衆議院

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第3号 平成27年4月23日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月二十三日(木曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 吉野 正芳君

   理事 岩田 和親君 理事 齋藤  健君

   理事 白石  徹君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮澤 博行君 理事 田嶋  要君

   理事 初鹿 明博君 理事 赤羽 一嘉君

      赤枝 恒雄君    石川 昭政君

      江渡 聡徳君    尾身 朝子君

      勝沼 栄明君    岸  信夫君

      熊田 裕通君    今野 智博君

      佐々木 紀君    斎藤 洋明君

      助田 重義君    高木  毅君

      津島  淳君    中村 裕之君

      額賀福志郎君    比嘉奈津美君

      細田 健一君    細田 博之君

      御法川信英君    宮川 典子君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    簗  和生君

      阿部 知子君    荒井  聰君

      逢坂 誠二君    菅  直人君

      馬淵 澄夫君    太田 和美君

      柿沢 未途君    河野 正美君

      吉田 豊史君    中野 洋昌君

      樋口 尚也君    塩川 鉄也君

      藤野 保史君

    …………………………………

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   防衛副大臣        左藤  章君

   経済産業大臣政務官    岩井 茂樹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   平井 興宣君

   政府参考人

   (警察庁長官官房総括審議官)           沖田 芳樹君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     北崎 秀一君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中 正朗君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       土屋 喜久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土井 良治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            三好 信俊君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   清水 康弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          大村 哲臣君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房衛生監) 塚原 太郎君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 笠原 俊彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 辰己 昌良君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   衆議院調査局原子力問題調査特別調査室長      石上  智君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  江渡 聡徳君     熊田 裕通君

  大西 英男君     尾身 朝子君

  高木  毅君     今野 智博君

  中村 裕之君     宮川 典子君

  太田 和美君     吉田 豊史君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     比嘉奈津美君

  熊田 裕通君     江渡 聡徳君

  今野 智博君     高木  毅君

  宮川 典子君     中村 裕之君

  吉田 豊史君     太田 和美君

同日

 辞任         補欠選任

  比嘉奈津美君     赤枝 恒雄君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     大西 英男君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 原子力問題に関する件


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     ――――◇―――――

吉野委員長 これより会議を開きます。

 原子力問題に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府政策統括官平井興宣君、警察庁長官官房総括審議官沖田芳樹君、消防庁審議官北崎秀一君、文部科学省研究開発局長田中正朗君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長土屋喜久君、経済産業省大臣官房審議官土井良治君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、環境省水・大気環境局長三好信俊君、原子力規制庁次長清水康弘君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官大村哲臣君、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂君、原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君、防衛省大臣官房衛生監塚原太郎君、防衛省大臣官房審議官笠原俊彦君及び防衛省大臣官房審議官辰己昌良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

吉野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

吉野委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、限られた時間でございますが、特に福島第一原発の廃炉、汚染水対策について中心に質問させていただきたいと思います。

 私は、三年前の十二月二十七日に、自公政権発足直後に経済産業副大臣及びまた原子力災害現地対策本部長を仰せつかりました。以来、正直に申しましてそれまで猫の目のようにかわっていた現地対策本部長を引き継いだわけでありまして、しっかりと地元の皆さんの、また関係者の信頼を得るべく誠心誠意仕事をしてまいろう、こう決意をいたしました。

 就任直後から、原則週二日ないし三日現地に足を運びながら、一日も早くこの福島の問題を解決しようと努力をしながら、一昨年の夏ぐらいに福島第一原発の中でさまざまなヒューマンエラーのようなものが出てきて、それまでの、ある意味では東京電力任せの体制を国が前面に出なければいけないということで、閣議決定も変えさせていただき、具体的には、現地で、政府そして規制委員会また東京電力、この三者が同じテーブルに着きながら、現地対策調整会議というものを立ち上げました。それと同時に、現地にも政府の地元の事務所を立ち上げて、資源エネルギー庁またほかの関係省庁の専門家を常駐させて、東京電力やまた規制委員会の皆さんとともに、同じ視線で、同じ立場で、パトロールをしながら、ともに、東京電力の問題ではなくて国の問題として取り組んでいこう、こう努力をしたわけでございます。

 その調整会議も毎回四時間半から五時間を超える。とにかくその一カ月の間に起こった事象は全てそこで報告をする。それに対して、規制委員会また政府、東京電力がそれについての潜在的なリスクを徹底的に洗い出しながら、考えられるリスクに対してどう対応するかというのを次の会議までに東京電力を中心に報告する。東電だけではできない場合は国もしっかりとサポートをする。こうしたサイクルを行ってまいりました。

 そのときに、規制委員会から、当時の山本審議官を初め関係の方が出席をいただきまして、現場を歩いていただきながら、その会議でも先頭に立ってリードをしていただいたということについては、同じ志を持った同志として大変感謝をしているところでございまして、改めて、この場をおかりいたしまして、心から御礼を申し上げたいと思っております。

 もう四年がたちまして、今のようにさまざまな問題、課題がございます。いろいろなことがあって、起こった事象が現実的にはさほどの危険性がないことも大変過大にマスコミ報道される、それで不安がかき立てられるというようなことを繰り返してきたということはなかなか直らないのでありますし、それは政府も工夫をしなければいけないわけでございます。

 しかし、さはさりながら、今の一番の大きな問題は、あそこの地形としては、毎日約三百トンの地下水がサイト内に流入をされている。このサイト内に流入したきれいな水が汚染されてしまうわけですね、サイト内を通ると。その汚染水をどうするのか。その汚染水は、どんどんどんどんふえていく。タンクを急ピッチでつくる。汚さないようにした形で地下バイパスで外に出すとかさまざまな工夫をされておりますが、約三百トンの地下水をどう汚染させないのか、また、汚染されたものをどう処理していくのかということ、これはどの立場でも大変一番大きな問題だと考えております。

 今、やはり漁業者の皆さんは風評被害で苦しんできたわけですね。その風評被害に対して大変な、自分の職業に係ることでございまして、このことについて当然、神経質になって当たり前だというふうに思っております。そこの部分の信頼回復がなかなか醸成されないというのは、政府、東京電力共通の大変大きな課題だ、こう思っております。

 現状、先日の特にK排水路の水質データが公表し切れなかったというようなことも重なって、今、漁業者との信頼関係、さまざま努力をしておりますけれどもなかなか回復していない。その結果、当初予定をされておりましたサブドレーンの稼働の見通しというのは立たなくなっている。これは大変大きな問題だと思っております。

 サブドレーンが活用できないと、汚れた水がどんどんふえ続ける、タンクをどんどんつくっていかなければいけない、しかし、タンクの中に高濃度の水を置くということは廃炉そのもののこれからの作業に障害になるおそれがある、このリスクは規制委員会からも指摘をされているところでございます。

 同時に、地下水を汚さないという意味で、政府が東京電力とともに取り組んできております陸側の凍土式の遮水壁、このことは大変重要だと思っております。しかしながら、予定された年度内の凍結開始というのがまだ、目標としながら、現時点ではオペレーションができていない、こういう状況がございます。

 昨日、原子力規制委員会で特定原子力施設監視・評価検討委員会が行われて、私も見させていただきました。これは前々から承知しておりますが、規制委員会のこのことについての基本的なシナリオは、あくまでもサブドレーンをオペレーションする、そして、海側の遮水壁を閉じる、そして、陸側の遮水壁の閉合をする、こういう順番だということが更田委員からも改めて言われておりますが、それはよくわかるんですけれども、現実に、サブドレーンというのは漁業組合ほか関係者の皆さんの了解が出ないとオペレーションできない。

 これというのはすごくずっと時間がかかってここまで来ておりまして、このサブドレーンの了解がとれないと、地下水を汚さないというオペレーションがこのままだとスタックするというか、前に進まないという私は大変懸念をしております。

 ですから、サブドレーンの利用について、政府、東京電力が漁業組合関係者の皆さんに理解を求める、していただく努力をしていくというのは当然でありますけれども、同時に、陸側の凍土式の遮水壁、これは十数カ所まだ凍結しにくい場所があるという指摘があって、そこの試験的な凍結というオペレーションもまだ認められていないと承知をしておりますが、こうしたことはなるべく同時並行的に進めるべきではないか。その中で、それぞれの課題、注水井の発掘とか、今課題を継続しているというふうに承知しておりますが、サブドレーン待ちでどんどんどんどん汚染水をふやしていってしまうということは、根本的なリスクをふやしてしまうということにつながるのではないか。

 その点について規制委員会の、私はそういうふうに並行してやっていくべきだ、進めていくべきだと考えておりますが、そのことについての御所見をいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 赤羽委員が全て御案内のことなのであれですけれども、今実は、地下の、要するに、原子炉の中の水位とその外側の水位管理、原子炉の方が高くなりますと、汚染のひどい水が外に出るということがありますので、そうならないようにということで、実は、海側の遮水壁を一部開放して水を流しております。やはりそこからどうしても汚染された、港湾内でありますけれども、そちらに出ていきます。そういったことをとめなきゃいけないというのは、これは共通認識です。

 一番の問題は、先生御指摘のように、遮水壁をむやみに、むやみにというのは余り適切じゃないですが、とめる場合には、必ずそこで先ほどの炉とその周りの水位管理というのをきちっと調整ができるようにしておかないと、出さないつもりが炉内の汚染水が出てきてしまうということになります。そこのところの検討がまだ不十分だというようなところがありまして、今、東電の方でも少し議論をしていただいています。

 これが基本的な私どもの考え方で、そういうことを考えると、今実は、確かに困難でありますけれども、サブドレーンというのは非常に効果的な、割合そういった水位管理もやりやすいというようなところがありまして、ぜひそういったことをまず一つ動かす、その上で、海側の遮水壁もクローズして海に流れる量を減らしていこう、それを第一のシナリオとして今検討していただいています。

 サブドレーンを使わないシナリオというのも、本当にフィージビリティーがあるかどうかというのをきのうも大分議論されたようであります。実は、ちょっと私は全部拝見していないんですけれども、そういうところを踏まえて、少し柔軟にこれについては対応していきたいと思います。

赤羽委員 水位管理をしなきゃいけない、そのシミュレーションが恐らくまだ不確かな部分があるという御指摘だと。それもよく承知をしております。それはそれでちゃんとやるとして。

 先ほど申し上げました陸側の遮水壁、凍りにくい十数カ所のところをまず試験的な凍結をする、このオペレーションについてもまだ許可が出ていないというふうに承知をしております。

 委員長じゃなくてもいいんですけれども、その点答えられれば、これは早期に、そこはトライアルですからやらせていただいた方がいいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

山田政府参考人 先生御指摘の、陸側遮水壁の山側の試験凍結に関してでございますけれども、既に東京電力の方からは実施計画の変更申請を受理してございまして、今審査をしている最中でございます。

 本件につきましても、試験凍結とはいえ、地下水位が、タービン建屋の水位との関係できちんと管理ができるかどうかというところは慎重に審査をしなければいけないというふうに考えてございまして、今鋭意審査しておるところでございますので、できる限り早く認可ができるようにということで、私どもの方で努力をしていきたいと思います。

赤羽委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 いろいろな選択肢を、可能な選択肢をふやすということはいいことだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、トリチウム水の処理についてであります。

 汚れてしまった汚染水は、いわゆる多核種除去設備、複数のALPSでこの汚染水を浄化処理しているわけでございますが、どうしても、現状はトリチウムが除去できずに残っているという状況でございます。この処理後の水を最終的にどう処分するかというのは大変大きな課題であります。

 他方で、委員長は、私も委員会に同席させていただいたときの答弁でも、相当前から、トリチウムを除去するということはなかなかできないし、コストパフォーマンスを考えても、それにかけることは余りにも非合理だ、正しいかどうかわからないですが、そういった趣旨で、きのうの更田委員のあれもあったんですけれども、告示濃度限度を満たしていれば放出しても問題ないという立場だ、そういう御答弁もあったし、きのうの評価検討委員会での更田委員の御発言もありました。

 しかし、そうかといって、ではトリチウム水だからといって、今そのまま放出するような現状、現実ではなかなかないですね。それこそ、さらに風評被害を巻き起こしてしまう。科学的な根拠としてはそうだと示すということはすごく大事だと思うんですが、しかし、それで本当にいきなり放出していいのかというと、地元の皆さんは、とてもそれはおさまらないというような状況になってしまうのではないか。

 ということで、国の汚染水処理対策委員会のタスクフォースでは、大気放出はできないかとか、海洋放出はできないか、もしくは地層中に注入廃棄することはできないかとか、固化して地下に埋葬廃棄など、さまざまな選択肢ができないかということを、これまでその委員会でいろいろ検討を続けていたというふうに思っております。

 まず、私が思うには、規制委員会として、そうしたそれぞれの課題について、どこが難点があって難しいのかというようなことを検討していただいた方がよりわかるのではないか。委員会でトリチウムが残っても大丈夫だと言われても、なかなかそこはそうはならないのが現状で、その現実と科学的な論拠をどう埋めていくのかというのは知恵の出しどころだと思うんですが、その点について御見解があればよろしくお願いします。

山田政府参考人 既に先生よく御承知のところかと思いますけれども、トリチウムを含む液体放射性廃棄物の廃棄の方法、これにつきましては、規制基準を満足する形での海洋放出につきましてはこれまでほかの国内の原子力施設においても豊富な実績を有しているところでございます。

 この点につきましては、私どもの国際アドバイザーからも、放出基準を満たす汚染水は敷地内に蓄積し続けず放出するべきであるといったような助言をいただいております。NRC等からも同趣旨の助言をいただいているところでございます。

 一方で、トリチウムを含む放射性廃棄物につきまして、これは六十万トンという大量のものでございます。これにつきまして、大気放出をするですとか地層中への注入廃棄、こういったような方法については実績がございませんので、現時点では、迅速かつ着実に汚染水問題を解決できる手段ということとしては難しいのではないかというふうに考えているところでございます。

赤羽委員 大気放出の例は、アメリカのスリーマイルアイランドの事故の後にも放出をさせた例というのはあると私は承知しているんですけれども、その点についてどうなのかということと、それほどの濃度のものはないということなのか。

 私が言いたいのは、大気放出をする場合のリスクはこうだとか、別の、地層中に注入廃棄する場合のリスクはこうだ、だから、海洋放出の方がよりベターで国際的にも認められているというような説明をいま一度していただいた方が、そうしたものに実効性ができる。

 では、委員長、よろしくお願いします。

田中政府特別補佐人 まず、今東京電力にあるトリチウム水ですけれども、これを仮に全部集めたとしても、私が自分で計算したら大体三十七ccなんですね。ですから、六十万トンの中から三十七ccを全部、全て、今の六十万トンも含めて、いろいろな炉内にあるものも含めまして大体その程度であります、だから、それがもしうまくとれればですけれども、まず、そのものを純粋なトリチウム水として取り出すことは現実にはほぼ不可能であろうということです。

 今先生御指摘のように、大気中に出したという例はあります。ただ、大気中に出ても、いずれやはり地上に降ってまいりますので、それよりは、管理された状態で、世界的にも、今までも我が国でも実績のある海洋放出の方がより安全ではないかということで申し上げています。

 先生の御心配というか御懸念は非常によくわかりますので、我々としてできることであれば何でも最大限協力させていただきたいと思いますので、よろしく御指導いただきたいと思います。

赤羽委員 ありがとうございます。

 今の委員長の回答でそれは尽くしているんですが、きのうの更田委員の発言でもいいなと思ったことがありまして、原子力規制委員会は審査を行う組織であり、国民に安心していただく組織ではないかもしれないが、ただ福島第一に関しては別だ、こう言って決意を述べられているということは大変評価するべきだ、僕はこう思っております。

 これは、規制委員会の立場というのももちろんありますけれども、やはり一体となって取り組んでいかなければできない未曽有の事案ですから。ですから、今回の福島第一の廃炉、汚染水、前例のない作業でありますので、規制の内容もあらかじめ決めるということはできないと思うんですね。状況を見ながら示していかなければいけない。そこに対して東京電力が後手後手になるというようなことはやはりありがちだと思いますので、いわゆる能動的な規制という言い方はあるかと思いますが、より、できるだけ明示をして、対立する関係ではなくて、また、何というか、なかなか難しい関係だと思いますけれども、人類史上初めてという大きなチャレンジングに臨む一員として、それぞれの役割を果たしていただきたい。

 その決意を最後にお聞かせいただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。

田中政府特別補佐人 これまでもそうでしたけれども、私どもは、福島第一については、単なる規制ではなくて、規制の立場を堅持しつつも、最大限の努力をしていただく必要がある。これは国民のため、国のためということで、そういう視点でおりますので、今後とも引き続き、積極的にいろいろな意味で協力させていただきたいと思います。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 私たちも、今後も、政府・与党の立場でしっかりとこの大きなテーマを、人類史上、人類が勝てるかどうかというような話でありますので、頑張っていきたいということを決意させていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、宮路拓馬君。

宮路委員 まずは、質問の機会を頂戴いたしましたことに関しまして感謝申し上げます。

 川内原発を選挙区に抱える衆議院議員として、質問をさせていただきます。

 まずは、ちょうど昨日、鹿児島地裁におきまして、川内原発の再稼働差しとめ申請を却下する決定がなされました。これにつきましては、新規制基準につきまして、専門的知見を有する規制委員会が相当期間、多数回の審議を行うなどして定めたもので、不合理な点はない、あるいは、その上で、新規制基準に従って、地震については自然現象の不確かさを相当程度考慮して耐震設計し、また福島第一原発事故を踏まえた重大事故対策もしている、また、火山の影響、これは、桜島が我が鹿児島にはあるわけでございますけれども、巨大噴火の可能性は小さいと考える火山学者の方が多いという形で否定をし、また、鹿児島県あるいは薩摩川内市を含む周辺自治体の避難計画は、現時点で一応の実効性を備えているということで、再稼働差しとめの申請を却下したわけでございます。

 一方で、また先日、関西電力高浜原発の再稼働につきましては差しとめの仮処分が決定されたということで、司法判断が分かれたことになりました。

 これはちょっと事前に通告しておりませんでしたが、こうした件について、田中委員長の御見解を一言いただければと思います。よろしくお願いします。

田中政府特別補佐人 いずれも司法の判断でございますので、私の方から細部について申し上げることはありませんけれども、高浜原発については、やや、認識が少し違う、理解が届いていないということは申し上げましたけれども、川内については、特に私の方から申し上げることはなくて、今の規制基準を認めていただいたものとして、その線に沿って粛々と審査等々を進めていきたいというふうに考えております。

宮路委員 いわば常識的な司法判断が下されたということだと私は捉えております。

 その上で、川内原発は、昨年十月に地元の薩摩川内市議会において再稼働を求める陳情が採択、その上で、薩摩川内市長から、再稼働を進める政府の方針については立地自治体として理解するという旨の意向が、つまり同意が示された。また、十一月には、鹿児島県議会におきましても、川内原発の一日も早い再稼働を求める陳情が採択され、そして、鹿児島県知事に関しても、再稼働はやむを得ないということで判断が下されたところでございます。

 我が国における第一の再稼働として、地元鹿児島県、薩摩川内市、いわば大きな判断を、英断を下したわけでございますが、それをバックアップすることがまず今政府に求められていることだというふうに考えております。

 お手元に資料を配らせていただいております。

 三ページにわたる資料でございますが、その一ページ目の「政府の方針」というところにございますけれども、昨年九月十二日付で、当時の小渕経産大臣から知事宛てに政府の考えが明確に示されたところであって、その中で、「万が一、事故が発生した場合は、国が責任をもって対処する」ということが示されたところでございます。

 やはり、いざ原発事故が発生した際に、地元の警察、消防、あるいは自治体だけでその対応ができるかというところで、国に求められる期待というのは非常に高いところがございます。実際、鹿児島県におきましても、特に自衛隊の活用、これが不可欠であるというふうに地元としては考えているというところでございます。

 まずお聞きしたいのが、自衛隊の原発事故発生時のコミットメントについて、どのような制度的な仕組みになっているかというところを、政府のお考えをお聞きしたいと思います。

笠原政府参考人 お答えいたします。

 鹿児島県の川内原発において原子力事故が発生した場合の自衛隊の対応についてでありますが、原子力施設内で放射線による影響をもたらす可能性がある事象が生じた施設敷地緊急事態となった場合には、自衛隊法第八十三条に基づきまして、鹿児島県知事からの災害派遣要請を受けて、防衛大臣等が災害派遣命令を下令し、派遣部隊は関係機関と協力して住民避難、緊急物資輸送等を行うこととしております。

 さらに、事態が悪化をいたしまして放射性物質が外部に放出されるなどの全面緊急事態となった場合には、原子力災害対策本部長、これは内閣総理大臣でありますが、防衛大臣に対して部隊等の派遣を要請することとなり、これを受けて、自衛隊法第八十三条の三に基づきまして、防衛大臣が原子力災害派遣命令を下令し、派遣部隊は関係機関と協力をして、住民避難、緊急物資輸送に加え、捜索救助、避難住民の除染、スクリーニング等も行うこととしております。

 防衛省・自衛隊といたしましては、今後も、原子力災害に迅速かつ適切に対応するため、政府や自治体の原子力防災訓練に参加するなど、関係機関との連携を深め、対処能力の向上に努めてまいります。

宮路委員 今の答弁で、しっかりと法的仕組みとして自衛隊が原発事故発生時にはコミットメントするということが確保されている。そしてまた、三・一一、福島第一原発を踏まえてそうした実例を積んできたということですので、今後さらに訓練を重ねるなどして、その対処能力が向上され、しっかりとコミットメントするということが自治体ひいては住民にしっかりと浸透していくことが、一つ、信頼性の向上につながるというふうに考えております。

 その上で、また一点お伺いいたしますけれども、我が鹿児島、薩摩川内におきましても第八施設大隊という部隊がございますけれども、そこには、司令の話でいくと、放射線防護の装備であるとか、なかなか十分な装備は持ち合わせていないような話も聞いております。

 やはり、原発事故発生時におきましては特殊な装備、機器が求められるところである。つまり、専門的な部隊の設置、あるいはその能力の向上が求められていると考えますけれども、その点について防衛省のお考えをお聞かせいただければと思います。

辰己政府参考人 お答えいたします。

 防衛省では、核・生物・化学、いわゆるNBC兵器と言っておりますが、これに対応するために、汚染された地域における情報収集や除染などを任務として、NBC偵察車あるいは除染車、こういった特殊な装備品を保持する特殊武器防護隊や化学防護隊を全国に配置しております。

 南九州におきましては、北熊本に第八特殊武器防護隊というのを持っておりまして、ここには、今申し上げた化学防護車や除染車などによって除染あるいは偵察、そういったものをする機能を持っております。

 そういう意味で、原子力災害が発生した場合には、関係機関と連携して被害状況の情報収集あるいは住民の搬送などを行うということを考えております。

 さらに、防衛省としては、このような災害への備えを万全にするために、二十七年度予算において、能力を向上させた新除染セットというのを整備することといたしておりまして、二十七年度には車両三両などの整備ということを考えております。

 こういう取り組みを含めて、原子力災害などへの対応能力を高めていきたい、このように思っております。

宮路委員 私としても、さらなる自衛隊の能力向上を求めていきたい、このように考えております。

 続きまして、お配りした資料の二ページ目になりますけれども、今度は、鹿児島県から国への要請ということで幾つか要請が行われているところではございますが、その中で、まずは二つ目のポツにございます、下線を引いておりますけれども、「再稼働後においては、川内原子力発電所の監視体制を強化し、安全確保を図ること。」という要請を行っているところでございます。

 原子力災害事故、これは放射性物質というものは目に見えない、これがやはり一番恐怖を国民、住民の方に引き起こしているところかと考えております。したがいまして、やはりそれをいわば可視化するというところが原発災害への対応についてはまず一丁目一番地、最大の基礎となるというふうに私も考えるところではございますけれども、そのような中、モニタリング、これが今後さらに重要性が増していくというふうに考えております。

 通常時のモニタリングだけでなく、事故発生時の緊急時モニタリング、これがいわば事故対策のかなめになるというふうに考えておりますけれども、そのモニタリングの体制につきまして、今現在、国の体制がどのようになっているか、お聞かせいただきたいと思います。

片山政府参考人 お答えいたします。

 緊急時モニタリングの現地における体制でございますけれども、昨年の十月に鹿児島県の川内地域に常駐する鹿児島地方放射線モニタリング対策官事務所を開設いたしまして、現在二名の職員を常駐させているところでございます。

 緊急時におきましては、緊急時モニタリングセンターのまず立ち上げというのをこのモニタリング対策官が担います。この緊急時モニタリングセンターには、対策官だけではなくて、本庁から派遣される国の職員あるいは地方公共団体の職員、電力事業者及び関係の指定公共機関の職員が参集することになってございまして、標準的な体制、これを設置要領として我々は定めておりますけれども、初動時には約六十名の人間が集まることになっております。

 さらに、事態が広域化あるいは長期化するようなことに備えまして、原子力規制委員会の方で緊急時モニタリングの動員計画というのを策定してございます。この計画にのっとりまして、全国から資機材あるいはモニタリングの要員の応援を要請して現地に派遣するといったような仕組みを構築しているところでございます。

 いずれにいたしましても、防災訓練等を通じまして、より実効性のある緊急時モニタリング体制の構築に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

宮路委員 今御答弁いただいたとおり、仕組みはしっかり設けているということでございます。これをいかにブラッシュアップしていくか、今の御答弁にもあったとおり、訓練を通じて磨き上げていくことが大事だと考えますので、その点もどうかよろしくお願いいたします。

 続きまして、同じページの三つ目のポツになりますけれども、「国においても避難計画等の更なる充実のための支援、確認を継続すること。」という要請がなされております。

 その中で、段階的避難の必要性というか、原発事故におきましては、やはり何といっても段階的な避難を円滑に行うことが肝要であるというふうに考えております。やはり国民の原発に対する恐怖というのはございまして、いざ事故が起これば我先にと逃げていく、これが私も含めて一般的な国民の心の構えかと思います。ところが、それでは成らない。やはり、計画的に段階的に避難しなければ、かえって混乱を来して避難ができない、あるいはさらなる二次災害が生じてしまうということが考えられますので、今後、国民の間に、いかに段階的避難が必要不可欠かということの浸透が図られていくことが大事だと考えております。

 その点について、国が今後どのように周知を図っていく考えであるのか、お聞かせいただきたいと思います。

平井政府参考人 原子力規制委員会が策定した原子力災害対策指針では、原発から五キロ圏内は速やかに住民の避難を開始し、五キロから三十キロ圏内は原則屋内退避をするという段階的避難の考え方を、住民避難などの防護措置の基本として定めております。

 この指針の考え方を踏まえた川内地域の避難計画を含む緊急時対応につきましては、関係省庁、鹿児島県、関係市町が参加したワーキングチームにおいて具体的かつ合理的な内容となっているということを確認するとともに、昨年九月の原子力防災会議に報告し、了承されたところです。

 こうした指針や計画の内容の住民への周知については、国としても、国の訓練あるいは関係自治体が行う定期的な防災訓練や広報を通じた取り組みを引き続き支援してまいりたいと思っております。

宮路委員 お配りしている資料の三ページ目に、鹿児島県がつくった「原子力防災・避難施設等調整システム」とございますけれども、ここにもやはり、先ほど申し上げたモニタリングがまず大事であって、福島第一の事故では、多くの住民が避難した飯舘村の方向の放射線量が結果的に高かったことが後で判明したということで、先ほど申し上げたとおり、まずモニタリングが第一だと。そのモニタリングで判断した空間放射線量率に基づいてしっかりと段階的避難を行っていくことが非常に大事なことだと考えますので、その点について今後さらに検討をしていただければというふうに考えます。

 最後に、一つ御質問させていただきます。

 二ページ目の「国への要請内容」の四つ目でございますけれども、今回、PAZ、UPZという概念を新たに導入いたしまして原発の事故の際の避難を考えるという仕組みが構築されたところではございますけれども、UPZの対象となる市町村が拡大したことから、立地市及びそれらの関係市町村に対する新たな地域振興策等について、国の財政支援について、具体的な対応を行うことという要請がなされました。

 鹿児島におきましても、原発立地自治体である薩摩川内市、これは、再稼働につきましては大方、多くの住民の方が同意、賛成をしていたところではございますが、一方、そのお隣のいちき串木野市、ここはやはり、UPZがかなりかぶる部分、あるいはPAZもかぶる部分がございまして、いちき串木野市民の中には、原発立地自治体でもない、したがって、これまでの電源立地交付金も直接来ていたわけではない、今回、福島第一を踏まえてリスクが顕在化したところであって、そうしたリスクを負わされているにもかかわらず十分な地域振興策が施されていないのではないかということで、いちき串木野市においては、今回の原発再稼働に関して、必ずしも住民の方が皆、同意、賛成しているわけではないというのが現状でございます。

 やはり、そこには、この鹿児島県からの要望にもあるとおり、UPZの対象となる市町村が拡大したわけですので、新たな地域振興策について具体的な対応を行うべきではないか、これが地元の切実な要望だと考えますけれども、この点について御見解をお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘をいただいた件、これは私ども資源エネルギー庁でも、鹿児島県の方から幾度となく承っている御要望でございます。

 そうした中で、私どもの今置かれている状況を簡単に申し上げます。立地交付金の財源でございますけれども、これは発電電力量に応じて税収が入ってくる仕組みになっております。一時千五百億円程度あった交付金の予算が、現在一千億円を切る状況になっております。

 他方で、今、UPZの拡大に伴う御要望、そのほかに、例えば、福島県の中間貯蔵の問題、さらには、最近廃炉を進めておりますので、廃炉に伴います資金ニーズ、こういったさまざまな御要望に応えていかなければいけない、こういう状況でございます。

 こうした中で、私ども、今先生から御指摘いただいた鹿児島県さんを初め、さまざまな御要望をいただいております。そうした御要望の中で、限られた財源ではございますけれども、一体何ができるのか、真剣に考えて検討していきたいと思いますし、引き続き、御地元の自治体の方々とは意思疎通を強めていきたいと思っております。

宮路委員 冒頭申し上げましたけれども、鹿児島県は、原発再稼働第一号として、これまで住民の方々と真摯に議論をして、対話をして、そして大きな決断を下されたわけですので、やはり国として、そこは責任を持ってバックアップしていく必要があると思います。それは、今後、防災訓練でございますとか、そうしたところでやっていく。あるいは、最後に御答弁いただきました地域振興策、財政支援、こうしたところも国としてしっかりと今後対応していく必要があると思いますので、その点について再度お願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

吉野委員長 次に、石川昭政君。

石川委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政でございます。

 本日は、質問の機会をいただきました。現在我が国が直面しております原子力政策全般にわたりまして、諸課題について、政府の見解をお伺いしたいというふうに思います。

 まず冒頭ですけれども、田中委員長、ちょっとJT60SAと聞いて、何か御記憶、思い出すことはございますでしょうか。

田中政府特別補佐人 JT60は、核融合の研究、トカマクタイプの大きな実験装置であります。ITERの計画がありまして、一旦閉じましたけれども、その後、改造して、最近また再稼働というか、研究に供するようになりつつあるというふうに承知しております。

石川委員 さすが田中委員長でございます。

 と申しますのは、今週月曜日、四月二十日でございますけれども、日本原子力研究開発機構の那珂核融合研究所におきまして、JT60SAの主要組み立て機器の組み立てが完了いたしまして、式典がございました。私も地元議員としてお招きをいただきまして、御挨拶をしたところでございます。といいますのは、田中委員長は、前身は、合併前の日本原子力研究所の研究者として、東海研究所の副所長をお務めになったというふうに私も承知しているところでございます。

 なぜこういうことをお聞きしたかと申しますと、現在、田中委員長は、原子力規制委員会の委員長、三条委員会の委員長として、非常に強い権限のもとでさまざまな厳格な審査を行っていらっしゃる。いわば権力側に立たれたわけでございます。その委員長が原子力研究開発についてどのように捉えているかというのをちょっとお聞きしたかったわけでございます。

 ともすると、田中委員長は非常に強い権限をお持ちでございます、厳格に審査するわけでございますので、その中で、原子力産業を衰退に追い込んでいるのではないかというような誤った認識が広がっていく、そのように私は危惧しているわけでございます。

 委員会の答弁を聞いていました。それに、ユーチューブの記者会見等をお聞きする中で、田中委員長の答弁、お話の一言一言が非常に正確で、無駄のない言葉でございました。その一言一言が、国民に対しまして、どのように原子力を規制していくかという中で、信頼を回復する非常に重要な言葉だと私は思っております。そこを日本国民は固唾をのんで見守っているわけでございます。

 その意味では、今後も、国民に対して説明責任、あるいは事業者に対しましても丁寧に説明責任を果たしていただきたいということをまず冒頭申し上げたいというふうに思いますが、御所見があればお願いいたします。

田中政府特別補佐人 規制の立場におりますけれども、もともと私は、日本原子力研究所においてずっと、もう四十年ぐらい仕事をしてきましたので、原子力科学の持っている可能性というものについてのある種の思いは強く持っております。

 ただ、原子力の大きな可能性というのは、裏返せば、ある意味じゃ危険性も持っているわけです。そのことを顕在化させない、要するに、人とか環境に悪影響を与えないというのが今私が与えられた役割だと思いまして、その点で努力しております。

 研究開発というのは、これからどういう仕事、どういう方向に向かうにしろ、非常に大事なことです、人を育て、技術を育てるということ。そういう点で、私は、ある意味じゃ、少し今心配をしているところもあります。ぜひ、そういった点については先生方の御支援もお願いしたいというふうに思います。

石川委員 ありがとうございました。

 田中委員長は、原子力の特性をよく認識され、正の部分と負の部分もよく認識をされている希有な方だと私も思っておりますので、そういう観点から、今後の原子力政策のあるべき姿をぜひ規制という枠の中で表現していただきたい、このように考えておるところでございます。

 それでは、早速ですが、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 去る四月十日、国際廃炉研究開発機構、IRIDと東京電力が、福島第一原発の一号炉の中に日立GEグループ会社のロボットを投入いたしまして、炉内の調査に初めて成功したわけでございます。二台とも回収は断念をしたわけでございますけれども、四年たってようやく炉内の状況が把握できるようになった、大きな前進だと私は思うわけですけれども、その中で、どういう成果が得られたんでしょうか。そしてまた、原子炉内の温度は約二十度前後で安定しているということだそうでございます。線量は九シーベルト。このあたりは予測の範囲だったのかどうか、可能な範囲でお答えいただきたいと思います。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 四月十日から四月二十日まで、福島第一原子力発電所一号機の原子炉格納容器の内部調査が、初めて、原子炉格納容器内を走行する遠隔調査ロボットによって直接計測、撮影することができました。

 今回の調査では、まずわかりましたのは、この次の調査で投入が計画されております、格納容器底部の燃料デブリを直接見る次の遠隔調査ロボットがございまして、それが格納容器内の一階から地下階に進入できるかどうか、その入り口の周辺部分の干渉物を確認することということが最大の眼目でございました。それで、この周りに干渉物はないということでございますので、次の遠隔調査ロボットを投入するという計画を進めることができると思っております。

 二つ目は、委員御指摘のとおり、格納容器内の複数の箇所で、面的に温度とか線量を直接測定できました。

 想定の範囲内であったかどうかということに関しましては、線量に関しましては、我々が想定していた以上に相当程度低いということでございまして、したがって、ロボットの耐放射線の限度というものがあるのでございますけれども、数日間にわたり原子炉内で計測ができるというようなことを今回実現できたわけでございます。

 加えまして、ほかの確認事項としましては、空調機などの炉内の大型設備には大きな損傷がないということでございますとか、今後の作業ルートとなる一階部分への落下物の状況ということも面的に観測できております。

 このような非常に貴重なデータが得られましたので、今後の燃料デブリの取り出し方法の最適化などについて反映していきたいというふうに思っております。

石川委員 ありがとうございました。

 やはり、このロボット開発というのをさらに強力に推進しなければならないと私も感じているところでございます。

 あわせまして、四月二十日の日でございますが、東海村に廃炉国際共同研究センターが開設をされたわけでございます。吉野委員長も式典に参加をいただきました。廃炉に関しては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構、通称NDFと言われるところと国際廃炉研究開発機構、IRID、この二つの機構はもう既にワークしているわけでございます。

 そこに新たに今回の廃炉国際共同研究センターが開所するわけでございますが、一体どこが主導してどう連携して廃炉に向かっていくのか、縦割りを排して協力し合うのかというあたりをお聞かせいただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 今週、同じく月曜日でございますけれども、日本原子力研究開発機構で廃炉国際共同研究センターの開所式を開催させていただきました。

 この廃炉国際共同研究センターは、もともと下村文部科学大臣が、昨年、福島第一原子力発電所の現地を視察させていただいて、そこで自分が感じたこと、それから、そこでまた東京電力の方々と話し合った結果に基づきまして、科学技術を担当する大臣として、この廃炉の問題に中長期的にやはり取り組んでいかなければならないという思いを強くされた結果、まとめられた廃炉研究開発の加速化プランに基づいて、設立されたものでございます。

 この廃炉に向けてのロードマップ及びその戦略につきましては、政府全体でロードマップをつくりますし、そのもとでの研究開発戦略については、今先生御指摘になられました原子力損害賠償・廃炉等支援機構のもとに委員会が設けられてございまして、そこには私ども文部科学省、それから原子力研究開発機構もメンバーとして参加させていただいております。

 そういう意味で、国全体としての研究開発戦略はそこでまとめられておりますので、その戦略に基づいて、この原子力機構の廃炉国際共同研究センターにつきましは、特に、基礎から基盤といったような研究開発、それから中長期的な人材育成、そういったものを分担して進めていきたいと考えているところでございます。

石川委員 ありがとうございました。

 次の質問でございます。

 SPEEDIの活用方針の削除をされるという報道がなされました。実際に、きのうの委員会でもそのように議論がされたというふうに承知しております。

 実は、もう既に御案内のとおり、各立地県では地域防災計画の策定がほぼ終わっている状況でございます。その中で、SPEEDIとの接続というものも定めているわけでございます。

 そういった中で、国としてSPEEDIの活用を削除するということは、また地方自治体に対して混乱を巻き起こすのではないか、このように危惧しているわけでございますが、自治体等への説明はどのようになっていますでしょうか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年の十月に、原子力規制委員会におきまして、今後のSPEEDIの活用方策について御議論をいただきました。

 その結果といたしまして、SPEEDIのような予測的手法を住民の防護措置に活用するということではなくて、原子力施設の状態によって予防的に、例えばPAZ圏はもう避難をする、UPZ圏は屋内退避をするといった戦略で防護措置を講じていくということをお決めいただきました。

 なお、SPEEDIといった予測的な手法については、防護措置には活用しませんけれども、事後的に、例えばモニタリングデータといった実測値から逆推計をして放射性物質の拡散状況を把握するといったような活用の方策はあるといったようなことも、その場で御議論をいただきました。

 その結果を受けまして、原子力規制庁の方で地方モニタリング対策官などを通じて各県に個別に説明する、あるいは県の担当者会議などの場で御説明するといったようなことをやってまいったところでございます。

石川委員 ぜひここは丁寧に行っていただきたいというふうに考えております。

 次に、日本原子力研究開発機構の運営体制についてお尋ねします。

 三月末をもって松浦理事長が退任をされ、児玉新理事長体制に移行いたしました。しかし、体制が刷新されただけでは、原子力研究開発予算というのは潤沢な予算がつく時代ではなくなったわけでございます。

 お手元の資料をごらんいただきたいというふうに思います。

 ごらんのとおり、予算も人員も非常に減少傾向でございます。あわせまして、施設の老朽化、部品の劣化そして職員の減少、これによって施設の維持管理も非常に危機的な状況に置かれているわけでございますが、国としてこれをどう立て直していくのか、喫緊の課題だと思っておりますが、御見解をお伺いします。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 日本原子力研究開発機構は、「もんじゅ」の保守管理不備等に端を発しまして、原子力機構改革というものを打ち出したところでございまして、その一環として業務の重点化を図っているところでございます。本年四月からは新たな中長期目標期間を開始するとともに、先生御指摘いただきましたように、新たに民間から児玉敏雄理事長を迎えまして、新体制下でのスタートを切ったところでございます。

 業務の重点化に当たりましては、我が国唯一の原子力に関する総合的研究開発機関として実施すべき業務としまして、第一に、東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ確実な廃炉等に貢献するための国内外の英知を結集した研究開発等の推進、第二に、安全を大前提とした原子力利用を支えるための原子力の安全性向上に向けた研究開発の推進、第三に、原子力の基盤を分野横断的に支えるための基礎基盤研究の推進と人材育成、第四に、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等を目指した「もんじゅ」を中心とした核燃料サイクルの研究開発の推進、そして第五に、我が国のみならず世界共通の課題であります放射性廃棄物の処理処分の研究開発の推進に重点的に取り組むというふうにしてございます。

 また、量子科学技術の強化の観点からは、核融合研究開発及び量子ビーム研究の一部につきましては、放射線医学総合研究所と統合いたしまして新たに量子科学技術研究開発機構を立ち上げることとして、そのための法案を今国会に提出させていただいているところでございます。

 これに加えまして、原子力機構全体としても事業の見直しや研究開発施設の重点化、集約化を進めているところでございます。

 文部科学省としましては、児玉敏雄理事長の体制のもとで、原子力機構が、安全を最優先とするとともに、我が国唯一の原子力に関する総合的な研究開発機関として研究開発成果の最大化を図ることができるように指導してまいりたいと考えてございます。

石川委員 ありがとうございました。

 しっかり予算をとって研究開発に取り組んでいただきたい、このように思います。

 ちょっと質問を一つ飛ばしまして、原子炉には研究炉というものがございます。それに対する新規制基準の適合審査を今やっているわけでございますけれども、国内では今、研究炉が二十二カ所、うち廃止が八カ所の方針だというふうに承知をしております。

 しかし、この研究機関というのは、安全対策の十分な投資ができず、廃止せざるを得ない施設も出てきている状況です。今後の原子力研究開発が停滞していくのを私は非常に危惧しているわけでございますが、これについては前倒しして審査してもよいのではないかというふうに考えておりますが、御見解をお伺いします。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 試験研究炉の審査についてという御質問でございますが、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえまして原子炉等規制法が改正されたわけでございますが、その中におきまして、試験研究炉につきましても、新規制基準への適合を要求したということでございます。

 そのときに施行されました新規制基準におきましては、試験炉の構造等が非常に物によって多種多様であるということでございますので、それから異常時の影響も非常に多種多様であるということで、型式とか出力のレベルに応じて措置を事業者に対して求めているというところでございます。

 原子力規制委員会では、昨年の新規制基準の施行後、今日までに、日本原子力研究開発機構、それからあと、大学としては京都大学、近畿大学等から、合計九件の申請を受けまして、現在、審査を鋭意行っているというところでございます。

 審査のスケジュールにつきましては、申請内容であるとか審査に対する事業者の対応というところが非常に大きいということでございますけれども、現在、できるだけ効率的に、厳正に審査を行うことで対応しているというところでございます。

石川委員 人材育成の面でも非常に大事な点でございますので、しっかり前進させていただきたい。

 最後の質問でございますが、核セキュリティーについてお伺いいたします。

 今、世界各国でサイバーテロ対策、それからマルウエア感染によりまして情報が盗まれたり、書きかえ、サーバーダウン、さまざまな事態が起きているところでございます。

 新規制基準では、サイバー攻撃への備え、セキュリティーホール対策、どのように調査をしているでしょうか。お伺いしたいと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバーセキュリティー対策といたしましては、電気通信回線を通じて妨害破壊行為を受けることがないように、外部からのアクセスをいかに遮断するのかというのが第一かというふうに考えております。

 この観点から、新規制基準におきましては、安全設備を動作させるためのシステムにつきまして、物理的あるいは機能的に分離させるとともに、このシステムの導入時にコンピューターウイルスなどが混入することがないように防止するということを求めております。

 さらに、発電所外からの侵入によって不正なアクセスをされることを防止するために、柵等で物理的に区画をする、さらに出入り口を常時監視するといったようなことを求めているところでございます。

石川委員 ありがとうございました。

 新しい規制基準をつくっても、最後のとりでは人間、人だというふうに私は考えております。規制される側とする側と正しい信頼関係を構築していただいて、本来あるべき原子力規制の姿に一日も早くたどり着いていただきたい、このようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

吉野委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時四十九分開議

吉野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。阿部知子君。

阿部委員 民主党の阿部知子です。

 本委員会で初めて質問をさせていただきます。

 大変重要な委員会ですし、とりわけ田中委員長を初め、日々原子力規制のために御尽力かと思います。

 私は、まず、本日は、基本姿勢にかかわりますことで、ちょっとこれはいかがかと思うことがありますので、冒頭、田中委員長にお伺いをいたします。

 事は、昨日記者会見されました、K排水路における電源がとまってしまってポンプ八台が一斉に停止したという事案であります。

 このことを、昨日記者会見で田中委員長は、とまってしまって動かなかった状態というのは、四月十六日にこの委員会で初鹿委員が御質疑されて、K排水路はそのまま海に行くものですから、だだ漏れ状態になるのできちんと対応すべきだという趣旨での御質疑だったと思いますけれども、それで、ポンプでくみ上げる措置をしていたけれどもとまった、いわゆるバックアップ電源は置いていなかったためにすぐにはバックアップできなかったという事案ですが、これに対して、余り褒められたことではないですけれども、それほど緊急に何か大きな問題になるようなものではないし、もう復旧したと聞いていますからというふうにお話しだったんですね。

 私などは、褒められたことではない、確かに褒められないけれども、そんな程度じゃなくて、やはり小さなミスとか小さな事故は、それは大きなミスにつながる性質のものなんだと思うんですね。私は医者なんですけれども、医療現場ではヒヤリ・ハット事例といって、小さなミスでも逃さず報告してすぐのバックアップを図るということを、日ごろから大きな事故を防ぐための教訓にいたしております。

 田中委員長の認識が、漏れるくらい大したことはない、すぐ戻ったからいいじゃないのというのでは、バックアップ電源がないということは、あの三・一一の事故のときもそうで、大騒ぎした事案です。日ごろから、電源系統を使うときはきちんとバックアップ体制というものはあってしかるべきだと認識しなければいけませんし、せっかく国民の信頼する規制委員長が、褒められたことではないけれども戻ったからいいんじゃないのというのでは、基本姿勢が問われると思います。

 もう一度、原子力規制という姿勢そのものについてお伺いをいたします。この事故を含めてです。おとといの事故、とまってしまった事案についてです。お願いします。

田中政府特別補佐人 少し軽い言い方をしたという点はおわびしなきゃいけないとは思いますけれども。

 実は、この汚染水の問題というのは、非常にさまざまなところで今問題になっております。いわゆるK排水路というのは一般の雨水とかそういうものが流れるところで、電源がとまったこと自体は、やはりきちっと、昨日の検討会で、仮設電源から恒設電源への切りかえの工事もするし、バックアップ電源もつけるということを約束していただいたので、それはそれで。

 実は、濃度があの時点では排出濃度基準以下になっているということもありまして、すぐに何かしなきゃとは、非常に濃い濃度のものもありますので、そういうことであります。

 ですから、ヒヤリ・ハットが大きな事故につながるというのは、私ももう長いこと原子力研究所等で現場にいましたから、そういうことについては十分その認識は持っていますし、規制委員会として、規制庁としてもそういう点は十分認識しているつもりですので、ちょっとそういった誤解を招いたことについては反省いたしたいと思います。

阿部委員 国民へのメッセージですからぜひ、まして漁業者の皆さんはやはりいたたまれないと思います、こうした事案のある都度、大したことないと言われているみたいに思えて。これは、委員長も地元でありますからよくおわかりだと思います。そこで原子力行政がますます信頼を失うもとになりますので、委員長は非常に厳しい立場には立っておられると思いますが、まずみずから姿勢を正して、ぜひ国民へのメッセージを過たぬようお願い申し上げます。

 引き続いて、次の質問に行かせていただきます。

 三・一一の福島の原発事故を受けて、あの当時、百ミリシーベルトであった作業の上限、被曝限度を二百五十ミリにある意味で上げざるを得なかったという事態がございます。この間、次のまた事故、再稼働しなければないわけですが、まあほかにもあるかもしれませんね、そうした事態に備えてこれを二百五十ミリシーベルトにあらかじめ上げておくということで厚生労働省として検討をされているということの報告書が出ておりました。

 二百五十ミリで恒久化というか、上限を引き上げて恒久化する理由と、そのときの労働者の健康管理ということについて、厚労省と委員長にお願いをいたします。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の報告書の案でございますが、これは先日十七日の検討会の会合におきまして座長一任となっておりまして、まだ最終調整中でございます。

 この報告書の案では、原子力災害の危機管理の観点から、原子力災害対策特別措置法における原子力緊急事態が発生した場合またはそれに至るおそれの高い事態が発生した場合に、緊急被曝限度を百ミリシーベルトから二百五十ミリシーベルトまで引き上げるということとされております。

 この報告書案では、線量限度は、急性被曝による造血機能の低下などの重要な健康影響を確実に予防できるという観点から妥当なものであるとされておりますし、また、同じ報告書案では、作業の結果、通常被曝限度を超える被曝をした者については、生涯にわたって必要な健康診断等の健康管理を実施するとともに、その後の放射線業務においても、国際放射線防護委員会、ICRPが被曝線量限度の前提としている生涯線量一シーベルトを超えないように管理すべきだというふうにしているところでございます。

 以上でございます。

田中政府特別補佐人 本件については、私どもと厚生労働省、主管官庁ともいろいろ協議させていただいて、厚労省の方で検討されているところでございます。

 どうしてこういうことを私どもが取り上げたかといいますと、福島第一の実際の緊急時に被曝した方たちは二百五十をはるかに超える被曝もありました。結局、そういった作業をすることについての準備がないままにそうせざるを得なくて、後でそれだけ被曝しているというような状況がわかったというようなことが生まれています。

 こういった事故とか緊急の事態は起こしてはいけないんですけれども、起こらないということではなくて、やはりきちっとそういう準備をして、心構えもして、それなりの装備の方の準備もしておくということがやはり大きな事故を防ぐ上で極めて、事故を大きく拡大させないという上で非常に大事だということです。

 国際的に見ても、先ほど厚生労働省の方からもお話がありましたように、ICRPとかIAEAでも大体そういった、五百ミリシーベルトぐらいを上限にして参考レベルを決めた方がいいというようなリコメンデーションもありますが、我が国では一F事故のときに二百五十ミリシーベルトということを決めたので、そのあたりにすれば大分そういった対応ができるのではないかということで、厚労省の方に御相談をしてそういう議論をしていただいたというところでございます。

阿部委員 私は、決めることというのは極めていろいろな要素がありますので、今委員長もお答えいただきましたけれども、決めておいた方が対処ができやすいというふうに考えられてのことと伺いましたが、実際、ここで、先回の最大被曝量六百七十八・八ミリでしたけれども、確かに二百五十ミリを上回る者が生じておりますので、そういう事態を防ぎたいというお気持ちであろうことは理解した上で、でも、先ほどのように、例えば百ミリだと絶対安全とか、さっきおっしゃいました、確実に予防、いろいろな障害が起きないんだということは言えないことなんですね。

 お手元の一枚目の、これは労災においてどのくらいの線量被曝があったかということを支給決定と並べたものであります。

 もちろん、今おっしゃったのは、急性期というか、短い時間での百ミリあるいは二百五十ミリを上限にいたしましたので、生涯にわたるものではございませんけれども、実際には、この労災の支給決定を見ておりますと、大体五・二ミリから百六十八・四一ミリ、百六十八・四一は二十七年間での被曝総量ですけれども、現実にはいろいろな、急性の骨髄性白血病を含めて悪性リンパ腫等々が出ていて、労災認定がされているわけです。

 こういうことを決めるだけでは事が済まなくて、先ほどおっしゃったような生涯管理、そのときも被曝するけれども、人間一生がありますから、そこまできちんと展望した上でやっていかなきゃいけないし、今、放射線影響研究所などでも、この二百五十に引き上げたときの作業者の長期フォローをなさるということですから、この点は、ちょっと先ほどの厚労省の御答弁は大変気になりました。

 確実に予防できるかどうかはわかりません、線量に依存して、何でも確率は上がっていくわけですから、その点をお忘れなく、そのときの被曝と、そこからまた一生がありますから、長期の被曝が視野に入ってこなければならないと考えてよいかどうか。これは規制委員長にお伺いいたします。

田中政府特別補佐人 先生はお医者さんだから、私から申し上げるのも非常にはばかられるんですけれども。

 国際的な、一般的な今までのUNSCEARとかICRPなんかのいろいろなデータ、これも、広島、長崎の原爆被爆等のデータをフォローして大体基準としてつくられています。UNSCEARの場合は、戦後に起こったいろいろな被曝事故なんかも全部含めて整理されているというふうに理解していますが、百ミリシーベルト以下では、明確な因果関係を認められるような障害というか影響というのはない、ないというか、見られないということ、それが大体国際的な合意になっています。

 一方で、先生がきょう資料として出された白血病、リンパがん、こういったことについては、放射線障害としては一番出やすい症状だというふうには言われています。それで、こういうようなのは放射線だけが原因で出るわけじゃないというふうには理解します。ただ、幾つかの労災認定では、そういったことはあるけれども、やはり労働者救済の点からこういうのを認めてきているということかと思います。

 そういうことを考えますと、緊急時被曝作業をされた方については、やはりきちっと、医療的な、医学的なフォローとかそれなりの対策も含めてやっていく必要があると思います。そのためにも、やはり本人の事前了承を得ておくとか、その後の対策についても検討するという意味でも、それは緊急時になれば決めればいいというものではないというふうに思いまして、私どもはそういう提案をさせていただいています。

阿部委員 今委員長のおっしゃったように、私は、一番大事なことは、きちんと管理していく、それから、いろいろなデータから見て、今までたまたま百ミリシーベルトでは起こっていないというだけであって、これは、症例を重ねていけば、そのとき何がリスク要因になって重なっていくかということも出てまいります。

 今回、本当に日本は不幸な事案を経験しましたけれども、今まで大丈夫だったから大丈夫という考え方ではなくて、真摯にこのことに向き合って、私たちは放射線障害がどういうリスク要因で高まっていくかということにも立ち向かっていかなきゃいけない、そこは委員長と一緒であります。それで、特に長期管理が重要である。

 加えて、今委員長がおっしゃっていただいたように、先に決めておくということもあり得るかと思いますけれども、ただ、その場合でも、私は、ある緊急作業に従事する人たちをあらかじめ決めておいて、そして、事態がそういう進展をしている中でその方たちにそこに行っていただくには、再度、改めて、ボランタリー、自分の自発的な意思であるということをしっかりと確認しなければ、やはりリスクは高まるわけですから、いけないと思うんですね。

 事前の教育なり、そういう事態に対する対処を心に置いておいて、あるいは教育に置いておいて、プラス、実際の事態が起きたときの対応は、あくまで行っていただく方の自発的意思である、ICRPもIAEAもそのように言っておりますけれども、この点について、厚労省と委員長にお伺いいたします。

土屋政府参考人 お答えいたします。

 先ほどの報告書案の中では、特例の緊急被曝限度、二百五十ミリシーベルトでございますが、これが適用される作業に従事する労働者は、原子力施設が破滅的な状況に至ることを回避するための作業を行う、そのための必要な知識と経験を有する者であって、原子力事業者が原子力防災要員としてあらかじめ指定する者とするものというふうに限定をしているところでございます。

 また、この報告書では、先ほど先生からお話がありました事前の特別の教育についても記載をするとともに、あわせて、原子力事業者が防災要員を指定するに当たっては、特例緊急作業に関する労働条件を明示した上で双方合意の上で労働契約を締結すべきだということにしておりますとともに、さらに、今後仮に緊急作業を実施する事態になった場合には、実際の作業への配置については、労働者の意向に可能な限り配慮すべきとされているところでございます。

田中政府特別補佐人 私も、ただいまの厚労省の説明で、そういう方向でいくべきだろうと思っております。

阿部委員 こういうふうに私が聞きますと、あらかじめ、再稼働を前提に事故が起こるかもしれないことで聞いていると思われるといけませんので、私は、現在でも、特に使用済み燃料プールなどに置かれている燃料というのは、いろいろな意味で、地震等々で、せんだって委員長もおっしゃいましたが、水がかれたとき再臨界になりますので、今そこにあることも危険であるということは思っております。だから、早期にドライキャスク化するとか、いろいろなことは思いながらの質問であります。

 ただしかし、そこにある限りいろいろな事態が起きるだろう。そのときに、あらかじめ教育を受けていたとしても、実際に行くときは自発的意思であるということ、ここがたがえられますと、非常に問題が大きいと思います。

 防衛省に伺います。副大臣、ありがとうございます。

 特に自衛隊の場合は、ふだんの出動は命令下に行われるものでございます。あらかじめ部隊を決めておくのかどうか知りません。放射線部隊とか、そういうのがあるのかどうか知りませんが、現実に緊急作業に行っていただくときは、これは隊員の自発的意思というところで考えてよろしいのかどうか、お願いします。

左藤副大臣 今委員御指摘のように、国際的には、一定の線量を超える緊急作業従事者について、自発的な志願者であるべきとされていることは御承知のとおりだと思います。

 部隊の派遣を要請された場合、原子力災害等の状況、自衛隊の装備及び能力等を踏まえ、部隊等を派遣するか否かを適切に判断することになりますけれども、緊急作業時の被曝に関する国際的な考え方の趣旨を考慮し、緊急作業に従事する自衛隊員の安全管理、健康管理が十分に図られることが重要と思って、しっかり対応していきたいと思っております。

阿部委員 明確な御答弁、ありがとうございます。

 引き続いて、高木経済産業副大臣にお越しいただいておりますが、同時に内閣府の原子力被災者生活支援担当だということで、お伺いをいたします。

 二〇一二年の十二月から三月まで、旧警戒区域というところで、その区域内の車両通行のいわゆる監視業務を内閣府からタクシー会社に委託されました。タクシー会社はそこで労働者を働かせたんですけれども、この区域はいわゆる線量の管理下区域ということになっていて、しかし、内閣府からこの仕事が出されるときにそうした地域であるということが伝えられずに、またタクシー会社も十分に知識がなかったために、現実には高線量下でタクシーの運転手さんたちのそういう輸送業務が行われてしまったということがございます。

 この点について、内閣府のというか、高木副大臣の御認識を伺います。

高木副大臣 私、経済産業副大臣とともに内閣府副大臣も兼務させていただいて、原子力災害の現地対策本部長も務めさせていただいております。

 今委員御指摘のありました事案につきましては、四月三日付の毎日新聞で報道されました。私もこの報道を読みまして、最初驚いて、すぐに確認をさせていただきました。

 御指摘のように、平成二十四年の十二月に警戒区域の主要幹線道路を対象に特別通過交通を認めたことに伴いまして、区域内の通行車両が増加したため、安全確認のため車両巡回業務を強化するよう、こういうような目的で、タクシー会社にその業務の要請が行われました。

 同社の方は、百二十名の要員体制を整えて、この十二月下旬から翌年平成二十五年の三月まで巡回業務を実施いたしました。巡回ですから、ずっと移動しながら見るというような状況だったんですが、巡回が主であり、当該事業者によれば、一定の放射線下で業務を行う特定線量下業務との認識は持っておらず、事業者において実施すべき法令に基づく対応を十分に実施できていなかった、そのように認識していると。それを受けまして、その結果、当該事業者が労働基準監督署による是正勧告を受けた、このことに対しては大変遺憾に思っております。

 今御指摘のように、ちょうどこの警戒区域での特別通過交通を認めたということで、ある意味初めての状況だったと思います。それについて、やはり内閣府支援チームとしても、業務委託に応じてさらに細かい指示または細かい説明等をすべきであったと私も認識しておりますし、こういった勧告もなされたことによりまして、今後もさらに、今通行可能なところがふえておりますけれども、そういうことに関してはしっかりと対応させていきたい、このように考えております。

阿部委員 これは厚生労働省にも同じ質問を伺いたいですが、時間の関係で、私の方で要約して申しますが、各省庁間の連絡会議で内閣府と厚労省がちょうどこのころ会議を持った、そこで内閣府には伝えてあったものと思うという厚労省側の認識ですけれども、各省庁間で、こうした作業にかかわる人の被曝問題がもっと私は緊密に、なお深刻に受けとめられるべきと思いますので、今の副大臣の御答弁のとおり、これからもしっかりとお願い申し上げます。

 引き続いて、今のような警戒区域内の作業にかかわられた方もそうですが、事故を収束させるために、防衛省、警察庁、そして消防庁などの各隊員が、職員が現場で働いてくださいました。おのおの、どのくらいの人数の方がどのくらい被曝されたか、各省庁で恐縮ですが、どんな順番でも構いません、今申しました防衛省と総務省の消防庁そして警察庁、おのおのお願いいたします。

塚原政府参考人 お答えします。

 東電福島第一原発サイト内外においての活動の人数でございますけれども、原発サイト内が計百四十七名、原発サイト外が計八千四百五十八名でございます。

 これらの自衛官で、それぞれの内外におきまして最も被曝線量が高かった者の数値でございますけれども、原発サイト内で作業した者については八十二・七ミリシーベルト、原発サイト外で従事した自衛官につきましては十・八ミリシーベルトということとなっております。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所の事故の直後において三号機への放水活動等を実施した消防職員は二百六十人であり、最大の被曝線量を記録した職員の線量は二十九・八ミリシーベルトでございます。

 また、避難区域で活動した消防職員につきまして、福島第一原子力発電所が立地します双葉地方広域市町村圏組合消防本部の職員は、平成二十六年十二月末現在百十九名でございまして、これらの職員のうち、平成二十六年十二月末までの累積で最大の被曝線量を記録した職員の線量は七・二ミリシーベルトでございます。

 以上でございます。

沖田政府参考人 警察におきましては、被災者の避難誘導、救出救助、行方不明者の捜索、警戒、警ら活動等に従事してまいりましたが、発災当日から平成二十四年三月末までの約一年間で福島第一原子力発電所から約二十キロ圏内において活動に従事した警察職員の人数は、延べ約三十六万人でございます。

 次に、被曝状況についてでございますが、例えば福島県警察の職員の累積被曝線量について見ますと、現時点までで、一ミリシーベルト未満の者が約二千八百人、一ミリシーベルト以上五ミリシーベルト未満の者が約三百九十人ということで承知いたしております。

阿部委員 私が一々伺いましたのは、防衛省、総務省の中の消防庁、あるいは警察庁、このデータはおのおののつかさつかさで管理をしておられます。

 例えば防衛省の場合は、退官、おやめになるときは手帳のようなものを個人にお返ししてという、年金手帳ではありませんが、個人管理に委ねられております。一方、炉の中で働いたり、除染などは、中央登録センターに線量を登録する。そうすると、一人の人生で、あるときは自衛官になり、あるときは除染にかかわり、人生いろいろですから、そういう一連の、人の一生の放射線管理というのは非常に重要になってくると私は思います。

 予算委員会でも田中委員長にお伺いいたしましたが、日本の場合は、放射線に対しての人への影響の一元管理というものが非常に整っておりません。

 以前、公明党から法案が準備されたことも参議院でございましたけれども、やはりこの大きな福島事故という出来事、警察官に至っては三十六万人が被曝をしている。もちろん、警察官の方は、五ミリシーベルト以内にその人の被曝量を抑えるようある意味でローテートしながら、数を三十六万にして一人を余り被曝しないようにという配慮はしてございますけれども、でも、生涯の線量のフォローという点からも、ぜひ一元管理ということを原子力規制委員会の旗振りのもとというか、原子力規制委員会の役割が環境と人を守ることでありますから、もう一度田中委員長にはきょうの質疑を通じてお考えいただきたいと思って私はお時間をいただきましたが、いかがでしょう。

田中政府特別補佐人 予算委員会でも先生の御質問にお答えしました。

 以前より、学術会議で大分前から十分な検討をされて、我が国はこの災害が起こる前からその検討がされております。

 医療被曝等、先日もちょっと新聞にも出ていましたけれども、国際的に見ても飛び抜けて多いとか、それから、今回、福島県民を初めとして有意な被曝をするようになったということを含めまして、きちっとこういったものを測定管理することによって、国際的にも役に立つ疫学データとかそういうことにもつながっていくと思いますので、本当はそういうことをやった方がいいと思うんですが、なかなか、これもコストとか手間暇がかかりますので、私どもだけで何かできるような事柄ではございませんので、ぜひ先生方にもよく御検討いただければと思います。

阿部委員 コスト等も試算してございますので、また引き続いて質疑させていただきます。ありがとうございます。

吉野委員長 次に、菅直人君。

菅(直)委員 先日、高浜原発の差しとめの仮処分決定が出まして、たしかその翌日でしたか、田中委員長が記者会見をされて、こう言われていますね。この裁判の判決文を読む限り、事実誤認、誤ったことがいっぱい書いてありますと。そして国会質疑でも、そういう事実誤認という言葉を使われています。

 そして安倍総理は、翌日の本会議で、田中委員長は、その判断の前提となる幾つかの点で事実誤認があり、新規制基準や審査内容が十分に理解されていないのではないかとの明確な見解が示されていますと、田中委員長の発言を紹介して、この国会で、つまりは判決が不当だというふうなニュアンスをにじませておられます。

 私は、きょうは、この事実誤認という言葉は、見解の相違とか見方が違うというのと違って、非常に重い意味を持ちます。ですから、本当にこの福井地裁の裁判における決定が、事実誤認が本当にあるのかどうか。私が見る限り、逆に、田中委員長や規制庁の方に何か思い込みなり事実誤認があるのではないかという感じがしていますので、今からそのことを明らかにしますから、そのことを明確にお答えいただきたいと思います。

 そこで、まず第一に、記者会見の中でこのように言われていますね。私も細かいことを全て調べているわけではありませんが、耐震重要度分類で給水設備はBだと書いてありますけれども、これはSです、それから、外部電源のところですけれども、外部電源については、SBOを防ぐということで、我々は非常用発電機とか、いわゆる電源車とかバッテリーとか、いろいろな要求をしております、外部電源は商用電源ですからCクラスですけれども、非常用電源についてはSクラスになっています、ですから、ざっと見ただけでも、そういった非常に重要なところの事実誤認が幾つかあると思っております、こう言われていますね。

 そこで、順序を追って、電源の方からまず聞きます。

 今言われたように、田中委員長は、外部電源はCクラスで非常用電源はSクラスである、この点で裁判所の決定には事実誤認がある、少なくともそういうふうに理解される表現です。しかし、裁判所の決定に、非常用電源がSクラスということを否定する記述は、私が見る限り、一カ所も見つかりません。

 勝手に非常用電源のことを言い出したのは田中委員長の方ですから。言い出しておいて、決定は外部電源がCクラスであることは前提としているにもかかわらず、何か、それが非常用電源をCクラスであるかのごとく、誤解を招くような言い方で、事実誤認があるというのはなぜですか。決定のどこに事実誤認があるんですか。この点についてはっきりお答えください。

田中政府特別補佐人 まず、電源のことでございますけれども、商用電源はCクラスです。これは全国あまねく電気が供給されている、これはCクラスです。今回の規制の中では、まず、商用電源が一次的に重要ですから、そこについては独立二系統、変電所も含めましてそういう。ただ、これはCクラスです。

 だけれども、規制の肝といいますか、最も重要なSBOを起こさないというのが今回の一F事故の教訓でもあります。ですから、SBOを起こさないという意味で、仮に商用電源がだめになったとしても、その後に非常用電源、それから常設の発電車、あるいは移動式の、可動式の発電車というようなことで、基本的にはSBOを起こさないということが安全審査、我々の審査の中心であります。

 ですから、そのことについて審査が緩いとか信用できないというような類いの記述でしたので、その関連の中で私はそういうことを申し上げています。

菅(直)委員 私は、今委員長が言われた全般部分を別に否定しているわけじゃありません。まさにステーションブラックアウトを防ぐために非常用電源が用意される、それはSクラスだということをこの決定でも別に否定はしていません。だから逆に、そのことの必要性を別に否定しているわけじゃなくて、決定の主張しているどの部分が事実誤認なんですか。

 つまり、非常用電源がSじゃないんだ、BだからSにしろと言っているのなら、それは間違いですよ。Sだということを認めているのに、なぜ事実誤認なんですか。もう一度、はっきりと、どの部分の表現が事実誤認かを言ってください。見解の違いなのか、事実誤認なのか、はっきりさせてください。

田中政府特別補佐人 そもそも論ですけれども、外部電源は、敷地外の他の発電所から送電線や変電所を介して受電するものであります。地震以外にも、テロとかいろいろな人為事象、台風、竜巻等によりその経路上で遮断されるという、停電というのはよく起こります。原子力施設の安全機能に求められるレベルの信頼性という点でいうと、商用電源だけに頼るということは、その意味でそれだけの信頼性はありません。

 したがって、異常が発生した場合には、外部電源に頼らず、所内の非常用発電機を駆動して給電することで必要な電源を確保するという考え方をとっております。このため、基準では、外部電源の受電施設は設備はCクラスでもよいとした上で、非常用発電機をSクラスとすることで安全性の確保を図っています。

 この基準の前提となる事実関係について正確に認識いただいているかどうかということが疑問であるという意味で申し上げているものでございます。

菅(直)委員 いいですか、言葉を正確にしてください。正確に認識されているか疑問というのと、事実誤認というのは全然意味が違いますよ。

 非常用電源のことをこのやりとりで言い出しているのは委員長の方なんです。だから、委員長が言われることは、私はそれで別に異論はありません。しかし、委員長はそういうふうに正確に認識されているか疑問だというふうに言われたんじゃなくて、裁判所の決定に事実誤認があると。

 事実誤認というのは、事実でないということですよ。例えば、私に対して、三月十二日の海水注入を中止させたと安倍総理が二〇一一年の五月二十日に言われました。しかし、実際には中止されていません。それは吉田調書でも明らかです。そういうふうなことは事実誤認なんです、はっきりと。中止されていないのに中止したと言ったんだから。

 しかし、どこで裁判官が、例えばそういう今委員長が言われたような非常用電源がSであるということを否定していますか。それを否定しているのなら、SなのにSでないと言うのは事実誤認だと言えますよ。その背景として、外部電源がとまったときには非常用電源でやるんだから、そのことが十分に理解されているかどうか疑問だ、今そういう言い方をされました。では、そういうふうに言いかえてください。少なくとも、事実誤認という言い方は間違っていたということを明確にしてください。

田中政府特別補佐人 裁判所の決定文では、原子力発電所の施設の脆弱性は、外部電源と主給水の双方について耐震性をSクラスにする等の方策がとられることによってしか解消できないという記載がございます。

 こうした記載から、私としては、基準策定の前提となる考え方の事実関係について、正確に認識していただいているのかどうか非常に疑問であるという意味で、事実誤認と申し上げているのであります。

菅(直)委員 いいですか。今指摘されたところは、四十四ページにこう書いてあるんです。「外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする」と、確かに書いてあります。つまり、裁判官はそう判断したんですよ。

 しかし、田中委員長からすると、商用電源である外部電源をSクラスにするのは難しいという意見を多分お持ちでしょう。しかし、現実に、福島原発では外部電源が落ちたということも事実があるわけですから、裁判官がそう思ったからといって、それが事実誤認じゃないじゃないですか、認識の違いであって。だから、認識の違いと事実誤認は全く違うんですよ。(発言する者あり)ちょっと静かにしなさい。

 いいですか。つまりは、非常用電源がSクラスでないと言っているのなら、これは事実誤認ですよ。しかし、外部電源と主給水も、両方ともSクラスにしろと。それに対して田中委員長が、いや、とてもそんなに、商用電源全部まではSクラスにできませんという意見を言うのは構いませんよ、全然。しかし、それがなぜ事実誤認なんですか。事実誤認というのは事実でないということですよ。

 単にその意見を言ったら事実誤認なんですか。単に外部電源をSクラスにしろという意見を言ったら、それが事実誤認なんですか。はっきり答えてください。

田中政府特別補佐人 まず、言葉の問題をいろいろおっしゃられておりますけれども、規制基準は、先ほども、繰り返しになりますけれども、電源について、外部電源だけに頼っては安全の確保は十分にできないということで、内部の非常用電源とか、そういう主給水、ちゃんと冷却するというような施設については耐震性Sクラスを求めているということです。

 しかし、決定文では、そういう方策が、電源について言えば、外部電源について、Sクラスでなければ安全性は担保できないというようなことで記述されていますので、それは、我々としては、審査をしてきた人間としては、やはり、事実をきちっと見ていただいていないということで申し上げざるを得ないということであります。

菅(直)委員 いいですか。何回も言いますけれども、まさに言葉の問題なんですよ。事実が違っているのなら、事実がどこが違っているかを言うべきです。意見が違うのと事実が違うのは違うんです。

 例えば、今、経産省の覆面の官僚が、「東京ブラックアウト」とかホワイトアウトとか、いろいろ本を書いています。その中でも、わざわざ意図的に、テロで外部電源が、鉄塔が倒されて、当時に、テロの場合は内部の非常用電源も破壊して、それで、まさにステーションブラックアウト、全電源喪失をさせるというようなことを話題にした小説がたくさん売れています。

 ですから、本来なら、当然ながら、外部電源もそれはしっかりしてほしいと裁判官が思うこと自体が、何で事実誤認なんですか。思っていることを事実誤認だと言っているんですよ、今の言い方は。もう一回だけ聞きます。

田中政府特別補佐人 これは、私は裁判官でもないし、司法の人間でもないからあれですけれども、決定文というのは、裁判官の意見を反映した一つの公的な文書であるというふうに理解しますので、単なる意見の相違とか、そういうことではないんだというふうに思います。

菅(直)委員 だから聞いているんじゃないですか、どこが事実誤認なんですかと。裁判官が意見を言ったときに、なぜ事実誤認なんですか。意見を言っちゃいけないということですか。

 つまり、外部電源ももっと、それがCであるかBであるかSであるかはともかくとして、裁判官もSであることが望ましいと言ったら、それは現実にはなかなか難しいのはわかっていますよ。しかし、例えば、本当に外部電源の安全性が保たれない、場合によったら、非常用電源も攻撃されたら保たれないのなら、最終的にはどう判断するか。つまり、原発というものそのものの危険性がそれだけ大きいのなら、原発というものを選ぶか選ばないかということも含めて、人間が判断すればいいんですから。だから、判断の問題であることはわかります。

 もう一回だけ聞きますが、判断として意見が違うのはわかります。事実誤認というのは、事実でないということですよ。何が事実でないんですか。裁判官がそういう考え方を持つことが事実でないというんですか。

田中政府特別補佐人 事実は、私どもが行ってきた審査結果、そういった判断の事実であります。それに対して、今回の判決文、決定文では、原子力発電所についての電源について、先ほど来のことですから繰り返しませんけれども、そういう記載があるということで私は申し上げているわけであります。

菅(直)委員 最初に、正確な認識がなかったみたいなことを言われましたから、私はそのことまでは否定しません、それを委員長が思われるのはですよ。

 そこで、次に行きます。

 給水設備等冷却設備について、田中委員長は、「私も細かいことを全部調べているわけではありませんが、耐震重要度分類で給水設備はBだと書いてありますけれども、」と。どこに書いてあるんですか。私が、法的効力のある裁判の決定本文を詳細に見ましたが、給水設備がBという記述は、私には見出すことはできませんでした。はっきり答えてください。

田中政府特別補佐人 今の御質問は、使用済み燃料プールについての記述だと思います。

 使用済み燃料プールの安全を保つ上では、まず、水位をきちっと保つということが大事です。万が一にもそういった水の漏えいがある場合には、それに対して水の補給ができるようにするということが安全上大事だということであります。

 ですから、漏れないようにするためのハード的な施設、プールの、それもS、それから、給水するところについては、これもSクラスになっています。

 しかし冷却は、ふだん、燃料プール、使用済み燃料も若干の発熱がありますから、それを冷却するという設備がついています。これについては一応Bにしています。これは、冷却がとまったから直ちに水がなくなるというようなことではないので、そこはBというふうに我々はクラス分けをしています。

 しかし、裁判の決定文の要旨の中では、給水設備はBクラス、こう書かれておりますので、それはやはり事実と違いますということを申し上げております。

菅(直)委員 確かに、要旨に給水施設がBと書いてあるのは間違いだと私も思います。これは、前後を読んでみると、給水ではなくて冷却施設の多分誤記です。それは、全体を見ればわかります。

 つまり、ここで裁判官が言いたいのは、給水設備のことがどうこう言っているんじゃなくて、冷却設備をもっとしっかりしたSにしなければいけないんじゃないかという趣旨から全体が出ています。

 ですから、法律的効果が要旨というのはないんですけれども、本文中にはそんな記載はありませんし、ほかのところでいろいろな議論がありますけれども、少なくとも、冷却設備が耐震クラスとしてBであるということははっきりしていますが、給水設備がBだという表現は、本文中にはどこにもありません。それはわかりますか。

田中政府特別補佐人 ただいま菅先生の御意見をお聞きしていると、まさに我々は、先ほど申し上げた給水設備の方は大事ですから、これはSクラスにしているということです。そのことが、きちっと認識していないという意味で、事実誤認という言葉を申し上げたということであります。

菅(直)委員 ですから、認識が違うというのと事実誤認は違うんですよ。

 つまり、いいですか皆さん、実際にはどういうことかということは委員長は御存じでしょうけれども、四号機のプールは、ほかほかの燃料が入っていて、一日に二十トン蒸発していたんですよ。実際には、冷却機能がそのとき動いていなかったんでしょう、どんどん蒸発したんです、そして給水もできなかったんです。

 つまりは、冷たい水を給水すれば冷却機能もあるし、逆に冷却機能が生きていれば蒸発しませんから、そんなに水を給水しなくてももつんですよ。だから、そういうことを含めて、裁判官は、給水設備も、これがBであるというのは十分じゃないんじゃないかと。

 それは、見解が違うかもしれません。しかし、少なくとも、冷却設備だけでもしっかりしていれば、さっき言ったように、四号機の場合に、蒸発して危うくメルトダウンしそうでしたから、そういうことには多分ならなかったでしょう。つまりは、冷却設備がBだということについて裁判官が意見を言われているのに対して、どこが事実誤認なんですか。

田中政府特別補佐人 菅委員は、いろいろしんしゃくされての御意見だと思いますけれども、私どもは、決定文に書いてあるところをもってしか判断できることがないので、給水設備ではなくて、冷却設備だけじゃなくて、全部そういうことを含めて言っているかどうかということまでは判断できません。

 ただ、給水設備がBクラスということが書いてあるという、これだけは、書いてありますので、事実ですので、それについてはやはり違いますということを申し上げざるを得ないということであります。

菅(直)委員 もう一回聞きますけれども、それは要旨のことを言っているんですか。

田中政府特別補佐人 ええ、要旨に書いてあります。

菅(直)委員 本文にはないんです。本文は訂正できるんです、明らかな間違いであれば。しかし、要旨というのは、あくまで要旨ですから、いわゆる訂正手続というのはないんです。

 ですから、先ほど来田中委員長が言うことは、自分の方はいろいろな背景を説明して、だからこういう見方をしたらこれは必ずしも正確じゃないといいながら、逆に、裁判官はまさに文章だけなんですよ。ですから、文章から全体を見れば、明らかに冷却設備を給水設備と間違ったところがあります、さっき言ったように。

 例えば、今お配りした配付資料を見ても、Sクラスの中には給水設備という言葉はないんですよ。使用済み燃料を貯蔵するための設備の中に含まれると言っているんですよ。しかし、Bクラスの方にははっきりと、「使用済燃料を冷却するための施設」と書いてあるんですよ。これは規制庁が案をつくった法案ですけれども。

 ですから、その意味で、自分の方だけは何かいろいろな背景があるからこういうふうなことだといいながら、この全体から見れば明らかに冷却設備との誤記を、何か鬼の首でもとったように、これがあるから誤認だというのは、ちょっと科学者として私は、とてもではないけれども、そんな発想が科学的な発想とは思えませんが。

田中政府特別補佐人 だんだん、若干、余りロジカルな議論ではなくなってきているところがあるような気がしますので、余り申し上げたくはないんですけれども。

 基本的に、決定文で、私どもの審査を踏まえて判断した決定文が書かれていると。そこには、我々が行ってきた審査の実際のことが理解されていないという意味で、審査は実際にやっていますから、これは事実です。その審査書案も公表しています。そのことについてきちっと読んで事実を理解されていないという意味で、事実誤認という表現を使わせていただいているということですので。

菅(直)委員 もう一点の問題に移ります。

 記者会見で田中委員長は、基準地震動について、「判決の中では平均でやっているということで、入倉先生の引用がありますけれども、入倉さんはそんなことはありませんと」「他で語っている」、こういう表現があります。しかし、私の知る限り、原告の側も平均なんという主張はしていない、仮処分の方にも平均などとは言っていない。

 問題は、少し読み上げますと、決定が、入倉教授による入倉レシピについて、地震動の平均像を基礎としていると指摘しているのに対して、原子力規制庁は、基準地震動は平均ではない、つまり、基礎としていると言うのに、平均ではないと話をまずすりかえている。

 そして、入倉レシピについては、例えば入倉氏自身が書いた強震動予測レシピに、レシピは同一情報が得られれば誰がやっても同じ答えが得られる強震動予測の標準的な方法を導き出すことを目的としたものであるとあるように、標準的な方法を目指したものであり、最大級の地震動を導き出すことを目的としたものではない。いずれも、経験値をグラフ上にプロットした上で、その平均値から経験式を導き出している。初期条件が同一であれば、同じ平均的な結論が得られるものであり、ばらつきにより最大どの程度になるかといった考慮はない。もしそうであれば、同じ答えなどが出るはずがない。

 本原発について、決定では、「地震の平均像を基礎としてそれに修正を加えることで基準地震動を導き出していることが認められる。万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を地震の平均像を基に策定することに合理性は見い出し難いから、基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っている」。

 つまり、何を裁判官が言っているか。自分のときだけいろいろな背景を言わないでください。全体で裁判官が言っているのは、この最後の、私が申し上げた、つまりは、万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を地震の平均像をもとに、もとにですよ、平均だと言っているんじゃないですよ、平均像をもとに策定することに合理性が見出しがたいから問題だということを言っているんです。どこが事実誤認ですか。

櫻田政府参考人 少し専門的なところがございますので……(菅(直)委員「委員長の言葉だから結構です」と呼ぶ)

吉野委員長 まずは答弁させてください。

櫻田政府参考人 説明をさせていただきたいと思います。

 基準地震動につきましては、今先生の御指摘のございましたような方法を使いながらですけれども、平均像の計算をもとにはしてございますが、それに加えて、地震動がより厳しくなるような不確かさも求めて、それを考慮に入れた上で保守的な地震動を評価する、こういう形で、基準の中では要求してございます。

 高浜三、四号の審査においても、そういうことを求めて、その結果、保守的な地震動が策定されたので、妥当だと判断したということでございます。

菅(直)委員 ですから、そのことを否定はしていません。

 だから、今も言われたように、平均像をもとに策定しているんですよ。平均じゃないんですよ。だけれども、どこが事実誤認なんですか。平均ではないと言っているんですよ。平均像をもとにやっていることが合理的でないと言っているんですよ。何でまずいんですか。

田中政府特別補佐人 菅委員も科学者だからあれだと思いますが、一般的に世の中で受け入れられている平均的な値を導き出す方法をとることが、それがいけないということではなくて、ただし、そこには、常に誤差とかいろいろなこと、不確かさがあります。今、櫻田部長の方からお答えしました。

 それから、三次元の地盤の問題、それから実際の、地震の起こる深さの問題とか、それから高浜でいえば、三つの活断層の連動性の問題、そういったことを全部踏まえまして、それを考慮して、最大になるように評価してやっております。

 ですから、そういったことを踏まえて、平均値を求める方法がだめだという判断は、私は、科学者としては受け入れがたいと思います。

菅(直)委員 言葉をうまくすりかえないでください。

 つまり、裁判官が言っているのは、平均像を基礎としてそれに修正して基準地震動を導き出しているけれども、このことに合理性がないと。これは一つの意見なんですよ。

 それに対して、例えば田中委員長は、そうではないという意見をお持ちなのは構いません。しかし、意見に対して事実誤認だという言い方は違うんじゃないですか。少なくともそういう見方があるということは、これは、実は今回の、きょうはもう時間がありませんからやりませんが、川内原発の判決の中でも、この基準地震動の見方については、裁判官自身もいろいろな見方があるということは言っているんですよ。

 ですから、いろいろな見方がある中で、自分と合わないものは、自分の方はこういう理由でこう思っているんだから、全部それは事実誤認だと。

 事実誤認という言葉は、事実であるか事実でないかなんですよ。先ほども申し上げましたけれども、例えば、給水がとまったかとまらないかというのは事実です。どっちかです。とまって、とまらないなんということはありません。しかし、こういうふうな一つの意見のときに、委員長がそれを一方的に事実誤認と言われるのは、私は明らかに、その考え方そのものが余りにも狭過ぎて、だって、裁判官は反論できないわけですからね。ですから、そういう意味で事実誤認という言葉は明らかに間違いであるということを申し上げておきますが、もう一度だけ答弁してください。

吉野委員長 田中委員長、簡潔にお願いします。

田中政府特別補佐人 はい。

 入倉名誉教授自身も言っていますけれども、新聞記事等に、決定文にある発言が、内容が曲解されて一部だけ引用されているということで、ある種の抗議的な発言をされています。

 私は、今の議論をずっとさせていただきまして、我々は相当、極端に言えば、本当に深夜をなしに、寝る時間も惜しんで審査をしてきております。そういったものに対してこういった判決はなかなか許容しがたいという意味で、やはり事実誤認ということを撤回するつもりはありません。

菅(直)委員 一言だけ。

 いいですか。今の入倉さんの話も、曲解という言葉が出てきました。つまり、解釈がいろいろな見方があって、自分が思ったように解釈されていないなんということは私なんかも嫌というほど経験していますけれども、曲解と事実誤認とも違うんです。全然意味が違うんです。つまり、事実であるかないかということと、正確な認識とか曲解とかとは違うし、まして、誤記があるのは、人間ですから時にはあります、誤記は。だけれども、全体を見てもらえれば、それが誤記であるかないかというのは専門家が見ればわかるはずです。

 ですから、そういった意味で、余りにも田中委員長は、今回の判決が、ある意味では新規制基準にまで踏み込んでぬる過ぎるとか言われたものだから、ちょっと過剰反応されたんじゃないですか。

 とても私は、今のやりとりの中で事実誤認ということが証明されたとは全く思いませんので、そのことだけ申し上げて、質問を終わります。

吉野委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 維新の党の柿沢未途でございます。

 私は、一つずっと気になっていることがあるので、第一に御質問させていただきたいんですけれども、田中規制委員長が、規制基準の適合判定した原子力に対して、安全とは言わない、こういう御発言をされていることについてなんです。

 原子力規制委員会設置法の第四条というのは、規制委員会の任務として、「原子力利用における安全の確保」、こういうことが書かれているわけですよね。私は、田中委員長が、安全とは言わない、こうおっしゃっていることの気持ちはわからなくはないんですよ。わからなくはないんですが、しかし、安全の確保というのが法律上の任務として課せられている人が安全と言わないということでは、私は、法律の規定に矛盾しているということになってしまうのではないかというふうにも思うんです。

 ここの整合性をどう考えてあの言葉遣いをされているのかということについて、まず田中委員長にお伺いをしたいと思います。

田中政府特別補佐人 簡単にお答え申し上げますが、いわゆる安全、安全という定義が非常に曖昧なところがあって、絶対安全と言わないと言った方がわかりやすいのかもしれません。事故は起こりませんということを意味している、今までは、従来は、安全だということの中で、事故はゼロだ、ゼロリスクということが含まれていたので、そういったことも含めて、私は、絶対事故が起こらないというようなことを含めまして安全とは言わないという表現も使わせていただいているところであります。

柿沢委員 私は余り言葉狩りみたいなことをするつもりはないんですけれども、やはり法律上任務として安全の確保ということが課せられている人が、記者会見等々で、しかも、原子炉の適合判定を下した、それを受けての記者会見で安全とは言わないと言われてしまったら、これは聞いている国民はやはりちょっと立つ瀬がないのではないかというふうに思うんです。

 やはりここの部分については、思いは私は理解しているつもりです。ちょっとここの部分の言葉の使い方、先ほどの、絶対安全とは言わない、これはまあ理解できる部分もあるかなと思うんですけれども、そういう意味では、ぜひ国民に対する御配慮をいただければとまず冒頭に申し上げておきたい、こういうふうに思います。

 次の質問に移りますが、今、仮処分決定を受けてのいろいろな、規制基準の問題であるとか、前の委員の方から御質問が出ましたけれども、まず御認識、私、何度かこれはお伺いをしているんですけれども、現規制基準というのは、田中委員長は、世界最高水準、こういうふうに本当に言い切れるものだというふうに認識しているのかということなんです。

 先日も、まさに仮処分決定を受けてのコメントで、世界最高レベルというおっしゃり方をしていますのでそういう認識だということなんだとは思うんですけれども、本当にそれでいいのかということをまずお伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人 今回策定しました新規制基準は、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえ、また、IAEAとか諸外国の規制基準も確認しながら、世界で最も厳しい水準の基準となるように新規制基準策定に取り組んでおります。

 特に、我が国は、外的要因による、地震とか津波とかそういったものが厳しいので、そういったことについても十分に配慮しています。

 非常用電源について申し上げますと、一定期間の外部電源喪失あるいは全交流電源喪失に耐えられる備えを求めるという考え方は米国やフランスと共通しています。かつ、想定すべき電源喪失期間が、米国やフランスでは三日間程度であるのに対して我が国では七日間としているところも、これは、そういう意味では上回る基準になっていると思います。

 それから、格納容器のベントですね。万が一燃料が溶けて格納容器の方に放射能が出た場合に、さらに格納容器から外に、環境に出る放射能量を極力防ぐというか、減らすという意味での格納容器ベントの要求もしております。この格納容器の破損が今回一Fの事故では起こって、大量の放射能が出たということから、これのベントラインを設ける。しかも、単なるベントではなくて、フィルターをつけて放射能を除去するというような規制基準を要求しております。米国ではフィルターの導入が検討中でありますけれども、我が国の今回の基準では、放射性物質を低減させるフィルターの導入を求めています。これは義務づけています。

 それから、地震や津波についても、最大の自然現象に対して施設の安全が損なわれないことを求めるという考え方はフランス、アメリカとも共通でありますけれども、自然現象の想定の方法、これは、我が国は国土の非常に厳しい条件ということもありますので、そういったことを踏まえて、非常に厳しいものになっています。これは事業者にとっては大変つらいという話も聞きますけれども、そういうことについては厳しく求めています。

 それから、バックフィット制度というのが今回あります。既存の、従来許可したものに対してバックフィットで適用するというのは、柿沢先生は法律の専門家だからこんなことを申し上げる必要はないのかもしれませんけれども、これはなかなか大変なことなんですけれども、これを要求しています。米国では費用対効果等を適用して、欧州では十年ごとに合理的な範囲で適用するというような柔軟な適用をしているんですが、日本では全てについて適用するというようなことで求めています。

 全体的にそういった対応を求めておりまして、先日来日されましたNRCのバーンズ委員長も、実際に高浜を見て、米国以上の対応をしているという感想を漏らしておりました。

柿沢委員 世界最高水準になるように取り組んでおりますと言うのと、世界最高水準ですと言うのとは、多少の違いがあるようにも思うんです。

 そして、今、いわゆる天変地異といいますか、そうした気象条件あるいは国土の条件について日本は厳しいのでという話がありました。厳しい国土条件の上で、厳しいと電力会社が悲鳴を上げるような基準を課しているんですよという話なんですけれども、それはそうなんだと私も理解します。しかし、この厳しい国土条件で、安全に、事故のないように、過酷事故がゆめゆめ起こらないように原子炉を稼働、運転していくということですから、私は、厳しいのはむしろ当たり前なのではないかと思うんです。

 それで、例えばアメリカで、どういう形で自然災害等々の条件について義務づけているかといえば、これは何度も言っていますけれども、確率論的ハザード解析という手法を用いて、炉心損傷頻度でいえば一万年に一回、早期大量放出頻度でいえば十万年に一回、こういう確率でしか起こり得ない、このぐらいの対応をすべしということをやっているわけですよね。

 そういう意味でいうと、今回の川内原発ですけれども、五百四十から六百二十ガルに基準地震動を上げたわけですけれども、報道によりますと、ある意味えいやと上げたという要素がある、九電の人がこんなふうに話されている、こういう記事が残っています。

 今回の川内の六百二十というのは、今の確率論的ハザード解析に基づいて言えば、一万年に一度とかいう発生頻度の地震動だということなんでしょうか、伺います。

田中政府特別補佐人 これはちょっと余分なことかもしれませんけれども、審査会合の中で川内の基準地震動を決める過程では随分議論がありました。事業者は五百四十ガルでも大丈夫ですということを主張してきたんですが、私どもとしては、やはり震源を特定しない地震動というのをきちっと考慮していただく必要があると。

 要するに、どこで何が起こるかわからないということがこれまで我が国でもたびたび起こっていますので、そういうことをやって六百二十ガルに上げていただいています。一万年に一度というよりは、こういった基準地震動がいわゆる耐震設計の基本になりますから、こういったことであります。原子力規制委員会としては、六百二十ガルについて審査した結果、そういった意味で適当であるということであります。

 発生頻度が一万年に一度かどうかというところについては、事業者の方ではいろいろ評価をしておりますけれども、私どもはそれについての評価はしておりません。事業者の方は一万年から十万年に一回であるとしていますけれども、私ども規制委員会の方としてはそれを参照しているということでございます。

柿沢委員 それは、要は事業者が言っているからそうだということをおっしゃったわけでしょうかね。

 更問いをしますけれども、要は、世界最高水準の規制基準というからには、いわば常識だというふうに私は理解をしていますけれども、確率論的ハザード解析の手法というものがこの適合審査において用いられているのかどうか、それがきちんと適用された形でこの基準地震動等々が設定されているのか。事業者じゃないですよ、田中委員長の認識をお伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人 地震の確率論的な、PSAみたいな、PRAみたいなものは、ある程度、かなりいいレベルまで来ていると思うんですが、津波とかいわゆる竜巻とか、そういったいろいろな外部事象についてのハザードを確率論的に議論できるような状況にはまだ達していません。

 我が国としては、今我々が求めているのは、事業者に、そういったことも含めましてプラントのいわゆるリスク解析をやって弱点を見つけ出して、規制を超えるような安全確保に取り組んでいただくということを求めているところでございます。

柿沢委員 世界最高水準なのかなという印象を若干覚えてしまうわけです。これは水かけ論になるだけですので余り言いたくはないんですけれども。

 きのう、例の仮処分のことについて別の裁判所の決定が出ましたけれども、これについて、今度は火山噴火予知連絡会の藤井会長が、これまた事実誤認というコメントを出されているんですよね。破局的噴火が予想できるように言っているけれどもそんなことはないとか、火山の専門家がこういう適合審査に当たってコメントを求められているとかいうことがそもそもないというようなことが言われていたり。

 私が一番気になるのは、破局的噴火、可能性が十分に小さいとは言えないと考える火山学者が火山学会の多数を占めるものとまでは認められないということについて、それは全く真逆だということをこの藤井会長はおっしゃっているわけです。破局的噴火、阿蘇山でいうと九万年前に起きていて、先ほどの十万年に一度ということでいうと、ちょっとその中に入ってくるんですね。

 私は、裁判所の決定について、いかなることについても、変な判決だろうと余りコメントするものじゃないというふうに思っているので、そういう意味では私の立場ではコメントしませんけれども、いずれにしても、一万年、十万年という発生頻度の自然災害等々の事象について耐え得るということが私は世界最高水準の安全確保の思想だというふうに思っていますので、それができているのかどうかということについては、先ほどの御答弁でもちょっとどうなのかなと思いました。

 次に行きますけれども、アメリカの原発では、一千万年に一回とかいう発生確率、頻度の竜巻で、車がミサイルみたいに原発に激突するとか、こういう事態まで想定をしているところがあると聞きます。

 私は非常に気になったので覚えているんですけれども、昨年七月、イスラエルのガザ空爆というのがありまして、ガザ地区からハマスがロケット弾をイスラエルの方に撃ち込むんですね。その撃ち込んだロケット弾のターゲットになっているのが、イスラエルのディモナ原発という原発がターゲットだったと言われていまして、実際にロケット弾が原発から南西四十二・五キロというところで着弾をしているわけです。これから、そういう形で、原発がまさに武力行使の対象になり得るということに今後はなっていくんだと思うんですよ。

 余りこういうことを絡めていいのかどうかわかりませんけれども、これから安保法制をやっていくわけです。つまり、日本が直接的な攻撃にまずさらされていなくても、日本が海外へ出ていって戦闘行為に参加をする、戦闘行為の後方に参加をするとか、そういうことになるわけですよね。そうなると、相手国からすれば日本も相手だということになって、例えば日本国内の原発にミサイルが撃ち込まれるとか、こういう危険性はやはり高まらざるを得ないと思うんですよ。

 そういう意味でいうと、例えば原発にミサイルが撃ち込まれるとか、こういう事態に対する想定というのは今されているんですか。

田中政府特別補佐人 新しい規制基準では、意図的な航空機落下、衝突、それからテロリズムなどによってプラントの大規模損壊が生じた場合でも、それをきちっと安全にとめられるように、消火活動とか、炉心や格納容器の損傷を緩和するための対策というのを準備するように求めています。

 例えば、本体から百メートル以上離れたようなところに第二制御室というかそういった最低限の、原子炉をきちっとコントロールできるような施設を持つとか、そういったことを求めています。

 ただし、今委員が御指摘のように、弾道ミサイル攻撃を想定したような安全対策は求めておりません。こういった一種の戦争状態のようなものに対して安全対策ということになりますと、ちょっとどこまでやっていいかわからないというところもありますので、これは原子力規制により対処すべき性質のものではなくて、まず、そういうことの事態が起こらないように、ぜひお願いしたいと思います。

柿沢委員 続きまして、今の質問と関連するんですけれども、NRCは、最低三年に一回、いわゆるフォース・オン・フォースという訓練を原発において行うということになっています。

 NRCはテロリスト役の部隊というのを抱えているそうで、レーザー銃で武装した部隊が入っていって、それを警備部隊がレーザー銃で応戦して、実際に原発のサイト内に入られて、やられてしまえば負け、こういうことを訓練として実際にやっているわけですね。このような、まさに武装部隊が意図を持って侵入してくる、こういうことに対して、実際にリアリティーを持ってこれからは考えなければいけない時代、ミサイルもそうだと思うんです。

 そういう中でいえば、これこそ、アメリカ、NRCはやっているわけですけれども、フォース・オン・フォースみたいなことを義務づけることを考えておられるんでしょうか。

田中政府特別補佐人 アメリカと同じようなことはやっておりませんけれども、フォース・オン・フォース演習に当たる取り組みとして、警察、海上保安庁といった治安関係機関との協力のもとで、武装侵入を模擬した実証訓練は行っております。

 本訓練は、原子炉等規制法に基づく核物質防護検査の際に実施されるものでありまして、事業者が実施する核物質防護措置の実効性を国が評価するという仕組みであります。

 原子力発電所の警備については、原子炉等規制法に基づき電力会社の委託警備員による警備など事業者による厳重な防護措置が講じられているほか、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備などを実施し、海上の方では、海上保安庁が全国の原子力関連施設の周辺海域に巡視船艇を常時配備しているというふうに承知しております。

柿沢委員 いやいや、それはちょっと僕は違うと思うんです。原発のサイト内で行っている訓練ですからね、このフォース・オン・フォースというのは。今おっしゃった話というのは、どちらかというと原発のサイトまで到達する前の段階で警察あるいは海上保安庁、自衛隊、そういうところが行っているものであって、そもそも、そういう意味では、クリティカルな段階において本当に守れるのかということについては、やはりやっていないということになるんじゃないでしょうか。どうでしょうか。

 ちょっと、時間がかかるんだったら、とめてください。

田中政府特別補佐人 実際にサイト内でもやっているということで、ちょっと今参考資料の方を探すのにあれしていたんですが、そういうものであります。

 先生が御指摘のところのイメージが少し違うのかもしれませんけれども、NRC、アメリカと同様のことをやらなきゃいけないかどうかということについては、相当これは判断が要ると思います。ただ、最近の御時世ですから、そういう意味では、核物質防護、核セキュリティーについては相当注意を払って、私どもも規制の中でやっているつもりであります。

柿沢委員 世界最高レベルかどうかということをちょっとお伺いをしているので、アメリカと同じことをしなきゃいけないのかという話になると、私は、しなきゃいけないんじゃないかと思いますが。

 次に行きます。

 フランスは、日本が汚染水処理の問題に苦労しているこの様子を見て、今度、原発の認可更新の条件として、あらかじめ汚染水対策を施すということを義務化しているそうであります。

 しかし、では、日本はどうか。事故は起こるものだという前提に立って適合審査を行う、規制基準を定める、こういうことだと思うんですけれども、しかし、目の前で汚染水の問題、とめる、冷やす、閉じ込めるの中で、冷やすという問題の中で、この汚染水の問題が現実に本当にどうしようもない状態になっているにもかかわらず、今まで適合判定をした審査の中で、汚染水対策というようなものが生じる可能性を前提にして対策というのを求めていないように思われますけれども、これはどうなんですか。

田中政府特別補佐人 通常の健全な原子力発電所でも、汚染水は若干、大なり小なり出ます。それについては、排出濃度規制とか、そういうことで水の排出を行っております。

 まず、基本的に、普通の状態であれば、福島第一のような汚染水を発生させない、つまりは、ああいった事象を起こさないということが最も大事なことであります。

 福島第一で申し上げますと、平成二十四年、原子炉等規制法を改正して、福島第一については、特定原子力施設の制度に基づいて、状況に応じて、汚染水を含めたさまざまな規制をしているところでございます。

 今、フランスの例も述べられましたけれども、まだ国際的に汚染水を含めた事故後の処理を規制している例はないというふうに私は承知しております。

柿沢委員 そんなことを起こさないというのは、かつて言われた、それこそ安全神話そのものではありませんか。しかも、福島で、この日本国内で現実に起きていることですよ。私は、それを想定の中に入れて対策を求めるということをしないということについて、やはり首をかしげてしまいます。

 もう一つ、フランスの例で、私が聞いているところをお話しします。

 原発のプラント職員が発電所から総員退去しなきゃいけないという過酷な事態を想定して、フランスでは、三百人の要員で構成される特別チームというのを結成して、ヘリコプターでどの発電所にでも派遣されるという体制をつくったと聞いています。

 これも、日本ではそういったものがあるというふうにはお聞きしませんが、現実に日本は福島で経験しかけたわけですが、これについて、なぜそうしたことを講じるということにならないのか、伺います。

田中政府特別補佐人 御質問の趣旨を正確に理解しているかどうかわかりませんけれども、総員、全ての人間がそこに滞在できないような状況の中に外からまた入ってくるということも私自身はちょっと想定しがたいんですが、実際にはそういうことは起こらないように、いろいろな事故が起きたとしても、そういったことにならないような対策を求めています。

 地震、津波等の自然現象に係る基準を強化しておりますし、万が一想定を超える自然災害が発生した場合においても、炉心損傷、あるいは格納容器破損といったものを防止する、それから放射性物質の拡散の抑制、こういったことを求めています。

 だから、そういった、確かにおっしゃるように、三百人を動員できるかどうかということでありますけれども、我が国においては、発電所それぞれの事業者、あるいは事業者間の協力において、人が足りない場合にはすぐに応援ができるような体制、そういったことについては求めております。

柿沢委員 続きまして、ヨーロッパでは、運転員のシビアアクシデントに対する対応能力を向上させるために、これは何かノルウェーに施設があると聞きましたけれども、あえて発生確率が極めて低いと思われるような過酷シナリオを投げかけて心理的に追い詰める、そういう訓練を行っているそうであります。

 考えてみると、実際の事故というのが今想定しているシナリオどおりに起こるかどうかというと、そうではないということがほとんどだと思うんですね。そのときに、型どおりの訓練しか行っていない運転員というのは結局対応できないということになりかねない、こういう思想が背景にあるんだと思います。

 こういう想定外の事故シナリオ、まあ、事故というのはいつも想定外の要素が出てくるわけですけれども、そういう訓練を運転員にさせる、これは重要ではないかと思いますけれども、ヨーロッパではそうした取り組みが始まっているようでありますけれども、こうしたことを運転員に課することについてお伺いをしたいと思います。

田中政府特別補佐人 今先生御指摘のことは、非常に我々も大事なことだと思います。

 それで、事前にシナリオがわからないような形で、仮に稼働に入る場合にはその前に最低一回はそういった訓練をして、きちっと対応できるかどうかということを見きわめた上で最終的に運転許可を与えるとか、そういう判断をしていきたいというふうに、それをどういう形でやればいいのかということも含めて、今検討しております。

柿沢委員 これは実際に運転を開始する前にやっていきたいという御答弁であります。

 次に行きますが、これは一度お伺いをしていますけれども、アメリカでは、九・一一のテロの後に、NRCの指示書として、いわゆる条文番号をとってB5b、そういう指示書が出ていますけれども、これはかつて日本にも示されていたにもかかわらず、三・一一前には政府内で隠匿されていた、こういう経過がありました。

 そこに何が書いてあるかというと、使用済み燃料のプールの水が抜けて、その上で全電源喪失した場合、冷却不能によるジルコニウム火災を防ぐために、電源に依存しない注水系統と散水系統を設置する。取り出したばかりの高熱の使用済み燃料が相互作用して炎上しないように、配付資料のとおり、市松模様のような配置にする。これは、赤が高温の燃料、青が比較的低温の燃料、こういう形で、低温の燃料で高温の燃料を囲むという形でジルコニウム火災の発生につなげないようにするということを指示しているわけですね。

 日本の場合はどうかというと、福島第一原発で四号機プールの問題というのが大変大きな危機になりました。あったにもかかわらず、リラッキングと称して、このラックのすき間を高温の燃料でぎゅうぎゅうに詰めるみたいなことをむしろやってきているわけですね。

 このB5bの指示というのは今もって全体としては日本の原発に対して行われていないというふうに承知していますが、なぜかということをお伺いしたいと思います。

田中政府特別補佐人 私どもの規制では、まず、使用済み燃料プールにおいては、おっしゃるとおり、冷却水または注水機能が喪失した場合、あるいは大規模なプール水の漏えい等により水位が維持できないという場合を想定し、その場合でも、可搬式注水設備とか可搬式のスプレー設備の配備をするようにということを求めています。

 これは、使用済み燃料ですので、すぐに、ある程度そういった可搬式のものの注水設備があれば相当程度冷やすことができるということがわかっておりますので、そういったことをしております。

 B5b、アメリカのような状況をしていないと。おっしゃったように、リラッキングというようなことで、燃料プールに使用済み燃料が少し窮屈に入ってきているという事態については、私も余り好ましいことではないということで、できるだけ乾式キャスクの方に移して貯蔵していただくようにお願いしているところでございます。

柿沢委員 現に福島であった事象であり、なおかつアメリカではこうせよという指示が出ていることについて、余り好ましいことでないので事業者にお願いをしている、こういう御答弁なわけです。

 これから国際的なピアレビューとかをやっていった場合に、本当に日本の規制基準というのが世界最高レベルだというふうに内外ともに認められるようになっていくのかどうか。田中規制委員長はどうも自信をお持ちのようで、NRCの委員長からもそう言われたという御答弁がありましたので、これはお尋ねしてもそうだということになると思うんですけれども、本当にそうなのかということについては、私は個別の論点で今ちょっとお伺いをさせていただいたつもりです。

 次に、避難計画のことをちょっとお伺いしたいと思います。

 何度もこれも聞いていますが、例えば玄海原発、三十キロ圏内に壱岐という島があって、三万人住んでいます。海に閉ざされた島で、大量放出があったときにどうやって避難させるんでしょうか。

 浜岡原発、これは三十キロ圏内に東海道新幹線が通って、東海道本線が通って、東名高速が通っている。大量放出のときに、一体、日本の経済、あるいは、それこそ避難をどうするんでしょうか。

 東海原発の八十キロ圏内は成田空港がひっかかってきます。世界じゅうの航空会社、航空機が汚染をしてしまうとかいうことになりかねません。滑走路も使えない、これはどうするのか。こういう問題になると思います。

 この避難計画については、やはりNRCのスリーマイルを受けたロゴビン・リポートで、避難計画なくして稼働計画なし、こういうことが言われています。

 そうした中で、アメリカでいえばロングアイランドのショアハム原発、これはGEが当時のレートで一兆円かけて完成させたものですけれども、燃料棒を入れる直前になって、十万人も住んでいる島から過酷事故が起きたらどうやって避難させるのかという話になって、結果、安全な避難は不可能ということで、一度も稼働させないまま廃炉になっています。

 ロゴビン・リポートの避難計画なくして稼働計画なし、この思想を日本においても原発再稼働に当たって貫いていると言えるんでしょうか。お伺いします。

田中政府特別補佐人 まず、お断りしなきゃいけないのは、私どもは原発の再稼働についてあれこれ申し上げるような立場にはないということでありますけれども、その上で、米国では、米国連邦法で、原子力発電所の最初の運転許可の際、事業者や自治体が策定する緊急計画を、FEMAの評価に基づいてNRCが審査する制度になっていると承知しています。

 我が国では、原子炉等規制法において、地域防災計画、避難計画の準備が原発の運転条件とはなっておりません。したがって、原発の運転の可否とは関係なく、地域防災計画、避難計画を準備しておく必要があるというふうに思います。

 すなわち、関係自治体は、災害対策基本法に基づいて、防災基本計画や原子力災害対策指針を踏まえて、住民の方々の避難ルートや避難先といった、地域の実情に応じた地域防災計画を作成する必要があります。

 国としても、この取り組みを全面的に支援するため、各地域ごとに設置した地域原子力防災協議会において、内閣府原子力防災が中心となり、原子力規制庁を含む関係府省庁が関係自治体と一体となって、地域防災計画の充実強化に取り組んでいるところでございます。

 また、具体化、あるいは計画が充実化した場合に、全体として、その地域によって図られた防災、避難計画については、原子力災害対策指針等に沿った具体的で合理的なものであるかどうかということを協議会で確認し、私自身も参加する原子力防災会議において、国として了承することとしております。

 実質的には、避難計画がないままに稼働計画が稼働に入っていくということは、私は、日本においてもないというふうに思っています。

柿沢委員 この避難計画が本当に実効性のあるものかどうかということをきちっとチェックしていく必要が今後もあると思います。

 ショアハム原発のケースを先ほど申し上げましたが、これは、州議会議員選挙があって、州議会議員選挙を経て過半数が稼働に不同意となったのが決め手になっていると聞いています。

 私たちは原発再稼働責任法案というのを党で立案中なんですけれども、三十キロ圏内のUPZに入る広域自治体である都道府県が議会を含めて同意することが、再稼働の条件にしています。

 しかるに、今はちょっと何をもって地元同意となすのかがよくわからないと思うんですよね、特に議会。議会が同意をしたというふうにニュースで見ると、どういうことになっているかというと、これは再稼働を進めてくれという住民からの陳情を採択したとかいうことが議会が同意をしたその証拠、あかしみたいになっているわけです。

 法律上、地元同意が何であるかということは全く規定がない、こういう状況になっているわけですけれども、今、原発再稼働等における地元同意というのは何を指しているんですか。

岩井大臣政務官 一般論として申し上げますと、同意というのは他者の意見などに対して賛成をすることの意味と考えておりますけれども、今お話がありましたとおり、いずれにしても、地元自治体の同意というのは、法令上、原発の再稼働の要件にはなっておりません。

 要件にはなっていないんですが、なお、再稼働に当たっては地元の理解を得られるよう取り組むことが大変重要だと考えておりまして、その範囲や方法については、各地の事情がさまざまであることから、国が一方的、一律に決めるのではなくて、各地とよく相談をして対応することが大変重要だと考えております。

 いずれにせよ、立地自治体など関係者とよくコミュニケーションをとりつつ、適切に対応してまいりたいと考えております。

柿沢委員 ちょっとやはり何だかよくわからないんですけれども。

 今までこれをいろいろ聞いていて、本当に世界最高レベルの安全確保ができるというふうに断言できるような環境が整っているのか、これは国民が見ていて判断する部分でもあると思いますけれども、私は若干疑念を持たざるを得ないと思っています。

 最後に、東電の廣瀬社長に、お見えですので質問しますが、先日、三月三十一日に、NHKワールドで、東電の廃炉推進トップが語るということで、廃炉カンパニーの増田社長が、ちょっと率直というか驚くような御発言をされています。

 例えば、原発事故の収束等々、廃炉プロセスについて、溶融燃料についてはどうなっているかわからないと。とにかく、ウイ・ハブ・ノー・アイデア・アバウト・ザ・デブリ、こういうふうに言っておられて、三十メーター上方から遠隔操作で取り除く必要があるんだけれども、そんな技術は持っていないし、存在していないと。格納容器を水で、水棺というか、満たせるかどうかもわからない、どこに穴があいているかもわからない、もしできなければ、ほかの方法をやらなきゃいけないとか、廃炉作業を二〇二〇年に始める政府の意向があるけれども、それに関しては、正直、自分も可能であるかどうか言えないと。もちろん不可能だとも言えないというふうには言っていますけれども。

 こうやって、これからどうなるかわかりませんということを英語で、NHKワールドで語っているんですけれども、国民はこういう話を一切聞いたことがないんじゃないかと思うんです。

 真意はどうなんですかと増田さんにお聞きしようと思ったんですけれども、廣瀬社長しか出てきていただけないということなので廣瀬社長に来ていただいているんですけれども、廃炉プロセスのことでもありますので、田中規制委員長もこういう、増田廃炉カンパニー社長のような認識でいるということでよろしいんでしょうか。お伺いします。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のNHKの番組、私も録画で拝見いたしましたし、増田にも確認いたしました。

 増田の発言は、まさに、御存じのとおり、今まで前例のない、いろいろな難しい作業をやっているということでございまして、現場の責任者として若干慎重な言いぶりに聞こえて、そういうことに聞こえたのかもしれませんが、もちろん本人は日本語でしゃべっているんですけれども。

 それに対して、確認したところ、もちろん今後の工程についても、しっかりもちろんやっていくという意思をはっきり表明しておりますし、もちろん難しい決断をこれからしていかなければいけない場面が多々あるとは思っておりますが、その場その場で、専門家の方々あるいは政府の御指導をいただきながら、ベストな判断をしていきたいということでございますので、そういう意味で、誤解が生じたとすれば申しわけないことですが、しっかりやってまいるつもりでございます。

田中政府特別補佐人 増田さんの発言について私がそんなにいろいろ申し上げる立場ではないんですけれども、廃炉の責任者として、今一Fが遭遇している難しさを率直に語ったんだろうというふうに推察します。

 彼自身も本当に、極端なことを言えば命をかけて頑張っておられるというふうに私は認識しておりますので、言葉一つ一つはそういう深い意味を持って、多分ああいう場で英語だったからそういったことを吐露されたんではないかというふうに思います。

柿沢委員 時間が経過していますからもうやめますけれども、海外に向けた放送だけにおいて真情を吐露して、国民に対してはやれるかのようなことを言う、こういう使い分けになっているとすれば、これは大変問題があると私は思います。

 そういうことにならないように、国民にも率直にその困難、そして今置かれている状況、こういうことをきちんとコミュニケーションをとっていただきたいと思いますので、それをお願いして、終わります。

吉野委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 先ほど来お話が出ておりますけれども、二つの裁判所の判断がありまして、私も改めて、その二つの判断がなされた川内原発と高浜原発の審査書を読ませていただきました。きょうは、この二つの審査の違いといいますか中身について御質問させていただきたいと思っております。

 そもそもこの二つの原発は、大変似ているところもあるし、違うところもあるなと思いました。

 似ているところでいいますと、二つとも加圧型、PWRでありますし、ともに三ループプラントであります。電気出力も、川内が大体八十九万キロ、高浜が八十七万キロと、大体同じですし、燃料の種類とか数、系統設備の構成、仕様と、みんなほぼ同じ。設置許可も、七九年と八〇年、ちょっと違いますけれども、運転開始は大体一九八五年ということで、ツインプラントとまではいきませんけれども、大変似ているな、いとこぐらいにはなるのかなというふうに思っております。

 同時に、違うところもある。まず、もちろんですけれども電力会社が違います。また、大きな違いとしては、この審査書にも書かれておりますけれども、格納容器の大きさが大分違う。川内は格納容器の高さが大体八十七メートル、高浜は七十七メートルということで、大体十メートル違っております。

 これが違うということなんですけれども、この両者について、規制委員会は、新規制基準に基づいて審査をされて、ともに適合していると判断をされたわけですが、この判断についてきょうはお聞きしたいと思うんです。

 両者に共通する審査項目として幾つもあるわけですが、きょうは、重大事故のうち、水素爆轟の防止対策についてお聞きしたいと思うんです。

 水素爆轟といいますのは、水素爆発のうち、衝撃圧を生じる、衝撃がどんと出るような最も激しい現象のことであります。福島第一ではこの水素爆轟が実際に起きたとも言われている。はっきりとはわからないんですけれども、起きたという話もある。

 規制委員会にお聞きしたいんですけれども、これは起きると大変なんですが、規制基準の中では、あるいはその内規である審査ガイドでは水素爆轟の防止を求めていらっしゃいますけれども、そのために格納容器の水素濃度をどの程度にすべきだと定めていらっしゃいますか。

櫻田政府参考人 新規制基準の中において水素爆発防止対策の基準はいかがなものか、そういうお尋ねでございます。

 新規制基準におきましては、原子炉格納容器が破損する可能性のある、今先生御指摘の水素爆轟の防止に係る判断基準として、ちょっと専門的な言い方で恐縮でございますけれども、原子炉格納容器内の水素濃度がドライ条件に換算して一三ボリューム%以下、または酸素濃度が五ボリューム%以下であることというふうにしてございます。

 ちょっとこれは解説しないとわからないと思うので、少し説明しますが、一三ボリューム%というのは、体積%で一三%ということでございまして、それから、ドライ条件というのは、通常、事故時には格納容器の中にたくさんの水蒸気がございますけれども、これがないという、そういう仮定を置いた上で換算した数字を使う、そういう形でございます。

藤野委員 ありがとうございます。

 そこで、その一三%あるいは酸素五%というものを実現といいますか審査するために、審査ガイドではジルコニウム反応量についても定められていると思うんですが、これについてはどういう数値になっていますか。

櫻田政府参考人 ジルコニウムの反応量の問題でございますけれども、これは、基準というよりも、格納容器の破損に至るような事故のいろいろなモードがございますけれども、水素が燃焼するときの解析をするための条件としてこのようにしなさい、こういう審査官の覚えというガイドでございます。

 その中では、主要な解析条件として、水素燃焼の観点から、厳しいシークエンス、これは事故のシナリオでございますけれども、これを選定して、その中で、圧力容器の炉心の中の金属・水反応による水素発生量について、原子炉圧力容器の下部が破損するまで、原子炉圧力容器が正常な状態にある、そういう状況の中で全炉心内のジルコニウムの量の七五%が水と反応する、そういう前提を置いてくださいということを書いてございます。

藤野委員 破損する前ということですが、七五%という御答弁でした。ちなみに、七五%のジルコニウムが水に反応すると、川内原発の一、二号の場合は大体七百キログラムぐらい水素が発生するということであります。

 基準はそうなんですが、重ねてお聞きしますけれども、川内原発の場合、これは何%で審査されたんでしょうか。

櫻田政府参考人 川内原発の場合のジルコニウム反応量の想定としては、七五%ということで計算をするということを前提に評価をして、その事業者の評価をベースにして判断をしてございます。

藤野委員 審査書を読ませていただきますと、七五%、いわゆる圧力容器が破損する前ですね。それが破損した後のことも審査せよと、規制委員会はもっと厳しくやれということで注文をつけられて、実際、申請者である九電は厳しくやったということで、七五の残り二五%も全部ジルコニウムが反応したらどうなるかということまで審査されております。ですから、規制委員会がしっかり注文をつけられて、それに九電が応えて審査をしたと川内原発の審査ではなっております。

 問題は高浜の方なんですけれども、高浜の方は、ちょっと時間がないのでこちらで言わせていただきますけれども、一〇〇じゃないんですね。規制委員会も同じように注文をつけられました。しかし、関電の方は、これは二五じゃなくて、残り二五、要するに、一〇〇%全部じゃなくて八一%、七五プラス六だけなんですね。川内のときは七五プラス二五、ある意味審査したのに、なぜ高浜の方は七五プラス六なのか。

 先ほど言いましたけれども、川内原発の方が大きいわけですね。容量としてはたくさんある。しかし、ジルコニウムの量というのは高浜の方が多いわけです。だから、ちっちゃい格納容器にジルコニウムが多く入っている。にもかかわらず、その全部が溶けたということを高浜の方では審査しなかったということなんですが、これはやはり甘いのではないかというふうに思うんですね。

 委員長にお聞きしたいんですけれども、なぜ川内で一〇〇パーで考えたものを高浜では八一%なのか、お答えください。

田中政府特別補佐人 水素発生量の評価についてお尋ねですけれども、水素発生量の評価については、審査ガイドに即して、原子炉圧力容器内の全ジルコニウム量の七五%が水と反応する際の発生水素量に、その後、圧力容器が抜けて仮に溶けた燃料が格納容器の方に落ちたときに起こりますMCCI、それによって水素の発生が起こりますので、そういったことを考慮しても、水素濃度が基準で定めた爆轟条件、一三ボリューム%ですが、これを下回ることを確認しております。この点は川内も高浜も同じであります。

 加えて、川内原子力発電所一、二号の審査では、原子炉格納容器が他のプラントよりも大きいことから、ジルコニウム一〇〇%が水と反応した場合の安全裕度を参考として確認するため、感度解析として実施したものというふうに承知しております。

藤野委員 今おっしゃったとおりなんです。だから、川内は一〇〇%やっている。これは、要するに全部反応したということですから、私は一つの、ある意味ちゃんとした審査だというふうに思うんです。

 しかし、問題は高浜の方なんですね。今、MCCIのことをおっしゃいましたけれども、配付資料の二を恐縮ですけれども見ていただきたいんです。

 これは、規制委員会に提出された、各電力会社ですね、北海道電力、関電、四電、九電という四電力会社が提出した資料、上の方になります。ここに書いてあるんですけれども、MCCIというのは、要は、三行目にありますけれども、「不確かさが大きい現象である」。要するに、何だかよくわからないと。というのは、実験もやっていないし、データもない、経験もないしということで、不確かさが大きい現象であるというのが電力会社の認識であります。

 下の方は、これは更田委員長代理の認識でありますけれども、更田委員長代理も同じように、「MCCIに対する解析結果というのは極めて大きく割れる、不確かさの大きな現象です。」、こういう認識なんですね。

 ですから、私が言いたいのは、不確かさが大きいんだから、規制委員会は川内に対してもっとやれと言って、九電はそれに応えて一〇〇パーやったわけですね。私は、これは、不確かなMCCIについての一つの審査のあり方だと思います。

 しかし、この審査のあり方が高浜では踏襲されなかった。同じ不確かなMCCIを六%しか考えない、これはおかしいんじゃないですか、委員長。

櫻田政府参考人 今先生御指摘の六%の問題でございますが、これは、高浜でも川内でも同じように六%というものも仮定をしておりまして、先ほど申し上げた、圧力容器が損傷するまでの間の七五%に加えて、六%も、MCCIで発生するという前提で評価をしてございます。

 それを前提に我々は判断をしたということで、一〇〇%の判断につきましては、これは、先ほど委員長が答弁しているとおりで、参考までに行ったということでございます。

藤野委員 ですから、やはり部長に答弁してもらっては困るなと思いましたけれども、それはあくまで解析コードの話なんですね。

 私が言っているのは、解析コードに依拠せずに、二五%、九電がやったと。これは事実なんです、基準審査書にはそう書いていますから。解析コードに依拠しないと。解析コードだったら、六パー、同じだというのはわかります。問題は、依拠せずに全部やったというところが私は大事だと思うわけで、それを何で高浜ではやらなかったのかということが私の質問の趣旨なんです。

 委員長、今度はお答えください。

田中政府特別補佐人 先生がおっしゃっている一〇〇%までやったというのは、炉心内のジルコニウム・水反応について一〇〇%。今、規制委の方では七五%ということを要求しているんですが、そこをやっています。

 MCCIは、その後に起こる別の現象でありますので、それについては高浜も川内も同じである。先ほど櫻田部長から申したとおりであります。

藤野委員 この審査書を読ませていただきますと、私、大変興味深かったのが幾つもあったんですけれども、中でも、表現の違いといいますか、今のところにかかわるところなんですけれども、川内の審査書の方ではこういう表現なんですね。「規制委員会は、上記の申請者の評価が十分保守的であるため妥当であると判断した。」と。その前に、「解析コードに依拠せずジルコニウム最大反応量」、最大反応量というのは要するに一〇〇のことですけれども、「最大反応量で評価しても」いわゆる「評価項目(f)を満足している。」と。その後に、「十分保守的」という言い方なんですね。

 これに対して高浜の方は、この十分が取れておりまして、単に「保守的」なんです。「これにより、規制委員会は、上記の申請者の評価が保守的であるため妥当である」と評価したと。

 ですから、ここはやはり、委員長が先ほど来おっしゃっているように、非常に厳密だなと私はある意味感じたんです。

 確かに、川内の方は、非常に、十分保守的な審査をされていると思います。ところが、高浜の方は十分が取れているんですよ。審査書上も「保守的」としか書いていないという審査なんですね。これは、やはり、ある意味率直な表現だというふうに思うんです。

 問題は、やはり、高浜の場合は、十分保守的にやらないといけないんじゃないかと思うんですね。

 といいますのも、恐縮ですけれども、ちょっと配付資料一に戻っていただきますと、先ほど、似ているところと違うところというのを言いましたけれども、川内の方は格納容器の体積が大体八万百立方メートル、2になるんですけれども、それに対して高浜の方は六万七千四百ということになっております。ですから、かなり容積が違う。それに対してジルコニウム量はむしろ高浜の方が多いわけで、そういう意味では、大きなものの方がやはり安全裕度は高いわけですから、川内で十分保守的にやったのであれば、安全裕度の低い高浜の方はより十分保守的な審査をやるべきじゃないかというふうに思うんですね。

 ですから、私はむしろ、厳しくやるというニュアンスよりも、川内と同じレベルの審査をやったらどうだ、なぜやらないんだということなんですけれども、なぜ同じレベルの審査が行われなかったんでしょうか。

櫻田政府参考人 二つ目の御質問にお答えしましたとおり、我々の審査官の審査のガイドにおきましては、圧力容器が損傷するまでの間のジルコニウム量は七五%、そういうふうに前提を置く。それに加えて、MCCIで発生する水素についても考慮する。そういうことを前提とした評価を行ってもらって、それを審査の基準として考える、そういう審査をしてございますので、高浜において行われた評価の仕方と川内において行われた評価の仕方は、そこにおいては変わりがないということを、先ほどから委員長が答弁しているとおりでございます。

藤野委員 いや、審査書に違いがあるんですよ。「十分保守的」であると川内は書いてある。高浜は「保守的」としか書いていないんです。そういう審査しかしていないんですよ。あるいはそういうレベルだというのを審査書自身が示しているというふうに思うんですね。問題は、なぜこうなのかということもあわせて質問させていただきたいと思います。

 恐縮ですけれども、配付資料の三を見ていただきたいんですが、これは、元原子力安全委員会時代の技術参与もされていた滝谷紘一氏の試算であります。

 この表を紹介させていただきますと、先ほど来お話のある七五%、基本のところですけれども、これですと、冒頭確認しました一三%、水素爆轟が起こらないというところを大体クリアしているということになります。九・七、一一・五、一二・八、これは厳しいですけれども、一応一三以下ではある。

 二つ目の八一パー、これは、高浜で実際に六パーを加算したところですけれども、川内は計算がありません。高浜はこれでも、審査書に書いてあります、一二・三だ、クリアしているということなんですね。

 大飯、玄海はちょっと抜きまして、問題は一〇〇のところなんです。川内は一〇〇までやられた。これでも一二・六で、厳しいですけれどもクリアしたと審査書に書いてあるんです。では、何で高浜は一〇〇がないのかということなんですね。

 滝谷氏の試算によると、高浜で一〇〇をやっちゃうと、格納容器もちっちゃいし、ジルコニウムの量も多いから、一四・八になってしまう。一三を超えちゃうじゃないかということなんですね。委員長、この試算、どのように思われますか。

田中政府特別補佐人 試算の値自体は、私はよくわかりませんけれども、正しいんだと思います。

 そういうことも踏まえまして、既存の原子炉でありますから、私どもとしては、水素爆轟のような激しい現象が起こらないように、PARとかイグナイターとかというように、こういった、水素が蓄積しないように、出てきたらそれを、水素と酸素を結合させて水に戻すような装置も求めておりまして、今は川内原発で、それの使用前検査等においても確認させていただいていますし、高浜についても、当然、そういうことについてはきっちりと、より厳しく見ていくことになろうというふうに思います。

藤野委員 御答弁いただいたように、これはやはり試算としてはもう正しいわけですよね、元技術参与ですから。

 そういう点では、なぜ一〇〇パーをやらなかったのかというのは、やはり関電がわかっているわけですよね。関電側としては、これは一〇〇パーでやっちゃったら超えてしまう。だから、それをやらずに済ませてしまったということで、これは大変な問題だというふうに思うんです。

 こういう点では、審査をやり直してしっかりやるべきだというふうに思います。

 先ほどPARというお話がありましたけれども、これは処理能力が一時間当たり六キログラム、これを五台設置したとして六キログラムなんですね、水素処理。ということは、これは、先ほど言いましたように、七五パー反応しただけで七百キログラムの水素が発生するわけで、ざっと百十時間以上かかって、とても間に合わないということですから、やはり水素爆轟というのはもう大変な現象で、先ほどおっしゃったのは、水素燃焼のもっと低い段階の対策のお話だというふうに思うんですね。

 ですから、爆轟という、まさに一三%を超えるかというクリティカルな問題についての審査がこういういいかげんなわけですから、ここはやはり、審査そのものの問題として、ぜひやり直しを求めて、質問を終わります。

吉野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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