衆議院

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第22号 平成24年6月26日(火曜日)

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平成二十四年六月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      石井登志郎君    泉  健太君

      稲富 修二君    江端 貴子君

      岡田 康裕君    勝又恒一郎君

      岸本 周平君    近藤 和也君

      篠原  孝君    白石 洋一君

      永江 孝子君    長尾  敬君

      長妻  昭君    早川久美子君

      藤田 憲彦君    三村 和也君

      宮島 大典君    室井 秀子君

      湯原 俊二君    柚木 道義君

      渡部 恒三君    石田 真敏君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      鴨下 一郎君    田村 憲久君

      竹下  亘君    野田  毅君

      馳   浩君    町村 信孝君

      竹内  譲君    佐々木憲昭君

      宮本 岳志君    内山  晃君

      豊田潤多郎君    服部 良一君

      山内 康一君    中島 正純君

    …………………………………

   議員           長妻  昭君

   議員           柚木 道義君

   議員           白石 洋一君

   議員           鴨下 一郎君

   議員           加藤 勝信君

   議員           西  博義君

   議員           和田 隆志君

   議員           泉  健太君

   議員           江端 貴子君

   議員           田村 憲久君

   議員           馳   浩君

   議員           池坊 保子君

   議員           古屋 範子君

   内閣総理大臣       野田 佳彦君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           岡田 克也君

   総務大臣         川端 達夫君

   財務大臣         安住  淳君

   厚生労働大臣

   国務大臣

   (少子化対策担当)    小宮山洋子君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   内閣府大臣政務官     大串 博志君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   参考人

   (日本銀行理事)     門間 一夫君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十六日

 辞任         補欠選任

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

  豊田潤多郎君     内山  晃君

  中島 隆利君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

  内山  晃君     豊田潤多郎君

  服部 良一君     中島 隆利君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七四号)

 被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七八号)

 子ども・子育て支援法案(内閣提出第七五号)

 総合こども園法案(内閣提出第七六号)

 子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第七七号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)

 社会保障制度改革推進法案(長妻昭君外五名提出、衆法第二四号)

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案(和田隆志君外五名提出、衆法第二五号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する長妻昭君外五名提出の修正案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する長妻昭君外五名提出の修正案、子ども・子育て支援法案及びこれに対する和田隆志君外五名提出の修正案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する和田隆志君外五名提出の修正案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する古本伸一郎君外五名提出の修正案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案及びこれに対する古本伸一郎君外五名提出の修正案並びに長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案及び和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案の各案及び各修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案及び各修正案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事門間一夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 総理、去年は大変な年でありました。命の重さ、政治の責任の重さを改めて痛感した一年でありました。

 震災発災当時、私は防衛政務官を仰せつかっておりました。国民の生命と財産を守り抜く、その最終責任を政治は担っている、その決断、判断に人の命、国民の命がかかっている、だからこそ政治に想定外は許されない、その思いを強くしました。

 三十年後に高齢人口がピークを迎える日本の未来は、決して想定外ではありません。ヨーロッパの火種が依然としてくすぶっている中で、財政への信認が揺らげば、金融不安、経済不安につながりかねないことも、決して想定外ではありません。

 だからこそ、先送りの政治を終えなければならない。国民の暮らしを守るために、この先も親に安心して長生きしてもらえる社会を守るために、一方で、今はまだ投票権を持たない子や孫の世代、今はまだ声すら上げることができない、ある意味最も弱い立場に置かれた次の世代に対して、欠席裁判のような形で重過ぎる負担だけがのしかかることがないようにしていくために、先送りの政治は、いつか誰かが終わらせなければなりません。

 だから今やるんだ、だから私たちの手でやるんだ、国民の生活が第一の民主党だからこそ、チルドレンファーストの民主党だからこそ、先送りの政治は私たちの手で終わらせなければならない、その総理の決意、不退転の決意、本気を改めてもう一度、冒頭、確認させてください。

野田内閣総理大臣 おはようございます。

 松本委員御指摘のとおり、結論を出すときには結論を出さなければならない、苦しくても、せつなくても、そういうときがあると思います。

 私どもも、これまで一つ一つの山をみんなで力を合わせて乗り越えてまいりました。派遣法の改正あるいは郵政改革法案、長い間解決できなかった問題でありますけれども、各党の御理解もいただきながら、そうした山を乗り越えてまいりました。

 今御審議をいただいている一体改革はそれ以上に大きな改革でございます。国民の生活を守る。今を生きている我々の国民の生活だけではありません。将来世代をおもんぱかって、ここで一歩改革に踏み出さなければ、私は、手おくれになってしまうと思っています。猶予はないと思います。待ったなしだと思います。だからこそ、我々は、責任を持ってこの改革を推し進めていかなければなりません。先送りのできない、そういう政治の象徴的なテーマがこの一体改革であります。

 もちろん、これは大きなテーマです。社会保障と税の一体改革であると同時に、包括的に、経済の再生も、政治改革も、行政改革もやり遂げていかなければならない大きな山です。でも、この大きな山を前にひるんでいては、我々は無責任な政治だと思います。しっかりと結論を出して、決断をする、決断と実行の政治の象徴的なテーマだと思います。

 各党の御理解もいただきながら、みんなで力を合わせてこの山を乗り切っていきたいと思います。御協力、よろしくお願いいたします。

松本(大)委員 決断と実行の政治、総理の決意はしかと承りました。

 きょう、こうして締めくくり総括質疑を迎えております。きょうの質疑が終われば、総審査時間は、これは見込みでありますけれども、百二十九時間十分、戦後では日米安保に次いで第二位の長さだそうであります。

 この間、総理の決意もさることながら、我が党の先輩議員、同僚議員、多くの皆様の御尽力がありました。そして、きょう、この締め総を迎えている背景には、修正協議に当たっていただいた与野党の先生方の大変な御尽力がありました。

 我が党は、細川律夫社会保障・税一体改革調査会長、藤井税調会長、そして厚生労働部門会議の座長である長妻先生、さらにはこの現場の委員の理事でいらっしゃる古本先生、我々の万感の思いを託すに当たって、これ以上ない、まさに余人をもってかえがたい最強の布陣でありました。よくぞこの難しい協議をおまとめいただいた。ただただ感謝の一言に尽きます。

 ねじれ国会という大変厳しい現実がある中で、今回、年金についても合意に達することができました。改革を実現することができました。

 私は、今回のこの改革のポイントは格差の是正にあると思っています。

 年金受給者、低所得の方については福祉的な給付で加算を行う、年金受給資格期間、受給資格要件を緩和することによって無年金者の救済を図る、あるいは、非正規の方を中心として厚生年金の適用拡大を行って将来の低年金を防いでいく、こういった形で格差の是正にまず取り組んだ。私は、これは、我々が政権交代、マニフェストで実現をしようとした、格差是正というのはまさに政権交代やマニフェストで実現をしようとした民主党の理念そのものであり、今回の改革は高く評価すべきものであると考えておりますが、改めて、提出者の長妻さんに、今回の改革の意義、ポイントを確認したいと思います。

長妻議員 お答えを申し上げます。

 消費税のみならず、社会保障につきましても、今ねじれ国会の中で、野党の皆さんの御協力が不可欠であります。

 その中で、おっしゃっていただいたような格差の是正、あるいは消費税を上げさせていただくときの同時に行う社会保障の下支え機能、これは余り国民の皆さん御存じない点もありますので、簡単に申し上げますと、例えば社会保障と税の一体改革の関連法案というのは、この委員会に出ているものだけではございませんで、既に提出済みのものもあります。

 例えば、国保の保険料を低所得の方、四百万人の方に軽減をさせていただく、これは消費税を上げさせていただくと同時でございますし、今おっしゃっていただいたこの三党の修正協議で相調いました年金の下支え機能、低年金、低所得の方々に対して、約五百万人の方に上乗せをさせていただく。そして、低所得の障害者、障害年金の受給者に対しては、一級の方に定額で一カ月六千二百五十円上乗せをさせていただく、二級の方に五千円上乗せをさせていただく。これも、消費税を上げさせていただくと同時に実行いたします。

 さらには、パート、アルバイトの方二十五万人に、これまで厚生年金に入れなかった方に入っていただく。あるいは、公務員の年金の特権と言われていたものについて、いろいろな特権が数項目にわたってありましたけれども、これを厚生年金と一緒にすることで、その特権をなくして、サラリーマンと同じにする。

 そして、二十五年ルールというのがあって、年金保険料を延べ二十五年払っていないと、老後、保険料を没収された上、一円も受給できない、厳しいルールが日本にございましたが、これを十年に短縮するということで、今無年金の方十七万人が新たに受給者になるというようなことも、消費税を上げさせていただくと同時に実施します。

 さらには、年金の受給額というのは物価スライドがかかっておりますので、消費税が上がるということは物価がその分上がるということでありますので、それに比例して、一定の係数を掛けて、受給額も上がるというような措置も実施をされるということでありますので、決して社会保障先送りということは当たらないと思っております。

松本(大)委員 官民格差の解消という点について、私、ちょっと言及が漏れておりました。よくわかりました。ありがとうございました。

 子育て支援についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 民主党はチルドレンファーストを掲げてまいりました。子供のためならと、今回の閣法の提出に至るまでの間、保育所と幼稚園も歩み寄りました。厚労省と文科省も歩み寄りました。政党同士だけが歩み寄れないはずがない。全ては子供のために、ただその一点で、今回、民自公三党も歩み寄ることができました。間もなく父親になる予定の夫の一人として、本当によかったというふうに思っています。

 今回、総合こども園撤回、そういった子育てと仕事の両立を真面目に頑張ろうと思っていらっしゃる若い世代を失望させかねないような喧伝が行われている中で、今回の改革は、我々がマニフェストにも掲げた待機児童の解消等の課題の解決に資するものであるということを改めて提出者に確認させていただきたいと思います。

和田議員 松本委員にお答えいたします。

 私も、三歳児の父親として、本当に日々思いを共有させていただいておりますが、今回は、おっしゃられたように、本当に三党が、子供の育ちのために、またそれを育てるお父さん、お母さんのために何が一番いいことなのか、歩み寄って考えた、その結果が今回の修正法案でございます。

 名前こそ、総合こども園というものから認定こども園の拡充というものに変わっておりますが、目指した政策効果や、また、それによって、今苦労していらっしゃるお父さん、お母さん、また育とうとしている子供さんたち、これらを救えるその効果は不変であり、むしろ、より一層現状を踏まえた現実的な対応になっているかと考えております。

 まず一つには、今まで自公政権が育てていただいた認定こども園という制度でございますが、これらをより現実的に、今までは二重行政や財政支援がばらついていた、こんな問題点を克服して、それをともに一体化することによりまして、認可も、またその後の指導監督も、より簡便な方法で行えることになりました。

 さらには、これらに対する給付も一体化されておりまして、本当にいろいろな形態で子供の面倒を見てくださっている施設に、あらゆる支援を行っていけるようになっております。

 さらには、それぞれ、都会部では、待機児童がこういった施設の整備によって解消していくものと期待されますが、地方部におきましては、今度は、一つ一つの施設を運営していくのに、子供の数がだんだん減少していく中、厳しい情勢が予想されています。そんな中で、小規模保育というものをやろうとしても、また保育ママというような家庭保育をやろうとしても、今までは支援が十分行えませんでしたが、今回は、地域型給付という制度を設けて、これも財政支援を行うことになりました。

 もっと言えば、こういったものにつきまして、今までは、毎年毎年の予算編成で非常に苦労しておりましたが、今回は税制改革を一体的に行っていただきまして、安定財源七千億円を生み出しております。

 こういったことをあわせて考えますと、法形式の名前は変わりましたが、より一層現実的に充実した施策を盛り込んだ法案だと考えております。一層国民の皆様方に御説明してまいりたいと思います。

松本(大)委員 年金も子育てもしっかり前に進んだということがよくわかりました。

 税についても本当は聞こうと思ったんですが、今回は、修正合意において、転嫁対策、法制上の措置にまで踏み込んでおります。これは、「中小企業を総合的に支援する」とした我々のマニフェストにも資する修正であると私は評価をしております。ぜひ副総理を先頭に、今後の対話集会がむしろ重要だというふうに思っておりますので、頑張っていただきたいというふうに思います。

 最後に、総理にもう一度お伺いさせていただきたいと思います。

 民主党政権初の施政方針演説は、「命を守りたい。」という鳩山総理の言葉から始まりました。

 その言葉どおり、我々は取り組みを進めてまいりました。診療報酬改定では、十年ぶりに医療の切り下げから充実へと転換を果たしました。この委員会でも何度も取り上げられたワクチンの問題、子宮頸がんワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、Hibワクチン、公費助成を進めたのも、これは政権交代の成果であったと思います。

 命を守るため、必死になってその財源捻出に頑張ってまいりました。命を守りたい、この思いは変わらない、野田総理も変わらない、だからこそ、命を守るための社会保障の予算はこの先も安定的に確保していかなければならない、そのための一体改革なんだということ。さらには、その意味で、今回のこの一体改革とマニフェストは矛盾するものではなく、互いに補い合う、そういう関係にあるのだということを最後に確認させていただいて、質問を終わりたいと思います。

野田内閣総理大臣 命を守る政治の必要性はいよいよ増してきていると思います。それは、これまでの医療の取り組み等御指摘ございましたが、東日本大震災が発生をし、その対応も含めて、命を守らなければいけない政治の重みは増していると思います。そのことを十分自覚していかなければいけません。

 加えて、御指摘のとおり、国民の命に直結するのが社会保障です。国民の生活に直結するのが社会保障です。その社会保障の改革、充実強化するところ、安定化させるところ、その支えるための安定財源が今回のお願いをする消費税であります。

 そういう命を守る、国民の生活を守るという政治を貫徹していきたいと考えております。

中野委員長 これにて松本君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 この委員会で十五回目の質問、最後の質問をさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 我が国の財政状況は極めて深刻な状況に直面しております。また、少子高齢化の進行にも歯どめがかからない中で、社会保障や税のあり方を抜本的に見直す必要があります。今回の社会保障・税の一体改革も、まさにそうした観点から行われているものだというふうに考えております。

 社会保障の拡充と強化のためには、その裏づけとなる財源の確保が必要であります。その財源として消費税の引き上げを国民の皆様にお願いすることは、民主党内の混乱を見てもわかるように、我々政治家としては大変厳しい決断が伴うものであります。今回、このような形で国民の皆様に御負担をお願いすることになりますが、消費税率引き上げだけが社会保障制度の拡充や強化よりも先行するようなことになってしまえば、これは国民の皆様に受け入れられるものではありません。

 昨日総理にも申し上げましたが、消費増税を実施するまでに、まず景気対策をしっかり行い、デフレを脱却させて経済状況を好転させることが消費税率引き上げの前提条件であります。さらには、議員定数の削減、行政改革、選挙制度改革の見直しなど、身を切る改革についても早急に結論を出すことも、今回の社会保障・税の一体改革の意義を国民の皆様に納得してもらう前提条件として必要不可欠なことであると思います。今、野田総理は日本の歴史を変える大きな改革をなし遂げようとしておられるわけですから、これらの課題点を一つ一つ、丁寧に丁寧にクリアしていっていただきたいと思います。

 それでは、野田総理にお伺いいたします。今後の国民会議への政治家の関与についてお聞きしたいと思います。

 今回、民主、自民、公明の三党合意により、社会保障制度改革国民会議が設けられることとなりました。今後の社会保障制度のあり方はこの国民会議での議論に委ねられることになりますが、国民の立場に立って、安心、安全の観点からも、社会保障制度改革の内容を明確化することが政治の責任でもあると思います。

 国民会議には国会議員の参加も可能となっておりますが、今後の社会保障制度改革の検討における政治家の関与のあり方と必要性について、総理のお考えをお願い申し上げます。

野田内閣総理大臣 まずは、中島議員におかれましては、十五回もの御質問ということで、心からの敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、社会保障制度改革国民会議についてのお尋ねがございました。

 その委員については、社会保障制度改革推進法案において、すぐれた識見を有する者のうちから総理が任命するとともに、国会議員を兼ねることを妨げないこととなっております。国会議員の参画によって、国民各層、各世代の利害を柔軟に調整しながら議論を進められることが期待できるというふうに思いますが、国会議員の関与のあり方を含めた具体的な委員構成について、人選はたしか二十名までということだったと思いますが、その委員構成については、法案審議等での御意見を踏まえまして、会議の運営方法等、あわせてしっかりと検討していきたいと考えております。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 野田総理、各大臣の皆様、それから提出者の皆様、きょう、この委員会で採決され、そして本会議で採決され、そして舞台は参議院に移ります。本当に、成立のその瞬間まで、不退転の決意で頑張っていただきたいというふうに思います。私もこの委員会でたくさんの質問のお時間をいただきまして、本当にありがとうございました。

 それでは、質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 次に、逢沢一郎君。

逢沢委員 自由民主党の逢沢一郎です。

 野田総理、おはようございます。お疲れのように見えますけれども、しかし、いよいよ採決、その日を迎えて本当に充実感あふれる、そういう表情のように見えます。

 いよいよ総括質疑、締めくくり総括を迎えました。今、九時二十分過ぎでありますので、あと四時間後には、よほど大きな変動が起こらない限り本会議が開かれている、そういう時間を迎えました。

 先ほど松本さんからもお話がありましたように、五月、連休明けの本会議でスタートし、まず与党質問から入り、そして、もう百三十時間近い熱心な質疑を交わしてまいりました。日米安保特別国会以来の長い審議にお互いが臨んだ、こういうことでありますが、自民党は、そして私どもにとりまして友党の公明党は、この一体改革の法案に賛成の立場を既に先ほどの当委員会の理事会で表明いたしております。本会議において、民主党内、相当混乱の様相を呈しているようでありますけれども、この一体改革法案が可決をされる、そのことは確実な情勢と言っていいんだろうと思います。

 先ほどもお話がありましたように、消費税率を引き上げる、まさに大改革ですよね。野田総理のもとで、もちろん参議院の審議、採決を経て法案は成立をするわけでありますけれども、衆議院という大きな山をきょうこうして越えようといたしているわけであります。

 きょうはいい天気ですよね。先ほど、理事会で思わず、採決日和ですね、そう私は申し上げたわけでありますが、天が野田総理を祝福しているのかどうか、それはよくわかりませんけれども、今総理がどんな心境にあられるのか、思いにあられるのか。これだけ大きなことに挑戦をし、野党第一党、第二党の賛成も取りつけて衆議院という大きな壁を乗り越えようとしている、高揚感、充実感もお持ちであるでしょう。あるいは、マニフェスト大違反じゃないか、こういう批判をもろに浴びながらも、総理大臣が気合いを入れて状況を引っ張っていけば相当なことができるんだな、そういう思いを持っていらっしゃるのかもしれません。

 しかし同時に、きょう、こうして締め総に臨みながらも、やはり本会議の結論が心配だな、そういう気持ちがどこかにおありになるかもしれない。あるいは、既に心はもう参議院に飛んでいるかもしれませんね。参議院の自民党も大変張り切って、この審議が始まるのを待っている。野田総理が参議院自民党を大好きかどうかわかりませんけれども、そんな思いが心の中にあるかもしれない。

 今、衆議院の採決を前にして、総理はどんな思い、心境にあられるのか、率直にお話をいただきたいと思います。

野田内閣総理大臣 今、この委員会に臨んでいる私の思いでありますけれども、まさに日米安保特別国会に匹敵する、百三十時間というお話がございましたが、大変長い間、熱心な御議論をいただきました。その熱心な御議論があったればこそ、この国会審議で熱心な議論があったればこそ、論点が明確になって、そして三党間における修正の合意ができたというふうに私は思っております。国会審議で熟議を重ねて結論を出すという、私は、一つの政治文化としては大きな前進になるのではないか、お互いに国益を考えて、譲り合うところは譲り合いながら一定の成案を得る努力をしてきたということはすばらしいことだと思います。私は、長い間この委員会に御参加をされた委員の皆様、各党の委員の皆様に対する感謝の気持ちで今いっぱいでございます。

 まだ、採決の結果、本会議等を含めてでございますが、きのう、私も民主党の代議士会で自分の思いをお伝えさせていただき、信頼をしてほしいと呼びかけました。現時点の気持ちは、あえて言うならば明鏡止水の気持ちでございます。

 もちろん、参議院での御審議もあります。まだこの衆議院の採決も残っていますので、引き続き緊張感を持って、この法案が成立できるように、国民のために、国家のために成立するように、これからも引き続き全力を尽くしていきたいと思いますので、引き続いてのまた御協力を改めてお願い申し上げたいと思います。

逢沢委員 百三十時間近い審議を重ねてまいりました。この審議を通じて、国民の皆さん、どう受けとめておられたか。

 審議をやればやるほど、理解や共感や、それはそうだな、そういう思いが国民の皆さんの中にぐっと広まってくる、確かなものになってくる、そうであればよかったな、また、そうでなきゃならぬなという思いを持って私自身もこの委員会に臨んでまいりましたが、やればやるほど、これは一体どうしたことなんだ、疑問や、あるいは不安や不信や、そういうものがどうも拡大をしてくる、深まってくる、強くなってくる。そういう現実から我々は目を背けることは一面できないなというふうに思うんですね。

 消費税を引き上げることの是非、誰のために、何のために。いや、社会保障の充実強化、財政の機能強化、それも大事だ。そういうことに対して、正しく国民の皆さんの理解が本当に深まってきたのかどうか。世論調査の数字なんかを見ていると、むしろ厳しい方向に向かってきたなというふうに思いますね。

 それはやはり、何度もここの場で繰り返し議論になってまいりましたけれども、年金や、あるいは特に高齢者の方々の医療をどう支えるか、その中身がないから、これはおかしいじゃないか、そういうことが審議を通じてだんだん国民にも明らかになってきた。加えて、民主党の中が大混乱、統制がとれない、そういう状況が日増しにあらわになってくる。

 しかし、そういう厳しい状況の中にもかかわらず、きょう、こうして採決の日を迎えることができた。しかも、相当多数の賛成で本会議は可決されるでしょう。ここまで審議を引っ張ってきた原動力、エンジン、それは一体何だったのか、総理はどのように認識をしておられるんでしょうか。

野田内閣総理大臣 これは、もうここに集っている全ての委員の皆さんの共通認識だと私は思います。社会保障の改革は待ったなしの状況である。人口構成の問題も前から言われておりました。その問題も踏まえまして、特に少子化対策、子ども・子育ての部分については、早く着手していかなければ歯どめがきかないという状況の中で、期待をする方がたくさんいらっしゃる。そして、それを全ての世代で分かち合っていく、助け合っていく、そういう方向感というところは一致したと思うんです。

 問題は、具体論でいろいろお互いの固有の政策がありますので、いかに譲り合っていくかというところで、今回は、長い時間をかけての議論を経て、そしてこういう形で合意をすることができたということは私はすばらしいことだったと思います。

 原動力は、今のままではいけない、将来の世代に責任を持つためにも今結論を出さなければいけないという思いを多くの皆様が共通認識として持っていたということが、今回の成案を得ることができたことの最大の要因であって、どなたの努力もとうとかったというふうに私は思っております。

逢沢委員 六月十五日に三党合意、夜遅くなりましたけれども、何とか合意にたどり着いたわけであります。今、答弁席に大勢の野党の先生方、法案提出者の方々も座っていらっしゃるわけでありますが、代表して自由民主党の野田先生にお伺いをしてみたいというふうに思います。

 この三党合意をどのように評価しておられるか。そして、実務者の全員を指揮する立場で、税についてもあるいは社会保障についても大変な指導力を野田先生には発揮いただいたわけであります。先生のお立場として、この三党合意をどう評価し、それをこれからどう展開させていくべきか、どのようにお考えか、端的にお話をいただきたいと思います。

野田(毅)委員 今回の大改革と申し上げていいと思います、社会保障の仕組みにしても、今のままで未来永劫大丈夫ということは誰も考えていないと思う、どこかできちんとしなきゃいけない。それから、現在の財政の状況をこのままでいいとは誰も思わない、いずれ消費税引き上げはみんな必要だと答えると思います。

 しかし、いざ現実にその引き上げという直前になりますと、今日まで常にそうです、その前にやることがある、この一言です。そして、選挙によって成り立つ政界はどうしてもそのことで腰が砕けやすくなります。そうやって今日までずっと延ばしてきた現実がある。その中で、もはやこれ以上先送りはできないという危機感がかなり共有できたように思います。

 今なお、まだその前にやることがあるといって頑張っている人もあります。しかし、大勢はもうもはや許さないという一つの時代背景、これは今総理がおっしゃった国民的な背景があると思います。

 あとは、それを具体的にどういうふうにそれぞれの政党、特に与党が真っ先にその責めを果たすべき立場にあるわけで、その点で、今なお与党の中が割れているということは極めて残念なことであります。まず与党が一枚岩になって、その上で野党に協力を呼びかけるというのが筋道だったと思います。

 しかし、我々、我が党もそうです、公明党もそうだと思います。そういう中で、与党を経験した中で、もはやこれ以上の先送りは許されないという現実の中で、かつて与党時代にその方向性を我々は世の中に明らかにしてまいりました。この期に及んで、与党、野党を超えて、お互い譲るべきは譲ってでも、ここは方向性をしっかりと責任を持って果たしていくということが政治の責任だ、こういう角度から合意ということへの歩みが動いたと思います。

 その中で、具体の問題はいろいろあります、マニフェストの問題、その他幾つかありました。しかし、いろいろありますけれども、率直に言って、財源のなき公約はこれからお互いは、やらないことがいいぞということだけは、与野党を通じて確認したことだと思います。それをみずから言うか言わないかは、それぞれの政党の中で次の選挙に向けてお考えになる世界であると思います。

 そういう点で、これだけ難しい問題を、とりあえず中長期の問題は継続協議をすることによって、そして当面、五から一〇にやることだけはまずは急ぐ話であるし、その幅の中でできるだけの今日の社会保障に対するサービスのレベルをどう改善していくのかということは切り離ししながら、お互いがこれから相談をし合って結論に至るということは、歴史的に、ある意味では大きなステップを踏んだと評価されることではないか、そう思っております。

 長くなりましたけれども、以上、お答えを申し上げます。

逢沢委員 ありがとうございました。我々自由民主党全ての議員の基本的な考え方、姿勢、思い、それを端的に今、野田先生の方から、しっかりと議事録に残す形で発言をいただいたというふうに思います。

 さて、総理、冒頭申し上げましたように、本会議の時間も迫ってまいりました。きょう朝、テレビを見ますと、民主党の賛成派、いわゆる青票、反対票を入れる、そのことを公言しておられる、両方の立場の方がテレビに出て、いろいろな発言を闘わせておられる。本当にこれが現実なんだなというふうに思って、私も見ていたわけであります。

 民主党の代表として、なぜ、民主党がこの期に及んでこういった状況になっているのか。五十人ですか、あるいは六十人とも報道では言われておりますけれども、こういった方々が造反といいますか反対を明言される。なぜこういう状況になっているのか。総理として、民主党の代表者として、責任ある答弁を国民に対してお願いをいたしたいと思います。

野田内閣総理大臣 多様な意見がある中で、いろいろな意見表明がございました。そう一くくりになかなか束ねることは難しくて、いろいろな御意見があります。

 ただ、私は、やはり根幹は、もう率直に申し上げて、マニフェストに記載していなかったことをあえてこういう形で与野党で協議をして前に進めようとしていることに対しての理解が、共有できている方とそうでない方との違いが出ているのではないかと思うんです。

 当然のことながら、地元に帰れば、推進をする方も、賛成のお立場の方ですらも、やはり、うそつき、ペテン師と言われる罵声も浴びています。ようやく自民党のレベルに追いついてきたかという、ある種、ばか扱いもされます。

 ペテン師、うそつき、ばかと言われる中で、それでもこの改革はやり遂げなければいけないと思っている人たちが腹をくくって賛成しようとしていますが、そうではなくて、やはり、そういう地元の声というもの、マニフェストとの総括の問題を含めて、まだ御賛同いただけないまま多様な意見が出ているというところが究極ではないのかなというふうに思いますが、それでも、熟議を交わして党内でもさまざまな議論を行ってまいりました。

 そして、きのうの代議士会で、改めて、みんなで一致結束して対応するようにお願いをいたしました。私は、最終最後まで一致結束した対応をしていただけるものと信じてまいりたいというふうに思います。

逢沢委員 行き着くところは、やはり、その原因はマニフェストにたどり着く、端的に総理からそういうお話がありました。全くそのとおりなんだろうなというふうに思うんですね。

 たしかあれは五月二十三日でしたか、この場所で、〇九年の民主党のマニフェストの中に、明確に社会保障のために消費税を引き上げる、そのことは明記されていない。しかし、その後、党の代表になった野田さんが総理大臣として、民主党の代表として、これをぜひやろうというふうに持ち出した。どっちがどう優先するんだ、どう整理をするんだ、そんな議論をさせていただいた。そのことは、昨日、伊吹先生からも、もう一度指摘をいただいたわけであります。

 本当は、野田さんの思い、考え方を民主党の新しいマニフェストにきちんと整理をし直して、もう一度国民の皆さんとの契約を結び直す、そういう手続を経て、正々堂々と、本当の意味で胸を張ってこの大事業に取り組む、そうであるべきだった、そうしてほしかったと思います。もしそうしていれば、今民主党の中で起こっているような混乱はないでしょう。国民は、一体どうなっているんだ、そういうこともなかったはずであります。

 しかし、もうきょうは締めくくり総括質疑、これから採決ですから、今そのことを言っても現実のものとはならないわけであります。では、どうすればいいんだ、これから何ができるのかということをお互いが考えなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 きのう、我が党の町村先生との間で、〇九年のマニフェストの評価についていろいろなやりとりがありました。もちろん、民主党政権になって約束が守られた部分、実現をした部分もあるでしょう。今一生懸命取り組んでいただいている部分ももちろんあることは承知をいたしておりますけれども、しかし、この消費税率を引き上げるということは、やはり国民の立場から見れば、どんなに詭弁を弄しても、どんなに抗弁をしても、それは大マニフェスト違反なんですよね。

 いやいや、四年間の間に上がらないんだから、上げないんだからそうじゃないんだ、やらないとは言っていない、やらないとは書いていないからなんて言えば言うほど、ふざけるなということにやはりなるんですよ。また、そのことを総理も民主党の代表としてよく御存じだからこそ、先ほどそういう答弁をなさったわけであります。

 もちろん、いろいろな意味で今までも発言をしてこられたことはよく承知をいたしておりますけれども、もっと端的に、もっとわかりやすく、国民の皆さんに対して、これは確かに国民の皆様の立場に立てばマニフェスト違反でしょう、そのことはしっかりと認めます、それはやはりマニフェスト違反だ、しかしこれはどうしてもやらなきゃならない、誰が総理大臣になっても、どの党が政権を担うことになったとしても、これはやはりやっておかなきゃいけないんだ、社会保障の未来のために、また財政のこれからを考えても、どうしてもやらなきゃいけない、それをぜひ私にやらせてほしい、この一点だけを何としても私にやらせてほしい、総理としてこれをやるために自分は総理になったんだ、そういう、本当の意味での謝罪と本当の意味でのお願いに今までの総理の言葉がなっているかどうかといえば、そうなっていないんですよ。そうなっていないところに、さまざまな党内の混乱や、あるいは国民の本当の議論が、百二十時間も三十時間もやってきたのは事実だけれども、本当の理解やら、政治に託そう、よし、やってもらおうじゃないか、そういう国民の気持ちが出てこないんですね。

 もう時間は限られている。もちろん参議院の議論の時間もあるでしょう。野田総理の本当の真情、心の底から真の謝罪、そして、どうしても総理大臣としてこの一点だけは自分にやらせてほしい、命をかけてやると言ったのはこの一点なんです、もうそれ以上は望まない、そういう意味の本当の言葉を、どうぞこの締めくくり総括質疑において、ぜひ国民に語っていただきたい。どうですか。

野田内閣総理大臣 かつて、年金目的消費税という形で、私どもは岡田当時の代表のもとで選挙を戦ったこともございます。社会保障のために消費税を充てるということの議論から、今まで本当は逃げたことはございません。一昨年の参議院選挙、これはねじれ国会の原因になりました、敗れましたけれども。このときも、当時の代表の菅総理が消費税を打ち出しています。その消費税を打ち出した議論の後に、ずっと社会保障と税の一体改革の成案づくりの党内議論に入りました。一年以上かけて、素案、大綱とやってきたわけでございますので、実はこれは唐突感のある話ではないんです。

 唐突感のある話ではないんですが、御指摘のように、〇九年のマニフェストには書いていません。それは間違いございません。事実でございます。したがって、書いていなかった大きな改革を、こういう形で国会で御審議をいただいて成立をさせようというわけでございますので、〇九年に書いていなかったことをやろうとしたわけですので、そこは私はおわびをしなければいけないと思います。

 なぜやらなければいけないかということは、先ほど来御議論いただいているように、待ったなしの状況です。マニフェストをつくった当時と違った時代状況にもなっています。大震災の後の優先順位のかけ方であるとか、あるいは、まさにEUの危機等々、諸問題の変化もありました。もともとこれは、自公政権の時代でも予算編成で御苦労されてきたと思いますが、社会保障をしっかり充実強化するための財源はもはや将来世代にツケは回せないという危機感もより一層強まってきた等々含めて、待ったなしの改革である。

 マニフェストには書いてございませんでしたけれども、やらなければいけない、国民の皆様に御理解をいただかなければならない改革であるということをきちっと御説明していかなければいけないと考えております。

逢沢委員 間違ったことを総理がおっしゃっているとは思わない。しかし、政治的なけじめ、あるいは議論の整理、マニフェストの整理が本当に今の言葉でついたのか、あるいはついているのかということになるとすれば、それはやはり、そうはいかないというふうに残念ながら申し上げなくてはなりませんね。

 ここに座っていらっしゃる方、三百人を超える民主党の今の衆議院の方は、〇九年のマニフェストで当選をされた、議席を得られた方である。その原点が一番大事なことだということを、残念ながら、もう一度指摘をしておかなくてはならないと思います。

 参議院の審議もいずれ始まるんだろうと思います。もっと真剣に国民に向き合っていただきたい、そのことを最後に発言させていただき、私の質疑とさせていただきます。

中野委員長 これにて逢沢君の質疑は終了いたしました。

 この際、お諮りいたします。

 議員古屋範子さんから委員外の発言を求められております。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 古屋範子さん。

古屋(範)議員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 これまで、修正協議、三党の間で努力をし、合意に至られた実務者の皆様に、心から敬意を表したいと思っております。

 修正協議では、年金の受給資格期間の短縮、あるいは事実上の加算年金などの低年金対策、あるいは認定こども園の拡充など、公明党が従来から主張してまいりましたさまざまな観点を盛り込むことができたと考えます。この合意は現実的な内容で、社会保障の安定に大きく貢献できるものと考えます。

 今後、社会保障の全体像を明確にすること、あるいは消費税の前に低所得者対策や景気対策を具体化するなど、残された課題に真摯に取り組んでまいりたいと考えております。

 まず初めに、先般、公明党が、景気経済対策として防災・減災ニューディールを発表いたしました。これにつきまして、特に情報通信分野、ICTの利活用、ソフト面の充実について、一問お伺いをしたいと思っております。

 消費税増税については、法案が成立をしても自動的に上がるわけではない、この景気が悪いときに、経済の好転が期待できない今、消費税増税を決めるべきではない、このような意見も多く私も伺ってきました。

 法案に、税率を上げる前の条件として、経済状況の好転として、一一年度から十年間の平均で名目経済成長率三%、実質成長率二%程度の成長を目指し、必要な措置を講ずる、このことが明記をされております。

 また、公明党が主張してきました防災・減災ニューディールの実施を求めまして、成長戦略や防災、減災に資する分野に資金を重点的に配分するとの規定を挿入いたしました。防災、減災対策などを軸にした成長戦略の実施の検討も明記された、この意義は大変に大きいと考えます。

 公明党が国民の生命と生活を守る防災・減災ニューディールを掲げました。これは、インフラの再構築を目指しております。この中で、さらに、私は、情報通信分野での重点投資が必要であるということも考えました。全国レベルでこの分野に重点投資をすることによって、新たな内需も喚起できる、経済の成長が見込めるものと期待をしております。

 そこで、私も、ことし一月からプロジェクトチームを立ち上げまして、半年にわたり活動してきて、生命と生活を守るICT利活用の推進に向けた緊急提言を取りまとめ、先日、国家戦略担当大臣に申し入れも行いました。

 東日本大震災のときも、固定・移動通信、大きな損傷を受けました。あのときに、大津波が来る、あるいはすぐに逃げる、このような情報が行き渡っていれば、さらに多くの命が救えたと思います。情報は命を守ります。あのときも、新しいソーシャル・ネットワーク・サービスが救命、被災者支援に大きな力を発揮した、このようなこともございました。やはり、情報通信メディアは災害時に命を守る重要なライフラインと考えます。

 そこで、公明党の提言に盛り込みました、防災・減災のための多様な情報流通環境の整備あるいは災害に強い情報通信システムの構築、これについて、まず総理にお考えを伺いたいと思います。

野田内閣総理大臣 東日本大震災の経験に鑑みても、災害時においての避難活動あるいは救助支援活動、安否確認などが迅速的確に実施されるためには、情報の迅速な伝達が不可欠でございます。

 委員御指摘のとおり、平時から多様な手段による情報流通の環境を整えるとともに、災害に強い情報通信ネットワークや情報システムを整備することが極めて重要であると認識をしています。

 こうした観点から、政府のIT戦略本部におきまして、IT防災ライフライン推進協議会を設置し、東日本大震災の経験も踏まえまして、情報通信技術、ITを活用した防災ライフラインについての検討を進めているところでございます。

 その中で、御党が防災や減災対策に熱心に取り組んでいることは承知をしておりますが、政府としても、今回の御提言も踏まえまして、引き続き、災害に強い情報通信基盤の構築に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。

古屋(範)議員 菅前総理の時代に、新成長戦略、四百ほど掲げられたそうでありますが、その検証結果は、九割成果が出ていないというような報道もございます。

 確かに、全て成功するとは限らないわけであります。多くの種をまいておくということは非常に必要なことでありますけれども、今度こそ、成長戦略、これが実を上げるように、これを組み立てていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 それから、今回、社会保障の議論の中で、民主党政権が後期高齢者医療の廃止にこだわり、今国会、法案を提出するといいながらも、結果としていまだに提出ができていないということもあり、法案がなかったということもあり、医療分野においての議論が多少置き去りにされたのではないか、このように感じております。

 きょう、総括質疑になりますけれども、医療分野、特に高額療養費制度の見直しについてお伺いをしたいと思っております。

 公明党は、これまでも高額療養費制度の改善、自己負担限度額の引き下げというものを求めてまいりました。この高額療養費制度、がん、難病、重い慢性疾患に苦しむ方々にとって、命を守るセーフティーネットとして重要な役割を果たしております。

 ここで問題なのが、年収二百十万円から七百九十万円未満という広範囲の世帯の自己負担限度額が一律に八万円余りであるという点であります。年収がこんな五百万円も違っているのに自己負担限度額が同じである、これは絶対に改善をしなければならない点であると考えております。

 そこで、この年収区分を細分化して低中所得世帯の負担を軽減するよう、これは何度も政府にも求めてまいりました。質疑も行ってまいりました。そこで、今回、消費税、そして社会保障の充実財源があるわけです。ですので、高額療養費制度の改善への財源も何とかそこで確保できるのではないかと考えております。

 先日、坂口元大臣から質問をいたしまして、財務大臣からも前向きな答弁をそのときいただいております。きょうは、野田総理、さらに前向きな答弁をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

野田内閣総理大臣 高額療養費につきましては、一般所得者の所得区分の年収の幅が大きいため、政府でも、例えば年収三百万円以下の方々の負担上限額を軽減するなどの制度の改善とその財源について検討してまいりました。したがって、高額療養費の改善について、目指す方向については、これは御党と考え方を共有していると認識をしております。

 他方、財務大臣がどういう答弁をしたのかちょっとわかりませんけれども、高額療養費の改善には、公費だけではなくて保険料にも財政影響が生じます。厳しい財政状況の中で保険料の引き上げを行うことや、財源として受診時定額の患者負担を導入することのいずれも関係者の理解が得られなかった、事実としてそういうことがございました。

 高額療養費の改善は重要な課題でありますので、引き続き、一体改革大綱を踏まえ、高額療養費の改善に必要な財源と方策を検討させていただきたいというふうに考えております。

古屋(範)議員 社会保障審議会医療保険部会では、昨年、収入区分を現行の三段階から五段階に分けた、低中所得層の負担を軽減する見直し案が示されております。

 結局、高額療養費の改善によって長期にわたって療養される方の負担を軽減することは喫緊の課題であり、財源の確保とあわせて、さらに検討を進める必要があるとして、結論は出されておりません。

 しかし、消費税増税の中で、今回、年金改革あるいは子育て、こういうところに消費税を充当していくという全体の案がこれから決まっていくわけでありますけれども、医療の分野は、社会保障の中でも非常に伸び率が高い分野であります。特にこの高額療養費制度の見直し、これは喫緊の課題でありますので、さらに前向きに検討していただきますよう、お願いを申し上げます。

 次に、修正案提出者にお伺いをしたいと思います。

 低所得者に対する年金額加算については、政府原案では定額加算となっておりました。公明党は定率加算の導入を主張してきました。

 政府原案、一律六千円の定額加算では、きちんと保険料を納めてきた人との間に不公平感が生まれてしまう。そこで、三党協議の結果を見ますと、政府案に盛り込まれている年金額加算の規定を削除して、かわりに福祉的給付として新たな制度を創設することとなっております。

 これは、公明党提案の基礎年金に定率加算をする方法を参考に福祉的給付で対応することになったのではないかと考えますけれども、定額加算から、このような過去の保険料納付期間に比例した給付となった理由について、まず提案者にお伺いをしたいと思います。

西議員 古屋議員にお答えいたします。

 その前に、三党協議、社会保障分野、年金、子育て、さまざまな分野において、公明党のスタッフの一人として御協力いただきましたことに御礼を申し上げたいと思います。

 さて、今回の年金の分野で大きく議論になった一つに、今御指摘の低所得者に対する加算制度、これがございます。

 さまざまな議論がありましたけれども、協議の結果、保険料の納付に基づかない給付を社会保険方式のもとで行う、このことについては不適切だという御意見がございました。そんなさまざまな意見がありまして、最終的には、年金制度の枠外で行う福祉的な給付、ちょっとややこしいですけれども、こういう仕切りで今回の合意に至ったわけでございます。

 ただし、これは低年金の皆さんに対応するために、年金受給者を対象とするとか日本年金機構を通じて各月に支払うとか、あくまでも年金の形がベースになっている、こういう理解でございます。

 先ほど御指摘のように、もともと公明党は定率加算ということを提案してきておりました。それで、協議の中では、支給額を過去の保険料の納付期間に応じて支払うべきだ、こういうことでございます。この点について三党で協議した結果、この福祉的な給付については、一律に定額ということではなくて、先ほど申し上げましたとおり、納付期間に応じた額ということで、三党で最終合意した次第でございます。

古屋(範)議員 ありがとうございました。

 引き続き、提出者に質問してまいります。

 政府原案では、厚生年金の加入者が産前産後休業を取得した場合に育児休業期間中と同様に保険料を免除する措置が盛り込まれております。年金制度の長期的な安定を図るためにも、経済の活性化、そして、将来の年金制度を支える次世代を育てていくことが何よりも重要だと考えます。この措置は次世代育成対策として大きな意義があると思っております。

 しかし、これは、国民年金に加入している人に対しては保険料免除措置が設けられておりません。そこで、公明党はかねてから、国民年金も同様の措置を設けるよう主張してきました。

 三党協議の結果、国民年金についても産前産後休業中の保険料免除の検討規定が法案に盛り込まれたことは、非常に大きく評価できると考えております。これは早急に検討を行うべきと思います。提案者、これを盛り込んだ意義についてお伺いをしたいと思います。

西議員 お答えを申し上げます。

 その前に一点、正確には定率加算に加えてもう一点ございますので、追加をさせていただきます。

 と申しますのは、過去の保険料の免除期間に応じた加算というのがそれに加わるということでございます。保険料免除期間がある低所得高齢者に対しては、これはもともと政府案にも提案されておりましたが、老齢基礎年金満額の六分の一を基本として給付を行う、これはそのまま残っているわけでございます。

 したがいまして、先ほどの定率加算とこの二つが支給される、こういうことになっております。

 それから、今お尋ねの件でございますが、今回の三党協議におきまして、公明党として、被用者である厚生年金の被保険者、これは今回、免除ということになりましたが、自営業者などの国民年金の第一号被保険者の皆さんについても、次世代育成の観点から、産前産後の保険料免除を実施すべきではないか、こういうふうに主張をさせていただきました。

 その結果、この点については、今直ちに結論を出すという時間的な余裕はないということでございますが、先ほど申し上げました次世代育成支援の観点、また、自営業者の方も、サラリーマンの方も、また公務員の方も、そういう働き方に差があってはいけない、こういう観点から、検討が必要だということに三党で合意をいたしました。

 このことにつきましては、法案に規定を盛り込み、今後また三党でしっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

古屋(範)議員 ありがとうございました。

 時間も残り少なくなってまいりました。

 最後に、年金改革について総理にお伺いをしていきたいと思います。

 今回、被用者年金一元化法案、この実現に向かって見通しがつきました。政府原案、自公政権が平成十九年に提出した被用者年金一元化法案と実質的には同じものが今回提出をされております。そこから年月を経て、やっと今回これが成立をする見通しがつきました。

 遅きに失したとはいえ、この一元化に向けての評価、そして最後に、このたび、年金の国庫負担二分の一恒久化、この実現への道筋もつきました。これは、長年懸案となっておりました基礎年金負担二分の一への恒久化が実現をするものであります。この国庫負担二分の一の恒久化についての評価、この二点について、総理の御見解をお伺い申し上げます。

野田内閣総理大臣 まず最初に、被用者年金一元化についてでございますが、できるだけ働き方に中立的な制度を実現するため、政府として今国会に法案として提出をいたしました。

 今回の三党合意におきましても、この法案については各党の御理解をいただき、原案のままで速やかに衆議院で採決し、今国会で成立を図ることとするとされております。この法案が成立をすれば、民間サラリーマン、公務員を通じた保険料負担、給付の公平性が実現できると考えておりますので、大変意義があるというふうに考えております。

 それから、基礎年金の国庫負担二分の一の恒久化の問題でございますが、これは平成二十一年度以降、ずっと臨時財源によって賄ってまいりました。今回、消費税の引き上げにより、安定財源を確保し、恒久化することによって三党合意ができました。このことは、年金制度の財政基盤を安定させ持続可能なものとするため避けて通れない課題に道筋をつけたものであり、これも大きな前進と考えております。

古屋(範)議員 今回の修正協議によりまして、年金については、国庫負担二分の一の恒久化、そして公明党が主張してきました実質的な加算年金の実現、そして、二十五年間保険料を支払わなければならない年金の受給資格、これも十年に短縮をされました。こうしたものは大きく評価できると考えております。

 私たちも、これからも、子育て支援の拡充ですとか、さらに社会保障の改革に向けまして力を尽くしてまいることを決意いたしまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて古屋さんの発言は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 初めに、きょう、締めくくり総括質疑とそれから採決、こういうことを行うということで、三党で決めたということでありますが、これは一方的な議会運営でありまして、我々厳しく抗議したいと思います。

 三党の修正案も二つの新法も、二十一日の夜に出たばかりでありまして、まだ、きょうを含めて三日間審議しただけです。これから十分時間をとって慎重な審議を行うというのが当然でありますが、それなしに質疑終局、採決というのは、絶対に我々としては承服できません。三党合意で何でもできるというのなら、議会は成り立ちません。

 そこで、質問に入りますが、野田総理は、昨夜、民主党臨時代議士会でこういうふうにおっしゃったそうですね。

 民主党は旗をおろしたのではないか、こういう大事なことを棚上げしたのではないか、いろいろ御意見ございました、最低保障年金も後期高齢者医療制度も旗はおろしていない、そう明確に申し上げました、こういうふうにおっしゃっています。

 これはどういう意味でしょうか。

野田内閣総理大臣 今読み上げていただいたとおりでございまして、きのうの国会の質疑の中でも申し上げましたけれども、今回、三党の合意がございます。各党の固有の政策はそれぞれしっかりと持ちながら協議をしてきている。その中で、中期にかかわる問題については、それぞれの持っている理念、旗というものを持ち寄りながらの議論はできるというふうに私は解釈をしておりますので、そのことの御説明をさせていただきました。

佐々木(憲)委員 配付した資料を見ていただきたいんですが、まず一枚目は、六月十八日付の公明新聞であります。この「主張」ですね。「一体改革の三党合意」、こういう見出しがつけてありまして、「民主公約は事実上の撤回に」という見出しになっております。

 この三段目のところに、こういうふうに書かれております。「修正協議では、公明党が強く主張してきた民主党の新年金制度の撤回と、後期高齢者医療制度の廃止の撤回を事実上、勝ち取った。三党による「確認書」で、今後の公的年金制度と高齢者医療制度の改革は「内容等について三党間で合意に向けて協議する」と明記され、民主党案の実現の芽は断たれた」、こういうふうに書いているわけです。

 公明党の提案者に確認したいんですが、この「主張」は、これは事実ですね。

竹内委員 事実であります。

佐々木(憲)委員 自民党は、六月二十六日付の自由民主、次のページですけれども、ここでこういう見出しを立てております。「事実上のマニフェスト撤回」、こういう大見出しで、「わが党の社会保障の考え方 民主党が全面的に受け入れ」、こういうふうに書いています。

 その上、「これは先の総選挙で同党が掲げたマニフェストの根幹部分が事実上撤回されたことを意味する。」その理由について、社会保障制度改革推進法案は「社会保障改革の基本的な考え方として「自助、共助、公助のバランスに留意する」「社会保険制度を基本とする」などを明記。この結果、保険料を払わない人にも一律で年金を支給する最低保障年金制度は明確に否定されることになる。」こう書いているんですね。

 自民党の提案者の野田さんにお聞きしますけれども、この記事は事実ですね。

野田(毅)委員 新聞に載っているんですから、この記事は事実です。

佐々木(憲)委員 今、公明党も自民党も、それぞれの機関紙の内容について確認をいたしました。

 これは、総理、幾ら旗をおろしていないと言っても、自民党も公明党も、事実上のマニフェスト撤回、明確に否定された、実現の芽は断たれた、こう言っているわけです。総理が旗をおろしていないと言っても、自民党と公明党がオーケーと言わない限りは、実現しない仕組みになっているわけですね、三党合意というのは。つまり、旗は掲げるけれども、掲げっ放しで実行されない、そういうことになるんじゃありませんか。

岡田国務大臣 これは、各党それぞれ主張があって、それを協議するということですから、現時点でそれぞれの主張をということになれば、その政党紙の主張になるのかもしれませんけれども、我々は我々の考え方を持っておりまして、そこは真摯に議論させていただきたいというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 そういう言いわけは実際上通用しないんです。

 三党合意では、「今後の公的年金制度、今後の高齢者医療制度にかかる改革については、あらかじめその内容等について三党間で合意に向けて協議する。」と書かれているんですね、「あらかじめ」と。

 つまり、合意しなければ、これは実行されないわけです。当たり前です。自民、公明がこれは反対しているんですから、したがって実行されない、こういうことになることが明らかじゃないんですか。

岡田国務大臣 ですから、合意に向けて協議をする。合意に向けて協議をするという確認がされているということでございます。

 合意に向けて真摯に努力をしていきたいというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 結局、自民、公明の主張どおり、民主党は旗は掲げるのは自由ですけれども、しかし、今回の三党協議によって、その旗は、掲げていても実際には実行に対して歯どめがかけられている。自民、公明が賛成すれば別ですよ。賛成なんかしようがないわけであります、先ほどの議論からいっても。

 ですから、そういうことを考えると、三党合意というのは、民主党が自民、公明の軍門に下ったということになるわけであります。それは、それぞれの機関紙、自民、公明の機関紙がちゃんと書いているわけだから、これは明らかであります。

 次に、修正案の原案の第一項と第二項の間、これは何かというと十八条のことであります。新たな項を設けまして、次の項目が入った。「税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、我が国経済の需要と供給の状況、消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」これが新しく挿入された内容であります。

 この中で、「税制の抜本的な改革の実施等により、」とあるのは、今回の消費税増税のことであります。その後に「財政による機動的対応が可能となる」、こういう条文が続くわけですね。これは、消費税増税によって財政にゆとりが生まれ、機動的対応が可能となる、こういうふうに理解してよろしいですか。

野田(毅)委員 この条項を新たに入れるということを強く主張した一人でありますから、私から申し上げておきます。

 それは今までの反省があります。先ほども申し上げたんですけれども、実際に消費税の引き上げということは誰も喜ぶ人はいません。選挙を前にして、みんな政治家はひるみます。そうやって、その前にやることがあると言って先送りしてきたことは事実です。その間にも高齢化の足音は着実に進んでおります。

 結果において、先ほども高額医療費についてのお話がありました。だけれども、寿命がこれだけ伸びてきた背景は、昔なら助からなかったであろう、あるいはがんであったり、あるいは腎臓であったり、心臓であったり、あるいは脳の障害が発生したり、全部、それほどお金がない人でも、うんとお金がある人でも、同じようなサービスを、比較的、外国に比べて圧倒的に低い自己負担で賄えているんじゃないですか。

 そういう積み重ねで、今日、年金だけじゃなくて、医療、介護、結果的にそのお金を、保険料の引き上げも限界がある、結局はほかに必要な予算を削って、いろいろな必要な予算を削ったために、大学の予算だっておかしくなっているじゃないですか。その結果、日本の国力が落ちてきているんじゃないですか。必要な成長分野に対する資源配分さえ滞ってきているじゃないですか。その上に借金がふえているんじゃないですか。言うなら、日本の国はじり貧状態になってきている。今日のデフレも、その影響もあると私は思っています。

 どうやってそれを乗り越えていくか。これが今、我々が直面している最大の課題だ。雇用の確保はどうやったらできるんですか。成長分野に資源投入しなきゃできないじゃないですか。

 そのことを考えた場合に、これだけの財政が厳しい背景は、社会保障の財源のためにいろいろなことを削ってきたんですから、せめて、加齢に伴うそういった社会保障の所要財源、あるいは少子化対策、こういった分野には主として消費税を充てるということによって、他の予算を削るということに一生懸命になるだけじゃなくて、もっと有効な資源の再配分をすることによって、地域の雇用をやろうと思えば、減災、防災だけじゃなくて、当たり前じゃないですか。地域によって最優先の、道路だって最優先の課題の地域がたくさんあるじゃないですか。

 そういったことを考えた場合に、単に受け身で考えるんじゃなくて、正面から、逆に日本の経済をどうやって立て直すかという発想があってしかるべきである。我々はそういう思いから、単に消費税とのことだけじゃなくて、日本の経済を立て直すという思いを込めて、こういった条項を入れるように要求したのであります。そのことだけは申し上げておきます。

佐々木(憲)委員 今言われた中に、社会保障のためにお金がかかるから、ほかの予算が犠牲にされてきた、したがって、ほかの予算の確保をするために消費税の増税が必要である、社会保障のためというのは口実で、実際にはほかの分野に予算を回す、そういうことが目的だということが今の答弁の中で非常にくっきりと浮かび上がってきたと私は思っております。

 つまり、社会保障というのは何も消費税と直結させて考える必要は、私はないと思っております。社会保障というのは、当然、高齢化が進めば財源が必要になる。その財源の確保を、何で低所得者や高齢者が非常に被害を受ける消費税の大増税でやらなければならないのか、これが大問題でありまして、当然、無駄な財源を削る、それから……(発言する者あり)無駄は幾らでもありますよ。大体、八ツ場ダムは何で復活したんですか、民主党は。ああいうマニフェスト違反をやっておいて、それでお金が足りない、足りない、何ですか、これは。

 そういうことで、結局は、今までの、従来民主党が批判してきた自民党のコンクリート中心の政策、そこに回帰しているではありませんか。

 今回のこの問題についても、まさに、消費税の増税分は全額社会保障に回すと言いながら、それは回したけれども、今まで社会保障に入っていた財源が置きかわって、ほかにそれが回っていく。だから、重点的に資金を成長戦略の分野に回す、こういう文章を入れたわけでありまして、これは私は、三党合意によって民主党が今まで主張していたことが否定されて、結局、その以前の政権の自民党的政策内容にこの三党合意が完全に置きかわってしまった、そう言わざるを得ない。

 要するに、消費税増税で十三・五兆円の税収が上がる、そのことを全額社会保障に入れたとしても、今まで社会保障に入れていた資金がほかの分野に回って、これは岡田副総理もこの前私の質問に答えました、置きかえがあると。置きかわった結果、浮いたお金が借金の穴埋めとか、あるいは公共事業、あるいは軍事費、そういうところに回っていくということですね。このことは極めて明白であります。

 私は、こんなために消費税の増税をやるなんというのはとんでもないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、もう時間がなくなってまいりましたが、もう一点、景気弾力条項というのがあります。

 野田総理は昨日の代議士会で、景気が落ち込んでいる状況で国民の負担をお願いするということはできませんという発言をされましたね。これは、経済状況を好転させることを条件としている、好転しない限り増税しない、こういう意味でしょうか。

野田内閣総理大臣 一般論として、景気が大きく落ち込んだりとか、今回の法案の中では、さまざまな経済指標をよく見ながら総合的に勘案をするということがありますが、その勘案の中で、余りにも経済が、景気がひどいときには消費税は上げられない、だからこそ、デフレ脱却と経済活性化のために全力を尽くして、政策の総動員をしていきたい、そういう思いを申し上げたということでございます。

佐々木(憲)委員 第十八条の一項には、名目の成長率で三%程度かつ実質の成長率で二%程度、こういう数字が書き込まれているわけですね。ところが、三党合意によると、この数値は、政策努力の目標を示すものである。つまり、目標であって、これは条件ではない。だから、総理は、何か経済の悪いときは増税しないようなことを言いますけれども、何の歯どめにもなっていないんです、この条項によると。

 つまり、数値が達成されなくても消費税増税を実施することができる、そういうことじゃないんですか、この法文上。

安住国務大臣 第一項に規定されているのは、経済活性化等に向けた各般の措置をしっかりやっていって、目標を掲げましたと。第二項については、いろいろ御批判はあるかもしれませんが、我々は、資金の重点配分等の措置で、消費税引き上げ後に実施される可能性があることも踏まえて、経済状況等を総合的に勘案する。これらを踏まえてやりますということですから、先生、これは、消費税率の引き上げに当たっては、総理も今お話がありましたように、経済状況の好転というものを条件にしております。

 ですから、三%、二%は目標です。ですけれども、そうしたことを目指して経済の状況を好転させていきましょう、その好転を見て引き上げますということでございます。

佐々木(憲)委員 結局、これはどういうことですか。目標は目標だけれども、それを目指して好転させていくのが条件だという、意味がわからぬですね。何が歯どめになるんですか。何の歯どめにもなっていないでしょう、これは。

安住国務大臣 こういう条項を設けたこと自体が歯どめなんですよ、法律上は。(発言する者あり)いやいや、そうなんですよ。そうでなければ自動的に上がるわけですけれども、こうした目標、三%、二%の目標を掲げて、そしてそのために各般の努力をして、さまざまな経済的な数値を確認する。さらに、そうした資金を使って重点的にプライオリティーの高い政策をやりながら底上げをして、経済の状況を見ながら、これは時の政権が判断するということです。

佐々木(憲)委員 結局、時の政権が判断する。

 大体、この条文がおかしいんですよ。平成二十三年度から平成三十二年度、つまり二〇二〇年度までの平均において、二から三%というのは。

 これは、二〇一四年、一五年の増税の時期にはまだ出ていない数字なんですよ。遠い将来の数字ですよ。そんなものを入れたから、入れたことが歯どめになるなんて、そんなわけのわからぬ答弁、でたらめな答弁は全く私は、安住さんの答弁は何回も聞いているけれども、恥ずかしい。

 以上で終わります。

中野委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 野田総理、冒頭、オスプレーの問題についてちょっとお聞きいたします。

 きょうの朝刊なんですけれども、アメリカ政府が、オスプレーを普天間飛行場に配備するということについて、今月の二十九日、ということは今週の金曜日ということになるんですけれども、に正式に通告をするという記事が載っております。

 これは事実なのか。通告があった場合には、おめおめとこの米側の要求を受け入れるつもりなのか、お聞きをいたします。

野田内閣総理大臣 これは、二十九日に通告があるかどうか、事実関係はちょっとわかりません。そこまで詳細に把握しておりませんけれども、今回、フロリダでオスプレーの事故がございました。その事故についての調査の結果について今照会をしている、その分析をしているという状況でございますので、それを踏まえた対応をさせていただきたいというふうに思います。

服部委員 野田総理もこの前、沖縄の慰霊の日に行かれて、オスプレーの問題について県知事と話ができるような雰囲気じゃなくて帰ってこられたというような記事もちょっと私見たんですけれども、沖縄の思いは十分わかっておられると思います。この配備については絶対にしてほしくない、すべきでないということを申し上げておきたいと思います。

 私は、この間の委員会の一連の議論に加わりながら、二〇〇九年の政権交代というのは一体何だったのかなということをよく自問自答いたします。私は、まさにその二〇〇九年の総選挙で初当選をして、今度こそ政治が変わるという希望を持って国会に来たことを思い出します。

 総理にとっては、この政権交代というのはどういうことだったのか、何だったのか、お聞かせいただけないでしょうか。

野田内閣総理大臣 政権交代の意義というのは、一つはやはりお金の使い方が変わっていくということ、資源配分が変わるということだと思います。

 最初に組んだ予算というのは、社会保障が大きくふえ、そして文教科学の分野がふえ、公共事業が下がるというようなことの組み替えが相当に行われました。等々の、そのことによって、社会保障については一貫して、もうお忘れになったこともあるかもしれませんが、母子加算の復活であるとか等々、いろいろな実績はつくってきているというふうに思います。先ほど御議論があったとおり、診療報酬のネットプラスの改定をする等々、社会保障分野についてはこれまで以上に充実強化の路線をとってまいりました。

 それから、もう一つの特徴というのは、地方交付税を一貫してふやし続けて、地方一般財源総額もしっかり確保する、あるいは一括交付金等、地域の活性化に向けた努力も、これもずっと続けてきているというふうに思います。

 それは政権交代をしたことによった一つの結果だと私は思いますし、去年、マニフェストの中間検証もさせていただきましたけれども、評価はいろいろあるかもしれませんが、実際に着手したものは約八割になっています。

 ただし、暫定税率の廃止など、できなかったものも出てきています。そういうことは、できたものとできないもの、なぜできなかったかということは国民の皆様にしっかりと御説明をして、政権交代の評価について国民の皆様の御判断を仰がなければいけないと考えております。

服部委員 私は、もうちょっと総理にロマンを語ってほしかったんですけれどもね。

 消費増税をしないという公約も破られました。それから、先ほど来議論もありますけれども、旗はおろしていないというふうに言われますけれども、最低保障年金創設、あるいは後期高齢者医療制度廃止の公約も、事実上撤回じゃないですか。

 今回の社会保障制度改革推進法案では、税財源は補完的な意味というふうにされております。この文言からも、とても最低保障年金が実現するとは読めません。

 民主党は、自分からは撤回したと言いたくないから、棚上げして、自民党や公明党に反対してもらおうと思っているんじゃないんですか。旗はおろしていないというふうに言われるけれども、もはや本音は全くやる気がないとしか見えないわけですね。

 この際、ちょっと自民党の提出者にも一言お聞きをしたいんです。

 民主党はマニフェストを撤回したと勝ち誇ったようにおっしゃっていますけれども、年金や高齢者の医療への国民の不満が爆発したのが二〇〇九年の政権交代の原因だというふうに思いますけれども、そのことの反省というのはもうすっかりお忘れになったんでしょうか。

野田(毅)委員 もちろん、常に反省はいたしております。だから、我々は、それを言うなら手直しする形で、我々は現行の制度を基本に改善策を講じようということを出しているわけです。

 ただ、先ほどいろいろお話があったんですが、抜本的な見直しをしよう、あるいは年金にしても高齢者医療にしても、これは必ず財源を伴う話と、それからもう一つは基本理念をどうするかという話と、二つ必要です。

 ですから、当面、今回消費税の引き上げによって調達される財源、五から一〇ぐらいの話の間でできるような代物ではないと私は思います。そういう抜本的なことについては、引き続いて、これは私ども、未来永劫現状のままでいけるかどうか、これはやはりきちっともう一遍しなきゃいかぬことはわかっています。

 そういう意味では、我々は完全無欠だと言い張るつもりはありません。だけれども、それだけをやるための財源的な裏づけ、そして理念的なすり合わせ、これは三党でやっていく必要があるんじゃないんでしょうか。そういう中で、民主党が掲げておられることをお出しになるなら、それはそれで、理念と財源の部分も含めて一緒に相談しようということは否定するものではありません。

 だけれども、今回の一体改革という中での処理の仕方としては、それは、このマニフェストは我々からすれば撤回したと同じ意味合いがあります。だけれども、まだおろしていないとおっしゃるんですから、それはおっしゃることは御自由ですけれども、次は財源も一緒に言ってくださいね、こう申し上げておるわけです。

服部委員 それでは、この法案の中身についてちょっと質問しますけれども、私は、この委員会で、二〇一〇年の十二月に安心と活力への社会保障ビジョンをまとめた社会保障改革に関する有識者検討会の座長の宮本太郎さんの論文を再三引いて、一体改革が矮小化された、消費税増税先行のばらばら改革だというふうに申し上げてきました。

 総理は、ばらけさせての議論だったら一体改革ではないというような答弁もされましたけれども、修正案は、ばらばらどころか、消費増税というかけらだけが残った事実上の増税強行法案だというふうに私は思います。

 民主党の提案者にお伺いいたしますけれども、民自公三党合意では、「消費税率の引上げにあたっては、社会保障と税の一体改革を行うため、」「社会保障制度改革を総合的かつ集中的に推進することを確認する。」というふうにされておりますけれども、これは、社会保障制度改革が実現しないというのであれば消費税率も引き上げないということに理解してもよろしいんでしょうか。

長妻議員 お答えをいたします。

 先ほどの質問でも、公明党の側から見た今回の三党合意、自民党の側から見た三党合意ということはあります。

 我々の側から見たというか、我々の立場に立つと、今おっしゃっていただいた宮本太郎先生、私も尊敬する先生でございますが、その方が、政権交代後、この有識者会議をつくって、安心と活力への社会保障ビジョンというのをまとめております。その中に、社会保障諮問会議というのを提言しておりまして、これは与野党の国会議員や有識者などから成る、かつて旧総理府にあった社会保障制度審議会、これが大きな役割を果たしたということで、そういう組織を、政局抜きに社会保障を議論する組織をつくるべし、こういう議論がありました。

 我々も、野田総理、党首討論も含めて、与野党にやはり協議を社会保障について呼びかけるということを粘り強くしておりまして、今回、ある意味では、その社会保障の協議の場が政局抜きで整ったというふうに理解しております。

 我々が掲げている最低保障年金あるいは後期高齢者医療制度廃止、この議論をしなければ、現行制度のまま微修正で制度が定着しかねない、こういう危機感を持っておりまして、そういう意味では、そういう開かれた場で議論をして、問題意識は各党同じでございますので、それを解決するにはどういう手法が必要なのか。

 我々も、民主党の案を一〇〇%そのまま通すということは、これは三党、野党の御了解がないと参議院も通りませんし、政権交代のたびに制度が変わってはいけませんので、一〇〇%そのまま通るということではないと思っておりますけれども、なるべく、その形あるいは目的、それを達成すべきような形で着地をするべく、これは本当に全力で努力する、国民の皆さんの立場に立って全力で努力する、こういうことであります。

服部委員 宮本太郎さんの最近の論文をお読みになったかどうかわかりませんけれども、出だしの理念はよかったと思うんですよ、一体改革。しかし、中身が全く変わってしまったということをおっしゃっているわけです。それで、社会保障の全体像が見えない中で、どうして消費増税だけ決めるんですかということを私はくどく言っているわけですね。

 引き続き、また民主党の提案者にお聞きしますけれども、消費税法案の附則第二十条と二十一条には、所得税と資産課税について、「平成二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずる。」とされているわけですけれども、この法制上の措置というのは一体何を指すのか。つまり、万が一、所得税とか資産課税の改正ができなければ、消費税引き上げについても凍結するという理解でいいんですか。

古本委員 今委員御指摘いただきました附則の二十条、二十一条に記載しておりますその心は、二十四年度中に必要な法制上の措置を講ずるということであります。これはそれぞれ、所得税制それから資産課税に関して法制上の措置を講ずるということでございます。

 所得税につきましては、累進税率を高めていくということで、最高税率の引き上げも示唆してございます。これについては三党で明確に合意に至ってございます。それから資産課税につきましては、格差の固定化の防止等々の観点から、資産課税についても同様に、法制上の措置を講じるということでございます。

 問題は、先生がおっしゃるように、このことがないと消費税はやらないのか、これがオプションになっているのかというと、この二十条と二十一条については、これはきちんとやっていくということを確認したということであって、消費税のこの議論と、何か条件化して確認したということではありません。

 したがって、これは所得税と資産課税、それぞれやっていくということだと承知してございます。

服部委員 それだったら、結局、先送りみたいなものになりませんか、結果的に。話がつかなかったから、結果的に消費税を上げましょうということになりませんか。(発言する者あり)いや、もう答弁はいいです。

 私は、ここにうたわれているいわゆる所得税と資産課税だけじゃなくて、ここはこの委員会でも何回も申し上げてきましたけれども、安易に消費増税に頼る前に、まず不公平税制の是正が先ではないのか。所得税の累進強化、株式譲渡益などキャピタルゲイン課税の強化、資産課税の強化、大企業優遇の法人税制の見直し、それから国際的な法人税引き下げ競争への歯どめ、輸出大企業優遇の消費税の輸出戻し税の見直し、国際連帯税、金融取引税の導入などなど、やることはいっぱいあるわけじゃないですか。

 だから、税と社会保障の一体改革もばらばらだけれども、税の改革についてもばらばらですよ。こういったことをやはり真剣に取り組んでいただきたい。そのことを抜きに、安易に消費税だけ上げればいいということについては、断固反対の意見を申し上げておきたいというふうに思います。

 ちょっと質問が残りましたけれども、社会保障制度の全体像がなく、不公平税制の是正を先送りにして消費税増税だけを先行して決めるやり方は、もうもってのほかです。

 政権交代、選挙での国民との約束を事実上撤回して一体改革法案を提出した野田政権は、まずおかしい。そして、密室談合でさらに骨抜きにした民自公三党のやり方は、国会軽視、ひいては国民無視、議会制民主主義の自殺行為です。

 政府提出原案も修正案も、国民との契約違反であり、法案の成立は断念して徹底的な国民的議論をすべきであるということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて服部君の質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 きょうは、全て野田総理に質問させていただきます。

 最初に、国会審議の進め方について、あるいは修正協議のあり方について質問します。

 政治学者の御厨貴さんが次のようなことをおっしゃっています。引用させていただきます。

 消費税増税の議論は国会ではなく、民自公の三党協議の場で行われている。つまり、日本の将来を左右する重要な決定は国会の外で話し合われ、国会は場外乱闘のような状態で、内と外がひっくり返ってしまっているのです。国民の政治への信頼感を取り戻すには、増税法案をきちんと通さなければなりません。この法案を今通さなければならない必要性や意義をしっかり説明し、決定のプロセスを見せる。今回の消費税政局には、それが全く欠けているとおっしゃっております。

 御厨先生は、消費税増税には反対の立場ではありません。増税に反対ではない人までこの国会審議のあり方について批判されている、このことは重要だと思います。

 これだけ重要な法案なのに、三党協議を行った期間はわずか一週間だと聞きました。国会の委員会の審議がたしか六週目ぐらいの段階で始まって、民自公の三党協議は約一週間。一週間はあっという間だと思います。突貫工事でつくった内容ですから、詰め切れていない部分も私は多いと思います。まだまだ将来の検討事項として先送りしている課題も多いと思います。

 その後、修正案ができた後、先週の金曜日の九時のこの委員会で趣旨説明がありました。ですから、民自公三党以外の政党の質疑時間は、先週の金曜日の四時間、きのう月曜日の二時間二十五分、それから、きょうこの締めくくり総括質疑で七十分、合わせて、三党以外の政党にとってはわずか七時間三十五分しか質疑が行われておりません。これだけ重要で幅広いテーマにわたる修正案に対して、共産党、社民党、きづな、国民新党、みんなの党、この五党で七時間三十五分の質問時間、これでは、国会審議の形骸化、国会軽視と言われても仕方ないのではないかと思います。

 この点について、野田総理、どのようにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 御厨先生は私も尊敬している先生でございますが、その関連で、国会審議のあり方についての御質問だと思います。

 今回、各党の先生方の熱心な御議論を、先ほどの議論にもございましたけれども、これは日米の安保の特別国会以来という大変長時間にわたり、百時間を優に超える御審議をいただきました。

 その御審議があったればこそ、今、国会審議の時間と修正協議の時間、修正協議が一週間でできたというお話がございましたが、熱心な御議論があって、その論点の整理ができていればこそ、いわゆる修正協議の期間を短縮することができたのではないかと思いますので、国会審議があったればこそ、そういう結果を出すことができたというふうに思います。したがって、国会審議は改めて大事だという思いは私は強く持っています。

 その審議の方法とか日程とか運び方は、まさにこれは委員長を中心に理事の間でお決めいただいていることなので、そのことに私はコメントする立場ではございません。

山内委員 次に進みたいと思います。

 民主党政権の改革の一丁目一番地ということを昔よく耳にしておりました。地域主権改革だったか、公務員制度改革だったか、税金の無駄遣い排除だったか、何だったか思い出せません。

 民主党政権の改革の一丁目一番地というのは一体何だったんでしょうか。そして、消費税増税は何番地あたりに位置するんでしょうか。お尋ねします。

野田内閣総理大臣 なかなか住居表示であらわすのは難しいんですけれども、一丁目一番地、それぞれの関心を持っていらっしゃるテーマによって、それを使うことはよくありました。御指摘のとおり、地域主権であったり、無駄遣いの排除等あります。あえて言うならば、国民の生活が第一という理念が一丁目の一番地であって、そういう位置づけの中で、それぞれが思いを持った政策を一丁目一番地と語っているんだろうというふうに思います。

 その中で、今のこの一体改革が何丁目何番地か。これは、何丁目何番地という話とは別として、野田内閣の最重要そして最優先の課題は、去年の九月に申し上げましたとおり、これは変わらず、復興、それから原発事故との戦い、そして日本経済の再生です。この三つのことをしっかりやり遂げなければいけないと同時に、長い間懸案としてずっと先送りをされてきた社会保障と税の一体改革、これは重たい課題として受けとめ、先送りできない課題として御審議をいただき、そして今成案を得て結論に向かいつつある、そういう位置づけでございます。

山内委員 野田総理は、大体いつごろから消費税増税を主張するようになられたんでしょうか。何となく、衆議院選挙の前は余りおっしゃっていなかったように思います。どの段階でそういうふうに思うようになられたのか、お尋ねします。

野田内閣総理大臣 一昨年の参議院選挙で、消費税を当時の菅総理が打ち出しました。その後を受けて、党内で社会保障と税の一体改革についてのいわゆる成案に向けての議論が始まりました。そのころから明確にそうした私の姿勢は打ち出していたというふうに思います。

山内委員 すると、この二年ぐらいのことのようですから、自民党の野田毅先生から見ると、きっとくちばしの黄色い消費税増税論者ということになるのかと思います。

 野田総理、以前におっしゃっていました。マニフェストにはルールがある、書いてあることは命がけで実行する、書いていないことはやらないということをおっしゃっていました。

 しかし、私も別に、マニフェストに書いていないからやっちゃいけないとは思いません。状況の変化もあるでしょう。あるいは、いろいろ修練の結果、心境の変化ということもあるかもしれません。

 しかし、本当に政治生命をかけるべきテーマとして、この消費税でいいのかなという気がいたします。選挙のマニフェストのところには消費税の増税というのは明確に書いてあったわけではありませんが、それを実行するというわけです。

 先ほど、決断と実行ということがありましたけれども、私から見れば、マニフェストに書いていないことを実行するわけですから不言実行ということだと思いますが、本来、政治というのはプロセスも大事だと思います。きちんと説明をして、約束をして、それを実行していく、そちらのプロセスの方が本来大事でないかと思うんですけれども、本当に消費税増税に命をかける、その決断が正しいかどうか、私は大変疑問に思っております。

 次の三番目の質問に移りたいと思います。

 この委員会の中で参考人質疑がありました。同じ質問を安住大臣と岡田副総理にも質問させていただいたんですが、増税したのはいいけれども、その後、歳出がどんどんふえて財政規律が緩くなってしまうという懸念を私は持っております。仮に増税したとしても、その増収分で財政赤字の削減とか歳出を拡大することによってじゃぶじゃぶにお金を使ってしまったら、全く増税の意味がなくなってしまうということがあると思います。

 参考人の五十嵐敬喜さんによると、日本の国債がまだ信用されているのは、増税余地があるから信用されているということをおっしゃっていました。ただ、もし増税しても、その増税した増収をばらまきに使ったりいろいろな歳出の拡大に使ってしまうと、結局、国債への信用がなくなってしまって、将来、日本の経済、日本の国債への信用がなくなってしまう、そういう懸念をお話しされていました。

 今回、三党の修正協議の結果、景気条項がつきました。附則の十八条ですね。税制の抜本的な改革の実施等により、財政による機動的対応が可能となる中で、成長戦略や事前防災、減災に資する分野に資金を重点配分するということを書かれております。要するに、増収、税収がふえたら機動的対応が可能になるので、防災や減災のための公共投資をやりましょうということだと思います。

 そうしたら、まさに、せっかく税収が上がっても、それで支出もふえて、結局、借金の返済にも回らない、財政規律が緩くなって日本の財政は何にも改善しない、そういうことが起こり得るんじゃないかと思います。その点について野田総理の御見解をお尋ねします。

野田内閣総理大臣 基本的には、やはり成長と財政再建の両立を図るということに尽きると思うんです。今回も、名目三%、実質二%という政策目標を掲げております。そういう目標を達成していくためにも、やはり成長分野に資源を投資するということは間違いなく必要であります。これは先ほど野田毅先生がおっしゃったとおりだと思います。

 ただし、その成長分野は何なのかということの見きわめは、やはりしっかりとした目ききというのが必要ではないかと思いますし、意味のない経済対策をまさにばらまきでやってもだめだと思います。あるいは、効果がなくなった経済対策を続けてもいけないと思います。そこは注意深くやる必要があると思います。

 あわせて申し上げると、私どもは財政運営戦略をつくっていて、二〇一五年までにいわゆるプライマリーバランスの赤字を対GDP比で半減させる、二〇二〇年までに黒字化する、こういう財政運営戦略とも整合的にやっていかなければいけない、その中で成長と財政再建をともに実現していく、そういう意味に御理解をいただきたいというふうに思います。

山内委員 これまで公共事業を、無駄な公共事業をやりますと言ってやった人はいなかったと思います。恐らく、成長に資するという理由でつくったものが結局は実際には使われなかったり無駄になっているという例が多いと思いますので、その点はしっかりチェックをしていただきたいと思いますし、余り大風呂敷を広げないようにしていただかないと、仮に税収がふえても何の意味もないということになりかねないと思いますので、その点は強く主張したいと思います。

 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、一個、四番目を飛ばして、最後に党議拘束のあり方について質問させていただきたいと思います。

 きょうの朝の新聞報道によると、自民党の谷垣総裁が、民主党内で本会議の採決で造反者の処分をしっかりやるようにとおっしゃったという報道がありました。この点ちょっと通告しておりませんが、これも踏まえて聞きたいと思います。

 ある意味、よその党の処分について口出しをするというのは、若干余計なお世話という感じもしますが、民主党は別に自民党の子会社ではないと思いますので、そこまでおっしゃるのはいかがなものかと第三者の私から見ても思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 実は私、民主党の議員さんも含めて、超党派で国会改革の勉強会をやっていました。そのとき思ったんですね、何でもかんでも党議拘束をかけるのは本当にいいことだろうか。

 イギリスの議会の慣習では、ちょっとうろ覚えなんですが、たしか、選挙のマニフェストに書かれていた法案はしっかり党議拘束をかける。しかし、選挙の公約に入っていない法案や政策に関しては、比較的議員各自の判断を尊重して、造反してもそんなに罪に問われないというか、状況が変わって出てきた法案に関しては比較的各議員の良識に任せるといったようなことをやっているそうであります。

 そう考えると、今回、民主党の造反をされる議員が仮にいたとしても、別に選挙のときに約束していたわけじゃないので、とやかく言われる筋合いはないんじゃないかと第三者的に見て思うんですけれども、その点、野田総理、党の代表としてどのようにお考えでしょうか。

野田内閣総理大臣 イギリスのマニフェストの扱いを含めて、さまざまな国の慣習とか特徴がいろいろとあると思います。

 ちなみに、イギリスでいうと、消費税の引き上げ、これは政府の判断なんですね。といったように、いろいろなちょっと政治文化の違いがありますので、一様にそのことをまねすればということではないと思います。

 私は、でも、この国を左右する大事な政治判断を、時間をかけて議論をしてきた、むしろマニフェストをつくるときよりも議論をしてきたという中で、党の方針が決まったならば党議の拘束があるというのは、これは組織として自然なことだというふうに思っております。

山内委員 特にイギリスの文化をまねろと言ったつもりはなくて、理にかなっているんじゃないかなと申し上げたまでですが、質疑時間が終わったという紙が回ってまいりましたので、以上で質問を終わります。

中野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、内山晃君。

内山委員 国民との約束を大切にする新党きづなの内山晃でございます。

 今まで、二回にわたり消費増税後の経済について質問させていただきました。総理からは、消費税を上げたときのマイナスの影響だけを話すのは公平な議論ではないと、反論もありました。

 では、今回、私の方からは、数値を挙げずに、率直にお尋ねをしたいと思います。

 消費増税実施後の日本の経済情勢をどのように総理は推測しておられるでしょうか。答弁を求めます。

野田内閣総理大臣 消費税という御負担をお願いするわけでございますから、もちろんその影響はあると思います。これまでの経験を見ても、引き上げ前のいわゆる駆け込みの需要があって、その後反動減がある等々、そういう一定の法則といいますか、起こり得ることは想像することができると思います。

 一方で、きちっとこうした消費税を引き上げることによって財政規律を守る国だというメッセージを出すことによる、そのことに対する経済のプラスもありますし、しかも、今回は社会保障に使途を限っているわけでございますので、国民の皆様が不安に思っているその将来に対して、きちっと財源を担保するということによって安心が生まれることによる、いわゆる安心による効果というものも出てくるだろうと思いますので、これは一定の数字で申し上げることはできませんけれども、定性的なお話で恐縮でございますが、そういう状況になるだろうと思います。

 もちろん、消費税を引き上げる際には、先ほど来御議論いただいているように、デフレ脱却、経済活性化に向けた努力をしっかりやり抜いた上で、そうしたいろいろな変化が起こることにしっかりと耐えられる状況というものをつくっていくことが大事だというふうに思っております。

内山委員 では、景気はよくなるんでしょうか、悪くなるんでしょうか。

安住国務大臣 推測することは難しいわけでありますけれども、例えば政府の推計では、消費税を引き上げた場合、八%、一〇%にしたときに、多少のGDPの押し下げ効果はあるということはあります。

 しかし一方で、今総理がお話をさせていただきましたけれども、社会保障の安定、充実ということは確かに出てきますし、国民の皆さんの安心感も広がる可能性がありますので、一概にはそこは判断はできないというふうに思っております。

内山委員 でも、十三兆円が経済から税金として抜かれてしまうわけですね。やはり、この景気に対する影響というのは物すごく大きいと思うんですよ。これは当然、どちらに振れるかではなく、両方ともしっかりと推測をして事前の施策を考えておかなければならないと思うんですけれども、簡素な給付四千億円、これではやはり、片や十三兆円、片や四千億円というのは、焼け石に水どころか何の足しにもならないと考えるんですけれども、どうですか。

安住国務大臣 年金、医療、介護の方にこの消費税は回っていきます、少子化も含めて。そういう点では、財源の確保によって充実する施策はいわゆる簡素な給付措置だけではないわけでございますから、総合的に見なければならないと思います。

 ただ、内山先生御指摘のように、これは消費意欲を減退させるんではないかということに対する御懸念だと思いますので、私どもとしては、国家としてのマクロの経済政策の中で、やはり、需要を喚起したり、ある意味で投資を促進したり、そうした意味での下支えをしっかりやりながら、細心の注意を払って、確かに、例えば住宅の注文状況なんかも、大きくふえてまた減ったり、そういう変動が起きてくることは推測できますので、こうしたものをできるだけならしていくように、細心の注意を払っていきたいというふうに思っております。

内山委員 野田総理は前回も、何もしないリスク、仮に一%でも金利が上がったら企業も大変だ、こんなことを答弁されました。

 きょうは日銀から担当者の方が来ておりますけれども、私も、消費増税をした後でも金利が上がるリスクはあるんじゃないかと考えているんですけれども、担当者の方から御答弁をいただきたいと思います。

門間参考人 消費税法案自体につきましては、まさに今御議論がなされているところでございますので、私から具体的なコメントは差し控えさせていただきます。

 一般論として申し上げますと、長期金利は、財政の状況以外にもさまざまな要因で動く可能性がございます。例えば、市場参加者の経済や物価に対する見方もそういう要因の一つでございます。

 それから、足元、特にそうなのでありますが、欧州情勢をめぐりまして国際金融資本市場で神経質な動きが続いております。したがいまして、いわゆる質への逃避が影響しまして、安全資産と認識されておりますアメリカとか日本の国債に対する需要が非常に高まっているといったようなことも長期金利の足元の低下につながっているというふうに認識しています。

 このように、国債の金利にはさまざまな要因が影響しているということを踏まえますと、御指摘のとおり、先行きの長期金利の動向につきましては、消費税率の引き上げのいかんにかかわらず、何らかのきっかけで上昇する可能性があるということも含めて十分に点検をしていく必要があるというふうに考えております。

 ただし、いずれにしましても重要なことは、現在のように長期金利が極めて低い水準で安定しております背景には、大幅な財政赤字がいつまでも放置されることはないであろう、財政健全化への取り組みが進められていくのであろうといった市場の期待が存在しているという点がございます。

 したがいまして、万が一にも、財政再建に向けた取り組みがやはり進みそうもないというふうに市場が失望するようなことがありますれば、長期金利の上昇を招く可能性はその分高まるという可能性がございます。財政の持続可能性に対する信認をしっかりと確保していくということが大事であるというふうに考えております。

内山委員 要するに、消費増税をやった後も金利が上がるリスクはあるということを答弁されたんだと思います。(発言する者あり)いやいや、金利が上がるというのは、何もしないことは金利が上がると答弁を野田さんはされましたけれども、消費増税を行った後でも金利の上がるリスクはあると。

 そういうことで、野田さんが逆に、金利が上がる、何もしなければ金利が上がるんだと一方的に前回も切って捨てたように答弁されていましたけれども、消費税を上げたって、不況になれば金利が上がるということにもなりかねないじゃないか、こういうことを反論したいわけであります。

 二〇〇九年の総選挙で民主党……(発言する者あり)静かにしろよ。

 二〇〇九年の総選挙において民主党が政権交代できた要因は、野田さんは一体何だと思われていますか。

野田内閣総理大臣 当時の与党だった皆さんには恐縮でございますけれども、やはり一種の、長く続いてきた政権に対する、言葉が悪いんですが、いわゆる飽きといいますか、政権がかわることによって新しい政治が芽生えることを期待される国民が多かったということだというふうに思います。

内山委員 あと二つ私はあると思っておりまして、やはりマニフェスト、政権選択選挙だったと思います。

 私もそのとき民主党として選挙に出て戦いました。多くの皆さんがマニフェストを前面に出して非常に皆さんにお訴えした結果が、国民の生活が第一ということになって、支持を受けたと思っております。

 そんな中において、党内にコンセンサスを得られない、言ったことをやる、言わないことをやらないというのが野田さんのたしか政策だと思うんですけれども、この消費増税に関しては言っていないわけですから、やってはいけないわけですよね。

 国民との約束、政権公約というのはやはり非常に重要で重いものだと思います。それを今回、三党合意で修正協議し、野田さんはマニフェストを守るためと説明されておられますけれども、マニフェストに盛り込んだ最低保障年金、後期高齢者医療制度に関しては、もう実質棚上げになっているじゃないですか。マニフェストを守るためとおっしゃっていながら棚上げにしているということが、説明が矛盾していると思うんですけれども、いかがですか。

野田内閣総理大臣 これは、この国会でも随分御議論いただきましたけれども、棚上げをしているということではございません。

 先ほど来の議論がありましたが、例えば年金制度、あるいはいわゆる後期高齢者医療制度の問題等々、これは公党間で、三党間で合意を目指して協議をするということがあります。その上にまた国民会議というものもございます。その場には、それぞれの固有の政策がありますけれども、その固有の政策をしっかり持ち寄って議論をしていくということであって、それが何か関門のようになっていて、それをくぐらなければ何もできないというイメージかもしれません。

 だけれども、いずれにしても、ねじれた国会の中では、主要な政党がこういう合意形成を目指すという場は間違いなく必要であります。それをしっかり定める。しかも、社会保障の分野、これは国家百年の大計にかかわるところであって、政権がかわるたびにころころ変えてはいけません。そういう話をきちっと落ちついた場で議論できる場をつくるということは、私は大きな前進だと思っておりますので、それについて自分たちの固有の政策をしっかりと御理解いただくために訴えていくということでございますので、そういう場ができたことは、後ろ向きに捉えるのではなくて、前向きに捉えるべきだと私は思っておりますので、旗をおろしたわけでも棚上げをしたわけでもございません。

内山委員 これは国民が後ほど判断するでしょうから、ここで詰めたりはしませんけれども、現在の消費税五%ですら、事業者は納めるのが大変困難であります。多くの事業所が倒産をして失業者を出しています。一日一千万円以上の負債を抱えた事業所が三十五社、完全失業率も五%近くで高どまり、生活保護者が二百十万人を超えた、それから二百万円を稼げない若者が一千万人以上いる。こんなような状況で、これから倍になるんですから、本当にやっていけるのか。足元の経済がしっかり成り立たなければ、来年、再来年と生きていけないんですよね。

 こういうところを最優先でやらなければならないという、命がけでやらなければならないというテーマでは私はないと思うんです。命がけでやらなきゃならないのはデフレ脱却と震災復興と原発事故対策、これが命がけでやることなんじゃないですかね。

 それから、先日、テレビを見ていましたら、政府はやはり間違った情報を出して国民をミスリードしているような映像がありますね。今すぐにでも社会保障給付ができなくなるみたいなことをおっしゃっていた方がおられましたけれども、年金だって、百二十兆円の積立金もありますし、巨額な保険料収入も入ってきているわけでありますから、そこはやはり、正しく説明すべきだと思います。

 千兆円の借金返済、財政再建の必要性というのは誰しも認識しています。しかし、消費税を行うには最悪のタイミングだと思いますよ。世界経済の失速、アメリカも中国もインドも、やはり調子がいいとは限らないですよね。

 こういう中において、数年先の増税を決めることを命がけで行う、今の政治の優先課題だとは理解していません。今生きられなければあすを生きられない。山に登るにもいろいろな方法があるわけじゃないですか。財政再建の方法は消費増税ではなく景気回復、こういう政策をとるのも一つの選択肢じゃなかろうかと思っています。

 さらに、野田さんの言葉で言えば、シロアリの退治はどうなったのかとお尋ねをしたいと思うんですけれども、原発事故以降も全国の九電力に経産省のOBが天下っている、こういったことを禁止しないのかとお尋ねをしたいんです。

岡田国務大臣 委員、マニフェストに言及されておりますので。

 二〇〇九年のマニフェストで、我々は天下りに対して、これをなくすということをお約束しました。その意味は、あっせんをやめるということを申し上げたわけです。マニフェストに明記されています。そのことはきちっと厳守されているというふうに考えております。

中野委員長 時間が参りました。

内山委員 はい、最後に一問。

 二〇〇九年七月十四日、衆議院本会議で、天下りとわたり根絶に全く取り組まない麻生政権は不信任に値する、こう野田総理は発言されています。この発言に、麻生政権と野田政権を置きかえると、そっくりそのまま今でも使えるんじゃなかろうかと思うんですが、野田総理の答弁を。

中野委員長 恐縮ですが、答弁の時間はもうありません。

内山委員 では、終わります。

中野委員長 これにて内山君の質疑は終了いたしました。

 以上をもちまして、ただいま議題となっております各案中、内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する長妻昭君外五名提出の修正案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する長妻昭君外五名提出の修正案、子ども・子育て支援法案及びこれに対する和田隆志君外五名提出の修正案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する和田隆志君外五名提出の修正案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する古本伸一郎君外五名提出の修正案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案及びこれに対する古本伸一郎君外五名提出の修正案並びに長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案及び和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案及び内閣提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案に対する古本伸一郎君外五名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、それぞれ内閣の意見を聴取いたします。岡田社会保障・税一体改革担当大臣。

岡田国務大臣 衆議院議員長妻昭君外五名提出の社会保障制度改革推進法案につきましては、政府としては異議はございません。

中野委員長 次に、安住財務大臣。

安住国務大臣 この修正案につきましては、政府といたしましては特に異議はございません。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより各案及び各修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。早川久美子さん。

早川委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、ただいま議題となりました各案に賛成をする立場で討論を行います。

 まず、社会保障制度改革推進法案について申し述べます。

 本法律案は、国会議員も入り得る国民会議を設置することとしており、社会保障制度改革を総合的かつ集中的に推進する大きな力になると考えます。

 次に、年金機能強化法案及びその修正案について申し述べます。

 税制の抜本的な改革により安定した財源を確保し、基礎年金国庫負担割合を二分の一とすることについては、原案どおり賛成をいたします。

 低所得者への老齢基礎年金等の加算については、修正案において、保険料納付期間等に応じて福祉的給付を行うこと、また、一定の高所得者の基礎年金受給額の調整については、引き続き検討することとなりました。

 短時間労働者への社会保険適用拡大については、新たに生じる事業主負担の規模に配慮をし、対象者要件や実施時期について修正することとなりました。今後とも、短時間労働者の待遇改善に取り組んでまいります。

 このほかの項目については、政府原案どおり賛成をいたします。

 被用者年金一元化法案は、官民格差解消のため、共済年金制度を厚生年金制度に統一するものであり、政府原案のとおり賛成をいたします。

 次に、子ども・子育て支援関連法案及びその修正案、改正案について申し述べます。

 今回、税制の抜本改革による安定財源が子育て支援策に充当されることにより、大きな前進を見ました。大都市部での保育需要の増大、地域における小規模保育など、多様な保育ニーズに対応した仕組みを導入し、財政支援が拡充されます。

 このように、教育、保育の質を確保しつつ量的な拡大を図ることにより、待機児童の解消が進むと期待されるため、いずれも賛成をいたします。

 次に、税制改革関連法案及び両修正案について申し述べます。

 社会保障の充実、安定化を図るとともに、財政健全化を目指すため、消費税の引き上げなどの措置を講ずることは、どの党が政権を担ったとしても待ったなしの改革です。当然、国民の皆様方に御負担を求める前に、私たち議員や官僚がみずから身を削る、その改革をしなければなりません。

 また、消費税引き上げの際にその影響が最小限になるように、法案には、経済への配慮、低所得者対策及び価格転嫁対策など、消費税引き上げ時に措置するべき事項が明記をされています。

 以上、各案に賛成する理由を申し述べました。

 議員各位の御賛同をお願いいたしまして、私の討論を終わります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 次に、石田真敏君。

石田(真)委員 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました各法律案及び修正案につきまして、賛成の立場から討論を行います。

 まず、修正協議に当たられた皆様の御労苦に心から敬意を表します。

 さて、年金機能強化法案について、今回の低所得者等への年金額の加算措置は、年金制度の基本原理に反するものでしたが、修正案では、年金制度とは別に福祉的な給付措置が設けられるとともに、短時間労働者への適用拡大について、事業主負担に対し一定の配慮がなされたことを評価いたします。

 被用者年金一元化法案につきましては、平成十九年に我々が提出した法案と同内容であり、賛成をいたします。

 次に、政府提出の子ども・子育て新システム関連三法案は、閣法二法の修正及び認定こども園法改正案の提出により、総合こども園創設の撤回、認定こども園制度の手続等の一本化、認可制のもとで大都市部の保育需要の増大に機動的に対応できる仕組みの導入、株式会社等に対する参入要件の適正化並びに児童福祉法第二十四条の市町村の保育実施義務が存続されることとなり、賛成いたします。

 次に、消費税法等改正案につきましては、さまざまな問題点が含まれておりましたが、低所得者対策については複数税率の導入についての検討規定、景気弾力条項については成長戦略などの施策の検討規定等が盛り込まれたこともあり、賛成いたします。

 また、地方税法等改正案につきましては、地方における社会保障の安定財源の確保の観点から、地方消費税率の引き上げとともに地方交付税額の充実確保が図られており、消費税法案の修正に伴い所要の修正を行う点も含め、評価いたします。

 次に、社会保障制度改革推進法案につきましては、現実的な観点から、社会保障制度改革を実現するために、自助、共助、公助の最適のバランスに留意することや、負担の増大を抑制しつつ制度の持続性を高めることなど、制度改革に当たっての基本的な考え方を明示し、幅広く議論する社会保障制度改革国民会議を設けるとともに、消費税率の引き上げ前に社会保障制度改革を実現する期限を法律上明確化していることから、賛成いたします。

 我々自由民主党は、自助を基本としつつ、共助、公助を組み合わせ、額に汗して働く人が報われる社会を築いてまいります。

 以上、賛成討論といたします。(拍手)

中野委員長 次に、西博義君。

西委員 私は、公明党を代表して、総合こども園法案を除く社会保障と税の一体改革関連六法案に対する民主、自民、公明提出の修正案及び修正部分を除く原案、民主、自民、公明提出の社会保障制度改革推進法案及びいわゆる認定こども園法の一部改正案について、いずれも賛成の立場から討論を行います。

 少子高齢化の進展や経済社会情勢の変化を踏まえ、安心できる社会保障制度の構築とそのための安定財源の確保は待ったなしの最重要課題です。

 しかし、政府が進める社会保障と税の一体改革は、社会保障制度の根幹部分が示されていないことを初め、景気、経済への影響や低所得者への配慮に乏しく、増税先行の感がありました。そこで公明党は、肝心の社会保障改革が置き去りにされないよう、また、増税先行に歯どめをかけ、国民が安心できる一体改革を目指して修正協議に臨んだところであります。

 この民主、自民、公明の三党修正協議において、政府提案の関連七法案について、特別委員会における審議を踏まえつつ、現下の課題解決に向けたさらなる検討が行われ、年金、子育て、税制分野における必要な修正や現行法の改正が合意されました。

 年金関連法案では、低所得者への加算について、政府案の定額加算を取りやめ、公明党主張の定率加算を参考に保険料納付済み期間に応じた福祉的給付で対応することや、短時間労働者の社会保険の適用拡大について、被保険者や雇用への影響に配慮した現実的な修正が加えられました。

 子育て関連法案では、政府提案の総合こども園法ではなく認定こども園法の改善、拡充で対応すること、待機児童の解消を初め保育の量的、質的拡充に資する内容となったこと、従来どおり市町村による保育の実施義務を明確にしたことなど、必要な修正を行いました。

 税制関連では、消費税引き上げに伴う景気、経済への影響を考慮し、成長戦略や事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分するとして、景気経済対策の検討条項を明記しました。また、低所得者対策、逆進性対策について、消費税八%引き上げ時から低所得者対策を実行すること、さらには、複数税率の導入も検討する旨を修正案等で明らかにしました。

 このように、三党協議における関連七法案への対応を初め、新たに提案された社会保障改革推進法案において、年金、医療、介護、子育ての課題について、新設される国民会議での議論を経て必要な法制上の措置を講ずること、すなわち、社会保障の全体像が消費税増税前までに明確化されることが法的に担保されました。

 以上が、今般の社会保障と税の一体改革関連八法案、修正案に対する主な賛成理由です。

 十分な審議が尽くされた以上は、速やかに法案を成立させるべきと申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

中野委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出六法案及びその三党修正案と、新たに提出された社会保障制度改革推進法案など二法案に反対の立場で討論いたします。

 そもそも、政府提出法案は、国民に消費税の一〇%への増税を押しつけるものであります。我が党は、審議を通じて、消費増税が生活を破壊し、景気、経済を落ち込ませるばかりか、財政破綻をも一層深刻にするものであることを明らかにしてきました。

 また、社会保障改革なるものも、年金の切り下げや保育の公的責任を投げ捨てる新システムなど、中身は改悪であり、一体改悪そのものであることを厳しく指摘してきました。このような一体改悪が国民の支持を得られないことは、各種世論調査で反対が賛成を上回り、今国会で成立させる必要はないとの声が七割にも達していることから明らかです。国民多数の声に背を向けた消費税増税は断じて認めるわけにはいきません。

 ところが、民主、自民、公明の三党は、事もあろうに、国民の声を聞く場であるはずの中央公聴会の開催中も、三党での密室談合に明け暮れてきました。そして、合意がまとまるや、その結論を国会に押しつけ、わずか二日半の審議を行っただけで、公聴会も開かないまま、本日、採決を強行しようとしています。これはまさに、議会制民主主義を破壊する暴挙だと言わなければなりません。

 三党修正案では、政府案が、所得再配分機能を高めるためとして盛り込んでいたわずかばかりの高額所得者への所得税、相続税の増税さえ削除され、国民に消費税大増税だけをむき出しで押しつけるものとなっています。

 さらに重大なことは、社会保障制度改革推進法案は、社会保障の基本理念、医療、年金、介護、生活保護など、各分野を改悪する新たな仕掛けをつくるものです。この新法は、社会保障の基本的考え方に自助、自立を据え、公費投入の縮減を狙うなど、憲法二十五条を真っ向から否定するものにほかなりません。

 その内容は、自公政権時代に進められた構造改革の名による社会保障の連続改悪路線をよりひどい形で復活させ、それを法制化しようとするものです。

 自民党修正案提案者自身、自民党の哲学が貫かれているとはっきり認めたではありませんか。

 総合こども園法案の撤回と認定こども園の拡充という修正も、現行の認定こども園自体が新システムの先取りであって、保育の解体という本質を何ら変更するものではありません。

 まさに、三党合意なるものは、最低保障年金や後期高齢者医療制度の廃止など、民主党マニフェストの最後の一かけらまで投げ捨て、民主党の自民党化を完成させるものにほかなりません。

 このような悪法は断固廃案にすべきことを強く訴えて、私の討論を終わります。(拍手)

中野委員長 次に、服部良一君。

服部委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、社会保障と税の一体改革関連の政府提出法案、民主党、自民党、公明党提出の法案及び修正案の全てに対して、反対の討論を行います。

 政府案は、一体改革とは名ばかりのばらばら改革、つまみ食い改革であり、社会保障改革の全体像も、所得税、資産課税、法人税の不公正を是正する抜本改革もないままに、庶民と中小零細企業に負担を押しつける消費増税先行法案です。デフレ下での増税は、生活、経済を破壊するものであり、決して許されません。一体改革の出発点となったビジョンをまとめた検討会の座長が言われるとおり、改革は矮小化され、単なる増税の口実になりました。

 そして、修正案に至っては、ばらばら改革にも値しない、だまし討ち、談合増税法案であり、断固として反対です。税制法案では、支え合う社会の回復という文言が削除され、社会保障制度改革推進法案では、自助、家族が前面に出るだけではなく、附則に生活保護制度の厳格化が盛り込まれました。

 そもそも、夫が終身雇用の正社員、妻が専業主婦というモデルが崩壊しており、介護、子育ての負担を家族に押しつけることにも限界があります。自己責任を強調して、経済的、社会的ゆがみを放置してはなりません。貧困、格差を解消することこそが政治に求められていることであり、一体改革の根幹だったはずです。

 野田総理に申し上げたい。弱肉強食、市場原理至上主義の新自由主義政策を転換し、政権交代で生活再建をという国民との約束は捨てたのですか。消費増税をしないという公約は破棄、最低保障年金創設、後期高齢者医療制度廃止も事実上撤回じゃないですか。政治生命をかけるべきは、震災復興であり、生活再建です。

 財政再建が強調される一方、社会の持続可能性そのものが危機に陥っています。現役世代が高齢世代を支える力そのものを強める必要があります。それなのに、負担が先行し、受益の全体像が全く見えません。子ども・子育て支援も、政府原案は制度が複雑になる一方で、効果は不透明。修正案では、ますますわからなくなりました。人生それぞれのステップに応じて、また、どんなリスクに直面しても必ず支えてくれるという社会保障制度への信頼が重要なのに、これでは国民の不安は高まる一方です。

 野田総理、気分は大連立ですか。民自公密室談合で修正協議が進み、本委員会の審議が形骸化しています。まさに、国会無視、国民無視であり、議会制民主主義の自己否定です。一体改革関連法案は廃案にし、社会保障制度の全体像を示し、税制のあり方について徹底的に国民的な議論をすべきです。消費税増税のみならず、原発再稼働、TPP、沖縄・辺野古新基地建設、オスプレー配備など、対米追随の国民生活破壊にひた走る野田内閣は即刻退陣すべきであると強く申し上げ、私の反対討論といたします。

中野委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党を代表して、社会保障と税の一体改革関連法案及び修正案に反対の立場から討論します。

 本法案は、審議のプロセスと法案の中身の両方に問題があります。

 日本の将来を大きく左右する消費税増税にかかわる重要法案が、国会の委員会という公開の場ではなく、民主、自民、公明の三党による修正協議という非公式な場で決められ、国会はただ単にでき上がった修正案を追認するだけのセレモニーの場に成り下がっています。三党の修正案の趣旨説明がなされたのは、先週金曜日午前でした。金曜日、きのう月曜日、本日締めくくり総括質疑を通じ、三党合意に参加していない他の五党の質疑時間は、合計してもわずか七時間三十五分です。重要な変更が多々あるにもかかわらず、議論する時間も、国民に説明する時間も不十分です。三党談合による国会審議の形骸化のきわみです。

 東日本大震災、長く続くデフレと不況という厳しい経済状況の中で、消費税増税を断行すれば景気に悪い影響を与えます。社会保障制度の改革や所得格差是正を後回しにし、政権交代後の歳出の大幅な増大を放置しておきながら、消費税増税だけが前のめりに進んでいる現状には賛同できません。

 みんなの党は、三年前の結党以来、増税の前にやるべきことがあると主張してきました。最近、民主党の一部の皆さんが同じことをおっしゃっていますが、我々はずっと前から主張してきました。増税の前に、まずは政権交代後のばらまき政策を取りやめ、リーマン・ショック以前の歳出水準まで戻すべきです。国の出先機関廃止や公務員制度改革、独法改革を進め、国会議員や国家公務員が身を切る改革を実行すべきです。

 野田総理も衆議院選挙の前まではそうおっしゃっていたはずです。野田総理が政治生命をかけるべきは、マニフェストで触れられていない消費税増税ではなく、原発事故対応や被災地の復興、歳出削減に向けた行政改革ではないでしょうか。マニフェストにはない消費税増税に政治生命をかけるというのはいかがなものでしょうか。政治に対する信頼を失墜させるもので、到底国民の理解を得られません。

 以上の問題点を指摘し、反対討論を終わります。

中野委員長 次に、中島正純君。

中島(正)委員 私は、国民新党を代表して、ただいま議題となりました各法律案及び各修正案に対し、いずれも賛成の立場で討論いたします。

 年金、医療、介護、子育てといった社会保障制度の改革や消費税率の見直しは、いずれも国民生活に直結する重要な課題であります。本委員会でも、百二十時間以上にわたり各法案の審議が行われてまいりました。

 我が国の経済状況をめぐっては、ギリシャに端を発する欧州危機が世界的に波及する中で、二年前と比べて極めて厳しい状況に陥っており、加えて、急激な円高や企業の海外流出など、空洞化も進んでおります。

 こうした中で、消費税率の引き上げを受け入れることは大変厳しい決断であります。

 一方で、我が国の財政は極めて深刻な状況に直面しており、また、少子高齢化の進行にも歯どめがかからない中では、社会保障や税のあり方を抜本的に見直す必要があると考えております。結論を先送りして次世代へツケを回すのではなく、今ここで次世代への責任をきっちりと果たすことが、我々政治家に求められている役割だと思います。

 今回の一体改革では、与野党でさまざまな議論が行われてきた結果、年金や子ども・子育ての分野で一定の進展がありましたが、今後の社会保障のあり方、とりわけ最低保障年金、後期高齢者医療制度についてどのように対応するのか、依然として未確定の部分があります。今回の社会保障制度改革推進法案で創設されることとなる社会保障制度改革国民会議において、国民の安心と安全を強める視点に立った議論が行われることを強く期待いたします。

 国民視点に立ち、日本再起動を打ち出した国民新党にとっては、消費税率の引き上げだけが社会保障制度の拡充強化に先行してしまうような状況は受け入れることはできません。

 消費税の実施前までにやらなければならないことがあります。まずは景気対策をしっかり行い、デフレを脱却させて経済状況を好転させること、さらには、議員定数の削減、公務員改革、行政改革、選挙制度の見直しなど、国民が納得できるような身を切る改革について早急に結論を出すこと、これらが消費税率の引き上げの前提条件であり、本当の意味での社会保障・税一体改革になることを申し上げた上で、今回の社会保障と税の一体改革関連法案に対する賛成討論といたします。(拍手)

中野委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより採決に入ります。

 初めに、内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、長妻昭君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、長妻昭君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、長妻昭君外五名提出、社会保障制度改革推進法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、子ども・子育て支援法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、和田隆志君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、和田隆志君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 したがって、原案は、本修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、古本伸一郎君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、古本伸一郎君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、子ども・子育て支援法案、和田隆志君外五名提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案及び内閣提出、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対し、和田隆志君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。馳浩君。

馳委員 私は、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    子ども・子育て支援法案、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律の一部を改正する法律案及び子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 制度施行までの間、安心こども基金の継続・充実を含め、子ども・子育て支援の充実のために必要な予算の確保に特段の配慮を行うものとすること。

 二 妊婦健診の安定的な制度運営の在り方について検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。

 三 幼児教育・保育の無償化について、検討を加え、その結果に基づいて所要の施策を講ずるものとすること。

 四 新たな給付として創設される施設型給付を受けない幼稚園に対する私学助成及び幼稚園就園奨励費補助の充実に努めるものとすること。

 五 新たな給付として創設される施設型給付及び地域型保育給付の設定に当たっては、認定こども園における認可外部分並びに認可基準を満たした既存の認可外保育施設の給付について配慮するとともに、小規模保育の普及に努めること。

 六 放課後児童健全育成事業の対象として、保護者の就労だけでなく、保護者の疾病や介護なども該当することを地方自治体をはじめ関係者に周知すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

中野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 和田隆志君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

中野委員長 起立多数。よって、各案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。小宮山少子化対策担当大臣。

小宮山国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重していきます。

    ―――――――――――――

中野委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

中野委員長 この際、一言御挨拶申し上げます。

 去る五月十六日に審査を開始して以来、委員各位には、終始真剣なる議論を重ねていただいた結果、本日、ここに審査を終了いたしました。

 これもひとえに各党理事、委員を初め関係各位の委員会運営に対する御理解と御協力のたまものであり、ここに深く感謝の意を表します。ありがとうございました。(拍手)

 本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十八分散会


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