衆議院

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第17号 平成24年6月8日(金曜日)

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平成二十四年六月八日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      網屋 信介君    石井登志郎君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      江端 貴子君    岡田 康裕君

      勝又恒一郎君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    篠原  孝君

      白石 洋一君    田中美絵子君

      田村 謙治君    平  智之君

      玉木 朝子君    永江 孝子君

      長尾  敬君    橋本 博明君

      浜本  宏君    早川久美子君

      藤田 憲彦君    三村 和也君

      三宅 雪子君    宮島 大典君

      向山 好一君    室井 秀子君

      湯原 俊二君    柚木 道義君

      渡部 恒三君    石田 真敏君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      鴨下 一郎君    齋藤  健君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      野田  毅君    馳   浩君

      町村 信孝君    竹内  譲君

      塩川 鉄也君    小林 正枝君

      中島 隆利君    山内 康一君

      中島 正純君

    …………………………………

   参考人

   (一橋大学経済研究所教授)            小塩 隆士君

   参考人

   (三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社執行役員調査本部長)    五十嵐敬喜君

   参考人

   (一般社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長)        村岡富美雄君

   参考人

   (法政大学教授)     小峰 隆夫君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  江端 貴子君     網屋 信介君

  岡田 康裕君     浜本  宏君

  岸本 周平君     玉木 朝子君

  田嶋  要君     橋本 博明君

  柚木 道義君     磯谷香代子君

  町村 信孝君     齋藤  健君

  宮本 岳志君     塩川 鉄也君

  豊田潤多郎君     小林 正枝君

同日

 辞任         補欠選任

  網屋 信介君     櫛渕 万里君

  磯谷香代子君     柚木 道義君

  玉木 朝子君     平  智之君

  橋本 博明君     向山 好一君

  浜本  宏君     岡田 康裕君

  齋藤  健君     町村 信孝君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

  小林 正枝君     豊田潤多郎君

同日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     三宅 雪子君

  平  智之君     岸本 周平君

  向山 好一君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  三宅 雪子君     江端 貴子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、一橋大学経済研究所教授小塩隆士君、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社執行役員調査本部長五十嵐敬喜君、一般社団法人日本経済団体連合会経済政策委員会企画部会長村岡富美雄君、法政大学教授小峰隆夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、税制改革と財政及び経済等につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、議事の順序について御説明申し上げます。

 まず最初に、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。委員の質疑時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いをいたします。また、委員の皆さんも、御答弁をいただくという時間も認識の上で、質疑の時間をとっていただきたいと思います。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきをお願いいたします。

 それでは、まず小塩参考人にお願いいたします。

小塩参考人 おはようございます。一橋大学経済研究所の小塩と申します。きょうはどうぞよろしくお願いいたします。

 私は三つのことを申し上げます。一番目は、今回の一体改革あるいは消費税率の引き上げをどういうふうに考えるのかという点であります。二番目は、消費税の問題点としてよく指摘されます逆進性をどういうふうに考えるのかという点です。それから三番目は、もう一つ消費税の大きな問題点として指摘されることが多い消費税引き上げのデフレ効果をどう考えるのかという点であります。

 お手元に参考図表という横長の図表をお配りしておりますけれども、それに基づいて簡単に御説明いたします。

 まず一点目ですけれども、今回の一体改革あるいは消費税率の引き上げをどういうふうに考えるのかということです。

 そこで、まず図一をごらんください。

 ここで二つの点が確認できると思います。この図を見ていただきますと、この二十年間におきまして、社会保障給付が拡大傾向を見せているということがわかります。そのほとんどは高齢者向けの社会保障給付の増加で説明することができる、これがわかります。そのほかに重要な点がございまして、この上の方を見ていただきたいんですけれども、税や社会保険料がどういうふうに推移したかというのを見ますと、この二十年間でほぼ横ばいで推移しているということです。この間にはインバランスが発生しているということなんですけれども、そのインバランスは、それにほぼ対応するような形で、財政赤字を生み出しているということであります。

 これは一体何を意味するのかということなんですけれども、要するに、私たち国民は、高齢者向けの社会保障給付の増加分を、私たち自身で負担するというのをいわば拒否して、次の世代に先送りするというふうな選択をしてきたということであります。これは非常に重要なことでありまして、例えば、私たちの子供たち、孫たち、あるいは将来生まれてくる子供たちがどういうふうに私たちの判断を評価するのかというのは、改めて考えておく必要があると思います。

 ただ、負担の先送りを反映する財政赤字が発生したとしても、それをファイナンスするために政府が国債を発行したとしてもですけれども、私たちがその分だけ次の世代の人たちのために貯蓄をふやしているのであれば、将来世代の人たちはその貯蓄を取り崩して将来の増税に備えることができますので、特に問題は発生しない、ツケは将来世代に回らないということなんですけれども、そこで図二をごらんください。

 これは日本の国全体の貯蓄をまとめた図でございます。日本全体の貯蓄というのはどういうふうにとらえるかということなんですけれども、家計、それから企業だけじゃなくて、政府の貯蓄も含めております。政府の貯蓄というのは、税収や社会保障の収入から経常的な経費、社会保障給付等々も入っておりますけれども、それを差し引いたものであります。その国全体の貯蓄を計算しようということですね。さらに、今まで企業あるいは政府が積み上げてきたいろいろな設備や資本ストックのメンテナンスのために必要な減価償却、経済学では固定資本減耗と申しますけれども、それを差し引いたネットのベースの貯蓄を見ております。

 これを見ていただきますと、一九九〇年ぐらいをピークにいたしまして、その後、日本の貯蓄は明確な減少傾向を示しております。現在では、このような形で捉えた貯蓄はほぼゼロになっているということですね。私たちは、今や、将来世代に残すべき大切な富にもどうやら手をつけ始めているというふうな状況です。

 こういうふうな状況のもとで現在の一体改革とか消費税率の引き上げを考えてみる必要があるというふうに思います。消費税率の引き上げというのは非常に私たちにとってつらいことなんですけれども、将来世代に負担の先送りをするという私たちの行動に一定のブレーキをかけるというふうな意味がありますので、それ自体は私は肯定的に評価してよいというふうに思います。

 ただ、ここで注意していただきたいんですけれども、今回想定されている五%ポイントの税率で社会保障の給付を大幅に拡充する、現行制度よりも立派なものにするというところまで言えるかどうかというのは、私はちょっと疑問がございます。

 そこで、図の三をごらんください。これは、政府が一体改革を説明する際に、五%ポイントの消費税率の引き上げの使い道を説明するときによく用いる資料というふうに伺っております。

 現行の社会保障制度は、もともと、基礎年金の国庫負担の比率を引き上げる等々に代表されるように、五%ポイントの消費税率の引き上げを想定してでき上がって、それで走っているということですね。ですから、今回、仮に五%消費税率が引き上げられたとしても、ようやくその財源的な裏づけができたということにとどまるわけでありまして、これで全然これから何もする必要はないというわけでは決してないということですね。

 今回の改革をさらに一歩進めて、高齢者向けの社会保障給付をさらに拡充したり、あるいは、若い人たち向けの社会保障給付を拡充するということを目指すのであれば、追加的な負担というのは私は必要になるのじゃないかと思います。逆に、消費税率の引き上げはもうこれでおしまいだということであれば、社会保障給付についてはある程度の圧縮は避けることはできないというふうに思います。

 こういうふうに、社会保障や税のあり方をどういうふうに考えるのか、大きな政府と小さな政府のどちらを選ぶのかという選択は、むしろ一体改革の後に私たちが直面する問題だろうというふうに思います。

 今回の一体改革は、私たちがそういう少子高齢化に立ち向かう改革を進めるためのいわば発射台をつくる作業であるというふうに思います。今までは発射台すら存在しませんでしたので、この作業は非常に重要だというふうに思います。

 とはいっても、消費税には大きな問題があるということです。その問題をどういうふうに考えるのかという点についてお話を進めます。

 一点目は、消費税の持っている逆進性の問題ですね。所得の低い層ほど負担が大きくなるということなんですけれども、それが一体どの程度かというのを図の四で御説明したいと思います。

 これは、総務省の家計調査に基づきまして、所得階級別に、いろいろな税や保険料の負担がそれぞれの家計にどれだけの重みを持っているのかというものを調べたものであります。全部で日本の家計を十に分けまして、所得の低い層から高い層に並べたものであります。

 ここで、消費税の負担はどれぐらいなのかと見ていただきますと、ちょうど真ん中辺に黒い太い枠で囲ったところがそれに対応いたします。ここからもわかりますように、現行の消費税五%でも、低所得層ほど負担が重くなっているということです。具体的に見ますと、第一分位、一番所得が低い層で四・八%、一番所得の高い第十分位で三・二%となっておりますから、一・六%ポイントの逆進性が発生しているということであります。

 しかし、この程度の逆進性は、その上の方にあります所得税とか住民税でかなり相殺できるというふうに考えていいのではないかと思います。さらに、負担だけじゃなくて、下の方に書いておりますけれども、給付を私たちは受けているということです。その社会保障給付を見ますと、所得の低い層ほど厚くなっているということになりますので、全体として見ますと、消費税の逆進性というのは、よく言われているほど問題にする必要はないんじゃないかというのが私の印象です。

 ただし、消費税を一〇%、二〇%と引き上げていけば、もちろん逆進性の問題は今以上に重要になってくると思います。ただ、その場合でも、そのほかの手段、ほかの税や保険料のあり方、あるいは給付のあり方を見直すことによって十分対応できるレベルではないかというふうに思います。

 この点に関連いたしまして、食料品や生活必需品の税率を低目にしたらいいんじゃないか、いわゆる複数税率化を主張する向きもあります。私は反対です。といいますのは、複数税率化が公平性の追求という政策目的から見て効果的でないというふうに思うからであります。といいますのは、食料品や生活必需品に対する税率を低くしても、そのメリットは、所得の低い人に限定的に発生するんじゃなくて、所得の高い人にも発生して、余計な効果が発生するということですね。

 ですから、複数税率化というのは、公平性の追求という点から見ると、余りいい政策とは言えないということです。

 むしろ、所得の低い方々に対する支援という点では、給付つきの税額控除というふうな形で、ターゲットを絞って、より重点的に支援するという方が効果的です。この点は、日本だけじゃなくてイギリスでも問題になっております。ノーベル経済学賞を受賞した有名な経済学者、マーリーズという先生がいらっしゃいますけれども、その先生の出しましたマーリーズ・レビューという報告書がございます。その中でも、複数税率化をするんじゃなくて、直接、所得の低い層に支援する方が効果的であるというふうな議論が展開されています。

 それから、二番目の消費税率引き上げの問題点といたしまして、デフレ効果をどう考えるかという点があります。消費税を引き上げると、ただでさえデフレで困っているのにさらにデフレになるのは困ったことだ、やめた方がいいというふうな議論があるわけですね。

 それに対して私たち経済学者は、前回の消費税率引き上げのときのデフレ効果は余り大したことはなかったです、あるいは、財政赤字の削減で将来不安が払拭されて、それで消費がむしろ上向くんじゃないかとか、あるいは、五%から段階的に消費税率を引き上げることによって、むしろ駆け込み需要が発生するからいいぞというようなことを言うわけですけれども、一〇〇%額面どおり受けとめる必要はないというふうに思います。消費税率の引き上げは増税ですから、デフレ効果が発生するのは当然のことであって、それに目を背けるというのは無理な話であります。

 ただ、そうはいっても、今までと違いまして、消費税率の引き上げとか財政収支につきましても、短期的な景気の話という次元で捉えるだけじゃなくて、もう一つ違う次元で捉える必要があるんじゃないかということです。それは、世代間の公平性を追求する、世代間の利害調整を考えてみるという視点だと思います。

 確かに、消費税率を引き上げますと私たちは困るわけですね。今いる世代の人たちは非常に困ったことになるわけです。ただ、その一方で、負担の先送りを軽減される将来世代の人たちはメリットを受けるわけです。逆に、私たちが、消費税率の引き上げは嫌だ、むしろ景気を浮揚してほしいというふうに政府にお願いして公共投資をふやしたら、それだけさらに国債残高が高まって、その償還財源を増税で将来世代は引き受けなければいけない。また、インフラのメンテナンスのためにコストがかかるということですね。

 というふうに、財政収支の問題とかあるいは増税の問題というのは、世代間の公平性の追求という点から考える必要があると思います。

 こういうふうに考えることは、人口が増加傾向にあれば全然なかったわけです。子供がどんどん順調にふえていけば、その人たちが私たちの負担をちゃんと処理してくれた。全然問題はなかったわけですけれども、子供たちの頭数がどんどん減っていくということになりますと、なかなかそういう負担の先送りというのは難しくなるんじゃないかというふうに思います。

 そういうふうに考えますと、それ以上の負担の先送りをやめるためにも、それから社会保障制度の根底を揺るがせないようにするためにも、ある程度の負担の引き上げというのは、私たち、今いる世代の人たちは引き受けざるを得ないんじゃないかというふうに思います。

 その一方で、真に困っている人たちに対して重点的に支援を行うということ、それから民間企業のインセンティブを高める、ダイナミズムを高めるというふうな政策を別途行うというふうな、一種の共同戦線を政策で張ることによって一体改革を進めるということが重要ではないかと思います。

 以上で私の説明を終わります。ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、五十嵐参考人にお願いいたします。

五十嵐参考人 おはようございます。五十嵐でございます。

 私は、きょう、社会保障と税の一体改革の一環として検討されております消費税率の引き上げをめぐる論点の幾つかについて、日ごろマクロ経済の分析に携わっている者として、所見を申し述べたいというふうに思います。

 私だけお土産を持ってまいりませんでした。申しわけございません。それと、箇条書きのメモでお話をしようと思っているうちに、だんだん膨らんでまいりまして、原稿を読むような形になろうかと思いますが、ここもちょっと御了承いただきたいと思います。

 初めに、財政の健全化を図る上では、今年度で九十兆円にも上る歳出というのは、当面八十兆円強ぐらいに削減することが望ましいとはいたしましても、我が国で高齢化が急速に進行していることを考えますと、中期的には歳出がある程度増加していくということは避けがたい、こういうふうに思います。したがいまして、より一層重要になってくるのが歳入を増加させることでありまして、そのためには、もちろん経済が成長して税の自然増収が実現することが最も望ましいということは言うまでもありませんけれども、常に理想論を唱えるだけではなくて、より現実的な道として増税を模索する必要もあるんじゃないか。

 実際、名目GDPを見ますと、二十年前に比べて、むしろ今の方が低いというような状況もあるし、ここ何年にもわたって日本経済がデフレから脱却できないでいるということも踏まえますと、増税も選択肢だろう、こういうふうに考えます。

 そこで、次に増税の形態について申し上げたいと思いますが、どんな形で増税するかについては、今後とも少子高齢化が進んでいくということ、つまり労働力人口が数でいっても比率でいっても下がっていくということを考えますと、消費税への依存度を高めることというのは十分正当化できるのではないかというふうに考えております。

 その場合、本来であれば、増税の目的の第一は財政の健全化であるべきでありまして、初めから歳出に充当することを約束して大型の増税をするのは望ましいことではないというふうに思います。とはいえ、それでも消費税を社会保障の目的税にせざるを得ないということであれば、現在は別の財源から社会保障に充当している分が消費税を持ってくることによって浮くわけですから、その分を国債の発行額削減に充当すべきであろうというふうに考えます。つまり、消費税の社会保障目的税化が別の歳出をふやす隠れみのに使われないようにすべきであるというふうに考えております。

 また、一体改革の必要性というのは税体系全体についても言えることでありまして、将来、消費税を一〇%超に引き上げることを検討する際には、税体系全体でどうするかという中で考えるべきであろうというふうに思います。

 次に、消費税増税と景気や物価との関係について申し上げます。

 消費税増税で景気が悪化するということにつきましては、引き上げ前の駆け込み需要と引き上げ後の反動減によって景気が波を打ってしまうということを除きますと、全体としては私は余り大きくないというふうに考えております。

 消費税八%経済と消費税五%経済というものを比較したときに、八%経済の方が成長率が低くなるということは言えないと思います。もしそれが言えるというのなら、消費税に相当する付加価値税率が二〇%近い欧州各国は成長なんかできない、こういうことにもなろうかというふうに思います。

 消費税収がそのまま歳出に振り向けられるとか、あるいは家計が消費税の負担を毎月の貯蓄額を削減するというような形で対応するということであれば、マクロ的には景気への悪影響は極めて軽微なものになるのではないかというふうに考えます。

 もちろん、一般論としましては、消費税の増税によって消費者物価が上昇する、一方で、家計の収入が見合って増加しないということであれば、実質可処分所得が減少して消費が下押しされるというのは間違いないわけでありまして、この点につきましては、機械的に概算いたしますと、消費税が三%上がると消費者物価は二%程度上昇する、結果として、GDP成長率が〇・五%弱低下するのではないかというふうに私どもは計算しております。

 デフレのもとで消費税を引き上げてもいいのかという問題もあるわけですけれども、この点について特段の問題はないと考えております。一般論として、価格支配力に乏しい中小企業にとっては消費税を価格転嫁できないじゃないか、こういう指摘もあるわけですけれども、転嫁が難しいかどうかと経済の状況がデフレかデフレでないかということは直接の関係はないというふうに思います。逆に、インフレのときだったら転嫁はしやすいのかといえば、必ずしもそうとは言えないわけですから、直接の関係はないと考えております。

 景気のよしあしと消費税増税のタイミングをどうするのかということにつきましては、これは事前にうまく調整することはおよそ不可能であるというふうに考えます。例えばリーマン・ショックのように、経済が著しく大きな危機に直面するというようなときは別としましても、消費税の引き上げというのは私は淡々と実行すべきであろうというふうに考えております。

 次に、国民負担の問題を申し上げます。

 マーケットは、我が国の増税余地はかなり大きいと考えているというふうに思います。実際、我が国の税負担というのは諸外国と比べますとかなり低い。租税収入の対GDP比率をOECD三十四カ国の中で比較しますと、我が国の比率は、二〇〇九年ですけれども、メキシコに次いで下から二番目だ、極めて低いという事実があります。

 さらに、租税収入に第二の税と言われます社会保険料を加えたいわゆる国民負担額、これの対GDP比率ということで比較いたしましても、低い方から七番目、上からだと二十六番目ということでありまして、国際比較において我が国は国民負担率が低いので、逆にその増加余地は相当大きいというふうに特にマーケットは考えているというふうに思います。

 私は消費税の増税は必要だと考えておりますが、一方で、リスクもあるなというふうに考えております。

 そのリスクは何かといいますと、巨額の税収入が入ってくるわけですけれども、それが結局歳出の増加に全部吸収されてしまって、結果として財政の健全化が全く進まないというような事態になってしまったら怖いということであります。

 それから、名目GDP成長率が期待どおりに上昇しないというようなことになりますと、自然増収も十分に得られませんし、プライマリーバランスの対GDP比率、これが消費税を一〇%に上げれば半減するという見通しですけれども、これが達成されない、大幅に未達に終わるというようなことになりますと、これはマーケットを相当深く失望させることになって、レッドカードを突きつけられるというおそれもあろうかというふうに思います。

 そこで、次に、消費税をめぐるマーケットの反応について申し上げます。

 消費税を増税しても財政の健全化が進まないというようなことがもし起こった場合には、日本国債の大幅な格下げというのは必至だろうと思います。ただ、そのことが国債価格の暴落を引き起こすかどうかは、これはわかりません。我が国の国債保有構造というのが圧倒的に金融機関に偏っているという、そのことがむしろ暴落を防ぐ可能性もあろうかというふうに思います。

 しかし、市場が突きつけるレッドカードの中身、もう一つとしましては、為替市場で円が大幅に下落するという可能性も十分あるだろう。為替は世界じゅうの誰でも売り買いできる、こういうものですから、マーケットがここにレッドカードを示してくる可能性があると思います。

 市場としましては、我が国では、五%を一〇%に上げて財政の健全化が進まなかったのなら、一〇%を仮に一五%に上げたってそれは無理だろうと。つまり、よほど、追加的に入ってくる税収を全て皆さんに還元しますとでも言わない限り、一〇%超の消費税率の引き上げは実現しないだろう。とすれば、この日本という国では、消費税を幾ら引き上げても全て歳出に回ってしまって、健全化が一向に進まないというふうにマーケットに受けとめられてしまうと、これは非常に危険だろうというふうに考えております。

 最後に、では、円が大幅に下落したらどうなるのかということを申し上げたいと思いますが、ドル高やユーロ高の裏腹としての円安ではなくて、円が売られての円安というのは非常に危険だというふうに思います。これは、下手すると、国内でハイパーインフレが発生するということですけれども、一部には、このハイパーインフレこそが国債という大借金の究極の解決策だ、こううそぶく人もいるわけですけれども、これはもう全くの誤解である。

 例えば、消費者がガソリンを購入することを考えますと、インフレによって、同じ量を買うにしても、消費者は以前より相当多い支出をしないといけないわけですけれども、追加的に払った分は誰の懐に入るのか。国内の誰の懐にも残らないで、全て産油国に行くわけです。輸入物価が上がったせいで国内で起こったハイパーインフレで、消費者が余計に払ったお金は全て海外に出ていく。つまり、日本国民は貧乏になるわけでありまして、貧乏になったときに借金の返済負担が軽くなるはずはないわけです。

 一般に、インフレが借金の返済負担を楽にするというのは、インフレにはあと二種類あるわけでありまして、一つは、需給インフレといいまして、景気が過熱して物不足で起こるインフレ、もう一つは、賃金インフレ、賃金が何かの理由で上がって、これが価格転嫁されて起こるインフレ。この二つのインフレは、消費者が余計に払ったお金は国内の誰かの懐に残りますので、これは物価が仮に倍になっても給料も倍になる類いのインフレで、その場合には借金の返済負担は楽になるわけですけれども、日本で近い将来ハイパーインフレが起こるとしたら、それは景気が過熱したせいでしょうか、賃金が暴騰したせいでしょうか。まずあり得ないわけでありまして、恐らく円が暴落して起こるハイパーインフレである。この場合には、みんなが貧乏になるわけで、そんなことで借金問題の解決なんかは全くできない。

 つまり、最も避けないといけないシナリオでありますけれども、それはどうして起こるかというと、消費税を増税して大幅な税収を得ておきながら、財政の健全化が全く進んでいない、こんな事態が引き起こされることだけは何としても避けないといけない、こんなふうに考えております。

 以上でございます。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、村岡参考人にお願いいたします。

村岡参考人 おはようございます。経団連で経済政策委員会の企画部会長を務めております村岡でございます。

 本日は、私どもの考え方、経済界の考え方を述べさせていただく機会を頂戴しまして、まことにありがとうございます。

 初めに、我が国経済が置かれております状況について手短に申し上げた後に、成長戦略とそれから財政再建を同時に進めていくための方策について、経済界としての考え方を述べさせていただきたいと存じます。

 御高承のとおり、我が国の経済は、本格的な人口減少社会、とりわけ生産年齢人口の急激な減少を迎える中、グローバル化に対応するためのTPP交渉への参加を初めとする経済連携協定は遅々として進んでおらず、二十年にも及ぶデフレからの脱却や、あるいは震災後の電力の安定供給確保、さらには財政の健全化に向けた道筋も展望できておりません。

 経済界は、こうした状況が今後とも放置されるということになれば、国内の産業空洞化が進行し、既に相当落ち込んでおります世界における日本の存在感あるいは国際競争力がますます低下して、日本経済そのものが沈没しかねないという強い危機感を持っております。

 このような問題意識から、経団連は、先月五月十五日、成長戦略の実行と財政再建の断行を求める提言を公表いたしました。これまで経団連が訴えてきました成長促進型の施策の総動員と財政再建への取り組み強化を同時に行うよう、政府や与野党の皆様方に働きかけているところでございます。

 お手元の資料の一枚目をごらんください。

 1の問題意識、これは先ほど申し上げたとおりでございます。

 次に、その下の2、成長戦略の実行と財政再建の断行に向けた具体策でございますけれども、左の(1)にございますとおり、成長戦略につきましては、まずは何よりも早期の実行が必要であるというふうに考えております。

 政府の新成長戦略が取りまとめられましたのは、今から二年前、二〇一〇年の六月でございますけれども、そこで掲げられた施策は、経済界が求める成長戦略の方向性と軌を一にしております。しかし、先般のレビュー結果にもあるとおり、その実現状況は必ずしもはかばかしくございません。

 政府が目標として掲げる実質二%、名目三%を上回る経済成長、この実現は、これまでの政策遂行のおくれから、極めて困難な情勢となっております。新成長戦略で掲げた施策は全てパッケージとして実現していかなければ、こうした目標は達成できないと思っております。

 そこで、具体化が進んでいない施策につきましては危機感を持って速やかに実行に移していただきたいと存じますけれども、デフレからの脱却と持続的な経済成長を図る上で、二の早期実現が求められる施策としてお示しする次の五つの施策については、特に効果的であると考えられますので、優先的に実現をしていただきたいと思います。

 中には、制度的な制約から早期実現が困難と見られる施策も含まれておりますけれども、政策予見性が向上し、将来への展望がはっきりと見通せれば、企業は足元でも、国内への設備投資や雇用機会の創出など積極的な行動のうねりを起こしていくというふうに考えられます。したがいまして、政策の実行を前もってコミットし、中長期的な道筋を明確にしておくことが政策運営上極めて重要となります。

 まず一点目は、震災からの早期復旧復興であります。

 東日本大震災からの早期復興は、企業による創意工夫の発揮と、それから迅速な行動が欠かせません。震災復興に向けた取り組みを経済成長の起爆剤として位置づけ、復興特区を活用し、前例にとらわれない思い切った税、財政、金融、規制、行政上の措置を迅速に講じていくことが重要となります。また、将来的には、復興特区で生まれた成功事例を国内外の他地域、産業にも展開していくことで、東北の復興を日本全体の成長に結びつけ、国際社会における存在感を高めることも可能となります。

 二点目は、事業環境のイコールフッティングの実現であります。

 国内産業の空洞化を回避するとともに、海外からの対内直接投資を呼び込む観点から、まずは、歴史的な円高や、依然として高水準にあります法人実効税率、経済連携協定締結のおくれ、電力供給不足といった企業の自由な活動を妨げる要因、私ども、いわゆる六重苦と呼んでいますけれども、これらを着実に解消していかなければなりません。中でも、法人税や社会保険料を含む企業の公的負担を軽減することで、立地競争力の強化を図ることが不可欠であります。米国、英国において、法人実効税率のさらなる引き下げが現実の課題となっていることにも留意をすべきであります。

 二〇一二年度の税制改正によりまして、我が国の法人実効税率は恒久的に五%引き下げられ、同時に、三年間の復興特別法人税が加算されておりますが、その終了を待つことなく、さらなる減税への道筋をつけていくべきであると考えます。特に、地方法人特別税につきましては、税制の抜本改革までの間の暫定措置であり、消費税率の引き上げとあわせて速やかに廃止をしていただきたいと存じます。

 三点目は、イノベーションの促進であります。

 イノベーションは、生産性のさらなる向上や潜在的な需要の喚起など、新たな成長の源泉を生み出します。イノベーションの創出、加速には、企業の潜在能力が最大限発揮されることが前提となりますけれども、そのためには、我が国経済社会のあり方を、イノベーション創出に親和性の高い体質に変えていかなければなりません。

 まずは、第四期科学技術基本計画で掲げられました政府研究開発投資対GDP比一%、総額二十五兆円、この目標の着実な実現や、研究開発促進税制の拡充、イノベーション創出を担う人材の育成など、イノベーション促進策の実行が不可欠であります。

 四点目は、規制改革を通じた国内需要の発掘であります。

 規制改革を通じて国内の新たな需要を発掘し、需給ギャップを解消していくためには、とりわけ農業、医療、都市・まちづくり、この三分野におきまして大胆な改革を進めていく必要がございます。

 まず、農業分野では、競争力強化、成長産業化を図るため、農業生産法人の構成員要件など農地保有規制の緩和や、農地の集積、有効活用に向けた税制、財政、金融面での支援が求められます。

 医療分野では、医療関連産業の生産性向上と競争力強化に向け、遠隔診療要件の緩和や、特区における株式会社の診療領域の拡大、現在政府でも検討されておりますけれども、ドラッグラグ、デバイスラグの解消などが欠かせません。

 都市・まちづくり分野では、例えば、区分所有建物に係る管理組合総会の決議要件の緩和や借地借家法の正当事由の見直しにより、老朽化した建築物の建てかえ、大規模修繕、再開発や、木造密集地域等における耐震化、不燃化に向けた合意形成を促すことが考えられます。

 五点目は、海外需要の取り込みであります。

 アジア新興国へのパッケージ型インフラ輸出や、二〇二〇年のFTAAP構築を視野に入れましたTPP交渉への早期参加、観光振興への取り組みなどを通じまして海外需要を積極的に取り込むことで、国内の需給ギャップを解消していくべきと考えております。

 経団連は、これらの成長戦略の施策をパッケージとして総動員するとともに、右にお示しをしています(2)の財政再建を着実に実行することにより、経済と財政との間に好循環が生まれると考えております。

 財政再建に向けた取り組みとしまして、第一に、消費税を中心とした安定財源の確保と、医療、介護、子育て、年金といった社会保障各分野におきます給付の効率化、重点化を含む1)の社会保障と税の一体改革が急務であります。

 資料の二ページ目をごらんください。経団連が五月二十四日に公表しました提言、「社会保障・税一体改革の着実な推進を求める」の全文をお示ししております。

 本文の一にございますとおり、消費税法等改正法案は、一体改革を歳入面から担保するものであり、我が国財政に対する国際的な信認を維持するためにも、まずは今国会の会期中に確実に成立させることが不可欠であります。

 ただし、同法案では、さきに述べました法人実効税率のほかにも、積み残しの課題が多数ございます。住宅の取得に係る負担軽減措置、燃焼関係諸税とのタックス・オン・タックスの排除、車体課税の簡素化、負担軽減、印紙税の負担軽減等につきまして、早期に成案を得て、確実に実施をしていただきたいというふうに考えております。

 なお、消費税につきましては、少なくとも今回の改革においては単一税率を維持していただきたいと存じます。

 次に、社会保障制度改革につきまして、その下の二にお示ししておりますように、現行の政府案は、給付の効率化、重点化あるいは財源の見直しが不十分な内容にとどまっております。今後も国民的な検討を深め、社会保障の自助、共助、公助、このバランスを見直し、成長や雇用創出と両立する持続可能な制度へと抜本改革を行うべきであります。

 また一ページ目にお戻りをいただきたいと思います。給付の効率化、重点化の具体策として、例えば、医療・介護分野における給付費の自然増を経済成長率以下に抑制することや、子育て分野では、児童手当の支給対象、金額を見直すことが求められます。さらには、年金分野では、デフレ下でのマクロ経済スライドの発動も重要であります。

 また、現在、中期財政フレームに基づき、基礎的財政収支対象経費に対して約七十一兆円の歳出キャップが設定されておりますが、それだけでは、抜本的かつめり張りのある歳出抑制を図る上で不十分と言わざるを得ません。そこで、2)の新たな歳出プログラムとしまして、一定期間の歳出キャップを社会保障、公共投資、人件費など主要な費目ごとに設け、抑制を働かせる仕組みを導入すべきであります。

 最後に、以上で示した政策を一つのパッケージとして断行する改革推進ケースにつきまして、経団連のマクロ経済モデルを用い、将来試算を行いました。資料の三枚目をごらんいただきたいと思います。

 経済成長率につきましては、二〇二〇年度以降、実質二%、名目三%程度で推移をし、公債等残高の対名目GDP比は二〇二〇年代半ばに二五〇%程度で頭打ちとなります。さらには、産業空洞化が抑制されるということで、雇用者数は、成長戦略や財政再建を全く行わない現状放置ケースに比べまして、二〇二〇年度に約百万人増、二〇二五年度には約百五十万人増となります。

 こうしたことからも、成長戦略の実行と同時に、年金を初めとする社会保障制度や財政に対する国民の将来不安をスピード感を持って払拭するということが極めて重要であると存じます。

 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、小峰参考人にお願いいたします。よろしくお願いします。

小峰参考人 おはようございます。法政大学の小峰でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、当特別委員会におきまして私の意見を申し述べる機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 お手元に、「財政再建と日本経済について」という二枚紙のペーパーをお配りしておりますので、これに基づきまして説明をさせていただきます。

 この点につきまして私が申し上げたいポイントは、ここにまとめております五つでございます。

 まず第一は、財政再建は国民福祉の向上という観点からも急務であるということです。

 財政再建は、言うまでもなく、財政赤字をコントロール可能な範囲に、サステーナブルな形に保っていくということで大変重要な目標なんですけれども、これは最終目標ではなくて、最終的には国民生活の安定、国民福祉の向上を実現するための中間目標であるという位置づけが必要であるというふうに思います。

 しばしば指摘されておりますように、現在の日本の財政事情というのは、フロー、これは毎年の財政赤字の規模、それからストック、これは政府債務残高の規模、どちらを見ても先進国の中で最悪の状態にあって、非常に深刻な状態にあるということは、これは誰でも知っていることだと思います。大変問題なのは、政府の債務残高のGDP比率というのが、ずっと上昇し続けているカーブに乗っているということです。

 したがって、このままいきますと、政府の債務残高比率が無限に上がるということはあり得ないことですので、どこかで必ず財政が破綻する、つまり、マーケットが日本の国債を信用しなくなるという局面が必ず来る、それは不可避だというふうに思います。要すれば、現在のギリシャのような状態になるということです。

 そういうことになりますと、そのとき具体的に何が起きるかというのは、想定するのは非常に難しいんですけれども、いずれにしても国民生活に相当大きな打撃が及ぶということは間違いないということですし、また、日本ほどの経済大国が仮にギリシャのような状態になったら、これは世界経済全体に相当大きな影響を及ぼす。我々自身がギリシャの混乱から相当大きなマイナスの影響をこうむっているわけですけれども、今度は日本が世界に大変大きなマイナスをまき散らすことになる。

 したがって、財政を再建するということは、日本の国民のために、また、将来世代のために、また、世界経済全体のためにもどうしても必要であるということであると思います。

 それから二番目は、その財政再建のために残された時間が急速になくなってきているということであります。

 現在、先ほど申し上げましたように、日本のフロー、ストック、いずれも財政事情は世界の中でもかなり深刻だ、数字だけを見ますとギリシャよりも深刻だということなんですが、日本の国債が依然として安定的に消化されている、市場の信頼を維持しているというのはなぜなのかということを、もう一度よく考えてみる必要があると思います。

 これは三つの背景があるということですが、一つは、国内の投資が非常に少ない、したがって、お金が余っているということです。

 これは、国内の銀行が、貸出先が非常に少ないので、喜んでというわけではないと思うんですけれども、やむを得ず国債をどんどん買っている。ほかに買うものがない、投資先がないということで国債をどんどん買っている。これは、ある意味では、国内の投資が不活発であるというありがたくない恩恵を国債が受けているということだと思います。

 それから二番目は、日本の経常収支が依然として黒字を維持しているということであります。

 貿易収支は昨年赤字になったんですけれども、投資収益の受け取りが非常に大きいものですから、経常収支全体としては依然として黒字である。経常収支が黒字であるということは、全体として日本の国内の貯蓄が余っている、お金が余っているということですので、簡単に言えば、外国に国債を引き受けてもらわないでも済む状態であるということになります。

 三番目は、これは先ほども五十嵐さんのお話にもありましたが、マーケットは、日本はまだ消費税を引き上げて自力で財政を改善する余地が大きいというふうに判断をしている。これも大変大きいというふうに思います。

 こういった条件に支えられて、今のところ日本の国債は信用を維持しているということなんですけれども、ただ、これは、先ほど申し上げましたように、いつまでもは続かないということになります。

 日本のエコノミストの間では、今しばしば議論されているのは、日本の財政が破綻するかしないかということではなくて、このままいったらいつ破綻するのかということがかなり真剣に議論されております。これは、マーケットの信認がいつ崩れるのかという非常に難しい問題ですので、なかなかいつというふうに特定することはできないんですけれども、今行われている議論では、幾つかのメルクマールからこれを判断しようということで、例えば、今申し上げました経常収支の黒字がなくなるのはいつかという計算があります。

 これは、日本の高齢化の影響によりまして日本の貯蓄率がどんどん下がっていきますので、やがては日本の経常収支の黒字は赤字に転ずるだろうというのがエコノミストの常識なんですけれども、いろいろな見方がありますけれども、二〇二〇年度前後には相当経常収支の黒字が赤字に転ずる日が近くなる、その辺がかなり危なくなってくるんじゃないかという意見が強い。

 それからもう一つの見方は、家計の貯蓄が全部国債になってしまうという日がいつかということなんですけれども、これも、家計貯蓄を、ある前提を置いて、それで、このまま国債がふえていくという前提で考えますと、やはり二〇二〇年度前後に家計貯蓄を全部国債に充てないと間に合わないということになる。

 もちろん、こういったメルクマールを過ぎると突然日本国債の信用がなくなるというわけではないんですけれども、ほかになかなかメルクマールになるものがないものですから、そういった計算をしている。

 一方、日本の政府の今の計画では、二〇二〇年度にプライマリーバランスを黒字にするというのが目標になっております。したがって、二〇二〇年度前後に至るまでのいわば競争になっている。つまり、日本がみずからの力で財政再建に筋道をつけることができるのか、マーケットの信頼を失ってしまうのか、どちらが早いかという競争を今やっているということでございます。

 三番目は、消費税の引き上げは今の段階ではもはや当然というふうに考えられますけれども、それでもまだ財政再建には不足であるということであります。

 財政再建の基本はいろいろありますけれども、基本中の基本は、基礎的財政収支、プライマリーバランスをゼロまたは黒字にするということで、これは、我々、過去からの負債をたくさん負っているわけですけれども、それを処理しようとするときに我々自身が新しい借金をしてはいけない、それのメルクマールが、プライマリーバランスがゼロまたは黒字になるということですので、これをまず達成する必要があるということは当然のことだと思います。

 ただ、今の計算では、仮に、消費税を予定どおり一〇%まで上げ、かつ名目成長率が三%というかなり理想的な経済成長が実現したとしても、なおかつ二〇二〇年度の基礎的財政収支は相当な赤字が残るということですので、今しきりに議論されております消費税を引き上げるということは第一歩にすぎない、引き続き真剣な対応が必要であるということなんですが、そのとき、どうしても歳出の見直しというのが欠かせないというふうに思います。

 歳出の中では、これは小塩先生のお話にもありましたけれども、社会保障関係費の増分が非常に大きい。高齢化を踏まえて、これからもふえていくということを考えますと、この社会保障の見直し、合理化というのがどうしても必要だというふうに思います。社会保障について安定的な制度を築くということは、国民の将来に対する安心感を築くという点からも大変重要なことだというふうに思います。

 しばしば、歳出の削減というふうに言いますと、無駄を省く、無駄を省いてから増税をお願いするべきだということがあるんですけれども、この無駄を省くという響きの中には、国民は迷惑をこうむらない、国民に痛みは及ばないというニュアンスがあるように思われます。これはしかし、その程度の無駄では恐らく財政再建には全く不十分。したがって、国民に痛みがある程度出るような歳出削減でないと、真の意味での財政再建はできないのではないかというふうに思います。

 それから四番目は、これまでの参考人の方々の意見にも出ております、消費税の引き上げが景気にどういう影響を及ぼすかという点でございます。

 私の判断は、これは当然、増税なんですから景気にマイナスである、これは否定できない。しかし、それが耐えがたいほどひどいマイナスの影響かというと、それほどでもないというのが私の判断でございます。

 二ページ目に行っていただきまして、そういうふうに申し上げても、何らかの数値的な目安がないとなかなか理解が難しいということだと思いますので、二ページ目の真ん中に表を掲げております。これは、内閣府の研究所の計量モデルを使いまして、一%消費税を上げると経済にどういう影響が及ぶかということを計算した結果でございます。

 これを見ていただきますと、実質GDP、成長率ですけれども、一年目で〇・一五%のマイナスという結果になっております。したがって、三%引き上げますと〇・四五%。先ほど五十嵐さんの方から〇・五%という数字がありましたが、ほぼ近い数字になります。

 どうしてこういうことになるかというと、これは当然ながら、消費税を上げますと物価が上がる、しかし所得は上がらないということになりますので、実質的に我々が受け取っている所得が目減りする、それによって消費が減る。この計算でも、消費が一年目に〇・二一%減るということになりますので、簡単に言えば、消費が減ることによって成長率がダウンするということになります。これは避けがたいということだと思います。

 それから、この表では下の段に民間消費デフレーターというのがありますが、これが大体消費者物価に相当するというふうに考えていただければいいと思いますが、これが、一%につき〇・七四%物価が上がるということになります。それから、下の段の右の方に、財政収支の名目GDP比が〇・四二%、これは改善するということです。

 このように、消費税を上げると、景気にはマイナスの影響がある、物価が上がる、そのかわり財政収支は改善するという、いわば当たり前の結果が出るということなんですけれども、この程度のものだという感覚からしますと、ここに書いてあるようなことが言えるのではないか。

 一つは、しばしば、消費税を引き上げると景気が相当悪くなる、例えば九七年の消費税の引き上げの後、あれだけ景気が悪くなったではないかということがありますが、この計算でいけば、あのときは二%引き上げたわけですから、〇・三%程度の影響だったはずだということになって、消費税の引き上げだけで九七年、九八年のような大不況になるということはあり得ないということが言えます。

 それから二番目に、これも、消費税の引き上げで景気が悪くなって、かえって法人税とか所得税が減ってしまって税収が減っちゃうんじゃないかという指摘もあるということですが、これは、この計算からいっても、消費税を上げればそれなりに財政収支の改善効果はあるという結果が出ます。

 それから三番目に、景気の局面によって消費税をいつ上げるかということを考慮すべきではないかという意見があります。

 これは、もちろん、景気がいいときに上げた方が国民の負担はそれだけ軽くなる、景気が悪いときに消費税を上げますともっと悪くなってしまうということは事実なんですけれども、よく考えてみますと、景気がいいときに上げたからといって、国民の負担が減るわけではない。

 つまり、簡単に言えば、ここで例えば〇・五%成長率が落ちるというのが国民の負担であるというふうに考えると、これは、景気がよくても〇・五%負担する、景気が悪くても〇・五%負担するということですので、景気のよしあしによって国民の負担が軽くなったり重くなったりするわけではないということが言えると思います。

 それから最後に、第五のポイントですけれども、これは、財政再建とともに成長戦略の着実な推進で、サステーナブルな形で成長率を引き上げていくことが必要だということです。

 日本の経済を見ますと、二〇一二年度は、復興需要もありますので比較的高い成長が実現するというのがほぼコンセンサスになっておりますが、これはいわば大規模なケインズ政策をやっているようなものですから、大規模な公共投資によって景気がよくなるということがことしは起きるということなんですが、これは明らかにいつまでも続かないということを考えておくべきだというふうに思います。こういった復興需要に支えられている間に次の成長の芽をできるだけつくっていくということがどうしても必要だというふうに思います。

 このとき、しばしば、財政再建と経済成長というのが、経済成長をしっかりやってから財政再建をやるといったように、どちらが先かとか、どちらを優先すべきかといったような議論がありますが、私は、これは相反する目標なのではなくて、両方同時に追求すべきものだ。つまり、財政が赤字であっても黒字であっても、なるべく高い成長を実現するということは同じように必要なことだということですので、この二つはぜひ、財政再建だけに目をとられるのではなくて、同時に着実な成長戦略というのも実行していくということが必要だというふうに思います。

 私の考えは以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝又恒一郎君。

勝又委員 民主党の勝又恒一郎でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆様方、貴重な時間をお使いいただいて大変意義深いお話をいただきまして、ありがとうございます。

 率直に、四名の先生方それぞれに、非常に、オーソドックスな経済理論、あるいは財政に対するお考え、社会保障に対するお考えをいただいたというふうに思っております。

 私も若いころ、少しばかり学校で経済学を勉強しましたが、その当時のことも思い出しながら、当時の指導教官から、学問というのは俗説に惑わされてはいけない、まず俗説を疑って、しっかりと真実を追求することなんだというふうに教えられたことを今改めて思い出します。

 そういう中で、財政をめぐる議論にもさまざまな俗説がありまして、いろいろな意味で、改革をとめよう、あるいはゆっくりやろうという、いろいろな議論が出てくるわけです。

 財政の健全化についてさまざまな議論があるんですけれども、一般的に、こういう俗説がよく流布されているように思います。今の日本の国債というのは俗に言う内国債なんだから、これはいわゆる破綻にはつながっていかないんだ、こういう議論をされる方がおられます。きょうも、小峰先生でしょうか、お話がありました。日本は経常黒字国なんだから破綻はしないと。

 こういうような議論が声高に出るときがあるんですけれども、こういう俗説について専門家としてどのようにお答えになるのか、まず、これについては五十嵐参考人にお伺いをしたいなというふうに思います。

五十嵐参考人 経常収支が黒字であるということはどういう意味かといいますと、国内に、国債に限らない、企業の債務もそうですけれども、全ての債務を国内で購入できるだけの、ファイナンスできるだけの金があるということでありまして、黒字であるということは、一〇〇%あるということですので、国債を一〇〇%、社債を一〇〇%、全部買うこともできるということであります。

 そうなんですけれども、買うことができる金があるというだけで、買う義務があるわけではもちろんありませんので、買ったそばから値下がりすると思えば、それは誰も買いたくないということで、日本国債、値下がりするというふうに思われ始めたら、国内の人たちも買わなくなる。

 九五%を日本人が今持っているから安心だという話もありますけれども、私に言わせますと、あれは、日本人しか買えない商品性だから日本人しか買っていないんだということであります。

 海外の人が日本国債を買おうと思ったら、円でしか買えませんから、ドルをまず円にかえるわけですけれども、八十円というような相場でかえますと、一年持ったら〇・八%ぐらいしか利回りがないわけで、一年後に八十円が八十一円になったら一・二%円安なわけですから、もうそれで損するわけです。それで、そんなものを買えるかということでありまして、それでも五%を外国人が買っているのは、銀行が日本で商売しようと思うときに担保に積むとか、あるいは売ったり買ったりすればもうかるかもしれないと思う外国人が買っている程度でありまして、およそ買える代物ではない。

 とすれば、日本人が買いたくないと思い始めたら、もう誰も買う人がいないということですから、内国債であるとか経常黒字であるとかいうことは一切何の保証にもならないというふうに思います。

勝又委員 時間が少ないので、端的に私も質問させていただきます。

 今回のこの一体特の委員会の中で一つ重要な論点になっている部分に、きょうも何名かの先生がお触れになりましたが、消費税の持つ逆進性をどう考えるか、あるいは低所得者対策をどう考えるか、どのように対応していくかという議論が非常に明確な論点として出ております。

 私も地域でいろいろな方々と話をする中で、国民の皆さんの中には、軽減税率、いわゆる複数税率をとってもらえるとうれしいな、食料品を軽くしてくれるとうれしいな、わかりやすいなというような声が私にも確かにたくさん入ってきます。

 まず、この複数税率、軽減税率という対策について、社会保障と税の一体改革を考える上で賛成か、余り賛成できないか、四名の先生方に端的にそれぞれ伺いたいと思います。

小塩参考人 ありがとうございます。

 先ほど私の説明の中で申し上げましたけれども、私は明確に複数税率には反対であります。低所得者の方々に対する支援は、より直接的な方法で行うべきだというふうに思います。

 以上です。

五十嵐参考人 私も、税はできるだけシンプルであるべきだというふうに思います。したがって、反対でございます。

村岡参考人 私も同じような意見でありまして、まず、軽減税率、複数税率を設けることは、どの品目を対象にするかという線引きの問題もありますし、高所得者に対してもこの軽減税率の恩恵が及ぶというようなところの問題もある。したがって、今の段階では、五%から一〇%まで引き上げる段階では一本化が望ましい。それ以降、一〇%以上になったときに検討される問題ではないかなと認識をしてございます。

小峰参考人 私も複数税率には賛成できません。

 いろいろな方がいろいろな理由を申し上げておりますが、恐らく、複数税率にして例えば食料品は軽減ということにすると、何が食料品で何が食料品でないかという線引きをめぐってかなり大きな議論になって、なるべく食料品にしようと課税逃れの工夫をする人が出てくるんですが、せっかく工夫するならもっと建設的な工夫をしてもらいたいというふうに思います。

勝又委員 それぞれにわかりやすいお話をいただきました。

 今のお話で、小塩先生にちょっとお伺いをしたいんですが、先生が書いておられるある書き物を読んだときに、政府提案というのは給付つき税額控除だけれども、一方で複数税率を設定するという議論がありますねと、これは逆進性ということが非常に政治的な色彩を持って議論されているからではないかというような趣旨のことを書かれておられますけれども、その心をもう少しわかりやすくお話をいただけますか。

小塩参考人 これも先ほど御説明した点に関連するんですけれども、先ほどお配りした資料、参考図表の最後のページに、所得階層別に見た消費税、そのほかの税の負担の度合いを調べたものなんですけれども、これを見ていただいてもわかりますように、消費税の逆進性というのはそれほど大きなものじゃない、ほかの政策を組み合わせることによって十分対処できる問題ではないか、それ以上に、政策的にいろいろ議論されているというふうな印象を私は持っている、そういうことでございます。

勝又委員 きょうは、いろいろ、それぞれの皆様の御指摘で大変参考になるわけですが、今の小塩先生の話に私自身は大変興味があるんですけれども、逆進性についてはそれほどそこまで過敏に話さなくてもいいのではなかろうかという御指摘をされています。

 そしてまた、先生が指摘されている中で、非常におもしろい御指摘で、高齢化時代の社会保障というのは、年金にせよ、介護保険にせよ、高齢者医療にせよ、若い人からお年寄りに向けて所得移転をしていくということが、自然にそれが膨らんでいってしまうんだ、そのことによって逆に若い人が疲弊をしていく、いわゆる社会保障の財政を支える若者たちがどんどんどんどん疲弊をしていって社会保障の財政が弱まってしまうんだ、そういう意味においては、この部分をある程度考えていかないとこれからの社会保障と財政の関係というのは難しいのではなかろうかというようなことをいろいろなところで先生は御指摘されております。

 そしてまた、年齢的なものをメルクマールにするだけじゃなくて、これからは、本当に困っている人を豊かな人がある程度助けていくというような、素朴ないわゆる再分配の仕組みが必要じゃないかというようなことを先生は御指摘されておられます。

 そういう意味において、そういう観点から、今回の一体改革の意義というものをどのようにお考えになっているか、お教えいただきたいと思います。

小塩参考人 先生、私の考えを的確にまとめていただきまして、恐縮でございます。

 今回の改革を私の立場からどういうふうに考えるかということなんですけれども、これも先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、私が理想としているような社会保障の見直しという点については、その議論をするための発射台をつくったという、そういう意味で重要だと思うんですね。今までは、そういう議論をすることもできなかった、財政の裏づけが十分整っていなかったという点があったんですけれども、それが改められたということだと思います。

 ただ、それを超えてさらにどういうふうな社会保障のあり方を考えるのかという点につきましては、私は、これから議論をする必要があるというふうに思います。

 以上です。

勝又委員 次に、小峰先生にお伺いをしたいんですけれども、これも、小峰先生の書き物をちょっと読んだときになるほどなと思った議論があったものですから、ぜひお心を伺いたいんです。

 近年、世論調査というものが非常に多用されます。我々のところにも毎週のように世論調査が来て、そして、総理も含めて、そういうことには一喜一憂しないんだということを言っておられます。私も、そのとおりだと最近思っています。

 先ほどの軽減税率の議論なんかも、いわゆるエモーショナル、感情的には国民の皆さんが複数税率、軽減税率を希望されるのはわかるんですけれども、本来の政策目的からいったらどうなのかというようなことをきちんと冷静に議論していく、そういうことが大事だと思うんです。

 同じような意味ではないのかなと思うんですが、小峰先生が、あるところに、本来の政治主導というのは、民意をそのまま酌むのではなくて、むしろ民意のバイアス、偏りを修正して、長期的に政策を誤らせない、進路を誤らせないことが大事ではなかろうかというようなことを先生は指摘されている。いわゆる政治主導を間違ってはいけないというようなことを言っておられるんです。

 そういう観点から、今の国会における社会保障と税の一体改革をどのように見ておられるか、感想をお伺いしたいと思います。

小峰参考人 冒頭、委員長の方から率直に意見を言えということがありましたので、率直に意見を申し上げさせていただきます。

 しばしば、世論調査の結果、民意の結果というのをいかに踏まえるかということが大変重要な観点として出てくるんですが、もし世論調査でいろいろな問題を決めていいというのであれば、実は、私のような専門家は要らないということになります。全部世論調査で決めればいいということです。

 世論調査には、民意なら民意のバイアスがある。つまり、恐らく、短期的な、今どうなるか、または自分の周りがどうなるかということを中心に世論調査はできているんだろうというふうに思います。

 しかし、短期的にマイナスを避けようとして、かえって長期的にマイナスが大きくなってしまうということは、よくある。また、自分自身のマイナスを避けようとして、回り回ってやはり自分自身がより大きなマイナスをこうむってしまうということもある。したがって、そのバイアスを避けるのが私は間接民主主義だというふうに考えております。

 したがって、政治主導というのは、そういった民意の持つバイアスを避けて、政治家の方が、本当に国民のために長期的に何が望ましいかというのを考えていただいて、それが仮に現在の民意と違うということであれば、民意の方を説得していただきたいというふうに思います。

勝又委員 大変我々も、今、指針となるべきお話をいただいたように思います。

 次に、給付つき税額控除について小塩先生にちょっと伺いたいと思います。

 小塩先生は、給付面というのは確かに社会保障の再分配の役割を果たすけれども、今後、負担面でも、税と社会保障が連動して逆進性を改善していく、低所得者対策をしていくようなことが重要じゃないかというようなことを御指摘されておられます。

 しかし、一方で、国民の皆さんからすると、まだ、この給付つき税額控除の意義とか中身とか、ちょっとわかりにくい部分もあります。

 そういう意味において、この給付つき税額控除というものを、今回の一体改革の中で、先生は意義をどういうふうにお考えになっておられるか。あわせて、所得税の改革の今後のあり方も含めてお話をいただければありがたいです。

小塩参考人 給付つき税額控除というのは、所得の低い層にターゲットを絞って、そういう人たちに直接支援の手を差し伸べるという点で、私は高く評価できると思います。

 もう一つ、さらに踏み込んで申し上げますけれども、きょうはお話をしませんでしたが、逆進性という点で問題なのは、むしろ、消費税じゃなくて、社会保険料の負担なんですね。特に、定額で負担している部分というのは、所得の低い層にとって大変です。それから、保険料を払わないと後でそのメリットを受けられないというふうな大きな問題があります。

 そういうのを考えますと、所得税のあり方とセットにして、所得の低い層には税額控除をするんだけれども、その税額控除した分で保険料を払ったというふうに解釈して、セーフティーネットにとどめて、それで社会保障のメリットを受けていただく、そういうふうな、税と、特に所得税ですね、所得税と社会保障をそれこそ一体にした改革というのが必要になると思います。

 この点については、残念ながら今回の改革では踏み込まれていないというふうな印象を正直なところ持っています。

 以上です。

勝又委員 それぞれに大変貴重な専門家としての御意見、ありがとうございました。

 質問を終わります。

中野委員長 これにて勝又君の質疑は終了いたしました。

 次に、齋藤健君。

齋藤(健)委員 自由民主党の齋藤健です。

 四人の参考人の皆さん、本当にきょうは貴重な御意見をありがとうございました。

 時間も限られておりますので、本質的な質問だけ幾つかさせていただきたいと思います。

 まず初めに、小塩参考人から、軽減税率よりも給付つき税額控除の方がいいと、これは低所得者対策としてというお話だと思いますが、このお話がありました。

 確かに軽減税率にも、実行するに当たってなかなか難しい問題があるのは承知をしておりますが、一方、給付つき税額控除の方も、所得の捕捉の問題、それから資産の捕捉の問題等、大変難しい問題があるというふうに認識しております。

 どのようにしたらこれが実行可能性のある制度になるのかという点について、先生の御意見を伺わせていただけたらと思います。

小塩参考人 御質問ありがとうございます。

 給付つきの税額控除については、理想論としては非常にいい面があるんですけれども、実際上どういうふうに実行に移すのかという面があります。

 そこで一番問題になるのは、やはり所得の捕捉という面であります。

 これにつきましては、私は、社会的なインフラが必要ではないかというふうに思います。別に、箱物をつくるというわけじゃなくて、人々の所得をできるだけ簡素な形で把握することができるような仕組みというのが必要になると思います。

 これは、今までいろいろ議論されておりました納税者番号制度、あるいは社会保障番号制度というようなものもありますけれども、最近ではマイナンバーというんでしたっけ、そういうふうに、税の、あるいは社会保障の負担を把握する場合に、所得をできるだけ透明な形で、役所も個人が納得する形で把握するというふうな仕組みを整備する必要があると思います。これは消費税を引き上げる場合でも必要ですし、そうでない場合でも必要だというふうに思っております。

齋藤(健)委員 資産の方はどのようにしたらよろしいでしょうか。

小塩参考人 資産についても実際上把握は非常に難しいと思いますけれども、地方自治体が実際に資産については一番情報を豊富に把握しているというふうに思いますので、地方自治体と連携をとりながら資産の情報を的確に把握するということが政策的に必要ではないかと思います。

齋藤(健)委員 ありがとうございます。

 それから、もう一つ素朴な疑問なんですが、そうすると、軽減税率が低所得者対策として余りベターではないということでありますと、海外ではどういう理由で軽減税率を食品に適用しているのかという点について、先生の御理解を伺わせていただけたらと思います。

小塩参考人 先生御指摘のように、ヨーロッパでは付加価値税ですけれども、税率が日本に比べて非常に高くて、二〇%というふうなところまで設定している国がございます。そこでは、御指摘のように、食料品等々を中心に軽減税率あるいは非課税扱いというような扱いをしているところが多いというふうに承知しております。

 これにつきましては、私も消費税そのものの専門家ではないので的確なお答えはできませんけれども、聞くところによりますと、付加価値税を導入する前の、昔の税の体系がそのまま引き継がれているというふうな面もあるというふうに聞いております。

 それから、先ほど御指摘いたしましたように、そういう複数税率を設定することが果たして人々にとってメリットになっているのかということについて専門家の間で議論が深まっておりまして、どうもこれはまずいんじゃないか、できるだけ均一の税率を設定して、別途、違う方法で所得の低い層を支援した方が効果的ではないかというふうな議論が深まっているというふうに承知しております。

齋藤(健)委員 ありがとうございました。さらに我が党の方でも研究を重ねていきたいと思っております。

 次に、消費税の引き上げが経済にどういう影響を与えるかということで、貴重な御意見をいただきました。

 ちょっと数字の確認だけなんですが、五十嵐参考人からは、私の記憶が間違いなければ、三%引き上げた場合に〇・五%ぐらいGDP引き下げ効果があったということですので、五%引き上げた場合には、その三分の五倍ということで〇・八ぐらいですか、そういうふうに理解していいのかどうか。

 それからもう一つ、最後の小峰参考人からお話ありました、消費税率を一%ポイント引き上げた場合の影響ということで、一%ポイントで二年目で〇・三五%という資料ですので、これは、五%引き上げた場合にはその五倍というふうに考えていいのかどうか、そこだけちょっと、まず議論の前提としてお伺いできたらと思うんです。

五十嵐参考人 機械的に計算したらと申し上げましたとおりでございまして、三分の五倍していただくというお考えで結構でございます。

小峰参考人 お答えいたします。

 若干技術的になってしまうんですけれども、私の表の注に、これは標準ケースとの差を見たものであるということが書いてあります。ということは、一年目は、やらない場合とやった場合の差でいいんですけれども、二年目は、一年目にやった二年目への影響がまた出てきてしまうということもありますので、見方としては、一年目はマイナス〇・一五、これはいいんですけれども、二年目は、〇・三五は一年目との累積ですので、〇・三五から〇・一五を引いていただいて、二年目だけの影響としては〇・二というふうに考えていただいて、これに消費税率を掛けるという計算が正しいと思います。

齋藤(健)委員 いずれにしても、二年目になれば〇・三五影響が出るということは、五%上げた場合も、二年目になればその大体五倍ぐらいのイメージで影響が出るということだろうと私は今理解をいたしました。

 そうしますと、きょう伺っていたお話の中で一番驚きましたのはこの点なんです。

 実は、政府の方で、今回の引き上げのマクロ経済的な影響というものを試算されておりまして、内閣府が出しているわけであります。

 それによりますと、五%引き上げた場合に、引き上げてから三年間は平均するとGDP引き下げ効果は〇・一%だというふうに試算をしておりまして、したがって軽微であるということを言っているわけでありますが、きょうお伺いしたお話でありますと、平均するとどうなるかというお話がありますけれども、仮に平均したところでも、政府が出している数字よりもかなり大きそうだということが、私、きょう一番驚いたところでありまして、この差は一体どうして出てくるんだろうかと。

 きょうは時間がないので数字の確認だけにとどめさせていただきますが、私は、皆さんと同じように、政府が言うように〇・一%平均ということはあり得ないと思っておりまして、もう少し大きな影響が出るので、それとあわせてさまざまな対策を講じていかなくてはいけない、そういう立場の人間であります。

 確かに、先生おっしゃるように、消費税を引き上げただけで大不況に陥るということはないと思うんですが、一方で、今の日本の状況を見た場合に、これだけの円高で、十七日のギリシャの再選挙でどうなるかもわかりませんし、それから電気料金の影響も大きくこれから出てくると思います。同じ内閣府の試算ですと、原子力発電所が再稼働できずに、東京電力と同じぐらいの比率で全国の電力会社が電気料金を引き上げざるを得なくなった場合には、GDPの引き下げ効果が〇・四から〇・六だというようなことも言っているわけでありますので、そういうものが全部重なってきて、さらに消費税ということになりますと、これはやはり、九七年のこともありますので、引き上げるのであれば、きちんとした対策とセットでやらなければいけないというふうに考えているわけであります。

 とりわけ、小峰先生の試算によりますと、二年目一・七五%の引き下げ効果というのは、本当に、ほんの少しGDP引き上げ効果をもたらす政策を打つのに悶絶している我々の立場からするととんでもない数字に見えて仕方がないわけでありますので、やはりきちんとした対策とセットでやっていかなくちゃいけないと我々は思っているわけであります。ただ、数字の中身につきましては、これから精査をしていきたいと思っているところであります。

 せっかく村岡参考人もお越しなので、率直なところをお伺いしたいんです。

 そういうような景気への影響が想定される中で、今回、一体改革ということで提案をされているわけでありますが、前回、三パーから五パーに上げるときには、御案内のように、特別減税を先行して、三年間、所得税減税を毎年二兆円規模でやりましたし、さらには恒久減税で三・五兆円分して、そして、そういうものをやった上で消費税ということになったわけでありますが、残念ながら、アジアの金融危機ですとか山一の問題、拓殖銀行の問題等が起こりまして、景気に大きな影響が出てしまったというのが歴史の教訓であるわけであります。

 今回は、それよりも上げ幅がはるかに大きい、しかも経済環境も決していいわけではないという中で五%上げるわけであります。しかも、あわせて所得税は上げる、法人税は下げないというような対策で、経団連として本当に賛成できる内容になっているんでしょうか。

村岡参考人 消費税だけの問題ではなくて、法人税、所得税、いろいろな組み合わせになっていますから、非常に複雑な要因が絡んでおります。

 まず、消費税の上げ方につきましてですけれども、確かに、九七年に三%から五%へ上がったときに景気への大きなマイナス影響が出た。これは、今先生がおっしゃられましたように、金融危機もあったし、アジアの通貨危機もございました。そういった形であって、実質的に、本当に景気への影響がどの程度あったかという計算は、詳しくは把握することが困難であろうと思います。

 それから、そのときに恒久減税あるいは特別減税をやって景気対策をやったわけですけれども、そのときには、そういう施策を講じる日本の財政の余裕がまだあった時期だと思っております。今回の場合には、五%から最終的には一〇%まで上げるということですけれども、一度に上げるのでなくて、まずは八%、それから一〇%までと、二段階方式をとっております。それによって、確かに大きな上げ幅になりますけれども、日本の財政、特に年金、医療を中心にした社会保障関係で将来への安心感が国民の間に出てくれば、それを上回る効果も出てくるというふうに考えております。

 したがって、個人所得税をアップする、法人税は下げるという形ですけれども、これも、企業対個人という対立軸で捉えるのではなくて、法人税を下げれば企業の業績がよくなる、それによって雇用も確保できて、消費もふえる、投資もふえる、そういったいい循環に回ってくるんじゃないかというふうに認識をしてございます。

 個人の方は、確かに個人の高額所得者のところは四五%まで上げるということもあります。ですから、自助、共助、公助という原則からすると、共助のところで高所得者の方が負担をするということもやむを得ないと思っておりますし、法人税のところについては、経済の循環をよくするための施策だというふうに認識をしてございます。

齋藤(健)委員 消費税を上げて法人税を下げるべきだというのは、皆さんなかなか言いにくいのかもしれませんが、私は、今回、きっちりあわせてやるべきである、そして、セットになっていないのであればセットにすべきだというふうに、これが本来あるべき姿だと考えているところであります。

 それから、次に質問させていただきたいんですが、五十嵐参考人の方からは、今回、改革がうまくいかなかったときにはいろいろ大変なことが起こるというお話を伺いましたので、五十嵐参考人にはもうお伺いしませんが、ほかの参考人の皆さんに。

 今回の消費税の議論、今、与野党協議が始まりましたけれども、これがうまくいかなくて、どうやら法案も通りそうもない、日本はどうなるんだろうか、改革ができないんじゃないかというような状況になったときに一体どういうことが起こりそうかということについて、五十嵐参考人以外の三人の参考人の方からお伺いできたらと思います。

中野委員長 困ったことにタイムオーバーなんですが、どうしましょうか。

齋藤(健)委員 タイムオーバー。では、いいです、問題提起だけで。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて齋藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 おはようございます。

 参考人の皆さん、きょうは本当にありがとうございます。公明党の竹内でございます。

 私どもも、消費税の引き上げは不可避であるというふうに考えているんです。これは一緒なんです。ただ、そのために政治的な条件が幾つかある、こういう立場でございまして、その上で、その一つは、消費増税をするのはいいけれども、どう考えても社会保障のあり方がこのままでもつわけがない。やはり、この全体像といいますか、社会保障の構造改革といいますか、そういうことが不可避ではないかというふうに思っておるんですが、まず、この点につきまして小峰先生の御意見をいただきたいと思います。

小峰参考人 お答えいたします。

 社会保障については、全くおっしゃるように、構造改革は不可避ということだと思います。

 これは、人口構造がこれから確実に変化する中で大変大きなポイントは、人口オーナスという現象なんですけれども、日本全体の人口の中で働く人の割合が下がっていくという現象が不可避に起きます。そうすると、現在の社会保障は賦課方式を基本としておりますので、負担をする人がどんどん少なくなっていく、逆に給付を受ける人はふえていくという基本的な流れがありますので、どうしても、ここをどうやって克服するかということが重要になります。

 これは、究極的には何らかの負担、これは保険料を上げるにしても給付を下げるにしても、何らかの国民に対する負担が必要だということで、そこを前提にした上での長期的な、安定的な制度をつくっていくということが必要だと思います。

竹内委員 この点につきまして、小塩先生はどのようにお考えですか。

小塩参考人 社会保障につきましても、これから改革しないといけない点が多々あると思います。

 そこで、ちょっと気になる事実がございますので御紹介いたしますけれども、例えば日本の格差を議論する場合、ジニ係数というのがございます。あるいは貧困の度合いを見る場合、相対的貧困率というのが指摘されます。この貧困指標あるいは格差指標を見ますと、OECDの中で国際比較をしますと、再分配をする前は日本は大体平均点を稼ぐことができる、特にジニ係数の場合です。ところが、社会保障、税で再分配をした後で見ますと平均点を稼ぐことができなくなる。貧困率の場合はむしろトップクラスになってしまうというふうな問題点があります。

 これは、先ほど小峰先生が現在の社会保障のあり方を見直すべきだというふうにおっしゃいましたけれども、私も全く同感でして、どうも効果的な再分配の仕方をしていないんじゃないか、お金をたくさん動かしている割には、ほかの国に比べても効率の悪い仕方をしている。むしろ本当に困っている人を、先ほどちょっと議論が出ましたけれども、年齢等には余り関係なく、しっかりと見つけて、そういう人たちに支援をする。具体的に言いますと、シングルマザー等々、子育てに困っている人たち、あるいは高齢者で、ひとり住まいで年金もそんなにたくさんもらっていない人たち、そういう人たちを現行の社会保障の仕組みではちゃんと救っていないんじゃないかというふうな気がして私はならないんですね。

 ですから、一体改革を発射台にいたしまして、さらにそういった点についての抜本的な見直しというのを社会保障についてやっていただきたい、そういうふうに思います。

 以上です。

竹内委員 ありがとうございます。

 次に、経済成長の問題に移りたいと思うんですけれども、最初に小峰先生にお伺いしたいと思うんですが、先生も、一般的には経済成長をした方が個人の幸福度は上がるというふうなお話もされています。現在、デフレということでございまして、先ほどからありましたように、消費増税の影響というのはそれなりにあるわけですが、それプラス、そもそもデフレにある。

 当面は復興事業があるのであれなんですけれども、私どもも自民党さんも、これからの持続性のあるテーマをやはり掲げる必要があるんじゃないか、その一つが、特に防災、減災のための投資が必要じゃないかと思っているんですが、ただ単に、どんどん建設国債を発行して事業をやればいいということではなくて、やはりこれは官民挙げて、今後、本当に防災、減災というものをどう考えるかという大きなプロジェクトを立ち上げた方がいいんじゃないか。そして、やはり民間も含めて、民間投資も促すような形での持続的成長につながるようなリーダーシップを発揮するのが政府の役割ではないかと私どもは考えておりまして、それを防災・減災ニューディール政策というふうに打ち出しているんですけれども、この辺につきまして、今後の経済成長のあり方について先生の御意見がありましたらいただきたいと思います。

小峰参考人 経済成長につきましては、先ほど申し上げましたように、財政再建と並んで、両輪の一つとしてぜひ推進していくということが必要だと思います。

 政府のやるべきこともたくさんある。ただ、政府がやりさえすれば何でもうまくいくか、目標どおりいくのかというと、これも難しくて、経済成長はいろいろな事情の総合的な結果ですので、政府、民間、あわせて取り組んでいく必要がある。政府はもちろん必要な社会資本はやっていかなければいけませんし、その中に当然、防災、安全のための投資というのが入ってきますし、それから、民間が十分活力を発揮しやすいような環境をつくっていくということが、これは政府の役割だと。そのために、不必要な規制を見直すとか、弾力的な資源配分を行えるような制度にしていく、そういったことが必要だというふうに思います。

竹内委員 ありがとうございます。

 そこで、次に五十嵐参考人にお伺いしたいんですが、今回、もしも五%上げて、当然、十兆円のレベルのお金が政府として使えるようになるわけですね。しかし、実際に福祉の機能強化には二・七兆円で、その他は安定化ということで現状の財源を入れかえるということですよね、はっきり言うと。

 ということは、五十嵐さんがおっしゃっているように、その分、国債発行額を減らせるはずだと、十兆円近く、私どももそうでなくてはならないというふうに思うんです。四十兆の赤字国債が三十兆になっていくとか、そういう目に見える形がないと市場の方々は安心しないんだろう。そこに失敗すると、多分、おっしゃっているようなレッドカードで、とんでもないことになるんだろうというふうに思っております。その点は同じであります。

 そこで、とはいえ、今回、復興債のような形で出していますよね。復興債は国債ですけれども、所得税、法人税で長期にわたって引き当てがなされている、財源の裏づけが担保されているわけですよね。こういうやり方というのは、いわゆる両建てみたいなものだから、こういうことは市場にやはりそれなりに安心感を与えているんじゃないか。今後の投資のあり方でも、投資は必要ですから、ある程度、国債を発行する場面もまだ、建設国債なんかが必要な場面も出てきますから、そういうときに、国民を説得して、長期にわたって復興債のような形で財源をちゃんとお願いしておくというようなことであれば、市場の評価というのはどのようになるのかなと思いまして、その点についていかがでしょうか。

五十嵐参考人 お答えします。

 私の考えは、復興債のように将来の税収で償還するという考え方は、ましなものだというふうに思います。

 こういう言い方はどうかとも思いますけれども、日本というのは国債の償還はやっていないということだと思います。償還は毎年やっているんですけれども、償還の財源とは何ですか、国債の発行だということであれば、要は借りかえているだけじゃないかということですよね。でも、借りかえたって新たな財源にはならないので、新規も発行する。だから残高がふえてきているということであって、要するに、大量発行が始まってから実は一度も返したことなんかない。

 そういう意味からしますと、復興債においては、これは返しますということですから、これは進歩だというふうに思っております。

竹内委員 参考にさせていただきたいと思います。

 そこで、あと、デフレの原因というものを考えたときに、私どもは、一つの見方なんですが、やはり中国や韓国などがこの二十年間に物すごい勢いで発展した、それによって大変な供給力を増強してきた。私どもも分野別にどのぐらい物価が落ちているか分析したんですが、明らかに耐久消費財が半分以下に落ちていて、その他の工業製品も三〇%以上落ちている。その他のサービス価格は逆にちょっと上がっているぐらいなんですね。二十年間で一六%ぐらい上がっていまして、全体としてはやや下がっているようなデフレだというふうに思っているんですね。

 そう考えると、このデフレというものを脱却するのは、もちろん政府の役割、財政政策は必要ですけれども、それだけではとても無理で、ここから経団連の村岡参考人にお伺いしたいんですが、アメリカの例えばアップルという会社のように、ビジネスモデルのチェンジといいますか、イノベーションというか、民間の企業の皆さんの側もやはり思い切って、イノベーションにつながるような発想と知恵と工夫で投資をしていただかないと、これはとてもじゃないですけれども、このデフレというのは脱却できないんじゃないか。そういう意味での責任感は多少なりともあるんじゃないかなというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

村岡参考人 ありがとうございます。

 まず、デフレの原因、いろいろございますけれども、一つ、耐久消費財が半分以下に下がっているということも、これは、いい下落であれば、いい下落といいますのは、技術革新によって物のコストが下がっていくという下落であれば、これは消費者にとっても物づくりの側にとってもメリットがあるということなんですけれども、残念ながら、今そういう状況ではなくて、物づくり、コスト削減にも限界が来ている、そういう中でまだデフレが起こっているということが大きな問題だろうというふうに思います。

 では、それをどうするか。今先生がおっしゃられましたように、アップルのような、イノベーションを起こしたビジネスモデルの転換が必要であろう。特に、今おっしゃられたアップルなんかは、アイポッドから始まってアイフォン、アイパッドといった、全く世の中になかったものを供給して新たな需要を起こすというイノベーションが起きています。日本においても、まず社会でそういうイノベーションを起こす必要がある。これは社会全体で、政府のバックアップはいろいろなところのバックアップも含めてやる。

 それからもう一つは、企業自身がイノベーションをやっていく必要もある。これについては、私ども、今申し上げました、コストを下げる、あるいは品質を改善するといったプロセスイノベーションそのものもやっております。ただ、これは、それだけ下がったのが、販売価格が下がるということで、余り効果が出ていなくて、韓国、中国に負けている。

 一方、バリューイノベーションというのがありまして、新たに価値を創造するイノベーション、これにも取り組んでいます。これがアイパッドでありアイフォンだと思うんですけれども、残念ながら、今、日本の企業にそれが欠けているのは事実であろうと思います。そこを今、各企業、新たなバリューイノベーションを出せるような努力をしているところでございます。

 そういった意味でも、これはもちろん企業も努力をする、政府にお願いするばかりではございませんけれども、いろいろな支援策も講じていただく、特に研究開発費関係のところも必要であろうというふうに思ってございます。

竹内委員 おっしゃるとおりだと思います。大手の企業さんにはぜひともそういう、我々も研究開発とかそういうのを促進する税制というものをもっとやっていきたいというふうに思っておりますし、それに応じて、ぜひ積極的なイノベーションを生み出していただきたいなというふうにお願いする次第でございます。

 ほぼ大体時間が来ているようでございますけれども、最後に感想だけ申し上げます。

 やはり、きょう感じたのは、増税は不可避だ、これは我々も当然、最初に申し上げたように、いずれ、遅かれ早かれやらざるを得ない。その上で、むしろ上げた後が大事だ、上げた後に財政削減に失敗すると、目に見える形をとれないと大変なことになるということを改めて痛感いたしました。

 きょうはどうもありがとうございました。

中野委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 参考人の皆さん、ありがとうございます。早速質問をさせていただきます。

 最初に、村岡参考人にお尋ねをいたします。

 冒頭の意見陳述でもお話がありましたが、日本経団連として、消費税増税法案の今国会中の確実な成立ということを掲げておられます。

 一方で、昨年十二月の税制調査会に経済産業省が提出した資料を見ますと、中小企業団体、中小関係団体からは消費税増税については大変慎重な意見が続きましたし、反対という団体の声も聞いております。

 経団連としては消費税増税断行。一方で、中小関係団体の方は慎重、反対。こういう違いというのは何なんでしょうか。

村岡参考人 まず、私ども、消費税を今国会でぜひ成立させていただきたいと申し上げていますのは、もちろん財政の健全化もございます。年金、医療を中心とした担保をすることもございます。

 もう一つは、先週でしたと思いますけれども、国際経営開発研究所、スイスにありますIMDが世界競争力年鑑というのを毎年発表していますけれども、その二〇一二年版で、日本の競争力が世界の中で五十九カ国中二十七位だ。その前年が二十六位だったわけですね。ずっと、九〇年代、世界でナンバーワンだったのがどんどん下がってきている。

 その中で指摘されていますのは、日本で今回大きく落ちていますのは公的債務残高の対GDP比率、これが五十九カ国中五十九位、最下位になっている。ギリシャよりも悪いという報告がされていまして、日本で今求められていますのは、エネルギー、特に東日本大震災以降のエネルギーの改善、それから社会保障と税の一体改革、これが特に求められています。

 したがって、これを今回やらなければもう永久にできなくなるという危惧がございます。したがって、これを何としてもなし遂げないとこの日本の財政制度がおかしくなるということで、速やかな成立を求めてございます。

 それから、中小企業団体が慎重だというふうに今先生がおっしゃられましたけれども、私ども経団連だけでなく、中小企業の集まりであります日本商工会議所も速やかな成立を求めるという談話を出していますので、私どもは、大企業、中小企業という垣根を越えて、今、日本が取り組まなければならない問題だというふうに認識をしてございます。

 以上でございます。

塩川委員 その他の中小団体から非常に反対、慎重な意見が上がっていますし、日本商工会議所も、必要性は理解できるけれども、引き上げのタイミングや幅や仕組みは慎重な対応が必要だという点では、いわば慎重な声であるのも同様だと思っています。

 その点では、経済産業省の資料が、冒頭で中小企業についての懸念として出ているのが価格転嫁の問題です。やはり、消費者との関係で、デフレのもと、勤労者の所得が落ちている中での転嫁がなかなか困難だというのもありますし、元下関係で、親事業者との関係で下請事業者にとって価格転嫁が困難だという声がある。こういう現実についてはどのように受けとめておられますか。

村岡参考人 当然、消費税率相当分については価格転嫁ができるだけなされるべきであろうというふうには思います。ただ、今の消費税、今とられています帳簿方式、ですからインボイス方式ではありませんので、それを正確にどこまで転嫁できるというのが難しい。今回、消費税率がアップされれば、公正取引委員会においても適正な指導がなされるというふうに伺っていますので、そういうふうにすれば価格転嫁もされて、中小企業についても価格転嫁が進んでいくんじゃないかと思います。

 ただ、もう一つ問題は、余りにも厳しくやり過ぎると、これは今度は、中小企業は下請という会社が多いようですから、そういった場合に、発注する側が選択をしてきて、かえって中小企業に発注量が減ってくるという問題も出かねない、そういう面も現実としてありますから、そこは慎重に取り扱っていかなきゃいけないんだろうというふうに思ってございます。私どもがするとかということではなくて、そういう可能性もあるから慎重に扱うべきだろうというふうに思っています。

塩川委員 前提としての、やはり親事業者との関係で転嫁ができないという声がある、現実にそうだというのが、日本商工会議所を含めた四団体の調査でも示されているわけですね。

 そういったときに、やはり転嫁ができないときに、親事業者、大企業の優越的な地位を背景とした、価格転嫁を困難とさせるような交渉ということが今一番の問題で、そういうことについては、現状、そういうふうに受けとめておられるでしょうか。

村岡参考人 当然、私どももそういう取り組みをしてございます。特に中小企業遅延防止等いろいろな法律がございます。コンプライアンスの問題からも、そういった違法なことをやってはいけない、あるいは中小下請いじめをやってはいけないということで、私どもは率先して、そういったことをやらないような指導をしてございます。

塩川委員 そういうことをやらざるを得ない現状にあるということが、今そういう下請いじめというのが行われているときに消費税増税というのは、実際に中小団体にとって大きな影響を受けることになりかねないということも示しているわけであります。

 その関係で、五十嵐参考人も冒頭の意見陳述の中で、デフレのもとでの消費税はいかがかという流れの中で、価格転嫁が難しい、それはデフレでもインフレでも同じじゃないか、そういう趣旨だと思うんですけれども、やはり価格転嫁が困難だという下請事業者の現状とか、あるいは消費者を相手にした流通、小売関係の事業者の皆さん、なかなかこの転嫁が困難だという現状についてはどのように受けとめておられますか。

五十嵐参考人 全くそのとおりだと思います。

 価格転嫁というのは、もちろん消費税は転嫁しないといけないということですから、やると思うんですけれども、大企業が中小企業に対して元値を下げろと、百に対して例えば一〇%消費税が乗っかるところだと値段が百十になるわけですけれども、元値を九十にすれば一〇%乗せたって百のままでいいじゃないか、こういうプレッシャーが当然かかるということだと思います。

 ですから、これは消費税があろうとなかろうとこういうことは起こっているわけですが、消費税を上げることによって、もう一段、この元値を下げさせる圧力が働いてしまうという事実はあろうかと思います。

 したがって、政策も使って何とかこれを防ぐことが必要ではないか。ある程度のカルテル行為を認めるような、そんな話も新聞等で読んだ記憶がありますけれども、何らかの形でやらざるを得ませんが、しかし、完全にこれを排除するというのはやはり難しい。でも、消費税は上げざるを得ない、私はこのように思っております。

塩川委員 小塩参考人に、その点で、価格転嫁問題というのは、日本では大きな問題として、特に事業者の方が訴えがあるわけですけれども、海外ではどうなんでしょうか。付加価値税などもかなり高いわけですけれども、こういった価格転嫁問題というのがどんな声があるのか、実態なのか、日本との比較で御存じのことがありましたら教えていただけますか。

小塩参考人 私も十分知識を持っているわけではございませんけれども、まず価格転嫁につきましては、ヨーロッパの国ではインボイス制が非常に整備されているということですので、日本ほど深刻な問題は発生していないのではないかというふうな気がいたします。

 それから、価格転嫁がどの程度行われるかというのは、それは、その取引されている財とかサービスの特徴によって影響を受ける面があるというふうに思うわけです。

 ほかの会社と余り競合はしない、非常にユニークな商品であるという場合は、価格転嫁が非常にしやすい。ところが、競争が激しくて、消費者の力が強いということであれば、需要と供給の関係でなかなか転嫁しにくいというふうな面があると思うんですけれども、後者の点につきましては、私はある程度やむを得ないんじゃないかというふうに思います。

 ただ、制度的に価格転嫁が難しい、しかも、それが企業の規模によってそういうふうな原因が発生しているという点については、それは政策的に改める必要があるというふうに思います。

塩川委員 小塩参考人に、続けて、逆進性の点についてのお話でお聞きしたいと思っています。

 消費税には逆進性があるというお話で、一方で、ほかの税や保険料、給付で十分吸収できるんじゃないのかというお話でした。

 そこで、今回の法案、このスキームでどうなるのかということがあるわけです。

 特にワーキングプアと言われるような非正規の皆さんにとってみますと、参考人もおっしゃっておられたように、社会保険料の負担が非常に大きいということですし、今回の措置でも、では税とか保険料で何らかの低所得者対策が十分にされているかというと、そういう状況にはないわけです。

 そういう際に今の政府の案で言っているのが、簡素な給付措置や給付つき税額控除であります。ただ、これは財源をどうするのか、規模をどうするのか、何にも示されていないわけであります。

 そういったときに、小塩参考人から見まして、私たちの立場ではありませんが、政府の案としてどういう制度設計が可能なのか、その点についてお考えがありましたら教えていただけますか。

小塩参考人 正直なところを申し上げますけれども、今回の一体改革では、そういう所得の低い層に対する支援というのは私は十分じゃないというふうに思います。消費税は、何度も議論がありますけれども、逆進的な性格を持っています。それをできるだけ軽減するような政策的措置というのは重要だというふうに思うわけです。

 とりあえず五%ぐらいだから大丈夫じゃないかというふうな議論はあるかもしれませんけれども、極めて所得の低い層にとっては、これは結構重い問題です。そういう人たちは、社会保険料も払えなくて、社会保険の仕組みからもドロップアウトしてしまうという危険性があるわけですね。

 ですから、これから一〇%というふうに段階的に引き上げていくんだろうと思うんですけれども、そういうときに、特に社会保険料の負担もあわせて、なるべく軽減するような形で、低所得者の人たちをセーフティーネットの外に追いやらないような仕組みというのは、私はこれから検討していく必要があるというふうに思います。

塩川委員 社会保障の増税分から充てるという話にも制度設計上なっておりませんので、そういった際にどうするのか。所得税の控除の見直しとかという話になりますと、それで本当にうまくいくのかなというのも思うところであります。

 小峰参考人にお尋ねいたします。

 消費税増税に関する議論ということで、小峰参考人がおっしゃっているお話として、「「社会的言い訳」を提供している反対論」という話の例示として、増税を提案する前に国会議員や公務員が身を削る姿勢を示すべきだという主張には問題点があるということをおっしゃっておりますが、その点について御紹介いただけますか。

小峰参考人 私が申し上げたかったことは、例えば公務員の給料、国会議員の給料というのをどういうふうにするのかというのは、長期的な制度設計として考えるべき問題であって、たまたま消費税を上げるから上げないからという観点で行うべきものではないというのが私の趣旨でございます。

塩川委員 小峰参考人に、続けて、今言った、先ほど皆さんにもお聞きしました価格転嫁問題についての認識と対応策とかございましたらお聞かせください。

小峰参考人 私は、特に税の専門家ではないので詳しい議論は承知しておりませんが、この問題は大変悩ましい問題だというふうに思います。

 当然、消費税は価格転嫁するという前提で考えるわけですけれども、それが現実には難しい面があるということで、これをいかにして解決していくのかというのは、なかなかうまい解決方法がないと思うんですけれども、恐らく、これは消費税に限らず、例えばガソリンの値段が上がったりしたときに運輸業界が価格転嫁が難しいとか、一般的に価格転嫁が難しい、だからこそデフレになっているということだと思います。

 恐らく、そういったデフレマインドというのを長期的に払拭していかないと、なかなかこの問題はなくならないのではないかというふうに思います。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて塩川君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林正枝さん。

小林(正)委員 新党きづなの小林正枝でございます。

 大変貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。いずれの参考人の先生方からも、率直に、いかに増税が必要であるかと説いていただいたと理解しています。

 本日は、税制改革と財政及び経済等について、各先生方から専門的な御意見を賜りました。社会保障と税の一体改革七法案の中には、子ども・子育てに関する三法案も含まれております。私は、その三法案について常々疑問を持っておりましたので、四人の参考人の先生方に共通してお尋ねしたいと思います。

 社会保障は、端的に言って、老後を自分の子供や家族ではなく社会全体に任せる制度だと私は思います。つまり、次の世代の子供が再び生まれてこないと、このシステムは維持できないのだと思います。長年にわたって、幼保一体化の議論はされてきました。社会保障と税の議論をするときに、子育て支援政策や子供に関するさまざまな施策を再検討する必要は感じています。ただ、それがどうしても総合こども園という発想には私の中では膨らみ切れません。

 そこで、参考人の先生方にお伺いしたいのですが、税制や経済の御専門のお立場から、現行の保育の制度を変えていくことの意義について、もし考え方をお持ちでしたら、御示唆いただけませんでしょうか。

中野委員長 若干きょうのテーマとずれるようにも思いますけれども、参考人の先生方から、よろしければ御見解をお聞かせいただければありがたいと思います。

小塩参考人 小林先生の御指摘の点は非常に重要だというふうに思います。

 ただ、今回の一体改革の中で占める子育て支援につきましては、もう少し踏み込んで改革を進める余地があったんじゃないかというふうな気がいたします。こども園の新設というのは悪い話ではないかもしれませんけれども、私が一番心配しておりますのは、子供の貧困の問題なんですね。

 実は、私は、ほかの分野の研究者と一緒に、子供の貧困が成人後、成年になってからどういうふうな影響を及ぼすかというのをいろいろな角度から分析しているんですけれども、小さいときにつらい目に遭った子供たちというのは、その後も、非常に人生の後の段階でもつらい目に遭うというふうなことですね。

 ですから、人生のスタートラインに立つ前に、もうハンディキャップを負っている子供たちというのは少なからずいます。それから、先ほどちょっと数字を申し上げましたけれども、日本の子供の貧困率というのは、ほかの先進国に比べても高いというふうな気がいたします。

 そういうのを考えますと、漫然と子育て支援をする、それは、子育て支援を拡充するというのは大変重要なことだと思うんですけれども、その一方で、非常に深刻な状況に置かれている子供たち、子供の貧困問題を重点的に解決する方策というのは今後十分に議論していく必要があるというふうに考えております。

五十嵐参考人 私は、制度の専門家ではございませんで、全くの個人的な感想を申し上げたいと思うんです。

 少子化が非常に問題になっているわけですが、これまでは、例えば結婚して十五年以上たっているカップルが持っている子供の数というのは二人強ということでずっと続いてきた。合計特殊出生率が低下している中で、でも、ずっと、結婚している人たちの子供たちの数は変わらないという、つまり、少子化の最大の理由は、みんなが結婚しなくなった、こういうことだったはずなんですが、実は、ここ数年になって、カップルが持つ子供の数が減ってきたということがあって、結果として子供が持ちづらい世の中になってきたんだなと。

 それはさまざまな要因があろうかと思いますが、ここにメスと対策を入れないと、日本が将来、一層低成長といいますか、余り望ましくない姿になっていきかねないという意味で、子育て支援というのも、これがさらに充実すれば、例えば待機児童をもっと明らかに減らせるようなことをするというような対策があってこそ、いい結果が生まれてくる、こんなふうに思っております。

村岡参考人 私どもも、物づくり、日本の経済のことを考えても、やはり子育て支援法は非常に重要だと思っております。

 その中でも、特に、なぜこれに私どもが危機感を持っていますかと申し上げますと、これも、ことしの初め発表になりました国立社会保障・人口問題研究所の将来人口予測が、二〇一〇年に子供の数が、子供というのは十四歳以下ですね、千六百八十万人いたものが、五十年後の二〇六〇年には、七百九十万人だったと思いますけれども、要するに半減をしてしまう。そういった中で、日本の物づくりあるいは技術、こういったものが守れるかということからも、こういった子ども・子育て支援法の拡充が必要だと思っています。

 その中でも、企業が取り組んでいますのは、お願いしたいのは、一つは、夫婦で働いている方のための待機児童の解消の推進をお願いしたいのと、それからワーク・ライフ・バランス、これも夫婦で働いていくための環境づくり、こういったものが必要だろうというふうに思っています。

 企業も、そういった意味で、待機児童の解消のためには企業による保育サービスの推進も必要だというふうに思っていますので、そういったところの法的な整備、こういったこともぜひしていただきたいと思います。

 そうしないと、今、生産年齢人口も半分になると言われている中で、特に、将来生産年齢人口になる子供たちがもうどんどん減っている。やはり、いろいろな制度、これはデフレもあります、そういったものもいろいろな要因があるわけですけれども、先ほど小塩先生がおっしゃったように、子供を産まなくなっている、結婚しなくなっている、これはやはり将来不安に対してだと思いますので、それをなくすためにも、ぜひここを推進していただきたいというふうに思っています。

小峰参考人 私は、経済成長という立場から申し上げさせていただきますと、経済成長という立場からも子育て支援というのは大変重要だというふうに思っております。

 私は、これからの成長戦略というのは、人口減少のもとでいかに成長を確保するかという戦略でなければならないというふうに思っておりますが、これには当然、需要と供給、両面があるわけですけれども、供給面では、当然、働く人が減っていくということで、日本では女性の労働力率がまだ低いので、女性にもっと働いていただくということがどうしても必要になります。ただ、これを今の制度のままで女性にもっと働いていただくということにしますと、今度はもっと少子化が進んでしまうということになりますので、そうすると、どうしても子育て支援と両立した形での女性の就業率の上昇というのが必要になってくるということで、大変重要です。

 それから、需要という面でも、待機児童がいるということは、それだけサービスに対するニーズがあって、そのニーズが満たされていないということですので、もっと民間の活力を生かすというような方向を出していけば、これは一つの成長戦略として位置づけられるのではないかというふうに思います。

小林(正)委員 本来のテーマといささかずれていたにもかかわらず、真摯にお答えいただいたことに、心より感謝いたします。ありがとうございます。

 さて、本題に入らせていただきますが、村岡参考人にお伺いいたします。

 村岡参考人は、「経団連成長戦略二〇一〇 豊かで活力ある国民生活を目指して」という論文の中で、税、財政、社会保障の一体改革の必要性を指摘されておりました。それを拝見いたしまして、財政の持続性や社会保障に対する国民の信頼が揺らいでいるので、成長力の強化とあわせて歳出歳入改革の具体像を示すことが必要だとおっしゃられていたと思います。

 先生の御主張は、消費税の税率を上げて安定財源を確保せよということだと私は推測いたしました。私は、消費税アップが成長力の強化につながっていくとは思えません。景気が冷え込んでしまっているような状況下では、なかなかそれがそのまま成長へとつながらないと思うのです。

 先生の御所見をお聞かせいただけますでしょうか。

村岡参考人 少し誤解がございますようなので、申し述べさせていただきます。

 私どもが申し上げていますのは税・財政・社会保障一体改革。一体改革と申し上げていますから、それらを全てセットでやり遂げることで成長戦略に結びつけていくということでありまして、消費税のアップ、これだけをやって財政の改革をやればいいということではございません。

 これだけをやって成長戦略あるいは経済が、もちろんマイナスの影響があるわけで、単なる財政の改善のために消費税をアップすべきだということを申し上げているのではなくて、消費税のアップ、それによる財政の健全化、それから社会保障の改善、こういったことをやって将来不安を払拭する、それによっていい方向に回ってくるということをあの提言の中で申し上げております。

 消費税だけアップを求めているということではございませんので、そこの認識をお願いしたいと思います。

小林(正)委員 わかりました。ありがとうございます。

 続きまして、小峰参考人にお伺いいたします。

 小峰参考人は、人口に占める働く人の割合が減少すると経済にとってはマイナスに作用する、人口オーナスという概念を用いられてお考えを展開されております。そして、その労働力人口が減少していく中、労働力不足への対応としては、一つに高齢者や女性の就業率を高める、労働生産性を高める、外国人の力をかりる、企業の生産拠点を海外に移すといった御提案をされております。

 今回の社会保障と税の一体改革関連法案について考えてみますと、若干の年金引き上げと保育の仕組みを変えることと引きかえに消費税を上げることが、労働生産性を高め、また外国人の就労を促し、生産拠点を移転させることにつながるのでしょうか。人口問題の御専門の立場から御教示いただきたいと思います。

小峰参考人 御指摘になりましたように、人口問題は大変重要で、特に働く人の数が、割合が減っていくというのが日本経済に大変大きなマイナスの影響を及ぼすというのが私の認識でございますが、今回の消費税の引き上げというのは基本的には財政再建のための手段だというふうに考えられますので、人口オーナス、人口問題が経済に及ぼすマイナスの影響を緩和するための手段とは位置づけられないのではないかというふうに思います。

小林(正)委員 ありがとうございます。

 私は、確かに、今回の消費増税の目的は財政再建があるのだと思います。しかしながら、それを社会保障費の増額に充ててしまうというのは余りにも危険に思えてなりません。

 時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

中野委員長 御苦労さまでした。

 これにて小林さんの質疑は終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 本日は、四名の参考人の皆さん、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございます。

 私も数点お尋ねをさせていただきたいと思います。まずは、小塩参考人と小峰参考人にお尋ねいたします。

 世代間の所得移転についてでありますが、参考人は、高齢化社会において社会保障を持続的に維持していくためには、今回の消費税五%引き上げでは足らない、消費税や保険料の引き上げが必要と指摘されております。世代間の所得移転、すなわち現役世代が高齢者を支える割合を減らしていくことが重要と述べておられます。

 確かに、厚生省の社会保障に係る費用の将来推計を見ますと、二〇二五年には、公費負担が二十兆円増加、社会保険料は二十五兆円ふえることになっております。世代間の所得移転の縮小で公費負担や社会保険料負担の伸びをどの程度抑制すべきか、どういうふうに考えておられるか、また、世代間の所得移転の縮小は具体的にどういうようなことを行うべきか、この点についてお尋ねをいたします。

小塩参考人 中島先生、非常に重要な御質問をありがとうございます。

 私は、基本的に、現在のような社会保障の仕組みというのは人口動態の変化に十分対応し切れないというふうに考えておりまして、世代をまたがったような所得移転の範囲はできるだけ圧縮すべきだというふうに考えております。

 ただ、そこで重要なのは、私は、全ての高齢者に対する給付を一律カットする必要があるというところまでは言っていないんですね。マクロ全体で、全体として世代間の所得移転が小さくなればいいというだけのことを言っているわけです。マクロ全体で高齢者向けの所得移転が小さくなるというのは、これは重要なんですけれども、高齢者の中でいろいろな割り振りが必要だというふうに思います。

 所得の低い層というのはたくさんいらっしゃるわけですね。例えば、国民年金は六十五歳から満額支給ですけれども、それを待てないで、六十歳から減額覚悟で受給されている方は非常に多くいらっしゃいます。その一方で、大きな会社に勤めて、非常に充実した年金を受給していらっしゃる方もいらっしゃいます。

 そういう人たちに対して年金を一律にカットしろというのは、これは無理な話でありまして、高齢者の方々にも所得に応じて応分の負担をしていただく、あるいは給付の削減をしていただくというふうに考えるんですけれども、その負担の増加あるいは給付の引き下げというのは、どちらかというと所得の高い層にお願いをして、低い層はむしろ今以上に拡充するというふうなことを考えております。

 そういうふうに、所得の再分配、世代間の再分配を小さくするという政策と同時に、世代内の再分配をうまくするというふうなことをあわせて行うことが必要だというふうに思います。

小峰参考人 私も、世代間を超えた所得移転、格差の問題というのは非常に重要な問題だというふうに思います。

 これは小塩先生の方が専門ですけれども、世代会計という方法がありまして、世代ごとにどれだけの受益と負担があるかという計算をしたものがありますが、それによりますと、日本の将来世代と現在世代の格差というのは、恐らく先進国の中で最も大きい、恐らく飛び抜けて大きい、そういう結果になります。

 これには二つの理由があると思いますが、一つは、財政赤字が大きくて、将来世代に負担を先送りしているということです。これがまさに消費税の議論そのものだということなんですが、もう一つは、先ほどから申し上げておりますように、生産年齢人口が減る中で賦課方式の社会保障を維持しているということで、将来の人が将来の高齢者を支えるために相当大きな負担を強いられるという、この二つによっているということですので、これを是正していく。

 まさに、私の考えでは、現在我々が目にしている格差で最大の格差というのは現在世代と将来世代の格差だ。それで、我々が見ている最大の弱者というのは実は将来世代だ。将来世代は現在の意思決定に参加することなく重い負担を負わされているという点で、非常に深刻な問題だ。これに対しては、財政赤字にめどをつけていくということと、社会保障について、先ほどから申し上げているように、何らかの痛みを伴うような改革というのが不可欠だというふうに思っております。

中島(隆)委員 ありがとうございます。

 世代ごとの格差解消も必要でございますが、低所得者対策は重要でございますが、今全体的に落ち込んでいる、このことが非常に問題だと思いますし、それは、非正規が非常に多いとか低所得者が非常に多い、貧困率も一五・七%になっている、こういうところの問題があると思いますので、そういうことの部分も必要ではないかなというふうに私は思っております。

 それでは、次に、五十嵐参考人にお尋ねいたします。

 参考人は、ギリシャ危機も踏まえ、日本の財政赤字に対し強い危機感を持っておられます。内閣府の経済財政中期試算では、消費税を五%引き上げ、名目経済成長三%を実現しても、二〇二五年にいわゆるプライマリーバランスの黒字化には八・九兆円不足をする、こういう状況を言われています。

 これを埋めるためにはどうすることが現実的に考えられるのか、この点についてお尋ねをいたします。

五十嵐参考人 増税だけでこの差を埋めるというのは、現実問題として非常に難しい。ただ、このまま手をこまぬいていくと、例えば、ギリシャになるとは言いませんけれども、ギリシャが陥っているような苦境になると、ともかく何が何でも赤字を削減しろ、どんなにみんなが苦しんでもしようがない、こんなふうになってしまいかねないので、ここを防がないといけない。

 そういう意味では、私は、例えば、消費税というのはもっと引き上げていかないといけないと思いますし、所得税だって、日本の負担の度合いは海外と比較すればまだ低い。さっきも申し上げましたが、租税負担率というのは、そのことだけに限ればメキシコに次いで二番目に低い国ですから、相当増税の余地はある。

 ただ、増税だけで済まない以上は、経済を成長させて税の増収を図らないといけない。では、どうやって成長させるのかというのは非常に難しいわけですけれども、しかし、こういうことを目指さないといけないということは明らかでありまして、GDPを成長させるということですけれども、GDPとは何ですかと。

 これはいろいろな定義がありますけれども、我々企業や家計、あるいは政府の所得を全部合計したものでもあるわけですね。所得の総合計がGDPだけれども、政府の所得というのは税金だし、家計の所得というのはいわば分け前、給料ですから、結局のところ、GDPという所得の総額というのは、全てが企業活動で生み出されている、こういうふうに考えることができると思います。

 したがって、経済を成長させるというのは、企業活動が生み出す所得をいかにふやすかということですね。そういう意味で、企業にもっと頑張らせる、そういう環境なりインセンティブなりを与えて経済を成長させる。具体的には、売り上げをふやすということですね。

 これは、内需にしろ外需にしろ、両方をとらないといけませんけれども、企業の個々の努力をいかに引き出すかということでないと、あるプロジェクトをやれば経済が成長するとかいうふうに簡単に片づくものではなくて、どこで成長しているんだということがわからないぐらい、さまざまな個々の成長を合わせると結構行ったじゃないか、こういう世の中を目指していかないといけないという意味で、私は、企業活動をいかに押し上げるかということにさらに心を砕かないといけないというふうに思っております。

中島(隆)委員 ありがとうございました。

 次に、村岡参考人にお尋ねいたします。

 日本経団連は、消費税の引き上げと法人税の引き下げを求めておられます。企業の競争力を維持するためには、税や社会保険料の企業負担をなるべく少なくするという考え方だと思いますが、現在でさえ働く者の賃金が低下し続ける中、消費税五%引き上げという大きな負担がかかれば、当然、消費が冷え込み、結果として物が売れず、価格競争が激化をして、デフレが深刻化することだろうと思います。

 企業利益にも否定的な影響を与えるのではないかと思いますが、この点についてどうお考えか、お尋ねいたします。

村岡参考人 これも、消費税対法人税という対立軸で捉えるのではないんだろうと思います。

 消費税については、今回、社会保障との一体改革の中で、社会保障、将来に対する安心、これに消費税が中立であるという考え方から、消費税を財政の健全化に絡めて申し上げています。

 それから、法人税につきましては、既に各国が法人税率の引き下げ競争をやっている中で、日本だけが今のままで高い税率を維持していますと、これが、先ほど五十嵐参考人からも応援演説をしていただきましたけれども、企業活動を萎縮させるような方向、あるいは今の、国際競争力のためのイコールフッティングになっていない、最初私の御説明の中でも申し上げましたけれども、これをいかに改善するか。それによって経済が成長の方にまた再び向かっていくという方向に持っていくために法人税率の引き下げと。

 これは企業に残るのではなくて、これをやることによって国際競争力がさらに高まれば、海外との競争も勝ってくるし、それによって雇用もふえてくる、雇用がふえてくれば、今の労働分配率、七〇%程度していますけれども、それによって賃金にも賞与にも回せる、それによって消費もふえるという形でやっていますので、どちらか一方をとって、消費税を上げて消費が悪くなる、法人税を下げれば企業のためだけという捉え方は私どもはしてございません。

中島(隆)委員 もう一点、村岡参考人にお尋ねをいたします。

 今、法人税のことを申されましたけれども、前回消費税引き上げのとき、一九九六年でありますが、二〇一〇年を比較いたしますと、家計所得が十八兆九千億円減少しています。企業の所得は十兆円、約四〇%伸びています。日銀の資金循環統計を見てみましても、民間企業が保有している現金、預金の総額は二百兆円を上回る、こういうことで指摘をされております。先日、日本経済新聞にも、上場企業の半数が二〇一一年では無借金である、こういう記事も載っておりました。大手企業の経営環境、財務体質は飛躍的に私は改善をしているのではないかというふうに思います。

 法人税、先ほど外国との競争で引き下げということでありますけれども、雇用を含めて働く者への分配をもっとふやして国内の需要をふやすべきではないか、こういうふうに思うんですが、その点、再度お尋ねをいたします。

村岡参考人 二つ御質問があったと思います。

 まず、家計所得が減少している中で企業の方は逆にふえているということでございます。

 確かに、十六兆円家計所得が減っているということになっていますけれども、これは、働き方の多様化も含めて、いろいろな人が、非正規を含める、あるいは当時の団塊の世代の方たちが定年を迎えてパートタイムみたいな形で働いてくるとかいろいろな形も入って、それから女性がどんどん働く方に出てくるということも含めて、確かに一人当たりのあれが下がってくるということで全体を押し下げている要因もあるかと思います。

 ただ、企業がそれによって内部留保をためているということでは決してございませんで、企業所得がふえていることは、これはグローバル化に伴って海外の方の経済活動がふえている、それによって企業が海外からの所得も含めて還流して全体の企業所得がふえているということでありますから、今も先生がおっしゃられたような働く人への分配、これについてもっと回すべきだという御指摘は、既に私ども日本の企業全体で労働分配率は七〇%程度をしております。したがって、これ以上労働分配率を上げるということは企業の経営にとって大きな負担になってくるということでございます。そういったことから御理解をいただきたいと思います。

 もう一つは、無借金経営と。確かに、先週ですね、日経の新聞に載っていました、半分以上が実質無借金経営になる。

 これも、もちろん財務体質の改善のために企業が借入金を返済しているということもございますが、一方で、この二十年来に及ぶデフレ経済の中で需給ギャップがますます大きくなってきている。そうすると、企業は投資をしたくても、あるいは雇用をふやしたくても、既にもう供給サイドで多くあるわけですから、需要がふえない限り無駄な投資はできないということで、将来の投資のために個々の内部留保をしておく。

 したがって、私どもが御提案申し上げていますように、成長戦略をあわせて同時にやれば、企業も設備投資あるいは雇用、こういったところへ今内部留保で持っていますお金を回せる、あるいは配当で回せるというふうになりますので、この成長戦略と財政の一体改革が同時に必要だということを申し上げてございます。

中島(隆)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 きょうは、参考人の皆さんの貴重な御意見をちょうだいしまして、ありがとうございます。

 最初に、小塩隆士先生に質問させていただきます。

 実は、私、大学院で教育経済学のコースをとっておりまして、先生は日本では教育経済学の第一人者であり、パイオニアであり、大変尊敬をしておりますので、きょうはお目にかかれて光栄に思います。

 残念ながら、きょうは教育経済学ではなくて、消費税の問題ということで、社会保障について質問させていただきます。

 きょうのお話にはありませんでしたが、先生が書かれたものの中に、社会保障の自己破壊性という言葉があります、非常に興味深く思ったんですけれども。

 社会保障が充実して老後の心配がなくなってくると子供の数が減っていく、社会保障が結果として、だんだん、さらに、うまくいったがゆえに、長期的には成り立たなくなってしまうという問題、そのとおりだなと思うんですけれども、その解決策として、世代間の所得移転を減らして世代内の所得移転をふやすということをおっしゃっていました。

 これまでの質疑でもそうおっしゃっていましたけれども、やはり、余裕のある人が余裕のない人を助ける仕組み、高齢者であっても余裕のある人はある程度負担をしていただくというのは避けられないし、本来は税と社会保障の一体改革の中でもっとスポットを当てるべきテーマじゃないかなと思います。

 そういった観点も踏まえて、今審議されているこの法案、今修正協議をやられているようですけれども、もし修正するなら、どこをどう変えたらよくなりますでしょうか。

小塩参考人 非常に答えにくい御質問ですけれども、先ほど先生御紹介ありました、社会保障には自分で自分の首を絞めるという非常に悲しい性格があるというふうに私もどこかで書いたわけですけれども、その性質をできるだけ軽減するような工夫が必要だという点については、私はそういうふうに基本的に考えております。

 では、どうすればいいのかということなんですけれども、私の説明でも申し上げましたように、今回の一体改革では、現行の社会保障の仕組みの財源を安定化させるというところに力点が置かれて、税収で得られた財源は、そのかなりの部分がそこに費やされているというふうな面があるわけですね。その次に何を行うかということでございますけれども、私は、先ほども先生が既に御指摘されましたように、世代内の再分配をより強化する必要があるんじゃないかというふうに思います。

 日本の社会保障の仕組みというのは、確かに、一見すると格差の縮小とか貧困率の削減というのに寄与しているように見えるんですけれども、それはあくまでもマクロ全体の話でありまして、若い人の間でもそういう現行制度のメリットを受けていない人も大勢いらっしゃいますし、高齢者の中にもいらっしゃるということですから、そういう人たちに重点的にお金を支払って、それ以外の人はちょっと我慢していただく。全体として、世代間の再分配の仕組みを小さくして、できるだけ将来世代が無理なく支えられるような仕組みにしていくというふうな必要があると思うんです。そういう改革を今回の一体改革をベースにして進める必要があるというふうに思っております。

 ただ、これは、すんなり高齢者の方々が引き受けていただけるというふうな筋合いのものではありませんので、非常に幅広い議論が必要だと思います。そのためには、非常に客観的なデータをそろえて問題点を抽出するという作業が必要だというふうに思います。

山内委員 ありがとうございました。私も全く同感で、単に収入をふやすだけじゃなくて、再分配の方にももうちょっと今後は目配りが要るんじゃないかなというふうに思います。

 次に、五十嵐先生に質問させていただきます。

 非常に私は興味深く思ったのは、増税するのはいいけれども、仮に、増税した後、税収がふえても、歳出がふえてしまって、結果的に財政再建が進まなかったら、そのときこそもっと悪いことになるというような趣旨の御発言だったと思うんですが、まず、そういう理解でよろしいんでしょうか。

 そうなると、今回、正直言って、自民党も民主党も、大政党が消費税増税に前向きですから、増税の方向に行くと考えるのが客観的に見て正しいんだと思うんですけれども、その後ですよね。結局、税収がふえても、もし支出がそれを上回るか同じペースでふえてしまうと財政は全然健全化しないわけです。

 民主党も、コンクリートから人へと言っていましたけれども、最近は、新幹線もつくる、高速道路もつくるという方向に行っております。それから、もし政権がかわって、公共事業三百兆円みたいなことに仮になったら、結局、増税した分、また別の支出がふえて、財政再建しないんじゃないか、円が売られて、とんでもない悪性のインフレになるという、まさに五十嵐先生のおっしゃっていた悪魔のシナリオになるんじゃないかと、結構現実性の高いシナリオじゃないかと思っているんですね。

 それを考えると、安易な増税はまずいんじゃないかと逆に思ってしまうんですけれども、その点、どのように認識されているでしょうか。

五十嵐参考人 最初にもちょっと申し上げましたけれども、増税を、はなからこれに使うんですという形で増税して、今までそこに使っていたお金はほかから持ってきたんですけれども、その浮いた財源をまた別の歳出に振り向けるようなことをすると、これは私が申し上げたようなまずいシナリオが実現してしまうことになりますから、今回の消費税の増税も、ことごとく赤字の削減に振り向けろというのは決して現実的な議論ではないので、ここは、私、政府の資料を何度読んでもよくわからないところがあるんですけれども、成長もするし、自然増収があるよ、それから、一部は赤字の削減にも当然振り向けるから、結果として、一〇%までいったら、プライマリー赤字がGDP単位で半減する、こういう計算になっているわけです。これを何とか実現させるということだと思います。半分と言ったけれども四割だったというぐらいならいいかと思いますが、半分と言ったのにゼロだったというようなことになりますと、これはもう非常にまずいということだと思います。

 繰り返しになりますけれども、やはり、増税だけで財政の健全化を図るのは難しいので、さっき申し上げたような、成長を促すということはどうしても必要だろうということだと思います。

山内委員 次に、小峰先生に質問させていただきます。

 昔、私、先生の書かれた「人口負荷社会」という新書の本を読んで、大変興味深く読ませていただいて、人にも結構薦めているんです。

 人口オーナスという視点で、いろいろな政策、社会保障も税もそうですし、外国の人口オーナス、ボーナスも含めると、やはり、外交も含めてあらゆる政策でこの人口構成、人口動態というのを配慮に入れることは必要だと思います。大体、人口統計だけは、十年、二十年先も信頼できる数少ない統計ですから、その点は重要だと思うんです。

 小峰先生が前に書かれた資料の中で、二〇〇六年の骨太の方針を高く評価されておりました。私も、余り世間では評価されていませんが、二〇〇六年の骨太というのは非常によかったのではないかと思います。

 政治主導で、当時はどちらかというと自民党主導で、各省を呼んで、歳出をぎりぎり減らすように圧力をかけて、相当頑張って歳出削減を政治主導でやって、当時は景気も緩やかに回復していましたので、二〇〇七年、八年あたりは、リーマン・ショックの前までは、プライマリーバランスも結構いい線いっていたと思います。

 そういった意味では、増税は別の問題として、歳出削減をやはり徹底してやっていかないといけない。それは、無駄の削減というよりは、無駄とは必ずしも言えないけれども優先順位が低いものは相当思い切って切り込んでいく、社会保障も含めて聖域なく切り込んでいくということが必要じゃないか。何が無駄か無駄じゃないかというと人によって定義が異なりますから、もう、かなり思い切って、痛みを伴う歳出削減まで踏み込まないといけないんじゃないか。

 結局、歳出削減も増税も、どちらも痛みを伴うと思うんですけれども、勇気を持ってやるのであれば、歳出削減をどうやって今後進めていくべきか、先生のお考えと、二〇〇六年の骨太の方針について、もし何か説明いただければと思います。

小峰参考人 先生御指摘のように、財政再建を着実に進めるためには、増税と歳出削減、これは両方が必要だというふうに思います。

 二〇〇六年の骨太方針というのは、私に言わせれば、まずは徹底した歳出削減、これは、必要な調整額の七割か八割は歳出削減で賄うというプランで歳出削減計画をつくった。それを踏まえて、ある程度の増税はお願いしなければいけないということになっていたんだと思います。

 ところが、これが、私の見るところ、社会保障の一律カットというのが相当な批判を浴びまして、やはり社会保障を削るというところでつまずいてしまった、そこで増税にもいかなかったということになったのだと思います。

 逆に、現在は、そう言っては恐縮なんですが、まず増税をやってというふうに見える、これはこれで不十分である、したがって、どうしても歳出の削減をこの後やっていく必要があるということで、小泉内閣のときには、歳出削減をまずやって増税というシナリオがうまくいかなかった、今度は、増税をやってこの後歳出削減というのが果たしてうまくいくのかということで、その鍵になるのは、やはり、社会保障をどれだけ見直せるのかというところが大変大きな鍵を握るんじゃないかというふうに思っております。

山内委員 今のお話だと、骨太のときは、社会保障を削って、政治的に痛い目に遭って、結局、歳出削減がうまくいかなかったということだと思うんですけれども、そうしたら、今後、歳出削減は、今、社会保障の歳出削減は必要だとおっしゃいましたけれども、どういう削り方、あるいは社会保障以外だとどこを削っていくことが必要とされるんでしょうか。もう一度お尋ねします。

小峰参考人 これはまさに政治主導で、集中と選択ということで決めていただくしかないんですけれども、額の大きさ、それから、これからふえていく大きさという観点からは、どうしても社会保障にメスを入れなければいけないということだと思います。

 ただ、一方で、科学技術予算ですとか今後の成長のために必要な予算というのはどうしてもあるわけですから、ふやすべきものはふやしていく、削るべきものは削っていくという点で、相当大きな見直しが必要だというふうに思います。

山内委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 きょうは、参考人の皆様、それぞれのお立場から貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。

 皆様のきょうの御意見をお伺いしておりますと、皆様一様に、消費税の税率を引き上げるということはいたし方ないというお考えであるということはわかりました。今の日本には本当に消費増税が必要だということを考えておられるということを踏まえまして、御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、五十嵐参考人にお伺いをさせていただきたいと思います。

 五十嵐参考人のお話の中にも、消費税率の引き上げの時期についてちょっと言及があったかと思うんですけれども、今回の消費税法の改正案におけるいわゆる景気弾力条項には、景気状況の好転ということが盛り込まれております。政府は、これは消費税率の引き上げの前提ではないとしておりますが、消費税率引き上げの時期と景気の関係について、景気弾力条項を設けることや段階的引き上げの是非なども含めて、五十嵐参考人の御意見をお願いいたします。

五十嵐参考人 簡単に申し上げますと、私は弾力条項を何度か読みましたけれども、要するに、総合判断することだなというふうに受けとめました。そういう意味で、これはかなり政治判断に委ねることができるのではないかというふうに受けとめたんですけれども、ぜひそうすべきだというふうに思います。

 つまり、機械的に、成長率がこれを下回ればだめだとかいうようなことを言って、うまくいくとは到底思えない。あるいは、消費税を上げるといったときに、きょう決めて来月からというふうにもいかなくて、景気がいいときを狙って消費税の引き上げのタイミングを持ってくるなどということはおよそ不可能だろうというふうに思います。

 消費税を上げたときに景気にそれなりのマイナスの影響が出るというのは、きょうほかの参考人の方々もおっしゃっていますけれども、これはそのとおりだと。例えば、一%なりのマイナスの影響が出たとしたら、これはずっと毎年一%のマイナスが続くかというと、そうではないわけでありまして、導入したときに、いわば成長のパスがちょっと下方修正されて、あと、成長率という意味では、引き続きまたもとへ復するというふうに考えますと、私は、タイミング云々を景気のよしあしということでもって考えるのは余り適当ではないというふうに思います。

 申し上げましたように、リーマン・ショックが起こったときのような大変な事態が起こった場合は別ですけれども、通常の景気循環においては、景気が循環的に下にあるときにこれをやっちゃいかぬとかいうふうには考えておりません。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、小塩参考人にお伺いさせていただきます。

 所得の再分配機能回復への効果についてお聞きしたいと思うんですけれども、個人所得課税については、これまでの税制改正において、累次の累進緩和が行われてきた結果、その財源調達機能や所得の再分配機能が低下しているというふうに指摘をされてきました。

 このために、平成二十四年度の税制改正においては、本法律案に先立って、格差の是正、所得再分配機能の回復、そして課税の適正化の観点などから、給与所得控除の上限設定などの措置が講じられたところであります。

 今般の消費税法改正案では、所得税について、所得の再分配機能の回復を図る改革を進める必要があるということで提出されたものだというふうに承知をしておりますが、例えば、本法律案による所得税の最高税率の見直しによって影響を受ける給与所得者は〇・一%、約二万七千人程度と見込まれており、格差是正や所得の再分配機能の回復への効果については未知数であります。

 そこで、消費税法の改正案による所得再分配機能の回復への効果について評価を伺いたいのと、あわせて、所得の再分配機能のあり方についても、小塩参考人、お願いいたします。

小塩参考人 私の率直な意見を申し上げます。

 今回、消費税という逆進性の性格を持つ税のウエートを高めるというふうなことを行っているわけですね。その問題を軽減する必要があるというのは、おっしゃるとおりです。

 それで、所得税の見直しをどう評価するかということですけれども、私は、所得の高い層に対してはもう少し税率を引き上げて構わないんじゃないかというふうに思っております。

 消費税に比べた場合の所得税の問題点というのは、勤労意欲が低下するというふうな面なんですけれども、所得の高い層に対しては、税金を上げたとしてもそんなに大きな影響はないんじゃないかというふうに思うわけですね。そういたしますと、所得が極めて高い人に対しては、私は、もう少し追加的な負担をお願いしてよろしいんじゃないかという気がいたします。それが一つです。

 もう一つは、所得の低い層に対する支援というのをもう一押しする必要があるんじゃないかというふうに思います。

 先ほどから何回か議論が出てきておりますけれども、給付つきの税額控除をより強化するとかいうふうな形で、できるだけ再分配の仕組みを、今まで削ってきたわけですけれども、ある程度は回復しないと、世代内の再分配をする場合も財源が十分でないというふうな限界に突き当たりますので、私は、そこは見直す必要はあるというふうに個人的には思います。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、村岡参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 今回の一体改革に対する経済界の取り組み方針についてお聞きしたいと思います。

 今回の一体改革では、短時間労働者に対する厚生年金そして健康保険の適用拡大など、事業主負担が増加する改革も含まれております。また、平成二十三年度の税制改正で五%引き下げられた法人実効税率については、復興特別法人税課税期間終了後の平成二十七年度以降から引き下げが実現することになり、経済界が要望するさらなる引き下げというのはその先の検討課題となっております。

 このように、制度面における企業環境も厳しい状況が続きますが、企業には、引き続き、雇用の維持と確保について一層の努力をお願いせざるを得ない状況であります。

 そこで、一体改革の趣旨を踏まえて、企業の今後の雇用に対する考え方や、社会保障と税の負担のあり方について、経済界としてどのように考えて取り組んでいくおつもりなのか、お願いいたします。

村岡参考人 まず、私どもの雇用の確保の努力についてでございますけれども、これは、ずっと私ども最大限の努力をいたしてきてございます。これは、好不況にかかわらず、日本の企業全体として雇用を維持するということを主眼にしておりまして、欧米のようにリストラですぐに解雇するということは極力避けるということでやってきてございます。

 それから、もう一つは、健康保険料を含めて、全体の、企業が負担をする保険料あるいは税、法人税あるいは固定資産税等々を含めての割合は、既にアメリカ、ドイツ、イギリス、韓国と比べても相対的に高い水準にある。そのために、国際競争力を、やはり雇用を維持する、あるいは日本がこれから生き残っていくというためにも、イコールフッティングというのは、くどくて申しわけございませんけれども何度も申し上げるのは、やはり同じ土俵の上で戦っていくべきである、そのための環境づくりがどうしても必要ということで私どもは申し上げていまして、まず五%今回法人税率を引き下げていただいたことには感謝申し上げております。

 今、特別法人税、復興特別税が三%乗っていますけれども、それについては三年間ということでございます。これも、できれば近い将来引き下げていただければというのがあれですけれども。

 それをなぜ申し上げているかというと、円高あるいはエネルギー問題を含めて、日本が今相当なビハインドのハンディを負っているということ、これを極力早く解決しないとどんどん欧米あるいは新興国に引き離されていくということの危機感を持っている、この裏返しでございます。

 したがいまして、今先生がおっしゃられましたように、何としても私どもは勝ち残って、雇用を維持していきたいというふうに思ってございます。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、小峰参考人にお伺いをしたいのですが、今回の一体改革で消費税増税分が社会保障に充てられることとなっておりますが、これまで別の財源で確保していた増税相当分の金額が浮いてくることになってまいります。この使途については、国債の償還や経済対策による有効需要の創出など、さまざまな方策が考えられると思いますが、小峰参考人、その浮いてくるお金の使途について何かお考えがあれば、よろしくお願いします。

小峰参考人 これは一概に何に使うということは言えないと思いますけれども、基本的には、浮いた財源の相当部分を財政赤字の圧縮に回すということを確保しておかないと、せっかく消費税を上げても、財政赤字がちっとも減らないということになってしまうと思います。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、最後に、五十嵐参考人と小峰参考人にお伺いをしたいと思います。

 我が国の財政状況は極めて深刻な状況にあり、国及び地方の長期債務残高は、今年度末には九百四十兆円程度に達すると見込まれております。

 財政の健全化については、財政運営戦略において、国及び地方、国単独の基礎的財政収支について、遅くとも二〇一五年度までにはその赤字の対GDP比を二〇一〇年度の水準から半減し、遅くとも二〇二〇年度までに黒字化するという財政健全化目標が示されております。

 この目標達成について、経済財政の中長期試算においては、社会保障・税一体改革の影響を平年度化するなど、国及び地方、そして国単独ともに二〇一五年には赤字半減目標が達成されることが見込まれておりますが、二〇二〇年度では依然として赤字が見込まれており、黒字化目標達成のためにはさらなる収支改善が必要だと指摘されております。

 こうした状況を踏まえて、消費税増税による財政健全化の実現可能性について、お二方、お願いいたします。

五十嵐参考人 私どもが試算したところでは、二〇二〇年度にかけて消費税率を一五%まで引き上げたとしましても、二〇二〇年度においてプライマリー赤字は消えないというふうに考えております。これは、政府が考えている名目成長率は恐らく実現できないだろうというふうに思っているからであります。

 そういう意味で将来非常に厳しいわけですけれども、一方で、国債が将来世代の負担になるという話も、親から引き継いだ国債を、子供は孫に渡し、孫はまたひ孫に渡すということをやれば誰も負担しないで済む、そういうへ理屈も実は成り立つわけで、さっき私が日本では国債が償還されたことはないと申し上げたのは、まさにそれです。

 これの最大の問題は、そうやって借換債をどんどん発行しますと、そうはいったって、買う方からしたら借換債なのかあるいは新発債なのかの区別はつかないわけで、世の中が一年なら一年のうちに受け入れることができる国債の量というのはおのずから限りがあるということですから、そういう意味で、どこかで国債の発行が行き詰まってしまうことがあるだろうということが一つ。

 もう一つは、返済をしなくて発行残高がどんどん膨らんでいきますと、金利支払い額がふえていく。金利支払い額がふえていくと、国債の発行量におのずから限度があるということは、税収も含めた歳入だって限度がある。歳入に限度があるのに利払い費がどんどん膨らんでいくと、本来の歳出がどんどん圧縮されていく。サラリーマンでいえば、生活費が圧迫されていく。こういうことになりますから、何としてもこういう事態を避けないといけない。

 さっき私がもう一つ言っておくべきだったと思うのは、増税が必要だ、成長して自然増収も必要だ、でも一方で、やはり歳出も大胆にカットしていくということをしないと、二〇二〇年度にプライマリーの赤字が残ったらどうしようもないぞと申し上げているわけではなくて、あっ、減っているじゃないかという姿をマーケットに見せる必要がある、こんなふうに思っております。

小峰参考人 財政の破綻を避けるためには、市場が財政に対して信頼を維持するということが非常に重要だと思います。そのためには、長期的な視野に立った財政再建というのを行っていく必要があるわけですが、どうしても人々の考え方は当面の出来事に集中してしまう。

 例えば、今、消費税を上げるか上げないかという議論をしていますので、上げると相当問題が解決するのではないかというふうに思ってしまいますが、決してそうではない。それから、二〇二〇年度までにプライマリーバランスを黒字にするという目標が次の議論になりますが、では、そこをクリアすれば問題が相当解決するかというと、そこは財政再建の入り口に立ったにすぎないということなので、そういったことも踏まえて、長期的な指針をしっかり打ち立てていく必要があると思います。

 そのためには、ある程度慎重な経済見通しのもとで長期的な方針を立てて、もし成長率がそれを上回って歳入がふえた場合には、それを追加的に財政赤字の削減に振り向けていくというような姿勢が必要なのではないかと思います。

中島(正)委員 どうもありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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