衆議院

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第20号 平成24年6月22日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十四年六月二十二日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      石井登志郎君    泉  健太君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      江端 貴子君    岡田 康裕君

      勝又恒一郎君    岸本 周平君

      近藤 和也君    篠原  孝君

      白石 洋一君    永江 孝子君

      長尾  敬君    長妻  昭君

      早川久美子君    藤田 憲彦君

      三村 和也君    宮島 大典君

      室井 秀子君    湯原 俊二君

      柚木 道義君    渡部 恒三君

      石田 真敏君    加藤 勝信君

      金子 一義君    鴨下 一郎君

      田村 憲久君    竹下  亘君

      野田  毅君    馳   浩君

      町村 信孝君    竹内  譲君

      佐々木憲昭君    宮本 岳志君

      小林 正枝君    豊田潤多郎君

      中島 隆利君    山内 康一君

      中島 正純君

    …………………………………

   議員           長妻  昭君

   議員           柚木 道義君

   議員           白石 洋一君

   議員           鴨下 一郎君

   議員           加藤 勝信君

   議員           西  博義君

   議員           和田 隆志君

   議員           泉  健太君

   議員           江端 貴子君

   議員           田村 憲久君

   議員           馳   浩君

   議員           池坊 保子君

   議員           石田 三示君

   議員           渡辺 義彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十一日

 辞任         補欠選任

  田嶋  要君     長妻  昭君

  田村 謙治君     泉  健太君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  渡部 恒三君     磯谷香代子君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

  豊田潤多郎君     小林 正枝君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     渡部 恒三君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

  小林 正枝君     豊田潤多郎君

    ―――――――――――――

六月二十一日

 社会保障制度改革推進法案(長妻昭君外五名提出、衆法第二四号)

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案(和田隆志君外五名提出、衆法第二五号)

同月十五日

 中小業者の営業を破壊し、景気を悪化させる消費税増税反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一〇九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二一一号)

 同(亀井静香君紹介)(第二二一二号)

 同(小林正枝君紹介)(第二三一五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三一九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三二〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三二一号)

 国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革と消費税の税率アップ、庶民大増税の中止に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二一一〇号)

 国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革と消費税の大増税・共通番号制の中止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二一一一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二二一三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二一四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二一五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二一六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三三一号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三三二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第二四二五号)

 消費税増税を行わないことに関する請願(亀井静香君紹介)(第二二〇九号)

 消費税の増税反対、食料品など減税に関する請願(笠井亮君紹介)(第二二一〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三〇七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三〇八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三〇九号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三一〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三一一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三一二号)

 年金の改悪・消費税増税反対、安心の年金制度に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二二一七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三四四号)

 保育を産業化する子ども・子育て新システムは撤回し、安心して保育・子育てができる制度の実現を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二一八号)

 同(笠井亮君紹介)(第二二一九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二二二〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二二二一号)

 同(志位和夫君紹介)(第二二二二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二二二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二二二四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二二二五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二二二六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第二三四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三四六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三四七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三四八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三五一号)

 同(竹本直一君紹介)(第二三五二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三五三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三五四号)

 消費税率の引き上げや大衆増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二三一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二四二四号)

 消費税増税をやめ、暮らしと経営を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二三一四号)

 消費税大増税の反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第二三二二号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三二三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三二四号)

 消費税の増税に反対し、公正な税制実現を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二三二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三二六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三二七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三二八号)

 暮らしと経済を壊す消費税率一〇%への大増税反対に関する請願(志位和夫君紹介)(第二三二九号)

 安易な消費税率引き上げ反対に関する請願(渡辺義彦君紹介)(第二三三〇号)

 消費税一〇%へのアップと社会保障の切り捨て中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二三三五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二三三六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二三三七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二三三八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二三三九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二三四〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二三四一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二三四二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第二三四三号)

 消費税の増税中止に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二三五五号)

 消費税増税をしないことに関する請願(穀田恵二君紹介)(第二四二一号)

 消費税の増税反対、医療・介護施設へのゼロ税率に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第二四二二号)

 消費税の大増税反対に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第二四二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)

 社会保障制度改革推進法案(長妻昭君外五名提出、衆法第二四号)

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案(和田隆志君外五名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案及び和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 提出者から順次趣旨の説明を聴取いたします。長妻昭君。

    ―――――――――――――

 社会保障制度改革推進法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻議員 おはようございます。

 ただいま議題となりました社会保障制度改革推進法案について、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 近年の急速な少子高齢化の進展等による社会保障給付に要する費用の増大や生産年齢人口の減少に伴い、社会保険料に係る国民の負担が増大するとともに、国及び地方公共団体の財政状況が社会保障制度に係る負担の増大により悪化しております。

 このような状況に鑑み、所得税法等の一部を改正する法律附則第百四条の規定の趣旨を踏まえて安定した財源を確保しつつ、受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図ることが求められております。

 そのため、社会保障制度改革について、その基本的な考え方その他の基本となる事項を定めるとともに、社会保障制度改革国民会議を設置すること等により、総合的かつ集中的に推進することとした次第であります。

 以下、本法案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、社会保障制度改革の基本的な考え方として、自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと、社会保障の機能の充実と給付の重点化及び制度の運営の効率化とを同時に行い、税金や社会保険料を納付する者の立場に立って、負担の増大を抑制しつつ、持続可能な制度を実現すること等を定めること。

 第二に、社会保障制度改革の基本方針を、公的年金制度、医療保険制度、介護保険制度及び少子化対策のそれぞれについて定めること。

 第三に、政府は、社会保障制度改革の基本方針に基づき、社会保障制度改革を行うものとし、このために必要な法制上の措置については、本法施行後一年以内に、社会保障制度改革国民会議における審議の結果等を踏まえて講ずるものとすること。

 第四に、平成二十四年二月十七日に閣議において決定された社会保障・税一体改革大綱その他既往の方針のみにかかわらず、幅広い観点に立って、社会保障制度改革についての基本的な考え方にのっとり、かつ、社会保障制度改革の基本方針に基づき社会保障制度改革を行うために必要な事項を審議するため、内閣に社会保障制度改革国民会議を設置すること。

 また、社会保障制度改革国民会議は委員二十人以内をもって組織し、委員はすぐれた識見を有する者のうちから内閣総理大臣が任命するほか、委員は国会議員であることを妨げないこと等、国民会議の組織に関する規定を設けること。

 第五に、政府は、生活保護制度に関し、不正な手段により保護を受けた者等への厳格な対処、生活扶助、医療扶助等の給付水準の適正化、保護を受けている世帯に属する者の就労の促進その他の必要な見直しなどの措置等を行うものとすること。

 なお、本法は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、本法案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

中野委員長 次に、田村憲久君。

    ―――――――――――――

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

田村(憲)議員 ただいま議題となりました就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者を代表して、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 本法案は、小学校就学前の子供に対する教育及び保育を必要とする子供に対する保育を一体的に行う幼保連携型認定こども園等に関する制度を拡充しようとするものであり、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、目的規定を改正し、幼児期の教育及び保育が生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることを明記すること。

 第二に、幼保連携型認定こども園は、学校としての教育及び児童福祉施設としての保育並びに保護者に対する子育て支援事業の相互の有機的な連携を図りつつ、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとしての満三歳以上の子供に対する学校教育並びに保育を必要とする子供に対する保育を一体的に行うとともに、保護者に対する子育て支援を目的として、この法律の定めるところにより設置される施設をいうものとすること。

 第三に、幼保連携型認定こども園は、国、地方公共団体、学校法人及び社会福祉法人のみが設置することができるものとし、幼稚園の教諭の普通免許状を有し、かつ、保育士の資格の登録を受けた者である保育教諭等を置かなければならないものとすること。

 第四に、幼保連携型認定こども園の設備及び運営について、都道府県は条例で基準を定めなければならないものとすること。

 第五に、幼保連携型認定こども園について、国及び地方公共団体以外の者により設置され、都道府県の条例で定める基準を満たした施設に関して、その設置者が欠格事由に該当する場合及び供給過剰による需給調整が必要な場合を除き、認可するものとすること。その際、都道府県は、市町村に協議しなければならないものとすること。

 第六に、幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の充実を図るため、都道府県の条例で定める要件を満たした施設について、その設置者が欠格事由に該当する場合及び供給過剰による需給調整が必要な場合を除き、認定するものとすること。その際、都道府県は、市町村に協議しなければならないものとすること。

 第七に、この法律の改正後の主務大臣を、内閣総理大臣、文部科学大臣及び厚生労働大臣とすること。

 第八に、この法律は、原則として、子ども・子育て支援法の施行の日から施行するものとすることなどであります。

 なお、附則において、政府は、幼稚園の教諭の免許及び保育士の資格等について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。

 以上が、本法案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。

中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

中野委員長 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案及び被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案の両案に対し、長妻昭君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。長妻昭君。

    ―――――――――――――

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長妻委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 修正の趣旨は、第一に、低所得である高齢者等への年金額の加算に関する規定、高額所得による老齢基礎年金の支給停止に関する規定及び交付国債の償還等に関する規定を削除すること。

 第二に、短時間労働者への厚生年金保険の適用拡大について、拡大の対象となる者の月額賃金の範囲及び厚生年金保険の標準報酬月額の下限を七万八千円から八万八千円に改めるとともに、本改正の施行期日を平成二十八年四月一日から平成二十八年十月一日に繰り下げること。

 第三に、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から、低所得である高齢者等に対する福祉的措置としての給付に係る制度を実施するため、同法の公布の日から六月以内に必要な法制上の措置が講ぜられるものとする旨の規定を追加すること。

 第四に、高額所得による老齢基礎年金の支給停止について、引き続き検討する旨の規定を追加すること。

 第五に、短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲をさらに拡大する旨の規定について、平成三十一年九月三十日までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとすること。

 第六に、国民年金の第一号被保険者に対する出産前六週間及び出産後八週間に係る国民年金保険料の免除措置について検討が行われるものとする旨の規定を追加すること。

 以上であります。

 次に、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 修正の趣旨は、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案等に対する修正に伴い、必要な技術的な修正を加えることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中野委員長 次に、子ども・子育て支援法案及び子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案に対し、和田隆志君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。西博義君。

    ―――――――――――――

 子ども・子育て支援法案に対する修正案

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

西委員 おはようございます。

 ただいま議題となりました両修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、子ども・子育て支援法案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 修正の趣旨は、第一に、教育・保育施設の定義を置き、認定こども園、幼稚園及び保育所をいうものとすること。

 第二に、市町村が、資産または収入の状況につき、官公署に対し必要な文書の閲覧を求めること等ができる者を、小学校就学前子供、子供の保護者または扶養義務者に限定すること。

 第三に、市町村は、支給認定に係る小学校就学前子供が、市町村長が確認する教育・保育施設から当該確認に係る教育、保育を受けたときは、保護者に対し、施設型給付費を支給するものとすること。

 第四に、市町村は、支給認定に係る小学校就学前子供が、市町村長が確認する地域型保育事業者から当該確認に係る地域型保育を受けたときは、保護者に対し、地域型保育給付費を支給するものとすること。

 第五に、教育・保育施設の確認は、設置者の申請により、教育・保育施設の区分に応じ、小学校就学前子供の区分ごとの利用定員を定めて、市町村長が行うこと。また、地域型保育事業者についても、教育・保育施設に準じて、確認に関する規定を整備すること。

 第六に、地域子ども・子育て支援事業に、子供及びその保護者の身近な場所において、地域の子ども・子育て支援に関する各般の問題につき、子供または子供の保護者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関との連絡調整その他の内閣府令で定める便宜の提供を総合的に行う事業を追加すること。

 第七に、政府は、平成二十七年度以降の次世代育成支援対策推進法の延長について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

 第八に、政府は、幼稚園教諭、保育士及び放課後児童健全育成事業に従事する者等の処遇の改善に資するための施策のあり方並びに保育士資格を有する者であって現に保育に関する業務に従事していない者の就業の促進その他の子ども・子育て支援に係る人材確保のための方策について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

 第九に、政府は、公布後二年を目途として、総合的な子ども・子育て支援を実施するための行政組織のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。

 第十に、政府は、教育、保育その他の子ども・子育て支援の量的拡充及び質の向上を図るための安定した財源の確保に努めるものとすること。

 第十一に、市町村は、児童福祉法第二十四条第一項の規定により保育所における保育を行うため、当分の間、支給認定に係る小学校就学前子供が、確認を受けた民間立の保育所から保育を受けた場合は、保育費用を当該保育所に委託費として支払うものとするとともに、当該市町村の長は、保護者等から、当該保育費用をこれらの者から徴収した場合における家計に与える影響等を考慮して定める額を徴収するものとすること。

 第十二に、施行日に確認があったものとみなされる対象に、この法律の施行の際、現に存する認定こども園を追加することであります。

 次に、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 修正の趣旨は、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の全部を修正し、子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律とするものであります。

 その内容は、子ども・子育て支援法及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、児童福祉法など五十五の関係法律について規定の整備を行うとともに、所要の経過措置を定めようとするものであります。

 そのうち、児童福祉法の主な修正点について御説明申し上げます。

 第一に、子ども・子育て支援法案に対する修正案の提出に伴う修正として、

 一、事業所内保育事業を、児童福祉法に規定するよう改正規定の整備を行うこと、

 二、国、都道府県または市町村以外の者が家庭的保育事業等を行う際、市町村による認可制とすること、

 三、保育所及び家庭的保育事業等の認可について、社会福祉法人、学校法人以外の多様な主体が参入する際の基準を規定すること、欠格事由を設けること等の所要の整備を行うこと、

 四、保育所及び家庭的保育事業等の認可について、都道府県等が条例で定める基準を満たした施設について、その設置者が欠格事由に該当する場合及び供給過剰による需給調整が必要な場合を除き、認可するものとすること、

 五、その際、保育所の認可に当たっては、都道府県は、児童福祉審議会の意見を聞くとともに市町村に協議しなければならないものとするほか、家庭的保育事業等の認可に当たっては、市町村は児童福祉審議会その他児童福祉に係る当事者の意見を聞かなければならないこととすること

であります。

 第二に、市町村が担う保育に対する責任に関する規定の修正として、

 一、児童福祉法第二十四条第一項に基づき、市町村は、児童福祉法及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、保護者の労働等の事由により、児童が保育を必要とする場合において、二に定めるところによるほか、当該児童を保育所において保育しなければならないこととすること、

 二、また、市町村は、認定こども園または家庭的保育事業等により必要な保育を確保するための措置を講じなければならないこととすること、

 三、市町村が行う保育の措置について、対象範囲を拡大し、あっせん、要請による円滑な利用ができない場合にも対応することで、保育の実施に関する市町村の権限と義務を強化すること、

 四、市町村が、待機児童が発生している場合に実施することとされている利用の調整、要請の事務を、当分の間、待機児童の有無にかかわらず実施することとすること

であります。

 第三に、保育所の定義に関する規定を修正し、保育所を、現行どおり、小学校就学前の子供に保育を行うことを目的とする施設にすることなど、所要の規定の整備、修正を行うことであります。

 以上、両法律案の修正の趣旨について申し上げました。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

 以上です。

中野委員長 次に、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案に対し、古本伸一郎君外五名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。野田毅君。

    ―――――――――――――

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

野田(毅)委員 ただいま議題となりました両修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、題名を、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律とすること。

 第二に、趣旨について、所得税及び資産課税の改正に係る規定を削除する等の修正を行うこと。

 第三に、所得税法、相続税法及び租税特別措置法の一部改正に係る規定を削除すること。

 第四に、税制に関する抜本的な改革及び関連する諸施策に関する措置に係る規定を次のとおり修正すること。

 一、低所得者に配慮する観点から、番号制度の本格的な稼働及び定着を前提に、関連する社会保障制度の見直し及び所得控除の抜本的な整理とあわせて、総合合算制度、給付つき税額控除等の施策の導入について、所得の把握、資産の把握の問題、執行面での対応の可能性等を含めさまざまな角度から総合的に検討するものとすること。

 二、低所得者に配慮する観点から、複数税率の導入について、財源の問題、対象範囲の限定、中小事業者の事務負担等を含めさまざまな角度から総合的に検討するものとすること。

 三、平成二十六年四月の消費税法改正の施行から給付つき税額控除等及び複数税率の検討の結果に基づき導入する施策の実現までの間の暫定的及び臨時的な措置として、社会保障の機能強化との関係も踏まえつつ、対象範囲、基準となる所得の考え方、財源の問題、執行面での対応の可能性等について検討を行い、簡素な給付措置を実施するものとすること。

 四、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律及び下請代金支払遅延等防止法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずるものとすること。

 五、扶養控除、年齢二十三歳以上七十歳未満の扶養親族を対象とする扶養控除、配偶者控除に係る規定を削除すること。

 六、年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施するものとすること。

 第五に、消費税率の引き上げに当たっての措置に関し、税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引き上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討するものとすること。

 第六に、消費税率の引き上げの規定の施行に関し、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずるに当たっては、第五の措置を踏まえるものとすること。

 第七に、所得税については、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、最高税率の引き上げ等による累進性の強化に係る具体的な措置について検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずるものとすること。

 第八に、資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点からの相続税の課税ベース、税率構造等の見直し及び高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大を通じた経済活性化を図る観点からの贈与税の見直しについて検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずるものとすること。

 次に、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨について申し上げます。

 修正の要旨は、第一に、地方消費税率の引き上げに当たっての措置に関し、税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、地方消費税率の引き上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討するものとすること。

 第二に、地方消費税率の引き上げの規定の施行に関し、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずるに当たっては、第一の措置を踏まえるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

中野委員長 これにて各修正案の趣旨の説明は終わりました。

 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時三十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する長妻昭君外五名提出の修正案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する長妻昭君外五名提出の修正案、子ども・子育て支援法案及びこれに対する和田隆志君外五名提出の修正案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する和田隆志君外五名提出の修正案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する古本伸一郎君外五名提出の修正案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案及びこれに対する古本伸一郎君外五名提出の修正案並びに長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案及び和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案の各案及び各修正案を一括して議題といたします。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、三党合意、そしてそれに基づく修正案、新法、これを中心に質問させていただきたいと思います。

 今、各種の世論調査を見ますと、国民の五割、六割が、消費税増税は反対である、こう答えております。また、今国会で法案を成立させる必要はないという声は七割に上っております。私は、国会はこの声に耳を傾けるべきだというふうに思っております。三党が合意したらすぐ通せ、こういうやり方は認めるわけにはまいりません。

 社会保障制度改革推進法案と認定こども園改正案というのは、一昨日の夜九時に提出されたばかりであります。とりわけ社会保障制度改革推進法案は完全に新しく提案された新法であります。また、一体改革関連法案の修正案に至りましては、昨日提出をされて、きょう午前中に提案理由の説明が行われたばかりでございます。この修正案の内容を十分に検討する余地さえないという状況であります。

 これらの法案は、検討時間を含めて十分に時間をとって、充実した審議を行うというのは当然であります。短時間の質問で採決するというようなことは絶対にやってはならない、このことを初めに強調しておきたいと思います。

 そこで、まず初めに確かめておきたいことがございます。

 ここに、申し入れという文書がありまして、これは昨日、六月二十一日付で、民主党幹事長輿石さん、政調会長前原さんの名前で自民党幹事長石原さんと政調会長茂木さんに申し入れがなされた文書であります。

 これを見ますと、実務者合意の後の石原幹事長、茂木政調会長の御発言中において、実務者合意及び合意文書とは異なり、事実に反する点があります、撤回、訂正されたい、こういうふうに書かれているわけでございます。

 民主党の提案者にまずお聞きをしたいと思いますが、なぜこんな文書を出したのか、何を撤回し、何を訂正することを求めたんでしょうか。説明をしていただきたいと思います。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 この申し入れ書、私も拝見いたしましたけれども、輿石幹事長、前原政調会長の名前で自民党石原幹事長、茂木政調会長に申し入れたということでございまして、今概要を言っていただきましたけれども、そういうような趣旨で出されたものだということで、私もこれを後から見させていただいたということでございます。

佐々木(憲)委員 こういうような趣旨というのはどういう内容なんでしょうか。

 この文書を見ますと、石原幹事長は六月十九日の記者会見において、閣議決定の効力はなくなった、最低保障年金もなくなった、あるいは、国民会議で考えていきましょうと民主党の側から頼んできたと発言されたとされているわけです。

 こういうことに対して抗議をしたということじゃないんですか。

長妻議員 これは、先生もう既に今お持ちのペーパーだと思いますので中身を細かくは説明しませんでしたけれども、ここに、申し入れの文書でありますのは、おっしゃるように、石原幹事長の会見について、閣議決定の効力はなくなった、あるいは、最低保障年金もなくなった、あるいは、国民会議で考えていきましょうと民主党の側から頼んできた、こういう御発言について、これはそういうことではないというようなことについてここで文書として申し入れをされたものだというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 そうすると、これは事実ではないというふうな御説明でありました。

 自民党の提案者にお聞きしますけれども、この中で書かれている、閣議決定の効力はなくなった、最低保障年金もなくなった、国民会議で考えていきましょうと民主党の側から頼んできた、この発言というのは、これは事実ですか。

鴨下議員 今、この申し入れというのを初めて拝見しましたけれども、この中に書いてある、石原幹事長、六月十九日の会見において、閣議決定の効力はなくなった云々、こういうような話については、我々実務者の間ではそういうようなことを議論したことはございません。

 そして、三党合意に至ったわけでございますので、先ほど長妻さんからお話ありましたように、我々はあくまでも、現行法、特に、今回閣法で提出されているこういうような法案につきまして、極めて精力的に議論をして合意に至った、こういうようなことでございまして、それ以外のことについては一切実務者としては議論しておりませんので、お答えするすべもありません。

佐々木(憲)委員 これは、幹事長、政調会長というのは、党を代表して、民主党から自民党へと申し入れたわけであります。そういう文書なんですね。

 今、長妻さんに確認したように、こういう内容について抗議をした。自民党は、こういう発言をしたというこの事実を踏まえて、一体どういう対応をされたんでしょうか。こんな抗議はけしからぬ、こういう対応をされたんでしょうか。そのことを確認したいと思います。

鴨下議員 今拝見したことで、我々にとっては、このことについての詳細、把握しておりません。

 さらには、この申し入れというのは、何か答えを返せ、こういうようなことでもなさそうでありますので、多分、これをお受け取りして、これで終わり、こういうことになるんだろうというふうに思います。

佐々木(憲)委員 鴨下さん、文書を読んでいないでしょう。この中にはこう書いているんですよ。真摯な対応を要請します、こう書いているんですよ。

 自民党から真摯な対応はありましたか、長妻さん。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 これについて、文書を出したということは私も承知しておりますが、その後の経緯については、今の段階で私は承知をしておりません。

佐々木(憲)委員 これは、解釈がこういうふうに大きく割れる内容の合意をしたということでありまして、合意にはなっていないんですよね、実際上は。それを玉虫色にして、何か合意があったかのようなやり方をしている。

 では、具体的に確かめていきましょう。

 社会保障制度改革推進法の第五条一項では、今後の年金制度については、「社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得ること。」とされております。

 ここに書かれている「今後の公的年金制度」というのは、民主党がこれまで掲げてきた最低保障年金制度を含むというふうに理解してよろしいですか。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 これは、公的年金制度のみならず、医療保険制度等々、幅広い形で議論になりました。当然、メーンはここに提出をさせていただいている五法案、この修正でございます。

 この公的年金制度につきましては、これは各党それぞれ、いろいろな御主張がある。我々は、今おっしゃっていただいたような最低保障年金、これは国民年金も含む報酬比例の年金とセットでございます。自民党には自民党のお考えがある、公明党には公明党のお考えがあるというようなことで、それぞれについて、ここに書いてあるとおりでございまして、今後の公的年金制度については、財政の現況及び見通し等を踏まえ、社会保障制度改革国民会議において議論し、結論を得る、この文字のままでございます。

佐々木(憲)委員 最低保障年金制度を含む公的年金制度ということについて、今後検討するという話でありました。

 第六条四項には、「今後の高齢者医療制度については、状況等を踏まえ、必要に応じて、」「社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得ること。」となっております。

 ここに書かれている「今後の高齢者医療制度」というのは、民主党がマニフェストで言ってきた後期高齢者医療制度の廃止というものも含んでいるんでしょうか。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 これも先ほどと同様でございますけれども、我が党には我が党の考え方がございます。当然、自民党には自民党の考え方がございます。公明党には公明党の考え方がございますので、それらについて、今後の高齢者医療制度について、状況等を踏まえ、まさに文字どおり、必要に応じて、社会保障制度改革国民会議において議論し、結論を得る、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 後期高齢者医療制度の廃止、これは当然この中の検討の対象になるということですね。

長妻議員 これは先ほども申し上げましたとおり、各党の御主張があります。

 このことについては、だからこそ、必要に応じて国民会議となったわけでございまして、我々が申し上げているのは、後期高齢者医療制度の廃止ということ、当然、廃止のみならず、その後の姿とセットの政策ではございますけれども、それは我が党の考え方であるということでございます。

佐々木(憲)委員 三党の確認書にはこう書かれているんです。「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」と書かれていたわけであります。

 これはそのとおりですね。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 今おっしゃっていただいているのは、法案ではなくて、確認書というのを三党で結ばせていただいたわけでございまして、ここに、おっしゃったように、「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」ということで、これは法律ではございませんけれども、三党間の確認ということがなされたということであります。

佐々木(憲)委員 では、三党協議と国民会議の関係についてお聞きしたいと思います。

 社会保障制度改革国民会議の二十人のメンバーは、「総理大臣が任命する。」「委員は、国会議員を兼ねることを妨げない。」第十条でありますが、そうされていますね。

 したがって、確認書で「三党間で合意に向けて協議する。」と書かれていましたけれども、具体的には、社会保障制度改革推進法案の「国民会議において検討し、結論を得ること。」この規定に沿って行われるということになると思うんですが、そう理解してよろしいんでしょうか、それとも、これとは別個に三党協議というものがあるのか、この点を確認したいと思います。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、確認書というのは法律の外でございまして、法律は国民会議ということでありますので、そういう意味では、この確認書にあるとおり、今後の公的年金制度や今後の高齢者医療制度にかかる改革は、「あらかじめ」とありますので、これは三党間で協議をするというふうに理解をしております。

佐々木(憲)委員 ということは、国民会議で決める前に三党間であらかじめ協議をして、合意を得た上で国民会議でそれを検討する、こういう形になるわけですか。

長妻議員 これは、今おっしゃっていただいたように、まず初めにこれがあって、それがクリアしたらその次というような厳密な取り決めというかそういうことは話し合っておりませんで、それは、三党協議というのはもちろんあるわけでございますけれども、同時並行か、前後関係は別にして、国民会議というものでもいろいろな議論をするというふうに理解をしております。

佐々木(憲)委員 これはどちらが決定権を持っているんでしょうか。鴨下さん、どうなっているんですか。

鴨下議員 三党協議をしつつ、最終的に国民会議が設置されれば、これはどちらがというよりは、むしろ、三党協議の合意をあらかじめ得つつ、国民会議は国民会議として、これは有識者が中心でありますから、必ずしも政治的な部分だけではない、いわば有識者の見解というものを尊重しなければいけないわけでありますけれども、大枠についての制度設計等については、これはこれからやっていくわけでありますが、三党協議がしっかりと合意に至るという努力の後に、国民会議の中でさらに詳細なことを決めていく、こういうようなイメージを持っておりますが、これは、これから法案が成立して、その後に設置されてから具体的なプロセスは決まっていくんだろう、こういうふうに思います。

佐々木(憲)委員 そうすると、三党間の協議があらかじめ行われて、それが前提となって、国民会議にそれがのせられて、専門的な検討が行われてという筋道をたどる、こういう答弁でありました。

 我々の立場から見ますと、民主党の最低保障年金制度というのは、財源が消費税だということでありますし、制度が四十年先の遠い将来でしか実現しないという点でいうと、根本的な欠陥があるというふうに思っておりますし、後期高齢者医療制度の廃止も、実際には看板倒れであります。

 それにしても、今答弁ありましたように、三党間で合意しない限りは最低保障年金制度も実現しないし、後期高齢者医療制度の廃止も実現しない、そういうことになるということは明らかだと思うんです。

 つまり、民主党がこれまで言ってきた主張は、自民、公明が了解しない限りこれは実行できない、そういう合意内容であります。

 自民党にこのことを確認したいと思いますが、野田さん、うなずいていらっしゃいますけれども、こういう内容だということですね。

野田(毅)委員 そのとおりです。

佐々木(憲)委員 となりますと、結局、民主党のこれらの、今まで目玉政策とも言われてきた、我々から見ると問題があると思いますけれども、その二つの、後期高齢者医療制度の廃止とか最低保障年金の制度をつくるとか、こういう点は、自民党や公明党が了解しない限りはこれはもう実現をしない、これが三党合意の内容だということが確認をされました。

 そうなりますと、この申し入れで書かれていた、最低保障年金もなくなりましたという自民党の主張は、これは事実ではないんでしょうか。野田さん、いかがですか。

野田(毅)委員 なくなったと言い切るのは気の毒かなと思います、これから協議するわけですから。そこは、それ以上攻撃しない方がいいんだろうと思いますね。

佐々木(憲)委員 いや、別に、攻撃というか、事実を確認しているわけなんですよ。最低保障年金制度は、自民党や公明党がオーケーだと言わない限りは実現しない、これは合意内容からいうとそれしか考えられないんですね。公明党の西さん、どうですか。

西議員 お答え申し上げます。

 自民党、公明党と民主党との協議を経て決まることですから、その順序というのはこれからの手続によるというふうに思います。今後の三党の協議の結果として、どうなるかということは最終的に決まるというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 確認しますが、公明党は最低保障年金制度というのは容認するんでしょうか。後期高齢者医療制度の廃止は容認するんでしょうか。

西議員 お答え申し上げます。

 そういう意味では、現行制度を中心とした改革というものを基本としております。

佐々木(憲)委員 結局、最低保障年金制度というのは自民党も公明党もそれは認めないと今言っているわけなので、それを幾ら今後の検討課題だと言っても、合意しない限りは実行しないと書いているんですから、したがって、この二つの柱というのは、完全に自民党、公明党によって民主党の案が棚上げされた。もっとはっきり言えば、否定された、こういうことだということが確認できました。

 次は、新しい社会保障制度改革推進法案、突然提出されましたけれども……(発言する者あり)違うんですか。

中野委員長 では、答弁してもらいましょうか。

佐々木(憲)委員 では、答弁してください。

長妻議員 佐々木先生にお答えを申し上げます。

 やはり、私はこれはかねがね申し上げていることなんですけれども、年金制度にしても医療制度にしても、これからの政治は政権交代が可能な政治体制になったと思っておりまして、しかも、ねじれ国会ということで、我が党だけが主張をして、それが一〇〇%無傷で、通そうと思っても通らない現実もありますし、あるいは、政権交代のたびに制度が変わっていては、やはりこれは国民の皆様が御迷惑をこうむるところでありますので、そういう意味では、本当に協議をしていかないと社会保障が前に進まない、こういう危機感もあるわけでございまして、そういう意味では、いろいろな各党の御意見を聞いて、それで、それを着地させていく、今回、そういう仕組み、仕掛けというのができているというふうに私は考えております。

佐々木(憲)委員 何かさっぱりわけのわからぬ話でね。

 民主党の主張がある、自民、公明はこれと全く違う主張をしている、合意をしない限り実現しない、そうすれば、民主党の主張は実現しない、そうなっちゃうんじゃないですか。そういうことがいよいよ明確になった。それを、何か、三党で合意して、さあこれから協議しましょうという話じゃないでしょう。そういう全く違う主張が棚上げされたまま、もっと言いますと、そういうことであります。

 次に……(発言する者あり)棚上げされたのは事実でしょう。では、今度実現するんですか、容認したんですか。

 だから、これは要するに棚上げされた。自民党の主張、公明党の主張と全く違うわけですから。そうじゃないんですか。自民党の答えをちょっとお聞きしたい。検討の余地があるのかどうか、お答えいただきたい。

鴨下議員 今お話ありましたように、それぞれの主張は主張として持っているわけであります。

 ただ、今回の三党の合意というのは、これは協議をしていって、最終的に、それぞれの立場をお互いに尊重し合いながら、ある方向性を協議して努力していこう、こういうようなことでありますので、それぞれの主張がかなり異なっていても、矛盾することではありません。より国民にとってふさわしい持続可能な社会保障制度をつくっていく、こういうようなことで協議していこうということが合意されたわけでありますので、ここから先は、我々が努力をして国民のためにしっかりとしたものをつくっていく、こういうようなことでございますので、決して矛盾するものではございません。

佐々木(憲)委員 わけのわからぬ拍手が出ておりますけれども。大体、全く違う内容の主張を、事実上、これは撤回されたわけであります。

 要するに、対立していることはこれは事実なんですね。矛盾しないと言っているけれども、矛盾しているわけですよ。矛盾しているから、これを自民、公明は否定しようとして、合意しない限りは実行しないんだよ、こういう文書になっているわけでしょう。そのことは、民主党の主張がそのまますっと通ることではないということなんであって、うなずいているから、全くそのとおりだと思うんです。

 新しく提案された社会保障制度改革推進法は、もともとこういうものはなかったんですけれども、これは自民党から提案されたと聞きますけれども、これは事実ですか。

鴨下議員 この法律は、もともと基本法というような形で、社会保障制度改革基本法ということで、我々はかねてからずっと党内で議論してまいりました。これが骨格になっていることは間違いございませんけれども、それを、今回の三党合意、約一週間、十日、我々は、昼夜を分かたず、ずっと協議をしてまいりました。

 その結果として、三党で合意を得たのが社会保障制度改革推進法、こういうような形になって、内容についても、それぞれの立場をそれぞれ主張し合いながら合意に至った、こういうことでありますので、名実ともに三党が提案している、こういうようなことにほかなりません。

佐々木(憲)委員 なぜ、こういう法案を自民党はつくれと言ったんでしょうか。その理由を説明していただきたい。

鴨下議員 社会保障制度そのものが、我々にとってみると、これから日本の国のいわば一番重要な政策になります。そういう中で、国民の負担それから受益、こういうものをきちんとバランスをとって持続可能なものにしていこう、こういうようなことが自民党のかねてからのいわば考え方であります。

 こういうような考え方に沿って、この法案の一番の骨格部分は我々として起草したわけでありますけれども、その後は皆さんのそれぞれの御意見があって、最終的には推進法、こういうようなことに相なったわけであります。

 自由民主党が考える、いわば受益と負担、こういうもののバランスをとった持続可能なものに社会保障とはあるべきだ、こういうようなことの哲学は十分にこの中に貫かれている、こういうふうに考えております。

佐々木(憲)委員 その考え方なんですけれども、推進法案には、社会保障の基本理念、医療、年金、介護など各分野における改革の基本方向が規定されております。ここには極めて重大な内容が私は含まれていると思うんです。

 例えば、社会保障の基本的考え方として、自助自立、公助、共助、こういう言葉があります。法案の中にこのような用語が入ったのは、これは初めてでしょうか。

鴨下議員 自助、共助、公助という言葉が法案に入ったということについて、初めてかどうかというのは私は承知しておりませんけれども、少なくとも、この法案については、自助、共助、公助、こういうようなものが、先ほど申し上げました、例えば受益と負担、こういうようなことのバランスにおいては、お互いに、まずみずからを助け、ともに助け合い、なおかつ足らざる部分は公、公助、こういうような形でしっかりとバランスをとっていこうというようなことが法律として書かれた、こういうことでございます。

佐々木(憲)委員 この内容は、いわゆる共助あるいは公助、これを後退させて、自立自助を基本に据える、そういう方向を意味するんじゃないんでしょうか。

鴨下議員 それは佐々木先生と私どもの根本的なところで多分差があるんだろうというふうに思っておりまして、確かに、我々は、自助、共助、公助、このバランスをとってやっていこう、こういうようなことでありますから、公助だけでやれて、そして負担がきちんとできるんだったら、そういうような考えも一方にはあるんでしょうけれども、今、大変なこういう負担の多いときに、それぞれ自助、共助、こういうバランスの上で持続可能な社会保障をつくっていく、こういうようなことが最も重要だと思っておりまして、これについて、今までになく、三党がこうして、こういうような方向で協議をして、そして合意に至ったということは、ある意味で、憲政史上で歴史的なことなんだろうというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 歴史的な大後退だと私は思いますけれどもね。

 公助だけでやれと言っているんじゃないんです。公助をふやせと言っているんです、我々は。

 税法の第一条、趣旨規定を見ますと、「支え合う社会を回復すること」というのがありましたね、最初。これが削除されたんですが、何で削除されたんですか。

古本委員 佐々木委員にお答えします。

 その前に、この間、三党で協議をさせていただいておりまして、大変国会の方も御協力いただきましたことに、冒頭、感謝申し上げます。

 支え合う社会の回復という、この言葉につきましては、三党協議の中で種々御議論がございました。最終的には削除と相至ったわけでございますけれども、御案内のとおり、世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築していくということが我が国の直面する重要な課題であるということに改めたわけであります。今回の社会保障・税一体改革の重要な考え方は、ただいま読み上げましたこの条文の中にしっかりと残っているものだと承知してございます。

 さらに、三党で提出させていただいております今回の社会保障制度改革推進法案、先ほど委員御指摘の部分でありますけれども、その中に、自助、共助、公助の最適バランスに留意をして、自立を家族相互さらには国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援していくということを明記いたしましたので、これは各党それぞれ哲学、理念がある中で、私は、ぎりぎりの合意に至ったし、何より社会保障の安定財源を確保していくということの大きな目的は、その範囲の中であるというふうに承知してございます。

佐々木(憲)委員 社会全体で支え合うという部分を削除しなさいと言ったのは、どの党でしょうか。

古本委員 お答えいたします。

 三党の協議の中で至った結論でございます。

佐々木(憲)委員 私が聞いたのは、どの党かと聞いたんです。

 つまり、政府の提案は、これは基本的には民主党は合意して出されているはずでありますから、自民党か公明党の方が「支え合う社会を回復すること」を削除しなさいという主張をして、削除されたんだろうと思うんですが、西さん、公明党はそういう主張をされましたか。

西議員 私は存じ上げておりません。

佐々木(憲)委員 結局、自民党ということですよね。それでよろしいですね。

野田(毅)委員 社会のあり方として、やはり自分の人生についてまず第一義的に自分が責任を持つ、これは当然のことだと思います。だけれども、自分ではそれだけのリスクをしょい切れない、それが実は、みんなでやろうというのが共助の世界であります。そういう意味で、支え合うというのはむしろ共助的な精神を言っていることだと思います。

 そういう意味で、我々は、自助、共助、公助という、この順番も言ってきているわけですから、両々相まって社会をみんなで支えるわけです。そういう意味で、みんなで支える。国家を支えるし、社会保障も支えるし、そういうことですから、格別、支え合うという表現というのは、私は、ここでそれを前面に出すということは必ずしも適切かどうかということはございます。

 以上です。

佐々木(憲)委員 自民党の提案によって、社会全体で支え合うという部分が削除をされた。それは、自立自助という考え方が基本であるから、こういう文言は必要がない、こういう趣旨の答弁でございました。

 私は、これは極めて重大だと思うんですね。国の責任で社会保障の増進を図ることを義務づけているのは憲法二十五条であります。それを真っ向から否定するものでありまして、また、社会保障への公費の投入を減らそうという意図が見え見えであります。

 この推進法案では、こう書かれているんです。「国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。」こうされております。

 国というのは、この中のどこに入るんでしょうか。

鴨下議員 「自助、共助及び公助が最も適切に組み合わされるよう留意しつつ、国民が自立した生活を営むことができるよう、家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していくこと。」この全てに国はかかわるわけでございますから、行間に、全てに国はかかわっていく、こういうようなことの理解だろうと思っております。

佐々木(憲)委員 国の責務というのはありますけれども、この一番基本のところで国が出てこないというのは、公助とか共助というその考え方を否定するということがここににじみ出ているわけであります。

 しかも、社会保障の公的負担の財源を、消費税収を主な財源とすると明記しているわけであります。これは、わざわざ社会保障を消費税とリンクさせて、消費税の増税も社会保障の削減も実行する、こういう仕組みになっていると言わざるを得ない。

 国、地方の社会保障四経費は、二〇一五年で三十四・八兆円ですね。その時点で、消費税は二十四・三兆円であります。社会保障を全額消費税で見るとすれば、社会保障を削らなきゃならぬ。社会保障を充実したいとなれば、さらに消費税を引き上げる、こういうことになる。そうなるんじゃありませんか。

野田(毅)委員 今御指摘のとおり、今現在の社会保障に要するお金とそれから調達される財源との間に非常に大きな開きがありますね。今日でさえそれだけの開きがある。今後、将来を展望すれば、なおさら高齢化が進んでいく。これはみんな常識だと思います。

 その中で、どういうところにその財源を求めていくのかということを考えれば、主な所要財源というのはやはり、保険料の値上げももう限界に来ているんじゃないんでしょうか。ほかの予算を削って持ってくることもかなり限界に来ているんじゃないんでしょうか。そしてさらに、借金をどんどんふやしてその穴を埋めてきたというのが今日の偽らざる姿じゃないでしょうか。

 そういったことを考えると、いよいよこれからますます団塊世代が成熟していく、そういったことを頭に置くと、きれいごとじゃなくて、やはり給付をその分だけ減らすわけにいかないわけでしょう。現状を維持するだけでも容易なことではない。みんなわかっているじゃないですか。

 それを前にして、やはり基本的な原則を持っておかないと、給付が先にあって、後から何でもいいから財源は勝手にやれというわけにいかない。そういう意味では、ある程度、財源の調達の仕方を、基本的に社会保障は社会保険を原則として賄っていこうということであるならば、その社会保険とは一体何ぞやということを考えてもらわなきゃいけない。その社会保険の中での公費の背景は、やはり消費税以外には、もちろんあるとは思いますよ、だけれども、主要なものはそこに求めるということをあの中に書いてある、こういうことです。

佐々木(憲)委員 大体、社会保障を消費税だけにリンクさせるということが間違っているんですよ。

 社会保障はその時点で消費税の税収より多いわけであります、今でも多いけれども。全部社会保障に充てようとしたら、消費税をもっと上げなきゃいかぬ。社会保障に足りないからといって、今度は社会保障の方を削る。どっちかの選択しかないじゃないですか。

 そうではなくて、消費税に頼らない別な方法を考えなさいと我々は言っているわけですよ。無駄の削減、一体どのぐらいやったのか。それから、法人税の減税、今必要なのか。大金持ちの減税、必要なのか。そういうことを検討もしないで、ただリンクさせて、両方とも国民負担だけが残るというのはやめた方がいい。

 法案には一体改革という言葉がないんですけれども、これはどこに行ったんでしょうか。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 今の御質問でございますけれども、社会保障と消費税、この委員会も一体改革という名前だと思いますけれども、これについては、それぞれ法案が一緒に提出をされております。その中で推進法というような法律があるということで、そういう意味で、消費税収を一つの当てにした社会保障の五法案ということでありますので、これは言わずもがなのところでありますので、法律上それが書いていないんだというふうに承知しております。

佐々木(憲)委員 この経緯の中で、各法案がかなり本質的な修正が加えられている。新しい法案も出てきた。したがって、当初の一体改革というのはばらばらになってしまって、一体という言葉さえ使わなくなった、こういうことであります。

 まず、税制改正案の中身でそれを確認したいんですけれども、法案名を変えましたね。法案の名前、何が変わったんですか。

古本委員 お答えいたします。

 このたび、法案の名前の、消費税法等の一部を改正する等の法律案から、消費税法の一部を改正する等の法律案ということで、消費税法等の等が落ちました。これにつきましては、所得税、資産課税の見直しにつきまして、二十五年度改正における検討事項ということで、関連する箇所を削除した、これに伴うものだと承知しております。

佐々木(憲)委員 要するに、修正案では所得税、相続税の規定が削除されて、残った主な柱は消費税の増税だけが残った、こういうことであります。三党協議の結果、消費税大増税を押しつけることだけが残ったんだ、こういうことであります。

 社会保障制度改革推進法の総則には、「所得税法等の一部を改正する法律附則第百四条の規定の趣旨を踏まえて安定した財源を確保しつつ」と書かれておりますが、この附則百四条にはこう書かれているんです。「格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、」「最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに」となっているんですね。これはどうなったんでしょうか、結果として。

古本委員 今委員御指摘いただきました附則の百四条、こちらの中に、格差の是正及び所得再分配機能の回復の観点から、各種控除及び税率構造を見直していく。とりわけ、最高税率及び給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに云々と書いてございます。

 今回、恐らく抜本改革という名に値しないんじゃないかということを御指摘いただいているというふうに思うんですが、この附則百四条による、税法も含めた一体改革のその要諦は、社会保障の安定財源、とりわけ年金の国庫負担二分の一引き上げに伴う財源確保等々、これは国民の皆様にも大変御理解いただく中で何とかやっていこうじゃないかという、今、野田毅先生からもありました、後代にツケ送りできないじゃないか、借金で社会保障を支えるというのはおかしいじゃないか、こういう議論から出発点はあろうかと承知しています。

 その意味では、今回の見直し、修正に伴いまして、二十五年度改正に先送るわけでありますけれども、逆に、二十四年度中に成案を得るということで、今回の改正の二十条、二十一条、とりわけ二十条に、所得税の最高税率の引き上げ関係につきましては、時期のピンどめと改革の方向感をあわせて提起いたしましたので、これは言うならば、附則百四条によって今日の改革が始まっていることを鑑みれば、このたび改めて二十条にそのことを規定したというのは大変重たい事実だと承知しております。

佐々木(憲)委員 いろいろな説明をしましたけれども、所得税法の改正も相続税の改正も、これは削除しちゃったわけです。したがって、百四条でささやかに規定されていた高額所得者への税負担の引き上げというのは、これはなくなっちゃったんですよ。結局、所得再分配機能を高めるという内容がなくなってしまった。

 年金国庫負担二分の一という話が出ましたけれども、大体、数年前に行われた所得税、住民税の増税、これは国民が大変怒って、政権交代の一つの背景になったわけですけれども、あれは何のためにやったんですか。あれをやったのは、年金の国庫負担二分の一引き上げのためだと。それで所得税、住民税の引き上げとやったわけですよ。国民が怒った。

 だけれども、その財源は一体どこに行ったんですか。それがすっかりどこかに行っちゃって、いや、今度は消費税の増税でそれを埋めるんだ。とんでもない話だ。一枚の証文で二回も三回も増税するようなもので、本当に私は許せないと思うんですよ。

 財務大臣、あなたは繰り返し、所得税は累進的だ、今回は最高税率を引き上げることになったんですからと。これは前提が崩れたんじゃないですか。

安住国務大臣 所得税と資産課税の見直しの方向性については三党とも合意に至っていた。しかし、具体的な案についてはさらに議論を尽くす必要があることも踏まえて、原案からは削除するものの、今提案者からありましたように、年度改正でしっかりやっていきましょうということになっていますから、旗をおろしたわけでも改革をしないというわけでも全くございません。

 そういう点では、今後、来年度の税制改正、再来年度の税制改正の中で、実質ここはどういうふうな累進性を持っていくかということをしっかりやってまいりますので、そうした懸念には及ばないというふうに申し上げたいと思います。

佐々木(憲)委員 大体、高額所得者の税率を引き上げるということを盛り込んでいたのを削除したんですよ。(発言する者あり)

中野委員長 傍聴席、静粛にお願いします。

佐々木(憲)委員 つまり、それを棚上げして、結局先送りしちゃった、今の話はそういうことなんですね。

 低所得者のための給付つき税額控除あるいは複数税率の導入、これは何か具体化されましたでしょうか。

古本委員 お答えします。

 今回、三党での協議に伴いまして成案を見たところによりまして、いわゆる低所得者対策として、二〇一四年の四月に、八%引き上げ段階において、いわゆる簡素な給付をよりしっかりとやっていこうということで合意に至っております。

 とりわけ、合意文書の中では、八%への引き上げに際しての、簡素な給付措置をやっていくということがその条件であるというところまで三党で確認し合ってございますので、ぜひ、この簡素な給付の実現に向けて、御党におかれましても御理解をいただければありがたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 簡素な給付を聞いているんじゃなくて、給付つき税額控除、複数税率の導入、これは具体化するに至らなかったということでしょう。

 結局、所得税の最高税率の引き上げをやめました、相続税の問題もやめました。年末の議論に先送りする。

 では、年金法案では、低所得高齢者、障害者等への年金加算の規定、これはどうなったんでしょうか。

長妻委員 佐々木委員にお答えをいたします。

 年金につきましては、原案では、低年金、低所得の方に一定額を上乗せする、こういうような原案を提示しておりました。これについて三党で協議をいたしまして、これはいろいろ考え方がそれぞれ異なるものがございまして非常に議論をしたところでございますけれども、結果としては、低年金、低所得の方に納付月数に応じて額を上乗せしていく、年金の法の中ではない形で着地をしたということでございます。

佐々木(憲)委員 低所得者対策については、税制の面でも年金の面でも、これは今回は入らなかった、入っていたものが削除された。その反面、高額所得者のわずかな負担も、これも削除した。

 こうなりますと、低所得者対策は、八%にした段階で現金給付を行うという方針を出しただけでありまして、結局、所得の再分配機能、これを何とか回復しようとしていたのかどうかわかりませんけれども、そのわずかな方向さえ、これが全部なくなってしまった。私は、これはもう本当に血も涙もない修正案だと言わざるを得ない。

 次に、三党合意では、「転嫁対策については、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、独占禁止法・下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずる旨の規定を追加する。」こういうことで入りましたね。

 これは、何か新しいことはあるんでしょうか。今までと変わらないんじゃないですか。

古本委員 これは、委員も御案内のとおり、平成元年、それから平成九年と、それぞれ、三%の消費税の創設、それから五%への税率の引き上げということを過去行ってきたわけです。その際に、中小事業者を中心に、消費税の転嫁の問題について、実態として転嫁し切れていないという問題が創設当初から惹起され、そして、五%引き上げ段階でさらに大きな問題となり、言うならば、平成九年以来の今回の改革になるわけであります。

 これに際し、三党での協議以前の話として、当然に我が党の中でもこの転嫁の問題を大変議論してきたプロセスがございました。

 その中で、改めてこのたび三党で相調った中身は、優越的地位の濫用による親会社から子会社に対する、いわゆる消費税分をかぶれというようなことがないようにやっていこうということを、独禁法の改正等々も視野に入れた、法改正も含めた対応をしていこうということを具体的に盛り込んだことが大きな前進だと承知しております。

佐々木(憲)委員 そういうことは今までも言ってきたんですよ。ところが、それが実際には転嫁ができない事態がますます広がっていて、しかも、五%から一〇%に税率を引き上げるとなると、その部分がさらに広がるということになるわけです。

 中央公聴会でも、例えば日本商工会議所特別顧問が意見陳述をいたしました。その際に配付した資料には、「実質的に消費税を転嫁を認めない事例」としてこういう例を挙げております。「見積もり段階で税抜き金額で提出したが、最終的な支払い時点で見積もり金額を税込み金額とされた。請求書等の表面上は消費税額の価格転嫁が出来たように見えるが、実質的には価格転嫁できていない。」あるいは、こういう指摘もあります。「消費税引上げ時に、消費税額分の原価低減を求められた。」つまり、単価を下げなさいと言われた。これらが実際の姿なんです。「円滑かつ適正な転嫁を確保する」と条文上に書いても、これは全然改善されるようなものではありません。

 下請は大変弱い立場にありますので、事実を指摘すると、親会社、元請との関係が悪くなって、法的に争うことを、そういう関係が悪くなるということを覚悟しない限り、なかなか相談しづらいんだ、こういうふうに言っているわけです。幾らこのGメンをふやしても対応できないんじゃないかと私は思うんですよ。

 日本に下請企業は何社あって、Gメンは何人つくるんですか。

古本委員 今回の税率の引き上げが二段階にわたっているということがございます。中小事業者や、当然、農林水産事業者等々、消費税の価格転嫁について懸念が大変示されております。これはもう委員御指摘のとおりでございます。

 その際に、例えば、消費税の導入時には実施されてまいりましたけれども、九年の引き上げ時には実施できなかった表示カルテルあるいは転嫁カルテルなど、独禁法の適用除外とするために法的措置を行うということまで踏み込んで整理してまいりたいというふうに思っています。

 また、優越的地位の濫用、先ほど申し上げましたが、これまで以上に厳格に監視、取り締まりを行うということが肝要かと思います。

 例えばですが、事業者が優越的な立場を利用して、消費税の引き上げ分を、今先生がおっしゃった、値引きを一方的に要求するような話があった場合に、原価低減とおっしゃいましたが、原価改善と称してそんなような話があったならば、これはもう言語道断でありまして、さらには、対価なしに店頭店員に、メーカー側から派遣を強要されて、九年の当時は、シールの張りかえ、紳士物のソックスのシールを張りかえたという話も聞いております。例えばそういうようなことが、当然に違反となる行為であって、具体的に、これまでのガイドラインでの対応に加えて、法律による規定ができないかということをこれまで議論してまいりました。

 最後、結論でありますが、これは当然、課徴金も含めまして、違反者に対するペナルティーを強化することで抑止効果を高めたい等々を考えてございます。

 いずれにしろ、政府におかれても検討されていると思いますし、三党においても、このことはやっていこうということで合意に至っておりますので、また今後とも御党にも御指導賜りたい、このように思っております。

佐々木(憲)委員 今の説明では、全く、この転嫁問題の解決がそれで始まるなどとは到底思えない。大体、日本に莫大な数の下請業者がいるわけです。その下請に対して、一体、Gメンを何人つくるつもりですか。その数字も答えられない。これで何か転嫁ができるかのようなことを言っても、これはもう話にならないと私は思います。

 消費税を増税しないということがやはり一番の対策ですよ。そして、今やるべきことは、消費税に頼らない、そういう財源をしっかり確保することでございます。これは先ほども指摘いたしました。

 今回の修正の内容を見ますと、結局、今まで民主党がマニフェストで掲げてきた、本当にささやかな所得再分配の機能そのものも完全に否定された、そういうようなもので、消費税増税だけが残ってしまった。こういう法案を、何かすぐ採決しなさいというような話が聞こえてきますけれども、とんでもない。これは、修正案がまだ出たばかりでありますから、したがって、この法案については、今まで政府が出してきた法案に対する質疑の時間、約百時間だといたしますと、当然、その倍ぐらいの質問をしなきゃおさまらない、そういう大改悪だと言わざるを得ない。このことを指摘して、終わります。

中野委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、小林正枝さん。

小林(正)委員 新党きづなの小林正枝でございます。

 社会保障と税の一体改革関連法案並びに修正案につきまして質問をいたします。

 まず、本題に入る前に、長妻先生にお伺いしたいことがございます。

 二〇〇九年九月十七日、厚生労働大臣として初登庁された長妻先生は、幹部職員を集めた訓示の中で、民主党の衆院選マニフェストの冊子を手にしながら、マニフェストを、ある意味、国民と新しい政府との契約書あるいは命令書と考えてもよいと訓示され、厚生労働省所管の部分を熟読し、どうすれば実行できるか知恵を出してほしいと、約千人の職員を前に訴えられました。そのことは御記憶にございますか。

長妻議員 もちろん、きちっと覚えております。

小林(正)委員 ありがとうございます。

 今でも、胸ポケットには民主党のマニフェストはお持ちでしょうか。国民との契約書はお持ちですよね。

長妻議員 きょうは持っております。ここに持っております。

小林(正)委員 ありがとうございます。長妻先生が非常に正直な方ということがよく理解できました。

 それでは、本題に入らせていただきます。

 民主党、自民党、公明党の三党は、六月十五日に、政府提出の消費税増税関連法案と自民党が提出した社会保障制度改革基本法案の修正で合意をされました。当初、自民党と公明党は、民主党のマニフェストを撤回することが一体改革の法案修正の前提だとおっしゃっていました。その後、自民党のお考えが変わったようで、マニフェストを撤回しなくても、民主党との間で修正合意がなされました。

 ところが、先週の土曜日、十六日の日に、谷垣総裁は、消費税関連法案で修正合意したのは、民主党のマニフェストのまやかしに歯どめをかけるためだと街頭演説で訴えられました。つまり、三党で修正合意をした後も、谷垣総裁は修正合意前のお考えを貫いていると私は思います。

 まず、民主党にお尋ねしたいのですが、谷垣総裁がおっしゃるように、三党合意でマニフェストに歯どめがかけられた、つまり、事実上マニフェストは撤回したのだと理解してよろしいのでしょうか。

長妻議員 お答えをいたします。

 先ほど佐々木委員からも同じような質問がございましたけれども、我々は、今おっしゃっていただいたような民主党としての考え方というのがあります。当然、自民党には自民党の考え方がありますし、公明党にも公明党の考え方があります。

 それらについては、いろいろな、今回の推進法あるいは三党の協議などなどの場面を通じて、それを一つにまとめ上げていく、こういうような作業をしなければいけない。これは、ねじれ国会でもありますし、ねじれていなくても、国家百年の計の社会保障は、政権交代のたびに大きく制度が動いてはいけないということでありまして、決められる政治をしないといけないという各党の思いがそういう結果になったんだというふうに思っております。

小林(正)委員 マニフェストを常に胸ポケットに入れている長妻先生から聞いた御答弁とはとても思えません。

 今御答弁をいただきましたが、実務協議の当事者でありました細川前厚生労働大臣も、メディアの取材に対して、マニフェストは撤回されていないと強調されています。ですから私は、当然今でもマニフェストは生きているものだと考えております。

 そこで、自民党にお尋ねいたします。

 最低保障年金と後期高齢者医療制度を社会制度改革国民会議に棚上げし、修正合意をしたのは、平たく言えば、民主党が主張している最低保障年金の必要性に気づき、また、後期高齢者医療制度の問題点にも気がついたということなのでしょうか。

鴨下議員 今お話しになった話につきましては、実務者協議の中では具体的に議論はされておりません。今回の議論の中では、特に今回出ている法案、これについての修正について議論をしてきたわけであります。また、加えまして、先ほどから御議論があったいわゆる推進法、これについての修正をしてきた、これが実務者の中の議論でありました。

 今、先生からの御質問でありますけれども、民主、自民、公明三党の確認書の中では、今後の公的年金制度、この中には場合によると最低保障年金も入るかもわかりません、それから今後の高齢者医療制度、これに係る改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向け協議をする、こういうようなことを合意したわけでありますので、マニフェストをおろしたとかおろさないとか、こういう議論はこの中で行われていないというのが事実であります。

小林(正)委員 ただいまお二人から御答弁をいただきましたが、私にはどうしても、法案も合意されている二つの政党が同じ方向を見ているとは思えません。非常に矛盾を感じます。

 そこで、法案提出者の公明党さんは、どのようにお感じになられたのでしょうか。

西議員 お答え申し上げます。

 私どもは、税と社会保障の一体改革というものは、社会保障全般ということを課題にすべきであるという大前提で議論を進めてまいりました。しかし、現実には、この議論というのは、年金と子育て、これが中心ですね。そういう意味では、やはり早急に、その他の、特に医療とか、さらには介護、そういうさまざまなものを仕上げていく必要がある。

 こういう意味で、今のこの民主党のマニフェストを撤回するとか撤回しないとかいうよりも、それは一つの民主党の政策といいますかお考えですから、三党がそれぞれこの内容について議論をした上で、国民会議とも並行して議論をしていただいて、早急に結論を得る、こういう考えでございます。

小林(正)委員 ありがとうございました。

 今の御答弁を伺って、私は、自民党さん、公明党さんというのは、非常に広い心の持ち主だということを感じました。

 次に、少し角度を変えて質問させていただきます。

 先般、五月三十日、私は本委員会で質問をさせていただく機会を持ちました。その際、私は、小宮山厚生労働大臣に、低所得者の方々に一律六千円を上乗せして、四十年間年金保険料を納付し続けた人が七万円の年金を受け取れるようにしようとするのは、マニフェストで言った最低保障年金の七万円という数字を根拠にしているのですかとお尋ねしました。それに対する小宮山大臣の御答弁は、近年の統計により、単身高齢者の基礎的消費支出が六万七千円から七万円であることを参考にし設定しましたとおっしゃいました。

 今回の修正合意では、月額六千円の定額加算をやめ、月額五千円を基準に保険料納付期間に応じ福祉給付をするということになったようですが、そうだとするならば、厚生労働大臣がおっしゃられた趣旨の、高齢者の生活実態に基づく社会保障政策ではなく、足りない部分を福祉で補うということになります。一人の人間に対して、二つの制度を使って一つの給付をするようなもので、余りにも理念と哲学がないのではないかと思うのですが、厚生労働大臣はそのようにお考えになりませんでしょうか。

小宮山国務大臣 提出しました政府案では、低所得者対策として一定の効果を出すという観点と、保険料の納付意欲に配慮する観点から、定額加算と免除期間への割り増し加算を組み合わせた加算制度を提案いたしました。

 今回の修正案は、この特別委員会での御議論も踏まえて、民主、自民、公明の三党間で真摯に協議が行われた結果であると受けとめまして、これを尊重したいというふうに考え、別に矛盾をしているとは思っておりません。

小林(正)委員 今大臣から御答弁をいただきましたが、年金の定額加算をやめて、福祉給付という全く別な制度をくっつけざるを得なかった理由を、それぞれ三党の方々からお聞かせください。

長妻委員 これについては、当初は、我々といたしましては、今おっしゃっていただいたように、低所得、低年金の方々に定額の上乗せをさせていただこう、こういう発想で、原案をここでも御審議をいただいていたところであります。

 当然、野党の皆さんの御協力がないと、法案は参議院では一本も通らないという冷徹な現実がございます。今回、三党協議ということで、その中で、我々は我々の原案の主張をいたしました。当然、自民、公明さんは別のお考えがございまして、それを、かなりの長時間、一つ一つ積み上げの議論をしてまいりまして、これが壊れると今回その法案が成立しないということになって、その部分が先送りされる、こういう懸念もございましたので、そこは、我々は、趣旨を大きく崩さない形で、いろいろな御主張にも配慮をして、年金法の枠外での、おっしゃっていただいた福祉的給付措置というような形で、かつ、納付月数に応じた上乗せというような形にさせていただいたところであります。

 いろいろな考えがございましたけれども、一つは、やはり定額で上乗せをすると、未納が多い人も少ない人も同じ金額が上乗せになる、ここら辺も論点となったところでございまして、今回、そういうような措置になったわけであります。

加藤(勝)委員 私どもも、従前より、生活に困窮しておられる高齢者で、無年金あるいは特に低年金の方々に対する対応、この必要性というのは十分認識をしているところでありますけれども、ただ、年金制度というのは、そもそも保険料に応じて年金が支給されるということが原則でございます。

 そういう意味で、今回の措置は、保険料納付に基づかない給付ということでございますので、社会保険方式を中心とした今の現行制度には私どもはもともとなじまない、こういう考え方から、今、長妻先生の方からもお話がありました、議論の中で、年金関連法によって定められている年金制度の枠外において行われる福祉的給付措置ということで、こういう形にさせていただいたところでございます。

西委員 お答えいたします。

 我が党は、もともと加算年金という考え方を持っておりました。今回、必ずしも年金制度の中ではありませんけれども、納付月数に応じてその加算をしていくという考え方、これは、まだまだ私どもの考えている額とか理想には至りませんけれども、一つの方法であるということで、今回のこの協議については合意をさせていただいた次第でございます。

小林(正)委員 次に、岡田副総理にお伺いいたします。

 先般の委員会質問で、私が、国民の四割以上が加入していない国民年金を国民皆年金と言えるのでしょうか、今回の一体改革の法改正によって国民皆年金の本来の姿が復活するとお考えでしょうかとお尋ねしたところ、岡田副総理は、今回の改正のどこの部分が国民年金の不信解消に意味がないとお考えなのかというふうに、質問を私にされました。

 私は、低所得者に定額六千円の上乗せをしたとしても、非正規社員への厚生年金適用を多少拡大したとしても、また、受給資格期間を十年に短縮したとしても、保険料が未納の四二%の人たちを説得して国民皆年金の姿を取り戻すことは難しいと考えていました。

 しかし、それどころではありません。低所得者には、年金加算ではなく給付金にするとか、非正規社員の厚生年金適用を大幅に縮小するなど、さらに改悪をされた今、国民皆年金の姿は遠い夢のように感じざるを得ません。

 岡田副総理は、先日、私の質問に正面から答弁されず、自信満々に逆質問をされましたが、ここまで自民党、公明党に譲歩した今でも、前回のように、なぜ国民の不信解消にならないのかと堂々と発言されるのでしょうか。

岡田国務大臣 前回私が申し上げたのは、二点なんですね。一つは、国民年金について、基礎年金国庫負担分二分の一の恒久化、それから、今回、年金の持続可能性の確保のための特例水準の解消。この二つは、今回の三党協議によって中身が変わっておりませんので、何か後退したということはございません。

 それから、今回、三党で御協議いただいて、今委員御指摘のところも、しかし、現状と比べれば明らかに前進しているわけであります。何もしないというよりは、前進させたということは、私は、年金制度に対する信頼感という意味で、非常に意味があったというふうに考えております。

小林(正)委員 最低保障年金の創設というマニフェストさえ守れず、また、大企業の圧力に屈し、非正規社員を厚生年金に入りにくくしてしまい、さらに受給資格期間が十年に満たなければ掛け損になってしまうような制度で、国民が納得すると思われているのでしょうか。国民の生活が第一といった民主党の政権公約の哲学と矛盾するとは思われないのでしょうか。

岡田国務大臣 最低保障年金を初め年金制度に関しては、これは、先ほど来ずっと議論がありますように、これから各党間でよく議論をしていくということです。

 長妻さんも言われたように、今、自民党、公明党、あるいは民主党、それぞれが、単独あるいは二党で何か法案修正とか新しい法律をつくるということはできない状況。やはり、各党が、国民の立場に立って、どういった年金制度が望ましいか真摯に議論していく、そして合意点を見出していく、それこそが私は今の政治にとって求められる重要なことではないかというふうに考えております。

小林(正)委員 時間が参りましたので、最後に一言申し上げたいと思います。

 私は、マニフェストも政権公約も絶対的なものではないと思います。しかしながら、消費増税に関しては、やらないと言って総選挙をしたのです。もっと言えば、小泉構造改革に苦しんだ人たちが、格差社会のつらさに気づいて、生活が第一ということを選択したのです。貧困と格差が続く中、どうしてこの時期に逆進性の強い消費増税を選択するのでしょうか。高額所得者への所得税や資産課税など、ほかにも方法はあったと思います。三党の修正案はそういう意味で矛盾に満ちていると強く申し上げ、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて小林さんの質疑は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 議員石田三示君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 石田三示君。

石田(三)議員 新党きづなの石田三示でございます。

 今、委員外質問を御許可いただきまして、ありがとうございます。

 まず冒頭、過日の私のこの委員会での質問の中で、小宮山大臣に原発再稼働の御質問をさせていただきました。

 厚労大臣として国民の健康を守る、まして少子化担当大臣として子供たちの将来についていろいろ考えなきゃいけない、そういった立場の中で原発再稼働をどうお考えですかというような質問を私はさせていただいたと思うんですが、その中で、私の所管外でございまして、所管の担当大臣がきちんと判断をされると思いますと。それは当然でございます。

 小宮山大臣としての御所見をお伺いしたい。もう一度、ひとつよろしくお願いします。

小宮山国務大臣 再起動の判断は、先日申し上げたとおり、所管の大臣がされると思います。

 ただ、健康とか子供のことを考えたときに、例えば、私の所管の中でも、御自分のお宅で人工呼吸器を使っている方とか、いろいろ、医療関係でも、電気が動かないと命にかかわる方もいらっしゃるわけですので、そうした意味で、総合的な判断を所管の大臣がされるというふうに私は思います。

石田(三)議員 国民の命を守っていく、そういった立場にある大臣として、今の御答弁は足りないというふうに私は思います。もう少ししっかり踏み込んで、御自分の本当の御意見を言っていただけたらありがたいなというふうに思いますが、もう一度、どうですか。

小宮山国務大臣 それは、野田政権としても、将来は脱原発依存に向かっていくという、ただ、私の立場からしましても、医療などをお預かりしている立場からしても、徐々に減らしていくというのが現実的な考え方だと私は思っています。

石田(三)議員 では、小宮山大臣も再稼働には賛成という立場でという判断をしてよろしいですか。

小宮山国務大臣 それは、政権の一員といたしまして、所管の大臣が判断をされたことは、それが正しいというふうに思います。

石田(三)議員 小宮山大臣は再稼働に賛成というふうに判断をさせていただきたいというふうに思います。

 それでは、早速質問に入りたいと思うんですが、この委員会、きょうまで百二十時間ぐらいやっているんですか。非常に原則的なことを伺いたいと思うんですが、修正協議が三党間でどのくらいの時間をかけて行われたのかわかりませんけれども、今までのここで議論した百二十時間というのは一体何だったんでしょうか。最初から三党協議をして御提案いただいたらよかったのかなというふうに思うんですが、どうですか。

岡田国務大臣 ここで百時間を超える御審議をいただき、委員にも御協力いただき、本当にありがとうございました。

 私は、ここで本当に真摯な御議論をいただいた結果として、いろいろな論点が浮かび上がり、どこが対立し、調整が必要かということが明らかになった、そのことを踏まえて三党間で協議が行われ、合意ができたというふうに思います。この長い議論、審議がなければ、そういった三党間での合意には至らなかったというふうに思っております。

石田(三)議員 この百二十時間が必要だったというふうに判断をさせていただきます。

 この委員会は社会保障と税の一体改革ということであります。今回、この修正案を見ますと、肝心なところは、各三党間で協議がうまくいかないところは全て棚上げ、先送り。何が何でも消費税を上げたい、そういうふうにしか見えないんですけれども、これでは単なる増税審議じゃないですか。どうですか。

岡田国務大臣 三党合意の中身は協議していただいた方々に御答弁いただきたいと思いますが、私は、非常にいい議論をしていただいた結果、合意点ができたというふうに思います。

 増税だけではもちろんありません。中身をごらんいただければ十分御理解いただけるわけですが、重要な問題についてそれぞれ答えを出し、そして、国民協議会もつくって、これから政党間でも有識者も入れて議論していこうという方向性もはっきり出た。私は、社会保障制度について各党がしっかり協力してやっていこうということを確認したという意味で、非常に画期的なことではないかというふうに思っております。

石田(三)議員 画期的な三党合意だったということでしょうか。

 それでは、財務大臣にお伺いしたいと思うんですが、私は税制のプロではありませんので、基本的なことをお伺いしたいと思うんです。

 税制度の本来の目的というのは、高所得者から税金を重い負担をしていただいて、それから低所得者へいろいろな社会保障をしていくということだ、そういう再配分をすることだというふうに思っています。税負担、そうした能力に見合う形で所得のある方から取るものだというふうに思います。そうではないでしょうか。それでよろしいですか。

安住国務大臣 国それぞれ、どなたにどういう御負担をお願いするかは、やはりその国の文化とかさまざまなライフスタイルとかがあるので一概には言えないと思いますけれども、先生の御指摘のことは、基本として、やはり累進税率があって所得課税というのが成り立ってきたということは事実でございます。

 ただ、それだけで賄えない部分は、やはり世界的に見ても、水平的な税である、付加価値税と諸外国では申しているわけですけれども、こうした消費税のような、広く御負担をお願いするような税をもって、これは一律で課税をするということですね。こうしたもののバランスと組み合わせて、国民負担率をどれぐらいにするかというのは、やはりそれぞれの国で考えなきゃいけない。

 ここで先生、一つ考えないといけないのは、そこだけでなくて、やはり財政赤字の分をどう考えるかというのは一つ考慮点にあると思うんですね。それからいうと、日本の場合は、どうしても、国民負担率全体を考えても、税の負担というよりも将来の借金にある程度依存をしていて、国民負担率が低くなっている部分をどうするかというのが、一方で、今回の場合、大きな論点だったということは言えると思います。

石田(三)議員 率的には、高所得者は非常に率が低くなっている、一般的な生活者は率が高い、あるいは大会社は、法人税を下げる、社内留保がふえているという状況の中で、やはり、一般の生活者に対する所得税というのは、私はこれは不公平な税制だというふうに思っています。

 今回、消費税一%で二・五兆円ぐらい見ていますよね。今のデフレ下で、本当にこれだけ、二・五兆円の税収が上がるとお考えですか。

安住国務大臣 今回は、二・七兆円ぐらいを一%で見積もっております。

 ただ、先生、過去の例を見ますと、この十年間も我が国はデフレ状態だったですね。そういう中でも大体二・五兆円前後で非常に安定した税収が入ってきておりますので、そういう意味では、税収が上がるのかという問いに対しては、決して根拠のない数字を出しているわけではございません。過去十年の平均で見ても、好不況の波はありましたけれども、消費税については安定した税収が確保できていると思っております。

石田(三)議員 財務大臣、複雑に考えないで、ごくごくシンプルに考えていただきたいんですが、不景気で収入が少ないのに、税金が上がって、それでも購買意欲が湧くというふうにお考えでしょうか。

安住国務大臣 付加価値税の特徴というのは、余り、むしろ、法人税や所得税の方が好不況の影響を受けやすいんですよ。それから比べれば、例えば二〇〇〇年代を見ましても、あのデフレ下の中でも好不況の波は非常にあったわけですね、二〇〇〇年代の半ばから七年ぐらいまでは非常に好況でしたから。しかし、その後、ぐうんとリーマン・ショックで落ちていますけれども、しかし、税収全体をならすと、毎年の一%に対する税収というのは、さほど消費税の場合は変わっていないということは事実でございます。

石田(三)議員 それだけ、好景気、不景気にかかわらず、平たく取っているということだろうというふうに思うんですが、ということは、高所得者には税率的には負担が少なく、低所得者には負担が大きいということになりますよね。

 それから、消費税は、利益が出ていようといまいと、赤字であっても売り上げに応じて負担がかかるわけでございます。そういったことから、いわゆる滞納リスクの高い税金だというふうに言わざるを得ないわけであります。

 今回一〇%になるわけでございますけれども、まあ、なるかどうかわかりませんが、なるとするならば、これによって、無理な消費税の徴収によって、中小企業の運転資金ですとかいわゆる給与準備金、そういったものの枯渇、それから倒産、それから、最悪考えられるのは自殺とか、そういった非常に社会問題に発展する懸念があるというふうに私は思っております。

 国税庁の平成二十二年度の租税滞納状況のデータですけれども、国税全体の滞納額は六千八百三十六億円、そのうちで消費税の滞納は三千三百九十八億円、滞納全体の四九・七%、五〇%を占めている。それほど滞納リスクの高い税金だということだろうというふうに思います。

 そういった、消費税が経営的に相当支払いにくい種類の税金であることを示していると思うんですが、どうでしょうか。

安住国務大臣 消費税全体のパイが大きいものですから、滞納額だと三千億という数字は大きいように見えますが、実は、全体でいうと九六%ちょっとであります。それを二、三年フォローしますと、九九%台まで上がってきていますから、そういう点では、私は滞納リスクという言葉は当たらないと思っております。比較的納税額が安定をして、そして一〇〇%に近い納税は行っていただいているというふうに我々は理解をしております。

 それで、先生の御指摘、不安というのは、やはり消費税の持っている特徴は、確かに同じ税率をかけるわけですから、そこで所得の低い方の方が負担割合が高まるというのが逆進性なわけですから、それに対しては、十分三党間でも認識をした上で、早い段階から簡素な給付措置を含めてそうした逆進性対策をしっかりとることによって、いわば負担割合が比較的高いと言われる方々に対する対策をしっかりとるということは申し上げておりますので、そうしたことで対策をしっかりとっていけば大丈夫だと私は思っております。

石田(三)議員 では、ちょっと視点を変えて話をさせていただきます。

 消費税増税、不退転の決意と総理は言っております。今回、多分その原因の中に、少子高齢化のために年々ふえ続ける社会保障費に対応するためには、もう増税以外にはないんだということだろうというふうに思っていますが、それでよろしいでしょうか。

安住国務大臣 先ほど野田毅先生からお話がありましたけれども、保険料を中心にやってきても、社会保障の賄い切れない分は公費負担をしてきた。その公費負担の部分が非常にふえ始めているわけですね。そこを賄うのには、国民の皆さんで御負担をいただくという点からいえば、私はやはり、この消費税というものを中心に据えるというのは極めて適切な考え方だと思います。

 ですから、お預かりした消費税というのはそのまま、今も高齢者三経費で使われていますけれども、それにプラスして、今回、目的税化をしっかりした上で少子化を含めて使わせていただく。

 先ほどの佐々木先生との御審議でもあったように、それでもまだまだ足らず前があるわけですから、そういう点では、社会保障をきちっと維持して、今のようなクオリティーの高いサービスを続けて維持をしていくという視点もぜひ持っていただければ、この消費税の意味というものは十分御理解をいただけるんじゃないかと私は思います。

 単に、重税を課して、それで国民生活をきつくするだけではないという視点もあるということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。

岡田国務大臣 消費税しかないという委員のお話ですが、そうではなくて、消費税も必要ですが、同時に、経済成長も必要だし行政改革も要る、全てをやっても、それでもなお残念ながら今の財政の状況というのは深刻だ、あらゆることをやっていかなければならない、その一環としての今回の増税であるというふうにお考えいただきたいと思います。

石田(三)議員 では、消費増税がまず最初だ、こうおっしゃっているわけですか。

岡田国務大臣 委員も、与党民主党で何年間か過ごされたわけです。ですから、よくおわかりいただいていると思いますが。

 例えば、我々、行革に一生懸命取り組んできたわけです。そして、成果も上がっています、事業仕分けもやりましたし。例えば、独立行政法人に関して言えば、その事業規模も、三兆円のうち毎年三千億減っているわけです。独立行政法人の持っている二兆円のお金を一般会計で使っているわけです。

 ですから、あらゆることをやってきているので、もしやっていないというなら、具体的に言っていただきたいし、豊田さんも今いろいろやじっておられますが、もし何もやっていないというなら、あなたは何をしたんですかと私は問いたい。

石田(三)議員 大変厳しいというか、挑戦的なというか、意見をいただきました。

 今回はこの消費増税が議論になっているわけですので、一般的には、まず消費増税ありきというふうにとられても、これは仕方がないことだろうというふうに思います。

 名目GDPが上がれば各種の税金は上がってくるわけで、そっちを目指すというのが方法論としては一つあるんだろうというふうに思うんです。そういった、消費税しか税収の道がないんだよということではなくて、そっちに視点を移していただいてしっかりやっていただくということが私はまず大事なんだろうというふうに思います。

 それから、時間ももうなくなりましたので、総合こども園の撤回についてちょっとお伺いしたいと思うんです。

 私は、過去二回、この委員会で、全てほとんど小宮山先生にこども園についてお話を伺ったんですが、修正協議で総合こども園を撤回、これについてどう思われますか。

小宮山国務大臣 この委員会の審議の中でもずっとお話ししてきましたけれども、現在の認定こども園というのは、これは、学校教育、保育を一体的に行う先駆的な施設で、保護者にも施設にも御評価いただいていますけれども、二重行政ということと財政支援が不十分だという、この課題がありました。

 総合こども園では、この認定こども園の趣旨を引き継ぎながら、幼稚園、保育所、それぞれの認可や指導監督の一本化、そして、こども園給付による財政支援の一本化などによって制度の充実を図ろうと考えていました。

 今回の修正協議を経て、総合こども園の創設ではなくて、認定こども園制度を拡充するということになったんですが、認定こども園、幼稚園、保育所を通じた共通の施設型給付を創設すること、また、幼保連携型認定こども園について、単一の施設として認可、指導監督などを一本化するということ、また、内閣府に改正後の認定こども園法を所掌する体制を整備することによりまして、課題だった二重行政と不十分な財政支援、こうしたものを解決して制度の充実を図るものになりましたので、提出した法案は、この修正された修正案によりましても、目指そうとしている事柄は実現をしていけるというふうに考えています。

石田(三)議員 私も質問させていただいたんですが、株式会社の参入、その必要性と規制についていろいろとお話をいただいたんですが、これについても、今回、撤回されました。それについて、そのときの答弁を撤回されますか。

小宮山国務大臣 撤回というか、私どもが出した法案では、株式会社にも参入していただくということで、その狙いということを申し上げましたが、今回、三党での修正の結果、幼保連携型認定こども園は株式会社による設置は認められませんでした。ただ、これまでも保育所には株式会社が入っていますので、保育所型の認定こども園はできます。そこへ同じように手当てをしていけば、私は、そこのところは、狙いのかなりの部分は可能だというふうに思っています。

石田(三)議員 保育園型認定こども園は大丈夫なんですか。

小宮山国務大臣 それは今保育所に入っていますので、保育所型の認定こども園には株式会社はなれます。

石田(三)議員 では、小宮山大臣は、もともとお考えになられていたことは今回の三党合意の中でほぼ満足されて、この法案に納得されているわけですね。

小宮山国務大臣 それは、出している法案が、今のねじれ国会のもとで、一〇〇%そのままいくということではございませんから、今回、三党で本当に子供たちのためによい協議をしていただいて、かなり、子供たちのためになる、前進する制度になるというふうに考えています。

石田(三)議員 ありがとうございました。

 最後になりますので、一つだけ。

中野委員長 次の質問者の時間に食い込みますが、よろしいですね。

石田(三)議員 はい。

 民主党マニフェストの中で国民生活が第一ということを訴えてこられたと思うんですが、今もそれはしっかり守られているということで認識をしてよろしいですか。

岡田国務大臣 今回のこの一連の決定も、社会保障制度を持続可能なものにする、そしてよりよくするという観点から行われたもので、国民の生活が第一というふうに考えております。

石田(三)議員 本来、社会全体を見回してプランを立てていく、これが我々政治家の仕事だというふうに思うんです。ですから、どれだけ財務省だとか大企業が増税の必要性を説こうが、国民に一番近いところに位置する私たち、国民の代表が、こんな景気の悪いときに増税をするべきではない、こういうことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

中野委員長 これにて石田君の発言は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 議員渡辺義彦君から委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 渡辺義彦君。

渡辺(義)議員 新党きづなの渡辺義彦でございます。

 新党きづなとしてはきょう三人目でございますので、先ほどから御質問させていただいた中で、ちょっと聞き足りないなというところをちょっと補完させていただいて、まず最初に御質問させていただきます。

 先ほど小林議員が、修正協議が合意されて、世論の評価でございますが、民主党は消費増税を実現するために社会保障関連の法案をほぼ棚上げしたんじゃないか、先送り、撤回した、こう言われておるわけであります。しかし、民主党の皆さんは、先ほど小林議員言われましたが、長妻先生はマニフェストの理念は生きているとマスコミ取材やインタビューでお答えをされておられます、国民の生活が第一であると。

 果たして、どの部分、どのように、この民主党の、国民の訴え、政権交代にいただいた理念が残っておられると、この合意された協議の中で思っておられますでしょうか。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 よく社会保障先送りというような言葉がありますけれども、これはちょっと違うところがあると思うんですね。

 つまり、今現に法律が出ているもの、これはこの委員会で、原案では七法案で、二法案が消費税、五法案が社会保障ということで、その五法案については、一部のパーツ、つまり高額所得者の年金カット以外は基本的には着地をして、これは合意ができているということで、これは消費税とセットですので、先送りではない。これは、我々がかねてより申し上げている年金の下支え機能を強化する、現に今の受給者の方に、低年金、低所得の方に上乗せするということもありますし、あるいは子ども・子育て支援ということで、少子化の流れを変えたい、本当にそういう思いを我々は持っておりまして、その子育て支援も、先ほど小宮山大臣御答弁されたとおり、その形はありますので、これはセットなんです。

 そして、今お尋ねのものは、今、国会にまだ法案が出ていない医療制度や年金制度のことだと思いますけれども、これについては、繰り返しでございますが、それぞれ、我々にも我々の主張がありますし、自民党にも公明党にも主張がありますので、ねじれ国会、そして国家百年の計に立つと、政権交代のたびに制度が変わってはいけないし、現実に参議院で法案が通らないということもあります、我が党単独では。

 ですから、そういう意味では、それを議論して着地をさせる場を今回つくることができたというふうに考えておりまして、これは国民の皆様から見ると、議論を前に進めて現実の政治を動かす、決められる政治ということが本当に重要だと思っておりますので、その中で真摯に議論をして決めていくということであります。

渡辺(義)議員 それでは、自民党と公明党の皆さんにお聞きしたいのでありますが、民主党さんが今言われたように、マニフェストの理念はこの修正案の中に生きているとお思いでありましょうか。マニフェストの議論はしていないということではございますけれども、御所見を西先生と鴨下先生にお伺いしたいと思います。

鴨下議員 先ほどから申し上げましたように、今回の一体改革の関連法案、これについて三党で真摯な議論をさせていただいて、協議は合意に至ったわけでありますけれども、多分、先生がおっしゃっているような、民主党さんのマニフェストに書かれている公的年金の、最低保障年金だとか後期高齢者医療をどうするか、こういうようなことについては、これはいわば中長期的な話でありまして、今回はこの問題についての協議は実務者間では行いませんでした。

 ただ、この問題は非常に国民的にも御関心もあるし、民主党にとってみればまことに重要なことなんだろうと思いますけれども、それについてはそれぞれの主張がありますから、これは我々が提案した推進法、この中で国民会議というものを位置づけて、そこでしっかりと議論をしよう、こういうようなことまでは実務者間では協議はいたしたというようなことでありまして、それが世間から見て、おろしたのか、おろさないのかというのは、それぞれの御評価なんだろうというふうに思っておりまして、我々がそれをこう評価する、こういうような段階ではないと思っております。

西議員 お答え申し上げます。

 今回の社会保障制度改革推進法案、これにおいては、新しい今後の公的年金制度について、これは国民会議で十分議論をしていただく、同時に、高齢者医療制度についても国民会議で議論をしていただく、こういうことになっております。

 なお、その前に、三党の確認書がございまして、その中には、「公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」こういうことですので、今後それぞれ、民主党さんは民主党さん、自民党さんは自民党さん、私どもは私どものこの政策をぶつけ合って、そして合意に向けて協議をした上で、同時に国民会議にもお諮りをする、こんなことで今三党で合意をいたしました。

渡辺(義)議員 私がお聞きして判断するのは、これは、国民と約束したことよりも先に増税だ、増税に命をかける総理の本懐を遂げるために民主党さんは旗をおろしたとしか、やはり私にはそうとしか思えないんですよ。

 白旗を上げて自公の皆さんに助けを求めて、何とかこれを通してくれ、今までの社会保障云々に関すること、そのことはもう十分譲歩させていただきます、国民と約束したことを取り下げてですよ、撤回してですよ、選挙で勝った我々、我々というか、私も民主党におりました、そのときの公約を捨てて、選挙にお負けになった、支持が少なかった方の自民党さんや公明党さんの案をのみ込んでいくということに関しては、やはりおかしいんじゃないかな、そのように私は思います。

 そこで、そうしたら、消費税だけ先に、早急にしなければ、成立させなければならない、増税しなければならないというのはどうしてなんですか。これは先送りじゃないんですか。一緒に並行して、一体改革というんですから、一緒にやっていくべきものじゃないんですか。

安住国務大臣 社会保障の関係の法律も出しておりますから、それも修正合意をして、こうして三党で御提案させていただいていますから、消費税だけが先に行っているという批判は私は当たらないと思います。

渡辺(義)議員 いや、所得税も資産課税も原案は削除されているわけですよね。課税所得の累進性を強化するということで、五千万超については四五%の最高税率をつくっていこうよ、そういうことまでうたっておられたわけですよ。けれども、それは後や、先に消費税を上げていただいたら考えようかな、そういうことになるんじゃないんですか。

 合意された修正案というのは、検討すること、必要な措置を講じること、そういう文言がずっと続いてくるわけですけれども、これはやはり全て問題の先送り、社会保障と税の一体改革じゃなくて、その一体というのは、一体どこへ行ってしまったの一体改革ということだと私は思うんですけれども、そのことについてはいかがですか。

岡田国務大臣 委員の今の御議論を聞いていまして、二つのことを言っておられて、論点をうまくすりかえておられると思うんです。先ほど言われたのは、税について、所得税や資産課税について、年末に送ったんじゃないかという話、その話と、社会保障が何もなくて消費税だけだ、これは違う話であります。

 社会保障に関して言えば、先ほど安住大臣も言われたように、そもそも我々は五法案を出しておりまして、それに新しい法案が一本加わって、全体、社会保障に関して大きな前進を見ているわけですから、その部分をなぜ委員が無視して、全く進んでいないとおっしゃって、消費税だけなのかと言っておられるのか、私には根拠がよくわからないんです。

 では、それなら、社会保障関係の我々の出している法案というのは、年金やあるいは子ども・子育てに関する法案は、今ここで御議論いただいているわけですが、その法案についてはどう考えておられるんでしょう。それはなきものなんでしょうか。

中野委員長 渡辺君の方がお答えになる必要はありません。

渡辺(義)議員 いや、そのことを言いたいんです。逆質問というのはおかしいんじゃないですか。そこは謝罪してください、副総理。

中野委員長 岡田副総理、ちょっと言葉遣いの問題です。

岡田国務大臣 謝罪する必要はないと思います。現実にあるものをないと言っておられますから、私はそれはどうしてなのかということを確認しているわけです。いや、それで、お答えにならないというのなら、それはそれで自由ですけれども、それなら、やはりそういう議論を展開される根拠が示されないと言われても仕方がないと思います。

渡辺(義)議員 委員長、注意してください。相変わらず、答えなくてもいいよどうのこうのという、おかしい質疑ですよ、これは。

中野委員長 いろいろな訴えかけをするときに、皆さん、そう思いませんかというような言い方をするのと同じだと思います。よって、注意はいたしますが、お答えになる義務はありません。

渡辺(義)議員 それでは、デフレの問題にちょっと、デフレといいますか、税の方の問題について質問をさせていただきます。

 前には、旧自由党の野田先生や西先生もおいでになります。

 私、手元に、税制問題等に関する特別委員会、これは議事録でございます。平成八年のものでございます。このときに、消費税を上げるよというときに、反対する、そういった法案を提出されておられます。そのときに、当時の新進党を代表して、野田先生が御発言されております。

 今消費税を上げることはいかぬぞということを三つの理由で挙げておられます。消費税を上げると、消費を低迷させて、経済を一層停滞させることは明らかだと、まず一点目、おっしゃっておられます。二点目は、消費税の据え置きなくして財政再建の達成は不可能だ、そうもおっしゃっておられます。三つ目、これは、社会保障ビジョンも明確に示していません、いないのに消費税を上げることはだめじゃないかということをおっしゃっておられます。

 その当時、橋本政権でございました。その当時の経済状況等々と比べて、今増税が必要である、こうおっしゃっておられます。

 もうお一方の野田さん、これは総理でございますが、総理も、選挙前には、政権交代前には、まずは行財政改革が必要であると力強く語っておられました。かしかし、気持ちを百八十度転換されました。

 何を誰に言われてそう気持ちがお変わりになっておるのか、そのことのヒントにもなると思いますので、野田先生に御高説をお伺いしたいと思います。

野田(毅)委員 大変いい御質問をいただきました。ありがとうございます。

 あのときは、消費税だけじゃないんですね。客観的に見れば、トータルとしてはレベニュー・ニュートラルだったかもしれませんけれども、実際、その上げた年は、消費税の引き上げによる五兆円ぐらい、そのほかに、特別減税を二兆円ぐらいその前にやったんですね。ところが、その年はそれを打ち切ったんですよ。特にボーナスに大きく影響した。ですから、その引き上げは四月からだったんだけれども、六月のボーナスに非常に響いていますね。

 それから、もう一つは、大事なことは、社会保険料の引き上げをやったんですね。それから、医療費の自己負担の引き上げもやったんだ。

 そういう意味で、個人所得にもろにかぶってくるという、合計九兆円の増税効果ですね。社会保険料といえども税と同じですから、強制徴収するんですから、言うなら、所得税の変形なんですよ。だから、そういう点でいうと、所得税の増税が約四兆円、消費税の増税が五兆円です。これぐらい大きなダメージがある。

 それだけじゃなくて、私が一番心配したのは、橋本内閣で金融ビッグバンをやったんですね。これが実は非常に大きく影響したんですよ。貸し渋り、貸し剥がしの根本原因になったんだね。つまり、不良債権の早期処理をやったわけです。特に、当時は、マスコミもみんな含めて、まだ査定が甘い、まだ査定が甘いと何遍も何遍も強烈に、不良債権を厳しい査定をしなさいと。ということは、当然、金を貸した側はその分だけ損金がふえるんですね、ロスが。そうすると、その分だけ自己資本が下がるんですよ。一方で、BIS規制に伴う自己資本比率による金融行政をやった。これがダブルで来たんですね。

 ですから、いろいろな金融機関がみずからの存立が危なくなって、そのことが貸し渋り、貸し剥がし旋風を発生してしまった。つまり、お金を貸せば分母がふえるわけですね。だから、回収すれば分母が減るんですよ。そういう意味で、この金融行政、金融政策じゃないんですよ、この金融行政が強烈に響いた。そんなことが背景になって、山一、拓銀という破綻につながっていっているわけですね。

 この貸し渋り、貸し剥がし旋風が強烈に信用収縮をもたらしたことは事実ですよね。その信用収縮が結果として設備投資を押し下げる。そういうもろもろの経済への悪影響があったということですから、ぜひそこのところを、単なる数字の上のGDPだけで比較するような話じゃないんです、経済の実態というのはもっと幅広くいろいろな角度からチェックしてみなきゃいけませんねということです。

 以上です。

渡辺(義)議員 ということは、その当時よりも、いろいろな項目も鑑みて、今が増税する時期であるということで解釈させていただいてよろしいわけですよね。

 もう質疑時間が終わりましたので、質問してはいけないということですから、最後、まとめさせていただきますが、私も小さい会社の経営者でございました。消費税を払うことに四苦八苦しておりました。予定納税云々で、結局は税金を払うために借り入れをする、また、銀行は税金を払うためには融資をしてくれない。ということを考えますと、やはり今の経済状態を考えますと、中小零細企業にはこの消費増税というのは大変痛手である、もっともっと失業者や倒産がふえるんじゃないか、その懸念を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて渡辺君の発言は終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社民党の中島隆利でございます。

 きょうは四野党の質問で、消費税反対の立場での質問が続きますので、重なる部分があるかと思いますが、お許しをいただいて、質問させていただきたいと思います。初めて一時間という時間をいただいておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず質問の前に、最初に、修正協議の質疑のあり方について、これまでのあり方について一言指摘をさせていただきたいと思います。

 修正協議は、民主、自民、公明三党で行われました。修正の話し合いをすること自体に我が党は批判を加えるわけではありませんが、修正決議で政府案が大幅に変わる、あるいは新規の法案も出てくるということであれば、修正前にどれだけ長く審議をしたのかに関係なく、一旦政府案を廃案にし、全く新しい法案を出し直して審議をやり直すくらいの必要があるのではないか、こういうふうに申し上げたいと思います。

 さて、今回の修正案合意によって、政府が閣議決定した大綱に盛り込んでいた後期高齢者医療制度の廃止案そして最低保障年金制度創設法案などの扱いは、次の、社会保障制度改革国民会議に委ねることになっております。また、税制の分野では、高額所得者の所得税率引き上げや資産課税の強化などが年末の税制改革まで先送りされる、こういうことにもなります。それから、先日、当委員会で棚上げという言葉を使いましたところ、岡田改革担当大臣からは強く否定をされました。やはり、一体改革大綱の閣議決定内容からは棚上げされた項目がさらにふえ、結果として、消費税率五%引き上げだけが際立っているように思います。

 世論調査を見ましても、この間、約一カ月、百時間以上の審議をしてまいりました。消費税率引き上げに賛成する国民の支持がふえているようには思えません。そして、私も、地方公聴会、あるいは参考人、あるいは中央公聴会等お聞きいたしましたが、そのほとんどの中で、反対の意見、今やるべきではない、こういう危機感を訴えられた方が多くございました。世論調査でも、今国会での成立にこだわるべきではない、こういう回答が七割を超える中であります。消費税だけを先行して決めることに国民の理解が得られるのかどうか、大変疑問であります。

 この点、どのように受けとめておられるか。まず、この修正合意の経過も含めて、修正案提出の民主党さんから御答弁をお願いいたしたいと思います。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 これは、仮に今回の推進法の枠がなくても、社会保障の医療制度やあるいは年金制度というのは、政権交代がこれから起こる可能性もある政治になったわけでありますので、一つの党だけでそれを進めていくということは現実にはできない。しかも、今参議院がねじれているということもありますので、現実には、仮に今回のこういう枠がなくても、与野党で話し合って着地をしないと社会保障の制度が前に進まない、これはもう現実があると思います。その中で、よりよい知恵を出し合って、そして何よりも国民の皆さんの立場に立って御理解をいただくような案をつくっていくということが我々に課せられた使命だと思っております。

 その中で、今回、消費税を上げさせていただく。一〇%というのは、これはもう本当に、倍増でありますので、大変なことでありますので、そのときに、社会保障の下支えプラス充実策についても、必要最小限でありますけれども、我々は考えていかなきゃいけない。

 そういう思いで、この五つの法案は原案でこの委員会に出ておりましたけれども、これも現実には野党の皆様の御協力がないと一歩も実現できない、こういう冷徹な事実がございますので、それについて真摯に議論をして、今回、こういう修正案を、また本当にお手間でありますけれども、この委員会で御議論いただくということで御提起をさせていただいておりますので、ぜひ御指導いただきたいと思っております。

中島(隆)委員 次に、社会保障制度改革国民会議と自公民三党協議の関係で、まず、修正案提出の自民党さんにお尋ねをしたいと思います。

 今回の修正協議を通じまして、社会保障制度改革推進法が共同提出されました。内閣に二十人以内の委員から成る改革会議でありますが、国民会議において、年金、医療、介護、少子化対策が幅広く議論されることになっております。

 他方、十五日に三党の実務者の方々が合意された際に、年金と高齢者医療制度改革については、あらかじめ内容などについて三党間で合意に向けて協議するとした確認文書を交わしたと報道されています。

 そうしますと、年金、高齢者医療制度については三者協議と国民会議の双方が議論する形になるわけでありますが、どういう関係になるのでしょうか。どちらかの結論が優先されるのでしょうか。その点について、まず自民党さんにお尋ねをいたします。

鴨下議員 今先生のお尋ねの社会保障制度改革国民会議、これにつきましては、その前に、あらかじめ、民主、自民、公明三党の確認書がございます。その中で、「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」こういうようなことになっておりまして、これを受けてといいますか、これと同時進行で、社会保障制度改革推進法案の中で、今後の公的年金制度については、財政の現況及び見通し等を踏まえ、社会保障制度改革国民会議において検討し、結論を得る、こういうふうになっていて、多分同時進行していくものなんだろうというふうに思っております。

 結果的には、どちらが先に結論を出しても、最終的には一つのところでは成案に至らないということになるんだろうというふうに思っておりまして、具体的には、多分、三党協議がやや先行して、最終的に国民会議の中で有識者によってより詳細な制度設計が行われていく、こういうようなプロセスを踏むんだろう、こういうふうに考えております。

中島(隆)委員 今の説明ですが、まずは三党協議の合意をした上で、同時進行というお言葉があったんですが、三党協議の合意が前提にあるようで、国民会議が一体的なものになるのかどうか、非常にそこを危惧するわけであります。

 具体的に質問をしていきたいと思うんですが、後期高齢者医療制度の廃止と最低保障年金制度の創設は断念したのかどうか、この点を含めまして、公明、民主の提出者の方にまずお尋ねしたいと思います。

 そこで、社会保障政策の協議に参加されていた公明党の石井政調会長が、年金制度と高齢者医療制度については、三党間であらかじめ内容を協議する、さらに国民会議の議論がある、したがって、事実上、民主党のマニフェストの取り下げに等しいと理解していると述べられています。これは、後期高齢者医療制度の廃止と民主党の年金改革のことを指しているものと思います。石井政調会長のこの認識どおりでよろしいのかどうか、まず公明党、民主党の修正提案者にお尋ねいたします。

長妻議員 お答えをいたします。

 今、後期高齢者医療制度廃止、あるいは、最低保障年金とこれはセットでありますけれども、国民年金も含めた年金の一元化の比例報酬年金ということでありますが、これにつきましては、先ほどもお答えをしたように、それぞれ各党、主張が違うわけであります。法案を通す、あるいは制度はこれから国家百年の計でありますので、やはり一党だけで前に進めるということができない現実の中で、まず三党で御議論をいただいていくということは重要だと思っております。

 そのときに、我々の案をそのままそこで合意がなされる、全く一〇〇%その形のまま合意がなされるというふうには、私は今は考えておりません。当然、そこでいろいろな党の意見、国民の皆さんの意見も聞いて、そして、目的は三党共通していると思います、年金の下支え機能を強化していく、医療制度の安定化を図っていく、この目的に向かって、どういうルートが最適なのかということを議論して最終的に決めて、そして着地をして制度を前に進めていきたい、そういうふうに考えております。

西議員 お答えいたします。

 大体、長妻さんのお考えに近いんですけれども、確認書にありますように、公的年金制度それから高齢者の医療制度については、あらかじめその内容について三党の合意に向けて協議する、こういうことが文書として決まっております。

 しかし、現実は、それぞれの政党が固有の政策を持っていることは事実です。民主党は民主党のマニフェスト、私どもはそういう意味では私どものマニフェスト、自民党は自民党のマニフェストを持っているわけです。その三党が今後協議をすることによって、ある意味では、まとまるということは、一〇〇%どこかの政党のマニフェストに合致するということは残念ながらないということが前提でこれから進んでいくのではないかというふうに思います。

 そんな意味で、いずれにしても、三党が、いずれの政党が中心になろうとも、一つの大きな長期的な政策において合意をしておくということは、私たちは、その過程の中で、党としてはまだ小さいですけれども、それなりの主張をして、そして私たちの理想に一歩でも近づける、そういう努力をしていく場である、このように理解をしているところです。

中島(隆)委員 それぞれの立場の主張をして、合意が前提で今後の国民会議の議論をする、こういう答弁があったわけでありますが、この問題については、新聞報道でいろいろ、三党協議に入られるときに、大変な議論があっているという報道もあっております。

 民主党の衆議院のマニフェスト、政権公約の撤回をまず求める、こういうことから始まって、最低保障年金創設と後期高齢者医療制度の廃止がこの中で協議をされた。その中で、この確認書の中でお互いが確認された、これは自民党の茂木政調会長が言われているんですか、我々の勝利だとか発言されております。看板が撤回された、こういう認識もされております。それから、前原政調会長は、各党がばらばらの答弁をする、みっともない、こういう言い方もされているようで、今の答弁もずっと聞きますと、それぞれの主張はそれぞれこの中の議論でやるということですけれども、自民党さんはこのことについてどうでしょうか。ちょっとお尋ねします。

鴨下議員 それぞれ、民主、公明の提案者からお話ありましたように、それぞれの党の主張というのは我々はみんな持っているわけであります。

 ただ、今回、ここで議論して、実務者で協議したことというのは、今足元で出ている閣法あるいは我々が申し上げてきた、社会保障制度改革推進法についての協議を実務者でしてきたわけでありまして、そういう中で、改革の推進法の中に国民会議というのがあって、中長期的なことについてはそこで議論しましょうというところまで合意ができた、こういうようなことであります。

 それが、先生が主観的にごらんになって、民主党のマニフェストについて、なかなか実現が難しくなったというふうにお考えになるかどうかというのは、これはまた別の次元の話でありますけれども、我々実務者の中での話としては、中長期的にこの問題については議論していこう、そういう場を国民会議というところで設置しましょう、こういうことでありますので、先生がどうお考えになるというようなことについては我々は妨げませんけれども、現実にはそういう場をつくったということが合意されたということであります。

中島(隆)委員 今回の社会保障と税の一体改革、消費税増税も含めて議論される過程の中で、やはり国民が一番期待しているのは社会保障の一体改革で、将来の社会保障がどうなるのか、そこが一番危惧をされるし、一番それが関心事であったわけですね。それが国民会議に先送りされる。しかも、マニフェストで、さきの二〇〇九年の総選挙で一番期待をした民主党の最低保障年金、それから後期高齢者の廃止、これが大きく支持をされていたと思うんですね。

 ですから、この問題が、先送りして国民会議でみんなで議論するということは、位置づけとしてはいいんですが、しかし、消費税と同時で議論されるということが国民の期待であったわけでありまして、非常にその点を私は危惧をいたしますし、それから、今後の、先送りされた、国民会議で議論される前段の三党協議の合意、これを非常に私は危惧するわけでありますので、先ほど鴨下議員が言われましたように、捉え方の違いであろうと思いますが、そういう点を危惧しているということを申し上げておきたいと思います。

 それから、税制に関連して、趣旨の規定について、まず修正案提案の民主党さんにお尋ねをしたいと思います。

 もともとの政府案の第一条に、趣旨規定では、「世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することにより支え合う社会を回復することが我が国が直面する重要な課題である」、これは冒頭に書かれております。ところが、修正案では、「支え合う社会を回復する」という部分が削除されています。

 社民党は、もとの政府案にも賛成しがたい立場でありますが、公平性が確保された社会保障制度のもとで支え合う社会を回復するという考え方は極めて重要であるという認識であります。

 この「支え合う社会を回復する」という部分が、何が問題で、なぜ削除されたのか、先ほども質問があったかと思うんですが、もう一度、民主党提出者の方からお尋ねしたいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 趣旨規定に対してのお尋ねでありますけれども、そもそも今般の改革の目的は、社会保障の安定化、さらには充実化のための財源をどのように全世代的に支え合うかというところから来ていると思っております。特定の者だけが負担し、特定のところにだけ分配する、そういうものではなくて、いわば普遍的なものでなければならない。そういう意味で、消費税が、すぐれて全世代型で支え合う、言うならば赤ちゃんからお年寄りまで全員がお互いに支え合う、こういうことだと思います。

 そのことを実現するという意味においては、修文案、このたび修正をかけさせていただきます案でありますけれども、「世代間及び世代内の公平性が確保された社会保障制度を構築することが我が国の直面する重要な課題である」、ここが今般の改革の要諦かと承知しておりますので、この中で先生が御指摘の部分は包含しておるというふうに理解しております。

 加えまして、今回三党で提出いたしました御案内の社会保障制度改革推進法の中で、自助、共助、そして公助も入っておりますので、この最適バランスに留意する中で、自立を家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援していく、このように明記してございますので、御懸念には当たらない、このように思っております。

中島(隆)委員 非常に危惧するのは、この文言が消えたということによって、社会保障制度改革推進法案、今申されました自助、あるいは家族の支えが前面に押し出される、考え方がそういう方にシフトしていくのではないか、もしそうなれば、やはり、これらの修正協議によって、増税や社会保障の仕組みが、制度設計のみならず理念や目的も変更されるのではないか、こういう極めて大きな問題ではないかということを指摘しておきたいと思います。

 次に、消費税の国分の使途について、民主党の提出者にお尋ねをいたします。

 修正案の中で、「国分の消費税収の使途のうち年金、医療、介護に係るものについては、平成十一年度以降、国分の消費税収は高齢者三経費に充当されてきた経費等を踏まえるものとする。」とされております。この文章をわざわざ確認した意味は何でしょうか。

 もともと政府案は、従来の高齢者三経費、すなわち老齢年金、医療、介護に加えまして、今回、少子化対策の四経費を消費税で充当する、いわゆる目的税化だったはずであります。少子化対策の費用、消費税で充当するはずだった七千億円、〇・七兆円の扱いはどうなるのでしょうか、目的税化をやめたのでしょうか。この点についてお答えをいただきたいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 このたびの、政府原案でありますが、第二条の中に、消費税の使途の明確化ということで条項がございます。念のため読み上げますと、「消費税の収入については、地方交付税法に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする。」この今申し上げたところは何ら変更がございません。

 その上で、先生御指摘の部分でございますけれども、今般の三党合意文書の中で、国分の消費税収の充当先となる社会保障四経費に関しまして、年金、医療、介護の三経費について、平成十一年度以降、予算総則において、消費税収を基礎年金、そして老人医療、さらには介護、いわゆる高齢者三経費に充てるとしてきた経緯等を踏まえるということを確認しました。

 その心は、率直に言えば、高齢者三経費、十一年度以降、予算総則の中で消費税収を充てるということになってきていますけれども、このことは踏まえた上で、それに加えて、この少子化対策の経費を含めた消費税の目的税化を実行していくということでありますので、第二条が、そのまま三党でさわらない、全くそのままでやっていくということで合意している中で、あえてこのことを書いたその本質は、高齢者三経費にまずは充ててきた経緯を踏まえるということであり、言うならば、医療費の発散もきちんと見ていかなきゃいけないということは、これは当然のことだろうということで合意に至ったことがむしろメーンでありまして、御心配の、少子化対策の経費を何やら落とされたのではないかという御懸念には一切当たらない、このように承知してございます。

中島(隆)委員 次に、課税所得五千万円超の税率上げについて、提出者の自民党さんにお尋ねをします。

 政府案では、課税所得五千万円を超える高額所得者の所得税率を五%引き上げることを盛り込んでいました。給与所得者のわずか〇・一%であります。税収増もわずか四百億円程度にとどまります。所得再配分機能を回復する所得税の抜本改革にはほど遠い内容だと、本委員会でも私、再三御指摘をいたしました。課税所得で五千万円を超えるわずかな高額所得者にそれほど大きくない負担を求めたものでありますが、この措置すら修正協議の中で年末の税制改正へ先送りされてしまいました。

 そこでお聞きをいたしますが、修正協議の結果では、政府案に加えて、課税所得三千万円超について四五%、それから課税所得五千万円超には五〇%の税率を適用する公明党案を踏まえつつ検討を進めるとされています。これは、政府案とそれから政府案よりも少し厳しい公明党案のどちらか、あるいは両案の間をとって税率上げを行うものと理解してよいのかどうか、税率引き上げを見送ることも想定されるのかどうか、その点についてお尋ねいたします。

野田(毅)委員 今回の政府案は、基本的には、平成二十一年度の所得税法改正の附則百四条をベースにつくってあるわけですね。その二十一年度の税制改正は自公政権時代であります。その附則の中に、消費税を含む税制の抜本改革のある種のプログラム的な手順と同時に、所得税なり相続税等についての考え方、方向性を示しております。そういう意味で、我々も基本的にはその方向性を、我々もむしろ言った方ですから、否定するものではありません。

 ただ、今回の法案の中に、今御指摘のあったように、税率の刻み方、あるいは、ここには出ておりませんが、控除のあり方等についてもう少し詰めるところがあるだろう、だけれどもいつまでも先延ばしというわけにいかないので、今年末には来年度の税制改正作業があるわけですから、そのときまでにはやはりきちんとした結論を出して対応しなければいけない。そういう意味で、少し細目について詰めるところがあるということでありますので、いわゆる先送りということでは全くない、こう思っています。

中島(隆)委員 それでは次に、資産税のあり方の見直しについて、修正案提出者の民主党さんにお尋ねをいたします。

 同様に、政府案では、相続税の定額控除部分を引き下げると同時に、税率構造を見直して最高税率を引き上げることなどを予定していました。資産課税の見直しでは、所得税の最高税率引き上げで予定した四百億円をはるかに超える約二千八百億円の税収増を期待していたはずでありますが、これも年末の税制改正に先送りをされました。

 そこでお伺いしますが、具体化に当たって、政府案を踏まえ検討するのであれば、わざわざこの見直しをする必要はなかったのではないかというふうに思うんですが、もし政府案に盛られていた資産課税の強化を見送ってしまうのだとすれば、穴があくこの二千八百億、この分はどのような扱いになるのかをお尋ねしたいと思います。

古本委員 お答えいたします。

 先ほどの野田毅先生も御答弁いただいた所得税に係る措置とあわせてでありますが、今回の衆法で修正をかけさせていただいた第二十条、そして第二十一条を委員の先生方にも机上配付しておりますので、少しごらんいただければありがたいと存じますが、私にいただきました資産課税に係る措置で申し上げますと、第二十一条になりますけれども、このように記載しました。

 「資産課税については、格差の固定化の防止、老後における扶養の社会化の進展への対処等の観点からの相続税の課税ベース、税率構造等の見直し及び高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費拡大を通じた経済活性化を図る観点からの贈与税の見直しについて検討を加え、その結果に基づき、」ここがポイントだと思いますが、「平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。」ということでございます。

 ただいま野田毅先生からもありましたとおり、全く先送りではなくて、方向感をこの条文の中でお示ししておりますし、所得税についても、お尋ねではない、範囲を超えますけれども、同様に、「所得再分配機能の回復の観点から、最高税率の引上げ等による累進性の強化に係る具体的な措置について検討を加え、その結果に基づき、平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。」というところまで法律の第二十条に書いてございますので、方向感は明快に示した上で、年末の議論に少しその場を移したいということでございます。

 なお、実は、率直に言えば、大衆増税の色彩が否めない面はあると思います。そういう消費税ということをやる際に、やはり富める方には応分の負担をしていただくべきではないかという議論は、当然に私どもの平場の議論でも随分ございました。

 そういう中で、三党合意文書の中には、「具体化にあたっては、バブル後の地価の大幅下落等に対応して基礎控除の水準を引き下げる等としている今回の政府案を踏まえつつ検討を進める。」ということで、バブルピーク時に比べますと路線価が今三分の一ぐらいに下がっております。にもかかわらず控除がそのまま残っておりますので、やはりその控除を圧縮するという今回の政府原案を踏まえつつ、三党で検討を進め、やっていくということが今回の合意事項でありますので、何ら先送り、棚上げには当たらない、このように承知してございます。

中島(隆)委員 三党とも先送りではないとおっしゃるんですが、今国会では消費税を五%引き上げる法案が可決をされるということでありますので、当然、消費税だけを上げる、こういうことになるわけでありまして、特に、政府案で盛り込まれました所得税、資産税の見直し、規模が大きくはないものでありますけれども、やはり消費税の、この不公平な税制を、若干、所得税や資産課税をするというのは大きな意味があったと思うんですね。それが先に議論されるということですから、我が党としては、消費税増税が先行して、あとの課題は先送りされる、こういう認識であります。

 それから、特に低所得者層にこそ負担の多いこの消費税税率上げをまず決めて、高額所得者への負担増が先送りされる、これについては非常に国民の批判もございます。三党協議においても高額所得者に負担増を求めることは否定する意見があったのかどうか、その点を確認してみたいと思うんですが、民主党さん、この協議の中でどういう議論がなされたのか、お尋ねいたします。

古本委員 三党とも、いわゆる資産の格差の固定化のようなことについては議論としてありました。その中で最終的に成案を見たわけでありますけれども、先生の御指摘のような観点はお互いに共有し合いながら議論したわけでございます。

中島(隆)委員 それでは次に、中小企業の価格転嫁対策について、これも修正案提出の民主党さんにお尋ねをいたします。

 中小企業にとっては、税率引き上げ分の価格への転嫁は非常に厳しいと言われています。とりわけ、デフレ、価格引き下げ競争が顕著な中で、もともと下請企業に対する部品や中間製品の納入価格引き下げの圧力はすさまじいものがございます。

 今回、修正合意の中に、独占禁止法、下請法の特例に係る必要な法制上の措置を講ずる旨の規定を追加することが確認されています。この具体的な内容について、わかる範囲で結構でありますが、御説明をお願いいたします。

稲富委員 お答えいたします。

 先生から御指摘いただきましたように、公聴会等でも、中小企業の皆様からそういった強い声をいただいてまいりました。特に今回、税率が二度にわたって一年半の中で引き上げられるということ、そのことから、中小企業や農林水産業者の方々から転嫁に対する懸念の声をいただいてまいりました。したがって、過去の消費税導入時あるいは引き上げ時を上回る十分な転嫁対策が不可欠であるというふうに考えております。

 そこで、今御質問にありました法制上の措置としては、例えば、消費税の導入時に実施をされ、そして平成九年の引き上げ時には実施をされませんでしたけれども、表示カルテルや転嫁カルテルを独禁法の適用除外とするということが一つ考えられるのではないかと考えております。

 以上です。

中島(隆)委員 今、答弁の中でも申されましたが、中小企業の消費税増税に対する危機感は大変なものがございます。

 私も、先日、六月四日の福島の地方公聴会に参加をいたしました。その中で、中小企業者の方が言っておられました。今の消費税五%でも消費税は取れない、そして倒産に追い込まれる方が非常に多いと。今後、一〇%に上がったら、恐らく消費税は取れないし、お客さんも来られないだろう、こういう悩みをされています。先ほども前段に質問ありました、中小企業、建設業者を含めて大変な状況がございます。

 問題は、業界団体の価格カルテル、法でありますが、これについてはざる法ではないかというふうに思うんですが、この点について再度民主党さんにお尋ねをいたします。

 製品やサービス価格に適切な消費税引き上げが上乗せできるような、業界団体の加盟企業が横並びに値上げを可能とする、いわば価格転嫁カルテルを容認するために、独占禁止法の改正あるいは特例を視野に入れているとされています。

 しかし、先ほど指摘をしましたように、日本の場合は、中小企業の多くが下請という極めて弱い立場に置かれています。元請の大企業からの圧力を排除しにくくなっています。仮に消費税率引き上げ分の価格転嫁カルテルが可能になったとしても、元請の大企業から本体価格自体の値下げ圧力がかかった場合には対応できません。最終的な小売価格に増税分を反映できなければ、中小企業に全ての負担が転嫁をされていきます。

 大企業から中小企業への圧力を厳しく監視できるような制度が必要ですが、消費税の価格転嫁に限れば、大企業と中小企業の取引の実態が目に見えるようにするためには、現在の帳簿方式ではなく税額票方式、いわゆるインボイス方式でありますが、こういう新たな方法、有効な手段を考えるべきではないかというふうに思うんですが、三党の協議の中でこのことが検討されたのかどうか、お尋ねいたします。

稲富委員 お答えいたします。

 委員が今御質問いただきましたインボイスについて、これは議論があったかと思います。それに加えて、やはり法制上の措置として、転嫁カルテルの適用除外のみならず、考えていかなければいけない、決して十分ではないという認識でございます。

 例えば、先ほど御指摘がありましたように、下請事業者に対する優越的地位の濫用についてでございますけれども、この監視体制を強化するというのは当然でございまして、事業者が優越的な立場を利用して消費税の引き上げ分の値引きを一方的に要求する行為や、あるいは、転嫁を受けるかわりに手伝いの店員を派遣せよというような強要する行為など、違反となる行為をこれまでガイドラインとして定めてまいりました。

 しかし、それを法律に規定することによって一つ格上げをすべきではないか、あるいは、課徴金を含めてペナルティーを科すことによって抑止効果を高めていくこと等々、その他さまざまな実効性ある立法措置を考えていくことを、今後も三党において協議をしていきたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 次に、年金制度改革について、低年金者に対する福祉措置について、提出者の自民党にお尋ねをいたします。

 当初の政府案は、低所得者である老齢基礎年金受給者に対して月額六千円の福祉的な加算を行うとしていました。修正協議の結果は、月額五千円を基準額にして保険料納付期間に応じた福祉的な給付措置を行うものとしています。

 政府案にある福祉的な加算が、修正合意では福祉的な措置となっていますが、これは年金制度の枠外で行う福祉であると考えていいのでしょうか。また、財源は、消費税収を活用することが盛り込まれていますが、だとすれば、これは対象が低年金者であったとしても、消費税増税の負担緩和措置であって、年金関連の法案で処理する内容なのでしょうか。この点についてお尋ねをいたします。

加藤(勝)委員 お答え申し上げます。

 まず、私どもは、そもそも低所得者、特に高齢者で低所得者、かつ年金の無年金あるいは低年金の方に対する対応の必要性ということは十分認識しつつも、そうした対応については、いわゆる年金制度の枠内ではなくて、いわゆる福祉的な措置で対応すべきだ、こういうふうに従前から考えてきておりまして、今回もそういう議論の中で、三党協議の結果として、年金制度の中における加算ということではなくて、いわゆる年金制度の枠外における福祉的給付として今回の措置を位置づけていくということにいたしました。ただ、法案等々の準備にはかなり時間がかかりますので、今回はその分は考え方だけを述べさせていただいている、こういうことでございます。

 それから、消費税の関係については、そこには消費税を、今回の引き上げに伴う増収分を充てるということを明記しておりますけれども、これはあくまでも年金の周辺という位置づけであって、年金制度そのものということではないという理解の上で、その消費税の増収分を充てる、こういうふうにさせていただいたところでございます。

中島(隆)委員 次は、年金給付加算の特例的な措置の中の、福祉の中の消費税の逆進性対策がよくわからないわけでありますが、これについて、報道ベースですけれども、公明党さんが主張していたと思われます低年金者への定率二五%加算の方がわかりやすかったような気がいたします。

 さらに関連して質問いたしますが、この給付措置の対象が、住民税が家族全員非課税かつ年金収入などの所得合計が基礎年金満額以下の者となっていますが、なぜ家族全員が非課税という家族単位にしたのでしょうか。これでは、保険料を同じく支払い、給付額も同じなのに、同居している家族の中に一人でも住民税を払っている者がいれば給付措置の対象にならないという不公平さが生じますが、なぜ家族全員が住民税非課税という条件にしたのか、この点を提出者の自民党さんにお尋ねいたします。

加藤(勝)委員 今回の支給方式について、一つは、二五%ということではございませんけれども、上限五千円で、あとは納付期間等に応じて比例的に支給される、こういうような仕組みを想定しているところでございます。

 その上で、対象者でありますけれども、もともと政府案でも御指摘のような形になっていた。また、先ほど申し上げた福祉的な措置ということでございますから、家族内である程度扶養していただけるという場合においては対象にしなくてもいいのではないか。こういう措置は、一般的にほかの保険制度でも、家族全体が住民税非課税というような条件を付しているという事例もございます。

 ただ、今回、年金収入及びその他の所得の合計額が老齢基礎年金の満額以下ということで切りますと、満額をちょっと超えると逆転現象があるということもございましたので、それに対する補整もあわせて対応していくということにさせていただいております。

中島(隆)委員 その点については、保険料を同じく支払って給付を受けるわけですので、ちょっと我々としては不公平ではないかというふうに感じております。

 それから、この対象者の人数、支給額について、提出者の自民党さんにお尋ねいたしますが、給付措置で月額五千円、基準額を決めたわけでありますが、保険料納付期間に応じて決定することとなっています。そもそも低年金の問題は、保険料の未納期間が長いために起きているわけでありますから、実際には月額五千円をもらう人はかなり少ないのではないかというふうに思います。

 この給付措置の対象となるであろう低年金者は全体でどの程度存在し、そのうち基準額の五千円を受給できる人はどのくらいになるのか、給付措置に必要な額はどの程度になるのか、この点についてお尋ねいたします。

加藤(勝)委員 あくまでも、私どもが数字を持っているわけではございませんから、政府から確認した数字などをベースに答弁をさせていただきたいと思います。

 今回の福祉的給付の対象人数につきましては、先ほど申し上げた低所得高齢者の範囲は政府案と同じということでございますから、基本的に約五百万人を見込んでおります。ただ、先ほど申し上げた逆転現象を防止するということで、少しそこから上の収入層も対象としておりますので、若干それにプラスアルファされるということになります。

 なお、福祉的給付の対象となる障害者等も、政府案と同じく約百九十万ということでございます。

 それから、今御質問のございました基準額、五千円を受給される者ということになりますと、残念ながら、そうした統計がございませんので、私どもも把握をしておりません。

 なお、全体として今回の新たな福祉的給付措置に要する費用は、制度の発足段階で約五千六百億円と想定をしております。

中島(隆)委員 次に、今回の移行の事務費の関係で、修正提出者の自民党にお尋ねします。

 対象となる家族全体が住民税の非課税世帯、これは介護保険の第一号被保険者の保険料区分で使われている考え方ですが、だとすると、この家族全員住民税非課税世帯の情報は自治体が保有していることになります。ところが、今回の修正合意によりますと、事務は日本年金機構に委託することになっています。自治体と年金機構との間で情報のマッチングをさせる必要が生じて、二重の手間になるのではないかというふうに思うんですが、この点についてお尋ねをいたします。

加藤(勝)委員 御指摘のように、事務をこれからどう進めていくかという具体的なことは調整をしていかなきゃいけないと思っておりますけれども、もともと、今回の福祉的な給付措置におきましても、年金受給者を基本的には対象としているというようなことを含めて、年金をベースに給付される仕組みということになっておりますので、年金の支給を取り扱っております日本年金機構において事務を行うということが一番効率的ではないか、こう判断したところでございます。

中島(隆)委員 自治体が一番情報を持っているわけですから、年金機構ではなくて、こういう自治体の窓口の中でやるべきではないかという我々の考え方であります。

 それから次に、パートなど短時間労働への厚生年金あるいは健康保険の適用の問題について、提出者の民主党にお尋ねをいたします。

 週二十時間以上働く短時間労働者が三百七十万人存在するのに対し、政府案では、企業規模五百一人以上という条件を設けて、対象者を四十五万人にまで減らしました。勤める先の企業規模によって制度の恩恵を受けられる人あるいは受けられない人が生じるのは、まさに制度的に不公平だと本委員会でも指摘をしてきました。

 にもかかわらず、修正合意は、月額賃金を七万八千円から八万八千円に引き上げることで、対象者をさらに二十五万人に減らしてしまいました。さらに、施行期間を半年おくらせて、三年後の適用範囲拡大の規定を一般的な検討事項に加えてしまいました。これは、短時間労働者の処遇改善という観点からすると、政府案からも一層後退をした内容ではないかというふうに思いますが、この点についてお尋ねをいたします。

長妻委員 お答えを申し上げます。

 今おっしゃっていただいたとおり、原案につきましては、適用拡大、人数で申し上げますと四十五万人程度の皆様が対象でございました。そして、今回の修正案は二十五万人というふうになっているところであります。

 いろいろな議論がございましたが、これは、一つは、月額賃金が今は九万八千円という基準がございます。これを原案では七・八万円まで引き下げるということでございますが、そのときに議論になりましたのは、七・八万円まで引き下げた場合、その方が払う保険料プラス事業主負担を入れるトータルの保険料が、国民年金保険料、約一万五千円よりも低くなってしまう。そして、給付は基礎年金プラスアルファ、上乗せ、厚生年金があるということで、逆転が起こるというような論点もございまして、それについて、これもいろいろな議論の積み重ねをした結果、金額としてはある程度逆転が起こらない八・八万円というようなことにいたしまして、その結果、人数が少なくなったわけでございます。

 これは、今現在は、それが二十時間ということではお一人も実現していないものを実現していくということでございますので、まずは一歩を踏み出して、その後、おっしゃっていただいたように三年後、これは検討の規定がありますので、ここで、経済状況なども見ないといけないと思いますけれども、拡大をしていくというようなことも含めた検討をぜひしていきたいというふうに思っております。

中島(隆)委員 特にパート、短時間労働というのは、中小企業の中で働く方が多いと思うんです。しかし、その中でも、厚生年金を掛けて、事業者も含めて努力をして、掛ける努力をするわけですので、三百七十万人という多くの方がいらっしゃるわけで、逆転というのもありますけれども、ぜひそういう非正規の方々の年金制度の拡充を検討すべきではないかという点で指摘をいたしました。

 それでは、次に、子ども・子育て支援の問題について、保育の受け皿、待機児童解消の見込み等について、法案提出者の自民党さんにお尋ねをいたします。

 修正によって関連三法案のうち総合こども園法案がなくなりました。かわって認定こども園設置法案が新たに提出をされました。新たな幼保連携認定こども園では、既存の幼稚園または保育園からの移行は義務づけないことが確認をされています。これで政府が当初考えておりました一元化は達成されるのでしょうか。その点についてお尋ねをいたします。

 それから、既存の幼稚園、保育園からどの程度が幼保連携認定こども園に移行すると見込んでいらっしゃるのか、また、待機児童はどの程度解消すると想定されているのか、その点についてお尋ねいたします。

田村(憲)議員 お答えいたします。

 まず、この一体化といいますか、総合こども園から我々は幼保連携型の認定こども園というものに、今回、法改正の中でこれに対応していこうというふうにしておるわけでありますけれども、まず第一に、給付の一体化という意味では、学校教育、保育に係る財政措置の一体化を図るという幼保の一体化、これに対しまして、我々も、この認定こども園、幼稚園、保育所、これを通じた給付の一体化というものは今回実現をさせていただいております。施設型給付という形になるわけであります。

 それから、幼保連携型認定こども園に関しましては、単一の施設ということでありますので、また、認可でありますとか指導監督等を一本化するという意味では、これも一本化をされておるということ。そしてまた、内閣府に子ども・子育て支援法と改正後の認定こども園法を所掌する体制を整備するということで、総合こども園というわけではないんですけれども、今回の認定こども園においても一本化をしていくという形になっておるような次第であります。

 それから、総合こども園の場合は、保育園は義務づけをしておりました。幼稚園は義務づけをしておりませんでした。それに対しまして、今回の幼保連携型の認定こども園は、保育園もいたしておりません、それから幼稚園もいたしておりません。そういう意味では、どれだけが移るかというのは、ちょっと今、現状では我々把握はできていないわけでありますけれども、ただ、いずれにいたしましても、待機児童という意味からすれば、保育所が義務化されておろうがされていなくても、結果的には、保育所の数という意味ではそれは一緒なわけでございますので、待機児童の解消という意味では、余りこの点では関係がないということでございます。

 株式会社の参入という意味で、待機児童の解消に対して、ある意味、一定の期待はあったんであろうと思いますけれども、それに関しまして、今回、保育所、もともと株式会社が参入することができておったわけでありますけれども、新たな認可要件を加えました。

 一つは財政的な基礎、それから社会的な信望、さらには知識経験、こういうものを新たに認可の基準として、要件として加えたわけでございまして、そういう意味では、質のいい株式会社の参入というものをしていただきながら、待機児童の解消というものをしてまいりたいというふうに思っております。

 なお、大体、七千億円の消費税の内訳の中で四千億円分がこの待機児童の解消ということでありまして、そういう意味では、これも政府が示しておる中ではありますけれども、大体三十六万人ぐらい、これを原案の方で示しておられますので、大体同じぐらいのことは我々もこれはやっていかなきゃならぬというふうに思っております。

中島(隆)委員 時間が参りましたので、最後に申し上げたいと思います。

 この社会保障と税の一体改革の特別委員会、これまで百時間以上審議をされてまいりました。六月十一日までは、現在提案されてまいりましたこの七法案の審議で行われてきたわけでありますが、六月十一日からは、三党協議が始まりました。法案の中身が多く変わりました。新たな二法案も、修正をされました。しかも、きょう、午前中その趣旨説明で午後に質問だということで、我が党としては、六月二十六日採決ということについては強く反対をしておきたいと思います。

 特に、地方公聴会、参考人質疑、あるいは中央公聴会でも、大変な消費税反対の声が起こっております。我が党としては、修正されたら、再度、地方公聴会等々を含めてさらに審議をするべきではないか、こういうふうに思っております。

 今回の修正案は社会保障一体改革になっていない、私どもはこういうふうに思っております。多くの社会保障制度の改革が国民会議の中で議論をされるわけでありますが、当然、消費税も先送りをして同時に議論する、私どもは、こういうことが国民が一体改革を期待した狙いではないかというふうに思いますので、そういうことを主張して、私の質問を終わりたいと思います。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 これまで、四人の大臣の方には何度も質疑をさせていただきましたので、きょうは、主に修正案の提出者の皆さんに質問をさせていただきたいと思います。大臣の皆さん、もし必要があれば、適宜休憩をおとりください。

 それで、修正案提出者の皆さんに質問させていただきます。

 今、社民党の中島先生もおっしゃいましたが、きのうの夜の六時半の理事会できょうの質疑が決まりまして、きのう八時に質問通告しました。余り準備をする時間もなかったので、若干、事前通告していない質問も一部させていただきたいと思いますが、皆さんの政治家としての御見識で、アドリブでお答えいただければと思います。

 最初に、三党協議の進め方について質問させていただきたいと思います。

 三党協議に入っていない我々のような部外者からすると、どういう議論がなされているかということは非常に興味があります。

 例えば、法案の議論をされるわけですから、当然いろいろなデータが要ると思います。役所のサポートなんかも必要でしょう。あるいは、学者とか業界団体とかNPOとか、いろいろな人の意見も聞かれているのかもしれません。どういうふうに協議を進められているのか、高尚な政治哲学、理念のお話が多いのか、それとも、ごりごり党利党略の交渉事が多いのか、わかりません。

 そういったことも含めて、外の人間にわかりやすく、どういう形で協議が行われてきたのかを教えていただければと思います。

長妻議員 お答えをいたします。

 三党協議の現場ということ、現場の協議の中身ということでございますけれども、やはり、いろいろなバックデータをいただくということで、役所の皆さんあるいはそれぞれの御関係の学者の皆さんなどとも個々に連絡をとっておられる方もいらっしゃったと思います。そういうような形、いろいろなサポートをいただいた上で、各党の主張をぎりぎり判断をして、そして今回、修正案というふうに出させていただきました。

 ブラックボックスのような話ではなくて、これは、報道についても、必ず毎回、終わった後にブリーフをさせていただいて、進捗状況などなどについても、随時、透明度を高めようというようなことを心がけて議論をさせていただいたつもりであります。

鴨下議員 今御質問ありましたけれども、社会保障のパーツと税のパーツと二つありましたものですから、今、長妻さんからもお話ありましたように、社会保障については三党の協議がなかなか簡単には進みませんでしたから、結果的に十五日の深夜に至ったわけであります。

 そういう中で議論をしたことは、先ほどから申し上げていますけれども、まず、今提出されている閣法について、あるいは私どもが申し上げてきた、社会保障制度改革基本法と言っておりましたけれども、これについての議論が専らでございました。

 特に、我々は、この社会保障制度改革基本法、最終的に修正になりまして推進法という形になりましたが、この法律をしっかりと御理解をいただく、こういうようなことが大前提ですよというようなことで協議を進めてきました。

 実際には、三党で合意をするということでありますから、それぞれの立場、それぞれの主張がいろいろとありましたので、それをすり合わせていくというのは極めて困難な作業であったというふうに思っております。

 少なくとも、今提出されている修正あるいは新たに提出されたこの法案についての合意をするための協議であった、こういうふうに申し上げます。

池坊議員 子ども・子育て支援法に関しましては、私は公明党の子どもの育成支援委員会の委員長をしておりますので、保育所、幼稚園、市町村、認定こども園、そういうような現場の方々と何回も何回も勉強会とか、現場のお声を聞きまして、公明党としては、こういうのが一番いい姿ではないかというものをつくり上げてまいりました。

 それを、まずは自民党と御一緒にいろいろ修正をさせていただきました。自民党にも自民党のお考えがございますから、それを酌み取りながら、ここは譲歩できるとか、ここはこういうふうにした方がいいのではないかというようなものをつくり上げまして、そして民主党にも入っていただきながら、三党で、よりよいものということで詰めてまいりました。

 子ども・子育てに関しましては、みんな、子供の最善の利益を優先すること、そして、保護者の方々が使いやすい環境をつくり上げて、待機児童をどうやって解消したらいいのかという思いが同じでございましたので、そんなにぶつかり合ってというようなことがなく、登っていく過程というのはそれぞれプロセスは違っても、目指します山頂が同じでございますので、スムーズに、いい方向で行ったのではないかと私は思っております。

 それで、認定こども園協会とかいろいろなところがパネルディスカッションなどをいたしておりまして、そのときも、民主、自民、公明党それぞれが代表として出席して、いろいろな意見を言い合いましたが、そこでも、きちんとお互いが尊重し合いながら、発展的にいい意見を交わし合うことができたというふうに私は考えております。

山内委員 大変仲よく、麗しい協力関係があったということがわかりますが。

 委員会審議であれば、相場観として、百時間やると採決みたいなものがありますけれども、今、社会保障のパーツと税のパーツとおっしゃいましたけれども、大体、何時間ぐらいその担当者の皆さんは会って、打ち合わせというか、議論をなさっていたんでしょうか。後学のために教えていただければと思います。

長妻議員 今お尋ねがあって、ぱっと何時間というのは、これは調べれば、当然、正確な時間というのはお出しできるとは思いますけれども、かなり夜遅くも含めて、非常に長時間の議論をさせていただいたというふうに思っております。

鴨下議員 始まりからは一週間ぐらいでありますけれども、日曜日から始めまして十五日までに至るわけでありますが、その間、やはりそれぞれの主張がぶつかり合いますから、暫時休憩を入れながら、それぞれ党に持ち帰り、また調整をして、もう一度会議に臨む、こういうようなことを断続的に続けてきました。

 日曜日などは夜の十一時ぐらいまでかかって、その後また党内で報告をするというようなことも含めてやってまいりましたので、ほとんどかかり切りで約一週間かかったという認識であります。それにほぼ全ての時間を我々は費やして、やっと十五日の夜の十一時過ぎに、国民会議も含めてでありますけれども、短期的なもの、中長期的なもの、こういうようなものについて、結論が出たもの、結論を出すに至らないものについては中長期的な課題としてもう一度協議をしていく、こういうようなことも含めて合意に至った、こういうようなことであります。

池坊議員 子育て支援に関しましては、それぞれの党がもう既にしっかりと、例えば公明党でしたら、本当に二週間ぐらい毎日毎日それをやってまいりました。自民党も民主党もそうでいらしたと思います。

 ですから、三党が集まりましたときには、多少違いますところは、自分たちで決めるわけにはいきません、実務者だけで決めるわけにはいきませんので、途中、中断いたしまして、それぞれが政調会長やいろいろな方々に御相談しながらまた持ち寄るということでございましたので、何回も回を重ねながらそれを積み重ねてまいりました。

 そのことにおいては、ここが違うんじゃないか、こうではないかなどという議論はもちろんございましたけれども、速やかに、そしていいものにということの目的は達せられたというふうに思っております。

山内委員 なぜこんなことを聞くかというと、外にいてよくわからないということもありますし、これだけ重要な法案を決める会議ですから、やっているときはなかなか全部は公開できないかもしれませんが、そのプロセスを残すということは大事なことだと思いますので、きちんとした形で残していただきたいと思います。将来の政治学者なんかも一生懸命研究されると思いますので。

 ぜひ、そういった国会の外の政党間協議というのも、今後の検討課題として、どうやって国民に対して開かれたものにしていくか、あるいはわかりやすいものにしていくか、そして、何よりも、経緯がわからないと、なぜこの項目はこうなったんだろうと、ブラックボックスはいけないと思いますので、ほかの党も含めて、わかるように、今後お示しをいただきたいと思います。

 私の感想としては、これだけ多くの修正が一週間でなされたというのは、非常に驚いたところもあります。どれだけ二十四時間をうまく使ったかということもありますけれども、これだけ多くの修正をやるとなると、恐らく、表の委員会の相場観でいうと、二、三週間はかかるだろうなと。それを一週間で一気にやってしまったというところ、それを考えると、本当は、三党協議をもっとゆっくりやりなさいと言うのも変な話なんですけれども、じっくり時間をかけてやっていくということが必要ではないかなと思います。

 今聞いていると、まず自公ですり合わせて、その後、三党ですり合わせてと。二段階でやっていくと、相当、プロセス、時間がとられていると思います。本当は、そういったことも含めて、もっと長い時間、ゆっくり議論をしたいなと私どもは思っているわけです。ぜひ、来週火曜と言わずに、もう少しゆっくり審議をしていただきたいと思います。

 そのプロセスの中で、今私が聞きたかったのは、特に役所の関与ということなんですね。よく、いろいろな分野で、事務局を役所に任すと、いつの間にかレポートがその役所の思う方に行ってしまう、そういう傾向があると思います。恐らく長妻さんはそういうのが一番嫌いな方だと思いますけれども、皆さんの三党協議の中ではどういうかかわり方を各省庁はされていたのか。

 もう一度、どなたかお答えいただける方がいらっしゃったら、お願いします。

田村(憲)議員 役所のかかわり方という話でございました。

 実は、子ども・子育て、少子化対策の方でいろいろな協議をする中において、やはり、この委員会で議論をしてきたことが大変意味がありました、厳しい議論の中で問題点が浮き彫りになってきたものでありますから。よりよい保育を、よりよい幼児教育をという意味で、子育てをどうやっていくかという、先ほど池坊先生おっしゃられましたけれども、到達点は一緒であったわけでありますが、そのプロセスがかなり違っていた。そして、その問題点がこの委員会である程度わかってきましたので、その部分というものを、やはり役所がうまく、法制度の中でどう変えていけばいいのかということを我々と協議していたというような話であります。

 言われたように、気がついたら何か役所のつくったものにというようなお話がございましたけれども、それぞれ各政党が真剣に議論してきておるものでありますから、そのような部分があれば当然それはすぐにわかるわけでございまして、今回、そういうようなごまかしのような部分は、我々の殺気立った目の中で、役所は一切入れてこなかったというのが実態だというふうに思います。そういう意味では、よくやってくれたなというふうに思っております。

山内委員 ありがとうございました。ぜひ次回は私どもも入れてほしいものだと思っております。

 次に、軽減税率について、三党それぞれのお考えを聞きたいと思います。

 消費税の増税に伴って、逆進性を緩和するために、軽減税率という意見もあります。それについて、三党のスタンスと、この三党協議の中でどういう議論があったのか、教えていただければと思います。

古本委員 お答えいたします。

 もともと、私どもの考えは、民主党の考え方は、低所得者対策として、いわゆる消費税の持っている逆進性的な性質に対する対策としては、給付つき税額控除が大変有効である、このように考えています。今もそう思っています。

 その理由は、例えばですが、食料品だけ軽減するというふうにした場合、可処分所得の多い方が、より高額なあるいは高級食材を食料品では買うんだろう。そうすると、結果として、その分が軽減税率、複数税率ということになると、結局、お金持ちほどより軽減されるという皮肉なことになってしまうということがまずございます。

 さらには、軽減税率に対するお考えということのお尋ねでありましたけれども、財源の問題は大変大きいと思います。例えば食料品に対して軽減を入れた場合には、〇・六兆円オーダーで、一ポイント当たり、見込む税収が減ってしまいます等々、この財源の問題も大変大きいという中で議論になりました。

 さらに、御案内のとおり、かつての物品税の時代に、例えば電化製品だけに着目しても、洗濯機は一〇%だった、ところがストーブは一五%だった、クーラーは二〇%だったと、どの商品を、あるいは、どの財・サービスを軽減するか複数にするかというのは、恐らく仕分けが困難をきわめるんだろうという問題意識も持っています。

 最後に、インボイスの問題がやはり不可避でありまして、中小、小規模事業者に対する事務負担という観点もあると思います。

 以上の観点は、実は、今回の合意文書の中に、確認し合う中で、軽減税率を併記するということで最後合意に至るに当たり、一方で、給付つき税額控除の持っている課題も幾つかございますので、例えば、所得の把握の問題、資産の把握の問題なども併記をお互いにしていくということで、これを尊重し合うということで複数税率も併記したというプロセスを交渉の中で経たということでございます。

 以上です。

野田(毅)委員 軽減税率の議論の前提は、多分、低所得者への配慮という角度の切り口だと思うんです。

 そもそも、消費税の性格上、消費についてパラレルに課税されるということが、低所得者から見れば、負担額は別として、消費水準に応じて負担額が決まるわけですから、収入という側面から見たら、負担率からいえば、率からいえば少し違うねというのが原点でしょう。

 ただ、大前提として、私はぜひ今回の議論の中で認識をお互い政治家として共有しておきたいのは、なぜ社会保障との連動の中で消費税の話をするか。それは、加齢に伴ってみんな病気にもなるし介護のお世話にもなるというときの例えば医療費。サービスはみんな同じなんですよ。保険料をたくさん払う人、余り払わない人、だけれども、受けるサービス、そして同時に、自己負担も高額医療という頭打ちの制度もあるという中で、どんどんどんどん加齢に伴ってそのお世話になる人はたくさんふえるわけだ。そのお金をどうやって賄うかということを考えれば、そもそもそのこと自体が、ある意味では低所得者への配慮をした現在の社会保障の給付の中身になっているという、まずそこを前提として考えてみなきゃいけない。

 そういう意味で、単なる財政需要をどう賄うかというだけの話じゃなくて、その中で考えましょうねというのが、実は軽減税率。その中でも、やはりあるね、できれば低所得への配慮というのは必要ですねということ。と同時に、もう一つは、特に食料品なんかは、それだけじゃなくて、いわゆる痛税感というのがあるんですよね。お買い物のたびに毎回毎回かかるということに対する痛税感。そういうことを考えると、結果的に、税率が、二桁になり、上がっていったときに、これは世界共通のテーマだと思いますが、単に一律だけでできるでしょうかということがあると思いますね。

 そういう点で、私どもは、そういった納税者への配慮、負担への配慮をいろいろ考えながらやっていくんですよということが一つあります。ただ、これをやる場合には、当然のことながら、対象をどうするのか。あるいは、たくさん取り過ぎたりすると、得べかりし税収そのものが大幅に欠落して基本税率の方が高くなっていく、これをどう考えるのか。あるいは、事業者が途中で事務的にどれだけの負担があるのか、あるいは転嫁がどうだとか。つまり、それを具体的にやるための検討、準備というのが必要だろうと思います。

 一方で、後ほど出るんでしょうね、給付つき税額控除の話が、別途そういった配慮は必要があるという話もあるわけですが、当然これも、後で出ると思うが、収入の捕捉をどうやってやるんですかという話だとか、さまざまな技術的な課題もあるわけですね。そういった中で軽減税率のあり方ということを考える。

 そういう意味では、二桁になる手前の段階では、それは引き続き勉強していく課題であるけれども、一桁の段階では、できるだけ簡素な、バランスを失しないような臨時的な給付を考えるということは過去二回においても行われていることですから、とりあえずその点においては合意をしているということだと思います。そこから先は、さらに検討を重ねていきましょうということです。

竹内委員 お答えいたします。

 私ども公明党といたしましては、従来から、マニフェスト二〇一〇の中でも、消費税率が見直しされる場合には、給付つき税額控除制度もしくは複数税率など、低所得者への配慮措置を講じるということを明記しております。

 いわゆる逆進性対策でございますけれども、この両者のメリット、デメリットは今お二人の先生からお話があったとおりだと思っておりますが、やはり消費税の場合は国民の理解ということが大変大事であろうというふうに思っておりますので、そういう意味では、給付つき税額控除は、なかなか今のところ国民の理解は進んでいないのではないかなと。それに比べて複数税率は、ヨーロッパでも先行事例がありますので、やや理解は得やすいのではないか、こういうふうには思っておりますが、いずれにいたしましても、総合的に考えないといけない。

 その際には、私どもといたしましては、今回の合意の中でも了解されているとおりでございますが、この八%への引き上げ時からの導入も検討されるべきであるという理解でございます。

山内委員 ありがとうございました。

 この点に関しては民主党と自公との隔たりが全然埋まっていないようで、どちらになるのかわかりませんが、後で問題になるのか、あるいは、大分先のことなので、とりあえず臨時の給付措置でつないで、選挙が終わってからまた考えようということなのかわかりませんが、こういった点も、国会の場でぜひゆっくり審議をさせていただきたいと思います。

 次に、厚生年金保険の短時間労働者への適用拡大、これまでも何人か質問されておりましたが、月額七万八千円から八万八千円になりました。この数字の根拠についてお尋ねをしたいと思います。

白石委員 お答え申し上げます。

 適用拡大対象者の要件、どうして月額七万八千円以上を八万八千円としたかということでございます。

 修正協議では、企業が消費税引き上げに加えて社会保険料を折半で負担することになるということは、中小企業に対して悪影響、負担増ということになるので、さらなる配慮が必要であるということ。そして、もう一つは、月額七万八千円まで政府案どおり引き下げた場合、国民年金保険料の場合に比べて、厚生年金の保険料が、事業主負担分と加えてみますと低くなる。一方、将来の給付は、一階部分に加えて二階建てが加わるという逆転現象が生じることになるという意見がございまして、このような形になりました。

 以上でございます。(山内委員「八万八千円だと逆転しないということですか」と呼ぶ)はい。

山内委員 わかりました。

 次に行きます。

 消費税の転嫁について質問したいと思います。

 これまでの委員会で、私、民主党の方で御提案されています転嫁Gメンについて何度か質問させていただきました。民主党としては消費税の転嫁問題の解決策を提案されているわけですけれども、自民党と公明党の両党は、この消費税の転嫁問題を解決するためにどのような手が必要だとお考えでしょうか。

野田(毅)委員 政府案でも転嫁への配慮の規定があったんですが、今回、特にこの問題、我が党も重要視いたしておりまして、あえて独禁法あるいは下請法という固有の法律名をも掲げながら、特例的な立法が必要であるということを明記したわけです。

 言うなら、ある意味では転嫁カルテル的なものを認めるようなことをやらなきゃいかぬでしょう、あるいは買いたたき防止的なことも必要でしょう、優越的地位の濫用もよくないですねというだけでなくて、ここでは明記しておりませんけれども、いわゆるBツーBというんでしょうか、事業者間取引の中で税額を表記するようなやり方、ある意味ではインボイスの変形という見方もあるわけですけれども、そういう意味で、そういった具体的な転嫁がしやすい仕組みをどういうふうにビルトインしていくのかということも大事なことだと思います。そういったことを総合的に対応措置していきたい。

 これは決して消費税のことだけでなくて、今日のさまざまないわゆるデフレ的な要素の背景の一つに、やはり川下からどんどんどんどん買いたたきが川上まで行っちゃう、こういったことがかなりあるのではないかということを含めて、もう一遍、流通全体に対して、力の強い者が弱い者にしわ寄せをするようなことをできるだけ排除していくようなことを考えなきゃいけない、我々はそう判断をいたしておりますので、特に消費税の引き上げというタイミングではしっかりとやる必要がある、こう思っております。

竹内委員 お答えいたします。

 価格転嫁の問題は非常に重要な問題であるというふうに考えております。その意味では、今回の修正案にありますように、事業者の実態を十分に把握して、独占禁止法及び下請法の特例に係る必要な法制上の措置は不可欠であるということがまず第一点だと思います。

 その上で、我が党として検討しているのは、やはり、野田先生からもお話ありましたが、いわゆるインボイス、この方式ですね。インボイスと言うと何か外国用語なのでなじみがないかもわかりませんが、請求書に税額をきちんと書いていただければそういう転嫁というのはかなりやりやすくなることも事実でありますし、そういう請求書方式というのもございます。その辺、よくよく国民に周知徹底すれば、意外に事務負担が軽減されるのではないかという検討も党内ではいたしておりまして、この辺、トータルに、そのメリット、デメリットをよくよく考えて判断をしていきたいというふうに思っております。

山内委員 ありがとうございます。

 インボイスに関しては私も今おっしゃったことと同感でありまして、これまでの委員会の質疑でもインボイスについて政府に質問させていただきました。そのときに野田毅先生が、やじというか不規則発言の中で、インボイスを導入してもデメリットはないというようなことをやじでおっしゃっていたように記憶をしておるんですが、これまでの中央公聴会などで税理士さんに聞くと、インボイスを導入したら五千億ぐらい徴収漏れがなくなって、それだけで収入がふえるんじゃないかというような意見もありました。私が聞いた学者によると、一兆ぐらい出るんじゃないかということもありました。

 いろいろな人が、インボイスを導入するだけで税収増にもつながるし、消費税の転嫁を容易にするということでも価値があるというふうにおっしゃっています。私もそうじゃないかと思います。野田先生にその点について詳しく教えていただければと思います。

野田(毅)委員 まあ、やじであったかどうか。大体、メリット、デメリットという表現は余り好きじゃなくて、問題点と言うのならいいんですけれども。

 今回、このインボイスというものを扱うことによって、今お話がありましたよね、そういう意味で転嫁もしやすくなる側面があるんですよとか、あるいは複数税率を入れやすくなりますねという話とか、幾つかの長所のところもあります。

 それから、もう一つ、逆に言えば、これを出すところと出さないところによって、特に小さな事業者、簡易課税を適用されているところとか、あるいは免税点以下のところは非課税ということになっていますから、出さなくていい、それは今でも出さなくても取引してもらえるけれども、これを必要とすることになれば、排除されるんじゃないかという話もある。

 逆に言うと、日本の場合は、最初、いわゆる免税点が外国よりも少し高目に設定されたものですから、非課税、免税点が当たり前だということが必ずしもいいことであるかどうか。みんなが当たり前に帳簿をつけて、そういうことをやっていれば、逆に、そういう仕組みの中に自動的にビルトインされていくことになれば、結果としては、その方が御本人のためにもプラスになるという側面も一方であるわけですね。

 ただ、日常、実務的に煩雑だということで、それだけ事務負担が大きいという話がたくさんあります。これは、事実、そうでしょうね、事務コストがかかる。これをどう乗り越えるかということで、消費税の導入の際にいわゆる帳簿方式をとったのは、まさにその点を配慮して帳簿方式ということになったことの経緯もあるわけです。

 ただ、もう大分、そろそろ消費税そのものにもみんながなれてきたということ、それからもう一つは、インボイスも、昔みたいな伝票方式ばかりなのかどうか。今、かなり、請求書も、伝票だけじゃなくて、電子取引と言うとなんですが、そういったこともかなり広がってきているわけで、そういう場合のインボイスというのは、昔と同じような前世紀的な伝票方式だけをインボイスと言っていいのかどうか。

 もう少しそういった工夫ができる余地もあるのではないか、そんなことを含めて要検討だろう、今から断定することは少しまだ先走っているかもしれませんが、検討する余地は十分にある、私はそう思っております。

山内委員 この点に関しては、広く、党派を超えて同意できるところは多いと思いますので、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 次に、一つ飛ばしまして、消費税増税と財政再建について、法案提出者の方どなたかにお尋ねをいたします。

 消費税増税が財政再建に必要であるというのは理解ができます。しかし、問題は、消費税を増税しても、せっかく増税して収入がふえても、支出がどんどんふえていったら財政再建には役に立たないんじゃないかということがあります。

 この委員会の中央公聴会で、何度も引用させていただいていますけれども、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の五十嵐敬喜さんの意見を聞いて思いました。

 今、日本の国債がまだ信用されているのは、増税の余地が大きいからまだ日本国債は信用できるというふうに言われていると。ところが、もし、増税したのに、その増税の税収分を財政再建に使わずに、またばらまきに使ってしまったりすると、そのときこそ日本の信用がなくなってしまって、財政破綻になるんじゃないかというようなことをおっしゃっていたと思います。

 今回の消費税増税で収入がふえたとします。そうすると、財政規律が緩んで、また余計なものをつくったり余計な支出がふえる、そういう懸念にどう応えていくか、どうやって歳出がふえないように、肥大化しないようにするのか、その点についてどのような議論があるのか、お聞きしたいと思います。

古本委員 御指摘をいただいておりますのは、恐らく、附則の第十八条に二項が追加されたことも念頭に御指摘いただいているものだと承知してございます。

 元来、今般の改革の出発点は、この附則百四条にございます。附則百四条、改めてその部分を確認いたしますと、「基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げのための財源措置並びに年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用の見通しを踏まえつつ、平成二十年度を含む三年以内の景気回復に向けた集中的な取組により経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、」以下云々と、こういうことでございます。

 したがって、議論の発射台として、景気回復なくして消費税率の引き上げだけが先行するということはあり得ないし、もともと附則百四条はそういう立場に立っていないし、そして今回の私どもが提案している内容についても、そこにそごを来していないという中で、今回、実は第二項として新たに挿入されたわけでありますが、これは、財政による機動的対応が可能となる中で消費税率引き上げによる経済への影響等も踏まえなどとされておりまして、これは基本的には消費税引き上げ後の措置を念頭に置いたものでありますけれども、同時に、景気ということでいえば、常に、景気でありますので、税率の引き上げ前にも、含めて、しっかりとした検討が行われることになっている、このように思っております。

 いずれにしても、財政による機動的対応というのは、裏返せば、プライマリーバランスの赤字半減のめどである二〇一〇年代の半ばということももちろんありますし、その範囲の中でこの議論をしていく大前提だと思っております。

山内委員 次に聞こうと思っていたところまでお答えいただきましたが、附則の十八条、今おっしゃった財政による機動的対応というのは、まさに、税収がふえたらそれを使ってやりましょうねというふうに読めるんじゃないかと思います。そして、そこで事前防災、減災といったような公共事業に使おうということがあるわけですけれども、せっかく財政再建を目的にやる改革だったら、もう新しいことに使わずに全部借金の返済に回す、そういうことも一つの考え方じゃないかと思うんですね。

 私は、たしか安倍政権のときに、税収の自然増が四兆円ぐらいあって、それを補正予算で、借金返済に半分ぐらい、半分ぐらいは別のことに使っちゃったような気がするんですけれども、ああいうときこそ本当は全部借金の返済に回しておかなきゃいけなかったと思うんです。ちょっとでも使い道ができるとすぐ新しい用途というのを考えてくるいろいろな役所が、各省がいるわけで、やはり、これをやりたいという事業は誰しもあると思います。私も、ODA実施機関出身者としては、お金があったらODAをふやしたいと思っていますけれども、ただ、今の財政状況を考えると難しいと思います。

 そういった意味では、こういう条項をつけて、税収がふえたら違うことに使いましょうということを許すようなことは本当は望ましくないんじゃないかと思いますけれども、その点について、先ほど手を挙げられていた野田毅先生、コメントをいただければと思います。

野田(毅)委員 これは大変大事なことでして、財政再建原理主義と言うとなんですけれども、ただ、その前に、経済ががたがたになっては、財政再建も何もないんですよね。

 大事なことは、経済全体をどういうふうに改善するかというか、そこが一番大事なことですね。つまり、資源の再配分をもう一遍やり直すということなんです。

 消費税を上げて景気が悪くなるというのとは逆に、消費税を上げられないから何もできなくて、せっちん詰めになっちゃって、より大事なところに、人材育成であったり研究開発であったり、より日本の金の卵を産んでもらわにゃならぬような分野を育てるということへの資源配分ができない、このことが結果として全体に日本の経済の体温を低下させてしまっている。ある意味では、広く言えば、デフレの原因をつくっているかもしれない。やはり、雇用の確保をしていくようなところにどうやって重点的にお金を回すことができるのかということを考えないと、それは、日本の経済の再建がなければ、私は、財政の再建もおぼつかないと思います。

 そういう意味で、今回、消費税の引き上げによって少なくとも社会保障分野がどんどんふえていく、その分野において、消費税である程度この所要額をカバーしていけるということであれば、その部分、別途成長分野に資源配分をする余力が出てくるわけですから、それは、例えば研究開発分野に対する重点的な手当て、税制上あるいは場合によっては予算上、いろいろな形でやってもいいでしょうと私は思うし、特にコンクリートを目のかたきにするというのもいかがなものか。特に、やはり必要な防災、減災、今回で、もうみんな身にしみて感じたはずです。

 そういう意味で、人間にとっての大事な安全、安心にかかわる分野、成長にとって大事な分野はもっと積極的な配分をしていかないとじり貧経済になっちまうということを避けるためには、むしろ、今御指摘のあった条項をあえて加えることによってこれを前進させていきたい、こう思います。

 そして同時に、財政収支バランスということについては、単年度ごとの帳尻だけを問題にするような視点じゃなくて、もう少し幅を持った年次の中で戦略的な対応をしていくということが大事だろうと思います。

 そういう意味で、予算の配分先について、多少、あつものに懲りてなますを吹くという問題が少しあったのではないか。一律的に減らせばいいという話でもないし、一律的にふやせばいいという話でもないので、その辺をしっかりと、内容を見きわめて有効な配分をするということが一番大事なことだと思います。

竹内委員 公明党からも一言、重要な御指摘がございましたので申し上げておきたいと思うんですが、山内先生のおっしゃった点は非常に重要な点であると思っておりまして、やはり、この消費増税をした以上は、それが社会福祉、社会保障にやはりきちっと使っているということは極めて大事なことであると思います。それが安易に他の目的に流用されることがあってはならないというふうに思っております。

 その結果として、国債の新規発行額等が減少したということが市場、マーケットの皆さんにもはっきり見てとれるような姿を示さないと、非常に今後の評価は厳しいのではないかということを私どもも痛感いたしております。

 その上で、我が党は、デフレからの脱却、消費税増税の前から、さまざまな対策を打つべしということを申し上げておりまして、防災・減災ニューディール政策というのも掲げております。これは、単に公共事業をやれということだけではなくて、単に建設国債を大量に発行してやるということではなくて、官と民の総合的なプロジェクトとして、防災という観点から、非常に今危険な三連動地震等、首都直下型地震を含めて、そういうことが指摘されておりますので、やはり、人の命を守るという観点から、きちんとした官民にわたるプロジェクトを起こしていくということが結果としてデフレ脱却につながっていくのではないかということを提唱しているわけでございますので、あえてきょうは答弁させていただきました。

山内委員 ありがとうございます。

 時間がなくなってきましたので、ちょっと順番を変えて、認定こども園、総合こども園の法案について質問させていただきたいと思います。

 今回、修正の結果、新たな幼保連携型認定こども園の設置主体は、国、地方公共団体、学校法人または社会福祉法人となりました。株式会社が参入できなくなった、このことはこれまでの委員会の質疑を聞いていてよくわかります。民主党の方は株式会社もいいということですけれども、自公の方は、株式会社はお金もうけに走って、場合によってはよくないんじゃないかということでこれが外れたんだと思いますが、逆に、それであれば、株式会社ではなくてNPO法人、利益を配分しないNPO法人については許してあげてもよかったんじゃないかなと残念に思っているんですけれども、なぜNPO法人まで制限がかかってしまったんでしょうか。

池坊議員 今委員がおっしゃいましたように、私も、本会議で、この委員会でも、株式会社が入ることに対しては懸念を表しました。

 おっしゃいますように、総合こども園においては、まず、現行の保育所は原則として全て総合こども園に移行するということを義務づけておりました。それから、社会的要請として待機児童の解消というのを願うために、緩和措置として、規制を設けた上で、NPOを含む株式会社など多様な主体の参入を認めることというふうにされておりましたけれども、今回の修正では、幼保連携型認定こども園への移行は、設置者の判断として、保育所として存続することも可能としております。ですから、わざわざ株式会社とかNPOを入れる必要はないのではないか。

 なぜかといいますと、幼保連携型の認定こども園は、学校教育法、それから社会法人ということになっております。

 御存じのように、学校教育については、教育基本法第六条において、公の性質を有するとされ、その提供主体は公共性、継続性、安定性を備えることが要請されております。ですので、国や地方公共団体がみずから運営するか、私人が行う場合、その教育や経営について公による監督を受ける必要があることから、学校法人制度というのが設けられております。

 今委員がおっしゃいますようなNPO法人はどういう性質かといったら、自由な法人運営を尊重して、所管庁の関与が極力抑制されることを特徴とする制度であり、その制度設計が、学校法人と異なって、学校の設置主体として認められてはおりません。今までもNPOの学校というのはございませんでしたし、NPOの幼稚園というのもございませんでした。

 四つのうちの幼保一元型の認定こども園では、これは認めることはできませんし、それから幼稚園型の認定こども園というのも認めてはおりませんけれども、保育型の認定こども園、それから地方裁量型では、これは認定こども園として設置することが可能でございますし、また、認定こども園共通の給付を設けることができます。

 ですから、これは、幼保連携型としては認めることはできなくても、同じように認定こども園として認めることができるようになっておりますので、株式会社もNPOも、その基準さえ満たしたら給付を受けることもできますし、認可をされることもできますので、変わりはないというふうに考えております。

山内委員 民主党の提出者の皆さん、何か思いのたけがあれば、ぜひ言っていただきたいと思いますが、どうでしょう。

和田議員 コメントを求められましたので、一言だけ。

 私、この委員会の委員として審議に参加しておりましたときからずっと感じておりましたが、今、山内委員の方からの問い合わせは、NPOに対して拒むような制度になっているのではないかという問題意識のお問い合わせでしたが、むしろ、この委員会でいろいろな御質疑があった中では、今現在、子供の世話をしていただいている施設がいろいろある中で、それらの施設はできるだけ活用していこうという思想が、我が党にもありますし、他党の皆様方にも十分おありだということがわかったものですから、その中で現状の制度をできるだけ活用しながら、待機児童をなくしていったり、地域のいろいろな保育園、幼稚園の問題点を解消していったりすることを目指した結果、このような制度になっております。

 認定こども園制度につきましては、先ほど先生の方から御答弁ございましたとおり、現状で保育所型それから地域裁量型につきましては、入っていただいて可能な制度でございますので、それをますます支援していきたいというふうに考えてのことでございます。

山内委員 元NPOの専従職員としては非常に残念な決定なんですけれども、次の、別の質問に戻りたいと思います。

 ちょっと順序が逆になりましたが、社会保障制度改革国民会議について質問させていただきたいと思います。

 いろいろな会議がこれまで社会保障絡みでありました。福田政権のときに社会保障国民会議というのもありました。菅政権のときに社会保障に関する集中検討会議というのもありました。その後どうなったか、正直、私もよく知りません。そんなに注目を集めていないと思います、その後ですけれども。

 今回設置される見込みの社会保障制度改革国民会議、非常に重要なテーマ、多岐にわたるテーマを扱うと思います。二十名のメンバーで、非常に広いテーマを扱い、しかも一年という限られた期間でやっていく。非常に難しいところもあると思います。あるいは、どういう形で会議を持つかというのは重要じゃないかと思いますが、事務局を役所に任せてしまうと、どうしても役所のこれまでの路線の延長線上みたいな意見しか出てこないということもあるかもしれません。

 どういう会議の持ち方、どういう会議体になるんでしょうか。お尋ねします。

長妻議員 お答えをいたします。

 おっしゃっていただいたように、この国民会議は、委員二十人以内、そして、委員は内閣総理大臣が任命する、委員は国会議員を兼ねることを妨げない、あるいは、会議は会長を置いて、委員の互選により選任する、会長は国民会議の会務を総理するということで、今おっしゃっていただいたような事務局長は、会長の命を受けて局務をつかさどるというようなことになります。

 おっしゃっていただいたように、この事務局機能というのは大変重要でございまして、これについては、きちっとした見識を持ち、そして社会保障に精通した方々についていただくようなことが私は必要だと思っております。あとは、互選により選出された会長等々が御判断をされることであるというふうに思っております。

山内委員 あと、メンバーなんですけれども、国会議員が委員になることを妨げないという部分があろうかと思います。私は、個人的には、党派を超えた議論をやるためには、逆に国会議員はいない方がいいんじゃないかなと。あるいは、大臣とか政調会長みたいな非常に忙しい人がメンバーになってしまうと、その人のスケジュールがとれなくて、なかなか会議が開けないということもあり得るんじゃないかなと思います。

 どういう意図を持って国会議員を妨げないということにされたんでしょうか。どういう議論があったんでしょうか。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 これは、実は前例がございまして、かなり前でございますけれども、社会保障を審議する審議会の中に与野党の国会議員も入って有識者とともに議論をしたというような前例もございます。

 今回、本当にいろいろ難しい制度設計あるいは制度の議論などなど、社会保障全般にかかわる議論をするというようなこの推進法の法律が今御審議いただいているところでありまして、その中で、国会議員も、「委員は、国会議員を兼ねることを妨げない。」こういうような表現で第十条ということで入れさせていただいております。

 これは、いろいろ総合的に判断をして、そういう判断、つまり、国会議員による判断というのも妨げるということではないというような趣旨を入れさせていただいているところであります。

山内委員 今の長妻委員のお話では、その与野党の国会議員が入った会議の前例が成功例だと認識されているんでしょうか。それとも、本当に国会議員が入ったことが、この前例の場合プラスに働いたんでしょうか。その点、どう認識されておりますでしょうか。

長妻議員 私も、その前例がある審議会の話を聞いておりますけれども、当然、普通の、国会議員が入っていないいろいろな審議会と比べて、かなり、課題もある一方で評価する点もあるというようなことで、そういう会議の復活を望む声も私のところに届いているのも事実でございます。

 ただ、いろいろ過去の前例がありますので、そこでの課題というのもよくよく我々も研究をして、そして、怠りなきように、この法律の趣旨にのっとって運営をしてほしいと思っております。

山内委員 まだ内容が余り詰まっていないようですので、しっかり、そのつくり方自体も含めて検討して、中身のあるものにしていただきたいと思います。

 五時になりましたので、以上で質疑を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十五日月曜日午前八時四十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時散会


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