衆議院

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第3号 平成25年11月21日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 森  英介君

   理事 塩崎 恭久君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 鈴木 淳司君 理事 宮下 一郎君

   理事 山際大志郎君 理事 中川 正春君

   理事 足立 康史君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      うえの賢一郎君    大島 理森君

      川田  隆君    菅家 一郎君

      菅野さちこ君    北村 茂男君

      熊田 裕通君    佐々木 紀君

      齋藤  健君    白石  徹君

      新谷 正義君    中村 裕之君

      丹羽 秀樹君    額賀福志郎君

      細田 健一君    細田 博之君

      宮澤 博行君    簗  和生君

      渡辺 孝一君    荒井  聰君

      生方 幸夫君    辻元 清美君

      馬淵 澄夫君    小熊 慎司君

      木下 智彦君    西田  譲君

      中野 洋昌君    椎名  毅君

      笠井  亮君    村上 史好君

    …………………………………

   復興副大臣        浜田 昌良君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長)

   (原子力規制庁原子力地域安全総括官)       黒木 慶英君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 種谷 良二君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     伊藤  仁君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 上村  進君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       新村 和哉君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁汚染水特別対策監)       糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 三好 信俊君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   森本 英香君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  櫻田 道夫君

   政府参考人

   (原子力規制庁審議官)  山本 哲也君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      仲川 勝裕君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十一日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     穴見 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     大久保三代君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

森委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長黒木慶英君、警察庁長官官房審議官種谷良二君、復興庁統括官伊藤仁君、総務省大臣官房審議官上村進君、文部科学省スポーツ・青少年局長久保公人君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長新村和哉君、資源エネルギー庁汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、環境省大臣官房審議官三好信俊君、環境省水・大気環境局長小林正明君、原子力規制庁次長森本英香君、原子力規制庁審議官櫻田道夫君、原子力規制庁審議官山本哲也君及び原子力規制庁原子力地域安全総括官黒木慶英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

森委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。簗和生君。

簗委員 自由民主党の簗和生でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭に、原子力規制委員会、そして規制庁の皆さん、田中委員長を初め皆さんに、心から私は敬意を表したいというふうに思います。平成二十四年九月の発足以来、多くの分野で重責を担われているということについて、本当に心から私は敬意を表したいと思います。

 福島第一原発の事故対応、それから発電用原子炉に係る新規制基準の策定と適合審査、原子力発電所敷地内の破砕帯調査、それから地域の防災計画の策定の支援等、原子力災害対策、そして、原発事故によって避難を余儀なくされている方々への帰還に向けた各種の安全、安心対策といった形で、多くの分野で本当に御労苦があるかと思います。

 きょうは、まず冒頭に、当委員会の役割と、それから、この委員会と原子力規制委員会、規制庁との関係について、認識を改めて深めてみたいというふうに思っております。

 この委員会の目的は、政府の原子力規制当局の活動というものを監視して、説明等を聴取していくということであります。我々に求められている役割は、原子力規制委員会が適切に機能しているかどうかというものを常時確認して、そして必要に応じて改善を求めていくということだと認識をしています。

 私も、当委員会の一員として、我が国が今直面している原子力をめぐる大きな課題、これの解決に向けて、そして、今後の我が国の原子力の政策、この大きな、大局的なところから国会としてしっかりとした議論を行って、その職責を全うしていきたいと思っております。

 本日お話をお伺いする田中委員長におかれましても、引き続き、原子力規制当局のトップとしてその職責を担っていただいて、絶えず組織の改善等を図ることも含めて、各種の取り組みを鋭意進めていただきたい、そのようにお願いを申し上げる次第でございます。

 その中で、特に私が田中委員長に求めたいこと、それは、その取り組みというものをしっかりと報告していただきたいということであります。

 しっかりとというのはどういうことかといいますと、例えば、これは私の所感でございますけれども、これまで、原子力規制委員会、規制庁、少ない陣容の中で大変大きな仕事をこなしてきたというふうに私は思っています。もし、原子力規制委員会に求められているもの、そして今実際に取り組んでいるものに関して、人員数とか専門能力というものに比較して業務の負担が大きくて、そして対応に窮しているという実情があるのであれば、それは忌憚なくお話をいただきたい。いただきたいというよりも、いただかなくては困るということなんです。

 この場で具体的に、そして明瞭にそういうお話をいただければ、国会としても対応していきますし、また、そういう関係をここでつくっていかなければいけないというふうに私は思っております。

 逆に、問題点を明示しないで、言うならば我慢して黙っておられても、何のプラスにもならないということなんです。むしろ、その問題を認識しながら、必要な対応を関係各所に求めることを怠ったということで、後々、委員長としての責任問題にもなりかねない。それははっきりと申し上げたいというふうに思っています。

 我々としましては、国会として最大限に必要な協力をしていく所存でございますし、そのために、委員長としても、この関係づくりという中での職責を全うしていただきたいというふうに感じております。

 それでは、質問に入ります。

 原子力規制委員会、規制庁が発足をして、新しい規制の体制というものがつくられたわけでございますけれども、何が変わったのか、ここをまず明確にしていただきたいと思います。

 四月十九日の当委員会において、田中委員長は、冒頭、御挨拶をされました。その中で、形式主義を排し、現場を重視する姿勢を貫き、真に実効のある規制を追求するということをおっしゃられました。

 この現場を重視する姿勢ということ、具体的にどのようなことが新しい規制体制の中で変わったのか、これをお話しいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 お答えを申し上げます。

 現場を重視する姿勢、これは、いざというときに安全を最終的なとりでとして守っていただけるのは現場である、そういう思いがあったからであります。これについて、現場を重視する姿勢については、原子力規制委員及び規制庁職員の全員が、さまざまな面で職務を執行する際に、継続して意識していただきたい、しなければいけない重要な理念であるというふうに認識しております。

 具体的な取り組みを申し上げますと、七月以降の原子力発電所の新たな規制基準への適合性審査、これをただいま進めていますけれども、ここでは、担当委員が審査会合に参加し、事業者側の個々の技術者等と直接意見交換をしながら、前線で審査を実施しております。

 また、規制庁の職員も、審査会合以外に、連日のように事業者ヒアリングを実施して、単なる書面上の確認のみではなく、申請内容の確認を実施しております。

 また、担当委員と規制庁職員が原子力発電所の現場に赴き、実際に申請書類に書いてある状況の確認ということも行わせていただいております。

 原子力規制委員会としては、こういった取り組み、現場を重視する姿勢を常に自覚し、たゆまず努力するよう、しっかりと働いていきたいと思っております。

簗委員 今、適合性審査のお話を具体的にはいただきましたけれども、委員長として、これまでの取り組みについて総括的な整理ということを、当初の組織に課せられた目的、役割の履行状況という観点から、今後の課題及び改善点、そういったものも含めて、御見解をいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 昨年九月に当委員会が発足をしてから、一年と少し経過しました。この一年は、新たな規制組織として、国内外からの信頼回復に努めることを最大の課題として認識してまいりました。透明性をしっかりと確保しつつ、科学的、技術的知見に基づき中立公正な立場から規制を行っていくということで、引き続き信頼の確保に努めたいと考えております。

 具体的に、この一年間に行った業務としましては、福島第一原発事故を踏まえた原子力発電所への新たな規制基準を本年七月八日に施行し、事業者からの申請を受け、現在、十四基の原子力発電所について、ほぼ連日審査を行っています。

 また、原子力防災についても、事故の反省を踏まえて、多くの議論を重ねながら、原子力防災の専門的、技術的事項を原子力災害対策指針として策定し、さまざまな課題に対応すべく、順次指針を改定しながら、対策の充実強化を図っているところでございます。

 また、福島第一原発の廃炉作業に向けた作業の安全確保、汚染水対策は喫緊の課題でありますので、原子力規制委員会としても、技術的助言を積極的に行っているところであります。

 こうした業務に引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えていますが、体制面の強化も大きな課題であります。

 この十五日に成立させていただいた独立行政法人原子力安全基盤機構の原子力規制委員会への統合のための法律に基づき、原安機構の知見や知識を生かした体制を構築することで、原子力規制委員会全体の専門性の向上を目指していきたいと思っております。

 また、福島第一原発事故対応を初め、原子力防災対策の充実強化、原子力発電所の安全性に関する審査や検査など、原子力規制委員会は多くの課題を抱えております。さらなる体制の強化を早急に行うことは不可欠の課題と認識しているところでございます。

簗委員 今お話をいただきました幾つかの論点でございますけれども、まず、適合審査の進捗状況についてお話をお伺いしたいと思います。

 当初は、一つの原発当たり、審査に要する期間が半年という見込みであったということですが、聞くところによると、おくれが出ているということを聞いています。その実態、実情のところを、事実関係の確認ということも含めて、お話をお聞かせください。

田中政府特別補佐人 当委員会では、七月八日の規制基準の施行後、事業者からの再審査の申請を受け、それの審査を進めているところでございます。

 審査に当たっては、新規制基準への適合性を判断するため、申請書記載内容の妥当性について詳細に確認する必要があることから、事業者に対し、資料の提出等を求めています。これらが提出されたものから順に審査を進めているところでございます。

 御指摘のとおり、審査の進捗は事業者の対応状況によるところが大きく、当方からも事業者に対し、資料の提出見通しを確認するなど、円滑に審査ができるよう工夫しているところでございますが、これまでのところ、事業者からの資料提出が必ずしも計画どおり行われていないという状況にあることは事実でございます。

 いずれにしても、事業者の対応を踏まえて、速やかにかつ厳正に審査を進めてまいりたいと思っております。

簗委員 適合審査、これは、再稼働に向けてしっかりと、迅速かつ丁寧にやっていかなければいけないと私は思いますので、引き続き、よろしくお願いしたいと思っております。

 最後にお話しいただきました機能強化に向けた専門性の向上というところで、独立行政法人原子力安全基盤機構との統合、これが法律として成立をいたしました。

 この中で、JNESの有する高度な専門性を新しい原子力規制において活用していくことが期待をされていますけれども、今後の組織体制、これをどのように想定しているのか、それをお伺いします。

田中政府特別補佐人 御指摘のように、今回、原子力安全基盤機構を統合するということを認めていただきました。これは、原子力規制委員会にとって、専門性を向上させるという観点で大変重要な前進であり、また専門性の向上というのは、これは当委員会、規制庁を含めまして、不可欠の要件と認識しております。

 現在、さまざまな組織体制をどういうふうにするかということを検討しておりますが、来年三月の統合に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

簗委員 アメリカの原子力規制委員会、NRCですけれども、職員が四千人、原発は百基程度ですね。日本は、五十四基で、規制庁、現在五百五十人からJNESと統合して約千人規模ですか、九百人とも聞いていますけれども、一原発当たりで見ると、計算上は約半分ですね。

 こういったところも含めて、専門能力とそれから人員、こういうものをしっかりと、もし不足状態があるのであれば、これではだめだということをはっきりと申し上げていただきたいというふうに私は思っております。専門性というものは本当に重要だと思っていますので、専門知識や情報量、これが電力会社に劣ると規制が骨抜きになりますから、こういう点から、はっきりと、しっかりと取り組みをしていただきたいと思っています。

 それから、より大きなテーマとして、我が国の原子力政策、これの目指すべき方向性、その中での人材の確保、育成という点についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 福島第一原発の事故を受けて、特に除染や廃炉等への対応、それから事故の教訓を踏まえた原子力施設の安全性向上、シビアアクシデント対応、放射性廃棄物の処理処分に対応するための社会的要請とか、それから知見、技術の確立の要請が、必要性が高まっています。

 また、復興に必要な被曝医療、環境放射線測定、リスクコミュニケーション等に係る人材の育成も含めて、人材というもの、そして専門性を高めるということが非常に重要になっている一方で、優秀な人材を確保するに当たって、原子力を志望する学生、若手研究者が減少傾向にあるということ、これは私、本当にゆゆしき問題だというふうに思っています。

 憂国の士よ、いざというわけにもいかず、やはりキャリアパスというものをしっかりと明示しなければいけない。その上で、国としても、これから原子力政策をどういうものにしていくか、これをメッセージとして明確にしていく必要があると思うんですが、その点について、まず経済産業省からお話をお伺いしたいと思います。

磯崎大臣政務官 お答えを申し上げます。

 エネルギー政策につきましては、まず、やはり国民生活あるいは経済活動に支障がないように、安定供給ということに万全を期すというのが大前提というふうに考えております。

 そのもとで、原発につきましては、やはり安全性というものを最優先にしていかなければいけないということで、その安全性につきましては、原子力規制委員会、独立した機関の判断に委ねていくということで、先ほど委員長の方からもお話がありましたように、世界最高水準の新規制基準というものをつくっておりますので、この基準を満たさない限り再稼働はないということでございます。ただ一方で、この基準を満たした場合には再稼働をしていくというのが私どものまず基本的な考え方としてあるということでございます。

 その上で、中長期的な方針の前提となりますエネルギー基本計画、これにつきましては、ことしじゅうにということを念頭に、今、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会において検討しているということでございますが、この中の議論としましては、まず総論的な課題としまして、三EプラスS、これをまず満たしていく、実現をしていくということがございますけれども、それとともに、原子力を含めた個別の課題についても今議論をしているということでございます。

 そして、この中で、やはり一番重視していかなければいけないのは安定供給とコスト削減ということでございますが、この中で政策の軸、方向性を打ち出していくということでございます。

 いずれにしましても、原子力を含めましたエネルギー源ごとの特徴を明確にしていくということが必要だと思っておりますし、これを含めて、全体として実現可能かつバランスのとれたエネルギー構成を追求していくというのが基本的な考え方でございます。

簗委員 わかりました。

 今お話しいただいた経産省さんとしての考え方、そういうものも踏まえて、今実際に専門性のある人材が不足しているんじゃないか、そういう疑いがある中で、その実際の実情と、それからこれがもし不足した場合の将来への影響、そして若手の人材を育成していく上で、志望者をふやすという中でのどういった取り組みが必要になるのかというところを三者にお伺いしたいと思います。

 まず経産省さん、二番目に原子力規制委員会さん、そして最後に、きょうは東京電力さんにも来てもらっていますのでお話をお伺いしたい。東京電力さんの場合、現場レベルで、実際に現場で原子力の稼働に従事されているという中での現場の声として、その実感をお聞かせいただきたいと思います。お願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、人材の確保というのは、原子力の安全を確保するためにも非常に重要な課題と考えてございます。こうした観点から、経産省といたしましても、関係機関と連携をしながら、民間企業あるいは教育機関における人材の育成、特に、これから廃炉もございますので、原子力安全に係る人材の育成に取り組んでございます。

 一つの例で申し上げますと、経済産業省、文科省、それから関係の大学、あるいは電気事業者、メーカー等が連携をいたしまして、平成二十二年の十一月に原子力人材育成ネットワークというのをつくっておりまして、これは七十一機関が参加をし、原子力人材育成に関する情報共有や相互協力の取り組みを進めております。

 また、福島第一原発の廃炉に向けて遠隔操作ロボットの研究開発をしておりますけれども、その実施主体である民間企業に対しましては、中長期的な人材育成という視点に立って、大学との連携を進めながらこの取り組みを進めてほしいということなども求めておるところでございます。

 こういった取り組みを含めまして、私どもとしても、原発を支える人材の確保に最大限取り組んでまいりたいと考えてございます。

田中政府特別補佐人 原子力の安全を確保するためには、私どもだけではなくて、原子力分野全体における専門人材の底上げが大変重要であります。そういう観点から、原子力利用を推進する官庁、事業者、規制当局、それぞれにおいてしっかりと専門人材の確保それから育成に努めることが必要であるというふうに認識しております。

 原子力規制委員会としましては、例えば、学生については、教育現場に職員を派遣し講義をしたり、原子力規制への関心を持ってもらうための説明会の開催などに積極的に取り組んでおります。

 また、職員につきましては、専門性を高めるためのキャリアパスを構築するため、実践的な研修とか国際機関への派遣などに積極的に取り組んでいるところでございます。

 原子力安全規制行政をきちっと滞りなく進めていく上でも、原子力分野全体の専門人材の底上げに向け、関係各所とも協力して幅広く取り組んでまいりたいと思います。

森委員長 それでは、東京電力廣瀬社長、申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

廣瀬参考人 はい。

 お答え申し上げます。

 現場を預かる側といたしまして、短期的には、職場の作業環境をよくして、少しでも安心して仕事をしていただけるような作業環境を確保していくというのは大変大事だと思っております。

 また、中長期的には、先生もおっしゃいましたように、これまで、原子力政策、エネルギー政策のもとで、しっかりとした未来を持って優秀な人材を我々も確保させていただいてきたというのは紛れもない事実でございますので、そうしたしっかりとした政策のもと、我々事業者として、大学や研究機関等々に今後の仕事の意義であるとか将来についてしっかり説明をして、優秀な人材を確保していきたいというふうに考えておるところでございます。

簗委員 では、時間が来てしまいましたので、最後、まとめたいと思います。

 きょう最後にお話をお伺いした三者、これが本当にこれからの我が国の原子力を進めていく上で非常に重要なキープレーヤーでございますから、皆さんがそれぞれの役割をしっかりと果たしていただいて、そして協力をしていただいて、我が国の原子力に係る政策が発展をしていくこと、これを私も心から御祈念をしまして、そして同時に、この委員会としてもしっかりと職責を全うしていく、これを私の方からもお約束を申し上げまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

森委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、田中規制委員会委員長を初め、皆様、大変御苦労さまでございます。

 本日、私の方からは、廃炉並びに汚染水対策、さらには原発の再稼働や新規制基準について、さらにIAEAの除染ミッションの報告に関連して具体的に質問をさせていただきたいと思っております。

 早速質問に入らせていただきますけれども、まず、四号機からの使用済み燃料の取り出しについて、関連してお伺いをさせていただきます。

 いよいよ十一月の十八日から、四号機からの使用済み燃料の取り出し作業が始まって、三十年から四十年と言われる廃炉工程の第二期に入ったと思われます。極めて重要なことでございますけれども、今後の工程を着実に進めていく上でも、その第一歩となる今回の作業でございます。極めて重要な位置づけであると思っております。

 東電にお伺いいたしますが、東電は、作業員も含めた安全性の確保について、どのような取り組みにより万全を期してこのようにスタートしてきたのか、また、作業の実施状況はどうなのか。終了までのスケジュールについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 また、規制委員会委員長にお聞きいたしますが、規制委員会として、ここに至るまで、東電の作業実施計画の安全性をどう審査して認可してきたのか、お伺いをさせていただきます。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 お話がありましたように、今週の月曜日から使用済み燃料のキャスクへの挿入というのが始まりまして、月、火で無事完了しております。核物質防護の観点から余り詳しくは申し上げられなくお許しいただきたいと思いますけれども、この後、キャスクを運び、共用プールの方に移していくという作業をこれから順次行って、来年の末、あと一年ちょっとで、全部、千五百三十三体の燃料を動かしていきたいというふうに考えております。

 この間、さまざまな安全対策、それからいろいろなリスクを想定した上で、それに基づく手順書作成、そうしたことで、何度も何度も訓練をやり、万全を期してまいったつもりでございます。また、海外からも、エキスパートの方々の御専門性を踏まえたアドバイスをいろいろいただくなどして、万全を期してまいりたいというふうに思っております。

田中政府特別補佐人 四号機の燃料取り出しにつきましては、規制委員会内の検討会で議論しまして、従前と比べると、耐震安全性あるいは異常時の対応、例えば落下などのようなトラブルに対する対応等について、その安全性の評価も含めて審査を行ってまいりました。

 具体的には、四号機の燃料取り出しに係る実施計画について、これは東京電力の方から出されたものですけれども、これにつきましては、こういった安全性評価等における留意事項を付した上で、八月十四日に承認をしたところでございます。

江田(康)委員 いよいよスタートした使用済み燃料の取り出し、大変重要な工程でございますけれども、来年の末を目指して、四号機の取り出しは完了する。そういう中において、本当に規制委員会の位置づけは大変重要だと思っております。安全性をしっかりと確保していく、また緊急時においてどう対応する、そういうところにおいて大変重要な役割が規制委員会にございますので、しっかりと監視していただきたいと申し上げておきます。

 次に、国際廃炉研究開発機構、IRIDとの連携について、経済産業省にお聞きさせていただきます。

 燃料デブリの取り出しを初めとしまして、福島第一原発の廃炉措置は極めて難しい課題があるわけでございます。特に、放射線量が非常に高い状況下で除染また原子炉格納容器の破損箇所の調査や補修、そして燃料デブリの取り出しに必要となる遠隔操作ロボット、こういう世界でも例のない課題に対応するわけでございまして、国内外の英知を結集して取り組まなければならないということで、国際廃炉研究開発機構、IRIDが八月に設立されたところでございます。

 この廃炉作業が進まなければ住民の帰還も福島の復興もあり得ないわけでありまして、その鍵となるのがやはり新たな技術の確立であろうかと思います。

 そこで、国内外の英知を結集して研究開発に取り組むIRIDが、国際エキスパートグループによる技術的な助言を受けて、新たな知見を踏まえて廃炉ロードマップの改訂の提案をした場合、政府はどのようにそれを取り入れていくのか、ここが大変重要になってくるかと思っております。それをどのように受けとめて反映させる体制となっているかをお伺いしたい。

 我々は、原子力事故からの復興加速化に向けての第三次提言を今月八日にも与党として取りまとめさせていただいたわけでございますが、この提言においても、廃炉の実施体制の明確化の一環として、IRIDと原子力災害対策本部の事務局との有機的な連携を進めるべしということを求めております。

 この提言を受けて、政府として連携をどのように図っていく考えか、お伺いをさせていただきます。

糟谷政府参考人 内外の英知を結集するということは非常に重要でございまして、ことしの九月三日に原子力災害対策本部で決定いたしました基本方針にも、そのように行っていくということを記載されているところでございます。

 今御質問いただきましたIRIDでございますけれども、汚染水問題についても、まず、内外の英知を結集するということで、国内外の有識者から提案を求めております。国内外から合計七百八十件ほどの提案が寄せられておりまして、この提案のあった技術については、IRIDにおいて、国内外の有識者が技術的成熟度等について整理、分類を行った後、学識経験者や技術者から成る汚染水処理対策委員会、これは原災本部のもとにございますけれども、におきまして、年内を目途に、予防的かつ重層的な対策を取りまとめる予定としております。

 それで、IRIDと原災本部との、政府との連携でございますけれども、先ほど御質問にもありました国際エキスパートグループ、これが先般来日いたしましたときにも、汚染水処理対策委員会や事務局とも議論をいたしております。また、汚染水処理対策委員会には、IRIDからも毎回出席をして、ともに議論をしているところでございます。それから、廃炉全般につきましても、IRIDの国際エキスパートグループからいろいろと提案をいただいております。

 こうした提案も踏まえまして、今後、中長期ロードマップは、継続的に見直しを行うことを基本原則といたしておりますので、今後の見直しの中で、こうした内外の技術や知見を反映して、適切な見直しを行ってまいりたい、IRIDと政府、引き続きしっかりと連携をして進めてまいりたいというふうに考えております。

江田(康)委員 わかりました。

 続いて、この汚染水問題に関して、地下水の挙動に関してお伺いをさせていただきたいと思うんですが、地下水の挙動についてはいまだにその全容が解明されていないわけでございます。

 東電の発表で、敷地内には毎日八百トンの地下水が流入してきている。そして、このうちの四百トンが原子炉並びに建屋に流入して、冷却水として循環処理した後に地上タンクに移されている。残りの四百トンの一部がトレンチなどの高濃度放射性物質に触れて、一部は汚染水として海に流出している。こういうことしかわかっていないわけでございます。

 原子炉建屋に流入する地下水の大部分は敷地に降った雨水によるものという産総研の研究成果が発表されました。もしこれが裏づけられれば、敷地全体を舗装や防水シートで遮水処理をするなどの対策、フェーシングというんでしょうか、これで原発建屋周辺への地下水流入を防げる可能性もございます。

 したがって、私は何度も、この関連する委員会でも申し上げてまいりましたけれども、地下構造や地下水の挙動について、より精度の高いメカニズムを明らかにすることが、今後の対策を立てる上でも、また国民の理解を得る上でも重要なことと考えますけれども、いつまでにどのような調査を行って成果を得ようとしているのかをお伺いさせていただきます。

糟谷政府参考人 地下水の挙動の把握は極めて重要でございまして、今後の対策を講じていくに当たりましても大前提であるというふうに考えております。

 現在、汚染水処理対策委員会のもとにサブグループを設置いたしまして、地下水の専門家の皆様にそこに集まっていただき、集中的に精査を行っております。

 東京電力はこれまで、独自の地下水のシミュレーションモデルを活用して分析を行ってきましたけれども、このモデルよりも対象範囲を広げたモデルをこのサブグループでつくりまして、これまでの東京電力のシミュレーション、これが妥当かどうかを検証するという作業をやっております。具体的には、これまで東京電力が実施をしてきた地下水位等の測定結果と再現性の確認を行ってきております。

 これまでの再現性の確認結果は、新しいモデル、それから東京電力のこれまでのモデルで、合計八百トン、約八百トンがこの地域に流れ込んできているという知見についてはおおむね妥当なものであるということについて、おおむね共通認識が得られております。ただ、どこからあの地下水が来ているのか、そういうあたりについて詳細をさらに検討を行い、最後の詰めを行っているところでございます。

 年内に予防的かつ重層的な汚染水対策の全体像を示すということにしておりまして、地下水の挙動についてはこれの前提となるものでございますので、この対策の全体像を示すまでに、検討内容について汚染水対策委員会において一定の共通認識を得たいというふうに考えておるところでございます。

江田(康)委員 今、この汚染水問題への対応については、予防的、重層的に行っていくことを根本として、新しい技術提案もIRIDを中心に公募が行われているところでございます。

 このような対応を万全にしていくためにも、地下水の解析は欠かせないということであろうかと思っておりますので、年内を目途にした予防的、重層的な対策の全体像をまとめるに当たって、この地下水の挙動に関して政府の明確な見解を明らかにしていただきたいと思いますので、申し上げておきます。

 原発の再稼働について、また規制基準についてお伺いをさせていただきます。

 我が公明党は、原発の再稼働については、改正原子炉等規制法に基づく厳しい規制のもとで、原子力規制委員会が新たに改定する厳格な規制基準を満たすことを大前提として、国民、住民の理解を得て判断していくこととしておるところでございます。

 現在、原発の再稼働に向けて、七月に施行された原子炉の新規制基準に基づく適合性審査が順次行われておりますけれども、事業者からの未提出書類も多い、また、審査が終了するめどはいまだ立っていないということをお聞きしておりますが、原子力規制委員会あるいは原子力規制庁と事業者の間で十分な意思疎通が図られて、その意図がきちんと伝わっているのか、明確にしていただきたいと思います。

 さらに、丁寧かつ速やかにというのを両立するのは大変だと思いますけれども、今回の適合性審査は、単に基準を満たしているかどうかという観点にとどまるべきではないわけであります。地に落ちた原子力安全への信頼を取り戻すためにも、規制する側も規制される側も、新たな原子力安全の文化をつくっていくのだという強い決意を持って、それぞれの立場から審査に臨んでいただきたいと考えますが、原子力規制委員会の委員長の見識を問います。

田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 現在、十四基の原子力発電所の審査を進めておりますが、審査に当たっては、公開で議論を行う審査会合を五十回ほど開催しております。また、この一回ごとの審査も、五時間、六時間というような長時間の審査に及んでおります。また、規制庁職員も、事業者にその間、事実関係の確認を行うというヒアリングも並行して進めておりますし、多いところでは百回程度、そういったことも含めて事業者との意思疎通を図るということに努めております。

 新規制基準は、規制基準に適合すれば安全である、十分であるということではなくて、あくまでも我々規制当局による要求というのは最低限の要件であるということで、事業者においては、この規制基準を超えて、しっかりと安全を追求していく姿勢が極めて重要だと思っております。

 原子力規制委員会としましても、科学的、技術的見地から新規制基準の適合性をしっかりと確認すると同時に、審査はできるだけ速やかに進めてまいりたいと思っております。

江田(康)委員 これに関して、審査体制の充実についても質問をさせていただきたいと思います。

 今後は、核燃料施設等に係る新規制基準の施行を受けて、適合性審査の申請もさらにふえてくるのではないかと予想されますが、規制委員会におけるより一層の審査体制の充実が求められているところでございます。

 折しも、原子力安全基盤機構、JNESを解散して、原子力規制委員会に統合する、そういう法案が成立したところでありますが、このJNESの統合によって、原子力規制委員会の職員数は約二倍に増加することになります。

 この統合により、新規制基準への適合性審査のための人員が、また、その能力が確保される体制が整備されるのかどうか、それについてお伺いをさせていただきたい。

 また、JNESの知見や人材を取り込んでいくことによって、規制当局としての専門性を高めて、質、量ともに独立して規制を行う体制を構築していくことが規制委員会に期待されるわけでありますけれども、今回のJNESの統合によって、どのような組織を具体的に目指すこととしているのか。これについては法案にはないことでありますので、しっかりとこの見解を述べていただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 JNESの統合後、個々の職員の配置につきましては、職員の適性を見きわめて、今後、今も含めて検討してまいりたいと考えております。

 他方、JNESの統合ということで、これまで以上に柔軟な人事配置ができるようになりましたので、規制委員会の専門性の向上にあわせて、審査にとってもプラスに働いてくるということを期待しております。

 しかし、もう一方で、最新の技術的知見の収集、あるいは原安機構がこれまで本来業務として行ってきた役割は、統合後も引き続き極めて重要でございます。こうした業務とのバランスも含めて、委員会全体として最大限の力が発揮できるよう、適材適所を総合的に判断してまいりたいと思います。

 また、旧規制庁の職員と旧原安機構の職員の間で人事交流を積極的に進め、お互いの業務内容に関する理解を深め、また、日常レベルでの議論も活性化するなど、組織の融合を図り、一足す一が二以上の力になり、国民の期待に応え得る組織ができるよう尽力してまいりたいと思います。

江田(康)委員 もう時間が来たようでございますので終わらせていただきますが、規制委員会の所管は大変広うございます。きょう確認をさせていただいた廃炉工程、汚染水対策についても、また、この再稼働等における審査についてきょうは質問をさせていただきましたけれども、しっかりと万全を期して取り組んでいただきますように心から念願して、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

森委員長 次に、荒井聰君。

荒井委員 民主党の荒井聰でございます。

 きょうは、田中委員長あるいは東電の廣瀬社長に御質問させていただきたいと思います。

 原発の事故というのは、これはどうやって解決ができるのか、本当に難しい問題だなということをつくづく思っております。

 冒頭、これはお配りをしていたと思いますけれども、朝日新聞の十一月十日の、脱原発団体に対するサイバー攻撃、こういう新聞記事を参考に皆さんにお出しいたしましたけれども、民間団体に対するサイバー攻撃というのは初めての例のようであります。

 私が原発問題を担当するというか携わったのは、二年前のこの事故以降初めてなんですけれども、そのときに本当にびっくりいたしました。原発問題では政治が機能していないのではないかと。

 政治というのは、本来、相対立する主張なり、あるいは利害団体を調整することが政治であります。ところが、その調整することを諦めているのではないか。原発の反対団体は反対と叫んでいるだけ、原発を推進する団体は推進するのが国のためなんだと叫んでいるだけで、共通の土俵、あるいはそこでお互いに意見交換し合っていく風土というものが、もうほとんど欠けているのではないだろうかというふうに思いました。

 そんな中で、脱原発団体に向けた、市民団体に向けたこういうサイバー攻撃がなされたというのは、私は、市民のあるいは国民の表現の自由とか情報の公開とか、そういうものと著しくかかわってくることであり、最近、警察庁も随分サイバー攻撃に対していろいろな技術的な開発なりなんなりをしているというふうに聞いていますけれども、これは重たく受けとめて、しっかりとした調査なり、あるいは捜査といったようなことをするべきではないかと思うんですけれども、きょうは警察庁の人、来られていますよね。警察庁から。

種谷政府参考人 お答えいたします。

 そのような御指摘の報道がなされたことについては、承知をしております。

 個別事案の対応についてのお答えはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますけれども、警察庁におきましては、こうしたサイバー攻撃に対処するため、これまで、警察庁にサイバー攻撃対策官及びサイバー攻撃分析センターを、それから、十三の都道府県警察にサイバー攻撃特別捜査隊を設置するとともに、重要インフラ事業者等と協力をいたしまして、サイバー攻撃に関する情報共有ですとか共同訓練を実施するなど、総合的なサイバー攻撃対策を進めているところでございます。

 引き続き、関係機関や民間企業と連携をしながらサイバー攻撃対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。

荒井委員 これが、サイバー攻撃に遭った、一日に三十万件も、三十三の団体に送りつけたということであります。

 これに使われた技術が、トーアというアメリカ海軍が開発した、発信元を秘匿するソフトのようでありまして、ふだん普通に使われるものらしいんですけれども、こういうサイバー攻撃とか、それから、サイバー上での、IT上での犯罪というのは、ほとんどが発信元を秘匿する技術と直結しているように思うんですね。

 これをサーバー上でフィルターをかけるような技術というのもあるわけですから、警察は、そういう技術をもう少し、プロバイダーなりそういうところと連携をして、フィルターの技術をきっちり挿入してもらうというようなことを考えるべきではないでしょうか。このあたりどうだろうか、審議官。

種谷政府参考人 警察におきましては、先ほど申し上げましたように、民間企業、セキュリティーベンダー等と情報交換をしながら、重要インフラ所管の企業等々についても、そういった情報提供ですとか、対策の方法等についても、こちらから御教示する等の活動を行っているところでございます。

荒井委員 この分野は日進月歩みたいなところ、サイバー攻撃をする方が新しい技術を開発すれば、それを防ぐための技術を開発しなければならないという、追いかけっこのような状況があると思うんですけれども、想像以上に重たい影響を与えているというふうに思いますので、警察の方でも重要な課題として取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次に、十一月の十一日に、原子力規制委員会が帰還基準案について出しました。私は、これは一定の進歩だと思います。今まで、こういうしっかりとしたものが余りなかったのではないかな。特に、低線量被曝についてどのように評価をしていくのか。

 これは、二〇一一年の、あの災害の起きた年に、民主党政権ですけれども、当時、低線量被曝の影響についてというのを法律事項として初めて書き込みました。これを書き込むときに、当時の文科省や厚生労働省は、低線量被曝というのは認定もされていないし証明もされないものであるから、低線量被曝という言葉については法律用語になじまないという論戦がございました。しかし、それを押し切って、低線量被曝という言葉あるいはその被害といったようなことを初めて福島復興法の中に取り入れました。それ以来、私は、低線量の被曝の被害というものを科学的にしっかりと説明する必要性と義務が政府に生じたんだろうというふうに思っております。

 その中で、ICRPが、普通、大体どこの国でも採用しているのがICRPの基準だと思うんですけれども、この低線量について、一ミリから二十ミリという非常に幅の広い言い方をするんですね。これはなぜなのか。普通は何ミリ、何ミリとぎちっと決めるんですけれども、なぜ一ミリから二十ミリという幅のある数値の仕方をとるのだろうか。

 私の調べたところでは、二十ミリというのは放射線にかかわる仕事をしている人たちの限界値であり、一ミリというのが理想的あるいは一般の住民に対する被曝の程度だというように理解をしているんですけれども、委員長、どうですか。

田中政府特別補佐人 ICRPが参考レベルとして、今先生御指摘の、現存被曝状況、年間被曝線量を一から二十ミリシーベルトということで定めているのはそのとおりでありまして、今回の福島事故の対策としても、避難の目安として我が国ではそれを定めております。

 やはり、通常の公衆については、防護計画としては年間一ミリシーベルトを目指すべきである。ただし、こういった事故が起きた場合には、さまざまなほかの要因もありますので、避難することによる生活のマイナス面とかいろいろな面がありますので、そういったことを踏まえて、最適な値をその間で決めて対策に取り組むべきであるということでありまして、長期的にはやはり、そうあっても一ミリシーベルトを目指すべきであるというのがICRPの指摘でありまして、今回、私どももそういった考え方を取り入れてまとめさせていただいております。

荒井委員 そうなんですよね。二十ミリシーベルトというのは、地域住民にとっては私は暫定的な数値だと思わざるを得ません。やはり、一ミリシーベルトというのが地域住民にとっての安全の基準だろうというふうに思うんです。

 特に、二十ミリシーベルトというその基準が、原発で働く人の基準、年間五十ミリを最大として五年間で百ミリシーベルトですか、ですから、割ると二十ミリシーベルトという数字が出てくるわけですけれども、その数値になるわけです。

 ところで、この二十ミリシーベルトというのは一体どういう根拠でICRPは決めたのか。田中委員長は御専門でありますので、もしも知見がございましたら御紹介いただけますか。

田中政府特別補佐人 二十ミリシーベルトといいますか、ICRPはこれまでも国連科学委員会とかさまざまな蓄積されたデータをもとに議論を重ねてまいりまして、現実的に、被曝は少ない方がいいということは原則でありますけれども、原子力あるいは放射線の利用をしていくベネフィットもありますので、その辺の考え方の上で、今、二十ミリシーベルトを防護の基準として採用しているというふうに理解しております。

 ただし、この二十ミリシーベルトという値が健康に直接害を及ぼすとかそういった値ではなくて、あくまでも防護、放射線防護計画を立てる上での一つの目安にすべきであるというふうに理解しております。

荒井委員 そこはちょっと委員長と私とは見解が違うんですけれども、生体ですから、自然界で起きるのは大体冪乗というか、指数関数的な、ある一定限度を超えたら急に現象があらわれるというのが一般的だと思うんです。ただ、この場合、ICRPも採用しているのは、直線的だ、低くても影響は発生するんだということを前提にして、いろいろな物の考え方をしております。

 直線的に発生する、この場合はがんですけれども、がんの発生率が、恐らくデータ的には百ミリとかあるいは五十ミリぐらいのところではたくさんあるんだと思うんです。二十ミリ以下の低いところでは少ないんだと思うんですけれども、それでもそこを一直線に引いて、がんの発生率を算定し、その算定したがんの発生率が世界の職業の中で最も危険な職業と一致するところで設定したのが大体二十ミリシーベルトだ、それが二十ミリの一つの根拠になっているという、NASAのそういう話を聞きましたが、委員長、どうでしょうか。

田中政府特別補佐人 先生御指摘のNASAのレポートは私、拝見しておりませんけれども、一般的に申し上げますと、百ミリシーベルト以下においては、現代の医学的知識においては、その直接的原因、これが放射線被曝によるものかどうかということが確かめられないということがあります。百ミリシーベルト以上ですと、ある一定程度の有意な統計というのがあります。

 百ミリシーベルト以下のところについては、やはり安全を見込んで、確率論的な影響として直線近似、先ほど先生が御指摘のような、直線的にその発生確率を引いていくべきであるということで、そういったことを踏まえて二十ミリシーベルトというふうなものが決められていると思います。

荒井委員 これ以上この話をしてもしようがないんですけれども、いずれにしても、二十ミリシーベルトという数値は成人男子の、男子かどうかはわかりません、成人の、十八歳以上の人たちのがんの発生率などを根拠にして定めたものだというふうに言われております。したがって、その数値を子供さんや妊婦に当てる、使うというのは、やはり、そこに、福島に住んでおられる方々にとっては極めて不安な状態で、とてもその数値を納得できる数値だというふうにはできないというふうに思います。

 私も福島へ何度も行って、福島の子供さんたちあるいはお母さんたちと話すことがありますけれども、大変不安な状態でいるのは事実であります。

 そんな中で、あの事故が起きてすぐ委員長が伊達市に行って、伊達市でバッジを配付して、個人個人の被曝線量の管理の手法を伊達市に持ち込んだ、それで伊達市の住民が、市長も大変理解をして、精神的にも安定をしていく一つのきっかけになったというふうに聞いております。確かにそうなんだろうと。

 それで、その考え方というのは、今回の十一日の規制委員会の被曝の管理の仕方の思想の中に流れているんだろうというふうに思います。それは、ある種の一つの前進だろうというふうに思います。

 ただ、あるお医者さんたちのフォーラム、研究会に私も出席をさせてもらったことがあるんですけれども、そのときに、放射線関係の専門家の方が福島に入って、いろいろな聞き取り調査をしながら、あるいは診療したり、医療に携わったこともあるようでありますが、その人たちの最終結論は、医療よりも、マッサージ師とかアロマ士とかあるいは鍼灸師、そういう人たちの方が効果が高かったという結論を出しているんです。

 それは何のことかというと、精神的な不安をどうやっておさめてやるのか。つまりそれは、ちゃんとした相談に乗ってくれる人が少ないということをいう。お医者さんは、多分、いろいろな人がわあっと来ますから、一人三分ぐらいしか診療できないんでしょう。そうじゃなくて、鍼灸師が二十分、三十分かけて治療する間、ずっと対話が重ねられるわけですよね。そういうことが大事なんだということを、その放射線治療医は言っておりました。

 私も、その体制が今は必要なんではないだろうか。それは、ボランティアであったりあるいは鍼灸師やアロマといったような、そういう人たちの活躍の余地というものが大変あるんではないだろうかというふうに思います。

 そういう点、今度の福島復興法の改正や、あるいは子ども・被災者支援法の中でかなり取り入れたのではないかと思うんですけれども、浜田副大臣、どうでしょうか。

浜田副大臣 荒井委員におかれましては、子ども・被災者支援法の議員連盟会長として、基本方針の策定、十月の十一日にさせていただきましたけれども、直接御意見も賜りましてありがとうございました。

 今、荒井委員の方から、そういう相談員といいますか、いわゆる被災者の方々一人一人に時間をかけて、その不安を取り除くことの重要性を御指摘いただきました。これにつきましては、我々復興庁といたしましても、関係省庁と連携をして、そういうものに取り組んでいるところでございます。

 リスクコミュニケーションという言葉で言われますけれども、やはり、不安の感じ方は一人一人大分違うこともございますので、そこは丁寧に復興庁としても取り組んでいく所存でございます。

荒井委員 ぜひ、相談ですとか、そういうことに丁寧に対応できるような組織づくりが必要だというふうに思います。

 今、環境省が除染事務所をつくっていて、その除染事務所が非常に苦労しながら住民対策もやっておりますよね。それが、少しずつですけれども広がっているような感じがいたします。地域ごとに拠点を設けるなり、あるいは市町村にそういう相談員の専門的な教育といったようなことも、ぜひ考えていただきたいというふうに思います。

 その際、地方自治体に対する不安感、あるいは不信感と言ってもいいかもしれません、そういうものが福島の被災者の中に広がっているような気がして仕方がありません。

 何としても帰したい、帰ってきてほしい、それは市町村長さんや地方自治体の長さんにとってはそうかもしれません。自分の町がなくなるかもしれないという不安があるわけですから。ですから、戻ってきてほしい、そういう主張が明らかに出てきてしまっている。

 被災者にしてみたら、安全かどうかよくわからないところに、帰ってこい、帰ってこいと言われる。帰ってこなければ、こんな意地悪をされるかもしれない、あんな迷惑をかけられるかもしれないといったようなことが、今、被災者の中で渦巻いているんですね。これをやはり取り除いてやる必要があると思うんですよ。

 それは、子ども・被災者支援法の精神そのものなんです。子ども・被災者支援法というのは、移住してもよいし、とどまってもいい。移住した人に対しては、移住した人に対するしっかりとしたケアをしていきますよという精神なんですね。それが法の精神ですので。

 私は、法律の作成に随分携わりました。つくった法律も何十本というオーダーであると思うんですけれども、この法律ぐらい、これは議員立法ですけれども、この子ども・被災者支援法ぐらい地域住民あるいは被災者から待たれているというか、本当にこの法律が必要なんだということを強調するような、そういう目に遭ったことはありません。そのぐらい深刻な精神的なダメージを被災者は受けているんだなというふうに思います。

 今後とも、この法律が目指しているところ、あるいは地域の住民の心の安定、安心といったものをどうやってつくっていくのかということを、ぜひ、復興庁を中心に実施していただけるように。

 その際に一番肝心なのは、医療支援なんですよね。どこにいても、被曝に対する治療や医療のケアといったものは保障しますよということがどれだけ安心なのか。私は、除染よりも、こちらの方をまず最初に体制を整備するべきではないだろうかというふうに思います。ぜひ、そういう点も判断をしていただけるようにお願いをいたします。

 最後に、時間が少なくなってしまってあれなんですけれども、少しお聞きします。

 私は、大変なんだと思います。水をとめるということは大変難しい技術です。本来、水をとめるということはできないんじゃないかというふうに思っております。

 と申しますのは、私は、農水省の技術屋として農水省に入りました。最初の現場が、ダムをつくる現場なんです。ロックフィルダムといって、粘土で遮水壁をつくって、それに、リップラップといって、大きな石をカバーして水をとめる、巨大な池をつくる、そういう技術です。日本のダムの八割から九割ぐらいは農水省所管のダムなんです。

 ダムを建設したり、あるいは設計基準をつくったりしていく過程の中で、水をとめるということは、人間は、この四千年間ずっと水をコントロールしようとしたんですけれども、結局できなかったんですね。できたことは何かというと、水の流れを変えるということなんです。

 その典型例が、この東京です。利根川という川が東京湾に注いでいて、その結果、東京湾の開発というのは、江戸時代、できなかったんです。それを、徳川家康が、古河という町が今でもありますけれども、古河というところで河川の改修工事をして、水の流れを銚子の方に持っていき、こっちをドライにしたんですね。その結果、江戸の開発が進むようになったんです。

 水の流れを変えることはできるけれども、水をとめるというのは物すごく難しい。

 この間、福島に行って、福島のすぐ隣が米沢というところで、そこで私はダムの建設現場に携わったんですけれども、約四十年前です。もう既に、四十年前につくったダムの修復工事をやっていました。つまり、四十年ぐらいしか建てられないということです。それが、水のコントロールの難しさだと思います。

 今、経産省が考えられています凍土壁工法という工法は、仮設工事なんですね。土木工事というのは、仮設工事があって本体工事があるんです。本体工事をやりやすくするために仮設工事というのをするんです。この凍土壁は、四十年、五十年というような、あるいは十年、二十年でもいいです、そのための本体工事とはとても思えないんです。

 私の承知している凍土壁工法は、渋谷かどこかの高速道路の高架橋をつくるときの基礎工事のために、周辺を凍らせて、凍っている間に水をとめて云々かんぬんという工法だと思うんですけれども、これはまさしく仮設なんです。本体工事が終わったらその工事はやらなくてもいい、そういう手法であります。

 したがって、私は、この凍土壁工法というのは、恐らくお金もかかるし、さらには、長年ずっとやっていくというのには無理があるのではないだろうかというふうに思うんですけれども、エネ庁、どうですか。

糟谷政府参考人 凍土方式によります遮水壁でございますけれども、これは、汚染水処理対策委員会におきまして、ほかの工法、すなわち、粘土方式による遮水壁ですとか、それから、砕石による連続壁、そこをつくって地下水をくみ上げる、こういう方法と比較をした上で、工期が短いとか、施工エリアが最も小さくなる、つまり、一番狭く囲える、それから、構築に当たって作業員の被曝を低減できるというようなことから、現段階で一番適切な方法ではないかということで判断をしたものでございます。

 国内的にも、今御質問いただきましたように、高速道路の工事とか下水道の工事などで利用されておりますが、おっしゃるように、長くても一年半とかそれぐらいのものであるというふうに承知をしております。ただ、施工実績自体は、国内で二〇一〇年までにおよそ四百七十件、凍土壁の量にいたしまして四十五万立米程度の実績がございます。

 それから、海外でもカナダのウラン鉱山において、四百メーターから四百六十五メーターの地下に相当大きな凍結管を引きまして、四十五万立米の凍土をつくる、そんな工事も行われておりまして、技術的には、これだけ長く、しかも広範囲でやるということは例がないわけでありますけれども、それだけの実績はあるものでございます。

 ただ、御指摘いただいたように、技術的にいろいろ課題があるということも認識をしておりまして、現在、この技術的な課題についての実証を並行して行っているところでございます。万一この凍土方式の遮水壁が十分に機能しないという場合に必要となる対策も含めて、現在、予防的、重層的な対策を年内に取りまとめるべく議論を行っているところであります。

 これは、四十年間ずっと使うということじゃありませんで、建屋の止水が終わるまでのもので、現段階の廃炉のプランからいいましても、二〇二〇年前後までのものとして予定をしております。ただ、その上で、おっしゃるような技術的課題はございますので、予防的、重層的な対策を講じていくということにしているわけでございます。

荒井委員 今、二〇二〇年までとおっしゃいましたけれども、二〇二〇年までにデブリの回収とか、そういうものが終わるとはちょっととても思えない。結果的には、この遮水壁というのはもっと長く使わざるを得ないんじゃないかということを指摘しておきます。

 次に、もう一つ、糟谷さんがそこまでおっしゃったので、せっかくですので。

 私が現場を預かったとしたら、あそこに巨大な掘り割りをつくりますね。地下水が流れ込んでくるのを全部キャッチするような、江戸城にめぐらせているような、ああいう巨大な掘り割りをつくって、地下水をそこで全部キャッチする、そして別の方向に流していく、そういう工法をやるべきではないのかなというふうに思いますけれども、それは、今後の技術屋あるいは知見の豊かな人たちの判断、検討にしたいと思います。

 次に、作業員の被曝です。

 これは、チェルノブイリの場合には、作業員の被曝を避けるために約四十万人の軍隊を動員しました。それで一人一人の被曝量というのを低減させたんですね。

 しかしながら、東京電力という一企業では、そんなにたくさんの作業員を動員することもできませんし、今後長く続く作業ということになれば、どう作業員の被曝量を低減させながら作業員を確保していくのかということが大きな課題になるというふうに思います。

 そんな中で、福島原発行動隊という人たち、この方々は、六十近い方々で、会社でプラントに従事したりいろいろな経験のある方々が、若い人たちに被曝させちゃまずい、それは避けなきゃならない、どうせなら俺たちがやってやろうじゃないかということで、二〇一一年のあの年にすぐNPOを立ち上げて、現地も含めて行動しておりました。

 私は、この人たちは、あの現場は国有化することだということも主張しておりましたし、なかなか知見のある方であり、経験のある方でもあると思います。そういう方々をもっと動員するということも必要なのではないかなというふうに思います。

 どうやら時間が来たようなので、まだまだ議論したいことがたくさんあるんですけれども、次の機会に譲らせていただきたいというふうに思います。

 どうもありがとうございました。

森委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 おはようございます。日本維新の会の小熊慎司でございます。

 我が党は、十月一日に、汚染水漏れの調査で、東電の福島第一原子力発電所視察を行わせていただきました。また、昨日は部会で、東電の方からいわゆる漏水に関しての聞き取り調査もさせていただいたところであります。

 大変多くの課題を抱えながら、完全収束に向けて着実に、早急にこれを進めていかなければならないところでもあります。また、他方で、こうした問題を抱えながらも、復旧復興の一つの足がかり、前向きな取り組みとして、東京オリンピックも決まりましたし、また、県内においては、次回の島サミットの開催もいわき市で決まるという明るい話題も出ているところでもあります。

 オリンピックの招致委員長が、福島から二百五十キロという言葉とか、総理が、東京にはダメージを与えないという言葉は、まあ誘致のためには必要だったとはいえ、ちょっといかがなものかなというふうには思いました。裏を返せば、福島からではなくて、原発から二百五十キロと招致委員長は言わなきゃいけなかったはずですし、総理も、東京だけダメージを与えなきゃいいのかといううがった見方もできるといえばできるというところでもありましたから、福島県民の多くは、東京オリンピック開催は歓迎すべきところですけれども、どこか、福島県が置いていかれるんじゃないかというような、そういううら寂しい思いも実は抱いたというのも事実であります。

 そうした思いをしっかりと払拭して、一つ一つ解決に向けて積み上げていかなければなりませんけれども、まず初めにお伺いをいたしますが、その際に、原発事故対応について国が前面に立つということは、これは非常に重要なことであります。しからば、具体的には、精神論ではなくて、東電との責任分担がどのようにあって、また、国と東電との完全収束に向けた実施体制はどのように、その国が前面に立つということは具体的にどういうことなのかをまずお伺いいたします。

糟谷政府参考人 東京電力任せではなく、国が前面に出る必要があるという判断を政府としていたしたわけでございますが、国が前面に出るということの具体的な意味としましては、国として、汚染水問題の解決策を、大きな方向を示す、立案する、それから事業者による対策の進捗管理を行う、国の財政措置により事業を行う、こういったことを含めまして、さまざまな側面がございます。

 いずれにしても、全てを東電任せにするのではなく、国としてやるべきことをしっかりやっていくということでございます。

 これまで、ともすると、何か問題が起きるたびに、東京電力に指導をし、報告を待って、報告を得て、それに対してまたコメントをするというようなことをやっておったわけでありますが、報告をしてくる前、つまり、東京電力として意思決定をする途上においても、国として情報を共有して、一緒に考え、問題を解決していくというようなことをやってきておるということでございます。

 具体的には、廃炉、汚染水問題の全体の進捗管理ですとか、技術的な難易度が高くて国が前面に立って取り組むべき対策への予備費も活用した資金的な支援ですとか、それから国内外への正確な情報発信など、政府が一丸となって取り組みを進めるとともに、汚染水対策の潜在的なリスクについて幅広く検討し、内外の知見を集めまして予防的かつ重層的な対策を年内までに取りまとめることとしております。

 東電におきましては、炉の設置者でもあり、現場に精通し、これまでさまざまな作業に取り組んできたわけでありまして、実施主体としての責任を引き続きしっかり果たしていただきたいというふうに考えております。

 具体的な実施体制でありますけれども、現場での取り組みの強化策といたしまして、関係各省庁から職員を常駐させた廃炉・汚染水現地事務所を双葉郡の中に立ち上げまして、日々の出来事、問題、またその対策について共有し、把握し、きめ細かに指導、相談を行っているということでございます。

 また、月に一回、赤羽副大臣を座長といたします汚染水対策現地調整会議を開催いたしまして、現場の関係者からのあらゆる声を吸い上げて、対策の経過の報告ですとか、見直し、潜在的リスクの洗い出しとその対策を講じているところでございます。

小熊委員 船頭多くして船進まずというふうにならないようにこれはやらなければなりませんし、資金的なものは非常に重要だというふうに思っています。

 この委員会ではありませんが、経産委員会の方で、民主党政権時代に、地下水の問題で遮水壁の課題が持ち上がったときに、一千億ぐらいかかるから、これが市場を混乱させるということで、水面下でやろうと。この問題は、東電の経営と地域の安全がはかりにかけられたというふうに私は思っています。

 そういう意味では、東電の経営や、またそうした資金的な制約は現実にありますけれども、それによって安全をてんびんにかけてはいけないんです。まずやはり福島県民、日本国民の、また地域の放射線被害からの安全が最優先をされなければいけないという意味では、予算には限りはありますけれども、しっかりとこれを担保していくということは重要であると思います。

 一方で、人的な配置と運用については、十月一日の我々の調査の中でも、まだまだだなというのがありました。

 というのは、十月一日、御記憶がある方がいらっしゃれば、そのときも汚染水のトラブルがあったんですね。我々は現地にいたのに、何の説明もなしでした。これはほかの委員会で我が党の委員も指摘していますけれども、きのうの我々の部会でも、東電側に言ったら、視察の対応はちゃんとしましたと。視察の対応ではなくて、今ほど、情報をしっかり共有して発信していくということの意味で、視察の対応をちゃんとしろなんということで指摘しているわけじゃないんですよ。結局、東電もその体質が直っていないんですよ。本質がわかっていない。そのときに免震重要棟で説明を受けたときに、規制庁の方もいましたから、一緒に入って、何かコメントありますかと振ったんですね。何もないんですよ。ただ隅の方に座って、何をしているか、説明も受けませんでしたけれども。

 情報を共有する、情報を発信する、実際はなされていないんです、人はいますけれども。まだまだここはちゃんと有機的に、実際は、国が前面に立つと言っていながら、ちゃんと運用されていないんじゃないですか。どうですか。

糟谷政府参考人 御視察へ行かれたときの対応は私は承知しておりませんけれども、いずれにしても、この実施体制、現地の事務所につきましても、まだまだ強化が必要だろうと思っております。

 与党のPT、汚染水のPTからも、役人だけではだめだ、民間の専門家、現場のわかる人をもっと置いて、現場で起きていることを正確に把握して、適時適切に対策をとることが必要だ、そういうことを御指摘いただいておりまして、今、民間人材の登用も含めて、現場での体制強化をさらに図ってまいりたいと思います。

 そういういろいろなお気づきになりました問題点についての御指摘、これを重く受けとめて、よりしっかりと体制がとれるように、これから引き続き対応して努力をしてまいりたいと思います。

小熊委員 実際の現場で作業をするのは公務員でも何でもなくて、作業員の方々で、この点についても聞きましたら、国が前面に立つからいいんだけれども、指揮命令系統がちゃんとしなきゃいけないし、現場が混乱するようになってはならないというコメントもいただいたところでもあります。

 これからしっかりやっていかなきゃいけない、国が前面に立つと言ってまだ日が浅いわけですから。今言ったとおり、何となく、現場に行ってみると、どっちがどこまで口出していいのみたいな感じで、自分の守備範囲が決まっていないというか、連携すべきところがまだちゃんと連携し切れていないというような感じを持ちましたし、実際そのような体験をしましたので、ぜひここは、現場の作業員も含め、東電側も含め、国がまずコミュニケーションをしっかりとることと、あと、どこが国が前面に立ってしっかり責任を持たなきゃいけない、ここは東電がしっかりやれ、チェックは国がやるよというようなこともあわせて明確にしていかないと、これは国がやるんでしょうとか、これは東電がやるんでしょうと、だろうみたいなことで、結局誰もやっていなかったみたいなことになりかねません。

 汚染水タンクのものも、東電の側でチェックしていますけれども、これはなかなか大変な作業でありますが、こういったことも、そうではなくて、国がちゃんとしたチェックできる人を配置してやるとか、そういったことまで含めて今後検討していかなければならないと思います。

 まずは、とにかく東電との連携がしっかりなされるようにしないと、まだそこには大きな溝があるというふうに思いますので、ぜひ、精神論で国が前面に立つということではなくて、会議はやっています、窓口をふやしましたということだけではなくて、実績で、行動でしっかりそこを示していただきたいというふうに思います。

 次に移ります。

 これまでもいろいろ出ていますけれども、今たまっている汚染水のタンクが三十数万トンあって、今の多核種除去設備の処理能力では足らないということで、東電もつくる、国もつくるということであります。

 今、四百トンずつ地下水も出ている中で、これは単純に足し算、引き算すると、来年度中に汚染水処理を完了するということですから、プラス一日千トンぐらいの処理能力がなければならない。しかも、一年でやるとすれば、来年の春にはこれが完成していなければいけない計算になります、一四年度中の処理ということであれば。

 今の進捗状況では、よっぽどのことがない限り、これは確実に計画どおり進んでいて、今までたまったものも含めて一四年度中の処理が可能なのかどうか、まず確認させてください。

糟谷政府参考人 東京電力は、既存の多核種除去設備、ALPSの本格的な稼働に向けまして、三系統のうち二系統で試験運転を開始し、残りの一系統も稼働を開始する予定でございます。これは、一つの系統、二百五十トンの一日当たり処理能力がありまして、三系統で七百五十トンであります。これに加えまして、東京電力は、さらに三系統、七百五十トンの増設を決定して、来年秋の稼働に向けた準備を進めているところでございます。

 これに加えまして、国としても、国費を活用して、より高性能な多核種除去設備について、既に事業者を選定し、設計を開始したところであります。これは五百トンの一日処理能力がございます。もちろん、全部がフル稼働をずっと常にやるわけではありませんけれども、七百五十トンプラス七百五十トンプラス五百トン、こういう設備を来年のどこかのタイミングで立ち上げるということになるわけであります。

 もちろん、それと並行しまして、地下水バイパス等の稼働に向けた準備を進め、また、建屋の止水も進めて、汚染水の発生量を抑制するという取り組みも進めていくわけでございます。

 そういうことをあわせて、二〇一五年三月末までに、東京電力としては、タンク内に貯蔵されている高濃度の放射性物質を含む汚染水を全量処理する、つまり多核種を除去してトリチウムだけが含まれている水にするということを目指している、そういうことでございます。

 二〇一五年の三月末、つまり二〇一四年度中にこの目標を達成するというためには、御指摘のように、東京電力が増設をいたしますALPSを一日も早く稼働させる必要があります。それから、国の予備費で措置をする高度な多核種除去設備、この設置についても極力前倒しをしていきたいというふうに考えております。

 もちろん、安全審査等々必要な手続を経ないといけませんが、そういう条件の中で、何とかこの目標の実現に向けて、国、東京電力一体となって取り組んでまいりたいというふうに思っております。

小熊委員 これでしっかり処理をして、一四年度中に完了しなければ、これは約束ですから、国際的な約束にもなっているはずですから、やらなければいけません。

 今御指摘のとおり、トリチウムだけが残って、結局、処理したとしてもそれは海洋放出はできない。トリチウムの海洋放出に関しては、この委員会でも質疑を重ねてきましたけれども、地元の理解とかさまざまな前提条件をクリアしなければ、タンクとしてたまっていくわけです。処理はしますけれども、トリチウムだけが残った水はタンクに、また増設をしてやっていかなければいけない。

 我々、現地調査に行ったときにも、全部で八十万トン分のタンクの計画は今ありますと。では、今、トリチウムの海洋放出が決まらずに過ごしていくとなると、きのうの東電への我々の調査では、二〇一五年にはこの八十万トンも、処理はした水だけれども、トリチウムだけ残っている処理をした水が八十万トン、これでいっぱいになってしまう、あと二年ちょっとの中で。

 この二年の中でトリチウムの海洋放出が前進すればそれはそれでいいんですけれども、されないという仮定もやはりしておかなければいけません。今の増設計画では、八十万トン分のタンクしか計画をしていないわけです。それを超える場合、この対応については今もう想定をされていますか、どうですか。

糟谷政府参考人 貯蔵しなければならないものがあるのに貯蔵容量が足りない、つまり、貯蔵すべきものが容量を超えるというような事態を招いてはいけないというふうに考えております。

 その上で、予防的かつ重層的な対策、これはさまざまな面について講じていきますけれども、汚染水の貯蔵、それから処理をした後の水の貯蔵の論点についても、同様に検討していく必要があるというふうに考えております。

 このトリチウムを含む水の扱いでございますけれども、国際廃炉研究開発機構、IRIDによる公募に対しまして、内外からさまざまな提案が寄せられております。トリチウム水の分離技術、それから貯蔵技術、そういうことについてもさまざまな提案が寄せられております。

 また、トリチウムについて総合的な評価を行うべきであるという提案が十件近く内外から寄せられておりまして、これを受けまして、トリチウムの分離や貯蔵に関する技術の現状ですとか、諸外国におけるトリチウムの取り扱いですとか、それから貯蔵や放出に伴うリスクなどについて総合的に検討する場を、汚染水処理対策委員会のもとにタスクフォースとして設けることとしたところでございます。

 こういう検討を通じて、冒頭に申し上げましたように、貯蔵しなければならないのに貯蔵容量が足りないという事態を決して招くことがないように、しっかりと対策をしてまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 またそれも仮定の話ですから。これは、今の科学的なものだけではなくて、地元の理解と言っていますから、なかなか短期間では理解を得られないと思いますよ。

 きのう、東電側は、八十万トンを超えたらどうするのと言ったら、また敷地内につくるしかないですねという話もありましたから、これは、そこについても、国としてもさまざまな用意をしておかなければいけないというふうに思っています。それは、あらゆる努力はしていくんです。もちろん、八十万トンを超えないようになるのが一番理想ではありますけれども、これはなかなか、もう時間が決まっているというか想定されますから。八十万トンまで日々たまっていくというのは、これはもう計算すればすぐ出てくる話なので、お尻が決まっていますから、そこに向けて最大限の努力はしつつ、それを超えた場合ももう具体的に検討に入っていなきゃいけないというふうに思いますので、ぜひ、そこはしっかりと取り組んでいくようお願いをいたします。

 今の、また私の前の質疑でもありましたし、これまでもありましたけれども、県内各地、福島県内は除染を行っていますけれども、二十ミリ、一ミリという話が出ていて、これでまた大変県内も混乱はしています。科学的知見、今までも積み上がってきたものはいろいろありますけれども、新たなこうした指標によって、余計な混乱は避けなければいけませんけれども、しっかりと除染が早急に進むということがこのことによって重要なことだというふうに思っています。

 改めて、今後の除染計画の、早急に取り組めるように見直しが必要であるというふうに思いますけれども、この除染計画の見直しについてお伺いをいたします。

三好政府参考人 先生お尋ねの、早急な復旧復興のための除染計画の見直しでございます。

 本年の九月に除染の進捗状況の総点検結果を公表いたしましたところでございまして、環境省が計画を策定し除染をしております地域につきまして、これまでは一律に二年間で除染を行うという計画の中での目標でございまして、個々の市町村の状況に応じまして、また、復興の動きと連携をした除染を推進することといたしたところでございます。

 具体的には、既に計画に基づく除染が完了しております田村市を含めました四市町村につきましては、当初計画どおり今年度中に除染を完了できるというふうに考えておりまして、これに向けまして引き続き全力を尽くしたいというふうに考えております。

 また、他の市町村につきましては、それぞれに事情がありまして、今、各市町村と引き続き調整を行っているところでございまして、年内を目途に現行除染計画の変更を行いたいというふうに考えているところでございます。

 引き続き、各市町村ごとの事情も勘案しながら、丁寧かつ迅速を心がけて対応していきたいというふうに考えているところでございます。

小熊委員 各町村の事情というか、科学的知見によっては、別に、各町村、違ってはいけないので、そこは貫かなければいけないんです。きのうも全国町村長会があって、私の地元からも多数の町村長さんたちが上京して、また、夜、さまざまな勉強会で御意見をいただきましたけれども、やはり、一ミリという言葉が出ている以上、いろいろな見直しがあっても、一ミリはずっと目指していくしかないんだということを受けました。いろいろなことで変えたとしても、それは国がしっかり説明してくれよ、リスクコミュニケーションとしてちゃんと国がやってくれないと、とにかく我々は、今後、どんな科学的知見でこうなっています、ああなっていますと言われても、やはり一ミリを目指す除染を続けるしかないんだという御指摘も受けました。

 あと、過日の委員会でも、今年度中に検討して見解を出すという、いわゆる森林の除染についても、そこから移動してこないんだといっても、除染した後また高くなって、そうしたらやはり山から来たと思うのが、これは素人目にはそういう思いに立ってしまいますから。

 この森林の除染については、地元としては、納得いく取り組みが全然示されておりませんし、ある町の町長さんが言っていましたけれども、実験的にでも、一部だけでも、しっかりとした、木を切って表土を剥いで客土をする、こうした徹底的な森林除染を実験させてくれと言っても、それは全然国が乗ってくれないというような御指摘も受けました。とりわけ、今後の見直しの中では、森林の除染に対しては、国がしっかりと方向性を見出さない限り、いろいろな不安は払拭はできません。

 今、二十ミリ、一ミリの議論がほかの委員でも続いてきましたけれども、とにかくそういう意味で現場は混乱をしていますし、また、現場としては、あくまでも何があっても一ミリを目指すという声の方が大きいということは、ほかの委員からも御指摘があるとおりですから、ここの理解、地域住民への説明はまだまだ足りていないというふうに思っています。

 除染に関してのリスクコミュニケーションは、今以上に取り組んでいかなければいけないところだと思いますので、しっかりとそこも対策をとっていただく。今御指摘した森林除染についても、早期に、国としての方針、そして地元へ納得のいく方針を示していただきたいというふうに思います。

 時間がないので、次に移ります。

 空間線量については、科学的知見があってもより少ない方に求めつつあるんですが、食品の方が、また別の思いがいろいろありまして。国際的にも、今、食品の放射線基準は非常に厳しいというか、日本はより厳しくやっておりますし、とりわけ福島県内では、御承知のとおり、米の全袋検査まで、私の地元の会津の山奥のお米までやっているわけですよ。そのぐらいやっている。なおかつ、学校給食に関しては、一般の食品以上に厳しい基準で子供たちに食材を提供しているところであります。

 全国的には、学校給食の放射能基準についてはどのような実態になっているか、端的にお答えください。

久保政府参考人 食品の安全につきましては、厚生労働省の定めます基準値に基づいて、出荷段階での放射能検査が行われて、そこで安全が確保されるというシステムにのっとりまして行われておりまして、学校給食独自の基準が定められているものではございませんけれども、文部科学省では、保護者等の不安も踏まえまして、より一層の安心を確保するという観点から、これまで、さまざまな予算措置等におきまして、事前検査機器の整備、あるいは給食一食全体の検査の支援等を行ってきたところでございます。

 その検査の中におきます基準でございますけれども、国の基準を下回る独自の基準をつくられている例につきまして、網羅的に把握しているわけではございませんけれども、福島県等の自治体の中には、提供前の食材の事前検査におきまして、例えば一キログラム当たり二十ベクレルを基準とされるなど、独自の基準を取り決められている例もあると承知しているところでございます。

 学校給食において、どのような検査をして、あるいはどのような食材を使用されるかにつきましては、保護者の声あるいは地域の実情も踏まえながら、関係機関とも連携して、学校の設置者であります教育委員会等が適切に判断して実施されているものと承知いたしているところでございます。

小熊委員 今の説明は、私も調べたら、本当にいろいろあって、福島県内じゃなくて、西日本の方でも、ある市は四十でやっていたり、独自でやっているんですね。それはもちろん、おっしゃったとおり、地域の声とかPTAとの話し合いで決まっているんです。

 福島県の例が出ましたから、それでやると食材が集まらないという納入業者の声をいただきました。それは、福島県内のものではなくて、県外の遠く離れたものでも、低い基準だと全部オーバーしてしまうんですね。国外のものでもそうなんですよ。国外のものでも、二十とかだと、もう全然使えないということで、非常な悩みを持っていました。

 何が言いたいかというと、結局、より少ない数字ということを、これは福島県民だけではなくて、全国の人も求めているから風評被害といったものがあるんですけれども、実態としては、福島だからということで避けられているんですが、数字をはかってみると、全国どこでも、そんなものは、ゼロなんというものはほとんどないわけですから。あるわけですよ。これは文科省に言っているわけではなくて。

 そういう意味でも、では、食品の安全というのは何だろうと考えたとき、ちゃんとしたリスクコミュニケーションがとれていないなというふうに思っています。

 いろいろな委員会でも言いましたけれども、福島のものだけ、どうだ、大丈夫か、何だとチェックをすごくされていますけれども、では、ほかのものは福島県じゃないから安全だということで食べている人たちがいますが、実際、数字をはかってみると、低い基準であれば全部だめなんですよ。国外のものでもだめだということになってきます。

 そこで、やはり、正しい放射線知識というのを、学校の段階だけじゃないですよ、これは全てにおいてですけれども、理解をしてもらうというのが、何ベクレルだからということで訴えても、より低い方、低い方というふうに求めるのが心理でありますから。

 そうでなくて、私は今までいろいろ提案してきました。これは空間線量も含めてですけれども、相対的な数字をしっかり示して、福島のものはあなたの地元と何ら変わりないんですよ、海外のものと変わりありません、空間線量にしても東京と福島とは全然変わらないじゃないですか、こういう相対評価をしていく、相対的な数値の発表をしていくということが、こうした放射線に対するリスクコミュニケーションとしても、まず必要な指標だと言ったら、それは検討に値することですと、さきの通常国会でも政府に言っていただいているんですが、何ら取り組みがなくて、とにかく福島の安全の基準だけを、基準というか、その数値だけを発表している。

 でも、実態は、ほかのところの数字は、あるのにもかかわらず、全然出てこないということがありますから、こうした正しい放射線知識の理解のためにも、いま一度言いますけれども、相対的な数値の発表によって理解を求めていくということは必要ではないかと思いますが、御見解を求めます。

黒木政府参考人 ただいまの、国内外の空間線量の相対比較というお話がございましたので、私の方から、その点、お答えいたします。

 御指摘のとおりでありまして、風評被害の払拭につながりますように、現在、恐らく国内外の空間線量といった場合には、世界主要都市との比較になると思いますけれども、それについて、科学的かつわかりやすい形で提供できるように、今、計画を進めているところでございます。

 以上であります。

小熊委員 食品の方もですよ、これもしっかり、そして発表ですよ。

 ある意味でいうと、福島県からすると、これは抱きつき作戦みたいになっちゃっているんですけれども、北海道から九州、沖縄まで、何ら福島県産のものと変わりがないという数値を示していくことが、福島県産に対する風評被害の払拭のためには必要な、一般の人もなかなか、何ベクレルだからどうだと言っても、皆さん、専門家じゃないんです。それは、心配ならばどこまでも心配になっちゃうんですよ。そして、逆に、ほかのものと比べて変わりないんですよと示していくことが、一般の人にはわかりやすい、理解を求める一つの手段だというふうに思いますので、これは、今言った大ざっぱなあれじゃなくて、細かく、広く国民に、また国内外にそうした情報が発信されるように、より一層の取り組みを求めます。

 時間が来ましたので、残余の質問はまた次の委員会に移したいと思います。どうもありがとうございました。

森委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 おはようございます。みんなの党の椎名毅でございます。

 本日、一般質疑ということで、五十分質疑時間をいただきました。感謝を申し上げたいというふうに思います。

 さきの通常国会で最後に質疑があったのは六月の二十一日、それからかなり時間が経過をしておりまして、この福島第一原子力発電所をめぐる問題、それから原子力発電所一般に関する問題ということで、さまざまな進展がございました。

 七月の新安全基準の施行と再稼働に関する適合審査の申し入れ、それから七月の高レベル汚染水の港湾内への流出、八月には汚染水貯留タンクからの水の漏えい、さらには十月に廃炉に係る会計ルールの変更、そして十一月からは四号炉の燃料の取り出し、こういったいろいろなことがございましたので、私自身も本委員会がなるべく早急に開かれることというのを望んでおったわけでございますけれども、なかなか日程等の調整も合わずにこの時間になってしまったことを少し残念に思っておりますとともに、与党筆頭理事及び野党筆頭理事のさまざまな調整により、何とか本委員会が開催にこぎつけられたことについて感謝を申し上げたいというふうに思います。

 私自身は、きょうの質疑については、今るる申し上げました、さきの通常国会以降、今国会までの間に起きたさまざまな進展等について、幾つか時間の許す限り伺ってまいりたいというふうに思います。

 まずは、四号炉の使用済み核燃料プールからの燃料集合体の取り出しに関連して幾つか伺ってまいります。

 私自身も、さきの九月とそれから十月に、二回にわたりまして、議連とそれから党の視察ということで福島第一原子力発電所の中に伺わせていただきました。そのときに、私自身は、国会事故調にいたときに視察をしてから約一年半を置いて再びこの東京電力の中に、福島第一原子力発電所の中に伺ったわけですが、大きな進展があったとともに、やはり悩ましい問題がまだまだたくさんあるなという二つの感想を覚えました。

 そのうちの大きな進展ということの一つが、四号炉の使用済み核燃料プールからの燃料集合体の取り出しについてだったというふうに思います。今週月曜日、火曜日から、十一月十八日から、四号炉の使用済み核燃料プールからの燃料集合体の取り出しが始まったわけでございます。

 先月私が視察に行ったときも、燃料集合体の取り出しに関連いたしまして、四号炉の横に大きなカバー建屋ができ上がっていて、何となく、これがうまくそのまま進めば、中長期ロードマップの中での第二期だと思いますけれども、燃料の取り出しということが速やかに進んでいくのではないかという期待感を覚えさせるような、そういった進展が見られたなというふうに思っています。

 そこで、実際に始まりましたこの燃料の取り出しに関連して幾つか伺ってまいりたいと思います。

 昨年の十一月の七日の原子力規制委員会の決定で、「特定原子力施設への指定に際し東京電力株式会社福島第一原子力発電所に対して求める措置を講ずべき事項について」という書類が出ていて、一号炉から四号炉についてこれこれをやってくださいという指示が原子力規制委員会から出ていたかというふうに思います。具体的には、「確実に臨界未満に維持し、落下防止、落下時の影響緩和措置及び適切な遮へいを行い、取り出した燃料は適切に冷却及び貯蔵すること。」こういう指導というのが出ているかと思います。

 これに関連して、今現在行われ始めた燃料の取り出しについて、燃料の取り出し、それから取り出した後の燃料を共用プールで受け入れること、さらには、その後、もともと燃料プールに入っていたものを乾式キャスクの保管庫に移動させていくということをするんだと思いますけれども、この保管庫においてどういった形で安全対策が行われているのかということについて、田中委員長に伺えればというふうに思います。

山本政府参考人 少し技術的な事項でございますので、私の方からお答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、この燃料取り出しに当たりましては、安全上の対策をきちっと行うことは大変重要でございますので、規制委員会といたしましては、今御指摘のような安全の観点から、それぞれの対策についての審査、確認を行ったところでございます。具体的には、実施計画という東京電力から提出されたものを審査する、こういう形で行っております。

 中身でございますけれども、まず燃料プールからの燃料の取り出し、それから、共用プールでも同様に燃料をつり上げて移動させます。こういったところにつきましては、燃料の落下を防止すること、それから臨界を防止すること、遮蔽を行うこと、こういった対策についての確認を一つずついたしました。

 それからもう一つは、地震などによりまして設備が壊れてもいけませんので、燃料の取り扱い機であるとか、天井クレーンとか、あるいは御指摘のあったカバーの建屋でございますけれども、そういったところについても、必要な耐震性を有しているといったことを確認しているところでございます。

 それから、さらには取り出しの作業そのものについての安全確保は当然重要でございます。

 一つ一つをしっかりやっていくというのは当然でございますが、特に想定されますのは、瓦れきがプールの中にたくさん散乱しておりまして、大分除去はいたしましたけれども、まだ幾つか残っている可能性がございます。そのために、瓦れきを取り出す際に、いわゆるかじりといいまして、集合体が瓦れきとの間にひっかかって取り出しができない、こういったことも想定されます。

 したがって、そういった場合については、一時的に保持をする、あるいはその瓦れきを撤去する、そういうような対策が今予定されているところでございます。こういう作業については、一つ一つ確認をしていくということが重要だと思っております。

 それから、取り出しました燃料を共用プールに持ってまいります。これについても、共用プール自身の冷却機能であるとか遮蔽機能、そういったところの確認も行ったところでございます。

 それから、もう一つの点は、現在共用プールにあります古い燃料を乾式のキャスクに入れて、そこに空き容量を確保するということが一つの計画になされております。これについても、乾式キャスク自体の冷却機能、臨界の防止、それから除熱の問題、こういったところについても確認をしているところでございます。

 規制委員会といたしましては、そういう事前の段階での確認、それから、現在作業を実施しておりますけれども、作業の実施段階、これは検査という形で確認をしてございますけれども、そういった形で一つ一つの作業を確認し、今安全がきちっと図られているということを確認していきたいというふうに考えているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 一応確認なんですけれども、ことしの二月に東京電力株式会社が出している、使用済燃料取り出しの安全性についてという資料を見ると、例えば、燃料の取り出しとかについては、「従来の燃料取扱いとほぼ同様の構造・設計、安全性を有する設備を用いて、従来とほぼ同様の作業手順・体制にて実施」とか、共用プールのところでも、「既存の設備を用いて、従来と同じ作業手順・体制にて実施」とか書いてあるんです。

 これは要するに、福島の原子力発電所の事故が起きて、いわゆる安全性に対する考え方とかフェーズが変わったんだというふうに思っていますけれども、従来の取り扱い、それから既存の施設を使うということで、それで本当に大丈夫なのかどうか、ちょっと確認させてください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 燃料を取り出すという行為そのものの基本的なやり方は、委員御指摘のように、従来からやっているものがベースとなっております。

 ただし、今回の四号炉の場合は、やはりさまざまなリスクを想定する必要がございます。先ほど言いましたように、燃料カバーというものを新たに設置をしております。それから、燃料プール内には、先ほど申しましたように、瓦れきが散乱していて、それがひっかかって取り出しにくくなる可能性もございます。

 そういった点が従来とは大きく異なる点でございます。したがって、そういう想定されるリスクに対しては、それに対応する手順を整備し、体制を整備し、安全をきちっと図っていくというのがやはり基本だと思っておりまして、従来とは異なる点を重視して対応していくことが重要であろうと思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 従来とは違うというところを少し重視して、ぜひ、きちんと安全な作業をしていただきたいなというところです。

 燃料の取り出しについて、作業中にまた大きな地震が起きるということは、やはりリスクとして想定をしておかなければならないことの一つだと思います。また、大きな地震や津波が起きたときに、燃料が落下をして飛散する可能性ということまでは、それなりに考えておかなければならないことの一つなのかなというふうに思います。

 そういった観点で、例えば燃料が落下した場合に、作業員だったり、サイトの外に住んでいらっしゃる、余り近くにはいないですけれども、作業員の方々が定住で作業をしていたりとかしますし、さらには、県外の大分外にいる住民の方々に対して、被曝したりするリスクというのをどのぐらい検討されているのかということについて教えていただければというふうに思います。

山本政府参考人 委員御指摘のとおり、燃料棒を移動する際、燃料棒そのものを落下させてしまうリスク、あるいは、燃料を輸送用のキャスクに入れますけれども、その輸送用キャスクを地上におろす際に落下させてしまうようなリスク、そういうリスクは当然ございますので、それに対する対策は当然必要になってまいります。

 まず、設備面につきましては、そういう移動に際しては多重の防護対策、例えば、電源がなくなっても保持能力が失われないようにするとか、あるいは、二重のワイヤーによって、設備の一つに故障が起きても落下を防止するような、そういう設備面の対策を実施するのが基本になってございます。

 その上で、万が一落下した場合の影響評価も実施してございます。例えば、燃料プール内で移動した場合、ほかの燃料のところへおっことしますと、やはりそれなりの破損をして放射性物質が出てまいります。あるいは、キャスクを地上に落下させた場合についても、キャスクが一部破損をして放射性物質が出てくる可能性がございます。これの放射線の被曝評価もあわせて実施をしてございます。

 それぞれ評価をした結果、特に外部等への影響という意味では、敷地境界の被曝線量、これは極めて小さいものであるということが評価上は確認されてございます。

 もちろん、こういうことがあってはならないわけではございますけれども、仮にそういった緊急事態が発生した場合の体制も整備をしてございまして、まずは、作業員が被曝しないように避難をするための手順、それから関係各省への通報、連絡、こういったものの体制、手順でありますとか、あるいは、この作業実施前にはそういったところの訓練もあわせて実施してございます。

 そういったところを、私ども規制委員会として、検査の中でしっかり確認をさせていただいたというところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 まさに、事故以前までは、原子力発電所は安全であるということで、多重防護とうたいつつ、例えばステーションブラックアウトみたいなものが起きることを想定していなかったり、電力が失われた際にどうやって対応するとかということまでも十分には対応できていなかったということなんだと思うので、きちんとこの点について検討されているということについては、私自身は少し安心をしたところでございます。

 核燃料プールの話について、もう一点、最後に東京電力の廣瀬社長にお伺いしたいんです。

 この使用済み核燃料プールからの燃料棒の取り出し、燃料集合体の取り出しですけれども、取り出しがここ数日、ニュースになっているわけですけれども、ニュースを見てみると、実は破損している燃料が燃料プールの中にあったということが、報道されているベースですけれどもありました。四号炉にも三体、さらには、一号炉七十体、二号炉三体、三号炉四体、合計八十体の破損している燃料があったということなんです。

 これについて、破損している燃料を、要するに抜き取りをすることが難しいのではないかという疑念というか心配が、世の中の方々の中に結構流布し始めていると思うんですけれども、実際の破損の原因だったり破損の状況だったり、実際この破損燃料を今後どういうふうに取り扱っていくかということについて教えていただければというふうに思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、一号炉のプールに七十体のそうした燃料があるというふうに確認しております。あるのが、ほとんどが一九七〇年代に発生しました。

 つまり、一号炉が動き出してすぐのころに発生したわけでございますけれども、これの原因は、当時の知見で、運転の仕方に起因して、御存じのように、ジルコニウム管という管と、その中にペレットという原子燃料が焼き固まったものがございますけれども、そこの膨張の差がありまして、ペレットの方がより早く大きく膨張してしまって、中側から被覆管に圧力をかけてしまうというようなことが原因でありましたが、その後、運転の方法等々の知見が高まりまして、八〇年代以降はそうした事情による燃料の破損等々については全く起きておりません。

 一方、二号、三号にありますものは、いわゆる傷がつくとか、何か異物がひっかかったとかいったような外的なことによるものでございます。

 こうした燃料をどうやって取り出すかというのは、おっしゃるように今後の課題だと思っております。まずは、今、始まりましたように、新燃料を月曜日、火曜日と抜き出しました。今後、普通の破損していない使用済み燃料を手がけていくことになると思いますので、そうした過去で問題のあった燃料については後に持ってくるという計画でございます。その間、この燃料の状況をもっともっとよく把握したいというふうに思っています。

 それによりまして、キャスクへの詰め方、あるいは、キャスクそのものも、これと同じものが使えるかどうかというようなことをしっかり把握して、その上でその抜き取りをしていく、そういうふうに考えておるところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。破損している燃料に対する世の中の不安というのは、結局、抜き取りができないのではないかということと、それからあともう一つ、放射性物質の飛散につながるんじゃないかという問題もあるんだというふうに思います。

 一応確認なんですけれども、現状としては、使用済み核燃料プールの中の水の中に入っているから、放射性物質が外に出るという状況にはないという理解でいいと思うんですけれども、さらに、将来的には、技術を一生懸命頑張って開発していただいて、取り出していただいた後は、放射性物質が外へ飛散するような状況にならないということでいいのかどうか、ちょっと、さらに廣瀬社長に教えていただければと思います。

廣瀬参考人 そもそも、お話し申しましたように、かなり古い燃料で、四十年近くプールの中に置いて、燃料そのものは相当冷たくなってきております。

 先ほども申しましたように、燃料の状態についても、これからもう少し詳しく調べていきたいと思っておりますし、基本的な作業は、今のとおりでいけば、水の中で行われて、キャスクの中に入れて出すということでございますので、外への心配はないというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。これはやはり、周辺住民を含めて結構大きな心配になる可能性があるのかなというふうに思っているので、丁寧に対応していただく必要がある問題かなというふうに思っております。

 続きまして、汚染水の問題について幾つか伺ってまいりたいというふうに思います。

 先ほど、私自身が福島の第一原子力発電所に九月、十月に視察に伺った際に何か暗たんたる気持ちになった問題というのが、やはりこの汚染水の問題でございまして、汚染水の問題は、トレンチを通じて高レベルの汚染水が海と混在をしているという結構クリティカルな問題と、あとは、タンクにためてある、一応セシウム等の核種を除去したもの、それを便宜上中低レベルというふうに呼びますけれども、中低レベルの汚染水をどのぐらいためておくことができるのかということと、大きく二つに分けることができるのかなというふうに思いますけれども、まず、高レベルの汚染水の問題です。

 これは、ルーツは結構古いんだと思いますけれども、平成二十三年の四月、五月のあたりに、二号機、三号機付近のトレンチから同じように水が漏れていて、高レベル汚染水が海へ流れているという問題があったかと思います。当時は、これで止水をしましたということで、一年以上ずっと話題にならなかったわけですけれども、ことしの七月前後に、結局それは、問題が表に出なかっただけであり、同じ状況がずっと続いていたということが発覚したわけですね。

 そういった中で、政府側の方でも、緊急にワーキンググループを開いていただいて、汚染水問題に対する基本方針というのを出していただいたかというふうに思います。これで、今現状において、トレンチの中の高濃度汚染水をどのように対策するようになっているのかという対策、方針の現状と、さらに、トレンチの中を凍結遮断するということになっているかというふうに思いますけれども、今後の方向性についても含めて教えていただければというふうに思います。

磯崎大臣政務官 お答え申し上げます。

 私どもとしましても、この汚染水の問題というのは、抜本的に解決をしなければいけないという非常に大きな問題だという認識でございます。

 委員御指摘されましたように、九月の三日の日に、原子力災害対策本部で対策というのが検討されております。これも御存じかと思いますが、三つの基本方針というのを持っておりまして、汚染源を取り除くというのがまず一つ。そして、汚染源に水を近づけない、これが二つ目。そして、汚染水自体を漏らさない。この三つの基本方針のもとで、それぞれ緊急対策と抜本的な対策、これをとっていくということでございます。

 特に、今委員の方から御指摘ございましたトレンチ内の高濃度の汚染水の問題でございますが、特に二号タービン建屋と三号タービン建屋からのトレンチ、ここに高濃度の汚染水が今でもたまっているというのが、これは現実の問題というふうに認識をしております。

 トレンチからの汚染水の除去につきましては、これは幾つか工程を設けておりまして、既にこれは開始をしておりますけれども、まず一つは、主トレンチから分岐トレンチ、これに移るところをまず遮断していくというのが一つ目のステップでございます。二つ目は、その遮断をした主トレンチの中で、これは移動式のALPSというふうに言われておりますが、これによりましてその汚染水を浄化していく、これが二つ目のステップ。そして三つ目が、主トレンチともともとの建屋との接続部を止水していく、これが三つ目のステップ。さらに、止水をした上で主トレンチから汚染水を移送していく。そして最後に、主トレンチ内にコンクリート等を充満して完全に閉塞をする。

 こういう五段階の工法をもってこのトレンチ内の高濃度の汚染水の対策をしていくということで、既に一部、分岐トレンチの閉塞につきましては完了しておりまして、今、主トレンチ内の、先ほど申し上げました移動式のALPS、これによって浄化を開始しているということでございます。

 東京電力の方では、来年度中にこれらの全工程を完了させるというふうに承知をしております。

 先ほど委員の方から御指摘ございました凍結工法ということにつきましては、これは、今申し上げました工程の三つ目にございます主トレンチとタービン建屋を閉塞する止水の段階で凍結工法を用いるということを検討しておりまして、既に実証試験を終えて準備作業に取りかかっているというふうに承知をしております。

 着実に進行するように、私どもとしても東京電力を指導してまいりたいというふうに思っております。

椎名委員 ありがとうございます。

 凍結工法というのは、私の理解が正しいかどうかちょっとよくわからないんですけれども、後ほども触れようかと思いましたし、先ほど荒井先生も触れていらっしゃったのでちょっと確認的に伺いたいんですけれども、凍土壁の話と関連してなんです。

 これは別に、そんなにサステーナブルな技術ではないんじゃないかなというふうには思っていたので、あえてこの凍結遮断の話をちょっと伺ったんですけれども、今のお話を伺っていると、幾つか工程がある中での一つということで、この凍結遮断の技術が必ずしも中長期的に維持されるほどのものでは仮になかったとしても、いろいろな場面で止水をしていって最終的にトレンチを埋めるということであれば、汚染水は漏れ出ないという理解でよろしいですか。

糟谷政府参考人 主トレンチは建屋とつながっております。これをとめない限り、主トレンチから汚染水をくみ上げましても、どんどん建屋から水が入ってくる。したがって、袋のようなものに凍結管を入れて凍らせて、建屋と主トレンチの間を止水するということでございます。

 一旦凍らせて止水をした上で、主トレンチの中の汚染水を抜き出しまして、主トレンチはそのまますぐに埋めますので、そんなに長期間凍らせておくということが必要になるものではないというふうに理解をしております。

椎名委員 わかりました。これを来年中に行うということですので、まさに高濃度汚染水が海へ混在するというのは、安倍総理がオリンピックの招致の演説のときにも、港湾内に汚染水は限定されている、大丈夫だということをおっしゃったわけです。

 それがその当時本当だったかどうかはとりあえずさておきとして、汚染水が港湾内、さらには海洋、さらに外洋に抜け出ていかないためにも、結構このトレンチの埋め立てというのは非常にクリティカルなんだというふうに僕自身は認識をしておりまして、これを来年中にやっていただくというのは結構重要なことだと思います。なので、これをぜひとも早急に、今おっしゃっていただいた、最終的にはトレンチを全部埋め立てるということになるんだと思いますけれども、それをぜひ急いでいただくよう、よろしくお願いいたします。

 次に、もう一つ、大きな問題の一つですけれども、汚染水の抜本的な、大きな原因の一つが流入地下水なんだというふうに思います。

 流入地下水、先ほど来、さまざまな方々がいろいろおっしゃっておりますけれども、当初は日量一千トンという話になっていたかと思いますけれども、見積もりが変わって、現在では日量八百トンというふうに言われているのかなと思いますが、そのうち四百トンが建屋内に入り込み、そして残りの四百トンが横へ流れていく。その過程で、トレンチなんかにある、何か汚染されたものみたいなものに触れたりするというような話だったかと思いますけれども、これに対する抜本的な対策の一つに、陸側遮水壁という問題があるんだというふうに思います。凍土壁だというふうに思いますけれども。

 ここで一点、ちょっと確認したいんですけれども、先ほども小熊先生が言及していましたけれども、二〇一一年の六月の時点で、民主党政権下で、地下バウンダリーという形で、幾つかの工法で検討がされていたんだというふうに思います。その中で、粘土方式、それから凍土方式、さまざまな形で検討をされていた中で、粘土方式がたしか一応採用されたことになっていて、これが実際に採用されて実現するとなると一千億近くのお金がかかるということで、これが東京電力の、要するに財務諸表上、非常に大きな負担になるということでお話があって、何となくうやむやになって、気づいたらその遮水壁の話がなくなっていたというか、表に出てこなくなったんです。

 その当時に検討されていたこういった地下バウンダリーの話と、今検討している陸側遮水壁の問題、具体的にどう違うのかということについてまず伺えればというふうに思います。その後に、ちょっと有用性という意味で、後ほど伺えればと思いますけれども。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

磯崎大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 今回採用をしております凍土方式の遮水壁、これは先ほど申し上げましたが、基本的な考え方の、汚染源に水を近づけないということの抜本的な対策ということでございます。

 今、委員御指摘されましたように、震災直後の時期、二〇一一年の六月に、政府と東京電力で統合対策本部というものが設けられておりまして、その中長期的な対策チームにおいて、今御指摘のあった、地下に汚染源とのバウンダリー、境界を設ける、そういう検討がされていたというふうに承知をしております。

 これも御指摘されましたように、四つの方策というものが検討されておりまして、一つは、汚染源の壌土を粘土で覆う、キャッピングというんですか、これが一つ。それから、汚染源自体を凍結させる凍結バリア。それから、汚染源の周囲に垂直な遮水壁を設ける、これが垂直バリアと言われるもの。そしてもう一つが、地下水流の中で放射性の物質を吸着する壁を設けるという透過性反応バリア。この四つが検討されておりまして、最終的には粘土方式による垂直バリア方式を有力な候補としたというふうに聞いており、その後の経緯はおっしゃるとおりかと思います。

 今回、政府が予備費を活用して構築に取り組んでおります凍土式の陸側遮水壁でございますけれども、これは、いわゆる先ほどの四つの方式からいえば、垂直バリアの一種というふうに言えるんだと思います。

 ただ、今回、私どもが凍土方式を採用したというのは、大きく三つの理由があるというふうに思っております。一つは、他の廃炉作業を邪魔しないという観点が一つ、もう一つは、より狭い範囲で囲い込むという観点、そして三つ目は、非常に高線量下での作業ということになりますので、やはり長時間の作業時間ということではなくて、できるだけ短時間で作業が終わるという、この三つの観点から、現実的な考慮ということで、最適なものとして凍土方式を採用したということでございます。

 ちなみに、二〇一一年当時考えられていたバウンダリーにつきましては、これはいわゆる汚染源というものを、言ってみれば密閉するというか隔離するというのが恐らく主な目的だったというふうに認識をしておりますけれども、今回の陸側遮水壁というのは、まさに水を近づけない、それを遮断するというのが大きな目的というふうに思っておりますので、目的も、大きく言えば違っているのかなというふうに認識をしております。

椎名委員 ありがとうございます。目的が大きな意味で違っているというのは理解をいたしました。

 とはいえ、コストでいうと、当時の話が一千億という話で、今回、予備費等を投入して三百数十億という形で、より狭い範囲で行うということなのでこのぐらいのコストにおさまっているということなのかなというふうに思いますし、結局、最終的なコスト負担という意味でいうと、これを国費でというか税金を投入することによって、研究開発費という形で予備費から投入されているということで、東京電力の財務負担という観点からは、大きな問題にはならなくて済むというところがあるのかなというふうに思います。

 後ほども話をしたい話ではあるんですけれども、実際、予算上の制約、特に一民間企業の予算上の制約によって制限されていることによって、一度検討されたものが何となくむにゃむにゃっとなくなってしまって、最終的によりコストの安い形で、かつ、より意味のある形で、凍土壁という新しい方式が出てきたわけですから、これをもうちょっと前倒しで、要するに、後手後手にならずに対応することができたらよかったんじゃないかなとやはり思うわけでございます。そこに、やはり東京電力一社に任せ続けていることの限界というのが一つあるのかなというふうには私自身は思っています。

 有用性という意味についてちょっと確認なんですけれども、我が党の中でもよく議論をしているんですけれども、先ほど荒井先生がおっしゃっていただきましたけれども、我が党の中で、陸側遮水壁、凍土方式という形ではなく、単純に堀を掘ったらいいんじゃないかということは、よく検討の中に上がってくるわけですね。

 この陸側遮水壁をつくるに当たって、管を入れて凍土をつくるということですけれども、これが要するに、何年もつのかよくわからないのと、それを維持し続けるためにどのくらいコストがかかるのか、いまいちわからないねというのが我が党の中での議論の結論だったりするんですけれども、そういう観点、この陸側遮水壁の長期的な有用性という意味なんですけれども、教えていただければ。

 さらには、堀を掘るという、地下水の堀を掘って要するに水の流れを変えるということ、これについて御所見をいただければというふうに思います。

糟谷政府参考人 凍土方式の陸側遮水壁でございますけれども、現段階では、建屋の止水が完了するまで利用するということで、大体、二〇二〇年ごろまで利用するという計画でございます。

 したがって、従来、一年、二年程度しか使われていないじゃないかという御指摘はありますけれども、逆に、四十年ずっと使い続けるというものではないということであります。

 それから、堀を掘ったらどうかという御指摘についてでありますけれども、まず、陸側遮水壁に決まりましたのは、先ほど政務官からも御答弁申し上げたように、幾つかの事情がありまして、特に、小さく囲い込む、狭く囲い込むというためには、やはり建屋に近いところに重機、人が入らないといけません。凍土方式の陸側遮水壁をつくるために必要な重機は小さい重機で大丈夫であるのに対して、粘土方式の壁、または堀をつくるということになりますと、より大きな重機を入れなきゃいけない。それから、そういうことをやりますと、ほかの工事の妨げ、干渉が起きるということもあります。そういうことで、現段階では凍土方式が最適だろうということをことしの五月に決定したところでございます。

 もちろん、凍土方式の遮水壁、いろいろな技術的な課題もありますし、それから、今まで一つの対策だけに頼ってきたから、それがうまくいかなかったときに対策が後手後手になったのではないか、そういう反省もございます。

 したがって、万一凍土方式の陸側遮水壁が十分な機能を発揮しない場合にも、それで直ちに問題が起きることがないように、予防的、重層的な対策を講じていくこととしたいと考えておりまして、その際、いろいろなやり方があると思いますけれども、新たな遮水壁をつくるということも一つの対策の候補ではないかなということで、今検討しているところでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 近づけないというのが三方針のうちの一つなんだということですけれども、やはり、単純に考えて、堀を掘るというのが一番近づけない方法の一つかなというふうに思ったりはするので、引き続き御検討いただけると大変幸いでございます。

 先ほど参考人の方がおっしゃっていただいたように、多重的な対策を打つことに多分意味があるんだというふうに私自身は思っておりまして、まさに陸側遮水壁を設けたとしても、もう一つ、もう二つと方法を打っていくということには意味があるかなというふうには思っています。

 時間も余りないので、一個一個全部聞いていると結構時間がなくなりそうなので、ちょっと幾つか飛ばしながらいきます。

 というわけで、汚染水に関する質問の三というところは飛ばしまして、ALPS関連の話をちょっと伺いたいと思います。

 東京電力の廣瀬社長に伺いたいんですけれども、ALPS、ようやく三系統全部が試運転されるということになろうかというふうに思いますけれども、実際、本格運転されるのがいつごろになってというのがまず一点です。実際、本格運転したとして、最大日量七百五十トンを、要するにトリチウム以外の核種除去を行うことができるということになっていると思いますけれども、現在三十数万トンから四十万トン前後と言われている、要するに、タンクの中にたまっている中低レベルの汚染水、これをどのくらいの期間できれいにしていくことができるのかということについて教えていただければというふうに思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、AとCは今まで動かしておったんですが、B系統というのをきょう先ほど試運転を始めまして、今まさに三系統で動き始めておるところでございます。

 今後、安定的にこれをまず運転して継続すること、その間に必要な性能が十分出ているかどうか等々をチェックしてまいります。その上で、規制庁の方に報告をし、認可をいただいて、本格稼働という運びになるというふうに考えております。

 一方で、たまってきております汚染水を多核種除去するという工程でございますけれども、まず、ここで今七百五十トン、二百五十掛ける三ですので七百五十トンの処理能力がきょうできてきたわけでございますけれども、そのほかに、お国から御支援いただいて、高性能のものが五百トン、それから私どもが今動いている三つと全く同じものを、これは同じものであれば設計が簡単に済むということで、それを合わせて、それらを来年度中にまずとにかく運転させなければいけないと思っておりますので、こうしたことを合わせまして、いわゆる三つのALPS、合計でいいますと八系統になりましょうか、二千トンになります。もちろん、これが全部一遍に動くということでなくて、いろいろな調整をしながら動いていくわけですが、それらを使うということがまず一つであります。

 一方で、日に四百トン入ってきているというものも、できれば少しでも抑えれば、その差分がたまっている方の処理に回りますので、それらのこともあわせてやるということで、二〇一四年度中、あと一年半でございますけれども、この間に、今たまっている分については、何とかトリチウム以外の多核種を除去する、そして少しでも安心した状態で保管をしていくということにこぎつけたいというふうに思っておるところでございます。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

椎名委員 ありがとうございます。

 もう三系統の七百五十トンとそれから国費投入してつくっていただく五百トン、これらでぜひ急いでやっていかなきゃいけないんだというふうに思います。

 今現在、タンク自体は八十万トン分ぐらいは計画がされているということになっているというふうに思いますけれども、引き続き、これは全部水とはいえ放射性廃棄物なわけでございまして、場所に限りもありますし、保管方法にもやはりいろいろ問題があるので、ぜひ早急にALPSを稼働させていただいて、トリチウムしか入っていない水というのにどんどんどんどん変えていく必要というのがあるだろうというふうに思います。

 そこで、トリチウムしか入っていない水というのがそれでも残るわけですけれども、経済産業省とそれから田中委員長にそれぞれ御所見を伺いたいんです。これを海洋放出するべきではなかろうかというところも私自身は個人的な見解として思っているんですけれども、トリチウムを含んだ汚染水というものに対する処理の方法及び海洋放出に関して御所見をいただければというふうに思います。

磯崎大臣政務官 お答えいたします。

 今委員から御指摘ございましたように、多核種の除去装置を使いましてもトリチウムだけは残るということでございますので、これをどうするかということでございますけれども、トリチウムは、御存じのように、水として存在をしますので、人体にも魚介類にもほとんどたまらずに排出をされるというふうに認識をしております。逆に、そうであるからこそなかなか分離をすることが難しいということかと思います。

 このトリチウムの技術等々につきましては、やはり、なかなか確立したものがないということで、IRIDを通じまして、国内外の知見を集めて、提案も今かなりたくさん受けているということでございまして、今それについて提案の取りまとめをしているということでございます。

 ただ、今後とも、汚染水の安全な保管とか保存の方法につきましては、先ほどおっしゃいましたように、やはり予防的、多重的、こういった方策が必要だというふうに思っておりますが、いずれにしましても、私どもとしましては、汚染水の安易な海への放出について、これは行わないというのが基本的な方針でございますので、その点で御理解をいただければというふうに思っております。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会としましては、他の原子力施設も含めて規制基準、いわゆるそういった排出基準を決めておりまして、その基準を上回るものは排出させないということで、規制当局として厳格な審査、検査をして確認をしているところでございます。今般の福島第一原子力発電所のいわゆる汚染水、トリチウム水の問題につきましても同じ考え方で当たっていきたいと思っております。

 通常の場合でも、これまでもトリチウムを含めて、汚染水は海洋に一定レベルでは放出してまいりましたので、そういったことを踏まえて、事業者からの申請等に対しても対応していきたいというふうに思います。

椎名委員 ありがとうございました。

 水という放射性廃棄物の保管、それから処理の方法というのは本当に難しいんだというふうに思います。安易な海への放出をしないとおっしゃっていただいたのは、ある意味心強いんですけれども、安全性という意味で、それから国民の健康という意味では物すごく、ある意味心強いんですけれども、現実感として、水を大量に保管し続けるということの難しさというのはやはりあるかなというふうには思います。

 そういう意味では、IRIDを通じた技術の革新というのを期待しつつ、しばらく放置をするということが当面の現実的な対応かなというふうには思います。

 ただし、やはり最終的には希釈するなりなんなりして、それなりに基準を下回ったものについては、最後の最後、海へ放出するということも考えていかないと、要するに、放射性廃棄物の保管という観点からすると、結構難しい問題が生じるんじゃないかなというのは私自身は思っているところでございます。

 聞きたいことはたくさんあるんですけれども、だんだん時間がなくなってきてしまいました。あと幾つか伺います。

 私自身がいろいろ相談をしながら聞いているエンジニアの方々とお話をしている中で、見解としていただいたものの一つなんですけれども、そもそもこの汚染水の問題というのは、結局、何だかんだ言って、デブリなりそれ以外の放射性廃棄物なりなんなりに、水が結局、循環水の形で水で冷やし続けるという形態そのものに、これを続けている限りにおいて、永遠に汚染水が何かしらの形で生み出され続けるんじゃないかというところにやはり問題意識を少し持っていて、中長期的にというか長期的にという意味なんですけれども、水ではなく空冷という形で、今ある原子炉を冷やしていくということについても検討していった方がいいんじゃないかという御意見をエンジニアの方々からもいただきまして、ひとつ、経済産業省の方から御所見をいただきたいなというふうに思った次第でございます。

田中大臣政務官 今現在、福島原発の一号機から三号機までの燃料デブリでありますけれども、合計で一日約四百トンの冷却水、これによって安定的に冷却されているところであります。

 委員がおっしゃるように、デブリの冷却、空冷化ということであります。確かに、燃料デブリを空冷しまして、そして同時に水抜きを進めていけば、汚染水の減少あるいは放射性物質の濃度の低減が図られるものと期待するところであります。

 しかし、今、燃料デブリが圧力容器内において、格納容器内にどのように分布しているか、これが実は現状では確認できないところであります。そして、燃料デブリに満遍なく空気を吹きつけることができるのか、十分な冷却ができるのか、これが今不明ということであります。そのために、現時点では冷却水による冷却を継続することとしているところであります。

椎名委員 ありがとうございます。

 今伺った話でもわかりましたけれども、結局、どこに溶け出した燃料があってというのがわからないということになると、最終的には、どこまでカメラを入れてどこにあるかということをいろいろ調べていくという作業が一番最初に先行するということなんだろうなというふうには思います。

 地下水を近づけないとしても、循環水で回し続けるということをやり続ける限りにおいて、やはり汚染水はずっと生み出され続けることは多分間違いないんだというふうに思うので、短期的な課題では決してないというふうに思いますけれども、長期的に、選択肢の一つに、ぜひ頭に入れていただきたいなというふうに私自身も思います。

 時間もなくなったので、最後だと思いますけれども、ちょっと先ほども申しましたけれども、東京電力一社に汚染水の処理を含めた事故収束を任せ続けることの限界というのはやはりあるというふうに思います。民間企業としての予算制約と株主に対する責任というところからやはり逃れられないわけでありますし、事故収束以外にも、非常に優良な事業をたくさんやっているわけですね。火力発電所事業を含めてですけれども。

 こういったことを、きれいにグッズとバッズをきちんと分けた上で、優良な事業についてはそちらにきちんと対応していただいた上で、不良な事業、不良という表現が正しいかどうかはさておきとして、賠償だったり廃炉だったり除染だったり汚染水の問題だったりというところについて、国有化案とまでは言わないですけれども、国が明確に税金を投入しやすくするスキームというものを将来的にはやはり考えていかなきゃいけないんだというふうに思います。

 漏れ伝え聞こえてくる話によると、与党側の第三次提言というものの中にも、東電の分社化という話が入っていたやには聞いておりますけれども、こういったことについて御検討をいただけないかというところと、御所見をいただければというふうに思います。

田中大臣政務官 福島の原発事故の対応において、東電が、仮に会社更生法に沿って法的整理をした場合、一つには、被害者の方々の賠償、あるいは、現場で困難な作業に当たっているこうした関係企業の取引債権、これが十分に支払えない、そういうおそれがある。また、直ちに東電と同等の電力供給を行える体制が確保できなくなるのではないか。さらには、海外からの燃料調達また権益確保に支障が生じるおそれもあるのではないか。

 こんなことを総合的に勘案しまして、東電は、引き続き民間企業として、賠償、廃炉・汚染水対策、そして電力の安定供給など、確実に今の時点では実施していくべきと考えるものであります。

 なお、今、東電におきましては、既に、発電、送配電、小売あるいはコーポレート、こうしたものから成るカンパニー制の導入など、電力システム改革の流れを見据えた企業改革を先行的に取り組んでいるところであります。

 もちろん、一方におきまして、東電の廃炉部分の分社化、この議論が行われているということも承知しているところでございます。その上で、国としても、どのような組織体制がよいか、今後は議論を深めていく必要があると思っております。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 済みません、時間が足りなくて。質問をたくさん送り過ぎましたけれども、御容赦いただければというふうに思います。

 きょうは、どうもありがとうございました。

森委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 東京電力福島第一原子力発電所をめぐる事態は、今も議論がありましたが、放射能汚染水の問題をとっても、ますます深刻であります。

 福島第一原発内の汚染水の総量というのは、原子炉建屋地下やタンクなど、全体で既に五十万トン近い量になっている。そして、この汚染水に含まれる放射性物質というのは、ストロンチウム90では、事故直後に大気中に放出されたものの数百倍にもなるとも言われております。しかも、これが増加していくという現状であります。

 そこで、田中委員長にまず伺いますが、この汚染水問題というのは、まさに莫大な量の放射能を漏らさずに管理しなければならないという、非常に困難な課題である、こういう認識を持っておられるか、その点について、まず伺いたいと思います。

田中政府特別補佐人 委員御指摘のように、汚染水によって環境が汚染されるのを極力防がなければいけない、そういう基本的な認識は持っております。

 このため、私たちだけではなくて、政府が総力を挙げて汚染水対策を実施するということになっておりますので、原子力規制委員会としても、環境と国民の安全を守るという観点から、重視して取り組んでいるところでございます。

 また、委員会としては、そのために、東京電力の取り組みについても、しっかりと監視をしていきたいと考えております。

笠井委員 非常に大変な課題だということでありますが、しかも、十一月十三日には、一号機、一号炉の格納容器の下の配管から水が漏れている様子が確認をされて、格納容器本体が壊れている可能性が極めて高いことが判明いたしました。しかし、調査は緒についたばかりで、どこが壊れているかわかっていない。放射性物質の流出元である格納容器を補修するにしても、まだまだ近づけないということで、手のつけようもないという現状。その間、汚染水は、どんどん新たにつくり続けられるということになります。

 田中委員長にもう一点ですが、そういう点でいいますと、この汚染水問題の解決と事故収束というのには、今後、やはりかなり長期間にわたって粘り強い努力を必要とするものだ、そういうことで間違いありませんね。

田中政府特別補佐人 お答えします。

 御指摘のとおり、汚染水は、幾つかの経路をたどって、幾つかの種類があります。溶けた燃料を冷やし続けるというのがいつまでに収束できるかどうかというのは、今の段階ではわかりません。ですから、そういったところの冷却を続けている限りにおいては、いわゆるRO水と言っていますが、そういった汚染水が出てまいります。これについては、先ほども議論がありました、ALPSという処理装置で処理して、核種を取り除く、水をきれいにするということがございます。

 それから、御指摘がありましたように、格納容器、原子炉建屋から地下水と通じているような貫通孔というのも幾つかあるように見受けられますので、その間での行き来というのはできるだけ防ぐようにしなければいけません。

 こういったいろいろな汚染水問題については、政府が総力を挙げて対策を実施するということになっておりまして、経産大臣が議長を務めております廃炉対策推進会議にて議論を進められています。ここで、私どもとしては規制当局としての立場で参加して、技術的、専門的な助言をさせていただいております。

 いずれにしても、汚染水対策は、今後長期に及ぶものと思いますので、東京電力の取り組みを含めてしっかりと監視を続けていく所存であります。

笠井委員 まさに長期に及ぶものであり、しっかりと監視をしなきゃいけないという話でありましたが、非常事態にあると言われる汚染水問題の抜本的解決にはやはり、まさに長期にわたる国の総力を挙げた取り組みが必要だということであります。

 ところが、事故から二年八カ月余りがたって、ベテランや技術者、作業員不足が深刻であります。

 足りてきていると断言したわけじゃないですが、そういうニュアンスで言っていたような東京電力も、ようやく、作業員の確保は困難になっているということで、窮状も認める。現場では、ベテラン不在で作業時間が長引いて、被曝線量がふえて、疲労が蓄積をする、また、汚染水漏れが起こるなど、悪循環ということで、負の連鎖に陥っているという指摘もあります。一刻の猶予もなく、長期にわたりどうこのマンパワーを確保するか、これが見通しがまだまだ立っていないのが実態だと思います。

 そういう中で、本日、原子力規制委員会は、新規制基準に基づく適合性審査会合で、東京電力柏崎刈羽原発六、七号機についても、いわゆる再稼働審査を開始ということであります。

 これまで、原子力規制委員会では、福島第一原発の現状、特に汚染水問題の深刻さも含めて、そういう深刻さに鑑みて、この東電の柏崎刈羽六、七号機の再稼働のための適合性審査については慎重な姿勢をとるということでやってきた、あるいはそういう意見が多く出されてきたということだと思います。

 ところが、十一月十三日の規制委員会の場において、田中委員長が、予定していた議題が終了したところで、ある意味唐突に、柏崎刈羽原発の再稼働審査に入ることを提案して、特別の異論もなくそのことが決められたという事態があります。

 なぜこれまでの姿勢を変えて、そして柏崎刈羽原発六、七号機の再稼働のための適合性審査に入ることを決めたのでしょうか。

田中政府特別補佐人 柏崎刈羽原子力発電所の審査については、東京電力から既にもう申請がされていまして、事務局レベルで書類の不備等についてのチェックを含めたヒアリングは継続して行ってまいりました。

 申請について審査するというのは、私ども原子力規制委員会、規制庁に課せられた法的な義務であるということであります。事務的なヒアリングもおおむねもう既に終えたという状況の中で、今後は公開で審査会合を開催するということで、委員会に諮って了解を得たものでございます。

 この背景ということでありますが、直接的なものではありませんけれども、私どもとしては、先日、私自身が廣瀬社長にもお会いして、まず東京電力で取り組むべきことは、福島第一原子力発電所の問題ですとか安定化ですということを申し上げました。これに対して、十一月、今月八日に東京電力の方から、いわゆる福島第一原子力発電所の緊急安全対策が発表されて、労働環境の抜本的改善策やマネジメント体制強化等が提示されました。

 こういったこともありますし、先ほど来申し上げました法的な義務等も勘案して、私の方から、今月十三日に原子力規制委員会において、他の委員の意見もお伺いするという形で、柏崎刈羽の審査について、今後審査を進めるという判断をさせていただいたものでございます。

 繰り返しになりますけれども、やはりこういった柏崎刈羽の審査を進めるについても、結局、福島第一原子力発電所がきちっと落ちついていくという方向が見えなければ、状況によっては、全社を挙げてそちらの対策に取り組んでいただくということも含めまして、審査はとりあえず開始するということの判断をさせていただいたものでございます。

笠井委員 今、規制委員長が言われた、東京電力が提出しました福島第一原子力発電所の緊急安全対策、これですね。これについて、廣瀬社長にお越しいただいていますので、伺います。

 これは、私も拝見しまして、これからやりますという計画、全くこれからというものも含まれていて、特に汚染水対策に関連するような問題は、ほとんどまだ計画段階にあるというものが見受けられます。

 そして、作業員の労働環境改善も挙げられておりますけれども、内容を見ますと、今進行中のものもありますが、同時に、まだ一年、二年かかるものが相当並んでいる。

 例えば、作業安全のうち、サイト内除染、全面マスク省略エリアの拡大では、タンク群を含む敷地南エリアの実施、これもまだで、実施時期は平成二十六年から二十七年度、来年度、再来年度ということであります。

 事務棟の休憩所でいいますと、暫定事務棟、社員約千名を収容が、着手済みから平成二十六年の六月まで。本設事務棟、社員プラス協力会社を収容というのは、平成二十七年度末完成。構内休憩所の追加設置は、大型バスを改造した移動式休憩所、コンクリートプレハブ式休憩所が十二月からで、それから大型休憩所、地上八階建て、約千二百名を収容というのは、詳細設計中で、平成二十六年十二月からになっています。食生活の改善充実では、福島第一近傍に給食センターを設置して、三千食規模で食事を供給というのが、平成二十六年度末完成などなど。

 救急医療関係では、救急医療用の機器等の充実として、超音波検査装置、自動心臓マッサージ器、それから救急車の追加配備が今年度内と書いてあります。

 作業員の労働環境では、敷地内作業に適用する設計上の労務費割り増し分の増額、一日一万円から二万円というのが、十二月発注分以降というふうに書いてあります。

 その他、社員の労働環境にしても、いずれも、事故後、もっと早くやっていなきゃいけないものばかりだと思うんですね。当然のことばかりが今ごろ列挙されていて、まだ一年、二年かかるという状況になっています。

 廣瀬社長、何でこんなにおくれたんですか。

廣瀬参考人 御指摘のありました私どもの緊急安全対策は、もちろん、当たり前のことですが、これからやっていく対策を中心に発表させていただきましたので、当然これからのものが多くなっております。これまで、二年八カ月の間に何もしてこなかったということではございませんので、必要があれば、この間やってきたことも後日お知らせ申し上げたいと思います。

 ただ、その事務棟の建設であるとか、あるいは、全面マスクを使用しなくてもいいエリアというのは、当然、全体の作業の進捗状況、汚染の度合い等々も絡んでまいりますので、全体の進捗状況に合わせて、もちろん、労働環境をしっかり改善するというのは本当に必要な大事なことだと思っておりますので、それらについて、そのペースを見ながらやってまいってきた結果ということで、もちろん今後も、できる限りそうしたスピードアップをして、働いていただいている皆さんに少しでも働きやすい環境を構築していくべく努力していきたいというふうに思っております。

笠井委員 私は、反省の言葉があると思ったんですけれども、当然やっておかなきゃいけないことをまだやっていなかった、だからこれから対策なんですね。放置してきた責任が問われると思うんです。

 しかも、経過を見ますと、原子力規制委員会から言われて初めて出して、それでは不十分ということで田中規制委員長と話し合いの中で指摘もされて、出し直したものであります。私は、本当に恥ずかしい話だと思う。もっと早めて、さらに万全の対策をとることにこそ、金も人もつぎ込む、集中的にやるべきだというふうに思います。

 さらに伺いますが、対策の中に、「社内外総動員体制による汚染水・タンク対策関係要員の強化(二百二十名増)」というふうにありますが、この計画に基づいて現時点で何人増員したのか。うち、原子力部門内の再配置として、福島第一内、第二、それから柏崎刈羽からおのおの何人配置する計画で、現時点で増員した人数はそれぞれ何人になっていますか。

廣瀬参考人 御指摘の二百二十名のうち、既に配置が終わっているのは二百名でございます。

 それから、福島第一、第二、それから柏崎からそれぞれ今回のこの汚染水対策に増員をしているのは二十名程度ずつでございまして、既に終わっているものもございますし、一部、これからというのも、先ほどの二百二十のうちの二十に含まれております。

笠井委員 一部、これからも残っていると。

 要員の強化の中には、「社外からの受入」というのもありますが、これは、電気事業連合、電事連を通じて他の電力会社等に要請したものというふうに承知しておりますけれども、東電としては、何人の派遣を要請して、現時点でどこから何人受け入れて、支援を受けていますか。

廣瀬参考人 JAEAさん等々、他の機関からも応援をお願いして、応援をいただいておりますけれども、他電力さんという先生の御質問で申し上げますと、他電力さんは、除染、モニタリング等々で、延べ五万八千人日ぐらいの支援をこれまでもいただいてきております。

 今回の汚染水ということに関して申し上げれば、私どもがお願いしたとおり、各電力会社さんから十一名をいただいておるところでございます。

笠井委員 どこから来ていますか。大体九電、全部来ているわけですか、十一名。

廣瀬参考人 各社満遍なくいただいているというふうに思っております。

笠井委員 いずれにしても、現時点で合計で二百人ということで、しかも、前々から議論があって、柏崎刈羽原発からの配置がえ計画というのはわずか二十人ということであります、この汚染水対策。しかも、それも含めて、まだこれからがあると。

 他電力会社からの受け入れも、計画二十人で、今十一名、約半分という状況で、これで十分ということでお考えでしょうか、全体のこの対策体制。

廣瀬参考人 今後も、もちろん、作業の進捗状況、またそれぞれの事態に応じて、当然必要な要員というのは変わってくるというふうに思っておりますが、現時点では、まずはとにかく、二百二十名の要員を確保してやっていけるというふうに思っております。

笠井委員 これだけ深刻な問題なのに、この程度でいいのかという、認識が問われると私は思います。

 原子力規制委員会として、この程度の東電の対策を受け取って了として、そして、柏崎刈羽の再稼働審査、背景と委員長は言われましたが、入っていくということであります。

 十一月十三日の規制委員会終了後の記者会見で、田中委員長は、自民党などからは福島の問題と柏崎刈羽の審査は別だという声も上がっていて、そういう声にも配慮したということはあるのかという新潟日報の記者からの質問に対して、そんなことは全くない、政治的なことは全く私には関係ない、全ての事項について政治的な配慮はしないというのが私の一種の哲学みたいなものだと答えられております。

 田中委員長が、自民党などの声に配慮したり、政治的な配慮はしないというのが哲学だとあえて強調されたのは、それ以外で、電力会社や経済界の声、あるいは経済的な配慮はするということでしょうか。

田中政府特別補佐人 しませんと言った方が簡単なことですけれども、政治とか、事業者、被規制者からの声に、今、配慮するというか、おもんぱかるような配慮はいたしません。

笠井委員 東電の廣瀬社長に伺います。

 東京電力は、原子力規制委員会が柏崎刈羽原発の再稼働審査に着手することを決めた翌日、メガバンクなどに対して、二〇一四年度中に柏崎刈羽原発を再稼働させれば、二〇一四年度の経常損益は黒字になるという収支計画の素案を示されました。これを受けて、メガバンクは、東電に、二千億、三千億、合わせて五千億円の融資を年末に行う方針を決めていると言われておりますが、収支計画とメガバンクの融資というのは、柏崎刈羽原発の再稼働が前提であり、そのためには、再稼働審査に取りかからなければならない、そういうことじゃないんですか。

廣瀬参考人 今先生が御指摘の点は、新聞情報で私も読ませていただきましたけれども、そうした事実はまだ私聞いておりませんし、銀行さんとはもちろん、私ども資金繰りをしっかりしていかなければいけない、そうしないと、賠償等々、全てのこともしっかりやっていかなければいけないという状況がございますので、それについては、絶えず銀行さんには、こういう状況だということを要請ベースに基づいて私ども御説明させていただいているところでございます。

笠井委員 絶えず銀行とはやっているとおっしゃられながら、新聞情報などととぼけられると、なかなかこれはあれだと思うんですけれども。

 東電の収支計画素案の発表やメガバンクの巨額融資方針と規制委員会の柏崎刈羽原発の適合性審査着手決定とのタイミングが余りに絶妙で、できレースの感さえあるという指摘もあるわけです。初めに再稼働ありきと非難されても仕方がないというふうに私は受けとめております。

 さて、ことし八月九日と八月の二十日の二回、電気新聞の広告に「原子力規制委員会は実務経験者を募集しています!」という見出しで新聞広告が掲載をされました。実務経験者を職員として採用するという公募広告であります。

 採用予定を見ますと十月一日。規制基準への適合性審査に事務、原子力保安検査官などを中心に合計二十名程度を採用するという内容でありますけれども、ほかにも、原子力防災専門官、核物質防護検査官、それから保障措置に関する事務などの業務についても募集しているということであります。

 原子力規制庁が総務省にこの職員採用に伴う定員増員の要求を出したのは、何月何日でしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 八月二十日だと思います。

笠井委員 広告が出たのは八月九日と二十日ですが、増員してほしいという話が出たのは八月二十日ということであります。

 では、総務省に伺いますが、原子力規制庁から環境省を通じて出された定員の新規十八人増員、振りかえ増員二人含めて合計二十人の要求を認めたのはいつですか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 八月二十日に要求書をいただきまして、その後、審査を行いまして、これは最終的には行政機関職員定員令という政令で決定するわけでございますが、その閣議決定がなされたのは八月三十日でございます。

笠井委員 これでは何のための手続かわからないと思うんですね。広告を出して公募しちゃっているわけですね。それで、後から申請して、それが認められたということになります。事後承諾とどこが違うのか。総務省が認める前から新規採用の広告を出して、ホームページなどでも公募を行う。手続的にこれはおかしいとは思わないですか。

 総務省に伺いますが、こんなことを各省でいつもやっているんですか。

森本政府参考人 お答えいたします。

 規制庁の今の定員と実員の関係でございますが、そこにはすき間がございまして、常に中途の採用が必要ということで公募をさせていただいているものでございます。

笠井委員 違うでしょう。だって、具体的にこれで二十人という要請を出している文書があるわけでしょう、環境省の官房長から出ている文書がありますよね。それを受けて総務省が検討して、オーケーしたのは八月三十日と言っているんですから、そんなごまかししちゃだめです。

 総務省に伺いますが、こんなやり方をやっているんですか、いつも、ほかも。

上村政府参考人 お答えいたします。

 私ども総務省は、定員の審査ということをしておるわけでございますけれども、その定員にどういうふうな人員が実際充てられるかというところまで、つぶさに私どもがそれを承知してやっているというわけではございません。それは各省庁の御判断でなされていることかと存じます。

笠井委員 これは、総務省が認めなかったら、それ以前に広告を見て応募した人が、これは総務省のせいで就職がふいになったと、総務省は悪者になりますよ。そんなことが国の行政で行われていいのか。

 しかも、詳細については承知しないと言われるけれども、この募集内容の問題であります。この実務経験者の募集、中途採用の広告、公募では、停止中の原発が再稼働のために新たな規制基準に適合しているかどうかの適合性審査だけじゃなくて、その他の業務も挙げているわけです。内容も、承知していないと言うけれども、ここに定員増員要求事項別説明書というのがありますよね。原子力規制庁安全規制管理官付ということで、組織区分というのであります。

 総務省に出した増員要求書と説明書を見ますと、増員の必要性として、一つは政策的必要性、原発の再稼働に係る審査を厳格、迅速に実施する、二つ目に緊急性、早急に新規制基準への適合性を確認することは急務、三つ目に定員措置の必要性、三グループでの審査体制を補強するため、はっきり理由を書いてあるんですよ。

 総務省は知らないということは言えないんですよ。そのために二十人と。それを、だから新規に十八人を含めてやれといって、それを見て認めたんじゃないんですか。しかも、公募では安全審査官以外も募集するといって表に出しながら、総務省には再稼働審査に当たる審査官の増員だけの内容で、ここに二十名の内訳もちゃんと図になって書いてあります。それを見てやっているわけでしょう。広告を見て再稼働以外の仕事を希望して応募していても、ついてみたら実際にはそういう仕事はない、これじゃ、国民を偽ることになるじゃないですか。

 田中委員長、こんなことを原子力規制庁がやっていていいんですか。これは原子力規制委員会として、委員長として伺いたいんですが、いかがですか。

森本政府参考人 繰り返しになりますけれども、規制庁の仕事はいろいろございます。セーフティーガードあるいはセキュリティーあるいは防災、いろいろございます。

 新しい方を採用した際にその方をどこに充てるかというのは人事の問題でございまして、そういった中で割り振りをしていくということでございます。

笠井委員 こんなごまかしは通用しませんよ。このために必要ですといって増員要求して、それでこうやって環境省大臣官房長の判こがあって、それでこの文書で、総務省行政管理局長宛てに出しているわけでしょう。これに基づいて承認を受けているわけじゃないですか。受けたら後は何をやったっていいなんといったら、こんな定員増なんて話にならないですよ。今、さんざん政府・与党は定員を減らせ減らせと言っているけれども、私はそういうことにくみしませんが、まさにそういう点でいうと、では、一旦、もうどんな理由でも、採ったら、後はいいんですか、何をやったって。こんなことを今、政府がやっているんですか。総務省、どうなんですか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 総務省といたしましては、あくまでもその官職といいますか職の業務の必要性を見て審査をしているわけでございまして、この場合につきましては、原子力の安全を十分確保するための原子力規制委員会における厳格かつ適正な審査、検査の実施体制の強化が喫緊の課題であり、要求内容も必要なものに絞ったものと認めたことから、この十八人の増員を行ったところでございます。

森本政府参考人 失礼いたしました。先ほど若干舌足らずでございました。

 実際の人間を、実員を張りつける際に、採用した人間をそのまま審査に充てるのではなく、そういうことではなくて、いわば玉突きと申しましょうか、採用した人を別の職に充て、そして別の仕事をしている方を審査に充てるということはございます。新規採用の人が直ちに審査に適するかどうかというのはもちろん見ていく必要がございますけれども、そういった人事の配置の中で実際はやらせていただいています。

 最終的に、その審査の厳格、適正のためにということで定員を要求させていただいて、そして採用するわけですけれども、その採用した人をどこに充てるか、そして玉突きで審査の体制をどういうふうに強化するかというのは人事の問題でございます。

笠井委員 これはもう二重、三重におかしいですよ。国民に対しては、こういうことで募集しますと公募をかけながら、そして総務省に対しては、こういう要求理由ですから増員をお願いしますと言いながら、実際には何についてもいいんだ、玉突きなんだと。おかしいでしょう。だって、この仕事をやりたいからと応募する人がいるのに、入ってみたらその仕事をやれるかどうかわからないなんて。こんなことをやりながら、全体としては審査のための人員をふやしていく、充実するということをやっているのが今の規制庁のやり方じゃないですか。

 最後になりますけれども、規制委員長、これはちゃんと調べてください、経過を含めて。こんなことをやったら、信頼も何もないですよ。今、委員長はずっと信頼と言われてきて、国の総力を挙げてやるんだ、政府がやるけれども、規制庁としてもちゃんと規制当局としてやるんだと言われたけれども、こんなやり方で募集をかけて、結局は再稼働、再稼働でやっていて、では一方で、汚染水対策にどれだけの人をやっているかといったら、全然ないわけですよ、そういう話が具体的には。要求項目も出てこないわけですよ。

 田中委員長、ちゃんと調べてください。次の機会にちゃんとこの問題についてお答えを伺いたいと思うので、これは最後になりますから、委員長にお願いします。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会の立場として、規制庁の諸君にはもう日夜御奮闘いただいて、本当に寝る間もないほど働いていただいていると思います。そういう中で、定員増の要求も総務省の方にお願いしています。また、与えられた、我々が利用できるリソース、人的なリソースをどういうふうに使うかという意味では、先ほど森本次長の方からお答えさせていただきましたように、最適化を図っているというふうに私は理解しております。

 今後とも、募集は、私どもが所掌している範囲でいろいろあります。審査だけではございません。そういったことの中で、いろいろな人材がたくさん応募していただき採用できるということが最も望ましいわけでありまして、今後、そういう形で規制庁の強化も図り、国民の皆さんの信頼をかち取れるような、きちっとした規制行政を進めていきたい、そういうふうに思います。

笠井委員 ちょっと、田中委員長、だって、募集をかけてから後で増員要求を出しているんです。この問題があります。しかも、要求の中身というのは、これをやるからふやしてくれと言っているのに、それぞれの関係がどうなっているのかという問題があるわけです。

 だから、ちゃんと、経過を聞いてみる、調べてみるというぐらい言ってくださいよ。

森委員長 笠井君、申し合わせの時間を過ぎておりますので。(笠井委員「ちょっと一言だけ」と呼ぶ)結論を急いでください。

田中政府特別補佐人 基本的には、私もそういった経緯についても聞いております、報告を受けておりますので、この新規増員要求と中の配置というのは、必ずしも一体ではない、今後とも多分、一体にはならないだろうというふうに思っております。

笠井委員 終わります。引き続きやります。

森委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 最後の質問者であると同時に、時間も予定より経過をしております。またきょうも本会議があるということで、それも勘案しながら質問をさせていただきたいと思います。

 初めてこの委員会に所属をさせていただきました。初めての質問でございます。専門的な知見というものが乏しいので、なかなか的確な質疑ができるかわかりませんけれども、わかりやすく御答弁をいただければありがたいと思います。

 まず、昨年九月十九日に規制委員会が発足をして、初代の委員長として田中委員長が就任をされました。田中委員長は、就任のときに、原子力規制行政の信頼が著しく失墜した、それを回復させるために全力を尽くすんだ、そういう強い決意のもとに就任をされました。この間、政権交代もございました。また、大きな問題として汚染水問題もございます。また、安全の新基準も作成をする。さまざまな大きな動きがございましたけれども、この一年間を振り返ってどのような感想をお持ちなのか。あわせて、今後の課題というものも見えてきたと思うんですけれども、その辺についての御見解をお伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人 最初に申し上げました、国内外からの信頼の回復がどこまでできたかということは、私自身が今ここで判断することはなかなか困難でありますけれども、一応、一年たちまして、新たな原子力規制委員会、規制庁がどんなものかという大きな概略は、国民の方を含めて、全て透明にしておりますので、大分つかんでいただけたかと思っております。

 今後の課題ですが、引き続き、いわゆる原発の安全の審査、適合性審査を進めるということ、それから、災害対策指針もつくりましたけれども、これに基づく各地域での防災計画等、避難計画等の作成の援助をしていくということ、それから、福島第一原子力発電所の廃止措置についてもきちっと進めていくよう、規制の立場から、技術的な、専門的な助言をしていくということであります。

 そのほかもいろいろございますが、もう一つ大事なこととしては、こういった安定した規制行政を進めるためには、サステーナブルな人材の確保という観点でも、人材の育成にも取り組んでいきたい、そんなふうに思っております。

村上(史)委員 さまざまな今後の課題も今述べられました。特に、最後に、人材の確保もきっちりしていかないと、ロングレンジでの行政となりますので、当然人材の確保というのはあると思います。

 そういう中で、このたびJNESと統合をされました。人員も拡大をしたということですが、この統合に対する思いというものを、前回の委員会で質問はもう出たかと思いますが、改めてお伺いをしたいと思います。

 そして、アメリカとの比較もされておりますけれども、まだまだ、アメリカに比べれば人員的にも不足しているのではないかな、原発の数を考えても、そのように思いますが、あわせてお答えください。

田中政府特別補佐人 今回の国会でお認めいただきました、いわゆる原子力安全基盤機構との統合によって、JNESと呼ばせていただきます、JNESの持っている専門的技術能力を直接的に規制行政に活用することが可能になり、原子力規制委員会、規制庁の専門性を強化するという意味では大変意義深いことだと判断しております。

 原子力の安全を十分に確保し、国民の信頼を得ていくという目的を果たすためには、今回の統合に伴う増員にとどまっていては、これはなかなか果たせないところがあります。特に、先ほど申し上げましたようないろいろな課題がありますので、原子力規制委員会としては、さらなる体制の強化をしていく必要があるというふうに思っております。

 専門的な集団として我々をこれまで支えていたJNESを統合したことによって、行政組織に入りましたので、科学的な、技術的な専門性をいかに継続的に、我々を支えてくれる、そういう基盤をどうつくっていくかというのが大きな課題だというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それの関連で、会議体の整備について伺いたいと思います。

 今、検討チームやワーキングチームが二十九ございまして、それぞれが今動いている状況ですけれども、その反面、設置法に基づく原子炉安全専門審査会あるいは核燃料安全専門審査会、そして放射線障害防止の技術的基準に関する法律に基づく放射線審議会の設置がおくれております。この理由について、また、いつごろ設置をされるのか、お伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人 原子力規制委員会設置法において、私どもに指示がありました、いわゆる今の、原子炉及び核燃料に係る安全に関する事項を調査審議するというのが、いわゆる炉安審、燃安審の役割でございます。

 ただ、と同時に、この規制委員会設置法案の附帯決議においては、原子力規制委員会の判断をこういった専門審査会が代替するということではなくて、その判断に対する客観的な助言を行うようにとどめるべきであるという附帯決議をいただいております。これは従来、いわゆる原子力プラントの安全審査等において、原子力安全委員会等が全てこういった審査会にその判断を委ねてきたというようなところがあったものですから、こういった附帯決議がついたものというふうに理解しております。

 したがいまして、この両委員会、できるだけ早期に発足させたいと思っておりますけれども、そういった両委員会にどういった役割を担っていただくべきかということについて、今、内部でいろいろ検討させていただいていますので、その検討結果を踏まえて早急に発足させる必要があります。これは、今回のJNES統合法案でも附帯決議としてそのことが求められておりますので、その予定であります。

 また、放射線審議会についてはちょっと別の役割がありまして、放射線障害防止の技術的基準に関する法律において、「関係行政機関の長は、放射線障害の防止に関する技術的基準を定めようと」、いわゆる他省庁とかいろいろなところからの申請があったときは、「審議会に諮問しなければならない。」ということになっています。

 幸い、今まで、この申請がこのところありませんけれども、これは大体メンバーもほぼ固まりつつありまして、近いうちに発足できるものというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 少しでも早く設置をして、規制行政にまた新たな展開が生まれるように御努力をお願いしたいと思います。

 次に、一問、新基準と立地審査についてお伺いをしたいと思います。

 国会事故調でも指摘がございました。いわゆる福島の原発事故の直接の要因、原因というものが、津波によるものなのか、あるいは地震によるものなのか、それが特定をされないということを国会事故調でも指摘をされておりました。

 今なお、その点については解決はしておりませんけれども、しかし、ことしの七月に新基準が作成をされて原発再稼働の審査が行われているということは、本当にその実効性が保たれるのだろうか、本当に、その審査を進める上で、事故の原因が特定されていないことで大きな無理があるのではないか、そのように考えるんですけれども、御答弁をお願いいたします。

田中政府特別補佐人 今回の事故の直接的原因としては、地震と津波と両方あるというふうに判断しております。

 ただ、今回の新基準を決めるに当たっては、そういった地震、津波に加えて、いわゆる自然災害、火山とか、今回も百メートルもの風が吹きましたように、ハリケーン、台風のようなものも歴史的にはあるということですので、そういった自然災害についてもきちっと対応できるようなことを求めております。

 今後、そういったことで今審査も進めておりますけれども、もう一つ、東京電力のいわゆる事故の直接的な分析あるいは調査については、これは順次、継続的に調査を進めておりまして、この中から、また新たな規制上の要求とすべきものがあれば、それをまたバックフィットさせていくということで進めてまいりたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 引き続きまして、先ほど椎名議員からも質問がございました四号機の燃料棒取り出し作業について、何点かお伺いをしたいと思います。重複する部分もありますけれども、お許しください。

 きょう、まさに一回目の作業、燃料棒二十二本を取り出して、それを運び出すという作業が行われているというふうに聞いております。いろいろなマスコミ報道があるんですけれども、先ほどもリスクのことを御答弁いただきましたけれども、おさらいの意味で、この作業にかかわるさまざまなリスク、どういうものがあるのか、もう一度お答えください。

山本政府参考人 燃料取り出しに当たりましてはさまざまなリスクがございますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。

 特に、燃料をプールの中で一本引き抜いて、それをキャスクに入れるという移動作業に、例えば落下してしまうようなこと、それから、二十二本を輸送キャスクに入れますけれども、この輸送キャスクを今度は地上におろします、それが落下するようなリスク。それ以外にもさまざまなリスクがございますので、そういった面については、設備面の対策、それから実施する作業員の作業の体制、手順、こういったものをしっかり整備することが大事でございますので、そういったことを私ども規制委員会として確認させていただいているというところでございます。

村上(史)委員 そこで、一点、廣瀬社長にお聞きしたいんですけれども、いわゆる運搬用のキャスクがございます。これもマスコミ報道からしか私は知識を得ておりませんけれども、落下実験をされたと。高さは十七メートルだということを、落下実験をされて、キャスクの強度を実証したというふうに聞いております。

 ただ、これは東電さん自身がやったわけではなくて、別の組織や団体がされたということ、しかも二十三年前の実験であるということ、そういうことも伺いました。

 ただ、今回の四号機では、クレーンの高さがおよそ三十メートルあると言われております。三十メートルからの落下と十七メートルからの落下では、その衝撃というのは全く違うと思います。

 専門家ではありませんけれども、大きな差があると思うんですが、そういうことが実証実験をされないままに今回これをするということには問題があるのではないかな、安全性の面で大きな問題を抱えているのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、三十二メートルございますけれども、そこから落ちたらどうなるのかということは、解析を通じて安全だということは確認いたしております。したがいまして、そうしたことをもとに、今回の計画を踏まえ、今まさに実施しようとしているところでございます。

 本当に余計なことでございますけれども、きょうキャスクを運ぶというのは、一応、核物質防護上の秘密事項でございますので、きょう、けさからニュース等々でそうしたものが流れているやに承知しておりますけれども、これは、終わった後に情報公開させていただきますけれども、そうしたことはまだ申し上げられませんし、そうした事実については確認できないという立場でございます。

村上(史)委員 そのことは私存じておりませんで、今の議事録を抹消した方がいいのかわかりませんけれども、その辺はまた、委員長、御判断いただきたいと思います。

 次に、作業員の方々の被曝量についてお伺いをしたいと思います。

 一般の、敷地内で、屋外でされている方よりも、今回の燃料棒取り出し作業の作業員さんが受ける被曝量というのは相当な違いがあると聞いております。ただ、確かな数値を知りませんので、それをお聞きしたいと思います。

廣瀬参考人 福島第一でいろいろなお仕事をしていただいていますし、実際、社員もいろいろなところで作業をしておりますので、作業する場所によって、そもそもの大きな違いがございます。

 したがいまして、そうした作業と、それから今回の使用済み燃料を取り出すという作業、四号機の四階に入ってやる作業と、なかなか一概に比較できないところではあると思っております。

 ただ、とにかく、線量があるのは事実でございますので、そうした余計な被曝をしないように、作業員のローテーションを図るであるとか、それからそうした防護をしっかりするというような対策をとらせていただいているところでございます。

村上(史)委員 その被曝量が、数値的には示すことができないんでしょうか。それでは、健康管理も含めて、年間被曝量の測定もできないのではないでしょうか。

廣瀬参考人 舌足らずな説明で申しわけございませんでした。

 もちろん、まだ実質的に月曜日と火曜日しかしておりませんけれども、一日一日の、実際にそこの現場に入って作業した者の線量の管理というのは当然行っておりますし、そうしたものがだんだん当然たまっていくわけであります。そして、ある程度のところにたまりますとローテーションをしていかなければいけません。

 今回、四号機だけでもあと一年ちょっとある工程でございますので、そうしたものに十分たえられるだけの運転員を確保しなければいけない。それによってローテーションを組んで、一人一人の被曝量を減らしていくということをやってまいりたいというふうに思っております。

村上(史)委員 もう一つ要領を得ないんですけれども、例えば、一般の作業よりも被曝量が多いとなると年間の基準を超えてしまう。そうなると、いわゆる作業のサイクル、人をかえるサイクルが早くなっていくということになると思います。そうなりますと、この作業の特性から見て、専門性も必要でしょうし、熟練という部分も必要だと思います。

 そういう観点から、作業員さんを長期間の作業で確保するということが問題になってくると思うんですが、その点についてのお考えはどうでしょうか。

廣瀬参考人 四号機の使用済み燃料棒の取り出しということに限っていいますと、一番熟練した技術が必要なのは、燃料取りかえ機という機械を操作する部分が、一番その線量の高いところにおりますし、そこで実際作業しなければいけないということですので、この運転員の確保というのが一番ポイントになってまいると思います。

 先ほどの繰り返しになりますが、既に、一年分の線量を計算して、十分に足りる人数を確保しておりますが、一方で、ある程度線量がたまった方が仮に出てきた場合にも、御存じのように、使用済み燃料プールの中で使用済み燃料をキャスクに入れます。そのキャスクを出して、先ほどのように、下におろし、共用プールというところに持っていきます。今度、共用プールは、簡単に言いますと、四号機の使用済み燃料プールでやったのと全く逆の工程を行います。したがいまして、そこでも燃料取り扱い機というものの技術が必要でございます。一方で、共用プールの方の線量は、四号機の四階の場所に比べると、桁が一つ違うぐらいに少ないところでございます。

 基本的には、こちらでこういうふうに詰める作業と出す作業でございますので、ほとんど作業量は同じ作業量がかかります、詰めたら出さなければいけないわけですから。したがって、こちらのオペレーションをする人は、当然こちらのオペレーションもしなければいけませんし、やる技術は同じでございますので、そうしたことを組み合わせて、この一年間やっていけるだけの人間を確保しているということでございます。

村上(史)委員 ほかにも幾つか質問をさせていただきますが、時間の方も、本来の時間を経過しております。

 最後に、この取り出し作業は、当然、将来の廃炉に向けての本当の第一歩だと思います。そういう面では、本当に事故がないように、当然のことなんですけれども、周辺住民の不安を解消するということ、それもお聞きしたかったんですけれども、あわせて、説明を繰り返ししていただきたいということと、安全を第一に、情報を正直に、素直に、確実に提供していくという姿勢で臨んでいただきたいと思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 特定秘密保護法との関連について、質問をさせていただきます。

 昨日も、参議院の特別委員会で、NSCの特別委員会だったと思いますが、特定秘密と原子力にかかわる情報で、テロに関係する部分については特定秘密になり得るという総理の答弁があったと聞いております。

 直接の規制庁の立場で、そういう特定秘密に指定され得るような情報というのはあるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 特定秘密の保護に関する法律案が、今、国会で審議中であるということですので、これについては、私どもとしても、その審議の成り行きを注視しているところでございます。

 法案が通った場合には、今テロと先生の方から御指摘がありましたけれども、原子力規制委員会が所有するどういった情報が特定秘密になるかということについては、今後、国会での議論も踏まえて整理していく必要があると思います。

 現在でも、原子炉等規制法においては、核物質防護に関する秘密については、罰則をもって、当該秘密を漏らしてはならないなどと規定され、これまでも、機微な情報については厳格な管理を行ってきております。

 他方、国は、原子力に係る情報公開を積極的に推進するとの基本姿勢のもとで、こうした情報等の保全の必要性については、国民に十分な説明を行いまして、理解を得るよう努めていく必要があると思います。

 むやみに秘密にするということではなくて、秘密にすべきものについてはきちっと国民に説明をしていくことが必要であるというふうに思っております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まさに国民の生命、安全に脅威を与えるような、そういう情報であるならば、当然、秘密があっていいと思いますけれども、原子力行政そのものの信頼を回復するためにも、極力、その秘密というのは少なくする、そして情報を公開していく、それが基本的なスタンスだと思いますので、その趣旨で今後とも規制行政を進めていただきますことをお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十四分散会


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