。ですからこそ、日本政府も考えているよということを国際的にメッセージを出すだけでも、これはやはり一つの大きな動きだというふうに私は思いますので、そういったことも含めて、ぜひ取り組みの方、よろしくお願いをして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

中野委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 最初に、総理に、歳入庁設置に向けた動きについて質問をさせていただきます。

 歳入庁設置については二〇〇九年の民主党のマニフェストでも述べられておりまして、民主党の中でも議論が行われていると聞いております。

 民主党の中でも、四月の十七日付で「歳入庁設置について」という中間報告が出ております。歳入庁ワーキングチームというところが民主党内で検討し、その中間報告というのを読ませていただきました。私も、中身は、実はみんなの党も歳入庁設置を二〇〇九年の段階から言っておりましたので、非常にいい内容だと率直に思っております。

 総理は、この報告書をお読みになられているでしょうか。

野田内閣総理大臣 御指摘のとおり、私ども、マニフェストで歳入庁を掲げ、そして今般、党の中で熱心に御議論いただいて、四月十七日に中間報告をまとめさせていただきました。

 全体としては、年金保険料納付率の向上、行政の効率化、国民の利便性の向上を検討しながらという意味の基本的な考え方が盛られています。その基本的な考え方については目を通させていただいております。

山内委員 二〇〇九年のマニフェストでは、「歳入庁を創設する」という項目がありまして、政策目的としては、「年金保険料のムダづかい体質を一掃する。」「年金保険料の未納を減らす。」ということを目的にされています。そして、具体的には、社会保険庁と国税庁を統合して歳入庁とし、税と保険料を一体的に徴収する、さらに、所得の把握を確実に行うために、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する、こういうことがマニフェストにも書かれております。

 全く方向性としては私も正しいと思います。ぜひその方向で頑張っていただきたいと思っておるんですが、他方で、政府も、同じ歳入庁に関して報告を出されております。しかも、同じ四月の二十七日付で政府が発表しているのは、税と社会保険料を徴収する体制の構築についての作業チームという非常に長い名前の内閣官房の作業チームが中間報告を出されています。この内容は、歳入庁設置に関して非常に後ろ向きな印象を読んで受けました。民主党内のワーキングチームは非常に前向きなんですけれども、政府の内閣官房の作業チームの中間報告は、非常にと言うと失礼かもしれませんが、若干後ろ向きな印象を受けました。

 この二つの、全く同じテーマを扱っていて、しかもほぼ同じ四月に出された中間報告の内容が、かなり方向性が違うように感じますが、この点について、総理、どのようにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 政府における作業チームの最終責任者は私でございます。これは、実は党も政府も中間報告で、最終報告ではございません。特に政府の方は、三つの類型などを示しておりますが、現段階での大まかな方向性について議論したということで、なお、その後も議論を続けております。いろいろな具体的な課題がございます。それについて一つ一つしっかりと議論を行っているところでございます。

 歳入庁ということについて、私も決して後ろ向きではございません。ただ、いろいろ議論していく中で、一つ、これをどう考えるかという問題があります。それはやはり、年金機構と国税庁の対象とする個人の所得層というのはかなり違うわけで、もし国税庁を歳入庁にして、そして幅広く保険料をカバーするということになると、国税庁そのものをかなり大きくしないと難しいし、かつ、今までのやり方と同じやり方で果たして把握ができるのかという問題もございます。

 そういうことについて、我々は、国民年金の納付率を上げることが目的でありますので、そういう観点でしっかりと議論をしていかなければいけないというふうに思います。大きな方向性として、党と違っているとは決して思っておりません。

山内委員 違っていないとすれば、ぜひ政治主導できっちりと、内閣官房の後ろ向きな印象を与えるような書きぶりをさせないで、しっかり総理、副総理でリードしていただきたいと思います。

 政府の中間報告は、最後の文章などは、読んでいて非常に後ろ向きな印象を受けざるを得ないような文章が続いています。例えば最後の中間報告の締めくくりの部分。今後は、海外における徴収体制について、その背景にある制度も含め比較検討するとともに、各執行の現場や関係団体等からのヒアリングを行うことを検討していきたい、そして、今回示した徴収体制のイメージ三類型について、「検討に当たっての五原則」に基づき、それぞれのメリット、デメリットの検討を進め、国民の視点に立った徴収のあり方を検討していく予定であると。

 もう何度も何度も検討が出てきます。しかも、結びが「検討していく予定である。」と、検討するかどうかも怪しいような、非常にぼかした書き方がずっと続いている印象を受けます。

 それに対して、民主党のワーキングチームはかなり踏み込んだ内容になっていまして、方向性が今岡田副総理のおっしゃるような設置の方向でいくということであれば、もう少し役所のけつをたたいて、しっかり踏み込んだ内容で、ただ検討する予定であるみたいな文章がずっと続くという報告ではなかなか説得力はできませんので、ぜひしっかり政治主導でグリップを握って前に進めていただきたいと思います。

 それに関して、歳入庁についてもう一つ質問をしていきたいと思います。

 歳入庁の設置に当たっては、今岡田副総理は、年金の保険料の徴収率を上げるという観点でおっしゃいましたけれども、もう一つ大事な観点があると思います。それは、納税する側の個人なり企業の利便性、あるいは納税事務負担を減らしていくという観点もぜひ取り入れていただきたいと思います。

 みんなの党の歳入庁設置案に関しては、地方税の徴収も引き受けられるようにした方がいいんじゃないかというふうに考えております。所得をきちんと確実に捕捉するためには、国税庁と自治体と年金機構と、いろいろばらばらに所得情報が分散して管理されているわけですけれども、それを一括して見られるような仕組みというのが必要だと思います。

 企業あるいは個人の側からすると、書類を国税庁にも出す、自治体にも出す、年金機構にも出す、いろいろなところに出すのも、やはり面倒ですし、大変です。

 そういった意味では、組織を一つにするかどうかは別として、少なくとも、納税する側から見たときにワンストップでサービスを受けられるように工夫をしていくということは、いろいろなIT技術を活用すれば今後できることではないかと思います。納税にかかる手間、納税にかかるコスト、納税者の側の視点に立った歳入庁の改革というのも必要だと思います。

 この点についてどのようにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 この点も非常に重要な論点であります。

 ただ、私は、情報を共有するということは、これは可能だと思います。しかし、徴収、納税者からすれば支払いということになりますが、この窓口を一つにするということについては、これはよくよく考えなければいけない問題がある。

 つまり、地方がみずから税を集めるということは、これは地方主権の非常に重要な内容でありますので、そこを例えば国の機関である歳入庁がやってしまうということになると、やはり地方の方が、少なくとも収入を集めるところでは国に完全に依存してしまうということにもなりかねない、そこで自治というものが失われることになりかねないということであります。

 本来は、税の徴収というのは、地方と中央政府とそれぞれ独立に考えなければいけない問題だというふうに考えます。そういったところをどう整理していくかというのも重要な論点の一つでございます。

山内委員 現行の消費税に関しても、地方税の部分も一括して国税庁が徴収しているわけですから、それを考えると硬直的に捉える必要はないと思いますので、地方自治体と国税庁、もちろん地方自治体がぜひやりたいという自治体はやっていただくとして、国税庁、新しくできる歳入庁に委託できる部分は委託できる、そういう選べる制度設計というのも検討に加えていただきたいと思っております。

 次に、歳入庁の質問は終わりまして、二番目の租税特別措置の見直しについて質問させていただきます。

 民主党は、マニフェストの中で、「公平で、簡素な税制をつくる」というふうに述べて、「税制の既得権益を一掃する。」ということをおっしゃっていました。「租税特別措置の効果を検証し、税制の透明性、信頼性を高める。」ということもおっしゃっていました。透明性を高めるということに関しては、一定の進歩があったかもしれません。

 しかしながら、租税特別措置の見直しということは、全く今のところ不十分ではないかと思います。マニフェストでは、租税特別措置の見直し、配偶者控除、扶養控除の廃止等で二・七兆円の財源が出てくるというふうにおっしゃっていましたが、今のところ、租税特別措置に関しては、余り財源の捻出につながっておりません。

 実際、租税特別措置は既得権になりやすい性質があると思います。最初にその租税特別措置ができたときは、その時代のニーズに合った適切な制度であったかもしれないけれども、時間がたつにつれて時代おくれになっている、あるいはニーズが変わってしまう、そういうケースが多いと思います。しかし、時代の変化、環境の変化に合わせてそういう租税特別措置が廃止されるかというと、なかなか廃止は難しいというケースが多いと思います。一旦できてしまった制度は既得権化してしまいます。そして、特定の業界や業種にとっては死活問題のものが多いですから、一生懸命ロビー活動をやって守ろうとします。

 大体、政治家というのは、新しい制度をつくるのに熱心な人は多いですけれども、古い制度を廃止するのに熱心な議員というのは余りおりません。そうすると、何となく必要ないんじゃないかなと思いながらも、熱心に廃止をする人がいないので、だらだらと続いてしまう租税特別措置というのが非常に多いというふうに思います。

 本来、こういう古いだらだら続いている既得権をぶった切るチャンスが政権交代だったと思うんですよ。ですから、本当は、民主党政権に国民が期待していたのは、こういう古い既得権を政権交代をチャンスに一気に片づけて整理統合する、これが国民が民主党に求めていたものじゃないかと思います。それが私は全然できていないんじゃないかと思います。

 消費税増税をやる前にまずやるべきは、こういう既得権の温床になっているような租税特別措置の整理統合じゃないかと思います。これについて今後どのように進めていくか、政府のお考えをお聞きします。

安住国務大臣 不十分だという御指摘もあります。ただ、私どもとしては、現時点では、百七十項目の政策税制措置の見直しを行いまして、二十九項目を廃止、六十七項目を縮減して、税収見込み額は三千百億円ほど出しております。山内さんに言わせれば、二・七兆出すと言っていたじゃないか、これからいうと届かないよという御指摘については、真摯に受けとめなければならないと思います。

 そして、透明化の話は御評価をいただきましたけれども、租特透明化法ができまして、今、実際に調査をかけております。

 ですから、そういう点ではさらに、山内さんの御指摘は、いわばサンセットをちゃんとして、必要なものはまた必要でやればいいし、必要がなくなったらそこで臨機応変にやめればいい、そこがないとだらだらだらだらいくので、そこをもう少ししっかりけじめをつけるべきだということでございますので、趣旨については私どもも賛同いたしますので、制度としてそういうふうなことがしっかりできるように、またチェックもしていきたいと思っております。

 なお、少しふえている部分もあるんですよ。それは、沖縄の関係等の部分がどうしても出てきておりまして、特区、それから振興特別措置法等で租特の部分が出てきたことは、これはやむを得ない部分としてあるので、私はそこは御理解をいただきたいと思っております。

山内委員 今の安住大臣の答弁に関して、ちょっと勉強不足な点がありまして聞きたいんですけれども、では、新たにできた租特というのはサンセットになっているものが多いんでしょうか。その点はどうでしょうか。

安住国務大臣 新たにできたものは、サンセットになっているものが多いわけではございません。

 今申し上げましたように、ふえているものの主要な部分というのは、雇用促進、総合特区制度、それから沖縄の振興特別措置法ですね。期限がついているものもあれば、ついていないものもあるということでございます。

山内委員 三千百億円減ったということは、その点は評価すべきですけれども、やはりまだまだ足りないんじゃないかと思いますし、今後どうやってこれを削っていくか。あるいは、一旦できたものでもサンセット化していくということが必要じゃないかと思います。

 大体、景気が悪いときにいろいろな補助金とか減税措置をやるんだけれども、景気が回復してもそのままになる場合がほとんどじゃないかと思います。その点、今後どういうふうに絞っていくか、整理していくか、お考えをお聞きしたいと思います。

安住国務大臣 租特の透明化法をせっかく通していただきましたので、これでしっかり見える化をして、その中で、国民の皆さんの前で、やはり戦後の、いわばさまざまな税制措置も業界団体に付与されているものがあります。山内さんがおっしゃっているように、それが今、時代の中でどうなのかというのもしっかり見て、私は、その中で徹底して見直しというものを図っていきたいというふうに思っております。

山内委員 ぜひしっかりやってほしいと思います。

 租特に関して、実は事前通告していなかったんですけれども、総理に感想をお聞きしたい点が一個ありまして、通告していませんから、ざっくりとした感想だけでいいのでお聞かせいただきたいと思います。内容は、エコカー減税に関してです。

 過去に、自民党政権のときも含めて、エコカー減税だ、エコカー補助金だ、いろいろなエコカー制度がありました。延べで一兆円近くお金をかけているはずです、エコカー関連で。

 ところが、経済に対するインパクトということではある程度政策の評価をされているそうなんですけれども、このエコカー制度の環境に対するインパクトを誰も調査していないということを、私は経産省と環境省に電話して確認しました。

 経産省には自動車課という課があって、環境省には自動車問題対策課という課があります。その両方の課に電話をして、このエコカー制度のおかげでどれぐらいCO2が減ったのかとか、あるいはCO2を一トン削減するのにどれぐらいお金がかかっているのか、そういう評価を政府としてやっているのかと聞きました。そうしたら、経産省も環境省も、どっちもやっていませんでした。

 一兆円もお金をかけた政策の評価を誰もやっていない。これは政府全体として問題じゃないか。もしかしたらこの先、総務省の行政評価局とかでやられるのかもしれません。ただ、もう何年もやっているわけですから、あるいは追加でまたやろうとしているわけですから、過去にやった分、どれぐらい環境にインパクトを与えたか。これは本来、誰かに言われなくても、役所で担当者がやっておくべきじゃないかと思うんですけれども、こういう政策評価が余りやられていない。

 先ほど安住大臣が、租税特別措置法を、効果をちゃんと透明化して成果を検証するとおっしゃっていましたけれども、エコカー制度に対する環境評価は何もやっていない。この点についてはどのようにお考えでしょうか。ざっくりとした感想で結構ですので。

野田内閣総理大臣 エコカー関連のさまざまな政策効果は、確かに経済面では私は評価されるべきものではないかと。今般明らかになった一―三月期のQEでも、年率四・一%の成長の中には、復興需要の顕在化とともに、エコカー関連等も貢献をして個人消費を伸ばしている、そういう部分があります。

 ただ、政策効果というのは、経済だけではなく、エコでありますので、環境に対する効果がどうあったかというのを、確かに御指摘のとおり、よくこれは調べなければいけないのではないか。

 通告のない御質問でございましたが、今の感想としては、政策の効果の中にやはりしっかり組み込んで議論すべきではないかと思っております。

山内委員 ありがとうございます。

 経済効果については確かに、ちゃんと役所も調べているということは聞きました。ぜひ環境の分野も、もし、岡田副総理からも。

岡田国務大臣 大変いい御指摘をいただいたと思うんですね。

 実はきょう行政刷新会議を開いて、今後各省庁で行います事業評価の公開プロセスの、いろいろなことについて議論いたしますが、その中でこのエコカー減税についても議論として取り上げたいというふうに考えておりますし、おっしゃるように非常に大きな金額ですから、どういった効果があるか、経済的効果だけではなくて、環境面の効果があるかということについてもしっかりと議論していきたいというふうに考えております。

山内委員 政府はエコカー減税の環境影響を評価していないんですけれども、民間のシンクタンクのある研究員の方が評価したところによると、CO2削減だけを考えると、エコカー減税よりも、照明とか空調の方に減税なり補助金を使った方がより効果的だというような評価もされているようですので、そういうものも含めて、政府全体としてどういう評価、経済はもう既に評価されていますけれども、環境面の評価をきっちりやっていく。

 あるいはほかの政策も含めて、大体、総務省の行政評価はそれなりにいいものもあるような気がするんですけれども、総務省の行政評価局が扱っていない政策は結構多いと思いますので、政策評価をきっちりやる文化というか、そういう仕組みをしっかりビルトインしていただきたいと思います。

 続きまして、配偶者控除の廃止ということについて質問させていただきたいと思います。

 民主党のマニフェストの中でも、配偶者控除の廃止ということが項目に挙がっておりました。これだけ夫婦共働きが当たり前になっている時代に、専業主婦だけに税の優遇措置を与えるというのはなかなか正当化できない時代じゃないかというふうに思っております。

 かつては、少子化対策の観点から配偶者控除を正当化する議論もあったというふうに聞いております。しかし、最近のOECDの統計などによると、女性の労働力率が高いほど出生率が高くなるという相関関係が見られるというふうに報告されております。

 ですから、これだけ女性の社会進出が進んでいる、さらに進めていくという意味では、専業主婦の子育てを応援するために税のインセンティブを上げましょうという制度はもうやめる時期に来ているんじゃないかと思います。

 この点について、政府のお考えをお聞きします。

小宮山国務大臣 それはおっしゃるとおりだと思います。

 今、配偶者控除があるから、まだ働けるのに働きどめをするとか、男女共同参画の基本法ができたときからそういう、働き方、生き方に中立でない制度を改めようと言っていますので、配偶者控除はその代表になるもので、これから、働きたい人が能力を発揮して、女性が働くということが経済も元気にしていくことにもなりますし、そういう意味でも、税調でも議論していますし、大綱にも検討と書いてありますが、検討を急ぐべきだというふうに思っています。

山内委員 昨年、APECの会合で、女性と経済というテーマで議論がなされたと聞いています。その中で、アメリカのクリントン国務長官が、女性の労働参加の障壁を減らせば日本のGDPは一六%伸びると発言されたそうです。女性が労働参加率を高めると日本のGDPが一六%ふえると。すごく景気のいい話で、本当に一六%伸びるかどうかわかりません。ただ、話半分でも八%ですから、聞いておく価値はあるんじゃないかなという気がいたします。

 そういった意味でも、専業主婦でいるともうかる、あるいは有利になるというインセンティブよりも、むしろ、働きやすい環境づくりに、この控除を廃止して浮いたお金を充てていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

中野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 国会議員の役割というのは、地域の声、そういうものを国政に届けるということも一つの役割だと思います。ですから、きょうは、被災地の声を野田総理に直接ぶつけさせていただきます。

 今週、宮城県七ケ浜町、津波で壊滅的な被害を受けたところの仮設住宅に行きまして、皆さんの声に耳を傾けてきました。

 仮設住宅に住む五十人の方に対面で調査をしまして、消費税賛成ですか、反対ですかというアンケートを独自で行いました。賛成八名、反対三十六名、わからない六名。母数はちっちゃいですけれども、賛成が一六%、反対が七二%。これは、さまざまなメディアが行っている被災地アンケートともほぼリンクすると思います。

 同時に、野田総理に何か言いたいことがありますか、これも聞きました。

 津波に流されて木にひっかかっていたところを男性に助けてもらったという八十代の女性がこういうことを言っていました。家、家財、大切な家族を失って、今は一人で仮設住宅で暮らしている。わずかな年金といただいた義援金を切り崩しながら何とか生活している。近い将来自立しなければいけない中で、消費税増税は重たい負担になってしまう。せっかく助けていただいた命ですが、将来が不安です。

 五十代の女性。育ち盛りの子供が二人います。家のものは全部流された。衣類もすぐに小さくなるため出費が多い。食費もかさむ。生活再建しながら子供たちを育てていきたいが、今後出費がふえる中の増税は本当に頭が痛い。被災状況を理解いただいているのならば、せめて被災地の消費税増税はもっと待っていただきたい。

 この声に、野田総理、どう答えますか。仮設住宅の集会所にはパソコンもあります。この答弁をネットの衆議院テレビで見ている方も結構大勢いられますので、ぜひ直接メッセージを届けていただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 まず申し上げたいのは、我が内閣の三つの重要な課題と位置づけているのが被災地の復興であります。原発事故との戦いと経済の再生とともに、震災からの復興を優先課題に掲げています。

 その取り組みは政府を挙げて一生懸命やっているつもりでございまして、これからも懸命に、被災地に寄り添って、復興特区であるとか、近々二回目の復興交付金もありますけれども、そういう制度を活用しながら復興に向けての取り組みを加速化していきたいという前提の上で、今、消費税についての仮設住宅のさまざまな皆様の声を御披露いただきました。

 これは、被災地の皆さんも含めてでありますが、今回お願いをする消費税は社会保障に充てるお金であるということ。これはいずれ、今も震災でお困りでしょうけれども、今後、病気になったりけがをしたりとか、あるいは老後を迎えたりとかというときに還元をされるお金であるということをぜひ御理解いただいて、そして、御理解をいただくためにも、特に被災地については、これまでいろいろな支援を行ってまいりました。消費税の議論は議論としてありますが、そのほかの被災地支援をしっかりと行うことによって、ぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

斎藤(や)委員 被災地の方は高齢者の方が多くて、将来の社会保障云々よりも、目先、あした、あさって、一年後の生活が非常に心配を抱えているんです。

 特に、今回の増税時期が気になります。二〇一四年、二〇一五年というのは、ちょうど被災者の方が仮設住宅を出なければいけない時期になっております。もう御存じのとおり、住宅の購入とか、さまざまな手続の過程で消費税が発生いたします。例えば、二千万円の住宅を再建する場合に、消費税一〇%では二百万円かかります。先ほど安住財務大臣おっしゃられていましたけれども、被災者生活再建支援法があるじゃないか。確かに最高額で三百万円給付されますが、しかし、一〇%上がってしまえば、このほとんどが消える計算になってしまいます。私は、これは余りにも無慈悲なのではないかというふうに思っております。

 先ほど、西委員の質問で、安住大臣が住宅購入の際の配慮ということをおっしゃっておりました。これは大変前向きな答弁で、非常に明るい光を被災地に注いでくれると私は思いますけれども、具体的にどんな施策が考えられるのかというのを教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

安住国務大臣 まず基本的なことから言うと、土地の取引にはもともと消費税はかかっていないので、用地を探してそれを買うのもひっくるめて二千万だとすれば、それは誤解です。

 建物の中でも、今、住宅ローン減税というのをやっているんですね。最高で三百万ほどの控除もありますから、例えばそうしたものの延長とか、さまざまなことをこれから具体的に制度設計をしてやっていきたいと思っております。

 あとは、防災に関係する住宅といいますか、アパートメントをこれから多分つくっていくところは多いと思います。そういうところは、斎藤さんも、御自身の自宅は余り被害がなかったかもしれませんが、選挙区は多少被害があったですね。私のところはもっとひどいわけだけれども、私のところでも、七十過ぎて御自宅を買うという選択肢を持っている方というのは、そんなに実は多くないです。むしろ、復興住宅、アパートをきちっとつくってもらって、夫婦二人、またはおばあちゃんお一人、みんな近所で寄り添って生活をするような場所がなかろうかということを私も聞いておりますから、そういうところの賃貸に関しては非課税なんです。

 ですから、そういう点では、冷静に見ていただければ、消費税の悪い面だけを取り上げて話をするのではなくて、今総理もお話がありましたように、お預かりしたお金は、年金、医療、介護、少子化、特にそうしたものに充当していくわけです。国民年金も含めて、二分の一は今公費負担なんですね。

 そのお金というのは、では孫子にただ借金だけやればいいのかというと、そうじゃないですよね。あなたも小さなお子さんがいらっしゃるわけだけれども、やはり、孫子に借金をこれ以上残して、ただ今をとにかく助ければいいという話でないところにつらいところがあって、そういう点では、できるだけ消費税の大きなダメージを受けないような配慮というものをやりながら、我々も十分工夫をしていきたいと思っています。

斎藤(や)委員 足元の経済がずたぼろになる、そういうリスクも抱えていると私は思いますので、被災地だけではなくて、景気低迷のリスクを回避するために全力でお願いしたいと思います。

 そういう意味でも、全国的にも世論が真っ二つになっているこの消費増税の議論なんですけれども、こんな大事なことを国民に審判を仰がないで決めてしまうということは、私は民主主義の否定になるのではと思っております。各党が社会保障の制度設計、負担のあり方を掲げて、国民に選択をしてもらう、これが筋なのではないでしょうか。マニフェストにも載っていなかったんです。野田総理、見解をお願いします。

野田内閣総理大臣 既に我が党においては、一昨年の十月からこの一体改革の議論を始めて、そして今、法案提出をし、熱心に御討議をいただいておりますし、それぞれ各党のお立場から、積極的な御提案もいただいております。というこの段階においては、今は何よりも、これは胸襟を開いた議論を経て物事を決するということが大事だと思います。決断しない政治の象徴的なテーマになっていると思いますので、この大事な問題は、大事だからこそ、よく議論をして成案を出すということが必要です。

 それをやらないままに選挙をするということは、むしろ逆にその大事な決断の先送りになりかねないと私は思いますので、こうしたなすべきことをなした後に民意を問いたいというふうに思います。

斎藤(や)委員 ただ、国民との約束があるんです。

 これは何度も言っていますけれども、〇九年の毎日新聞のアンケートで、四年間の任期中に消費税の税率引き上げを決めることに賛成ですか、反対ですかと聞かれて、野田総理は反対と答えております。野田総理だけではありません。このアンケートでは、私も含めて、民主党の候補者の九五%がノーだった。つまり、任期の四年間で消費増税することを決めないと明確に皆様に掲げたわけでございます。

 だから、この約束を守らないで法案を成立させるのは、厳しい言い方ですが、私は詐欺と同じだと思います。

 今やるべきことは、被災者の不安を取り除くこと、税率を上げることでなく税収を上げることに邁進すること、国民の可処分所得を上げること、永田町、霞が関の統治機構改革をすること、すなわち、皆さん、国民の生活が第一という原点に戻るということではないかということを意見させていただきまして、私の質問を終了させていただきます。

中野委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。長尾敬君。

長尾委員 民主党の長尾敬でございます。

 歴史ある第一委員室で質問をさせていただきますことを、心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 当たり前の日常生活を支えるために、多くの方々が目に見えないところで大変な御尽力をいただいております。私は民間企業出身でございますので、どちらかといえば、目に見えないところというよりは、売り上げを上げて何ぼ、利益を上げて何ぼ、ノルマ世界に生きてきた立場の人間でございますが、民間にも縁の下の力持ちはいる中で、私は初めての公務員職であります、議員職として。

 私は、この世界に入って、霞が関はもとより、多くの国家公務員の方やまた地方公務員の方々が目に見えないところで御尽力をいただいているということを目の当たりにいたしました。特に震災については、自衛隊や警察、海上保安庁、消防の方々が大変な思いで御苦労いただいていること、とてもとうといことだというふうに思っております。それを踏まえまして、公務員職というのは、当たり前のことですが、国家国民の公僕であり職業であり、これは私は身分であってはならないというふうに思っております。

 きょうは被用者年金の一元化法案について質問をさせていただきますが、これらを踏まえ、公務員バッシングということではなく、今までの経緯を踏まえ、今回の法案が提出されたその意義というもの、そして何がどう変わるのか、そして、これから議論されるであろう三階建ての新たな年金の議論をするに当たっての一つの判断材料になればいいかなというふうに思っております。

 まず、民間企業のいわゆる三階建て部分でありますが、今民間企業で三階建て、いわゆる企業年金を保有している割合を御答弁いただきたいと思います。

小宮山国務大臣 企業年金を実施している事業所の割合は、常に雇用されている労働者が三十人以上の民間企業について調査をした、厚生労働省の平成二十年就労条件総合調査、これに基づいて推計をしますと、三七・五%になります。

長尾委員 ありがとうございます。

 三七・五%というのは厚生労働省の調査ですね。きょうはただしませんが、平成二十四年三月、人事院が発表した調査概要によりますと、企業年金制度を有する企業は、厚生労働省の数字と大きく違って、五九・九%という数字が出ています。

 私は実は、この平仄の違いに大きな論点がこれからあるのではないかなというふうに思っております。平仄が違えば、当然出てくる数字は違うわけです。ちょっとうがった見方をすると、後ほど出てまいります職域加算というもののあり方を、やはり公務員制度において必要だというような数字がどうも刷り込みのように出てきているような感が私は否めないわけであります。

 ちなみに、私の理解ですが、企業年金を私自身が、新規契約というかお世話をさせていただいたり、保守保全業務をさせていただいた経験が十七年ございます。新たに年金制度をつくろうということにおいては、それまで二十で会社に入社をしていれば問題ないんですが、定年退職まであと十年という方々に対して、それまで支払われていない過去の勤務の保険料についてどう手当てをするか。

 民間では過去勤務債務というふうに申しておりますけれども、これが準備できれば多くの民間企業は企業年金をできるわけですけれども、もちろん、労使折半という形で保険料を継続的に支払う余力に加えて、新規でやろうと思ったら、どうしてもこの過去勤務債務の問題が大きく立ちはだかってきて、なかなか、制度設計を御提供したいけれどもできないという実体験がございます。

 その中で、今回問題になっております職域加算。そもそも、なぜ職域加算があるのか、御答弁ください。

安住国務大臣 共済年金の職域加算、三階部分ですね。民間においても種々の企業年金が相当程度普及していることも考慮するとともに、公務員の身分上の制約等が課せられている等を踏まえ、昭和六十一年に設けられました。

 また、被用者年金制度全体の公平性、安定性の確保の観点から、被用者年金一元化法において、今回、公的年金としての職域部分は廃止し、このあり方というものは、今、岡田副総理のもとで今後どうしようかということで検討しておりますけれども、党内でもいろいろな御議論があります。

 そして、退職金とこの三階部分を、どういうふうな改革をしていくかということになるわけですけれども、私としても、国民の理解を得られるような、そうした新しい制度設計というものをしていかなければならないというふうに思っております。

長尾委員 今回、職域加算は廃止ということで法案に入っているわけですが、人事院にお尋ねしたいと思います。

 ことしの人事院の官民の退職給付に係る数値を、調査結果を教えてください。

古屋政府参考人 平成十八年調査におきましては、民間が公務を二十万一千円上回っておったところでございますが、今回の調査では、公務が民間を四百二万六千円上回る結果となったところであります。

 この十八年調査と今回の調査を比べますと、公務の退職給付額の方には大きな変化はなかったわけでございますが、民間の退職給付額につきましては約四百三十三万円減少したところで、このうち、退職一時金で約四百四万円減少しております。

 この民間の退職給付額が減少したことにつきましては、いわゆるリーマン・ショックによる景気悪化の影響等を背景としまして、従業員の給与水準、とりわけ高齢層の給与水準が下がった。そのことに伴いまして、退職一時金の額にも反映されたのではないか。それからまた、水準を引き下げる方向での退職一時金等の見直しが行われた可能性もある。要因としてはそういうことがあるのではないかというふうに考えております。

長尾委員 従来は、民間の方が高かったというような結論が出てきて、職域加算を継続するべきだという根拠になったわけであります。

 今回、約四百三万差があったわけです。将来的に、政府が人事院に調査依頼をして、これが逆になったとき、よもやまた職域加算的なものをふやしていくようなことがないように、ここでお願いをしたいというふうに思います。

 次に、追加費用について。

 冒頭私が申し上げた、民間で言う過去勤務債務に当たるところ、つまり、民間の場合は、企業が利益を上げて、利益の中から過去勤務債務たる原資を確保しているわけです。

 ところが、昭和三十四年に恩給制度から共済年金になったときに追加された費用が今回ちょっと問題になっているわけですけれども、同じ共済年金の中で、私学共済については、そのとき、この過去の勤務債務についてはどのような対応をとられたんでしょうか。よろしくお願いします。

中野委員長 お待たせしました。初めての答弁になりますが、文部科学大臣平野博文君。

平野(博)国務大臣 久々の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 今、委員の御指摘でございますが、私学共済における追加費用に関してどうなんだ、こういうことでございます。

 私学共済は、公務員共済のように恩給制度から移行した制度でないために、公務員共済の追加費用に該当するものはございません。

長尾委員 ちょっと類似する質問になりますが、共済制度の場合は税金から投入されたいわゆる事業主負担があるわけですが、同じ共済というふうにくくられておりますが、私学共済については事業主負担の原資はどこから捻出されているんでしょうか。

平野(博)国務大臣 続けて御質問ありがとうございます。

 事業主負担、これはもちろん労使折半、こういうことになっておりまして、事業主部分については使用者たる学校法人が負担をいたしておりまして、直接的には税金の投入はございません。(発言する者あり)

長尾委員 直接的には税金の投入はないという御答弁がありました。

 我々も、今後の新たな年金を議論するに当たり、公務員共済と私学共済の過去の歴史を踏まえながらやはり今後議論していく必要があるのではないかなということを問題提起させていただきたいと思います。

 以前からの問題があるというふうにお声をいただきました。私もこの追加費用というものについて、ちょっとぽろりと雑感を申し上げてしまいますが、党内の議論の中では、いささかこの辺の議論については、もっともっとテンションが高くてもよかったのではないかなというような印象を持っております。

 この追加費用なんですが、これまでに支払われた追加費用、昭和三十四年以来、平成十五年とか平成二十四年とか、年度年度はあるんですが、今までの累計額です。つまり、追加費用に投じられた税金の累計額。私は、税金投入されたからけしからぬということを言っているんではなく、事実をちょっとここで確認したいと思います。

 国家公務員共済において、そして地方公務員共済において支払われた累計額並びに、直近五年で結構です、累計額を御答弁ください。

安住国務大臣 私の方から国分だけ申し上げますと、まず、二十四年度予算では、国家公務員共済組合の追加費用は三千三百六十ですね。このうち、日本郵政等の負担分を除いて二千三百億円が国の負担ですが、長尾さんの今の質問でいうと、制度発足から平成二十四年の累計でいうと、国共済の追加費用というのは十七兆円ということでございます。(発言する者あり)

長尾委員 地共済の数字を実はちょっといただきまして、ありがとうございます、累計四十三・六兆円という……(発言する者あり)失礼しました。では、御答弁ください、直近五年間も。

川端国務大臣 地共済の部分は、今の同じ趣旨で申し上げますと、四十三・六兆円でございます。

長尾委員 大変失礼しました。

 昭和三十四年からの金額ですので、物価の問題もありますので、この数値について云々ということではないと思っておりますし、また、ピークを過ぎて、これからどんどん額は減ってくるということも含めて、合わせて六十・六兆円の追加費用が共済年金制度に費やされた、充当された。いい、悪いを申し上げているのではない。

 繰り返しますが、一方で、民間の場合は、利益を上げ、その中で捻出をしたお金で保険料を充当しているということにやはり大きな違いがあるということは、ここでしっかりと押さえさせていただきたいと思っております。

 今般、追加費用の減額という中身になっておりますが、この考え方について御答弁ください。

安住国務大臣 昭和三十四年まで恩給制度でしたから、長尾さんの問題意識は私も共有しておるところがあるんです。

 それで、年々、年齢が過ぎれば徐々に減ってはきているものの、先ほど申し上げましたように、まだまだ二千億近い金をここに投入している。国民世論から見たときに、この改革がスタートして、この部分をどうするかというのは大きな問題にはなっておりますが、一方で、やはり受給をしている人たちの権利等もありまして、今言ったような額になっております。

 減額につきましては、国負担分のうち、二十五年度の、平年度ベースで試算しますと、二百億円削減されるという見込みでございます。

長尾委員 その二百億円、いわゆる二七%分が削減されるわけですけれども、ちょっとその二七%というものの根拠について御答弁ください。

安住国務大臣 恩給期間の本人負担は二%なんですね。共済制度発足当初の本人負担は実は四・四なので、そういう点では、事業主負担を合わせた負担に見合って二七%減額ということなんです。

長尾委員 私、実はこれ、役所の方にも何度も質問したんですけれども、どうも腑に落ちなくて、私の頭が悪いのかどうかというところで、やはりここは、表にしないとわかりませんが、八・八%、折半で四・四%、事業主負担、恩給時代は四・四%、あと二%で、その差という。

 この差の部分というのが、やはりそのあり方については、私は多少、冒頭言ったように、これは職務というよりは特権意識があった部分で入れ込んでしまったんじゃないかなというような感触を持っております。だから、今回、削減というようなたてつけになったのではないかなということで、これは、国民から疑いの目を持たれていた部分について、一つ払拭をしたというような位置づけで私は理解をさせていただいております。

 また、転給制度についてなんですけれども、ちょっと事例を挙げて御質問をさせていただきたいと思います。

 例えば、妻が遺族年金を受け取られている。妻が再婚をして、遺族年金の受給権利が失われた場合、これは民間企業にお勤めの方の場合は、受給権利が失われていますので、それで年金支給は終わりなんですが、共済の場合は支払われるのでしょうか、支払われないのでしょうか。

安住国務大臣 一言で言えば、支給されることになるということです。

 そこは違いがあるんですね。それで、年の件数でいいますと、大体これが二十件程度あるということでございます。

長尾委員 ほかは、受給された子供さんが十八歳未満で、失権すれば民間の場合はもらえないけれども、共済の場合はもらえるというようなことで、本来であれば、転給、支給された年金の総額とか件数もお聞きしたいんですけれども、ちょっときょうは時間がありませんので、割愛させていただきます。

 これも、転給制度は廃止というたてつけになっております。

 ほかに、国民年金滞納者でも年金は支給されますし、あと、障害・遺族年金の支給判断は、過去の保険料をもって支払っているわけですけれども、共済年金には保険料納付要件がないという部分についても官民格差がある。また、保険料率については、ほかの委員が触れられた部分についても格差があるということになっています。

 そこで、今回、官民格差を是正するための措置ということで、どのような措置がとられるんでしょうか。よろしくお願いします。

岡田国務大臣 職域加算部分について廃止をした後に新たな年金制度を設ける。その具体的内容についてどうするかということは、人事院調査等を踏まえて、今後、官民均衡の観点から検討を進めるということに法案上なっております。

長尾委員 今後、新たな年金の部分について、先ほど西委員の方からも同じお話がございましたが、有識者会議の一つの話が出ておりますが、先ほど岡田担当大臣におかれては、早目にこれを減額していきたいという旨の印象を受ける御答弁をいただいたんですが、両論併記になっていますね。一度に減額をすべきという主張もあれば、三年程度時間をかけて減額するべきだという有識者会議の結論が出ておりますけれども、これについてはちょっと質問通告しておりませんが、御所見をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘の有識者会議、これを設けて、専門家十名の皆さんで、今日まで三回議論していただきました。昨日はその三回目で、中間的な議論の整理をいただいたところでございます。

 まず、この有識者会議の結論がそのまま政府の結論になるわけではなくて、この結論を参考にしつつ政府の中で議論する、そのベースとなるものでございます。

 この中で、まず官民格差四百二万六千円ということについては、その数字で調整をする必要があるということで確認をいただきました。そして、その調整を図るための法的措置を速やかに講ずべきであるということについても認識の一致を見たところでございます。

 その上で、何回ということは触れられていないですが、段階的にやるか一回でやるかというところについて御議論いただきまして、段階的に引き下げを講ずることが適切との意見が多数であったということでございます。

 有識者の中の、賛否でいえば、十名のうち九名の方が、お一人以外の方が段階的にということを言われました。お一人は、それはやはり、現在の国民的な理解を得ることを考えれば一度でやるべきだというふうに言われたところでございます。

 なお、段階的にと言われた方の中にも、国民の理解、納得を得るために、引き下げに長期を要するのは適当ではなく、一回当たりの引き下げ幅についても、これまでの段階的引き下げ措置よりも厳しいものとせざるを得ないという意見もあったところでございます。

長尾委員 段階的というのはなかなか国民から理解を得られないというふうに思いますので、どうか大臣、ぜひとも踏ん張っていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。

 あと事業主負担、新たな年金の部分、これは大臣はどのようにお考えでしょうか。

 私は、個人的には、ある意味、事業主負担を入れない三階建ての新たな年金というものも選択肢の一つに入れるべきではないかというふうに思っておりますが、いかがでしょう。

岡田国務大臣 実は、新たな年金制度のあり方については、これからその有識者会議で次回以降御議論いただくことでございますので、余り私がその前にいろいろ言わない方がいいというふうには考えております。

 ただ、今まで有識者会議でも確認されたことですが、先ほどのように四百二万六千円の、これは退職金そして職域加算部分を含めて四百二万六千円の官民格差があるということでございます。職域加算部分はそのうちの二百四十三万。退職金の部分が二千九百五十万ということであります。それが官で、民間に対して四百二万多いということでありますので、この四百二万を退職金で調整するのか、あるいは職域加算部分で調整するのか、どういうふうに組み合わせるのか、こういうことについて有識者で御議論いただくということになります。

長尾委員 ありがとうございます。

 この被用者年金一元化は、自民党政権時代に、安倍政権のときに提出をされたもので、ある意味、私はそのときに議員ではありませんでしたけれども、これはやはり通るべきだなというような印象を持っておりました。民主党政権下ということでありますが、それを引き継ぎということで、官民格差の是正ということで一つの象徴的な法案ではないかなというふうに思っております。

 また、格差ではないんですが、男女間の差異ということについては、国民年金法の方で、いわゆる遺族年金は、子もしくは子のある妻、つまり父子家庭には給付されないということについても、私もファイナンシャルプランナー時代、これはちょっとおかしいなと。民主党政権で、母子加算の復活や父子加算、これをやった中で、年金の中でも、父子問題についても遺族年金の改正がなされていることは国民の多くの方々が大きく評価をしてくださるというふうに思っております。

 最後に、やはり私も、やるべきことをやって、行政改革、政治改革、そしてデフレ・円高脱却ということをもって、国民の皆様から消費税について御理解をいただけるような順序、これをたがえることなく推し進めていただきますことを最後に重ねてお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

中野委員長 これにて長尾君の質疑は終了いたしました。

 次に、江端貴子さん。

江端委員 民主党の江端貴子でございます。

 本日は、歴史に残る大変重要な社会保障と税の一体改革特別委員会におきまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、子ども・子育てを中心に質問をさせていただきたいと思います。

 子育ては、それぞれの子供、家庭あるいは地域によってさまざまな事情がございます。私の場合は、現在高校三年生の息子がおりますけれども、フルタイムどころか、とにかく毎日家に帰るのは深夜、妊婦時代でも毎日夜十時まで働くという大変激務の中での出産、育児でございました。当時、私が住んでいる地域では、預かる乳児は出生後四カ月ということになっておりまして、うちの息子が十二月の生まれだったものですから、二日違いで保育所に入れず、無認可の保育所に預けて、また一歳児になったときに改めて駆けずり回って保育所を探す、そういったことをやったのも、ついこの間のように思い出されます。

 そういった中で、現在、少子化となる中でも都市部での待機児童の問題というのは深刻化しておりますし、働く場所、産む場所、住む場所、あるいは出産の時期までコントロールしないと生活が成り立たない。あふれる情報の中で、子供を持ちたいんだけれどもと思っている若い方々も大変戸惑っている、こういった状況がございます。

 民主党は、チルドレンファーストを掲げ、子供の育ちの支援、そして環境整備に力を注いでまいりました。その一つに、待機児童の解消がございます。

 本法案が示す子ども・子育て新システムの前段階として、待機児童ゼロ特命チームが当時の岡崎トミ子内閣府少子化対策担当大臣のもとに設置され、小宮山大臣も、その当時、副大臣として、副主査を務められておりました。待機児童ゼロ特命チームでは、待機児童の解消を阻む壁として、制度の縛り、財源の不足、場所の不足、人材の不足、こういったものを掲げておりました。

 そして、まずは待機児童解消に向けてこのチームが先取りをして進んでいくということで活動されていたわけですけれども、この先取りチームにおいて、これらの壁はどの程度取り除かれる効果が出て、そして、今回の法案の中にどのように引き継がれたのかをお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、平成二十二年十一月に菅政権のもとで、待機児童ゼロ特命チームで取りまとめました待機児童解消「先取り」プロジェクト、これによって、これはもう先駆的にやっている自治体からのヒアリングなどをもとに、既存の建物の余裕スペース、これを活用した保育所の分園ですとか家庭的保育の場所を確保するということ、また、質の確保された認可外保育所への助成、それから、複数の保育ママ、家庭的保育者による家庭的保育事業の実施、こうしたことなどの推進を今もしているところです。

 こうした取り組みの効果があらわれます平成二十四年四月の待機児童数、これを今後集計していくことになりますけれども、例えば、こうした取り組みを積極的に進めている横浜市では、待機児童が平成二十三年四月の九百七十一人からことしの四月には百七十九人へと、およそ八百人これは減っております。

 こうした施策の考え方を、今度の新システムでは、指定制度による多様な保育の拡充ですとか小規模な保育などへの支援の充実、こうしたところに今までの成果も含めて改革を進めていきたいと考えております。

江端委員 一部の地域では効果が出つつあるという御答弁でございましたけれども、特に今、人材不足が大きな課題でございます。

 私の地元は東京ですけれども、東京では保育施設をつくりたくても、もう場所がない。いかに場所の要件を緩和して、また、保育ママなどのサービスを利用して保育の機会を広げていくのか、こういったことを考えなくてはなりません。

 しかし一方で、百六万人の保育士の有資格者がいても、三十九万人、すなわち四割以下しか実働は働いていないという実態がございます。こうした状況の背景に賃金が安いということが起因しているとされておりますけれども、そこにどんな手だてを打ち、またあるいは打とうとしているのか、このことについてお答えをお願いいたします。

小宮山国務大臣 これはきのうも御議論のあったところですけれども、平成二十三年の賃金構造基本統計調査によりますと、決まって支給する現金給与額、これは保育士で月額およそ二十二万で、全産業平均の三十二万と比べてかなり低くなっています。これからやはりいろいろな仕組みを充実させていこうということに際しましては、保育士の確保、処遇の改善などが課題だというふうに考えています。

 現在、潜在保育士、資格を持っていてもなっていない人の就労促進のための取り組みを進めているんですが、子ども・子育て新システムでは、指定をした施設について、職員が正規、非正規、どれだけいるのか、勤続年数はどれぐらいかというような情報公開も義務づけまして、それも選択の基準にしていただくという形でインセンティブを持たせるということ。また、職員の職場への定着を図るために、きのうも話したキャリアアップですとか処遇の改善、これは七千億に加えて、努力をして最大限集める。その一兆を超えるお金の中で、優先順位をつけてですけれども、必ず、やっていただける方たちが働きやすい職場をつくっていく、そうしたことに努めていきたいと思っています。

江端委員 介護の場合もそうですけれども、やはり保育、介護といった分野でサービスを充実するためには、その担い手となる働く方たちの環境を充実させていくということが私は何よりだというふうに思っております。そういった意味でも、賃金の待遇だけではなくて、やはり、働ける環境、あるいは子育てをしながらも働けるというようなこともしっかりと入れていっていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、待機児童を減らすということは不断の営みとなります。お子さんを預かる環境がふえれば、逆にまた預けたいという保護者がふえてくるということで、歴代の政権でも積極的に取り組んできましたけれども、現在までまだ問題が解決されていないというのも、そういったことにもあるかと思います。

 また、保育ニーズに応えていくために、今お話があったように、きちんと需要を把握し、そしてそれに対応するための手だてを、透明性を確保しながら計画的、機動的に進めていく必要があるかと思います。

 今回の子ども・子育て支援法案では、指定制を導入するとしています。今の認可制のままでも、お金を投入すればいいのではないかという御意見もありますし、また、指定制では質の低い事業者が参加してくるのではないか、こういった懸念もございます。認可制ではなく、今回指定制を導入するが、なぜ質の高い保育が機動的に確保できるのか、わかりやすく御説明をしていただきたいと思います。

小宮山国務大臣 これまでの自公政権のもとでも、本当にこの待機児対策というのは一生懸命進められてきたと思います。

 ただ、今の仕組みの中ですと、認可というのは裁量制なんですね。ですから、もういっぱいになっているとそこは受け付けない、認めないみたいなことがございますし、施設に一定の規模が必要だ、また地域ニーズがそれぞれ違うのにそれに柔軟に対応できないというような限界があるというのが一つ。

 また、今申し上げましたけれども、市町村が潜在的なニーズも含めて地域の保育ニーズ全体を把握するということにはなっていない。もう待機児が多いところでは諦めて手を挙げないというと、その数は数えられないというようなことがあります。

 また、公費による支援先が限定的なので、子育て家庭のいろいろな多様なニーズに応え切れていない。

 そういうようなこともございますので、今回仕組みを大きく変えたいというふうに思っています。

 今提案している制度改正によって、多様で柔軟な保育の仕組みをつくる、それにあわせて指定制を入れる。ただこれは、客観的な基準をちゃんと満たしたところを指定して、今までよりも幅広いところに財政的な支援をしようという仕組みですので、保育の需要があるところでは、いろいろな仕組みを組み合わせて量的な拡大を図ることができると思っています。

 また、今回、実施主体を市町村に集めますので、そういう意味では、権限を集約して必要性を認定して、潜在的なニーズも含めて需要を把握し、それに合わせて計画的に学校教育、保育を整備する仕組み、そこに対してしっかりと、消費税による安定財源で包括的、一体的に財政支援もして進めていきたいと考えています。

 また、指定制度については、参入のときに客観的な基準をしっかり決めるということ、五年ごとの更新制、情報公開を強化するということ、欠格要件と厳格なペナルティーをつくる、それから指定権者による指導監督などの仕組み、これを設けまして、保育の質は必ず確保されるようにしていきたいと思っています。

江端委員 量を拡大することが質の低下につながることがないように。

 それから、各お子さん、それから家庭にとっては、預ける期間というのはその一回限りになるわけです。ですから、そのときにたまたま低いサービスのときに当たってしまったということでは悔やまれることになるかと思いますので、そういったチェック体制も含めて、しっかりとしたサービスの実現に努めていただきたいと思っております。

 また同様に、子ども・子育て新システムに関して、教育の観点がないのではないか、あるいは教育の質が低下するのではないかという御批判も多く聞きます。今回のこの幼保一体化の大きな柱である総合こども園の創設について、幼児教育の質の向上という観点から、国民の皆さんにとってどのようなメリットがあるのか、文部科学大臣にお答えいただきたいと思います。

平野(博)国務大臣 議員の方から、幼児教育の質が落ちるのではないか、こういう御指摘でございますが、私どもとしても、幼児教育についての重要性というのは、もう委員御案内のとおり、平成十八年の教育基本法改正においても、その教育の重要性に関する規定を新たに設けております。すなわち、生涯にわたる人格形成の基礎を培う極めて重要なものである。こういう認識のもとに、総合こども園の創設により、親の働き方にかかわらず学校教育を受ける機会を保障する、こういう考え方に実は立っております。

 また、学校教育にかかわる質の確保、こういう観点からは、幼稚園と同様に、幼児の心身の発達に伴いまして、小学校教育との連携、さらに接続が非常に大事であるということを明確にした学校教育を行う、こういうふうに規定をしておるところであります。

 また、教育の内容につきましては、幼稚園と同様の教育の目標のもとに、幼稚園教育要領と同様、国として基準を設けます。総合こども園保育要領ということを、仮称でございますが設けておる、こういうことでございます。

 加えて、総合こども園に配置する職員とその人数、施設の面積等々の設置基準については、幼稚園及び保育所の基準をあわせ持つ基準にする。

 こういうことを含めて、先ほど小宮山大臣の方からお伝えしましたが、理念、教育内容、特徴など、しっかりと情報開示をいたします、こういうこと等々をあわせまして、この新たな新システムにおきましては、原則として全ての保育所が一定期間に総合こども園に移行するということで、全体の幼児教育が、質の確保が向上する、こういうふうに認識をいたしております。

 少し長くしゃべりました。

中野委員長 この際、申し上げます。

 この委員会、理事会の申し合わせにより、上着、ネクタイはフリーということにいたしております。どうしても暑い方はどうぞ。

江端委員 今、一定期間に総合こども園に移行していくというお話がございました。今回の制度、さまざまな形態の施設が残るために、幼保一体化ではなくて幼保三元化ではないかといった御批判もございます。

 これに応えて、今後、幼保一体化にどう持っていくのか、今回の形態は過渡期としてのものなのか、将来どのくらいの時間をかけて移行していくのか、また、その移行のためのインセンティブとしてどのようなものを用意しているのか、お聞かせください。

小宮山国務大臣 今回のこの幼保一体化につきましては、たびたびお話ししているように、内閣府にワーキングチームをつくりまして、そこで三十五回にわたりましてさまざまな関係者からお話を伺って、全ての必要な子供に質のいい学校教育、保育をしましょうということで、幼稚園関係者、保育園関係者の合意を得て進めているところです。

 保育所と幼稚園の、総合こども園になるべく多くのところになっていただきたいわけですが、その移行は、保育所については原則として一定期間、私立は三年、公立は、最初は公立も同じぐらいと思ったんですけれども、公設民営を条例でまた変えなきゃいけないとか、いろいろな手間があるので、公立は今のところ十年としていますが、十年までの間には必ずなるべく早くやるということ、そのように制度的にこれは移行します。

 幼稚園については、政策的なインセンティブで、手挙げ方式ですので、なっていただきたい。そのインセンティブとしては、小さい子を預かるため、保育所型の子供を預かるための調理室の設置ですとか、それからゼロ、一、二歳もなるべく預かっていただきたいので、そこに必要な経費を見込んだ単価設定とか、総合こども園は職員の配置基準を上げるとか、今現に幼稚園の七五%が預かり保育を財政支援が余りない中でやっておられるので、そういうところにはなっていただけるようなインセンティブをかけて、必ず多くのところに総合こども園になっていただけるように、三元化と言われないように、しっかりと進めていきたいというふうに思っています。

江端委員 そもそも従来の行政管轄では限界があり、やはり子ども家庭省の設置などを考えるべきではないかという意見もあるかと思いますけれども、それに対する大臣の御見解をお聞かせください。

小宮山国務大臣 これもきのうも御議論がありましたけれども、子ども家庭省の設置ということは、今の縦割りにいろいろなことがなっている中で、これはしっかりと検討をして、なるべく早く、省庁再編まで待つというのではなくて、一歩早く子ども家庭省がつくれるように進めていくべきだというふうに私は思っています。

 今回は、当面の措置として、子ども家庭省の種というか基盤になるような体制として、大臣を長として、一定程度独立性を持って、子ども・子育ての施策を集中的、一体的に実施していくための子ども・子育て本部、これを内閣府につくることにしています。

江端委員 子ども・子育て本部をつくられるということでありますし、また、子ども・子育て会議も発足させるということでございます。こういった会議の中の人選とかも含めて、しっかりとこの制度を定着させるような仕組みにしていただきたいと思います。

 現在、ゼロ歳児保育という点では、待機児童の問題があるために育休を早く切り上げる、あるいはもう育休をとらずに子供を保育所に預けざるを得ない、そういった人も多いと聞いております。また、女性の場合、正規雇用のみならず、今、非正規、パートの方が非常に多くなっています。さらに、多くの女性が出産により離職するということもまだまだ見られます。出産後も働き続けたいと思っていても、育休や産休をとっている間に仕事がなくなるのではないか、不利な立場になるのではないか、そうした悩みも多いわけです。

 その点では、待機児童の対策とともに、育児休業制度やワーク・ライフ・バランスを強化する必要があると考えますけれども、これにはどのように取り組むつもりでしょうか。

小宮山国務大臣 それはおっしゃるとおりです。保育など預かる施設をきちんと整備することと、やはり働く方の環境の問題として、育児休業あるいは短時間勤務などをとりやすくする。その中で、それぞれ保護者の方が、自分の選びたい形がとれるような形、選択を広げることが必要だと思っています。

 そういう意味では、育児休業制度、これは非正規の方でも一定要件があればとれますので、そのことをしっかり周知することと、短時間勤務も、ことしの七月一日から、中小企業も含めて全ての企業が対象になりますので、そうした制度が定着をすることなど、どうしても働く側のワーク・ライフ・バランスの取り組みがなかなか実効性が上がっていないという御指摘もございますので、これは経済的な支援、居場所をつくること、そして働き方を見直すこと、あわせて総合的に取り組む必要があると考えています。

江端委員 働く親は、私なんかもそうでしたけれども、やはり三歳神話とかいろいろな話があります。子供とどれだけ接する時間を持たなくてはいけないのか、そういったところと仕事と、両方とりたいという中で、本当に揺れ動くわけでございます。そういった中で、こういったワーク、ライフのバランスもしっかりと強化していただきたいと思います。

 またさらに、今問題なのが若者の就職難でございます。非正規雇用がふえて、子ども・子育ての前提となる結婚等に踏み切れない、そういった方たちもふえています。就職氷河期と言われた方たちが今三十代後半ですけれども、正規と非正規とで既婚率にも大きな格差が生じております。

 平成二十二年三月の内閣府男女共同参画局の調査によりますと、三十五歳から三十九歳の男性で、正規雇用での既婚率は六八・八%、三人にお一人が結婚していないという状況ですけれども、これがパートやアルバイトの男性になりますと、既婚率は二五%、つまり、四人に一人の方しか結婚していないという状況がございます。

 こうした状況に対処するために、やはり若者の雇用対策を強化する必要があると思います。現在でも、ハローワーク等、いろいろな雇用対策をしているかと思いますけれども、この若者の雇用対策の現状についてどうなっているのか、お聞かせください。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、新卒者を含めて、若い人を取り巻く就業の環境というのは非常に厳しい状態が続いています。

 政府としましても、おっしゃったように、新卒者向けのハローワークをつくったり、ジョブサポーターが寄り添って、必ず就職できるように一緒にきめ細かく対応したりしていますが、今年度予算で、今度、大学にもジョブサポーターの相談窓口を設けることにしていますし、また、出張相談、これもさらに頻度を上げたいというふうに思っています。

 ことしは、卒業前最後の集中支援という形で、一月から三月末まで、文科省、経産省とともに、力を入れて、未内定者のための取り組みをして、そこで四ポイント、就業率が上がったり、取り組み方によっては効果が上がるということもわかっております。また、フリーターなどに対して、ハローワークで正規雇用に向けた支援を昨年度いたしました結果、二十五万人が正社員になった。

 取り組んで効果も上がってきていますので、ぜひ、そのあたりを今度、年央に取りまとめる日本再生基本戦略の中の若者雇用戦略にも盛り込んで、実効性の上がるものを取り組んでいきたいと思っています。

江端委員 どうしても、そういった雇用対策となりますと、需要と供給のマッチングの問題ですとか、あるいは側面的な支援ということで、かなり後づけになってしまうものも多いわけですけれども、基本的には、雇用をつくり出すということには、やはり経済対策ということが非常に大きくなってくるかと思います。それはちょっと今回のテーマではございませんので別といたしまして、働きたいと思う方が職につくことができて、そして、職につけば、きちっとそれに見合ったお給料をもらうことができる、こういった安定した雇用が子ども・子育ての大きな支援になりますので、さらなる注力をお願いしたいと思います。

 こうした子ども・子育て支援も含めた社会保障制度の充実と拡充に今回消費税を充てるとしたわけですけれども、消費税の話だけがクローズアップされる中で、低所得者に対してのみ厳しくなるという御批判がございます。消費税の中での逆進性の問題、あるいは中小企業や店舗、お店への転嫁対策なども講じていこうと議論がされているわけですけれども、一方で、高額所得者、いわゆる富裕層に対しても御負担をお願いしています。

 例えば、平成二十四年度の税制改正では、給与所得控除の上限設定を措置し、高所得者に負担がふえる改正となっておりますけれども、その趣旨を伺いたいと思います。

 またさらに、今回の税制改正で、税負担の公平性について、富裕層に対してどのような措置を講じるのか、その趣旨と概要を御説明ください。

五十嵐副大臣 御質問ありがとうございます。

 御指摘のとおり、給与所得控除、これは、一般のサラリーマン等がなかなか必要経費を見てもらえないということがありますので、給与所得控除を認めて、所得が多くなればなるほど実は日本では控除がきいてくる、増加するという仕組みになっていました。

 しかし、給与所得者の必要経費が、収入がふえるほどそれにつれて上がっていくというものではないだろうということと、諸外国でも上限があるということで、今回、二十五年度からになりますけれども、千五百万円以上の高給与の方については、これは国会議員も含めてでございますが、控除の上限を二百四十五万円と制限をさせていただきました。これによって、かなり高額の給与者には増税をお願いするということになると思います。

 同時に、例えば、所得税については、五千万円超の所得をお持ちの方々に、最高税率を四〇%から四五%に引き上げる、累進性を高めることにしておりますし、資産課税についても、課税価格六億円超のものについては、基礎控除を引き下げるということとともに、最高税率を五〇%から五五%に引き上げさせていただいて、負担の適正化を図らせていただいているところでございます。

江端委員 今回、子ども・子育てを中心に質問してまいりましたけれども、制度としては独立していても、その利用者にとっては、ほかのさまざまな制度との連携あるいは相乗効果を期待されるところです。ワーク・ライフ・バランスの問題、男女共同参画の問題、また若者の雇用対策などは、この子ども・子育てに直結してきます。

 また、今回は触れませんでしたが、比較的高齢出産の方が多くなった今、私の場合もそうでしたが、子育てと介護が両方同時にのしかかってくるという問題もございます。

 こうした今回の社会保障制度改革、今までの、どちらかといえば若者や働き盛りの人が御高齢者を支えるという制度から一歩踏み出して、全世代対応、お互いに困ったときに助け合い、支え合うという制度としています。この改革が皆さんの暮らしを豊かにする改革となることを信じて、私の質問を終わります。

中野委員長 これにて江端さんの質疑は終了いたしました。

 次に、三村和也君。

三村委員 民主党の三村和也です。

 きょうは、本当に、御質問の機会をいただきまして、大変感謝をさせていただいております。ありがとうございます。

 また、閣僚の先生方には、連日の審議、またこれまでの一体改革の制度設計、本当に敬意を表したいと思います。

 きょうは、私は、この一体改革における低所得者対策とか逆進性対策といったところを深掘りして、論点を絞って議論をさせていただいて、政府の方から国民の皆さんにわかりやすく説明をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、この委員会でも、これまでの議論の中で、社会保障と税の一体改革といいながら一体改革じゃないじゃないかという御指摘を野党の委員の先生方からいただいておりますが、やはり私は、これは一体改革であるということは強調をしておかなければならないと思うんです。

 この特別委員会にかかっているのは、もちろん年金、子ども・子育て、それから税制改正の関係の七本ですけれども、医療制度改革、介護、新年金制度、就労促進、障害者対策、雇用も含めて、これはタイムラグはありますけれども、また法律事項にならないところもありますが、一体的に進めているというところは一つ強調をしておきたい。

 その中で、今回の一体改革の基盤となるというか、インフラ部分ともいうべき制度の創設が共通番号制度の創設であるというふうに私は認識をしておりますので、この点について、まず初めに、大串政務官から、今回の一体改革における共通番号制度創設の意義とか、国民の皆さんの生活がどう具体的に変わるかとか、なるべくわかりやすく御答弁をお願いします。

大串大臣政務官 ありがとうございます。

 番号制度でございますけれども、社会保障制度の基盤と今おっしゃいました。より公正な社会保障制度をつくるという意味で、かつ情報化社会でございますので、インフラとしての国民の利便性の向上に資するものということで、どういうふうに資するかというと、番号制度の導入によって、まずは、よく言われるのは、所得把握の正確性が向上するというふうに言われます。

 これが何を意味するかというと、所得情報がはっきりしてくるということは、社会保障の場において、本当にどなたがどのような厳しい状況にいらっしゃるかということがよりよくわかるようになります。そうすると、本当に手を差し伸べなければならない方のところに必要な社会保障が届き得るような形になってくる、こういったことが一つメリットとして考えられます。

 さらには、いろいろな手続において、二重三重というようなことがあります。例えば、ある優遇措置やある助成措置の申請に行きました。役場に行ったら、所得証明が必要だと言われました。所得証明を別のところにとりに行って、持っていったら二度手間になりました。こういったことがあります。こうならないで済むように、一回何がしかの申請を行いに行ったときに所得証明が必要だと言われたときに、マイナンバーがあれば、それを通じてその場で所得証明なんかもとれる。つまり、何度も何度も役場の窓口に行かなくていい、一回で済むというようなことにもなります。添付書類が削減されるということにもなります。

 さらには、今、社会保障、基本的には、受ける国民の皆さんの側から、こういう社会保障を受給させてくださいと。年金なんかもそうですけれども、申請主義、受ける側が国にお願いしなければならない、こういった点がおかしいじゃないかというふうに言われることもあります。

 こういった点に関して、例えばマイポータルという仕組みを私たち提言しておりますけれども、このマイポータルという仕組みを通じて、受益者の皆さんに対して、こういったサービスも受けられますよといったお知らせサービスみたいなものを、むしろ行政側から能動的に国民の皆さんにお伝えすることもできるようになるというようなメリットもございます。

 さらには、先ほどお話もありました社会保障・税一体改革大綱の中で、消費税の逆進性対策あるいは低所得者対策という意味で、この番号制度の本格稼働や定着を念頭に、関連する社会保障制度の見直しや所得控除の抜本的な整理とあわせて、給付つき税額控除ということも、再配分に関する総合的な施策の導入として考えております。

 このためには、先ほど申しましたように所得把握が必要になりますものですから、これを低所得者対策として行っていくためにも、インフラとして、ベースのこのマイナンバー制度が非常に重要になってきているということでございますので、ぜひ、この国会での確実な成立を目指してまいりたいというふうに思います。

三村委員 ありがとうございます。

 所得把握の正確性を向上して、それを社会保障に役立てるとか、低所得者対策、逆進性対策に役立てる、また、行政サービスを簡単に受けられるようにする、国民の利便性を向上するというお話だったと思います。

 後で、その給付つき税額控除とか総合合算制度についても議論をしたいと思うんですが、こういった制度に不可欠な制度なんですね。何度かこの委員会でも指摘をされているように、共通番号ができれば何でもできるんだというのは間違いです。共通番号制度は、それらの新しい制度の必要条件であって十分条件ではない。だけれども、不可欠であるということには変わりがないので、この特別委員会での審議からは外れましたけれども、内閣委員会だと思いますが、ぜひとも審議をして成立を期していただきたいと思います。

 低所得者対策の話に議論を移したいと思います。

 午前中の委員会の審議でも、きづなの委員の方から被災地のお話もありました。また、先日の議論でも、消費増税、庶民の生活実態がわかっていないんじゃないかとか、庶民の悲鳴があるという御指摘もいただきました。また、私も地元で説明会を何度も開かせていただいていますが、年金受給世代の方々から、これ以上負担がふえたらもう生活できないよ、消費増税なんて絶対やめてくれというお話をよくいただきます。

 私がここで提起をしたいのは、消費増税を含む一体改革、今回の一体改革というのは一体誰のためのものなのかということなんです。これは、庶民という言葉は私好きじゃないですが、特に低所得者の方々のためのものである。社会保障という制度自体が、所得の低い人たちを社会全体でサポートしようという制度でありますし、今回の一体改革で、社会保障制度を拡充する、消費増税分を全て社会保障に回すということは、まさに低所得者の皆さんのためのものであるということをぜひ強調したいと思います。

 そこで、まず岡田副総理に、今回の一体改革における低所得者対策の意義について御答弁をお願いします。

岡田国務大臣 まず、今委員言われた、年金生活者の方から、消費税が引き上げになると大変だと。私も、全国を今回っておりますと、そういう御質問がよく出ます。そのときにまず申し上げることは、年金は、消費税を五%上げて、その結果、消費者物価が例えば四%上がれば、それにスライドして年金の給付は上がる。その事実を御存じない方が非常に多いということでございます。

 その上で今のお話ですが、私は、三つの段階があると思うんですね。

 第一の段階は、基本的に、委員御指摘のように、社会保障というのは、所得の多い少ないで給付が変わることはないということであります。

 例えば医療にしても介護にしても、サービスの中身は一緒。所得の多い人がいいサービスが受けられるということは別にありません、その逆はある場合がありますけれども。したがって、消費税、これは消費に比例して負担があるわけですけれども、消費税を財源として社会保障に全額使うということは、それ自身が所得再分配機能を持っているというのが第一でございます。

 第二は、しかし、そういう中で、消費税の逆進性という面もありますから、所得の少ない方々に対しての措置というものは今回十分とられているということでございます。

 例えば年金でございます。所得の少ない方に対する年金の加算措置。それから、先ほど話が出ました総合合算制度の創設。それから、国民健康保険や介護保険の保険料の軽減措置。そういった措置が制度の中にビルトインされているというのが二つ目であります。

 三つ目が、先ほど来話が出ております給付つき税額控除、あるいはそれを本格導入する前の簡易な給付措置ということで、そういう三段階で、所得の少ない方がこの消費税引き上げによって影響を受けることがないように、さまざまな措置が講じられているということでございます。

三村委員 ありがとうございます。

 副総理が今一番最初に御指摘されたように、事実を知らない人が多いということは、これは極めて大事なポイントだと思うんです。ぜひそこを政府から強調していただきたい、説明をさらに続けていただきたいと思うんです。

 今回の議論では、今御指摘をいただいたように、負担と給付の関係で、消費税の増税による負担増にばかり焦点が行ってしまいがちです。しかし、一体改革ですから、その負担増と社会保障の負担減または給付増、これをセットで、メリットの部分もセットで国民の皆さんにも理解していただかねばいけないし、我々も議論をしなければいけない。

 そのメリットの部分がほとんどクローズアップをされていない、国民の皆さんにも十分知られていないということであると思いますので、小宮山厚生労働大臣に、岡田副総理が今ポイントの二つ目で挙げられた部分だと思いますが、具体的にどういった低所得者対策が今回の一体改革でとられるのか、御答弁をお願いします。

小宮山国務大臣 今岡田副総理からも一部御答弁がございましたけれども、低所得者の対策として、一つは、老齢基礎年金に一定額を加算して年金の最低保障機能を強化するということ。また、老齢基礎年金の受給資格期間を二十五年から十年に短縮して、短い期間しか加入していない方でも年金を受給できるようにすること。また、市町村国保の保険料が軽減される対象の世帯を拡充するということ。介護一号保険料について、低所得者の保険料軽減を強化するということ。さらに、先ほどお話にあった、番号制度の二〇一五年度以降の本格稼働、定着後の実施を念頭に、総合合算制度の導入に向けて検討を進めるなど、低所得者対策に一・四兆円を充てまして、対策を強化します。

 また、子ども・子育て対策の強化に〇・七兆円充てるんですが、子育てしやすい環境をつくる。短時間労働者に対する厚生年金、健康保険の適用拡大。生活支援戦略で生活困窮者対策をすること。また雇用の対策をとることなど、きめ細かに対応していきたいと考えています。

三村委員 簡潔な御答弁で、ありがとうございました。

 御説明をいただいたとおり、私も事前に資料を勉強させていただいていますが、今回の一体改革で、低所得者を中心にかなりの社会保障の拡充がある。今、老齢基礎年金のお話がありましたが、約五百万人の人を対象に月額六千円の加算があるということだと理解をしています。それから、国民健康保険では約四百万人の方が保険料の軽減の効果、恩恵を受けられる。また、介護保険で六十五歳以上の方の約三割の方が負担減になるというふうに理解をしているんです。そのあたりの数字も含めてそれでよろしいか、ちょっと御答弁を、もしできればお願いします。

 では、ちょっと次の質問も含めて。

 大臣から最後にお話のあった総合合算制度というのも、これは新しい制度ですが、これも余り国民の皆さんに知られていない制度だと思います。また、総合合算制度というネーミングが何だかよくわからないので、ちょっとそこを、総合合算制度も、改めて、具体的に国民の皆さんの負担がどう変わるのかとか、医療と介護と保育サービスを受けている方々の負担の仕方とか、そういったことがどういうふうに具体的に変わるような制度を考えられているのか、御答弁をあわせてお願いします。

小宮山国務大臣 この総合合算制度というのは、今の社会保障制度だと、制度ごと、個別に低所得者の対策をとっています。

 これは、一つの家計の負担能力に合わせて総合的にきめ細かくしようということですので、医療、介護、保育など全部トータルにして、総合的に合算、合わせた上で低所得者の対策をとろうということなので、家計にとってはこの方が実情に合った対応になるというふうに考えています。

三村委員 ありがとうございました。

 この委員会で自民党の茂木委員から先日御指摘もあったとおり、私も、毎年一兆円ずつ自然増する社会保障費ですから、この社会保障制度を持続可能にするために、社会保障の効率化というところはもっともっと切り込んでやっていかなければいけない。生活保護制度の改革についても自民党の御提案がありましたけれども、そういったところは切り込んで、効率化をしっかりやっていくべきところはやっていく。

 そういう意味で、この委員会でも効率化に関しても大いに議論をして、削る部分は削るということは必要だと思いますけれども、しかし、消費増税を含むこの一体改革によって、今小宮山大臣に御説明をいただいたように、低所得者を中心にメリットが非常に大きくあるというところは、もっと強調をすべきだと思います。

 そこで、幾つかのモデルケースの世帯について、今回の一体改革における給付と負担の増減、モデルケースですけれども、税負担はこのくらいふえるけれども、社会保障の給付はこのくらいふえたり、社会保障の負担がこのくらい減ったりという試算について、私の方で資料をきょう二枚ほどお配りさせていただいておりますので、必要であればそのペーパーを参照していただきながら、小宮山大臣から御説明をお願いしたいと思います。

小宮山国務大臣 今回の一体改革によりまして、モデルケースごとに負担と給付、どのように変化するか。これは、一定の前提を置いて大まかに見込んだものを今、資料として御提示いただいていると思います。

 まず、低所得者の高齢者夫婦世帯。この場合には、食料品についての消費税の負担額が、消費税五%の引き上げによりまして、世帯で年間およそ二・四万円程度増加をする見込みです。一方で、一体改革の実施によりまして、低所得者世帯には年金額が年間およそ十四・四万円加算されること、消費税引き上げに伴う物価上昇に対応して年金額が改定されること、介護保険料の負担が世帯当たり平均で見て年間およそ二・六万円程度軽減されることによる可処分所得の増加が見込まれます。

 このほか、地域包括ケアシステムが構築されまして、在宅医療、介護が充実することで地域で住み続けることができる、こういう効果もあると思います。

 ここにありますように、先ほどのお尋ねの数字ですが、基礎年金に対する一定の加算を行うということの対象が五百万人。そして、夫婦で年額でおよそ二・六万円程度、低所得者の介護保険料負担の軽減、これは対象がおよそ一千万人です。

 それからまた、一人親世帯で未就学児が一人いる場合については、食料品について消費税負担額は、消費税五%の引き上げにより、世帯で年間およそ一・八万円程度増加する見込みです。一方、一体改革の実施によりまして、消費税引き上げに伴う物価上昇に対応して児童扶養手当が増額になることのほか、短時間労働者に対する厚生年金、被用者保険の適用拡大により国民年金から厚生年金に移ることによりまして、例えば、年間およそ八・三万円程度の年金保険料の軽減ですとか将来の年金額の増加が見込めるなど、可処分所得の増加が見込まれます。ここにあります国民健康保険料を軽減することの対象が四百万人でございます。

 このほか、子ども・子育て新システムの創設による子育て支援の拡大ですとか就労環境の整備など、こうしたことの効果もあるかと思います。

三村委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御説明で、やはり一体改革によって、低所得者の方々には増税による負担増より一体改革によるメリット、社会保障の給付増、負担減の方が非常に大きいということが明らかになったと思います。

 次に、逆進性対策に移りたいと思います。

 党内の議論では、社会保障における低所得者対策と逆進性対策は別だという議論もありましたけれども、この委員会で、たしか自民党の伊吹先生だったと思いますが、それは一緒に考えるべき、一体に考えるべきだという御指摘をいただいたと思いますが、私もそのように考えています。

 ですので、政府は、逆進性対策として、給付つき税額控除、また、それまで簡素な給付措置をやるということでありますから、その際の規模感とか給付水準というのは、一体改革における負担と給付の増減を総合的に見て決めなければいけないと思いますが、ここでは、この委員会でこれまでも議論になっている逆進性対策として、複数税率がいいのか、給付つき税額控除がいいのかという論点についてちょっと議論させていただきたいと思います。

 この委員会で、一番最初、トップバッターの前原政調会長が、森信教授の推計を引用して、逆進性対策としての有効性としては、軽減税率よりも給付、長いから給付と言いますが、給付の方がすぐれているということをおっしゃいました。また、町村先生が、両者の比較表を、非常にあれはいい表だと思うんですが、わかりやすい比較表を御準備していただいて論点を整理していただいておりましたけれども、安住財務大臣、財政の負担の観点とか逆進性対策の有用性、また制度設計上の論点なども含めて、この二つの制度を、ちょっと比較検討でお考えをお述べいただければと思います。

安住国務大臣 低所得者の対策を社会保障全体の中でやっていくということを、今、いろいろな意味でお話を厚労大臣からもしました。

 ただ一方で、消費税というのは、三村さんも御存じのとおり水平的な税ですね。ですから、一定の割合で全ての人に、物を買ったときにはやはり御負担が要る。そういうことを統計的に見ますと、所得の低い方に対して比較的税負担が高くなる傾向があるということで、この消費税ということに関する逆進性対策、これは、我々の党としては必要なことである。

 さて、具体的にではそれをどうするかというふうになったときに、今お話がありました給付つきの税額控除と、それからもう一つが軽減税率ですね。これは一長一短それぞれあるということですが、今お話しのように、政調会長の方から統計的なことも出していただきましたし、町村先生の方からそれぞれの比較も出して議論をしていただきました。

 給付つき税額控除の場合であれば、一つのメリットというのは、法定書面で五十七種類の課税についての把握をしますので、これは番号制度が入ってからですが、多少、多少といいますか、ストックの部分をどうするかという課題はあるものの、ターゲットを絞ってそこに給付をしていくということはできると思います。

 一方、軽減税率の場合、これはなかなか、何を具体的にどこまでやるかというのは大変議論の分かれることでありますし、また、諸外国の例を見ても、標準税率が大体一五%ぐらいのときにこの軽減税率というのを置いているんですね。

 この軽減税率の場合でも、先ほど、たしか午前中も総理からも御説明があったかもしれませんが、例えば食品でも、お店で食べるときとテークアウトでは全然違うとか、課税が全く、国によってはチョコレートの数によっても違います。ですから、必要品とぜいたく品をどこで分けるかは、その国の文化、伝統、食習慣によってさまざまなんです。

 ですから、現実に大きな網でかけると兆円単位のいわばお金がかかってしまったり、では、米はいいのか、みそはいいのか、パンはだめなのか、こういうことにもなりかねませんので、そうした意味では、わかりやすさというメリットはあるんですけれども、課題がある。

 それを私どもは指摘をさせていただいておりますので、結果的には、やはり給付つき税額控除、この給付の仕方も、実は、控除の部分もお金を含めてやるのと、それから控除と現金給付とそれぞれあるんですけれども、こうしたことを交えながら逆進性対策について具体的な制度設計をしっかりしていきたいと思っております。

三村委員 非常にわかりやすい説明で、ありがとうございました。

 一点、やはり私は、いろいろな論点があると思うんですが、一番大きいのは財政上の観点、今大臣から御指摘いただいたような点だと思うんです。

 財政負担の面でいうと、食料品を軽減した場合に、一%当たり約六千億円、五%で三・一兆円かかるんですね。三・一兆円というのは非常に大きな財政負担です。

 ここでちょっと算数をやりたいんですが、政府からはやはり余り試算なんかは出てこないと思うので、私の勝手な算数なんです。

 例えば、簡素な給付措置か給付つき税額控除を考えるとして、低所得者の範囲を決めなければいけませんが、仮に住民税非課税世帯と仮定をすると、これは単なる仮定ですよ、三千百万人。この消費が、ざっくり、大体二百万円ぐらいなんですね。この中で水道光熱費とか食料品というのは二割弱なので、約四十万円弱。それに五%を掛けると二万円です。これは本当に単純な、仮の計算ですが、二万円。

 カナダのGSTクレジットの例でも、午前中、大臣の御説明がありましたが、一人当たり約二万円で、世帯でお子さんなんかがいて六万円とか八万円になるということなので、大体の相場観は合っているかもしれません。

 この二万円ですると、ちなみに三千百万人のうち二百万人は生活保護世帯ですから、そこはちょっと別の給付がありますから差っ引くと、二千九百万掛ける二万とすると五千八百億円。片や三・一兆円、片や五千八百億円という面からいっても、非常に財政面が大きいんじゃないか。

 けさの日経新聞の四面にも非常にミスリーディングな記事が載っていましたので、ぜひこういったところは強調して、わかりやすく説明を続けていっていただきたいと思いますし、ここは与野党協議等いろいろあると思いますが、ぜひおりずに頑張っていただきたいと思います。

 歴史的に軽減税率をとっている欧州諸国は、軽減税率では財政負担が巨大であって、だからこそ困っている。一度軽減税率を入れると、政治的になかなかもとに戻せないからということもあると思います。

 最後に、時間がもうなくなりましたが、給付つき税額控除の制度設計について一問お聞きをしたいと思います。

 給付つき税額控除の方がメリットが高いということをお話ししましたが、これも簡単ではないんです。この委員会でも、番号制度を導入したらすぐできるというようなことは間違いで、できっこないという御指摘がありましたが、これは正しくは、できないではなくて、今のままではできないということだと思います。

 そこで、給付つき税額控除を制度として採用するためにどういったことが必要かということを少し申し上げて、最後、御答弁をいただきたいんです。

 まず、論点の一つ目、もちろん対象者の範囲と水準をどうするか決めなきゃいけません。

 それから二点目、所得情報の捕捉をどうするかということです。所得税非課税の方でも住民税をお支払いしている人であれば、まさにこれは共通番号制度で市町村と国税庁の情報を連携することによって可能になりますが、住民税非課税世帯は市町村にもその所得情報はありませんから、それをどういうふうに捕捉するのか。申請してもらうのか。その申請された情報が確かであることをどうやってチェックするのか。査察体制を強化しなければいけないという論点があります。

 三つ目の論点。そうすると、申告者が一気にふえます。カナダの事例でも、GSTクレジットの導入で申告者が一気に増大をしている。その事務をどこが負担するのか。市町村なのか、国税庁なのか、はたまた歳入庁なのか。実行主体の論点もあります。

 論点の四つ目は、やはり利子所得を捕捉すべきか否か。私はすべきだと思いますけれども、申告をどこまで義務づけられるのかとか、銀行口座の情報、銀行口座というのは人口の数倍ありますから、それを全て連携するというのは、システム上、現実的ではないですから、どこで区切るのか。そういった申告をどこまで義務づけられるのかといった、利子所得、金融所得の捕捉の論点があります。

 まだあるかもしれませんが、これらの論点について議論して、制度をつくって、法律をつくっていかなければいけない。給付つき税額控除制度の導入が、番号制度の定着の後だから比較的時間があるからといって、後回しにするといったことではいけない。消費増税はこの制度の導入が前提なわけですから、早急に制度を明確化する責任がこの政権にはあるというふうに私は思っています。

 また、実際の行政の観点でも、共通番号制度のシステムの調達というのは今年度から始まります。そうすると、後から制度が変わるとまたシステム投資を、情報システムの調達を二重に、システムを変えなきゃいけない、二重投資になる、税金の無駄遣いになってしまうという点もございますので、ぜひ早急に進めていただきたいというふうに考えますが、一言御答弁をいただきたいと思います。

    〔委員長退席、武正委員長代理着席〕

武正委員長代理 質疑時間がもう終わりですので、端的にお願いいたします。

 岡田担当大臣。

岡田国務大臣 委員の方から給付つき税額控除の論点を整理していただいて、本当にありがとうございました。そういったことについて議論しなければならないことは御指摘のとおりであります。

 ただ同時に、その前に簡易な給付措置というのがありますので、まずこちらを固めた上でそういった議論に移っていきたいということでございます。

三村委員 ありがとうございました。

武正委員長代理 これにて三村君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。よろしくお願いします。

 昨日は、年金、医療、介護について小宮山大臣に総体的な御答弁をいただきましたが、本日は、医療の分野に、個別の政策について一つ一つお聞きしていきたいと思います。

 小宮山大臣、本当に連日お疲れさまでございます。きょうもまた、全ての質問を小宮山大臣にさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 まずは、診療報酬改定についてお伺いをいたします。

 前政権下で行われてきた社会保障費の削減、診療報酬引き下げなどによりまして、医師不足問題が社会問題化してまいりました。

 現政権におきましても、危機的状況と言われる地域医療を再生すべく、厳しい財政状況の中におきましても、平成二十二年度と平成二十四年度と過去二回の診療報酬改定では、プラスの改定を実現してまいりました。

 医師不足問題の背景には、医師や医療従事者の過重労働があり、その負担の軽減が求められてきました。

 過去二回の診療報酬改定においても勤務医の負担の軽減策が重要課題として取り組まれたと承知しておりますが、特に平成二十四年度の診療報酬改定では、医師不足問題の解消に向けて、具体的にどのように取り組まれ、どのような改善が行われてきたのでしょうか。

小宮山国務大臣 委員がおっしゃいましたように、二十二年度、二十四年度、二回連続プラスの改定をして、例えばその診療科、救急、産科、小児科、外科、こうしたところと病院勤務医の改善に取り組んだ結果、産科医、小児科医は数がふえてきています。

 今御指摘の二十四年度の診療報酬改定では、多職種が連携した、より質の高いチーム医療について評価をするということ、また、医師事務作業補助者の配置について、きめ細かな評価を行うなど、病院勤務医の負担軽減、処遇の改善に力を入れて取り組んでいます。

中島(正)委員 ちょっとこれは事前通告にないんですけれども、この報酬というのは、医師に直接手渡しで渡されるものではなく、当然のことながら病院に入ると思うんですけれども、医師や医療従事者の過重労働という問題によって、やはり医師が少なくなってきているという問題、それに見合わない給料という問題でそうなってきていると思うんです。病院だけがもうかっても仕方ないというふうに思うんですけれども、やはりきっちりと病院から医師に給料が伝わらないといけない、そういうルートの問題はいかがでしょうか。

 きっちりと医師に伝わる報酬として、そこら辺はちゃんと充実して、できているのかということです。

    〔武正委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 それは、きっちりとそういう形で行くように、こちらからもチェックもきちんとして、充当されるようにしていきたいというふうに思っています。

中島(正)委員 本当に、私はちょっとそこを懸念しておりまして、病院だけがもうかってはいけないというふうな懸念もしております。

 次に、医師不足解消についてお聞きします。

 社会保障・税一体改革大綱の中では、高齢化が一段と進む二〇二五年に、どこに住んでいても適切な医療、介護が受けられる社会を実現するとしております。また、病気になった場合にしっかりと治す医療と、その人らしく尊厳を持って生きられるように支える医療と介護の双方を実現するとあります。

 しかし、医師不足の問題の解消がなければ、安心してどこでも医療を受けることができません。医師の絶対数の不足は早急に解決しなければならない問題です。

 医療改革では、医師数の確保のため、医学部の入学定員をふやす取り組みが続けられてきておりますが、これまでにどの程度の増員がされているのでしょうか。また、特に医師数が不足している産婦人科、それと小児科に関しては、どのような対策がなされているのでしょうか。

小宮山国務大臣 医師の数をふやすために、平成二十年度から、文部科学省と連携をいたしまして、医学部の入学定員を千三百六十六人ふやし、平成二十四年度は八千九百九十一人と過去最大になっています。

 そのうち、産婦人科、小児科など、医師不足の診療科での勤務を条件づけることができる地域枠を活用した増員が四百三十七名となっています。

 さらに、二十四年度の予算でも、産科や新生児医療を担当する勤務医などの手当に対する補助などを行っています。

 こうした取り組みから、医師の数は毎年四千人程度ふえていまして、産婦人科、小児科などの医師不足診療科の医師の数も増加をする傾向になっています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 産婦人科と小児科医につきましては、他の診療科目と比べて、特に医療事故という問題があって、訴訟のリスクがあるということで、なり手が少ないということでございますので、その点につきましての改善を全力でしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、医療の地域間の偏在の解消についてお伺いをいたします。

 医師の総数をふやしたら、次に考えなければならないのは、地域間格差の問題でございます。

 医師の増加が、地域の病院の勤務医不足、そして、特定の診療科の医師不足の問題解決につながっていくような施策を講じなければならないと思いますが、医師の適正配置状況について、どのような取り組みを講じられてきているのでしょうか。また、着実にその取り組みの効果が出ているのでしょうか。

 これまでの取り組み状況、そして予算額の推移、成果が上がっている代表的な事例について、御説明をお願いいたします。

小宮山国務大臣 平成二十三年度から新たに、医師のキャリア形成上の不安、これは、地方へ行くとどうもキャリアが形成されないということで、なかなか行く人が少ないということがありますので、この不安を解消しながら、医師不足病院の医師確保の支援などを行います地域医療支援センターの設置を進めています。今年度は、前年度から一・八億円ふやしまして、七・三億円の予算を確保しています。

 これによりまして、昨年の十一月時点で、百四十名の医師が地域の医療機関に派遣、あっせんをされています。

 また、都道府県ごとに設置をする地域医療再生基金、これについても、平成二十一年度補正予算で二千三百五十億円、平成二十二年度補正予算で二千百億円を確保しています。

 各都道府県では、地域医療再生基金を活用しまして、一つは、大学に地域医療学などの寄附講座を開設して、地域の医療に従事しながら地域医療を担う医師を育成している、二つ目に、地域枠の医学生に対する修学資金の貸与、こうした取り組みを実施しています。

 さらに、平成二十二年度から、医師不足地域、診療科等で勤務を条件づけることができる地域枠により、四百三十七名の医学部入学定員の増員を行っていまして、医師の地域偏在の解消に向けてしっかり取り組んでいきたいと思っています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、患者側の医療費負担の改革についてお聞きをしたいと思います。

 大綱には、働き方にかかわらない保障の提供、長期高額医療を受ける患者の負担の軽減、そして、世代間、世代内の負担の公平化などの観点から、医療保険、介護保険制度のセーフティーネット機能を強化するとあります。

 高齢化の進展などによりまして、国民医療費は毎年約一兆円規模で伸びてきておりますが、これを無理に抑制すると、地域医療が崩壊するなど、前政権下で生じたような問題が発生してしまいます。

 しかしながら、医療費が膨らめば、保険料や一部負担などの費用負担もふえてまいります。

 費用負担が増加することで低所得の方が医療を受けられなくなるようなことを防ぐことが必要であります。

 年金生活者や無職者が多く加入する市町村国保の財政状況も厳しさを増していることから、市町村が独自財源で負担を軽減することもできない状況にあると聞いております。

 今回の税制改革により、医療保険、特に市町村国保における低所得者対策がどのように改善されるのでしょうか。

中野委員長 小宮山厚生労働大臣、時間が三十秒です。

小宮山国務大臣 今回の一体改革の税制抜本改革によりまして安定財源を確保して、二千二百億円の公費を市町村国保に投入いたしまして、低所得者の保険料軽減の対象世帯の拡大に五百億円、低所得者の数に応じた保険者支援に千七百億円、このように財政基盤の強化を図ります。

 このうち、保険料軽減の対象世帯の拡大については、二割軽減と五割軽減の対象世帯を拡大することにしていまして、保険料が軽減される人はおよそ四百万人と推計しています。

 また、財政基盤強化策全体で、所得水準、世帯構成によっても異なりますけれども、機械的に試算すれば、およそ三千五百万人の国保加入者全体で、一人当たり保険料を年額六千円程度抑制する効果があると見ています。

中島(正)委員 ありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、菅原一秀君。

菅原委員 自民党の菅原一秀でございます。

 委員長を初め、連日、御審議、大変御苦労さまでございます。

 この数日の審議を聞いておりまして、税制とは国のあり方そのものである、そう改めて認識をいたしているところであります。

 すなわち、この一体改革の論議を通じて、我が国の社会保障のあり方、そして国が今後伸びていくための投資、あわせて受益と負担、こういうものをどういうふうにして決めていくのか、あるいは、誰がどれだけ負担をして、誰がどう受益を得るのか、こうしたことは、いわば日本のグランドデザインそのものである、そう改めて確信をいたしているところであります。

 現下の財政状況下、二〇一〇年の参議院選挙で、自民党は、少子化対策や年金、医療、介護の機能の強化、あるいは高齢化の進展に伴う社会保障費の自然増への手当て、消費税以外で賄われている年金、医療、介護にかかる費用、これらを賄うために、いわば当面消費税を一〇%として、政権復帰時点で国民の理解を得ながらこれを決定するものとして、公約をしたわけであります。

 また、現在、改正所得税法の附則百四条におきまして、社会保障を持続可能なものとするために、消費税を含む税制の抜本改革が必要だという認識を当然今でも持っているわけであります。

 しかし、今、市井の声はどうでありましょうか。私も、連日駅に立っております。あるいは、昨日も国政報告会やミニ集会をやってきましたが、つい先日まで、消費増税はいたし方ない、日本の財政を考えればやむなし、こういう声が多かったわけでありますが、明らかにここに来て一定の変化が見られているわけであります。

 資料の一をお配りしておりますので、ごらんをいただきたいと思います。

 これは、消費税率引き上げについての世論調査、共同通信のものでありますけれども、いわゆる法案提出後に反対がふえている、そして当然、賛成が減っているわけであります。

 こういうことから考えますと、国民の皆さんの半分以上は、今の野田政権が進めようとしているこの増税法案には異議を唱えている、こういう状況だととれるわけでありますが、きょうは総理がおりません、岡田副総理、この点についてどう捉えておりますか。

岡田国務大臣 まず、世論調査の結果というのは、これは重要でありますので、謙虚に耳を傾けなければならないというふうに思います。

 一方で、ある意味、具体的に、この消費増税、これは消費増税だけじゃなくて、社会保障の一体改革ということではありますが、その中の消費増税について聞かれれば、その可能性が増せば増すほど反対が強くなるというのは、それは理解できるところであります。

 ただ、私の実感として、毎週末、各地で対話集会を行っておりますけれども、何が何でも反対という声はもちろんありますけれども、そう多くなく、やはり、その前に行政改革をしっかりやってくれとか、議員の身を切る努力をしてくれとか、そういう声はかなりある。

 しかし、消費税が社会保障制度の持続可能性のために必要だという認識はかなり広く共有されているのではないか、そういうふうに思っております。

菅原委員 今、副総理は、ある意味では、当然、政権側ですから、いいところだけを見ようとしています。確実に反対がふえてきている。この分析を冷静にしなきゃいかぬのだと思うんですよ。大反対する人は少ない、それはそうかもしれません。しかし、なぜ政権が、野田内閣がこの法案を出した後に反対がふえてきているのか、この点の冷静な分析。

 特に総理は、こういう質問をいたしますと、そういう数字には一喜一憂しない、こう言ってはばからないわけでありますけれども、まさにそういう分析こそ大事であって、しかも、法案を提出するまでの二年八カ月、民主党のこれまでの経緯を見てみますと、二〇〇九年、当時、菅財務大臣は、デフレ脱却にこそ財政出動が必要だ、その財政出動のために、財源のための消費増税をするべきだ、こう発言をしているんですね。

 二〇一〇年の参議院選挙のとき、当時、菅総理は、日本の財政はギリシャより悪い、ギリシャの二の舞になってはならない、だから消費増税は必要だ、こう言ったんですね。しかし、外国資本に買い支えられているギリシャの国債と九割以上が内国債である我が国の国債、その前提要件が違う中でこういう発言をすること自体がいかがなものかと、私、当時思ったんです。

 さらには、去年の三・一一以降、今度は復興のために消費増税が必要である。しかも、野田内閣になって、野田総理は、社会保障のために、あるいは子や孫にツケを残さないために、こういうふうに、まさに猫の目のようにくるくるくるくる増税の根拠というものが変わってきている。

 これはやはり、国民から見たら非常に、どうなんだろうか、何のための消費増税なんだということが、そのメッセージ性が極めて希薄だと思うんです。

 先ほど私たちは、社会保障の持続可能のために、これは一点もぶれておりません。しかし、今般、こうしたいろいろな会合で国民の皆様の声を聞くにつれ、いろいろな議論をするにつれ、今、絶対消費増税をすべきだ、そして一刻も早く税率を上げるべきだという声はほとんど聞かれなくなって、特にここに来て、円高、デフレ状況で増税していいのかどうか、この問いや声が非常に大きくなってきているんですね。

 憲法の条文を持ち出すまでもなく、主権者は国民であります。その主権者である国民の声をしっかり受けとめるということは、与党も野党も関係なく、当然のことだ、こう考えるわけでありますが、このデフレ下で消費増税に異議を唱えている国民の数がふえてきている、このことについて、野田総理の名代として、岡田副総理、このデフレ下において消費増税をするということについてどう考えますか。

岡田国務大臣 もちろん経済情勢というのは非常に重要で、そのことを、いざ増税を最終決定するときには見きわめなければならないということだと思います。したがって、我々も、最終的な経済状況を総合判断するということにしているところであります。

 しかし、景気の動向というのは日々変わってまいりますから、今が厳しい経済状況にあるからといって準備すらしないということではなくて、基本的に増税をする方向で、しかし、いざというとき、非常に悪ければそれはそこでもう一度総合判断できる、そういう形で持っていかなければ、これはもう永遠に増税できないということになるのではないかというふうに思っております。

 あと、委員先ほど言われた、日本の国債、九割は日本国民が持っているからというのは、それは見解はいろいろあると思いますが、日本の国債であれどこの国の国債であれ、マーケットは世界で一つでありますので、今、たまたま国民が九割持っているからといって、それで世界のマーケットから全く切り離されて議論ができるということではない。

 そして、金利が上がれば国債価格が下がる。国民はずっと持っていてくれるかもしれませんが、金融機関の持っている国債についてはそれで債券の評価が変わるわけですから、それは貸し渋りにつながる。

 そういう面で、私は、九割日本国民あるいは日本の金融機関が持っているから安心だということにはならないと思っております。

菅原委員 今の答弁で二つ。

 一つは、デフレ下において増税することがどうなんだと聞いていることについては答えていません。経済情勢を鑑みてそこで判断をするとおっしゃったのはわかった。

 今、このデフレが進行する中で増税をすれば、結局、GDPが下がって、可処分所得が減って、しかも、将来不安から、投資や消費ではなく貯蓄にお金が回るということのウエートが極めて大きくなる。さらには、結局、それで物が売れなくなりますから、いわゆる事業者、法人はさらにデフレ圧力がかかって物を安くする。物が安くなってもまだ売れない。

 この負のスパイラルの中で、企業収益が減って、賃金も減って、所得も減って、結局、これでまた増税をする。増税をすればまたデフレが進行する。こういう負のスパイラルの中で増税をすることの可否というもの、いかんというものを、ここは腰を据えてしっかり議論すべきではないか、私はこう思って尋ねているわけであります。

 また、内国債、九割以上について、いろいろな御答弁がありましたけれども、きょう日銀総裁お見えで、まだ結構ですけれども、はっきり言って、今の日銀の金融政策あるいは政府のそれに対する姿勢を鑑みれば、当然、内国債、なかなか海外からその国債を買うという状況に今ない。改めて、そういう意味では、今、九割だからそれが大丈夫だという意見に対して疑義を唱えておりますけれども、私は、今の金融政策だからこそ内国債で保っていることが一定の役割を果たしているのではないかな、こういうふうに認識をしております。またこれは後で議論したいと思います。

 こうして素案なり法案というものが決定されて、民主党内でこれが大綱となって、政権で大綱となったわけですけれども、民主党内で異論は当然あったのでしょうけれども、それが成案として出てきたわけであります。

 ここで答弁者をかえますけれども、改めて客観的な立場から日銀の総裁に、このデフレ下における消費増税をどうお考えか、特定の質問については云々と言われるでしょうから、一般論としてお答えください。

白川参考人 お答えいたします。

 消費税を含めました税制のあり方については、現在、国会において審議されている段階でございますので、私の立場から具体的にコメントするということは差し控えたいと思います。

 その上で、財政と経済との関係で一般的な考え方を申し述べたいというふうに思います。

 これはもう釈迦に説法でございますけれども、長期的に見て、財政の持続可能性に対する信認が確保されますことは、物価の安定と金融システムの安定の基礎的な前提条件でありまして、その意味で、持続的な成長を実現していく上で、この財政の持続可能性というのは非常に重要であるというふうに考えております。

 例えば、高齢化の進行する経済では、貯蓄の取り崩しから貯蓄率が低下するというふうに理屈の上では考えられるわけですけれども、実際には、近年、家計の貯蓄率は下げどまっております。このことは、人々が、政府債務残高の累増から、社会保障制度の維持可能性や将来の税負担などへの不安を感じ、支出行動を慎重化させることを示している、そういう可能性がございます。

 仮に、今後、財政の持続可能性に対する信認が低下するような場合には、そうした人々の将来不安の強まりから経済の下振れにつながるおそれがある一方で、逆に、中長期的な財政再建の道筋が明らかになりますと、財政あるいは社会保障の維持可能性が高まりまして、将来に対する不安が軽減され、経済に好影響が及ぶことも考えられます。

 また、金融システムの面でも、仮に財政再建に向けた取り組みが不十分であるというふうに市場参加者が評価した場合には、長期国債の金利の上昇を招き、国債を大量に保有します金融機関の経営、ひいては日本経済に悪影響が及ぶというふうに考えられます。

 こうしたリスクについては、先般公表しました日本銀行の展望レポートにおいても詳しく記述しておりますけれども、私どもとしましては、経済の先行きあるいはこうしたリスクも含めて、しっかり経済の状況を点検していきたいというふうに考えております。

菅原委員 総裁、財政の持続可能性と国債の安定、そして為替にも若干触れられましたけれども、私は、今のデフレ下で増税をすることのいかんを聞いているわけでありまして、特定のことには答えられないと言いましたけれども、今これだけ国民的な議論となっている消費増税に関して、賛否はともかく、エコノミストにしても学者にしても、主婦、学生、農家の方々、今や小学生まで、将来のためにこの消費税をどうすればいいんだ、ちまたでこういう議論が進行している中で、我が国のただ唯一の中央銀行の総裁が今、金融政策論を私の前で述べても、デフレ下において増税することがどうなんだというふうに聞いているわけでありますから、だからこそ、一般論でいいからそのサジェスチョンをしていただきたい、こう思っているんですが、もう一度聞きます。

 総裁、デフレ下における消費増税についてどう捉えておりますか。

白川参考人 お答えいたします。

 税制をどうするかということは、これは国家としての権力の行使であります。そのことの是非について中央銀行総裁の立場でこれがいいとか悪いというふうに申し上げるわけではなくて、財政の持続可能性、こうしたものが経済にどのような影響を与えるかということについては、これは中央銀行総裁としてはっきり申し上げないといけないというふうに思っております。

 そういう意味で、先生の御質問の具体的なことについてイエスかノーかという形での答弁ではなくて、財政の持続可能性をしっかり維持していくということは、これは経済の安定にとって必要であるということを申し上げた次第でございます。

 それから、日本銀行の金融政策自体につきましては、これはまた後から御質問があるかもしれませんけれども、物価安定のもとでの持続的経済の実現、成長の実現ということに一生懸命取り組んでおります。

菅原委員 財政の持続可能性をいわば強化するために税収が上がらなければなりませんし、税収を上げていくためには、増税ということもありますけれども、金融政策や、あるいは経済対策の転換を図りながら、全体として税収を上げて財政の持続可能性を求めていくのが、為政者である国政の立場でもあると思うんですね。

 あなたはそういう意味ではプロフェッショナル、プロでありますから、このデフレ下において増税することが今後の財政再建に資するのかどうか。もしかすると、所得税や法人税が結果として減ってしまうのではないか。現に減った経過もあります。こういうことを聞いたわけでありますが、日銀の総裁として、財政再建そのもの、持続可能性には関心はあるけれども、持続可能性ではなく健全化そのものについては非常に及び腰であるということを私は極めて感じました。

 これ以上質問しても平行線だと思いますので、次の質問に移ります。

 冒頭申し上げましたように……

中野委員長 日銀総裁はもうよろしいですか。

菅原委員 はい、結構です。何かある、いや、まだまだ質問ありますから。

中野委員長 まだあるんですか。

菅原委員 はい。

 冒頭申し上げましたように、増税に関しましては、これを私は当然否定するものではない立場であります。ただし、この議論と同時に、いろいろな論点、これについてはただしていかなければいけない責任もあると思っているわけであります。

 増税をする前にやるべきことがあるというのは、今や与党も野党も当然の立場であって、そのためには、徹底した歳出の削減、行革、そして経済成長、これをやった上で初めて足らざる部分を税に委ねる。そういう意味では、そのことが社会保障の財源の確保と財政健全化につながるわけであります。

 ただ、先ほど来申し上げているように、町中の声はどうなのかというと、増税をする、その環境については極めて整っていないのではないか。また、野田政権自体が、増税一辺倒、税率アップ一辺倒の中で、増税をするという環境づくりに極めて力が欠如している。まさに、鬼気迫るものがない、こう言わざるを得ない。

 しかも、この法案提出までに、既に議論がありましたけれども、政治的な要因をみずからつくり出してしまっています。党内でも反対があって、今度、元代表と現代表がお会いになるということ、あるいは今言ったようなデフレに対する、円高に対する対策やら、あるいは社会保障の各項目の中身についてもほとんど煮詰まっていない。

 そういったことを考えますときに、この資料二にありますように、さまざまな課題があり過ぎて、本当にスムーズにいっていないというのはこういうところに起因をしているのではないか、こう思っております。

 政治・社会面においては、消費増税はまず三年前の選挙でマニフェストに書かれていない、今申し上げたように与党内の見解の不一致、国民の世論との乖離、そして定数削減やら一票の格差是正についても全く未実行のまま、天下りの根絶や国家公務員の人件費二割削減、七・八%とちょこっとやった程度。

 そして、経済面においては、ユーロ危機の再燃、世界経済のシュリンク、そして長引く円高、デフレ、いわば東日本大震災の復旧復興の必要性、そして福島第一原発事故におけるエネルギーの危機や電力の抑制、原油高等によって貿易赤字が拡大をしている。

 こういういろいろな山ほどの環境がある中で、これを一つ一つ丁寧にやっていかなければいけないわけであります。

 そこで、消費税の関連法案、今回の附則十八条、いわゆる景気条項を入れて、最終的な税率の引き上げに関しては政府が経済状況を総合的に勘案する旨の規定をしております。ただし、再三の議論を聞いておりますと、あくまでもこれは努力義務規定にすぎないわけです。

 ここで書いているように、名目三パー、実質二パーの経済成長率は、民主党政権下でこの法案の前に既に閣議決定をしているいわゆる新成長戦略において掲げられた数字であって、この議論の前に軌道に乗せていかなければいけない。にもかかわらず、先般、一昨年の新成長戦略の九割方、今の野田政権が当時の菅政権の成長戦略に関して、いわば未実行である、ノーを突きつけているわけなんですね。これまた非常に、名目三パー、実質二パーと掲げながら、みずからの直前の政権のやっていることを断じるということは極めて国民から見てもわかりづらい、こう思うんです。

 資料の三をごらんいただきたいと思います。

 GDPの成長率の推移でありますけれども、名目三%、実質二%の経済成長率については、過去十年間の実績を見ますと、名目がマイナス〇・五%、実質が〇・八%であります。この実質二%については一九九五年以後五回達成していますけれども、名目三%については一度も達成をしていない。過去の実績からすると、その達成には相当な努力が必要だと思うんですけれども、この目標達成の見込みについて、その根拠をお示しいただきたいと思います。

岡田国務大臣 もちろん、ずっと最近の状況を見ますと、この目標を達成することは容易なことではありません。しかし、それを断固やり抜くという決意のもとで、まずは震災、原発事故からの復活に全力を尽くす、そして経済成長、財政健全化を両立するマクロ経済財政運営を実現する、そういった形の中で、まずは復興需要の増加、その後、それを民需主導の経済成長につなげていく、そういったシナリオを描いているところでございます。そのためにも、新成長戦略を着実に実施することが重要であるというふうに考えております。

菅原委員 先ほどの努力規定の話と同様に、答弁も何か努力義務みたいな感じですね。非常に鬼気迫るものというのがない。

 今申し上げたように、菅内閣でつくった新成長戦略、四百九件のうち三百七十三件が成果を確認できなかった。今度の夏までにまた新しいのをつくると言っている。古川さんがやるのかな、どうかわかりませんが、直前に九割もできなかったものを、今度、表紙や中身も変えるのかどうかわかりませんけれども、出したところで、それは実質的な成長率アップにつながらないということは、誰が見てもそう感じるんではないでしょうか。しかも、イノベーション、イノベーション、イノベーション。ライフイノベーション、グリーンイノベーション、もうイノベーションとつけば成長戦略だと言わんばかりの、中身が非常に煮詰まっていない。

 私たち自民党は、先ほど来の、金融政策も当然やらなければいけない、そして実体経済を、これまでの経済の構造を大きく転換して、物づくりも当然やるし、事づくりもやっていかなければいけない。また、ITを中心として、日本版のフェースブック、ちょっと調子悪いけれども、日本版のフェースブックやグーグルやアップル、いわゆる物事をつくり出す、モメンタムをつくり出す、こういう企業や、日本に海外から投資を呼び込むためのさまざまなインセンティブ税制を構想して、こうした成長戦略をしっかり軌道に乗せていく。

 当然、お話があったように、いわゆる復興復旧、そしてそのためには、今、国土強靱化対策のメンバーがさまざまな中身をこしらえて政権構想にのせようとしておりますが、こうして民需主導の有効需要を創出して、民間の投資を呼び込む形で財政出動を一定程度図って、そして日本経済を大きな経済成長の軌道に乗せていくんだ、こういうことで私ども進めていこうと思うんですが、今、一部、岡田副総理の答弁にはかぶっているところがありますけれども、改めて答弁があれば。

岡田国務大臣 まず、委員御指摘の新成長戦略に対するフォローアップでありますが、我々の調査の結果でも九八・五%が実施または一部実施済みであります。

 ただ、これから年央にまとめます日本再生戦略をより強力で実効性あるものにするためには、あえて厳しい目で見て、単に着手しているとか実施しているということではなくて、効果や成果が上がっているかどうか、そういう視点で見た結果、今委員のおっしゃった数字になったということでございます。そのことを踏まえて、しっかりとした日本再生戦略をつくっていきたいというふうに考えているところです。

 それから、委員のお話を聞いておりまして、私は、今回消費税の増税ですけれども、二〇〇四年、二〇〇五年のことを思い出すわけですね。

 当時、私は民主党の代表で、小泉総理の時代、非常に経済成長が例外的によかった時代でした。

 私は、あのときに消費税増税にどうしてチャレンジできなかったのか。私は、野党の代表として、すぐに上げるとは言いませんでしたが、年金のために消費税三ポイント引き上げは避けられないということを、二〇〇四年の参議院選挙、二〇〇五年の総選挙で、全ての街頭演説で申し上げました。

 そのときに、残念ながら小泉総理からは、野党民主党は消費税を上げようとしている、けしからぬ、自分は絶対上げない、こういうふうに攻撃されたことを思い出すわけであります。

 あのときに本当に上げておけば、今日のような財政の状況は招かなかった。やはり、チャンスを逃さずにきちんと上げられる、そういう準備は非常に重要なこと、しかし、どうしてもその時代、状況が許さなければ、それは場合によっては総合判断して先送りする、そういう道は残しておかなければいけないというふうに私は考えているところでございます。

菅原委員 当時、二〇〇三年から二〇〇七年、小泉政権のとき、確かに御指摘のとおり、今思えば、あのときに五パーを一〇パーなりに上げておけば、今回の議論もなく、自民党は政権のままでいたかもしれませんし、そうでないかもしれない。

 ただ、結果論でありまして、あのときは、総理の意思もありましたけれども、経済成長によって財政再建がきちっとなし遂げられつつあった。つまり、株価が一万八千円、一万九千円、名目が一%、実質が二%、成長率できちっとあって、こうした中で、まさに財政再建が徐々にではありますが成長戦略、経済成長でなし遂げつつあった中で、小泉総理はそういう判断をされた。

 結果として、今思えば、当時やっておけばこういう議論もなかっただろう。ましてや、岡田さんが総理になっていれば、前回の選挙で、公約で消費税をきちっと書いて、この論議もなかったのではないか、こういうふうに改めて思うわけであります。

 それはさておき、その消費増税における環境づくりについてお話をしたいと思います。

 先ほどもお話があったように、一九九七年、当時の橋本内閣で三%から五%に引き上げたわけであります。あのとき、合わせわざとして、そこに至るまでの三年間の先行減税をやったわけであります。いわば、当時の橋本総理も大変苦渋の中の選択であった。しかし、その合わせわざとして、増税をするけれども、その前にきちっと減税をして、いわゆる中間世帯を含めた可処分所得をふやしていこう、こういう一つのラインがあったんだと思います。結果的に、減税をとめて増税をしてしまった。

 つまり、もし合わせて同時期にやっていれば、もうちょっと違った展開になっていったのかな、こういう分析ももう一度していかなければいけない、検証していかなければいけないんだと思いますけれども、あのときは、減税をとめて同時に増税になったということは、一つの世帯にとってみれば、可処分所得が一気に減少してしまったということ、その後の景気後退につながったということは今後の検討材料だな、こんなふうに思っております。

 あわせて、三年前、私どもがこの百四条を附則として盛り込んで、当然これは社会保障、特に基礎年金の財源として、三分の一から二分の一に税の部分を充当しましょう、こういうことでやったわけであります。

 当時、麻生内閣において、当然、その就任前にリーマン・ショックがあって、そのリーマン・ショックの景気対策として総額七十五兆、今で思えば大変な額でありますけれども、真水はまた別ですけれども、七十五兆規模の三段ロケットという、財政出動を伴う経済対策をやった。そして、徐々にではあったけれども、景気が上向き始めた。そのやさきに、選挙をやって政権交代になってしまった。これは大変不幸なことであったな。そのときに、経済状況を好転させることを前提に、段階的に消費税を含む税制の抜本改革を行う、こういうふうに百四条に銘打ったわけであります。

 まさに、そういう意味では、今の野田政権でもこのことを踏襲しておられる。そのことを念頭に置いた措置であったということを私どもはやったんですけれども、その点についてどういう御認識なのかなということもただしていきたいと思います。

 言ってみれば、この百四条を根拠として、政府は、今出している法案に関して、八九年の消費税の導入時、九七年の三%から五%に上げたとき、そして今と、明らかに状況は変わっている。そしてまた、抱き合わせわざが今回の場合はない。十五兆余の増税だけがある意味では残る。

 それに対する経済対策や、あるいは減税政策というものがない中で、野田総理がちょうど、あれは七年前でしたか、本会議で橋本内閣の消費税の引き上げに触れて、風邪から治りかけている日本経済を肺炎にした、こう本会議で指摘をされているんですね。この前のシロアリの話じゃありませんけれども、この引き上げ法案に関して、言ったことが変わって詭弁をあげつらう、こうしたことがたまに見られますけれども、この風邪を肺炎にしない措置が今回、法案に盛り込まれているんですか。

岡田国務大臣 確かに、同時減税とかそういった具体的な形ではない。それは、やはり財政の状況がそれをなかなか許さない状況にある、時代はそれだけより厳しくなったということはあると思います。

 それから、橋本総理のときの九兆円の負担増、私も言いました。あのときに、それが景気の後退を招いたという議論を私も予算委員会でした記憶がございます。

 ただ、後から振り返ってみると、統計的にも、消費は必ずしも大幅に落ちているわけではありませんし、それから、やはり最大の問題は、不良債権の存在を軽く見たということだと私は思います。結果的には、それは、小泉内閣になって本格的な不良債権の処理ということがなされるわけですが、やはり不良債権の存在が貸し渋りを招き、全体としての景気の足を引っ張ったというのが現実だったのではないかということだと思います。

菅原委員 話をちょっとかえますけれども、まず党内をまとめてくださいよ。今週だか来週だか、現代表と元代表が会われるそうですけれども、おたくの党の中がまとまっていないのに、伊吹先生のお言葉をかりれば、ここでこうした大人の対応をしているわけですよ。しかもそれは、国民に対する、国家に対する責務として私どもはこの場にいるわけですよ。なのに、中がまとまっていない。中がまとまっていないのに、野党にぜひ関連法案を審議せよというのは極めて不誠実。

 そこで、安住大臣、大臣だったら、この消費税法案が通らなければ解散しますか、どうですか。

安住国務大臣 私には荷が重うございます。

菅原委員 安住大臣とは早稲田の雄弁会で同じ釜の飯を食った仲でありまして、当時から大言壮語を発する、大変大物であるということを感じておったものですから、今、私には荷が重いなんて言わないで、多分そこで私だったら解散すると、あのえんじの緞帳の前で国民に聞いてみたい、小泉総理ではありませんが、それぐらいの鬼気迫るものがなければ、野田さんもまず、いないのはおかしいですよね。

 それはともかく、そういう状況で、それが切迫感が国民に伝わっていない。だからこそフィッチ社が、今回、我が国の財政状況云々で評価をされたのではなく、政治的なリスクがあるからと言っている。つまり、そこは、民主党内のそういうまとまりのなさ、私どもこうやって議論に参加を当然しているわけでありますから、その点は強く指摘をしておきたいと思っております。

 また、九割の国民の皆様が、増税の前に、きちっと無駄を省く努力、あるいは国会議員の定数削減、歳費の削減、公務員の人件費カット、不用な国有資産の売却等々、これは当然増税をする前にやるべきだということ、これは頭の中で理解はしていても、行動が伴わなければ、まさにそれは説得力がないのであって、しかも、今言ったことは、消費税を上げる上げないの問題以前の問題。現下の情勢に鑑みれば、やってしかるべきだと私は思うんですが、この二年八カ月、どんどん後退をしているように思えてなりません。

 そこでお尋ねをしたいと思うんですが、今申し上げたように、この野田内閣において、おおむね三点はやった、一定の前進があったと思うんです。

 それは、今申し上げたように、公務員給与の七・八%を二年間という限定でカット、議員歳費の二割削減、これは二百七十万、やはり二年間という限定的でありますけれども、あわせて国家公務員新規採用五六%、いわば、中堅、ベテランをそのままにして、新しい血液や酸素を霞が関に送り込まないという、まさに数合わせの閣議決定をしたわけであります。

 一については、二割削減とマニフェストに書いてある。そして、議員歳費も公務員人件費も、はっきり言って、二年なんて言わないで、きちっと恒久的にやるべきだと私は思いますし、また、行政サービスの将来、若い世代の投入ということは、日本のために当然やってしかるべきである。こうしたことがいわば後退をしている中で増税をお願いしますといっても、そうはいかぬだろう。

 あわせて、独法の役員ポストについてお尋ねをします。

 五月八日の日経新聞の報道によりますと、独立行政法人の役員ポストは、公募制が採用されているにもかかわらず、現役出向も含めて約三割のポストが公務員OBによって占められているわけであります。

 政権交代後、予算委員会などでもさまざまな議論があって、私ども自民党時代にもそうした経過もあったことを反省しつつも、こうした問題にしっかりメスを入れていかなければならない、その実効性が問われるんだ、こういうふうにただしてきたわけであります。

 しかしながら、いまだにこういう三割が独法のしかるべきポストに公務員OBがついているというこの実態について、岡田さん、何をやっているんですかね、行革担当大臣。

岡田国務大臣 たくさんおっしゃいましたので、それぞれについて申し上げたいわけですが、まず、今言われた独法の公務員OBの問題です。

 ここにつきましては、公募で選ぶ、公務員OBポストの後任者を任命する場合には公募を行うということにしております。その結果として、延べ百二十一法人の百六十八ポストについて公募を実施いたしました。結果として、委員おっしゃるように、実施ポストの三割弱、二八%に当たる四十八ポストが公務員OBが就任ということになっております。

 しかし、もともと全体として独立行政法人の役員についている公務員OBの数は、政権交代前は百八十九人でありました、二九・五%。これが、四十五人、六・九%に激変しているわけでありまして、公募してもやはり公務員OBが選ばれるというケースは、私も経験しましたが、そういう場合は出てまいります。しかし、それは非常に少なくて、二九・五%から六・九%に激変しているということをもって、この公募制度、OBのポストの公募というのは機能しているということは明らかだと思っております。

菅原委員 たしかマニフェスト等で、天下りを根絶、聖域なく見直す、こう言っておられます。だからこそ、この点は今詰めたわけであります。

 確かに、激減は確かでありましょう。しかし、三割は今でも残っている。この点は、民主党さんとさまざまな今の官の関係の中で、こうしたずぶずぶの関係があるのではないか、こういうふうな指摘もせざるを得ない、こう思っております。

 もう一個、あわせて聞きますね。(発言する者あり)そのことも今お答えいただきますけれども、この三月の人事院の調査で、国家公務員の退職金、平均二千九百五十万円なんです。これは、人事院の調査によると、民間を約四百万円上回っている。

 今般、この法案の中にも、いわゆる年金の一元化の中で、いわば官民格差をなくそう、一元化をしよう、国民年金はどうなったのかなということは別としても、官民格差をなくそうとしている中で、俄然、こうした四百万も格差があって、人事院も、その官民格差の解消が必要だ、こう指摘をしているわけなんですね。

 もっとも、共済年金のいわば職域加算制度、こうしたものがあって、これが反映をしているということは理解できなくはないんですが、直ちにこの是正、やってしかるべきじゃないかと思うんですけれども、どうですか。

岡田国務大臣 まず、我々が天下り根絶というふうに申し上げましたのは、マニフェストにも明確に書いてありますが、天下りのあっせんをやめるということでございます。そして、現にそれは行われていないということでございます。

 あっせんしないけれども、これは主として民間企業に関するものですけれども、みずから選んで民間に公務員OBが行くということは、それ自身は禁止することはできないわけであります。そこのところは、恐らく委員も同じ御意見ではないかというふうに思っております。

 それから、今の四百万の退職給付、ですから、これは年金と退職金を合わせた金額でありますが、その四百万の格差ということについては、私のもとに有識者会議を開きまして、きのう中間的な報告をいただきました。これは、速やかにその四百万強の差額を是正するべきだという結論をいただいております。

 ただ、その是正の仕方、一回でやるか段階的にやるかとか、そういったことについては、有識者の御意見の多数は段階的にという御意見で、これから政府の中でよく議論していきたい。

 いずれにしても、四百万の格差はなくす、速やかになくすということは、もう決めたところでございます。

菅原委員 時間が迫ってきたので、経済と生活の面についてちょっとお尋ねをします。

 もう御案内のとおり、経済の現状というのは、昨年の三・一一の東日本大震災、そして、その後の福島第一原発の事故、まさに国難というこの状況の中にあって、その復興も端緒についたばかりであります。

 一―三期の一次QE、確かに、この内閣府の発表によれば、実質GDP成長率は年率換算で四・一%、高成長を示しているわけですけれども、これは、いわゆる復興需要とエコカー補助金の再開ということが一時的な押し上げ要因になっているんだろう、こういうふうに私は捉えておりまして、必ずしも、先般来四%云々ということで鼓舞していますけれども、私は、そんな楽観視するものではないな、こういうふうに思っております。

 あわせて、電力不足は御案内のとおりであって、このエネルギー上の制約が重くのしかかっているほかに、いわば原油、LNG、この高騰の中で、貿易赤字が、その収支が悪化をしているわけであります。

 しかも、それが定着傾向にある中で、貿易赤字の拡大が経常収支の赤字拡大ということにつながったらば、これはもう国債の下落、長期金利の上昇ということが避けられないわけでありますから、こうしたことも含めてこの景気対策をしっかりやらなければなりませんし、景気対策なくしてまさに財政再建なし、増税はあってはならない、私はこう考えております。

 ましてや、今回、社会保険、この対象拡大が行われます。また、電気料金の値上げも国民生活にとっては非常に増大圧力になっているわけでありますけれども、ましてや、企業にとっては、国際競争力、今の六重苦の中で、大変な苦難に直面をしているわけであります。

 したがって、先ほどの話に重なりますけれども、こうした状況の中で、個人消費が冷え込んでいく、その状況で、何ら景気対策、成長戦略、こうしたことなくして増税をするということの悪影響に関して、特に、企業が設備投資を今抑えている状況、この点について、どうそれを打開するのか、この打開策をぜひお示しください。

安住国務大臣 まず、統計的なことから申し上げますと、今一―三期のお話をいただきましたけれども、年率換算で四・一。今、菅原さんの方から、これは復興の一時的なものでないかという御指摘も受けました。

 中身を少し見ますと、確かに公共投資が非常に高い傾向を示していますが、意外に思われるかもしれませんが、民間の消費部門も非常に堅調でございまして、そうした点では、震災地域以外のところでの消費も伸びております。

 また、住宅着工件数や新車の販売台数も、新車についてはエコカーの問題があるにしても、そうした意味では、日本経済が、デフレの状況で、昨年の震災のひどい状況からかなり回復傾向に戻りつつあるということは感じております。

 しかし、決して楽観はしておりません。一―三がよかったから、例えば、この先も堅調に推移して、とらぬタヌキの皮算用と私は申し上げましたけれども、本当に年率換算いくのかといえば、下振れ要因として、御指摘があったように、夏の電力の問題、それからヨーロッパ、アメリカ経済、それぞれにリスク要因になる可能性はあります。

 ですから、私たちとしては、予算を成立させていただきましたけれども、これの執行をしっかりやって、それから復興の三次補正予算、これは昨年来の執行をしっかりやっていきながら、底がたい内需というものをしっかり固めて、その上で、輸出等について、今、円高等の要因で苦しんでおりますけれども、私どもとしては、できるだけこうした貿易の関係も状況をよくしていかなければならない、そのためにさまざまな対策を打っていきたいというふうに思っております。

菅原委員 今、財務大臣からお話があった中で、デフレという言葉が出ましたが、現下の円高、デフレ、この是正と脱却なくして、私は、増税に簡単に踏み切るものではないなと率直に思っています。

 そのデフレ対策が、先般の予算委員会でもここでただしましたけれども、本当に脆弱である。政府も日銀も本当に及び腰であって、自分の責任をどう回避するか、そのことが先に立ってしまって、極めて脆弱である。

 したがって、バレンタインサプライズと言われたあのときのチョコレートはやはり義理チョコだったんだなと改めて思いますけれども、あのときに、もっと、六十兆なんて言わずに、国債の買い取りも含めて、買いオペももっと大胆にやって、バーナンキが言うように、二%のインフレターゲットを設けて、そして、それがしっかりドル高がとまるまで金融緩和し続ける、これをやはり、当然、白川さんもいいところは見習ってやるべきだ、こう思うんですね。

 先ほどフィッチ社の話をしました。これは、いわゆる日本国債がダブルAマイナスからシングルAプラス、一段階下がって、上から五番目の格付になってしまった。しかし、その理由としては、先ほど言ったような政治的なリスクにさらされているから下げたんだ、言ってみれば、その後の国債の状況を見れば、円滑に消化されて、市場の反応も極めて小さかったんだと思うんです。

 ただ、この問題は、やはり、きのうですか、金融政策決定会合で、白川さんのその会合で下した判断というものが、結局、追加緩和策なし。したがって、一気に株価が四カ月ぶりの安値をつけて八千六百円を割って、円もまた急騰している状況。

 こうした中で、市場も、がっかりしたという声と、やはり日銀だという声とさまざまあって、私は、もっと政府、日銀のアコードを結んで、きちっと責任を共有して、二%のインフレターゲットを設けて、物価上昇率できちっと数字が確実なものになるまで金融緩和を進める、マネタリーベースを拡大する、これは当然やってしかるべきだと思うんですね。

 この点、白川さん、何で追加緩和策をやらなかったんですか。

白川参考人 お答えします。

 日本銀行は、先生御存じのとおり、当面、消費者物価の前年比上昇率一%を目指して、実質的なゼロ金利政策と金融資産の買い入れ等の措置により、強力に金融緩和を推進していくという方針を明らかにしております。そのもとで、決定会合におきまして経済金融情勢を丹念に分析しまして、金融政策の効果を見きわめながら政策を決定しております。

 前回、四月二十七日の決定会合では、この先、日本経済は物価安定のもとでの持続的成長経路に復する蓋然性は高いけれども、そうした蓋然性をさらに確実なものとするために、金融緩和を強化いたしました。すなわち、買い入れ基金を六十五兆円程度から七十兆円程度に五兆円増額し、特にその中で、長期国債の買い入れを十兆円程度増額することにいたしました。

 この資産買い入れ等の基金の運営におきましては、金融政策決定会合を開催するたびに基金の規模を徐々に増額していくという方法もあります。例えば、毎回二兆円やりますと、それはその都度金融緩和を強化したということになりますけれども、しかし、私どもとしては、経済、物価情勢や政策効果などを点検した上で、思い切った増額を四月二十七日の段階で決定し、その決定に基づき、現在、金融資産の買い入れを着実に進めているということでございます。

 この基金の残高は、現在五十兆円程度ございまして、来年六月にかけて、さらに二十兆円程度という非常に大きな金額を積み増していくわけでございます。現在、そういう意味では、私どもとしては、金融緩和を着実に推進しているということでございます。

 それから、もっと大胆にという話、あるいはマネタリーベースの話もございました。

 これは別途予算委員会等の席でも再々申し上げていますとおり、マネタリーベースの日本における水準は、先進国の中では日本が最大でございます。それから、そもそも現在はゼロ金利ですから、マネタリーベースだけに着目しましても、これは、金融機関からしますと、この預金を持っても、これは保有のコストがゼロでございますから、ある種のれんに腕押しの状況になっております。したがって、量では金融緩和の度合いははかれないということは、バーナンキ議長自身も繰り返し言っていることでございます。

 いずれにせよ、日本銀行は、この買い入れ基金で買い入れを行い、長目の金利あるいはリスクプレミアムの上乗せ幅、金利の上乗せ幅に働きかけることを通じて、これは懸命に取り組んでおります。日本銀行としてしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

菅原委員 なのに円高が進行している。

 つまり、懸命に取り組んでいる、そしてまた規模は最大だとおっしゃった。しかし、この四年間だけ見れば、アメリカのFRBはドルを三・四倍拡大して、イギリスのイングランド銀行もポンドを三・一倍拡大して、日銀はというと、一・二倍しか拡大をしていない。つまり、これはやはり調整幅なんですよね。つまり、円高に振れるかどうか、この点のある意味では戦略。

 そしてまた、インフレターゲット一%めどということを相変わらず言って、それを変えようとしていない。先進国はみんな二%なんだから、きちっと二パーと銘打って、そこまで金融緩和をしてマネタリーベースを拡大して、当然ゼロ金利もそうでありましょうけれども、さまざまな対策を打っていくこと。

 一円円高になれば、いわゆる日本の主要な企業、大体三百八十社、これで一千七百二十四億円、富が失われてしまう。ましてや、民主党政権になって、十四円前後円高に振れている。それだけを見ると、そこの部分で二兆四千億以上の円高による損失が出ている。

 こうした状況の中で、今般、先ほどお話がありましたように、ギリシャに次いで、これがユーロから撤退するかしないか、またこれについての再選挙が行われる、そして、スペインの債務危機は不動産バブルを含めて大変懸念材料となって、しかも、オランダ首相が突然辞任をする。

 ヨーロッパがこうして大変な混乱を来している中で、だからこそ、きのう総裁言ったんでしょう、最も強く意識すべき要因がこの欧州問題であると。だからこそ、私は、その懸念を強く示したならば、当然、追加緩和策を六月、七月まで温存なんかしないで、今ここでやるべきですよ。どうですか、総裁。

白川参考人 お答えいたします。

 為替相場の動きでございますけれども、為替相場の動きを規定している最も大きな要因は、現在は投資家のリスク回避の姿勢でございます。

 思い起こしてみますと、昨年夏から年末にかけて、欧州債務問題が深刻化する中で、投資家はリスク回避姿勢を強めてまいりました。その過程で、相対的な安全資産と目されることの多い円が買われるということで、円高になりました。

 一方、年明けは、この欧州債務問題について、当局のさまざまな取り組みの結果、リスク回避姿勢が少し後退するということで、円高が少し修正されるということになりました。

 それが、三月後半から、また欧州情勢が深刻化してくるということで、今度また、一旦始まった円高修正の動きが逆に戻るということで、この間の為替相場の動きを最も規定しているのは、投資家のリスク回避姿勢、なかんずく、その背後にある欧州債務情勢でございました。

 それから、マネタリーベースについてのお話がございましたけれども、これは量的緩和を始めた以降の動きを見ても一目瞭然でございますけれども、マネタリーベースの動きと為替相場の動きは、先生が御指摘のような動きにはなってございません。マネタリーベースがふえたときにむしろ円高になり、マネタリーベースが下がった量的緩和解除後にむしろ円安になっているということでございます。

 日本銀行としては、現在行っています基金の買い入れのもとで、デフレからの脱却、物価安定のもとでの持続的経済成長の復帰にしっかり取り組んでいくというつもりでございます。

菅原委員 そうですね、十二、三年の金融政策、あるいは、時には円安状況の中で成長が生まれた小泉政権時代等々含めると、検証して、今後どう対応するかということは極めて大事だと思います。ただし、今、この消費税増税、その環境を進める上で、今の円高の是正、デフレの脱却は、当然、大前提だと思っております。改めてそのことを指摘しておきます。

 最後、小宮山大臣、お待たせしました、ちょっと居眠りをされておりましたけれども。

 今回の法案の中で、いろいろと議論について、私は厚生労働委員会でまたただしていきたいと思うんですが、少子化対策という中に、例えば、働く女性が結婚して、出産して、育児をする。会社に戻ると、正社員であったのが非正規社員になってしまう。あるいは年金が減ってしまう。本当に、また二人目を産みたい、そう思っても、それがかなわない。そういう先輩のOLさんを見ていると、若いOLさんは、やはり結婚して子供を産んだら仕事に戻れないのね、こういう負の連鎖の中で、今、少子化ということにもつながっている。

 私は、保育園をつくる、学童クラブをつくる、整備をする、ハードの面も大事だけれども、むしろ、そうした出産、育児をした女性が会社に戻ったときに、賃金のアップになったり、管理職への道が開けたり、男性には子供を産めませんから、その期間に本当に社会的な役割を果たしているとするならば、そうした新しい発想で制度を創設して、賃金アップや年金の維持につながるような制度をつくるべきじゃないか。

 また、今、二十五世帯に一世帯であったか、定かじゃありませんが、不妊治療をしている家庭、十年で三千万もかけたという家庭、子を授かりたいけれどもなかなかかなわない、こういう方々については、今、不妊治療、わずか適用されている保険は、一割程度の不妊治療しかなっていません。

 これは医療技術の開発ということが伴いますけれども、私は、そういう意味では、こうした不妊治療にも全面保険適用の道を開くべきだと思います。

 東芝という会社の介護休暇をとった社員の六割が男性社員だった。介護施設が圧倒的に足りない。デイサービスも四時半までということは、早引きして会社を休んだり、会社をやめて親御さんの介護に当たる。こういう特に大都市における現実の中で、こうした部分について、今、特別養護老人ホームは社会福祉法人しか整備、参入ができないという現状。

 ここで即、医療法人云々という議論があります。しかし、もっと大局的に、広い意味で少子化対策と介護という現実に日本はしっかり向き合っていかなければいけないと思うんですが、この点……

中野委員長 菅原君、時間が経過してしまいました。

菅原委員 はい。最後に答えてください。

中野委員長 いや、答弁いただく時間が残念ながらございません。

 これにて菅原君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 きょうは、岡田副総理にも初めて質問させていただきますので、岡田副総理のように上着もとらせていただきまして、腕を組んだり足を組んだり、上から目線と言われないように、フランクに厳しく質問させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 私も、伊吹先生がおっしゃっていたように、この民主党さんの二〇〇九マニフェストというのは政権交代をなし遂げた歴史的文書だと思うんですね。そういう意味で私もよく愛読をさせていただいておりまして、後世の歴史家がこれを見るかもしれません。その意味でも、国会においてきちんと総括しておく必要があるんじゃないかなというふうに思います。まず、その意味では、国民の率直な疑問に答えることが大事ではないかなというふうに思っています。

 第一の疑問は、民主党の党首をされた、また岡田副総理ほどの人物であれば、リーマン・ショックという百年に一度と言われた世界金融危機の深刻さとその後の財政の厳しさも当然おわかりになっていたんじゃないか。にもかかわらず、ここにあります二〇〇九マニフェストにありますように、無駄を省けば十六・八兆円の財源を生み出すことができて、このマニフェストが実現できるというのを心底、本当にこれを信じていたのか。まず、この点につきましてお伺いしたいんです。

岡田国務大臣 私は、二〇〇九年選挙のときの幹事長であります。五月に小沢代表がやめられて、鳩山さんと私で代表選挙をやって、鳩山さんが代表になられました。そのもとでの幹事長ということになりました。

 選挙までは三カ月ほどしかございませんでしたが、そういう中で、マニフェストについて、もう一度私なりに見直しをさせていただきました。当初は、これは十六・八兆じゃなくて、たしか十九・何兆、二十兆近かったと思います。それはやや過大ではないかということで、党内で議論させていただいて十六・八兆ということにさせていただきました。

 それから、マニフェストをごらんいただくと、このコピーしていただいた中にはないんですが、これは歳入の方ですが、歳出の方では十三・二兆という数字が出てまいります。子ども手当とか高校の無償化とか年金制度の改革とか、全部合わせて十三・二兆。それに加えて、財源を確保しつつ三・六兆円実施して、合計十六・八兆。そういう記述にしてございます。そういう意味では、ペイ・アズ・ユー・ゴーで三・六兆というバッファーを置いたということでございます。歳入改革で十六・八兆という数字が、全部は実行できないかもしれない、そのためのバッファーとして三・六兆を置くということにさせていただきました。

 ここまでできましたので、私は、なかなか大変だけれども必ずしも実現できない数字ではない、そういうふうに当時考えた次第でございます。

竹内委員 私は、マニフェストで掲げたことが全部できないということもあるとは思うんですね。それはあると思う。しかしながら、今回なぜ問題になっているかというと、このマニフェストに書いていなかった消費税を上げるということになったから、そうなると、では、まずマニフェストに書いてあった十六・八兆円の財源を生み出すということは一体どうなったんですかと、当然国民から見たら聞かざるを得ないと思うんですよね。それが普通の考え方だと思うんですね。そのうち三・九兆円ほどしか恒久財源が見つからなかった、こういうことですよね、先日の本会議の答弁によりますと。

 そういう意味では、この程度にとどまった理由というのはどういうふうにお考えでしょうか。

岡田国務大臣 このマニフェストは恒久財源だけではないんです。このコピーしていただいた資料にも書いてありますが、九・一兆は、ある意味では無駄遣いをやめて生み出す、そういったお金でございます。それに加えて、埋蔵金や資産売却によって五兆、それから租税特別措置などを見直して二・七兆ということで、全体が恒久財源ということでは必ずしもない。少なくとも、五兆は一時的な財源として、四年間はこういったことが可能だろうということで計上されたということであります。

竹内委員 そうですよね。だから、善意に解釈して五兆引いても、十二兆円ぐらいは恒久財源を出すという仕組みですよね。

 先ほど小泉さんの街頭演説の話もされましたけれども、私も岡田さんの街頭演説をちょっと拾わせていただいたんです。二〇〇九年八月十一日のときに、きょうはあえてペーパーは配らなかったんですが、こういうふうにおっしゃっています。

 財源がないという批判もある。私たちは、二百兆円ある一般会計と特別会計、この中で約九兆円の金をつくり出すと言っている。与党はそんなことはできっこないと言う。できっこないのは与党だ。彼らは自分たちができないからできないと言っている、私たちはそれをやる。一から制度を見直せばできるんです、皆さん、こういうふうにおっしゃっているんですね。

 これに対して、岡田副総理はどういうふうにお答えされますか。

岡田国務大臣 そこで一時的財源を含まずに九・一兆と自分で言っていたことを聞いて、ちょっと安心をいたしました。

 この九・一兆の中でできたものは、例えば公共事業、一・三兆と書いてありますが、これはきちんと初年度からできているということであります。

 人件費は、御案内のように、この前の各党で合意していただいた引き下げも含めて、その前からやってきた部分もあるんですけれども、今五千億ぐらいはできている。しかし、まだ二割には届いておりませんので、今懸命の努力をしているところでございます。

 それで、一番の問題は、やはりここの六・一兆の部分であります。ここが、我々は二割、三割ぐらい何とか出せないかということで考えたわけですが、残念ながらそう簡単にはこれは出てこない。いろいろな努力を今させていただいております。

 したがって、これから効果が出てくるものもありますけれども、しかし、すぐにという形では、事業仕分けなどをやりましてある一定のお金は出てきていますが、六・一兆という額には到底及ばない結果になっている。ここはやはり見通しが甘かったということは事実で、昨年の夏、私が幹事長として党の方で取りまとめさせていただいたマニフェストの中間評価の中でも、その見通しの甘さについておわびを申し上げなければいけないというふうに総括したところでございます。

竹内委員 今の御発言は大事だと思うんですね。きょうは質問通告を割合細かくしていますので、先回りして答えていただいておるわけですが。

 そこで、ちょっと各論に移りますが、補助金の見直しに伴う事務費や人件費の削減についてというところでありまして、先日の代表質問で私の質問に対して、総理は、補助金の見直しに伴う事務費、人件費の削減については、その効果を定量的に示すことは困難だ、こういうふうに答えられたんですね。しかし、この二〇〇九マニフェストでは、先ほどの六・一兆円のところですね、この右の真ん中のあたりに「補助金改革で関連の事務費、人件費を削減。」と明確に書かれているわけですね。定量的に示すことが困難というものをなぜここでこういうふうに書かれたのか、この辺、ちょっとお答え願えますか。

岡田国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がよくわからなかったんですが、人件費は二割削減で一・一兆出すということがマニフェストに書かれたことです。そこについては、約半分は実現できている、しかしまだ半分が残されているということを申し上げたところで。この人件費じゃないところの御指摘ですか。

竹内委員 私の言っているのは、六・一兆円の、この庁費等、委託費、施設費、補助金とありますね。そこの説明の中の二番目の丸のところで、「補助金改革で関連の事務費、人件費を削減。」こういうふうに書かれているわけですね。これについてどうなったかと聞くと、いや、ここは定量的に示すことができないんだ、こういうふうにおっしゃったんですね。そうすると、この辺、どういう計算根拠になっているのか。

 そういう意味で、まずは、この庁費等、委託費、施設費、補助金で六・一兆円節約とありますけれども、これをどうやって算出されたんですかね。

岡田国務大臣 マニフェストで書いたときは、これはたしか一割削減ということで、積み上げではございません。

竹内委員 つまり、二十一年度の予算案を、この庁費等のところを全部足して、それに一〇%掛けただけ、こういうことですね。よくわかりました。それで六・一兆円になった、こういうことですな。そういう程度のマニフェストであったということが明らかになったということだと思います。

 次に、この一枚目にもありますように、天下りということがあるんですが、天下りの定義につきまして、二〇〇九マニフェストにおいてはどのように規定されていましたか。

岡田国務大臣 天下りの定義につきましては、政権交代後に平成二十三年二月の予算委員会で、例えば、自民党の平議員に対して、当時の中野公務員制度改革担当大臣の方から、「府省庁が退職後の職員を企業、団体等に再就職させることをいっていることは、もちろん御存じのとおりでございます。したがって、公務員が、法令に違反することなく、府省庁によるあっせんを受けずに、再就職先の地位や職務内容等に照らして適材適所の再就職をすることは、天下りの概念に入っておりません。」こういうふうに言われているところでございます。

 なお、若干このこととは矛盾するかもしれませんが、このお配りいただいたマニフェストの中にも、「ムダづかいをなくすための政策」、その最初に書いてあるのは、「天下りのあっせんを全面的に禁止します。」というふうに申し上げてきたところでございます。

竹内委員 ということは、あの二〇〇九のときも現在も、天下りの定義は、府省庁のあっせんによるものだと。天下りの定義は、二〇〇九年のときも現在も、天下りという定義をすると、府省庁のあっせんによるものを天下りという、こういう理解でいいわけですね。

 そこで、では、二〇〇九年マニフェストの時点では、府省庁によるあっせんを受けた天下り、管理職相当はどのぐらいあったのか、そしてまた、現在、二〇一一年では同じ府省庁によるあっせんを受けた天下りは何名か、質問通告をいたしておりますので、お答えください。

川端国務大臣 現行の国家公務員法は、平成二十年、二〇〇八年の十二月三十一日に施行されておりますので、その当時から府省庁による再就職のあっせんは法律で禁止をされました。したがいまして、この施行後である二〇〇九年あるいは二〇一一年は、いずれも府省庁による再就職のあっせんは行っていないということになっていることでございます。

 二〇〇九年の法改正に基づきまして、官民人材交流センターによる再就職あっせんはやってもいいということで、この件で、二〇〇九年は四百九十八件行われているところでありますが、政権交代後は、内閣の方針としてこれも行わないということで、この人材交流センターによるあっせんもないということでありますが、府省庁によるあっせんという意味では、いずれもゼロ件でございます。

竹内委員 この過去の経緯、私どももよく理解しているわけです。

 平成十九年に、自公政権のときに、あっせんとわたりを禁止した。その施行が平成二十年十二月三十一日だった、これも自公政権のときですが。同時に、官民人材交流センターが発足いたしましたので、それから民主党政権が発足するまでの九カ月間ほど、一応まだ紹介をしているということで、これもあっせんのうちに入るといえば入る、こういう理解だと思います。ところが、平成二十一年の九月二十一日に民主党政権が発足して、この官民人材交流センターも全部禁止しましたので、ゼロになっている。形式的にはそういう理屈ですよね。

 形式的にはそうなんですが、現役出向等の問題もありまして、平成二十三年二月に衆議院調査局がまとめた最近の天下り・渡りの実態に関する予備的調査、これは自民党さんの有志の方々が要請されたんですが、これによると、政権交代から約一年間で、政府とつながりの深い法人に再就職した中央省庁出身者と現役出向した国家公務員数は四千二百四十人となっているという数字が出ているんですね、民主党政権になってから一年間で。この辺をどういうふうに評価するか。

 この辺はどういうふうに評価されますか。

岡田国務大臣 御通告いただいておりましたので、数字をちょっと見てまいりましたが、全体四千二百四十人、再就職しているということでありますが、そのうちの二千百三十九人は独法等への現役出向であります。したがって、これを除く二千百一人というのが再就職者ということになります。

 この二千百一人の再就職者の中で六百九十三名は、社会保険庁廃止により日本年金機構に再就職した者でございます。ですから、これも差し引くとすると、千四百八名がそういう意味では純粋な再就職をしているということでありまして、この千四百八名につきまして、国家公務員法等で禁止されたあっせんを伴うものでないというふうに認識しているところでございます。

 なお、このことと直接関係ありませんが、最近政府で何が起こっているかというと、なかなかやめていただけないという現象が起きているわけでございます。

 勧奨退職の人数を調べますと、平成二十年には全体、常勤職員で三千三百六十九人おられました。それが平成二十二年、二年後には千七十二人ということでございます。

 それから、行政職の俸給表(一)、行(一)では、平成二十年には千六百四十三人、それが二年後には四百七十九人ということで、激変しているわけでございます。

 これは、結局、そういうあっせんをしていないことの裏返しの結果の一つなのかな、そのものではございませんが、というふうに思っておりまして、結局、あっせんをしないことで勧奨退職の対象者が減っている、長くやめずにとどまっておられるということかなというふうに思っております。これはこれでまた一つの問題かというふうには思っています。

竹内委員 そうですよね。ですから、給与法が、給与体系が民間と違って、途中でこう右下がりになりませんので、どんどん上がっていくばかりでありますから、結果としては人件費は増大していく、こういう構造になるわけですよね。この辺をどうするかという問題があります、一つは。これはよく考えないといけないというふうに思っています。

 もう一つ、一応、形式論理的には天下りは根絶できた、こういう評価でいいですか、民主党は胸を張って。

岡田国務大臣 もしあっせんをしていれば、これは法令違反ですから、そういうことはないというふうに考えております。

 ただ、委員も先ほど御指摘されたように、現役公務員も全体に高齢化してしまうということもありますので、今有識者の中で御議論を始めていただいているところですが、やはり早目に、四十代、五十代で第二の人生を歩んでいただけるような道もつくっていかなきゃいけない。

 それをみずから選び取っていただくためには、あっせんはいたしませんが、いろいろな研修とか、それから民間のそういったマッチングの会社などがあります。そういうところを御紹介するとか、いろいろなそういったサービスを行う中でもう少し流動化を進めていくべきではないか、そう考えて、今いろいろと検討を行っているところです。

竹内委員 それと、これはマニフェストでも書いてあるんですが、民主党さんが政権交代前にあちこちで、いろいろなテレビ等にも出演されておっしゃっていたことは、先ほどの庁費等の、この六・一兆円の一番上のところですよね。つまり、「天下りの在籍する独立行政法人、特殊法人、公益法人などへの支出(一年に約十二兆円)」この額ですよね。

 これは皆さんが予備的調査をされて、一生懸命積み上げられた数字だったと思うんですよ。これが要するに天下りを支えているんだ、天下りあっせんを支えるために十二兆円という無駄な、壮大な金が使われているんだ、天下りを根絶すれば十二兆円はなくなるんだというふうに相当の宣伝をされたわけであります。

 この天下り法人への支出十二兆円は、その後いかがなりましたでしょうか。

岡田国務大臣 まず、十二兆円が全部なくなるとか、さすがにそこまで言った人はいないんじゃないかと思いますが、かなりそこに無駄があるということは申し上げたと思います。

 確かに、独立行政法人や公益法人の中で、きちんと仕事をしていただいているところがほとんどだと思いますが、公益法人の中には、天下りのためにつくられた、そういうふうに言われても仕方のないようなところもあることも事実でありまして、そういったことについてしっかり見直しをしていくことで無駄が省けるというふうに当時申し上げましたし、そのこと自身は私は間違ったことではもちろんないし、今も現にそのためのいろいろな作業を行っているところでございます。

竹内委員 国民の認識は決してそんなことではなくて、とにかく天下りあっせんというのはとんでもない、国家公務員というのはとんでもないんだと。そして、自公政権はわたりやあっせんを支えるために十二兆円の支出、こんな無駄があるというのは物すごい勢いで広まったと思いますね。これも政権交代のかなりの、まあ、これは間違った宣伝だったと思いますね。

 実際、先日の本会議の総理答弁では、私はこの点を聞いておるんですが、これは三千億減りましたとおっしゃっていた。十二兆円のうち三千億しか減らなかった。これはちょっと、かなり少な過ぎるんじゃないんですか。

岡田国務大臣 三千億というのは、独立行政法人の事業費が全体で三・四兆、政権交代前に。独法への支出ですね、一般会計からの。それが、三・四兆が、二十四年度予算では三・一兆になっている。

 この中には、被災地で活動している独法、URなども含まれますので、そういうものを込みでも〇・三兆円、約一割の削減が実現しているということでございます。

 全体としては、事業仕分けやあるいは独法の仕分け、特別会計の仕分け、そういった一連のものを行ってまいりまして、一・三兆円の歳出削減を実現したところでございます。

竹内委員 つまり、ここに十二兆円の支出を削減すると書いてあるが、一・三兆円の削減にとどまった、こういうことですね。大体十分の一以下だ、こういうことです。

 つまり、当時の、やはり私もよくテレビを見ておりましたけれども、そこへ出ておられた多くの方々の、議員さんの言い方とかあるいはそこでのコメンテーターの理解、司会者の理解等は、天下り法人への支出に十二兆円の無駄があるんだ、これはとんでもない話だ、こういうことだったんですが、結局、一・三兆円の削減にとどまって、形式論理的には天下りは根絶したということになっているけれども、この十二兆円はそんなに削減できませんでした、こういう結果になるわけであります。

 ということは、もっと正確にやはり言うべきだったと思うんですよ。つまり、無駄な十二兆円ではなくて、それなりに、独立行政法人やそれからさまざまな法人において、やはりきちんと必要な事業はあったんだ、そんな、天下りを維持するためだけに十二兆円使っていたわけではなくて、やはりそれなりに必要な事業が残っているんだということは、正確に言う必要があるんじゃないでしょうか。

岡田国務大臣 先ほど言いましたように、十二兆全部が無駄遣いだという言い方は、私はさすがになかったと思うんですね、かなりの無駄があるという言い方はしたかもしれませんが。そして、その中の一・二兆について、これは削減できた。

 これはまだ現在、継続中でございます。いろいろな努力を今行っていますが、例えば、公共調達といいますか、政府が物を購入するに際して、きちんと競争入札で、そして効率的な購入がなされているかとか、そういったことも、党の力もかりまして今進めているところですし、これは不断の見直しが必要なものだと思います。

 それからもう一つ、私のもとで今、有識者で御議論いただいているのは、IT化、情報化ですね、政府の。これはもちろん、当面はお金がかかったりしますが、かなりの、全体のIT投資も効率化につながるわけでございます。

 そういった、行革というのは不断の努力ですから、マニフェストの四年間で完全にはできなくても、四年間できちんと基礎だけは築き、その後何年かする中でそれが定着していく、そういうものも含まれております。そういう意味では、かなり努力させていただいているし、そう大きくマニフェストと離れているわけではないというふうに考えております。

竹内委員 いや、そう大きく離れているわけではないと言うが、かなり離れていると私は思いますね。先ほどの話でも、九兆円の金をつくり出すとおっしゃっていたけれども、かなり少ないんじゃないでしょうかね、ここで出したお金というものは。一・二兆円。総トータルで十二兆円、五兆円まけてあげたとしても、十二兆円のうち三・九兆円ぐらいでしょう。達成率はかなり悪いですよね。そこは正直に認めないといかぬと思いますよ。

 それで、次の質問に移りますが、年金制度についての質問に移ります。

 私も、やはり一応、消費税を引き上げるという問題に当たって、この前提条件をきちんとクリアしていく必要があるというふうに思うんです。そういう意味では、繰り返しになりますが、岡田副総理の過去の言動をやはり一度きちっと検証しておく必要があるということで、議事録を持ってきました。

 これは平成十七年の議事録で、非常に読み応えがあるんですよ。岡田さんと小泉総理のやりとりがずっとありまして、この四ページのところで、上から三段目で、傍線を引っ張ってあるんですが、年金の問題に入りまして、「さて、年金の問題ですが、私たちは具体的な案を出して議論しようと言っているわけですよ。」と。それからずっと飛びまして、傍線部分、「例えば、総理、国民年金についてどう思われますか。私は、国民年金制度は事実上壊れていると思いますよ。」こういうふうにはっきりおっしゃっているわけです。

 それでまたずっとあって、小泉さんが反論されて、いや、壊れていないと。四段目に行きまして、岡田さんがまた、「総理、是非聞いたことに答えていただきたいんです。 私は今、一元化の話をしたんじゃないんですよ。国民年金制度が事実上破綻しているということについて聞いているわけですよ。」こう繰り返し念を押されているんですが、国民年金制度はやはり破綻しているんですか。

岡田国務大臣 これは昨日もたしか申し上げたと思いますが、国民年金制度の中そのものは、これはきちんと給付が確保できる計算になっているということであります。

 ただ、国民年金に本来加入すべき人たちが、多くが無年金者になっているという意味では、本来の国民年金制度の趣旨を果たしていない、趣旨を実現していない。そういったことがないようにしなきゃいけない。所得の少ない方、あるいは意思を持って国民年金に入らない方、そういった方々がないような、そういう国民年金制度にしなければいけない、あるいは最低保障年金制度にしなければいけない、そういうことでございます。

竹内委員 そういう意味では破綻しているんですか、それとも破綻していないんですか、どちらですか。

岡田国務大臣 今動いている国民年金制度としては、これはきちんと給付は確保できるということであります。しかし、本来の目的からいうと、決して望ましい状態ではないというふうに思います。

 破綻するという言葉はややきついと、きのうもちょっとおわびを申し上げたところであります。

竹内委員 そうですね。制度の維持はまだいろいろ工夫をすれば可能だ、破綻はしていないということですよね、正確に言うと。そういう意味では、大いに反省をしていただく必要があると思うんですね。

 これは私どもの斉藤鉄夫幹事長代行にもおっしゃったことですから、私どももそこは認識をしておりますけれども、あのとき斉藤も申し上げたとおり、やはり政権交代の大きな原動力になったのは、年金制度が破綻しているという、この大悪宣伝は物すごい勢いがあったと思いますね。本当にこれは、国民の中でも特に若者の年金不信をあおって増幅させたと思います。その罪は、やはり民主党さんは重いと思いますよ。

 ですから、いまだに若い人たちは、国民年金なんか入らない、自分で自分の老後は稼ぐというふうに言っている人がいっぱいいるんですよね。年金はもう壊れているんでしょうと。私なんか、最近よく若者と懇談会をしますけれども、二十代、三十代の方々、年金制度について全く信用していない。それを一から、イロハからまた説明をするのに四苦八苦。

 これは本来は、岡田副総理初め、やはり、もっとこの国会の場で、消費税の前に、年金制度は破綻していません、大丈夫です、ただ、工夫の余地は必要だ、しかし破綻はしていないんだ、大丈夫だということをきちっと言ってもらう必要があると思うんですよ。いかがですか。

岡田国務大臣 先ほど申し上げましたように、今の年金制度に加入しておられる方がきちんと給付を受けられるという意味では破綻はしておりません。ただ、本来もっと加入してもらわなければいけない方々が入っていない。

 それは、もちろん年金不信という中で入っておられない方もいますが、例えば、それはもう最悪、生活保護で受ければいい、余り給付の水準も変わらない、あるいはむしろ生活保護の方がいいぐらいだから保険料を払う必要はない、そういうふうに判断している方もいらっしゃるわけであります。それから、国民年金は半分税金ですから、その分の財源がきちんと用意できるかどうかという問題もあるわけですね。

 やはりそういうことについてきちんと手当てをして、もちろん、今我々は、当然給付は保障されていると申し上げますが、より安心感を与えていく必要がある、そういうふうに思っているところでございます。

竹内委員 何か反対だと思うんですよね。私どもは、一生懸命、野党なんだけれども、安心してください、大丈夫だといって国民を説得しているわけですよ。何か与党側の方が非常に客観的な、安心感を与えていく必要があるというふうな言い方ではだめだと思うんですよ。インターネットでもこのシーンを見ている人はいっぱいいるわけだから。やはり、大丈夫ですよ、工夫さえすれば十分やっていけますというふうにメッセージを送らないといかぬと僕は思うんです。

 もう一点。この五ページ、一番上のところですが、「そして、一元化の話は、総理、」これは小泉総理ですね、「まず共済年金とそして厚生年金を一元化するのか、一挙にするのか、これは二義的な話ですよ。それは後で議論したらいいんですよ。しかし、まず全体、すべてを一元化するというそういう絵をかいて、そしてその上で段階を踏んでいくのか、あるいは一挙にやるのかと、こういう議論であって、まず絵をかくかどうかのところの問題なんです。」こういうふうに岡田さんがおっしゃっているわけです。

 ずっと左へ行きまして、「こういう時代にあって、あるいは会社、正規社員だけじゃなくて、パートや派遣、そういった新しい事態に対応した新しい年金制度をつくらない限り、私は一部の限られた人だけの厚生年金になってしまう、そういう認識に基づいて一元化の議論が必要であると申し上げているわけです。」こういうふうにおっしゃっているわけです。

 それに対して小泉さんが、次の二段目ですね、「民主党が案を持っているんならまずそれを提示して、そしてそれから協議を始めていこうというのがどうしておかしいんですか。自民党それ拒否してないんですよ。どうぞ出してくださいと、案を。」と、往年の姿をほうふつとさせるようなところですが、それに対して岡田さんがまた、この左へ行きまして、「総理にお願いは、民主党に案を出せ、案を出せは結構です。我々は出します。だけど、お互い具体案を持ち寄って議論しようというのがこの合同会議の前提ですよ。」こういうふうにおっしゃっているわけです。

 そういう意味では、この言い方からすると、被用者年金を一元化するとかそういうのは二義的な話で、まずは一元化するという話が大事だ、こういうふうにみずからおっしゃっているわけですね。

 そういう意味では、我々も、まずはやはり民主党さんの、もう七年もこれからたっているんだから、民主党としての一元化の絵を出していただいて、それで初めてこの一体化の消費税の議論になるんじゃないのか、こういうふうに申し上げているわけですよ。

 全て岡田副総理のおっしゃっているとおりに我々は進めているわけでありまして、そういう意味では、もしこのとおりするのであれば、今すぐ法案を出すか、あるいは来年まで待つか、一年待つか、法案を出せるまで。あるいは、もう法案を出すのは諦めます、撤回します、皆さんのおっしゃるとおり、まずは一つずつ段階を踏んでやっていきますという議論にするのか。これしかないと思うんですよ。そういう意味ではいかがですか。

岡田国務大臣 ですから、ここで案を出すというのは、もう既に我々は基本的考え方はまとめたものがあるわけです。細かい具体的な数字をどうするか、もっと言えば、最低保障年金、税を投入する部分のその面積をどうするか、そういう議論は残されておりますけれども、基本的考え方はありますので、御議論いただけるというふうに思うわけですね。

 ただ、これ、平成十七年、今から七年前ですから、七年たってまた同じような議論をしているということに対して、これは国民に対して大変申しわけないという気持ちはございます。

 ただ、ここで、私が小泉総理にお願いして、衆参の合同の検討会をつくったんです。その中で、思ったように議論が進まないという中で、この党首討論での議論になっているわけですね。

 委員はこれは飛ばされましたけれども、四ページの一番下の欄の右の方を見ていただきますと、小泉総理はこの党首討論の中で、「まずは、一挙に今、国民年金と厚生年金、共済年金を一元化というよりも、段階を踏みましょうと言っているんでしょう。これがどうしておかしいんですか。」つまり、小泉総理も、三つの年金制度を一元化するということを展望して、その上でまずは被用者年金を一つにしましょう、こういうふうに言われたわけですね、党首討論の中で。

 そういったことも含めて、私はぜひこの合同委員会で議論したいというふうに思ったわけであります。残念ながら、それはそうならなかった。そして、突然の郵政解散の中でこの委員会は途切れてしまった、こういうことでございます。もし郵政解散がなければ、私は、この委員会の中でもっと各党で議論が深まったのではないか、そういうふうに思うと大変残念でならないところであります。

竹内委員 それは言いわけですよね。やはり岡田さんの論理は、出す出すとおっしゃっていたんだから。それを出しておられないわけだから。しかも、福田総理のときは、その協議会をやろうということで自公政権が呼びかけたけれども、出てこられなかったわけでありますから、ここはやはり、ちょっとそういう言い方は潔くないと思いますね。やはりさっさと撤回するか、あるいは来年まで待ってくれと言うか、そのどちらかしかないと私は思います。

 時間が参りましたので、これで終わります。

中野委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。午前に引き続いて質問をさせていただきます。

 全日本民医連が毎年行っている国保の死亡事例調査が、ことし二月、六回目の調査として発表されました。「助かったはずの六十七人の「いのち」」このように題した調査であります。

 資料の一枚目に、数字を示した資料をつくっておきました。これは、最初に発表した〇五年から一年間の数字が二十九名だったのが、一一年は六十七名と二・三倍にもなっているわけです。ただし、これは民医連の病院、診療所などのケースの積み上げでありますので、当然、氷山の一角にすぎません。

 例えば、肺結核で亡くなった五十四歳の男性は、十日前から何も食べていないと言われました。無保険、無収入、所持金は千七百円で、週明けにも生活保護を申請する予定だったといいます。

 あるいは、急性心不全で亡くなった五十一歳の男性は、資格証明書でした。医療費が払えず、ライフラインもとめられ、ろうそくの差し入れをもらって暮らしていました。持病の治療も中断、入院も拒否し、自宅で死亡しているのが見つかりました。

 深刻な事例がたくさん報告されております。生活保護の対応など、多分課題は複数あると思うんです。ただ、最大の特徴は、この棒グラフの中に「無保険など」と書いておきましたけれども、無保険あるいは資格証明書、短期証など、正規の保険証のない方が約六割、こういう実態なんです。

 この問題は、私自身、国会でも繰り返し取り上げてきました。そのたびに、確かに滞納すれば保険証の返還を求められると条文上はあるんだけれども、特別な事情のある人にまでそこまではしないということは答弁されてきたことだと思うんです。なのに、なぜこうした事例が後を絶たないんでしょうか。小宮山大臣に、まず。

小宮山国務大臣 被保険者資格証明書については、一年以上保険料を滞納している人に対しまして、事業の休廃止ですとか病気など保険料を納付することができない特別の事情がないこと、これをきちんと確認した上で、被保険者証の返還を求めて、交付をしているものです。

 この仕組みは、市町村が滞納者としっかり接触をする機会を持つ、保険料の減免ですとか分割納付も含めた納付相談をしたり、個々の事情にきめ細かに対応を行うために、こうした仕組みが必要だと考えています。

 運用に当たりましては、先ほど委員も言われた、特別な事情などにはちゃんと対応するなど、機械的にやるのではなくてきめ細かくやるようにということはそのように言っておりますので、特別の事情を適切に把握すること、それが必要だというふうには考えております。

高橋(千)委員 そのきめ細かくが、なかなか現場ではなっていないわけですよね。

 例えば、短期証が一月とか短い期限ですと、毎月毎月行かなきゃいけない、そのたびに払えと言われても払えない、そういういろいろな事情がある中で、やはり対応が逆に厳しくなっているというのが特徴ではないかと指摘されているわけなんです。

 実は、この資料を見ていただくとわかりますように、一〇年は七十一名で、若干ですが死亡者が減っております。これは、民医連はこの間、全国に無料低額診療所をふやしてきており、これは国の方で審議会などを経てこの無料低額診療所の必要性が認識をされたということが契機になったわけですけれども、〇七年のときは六十でした。それが二〇一〇年は二百八、昨年は二百五十八と飛躍しているんですね。ですから、この無料低額診療所があって助かった命もあった、そういうこともぜひ御紹介しておきたいと思うんです。

 ですから、政府には、無保険がなぜこう起きるのかという実態をぜひ掌握していただいて、保険料を払えないことで命を落とすなんて、そんなことはない政治を実現してほしいと思います。後の質問に加えて、ぜひ、このことで大臣の決意をお答えいただければありがたいと思います。

 それで、国保がやはり命に直結するということは論をまちません。そこで、実は、年金保険料が高くて払えない方でも、国保はやはり命に直結するということで払っているということが結構あるわけなんですね。その数字、過去二年間全く納めていない一号期間滞納者で、国保の保険料を完納している方、どのくらいいらっしゃいますか。

小宮山国務大臣 初めに、先ほど、その前にもう一言答えてほしいということでしたが、委員がおっしゃるように、保険証がないことによって命を落とす、そういうことはないようには極力努めていきたいというふうに思います。

 そして、今の御質問ですけれども、平成二十年国民年金被保険者実態調査、この調査によりますと、国民年金の一号期間滞納者のうち、国民健康保険の保険料を完納している人の割合は五七・五%です。

高橋(千)委員 今御報告いただいたように、五七・五%なんですね。丸々年金保険料を払えないけれども、しかし国保は、やはり病院にどうしても行かなきゃいけないからということで納めている、全月納めている方が六割近くいるというのが現状なんですね。

 それで、やはり多くの方は、将来の年金は大事だとわかっている、わかっているけれども、とりあえず目の前の国保を払うのでもう精いっぱいというのが、本当に深刻な実態、現状なんだと思うんです。

 問題は、ここに政府が着目して、平成十九年の年金法の改正のときに、国民年金の保険料の滞納者に国保の短期保険証を出すという制裁ができるようにいたしました。

 私は、制度が違うんだからこんなことはやるべきではない、必死でとにかく保険料だけは払っているという人に、その人に保険証を出さないということでのやり方、これはやはりやるべきではないと思いますが、大臣の認識と、現実どうなっているか伺います。

小宮山国務大臣 これは、今委員がおっしゃったように、平成十九年の国民年金事業等の運営改善のための国民年金法の一部を改正する法律、これによって制度化をされたもので、国民年金保険料を納付していない住民に対しまして、市町村が国保の短期被保険者証を発行できるようにしているということです。

 実際に国民年金が未納であることを理由に短期被保険者証を発行している実例については、承知をしていません。

 短期被保険者証の発行に限らず、国保と国民年金の連携によりまして、年金の未納者対策、これを図っていくということは重要な取り組みだと思います。ただ、おっしゃるように、制度が違うのにという御意見があることは承知をしています。

高橋(千)委員 承知をしているということではあったけれども、やるべきではないということに対しては、やるというお答えなんですか。

小宮山国務大臣 この短期被保険者証、これは、通常の被保険者証と比較して、さっきおっしゃったように、期間が短いので更新に行かなきゃいけないということはありますけれども、これによって受診を抑制しようとするものではないので、こういう形の法改正がされて制度化されているものでございますので、こういう形で今運用をしているということです。

高橋(千)委員 非常に残念な答弁だと思います。最初におっしゃったように、保険証がないがために命を落とすようなことがあってはならないということをおっしゃいました。だからこそ、苦しい中でも納めている方に対して、やはり、では年金を払わない人は保険証そのものを取り上げるぞということになってはならないんです。

 ですから、最初にお答えいただいたように、無保険者の実態調査などもしていくということでありましたので、こことあわせて、本当に検討していただきたい、見直していただきたいということを重ねて指摘をしたいと思います。

 それで、年金保険料の問題なんですけれども、実はこんな相談がありました。

 国民年金を滞納している三十一歳の息子さんと同居している親御さんです。突然、父親の口座から四十万円差し押さえられました。息子は仕事をやめて五年間無職であり、確かに未納があります。ただ、親の口座は、当然複数あるわけでして、その中でも四十万引かれたというのは、そんなに金があるという意味ではなくて、固定資産税とか自動車税とか、ちょうど納期であるということがあって、支払いでまとめていたんですね。税金を支払うためにまとめていたところに狙い撃ちをされた。

 そもそも、何で親の口座がわかっているんですかということなんです。これ、一般論でいいですので、どういう仕組みになっていますか。

小宮山国務大臣 今、一般論でいいということでございましたので、一般論として申し上げれば、保険料の納付義務は、被保険者本人のほか、世帯主にも課せられています。まずは、滞納者本人の財産調査を実施しまして、本人の財産が確認できなければ、住民票によって連帯納付義務者を確認してその財産調査を行っているということです。

高橋(千)委員 要するに、財産調査といっても、普通はわからないわけですよ。そうすると、銀行に片っ端から電話をかけて、おたくには誰々さんの口座はありますかと聞いたりするのかしら。田舎だとそんなに幾つも銀行はありませんので、訪ねていくと、玄関に青森銀行とかいうカレンダーがあって、ああ、この人はきっとここに口座があるんだなみたいな、そういうことをやる。いや、安住大臣、笑っていますけれども、国税庁がそういう説明をしてくださいました。そういうことなんです。

 そういうことですね、大臣。

小宮山国務大臣 それはもう、支払うべき方にお支払いいただくためにさまざまな努力をしているということはあるのだと思います。

高橋(千)委員 そういうことまでするのかということが言いたいわけです。

 それで、国税徴収法に準じているわけですよね。国税通則法第四十六条には納税の猶予というものがありますし、滞納処分に関する猶予及び停止というものがありまして、百五十一条、その中には、「その財産の換価を直ちにすることによりその事業の継続又はその生活の維持を困難にするおそれがあるとき。」要するに、身ぐるみ剥いでしまって、暮らしていけないということはさすがにしませんよということ。

 それから、「換価を猶予することが、直ちにその換価をすることに比して、滞納に係る国税及び最近において納付すべきこととなる国税の徴収上有利であるとき。」と規定をして、猶予または解除の規定を置いています。

 つまり、商売道具を取り上げてしまったら、商売ができないから、お金も入ってこない、そうしたら払うことができないじゃないか、そういう考え方がきちっとあるわけですね。

 こういうふうに、個別に事情をよく聞いて対応するということになっているはずなんです。現場ではさまざまな問題がありますが、その立場は、本来、年金保険料においても同じだということを確認します。

小宮山国務大臣 これは年金保険料につきましても、今おっしゃったように、丁寧に対応をするということが必要だと思っていますし、そのようにやるべきだと思います。

高橋(千)委員 そのようにやるべきだとおっしゃいました。

 そこで、年金保険料がほかと違うのは、日本年金機構滞納処分等実施規程では、第九条において、「機構は、国税滞納処分の例による処分に関する要件を満たす保険料等について、毎月一定時期を定めて、厚生労働大臣に対して滞納処分等の認可の申請をしなければならない。」と書いています。

 つまり、滞納処分を行うかどうかは、厚労大臣、あなたの認可だということになります。ですから、先ほどのカレンダーの話じゃないけれども、四十万円丸々差し引くのがいいかどうかも含めて、大臣が認可をすることになっているわけです。

 そういうことについて、本当に適正にやられていると自信を持って言えますか。

小宮山国務大臣 国民年金保険料の未納者に対しましては、その未納者の属性に応じたきめ細かな対応を実施しています。

 免除の対象となる低所得者に対する免除制度の周知とか勧奨の徹底、また戸別訪問を重視した保険料納付勧奨の徹底、負担能力がありながら納付しない高所得者への強制徴収の推進、このようなことをやっています。

 保険料の負担能力がありながら納付しない人に対しましては、まず第一には、本人に対して納付の督励を行いまして、たび重なる納付督励を経ても納付をされない場合には、本人と連帯納付義務者に対しまして、強制徴収の前提としての最終催告状、そして督促状を順次送付して、最終的に強制徴収に移行するということで、いきなり滞納処分を行うということはしておりません。

 そして、先ほど言われました厚生労働大臣の認可となっていることなんですけれども、この認可権限は地方厚生局長に委任をされているということもつけ加えて申し上げたいと思っています。

高橋(千)委員 何か、地方に委任しているから、私が直接責任を持っているわけじゃないわと聞こえなくもないわけですけれども、世帯主に連帯納付義務がある、だからといって、二年分以上もまとめて取ることが本当にいいですか。支払える力があるのであれば、ちゃんとこれから定期的に納めてください、引きますよと言えばいいだけじゃないですか。それが小宮山さんの決断でできるんですと言っているんです。

小宮山国務大臣 個別のことについて余り申し上げることはできませんけれども、それは、その方の生活とか状況、いろいろなことをしっかりと把握をした上で、ただ、苦しい中でも納めていらっしゃる方も一方でいらっしゃるわけですから、納めるだけのものがある人には、いろいろな手だてをとってでも納めていただくというのがやはり私たちの仕事だというふうに思っています。

高橋(千)委員 非常に残念だったと思います。

 実は、先ほど説明した中で、大臣もお認めになった、きめ細かな対応、それから納付督励などを事前にやっておく、ちゃんと訪ねていったりしてやっていくということをおっしゃいました。

 ところが、強制処分はさすがに公権力の行使ですから正職員でなければできませんけれども、督励のところ、お電話をかけたり督促状を出したりするところは、今、年金機構は全部外部委託をしているわけですね。

 例えば、北海道、東北ブロックで見ると、たった二つの企業が独占しています。日立キャピタル債権回収・日立キャピタル共同企業体という、これで一つ。もう一つは、オリエントコーポレーション。二つしかありません。これは、西日本に行っても大体こういう傾向なわけですね。そうすると、債権回収会社とクレジット会社から電話が来たり督促状が来て、みんなびっくりする。

 こういう中で、本当に今言ったようなきめ細かな対応ができるんですかということを指摘しなければならないと思います。

 それで、最後の質問、岡田副総理に伺いたいと思うんですが、四月二十七日に歳入庁についての中間報告が出ました。まだ課題の整理の段階ですので、社会保険料が税になっちゃうのだろうかとか、徴収も給付も一本化するのか、あるいは連携でやるのかとか、一番肝心のところがわからない状態であります。

 ただ、論点の整理を見ていますと、納税者あるいは被保険者の資産、所得などの情報が一元化されるということは、多分そうなんだろうな。そうすると、情報の共有というのは情報の流出と裏腹でもあるということで非常に慎重でなければなりません。

 最初に紹介したように、国保は必死で払っているけれども年金を払えない方たち、何かもう絶対許されなくなるのかな、個人の資産が丸裸になって、引き去りするなんてことは当たり前になっていくのかな。

 これは、実は野党時代の民主党さんが、社保庁より国税庁が信頼されている、国税庁のノウハウで収納率もアップすると盛んにおっしゃっていたんです。歳入庁で十兆円の税収増と主張している党もありますけれども、要するに問答無用の取り立てが強まるという意味ではないでしょうか。大臣のお考えを。

中野委員長 岡田担当大臣、一分以内でお答えください。

岡田国務大臣 我々、十兆円ということは申し上げておりません。そのことを申し上げた上で、今、中間的な取りまとめをしたところで、これから論点をきちんと一つ一つ吟味をして、最終結論を得たいというふうに考えております。

 そういう中で、おっしゃるように、やはり国税庁の税を徴収する力、そういったものを何とか国民年金の方にも活用できないか、そういう根本的な発想があることは事実でございます。

 ただし、今でも国民年金について強制徴収という制度はありますから、やはり、払うべきもの、本来払うことが可能にもかかわらず払っていない人、そういう人についてはきちっと払っていただくことが制度の安定のために必要なことではないかというふうに思っております。

 いろいろな事情があるということは、それはきちっと勘案して、いろいろな免除制度、軽減措置などを御利用いただくということではないかと思います。

高橋(千)委員 時間になりましたので、徴収というところだけがクローズアップされては、先ほど来議論しているきめ細かな対応というのができないであろうと、もっと話したいことがありますが、次の機会でまたやりたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。また午前中に引き続き質問をさせていただきます。

 午前中に配付した資料はお手元にございますでしょうか。ちょっとそれに基づいて質問をさせていただきたいと思います。

 まず、資料の二を見ていただきたいんですけれども、午前中にも見ていただいたと思うんですが、日本の法人税が決して高くないよ、大企業ほど負担水準が低いということが如実に見てとれます。

 これを見ますと、五千万から一億円の資本金のところが一番実質に払っている。この方は真実実効税率というふうに言われているわけですけれども、ここが一番高くなっておりまして、百億円以上の資本金のところはぐっと下がっているという実態があるわけですね。

 これも何とかすべきじゃないかということを社民党が言っているというか、これを言われているこの富岡さんという方は、ここに自己紹介してあるわけですけれども、国税庁の職員として徴税の現場を経験した後、中央大学の教授として、今は名誉教授ですけれども、税務会計学を専攻し、理論と実務の両面から税務を長年にわたって見てきた、税の専門家として政府税調の特別委員、それから国会の公聴会における公述人として、政府や国民に対して税に関する提言を行ってきたという方なんですね。この方が、ちょっとおかしいじゃないかとこのグラフを出しておっしゃっているわけなんです。

 そこで、財務大臣、公平な法人課税を確保するというために、課税ベースの拡大、あるいは優遇措置とか、課税特別措置の見直しとか縮減という点について、そのあり方について、今後、引き続き見直しをしていくということについては、そういう方向でよろしいでしょうか。もしそういうことであれば、具体的な方向性についてもお示しをしていただきたいと思います。

安住国務大臣 社会保険料と法人税を合わせた企業負担が高くないのか高いのかということについて、午前中から議論をさせていただいております。

 この方がどういう方だか、私自身は認識はございませんけれども、私どもの持っている資料でいうと、社会保険料と法人税の国際比較、足したものの比率でいうと、アメリカやイギリスが六・一や八・四に対して、日本は一〇・五、ドイツは一〇・八。これ自身が大幅に日本が低いということには私は当たらないのではないかと思います。

 ただ、先生御指摘の、例えば租特のことについては、私もこの場で再三申し上げておりますけれども、透明化法を成立させていただきまして、実態調査をやっております。

 その結果が間もなく出ますので、そうしたものを受けて、今後もこの必要性というものについて、一本ずつ国民の皆さんにわかるような形で議論を政府税調なりでしっかりやって、不必要といいますか、時代に合わなくなったようなもの等については、随時それはやめていったりしないといけない。

 一方で、先生は大変沖縄の関係が深いわけですけれども、ことしなんかは実は法改正の年でございました。ですから、沖縄に関する例えば租税特別措置関係は結構ふえてはいるんです。

 ですから、数の増減だけで単純に見るのでなくて、ぜひそうした内容を見ていただいて、この透明化法に基づいた、いわばスクラップとビルドというのをしっかりやっていきたいというふうに思っております。

服部委員 富岡さんのことは余り御存じじゃないということでしたので、朝も言いましたけれども、文芸春秋の五月号、今月号に「税金を払っていない大企業リスト」という、ここに大臣の写真も載っていますよ。これをぜひ読んで、これに対して具体的に一回反論してみはったらどうですか。

 それで、もう一つ、この中に、今の法人税制の中で、受取配当金の益金不算入の問題、これはもう前からいろいろ議論されているところだと思いますけれども、この点についても詳しく触れられております。

 配当金の収入は、企業会計上は収益として計上される、利益に貢献するわけですけれども、税務上は課税所得から除外できる、つまり非課税となるわけですね。

 ですから、富岡さんは、過去六年間の法人株主の受取配当金が約四十六兆円、そのうち、十億円以上の資本金の巨大企業が九割を占める、約四十兆強に達する。そして、この非課税となる受取配当金は、全法人分が三十一兆六千九百三十八億円ということで、巨大企業分は実に二十七兆九千三億円あるというんですね。ですから、法人税の課税対象にすれば、二〇〇八年分だけをとってみても約二兆円出る、毎年二兆円というのは非常に大きな財源なんですね。

 こういったことを具体的に見直したらどうだと言われているんですけれども、どうですか。

安住国務大臣 受取配当等の損金不算入制度というのは、やはり二重課税の回避のための調整措置だという位置づけでずっと来たんですね。ですから、企業間のそうした配当に対する二重課税回避でやってきました。

 それから、例えば外国税額控除も所得税額控除もそうですが、同一の所得に対する二重課税を回避しようということでこうした措置をとっておりますから、そういう点では見方が違うのかもしれませんが、ちょっと、そういう提案に対して、はい、わかりましたとはなかなか今の段階ではならないというふうに思います。

服部委員 そういう二重課税対策としてという答えが多分出てくるのかなと思っておりましたけれども、この富岡さんの提言をぜひ見ていただきたい。

 そこで、先ほど、企業の社会保険料も含めた比率は低いじゃないかというようなお話もありました。しかし、私が出している資料の三、上の方は、法人税プラス社会保険料の負担の他国との比較があります。それから下の表には、社会保障財源の対GDP比の国際比較、要するに、公的負担、それから本人の負担、事業主負担がどういうレベルであるかということが、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンという形で出ているわけですけれども、日本の負担というのは決して高くないわけですよ。

 こういう数字を、マクロの数字としては極めて興味深いというふうに思いますので、ぜひ改めて御検討といいますか、ごらんになっていただきたいというふうに思うわけです。

 一方で、中小企業にとって社会保険料負担がちょっと重いんじゃないかという話もあります。しかし、大企業についてはもっと社会保険財源を、応分の負担を求めていくべきではないのか、そういう意味での制度設計が非常に求められているのではないかというふうに思うわけです。

 基礎年金を社会保険方式から税方式に転換すると、企業の負担が三兆から四兆円減る、こう言われているわけですね。

 一体改革の中身にもよるわけですけれども、やはり今、一体改革の背景として、従来の日本型モデル、夫が終身雇用のサラリーマンで妻が専業主婦、企業が福祉に一定の役割を担うというモデルが崩壊しつつある。

 企業は、リストラとか雇用抑制、非正規化などで人件費を削減して、福利厚生費も削るということで、やはり、企業の自由度ばかりを高める政策でなくて、企業の役割、負担の再定義ということを、社会保障という文脈の中で、きちっと企業の社会的責任を明確にするということがまさに求められているんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、その点、いかがですか。

安住国務大臣 ちょっと訂正がございます。大変おわび申し上げますけれども、益金というところをさっき損金と言ったようでございまして、不算入のところですね、それはおわび申し上げます。

 基本的には、社会的な責任を企業にも応分に負担していただいてやっていくというふうな考え方を私どももずっと持ち続けていきますので、その点では、先生と考え方はそんなに変わらないと思います。

服部委員 これはもう基本的な、企業にどういう社会保障の負担を求めていくかということは、やはりきちっと制度設計をしていかなければならない課題だと思いますので、ぜひ引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 累進課税の問題について、今回、課税所得五千万以上の税率引き上げというふうになったわけですけれども、どうなんでしょうか、資料の七をちょっと見ていただきたいんですが、これは社会保険料の逆進性を示したカーブなんですね。資料の七ですね。

 要するに、低所得者層ほど社会保険料の負担が高いという、社会保険料の逆進性があるわけです。そこに加えて、所得税であるとか相続税、資産課税等は、この間ずっと、累進性を緩和する形で来ました。そこにまた逆進性の高い消費税をかぶせるということになると、これはもう本当に筋が通らないんじゃないかというふうに私は思っているわけです。

 累進課税の五千万以上になった税率引き上げというものが、なぜ二千万とか三千万にならなかったのか、あるいは、五千万よりもっと出た、例えば一億とか、そういうランクづけも含めて、もっと見直しをすべきであるというふうに思いますけれども、この税率の引き上げについて、累進課税、再検討をされるというおつもりはありませんでしょうか。

安住国務大臣 午前中もどなたかの御質問に私は答弁させていただきましたけれども、五千万のところで四五%にした根拠は何ぞやということに関して言えば、実は、所得分布を見ますと、やはり一千五百万以上の方々というのがふえているんですね。その分、一方で低所得者の方もふえていて、いわゆる中間層の部分が減って上と下がふえていますが、その一千五百万以上の分の中でも、実は、五千万を超える方々が平成九年には一・一万人だったのが、平成二十一年には二・七万人と、約二・五倍に増加しております。ですから、そういう点では、今先生御指摘のような累進のところで五%、ここの部分に課税をさせていただいた。

 歴史を考えますと、七〇%を超えるような累進率がありましたが、フラット化が進んで四〇%台になっております。これは世界的な潮流の中でそうしましたが、今後、これを見直したり、考えないのかという御指摘ですけれども、累進のありようというのは、私は、十分これから、財務省内でもそうでございますが、負担の割合がどうあるべきかということは議論しないといけないと思います。

服部委員 今度は資料の六をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは申告納税者の所得税の負担率ですね。

 これを見ますと、大体五千万以上を超すと、逆に負担率がずっと下がってきています。それから、ここに点線がありますけれども、これが株式譲渡、株式の売買による所得、これが一億を超すとぐっとふえているわけですね。これ、ごらんになっていますか。

 次の質問は、高額所得層ほど金融所得が多い、実効税率が低くなるという不公正税制がまさにあるというふうに思うわけですけれども、このキャピタルゲインの軽減税率、もっと、今一〇%に据え置き、本則である二〇%にいつ戻すのかという話もあるわけです。きょう朝も言いました峰崎さんでも三〇%でもいいんじゃないかということもおっしゃっているということなんですけれども、このことを見直していこうという意向はありませんか。

安住国務大臣 これは、二十六年の一月から本則税率二〇%の措置を実施するということは決めております。ですから、一〇%を二〇%にもう一回戻す。

 ただ、それをまたさらに三〇という話には現時点ではなっておりませんが、いわゆる高額者の皆さんに対してどういうふうな税の負担をお願いするのかということは、当然これからいろいろな議論にはなっていくと思いますが、とりあえず、二十六年の一月に、これは総理も本会議で申し上げていると思いますけれども、一〇%の軽減税率をもとの二〇%に戻すことにいたしております。

服部委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、政権交代が実現して三年になろうとしています。年金国会という言葉もありました。後期高齢者医療制度を撤廃するという話もございました。しかし、いまだに年金の全貌も明らかにされていない、後期高齢者医療制度をどうするかということも明らかにされていない。その中で消費税だけ上げようというのは、これは私は乱暴な議論だと思うんですね。

 ぜひ、この一連の関連の法案を撤回していただいて、何もこの通常国会で採決する必要もないんですから、まあ、そこはいろいろ御意見があると思いますけれども。それで、年金もまだあと一年ぐらいかかるというんでしょう、全体像を示すのに。そういったことをやはりきちっと議論して、税と社会保障の一体改革という形で仕上げていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

中野委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、民主党政権が掲げる新年金制度についてお伺いをしたいというふうに思います。

 言うまでもなく、この新年金制度というのは、七万円の最低保障年金の支給が核であります。「新制度の財政試算のイメージ」というものでは、年収に応じて四つのパターンを示しております。

 その中で、最低保障年金の支給を年金受給者の半分に限定することを基本にして、生涯平均年収五百二十万円で最低保障年金がゼロになる、こういう案を中心に制度設計が進められている、こんなふうにも報じられております。

 この財政試算なんですけれども、試算に当たって使っているものが、平成二十一年の財政検証(基本ケース)における人口、経済の想定を試算の前提としているんですね。

 すなわち、長期の経済前提は、物価上昇率一・〇%、名目賃金上昇率二・五%、名目運用利回り四・一%。これは、要するに、自公政権の百年安心プランと同じ経済前提で、かつて皆さんが野党時代にさんざん批判したものではなかったかというふうに思います。

 二〇〇九年、梅村聡民主党参議院議員いわく「これまでの経済情勢に照らしても極めて実現性の低い数字」、確かに、賃金上昇率が今後百年近くにわたって二・五%で推移をするという、あたかも日本経済が今後絶好調で成長する、こんな前提に立っているわけです。

 これらの数値は、年金の百年安心を見せかけるために、所得代替率五〇・一%を死守するために作為的に置かれた数字ではないかと皆さんは言ってきたはずではありませんか。それを事もあろうに、今回の皆さんの財政試算の前提に採用したというのは、一体これはなぜなんですか。

岡田国務大臣 まず、この試算は、委員もよく御存じのように、民主党の年金制度の抜本改革調査会の一部役員の研究用として行われたものでございます。私は当時幹事長をしておりましたが、そういう存在すら知らされておりませんでした。そういう性格のものでございます。

 ただ、御質問にお答えするとすると、確かに、平成二十一年の財政検証における前提と同じものを使っております。それはまさしく、かつての与党の皆さんがおつくりになった百年安心プランとの比較がきちんとできるように、同じ前提で計算してみたということでございます。

 その前提として置いた数字が妥当かどうかということも含めて、これは我々として、別に何か方向性を出しているわけではございません。比較のために便宜置いたということだと思っております。

柿澤委員 新制度の財政試算のイメージをつかむために、なぜ前の制度と同じ試算の前提を置いて比較をしてみなければいけない、こういう話になるんですか。そもそも新年金制度が永続可能、持続可能で、そして財政的につじつまの合うものであるかどうか、このことを検証しなければ、私は何の意味もないというふうに思います。

 結局、平成二十一年財政検証の数字がそんなに悪い数字じゃなかった、こういうふうに思い直すに至ったのか、あるいは、ほかの経済前提を置くことを、ある意味ではこの二年間検証することをやらないでここまで来てしまったので、とりあえず仮置きで、この数字でつくるしかなかった、こういうことでしかないと思いますよ。いかがですか。

岡田国務大臣 別の数字を置くとすれば、それはそれなりに根拠のあるものが必要になります。これは、先ほど申し上げたように、当時の与党案と比較するために同じ数字を使って計算してみたということであります。

 現にメディアは、百年安心プランと比べて、例えば年金の額が多いとか少ないとか、そういう議論を展開しているわけで、そういうことが可能になったというのは前提が同じだからできるわけで、前提が違えばそういう比較はできなくなるわけですから、私は一定の合理性があると思います。

 しかし、これが最終的なものではないということで、いろいろな前提は置いて、また自民党、公明党の案と民主党の案で比較してみればいいんだろうというふうに私は思っております。

柿澤委員 二〇〇九年六月の参議院の厚生労働委員会で、蓮舫参議院議員がこうおっしゃっています。

 こうした見込みが外れると誰が一番その負担を負うかというとこれは国民であって、保険料の引き上げとか給付の削減とかいう形で将来世代へのツケ回しになる、運用利回りを〇・五%高目に設定をすると、給付水準は二%上がってしまうんです、百年にわたる年金財政の見通しを検証する前提は相当かた目に見るべきである。そして、その上で、民主党の梅村参議院議員も、これは実現性の極めて低い数字だ、こういうことを言ってきたわけですよ。

 その前提を置いて財政試算をするというのは、これは、見込みが外れて国民に迷惑をかける、こういう財政試算を公表している、こういうことになってしまうではありませんか。大変責任感の乏しい姿勢だというふうに思いますけれども、いかがですか。

岡田国務大臣 なかなか御理解いただけないのは残念ですが、やはり比較しないと議論できないわけですよ。そのために同じ前提で計算しただけで、その前提が、必ずしもこれが正しいとか、これでなければいけないとは全く言っていないわけです。

 違う前提を置いて、百年安心プランと我々の抜本改革案でまた比較をしてみる、同じ数字を置いて、違う数字を比較してみる、今のこの前提とは違う別の数字で、しかし同じ数字で比較してみるということは、それは当然あってしかるべきというふうに思っております。

柿澤委員 だとすると、新年金制度の具体的な案をお示しされて、そして国会に諮る、そういう段階においては、この経済前提というのは、当然、全て試算のやり直しを行う、こういうことになるわけですよね。

 そして、今国会、このことも含めた年金制度、あるいは社会保障制度の全体像を議論しているわけですから、こうした試算についても、私は、この国会中に、やはり民主党政権としては、この先行きの見通しはこう考える、その上で新年金制度はこのように安定的に持続可能にできるんだということをお示しすべきだと思いますけれども、ぜひやるというふうにお答えください。

岡田国務大臣 これは党の方で御議論いただいているところですから、私からこれ以上のことは申し上げられません。

 しかし、最終的に出すときには、やはり前提条件の置き方、その妥当性というものも吟味した上で数字は出すことになるというふうに思います。

柿澤委員 このやりとりを国民が聞いていると大変不安になるのではないかと思うんです。そもそも野党時代には、こんな甘い試算の前提はおかしいというふうにさんざん批判をしていたものを前提として、新しい制度はこういうふうになるんですというイメージを出されている。これは比較のためにそうしているんだというのは、私は大変苦しい言いわけにしか聞こえないというふうに思います。

 新年金制度の財政試算では、最低保障年金の支給額について、賃金上昇率から現役世代の減少率を引いて一定の係数を掛けた、みなし運用利回りなるものによるスライドを行うということになっています。さらに、この財政試算を見ると、最低保障年金額の七万円をみなし運用利回りによるスライドで伸ばしていって賃金上昇率で割り戻す、極めてわかりにくい計算を行った上で、二〇六五年の支給額を出すと、五・八万円になる。月額七万円もらえない試算を平気で出しているわけです。

 しかも、梅村さんや蓮舫さんが言っているとおり、財政試算の前提に置いている平成二十一年財政検証の想定値を実績値が下回ってしまった場合、最低保障年金の額は月額七万円に到底及ばない、五・八万円にも及ばない、こういう水準になっていってしまうのではないですか。いかがですか。

岡田国務大臣 これは、党の中でそういったことも含めていろいろ議論がなされているものだというふうに思っております。

 ただ、これはあくまでも試算でありますから、この試算を発表したときにも党の方から申し上げたと思いますが、当時の与党の方も、マクロ経済スライドというものを入れて制度の安定を図っているわけであります。それと類似の考え方はやはり入れざるを得ないという中で、いろいろな数字が出てき得るということでございます。

柿澤委員 誰でも所得にかかわらず七万円の最低保障年金を受け取れる、こういうことであったというのが、これは実はそうではないということになってしまっているのではないかと思います。そもそも、賃金上昇率で割り引くというのも私から言わせると意味不明でありまして、現在価値を計算するならば利子率等で割り引くべきではないかと思いますが、この点については、また別途、機会を見てやりたいと思います。

 さて、二〇一六年から新年金制度がスタートするということになっているわけですけれども、五百二十万円でゼロ、こうする案でいくとすると、二〇三五年まで消費税率を〇・二%しか上げなくていいということになっています。二〇三五年まで二十年間、消費税上げの必要がほとんどない、これは本当なんでしょうか。

 新年金制度に移行すると、所得比例の保険料を払うことになる。逆に言うと、所得がゼロの人は、今はそういう人も基礎年金保険料の定額負担分を払っているわけですけれども、移行すると払わなくていいようになる。一方、制度移行が四十年以上続くので、その間、基礎年金の給付は続けていかなければならない。入ってくるものは入ってこなくなって、出るものは同じように出ていく。給付を維持するには、二〇一六年時点で直ちに追加費用が生じてしまうのではありませんか。だとすると、二十年後まで消費税を〇・二%しか上げなくていいというのは全くのうそだということになってしまいます。

 そうでないとすれば、制度移行開始時の二〇一六年の時点で、基礎年金保険料の定額分のなくなる減収額よりも、所得比例年金保険料への移行によってふえる額が、同じか上回っていなければいけないと思います。ここの部分の計算というのはできているんでしょうか、お伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 この試算は、先ほど言いましたように、いろいろな前提を置いて、試みの計算でございます。私も詳細を承知しているわけではございません。その〇・二%アップで済むというのはどこか具体的に書いてありますか、私はちょっと記憶にないんですけれども。

柿澤委員 余りにもあやふやな御答弁ではありませんか。この新年金制度……(岡田国務大臣「〇・二%とどこに書いてある」と呼ぶ)書いてありますよ、ここに。お見せしてもいいですけれども。これは、民主党幹事長だった岡田さんが、その時代にも議論が行われてきた、そのときの資料だと、私は共有されているものだというふうにてっきり思いますよね、当然。そういう前提で御質問したら、そんなの知らない、どこに書いてあるんだ。こんな御答弁をいただくなんて、もうこれは審議にならないというふうに申し上げざるを得ないと思います。

 先ほど申し上げたとおり、二〇一六年の時点で、そもそも、いいですか、基礎年金の保険料の定額負担分の減収と、所得比例年金に移行する、この保険料の増収分が少なくとも同じ水準になっていなければ追加費用が生じてしまう、このことは現実の問題だと思います。これは、新年金制度に移行して、消費税の増税なしに、追加の増税なしに移行するための必須の前提だと思いますが、これについて一向にお答えをいただけない。

 これは、実は、二月一日の予算委員会で我が党の浅尾政調会長が小宮山厚生労働大臣にお尋ねをしたことでもあります。きのう通告もさせていただいています。これについてお答えをいただけないというのは私は得心がいかないんですが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 その〇・二の書いてある場所を今話していましたので、ごめんなさい、御質問が聞こえませんでした。もう一度お願いします。

柿澤委員 この御答弁をいただけないというのは、先ほど申し上げたように、二月一日の予算委員会において浅尾政調会長がお尋ねをさせていただいたと思うんです。

 二〇一六年に新年金制度に移行すると、所得が経費を差し引くとゼロになる人は、保険料の負担はゼロになりますね。保険料を払わなくて済むようになる。しかし、基礎年金の保険料は、定額負担分はありますから、この部分の収入はなくなっちゃうわけです。しかし、四十年間移行にかかりますから、基礎年金そのものは払っていかなきゃいけない。そうすると、巨額の追加費用が生じて、どこからかそのお金を持ってこなきゃいけない、こういうことになるんじゃないですか。

 こういうお尋ねをさせていただいているんです。

中野委員長 小宮山厚生労働大臣、手短にお願いします。

小宮山国務大臣 低い人の分は低くなりますけれども、高い人は、その分、高い分を払いますので、全体としてそんなに負担が変わるわけではありません。

 それに、今まで払ってきた人たちは今までの制度で受け取るわけですから、最初の年からそんなに多くの追加費用が生まれるということではありません。

中野委員長 恐縮ですが、これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

柿澤委員 この差額が幾らかということについては、ぜひ、委員長、理事会で協議していただいて、この委員会にお示しをいただくようにお願いをしたいと思います。

中野委員長 理事会で協議をいたします。

柿澤委員 質問は以上にいたします。(発言する者あり)

中野委員長 今、終了いたしました。

 理事会で協議をいたしますので、答弁がありましたら、資料としてお出しください。(発言する者あり)終了しましたので、答弁については、今の件であれば理事会でまた協議をし、資料を求めますので、その際、お答えください。(発言する者あり)理事会で協議をした上で、理事会が要求をした場合には資料を出してください。

 次回は、明二十五日金曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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