衆議院

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第2号 平成24年6月13日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十四年六月十三日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 中野 寛成君

   理事 武正 公一君 理事 鉢呂 吉雄君

   理事 古本伸一郎君 理事 松本 大輔君

   理事 和田 隆志君 理事 逢沢 一郎君

   理事 伊吹 文明君 理事 西  博義君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      稲富 修二君    稲見 哲男君

      江端 貴子君    岡田 康裕君

      勝又恒一郎君    金森  正君

      金子 健一君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    桑原  功君

      近藤 和也君    坂口 岳洋君

      篠原  孝君    白石 洋一君

      田嶋  要君    田村 謙治君

      高井 崇志君    永江 孝子君

      長尾  敬君    浜本  宏君

      早川久美子君    藤田 憲彦君

      三村 和也君    三宅 雪子君

      宮島 大典君    室井 秀子君

      矢崎 公二君    柳田 和己君

      山本 剛正君    湯原 俊二君

      柚木 道義君    渡部 恒三君

      赤澤 亮正君    石田 真敏君

      加藤 勝信君    金子 一義君

      鴨下 一郎君    田村 憲久君

      竹下  亘君    徳田  毅君

      野田  毅君    馳   浩君

      町村 信孝君    竹内  譲君

      佐々木憲昭君   斎藤やすのり君

      豊田潤多郎君    阿部 知子君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      山内 康一君    中島 正純君

    …………………………………

   公述人

   (株式会社日本総合研究所理事長)         高橋  進君

   公述人

   (全国商工会連合会会長) 石澤 義文君

   公述人

   (中央大学法科大学院教授)            森信 茂樹君

   公述人

   (デフレ脱却国民会議事務局長・経済評論家)    上念  司君

   公述人

   (公認システム監査人・IFRSコンサルタント)  田淵 隆明君

   公述人

   (日本商工会議所特別顧問・税制委員長)      井上 裕之君

   公述人

   (全国商店街振興組合連合会理事長)        坪井 明治君

   公述人

   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      加藤 淳子君

   公述人

   (暮らしと経済研究室主宰)            山家悠紀夫君

   公述人

   (嘉悦大学ビジネス創造学部教授)         高橋 洋一君

   衆議院調査局社会保障と税の一体改革に関する特別調査室長          佐藤  治君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十三日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     高井 崇志君

  白石 洋一君     磯谷香代子君

  田嶋  要君     三宅 雪子君

  田村 謙治君     浜本  宏君

  永江 孝子君     金森  正君

  早川久美子君     山本 剛正君

  湯原 俊二君     桑原  功君

  柚木 道義君     稲見 哲男君

  田村 憲久君     徳田  毅君

  馳   浩君     赤澤 亮正君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

  豊田潤多郎君     斎藤やすのり君

  中島 隆利君     阿部 知子君

  山内 康一君     柿澤 未途君

同日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     白石 洋一君

  稲見 哲男君     柚木 道義君

  金森  正君     永江 孝子君

  桑原  功君     湯原 俊二君

  高井 崇志君     石井登志郎君

  浜本  宏君     矢崎 公二君

  三宅 雪子君     柳田 和己君

  山本 剛正君     早川久美子君

  赤澤 亮正君     馳   浩君

  徳田  毅君     田村 憲久君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

  斎藤やすのり君    豊田潤多郎君

  阿部 知子君     中島 隆利君

  柿澤 未途君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎 公二君     田村 謙治君

  柳田 和己君     櫛渕 万里君

同日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     坂口 岳洋君

同日

 辞任         補欠選任

  坂口 岳洋君     金子 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の公聴会で意見を聞いた案件

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第七二号)

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

中野委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案、被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、子ども・子育て支援法案、総合こども園法案、子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案及び社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律案の各案について公聴会を行います。

 本日は、税制改革関連二法案について審査を行います。

 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 高橋公述人、石澤公述人、森信公述人、上念公述人、田淵公述人の順に、お一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、公述人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。

 それでは、まず高橋公述人にお願いをいたします。よろしくお願いします。

高橋(進)公述人 株式会社日本総合研究所の高橋でございます。

 本日は、私は手元に資料を御用意申し上げておりませんので、口述のみで申し上げたいと思います。

 まず、社会保障と税の一体改革ということでございますけれども、私は、社会保障の持続性と財政の健全性、この二つを確保するために不可欠な取り組みであるというふうに思います。したがいまして、今国会での審議をいただくことはもとより、個人的に申し上げれば、党派の枠を超えて、継続的で抜本的な検討と取り組みが行われていくことを期待させていただきたいと思います。

 社会保障制度への取り組みがそれだけおくれれば、財政健全化への取り組みもおくれるだけではなくて、国民の社会保障制度全般への信頼が揺らいで、消費の抑制、こういったことを通じて実体経済に悪影響を与えることになるというふうに考えております。

 本日は、一体改革について、社会保障、それから税制改革、成長戦略、この三つの観点からお話をさせていただきたいと思います。

 まず、社会保障改革については、社会保障制度の持続性を確保するためには、社会保障に関連するさまざまな制度の根幹にまで踏み込んだ改革が必要というふうに考えます。

 もっとも、どこまで踏み込んだ改革が必要なのか、国民的、政治的にはいまだコンセンサスはできていないというふうに理解しております。

 したがいまして、まず、現行の年金制度が持続可能なのか否か、この点について十分検証する必要があるというふうに思います。そして、その検証を基礎にして年金制度の重要改革に着手していくべきではないかと思います。

 医療・介護制度についても、高齢化とともに給付額が増加し、これまでの制度を維持することは困難になるというふうに見られますけれども、ここでも、必要な改革の程度について十分な検証が必要ではないかというふうに思います。

 社会保障制度の持続性の確保にかかわるもう一つの大きな論点があるというふうに思います。それは、高齢者に偏った社会保障給付の是正ということではないかと思います。

 現行制度のままでは、今後、給付と負担の双方で世代間の不公平の状態がさらに悪化し、そのことが現役世代の制度への信認を失わせ、制度自体の持続性を危うくすることになるのではないかと懸念いたします。

 世代間の公平な支え合いといった観点から、年金特例水準の見直し、あるいはマクロ経済スライドの見直し、これは必要な措置と考えます。

 しかしながら、それだけでは世代間の不公平の是正は不十分であり、年金制度の抜本改革や医療制度の改革に踏み込む必要があるというふうに考えます。

 さらに、世代間不公平是正の一環として、若年層や低所得層に対しては、過度の負担を是正するというだけではなくて、支援の強化も必要と思います。とりわけ、子育て層に対する支援は、日本の人材力を強化し、潜在成長力を引き上げるという観点から極めて重要と考えます。ただし、支援強化に当たっては、ばらまきに陥らぬよう自助努力を促す仕組みとすることが必要だと思います。

 その際、給付つき税額控除、またはそれに類似した制度を埋め込むことは一つの選択肢ではないかと思います。そうした政策を実行するためにも、社会保障・税番号制度の導入は喫緊の課題と考えます。

 一方で、高齢者世代の世代内の所得再分配を強化すること、これによって若年世代の負担を軽減することも検討すべきだと思います。消費税の増税を通じて高齢者にも応分の負担を求めることはもちろんですが、高所得者、資産保有者に支給する年金のカット、あるいは後期高齢者医療制度などはこれに当たるものというふうに考えます。

 なお、医療制度については、健康保険の保険者機能の見直し、あるいは急性期医療体制の充実、地域医療機関の再編、病院と介護施設の連携強化、あるいは健康保険のカバー範囲の見直し、こういったところもタブーなく見直していくことを検討すべきではないかというふうに思います。

 続きまして、財政健全化への取り組みについて申し上げたいと思います。

 財政の健全性の確保については、中期的な時間軸の中で財政を健全化に向けた軌道に乗せていくことが必要と考えます。

 現時点で日本はユーロ圏のような債務危機には陥っておりませんが、一たび長期金利が上がり出せば、日本は、GDP比で見た債務残高の大きさが災いして、財政のコントロールが失われてしまうことは必定でございます。

 財政健全化への取り組みがおくれればおくれるほど、財政赤字が国内貯蓄を食い潰し、長期金利が上昇するリスクが高まる筋合いと考えます。

 そうしたリスクが顕在化するまでに残された時間は、そう長くないというふうに思います。政府部門の赤字が縮まらず、一方で高齢化とともに家計の貯蓄の伸びが鈍化するということになれば、企業部門の一定の貯蓄超過が続いたとしても、日本はいずれ貯蓄超過から投資超過経済に陥り、言いかえれば経常収支が赤字化する。その結果、政府は資金調達を海外に依存するようになる、そうすれば財政のリスクが現実のものになるという危険があると思います。そうなる前に財政改革を軌道に乗せる必要があるというふうに思います。

 財政健全化への取り組みの基本は、歳出改革、歳入改革と成長戦略、この三つの改革をバランスよく進めていくこと、それによって政府の債務残高の増加をできるだけ抑制し、名目成長率の伸び以下に抑えていくこと、これが基本と思います。具体的には、目標年次を定め、政府が目標を達成していくことにコミットする必要があると思います。

 ただし、増税だけで財政健全化目標を達成しようとすれば、大幅な増税が不可避となり、経済に大きな下押し圧力となって、結果的に財政赤字は縮小しないと考えます。増税幅を極力圧縮するためには、歳出の伸びを抑制すること、成長によって税収を伸ばしていくことが不可欠と思います。

 三つの改革のうち、歳出改革につきましては、その柱は、行政・政治改革と社会保障改革の二つと考えます。行政・政治改革については、時限的な措置にとどまらず、公務員制度改革や地方分権にまで踏み込んだ恒久的な改革が必要だと思います。社会保障制度改革については先ほど申し上げました。

 一方、歳入改革でございますけれども、消費税を引き上げとする税制改革、これが妥当と考えますが、将来的には、フローだけではなくてストック、すなわち資産への課税の強化、これも視野に入れる必要があるというふうに思います。

 続きまして、成長戦略ということについて申し上げたいと思います。

 今後、増税のマイナス影響をはね返し、税収を伸ばしていくためにも、言いかえれば、財政健全化をなし遂げ、社会保障の財源を確保するためにも、成長戦略への取り組みが極めて重要だというふうに考えます。これまで歴代政権のもとで成長戦略がつくられてきましたけれども、継続的な取り組みには至らず、結果的にその成果が乏しかったと言わざるを得ないのではないかと思います。

 日本は、失われた二十年と言われてきましたけれども、高齢化が進展するもとでさらに企業の空洞化が進めば、日本の潜在成長力は今以上にさらに低下するおそれがあります。したがいまして、増税に踏み切る前に、実効性のある成長戦略への取り組みが求められるというところだと思います。

 その成長戦略の基本は、日本企業によるグローバル市場の開拓、あるいは国内での新市場、新分野の開拓、これをサポートして、結果的にアジアの需要を取り込み、そして国内の潜在需要を満たしていくことだと思います。とりわけ、現時点では、環境、エネルギーあるいは医療、介護、農業、こういった分野が潜在需要が大きい有望分野と考えます。

 もっとも、こうした分野の成長を図る上で、従来型の産業政策の有効性は乏しく、成長戦略の基本は、経営環境、ビジネス環境の整備に置くべきと考えます。ビジネス環境の整備の具体策としては、法人税の引き下げ、あるいはTPPの推進、こういったことと並んで、国内での規制改革や既得権益の打破、これを進めるべきというふうに思います。

 こうすることによって企業の成長期待を高め、新市場や新規分野への参入を活発化させること、これが経済活性化の道と考えます。国内で有望市場の開拓が阻まれている状況で、結果的に企業の活力が海外に流れてしまう、これは長期的に見て、日本の経済にとって大きなマイナスと考えます。

 今般のユーロの債務危機は、ユーロの導入によって資金調達が容易になった南欧各国が、安易な財政支出や金融緩和に依存した景気拡大を繰り返す、その一方で経済体質を強化するための構造改革を怠ってきたこと、これが原因だというふうに考えます。日本が同じ轍を踏まないためにも、規制改革を中心とする構造改革に本格的に着手すべきと考えます。

 最後に、増税と景気の関係について申し上げたいと思います。

 消費税の引き上げに際しては、そのときの景気動向に細心の注意を払うことは言うまでもないと思います。日本の潜在成長力が低下している現状では、消費税引き上げによる経済へのマイナス効果、これについて十分に注意を払う必要があると考えます。消費税を引き上げただけで景気後退に陥るということはないと見ますが、他にマイナス材料があって、それが重なる場合には、その複合効果に十分な注意が必要だと思います。

 実際、前回の引き下げ時には、消費税の引き上げに加え、不良債権問題やアジア危機、これが重なった結果、マイナス成長に陥りました。今回は、引き上げ時点で、復興需要の減少、あるいは世界景気のスローダウンの持続、あるいはその他家計負担の増加、企業の空洞化、こういったマイナス材料もございますので、引き上げのタイミングについては細心の注意が必要ではないかということを繰り返して申し上げたいと思います。

 私から申し上げたいことは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、石澤公述人にお願いいたします。よろしくお願いします。

石澤公述人 全国商工会連合会長の石澤であります。

 私から、消費税に関連いたしまして、現状を率直に申し上げまして、中小・小規模企業者の立場から意見を述べさせていただきたいと存じます。

 去る三月末に消費税引き上げ法案、附帯事項等が閣議決定されまして、その後、価格転嫁問題等、本委員会でも政府内でも議論が行われているところでございます。しかしながら、現在議論が行われております価格転嫁対策につきましては、価格競争力が弱い、あるいは交渉力の弱い中小、特に小規模企業にとりましては抜本的な対策にはなり得ないのが現状であります。

 後ほど詳しく御説明申し上げますけれども、一言で申し上げるならば、規模が小さければ小さいほど価格転嫁が困難であるということ、また、消費税が引き上がりますと、滞納が急激にふえてくる、必然的に廃業が増加する、こういう状況を前にいたしまして、私といたしましては、反対せざるを得ない立場を御理解いただきたい、こう思っております。

 私のところへは、中小・小規模企業から、消費税の引き上げに伴ういろいろな切実な思いが、意見が寄せられております。三つほど御紹介いたします。

 一つは、価格転嫁ができないということであります。請求書に消費税を記載いたしますと、大型店やあるいは安売り店の価格が比較になりまして、最終的にはやむを得ず値引きすることになる。五%でも転嫁ができない、自腹を切るわけでありますが、これが一〇%になりますと、さらに苦しくなって経営が成り立たない。事業主なら我慢のしようもありますけれども、従業員の生活を保障できなくなる。こういう意味から絶対反対であるという声であります。

 二つ目は、事務負担が重いということであります。消費税の計算に手間とコストがかかる。これ以上制度が複雑になると、小さな企業では到底対応できない。必然的に税理士さんにお世話になることになってコストが上がる、費用がかかるということであります。

 もう一つは、このところ、売り上げがどんどん減っておる。これは、かつて消費税が上がったときからこういう流れになってきておる。納税時の負担が大きく、資金繰りに大変苦慮をしておる。消費税はもろに景気に影響を受けますので、これ以上消費税が上がると本気で廃業を考えねばならない。このような悲痛な訴えであります。

 なお、消費税だけではありません。中小企業を取り巻く、業者にとっては大きな負担が加わってまいります。

 いわゆる協会けんぽ、本年度から全国平均一〇%になります。三年間で一・八%の引き上げが行われるわけでありますけれども、大企業中心の健保組合やあるいは公務員の共済との格差がだんだん広がっていく。そして、これらの保険料の半分は事業主が負担をするわけであります。上がる率は小さくても、トータルとしては、小さな事業者にとっては耐えられない負担になるということでございます。

 さらに、電気料の値上げ等が負担になってまいりますと、この負担に耐えられない、特に小規模企業者の窮状をお察しいただきたいと思っております。この中小・小規模企業者の負担が少しでも軽くなるように、抜本的な改革をしていただきたい、このように思っております。

 それでは、本題の消費税について申し上げたいと思っております。

 お手元に「消費税の問題点」というタイトルの資料をお配りいたしております。

 私どもは、苦しい国の財政状況、また社会保障費が増大をしていること、また国際的にも待ったなしの状況であることは十分認識をいたしております。

 しかし、先ほどから事業者の声として御紹介をいたしましたが、お手元の資料の一ページにありますように、昨年九月に中小企業四団体で共同で調査をいたしました。消費税分を全額価格に転嫁できないと答えた業者が、年商三千万以下では四九%、一千万以下では六五%に実は上っております。これ以上税率が引き上げられますと、転嫁できないと予想する事業者の割合がさらに高まってくる、増加をする。また、売上規模が小さくなればなるほど転嫁が困難であるという状況がございます。

 元来、消費税というのは消費者が負担をすべきものであります。そのとおりの仕組みになっておれば、我々は何も申し上げません。しかし実際には、価格転嫁ができなくて、自腹を切って納税をしているのが現状であります。この価格転嫁の問題をこのままにして消費税を引き上げれば、業績がさらに悪化をして、ひいては滞納の増加、廃業の増加につながることは当然のことであると私は思っております。

 お手元の資料の四ページにありますように、平成九年に税率が三%から五%に上がりました。また、平成十七年には免税点が、三千万円が一千万円に切り下げられております。この年から急激に滞納がふえております。

 滞納だけではございません。消費税が五%に上がった翌年から、実は商工会の会員が激減をしておる。前の年までは、実は年間四千人の会員減でありましたが、消費税が上がった途端に、平成十年には一万二千人の減になっております。また、十七年に免税点が引き下げられますまでは、一年間の会員の減は一万三千人でありました。しかし、引き下げた年から一万九千人に増加をしていることは、消費税の値上げとこれらの滞納あるいは会員の廃業、減少とは無関係ではないということでございます。

 消費税の滞納といいますと、消費者から預かっておる消費税を納めないのはおかしいではないか、こうお思いかもしれませんけれども、先ほど私が申し上げましたように、小規模事業者は価格転嫁ができなくて、みずから自腹を切って納税をしておるという状況であります。赤字で資金繰りがつかない、やむなく滞納しておるということであります。滞納に至った業者は、借金をしたり、個人の預金を崩して、実は何とか納税をしておる状況でございます。

 消費税は、御承知のように、赤字であっても納税しなければならない国民の義務であります。滞納いたしますと、金融機関からの融資も受けられない状況でございます。したがいまして、こういう状況の中で今一〇%に税率が上げられますと、廃業を選択せざるを得ないという現状を御理解いただきたいと思っております。

 以上、中小・小規模企業が消費税分を販売価格に転嫁できない実態を今申し上げました。また、消費税の引き上げが疲弊している中小・小規模企業に大きな打撃を与えることも御理解をいただけたかと思っております。

 それでも、やむを得ずどうしても消費税を上げなきゃならぬ場合には、私は、次の対策を十分議論していただいて、それを実施していただきたいと思っております。

 まず第一は、徹底した歳出の削減であります。

 新聞の世論調査によりますと、まだまだ国民は消費税の値上げに納得をいたしておりません。この国民の理解、納得がなければ、事業者は十分な価格転嫁ができないのであります。消費税の引き上げについても、最終的には消費者である国民の理解がなければなりません。その意味では、皆さんの定数削減やあるいは国家公務員の人件費の削減など、国民の目に見える努力をしていただきたいと思っております。

 次に、景気対策の実施であります。

 今、デフレの経済下において事業者は過酷な価格競争にさらされております。少しでも事業者が価格転嫁しやすい経営環境をつくるために、デフレを脱却して、特に地方における経済を立て直していただいて、そのために緊急の大型景気対策をぜひとも講じていただきたいと思っております。

 次に、免税点、簡易課税の適用上限の引き上げについてであります。

 現在、価格転嫁対策が検討されておりますが、転嫁カルテル、あるいは公取等の監視制度、あるいはまた価格表示方式の見直しなど検討されておるわけでありますが、立場の弱い小規模企業者にとりましては、いずれも抜本的な対策にはならない、これは過去の結果からも明らかでございます。

 そこで申し上げたいのは、小規模な事業者はそもそも価格転嫁が極めて困難であるという前提の上に立って、お手元の資料の三ページにもありますように、本来、中小・小規模企業者の対策として、初めて消費税が導入されたときに優遇措置として設けられた免税点制度を、現在は一千万円に切り下げられておりますが、消費税創設当時の三千万円まで戻してもらいたい。また、簡易課税の適用範囲についても、現在は五千万円でありますが、これを引き上げてもらいたいということがお願いでございます。

 もう一つは、平成元年に消費税が導入をされたときに、それまでの手で計算をしておった事務を、記帳を機械化する必要がある、そのような意味で、その促進のために六十億円の基金を実は頂戴いたしました。その運用益をもってその促進をしてきたのでありますが、残念ながら、一昨年、事業仕分けで国庫に返納することに相なりました。もしもこの消費税の引き上げを導入するならば、私は、この基金を復活していただくか、またはそれにかわる対策をぜひ立てていただきたい、このように存じておるところであります。

 次に、複数税率の問題でございます。

 消費税の逆進性対策として、食品などの日用品には軽減税率を適用すべきことが議論をされていると承知をいたしております。大手スーパーにおいてはこれは容易なことでありますけれども、地方の小規模な小売店では、食料品、雑貨、ギフト商品などさまざまな商品を扱っております。

 そして、二ページにもございますように、私どもの調査によりますと、個人事業主の九割が納税事務をみずから行っている、あるいは経理の処理については、個人事業主では五五%、法人では四四%が手計算をしておるという現状でございます。このような業者にとりましては、品目ごとに税率を変更するということは並大抵のことではございません。せっかく小規模事業者に与えられた簡易課税についても、使いにくくなる、意味がなくなってくるわけであります。

 私どもは、ぜひとも、このことについて、負担のかかる複数税率は慎重にしていただきたい。ただし、低所得者層については、このことを御理解いただきまして別途の対策を講じていただきたい、このように申し上げたいと思っております。

 以上、現状を申し上げまして、御理解をいただきますようにお願いを申し上げます。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、森信公述人にお願いいたします。

森信公述人 中央大学法科大学院の森信でございます。よろしくお願いします。

 私は、今回の法案に基本的に賛成の立場から意見陳述を行いたいというふうに思っております。お手元に資料もございますので、それを参照しながらお話をしたいと思います。

 今回のこの一連の議論のメーンテーマ、これは、税と社会保障を一体的に見直していこうということでございます。そこで、なぜ税と社会保障を一体改革する必要があるのか、もう一度原点に返って、私の立場から述べさせていただきます。

 税制の役割というものを考える場合には、大きく分けて二つあると思います。

 一つは、必要な財政サービスの財源を確保する、公共サービスの財源を確保するという機能でございます。

 もう一つは、税制というツールを使いながら、今問題になっているいろいろな経済問題あるいは社会問題をどうやって解決していくかという問題でございます。具体的には、所得再分配をどうするのか、それから、経済の活性化をどうするのかという問題でございます。

 前者の財源調達機能としての税といいますのは、今、受益と負担のバランスが崩れておりますので、こういった中では、歳出削減を行うとともに、税収の増加を図って受益と負担のバランスを回復していく、そういうことが必要だと思いますので、消費税率を引き上げて社会保障という公共サービスを持続可能なものにし、あわせて財政を再建するということは必要だというふうに考えております。

 とりわけ、国際的な投機筋が先進諸国の財政状況を材料にしてさまざまな仕掛けを始めている今日、彼らの材料にされない財政政策をとることの重要性は言うまでもありません。

 それから次の点でございますが、冷戦後の世界では、法人税とか所得税の税率を引き下げて、自国に工場や資本を引き入れるという税の引き下げ競争が激化しております。そういう中で、所得税率や法人税率を引き上げますと、企業や資本、あるいは貯蓄が海外に逃避する可能性があります。そうなると、大規模な税収確保はどうしても消費税に頼らざるを得ないということがあると思います。

 私の資料でいえば、三枚目の資料が、法人税の先進国における引き下げ競争の現状を描いております。

 税制の第二の機能、つまり、現在の経済社会情勢に見合う税制をどう構築していくかという問題でございますが、現在の我が国に生じております問題は、何といっても、一つは格差、貧困問題、それからもう一つは経済活力の喪失だと思います。これに対して税制をどう構築していくのか、これが問題になります。

 冷戦後の世界を見ますと、BRICS等の台頭によりまして、彼らから低価格製品の輸出、日本にとってみれば輸入ですが、これが急増しております。また、人、物、金が自由に移動するようになりまして、経済のグローバル化という事態も生じました。これに対しまして、我が国など先進国の企業は、どうしても、賃金を切り下げたり、非正規雇用化によって対応せざるを得なくなりました。そこで、若者を中心にした所得格差は世界的にますます拡大をしておりまして、貧困の問題を生じさせてきております。

 我が国の所得格差の状況につきましては、四枚目につけてございます。

 このような格差、貧困問題に対しては、税制として、所得再分配機能を強化するための所得税増税というのが本来はあるべき姿かもしれません。しかし、勤労者だけが負担する所得税を大きく引き上げれば、勤労意欲の低下を引き起こすとともに、高所得者層の税率の引き上げは、高度に国際的な資金移動が可能な今日、資本の国外への流出を招く可能性も大いにあると思います。

 そこで、税制と社会保障を一体的に設計することによって、低所得者層への所得再分配を厚くするという政策が考えられます。実は、欧米では早くからこのような考え方、つまり、一方では経済の効率性を維持しつつ、他方で経済の公平性を追求するという政策を導入しております。今回の改革でも、消費税率の一%分が社会保障の充実に向かうということにつきましては、こういった方向の一つのあらわれではないかというふうに考えております。

 これを税制に置きかえますと、まさに所得控除から税額控除へ、さらには給付つき税額控除へ、そして給付へという流れが言えると思います。つまり、高所得者層に有利な所得控除を税額控除に変える、さらにこれを、税金を払っていない方にも対応できるように給付あるいは給付つき税額控除に変えていく、こういうことによって所得の低い人への所得再分配機能を中心に高めていく、こういう政策でございます。これは、今日の我が国においても非常に効果のある政策だというふうに考えております。

 実際、民主党政権のもとでは、年少扶養控除や特定扶養控除を削減して子ども手当に振り向ける、あるいは高校の授業料を無償化にするという改革がとられてきました。子ども手当は、その後、児童手当となりましたが、所得控除から手当へという理念は変わっていないと思います。この結果、高所得者層の税負担は増加し、低所得者層は給付を受けることができて、全体として所得再分配機能は高まったわけでございます。

 しかし、一体改革をより進めていくためには、この給付つき税額控除というのを本格的に導入することが必要であるというふうに考えております。

 今回の法案には、逆進性対策としての給付つき税額控除が書かれておりますが、この制度は本来、勤労税額控除、児童税額控除という、低所得者の勤労インセンティブを高めながら所得再分配を強化するための政策ツールです。ブレア政権やクリントン政権、あるいはほとんどの先進国は、この制度を活用して、勤労所得者の労働インセンティブを高めながら、みずからが老後の生活を勤労することによって備えていく、そういうふうに変わってきておるわけでございます。それから、失業率の低下という観点でも大きな効果を上げた政策でございます。

 五ページの図表でございますが、給付つき税額控除というのは、実はいろいろな形があります。非常に簡素な形からもう少し複雑な形まで、あるいは、イギリスが今現在キャメロン政権のもとで検討しております、ユニバーサルな、本当に全てを統括したような給付つき税額控除もございます。

 所得の低い人たちに勤労を条件に支援する、フルタイムで働いても相対的貧困に陥っている、いわゆるワーキングプア層の勤労を促進する、あるいは子供の数に応じて子育て家庭に経済支援し少子化を食いとめる、こういった対策に向けて、本格的な給付つき税額控除を充実させる必要があるのではないかというふうに思います。

 今回は、まず逆進性対策として簡素な形、この五ページの表でいいますと、カナダのとっているような、一定の所得以下の方には定額の給付をする、こういった簡素な形での給付、簡素な形での給付つき税額控除を導入して、その後、本格的な勤労促進あるいは所得再分配政策としての機能拡大をしていくというふうなことをお願いしたいと思います。

 そのためには、財源として、配偶者控除、私は、この配偶者控除というのは究極のばらまきではないかと思いますが、配偶者控除などの縮減あるいは生活保護の効率化、そういったものを行いながら、その財源をもとに、勤労促進や子育て支援のための制度を構築していくということが考えられると思います。こういった改革こそ、真の社会保障、税の一体改革であるというふうに考えております。

 新聞報道によりますと、与野党協議の中で、給付つき税額控除は低所得者の所得の捕捉ができないので反対という意見があるようです。しかし、社会保障というのは、低所得者層の所得を正確に捕捉するというところから成り立っているわけでございます。この原点をおろそかにしますと、国家としてまともな社会保障制度はできなくなるわけです。そのために、マイナンバー、番号制度を導入しながら正確な所得の捕捉に向けて努力をしていく、これが私は国家の責務ではないかと思います。そういう意味では、マイナンバー法も早く成立をさせていただきまして、こういった低所得者層の所得とか資産も的確に把握できるような制度をつくっていく。

 したがって、低所得者層の捕捉ができないから給付つき税額控除は無理だという意見は、私は敗北主義ではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、給付つき税額控除というのは、税と社会保障をつなぎますグローバルスタンダードな制度で、我が国では逆進性対策から導入していくとしても、勤労税額控除、児童税額控除といった欧米諸国で大きな成果を上げた政策として発展させていく、そういった気概を持って改革を進めていただきたいというふうに考えております。

 最後に一言、消費税引き上げに伴う経済効果について申し上げます。

 消費税率の引き上げが経済にマイナスの効果を及ぼすことは間違いありません。しかし、あわせて行う社会保障改革や財政再建への筋道が、我々の将来不安を取り除くとともに、金利リスクの軽減という形で経済の大きなリスクを取り除く、こういった効果を持つことを過小評価してはならないと思います。グローバル経済の中で、経済に内在するリスクを最小化することは極めて重要な政策だと思います。そういう意味で、この法案が一日も早く成立することを願っております。

 以上です。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、上念公述人にお願いいたします。

上念公述人 皆さん、こんにちは。

 政治を志すというか、政治家である皆さんは、ぜひ、人間関係を大事にされていると思いますので、もう少し元気に挨拶していただければと思います。

 皆さん、こんにちは。

 ありがとうございます。

 経済評論家で、デフレ脱却国民会議の事務局長をやらせていただいております上念と申します。本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 私が申し上げたいことは、誤った情報に基づいて誤った判断をすれば、国が大変なことになってしまうということです。この一点に尽きます。

 それは、戦前、大本営連絡会議において、誤った情報に基づいて対米開戦を決断したあの近衛内閣末期、そして東条内閣が、日本をとんでもない混乱に陥れて、結果的には一度国を滅ぼしてしまった、大変とんでもない決断をしてしまった、こういう過去の歴史があります。私たちは誤った情報に基づいて政策を決定してはいけない、このことだけをきょうは私は訴えたいと思います。

 私がきょう訴えたい点は二つしかありません。一つは、日本は本当に財政危機なのか。これが一つ目です。そして二つ目、消費税増税によって本当に税収がふえるのか。この二点だけを、ぜひ皆さん、もう一度考え直して、この公聴会というのは法案を採決するためにやる儀式ではないと私は信じておりますので、ぜひ議論をしていただきたいというふうに思います。

 まず一つ目、日本が本当に財政危機なのかどうなのか。

 これは、私のような一介の経済評論家の意見よりも、もう少し権威のある方の意見を引用した方がいいと思いますので、今、一つちょっと読み上げたいと思います。

 まず一つ目、日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。債務不履行は考えられない。デフォルトとしていかなる事態を想定しているのか。日本国債は現在九五%が国内でかつ低金利で消化されている。

 その次、近年自国通貨建ての国債がデフォルト、つまり債務不履行した新興市場国とは異なり、日本は変動相場制のもとで、強固な対外バランスもあって国内金融政策の自由度ははるかに大きい。さらに、ハイパーインフレの懸念はゼロに等しい。

 その次です。マクロバランスとの関係では、景気が回復し、銀行の新規融資が増加し、金利が上昇すると、財政赤字の削減は困難になると言っているが、しかし、このような状況では、名目、実質双方の成長率が高まり、税収がふえ、不良債権処理が促進されることから、むしろ財政健全を進める上で歓迎される。金利の上昇のみを強調して、景気回復に伴うはるかに大きな効果を無視するのは適切でない。

 このようにその権威のある方が述べていらっしゃいます。

 では、この権威のある方というのは一体誰でしょう。財務省です。きょう、私は、これを財務省のホームページからダウンロードして印刷してきました。ぜひ、本当かうそか確かめていただきたいので、「外国格付け会社宛意見書要旨」というタイトルで検索してみてください。インターネット上で公開されております。

 財務省みずからが、日本は財政危機ではないというふうに過去言っているんです。このときと今と、経済財政のファンダメンタルズは変わったのか変わっていないのかということを確認したいです。

 まず、日本は変動相場制から固定相場制に移りましたでしょうか。日本はまだ変動相場制ですよね。それから、外貨準備とか国内で九五%消化されている国債の消化状況とか、何もファンダメンタルズは変わっていません。

 ということは、この財務省の、非常に権威ある、財政危機ではないという見解はいまだに生きていると私は考えております。もし、日本が固定相場制に移行していたりとか、国債の半分以上が外国人に買われているというなら、ぜひその証拠を示していただきたいというふうに思っております。詳しくは、ぜひ財務省の方に聞いていただければというふうに考えます。

 それから、次です。百歩譲って、日本が財政危機だったとしましょう。では、仮に財政危機だとして、消費税の増税が本当にその財政危機を救うのか、つまり、消費税の増税で税収がふえるのかという点について考えてみたいと思います。

 お手元の資料をごらんください。

 「デフレ下の増税は百害あって一利なし 増税しても財政再建できない不都合な真実」ということで資料を用意させていただきました。

 まず、一ページ目をめくっていただくと、ここにサマリーがあります。これは絶対誰も反対できないと思うんですが、「税収=名目GDP×税率×税収弾性値」、この式が間違っているというのなら、ぜひ指摘していただきたいと思います。これはもう間違いなくこの式で算出されます。

 問題は、消費税の税率を上げることによって名目GDPが一円も減らないのかということです。税率を上げる以上に名目GDPが減ってしまったら、この式を見ればわかるとおり、税収は減ってしまうんですね。そのことを明らかにしていきたい。そのためには、やはり過去の歴史に私たちは学ばなければいけません。それは、最初に申し上げたとおり、近衛内閣末期のような間違った判断で政策を決定すると、国は本当に滅んでしまうかもしれないからです。

 では、この次のページをちょっとごらんいただきたいと思います。

 「税収の源は名目GDPである」というグラフが出ています。私たちが政策を判断する場合に、統計的に、その二つの数値がどれぐらい関係が強いかということをあらわすものに、相関係数というものがあります。相関係数が〇・三以下の場合は、ほとんどその二つの数値には関係がありません。もし税収と税率の間に相関関係があるならそれはいいんですが、圧倒的に税収は名目GDPと相関性があります。これは、日本だけじゃなくて、外国の例を見ても同じです。

 こちらのグラフをごらんいただけると、青い実線の日本の名目GDPに対して、青い点線の日本一般政府歳入というのはもうほとんど一致した線になっています。緑、オレンジ、これはドイツ、アメリカですけれども、基本的には名目GDPの伸びと税収というのは比例しております。税率を考えるよりも、名目GDPを考えた方が圧倒的に税収をふやすためには効果があるということをこのグラフが示しています。

 では、次のページをごらんください。

 税収だけではなくて、プライマリーバランス、歳入歳出のバランスを見たときにどうなるのか。こちらも、プライマリーバランスと名目GDPの推移というのは、グラフが非常に重なりやすい、相関も高いのではないかということが言えます。これが、次のグラフです。

 そして、さらに次のページ。

 私たちの日本国がなぜ税収が悪化しているかといえば、これはデフレが原因です。デフレが進行すると、企業は売り上げが減って、利益が減って、そしてお給料も払えなくなって、どんどん所得が減る。所得が減ると、人々はますますお金を使わなくなって、そしてどんどん経済が縮小していく。経済が縮小すると、先ほどの公式に基づいて、名目GDPが減少します。名目GDPが減れば、税率を上げようが、税率を変えなかったら当然ですけれども、税率を上げても税収は減ってしまいます。それはこのグラフを見れば明らかだと思います。

 そして、次のページをごらんください。

 では、なぜ今、日本がデフレなのか。これがきょう一番私が訴えたいところです。

 デフレというのは、特定の商品の価格ではなくて、世の中全体の物の値段ですね、一般物価が二年以上連続して下がることです。これは、例えばユニクロがたくさんふえたからデフレになったとかばかなことを言っている人がいますが、そういうことでは全く説明ができません。デフレというのは貨幣量が不足することによって発生する貨幣現象なんですね。だから、日銀がお金を刷らないからデフレになっているんです。

 そのことが、こちらの「デフレは日銀が招いた人災」というチャートに示してあります。ほかの国がリーマン・ショックのときに二倍、三倍とお金の量を、変化率ですけれども、これだけのお金の量を市場に供給したのに対して、日銀はほとんど何もしていません。この状況が続く限り、幾ら税率を上げたところで、税収はふえません。財政支出をふやせばマンデル・フレミング効果というのが働いて、結局、金利が上がって、円高になって、全ての効果は海外に逃げてしまいます。金融緩和なくして財政政策なし、デフレ脱却なくして財政再建なしなんですね。

 では、次のページをごらんください。

 こういうことを言うと、日本は人口が減っているからデフレなんだよという極めて間違った考えを言う人がいるんですが、人口減少デフレ説は完全なでたらめです。何の根拠もありません。

 こちらにIMFが定義する先進国の人口増加率と物価上昇率をプロットしたデータがあります。これは駒沢大学准教授の飯田泰之先生がつくられたグラフです。何の相関性もありません。R2というところをごらんください。〇・〇〇〇五、ほとんどランダムですね。これが〇・六以上なければ相関があるとは言えないんです。

 人口増加とデフレの間には何の関係もないのに、五月三十日に日本銀行から、人口が減っているからデフレになっていますというような恐ろしいでたらめなレポートが発表されました。このレポートをよく読んでみると、この三十何カ国から二十四カ国を恣意的に選んで、しかも、相関係数のR2が書いていないんですよ。非常にインチキなレポートを出しています。これだけでも日銀総裁は首にしていいんじゃないかと私は思っています。とんでもない話です。

 そして、次です。

 人口と経済成長、これも実は全く関係がありません。残念ですが、相関係数は〇・一八しかありません。彼らの言うことが正しいなら、ここの相関係数が〇・六以上にならなければいけない。しかし、なっていない。つまり、これは彼らが言っていることがサイエンスでないということですね。でたらめであるということが断言できるのではないかと思います。

 最後に、金利が上がって財政破綻するとか、おもしろいことを言う人がたくさんいるんですが、これも大うそでございます。こちらをごらんください。名目成長率が四%以上になると、通常、長期金利よりも成長率の方が高くなりますので、ちょっと難しいんですが、公債のドーマー条件という、財政破綻をするかしないかの条件を財政破綻しない方向で満たすことになって、基本的には日本の財政は健全化します。

 これは実は、戦前、高橋是清が行った金融財政政策の中で、彼らは、新たに発行した国債を日銀に買わせて、それで財政政策をどんと行ったんですね。こんなことをやったら金利が上がって大変だとみんな言うんですけれども、実際に金利が上がったかというと、全く上がりませんでした。三年半ぐらい長期金利はずっと横ばいの状態で、その後急激に上がることもありませんでした。

 その後、日本経済がおかしくなるのは、二・二六事件が起こって、高橋是清が暗殺されて、馬場えい一という国賊級の大蔵大臣が死ぬほどお金を刷って増税して軍備拡張をしたわけですね。この金で戦争してこいとやったわけですね。これは、まさに近衛内閣末期です。これと同じことが今まさに、消費税増税という誤った、対米開戦と同じような決断によって行われようとしていると私は懸念しております。

 では、最後のページです。

 ということで、私も財政再建はぜひした方がいいと思います。それから、税収がふえるならぜひ消費税を上げてください。

 ところが、今、日本銀行という大変問題のある団体がデフレを続けていることによって、税率を上げても税収はふえません。増税したいのであれば、まず最初に日銀法を改正して日銀総裁を首にする、そして、デフレ政策を改めて、きちんと二%から四%程度のマイルドなインフレに持っていく、そういう状態にして、景気が物すごくよくなって、このままじゃ過熱して大変だとなったらぜひ増税してください。

 私は増税そのものには反対していません。税収が上がるなら増税してください。でも、今、日銀がこういう状況で幾ら増税しても全く税収は上がりません。

 ですから、増税したい議員の皆さんも、増税を妨げているのは日本銀行だということをぜひ頭の中に入れていただいて、日銀法改正なくしてデフレ脱却なし、日銀法改正なくして財政再建なしということをきょうはぜひ肝に銘じていただいて、あと、私はうそを言っているかもしれませんから、調べてください、ぜひ皆さん自身の頭で考えていただいて、御納得いただいて、この議論を進めていただければと思っております。

 最後に、私は実は中央大学辞達学会という弁論部の出身でして、衆議院でこのようにスピーチさせていただくことは本当に名誉なことでございます。早稲田大学雄弁会の大先輩の渡部恒三先生の前でこんなお話をさせていただくのは大変恐縮でしたが、長い時間おつき合いいただきまして、ありがとうございます。

 これにて、私からのアピールを終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、田淵公述人にお願いいたします。

田淵公述人 公認システム監査人、そしてIFRSコンサルタントの田淵と申します。

 あとは、多分この中にも読者の方はおられると思うんですが、ある有名なIT企業のコラムニストをしております。大体一万人ぐらいの方がごらんになっていると聞いています。

 さて、それでは、きょうのタイトルなんですが、こちら、お手元の資料で「弱者に優しい消費税」、こういうタイトルのものをつくりました。

 それで、まず、一番最初に、賛成か反対かということからしますと、大変申しわけないんですが、この増税案は明確なる公約違反でございます。したがって、これは公約違反ですから、やはり撤回して、解散・総選挙をして国民に信を問うというのが本来の民主主義でありまして、ここでうそをついたら民主主義は崩壊してしまうと思います。

 しかも、申しわけありませんが、実は、後で申し上げるように、この消費税は非常にずたぼろの、ぼろぼろの法律でありまして、そうなってしまったのは、売上税のときに公約違反まがいのことがあったということも大きく作用いたしておるわけでございまして、そういうことも考えると、ここは、野田総理、申しわけありませんが、撤回の上、解散・総選挙をしてやり直すのが正しいと思います。

 さて、その上で、まさしく、資料の五ページにあるように、増税法案を可決してから解散というのは、これはもう詭弁でありまして、国民に対する詐欺行為でありますので、絶対に撤回していただきたいと思います。

 それで、その後、多分、増税の前にやるべきことがあるということで、約百人の国会議員の先生方がのぼりを上げておられるようでありまして、一応やるべきことというのも書いたんですが、時間が十五分しかありません。例えば、NTT等の通信会社に送配電をやってもらうとか、あるいはシステム監査を法制化するとか、いろいろな提案もセクション二とか三とか補足のBに書いておきました。

 ただし、TPPは絶対にやってはいけません。なぜいけないかというと、ISD条項が非常に危険です。特に、例えばISD条項によって再販価格維持制度が壊されてしまったら、日本のマスコミはおしまいですよね。そういうこともありますが、その話は資料を見ていただくことにして、本編に入りたいと思います。

 お手元資料十九ページをごらんください。

 実はきょう、いろいろ先生方のお話を聞いていて、あるいは国会議員の先生方の話を聞いていて、重大な論点が抜けていると思うんです。それは、低所得者対策と言われるんですが、日本の場合は中間層が多いので、中所得者という概念が全く抜けていると思うんですね。

 それで、ぜひ皆さん方に聞いていただきたいのは、こういうふうな財政改革あるいは税制改革、社会保障改革を考えるときに、絶対的な条件が私は二つあると思うんです。それは何かと申しますと、一つには、我が日本国が国連の常任理事国も考えられるようなG8の先進国であるという、この国際的地位であります。そしてもう一つは、世界に輝くG8先進国の国民として我々が享受している生活水準、この二つは絶対に維持されることが前提になるというのが議論の初めだと思います。これに異論のある国会議員の先生方はまずおられないと思います。

 そこで、いろいろ最近の税制改革論議を見ていると、本当に噴飯物の話がありまして、こういう議論をするときには、こちらの表にありますように、G8先進国と比較することだけが意味を持つのでありまして、やはり、どこかの発展途上国とか新興国とか人口の少ない国のものを持ってきてこうだああだという議論をすることは全くのナンセンスであります。このことについてわかっておられないとすると、非常にこの国の国会議員のレベルが疑われることになります。特に我が国の場合は中流層という概念が全く欠落いたしております。

 さて、それでは次のページ、二十ページの方です。

 こちらにございますように、よく新聞各紙等では、日本の消費税率が非常に安いというような議論がなされております。しかし、こちらを見ていただいたらわかりますように、フランスは標準税率一九・五%ですが、食料品は五・五%、医薬品は二・一%であります。イタリアも食料品は四%です。イギリスに至っては、生活必需品は五%で、食料品は〇%であります。ちなみに、アメリカは連邦レベルの消費税はありません。そして、州税は四十五の州とワシントンDCでありますが、実は、調べてみますと、ほとんどの州で多段階税率になっております。さらに申しますと、欧州では標準税率よりさらに割り増しの税率のあるところもありますし、逆に、イギリス、アイルランド、マルタ、キプロス、カナダ、メキシコ、オーストラリアにおいては、食料品は非課税となっております。

 次のページをよろしくお願いします。

 きょう皆様方にどうしてもお伝えしたい最大のメッセージはこちらでございます。我が日本国、つまり、世界に輝く先進工業国である日本が所属するG8先進国の中で、均一税率で一〇%以上の国は皆無であるという事実であります。このことは非常に重要な事実であります。

 もう一つ、G8先進国で、逆進性対策として還付を行っている国はゼロでございます。所得税と組み合わせた給付つき控除の話は先ほどの先生にありましたが、消費税という観点でやっている国は実はカナダとシンガポールのみでありまして、カナダも複数税率併用になっています。それから、レシートでの還付は韓国だけであります。カナダは一時期やっていたんですけれども、いろいろ問題があってやめました。

 そしてもう一つ、こちらです。実は、税収を、税率を上げなくてもすぐできるのはここです。税額票方式に移行すれば、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンの問題がなくなります。伊吹先生よく御存じのように、自民党さんが昔やろうとした売上税ではこれがあったわけですね。税額票はあったわけです。ところが、なぜか知りませんが、税額票、インボイスという言葉が貿易用語であることが何か災いして、いかにも難しい制度だという誤解が広まってしまいまして、大変なことになってしまいました。これは、税額票方式に移行するだけで脱税防止効果があります。

 さらに、実は皆さん気をつけていただきたいのは、私が言う先進国はG8先進国であって、日本がこの地位を守ることは絶対条件だと思いますが、少し範囲を広げて、OECD加盟国というふうに範囲を広げましょう。OECD加盟国の中で一〇%以上の均一税率の国は、何とニュージーランドと韓国だけでございます。

 ちょっとうがった見方かもしれませんが、今回の政府案は、残念ながら、韓国の制度を日本に持ち込もうとしていると言っても過言ではないぐらい韓国の制度に似ています。この分野でも韓流かもしれませんが、とにかくここの問題があります。しかも、韓国はFTAでぼろぼろになっているだけじゃなくて、非常に格差社会であって、五五%がワーキングプアと言われておりますし、ニュージーランドは大規模土地所有制で、あとは小作人というような状態で、非常な格差社会であります。

 つまり、中流階級がいないんですよ。中流階級のいないところなら低所得者層という言葉の対策の意味があるんですが、我が国の場合は全く国情が異なるわけであります。したがって、その辺は国会議員の先生方によくわかっていただかなければならないところであります。

 さらに、よく報道で、IMFの偉い人が日本は一五%にするべきだと言ったというようなことをリークする人がいるんですが、IMFのトップというのはみんなヨーロッパの人がなっていまして、これもよく調べたら、ヨーロッパの一五%というのは均一じゃないんですね、デンマーク以外は。つまり、均一で一五%とは一言も言っていないんです。そういうところも正しく情報を伝えていただかなきゃ困るわけであります。

 さて、時間がなくなってまいりました。

 では、私は、どうしたらいいかということについて具体的な提案を申し上げます。

 まず、こちらにありますように、非課税を維持するべきものとして、個人の住宅の家賃、医療、学校教育、そして身体障害者用物品は非課税を維持するべきであると思います。

 次に、軽減税率として、八%均一も先進国ではありません。ここでありますように、五%を維持するべきものとして、食料品及び外食産業、医薬品、公共交通機関及び高速料金、ライフライン、電気、ガス、水道、電話、そして住宅の取得、新聞及び書籍、学用品、塾、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品、そして灯油、ガソリン、これは五%を維持するべきであります。寒冷地の北海道などで灯油を上げてしまったら、もうこれは凍死者が出ます。

 逆に、日本は、何と世界で唯一、食料品に課税しながら土地と株が非課税というとんでもない金持ち優遇国であります。これについてもぜひちょっと、これは非課税を維持することに疑問が残る部分であります。

 もう一つ。逆に、鉄道のグリーン車、グランクラス及び個室、あと私鉄の三社ですね、そういう特別なクラス及び航空機のファーストクラス、宝石、毛皮、高級時計、高級外車、書画骨とう等はむしろ、標準税率と言わずに、特別に税を課してもいいと思われます。

 次に、税額票方式への移行をせよというのは先ほど申し上げたところですが、特に、先ほどの先生から出ましたように、転嫁の確実性という問題、そして病院とか学校における損税の問題がありますので、これは税額票方式に移行するべきであります。これだけで二、三兆円税収がふえるという話もあるぐらいであります。

 二十五ページにもありますように、国民の四割しか増税は賛成じゃありません。しかも、容認している四割の半分は軽減税率を要求しておるということを忘れないでいただきたいと思います。

 さて、それでは、時間が減ってきましたので、二十七ページに飛びます。

 では、複数税率を否定する人の誤解ということについて一つずつやります。

 まず一つ。帳簿方式だから複数税率はできない、これはうそであります。消費税は導入当初、自動車は六%でありました。したがって、複数税率は経験いたしております。

 それと、簡易課税は、やっているところが複数税率では大変だ、小規模業者は大変だとおっしゃいましたが、これもうそであります。なぜならば、コンピューターの立場から考えたり作業の点から見て、簡易課税の場合は五種類の、第一種事業から第五種事業まで分けなければいけませんから、まさに複数税率と同じことを実はもう既にやっているわけであります。

 それから、誤解の二。複数税率は手間がかかる、これも全くのうそでございます。なぜかというと、先ほどから申し上げているように、G8先進国で、均一税率で一〇%以上は皆無であります。さらに、財政危機に揺れるスペイン、ギリシャでも複数税率であります。さらに、ロシア、中国、スイス、インド、ベトナム、インドネシア、トルコにおいても複数税率が実施されておりまして、我が国にできないわけはありません。

 さらに、スーパーとか行きますと、昔はレジをこうやって押していましたよね。でも、今はバーコードでピッという時代でございますので、こんなことは問題ありません。

 それから次、二十八ページをお願いします。

 税額票方式は煩雑だというのは、先ほど申し上げましたように、韓国のように指定書式を使用したら当然煩雑ですが、EU指令では記載要件のみが定められておりまして、さらに電子化もやっています。それに、今、税額を書く欄のない請求書など売っておりませんので、これも全くの誤解でございます。

 それから、税額票方式による計算は煩雑であるというのは、これは間違いでございまして、税額票方式ならば、仮払い消費税と仮受け消費税の差額のみで納税額が決まります。むしろ、帳簿方式の方が実は大変な問題が起こっておりまして、昨年六月、ほとんど審議されずに通ってしまった、課税売上割合九五%ルールがなくなったために、非常に複雑な問題が起こっております。

 特に、消費税法第三十条第五項の規定によって、損税が発生する一括比例配分方式を選択させられた場合はこれが二年間継続するということで、株主代表訴訟のリスクがあるのではないかということで、私のところにも複数の会社さんから相談が来ているような状態であります。

 ファストフードにおけるテークアウト問題は、これは制度設計が下手な国で起こっていることでありまして、外食産業と同じ税率にすればしまいであります。

 次に、三十一ページ。

 軽減税率の場合、高所得者ほどメリットが大きいと、きのう野田総理がおっしゃいましたが、これも誤解であります。これはなぜかというと、高級食材も軽減税率にした場合でありまして、どうすればいいか。日本は前例踏襲主義であります。前例踏襲主義の日本にできることとしては、飲食税を復活して、一人三千円以上食べたら一〇%課税すれば解決します。

 さらに、スーパーとかでも、単価三千円以上のものを一〇%上乗せ課税すればオーケーです。まさか、マスクメロンを半分に切って売るようなところはないと思います。

 さあ、時間が来ました。

 ここを見てくださいね。これ、ちょっと本当に見落とされて大変な問題なんですが、今、消費税法第三十条第二項の改正によりまして、課税売り上げ九五%問題というのが大変な問題になっています。

 特に、今、こちらを見てください、実は、ここの赤と黄色と緑のところ、つまり、課税仕入れを三分割しないと損税が発生するようになっておりまして、グローバル企業の場合は、損税額は十億単位になることがわかっております。これは緊急に消費税法第三十条五項を改正して緩和していただきたいと思うんですが、どう緩和するかについては、私は、先輩方のいろいろ教えがありますので、全て後ろの方に具体的な法律改正条文案をつけてありますので、資料をごらんください。

 とにかく、この三つを自動的に分けることができないために、大変な混乱が起こっております。

 時間がなくなりましたので、さあ、まとめましょう。

 このように、繰り返し申し述べますように、G8先進国において、均一で一〇%以上の国はございません。そして、私どもは、どんなことがあっても日本はG8から転げ落ちてはいけないと思います。そして、G8先進国の国民として享受している生活水準も絶対守られなければいけません。ですから、G8先進国でやっていないようなことをやることはナンセンスであります。

 繰り返し述べますように、本来の消費税の趣旨に戻って、所得再分配と福祉という観点からすると、生活必需品は軽減税率または非課税とし、ぜいたく品は重課税とするべきであります。

 繰り返し述べるように、食料品、医薬品、公共交通機関、高速料金、ライフライン、住宅の取得、新聞及び書籍、学用品、塾、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品、灯油、ガソリンは五%維持であることを強く要求いたします。

 及び、税の公平性、いわゆるクロヨン、トーゴーサンピンの問題から、帳簿方式から税額票に移行していただきたい。

 そして、もう一つ、国際会計基準のIFRSのコンサルタントの立場からいうと、滞納を防ぐ意味でも、税込み経理は禁止していただきたい。表示じゃないですよ、表示は内税でいいですけれども、経理としては税込み経理は禁止していただきたい。

 最後、簡易課税については、逆の立場の方がおられると思いますが、やはり一種事業の九〇%と八〇%のみなし仕入れ率は高過ぎるので、これを縮小するとともに、税の透明性を高めていただきたいと思います。

 繰り返し述べますように、普通の市民感覚からいうと、お米やパンと、宝石、毛皮が同じ税率というのがやはりおかしいんだというのが私の意見でございます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 これにて公述人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより公述人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江端貴子さん。

江端委員 民主党の江端貴子でございます。

 本日は、公述人の方々におかれましては、お忙しいところ、朝早くから貴重な御意見を賜りまして、本当にありがとうございました。

 時間も限られておりますので、早速質問に入りたいと思います。

 今それぞれの公述人の方々の御意見をお聞きいたしまして、対策はいろいろと御意見があるかと思いますけれども、今のこの日本の社会保障制度をどう存続させていかなくてはならないのか、これはもう喫緊の課題であるということは皆さんもお認めになっていらっしゃることだと思います。

 もし仮に今回この消費税を見送らなくてはいけないというようなことになった場合に、社会保障制度の持続性ということに関して、どのような対策を、そして残された時間というものをどのようにお考えなのかということについて、お一人ずつ、簡単に御意見をいただければというふうに思います。

高橋(進)公述人 私の陳述の中でも申し上げましたけれども、現時点では財政危機は表面化しておりません。しかし、今、政府が日本の貯蓄をどんどんどんどん食い潰している状況ですので、このままいきますと、十年以内に日本は投資超過、経常赤字の国になる、私は、そのときにいろいろな問題が一挙に表面化するのではないかというふうに考えております。

石澤公述人 大変難しい問題でございますけれども、今の財政状況からいいますと、増税はやはり避けて通れない。その場合には、消費税が最も適当だとは思っております。

 しかし、例えば年金あるいは社会保険等、事業者が半分は負担をしなきゃならない状況がございますので、その辺を十分考えて、効率のある考え方を与野党含めて御検討いただきたいと思っております。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私の考え方は、やはり団塊世代が、実は私も団塊世代の最後の方なんですが、この団塊世代が後期高齢者になります二〇二五年というのが一つの大きなピークだと思いますので、ここに向けてきちっと財源を手当てしなければ持続的な社会保障は構築できないと。

 ただ、私は、もう一方で、社会保障の制度の効率化ということも絶対必要だと思います。とりわけ年金問題につきましては、もう少し効率化の余地があるのではないかというふうに考えております。

 以上です。

上念公述人 まず、日銀法を改正して、日銀にインフレターゲットの目標を設定します。当初の三年ぐらいは、日銀に財政ファイナンスをさせて、例えば、復興増税は廃止して、財源は全て財政ファイナンスによって日銀に国債を引き受けさせて賄う。こういうことでデフレを脱却すれば、失業率が減ります。

 失業率と物価上昇率の間には明確な相関関係がありますので、物価が上がれば失業が減ります。失業が減ると、社会保障に対する対策費も当然減ることになります。逆に、景気がよくなるので税収がふえます。

 ということで、税収をふやしていくために、女性とか高齢者がもっと働けるような制度改革を別途サポートでやっていただくというのが、法整備の面でのいろいろな努力の目標になるんじゃないかと思います。

 まずは、デフレを脱却することが大事です。

 以上です。

田淵公述人 お答えいたします。

 まず、今先生のおっしゃられたことで、僕もインフレターゲットをやるべきだと思います。それと、こちらのセクション二とか三で書いてある、いろいろな具体的ないわゆる成長戦略もやるべきだと思います。

 それと、もう一つぜひお考えいただきたいのは、税額票方式への移行により、クロヨン、トーゴーサンピンの解消によって二兆円ぐらい出てくるという話もありますので、まずこれをしっかりやっていただくということと、その結果として、公益法人に対する課税強化にもなりますので、これでどれだけ出てくるかということです。先ほど申し上げた消費税法第三十条二項の改正による九五%ルールの廃止でも約八千億円増収が見込まれておりますので、まずそれを見てみるべきであろうと思います。

 それと、ぜいたく品の重課税は、やっていいと考えております。

 以上です。

江端委員 それぞれの公述人の方々、ありがとうございました。

 今、社会保障の存続のためにさまざまな手当てをしなくてはいけない、それは税制に限らずいろいろな手当てはあるだろうというお話でございましたけれども、今こういった形で、社会保障と税の一体改革ということで、まずは税制で一体的に改革を進めようということをやっております。

 そういった中で、税をどういうふうに考えていくのか。いわゆる課税原則といったものを考えたときに、今、複雑な経済状況といったこともありますし、さまざまなファクターでトレードオフを起こしているということがあるかと思います。例えば、公平性をなるべく求めようとすれば、事務手続が複雑になる、あるいは税そのものが、制度そのものが複雑になるというようなこともあるかと思うんです。

 これは森信公述人にお聞きしたいんですが、今回の税制改正に当たって、こういったいわゆる課税原則、一番どこに重きを置いてやるべきだとお考えでしょうか。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私は、今おっしゃいましたように、まさに現代の世の中では政策のトレードオフが起きている、とりわけ公平性と効率性の間にトレードオフができているというふうに思います。

 それは、先ほども申しましたが、世の中は、やはり、税率を引き下げて、ほかの国から、外国から資本とか設備投資を招こうというふうな状況にあります。その中で社会保障も、特に所得再分配の問題が出てきている。そういうことで、私は、公平と効率、この両立を考えていく必要があるのではないかと思います。

 そのためには、税と社会保障を一体的に設計することによって、一方では効率を維持しながら、他方で公平性を上げていく、こういうことが必要ではないかというふうに思います。

 以上です。

江端委員 済みません、続けて、森信公述人にお伺いいたします。

 先ほど、税と社会保障を一体化することに意味がある、そこにおいて、公平性と簡素性、効率性を、両方を求めていくんだというようなお話がありました。

 今回の税制の中で一番問題として上がっているのは、いわゆる軽減税率、複数税率の問題、それから逆進性の問題でございます。

 森信公述人は、こういった中で、いわゆる給付つき税額控除を将来的に入れるべきではないかというお考えをお持ちですし、最初、逆進性として捉えたとしても、最終的には、雇用の促進あるいは子育ての促進、そういったものと結びつけるべきだというお考えをお持ちですけれども、これは、今後どういったタイミングに、どういった条件のもとに展開をしていくべきだというふうにお考えでしょうか。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私が考えておりますのは、二〇一五年に消費税率の引き上げがあるというふうになっておりますので、その二〇一五年の消費税率の引き上げ分を、所得を見ながら、二〇一六年にはそれを低所得者層の人に還付あるいは給付ができるような制度が望ましいのではないかと。

 そうしますと、マイナンバー法が、今、たしか二〇一五年から施行されるというふうに伺っておりますので、まだこれは国会で通っておりませんが、そういうことを踏まえますと、まずは二〇一五年の消費税率引き上げ、その分を返すという形で、二〇一六年ぐらいから、逆進性対策として、とりあえず簡素な給付つき税額控除として導入をしまして、それから、もっと社会保障財源全体を見直しながら、生活保護の水準の問題もありましょうし、いろいろな問題もあろうと思いますので、そういった問題を見ながら、勤労促進とか、それから子育てとか、そういった形で入れていくのが適当ではないかというふうに考えております。

江端委員 それでは、次に、石澤公述人にお伺いします。

 先ほど、消費税、やむを得ない場合は仕方がないが、しかし、転嫁の問題がかなり難しいという公述がございました。

 そういった中で、先ほど田淵公述人からは、いわゆる税額票方式にすれば転嫁もたやすくなるではないかというような御意見もありましたが、この点に関して石澤公述人に御意見がございましたら、いわゆるインボイス方式というものがどの程度中小企業の経営等で可能なのかどうか、そういったことをお聞かせいただければと思います。

石澤公述人 インボイスの点についてですが、日本ではまだこれが実施されておりません。海外では当然のことだと思いますけれども、それは、それなりの消費税等に対する国民的な理解が、長い歴史があるんだろうと思いますけれども、そういう意味では理解が進んでおると思います。

 我が国では、特に田舎の方へ行きますと、インボイスといっても何のことかわからない。私自身も、見たこともございませんので、よくわかりません。しかし、初めて導入するとすれば、大混乱が起きるのではないか。しかも、インボイスを導入しても、私は、今の日本の消費者の国民感情からいって、なかなかこれが価格転嫁に結びつくとも思っておりません。

 いたずらに混乱を招くということであれば、慎重に考えるべきでないかと思っております。

江端委員 それでは、次に、高橋公述人にお伺いしたいと思います。

 先ほどのお話の中で、歳出改革、歳入改革、そして成長戦略、これをバランスよくやらなくてはいけないということで、今回の法案の中には、具体的に七法案の中には入っておりませんけれども、行政改革や政治改革、あるいは社会保障も、いわゆる効率化というメニューの中で政策としては打ち出しているところではあります。

 ただ、一方で、やはり成長戦略という目で見たときに、社会保障の中にもかかわっている医療や介護の分野というのは、私どもも一つの大きな柱だとは思っているんですが、なかなか、政策がうまくかみ合っていくというところまでまだいっていないというのが現状ではないかと思います。その点について、御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

高橋(進)公述人 私は、個人的には、御指摘のとおりだと思います。

 医療と介護の分野というのは、行政の規制が非常に厳しい分野です。一方で、この分野というのは、大変な将来の成長分野だと考えられております。ところが、規制分野が成長分野に変わっていかないという背景には、私は、民間のあり余る資本がこの分野に入ってこないというところに原因があると思います。

 したがいまして、例えば、増税を通じて医療や介護の部分にお金を流して、そしてその分野が雇用をふやすというような発想ではなくて、やはり、規制改革等々を通じて民間の資本がこの分野に十分に入っていくことによって投資やいろいろな改革が生まれて、その結果、この分野が産業として伸びていく、サービスも多様化していく、そういったことが必要だと思います。

 では、どうすればいいか。私は、今余りにも、公的なカバレッジが、大変低い価格で、広過ぎるのではないかというふうに思います。ですから、国民皆保険は断固守るとしても、公的なカバレッジの範囲を狭めるとか、あるいは保険料率を変えるとかといった形で、サービスの質に応じて保険のカバーを変えていくというようなことを通じて、そして、そこに今度は民間の参入の道を広げていくといったような考え方もあり得るのではないかと思います。

 これは私のあくまでも個人的な考えでございますけれども、そうやって規制分野を成長分野に変えていくということはできるのではないかというふうに考えております。

江端委員 もうそろそろ時間だと思います。大変参考になる御意見を賜り、ありがとうございました。

 やはり、今回、社会保障と税を一体で改革するということの意義、そしてまた、社会保障制度の中でも、めり張りをつけて、効率化と、それから、さらに成長させていく分野と、そして、本当に弱者を守るということで存続性ということをきっちりとやっていかなくてはいけないというのが私たちの責務だと思いますので、また、公述人の方々の御意見を参考に、頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて江端さんの質疑は終了いたしました。

 次に、徳田毅君。

徳田委員 おはようございます。自由民主党の徳田でございます。

 本日は、大変参考になる貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。

 時間も限られておりますので、早速私も質問に入ってまいります。

 社会保障制度を強化する、また、この危機的な財政状況を健全化するためには、やはり安定的な財源が必要であり、そして将来的に消費税を増税する、これは不可避だというふうに考えております。

 消費税増税については国民の皆様の理解も随分深まっているようにも思われますが、しかしながら、今回の社会保障と税の一体改革については、大変消極的または否定的な御意見も私の地元でも多く聞かれます。その原因になっている懸念というのは何かといいますと、やはり、一番大きいのは、この消費税が経済にどのような影響を与えるかという部分だろうと思います。

 これまで、我が国においても諸外国においても、経済対策として減税をやってきました。裏を返せば、増税をすれば経済に対して悪影響が出る、これは否定できないんだと思っております。

 消費税が導入された平成元年とは違い、今回は、二十年も続く長期のデフレ下にある。また、消費税の、十二兆から十三兆という大幅な戦後最大の増税であります。

 これまで、この委員会の議論の中で竹下先生が御指摘をされたことでありますが、平成元年に消費税が導入されたとき、このときは、所得税、法人税、相続税が減税され、そして既存の間接税も廃止、それに伴い導入した。トータルでいえば、マイナス二・六兆円の減税であったということでした。平成九年、こちらは三%から五%に上げた。しかしながら、このときも、先行的に所得税を減税して、トータルでいえばプラマイ・ゼロだった。しかし、今回は、消費税を倍にする、戦後最大の大増税であります。

 国民負担という視点から考えると、実は、この消費税だけではありません。

 来年から復興増税が本格化してまいります。法人税はことしから三年間、所得税は二十五年間、地方税、住民税が十年間ですから、合計で十・四二兆円の復興増税です。

 さらには、厚生年金の保険料、こちらも上がっているように、これからの少子高齢化という人口構造を考えれば、各種保険料、全て上がっていくのではないか。

 経済に対する影響を考えれば、やはり、東電の値上げ、これも無視できないんだと思います。これが値上げされると、内閣府の試算では、〇・四から〇・六のGDPの押し下げ効果があるということが出ている。

 こうなると、今の経済は耐え得るのか、中小企業はどうなってしまうのか。一歩間違えれば、倒産、失業、自殺といった社会的悲劇が増加するということになります。ここは、私は、国民の皆様の一番懸念の大きいところだと思います。

 それでは、これからの経済の見通し、実際に消費税をこれだけ導入したときに耐え得るのか。消費税増税は必要ではありますが、では、それができる環境にするためには今から何をしていかなければならないのか、お一人ずつお答えいただきたいと思います。

高橋(進)公述人 お答え申し上げます。

 ラフに申し上げて、消費税を一%引き上げることによるGDP押し下げ効果は〇・三ポイントから〇・三五ポイントぐらいあるのではないかと思います。したがって、三ポイントの消費税の引き上げというのは、それだけで、実質成長率を一ポイントぐらい押し下げる要因になると思います。

 一方で、日本の潜在成長力は今一%を切っているような状況だと思いますので、経済環境にもよりますけれども、もし日本経済が実質で一%ぐらいの成長ができていないような状況で消費税を引き上げれば、マイナス成長に陥る危険性もあるわけでございます。

 したがいまして、私は、二つのことが必要だと思います。一つは、できるだけ早く成長戦略に着手して、とにかく潜在成長力を引き上げるということに取り組むということ。もう一つは、やはり、引き上げるときの、前後の経済環境でございますね、ここに十分注意するということだと思います。

 御指摘のとおり、いろいろなマイナス要因が重なっていきますと思わぬ大きなマイナスになると思いますので、消費税引き上げ以外にいろいろなマイナス要因が出てこないかどうか、景気の現状を非常に注意深く見ていく必要があるというふうに思います。

石澤公述人 先ほども申し上げましたように、やはり、日本の財政状況を考えますと、増税はある意味でやむを得ないと思っております。その意味では、国民にくまなく平等に課税される消費税も、私は、必要性は十分認めております。

 しかし、その前に何かやることがあるのでは。さっき申し上げましたように、やはり徹底した歳出削減でありますけれども、もう一つは、私は、税収の基本は、景気が上昇して、その税収でもって求めることが本筋だ、このように思っております。したがいまして、そういう努力をして、ある程度国民に明るい実感が出てきたときでないといけない。そのためには、一四年に計画をされておりますそのときまで、ぜひ中小企業のためにも景気対策をとって、国民の理解を求めていただきたい、こう思っております。

 今、東京はどうか知りませんけれども、地方でいったら、もう大変な状況で、仕事がなくて、中小企業の状況は極めて厳しいものがございます。したがいまして、景気対策を第一に考えて、国民がその実感を少しでも得たとき、一四年には、もしおやりになるならば、そういう時期にやってほしい、こう思っております。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私も、消費税というのは、価格の引き上げを通じて取引の相手方に負担を求めていく、そういう税でございますから、デフレが非常に深刻なときには、この消費税というものが大変重荷になることは事実だと思います。

 他方で、我が国は社会保障の持続性の問題とか大きな財政リスクの問題を抱えておりまして、それと比較すると、やはり、消費税率を引き上げていく方向については、しっかり行っていただきたいというふうに思っております。

 したがって、申し上げたいのは、デフレがこれ以上深刻にならないような経済政策、これをしっかり行っていただきたいと思います。

 若干のコメントを申し上げれば、今の政権には、経済全体を見る司令塔というのがもう一つはっきりしないような印象を受けます。かつては、経済財政諮問会議というものがありまして、そこで毎週いろいろな経済の問題が議論されておりましたが、必ずしも現在はそういうふうになっていないと思いますので、社会保険料負担も含めてこれから国民負担が上がる中で、経済をしっかりウオッチしていただくような司令塔みたいなものができて、その判断のもとに消費税率が引き上がっていくということが望ましいのではないかというふうに思っております。

上念公述人 増税のタイミングを考える際に、世界的な経済情勢を絶対に考えないといけません。

 これまた財務省の公式見解ですが、橋本内閣のときの消費税増税によって税収が減ったのはアジア通貨危機のせいだというふうにおっしゃっております。ということは、欧州債務危機がこれだけリスクが顕在化しようとしている今、消費税を増税しても、やはりこれは税収が減ってしまう可能性があります。

 欧州債務危機が顕在化すると何が起こるかというと、金融機関が資本不足に陥るので、恐らく、ヨーロッパ中央銀行はお金を刷って資本注入をすると思います。そうすると、お金をたくさん刷りますので、ユーロの価格がまた下がっていきます。ユーロ安になります。恐らくアメリカは、ユーロ安だけは容認しませんので、カウンターで、QE3といって、量的緩和の第三弾を打ってきます。

 アメリカとヨーロッパでお金をじゃんじゃん刷りまくるのに、日銀が何もしない。今の日銀法の枠組みのままでは、またまた日本はデフレになって、増税しても税収が上がらないという非常に困難な状況に陥りますので、今は絶対に増税する時期ではないと思います。まさに、対米開戦してはいけないのと同じぐらい、増税は絶対にやってはいけないと思います。

田淵公述人 お答えいたします。

 まず最初にやるべきことは、解散・総選挙であります。

 具体的な政策についてちょっと述べますが、こちら、お手元の資料の十ページをごらんください。

 簡単に回答しなきゃいけませんが、やはり、今、民主党政権としては、公約どおり、特殊法人の見直しとか、一般会計と特別会計のマージをするとかいうのも、約束どおりやっていただきたいと思います。

 それと、余り報道されていないんですけれども、お金が足りないといいながら、貴重な年金財源を流用してウォン建てで韓国の国債を買うというとんでもないことが今進もうとしています。為替差損ですぐマイナスになるのが明らかなので、これはやめるべきであります。

 具体的な政策としましては、日銀法の改正というのも当然のことでありますが、十三ページにございますように、ちょっと見ていただいていいですか、二〇一二年の二月十四日、本年二月十四日の日銀の量的緩和は非常に効果がございまして、日経平均は、実は一万円台回復まで行ったんですね。ところが、ゴールデンウイーク前に五兆円しかやらなかったことで、何か腰折れしてしまったんです。

 今やるべきことは、他のG8先進国に従って、二・五%から三%でインフレターゲットをやって、マネタリーベースを拡大するべきであります。そして、日銀は、あと二十兆円クラスの国債買い入れ枠の増大を行うべきであります。具体的対策は十四ページから先にございます。

 それと、ちょっと申しわけないんですが、先ほど、重大な誤解がありました。

 税額票方式というのは、請求書の税額欄を使う方式であって、決して複雑にはならないので、これは、江端先生、事実誤認でありますので、認識を改めていただきたいと思います。

 以上です。

徳田委員 やはり、消費税を増税する場合は、それまでにしっかりとした成長戦略、経済対策を行っていくということが不可欠なんだと思います。

 もう時間がないんですが、もう一点だけお聞かせいただきたい。これは森信さんにお聞かせいただきたいと思います。

 今、消費税の増税に当たって、逆進性であったり、低所得者対策というのが大きな論点になっています。

 先日の参考人質疑の中でこういうことがありました。逆進性については、消費税よりも、むしろ保険料の方が問題なのではないかということがありました。確かに、考えてみると、累進のものもありますが、これも、所得税の累進性に比べると極めて小さいですね。定額のものであれば、間違いなく所得の低い人の方が負担は大きいですね。

 さらに申し上げれば、誰も好きこのんで所得が低くなろうとは思っていないですが、今のこの経済情勢の中で、落ち込んでしまって保険料が払えなくなったら、この社会保障の制度からもドロップアウトしてしまう、セーフティーネットさえ受けられなくなってしまう、こういう大きな問題もあります。

 二〇二五年、高齢化率の節目を迎えます。今と比べても、公費負担というのは二十兆必要になってくる。保険料は二十五兆必要になってくる。そうなると、消費税も保険料も、さらに負担がふえてくるということになります。

 そう考えると、やはり、消費税の低所得者対策だけではなくて、保険料のあり方、そして給付のあり方も含めて、総合的に低所得者の対策というのをして、低所得者をしっかりと支える仕組み、この社会保障制度がしっかりと機能する仕組みをつくる必要があるのではないかと思いますが、そこだけ最後にお答えいただきたいと思います。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私は、今の認識は、全く先生と同じでございます。

 ただ、問題は、税と社会保険料、今、例えば、医療でも半分ずつとか、保険でも基礎年金の半分が税とか、そういうふうに財源がミックスされておりますので、本来は、やはり税は所得再分配に使う、保険は、なるべく自分が払ったものがそのまま返ってくるような形で設計する、そういうふうな、もともとの原理に基づく考え方が必要だと思います。

 だから、今のいろいろな議論を見ておりますと、所得が低い人には社会保険料を軽減しようとか、また、所得の高い人には年金給付を減らしていこうとか、そういう社会保険料の中での所得再分配が行われているような感じがしますが、社会保険料は、あくまで保険としてきちっと構築した上で、低所得者層とか、そういった必要なところは税財源でやるというふうに分けて考えれば、より効率的な制度ができるのではないかというふうに思っております。

 でも、基本的な認識は、全く同じでございます。

徳田委員 ありがとうございました。

中野委員長 これにて徳田君の質疑は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 きょうは、五人の先生方、公述人の皆さん、本当にお忙しいところ、貴重な御提言をいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 早速お伺いをしていきたいと思います。初めに、高橋先生にお伺いをしたいと思います。

 先ほどから、今回のこの一体改革の中で、先生は三点おっしゃられました。社会保障の面、財政健全化の面、それから最後に成長戦略、この三つをミックスさせて総合的に解決する必要があるという論旨であったと思います。

 実は私も、この特別委員会が始まりまして、少なくとも、社会保障と税の一体改革ということであれば、今は年金それから子育てが中心になっておりますけれども、やはり、それ以外の、医療それから介護、こういうものも全て包含した政策を提示し、その中で消費税をどうするかということをやるべきだ、こういうふうに主張してまいりましたけれども、まず先生のお考えをお伺いしたいと思います。

高橋(進)公述人 私も、御指摘のとおりだと思います。

 年金の持続性のことが問題になっていますが、一方で、医療と介護についても、年々、高齢化とともに負担がふえていく。そういう中で、国民の医療や介護に対する不安が高まっている状況ですから、私は、医療、介護についても、どこまで抜本的な改革が必要なのかという観点で踏み込む必要があるというふうに考えております。

    〔委員長退席、和田委員長代理着席〕

西委員 この議論、今やっておりますけれども、今高橋公述人がおっしゃられたように、この議論だけで消費税五%アップということになりますと、介護と医療、この二つがまた議論になると、またさらに消費税が上がるのではないかという誤解を生む可能性も十分あるし、また、事実、出てくる法案によってはさらに消費税アップということが要求される、こんなこともやはり国民の間では心配なのではないかというふうに思っております。

 同じ質問を、せっかくですから森信参考人にもお願いいたしましょうか。一体改革の考え方についてです。

森信公述人 お答えします。

 私も、これからの社会保障を考えていく場合に、年金よりもむしろ医療が社会保障の費目の拡大につながっていく。したがって、ここを、しっかり機能を、強化するところは強化して、効率化すべきところは効率化すべきだというふうに思っております。

 特に、私、専門家ではありませんが、例えば保険者機能の強化のようなところは日本でも必要ではないかというふうに考えております。

西委員 高橋公述人に話を戻したいと思います。

 今、政府提出は給付つき税額控除ということが基本になっておりますが、先ほどからのお話のように、複数税率という考え方も、これは大きな話題として一方では上っております。

 この二つ、それぞれの長所、短所、あると思うんですが、公述人はどちらの方がいいというふうにお考えでしょうか。

高橋(進)公述人 まず、低所得層、若年対策については、私は、給付つき税額控除ということを制度として組み込むことを考えるべきではないかというふうに思います。

 一方で、消費税の引き上げに伴う逆進性といいますか、この対策についてもいずれ必要になると思いますが、ただ、そこは、例えば今五%から八%、あるいは一〇%に引き上げる段階ですので、この時点でどこまでそれが必要なのかということについては慎重に検討する必要があるのではないかなというふうに思います。もっと上がっていった場合には、私は、いろいろな措置が必要になってくるというふうに思います。

西委員 続いて、森信参考人にお伺いをしたいと思います。

 先ほどからお伺いをしました給付つき税額控除のさまざまな各国における例、私は非常に共感をしております。実は、あしたもこのことについて質問しようと思っているんですが。

 日本の、特に低所得者の皆さんに対する保障、それを補填するためにさまざまな方式がありますが、一つは、生活保護というレベル、全世代にわたって最低限の生活保障があります。その上で、今回、年金についても、与党案では、若干ですが、年金の部分から低所得者に対する、六千円プラスアルファですが、配慮をしようと。

 もう一つ、大きな課題として、まさに先生がおっしゃられているこの給付つき税額控除、ややもすると消費税見合いの返還のような感じの捉え方をされておりますけれども、今御説明いただきましたように、さまざまな狙いでもって各国はやっておられます。子育てにも使う。また、いわゆる消費税見合いもある。さらに、低所得者に対する補填という側面もある。

 こういうものを、税の、給付ですね、逆の、給付という形で補っていくというこの考え方というのは、私は、一つの、今回の議論の重大なアイデアではないかというふうに思っております。

 このことについて、先生のお考え、それから、逆に、複数税率の考え方についても、どうお考えなのかということも含めてお願いしたいと思います。

森信公述人 お答え申し上げます。

 忘れないために、先に軽減税率の方のお答えをしたいと思います。

 軽減税率の一番大きな問題は、例えば食料支出、食料品を軽減税率にいたしますと、食料支出というのは家計の消費支出の大体二割を占めているんですが、そうしますと、二割を五%にしますと、五%掛ける二割で一%分の税収が失われる。これが今回の、いろいろな全体のスキームを崩壊させるといいますか、またゼロから考え直さないといけなくなるという点において、税収が大きく失われるという点が一つ大きな問題だと思います。

 税収が大きく失われるのはなぜかと申しますと、結局、高額所得者も含めて、あるいは中所得者も含めて対策をしようとするために、つまり、お金持ちの人も食料支出をしますので、その人の消費税負担も軽減される。それは、政策としては無駄ではないか。したがって、的を絞って、そこに簡素な、例えば給付つき税額控除とか、そういったものを導入していくということが必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。

 それで、なぜ今逆進性対策としてということなのかというのは、実は、私はちょっと自分の考え方を持っておりまして、これは、平時に、勤労税額控除を入れます、児童税額控除を入れますといっても、財源がないんですね。厚生労働省の中でシーリングもあります。そういう中で、ゼロから、将来的には兆単位になるかもしれないような大きな制度を入れるということは非常に難しいと思います。

 さらに、縦割りの行政もありまして、これは財務省だ、これは厚生労働省だというふうな、そういった縛りの中に今まであったわけですね。

 ところが、逆進性対策ということになりますと、そういう縛りも解けて、それから財源も、消費税率を引き上げるための軽減税率よりはもっと効率的に財源が使えるではないかということで、非常にプラクティカルな理由で、この際、まず小さく入れて、将来的には大きくしていったらどうかというふうに思っております。

 それから、先ほど先生がおっしゃいました、まさに第一のセーフティーネットである生活保護、それから失業保険、その間をつなぐいわゆる第二のセーフティーネット。つまり、一生懸命働いているけれども、年収が二百万にしかならない、そういった人に対する国家の手当てというのは今ないわけですね。そこを、勤労を条件に、そういった方々にも給付をしていく、それによって勤労も促進されていくというふうな制度が、これは、そこだけではなくて、積極的労働政策としていろいろな政策をあわせてやっていく必要があると思いますけれども、その一つのツールとして、勤労税額控除というものが必要ではないかというふうに考えております。

西委員 ありがとうございました。

 続いて、田淵参考人にお願いをします。

 先ほど全国商工会連合会会長の石澤さんから、なかなか転嫁をするのが難しい、実際、現場では、この税率がどんどん変わっていく、八%、一〇%と変わっていく、しかも軽減税率なんかが入るとさらに難しい、こういうお話がございましたけれども、公述人は、そうじゃないんだ、簡単なんだ、こういうふうにおっしゃられたように聞こえたんですが。

 石澤公述人に、自信を持って、もし上がっても大丈夫だよと、上がるかどうかは今回の議論次第ですが、そういうもう少しわかりやすい具体的なお話をしていただければと思います。必要なことは何かということも含めて、お願いをしたいと思います。

田淵公述人 まず、軽減税率の問題と、今おっしゃった税額票方式の話からさせていただきます。

 実は、先ほどちょっと御指摘しましたように、税額票方式という言葉は、インボイスという言葉が貿易用語であることからすごい誤解が広まっておりまして、実際には、請求書の税額欄を用いた控除を行います。ですから、中小企業の方も既に使っておられる請求書でございます。さらに、現在、請求書で税額欄のないものは売っていませんので、全く問題はありません。

 さらに、税額票方式の最大のメリットとして、売った段階ですぐに納税額が確定いたします。

 ところが、我が国の帳簿方式というのは、こちらの資料の三十三ページに書いてありますように、課税売上割合という非常に複雑な計算がありまして、例えば、受取配当金は不課税、受取利息は非課税というように、非常に複雑怪奇な計算をいたしております。

 実は、納税の手間を考えても、中小企業の方に申し上げたいのは、エクセルで、あるいはその他の表計算ソフトで、掛ける〇・何とかとやるだけで自動計算ができるので、極めて簡単であります。したがって、心配は要らないと思います。

 さらに、軽減税率について申しますと、今先生のおっしゃっているのは、簡易課税の適用業者のことを言われていると思うんですが、実は、簡易課税というのは、第一種事業から第五種事業まで、五種類に分ける必要があります。ですから、システム的にはもう既に、複数税率と同様に、品目、サービス別の区分をしなければならないということになっていて、さらに、有利選択のために複雑な計算式を使っておりますので、実は実務上はむしろ簡単になるので、何の問題もないと考えております。

 以上です。

西委員 時間が少なくなってまいりました。

 最後になってしまいましたが、お一人残りますが、実は石澤参考人にお伺いをしたいと思うんです。

 こういう時代になって、さまざま、中小の商店街の商工会の皆さん、大変だと思います。おっしゃったように、パソコンで、エクセルでどうと言われても、なかなかそこまでいかない、そういういわゆる零細な、家内工業とか家内商店街的なところもあると思いますので、大変だと思います。やはり、そういうお店に対しても、少しずつでも透明性を高めていくということがこれからの流れではないかというふうに思います。

 そんな意味で、これからの時代に対応していくための商工会連合会の決意、今の世の中、これからどういうふうに頑張ってやっていこうかという、この税に対する、向上のための決意を一言お述べいただければと思います。

石澤公述人 先ほどから学者先生のお話をお聞きしておりまして、なるほどなと感心いたしております。しかし、実際、現場でいきますと、なかなかそのとおりにはいかないということであります。

 地方における小さなお店というのは、ミニスーパー、いわゆるよろず屋というお店でありますから、いろいろな品物がたくさんございます。それが複雑になってまいりますので、九割の事業主が今自分で納税事務をやっておって、それはとても手に負えなくなってくるということであります。

 したがいまして、我々は、透明性も高めるために機械化を進めたい、そういうことで、実は、基金でもってやってまいりました。その道半ばでこの基金が取り上げられてしまっては、私は、何にもならぬのではないかなと。

 私は商人でありますから、今まで苦しい時代を耐えてきました。もしも本当に、今おっしゃっていただいたような価格転嫁ができる仕組み、あるいは免税点の引き上げ等をやっていただければ、私は、大企業だけでなしに、小さな企業にも国が目をかけていただいておる、そういう励みになって乗り切れる、こう思っております。

 したがいまして、どうしても消費税を値上げされるのならば、先ほど申し上げましたような、十分なる中小企業、小規模企業の対策を講じていただきたいと思っております。

西委員 公述人のリーダーシップを期待して、終わりにいたします。

 ありがとうございました。

和田委員長代理 これにて西君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうは、公述人の皆さん、大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 私どもは、この消費税増税には反対でございまして、それはさまざまな理由がありますけれども、国民の生活あるいは中小企業の営業、そういう点で非常に深刻な事態をもたらすことになるということであります。それに頼らない別な道があるということで、新しい提言を私どもさせていただいておりまして、財源の提言もさせていただいているところでございます。

 そこで、まず、税の性格といいますか、この点について、高橋参考人と森信参考人に、お二人にお伺いしたいと思います。

 日本の税は、大きく言って三つが中心であります。所得税、法人税、消費税、この三つの税が圧倒的多数であります。

 消費税と、所得税、法人税の本質的な違い、これは何かということになりますと、所得税、法人税の場合は所得に対して課税をする。当たり前のことであります。所得税の場合には、課税最低限以下には課税をしない。それから、法人税の場合は、赤字の法人には課税をしない。

 しかし、これに対して消費税は、性格が根本的に違うと私は思っております。それは、所得がなくても、赤字の家計でもこれを負担せざるを得ない。消費をする限りは負担をするということになりますので、増税ということになりますと、非常に影響が低所得の家計に大きく及んでくるというふうに我々は捉えております。

 お二人の御意見、消費税の場合、性格をどのように捉えておられるか、まずお聞きをしたいと思います。

    〔和田委員長代理退席、委員長着席〕

高橋(進)公述人 消費税につきましても、最終的には家計が負担するということに変わりはないと思います。ですから、所得税であっても消費税であっても家計に負担が来ることに変わりはないというふうに思います。

 その上で、所得がなければ税を払うべきではないということではないと私は思います。日本国民としてさまざまなサービスを受けているわけですし、あるいは、社会保障を支えるための分かち合いということもありますので、そういう意味では、税負担ということは所得のあるなしにかかわらず一定限必要だというふうに思います。

 そういう所得の再配分、あるいは社会の支え合いという観点から私は消費税というものを捉えてみたいというふうに思います。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私は、実は、消費税の本質というのは余り理解されていないなと思うんです。消費税というのは、基本的に貯蓄に課税しないという税なんですね。つまり、所得イコール消費プラス貯蓄なんです。したがって、消費に課税するということは、貯蓄には課税しない。所得税というのは貯蓄にも課税するわけです。だから、貯蓄をしていて、ふえて利子所得が生まれると二〇%の税金が課されるというふうになっているわけですね。

 一番問題は、そうしますと、消費税というのは、貯蓄している限りは課税されない。これが、実は貯蓄促進にもつながるし、資本促進にもつながる。つまり、貯蓄イコール投資ですから、投資をした場合には課税されないんですね。したがって、今の消費税、例えば、設備投資をいたしますと、それは仕入れ税額控除で全額控除されるわけです。でも、所得税の世界では、設備投資をしましたら、耐用年数に応じてしか毎年経費にならないわけですね。

 そういう意味において、消費税というのは、経済活動において大きな、つまり、貯蓄を優遇する、資本を優遇する、そういうことで設備投資を進め、経済成長を促進する、そういった効果のある税だと私は思います。

 したがって、この九〇年代以降、世界の税制改革の流れを見ますと、所得税を小さくして消費課税にシフトしようという大きな流れがあるのではないかというふうに考えております。

 以上です。

佐々木(憲)委員 消費税の特徴については、私どもは、逆進性のある税ですから、今の格差社会の中では低所得者層に非常に重くかかって、その税で法人税の減税を今回行ったわけでありまして、なぜ利益の上がっている黒字企業に減税をするのかという根本的な考え方を持っております。この議論を今ここでやる必要はありませんので、それにとどめておきたいと思います。

 さて、そこで、現実的な問題ですけれども、石澤参考人にお伺いをいたしたいと思います。

 先ほど、交渉力の弱い中小企業にとっては、価格転嫁ができない、大変弱い立場にある、廃業も出てくる可能性がある、こういうふうにおっしゃいました。私もそう思っております。しかも、価格転嫁できない場合には自腹を切るというふうにおっしゃいました。自己負担になってしまうわけですね。そういう意味で、中小企業にとっては非常に過酷な税金ではないか、その税を上げるとなると非常に深刻な事態になる、こう思うわけです。

 そこで、具体的な価格転嫁のことについてお伺いしますが、これは、商店の場合と、それから下請企業の場合と、分けて考えた方がいいと私は思っております。

 商店の場合は、転嫁をしようとして品物の値段を上げますと、当然お客さんはもっと安いところに買いに行きますので、簡単に言いますと、お客さんが逃げていく、そういう事態になるわけであります。その場合に、環境を整備すれば何とかなるんですという政府の説明でございます。しかし、消費税は消費者が負担するんですよというポスターを幾ら張ったって、その現象は変わらないと私は思います。

 この点について、商店のこの転嫁というのが、私は、競争の中で、あるいはデフレという状況の中で非常に厳しいのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。

石澤公述人 おっしゃるとおりでありまして、ヨーロッパ、海外へ行きますと、皆さん、消費税の長い歴史もあって理解をしておられますから、全く異論なく受けとめていただけます。

 しかし、日本の国民性、制度、政策というものでしょうか、事業者同士、あるいは消費者と事業主との間に値引きの駆け引きがあるという長い日本流の歴史がございます。スーパーはそんなことはありませんけれども、小さなお店ですと、顔見知りの方がおいでになります。これ少しまけてくれぬかと言われたら、やはり情が移って、まけてしまう。それは自腹を切ることになるという状況。

 したがいまして、私は、諸外国のように、消費税というものは国民的な義務であるという、国家政策としてもっと国民に理解を求める努力をしていただきたいと実は思っております。

 私も、個人的には消費税には反対であります。ただ、社会保障の増大がありますから、ある程度はこれはやむを得ぬとは思っております。実際、そのような状況ではありますが。率直に言って、流れは値上げの方に動いております。

 今までは、消費税ありきで、上げることだけの論議で、実態、どういう影響が出ているかという論議が十分行われておりません。したがいまして、その論議が十分ないから国民的な理解もないのではないか。

 限られた時間でありますけれども、いつ実施されるかわかりませんが、その間、徹底して、どういう状況が生まれてくるか、どういう弊害が出てくるか、それを国会議員の皆さんも十分論議をしていただいて、ある程度の見通し、こういうことでやる、そういう確約が出てくれば、私は、ある程度の理解をすべきではないか、こう思っております。そのように考えております。

 都会と違って、スーパーとは違って、小さなお店には価格転嫁が非常に難しい。しかも、やろうと思っても時間がかかる。そのためには、先ほど申し上げました免税点等の対策をその間やっていただきたい、こう思っております。

佐々木(憲)委員 わかりました。大変切実な心情が伝わってまいります。

 それで、転嫁をするという場合は、下請企業の場合はもっと大変ではないかと思うんです。といいますのは、政府の答弁を聞いていますと、いや、不当なことがあれば、言っていただければ直ちに対応します、こういうふうに言われるわけですけれども、そう簡単ではないんじゃないか。

 例えば、中小下請業者が単価の価格に消費税を上乗せして請求する、そうすると親会社の方が、消費税はそのままにしておいて単価の方を下げなさい、こうくるわけなんですね。そうすると、形式の上では消費税を払ってもらった形はとっておりますけれども、実態は、事実上、消費税は転嫁できない、採算割れになる、こういうことが多いのではないか。

 ですから、調査をしますと転嫁できているというのがそれなりにあるんですけれども、それは、親会社の意向を考えて、余りはっきり言うと仕事がなくなるということもあって、非常につらい立場にあるのではないかと私は思いますが、その辺の実態はいかがでしょうか。

石澤公述人 御指摘のように、納入している小さな業者の方が深刻だと思います。

 親会社から徹底的にたたかれて、そういう厳しい状況でありますから、今廃業がふえている多くはそういうグループの人たちじゃないか、私は、こう思っておりますので、率直に申し上げて、小さい規模、弱い者が消費税が転嫁できない実情は非常に惨めなものだと思っております。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

 それでは、もう時間がありませんので、上念公述人に。

 デフレの原因が通貨政策、日銀にあるとおっしゃいましたが、デフレというのは、需要面から考えると、非常に市場が縮小して、生産した物が売れない、こういう現象が実体経済としてはあるのではないか。したがって、金融政策、通貨政策だけでデフレの克服というのは、それだけではいけないので、私は、最終的な市場の拡大というものが必要だと、しかも、家計消費が約六割ということを考えますと、国民の暮らし、そういう面に着目した政策の展開が必要だと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

上念公述人 御質問ありがとうございます。

 経済学の知見によれば、ワルラスの法則というのが基本的には成り立っております。ワルラスの法則というのは、お金と物のバランスで基本的に物価とか需要とか供給というのは決まっていると。

 現在、デフレの状況というのは、お金の過少供給によって物が過剰供給になる現象ですね。供給能力はそんなに日本は変わっていません。実質成長率は二%ずつぐらいずっとキープしておりますし、潜在成長率が低下しているとかいろいろ言いますけれども、そんなには傷んでおりません。

 ところが、貨幣供給量は明らかに生産性の増加に比べて少な過ぎる。そのことが、先ほど私が示した他国との通貨供給量の差、ああいうものとか、それからGDPデフレーターが十四年間連続でマイナスになっているという状況から考えても明らかです。

 確かに、通貨減少以外の部分もあるかもしれませんが、主要な要因は、ワルラスの法則に従えば、やはりお金の供給不足によって物に対する過剰供給が生じていると。ということは、お金を大量に供給してこれに逆ショックを与えると、物が逆に貴重になって、お金がそんなに価値がなくなって、デフレが解消していくということです。

 問題は、どれぐらいのスピードでこれを解消するのか。一気に解消するのであれば、金融政策でお金を刷ると同時に財政政策も行った方がいいと思います。

 今、幾つかの党で出ているみたいですけれども、老朽化したインフラを多額の公共事業で復旧させようというようなプランが出ていますが、あれは、まさに戦前に行われた高橋是清の財政金融政策に近いものでして、当初の三年間、二十兆掛ける三ぐらいの期間、日銀の財政ファイナンス、つまり国債を日銀に直接引き受けさせることでやったら、これは非常に、一石三鳥の効果が出てくると思います。

 このような政策転換によって、今後お金は十分に供給されますという予想を形成することが大事なんですね。通貨供給以外の部分があるとしたらここがとても大きくて、お金はもうけちけち刷りませんというメッセージを日銀は出し続けるわけです。

 ちょっと刷りますよとあのバレンタインデーのときに言ったら、あれだけ株が上がったんですね。ちょっと刷りますよと言ったにもかかわらず、その後、ニューヨークに行って、いや、やはり刷りませんとか否定したり、実際には、しょぼい緩和しかやらなかったりということで……

中野委員長 時間が参っておりますので、おまとめください。

上念公述人 はい。

 結局、お金の価値が上がってしまいました。そういうことでございます。

佐々木(憲)委員 時間が参りまして、田淵公述人には質問できなくて申しわけございません。

 以上で終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、豊田潤多郎君。

豊田委員 新党きづなの豊田潤多郎でございます。

 きょうは、公述人の五人の皆様、本当にありがとうございます。

 私の方からは、持ち時間十五分ですので、皆様に私どもの基本的な党の考え方を申し上げ、各公述人の方々からそれぞれにそれについてのコメントをいただき、さらに時間があれば私の方からまた質問させていただくということにいたします。

 そもそも、私ども新党きづなは、ずっと申しておりますが、増税の前にやるべきことがあると。消費税の増税そのものは我々は否定していません。共産党さんとは違いまして、私どもは否定しておりません。むしろ、近い将来、そう遠くない、恐らく五年、十年はかからないと思いますが、ここ数年のうちに消費税というものをやはり上げていかなきゃならないという認識では私どもは一致というか、その点においては増税には賛成はしておりますが、今このタイミングで、しかもやるべきことをせずに増税をするということはおかしいということで、増税をする前にやるべきことがあると。

 それは、また後で御説明しますが、三つ大きなことがあるんです。一つは、行財政改革なくして増税なし、二番目が、社会保障のビジョンなくして増税なし、三番目が、景気の回復なくして増税なし、こういうことですね。

 なぜこういうことを申し上げるかというと、そもそも、社会保障と税の一体改革という問題の提起の仕方、アプローチはおかしいと私どもは言っております。なぜなら、社会保障と税というのは、いかにも二者択一で選択肢があるようですが、社会保障を受けたければ増税やむなしだ、逆に、増税が嫌だというんだったら、社会保障の給付とか、あるいは、場合によってはほとんど社会保障を受けられませんよという、言ってみればおどしみたいなもので、社会保障と税をてんびんにかけて、そして、二者択一といいながら、実際は選択肢のない、唯一増税ありきの議論。こういう形で、前の菅総理が、前総理がそういう提案をし、それを引き継いで野田総理がやってきている。これは全くおかしいと我々は言っているんです。

 原点に戻って、そもそも、二年八カ月前に民主党が政権交代した、あのときの国民の皆さんの期待は、要するに歳出と歳入を一体改革する。歳出の無駄をできるだけ削る、そして、その足らず前がどうしてもというんなら歳入の方で増税もやむなしということですが、まず歳出歳入の一体改革。社会保障と税という、すごく物事を矮小化して狭い範囲で考えるんじゃなくて、歳出全体。社会保障といえども聖域ではないわけです。社会保障だっていっぱいメスを入れなきゃならない、一番メスを入れるべき大きな歳出項目なんですね。

 歳出を、まず徹底的に行財政改革を行って無駄をなくし、そして、予算の効率化を図って歳出の大幅な削減を行う。どうしてもそれだけでは、これだけの少子化、高齢化の進む日本の財政を支えていくということはできない、僕はそれはわかっています。だから、歳出で目いっぱい歳出削減を行ってもできない、そのときに、できないというのはそれでも足らないときに、歳入の一体改革、歳入の見直しを行う。

 歳入も三つあるんですよ。皆さん御存じのように、税と税外収入と国債。国債というのは借金ですから、それにできるだけ頼らないという形で財政規律を守るとすれば、税収と税外収入、これに頼らざるを得ない。税外収入というのは一回こっきりで、なかなか恒常的財源にはなりにくいものですが、まず税外収入をできるだけ捻出する。例えば、政府の保有しているJT株とかそういうのだって、もっともっと売却していくというやり方はあるはずなんですね。

 そういうことをやって、そのもとで最終的に税の問題になる。その税も、何も消費税だけが税じゃない。今まで議論に出ていますが、ほかのいろいろな税目がある。その税目の中で最終的に消費税のあり方を議論していく、こういうことなんです。

 これを我々は主張してきて、そこで振り返ってみると、先ほど申し上げた三つの問題点がある。

 一つは、二年八カ月前に政権交代で民主党が約束した行財政改革は一体どうなっているんだ。ほとんどできていない。それをまずやってから国民の皆さんに、国民の皆さんも、それだけのことをやれば、ああ、ある程度、それはやはり増税もやむないかなと。国民の七、八割方の方は増税の前にやるべきことがあるということを、そういうふうに世論調査が出ているわけです。

 二番目に、社会保障と税の一体改革というふうに問題を矮小化しても、今回の社会保障と税の一体改革と言いながら、社会保障のビジョンなんか全くないじゃないですか。年金の話はもうすっ飛んでいる。ましてや三党間修正協議とか何かで、ほとんど社会保障の話なんてぐちゃぐちゃになりつつある。それでいて増税だけが、なぜか増税だけはもう絶対やります、これはやはりおかしいんだ。(発言する者あり)はい、わかっています。

 社会保障と税の一体改革というふうに問題を絞ったとしても、社会保障に、ビジョンが明確でない、それからメスも入れていない、そういうことで果たして国民の皆さんが納得できるか。

 最後に、三番目に、景気の問題ですね。景気の回復なくして増税なし。これは、簡単に言いますが、まさに長期のデフレとそれから円高が続いている、この中で消費税を上げれば、当然もう危機的な経済的な状況に陥る。そうなれば、企業も家計も所得が大幅に減収する。そうすれば、税収といっても想定以上のものは出てこない。それ以下、大幅に税収も減収する。ましてや、それだけじゃなくて、企業の倒産とかリストラ、そういうことによって雇用不安という大きな社会的不安も、社会問題も起きてくる。

 こういう中で増税をすることはおかしいということを私どもは言っているんですが、それぞれ皆さん、五人の先生方、どうぞ、私どもの政党の主張にどのようにお考えか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。

中野委員長 お一人多分一分三十秒ぐらいずつしかないと思います。

豊田委員 簡単に、一分ぐらいでお願いします。

田淵公述人 どうもありがとうございます。

 実は、いつも豊田先生のウエブサイトを拝見させていただいて、なかなか、おっしゃるとおりだなと思います。

 二〇〇九年の選挙のことから見てわかりますように、私はこう思います。確かに二〇〇九年のマニフェストは、実現するのは難しい項目も幾つもあったと思うんです。しかし、国民と約束したことを一つでも多くやるというその努力、一つでも命がけでやるというその姿勢がとうといのでありまして、簡単に公約を破ってしまうというのは話にならぬと思います。

 それから、一つ、景気対策という話がありましたが、先ほどから申し上げているように……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください、済みません。我が国はG8先進国であります。中間層の多いG8先進国である以上、ここにありますように、中流階級への配慮が必要であります。つまり、低所得者、低所得者といいますけれども、そこの層にお金を配っても意味がないんです。なぜかというと、耐久消費財を購入できる経済層に対して恩恵のない今の政府案では、景気がもろに下がってしまうんですね。

 ところが、諸外国の例を見てわかるように、ぜいたく品の重課税と生活必需品の据え置きを組み合わせたら、これは大丈夫であります。

 ですから、とにかく、ここに述べているような、私がここに述べていることですね、何度も申し上げますように、お米やパンと宝石、毛皮が同じ税率だということがそもそも間違っているのでありまして、ぜひこの点について考えていただきたい。とにかく、G8先進国でやっていることをやっていただきたいということであります。

 最後にもう一言。均一税率で一〇%以上というのは発展途上国の制度でありまして、こういう制度を持ち込むこと自身がナンセンスであると考えております。

 以上です。

上念公述人 短くお答えいたします。

 三番目の、やはり景気回復なくして増税なしというのが一番の正論ではないか。財政危機だから増税するということでこの議論はそもそも行われていると思うんですが、デフレ下で幾ら税率を上げても税収はふえません。デフレを脱却しなければ増税の意味がないんですよ。だから、増税しても結構なので、税収がふえるような増税をしてください。

 そのためには、まずは日銀法を改正すること、白川方明さんにやめていただくこと、任期満了させないこと、これをまず皆さん、最優先で取り組んでいただければと思います。

 以上です。

森信公述人 短くお答えいたします。

 受益と負担のバランスが崩れていることが問題なのであって、先ほど税と社会保障を矮小化しているというふうにおっしゃいましたが、私は、広く、受益と負担のバランスをどう考えたらいいのかということを、国民にやはりきちっと問いかけられるのが政治家の役目ではないかというふうに考えております。

 以上です。

石澤公述人 全く同感であります。異論を挟む余地はございません。

 社会保障制度の充実は必要でありますが、国民全体で負担すべきものを、中小企業にしわ寄せがないようにしていただきたい、こう思っています。

高橋(進)公述人 増税の前にやるべきことが三つある、賛成でございます。

 ただ、それがあるからといって、結果的に何もしなければ、全てが先送りになって大変なことになると思います。したがって、私は、少し修正させていただければ、同時にやるべきではないかというふうに思います。

 特に三番目ですが、景気と成長は少し分けて考えてみたいと思います。景気の腰折れの危険があるときに増税をやるべきではない、これは当然だと思いますが、一方で、低成長だからといって増税を回避してはいけないというふうに思います。日本経済はこれから、相当低成長がずっと続くと思います。こういう中で全てを先送りすれば問題は解決しないというふうに思いますので、私は、低成長のもとでもやらざるを得ないというふうに思います。

 以上でございます。

豊田委員 五人の方々、本当にありがとうございます。

 やはり手順というか、物事は順序よくやっていかないと、ボタンをかけ違えるとおかしくなるし、逆に角を矯めて牛を殺すというようなことも起こり得るわけでありまして、その辺を、私どもは、あくまで消費税の増税は将来必要であるということはずっと言ってきているわけですが、そのやり方、手順が間違っている、これが是正されずにこのまま突っ込むと大変なことになるんじゃないかと申し上げているんです。

 最後に、まだ三分ほど時間があります。私は、今、日本の将来を考えると、やるべきことをやるということは大事ですが、最後の、経済の問題というのは非常に大きいウエートを占めると思います。

 それで、私は、上念さんの考え方は非常に、ちょっと極端に走り過ぎている面もないわけではないと思いますが、基本的にお考えは大変正しいと共鳴いたしますので、もう一度、時間の許す限り、思うところを述べていただければと思います。

上念公述人 御指名ありがとうございます。

 先ほど説明したデフレの問題について、ワルラスの法則をもう少し詳しく解説したいんですが、世の中には物とお金が存在しています。お金の量が少な過ぎると、お金の希少価値が上がりますね。そうすると、みんながお金を求めて、お金を使わなくなるんです。これがデフレなんです。

 では、お金の量がふえたり減ったりするのを人々はどこで判断しているかというと、例えば、日銀がいろいろと打ついろいろなオペレーションですね。たくさん国債を買ってくれるのか、市場に資金を供給してくれるのか、そういうものがいろいろな金融取引を通じて人々の期待として要請されていきます。

 一番大きいのは、実は円高、円安です。日銀がお金を刷らなければ、今アメリカはQE2をやってたくさんお金を刷りましたので、今までの三倍ぐらい刷りましたので、物すごい円高になってしまいました。日銀は全くお金を刷らないので、この円高を放置しています。もしヨーロッパで危機が起こって、ヨーロッパ中央銀行が大量にお金を刷って金融機関を救済すれば、またまたユーロがふえて、日本円はふえないですから、物すごい円高が進みます。これは中小企業いじめでもありますし、それから我々の雇用、輸出企業もそうですし、国外の、外国製品と競合している産業の皆さんも、とんでもないダメージを受けます。特に輸出だけではなくて、国内全体に悪い影響が及びます。

 この円高を何とかするためには、やはり他国並みにお金を刷る。変化率ですね、もともと刷っているか刷っていないかじゃなくて、他国は二倍、三倍にしていますから、せめて二倍ぐらいお金を刷る。そうすると、例えば、具体的に、六十兆マネタリーベースを拡大する、こういった措置が必要です。そうすることによって、大体、物価上昇率は、三%程度にしか上がりません。よく世の中では、何か一円でもお金を刷ったらもうすぐにハイパーインフレになるとか、おもしろいことを言う人がいるんですが、こんなことはあり得ないです。

 学習院大学の岩田規久男先生、経済学者ですけれども、推計によると、六十兆のマネタリーベースの拡張で大体三%のインフレが実現します。この状態になって二年、三年やって、税収が回復して、赤字だった企業が黒字になり、失業していた人が働き始めて税収がふえたところで、ここで初めて増税してもいいかなという議論が出てくるべきだと私は思うんです。今この時点で増税しても、せっかく我々の経済というのがうまく回っているところを、むしろ台なしにしてしまうような効果が大きいんですね。

 確かに税収が多いにこしたことはないですが、どうせ増税するなら、税収がきちんと上がる形で増税していただきたい。それは高橋是清大蔵大臣がかつてこの日本でやったことなので、ぜひ歴史に学びましょうということを訴えたいと思います。

 以上です。

豊田委員 時間が参りましたので、私はこれで終わります。公述人の皆様方、本当にありがとうございました。

 以上です。

中野委員長 これにて豊田君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 冒頭、今、自公民の三党で消費税の引き上げ率だけ先に決めるようなお話もありますが、やはりそれは、国民の信頼を失うやり方だと私は思います。今の上念さんのお話でもそうですが、消費税を上げて本当に税収が上がるかどうかの見通しもありません。社会保障に至っては、全く中身が見えません。また、今ちょうどお手洗いですが、地方の疲弊は小売商店の減少に反映されております。

 この国は、三月十一日の震災以降、大きな転換点に立っていると私は思うので、本当に奥深い、例えば社会のあり方と税のあり方ということで考えて、皆さんの御意見を伺いたいと思います。

 冒頭、高橋進委員にお願いいたします。

 一九九七年、消費税が三から五%に引き上げられてから、実はこれは私どもの前身の社会党、村山政権で決めたことですが、残念ながら、税収は一貫して上がっておりません。リーマン・ショックがあった、あるいはサブプライムローン問題があった、そうした外的要因も無視はできませんが、しかし、実際として一切上がっていないどころか、各県の平均所得というものを見ますと、ちなみに、平成八年、一九九六年が三百二十二万で、平成二十一年が二百七十九万。すなわち、勤労層の所得が四十五万も下がるというような実態の中にあります。

 高橋参考人は、きょうの御意見の中で、当然ながら、経済が大変に高成長をするということと景気が腰折れするということは違うというふうにおっしゃって、引き上げが腰折れを起こしてはいけないとはおっしゃいましたが、私は、この二十年、日本の姿を見ておりますと、やはり、確実に成長、それも持続可能な構造転換の成長をしないと、消費増税はとんでもない道に行くのではないかと思います。

 私自身は、実は、チャンスを逃した日本は、一九九〇年代の後半、いわゆる再生可能エネルギーの法案が出たとき、これを大胆に取り入れませんでした。十年おくれ、ドイツに抜かれました。また、地方の税収が下がるような政策をとりました。この二つが大きく響いたと思いますが、足腰の強い本当の景気回復、このために何が必要とお思いでしょう。

高橋(進)公述人 済みません、直接のお答えにならないかもしれませんが、今のヨーロッパを見ていると、やはり、通貨を統合して以降、財政、金融にばかり頼ってきて経済体質を強くする政策を怠ってきたこと、このことが今の欧州の債務危機を招いている一つの大きな原因だと思います。

 したがいまして、私は、経済体質を強化していくための成長戦略と申し上げるべきかもしれませんが、これにやはり取り組んでいくべきだと思います。短期的なことは別にして、やはり成長戦略にきちっと取り組んでいかなければ、おっしゃるように、いずれ、増税をしても税収が伸びなくなるどころか、財政悪化と経済悪化のわなにはまり込んでしまうと思います。

 そういう意味で、何としてでも成長戦略をきちっと実行していくということが間違いなく必要だというふうに思います。

阿部委員 私は、成長戦略の場合に、もちろん輸出もそうでしょうが、もっと地方のおのおのが分権化していけるような、足腰の強いとは、地方自治体がしっかり生きていけるような、そこで住民がしっかり生きていけるような経済体質にすることだと思います。

 そこで、石澤参考人にお伺いいたしますが、きょういただいた資料、大変参考になりました。それは、日本全体に商工会が占める割合ということで、商工会が頑張っておられるところは高齢化率も高く、過疎とまでは言いませんが、人口密度が少ないところであると。そこで本当に必死に踏ん張っていただいていることに感謝もいたしますし、でも、おつらい中、消費増税も全体から見ればやむを得ないかとおっしゃるときには、本当に胸が詰まります。

 今、いわゆる買い物難民の問題がございます。御高齢者で足の便がなく、生活必需品すら買いに行けない。当然、御商売で売る方も、お客さんが来なければ、両方とまってしまいます。

 私は、税制の問題以外にも、実は、町村合併で小さな自治体がどんどん統合されていって、結果的に商店等も立ち行かなくなっているということを、経験というか、地方へ出たときには感じております。かといって、行政規模が余りに小さくてはやれないということもありますが、今お考えの、本当に住民が生きて暮らしていけるための支えである商店街、商工会議所の皆さんの活動は、一番何を必要としておられるでしょうか。もし御意見があれば、教えてください。

石澤公述人 商工会に激励いただきまして、ありがとうございました。

 おっしゃるとおりでありまして、実は、町村合併、農協合併、あるいは郵便局の民営化等によりまして、今まで地域のコミュニティーを支えてきた公共的な機関がなくなってしまった。ただ一つ、地域コミュニティーを、最後のとりでと申しますか、守っているのが我々商工会だと思っております。

 商工会会員というのは小さな民営の商売でありますから、例えば、そこのおやじであっても従業員であっても、消防団員だとか、あるいはお祭りの、あるいはイベントの担い手になるとか、最近では、実は高齢者の福祉、宅配等もやって、地域を守る役割を果たしております。したがいまして、最近農村へ行きますと、限界集落等ができまして店もなくなってしまっておる。そういう中で地域のコミュニティーを支える役割が、特に我々商工会の使命であり役割ではないかと。

 商工会には二つ使命があります。やはり地域の経済発展を支えるということと、もう一つは、今申し上げました、一番大事な、きずなだとか、そういうコミュニティーを守っておる役割がこれから商工会の使命だ。そのことが地域住民や行政に理解をされて、信頼をされて、温かい支援も受けられるのではないか、こう思っております。

阿部委員 今御指摘のようなことは、東日本の震災の後も、復興の中で、何か大きなお金を投入して箱物だけをつくればいいのではなくて、そこに人のネットワーク、その本当に中核に商工会がおられると思います。

 私は、そのさなかに、今なぜ消費増税なんだろうと。本当に、先ほど高橋参考人にもお伺いいたしました、もう少し景気の体温を見た方が、結局は、目先じゃなくて、この国が再生するように思います。

 森信参考人に伺います。

 きょうのお話には出てまいりませんでしたけれども、先日来いただいた資料を読んでおりまして、私が目をとめたのは、実は、今回の税制改革は、地方消費税のあり方にもっと切り込みを入れて、地方に自立した財源を持たせることにあったのではないかと。それを妨げたのは、消費税を福祉目的という形で最初に囲い込んだ、その福祉の中身も、医療、年金、介護、子育てであって、本当は地方が自由に自分をデザインしていって、商工会議所の皆さんにお願いすべきこと、住宅政策、交通政策、いろいろあったと思うんです。

 私は、今、日本が世界に例のない少子高齢社会を迎えていますから、この段の税制の見直しというのは、地方との本当の役割分担。今回の税制改革では、残念なことに、国がまずとって、あなたの分これですよ、こういう配分は、本来の今の我が国の困難を解決しないと思いますが、いかがでしょう。

森信公述人 お答えします。

 私も、今先生がおっしゃるとおり、本来の地方分権のあり方としては、地方消費税を地方で、地方の人たちが協議して税率も決めていく、地方の財政需要に応じて、その税率を、今一%ですが、それを二にするのか、今度一・七に上がりますが、それをもっと引き上げるのかどうかというのを地方の人たちが判断できるようにする、これが本来の姿ではないかというふうに思います。今おっしゃいましたように、確かに、国の方で全部、徴収もしまして、いろいろな配分で、基準で配っているというのは本来の姿とは少し違う。

 そういう意味では、将来的には、地方消費税は、地方の人たちが税率を含めて決められる、そのかわり、地方の行政の方たちはやはり地方の住民にその使い方の説明をして納得を求めていく、そういう姿が望ましいのではないかというふうに思っております。

阿部委員 税は民主主義の基本でありますから、今おっしゃったような方向に、私も、ぜひ、本当の改革であれば向けていく、今しかチャンスはないと思います。

 実は、一九九七年、橋本政権下に消費増税のときに、それを決めた村山政権下で、地方消費税の一%ということを初めて導入しました。しかし、以降、そこから一切上がらず、今、税率の引き上げだけが八、一〇と進んでいくということは、かえって硬直性を増すと思って、その点からも現状の出されている案には賛成しかねているわけです。

 最後に、時間の関係で、上念参考人には元気をいただきましたので、次に田淵参考人にお願いをいたします。

 私どもは、その村山政権下の消費税引き上げの後、地方も元気になれない、まだ足りないんだと思いますね。そして所得も下がっていく。何とか中間層を支えたいと思って、実は、例えば四百万円の年収の方に四万円、食品にかかる分をゼロ税率と同じにして還付するというのを出しておりました。カナダのことを勉強いたしますと、そういうものも一部あったので使ったわけですが。

 まさに参考人がおっしゃったように、今日本に大事なことは、中間所得者層をどう守っていくか。野田政権の看板でもあるはずなのに、実は、所得控除から税額控除という政策も中間層には厳しいものであります。これは子ども手当のことでも実証されたと思います。

 本当に中間層を手厚くするために、もう一度お考えをお願い申し上げます。

田淵公述人 お答えいたします。

 今、阿部委員がおっしゃったとおりでありまして、繰り返しますように、我が国は世界に誇るG8先進国でございます。そして、中間層が厚いというのが非常に特徴でございます。先ほどから申しましたように、今、例えば家電とかそういうもの、いわゆる耐久消費財を購入しようとすると、これは中間層以上じゃないとなかなか買えないわけです。そして、ここが景気の推進の原動力になっておりますので、中間層に恩恵のないような、いわゆる戻し税方式等は無意味であります。

 しかも、ここの二十一ページにも書きましたように、還付は、還付にかなりコストがかかります。そうすると、税務署の署員をふやすだけで、カナダはこれでやめたんですけれども、そういうことをやっても、結局、行政の肥大化になって、行革に逆行することになります。

 繰り返し、ここに申し述べますように、何度もきょう、最初から言っているように、G8先進国で均一で一〇%以上の国はございません。

 そして、ここにありますように、軽減税率として、前から申し上げているように、食料品、医薬品、公共交通機関及び高速道路、ライフライン。特に電気などは、今電気代が上がるのに、ここで消費税を上げたらもう国民は怒りますよね。それから、住宅の取得、新聞及び書籍、それから学用品、塾。本当は塾も非課税にしてほしいぐらいです。そして、日常消耗品、育児用品、子供用品、介護用品。私も子供を二人育てておりますけれども、本当に子供にはお金がかかります。本当に少子化対策とおっしゃるんだったら、子供用品を増税するのは論外であります。さらに、灯油、ガソリンというのも五%のまま据え置きにしていただきたい。

 逆に、グリーン車とかそういうのは、一〇%と言わず、さらに一五%でもいいですから、とにかく中間層を守っていただきたいと思います。

 あと、追加になりますが、フランスのある制度で、バターが五・五%でマーガリンが一九・五だから、こういうふうに悪用されるからいけないと私が尊敬する藤井先生がおっしゃっていますけれども、これは制度設計の問題と国会議員のモラルの問題でありまして、ここにおられる皆さん方は、そのような不公平なことをする議員の方はおられないと僕は信じております。

 食品については、三千円以上食べたら一〇%課税というのを昔、一九八九年までやっておりましたから、これは可能でございます。さらに、スーパーや百貨店などでも、単価三千円を超える部分について一〇%課税をすれば可能でございます。

 このような形で、とにかく中間層を守っていただきたい。それが景気回復の根本であるということ、そして、我々はG8先進国であるということをぜひ強調したいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

阿部委員 野田総理によくお伝えいたします。

 終わらせていただきます。

中野委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一と申します。

 きょうは、大変貴重な意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございました。

 最初に、高橋公述人に質問させていただきます。

 先ほどのお話の中で、成長戦略も必要であると。特に、従来型の成長戦略ではなくて、規制改革、規制緩和、構造改革が不十分である、そういう成長戦略が必要であるとおっしゃっておりましたが、今、民主党政権も、最近は新幹線とか高速道路をつくるようになってきまして、公共事業がだんだんふえているような印象があります。それから他の政党も、公共事業をふやせという声がいろいろなところで広がっている気がいたします。

 せっかく増税しても、そういう公共事業をたくさん使うような成長戦略だと、私は何か九〇年代の再現のような気がしてならないんですけれども、そういった公共事業を拡大することによる成長戦略というのをどのように評価されていらっしゃいますでしょうか。

高橋(進)公述人 公共事業全体が悪ではないと思います。やはり、社会全体の生産性を引き上げ、それから企業の成長期待を高めるような公共事業であれば、私はプラスだと思います。したがいまして、公共事業の中身を十分に吟味していくということが必要だと思います。

 ただ、一方で、地方が疲弊しているから公共事業によって景気を持ち上げるというような発想でもし公共事業を組み立てているとすると、私は、またもとのもくあみではないかと思います。

 結局、地方が疲弊した、今のような、成長力をなくしてしまった原因は、やはり公共事業依存、あるいは都会から来る大企業の工場依存、これを続けたからでして、そういったもとの体質に戻さないため、自立性を高めるためには、私は、地方に公共事業を持っていくことで地方を回復するということではなくて、本当に各地方地方で必要な公共事業に絞り込んでいくということが必要だと思います。

山内委員 ありがとうございました。

 次に、石澤公述人にお尋ねします。

 消費税の転嫁が大変難しい中小零細企業は、大変苦労しているというお話でした。消費税が上がると、さらに転嫁できなくて、被害がふえて、大変なことになると思います。

 そういった意味では、いかにちゃんと転嫁できるようにしていくかというのが大事だと思うんですけれども、今、政府と民主党では、転嫁Gメンというのを考えていらっしゃるそうです。今の中小企業庁とか公正取引委員会の担当官が、転嫁をちゃんとやっているかどうかを取り締まるということらしいんですけれども、それで本当に大丈夫かなと。

 例えば公正取引委員会は、職員が八百人しかいないんですね。審査官というか、総務部門とかを除くと、多分四百五十人ぐらいしか取り締まりに当たる人がいない。しかも、公取はもっと大物の、企業の談合とかも取り締まっているわけで、中小零細も含めた、消費税になると対象は物すごくふえるわけで、今の体制の中小企業庁なり公取ではとても対応できないんじゃないかと思います。それを政府に質問したら、人はふやさずに何とかやるという回答でした。そんなことが可能かなと。結局、中小企業の方が転嫁できずに泣きを見るということになるんじゃないかと懸念しておるんですけれども、その点、どうお考えでしょうか。

石澤公述人 私は、ないよりもある方がいい、こう思っておりますが、本来は、国民が、当然、義務としてこれを支払うべきだという自覚、納得をしなきゃならない。そのためには、さっき私が申し上げましたように、やるべきことがあるのではないか。

 歳出削減をする、身を切って血を出す、それから明るい将来の見通しができる、そういうことになれば国民自体がそういう理解を持ってくるであろう、私はこのように思いますので、ないよりもいいと思いますけれども、抑えて国民が納得できるものではない、もっと国民が本当に消費税に納得できる手だてを考えていただきたい、こう思っております。

山内委員 次に、森信公述人に質問させていただきます。

 先ほど公明党の西委員からも似た趣旨の質問がありましたが、給付つき税額控除に関して、イギリス等では、勤労インセンティブを高めながら所得の再分配もできる、そういう制度があるというお話がありました。日本でも、菅総理がトランポリン型福祉ということをおっしゃっていたので、議論はあったんですけれども、余り今、印象としては、日本の政策には反映されていないように思います。これをどういうふうに反映すべきか。あるいは、今修正協議をやられているようなので、もし修正するんだったら、どこら辺を変えたらそういった勤労インセンティブを生かした制度にできるでしょうか。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私の考え方でございますが、勤労というか就労の予算、これは今回の消費税率引き上げの、社会保障目的税の使用の対象になっていないわけですね、いわゆる四経費でございますから。したがって、ここに大きな新しい制度を入れるというのはこれからもなかなか難しいというのがまず認識としてあるのではないかと思います。

 そういう中で、今回、逆進性対策ということで給付つき税額控除、これはカナダとかシンガポールとかがやっておりますので、そういった制度を少し簡素にして入れていくというふうなことがたしか民主党の中では決まっておったと思いますので、そこでまず風穴をあけまして、小さく産みまして、それをだんだん本来の勤労インセンティブを高めるような政策に変えていく。そのために、あわせて就労支援のためのいろいろな制度も、周りの制度もまさにひっくるめて、トランポリン政策として導入していくのがいいのではないかというふうに考えております。

山内委員 働くことにインセンティブを出す制度というのは望ましいと思うんですけれども、先ほど森信公述人が配偶者控除について述べられていたと思います。ちょっと私もメモをとったんですが、正しく覚えているかわかりませんが、配偶者控除は究極のばらまきとおっしゃいましたでしょうか。

 大変強烈なお言葉ですけれども、こういう制度は世界で例があるんでしょうか。例えばG8だけでも結構ですけれども、こういう働かないことにインセンティブを出す制度、それはあるのか、それから望ましいのか、これについてお答えください。

森信公述人 私の考え方は、やはり配偶者控除は、専業主婦であるだけで旦那の税金が安くなるということで、それを一律適用しているというのは究極のばらまきに近いというふうに考えてもいいんじゃないかと思います。したがって、これはやはり、課税ベースを今後少し広げていくという観点から見直していくべきだと思います。もちろん、女性の労働の中立性という観点も重要だと思います。

 それで、今おっしゃいましたように、恐らく、私も記憶ははっきりしておりませんが、たしかアメリカにはあったと思いますが、ヨーロッパ諸国には配偶者控除というのは一般的には存在していないというふうに思います。

 いずれにしても、この辺についてはいろいろな問題があります。ばらまきというと、つまり税制のあり方としても問題だと思いますし、何のインセンティブもない控除ですから、私は、基本的には見直しをしていくべきじゃないかというふうに思っております。

山内委員 ありがとうございました。

 それと、もう一回、森信公述人に質問させていただきます。

 勤労、就労のインセンティブということでいうと、今、生活保護の方が最低賃金よりも水準が高い、あるいは基礎年金よりも生活保護が高い、こういう問題がありますが、生活保護というのは、そういう就労政策とかと絡めて考えると、大体どれぐらいのレベルが望ましいんでしょうか。今よりも下げた方がいいのか、あるいは下げるかわりに人数をふやすとか、いろいろな形が考えられると思いますが、どういう方向に改革していくべきでしょうか。

森信公述人 お答えします。

 これは、ブレア政権がイギリスで入れましたときに、失業手当とそれから生活保護を効率化した。つまり、非常に財源をそこで出した。生活保護の手当等を少し縮小しまして、財源を出して、それでもって勤労税額控除とかを始めたという経緯があります。

 そういうふうに見ていきますと、我が国でも、今の生活保護はやはり水準が少し高過ぎる。それをうまく勤労に結びつけていく。つまり、生活保護が高いがゆえに、勤労をしても、その後、社会保険料負担が生じて手取りの額はむしろ生活保護のときの方が高いというふうな状況があるやに聞いておりますので、それは非常におかしな話なので、生活保護の水準をもう少し効率化しながら、うまく低所得者の勤労の方につなげていくようなスムーズな控除が必要です。

 先ほど私のお配りしました中に、イギリスのユニバーサル控除というのがちょっと書いてございますが、ユニバーサル控除というのは、極めてその辺を整合的に考えて、少しでも働けば、いずれにしても生活保護よりもより所得の多い世界に移れるというふうな設計でございますので、その辺を念頭に置いて考えていただければというふうに考えております。

山内委員 次に、上念公述人に質問しようと思ったんですが、我が党の主張とほぼ同じでありまして、質問することが余りないので、もし選挙に出られるときがあれば、お考えいただきたいと思います。

 次に、田淵公述人に質問させていただきます。

 先ほど複数税率の話がありました。私も、もちろん必需品に関して軽減税率というのは非常に理解ができるんですけれども、ぜいたく品に重課税という発想はちょっと違和感を覚えました。正直言うと、ぜいたくは敵だみたいな、第二次大戦中の発想がこの二十一世紀に本当に要るのかなと。金持ちが仮にばかな金の使い方をしたところで、それは本人の自由だと思うんですね、私個人として。あるいは、美術品とか工芸品という職人さんが手作業でつくっているようなものというのは、どうしても高くなってしまう。それをぜいたく品ということで重課税してしまうと、地域の伝統文化のそういう産業が打撃を受けるということもあるんじゃないかなと思うんです。

 それを思うと、今後は、ぜいたく品課税じゃなくてバッド課税というか、エコカーは減税、エコじゃない排気量の大きい車は増税とか、そういう悪いこと、環境に負荷をかけるとかそういったことに対して重課税というのは理解できるんですけれども、あえてぜいたく品増税は本当にいいのかなというのと、例えば三千円以上の飲食店に一〇%増となると、やはり飲食店というのは一〇%かけられると困っちゃう零細な飲食店が非常に多いんじゃないかなと思うんですけれども、その点はどういうふうにマイナスを少なくする方法をお考えでしょうか。

田淵公述人 御質問ありがとうございます。

 まず、零細なところで一人三千円以上食べることはほとんどないと考えております。零細な飲食店で一人三千円以上食事が発生することはほとんどないと思っておりますし、私が言っているのは超過分に対して一〇%課税ということなので、大きな問題はないと思っております。

 それと、ぜいたく品重課税というこの表現なんですけれども、これは、確かに線引きという問題、また線引きが難しいという話になっちゃったら、思うつぼになっちゃいけないんですけれども、つまり、私のこの計画でいくと、確かに全部の消費の、消費税の二二%ぐらいに影響が出てしまいますので、そのための財源は何かという議論があるわけですね。それであっても、例えば、グリーン車とファーストクラスとグランクラス、それから東武スペーシアと小田急のロマンスカーと近鉄のスーパーシート、これは増税してもいいと思うんです。こういうのもやはりあるわけです。

 繰り返し述べますように、骨とう品とかも、確かに今のことはありますけれども、今バッド課税という話が出ましたけれども、確かに、エコカーは五%据え置きで、基準を満たさないような、燃費基準とか排ガス基準の悪いものについては重課税というのは賛成でございます。

 それから、食品について今出たんですが、実は、先ほどから申しておりますように、ほとんど審査なく通ってしまった消費税法第三十条二項の改正による課税売上割合九五%ルールの廃止で今回約八千億円ほど増収が見込まれておりますが、それは、例えば無添加、無着色、そして添加剤のなくて遺伝子組み換えじゃない食品を三%、正確に言うと地方は一%のままで国税は二%にするというような使い方も、これはいわゆるグッド減税というような形で考えていただいてはいかがかと思います。

 バッド課税については基本的に賛成でございます。

 以上です。

山内委員 時間が来ましたので、以上で質問を終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて山内君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 本日は、公述人の皆様、貴重な御意見をありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきたいと思います。

 冒頭、全ての公述人の皆様にお伺いしたいと思うんですけれども、財政破綻のリスクについてお聞きしたいと思います。最初の御意見の中で何名かの方は日本の財政についてお考えをお述べいただきましたけれども、あえてもう一度ちょっとお伺いしたいと思います。

 財政破綻のリスクですけれども、増税しなかった場合、増税を考えない場合、現在の状況ではどれだけのリスクがあるとお考えか、諸外国の例を踏まえた場合、日本の財政はあと何年ぐらい持続可能性があると考えておられるか、それぞれお考えをお願いいたします。

高橋(進)公述人 私は、冒頭申し上げました。一つのポイントは、やはり日本の国内で貯蓄がなくなってくるとき、毎年のフローで見てなくなってきて、外国に依存しなくてはいけなくなるとき、そのときがポイントだと思います。

 そういう意味では、経常収支がいつ赤字になるかということを計算してみると、私どもの研究所の試算では、二〇二〇年から二〇二五年の間ぐらいに経常収支が赤字になる可能性があるというふうに思います。ですから、そこが一つの転機。ただ、マーケットはもっと前倒しで動いていきますから、より前に不測の事態が起きる可能性も十分あるというふうに思います。

石澤公述人 私は、専門家ではありませんから、見通しは全くわかりません。

 ただ、現状では増税はやむを得ない面があろうかと思っております。しかし、その前に景気の回復を何よりも実現して、もしそういう懸念があるならばもっと先に来てほしいな、こういうふうに思っています。

森信公述人 お答え申し上げます。

 私も、一番の転機といいますか、それはやはり国内の貯蓄でファイナンスできなくなるとき、あるいは経常収支の赤字基調になっていくときだと思っております。それにはまだ数年余裕があるかもしれませんが、しかし、いつどういうふうになるかわからないというふうに思っております。

 それから、もっと重要なことは、今やはり金利が、日本の金利も落ちついておりますのは、日本の税負担が世界の諸国と比べてまだ低いじゃないか、つまり増税余力があるということが一つ大きな信用の担保になっているわけですね。そうしますと、今回のこの議論で、結局、消費税率の引き上げもできない国かということになりますと、大きな信用が失われ、私は一番懸念しておりますのは、国際的な投機マネーの材料にされるということだと思うんですね。彼らは別に、日本の財政がどうなろうと構わないわけです。要するに、材料にしてお金をもうける。その材料にするストーリーが今回の税・社会保障一体改革の法案にかかっているのではないかというふうに私は思っております。

上念公述人 財務省の公式見解を読み上げます。

 日本の債務が未踏の領域に入ると主張しているが、巨額の国内貯蓄の存在という強みを過小評価しており、また、戦後初期のアメリカはGDP一二〇%超の債務を抱えていたし、一九五〇年代のイギリスは同二〇〇%近く債務を抱えていたという事実を無視している、日本政府の債務支払い能力に対する市場の信頼を反映した低い実質金利とどのように整合をとって説明がされるのかということを財務省自身が述べています。

 変動相場制の国で、自国通貨建ての債務というのは一〇〇%返済が可能です。これは絶対皆さん目を覚ましてください。日本は変動相場制の国です。このことだけ忘れないでください。

 以上です。

田淵公述人 お答えします。

 済みません、私ちょっとその分野について専門家ではありませんので、具体的な年数を申し上げることは差し控えますが、現在、国債の九五%が国内で消化されているという事実と、金利が下がっているということを考えると、差し迫ったリスクはないと思います。それよりも、くどいようですが、G8先進国でないような一〇%均一をやることの方が、経済を破綻させてしまって、国を潰してしまうと思います。

 それから、今ちょっと上念先生からありましたけれども、通貨という問題を考えるときに、変動相場制の国ではというだけでは実は正しくなくて、ハードカレンシーであればという条件がつきます。したがって、日本円の場合は、円決済がほとんど可能なので、回収は容易であると考えております。したがって、この国会で増税をしなければだめということはないと思います。

 もう一つ、大事なことです。

 私は、先ほどから、均一一〇パーがいけないと言っているだけであって、基本的にはもう少し標準税率を上げてもよいという立場であります。均一はだめです。

 そのときに大事なことは、国民との信用が大事なんです。ですから、公約違反のままやってしまったらもう絶対に税制改革はできなくなってしまうので、ここは一回撤回して、解散・総選挙をやって出直すのが正しいと思います。

 以上です。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、高橋公述人にお伺いをいたします。

 現在の景気状況で、歳出削減、増税、社会保障の効率化といった、デフレを加速させない施策を行うことに反対という有識者も多くおられます。一方で、社会保障改革、財政健全化は待ったなしの課題であり、将来不安を解消することで消費を活性化させるという効果もあると言われております。

 経済の専門家として高橋公述人にお伺いしたいんですが、社会保障と税の一体改革を実施するタイミングについてお聞かせ願えますでしょうか。

高橋(進)公述人 済みません、最初の御質問のところがちょっと聞き取れませんでした。済みません、もう一度お願いできますか。

中島(正)委員 現在の景気状況で、歳出の削減とか増税、それから社会保障の効率化、こういったデフレを加速させないというような施策を行うことに反対という有識者もおられますけれども、一方で、社会保障改革それから財政の健全化、これはもう待ったなしの課題であり、将来の不安を解消することで消費を活性化させるという効果もあると言われております。

 そこで、先生のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

高橋(進)公述人 足元の景気そのものは少し回復に向かっていると思います。

 ただ、問題は、これからの景気というのは恐らく復興需要に支えられた景気になると思いますので、この勢いが落ちてきたときにまた成長率が落ちてしまって、そのときにマイナスのいろいろな要素が重なれば非常に危ない状態になる可能性もあると思います。したがって、そのときに消費税をぶつけていくかどうかというのは極めて重要な判断になると思いますので、そこは慎重にやるべきだと思います。

 一方で、そういう話とは別に、社会保障改革をきちっとやっていくことで国民の社会保障制度に対する信頼を高め、その結果消費が伸びていくとか、そういうことについては、これは、別に時期の問題ではなくて、早くやるにこしたことはないというふうに思います。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは引き続いて、高橋公述人と石澤公述人にお伺いをしたいと思います。

 消費税率の引き上げだけでは財政の健全化は果たせないという統計もございます。財政出動を伴わない成長戦略によって経済のパイをふやしていく必要があると思いますが、例えば、規制緩和とかTPPなど、どのような施策が考えられるか、お伺いをいたします。

高橋(進)公述人 民主党政権になりましてから新成長戦略が打ち出されて、残念ながらこれはほとんど実行に至っておりませんが、ただ、私は、この考え方自体は間違っていないと思います。

 すなわち、製造業、今、大分へたっていますが、この製造業の経営環境を改善するための政策を打つ。例えば法人税の引き下げであるとかTPPの推進であるとか、こういうことをやる。一方で、国内については、例えば環境、エネルギーであるとか、あるいは医療、介護の分野、あるいは農業、こういった、ある意味では規制に阻まれ、かつ既得権益に阻まれて成長してこなかった分野、ここについて規制改革を進めることで民間の金をどんどんその分野に流し込んで、成長分野として、市場として育てていく、これが私は必要だというふうに思います。

石澤公述人 ヨーロッパでは、特にイタリアにおいてはコンビニエンスストアは認めておりません。これは、小売店にいわゆる影響があるからであります。そして、大型店を規制しております。したがって、日本のように大型店と小さな店が価格を争うようなことがない仕組み。日本は、規制緩和が過ぎたせいか、そういう関係がございませんので、大変心配になっております。

 それと、さっき申しましたように、価格の交渉、値下げ交渉が日本人の慣習になっておる、このことも一つの問題であろうと思っております。

 したがいまして、地方における規制緩和等の影響、それから、メリット等が地方に及ぶように、都会だけではなしに地方に配慮した対応を考えてもらいたい、こう思っております。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは次に、森信公述人と高橋公述人にお伺いしたいんですが、きょう、ちょっと何度か話題に上っておりますけれども、給付つき税額控除についてお伺いいたします。

 諸外国の例を見てみますと、カナダの付加価値税の負担を軽減する戻し税、そして、アメリカ、イギリスの子育て支援、そしてアメリカの就労支援などがあります。また、税額控除と給付を組み合わせたもの、それから単なる給付のみを行っているもの、さまざまなものがあります。我が国にこれを導入する場合には、どのような制度が参考になると考えておられるか、お考えをお願いいたします。

森信公述人 お答え申します。

 私の考え方は、これはいろいろな今の状況を念頭に置いた上での話ですが、逆進性対策として導入するということが法案に書かれておりますので、そういう観点からは、逆進性対策として入れながら、その後、社会保障全体を見直した上でいろいろな財源を持ってきて、もっといい形に、アメリカ型あるいはイギリス型に変えていくというふうにやるべきじゃないかと思います。

 今のカナダ型というのは非常にシンプルですね。例えば、三百万円以下の方に一人当たりの基礎的な食料支出に係る消費税率を返す。したがって、一人二万円という形ですね。これは、今の児童手当とやり方はほとんど変わりません。それで、二人いれば四万円。そういうふうに非常に簡素な、しかも、これは税額控除というよりも、むしろ給付として考えられていますから、そういう意味では社会保障官庁がそれを給付すればいいということなので、私は、こういう制度をまず参考にして取っかかりをつくった上で、それをいろいろ改善していくというアプローチが一番いいのではないかというふうに考えております。

高橋(進)公述人 済みません、私は、諸外国の制度について十分申し上げられるほど存じ上げておりません。

 ただ、申し上げるべきは、働くインセンティブがどんどん強まっていって所得が向上していくような仕組み、かつシンプルなものがいいというふうに思います。

中島(正)委員 皆様、貴重な意見をありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)

 午後一時三十分から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 税制改革関連二法案について審査を行います。

 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。公述人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 井上公述人、坪井公述人、加藤公述人、山家公述人、高橋公述人の順に、お一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることとなっております。また、衆議院規則の規定により、公述人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと存じます。

 それでは、まず井上公述人にお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

井上公述人 日本商工会議所の特別顧問をいたしております。また、税制委員長をしております。会社は愛知産業という、百人足らずの物づくりの中小企業を経営しております井上でございます。

 本日は、このような機会をお与えいただきましたことを、心より御礼を申し上げます。

 社会保障と税の一体改革につきまして、社会保障制度改革、消費税、消費税以外の税制抜本改革について、商工会議所としての考え方を、お手元にございます配付資料に基づきまして申し述べさせていただきます。

 お手元の資料の一ページから六ページまでが発表用の資料、七ページ以降は参考資料として、我々が各地の商工会議所にアンケート調査をした結果を記載しております。

 資料の一ページから二ページ目をごらんいただきたいと思います。

 商工会議所は、社会保障制度改革のあり方としまして、自助と共助をベースとする社会保険方式を基本として、不足する部分を公費で賄うという考え方に立っております。

 そして、何よりも、社会保障制度は持続可能なものでなくてはなりません。社会保障は国民生活や社会の安定化の基盤であり、過去三年間、広く地方を回って会員企業の意見を聞き、真剣に議論をしてまいりました。将来世代に負担を先送りせず、持続可能な社会保障制度の確立のため、今回の一〇%までの消費税引き上げにつきましては、苦渋の決断として、やむを得ないものと考えております。

 今回の社会保障改革は、その引き上げの範囲内で、財政バランスを維持し、持続可能性を高められるものでなくてはなりません。そのためには、社会保障給付の重点化、効率化が不可欠であります。当然ながら、徹底的な身を切る行財政改革を断行していただく必要があるかと思います。

 そして、消費税引き上げと社会保障制度改革はあくまでパッケージであり、改革の断行なくして消費税の引き上げだけを容認するものではございません。

 こうした前提に立って一体改革を進めていただきたいと考えておりますが、特に社会保障分野の改革という点に関して申し上げますと、国民負担率を明確にし、重点化、効率化の徹底を図っていただくことが何より重要であると考えております。

 例えば、医療分野の七十歳から七十四歳の窓口負担、介護分野の利用者負担の引き上げとサービス給付の適正化などの問題は、財政規律を維持する上でも重要な改革項目であり、実現していくべきものと考えております。

 また、事業主負担に過度に依存した社会保険料体系は、もはや限界に来ております。税、社会保険料、自己負担の三つのバランス、給付と負担のバランスというものを見直し、適正なものにしていく必要があると思います。

 特に、ますます高齢化が進展する中で、社会保険料負担というものは、赤字法人といえども免除されるものではありません。六重苦とも言われる先行きの見えない厳しい経済状況下にあって、社会保険料の増大は大変深刻な足かせになっていることを御認識いただきたいと思っております。

 そうした意味で、制度の持続可能性を高め、保険料の上昇に歯どめをかけるためにも、受益者負担、自己負担のあり方を見直す改革を行っていただきたいと考えております。

 社会保障制度改革について残された課題についてですが、商工会議所は、社会保障制度改革は自助と共助による社会保険方式を基本とすべきと主張をしております。最低保障年金を含む新年金制度などについては、詳細が不明なこともあって、今後、国民的な議論の中で、現行制度と比べてどのようなメリットとデメリットがあるのか、十分議論して結果を得るべきと考えております。

 続きまして、消費税の考え方について御説明をいたします。

 資料の三ページ目をごらんいただきたいと思います。

 消費税引き上げの際には、今から申し述べる三点について対応が不可欠でありますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 第一に、消費税引き上げの最大の懸念事項は、円滑な価格転嫁でございます。

 今回の消費税引き上げでは、デフレ経済下での引き上げの決定であること、また、一年半という短期間で二回の引き上げが行われることが、過去の引き上げ時と全く異なっておると言えます。中小企業の消費税の価格転嫁は、過去の引き上げ時に比べ、相当深刻な問題であることをしっかりと認識して、万全な価格転嫁対策をとっていただくことが不可欠であります。円滑な価格転嫁を実現するための対策につきましては、後ほど説明をさせていただきます。

 続きまして、二点目は、消費税引き上げ時には、過去の例を見ましても、景気の下振れが発生いたします。デフレ脱却や景気、経済成長、中小企業経営を最大限阻害しないような対策を打っていただく必要があると思います。

 デフレ脱却を確実に実現するとともに、消費税引き上げに伴う景気の下振れをカバーできる相当規模の景気経済対策を実現していただきたく思います。例えば、購入価格が高額であり、かつ経済への波及効果の高い住宅などへの配慮は不可欠であるというふうに考えております。

 三点目として、消費税引き上げの影響を大きく受ける中小企業の事務負担をこれ以上増加させないためにも、単一税率を堅持し、免税点制度や簡易課税制度についても堅持をしていただくことが絶対に必要であると思います。

 複数税率は、軽減税率の対象品目の選定や税額計算等で大きな混乱を招きます。複数税率を導入しているEU諸国などは、混乱の大きさから、見直しに向けた動きが出ているということを聞いております。

 我々は、逆進性対策につきましても、社会保障と税の共通番号制度を早期に導入し、真に救済すべき者を特定して、逆進性対策が必要な場合には、きめ細かな給付支援で対応すべきと考えております。納税番号制度の導入については、商工会議所は賛成でございます。マイナンバーは、可能な限り正確な所得捕捉ができる制度としていただく必要があると思います。

 また、免税点制度や簡易課税制度は、中小・小規模事業者の事務負担軽減のために導入されたものでありますので、これは堅持していただきたいと思います。

 四ページ目をごらんいただきたいと思います。

 価格転嫁の実態につきましては、昨年、中小企業関係団体が調査を行いました。その結果、小規模零細企業の五割以上の事業者が、前回の消費税引き上げ時、消費税を価格転嫁できなかったということを回答しております。そして、今後、消費税が引き上げられた場合には、六割を超える事業者が価格に転嫁できないと見込んでいる結果となりました。小規模零細事業者になればなるほど、価格転嫁はますます厳しい状態となっております。

 五ページ目をごらんいただきたいと思います。

 円滑な価格転嫁の実現のための対策について申し上げます。

 価格転嫁対策につきましては、まず政府が、消費税は価格に転嫁すべきものであるということを、国民や事業者、特に取引上強い立場にある者に対して、明確なメッセージとして発信する必要がございます。例えば、三%引き上げの際には、きちんと三%分の消費税が価格に転嫁されることを広く国民や事業者に理解していただけるよう、過去の引き上げ時を圧倒的に超える徹底した広報をしていただくことが極めて重要であると考えております。その取り組みなくして価格転嫁の問題は解決いたしません。

 政府の価格転嫁推進本部におきましても、消費税は価格に転嫁されるものであることを明確に位置づけ、その上で、どういう仕組みを講じればスムーズに価格転嫁できるのか、しっかりと考え、実行していただきたいと思います。当然ながら、過去に行った対策は全て行っていただく必要がございます。また、それ以外にも効果的な対策があれば、あらゆる手だてを講じ、万全を期していただきたいと思います。

 価格転嫁問題への対応は、引き上げ時の一過性の対応で終わっては意味がございません。継続的に取り組んでいただくことが不可欠であると思います。

 時間の関係もありますので、後ほど確認いただければと思いますが、参考資料において具体的な中小企業の声を紹介させていただいております。

 その中で、一点、よく御認識いただきたい意見がございます。下請の中小企業は、下請法で相手先を訴えるにも、法的に争うことを覚悟しない限り、なかなか第三者に相談しづらいといった声があることであります。下請企業が発注先を訴えた場合には、発注先の企業だけではなくて、その他の企業との取引まで全てがなくなる覚悟をしなくてはいけないことをよく御認識いただいた上で、対応を考えていただく必要があろうかと思います。

 こういった、なかなか表に出てこない水面下の事例をどうすくい上げて対処していくのかにつきましても、しっかりと検討をしていただきたいと思います。

 資料の六ページ目をごらんいただきたいと思います。

 消費税以外の税制抜本改革について意見を申し述べます。

 まず、日本再生のために、経済成長に軸足を置いた対策が必要である。そのためには、企業の活力強化が不可欠であります。そして、成長を確保するためには、超円高の是正、電力問題など、経済や社会基盤の再構築が必要であります。地域経済や雇用を支えている中小企業や中堅企業は、投資や消費などに大きな貢献をしております。地域の再生なくして日本経済の再生は不可能であります。こういった基本的な考えをもとに、それぞれの税目について意見を申し上げます。

 まず、法人課税につきましては、法人税は、国際競争力の観点から、競争相手国であるアジア諸国並み、つまり二〇%台に引き下げる必要があります。中小法人の軽減税率は、最大の競争相手国の一つである韓国では既に一一%であり、適用金額も我が国の二倍程度になっております。軽減税率は速やかに一一%以下に引き下げるとともに、適用所得金額八百万円を大幅拡充または撤廃する必要があると思います。

 企業は雇用の源泉であり、企業の数をふやすためにも、創業後五年間は法人税、社会保険料を減免するなど、創業・ベンチャー支援税制を拡充すべきと考えております。

 また、地域経済や雇用を大きく支えている中堅企業が疲弊しておりますので、こうした企業の成長を税制面からも後押しすべきであります。留保金課税などは企業の成長を阻害しているので、中小企業と同様に適用除外としていただく必要があろうかと思います。

 続いて、資産課税について申し上げます。

 中小企業の事業承継は喫緊の課題であります。事業承継税制が導入されましたが、利用しにくいとの多くの声が寄せられております。三年でたったの三百件しか使われておりません。せっかくの制度ですので、さらなる利用促進のために、平成二十七年度の資産課税の抜本的な改革を待たずに、納税猶予制度の適用要件を緩和するなど、不可欠であろうかと考えております。

 また、相続税の基礎控除の引き下げについては、事業承継や事業の継続に悪影響を及ぼすとの意見が寄せられておりますので、見直しをぜひともしていただきたいと思います。

 さらに、高齢者の資産を次世代に移転し、内需を喚起する観点からも、贈与税の非課税枠を大幅に、例えば五倍とか十倍に拡充すべきであろうと思います。

 個人所得課税につきましては、課税強化は対日投資や海外の人材確保の障害となるだけではなくて、我が国の人材、資産の海外流出や消費マインドの悪化につながるために、慎重な対応が必要であると考えます。

 消費税以外の消費課税は、消費税と二重課税の解消として、印紙税の廃止や、揮発油税、自動車税等、整理していただく必要があると思います。

 以上、商工会議所の考え方を申し上げましたが、社会保障と税の一体改革として、全体をパッケージとした改革を進めていただく必要があることを重ねて申し上げておきます。

 特に、持続可能な社会保障制度の確立には、先送りになっている社会保障給付の重点化、効率化などが不可欠と考えておりますので、我々の意見も踏まえて改革を進めていただきたいと思います。

 今回の一体改革は、中小企業などに極めて影響が大きい改革であります。今後も引き続き商工会議所の意見をお聞きいただき、政策に反映していただきますよう、ぜひお願いを申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、坪井公述人にお願いいたします。

坪井公述人 ただいま御紹介を賜りました全国商店街振興組合連合会の理事長の坪井明治でございます。

 先生方におかれましては、平素より商店街及び中小小売商業者に対しまして各種御支援を賜り、厚く御礼を申し上げたいと存じます。

 また、このたびは、私ども商店街及び中小小売商業者の声を聞いていただけるこのような機会をいただきまして、まことにありがとうございました。

 本日は、厳しい運営が続いております商店街及び中小小売商業者の立場より意見を申し上げさせていただきたいと存じます。

 既に諸先生方御承知とは存じますが、現在の商店街の状況でございますが、三・一一東日本大震災以前からの長引くデフレによる不況に加えまして、急激な円高、震災に加えた福島原発事故、ギリシャを発端とする欧州財政不安など、国内外のさまざまな情勢の影響と、大規模企業の大量仕入れによる低価格販売、商店街及び中小小売店においても、後継者不足、多様に変化する消費者志向に対する対応のおくれなどもあり、シャッター通りとやゆされております。

 中小企業庁の平成二十一年度商店街実態調査によりますと、全国の商店街数は一万四千四百六十七商店街となっておりますが、その中で、繁栄していると回答したのはわずか一%であります。逆に、衰退していると回答したのが四四・二%になっております。約三十五年前の昭和五十年に行われました商店街実態調査では、繁栄していると回答したのは三二・二%、衰退していると回答したのは一四・九%でありました。三〇%の商店街が繁栄しているから衰退しているへと移ったことになるわけでございます。これらの調査からも明らかなように、商店街はまさに存続の危機に面しているわけでございます。

 そのような中にあっても、私ども商店街は、公共的な役割、機能を担うべく日々懸命に努めてまいっておるわけでございますが、さきの東日本大震災においても、行政、ボランティア等の支援が届かない震災直後の三日か四日でございますが、頭に懐中電灯をくくりつけて営業し、我々商店街が地域住民の生活基盤を支え、心のよりどころとして精神的安定に少なからず寄与したことを多くの被災地住民からの声でおわかりいただけたと思うわけでございます。悲しむべき悲惨な震災ではありましたが、憎むべきことではございましたが、商店街は地域コミュニティーの担い手であるとの認識を改めて多くの国民の方々にいただいたと強く感じているわけでございます。

 また、我々商店街は、あすの日本を支えるために、歴史、伝統、文化を継承し、次代を担う人々に地域のきずなとしてつないでいくという役目も担っていると自負をいたしております。地域のお祭り、イベントなどの主催者としての実行部隊となっているのが、我々、まさしく商店街であるかと存じます。

 さて、全国商店街振興組合連合会といたしましては、そもそも、現在の我が国経済状況を考えれば、消費税率の安易な引き上げはいかがなものかと考えております。

 消費税率のアップということで、消費マインドを冷え込ませ、低所得者層のさらなる購買意欲を抑制するのではないかと、駆け込み需要の後の反動も大きいのではないかと大いに懸念をいたしております。

 また一方、中小小売商業者は、競争力の観点から、増税分を価格転嫁できない場合が非常に多く、自己負担せざるを得ない苦しい立場に立たされるケースが大いにあるわけでございます。

 例えば、私は商いが花屋でございまして、顔を見ただけでは花屋とは恐らく気がつかれない、何かごつい商売をというふうに思われると思いますが、もう本当に、売っておるものは美しいものでございますが、まあ私も心が大変美しい方でございまして、ありのままをきょうはお話をしなくちゃいけないなというふうに思うんです。

 私どもの店へ、店頭へお客様がお見えになりまして、大体、先生方もよく御存じと思いますが、ギフトで、おい、一万円の花を送っておいてくれ、こういうようなお話がよくあるわけでございますが、その折に、会計のところで、一万五百円になりますが頂戴したいと存じます、一万円でやっておいてくれ、こういうようなお話でございまして、いや、この五%は要するに消費税のお預かり分でございますからひとつ御理解いただきたいといって御説明はさせていただくんですが、いやいや、いかぬ、一万円で、そんなことを言うんだったら、九千五百円でつくって持っていってくれ、これが大体常識みたいなものでございまして、それはちょっといかがなものか。

 もう少し、政府そのものも、消費税というものの広報をきちっとしていただければありがたいななんというふうに思うわけでございまして、九千五百円でつくって持っていけなんというような話ではないな、ちょっとおまえのところ助かるがや、こういうような話でございますけれども、それはないわけでございまして、そこらあたりもきちっと国民に理解をしていただけるように、もし上げるようなことでございましたら、きちっと理解をしていただけるようにしていただければ非常にありがたいななんというふうに思っております。

 また、大企業による、立場の弱い中小小売商業者に対しましては、コスト削減の名目に、値上げを拒む優越的地位の濫用に対する懸念も拭えません。

 逆進性対策といたしましては、軽減税率の導入が検討項目に上がっているようでございますが、現況においても、経営規模より、私ども、専属の経理専門の従業員を配置しているわけではございません。中小小売店はほとんどそういう方がおみえにならないということでございます。仕入れ税額控除の計算や請求書の保存など、納税事務に係る事務的作業はかなりの負担になってきておるわけでございます。軽減税率の導入に伴いまして、インボイス方式の採用等になれば、さらなる事務負担となるわけでございます。

 また、軽減対象品目の線引きにつきましては、複雑化することは必須であるわけでございます。対象品目の線引きが複雑化するということは、当然、それに比して事務的作業も複雑化することになり、同時に事務的作業も増大するということになると考えられるわけでございまして、賛成いたしかねます。よろしくお願いを申し上げたいと存じます。

 消費税導入時に中小零細企業の事務的負担を軽減するために設けられました免税点制度も、適用上限が三千万から一千万に下げられてしまったということでございます。また、簡易課税制度も五億円から五千万円以下に下げられておりまして、これ以上の事務的作業の負担が増大することにより本来の販売活動に支障が出ないように、適用範囲の引き上げを望みたいと思います。

 しかしながら、急速な少子高齢化が進んでいる現状におきまして、充実した社会保障制度を持続するためには、制度自体の効率化と制度を支える財源の問題について、我々商店街といたしましても当然認識をいたしているわけでございます。

 地域の子供たちの成長を見守る機会が多い我々商店街は、未来ある我々の子供たち、そしてその子孫のためにも、いつかは財政を健全化し、積み残しのない社会へと進展させなければならないと真剣に考えているところでございます。

 仮に、国民の総意といたしまして消費税率の引き上げがなされるに至った場合、地域コミュニティーの担い手であり、地域の雇用、防犯を初め、地域社会として、地域基盤を底支えしている商店街に対する支援が必要であるとお考えいただけるのであれば、先般の消費税導入時に、商店街活性化を図るべく、支援策といたしまして設置をいただきました商店街振興基金と同様な、国民に対する消費税の認知、転嫁についての普及及び商店街の活性化にも寄与する新たな基金の創設を検討いただきたいと考えているわけでございます。

 平成二十一年、行政刷新会議における事業仕分けにより、全額国庫返納とされてしまいました。これほど残念なことはございませんでした。

 また、人口の減少、少子高齢化、行政の財政負担の増加に鑑み、コンパクトなまちづくりが推進される中で、六月七日に行われました各省版仕分けにより、約二十九億円の中心市街地活性化事業が廃止との決定が出されたわけでございます。加えて、大規模小売店舗に対する立地規制の緩和が内閣府及び国土交通省にて検討されていることは大変遺憾であります。

 地域コミュニティーを担う商店街にとって、中心市街地の活性化、コンパクトシティーの実現を目指すためには、いずれも必要不可欠でありまして、ぜひとも存続を強くお願いを申し上げる次第でございます。

 商店街というのは小さな店舗の集合でありまして、小さな規模であるがゆえに短期での効果が出がたいものであることを、諸先生方にぜひとも御理解いただきたくお願いを申し上げる次第でございます。地域を徐々に醸成させていくような、長い期間における商店街及び地域活性化支援ができるような御支援のほどをお願い申し上げる次第でございます。

 最後になりましたが、何とぞ、私どもの、土俵際で何とか踏ん張っている商店街及び中小小売商業者に一層の御理解をいただきたくお願いを申し上げまして、本日の説明にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、加藤公述人にお願いいたします。

加藤公述人 御紹介ありがとうございました。東京大学の加藤淳子です。

 私は、税をめぐる、租税政策をめぐる政治の研究者です。今回の法案に関しまして幾つか大きな問題がありますので、それに関しまして、私の専門の立場から、東京大学出版会から出版されております日本の税制改革の過程を追った研究、そして諸外国の租税制度と福祉国家の関係を分析した研究、これらを中心に意見を述べさせていただきたいと思います。こちらが中心なんですが、ほかの研究については、資料の最後のページにまとめてあります。

 今回の改革におきましても、例えば、増税の前に歳出削減を優先すべきであるとか、消費税には逆進性があるとか、さまざまな問題がありますが、これらの問題というのは、実は、かなり古い問題でもあります。

 資料の三ページ目に、表一、二ということで、消費税が導入される前の二回の同じような大型間接税、反対されて失敗した大平政権下の一般消費税提案と中曽根政権下の売上税提案をこのようにまとめてあります。

 今回の、歳出削減が先ではないか、そういう考え方というのは、一九七八年から七九年の大平内閣のもとでの一般消費税の提案を反対でブロックした、そういった理由であります。そのときには、やはり歳出削減が先ということで、これが一九八〇年代前半のいわゆる行財政改革に結びつくわけですが、このときにも、歳出削減のみでは赤字国債の発行がとめられないということで、この後、売上税提案、そして最後に消費税の導入というふうに結びつくわけです。

 このように消費税が導入されたわけなんですが、消費税の導入の際にも、やはり、安易に増税をしてしまうと放漫な財政を招くという考え方は非常に強く、当初、五%で税率が提案されたんですが、これが三%に圧縮されます。この経緯を知りませんと、一九九七年に消費税率上げということで三%から五%になったというふうに考えられるわけですが、この経緯を考えれば、九七年の消費税率上げというのは、当初の提案に戻したということになります。

 この過程を見てみますと、増税幅を縮めるというような考え方というのは、日本の税制改革では非常に強かった。それにもかかわらず、増税も行われないまま、歳出削減が効果的に行われないまま、皆様御存じのように、国債を発行し続け、今日のような赤字財政になってしまったわけです。

 その理由を政治的に考えてみますと、増税が回避されると同時に歳出削減も回避されてしまったのではないか。増税への反対というのは、この間、世論では一貫して強かったので、まず増税を回避する、そうすると、世論の歳出削減要求というのも弱まるわけで、歳出削減も先延ばしにされる。この繰り返しで、現在、税収が落ち込んでしまいましたので、多少の歳出削減では財政を安定させられない、こういう状況になってしまいました。

 政治過程を見てみますと、やはり、歳出削減にしましても増税にしましても、利害の調整を伴う政治的な問題ですから、どちらかというのではなくて、片方ができなければもう片方もできない、そういうことになっているのではないかと思います。

 今回の改革で、しかしながら、増税が必要だと思っても、逆進性を持つ消費税で増税を行うことに対しては、やはり所得分配の平等の立場から批判があります。これは大変もっともです。

 消費税というのは、皆さんも御存じのように、ほかの国でも付加価値税という類型で多く使われておりますので、それらの国と比較することで、この問題を少し考えていただきたいと思います。

 まず、資料の一ページ目、二ページ目を見てください。経済協力開発機構、OECD十八カ国の税収構造と総課税負担をまとめてあります。総課税負担の高い順に並べてあります。税収には少しばらつきがありますので、近年、二〇〇六年のと二〇〇九年のを、一ページ目、二ページ目ということでお入れしてあります。国の横の括弧の中に書かれているのが、付加価値税の導入年です。

 総課税負担の高い北欧諸国が上位に位置して、そして、所得課税に加えて早くから付加価値税を導入し、それが主力になっている、消費課税で多くの税収を上げているということがおわかりになると思います。

 一方、下の方を見てください。下位に位置する北米諸国あるいはオーストラリアは、累進的所得課税に依存する度合いが非常に高くなっており、付加価値税の導入年も遅くなっています。米国に至っては、いまだに導入していない。OECDのメンバーでは珍しい国ということになっています。

 こちらは歳入面なんですが、歳出面に関して考えますと、北欧諸国というのは、定率的な給付と弱者への手厚い給付をする成熟した福祉国家の典型です。ところが、下の方に位置するアメリカ合衆国、カナダなどは、貧困層に限定した給付で公共支出を抑制している福祉国家の典型というふうに知られています。

 これらの諸国の傾向を見る限り、なぜか累進的所得課税が所得分配の平等につながらず、成熟した福祉国家が逆進的と言われる消費課税にかなり税収を依存している傾向が明らかに見受けられます。

 政治学でも、長らく、福祉国家というと累進的所得課税というふうに税制でも結びつける考え方が強かったのですが、近年になりまして、意外にこういった成熟した福祉国家ほど逆進性を持つ課税に税収を依存していることが知られるようになりました。これらの国では、実は所得課税も、広い課税ベースでなるべく定率的に課す傾向を持っていることも知られています。

 私のこちらの研究は、まず、OECD十八カ国の二十七年間のパネルデータによる数量分析を行い、そして、ここにリストされている八カ国を訪問して行った事例研究に基づいています。そして、これらの傾向を見つけるとともに、それを生み出した政治の論理を明らかにしています。

 これはどういうことかといいますと、富裕層に重く貧困層に軽い累進的課税と限定的給付、これは非常に効率的な所得再分配ですが、これには大多数の平均レベルの有権者というのはかかわりを持たない。そうすると、積極的な支持を与えない。結果として、政策として支持されないので、所得分配の平等も低下してしまう。

 一方で、市民の権利として普遍主義的な給付を行い、そして、平均的な所得層を含む、多数の有権者を含むように福祉制度をつくりますと、これは多数の有権者の関心事になりますから、積極的な支持を得られます。そうした給付を行うには、どうしても高いレベルの公共支出が必要になりまして、その税収を上げるために付加価値税が重要な役割を担ってきた、そういうような傾向が見られます。

 どの国の政治においても、財政が不安定になると、まず支出が高いところから削りましょうということになる。真っ先に標的になるのが社会保障支出ということになります。そして、財政が安定していればその圧力は弱まりますから、結果として、所得分配の平等が進むということになります。

 このやり方は、スウェーデンのように社会民主主義政権が長く続いた国ほど意図的に行っている。逆進性を持つ課税でなるべく税収を上げ、歳出面で所得の再分配を図る、そういうような傾向が見られることが知られています。

 実は、この研究をしたときも、私も、なぜ、税制も累進的にして、そして歳出でも所得再分配を図れないのか、非常に疑問に思いました。そして、わかったことというのは、民主主義において、ある程度まで支出レベルを上げないと福祉国家に対して支持を得られないのであれば、やはり、税収を上げる課税でなければいけないわけです。ところが、累進性を持つ課税で税収を上げることができる課税というのは存在しない。正確に言いますと、理論的には存在しますけれども、現実に用いられるには至っていないということになります。

 そして、もちろん、こういった社会民主主義政権が長く続いた西ヨーロッパ諸国と日本は、全く違う条件も持っておりますが、租税政策にかかわる制約というのは同じですから、北ヨーロッパ諸国のようになるかというと、そういうわけでもなくて、何らかの形で再分配を図ろうというときには、そういった政策の制約がかかっているということで、これらの国の経験に学べるということになると思います。

 この原則から考えますと、付加価値税制度においても、一定の税率で税収を上げて歳出面で再分配をした方がいいということになる。ところが、皆さんきっと疑問に思われるのは、では、西ヨーロッパ諸国ではなぜ今議論されているような軽減税率が用いられているかということです。

 先に簡単に答えを言ってしまいますと、これらの国では、一旦導入した軽減税率などの例外が、政治の論理により、排除したくてもできなくなってしまったからです。これもまた説明していきたいと思います。

 軽減税率などの例外的措置というのは、かなりの税収を失うということはございます。ところが、これは大変な徴税コストも伴います。事業者が大変なだけではなく、税務当局がこの徴税をするのにコストが増大します。そして、当然のことながら、軽減税率などで失われた税収、そして徴税コストも全て税収で賄われますから、これをどこかで課税して得なければなりません。

 スウェーデン、デンマーク、イギリス、フランスなど西ヨーロッパ諸国で、付加価値税の導入後十年で標準税率がほぼ一・五倍、そして二十年で、ほぼ二倍前後、二倍を超えてしまった、二・五倍ぐらいになったスウェーデンのような国もあります。これは、急速に現在の高い水準まで達したわけです。ですから、日本で反対があるときにも、このように消費税率を上げたら、どんどん上げていってしまうのではないか、そういうような話も出てくるわけです。

 この急速な税率の引き上げは、当時、多くの租税の専門家の関心を引きました。私は政治過程に注目するので、これは、軽減税率や例外による税収の減少や徴税コストの増大で失われた税収を補うために標準税率の方が押し上げられていって、それが政治的に耐え切れなくなったところで、ある水準に落ちついたのではないか、そういう可能性も考えていました。

 これは、そのときには西ヨーロッパ諸国の例しかなかったわけなんですが、最近のニュージーランドの事例を見ますと、この可能性はやはりあるのではないかというふうに私は考えております。

 ニュージーランドというのは、皆さん、またこちらのグラフを見ていただければわかるんですが、一九八六年に、ヨーロッパの経験に既に学べるタイミングになっていたので、世界で最も広い課税ベースで、軽減税率も持たない、そういったGSTと呼ばれる付加価値税を一〇%で導入しました。その三年後に一二・五%に税率を引き上げたんですが、その後、二〇一〇年に一五%に引き上げるまで、この一二・五%の税率を維持しました。

 西ヨーロッパ諸国と非常に単純な比較をしてしまいますと、西ヨーロッパ諸国の方は、大体一〇%から始めて一五%の水準に達するのにほぼ十年ぐらい。ところが、ニュージーランドは二十四年です。やはり、いろいろな条件を考えなければいけないと思います。西ヨーロッパの方が成熟した福祉国家で、歳出のレベルも高い。そういうことを加味しましても、やはりこういった課税ベースの広い付加価値税の方が標準税率を抑制できる、そういう可能性はあると私は考えております。

 ヨーロッパにおいて軽減税率が低所得者への配慮というふうにされているので皆さん軽減税率に注目するわけですが、それは、現時点での高い標準税率を前提にして、そのもとで全ての商品に標準税率を掛けた場合と軽減税率がある場合を比較した場合、その場合には、それを比較すれば、確かに逆進性を緩和している可能性があると思います。そういうデータも出ています。ところが、これは当然のことながら、軽減税率を適用しなくて標準税率を抑制した場合、さらには、軽減税率やその徴税コストによって失われた税収でできた歳出面での再分配は考慮できないから、これは考慮されておりません。

 こういうような形で西ヨーロッパ諸国がもとに戻せなくなってしまったということを学んで、ニュージーランドに倣ってなるべく税率を抑制していくという道を日本はまずたどっていくのがよいのではないかというふうに考えます。それが低所得者にとっても、再分配が実現すれば最も利益となります。

 最後に、増税のタイミングについていろいろ議論がありますが、これは売上税、一九八〇年代の半ばにありました提案でも、プラザ合意後の円高が理由にされて回避されるなど、過去にも例があります。

 しかしながら、こうして景気を考えながら今日まで来て、今日の状況は、過去のどの時点と比較しても厳しいものとなっています。そして、日本の財政状況というのは非常に厳しい状況で、これは所得分配も景気への配慮も日本という器があってのお話なので、これが壊れてしまいますと全く話にならない。ですから、器が壊れるお話というのは、経済的な、社会的な影響、そして長期的な影響、どれをとっても格段にレベルが違うものになってしまうわけです。

 そして、日本の慢性的な財政赤字というのは四十年の歴史を持つので、私たちもなれつつありますが、今ほど日本の財政赤字に海外から厳しい目を向けられていることはありません。これは、実は、日本が直面する初めての深刻な状況であるというふうに言えると思います。そして、こういうような懸案が起こっているということは、どういうふうに日本、日本政府が見られるかということで市場での評判というのは決まってしまいますので、国際政治経済的な観点からいいますと非常に危険な状態と言えると思います。

 そして、今まで、歳出削減が先、景気の回復が先、そして所得分配が先というようないろいろな対立があったわけなんですが、今回のような危機的な状況ですと全てをやらなければならないということで、こういった対立自体が意味をなさなくなっているということは、やはり改革の非常にいい機会ではないかと思います。今回の改革は一回目ということで、これから、次から次へ行っていただきたいというふうに思っています。

 このように危機的な状況ということで、国会では危機感を持って審議を進めていただきたい。政治の立場からいきますと、増税に対して、世論が、賛成が反対を上回るということは非常に考えにくい。ですから、民意の尊重は大切なんですが、やはり国会の側からも政治の側からも民意に働きかける、世論に働きかける、そして世論の側も、取られたらおしまいというかなり受け身の論理が強かったんですが、それを変えていく、そして長い目で政治を監視し、その世論の監視のもとで政治の方も応えていくというような、今までの日本のやり方と異なるような違うサイクルが今回の改革をきっかけに生まれていくことで問題の解決が初めて可能になるのではないかというふうに考えております。

 ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、山家公述人にお願いいたします。

山家公述人 ただいま御紹介いただきました山家です。

 私からは、消費税に絞ってお話しいたします。

 お手元に縦の三枚の資料があるかと思います。それをごらんになりながら聞いていただきたいと思います。

 私は、消費税の引き上げは行うべきではないというふうに考えています。

 大きな理由が二つありまして、一つは、ただでさえ厳しい生活を強いられている人々の暮らしを一層厳しいものにするということであります。被災地の人々については申すまでもありません。これは、皆さん方の方がその厳しい生活の状況をよく御存じかと思います。

 それから、二つ目に、収入のない人々あるいは低所得の人々がたくさんこの日本にいらっしゃるということです。

 例えば、数字を挙げましたが、今、失業者はおよそ三百万人です。あるいは、生活保護を受けている世帯は百四十万世帯。さらには、一年間働いても年収二百万の収入に達しないという人が千万人を超えております。政府のアンケート調査によりましても、生活が苦しいと訴える世帯の比率はおよそ六〇%、母子世帯だけに限って言いますと八五%が苦しいというふうに答えていらっしゃいます。

 今の五%の消費税のもとでもそういう生活で、何とか支出をやりくりして生活している、そういう人々に対してさらに五%の負担が加わる、四%近く物価が上がるということですから、どうやって生活していったらいいんだろうかと、本当に大変なことになると思います。収入の方がそれに応じて上がる保証は全くありません。むしろ、これからのことを考えると下がるかもしれない。非常に厳しい状況になると思います。

 それから、三つ目。苦しい人々の中に、中小零細企業、その経営者があるかと思います。

 消費税と言いますが、これはヨーロッパ諸国と同じように、日本の場合も付加価値税です。消費税は、消費者に転嫁して、消費者からお金を預かって税金を納めるというふうに説明されておりますけれども、先ほどからのお話にもありましたように、転嫁ができるという保証はありません。あるいは転嫁してもしなくても必ずかかる。付加価値にかかるわけです。

 付加価値というのは、簡単な解説、要点だけ書きましたけれども、売り上げから仕入れその他の経費を差し引いたものであります。付加価値がどう分配されているかを見ますと、大部分は、人件費、雇っている人の人件費に消えていきます。それから、お金を借りていれば金利の支払い、家とか土地を借りていればその地代とか家賃の支払い、そして残ったものが、その営業をやっている人の利益になるわけです。

 日本の企業の八割近く、七〇%以上は赤字企業です。付加価値は当然あります。そこから人件費を払い、金利を払い、家賃等を払うと何も残らない。利益がゼロないしマイナスという企業が大半を占めているわけです。利益ゼロないしマイナスですと、法人税はかかりません。負担能力がないからかからないわけです。しかし、付加価値税である消費税は必ずかかってくる。どこから払うか。払うお金はどこにもないわけです。その結果、一番延滞の多い税というふうになっています。

 また、繰り返しますが、五%のもとでもこれですから、一〇%になりますとますます払えない企業が多くなってくる。大変なことになると思います。こういう苦しい立場の人々の立場に立って、今消費税を上げることがそういう人々の生活にどういう影響を及ぼすか、そのことをまず第一に考えて、この税の問題を考えていただきたいと思います。

 それから、上げるべきではないという二つ目の理由は、非常に景気を悪くしてしまうという税であることです。

 九七年の経験で見ますと、消費税が上がりますと、その七割近くが物価に転嫁されています。今回五%、合わせて五%の引き上げですから、三・五%ぐらいは消費者物価あるいは消費支出のデフレーターが上がることになります。そうすると、その分、ほかの条件を一定としますと、実質消費が三・五%マイナス、そういうことになります。これは単純な、計算上の問題です。消費支出が三・五%下がりますと、これも単純な、GDPのウエート、六割が消費支出ですから、GDPが二・一%マイナスになる。何もしない状態に比べて二・一%GDPが下がるということになります。

 二十一世紀に入ってからの日本の経済成長率を振り返ってみますと、二〇〇一年から一一年までの平均成長率は〇・六%です。あるいは小泉内閣の中ごろから終わりにかけて、二〇〇三年から七年ですか、史上最長の景気の回復という時期がありました。そのときの五年間の平均成長率を見ますと一・八%です。ですから、二十一世紀において一番景気がよかった時期の成長率と比べても、今回の消費税引き上げによるマイナス幅の方が大きい。ということは、マイナス成長に陥る可能性が極めて大ということになります。

 そうしますと、先ほど申しました、生活の苦しい人々の生活は一段と厳しくなる。商売は物が売れなくなり、あるいは、所得はさらに減り、失業者もさらにふえるということが予想されるわけです。そういう状況のときに消費税を引き上げていいものかどうか、じっくりとお考えいただきたいと思います。

 それから、二つ目に申し上げたいことは、消費税の引き上げを行わなきゃいけないという必然性はどこにもないということです。

 よく、消費税の引き上げに関して、財政がこういう状態だから引き上げなきゃいけないということが言われます。あるいは、社会保障にお金がかかる、この制度を維持する、あるいはもうちょっといいものにするためには消費税を引き上げなきゃいけないということが言われています。ところが、この二つの理由というのは、そのために財源が必要であるということの説明にはなります。あるいは、増税が必要であるということの説明にもなるかと思います。ただし、その増税あるいは財源が消費税でなければならないという説明には少しもなっていないということです。

 財源とか増税が必要なときに、先ほど言いましたように、いろいろ問題の多い税である消費税の引き上げをなぜ考えなきゃいけないのか、全く理解に苦しむところです。

 財源といいますと、幾つか財源があります。

 例えば、景気が本格的によくなれば十兆円ぐらいの税収が上がります。リーマン・ショック前、二〇〇七年でしたか、一般会計の税収は五十一兆円ありました。今年度予算は四十二兆円。要するに、景気が悪くなったために九兆円前後税収が減っているわけです。本格的に景気をよくすればその程度の税収増は見込める。要するに、消費税を四%上げたに等しい、それだけの税収増があるわけであります。

 消費税を引き上げて景気を悪くして税収を落とすか、あるいは、引き上げないで景気をよくする政策をいろいろと打つことによって税収をふやすか、どっちの選択かということだと、選ぶべきは決まってくると思います。

 それから、財源としては、もう一つ、今支出している政府の支出の中で不急不要のものを削って生み出すという方法があります。

 全く議論されていないので私は不思議なんですが、例えば、五兆円近くの軍事費が今の日本に果たして要るのか、あるいは憲法上そういう軍事費を使っていいのかという問題があります。あるいは、もうちょっと譲歩しましても、今、最高級の戦闘機をたくさん買う必要があるのかという問題があります。

 少なくとも、そういう問題の比較で、社会保障に必要なお金、あるいは財政赤字を削減させるために必要なお金、それとどちらが大事かという検討ぐらいは行われてもいいんじゃないかと思います。そういう財源調達の方法。

 それから、もう一つ、税金という意味では、いろいろな増税の余地があります。

 代表的なものは、不公平税制をまず是正すること。証券投資優遇税制という税制があります。本来は去年の夏に期限が来るはずでした。配当とか株式売買の所得には所得税、住民税合わせて一〇%でよろしいという大変な不公平税制。このために、年収が一億を超えるとどんどん税負担率が下がってくる。百億稼ぐ人は年収二千万ぐらいの人と同じ税負担でよろしいという不公平税制になっています。これを去年の六月でしたか、震災後、お金が必要なときに延長しました。全く不可解なことで、すぐにでも廃止して税収を生み出すべきだと思います。

 それから二番目に、法人税の増税という道もあります。今回法人税も減税が決まりましたが、これは全く不必要な減税ではないかと思うわけです。

 二ページに表をつけましたけれども、まず、法人税を減税する理由がありません。日本の法人企業の税負担は高いということが理由とされておりますが、二ページの上に表をつけましたとおり、社会保険料の負担と税の負担を合わせてみますと、日本は、ドイツ、フランスといったヨーロッパ諸国に比べて法人の負担は極めて軽いという実績が出ています。これは財務省の委託調査です。そういう結果があるわけです。それを下げる必要はないだろう。

 それから、下げていいことがあるか。国際競争力が強くなるというふうに言われます。しかし、それはほとんど期待できない。

 三ページに表をつけましたけれども、これは財務省の統計からつくった表です。

 一九九七年度、これまで賃金が上がり続けた最後の年でありますが、九七年度と二〇一〇年度、最近の年を比べてみますと、大企業の売上高はほとんど変わっていません。国内の景気はずっと悪い状態なので、売り上げはふえない。ところが、企業は、人件費を五十四兆から四十二兆に、十二兆円この間に減らしています。その分が経常利益の増加につながっています。九七年度十五兆であったのが、二〇一〇年度、二十六兆近くになっています。それにもかかわらず、法人税は、下から二つ目ですが、全く変わっていない。要するに、負担が極めて軽くなっている、まだまだ負担能力はあると見られるわけです。

 それから、こういう格好で利益がふえ負担が減りましたので、配当をふやしても企業の内部留保はふえた。その結果がどういうことになっているかというと、下の表、付表二の一番下であります。利益剰余金、毎年の利益の剰余金を積み立てて合計しますと、百十九兆円から二百三十兆円に、この十三年間で百十兆円もふえています。これだけふえた利益剰余金がどこへ向かっているかといいますと、上の段の一番下、証券等への投資が百四十五兆円ふえています。それだけ企業はゆとりができて、もう設備投資もやった、研究開発もやった、それでもお金が余ったらどうするか。株を買ったり外国に投資したりしているわけです。

 こういう状況の企業に対して減税しましても、答えは明らかです。どこに向かうか。それが設備投資になって競争力強化に役立つとか、研究開発投資に向けられて競争力強化に役立つということはほとんど期待できないと見るべきかと思います。ひたすら証券等への投資をふやすだけ。要するに、経済的にプラスのない減税ですから、こういう減税は即刻やめるべきだし、あるいは増税しても大丈夫だろうと私は思います。

 それから、もう一つ、最初のページですが、所得税を増税するという手段があります。

 消費税と所得税、なぜ消費税を選ぶのか、私にはさっぱりわかりません。世代間の不公平、サラリーマンばかりに負担をかけるのは気の毒だという説明が間々なされます。

 二ページ下段に、政府の全面広告、去年の十二月、全国各紙に載った広告から野田首相の発言を引きましたけれども、なぜ消費税なのですか、ほかに税があるじゃないですかという質問に対して、野田首相の答えは、特定の誰かではなく、世代の全て、世代を超えての負担が必要ですということを言っています。所得税ではなくて消費税だとおっしゃっているんだと思いますが、これは明らかに所得税に対する誤解があります。

 所得税は、サラリーマンだけが負担する税金ではありません。年金世代でも、年金がたくさんあれば所得税は負担する。所得のある人全てが負担しなきゃいけないのが所得税。別に、若い世代、勤労世代だけが負担しなきゃいけないという税ではないわけです。

 所得税と消費税の大きな違いを二ページの下にまとめました。

 一つは、所得税は、所得のある人が負担する税。消費税は何かというと、所得のある人に比べて所得のない人も負担する税。それが一つの違いです。

 それから、二つ目の違いは、所得の多い人ほど負担が重い、高率で負担するのが所得税。所得の多い人ほど負担率が軽い、所得に対する負担が軽いというのが消費税です。

 こういう二つの税制を比べた場合、増税がどうしても必要だ、所得税か消費税かという選択を迫られたときに、では消費税だという答えがどこから出てくるのか全くわからない。所得税を選ぶべきではないかというふうに私は思います。

 以上で終わります。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 次に、高橋公述人にお願いいたします。

高橋(洋)公述人 今御紹介いただきました嘉悦大学教授の高橋でございます。

 本日、このような公聴会で公述人として意見を言う機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 社会保障と税の一体改革ということなんですが、一言で言えば、薄皮の社会保障と、中身は消費税、あんこたっぷりの薄皮まんじゅうでございます。それなので、消費税の増税について焦点を絞って、反対の立場で述べたいと思います。

 これほど反対理由をつけやすいものは本当にないんじゃないかなと思いますが、まず、資料の二ページ目に全て理由を列記しております。

 まず、経済対策として、デフレの解消が先、財政再建の必要性が乏しいこと、欧州危機時にやることではない。第二に、税理論として、不公平税制の是正が先、歳入庁の創設が先、消費税の社会保障目的税化の誤り、それとあと、消費税というのは地方税とすべき。三番目には、政治姿勢として、無駄の削減、行革が先、資産売却、埋蔵金が先、マニフェスト違反。

 以上、十個の理由を述べたいと思いますので、それぞれに沿ってお話ししてみたいと思います。

 資料の三ページであります。

 デフレ解消が先ということなんですけれども、現在のようなデフレでは財政再建はうまくいきません。一九六〇年代からのOECD加盟国の中で、財政再建に成功した事例と失敗した事例を調べますと、名目成長率が高くなった方が成功する確率ははるかに高いです。私は小泉政権と安倍政権のときにいましたけれども、経済成長によって、プライマリー収支というのが二十八兆円から六兆円の赤字までに大幅に改善しております。

 三ページの資料というのは、実は、これまで日本のデフレというのがマネー不足で起こっていることを示しております。一番左側の方に日本がありますけれども、世界で一番デフレ、一番マネーが少ないというので、きれいな相関が出ております。

 次の四ページですけれども、これは、左の軸に翌年のプライマリー収支の実額、右の軸に当年の名目成長率をそれぞれとって関係を示したものなんですけれども、名目成長率は翌年のプライマリー収支に強い相関があります。これを使いましてちょっと名目成長率を高めると、ほとんど財政再建は簡単にできちゃうということでございます。先ほどちょっと述べました小泉、安倍政権のときの改善というのも、ここであらわれていると思います。

 こうした過去の教訓から、増税の前に、デフレから脱却して名目成長率を高くすることが極めて重要です。具体的には、プライマリー収支を改善するためには、名目成長率を、これは先進国並みですけれども、四%から五%にすれば、ほとんど、ほっといても回復します。

 ちなみに、一九九七年に消費税を三%から五%に引き上げたんですけれども、それ以来デフレが続き、税収はずっと九七年度の水準を下回っております。

 ここで、増税とは、はっきり言葉を言っておきたいと思いますけれども、税率を引き上げることです。これは増収じゃありません。ですから、その意味で、財政再建のために増税が必要であると言う人はほとんど間違いだというふうに思います。要するに、売上単価を上げて売り上げが伸びるかという話と全く一緒です。

 私は、財政再建は非常に熱心にやる立場なんですけれども、ややもすると、財政再建のために増税ということを聞くたびにちょっとおかしいなというふうに思います。はっきり言うと、経済成長なくして財政再建なしです。

 次の、資料の五ページに入ります。

 財政再建の必要性について、日本は、財政状況は財政当局が言うほど実は悪くありません。十年ぐらいで財政再建すべきということについては全くそのとおりでありますけれども、急に行えば、かえって財政再建自体が危うくなると思います。

 先進各国の財政状況がどのように深刻なのかというのは、五ページのクレジット・デフォルト・スワップの数字が参考になると思います。これは、各国政府が破綻したときに国債の損失をカバーするための保険料ですから、その国の国債の危険度に応じた数字になっております。

 英語で書いてありますけれども、アメリカは入っていないんですが、アメリカは〇・四です。イギリス〇・七、ドイツ一・一、日本一・〇、フランス二・二、イタリア五・五という形になっています。ポルトガルは一一で、ギリシャというのは、ほとんど一〇〇ですね、事実上デフォルトです。

 これらの数字を単純化してイメージを与えるとすると、米国というのは二百年間、英国は百二十年間、ドイツ、日本は百年間、フランスは四十年間、イタリアは二十年間、ポルトガルは九年間でそれぞれ一回程度のデフォルトという意味です。

 これらの数字を見る限り、日本の財政状況は、日本の潜在成長力とか政府資産の大きさなどから、欧州ほどは深刻になっておりません。欧州で緊縮財政が否定されている中で、日本が増税政策をとるべきでないことは言うまでもありません。

 次に、資料の六ページに入ります。

 欧州危機との関係ですけれども、欧州で危機が迫っているのがわかっていながら日本で増税を行うというのは、とても理解できないところであります。

 二〇〇八年のリーマン・ショック以降、震源地でもない日本が世界最悪のGDPギャップになってしまった。それは、実は二〇〇六年に、デフレ脱却していないにもかかわらず量的緩和を解除してしまったのが大きな問題で、その半年後ぐらいから景気が下降局面に入っているときにリーマン・ショックという外的ショックを受けたからなのです。

 今回は復興需要が多少あるんですが、まだ東日本大震災の傷も完全に癒えていません。それにもかかわらず消費税増税というのは、経済政策としてはほとんど理解しがたいと思います。

 次は、資料七ページの不公平税制です。

 税率を上げる前に、税、保険料を含む税ですけれども、これの不公平を直しておくというのがセオリーです。税の不公平は穴のあいたバケツのようなもので、それで幾ら水をすくっても効率が悪いです。しかも、税の不公平の是正というのは、税率を上げるときに国民の納得感にも大きく影響します。

 今の不公平のうち私が大きいと思うのは、社会保険料の徴収漏れです。国税庁が把握している法人数と年金機構が把握している法人の数には随分差がありまして、八十万件から百万件くらいあるんですけれども、これは、労働者から天引きされた社会保険料が年金機構に渡っていない可能性があります。大体、ざっくり推計しますと十兆円前後というふうに思います。

 このほか、クロヨンと言われる所得税の捕捉や、インボイスを採用していない消費税の徴収漏れがあって、税徴収の観点から見ても今は穴のあいたバケツでありまして、税率を上げる前に穴を塞ぐのは常識であると思います。

 次は、歳入庁の話です。資料の八ページ。

 不公平の是正のためには、マイナンバーとともに、民主党が政権交代前に公約していた歳入庁や、消費税に、インボイスという先進国で当たり前のことをやるべきです。これをやると、かなり税収なんかが上がってきます。

 税と保険料の徴収インフラとは、国税庁と年金機構が一体化する歳入庁でありまして、これは、国民にとっても、一カ所で納税と保険料納付が済むし、行革の観点からも、行政の効率化になります。

 海外では、アメリカ、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーが、歳入庁という形で税と社会保険料の徴収の一元化を行っています。東ヨーロッパの国でも傾向は同じでありまして、歳入庁による徴収一元化というのは世界の潮流であると言っていいと思います。

 しかし、歳入庁の創設というのは、どうも財政当局にとって都合が悪いらしくて、事実上、国税庁というのが財務省の植民地になっていまして、国税権力というのを財務省が手放さない。私が安倍政権にいたときにも、旧社会保険庁を解体して歳入庁を創設しようと思ったときにも、激しく抵抗を受けた経験があります。今の政権で果たしてこのように歳入庁が創設されるだろうかというのは、多少心配な点があります。

 次に、資料の九ページをごらんいただきたいと思います。

 社会保障の目的税化と当たり前のように言われるんですけれども、今回の増税案ではそういうことになっていますが、そうしている国というのは、私は寡聞にして知りません。

 社会保障は助け合いの精神による所得の再分配なので国民の理解と納得が必要というわけで、日本を含めて、給付と負担の関係が明確な社会保険料方式で運営されているところが多いと思っております。もっとも、保険料を払えない低所得者に対しては税が投入されているというのも事実です。ただし、日本のように、社会保険料方式といいながら税が半分近く投入されている国というのも、余り聞いたことがありません。

 消費税の社会保障目的税化というのは、このような、社会保障を保険方式で運営するという世界の流れというのとちょっと逆行するんじゃないかなと思います。ちなみに、ドイツのように、一時的に消費税引き上げの増収を特定用途に限ったことはありますけれども、普通は、そういうのはないです。

 消費税の社会保障目的税化が間違いというのは、一九九〇年代までは、実は私は大蔵省にいましたけれども、そのときの主張でもありました。しかし、九九年に、これは自自公連立のときに、消費税を社会保障に使うと予算総則に書いたという経緯があります。ただ、そのときに、平成十二年度の政府税調の税制改正に関する答申の中でも、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」という記述がございます。

 次は、消費税を地方税とするということですけれども、それは資料の九ページにあります。

 消費税というのは一般財源なんですが、国がとるか地方がとるかという問題に実はなろうかと思います。地方分権が進んだ国では、国ではなく地方の財源とみなされるところが多いというのが私の認識であります。これは、国と地方の税金については、国は応能税、これは各人の能力に応じて支払う税でありますけれども、地方は応益税、これは各人の便益に応じて支払う税でありますけれども、というふうな税理論にも合致するところであります。

 ヨーロッパの国というのは、一国の規模が小さくて、GDPで見ますと、日本というのは欧州の国が七、八個ぐらい集まった規模であるというふうに思います。欧州の国がサイズが小さく、日本から見れば地方単位であるので、EUというのを一つの単位とすれば、その中に地方があり、それぞれで消費税を導入しているという見方も可能ではないかなと思います。

 また、地方分権の進んだ国、例えばオーストラリアなんかでの、国のみが消費税を課税し、地方に税収を分与する方式、ドイツ、オーストリアなどのように、国と地方が消費税を共同税として課税し、税収を国と地方で配分する方式、カナダのように、国が消費税を課税し、その上に地方が課税する方式、アメリカのように、国は消費税を課税せず、地方が消費税を課税する方式というのがあります。これらを見ますと、世界を見ても、分権度が高いほど国としての消費税のウエートが低いということが言えると思います。

 次に、無駄の話に入ります。資料の十ページに行きます。

 行革の話なんですけれども、これは無駄の削減というのが不徹底であるというふうに正直思います。

 野田総理が、政権交代の前に、ほんの二年前の話ですが、シロアリ退治の街頭演説をしております。

 そのシロアリとは、実は国家をむしばむ天下り役人でありまして、シロアリの巣が独立行政法人や特殊法人です。シロアリへのミルクもありまして、このミルクは特別会計の埋蔵金です。

 民主党政権になって、シロアリ退治どころか、天下りが水面下でなされるのを放置しながら、その上にさらに現役出向という裏わざを正面から容認するという形になっておりまして、民間企業にまで現役天下りを拡大してしまったというのが実態だと思います。独立行政法人というシロアリの巣も手をつけず、さらに特別会計というシロアリへのミルクも温存されていると思います。

 一九八一年から土光臨調というのが始まって、それをまねて行革をやるというんですけれども、土光臨調は増税なき財政再建でしたけれども、今回の話は、実は、まず増税ありきで、増税のためのアリバイづくりと言われても仕方がないのではないかなというふうに思います。

 次に、資料の十一ページをごらんいただきたいと思います。

 この資産売却と埋蔵金の話など、やっていないと思います。かつて、特別会計のいわゆる埋蔵金を発掘しまして、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律を立案し、特別会計改革の道筋をつけたと自負しております私から見れば、全くやっておりません。

 行革推進法は、これは小泉政権のときの話なんですけれども、政策金融改革、独立行政法人改革、総人件費改革、国資産負債改革などをやっておりまして、それぞれその中に、今後五年間を目途にいろいろな数値目標というのが書かれてあります。改革の肝というのは、実は、二〇〇六年度から二〇一〇年度までの五カ年間に財政の健全化に総額二十兆円程度の寄与をすることを目標とすると定めていることであります。要するに、このように数値目標をきちっと出してやっていくわけですね。

 小泉政権のときに、実は、増税の前にやるべきことがあって、埋蔵金を掘り出し、私はその指示を受けてやりましたけれども、それで、結果的には、増税はやりませんでした。増税はやらないけれども財政再建を頼みますというふうな指示を受けていますけれども、今はそういう指示がないから、ほとんどこのような、財政再建というか、無駄とか埋蔵金の話とか資産売却の話はやらないというふうに思います。それに比べて、野田政権の特別会計改革そのほかには金額が一切ないので、ほとんどやる気がないのではないかなというふうに思わざるを得ません。

 この資料に書いてあるように、日本の資産というのはOECDの中でも極めて突出してたくさん持っています。債務はたくさん持っているのはそのとおりなんですけれども、資産もたくさん持っている。世界一でございます。負債だけが世界一、世界一と言うのは、すごくミスリーディングであると思います。

 最後に、十二ページ、公約違反の話です。

 最近、消費税については賛成より反対が多いというふうに言われておりますけれども、そもそも民主党というのは、消費税を増税しないと言って政権交代した。ちなみに、二〇〇九年の三党連立合意では、現行の消費税五%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間内において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わないと明言された。にもかかわらず、今回、消費税増税法案というのは、一四年四月に八%、一五年十月に一〇%という形で引き上げられて、これで政権担当期間内の引き上げに当たらないという、はっきり言えば、詭弁を使っていると思います。小泉政権のときのように、上げないと言って、最後まで上げることも決めなかったという潔さは全くないです。

 民主党内では、代表選で増税を掲げたので増税は正当化されるという意見があるかもしれませんけれども、それはあくまでも民主党の組織内の身内の論理でありまして、マニフェストに書かず、増税しないと言ったのに増税するというのは、国民に対する背信行為であるというふうに言わざるを得ません。

 出てくる数字は、実は、民主党政権になって、自公政権から膨らんだ数字を書いてあります。大体これで、構造的に十一、二兆円程度膨らんでいます。これは予算の組み方が全く下手だったということになるんですけれども。それで、今回の消費税増税が社会保障に行くというんですけれども、ここに消えちゃっているという説明もできると思います。金に色はついておりません。

 最後に、最近出ている軽減税率の話をちょっと述べさせていただきたいと思います。

 軽減税率というのは物品ごとにやるんですけれども、それは、物品の線引きが非常に難しくて、官僚の裁量権を極めて大きくします。はっきり言えば、軽減税率というのは、世の中の物の数だけ租税特別措置法があるようなもので、天下りをふやしたい官僚とか特定業界への影響を持ちたい政治家にとっては極めて好都合な制度です。

 欧州では確かに歴史的にあります。ありますけれども、こうした問題があるので、低所得者対策というのは給付つき税額控除に移行するという流れになっております。

 歳入庁というのは、税と社会保険料を一体として、さらに、低所得者対策には簡素な給付を行う上で非常に役に立つと思います。しかし、その簡素な給付のかわりに軽減税率を導入すると、簡素な給付は不要になってしまって、さらに、歳入庁をつくるに及ばないという議論になるということを非常に恐れております。

 以上で意見陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

中野委員長 ありがとうございました。

 これにて公述人の方々からの意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

中野委員長 これより公述人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲富修二君。

稲富委員 民主党の稲富修二でございます。

 公述人の皆様、お忙しい中、御指導いただきまして、本当にありがとうございます。

 冒頭、井上公述人から、今回の消費税増税法案については苦渋の決断であるというお言葉がありました。そのお言葉をしっかりとかみしめて、私から御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、消費税が仮に、今五、そして八、一〇になりますと、国の財政の中で、所得税を抜いて消費税が最大の基幹税になります。そこで、やはり消費税が抱えている課題というのが、その解決をしていくことが非常に大事になってくると私は思います。

 そこで、それぞれの公述人の皆様に御質問をいたします。

 それは、消費税の逆進性対策についてです。それぞれの公述人の皆様から既に言及はありましたけれども、今、単一税率でやるか、あるいは低減税率でやるかという議論が、当委員会でも常に焦点の一つになってまいりました。消費税増税そのものに反対であるという公述人の方もいらっしゃいますので、一般論で結構ですので、もし答えられたら御答弁をお願いいたします。

    〔委員長退席、松本(大)委員長代理着席〕

井上公述人 ただいまの先生の御質問でございますが、税制、高額所得者に恩恵が及ぶという問題も一つはあるわけですけれども、軽減税率の対象範囲の設定やその税額計算では大きな混乱を招くというのが一つの大きな問題だと考えております。

 逆進性対策としましては、共通番号制度を早期に導入して、きめ細かな給付支援というもので対応すべきであると考えておるわけでございます。

 ともかく、複数税率というのは非常に複雑な構造になってしまうわけでございますので、そういった点、ぜひとも避けていただくということはお願いしたいと思います。

 以上です。

坪井公述人 私も、冒頭でお話をさせていただいたわけでございますが、軽減税率の導入というのは、事務的に大変膨大な作業になるわけでございますし、特にまた、複雑化するということが大変ということでございまして、要するに、我々商店街としては、できればそういうものを避けていただければ非常にありがたいというふうに思っています。

 特に、軽減対象品目の線引きというのがとても難しいんじゃないかなというふうに、要するに、私どもは仕入れをします。これはまた別のもので、例えば食料品というふうにあれば、それはまた仕入れ価格も変わってくる、税金が変わってくるということで、とにかく事務的な量がすごく多くなって、商店街、三ちゃん家業ではとてもできるような状況ではないということだけはひとつ御理解いただければ非常にありがたいなというふうに思っています。

加藤公述人 私は、ほかの国の経験からということでお話しいたします。

 まず、徴税コストが非常にかさむということに関して余り問題意識がない。というのは、税金を集めるためにお金を使ってしまって、それがほかの人に回せるかもしれないものを使ってしまう。しかも、軽減税率はお金持ちにも応用されるわけですね。ですから、全てそれが貧しい人に行くならまだしも、お金持ちもその軽減税率の恩恵を受ける。

 さらに、私が今一番危惧しているのは、実は、ニュージーランドのお話を先ほどしましたが、ニュージーランドが、一定税率で、しかも、かなり広い課税基盤で導入したときに、私は、これはヨーロッパ諸国よりは、絶対、税率を抑制できるだろうと思ったんです。ところが、私の予想以上に抑制できたという、これは研究者としても非常に驚きました。

 ですから、先にヨーロッパ諸国が初めて付加価値税を使って、そのときに、単段階の消費税に前から例外があったので、そういった例外や軽減税率を引き継いでしまった。大体、政策を最初にやる国というのは失敗をしてしまうんですね。知らないでそれをやってしまって、政治的に逆戻りできなくなる。

 ニュージーランドがそれを習ってここまで抑制できたというのであれば、やはりそれは私たちも参考にした方がいいのではないかと思います。

 そうして税収を上げて、そこから何もしなければ、もう再分配になりません。税収を上げて、それを歳出面の再分配に回せば、これは低所得の人たちにとっても最もよい結果になる。やはり、せっかく前の国の経験があるので、その点を生かさないというのは非常に残念なことではないかなということです。

 私、軽減税率というと、必ず、経済活動への影響とか、制度の一貫性ということで言われるので、何か国民全体には利益がないように考えられているんですが、実は、軽減税率を入れても、普通の、低所得の人にとっても結果的にはよくない結果をもたらすことがあるということを考えていただきたいと思います。

山家公述人 低所得者対策ですね。

 先ほどからいろいろな方の御意見がありましたけれども、低減税率を設けるということが非常に実務上大変であるとか、あるいは、どこで線切りするかで、官僚機構で何か権力を増すとかいう問題が指摘されました。それから、戻し方式もやはり実務上大変だと思います。大体、幾ら戻すかという数字が固まらないと、いいか悪いかわからないし、どうやって戻すか。本当に必要な人に戻るか。例えば、ホームレスの人だって物を買うときには消費税がかかるんですけれども、その人にどうやって戻すか。住所の把握すらできない人に戻せないという問題があります。

 そういう複雑な問題をあれこれ考えますと、なぜそんなことをしなきゃいけないかというと、そもそも消費税という、貧しい人に厳しい税を採用することに問題があるので、私は、そういうことを避けて、所得税でやれば何もやらなくていい、そうすると、極めて単純に分配の公平が図れるというふうに思います。

 以上です。

高橋(洋)公述人 私は、もう意見のときに述べましたけれども、軽減税率というのは個別物品ごとの租税特別措置です。ですから、利権の温床になって、かつ技術的にも難しい。さらに、ぜいたく品といっても、お金持ちも実はその恩恵にあずかってしまうので、非常に政策効率も悪いということです。

 ですから、今ないわけですから、それをなぜやるのか、私にはちょっと理解できませんね。ですから、給付つき税額控除の話をしました。

 ちょっと皮肉っぽく言えば、軽減税率をもし設けるんだったら、全ての物品について軽減税率をお願いします。

稲富委員 ありがとうございます。

 次は、井上公述人と坪井公述人に御質問いたします。

 この消費税の問題でもう一つ大きな課題は、先ほど来触れていただいた転嫁の問題でございます。

 今回の法案では、一年半に、五から八、八から一〇と税率を変えるということ、そして、引き上げ幅が、導入時そして引き上げ時よりはるかに大きいということ、そして、何よりも、今回はネットの増税になるということ、いろいろなことを考えましても、非常に厳しい経済状況の中での増税ということになります。

 であるがゆえに、やはりこれまでとってきた転嫁対策をより厚くしていかなければいけないと私は思います。これまでも多くの方々から声を聞いてまいりました。例えば、広報の充実であるとか、転嫁カルテルを独禁法の適用除外にするであるとか等々ありますけれども、やはり決定的ではないのではないかと私は思います。

 そこで、党としても政府としても、財政的、税制的措置がやはり必要ではないかということも同時にうたっております。特に、先ほどいただきました公述人の資料からすると、転嫁の問題は中小企業の問題であるということでございますので、その点で、財政的、税制的措置、先ほど触れられましたけれども、改めて、どういった措置が必要なのかということをぜひ御教示願いたいと思います。

井上公述人 今お話がございましたように、現状大変な状況にある、デフレ下にあって中小企業の現況というのは大変な状況にあるわけでございます。そういうときに、三%そして二%という二回の消費税の増税というのは、それをいかにして転嫁するかというのは大変なことだと思っております。大体、三%上げれば五兆円のGDP減というようなことになるわけでございます。

 そういうような状況から考えても、ともかく、広報で知らせる。今までのことは全てやっていただかなきゃならないわけですけれども、それにも増して、経済対策だとか景気をいかによくするかということの手だてもあわせてやっていただかないと、これはもう中小企業は参ってしまう。

 大手の企業は、デフレそして円高というようなことから、海外にどんどん転出すればいいわけですけれども、残されたのは中小企業でして、その中小企業が日本の雇用を守っておるわけですから、雇用を守っていくためにも、何としても、政府が、先生たちが、本当に一体になって、我々のために、広報なりなんなりでPRをしながら、転嫁できるような仕組みというのをぜひとも確保していただきたいと思います。

 あと、ソフトウエアだとか設備投資だとか、そういうようなこともございます。そういうようなケースの場合には、やはり減税をしていただく、またその方に助成をしていただくというようなこともぜひともお願いをしたいと思います。

 以上でございます。

坪井公述人 失礼します。

 先生の先ほどのお話でございますが、平成二十六年の四月に八%、それから二十七年の十月に一〇%という消費税の二段階の引き上げということでお尋ねがあったかと思います。

 私どもの商店街は、値づけのつけかえというんですか、それが大変な作業にもなってくるということで、ちょっと御遠慮いただきたいというのが我々の考えでございます。

 要するに、レジだとか会計システムの変更等が生じまして、大変大きな作業にもなるということや、それから膨大な経費がかかるということでございまして、先ほども申し上げたように、本当に商店街というのは要するに家族経営者でございますから、そんなときに、今も景気がよくない昨今であるのに、膨大な経費を投入するということはなかなか難しい状況であるということだけ、ひとつ御理解いただければと思います。

稲富委員 加藤公述人に御質問いたします。

 これまで、海外等の事例を引いて御説明をいただきましたけれども、そもそも、なぜ日本の長期債務がこれほど大きくなったのか。この十五年間で倍になったということも書かれておりますし、なぜこれほど大きな債務になったのか。そして、なぜ今、これに対する対策をしなければいけないのかということを改めてぜひ御教示願いたいと思います。

加藤公述人 大変よい質問をありがとうございました。

 実は、私も租税の政治をやっておりまして、今までずっと研究してきて、こんなに大変な状況に日本がなるということは全く予想もしておりませんでした。その点に関しては、非常に研究者としても力が足りなかったということで、皆さんに私の知っている過去の経緯というのをお話ししたいと思います。

 まず、日本といいますと、皆さんやはり、増税している、今回も増税が焦点になっておりますが、国際比較をしますと、明らかに総課税負担が低い国なんです。ただ、増税に対する反対というのは、もちろん額だけではなくて、例えば、この政府に税金を払いたくないとか、そういう気持ちもあると思うんですね。そういうようなこともあると思います。しかし、だからといいまして、それを、つまり、政府を不信であるから私たちは税金を払いたくないということを続けておきますと、自分たちの問題として、財政赤字として返ってくる。

 最後の方で申し上げましたけれども、やはり世論の方も払ったらおしまいだ、そして反対する側も払ったらおしまいだというふうに考えずに、払ったものをどうやって支出で使っているかの方を監視する。こちらの方が大変なんですね。その大変なことを、政治の側も、増税反対にくみしていれば支持してもらえる、そして世論の方も、今の痛みがなくなれば大丈夫である、そういうふうな形の悪いサイクルが起こってきたのではないかと思います。

 一つ御参考に申し上げますと、私が一緒に共著の論文を書きましたスウェーデンのある政治学者は、信頼関係というのがあって初めて税金を払ってそれが返ってくるというふうに考える。彼らに対して、スウェーデンが高福祉・高負担と言いましたら、その返事が、私たちからは想像ができないんですが、負担と言わないでほしい、返ってくるものだからというんです。やはり、それだけのものがないとそういうふうにならない。日本の場合は、それがちょっと欠如していたのが、今回、このような状態になったのではないかと思います。

稲富委員 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

松本(大)委員長代理 これにて稲富君の質疑は終了いたしました。

 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 鳥取二区選出の衆議院議員で赤澤亮正と申します。ひとつよろしくお願いいたします。

 きょうは、お忙しい中、公述人の皆様に大変貴重なお話をいただきまして、心から感謝をいたします。いただいている時間が十五分ということなので、なかなか、お一人当たり三分という感じで十分にいろいろ聞けないかもしれませんが、そこはお許しいただきたいと思います。

 順番にお伺いをしていこうかと思いますが、先ほどから軽減税率についてはかなり声がそろって、よくないんじゃないかというお話なんですが、一方で、給付つき税額控除、突然、ちょっと聞いている間に質問を考えたようなところがあるんですが、不正の温床になるという議論があるのは御存じのとおりだと思います。要するに、所得を捕捉するだけだと、やたら資産がある人にも所得がないということで給付をしたりということは不公平なので、結局は、所得や金融資産を含む資産も把握した上できちっとどれだけ給付をするのかというのを考えないと、非常に不公平感が出てくる、場合によっては不正の温床になるという議論があります。

 最後の最後まで、金融資産なんかはうまく把握できないんじゃないか、こういったような議論があるわけで、そこは技術的にどれだけのことができるかというのは、先ほどの番号制の話も含めて、政治の世界でもよく研究をし、結論を出していかなきゃいけないんですが、一つ伺っておきたかったのは、給付つき税額控除。

 余りやったことがない制度で、万能感ばかりあって、やってみたら欧州でやっていた軽減税率よりうまくいかなかったということも大変問題になると思うので、一つ皆様に、これはとりあえず質問を全員に差し上げますので触れていただきたいのは、もし所得とか金融資産を含む資産の把握が十分にできない場合には、これは弊害が大きいからやるべきでないという認識は共有をしていただけるのかという点は、ちょっと皆様にお伺いをしたいと思います。

 これは政治なので、現実の世界で国民にとっていいことをやり、不公平感のない、納得してもらえる税制をやっていかなきゃいけないということなので、最終的には不公平感とかそういうものが出てくることも視野に入れなければいけませんので、その辺は認識を共有していただけるか、伺いたいと思います。

 あとは、先ほどの質疑を聞いていて今思いついたことなので、それ以外の質問は順番にそれぞれの公述人にお伺いをしていきたいと思います。

 まず、井上特別顧問にお伺いをしたいと思います。

 大変いろいろといいお話をいただいて、待ったなしの改革だということについては認識は全く同じであります。私がきょう聞いていて割と興味をそそられたのは、同じ税の転嫁対策について要望を強くされるけれども、坪井理事長とは多少結論が違う。

 そこは何かというと、井上特別顧問の方は、税の転嫁はしっかりやってもらわなきゃいけないけれども、待ったなしだから、消費税はやむを得ない。少なくとも岡村会頭のお話なんかを読めば、閣議決定まで関連法案が行ったのは一歩前進と認める、ほかにやってもらうことはもちろんあるけれども、それはやってくれという感じなんですが、坪井理事長の方はむしろ、転嫁できないから、これはもう賛成しかねるぞと。私が思ったのは、どうもBツーBとBツーCの違いじゃないかなと。

 井上特別顧問は、これは基本的には溶接機ですね、御社業は溶接機、切断機、産業機械の販売をやっておられる愛知産業におられて、その後、これは愛晃エンジニアリングでよろしいんでしょうか、各種自動溶接機の開発、製造ということで、御商売の分野がどう考えてもかなりプロ相手の、プロ同士の話なので、いいものをつくればそれなりの価格を払うことはお互いの信頼関係だし、むしろ消費税が上がれば転嫁を求めなければ、あそこは消費税が上がったのに上げなくていいぐらい今まで利益を上げていたのかな、むしろこれまでいい値段をつけ過ぎていたんじゃないかなんという不信まで生じかねないような世界でやっておられるからそういうことなのかなということを感じたのが一点です。

 その点についてコメントがあればというのと、もう一つは転嫁対策ですね。

 今、政府がいろいろ議論をしておられますが、要望書の中で書かれた転嫁対策も、私自身は、気持ちはわかるが、なかなかこれだけで済むかと。具体的に、いただいた資料の十ページ、きょうお見せいただきました。「ガイドライン策定と周知徹底、相談」、あるいは「優越的な地位を利用した不公正な取引の取締り・監視の強化」、「マスメディアでの消費者向け広報」、それから「行政や業界団体による説明会の実施、転嫁に係る仕組等の周知徹底」と。周知徹底だけで基本的に、あるいは取り締まりだけで本当に転嫁対策は十分か、何か政府のこれまでの取り組みに対して、もっとこういうことをやってほしいと具体的なものがあればお聞かせをいただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので、幾つも申し上げてしまって済みません。私なりに申し上げたかったのは三点になっていますけれども、もしわかりづらければ後で補足をいたします。

    〔松本(大)委員長代理退席、委員長着席〕

井上公述人 最初のBツーBの問題でございますけれども、これは非常に転嫁はしやすいということは言えるんじゃないか。

 しかし、一方において、特殊な製品の場合は転嫁がしやすいということが言えるわけですけれども、逆に建設業界などは、その価格を最初から決定される、そして、それで受けなければ注文を出さないよと言われると、結局、消費税を上げるチャンスがなくてそのままいってしまうというケースがあるわけでして、そういった点でどういうふうにそれを取り締まるか。Gメンじゃないですけれども、先ほどちょっとお話が出ました。そういうことをやっていただいてでも、やはりそういう監視の目をしっかりとやっていただくということが大事だ。弱い者いじめをやられたのではたまらないということであろうというふうに思います。そういう点では、ぜひともお願いしたいなと。

 ただ、BツーCの問題は、これは非常に難しい問題でございまして、国民の認識をいかに高めるか。やはり、それが社会保障を支えるんだという認識をもっとしっかりと、いかに持たせるかということではないのかなと思うわけでして、やはり私自身が直接それをやっておりませんものですから、その点は商店街の方にお聞きいただきたいと思います。

 以上でございます。

赤澤委員 なかなか時間がないので、後ほどですが、給付つき税額控除について、所得や資産の把握が十分できない場合にはこれをやるべきではないという点が認識を共有いただけるか、ちょっとまた後で時間があれば伺います。

 次に、坪井理事長にお伺いしたいんですが、私も大変身につまされて聞いていたのは、おっしゃったように、花束は一万円じゃなくて、私の場合、ちょっとけちってというか、家内にプレゼントするのに五千円ぐらいでと言って、実際、本当に今おっしゃった会話をやったことがあるので大変ざんげをするわけでありますけれども、後で消費税を取られかけて、消費税込みにしてくれと現にやったことが数年前にあったかなと本当に反省したわけであります。

 そういう意味で、転嫁対策について、今、井上特別顧問にお話を伺ったのと同様に、政府が今やっているものに加えて、具体的にこういうことをやってほしい、もし具体策について何か御意見があればお触れいただきたいと思います。

坪井公述人 本当にいい御質問をいただきまして、ありがとうございました。待ってばかりでございますが。

 これはどこまで論議されても、先生、難しい話でございまして、やはり買う側と売る側の要するに強さ弱さの違いというのがございまして、先ほどは途中までで終わってしまったんですが、まけろというような話になって、最後は、言うならば、九千五百円でやってくれ、若干おまえのところはまだ利益があるがやというぐらいのことを言われまして、そこまで言うんだったら、もう君のところでは買わないよというところまで来てしまうということでございますから、我々小売商業者というのは非常に弱い立場でございます。それだったら結構でございます、またの機会にぜひともお買い求めくださいというのが本来でございまして、なかなかそこら辺のところは難しいなというふうに実は思っておりました。

 当初、私は、外税の方がいい、はっきり外税でうたっていただいて、プライスカードが一万円であれば、あとは、要するにこれは消費税でございますからと言って、いただけるような、そういうものの方がいいと言ったら、業種、業態、非常に私ども商店街は多うございまして、けんけんごうごうの話になりまして、要するに、どちらでもいい、従来どおりの形にしていただければいいというような結果になってしまったというふうなことでございます。

 小売商業者、先生たちよく御存じだと思いますが、いまだ士農工商であるということでございます。要するに、商が一番弱い立場であるということでございますから、そこら辺のところは何とか先生方のお力添えで明るい兆しを見出していただけるような、要するに、施策等も、例えば基金だとかいろいろなものを支援していただければ非常にありがたいなというふうに思っています。よろしくお願いしたいと存じます。

赤澤委員 ありがとうございます。

 なかなか転嫁対策、決め手がないというお話だったと思います。

 次に、加藤教授にお伺いをしたくて、大変長い間、根気よく、「「時期最悪」で逃げるな」、さらに、その前の「経済教室」は二〇〇九年ぐらいになされて、そのはるかに前から、ずっと税制について提言されてきたんだと思います。結論のところは、私もそのとおりと思うのは、有権者の意識の変化によってのみ可能となる、使い勝手の方をきちんと監視してくれというのが最後の結論なんですが、有権者の意識を変えるために、我々がある意味国民に納得を得るために、政治の世界でどうもその工夫が足りないのかなと。どういうことを訴えていったらいいのかというのについて御意見があれば一点。

 あとは、なかなかこれがお答えがいただけていないので、税額控除について、所得や資産の把握が必ずしも十分でない場合は、これはなかなか問題が多いんじゃないかという点は認識を共有いただけるかという、二点をお伺いしたいと思います。時間がないので、ちょっと簡潔にお願いいたします。

加藤公述人 また大変よい質問をありがとうございました。

 実は、番号制、皆さんは笑われるんですが、私一人だけ年をとってしまったのではないか、つまり、昔のことを覚えているのは私だけではないかと、今非常に心細い気持ちです。(赤澤委員「とんでもないです。大変お若いです」と呼ぶ)ありがとうございます。

 給付つき税額控除で、確かに、資産、所得が把握できないなら、やらない方がいいです。しかし、そう言わないで、きちんと把握してやってください。つまり、把握するというそのことを……(赤澤委員「そこができるかどうかです」と呼ぶ)そうです。でも、政策課題になって、これがもう既に三十年ぐらいたっている。言いかえますと、私は随分前に本を出版しておりまして、東京大学出版会の一九九七年で、今回愕然としたのは、私が問題としたことが一つも解決されていない。

 ですから、確かに、把握できなければ、やらない方がいいです。いいんですけれども、それでしたら把握してくださいというのが皆さんへのお願いです。

 やはりそういう形に、世論の方にわかるように説明をしないと、非常に国会の議論というのはわかりにくいと思いますので、そういった意識を、本当に国会から危機感を発するぐらいの意識でやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

赤澤委員 おっしゃることに、私も大分、何というんですか、納得できる部分もあって、ただ、やはり信頼関係という話もさっきからよく出ています。要するに、マニフェストでうたっていなかった消費税を突然やり始めて、取り急ぎ制度設計すれば、給付つき税額控除、いけるんじゃないかというのは、私は本当にこれは拙速じゃないかなという感じを強く持っています。感想としてそれは申し上げておきたいと思います。

 次に、山家先生にお願いをしたいと思います。

 私自身、いただいた資料を見て、やはり一つ問題の部分は、証券投資に消えちゃうからこれは意味がないんだという部分を、むしろ工夫の余地がないかなと。

 というのは、企業が余り課税すると外国に逃げるという懸念もかなり指摘があるので、一つは、労働分配率を高めるための税制上の工夫の余地といったものを考えて、内部留保についても、働いている人に還元されれば、それはむしろ企業価値が高まるというか、その企業へ優秀な人が来たがるというようなこともふえるでしょうし、企業にとっても悪くない、それから働いている人にもハッピーだというような形で、今GNI経済みたいなことを言われていますけれども、外国でもうけたものも含めて還元するような税制の仕組みを工夫する余地で乗り越えていくということは難しいのかというのを一点お伺いしたいと思います。

山家公述人 おっしゃるとおり、労働分配率を高める政策が必要だと思います。そのために必要なことは、例えば、最低賃金を大幅に上げる、民主党さんがかつておっしゃったように、せめて千円にするとか、あるいは非正規労働の規制を強化する。そういうことをやることによって、企業から働く人にお金を払わざるを得ない状況をつくり出すということが必要だと思います。あるいは、利益が多いところからはちゃんと税金を取れば、企業としても、そういうことであれば、税金を払うよりは労働者に払った方がいいという選択も出てきますので、税制でできるのはそれぐらいかなと。もう少しほかの面で労働分配率を高める政策は必要だと思います。

赤澤委員 済みません。質疑時間が終了したので、高橋先生には本当におわびを申し上げますが、後ほど柿澤未途君が一生懸命質問されると思いますので、済みません、お許しください。

 これで終わります。

中野委員長 これにて赤澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 きょうは本当に皆様ありがとうございます。貴重な御意見、それぞれ、なるほどというふうに思った次第でございます。

 そこで、最初に、私の方からは、消費税五%上がるかどうかは全く政治的状況にかかっておるんですが、どうなるかわかりません。わからないけれども、仮にこのまま五%のままになった場合でも、インボイスの話、価格転嫁の話ですね。

 最初に高橋先生にお聞きしたいんですが、私は、中小零細企業の配慮としては簡易課税とか免税点制度とかあるんですが、これだけでは現状でもなかなか本当は厳しいんだろうと思うんですね。こういう消費税の価格転嫁を解消するためには、五%のままでもインボイス制度をよく考え直した方がいいんじゃないかと個人的には思っていまして、要するに、いろいろなイメージがありますけれども、インボイスというのが何かヨーロッパ的で、導入のときにすごく抵抗感があったと聞いておるんですが、実際は、請求書に消費税をちゃんと書いてもらったらいいわけですから、それをきちっとそろえておけば、非常にきちっと簡単に価格転嫁できるんじゃないかというふうに思うんです。

 事務は多少手間のように思えるかもしれないけれども、結局これが中小零細企業のためになるのではないかという気がしておるんですが、まず理論的に高橋先生の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。

高橋(洋)公述人 インボイスの話ですけれども、多分インボイスを導入していない国は日本ぐらいだと思います。ですから、なぜ導入しないのか私にもよくわからない。

 実は、最初に私は、導入するときに公正取引委員会というところにいて価格転嫁の話をずっとしていましたけれども、独禁法の適用除外という形で対応しましたが、やはり筋としてはインボイスを導入しておいた方がいいんじゃないか。

 それで、あと、そもそも消費税は、インボイスを導入することによって相互牽制が働いて脱税がより少なくなるという税金なんですね。今のパターンでしたら、ほとんど法人税と変わらない。私自身も実は消費税の納税者ですけれども、簡易課税は採用していませんけれども、これはただ単にほとんど利益にかけるだけですから、非常に相互牽制が働かないですね。ですから、いわば今の状態というのは、消費税の脱税というのをかなり許す状況にもなっています。

 それで、あと、ゼロ税率という形で非課税の人は、実は、インボイスがないと、消費税が上がると非常に困るんですよね。要するに、相変わらず仕入れだけ上がって利益が下がる、そんな形になっちゃうんですよね。

 ですから、インボイスを入れていない国というのは私はほとんど聞いたことがないし、そもそも、領収書に書いて、レシートに書くこととほとんど変わりないですよね。レシートに書くことによって、実は相互牽制が働いてみんなが脱税しなくなるというのが消費税の理論ですから、これを入れないというのは不思議でしようがないです。

 ですから、これはどんな税率のときでも入っているべきものだと思いまして、消費税の税収がこれで二、三兆は多分上がるような可能性もあると思います、インボイスを入れることで。ですから、今の段階で入っていないということ自体が非常に不思議で、消費税を上げるときに、先ほど不公平の話をしましたけれども、インボイスが入っていない不公平というのはすごく大きいと私は思っております。

竹内委員 そこで、坪井公述人にお伺いしたいんですが、今の先生のお話もありました、確かにいろいろ抵抗感があるかもわからないんですが、消費税が仮に上がらないとした場合、現状五%のままでも、価格転嫁のことを考えると、実は、インボイス、特に請求書方式みたいな形をちょっと使った方がいわゆる損税とか益税とかという問題は解消するんじゃないかと思うんですが、その辺はいかがですか。

坪井公述人 非常に難しいことでございまして、売り掛けの場合には、そういう伝票、詳細の請求書が書けるわけでございますが、店頭でお見えになる、現金でお買い求めいただける方に限って、まけてちょう、こういうような話が多うございまして、そこら辺のところはきちっと、要するに、皆さん方が消費税というものはどういうものだということを再度徹底していただければ御理解がいただけるんじゃないかなと私は思っています。

竹内委員 そうですね、いろいろその辺は知恵をめぐらす必要はあるかもわかりませんね。

 私も、私の知人とかで流通関係の仕事をやっている人は、消費税が一〇%に上がったらもうとてももたない、運転資金がショートしてしまって消費税も払えないというので、もう商売の権利を売却してしまった人もいますけれども、そのぐらい税額アップが非常に中小零細企業の皆さんにとっては大変なことになるというのはよく痛感をいたしております。

 その上で、もう一回、高橋先生にお伺いしたいんですが、先生の方も、名目四%を達成すれば、当面、消費増税は必要ない、こうおっしゃっているわけでありますけれども、名目四%の経済成長の方法、これはどういうふうにお考えですか。

高橋(洋)公述人 実質経済成長と名目経済成長、二つありまして、実質経済成長の話は多少難しい点があるというのは否定できないと思います。ただ、名目経済成長は、これは結構簡単に上がりますね。

 要するに、資料でお配りしましたけれども、世界の国を二〇〇〇年代で全てプロットしますと、百九十カ国あるんですけれども、日本は一番左にあって、マネーが一番少なくて、一番名目成長率が低いという話なんですね。この関係式がかなり正しければ、大体マネーを一〇%ぐらい平均で伸ばしますと、名目経済成長率というのは五か六にはなります、もちろん、プラスマイナス、幅がありますけれども。そのくらいで、比較的簡単な政策ではないでしょうか。

 要するに、技術革新とかいろいろな、そういう側面に着目して実質経済成長率を上げるという手もやらなきゃいけないんですけれども、実は、名目経済成長率を上げるのは、お金を刷れば結構簡単に上がります。

 ですから、これをやるのが一番簡単なやり方であると思いますし、私は小泉政権と安倍政権のときにはこういうことをやって、実は、これを最初にやりますと何が変わるかというと、為替はすぐ変わります。それで、為替が変わった後、実は設備投資もちょっと変わります。それで伸びていきますね。そういうことをやると、為替だけ変えることだけでも円安になりますので、そうすると、そこで法人税収はすぐ上がります。

 日本は、エクセレントカンパニーというところで、海外で活躍している企業というのは非常に厳しい国際競争力の中で頑張っているわけなんですけれども、為替を上げると法人税収はすぐ上がります。ですから、GDPは、為替を一〇%円安にすると〇・五%ぐらい実は上がるということもわかっていますので、そういうのが一番簡単なんじゃないでしょうか。

 要するに、明らかにお金の数が、量が少な過ぎて、ここでお金が少ないということは、実は円が相対的に少なくなるので円高になりますから、物すごく日本経済にはマイナスでありまして、こんなにお金を絞っている国というのは世界でないですね。

竹内委員 そこで、引き続き高橋先生にお伺いするんですが、先ほどのお話でも、それでも十年くらいで財政再建は必要だというふうにおっしゃっていました。

 今後、お金を刷るだけでいいのかどうか、増税の必要性は全くないのか、その辺についてはいかがでしょうか。

高橋(洋)公述人 十年間ぐらいでプライマリー収支は均衡させないとまずいと思います。ですから、そのプライマリー収支の均衡のレベルですね。私は小泉政権と安倍政権のときにやっていましたけれども、二〇〇〇年代のときに、大体二〇一〇年ぐらいまでにプライマリー収支を均衡させるという目標をつくって、それに大体沿っていって、先ほどちょっと言いましたが、プライマリー収支は二十八兆円の赤字から、安倍政権のときまでは大体六兆円までいきまして、その次の年、うまくいけば、プライマリー収支、もう二〇一〇年前までに回復するんじゃないかと思ったくらいでありました。ですから、そのときたまたまリーマン・ショックがあっちゃったんですけれども、そういうくらいの、十年くらいのスパンで回復するというのはそのとおりだと思います。

 それで、もし、これができなかったらどうか。できなかったときには実は経済成長がうまくいっていないときなので、財政再建の場合は、実は、経済成長を優先して、経済再生なくして財政再建は難しいです。これはOECDのいろいろな国の研究でも全部あるんですけれども、経済成長なくして財政再建なんてほとんど無理です。

 ですから、何を目指すべきかというと、先に増税をやって財政再建を考えるというのは、これは実は財政再建至上主義という言い方でして、これはちょっと経済理論からはほとんど間違いでして、財政部門というのも経済の中の一部門なので、はっきり言えば、経済成長すると後からついてきます。

 ですから、そのときに本当に足りないどうのこうのというふうになったら、個別的に、私は増税は否定するものじゃないですけれども、一般的な、一般税収という意味では、経済成長だけ達成すればほとんどはクリアできると思います。そこで、もしできないときには個別政策で増税政策というのは、別に私は否定するものではない。

竹内委員 ちょっと高橋先生ばかり続くんですが、イタリアなんかの場合はプライマリーバランスはほとんど黒字なんですよね。だけれども、国債の評価とか格付は非常に低い。日本も、プライマリーバランスは黒字になったけれども、企業を初めとする経済の潜在成長力は実はこの十年間全然伸びませんでしたということになれば、全くナンセンスだと思うんですね。

 そういう意味では、やはり日本の潜在成長率をどう保っていくのか、あるいは高めていくのか。そういう金融政策だけではなくて、中小企業も含めて、法人の成長力をどうやって高めていくかという工夫が必要なのではないかというふうに思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。

高橋(洋)公述人 今の経済成長の中で、実質経済成長率に属する分野の話だと思います。おっしゃるとおりだと思います。

 ただ、金融政策は何が重要かというと、実は、技術を体化させる設備投資を金融政策で伸ばすことはできます。ですが、どんなに技術があっても、設備投資が体化されなかったりすると、労働生産性とかは高まりません。

 ですから、今のような状況ですと、実質金利が高くて設備投資が抑えられている状況になって、これは実は円高というのと全く同じ現象なんですけれども、お金が少ないことによって実質金利が高くなる、円高になるということは、実は企業の設備投資に非常に悪いですね。ですから、企業の設備投資が悪いと、体化すべき技術があっても活用できないという状況になってしまいます。

 ですから、これは、金融政策だけで全てができると私は申しているんじゃないんですけれども、金融政策というのは、いわゆる設備投資を促したりするために、お化粧の中で土台になるような話なんですね。この土台をきちんとつくった上で、それぞれ個別の、技術革新なりの種をまかなきゃいけないと思います。

 ですから、私は金融政策だけでと言ったことはないんですけれども、金融政策はやった上で、技術革新なりなんなりのいろいろな政策を上にまいていく、そういうようなイメージを持っております。

竹内委員 ありがとうございます。

 加藤先生にちょっと一問だけ。

 ちょっと書かれたものを拝見しておりますと、今回、消費税率を引き上げて財源の確保を試みても、やり方によっては、財政の安定にも社会保障の維持にも結びつかない可能性は十分あるというふうに述べられている部分があったんですが、これはいかなる事態を想定されているんでしょうか。

加藤公述人 先ほどから申し上げているように、税収を確保するというのが第一歩なんです。その確保した税収をどう使っていくかということを真剣に考えていただきたいというつもりで書きました。

 ですから、やはり、私が言うのもおかしいと思うんですが、世論に訴えるときにも、増税をしますと、それは痛みを伴います、だけれども、これをどういうふうに使いますということを御説明してください。そうでないと、やはり、税収を上げたからといって、それが自動的によい目的に、そして日本を活性化する目的に、よい方向に向くように使われるわけではないということを書きました。

竹内委員 はい、わかりました。

 大体時間が参りましたが、最後に感想を一言だけ申し上げますと、私、基本的には歳入庁の発想というのは賛成なんです、個人的には。十六年ぐらい前に、当時、住専問題がありまして、そのときに、旧大蔵省の権力分立という観点から、歳入庁を設置すべきだということを最初にここで言った覚えがありますので、この辺は高橋先生と一緒だなと思っております。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて竹内君の質疑は終了いたしました。

 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 大変お忙しい中、きょうは私どもの公聴会に御出席いただきまして、また、貴重な御意見をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。

 私も順番を、高橋先生の方から質問させていただきたいと思います。

 目的税化の誤りということが指摘をされておりますが、私も、目的税というのは、消費税は目的税ではないと思っておりますから、それなのに、政府は目的税化という言い方をしたり、あるいは福祉目的化というようなわけのわからぬ言い方をしております。

 この目的税というのは、税と、それを何に使うかというのはリンクしているものであって、パッケージになっているものでありますが、そうではないですよね。消費税は、社会保障に全て、四経費に使いますと、一三%程度にしないとつり合いがとれないわけであって、そういう意味では違うと思うんですが、先生はどういう意味で誤りとおっしゃっているんでしょうか。

高橋(洋)公述人 財政には一般原則というのがありまして、ゼネラルファンドというんですが、一般財源が当たり前です。何かの特別な目的のとき以外に、特殊な用途以外は実は一般財源です。ですから、消費税は、世界で見ると、国または地方の一般財源ということになっていると思います。

 ですから、その意味で、社会保障にリンクさせるというのは私にはちょっと理解できないです。社会保障にリンクさせる最も、本当に、目的税をあえて言えといったら、実は社会保険料です。社会保険料は完全にリンクしていて、実はこれは、保険数理で、リンクさせることによって給付と負担が非常にクリアになる、そういう側面があります。

 ですから、保険料という立派な目的税があるにもかかわらず、さらに社会保障に消費税を充てるというのは、私はちょっと理解できないです。これは、税理論及び社会保障理論からも理解できないことであります。

佐々木(憲)委員 山家先生にお伺いします。

 先ほどのお話で、逆進性の問題や転嫁できない実態、あるいは消費を冷やして景気を悪くする、こういう点があるとおっしゃいました。私も全くそのとおりだと思いますし、財源としてなぜ消費税なのかということも大変大きな疑問であります。

 その点でもう一つお聞きしたいのは、景気の問題で、今回の消費税増税だけではなくて、このほかに別の枠として、例えば年金の支給開始年齢を繰り延べて七十歳にするとかそういうことが検討されている、それから負担がふえる、それから給付の減額の計画が実行されていく、こういう点での実質的な負担ですね。それから、窓口負担がふえるという医療の問題もありますし、介護の利用料がふえる、子ども手当が減額になる。つまり、これの負担増というものを我々が計算しますと、大体二十兆になるんですね。

 以前は、九七年のときは九兆円負担増ということで、これは大問題だということでありました。あのときも、その結果、大変な景気の冷え込みがあったんですが、私は、今回これを実行しますと倍以上のマイナス効果になるというふうに考えておりまして、景気に対する今回の社会保障・税一体改革の全体としての影響をどのようにお考えかという点が一つです。

 それから、内部留保のお話がありましたが、二百六十六兆円ぐらい我々の計算では、つまり、我々の計算といいますか政府の統計で、資本剰余金、利益剰余金それから引当金等、合わせてそうなるんですけれども、大体、この三十年ぐらいの間にかなりふえております。八十兆円台が三倍以上になっているということであります。

 この原因と、それから、これをやはり社会に還元するということが私は必要だと思いますが、先ほども少しお触れになりましたが、還元する方法というのが大事かと思います。

 政府は、いやいや、これは設備になったり、いろいろな品物になっているので、現金ではないんだとおっしゃいましたけれども、私は、現金がその中に四十六兆あるというふうに統計上なっていますから、結構還元できるんじゃないかと思っていますが、先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

山家公述人 今の御質問、私は先ほど消費税の影響だけ申しましたけれども、おっしゃるとおり、社会保障関係でいろいろな負担増あるいは給付の減があります。

 それから、佐々木先生おっしゃらなかったけれども、地方自治体が結構負担増政策をとっている。地方税制は国税制以上に自由度がないものですから、財政赤字になりそうだと人々に負担を押しつける。ごみの有料化であるとか国民保険料の引き上げとか、あるいは駐輪場料金の値上げとか、いろいろな格好で各自治体で起こっています。そういうものを全部入れると大変な負担増がこれから起こってくるということになるかと思います。

 ちょっと計算しておりませんので、具体的にどれだけの影響というのは申し上げられませんが、さっき計算しました消費税の負担増がおよそ十兆円ですね、五%引き上げて。地方も合わせると十二・五兆円になります。それで、さっき言いましたように、マイナス成長必至という状況ですから、そこにさらにいろいろな負担増が入ってくるともう大変な状況になってしまうというふうにだけお答えしておきます。

 それから、二番目の内部留保の問題ですけれども、おっしゃるとおり、これは統計の何と何を足すかによって金額は多少違うんですけれども、先ほどお示ししましたように、私がはじいた数字でも、この十数年の間に百兆円以上の内部留保がふえている。

 そして、それがどこに向かっていくか。資産の方を見ますと、設備投資はほとんどふえていないんですね。何せ国内経済が成長しない、需要が伸びない経済ですから、設備投資は減価償却分でもう十分である、新たに設備投資をしても仕方がないという状況に企業は置かれている。だから、余ったお金はみんな証券等に、商売以外のことに向かっている、向かわざるを得ない状況にあるということです。ですから、これは、もちろん子会社の株とかそういうものも入っていますから、すぐ現金化できるものではないんですけれども、かなり流動的な状態で企業が持っている。必要とあらばいつでも現金化はできるというふうに捉えるべきだと思います。

 ただ、残念ながら、政府の方でこれを現金化させる方法はほとんどないだろう。要するに、資本主義で、私有財産、企業の財産ですから、一旦そこにため込まれると、これは富裕税とかそういう格好の、資産に課税する以外にない。その方法は法人に対しては今のところないかなと思いますので、私がとりあえずの今の法制上で考えますのは、とにかく、内部留保を生み出す前の段階、利益が上がった段階でそれにきちんと法人税をかけるということが必要だと思います。

 それ以外に政策的に、それによって内部留保がふえる、無用な内部留保と言ったら怒られますけれども、万一のときに必要なお金ではあるんですけれども、経済活動にほとんど働かないお金をできるだけ、一つは働く人に賃金という格好で還元する。これはさっきの方にお答えしましたように、いろいろな賃上げをせざるを得ないような状況を政策としてつくり出すことは必要かと思います。あと、取引先の中小企業に対してきちんとした対価を払う。もちろん消費税分なんかも含めて払うというふうに取引を改善させる。それから、さらに残ったものについては、きちんと税金でいただいて、それを社会保障なりほかのことに使うという方法があるかと思います。

 以上です。

佐々木(憲)委員 ありがとうございました。

 加藤公述人にお伺いしますけれども、先ほどお配りいただいた資料で、大変おもしろいなと思いましたのは、表三の一と表三の三ですね。自国の税金に対する、収入が少ない人々の認識という点でいうと、高過ぎる、どちらかといえば高過ぎるという比率が日本の場合は非常に大きい。逆進性があるというだけなのか、それとも、もっといろいろな意味でそうなのか。この読み方をどういうふうに考えたらいいか。

 それから次の、収入の高い人々の認識は、税の負担が低過ぎる。これは、もっとかけてほしいということかどうかはわかりませんけれども、ゆとりがあるということだと思うんですね。

 だから、私は、消費税でやるよりも、先生の御意見とはちょっと違うかもしれませんけれども、こういう高い収入の方々には適切な応分の負担をしていただく方がいいのではないかというふうに思うんです。還元される分というのはまた別にありますから、それはそれとして別の話なんですけれども、税の問題に限って言うと、公平な税ということを考えますと、そういうことではないかなと思いますが、どうですか。

加藤公述人 この資料はちょっと説明する時間がなかったので、本当にどうもありがとうございます。

 まず、収入の多い人々の認識なんですが、実は、今回これを改めて見まして、一九九六年も二〇〇六年も、日本はまだ意外ともう少し払う余裕があるということ。私も、先ほどの方は、逆進的な課税であると所得再分配ができないという考え方は必ずしも正しくない、そういう意味で申し上げただけであって、所得税もこれからよく考えて増税していかなければならないと思います。

 ただ、過去、所得税で税収を上げていくのが難しかった、累進性を保つのが難しかったのは、上の方の税率を上げると順番に、皆さんも御存じのように、真ん中の方も上げていかなければならない、そういうような問題であるとか、経済活動、特にインフレが起こった一九七〇年代に所得税制度の限界がわかったということがありますので、そういった点も踏まえて制度をどうつくるかということで、所得税も増税する方がいいのではないかというふうに考えています。ですから、もう少し富裕な層の負担ということは、慎重に、どういう形でやるかを考えながら、行ってもいいというふうに私も思います。

 次に、収入が少ない人々の認識なんですが、ここで、もちろん日本も高いんですが、私、皆さんにやはり注目していただきたかったのは、スウェーデンも高いんです。私はスウェーデンに行って非常に驚いたのは、私も最初は貧しい人にはそんなに税金をかけていないと思っていたんですが、周りの認識が、所得の低い人は本当に税金を払うのは大変だと思っている、大変である。でも、返ってくると思うから払っている。だから、そういうような形に日本も持っていけたらいいのではないか。こちらは、日本の方は、多分、返ってくるものはないけれども高いと思っているのではないかと思います。

 ですから、本当にこの点もまた気をつけなきゃいけないのは、先ほどもお話が出ましたけれども、個人個人の本当の経済状態を知った上で、本当に困窮している人にきちんと再分配をするということなので、そういう制度を含めて、きちんと再分配の制度を考えていただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 坪井参考人、井上参考人、ちょっと時間がなくなってまいりまして、坪井参考人にお伺いします。

 消費税というのは、負担は最終的には消費者がするという仕組みで、しかし納税義務は事業者にある、これが分離されているところに、間接税ですからそうなんですけれども、しかし、転嫁できない場合は事業者がみずから負担するわけで、そういう意味では、名前は間接税だけれども、実態は直接税でありまして、そういうことで、増税ということになりますと非常に深刻な事態になるということだと思うんですね。

 そういう転嫁ができないという状況のもとで引き上げるということについては、私はこれはやるべきではない、消費税増税そのものに我々は反対でありまして、財源は別のところに求めるべきだ、こういう主張をしておりますが、いかがでしょうか。

坪井公述人 先生の言われるとおりでございまして、全く同じ意見でございます。

 よろしくお願いします。

佐々木(憲)委員 最後に、井上公述人に。

 この資料の中で注目をしましたのは、請求書の表面上は消費税の価格転嫁ができたように見えるが、実質的には価格転嫁できていないという製造業の方の声ですね。これが実態だと私は思います。

 ですから、転嫁できていないといっても、それは形の上で転嫁できているということなので、なかなか公取が入ってもそう簡単に摘発できないし、声を上げると仕事がなくなる、こういう関係があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

井上公述人 御指摘のとおりだというふうに思いますけれども、非常に転嫁するということは難しい現状である。

 ただ、考えてみますと、やはり世の中の景気をいかによくするか、それが一番大事な施策ではないのか。そうでないと、結局は、安く安く、デフレということで転嫁ができなくなってしまうわけですから。

 今、日本はもう戦後六十年を超えておるわけでして、高度成長期に建てたいろいろな設備投資されたものがもう寿命に来ているわけですね。そういったものを新しくさせるだとか、いろいろな新しい政策をとっていただくというのがやはり大事だ。そして、景気を刺激していただくということが大事であって、そういう点でもっともっと先生たちに御努力をいただきたい、御尽力をいただきたいというふうに思います。

 よろしくお願いします。

佐々木(憲)委員 どうもありがとうございました。

中野委員長 これにて佐々木君の質疑は終了いたしました。

 次に、斎藤やすのり君。

斎藤(や)委員 きょうはありがとうございました。大変参考になりました。

 この消費税の法案ですけれども、社会保障の改革で財源が必要だから消費税を上げますというのが今回の増税の目的だと思います。しかし、肝心の社会保障政策、後期高齢者医療制度廃止、新年金制度先送り、総合こども園も撤回、これで消費税導入の正当性というのは私は完全に崩れたと感じております。

 先ほど高橋先生が、薄皮がなくなってという話をしました。薄皮だけになっている、あんこの周りに薄皮という話をしていましたけれども、もう今は完全にあんこ玉になっていて、あんこ玉をこれからまんじゅうとして売るんですか、国民に差し出すんですかという話だというふうに思います。もう社会保障という包み紙がとれちゃって、増税だけがむき出しになっている。

 しかも、議員定数の削減はどうなるかわからないわ、低所得者対策は棚上げになっている、これで増税だけ通すというのは、国民は絶対に納得しないはずです。

 井上公述人にお伺いします。

 商工会議所は、消費増税は社会保障制度改革とパッケージであるなら苦渋の選択で了とすると言っておられますけれども、今回は、これはどう見てももう一体となっていない。しかも、価格の転嫁、インボイスの導入などもないわ、名目成長率の達成も前提条件ではない、つまり、デフレ対策は名目成長率が書いていないわけです。そして、逆進性対策は先送りということになっています。

 この状況で、商工会議所として、増税法案だけ成立させることというのは認められるんでしょうか。どうでしょうか。

井上公述人 ともかく、今回の消費税増税の問題ですけれども、これはやはり国民生活、社会の安定化ということで、その安定化後の基盤に立って社会保障政策というのがあるわけでして、その社会保障費の増加のために消費税を上げるということで賛同しているということは事実であるわけでして、それが崩れてくるとやはり問題ということは事実あろうかと思います。

 しかし、やはり今国民が社会保障に信頼ができないというのでは困るわけでして、その仕組みというものをやはりしっかりと政治としてつくり上げていただくということが大事ではないのかなと思うわけです。そこで、やはり安心した社会保障、そのために消費税というものが一部使われるということがあるのかと思っております。

 ひとつよろしくお願いします。

斎藤(や)委員 やはり、仕組みをつくらないで、中身を決めないで消費増税だけつくってしまうというのは、今回の正当性というのは私は大変疑問でございます。

 別の質問です。

 野田総理が、三月十六日に、消費増税で経済が活性化する旨の発言をしております。安住財務大臣も、消費税を上げても消費は冷え込まないというふうに言っております。このお二人、そしてここにおられる民主党の多くの増税賛成派の委員の皆さんが、この主張を支持されております。増税で財政健全化が進み、将来の不安がなくなるので、預貯金が消費に回って景気に好影響を与える、いわゆる非ケインズ効果を訴えておられます。

 坪井理事長、商店街の皆さんの代表としてぜひお伺いしたいんですが、お客さんは消費税増税で将来の不安がなくなるから財布のひもが緩くなる、消費が活性される、そういうことを信じておられるのかということと、三から五に上がったとき前後の消費行動についてお伺いしたいと思います。

坪井公述人 冒頭でお話をさせていただいたわけでございますが、消費税率のアップということは、消費マインドを冷え込ませて、低所得者のさらなる購買意欲を抑制するのではないか、駆け込み需要の後の反動も大きいのではないかと大いに懸念しているということを申し上げた、そのとおりでございます。

斎藤(や)委員 現場では恐らく、非ケインズ効果なんて、そんなのは信じられないよ、どう見たって消費は冷え込むよねというのが現場感であると思います。

 加藤教授にお伺いします。

 過去、世界では星の数ほど増税政策がとられてきたわけですけれども、非ケインズ効果、これが世界であらわれた事例というのはあるんでしょうか。

加藤公述人 まず、大変申しわけありません、私は政治学者ですので、経済学者ではないので、専門の立場から信頼できるお答えはまずできないということ、それは申し上げます。

 御質問の趣旨と少し違いますが、おっしゃっているように、今増税して国民が安心するかというと、日本では安心はしないと思います。これは政治状況を見ても、私は安心するというふうに確実には言えないと思います。

 しかし、私がここで強調したいのは、そうやって、安心できないから増税しないでください、そして、実は、消費税を導入するときにもそういうことで、つまり支出を少し多くすることで導入しているんですね。そういうことを繰り返してきた結果、現在の非常に悪い財政状況なんです。どこかでこの連鎖を断ち切ってください。

 これは政治の役割です。政治学者は、ここは政治で断ち切るしかありませんとしか言えませんので、その知恵や工夫を出していただくのが国会だというふうに私は思いますので、何とかその連鎖を断ち切っていただきたいと思います。

斎藤(や)委員 きょう先生がおっしゃられていた、赤字が膨らんで税収が減ってしまっているというのは、私はそもそも、これは先生の考え方は違うかもしれませんが、デフレを放置してきたこと、これがやはり、税収が減って、放漫財政というのもあったと思いますけれども、そこに私は原因があるのかなというふうに考えております。

 それから、第一生命の経済研究所によりますと、スウェーデン、イタリアが過去この非ケインズ効果があったんじゃないかというふうに言われていることについて、このシンクタンクが定量的な手法を用いて財政赤字と消費の因果関係を調べたところ、明確な因果関係は見られなかった。それから、国会図書館の調査によると、この効果の有無や発生条件については専門家の間の意見が一致しない。つまり、非ケインズ効果はよくわからないということを言っているわけでございます。

 高橋先生に二つお聞きします。

 よく、非ケインズ効果をうたっている方が、国内でも事例があるよと、一九九七年の前回の消費税率引き上げのときの経済動向を例に出しております。九七年の四月から六月は民間消費がマイナスだったが、七月、八月、九月の三カ月はプラスになっている、このことを事例に挙げて、消費税引き上げが景気の足を引っ張ったとは言いがたいと言っています。これについての先生の見解。

 それから、私は、非ケインズ効果の出現の有無というのは、そのときの例えば経済状況とか、特に金利というのが大きくポイントになっているのではないかなと思うんですが、先生の見解をお願いします。

高橋(洋)公述人 経済学者として述べれば、一回こっきりの事例を非常に詳しく分析するのは極めて難しいですね。

 九七年のときを仮に分析するとすれば、日本の中だけを見るんじゃなくて、例えば、日本と韓国との間はどうだったかとかいうのを見なきゃいけないと思います。

 そういうので見ますと、日本の方だけが、本当は韓国でアジア危機というのがあったわけなんですけれども、動きを見てみますと、消費税増税をした日本の方が経済パフォーマンスが悪いですね。ということは、アジア危機の震源地である韓国より悪いということは、実は消費税の増税の効果が、マイナス影響があったと見ざるを得ないと私自身は思っております。

 それと、先ほど、非ケインズ効果の話で意見が違うというのは全くそのとおりでして、唯一、非ケインズ効果の事例を見てみますと、金利が下がっているのはそのとおりです。そこが、下がっているのについて二つの考え方があって、最初、財政赤字のプレミアムが発生していて、それが財政健全化することによってプレミアムが低くなって下がったという話と、一方で、実は、緊縮的な財政をしますから、金融緩和を一方でしているんですね。金融緩和をしていますと、実はそれで金利が下がったという、二つの側面がちょっと混同されて議論になっているんじゃないかなと思います。

 もし前者の話であれば、これは非ケインズ効果というふうに言えると思いますけれども、後者の話であると、これはただ単に金融緩和の効果ということです。

 それで、今の日本の現状で考えますと、先ほどCDSの例を出しましたけれども、日本でプレミアムは発生していません。ですから、実は、これによって非ケインズ効果が生じる可能性というのはまずないと思います。

 それよりかは、金融緩和をすれば、先ほどちょっとお話ししましたけれども、実質金利が高いですから、それは下がる可能性はあると思います。

 ですから、増税をやって非ケインズ効果があるというときに、そのロジックをきちんと見なきゃいけなくて、数少ない例の中ででも、実は、プレミアムが少なくなる例というのは、なくはないと思いますけれども、その状況を考えて、それを非ケインズ効果と言うのであれば、今の日本ではそれは発生しないと思います。

斎藤(や)委員 金融緩和をしないで増税をやってもという話でございました。

 今、多くの国民がデフレで大変苦しんでおります。私の宮城県の最低賃金は六百八十五円です。一日働いても五千円にもなりません。

 年収二百万円未満しかない方が、今、全国で一千万人を超えております。給与所得者が四千五百五十二万人のうちの一千万人、つまり四分の一が年収二百万円未満。財政健全化がどうだとか、将来の社会保障がよくなるから貯蓄を使おうなんという人は実は少ないんです。あすの生活でいっぱいいっぱいです。

 貯金なんてできる余裕のある人も少なくなってきておりまして、貯蓄なし世帯は、九五年には全世帯の八%でしたが、二〇一一年には二九%。たった十六年間で三倍以上に激増しております。安心して消費するなんて言っていますけれども、もう消費する金もないというのが今の家計の事情でございます。

 ここにいる国会議員の皆さんは、やはりもっと庶民の現状をわかった方がいいんじゃないかなというふうに思います。特に、民主党は国民の生活が第一と皆さん言ったわけですから、それで勝たせてもらったわけですから、いかにデフレを脱却して、庶民の給与を上げるか、可処分所得を上げるか、永田町と霞が関のグレートリセットを進めるか、ここに全力を尽くさないで、苦しんでいる庶民の懐から取ろうというのは、私は愚策中の愚策であるというふうに言わざるを得ません。

 加藤公述人に聞きます。

 国際社会から日本の財政に厳しい目が向けられていると述べられましたけれども、どの部分に厳しい目が向けられているのか、これをお願いします。

加藤公述人 そこも、実は、最後のところで時間がなくなりまして、舌足らずで、本当に御質問いただいてありがとうございます。

 今、私が一番危惧しておりますのは、今議論を聞いていても、日本で起こっていることに関しては皆さん非常に真剣に議論していらっしゃるんですけれども、日本の外にもう少し国会の方は目を向けていただきたいと思います。

 といいますのは、日本の中では、確かに、今これだけ厳しい状況になって、私も、増税をすれば社会が大変だろう。そして、全ての課題が今来てしまった。それは、実は、私の著書で書きましたけれども、一九七〇年代の終わりごろに大平内閣で一般消費税を導入するときにも、全ての人たちがこんなことはできないと、それで反対しました。私も、その後、八〇年代以降、研究者の卵としてずっと見てきましたけれども、その時々、皆さん大変だったのはそのとおりなんです。ところが、今この時点になって比べてみると、今が一番大変だ、それをまず思い出していただきたいと思います。

 そして、国際社会の方なんですけれども、私が一番危惧しているのは、実は、これは私たちの認識というのは非常に大切なんですけれども、やはり、日本という国は世界にあります。世界の国から見れば、日本は総課税負担が低い国なので、もちろん、さまざまないい要因があって、日本は初めは財政再建できるというふうに思われてきました。

 ところが、ほかの国から見れば、これだけ低い総課税負担であるにもかかわらず全く改革が進んでいないと、言いかえますと、こんなに余裕があっても何もできない国なんだと思われてしまいますと、どんなに数値がよくても信用が落ちます。その点をやはり皆さんに考えていただきたいと思います。そして、それは国会から国民に伝えていくことだというふうに私は考えています。

斎藤(や)委員 最後に、時間がないので、今のことも含めまして、消費増税のその四つのロジック、日本の財政は火の車である、破綻も近い、ギリシャは対岸の火事ではない、債務残高はGDPの二倍、これを消費増税のためのロジックとして挙げているわけですが、これについて、高橋公述人、お願いします。

高橋(洋)公述人 データを見る限り、そういう兆候はないですね。

 債務残高の話をすれば、過去の歴史から見ても、例えばイギリスなんかですと、債務残高が二・五倍ぐらいになったときもあります。あと、CDSのレートを見ても、フランス、イタリアなんかよりはるかに低くて、日本は百年に一遍デフォルトするようなレベルですから、プレミアムは全く発生しておりません。

 ですから、その観点から見て、日本の財政が大変だ大変だと、特に格付機関なんかの話をして言うのは、ほとんどためにする議論。格付機関も、実はCDSのレートを後追いしているようなレベルですから、その意味では、もうちょっと科学的に日本の財政がどうなのかということをきちんと検証した方がいいと思います。

斎藤(や)委員 ありがとうございました。

中野委員長 これにて斎藤君の質疑は終了いたしました。

 次に、阿部知子さん。

阿部委員 社会民主党の阿部知子です。

 本日は、午前並びに午後と、本当に貴重な御意見を頂戴いたしまして、国会での審議にぜひ役立てていきたいと思います。今、自公民の三党でなさっている協議も、しっかりこういうものを踏まえて結論をお出しになるなら出されたらいいかなと思いながら聞いておりました。

 まず、井上参考人にお願いを申し上げます。

 商工会議所をおまとめのお立場から、いろいろなことはあるけれども、日本の財政の赤字問題はやはり何らかの形で解決をしなければならない、その前段にというか、同時に、社会保障でも無駄の部分もあるだろうから、そこも解決をしていくべきだというふうに御趣旨を承りました。

 私は、実は医者であります。そして、午前中質問された徳田さんという、日本全国六十六の医療の病院を持っている病院の雇われ院長でありました。医療という分野が、実は地域においてはさまざまな産業といいますか、例えばお花屋さんも関係いたします、それから食料品も関係いたします、クリーニングも関係いたします、いろいろな分野に広がりを持っております。私から見れば、今、医療費を、ある意味では無駄の削減は必要だけれども、安易に給付削減をしたりすることは実は非常にマイナスになると思います。

 と申しますのも、人は一たび御健康を崩されますと、それまでと違った不安に襲われます。例えば、七十歳から七十四歳の窓口負担二割というのは、自分が健康なときにイメージすれば可能かもしれないと思うことですが、御病気になってみると、それは続くことであり、そして、収入は限られている。私は、むしろ、日本の医療費、対GDP比で考えますと、まだ八・五%であります。医療は、確かに今三十七兆円と大きなパイを持っておりますが、逆に、この中で基本的に必要な給付はしっかりしていくことによって関連産業も充実してくると思っております。

 この点について、参考人、井上さんの御意見を伺います。

井上公述人 七十歳から七十四歳までの医療費を一割から二割にということでございますけれども、私ももう既に七十五でございまして、これで健康に恵まれておるわけです。しかし、やはり日ごろからそれなりのケアをしているということなわけでして、ケアをすることによってある程度の貯蓄もできる、そういうものを今度はなったときに回すということなわけでして、公平に二〇%負担する、これはもっと下げろというのではなくて、もとへ戻すということですから、大体二千億ぐらいになるということですけれども、そのぐらいのことを、社会保障費の健全化のために、これはぜひともするべきではないかという考え方でおります。

 以上です。

阿部委員 私は、たかが二千億のために失う、その波及効果が大き過ぎると思います。人は誰も望んで病気になるわけではない。だけれども、そうなったときも安心だということが、この国の社会保障を実は夢のあるものにするわけです。

 先ほど来お話しの非ケインズ効果なるものも、そういう安心感がなければ全然出てこない、これは私が四十年近く医者をやった実感であります。いろいろなお立場で前向きに考えてくださっていることをありがたく思いながら、しかし、医療の自己負担というのは、本当は日本は高いくらいであります。保険料の部分と、なったときの自己負担は違いますので、ここは、私はぜひ国全体としてはもっと軽減していただきたいなと思っておりますことをお伝え申し上げます。

 次に、坪井参考人にお伺いいたします。

 ああ、さすがお花屋さんだなと思いました。夢を売っていらっしゃるというか、温かみがあると。加藤登紀子さんの歌に百万本のバラがとあるでしょう。あれは、貧しい絵描きが百万本バラを買おうにも、今のような経済状況で消費税も加味したらとても買えないなと思うほど、私は今の庶民の可処分所得は本当に厳しいんだと思うんです。実際の消費者と面と向き合う商店街の皆さんが、実は一番そのことを知っておられると思うんです。

 このごろ変な事件が多いです。三十代の若者が突如、人を刺し殺してしまったり。そして、そういう若者とのコミュニケーションのためにも商店というのは物すごく大事なわけです。敷居を高くせずして、その方たちが本当にちょっとした買い物ができるような仕組みが、実はこの国を優しくもするし、温かくもすると思います。

 その観点から、先ほど来伺いましたが、私は、今は消費増税の時期じゃない、とにかく寒過ぎる、お財布は空、大変だと思いますが、現時点での消費増税はどうでしょうか。

坪井公述人 やっと私が発言できるような御質問をいただきまして、ありがとうございます。

 商店街を取り巻く環境というのは非常に厳しゅうございまして、私はよく言っているんですが、商店街はただ単に物を売る場ではないですよ、やはりコミュニティーの担い手であるということで、地域の安心、安全は我々が担っているんだということを絶えず申し上げているわけでございます。

 商店街というのは、言うならば、要するに植物だ。大型店の悪口を言うわけでもないんですが、郊外に無秩序なお店をお出しになられて、出すときには、税収の大幅な確保ができるとか、それから人員の就職を確保できるとかといういいお話を多々していただくわけでございますが、我々商店街というのは、やはり地元に根を張った、そこが景気がいいとか悪いというのではなくして、無論、衣食住もやりますが、本当に皆さんの安心、安全を担っていただけるという意味合いにおいては大変必要なところであるということだと思います。

 先ほどもお話しした三・一一のお話ではないんですが、一番皆さんが喜ばれた、特に家族は無論でございますが、家族以外で、商店街の商いのともしびが光っていたというだけで心が温まったというようなお話もございます。

 それは、どういうふうにお考えになってみえるかわかりませんけれども、先生のところの医療の方の関係も私は少な過ぎるなというふうには思っているわけでございますが、商店街は地域が一生懸命やっているわけでございますから、国、皆さん方、先生方もそれなりに少しお力をかしていただければ非常にありがたいなというふうに思うんですが、全てカット、カット、基金もカット。この間の、経済産業省の方の関係で、中心市街地の活性化の基金も、二十九億でしたか、それもカットだとかいう、何か弱い者いじめをしているんじゃないかな。

 それで、税金を、消費税を集めるようにといったら、最先端で私どもが集めておいて、お客様に、よろしくお願いします、よろしくお願いしますといって、これは税金でございますから、お預かり物でございますから、ぜひとも払ってくださいなんて嫌なことを言いながら、それでまけておけ、こういうような話で、そうすると、自分のところの身銭を切るというようなことでございますから、そこら辺のところは、ひとつこぞって商店街を御支援いただければ非常にありがたいなというふうには思っています。

 よろしくお願いします。

阿部委員 それこそ消費増税の前にやるべきことがあるというのは、商店街の活性化も含めてだと。コミュニティーのきずなの再生をもう一度しないとということがあの東日本の大震災でわかったことでありますから、私も今の御意見と同じであります。

 加藤先生に伺います。

 きょういただきました資料の中で、消費増税を一九七〇年代前後で取り入れたところと、あと、おくれましてニュージーランドのように取り入れたところで、いろいろ違いがあるだろうというお話でありました。私は、この表を見ながら、もう一つの特徴として、実は、デンマークとニュージーランドは社会保険料負担がほとんどない、すなわち、社会保障は税と強くリンクしているところであります。

 今我が国では、非正規雇用がふえて、社会保険料負担から、担えなくて排除されている人がたくさん出ております。これこそ私は政治のテーマだと思うんです。改革をしていくにしても、ここに手をつけないと、インクルーシブ、一緒に生きていく社会にしないと私は税制の形が見えてこないと思いますが、加藤先生は、そもそも今回の増税に賛成であられるか、それとも、今何が必要とお考えで反対であられるのか。今やらないともっとおくれちゃうという御意見も伺いました。でも、私もこれは、例えばもうちょっと、本当に、三人に一人が非正規雇用で、一千万人が年収が二百万円以下なんて言われて、どこからお金が出るだろうと思うわけです。御意見をお願いします。

加藤公述人 現在の状況が非常に厳しいということを御説明いただいて、本当にそれはそのとおりだと思います。これは、また私も皆さんに申し上げるのが非常に苦しい。しかし、私は研究者として今まで租税をめぐる政治をやっていながら、本当に、先ほども申し上げましたように、ここまで日本が来るとは思っていなかったということで、あえて申し上げます。

 今こんなところで増税ができないと、真剣に国民が思っているのと同じように、一般消費税のときも、売上税のときも思いました。今振り返ってみて、では、今の状況とその状況とどちらがいいでしょうと言ったときに、皆さん、お答えはおわかりだと思います。

 この後よくなれば私もそれは何よりだと思うんですが、その可能性は非常に低いです。私の本の主張というのは、増税のチャンスというのは、増税していいタイミングというのは高度経済成長期のようなそういう状態ですね。そのときなら増税というのがかなり。そして、そのときに税収をふやした国というのが、総課税の負担の高い、上の方の国になっているわけです。日本はそのタイミングを逸して、そしてそのたびに大変になった。

 そうすると、これを延ばして、将来、今よりよくなるかというと、私としては大変苦しいんですが、よくなるという可能性は非常に低いのではないかと思います。

阿部委員 私はよくなると思っているんですね。それは、私は日銀がお金を刷ること以外にもあると思っているんです。

 高橋参考人に最後に伺いますが、今、電力システム改革、日本は原発事故の後、電力不足があるんじゃないかとみんな不安です。でも、世界は、再生可能エネルギーに向けて、物すごい勢いで、怒濤のように動きを見せています。

 私は、今こそ日本はそのチャンスだと思います。これは十年前に逃したチャンスであります。きちんとシステム改革をして、それは発送電の分離です。東電の値上げを唯々諾々と受け入れさせる国にしてはいけないんだと思いますが、御意見があればお願いします。

高橋(洋)公述人 電力のお話なんですけれども、私はもともと自由化論者であって、公正取引委員会のときもそれを担当していました。

 今回、例えば東電がこういう形になったら、これを法的整理すると自動的に発送電分離はできますね。それをしなかったというのが非常に不思議です。要するに、政策的に発送電分離というのはできますし、今回のような状況になったら、これは例えば法的整理すれば自動的にできる話ですから。

 発送電分離すると、北欧の例、ほかの国の例もあるんですけれども、実は、送電部門はある程度公的な関与があるんですけれども、発電部門は完全に競争になりますね。要するに、どこから電気を買ってもいいわけです。

 そういうときに、普通考えると、原子力というのは、維持コストを考えると、物すごく、べらぼうに金がかかるんですね、保険を掛けるにもすごくお金がかかるし。ですから、そうすると、おのずと市場原理で、発送電分離すると、脱原発というか、そういうのに自然に行くというふうに思いますし、今回いいチャンスなのになぜやらなかったか不思議でしようがありません。

 ですから、こういうふうに自由化というのは非常にいいメリットがあって、北欧なんかにも非常にいい例があるのに、今回たまたま、不幸だったですけれども、こういう事故があったわけですね。こういうのを、災い転じて福となすというような形を、政策をしないということは、私にはちょっと理解できないところでした。

阿部委員 山家先生には共感を強くいたします。質問時間がなくて済みません。

 ありがとうございます。

中野委員長 これにて阿部さんの質疑は終了いたしました。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 五人の皆さん、本当にお疲れさまでございました。特に高橋公述人は、我が党の推薦でお見えをいただいたわけですけれども、大学の講義を休講にしてお見えになられたということで、大変恐縮をいたしております。

 まず、井上公述人、また坪井公述人、お二人にお伺いをしたいと思います。

 消費税が導入された当初は、内税、外税、選べたわけです。たしか平成十六年に総額表示方式が義務化されて、全て内税になった。このことが消費税の負担を消費者にお願いすることがとても難しくなった要因になっているんではないかと思うんです。

 私も地元で商店街連合会の皆さんとお話をします。外税に戻してくれないか、こういう話をいただきます。

 実際、物の値段があって、そこに税率を掛けて幾らですと出せば、その分は税金だということがわかってもらえる。しかし、一体だと、これは価格そのものですから、税率アップのときにその分上げるということは非常にしにくくなるんだと。しかも、今回、二段階ですから。八%に上げて、全部の商品の値段を変えて、またすぐ一〇%、こういうことになる。これから消費税の税率がさらに上がることを今の政府の首脳は示唆しておられるわけですので、システムの変更を毎回毎回しなきゃいけなくなるということにもなる。そういう意味では、もとの外税方式に戻してもらったら、その方がいいんじゃないか、こういう話をいただきます。

 その点、経済の現場に携わっておられるお二人に御見解をお伺いしたいと思います。

井上公述人 外税か内税かという問題ですけれども、これは非常に難しいと思うんですよね。

 我々、BツーBの取引においては、外税で取引が実際的には行われておるわけです。実際の価格交渉というのはトータルで交渉されて、それで、分離されている、税金は幾らというふうに表示されているということであるわけです。

 一方、BツーCの取引については、これは非常に難しい問題を抱えているんではないかというふうに思います。

 食料品など、夕方になるとどんどんと値引きをしていきますよね、売れ残りをなくすために。そのときに、外税方式にしていると、そのたびに全てを変えていかなきゃならない。これも一つの大きな問題であるわけでして、そういう問題をいかに乗り越えられるかということであろうかと思います。

 ともかく、取引間の力関係というのもありますし、そうでない問題も。そういうことから考えると、もう一度もとへ戻すということが果たしてプラスであるかどうか、それが本当に価格転嫁できるかどうかということには、私としては、甚だ疑問を持っております。

 以上です。

坪井公述人 もう商店街をよく御存じの先生でいらっしゃいますし、よくわかっていただけるなというふうに思うわけでございますが。

 実は、私どもも、非常にそれでけんけんごうごうの論を張ったことがございます。

 要するに、私は先生と一緒でございまして、外税できちっといただいた方が当然ながらいいというふうに思って皆さんに御提案をさせていただいたわけでございますが、やはり業種、業態というのが全く商店街さまざまでございまして、八百屋さんが、大根一本が百円で百十円というようなことはなかなか書けるものじゃない、百十円で価格を決めておいた方がいいというようなお話などもございましたし、そんなようなことで、結果、どちらでもええわというような話になったというのが現状でございます。

柿澤委員 今度は、高橋公述人にお伺いをして、また、井上そして坪井両公述人にも御見解をお伺いしたいと思います。

 それは何か。インボイスのことです。

 徴税の不公平の結果として、さまざまな取れていない税収があるじゃないか、ここに手当てをすることが一律の増税をする前に手をつけなければいけないことである、これはやはり、そうなんじゃないかと思うんです。

 そういう意味でいうと、先進国で普通にやっているインボイスによる消費税、これが日本ではできていない。その結果、三兆円かどうかはわかりませんけれども、そうした徴税の不公平が生じている。ここの部分、やはり今回の議論の、本来、一つの焦点であるべきではなかったかと思います。しかし、今回の議論で、ほとんどここの部分に議論が及んでいない。なぜなのかなと思います。

 その点、高橋公述人はどう思っていらっしゃるか。そして、お二方は、どちらかというと、それをやられたらかなわないよ、こういう立場かもしれません。ぜひ御見解をお伺いしたいと思います。消費税の税率がアップするのと比べて、このインボイスの負担というのをどう捉えておられるか。お願いします。

高橋(洋)公述人 私の知る限りでも、インボイスが入っていない国というのはほとんどなくて、インボイスというのは非常に簡単に導入できる制度だと思います。ただ、日本では、たまたま、消費税を最初に入れたときに、これを政治的なあれで外したというふうに私は理解しております。

 これがないゆえに、実は、非課税取引の人なんかは、税率が上がると非常に困るんですね。要するに、仕入れだけがすごく上がって。これは、医療業界とかそういうものが多分典型だと思うんですけれども。ですから、公平さをやるためにも、それと、先ほどちょっと申し上げましたけれども、インボイスがあることによって相互牽制が働いて非常に税金の効率もよくなるという観点からも、おかしいと思います。

 それから、先ほど三兆円と言ったのは、GDPが大体五百兆円ぐらいあって、普通に、消費というのが三百兆円ぐらいということで考えたら、五%程度でしたら十五兆円ぐらいあって不思議じゃないんですけれども、それが十二兆円ぐらいですから、大体二、三兆というふうな話をちょっと申し上げました。

 ですから、これは非常に簡単な話ですし、やってすぐできる話なので、税金を上げる前に不公平をなくす、特に、消費税の一番いいところ、相互牽制が働くいいところという意味では、私は必須だと思っております。

坪井公述人 先ほども先生にお話ししたとおりでございますが、商店街というのは多種多様で業種、業態が違うものでございますから、それを、外税か内税かということをきちっと決めろというようなことになると、大変難しいんじゃないかなというふうに思っておるわけでございます。

 そんなようなことでよろしゅうございますか。

井上公述人 インボイスの問題ですけれども、零細企業者にとっては帳簿づけが限度なわけですよね。そこにもう一つ、インボイスで細かく伝票を集めて、それをもとにしてということが事務を非常に複雑にするといいますか手間がかかる、それだけのことをさばくことができないというのが一つあります。

 もう一つは、百万を超える農家を含む五百万の中小零細企業、免税事業者、これはインボイスを発行できない。どれだけ消費税が中に入っているということが書けないわけですから。そうすると、今度、そういう業者が廃業に追い込まれる可能性だって出てくるのではないか。

 非常に問題があるということを申し上げたいと思います。

 以上です。

柿澤委員 まあ、この問題は問題がある、五%から一〇%は仕方がないというのは、どうも逆立ちした議論のような気がして今もなりません。

 次に、加藤公述人に一問お伺いをいたしたいと思います。

 待ったなしであるということを何度も繰り返されておられました。そして、あのときもあのときも先送りをして今ここまで来てしまった、国際社会を見てほしい、こういうお話でありました。しかし、国際社会における日本の見られ方というのは、本当にそういう状況なんでしょうか。

 私は何度か予算委員会で当時の野田財務大臣にもお尋ねをさせていただいたんですけれども、そもそも、日本の財政が破綻を来す寸前であって大変危険な状態である、増税をしなければいけない、こういう状況であるとするならば、間もなく紙くずになる可能性のある円という通貨を世界の投資家がこぞって買っているというこの事実は一体いかなることなのか。生命の次に大切な財産というかお金を投じて日本の円を買っているわけですよね、どんどん円高になっているわけですから。このことをどのように説明されるのか。私は、満足のできる回答をいただいたことがないんです。

 その点をどうお考えになられているのか、ぜひお尋ねをさせていただきたいと思います。

加藤公述人 大変よい質問をありがとうございました。

 非常にわかりにくい状況で、確かに今、円高であるし、何か、日本がそれほど危機的な状況にならないように見える。しかし、それはなぜかというと、ほかの国の方で危機が起こっている、そちらに目が向いているだけであって、ですから、これは、どちらかというと、だから大丈夫だというのではなくて、日本にとって時間が残されたので、非常に幸運だと思って改革を進めていただく、そういう時間なんだというふうに思っています。

 御意見の違う方はいらっしゃると思いますけれども、私の実感としては、日本がこれほど幸運な国であったかと思っています。今まで何も起こらなかったのは非常に幸運で、ここまで幸運であるのにこれ以上改革が進まないということであれば、本当に難しい状況になるのではないか、それを考えていただきたいと思います。

 それと、もう一つは、海外の報道を直接見ていくと、明らかに日本に対する目は厳しくなっています。その点を、やはり国会の場で真剣に考えていただきたいと思います。

柿澤委員 残りの時間で、これに対する高橋公述人の見解をお伺いしたいと思います。

高橋(洋)公述人 私は、データだけで申し上げます。

 先ほど、CDSのレートが一だと申しました。仮にこれが三年から五年以内で破綻する、要するに、破綻するというときには、いつか、何年かと言ってくれないと議論がなかなかできないんですけれども、仮に、すごく切迫しているんだったら三年から五年で破綻するということでしたら、それで実は矛盾が起きるということを言いたいと思います。

 実は、私は、もともと数学なので、ちょっと変わった証明法の、背理法というので説明したいと思います。

 三年でもいいんです、破綻するときには。今の日本の国債、仮に一千兆としましょう。三年であったら、それをカバーする保険の保険料というのは、三年間で大体三十兆円です。私、特別会計だとかいろいろなところからかき集めてきて、三十兆円ぐらいだったら実は工面できます。その三十兆円で保険に入ったらどうなるか。三年以内に破綻したら、三十兆円払うことによって一千兆がパアになります。実は、非常に不思議な話なんですけれども、三十兆円掛けることによって財政再建ができてしまう、そういう話になりますね。これはおかしいですね。要するに、なぜおかしいかというと、こんな都合のいい話がないということなんです。

 ですから、そういう意味で、今の持っているデータで考える限り、実は、すぐ破綻はしません。要するに、百年で一遍ぐらいしか破綻しないというデータですから。これが本当に三年なり五年で破綻するというのであれば、この取引をやらなきゃまずいですね。この取引をやれば、たちどころに日本の借金がパアになりますというぐらいな話です。

 これは、だから、今のレートで、日本が買っているのがわからないように、ひそやかに買えば実は可能ですね。マーケットインパクトとなって途中でばれちゃって、ちょっとレートは高くなるかもしれませんけれども、それでも、今の状況であれば、多分三十兆から五十兆円で日本の借金はパアに、チャラにできるというぐらいな話です。

 私は、意見とかそういうのじゃなくて、ただ単にデータに基づいてしゃべっているだけなんですけれども、本当にこのぐらい切迫しているんでしたら、こういう手もあるということを御紹介しておきます。

 実は、この手がうまくいかないので切迫していない、切迫しているということが誤りだということが証明できるんじゃないかなと思っております。

柿澤委員 円相場のレートは数字の問題です。海外のメディアの論評というのは、それはそれであるんだというふうにも思いますけれども、これは、ある種、論評の世界です。

 そういう意味で、私は、やはり、先ほど高橋公述人がおっしゃったように、数字を見て、冷静な、そしてバイアスのかかっていない判断をすべきなんじゃないか、こういう立場で議論に臨んでいる、このことを申し上げて、御質問は終わりにさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

中野委員長 これにて柿澤君の質疑は終了いたしました。

 次に、中島正純君。

中島(正)委員 国民新党の中島正純でございます。

 きょうは、公述人の皆様、貴重な御意見をありがとうございました。

 早速御質問に入らせていただきたいと思います。

 まずは、加藤公述人とそれから井上公述人に、増税を行うための政治的環境についてお伺いしたいと思います。

 加藤公述人の方から、先ほど、大平政権のときの一般消費税の議論が沸き起こったときに、国民から、こんな大変なときに無理ですよという国民の声が沸き上がったというふうにおっしゃっていました。さらに、中曽根政権のときには売上税ということで、そして細川政権のときには国民福祉税という、このような事例を踏まえて、今回の一体改革の進め方や政治的環境、そして経済的環境について、どのような感想をお持ちでしょうか。お願いいたします。

加藤公述人 先ほども御意見が違う方がいらっしゃいましたが、私は、経済環境は非常に厳しいと思います。

 政治環境に関しましては、これは、ある意味では、ここから脱却する機会が与えられているのではないかというふうに考えています。

 その理由としましては、ちょっと国会で申し上げるのは皆さん当事者なのではばかられるところもありますが、政権を担う政党が複数になったこと、これは非常に大きな変化であると思います。つまり、自分が政権を担当したときに、当事者としてそこで、政権で何かしなければならないという立場に複数の政党が立った。言いかえますと、だからマニフェスト違反問題も出てきていると私は思います。それは、私は、やはり政策の問題を実質的に話し合う、そういう機会であると思います。

 そして、先ほど申し上げました、経済環境が厳しいということは、今までは不信感があり、自分は増税をやりたい、自分は所得再分配をやりたい、自分は所得税の増税をやりたい、自分は歳出削減をやりたい、どっちが先かで優先順位を争ってきたところを、非常に危機的な環境だとこれはもう全部やらない。

 はっきり言うと、順番、タイミングとかいうのは少し考えることはできるかもしれませんが、短期間に全てやらなければならないという環境になったこと、これは、話し合って合意に達せられるよい政治環境になったことであると思います。

井上公述人 今の経済環境、これをどういうふうにするのか、これは政治の役目だというふうに思うんです。十年先、二十年先を見て、日本をどうしていくのか。今だけの問題を見ていて、これをどう乗り越えればいい、どうのこうのということではない。やはり、将来どうするのかということに立つならば、現状のままでいいはずはないのではないのかな。これだけ赤字財政になってしまっておるわけですから、それをどういうふうにして処置していくのかということを考えると、やらざるを得ないことは、ある程度早急に進めていく必要もあろうかと。

 そして同時に、国民の安心した日本、社会、それをいかに構築するかということによって経済の発展もある。企業も、投資をしたくても、先行きの見通しが立たないから何も投資ができない。我々の企業にも随分引き合いがたくさん来ます、最近は。しかし、先行きが全然見えないから注文を出すのはちょっと待っておくよという声ばかりです。これを早く解決するということが大事なのであって、そういう点で、政治が主導権を握って次の時代に進んでもらいたいというふうに思います。

 行政改革、当然のことだ。やはり、それによって捻出してくる資金というものをどういうふうに次に回していくかということも大事なわけでして、ぜひともそういう点でもよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 それでは、次に、皆様全員にお伺いしたいと思います。

 今、消費税を上げる前に政府の歳出の無駄を削減すべきという意見が非常に大きな課題となっております。これについて、どのようにお考えであるのか。議員定数の削減、社会保障以外の歳出改革、特別会計改革、そして公務員給与の削減などの施策について、どれが不十分で、どれが十分に果たされているのか、お考えをお願いいたします。

高橋(洋)公述人 今、何個か言われたと思うんですけれども、全部覚えていないんですが、金目の話だけでいくと、多分特別会計が一番お金が出てきます。これは今でも二十兆やそこらは出てきますね。ですから、それを搾り出すというのが、シロアリさんへのミルクを断つという意味では絶対必要ですね。

 それと、公務員給料の方の話というのは、これはそれほど大きな数字は出てこないですね。それでも、確かに、私は公務員だったのですが、官民で比較すると、公務員の給料の計算というものが民間の一部のところだけをとっていますから、それはちょっとおかしいので、そこは直した方がいいと思うのです。それはお金の面という話じゃなくて、ただ単に仕組みがちょっと違って官民でバランスが悪いという意味で直した方がいいと思います。

 あと、議員定数の話は、これはもう、姿勢ですね。これをやったところで、議員歳費の話は大したことはないです。ただし、国民の感情として見ると、何でという感じなんでしょう。ですから、これは経済的な話よりかは政治姿勢の話ではないかなというふうに思います。

 それと、公務員給与の話というのは、全体で五兆円ぐらいの話ですから、地方公務員まで含めると結構大きな数字にはなると思いますけれども、ですから算式が官民で違うので、これは今の消費税と関係なく、いつもやるべき話ではないかなと私は実は思っております。

山家公述人 無駄の話ですが、大綱などに書いてある国家公務員の給料、人件費の削減、それから国会議員定数の削減、ともにやるべきではないことだと私は思っています。これは無駄ではないと思います。

 まず、国家公務員の給料については、労働基本権が保障されていない人々に対してちゃんと人事院勧告という制度があって、民間給与を見ながら決めるという方式になっていますから、その見直し方式自体を見直すんだったらまた別ですけれども、そういうルールに従って行っていることを突然切り下げるというのは大変な問題だと思います。

 それから、国会議員定数につきましては、国会議員というのは別に歳費をもらうためにここにいらっしゃるわけではないので、国民の声を国政に反映させるためにいらっしゃる。そういう点では、日本の国会議員というのは非常に少ない。ヨーロッパ諸国は大体十万人前後で一人の国会議員を選んでいる。日本は、計算しますと十七万人で一人ですから、それだけ少ない。倍であってもおかしくないと思います。それをさらに削るということは、要するに、国民の声がより届かなくなる、少数政党の声が届かなくなることですから、やるべきではないことだと思います。

 では、何をやるべきか。さっきお話ししましたように、私は、防衛費というか軍事費が非常な無駄だ、本当にああいう軍備が要るのかどうか、きちんと考え直す、あるいは、理想からいったらない方がいいわけですから、その方向に向かって何か努力はできないかということで見直すべきだと思います。

 それから、公共事業関係も、民主党の政権発足当初は随分大なたを振るわれて、あれもやめる、これもやめると。それを今、あれも復活、これも復活。本当に要るのかどうか、疑問のものがいっぱいあります。

 小さいものを言い出すといろいろありますね。官房機密費なんかも、いまだに何に使っているかわからないし、要るかどうかもわからない。そういうものも含めると結構あると思いますから、まず大型のものから、きちんと議論されて削減していくということが必要だろうと思っています。

 以上です。

加藤公述人 今の御質問ですと、歳出削減を行うのに実質的効果を上げるという側面と増税を説得する側面がありまして、私にとっては、これは別の問題ではないかと思います。

 実質的な歳出削減となりますと、非常に日本は今経済状態も悪いですし、社会も疲弊していますので、例えば、それぞれの社会保障の専門家である方たちが少しずつ、どうやってどこに重点的に資金を回していくかというようなことを考えていかなければならない、そういうような分野だと思います。

 象徴的な方ですと、確かに、やはり国会の方が国民に対して、どんなに額が少なくても何らかの削減をするという姿勢を自分たちの方で示せば、これは非常に説得力が増すと思います。だから、私としては、これをやるといいということを私が考えるのではなくて、象徴的なことでもいいからやって、国民を説得しようということを国会議員の方で考えていただきたい、そういうふうに思っております。

坪井公述人 私は、経済の活性化だというふうに思っています。経済の活性化、要するに、上がれば当然ながら四、五〇%は解決できるところが多々あるのではないかなというふうに思っています。

 議員定数削減については、経済がよくなればそれはということでは決してないわけでございます。

 そういうことで、やはり、最優先に経済を立て直していただく、これをぜひとも先生方にお願いを申し上げたいと存じます。

井上公述人 今お話が出ていました経済の活性化といいますか、企業の活性、企業のためにいかに政策を講じていただくかということが大事なわけだと思うんです。

 ともかく、中小企業、二千八百万の人員を抱えて、雇用を抱えているわけでして、それをいかに活力を持たせるかということに対しては、中小企業対策などというのはなっていないと申し上げたいと思うんですね。企業の活力のために持たれている予算、たった八百九十六億。一体、こんな数字で中小企業をよくできるか、活力を持たせることができるかということがもっと問題だと思うわけです。

 財政の配分の仕方、それも大いに考えていただきたいし、と同時に、先ほど申された議員定数の問題、これも、大した金額ではないんですけれども、みずから身をもって示すということには必要なことであろうと。

 ただ、一方、地方公務員は二十一兆円の予算を使っておるわけですから、これも非常に高額の予算を使っている。国家公務員はたった五兆何千億ですからね。そういう点ももう少し考えて、やはり予算の使い方をもっともっと検討していただく必要があろうかと思います。

 以上です。

中島(正)委員 ありがとうございます。

 微妙な時間になってまいりましたので、最後に、加藤公述人から一言でまとめていただきたいなと思うんです。

 消費税を引き上げて社会保障の安定財源を確保することは、将来不安から貯蓄する人に消費を促す効果もあり、経済活性化にも資すると考えられますけれども、御見解をお伺いいたします。

加藤公述人 増税を行うときに、短期的な効果と長期的な効果というものがありまして、その点に関しましては、短期的効果の推計というのは私の専門ではありませんので、ちょっとこれはお答えできない。そして、経済学者の中でも意見が分かれる。そして、少なくともそういうようなシミュレーションというのは何らかの前提を置いてやるので、それによって結果も違ってくるということ。そこまでは私は申し上げることができます。

 ですから、これをやって確実に大丈夫であるとか確実にだめであるということは、例えば、数字を出して確率のような形で経済学者の方が考える、あるいはそういう可能性のデータを出すことはできますけれども、確実にこうなるということはないというふうに思います。

中島(正)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

中野委員長 これにて中島君の質疑は終了いたしました。

 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、公述人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 以上をもちまして公聴会は終了いたしました。

 次回は、明十四日木曜日午後零時四十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十九分散会


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