衆議院

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第10号 平成24年5月29日(火曜日)

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平成二十四年五月二十九日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      井戸まさえ君    石井登志郎君

      稲富 修二君    今井 雅人君

      江端 貴子君    岡田 康裕君

      柿沼 正明君    勝又恒一郎君

      神山 洋介君    岸本 周平君

      熊田 篤嗣君    坂口 岳洋君

      篠原  孝君    白石 洋一君

      田嶋  要君    田中美絵子君

      田村 謙治君    高橋 昭一君

      中野渡詔子君    永江 孝子君

      長尾  敬君    仁木 博文君

      早川久美子君    藤田 大助君

      藤田 憲彦君    三村 和也君

      宮島 大典君    室井 秀子君

      本村賢太郎君    湯原 俊二君

      柚木 道義君    和嶋 未希君

      あべ 俊子君    石田 真敏君

      小渕 優子君    加藤 勝信君

      金子 一義君    鴨下 一郎君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      野田  毅君    馳   浩君

      町村 信孝君    坂口  力君

      竹内  譲君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    宮本 岳志君

      豊田潤多郎君    阿部 知子君

      山内 康一君    中島 正純君

    …………………………………

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   文部科学大臣政務官    神本美恵子君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   村木 厚子君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    古谷 一之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  大谷 泰夫君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  宮島 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  外口  崇君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  榮畑  潤君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     熊田 篤嗣君

  稲富 修二君     神山 洋介君

  江端 貴子君     柿沼 正明君

  勝又恒一郎君     今井 雅人君

  篠原  孝君     和嶋 未希君

  田嶋  要君     井戸まさえ君

  田中美絵子君     高橋 昭一君

  田村 謙治君     坂口 岳洋君

  長尾  敬君     本村賢太郎君

  三村 和也君     藤田 大助君

  町村 信孝君     あべ 俊子君

  竹内  譲君     坂口  力君

  西  博義君     遠山 清彦君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  豊田潤多郎君     斎藤やすのり君

  中島 隆利君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     田嶋  要君

  今井 雅人君     中野渡詔子君

  柿沼 正明君     江端 貴子君

  神山 洋介君     稲富 修二君

  熊田 篤嗣君     石井登志郎君

  坂口 岳洋君     田村 謙治君

  高橋 昭一君     田中美絵子君

  藤田 大助君     三村 和也君

  本村賢太郎君     仁木 博文君

  和嶋 未希君     篠原  孝君

  あべ 俊子君     小渕 優子君

  坂口  力君     竹内  譲君

  遠山 清彦君     西  博義君

  高橋千鶴子君     塩川 鉄也君

  斎藤やすのり君    豊田潤多郎君

  阿部 知子君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     勝又恒一郎君

  仁木 博文君     長尾  敬君

  小渕 優子君     町村 信孝君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

同日

 理事西博義君同日委員辞任につき、その補欠として西博義君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査の参考に資するため、来る六月四日月曜日、福島県及び兵庫県に委員を派遣いたしたいと存じます。

 つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官村木厚子さん、総務省自治税務局長岡崎浩巳君、財務省主税局長古谷一之君、厚生労働省医政局長大谷泰夫君、厚生労働省老健局長宮島俊彦君、厚生労働省保険局長外口崇君、厚生労働省年金局長榮畑潤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 本日は、社会保障、特に年金制度と税制等について質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。あべ俊子さん。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。

 おはようございます。朝一番の質問でございます。本会議が入りましたので、突然時間が変わったわけでございます。

 では、まず初めに、今回の一体改革、そもそも何が目的か、それぞれの大臣、一言ずつお答えください。

岡田国務大臣 まさしく社会保障・税一体改革ということで、社会保障制度の安定、そして同時に、その裏打ちとなる財政をしっかりと確保するということだと思います。

安住国務大臣 本来であれば、後世の世代に借金を残さないで、きちっと現役世代で賄うべきところを、大変な、そういう意味では、税の負担が賄い切れない分、公債依存が高いわけでございますから、その部分をできるだけやはり少なくしていくということが、社会保障・税一体改革にとって私は必要だと思っております。

川端国務大臣 おはようございます。

 地方公共団体は、社会保障の年金を除くほとんどの事業において、重要な役割を、地域の自主性、きめ細かな部分で担っておりますので、これを将来的に安定的に運営していくための財源を確保することが極めて重要だということでございます。

小宮山国務大臣 おはようございます。

 今回は、やはり子供たちの世代にツケ回しをするのではなくて、借金体質でない形で、社会保障が今一般歳出のかなりの部分を占めていますので、そうしたものをしっかりと賄える体制をつくるということ。そして、高齢者三経費だけではなくて、子供も給付の主な対象として四本柱にし、給付も、そして負担も全世代対応型にしたことだと考えています。

あべ委員 それぞれの大臣、それぞれおっしゃいましたが、今議論されている一体改革と本当に乖離したお話ではないかと私は思います。

 特に、消費税、一〇%に上げるに当たって、五%しか上がらない中、余りにも消費税対策の逆進性対策やばらまきが多過ぎて、安定財源どころか不安定財源のもとになるような議論が進められているように思われてなりません。また、次世代に対してツケを残さないと言っていますが、今の社会保障改革の内容ではツケがふえるだけではないでしょうか。

 ここの部分に関して、消費税以外に本当にみずから何を改革しようと思っているのか、岡田大臣、お願いします。

岡田国務大臣 今回の社会保障・税一体改革の中で、改革という意味は効率化という意味でおっしゃっているのかもしれませんが、例えば、ずっと実現いたしませんでした年金の物価スライドの問題。本来物価が下がれば年金は下げるべき、にもかかわらずそれを実施してこなかった、そのことについて、きちんとルールどおり年金の引き下げをさせていただくということがございます。そのほか、もちろん、委員から見れば十分ではないと言われるかもしれませんが、さまざまな効率化についても実施をあわせてするということにしております。

あべ委員 岡田大臣、何かさまざまなという、そのさまざまなが聞きたくて私はお話をしているわけでございまして、消費税以外の特に効率化の部分、マクロスライドに関しては我々が政策を立てました、ただ、実行ができていなかったことは確かでございますが。それでは、自分たちが一体改革をしようとしたことに対して自発的にやったとはいわく言いがたしでございまして、世代間における不公平と制度間の不公平、これに対しては一体具体的に何を出されたか、岡田大臣、お答えください。

岡田国務大臣 まず、委員の今の年金の話ですが、マクロ経済スライドの話ではこれはないんです。物価が下がれば年金は下げる、このこと自身も実現できていなかったということを申し上げているわけで、マクロ経済スライド以前の問題として申し上げたわけでございます。やはりきちっとやるべきことはやらなきゃいけないということだと思います。

 そのほか、やはり世代間の問題について言えば、子ども・子育てについて、今回七千億の資金を投入して幼保一体化を初めとする制度改革をするということ、そして、消費税、従来の三事業から子ども・子育てを含めて四事業にするということは、これはやはり世代間の公平に資することだというふうに考えております。

あべ委員 世代間に関してはわかりました。足りないとは思っておりますが、では、制度間の不公平に関しては、岡田大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 もう少し具体的に言っていただければと思いますけれども、制度間というのは、年金の話ですか、それとも医療の話ですか、介護の話ですか。

あべ委員 その全般に関して、制度間に関する不公平さはあると思いますか、ないと思いますか。

岡田国務大臣 非常に抽象的な言い方ですが、例えば年金について言えば、制度間というべきかどうかは別として、やはり国民年金に本来加入すべきであるにもかかわらず加入しておられない方がいる、結局無年金者ということで、最終的には生活保護ということになりかねない。

 こういう問題はやはりきちんと解決しなければいけない問題で、残念ながら、今回は最低保障機能を強化する、そういった手当てに終わっておりますが、年金制度の抜本的な改革についてどうするかということの議論は避けられないと思います。

あべ委員 では、大臣が年金のお話をされたので、ここの部分で質問させていただきます。

 最低保障年金、これはおやりになりますか、できませんか。どちらですか、岡田大臣。

岡田国務大臣 我々としては、最低保障年金をぜひやりたいというふうに考えております。もちろん、自民党の御意見がそれに対して撤回を言っておられるということは承知をしておりますが、ぜひここは議論させていただきたいというふうに思います。

 先ほど申し上げました、国民年金に本来加入すべきでありながら加入しておられない方もたくさんいる、それから、加入しておられても金額が十分ではない。そういう中で、もう少し年金に加入していることの将来への安心感というものをしっかり感じることのできる制度ということが私は必要だと思っております。

あべ委員 では、岡田大臣としてはおやりになりたい。では、できるとお考えですか。

岡田国務大臣 できる、できないというのは、どのぐらいの負担になるかということだと思いますが、そういう制度設計は、今、党の方でいろいろ試算をしてもらっているところであります。そういったものを受けて検討していかなければいけないと思っております。

あべ委員 最低保障年金の話が出て以来、年金の未納率はどのように変化したか、岡田大臣、把握していらっしゃいますか。

岡田国務大臣 最低保障年金の話が現在の国民年金の未納率あるいは未加入ということにどういうふうに影響したかと言うことは、定量的にはなかなか難しいことだと思います。

あべ委員 難しいと思いますが、未納率はどのように変化しましたか。

岡田国務大臣 今のこの時代の変化、特に、所得が分化しているというか、非常に所得の少ない方がふえている中で、そもそも国民年金に加入すること自身を避ける、そういった傾向がより強くなっていることは事実だと思います。

あべ委員 それを加速させたのは現政権ではないですか。特に、年金に対する信頼感、そこの部分が失われた。政権交代の前に皆さん方が、年金は破綻している、年金は当てにならないと言い続けながら、そのことに対して、特に財政検証、再計算に対しましてほとんど何もしていない、無策であるということは、若者も高齢者も、本当に年金に対する信頼感を、あなた方のその政権交代の具として使われた年金は、国民の信頼を全く失ったわけであります。

 ここで、もう一度質問させていただきますが、最低保障年金ができるとすれば、年金は払って得になるんでしょうか。岡田大臣、お願いします。

岡田国務大臣 まず、最初に言われたことですが、おっしゃるようなことがあったかもしれません。そのことは私も率直に認めるわけであります。

 ただ、やはり年金不信の最大は、未納の問題なんですね。そしてもう一つは、払ったにもかかわらず、それがきちんと実際に記載されていなかったという問題です。せっかく真面目に保険料を払っていたにもかかわらず、その記録が正確に残されていないということが、私はやはり年金制度の根幹に対する信頼を揺るがしたというふうに思っております。

 ですから、我々のことを言われるのはいいんですが、そういったことも自民党、与党の時代にあったということは申し上げておきたいというふうに思います。そこのところは国民もよく認識されていることだというふうに思っております。

 その上で、最低保障年金については、基本的に、保険料を御負担いただき、そしてそれ以上の支払いがある、そういう制度設計をしなければならないことは当然だと思います。

あべ委員 そうすると、年金に対する信頼感は、私は記録だけの話ではなかったと思っています。

 特に最低保障年金の話で皆様方は選挙を戦われたわけですから、そうすると、年金なんて払ってもしようがないんじゃないかということが出ていることは確かでありまして、先ほど申し上げたように、では、最低保障年金ができるとすれば、その保険料、年金の部分は、もう払わない方が得なのか損なのか。

 では、得だとすれば、最低保障年金、もし月七万円だとすると、国民年金、私自身も国民年金でありますが、月額一万五千円ほど納めて、四十年間納めて、老齢基礎年金の年金月額、六万五千円ぐらいであります。そうすると、最低保障年金ができるとすると、国民年金を掛け続けた方は、それを足した十三万ぐらいになるんでしょうか。

 大臣、お答えください。

岡田国務大臣 我々の制度設計の基本というのは、最低保障年金と所得比例年金の組み合わせであります。

 保険料というのは所得に比例して払っていただくということで、所得がゼロの人は保険料は基本的にはゼロ、所得の多寡に応じて保険料をお払いいただく。そして、それによって所得比例年金を受けるわけですが、その所得比例年金が一定額に達しない方については最低保障年金をお払いする。

 そういう基本的な考え方でありますので、ちょっと今の委員の御質問にそのままお答えするのは難しい、我々の制度というのはそういうものだということをまず御理解いただきたいと思います。

あべ委員 私がお聞きしているのは、最低保障年金制度があったときに、では、年金の保険制度を保って、一生懸命働いた方が保険料を納めると、最後どんなふうに違いが出るのですか。それは、今のまま、特に月額の六万五千円が乗らないんだとすれば三万円なのか。すなわち、今支払っている額の、しかしながら、受け取る額が半分ぐらいになるのか、四分の一ぐらいになるのか。その目安がわからなかったら、結論が出るまで未納者でいた方がいいんじゃないかというふうに皆さん思われるのじゃないでしょうか。

 では、その年金を支払ったことが報われるということが、どれぐらい報われるかということのめども全くない状態で、皆さんは最低保障年金の話をされているんでしょうか。どれぐらいがめどなのか、めどで結構でございますから教えてください。

岡田国務大臣 今いろいろ試算をしているところですが、少なくとも最低保障年金として七万円ということは申し上げているところであります。

あべ委員 いろいろと試算を、もう政権交代して三年になるのに、まだ試算していらっしゃるんでしょうか。

 私は、この最低保障年金に、一生懸命頑張って働いて保険料を納めた方々が一体最後どうなるかということは、自助、共助、公助という考え方からは非常に重要なことだと思っております。

 ですから、七万円からどれぐらい上がるかどうかの大体の目安を教えてください。半分ですか、四分の一ですか、それとも十分の一ぐらいですか。大体のめどは計算できるはずであります。

 岡田大臣、お願いします。

岡田国務大臣 ちょっと質問の趣旨がよくわからないんですが、七万円から半分上がるとか四分の一上がるというのは、どういうことなんでしょうか。質問の御趣旨がよくわからないんです。

あべ委員 すなわち、年金をしっかりと支払った納付者に関しまして、一体最後どういう年金制度になるかということの全体像がわかりたいということであります。

岡田国務大臣 まず、我々の制度の基本的考え方を御理解いただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、所得に応じて保険料を支払う、そのことによって所得比例年金を受ける。しかし、それが一定額に達しない、そういう方々に対しては、それに加えて最低保障年金を支払う、こういう考え方であります。

あべ委員 そうしますと、逆に、所得比例の保険料を払った方々が、払わなかった方に対して逆転するということは全くないわけですか。すなわち、一生懸命払った人が払わなかった人よりも額が減るということは全く想定されていないという理解でよろしいですか。

岡田国務大臣 まず、全く払わなかったということの意味ですが、所得がないことによって、制度には加入しているけれども結果的に保険料を払わないときがあった、生涯所得がゼロという方はまず考えにくいものですから、所得がなかったときには保険料はゼロになるわけで、そういうことが中ではあったという方、その話を言っておられるのか、そもそも制度に加入せずに払わなかった、そういう方を言っておられるのか。制度にそもそも加入しなければ、これは年金を受け取ることはできない、基本的にそうなるわけであります。

あべ委員 今のお話の中で、非常に年金制度に対しての混乱が起きておりますが、例えば、ちょっと話をかえますが、低所得者に対する年金加算のお話を、岡田大臣、されていますよね。この年金加算に関してですが、月六万六千円以下の方に月六千円を加算するという話があります。これは今も継続されていますか。

小宮山国務大臣 低所得者の加算というのは、これは今、実態からしますと、高い年齢の方たちの生活に必要な経費が大体七万円ぐらいということで、それと、今回、物価スライドで下げる、今の基礎年金が六・四万円になるというところから、それに必要な差額の六千円という出し方をしている数値でございまして、それは今回の法案の中に入れてございます。

あべ委員 この月六千円というのは、一年で七万二千円ですから非常に大きいわけです。

 加算の対象者は、老齢基礎年金を受けている、年金その他の収入が老齢基礎年金の満額以下、さらには家族全員が市町村の税の非課税者、この三条件を満たす人となっています。

 そうすると、ここで逆転現象が起きるかもしれないということは、小宮山大臣、御理解していらっしゃいますか。理解はしている。岡田大臣、理解していらっしゃいますか。

中野委員長 委員長の許可を得て発言してください、岡田担当大臣。

岡田国務大臣 そういうことが起こり得るということは承知をしております。

 ただ、いずれにしても、今回の最低保障機能の強化の話と、年金を抜本改革した上での最低保障年金の話というのは違う話ですので、そこはぜひ御理解いただきたいと思います。

あべ委員 そこは、違う話に移りますと私申し上げたはずでございます、岡田大臣。

 ですから、今の低所得者の年金加算に関しての逆転現象に関しては、特にその逆転に対する対策は、岡田大臣、何か立てていらっしゃるんでしょうか。

小宮山国務大臣 逆転というのは、いろいろな形でやったとき、現行制度でも、残念ながらというか、生じてしまうことがあります。

 例えば、老齢福祉年金ですとか二十歳前の障害基礎年金のように所得制限がある給付では、その所得制限の額ぎりぎりのところで所得の逆転現象が起きているということが現在の制度の中でもございます。

 今回の加算は、社会保障制度の中で多く用いられている低所得の範囲、介護保険の保険料軽減ですとか高齢者医療の自己負担軽減などを基本として行うことにしています。

 逆転が起こらないようにするためには、低所得の範囲を少しだけ超える人を日本年金機構が細かく把握して、細かな加算を行う必要がありまして、実務処理上もこれは難しい課題があるかと思っていますので、低所得者である年金受給者に対して、簡素な事務処理の中で低所得者対策としての一定の効果を持った加算を行う。そのために一部逆転現象が起こることは承知をしておりますけれども、そこは、今までの制度でもそういうことは生じていたことでございますので、そこのところで御理解をいただきたいというふうに考えています。

あべ委員 非常に今のお話、わけがわからなくて、例えば、一貫して自営業で未納も免除もなく四十年こつこつと国民年金保険料を納めた人、少しでも年金をふやそうと頑張って保険料を自助努力で納めた人、そういう人も満額を超えれば加算がないわけでありまして、厚生労働省年金課は、この、その他の収入というのを合計所得で見ると説明しているんですね。

 大臣、所得と収入の違いはわかりますか。安住大臣。

安住国務大臣 所得は、課税の対象としての所得でございます。

あべ委員 そうしますと、今回の論点で、合計所得ということになると何が起きるか。給与収入なら給与所得控除、年額の下限が六十五万円を、自営業で青色申告特別控除の対象なら、これを控除できるということなんです。ですから、所得で考えたときに逆転現象が、皆さんが想定していらっしゃるよりも起きるのではないかということを、岡田大臣、想定していますか。(発言する者あり)

中野委員長 どなたか。(あべ委員「じゃ、財務大臣、お願いします」と呼ぶ)

 財務大臣安住淳君。

安住国務大臣 急なことでございますが、今想定をしているのか、していないのかということでいえば、今の制度の中でそうしたことが起こり得る可能性というのは、計算上はあり得るかもしれませんけれども、現時点で確たることを私のもとで言うことはできません。

あべ委員 最初に私は、この一体改革の目的は何かと皆様にお尋ねいたしました。財政の健全化、社会保障の安定化、全くできないではないですか。私は、本当に一生懸命働いた方が報われる社会にならなければいけないと思うわけであります。

 そういう中において、保険料を多く納めた人が加算がもらえなくて、もらった人と逆転が生じるのは、働いて頑張ったことに対するペナルティーになるのではないですか。ここのところのインセンティブをもっとしっかりと明確にした方がいいと思います。

 では、最後に確認させていただきますが、この低所得者の年金加算は収入で換算しますか、所得で換算しますか。安住大臣。

小宮山国務大臣 住民税非課税の方を対象としますので、所得で計算をいたします。

あべ委員 そうすると、低所得者対策に全くならないわけでございますが、そこの部分に対する手当て、さらには、その配慮はどのように検討していらっしゃるんでしょうか。小宮山大臣。

小宮山国務大臣 今申し上げたように、年金の中は所得でやりますが、全体の仕組みの中では収入でやるということで、いろいろな形で組み合わせをしてございます。(発言する者あり)

安住国務大臣 年金は収入で……(小宮山国務大臣「今、逆、済みません」と呼ぶ)

中野委員長 ちょっと待ってください。

 財務大臣、とりあえず答弁してください。

安住国務大臣 年金は収入でございます。それで、控除等については所得で対応するということです。

あべ委員 まず、閣僚の方が皆さんでコンセンサスをとってから、この委員会に挑んでいただきたいというふうに思うわけでございます。

 そういう中におきまして、ちょっと次の質問に移らせていただきます。

 給付つき税額控除、この部分に関してですが、給付つき税額控除はベストなチョイスだと、岡田大臣、思われますか。

岡田国務大臣 ここは選択肢としては、給付つき税額控除と、それから軽減税率、複数税率といいますか、この二つの選択肢があるということで、我々、民主党の時代には、この問題は随分議論をしてまいりました。さまざまなことを比較した結果、給付つき税額控除がベターである、そういう判断をしたところであります。

あべ委員 給付つき税額控除は、やはり、どなたが必要な収入もしくは所得が得られているかということを把握するのが前提でございまして、私よくわからないので岡田大臣に教えていただきたいんです。

 この給付つき税額控除をやるに当たって、マイナンバー、社会保障番号というのは必須だと思うわけでありますが、なぜこの委員会からそのマイナンバーが外されたのか、その経緯を教えてください。

岡田国務大臣 これは各党の国対間での話し合いの結果ですから、私がそれをお答えする立場にはないんじゃないでしょうか。むしろ国対にお聞きになられたらいかがでしょうか、自民党の。

あべ委員 では、国対間の話し合いだというふうにおっしゃっておりますが、一体改革をするつもりがあったら、ここの部分は譲れない部分だったんじゃないですか。なぜ譲ったんですか。

岡田国務大臣 全体、法案の数が余り多くなり過ぎると委員会での審議に非常に時間もかかるということで、そういうこともあって今の結果になったというふうに聞いておりますが、いずれにしろ、これは各党間での話し合いの結果ですから、勝手に政府が決めたことではございません。

あべ委員 一体改革をするのに、このマイナンバーなくしては私は一体改革は無理だと思うわけであります。

 そうすると、そこの部分は、話し合ったからではなくて、譲っちゃいけないところは譲っちゃいけないわけじゃないですか。岡田さん、中身をよくわかっているからこそ、そこのところは譲っちゃならない部分であって、一体改革の改革がここによって抜けるというふうには岡田大臣は思いませんか。(発言する者あり)

中野委員長 お静かに願います。

岡田国務大臣 できれば、それはこの委員会でやっていただくことも一案だったかもしれませんが、これは国対間で決まったことでありますので、私がここで何か言う立場にはございません。

あべ委員 立場にはないかもしれませんが、社会保障に関して非常に精通していらっしゃる岡田大臣に、改めて、このマイナンバーがないと社会保障の一体改革はできないというふうに個人的に思っていらっしゃるかどうか、お尋ねいたします。

岡田国務大臣 社会保障全体ができないわけではありません、今もやっているわけですから。ただ、給付つき税額控除を実施するに当たって、やはりマイナンバーというのは必要だというふうに考えております。

あべ委員 そうしますと、その給付つき税額控除に関してマイナンバーが必要であるというふうに個人的に思っていらっしゃるとすれば、政府は本格的な稼働と定着ということをマイナンバー、番号制度に関して言っているわけでございますが、本格的な稼働と定着とは何なのか。ここを、安住大臣、お聞きします。

安住国務大臣 法案が成立し、法案の整備要件が整ったとき、つまり、法定調書等を含めてそうしたものが接続をされ、個人個人について情報が一元化をされるときだと思いますが、実は、何度もこの委員会でも御指摘がありましたように、これを導入したとしても、いわゆる源泉徴収分等について、個人が受け取る利子のことですけれども、そういうことが把握できないのでストックは完全に把握できないのではないかということは御指摘いただいておりますから、諸外国の例等を見ながら、そうしたものの整備というものをしっかりやっていきたいと思っております。

あべ委員 すなわち、諸外国の例を見ながらしっかり整備をしていきたいというのは、金融資産所得の捕捉をするということでいいんでしょうか、安住大臣。

安住国務大臣 現実的に、完全な所得を把握するということは、率直に言うと非常に難しいと思います。また、国民がそれを望んでいるのかということもありますから。

 ですから、我々が必要な情報というのは、いわゆるサポート、手当ての必要な方はどういう方なのかというターゲットをいわば決めるために必要な情報をできるだけ集めたいということでございます。

あべ委員 そのターゲットの中に金融資産ということは、今、安住大臣の頭の中にはないということなんでしょうか。

安住国務大臣 ストックを何十億円ももらっている人に対していわば現金を渡すということが、現実的には低所得者対策にならないということは理解をしております。

 法定調書の把握というのは、しかし、現実にはなかなか、それだけをもっては難しいんです。ですから、例えば、今ある法定調書だけでない、新たに何かを加えることによって推知をする、推測をし察知するということですね、そういうことをできるだけ可能ならしめる制度設計をしていきたいということです。

あべ委員 それは具体的に何ですか。

安住国務大臣 ですから、それをこれから検討していかないといけないということです。

あべ委員 それは、では法案が通るまでに検討は終わりますか。

安住国務大臣 それは番号制度の法案の中で質疑をしていただくことになりますけれども、公平な仕組みとして、法定調書、今は五十七種類でございますが、これに、例えば、仮に源泉分離課税分をどうするか等については、これは現実的な議論の中で、本当にできるかどうかはやはりやっていかないといけないということです。

あべ委員 そうすると、マイナンバーが通るまでの間、低所得者対策というのは本当の低所得者ではなくなるという可能性はないですか。岡田大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 ですから、給付つき税額控除を導入する前には、一時的な給付措置ということで対応するということにしているわけであります。

あべ委員 ですから、一時的の後に、私が申し上げているのは、所得を把握するために、金融資産の部分は、それを入れていくのかいかないのかということの方向性でございますから、岡田大臣、その方向性だけ教えてください。方向性も検討中なんといういいかげんなことで、この委員会ができるはずがないじゃないですか。

岡田国務大臣 今の御質問は、給付つき税額控除を入れる際の話をしておられるんですか、それともその前の話をしておられるんですか。ちょっと理解できなかったものですから。

あべ委員 低所得者ということに対する考え方において、金融資産を把握するかしないかということの、その制度の根幹の部分の質問をしております。

岡田国務大臣 より正確を期していくということは公平性の観点から重要だと思いますが、現在もそういったことが正確には把握できないまま、さまざまな措置をとっているわけですから、それはなるべくしっかりと把握していくという方向性は重要だと思いますけれども、全てきちっとできないとできないということではないと思います。

あべ委員 大臣、私はそんな難しいことを言っているんではなくて、所得把握において金融資産は入るか入らないかという単純なことを聞いているだけなんです。大臣、お答えください。

安住国務大臣 制度上の限界もあるんです。

 ですから、法定調書を、これまで五十七種類ありますけれども、それに新たにどういうふうなものをつけ加えることによって推知することが可能かどうかということは、今検討中でございます。

 ただ、完璧に国民一人一人の所得を把握しなければできないとなれば、生活保護にしても、住民税の非課税にしても、それらを全てやっているわけではないわけですよ。そのことを今副総理が申し上げているんであって、我々としては、できるだけ推知できるような制度設計をしていきたいと思っております。

あべ委員 言いわけばかりの委員会なのか、本当に議論するつもりがあるのか、税と社会保障の一体改革の中身の根幹が整理されていない中、皆さん方は社会保障をどうしようと思うのか、次世代へのツケをますますふやそうと思っているのではないかというふうに私は思うわけであります。

 年金に関しても、お金が足りなかったら、年金が足りなかったら低所得者対策をするといって、本当にお金がない人なのかどうなのかも把握するつもりもない中で、では、働かない方がましじゃないかと思って、もう年金だって払いたくないぞという若い人がふえてくるのは当然なんですよ。

 ですから、幾ら、仕事がないから、社会的なそういう原因があると岡田大臣は言いますけれども、皆さん方の責任は非常に大きいわけでありますから、頑張ったから報われる、そういう社会保障制度改革をするということをもっと前面に出していただけませんか。

 特に、私は、社会保障にとって一番大切なのは雇用なんだと思うんです。雇用の確保をしなければ、安定的な社会保障制度は確保できません。ところが、雇用に対しての、雇用の創出に対しての文言がこの中にほとんどない。

 岡田大臣、このことに対してはお答えいただけますか。

小宮山国務大臣 今回、社会保障の改革の中でも就労という部分を設けてございまして、若者、女性、それから職業訓練、そこを、特に重点を置くという形をとっております。

 この社会保障の改革と税の改革とあわせて、経済成長も同時に進めるということを総理もいつも申し上げていますが、年央に作成します日本再生戦略の中に、若者雇用戦略とか女性の就労促進の実効性のある政策とか、あるいは医療イノベーションなども含めまして、これからの雇用の創出、そしてそれぞれに結びつけていくことについて、しっかり政府として雇用についても方針を出したいと考えています。

あべ委員 雇用に関して余り書き込みが足りないと思いますが、そうおっしゃるのであれば、短時間労働者への社会保険の適用拡大に関してちょっと、小宮山大臣が立たれたので、お尋ねいたします。

 これに関しましては、特に適用拡大、私どももこれは自公でやってまいりましたことでございますが、非常に厳しい部分もあるわけです。ここの部分は、適用拡大したときに所得比例年金に加入することになりますが、保険料、これは労使折半になりますか、大臣。

小宮山国務大臣 今回、社会保険の適用拡大、これは非正規の方々がふえている中でなるべく拡大をしたかったわけですけれども、中小企業の経営の方への配慮と、少しでも非正規のセーフティーネットを広げたいというところで、現実的なスタートラインとして年収九十四万円というところにいたしました。その適用の対象になれば、事業主が折半でそこを負担いたします。

あべ委員 そうしますと、対象者はどれぐらいになるか、計算してありますか。

小宮山国務大臣 対象者は四十五万人です。

あべ委員 これは、非正規労働者全体から見るともっとふえませんか、大臣。

小宮山国務大臣 もっとふえませんかという意味がよくわからないんですが、非正規労働者全体は三百七十万人で、そのうち学生が三十万人いますので、それを除いた三百四十万人まで、何とか将来的には持っていきたいというふうに考えています。

 ただ、今申し上げたように、中小企業の経営者の方のお声などもよく伺う中で、現実的にこの四十五万人からスタートをし、三年以内に、さらにそれを拡大するということも法に書き込ませていただいたところです。

あべ委員 三年以内に拡大すると、そこの影響は非常に大きくなりますが、来年、本当に法案を提出されますか。業界の反発もかなり大きくなるのではないかと思いますが。

小宮山国務大臣 来年というのがよくわからないんですが、その年収九十四万円という法案はもう既に提出をしていまして、その先どう拡大するかは、三年以内のところで、経済状況とかいろいろなことを見ながらそこで判断をしますが、拡大をしていくという方向性は法に書き込んだということです。

あべ委員 そうしますと、今回の年金の拡大に伴いまして、九万八千円から七万八千円という形で標準報酬月額が決まっていくわけでございますが、ここの部分を変えていきますと、ほかの今まで持ってきた整合性が非常に合わなくなってくるのではないかというふうに思うわけであります。

 特に、公平性の問題に関しまして、標準報酬月額の下限が七万八千円ですと、年収は九十三・六万円。現在、被扶養配偶者で短時間労働者の場合、年収が百三十万未満だと見込まれれば第三号被保険者として認定される仕組みになっていますが、この百三十万という基準を一緒に見直すんでしょうか。

小宮山国務大臣 なるべく、いろいろな職業の選択の仕方などによって、不公平な制度は直していきたい、公平公正な、働き方に中立な制度にしていきたいという意味では、私は大臣に就任したときから、これは委員も同じお考えだと思いますけれども、配偶者控除、そして三号の被保険者の問題、さらに今回提出いたしました社会保険の適用拡大、これをあわせて総合的にやる必要があるということは申し上げてきています。

 ですから、そこを改正していく必要があるということは認識をしております。

あべ委員 そうすると、配偶者控除に関しましては、そこの部分を見直していくということでよろしいですか、大臣。

小宮山国務大臣 それは税調の中でも、昨年もその前もずっと議論をしているところでございます。

 ただ、さまざまな状況の中で、私、厚生労働省としては、その配偶者控除を見直すということも税調の方に提案をしておりますけれども、まだ残念ながら結論が得られていないということで、引き続きそこは議論をして、なるべく速やかに配偶者控除をなくしていく方向で、経過措置とかいろいろ必要だとは思いますが、そのような形で進めていければいいというふうに考えています。

あべ委員 この委員会ももう何十時間もやってきていると思うんですが、やはり中身が余りにもなくて、のれんに腕押し、ぬかにくぎという感じでございまして、何を言っても検討中、党が検討しているということで、一体政府は、その話を聞いて、政府と与党は一体だったのではないかということの疑問点も生じるわけであります。

 消費税だけの一体改革、全く無責任でございまして、社会保障の改革の切り込みがまだまだ足りない。そこのところはしっかりやっていただかないといけませんし、少子化の問題と高齢社会の問題は切り分けて考えるべきでございまして、日本における高齢社会の問題は、今いらっしゃる団塊の世代の方の老後をどのように支えていくのかということの問題でございますから、次世代に責任を持つ我々自民党、野党としては、ここの部分の議論はしっかりとさせていただきたいと思います。

 時間になりましたから終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにてあべさんの質疑は終了いたしました。

 次に、加藤勝信君。

加藤(勝)委員 おはようございます。自由民主党の加藤勝信でございます。

 当委員会では二回目の質疑ということでございますけれども、この委員会の名前が社会保障と税の一体改革に関する特別委員会、こういうことであります。それから、政府の方では社会保障と税の一体改革大綱というのをたしかお出しになられているわけでありますが、この国会で議論しようとすることであれば、法律という形を介して私どもは議論をさせていただく、あるいは予算ということもありましょうけれども、そういうことであります。

 しかし、そういう意味で、初めていろいろ政府から案が出て、我々がそれに対して対案を出していく、こういうことでありますが、政府から案が出てこずに野党から案を出すというのは、これは対案と言わずに何と言うのかなという気もするわけでありますけれども、いずれにしても、今回のこの委員会に出されている法案を見ますと、まず、私は、これから社会保障で一番大きい問題、先般も議論させていただきましたけれども、介護あるいは医療、こういった問題をどうするのか、これに関する法案は、残念ながら一本も出てきていないわけであります。

 それから、年金についても、皆さん方が一番ポイントにするのはいわゆる新しい年金制度だと思いますが、この法案はございません。現行制度をベースにした見直し案ということであります。

 また、少子化に対しても、確かに法案は出しておられますが、御指摘のような待機児童の解消ということから考えると、ちょっと趣旨が違うのではないかな、むしろ即効性のある対応を考えていくべきではないか、こういうふうに思うわけであります。

 今申し上げたように、大綱の中では、平成二十四年度の国会にこれも出します、あれも出しますとたしか書いてあったように記憶をしておりますけれども、こうした医療や特に介護の関連法案について、一体いつ出てくるのか、この国会あるいはこの委員会の今審議をしている中でお出しをいただけるのかどうか、その見通しについて、まずお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 一体改革の中の工程表で、今後国会に法案提出を検討とさせていただいていることは事実でございます。

 医療、介護の方は、医療サービス提供体制、これは関係者の御意見を伺いながら、なるべく早く提出できるようにただいま検討しています。

 それから、介護につきましても、税制の抜本改革と同時実施に向けて、制度化に当たっての課題などを今検討しているところでございますので、工程表でもごらんいただいているように、順次必要な法案を検討が済んだものから出していきたいというふうに考えているところです。

加藤(勝)委員 社会保障改革と一体でいわば消費税を中心に税の議論をするというにもかかわらず、その根本たる社会保障の話が出てこないということになると、単に消費税増税だけの議論をするのか、こういうことになるんだというふうに思います。

 我々としては、そういう考え方に立つべきではない、こういうふうに考えるわけでありまして、先般、私どもの茂木政調会長が当委員会で、この国会に社会保障基本法案を提出する予定であるというようなこともお話しになりました。

 今、そうしたことも念頭に置きながら、一体、社会保障の改革の基本理念あるいは基本方針、あるいは消費税というものの使途をどうするのかということをしっかり私どもとしては取りまとめをさせていただいているわけでありますけれども、しかし、まず、やはり政府・与党側が、そうした分野についてこうしますということを出すのが、先ほど申し上げた本旨だと思います。

 今、厚生労働大臣は、医療についてあるいは介護についてということでありますが、大綱の中でどう書いてあるかというと、あるべき医療提供体制の実現に向けて、一部略しますが、医療法、関連法を順次改正する、そのため、平成二十四年度通常国会以降速やかな法案提出に向けて、関係者の意見を聞きながら検討する。あるいは、介護については、平成二十四年度通常国会への提出に向けてということで、まさにこの国会に提出をするということを前提に議論する、こういうことになっているわけでありますけれども、もうこの会期そのものが六月二十一日ということであります。だんだん、仮に提出いただいても、議論させていただく時間が余りなくなってきております。

 もう一度お伺いいたしますけれども、税と社会保障の一体改革ということをスローガンに挙げておられるわけでありますから、少なくとも、それに見合うかどうかはともかくとして、医療、介護についてもしっかりとした法案を提出されるべきだと思いますけれども、その点についての政府の具体的な方針をお示しいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 一体改革の工程表でも、順次出すというふうに申し上げているところでございまして、今御紹介いただいたように、二十四年度、もちろん早いにこしたことはございませんが、今検討しておりますので、二十四年度以降というのは、二十四年度から、なるべく早いにこしたことはありませんが、あくまで以降ということでございますので、この国会中に必ず出すというふうに申し上げているものは、年金も子育ても含めまして、既に出させていただいています。あと、医療、介護は当然、診療報酬、介護報酬や予算措置で、そうした改革の方向に向けた取り組みは実際に今進めていますので、なるべく早く法案も出すように努力をしたいと思っています。

加藤(勝)委員 どなたにお答えいただくのかわかりませんが、消費税の改正法案の第一条にどう書いてあるのか。すなわち、社会保障制度の改革をする、行政改革をしっかりやりますよ、そして、経済情勢の好転云々という条件はありますけれども、消費税の使途の明確化と税率の引き上げを行う、これはセットになって書かれているわけであります。そうすると、検討、検討と言ってずるずるずるずる延びていくと、一体いつ出てくるかわからない。

 私は、少なくとも、消費税法案をお出しになるときに関連する法案を出すのが本来だと思いますけれども、しかし、ぎりぎり考えても、国民の方々に最終的に、皆さん方の考え方でいえば二〇一四年の四月に八%に引き上げになられる、こういうことであれば、その判断をされるのは多分半年前、あるいはもう少し前だと思います。その段階までには、いわゆる最終的に引き上げますよというまでには、少なくとも、そうした社会保障の具体的な法案について、私は当然出すべきだ、それまでにはどんなに遅くても出すべきだ、こう思いますけれども、岡田担当大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 なるべく政府内でまとめて具体的な法案の形で出すべきだ、そういう委員の御主張はよくわかります。

 ただ、これだけ、この委員会だけでも、子ども・子育てで三本、年金で二本、法案をお出ししているわけで、やはり物事は一つ一つやっていかないと、一遍に出してもなかなか、それで一気に審議が進むわけではございません。

 ぜひ、今お願いしている法案について、これは与野党合意で、この委員会で、それに税法二法を含めて七本を御審議いただくということでお決めいただいたわけですから、まず、そのことについて議論を深めていただき、税法を含めてこの七本がしっかりと成立したところで、また医療や介護についても御相談させていただきたいというふうに考えております。

 基本的な方向性については、大綱の中に書いてあるところです。

加藤(勝)委員 ですから、私が申し上げているのは、大綱で皆さん方が国民の方々にお約束をした、その約束をしっかり実行していただきたい。

 それから、別に、今それが出てこなければこれ以上審議しないなんということを言っているわけではなくて、むしろ、一体改革と皆さん方が称している以上は、やはり医療や介護の法案も出していただいて、最終的なトータルとして消費税のことも含めて答えを出していく、これが本当の姿であり、また、税と社会保障の一体と言っている以上はそうしていかなければならない、こう私どもは思うわけであります。

 先ほど、今私どもとしての考え方をまとめさせていただいていると申しましたけれども、その中で一つ、社会保障制度改革国民会議ということも今議論をさせていただいております。

 ただ、いろいろな報道での伝わり方は、ちょっと私どもが今議論している方向とは違うのではないか。少なくとも、与野党間の協議の場としてはそういうものを考えているわけではなくて、与野党間において政治の意思はそうした国民会議を図る前にしっかり決めていく。そうした基本理念や基本方針を確定した上で、あとの具体的な制度設計については有識者の方々に集まっていただいて議論をしていただこう。これが私どもの考えている趣旨でありまして、何も、議論を先送りするとか、そういうものでは全くないということをここで明らかにしておきたいというふうに思いますし、当然、そこで出していただく結論、そしてそれを踏まえた政府の対応も、先ほど申し上げたように、仮に二〇一四年の四月に消費税を引き上げるということであれば、その判断をされる時期、半年前ぐらいになるのでありましょう、それまでには一連の、社会保障をどうするかということも含めて国民に示すということが私は政治としての当然の責務だ、こういうふうに思うわけであります。

 改めて、その点についてもう一度確認をさせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 確認と言われましたが、むしろ御党が提案されている話でありますので、それについて私がどうコメントすべきかということはありますが、いずれにしても、中長期的に、多少時間をかけて議論しなければいけない問題について、与野党で議論して方向性を出すということは、私は非常に重要なことだというふうに思っております。

 そういったものの結論をなるべく早く、消費税を現に引き上げるまでの間に合意を見出していくという努力はなされなければならない、そういう委員の御指摘に対して、私は基本的に賛成であります。

加藤(勝)委員 むしろ、我々の方からこれから提案をさせていただくということになると思います。

 ただ、今副総理がおっしゃった、中長期的なということのくくりになるのかどうか。目の前にやるべきことはもういろいろ出てきているわけでありますから、そして、消費税はここ数年以内に上げるということであれば、それに合わせて、やるべきことをしっかりと具体的に決めて、その上で国民の皆さん方の納得をいただく、これが本当の姿ではないかというふうに思います。

 確認と申し上げたのは、少なくともそういうタイミング、最終的に消費税を引き上げるということを判断するタイミングまでには、全ての社会保障の改革、当面やるべき改革の中身についてもきちんと示した上で判断をするということが必要なことではないか、私は、その基本的な姿勢の確認をさせていただきたいと申し上げたところであります。

 その上で、前回、社会保障のことで議論をさせていただきました。

 お手元に、社会保障に係る費用の将来推計について、あるいは社会保険料水準の見通しについて、これは前回御説明いたしましたので改めて申し上げませんけれども、これを見る中でも、年金の問題もありますが、それ以上に医療や介護、特に介護については、介護保険料がこのままいくと十数年で二倍になっていく、こういうことになるわけであります。

 先日の委員会でも岡田副総理にお伺いいたしましたけれども、こうした水準というものを本当に国民が負担し得ていけるのかどうか、私は甚だ懸念を持つわけでありますけれども、その点について副総理はどうお考えでありますか。

岡田国務大臣 それはまさしくこれからの議論でありますが、私は、介護保険制度をつくったときから比べると、かなり給付、したがって負担もふえている。それは評価すべきところもある、それだけ多くの方が活用されているということですから、基本的には評価すべきことだと思います。

 ただ、国民の負担能力にも限界があるという中で、年金、医療、介護、子ども・子育て、どういう割合で負担していくのか、そして、全てをやるということではなくて、ある意味では取捨選択して、効率化して重点化していく、そういう方向性は重要だと思っております。

加藤(勝)委員 私どもは、今、この介護の問題、これは段階によって、所得によって違いますけれども、いわゆる標準の水準が五千円、このぐらいが当時、最初のころは一つの限度じゃないかなという議論だったと思います。

 それが今、一万円を超えよう、超えるかもしれないという状況に近づいてくることが、もう目の前に来ている。かつて、年金の議論のときも、このままいくと保険料がどんどん上がっていくんじゃないか、こういう中で一つの大きな制度改革を我々はやらせていただきました。やはりそろそろ、介護あるいは医療についても、そういう観点から議論すべきじゃないか。

 そういう意味で、私どもは、やはり特に税金やあるいは保険料を負担する立場というものをもう少し明確にして議論していかなければ、確かに、現場において医療のサービスを受ける、介護のサービスを受ける、あるいは提供される方々がおられる、そのことも非常に重要ではありますけれども、前回申し上げたように、それを支えているのがさまざまな制度であり、その基本には保険料や税を納める方々がおられる、そして、そういう方々が納めることができて初めて社会保障制度自体がいわゆる持続可能である、こういう話を前回もさせていただきました。

 そういう意味で、やはり負担という面について、一体どのぐらいが負担をできるのであろうか、そしてその中で、どういう形でよりよい医療や介護が提供できる仕組みがつくれるのか、もっとそういう視点に立った議論を私は徹底的にやっていかなきゃいけない。

 そういう意味で、成案の段階で、重点化、効率化でたしか一・二兆円程度の歳出削減を図るということで、社会保障の充実がたしかトータル二・七兆、三・八マイナス一・二で二・七でしたか、二・七兆円、こういう数字が出ていたと思います。

 ただ、その中身を見ると、何か保険料にツケ回ってしまうんじゃないかとか、あるいはどこまでそういう削減ができるのか、こういう問題も中に包摂されているわけでありまして、私は、もっともっと効率化を図る、そして、先ほどから申し上げているように、特に税や保険料を負担される立場、そしてそれが一体どのぐらいまでが大丈夫なのかということにしっかりと重点を置いて、もっともっとそういう方向で検討し、改革をすべきではないか、こういうふうに思っておりますけれども、そうした点について、岡田副総理、いかがお考えでしょうか。

岡田国務大臣 介護保険に関して言えば、私は、より重点化という方向は必要だというふうに思っております。もちろん、そのことによって質が落ちてはいけないわけでありますから、そこのバランスの問題というのはあると思いますけれども、まだまだやれる余地はあるのではないかというふうに思っております。

 それから、介護、いろいろな施設に私も行く機会があるわけですけれども、そのレベルについても、かなりばらつきもあります。そういったところも、よりよいものを一つのモデルにしながら、いい、質の高い介護、しかし同時に効率的な介護ということを目指していくべきだというふうに思っております。

加藤(勝)委員 税金は、上げる場合には税法という形で通らなければならないわけであります。ただ、保険料の場合は、基本的にそれぞれの保険者等が決めて上がっていく。ただし、医療や年金については上限というのが決まっているんですね。ところが、介護の保険料の場合には、基本的に上限がないんです。一部、国民健康保険には介護分の賦課限度額が十二万円だ、たしかそういう規定はありますけれども、それ以外の保険者については特段の上限の規定がないんですね。

 ですから、そういうことも含めて、やはりしっかり、先ほど申し上げたこれから介護がどんどんどんどん特に負担が上がっていくという中では、ある意味での歯どめといいますか上限、当面の少なくとも上限といったものを提示していくべきではないか、こう思いますけれども、厚生労働大臣、いかがですか。

小宮山国務大臣 委員御指摘の問題意識は持っておりますので、そうしたことも含めて検討させていただきたいと思います。

加藤(勝)委員 検討ではなくて、答えをしっかり出すということが今求められていると思います。検討は確かに大事なことであります。しかし、どこかで判断しないと答えは絶対出てこないわけでありますので、やはり今回、皆さん方も消費税の引き上げということに踏み込まれているわけでありますから、そのタイミングにおいて一つ結論を出していくというのが、私は一つの筋ではないかというふうに思います。

岡田国務大臣 あと、私が思うのは、介護保険というのは保険の一つでありますから、やはり保険料の負担をする人が、これ以上の保険料の負担には耐えられないので、給付の効率化とか中身の見直しをすべきだということは言い得るわけであります。

 単位としては、基本的には市町村単位ということで、目に見える範囲ですから、私は、そういった保険としての機能がより果たせるような、そういう工夫も必要なのではないか。基本的には、例えば市議会の中で、うちの市の介護保険について、多少保険料を下げてでも、下げるために給付の方を過剰になっていないかどうか見直すべきだとか、そういう議論がもっとなされていいんだろうと思うんですね。

 そういう意味でいいますと、私は、御党の御提案の中に税の負担をふやすというくだりもあるのですが、そういう方向がいいのか、あるいは、もうちょっと保険としての性格を前面に出していった方がいいのか、これは議論の一つの分かれるところではないかと思っています。

加藤(勝)委員 我々も、直ちに公費負担の割合を引き上げるということではなくて、今副総理がおっしゃったように、さまざまないわゆる効率化とか重点化をした上で、それでも全体の給付費が上がっていくのであれば、一体どこまで保険料としてお願いできるのか。

 特に、介護保険の場合には、医療保険と違って、医療保険は、程度はともかくとして、風邪を引いて医療機関にかかれば医療保険の直接の恩恵を受けるわけですが、介護保険の場合というのは必ずしもそうではない。自分じゃなくても、家族が誰も介護保険を受けないというケースも多々あるわけなので、そこがやはり随分違うのではないか。

 その辺も含めて、まずは我々は、効率化を図り、それでも上がっていく保険料というものを、上限を見ながら、場合によっては税ということ、公費負担ということも考えていかなければ、もちろん財源の確保を前提として考えなきゃならないのではないか、こう思うわけであります。

 次に、消費税の使途について、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 今、お手元に、いわゆる消費税の改正案と地方消費税法案の改正案をお渡ししているわけであります。

 消費税法の第二条では、傍線を付しておりますけれども、「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」、いわゆる医療、介護、年金と少子化対策に充てる、こう書いてあります。

 ところが、地方消費税の方は、「消費税法第一条第二項に規定する経費」というのは今の四経費、「その他社会保障施策(社会福祉、社会保険及び保健衛生に関する施策をいう。)に要する経費に充てる」ということですから、これを読むと、いわゆる四経費以外の経費も地方消費税は充てることができる、こういうことになります。

 例えば、社会福祉の中には今いろいろ議論になっている生活保護も当然あると思います。

 ということになりますと、広い意味での消費税、今回五%上げる、しかし、国分については生活保護のそうした費用に充てることはできない。しかし、地方において、たしか今四分の一負担だったと思いますが、その分については地方消費税は充てることができる、こういうことでよろしいんでしょうか。

川端国務大臣 これは、国税と地方税の部分での法律の書きぶりは資料で配っていただいたとおりでございます。

 その中で、地方消費税の引き上げの趣旨は、国分の消費税率の引き上げと同様に、要するに今後も増加が見込まれる社会保障の四経費への対応というのが原則であります。規定上、国税を、消費税法を引用して例示をいたしまして、その他ということに加えました。

 これは、幾つかの議論があるんですが、実態としては、高齢者あるいは児童それから障害者等々、貧困者等に関して、一体的、総合的に四事業等をあわせてやっているような事業がありまして、これを社会保障四経費かどうか区分させるということにおいては、実務上、限界があるということ。

 それから、地方の自主財源である地方税でございますので、補助金ではありませんので、厳密な使途制限にはなじまない。

 それから、地方の御意見としても、六団体、いろいろ議論を重ねましたけれども、社会保障・税一体改革大綱で「地方団体の意見を踏まえて検討し、結論を得る。」とされていることで、議論をいたしました。地方からは、社会保障財源、この四経費に関しての必要性は十分に認識する中で、理解をするけれども、加えて、地方の社会保障施策に要する経費に広く充ててほしい、あるいは、地方の自主性が制約されぬものとすべきという意見もいただきました。

 そして、現行の所得税法等改正法附則第百四条の規定で、国分の消費税については、附則百四条第三項第三号で、社会保障四経費に充てるべきことを明記されておりますが、附則第百四条第三項第七号に基づいては、社会保障制度の安定財源の確保の観点から検討してきたということの書きぶりでございます。

 こういうことを総合的に判断いたしまして、基本的に、これは四経費とそれにのっとる範囲ということでございますので、四経費に係る部分の周辺事業ということで項目も整理をさせていただいたところでございます。

加藤(勝)委員 今総務大臣からお話がありました四経費の周辺事業、国においてはそういう事業はないんですか。

安住国務大臣 基本的にはございません。

加藤(勝)委員 これは厚労大臣にお伺いした方がいいと思うんですが、対象にしないということでお聞きしているのではなくて、そういう事業を予算上、政府において対応していることはないんですか、こういう趣旨であります。

 当然、あります。にもかかわらず、何で国と地方が違うんですか。御説明ください。

安住国務大臣 失礼しました。先ほど申し上げましたが、税法上の問題だと思いました。

 地方交付税も地方税法も、そういう点では、国税との構成要件が違うということがまずあると思います。

 そういう中で、四経費を、先ほど申し上げましたが、私どもとしては、これはもうはっきりそこに書いてあるとおりでございますけれども、地方分については、それぞれの例示を挙げながら、それにのっとった方針で使っていただくというところが、地方税法上、ぎりぎりの書きぶりだったということだと思います。

加藤(勝)委員 税法の話をしているのではなくて、使い道の話でありますから、少なくとも、皆さんが四経費に使いますということで、特に岡田副総理、かなり、もう一回使途のやり方を整理されましたよね。

 例えば、国の歳出の中でも当然消費税が上がればふえる部分があります、しかし、社会保障の部分だけですよ、四経費の部分だけですよ、それ以外はだめですよということでかなり厳格にやっておられたにもかかわらず、なぜ地方において違うお話になるのか、ずれが出てくるのか。

 そこはやはりきちんと整理していただかないと、要するに、消費税の増収は何に使うのかという根本の問題に立ち返ると私は思いますけれども、そういう意味で、もう一度御答弁いただけますか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、今、地方においては、その地方の実情に応じてきめ細かく四事業と周辺を一体的に運営しているということがございます。そういう部分で、四経費にのっとった範囲の地方単独事業ということで整理をいたしました。

 予防接種、乳幼児健診、がん検診等々でございますが、その中でも、例えば、地方単独事業は複数分野にわたって総合的に実施されていることを踏まえ、例えば障害者、障害児を対象とする事業のうちでも、高齢者の介護に該当する事業に相当する部分、子ども・子育ての事業に相当する部分をのっとった範囲と整理するということで、地方の自主性の周辺事業を整理させていただいた。何でもいいから使えるということではないという意味も含んで、四事業と、それにのっとったという整理をさせていただいた、先ほど申し上げたとおりでございます。

加藤(勝)委員 いや、だから、地方の整理はわかりました。しかし、同じ話が国の予算の中にもありますよね、厚生労働大臣。では、何でそれを対象にされないんですかという話であります。

 何で国の場合にはだめで、地方の場合はいいんですか。いわゆるダブルスタンダードだ。それが、何で、どういうことなんですかということをお聞きしているんです。

岡田国務大臣 国は四事業にしか使いません。これは国の方針であります。

 その上で、地方にどうするか。それに準じた扱いということでありますが、そこは、地方には地方の、地方自治というものもありますから、そういう中で、基本的には準じた扱いにしていただいているということでございます。

加藤(勝)委員 そもそも地方消費税というものをどう捉えていくのか、その使途を本当にこういう形で限定していいのかという、その根本をきちんと整理せずに、たまたま消費税だからということでやる。

 さらに、きょうは議論しておりませんが、地方交付税も外されていますけれども、こういうふうに使ってください、しかし、地方交付税というのは、まさに自由に使ってくださいというのが根本だったと思うんですね。だから、そこのところをきちんと整理しないからこういう話になるんだというふうに私は思いますので、そこはしっかり強く指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 それから、もう一つお伺いしたいのは、今回の消費税法案で、この先の話、いわゆるとりあえず一〇%の先の話ということについて、大綱では若干記述があったものがいろいろな経緯で入っていないということがございますけれども、成案の中で、将来的には、社会保障給付に係る公費全体、いわゆる四経費について、「消費税収(国・地方)を主たる財源として安定財源を確保することによって、社会保障制度の一層の安定・強化につなげていく。」こういうくだりがあります。成案というのは、大綱の中でも、それは遵守していくというふうにたしか書いてあったというふうに記憶をしております。

 前回お聞きしました、今、国、地方で、いわゆる社会保障四経費は幾らですか、二十四年度予算で幾らですか、こうお伺いしたら、三十一兆五千億円だ、こういうお話でございました。そして、現行の消費税、これは一%が地方消費税分ですから、さっきの話ではありませんが、これは地方が自由に使っていただいていいというのが現行分であります。それからさらに、地方交付税の話はありますけれども、それを含めて、四%で見ると約十兆四千億円である。ですから、差額が二十一兆円ということになります。

 そして、今回の消費税引き上げは五%で十三・五兆。これを全部社会保障に充てるかどうかという議論はありましたけれども、そこから、いわゆる社会保障の充実分が二・七兆円、消費税の引き上げに伴う政府の支出増、これは社会保障に係る部分が八千億円、そして年金の国庫負担二分の一の引き上げ分が二・九兆円、これを差っ引くと七兆円。したがって、消費税引き上げによって充当できるのは実質七兆円だ、こういうことになります。

 さっき申し上げた、二十一兆穴があいていますよ、今回七兆埋めますよ、残り十四兆円、さらにまだ消費税によっては埋められていない穴がある、こういうことになるわけであります。さらに、これから高齢化に伴う自然増もあります。

 そうしますと、消費税換算で五%プラスアルファのさらなる引き上げが、もし消費税によって充てるとすれば、今回一〇%に上げて、さらに五%プラスアルファが必要になる、こういうことになるのではないかと思いますけれども、そういう考え方に皆さん方がこの成案の段階では立っていた、こういうふうに理解してよろしいんですか。

安住国務大臣 事実関係として、十七兆円程度の、不足分が出て差し引きすれば、十七兆出てくることは事実でございます。

加藤(勝)委員 ですから、今、計算はそのとおりだと認めていただいた中で、それを成案の中では、主として消費税を中心に、こう書いてあるわけでありますから、将来的には、全部ということではないにしても、消費税を今ざっと計算してもさらに五%上げていかなければ、今不足している部分、仮に一〇%に上げても、四経費で不足している部分は、あと五%プラスアルファ上げなければ満たすことができなくなるのではないかと思いますけれども、そこの方向というものはそういうふうに考えておられるんですか。

岡田国務大臣 これは一〇%にした後の話であります。

 まず、そのときの税収全体がどういう状況になっているかということがございます、これは消費税だけではなくて。その前提として、経済成長がどの程度実現しているかということによって税収は変わるわけであります。

 それからもう一つは、行政改革。これは一過性のものではなくて、しっかりとこれからもやっていかなければなりません。その実がどれだけ上がるかということで歳出の規模も変わってまいります。

 ですから、単純比較すれば先ほどの十七兆という数字が出てまいりますけれども、全体の規模は、そういう税収がどうなるか、歳出削減がどうなるかということによって変わってき得るということでございます。

 その上で、その差分をどうするかということは、主として消費税を中心にという表現にはなっておりますけれども、ほかの、所得税あるいはその他の税制についても同時に議論しなければなりませんので、現時点でそれ以上、何%とかそういう数字を先行させて議論するということはいろいろな臆測も呼びますので、その段階でもう一度国民的議論をして決定していただく、そういうふうに御理解いただいた方がいいと思います。

加藤(勝)委員 いずれにしても、やはりそこには一つの穴が、穴といいますか解決すべき課題があるということは明らかでありまして、そのことはあわせて国民の方々にもしっかり説明をしていかないと、山はまだまだ先にありますよ、ここで頂上に来たんじゃないんですよ、これは非常に大事なことだと思うんですね。そういう意味では、そこは逃げずにきちんと説明をしていただかなきゃいけないというふうに思います。

 それから次に、新しい年金制度の創設についていろいろ議論があるんですけれども、一点教えていただきたいのは、今回の年金改正法案の附則の二条に、例えば、「政府は、この法律の施行後三年を目途として、」この法律というのは、年金の財政基盤を拡充するというこの法律ですけれども、「この法律の施行の状況等を勘案し、基礎年金の最低保障機能の強化その他の事項について総合的に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」あるいは、「政府は、平成三十一年三月三十一日までの間に短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲を更に拡大するための法制上の措置を講ずる。」こう書いてあるんですが、皆さん方は来年に新しい年金制度を出されるのではないんですか。

 となると、この三年後の見直しとか平成三十一年まで云々という、こういう検討の附則を今回の法律につけるというのは、これはどういうことになるんですか。

小宮山国務大臣 新しい年金制度につきましては、導入しても、その施行までには、先ほども御議論のあったマイナンバーの制度の導入、定着といったことですとか、さまざまな環境整備に一定の時間が必要だということ、また、新制度が発足した後も、当分の間は、現行の制度も継続をして、そこからも年金が支給をされていくということがございます。

 このため、一体改革の大綱では、今の制度の改善に取り組むことを今回の法案で出させていただいていますが、その法案の中で、施行後三年をめどとした制度改善に関する検討、見直し規定、これを設けるということは、新しい制度の年金を来年国会に提出するとしても矛盾するものではないというふうに考えています。

加藤(勝)委員 矛盾するかどうかというのは、どういう法律を出されるかということを前提にしないと、矛盾しているかしていないか、確かに、いろいろな立て方があるのは事実でありますけれども、ここを見る限り、少なくとも新しい年金制度を大綱では書いていますけれども、今回の法律では、その新しい年金制度を来年出しますよということを明示的に意識してこの法案は出されていないんじゃないか、私はこういうふうに認識をするわけであります。

 それから、低所得者対策について、先ほど我が党のあべ委員から御指摘をさせていただきました。六千円、特に今回の低所得者加算の部分ですけれども、これは完全に税によって、しかも、これまでのルールではなくて、新たなルールとして加算される。

 そして、高齢者の方々の生活をすると、あと六千円ぐらいで七万円だとおっしゃるんですが、仮に家計調査で見ても、例えば東京でお住まいの方と地方でお住まいの方では、当然、必要な家計費が違いますよね。多分一、二割違います。それから、生活保護のそれぞれの生活費として出す金額も各段階があって、これも二割ぐらい、あるいはそれ以上に違っているわけで、にもかかわらず、何で今回、一律に六千円を払う、こういう結論になったんでしょうか。

小宮山国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、最近、近年の単身の高齢者の基礎的な消費支出、これは衣食住とか光熱費ですが、これが月額六・七万円から七万円ということが平成十四年から二十二年の間の平均であるということ、これから……(発言する者あり)この年間の平均ということです。そして、特例水準を解消した後の老齢基礎年金が六・四万円になるということ、そこの差額という形で計算いたしました。

 ただ、御指摘のように、これについては地域による差ということは計算をしてございませんが、現在の年金制度の中でも、低年金の方がたくさんいらして、そこを何とかしなければいけないという課題は御理解をいただいていると思いますので、何とか保険料納入の意欲を失わない形でやりたいということで、今回はこういう制度設計にさせていただいたところです。

加藤(勝)委員 ですから、今、それぞれの高齢者の方の生活費の基礎的な部分ということに準拠するというのであれば、地方ごとに随分違うわけでありますから、それを無視して一律にというのもかなり飛躍した議論だというふうに私は思います。

 その上で、最後に岡田副総理にお伺いしたいんですけれども、消費税のいわゆる逆進性の解消と、それから社会保障におけるさまざまな低所得者対策の関係であります。

 私は、まず、受益と負担というものを考えたときに、結果的に消費税は上がります。しかし、さまざまな社会保障において、特に低所得者の方に限って言えば、さまざまな形で施策が行われます。このバランスで物事を見ていくべきだというふうに思うんですね。それでもなおかつバランスが崩れれば、それを補完するということはあり得ると思いますけれども、この社会保障におけるそうした低所得者対策を全く別個にして、全く別次元の話として、まさにいわゆる逆進性の解消を議論するというのは、私は、受益と負担の関係で物を見ていくということからいっても甚だおかしいんじゃないか、こういうふうに思うんですね。

 ところが、前、厚生労働委員会でちょっと議論したときに、片一方は恒久的措置です、片一方は臨時的措置です、こういう区分けだから別々だとおっしゃったんですけれども、そもそも今回の簡易なやり方も、本来ならば、給付つき税額控除等の恒久的な措置ができないから、それに代替する措置だとしておっしゃっているわけですから、流れとしては、広い意味では恒久的な措置であるので、片一方は恒久で片一方が暫定だという整理もちょっと腑に落ちないな。

 そういう意味で、私申し上げたいのは、まず、低所得者対策等がどうなっていくかということを決めずにして、今申し上げた受益と負担という観点から、消費税のいわゆる逆進性の解消だけを議論するというのは適切ではない、こういうふうに考えるんですけれども、副総理のお考えをもう一度確認したいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、今回の改革の中で、先ほどの年金の最低保障機能の充実とか、あるいは国民健康保険や介護保険の保険料の軽減措置とか、所得の少ない方に対する対策というのは盛り込まれております。そのことは前提にして、それでもなお逆進的に働いているところについて給付つき税額控除と、その前段階の暫定的な、一時的な措置ということで構成すべきだというふうに考えておりますので、私の従来の答弁がそうでないというふうに聞こえたとすれば、それは誤解でありますし、もし間違いがあれば取り消したいというふうに思います。

 ただ、そういうふうに考えてまいりますと、やはり複数税率よりは、ピンポイントで所得の少ない方に給付するという給付つき税額控除の方がより効率的に対応できるのではないか、そういうふうに考えていることも申し添えたいと思います。

加藤(勝)委員 最後のそういう対策は別途議論させていただくにしても、きょうの議論で一番最初に申し上げたように、そうした低所得者対策をどうするか、医療や介護の面も含めてどうするかということが決まらなければ、今言った逆進性の解消の話も出てこない。

 したがって、少なくとも引き上げの実施を判断する時期までには、やはり両方をきちんとそろえて、こういうことでやりますから消費税の負担も御理解いただきたいということにしないと、最後は説明ができないんじゃないかというふうに私は思うわけで、そういう意味でも、簡素な部分だけ取り出して議論するというのではなくて、それも場合によっては必要かもしれません、しかし、基本である社会保障における低所得者対策、医療、介護も含めてきっちりと具体的に法律の形でお出しいただくことがまず第一だということを強く申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて加藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、小渕優子さん。

小渕委員 おはようございます。自由民主党の小渕優子でございます。

 加藤委員に引き続いて、本日、質問をさせていただきたいと思います。

 限られた時間ではありますけれども、本日は、一体改革関連七法案の中でも、特に子ども・子育て新システムに関しての法案を中心にお伺いをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 これまでも、また昨日も、この子ども・子育て関連についてはさまざまな質疑があったわけでありますけれども、改めて、そもそも論でありますけれども、日本における最重要課題とも言える少子化についてお伺いをしたいと思います。

 私は、民主党政権になってから少子化問題について余り強い発言がなされてこなかったというふうに思っています。また、この少子化という言葉も民主党政権になってから余り使われずに、かわりに使われているのは、チルドレンファーストあるいは子ども・子育てといった、ある意味ちょっと、少子化が持っている意味ではない、論点を外したような曖昧な言葉が使われてきているのではないかというふうに思っています。

 少子化ということでいたずらにその危機感をあおる必要はないんですけれども、しかし、少子化というのは待ったなしの状況でありまして、申し上げるまでもなく、この少子化問題、決してお母さんと子供だけの問題ではなくて、もちろん男性であっても、また年配の方であっても、誰もが少子化問題について意識を共有して、みずからできることは何だろうかということで取り組んでいかなければならない、そういう大きな重い課題であるというふうに考えています。まさに、少子化問題は待ったなしの状況にあるわけであります。

 にもかかわらず、どうも、チルドレンファーストと子ども・子育て、この言葉では、少子化問題イコール相変わらず母子福祉政策、その色合いが強くなってしまって、狭い範囲に少し戻してしまったようなイメージができてしまっているのではないかと心配をしております。

 改めてお伺いをいたします。

 国は、この少子化問題についてどのような問題意識を持っておられるのでしょうか。少子化克服、これをなし遂げようと思っておられるのか。また、少子化克服をしようと考えておられるのであれば、取り組むべき課題は何か。何が必要で、どうした努力をしていく必要があるのか。これはまず岡田大臣にお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 今、委員のお話を聞いておりまして、もちろん少子化というのは非常に重要なことですけれども、同時に、これは結果でもあるわけですね。

 だから、そこのところを強調する言い方、それが大事だという委員の御指摘もよくわかりますけれども、同時にやはり、それがなぜ生じたかということに重点を置いて、我々はチルドレンファーストとか子ども・子育て対策が重要だとか、こういう言い方をしているわけですが、どちらの言い方がよりいいかというのは、恐らく議論の分かれるところだろう、余り少子化、少子化と言い過ぎて、かえって狭くなってしまう、そういうおそれもあるんじゃないか。

 少子化問題の重要性を幅広く訴える、そういうメリットはあるとともに、子供が少ないということだけをピンポイントで言ってしまっているよりは、もう少し周辺のことも含めて言うなら、子ども・子育ての重要性を言うということの方がいい面もあるというふうに、委員の御指摘を聞いていて思ったところであります。

 いずれにしても、これは非常に幅広い対応ということが必要なわけで、おっしゃるように、働き方の問題もあります。特に、女性が結婚し、出産した後も働き続けられる、そういう状況をどうつくっていくかということは非常に重要なことだと思いますし、それから、もちろん子育てということを、個人、家族が基本であるということは当然ですけれども、それだけではなくて、それで十分でない、そういう方もいらっしゃるわけですから、社会全体でそれをサポートするということも重要だというふうに考えているところです。

小渕委員 少子化がなぜ生じたかということに重点を置かれたというようなお話であるんですが、なぜ生じたのか、少子化対策担当大臣にお伺いをいたします。

 少子化の要因、これは何だと思われますか。

小宮山国務大臣 実際には、この委員会でも再三申し上げているように、若い人たちも、二人は子供を欲しいという方が多数を占めている。けれども、一つは、問題は今の働き方、雇用の面があるというふうに思います。

 ですから、若者の雇用の対策などをしっかりしなければいけない。仕事がしっかりないために結婚や出産の希望がかなわないということ。また、核家族化ですとか地域のつながりが薄れている中で、いろいろやはり子ども・子育てが、家族が小さくなっている面もございますので、さまざまな支援が必要だということ。そして、家族が小さくなり、東京などでは一・九九という人数になったこともあって、非常に孤立感がある。これもやはりサポートが必要だというふうに思っています。

 子ども・子育てビジョン、これに基づいて、若者の自立した生活、就労への支援ですとか、あるいは、働いていても、これはお母さんだけではなくてお父さんも必要なときに育児休業がとれるように、改正育児休業法の中のパパ・ママ育児休業プラス、このようなことも活用していきたいと思っていますので、これは、雇用の面、それからまた子育てのサポートの面、さまざまなことを総合的にする中で、子供を、そして子育てを支援していく中で、持ちたい人が子供を持てるようになれば、結果としてこれは少子化がなくなっていく、そういう形で私どもは考えているところで、結果、このどちらからどう考えるかということで、子育ての支援が必要だという意味では、委員とも考えの基盤は同じではないかというふうに思っています。

小渕委員 大臣、私、質問は、少子化の要因は何ですかとお伺いしたのです、その後でどうしますかという話をさせていただこうと思っておったんですが。

 何で少子化が起こっているのか。いろいろな理由が言われてきたわけですけれども、やはり、日本において未婚化、晩婚化が進んでいるというのが七割を占める要因であるというふうにも言われてきております。

 この未婚化、晩婚化、これこそなぜ起こっているのかということで、いろいろな理由が考えられるわけですが、今、大臣がお話しになったように、やはり若い人たちの雇用不安、また自立のおくれ、そうしたことが大きな問題になっているということが指摘をされています。

 先ほど岡田副総理もこの少子化の問題について触れていただいたんですが、やはり、この言葉自体がいいであろうと悪いであろうと、何とかしてこの少子化という問題を克服していかなければならない、この思いは同じではないかというふうに思っています。

 しかし、今お示しをされている、小宮山大臣からは幅広くやっていくんだというお話があったんですけれども、どうも今回議論されているこの新システムは、やはり幼保、特に保育ですね、ここに特化した政策であるというふうに私自身は感じております。

 これまでもこの席に立ちました自民党の議員が申し上げているように、やはり少子化問題というのは、子供を持った人がそこから支援をされるということではなくて、今回のこの少子化の要因を考えても、若者政策から始まり、結婚、出産、子育て、教育、これをワンパッケージにして対策を講じる必要があると思っていますし、若者を支援していくということ、少子化問題を克服していくということ、また女性が社会に出て働ける仕組みをつくっていくということ、これは社会保障の議論の中でまさに支える側をいかに強化していくかという問題でありますので、大変重要なことだというふうに思っています。

 そのことにつきまして、これは岡田大臣にお答えをお願いしたいと思います。

岡田国務大臣 そういった形で総合的に捉えていくということは非常に重要なことだと思います。

 ただ、具体的政策ということになりますと、これは一つ一つやっていかなくてはならないので、その中で、我々、幼保一元化ということを軸にして、子供をきちんと預けるといいますか、あるいは教育といいますか、そういったところに重点を置いて組み立てているところであります。

 それは、委員もかつて少子化大臣のときに出していただいた認定こども園のその考え方の延長線上で、今の総合こども園というものを中心とした我々の一つのパッケージを提案させていただいているところでございます。

小渕委員 今、岡田大臣からのお話がありましたように、現在議論をしているこの子ども・子育て新システム、これはやはり幼保、ある意味保育ですね、保育に大変重点を置いた、特化した法案であります。もちろん、それ以外にも妊婦健診ですとか、多少ほかの部分も含まれていることは承知をしておりますけれども、八割以上が保育、ここの話になってくるわけです。

 確かに、今のお話のように、ここの部分、これは議論をしていかなければならないことでありまして、それは大変重要なことではあるんですが、やはり私たちが見ているところは、ここの部分だけよくなればいいということではなくて、安心して産み育てられる社会を構築することであり、最終的には少子化を克服していこうというところが目的としてあるんだと思っているんですね。そう考えると、今回のこの議論というものは、ある意味、議論が一部にしかすぎないというふうに考えております。

 少子化政策については、もう本当にこれまで長年議論を積み上げてきていて、やらねばならぬことというものは大体出そろってきていると思うんですね。あとは、これをどういう順番でやるのか、どれだけ予算を確保できるのか、そういうことであると思うんですが、もう言うまでもないことですが、私は大きく分けて三つだと思っているんです。

 一つ目は、やはり経済的な支援です。子供の貧困だとか、格差だとか、教育にお金がかかるだとか、さまざまなことが今言われている中で、やはり困っているところに、必要なところに国として経済的な支援をすることで子供が産めるような環境をつくっていく、これが一つ大事な点だと思います。

 二つ目とすると、やはり環境整備。今回のこの新システムもそうですけれども、女性が働く人が多くなって、そういう中で、働きながら子供を育てられる保育所の整備だとか待機児童対策だとか、そういう環境整備をしなければならない。これが二つ目の柱です。

 三つ目は、意識を変えていく、社会を変えていくことです。育休の制度であったりワーク・ライフ・バランスであったり、まさに子供や子育てに優しい社会をつくっていく、人の意識を少しずつ変えていく。

 そういうことが三本柱で少子化というものはやっていかなければならないと思っていますし、これはどこかに特化してやるということではなくて、少子化というのは、人によって、お金が欲しいという人もいれば、いろいろなさまざまなニーズがありますから、いかにこれらをバランスよくやっていくかということが私は重要であると思うんです。

 しかし、現政権のやり方はどうも一つのことに特化しているようで、まず、経済的支援に関しては子ども手当ですよね。環境整備については今回の新システム。片や、かなわなかったですけれども五兆円以上費やすという話をして、今回の新システムは一兆円をかけるというような話であって、どうもこれらのバランスをもう少し見ていった方がいいのかなと思うんですね。

 私は、子供にお金が来るというのは、予算をもっと子供に振り分けていいと思っていますので、これはいいことだというふうに思います。ただ、限られた予算ですから、必要なところに必要なお金を投じていくということがやはり少子化克服への道の第一歩ではないかと思います。

 そういった中で、私は今三本柱を挙げさせていただいたんですが、特に、意識、社会改革、ここが実は一番難しいところなんだと思うんですね。ワーク・ライフ・バランス、雇用、意識の改革、こういうところにもっと、ほかのいろいろなところに特化せず、バランスよく予算を振り分けていくこと、これが私は少子化対策として大事なことだと思うんですけれども、これは少子化大臣にお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 小渕委員の今の三つのことを総合的にということは、私も全く同感するところです。

 三つ目が意識という言い方をされましたが、働き方、それに対する意識ということかと思いますので、経済的手当てと、就学前の居場所を確保することと、やはり働き方、そこでの意識の問題、これを総合的にやらなければいけないということは同じです。

 ただ、一度に全部を一緒に法案として出すのか、一つ一つやっていくのかという手法の違いかなというふうに思っておりまして、経済的な負担のことについては、御党などの御尽力もあって、新しい児童手当という形で恒久的な制度ができました。

 そして次に、今、居場所をつくろうということでやっていまして、ただ、並行して、先ほども答弁させていただきましたが、年央にまとめる日本再生戦略の中でも、女性がちゃんと働き続けられるようにということ、これはもう福祉政策ではなくて経済戦略として考えた方がいいということで、これもたくさん報告書は積み上がっているんですが、実効性が上がっていないところを実務的なことを中心に詰めていくこともやらせていただきたいと思っていますので、男性が育児休業をとりやすくということも小渕委員が少子化担当大臣だったときにも御尽力いただいたことですが、そうしたことを総合的にやっていく。

 ただ、重点を置いて一つずつやっていくという手法を今の政権ではとっていて、今出しているものはその居場所の方の法案だということを御理解いただければと思います。

小渕委員 この後でまた触れさせていただきますけれども、もちろんやり方に違いはあるかと思うんですが、大事なことは、今待ったなしの状況であるということ、そこをやはり念頭に置いてやっていかなければならないと思います。

 あともう一つ大事なことは、国がこの少子化問題について、また、子ども・子育てについて本気で取り組んでいくんだという強い意思ですね。そして、皆さんが子供を産んでも安心ですよ、きちんと育てていけるだけの環境をつくっていきますよ、そういうことを若い世代に伝えていくということ、そういうメッセージを発信していくということが私は物すごく大事なことだと思っています。

 ですから、一緒に頑張っていこうというメッセージとともに、現実的な予算、プラン、こういうものをあわせてやっていくことが私はとても重要なことであると思っています。

 ですから、私は、少子化対策担当大臣の役割というのは、ただ単に政策をつくって国会でこういう議論をして何かをまとめて予算を確保してということだけでなく、国民に対して、特に若い世代に対して前向きなメッセージを送っていくということ、これは物すごく大事なことだと思うんですが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、国会審議の時間などがあって、なかなかそちらに時間が十分に割けていない点はあるんですけれども、週末に各地で対話集会をしたときも、私は割と子育ての話もいたしますので、会場からもいろいろ御質問もいただき、若い方たちからも御発言をいただいていますし、今も時間の許す限り、マスメディアを通じてとか、あるいは若い方向けの雑誌のインタビューとかも応じまして、可能な限りそのメッセージを伝えていくということは本当に大事なことだと思っています。

小渕委員 ありがとうございます。

 そうした中で、岡田大臣にお伺いをしたいと思います。

 これは何度も言われている話でありますが、少子化担当大臣、民主党政権になってから九人目です。ことしに入ってから四人目。この話はいろいろなところで出てきて、答弁いただくと、どの方も皆さん、短期間ですけれども力を尽くしてこられたというふうにおっしゃるんですね。

 しかし、今申し上げたように、小宮山大臣もおっしゃるように、やはり少子化対策担当大臣の仕事の一つに前向きなメッセージを外に伝えていくという、これはとても大事な仕事だと思うんです。

 あわせて、九人もかわるというのは、民主党政権が子ども・子育て、少子化問題に熱意がないということをあらわしているように私は思うんですね。

 岡田大臣も、短期間でありますけれども、少子化対策担当大臣をお務めになりました。これは、ことしの一月の十三日から二月の十日まで一カ月弱という期間であります。しかし、少子化大臣をお務めになりました。

 そのときのことも含めてお答えいただきたいんですが、私は、岡田大臣こそ、いつもそういう難しい顔をしておられますけれども、テレビの前に出て、笑顔で若い人たちに、さあ、子育て、頑張りましょうということを伝えたら、これはある意味すごくインパクトがあったと思うんですね。短期間でもぜひやっていただきたかったなと思っているんですが、御自身の経験、反省も含めて、どのように思っておられますでしょうか。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

岡田国務大臣 これだけ少子化担当大臣がかわるということはいいことではありません。それは御指摘のとおりであります。

 ただ、この国会でどうしても子ども・子育て関連三法案を審議を経て成立させようということを考えたときに、やはり小宮山大臣にやっていただくことが一番いいだろうという判断をした、つまり、この法案を何が何でも成立させるという政権の執念のあらわれであるということは御理解をいただきたいと思います。

 いろいろ御意見はあるかと思いますけれども、委員が道を開かれた認定こども園のさらにその延長線上としての今回の三法案でありますので、ぜひ自民党におかれても、いろいろな御意見はあると思いますが、委員が中心になって取りまとめていただいて、法案の成立をともにしていただければ大変ありがたいというふうに思います。

小渕委員 では、九人から一人引いて八人の変更はいいのかという話になりますので、それについてはしっかり反省をしていただくなり、少子化について本当にやる気があるということを、やはりこんなに変更をしているということで、熱意なんというものは伝わりませんから、そのことについては真摯に反省していただきたいというふうに思います。

 それでは、新システムの中身に入っていきたいと思います。ここからは基本的に少子化対策担当大臣にお伺いをしていきたいと思っています。

 小宮山大臣にはこれまでも女性や子供のことでいろいろな議論もさせていただき、また力も合わせてきた部分もあるかと思います。本来、子供のことは、与野党協力できることは協力していく、そういう分野であると思っていますし、よりよい方向に一歩でも前進していきたい、その思いは私も大変強く持っております。ですから、私は建設的な議論をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 この新システムの大きな柱、これは幼保一体化、これであります。私は、先ほど、少子化政策についてはこれまで長年議論が尽くされていて課題については大体出そろっている、後は優先順位をつけること、予算を確保することということを申し上げました。

 その中で、大臣にお伺いをします。

 なぜ幼保一体化、これが最優先課題だと思われたのでしょうか。

小宮山国務大臣 これはやはり、これまで親が働いていれば保育園、そして働いていなければ幼稚園というように親の働き方によって違っているということと、今、建設的な議論というお話をいただきましたが、私もずっと子ども・子育ての問題をやってきまして、保育に欠ける子という概念がもう時代に合わなくなっている。そのことはずっと以前から議論をしてきたところですけれども、そうしたことも含めて、今本当に質の高い学校教育と保育を全ての就学前の子供たちに一体的に提供したいという、これは先ほどから岡田副総理からもあるように認定こども園が先駆けてやっているわけですが、そうしたことを広げていきたいということ。

 それから、待機児さんの解消も、今特命チームなどでいろいろ子供の安全にかかわらないところの規制を外すなどでやっていますが、抜本改革がなかなかできないということ。また、この中では、あわせて家庭の支援も総合こども園でしたいと思っていますので、いろいろな意味で、今までも本当に小渕元大臣も含めて御努力をいただいてきましたが、抜本改革をしていかないと、なかなか現状のいろいろな多様化されたニーズに応えられない、子ども・子育てを本当に応援していくにはここで新しい仕組みに変えていくことが必要だと思ったこと、その中心になるのが幼保一体化でございます。

小渕委員 資料を見ていただきたいと思います。

 一枚目でありますが、これは保護者のニーズ調査であります。

 これはきのう発表されたとても新しい調査なんですけれども、上から四つ目、「幼保一体施設の増設」一一%。これは、十七項目中、何と十四位です。これは、今こんな位置にいるということではなくて、多分、政権交代のときから大体この辺の位置にいるんですね。上がりもせず、一応確保だけしているというような位置であります。

 二枚目をごらんください。これは、望ましい幼稚園と保育園のあり方について、施設と保護者それぞれに調査を行ったものであります。

 施設調査の方は、全体も幼稚園も保育所も大体同じような結果が出ているんですけれども、幼稚園と保育所が併存する、そしてまた幼保の機能をあわせ持つ施設も併存する、それに対する期待が七〇%を超えております。

 また、その下の保護者の方の調査でありますけれども、保護者の方も同じような状況であって、現在の幼稚園、保育所、そして両方をあわせ持つ施設が併存する、これがやはり七〇%以上の期待があるということです。

 今政府がやろうとしているこの一体化、これについての期待は二〇%ぐらいなんですね、施設も保護者も。こうした大変ニーズの薄いものをなぜ最優先にやろうとするのか、私は、まずそこが大変不思議です。

 大臣の問題意識もわかるんですね。ただ、これは、施設側の調整あるいは保護者の理解、そういうものを得ることだけを考えても、この調査を見てもわかるように、時間がかかるのは当然のことです。これは、そんなに簡単にできることではありません。無理やり幼保一体化の絵を描くわけですから、やはり複雑化もするし、いろいろなところで妥協を重ねながらの最後のでき上がりのものというふうになってしまうんですね。

 ここでもう一つ指摘をさせていただきたいのは、本当に少子化は今待ったなしの状況にあります。ですから、時間的な危機感というものを私はもっと持っていただきたいと思います。

 これは、申し上げるまでもなく、もう釈迦に説法でありますけれども、団塊のジュニアと言われる方々、第二次ベビーブーム、この方々は昭和四十六年から四十九年に生まれています。この皆さん方があと二年でみんな四十代になります。

 私は、政権交代前、あと五年が少子化を考える上でまさに勝負だということをずっと言ってきました。この団塊ジュニアの方々が何とか三十代のうちに少子化脱却への道筋というものをつけたかったんですね。

 これはみずからの反省も含めての話でありますけれども、この第二次ベビーブームが過ぎたら、お母さんになれる人の数が格段に減っていくわけです。そうすると、自然と子供の数も減っていく。そういう状況にあるわけでありますから、今本当に限られた貴重な時間にもかかわらず、こういうなかなか対立も多い、時間もかかる、予算もかかる、そういう議論を一番先に持ってくるというセンスが私はよくわからないんですね。

 本当に少子化の克服、そして今の子育てをしている世代に対して、子供に対して、半歩でも一歩でも前に進めていきたい、そういう支援策をしたいというふうに思うのであれば、私は、この大事な時期に幼保一体化という高いハードルは掲げないというふうに思います。与野党で力を合わせて協力できて、できるところからやっていって、徐々にハードルを上げていく。なぜ、こういう現実的な歩みというものができないのかということを申し上げたいと思います。

 本当に、この貴重な貴重な約三年弱という期間をまさに議論ということだけで終始してしまったということ、私は、この責任は大変重いというふうに思います。少子化大臣、どのようにお考えでしょうか。

 残りあと二年、私は、この二年をせめて無駄にはしたくないなというふうに思っているんです。ですから、私は、早いところこの幼保一体化をおろしていただいて、まずは認定こども園を見直す、そこからスタートをして、必要であれば幼稚園、保育の改革をしていく、それが現実的な方向であると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 私自身も仕事をしながら子育てもしてまいりましたし、子供たちのことを現実的に一歩ずつ進めていきたいということは、全く気持ちは変わりません。

 その中で、今おっしゃった認定こども園は、先駆けとしての貴重な、就学前の子供に教育も保育も提供する、施設側も保護者も非常に評価をしている……(発言する者あり)済みません、やじに答えてはいけないんですが、本会議でも申し上げたように、もう一度伊吹筆頭にも申し上げますが、盲腸という発言を私がしたのであれば、本当にそれは申しわけなかったと心からおわびを申し上げます。

 私の趣旨としては、今の仕組みの中ではなかなか認定こども園が伸びていかないということを申し上げたかったので、今回、先駆けの取り組みの認定こども園の皆様にもたくさんお話も伺いましたし、私も訪ねて、実態も把握をさせていただいています。

 そうした中で、認定こども園を進めるために、一つは二重行政、小渕報告にもありますけれども、二重行政と、財政支援が足りない。これは今の制度のままでは、そこのところは改革ができません。そういう意味で、幼稚園は文部科学省、そして厚生労働省が保育園という省庁の縦割りを排して、これは子ども家庭省をつくりたいですが、当面はその基礎として内閣府に一体化する。このようなことはやはりシステムを変えないと難しいということで、今おっしゃったことを推進するために今回はこうした法案を提出させていただいているので、おっしゃっていることと私の思いは同じです。

 ただ、やる手法の問題だというふうに思いますので、認定こども園を発展させていくべきだとおっしゃった、そのことのためにも、やはりこの制度の改革、システムを変えないとそれは不可能だと思いますので、ぜひ御理解をいただければと思います。

小渕委員 不可能だ、できませんとあっさりおっしゃるんですけれども、そうでしょうか。この後、この認定こども園の見直しについては、馳委員の方からしっかり質問をさせていただきたいと思います。

 もう一つの大事な問題が待機児童対策だと思うので、ちょっとこの待機児童対策に話を移らせていただきたいと思います。

 三枚目の資料をごらんいただきたいと思います。これは、幼保一体施設がつくられた場合に、皆さんの園は移行しますかという調査をしたものであります。

 二つ表があるんですけれども、下の方の表を見ていただきたいんですが、これは、ゼロ歳から二歳児の保育を行うことができますかということを幼稚園、保育所両方に聞いているんですが、この幼稚園のところを見ていただくと、移行できるかということに対して「難しい」と答えているのが三四・四%。端っこの「非該当」というところは、最初から移行する気がないという人たちなんですね。これを合わせると、七〇%近くいくわけです。

 これまでもさんざん言われてきているように、この幼稚園のゼロ―二歳をふやせない、義務化できないという時点で、これは待機児童対策に全くならないとは申し上げませんけれども、今回の新システムの一体化の案というものが、決して待機児童を全て解消できるような、そうした抜本的な案ではないということを申し上げたいと思います。

 しかし、この待機児童対策、待機児童の問題というものは、やはり与野党を超えて取り組まなければならない課題です。私自身も、この問題を何とかしたいというふうに取り組んできましたけれども、待機児童が減ったところにまた新たな待機児童が発生する、女性はこれからまたさらに社会で働いていくということで、なかなかこれは、正直、道のりは厳しいということは承知をしております。

 自民党としては、量的拡充のための予算確保というもの、これはもちろん重要だということは考えるんですけれども、今回の案のように、時間もかかる、お金もえらいかかる、そういうことでなくとも待機児童対策になることがあるのではないか、そういうことを少し提案させていただきたいと思います。

 先日、自民党の松本純議員から、横浜市の取り組みについて御紹介がありました。横浜市は当時は待機児童が大変いて、本当にひどいところだというような話だったわけですけれども、これは首長さんのやる気によって物すごい改善をして、すばらしいと思います。ただ、一律のやり方ではなく、やはり横浜市に合った形のものを首長がやる気を持ってやってきた、このことが大事なんだと思うんですね。

 そうしたところを例にとっても、自民党としては、首長の裁量権を拡大して、待機児童を多く抱える自治体については一部特区などを認めるとして、重点的かつ即効性のある待機児童対策をやっていかなければならないというふうに思っています。

 また、小学校の空き教室、これはかなりありますよね。こういうものとか自治体所有の不動産とかを最大限活用して、できるだけお金をかけないように、保育所の分園などを設置するような形で促進ができるのではないかと思います。

 こういう案も、確かに抜本的な待機児童解消ではない、それも十分にわかっております。ただ、できるだけお金をかけずに対策を練る必要もあると思いますし、実際、消費税が来るのは早くても三年後ですよね。とすると、では、それまでどうするんだという話もありますので、お金が来なければ、システムができなければ何もできないではなくて、今困っている人を何とかして助ける、そういうことを一番に考えていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 おっしゃるとおりで、横浜市さんがこれだけ、八百人台から百人台に待機児さんがことし減ったというのは、菅政権のときにやりました待機児ゼロの特命チームというところで、可能な、子供たちの安心にかかわらない規制をなくしたり、必要な補助金を出したりということを、横浜市ですとか世田谷区とか江東区とか、取り組んでいらっしゃる自治体の御意見を聞いて、方策を今とっている結果なんです。そういう意味では、横浜市長とも、常に細かいことまでいろいろといただいて、それに可能な限り応えた結果ですので、今、政権としてはそういう具体的な取り組みもしているところです。

 そして、今、なるべく地方に裁量権というお話がありましたが、今回の新システムは市町村に全部権限を集中いたしますので、そういう意味で、都市部は都市部、地域は地域で、それぞれに合った形ができるようにしております。

 そして、お金をかけなくてもということがございましたが、先ほど委員もおっしゃったように、子ども・子育てにお金を確保することの必要性は言っていただいていると思いますので、今回、消費税での〇・七兆と、議論になっております〇・三兆を加えて一兆円を超える、この中では、職員の処遇、配置も含めて、〇・七兆は質の改善に使いたいというふうに思っています。

 あと、先ほどの、たしか幼保一体化の理解というか、それに対する御支持が余りないというのがございましたが、そこはわかりやすい説明ができていないということかとも思いますけれども、これは幾つかのことがあったので、もう一つだけ。

 幼稚園に三歳未満を義務づけなかったことで待機児解消につながるかという点については、やはり学校教育が三歳からということで、そこはまた全国的ないろいろな地域による実情の差もありまして義務づけはしていませんが、ゼロ、一、二歳をなるべく受け入れていただけるように、恒久的な財源をもとにして、インセンティブとして小さい子を見る単価設定をするとか職員の配置基準の問題とか、いろいろしていきたいと思っていますし、先ほどお話にあった横浜市の横浜保育室と私立の保育園が連携をしてやっているケースもございまして、そうしたところからは今回の仕組みを大変御評価いただいているということも申し添えたいというふうに思います。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

小渕委員 もう一つ、これは待機児童対策に少し貢献できるのではないかということをちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 現在、待機児童の八割がゼロから二歳児であります。ゼロ歳児は約一〇%、一歳児は二六%、二歳児は三三%が保育所を利用しています。ゼロ歳から二歳児の待機児童が八割という現状でありますから、やはりこの部分の量的拡充というものが必要不可欠であるということは考えています。しかし、それぞれどのくらい拡充をしていこうと思われていますか。

 例えば、福祉国家と言われるスウェーデンでは、ゼロ歳児はゼロ%です。一歳児が四九%、二歳児が九一%の保育所の利用率になっています。これは、一つのこの国の子育ての理念というものをあらわしているのではないかというふうに思います。

 それでは、日本においてはゼロ歳から二歳児の保育、これはどこを目指しておられますか。具体的に、大体これはどのくらいを目指して拡充していこうと考えておられるんでしょうか。

 私は、やはりその国の子育ての理念というものがあってしかるべきであって、ニーズがあるからといってただやみくもに量的拡充だけをしているというのは、これは財源の問題もありますし、いかがなものかというふうに思います。いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今、子ども・子育てビジョンによる保育サービスの拡充という中で、三歳未満児、現在は四人に一人、二四%が利用しているものを三人に一人、三五%が平成二十六年には、そして平成二十九年には四四%が利用できるような形にしたいと思っています。

 そういう意味では、それぞれの保護者の方が育てたい形で子供になるべく寄り添って育てられるように、そういう意味では育児休業もゼロ歳のときは特にとりやすくした方がいいと思っていますし、あと、家庭でごらんになっている保護者の方もいろいろ相談ができるようなことも今回組み込んでいますし、やはりそれぞれが希望する育て方ができるように、選択肢をなるべくお示ししていきたいというふうに考えているところです。

小渕委員 まさに私は今子育て現役世代でありまして、私の周りもみんな子育てをしている人たちが多いんですけれども、私の周りは最近こんな話があるんですね。子供が生まれて、会社でも育休を一年間とることができると言われている。自分も子供ももちろんできるだけ長く一緒にいたい。しかし、一歳児では保育所に入るのは物すごく大変です。一歳児になって保育所に入所できないと困るから、だからゼロ歳児から預けてしまいましょうというようなことであります。

 育休法や世の中の流れによって育休の取得率も高まっていますし、大体一年から一年半、育休、産休をもらえるというところもふえてきているというふうに思います。しかし、ちょうど子供が一歳になったときに、ちょうど四月になって、ちょうど保育所があいていて入れましたというような奇跡的な状況に恵まれる人というのは、これはほとんどいません。

 例えば、十二月に子供を出産しました。翌年の四月には子供は四カ月ですよね。翌々年の四月には子供は一歳四カ月になります。会社が例えば一年半休みをくれているとしても、保育所の一歳児に入ることは現在東大に入るより難しいというふうに言われている中で、では、この女性はどうするかというと、子供が四カ月のうちに保育所に入れるということを決断するわけです。これは、やはり一歳児よりもゼロ歳児の方が入りやすいからです。

 しかし、一方、ゼロ歳児保育、これはかなりお金がかかるわけですね。自治体によっては、高いところだと一人当たり年間六百万ぐらいかかると言われているところもあるわけです。

 子供を持って働いた経験のある人ならわかると思うんですけれども、まだまだ一歳にも満たない子供を喜んで手放して働きに出る親なんというのは、これはいないと思うんですね。しかし、もし子供が一歳になって保育園に入れなかったら、そして、もしそのために仕事を失うようなことがあったら、そういうことを考えて、泣く泣く幼い我が子を放して、預けて、働きに出る親が多いわけです。これは何か変な悪循環になっているのではないかなと思います。

 一歳できちんと預けられるようになれば、これは自治体のゼロ歳児分のお金も浮きますね、親もうれしい、子供はもちろんうれしい。私は、しなくてもいいこのゼロ歳児保育、この余分なゼロ歳児保育をなくしたいというふうに思います。ちなみに、ゼロ歳児保育が減ると、お金も浮きます、保育士も浮きます、保育室もあきます。ということで、その分、一歳児の枠がぐんと広がると思います。

 ですから、私たち自民党は、このゼロ歳児というものを段階的に減らしていくことによって、何とか一歳で保育園に入れる、そういう状況をつくっていきたいと思います。

 ただ、そのためには、やらなきゃいけないことが最低でも三つあると私は思っています。

 一つは、そうはいっても預けなきゃいけない人というのはいますから、その人たちのためのゼロ歳児の窓口、これは必ず開いておかなくてはなりません。それと、家庭的な保育だとか小規模保育だとか、こういうところを充実することによってゼロ歳児の受け入れというものをきちんとしていくということ、これが一つです。

 二つ目は、職業形態にかかわらず、やはり最低でも一年の育休、産休を確実にとれる、そういうシステムを構築するということ。

 そして三つ目は、四月以外でも柔軟に入所できるように、産休明けが四月であるとは限りませんので、予約制などで柔軟に保育所に入れるように、そういう制度をつくっていかなければならないのではないかと思います。

 例えば、この三つ目については、子供が生まれると出生届を役所に出しに行きますよね。出生届だけでなくて、ゼロ歳児というのは何かにつけ役所だとか保健所だとかああいうところに行くことが多いと思うんですけれども、そういうときに、一年後、例えば来年の十二月に保育園に入所させてくれという予約ができるようにすればいいと思うんですね。皆さん、育休をとっている一年間、保育園に入れるか入れないかということをどきどきしながら乳児を育てているわけで、そんな必要もなくなるということです。

 この予約制は、私は今からでも検討していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今三点言っていただきましたけれども、確かに、ゼロ歳児は一緒に育てたい、そういう保護者の方ができるように、会社の育休の仕組みなどをいろいろ充実することも大切です。

 ただ、おっしゃったように、預けなければいけない人、預けなければ仕事が続けられない人というのもいるので、そういう意味では、一番の点については、今回、家庭的保育、小規模保育、ここが今まで財政支援が少なかったところを、基準を満たせばしっかり財政支援をしてやっていきたいというので、そこの御趣旨には合っているかというふうに思います。

 そして、最低一年とれる仕組みというのは、育児休業の充実ということだと思います。

 おっしゃるように、確かに、今でも一年じゅう受け付けてくださいということは申し上げていても、やはり、四月には待機児さんが今二万人台が、十月になるとおよそその二倍の四万人台になってしまうという実情がありますので、委員がせっかく御提案いただいた予約制ということ、それは預ける側からしたら本当に助かる仕組みだと思いますので、どのように実現可能かということも、お知恵もいただきながら議論をさせていただきたいというふうに思います。

小渕委員 その中で、今回の法案の中にある地域型保育と放課後児童クラブ、私は、これは、これだけでは待機児童の解決にはなりませんが、やはり多様な子育てを応援していくという意味において大変重要なことだと思っています。

 特にゼロ歳児、一歳児というのは、いきなり大きな保育園にどんと預けられてもなかなかつらいわけでありまして、やはり家の環境に近い、そういう状況の中で子供を育てていくということがいいのではないかと思っています。

 放課後児童クラブ、これについても、やはり第二の待機児童問題であるというふうな思いがありますので、しっかり手をつけていかなければなりません。

 しかし、問題は、いかに財源を確保するかということ、そして質の確保ということを考えると、広さと最低限の基準というものを設けること、職員の人数、資格をどうするのかということ、これについてはしっかり考えていかなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今回、放課後児童クラブも、地域型の保育事業の中にしっかりと位置づけまして、財政支援をすることも含めて、児童福祉法にきちんと位置づけて、職員の基準などについても、今非常に労働過重になっているところ、低賃金のところなどございますので、その処遇の改善なども含めて、財源措置もちゃんと確保した上で取り組んでいきたいというふうに思っています。

小渕委員 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、今いろいろと議論になっています指定制についてもちょっと触れさせていただきたいと思います。

 指定制でありますが、意図するところはわからないでもないんですけれども、ただ、これはやはりさまざまな問題をはらんでおりまして、指定制を導入していくということはかなりリスクがあるのではないかと思っています。

 目的とすると、待機児童がいるのに保育所をつくらない、つくりたくないという自治体を何とかしたいというような思いによるものであると思うんですが、ただ、この指定制を入れることによる弊害とか懸念とか、こういうものを払拭していくということはやはり物すごく難しいというふうに思います。質の担保という意味において、やはり指定制導入については私もちょっと疑問が残るんですね。

 きのうの議論を聞いておりましたら、公明党の池坊先生からも指定制について御指摘があったかと思うんですが、最終的に自治体がいいところを選べる権限があればいいのではないかなと思うわけで、何もこの指定制というやり方でなくても、別の方法、別の手段があるのではないかと思うので、私は、この指定制についてはぜひ知恵を絞っていただきたいと思います。お答えはこれは結構であります。

 それで、もう本当に時間がなくて、したかった質問が十分にできなかったんですが、最後に、安心こども基金について質問をさせていただきます。

 先ほどから申し上げているように、少子化問題、少子化対策、待ったなしの状況で、この残り二年という期間を本当に貴重な時間だと思って、できることから、現実的なところからやっていただきたいというふうに思っているわけであります。このシステムができなければ、また消費税が来なくては何もできないということではなくて、やはり今からできることをやるということが大事なことなんです。

 そうした中で、どうしたらこの少子化を充実できるかということを考えると、やはり安心こども基金、これに頼っていかざるを得ないんだと思います。

 政権交代した後、これが切られるのではないかと思って心配をしておりましたけれども、何とか残っておりまして、今後もこれはしっかり積み増しをしていくことによって、消費税という大きな予算が来るまでの間、確実に少子化を克服するんだという強い意思を持って、できることを確実にやっていく。そしてまた、先ほども申し上げましたけれども、幼保一体化というような高いハードルを投げるのではなくて、与野党が力を合わせて、できるところから一歩一歩現実的に進めていく、そのことが大事だということを申し上げて、最後にお答えをお願いしたいと思います。

中野委員長 答弁をいただく時間がなくなってしまったのですが、馳先生、よろしいですか。(馳委員「どうぞ。私の時間を差し上げますから」と呼ぶ)はい。

 それでは、小宮山厚生労働大臣。

小宮山国務大臣 安心こども基金につきましては、政権交代後も、先ほど申し上げた待機児解消のこともこれでやっていますし、それから被災地への支援などもこれでいたしました。そういう意味で、平成二十一年度、二十二年度、二十三年度、それぞれ積み増しをしてまいりました。

 来年度につきましては、また予算編成過程で財務省と検討することになりますが、そこは、しっかりとこの役割は認識をしておりますので、さらに積み増しも含めましてやっていきたいというふうに思います。

小渕委員 以上です。ありがとうございました。

中野委員長 これにて小渕さんの質疑は終了いたしました。

 次に、馳浩君。

馳委員 おはようございます。

 午前の最後のバッターになりました、自由民主党の馳浩です。よろしくお願いします。

 小渕さんから目の覚めるような提案もいただきながら、よりよい審議がなされるように私も努力をしたいと思います。

 我が党の中でもいろいろ議論していて、ワーク・ライフ・バランスの話をすると、どうしても女性の働き方というところにターゲットが行ってしまって、それは違うんじゃないか、男性の働き方こそを変えていかなければいけないということで、やはり残業は徹底的にさせないようにしよう、家庭に帰そう。伊吹先生のように、ちゃんと家庭に帰って料理もつくる。

 あるいは、有給休暇はちゃんと徹底的に消化させよう、もし年度で消化できなかったら、その会社の負債にしてしまう。それは経営者も、そういう制度になれば、有休はちゃんとやはり消化させた上で、お子さんやあるいは家庭のいろいろなことがあったときに、それに時間を割くことが、より人間としての効率や能率を高める働き方になるのではないか。

 こういう提案こそ国民の意識を高める提案ではないか、こういうふうな議論を私たちもしておりまして、まとめていこう、提案していこうというふうに思っております。

 私は今、さらっと申し上げましたが、こういう男性の働き方こそやはり意識を変えていくべきだという考えについて、小宮山さん、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 同感でございます。

 超過勤務については、今、六十時間以上については五〇%以上というふうに割り増しをしていますけれども、もっとそれを下げる必要があると思いますし、有給休暇を残す国というのは、先進国でほかの国へ行って説明しても説明がつかないことでございます。当然とるべきものですので、お考えには同感です。

馳委員 まず、配偶者控除の考え方についてちょっと、政権の考えをお伺いしたいと思います。

 まず、岡田副総理、控除から手当へ、こういう考え方は、今回のこの子ども・子育て新システムにおいても貫かれているんでしょうか。

岡田国務大臣 今回の子ども・子育て新システムというお話ですと、ちょっとそれは必ずしも明確な答えはできないんですが、我々が子ども手当というものを提唱し、現在は児童手当ということになっておりますが、その背景にあったのは控除から手当へということであって、年少扶養控除を廃止して、それを一つの財源にして、子ども手当、現在の児童手当、それに充てるということでございます。

 手当と控除を考えたときに、やはり控除というのは、所得税を払っておられる方、特にたくさん払っておられる方にとって、よりメリットの大きい制度である、それよりは、同額をお支払いする手当の方がより必要なところにしっかり届く、そういうふうに考えて、控除から手当へというふうに申し上げているところであります。

馳委員 安住大臣に歴史的な経緯をちょっとお伺いしながら話を進めていきたいと思いますが、この配偶者控除という制度ができたのはいつごろでしょうか。

安住国務大臣 昭和三十六年でございます。一人目の扶養親族として扶養控除が適用されておりましたけれども、一方的に扶養している親族とは異なる事情に鑑みて、配偶者の所得の稼得に対する貢献等を考慮してということで、この制度が創設をされております。

馳委員 私もちょっといろいろ勉強してみたら、一応、扶養控除の中に配偶者というふうに明記されたのが一九四〇年のころだそうですね。何でかなと思ってまた資料を調べてみたら、当時の産めよふやせよ運動の中で、やはり女性は家庭において産んでもらおう、そして五人目までと。明確に政府の文書にそう書いてあるということで、私もちょっと、こんなのを今ごろ小宮山さんに読ませたら激怒するだろうなというふうな文書でありました。

 ちょっとこれを読んでみましょうか、せっかくの場ですので。

 一九四一年、人口政策確立綱領というのが政府から出されておりまして、「人口増加ノ方策」となっているんですよ。「出生ノ増加ハ今後ノ十年間ニ婚姻年齢ヲ現在ニ比シ概ネ三年早ムルト共ニ一夫婦ノ出生数平均五児ニ達スルコトヲ目標トシテ計画ス」、「五児」というのは五人ということですね。

 さらにびっくりしますよ。「女子ノ被傭者トシテノ就業ニ就キテハ二十歳ヲ超ユル者ノ就業ヲ可成抑制スル方針ヲ採ルト共ニ婚姻ヲ阻害スルガ如キ雇傭及就業条件ヲ緩和又ハ改善セシムル如ク措置スルコト」とあって、かいつまんで言えば、女性は二十を過ぎたら働くことをやめて、早く結婚して平均五人の子供を産むべきと、政府文書として明確になっているんですね。

 したがって、恐らくそのときに、やはり女性の役割として、いわゆる配偶者、配偶者といっても妻の役割を明確にして、産めよふやせよと。

 これは、時代がさらに変わって一九六一年、ちょうど私が生まれた年、いわゆる妻の座を明確に確保するための、扶養控除の中から配偶者控除というのを明確に抜き出して位置づけをした、こういう歴史的な流れでありました。

 岡田副総理、今ちょっと私、簡単に歴史的な経緯を説明し、同時に、政権をとられた今日において、この配偶者控除という制度についての見直しは必要だと思われますか。いや、これは温存すべきだと思われますか。

岡田国務大臣 私は、配偶者控除は廃止をすべきだという意見の持ち主でございます。それから、党としても、マニフェストにはそういうふうに記載をしております。

 ただやはり、政権交代してそういったことを党の中でも随分議論されたはずですが、慎重論もあって、なかなか実現するには至っていない。一かゼロかではなくて、段階的にそれを縮小していくような、そういう道も含めて考えていく必要があるのかな、そういうふうに思っているところでございます。

馳委員 言わずもがなですが、所得税には、基礎控除、扶養控除、配偶者控除という形で、所得に対して家族の役割を認めている部分ですよね。ここはやはり、税こそ、国民の意識、国民の生活の一つのスタイルとして理解をしてもらおうという配慮があって、ここは恐らく、財務省の主税局においても、もうちょっと、現代の置かれているその実態を踏まえた見直しということにしていく、慎重にやはり取り扱っていくべきだと思うんですよ。

 当然、配偶者控除を段階的にやめて、扶養者控除に入れて、扶養者控除については年齢的な区分を明確にした上で最終的に廃止をし、得られた財源を必要な障害者政策とか高齢者のための政策の手当てにしていこうという考え方は一つあると思うんですけれども、そこの議論の中に、やはり依然として我が国の家族政策ということはどうあるべきかという議論が入っていないと、いきなりマニフェストでお示しをして、さあどうだというのはちょっと乱暴なのかな、やはり実態を踏まえた取り組みというのが必要なのではないかなというのが、私もこの間いろいろと物の本を勉強してみて思った次第でありますが、税の話ですから、財務大臣、いかがでしょうか。

安住国務大臣 お金の話でいうと大体六千億ぐらいでございますが、この話はお金というよりは価値観の問題だと思っております。

 そういう意味では、財務省としてはこれは中立的な政策でやっていくということですが、家族や、専業主婦の方という言い方が今どうなのかわかりませんけれども、そういう方々をどういうふうに考えるのかということは極めてやはり政治的な重要なテーマでございますから、それに基づいて結論を出していただいて、控除なのか手当なのかということを決めていただくということでございますので、私としては、財務省としては現時点では中立的立場ということになると思います。

 ちなみに、さっきの戦前の話でございますが、私も防衛副大臣をやっていて当時研究したことがあって、あれは、師団編制をまず前提としてやって、それに足りない数を充足させるということから実は計算をした。昭和十六年でございますので、日中戦争、満州事変がもう始まって、太平洋戦争に入ることを前提に多分企画した案でございますので、少々、そういう点では、人口政策というよりは軍の師団編制から出てきた考え方だというふうに思っております。

馳委員 まさしく、軍が強過ぎると、国民の生活スタイルにまで税をもって介入してくるという実例なんですよ。

 したがって、私は、こういう歴史的なことを踏まえながら、今後の我が国の人口政策は、やはり国家政策という位置づけの中から税のあり方について議論していくべきで、ぜひ小宮山さんに釈明の機会をお与えしたいと思うのは、専業主婦の敵と言われているんですよ。違うと私は思っているんですよ。

 だから、代表質問のときにも、こういう文章を私は書いたつもりなんですよ。やはり、専業主婦として子育てをしっかりし、家庭というよりも地域の中において一定の役割を果たしていることを評価すべきではありませんか、その上で、働いている女性も高く評価をしていくような政策の組み合わせが必要ではないですかと、代表質問のときにそういうふうに書きました。

 改めて、小宮山さんは専業主婦の敵ではありませんよね。

小宮山国務大臣 釈明の機会をお与えいただいて、ありがとうございます。

 もちろん専業主婦の敵などということはございません。専業主婦として家にいて子育てをしたいと思われる方は、それでやっていただくのは当然のこと。

 ただ、現在、働きたい、あるいは働いている女性たちが、この配偶者控除があるから働きどめ、就業調整をしているという人が四人に一人いるんですね。それはもったいない話だと思っていますし、今家庭にいらっしゃる女性でも、ごく直近の潜在就業率、実は働きたいと思っているパーセンテージが九割近く、先進国と同じぐらいあるんです。

 これから人口が減っていって、経済成長のためにも自己実現のためにも働きたいと思っている方の足を引っ張るような制度は、やはり中立なものにした方がいいというのが私の考えでございます。

馳委員 やはり、この議論をすると、どうしても働く女性の話から入ってくるんです、小宮山さんは。

 そうすると、私たちは、夫が所得が高かろうが低かろうが、まさしく専業主婦として働いているという言い方が語弊があるかもしれませんが、専業主婦として働いていらっしゃる女性の価値観というものもやはり評価するような制度があってしかるべきではないかということを申し上げたいんですね。

 済みませんが、この議論を始めると家族論の話に発展していきますので……(発言する者あり)何か、前門の虎、後門のオオカミみたいな感じですが。

 きょう私が本当に議論をしたいのは、これも代表質問のときに取り上げさせていただきました小渕報告、平成二十一年三月三十一日。そして、この半年後に政権交代がなされたということで、政権交代があったからこの小渕報告が顧みられていないのではないかという視点から、いわゆる認定こども園制度の三年目の見直し、認定こども園制度をつくるときの法案は文部科学省が担当したはずです。ところが、この三年目の見直しは、小渕さんですから、文科、厚労、そして内閣府少子化担当ということで、中心的におまとめになりました。ここら辺がやはり、変遷が私はあると思っているんです。

 実は、私は、この認定こども園制度、法律を議論したときの担当の副大臣をさせていただいていたので、当然、五年目の見直しというのは絶対必要だなと。五年目の見直しの中で、やはり、制度として都合の悪いところは修正、見直しをしていこうじゃないか、そして、親の働き方によって子供の行き場所が違ったり、地域によって保育所が多かったり幼稚園が多かったり、地域によって待機児童が多かったりいなかったり、こういった部分での、子供たちに提供される保育や、特に教育の質が変わってはいけないのではないか、こういう問題意識を持っていました。

 ところが、法律に言うところの五年後の見直しは、平成二十三年の十月なんですね。当然政権交代の後です。この五年後の見直しということについて、法律に基づいて議論をされて、報告書が出されて、必要な見直しがなされたのかというと、そうはなっておらなかったので、ここが私どもはやはり、政権交代があったとしても、法律によって定められた制度については十分な見直しをした上で議論を丁寧に進めてほしかった。

 ここがポイントなので、委員の皆さんにも資料をお渡しいたしました。大変私は重要視しております、平成二十一年三月三十一日、「今後の認定こども園制度の在り方について」いわゆる小渕報告について、今から質問を進めさせていただきます。

 まず、小宮山大臣にお伺いします。

 代表質問で総理もお認めになりました。この小渕報告も参考にして新システムをまとめたとおっしゃいましたが、新システムをまとめるに当たり、どの部分をどのように参考にしたのか、教えてください。

小宮山国務大臣 小渕報告については、私もしっかりと熟読させていただいています。

 それで、おっしゃるように、法施行からの見直しですけれども、この小渕報告も含めまして、平成十八年十月の認定こども園法施行後、継続的に検討、運用の改善はしてきています。そうした蓄積の上に、さらに、子ども・子育て新システム検討会議のワーキングチームで幅広い関係者の御参画をいただいて議論を重ねた結果、法施行から五年半になりますけれども、ことし三月に、それも踏まえて、子ども・子育て新システム関連法案を出させていただいているところです。

 これは本当に、就学前の子供の教育、保育を一体的にという先駆的な取り組みだと思っていますので、この小渕報告の中にもあります、非常にこれは、施設を運営している側からも、特に利用者から大変高い評価を得ている。ただ、そこに課題があるということはこの報告書にも書いてございまして、二重行政ですとか財政支援が安定的でないことが課題としてこの中でも指摘をされています。

 このため、この新システムでは、報告書が示した課題の解決に取り組むということで、総合こども園の創設による認可、指導監督の一本化、これで二重行政を解消するということと、こども園給付による財政支援の一本化、これによって財政支援もしっかりしていくということで、学校教育、保育を全ての就学前の必要な子に提供する、その形を、それをさらに今の認定こども園を発展させる形として位置づけているところです。

馳委員 ただ、認定こども園の取りまとめ、見直しということは、私たちの政権のときには、保育所、幼稚園ということの制度を前提に置いて認定こども園を設置し、これが、数が伸びるように支援していきましょうと。恐らくここのスタート地点が違っているのかなと思うんですね。

 そこで、次に村木さんにお伺いしたいと思いますが、いますか。

 この小渕報告の事務的な取りまとめを担当した村木厚子内閣府政策統括官は、政権交代後、この報告書を少子化対策や次世代育成政策としてどう生かそうと考えていたのか。

 わかりやすく言うと、政治主導は小宮山さんです。事務的に支えたのが村木さんです。こういった構図の中で、村木さんは、小渕さんの、この小渕報告をまとめた当事者ということにもなりますので、やはり行政の継続性という観点からも、その当事者に私はお伺いしたいと思って、きょうはお呼びいたしました。

 村木さん、どのようにお考えだったか、お伝えください。

村木政府参考人 私は、先生の御指摘のとおり、当時は厚生労働省側の職員として、報告書の取りまとめの事務局を担当いたしました。

 この報告書、認定こども園が非常に高い評価だということ、残された課題が、二重行政、財政支援だということ、それからもう一つ、幼保連携型にいずれは集約をしたいという、ここは、相当書くのに勇気が要りましたけれども書いた、それが非常に大事な報告書だったと思っております。報告書では余りこういう直截な言葉は使いませんが、一番いいことをしようとする人たちが一番苦労をする仕組みになっているということを何とか改めたいというのが当時の気持ちでございました。

 ちょっと職業生活に中断がありまして、戻ってきましたときに、今度はこの新しいシステムの検討の事務局という役割をいただきましたので、私個人といたしましては、例えば、初めに幼保一体化施設ありきということではなくて、この現実に根差した小渕報告を何とか新しいシステムの中で生かしたい。そういう意味では、今度のシステムを考える基準とか出発点にこれがなったというふうに思っております。

 ただ、一つだけ、少し当時と状況が違うかなと思った点がありまして、当時、小渕大臣も非常に悩まれたんですが、当時は、法施行後二年余りの時期の報告書でございましたので、法律を変えることはやめようと。五年見直しがあるので、二年ぐらいで法律を変えると、また制度が変わるから認定こども園になるのはやめておこうという方々が出るだろうということで、法律を変えないでできることを当時はやりましたので、今回は、法律を変えてできることも含めて、少し拘束が少ない中での検討かというふうに思っております。

馳委員 実は、私も、参議院議員時代から小宮山さんとはもう十年を超える長いおつき合いをしていて、政治主導という話をするときには、小宮山さんがどういう人なのかということはやはりよく理解しておかないといけないんですよ。

 私なりに理解しているのは、こういうところなんですよ。

 私と小宮山さんが話をしていると、特に児童虐待の問題でお世話になりましたが、一時間話をしていたら、大体五十八分ぐらい小宮山さんがしゃべっておられます。そして、私が小宮山さんのすばらしいところだなと思うのは、必ず最初の五分間で結論を言うんですよ。そして残りの五十分ぐらいでずっと、こうでこうでこうでこうだから、ですよねと。早速私がそれに答えよう、反論しよう、私の考えを言おうとすると、ああ、もうそろそろ時間がないから、また今度ねということがよくあったんですよ。(発言する者あり)

 いや、逆に、村木さんが、やはり気を使って、野党の私たちのところにも、折に触れて、政権交代後に、今こういう議論を政府としてはやっておりますので、野党としてもやはり御議論をくださいということで来られたときに、まあ、半年ごとぐらいに大体来られましたよ。来られるたびに、その取りまとめの案が随分と、少しずつ少しずつ変わっていったんですよね。

 恐らく、もしかしたら、頭のよい、結論を先におっしゃる小宮山さんのリードのもとで、それに何とか制度を合わせよう合わせようとして、随分、指定制とか直接契約とかこういったものが入ってきて、私立幼稚園の皆様の団体方が、これはやはりちょっと幼児教育という観点から反対ですというふうな話をされたりしたんじゃないかな、私はそういうふうに認識しているんです。

 だから、私の代表質問のときに申し上げた盲腸という発言は、その前に大事な一言を私はあえて抜かしたんですね。どういう言葉があったかというと、自公政権の盲腸とおっしゃったらしいんですよ。やはり、言った方は覚えていなくて、言われた方が覚えているんですよ。

 そこで、もう一度、村木さんに改めて、事務方として非常にきちょうめんで、きめ細かく取りまとめられた村木さんにお伺いしたいのは、小渕報告を取りまとめた、ではどこまで新システムの法案にするかということで、いわゆる関係団体の皆さんがいろいろな意見をおっしゃる中で、最後は事務方は取りまとめなきゃいけないじゃないですか。多分、小宮山さんも、ちゃんとこうしてねとおっしゃるはずですから。そのときの一番の苦労した部分は何なのかということを、やはり委員会で明確に聞いておきたいと思いますので、村木さんの答弁を求めます。

村木政府参考人 どういうお答えをしたらいいか、非常に難しいんですが……(馳委員「素直に」と呼ぶ)素直に申し上げますと、幼保一体化あるいは一元化の流れというのは随分長い歴史がある問題で、関係者の方々は皆さん、この大きな流れ、理想像のところは、反対していると言われている幼稚園関係者の方々も含めて、やはり最後はそういうことをしなければいけないということは言ってくださった。

 その中で、ではどういう手順でどこまでそういうことができるのか、それから、非常に建学の精神をたっとぶ幼稚園、まさしく私学の流れをくむもの、それから保育所は、どちらかというと、学校で例えれば公立の小学校に似ているような、みんな同じ、平等であるということをたっとぶ。その文化を融合して、どこまで、自由度もそれぞれの特徴も残しながらやるかということで、その枠組みで大変苦労をした。

 ですから、大きな目標については、大きな思いは常に一緒だったと思いますが、関係者の意見を何度も聞きながら、何度も手直しをしながらやったということだということでございます。

馳委員 何か、村木さんも関係者の意見と小宮山さんとの間で板挟みになったような印象を受けました。でも、事務的に小渕報告の検証を今からさらに進めさせていただきます。

 さて、小宮山大臣、平成二十四年四月一日時点での認定こども園の認定件数を教えてください。これは四類型でお願いいたします。

小宮山国務大臣 平成二十四年四月一日時点で全国の認定こども園は、幼保連携型が四百八十六件、幼稚園型が二百七十三件、保育所型が百二十二件、地方裁量型が三十件、合計で九百十一件認定されています。

馳委員 それで、平成二十年以降の認定こども園の設置数の推移と照らし合わせて、今お示しをいただいた数字に対する小宮山大臣の評価を率直に伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 平成二十年に比べますと、それぞれ、幼保連携型が三百八十二件、幼稚園型が百九十七件、保育所型が八十七件、地方裁量型が十六件増加していまして、中でも幼保連携型が増加をしています。

 これを見ての所見ということでございますが、先ほど村木統括官も申し上げたように、幼保連携型が一番いろいろな形で充実するというか目的にかなっているのに、そこが一番苦労をするような仕組みの中で、本来、非常にいい仕組みなのに、もっと伸びていいはずなのになぜ伸びないのか、そういう認識を持ちます。

馳委員 では、小渕報告にまた戻ります。

 認定こども園制度の意義、機能について、以下のとおりに報告をしております。二ページ目です。ア、保護者の就労の有無にかかわらない施設の利用。イ、集団活動や異年齢交流の機会の確保。ウ、既存幼稚園の活用による待機児童解消。エ、育児不安解消のための地域子育て支援充実。

 この意義や機能の再認識に、小宮山大臣は異論はありませんね。

小宮山国務大臣 全く異論はございません。

馳委員 では、三ページ目に移ります。

 認定こども園アンケート調査によると、保育時間が柔軟に選べる、就労の有無にかかわらない施設利用、教育活動の充実などの点が評価されておりまして、また、認定こども園は専業主婦家庭と共働き家庭の両方のよい交流の機会が提供されているという指摘もございます。

 小宮山大臣の見解を伺います。

小宮山国務大臣 このアンケート調査からも、やはり幼児期の学校教育、保育を一体的に提供する先駆的な取り組みとして非常に評価をされていると思っています。施設の九割以上、保護者のうちの八割以上が評価をしている。

 そういう意味では、今回、これをもとにして制度設計をさせていただいたということは、こうした実態に合っているかと思っています。

馳委員 四ページ目には、平成二十二年度までに、安心こども基金等の新たな財政措置を活用するなどにより認定こども園の緊急整備を図り、利用者のニーズや施設の認定申請の希望状況を踏まえつつ、平成二十三年度には認定件数が二千件以上となるように、必要な見直しを早急に実施すべきとあります。

 政府としては、そのとおりの必要な見直しをしたのでしょうか。また、現状九百十一件と二千件のギャップの原因はどこにあると考えているのでしょうか。

小宮山国務大臣 政府といたしましては、この報告書に示された改革の方向に沿いまして、一つは地方公共団体での行政窓口の一本化、会計処理の簡素化、安心こども基金による財政支援の充実など、必要な運用改善には努めてまいりました。

 ただ、残念ながら、その二千、目標が九百十一件と半分弱にとどまっているということは、この報告書の中にもあるとおり、やはり二重行政と、財政支援が不十分だということがあるのだと思っています。

馳委員 では、五ページ以降の具体的な課題対応について伺います。

 まず、財政支援の充実についてです。

 「平成二十二年度までを期間とする「安心こども基金」による新たな国の財政支援や地方財政措置が講じられることになり、従来、財政支援のなかった幼稚園型の保育所機能部分、保育所型の幼稚園機能部分及び地方裁量型に対しても新たな財政支援策が制度化されるなど、一定の前進が見られた」云々とありまして、その具体的な内容は、十二ページの別添一のとおりです。「これらの財政措置を実施するにあたっては、現場の実情に十分配慮することが必要」と報告されています。

 別添一のとおりの措置は、どの程度の規模でなされたのでしょうか。

小宮山国務大臣 検討会報告を受けました認定こども園への財政措置は、安心こども基金を活用して行われています。

 安心こども基金は、平成二十一年度、二十二年度、二十三年度と、それぞれ補正予算によって積み増しをしまして、平成二十四年度現在、総額五千三十一億円になっています。この基金を活用して、認定こども園の設置促進のための施設整備補助ですとか事業費補助を行っています。

 なお、地方裁量型認定こども園等に対しましては、地方財政措置、特別交付税が行われているということです。

馳委員 五ページ目に入ります。

 「都道府県等は、国の平成二十一年度予算において地方裁量型の認定こども園等に対する事業費支援について地方財政措置(特別交付税)がなされていることを踏まえて、質の維持・向上に留意しつつ、これらの施設に対して必要な財政措置を行うことが求められている。」云々とあります。

 このとおりに財政措置はなされたのでしょうか。なされたならば、その内訳を問いたいと思います。

小宮山国務大臣 各都道府県で地方裁量型の認定こども園等にどういう助成を行うかということは、各都道府県が判断をするということになります。

 各都道府県が地方裁量型の認定こども園等の機能部分への助成を行った場合には、その経費について、平成二十一年度から特別交付税によって措置をしています。

 各都道府県での助成は、地方裁量型の認定こども園等に要する経費のうち、人件費、事業費、管理費等を対象にしていると考えられますが、その具体的な内容は承知していません。

馳委員 多分、ここの部分じゃないかなと私は思っているんですよ、都道府県、市町村、そして現場の方、つまり幼稚園や保育所の経営者の判断。認定こども園になりたいなと思っていても、都道府県の裁量に任されているので、都道府県の裁量ですから、やりたい、法律もできたし、安心こども基金も使えるし、施設整備もどうもできそうだと申請しても、却下、却下の嵐だったそうなんですよ。ここが私、どうもポイントかなと。

 私なりに、現場の経営者の皆さんを回ってきましたが、市町村も財政は厳しいでしょうから、却下。県会議員を使って県に言っても、却下。なぜ。私、石川県ですが、待機児童はいませんからと。ああ、なるほど、このやはり目詰まりというものはあるのかなというふうに思いました。

 実は、それで次の質問をちょっとつくったんですよ。

 幼稚園型認定こども園の保育の部分には、経常経費は予算措置されているのでしょうか。また、保育認可のための施設整備の予算、調理室やお昼寝室など、こういったものは明確に計上されているのでしょうか。

小宮山国務大臣 幼稚園型の認定こども園の保育所機能部分に対しましては、平成二十年度の第二次補正予算から、安心こども基金による事業費補助を行っています。

 また、幼稚園型認定こども園が保育所機能部分の施設整備を行い、新たに保育所の認可を受けて幼保連携型認定こども園になろうとする場合は、安心こども基金による施設整備費補助の対象となり、これには調理室ですとか保育室の整備も含まれています。

馳委員 多分、ここら辺のやりとりが、幼稚園、保育所の事務方あるいは経営者にすれば面倒くさいというかわかりづらいというか、一番ここがポイント、ネックになって伸びなかったんじゃないかなというふうに私は思っているんですよ。

 別に、待機児童がいる地域で認定こども園が伸びなくてもいいんですよ。私どものような、過疎地域も抱えておりますが、こういったところで、保育所ばかりなんだけれども、やはり幼児教育をしっかりやってほしい、やってみたい、やらせてほしいという経営者の判断、保護者の要望に応えられるような制度、申請すればそれを審査してもらえてやれるというふうになっていればよかったのかな。

 そう思うと、私も当時副大臣として答弁させていただいたときに、これは幼稚園だったら教育委員会、保育所だったら福祉部局じゃなくて、首長直轄の総務部で担当させた方がいいんじゃないかなと、当時のパートナーである小坂大臣と議論をしておったんです。ただこれは、そういうふうな方向になるようにしますという事務方からの、役人の皆さんからのレクチャーもありましたので、そうなっていくんだろうなと思いながら詰めなかったところが私たちの責任だなと思っております。

 私はそういう認識を持っているんですが、いかがでしょうか、小宮山大臣。

小宮山国務大臣 まさに今委員がおっしゃったような問題意識に応え得るような形を今回盛り込んでいるというつもりでございます。

 その当時も、私も委員でやりとりさせていただきましたが、当時の小坂大臣も、そして馳副大臣も、やはりこれはできれば一体化をした方がいいということも御答弁をいただいているかと思いますので、歩んでいく方向は同じ方向ではないかと思います。

馳委員 余りここで仲よくしていると伊吹さんに怒られますので。

 実務的な詰めというのは非常に大事なので、なぜ伸びなかったかという議論はやはりお互いに究明していくべきだと思っていて、私は質問しているんですね。

 次の質問です。

 幼稚園で七五%が預かり保育をしていると、よく小宮山大臣は答弁されますが、その具体的な数値を教えてください。

小宮山国務大臣 預かり保育を実施している幼稚園は、平成二十二年度で全国の幼稚園一万三千三百四十三園中の一万五十八園で、実施率は七五・四%です。

 幼稚園で預かり保育をする予算について、預かり保育を実施する私立幼稚園に助成を行う都道府県に対しまして、国が助成額の一部を私立高等学校等経常費助成費補助金、私学助成として補助をしていまして、これは、平成二十三年度はおよそ三十七億八千八百万円を支出しています。

馳委員 私は、七五%という数字は非常に大きい意味を持っていると思っているんですよ。

 ここもまた私学助成というふうに出てきますが、今後ともここの数字を膨らませることも意味があるのではないでしょうか。いかがでしょうか、小宮山大臣。

小宮山国務大臣 ただ、私学助成ではやっていますが、その額が少ないということが現場からございますので、今回は、幼稚園が預かり保育をしている部分にも恒久的な財源を得て、さらに財政支援をするような仕組みにしてございます。

馳委員 きょう、文科大臣は私は呼んでおりませんが、政務官は、神本さんですか、来ていただいておりますが、これは私学助成の話ですね。幼稚園で七五%も預かり保育をしている。現場の要望は非常にやはり強いんですよ、大きいんです。

 文科省として、ここの預かり保育にかける私学助成の予算というものをもっと要求してもよろしいんじゃないでしょうか。神本政務官、いかがですか。

神本大臣政務官 御通告がなかったので、ちょっと的確に御答弁できるかどうかわかりませんけれども、幼稚園に対する私学助成については、施設に対する機関補助である私学助成と、保護者の経済的負担軽減を目的とする幼稚園就園奨励費補助によって構成されております。また、私学助成については、幼稚園運営に係る経常費経費の補助である一般補助と、これは馳先生はもう御承知のことだと思いますが、各園の特色ある取り組みに対する補助である特別補助により構成されております。

 今回の子ども・子育て新システムにおいては、現行の私学助成の一般補助と幼稚園就園奨励費補助については、原則としてこども園給付に統合するということにしておりまして、また、特別補助のうち、預かり保育や子育て支援に対する補助については、私学助成ではなくて、新システムにおける地域子ども・子育て支援事業として再構築することとしております。(発言する者あり)

馳委員 純粋幼稚園には行かないんですよ。だから、私は、新システムの議論の話は実は次回また質問させていただきたいんですが、するために、現状でも、こういった報告に基づいて、預かり保育の充実というのはしていくことが可能なんじゃないんですか、文科省としてはそういう主張をなぜしないんですかというふうな言い方をしたかったんですよ。そういうことなんですよ。

 今、神本さん、私と小宮山さんのやりとりを聞いておられたら、文科省としての現場の要望に基づいているお話を多分できたと思うんですけれども、そういうことなんですよ。いかがでしょうか、もう一度、神本さん。

 現状でもやろうと思えばできるんですよ。そういうことを私は申し上げているんですよ。その答弁を聞いて、私、次の質問のときに、また違った観点から小宮山さんに質問したいと思いますので。神本さん、どうですか。

神本大臣政務官 こども園の指定を受けない幼稚園があった場合には、新システムの枠外で私学助成等を継続するということになっております。

馳委員 だから、私は今、新システムの話はまだしていないんですよ。現状でもできるんですよ。文科省として、ここの要望の強い部分に対してはやはり予算要求して、ここを膨らませていってもいいんじゃないんですかということを申し上げているんですね。

 小宮山さん、何かしゃべりたそうですけれども、ここは小宮山大臣の答えるところではありませんので。

 では、次回のときに、ここのところは私、もう一回詰めたいと思いますよ。

 では、次の質問に入っていきたいと思いますが、六ページ目の二重行政の解消についてお伺いします。

 「窓口の一本化、書類の重複の整理、監査事務の簡素化、会計処理の簡素化など、現場から指摘されている運用面の課題について、改善が可能なものについては、できるだけ速やかに手続きの一本化や簡素化を行うこととする。」云々と報告されております。この報告を受けて、二重行政解消のための手続の簡素化はされているのでしょうか。

小宮山国務大臣 御指摘の報告を受けまして、政府としては、地方自治体の窓口ですとか補助手続の一本化を進めるなど、解消に努めてきています。

 窓口の一本化の状況は、平成二十二年四月一日現在、全体の相談窓口の設置が六五%の市区町村で、そして財政措置に関する窓口の設置が五四%の区市町村で行われています。

 そういうことでございます。

馳委員 この数字を伺うと、六五%の窓口の一本化、財政措置は五四%。この小渕さんのところでやった見直しについても、ここがやはり肝だったんですよ。これを一〇〇%にすればいいんじゃないんですか。

 まさしく、手続、それから給食なんかの食材もどっちで請求するかとか、監査事務、書類も随分たくさんになったんですね、こっち側か、あっち側かと手分けして。その事務的な一本化というものを伺えば、現状、窓口は六五%だし、財政措置としては五四%だと。やはり、私も法律を担当したときに、ここが曖昧だったなと反省する部分ですね。

 ここを最初から本当に一本化して、先ほど申し上げたように、総務部の方に出してくれれば、ぱっぱっと行政の方で仕分けして一本化をして出しますからというふうに窓口が対応できるような準備をして、制度をスタートすればよかったんだろうなという反省のもとに今質問しているんですけれども、六五%と五四%という数字を一〇〇%に近づければよろしいんじゃないんでしょうか。

小宮山国務大臣 今、全体の市区町村の数字を申し上げたんですが、これは認定こども園を設置している市区町村に限って、二百九十六の市区町村ですけれども、ここに限って申し上げると、相談窓口の設置状況は九八%行われています。財政措置に関する窓口の設置は七四%で行われているので、全国平均よりも、認定こども園を認可しているところで窓口の一本化が進んでいる。

 そうであれば、この認定こども園をさらに進めていくということが委員の御指摘の趣旨にも合うというふうに思うんですね。ただこれは、繰り返しになりますけれども、その課題が二重行政と、財政支援を厚くすることだということなので、そうした経緯も盛り込んだ上で、発展的にこういう形で御提案をしているということです。

馳委員 また小宮山さんのペースに私は巻き込まれそうになるんですよね。必ず答えを先に言うんですよ。

 そこに至るプロセスとして、これは私も国会議員として反省ですよ。法律ができたって、現場の行政の窓口の実務、それから、まさしく保育園や幼稚園を経営しておられる経営者の皆さん方の理解は時差があるんですよ、理解をするまでに。そこは私たちが気をつけなければいけないところなので、だから私はしつこく言うんですけれども、五年目の検証を十分した上での対応をした上で、本当にこれから十年後、二十年後、小宮山さんがおっしゃるような総合こども園になるかもしれませんが、現状においては、やはり一〇〇%の理解を求めるような事務体制といったものを進めていくことが大事なのではありませんかという観点で私は申し上げているんですよ。

 次の質問に移ります。

 「認定こども園に係る職員配置(幼稚園教諭と保育士)、調理室や屋外遊戯場などに関する基準については、すでに相当程度緩和されており、これらの活用を進めるとともに、既存施設の認定こども園への円滑な移行を促進するため、必要な見直しを行う。ただし、規制緩和については、子どもに与える影響、安全や質の確保に十分留意する必要がある。」云々と報告をされております。

 この報告を受けて、安全や質の確保に留意しながら必要な見直しを行いましたか。

小宮山国務大臣 安全の基準などは、認定こども園のものをいじっておりませんので、そのままの安全基準をしっかりと守っていきたいというふうに思っています。

馳委員 次の質問に移ります。

 「「安心こども基金」による新たな財政措置については、補助制度(補助要綱、申請・交付・報告手続き、スケジュール)を一本化するとともに、従来の財政措置(保育所運営費負担金、幼稚園への私学助成)を含めて、「こども交付金」として制度化し、都道府県が市町村に事務を委任することなどによって市町村を通じた窓口・申請・執行手続きの一本化が行われるよう国・都道府県等で取り組んでいくべきである。「こども交付金」の制度化の具体的なイメージは「別添二」」、これは私がお出しした資料の十三ページのところですが、「「別添二」のとおりである。」云々とあります。

 別添二のイメージのとおりに、認定こども園におけるこども交付金制度改革は進められてきたのでしょうか。

小宮山国務大臣 平成二十年度から、安心こども基金によって、文部科学省、厚生労働省が一元的に認定こども園の認可外の機能部分に対する財政支援を実施してきました。

 ただ、こうした措置も、幼稚園と保育所の制度が前提となっているために、今回の新システムの中で、こども園給付の創設による財政の一本化、総合こども園の創設による認可の一本化などによりまして、さらにその二重行政の解消を図ることにしています。

馳委員 ここが今後の話し合いで私はポイントになってくると思っているんですね。

 次の質問です。

 二重行政解消のために、具体的な改善事項及びその実施時期については、別添三、これは私がお示しをした資料の十四から十七ページでありまして、この別添三のとおり、確実に進められてきているのかどうか、お伺いしたいと思います。

 私、先に一言申し上げれば、いきなり子ども・子育て新システムなるものが出てきた。この別添三に基づいた改善事項、そして実施時期のスケジュール、これをちゃんとやっておればよいのではないですか。これをちゃんとやっているのかな。現状ですよ、現状。そのことについての確認の意味で質問をさせていただいております。いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 これは実施をしてきております。

 いきなりとおっしゃいますが、再三申し上げているように、一年半にわたって、多くの方に御参加いただいて議論をしている中で、こうした議論ももとにして議論を積み重ねた結果、今回の新しいシステムを提案させていただいています。

馳委員 私はずっと十四から十七ページを一括しての質問にしましたので、一括しての小宮山さんの答弁になったと思いますが、では、例えば十四ページのところを聞いてみましょうか。

 「一、補助手続き等」の「(二)「こども交付金」の制度化(補助手続きの一本化)」。この2のところですね、「幼稚園・保育所に対する従来の財政措置についても、申請・支給手続きが一本化されるよう地方公共団体に要請。」とあります。「平成二十一年度より実施」。この要請したことが、的確に改善をされて現場に定着してきているのかどうかをお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 この報告書では、従来の財政措置、私学助成とか保育所運営費負担金についても、都道府県、市町村への要請によって、申請、執行手続の一本化を推進することと提案されているのが今御紹介いただいたことだと思いますが、これを受けまして、平成二十一年三月に、都道府県に対して特例条例による委任などを要請いたしましたが、これまで各自治体で委任は行われていないというのが現状です。

馳委員 では、十七ページの「五、基準・制度の見直し等」のところで、「(一)認定こども園に係る基準の見直し」のところを聞きますね。

 「保育所が幼保連携型認定こども園になる場合の幼稚園の設置基準について、保育所の要件より厳しくなっている園舎の構造に関する基準について必要な見直しを行う。(幼稚園設置基準の改正)」とありますけれども、私も代表質問で、こういった保育所型の認定こども園の基準のことについて厳しく指摘しました。「平成二十一年度中に改正」とありますが、これは改正されていますか。

小宮山国務大臣 改正されています。

馳委員 政権交代があった後に、こういった見直しが適時適切に、こういった改善事項等があるようになされてきているのか。なされてきているなら、なされてきていることを踏まえた、法律に基づく五年目の見直し、平成二十三年十月、その見直しがなされた上で、改善状況についての報告が国会になされた上で、その上で新システムなるものにつながってくるという流れならばわかるのでありますが、残念ながら、私はその五年目の見直しの書類、文書というのをまだ拝見しておりません。

 そして、小宮山さんが何回もおっしゃるように、三十何回もですか、議論してこられたという議論が、本当に、まさしく学校教育法に第一条校として設置された幼稚園が総合こども園なるものに吸収されていくのか、なるのか。そういったことに、経営者方の判断に、この今回の制度の理解に私学幼稚園団体の皆さんの声も十分に反映されていない。

 最終段階で園田政務官のところでお話をして、すり合わせて対応しますと言っていたのに、発表する前の週の金曜日の午後十一時五十七分にいきなり報告が来て、月曜日にいきなり発表という余り丁寧ではない対応がなされたんだそうで、個別のすり合わせも一切されなかったということをお伺いしました。ここはちょっと、やはり丁寧さが欠けるなというふうに私も思いました。

 そういう意味でいえば、余りにも、政権交代の後に、小渕報告はありながらも、やはり結論ありきで進んできたのではないかなというふうに指摘せざるを得ないんですね。

 改めてお時間をいただいて、このチェックをさせていただきながらまた質問を深めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて馳君の質疑は終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時五十三分開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。坂口力君。

坂口(力)委員 長い本会議で疲れましたね。遅い時間からでありますけれども、できるだけ時間を短くするようにしながら、簡潔にお聞きをさせていただきたいと思っております。

 先日、岡田副総理には、厚生労働委員会にお越しいただきまして、年金の話は大体お話を詰めていただきましたので、もう余り年金ばかりやっておりましてもいけませんので、きょうは少し医療のお話をさせていただきたいと思っております。

 医療の法案がないんですね。今回、社会保障と税の一体改革で出されたわけですが、年金、医療、介護、子育て、こう並べましたときに、これからの財源の伸び率を見ますと、前回のときにもグラフでお示しをいたしましたが、二〇一〇年に比較をして二〇二五年におきましては、二〇一〇年を一〇〇といたしますと二〇二五年に、年金は一二〇%、二割増し、そして医療の方は一五〇%で五割増し、介護の方は一五五になりまして一番高いという数字がございます。しかし、介護の方はもとの額が余り大きくないものですからそれほど目立ちませんが、医療の方はもともとの数字がかなり大きいものですから、一五〇%でもかなり大きな数字になってまいります。

 したがいまして、先ほどもお話が少し出ましたが、今回のこの一体改革に提出をされております法案を見ますと、年金は少しやります、子育ても少しやりますということでありますけれども、一番これから伸びる額の大きい医療については法案はございません。それは少し残念な気もしますし、そして、この伸び率の一番大きい医療についてどう考えるかということを抜きにしてこの一体改革というのは存在しないんだろうというふうに思っております。

 したがいまして、野田内閣におきまして、医療財源に対してこれからどう取り組もうとしておみえになるのかというお考えをまずお聞きしたいと思います。これは副総理ですかね、それとも財務大臣でしょうか、どなたでも結構でございます。

小宮山国務大臣 まず、私から答えさせていただいて、その後、必要があれば副総理から補っていただければと思います。

 医療提供体制の制度改革については、一体改革大綱の中で、「医療法等関連法を順次改正する。」「平成二十四年通常国会以降速やかな法案提出に向けて、関係者の意見を聴きながら検討する。」とさせていただいているところです。その検討がまだ間に合っていないということは申しわけなく思いますが、現在、医療部会などで病床の分化を進めるための仕組みなどについて具体的な検討を行っておりますので、できるだけ早急に法案を提出できるようにしていきたいと思っています。

 今、あるべき医療提供体制の実現に向けて、二十四年度の診療報酬、介護報酬改定で、医療と介護の役割分担、連携強化、在宅医療の充実などを盛り込みまして、二十五年度からの新たな医療計画の策定に向けて、策定の方針を見直して各都道府県に提示するなど、もちろん法案をなるべく早く提出いたしますが、今のところは、診療報酬改定や予算措置でその方向に向けて取り組んでいるというのが現状でございます。

安住国務大臣 今、厚労大臣からもお話がありましたが、私の方からちょっとお金のことを少し申し上げますと、先生、先ほどお金のことをおっしゃっていただきましたけれども、二〇一〇年で三十七・五兆、国民医療費ですね。一五年で四十二・三兆、それで二五年に五十二・三兆。特に、この中でも公費負担分だけを見ますと、一五年に十三・三兆、二五年には十八・二兆になっていきますので、そういう点では、やはり財源をしっかり確保して、医療水準を維持しながら、効率化を図りながらやっていくということになると思います。

 特に、今は一般それから療養とありますが、急性期病床の位置づけをどうするかということについていろいろ議論があると聞いておりますので、厚労省からもいろいろお話を聞きながら、選択と集中ではありませんが、この急性期病床の位置づけ等についてしっかり議論をしながら、改善できるところは改善していきたいと思っております。

坂口(力)委員 皆さんの方にお配りしてございます表一、二、三というのがございますけれども、その一を見ていただきますと、今、財務大臣から数字を挙げていただきました国民医療費、二〇一〇年が三十七・五兆円、二〇一五年が四十二・三兆円、そして二〇二五年が五十二・三兆円と、かなり、大体年一兆円ペースで上がっていく、こういうことでございます。医療保険分として見ましたら、それが三十五・一になり、三十九・七になり、四十九・〇になる。こちらの方を見ましても、大体一兆円規模で上がっているというふうに言ってもいいのではないかと思います。

 その下をごらんいただきますと、その中で、二〇二五年になりますと、七十五歳以上の人が二十四・一の医療費を使うわけでありますが、これは全体の四九%に当たる。大体、七十五歳以上の人が半分使う時代がもう迫ってこようとしている、こういうことでございます。

 こういう状況がありますので、これをどうこれから財源を準備していくかということでございますが、今回、政府の方からは五%消費税を上げたいという話が出ておりますけれども、もし仮にこの五%の消費税が上がりましたときには、医療費には大体どれぐらいそこの中から回ってくるんでしょうか。

 いただきました数字をちょっと拝見いたしますと、社会保障の充実というので、医療、介護に一・六兆円弱と書いてあります。そうしますと、ここで医療に一兆円ぐらい、医療費の充実のためには来るのかなという気がいたしますけれども、これはわかりません。

 それから、社会保障の安定化というので、社会保障の自然増等に対応するので七兆円という数字が挙がっておりますが、これは多分、この七兆円の中から地方に渡すべきものも渡さなきゃならないんだろうというふうに思います。三割として、地方に二兆円渡すとすれば、あと残りが五兆円。そして、基礎年金のところをどうしてもやらなきゃならぬですから二・五兆円は必要ですし、多少先食いをしましたから、それを返していかなきゃならない分もありますから三兆円は見なきゃならぬだろう。そうすると、残りますのは二兆円ということになってまいります。これは医療、介護、その他も含まれているわけでありますが、この中で安定化に半分使えるとしても一兆円でございます。

 そういたしますと、充実する方に使いますお金は今までよりも余分に要るということでございますから、この安定化に使います一兆円、もしあったとしましても、毎年一兆円ずつ上がっていくということになりますが、現在国が出しておりますのは大体その四分の一でありますから、一兆円でも四年分あるということになりますでしょうか。その程度でありますから、これから先、少なくとも十年間の医療費をどう確保していくかということの筋道は、この額の中では見えてこないということなんですね。

 ここをどうされるか。もう一遍、財務大臣にお聞きをしたいと思います。

安住国務大臣 先生御指摘のとおり、この改革案の中では、医療、介護の充実分については一・六兆円でございます。それから、七兆円の、後代への負担のツケ回しの軽減の中で幾らになるかということは、率直に言うと、申しわけございませんが、積算しているわけではないので、その医療分が幾らというのは、実は現時点ではないわけでございます。ですから、私どもといたしましては、税と保険料と自己負担の組み合わせの中で賄っている持続性を維持するという観点に立ちまして、これからさらに議論を進めていきたいと思っております。

 効率化の問題についても、ですから、ただ単に一兆円ずつふえていくのではなくて、やはり医薬品の問題、後発医薬品、ジェネリックの問題等をどういうふうにまた普及させていくのかとか、そうしたことについてもより具体的に国民にわかるように厚労省を中心に改革案を練っていただいて、いわば効率的な運用をすることによって、できるだけこの財源も抑えていきたいというふうに思っております。

坂口(力)委員 しかし、ここはもう少し具体的に言っていただかないといけないわけで、今回の改革の中で、法律はありませんけれども、一番目玉になるところだというふうに私は思います。

 それで、私も小泉内閣のときに二割から三割負担というのを経験いたしまして、これはもうきつかったですね。医師会からは叱られる、国民の皆さん方からは叱られる、健保連からは叱られる。至るところから叱られて、次の選挙はもうだめだなと思うほど叱られましたね。

 それで、小泉元総理に、抜本改革をやってから三割負担というのをやってもらえないかということを言いましたら、坂口さん、それはだめだ、先に三割負担だと。なぜですかと言いましたら、厚労省の、そのときは厚生省、あの人が厚生大臣をしたとき、厚生省の役人は、僕に抜本改革をやるということを約束しておりながら何もやらなかった、だから、三割負担を先にやらなかったら彼らはまた食い逃げをする、小泉さんはそういう話でございました。

 しかし、私は逆に、いや、それは逆じゃありませんか、抜本改革をやってから三割負担をやらないと、それこそ食い逃げされるんじゃないですかと言いましたけれども、いや、それはそんなことはない、三割負担が先だと、頑として聞きませんでした。

 これはつらかったんですね、正直言って。だけれども、やりました。しかし、このときに一番助けになったのは、いつもたたかれますマスコミが、全紙そろってこの三割負担を支持してくれた。これは珍しい。こんなことはないことでありましたけれども、そんなことがありまして、どうにかこうにか生き延びたという経緯がございます。

 これはなかなか言いにくいんです。多分、財務大臣もおっしゃらないだろうということを思いながら、私は今聞いているんです、言えぬだろうなと。どこどこで削っていきたいということを言えば、これは虎の尻尾を踏むことになるんですね、虎の尻尾。必ず、医療費を抑制しますと言えば医師会から叱られる、自己負担をふやしますと言ったら国民の皆さんから叱られる、保険料をふやしますと言ったら健保連初め連合の皆さん方から叱られる。これはどれにしたって叱られるんですよ、どれにしても。

 だけれども、これはそうしていかないことには、そうしていかないといいますか、何かやっていかないことには、誰かが負担しなきゃならないわけでありますから、どうみんなが負担をしていくかということについて、私は、野田内閣も覚悟を決めてやってほしいと思うんですね、今回のこの法律を通す以上は。虎の尻尾をやはり踏んでもらわなきゃいかぬと思うんですね。

 私がやらされたときには、三割負担だけではなくて、保険料の引き上げもやれ、そして医療費の引き下げもやれ、三つやれということを言われた。何ぼ何でも、三つ、そんなのはできませんと言うたんですけれども、三つともやれ、それが三方一両損だと。何が三方一両損かよくわかりませんでしたけれども、とにかく三つともやれ、こう言われた経緯がございます。

 しかし、尻尾だけじゃなくて後ろ足まで踏めと言われたわけですから大変だったわけですけれども、これからこれをどうしていくかということについては、まだこの議論はいつまでかわかりませんけれども続いておりますので、衆議院の議論が終わりますまでの間に、今後の医療費、非常に大きくなっていきますが、それにどう対応していくのか。消費税なら消費税をまた上げさせてほしいと言うのか、ほかの税制を上げさせてほしいと言うのか、それとも保険料を上げてもらうようにしたいと言うのか、あるいは医療費削減をもう少し考えますと言うのか、言い方はいろいろあると思いますけれども、そこはひとつお示しをいただきたい。

 これは副総理から御決意を少し聞かせていただいて、次に進みたいと思います。

岡田国務大臣 今の坂口先生の厚生労働大臣時代の御苦労を、お聞きして思い出しておりました。

 その前に、小泉総理というお話がありましたが、小泉厚生労働大臣のときに私は野党の筆頭理事をしておりまして、そのときに、一割を二割にということだったんですね。そのときの我々の主張は、坂口先生も同じ野党でおられたわけですが、まず抜本改革をちゃんとしろ、その上で二割引き上げを認めるということだったんですが、小泉大臣は、抜本改革は必ずやると何度も確約されて、一割から二割になった。

 小泉さんは、それは役所がやらなかったからだと言いますが、私は、役所がやらなかったというよりは、厚労大臣の方がより責任が重いんじゃないかというふうに思うわけですね。小泉厚労大臣は大臣だったわけですから、本当は役所を指導して、やらせることはできたはずではないかと。そんなふうに思いながら、今お話を聞いておりました。

 いずれにしても、自己負担という意味では三割というのが基本的にはマックスで、現役世代について、それ以上の負担というのは考えられないだろうというふうに思います。

 もちろん、七十歳から七十五歳をどうするかという問題はあって、それは我々も問題意識として持っておりますが、高齢者の方は基本的には病気になりやすい、そして、なれば治りにくいという中で、余り自己負担を重くすることも無理があるので、七十五歳以上の方についてさらに重くするというのも非常に難しいことではないかと。

 そうするとやはり、税あるいは保険料、特に高齢者の方の医療ということになると、税の役割が重くならざるを得ないのではないのかなというふうに思っております。

 しかし、さはさりとて、効率化ということについてやはりまだまだ可能性を追求していかなければいけない。そこのところは若干、我々の案は物足らないという御指摘もあるかと思いますが、これから負担をふやしていく過程の中で、そういった医療の効率化というものについても、もう一段、もう二段、やっていかなければいけないというふうに思っております。

坂口(力)委員 もう一段、ひとつやっていただきたいというふうに思います。

 小泉元総理の話はもう別にどうでもいい話なんですけれども、私も岡田さんと一緒のことを言いましたら、いや、俺はもう途中でやめたのでできなかった、こう言っておりました。

 もう一枚の表、表二というのを見ていただきますと、そこにOECDのヘルスデータがございます。これを見ていただきますと、日本の保健医療支出は、GDPに占める割合としましては、OECD平均よりも日本の方が低い。しかも、G7の中で日本が一番少ないと申しますか、低いということになっております。

 したがいまして、大変だとは言いつつも、これは世界的な比較で見ますと、日本だけがえらいわけではなくて、ほかの国はもっと大変な思いをしているということでありますから、この辺も考慮に入れながら、今後どうしていくかということを、もう一段かみ砕いてお示しをいただきたいというふうに思います。

 日本の医師というのは、非常に長時間労働をやっております。私が卒業しましたころには、三百六十五日、二十四時間、もういつでも出動態勢、休みの日というのはあり得ないというのがそのころの話でございますけれども、最近はそうもいかなくなってまいりました。最近の若い医師の皆さん方は、やはり労働時間というのはきちっと守ってほしいということを主張するようになりましたし、それは当然のことではないかというふうに思います。

 そこで、厚生労働大臣にこれをお聞きするわけでございますが、労働基準法に定められた労働時間を医師が全部守ったとしましたら、一体、全体で医師の数というのはどのぐらい足りないんですか。数字がありましたら、お示しをいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 私も野党の議員だったときに、そういう質問をしたことを今思い出しておりますけれども、医師の数、医師の労働時間については、患者の数とか病状、個々の医療機関の状況によって異なるということ、また、医師の労働時間、労働基準法の三六協定がどう結ばれているかということなどもございますので、いろいろ状況がさまざまある中で、申しわけありませんが推計することは困難でございまして、厚労省としてはそのような数字は作成をしておりません。

 ただ、やはり医師の数が足りないということは、地域の偏在、診療科の偏在、いろいろございますけれども、指摘をされていますので、今、医師の数をふやすために、平成二十年度から文部科学省と連携をして、医学部の入学定員、これは平成二十年度から千三百六十六人ふやしまして、二十四年度は八千九百九十一人と過去最大になっているということでございます。

坂口(力)委員 これは、厚生労働省、労働省も入っているわけでありますから、労働時間を一番担当するところが含まれているわけでありますから、本当はきちっと出さないといけないんですね。だけれども、これは出さないんですよ。私も言いましたけれども、なかなかそれはできませんと言って、それは出しません。旧労働省の方は、労働法を守れという話でありますし、旧厚生省の方は、それを守っていたら、どれだけ医師の数をふやしても足りない、だからこれはできないということなんですよね。なるほど、今も変わっていないな、こう思いながら聞かせていただいたわけであります。

 さて、医師の数が足りない話はもうちょっと後でもいたしますけれども、医療費が上がりますのは、先ほど申しましたように、これは高齢者医療、後期高齢者と言うと叱られますけれども、後期高齢者、七十五歳以上の人がふえてまいりますと、どんどんと医療費が高くなってくるということなんですね。

 それで、この後期高齢者医療制度につきましては、民主党の皆さん方、かつては大反対されましたし、これは出し直すということを言っておみえになったわけですが、これぐらいは今回の社会保障と税の一体改革の中で出てくるのかなと思っておりましたら、これも出てこなかったということでございます。

 考え方としては何かおまとめになった。聞きますところ、いわゆる突き抜け方式、健保に入っておみえになる皆さん方は健保の考え方でやっていく、そして国保に入っておみえになる方は国保の中で将来やっていく。これは二元化なんですね。年金は一元化、医療は二元化ということになっておりますね。これも矛盾した話だと私は思うんですが、今まで、せっかく一本にしたのを二つに割れという、こういう話になっている。

 なかなかこれもうまくいかないんですが、ここはそういうことをするよりも、都道府県知事さんに何とかひとつここはうんと言ってもらって、そして都道府県を中心とした運営をしてもらうという形にすることの方が先ではないかという気がいたします。

 きょうは、総務大臣、お見えいただいていますが、これはなかなか難しいことはようわかっているんですが、今なお難しいですかね。

川端国務大臣 じかに、今この部分を、私、公式に議論をしたことはまだないんですけれども、今までのいろいろな経過を含めますと、相当議論を丁寧にやって、でも暇がかかる部分と難しさはたくさんあるなというのが正直な感想でございます。

坂口(力)委員 ここを先にやる方が、順序としては先なんですよね。

 それで、財務大臣、これになぜ知事会は反対されるというふうにお思いになりますか。そこを聞きたい。

安住国務大臣 直接お伺いしたことはございませんが、地方の負担分がこの先ふえていき続ける可能性があると思っていらっしゃるんではないかなと思っております。

坂口(力)委員 さすがに財務大臣ですね。おっしゃるとおりだと私も思います。

 地方の分担がどれだけふえるかわからない、だから引き受けるわけにはいかない、そういうことではないですかね。だから、現在のように、市町村が集まって組合立で運営をするというような中途半端なことをやらなければならない。本当は県でやってもらいたい。

 だから、ここは財務大臣から、かかる財源は国で引き受けますと一言言うてもろうたらこれは片づく話なので、どうですか、言えませんかね。

安住国務大臣 給付の平等性とか国の責任ということは十分我々としても、やはり憲法上保障されているところから発生する法的義務はあると思います。この健保制度の市町村での今までの経緯、経過と先ほど総務大臣はおっしゃいましたけれども、やはりそれを都道府県が担うというのは相当重荷に感じておられることは事実なものですから、この先の持続性を考えて、国としての一定の役割は必要だと思いますけれども、任せておいてくださいとまでは、なかなか今の現時点で私の言える立場ではございません。しかし、安定性を持った制度として運営をしていただくためにどうすればいいのかということについては、十分協議していきたいと思っております。

坂口(力)委員 いや、私の言える立場じゃないと、あなただから言えるので、あなた以外の人は言えないわけですよ。

 都道府県も、全部が全部、国に負担してもらおうとは思っていないと思うんですね。やはり応分の負担はしなきゃならない。あるいは、都道府県間の格差是正といったようなこともやらなければならない。それはよくわかっておみえになると思うんですけれども、それ以上にふえてきやしないかという、特に七十五歳以上の高齢者がふえてくる地域におきましては、余計にそこを心配しておみえになると思います。

 しかし、そこを話し合いをしてもらわなければ、これは前へ進まないんですね。高齢者医療制度というのは、ここが解決しないことには前へ進まないんですよね。だから、ここもひとつ努力をしていただくという以外にありません。ぜひこれは、財務大臣と総務大臣にひとつ頑張っていただく以外にないと思います。

 さて、公明党は、高額療養費制度の改善というのをずっと言ってまいりました。いわゆる低所得者と高額所得者とその中間の一般世帯といいますか一般家庭といいますか、三つに分けまして、その一般家庭の高額療養費制度、ここを見ますと、所得の幅が、私の記憶では、一番低いところが百五十五万ぐらい、そして一番高いところが六百五十万ぐらいではなかったかと思います。多少の端数は間違っているかもしれませんが、大体そのぐらいの幅がある。

 五百万、六百万の所得のある人は、月八万百円プラスアルファが自己負担限度額でありますので、それは何とかしてもらいたい、こう思うんですが、月給が二十万ぐらいの人、そうすると年収にして百五十万から三百万ぐらいの間の人は、何かあって、それで二十万しかない給料の中で八万円払うというのは大変だ。特に、東京だとか大阪だとか、都市部の人で所得の低い人は大変だと思うんですね。それは、住宅費も出さなきゃならぬというような人たちは本当に大変だというふうに思います。

 ここを何とか、三百万で切るのがいいのか、どこで切るのがいいのか、切り方はいろいろあると思いますが、三百万円以下ぐらいのところは、この八万円を何とか半分の四万円ぐらいにならないかということを提案しまして、ここは厚生労働省も以前に考えていただいて、そして案としてお出しをいただいた経緯があるというふうに記憶をいたしておりますが、最後はまとまらなかったんですね。

 これはやはり財務省の力が強過ぎてまとまらなかったと私は思っておりますが、今回は、五%の消費税もあり、そして社会保障の充実財源もあり、安定財源も少なからずおつくりになる。こういうことでありますから、今度は、これぐらいは何とかなるのではないか。金額にしますと、決め方によりますけれども、それでも二千億から三千億、そのぐらいはかかるんだろうというふうに思います。

 その辺のところは、厚労省の方も、小宮山大臣のところも前にお考えをいただいた経緯もありますので、ここは色よい返事をきょうはいただけるのではないかと思ってここへ立ったということであります。ほかはなかなか難しい話ばかりだから、なかなか言えないだろう。しかし、ここ一つぐらいは何とか、財務大臣も優しい人だから、きょうは言われるのではないかと思ってここへ立った。いかがですか。

安住国務大臣 坂口先生の御指摘は、ありていに言えば、三段階をもう少し刻みをしっかりつくって、約二百十から大体七百九十万ぐらいのところにもう一段例えばつくれないか、その場合、三百ぐらいとか四百だと八万円は重いよという御指摘だと思います。低所得者の方については、三万五千四百円ですか。

 私どもとしても、考え方は実は共有しております。ですから、受診時の御負担もお願いをして、それによって、先ほど先生御指摘いただいたような財源の確保というようなことも一つ案としてはありましたけれども、これは、与党内での調整の中で、もう少し検討してほしいということでございますので、考え方は、先生の御指摘のように、本当に病気になってこの重い負担を背負っている方でないとわからないつらさが多分あるということは十分理解しておりますので、財源をしっかり確保できないかどうか、私なりにここをしっかりやった上で、この刻みというものを、その財源に刻んだところで、その財源を充当したいと思っております。

坂口(力)委員 考え方を共有していただいておったら、非常に光栄だと思います。そこは、そうすると、あとは財源だけの話でありますから。一方で財源の話をして、どれだけつけるかという話をしておりますので。

 医療の中でも、つける順番というのもあると思いますし、どこへつけるということを最初から決定することは難しいというふうに思いますけれども、非常に考えなきゃならない大きな点の一つであることは間違いないというふうに思っておりますので、ひとつ、十分御理解をいただいて、お願いをしたいと思っております。

 大体これだけ言えば、もう大丈夫ですね。(安住国務大臣「はい」と呼ぶ)

 さあ、それから、医師不足の話でございます。

 先ほども、労働時間を正規にしたら一体何人足りないのかというお話をしましたが、これはなかなか、厚生労働省も、計算をしたら結果が大変なことになるので計算はしないということが今なお続いているということですね。

 現在、十万人当たりの医師数は、国全体で平均をして二百六人。一番医師の多いのが京都で、二百七十二・九、二百七十三人ぐらいでしょうか。東京は二百六十五・五ですから、東京は多い方でございます。

 しかし、案に相違して、東京の周辺のところが医師数が少ないんですね。一番少ないのが埼玉県で百三十五・五、そして千葉がその次に百五十三・五、茨城の方が少ないですか、茨城が百四十六・七、神奈川が百七十二・一。埼玉、千葉、茨城、神奈川、この辺のところが、東北も少ないですよ、東北、北海道も少ないですけれども、この東京周辺のところが非常に少ないところがある。

 それで、お渡ししております表三を見ていただきますと、これは今井先生がおつくりになりました論文の一部を拝借してきたわけでございますが、この先生の数字はもっと二〇五〇年とかずっと続いているわけですが、そこで、二〇一五、二〇二五、二〇三五の三つだけちょっと拝借をいたしました。

 それで見ますと、埼玉、茨城、千葉、神奈川、それで比較して東京を出してございますけれども、これが七十五歳以上の人口千人当たりに対する六十歳未満の医師数。どういうことかといいますと、だんだんと都市部は高齢化してきますが、みんなの高齢化よりも医師の高齢化の方が速いんですね。それで、六十歳未満の医師の数というのがだんだん下がってくるんですね。これは大阪もそうだと思います。埼玉あたりは、二〇一五年が十・六〇、大体十人ぐらいですが、二〇二五年になりますと六・九九、七人ぐらいになる。二〇三五年も七人ぐらい。だんだんと、これぐらいのものが二〇五〇年ぐらいまで続くわけですね。

 人口は減っていくではないかといいますが、減っていきましても、高齢者がふえる、そして都市部は人口の減少もそう進まない。東京や神奈川というのは、二〇五〇年になりましても人口は決して減っていない、しかし高齢化が進んでいくという状況でありまして、そこで医師数がかなり減っていくということなんですね。

 こういう状況があって、しかも、先ほど申しましたように、医師の労働時間というものがかなり過酷になっていて、非常に、病院の先生方が少ないとさらに過酷になって、そしてそこをやめていくというようなケースがあちこちで起こっている。そうした中で、医師という職種の役割柄、それは一般の方と同じようにはいかないだろうけれども、しかし限度はある、何とかそこはきちっと見てほしいという声が起こってくるのも無理からぬことだというふうに私は思っております。

 民主党のマニフェストを拝見しましたら、医師数は一・五倍にしますと書いてありますから、一・五倍にしてもらいますと、先ほど小宮山大臣の方から、かなり現在の医療機関の定員をふやしてもらった、まことにありがたいことだというふうに思いますけれども、それでは追いつかないことになっていくということが今後控えている。ここをどうするかということなんですね。

 きょうは本当は文部科学大臣にここへ出ていただきたかったわけですが、お聞きしましたら、岡田担当大臣、それから財務大臣、総務大臣、厚生労働大臣、この四人以外はここへはもう入れないんだ、こういう話で、入れないということはないだろうと言ったんですけれども、いや、それは入れないことになっているので出られないと。それで、副大臣か政務官ではあかんか、こういう話だったものですから、大臣が入れないのに副大臣は入れるのかね、それも話はおかしい、それならもういい、この難しい話は岡田副総理に皆聞くから俺はもういいと言うて、断りました。断りましたけれども、本当は来てほしかったわけです。

 きょうはどこかへ行って、お見えにならないのかなと思いましたら、本会議でもちゃんと座っておみえになりましたから、いや、お見えになるんだな、こう思っていたわけでございます。

 ここは特別委員会で、大事なところでありますから、今後ひとつ、来てほしい大臣はここへ呼んでいただいて、来ていただけるように、ぜひともしていただきたいと思います。

 それで、文部科学省は、今後の医学部の定員等に関するあり方検討会というのを立ち上げられまして、その結論であります内容についてパブリックコメントを募集されるといったようなこともしておみえになるわけでございます。お聞きするところによりますと、大学をふやすということに対して、賛成六割、反対二割というぐらい、それでその他といったような割合だというふうに聞いておりますけれども、これはパブリックコメントだけの話でございますから、これ以上きょうは申し上げません。

 内閣は、二〇一一年、去年ですね、「基礎医学研究者を含む医師不足や養成数の地域偏在といった現状認識を踏まえ、医学部やメディカルスクールの新設も含め検討し、中長期的な医師養成の計画を策定する。」こういう閣議決定をしておみえになるんですね。これはぜひ進めていただきたいと思うわけです。

 しかし一方、文部科学省の告示第四十五号というので、大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準というのが出ておりまして、その第一条二号を見ますと、「歯科医師、獣医師及び船舶職員の養成に係る大学等の設置若しくは収容定員増又は」として、一番最後に、「医師の養成に係る大学等の設置でないこと。」こう書いてあるんですね。一番最後に、取ってつけたように「又は」というので書いてある。この告示がきいていて大学をふやすことができない、こういうことだというふうに聞いております。

 しかし、一方でこれは閣議決定していられるんですからね。これは、閣議決定と告示というのはどっちが上ですか。

岡田国務大臣 当然、閣議決定が上位であるということでございます。

坂口(力)委員 まあ、そうでしょうね。これは閣議決定があるんですから、この告示はぐあいが悪いと私は思うんですね。

 ただし、この告示はその前にできたものですから、これは、閣議決定をしていただいたら、それに合わせたように告示の方も直していただかなきゃいけないというふうに思って、きょうは文部科学大臣に来ていただけたらと思ったんですけれども、大臣は四人に制限されているからこれ以外はだめだというお話で、そんなことないでしょうと言うたんですけれども、それで押し切られてしまった、こういうことでございます。

 告示と閣議決定があるわけですが、この閣議決定は、「中長期的な医師養成の計画を策定する。」それから、その前に「医学部やメディカルスクールの新設も含め検討し、」と書いてあるわけで、これは検討でありますから、検討が進んで結論が出れば告示の方は変えなきゃならぬと思うんですが、この閣議決定もまだ検討段階で、決定されるところまでは至っていないから告示も変えるところまでいかないのかな、そう私は理解をいたしております。

 ですから、ここはもう少し検討していただいて、検討というか結論を出していただいて、私は、医学部を新しくつくるということにはこれも賛否両論ありまして、これも虎の尻尾を踏む話であります。ありますが、大局的な立場で日本のこれからの五十年ないし百年を考えますと、やはり今の医師数では足りないことだけは間違いない。

 各国の人口に対する医師数と比較をいたしましても、現在の大学の定員をふやす程度ではなかなか追いつかない。非常に日々の生活が、医師の生活が厳しくなるということもありますしいたしますので、ここは、やはり考えなきゃならないときに来ているのではないかというふうに思っております。

 どこどこへつくるということになりますと、そこの関係者からわっと反対意見と賛成意見が巻き起こるということでありますから、なかなか具体的にどうこうということを言うことはできませんけれども、少なくとも、埼玉県などは現在も非常に医師数が少ない。それで、大きな県でありますのに、医学部は民間の医学部が一つしかない。

 そういたしますと、関東あたりからの医学部を受験する人たちは地方にばっと散ってくるわけですね、埼玉や神奈川から。それで、地方の大学を出ると、さっと皆が引き揚げていく。地方はそれでまた医師不足になる。しかし、そうせざるを得ないという状況も存在する。ここは、何とか大局的な立場で判断をしていかざるを得ない時期に来ているというふうに思います。

 早く終わると言っておりましたけれども、あと五分になりまして、もう時間になってまいりましたからこれで終わりにいたしますが、最後に岡田大臣の御決意なり御感想なりお聞きをして、私の質問を終わりにさせてもらいたいと思います。

岡田国務大臣 医師数をどうするかという問題、委員御指摘のように、我が党は医師数をふやすということをお約束しているわけでございます。

 いろいろな財源の問題、その他難しい問題もございます。しかし、これからますます、先ほどのお話のように、お医者さん自身も高齢化が進んでくる中で、一定の数の確保ということは非常に重要でありますので、先生の御指摘を十分踏まえさせていただいて、政府の中で検討させていただきたいというふうに考えております。

坂口(力)委員 ありがとうございました。では、これで終わらせていただきます。

中野委員長 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。

 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 当特別委員会では初めて質疑をさせていただきますが、実は、私は、参議院議員の時代が七年間ありますが、そのとき厚生労働委員会の理事を二年半やらせていただきまして、今質問しておりました坂口厚生労働大臣の時代であり、また、マクロ経済スライドが導入されました年金の改革のときの委員会の理事でございました。

 当時を振り返りますと、余りいい思い出がないものですから余り長く振り返りませんけれども、森ゆうこさんとか、今厚労副大臣をやっている辻さんに大分かわいがられまして、一日で理事懇を八回やらされて、小泉総理の年金記録を見るまでは委員会質疑をさせない、こういう激しい状況でございまして、我々、野党になってそこまでは激しくやったことはないと思いますので、ぜひ年金につきましてもしっかりとした議論をさせていただきたいと思っております。

 持ち時間は三十分ですので、早速一問目、岡田副総理に伺いたいと思います。

 先般閣議決定されました政府の社会保障・税一体改革の大綱でございますが、十七ページにこういう記述があります。ちょっと引用させていただきます。

 「新しい年金制度の創設までには、一定の時間を要する。また、新しい年金制度の創設を行っても、新しい年金制度からの年金給付のみを受給する者が出てくるには相当の期間が必要であり、その間は新制度と旧制度の両方から年金が支給されることとなる。このため、新しい年金制度の方向性に沿って、現行制度の改善を図る。」こういう記述がございます。

 副総理はもう御承知だと思いますが、この説明は、二〇〇九年の総選挙のときの民主党のマニフェストには書いていない記述でございますが、実は、今の政府の立場で整合性をとるためにはこういう論理を出さざるを得なかったわけですね。

 ですから、もう過去の話は余りごちゃごちゃ言いませんけれども、当時、有権者の皆さんは、民主党政権が誕生すれば新しい年金制度がすぐ出てくるという印象を持ったことは間違いないわけでございます。そのことに対する指摘は、もう今まで私以外も含めてさんざん同僚議員がやってきましたから、あえて申し上げません。

 では、そこで、今ここの大綱に出てくる記述に沿って聞きたいんですが、仮に、民主党のまだ見ぬ新しい年金制度が成立をしたとして、今の現行制度、これは旧制度ですね、今の旧制度、現行制度と新しい制度の併存期間というのは何年なのかということについて、副総理からお話を聞きたいということと、もう一つは、二つの年金制度を併存させて運営するわけですから、当然、一つの制度を運営するときよりもコストがより高いと思うんですね。そのコストについての試算というものを政府としてきちんとしているのかどうか。

 当然、一つの現行制度をずっと改善して運用することに比べれば、新しい最低保障年金とか一元化したものを、もう一つの制度を運用するときにコストの差が出てくる可能性がある。そうすると、そこの追加負担についても、例えば消費税の財源を充てるのか、その他の手当てをするのか、こういう議論が当然出てくるんです。

 ですから、これはちょっと先走った論点かもしれませんけれども、当然、皆様方が制度設計をきちんとして来年の通常国会に法案を出すときは、大事なポイントになります。今の時点でどういう認識でおられるのか、お答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 新しい年金制度の詳細は、今、党の方で検討しているところです。しかし、基本的に考えれば、四十年間併存期間があるというふうに考えるべきだと思います。

 その間、併存するということで余分なコストがかかるのではないかという御指摘ですが、そういう観点ではまだ余り議論は進んでいないというふうに思います。

 併存するというのは、支給のところで併存する、基本的にはそういうことであります。

遠山委員 副総理の御答弁は素直にというか率直なお話だと思いますが、私ども公明党が今回の消費税の増税議論の中で社会保障の全体像が見えないと言っている、まさにその傾向性の一つがこういうところなんですね。

 要するに、新制度と旧制度が併存しますよ、それが四十年だというところまでは岡田副総理も明快にお答えになっている。では、その二つの制度を運用したときにコストがどうなるのかということは、今、これから検討しますということであります。

 ですから、コストがもし過大に生じれば、それはもう財源論とセットで出していただかなければ説得力がないわけで、今回の消費税増税とどういう関係になるのか、あるいはもう今回の増税とはかかわりなく、もう一度増税議論を、これは安住財務大臣が以前そういう方向性のお話をされたかどうかわかりませんが、そういうことになりますので、ぜひその辺の細かいところも出していただかないと厳しいなというふうに私は個人的に思っております。

 今度、次の質問は、副総理も何度も委員会でお答えになっておりますが、民主党が目指す最低保障年金につきまして、もう端的に、最低保障年金が創設された場合、年金保険料を一度も払っていない人にも給付されるのかどうか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

岡田国務大臣 ここでの保険料というのは、所得比例年金の保険料ということになります。これは所得に比例して保険料を御負担いただくということですので、例えば所得のない方が、この制度に加入しておられながら所得がないということになれば、保険料はその間はゼロだということになります。

 そもそも制度に入っておられない方は別の議論で、入られながら、たまたまある期間所得がゼロであれば、その間は保険料はゼロですということになります。そして、最終的には払った保険料に応じて年金額がもらえるということになります。一定額に給付が達しない人については最低保障年金という形で、税財源に基づく最低保障年金が支払われる、こういう構造であります。

遠山委員 所得のない人は保険料を払えないので、そこは今でいう全額免除みたいな制度で見て、最終的に受給、それは大分後の話ですが、受給段階になったら最低保障機能でカバーするという今のお話だと思いますけれども、所得がありながら意図的に払わない方、これは今の国民年金の加入者でもそういう方がいるという指摘がずっとあるわけです。

 所得がありながら意図的に払わない方、この方々が老後を迎えて、当然年金水準は低い、比例分もですね。民主党さんのマニフェストどおり、七万円に達しないところは払いますよということで、意図的に払わないために穴があいた人も最低保障年金で七万円まで面倒を見るんですか。

岡田国務大臣 今我々が考えておりますのは、そういう方は受け取れないということになります。つまり、ある意味では加入していないわけですから、そういった人は年金を受け取れない。

 ただ、今と比べてよりきちんと保険料を徴収する、そういう仕組みをしっかりとつくらなきゃいけないんじゃないか。より厳しく取り立てる、今でもそういうことは可能ですけれども、余り実質的にはやっていない。税並みというか、そういう形で取り立てるということも含めて検討すべきではないかというふうに考えています。(発言する者あり)

遠山委員 だんだん後ろが盛り上がってきましたが、副総理、もう副総理は重々承知で今御答弁されていると思いますが、この問題も、意図的に払わなかった人には給付をしない、最低保障年金すらも給付をしないということになると無年金者が出てきますね、ではそれを防ぐためにどういう措置をとるかというのは一つ論点であります。

 しかし、論点はそれだけじゃないんですね。例えば、所得があるかないかということも、副総理御承知のとおり、特に今の世界でいうと、非正規労働者、それから自営業者、学生、無職の人などを中心に所得の捕捉ができないわけですね。きょう後ほど時間があれば、マイナンバー、共通番号についても質疑させていただきますが、この所得捕捉が正確にできない中で、所得があるのに、私はありませんから払いませんという人が一定数出てくると、この扱いに非常に困るというところが一つあります。

 ですから、何が言いたいかというと、最低保障年金、今、岡田副総理がおっしゃったような仕組みでやるとしても、その前提条件のインフラ整備が非常にたくさんあるということ、時間がかかるということは指摘をしておきたいと思います。もしかしたら、皆様方が消費税を上げたいころまでに間に合うかどうかというのは、私はかなり微妙なところだと思っています。

 それからもう一つは、不動産とか株などの資産を持っていて、給与所得は極めて低いけれども資産をたくさん持っているという方々について、年金の中でどう取り扱うか。これは今の制度でも実は問題なんですが、そういうこともあります。

 それから最後に、その前にちょっと副総理に確認したいんですが、民主党の最低保障年金と一元化した単純所得比例の制度の場合というのは、受給資格を得る期間というのは決まっているんでしょうか。つまり、今だったら二十五年、現行制度の改善で十年に短縮しますとおっしゃっているわけですが、これは、民主党の新しい制度の場合は、受給権を、受給資格を得るための最低の期間というのは定めるおつもりなんでしょうか。

岡田国務大臣 そういったことはこれから検討しなければいけないんですが、私は、やはり期間というのは必要だというふうに思います。

 それから、所得の捕捉の問題は、確かに難しい問題です。ただ、これは全てにつきまとう話、今の所得税だって住民税だって同じ問題があるわけで、それは一〇〇%はできないものの、なるべく正確に捕捉をして保険料を払ってもらう、こういうことに、どこかでこれを割り切らざるを得ないわけであります。それをより正確にするために、マイナンバーの活用あるいは歳入庁、そういったことについて我々は検討させていただいているところでございます。

遠山委員 副総理としては、受給資格期間を民主党の新しい年金制度に設けるということなんですが、そこでもう一つ伺いますが、新しい制度で受給資格期間が設けられたとして、それに満たないまま年金受給世代に行った方々には最低保障年金は給付されるんですか。

 さっきの私の質問は、保険料を一度も払わない人に出すんですかという質問でしたが、今度は、払ったんだけれども所得比例部分の受給資格期間に満たない、例えば仮にそれを十年としたら、八年分だけ払って終わってしまったという方も非常に低い年金者になることは間違いないわけですが、それは最低保障年金で七万円分までカバーするんでしょうか。

岡田国務大臣 その辺の具体的なことはまだ党の方で議論しておりますので、私が余りここで申し上げない方がいいとは思います。

 今ですと二十五年、これを十年というふうに我々御提案申し上げているわけですが、やはりそれが、例えば二十五年払わないと所得比例年金が全く受け取れないというのも厳し過ぎると思いますし、どこかで一つの線を引かなければいけないというふうに思います。

遠山委員 いや、副総理、これはそこまで、党で検討しているというのは事実だと思いますが、今私が聞いていることは非常に基本的なことなんですね。

 なぜかというと、先ほどの大綱、ちょっと引用しますが、十六ページには、「すべての受給者が、」これはことしのですよ、ことしの皆様方が出した大綱で、「すべての受給者が、所得比例年金と最低保障年金の合算で、概ね七万円以上の年金を受給できる制度。」と書いてあるんですよ。

 ということは、これを読めば、年金保険料を一度も支払えない人も、それから受給資格要件に満たない人も、足りない部分は全部、最低保障年金で最後見るというふうにしか読めないんですよ。

 ところが、そういうふうに読んでしまうと、副総理の立場に私も立てば、きついのは、そんな制度をつくっちゃったら誰も年金を払わなくなりますね。だって、自分は所得がないから払えませんという人も七万円行く。それから、受給資格期間まで到達しない人も七万円行くんだったら、今の若い人は誰も払わないですよね。

 だからこれは、ちょっと時間の関係もあってはしょって言うと、要するに、この制度の最大の問題は、年金を生活保護費化する制度、つまり、社会保険の範囲を超えてしまうような制度を目指しているとしか思えない記述なんです、この十六ページは。

 今聞くと、それは党内で検討していますですけれども、来年の通常国会でお出しになるのであれば、今から民主党さんは党内で相当激しい議論をしないと、これはなかなか結論が出ませんよ。

 つまり、一定の条件を満たさない人には最低保障年金はやはり出しませんと言えば無年金者は消えないし、逆に、出すと言ってしまえば納付意欲が著しく低下をして、今よりも低下をして、せっかく国民年金の加入率が悪いから新しい制度にしますと言って政権をとったのに、逆に納付意欲がさらに低下するということを招きかねないと思いますけれども、副総理、何か反論はありますか。

岡田国務大臣 保険料を払えるにもかかわらず全く払っていない方が最低保障年金を受け取るということは考えておりません。

遠山委員 ほかが詰まっていないから副総理もそういう答弁をするしかないと思いますが、いずれにしても、今の私のこの短いやりとりの中でも本当に基本的なところが詰まっていない。だから私たちは、社会保障改革の基本的な像までまだ出ていませんよ、それで消費税の増税だけ話をするんですかと言っていることは御理解いただきたいと思います。

 次に参りますが、副総理、副総理は今までの御答弁の中で、マクロ経済スライドは厳しい制度だけれども、この年金制度を破綻させないメカニズムとしては非常に重要な改革だったという答弁を、今国会、何度もされているわけでございますが、このマクロ経済スライドは、当然、我々自公政権で導入した制度ですから、それは正当に評価していただいてありがたいお話なんですけれども、一方で、専門家から弱点が指摘されています。

 それは、今みたいなデフレ状況のもとではこのメカニズムが発動しないために、本来は、中長期的なマクロなスパンの中で、若い、支える、仕送りを送る側の人数が減っても制度自体が破綻しないように自動調整するメカニズムが、景気がデフレ状態だと発動しないという弱点があるわけでございます。

 そういう観点からも実はデフレ脱却が大事だ、これはもう与野党を問わず、いろいろな議員がこの委員会でも言ってきたと思いますけれども、それはなぜ大事かというと、一つの観点は、一つにすぎませんが、デフレ脱却をしないと、年金の自動維持装置であるマクロ経済スライドも発動しない。だから、我々公明党は、消費税の増税の論議もいいけれども、デフレ脱却も社会保障の年金の観点からも大事じゃないかという指摘をしているわけですが、副総理、これはどういう御理解ですか。

岡田国務大臣 まず、デフレ脱却、一定程度の、我々は名目三%というふうに言っておりますが、そういった経済成長が重要であることは間違いありません。我々もそのことをぜひ実現しなければならないというふうに考えております。ただし、それを今回の消費税引き上げの条件にはしないということでございます。

 それから、マクロ経済スライドはデフレ下では機能しない、それはそのとおりであります。したがって、何らかのそれが発動できるような仕組みを考えなければいけない。もちろん、デフレを脱却することが第一とはいえ、今後ともデフレということは長いスパンをとれば起こり得るわけですから、そのときに、マクロ経済スライド的な考え方が、今の制度であれ新しい年金制度であれ、発動できないということではいけませんので、それはそれで何らかの改革が必要だというふうに思います。

 ただ、現時点では、マクロ経済スライド以前の問題として、物価スライドすらしばらくやってこなかったわけで、やはりこれはまずそこをやることが第一というふうに思っております。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

遠山委員 この点も、副総理おっしゃったとおりなんですよ。今の制度であれ新しい制度であれ、マクロ経済スライドをどうするかということは、実は多くの国民の方はこれは知らないわけですね。デフレの問題と年金の維持装置であるマクロ経済スライドが連動しているということすら多くの国民は実は知りません、私の知っている範囲では。

 ですから、ただ、それが全部絡んできているということをしっかり国民に明示をして制度設計の議論をしていかないと、正しく理解されないということが起こってきますので、そこは、今、与党でおられる皆さんにもう少ししっかり努力をしていただきたいと思います。

 ちょっとマイナンバーもやりたいので、小宮山大臣、一点だけ質問させていただきたいと思います。

 現行制度の改善案で公明党がマニフェストでも主張してまいりました低所得者の基礎年金への加算についてですけれども、今回政府が出された法案では、三つの条件が出ております。一つは、基礎年金の受給資格があること。二つ目が、家族全員の市町村民税が非課税であること。三つ目が、本人の年金とその他の所得の年間合計が基礎年金の満額、約七十七万以下であるという三条件が明記をされております。

 これは、私ども公明党も、抽象的ですが、言った項目ですから、同じ方向性であるわけでありますが、一方で、これに対して批判もございます。

 一つ申し上げれば、先ほど来、副総理と言っておりますが、意図的に保険料を払わず、結果として低年金になった人に加算をする、つまり、真面目に保険料を払ってきた人の分から加算をするというのは結局不公平になるのではないかという批判が一つあり得るかと思います。

 それからもう一つは、これも先ほど副総理ともう既に言っておりますが、所得捕捉が、把握が正確にできていないと、年金額は少ないんだけれども、資産が大きい人へも結果として加算をされてしまう、これも不公平ではないか。

 二つだけ典型的な批判点を挙げましたけれども、これに対して、今、厚労省としてどういうふうに対応されようとお考えになっているのか。もう法案を出されたわけですから、対応策も考えておられると思いますので、お伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 これは、現にやはり低年金の方がいらっしゃるという中で、今回、保険原理の考え方からするといろいろと御異論もあるのは承知をしていますけれども、福祉的な観点から、こういう形で年金額の増額を図りたいと思っています。

 今委員がおっしゃったように、三つの条件を課しまして、このことは、ほかの社会保障制度の中でもやっている仕組みを応用いたしまして、こういう形でやりたいというふうに考えているところです。

 払っていない人に対してどうするかというのは、難しいところではございますけれども、そこのところは、なるべくどういう事情かということを把握した上で、可能な限り、公平性の観点からも御理解がいただけるような仕組みをつくっていかなければいけないという問題意識は持っております。

遠山委員 大臣、公明党も福祉を強調する政党でございますので、福祉というもの、あるいは低所得、低年金の方々を救済するということにはやぶさかではないんですよ。ないんですけれども、先ほどもちょっと私は副総理とのやりとりで申し上げましたが、年金というのは、障害者福祉と違って、母数が全然違う数でございますし、かつ、最後のセーフティーネットとして生活保護という、まさに福祉というものを今も三兆七千億円規模でやっているわけでございますから、年金制度で余り福祉的な要素を強調し過ぎると、これは逆に、制度に加入している人が多いだけに、不公平感が出てしまうと思いますから、ぜひそういった観点も含めて、国民の大多数の方が納得できる対応策とか制度設計を、大臣が難しいと言って終わってしまうと、ほかに責任を持ってやる方はおりませんので、そこはまた機会を改めて求めたいと思っております。

 最後に、余り時間はありませんが、大串政務官、マイナンバーの、まさに共通番号の法案について少し伺いたいと思います。

 この共通番号制度の導入と運用は、きょう申し上げたいのは、国と地方が一体となって進めなければいけないと思っております。

 その立場から申し上げれば、運用のときに詰められない部分というものを早急に明らかにして、国と地方の役割分担を含めて、各省庁がばらばらでなく、統一された国の方針としてやはり進めるべきだ。

 約千七百五十の自治体が、円滑、かつ、それぞれの規模の事情とかに合わせた形で番号制度導入に対応できることが必要であると思っておりまして、国は、自治体への支援策として、システム面、これは自治体間で違いがありますね。それから、コスト面、法制度、これらの観点から、導入、また導入した後の運用に関するガイドラインを提供すべきだと考えますが、まずこの点について、今、政府はどういう施策を持っているのか教えてください。

大串大臣政務官 先ほど来御議論いただいています番号制度ですけれども、今御議論もありましたように、所得の捕捉という観点からも極めて重要なインフラであるということは、先ほど委員の御指摘のとおりであります。

 そのために、今、法案も出しておりますが、ぜひ早期に御審議いただき、成立させていただきたいというふうに思っております。

 その上で、今お話のありましたように、私たちの案としては、二十七年の一月からマイナンバーを利用開始したいと思っているんですけれども、ある意味、地方公共団体との協力は不可欠、これは私たちも非常に強く認識しております。

 それで、政府としてはこれまで、地方自治体の皆さんとの説明会、これも綿密にやってきているつもりでありますし、さらには、今お話のありました番号制度導入に向けたガイドライン、これも重要なことでございますので、総務省さんの方で主宰してもらって、地方公共団体における番号制度の活用に関する研究会というものを立ち上げて、その中で、ガイドラインにどういうものを盛り込むことによって各省ばらばらでない形で地方公共団体の皆さんのインターフェースを整えていくかということを検討しておって、できるだけ早くこれをお示しできるように頑張っていきたいというふうに思っております。

遠山委員 政務官、今、研究会、説明会のお話があったんですが、私はちょっときょう要求したいと思います。

 というのは、自治体は、当然、大きな、何百万人という人口を抱えた政令市もありますし、極めて小さい人口しかいない、数百人しかいない村もあります。これは、共通番号制度は全国民が的ですから、この大規模から小規模、中規模の自治体で全部導入しなければいけないんですね。

 そうしますと、大中小の規模の自治体別に事前に検証を、検証調査というものをしなければ、これは、机上の空論でやったら、運用したら絶対ミスが起こりますからね。住基ネットのときもいろいろあって、当時、我々与党は大分批判されましたけれども、番号制度の場合、もっと大きなリスクが私はあると思っています。

 ところが、財務大臣、これは答弁は要りませんけれども、今年度の予算では、この大規模、中規模、小規模のモデル都市を抽出してマイナンバーを入れたときにどういう課題があるかという事前検証の予算というのは組まれていないんですね。組まれていない。だから、説明会、研究会だけなんです。

 今政府がお示しになっているスケジュールで本当に、あれは、マイナンバーの交付は今のところ二〇一五年の一月でしたか、二〇一五年というのはもうすぐですから、そこでマイナンバーを交付する前に、自治体の理解を得て、協力を得て入れようとすれば、これはちょっと気が早いですけれども、今年度の補正予算あたりできちんと予算措置をして、大規模、中規模、小規模の自治体別に事前検証をやらないと、絶対ガイドラインなんか無理ですよ。これはちゃんとやりますか。

大串大臣政務官 委員のおっしゃるとおりでありまして、自治体の状況、大きさとかも含めて、それに合わせてそれぞれのニーズがあると思いますので、それを踏まえて検討していかなきゃならぬと思います。

 それらも頭に置きながら今ガイドラインの作業をやっておりまして、一方、今、予算の話もありましたけれども、自治体ごとの違いも踏まえながらパイロット的な実証を行うということで検討を進めておりまして、このための予算も、ことし、二十四年度予算で七億円確保しています。

 これをもって、各自治体の違いがありますから、大中小あるいは広い狭い、いろいろありますので、バリエーションをいろいろまぜながらパイロット的な実証研究をさせていただいて、これらもガイドラインのつくり上げの、よりよくしていくことに使わせていただきたいというふうに思っておるところでございますので、この歩みは進めてまいりたいと思います。

 ただ一方で、私たち法案の成立を前提としてこの予算を組ませていただいておりますので、ぜひ一日も早い法案の成立、よろしくお願いできればというふうに思います。

遠山委員 法案の成立は、政府・与党に汗をかいていただいて、そういう環境を整えていただけばいいと思いますが、七億円じゃ全然足りないと思いますよ、正直言って。千七百五十の自治体にマイナンバーを導入する事前検証で七億なんというのは話にもならないわけですから、それは今からきちんと見積もりして、どういう制度でやっていくのかというのは、地方の意見を聞きながらやっていただきたいと思います。

 時間も余りありませんので、最後に、要望二つと質問一つしたいと思います。

 要望は、このガイドラインをつくる際に、一つの運用ガイドライン、導入ガイドラインではなくて、例えば情報連携に、つまり、情報保有機関は市町村がまずベースですけれども、そこから年金機構だとかいろいろなところがこのマイナンバーを保有していくわけですから、そこの情報連携をどうするのかというガイドラインをつくらなきゃいけない。

 それから、地方自治体側も条例をつくって改正して対応しなければいけない面もありますから、条例の改正のガイドラインもつくらなきゃいけない。

 この二つについて、きちんと政府にやっていただきたいという要望をしておきます。

 最後の質問は、マイナンバーを導入した際には、当然に最前線の自治体にもコストが生じます。そこの費用負担について、これは国が大きくお世話をする、支援をするというふうにすべきだと私は思っておりますが、この最後の点について、費用負担の面について国がどうするか、今の時点で答えられる御答弁をいただきたいと思います。

大串大臣政務官 今お話しいただきました情報連携あるいは条例改正に関しては、ガイドラインもしくは一定の考え方、これをきちんとお示ししていこうというふうに思っています。

 それで、導入時及びその後の運用における自治体側の費用負担等々ですけれども、確かに、財政基盤の脆弱な自治体も含めて全国一律に導入していきますので、その導入時及び導入後の運用に係る費用負担のあり方については、政府内でそのニーズも含めてしっかり協議してまいりたいというふうに思います。

遠山委員 全国の市町村会とかそういったいろいろな団体から要望が強く来ておりますし、恐らく政府にも行っておると思いますので、しっかりと対応していただきたい、こういうふうに思います。

 もう質問を終わりたいと思いますが、副総理、ぜひ、冒頭に議論させていただいた最低保障年金の扱いとか、マクロ経済スライドをもし改良されるのであればどういうふうに改良されるのかとか、この辺の基本的なことがこの委員会でしっかりと出てこないと、私どもとしては、にわかに増税の話だけ先行してということにはやはりならないということをはっきりと申し上げさせていただいて、私の質疑を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

古本委員長代理 これにて遠山君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 政府広報のパンフ、「明日の安心 社会保障と税の一体改革を考える」、これを初めとしまして、政府広報においては、現役世代が高齢者を支えるという説明として、胴上げ型から騎馬戦型、そして肩車型といった人口構成の変化を踏まえ、消費税増税が必要だとの説明を見かけます。

 そこで、岡田副総理にお尋ねしますが、現役世代が高齢者を支えるというその人口構成の変化が、なぜ負担面において消費税増税の必要性となるのか、この点について御説明いただけますか。

岡田国務大臣 なぜ消費税という前に、まず全体の負担の問題があると思います。

 年金、医療、介護、それぞれ、もちろん医療などは働く世代も含めて当然給付の対象になるわけですが、しかし、基本的にはやはり高齢者の医療というのはこれからふえていく。それから、年金、介護についても基本的には高齢者ということですから、高齢者の数がふえていく、あるいは割合がふえていくということは、それだけ多くの負担が必要となるということであります。

 したがって、働く世代と高齢者の割合が変わっていく、委員が言われた、我々が言っている言葉なんですが、胴上げ型から騎馬戦型、そして肩車型というふうに構成が変わっていけば、それだけ多くの負担が必要になる。その負担というのは公費であり、保険料ということになりますが、公費の負担もふえる中で、消費税の引き上げということをお願いしているわけでございます。

塩川委員 高齢者と現役世代の割合が変わっていく、高齢者がふえて現役世代が減っていく、そういう社会だから、現役世代に負担が集中しないようにということで、世代間で負担が公平な消費税ということでよろしいですか。

岡田国務大臣 基本的にはそういうことだと思います。

塩川委員 そこでお尋ねしますが、このパンフを見ますと、現役世代が高齢者を支えるという説明ではあるんですけれども、子供が出てこないわけであります。子供はどこに行ったんでしょうか。

岡田国務大臣 基本的には、税、保険料の負担というのは現役世代が行うということで、その現役世代と高齢者ということを比較しているということであります。

塩川委員 いや、税の負担に行く前に、いわば子供の世代、子供の養育を含めて教育、その負担というのは誰が見ているのかということが、ここにはすっぽり抜け落ちているんじゃないのかということを言っているわけであります。

 ですから、負担の面で、子供を支える負担は誰がしているのかという問題ですけれども、子供を支えているのは誰でしょうか。

岡田国務大臣 基本的には現役世代であります。

塩川委員 ですから、現役世代に支えられているのは高齢者だけではありません。子供も支えられております。

 つまり、現役世代が自分を含めて全人口を支えているということであるわけです。これが正確な実態じゃありませんか。

岡田国務大臣 委員の御指摘は、従来から共産党の御指摘でもありますが、要するに、子供の世代と高齢者を足し合わせれば、現役世代との比率において余り変わらないじゃないか、こういう御指摘かと思います。

 しかし、それは、たまたま子供の世代が減っていることによってそういう事態が現に起きているわけですけれども、しかし、子供の数が減っているということは、やがて現役世代が減るということですから、それは一時的には言えても、長期的には言えないことだというふうに思います。

塩川委員 でも、皆さんはその議論で、すぐ消費税に行っちゃうんですよ。そうじゃないでしょう、その前に、負担の関係について、きちんと事実を踏まえたことを見ていく必要があるでしょうということです。

 配付資料で、一枚目のところに二本のグラフが書いてあります。

 左上から右下に流れているグラフというのが、六十五歳以上人口一人当たり二十歳から六十四歳人口の推移、つまり、現役世代が何人で高齢者一人を支えているか。これは政府のあのパンフでも説明をしているもので、一九六五年では現役九・〇七人で高齢者一人を支えているのが、二〇一〇年には二・五六になり、二〇五〇年には一・二三になるという数字です。

 もう一つ、横ばいのグラフがありますけれども、これは、現役世代が自分を含め、つまり、現役世代と総人口、全人口との関係であります。そうなると、大体二前後ですけれども、現役世代が自分を含め二人を支えているというのがここに示されている。これは、国立社会保障・人口問題研究所人口統計資料より取り上げたものであります。これが現実であります。

 実際には、この二十歳から六十四歳の現役世代の方でも、働いていらっしゃらない方もおられます。もちろん、六十五歳以上の高齢者の方でも、働いている方がいらっしゃいます。ですから、いわば労働力人口、実際に働いている方が全人口を支えているわけです。

 そこで、小宮山大臣にお尋ねをいたしますが、この全人口と労働力人口の比率について、つまり、全人口割る労働力人口で計算した場合に、一九六五年と二〇一二年と二〇三〇年がどうなるのか。この点についてお答えいただけますか。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 全人口を労働力人口で割り返した比率につきましては、一九六五年がおよそ二・〇五、二〇一二年がおよそ一・九六、二〇三〇年がおよそ一・八九になります。

 ただ、先ほどから委員がおっしゃっている、騎馬戦型から肩車型にならないという御批判ですけれども、現在は、社会保障費の九割以上を年金、医療、介護が占めているんですね。高齢者対子供で、社会保障給付費を比べると十九対一ぐらいになっているので、非常に子供の方をこれからふやしていきたいとは考えていますけれども、現状からいたしますと、やはり働く人口で高齢者をどう支えるかということから計算をしていくということは、これは今の社会保障制度を、どう担い手と支えられる側が変わっていくかということにつきましては、今回使っているものは正しい表示だというふうに考えています。

塩川委員 昔というのは五十五歳定年もありましたから、実際に働き手の数そのものがこういう形で、実際には今も将来にわたっても二前後になるということで、この全人口と労働力人口の比率について、基本的には、過去、現在、将来において変わりがないというのが実態であります。

 今、小宮山大臣にお答えいただきましたように、配付資料の二枚目の方ですけれども、二本あるグラフの下の方が、一枚目の横ばいのグラフと同じものであります。

 お答えいただいた労働力人口一人当たりの総人口の推移というのも、見ていただいたように横ばいで、ここには書いておりませんが、二〇三〇年のところで、今お答えがあった一・八九という数字が入ってくるわけであります。

 ですから、働く人が全人口を支えるという比率、ここに着目すれば、変化がないということは否定できませんよね。

岡田国務大臣 これ、二〇六〇年以降はどうなるんですか。

 私の感覚では、子供の数が減っていくということは将来的に働く世代の数が減るということですから、二一〇〇年ぐらいまで延ばしてみると、恐らくかなり、安定的ではなくて、割合が変化していくのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

塩川委員 二〇三〇年のところまでについては反論がありませんでしたので、過去、現在、二〇三〇年においては変わりがないということを否定されませんでした。

 二〇六〇年の話がありましたけれども、その先も大体、二ぐらいなんですよ。それは、でも、政府の方が、数字が出せませんというので、出していないんですよ。そういうのをきっちり出した上で議論こそ行うべきじゃありませんか。

 そういう点でも、社会保障の負担の議論をするのであれば、働く人が全人口を支えるという比率が過去、現在、将来も大きな変化はないということを踏まえた説明こそ政府が行って、議論を行う、それこそ前提じゃありませんか。

小宮山国務大臣 ただ、人口の構成比が全く変わりますので、逆ピラミッド型になっていく中で、高齢者の皆さんへの社会保障費は、もちろん削り込むところはしていきますが、それでも人口比が大きく変わる中で、委員がおっしゃったような形にはならないというふうに思います。

塩川委員 それは変なんですよ。

 内閣府に置かれております高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会、これがこの三月に報告書をまとめております。

 そこの中で、生産年齢人口は十五歳から六十四歳、老年人口は六十五歳以上と位置づけられることが多い。これは今でいえば現役世代と高齢者ということですけれども、この報告書では、生産年齢人口と老年人口の比率から単純に支える人と支えられる人の関係を示した指標は、現状を必ずしも反映していない、政府の報告書で、現状を反映していないというふうに指摘をしているわけですよ。

 ですから、内閣府の検討会報告書の指摘は、政府の説明を否定しているということになりはしませんか。どう受けとめますか。

岡田国務大臣 ちょっと、今読まれたものを、私、理解ができなかったんですが、ただ、委員の言われていることは、高齢者一人当たりの年金、医療、介護等の社会保障費と比べると、子供に係る税とか社会保障のその額が同じであれば、委員のような御指摘、比率が変わっていないという議論はできると思いますが、基本的には、それはたまたま割合が同じであったからといって将来の財政について心配ないということにはならないと思います。

 そもそも、現在でも、今の財政の状況は自立不可能な状況にあるわけですから、もうそれだけでも私は消費税の引き上げの十分な理由になっている、さらに高齢化が進めば、さらに厳しいことになるということを申し上げているわけであります。

塩川委員 高齢世代の社会保障などの負担をどう支えていくかという議論が必要なんですよ。そのときに、前提としての現状認識、事実認識がどうかということを問うているんですよ。

 この検討会の報告書でもあるように、機械的に現役世代と高齢者を切り分けるというのは、現状を反映していないと指摘をしているわけですよね。そういう機械的なやり方じゃまずいんじゃないですかというのを政府の検討会の報告書でも取り上げているわけですから、そういうことにこそ耳を傾けて、しっかりとした議論の前提から始めるべきだ。

 ですから、事実に基づいた議論こそ必要なのに、そうなっていないということで、現役世代が高齢者を支え切れないので消費税増税が必要という政府の理屈は短絡的でしかない、このことを言わざるを得ません。こんなごまかしの説明で消費税増税を合理化するのは認められないと言わざるを得ません。こんなごまかしの説明が社会に悪影響を与えるものとなっています。

 この同じ検討会の報告書では、実際に社会を支える役割を担っている六十五歳以上の人が存在するのにもかかわらず、高齢者を一律に捉えることで、若年者、中年者の負担感や不安感を実態以上に高めていると指摘をしています。

 つまり、内閣府の検討会の報告書でも、若年者、中年者の負担感や不安感を実態以上に高めている、つまりは、今皆さんがしている議論というのが、結果として不安をあおって世代間の対立をあおるものとなっているんじゃないのか。そういう点で極めて重大な議論じゃないかということを言わざるを得ません。

岡田国務大臣 まず、思い出しました。その内閣府のレポートは、内閣府として出したものではなくて、内閣府の依頼に基づいて研究者が出したもので、政府として正式に見解として出したものではないというふうに私は記憶をしております。もし間違いがあればおっしゃっていただきたいと思います。ですから、政府が出したかのように言われるのは、私は違うというふうに申し上げておきたいと思います。

 その上で、確かに我々も、六十五歳以上でも元気で働いておられる方はたくさんいらっしゃるし、それから、これからも、現役世代と高齢者の割合はそこに書かれたとおりですけれども、例えば、現役世代でも、今働いておられない、あるいは非正規で働いておられる女性がもっとしっかり働けるような社会になれば、その負担感というのは変わってくる、そういうことは前から申し上げているところであります。

 しかし、大局として見れば、そういうものがあったとしても、やはり高齢化が進むことは、それは現役世代と高齢者の負担割合は変わってくるわけで、負担がそれだけ大変になることは間違いない。その大きな流れを、少し例外があるからといって大局を誤らせれば、それはやはり議論を誤ってしまうことになるというふうに考えております。

塩川委員 いや、大局と言うのであれば、働く人が全人口を支える、その比率について基本的に大きな変わりがないというところから出発をした議論こそ、多くの皆さんが納得をするような負担の議論になっていく、このことを言わざるを得ません。

 結局、消費税増税を正当化するために、こういう基本的な事実関係を踏まえない、いわば事実をゆがめて世代間の対立をあおるような肩車型の社会論というのは、若者などの政治不信を拡大するだけの有害な議論だと言わざるを得ません。(発言する者あり)有害な議論です。こんな説明は直ちにやめるべきです。

 もう一つ指摘をしたいのが、政府広報で、みんなで支えるのが消費税だということを政府は説明してきましたけれども、しかし、この政府広報のパンフには企業負担が出てきません。これはどういうことなんでしょうか。

小宮山国務大臣 これは、日本の社会保障制度は言うまでもなく共助の考え方が基本ですから、そういう中で、給付に応じた保険料負担を行う社会保険方式を基本としています。

 ですから、企業に対しましても、厚生年金、健康保険などの被用者保険について、雇い主の責任として、一定のルールで被用者の保険料負担をお願いしているわけでございますので、それは今の仕組みの中、共助の中に組み込まれているということでございますので、当然、企業負担も今までと同じように、また、高齢化が進んでくればさらに御負担をいただくということになると思っています。

塩川委員 いや、ここには出てこないんですよ。

 一方で、去年十二月四日の各紙に載せられた政府広報、野田総理が出ているものですけれども、ここでは「急増する社会保障給付をみんなで支えます (現役世代も、高齢者も、企業も)」とありますから、ここには書いてあるわけですが、みんなで支えますという理屈というのは、皆さん、消費税の話で言っているわけじゃないですか。企業というのは消費税を負担するんでしょうか、財務大臣。

岡田国務大臣 最終的には転嫁をされて、消費者が負担をするということです。

 ただ、御党も盛んに言っておられるように、中小零細企業は、結局、転嫁ができなくて、みずから負担をせざるを得ないというふうに言っておられるわけですから、それは、取引の状況その他によっては、企業の中にも不本意ながらそういった負担を強いられるところも出てくる可能性がある。そういうことはなるべくないように、しっかり努力をしなければならないというふうに考えております。

塩川委員 中小企業が価格転嫁できないということを認めたのは極めて重要、重大であります。この点が問われているということと、大企業は消費税を負担しない、肝心の法人税も出てこないじゃありませんか。大企業ほど優遇税制によって法人税の負担割合が低くなっているわけで、担税力のある大企業の負担を抜きにした社会保障財源論はおかしい。

 既に八億円以上の税金を使った、国民をミスリードする宣伝によって消費税増税を押しつけるのは認められないということを申し上げて、質問を終わります。

中野委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 本日は、皆様、大変遅い時間までお疲れさまです。私で最後になりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 冒頭、予告、通告外のことですが、小宮山大臣にお伺いしたいことがございます。

 実は、昨日、千鳥ケ淵で拝礼式がございました。

 この間、菅前総理も、硫黄島の御遺骨の御帰還がかなうようにいろいろなお取り組みをなさっていて、私は、それは大変前向きなこと、いいことというか、今現在、私たちがこの国で、あの敗戦、大きな敗戦、あるいは大戦を経験した後、この国が復興していくその礎を築いていただいたお亡くなりになった皆さんですから、私たちは全力を挙げて感謝もし、また、残された御遺族、御家族にも礼を尽くすというのは、人間としても、社会としても、国としても、当然だと思うんです。

 そこで、私は、当選後十二年になりますが、拝礼式は何らかの形で毎回参加をさせていただいています。その中で、昨日の拝礼式は、私はちょっといかがなものかと思いました。

 理由は、常陸宮両殿下が参加していただきまして、献花もしていただいて、それでお帰りになる、それは通例のことであります。

 その後、野田総理も、公務があられたんでしょう、献花されてお帰りになりました。玄葉外務大臣あるいは田中防衛大臣もおられ、また環境副大臣もおられました。それらの大臣も、皆さん、献花の後、席を立たれました。そこから続いて、インドとかパラオとかパプアニューギニアとか、各国の全権大使という形で大使館の方が来られておりました。この方たちも献花をされて、しかしその後、皆さん席を立って帰ってしまわれました。

 実は、私は、先ほど申しましたように十二回連続して出ているんですけれども、かつてそういうことはなかったんですね。せめて式の終わるまで、御遺族の方が献花を済まされるまでいていただくということを厚労省から外務省にお願いしなかったのか。

 お一人、二人、三人と帰られますから、後になった方は、帰らなきゃいけないと思われるのか、日本の風習だと思われたのか、皆さん全部帰ってしまわれたんです。

 その後、またもっと問題なことがございました。

 実は、政党の献花がその後入りました。輿石幹事長が民主党の代表で献花をなさいました。輿石さんは、実は、献花された後、とどまろうか帰ろうか悩まれたみたいで、戻ってこられて、しばし身の振り方を考えておられました。そうしましたら、恐らく厚生労働省の担当者だと思いますが、お帰りになる方に誘導されました。これをもって次々と、次の自民党の谷垣総裁も公明党の山口代表も、皆さん献花された後帰ってしまわれました。すなわち、こちら側の席というか、国会議員並びにそうした外国の参加してくださるところは、ほとんど空っぽになりました。

 実は、でも、細川前厚生労働大臣は一般の参加で最後までいてくださいましたから、まだよかったかなと正直言って思いましたけれども、私はやはり、いかに何でも御遺族に失礼かと思い、一人だけ戻って、私の後、献花された国民新党や新党日本の皆さんは残ってくださいました。そして、私が献花した後、御遺族の方たちが詰め寄ってこられて、最後まで残っていただいてありがとうとおっしゃいました。

 私は、何か申しわけなくて、一体この事の運びは何なんだろう、やはり、今の時代、今の社会があるということを、どんな犠牲の上に成り立ったのかを忘れてしまえば、本当にとんでもない民族であり国民になると思います。

 なぜ、ことしの拝礼式がこのような仕切りであったのか。私は、厚生労働大臣は御存じないと思うんです、きのうもここで委員会でありました。西村智奈美副大臣はもちろん最後まで御出席でありました。しかし、外務省との段取り、あるいは各政党の代表にどのように伝えられたのか。本当にこれは禍根を残します。

 ぜひ、お調べいただいて、来年にはこうしたことのないようにお取り計らいをいただきたいです。冒頭お願いします。

小宮山国務大臣 非常に大事な御指摘、重く受けとめたいと思います。

 おっしゃいましたように、しっかりと戦没者の方への敬意の念、そういう念をきちんとするということ、御遺族の皆様に失礼のないようにちゃんと対応するというのは当然なことだと思いますので、委員がおっしゃるように、どのような仕切りをしたのか調べて、来年からはそういうことのないようにしていきたいと思います。

阿部委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 引き続いて、通告してある質問に入ります。

 民主党の皆さんと御一緒に政権交代をいたしまして、私どもも大変この国の貧困化ということを懸念して、それを何とかしたいと思ってやってまいりました。高校の無償化や子ども手当の問題も、そうした、まず、子供たちが貧困の中に生まれ、貧困の中に育ち、貧困の次世代送りが起こるということを何とかしたいと思ったところから出発したものであります。

 と同時に、しかし、私が昨今の民主党の皆さんの政策、特にこの税と社会保障の一体改革にかかわるいろいろな御提案を見ておりますと、いわゆる社会保障政策が、言葉は悪いんですが、救貧政策、貧しくなったことを何とかいたしましょう、手当ていたしましょうということに傾き過ぎているやに思います。

 もちろん、年収二百万円以下の方が一千万人ですから全体は貧しくなっています。でも、最も必要なことは、言葉で言えば、防貧、貧になることを防ぐための雇用政策であったり、保険料負担の軽減であったり、もろもろあると思います。そうしたことが一切見えない中で、私が本日伺いたいのは、年金の最低保障機能を強化するべく行われる加算の問題でございます。

 予算委員会から引き続いて、低所得とは何かということを伺ってまいりましたが、まず冒頭、岡田担当大臣に、社会保障全体にかかわることであり、なおかつ、この年金問題で今度六千円の加算をなされようとするときの低所得の概念、定義、お考えをお聞かせください。

岡田国務大臣 これは、いろいろな考え方があり得るというふうに思います。しかし、今回とっております低所得者の範囲としては、他の社会保障制度、つまり、介護保険の保険料軽減、高齢者医療の窓口負担軽減などで多く用いられている範囲を基本としております。

 具体的には、市町村民税が家族全員非課税、かつ、年金その他の収入が老齢基礎年金満額、すなわち月額六・四万円以下の方々ということにしております。そういう方々に対して一律六千円の福祉的な加算を行うことにしているところでございます。

阿部委員 では、岡田副総理に伺いますが、その方たちに対して、もしもその方が一切保険料を納めておられなくて、そうした状態、先ほどおっしゃった六万四千円以下になっている場合も六千円給付されるんでしょうか。一度も保険料を納めていなくて、たまたま基準は他の所得等々で考えて、でも六万四千円いかないよと。一円たりとも保険料を納めていなくても六千円をお渡しになるんでしょうか、どうでしょう。

小宮山国務大臣 全く払っていらっしゃらない方には出しません。

阿部委員 そうすると、これは福祉的加算とは言わないんですね。保険の世界に入ってまいります。

 安住大臣、お伺いいたします。

 先ほど岡田担当大臣は、介護保険等々の並びで使われる低所得を参考にしたとおっしゃいました。朝の質問で、あべ俊子さんとのやりとりの中で、私は、いや、ここははっきりさせていただかねばならないと思いましたが、介護保険の世界では、確かに今、岡田副総理がおっしゃったように、年金と他の所得と合わせて八十万円というところで切ってございます。これが介護保険料の減免が半額になっているところでありますね。

 果たして、この場合、この方がすごく資産持ちであられた場合、ストックとしての物は持っていてもフローは少ないという方でも、今回のこの低所得者に入るんでしょうか。加算がなされるんでしょうか。お願いします。

安住国務大臣 先生、それは給付つき税額控除などをやらないで、概念としてですか……(阿部委員「今、概念じゃない」と呼ぶ)いや、つまり、ストックじゃなくてフローの部分だけで、先生の御指摘であって、例えば金融資産が幾らあるかということも加味するのかということに関して言えば、手続上はそれは加味はできない。

阿部委員 やはり余りにもおかしいと思うんですね。

 どんなに金融資産をお持ちでも、どんなに立派な家に住んでいても、今手元にある現金が六万四千円以下の月収であると言えば、そうしたら六千円出しますといったら、私は、これは本当にモラルハザード、不公平感が強い。私は皆さんが低所得者の方を何とかしたいと思っている気持ちは共有しているんです、だけれども、そんなにルーズなことをやってしまったら本当にこの社会の規範が崩れます。

 安住さん、ちゃんと聞いてください。

 金融資産をお持ちの方、あなたは財務大臣ですよ、幾ら持っていても、もしも、あと土地、家、でも、フローというか現実の収入、六万四千円以下であるということは起こり得ますよね。

 私は実は選挙区は藤沢で、隣は鎌倉ですけれども、鎌倉などは大きなお屋敷がいっぱいあって、しかし、現金はそんなにお持ちじゃないという方がおられますよ。でも、その方にも六千円出すんですね。どうでしょう。もう一度お願いします。

岡田国務大臣 それだけ捉えれば、確かに委員のような議論は成り立ち得ると思います。

 しかし、これは制度ですからどこかで割り切らないと、全てそれで資産を調査して、その上でこの膨大な数について支払うということが果たして可能かどうかという問題。それから、例えば、たまたま都心に住まいを持っていて、そして資産的には確かに評価をすれば高い価値かもしれない、しかし、現実、日々の収入というのはそういった最低限のレベルしか収入がない、そういう方に、では資産はあるからそれを何らかの形で売って、出て、そしてということを果たして強いるべきかどうか、こういう議論もあると思うんです。

 いずれにしろ、制度ですから、どこかで割り切らざるを得ないので、やはり大局を見て判断せざるを得ないということであります。

阿部委員 そんな割り切り方をしていただいては困るんですね。例えば、住宅をお持ちであればリバースモーゲージにしようとか、いろいろな他の施策をやっているんですよ。そこでお互いの公平性を担保していこうとしているんですね。私は、国の仕組みが本当に国民から見ておかしいなと思われた途端、全て崩れてしまうと思います。

 そして、岡田副総理、私は、おかしいと思うのはこの件だけじゃないんですね。民主党は、これから年金の問題で最低保障年金というのを出されるときに、所得比例の年金と、足らず前を何とか七万円になるまで入れていきましょうということですよね。このときの七万円というのは、今のように年金収入とほかの所得も合算するんですか。民主党のお考えはまだ詰まっていないとおっしゃいますが、私は、既にこのことと今度できる年金とが大きく考えが違えば、また国民は混乱すると思います。

 今回、民主党の案の一番の問題は、保険方式である年金の収入とその他の所得を合算して低所得者という範疇を設けて、そこに年金のプラス給付として出そうとしていることなんですね。ここで二つの制度が本当にぐちゃぐちゃになるもとをつくっています。

 岡田さん、どうですか。これは、あなた方のお考えの七万円の最低保障年金のときには、他の所得も合算してやるんですか。

小宮山国務大臣 これは、所得比例の年金額でやりますので、合算はいたしません。

阿部委員 そうすると、また今回やることと次やることは変わっちゃうんですよ。そんなにころころ変わったら、国民が制度を理解し、本当に納得していただくことができなくなりますよ。せめてそこくらい統一させるべきですね。そして、統一できないなら、今こんなことを焦ってやるべきではないですよ。

 小宮山大臣に伺いますが、先ほど遠山さんとのやりとりの中で、他の社会保障制度でやっているとおっしゃいました。一体これは何ですか。このような仕組み、一方で保険料をある額納めますね、そこで結果として年金の額が積み上がる、これと他の所得を合算して、足りないから福祉的給付をするなんという他の社会保険の仕組みというのはありますか。何を例に挙げられたでしょう。

小宮山国務大臣 他の社会保障制度と申し上げたのは、介護保険の保険料軽減、自己負担の軽減、高齢者医療制度の自己負担軽減などで、こうしたことで多く用いられている低所得者の範囲にしたということです。

阿部委員 今おっしゃったように、自己負担の軽減なんですね。加算して給付しているわけじゃないんですね。それは保険制度を成り立たせるためなんですね。保険料を応能負担になるべく近く、払えない方は減免、これはあってもいいんですよ。でも、今皆さんのやろうとしていることは、それを逸脱しているんですね。

 今大臣が挙げていただいた二つは、保険料が負担だからそこを何とかいたしましょうという医療や介護のお話です。それは私はあり得ると思います。保険という社会は共助だから、なるべくこれを本当に社会の骨格にしていくためには、そこに負担できない方がおられたら、エンパワー、サポートして、納めていただきましょうということであります。それはいいことです。しかし、今やっているのは、その結果、ある年金額を自分が得た、ほかの所得も得た、でも少ないからさらに渡すという全く違うことなのです。

 そして、では、どんな不都合が起こるかということを具体的に挙げさせていただきます。

 小宮山大臣は、パートなどの皆さんの年金加入に大変に熱心です。私は、そのことは評価しておりますし、頑張っていただきたい。だけれども、小宮山大臣が一番熱心にやりたいパートの女性たち、例えば四十歳、五十歳の主婦であった場合、主婦じゃなくてもいいんですよ、おひとりの方でも、おひとり暮らしでも。次のお示しした資料を見ていただきたいんですけれども、例えば今回、月収七・八万円の方から、この方が週二十時間以上働いて、一年以上であれば、厚生年金に入れますよ、五百人以上の企業でとお決めになりました。

 でも、大臣、よく見ていただきたいんですよ。七・八万円の月収の人が、もしも、あなた方が配ろうとする六千円を、この方は、今現在だったら、もしかして年金を一生懸命払っていても、例えば五万円しかないといたしますね。何とか上乗せしたい、たった六千円を、まあ五万八千円くらいにしましょう、六千円を上乗せするためには、十四年七カ月間、毎月六千四百一円の保険料を払わなきゃいけないんですね。次の八・八万円の方、この方だと、十二年十一カ月、毎月七千二百二十一円払わなきゃいけないんです。

 あえて言えば、私は、それでも払っていただいて、厚生年金に入ってほしいと思います。だけれども、一方で、入らなくても六千円来るんだったら、何もこんなに苦労して、十四年七カ月、十二年十一カ月払う必要ないじゃないですかと考えますよ。

 今、なぜ、収入の少ない方々が保険料を払う、本当はいいとわかっているけれども、でも、払えないなという厳しいところにあるんですね。その方たちにとって、七・八万円の月収、八・八万円の月収、九・八万円の月収、おのおの月額保険料をここに計算いたしました、これは厚労省にやっていただきましたから。そうしたら、十四年とか十二年とか十一年、少なくとも十年以上これを払い続けないと、あのただで来る六千円すら、それととんとんなんですよ。

 これだけの負担をさせて、そして、企業も負担なさるわけですね。では、企業は、いや、うちは十何年も負担したくないから、あなた、今五万八千円なら、大丈夫よ、あと六千円は来るんだからということになるじゃないですか。

 私は、実は、この指摘を社会保険労務士さんから受けました、企業に一生懸命加入を誘っているのに、こんなことをやられたら入りませんよと。だって、もし六万四千円以下だったら、確実に六千円は渡しますからと一方で言っているんですもの。

 この少ない年金のところを、何とか厚生年金に加入してもらって、生活を底上げしていただきたいとやったはずの制度が、全く逆に意味をなさない、モチベーションがなくなっちゃうんですね。

 大臣、これはおわかりですか。どうでしょう。

小宮山国務大臣 委員も御評価いただいたように、短時間労働者の適用範囲を拡大するということは、週三十時間働かなくても、二十時間であっても、働きに見合ってしっかりと自分で保険料を納めていただいて、少しは多い年金なども受け取るという、生涯に向けての保障もしていくということで、このこと自体は御評価いただいていると思っています。これはこれできちんと進めたいと思っています。

 そして、こういう適用拡大が必要であるという一方で、今現状として非常に低年金の方がいらっしゃる中で、その問題に対応するということも非常に重要な課題。

 そういう意味で、今回は、その一律六千円のほかに、納付意欲を損なわないように免除期間の加算ということもつけまして、こちらはこちらで、こういう形で一定の効果のあるものをするということについては御理解をいただきたいというふうに思います。

阿部委員 実は、免除期間の加算も同じような問題を持っています。

 とにかく、先ほどの、年金の保険方式を逸脱して、六千円ただで渡しますとやったら、あらゆる保険料を払って、長年払って、支えていこう、自分も支えられようという気力が失せちゃうということなんですね。

 もっと言えば、例えば二十五万円の月収、厚生年金の中で悪くないと思います、月収にしたら。この方だって、六千円を上乗せするには四年六カ月かかるんですね。保険料を真面目に払って、保険料は月二万一千三百三十六円ですよ。これだけの保険料を五年近く払って、でも、もしぎりぎりのところだったら、払わなくても六千円来るんです。

 私は、この問題は、一体、審議会ではどう話されたのか。議事録を見たけれども、何もないんです。でも、こんなに保険へのモチベーションを低下させるものはないですよ。

 ぜひ、小宮山大臣、きょう私の示した資料をもとに考えていただきたい。やろうとしていることはいいことだから、私は、逆に、六千円の、失礼な言い方だけれども、ばらまきと言われかねないことをおやめになることだと思います。

 もう一つあります。

 一番下は、国民年金に付加年金というのがあります。御存じでしょうか。国民年金は、昔からなかなか厚生年金よりも、保険料は一万五千何がし、でも昔は、スタートしたときは何百円の単位でしたけれども、四百円とかいう時代に、それともうあと三百五十円払ったら、その三百五十円については、国庫負担を四分の一入れて給付しましょうというのが付加年金なんですね。これは、少ない国民年金を、何とか給付のときにかさ上げしましょう。これは、四百円を三十年払うと、実は六千円が上乗せなんです。これだって、まるで意味がなくなりますよ。

 次のページに、「二十歳になったら国民年金」とあるのは、そこの二番目に「月額四百円の付加保険料を納付されると、」今でも国民年金だけで不安という方にはこれを奨励しているんですよ。六千円上乗せというのは、本当に大事で、本当にいいことなんです。でも、それを努力してやっていただくことを応援しているんですね。

 私は、これからの国の政策は、本当に、先ほど来問題になっている少子化ですよ、間違いなく。そして、それをどう支えるかといったとき、共助の仕組みの、その足らざるを手を差し伸べて応援してさしあげるというふうにしないと、とてもとても、財源も足りないし、人の意欲を失わせてしまう。私は、何も自助だけを言っているんじゃないんです。共助が大事。でも、共助が成り立つための国のサポート、そのちょっとのサポートが一番大事だということですよ。

 これは、きょう初めてごらんになったかもしれない。私は、全部これを試算してきたんですよ。厚労省にも確認しましたよ、私の試算でいいですかと。こんなことが横行したら、私は、せっかくの保険の世界がもう機能しなくなってしまうと思うので、ぜひ大臣には検討していただきたい。

 そして、もう一つ検討をお願いしたいと思います。

 私は、ここに、五百万人に六千円配る、四千六百億かかるといいます。それだけのお金があったなら、さっき言った、救貧よりも防貧、変な言い方ですが、みんなが暮らしを安心して過ごせる政策に向けていただきたい。すなわち、高いという実感のある国民健康保険料、あるいは、先ほど、二〇三五年には二倍になっちゃうという介護保険料、ここにやはりお金を入れていくということだと思います。

 前から、私は、六百億あれば、国保の家庭の子供さんたちは、子供が多いほど大変になるのが何とかできる、負担が減るんだと申し上げています。これらをきちんと保険の制度の中でお金を使い、充実し、そしてこの国が本当に支えられるという考え方について、いかがですか。最後にお願いします。

小宮山国務大臣 委員の御指摘、そういう考え方については、受けとめさせていただきたいと思います。

 ただ、私どもとしては、それぞれの仕組みの中で、健康保険の保険料、介護保険の保険料、低所得者の対策などもそれぞれとってきています。それをまた、総合的にどういうふうに制度横断でやったらいいかということもやってきています。そうした中で、今回、低年金の方を解消するためにこういう形のものを出させていただいたんですが、そういう御議論があるということは受けとめさせていただきたいと思います。

 それで、一点、先ほど、保険料を払っていない人には最低保障年金を出さないと申し上げたんですが、これは、保険料を払っていないので年金をもらっていない、この人は、払えるのに払っていない人には加算をされないということで、免除を受けている人に対してはそれを出しますので、そこだけちょっとつけ加えさせていただきます。

阿部委員 それぞれの仕組みの中できちんと完結していくような整合性を持たないと、国も社会も壊れるということです。

 終わらせていただきます。

中野委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

中野委員長 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に西博義君を指名いたします。

 次回は、明三十日水曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後七時十二分散会


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