衆議院

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第11号 平成24年5月30日(水曜日)

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平成二十四年五月三十日(水曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      網屋 信介君    石井登志郎君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      今井 雅人君    江端 貴子君

      大西 健介君    大西 孝典君

      岡田 康裕君    勝又恒一郎君

      川越 孝洋君    岸本 周平君

      近藤 和也君    斉藤  進君

      篠原  孝君    白石 洋一君

      瑞慶覧長敏君    田嶋  要君

      田中美絵子君    田村 謙治君

      玉城デニー君    玉置 公良君

      道休誠一郎君    中屋 大介君

      永江 孝子君    長尾  敬君

      早川久美子君    藤田 大助君

      藤田 憲彦君    松岡 広隆君

      三村 和也君    三宅 雪子君

      宮島 大典君    向山 好一君

      室井 秀子君    本村賢太郎君

      森山 浩行君    柳田 和己君

      山口 和之君    山崎  誠君

      湯原 俊二君    柚木 道義君

      石田 真敏君    加藤 勝信君

      金子 一義君    鴨下 一郎君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      竹本 直一君    野田  毅君

      馳   浩君    町村 信孝君

      松浪 健太君    石田 祝稔君

      竹内  譲君    高橋千鶴子君

      宮本 岳志君    小林 正枝君

      豊田潤多郎君    阿部 知子君

      柿澤 未途君    山内 康一君

      中島 正純君

    …………………………………

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   復興副大臣        松下 忠洋君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   文部科学副大臣      高井 美穂君

   環境副大臣        横光 克彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    山本 庸幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           山崎 史郎君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     中屋 大介君

  江端 貴子君     玉置 公良君

  岡田 康裕君     森山 浩行君

  勝又恒一郎君     川越 孝洋君

  篠原  孝君     柳田 和己君

  田嶋  要君     玉城デニー君

  田中美絵子君     斉藤  進君

  田村 謙治君     本村賢太郎君

  長尾  敬君     今井 雅人君

  室井 秀子君     近藤 和也君

  柚木 道義君     磯谷香代子君

  渡部 恒三君     向山 好一君

  田村 憲久君     竹本 直一君

  馳   浩君     松浪 健太君

  竹内  譲君     石田 祝稔君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  豊田潤多郎君     小林 正枝君

  中島 隆利君     阿部 知子君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     三宅 雪子君

  今井 雅人君     長尾  敬君

  川越 孝洋君     藤田 大助君

  近藤 和也君     室井 秀子君

  斉藤  進君     松岡 広隆君

  玉城デニー君     田嶋  要君

  玉置 公良君     江端 貴子君

  中屋 大介君     大西 健介君

  向山 好一君     瑞慶覧長敏君

  本村賢太郎君     道休誠一郎君

  森山 浩行君     岡田 康裕君

  柳田 和己君     篠原  孝君

  竹本 直一君     田村 憲久君

  松浪 健太君     馳   浩君

  石田 祝稔君     竹内  譲君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

  小林 正枝君     豊田潤多郎君

  阿部 知子君     中島 隆利君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     稲富 修二君

  瑞慶覧長敏君     網屋 信介君

  道休誠一郎君     田村 謙治君

  藤田 大助君     山崎  誠君

  松岡 広隆君     田中美絵子君

  三宅 雪子君     柚木 道義君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     大西 孝典君

  山崎  誠君     山口 和之君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     渡部 恒三君

  山口 和之君     勝又恒一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省社会・援護局長山崎史郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 本日は、社会保障、特に年金制度と税制等について質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井登志郎君。

石井(登)委員 おはようございます。民主党の石井登志郎でございます。

 きょうは、質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本来は、きのう質疑の時間をいただければと。きのう、私、四十一歳の誕生日になりまして、古本理事に誕生日プレゼントを下さいとせがんで、いただいたわけですが、一日おくれということになりました。

 そういうことでありますから、私は、与党の議員として質問をいたしますが、ただ、それ以上に、団塊ジュニアと言われる世代であります。四十一歳の一人の働く男として、きょうは厚生労働大臣、副総理、そして財務大臣にお伺いをしたいと思います。

 まず、小宮山大臣、私は二〇三六年に六十五歳になります。そして、どうでしょう、二千五十何年まで生きるかわかりませんが、一応予定としては二〇五五年ぐらいまでこの世におるかなと思うんですけれども、私の年金は大丈夫でしょうか。

小宮山国務大臣 年金の財政は、御承知のように、長期的な収支で判断をされます。少なくとも五年に一度、長期的な年金財政の見通しを作成しまして、給付と負担の均衡が図られるかの検証を行っています。

 直近の平成二十一年二月の財政検証では、将来にわたって年金財政の給付と負担の均衡が図られているということが確認をされていますので、石井委員が受け取られるころにもしっかりと年金財政は安定していると考えます。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 厚生労働大臣としては、当然そういう答弁をせざるを得ないところだと思います。

 そこで、岡田副総理にお伺いをいたします。

 三年前、私はまだここにたどり着いておりませんでしたが、野党民主党時代に年金の問題を大変多く指摘されてこられました。そうした中で、私も議事録を拝読しまして、何を先輩方が言ってきたのか、そして何を当時の与党の方々に言われてきたのかというようなことを少しレビューいたしました。

 そうした中で、確かに多少きつい言葉の使い方とか、多少ちょっとこれは、もちろん岡田副総理ではありませんが、先輩の中でしつこい言い方だなというようなのを感じるところも私もなくはありません。ただ、一方で、そのときのその言いぶりに対して今副総理となられた岡田大臣が真摯におわびをされるということは、それは結構すばらしいことだとは思う一方で、そのときに指摘をされたこと、それは私はまだ消えてはいないと思っています。

 つまり、例えば平成二十一年の財政検証に関して、国民年金の保険料の収納率をその次の年から八〇%で前提を置いているとか、あとは、物価上昇率一%、賃金上昇率二・五%、運用利回り四・一%、そして労働参加率、これもある一部の世代では今よりも一〇%も二〇%も高いような形で目標値として書いてある。これに関して、当時野党の民主党、そして昨年の提言型事業仕分けに関しても、一度この財政検証をやり直した方がいいんじゃないかと。

 例えば、国民年金に関して、将来八〇%を求めるというのは結構だと思います。ただ、今五九%そこそこであろうと思いますから、それが来年から八〇%というのも非現実的ではないか。そうした中で、小さなことですけれども、まず五年後にそれなら七〇%、十年後に八〇%、そうした一つ一つの積み重ねを真摯にすることによって国民の信頼というのは回復されるんじゃないか。

 そうした意味での財政検証を、法律には五年に一回と書いているわけではありません、五年以内に少なくともと書いてあるわけでありますから、この再検証を二十六年を待たずにされたらよいかと思いますが、副総理の御見解をお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 実は、今委員が言われた数字、特に経済前提は、先般明らかになりました民主党の、これは全体のものではありませんが、試算においても同じ数字を使って計算しているわけであります。それは、やはり比較をするために、そういった、従来の政府がとってきた前提をそのまま使っているということであります。

 これから年金制度のあり方を検討する際に、我々は抜本改革が必要だという立場に立っております。一方で、自民党や公明党の皆さんは、今の制度の改善によって百年間大丈夫だ、こういう結果を出しておられるわけです。

 そういった議論をする際に、前提条件についても、これは政府が勝手にやるということではなくて、各党間で話し合われる際に、幾つかのケースについてやはり計算をして、そして、今のままで、その改善をすることで成り立つのか、それともやはりそこに無理があるのかということも含めて、きちんと議論がなされるべきではないか。

 いずれにしろ、それは各党間で御相談されることでありますが、政府だけが今までの前提と違う前提を置いて計算するというよりは、各党間の協議を通じて、そういうことも含めて御議論いただいたらどうなのかというふうに思っております。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 私がここで申し上げたいメッセージというのは、何か天からお金を降ってこさせてくれというふうに私たちの世代は思っているわけではありません。ただ、やはり、これはそういう意図があったかどうかはわかりませんが、何か百年先に五〇・一%を維持するために数字をつくったんじゃないかと当時のマスコミも相当書いていました。

 そうした中で、私たちが知りたいのはやはり真実でありますから、そして、私たちが知りたいのは、将来の高い目標というよりは、まさに現実的な数字と現実的な見込み、そのいいパターンと悪いパターン、そういうものを知りたいわけでありますから、そういう観点で、平成二十一年の財政検証、次が仮に二十六年になってしまったとしても、同じような形での財政検証というのであれば、それは私たち自身、ちょっと納得感が不十分だと思います。

 そうした中で、きょうは、二十一年の財政検証、そして足元の経済前提、この資料一番、二番というのをつけさせていただきました。

 この二枚目の方を見ていただきますと、物価上昇率等々、この見込みと実績、これは残念ながら相当乖離をしているところも多く見受けられます。賃金上昇率も、御案内のとおり、十分賃金が上がっていないというところであります。こういうことを一つ一つ丁寧にメッセージとして国民に知らせる責任が特に厚生労働省にはあると私は思っております。

 そこで、三枚目、厚生労働省のホームページの一部を焼いてまいりました。「教えて!年金積立金運用 運用状況はどうなっているの?」こういうホームページであります。若葉マークがこのホームページについておりまして、どうなっているのかなと見る世代がぱっとこれを見るわけであります。Q1、Q2、Q3、Q4とあって、「Q4 運用状況はどうなっているの?」ということで、自主運用を開始した平成十三年から十年経過し、これまでの状況は、単年度で見ると市場動向によってプラスのときもあればマイナスのときもありますが、累積で見ると比較的安定的に推移しており、二十三兆円のプラスの収益になっていますということであります。

 ここに書いてあることは、もちろん、当然、うそが書いてあると言うつもりはありません。ただ、これを見て、本当に若葉マークで、年金の運用はどうなっているんだ、一部の学者やメディアが書き立てて、一方で厚生労働省はこういうホームページを書いている。このホームページから伝わってくるメッセージは、大丈夫です、もう全く心配ありませんというようなことが書いてあるわけです。

 一方で、例えば、私はこういうものを追加した方がいいと思うんですね、私たちの年金は大丈夫ですか、団塊ジュニア世代の方々はここをクリックくださいと。そこで、前提どおりにいけば大丈夫ですけれども、前提が崩れた場合はそうでないリスクもありますというような項目を追加するとか、なかなか厚生労働省でそれができるかどうかわかりませんが。

 まず、このホームページを見られて、所管大臣としてどのような見解をお感じになり、そして、私が申し上げたことに関して、小宮山大臣の率直な御見解をお聞きしたいと思います。

小宮山国務大臣 厚生労働省のホームページによって、皆様にわかりやすく、必要な情報をどうやってお伝えするかということは、昨年、私が副大臣だったときにも相当いろいろとやったんですけれども、まだまだそこが十分に機能していないという認識は私自身も持っています。

 ですから、おっしゃるように、積立金についても大丈夫ですよというメッセージ、もちろん大丈夫なんですけれども、それは、今言われたように、自分たちの年金は大丈夫ですかとか、いろいろな皆さんの疑問に直接答えられるような形で、例えばこの積立金の運用と年金財政の関係とか、皆さんの疑問に直接答えられるように、これはまだまだ改良する余地というか、改良しなければならないと私も思っていますので、また御意見もいただいて、そのようにできるようにしていきたいと思っています。

石井(登)委員 ぜひ我々の世代の納得感が得られる、いいところばかりでない、真実により近い、これもうそではありませんが、そういうホームページづくりにぜひ私も協力をしていきたいと思います。

 続いて、デフレ下でのマクロ経済スライドについてお伺いをしたいと思います。これは岡田副総理にお伺いしたいと思います。

 昨今、特にこの単年度の積立金取り崩しが大きくなっていたり、その運用実績等々、これを単年度で捉えて、例えば、二〇三〇年ないし二〇五〇年に今のままいけば年金積立金は枯渇するのではないかと言うような方もおられます。確かに、今のままこのペースで推移をすれば、百年安心というのにはほど遠い状況であります。一方で、物価が上昇しなければ、賃金がしっかりと上昇しなければ、この調整であるマクロ経済スライドがしっかりと働かない、そういう中で、今、特にこの五年、七年、来ているわけであります。

 そこで、十六年検証では、マクロ経済スライドの調整期間を二三年までにすると。そして、その財政検証の五年後には、二〇三八年まですると。そうしたら、このままいくと、次のマクロ経済スライドはどこまでやるんだろうか、もしくは、マクロ経済スライドの調整幅がもっと大きくなるんじゃないかというようなことを私たちは感じます。

 そして、もう一つ思うのが、今しっかりとした調整ができなければ、その調整のあおりが来るのはまさに我々の世代であり、次の世代です。調整ができないことで枯渇をする、もしくは、調整がここで五年、十年できないことで調整幅ないしさまざまな調整が一気にがんと大きい幅で降りかかってくるんじゃないか。

 そうしたときにやはり考えなければいけないのは、デフレであっても、もしくは十分な物価上昇率、賃金上昇率がなかったとしてもマクロ経済スライドが働くように、法律の改正も含めて、これは私は可及的速やかに検討すべきだと思うし、やるべきだと思いますが、その点についての御見解をよろしくお願いいたします。

岡田国務大臣 まず、マクロ経済スライドの前に、物価スライドそのものが発動されていないという問題があったわけですね。年金は、基本的には、物価が上がればそれに応じて上げる、下がれば下げる。現に、今度消費税をもし五%引き上げさせていただくということになりますと、それに基づいて消費者物価が例えば四%上がるとすれば、それに応じて年金も上げるということになるわけです。しかし、現実には、物価が最近下がってきて、それに応じて下げなければいけない年金水準を下げずに来たということです。これをまずきちっとやろうということで、今回、御提案の法案の中にそのことは入れさせていただいているわけであります。

 そういったことで調整した上で、委員御指摘のマクロ経済スライドをどうするか。確かに、この調整をやらないで先送りすれば調整幅が大きくなるのは御指摘のとおりで、それは、世代間で言えば、先の世代ほど負担が重くなるわけですから、やはり物価が下落しているときでも同様の考え方を可能なようにするというのが私は正しい方向だというふうに思っております。

 もちろん、賃金や物価が上がっているときにその上げ幅を抑える、基本的には〇・九%程度抑えるわけですね、人口の減少それから平均余命の延びということで〇・九ですから。物価が下がっている、あるいは物価がフラットのときにその〇・九を下げるというのは、なかなかつらいわけです。上がるときにその上げ幅を抑える、例えば、一・五上がるときに〇・九差し引いて〇・六だけ年金を上げるというのと、フラットのときにそれをマイナスにしちゃうというのとは、その感じる痛みが違うわけで、それだけ難しさはありますが、しかし、考え方としては、それは物価が上がった下がったに関係なくやっていけるような仕組みをやはり議論すべきではないか、そういうふうに思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。あるべき方向で検討していただくということであります。

 ただ、一方で、今、物価が上がらないときに下げるというのはなかなか体感的に厳しいものがあると言いましたけれども、ただ、副総理、やはり厳しいものは、本当に、来年、再来年に枯渇をすると言われ、そしてある日突然、その物価の上昇云々のあおりを二十年後、三十年後に大きな形で食らってしまう我々の世代の方が厳しいわけでありますから、そういう意味では、やはりこれは政府として、高齢者の方々にもしっかりと説得をして、本当にこの制度がもつ形での検討というのをお願いしたいと思います。

 次に、国民年金の納付率について。

 今、六〇%を切っています。あれだけ三年前、民主党として、国民年金の前提、八〇%の前提というのを、当時は舛添厚生労働大臣でありました、厳しい指摘をしました。政権交代をして、そうした視点も含めて、収納率は上がっているかなと思ったら、残念ながら収納率が下がってしまっています。これは、もちろん、もろもろほかの仕事にとられた等々あるんだと思いますけれども、しかし、やはり現実は、収納率が下がったという現実であります。真面目に国民年金を払っている人からすると、どうなっているんだ、何やっているんだ、払うだけ無駄じゃないかというふうに言うのが私の周りの世代であります。もちろん、厚生年金の人にはその選択の余地はないわけであります。

 そうした中で、昨年、会計検査院の方からも指摘をされました。民間に委託した業務が、この未払いの方々に対する督促といいますか、そうしたことに関して十分行っていないというようなことに対する会計検査院の指摘もあったところであります。

 これは、小宮山大臣、しっかりしていただきたいんですが、取り組みと、そして御決意をひとつお聞かせください。

小宮山国務大臣 この未納者の対策というのは、やはり真面目に納めていらっしゃる方との公平感からいって、これは本当に解消していかなければいけない問題だと思っています。そのためには、現在の取り組みが甘過ぎるということは私の方からも、次の収納率の目標値がまだ低過ぎるということで、今回もその目標値をさらに上げて、しっかり取り組むようにというふうに指示をしているところです。

 実際の取り組みに当たりましては、免除対象になっている低所得者でも免除制度を知らない、そこに勧奨を徹底するということ、また、戸別訪問を重視いたしまして、納付の勧奨をもっと徹底するということ、また、能力がありながら納付しない高所得者への強制徴収、これもしっかりと進めることなど、もっときめ細かく、もっと積極的にやらねばいけないということは私の方からも強く言っていますので、そこはしっかりと取り組ませていただきたいと思っています。

石井(登)委員 ぜひよろしくお願いします。結果が全ての政治の世界でありますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 そして同時に、今回の改正に伴うパート労働者の加入、そして加入期間の義務を十年に短縮する件について、これが国民年金の収納率にどういう影響を与えるかということについてお聞きをしたいと思います。

 今回、二十五年で納めなきゃいかぬというのを十年に短縮する。もちろん納めるのは納めなきゃいけないわけでありますが、しかし、そうした中で、二十年間今日まで払ってきた人が、ほんならもうええかというふうに言ってしまうんじゃないか。いやいや、そうじゃなくて、七年しか払っていない人が、あと三年なら頑張れると言うかもしれない。さあ、これは果たしてどちらだろうか。

 そして、パートの方でありますけれども、こちらの方は、四十五万人が厚生年金に加入をするということであります。

 この二つの点について、国民年金の収納率に与える影響、どうなるとお考えか、どうされたいか、お聞きしたいと思います。

小宮山国務大臣 今回の、今の二点による国民年金の収納率についてですが、まずは、パートへの適用拡大によって、これは現在の第一号被保険者が適用拡大の対象となります。これによりまして、これまで定額の保険料を納めていた人が、報酬に応じて労使折半で保険料を納めることになり、保険料負担が軽減をされる、また、これまでみずから保険料を納めていた人が、事業主が報酬から天引きして保険料を納めることになり、納付手続の負担が軽減され、適用拡大は国民年金の保険料の納付率向上につながる、そういうふうに思っています。

 それから、期間の短縮の方ですけれども、十年間保険料を支払った後、保険料を払わなくなるのではないかという御懸念がありますが、年金制度は四十年間払い続けることが原則で、これが法律上の義務でもあるということ、また、十年分の保険料の納付だと、もらう年金も低額であること、それから、遺族年金とか障害年金はきちんと毎月納めていないと受け取れないということなど、その仕組みを丁寧にわかりやすく御説明をして、しっかり納付をしていただきたいというふうに思っています。

石井(登)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 こうした国民年金の収納率の課題というのは、我々、今、党で検討しておりますが、しっかりと歳入庁ができれば、もしくはその前段でマイナンバーがしっかりとした形で導入をされれば、そうした形でも大いに収納率の向上に当たっていくと思います。私も、そうした点で、党の方からしっかりとサポートしていきたいと思います。

 次に、年金の運用体制について、岡田副総理にお伺いしたいと思います。

 今回、厚生年金、国民年金、そして共済が一緒になるわけであります。この運用について、それぞれ、それぞれの所管大臣が話を合わせて同じ方針で運用しますよというような法律であろうと思いますけれども、ただ、私は、将来的に、運用をそれぞれ別でやるのでなくて、一まとめにしてしまったらいいんじゃないか。行革の観点からも、それはちょっと乱暴かもしれませんけれども、百二十兆円運用するのも百六十兆円運用するのも、ある意味一緒なんじゃないかなと。

 そうした意味で、行革の観点を申し上げましたが、私は、将来的には運用の全面統合というのを目指すべきだと思いますが、副総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

岡田国務大臣 まず、今回、被用者年金の一元化、つまり、国民年金ではなくて、厚生年金と共済年金を一つにするということであります。

 今回の法案の中では、共済組合、私学事業団を厚生年金保険法上の実施機関として位置づけ、引き続き、事務組織として活用することとしております。積立金の管理運用につきましても、保険料の徴収から年金給付に至る年金事務の一部であることから、各実施機関を管理運用主体として活用するということにしております。

 具体的には、年金積立金管理運用独立行政法人で運用に携わる職員が五十九名、国共済は十二名、地共済は四十二名、私学共済は七名ということでございます。

 法案はこういう形になっておりますが、委員の御指摘は、この法案は法案として、将来の課題としてそういったものを一元化できないかという御指摘だと思います。私は、貴重な御指摘ですから、ぜひこの法案をこの国会で成立させていただきたいというふうに考えておりますが、そういう、別々に運用するという前提でつくられた法案でございます。その上で、今後の課題として検討する、検討には値する問題だと思っております。

石井(登)委員 ぜひ前向きによろしくお願いしたいと思います。

 次に、住宅に係る消費税について、安住財務大臣にお伺いをしたいと思います。

 この法案第七条で、消費税の引き上げに際してもろもろ検討するというふうに書いてあるわけであります。この点に関しては、もう他党の委員の皆様方から、これに対する配慮をしかとせいと。そこで、財務大臣御自身は、これはもちろん家賃にもかからぬ、そして土地にもかからぬと。それは事実であります。ただ、一方で、土地は一千万円、上物二千万円だとしたら、それだけで五%上がれば百万円税金がかかるわけであります。

 そこで、資料の四番を見ていただきたいんですけれども、これはちょっと印刷の状態もいま一つよろしくない部分もあって恐縮ですが、住宅を誰が取得しているのかということであります。このデータによりますと、大体、四十四歳までで七〇%。つまり、私の同じ世代で、去年家を買ったとか、今家を買おうかと思っているというようなことでやるわけですね。

 そこで、今回の消費増税と住宅という観点に関して考えますと、では、この上物二千万円で五%分、百万円、上がったこの消費税というのは、若い世代を中心に課税をしてしまうことになるんじゃないか。世代間の公平を訴えながら、結果として、この住宅という観点からすると、とても大きな買い物だけれども、それは若い世代に過重な負担をしてしまっているんじゃないかというふうに、私は私の世代として思うわけであります。

 そこで、例えば、一方で、では住宅ローン減税を拡充するというふうにおっしゃるんですけれども、住宅ローン減税というのは、それなりの収入、例えば年収六百万、八百万なければこれまた届かないわけです。最近は、例えば阪神西宮駅前、七十平米のマンション、そこを二千六百八十万円とかいうようなところで買うわけですね。そこは毎月々五万、六万というような形で買える。そうした中で、住宅ローン減税、それで所得税等々が減免をされても、十分きかない世代というのもあるわけです。また、十分きかない層というのもあるわけです。

 そうした中で、今簡素な給付措置というのが別の文脈で検討されておりますけれども、住宅に関しても簡素な給付措置を考えたらどうだろうか。例えば、百万円とは言いません、五十万円、百万戸と言いませんが五十万戸、二千五百億円。大変簡素ですが、簡素という割にはむちゃくちゃ大きいんですけれども、この点に関して、財務大臣いかがでしょうか。

安住国務大臣 お気持ちは十分わかります。人生にとって、普通のサラリーマンの方にとっては、住宅を買うというのは本当に一生一代の大きな買い物でありますから。

 私どもとしても、そういう意味では、今石井さんおっしゃるように、土地にはかからないけれども箱物にはかかります、その箱に関してどうするか。これについては、今住宅ローンの控除等いろいろなことはやってはおりますけれども、それだけでは十分でないという声も党の中からありますので、分科会を設けていただきまして、石井さんにも入っていただいていますけれども、そこでの結論等を待って、現実可能で、特に大事なのは、やはり、住宅着工件数の変動というのは、比較的消費税の場合は大きく出ると言われているんですね。それを平準化していくためにも、重荷を感じないと言ったら変ですけれども、比較的、そういう点での軽減対策というものは考えていかないといけないだろうというふうに思っております。

石井(登)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、これは重要な問題ですから、世代間の公平という観点での住宅に係る消費税についての御検討を進めていただければと思います。

 最後に、安住大臣、被災地選出ということで、大変御苦労もそういう意味でされておられると思います。かく言う私も、十七年前の阪神大震災で大変大きな被害を受けた西宮、芦屋という地域であります。あのとき消費税は三%でありました。しかし、阪神大震災が起きてから二年と三カ月後に五%に上がりました。あのときも、消費税を被災地だけはゼロにする、もしくは三%に据え置きにしてくれというような声がありました。ただ、残念ながら、テクニカルな問題等、その声が十分に届かなかったのかどうかわかりませんが、そのとき一緒に上がったというわけであります。

 そこで、そういう意味で、だからどうということではなくて、何事も被災地の施策というのは、阪神のときどうだった、そして今回どうだ、それぞれ違いもあろうと思います。考え方の違いもあります。しかし、阪神のときにどうあったか、そして、もしさらに何かをするというのであれば、阪神に対してしっかりと説明のつくような形での施策をお願いしたいと思います。

 そして、住宅絡みでもう一つ気になりました点、財務大臣にお伺いして、最後にしたいと思います。

 この前、きづなの斎藤さんの質疑のときに大臣がお答えになったのが、被災地の方々は公営住宅とか賃貸の住宅にこれから入ることになるだろう、そういうこともあるので、この住宅の再建ということに、もちろん何もしないわけじゃないけれども、三百万円という新たなものもあるけれども、しかし賃貸は消費税もかからないし、問題は余りないというふうに私は聞こえました。

 ただ、今建っているものであればいいですけれども、今から新たに建てるものに関しては、資材であり、もしくは労働コストであり、そうしたものに関しては消費税はかかるわけであります。そういうものが回り回って家賃に、毎月毎月、家賃に消費税はかからないけれども、その乗っかった部分がプラスアルファになるわけでありますから、この点に関して、賃貸であれば問題ないというような一言で片づけていただきたくないなと私は思うんですけれども、その点に関して、しっかり認識をしていただいているという一言をいただければありがたいと思います。

安住国務大臣 被災地の、今の点でも、今現時点でも特例措置というのは随分やっています。細かいことは言いませんけれども。

 例えば、家が全壊をした方々が新しく建てるときも、これは支給金として四百万近く出ますよね。ですから、そういう点からいうと、税制上の優遇措置もさることながら、例えば、完全にゼロの時点から何かスタートをして非常に重荷になっているという状況ではなくて、今、現時点でもかなりできることはやっているつもりでございます。

 ですから、家賃、賃料が決まった段階でも、その負担にできるだけたえられるような言ってみれば家賃体系、それから、今お持ちであるお金で十分賄えるような体制というのは、自治体も含めて十分とっていきたいと思っております。

石井(登)委員 ありがとうございます。

 十七年前、阪神大震災、大変なところでした。今、それぞれ個人は、二重ローンを抱えられて大変な思いをされている方は正直多いんですが、ただ、一方で、十七年たつと、町は復興し、そしてすばらしい町並みが戻ってきています。ぜひ、そういうメッセージも私の方からお伝えさせていただいて、被災地は大変であろうと思いますが、私も含めてともに一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

 以上申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。ありがとうございました。

中野委員長 これにて石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、永江孝子さん。

永江委員 おはようございます。民主党の永江孝子でございます。

 きょうは、質問の時間をいただいて、どうもありがとうございます。働く女性の立場から質問をさせていただきたいと思っています。

 といいますのも、二〇一二年版の子ども・子育て白書によりますと、十八歳以下の子供がいて、夫婦で子育てをしている二十から四十九歳までの女性を対象にしたアンケートで、何らかの形で働きたいと考えている人が全体の実に八六%に上っています。九割近くです。ほとんどの女性が働きたいと。うち、今後はパートで働きたいと答えている人が全体の四五・三%、半数近くがパートで働きたいという希望を持っています。ですから、実際、パートなど短時間労働者の数というのは年々ふえておりまして、二〇一〇年で千百九十二万人、非正規雇用で働く人のおよそ七割を占めるようになってきています。

 かつては、パートといいますと、主婦が家計の足しに働くというイメージが強かったと思うんですけれども、今は、シングルマザーを初め、世帯主である人もふえています。加えて、リストラや就職難で、男性それから若者のパート労働者というのもふえています。仕事内容も、店長さんがパートであるというケースもよくある話で、非正規といいながら、正規労働者と大差ない基幹的なものに変わってきています。ですから、その処遇の改善というのは重要な問題となっています。

 民主党政権、政権交代しましてから雇用保険の適用拡大を実現いたしまして、今回は、短時間労働者の厚生年金、健康保険の適用拡大で、一段とセーフティーネットの強化というのを目指しているところなんですが、将来の無年金者を生まないためにも、ここでまた一歩進めていただきたいとは思っているんですが、一方、適用拡大によって、やはり事業主、企業の保険料負担というのは増大することになります。今、地方経済は大変厳しい状態が続いております。ですので、中小企業の皆さんからも大変不安の声も聞かせていただいております。

 この中小企業への負担、影響というのをどのようにお考えでしょうか。負担軽減策というのは講じるんでしょうか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、働きたい女性がきちんとした処遇を受けて働くということは、年金の上からも、さまざまな面から、これからの日本にとってぜひ必要なことだと考えています。

 そういう意味で、短時間労働者への適用拡大、これは、非正規で働く人へのセーフティーネットはなるべく広げたい、ただ、言われたように、中小企業などの経営の負担になるところも考慮をして、現実的な線から、四十五万人からスタートをするという形にしました。

 その中でも、中小企業への配慮として、一つは、従業員数が五百一人以上の企業から適用を拡大する、それから、施行を二十八年四月として、十分な準備期間を設けるという形にしました。

 また、医療保険制度では、今回の適用拡大によって主に短時間労働者が多い業種の健康保険組合に生じる負担増を緩和するための措置、これを講じているところです。

永江委員 わかりました。

 本当に、地域で、中小のところで頑張っていらっしゃる皆さんは、ぎりぎりの経営努力も重ねていらっしゃいます。たちまち五百人以上の従業員のところという話でしたけれども、そのうち自分のところにも来るのではないかという心配の声もよく聞きますので、重々お考えをいただきたいなというふうに思っています。

 続いて、子ども・子育て新システムについて、これまでのこの委員会での議論を聞いておりまして、幾つか確認をさせていただきたいというふうに思っています。

 まず、児童福祉法の二十四条が改正されまして、市町村の責任が薄くなるのではないかという指摘があります。

 先日、保育所で事故が起こったときの市町村の賠償責任について質問がありました。その答えで、内閣法制局長官が、その施設を市町村が直接運営している場合、これは国家賠償責任、そうでない場合は基本的には民法の七百九条による責任追及ということになるという答えがありました。

 それはそうなんですけれども、そのお答えの中には、法改正してどう変わるのかということが触れられておりませんで、何か改正されたら大変なことになるんじゃないかというような不安をお持ちの方も多いと思いますし、誤解も招きかねないと思いますので、もう一度、内閣法制局長官にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 保育所が市町村の直接運営の場合とそうでない場合、それぞれ、法改正によってどう賠償責任が変わるのか、お答えください。

山本政府特別補佐人 お答えいたします。

 保育所において何か事故があった場合のその損害賠償責任でございますけれども、これは、もちろん個別具体的な事実関係を踏まえまして裁判所において最終的には判断される事柄ではございますけれども、現在の制度のもとにおきましては、市町村が直接運営している場合には、市町村が国家賠償責任または民法上の賠償責任を負い、そうでない民間立の保育所の場合におきましては、基本的にはその保育所が民法上の賠償責任を負うのが通例であると考えておりまして、この点につきましては、制度の改正後においても基本的には変わらないというふうに考えております。

永江委員 安心をいたしました。法改正後も変わらないということですね。

 では、今回、指定制を導入いたしまして、企業の参入を認めるということで、保育の産業化だ、保育の質が下がるのではないかという心配のお声もあります。

 確認をさせていただきたいんですが、そもそも、現行法では保育園への企業の参入というのは認められていないんでしょうか。

小宮山国務大臣 保育所への企業の参入は平成十二年から可能になっていまして、現在、二百八十八カ所ございます。

永江委員 それでは、現行法での企業が認可されるための要件を教えていただきたいのと、新システムで総合こども園へ参入する企業に求められる要件とどう違うのか、その相違点を教えてください。

小宮山国務大臣 現在の制度での保育所の認可を行うに当たりましては、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準、これに示されました面積に関する基準、人員配置の基準を満たすということがまずございます。それに加えて、保育所を運営するために必要な経済的基礎があること、経営者または経営にかかわる役員が社会的信望を持っていること、経営者に保育サービスの利用者と実務を担当する幹部職員を含むことなどについても適正な審査を行うということを厚生労働省の通知で求めています。

 これは、子ども・子育て新システムで株式会社が指定こども園に参入する際は、質の確保のための客観的基準を満たすことが必要です。指定は五年ごとの更新制で、定期的にチェックをするということ、また、法律上、欠格事由を定めるとともに、連座制も含めて、基準に違反した場合には厳格なペナルティーを科す。これは、現在の認可制度のもとではこのような仕組みはないところです。

 そこまで厳格にして、法律上きちんとした仕組みを設けていますので、質の確保されました学校教育、保育が確実に提供されるようにしていきたいと思っています。

永江委員 わかりました。

 改正によって大きく緩和されて、そして質の、レベルの低いところががあっと参入してくるわけではないということですね。

 続いて、指定制の問題なんですが、この特別委員会でも横浜市の先進的な取り組みの話がよく出てまいります。横浜保育室という名前で、平成九年から、認可ではないんだけれども、保育環境や保育時間、保育料など、横浜市独自の基準を設けまして、そこをクリアしたところを横浜市が横浜保育室と認定をして助成するというシステムです。現在、百五十二園中、株式会社と有限会社の経営のところが半分近くの六十九園となっています。

 資料の方のグラフをごらんいただけたらと思うんですが、この資料のグラフ、待機児童の減少に、この横浜保育室、効果があるということをおわかりいただけるかと思います。この横浜保育室に倣って、東京都の認証制というのも生まれたと聞いています。

 今回の指定制というのも、私はこの横浜保育室の類型に当たるのではないかというふうに理解しています。これまで自治体ごとの取り組みで助成の線引きをしていたものを、国として縛りをかけて財源をつけようと。実際の線引きの権限というのは自治体にありますので、地域の実情に応じて、住民の皆さんの意見も聞きながら、条例で自治体がその範囲を決める。そして、保育の質を担保するために、その基準をクリアして努力するところにはしっかり公金を投入して支えて、その質の向上を目指していこうという、保育の質の底上げを図る一歩前進というふうに受けとめています。

 ちょっと私の経験をお話しさせていただきたいと思うんですが、かつて一・五七ショックというのがありました。合計特殊出生率が一・五七まで下がってきて、このままだと日本の少子化は大変なことになるんじゃないかという衝撃が走ったのが一九八九年のことでありました。

 当時、私は、二人目の子供を産みまして、職場に復帰したところだったんですが、当時まだ育児休業制度というのがありませんので、産休が明けてすぐに復帰。ゼロ歳児を預けるところを探したんですけれども、これが本当に少なくて、あきがなくて、民間の無認可のところですが、託児所に預けて復帰をいたしました。

 年子で上に一歳の子供もおりまして、この上の子供も最初は無認可の託児所からスタートして、一歳になってやっと私立の認可保育園に入ったところだったんですが、復帰した仕事が夜の七時まででありまして、延長保育を一歳では受け入れてもらえませんでした。ですので、一旦、認可の私立の保育園のところに迎えに行って、それから民間の託児所に預けかえるという二重保育をしながらしのいできたこともあるんです。

 そういう経験から思うに、子供にとって本当にいい環境を望まない親はいません。だけれども、仕事はしなければなりません。ですので、いいところにあきがないとなりますと、多少のことは目をつぶって、保育条件が低いとわかっていても預けざるを得ないんですね。

 そのときに、今は認可か認可外しかありません。それだけしか情報がありません。今回、指定制度が入りますと、ここは認可じゃないんだけれども、一定の基準はクリアしているところですよ、ちゃんと助成も入っていますよということがわかるんですよね。これは、より安心できる、認可、認可外しかないというよりは安心できると私は思うんです。枠を広げて、保育の質を上げる努力をするところはきちんと公金も投入しますよ、その質を担保できるように支えるんですよというのは、実に前向きな話だというふうに受けとめています。

 小宮山大臣も、私と同じ、大変時間の不規則な放送業界で働いてこられました。少し先輩でいらっしゃいますので、パイオニアとして大変御苦労されたかと思っています。大臣初め、いろいろこれまで苦労された先輩方あるいは現場の皆さんの思いや知恵が集まって、そして認定こども園の発展形として今回のシステムが生まれたと私は信じております。ですから、改善すべき点があればこれから審議の中で改善しつつ、全ての子供が質のいい保育と、それから、人づくりの国日本であるためには重要な幼児教育を受けられるというところを目指して頑張っていただきたい、頑張らせていただきたいというふうにも思っています。

 そして、もう一つ確認をさせていただきたいのが、地域子ども・子育て支援事業についてなんですが、地域で行う小規模保育、延長保育、病児・病後児保育あるいは保育ママというのが充実するのは非常に大きい効果があるというふうに思っています。

 実際、子育てしながら働いていて頭を抱えるのは二つです。時間外勤務のときと、それから子供が病気になったときです。地域子ども・子育て支援事業というのは、これに延長保育ですとか病児保育が入っていますので、しっかり応えてくれる仕組みで、しかも保育ママというのは家庭に一番近い形ですから、子供にとっては一番いい形で、三歳未満児の保育にとっては大きな力になると思いますが、先日来の議論の中で、この地域型保育園の指定には参酌すべき基準しかない、こども園には従うべき基準と参酌すべき基準があると受けとめられるような指摘がありまして、これはちょっと不安に感じるところでもあります。

 この地域型保育園とこども園と、その基準には具体的にどんな違いがあるのか、教えてください。

中野委員長 永江さん、法制局長官はもう帰っていただいていいですか。(永江委員「はい、結構です」と呼ぶ)

 それでは、長官、御苦労さまでした。

小宮山国務大臣 委員から、御自身の経験も含めて、いろいろ今回の仕組みのメリットをお話しいただいて、ありがとうございました。

 御質問の件ですけれども、こども園も地域型保育事業も、その指定基準は国が示した基準をもとに市町村が条例で定めます。このときに、職員の資格とか人数、処遇の確保、秘密の保持、健全な発達に密接に関連するもの、これについては、こども園でも地域型の保育でも国が示すものが従うべき基準となりますので、ここは同じです。

 一方、地域型保育事業は、大都市部で待機児さんが多いところ、また、子供の数が減少していてなかなか今の規模では成り立たないようなところも含めて、これは地域のニーズに柔軟に対応して、待機児さんが多いところなども含めて、公的スペースの活用、共用などを行ったり、機動的に整備をしていただく、こういうことが重要だということから、面積基準についてだけは、こども園では従うべき基準とされているものを、地域型保育では参酌すべき基準というふうにしています。

 市町村が条例を制定するに当たりましては、市議会を通じまして、地域住民に対してどのような面積を基準とするのかの説明責任を果たしていただきながら、質が確保された客観的な基準を定めてもらうことになっているということでございます。

永江委員 わかりました。はい。安心いたしました。

 といいますのが、実は私が最初に預けていた民間の託児所というところはマンションの一室であったんですね。でも、園庭はないものの、ベランダを使ってちゃんと行水をさせてくれたり、非常に細やかな保育をしてくれました。ですが、なかなか財政面がうまくいかなくて、その後、閉じてしまったんですけれども、そういったところも、今回きちんと公金も入る、支えていこうということになるということですから、これは非常に心強い話だとも思っています。

 連日、保育の質、幼児教育の質を上げていくためには保育士あるいは幼稚園教諭など現場で働く人の待遇を上げることが大事だ、これが求められています。私も全く同感であります。多分、異論を挟む人はいないと思っています。国の未来をつくっていく大事な仕事でありますし、体力的にもきつい仕事であるにもかかわらず、その待遇がアップしない。今や非正規雇用がその六〇%にまで増加しております。

 こういうことになったというのも、平成十六年から公立保育所、保育園の予算というのが一般財源化をされまして、公金ですとか公的補助の行方というのが不透明になったこともあろうかというふうに思っています。厳しい地方財政の中では、それ以降、保育士が、正規から非正規への切りかえが進みまして、人件費が削減されてきたのであろうというふうに思います。

 今回の新システムは、保育の質を上げると明示をいたしまして、そのための財源、これがしっかり保障されています。しっかり前に進めていただきたいと思いますし、改善すべき点は改善すべき。

 そして、子供に将来なりたい夢というのをアンケートをとりますと、大体必ず保育士あるいは幼稚園の先生というのが上位に来ます。そういった夢をしぼませないように、若い人が社会の役に立っているんだとやりがいを感じながら、心身をすり減らすことなく頑張ってもらえるように、その待遇の改善というのを緊急に上げていく対策が必要だというふうに思います。

 このシステムですと、財源が確保されてお金が回り出すのが平成二十六年からということですから、民主党政権、政権交代しましてから介護の処遇を緊急的に引き上げをいたしました。二万四千円、大幅なアップをいたしました。

 このように、保育の現場の待遇改善ということも先出しで何かの対策、これは若者の雇用対策にもつながろうかと思います、やっていただけないかと思うんですが、お考えはいかがでしょうか。

小宮山国務大臣 今おっしゃったように、保育などの福祉の職場というのは、これから雇用が創造できる、たくさんの働き手をそこで雇うことができる職場でもありますので、そういう意味からも、しっかりとした処遇の改善ということが必要だと思います。

 そして、消費税を上げさせていただいた後、そこは本格的に安定的な財源が確保されますが、それ以前でも、人材を確保するために保育士さんをふやす必要がございますので、一つは、保育士資格を持ちながら働いていない方がたくさんいらっしゃる、そういう潜在保育士の皆さんの再就職を支援するということ、また、認可外保育所での勤務経験を受験資格としまして、受験機会を増加させる、こうした取り組みは、これからすぐに、今もやっておりますけれども、さらに進めていきたい。

 また、人材の確保とともに、職員の職場への定着を図るために、配置基準の改善とかキャリアアップ、処遇の改善、これを含めました質の改善についても、恒久的な財源が確保されるまでも、その財源をなるべく確保して、優先順位をつけながら、可能な限り取り組んでいきたいというふうに考えています。

永江委員 ぜひよろしくお願いをしたいというふうに思っています。

 このシステム、目指すところというのは本当に多くの皆さんが共感してくださるところです。日本がこれから一層の成長を遂げていくために、やはりしっかりとした人材を育てること、人づくりの国として世界に貢献していくところを目指していくべきで、そういう意味では、教育は大事でありますので、その大もとのところの幼児教育をしっかりとやる、そして保育とあわせて全ての子供たちにそういう場を提供していくシステムをつくっていくということについて、最後に、大臣の思い、決意などを聞かせていただければと思います。

小宮山国務大臣 これは今、親の働き方によって、幼稚園で学校教育を受けるか、保育所で養護と保育所の教育を受けるかということが決まりますけれども、働き方もフレキシブルになっている中で、職場がかわるたびに子供が動かなきゃいけないとか、あるいは、親が働いていたら、では学校教育は幼児教育として受けられないのかと、いろいろな声がある中で、就学前の全ての子供たちに、親の働き方にかかわらず、必要な子供には全て学校教育と保育が受けられるようにしたい。

 そのためには、やはり認定こども園の先駆的な実例を踏まえて、その認定こども園が課題だとしていた二重行政の解消、それから財政的支援を一括的にしっかりとすることなども含めて発展をさせていきたいと思っていますので、ぜひまた皆様の御理解をいただきたいというふうに思っています。

永江委員 どうぞよろしくお願いをいたします。

 どうもありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

中野委員長 これにて永江さんの質疑は終了しました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 きょうも御質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 本委員会の質疑も十日目となりました。本日のテーマは、年金改革ということでございます。国民の皆様に本当にきっちりとアピールしていくことが一番大切だというふうに思いますので、きょうもたくさんの質問を用意してまいりましたので、どうかよろしくお願いいたします。

 このまま少子高齢化が進んでいけば年金財政が破綻するという危機感は、国民の皆様と共有できているというふうに私は思っております。今回の社会保障と税の一体改革によって年金財政がいかに持続可能なものになっていくのか、国民の皆様にわかりやすく提示することが重要であると考えております。そういった観点できょうは質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 最初に、低年金と無年金対策についてお伺いいたします。

 今回の年金改革法案は、現行の年金制度のさまざまな課題に対応し、高齢者と若者双方にとってメリットのある改革内容になっていることは以前の質疑でお伺いしたところでありますが、本日は、より具体的な内容について質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の法案には、現行の年金制度に関する大きな課題である無年金、それと低年金対策が含まれております。無年金対策として受給資格期間の短縮、そして低年金対策としては低所得者に対しての加算を行うということがあります。これからの高齢化社会を展望すれば、できるだけ年金によって生活できるようにしていくことは、高齢者の生活の安定及び地域経済の活性化の観点からも非常に重要なことだというふうに思います。

 現在、無年金者は最大で百十八万人いると見込まれております。既に六十五歳を超えている無年金者は四十二万人とも言われております。こうした人たちが、生活保護に陥るのではなく、年金によって生活できるようにすることは、社会全体のコストを下げるという観点からも重要であります。

 また、二十五年という受給資格期間は、諸外国と比べて非常に長いものとなっておりました。今回の法案で受給資格期間を短縮することによって、どれぐらいの人たちが無年金でなくなるというふうに見込んでおられるのか。

 また、その一方、受給資格期間を短縮するとしても、十年間納めればもう納めなくてもいいというような間違った解釈が広がっていくということは非常に問題であります。

 こういう受給資格期間短縮の趣旨について、改めてお伺いをいたします。

小宮山国務大臣 受給資格期間の短縮は、委員御指摘のように、無年金者をなくすということと、それから保険料をできるだけ給付に結びつける、そういうことからつくるものです。

 この受給資格期間の短縮によりまして、六十五歳以上の無年金者およそ四十二万人のうち、およそ十七万人が年金を受給できることになります。

 御指摘の、十年納めればいいのではないかと思われるという御懸念に対しましては、これは四十年間保険料を納付するということが法律上の義務だということ、また、十年分の保険料納付だと低い年金額しかもらえないということ、また、障害年金とか遺族年金は毎月きちんと保険料を納めていただかないと受け取れないということなどを、わかりやすく丁寧に皆様に御説明をしていきたいというふうに思っています。

中島(正)委員 この、十年間納めればという問題については、連日各委員の皆様が懸念を抱いて質問をされております。ということは、本当にこの問題について、きっちりと、四十年間納めなければならないんですよということを前面に出していっていただきたいというふうに思います。

 それでは、次に、低年金対策についてお聞きをいたします。

 現在、高齢者の七割が年金収入のみで生活しているという実態があります。実際の年金の平均受給金額は五万五千円となっております。特に、基礎年金しか持たない人たちの平均受給金額は四万九千円となっております。これは基礎年金満額より低くなっており、高齢者の衣食住を支えるには少し足りない水準であります。

 一方、低年金者への加算については、社会保険の仕組みの中で許されるのかという議論が行われてきておりますが、私も、その議論が起こって当然だというふうに思っております。真面目に年金保険料を満額払ってきた人から不満の声が上がっておりますので、今回の加算について、その趣旨を大臣に御説明いただきたいと思います。

小宮山国務大臣 現状として低年金の方がいらっしゃるということが大きな課題だということは、皆さん共通の認識を持っていただけると思います。

 低年金対策として一定の効果を出すことが必要である一方、納付意欲をできるだけ損なわない仕組みにする必要がある。そうした中から、社会保障審議会の年金部会等で検討を進めて、加算の対象者を限定した上で、税財源によって福祉的な加算を行うことにいたしました。

 その際、対象者に対して一律月額六千円、それに加えて、納付意欲を損なわないという意味で、免除を受けた期間に応じた割り増しの加算、これを行うことで、真面目に納付をしている方の納付意欲にできるだけ悪い影響を与えることがないような仕組みにしたところです。

中島(正)委員 今、納付意欲という言葉が大臣から出てまいりましたけれども、昨日も、公明党の遠山議員、そして社民党の阿部議員、きょうも、石井議員からもこの問題については質問が出てきております。本当に、ちゃんと真面目に年金保険料を支払っている人、また支払っていない人、こうした低所得者に年金制度の中で加算を行うときには、納付意欲に配慮するということが大事だというふうに思います。

 今回の案の中で、苦しい生活の中でも一生懸命真面目に納付している方への納付意欲に対してどのような配慮を行っておられるのか、お聞きをいたします。

小宮山国務大臣 そのためには、なぜ今回年金制度の中でこうしたことを行うかという趣旨を御理解いただくことがまず必要だと思っています。

 これは、平成二十年に社会保障国民会議で基礎年金の最低保障機能の強化が提案をされまして、昨年の社会保障・税一体改革の議論でも、各団体とか報道各社からさまざまな御提案をいただきました。これを受けまして、年金制度の最低機能の強化を図る、一定の低所得の人に年金額の加算を行うことにいたしました。

 高齢者の生活の中心は年金の制度ですので、そこで保険料の納付意欲を損なわないように、先ほど申し上げたように、免除を受けた期間に応じた割り増しを加算する、これによって、最大、六千円と合わせて一万六千円になるような形をとっていますので、こういうことで、全体の趣旨と納付意欲を損なわない仕組みにしてあることも含めて、丁寧に説明をしていく必要があるというふうに考えています。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、続いて、厚生年金の短時間労働者への適用拡大についてお聞きをしたいというふうに思います。

 最低保障機能の強化とあわせた今回の年金改革の柱として、働き方に中立的な年金制度としていく方向性があるようですが、現在、非正規雇用の若者がふえており、短時間労働の若者が厚生年金には入れない、それによって国民年金に入らざるを得ないというような状況が生まれております。国民年金に入らざるを得ない若者がふえた場合、国民年金保険料の未納がふえるという可能性があります。また、将来の年金給付が十分でないという不安もあります。

 厚生年金への短時間労働者への適用拡大は、長年の課題であり、自公政権下でも一度提案されていましたが、実現しなかったといういきさつもあったと思います。今回の法案では、平成十九年の自公提出法案の内容とどこが異なっているのか、また、どのような内容で適用拡大を行うつもりなのかについてお伺いをいたします。

小宮山国務大臣 今委員が御指摘いただいたように、国民年金のうちの四割が今非正規になっています。

 そうした中で、今回の法案では、短時間労働者への適用拡大、これは、週の労働時間が二十時間以上、雇用期間一年以上、月額賃金が七・八万円以上、学生は除外をいたしまして、従業員数が五百一人以上の企業、こういう基準で適用拡大を現実的なところからスタートをするということで、対象数が四十五万人です。

 一方、平成十九年の法案では、この基準のうち、月額賃金が九・八万円以上、従業員数が三百一人以上の企業ということで、対象者数が十万人から二十万人というふうになっています。ここの部分が違います。

 非正規労働者へのセーフティーネットの拡充、こういう観点からは、なるべく適用範囲を広くしたい、先ほどもお話ししたように、中小企業などへの配慮からすると、そこは一定の程度にとどめなければいけないという中から、今回、四十五万人で現実的にスタートをすることにいたしました。

 また、この法案の中では、平成三十一年三月三十一日までという具体的な期限を置いて、適用範囲をさらに拡大するための法制上の措置を講ずるということも書き込んでございますので、その時点での法案の施行状況、短時間労働者の雇用環境、企業が置かれた状況、こうしたことを勘案して考えていきたいと思っています。

中島(正)委員 それでは、厚生年金に入ることによって、若者は、保険料が減る、そして将来の年金がふえるなどのメリットがあると思いますが、この点について、全国の若者に向けて、大臣、御説明をお願いいたします。

小宮山国務大臣 この短時間労働者への社会保険の適用拡大によりまして、被用者であっても国民年金、国民健康保険に加入になっていた短時間労働者にとりまして、現在の保険料が軽減をされるということが一つあります。

 また、シングルマザーやフリーターといったような、国民年金の第一号被保険者の将来の年金保障が手厚くなるということがあります。

 また、現在第三号被保険者である人にとっても、将来受け取れる年金額がふえる、配偶者の失業ですとか離婚、死別といったようなリスクに対する備えとなる、こうしたメリットがございます。

 また、同じ職場で働く人たちに公平なセーフティーネットを整備して、多様な働き方を支える社会保障制度とする、女性を中心とした短時間労働者、この就労意欲を促進するということで、企業にとっても働き続けてもらえるというメリットがあるというふうに考えています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、産休期間中の保険料免除についてお伺いをしたいと思います。

 今回の年金法案は、高齢者向けの施策だけではなく、若者に対する措置も盛り込まれていることを国民の皆様にどんどんアピールするべきだというふうに私は思います。特に、年金制度の中において次世代育成のための施策を行うことは、将来にわたって年金制度の持続可能性を高めるためにも非常に有効な施策であると考えております。

 これまで、育児休業期間中には保険料が免除されていましたが、産休期間中には保険料は免除されていませんでした。産休期間中にも保険料免除の措置を行うということによって、子育てを行いやすい職場づくりにも資すると思いますが、本人及び事業主に対して保険料免除はどのようなメリットがあるのか、今回の措置の趣旨とメリットについて具体的にお願いをいたします。

小宮山国務大臣 今回の法案では、委員も御指摘いただいたように、次世代育成支援の観点から行われています育児休業期間中の保険料免除をさらに進めまして、厚生年金で産休期間中の保険料免除を行って、女性が就業継続をしやすいようにする、そしてまた負担の軽減を図ることにしています。

 この産休期間中の保険料は、本人と事業主、両方にメリットがあるというふうに思っています。

 女性労働者が就業継続をしやすくなる、そのことによって、事業主が今まで投資した採用コストですとか教育訓練費が無駄にならなくて働き続けてもらえる、そのようなメリットが事業主にもあると考えています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 本当にこのシステムは評価の高いことだというふうに思いますので、これは頑張って実現させていただきたいというふうに思います。

 続きまして、基礎年金の国庫負担二分の一の恒久化についてお聞きをしたいと思います。

 若者の目から見て、年金財政が安定することは、将来にわたって持続可能な年金制度とする上で非常に重要なことであります。これまで、税制の抜本改革がなされていなかったために、基礎年金の国庫負担割合の引き上げは臨時財源によって賄われるなど、非常に不安定な状態となっておりました。

 基礎年金国庫負担二分の一を恒久化することによって、年金財政の安定化と若者の負担軽減が図られることとなると思いますが、基礎年金国庫負担割合の恒久化の意義と大臣の決意をお願いいたします。

小宮山国務大臣 年金制度の長期的な負担と給付の均衡を図って持続可能な制度をつくるためには、平成十六年の年金制度改正で、安定財源を確保する税制の抜本改革を行った上で基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることとされています。

 でも、実際には、その安定財源が確保をされないまま、平成二十一年度以降、臨時財源でこの二分の一を達成してきたわけですけれども、その金額が毎年度二・五兆円を超える巨額の臨時財源を必要とするということです。もうここはぎりぎりのところだというふうに考えています。

 消費税の引き上げによって安定財源を確保して、基礎年金の国庫負担二分の一、これを恒久化するということは、これは自公政権のときから引き継ぎました年金法本来の考え方にかなうもので、持続可能にしていくためには必ず必要なものでございますので、これは皆様の御賛同を得て、必ずこういう形がとれるようにしていきたいというふうに思っています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、被用者年金一元化法案についてお伺いをしたいと思います。

 被用者年金、つまり、雇用されている人たちの年金は、民間サラリーマンが加入する厚生年金と公務員や私立学校の教職員が加入する共済年金に分かれているのが現状であります。

 厚生年金と共済年金には、保険料率や給付内容に差があります。現在、保険料率は、厚生年金では一六・四一二%であるのに対して、公務員共済では一五・八六二%、私学共済では一三・二九二%と、共済年金の保険料率は厚生年金より低くなっております。

 また、給付の内容にも差があります。共済年金には職域加算という制度があり、同じ年収で同じ加入期間だったとしても、厚生年金よりも共済年金の方が給付額は多くなっております。標準的な年収の人の年金でいうと、共済年金は厚生年金よりも月二万円ほど給付が加算されることとなっております。

 また、このほかにも、共済年金には、遺族年金について、年金受給者が失権した場合に別の受給権者が遺族年金を受けられる、転給という厚生年金にはない制度もあります。

 つまり、共済年金は、厚生年金よりも保険料率が低いのにもかかわらず給付は手厚いということになっているのが現状であります。

 同じ被用者の年金としてこのような差があるのはおかしいということで今回被用者年金一元化法案を提出したものと認識しておりますが、今回の被用者年金一元化法案では、このような厚生年金と共済年金の格差についてどのように対応しているのか、伺います。

小宮山国務大臣 公務員などの共済年金につきましては、民間サラリーマンが加入している厚生年金と比べて、今委員が御指摘いただいたように、保険料率が低い、そして、三階部分の職域部分があるので手厚い給付となっている、また、遺族年金の転給があるなど、厚生年金にない独自の制度がありまして、これが公務員優遇と指摘をされてきたところです。

 今回の被用者年金の一元化法案では、公務員や私学教職員も厚生年金に加入する、このことを通じて、公務員などの保険料率を引き上げて、厚生年金の保険料率上限一八・三%に統一をするとともに、三階部分を廃止いたしまして、民間サラリーマンなどと同一の保険料、同一給付を実現するということ、また、厚生年金との制度的な差異については、基本的に厚生年金にそろえてこれを解消する、このことによって、公的年金の官民均衡、これを実現するものとしています。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

中島(正)委員 岡田副総理に初めて御質問させていただきたいんですが、公的年金としては、共済年金の職域部分は廃止されるとのことでありますが、この法案では、職域部分廃止後の新たな年金については、平成二十四年度中に検討を行って、その結果に基づいて、別に法律で定めることとなっております。

 この新たな年金については、現在検討が行われていると思いますが、どのような方向で検討が行われているのか、また、いつごろに法案を提出するおつもりなのか、岡田副総理からお願いいたします。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、職域加算部分、この部分は廃止をするということになっておりまして、新たな年金制度をつくるということになっております。

 そのあり方につきましては、私のもとに設けられました共済年金職域部分と退職給付に関する有識者会議において御議論いただいているところであります。

 まず、この有識者会議において、今まで三回開いておりますが、この三回では、退職給付に関して官民格差四百万あるということについて主として御議論いただいたところであります。

 それについての一定の方向性を出していただきましたので、四回目以降、今後は、この職域加算部分を廃止した後の新たな年金制度のあり方について集中的に御議論いただくということになっているところであります。

 そういった御議論を踏まえ、政府の中で検討を行った上で、別に定める法律というものを国会に提出しなければなりません。現在のところ、平成二十四年度中に所要の法案を国会に提出するということにしているところでございます。

 具体的な方向性はそういったことで、有識者会議でこれから御議論いただくところでありますので、余りその前に私が方向性について何か申し上げることは適切でないというふうに考えております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後に、これも各委員から何度か質問に上がっている問題ですが、国民年金保険料の未納対策についてお聞きをしたいと思います。

 このような改革内容とあわせて、年金制度全体への信頼を高めていくためには、国民年金の未納問題を解決していくことが必要であると考えます。幾ら年金制度改革を行ったとしても、現在のように、保険料の未納者、未加入者が約三百二十一万人いるとも言われておりますから、このような状況では、不安定な要因は全く変わることはありません。約三百二十一万人ということは、本来入ってくるはずの保険料収入五千四百四十六億円が入ってきていない状態なんです。

 国民年金の保険料の未納がふえることによって年金制度の破綻を招くのではないかという議論もあります。そうした国民の皆様の不安を払拭するためにも、日本年金機構の現場が全力を尽くして国民年金保険料の未納問題に対処していかなければならないというふうに思います。

 今回の法案にも国民年金の未納対策が盛り込まれておりますが、どのような内容になっているのか、また、今回の法案とあわせて、どのように国民年金保険料の未納対策を進めていくおつもりなのか、大臣の決意をお願いいたします。

小宮山国務大臣 今回提出をしている年金機能強化法案の中に、国民年金保険料の免除申請などがおくれた人が未納にならないように、遡及をして免除を承認する期間、これを延長する制度改正をしていまして、過去二年分まで遡及して免除を行うことができるようにしています。

 そして、納付率の向上に向けましては、免除対象になるのに申請をしていない低所得者に対しましてこれを周知し勧奨するということ、また、戸別訪問を重視した保険料の納付の勧奨、これを徹底するということ、また、高所得がありながら納付をしない人への強制徴収の推進など、未納者のそれぞれの属性に応じましてきめ細かに対応して、何とかこの未納率を下げていきたい、そのように思っています。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 この年金制度改革についても、どんどん国民の皆様にアピールして、よりよいものにしていかなければならないというふうに思っております。また、それぞれの委員から御懸念の点について、改正していっていただきたい、そしてよりよいものにしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党の竹本直一でございます。

 きょうは、一時間という時間をいただきまして、中身のある議論をし、また楽しくやりたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 まず、私はよく海外へ出かけますが、先般もアメリカ、ワシントン、ニューヨークに行ってきました。それで、日本が消費税で大議論をしている、不退転の決意でやるんだということを野田総理が言っていると皆よく知っておりまして、ここまで世界じゅうにこの情報が伝わっていると、もしこれがポシャったらどうなるのかという感じがするわけであります。そういう意味で、うまくいくか、うまくいかないか、どこに問題があるか、きょうは専門の先生も多いわけですから、じっくりと議論したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、日本経済の特徴は、円高で大変だと言われておりますけれども、日本は経済の大きい国ですから、一一・四%しか輸出依存度がない。韓国なんか四割五分ぐらいあると思います。そうしますと、円高は問題なんだけれども、ただ、やはりそれほどの、何とか乗り切れる自信は我々としてはあるわけであります。

 それで、結局、諸外国を見ましても、成長か財政再建かというのはある意味で二律背反のように響くところがあるんです。ですから、私がまず聞きたいのは、どちらが先だ、どちらが重要だと考えているのか、それをまず聞きたいと思うんですが、どなたか答えていただけますか。

岡田国務大臣 私は、いずれも大事であるというふうに考えております。デフレを脱却して経済成長を遂げていかなければいけない、これは当然、日本国政府として目指さなければいけないわけですが、同時に、今のこの財政の状況というのも放置できませんので、それぞれしっかりと政権の至上命題としてやっていかなければいけないというふうに考えております。

竹本委員 両方とも大事であることはそのとおりなんですが、やはりその作業の手順というのがなかなか重要だと思うんですよ。

 思い起こしますと、九八年にいわゆる金融危機がありました。インドネシアなんかがいい例ですけれども、IMFが中へ入って、いろいろな援助、財政再建の処方を示したんですね。ところがうまくいかなかった。インドネシアというのはやはりインドネシア社会独特のならわし等がありまして、とてもそれは受け入れられないということで、インドネシアは大変な苦境に陥ったんです。この現実を見て、ノーベル賞をもらったスティグリッツ教授、コロンビア大学かどこかの先生をやっていますが、この方なんかは強烈にIMFを批判しておりました。こういったことが動機となって、IMFも財政再建だけを押しつけてもだめだと少しは反省するようになったんだと私は考えておるわけであります。

 それで、最近起こったいろいろな状況を見ますと、例えばフランスの大統領選挙でも、サルコジはどちらかというと財政再建派、ところが、それに対してオランドはそうじゃない、景気刺激派、こういうことでありまして、景気刺激派が勝ったということが言えると思いますし、ギリシャも、我々は数年前に財務金融委員会でこの国を視察したんですけれども、結局は、厳しい財政再建には国民がついていけないということで、そういった人たちの票の方が多かった、それでまた再選挙、こういうことであります。

 そうしますと、当たり前のことなんだけれども、厳しいことに国民は感情的にもちろん反対しますよね。だけれども、やはり結果として景気がよくなり、結果として財政再建されないと何にもならないわけでありますから、やはりどちらから先にやっていくかということが大事なんです。この辺の、今の日本の経済を見てどういうふうに考えておられるのか。

 けさほど私たちが聞いたんですけれども、月例経済報告で、一―三月期の成長を年に換算しますと四・一%成長、随分立派になりましたよね。日銀の展望レポートでも、昨年はマイナス〇・二%だったんですけれども、ことしが二・三%、来年は一・七%プラス成長、こうなっておりますから、経済は確かに着実によくなってきたのかなという感じもするんですけれども、この辺、財政再建をやるにはいい環境かどうかということについてどう考えておられるか、岡田副総理に聞きたいと思います。

岡田国務大臣 まず、委員御指摘の金融危機時のIMFの対応ですけれども、インドネシアは確かに象徴的な事例だったと思うんですね。専務理事が大統領がサインしているところに立って、腕組みして写真に写ったというのは、今でも思い出します。

 しかし、あのときにやはり韓国も同じような状況でしたが、今日の韓国の非常にすばらしい成長を見ていると、同様に非常に厳しい、IMFといいますか、緊縮もやりながら乗り越えたわけで、一概にインドネシアだけを捉えて評価するわけにはいかないのではないかというふうに思います。

 それで、委員御指摘の点ですけれども、確かに、フランス、ギリシャで選挙の結果が出ました。しかしそれは、国民の望むことと、それから、時には国民を説得してでもやらなきゃいけないことがあるということは、ちょっと分けて考えなきゃいけないことだと思います。

 加えて、やはり、ギリシャなどを見ますと、年金の二割カットとか公務員の賃金の引き下げとかをかなり激しくやっておりますので、そういう状況と日本の現状とはかなり乖離がある、単純にこれは比較できない問題ではないかというふうに思っております。

竹本委員 ところで、やはり、先の展望がなくて財政再建だけやると非常に受けが悪い、国民もなかなかオーケーしないと思います。

 先の展望を示すという意味で、民主党は政権についた後、新成長戦略というのを出しましたよね。二〇一〇年六月に新成長戦略というのはできているんですけれども、四百あった項目のうち九割は達成ができていない、こうみずから言っているわけですけれども、この新成長戦略というのはまさに経済を上に向ける一つの戦略ですよね、それがほとんど達成されていない。

 そういう状況の中で財政再建に手を入れるというのはどういうふうに考えておられますか。まず、この成長戦略を見直すのかどうかについて聞きたいと思います。

石田副大臣 お答えいたします。

 日本経済成長の実現のためには、まず、一昨年六月に取りまとめた、今先生がおっしゃった新成長戦略を着実に実施することが重要であるというふうに思っております。このため、新成長戦略の成果を厳しく検証し、これにより検出されたボトルネックの解決策を図るために、日本再生戦略に反映していきたいというふうに考えております。

 さらに、日本再生戦略の策定に当たっては、震災を初め、新成長戦略の策定後二年間の状況変化を踏まえた新たな施策についても盛り込んでいくことにいたしております。

 具体的には、エネルギー・環境分野でのグリーンイノベーション、あるいは医療・介護分野でのライフイノベーション、また円滑に成長マネーが供給されるための仕組みづくり、また女性の活躍等々が主な柱になると考えております。

 これらの施策を盛り込んだものを日本再生戦略といたしまして、年央までに国家戦略会議において策定していきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

竹本委員 私は、消費税を改定する前にそれを国民に示さないと国民は何と思うかと考えたら、やはり、消費税をいつ採決するか知りませんけれども、その前に成長戦略を示すのが当然なのではないですか。いかがですか。

石田副大臣 今御答弁申し上げましたように、日本の再生の成長戦略につきましては、年央に取りまとめさせていただくということで、今、取りまとめておる最中でございます。

 先ほども申し上げましたように、エネルギーとか医療、介護、また成長マネー、また女性の社会進出、活躍等々を今取りまとめている最中でございますので、御理解をいただきたいというふうに思っております。

竹本委員 どちらが先かということを聞いているんです。お答えください。

岡田国務大臣 どちらが先かというか、ともにやらなければいけないこと、そういったことで、今、年央をめどに取りまとめ作業をしていると。消費税の具体的な引き上げは、二〇一四年四月ということでございます。

竹本委員 渡してあります資料をちょっと見ていただきたいと思います。

 一ページ目の、欧州危機概念図というものですね。欧州で現在起こっていることをこれは説明しているんですけれども、財政支出の減少がありますと景気が減速する。そうすると、国債価格、CDS保証料が上昇する。そうすると、債務危機に拍車がかかる。銀行経営に懸念が生じて、自己資本引き上げのための貸し渋り等が発生する。また景気の減速が始まる。つまり、負のループに入っちゃっているんですよね。

 やはり、これに入ったら大変だということを私は心配しておりまして、ですから、まず成長戦略を確定して、それから財政再建を国民に示すべきではないかと思うんですが、これについて、もう一度、どなたでも結構ですから、お答えください。

岡田国務大臣 欧州と今の日本を比較するというのはかなり無理があると思います。もちろん、どういった状況で日本が欧州のようにならないということは私は言えないと思いますが、現時点においては、欧州のような厳しい状況には経済はまだないという状況であります。むしろそういうときにしっかりとした方向性を示す必要があるということだと思っております。

 それから、欧州の場合はまさしく金融危機ということですから、そういうことにならないためにも、財政の持続可能性と、そして同時に社会保障がしっかり安定して持続可能であるということを示すことで、私は、国民から見ても、将来社会保障がどうなるかわからないということの不安感が今の消費を非常に制約しているということも言えると思いますので、早く持続可能性というものを示すべきだというふうに考えております。

竹本委員 そこはそうだと思いますが、世論調査の結果を見ますと、将来のために消費税増税が必要だと考える人が七割ぐらいいて、ところが、今回、野田内閣提出の消費税増税法案には反対だという人が六割以上いるんですよね。これが国民の感情だと思うんですよ。そういうときに、この法案を国会で審議し、通そうとしておられるわけですけれども、これはどのように考えておられますか。

岡田国務大臣 確かに負担増というのは、それを好む方はいないわけで、そういう意味では、国民の皆さんの気持ちというのは、今のおっしゃった数字にあらわれている。頭では理解して、将来的にはこれではもたない、ですから増税は仕方がない、しかし現に上げることについてはいろいろと抵抗があるということだと思います。そこは、いかに説得していくかということが重要だというふうに思っております。

 同時に、従来、消費税の引き上げのときも国民の反対というのはあったと思いますけれども、しかし、それでも増減税が同額であるとか、そういう中での消費税の引き上げ。今回は、そういった減税がない中での引き上げですから、より抵抗感が強いというのはわかる。しかし、それでも多くの方が将来的には仕方がないと思っていただいている。こういうことだと思います。いかに説得していくかということだと思います。

竹本委員 ちょっと局面を変えまして、社会保障・税一体改革の経済に対する影響について質問します。

 内閣府が一月二十四日に公表しました経済財政の中長期試算では、社会保障・税一体改革による実質GDP成長率への影響は、二〇一三年から一六年の間の平均でマイナス〇・一%程度であるとしています。

 税収に関して、これは成長率の話ですけれども、税収に関してはどういう影響が出るんでしょうか。

石田副大臣 お答えいたします。

 本年一月の経済財政中長期試算におきましては、一体改革があった場合となかった場合の差をとりますと、慎重シナリオでは、二〇一四年度が五・七兆円、二〇一五年が七・七兆円、二〇一六年度が十・一兆円程度と試算をいたしております。

竹本委員 内閣府の資料を見ますと、税収という項目があるんですけれども、その項目の内訳が示されていないんですよ。平成九年の消費税増税の際は所得税、法人税の落ち込みが発生していますけれども、今回の消費税増税によって、所得税と法人税の落ち込みはどうなっているのか、考えているのか考えていないのか、そこについてお答えください。

石田副大臣 お答えいたします。

 この試算では、二〇一五年度における社会保障・税一体改革を反映した税収は、一体改革をしない場合に比べ七・七兆円程度大きくなると試算をいたしております。一方、二〇一五年度時点の消費税率一%当たりの税収は二・七兆円、二〇一五年度の税率引き上げによる国税の消費税増税分は八兆円程度と試算をいたしております。

 こうしたことから、二〇一五年度においては、消費税増税分を除いた所得税や法人税等のその他の税収は、一体改革しない場合と比べ〇・五兆円程度小さくなると試算をいたしております。

竹本委員 先ほど話題にしました民主党の新成長戦略によりますと、名目三%、実質二%成長を目指すとしているんですね。名目三パー、実質二パーという成長を続けていきますと、法人税、所得税が当然上向きます。今回の消費税増税分はすぐに吸収できるんじゃないか、このように思います。したがって、消費税を上げる必要はないんじゃないか、こう思いますが、この辺の計算はどうしておられますか。

安住国務大臣 以前、町村先生の方からも御質問いただいたんですが、いわゆる上げ潮派的論理で税収が、二%、三%という、だけれども、これは十年平均で、アベレージでということですから、急にそういうふうなことで仮に税収が上がったとしても、同時に、先生御存じのように、多分金利も上がりますので、そうしたことをいろいろ勘案すれば、それで消費税分が賄えるかといえば、消費税分の穴というのは、構造的な問題を解決しない限りは、税収は上がるかもしれませんけれども、大もとのところではやはり改善をしないというふうに私どもは見ております。

竹本委員 社会保障・税一体改革による実質GDP成長率の影響は、二〇一三から一六年度の平均でマイナス〇・一%という数字になっています。

 政府は余り影響ないとしているんですけれども、成長そのものが一%ぐらい、そのときに〇・一%の影響があるというのは、この数字というのは結構重いんじゃないかと思うんですが、どんな感覚で見ていますか。

石田副大臣 お答えいたします。

 社会保障・税一体改革のもとで、二〇一三年度から二〇一六年度にかけての平均成長率は、慎重シナリオで一・一%、成長戦略シナリオで一・八%となっております。仮に一体改革を考慮しない場合のそれぞれのシナリオ、平均成長率が一・二%、一・九%と比べ、大きな差はない姿となっております。

 しかしながら、この年平均の〇・一%、今先生がおっしゃった〇・一%程度の成長率の差について、この差をどう見るかということでありますが、さまざまな御意見があるものと承知をいたしております。御指摘のような、一%程度の成長のもとではその差が小さいものではないという見解もあるものと考えております。

竹本委員 要は、消費税を導入する、税の負担を大きくする、こういうときには、その過渡期、前後の関係をどう見ていくかが一番難しいところですよね。我々自民党が政権をとったときの、消費税を始めたゼロから三%のときも、あるいは三パーから五パーに上げたときも、いろいろな思いを持っていろいろな対策を講じているんです。今回はどういうふうな対策を講ずるつもりなのかということを聞きたいんです。

 まず、先般、ことしの三月三十日の閣議決定では、第七条で、住宅の取得については、駆け込み需要云々があるので、その影響を平準化して、財源も含め対策を総合的に検討する、こういう趣旨のことを書いております。

 具体的にはどういうことを考えているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。これから住宅を一つのテーマとしてこの議論を細かくやっていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

安住国務大臣 住宅は本当に人生の中で最も大きな買い物の一つでもあるし、九七年のときも、需給の、消費税を上げた後でたしか三十万戸前後の落ち込みがあったような、数字はちょっと今手元に持っていませんが、百六十が百三十万だったですかね。

 そういう意味では、一つの例でございますけれども、できるだけ住宅の着工件数のこういう極端な落ち込みをさせないために、まず、五%の引き上げについては、八それから一〇という一つずつ段階を踏んで、経済に比較的影響を与えないようにしようということを考えました。

 それからもう一つは、もちろん、先生は専門家ですから、今、土地の取引については非課税である。それから家賃ですね。

 ただ、問題は、やはり建物に対する課税に対して、今、ローン減税とかそれからフラット35とか、金利面でもさまざまな優遇措置をしていますけれども、しかし、そうはいっても、それだけでは、五パーが一〇パーになれば、単純に計算をすれば、例えば二千万の建物を建てたときの大きさというのは、百万単位で上がってくる。だから、これに対するどういうふうな控除をできるのか。現状に対してそのままでというよりは、それに対していろいろな上増しをするような形で軽減措置というのを考えたいと思いますけれども、ただ、税率を、これは単一税率を維持していますから、ここだけはちょっといじらないで控除等で対応したいというふうに考えております。

竹本委員 住宅ローン減税を考えておられるのではないかと思うんですが、所得が低い人、例えば年収六百万とか四百万ぐらいの人はほとんどきかないですよね、税金をそんなに納めていないわけですから。ですから、この辺のどういう対策を考えておられるのか。そういった人たちには、例えば何かお金を別に給付しようとでも考えているんですか。どうですか。

安住国務大臣 確かに、額が大きくなって、所得の低い方々が、そういう、言ってみれば二千万を超えるような屋家を建てないで、もうちょっと安い値段で建てたときにローン減税の対象にならない部分というのは出てきますので、十分そこのところは勘案しながら、率直に言って、まだ具体的な制度設計をしているわけではないので答えにくいんですが、そういう場合のことも含めて私どもとしては制度設計をしっかりしていきたいというふうに思っています。

竹本委員 きょうは、このことを安住さんに問いただすわけではないけれども、ある種の私の考えを言って、ぜひ検討してもらいたいなと思っているんです。

 実は、前回のとき、三パーから五パーに上げたとき、住宅が、その前が百六十三万戸だったんですね。ところが、翌年には百三十四万戸で、約二十九万戸減っているんです。さらに、その翌年には十六万戸減っている。こういう状況なんですよ。余りにも激変なんです。学者によりますと、税が上がるとなると駆け込み需要があるから大丈夫だと言う人もいます、土居先生のようにですね。

 だけれども、私は、この現実を見ておりますと、駆け込み需要があっても、後にどかっと落ちてしまうものですから、経済に対するすごい悪影響を与えるのではないか。そこで、税というものをもう一回考えてみようと。

 例えば、住宅については消費税を五%のままにする、こういう考え方を主張する人もいます。しかし、私は、これがきょう一番言いたいことなんですが、土地には税金がかかっていませんよね。土地とか授業料とか、ああいうようなものには非課税のものはたくさんあるじゃないですか、ゼロ税率もありますけれども。だけれども、まず、土地にはなぜ消費税がかかっていないんですか。税がかかっていないんですか。それについてお答えいただきたいと思います。

安住国務大臣 これは、取引だからだと思います。つまり、消費税のように付加価値を生む取引ではなくて、土地というものに対するもともとの考え方からいえば、そういう意味では取引という扱いですから。外国の例では、どこでしたか、ドイツかな、諸外国では課税をしているところもあると思いますが、長年ここに関しては非課税であるというところです。(発言する者あり)両方課税、失礼しました、フランスでございました。

竹本委員 今言われたように、付加価値をもたらさない、価値をもたらさない、バリュー・アデッド・タックスでしたか、そういう状態でないから土地については税金をかけない、こういう考え方だと思うんですよ。だけれども、完成した家、住宅というのは、そのものとしては土地と全く同じでありまして、住宅を置いておいたら使わなくてもそこで付加価値が出てくるものではない、このように思うんですよ。

 ですから、私は、むしろ住宅は非課税ないしゼロ税率にすべきじゃないか、こういう提言をしたいんです。

 と申しますのは、ちょっと資料をお渡ししていなくてごめんなさい、今コピーをとってもらってもいいんですけれども、外国の例を見ますと、先進国も土地はほとんど非課税です。カナダとオーストラリアとニュージーランドだけが税金がかかっているんですが、でき上がった住宅、中古住宅を見ますと、アメリカもイギリスもフランスもドイツもカナダもオーストラリアも、全部非課税なんですよ、中古住宅、でき上がったものですね。

 もう一つ、新築の住宅はどうかということなんですけれども、これもアメリカは非課税なんです。イギリスもゼロ税率なんです。ドイツも非課税なんです。

 このように、先進国はほとんどゼロ税率か非課税なんだ。その考え方は、でき上がったものは、土地も言ってみればでき上がったものであって、買ったからといって付加価値が出るものではない。住宅だって、でき上がったもの、完成品であれば、それはそれ以上の価値を生むものではない。ならば、土地と住宅と同じように扱えばいいのではないか、このように思うんですが、いかがですか。

安住国務大臣 私の手元の資料でも、今先生の御指摘のとおり、中古に関して言えば、EC、フランス、ドイツ、イギリスは非課税でございます。御指摘のとおりでございます。

 ただ、日本の場合、どうかということなんですけれども、私もきょう、けさ、実は役所で、先生の質問があるというので、いろいろこの住宅のことを、事情を聞きました。やはり個人間の、個人と個人の中古住宅の売買がほとんどなので、そうしたことからいうと、個人取引なので消費税の課税対象外としているというんですね。そういう傾向が強いと。

 ですから、私は聞きました、では、例えばどこどこ不動産を経由をしてやった場合、どうなんだと。いや、それは、しかしあくまでもマージンは仲介として入るけれども、個人と個人、例えば私の持っているものを、竹本先生が私の中古の家を買ったり、そういう中で、今日本の場合はこの制度になっているということなんです。よろしいですか。

竹本委員 おっしゃるとおり、日本の制度でも、中古住宅は五%かかるんですけれども、個人から、私があなたに譲った場合、その場合は非課税になっているんですよね。

 ですけれども、私が言っているのは、要するに、なぜ土地に税金がかからないのか。その理由は、付加価値を生まないから。そうすると、完成された住宅も同じではないかというのが私の考えなんです。今すぐ、ではそのとおりにしますとは言えるわけはないけれども、哲学的なことも含め、また諸外国の例も含め、ぜひこれは検討してもらいたいんです。ぜひともお願いしたいと思う。

 それと、もう一つ。実は、私はなぜこの住宅の消費税を非課税ないしゼロ税率にしなさいと言っているかというと、予算委員会でちょっと質問したことがあるんですけれども、日本の国を富ませるためにはどういうことをしたらいいかということ考えたときに、外国へどんどん日本の企業が出ていく、外国で仕事が、商売が成功してどんどん稼ぐ、しかし、その金を日本の国内へ持ってきても、日本の国内で投資先がないんですよ。投資先がないから、外国の企業のままに抱えさせているのがほとんどなんですよ。

 ですから、そういうときに、税の特典を与えて、日本の国内にそのお金を持っていけば、その恩典を利用して投資がどんどんできる。つまり、住宅に対してどんどん投資できるというインセンティブを与えますと、円高で困っているこの日本経済は大きくさま変わりするんじゃないか。これをやれば、さすが、安住大臣はすごい、野田さんもすごい、岡田さんもすごい、こういう話になるわけですよ。

 ぜひ、これは思い切ったことをやった方がいいと思うんですよ。五%なんですとちゃちなことを言っているんじゃないですよ。もうゼロにするんですよ。医療費には税金、消費税はかかっていません。同じように、住宅にも税金をかけない。なぜならば、日本の住宅は、ウサギ小屋と言われたぐらい、まだまだひどいじゃないですか。土地はこれ以上広がりませんよ。だけれども、住宅はもう一回建て直す必要があります、よくする必要があります。そういったことは、国の要請として、社会的要請としてあるわけです。この消費税を一つの道具として使ったら、すばらしいことが起こるのではないかと思うんですが、いかがですか。

岡田国務大臣 私は、消費税を余り政策目的として使うべきではないという考え方でございます。したがって、複数税率についても慎重であります。やはり、そういうことにしますと、どうしても全体がゆがむというか、例えば複数税率に関して言えば、こういうものは軽減税率にする、しない、そこに行政なりあるいは政府の意思というのが働いてくるわけで、ある意味では、それは国民生活にとって余りいいことではないというふうに私は思うわけであります。

 御指摘の住宅というのは、まさしく国民の買い物の中の最大のものでありますから、それに、そういったいろいろな理由の中で、軽減税率ないし税をそもそもかけないということになりますと、私は、消費税全体の性格そのものを変えかねない、そういうインパクトがあるというふうに思っております。

竹本委員 岡田さんは副総理なんだから、そんな役人みたいな答弁しないでくださいよ。もっと大きい話をしなきゃ。

 住宅取得には物すごく金がかかるとおっしゃいました。結局、今回の値上げが、一〇%まで上がると、五%のとき消費税が百五十二万円だ、前提は建物価格二千五百万で計算していますが、百五十二万、それが、消費税が八%になると二百二十七万、そして一〇%になると二百七十七万。百五十二万が二百七十七万、ほぼ倍になるんですよね。そうすると、ほぼ三百万円を余分に用意しないと家が買えない。これは大変ですよ、実感として。コンビニで物を買うのと全然わけが違う。ですから、コンビニで物を買うのに一〇%でも我慢できるけれども、三百万余分に持ってこいと言われたら、二千五百万の家が三千万近くになるわけでしょう。そうすると、若い人が家を買おうと思っているときに、やはり二の足を踏みますよ。

 ですから、その辺のことを考えますと、この際、五%にとどめる、あるいは消費税に段階を設ける。それはやらないと言っているわけですから、やらないのならば、いっそのこと、医療費だって消費税をかけるわけがないでしょう。今と同じ扱いをするはずですよ。ですから、ならば、住宅も国民の基本的資産として、インフラとして、これは非課税にするという決断をしたら、野田内閣は物すごく人気が出ますよ。いかがですか。

安住国務大臣 一つの御提案だと思いますけれども、ただ、先生、住宅の場合、資材の調達とか、それこそ、アルミサッシをどこから持ってきてこれを調達するとか、中間でどんどん、言ってみれば消費税の付加価値税をかけていく仕組みというのはやはり非常にきれいに成り立つんだと思うんですね。最終的に、消費者にこれを御負担いただく。

 やはりそういう点では、もしかすると先生の御指摘は、資産デフレの解消とか経済の活性化のために、もう一回この住宅政策というものを消費税なりの上がるところで考えてみたらどうだということであれば、今副総理がおっしゃったように、それを税でやるのがいいのか、資産デフレを解消するために何か成長戦略等で土地の価値というものを高めていくのかというと、やはり政府としては後者であって、ただ、住宅の取得というのは、先ほどから申し上げているように、金銭負担が非常に重いものですから、やはりこれに対しての軽減措置は私どもとしては責任を持って考えていきたいということになると思います。

竹本委員 もう一度もとに戻しますが、家をつくるときに注文してつくる人がいますよね。例えば、セメントを買います、材木を買います、いろいろな資材を買います、これは全部消費税が入っているんですよね。ですから、注文住宅は消費税が入るのは、それは結構ですよ。だけれども、私が申し上げているのはでき上がった住宅ですね。でき上がった住宅は、まさに不動産である土地と同じ状態ではないか。なぜならば、付加価値を生まないんだから。むしろ減っていくのかもしれない。ですから、その辺は、哲学的な話になるかもしれませんが、よく考えた方がいいのではないか。

 そして、現実に、外国ではそういったものを非課税にしている、ゼロ税率にしているんです。日本だけがなぜそこに税金をかけるのか。結果としてウサギ小屋であるというのはやはりまずいんだ、私はそう思いますが、いかがですか。

安住国務大臣 中古の住宅は、これまでは個人間で行われることがほとんどだったものですから、そういう意味では、個人間の取引については課税対象外となってきました。

 今先生から、いわゆる土地イコール、もう建物がそこにある以上、その取引は土地と同じような扱いにしたらどうだという御提案でございますので、そうしたことが現実に税収構造にどういうふうな影響があるかどうかを含めて、検討させていただきたいと思います。

竹本委員 ぜひそういうことでお願いをしたいと思います。

 さて、この消費税の問題に関して、負担の軽減措置で、冒頭の質問なんですけれども、エコポイントとかいろいろ考えておられるのだと思いますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、税金の納めている額が少ない人にはほとんどローン減税はきかないということと、エコポイントも、どうなんですかね、部分的にはききますけれども、住宅を、大きい買い物をしようとしているのにエコポイントを三十万もらったって、どれほどのインセンティブになるか、よくわからない。ですから、私は、もっともっと、そういう意味でも、やはり住宅を非課税にするというぐらいの思い切った対応が必要なんじゃないかなというふうに思います。

 野田さんおられないけれども、ぜひ総理とも相談して御研究いただきたいというふうに私は思います。

 さて、日本の経済を外国がどう見ているか。今、消費税の値上げをやろうとしているわけですけれども、私は、先ほど言いました成長率の上昇ぐあいを見ましても、もっともっと自信を持っていいのではないかなと思います。

 実は、三、四週間前に、ニューヨークで、ニューヨーク連銀のダドリー総裁と一時間近く話をしてまいりました。彼は、日本で今話題になっている日銀と政府との関係について、FRBが非常に過酷な経験をした、こういうことを言っていました。つまり、外部から、もっとやれ、もっとやれと、最初は、FRBの総裁がむちゃくちゃやったと言っているときに、外部からいっぱいいろいろな雑音が入った。ところが、今になると全然様子が違う。どういうふうなことをダドリーさんが言っていたかといいますと、ちょっと御紹介をしたいと思います。

 日銀は従来より積極的な金融緩和を行っていると思う。個人的には白川総裁のファンであるとか言っていましたけれども、年に十回近く会っている。白川総裁の残りの任期は短いので誰になるか気になるところであるが、彼はよい仕事をしてきたと思う。こう言っていました。

 また、これが大事なんですが、中央銀行の独立性は国際的にも重要と認識されており、政府との関係を見直すことは慎重に考えるべきだろう。日米双方に、中央銀行はパワフルで何でもでき、中央銀行だけで経済をよくすることができるという見方のもと、経済がよくならなかったら中央銀行が批判される傾向がある。やや皮肉なことだが、金融危機時、FRBはやり過ぎだと言われるほど積極的に動いたけれども、当時やり過ぎだと言った人が現在は積極性が足りないといって文句を言っている。

 我々は、可能な範囲で物価安定と雇用創出に努めているが、FRBの責任と法的権限には限界がある。よくジョークで言うんですけれども、金融危機時に多くの関係者が来訪し、さまざまな提言をしていったが、その七五%はFRBの法的権限外のものであった。中央銀行の業務や権限については多くの誤解があるのが普通だ。こういうような話でありました。

 結局、日本の経済運営、やっと成長率がああいった状態に戻ってきました。私は、もっと自信を持ってやるべきだし、ギリシャのように小さい国じゃないから、ギリシャを横に置いてどうこうということは全く必要ないと思います。ギリシャがどうなるか、非常に関心はありますけれども、しょせんEUの二%程度のシェアしかないわけですから、あの国がどういう状態だから日本も財政危機だという論法は、言うべき話ではないと思います。

 というのは、日本の国債の金利が全然上がらない。なぜか。それは、消費税が何と五%でここまでやっている、こんな国は世界にはないわけですよ。余力が十分ある。しかも、その国債は九五%まで国民が持っている。ギリシャは七割以上が外国に持たれている。だから、全然違うんですよ。ですから、決してこのヨーロッパの小さい国と経済大国日本を同じに論ずる必要は全くないと思うんです。

 そして、もっと政府も、消費税を値上げしたいという気持ちはわからぬではないけれども、日本の持てる力、それは潜在的に違う。例えば、資産だって六百兆円ぐらいあるはずです。純粋の対外債権だって二百六十兆円ぐらいあるでしょう。だから、そういうことを国民の前にしっかりと示して、しかしながら、税の構造として今はまずいからこのような値上げを我々は考えているんだ、そういう説得をすべきではないかと私は思いますが、副総理、いかがですか。

岡田国務大臣 ギリシャと日本は経済の規模が違う、それはそのとおりであります。しかし、これはギリシャだけではなくて、例えばフランスとかイタリアも含めて、EU全体の危機の問題になっている。そういう中で、やはり財政を立て直すという意味では、かなりの努力を強いられているし、それをしているということは言えると思います。

 先ほど委員は、サルコジ前大統領とオランド新大統領のことにも言及されたと思いますけれども、二人の差というのは財政再建の目標年次が一年違うということであって、方向性は同じであります。

 ですから、もちろん、現時点で見ればヨーロッパと日本は違うわけですが、同時に、GDP比で見た借入金の多さというのはこれまた格段に違うわけで、私は余り楽観的に考えない方がいいのではないかというふうに思います。

 国債についても、日本人が九五%持っているということですが、その大半は実は個人ではなくて金融機関が持っている。個人であれば、忍耐強く国債を持ち続けていただく、そういうこともぜひ期待したいとは思いますが、金融機関にとっては、持っている国債の格付が下がれば、それはそれだけ貸し出しを抑制しなければいけなくなるわけですから、それは貸し渋りになって経済の縮小という悪いサイクルに入っていくわけで、やはり私は、余り先々については楽観的に考えずに、やるべきことをしっかりやっていくということが非常に重要なことではないかと思っています。

竹本委員 私は、やれるのにやらないのがよくないということを申し上げたいんです。

 つまり、今、日本経済は約十五兆円の需給ギャップがあるじゃないですか。だから、つくったものが売れない、デフレ状態がずっと続いているんですよね。これを解消するにはどうすればいいか。

 私は、民間に需要がなければ政府が需要を出してやればいい、つまり政府が買ってあげればいいんですよ。それが証拠に、エコカーポイントをやれば途端に車はどんどん、トヨタのも売れる、やめれば途端に誰も買わない。何か。需要が不足しているんですよ。

 だから、私は、エコポイントもいいですよ、もっともっと政府が財政支出をして、別に、国に金がないんだから、国の金だけでやれと私は言うわけじゃない。やはり民間の金融資本だって千四百兆円ぐらいあるんだし、また外国からの投資を呼び込んでもいい。もっともっと消費をふやして、需要と供給が一致するように需給ギャップをなくしたら、この国はすばらしく元気な国にからっと変わってしまうんじゃないかと。なぜそれをやらないか。

 民主党は政権交代するとき、コンクリートから人へということを言いました。さすがに最近は反省しているようですけれども、私はコンクリートも人もという考えでいいと思うんですよ。もっともっとしかるべきインフラ整備とか、そういったことにもっともっと金をつぎ込むべきだというふうに思いますし、国に金がない、借金をこれ以上するのが嫌だというんなら、民間の金融資本を株券でも発行してどんどん集めて、PFI法も改正しましたから、これをもっと有効に使ってどんどんどんどん仕事をやればいい。

 国民にお金を配るのが民主党は好きだけれども、そうじゃなくて、国民に仕事を配る。そうしたら、みんな仕事にありついて、もっと楽しい生活ができる。そして、その稼いだお金を商店街で使う。生活保護を受けなくたっていい。こういうふうな状況にするのが政府としてあるべき態度だと私は思いますよ。いかがですか、岡田さん、安住さん、両方、答えてください。

岡田国務大臣 民間需要を何とか拡大するということは私は非常に重要なことで、そういう意味で、規制改革などはしっかりもっと進めるべきだと、私の責任の範囲ですから、そのことに今取り組んでいるところであります。

 同時に、成長戦略、先ほど石田副大臣が説明した成長戦略をしっかりやっていくということだと思います。

 委員、公共事業のことを言及されました。私も、大震災の経験から見ても、将来起こり得るそういった震災への対応とか、そういったことについては重要なことだと思います。しかし、公共事業をどんどんやって、そのこともあって現在の財政の状況があるわけですから、やはりそこは選択と集中でやっていかないと、昔に戻してしまったのではこれはだめだというふうに思っております。

安住国務大臣 私も、公共については、やはり大震災以降かなり国民の価値観も変わってきましたので、防災関係の必要な予算については、これはやっていくということは十分あっていいし、それがまたそれぞれの地方でいわゆる需要を起こしていくのであれば、これは一つの政府の政策の判断としてプライオリティーを高めていくということではいいと思います。今のような財政の状況ですから、無尽蔵というわけにはいきませんから、その限りの中で有効的なものを使って、やはりそれは需給のバランスをどうやってとるかなんですが。

 ただ、一方で、やはり構造調整というのはなかなか言いにくいんですが、日本の場合、二十年にわたって、例えばメガバンクを見ていただければ、これはかなり、都市銀行と言われていたものがもう四つに編成をされて、今非常にそういう点では健全になって、アジアなんかに投資をしている。業界によっては、そうした業界の再編がなかなかうまくいかなくて、いわば供給サイドの改革が進んでいない部分も、ここはやはり逃げちゃだめだと思うんですね。

 ただ、これはやはりなかなか、政治をやっていますと、それぞれの地域の例えば工場を畳んで二つの企業を一つにしてもらうとか、そういうことをやっていかないと構造調整はいきませんから、ここにやはり目をつぶって、先ほど先生、私はおっしゃるとおりだなと思ったのは、日銀や中央銀行にだけ、とにかく何か徹底的にお金をヘリコプターからまけばよくなるんだみたいな風潮がありましたけれども、アメリカに行くと私も感じますが、今は、議会では、FRBはやり過ぎである、もう少しドルの信用を高めるような政策をすべきではないかという共和党の議員を中心にした意見が多うございます。

 ひもといて、ちょっとギリシャの話もしますが、やはりECBが時間を買って、資金を出しまして少し小康状態を保ちましたけれども、これは白川総裁以下、バーナンキさんもよく私におっしゃるんですが、時間を買うことはできる、しかし、そこで政治が財政再建と成長というものを具体的にどういうふうにやっていくのかということをやらないで、ただ、いわばECB、つまり中央銀行なんかがお金を出して、そこで時間だけを稼いでいることだけで安心をしてもらっては困るということをG7の席等で、やはり政治リーダーにはよくそういう指摘を受けます。

 私はそのことは真理だと思っておりますので、そういう意味では、成長と財政再建というものの両輪をなし遂げていくということが大事だというふうに思っております。

竹本委員 やはりECBは本来ワンポイントリリーフであるべきであって、それが永続的に、最終回まで投げるようでは話にならないわけです。そういう基本がやはり大事だというふうに思います。

 そういう基本を語りますときに、外国から見た日本の姿、日本の信用力、日本の政治力、日本の政治の信頼感、こんなものをいろいろ考えますときに、どうしても一言言わなきゃならないのは、鳩山由紀夫さんの、総理のときの、九〇年度比二五%CO2削減、これを国連で言ってしまったことです。実際、これ、皆さん方、二五%削減できるとは思っていないんじゃないかと私は思います。ある調査によりますと、いろいろ努力をしてもせいぜい一九%ぐらいしかできない、こういう報告も見ております。

 ここは、やはり国連という公の場で発言したことであり、今さら鳩山さんを責めてもしようがないでしょうから、国としてどうするか、メッセージを出さなくていいのかというふうに私は非常に心配をしております。そんな気楽なことを言って、そして、日本の総理大臣というのは何を言ったって信用できない、こう思われてもばかみたいなことでありますから、ぜひどこかで修正しておかなきゃいけない。どうですか。

横光副大臣 お答えをいたします。

 今後の地球温暖化対策については、エネルギー・環境会議を中心に、エネルギー政策と表裏一体で検討することといたしております。

 今先生が指摘されました二五%の件でございますし、また削減の見通し、これにつきましては、あくまで検討中の、現在審議会に提示されたものでございまして、今後、政府といたしましては、これを土台に複数の選択肢を提示して、そしてパブリックコメントなどを行って国民的論議を経た上で、ことしの夏を目途に、革新的エネルギー・環境戦略を決定するということになっております。また、二〇二〇年の削減目標に関しましても、国民的論議を経た上で決定することとなっておりますので、御理解いただきたいと思います。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

竹本委員 いや、そんな手続論を聞いているんじゃないんですよ。国連という公の場で言っているんだから、もう一回誰かが国連の場で、あの発言については我々はこう対応しますということを言わなきゃいけないのではないかということを申し上げております。

横光副大臣 環境関係の国際会議の場でも、今私が申し上げたようなことを報告いたしております。ことしの夏に私たちははっきりとしたエネルギー政策を打ち出しますということを報告いたしております。

岡田国務大臣 まず、鳩山総理の時代の二五%削減は、これは日本単独でやるということではなくて、諸外国がそれに見合った努力をするということを条件につけて申し上げたところでございます。かつ、原子力発電にかなり依存するという前提ではじかれた数字。原子力に対する依存をどうするかということは、今まさしく政府の中で有識者に御議論いただいておりますが、少なくとも、従来のような依存というのは望みがたいという中で、全体の見直しが必要になるということは間違いないと思います。

 いずれにしても、鳩山総理の二五%というのは、そのとき根拠を持って総理は言われたわけですけれども、新しい、条件が変わる中でこれをどうするかということは、現在検討しているということです。同時に、地球温暖化の問題は非常に重要ですから、これに日本はどう貢献していくかという視点も忘れてはならない、そういうふうに思っております。

竹本委員 麻生内閣のときは一五%で我々が議論しておったのを、ある日突然二五%と言うわけですから、これは我々はびっくりしたわけですよ。

 ですから、今の岡田さんの話だと、あれは間違っていなかったとおっしゃるけれども、現実にできないものは、やはりそれなりの、こういう理由でこれからはこうしますということを公の場で対外的に言うべきではないか、そのように思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 ぜひ当時のことを思い出していただきたいんですが、麻生内閣のときの環境大臣は斉藤さんだったと思います。斉藤大臣は二五と言っておられたんじゃないですか。私の記憶ではたしかそうだったわけで、閣内でもいろいろな議論があった。そういう中で麻生さんは一五というふうに言われたかもしれませんが、我々は、その当時は、二五を目指してやっていくということについて根拠を持って申し上げていたところでございます。

竹本委員 いや、要するに、我々はこれからずっと生きていかなきゃいけないわけですよ。外国は日本の姿を見ているわけです。ですから、あのときはそういう発言があったけれども、斉藤さんがどうこうという話じゃないですよ、総理として国連の場でおっしゃったことだから、それをどのように修正するのか、しないのか。しないのであれば、このようにしますということを言わなきゃならない。

 我が国は、昨年、東日本の大震災を食らいました。そして、原発事故に遭いました。ですから、その経験を踏まえて、事情が大きく変わったといって、その言い方を修正すればいいじゃないですか。なぜそんな当然のことができないんですか。

岡田国務大臣 ですから、今後どうするかは今政府の中で検討しておりますので、原発の稼働率が従来のようには見込めない、どうするかはこれから議論するわけですけれども、そういう新しい環境の中でどういう数字を打ち出していくかということを現在検討しているところであります。

竹本委員 いずれにしろ、世の中は、大きく地球上が変わってきております。

 例えば、ことしの二月でしたか、トヨタ自動車が子会社のトヨタ自動車九州で生産するハイランダーという車を、来年、生産を打ち切ってアメリカに移管する、こういうようなことを発表しております。

 あるコンサルタントの調査によりますと、もはや、中国の賃金水準とアメリカの南部の割合給料の低いところの賃金水準と、そんなに生産能力において差がない時代なんですね。

 ですから、大きく変わってきている中で、やはり、日本が経済的に活力を持って対応するには、経済の仕組みをきちんとして、対外的に説明できる状態にしておかなきゃいけない。そのうちの一つが、CO2二五%削減という言葉に対してどう対応していくのかとやはり言っておかなきゃいけないと私は思うんです。それが国際的なつき合いをする国の責任だと思いますし、今は民主党さんが政権をとっているんだから、やはり野田総理がきちっとどこかで、国連ででもいい、国連が一番いいじゃないですか、そこで、これから我が国はこうして対応しますと。そうなると諸外国は日本をまた頼りにするのではないかと私は思います。

岡田国務大臣 何度も同じことを申し上げますが、今政府の中でいろいろ議論をしているところですから、どこかのタイミングで、今後どういう数字を出すかということを決めて、それは対外的にもちろん発信するということになります。

竹本委員 いや、それを聞きたかったんです。どこかのタイミングとおっしゃったけれども、公の場で言ったことだから公の場で返事をしてあげてください。それが私の願いであります。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

古本委員長代理 これにて竹本君の質疑は終了いたしました。

 次に、松浪健太君。

松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今の国家の、国民の心境というか、そしてまた、私も政治の世界に入ってことしで十年目になりますけれども、一言で言うと、だるいな、すさまじい倦怠感があるなと思うわけであります。この倦怠感、何かなというと、やはり我々自身、そしてまた国民全体がうんでいるんだな。倦怠感の倦、まさにうんでいるというのが今ふさわしいと思います。

 最近は船中八策ブームでありますけれども、船中八策を凝縮した五カ条の御誓文、そしてその三項目めですね、「官武一途庶民ニ至ル迄、各其志ヲ遂ケ、人心ヲシテ倦マサラシメンコトヲ要ス。」これを起草した由利公正公は、本来、これを一項目めにというふうにお考えだったというようなことも聞きますけれども、まさにこの国が今うんでいる。

 副総理、こんなのは別に質問通告するような内容ではないんですけれども、今これほど、この十年間で、国民の心がうんでいたことがこれまであったと思われますか。

岡田国務大臣 御発言の趣旨がよくわからないんですが、政治に対しての失望感という意味でいえば、私は、これはきのうきょうの話ではなくて、恐らく、あの二〇〇五年の小泉さんの郵政選挙、それから二〇〇九年の政権交代選挙、いずれも非常に極端な形で結果が出てきております。

 その背景には、やはり国民の今の政治に対する不満、不信、そういったものがマグマのようにある、それが最近、なかなか物事が決まらない政治という中で、既成政党全体に対する批判となって出てきている、そういうふうに思っております。

松浪委員 潔くない言い回しであります。

 二〇〇五年、二〇〇九年と今並べられましたけれども、いやしくも今政権の座にある方は、謙虚に、今この状態が、うんでいるという状況を反省すべきであって、そして、直近の総選挙で皆さんは大勝されたわけでありますから、それに対して答えが出せていないということを率直にお認めになる、これが政治の潔さ、これが国民がうんでいる理由だと私は感じます。

 そこで、国民がうむ、国民心理がこれだけ政治に期待をしないということは、一体どういうことがあらわれてくるかといいますと、私はやはり、政治が行っていること、ちょっと順番が違うんじゃないの、増税する前に定数を下げると言っていたじゃないの、さまざまな、これはちょっと順番が違うなということ、納得できないことがたくさんあると思います。

 そしてまた、もう一点。これは正直者が報われないな、どうも正直者がばかを見ているなと国民が感じる。国民心理は、貧しくたって、これをやったら未来があると思えば、人心はうまないわけであります。こんなのやってもしようがない、報われない、政治がそう国民に思わせている。これを与野党ともに我々は解消する、これが政治の要諦であろうと私は思います。

 こうしたことを、副総理はお忙しいので、なかなか地元に戻る時間がないかもしれません。でも、今、民主党の皆さんも御自身の選挙区を回ってみれば、うんだ言葉でいっぱいであります。

 私も、先週、びっくりしました。地元で、ある運送会社に行きました。百台程度の、たたき上げで大きくなってきた会社であります。百台程度のトラックで、正規雇用の方が百人ぐらいいらっしゃるわけですよね。

 この間、十人やめはりましたと。社員が十人やめていった。連れ立ってやめていった。どうしてだ。いや、この間から、きついので二回給料を下げてきたんですと。一人が、こんなので二十二、三万しかもらえへん、一日十六時間も乗って。この間のバスどころじゃないですよ。バスは二日で平均九時間とかありますけれども、トラックはその倍近く乗らなきゃいけないということが今往々にして起こりつつある。その中で、これだけ苦労しても二十二、三万やったら、やってられぬ、子供二人やし、生活保護の方がよっぽど楽やでという話が広まって、受給の仕方がその会社で次々に広まって、そして、あっという間に十人が連れ立ってやめていった。

 こんな話を聞くと、やはり今、国民心理、ここまでうんでいるのかと。モラルハザードの最たるものだと私は思います。

 また、私は特に厚生労働委員会にもう七年も所属をしておりますけれども、このエピソードを聞いたときに、やはりこれが一般化して、そして、その人たちがその友人に、知り合いに、どんどんどんどん話をする。つまり、今、頑張ってもこの国では報われないんだというような風潮がどんどんどんどん広がっている。

 政治は、まず人心を一新すべきだと私は思うんです。ですから、この税と社会保障の一体改革、税と社会保障、私は本当は経済も一緒であるべきだと思いますけれども、それ以上に、国民の納得をいただけるということで、本来であれば、皆さんも回っていたら、納得できない話って生活保護が一番多いと思うんです、生活保護も何とかこういうふうに改善するから増税するんですよというのが筋なんですけれども、そうなっていないから、うんでくるわけであります。

 こうした生活保護受給者、大変な増加を伴っているわけでありますけれども、一般国民が抱くモラルハザードに対するこうした不満というものについて、今どのように認識していらっしゃるのか、まず伺います。副総理。

岡田国務大臣 先ほども言いましたように、政治に対する不満、不信というのは間違いなくある。特にそれは既存政党に対して、もちろん与党である民主党に対してより強くあると思いますが、しかし、野党に対しても、動かない政治に対する不満は国民は持っているというふうに思います。それは私の認識です。

 いずれにしろ、そういう中で、今おっしゃったモラルハザードというのは、それはちょっと次元の違う話で、それでもやはり国民の多くは健全だし、そして、例えば消費税の引き上げについても、私は各地で対話集会を開いておりますが、今上げるかどうかということについては、それはいろいろな御議論があります。しかし、やはり消費税引き上げはやむを得ないという方は圧倒的であります。それだけの健全性というのは日本国民は持っているということで、どうせ同じだから生活保護を受ければいい、そういう声は一部にはあると思いますが、私は、それは全体をあらわしているというふうには思っておりません。

松浪委員 今も野党のことに触れられましたけれども、一言多いと思います。私は長年武道をやってまいりましたけれども、武道は、やはり、おのれを律する、これは日本人の美徳だと思いますけれども、わざわざこうしたときに、与党のことだけ反省をされればいいのであって、野党のことに触れる、そうした潔くない姿勢が私は政治への不信を高めるんだと思います。

 これは、本当に、民主党政権になってから、生活保護の受給率、リーマンの後、確かに麻生内閣のもとでも生活保護受給はふえたわけでありますけれども、湯浅さんとか生活保護の受給の仕方みたいな本を書かれた皆さんも内閣に入れながら、皆さんは厚労省の方からも通知を出されたわけであります。平成二十一年十二月二十五日には、「失業等により生活に困窮する方々への支援の留意事項について」という通知、速やかな保護を決定せよという通知を出されているわけであります。

 御承知のように、今、生活保護はこれだけぐっと上がったわけでありますけれども、この通知の影響についての総括、厚生労働大臣に伺います。

小宮山国務大臣 先ほど委員がおっしゃったような事例があるのは、本当にそれは本来あるべき姿ではないので、そこはしっかりと是正をしなければいけないと思いますが、今、これだけ生活保護の受給者がふえているのは、やはり経済状況がこれだけ厳しく、失業者がふえているとか、あるいは高齢者がふえているということもあると思います。

 御指摘の通知ですけれども、厳しい雇用失業情勢の中で生活保護を申請する人が急増してきた。ただ、ここで、本当にこれは最後のセーフティーネットだということは受ける方にも当然自覚をしていただくようにもっと伝えなければいけませんが、本当に必要な方が受けられないといったような事態が生じないように、地方自治体での対応に際して特に留意すべき事項を改めて徹底した通知です。

 この通知によりまして、保護の決定に必要な手続ですとか支給要件は全く変更していません。

 今後とも、本当に必要な人には保護を確実に実施する一方で、やはり働ける方にはしっかり働いていただくということで働く方への支援とか、あるいは医療費の不正受給など不正に対しては厳しく対応していきたいというふうに思っています。

松浪委員 私はこの通知に対する総括ということで伺ったんですけれども、今、この通知で何も変更していないとおっしゃいましたけれども、何も変更していないんだったら、どうしてこんな通知を出す必要があったんですか。

小宮山国務大臣 申し上げたように、支給要件などは一切変更していません。

 ただ、それぞれの自治体の窓口などで、これまでも、必要な方が来ても、本当に必要な人に対しても窓口を縮小してしまうというか、必要な方が受けられていないというような事例があったために、こういう厳しい状況の中で、本当に必要な方はきちんと対応してくださいという意味で出しました。

松浪委員 それはそのときの話であって、その結果がどうなったかというのが私は総括だというふうに思うんですけれども、その後、それは受けられない方が受けられる、それは必要なことだと思います。我々自民党政権下でも、九州の方でも大変自治体が厳しくしていた。それはやはり自治体として私は当然のことだと思いますよ。ただ、御飯が食べたいということが遺書にあって、それで結局また非難されたというような、非常にそこは、必ずせめぎ合いがあるんです。

 幾つかはそういう例も出るけれども、そうでない、全体最適というところも必要なわけであります。私は、これが、部分最適を目指したものであって、全体的にどうであったのかという総括を求めているわけであります。

小宮山国務大臣 それは、その後、生活保護の受給者が年々ふえていることは事実です。

 ただ、これは別にその通知を出したからふえたということではなくて、要件は変えていませんので、そういうことではなくて、経済状況とか高齢化とかそういう要因が大きいというふうに考えています。

松浪委員 経済状況も当然でしょう。しかし、最も政治が行わなければならないことは、いかに人心に対して訴えるかということであります。

 大臣も、厚生労働大臣をされているのであれば、十年前、介護保険が始まった当時の介護の方とおつき合いが多いと思います。異口同音に言われるんじゃないですか。かつては、介護保険が始まった当時、たくさんの高齢者の方がいらっしゃった。わしは保険は払うけれども国の施しは受けないよというような方もいらっしゃった。

 私は、これは別に差別的な意味で申し上げるんじゃなくて、国民の自立心というものが、これは制度が完備されてくるのは大事です、受けられるのも権利だとは思いますけれども、何かそうしたモラルハザードのようなものが身内の中でもあってはならないというような矜持、国民の心理に穴をあけたんじゃないですかというようなことを私は今申し上げているし、そして多分、皆さん、地元に戻ったら、政治家でそういう声を最近よく聞かない方はいらっしゃらないと思います。いやしくも小選挙区で戦っている衆議院の皆さんはそんな怨嗟の声を聞き続けているわけであります。

 ですから、私が申し上げているのは要件の話じゃない。やはり国民に対して、人心をうまさないためにどのように、モラルハザード対策として何ができるのか、何をしたのか、伺います。

小宮山国務大臣 モラルハザードを防止する、このことは大事だということは当然わかっております。そのためには、不正受給に厳正に対処をするということ、また、生活保護受給者の収入の把握状況、課税調査による稼働収入の把握、年金調査による年金収入の把握、こうしたことで把握を徹底することに努めていきたいというふうに思っていますし、今そのようにしています。

 そして、現在、地方自治体が金融機関の各支店に個別に照会している資産調査について、本店に複数支店分を集めて、その口座を一括して照会して、正確にそして効率的に調査が行えるように今しているところでありまして、また、不正事案の告発の目安となる基準、これを策定して、悪質な不正事案に対して告訴などを含めた厳正な対応をする、そういう取り組みを今図っていまして、モラルハザードの防止ということは大変重要だと思っていますので、今取り組みを進めているところです。

松浪委員 大変今の答弁では心を打たないなと思うわけであります。国民が今感じているのは、我々正直者がばかを見ているなということであります。報われないなということであります。

 例えば、私、ジェネリック医薬品の問題も指摘をしました。生活扶助、今医療費が大変大きくなっている中で、我々の後援会の若手であるとか、みんな、医療費がちょっとかかったな、若いけれども、余り行かへんけれどもかかったな、ジェネリックの方が安いからジェネリックにしておこうかなと意識は働くけれども、生活保護の人はみんな何でただなんや、わしら金払って、それでジェネリックを使ってちょっと節約するのに、それでも要らぬのかなと。

 生活保護というのはもともと、自動車とか有価証券とか不動産とか、こうした資産にも限定をされる。憲法から保障される権利からいえば非常にさまざまに制限をされている方々であるから私は生活保護はいただけるんだと思いますけれども、このジェネリック医薬品について、生活保護の皆さんは一律でジェネリックにするということについては問題がありますか。

小宮山国務大臣 ジェネリックの推進ということは、全体に対しても今工程表をつくって、もっと推進をしたいと思っていますが、生活保護の半分が医療扶助であるということからして、生活保護を受けている方にもできればジェネリックを一旦は使ってもらう、そういう方向でそれぞれ対応してもらうようにということを今進めているところです。

 ただ、生活保護だから必ずジェネリックを使わなければいけないというところまでいくのはなかなか、本人の選択ということもあると思いますので、一旦は使ってもらうということを推進する方向で今取り組んでいるところです。

松浪委員 全く、さっきと同じですけれども、これでは心を打たないですよね。国民が今求めているのは、はっきりしてくれ、俺たちはちゃんと働いているんだ、ちゃんとジェネリックを使っているんだと。

 選択権とおっしゃるけれども、生活保護を受けていらっしゃる方は、さっきも申し上げたようなさまざまな制約の中にある。そのうちの制約の一つにこういう矛盾のある状況がないようにしてくれ。それを決めるのが、皆さんおっしゃっていた政治主導じゃないですか。今まで民主党は、権利、権利、権利、権利、権利で来たけれども、こういうこともしましたよというのが皆さんの信頼を回復するんじゃないですか。もう一言伺います。

小宮山国務大臣 もちろん働ける方には働いていただくために、この秋をめどに全体的な生活支援戦略をつくりたいというような、全体としての取り組みもしています。

 ただ、生活保護を受けておいでの方は、高齢で病気にかかりやすいということ、また、精神を病んでいらっしゃる方がふえているということなどから、それは、もちろん一度使ってもらうという方向では今進めています。けれども、必ず使わなければいけないということは、これはいかがなものかと思います。

 ただ、さっきからの御指摘のように、生活保護をもらう方が年金よりもいいとか、働くよりもいいということがないように、今、総合合算制度を審議してもらう研究会の中で、これは仕組みが縦割りにならないように、生活保護、そして年金、また最低賃金、そうしたことの関連についても今審議を始めたところでございますので、全体として取り組んでいきたいと思っています。

松浪委員 済みません。私は、生活保護の方がもうジェネリック一律でいいんじゃないかということを申し上げただけで、高齢だとか精神的に病んでいるとか、そういうのは全く関係ないんじゃないですか。これは、今までの試算はこうだ、健康については、ジェネリックは別に、厚労省が普通の薬と効能は一緒だとおっしゃっているわけですから、そこは全く筋が通らない。少しぐらい決断された方がいいのではないかなと思います。

 もう一点、このジェネリックに加えて伺います。

 私、かつて厚生労働委員会で、生活保護も、これは稼働世代とそうじゃない世代で分けた方がいいんじゃないかと。皆さん、前期後期と言うと嫌がりますけれども、前期生活保護者と後期生活保護者ですよ、極端に言えば。

 稼働できる方々とそうでない方々を分けて、稼働される方々、一週間ずっとハローワークに行っていらっしゃるわけじゃない。ある程度の例えば奉仕活動とか、こういう社会生活に近いものをやっていただくということを義務づけるというか、そういうことを行っていくということも、私は以前も伺いましたけれども、そうした方がいいと思いませんか。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 現在、生活保護の受給者がふえている中で、おっしゃるように、稼働年齢、働ける年齢がふえているということ、これはしっかりした取り組みが必要だと思っていますので、就労によって自立して、働いて、生活保護から脱却してもらえるように、これについては、先ほど申し上げた全体の戦略の中でも大きな柱として、例えば、働いている間に得た収入を貯蓄することによって自立に向かえるようにとか、幾つかの工夫をしたいというふうに思っています。

 ただ、本人の意に反して支援内容を強制するということが、先ほどから意見の違うところですけれども、そこはどこまでするのかということは課題だなと思っています。

 ただ、本当に働けるように、二十四年度から、就労支援の担当者を増員したり、就労に結びつきにくい人に寄り添ってやるような仕組みを入れたり、さまざま、とにかく働ける人には働いていただけるような取り組みはしているところです。

松浪委員 健康で働ける人間が、これは我々も自民党の生活保護プロジェクトチームで、今おっしゃったような貯蓄凍結方式というようなものも、我々も恐らくは同じ認識を持っていますよ。

 そういったことはありながら、やはり今、国家国民の皆さんが納得できないということで、今の話では全然しっかりしないですよね。働くプラス、国からお金をもらうんだから、意に反しても何もなく、奉仕活動ぐらいはしてもらったらどうですか、それだと国民も納得するんじゃないですかということを私は提案したんです。

 何度言っても水かけ論になると思います。これはもうそれ以上聞きません、大体わかりますので。

 では、ちょっと視点を変えます。

 我々も生活保護のプロジェクトチームで西成区、私も大阪ですけれども、西成区へ行ってまいりました。今はパチンコも一玉一円のパチンコもあります。随分安価に行ける。そこで給付日に列もできるんですけれども、生活保護受給者の方がこうしたギャンブルをすることについてはどのようにお考えですか。

小宮山国務大臣 それは、国民の皆様がそれをどう受けとめられるかということも大切な視点だとは思います。

松浪委員 答えてください。

小宮山国務大臣 生活保護を受けながらそういうギャンブルをされるということは、望ましいことではないと思います。

松浪委員 望ましい、望ましくないじゃないと思いますよね。だめでしょう、どう考えても。

小宮山国務大臣 ただ、今の生活保護の仕組みの中では、使途は限定をされていないんです。だけれども、望ましくはないと申し上げました。

松浪委員 あなたは官僚じゃないんですよね。政治家なんです。政治家が決めるんですから、それであれば、今後、私は、ギャンブルはやらない方がいいから、これについてはそうしないように動かすべきだと思いますとお答えになるのが私は政治家の答えだと思いますよ。

 生活保護について、このように申し上げましたけれども、結局、今、この税と社会保障の特別委員会でなぜ私がこのことを申し上げているかというと、国民の意識が、もう今政府に対して信頼がない。そして、みんな心が今崩れ始めている。この崩れている心をしっかりともう一回、日本人らしい、今まで、恥の文化がいいとは思いません、昔は生活保護は恥だとおっしゃった、それがいいとは思わないけれども、ある種の抑制がきいていたというのは事実なんですよ。くれ、くれ、くれ、くれ、くれ、くれじゃなくて、本当に必要なところに必要なだけ、最小限に抑制する心のたがが外れている。

 だから、今申し上げたようなことを私たちも言いたくないですよ。ギャンブルはだめだとか、奉仕活動しろだとか、ジェネリックに全員しろだとか、もともと言いたくはないけれども、言いたくないことを言わなければいけないぐらい、それを今政治に国民は望んでいるんじゃないですか。

 続いて申し上げます。ちょっと時間を随分食い過ぎました。

 今まで、我が自由民主党、民主党の皆さんの公約違反を随分ここで追及してきたと思います。そこで、今回、私、資料として自民党の二〇一〇年のJ―ファイルを配らせていただきました。これは我が自民党の公約であります。

 ここに書かれております、消費税については、経済成長戦略と無駄削減の不断の努力を行いつつ、消費税の税率を引き上げますと。そしてまた、一〇%だけが随分とひとり歩きしていると思うんですけれども、多分、民主党の皆さんも自民党の議員も余り、これを完璧に読んでいるという人は少ないかもしれませんけれども、政権復帰時点で国民の理解を得ながら決定するものとしますと、我々はもう既に公約をしているわけです。抜本改革に当たっては円卓会議を設置しますとなっているんです。

 今、我々は、もし皆さんと一緒に消費税を上げるとなると、これからいえば、あら、政権復帰時点と書いているのに、公約違反だなと私は思うんですけれども、安住大臣、これをどう思われますか。

安住国務大臣 消費税の使い方についてはほとんど私の考えと同じだと思います。ですから、そんな、公約違反なんて狭いことを私は言うつもりは全くございません。

松浪委員 もう一言言いたいところですが、ユーモアがきいていたので、これで了といたします。

 そして、私、さっきも申し上げました、順番違うな、さまざまなこと。私も、この間も代表質問のときに申し上げましたけれども、民主党政権になって、ようやくマイナンバーも進むし、いいこともあるなと思うんですけれども、国民の皆さんは本当に、順番違うなと思っていることはたくさんあると思います。

 歳入庁をつくるとおっしゃっていました。歳入庁をつくれば、アメリカとかいろいろな世界の国々で、保険の収納と納税、一体化している、効率が上がる。先ほどどこかの議員の方が質問されていましたね。国民年金の未納率もこれによって本当に随分上がるんじゃないかなと私も思うんですけれども、どうして歳入庁をつくる前にこうした消費税上げの話になっていくのか。もう三年ですものね、政権になられて。

 今も幼保一体化の話が出ていますけれども、皆さんはもともと子ども家庭省をつくるとおっしゃっていたんですよね。幼稚園は文科省で、保育所は厚労省、おかしい、縦割りだ。では、政策を一体化する前に、ちゃんと官僚を一体化するというのが筋だと思うんです。これは順番が全部違うなと私は思うんですけれども、この歳入庁、子ども家庭省、いつできるんでしょうか。

岡田国務大臣 歳入庁については、この場でも何度か取り上げられておりますので委員も御存じのはずですが、政府の中それから民主党の中で御議論いただいていて、政府の中は既に中間的な取りまとめを行ったところであります。それを受けて、さらに具体的な問題点について今詰めているという段階でございます。まとまった段階で最終決定をするということになります。

 それから、子ども家庭省については、厚労大臣が言われると思いますが、それにまずかわるものとして内閣府の中に本部を立ち上げて、そこで一元化する、こういうことを申し上げているところであります。

小宮山国務大臣 マニフェストの中では、子ども家庭省の設置を検討するというふうにお約束をしています。

 今副総理からお答えいただいたように、今回、その基盤になるものとして、子ども・子育て本部を内閣府につくります。その検討は速やかに進めたいと思っていますが、今、検討の中で一番大きな論点というのは、諸外国は割と教育の方に寄せてこれと似た形の省をつくっているんです。教育に寄せるのか、私どもがそもそも考えていた女性の働き方など労働とか福祉に寄せるのか、そうしたことは議論が必要だというふうに思っています。

松浪委員 本来であれば、政権をとってすぐに皆さんがこれをつくって今の政策をやっていれば、国民の心がこんなにうんだのかどうかというのは、私は、敵にエールを送るわけじゃないですけれども、違ったんじゃないかなと思いますよ。

 そして、この国の形についてでありますけれども、私は自民党の中でも長年、道州制の最右翼で活動してまいりましたし、実は民主党の皆さんもたくさん入っていただいています道州制の超党派の議連は、もう今は百五十人を超えておりますけれども、私も事務局長を務めさせていただいているわけであります。

 今後、この国の形、皆さんは地域主権とおっしゃったけれども、一丁目一番地が余り一丁目じゃなかったな、六丁目五十三番地ぐらいだったのかな、後ろまで随分行ってしまったなという感はあるんですけれども、自民党も、次の公約、七本柱の一本目に憲法改正と道州制を据えてきた。我々も道州制基本法の策定を、党内ではもうほぼ作業を終えてきているわけであります。みんなの党さんは提出をされているし、そしてまた、公明党さんも道州制についてもうプロジェクトチームを立ち上げて随分議論を進めていらっしゃる。残念ながら、民主党だけが随分進んでいないなというふうに私は思うわけであります。

 今の中央集権をもとにすれば、消費税のあり方、自民党の先ほどの公約もありました、こういう社会保障と結びつけるという考え方も一つかもしれませんが、今後、次は多分、民主党の皆さんは政権をとらないと私は思いますよ。かなりの確率で、とれると思っていらっしゃる方はいらっしゃらない。

 その中で、次は、道州制になったときに、地方交付税、この部分については、安定財源を置くというのは道州制論者の中では割と一般的な議論であります。地方消費税にする、消費税のかなりの部分を、これを地方交付税に変えてくるんだという考え方が大きくある中で、私、非常にむなしく思いますのは、次の政権をとらない皆さんが今後長年にわたる消費税のシステムについて今ここで議論していること自体が滑稽であって、本当に早く解散をなさる、これが国民のためだと思います。

 総務大臣に伺います。地方消費税こそが地方の安定財源となるべきだという考え方がありますけれども、どのようにお考えですか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 現行の五%の消費税のうちの一%は地方消費税ということで、消費税全般には偏在性が少ない、そして年度間の変動も比較的少ないということで、地方の部分のまさに自主的な財源として一%分が配賦してあります。

 現在御審議をお願いしている五%アップする分においては、これは基本的に社会保障の財源として、安定的な社会保障の維持、継続、発展に資するということが目的でありますので、国と地方の社会保障の役割分担に応じて配分するということと考えているところでございます。

松浪委員 先ほどのジェネリックの問題しかり何しかりなんですけれども、最初に削減努力があって初めて上げるという話になるわけでありまして、削減努力が不十分なままで幾ら上げても、これは穴のあいたバケツに水を入れるようなものだと思います。ですから、これまで、さっきも私もあえて申しました、タブーだと思われていたようなことまで切り込んでいるんだということがないと、結局国民は納得しないということなんですよ。

 ですから、我々も地元でよく伺いますね、陳情を受けますね。うちのおじいちゃん、九十五歳なんですけれども、脳溢血で倒れて呼吸器をつけられて、それで亡くなるに亡くなれなくて、もう病院三つ目なんですけれども、三カ月過ぎたから、先生、また新しい病院を紹介してくださいと。リビングウイルさえとっておいたら、本当にこれはクオリティー・オブ・ライフの、QOLの高い医療なのかなと、皆さん矛盾をいつも感じて地元で走っていらっしゃるはずです。

 我々、与党時代は後期高齢者医療制度で終末期相談支援料も潰されてしまいましたけれども、終末期相談支援料、僕は正しかったと思いますよ、大臣。今、もうそれぐらいでどうこうなる段階じゃない。

 終末期医療でリビングウイルを全国民からとったら、医療費は、多分、かなりの部分変わってくると思うんですね。もっと質の高い部分に転換できてくると思うんですけれども、こういうものについて試算をされたことはありますか。

小宮山国務大臣 リビングウイルという考え方は、私も大切な考え方だと思っています。

 厚労省は、平成十九年に終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン、これを策定して現場に普及を図っています。ただ、終末期の医療費については、その総額自体がわからない状況なんですね。リビングウイルによって治療方法がどう変化するか、推計することは困難ですので、そのような数字は出していません。

松浪委員 冒頭から申しておりますけれども、今までの議論のタブーにも突っ込んでいくんだ、ここまでやるから、ここまで削減するから、命まで削るから消費税を上げさせてくださいというぐらいの感覚でないと、本当に国民の納得は得られないと思いますよ。

 それで、ちょっと、もう最後になりましたので、五月二十三日は、予防接種部会、厚生審議会の方でワクチンの話も進んでいます。予防医療もこれから皆保険との整合性というものを図っていくべき時期に来ていると私は思いますけれども、今、地方の皆さんは大変心配されていますね。三ワクチンが随分新聞で出ております、今回、三ワクチンを定期化すると。これは、市町村にとっては、今まで一対一だったものが、いきなりまた、こちら、市町村に全部かかってくる。今までも、確かに、予防接種法の中には実費徴収をすることができると書かれていますよ。しかし、定期一類で市町村が実費徴収しているほぼ全て、全額助成していますよ。実質動いていない。

 だから、こういうものを今後隠れみのにして、今回の三種のワクチン、どういう扱いになっているのか、市町村との話し合い、これはちゃんとついているのかどうか、川端大臣とそれから厚生大臣に伺います。

川端国務大臣 今御指摘の厚労省の厚生科学審議会予防接種部会には、全国市長会、全国町村会からも御参加をいただいて議論していただいた結果、今お触れいただきましたが、正確には、五月二十三日に部会から、子宮頸がん、Hib、小児用肺炎球菌の三ワクチンについては、来年度以降も円滑な接種が行えるようにする必要がある旨の御提言をいただきました。

 一方で、三ワクチンの費用負担については、平成二十四年度末までは子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進基金を活用しているところでございますが、三ワクチンについて定期接種化を行った場合には市町村の財政負担が増加する、御指摘のとおりでありますので、同提言においても、接種費用の負担のあり方については市町村等関係者と十分に調整しつつ検討することとしており、なお課題が残っているというふうに認識をしております。

小宮山国務大臣 定期接種化の予防接種法を国会になるべく早く提出したいと思っていますが、言われますように、地方の財源のこと、これは地方と丁寧に議論をしていきたいというふうに思っておりますので、そこで調整がつき次第、法案を出したいと思っています。

松浪委員 では、まだこれは確定していないということでよろしいんですか。新聞はちょっと走り過ぎなんですか。市町村との調整というのはまだ全くついていないという認識でよろしいんですね。

小宮山国務大臣 国と地方の協議の場などでも、こうした社会保障の費用の持ち方については昨年来議論をしてきているところでございますので、その線上で、また総務省とも協力をしながら話を詰めていきたいと思っています。

川端国務大臣 昨年十二月に地方と協議を行って、関係四大臣で合意いたしました「平成二十四年度以降の子どものための手当等の取扱いについて」において、平成二十五年度以降に生じる年少扶養控除の廃止等による地方の追加増収分等約八百九十一億円の取り扱いについて、「基金設置による国庫補助事業の財源に代わる恒久的な財源として、子育て分野の現物サービスに活用することとし、その具体的内容は今後検討する」ということにしておりますので、今後、三ワクチンの定期接種化については、その財源措置のあり方も含め、地方の御意見を十分伺いながら検討してまいりたいというふうに思っております。

松浪委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて松浪君の質疑は終了いたしました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、一時間時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 いろいろと法案の中身についてもお聞きしたいんですが、それ以外の大事なこともありますので、まずそちらをお聞きいたします。

 副総理にお聞きをしたいんですが、これは通告をいたしておりませんが、政治家としての御発言がいただけると思いますのでお聞きをしたいんです。

 十二時三十三分に野田総理と小沢元代表の会談が終わった、こういうことで、テレビでも、生で、ライブで中継がなされておりましたけれども、元代表のところしか私たちは聞いておりません。まあ野田総理もその後記者会見なさるということでありますけれども。

 この会談について、これは我々から見ても、今審議中のこの法案に大変大きな影響を与えるのではないかと私は個人的に思いますが、この会談の帰趨というものを岡田副総理はどのようにお考えか、また、御自身の、こうなってほしいということも含めて、御答弁をいただければありがたいと思います。

岡田国務大臣 私も先ほど小沢元代表のぶら下がりはテレビで見ておりましたが、総理も恐らくぶら下がりをされるだろうと思いますが、それは見ておりませんので正確に中身を把握できておりません。

 そういう段階ですから一般論で申し上げますが、総理は真摯に社会保障・税一体改革の必要性について御説明になったんだろうというふうに思います。それが最終的に了解ということにはならなかったようですのでそこは残念に思いますが、総理の全くぶれないそういう姿勢というのは明らかになったというふうに思います。

石田(祝)委員 私も、この委員会の議論はずっと見ておったり、あと新聞報道等で見ますけれども、副総理、どう考えても、この議院内閣制の中で内閣で提出される、それで、与党の中が今総理と元代表が話し合いをしているなんということは、これは遺憾千万なことじゃないんですか。

 要するに、少なくとも与党がまとまって提案をして、では野党はどうするのかと。そこでどういうふうに委員会の中で合意形成をするか。これは、委員会の合意形成を目指している中で与党の合意形成を今目指しているという話ですから、まさしく時計の針が逆に回っているような感じが私はいたします。

 これは、これ以上申し上げませんけれども、この委員会で閣法として審議をする、ある意味では条件になっているのかね、こういうことを私は率直に申し上げたいと思います。

 続きまして、これは通告しておりますのでお聞きをしたいんですが、自由民主党のことで私が言うのもなんでありますけれども、社会保障制度に関する特命委員会で改革基本法をまとめたと。この自民党の提案に対しても、与党、まあ総理も、あながち、これは全部だめだとおっしゃっていないような気もいたします。国民会議ですね。

 その中で、しかし、この自民党の決定した中には、年金や医療については現行制度を基本とする、こういうことも書かれているようでありますけれども、これについて副総理はどのようにお考えか、御意見をお伺いしたいと思います。

岡田国務大臣 まずその前に、先ほどの御発言ですけれども、この社会保障・税一体改革は、もちろん、きちんと内閣で閣議決定してお出しをさせていただいているものでございます。その前には党の議論も尽くしております。そういう意味では、中には、個々には違う意見の方もいらっしゃることも事実ですが、これは、党としてしっかりと意思統一をして、そして閣議決定を経て出てきたということは申し上げておきたいと思います。

 その上で、自民党の方で先日お出しになったことに関してですけれども、個々にはちょっと我々と考え方が違うというものがございます。

 特に、全体について協議会をつくってそこで議論するということではなくて、やはり、我々は具体的に法案を出させていただいておりますので、ぜひ、出ているものについては、今、現に御議論いただくためにこの委員会はあるわけですし、御議論いただきたいというふうに思っているところでございます。

 ただ、ああいう協議の場をつくるという御提案をいただいたことは大変我々の従来の主張にも近いことで、さまざまな問題についてしっかり協議をしていくということは重要だというふうに思っております。

石田(祝)委員 副総理が私の一番最初にお聞きした件で、閣議決定している、こういうお話をされましたけれども、国民の目から見たら、要するに総理と元代表が会うことがニュースになる。これは、一面、新聞のトップじゃないですか。これは一体何なんですかと。どう見たって、与党の中が一致団結しているなんて誰も思っていませんよ。どういうふうに言われているか、それは我々もわかりませんけれども、やはり与党の中はまとまっていないね、これが国民大多数の思いじゃないですか。

 副総理は、そういうふうにおっしゃって、手続的に瑕疵はないということをおっしゃりたい、また、それを閣議決定して出してきているんだと、こういうことでしょうけれども、これは国民の目から見ても、誰が見ても、与党の中が一体改革のこういう法案について、特に消費税の問題については意見がまとまっていない、ばらばらである、そういう中で委員会が進んでいっているのかねと、こういう思いが率直なところじゃないでしょうか。これについてはこれ以上申し上げません。

 では、引き続いて、これは副総理と厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、平成十六年改正、いわゆる年金百年安心プラン、この案についての認識と評価ですね。

 これは、当時、野党時代の民主党の皆さんから私たちは大変大きな批判をいただいたと思っておりますけれども、その当時の認識の評価と、現在はどうなのか。これは、副総理と厚生労働大臣、それぞれからお答えをいただきたいと思います。

岡田国務大臣 この場でも何度か申し上げましたが、私は、やはり、あのときの年金改正の中で、国民年金の問題、これが一番気になったところでございます。

 国民年金そのものは、計算上これも成り立つということで、そのことはこの場でも私は申し上げているわけですけれども、しかし、そこに入っていない、そういう方がたくさんいる。そもそも、自営業者を前提にして、ある程度資産もあるという前提で国民年金がつくられたときは、ある意味では自分の判断で入らないことも、それはいいことではないけれども、結果的には容認するという部分もあったかもしれません。

 しかし、今や国民年金というのは、非正規で働く方、所得の少ない方がたくさん入っておられて、やはり、きちっとそういう方も含めて入っていただいて機能しなければいけない。しかし、なかなかお入りいただいていない方もたくさんいる。結果的に、老後の生活がきちんと保障されずに、生活保護に行かざるを得ないという状況はやはり適切なものではないので、もう少し多くの方が入れるというか、入る仕組みをつくってということで、我々、最低保障年金あるいは年金の一元化ということを申し上げたところでございます。

 私、国民年金は壊れているという表現、党首討論などでも使っておりまして、そこは行き過ぎがあったということはおわび申し上げたいと思いますが、何といいますか、計算上は成り立っているけれども、本来の趣旨からいうと、外にこぼれているそういった方々について、きちんと、そういう方々も含めて年金制度というのはなければならないんだろう、そういう問題意識は今も変わっておりません。

小宮山国務大臣 野党のころに、十六年度改正につきましていろいろ厳しいことを申し上げたこと、失礼があったとすれば、そこはおわびを申し上げたいと思っています。

 現在の制度に、今も副総理からもお話ありましたけれども、国民年金の構造が変わってきている中で低年金とか無年金の人がふえている、そこをどうしたらいいかという問題意識から私どもは新しい年金制度を提案いたしました。

 ただ、その十六年度改正で、基礎年金の国庫負担二分の一ですとかマクロ経済スライドとか、持続可能な仕組みがきちんとそこに組み込まれたということには、率直に敬意を表したいと思います。

石田(祝)委員 厚生労働大臣にちょっとお聞きしますが、今の御答弁で、厳しいことを申し上げたと、こうおっしゃいましたよね。我々は幾ら厳しいことを言われてもいいんですよ、それは、当然、そのときは与党ですし、提案をする側ですから。厳しいことをおっしゃっていても、それは結構なんですよ、その当時のことは、野党という立場でおっしゃったんでしょう。

 では、振り返ってみて、その当時、自分が、厳しいという御答弁でしたけれども、その批判は正しかったんですか。今、いろいろなところでお聞きをすると、当時、もう年金は壊れている、百年安心プランはもう破綻している、そうおっしゃっていた方が、いや、百年は安心だよと、こういう逆のことを言っているらしいんですよね。

 厚生労働大臣、では、結果的に、そのとき言っていたことは正しかったんですか、間違っていたんですか。どうなんですか。

小宮山国務大臣 今申し上げたように、低年金、無年金の人がふえている国民年金の問題があるということ、その問題意識自体は今も変わらずにございます。

 ただ、そのときに厳しく批判をしたために、若い方を中心に、今の年金制度がもたないというような意識を強く持たれたとすれば、そこはおわびを申し上げるということを申し上げました。

石田(祝)委員 それは、まさしく今おっしゃったとおりなんですよ。余りにも、破綻をしている破綻をしていると言い続けて、それを結局まともに信じた特に若い人たちが、では、もう、もらえないんだったら年金に入るのをやめようと。これは、今は、任意の世界じゃないですから、強制加入になっておりますから。

 それで、そういう発言で、どう責任をとられるのか。例えば、そういう方が、入らなくて、体が不自由になったときには、これは誰が責任をとるんですか。障害年金、出ないんですよ。これは、私は非常に大事な問題ではないのかと。

 私は、厳しい意見を野党が与党に言うのは当然だと思うんですね。しかし、特に年金問題で、壊れているといって、払う人が誰がいますか。そういうものを信じた人は、払わないで、では貯金しておこうと。そのときに、先ほど申し上げた、不幸にして交通事故等で障害認定されたと。入っていれば障害年金が出るじゃないですか。そういう人は出ませんよ、一円も。

 これは、何人の方がいるかということを調べて私は申し上げているわけではありません。制度的にそうなる。しかし、ある意味でいえば、入らないような一種の誘導といったらこれは失礼ですけれども、そういうことを信じた人は、これは私はゼロだとは言えないと思いますよ。

 ですから、そういうところの責任というものをお感じになっているのか、そういうことであります。

 それと、もう一つは、無年金の問題はその当時もあるとおっしゃったわけですね。では、今回のこの出されている法案というのは、この無年金を解消するようになっているんですか。これはどうですか。

小宮山国務大臣 今、民主党の方で議論をしている新しい年金制度ということを一つは考えていますが、今回の法案の中では、例えば年金の資格が生じる期間を二十五年から十年に減らしたことによって、今まで満たない分を掛けた保険料、それが給付に結びつくということがございますし、また、短時間労働者への社会保険の適用拡大ということなど、その無年金、低年金に対しまして、幾つかの対応はさせていただいていると思っています。

石田(祝)委員 ですから、この問題は、我が党も、二十五年の受給資格期間、得るための二十五年は長い、そういうことで、十年ということも提案をしてきております。

 今回、二十五年から受給期間を十年にする、これは、私は、ある一定評価、ちょっと別の問題も当然ありますけれども、できると思いますが、根本的にやろうとおっしゃっていた最低保障年金、または全ての年金の一元化、これは今回は入っておりませんよね。

 これでちょっと私はお伺いしたいんですが、これは副総理の方がいいと思いますが、これを、今までの答弁をお聞きすると、私の知る範囲では、来年出しますと、こういう話ですね。来年といっても、一月一日から十二月三十一日まで三百六十五日あるんですけれども、いつ出されるんですか。

岡田国務大臣 今党で検討している新しい年金制度、いろいろ活発に議論はなされているというふうに私聞いておりますが、そういったものがまとまり、そして、できればそれは与野党できちんと調整をして、国会に、来年のいずれかの機会にお出しをしたい、そういうことだと思います。

石田(祝)委員 ちょっと聞き漏らしたんですが、来年の通常国会ですか。

岡田国務大臣 来年のいつかということはまだ決めておりません。まず党で検討していただいた上で、政府としても、それをもとにきちんと議論をしなければなりません。あるいは、野党の皆さんとの協議も必要だと思います。来年のいつかというところを申し上げるまでには至っていないということでございます。

石田(祝)委員 副総理、私たちの任期は来年の八月二十九日までなんですよ。来年といったって、その八月二十九日以降に出すなんということはあり得ないわけなんです。そうでしょう。

 だから、そういう約束をして選挙をやられて、我々も、政権交代した後、マニフェストについていろいろ申し上げた。そうすると、いや、衆議院の任期は四年間あるんだ、四年の中で考えるんだとおっしゃっていたじゃないですか。だったら、来年中なんというのは、来年の八月三十日以降は、今の衆議院議員は誰一人としていないんですよ。

 私がなぜこういうことを言うかというと、今回の法案提出については、例えば、二十四年の通常国会に出すとか、明確に書かれているんですよ、ほかの法案は。しかし、この最低保障年金のところだけは、二十五年中に出すとしか書いていないんですよ。ほかのは、どの国会に出すということが明確に書かれている。しかし、これだけは、二十五年中に出すとしか書かれていないから、一体いつ出すんですかと、こういうことなんですよ。

 それで、この最低保障年金の問題と一元化の問題、これは、二〇〇九年の衆議院選挙で言い出したわけじゃないんでしょう。もともと二〇〇四年ぐらいから言っているじゃないですか。それを、今党で熱心に議論していただいていますなんと言ったら、これは、有権者は怒るんじゃないですか。

 二〇〇四年からずっと言っているんでしょう。少なくとも、二〇〇九年の選挙までは五年間ぐらいあって、その選挙が終わったら、まあ今まで何をしていたのか私はよくわかりませんけれども。これは、今まで何をやっていたんですか、党内でどんな議論をしていたんですか。熱心にやっていました、やっていますというのはよくわかるんですけれども、現実に私たちが見ると、有権者から見ると、もう八年も九年も前から言っているんですよ、これは。その間に国政選挙は何回やっていますか。そのたびごとに約束しているじゃないですか。

 それで、最後、政権を握る前は数字がわからないから、与党にならないとわからないこともあるんだ、こういう御答弁もどこかでどなたかがおっしゃっていたように思いますけれども、さらにこの期に及んで、まだ、来年の八月二十九日に任期が切れるのに、いつ出すか言えない。

 副総理、これはちょっとおかしくないですか。御自身も党の幹部として、代表もなさって、幹事長もなさって、党務をリードしてきた方ですよね。その方が、八年も九年もの間の議論をしてきていて、今なお、党の中で熱心に議論をしていただいていて、いつ出せるかわからないと。これはいささか私は無責任だと思いますけれども、いかがですか。

岡田国務大臣 この議論は、もう随分この委員会でも、あるいは厚労委員会で坂口先生との間でもさせていただいておりますので、余り繰り返して申し上げるつもりはございません。

 基本的考え方は大体固まって、しかし、数字に落とすとどうなるか、やはり幾つかのケースに分けて計算しなければいけない、そういうふうに思います。

 そもそも、前提の数字をどうかということも、きょうも、ある委員から、楽観的過ぎるんじゃないかと。我々は、これは百年安心プランをおつくりになったときの数字に合わせて、その数字をそのまま使っているわけですが、今の現実、その後の実績もある程度出てきていますから、それと比べると少し乖離もあるということで、そういったこともどう考えていくかという問題もあります。いずれにしても、そういうことを踏まえて、来年のしかるべきときに出す。

 委員の御指摘になった、任期が切れるじゃないか、そういう御指摘というのは、それはそれで筋の通った御主張だというふうに思いますが、我々としては、今、検討を党の方で行っていただいているということです。

 それから、坂口先生に申し上げたことは、やはり、現在の制度のその延長線上でそれを改良することでやっていけるという御党を初めとする御主張と、新しい制度にしないと難しいんじゃないかという我々の主張と、両方あります。

 ただ、総理も言っておられるように、それは全くかけ離れたものなのかどうか。入り口と出口が逆になっているけれども、結局、どこかでそれが合意に達するということも私は可能だと思いますので、やはり、そういう協議の場で両方の案をテーブルにのせて、そして議論させていただく、それが私は一番いいんだと思います。

 我が党だけで法案を出すより、できれば、各党で合意して、そして各党でまとまって国会に法案を出していく、そういう形が何とかつくれないものかというふうに思っております。

石田(祝)委員 副総理、副総理の考え方が間違っているんですよ。

 要するに、前の政権の私たちの案というのは、今まさしく動いているのが私たちの案なんですよ。百年安心プランでいろいろ批判されたけれども、財政検証をやって、大丈夫だと。そして、総理だってそうおっしゃっているんでしょう、安心だと。だから、自民党も出してください、公明党も出してください、私たちも出して、協議して、一本にして案を出しましょうじゃないんですよ。我々のはもう今の案なんですよ。そうでしょう。

 だから、その改善案は、当然見直さなきゃいけないから、我々も、二十五年を十年にしたらどうかとか、そういう提案をしているわけです。ですから、これは副総理のお考え方がちょっと違っていますよ。出ていないのは民主党の案なんですよ。ですから、今内閣にいるんですから、閣法で出されたらいいんですよ。

 私たちの案が今あるわけです。今の動いている案というのは、自民党、公明党が百年安心プランで直したじゃないですか。上限まで決めて、毎年保険料率を上げていきます、マクロ経済スライド、そして積立金も一年分残して百年間でバランスをとるようにする、そして、もらう人も辛抱してください、だんだんと低減させていくと。こういう厳しいことを有権者にお願いして、批判も受けましたけれども、案は我々は出しているんですよ。全く白地で、出してくださいよ、お互いに土俵に上がりましょうというんじゃないんですよ。だから、出ていないのは政府案、民主党案なんですよ。

 そこをどうも、副総理、僕、いろいろと聞いたり見たりしていると、両方が出していないからというふうな印象を受けるような答弁なんですよ。これは明確に間違っていますから。

 早くまとめていただきたいし、私たちも、民主党のいろいろな今までのマニフェスト、できていないじゃないか、できていないじゃないかと言ったときに、いや、四年間の約束なんだと、こうおっしゃっているわけですから。

 政権をとるまでわからなかったことがあるんですと。それはそうでしょう。しかし、もうちょっと言うと、副総理だって自民党だったじゃないですか、長く。だから政権も経験しているじゃないですか。数字がわからなかったと。

 では、この何年間か与党で政権を担ってやっていらっしゃって、少なくても来年の任期が終わるまでに案をまとめて国会に提出をしないと、これはマニフェスト違反どころじゃないですよ。全く何もなかったということじゃないですか。

 私は、自分で選挙を二〇〇九年にやりまして、大変厳しかったですよ。民主党の提案の最低保障年金、これは、人によっては、民主党が政権をとったら、あしたからくれるんじゃないかと思った人はたくさんいるんですよ。それは思った方が悪いといえばそうかもしれませんけれども、そう思わすような発言をあちらこちらで選挙中にされているんです。ですから、もうそろそろ、二年八カ月、九カ月過ぎて、その影も形も見えないんじゃ困るじゃないですか。

 では、もう一度、もうこれ以上お聞きしませんので、最後に、この提出時期について、やはりこれは、衆議院議員の国民から与えられた任期、その中で形を出さないと、これは全くのでたらめですよ。

岡田国務大臣 委員の御指摘は、先ほど言いましたように、一定の筋の通ったものだと思います。ただ、党で今検討しているところですから、それを待たないといけない部分がありますので、閣僚である私が、党で検討しているものについて何か申し上げるということは現時点ではできないということでございます。

 それから、先ほどの、もちろん、自民党、公明党中心におつくりになった案が今動いているわけですから、それはそのとおりなんですね。ただ、その後、物価スライドに応じて下げていないとか、マクロ経済スライドはデフレ下で発動されていないとか、そういうところもどういうふうに考えていくのかという議論が要ると思うんですね。

 それから、前提条件も、本当に予想運用益とか成長率とか、そういうものも現実とは少し乖離がございます。そういうものをもう一度見直して、それは私どもの案も同じ条件なんですけれども、そういう議論も私は必要なんだろうと。国民に対して信頼感を与えるためにも、そういったことをきちんと出していくということは、私は、現行制度の改善でやるとしても、意味のあることだというふうに思っております。

石田(祝)委員 時間がなくなるのでこれ以上言いませんけれども、副総理、これだけ言っておきます。

 いろいろな、例えば予定利回りとか、そんなのは変わるわけです。いや、変わるかもしれないから今できませんと。そうしたら、あなた、半年たったらまた変わるかもしれませんから、いつまでもできないじゃないですか。

 それは、どこかのところで、ある時点での予定利率とかいろいろ決めて、こういう予定利率です、経済成長率はこうです、こういう前提の中でこういう案をつくりましたと、こうじゃないと、いつも流動しているわけですから、どこかの、ある時点をとってそれは決めていかざるを得ないんじゃないですか。それをああだこうだと言われても、結局つくれていないということは間違いないので、私は、早く任期中にお出しになるべきであると、こういうふうに申し上げます。

岡田国務大臣 ちょっと誤解を招くといけませんので申し上げておきますが、私がその前提条件の話をしましたのは、これから出すとすれば、我々、前提条件、何といいますか、去年行った試算、これは御党が与党のときにおつくりになった百年安心プランと同じ前提で計算させていただいているんですね。しかし、それから時間もたちましたから、私は、今どういう前提で計算するかということをきちんと議論しなければいけないというふうに思っているわけです。

 そのときに、では、御党の今の動いている案も、前提が変わったときにどう変わるかということをあわせ検証しなければいけない、幾つかのケースを置いてそういうこともしっかりやっていく必要があるというふうに思っております。

石田(祝)委員 これは、ちょっと考え方が違うんでしょうかね。

 我々も、つくって、それまでは財政再計算と言っていましたけれども、財政検証、こういうことで見直すことにはなっているわけですね。しかし、民主党、今の政府は、案そのものがないじゃないですか、何か斜めに線の入った絵みたいなのはありますけれども。だから、これを早くお出しになると。

 出す出すと言っているわけですから、四年間の、少なくても、衆議院はいつ解散になるか当然わからないわけですけれども、これは、百歩譲っても、来年出します、ああ、さようでございますか、ではいつですか、年末ですなんという話になったら、これはもう、有権者も国民も愛想を尽かすんじゃないかと思います。

 それで、これはこれ以上やっても時間が、ほかのこともありますので進みますけれども、今回の改正案と新年金制度の関係についてお伺いしたいんです。

 今回の改正案は、新しい、副総理がおっしゃるような、最低保障年金、また、一元化というのはまだ諦めていないようでありますけれども、それの一里塚ですか、それとも、今回は全く関係ない、今の制度の若干の改正案であると。どういう位置づけになっていますか。これは、副総理と厚生労働大臣、それぞれからお聞きします。

岡田国務大臣 質的には異なるものです。我々の新しい年金制度とは違うものでございます。

 ただ、方向性として、何が対応しなければいけない課題かということを考えたときに、一つの答えを出すものである、そういうふうには言えると思います。

小宮山国務大臣 新制度をつくるとしましても、その創設までに一定の環境整備などが要りますので時間を要するということ、また、新制度が発足をしたとしても当面は現行制度からも支給をされるということから、先ほどから申し上げている低年金、無年金をなるべくなくしていくというような方向性に沿いまして現行制度の改善を図るというものだと考えています。

石田(祝)委員 やはり、もとの案が出ておりませんので、これは今の年金制度の改善案、こういうことでしょうね。

 それで、今回、社会保障と税の一体改革、こういうふうに銘打たれておりますが、たしか、私の記憶間違いでなかったら、以前は税と社会保障という順番になっていたように思います。これは、私の地元も、民主党の会合があって、その会合の横断幕に税と社会保障と書いて、来られた方が大変怒ったということも言われておりましたけれども、正直に出されたんじゃないかなという気もいたしますが。

 今回、十一本法律があって七本をやっているわけですが、これは、端的に言って、財政の健全化が目的なのか、それとも社会保障の充実が目的なのか。これはぜひ、副総理と財務大臣、厚生労働大臣、それぞれ、どういうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

安住国務大臣 私が最初に出ると、何か税と社会保障と言われそうでございますが。

 私どもの側の考え方というのは、一言で言えば、足らず前の、また後世に対するツケ回しをしている部分について、やはり財政の改善と社会保障の充実をぜひしていただきたい、それと同時に、スリム化といいますか効率化を図っていくという点からということでございますが、国民の皆さんにできるだけ知っていただくためには、年金、介護、医療というものを入り口として広くお話をさせていただいたところで税というものの必要性を理解していただくということで、そういう順番になったかなと思っております。

小宮山国務大臣 今、現在の予算の中で、御承知のように、社会保障に関する経費というのが、国債の償還、地方へ行くお金を除いた一般予算の中の半分を占めているということからも、ずっと後世にツケ回しをしていることのかなりの部分が、社会保障を維持するためにツケ回しをしているという見方もできるわけでございます。

 ですから、何とか、世界の中でもいい皆年金、皆保険というような仕組みを持った日本の社会保障制度を少しでもよりよい形に改善して、世代間、世代内の公平も保ちながら次の世代に手渡していくためには、しっかりとした財源が必要ですので、社会保障と税の一体改革ということだと考えています。

岡田国務大臣 基本的に、今厚労大臣も言われたとおりでありまして、社会保障、税の改革というときに、社会保障の持続可能性と財政の持続可能性というのは、ほぼイコールだと私は思います。したがって、それは、どちらというよりは双方、そういう意味で一体改革だということを申し上げているわけです。

 あわせて、今回、今は借金して社会保障をやっているという状態が、その分の一部は消費税に置きかわるわけですが、そうすることによって未来世代、次の世代の負担というものが減り、現役世代あるいは現在の高齢者も含めたそういう負担に置きかわる。それから、歳出の方も、子ども・子育てにより重点を置くことで、高齢者世代よりも現役世代に多少シフトする。そういうことも今回の改革の狙いであるということでございます。

石田(祝)委員 両方の目的、二兎を追うという感じもいたしますけれども。

 続いて、財務大臣にお伺いをしたいんですが、今年度というんですか、基礎年金の支出額の二分の一と現在の三六%ぐらいですか、差額を交付国債でやろうと。これは、私たちは、いわゆる数字を表に出さないようにしてこそくではないか、こういうことを申し上げてきたわけであります。

 明確に大臣がおっしゃっているかどうかちょっと確認ができなかったんですが、新聞等を見ますと、年金交付国債見送りもとか、いろいろな見直し論、こういうことが文字で書かれております。年金交付国債撤回で調整とかですね。

 これは、財務大臣、どうなんですか。私は、交付国債というのは、今までも、いわゆる戦争で犠牲になられた方へ、またその御苦労をされた御家族に交付国債を発行して、現金化するときにそれを切り取って現金にかえる、そのときに支出が発生する、そういう仕組みは存じておりますけれども、ちょっとこれは違うんじゃないのかなという気がするんですね。

 ここのところは、実際は、この交付国債を発行する法律もまだ審議の入り口にも立っていないような気もしますけれども、撤回をするんじゃないかとか見直しをするんじゃないかとか、いろいろ、発言というんですか、そういう記事もありますけれども、これは財務大臣、どのようにお考えなんですか。

安住国務大臣 私としては、提案をさせていただいている以上、予算委員会では本当に毎日のようにこの問題、質疑いただきましたけれども、やはり、私どもとしては、交付国債のこの法案を何とか成立させていただければと今も思っております。

 ただし、過日、予算が成立をする最終段階において、参議院側から、自民党の先生方からも、基本的な自民党の考えとして、これは交付国債ではなくて、つなぎ国債的な処理をちゃんとしたらどうだというようなこともありました。ただ、御存じのように、中期フレームを含めて、健全化に向けてやるにはどうしたらいいかとか、さまざまな問題がございます。

 ただ、粉飾的と言われれば、私も、粉飾というのは隠すわけですけれども、これはもう全てオープンにして、償還財源も決めて一応出させてはいただいておりますけれども、しかし、議会のことでございますので、十分各党間で、それぞれの案は出ておりますので、それは議論をしていただいて、解決の出口を見出していただくなり、御存じのとおり、もう委員会すらなかなか、率直に言って、これは厚労委員会になると思いますけれども、提案した後、動かない状況でございますので、そういうことであれば、前に行くための話し合いというものはぜひしていただければと思っているというところでございます。

石田(祝)委員 続いてお伺いしたいんですけれども、今回の年金制度の改革とこの消費税の増税というもの、これはリンクをしているのか。

 どうしてこういうことを聞くかといいますと、例えば、今回、改善、短時間労働者にも適用するよとか、いろいろと、前に転がすような、進めるような案も出ているんですけれども、大体が、いわゆる消費税の法案が通ってそれが施行されるときに一緒にやりましょうと、こういうふうになっているんですね。これは財源論からいっているんでしょうけれども、これは別に、切り離してやっても何ら法的に構わないですよね。そういうふうに決めて、年金の受給者に、ちょっといいことするから消費税を認めてよと。言い方だと、こういうことになるわけですね。

 これは、実際、リンクをしているんですか。どうでしょうか。

小宮山国務大臣 低所得者への年金額加算とか受給資格期間の短縮など最低保障機能強化のための費用、これは、社会保障の費用はあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、消費税引き上げによる増収分を充てるということにいたしまして、その旨をこの年金機能強化法案の条文に明記をしているところです。

石田(祝)委員 今回、例えば二〇一五年十月ですか、五%上げると、これは今の計算されている金額では十三・五兆円分上がる。それで、詳しい中身を見ますと、社会保障の充実というのが二・七兆、消費税一%分。消費税引き上げに伴う増、いろいろこれは手続的に、五%から一〇%に上がって当然払わなきゃいけないのが出てくる。〇・八兆。それから、年金の国庫負担二分の一、二・九兆、これは交付国債償還費用含むとなっておりますけれども。

 それで、この一番大きい金額は七・〇兆、後代への、後への負担のツケ回しの軽減。私は、言葉で、ツケ回しというのは余りよくないんじゃないかなという気もしますけれども、言葉の問題は別にしまして、財務大臣、この七・〇兆円、これは消費税でいくと二%、二・五%ぐらいになるんでしょうか。これは一体何なんですか。ただのツケ回しだ、今はそれで出されているから、これは新たに上げたものでそこをカバーしよう、こういうことですか。

 私は、質問の通告をするときに、この七・〇兆の中身というのは何ですかということをお聞きしたんですが、この中身は一体何ですか。

安住国務大臣 この七兆円につきましては、一言で言えば、足らず前のお金でございますということは申し上げております。つまり、社会保障の安定財源不足に対応するものであります。

 そこで、具体的に、では年金、医療、介護、少子化にこれを当てはめたときに、例えば額が出せるのかという御指摘でございますが、これは仮に、引き上げ時において、現行ベースの今行っている社会保障の四経費の各分野の比率に応じ、この七兆円を機械的に配分した場合には、次のようになります。

 年金一・六兆円程度、医療三・三兆円程度、介護一・四兆円程度、少子化〇・七兆円程度ということでございますが、これは先生、あくまで機械的な配分という形でいえば、内訳はそういうことになります。

石田(祝)委員 それで、私が非常に疑問に思うことは、いわゆる赤字国債、特例公債、そこでお願いしているところというのは、いわゆる社会保障だけがそういうところに充てられているんですか。ほかのものもあるんじゃないですか。だけれども、これを社会保障にやっているから、ツケ回しの分だから、今回七兆取り出して、これは消費税でやりましょうと。では、ほかの支出というのは全然関係ないんですか。

 この考え方を当てはめていきますと、ずうっと、最後は、社会保障はもう消費税だけですよ、消費税しか社会保障に充てられませんよ、だからどんどん、社会保障が上がっていくたびに消費税を上げていかざるを得ませんよと、こういうふうに一対一対応の話なんですか、これは。

 だって、国の予算というのは、役所がある数だけ予算があるわけじゃないですか。何となく、この七・〇兆のツケ回し、何だ、これはうちのお父さんやお母さん、おじいちゃん、おばあちゃんのお金かよ、俺たちは苦労しているねと、こんな話になりはしませんか。どうですか。

安住国務大臣 ことしの予算で御紹介させていただきますと、社会保障で大体二十六兆、これに交付国債等を入れますと約三十兆弱ぐらいの予算でございますから、先生御存じのように、今、我が国の一般歳出に占める社会保障の比率というのは断トツに大きくて、そのほかの政策的経費や役所のお金というのは、この約二十年近く、ほとんど一%均衡もしくはマイナスというふうな状況でございます。

 ですから、そういう点では、この社会保障を、仮に全部消費税を回したとしても、まだまだ社会保障でも財源は足らない状況になっておりますので、当面、社会保障の負担分だけをこれで補っても、私は国民の皆さんに御理解はいただけるのではないかと思っております。

 硬直化してほかには全然回さなくていいのかというふうな議論は当然あると思います。ただ、一方で、国民の皆さんからこれだけ大きな税金をいただくときに、やはり何に使うのかという目的税化をしっかりしなければ御理解はいただけないということもまた事実でございますので、今回こうした目的税化をしたということでございます。

石田(祝)委員 ですから、私が恐れるのは、この社会保障が結局あるがゆえに消費税を上げざるを得ないんですよという話になってきはしないのかと。そうすると、主に社会保障の対象になっている、今回は四経費ということで子育ても入れようとしているわけですけれども、年金、医療、介護、これはほとんど高齢者だねと。結局、そこを賄うために消費税が上がり続けなきゃいけない、一対一対応みたいな話になるんじゃないですかと言っているわけですよ。

 だから、ここに明確に書かれているように、七兆円というのは、ほかのところは充実とか二分の一にするお金ですと書いてあるんですけれども、ただ単に後代へのツケ回しの分ですよということですから、これは、私は、非常にわかりにくいし、そういう社会保障と消費税というものが一対一対応みたいになって、社会保障の充実をするんだったら未来永劫に消費税を上げ続けるよと、こんな話になってくるんじゃないのかと。

 これはどういう議論をなさっているわけですか。

岡田国務大臣 まず、例えば一般会計で見ますと、その中の国債費とそれから地方交付税を除きました一般歳出の中で、社会保障関係費は半分以上を占める。その他の、教育やあるいは防衛や中小企業対策や農林水産や、全部ひっくるめても社会保障関係費より少ない。そういうボリュームがあるということは一つ言えます。その中でも、今までもそうですが、これからも毎年確実にふえていくということですから、その増分をやはり補っていかなきゃいけないということも言えると思います。

 大体、今、二〇一五年度における社会保障四経費と消費税収、既存の四%分との差額は、二十四兆円ございます。その二十四兆円をどう埋めていくかという問題で、そのうちの三兆円余りは二〇一二年度から一五年度までの社会保障費の増ということになるわけで、今後どこがふえていくか、あるいは、今どこがボリュームが大きいかということを考えれば、やはり消費税の使い道として、今赤字国債で賄っている分を置きかえるときに、社会保障費というものをまず第一に念頭に置くべきだということだと思っております。

石田(祝)委員 そうすると、副総理、二十四兆とおっしゃいましたので、今回、七兆、その分をカバーするよと。

 ということは、二〇一五年時点においても、社会保障だけとっても消費税の税収との乖離は十七兆だ、こういうことですか。

岡田国務大臣 いろいろな前提を置いた計算になりますが、委員おっしゃるとおり、十七兆程度の差があるということでございます。

石田(祝)委員 十七兆ということになると消費税約七%分、こういうことですね、二・七兆とすると。それで、民主党の、これはオーソライズされた試算じゃないみたいですけれども、最低保障年金をやると七・一%要る。そうすると、そういうものを入れたら、さらに二〇一五年の段階から、民主党の言うようなことでいくと、社会保障、年金の改善、最低保障年金ということを入れると、一四%要る。一〇%にした、さらに一四%、こういうことになりますよね。

 この計算は間違っていますか。

岡田国務大臣 議論のいろいろな前提があると思います。

 まず、十七兆という金額を申し上げましたが、これを全て今後のさらなる消費税の増税で賄うということは、何も決まっていないわけであります。そこは、今のトレンドの中でこういう数字が出てまいりますが、例えば、経済成長をより遂げれば税収は上がる可能性がある、あるいは歳出の削減もさらなる努力が求められる、そういう中で、十七兆という差分をなるべく小さくしていくという努力は必要だと思います。

 その上で、しかし、最終的にこれを埋めるということになったときに、どの税制でやるのかというのも、これは何も消費税だけに決める必要はないのであって、やはりそのときの議論だろうというふうに思います。ですから、いたずらに、消費税に置きかえると何%になるという議論は、私は、非常にミスリーディングだし、メディアもこぞってそれをセンセーショナルに取り上げますので、ここは注意して議論した方がいい、冷静な議論をした方がいいというふうに思っています。

石田(祝)委員 ですから、この議論の、委員会の大事なところだと思うんですけれども、結局、消費税をこれだけ上げたら、消費税そのものの税収というのは、本当は、民間最終消費支出から、それに掛ければ大体出るのが本当なんですけれども、その議論だけがあって、では、それが経済にどういう影響を与えるのか、かえって税収のマイナス効果が出てくるんじゃないのか、そうするとトータルとしてどうなのか。

 いみじくも副総理がおっしゃったんですよ、経済も成長させたら、当然、消費税収、消費税でやらなきゃいけないと思っているような、ただ計算上のそういう数字から下がりますよと。だから、そこの片一方の経済成長という話、これにどういう影響を与えるかということも、私は、これはもうちょっとお考えいただいた方がいいんじゃないのかと。

 消費税収はこれだけですよ、足らない分がありますからこれだけ今回埋めますよと、そういうことでただ計算していったら、いや、やはり十七兆まだ計算上では足りないことになっている、こういう話でありますから、そこに経済成長をどうさせていくのかということをもうちょっと考えていかないと、本当に、ただの税金の論争、税制の論争、経済というものとかけ離れたところでの議論になってしまうんじゃないのか。これは要望だけをしておきたいというふうに思います。

 続いて、質問通告している順番をちょっと飛ばしますけれども、私は、国民年金と生活保護についてお伺いをいたしたいと思います。

 私は、今回、いろいろとマスコミ等でも騒がれておりますけれども、個別の問題で不正があったとか不正がなかったとかいうことはきょうは申し上げません。

 これは厚生労働大臣にお聞きをしますけれども、報道で見ます限り、厚生労働大臣は、どうも生活保護の削減に非常に踏み込んだ御発言をなさったというふうに私も受けとめましたけれども、そういう趣旨でお話しになられたんでしょうか。

 そして、地方は保護費の四分の一を出していますよね、また、実際の事務は地方がやっているわけですから、そういうところとの議論をなさって、削減の方向に前向きだ、半歩前へ進めたんじゃないか、こういうふうに私は思ったんですが、これはいろいろなところと御協議の上での発言なんでしょうか。

小宮山国務大臣 私が引き下げるということを申し上げたわけではございません。

 今、五年に一度の生活保護の基準の見直しを行っていますので、その中で、先日来、自民党さんの方から、一〇%引き下げということも含めていろいろな案が出たことを、総理がそれは受けとめるというふうにおっしゃいました。

 そうしたことも受けて、そうした一〇%引き下げという自民党さんからの御意見なども受けとめて、そのことも新しく基準を見直す中で考え合わせていくということを申し上げたので、今それを議論しているさなかに、私の方から引き下げるということを申し上げたわけではございません。

石田(祝)委員 普通、そういう提案があって、受けとめますと言ったら、そうするということだと思うけれどもね、私は、日本語から聞くと。そういう提案があって、わかりました、受けとめますと言ったら、そういう方向に行くんじゃないかと、これは誰が考えてもそういうふうになると思いますが、今、大臣からは、そういうことを決めたわけじゃないと、こういうお話でございます。

 それで、ちょっと別の角度からお聞きをしますと、これは報道でありますけれども、生活保護の申請者や扶養義務者の収入や資産を正確に把握できるよう、銀行など金融機関の本店一括照会方式を実施することで厚生労働省と全国銀行協会が合意する見通しである、こういうことがわかったという記事がありますけれども、これは、全銀協会は、全国全部調べますよ、一種の名寄せをしますよと、こういうことで合意をしたということでよろしいんですか。

小宮山国務大臣 今、受給要件を確認する上で必要な資産調査について、現在は、地方自治体が金融機関の各支店で個別に照会をしています。より効率的で正確な調査方法として、金融機関の本店等に複数支店分の口座を一括して照会できるようにならないか、今、全国銀行協会に対しまして厚生労働省から要請をし、現在、前向きに検討をしているということです。

 この一括照会は、円滑な資産調査のための有効な手段の一つと考えていますので、全国銀行協会に加盟していない関係団体のうち、一部には既に厚生労働省から働きかけを行っていまして、今後は、一括照会の実施状況などを確認しながら、さらに積極的に働きかけもしていきたいというふうに思っています。

石田(祝)委員 そうすると、この問題は、厚生労働省としては、今までのような小さい単位、ある一定の単位ではなくて、全国で調査をする、それで協力を求めていて、全銀協会も、前向きに協力をしたいと、こういうことですね。

 私は、実は、きょう全銀協会にぜひ来てもらいたかったんですが、どうも話がまとまらなくて、残念ながら直接お聞きをできませんのでこれは厚生労働大臣にお聞きをしたんですが。

 それで、これは、大臣、全銀協はいいんでしょうけれども、ほかに、例えば信用金庫、信組、労金、農協、漁協、こういうふうにあるんですけれども、こういうところも全部協力するということなんですか。

小宮山国務大臣 先ほどの答弁の後段で申し上げたのがそのことで、一括照会は非常に有効だと考えていますので、全国銀行協会に加盟していない関係団体、これは今おっしゃったように、ゆうちょ銀行ですとか信用金庫、農業協同組合などがございますけれども、そうしたところのうち、一部には既に厚生労働省から働きかけを行っているところです。これからは、一括照会の実施状況などを確認しながら、さらに積極的にこうしたところにも働きかけを行っていきたいと思っています。

石田(祝)委員 ちょっと細かいことを申し上げますけれども、ゆうちょ銀行は全銀協会の会員ですからね、違うようなことをおっしゃったけれども。会員に入っておりますから。

 それで、私は、生活保護と国民年金の問題で、いろいろなところの懇談会をやりますと、必ず言われるのは、四十年間一生懸命働いて払ってきたと。

 今、六万六千円ぐらいですか、この四月から若干下がったようでありますけれども。そうすると、その金額よりも、いわゆる生活保護の金額の方が多い。四十年、ある意味では汗水垂らして真面目に働いて、これは四十年から欠けると、当然受給権は二十五年以上で、まあ今の、段階ありますけれども、払った月数に比例をする形でしかもらえない。最高は四百八十カ月分ということですから、四十年も一生懸命夫婦で働いて、二人分、いわゆる扶養家族のような形ではないわけですから、国民年金は一人一人で払っている。それで、もらえる金額がなぜ少ないのか。

 私は、これは本当に、四十年間一生懸命払った人の本当の声だと思うんですね。生活保護を引き下げろとは、私はこれは申し上げません。しかし、そういう思いでいらっしゃる方が私はたくさんいると思うんですよ。特に今回、いろいろな形で生活保護は新たなクローズアップをされましたので、そういうお気持ちの方が私はふえているんじゃないのかと。

 そういう、扶養家族、扶養義務者がどうだこうだという問題も出てくるし、貯金も持っているんじゃないだろうかとか、これは、はっきり言って、役所の担当者よりも、実はお隣のおじさん、おばさんが実態はよくわかっているわけです。私は四十年働いて掛けてきた、お隣はどうも保護でいただいているらしい、そういう生活を見ていると何か納得がいかない、こういうお声もあるんです。

 これは、生活保護を引き下げろと言っているのじゃないんですよ。これについて、大臣はどういうふうに思われますか。

小宮山国務大臣 それは委員がおっしゃるとおりだと私も思います。

 これまでは、年金と生活保護は仕組みが違うからという説明をずっとしてきましたけれども、それだけではなかなか納得いただけない状況にあるというふうに私も思いまして、先日、低所得者対策の在り方に関する研究会というのを今週初めに実は立ち上げたんですが、これは総合合算制度の仕組みなどを検討するためにもともと立ち上げようとしていたものなんですが、その中で、仕組み横断的に、年金と生活保護、それからあと、なるべく生活保護を受けていらっしゃる方にも働いていただきたいと思っているので、最低賃金との関係も含めて、総合的にそのあり方を検討していただくように私の方からお願いをいたしまして、その検討も始めたところでございます。

石田(祝)委員 時間になりましたので終わりますが、通告をしていた質問、全部できておりませんので、機会があれば、また質問をさせていただきたいと思います。

 なお、最後に、先ほど厚生労働大臣から、国民年金の人たちの思いを私はぜひ受けとめてほしいと申し上げて、そういうことを受けとめていただけると思いましたので、ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

中野委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。

 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 最初に、復興庁の問題で一言質問いたします。

 復興庁は、二十五日、東日本大震災で被災した八県七十一市町村に対して、総額二千六百十二億円の復興交付金を交付すると発表いたしました。資料の一枚目に河北新報の記事をつけておきました。第一次分と比べて、申請額の約一・六倍の配分だということで見出しが躍っておりますが、宮城県の村井知事は満面の笑みで、本当に感謝を申し上げたいと述べて、第一回のときは五四%だったものですから、復興庁は査定庁だと大変厳しい批判をしたことも忘れたかのように、百点満点中の百二十点と評価をしたようであります。

 もちろん、我々も復興交付金の活用については復興特別委員会などで繰り返し求めてきたことでありますし、防災集団移転ですとか災害公営住宅、これが見通しが出てきたということでは、現地の歓迎、評価は当然のものだと思っております。

 そこで、最初に伺いたいのは、きょうは松下副大臣いらしていますけれども、申請額を上回る交付というのは、どういう考え方によるものでしょうか。

松下副大臣 高橋委員にお答え申し上げます。

 今委員からお話がありましたように、前回は査定庁と酷評されました。今度は真骨庁と褒められました。三回目は絶好庁だ、こう言われて、どうしようかと思っているんですけれども、私たちは、ごく自然に、提案された内容を検討してまいりました。

 第一回目のときは、やはり熟度がかなり低かったし、準備不足もありまして、大きな構えで提案されたんですけれども、まだ、用地の問題とかあるいは住民の合意とかいろいろなところでの熟度が低いということで、それをしっかり見きわめるための調査費あるいは設計費というものにとどめて、例えば三百億円の要求が二千万円になったとか、そういうことがございました。しかし、ぴしっと我々は中身を検討してまいったわけでございます。

 今回は、都道府県の方もそれから地方の自治体の方も十分準備をしてこられまして、しっかりと中身の熟度を上げて要求してみえました。そして、非常に熟度の高いものは全体計画を前倒しで認めるというようなこともいたしまして、かなり、今年度の予算とそれから来年度の予算、そういう前倒しで、実現可能な範囲をしっかりと見きわめて配分したということがございました。

 同時にまた、市町村の方でも、さらにいろいろな事業をもっと効果的に進めたい、面的に広げていきたいんだけれども、どういうことにこの予算を効果的に配分したらいいかというのがなかなか見きわめ切れなくて困っておられましたので、私たちは、こういう範囲の事業、例えば防災無線あるいは防災を完遂させるためのいろいろなハードウエア、倉庫、それから地域の経営で困っている人たち、企業者に対するいろいろな支援方法、そういうものをリストアップしまして、こういうものも効果促進事業として一緒に要求していただければできますよと。

 そういうことを予定しまして、都道府県の方あるいは市町村の方に使い勝手のいい形の効果促進事業というのも配分いたしまして、地方の方もそれで非常に元気づけられて、内容も充実させて要求され、我々もそれをしっかりと見届けたということでございまして、いい結果になったと思っています。

高橋(千)委員 副大臣、絶好庁はちょっとやはり言い過ぎではないか、悪乗りすると後が大変かなと思っております。

 やはり、熟度が上がってきたからといって、申請額を上回る予算をつけたということは余り聞いたことがない話でありますので、それが本当に効果的に使われているのかということを逆に今度しっかり見ていかなければならないなと。喜ばしいことではあるかもしれないけれども、先ほど来ずっと、税の使い方ということが言われている折でありますので、そこは厳しく見ていきたいなと思っております。

 もう一つ言われたことは、使い勝手をよくしたいというお話でありました。効果促進事業というものがまだまだイメージがつかめていないということもあって、国が指導力を発揮したいという思いがあったのかと思います。これ自体は非常に大事で、逆に私は、よく使えるようにしていくべきだと思うんです。

 先ほど紹介した河北新報の別な紙面で、五億円以上のソフト向け事業費が配分されたという南三陸町の担当課が、交付金の自由度が上がったことは歓迎したいとしつつ、国から事前の話はなかった、何に使っていいのかと困惑の表情を見せたとあります。

 これほど厳しいお金の話をしているときになぜかなと思うのでありますけれども、そこまで自治体に自由度を持たせたいというのであれば、やはり自治体が望んでいたもの、今回対象外となったものもあるんですね。

 例えば、宅地被害の対象外に対して仙台市として独自に支援をしたいという問題。あるいは、移転ではなくて原状復旧とされてしまった、これは仙台市の若林区三本塚などがそうなんですけれども、だけれども移転をしたいという住民がいらっしゃるんです。そういう人たちが、土地を買い取る制度は対象になりませんよ、移転まではやってもいいんだけれども自分でやりなさいよと言われる。だったら、そこをもう一押しやってくれたっていいじゃないかと仙台市が求めている問題。そういう、自治体が必要だといって効果促進事業だとしたいというときに、もう一押し認めてくださったっていいんじゃないでしょうか。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

松下副大臣 お答えいたします。

 議員になる前、旧建設省で砂防部長をしておりまして、まさにこの災害対策の、地すべり、崖崩れ、土石流、こういった土砂災害への中心的な役割を果たしてまいりました。

 ずっと私たちも気にしていましたのは、今も御質問のありました個人の住宅あるいは個人の土地そのもの、そこが崖崩れ等あるいは地すべり等で崩れて、個人の土地そのものが傷んだという場合がございました。これはなかなか、公共の税金を使って個人の資産そのものを増強していくということは、やはり事業の性質に照らして適当でないということで、採択をずっと見送ってまいりました。

 それにつながるところで、公共のいろいろな災害時の避難路があるとか、あるいは公共のいろいろな施設が関連しているということであれば我々も含めて対応してまいったんですけれども、純粋に個人のものそのもの、あるいは法人のものそのものということになりますと、これは税金を使って国や県が支援していくというのは問題があるということとしていたわけでございまして、そういうことでありまして、対応はなかなか難しいというふうに判断しております。

高橋(千)委員 やはり副大臣自身のお答えが、御自身が実は課題には気がついていたという意味ではないのかなと思うんです。

 いろいろあっても、最後に個人の財産には支援をしないんだという大原則が出てきまして、この復興交付金も、使い勝手がいいんだ、自由度を高めるんだと言いながら、やはりそこはだめなんだよという大原則は生きているんだということを、改めてここを乗り越えなければならない。全く一人で、誰ともかかわりなく家が建っているということはないですので、やはりそこを認めていかなければならないということを言いたいんですね。

 実は、この記事を見て、一次、二次の配分を合わせると、東北四県の合計額が約五千億円になるわけですよね。この記事を見た仙台市のある若い女性が、いや、復興というのはすごいお金がかかるんだねと私に言ったんです。五千億というのはまだほんの一部で、本当は復興財源は十九兆円なわけですけれども、でも、一般市民から見たら五千億というのは大変大きなお金なわけです。

 それで、彼女が言うには、それなら私たちも国を応援しなくちゃいけない、そうおっしゃいました。それで、宝くじが当たったら半分国に上げたいと大変奇特な意見を言うわけですね。いやいや、心配しなくても大丈夫だ、財源は復興債だから、皆さんの所得税の増税という形でみんなが負担することになっているのよ、ただ、まだ始まっていないから知らないだけよと言ったら、何だ、そうなのか、だったらいっぱい稼いでいっぱい納めたい、そう言ってくれたんです。被災地の女性です。

 ですから、復興のために何かしたいという気持ちは誰しもが持っているんですね。彼女が言うように、働いて稼げばおのずと税金もいっぱい納められる、これが健全な姿ではないかと思います。

 しかし、東北三県だけでも消費税の税収は五千六百三十七億円です。増税が、倍になれば、この復興交付金の配分枠二回分を優に超えてしまう、そのくらいの影響があるわけですね。

 一方では、被災地では、所持金がもうない、九月で医療費の免除が切れたらどうすればいいかという声が上がっています。復興交付金は主に公共事業であって、さっき言ったように、被災者個人の救済には使えません。ですから、被災地にはほかの施策で応援しているからいいと言うけれども、そうではないんです。個人には使えないんです。だったら、復興を目指す被災地にやはり増税はあり得ない、そう思いますが、厚労大臣と財務大臣にそれぞれ伺いたいと思います。

小宮山国務大臣 この大震災からの復興は野田内閣の最重要課題でございますので、厚生労働省としても、被災者に対して必要な医療を確保する観点から、医療保険の一部負担金免除に対する財政支援など、必要な支援をこれまでも行ってきています。

 一方で、今回の一体改革は、全世代対応型の社会保障に改革をするということ、ツケ回しをやめて持続可能な社会保障制度を構築するということ、これは全国民共通のものでございますので、被災地の方々にも、丁寧に御説明をして、理解をしていただきたいというふうに考えています。

安住国務大臣 私は、地元に戻ったら、高橋さん、先生と同じことを実は言っているんです。

 復興のお金は十九兆近くかかるけれども、主な財源は、二十五年にわたって所得税を納めてくれる国民の皆さんからお預かりして皆さんのところに届いていると。だから私は、被災地の自分の地元に帰っても、被災地へ行くたびに、これを絶対無駄に使っちゃいけませんし、ルールにのっとってちゃんとやってもらわなかったら、率直に言って、それは財務大臣というよりも地元の議員としても、これは黙っていませんからねと、逆にあえて厳しいことを申し上げております。

 と同時に、確かに高橋さんのおっしゃるように、生活に大変だという方はおられます。しかし、一方で、私は、財務大臣としての責任でも、被災地であろうと東京であろうと同じことを申し上げております。

 やはり社会保障のお金はどうやったって足らないんだから、これはしかし、財務省が預かって好きに使うのではなくて、お預かりしたものは全部、年金、医療、介護、子育てに回りますと。ですから、そこのところをわかっていただければ……(発言する者あり)いや、しかし、私の集会とかに来る人は、よくわかった、安住の言うことはよくわかったと言ってくれています。

高橋(千)委員 私の集会に来る人はということをおっしゃったので、予定外ですが、安住大臣がいらっしゃった秋田の安心集会、全部ネットで見ました。財務省の言い分をなぜ参加者がみんな言ってくれているのかなと大変不思議に思いましたということを、一言感想を言いたいと思いますね。(安住国務大臣「委員長」と呼ぶ)

古本委員長代理 大臣、いいですか。

高橋(千)委員 いやいやいや、一言感想を言っただけですから、必要ありません。

 それで、例えば一番最後の、五月二十六日に開催された一関市の対話集会、これは五十嵐副大臣が参加をされています。これでも、仮設に住む人が一〇%になって払えるかとか、被災地からも、増税はやめてほしいという声がありました。やはり答えは、ほかの施策があるからということしかないわけなんですね。やはりこれは、私はあれこれではなく、増税しないことが一番の応援だと思います。

 安住さんが言ったのは、被災地であろうと東京であろうとというふうにおっしゃいました。私は、今言っているのは、被災地を応援するためにも全体が今増税しないことがいいんだということを言っているんです。

 宮城県の求人が一・〇四倍に増加した、復興特需だということがけさも言われていますよね。建設業の求人が急速にふえたと。だけれども、そこで地元の業者がまた悲鳴を上げているというのも事実なわけですよ。地元の業者がそこで頑張れなかったら、雇用にも向かないし、地域の経済に還元しないじゃないですか。

 だから、やはりそこは内需をふやす方向に、消費を促す方向にしなくちゃいけないんだということ、ですから、ルールと一緒に、今増税をしないで、本当に地元の業者に回るような方向にしなくちゃいけないんだということを言っておきたいと思います。

 あと年金の議論に行きたいと思いますので、ここは要望に……

古本委員長代理 大臣、よろしいですか。

高橋(千)委員 はい、どうぞ。

安住国務大臣 高橋さんも大館の御出身だし、私も、家内も秋田でございますから。

 復興の需要は、雇用を今大変創出していると思います。秋田でも大工さんがとても足りなくて、そういう意味では困ったことも起きていまして、人件費が高騰したり、そういう意味でのハレーションといいますか、大きな意味での供給不足をどう補うかというのは一つ課題としてあると思います。

 それで、さっき松下副大臣がお話しさせていただいた話なんですけれども、実は、ちょっと補足をすると、確かに、消費税をほかの税でとか、いろいろなサポートで賄っているからいいじゃないかという議論はおかしいという高橋さんの議論なんですけれども、例えば住宅を買うにしても、消費税に対するいわば負荷をできるだけ抑えようということで、被災地は特にいろいろな意味でサポートをしております。だから、そういう点からいうと、細かなことはもう申しませんが、比較的ほかの地域に比べれば手当てはさせてはいただいております。

 ただ、だからといって、庶民生活の中にこれが本当にしわ寄せが全くないなんということは、私、申し上げません。ですから、年金、医療、介護という、皆さんのために使わせていただくということを透明性を持ってはっきりやらせていただくことで何とか御理解をいただきたいということで、お願いして歩いているということでございます。

高橋(千)委員 消費税の問題、後でもう一回質疑をしますので。

 住宅ローン減税がありますよとか、そういう答弁をされているのも聞いておりました。でも、やはり今、増税なんだということや、補助されているものは打ち切りなんだというメッセージが出てくる中で、被災地から悲鳴が上がっているんだということを正面から受けとめていただきたい、こう指摘をして、次に進みたいと思います。

 特例水準の問題を質問したいと思います。

 二〇〇〇年から三年間年金を据え置くという特例水準の解消が今回提案をされております。政府は、本来、物価が下がっているんだから、下げるところをしてこなかった、いわば年金のもらい過ぎなんだと表現をしています。では、特例水準というのは、いつ、どのような経緯で設けられたのでしょうか。

小宮山国務大臣 現在の特例水準の年金は、平成十一年から十三年に物価が下がった際に、本来のルールであれば、平成十二年度から十四年度の年金額が三年間の累計で一・七%引き下げられるということになるところなんですが、当時、大変厳しい社会情勢であったということもありまして、年金受給者の生活の状況などに配慮をして、これは特例的に年金額を据え置く、そういう措置を講じたことから始まったものです。

高橋(千)委員 今お話があったように、当時の厳しい経済情勢があった、それから、高齢者の、年金受給者の生活の状況に配慮したということがあったと思うんですね。私は、その出発点が変わっていないのではないか、その出発点はやはり忘れてはならないということが言いたいわけです。

 資料の二枚目に、「特例水準とスライドの自動調整との関係」というグラフ、厚労省のグラフをつけました。

 この下の方のかなり急降下しているグラフが本来水準、物価指数に忠実にやった場合はこんなに差があるんですというのが本来水準であります。上の太い方が特例水準ですね。二〇〇九年、平成二十一年に、一カ所だけ山があります、物価が少し上がりました。そのときに、特例で据え置いてきた分があるからということで、年金を上げることなく、その差が〇・八%まで縮小されたということです。しかし現在は、その後も下がったので、結果として二・五%開きが残っているということです。

 それで、このグラフの下のところに、「平成十六年改正」というのが書いてあります。この意味について確認をします。

 このときには、年金額と特例水準について法定化がされておりますけれども、この中身について、これは現役世代との公平感ということも当時言われていた。それから、据置措置はやめた。しかし、据え置いた分、一・七%の解消までは、高齢者に配慮して踏み込まなかったと思います。これでよろしいですか。

古本委員長代理 高橋さん、復興副大臣、よろしいですか。(高橋(千)委員「済みません、よろしいです」と呼ぶ)では、復興副大臣、結構です。

小宮山国務大臣 平成十六年の年金制度改正では、賃金、物価が上昇する局面で、法律上本来想定している年金額、本来水準は一定の調整を行いながら引き上げる一方、特例水準の年金額は、賃金、物価が上昇しても据え置くということにしました。

 このルールによりまして、賃金、物価の上昇に伴い、本来水準がいずれ特例水準の年金額を上回ることになるので、それ以降は本来水準の年金額に切りかえるという方法でこの特例水準を解消するということにしたものなんですね。

 これは賃金、物価が上昇することを想定していましたので、ところが、平成十六年改正以降、賃金、物価の下落傾向が続いている。そのことによりまして、本来水準と特例水準との差が縮まらずに、特例水準の解消に至っていないというのが現状ということです。

高橋(千)委員 今の説明は、特例水準の一・七%、物価がいずれ上がっていけば解消されると思っていたけれども、思いどおりにはならなかったという説明だったと思います。

 確認をしたかったのは、そのことがまず一つと、もう一つ、趣旨説明の中で、当時は坂口厚労大臣でしたけれども、現役世代に考慮をしつつ、かつ高齢者に配慮しつつという両方の側面があった、この点、よろしいですね。

小宮山国務大臣 そのとおりです。

高橋(千)委員 ですから、言いたかったのは、最初の特例をつくったとき、それから法定をした二〇〇四年のときも、当然、現役世代との公平感と言いながらも、同時に高齢者にも配慮をするということで、一遍にたまった分を下げるということはしなかったということをまず確認したかったわけです。

 先ほどお話があったように、とはいえ、物価が上がらなかったということなんですね。それで、ずっと見ていきますと、十年以上かけて、その差が当然二・五%までなってしまった。そうすると、十年以上かけて二・五%の差が開いたものをいきなり三年間で解消というのは余りに急激ではありませんか。なぜ三年間ですか。

小宮山国務大臣 先ほど申し上げたように、物価が上昇しないという状況の中で、平成十六年以降、年金の特例水準が全く解消されない。本来の給付水準に比べて、毎年およそ一兆円の給付増となっているんですね。これは、年金財政の安定、それから世代間の公平、こうしたことを図るために、二月十日に提出した法案では、早急に特例水準、計画的に解消を行う必要があるということを述べています。

 ただ、三年で無理だと言われますけれども、これは一気にやるのは無理ですから三年に分けようということなので、この特例水準の解消というのは、やはり年金財政を安定させるためにも、この分がずっと後世にツケ回しをされていったら世代間の公平にもならないわけですので、これを解消しないと、百年安心といって設計されましたマクロ経済スライドも働かない、ストッパーになっているということもありまして、後世まで持続可能な、公平な年金制度ということでは、ここでやはり解消に踏み切らなければいけないということだと思っています。

高橋(千)委員 一気にやるのは無理だから三年でとおっしゃいましたけれども、だから、十年以上かけてこういうふうになったものを何で三年でなんですかということを言っているんです。これは、もうたまっちゃったから、しかも物価が上がらなくて解消にならないから、もう一気にやってしまえ、力ずくでやってしまえと同じことじゃないですか。

小宮山国務大臣 この政権では、後世へのツケ回しを、ここでとにかくそれを解消する一歩を踏み出そうというのが野田総理を初めとした強い決意なわけです。その中で、今まで解消してこなかったものにつきましても解消していくということを決めたということです。

高橋(千)委員 そこまでおっしゃるのでしたら、この特例水準を解消しないでこれまで取らなかったお金が五兆一千億円もある、だからもらい過ぎだと皆さんはおっしゃっています。

 だけれども、そもそも、高齢者はこれまで払ってきましたよ。そうでしょう。与党税制改正大綱、〇四年で、基礎年金の国庫負担二分の一を解消するためのお金だといって、年金課税の強化、そして定率減税の縮減、廃止がやられたではありませんか。公的年金等控除の見直しによる増収、老年者控除廃止による増収は合わせて二千四百億円ですよ。十年たつと二兆四千億円。高齢者はもうお返ししているんです。それプラス定率減税の縮減、廃止は二兆六千億円ですから、この十年間で二十兆円を超える増税を国民に課してきたんです。

 だけれども、いまだに基礎年金の二分の一に充当しないばかりか、それにお金を払うと言っていたのに充当しないで、まだ借金をすると言っているんじゃありませんか。

岡田国務大臣 結局、年金というものをどう考えるかということだと思います。やはり、年金に加入された方、もちろん世代を超えて加入するわけですが、持続可能な形で支払いを受けなければいけない。そのために、例えばマクロ経済スライドも入れた。これも厳しい制度ですけれども、人口構成が変わる中で、払った保険料と受け取る年金を比べれば、やはり若い世代ほど厳しいことは、これはもう明らかであります。

 その若い世代にこれ以上負担を先送りしていいのかという問題で、ルールとして基本的に物価スライドということで来ているわけですから、本来のルールに戻すべきだと。せっかくいろいろ議論しながら入れたマクロ経済スライドも、今のままではこれすら実施できないということになると思います。

高橋(千)委員 論理をすりかえないでいただきたいんです。

 高齢者に対しては、もらい過ぎだと言って、返せと言っている。本来水準と違うから、年金をもっと下げろと言っている。だけれども、年金のために使うと言っていた増税分をそれに使ってこなかった、流用したということじゃないんですか、政府が。

岡田国務大臣 例えば、基礎年金二分の一部分ということで税を入れることにしたわけですね。そのことについて、しかし、残念ながら財源がきちんとは確保できていなかった。したがって、毎年毎年苦労してそれを確保してきましたが、今回の消費税の中でそれを充当するということにしたわけです。

高橋(千)委員 全く説明になっていないんですね。

 二分の一分の財源を増税で確保しておきながら、それを使わなかったということを言っているんです。これはもう何度も我が党が佐々木憲昭議員を先頭にしてきた議論であって、それを今さらすりかえてはならないと重ねて指摘をしたいと思います。

 資料の三枚目を見ていただきたいと思います。

 総務省の家計調査に基づき、この十年間の高齢夫婦世帯の平均収支、これが写っているわけですけれども、これは、可処分所得で見たときに、つまり使えるお金で見たときに、十年間で大きく減っています。厚労省がモデル世帯としている無職の高齢夫婦世帯、夫六十五歳以上、妻六十歳以上の場合で月二万九千五百四十四円、年三十五万四千五百二十八円も減っているわけです。

 まず、このことを、当然お認めになると思いますが、確認をしたいということ。それから、なぜこうなっていくのか。社会保険料の増額も書いておきました。やはり、年金はふえていないんだけれども出ていくものはふえている、こういう単純な計算になるかと思いますが、いかがですか。

小宮山国務大臣 これは、高齢世帯でこのような状況であるというのは事実だと思います。

 ただ、一方で、現役世代も可処分所得が下がっているんですね。そういう中から、やはり、これだけ超少子高齢社会の中で社会保障をしっかりと守っていくためには、これは税金か保険料か自己負担でやらなければいけないので、その中で世代間の公平ということも考えて今さまざまな措置を行っていますので、こうした趣旨を御理解いただくということが必要なんだというふうに思っています。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(千)委員 物価指数に合わせてスライドするんだと厚労省が説明しているから、それに対して指摘をしているわけです。現役世代も下がっているからとか、そういう問題ではないんですね。

 消費者物価指数を押し下げている原因が何かということは、もう既に議論をしてきました。テレビが三〇・九%下がったりとか冷蔵庫二五・九%など、大型家電がその引き下げる原因になっているわけですよね。それプラス賃金が下がっているのは、当然、この間、労働者の非正規化などが進んで賃金が下がってきたということ、これはもう国の政策にも大きな要因があるわけです。だから、現実に可処分所得で見なければならないんじゃないかというんです。

 何らかの指数が必要だというのであれば、単純な物価指数ではなくて、例えば、今回大幅に値上がりをする介護保険料など、実態を反映した指標とすべきではありませんか。

小宮山国務大臣 この年金の物価スライド、これは総務省の作成する消費者物価指数をもとに行っています。これは、介護保険料などの社会保険料負担の増加分は反映されていません。

 仮に、委員がおっしゃるように、介護保険料などの社会保険料の増加分を年金額に反映するということにしますと、高齢者の介護保険料の増加分だけ年金額を引き下げずに据え置くことになりまして、その分は現役世代の年金保険料で賄われるということになります。そうなりますと、現役世代は高齢者の介護保険料分も年金保険料を負担するということになって、これは世代間の公平性ということを著しく損なうことになって、適当な方法ではないというふうに思っています。

 介護保険料については所得額に応じた軽減措置が講じられていますので、低所得の高齢者の方への対応は、まずはこういう形で対応すべきだというふうに考えています。

高橋(千)委員 本来、介護保険料についても、我々は減免措置を、国の段階だけではなく、もっときめ細かくやるべきだということを言っています。少なくとも年金がふえないのであれば、もっと能力に応じて、負担するものが軽くなって、可処分所得が極端に減らないということが望ましい形ではないかと思うんですね。

 少なくとも、先ほど来聞いていますと、ひたすら肩車論に乗っかった話ばかりをしているわけですけれども、皆さんが出してくる資料が、これは指数に基づいているとか、下がったからやるんだと言っているんですから、そこを一つ一つ見ていかなければ議論は始まらないんです。何もかも現役世代にツケ回しだという議論にしてしまったら、もう何も言うなということになってしまうし、どれだけ下げても仕方がないという議論になってしまうんです。それは幾ら何でも冷静な議論ではないわけですよね。そういうことをちゃんと踏まえて言わなければならないと思います。

 それで、やはり暮らしが大変になっている、しかも新たな所得は見込めない高齢者にとって、もらい過ぎだと言われて、一気に引き下げるということはやはりあってはならない。これはもう重ねて指摘をしたいと思います。

 同時に、本当は、ここまで下げてしまいますと、先ほど来言っている将来世代に対しても、かなりそこが低くなってしまうので、当然、仮に景気が緩やかに回復したとしても、大きな影響を与えることになりませんか。

小宮山国務大臣 先ほどから委員がおっしゃっている、一気にと言われますけれども、三年間で下げていく中で、当然、この社会保障と税の一体改革とあわせて経済成長、デフレ脱却ということも政権は力を入れていきますので、そういう意味で、賃金とか物価とかが上がっていけば、この解消のパーセンテージというのは減っていくわけですから、そういう方向でも一生懸命努力をしたいというふうに思っています。

 現在の年金財政の仕組みでこの特例水準が解消されないと、これは先ほど申し上げたように、マクロ経済スライドの発動がおくれて、その分だけ予定よりは高い給付が行われることになり、その分、将来世代の年金を切り下げるということにもつながりますので、やはり給付と負担の均衡を図るということで、この特例水準の解消ということは行っていかなければならない。そうでないと、毎年毎年一兆円の、それだけの負債が、ある意味、後世にツケ回されていくことになるというふうに考えています。

高橋(千)委員 一つずつ話を整理して議論したいなと思います。

 では、その三年間で下げるという話ですけれども、資料の四枚目を見ていただきたいなと思います。

 これは、物価が全く上がりも下がりもしなかった場合、三年間で二・五%、〇・九、〇・八、〇・八という形で引き下げていくというものであります。それで、大臣がおっしゃるのは、一気ではないのだと。年金額の推移は、基礎年金の方で五百三十四円月額で減るし、厚生年金の方は千八百八十五円、これはあくまでも標準世帯でありますけれども、減るんだと。もちろん、これだけでも大きい気がしますが、この程度だよというふうに見えるんですね、若干。

 ところが、このグラフの下に小さく、ほとんど読めないような字で書いておりますのは、平成二十四年四月には二十三年の物価下落に応じてマイナス〇・三%の物価スライドを行うということで、既に下がることははっきりしている。つまり、〇・九プラス〇・三で、一・二の減だと。だから、厚労省が書いている資料から、既にもう下がっているということが一つあると思います。

 そこを指摘した上で伺いますが、特例水準が解消されれば自動抑制装置であるマクロ経済スライドが発動するのか、伺います。

小宮山国務大臣 現在の仕組みのもとでは、特例水準が解消された後に物価や賃金が上昇して年金額が増額改定される場合には、マクロ経済スライドが発動して年金額の伸びが抑制されることになります。ただ、現在、このマクロ経済スライドが物価や賃金が上がっていくことを想定しているので、デフレ下でこれをどう働かせるかということは、今後検討していかなければいけない課題だと思っています。

高橋(千)委員 現在のもとでは発動しないのだということをおっしゃった上で、デフレ下での発動を検討しているという答弁だったかなと思います。

 先ほど来議論になっているように、人口が減少して担い手が減っていく、そういうことを考慮して、総枠の中で年金額を抑えていく、自動的に抑えていくのがマクロ経済スライドだったと思うんですが、物価が下がり続けているので一度も発動されなかった。それが問題だということで、デフレ下でも発動せよという議論がございます。昨日も公明党の議員さんが盛んに発言をしていたかなと思います。

 そこで、法案をつくる年金部会あるいは集中検討会議などでも議論があったと思いますが、今回、デフレ下で発動ということを盛り込まなかった理由、それから、もともと、〇四年改正当時、マクロ経済スライドを設けた理由と、それでも一定、下限を設けた理由について御説明ください、簡潔に。

小宮山国務大臣 社会保障審議会の年金部会では、社会保障・税一体改革成案に基づいて、デフレ経済下でもマクロ経済スライドを発動して年金財政の安定化を図ることについて検討をいたしました。その後、ことし二月の社会保障・税一体改革大綱では、まずは今回は特例水準を解消して、その状況に基づいて引き続き検討をするということにいたしました。

 また、二〇〇四年にマクロ経済スライドを導入した際の考え方、これは、賃金や物価の上昇に応じた年金額の改定について、現役人口の減少ですとか平均余命の伸びを反映させることで、年金額の伸びを抑えて年金財政の安定を図るというものだったと承知をしています。

高橋(千)委員 今のは、まずは今回はという答弁でしたので、いろいろな意見があったなと思うんですが、今のお答えぶりは、今回は見送ったけれども発動する方向だというふうに聞こえるなと思っておりました。

 まず確認をしますが、一般的にマクロ経済スライド〇・九%という数字を使っていましたけれども、発動しないうちに状況が大きく変わりまして、二〇一五年になると率がどのくらいになるのか、それを当てはめると負担はどんなふうになるのか、伺います。

小宮山国務大臣 御指摘の〇・九%、これは、平成十六年の改正当時、当面およそ二十年間のマクロ経済スライドの調整率、これの平均として示されたものです。実際にマクロ経済スライドを行う場合のスライド調整率、これは公的年金被保険者の数の過去三年平均の減少率を用いるので、毎年度異なります。平成二十七年、二〇一五年度のスライド調整率は、数値が確定するのは平成二十六年度なんですが、平成二十一年財政検証の見込みでは一・二%です。

 また、本来水準と特例水準の差である二・五%を三年かけて解消する場合、基礎年金と厚生年金を合わせた給付費への影響額は、平成二十四年十月の〇・九%分としておよそ〇・四兆円、平成二十五年四月の〇・八%分としておよそ〇・四兆円、また平成二十六年四月の〇・八%分としておよそ〇・四兆円、合わせて一・二兆円程度と見込まれています。

高橋(千)委員 まさしくそれだけのお金が、また年金が減るという形で、高齢者にとっては負担増だということだと思います。

 お話にならなかったなと思うんですが、国会に諮らなくても自動的に年金額を引き下げることができる、これは本当に、きき過ぎては、どこまでも下がるということになっては大変だということでやはり歯どめがあったのではないかなと思うんです。そこも大事にしないと。そういう議論だって、当然年金部会の中であったわけですよね。それが何かもう既定路線のようになっちゃうのはどういうことなのかと思うんです。

 それで、資料の五枚目につけておきましたけれども、集中検討会議でいろいろな議論が出たというのを厚労省がまとめたものですけれども、「報道機関からの提言と集中検討会議委員からの指摘」ということで、有識者となっていますが、朝日、日経、産経、それから日本テレビの解説委員などが名を連ねておりまして、いずれも同じことを言っているわけですね。

 年金の将来を考えると、デフレに対応して水準を引き下げる必要がある。少子高齢化が進む中で、年金の持続性を高めるため、マクロ経済スライドを着実に実行し給付額を実質的に抑える。給付の名目下限を外し、デフレ下でも適用する。デフレ経済下では機能しないマクロ経済スライドの見直しが必要であり、新たな自動調整機能を導入する必要がある。

 こうやって、ともかくデフレでは発動しないのが大問題だということで、引き下げよということが盛んに報道機関からも出されている、そういうことなんですね。私は、これは余りにも乱暴じゃないですかと。どこまでも下げてもいい、最低限の歯どめだったものさえも取っ払ってしまう、そういう議論に小宮山大臣は賛成なんですか。

小宮山国務大臣 社会保障集中検討会議では、マスコミ各社ですとか有識者から、今御紹介いただきましたように、また、社会保障審議会の年金部会でも、年金財政の安定化のために、デフレ経済下でもマクロ経済スライドを適用できるようにすべきだという御意見を多くいただいています。

 ただ、一方、委員もおっしゃるように、こうした報道を受けて、受給者などからは、慎重に検討してほしい、そういう御意見もいただいています。

 年金制度を所管する立場の私といたしましては、年金財政の安定化を図るということ、これは非常に重要なことだと当然ながら考えています。この特例水準の解消の状況も見ながら、社会保障審議会年金部会等の場で、引き続き皆さんの声を伺って検討していきたいというふうに考えています。

高橋(千)委員 ようやく慎重意見もあったということを今御紹介いただいたかと思うんですが、最初に、私、なぜ三年間ですかということを聞きました。これは、今までのお答えを総合しますと、三年間の間で検討して、特例水準の解消が終わったらデフレ下でもマクロ経済スライドを発動できる、こういうシナリオでしょうか。

小宮山国務大臣 いや、必ずしもそういうことを申し上げているわけではなくて、一度にそれを下げてしまうと、当然のことながら、高齢者の皆様の生活に一挙に負担がかかりますので、ただ、これをずっと送っていくと、どんどんそのツケ回しがふえていってしまうということから、非常に現実的な線として三年間でということを考えたので、それは、デフレ経済下でも働くようなマクロ経済スライドをどう設計するかという、その年限とは関係がございません。

高橋(千)委員 そういう狙いが隠されているということを指摘したいと思います。やってはならないということも指摘をしたいと思います。

 それで、少し資料を戻りまして、四枚目。

 先ほどの特例水準の解消について、この下の方にある資料は大変似ている形をしておりますけれども、「これまで年金と連動して同じスライド措置が採られてきた手当について」と書いてあります。これは、例えば児童扶養手当とか特別児童扶養手当なども連動して解消ということで、一・七%、三年間で引き下げるといいます。

 それで、いわゆる負担と給付の関係ではないこれらの手当も同じように引き下げるというのは、やはりやるべきではないと思います。しかも、まさに現役世代、将来世代にもかかわる、貧困の連鎖を防ぐ上でも大事な手当でもあるわけです。連動しないで、減らさない、あるいは拡充できるケースも考えるべきではありませんか。

小宮山国務大臣 児童扶養手当などにつきましては、これまでも、年金と連動して同様のスライド措置をとってきました。例えば、離婚等の場合に支給される児童扶養手当、これは死別の場合に支給される遺族年金を補完する形で、両者で一体となって一人親家庭に対する所得保障を行っています。こういう関係にある両者の間で特例水準の解消を異なる取り扱いにするということは、なかなかそれは難しいことだというふうに考えます。

高橋(千)委員 何種類も手当はあるのに、そこだけ例えばで言うのも大変おかしいと思いますよ。しかも、小宮山大臣よく御存じのように、児童扶養手当を受給されているケース、やはり死別ではなく生別の方が多いですよね、離婚がふえていますので。それは、ちょっとそれだけでは理由にならないだろうと思います。

 それで、私、ちょっと今の話に偶然にも関係するんですけれども、手当つながりで一つ、ぜひ小宮山大臣に決断していただきたいなと思うことを言います。

 今回の法案で、遺族年金を男性も受給できるようになりました。これは、女性しか受給できないということ自体が差別であり、何で今ごろまで放置されてきたのかなと思います。ですから、これは当然歓迎ですし、まだ残されたこういう男女差という問題が年金制度などにさまざまございますので、ぜひ解消に取り組んでいただきたいと思います。

 それで、遺族年金は八万四千円、これに該当する方はまだいいんですけれども、そうじゃない場合もあります。例えば、私が長妻厚労大臣のときに厚生労働委員会で取り上げたケースは、離婚後に父親が亡くなったケースでした。それで、まだ大変若いので、遺族厚生年金、二階建てのところだけしかもらえない。八千円なんですね。ところが、年金優先の原則があるために、四万二千円の児童扶養手当がもらえない。これはどう考えてもおかしい。しかも、そのことを知らなかったために、悪意じゃないですよ、親切に教えていただいて児童扶養手当を受けた。そうしたら、後で、だめでしょう、年金があるんだから返しなさいと言われたんですよ。

 八千円もらうために四万二千円もらえない、これはどう考えてもおかしい。生活費を補填できるだけの年金ならまだしも、こういうことはもうやめて、併給可能にすべきではありませんか。

小宮山国務大臣 今委員がおっしゃったように、現在は、年金を受給できる人に対しましては、児童扶養手当の併給を制限しています。このような取り扱いについては、今御紹介いただいたように、少額の年金しか支給されない場合も児童扶養手当の全額が支給されない、こういう仕組みは改善してほしいという声が寄せられていまして、これは私もそのとおりだというふうに思います。

 このため、今後、具体的な支給方法ですとか必要な財源措置、こうしたことにも留意をしながら、平成二十二年の児童扶養手当法改正法の附則の検討規定、これに沿って検討していきたいというふうに思っています。

高橋(千)委員 長妻大臣のときにも検討するとは答弁をされていますので、一つくらいはいいことがあったと、一つではないですが、少しはいいところがあったと喜んでいただけるように、ぜひお願いをしたいと思います。

 それで、せっかく時間をもらったのでいっぱい問いを用意したら、さすがにちょっと時間が足りなくなるかなということで、少し質問を整理して聞きたいと思うんです。

 今回、基礎年金の国庫負担二分の一について、法案が二つに分かれました。要するに、年金交付国債でやりますという法案と、その財源を特定するのは最低保障機能強化法案に入って、二つの法案になっているわけですね。それはなぜかというのが不思議に思うんですが。

 この特定年度、つまり、消費税で基礎年金の二分の一を手当てしますと決めるのは二〇一四年度であります。それで、二〇一二年度は年金交付国債。そうすると、一年あくんですね。それは検討するとしか書いておりません。そうすると、もう一回年金交付国債を発行するのでしょうか。

小宮山国務大臣 昨年、財務省といろいろな財源のことも含めて検討した結果、総合的な判断の中で年金交付国債ということにいたしました。

 ただ、二十五年度をどうするかということは決めていませんので、これは今後改めて検討をするということで、現在決定しているものではございません。

高橋(千)委員 ですから、まだこういう部分が残されているんですね。年金交付国債をさらにとなれば、結局、償還額が倍に、年間三千億ですかね、そういうことになってしまう。そういうことも、もうあらかじめ、しようがないというのならそのままずばりお出しになればいいのに、そういう議論をきちんとしないで、まだ検討するということを言っているということは問題だと指摘をしたいと思います。

 それで、二十二日の本委員会で我が党の佐々木憲昭議員が、社会保障に全額消費税を充てると安住大臣はよくおっしゃるけれども、そうはいっても、社会保障の新しく使う部分は一%部分だけだと。ですから、残りのコスト増ですとか自然増などを除く七兆円、これは置きかえにすぎないということが明らかになったかと思います。

 その置きかえということでは、実質赤字返済分ということで理解してよろしいでしょうか。

安住国務大臣 佐々木先生には、もう財金でも毎日この問題をやられていまして……(発言する者あり)ああ、そうですね。会うたびに言われていますけれども、つまり、何度も申し上げますが、十三・五兆ですね。そのうち二・七兆は充実でございますが、残りの十・八のうち二・九が、今御指摘あったいわゆる交付国債ですね。それから、〇・八が、消費税を引き上げたときの社会保障の公共的な部分で引き上げたりするものの経費でございますから、それを引くと七兆ということになるということでございます。

高橋(千)委員 結局、七兆円がその赤字返済だという考え方だと思うんですけれども、そこでちょっと考えてみたいのは、小宮山大臣が四月十七日の厚生労働委員会で、二〇一一年度の財源構成において社会保障四経費と消費税の差額が十九兆円だということを説明されて、その相当部分が後世への負担としてツケ回しという表現をされました。さらに、毎年一兆円規模の高齢化等に伴う自然増が加わってツケ回しが拡大していると御発言。きょうも同様の趣旨の発言をされていると思うんですけれども、社会保障のために借金がふえてきたんだ、だから消費税だという議論が盛んにされている。みんなツケ回しという表現に変えられるということは非常に耐えがたいものがあるなと思うんです。

 それで、予算総則上は、消費税の収入は三経費に充てるとこれまでも言ってまいりましたよね。それを図にしたのが資料の六であります。最後の紙であります。

 高齢者の三経費、今までは三経費と言っていました。医療、介護、年金。その経費と消費税収の差額というのがありまして、何と一一年度からは、社会保障四経費ということで子供が加わったので、差額がぐっと広がったんですね、十九兆三千億円。それで、一二年度は差額がさらに広がりまして、二十一兆を超えているというふうに、図にするとこうなるわけです。

 そこで伺いますが、差額を強調するということは、その分を消費税で丸々見るというお話でしょうか。あるいは、一体、この差のうちどれだけ消費税をふやすつもりなのですか。財務大臣と小宮山大臣にそれぞれ伺います。

小宮山国務大臣 今お示しいただいたのは、消費税率を五%引き上げたときには、現在の枠組みでの社会保障四経費が三十四・八兆円程度と見込まれる、その一方で、消費税収は現在の四%分が十・八兆円程度となるため、差額が二十四兆円程度になるということです。

 今回の一体改革では、消費税増税分のうち、後世への負担のツケ回しの軽減の七兆円程度によりまして社会保障費、既存のものを賄うことにしていますので、その結果、その二十四兆から七兆を引くと、十七兆円程度差額が残ることになります。

 これをどういう形で手当てするかということについては、先ほど岡田副総理もお答えいただいたように、必ずしも消費税でやるということだけではありませんので、ここの差額をどう埋めていくかということにつきましては、また検討していかなければいけないというふうに考えます。

安住国務大臣 副総理と厚労大臣と同じでございまして、機械的にこれを当てはめて何%という議論ではなくて、社会保障の足らない財源確保のために、いろいろな、成長をして税収をふやしたり、また効率化も図っていく、さまざまな努力をしていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 必ずしもそうではない、あるいは、さまざまな努力を図っていきたいということをおっしゃいました。では、今の提案は、それ以上ふやさないということでよろしいですか。

安住国務大臣 ふやすとも減らすとも申し上げておりません。さまざまな努力をするということでございます。

高橋(千)委員 最後、要望にします。

 やはり、あえて私、こういう表をつくったのは、皆さんがおっしゃっていることを表にしたんです。残りがツケ回しだという言い方をすると、いかにもこれは、社会保障をふやした人は誰かみたいに、高齢者に何か重い責務を負わせるような、そういうことが言われるから、感じられるから言っているのであります。

 社会保障が目的税だということで言えば、それで国民は納得するわけではないんですよ。目的税だと言ってしまえば、社会保障がふえれば増税しなければならないという構図になるではありませんか。逆に、増税が嫌だというのであれば社会保障を削れ、そういうことになってしまうんです。

 今回、一体改革の特別委員会にはまだ出されていない医療や介護の法案は、まさにそういう抑制方向の法案が準備されているんですよね。そういうことになっていくんじゃないかということを指摘しなければならないと思います。

 そもそも、社会保障はツケ回しではなくて、税金の主たる役割ではないかと思うんです。国税庁が説明している小学校や中学校の社会科の教本などを見ても、税金の役割というのは、格差を是正するんだ、公共サービスやインフラの整備とあわせて、再分配をして、それで格差を是正する役割を持っていると説明をされています。所得のない人にも税金をかけていく消費税が税収の主役になれば、格差を縮めるどころか、逆に拡大をしてしまう、再分配ではなくなってしまう、だから反対なんだということを指摘して、終わりたいと思います。

中野委員長 これにて高橋さんの質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

 冒頭、社会保障と税の一体改革と言われながら、医療関係の法案もない、介護関係の法案もない、年金もない、ないない尽くしで、あるのは消費増税だけではないかと皆さんに指摘されております。私も本当にそう思います。

 そして、昨日お尋ねしたように、急に降って湧いたような六千円をお渡しすることが、逆に今ある保険制度を危うくするとなれば、これは百害あって一利なしの提案なのではないかとすら思ってしまいます。

 もう一つ、岡田副総理にお伺いしたいんですけれども、先ほど来これも何人か御指摘ですが、消費税を社会保障の目的税化するというお話ですけれども、年金、医療、介護にプラス子育てまでも入れたんだということでもあります。これは、逆に言えば、年金、医療、介護がこんなに大変だから消費税を上げようやという連動にもなりかねないという問題もありますし、逆に、私は、今皆さんが考えているその社会保障の中身に欠けたるものがあると思います。

 一つは雇用政策、それも積極的な雇用政策です。実は、既に一九九〇年代、ヨーロッパで、ブレアが教育、教育、教育と言い出したときは、何があの国の一番問題であったか。成熟社会に向かおうとするとき、みんな高齢化いたして、そして、高齢化しながら、若年層では失業率が拡大していく、あるいはニートとかの問題が非常に大きな影を落とす。私たちの社会も、今、貧困化とそして若い方たちの不安定な雇用という問題が非常に、これからの社会保障を考えたら、それが一番問題でしょうよと思います。だって、その方たちが担い手なんだから。

 と同時に、私は、もう一つ、このブレアが言った教育という問題は、実は、皆さんの提案では、子育てという、保育か幼稚園にするかという人生のごく初期のところで論じられていますが、もっと、生涯教育であると言ってもいいし、若い世代の小中学校、義務教育や、あるいは高等教育などをどうしていくのかという全体の社会像を提案しないと、本当に部分的なお金の配分で、こっちが足りない、あっちをとってこようという話だけになって、向かうべき未来像が見えないと思います。

 冒頭、岡田副総理に伺いますが、岡田大臣にとって、この教育の位置づけ、そして、もし社会保障関係の経費を今言っているような年金、医療、介護、せいぜいが子育てというところに限った場合に、これから我が国がここに本気で、実は、ここにこそ本気の施策を打たないと、この国の将来がないと私は思います。どうお考えですか。

岡田国務大臣 まず最初に、ないない尽くしと言われましたが、我々、現に、子ども・子育てで三本、年金で二本の法案をこの委員会に出しておりますので、その内容についていろいろ御議論があることはわかっております、しかし、きちんと我々としては提案をさせていただいている、別に税法二本だけを出しているわけではございませんので、そのことをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 委員が言われた雇用とか教育の重要性というものは、それはおっしゃるとおりであります。そういったところについて我々はしっかり力を入れなければいけないし、現にそういったことも進めているところでございます。

 しかし、他方で、消費税の引き上げとそれから社会保障の充実、これを対の形でやってもらいたいというのは私は国民の声だと思うんです。消費税を上げるときに、何に使ったかはっきりしないじゃないか、やはり社会保障のためにやってもらいたいというのが多くの国民の声で、確かに、そこに教育や雇用も入れると、かなり金額が広がります。とても消費税の税収では賄えない、というか今でも賄えないんですが、さらに広がって、非常にぼけてしまいます。

 そういう意味では、我々、社会保障四経費、これを消費税で賄っていく、少なくとも増税分は全てそれに使うという、わかりやすく説明をさせていただいているところでございます。

阿部委員 まず、子ども・子育て関係の法案を出しているじゃないかとおっしゃいますが、これはきのうでしたか、小渕委員が非常にクリアに指摘されたように、子ども・子育て新システムというところのこども園だけが突出していて、先ほど私が申しましたように、例えば子育て中の世帯にアンケートをとりますと、何が一番強い関心事かというと、教育なんです。子供はもちろん小さいころは保育ですよ、あるいは幼稚園でしょう。でも、いつまでもゼロ歳や三歳であるわけではないのです。その先が見通せない。今、教育費の負担も教育の質の問題もあります。ですから、社会保障なんですから、この社会をどういうビジョンで語るかというところがないから、そこだけが突出していると言われてしまう。

 年金問題も一緒です。本来は、御党は新たな年金システムを出すとおっしゃっていた。そこには哲学があるはずです。その哲学をこそこの委員会で語れば、それは今成案を見なくても、何が違いなのか、政権交代の大きな理由になったわけです。私は、ここは国民に責任があると思います。そして、語った結果、よりよいものができていけばいい。

 だけれども、今出されたものは、あくまでも本当に中途半端な低所得者対策なるもので、それが年金制度を壊しかねない。だって、皆さんが次に出す法案ともそごがあるということを私はきのう指摘しました。低所得者の定義一つ、年金だけで足らず前を埋めていく皆さんのこれから出す法案と、きのう御説明の加算は違うわけですから、そんなにくるくる変わったら国民が混乱しますよということを申し上げています。

 そして、より具体的に問題に入らせていただきたいと思いますが、実は、私は、子供の問題というのは、この社会の私たちの未来をどんな価値観で生きていくかということでありますので、特に今、東日本の大震災によって著しい被害を受けた現地でお子さんをお育ての家庭がどんなふうに感じられているかということで、きょうは冒頭の質問をしたいと思います。

 一枚目の資料を見ていただきたいと思いますが、これは、独立行政法人の労働政策研究・研修機構というところが、二〇一一年の十一月でしたか、行ったアンケートで、全国の四千世帯に、一人親の世帯、二人おそろいの世帯、二千、二千に分けてアンケートをとりました。アンケート回収二千二百十八ですが、このアンケートは、この間出てくるいろいろな政府のアンケートと違いまして、被災地にもお伺いをしているということであります。百七十五ポイント全国でとりましたが、そこに被災地が入っている。

 それで、ここで何を聞いたかですけれども、五年前と今と生活はどう変わりましたか、生活実感です。これはあくまで実感ですので、その方がどう感じているかを、五年前を今からさかのぼって聞いたことであります。

 現在の感じ方では、東北三県では、大変苦しいとやや苦しいを合わせて六割近くであります。もちろん岡田副総理も御存じのように、今、子育ての世帯で半数が苦しいと他の都道府県でも感じておられます、五割と六割、しかし差はあると思います。そして五年前、五年前もデフレでありました、楽ではありません。これはその他の地域で三五%程度でしょうか。東北三県でも四割にいく。

 すなわち、ここには二つの特徴があって、この社会の中堅である子育て世代の半分以上が苦しいと感じ、被災地にあっては六割が苦しいと感じている中、消費増税を行うわけであります。

 岡田大臣はきのうの御答弁の中で、前回二回の、消費税導入と三から五%の引き上げのときには減税措置も打ったと、きょうもおっしゃったと思います。今回は何らそういうことがありません。前二回打たれた減税措置、岡田副総理が覚えていらっしゃる限りで教えてください。一九八九年と一九九七年、どんな減税措置を打たれましたか。

岡田国務大臣 私は記憶が非常に悪いので、聞かれても正確には答えられませんが、所得税の減税が一回目も二回目もあったのではないかというふうに思います。そのほかに、所得税以外ちょっと思い浮かびませんが、基本的に増減税ということでいえば、減税規模の方が一回目は多かった記憶がしますし、二回目は基本的には同額という位置づけだったのではないかと思います。

阿部委員 所得減税といえば所得減税なんですけれども。

 安住さん、ほかにお答えありますか。

安住国務大臣 今、岡田副総理がおっしゃったことと基本的に同じでございます。

 最初の竹下総理のときは、ここでも竹下亘先生から御指摘いただきましたが、減税額の方が大きくて、先行してやったと。当時は、財政再建も重要でしたが、もう一方で直間比率の見直しをやることが高齢化社会に向けての重要な税制改革だったというふうに竹下総理は感じておられたので、そういう所得減税等について先行しておやりになったというふうに思います。

 橋本総理のときは、いわゆる中立で、プラマイ・ゼロになるような形でやりましたから、これはどちらかというと景気への配慮ということを中心に対策をやったというふうに記憶しております。

阿部委員 私は、この二回の消費増税には、おっしゃったように、一回目が直間比率の見直しであったと思いますけれども、このときに公的年金控除を入れました。それから、いわゆる手元に残る可処分所得を毀損しないために、例えば配偶者控除の見直しとかもろもろ、要するに生活をしていくのに大事なものを残しておこうという考え方があったと思います。

 私は、ぜひ、今回、岡田副総理にも安住さんにも、もう一回、あのときの二回の消費増税、二回目は村山政権であります。村山政権では暮らしの場である地方で使えるお金をふやそうということで、初めて地方消費税を一%と決めました。

 もし、皆さんが考えられるように、この国は何らかの形で消費税に頼っていかざるを得ない、それを一つの財源と考えざるを得ないとすれば、少なくとも二つの配慮が必要だと思います。

 先ほどの高橋さんがお尋ねになった、可処分所得が一体どのくらい残るのか、生活をしていけるのかという配慮であります。日本はもともと基礎控除が極めて少ないです。ドイツなどに比べると半分であります。今、三十八万円であります。手元に残るものの一番代表は、この基礎控除であります。そのほかに、先ほど申しました配偶者控除や年金の控除というものを入れて、そして手元に、生活だけをどうやって守れるかという目がなければ、これは生活破壊の大増税になってしまいます。

 私が今投げたことへの御答弁を、この次、お願いしていいですか。どうぞ。

安住国務大臣 確かに、六十二年、六十三年次で特定扶養控除の創設をいたしております。人的控除の引き上げもやりました。今先生御指摘のように、平成六年のときは、地方消費税分、要するに一%分は地方に回します、それから、給与所得控除とやはり人的控除の引き上げを行っているということは事実でございます。

 ちょっと反論するようで恐縮ですが、可処分所得のことで、よろしいですか。大変言いにくいことでもあるんですけれども、しかし事実なので。

 日本の場合、所得税の累進税率で、よく社民党の皆さんも高い方のことばかりおっしゃるわけですが、統計で見ますと、実効税率で見ますと、日本の場合、五%や一〇%の所得課税層が非常に多くて、そういう点での実は問題点も、私は率直に言わせていただければ、あると思っております。

 ですから、そういうことも全部総合的に勘案をしないと、ただ税収機能が落ちているから高いところからとにかく取れというふうなことではなくて、真に累進率とはどういうことかということを考えないと、これはグラフなんですが、私が示すわけにはいきませんが、相当、五%、一〇%台の低い所得税率の方が八〇%近くいるということもぜひわかっていただきたいと思います。

阿部委員 今の御指摘は私の質問への答えではありません。私は、暮らしが成り立つように、少なくとも今までの消費増税の中では目配りをしてきた部分があるのに、今回なぜないのですかと伺ったわけです。

 税収全体でいえば、今安住大臣の御答弁のように、では、所得税の累進度を上げるといったって、どうしますよということだと思うんですけれども。

 私は、例えば一億円あたりのところからその方の資産収入や金融証券による収入がふえてくるんです、だから包括課税にしたらいいと思っています。でも、きょうここでその論議を残念ながらするつもりはありませんので、次回、またよろしくお願いいたします。

 きょう言いたいことは、こうやって生活の中まで踏み込んで、基本的な暮らしを破壊するような形で増税をしてはならないということです。逆に言えば、暮らしに優しい消費税というのだってあるかもしれません。知恵の出しどころだと私は税制上は思っております。

 きょう準備した質問に移らせていただきます。

 私は、きょう、一枚目が、子育て世代、五割ないし六割が苦しいと言っている、そこでやる増税ですよということを踏まえていただきたいのと、とりわけ苦しいのは被災地だと。そして、被災地に住む子供たちにとって、もちろん幼稚園、保育園、そして学校生活、ここがどうなっているかということでのデータをお示ししたいと思います。

 就学援助という仕組みを御存じだと思います。教育費とか、例えば学校で受ける歯科健診とか、あるいは学校の就学のための鉛筆とかいろいろなもの、そういうものが家庭で負担できないであろうお子さんに就学援助という仕組みがあります。

 これは、生活保護世帯もそうですし、それに準ずる世帯も受けておられますが、あらあら簡単に言うと、東北三県でいえば、子供のうちの約一割が受けておられる。あらあらですよ、試算いたしました。これが東京の鴨下先生の足立区だと四〇%とか四十数%とか、高いと言われていますが、これは子供の貧困のすごくいい指標になります。これが、震災の後、子供たちがどのような状況に変わっていったかということであります。

 上が震災以前、平成二十二年で、平成二十三年については生活保護相当世帯以外のものはまだ数値が出ておりませんが、簡単に、あらあら、私が各県に寄せ集めたものを聞きますと、今までこの三県で四万六千人がこの就学援助を受けていた。国が生活保護見合いで出している補助以外のものは自治体が出しておりますから、これが緊急でさらに四万四千人加わった、二倍になったということであります。(安住国務大臣「地震だからしようがない」と呼ぶ)しようがないんです。いいんですよ。

 安住大臣、石巻が選挙区ですか。違いますか。(安住国務大臣「地元です」と呼ぶ)地元ね。ここで就学援助の子供たち、何人ふえたと思われますか。

安住国務大臣 わかりませんけれども、あれだけの被害ですから、統計上はそうなるんではないかと思います。

 私の母校も閉校しまして、三つの学校を小学校一つにしたり、今さまざまやっていますので、それはやむを得ない部分はあると思います。

阿部委員 私は、悪いと言っているんじゃなくて、足りないんじゃないですかと言っているんですね。

 というのは、生活保護見合いであれば、国からのさっきの補助の額がまだ残っています。でも、そうでない部分は一般財源化されました。二〇〇五年のことであります。一般財源化されると、それは地方の市町村から出すことになります。それで、その市町村負担分を勘案して、二の、岩手、宮城、福島などで今出されている額が、例えば五億、十六億、十四億となってございます。簡単に言えば、今までの倍数の子供がいるんだけれども、果たしてこれで本当に不足していないかどうかなんです。

 高井副大臣に伺います。いかがでしょうか。実際はどのように聞いておられますか。

高井副大臣 お答えいたします。

 被災した子供たちが、できるだけ今までどおりの環境の中で安心して学ぶことができるようにということで、いろいろ、復興の基本方針に基づいて、学校施設の復旧支援や被災した子供への支援を進めております。

 委員御指摘の就学援助事業を含めて、被災して経済的に就学困難な幼児、児童生徒を支援するために、平成二十三年度第一次及び第三次補正予算において、被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金という形で約百四十七億、全額国庫負担ということで創設をいたしまして、学用品等を支援するとともに、平成二十四年度以降は、当面三年間にわたり必要な就学支援を実施することができるよう、所要の経費を措置している。約二百六十四億で、これも全額国庫負担ということでやっております。

 今、実施状況も含め、被災児童の分、まだ出ていない部分もありますが、ただ、十分かと言われれば、今確かに全て利用されておりますので、まだまだこれから、先々必要なこともあるかもしれません。その状況に応じて、我々も最大限努力をしてまいりたいと思います。

阿部委員 ぜひ、そのようにお願いしたい。子供たちにとっては、学校に行き、勉強し、給食を食べる。食事などの問題も、学校だけが唯一、きちんとした食事が食べられるような場になっているというのも多いです。

 私は、国の方もまたしばらくすると資料が出るそうですので、自治体にいろいろ問い合わせた結果の、自治体のお金の中で何を優先して出していくかなのです。先ほど高橋さんが取り上げられた復興交付金なども、各、石巻にも出ますでしょうし、山田町にも出ますが、しかし、そのお金は必ずしもここにはやってまいりません。国がこういう形で直接支援していかないと子供たちの就学が保障されません。

 安住大臣が首をひねっていますが……(安住国務大臣「ちょっといいですか」と呼ぶ)どうぞ。

安住国務大臣 所管の大臣じゃないですけれども、大変失礼ですけれども、私は、修学旅行に来た地元の中学校なんかは、ことしも二十数校会っていますけれども、全部、校長先生なんかにも話を聞いて、帰るたびに学校に寄ったりもしていますけれども、あなたがおっしゃっている話は公的なお金だけなんですよ。

 例えば日赤から来たとか、例えば私の近くの学校では、京都の方から何か支援物資が来て、そこに消しゴムがたくさん入っているとか、一切そういうのを抜きにして、国の金だけで、足りない、足りないというのは、よく地元を歩いてください。そして、その上でお話を聞きますから。

阿部委員 もちろん、この震災に対して、国だけでなく、多くのNGOや、あるいはユニセフまで来ているわけですから、今、安住大臣の言ったとおりです。しかし、これは基本的な就学に係るお金の問題であります。

 もちろん、それ以外の、例えばNGOの皆さんが中学生のために、山田町では四十人規模で軽食を提供していたりもします。もちろん、そういうことはわかっています。でも、基本的に学校生活にかかわるものだから、私はお伺いをしているわけであります。

 次の質問に移らせていただきますが、では、そういう実態を見たときに、家庭の、職業を失う、貧困とか崩壊状態などがあったときに、学校にいわゆるスクールソーシャルワーカーを配備してほしいということを、私は伊吹さんが文科大臣だったときに伺ったように思います。少しずつ配備はされてまいりましたが、この震災以降、東北地方にあってはどのくらいふえたでしょう。高井副大臣、お願いします。

高井副大臣 御指摘のとおり、スクールソーシャルワーカーの活用ということは大変大事だと思います。

 教育委員会や学校に派遣できるように、平成二十三年度一次補正予算並びに三次補正予算で、緊急スクールカウンセラー等派遣事業ということで約三十四億、これも全額国庫負担で措置をいたしまして、二十四年度当初予算においても同事業を約四十七億、これも全額国庫負担で、復興特別会計という形で措置をしております。

 被災地の支援については、地元の教育委員会等の要望にできる限り応えていくことが重要と思っていまして、これまでの被災地からの御要望に全て応える形で、スクールソーシャルワーカーを平成二十三年度には三十九名を派遣し、二十四年度においては五十四名を派遣する計画でございます。

 これからも、この点、適切に拡充していけるように、適切な支援がなされるよう努力していきます。

阿部委員 今、東北三県で、去年が三十九、ことしが五十四とおっしゃいましたが、学校の数は、例えば岩手、小中五百六十二校、宮城六百六十校、福島二百三十八校です。子供たちが学校で問題を抱えながら、家計も、家庭の親の仕事の問題も全部含めて、いろいろな福祉的な支援を必要としているという状況に、私はもう少し大幅な配置をお願いしたいと思います。

 もう一つきょうはお聞きしたいので話題を移らせていただきますが、お手元の資料三枚目、消えた子供たちの問題であります。

 私が昨年の予算委員会で、いわゆる学校の学籍簿に名前がありながら一年以上学校に来ていない子供たち、これを消えた子供たちと称するということを取り上げて、そして、その結果、教育委員会にもう少しきちんと調べていただきたいとお願い申し上げましたところ、平成二十三年度では、その前年が三百二十六人のところ、千百九十一人と大幅に増加したというべきか、きちんとフォローすれば、実は把握されていない消えた子供たちがまだまだいるかもしれない。

 またことしの分の結果が出ると思いますが、この消えた子供たちの問題でも、生まれて学校に行くまでの間、誰がどこでどのようにこの子たちにかかわってきたのか。そして、学籍簿に載るときは住民台帳に基づいて学校の学籍簿に載るんですが、載ってからも一回も来ていない子供たちもいるんですね。例えば、小三のときに何かのきっかけでいないということがわかって大騒ぎになるけれども、どこからいなかったかわからない。

 今大変に貧困やあるいは家庭の機能が低下している中で、この子たちを一体どのようにしたら消えない、消えさせないことができるのかということで、小宮山大臣にお願いがあります。

 子供は全部、生まれれば出生届を基本的には出し、お母さんには母子手帳が行きます。そこから健診を受け、予防接種を受け、あるいは児童相談所に行き、福祉的な何かを受けたりするかもしれません。そして、その後に学校が来ます。今必要なのは、一人の子供に着目して、生まれたときからその子の利用する保健的、予防接種とか健診ですね、それから福祉的データ、そして学校のデータまでを一連してつないでいく作業だと思います。

 以前に子供台帳ということをお伺いしたことがありますが、これは去年よりことし格段にまた多い数であります。学校に行ってからではもう見つけようがないくらい、いつから不明だったのというケースが多いです。根っこの取り組みをお願いしたいが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 さまざまな理由で支援が必要な子供については、今委員がおっしゃったように、福祉、保健、教育、医療、そして警察など、いろいろな連携が必要だと思っています。

 今は、虐待などを受けた子供を対象に支援をするために、子どもを守る地域ネットワーク、この設置を進めています。

 このネットワークでは、虐待を受けた子供が当面対象ですけれども、例えばこうしたところを少し拡充するとか、そうしたやり方も現状ではあるのではないか。

 台帳ということについては、それぞれのプライバシーの問題とか、事務量がふえるという問題とか、幾つか課題はあるかと思いますので、何らかの形でその子供たちをフォローできるような仕組みは私も必要だと思うので、検討させていただければと思います。

阿部委員 ありがとうございます。

中野委員長 これにて阿部さんの質疑は終わりました。御苦労さまでした。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、子ども・子育て新システム法案及び関連法案についてお伺いをいたします。

 まず、基本中の基本なんですけれども、この法案の提出意図の主要な部分に待機児童問題の解消がある、こういう理解をしていいのかどうか。まず、真っ先、冒頭にお伺いをしたいと思います。

小宮山国務大臣 新システムの導入の背景には、おっしゃるように、都市部を中心にその保育が不足をしていて待機児さんがいるということ、また、子供が減っている地域では幼稚園、保育所が単独では成り立たなくなっている、また、核家族とか、地域のつながりが弱まったり、子育てに孤立感とか不安があるというような、そういう幾つかの背景がございますが、そうしたことをバックにして、待機児童解消ももちろんですけれども、質の高い学校教育、保育を就学前の必要な全ての子供に保障する、そうしたこと全体をあわせて今回はこの新システムの中に入れたいというふうに思っているところです。

柿澤委員 大臣も私も東京の人間ですから、待機児童問題の深刻さ、それが子育て世帯に与えている大変な負担感、こういうものは御理解いただけるだろうと思います。

 私は、これだけの大改正を行う以上、この子ども・子育て新システムの導入によって、やはり待機児童問題の解消につながっていかなければならない、ましてや、一兆円規模の公費を投入していこう、こういうものでありますから、なおさらそうだというふうに思うんです。

 それで、今回の子ども・子育て新システム法案の中核部分である総合こども園、この総合こども園への移行による待機児童解消効果というのは、これは定量的にどのぐらいであるというふうに分析しておられるんですか。

小宮山国務大臣 二十三年四月一日現在で二万五千五百五十六人の待機児さんがいます。ただ、これが秋になると、途中で入りにくいことも含めて、倍ぐらいになります。そしてまた、本来は働きたいと思っているのに諦めている潜在的なニーズなどもございますので、どれぐらいの効果があるかというのはなかなか難しい。

 ただ、今回、入れたいと思う方からは全て受けるというような形で、ニーズをしっかりと把握して、それを認定して、必要な仕組みのところに財政支援をするというような形でいたしますので、必ず現在よりは待機児童の解消につながると思っています。

 幼稚園から総合こども園に移行をして、幼稚園でのすぐれた教育も生かして保育の需要にも対応していただくということ、また、幼稚園など、総合こども園がバックアップ施設になって、小規模保育とか家庭的保育も今回は基準を満たせば財政支援の対象にしますので、必ず多様な受け皿ができますから、今よりは待機児童の解消にかなり役立つというふうに思っています。

柿澤委員 後段の御答弁の部分は後でお伺いをいたしますとして、しかし、私は、総合こども園への移行が、待機児童解消効果、どのぐらいであると考えているのかと。これは定量化はできないけれども必ずつながる、こういうふうな御答弁だったと思うんです。

 そうはおっしゃいますけれども、やはりゼロ、一、二が待機児童の八割以上ではありませんか。この年齢の受け入れ義務がない総合こども園では、やはり待機児童問題の解消にはつながらないというふうに思うんですけれども、この点、もう一度お答えください。

小宮山国務大臣 おっしゃるように、待機児の八割がゼロから二歳です。今回、総合こども園の、幼稚園が移行するところに三歳未満を義務づけなかったことから、待機児解消につながらないという御指摘を再三いただいているんですけれども、それはやはり、全ての地域で待機児がいるわけではないので義務づけなかったということと、学校教育は三歳からということがございましたので、今回、ゼロ、一、二歳は義務づけていません。

 ただ、ゼロ、一、二歳を受け入れる幼稚園に対してインセンティブをこの安定財源をもとにかけたいと思っていますので、そこは、そのゼロ、一、二歳、手がかかる分、単価を上げるとか調理室をちゃんと面倒を見るということのほかに、やはり、今幼稚園は三割あきが実はありまして、七五%の幼稚園で、三歳以上ですけれども預かり保育をしている。そこにしっかり財政支援をするということで、少なくとも三歳以上の部分については、多くの幼稚園がそのインセンティブによりまして移行してもらえると思います。

 三歳以上を自分のところでやっていれば、もちろん自分のところでゼロ、一、二歳を見てほしいわけですけれども、そうでなくても、小規模とか家庭的保育と連携をしても成り立つような形、いろいろな形を取り入れていますので、幼稚園で必ずそれは受け入れていただける形に持っていけるというふうに考えています。

柿澤委員 るる希望的観測を語っていただきましたが、しかし、今回、幼保一体化といいながら、幼稚園は、直ちに総合こども園になるわけではない、これまでと同じ形で残れるようになったわけです。幼稚園のままでは、待機児童、深刻なゼロから二歳を引き受ける義務がないわけですので、待機児童の解消には余りつながらないのではないかと思います。

 余りつながらないにもかかわらず、幼稚園は、従来と同じ私学助成を受け取る一方、消費税増税を原資として新設される、運営補助金に当たるこども園給付を受け取ることができるようになりました。要するに、現状のままで私学助成が入り、なおかつこども園給付が入り、いわば補助金の二重給付、二重取りみたいなことが行われるようになったわけです。

 これはどういう意図で行われるものなんでしょうか。御答弁、お願いします。

小宮山国務大臣 それは誤解だと思います。二重取りにはなりません。

 大半のものは、こども園に移行していただければこども園給付になります。ただ、移行が全部するわけでない形の中で私学助成も残るということで、二重取りには決してなりません。

柿澤委員 幼稚園に残ったものはどうですか。

小宮山国務大臣 幼稚園として今までどおりやるところは今までどおりの形の助成で来ますけれども、さっきおっしゃったように、こども園になったところにこども園給付ですから、それぞれ、一つの施設に対しては一つの給付でいく。さらに加えてプラスアルファのものをする場合には、そこはまた上乗せということがありますけれども、原則として、ベースのところはどちらかになりますので、そこは、二重取りということはございません。

柿澤委員 今度、社会福祉法人立の認可保育所、これが総合施設化した場合に、これも私学助成の対象になるということになったわけですよね。

小宮山国務大臣 今回の子ども・子育て新システムでは、現在の私学助成の一般補助、これは幼稚園運営の経常的経費、それと幼稚園就園奨励費補助、これは原則として、さっき申し上げたように、こども園給付に統合します。

 また、特別補助のうち、預かり保育ですとか子育て支援に対する補助は、私学助成ではなくて、市町村が実施する地域子ども・子育て支援事業として新たに再構築をすることにしています。

 一方で、特別補助のうち、特別支援教育など、多様なニーズに対応する質の高い特色のある取り組みについては、引き続き私学助成により支援を行う。その際に、こうした部分について、社会福祉法人が設置する総合こども園についても、学校教育を提供する施設として学校法人と同様に助成の対象とするということですので、これは幼児期の学校教育を進めるという点からこういう組み合わせでやるので、ダブってもらうということでは決してございません。

柿澤委員 でも、お伺いをしていると、既存の幼稚園が幼稚園のままでいる、あるいはこども園化する、また、既存の認可保育所がこども園化する、こういうときに、今までよりも、運営費補助でいえば、多く投入されるようになる。一方で、このゼロ、一、二の最も待機児童が深刻な部分について、何がしか、ある種義務として受け入れなければいけないかというと、そうではない。

 つまりは、既存の施設が今までどおりの運営であったとしても、今よりも手厚い、多額の運営費補助をもらえる、こういう制度になっているんじゃないですか。

小宮山国務大臣 もう少し具体的に示していただけるといいんですけれども。

 例えば、幼稚園が預かり保育をしていたところは非常にそこの財政支援が薄かった、そこについては今回厚くなりますので、そこの部分は今までより多くなるということはあると思います。

 ただ、今回は、学校教育と保育を一体的にやっていただくということを推進していくインセンティブをかけていきたいと思っていますので、今までどおりのことをしているところが今までよりも多く受け取るということはございません。

 ですから、ちょっと、委員の御趣旨がどういうところにあるのかがよくわからないです。

柿澤委員 今までどおりというか、例えば、ゼロ、一、二を受け入れるとか、あるいはさまざまな付加的なサービスを行うとか、そういうことをやらない、そのままの状態で幼稚園を運営し続ける、こういうところに対しては、運営費の補助というか公費による支援というのはびた一文変わらない、こういうことでよろしいんですか。

小宮山国務大臣 それはこども園給付の設計次第でございますけれども、このこども園給付を充実することによって、幼稚園がこども園の指定を受けて、新システムに移行するように促していきたいというふうに考えています。

 今までやっているところがびた一文変わらないかどうかというのは、これからの設計、こども園給付をどういうふうに設計をするかにかかっているというふうに思っています。

柿澤委員 基本的には、今までの運営費に対する補助、これは私学助成であるにしても、あるいは保育園に対する補助であるにしても、基本的には、今までよりも既存の施設に対する公費投入の水準が上回る、こういうものになるのではないかというふうに思うんですけれども。

小宮山国務大臣 今、私学助成などをどのように移行するかということを整理している最中なんですが、先ほど申し上げたように、こども園給付をどのように設計をするかということにかかっています。

 ただ、原則としては、両方やっていただくところにインセンティブをかけたいと思っていますので、その財源の中でどういう制度設計をするかで、今そこをどう整理するかを検討しているところです。

柿澤委員 私の理解では、私立幼稚園が、例えばこども園に移行する、あるいは幼稚園のままでい続ける、こうしたことを選択する際に、幼稚園のままでいるという選択をすると将来的に公費で負担をされる補助が減らされる、こういうような逆インセンティブといいましょうか、あるいは、こども園になるとこれだけの補助が受けられるけれども、幼稚園のままだとそれは受けられない、こういうことが行われる、このことに対する幼稚園の皆さんの大変な反発に遭って、結果的に、ここの部分は、ある意味では、全体を束ねて、違う給付の形にするという仕組みを使いながら、結果的に既存の施設にも多く投入されるような、こうした整理がなされているのではないか、こういうふうに思っているんですけれども、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 それは、必ずしもそういうことではないというふうに思っています。

 今までのものが減らされるのではなくて、今回新しく、今の認定こども園でやっているような、学校教育と保育を両方やっている先駆的な取り組み、これを、先日来議論しているように、課題が二つあって、二重行政と財政支援が少ないこと、それを、今回給付を一体化する、そして二重行政でないようにすることで支援をしたいということで、率先して、新しい、両方やる、一体化の施設をやっていただくところにはインセンティブとして上乗せをしたいと思っています。

 だけれども、今までのが減らされるということではございませんので、今回、質も上げていきたいと思っていますから、今委員がおっしゃったのは、そういうことではございません。

柿澤委員 では、この質問の最終の確認として、既存の、今運営をされているとおりのままで新システムの中へ入っていく、それは、現状の幼稚園にとどまる、あるいはこども園になる、いろいろなケースがあると思いますけれども、しかし、ある意味では、受け入れ容量が拡大をするとか、そうしたことに資する部分のないこうした施設に対しては、現状における給付の水準と何ら変わることはない、減らすまではないにしても変わらない、こういう理解でよろしいわけですね。

小宮山国務大臣 もちろん、安定した財源がちゃんと手に入れば全体に質を上げていきたいと思っていますので、職員の配置基準とか、それから職員の給与を上げるとか、そうしたことも順次やっていきますので、今までのままでずっといくかと言われると、そういうことではなくて、そういうところも次第に、優先順位はありますけれども、今よりよくなるということはございます。ただ、今より質を下げる、減らされるということはないということです。

中野委員長 答えになっていましたか。いいですか。

柿澤委員 もう一度確認をさせていただきますが、私が申し上げているのは、最初に申し上げたとおり、待機児童の解消にこの新システムが資するんだ、総合こども園の新設、これも待機児童の解消につながるんだと。必ずつながると御答弁をいただきましたので、では、それはどのようにつながるんですかと。

 現状、今、残念ながら二万数千人の待機児童が存在をする、こういう状況の中で、今、幼稚園、保育園を運営しているこうした事業者といいましょうか皆さんが仮にそのままの状況で新システムに入った場合、そのことによって補助、加算が手厚くなるとすれば、これはそのままでいいということになってしまうのではないかと思うんです。

 私は、御答弁いただいたような、いただかなかったようななので御確認をさせていただきたいんですけれども、少なくとも、現状とまるっきり変わらない状態で、しかし公費の投入が今より多額になる、こういうことはないんですね。御確認させてください。

小宮山国務大臣 今のままでいて下がるということはありません。

 もちろん、インセンティブとして、手挙げ方式でやっていただくので、総合こども園として学校教育、保育をやっていただくところは一層手厚くしたいと思っています。

 順番はありますが、今のそのまま残るところについても、財源がしっかりと確保できれば質の改善はしていきたいと思っていますので、優先順位は総合こども園の方が先だというふうには思いますが、今の幼稚園も、今までよりも改善をするということは、順番として後にはなりますが、あります。

 そういう三つのことを申し上げました。

柿澤委員 総合こども園が先だとおっしゃるんですけれども、その総合こども園に入ってきたとしても、ゼロ、一、二の受け入れ義務はないわけですよね。これがどうして待機児童の解消につながるということになるのか。もう一回御説明をお願いします。

小宮山国務大臣 それは、総合こども園になって、一つは、さっき申し上げたように、家庭的保育とか小規模保育とか、連動してもいいので、そうすると、そこからゼロ、一、二歳が上がってくるわけです。そこを受け入れる施設として役立っていただくということも、就学前ずっと一貫して必要な学校教育、保育をするという意味では役立ちますので、そういう形でもプラスになるということ。

 それからあと、幼稚園は、非常に今子供がなかなか来ない、それで預かり保育をやっているところもあるわけですから、それは、ゼロ歳から一貫して見てくれる方が保護者としては預けたいと思います。そういう、陰にあるようなインセンティブも働くのではないかと思います。

柿澤委員 今前段おっしゃったことは、むしろこれは小規模保育サービスのことであって、小規模保育でゼロ、一、二を受け入れる、この容量は、確かに、小規模保育サービスがふえればふえるでしょう。だけれども、その先の施設に関して言えば、三歳以上はどこか別のところで。

 全然、受け入れ定員の増加になるということにはならないんじゃないですか。

小宮山国務大臣 ですから、小規模や家庭的保育はゼロ、一、二歳を中心にやります。そこで三歳になった子供を、総合こども園になった幼稚園型のこども園が受け入れてくれます。そうすると、つながるから、全体として待機児の解消につながるということを申し上げています。

柿澤委員 いや、私の理解が本当に悪いんでしょうね。ゼロ、一、二に関しては小規模保育でやる。そのゼロ、一、二が待機児童の八割以上である。どうしてこれで総合こども園が待機児童の解消につながるんだという結論になるのかが、私には今もってよく理解できないんです。

 私が申し上げたいのは、要するに、既存の施設に対して、今までどおりで今より多額の公費の投入をしても、それは、待機児童の解消という今喫緊の課題の解決に向けてでいうと、効果に乏しいということを申し上げたいんです。そういうところに、限られた資源、なおかつ、増税してまでつくり出す財源を投入するというのはおかしいのではないか、こういうふうに思うんです。

 その点、要するに、既存の施設を今のまま補助を手厚く拡充しよう、こういうものに結果として一兆円あるいは消費税増税分の七千億円が使われることになってしまうのではないか、こういう懸念を申し上げているんですが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 整理して申し上げているつもりなんですが、ずっと先のことまで言うとわからなくなってしまうのだと。

 今の段階でいいますと、総合こども園として、両方の、保育型の子供を受け入れてくれる幼稚園にはインセンティブとして今までよりもいい財政支援をしたいと思っています、いろいろな形で。ですから、義務づけてはいませんけれども、幼稚園からなった総合こども園でも、ゼロ、一、二歳を受け入れてくれるところは出てきます。

 自分のところで受け入れなくても、ゼロ、一、二歳を受け入れている小規模とか家庭的保育、三歳になったら行き場がなくなりますから、その子供たちを三歳以上の総合こども園として保育と教育をやっているところが受け入れてくれれば、それはやはり全体として待機児の解消につながる。

 当面は、その両方をやってくれるところにインセンティブとして優遇をしていきたいと考えています。

柿澤委員 今回、制度に移行する上に当たって、幼稚園のまま残るという選択肢も残されました。幼稚園に関して、では、総合こども園に移行しますか、ゼロ、一、二を幼稚園のまま預かりますか、きょうの報道で発表されていますけれども、大変低い数字になっています。

 今おっしゃられたように、まさに総合こども園そのものも、ゼロ、一、二を受け入れるという、そのものが義務的に課されているわけではないですよね。そういう中で、待機児童問題の核心であるゼロ、一、二の受け入れ容量の拡大ということに本当につながるんだろうか。これは非常に私にとっては心配になってしまうようなスタートだというふうに思うんです。

 逆に言うと、そういう中で、一体この七千億というのをどういう形で使っていくつもりなんだろうか。結局は、それは、今運営をされている方々が新システムに移行する、そのことをある意味で理解して受け入れてもらう、そのためのインセンティブとして、既存の施設の経営に対して、今より手厚く投入することによって、必ずしももろ手を挙げてみんな賛成だったとは言えないこの新システムへの移行に関して幼稚園にも保育園にものんでもらう、こういうことに使われることになってしまうのではないですか。このことをぜひ。

 では、ないというふうに御答弁ください。

小宮山国務大臣 そういうことはございません。

 これまでよりも、指定によって、今まで小規模保育とか家庭的保育では薄かったわけですが、そこのところへしっかりする。それから、先駆的取り組みの認定こども園も、財政的支援が少ないと言っているそういうところにも支援をしていく。そういう意味で、これから移行をしていく、幼稚園と保育所を一体化した学校教育、保育を進んでやってくれるところに手厚くしていきますので、今までのままのところを厚くするというのではなくて、今回、量的拡大に当面〇・四兆円、それから質的な拡大に〇・三兆円、そういうことを考えていますので、今までのところが何もしないのにふえていくということではございません。

柿澤委員 御答弁をいただきました。

 総合こども園について、先日、子ども・子育て新システム法案の一環として、いろいろとヒアリングをさせていただきました。

 子ども・子育て新システム法案を早期に成立させてほしいという推進派、あるいは、この法案に関して非常に反対の意見をお持ちの方、いわば反対派、この推進派も反対派も、両方とも、この総合こども園については、待機児童解消につながらない、また子育て支援にも余り効果を発揮しない、こういうものである、この点については認識が共通してしまったんですね。

 もちろん、推進派の方は、小規模保育サービスであるとか、あるいは指定制であるとか、こういう保育のサービス供給の総量がふえそうな部分については賛成なわけですけれども、しかし、今回の総合こども園で、とても待機児童の受け入れ量が飛躍的に増嵩するとは思えない、こういうふうに賛成派も反対派も口をそろえておっしゃるんです。

 ここの部分について、小宮山大臣はどういうお答えがあるんですか。相手の理解が不足しているのか、あるいは彼らの懸念は当たっているのか。いかがですか。

小宮山国務大臣 それは、現場の方とか利用者の方も含めて、今回の新システムの狙い、どういう形になるかということがまだ伝わり切れていないという、そこはもっとしっかりと丁寧に御説明をしていかなければいけないということは感じます。

 ただ、今回の総合こども園は、何回も申し上げているように、非常に先駆的取り組みで施設側からも利用者側からも評価が高い認定こども園の課題でありました二重行政と財政措置に対する公平性の確保、こうしたことを解消するためにやっていく形にしていますので、都市部では待機児解消につながりますし、地方では、それぞれ単独ではやっていけないところが成り立つようになるということです。

 今回は、ばらばらである子育て支援を、財源、それからその所管をするところを一元化して、一体的に、ただでさえ少ない子育て予算を何とか集めて有効にやるということと、これは市町村が実施主体で、それぞれの地域に見合った形でやるということで、自治体の方からは一定の御評価をいただいていると思っていますので、さらに御理解をいただくために、説明をしっかりとしていきたいと思っています。

柿澤委員 私は、今回導入される現状における総合こども園の制度では、待機児童問題の核心であるゼロ、一、二歳の受け入れ容量の短期的な急速な増加には、やはりつながらないのではないかと思います。

 しかし、この法案の中で、例えば小規模保育サービス、また家庭的保育、こういう部分について給付の対象に入れていく、こうしたことでゼロ、一、二を受け入れる容量をふやしていく、この部分については大変意義があると思っています。

 ですから、むしろ、ここに対して集中的な注力をしていく。つまり、市町村の指定制と、また、小規模保育サービスの拡大、ここの部分に的を絞って、特に大都市部において展開をしていくことが最も待機児童の解消につながるのではないかというふうに思うんです。

 私の地元で、江東区東雲に、おうち保育園というものの第一号ができて、今、マンションの一室であるとかあるいは空き家を活用して、スポット的なピンポイントの保育ニーズの高まりに対して機動的に対応しよう、こういう取り組みが行われています。

 今さら説明するまでもないですけれども、横浜市は、待機児童が山のようにいる一方で、それと同じ数の保育園の空き定員がある。こういうミスマッチが起きてしまうのは、箱物の保育園をつくって対応しようとすると、やはりスクラップ・アンド・ビルドができない、だから、がらがらの保育園がある一方で、受け入れ容量が全然足りない、こういうものができるわけではないですか。

 こうしたニーズに対して的確にすぐに対応できるとすれば、まさに今申し上げたような小規模保育サービスを展開していく、これが最も迅速に、かつ的確にニーズに対応する方策だというふうに思うんですよ。ここの部分だけ今回の法案から取り出して、そして制度化し、推進をすれば、私は、待機児童の解消という問題に関して言えば、むしろ望ましい資源配分になるのではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 委員の御意見は御意見として承りますが、今も待機児さん、都市部については、先日来お話をしているように、先進的に取り組んでいる東京の区部ですとか横浜市さんからとかいろいろ伺って、どういうふうにすると待機児に対応しやすいかということで、子供の安全にかかわらない規制などを取っ払ったり、必要な補助をするようにしたりした結果、横浜市では、今回、目覚ましく待機児さんが減ったわけですね。そういう取り組みは、今も安心こども基金なども使ってやっています。

 待機児の対応というのは、今までずっとやりとりさせていただいたような仕組みで、多様に、それぞれの地域によってニーズが違いますので、いろいろな仕組みを使う中で、今御評価いただいた小規模保育、家庭的保育も有効に使いながら待機児を解消するというのが一つ。最初にも申し上げたように、今回は、それだけではなくて、親の働き方にかかわらず就学前の必要な子供に学校教育と保育をするということ。それから、家庭での養育、また地域の子育てを支援する。この三つの目的があってやっていますので、そこを相まって、今回こういう形で、それぞれの市町村の中でニーズにふさわしいものが選べるように多様なメニューを用意させていただいているところです。

柿澤委員 限りある財源を使って、子育て世代が増税に見合った受益を実感できるには、私は、やはり目に見えて、預けられなかったというところが、預けられるところが見つかった、こういうふうにならなければ、なかなかこうした巨額の公費投入に対する理解が得られにくくなってしまうのではないかと思うんです。

 先ほど横浜のケースもおっしゃられましたけれども、その成功事例を聞いていると、なおさら、総合こども園を一つの中核としてこの子ども・子育て新システムを進めていくということがどう子育て世代の受益の実感ということにつながるのかということが、何となく理解しにくくなってしまうんです。

 もう次の項目に移りたいと思いますので、いろいろ御答弁ありがとうございました。

 新年金制度のことについては、先日二十四日の特別委員会での質問でも、財政試算の内容についてお聞きをさせていただきました。岡田副総理の御答弁は、これは党がつくったものであるので党に聞いてほしい、こういうニュアンスの御答弁でありましたので、副総理の御答弁としては、正直、いかがなものかなということも感じさせていただいたところであります。

 私がそのとき聞いたことは、それほど細かなことでもないんです。財政試算の前提として使っている、皆さんが野党時代には批判していた平成二十一年財政検証の甘い見通しを下回ると、七万円をみなし運用利回りで伸ばして賃金上昇率で割り戻した五・八万円、これ自体七万円に及んでいないわけですけれども、しかし、これすらも下回ってしまうのではないですか、こういうことをお尋ねさせていただいたと思います。

 みなし運用利回りによって伸ばした数字を賃金上昇率で割り戻して年金支給額の現在価値を導いているわけですけれども、そもそも、現在価値に割り戻すのに賃金上昇率を使っているというのが、これまたちょっと首をかしげてしまいます。手取りのお金の価値を現在時点の価値で比較するわけですから、経済学的には利子率で計算するのが正しい計算のはずだと私は思うんです。

 賃金上昇率より長期金利はほぼ確実に高い。これまでも、トレンドとしてそうでした。長期国債金利によって割り戻した場合というのは、そうすると、現在価値というのは五・八万円より低い、経済前提が外れればもっと低い、そして、利子率で割り戻して経済学的に正しい現在価値を導くともっともっと低い、こういうことになってしまうのではないかと思うんです。

 とんでもない低い額になる、低額の年金支給を約束しているにすぎないということになってしまうと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岡田国務大臣 まず、前提として置いている数字は、今、自民党、公明党が与党だったときにおつくりになった百年安心プラン、そのときの数字をそのまま置いている。なぜならば、それは比較可能にするためにということでございます。

 それから時間もたって、異なる前提で試算をしてみるということは、それは一つ価値のあることかもしれませんが、そういったことについては今後の検討課題。今置くとしたら、やはり同じ数字で計算、比較をするしかないということであります。

 それから、割り戻しの話ですけれども、結局、現在価値を表示する方法として、生活水準との対比で実質的な金額を示す必要があるということで賃金上昇率で割り戻しておりますが、これは、公的年金制度において賃金上昇率で割り戻すというのは一般的なことであって、委員のおっしゃるように長期金利で割り戻すというのは私は余り聞いたことがないので、そういう例がもしあればお教えいただきたいと思います。

柿澤委員 四十年後、あるいは何年後でもいいですけれども、四十年後に受け取るお金が現在の価値に照らして幾らになるのかということを算定する際に、そういう意味では最も中立的かつ正しい数値を導き出せるのは、やはり利子率なんじゃないですか。(発言する者あり)いや、給付はそうです。給付はそうです。その給付の額が今の価値に戻して幾らになるのか、これを割り出す場合は、やはり利子率で割り戻すのが妥当なのではないかというふうに思うんですけれども。

岡田国務大臣 ですから、もし、ある程度公式なそういう試算で利子率を使っているものがあれば具体的にお教えいただきたいというふうに申し上げているわけです。普通は実質賃金ということで、賃金上昇率で割り戻すというのが普通だというふうに私は思っております。

 試算等で、これは党で正式に認めたものではありませんけれども、この前公表しました試算では、二〇一六年度七万円を二〇六五年度価格に直すと十九・八万、それを賃金上昇率二・五%で割り戻して五・八万という数字になっているわけでございます。

柿澤委員 平成十六年の財政検証までは、この利子率で割り戻した数値というのは厚生労働省も出していたんです。しかも、それ以前の場合はそもそも利子率で割り戻していた、こういう経過もあるんです。だからこそ、私は、このやり方をやった方がいいのではないか、受け取る年金の現在価値に照らした価値を算出するには、経済状況がその先どうなっているか、こういうことを踏まえた上でもやはり正しい計算になるのではないかと思いますけれども、残念ながら、この部分については御答弁をいただけない。残念です。

 二十四日にも同じ質問をさせていただいたんですけれども、新年金制度への移行開始時の二〇一六年時点で、基礎年金保険料の定額分の減収額よりも所得比例年金への移行による増収額が上回っていなければ、その時点で追加費用が発生をしてしまう。二〇一六年から二〇三五年まで消費税率引き上げがほとんど不要という財政試算の数字は、そうなると、最初から崩れてしまうというふうに思うんです。

 小宮山大臣は、所得の高い人は多く払うので、全体としてそんなに差はない、こういうふうに繰り返しお答えになられていますから、そうおっしゃっているということは、減収分と増収分の差額がこれこれになるから追加的な負担は発生しない、こういうことがもう既に導き出されているんだと思うんですけれども、この差額がどのぐらいになるかということについて、数字があれば出してください。先日もお話をさせていただきましたが、改めてこのことについてお伺いをさせていただきます。

小宮山国務大臣 それは、全体的な状況として、低い人は低い保険料、高い人は高い保険料を払うということを申し上げましたので、今その制度設計は党内で行われていると思いますので、具体的な数値は、今、持ち合わせていません。

柿澤委員 これは再三再四お尋ねをさせていただいておりまして、そもそも、二〇一六年のスタート時点でプラスアルファの負担が、費用が発生をするかしないかという、制度の滑り出し時点での、非常に直近の問題なわけですよ。

 基本的な人口統計であるとかそうしたことを踏まえて計算をすれば、さほどこの計算は難しいものであるはずでもないんだと思うんです。そう何度もお伺いしているんですけれども、結局、高い人は高く払うからそんなに大きな負担にならないあるいは負担は全く生じないと抽象的にはおっしゃられるんですけれども、具体的にどうかということは御答弁いただけていないんです。

 このことについては、私は非常に不安に感じてしまうんですけれども、この二〇一六年の制度移行時点で、今財政試算で置いているように、追加の消費税にしろ、ほかの財源を持ってくるにしろ、新たな負担は生じない、こういうことでよろしいんですね。

岡田国務大臣 これは、新しい制度をどう制度設計するかで決まることなので、今まさしくそのことを党で検討している段階で、一概には申し上げられないということを小宮山大臣は言われたわけでございます。

柿澤委員 一概には申し上げられないということは、これは、二〇一六年の時点で何がしかこの部分について追加の負担が発生をする、こういう可能性もあるということなんでしょうか。直近の、本当に、四年もたてば迎える新制度の発足時にどうなるか、こういう絵姿についても残念ながら明確になっていない、こういうことなんだと思います。

 それで、社会保障・税一体改革素案の試算についてなんですけれども、これについても、いろいろ子細に見ていくと、ちょっと、つじつま合わせじゃないか、こういうふうに思えるような数字が幾つか並んでいます。

 消費税率引き上げ五%分の使途について、いわゆる三、一、一。機能強化三、機能維持一、増税に伴う社会保障支出等の増一ということが言われてきたんですけれども、社会保障以外の支出に充てるのはまかりならぬということになって、一転、社会保障の充実に一%、社会保障の安定に四%、こういう整理に最終的になりました。

 社会保障の充実に一%、二兆七千億円、こういうことになっているわけですけれども、この内訳を見ますと、子ども・子育て、医療、介護、年金で三・八兆円の支出増、一方、効率化、重点化で一・二兆円の抑制、三・八引く一・二だから、おおむね差し引き二・七兆、ちょうど消費税一%分、こういう計算になっているわけです。

 しかし、この効率化、重点化の部分について、本当にこれは達成できるのかという数字が置かれています。

 例えば、平均在院日数の減少等で四千三百億円の医療費抑制ということを盛り込んでいますが、しかし、平均在院日数が抑制をされると医療費抑制につながるというエビデンスはほとんどないと言っても過言ではありません。

 逆に、平均在院日数は短縮したんだけれども、医療費は思うように下がらない、こういうデータなら幾らでもあります。そうならないように医療機関がさまざまな対抗措置を講じるので、赤字を避けるために、結果的に、在院日数は減らしても医療費の支出は変わらない、こういうことが間々報告をされているわけであります。

 ということは、このマイナス四千三百億というのは、本当に実現するのかどうか、全くあやふやな、いわば絵に描いた餅をマイナスの財源として盛り込んでいる、こういうことになると思いますけれども、いかがでしょうか。

小宮山国務大臣 一体改革の中の医療の改革では、急性期、回復期、慢性期など、医療について、それぞれの機能に応じて人材などの医療資源を投入することで、入院医療の機能強化、これを図ることにしています。それで、病床のサービス単価が増加することで、二〇一五年度に八千八百億円の医療費の増加ということを見込んでいます。

 こうした入院医療の機能強化に伴って、入院の平均在院日数が減少して、これまでより早く病院から退院できるようになることで、二〇一五年度に四千四百億円の医療費が減少するということを見込んでいます。

柿澤委員 見込んでおられるということであるわけですけれども、もう一つ、さっきの素案では、外来診療の適正化ということで一千三百億円の医療費抑制を盛り込んでいます。

 その中、生活習慣病の予防というのがイの一番に掲げられているわけですけれども、生活習慣病予防の鍵を握るはずの特定健診の受診率、これはほとんど伸びていません。二〇一〇年度の受診率、四三%。二〇一二年度に七割、こう言っているにもかかわらず、目標にはほど遠い状況です。

 こんな状況でどうやって一千三百億円の医療費抑制効果が出せるのか、これも疑ってしまいますが、どうなんでしょうか。

小宮山国務大臣 今回の一体改革の推計では、外来受診の適正化ということで二〇一五年度で千三百億円程度の公費支出の減少、これを盛り込んでいます。

 今後も医療費は増大するということが見込まれる中で、制度運営の効率化を図っていく、これは大変重要なことだと考えています。

 こういう観点から、二〇二五年度までに特定健診などによる生活習慣病の予防ですとか医療情報技術の利活用などの効率化で外来の患者数を五%減少する、その前提のもとで、それに向かう過程の二〇一五年度で効率化効果、これを推計に盛り込んでいるところです。

 引き続き、今委員がおっしゃいました特定健診の受診率向上、この効率化に向けた施策にも取り組んでいきたいと考えています。

柿澤委員 これは財源としてカウントしているものですので、先ほどの四千三百億も今の千三百億も、私は、これは、このとおり見通しとして立つというものが、全然確たるものがないというふうに言わざるを得ないのではないかと思うんです。

 これにプラスして、介護予防など、いろいろなことが書いてあるんですけれども、一・二兆円の給付抑制なんて、私は、これは絵に描いた餅なのではないかと思います。三・八引く一・二で約二・七兆円、だから消費税一%分で社会保障の充実ができるんだ、こういうふうにはじいていたわけですけれども、しかし、この一・二兆円の抑制が絵に描いた餅だということになると、これは三・八兆円かかるということになって、その分の財源はどこからか持ってこなければいけないということになります。

 もう一つ、自然増の額ですけれども、これはたしか、一兆円掛ける三で三兆円の自然増分、こういうものをカウントに入れていたかと思います。

 ただ、平成二十三年度の自然増分は一・四兆円ですから、一兆円で自然増分を抑え込もうということになると、これまた、小泉政権時代の社会保障費二千二百億円削減をはるかに上回る抑制、削減をしなければいけなくなるということになる。そうしないで、昨年どおり、二〇一二年どおり一・四兆円ということになってしまえば、差額の〇・四掛ける三、一・二兆円、これも追加の負担としてどこからか財源を持ってこなきゃいけない、こういうことになるわけです。

 この一・二、一・二プラスすると消費税一%分、ここが全く財源として見出されていないように思うんですけれども、御答弁いただけますでしょうか。

中野委員長 時間が来ておりますので、簡単にお願いします。

岡田国務大臣 いろいろな前提を置けばいろいろな数字は出ると思いますが、基本的には、過去のトレンドを見て我々は数字をお示ししております。もし、それにとどまらないということになれば、その分、結局賄い切れなくなって、赤字国債というか、そういった公債に頼る部分がふえる、何もしなければですね。計算上はそういうふうになってしまうと思います。

中野委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林正枝さん。

小林(正)委員 新党きづなの小林正枝でございます。

 連日、長時間にわたる審議について、委員長並びに委員の皆様には敬意を表するところであります。

 私からは、年金問題を中心に質問させていただきます。

 私は、政府が提出いたしました一体改革関連法案を拝見し、まずもって、これは消費増税をするための方便でしかないと強く感じました。とりわけ年金機能強化法案と被用者年金一元化法案に関しては、増税のために年金のシステムをいじっていると感じましたし、さらには、無理をしてでも今の制度を維持しようとしている、そのように考えておられるという強い思いをいたしました。

 私たち新党きづなは、再三にわたって、今の状態のままで消費税率を上げることには反対と申し上げてきましたが、ここは、消費税の問題を一旦切り離して、将来の年金システムをどうするのかという点に集中して論じるべきだと思います。

 そこで、まず、年金機能強化法案の中で低所得者への年金額の加算が提案されていることについて質問させていただきます。

 政府のお考えは、低所得者の方々の年金に一律月額六千円を上乗せして、免除期間に応じた額を加算するなどの措置をとろうとするものでありますが、恐らくこれは、保険料を四十年間納付して得られる月額六万四千円の年金に六千円を足せば、民主党が当初マニフェストで言っていた最低年金七万円という額になるという単なる数合わせであると推測いたします。あるいは、単身高齢者の基礎的消費支出が七万円弱であるという数字を根拠にしているのかもしれません。

 そこで、政府として七万円の根拠をどこに求めているのか、まずその点についてお聞かせください。あわせて、加算する月額六千円というその数字の根拠についてもお聞かせください。

    〔委員長退席、古本委員長代理着席〕

小宮山国務大臣 七万円の水準は、統計によりますと、近年の単身の高齢者の基礎的消費支出が月額六・七万円から七万円であることを参考として設定をいたしました。

 この六千円という加算額は、この七万円と特例水準を解消した後の老齢基礎年金の満額六・四万円との差額として設定をいたしました。

 これは、今申し上げたように、高齢者の基礎的消費支出、これが月額六・七から七万円であることを参考にしてこういう水準として設定をしたわけですけれども、衣食住、それから光熱費など必要な金額が地域ごとに少しずつ異なるということは考えられますが、今回一律としたのは、老齢基礎年金そのものが全国一律の額ですので、こちらの加算も一律としたということで、こういう設定になっています。

小林(正)委員 ただいま御答弁をいただきましたが、もう少し掘り下げて伺いたいと思います。

 七万円という額は、退職した後において最低の生活をすることが可能なレベルの額であるという認識を持たれているようですが、その場合、都市部での生活者と農村部での生活者をそれぞれどのように位置づけて、幾らあれば生活ができるという試算をされているのでしょうか。また、持ち家の人とそうでない人の差もあるかと思います。そのあたりを詳しく、国民が納得いくように御説明願えますでしょうか。

 もちろん、厚生労働大臣がおっしゃったように、生活必要経費が各人、各地域によって異なるということは私も理解しております。よろしくお願いいたします。

小宮山国務大臣 先ほどの答弁の後半で一部お答えをしてしまいましたけれども、本体の老齢基礎年金が、これは全国一律なんですね。ですから、もともとの老齢基礎年金も、各地域ごとに衣食住や光熱費など必要な金額が異なっても同額でございますので、今回はその老齢基礎年金への加算ということで、加算も全国一律にしたということです。

小林(正)委員 今、御答弁をいただきましたが、仮に政府の判断を是として、今現在の生活費が七万円かかるという判断であるとするならば、なぜ二〇一五年十月の消費税一〇%に合わせて基礎年金の額をふやそうとするのでしょうか。今の時点でそういう認識をされているのであれば、消費税の議論とは関係なく基礎年金の額を論じなければならないはずです。なぜ三年間先送りにするのですか。私は矛盾を感じます。いかがでしょうか。

 これについては、財務大臣と厚生労働大臣、お二人の立場からお伺いしたいと思います。

小宮山国務大臣 今回の最低保障機能の強化を図る法案、これの財源は、消費税の増税分を用いて一定の低所得の人に対して年金加算を行うということにしているので、それは消費税が上がったときにスタートをするということです。

 それを確保しないまま負担の軽減だけを先にしますと、その分がまた将来へのツケの先送りになってしまいますので、今、世代間の公平を図ろうとしていることとの整合からしても、これはしっかりと安定財源である消費税の増収を得たときからスタートをするということでございます。

安住国務大臣 低所得高齢者に対する最低保障機能を強化していくことは、年金制度上の重要な課題の一つと思っております。しかし、財源の裏づけもなくこうした課題に対応することは、単に後の世代に負担をツケ回すことにほかならないので、問題が大きいと思っております。

 このため、今回の一体改革では、消費税引き上げによる安定財源確保を前提に、社会保障の充実策を実施していくこととしております。その上で、低所得者への年金加算は制度実施に一定の準備期間が必要であるため、二十六年四月の消費税引き上げではなく、二十七年十月の消費税引き上げ(一〇%)に合わせて実施するものと承知しております。

小林(正)委員 残念ながら、いずれの大臣も想像したような御回答をされました。財務大臣は財源がない、厚生労働大臣は世代間の公平を図るため、そのようにおっしゃられました。

 今の御答弁に関連してお尋ねいたします。

 受給期間を二十五年から十年に短縮するという件について、私は同じことが言えると思います。なぜ今直ちに行おうとしないのでしょうか。少なくとも、消費税八%へ税率アップするときに合わせてするのが筋ではないでしょうか。一〇%に移行するときと限定しておっしゃっていますが、この点についてもう一度、財務大臣と厚生労働大臣に、それぞれのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

小宮山国務大臣 この受給資格期間の短縮につきましては、今実際に生じています無年金者をできるだけ救済する、それと同時に、納付した保険料をできるだけ給付に結びつける、そういう観点から実施をするものです。

 この受給資格期間の短縮につきましても、これまで年金受給権がなかった人に新たに年金給付が行われる、そのことから三百億円程度の公費の財源が必要になります。このため、消費税の八%から一〇%への引き上げ、二十七年の十月一日に合わせて実施をすることにしています。その理由は、先ほど申し上げたことと同じでございます。

安住国務大臣 受給資格期間の短縮により、保険料納付期間が短いため無年金となっている方も年金を受け取れるようになるわけですけれども、先ほど述べましたように、今回の一体改革では、このような社会保障の充実策は消費税引き上げによる安定財源確保を前提に実施することとしております。

 その上で、受給資格期間の短縮は、制度実施に一定の準備期間が必要であるため、二十六年四月の消費税引き上げではなく、二十七年十月の消費税引き上げに合わせて実施するものと承知しております。

小林(正)委員 次に、少し角度を変えてお伺いしたいと思います。

 例えば、四十年間全額納付を免除されてきた人の例で考えてみます。今回の改正で年金が加算されることになったとしても、年金以外の収入もその他の資産もなければ、この方は生活保護の対象となります。法案が通ったとしても、基礎年金の満額の三分の一である月額約二万一千円の支給から、定額加算の月額六千円と免除期間に応じた免除加算の月額約一万円がプラスされ、トータルで約三万八千円が支給されるということになります。

 こういった例を考えてみますと、せいぜい生活扶助費の支給額が変わるくらいですので、今回の改正でどれくらいの効果が期待できるのでしょうか。財政的な面における行政効果、そして社会保障面における国のあり方としての効果、それぞれあるのだとするならば、財務大臣と厚生労働大臣にお伺いいたします。

安住国務大臣 低い額の年金を受け取りながら生活保護を受給している方については、新たに低所得者への年金加算を受けても生活保護から脱却できず、生活扶助費の支給額が変わるだけとなるケースがあり得るものと考えられます。

 一方、低所得者への年金加算により、生活保護対象ではなくても低所得で生活が苦しい高齢者の方に対して所得保障を充実することができ、場合によっては生活保護に陥ることを防ぐこともあり得るものと考えております。

 今回の改革は、社会保障制度のうち、老後の所得保障の柱である年金制度を充実させるとともに、必要な財源は消費税引き上げにより確保することで財政規律にも配慮しており、こうした改革の意義について、ぜひとも御理解いただきたいと思います。

小宮山国務大臣 今回の低所得者への年金額の加算は、現在の年金制度で実際に低年金の人が存在する中で、最低保障機能の強化を図るために、一定の低所得の人に基礎年金の加算を行うことにしているものです。これは、年金の持つ所得保障の機能を高める趣旨で、御指摘のような生活保護からの脱却だけが目的でないということは御理解をいただきたいと思います。

 また、四十年間全額免除されてきた低所得者の場合は、今回の年金加算によって、最大で月額およそ一万六千円程度加算されることになります。生活扶助によって支給されるのではなくて、自分自身の年金として支給されること、これにはやはり一定の意義があるというふうに考えています。

小林(正)委員 私は、財務大臣にも厚生労働大臣にも、今回の改正でどれくらいの効果が期待できるのかというのを伺いましたが、残念ながら、いずれも、効果があるのかないのかといった点についてはお答えいただけませんでした。

 しかしながら、私の解釈では、財務大臣は、やはり生活扶助費の支給額が変わるということを認めているということは、本音としては効果が薄いという認識をされているのではないでしょうか。また、厚生労働大臣は年金の意義とおっしゃいましたが、それは、生活保護と低所得者の年金を合わせてもやはり低所得者のままということで、私の質問に答えていただいているとは私は思いませんでした。

 高所得者の年金額の調整についてお伺いいたします。

 私は、高所得者への支給停止の問題については、非常に不公平な感じを強く持ちました。

 政府案によれば、所得が九百五十万円になると老齢基礎年金の半分が減額されることになるようですが、政府の御説明では、減額する二分の一の根拠は、国庫負担分であるからという理由であると伺っております。確かに、基礎年金の給付に要する経費の国庫負担割合は平成二十一年四月から二分の一に引き上げられましたが、それまではずっと三分の一でした。

 今まで掛金を納付してきた方からすれば、これはどう考えても矛盾すると思います。つい最近、国庫負担割合が半分になったからといって、今まで長年掛けてきた分についても半分しか給付しない、そのようになってしまうということは、先ほど厚生労働大臣がおっしゃられた年金の意義そのものに合わないと私は思います。厚生労働大臣の御見解をお聞かせください。

小宮山国務大臣 現在、老齢基礎年金を受給している人の年金給付に対する国庫負担割合は、平成二十年度以前の加入期間に係る給付も含めて、全体に対して二分の一となっています。したがいまして、平成二十年度以前の加入期間に対して計算される年金額の国庫負担割合が現在三分の一になっているということではありません。

 このため、高齢者の世代間、世代内の再分配を図り、低所得者加算とあわせて行う高所得者の年金額調整、これで国庫負担相当額に対して支給停止を行う場合に、現在の国庫負担割合である二分の一を上限とするというのは合理的なことだというふうに考えています。

小林(正)委員 いずれにいたしましても、消費税一〇%ありきの議論がなされています。結局は、このことは年金不信が高まるばかりだと私は思います。

 一番最初の質問でも、厚生労働大臣は、世代間の公平を図るためとおっしゃられましたが、国民年金に関して言えば、既に年金未納率が四二・四%にも上っています。政府は非正規労働者の増加が原因であるとお考えのようですが、本当にそれだけなのでしょうか。

 多くの若者は、自分が年をとるころには年金制度が破綻しているのではないかと考えているので、年金保険料を意図的に納付しないのです。四十年間きちっと支払えば、掛けたお金の一・五倍は戻ってくると幾ら政府がPRしても、それを信用する人はほとんどいないのではないでしょうか。まさに若年世代に年金不信が蔓延していると言っていいかと思います。

 四割以上の人が加入していない年金を国民皆年金と言えるのでしょうか。私は、制度を部分的に取り繕っても、既にシステムはもとに戻らないと思うのです。

 今回の法改正によって国民皆年金の本来の姿が復活するとお考えなのでしょうか、厚生労働大臣と岡田国務大臣に御見解をお伺いします。

岡田国務大臣 今、今回の改正で国民年金の不信が払拭できるかどうか、そういう御質問でしたが、今回の改正のどこの部分が国民年金の不信解消に意味がないというふうにお考えなんでしょうか。

小林(正)委員 思いがけず逆質問を受けましたが、実際に統計で年金未納率が四二・四%、つまり十人のうち四人は払っていないというふうに私は考えるんですが、違いますか。

岡田国務大臣 数字はともかくとして、委員は、今回の改正で果たして年金不信が払拭できると考えているのかという御質問ですから、今回の年金改正のどこの部分を言っておられるのか、教えていただきたいと言っているわけです。

小林(正)委員 私は、本当に国民皆年金のシステムに、もとに戻そうとするのであれば、やはりこの未納率というのもおのずと下がっていくことが理想的だと考えるのです。しかし、今まで私が質問してきたことを振り返ってみますと、これで本当に年金制度が強化されるのかどうか、残念ながら、私には、消費税を上げるから年金の制度がしっかりしたものになるというふうには到底思えないのです。

 ですから、最初のときに、まず消費税アップと年金の問題は切り離して考えるべきだと私は申し上げた次第です。

岡田国務大臣 国民年金加入者のことを委員御指摘ですから、今回の年金の改正の中で国民年金にかかわる部分というのは、一つは、消費税収によって基礎年金国庫負担の割合を恒久的に二分の一にすること、もう一つは、これは国民年金だけではないんですが、国民年金にも関係するという意味で、年金額の特例水準を解消すること、この二点が国民年金にかかわる改正だというふうに思います。

 前者につきましては、恒久的な財源を確保することで、国民年金あるいは基礎年金の信頼を高めることにつながるというふうに私は思います。

 後者は、ちょっと中身は違いますが、年金制度、世代間の負担の公平という観点からいうと、やはり物価スライドをきちんと適用して、下げるべきものは下げるということは、若い世代にとって、将来年金制度が持続可能であるということを一つ補強することにはなるというふうに私は考えています。

小宮山国務大臣 今回の一体改革では、給付、負担の両面で世代間、世代内の公平を確保して、持続可能で、若い世代を含めた国民が安心して信頼できる社会保障制度、これを構築しようとしています。

 具体的には、消費税収によって基礎年金の国庫負担割合を恒久的に二分の一とする、また年金額の特例水準を解消する、このことによって、若い世代の保険料負担が過重にならないようにすること、また若い世代が高齢者となったときも安定した制度から年金を受給することができるようになるということ、これは若い世代にとってメリットだと思います。

 また、短時間労働者に対して厚生年金の適用拡大を行うことで、今、非正規が若い人は多いわけですけれども、非正規の年金保障を拡充するということ、また、産休期間中の厚生年金保険料を免除して、女性が産後も就業継続できる環境整備を行う、こうしたことはみんな若い人たちにメリットのあることだと思います。

 世代間扶養を基本としますこの年金制度を安定的に運営するに当たりましては、制度に対する若い人そして高齢者双方の信頼を得ることが重要ですので、若い世代にとってメリットがあることを丁寧に説明していきたいと考えています。

小林(正)委員 厚生労働大臣がおっしゃられるように、年金を支払う人たちが、自分たちが次の世代のためにという理解を示すことは必要だと思います。しかし現実は、今受給している人たちと支払っている人たちの差が多いというのが現実です。そして、その差を縮めるために過重な負担を減らす、若い世代にとってはメリットとおっしゃられますけれども、そのメリットとおっしゃられるのが、実際には若い人たちにつながっていないような気がいたします。

 私は厚生労働委員会に所属しておりますので、もっと詳しく、その点について、これからも伺ってまいりたいと思います。

 最後に、年金の一元化法案についてお伺いいたします。

 二〇一五年十月より、共済年金は、国家、地方、私学の三制度が廃止され、厚生年金に統一されます。しかし、同時に、公的年金としての三階建て部分の職域部分を廃止した後、新たな年金については別に法律で定めるとしています。

 中小民間企業には企業年金がない会社も多い中で、新たな年金をつくるとされている意味が私にはよく理解できません。なぜ新たな年金なのか、多くの企業経営者も非常に気にしているところと思いますので、国民の皆さんにもわかるように説明をお願いいたします。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、職域加算の部分を廃止した後、新たな年金のあり方について、別に法律で定め、必要な措置を講ずるというふうに被用者年金一元化法案に書いております。

 その具体的中身についてはこれから検討するということで、私のもとに有識者会議を開きまして、次回以降、第四回目になるんですが、この問題を集中的に御議論いただくということになっております。

 いろいろな三階建て部分というのはあり得るわけで、税金が入ったもの、入らないもの、いろいろなバリエーションが民間に対比すると考えられますので、どういったものが望ましいのかということについてしっかり議論をしていきたいというふうに考えております。

小林(正)委員 私は、国民にもわかるようにと説明を求めました。これから有識者会議を開いて議論するということですが、それでは国民の皆さんは納得しないと思います。もっと岡田国務大臣が国民に、自分たち、この政府は何をしたいのかというのを、本当にこの制度を始めるのであれば、しっかりと力強く述べてみてください。

岡田国務大臣 制度の中身はこれからです。これから有識者に御議論いただくのに、私がそれに先立って何かを言うべきではないと思います。

 ただ、言えることは、先般の人事院の調査で、官民の退職給付、これは年金と退職金の合計ですが、その官民格差が四百万強あるということが明らかになりました。この官民格差についてはなくすということで、そのなくす上で、それを全て退職金でやるのか、あるいは年金はやめて残りを退職金で調整するのか、そういう議論が残されている。いずれにしても、官民格差四百万は、これは完全に解消するということであります。

小林(正)委員 時間が迫ってまいりましたのでこれで質問を終わりますが、厚生労働委員会の方で、もっと有識者会議が開かれた後に委員会は開かれると思いますので、そちらで質問させていただきます。

 ありがとうございました。

古本委員長代理 これにて小林さんの質疑は終了いたしました。

 次に、白石洋一君。

白石委員 民主党の白石洋一と申します。

 五十分であります。ちょっと私、ペース配分をつかみかねるところがありますので、考え直して、質問要旨の三番目、歳入庁の方から、短く済む方からやらせてもらいたいと思います。

 歳入庁の設置についてでございますけれども、やはり社会保障と税の一体改革というのは、消費税と社会保障だけじゃなくて、入る方、税の徴収、そして社会保険料の徴収、これを一体、そして一本化していくという意味もあるんじゃないかなというふうに思うわけであります。そして、この歳入庁の設立というのは、党では決定しておりまして、年末そして年度末の素案、大綱の議論の中でも非常にこの部分は念押しをされているというものであります。

 やはり、社会保険料をしっかりと徴収していかないといけない。未払いがある、四割が国民年金については未払いだ。ほかにも、やはり厚生年金の保険料も、天引きではあるんですけれども、そもそも事業所が払っていないということもあるわけであります。ですから、国民皆年金、保険料というのは支払いは義務でありますけれども、そこを怠っていた部分があるのであれば、やはり税金を徴収するがごとく、厳しく徴収する体制をとらないといけないということだと思うんです。

 それで、これまでの歳入庁の議論を聞いておりますと、まず安住大臣の答弁で、私が受ける印象としては、徴税権を持つ人材と旧社保庁、今の日本年金機構の人材には違いがあって、そこが懸念点である、実際、機能するのかどうかということをおっしゃっておりました。

 しかしながら、この懸念というのは共有はするものの、政府の出している三パターンの三番目で、だからといって、連携するだけでは私はいけないと思うんですね。やはり歳入庁というものをつくって、しっかりとそのカルチャーの融合を図っていかないといけないんじゃないかなと思うわけであります。

 党の方では、歳入庁の設置について、先月中間報告をしたものがあります。そこには、歳入庁の対象業務として、一、「現在の国税庁の業務」、そして二として「日本年金機構の徴収業務」、これが入る。そして括弧して、「(対象職員の歳入庁への移籍は前提とはしない)」というふうに書いているわけであります。

 ですから、新しく歳入庁ができたら、そこで新しい人材を入れる、そして、そこに徹底した研修を施していくということで対応ができる、そのように思うわけでありますけれども、大臣はどのようにお考えになるでしょうか。

安住国務大臣 党からいただいた結論は私も読みましたし、それを受けて、今度は、今、三類型について政府でやっておりますので、そうした岡田副総理のもとでやっている議論を私としては見守りたいと思いますが、ただ、言うべきことは言わせていただきます。

 そもそも、国税庁自身に大きな問題があってこういう話が発生したのではなくて、これは御存じのとおり、年金機構のいわばあり方、このずさんな管理とでもいいますか、ましてや、本来しっかり徴収しないといけないものを取っていない、そういう問題が大きいわけですね。

 私は、国として、これが一体化することによって全てよくなるのであれば十分やったらいいと思います。何もそんなことで私がそのことを反対しているわけでは全くありません。

 ただ、問題は、保険料の徴収業務と、国税というのは長い年限をかけて、いわば取りにくいところにもどんどん行って取ってきて、時には批判はされますが、しかし、私は、国民の中で税の公平中立なイメージといいますか、国民に定着、浸透させてきた貢献というのはやはり大きいと思います。

 今でも国税庁に対する、税務署といいますか、そんなに国民は、さまざまな官庁はありますけれども、決して悪い評判ばかりではなくて、むしろ私は信頼感があると思います。今度の大震災でも、相当な業務を仙台国税局管内でこなしてくれました。能力の高さもあります。そこに、単に一概に、できが悪いと言ったら大変失礼ですけれども、年金の徴収ができないからそれをくっつけちゃえというのは乱暴ではないかと。メリットがちゃんと生かせるように、ちゃんとやってほしい。

 それで、今、白石さんからお話があって、要するに、年金機構の職員を引き継がなくていいんだ、だからいいじゃないかと。まあ、言われればそうかもしれませんが、だけれども、そんなに人の生首を簡単に切って、この業務だけ私どもの国税庁が引き受けますということが現実的にできるのかというと、私は、政治の世界、家族もいれば、年金機構の中にも優秀な方もいらっしゃるわけで、むしろ私は、年金機構がなぜそういう体質なのかと。

 これはちょっと脱線しますけれども、NHKの受信料を集めるのもだめなんですよ、NHKというのは。それとむしろ私は年金機構はよく似ているなと、これは個人的な感想ですけれども、思っているんですよ。

 国税庁の方が全然違う組織で、むしろ精度が高いんですよ、やはり。それは、変な話、いろいろな問題のある組織にだってずけずけ入っていって税金を取るわけですから、場合によっては。そこが、統合することによってよくなるような体制にしてもらえばいいということでございます。

白石委員 懸念点はわかりました。ですから、懸念点を克服するように、社会保険料もしっかりと取る。それが目的ですから、そのための体制というのをしいていかなければならないと思うんです。

 岡田副総理に御質問します。

 副総理は、効率がアップするかどうかわからない、つまり、対象が違うじゃないかと。税の徴収というのはかなり限られた高所得の方なのに対して、社会保険料というのは非常に幅広いというところで、それを徴収機関を統合して、効率というのはアップするかどうか疑問である、このように私はとったんですけれども、やはり共通の部分というのはあるわけで、機能というのはあるわけで、それを統合することによって効率はアップすると思いますし、やはり情報面でも、同じ組織であれば、効率的にその情報を使って徴収に結びつくことができる、このように思うわけであります。

 なかなか難しいというところがあったら、だからそれを敬遠してしまうのではなく、それを克服するというスタンス、姿勢が大切だと思うんですけれども、その点、副総理にお伺いします。

岡田国務大臣 白石さん、これはマニフェストにも書いてありますし、私は基本的に歳入庁をつくる方向で議論しております。

 ただ、今、安住財務大臣も言いましたが、やはり本当につくるということであれば、いろいろ悩まなければいけない点があるわけで、それはぜひ党の方でも同じ意識で議論していただきたいと思います。

 先ほど言った、やはり機構の人はもう切り離すとおっしゃいますが、多分、支払いのところは残るとは思うんですけれども、だから全員じゃないにしても、本当にそういうことができるのか。

 それから、かわりに新人を採って教育すればいいと言いますが、国税庁のプロの皆さんを育てるには、それは相当な時間と手間暇をかけているわけで、そんな、新人を大量採用してかえればいいというものでもない、現実を考えたときに。

 そして、私が一番悩んでいるのは、国税庁の所得税の申告者数は二千三百万人、それに対して、年金機構の国民年金の一号被保険者は千九百万人、しかし、そこの間にかなりオーバーラップしている部分もありますが、そうでない部分がある。特に国民年金の一号被保険者の中には、自営業者あるいはパートで働いておられる方、いろいろありますから、かなり所得の少ない人がたくさんおられて、国税庁の対象から外れている方がたくさんいるわけです。そういうところまで含めて全体を見ていこうとすれば、それは人も相当ふやさなければいけないし、やり方も、国税の徴収とまた違うノウハウも必要になってくる。そういうことが果たしてどうやったら実現できるかということをやはり具体的に検討していかないと、単純に二つくっつければいいというものではない、だから私も悩んでいるということでございます。

白石委員 障害があるのは当然でありますので、ぜひ克服していただきたい。

 これは期限をひとつ区切って、党の方では区切らせてもらっているわけであります。マイナンバー制度の利用開始時、二〇一五年一月に歳入庁も発足させると。これを一つのめどとしてやっていただいて、これは、年金あるいは社会保険の信頼性で、不公平感を払拭させることがもちろんありますし、行く行くは新しい年金にも結びつくものでありますので、前提となっておりますので、ぜひよろしくお願いします。

 次が、特例水準について。これは通告していなかったので、私、ちょっと意見を申し述べさせていただきたいなというふうに思います。

 特例水準の解消、私は民主党の年金ワーキングチームの事務局長ということで、政府の議論と同時並行的に意見具申をさせていただいておりました。党内で議論をしておりました。

 それで、やはり、まず物価スライドというのは、今まで千円で買えていたものが千三百円になったら、その分、年金は上げる。しかし、逆に、千三百円で買えていたものが千円で買えるようになったら、そのときには年金もそのように下げさせてもらいますよと、非常に納得のいくものであると思うんですね。それが、過去、二〇〇〇年から三年間、物価低下があるにもかかわらず引き下げられなかった。

 大臣は、それは厳しいからということも挙げられておりましたけれども、やはりこれは、厳しい家庭も確かにあると思うんですが、しかし、これは適用しているのは全ての年金受給者でありますので、二階もある、あるいは三階もある、非常に高額の年金を受け取っている人も全てに適用されるものでありますので、これは金額にしたら大変なことになるというものだと思います。

 年金というのは毎年五十兆円支払いがある、そのうち税金が十兆円ですけれども。ですから、二・五%だったら毎年一・二五兆円、意図せざる払い過ぎということになって、国費は〇・二五兆円、二千五百億円ですけれども、年金保険料財政から出すものが一兆円であります。この一兆円というのが大きいものであります。低所得者加算が〇・六で何とかやろうとしている。でも、一兆円は、これは高額年金収入がある人も含めてでありますから。

 ですから、今、積立金が公的年金で全て百七十兆円あるということなんですけれども、厚生年金はきょうの朝の百四十兆ですけれども、ほかのところもあわせて百七十兆で、それで毎年毎年一兆円、余分に意図せざる支払い過ぎ、過払いがあったとしたら、これはやはり次の財政検証のときに大変なことになりかねないということで、これはぜひ同時に配慮していただきたいなと。

 もちろん、一気にというのは、これは大変ですから、今二・五%になっている、それを三年間かけて、〇・九、〇・八、〇・八。マクロ経済スライドが〇・九ですから、それに見合った水準で段階的にやろうということで、これは是認せざるを得ないなというふうに思うわけであります。

 これは意見として申し述べさせていただきました。

 そして、これまでの小宮山厚労大臣の年金に対する答弁を聞いて、確認したいことが二点ございます。それは、低所得者向けの加算についてなんです。

 この制度についても、年金ワーキングチームで議論をしてきて、もちろん、その中には、納付意欲を阻害するものであってはならないというものでありました。これは議論に参加した議員も共通認識であったと思います。

 低年金である方々、特に基礎年金に満たない方々は、いろいろな事情があったと思います。払ってきた人は汗水垂らして真面目に払ってきたということなんですけれども、では、払っていない人は真面目じゃなかったのかというと、そうじゃない事情の方もたくさんおられたと思うわけであります。その中で、意図的に払わなかった人、これはやはり、わかっていながら払っていないんだから、やむを得ない部分があるということだと思うんです。

 ですから、加算の中でも、六千円があるということなんですけれども、もう一つは一万円相当の加算も用意していて、一万円というのは、これはやはり納付意欲に配慮して、免除期間に応じて、免除期間というのはやはり理由があって払えなかったわけですから、その期間に応じて満額一万円を支払うということがあったわけですね。

 合計一万六千円のうち一万円については、免除期間に配慮して、払わなかったにせよ、やむを得ない事情があった方々について満額一万円付加しようということで、納付意欲に配慮している。だから、六千円のところは、ここも未納期間に応じて、ペナルティーをかけるがごとく、減額しようかという議論もあったんですけれども、最終的には六千円定額でいこうということになった経緯がございます。

 この部分は国費の部分であります。税金負担ですね。ですから、消費税を上げさせていただいたときにこれはスタートするわけでありますけれども、保険料と違って、国費、税金負担部分であるので、やはり裁量的なところはあると思うんです。納付意欲に配慮しないといけないのは、保険料の部分というのは、これは非常に配慮をしないといけない。一方、この税金負担の部分というのは、裁量があって、福祉加算的にできるんじゃないかということだと思うんです。

 ですから、大臣、いずれにしても、保険料を納めていただき、そして将来受給するという保険制度に基づく基本的な仕組みを維持しながら、不公平感を生じないように配慮していかないといけないというふうに思いますが、大臣のお考えをお願いします。

    〔古本委員長代理退席、委員長着席〕

小宮山国務大臣 御指摘いただいたとおり、今回の年金加算につきましては、低年金対策として一定の効果を出すこと、これが必要である一方、保険料の納付意欲をできるだけ損なわない、こういう仕組みとすることが非常に必要だというふうに考えています。

 このため、今回の法案では、両方のバランスに留意をして、今委員が詳しく御紹介いただいたように、低年金対策としての効果を出すという観点から、対象者に対して一律六千円、それから、納付意欲への配慮という観点から、免除を受けた期間に応じた割り増し一万円ということで、最大一万六千円、こういうセットにしてございます。

 現実に低年金の人がこれだけ存在しているということが喫緊の課題だということは、皆さん共有していただけると思うんですね。今回の年金加算につきましては、現在の年金制度の基礎的、基本的な仕組みを前提に、公平性に留意をしながら検討してきたもので、ばらまきとか保険原理に反するといったものではないというふうに考えています。

白石委員 ありがとうございます。

 そして、昨日のやりとりの中で、この加算というのは、基礎年金の満額以下の年金で、かつ低所得者と認められた方ということなんですけれども、ということは、満額以下であれば、厚生年金受給者であってもいいわけですね。厚生年金受給者であっても低年金である人は加算が受けられるんだったら、働く意欲、そして保険料を支払う意欲がなくなるんじゃないかという質問があったと思います。

 しかしながら、若いときに、高齢になってからどの程度の収入があるかというのは予測できないものでありますので、加えて、一番最初の質問にもありましたように、払わないといけないものは払わないといけないということであります。

 ですから、今、低年金の問題、これは行く行くは、ほっておけば生活保護に結びついていくものであります。収入をどう使うかというのは、基本的にはその個人の自由でありますけれども、税金というのはしっかりと取らせていただく。保険料というのは、これは国のおせっかいかもしれないけれども、やはり長生きしたときに大変なことになるよということで、ちゃんと徴収させていただくというものであります。

 ですから、この制度というのは、現にある問題に対して我々はどう対処していくかということだと思いまして、だから、今現役世代の納付意欲を阻害するものと直ちには結びつかないものだと思いますが、大臣の御意見をお伺いします。

小宮山国務大臣 これも委員が御指摘いただいたように、自分自身が将来低所得者加算の対象になるかどうかということは若いうちにはわからないわけですから、今回の加算は保険料の納付意欲を阻害するということはないと私も考えています。

 今回の加算は、高齢期に低所得である人に対して、これは福祉的に行うものです。高齢期の加算を期待して現在の自助努力を控えるというよりは、日本人の気質からすれば、高齢期に低所得にならないように一生懸命働くということの方が考えられるのではないか。そうしたことを促していくことが必要だというふうに思っています。

 繰り返しになりますけれども、今のこの年金加算というのは、現実に低年金の人が存在している喫緊の課題に対応するためにこういう形を出しているので、ぜひその問題意識を共有していただいて、議論を詰めさせていただければというふうに思います。

白石委員 確認させていただきました。ありがとうございます。

 そして、質問要旨の一に戻らせていただきます。私、年金の仕事に携わらせていただいて、ここが一番問題だと思っているところなんです。それをちょっと皆さんと共有させていただきたいなと。

 お手元に資料があると思うんですけれども、基本的に、日本の社会というのは自由経済であって、そして、社会保障というのはそれを包み込むものだと思うんです。自由経済を尊重しながら、そこからどうしてもはみ出てしまう、あるいは、それを後押ししなければならないものというのはあると思うんですね。それは、若い世代であれば子育てである、高齢者であれば、それは医療、介護、そして年金だと思うんですけれども、自助でどうしても生活が成り立たない場合はどうするか、それもやはり、自由経済、自助からはみ出たところだと思うんですけれども、そこは高齢者の貧困の問題だと思うんです。

 高齢者の貧困あるいは生活を支える制度というのは日本に二つあって、一つは老齢年金というもの、そしてもう一つは生活保護の半分。生活保護でも、きょう問題提起されていましたけれども、働ける世代と、そして、六十五歳以上を超えたら、個人差はあるんですけれども、なかなか働くことが難しい、自助を求めるのは酷だという部分がある。ですから、生活保護の半分と言いましたけれども、人数でいったら四割は高齢者の生活を支える制度だと思うんです。

 一番最初のところでありますけれども、六十五歳以上の生活保護受給者というのが、被保護人員百六十七万人、これはちょっと古いんですけれども、その中で、全体の四割は高齢者、六十九万人、まあ、七十万人おられる。そのうち年金を受給していない方というのは三十七万人であります。

 低所得者加算あるいは今回法案に出しているもののもう一つ、これは受給資格期間の短縮、十年にするということなんですけれども、このことによって、無年金者、四十二万人いたものが十七万人救われるということでありますけれども、無年金者のほとんどが生活保護を受けているということだと思うんです。この無年金者、四十二万人と三十七万人の間の五万人というのは、何とかほかの方法で生活されているということだと思うんです。

 この高齢者の割合、人数がふえています。平成二十四年二月、ことしの二月になると二百九万人にふえるということで、高齢者の割合が一定と仮定すると八十三万人になるわけであります。

 生活保護には、四つぐらいで構成されていまして、生活扶助と住宅扶助、それから医療扶助、介護扶助とあるわけであります。それで、生活扶助というのが生活の基本的なものを支えていくということになると思うんですけれども、その予算が一兆二千九百三十億円であって、そこで四割ですから五千三百億円であります。生活保護全体でいうと、さっきと同じ計算式で、全体で三兆七千億で、そこの四割ですから一兆四千八百億になるわけですね。

 これのサイズ、大きさですけれども、さっき言った、年金五十兆円を毎年支払う、うち十兆円というのが公費なわけであります。一方、同じ高齢者の生活を支える制度である生活保護の高齢者向け生活保護費というのが一兆五千まで来ているわけですね。これは非常に大きなことだと思うんです。つまり、年金の生活保障の機能は低下していると言わざるを得ないなというふうに思うわけであります。

 そもそも年金というのは国の大きなおせっかいであって、得られた収入を使うのは自由でありますけれども、やはり、その中からある程度保険料を義務的に払ってもらって、長生きリスク、老後の生活に備えさせる、強制的にさせるというものだと思うんですね。

 そのあるべき年金というのは、まず第一に生活の最低保障機能、これが一番大事なことだと思うんです。二つ目に働き方に中立であって、そして三番目に財政的に信頼性が置かれる、こういうことだと思うんです。その一番大切なところがぐらついているんじゃないかということです。

 次のチャートなんですけれども、もう少し人数とかを頭に入れながら進めたいんですけれども、これは公的年金受給者の推移でありまして、毎年毎年ふえております。払うときは一つの制度なんですけれども、受けるときは転職とかいろいろあって重複して受けるので、ここは延べの数なんですけれども、今話題にしていることからして、一番下の斜線の人数が一番ぴったりくるんだと思うんです。

 斜線のところは、これは国民年金とありますけれども、これは一号、二号、三号、そして障害者、遺族年金を受け取っている人、ですからほぼ全てですね。加えて、その一つ上が厚生年金保険なんですけれども、二階部分だけ受けている人が、今は支給開始年齢の移行期間中ですから、六十歳から六十五歳までの方は、国民年金、基礎年金は受け取っていないんだけれども、二階部分は受け取っている人がいるので、多いことになっております。

 それはさておき、この一番下のところなんですけれども、毎年毎年、百万人ずつふえていっているわけですね。百万人ずつ六十五歳になって、年金を受け取っているということであります。ただし、その中には低年金者の方もおられるということであります。

 次のチャートでありますけれども、老齢基礎年金の年金月額の分布であります。

 これの総数で、赤丸をしましたけれども、合計二千五百万人と、さっきの国民年金とほぼ平仄は合うわけですね。さっきの国民年金というのは、障害者年金、遺族年金を受け取っている人も含んでいますから、それを差し引けば大体平仄は合います。

 その方々の老齢基礎年金の平均の金額というのは五万四千円であります。しかし、この中の多くの方は二階部分を受け取っている。

 この内数として、右側に行って、基礎のみの方、この方々は八百五十五万人いて、それらの方の平均は四万八千九百円であります。五万円を切っているわけですね。

 年金受給者の方々は、その六割が年金でしか生活していないという統計が出ております。六割の方が年金でしか生活していない。もしその年金が五万円を切っていて、しかも単身者だったらどうなりますかということなんです。これをまたるる申し上げますので。

 その内訳として、また男子、女子と分かれております。男子は二百万人、女子は六百五十万人となっています。この基礎年金のみの中には三号の方も含まれております。一号、二号、三号がちょっとわからない方、一号は自営業者中心で、二号というのはサラリーマンあるいは公務員ですね。三号というのは被扶養配偶者。これからは、モデルケースということで専業主婦を念頭に申し上げさせてもらいますけれども、専業主婦の三号が含まれている。ですから、この女子の六百五十万人のうち、三号が相当含まれております。

 三号の方は、御主人が御存命であれば、御主人の一階、二階、人によって、公務員であれば三階も含めて年金がありますから、そう困らない。もし御主人が亡くなっても、遺族年金で二階部分の四分の三相当金額がもらえるから、まあいいでしょうということなんですけれども、でも、やはり女性は長生きします。そういった御主人じゃない方もこの中にたくさんおられると思うんですね。

 次のページ、三番目のチャートでありますけれども、年金の金額をヒストグラムにしたものであります。

 基礎のみだけ見てみますと、右側のチャートですけれども、平均は四・九万円、五万円を切っているということなんですけれども、この中でやはり人数が一番多いのは三万円から四万円のところであります。ですから、平均は五万円近くあっても、実際人数が多いのは三万円から四万円。上の方は三号の方であるでしょうから、一号の方のここへの集中というのは非常に大きいんじゃないかというふうに思うわけであります。

 そして、次のチャート、四番目のチャートですけれども、男性と女性に分けて見たものであります。

 男性は五万四千円と、五万円を上回っているんですけれども、女性の方は四万七千円であります。三号とおぼしき上位のところを除けば、三万円から四万円のこの山は一号の方だと思います。また再度、女性は長生きされますから、これでやっていくのは非常に厳しいということです。

 そして、五枚目であります。五枚目が高齢者のいる世帯の所得分布であります。

 右側は単身世帯以外ということで、ここはいいでしょう、問題もありますけれども。

 問題は、左側の単身世帯であります。非常に低いところに寄り添っている、固まっているということなんですね。基礎年金の満額をもらって年収七十八万円、八十万円程度です。ですから、この五十から百のところに、ここに集まっていて、プラスアルファがおられる方もいますけれども、やはりそれでも、年収百五十万円あるいは二百万円以下でやってくれといったら相当厳しいんだと思います。

 もちろん、扶養家族、今話題になっております三親等の方は扶養しないといけない、仕送りしないといけない、お小遣いを上げないといけない、そういう義務はあるにせよ、単身で暮らしていたらなかなかそうはいかない。むしろ、孫を連れてきて小遣いをせびられるというふうに言っていましたけれども、今の御時世、なかなか子供が親を扶養するというわけにはいかないのが現実だと思います。加えて、また再び、年金のみで暮らしていらっしゃる方は高齢者の六割であります。

 ですから、そのことを考えれば、単身世帯というのは非常に厳しい状況にあるという現状であります。

 六ページ目ですけれども、これまでは現在でした、これから将来について考えてみたいんですね。年金というのは非常に足の長い制度ですので、将来どうなるかということをやはり考えながら、制度を改善するなり、つくっていかないといけないと思うんです。

 それで、この年齢別人口なんですけれども、これは二〇〇九年ですから三年前、一番下の年齢に三を足さないと今の年齢にならないんですけれども、それでも、大体、今までは六十五歳以上の方というのは非常に山としてはなだらかだったということだと思うんです。それでも、世界一の長寿国、高齢者が二三%を超えているということなんですけれども、今まさに団塊の世代の方々が六十五歳の一つの区切りを超えていっているということだと思うんです。

 団塊の世代の一番のピークは一九四九年に生まれた方で、その学年、その一年に生まれた方は二百七十万人だったわけです。そして、今その方々が二百三十万人ぐらいですから、八割の方は六十五歳まで生きられて、高齢者としての生活を迎えるということになっています。ここをまず一つどうするか、量的に非常に拡大していくわけですね。

 それから、五十代になったら大分ピークは落ちてきて、人数的にも百数十万人になってきているわけでありますけれども、ただ、今五十代の方々というのは、社会人になったときに一九八〇年代で、そのころから雇用均等法も同時に施行されましたけれども、そのころから派遣という職種というか働き方ができて、当初はホワイトカラーのみでしたけれども、ですから、いわゆるパートの、少し時間が長い場合に派遣などが使われたのかもしれませんけれども、それがだんだん本格化して、一家の大黒柱が派遣になってくる、製造業派遣が解禁されてからなお一層だと思うんです。そういった方々ですから、ここの方々も正社員として待遇を受けていない方がたくさんおられるんじゃないかということであります。それから、就職氷河期、そして団塊の世代ジュニア、こう続くわけであります。

 ですから、まずは、量的に高齢者の方が非常に伸びて、その後、質的にも非常に格差を感じる世代が入ってくるということだと思うわけであります。

 そして、七ページ目なんですけれども、高齢世帯数及び一般世帯総数の推移なんですけれども、一般世帯総数というのは五千万戸ぐらいで大体平準化しているということなんですけれども、これから伸びが見込まれるのは高齢者単身世帯、ここでは単独ということで、一番下のグリーンの斜線であります。これでいうと非常にふえているということがわかると思うんです。

 これを数字で見たものが、次の八ページ目のところであります。

 二〇一〇年、現在は高齢者の単独世帯というのが四百六十六万人であります。そのような方々が二〇三〇年には七百十七万人ということになる。ほぼ一・五倍になるわけですね。二百五十一万人増加するということであります。最近出た人口調査によると、今、高齢者の方というのは二千九百万人でありますが、それが二〇四二年には三千九百万人と一千万人ふえるわけですね。一千万人高齢者がふえるうち、二百五十一万人は単独、単身世帯であるということであります。

 そして、次のページが一号被保険者について就業状況について見たものであります。

 一番下のところ、平成二十年調査は、一号被保険者というのは、そもそも自営業主とその家族従業員、大体お父さんと経理等を手伝うお母さんを想定していたわけでありますけれども、その想定の方々というのは一五・九%と一〇・三%で二五%程度しかいない。一方、常用雇用あるいは臨時・パートの方々が四割なわけであります。それは、この九年間で非常な伸び、九年前は二五%だったのが四〇%になっている。一方、典型的なパターンは三五%から二五%に下がっているということなわけですね。

 加えて、無職のところも無視できない人数がおられると思います。三割であります。一号被保険者というのが今加入者が二千万人でありますから、六百万人が無職ということなんですね。これも無視できない。もちろん、学生とかおられますけれども。

 そして、次の十ページ目が、就業状況の中でも完納者。上の表ですけれども、完納者というのは、自営業主、家族従業者というのは六割程度であるのに対し、常用雇用、臨時・パート、いわゆる非正規雇用の方々が四〇%、三四%と非常に低いということで、免除を受けて納めているということだと思うんです。それらの方の本人の所得も、下に見られるように、非常に低いということであります。

 それで……(発言する者あり)もうちょっと済みません、最後の方に出てきますので。

 十一ページ目では、被保護世帯数の推移ということなんです。

 これは、一番最初に申し上げたことをなぞる部分もあるんですけれども、被保護世帯数というのが百二十七万戸あって、そのうち五十八万戸が高齢者世帯であるということであります。その伸びたるや、この二十一年度で見ると三万九千戸伸びているということなんです。もちろん、その他の世帯、つまり、この方々の多くは、働ける世代、年齢の方々は、リーマン・ショックの後、急激に伸びている、四〇%伸びているということなんですけれども、ここは、高齢者の世帯がふえていて、人数的にも、次の十二ページですけれども、大きく伸びているということであります。

 それで、高齢者の生活を支える制度である生活保護、これについて、水準はどうなっているかというと、この十三ページのものでありまして、単身を見るのでいいと思うんです。単身の生活扶助、東京は八万円であります。ほかの、都市によって金額は違うのでありますが、二の一のところでいうと、松山市、地方の県庁所在地でありますが、そこは七万三千円。一方、地方の中堅都市である、西条、新居浜、四国中央市、この辺になると六万六千円。ここのところでちょうど基礎年金の満額にあるわけですね。

 水準的にも、生活保護の水準の方は生活扶助のレベルで高いし、生活保護世帯というのはほとんど家を持っていませんから、これに住宅扶助がつくわけですね。住宅扶助がついて、東京だったら五万円程度、八万円とそれに住宅扶助の五万円がついて、月額十三万円。そこに、高齢者ですから、医療扶助がついていく、あるいは介護扶助がついていくということであります。

 こういう現状があって、そして次のページが国民年金の今後についてであります。

 国民年金の今後を二十一年の財政検証で、この経済前提、非常に非現実的であるということなんですけれども、運用利回りだけではなくて、物価上昇率が賃金上昇率に比べて低いというところもあると思うんです。このことによって大きく助けられていると私は思うんです。運用利回りだけじゃなくて、ここも非現実的。

 つまり、年金というのは、裁定するときは賃金で決めますけれども、その後のスライドは物価スライドですから、物価スライドであるならば、物価上昇率が低い方が助かるわけですね。保険料は賃金上昇率で増収するのに対して、支払いというのは裁定後からは物価スライドですから、助けられている。この非現実的と言われている前提であっても、国民年金はマクロ経済スライドを二十七年間やらないといけないということが出ているわけであります。加えて、特例水準もあって、意図せざる支出があるということなんです。

 十五ページなんですけれども、物価上昇率ゼロでマクロ経済スライドを行うと仮定したらどうなるかということです。

 特例水準の解消はどんな状況でもやるんですけれども、その後、デフレ下のマクロ経済スライド、これをやったと仮定したら、二十七年後、二〇四一年、ちょうど高齢者の数がピークになるときに基礎年金の満額の金額は五万七十二円であります。

 このことを考えたら、今まで、高齢者がふえてくる、量的にふえてくる、これからは、質的に格差のある方がふえてくる、単身世帯が占める割合、構成がふえてくるということであります。生活保護にどんどん今入ってきている状況に、これから三十年間、この国民年金の生活保障機能低下を何とかしなければならないと思うわけであります。

 これで、質問なんですけれども、小宮山大臣、ちょっと法案のことはもうできませんでした。この社会の流れに対して、どのような政策の方向性で対処されようとしていますか。よろしくお願いします。

中野委員長 答弁いただきますと、せっかくですが、時間が実はなくなりました。簡単に。

 ちょっと近藤君の了解をいただいて。

 食い込みますが、厚生労働大臣小宮山洋子さん。

小宮山国務大臣 なるべく短く。

 今、るる御説明いただきましたけれども、国民年金制度ができてから五十年余りたって、いろいろな状況が変わった中で、何とか年金を信頼できるようにということで、今回、財政基盤と最低保障機能の強化を図ろうとしているところです。

 また、御指摘があった生活保護との関係については、年金、生活保護、そしてできれば最低賃金、仕組み横断的に、どういうレベルがいいのかということも含めて、高齢者がふえていく中で、安心できる社会保障の仕組みをどうつくるのか、そこにしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。

白石委員 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

中野委員長 これにて白石君の質疑は終了いたしました。

 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 近藤和也でございます。

 このたびは、特別委員会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 与党側の議員として、弁解であったり、また、あおる部分もあるかとも思いますし、また、今までの野党の皆さんからの質問等に対して政府側が答弁できなかったことに対して、私としても実はこう思っているんだけれどもといった質問であったり提案、ただ、こういった提案は与党側、政府側からは否定されるものもあるかもしれないですが、幅広い形で質問を行っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 トリということでもありますので、何とか皆様に元気を出していただけるようにお話をしていきたいと思います。

 そのトリということでございますが、先日、佐渡島で鳥が巣立ちをする、そういったニュースがございました。実は、この本州でトキが最後にいなくなったのが、私の選挙区であります能登半島でございます。この私の地域の皆さんは、トキが空を舞う日を今か今かと楽しみにしています。ちなみに、この能登半島と佐渡島は、昨年、世界の先進国の中で唯一世界農業遺産に選ばれまして、トキが取り持つ縁といいますか、非常に誇らしい気持ちでもあります。

 そして、このトキなんですが、好きな食べ物があります。大好物、これは何とドジョウなんです。ドジョウ内閣、ドジョウ総理が今一生懸命頑張られていますが、このドジョウの放流も石川県内では高校生などが頑張って、トキが来る日を待っています。(発言する者あり)はい。ただ、このドジョウ総理は、むしろ、日本国民にいい意味で料理をされて食べられる、私は、これは本懐だというふうに思っています。

 ちなみに、トキの学名はニッポニア・ニッポンといいます。そういったところも含めまして、社会保障と税の一体改革の議論で、よい意味で、このドジョウ料理を皆様とつくり上げていくことで古きよき日本をつくり上げていく、新しい日本をつくっていく、そういった議論が進められていければいいというふうにも思いますし、私は委員ではないんですが、この社会保障と税の一体改革の議論がスムーズに進められてきていることを、与野党の、特に野党の皆様が協力されていらっしゃることは、本当にありがたいというふうに思っています。

中野委員長 この瞬間は委員でございます、れっきとした。

近藤(和)委員 はい。私も委員です。済みません、失礼いたしました。

 そこででございますけれども、今回の社会保障と税の一体改革については、世間の一般の皆様はやはり消費税増税の議論だというふうに受けとめていらっしゃいます。これは私はいたし方なしだというふうには思っていますが、この消費税増税については、マニフェスト違反だという御意見をやはり多くいただきます。

 この点については、私も、前の衆議院選挙のときには、当選させていただいたらその任期中は消費税は上げませんと言ってきました。ただ、人口動態ですとか財政状況を考えれば、その次のときには、それぞれ各党が、私たちは何%に上げてこういったサービスができますと、各政党ごとがサービス合戦のような形で次の次の衆議院選挙は行われるんじゃないかということで私は有権者の皆様に申し上げてきました。

 正直申し上げますと、この任期中の消費税増税というのは、私自身も違和感があることは間違いありません。もちろん、この任期中には上がらないということは、これも今まで政府の皆様の答弁で重々承知していますし、私自身、しっかりとそれを消化しようという努力はしていますが、多くの国民の皆様はやはりまだ消化不足、ドジョウが喉につかえている、そういった状況ではないかなと思います。

 この点については、そもそもマニフェストとは何なのかというところを、やはり政府側として、政府・与党として共通認識を持っていく必要があると思います。

 そこで、岡田副総理にお伺いをいたします。

 マニフェストとは一体何なのか、そして、今回の消費税増税に関して、どのような解釈で進めようとしていらっしゃるのか、教えてください。

岡田国務大臣 マニフェストというのは、政権公約でございます。政権交代が実現した際にこれだけのことをやるという、そういうお約束でございます。

 特に民主党はマニフェストに力を入れておりまして、従来の選挙公約というのはかなり抽象的なものが多かったし、ウイッシュリストというか、こうしたい、ああしたいというものが多かったと思いますが、かなり具体的に数字も入れてマニフェストがつくられたということでございます。

 今委員言われたことですが、まず、議論もしないと言ったじゃないかという御批判が時々ございます。これは明らかに間違いでございます。

 私は、議論はすべきだということは、選挙期間中、何度も申し上げております。その上で、任期の間は上げないと言ったことは事実で、私は、こういう形で上げざるを得ないということも場合によってはあり得るかというふうには思っておりましたが、任期の間は上げないと言ってきたことから見ると、私はマニフェスト違反だとは思いません。

 しかし、ぎりぎりセーフ、オンラインみたいなもので、余りいい形でないことは間違いない。国民の皆さんから見てその期待を裏切ったということは事実で、そこはまことに申しわけないことだというふうに思っております。

 ただ、マニフェストというのは四年間の間にやるお約束ですから、状況が変わるということは当然ある。例えば、私は幹事長のときに、高速道路無料化というのを、やめて、そしてその分は被災地の復興に充てるべきだ、こういうことでやめさせていただいたわけであります。ですから、大事なことは、きちんと説明するということではないかと思います。

 この数年間の欧州の状況を含めて、世界経済の激変、あるいは日本の財政がより厳しくなって、今や予算の半分は借金で成り立っているということ、そういう状況の中で社会保障を持続可能にするためには、これ以外の道はあり得ないということだと思っております。

 選挙の後現実に上げさせていただくということで、何といいますか、ぎりぎりセーフの線だということでございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 済みません、野党の皆さんに火をつけてしまいまして、大変申しわけなく思っています。

 私自身、思っていますのは、マニフェストというのは、やはり、副総理がおっしゃられたように、方針であったり目的、最終的にこれをやりたいということではないかというふうに本当は私は思っています。そして、具体的なものを書いたことが今大きく問題となっているんですが。

 ちなみに、岡田副総理には、私の選挙区には今まで五回入っていただいています。一番石川県に来ていただいているんですけれども、三重県から来ていただいたり、また東京から、いろいろな形で来ていただいています。

 その際には、例えば、東京から能登半島に行くという、一つ、行くという目標があって、そして、小松空港便というのは便数が多いので、能登半島に小松空港便を使って東京から行きますよというのが今のマニフェストであって、この目的と手段というものが混同していたというところが、今のこのマニフェストについての、世間の一般の皆様から、また野党の皆様から大きく御指摘をいただくことではないかなと思っています。この両方が成立しないと、能登に行く、小松空港を使うという両方が成立しないとマニフェスト違反だという声はやはりかかってきます。

 しかし、能登半島に行くには、小松空港だけじゃなくて、能登空港からも行けるんですね。能登空港からも行けますし、上越新幹線を使って、「はくたか」を使っても行けますし、東海道新幹線を使って、「しらさぎ」を使っても行けます。京都からは「雷鳥」、「サンダーバード」。これも鳥の名前ばかりですけれども、いろいろな手段で最終目的地に行くことはできるんです。

 そういったところで、小松空港を使わないからもう目的地に行くのはやめるとなると、私の方としても、例えば岡田副総理に私の地域に来ていただく、ただ、小松空港が使えないから岡田副総理が来ないということになると、やはり本末転倒になるんですね。そうなので、目的地に達するためには、その手段というものはその都度その都度適時変えていく、これが大切なことではないかなと私は思っています。

 そこで、とはいいながら、今回の消費税増税については、違和感は間違いなくあるかと思います。国民の生活が第一という方針、目的に沿うためには、違うじゃないかという批判を受けても、正直に、今も岡田副総理が、正直に、申しわけないということもおっしゃっていただきました。私は、正直に進めていく必要があると感じています。

 私も、証券マンとして、お客様にいろいろな株式や債券、いろいろなものを買っていただいたことがあります。買っていただいて、その夜に突然その会社が不祥事を起こしたり、大きな問題を起こしたり、海外でとんでもないハプニングがあったりと、そういったことがたびたびありました。

 そのときには、やはり入社して二年目、三年目ぐらいのときには、お客様には、ごめんなさい、売ってくださいとは言えませんでした。それは、お客様からの私に対しての、おまえがきのう言ったことと違うじゃないかとの批判を恐れて、本当は今売ることが損失を小さくする最大の手段なんですという、その正直なところを私は言うことがなかなかできませんでした。

 ただしかし、数年間、こういったことは相場の世界ですから何度もあります。むしろ、正直にお客様に対して、環境が変わりました、申しわけないです、売ってくださいということをしっかりと言っていくこと自体がお客様の利益を守っていくことになっていきます。大切なのは、自分のプライドではなくてお客様の利益です。

 民主党政権にかわって間もなく三年になります。そういった点では、国民の生活が第一であって、自分のプライド、保身に走るのではなくて、正直に環境の変化を有権者の皆様に申し上げていく必要があります。

 その中で、私自身が感じている最も大きな環境変化というのは、二〇〇九年から一〇年に出てきたギリシャの債務の問題です。

 当初は、金融関係者の多くの方々は、ギリシャはユーロの小国であって、しかも粉飾を行っていたんですが、それに対して、影響はほとんどないだろう、大したことないよというのが多くの評価でした。その当時のレポートに目を通していただければ、多くの方が納得いただけるというふうに思います。

 二〇〇九年、一〇年の半ばぐらいまでは、私が大好きである亀井静香さんが数十兆円、百兆円単位の景気対策が必要だということをいつもおっしゃっていらっしゃいまして、私も、そのときまでは全く同じ思いを持っていました。ただしかし、ギリシャからどのような状況になったかというのは、今皆様が多く共有をされていらっしゃると思います。

 ギリシャの人口は一千百万人、世界で七十四番目です。ユーロ圏の中では、GDPはわずか二・三%しかありません。世界経済の中では、わずか〇・四%しかありません。わずか〇・四%しか経済規模がない国の世論調査で、世界が、株式が、債券が、為替が一喜一憂する。金融の人間にとってみれば、朝が来るのが怖いんですよね。今そのような、ギリシャだけでも大変な状況になってきているということは認識をしていく必要があるんだと思います。

 一枚目の表を少し用意させていただきましたけれども、ここに日本を書くことがいかがなことかということは、日本の国会議員としてどうかなというところはありますけれども、私はあえて日本を書かせていただきました。

 ただ、この表で申し上げたいことは、ギリシャだけではなくて、今、スペインにまで問題が飛び火をしてきています。イタリアもどうなるかわからないという状況です。ちなみに、スペインの経済規模は、GDPの中では一一・四%。ギリシャは二・三です。イタリアは一六・八%です。こういったところに飛び火をすれば、どのような状況になるかわからないと思っています。

 ここでお伺いをしたいと思います。今後あり得るかもしれない、あり得るというのは、こういった、違う、ギリシャ以外の国が大変だということをあえて言うつもりはありませんけれども、あり得るかもしれないさらなる世界的な金融危機について、政府としてとり得べき行動や、実際にこういったことを行っていますよということを聞きたいと思います。よろしくお願いいたします。

五十嵐副大臣 お答えいたします。

 このところ、ポルトガル、スペイン、イタリアの国債金利が上昇しておりまして、危機の深刻化が起こりかねないという状況だと思います。

 今近藤委員がおっしゃったように、これが進みますと、為替がユーロ安になって、日本が、逆にユーロに対して円高になって、日本の対ユーロ輸出に影響が出てまいりますし、また、金融不安が生じかねません。そして、これが実体経済に影響するということは、もう既にリーマン・ショックのときに経験をしておりますし、世界全体のリスクになってくる。

 これを防ぐために、日本としては、ユーロ以外の国として、先陣を切って、IMFの資金基盤強化のために六百億ドルの貢献を、融資枠の拡大について貢献を表明しました。四月のG20でございますけれども、これによって、各国が追随をし、四千三百億ドルを超える融資枠拡大の道筋ができた、こう思っておりまして、これは大変大きな貢献だったと思います。

 また、日本は、これまでにもEFSF債を、発行額の一〇%、約五十億ユーロ購入しておりまして、そして、世界の金融の安定化のために貢献するだけではなくて、同時に、発言力を持って、ユーロ自身の努力を慫慂するということをしてまいりましたので、日本のこれまでのあり方というのは、結果として見ても、いい方向に向かうための大きな一歩だったと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 IMFに対してなのか、欧州金融安定ファシリティー、EFSFに対して、もしくは欧州安定メカニズム、ESMになるのか、どちらになるのか今後わかりませんけれども、未然にリスクを減じていくための行動は極めて重要だと思います。

 特に、欧州危機拡大の延長は、さらなる逃避通貨としての円高リスク。これはありがた迷惑だと思います。私はありがた迷惑円高リスクというふうに勝手に呼んでいますけれども、これを拡大させないために、積極的な行動を、日本経済のリスクを減じるという点でしっかりと行っていただければというふうに思います。

 そして、日本の財政についてですが、次の二枚目の資料なんですが、ここ十年の十年物国債の、こちらは表ではありませんが、十年物国債の標準物の利回りは、ちなみに、きょうの終わり値だと〇・八五でございました。かつて、バブルの余韻が残っていた九一年には八%を超えていたときがあります。バブル崩壊から失われた二十年、恒常的な金利低下が日本の財政を助けてきたことは間違いありません。

 この表で見ていただきますと、平成三年、一九九一年のときには十一兆円が利払い費でございました。このときの公債残高は百七十二兆円です。ここから十年間かけて、債務は百七十二兆から三百六十八兆、ほぼ倍ということが言えますが、債務が倍になっているのに利払い費が十兆円台でずっといるという、極めてありがたい、これは金利が低下していたおかげでございます。そして、平成の十二年からはさらに債務が倍にずっと駆け上がっていくわけですが、利払い費としては十兆円を切っていたというのがこの十年のあらましです。

 借金が倍になるのに利払い費がむしろ減っていくという、この奇妙でありますが何ともありがたい状況が、この十数年間、まあ二十年と言ってもいいと思いますが、失われた二十年の中で実は続いていました。

 ただしかし、金利低下はもはや底が見えています。あと、下がっても、マイナス金利云々ということはありますけれども、一%もないという状況です。それに対して上はどこまでもあるということは、私たちは認識をする必要があります。

 ここ十年近くは、年度末には補正予算としても一兆円前後、金利低下がそのまま続いていて、予算として大体一%上乗せして予算を組んでいるようなんですが、金利低下が持続しているおかげで補正を組んできたという実績もありますし、また、外為特会では毎年三兆円前後剰余金を使っていますが、特に米ドルの部分が多いです。

 アメリカの十年物の国債は、きのうで一・七幾つかだったと思いますけれども、二年前、三年前までは三、四%ありました。アメリカの金利低下が、結果として、日本としてこの剰余金も少なくなっていくんだという、こういった危機感は持っていかなくてはいけないんだと思っています。

 ちなみに、先日、この社保と税の一体改革の特別委員会かもしくは予算委員会かだったと思いますが、ある方が、日本のCDSを取り上げて、これだけ低いんだから大丈夫だと。私はそれに対してやじっていた方なんですが、この場で私から申し上げさせていただきますと、CDSの変動割合、ボラティリティーですね、極めて大きなものであって、ギリシャと比べて、スペインと比べて日本の現状は低いんだということは、瞬間瞬間は言えたとしても、それをもっていつまでも大丈夫だとはとても言えない状況です。

 さらには、CDS。今の日本のCDSといいますと、五年物に対して、日本の国債金利よりも高いんですね。これは、言いかえますと、百万円の車の保険が、どかんとぶつけて、さあ買いかえましょうといったら、百五十万円の車が入ってくる。今はそうなので、CDSそのものを取り上げて低いんだと言うことそのものがナンセンスだということをあえて私の方からつけ加えたいというふうに思っています。

 そして、質問ががらりと変わります。

 地域を回っていますと、社会保障について、多くのおじいちゃん、おばあちゃんから、これ以上負担をふやさぬといて、手取りを減らさぬといてと言われます。それに対して、実際には、社会保障にかかわる国の負担は増加をしています。

 この点について、生活者の実感と社会保障の支出について、ここ数年間の動きを教えていただけますでしょうか。

小宮山国務大臣 社会保障につきましては、本当に急速な少子高齢化の中で、制度を、持続可能性を高めるために、年金、医療、介護、これを随分制度改革で効率化を図ってまいりましたので、高齢者の皆さんにとっては、自分たちの負担がふえているのにサービスや給付が減っているという実感をお持ちのことは確かなことだと思います。

 一方で、基礎年金、それから老人の医療、介護の、国の高齢者三経費が、平成十二年度には九兆円が、二十三年度には十七・二兆円、この十年でおよそ二倍にふえているんですね。ということは、御高齢な方だけではなくて、現役世代の負担も、国の税の支出もふえているということです。

 ですから、この社会保障の公費負担について、今回、消費税を安定財源として確保することで持続可能性を高めていきたい、その必要性をぜひ御理解いただけるように丁寧に説明をしていければと思っています。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたように、私は、お互いが被害者意識といいますか、こういったところを、やはり実態と意識のずれが今回の社会保障と税の一体改革の議論の前に横たわっているんじゃないか、こういったところはしっかりと解消していくべきだというふうに思っています。

 この点においては、私自身も、以前は、自公政権は社会保障を削ってばかりという、そういった批判精神を持っていましたが、やはりこういったところは謙虚な気持ちで変えていかなければいけないと思っています。

 自民党の伊吹筆頭理事、私は大学の後輩になります。先日、ようやく民主党が我々のところに追いついてきたということをおっしゃっていましたが、この点では、謙虚になっていくことが、有権者、国民の皆様に対して、こんな問題意識が実はあるんですよということを、一緒になって右からも左からも真ん中からもしっかりと言うことが、溝を埋めていく最も大事なことになるのではないかなというふうに思います。

 そして、済みません、前半部分から、私、暗い話ばかりしてきました。負担が必要だ、ユーロ圏が危ない、日本はどうなるんだ、そういったことばかりお話ししてきましたが、ただ大変だ大変だと言うと、やはり皆さん暗い気持ちになってしまいます。大切なのは、やはり明るいことを言っていく必要がある、今はからからでも雨は降ってくるんだ、必ずオアシスがあそこにあるんだということを。やはり、私は、まだメッセージが弱いんじゃないかというふうに思っています。

 そこで、これは質問通告を出していないんですが、一つだけで結構なので、今回の改革を乗り越えたらこんないいことになるんだということ、非常にわかりやすい一つだけで結構なので、小宮山大臣、よろしくお願いいたします。

小宮山国務大臣 なかなか一つだけというのは難しいんですけれども、今回、子供の方にもしっかりと社会保障の受益感があるような仕組みをとっていますので、そうするとこれから支え手もふえていきますから、そういう意味で御高齢の皆様の生活の安心にもつながる。

 ただ、残念ながら、超少子高齢社会でいろいろと負担がふえていくということは確かなので、それをどうやって公平に分かち合うかということなので、バラ色の未来をお示しするということは私も手品師ではないのでちょっと見せられませんが、なるべく公平に、そして将来世代に、ツケだけじゃなくて、夢が持てるような日本をつくりたい、そういう思いでやっています。

近藤(和)委員 ありがとうございます。手品師ではないという正直なお答えだったと思います。しっかりと政治家それぞれが正直に申し上げていけば、多くの皆さんが、よし頑張ろうという気持ちになっていただけるのではないかというふうに思います。

 そして、増税に対して、やはり今でも否定的な意見というのはあります。与党の中でも、野党の方からもいただきます。特にこのような景気の悪いときには増税すべきではないといった意見があるんですけれども、実際には、私の問題意識とすれば、景気はいいんだというふうにはなかなか、実際に過去を振り返って、いいときでも、そのときには、いいと思っている人は少ないというふうにも感じますし、また、増税は、景気がいいときであったとしても、増税賛成だという意見が過半数を超えた時代は恐らくはなかったというふうに思っています。

 景気が悪いときには増税すべきではないというこの点について、見解をよろしくお願いいたします。

五十嵐副大臣 この問題は非常に難しい問題ですね。決めるときと実際に上がるときとでは状況が変わる、それから、経済というのは後からわかるということが多いものですから、おっしゃるとおりのことがあると思います。

 私どもも、小泉政権の時代に、為替レートが百十円台、それから、デフレだったんですが、デフレーターはマイナスだったんですけれども、しかし、実質成長率は二%近くあって、総賃金も上昇していた。後から見ると、あの時代にちゃんと手当てをしていればここまで財政的に追い込まれることはなかったのになと思うわけですけれども、そのときの状況、実感は、確かに、業種によって不景気だ、それから、下請賃金を、下請の単価を抑えられて余りよくないという人がかなり多くて、給与総額はプラスであったにもかかわらず、中小企業全体の景気判断はマイナスの状況が出ているということがございました。

 ですから、タイミングをはかるというのは非常に難しいことですけれども、一つの指標だけではなくて、やはり総合的な判断というものが大切だということだと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 それでは、日銀の対応についてというところにかわりたいと思います。

 デフレの状況から脱するには日銀法の改正をして金融緩和を積極的に行うべしという主張があります。私は、この日銀の無策によってデフレを脱却できないという議論は、極めて乱暴で、大切な施策を見逃してしまうというおそれがあると思っています。

 政権交代以降で結構です。日銀は果たして無策だったんでしょうか。

石田副大臣 デフレからの脱却は、過去十年以上にわたる課題であります。政府は、日本銀行と一体となって、断固として取り組んでおるところでございます。

 デフレが継続している背景としては、生産、分配、支出にわたる経済の好循環を妨げている構造的な要因があると考えられます。こうした認識のもと、本年四月以降、閣僚級のデフレ脱却経済検討会議において、人を動かす、物を動かす、お金を動かす、適切なマクロ政策と同時に政府を挙げて構造的な課題にしっかり取り組んでいるところであります。この四つを原則として、平成二十五年までを念頭に、デフレ脱却へ向けた政策の基本方向や重視すべき政策分野について議論を行っておるところであります。そして、日本再生戦略や平成二十五年度予算編成プロセスにおいて反映してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

近藤(和)委員 ありがとうございます。政府としての対応ということでおっしゃっていただいたかというふうに思います。

 日銀に聞くと日銀は自画自賛という形になりますので私は日銀は呼びませんでしたけれども、ちなみに、二〇一〇年の十月には、長期金利の引き下げを目的とした国債の買い入れを初めて行っています。さらには、ETFやREITの買い入れも行って、これは先進国の中では極めて異例なことであります。

 ちなみに、私はこのときまで日銀を疑っていました。何をしているんだという、そういった批判的な立場でいましたけれども、ETFやREITを買うということは、極めてリスクが高いというか、株式であったり、特に日本のこの失われた二十年の間には不動産価格が下落して、これをいかに流動化していくかということが日本経済をよくしていくことだと、そのことについて日銀がリスクをとって買ってくれたということで、私は日銀に対しての見方をがらりと変えました。

 過去、証券マンのときには、上げるべきときではないのに上げてしまったり、二度、三度、痛い目に遭っていますので、今までは日銀に対しては懐疑的な見方でありましたが、よく頑張っているなというふうに正直思っています。

 そこで、さはさりながら、リーマン・ショックを受けてから、国債買い入れ等の規模について、マネタリーベースの増加割合がアメリカ、ユーロ圏と比べて低いんではないか、山本幸三さんなどもよくおっしゃっていますが、三枚目の資料、上のグラフを使って、アメリカは四倍、日本は一・数倍しかないんじゃないか、そういったことも意見としてありますけれども、実際には、GDP規模でいえば、左側にありますアメリカであったりユーロ圏であったりよりも日銀が国債を買っているということもありますし、特に、二〇〇八年、九年のときにアメリカのマネタリーベースの方がぽんと上がっていますけれども、信用スプレッドが日本は大したことはないのに海外は大変なことになっていた、これを火消しする結果としてマネタリーベース等々がふえたということは、私たちは国内と海外の状況の違いというものは把握をしていかなければいけないんだと思っています。

 そして、長期国債等々を買っていけばいいという話もございますが、財政ファイナンスの懸念も当然として起きてしまいます。そして、円安をもたらすためにも金融緩和をどんどんやるべきだという意見もありますけれども、一旦信認を失った通貨の末路は恐ろしいものであります。通貨の暴落と国債の暴落はセットとなってやってくる可能性があります。そして、株安というものは私は本当に怖いです。

 ちなみに、アテネ指数というものがあります。アテネ指数が、この三年余り、二割になっているんですね。十が二になっているんです。もうとんでもない状況です。もし日本でそういった状況が起きれば、金融機関ももたなくなりますし、当然、事業会社もお金を集められなくなります。血液が回らなくなる。こういった状況というものは、やはり危機意識として持っていかなくてはいけない。円安誘導のための金融緩和というものはリスクはあるということは、やはり共有の認識として持っていかなくてはいけません。

 そして、大切なのは、ギリシャのように、国債の暴落は、国の財政の圧迫よりは、そもそも企業会計を直撃する。特に、日本は七割の企業が赤字だというふうに言われていますが、その大半が借り入れを行っています。内部留保がここ数年間で積み重なっているということはありますが、あくまでも大企業中心であって、中小零細、自営業者、ジス・イズ・ザ・ジャパン、日本の多くの企業においてはこういった状況は当てはまらない。

 その中で円の信認を落とすという施策は、国債の暴落、借り入れを行う日本を苦しめる。これを私はやるべきではないというふうに思っていますし、為替に対して金融緩和効果を発揮するためには、今はできるような状況じゃない。

 財政再建をして、いざというときに、そういったときに初めて金融緩和が通貨安をもたらすという施策が行われるんではないか。政策手段の選択権を取り戻す、そのために財政再建の必要性があるんだと私は思っています。

 それでも買い増せという意見がありますけれども、しかし、先日はとうとう基金による国債買い入れの札割れが起きてしまいました。これが意味するところは、金融機関がこれ以上キャッシュを持つ意義を感じてこなくなったということであり、ひいては、これ以上の金融緩和のもたらす効果が薄くなってきているということでもあります。さらには、金融緩和効果が既に市場に浸透しているということでもあります。

 これは、こちらの最後のページになりますけれども、「金融機関の貸出運営スタンス」、このゼロの線よりも日本が下になっています。これは、金融機関は貸したいんですね。金融機関は貸したい。ただしかし、この下のグラフでいきますと、預貸率は七割、都銀に至っては六割と、貸したいけれども貸せないというこの状況を認識していく必要があります。

 今の経済にとって大切なことは、金融緩和によってこれ以上お金をじゃぶじゃぶにすることではなくて、いかに、じゃぶじゃぶになったお金を金融機関が貸し出す状況をつくるか、さらには、民間企業が投資を行って借りたくなる状況をつくるか、この部分については国の保証をどうしていくかというところは考えていかなくてはいけないというふうには思いますが、さらには、消費者がお金を使いやすい状況をつくるか、これが本当に重要だというふうに思っています。

 この点では、繰り返しになりますが、日銀にこれ以上責任を求めることは、逆に、政治がなすべき責任を果たさないことになるんじゃないか。先ほど石田副大臣からおっしゃっていただきました、このじゃぶじゃぶになったお金をいかに回していくかという施策をしっかりと進めていただくように、私たち与野党とも力を出していかなくてはいけないんだというふうに感じます。

 個人金融資産の活用について質問をさせていただきます。

 今回、相続税を引き上げて、贈与税を引き下げるという施策、これは私がずっと訴えてきたことであって、この中に取り入れていただいたことは非常に感謝をしています。

 この相続税の改正について、乱暴な改正であると野党の委員の方から質問がございましたけれども、この点について、見解を教えていただけたらと思います。

五十嵐副大臣 相続税については、百人お亡くなりになったうち六人がかつては相続税対象だったんですが、それが四人までに下がったということで、やはり物価、地価の下落に応じて相応の負担をお願いしなければいけないということで、今回、法案に入れさせていただきました。妥当な線だと思います。

 ただ、小規模宅地の特例を残しておりまして、これはかなり、平成十三年まで拡充をされ続けてきて、東京問題というのがありますけれども、東京都での一戸建ての住宅の平均敷地面積は百二十三平米ですが、ところが、この居住用の宅地の特例は二百四十平米まで八〇%減額でございますし、事業用の宅地も四百平米まで八〇%減額でございますので、そうした問題はほとんど起きないと思っておりまして、妥当な措置だと私どもは思っております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 小規模宅地の評価減がしっかりと残っている、これは乱暴ではないということを確認させていただきました。

 この中で、日本には個人金融資産一千四百兆円があると言われています。これをいかに活用していくかが日本にとって極めて重要でありますが、ファイナンシャルプランナーとして少しお話をさせていただければと思います。

 人生には三大支出があると言われています。それは、住宅であり、教育であり、老後資金ということになりますが、今、住宅に対しても、今年度の税制改正でも特例の拡大、期間、枠の拡大というものが行われていますし、住宅、教育、老後資金ということは、まさしく社保と税の一体改革そのものの姿ではないかなというふうに思っています。

 そこで、私の実感として、教育にしっかりとお金を使う、お金のある人がしっかりと子供や孫にお金を使っていくというところがまだ周知徹底されていないのではないかという思いがございます。

 ここについては、相続税法第二十一条の三に書いてありますが、生活費または教育費については、孫やひ孫や奥さんに対してはこの部分は非課税だということ、贈与税の、加算しないということが書いてあるんですね。ただしかし、これは、一般の、資産をお持ちの方は認識が非常に薄いと思っています。

 ちなみに、通達の中で、生活費や教育費の枠が書いてあるんですが、私は、ここをよい意味で拡大解釈していくべきだというふうにも思っていますし、また、お金を使っていくためには、住宅だけではなくて、五大支出というものがありますが、車、ローンなんですが、この車などについても、非課税の適用というものを行っていくことで消費を活性化させて、日本経済をよくしていくことができるんじゃないかというふうに思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中野委員長 これにて近藤君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明三十一日木曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十五分散会


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