衆議院

メインへスキップ



第10号 平成25年11月11日(月曜日)

会議録本文へ
平成二十五年十一月十一日(月曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 額賀福志郎君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 中谷  元君 理事 大島  敦君

   理事 藤井 孝男君 理事 上田  勇君

      青山 周平君    秋元  司君

      伊東 良孝君    池田 道孝君

      小田原 潔君    大塚  拓君

      大野敬太郎君    小池百合子君

      小島 敏文君    桜井  宏君

      鈴木 馨祐君    薗浦健太郎君

      津島  淳君    辻  清人君

      寺田  稔君    中谷 真一君

      野中  厚君    橋本  岳君

      星野 剛士君    堀内 詔子君

      牧島かれん君    町村 信孝君

      宮崎 謙介君    山田 美樹君

      近藤 昭一君    長島 昭久君

      渡辺  周君    今村 洋史君

      桜内 文城君    山田  宏君

      大口 善徳君    遠山 清彦君

      井出 庸生君    赤嶺 政賢君

      玉城デニー君

    …………………………………

   議員           枝野 幸男君

   議員           後藤 祐一君

   議員           階   猛君

   法務大臣         谷垣 禎一君

   防衛大臣         小野寺五典君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   外務副大臣        岸  信夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (警察庁長官)      米田  壯君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (公安調査庁長官)    尾崎 道明君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 真部  朗君

   衆議院調査局国家安全保障に関する特別調査室長   室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十一日

 辞任         補欠選任

  中山 泰秀君     小島 敏文君

  西銘恒三郎君     青山 周平君

  松本 洋平君     小田原 潔君

  山際大志郎君     山田 美樹君

  丸山 穂高君     桜内 文城君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮崎 謙介君

  小田原 潔君     松本 洋平君

  小島 敏文君     中山 泰秀君

  山田 美樹君     桜井  宏君

  桜内 文城君     丸山 穂高君

同日

 辞任         補欠選任

  桜井  宏君     秋元  司君

  宮崎 謙介君     堀内 詔子君

同日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     伊東 良孝君

  堀内 詔子君     西銘恒三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  伊東 良孝君     山際大志郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 特定秘密の保護に関する法律案(内閣提出第九号)

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(枝野幸男君外二名提出、衆法第一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

額賀委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定秘密の保護に関する法律案及び枝野幸男君外二名提出、行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。

 両案審査中、参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官鈴木良之君、警察庁長官米田壯君、警察庁警備局長高橋清孝君、公安調査庁長官尾崎道明君、外務省大臣官房参事官山田滝雄君、防衛省防衛政策局次長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷元君。

中谷(元)委員 内閣提出の特定秘密保護法案、そして民主党提出の情報公開法改正案につきまして質疑させていただきます。

 まず、特定秘密保護法案につきまして、この法案の本質は、特定の秘密を取り扱う公務員、それから機密情報に接する外務省、また防衛関連産業などのこういった関係者が、国家の安全とか防衛の秘密を漏らさぬように、しっかりとその取扱者を特定して、そして刑罰をもってその流出防止を図ろうとするものでありまして、その中で国民の知る権利とか報道の自由、言論、表現の自由を守っていくものであります。

 秘密を扱う人を特定するというのは当たり前ですが、これは漏れたら大変ということで、例えば自動車の運転には運転免許が要るように、秘密を取り扱う人にはそれなりの適性検査をして、この人なら大丈夫、そして、本人の同意を得て、秘密を守っていくというのがこの法案だと思います。

 そこで、大臣に伺いますけれども、一般の国民また報道関係者が、特定秘密とは知らずに話したり聞いたりしたことを公言、公表したとしても、刑罰に問われるのかなと。通常の活動とか思想、言論は保障されたものであるという認識を持っております。例えば、オスプレイの飛行日時、これはいつだろうとみんなで相談をすることは、この法律にひっかかるというように心配をしている方もおられますけれども、こういう一般の方々がそういう相談をすること、これはこの法律によって罰せられることはあるんでしょうか。

森国務大臣 委員御指摘のようなことが罰されることはありません。一般の方が、特定秘密と知らずに情報に接したり、その内容を知ろうとしたとしても、それは一切処罰の対象になりません。

中谷(元)委員 そうなんですね。この法律が適用されるのは、特定秘密を取り扱う公務員、その関係者ということだけで、それは本人の同意を得ていますけれども、その指定をされていない一般の人々が、そういう秘密を、全く意図しなくて、特定秘密と知らずにそういう話をしても罰せられないというのがこの法律だと思います。

 続きまして、今度は民主党の提案者の枝野元官房長官に伺いますが、平成二十三年に、当時の枝野官房長官、情報保全の法制のあり方に対する会議を主宰され、その報告書では、法律において別表形式で秘密指定の対象となる事項を列挙した上、秘密指定の高度の必要性を要件として特別秘密と呼び、その範囲は、国の安全、外交、公共の安全、秩序維持として制定すべきであると書かれております。

 枝野官房長官はそれを受け取って、野田内閣で法制化にその後着手しまして、今回この法律の原型になって現在に至っていますけれども、国の安全保障というのは、どの政党が政権を握ってもしっかりと揺るぎない形をとるということが大事でありまして、特に日本はこの秘密保全の法制化がおくれております。

 枝野元官房長官は、秘密を保全するための法律は必要であるという認識を持たれておられますでしょうか。

枝野議員 今お話しになった報告書は、有識者の皆さんの懇談会の報告書のことかというふうに思いますが、私が官房長官当時に有識者の懇談会を開催いただきまして、そこの報告書では、立法化の必要性についての指摘、報告を官房長官として当時受け取っております。

 一方で、その中においても、運用を誤ると、知る権利や取材の自由などに重大な影響を及ぼすおそれがあるというような指摘も受けております。

 また、そのとき議論をお願いした有識者の先生方、行政学、それから行政法、憲法の先生が一人入っていたかと思いますが、情報公開の仕組みであるとか情報を公開していただくことについて、大きな、公益的見地から、利害関係を有する報道関係の皆さんとか、そうした皆さんに入っていただいていませんでしたので、その報告書を踏まえて、そうした観点から、本当に立法化が不可欠なのかどうかということについて検討しようと思っておりましたときに、菅内閣は総辞職いたしました。

中谷(元)委員 まさに枝野さんは官房長官として、国の危機管理、それから外交、安全保障、それのいわゆる内閣の責任者として活動されましたが、内閣が判断する上において、情報を収集するということが第一で、間違いのない判断をするには、できるだけ多くの情報を得、そして、非常に貴重な、間違いのない情報を外国から得るということが必要でありますが、在任中に、アメリカの情報とか外交関係者、専門家から、日本は非常に情報の流出が多くて心配だから、日本になかなか情報を提供するということははばかられるんだ、だから、日本はしっかりとした情報保全体制をつくってもらいたい、そういうふうなことを言われたり話されたことはありますか。

枝野議員 官房長官在任中のことをどこまでここでお話しするのが適切かという判断は難しいところがありますが、東京電力や各省から必要な情報が必要なタイミングで入ってこなくて困ったことはありました。

 外国との関係においては、それこそ相手国のある問題でありますので、現任の閣僚として内閣の方針として判断ができる状況であればともかくとして、退任した後に外国との関係について、公表、公開されている以外のことについて余り不用意にお話をするべきではないのではないかと思っております。

中谷(元)委員 さすが官房長官の情報の保全の意識は高いようでございますが、しかしながら、日本はスパイ天国と呼ばれていまして、いろいろな国のそういう情報を探る人がいます。特に狙われているのは国家の機密、特に軍事機密、これは我が国の機密ではなくて、第三国の軍事情報などは狙われております。

 手口は、そういった情報を持っている人をターゲットとして、これをエージェントとしまして、その背後関係などを調べて、金銭的な問題とかまたハニートラップなど、弱みにつけ込んで情報を引き出すというのが手口であるし、供応接待、ありとあらゆる手で狙われているわけでありますが、これをガードする手段はやはり刑罰なんですね。

 私なんかも、アメリカの軍事関係者と話をすると、これだけは絶対に言えませんと、非常に意識が高いんです。なぜなら、アメリカというのは非常に刑罰が重くて、不用意なことができないという意識が非常に高い。その辺は私、感じるわけでありますけれども、日本は、そういう意味で、その体制がまだ不十分である。

 これはどういう国益を損するかというと、日本にそういう貴重な情報は教えられませんとなりますと、大事な判断ができなくなるということでありますが、この法案をこの国会で上げないと、またその分、この機密保全の対応がおくれてしまいます。

 枝野元官房長官を初め民主党の提案の方は、一方で情報公開法の改正もするということでこの委員会にかけられていますけれども、私は、この特定秘密保護法案と情報公開法の改正、これは両方必要なことでありまして、やるとしたら同時に、これはセットで議論をし、そして、できましたら両方採決をして諮るべき、コインの裏と表の問題だと思います。

 民主党の提出者の枝野さんに、この秘密保護法案と提出の情報公開法の法案、これは同時処理、こういう認識でおられるかどうか、伺います。

枝野議員 情報公開法改正の必要性についてお話をいただきましたことについては、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 その上で、秘密保全について何らかの整備をさらに進めるのであるならば、その必要条件として情報公開制度をさらに徹底させることは必要であるというふうに考えておりますが、同時に、今提案されている秘密保護法について同時処理できるのかできないのか、そしてそれが必要なのか、適切な中身であるのかというのは、まさにこの後、我が党同僚議員などからいろいろな質疑をさせていただいた上で判断されること、つまり、情報公開法が十分条件であるのかということについては、必ずしも現時点で十分条件というふうには考えてはおりません。

中谷(元)委員 先ほど言ったように、秘密保護というのは本当に安全保障の一部で、やはり、情報保全というのはすなわち安全保障ということで、この点においては非常に欠落した部分があるということで、枝野官房長官当時にこの法制化が必要だということで現在に至っておりますので、この法案も大事、そして情報公開法も表裏一体のものであるという認識をすれば、ぜひ積極的に秘密保護法案についても認識を深めて、採決するときは同時に採決していただきたいと思います。

 それでは、具体的に伺いますが、秘密指定の基準、本当に必要なものが指定されているかどうか、こういう指摘があります。しかし、本当に必要なものは守るという認識で、政府案では、別表で四を列挙いたしまして、外交、防衛、またテロ、スパイ行為などで、少なくともこういう項目は必要だということを抜き出しております。

 枝野元官房長官に伺いますが、この別表の四項目、この中でどれが不要で、どれがまだ足りないか、そういうお考えを聞かせていただきます。

枝野議員 情報公開法改正案の提案者として出席をさせていただいております。同時に審議をされております秘密保護法について、提案されている内容がいかなるものであって、それをどう評価するのかということについては、この後同僚議員から質疑等がなされ、それを踏まえて党としての見解を整理されるものと考えております。

中谷(元)委員 いやしくも元官房長官で、この国の外交、安全保障を担った責任者でございますので、当然我々が、次の内閣が出した閣法もそれなりの見識と認識を持ってごらんになっておられる。まして、御自分が主宰された報告書からできた法案ですから、それだけの認識を持って見ていただきたいと思います。

 そこで、ばくっとしているんじゃないかと指摘する人もおりますが、では、政府に伺いますが、この別表の四項目は、精査されて提案をされたと思っておりますが、その後、これをどう運用して指定していくかということが焦点であります。

 森大臣に伺いますけれども、恣意的な指定をするな、これを排除するために、外部の有識者の意見を反映した基準をつくるとはいいますけれども、もう少し、統一基準の内容とかイメージ、これを国民の皆様方に示す必要があるんじゃないかという指摘がございます。この特定秘密の指定に関する統一基準、イメージについて、どのようにお考えになっておるのか、御説明いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本条、十八条一項におきまして、特定秘密の指定及び解除並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるというふうに定められております。また、同条第二項におきまして、その基準の作成におきましては、有識者の意見を反映させるということになっております。

 この基準につきましては、先ほど申し上げましたように、特定秘密の指定及びその解除につきましてその細目を定めるものでございますが、例えば、別表におきまして、各号におきまして項目が定まっておりますが、さらにそれを具体的に情報の種類ごとに類型化をして、それぞれに応じた秘密指定の期間とかそういったものを具体的に定めていくことになろうかと思います。

中谷(元)委員 私が聞いてもよくわかりません。イメージが湧きません。

 ですから、法案審査ですから、これを国民の皆様方に説明する際に、法案が通ってから審議委員を選んで運用を決めますというのではなくて、ある程度、法案が上がる前に、大体このラインで政府が指定の運用を考えているといったイメージをもう少し深めないとわからないと思いますけれども、森大臣、この件は御検討いただけますでしょうか。

森国務大臣 指定される秘密の内容についてお尋ねだと思います。

 有識者会議においては、秘密の指定の内容だけではなく、その後の有効期間とか、指定の手続、それから、延長の仕方、有効期間の間でも解除することなど、細かく定めていくつもりではございます。

 一つ、最初の御質問の、指定される秘密の内容が、どんなものが特定秘密になるのかという御質問だと思いますけれども、それに対しては、有識者会議に、法定されているものだけではなく、広く報道関係者などいろいろな方を入れて、今、国会で御審議をされているときに、具体的な質問もなされます、先ほどオスプレイの飛行日程なんというような具体的な質問もなされました、これは当たるのか、これは当たらないのかとさまざまな御質問が来ていますので、そういったことを踏まえながら、できるだけ細目にわたってしっかりとした基準を定めていくつもりでございます。

中谷(元)委員 ぜひ、その内容をできるだけ与野党の審議の中でもわかりやすいような形であらわしていただきたい、また努力していただきたいと思います。

 次に、枝野さんに伺います。

 この情報公開法なんですけれども、要は、これは秘密保護との関係でいきますと、公務員が抱える、逸脱行為というか、必要のないものまで秘密指定にしてしまう、これはお役所の原理なんですけれども、どんどんどんどんそれを大きく広げていく。これはある意味、役人の習性なんですけれども、やはりこれを抑えて最小限にチェックする体制というのは必要だと思います。

 こういう観点で、民主党は、このチェックをするためにどういうものが必要だとお考えなんでしょうか。

枝野議員 今のお尋ねが、政府提出の法案について、こういうチェックを入れろ、入れたらいいと考えているのかということであれば、まさにこれから御議論をいただく、まだ委員会では野党は質問をさせていただいておりませんので、今後の質疑を踏まえた上で、どういう認識を持つかということになります。

 官房長官当時の私の認識をというお尋ね、一般論としてのお尋ねであれば、公務員の皆さんが、これは御指摘のとおり、どうしても本能的に少し広目広目に指定をしがちであるし、それが積み重なっていけば、本当にその広がりが相当程度大きくなるおそれがあるということは、一般的に、情報公開の観点から私も実感もいたしました。

 ただ、ではこれをどう変えたらいいのか。その一つの手段が、情報公開法を改正する。最終的には司法の手続等を通じて公開すべきものは公開されるんだという担保でありますが、これはあくまでも最終的な担保でありますので、日常の行政上の業務において、できるだけ積極的に、幅広く、可能な情報は国民にお知らせをするべきである。

 それについては、一つは、公務員の皆さんの意識改革を広く国民世論を含めて政治が進めていくということが何よりも重要だというふうに思っておりましたが、それを超えて、行政内部におけるさまざまな仕組み等については、これは各国によって法制度が違います。日本は、内閣から完全に独立した第三者機関をつくるということについてはなかなか抵抗が大きい。そうすると、なかなか行政内部でないと司法以外はチェックすることができないということで、私自身の在任中、情報公開を公務員によりさせていくということについて、意識改革と情報公開法の改正を超えて必要だとは感じておりましたが、なかなかうまい答えが見つけられませんし、現在もそれを模索しております。

中谷(元)委員 枝野元官房長官時代にそういう意識で取り組んでおられたということで、では、役所内に、どこかに組織をつくるというのも一つの課題であるというふうに述べられました。

 森大臣に伺いますが、それをチェックする組織のようなものをつくったり、今第三者という話がありましたけれども、何らかのチェック機関ができればという意見がありますが、この点、いかが検討されておられるんでしょうか。

森国務大臣 私は、この法案を担当大臣としてお預かりするときに、秘密の指定はどうしてもやはり国家の安全と国民の安全のために必要、しかし、やはり行政の恣意は可能な限り排除しなければならない、それによって国民の知る権利を担保しなければならない、そのバランスをどうするかということを大変苦労いたしました。

 私のところに原案が来た後も、さらにチェックする仕組みを新たに、重層的に追加もしたところでございますが、それは、行政機関の長が五年ごとにチェックしていく、そして三十年後には内閣の承認も得る等の仕組みでございます。

 それを第三者としなかった理由というのは、やはり個別具体的な特定秘密の指定は、その行政機関が行っている専門的な、技術的な行政上の判断を要するということから、なかなか、第三者がそれを取り扱うということが適当ではない。その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるかどうかということの判断を、やはり行政機関が責任を持ってしていくことが必要なのではないかということから、本法案に入れてあるような仕組みにしたわけでございます。

中谷(元)委員 チェック機関のあり方というのはこの法案の大きな課題ですから、それは今後とも検討いただきたいと思います。

 そこで、公開の年限ですが、今大臣からお話がありましたように、三十年。三十年たったら、内閣で精査、判断した上、原則はそれで廃棄という認識なのか、それとも、それも決めずに検討をするという認識なのか。現時点では、森大臣、いかがでしょうか。

森国務大臣 三十年たったら全部廃棄されてしまうのではないか、特定秘密にされていたものが公開される前に闇に葬り去られてしまうのではないかというような御懸念が私のもとにも寄せられておりますけれども、特定秘密が記録されている文書について保存期間が満了した場合には、他の行政文書と同様に、国の機関の政策の検討過程、決定に関する重要な情報が記録された文書、つまり、歴史的な利用価値がある文書については、国立公文書館等に移管をされます。

 また、それ以外の文書については、内閣総理大臣に協議をして、その同意を得た上で廃棄をするという手続になっておりますので、文書が勝手に廃棄されるというような御懸念は当たりません。

中谷(元)委員 勝手に廃棄されないという確認はいただきましたが、私が質問したのは、廃止されるかどうか、特定秘密が廃止されるんですかという……(発言する者あり)解除ですね、解除されるんですかという質問だったんですが。

 私は、全て原則解除となりますと、例えば暗号の情報とか通信の傍受の手段とか、いろいろな特定秘密があると思いますけれども、それを全部拾い集めると、ああそうか、こういう仕組みかというようなことが類推されますので、これはあくまでも、そういうことも考えてこの判断を続けていくべきだと思います。しかし、基本的に、やはり一つの区切りというものが必要ですので、ある意味、三十年で原則これは廃止というふうにした方がいいんじゃないかと思いますが、これはこれから御検討いただきたいと思います。

 今の件で、民主党の元官房長官の枝野さんに伺いますが、三十年という年限も含めまして、片や防衛大臣とか他の大臣が指定したことに対して、今度は内閣が判断をするということになっておりますが、この三十年という年限と、また、必要なものは引き続き特定秘密にしなきゃいけないなということについてどうお考えなのか、聞かせていただきたいと思います。

枝野議員 繰り返しになって恐縮でございますけれども、政府提出の特定秘密保護法案については、野党からは、本会議での質疑をさせていただいただけにとどまっております。

 今後、我が党の同僚議員から、さまざまな質疑、内容についての質問をさせていただき、それに対するお答えなどを踏まえて、我が党としてこの法案にどういう対応をするのかということがある程度煮詰まりましたら、それは、場合によっては、一緒に審議をいただいている情報公開法の提案者の立場からも、それを踏まえたお答えができるのかというふうに思いますが、何しろ、まだこれから、初めてきょう、この後、委員会での実質的審議が行われて、提出法案の内容について御説明をいただくものでございますので、今、法案についてどうかということをお尋ねいただいても、責任あるお答えは申し上げることができません。申しわけございません。

中谷(元)委員 申しわけないではなくて、官房長官をやられた方が答弁席に座っておられますので、やはりそういう経験を聞かせていただきたいし、また思い入れもあると思いますので、その点、特定秘密文書、そういうのは元官房長官としてどうお考えなのかなという点でお伺いをしております。

枝野議員 今、最後に特定秘密とおっしゃられたので、ちょっとまた答えにくくなったんですけれども、官房長官のときの自分の経験を踏まえて、政府としての保全すべき秘密のあり方について認識、見解を話せということであれば、政府提出の法案について話せでなければ、それはお話をすべきだというふうに思っておりまして、そうした意味では、国家の機密の中には、相当長期間、公開をすると大きく国益を損なう可能性のあるものが含まれているということは、官房長官を経験したことで十分認識をいたしております。

 それについて、どういう仕組みで、ある時期までは公開せず、ある時期から公開をするのかということについては、公文書管理のあり方や情報公開制度のあり方等、総合的な判断、評価が必要であるというふうに思っています。

 そうした意味では、そうした案件であっても、国益を害さないタイミングになれば情報公開の対象になるということをしっかり徹底する情報公開法の改正がまずは何よりも重要だと思っております。

中谷(元)委員 それでは伺いますけれども、今まではこうだったということで、今までは防衛秘密しかなかったんですね。一般の公務員の公文書の守秘義務等の行政事務、公文書というのはありましたが、こういう秘密の取り扱いには、法的には、防衛秘密と、MDAという日米間の法律がございましたが、これは更新の規定がありません。防衛大臣が必要と思えばずっとこれを保持できるわけでありますが、今回の法律では、一応、五年ごとに各大臣はそれを見直しする、そして、三十年たったら、内閣、官房長官を中心にそこの機構が、これはどうするんだというのを決定します。

 今出した政府提案の法律は、今の防衛秘密より数段すぐれていると思うんですけれども、その点、元官房長官はどう評価されておられますか。

枝野議員 政府提出法案についての評価は、ある部分だけを切り取って評価をすることが果たして適切であるのかどうかということを含めて、十分質疑をさせていただいた上で、党としての見解を整理し、それを踏まえて、必要があれば御答弁させていただきたいと思いますが、繰り返しの御質問でございますので、一般論として申し上げれば、情報の保全の仕組みについては、一定期間ごとにきちっと更新を行うということはより望ましいことでありますが、それが今回の法案で十分なものであるのかどうかは、全体を見て評価せざるを得ないと思っています。

中谷(元)委員 引き続き質疑させていただきますが、次に、立法と行政の関係なんです。

 特定秘密になりますと、当然、防衛大臣、副大臣、政務官、それに接する機会、可能性はあるわけでありますが、これは一般公務員には十年の罪がかかりますけれども、各省の大臣、副大臣、防衛政務官など、そういう人はこれに含まれていると考えてよろしいんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 大臣、副大臣、政務官につきましても、秘密の取扱者の範囲に含まれますので、十年の処罰対象になります。

中谷(元)委員 それでは、立法の、国会との関係についてお伺いをいたします。

 この特定秘密の内容、これは国会でもやはり議論をしなければならない。例えば、防衛出動がかかりました。それを国会で認めるか認めないか、承認するかのようなこともあるかもしれませんし、この委員会でそういった必要性も出てくるということで、政府提出の法案ですから、なかなか国会でのこととか国会議員のことについては触れられないというのはわかります。しかし、この特定秘密、これを国会から出しなさいと要請があった場合には、国会に出せるんでしょうか。

鈴木政府参考人 失礼いたします。

 本法案第十条第一項第一号の規定に基づきまして、国会の求めに応じまして、国会におきまして必要な保護措置がとられることを条件として提供することができます。

中谷(元)委員 これは、本当に国会がそれだけの責任体制をつくっているかということで、今の状態で出しますと、国会議員がこれを知った場合に、しゃべったらどうなりますか。

鈴木政府参考人 今お尋ねは現行法ということですか。(中谷(元)委員「現時点で」と呼ぶ)現時点におきましては、先ほど申し上げました政府のポストについていない国会議員についての秘密漏えいを処罰する法令はないと承知しております。処罰の対象外ということでございます。

中谷(元)委員 それとあわせて伺いますが、国会法の百四条に、求めに応じて出さなければならないんですが、今そうお答えになりましたけれども、出さないときに、その理由、例えば、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の声明、政府声明があった場合には、報告、記録を提出する必要がないとされております。そうすると、特定秘密が出てこない可能性もありますけれども、それでも出してくれるんでしょうか。

鈴木政府参考人 国会法百四条の、声明を出して提供ができない場合に相当するような情報であります特定秘密につきましても、先ほど申し上げました本法案第十条第一項第一号の保護措置がとられる場合には、提供することができます。

中谷(元)委員 確認ですけれども、それが明らかになって国に重大な影響を与える場合でも出すということですか。

鈴木政府参考人 国会に提供する場合は保護措置がとられる場合でございますので、明らかにならないことが前提ということで提供させていただくことになります。

中谷(元)委員 この法律では、その立法措置というのは担保されていますか。

鈴木政府参考人 本法案の第十条第一項第一号では、提供を受ける機関がそれぞれ措置を講じることになる旨を規定しているのみでございまして、それ以上につきましては、国会で御議論いただくことになろうかと思います。

中谷(元)委員 それでは、立法でその措置を求めるという内容の法案というふうに受けとめてよろしいんでしょうか。

鈴木政府参考人 失礼します。

 国会におきます保護措置が、国会法の改正によりますか、あるいは各議院の規則の改正によるかにつきましては、これは国会で御議論いただくことになろうかと思います。

中谷(元)委員 国会で御議論をということですが、また枝野元官房長官に伺いますけれども、国会においてこういった情報提供を取り扱う場合には、まさに、国会においてその情報を取り扱うような仕組みと、それを知り得た議員に対する法的な措置、すなわち罰則、こういうのも科さなければならないと私は思いますが、枝野元官房長官はどう思われるんでしょうか。

枝野議員 再々繰り返しになりますが、政府提出法案を前提としたお尋ねであれば現時点でお答えすることはできませんが、一般論として、現行でも、国会法で政府に対して秘密文書の提出を求めることができる。ただ、それについて現行法は、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の声明があったときには提出されない。これについて、きちっとした保護措置がとられれば、そういった宣言がなされて国会に提出がされないという範囲が狭くなるのは必然的なことでございますので、そうしたことを各党合意の上で制度化することができれば、より国会に対して政府の守秘義務のかかっている情報を提供していただけることにつながっていくと思っておりますので、一般的にもそうしたことをしっかりと各党で議論すべきであると思っております。

中谷(元)委員 一つだけ。では、個人的思いで結構ですが、罰則、それに対して公務員は十年という罰則をとって縛られています。私は、国会議員といえども同じ、秘密は秘密で、これは世に出たら大変な重大な事態を招くわけでありまして、国会議員だからこそ、これは公務員に倣って罰則をつけるべきだと思いますが、枝野提出者はどうお考えでしょうか。

枝野議員 国家の秘密を保護する、それに当たって秘密を漏えいした者に対するペナルティーをどうするのかというのは、公文書管理のあり方や秘密保護のためのさまざまな法体系の全体像の中で判断されるべきものであって、一概に、罰則があることが重要であるとか、罰則が不可欠であるとかということの考え方に私自身は立っておりませんが、いわゆる一般職の公務員の皆さんと、それから選挙で選ばれた国会議員等との間には、それぞれの置かれている立場と責任の違いがございます。秘密を守らなきゃならないという意味での責任は一緒でございますが。したがって、それぞれの役割、立場、責任に応じた適切な抑止措置というものがそれぞれに検討されるべきであろうと思っております。

中谷(元)委員 枝野議員らしからぬ歯切れの悪い答弁ですが、やはり国会でこういう重要なことも議論できるような国会にしなければならないんですが、現実には、大事な問題は提供されません。それはなぜかというと、罰則がかかっていないことが私は原因の一つではないかと思っておりまして、やはりそれだけの責任と自覚を持ってやらなければならない。

 よく、政治家に話すと情報が漏れる、だからしゃべらないという役所の主張もありますので、立法と行政との関係は、やはり立法が優越しなければならない。そのためには、国会がそれなりの仕組みをつくって、そういった機密情報も扱えるように仕組みをつくろうとするのが必要だと思いますので、この点は与野党でぜひ積極的に議論すべきだと思いますが、それはお約束できますでしょうか。

枝野議員 私は、現状、政治家も、それから一般職の公務員の方も、自衛官などを別とすれば、刑罰というよりは懲戒処分等によってまず抑止が働いているんだという、そちらの方の要素が大きいと思うんですが、でも、それ以上に、私は、公務員の皆さんが秘密について、日本はやはり漏れるケースは相対的には少ないんだと思うんですね。それはやはり公務員の皆さんの自覚だと思いますし、政治家に伝えると漏れてしまうということがあるとすれば、それは政治家のまさに自覚が足りない問題ではないのかなというふうに思っております。

 それにしても、制度的に、一般論として、現行の国会法上の内閣に対する情報提供について、より十全に機能が果たせるためには、何らかの保護措置について各党で真摯な協議がなされることは、私は望ましいことだと思っております。

中谷(元)委員 これは与野党でやはり議論すべきことだと思います。

 それでは、最後に、報道の自由の確保ということで、公明党と修正をいたしまして、知る権利、また報道の自由、それから、この報道の自由の中で、法案に「著しく不当な方法」、これはもちろん法律を逸脱する行為と並び立つものでありますが、法案に「著しく不当な方法」ということが書かれておりまして、これは一体何なのと思っておられる方も多いと思いますけれども、この著しく不当な方法というのはどういうことを言っているのでしょうか、お答えください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 二十一条第二項の「著しく不当な方法」という表現につきましては、最高裁の決定を踏まえまして使っている文言でございまして、具体的な内容といたしましては、取材対象者の個人としての人格を著しくじゅうりんする等、法秩序全体の精神に照らし、社会観念上是認することのできない態様のものである場合を指します。

中谷(元)委員 この点は公明党の修正要求ですので、次の質問者の大口さんにその件も説明していただきたいと思います。

 きょう、私が日ごろ国民の皆さんがこの法案に対して疑問に思っている点を、内閣の提出者、そして野党の枝野さんを中心とした提案者にも説明を求めましたけれども、まさにこれは、国会の審議、議論、これで非常に中身が明らかになって、非常に論点整理につながっていくと思っております。

 民主党の皆さんも誠実に御答弁をいただきたいと思いますが、今後、この問題については、与野党の垣根を越えてそれぞれの党の見解を述べていただきたいと思いますし、秘密というのは悪いことではありません。企業には企業秘密、マスコミにも取材源の秘匿、守らなければならないものがありまして、これが明らかになってしまうと混乱と悲劇をもたらしますので、しっかりと国家の秘密が守っていける体制、これをしっかり整備できますように与野党で力を合わせたいと思います。

 以上で終わります。どうもありがとうございました。

額賀委員長 次に、大口善徳君。

大口委員 公明党の大口善徳でございます。

 金曜日に引き続きまして、本日も質問をさせていただきます。

 まず谷垣法務大臣、十一月の八日の記者会見におきまして、大臣、若いころ、今も若いわけですけれども、一九八五年、いわゆるスパイ防止法が、反対、こういう意見を出されました。十一月八日の記者会見でそれについてお話をされたわけでございます。構成要件の明確性、情報公開制度の整備、これが重要だ、それから、外交、防衛に関する機微な情報については、政府と野党党首との情報共有のあり方、これも検討しなきゃいけない、国会のコントロールのあり方、これも大切だ、こういうことでございました。

 そういう点で、十月二十五日に閣議決定されて、大臣は御署名されたわけでありますが、この構成要件の明確性あるいは情報公開制度の整備、これはさらに私は進めるべきだと思います、その点。そしてまた、政府あるいは野党党首との情報共有やあるいは国会のコントロールについてお伺いしたいと思います。

谷垣国務大臣 今、大口委員から、私の若いころの論文について言及していただきました。

 当時、スパイ防止法というものが出ておりまして、私は、それに対して、二つの面から問題提起といいますか、二つの面が重要だということを申しております。

 一つは、機密に当たる、あるいは言論に影響を与えるものですから、構成要件の明確性が必要だということを申しました。それからもう一つは、こういう民主主義社会では情報の公開というのが原則であって、それが十分でないのに機密保護の方だけが先走るのは、議論の立て方としてあべこべではないかというようなことを申し上げたわけでございます。

 それで、これは当時の考え方が今もそのまま適用できるのか、あるいは当時の考え方をそのまま適用すると、特に今回の法案に批判的な方々からは、おまえの見解でいけば今度の法案も否定されるべきではないかというようなお問いかけをいただくことがございます。

 ただ、当時は情報公開法というものもございませんでした。今は情報公開法というものもあり、また公文書管理法というものも施行されておりまして、情報公開をめぐるその状況は大きく変わってきているというふうに考えております。

 そして、構成要件の明確性という点で申しますと、これは、全然情報公開の定めがない中で、機密保護のところにどこまで明確性を与えるのかというのも、若干当時の状況とは違うところがございますし、この法案の議論の過程の中で、構成要件を明確にし、言論に対する萎縮効果がないようにいろいろな工夫をされてきている、こんなふうに認識しております。

大口委員 次に、今回、「正当な業務による行為とするものとする。」ということで、第二十一条二項で規定をされました、「出版又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。」ということで、安倍総理も十一月七日、報道機関による通常の取材行為は処罰対象とするものではありませんと明確な答弁をいただきました。

 そして、十一月八日、本委員会で、私から森担当大臣に対しまして、専ら公益を図る目的を有し、取材行為が法令違反でなく、また著しく不当な方法によるものでない場合は正当な業務行為であり、そのような場合、報道機関のオフィス等にガサ入れ、捜索、差し押さえが入ると著しい取材の自由の侵害となる、そういうことはないということを明言していただきたい、こういうふうに質問いたしましたら、森大臣は、国民の知る権利に資する取材、報道の自由をしっかり尊重するということを条文に規定したので、報道機関のオフィス等にガサ入れが入ることはない、こう明確に答弁していただいたわけでございます。

 この点、国民の知る権利に資する報道、取材の自由の保障の観点からは非常に重要なことでありまして、取材相手の公務員が特定秘密の漏えいをしたとして逮捕されたり、捜査の対象となった場合、この正犯の証拠の収集のために、この取材者の職場である報道機関のオフィスや自宅を捜索する、捜査の対象とする、捜査の手が及ぶということがないことにつきまして、まず、検察を所管する法務大臣から御答弁いただきまして、その後、警察を所管する古屋国家公安委員長に答弁をいただきたいと思います。

谷垣国務大臣 今捜査で報道機関などに強制捜査が入ることはあり得るのかというお問いかけでございます。

 これは、あくまで、具体的な事例に即して検察において判断すべきもので、法務大臣として一概に申し上げることは難しいんです。

 ただ、今、大口委員が挙げられた今回の法案の二十一条の規定もございます。それから、最高裁判例としては、昭和四十四年のいわゆる福岡駅事件の最高裁判例で、「事実の報道の自由は、表現の自由を規定した憲法二一条の保障のもとにあることはいうまでもない。」それから「報道のための取材の自由も、憲法二一条の精神に照らし、十分尊重に値いするものといわなければならない。」こういうことを述べております。

 したがいまして、当然のことながら、先ほどの、今度の法案の二十一条あるいは今の最高裁判例の趣旨を十分に踏まえながら捜査が展開されるということになると考えております。

古屋国務大臣 今、法務大臣が答弁されたことに尽きると思うんですけれども、警察を管轄する国家公安委員会としては、まず、具体的な捜査の内容については、個別事案に即して判断をする必要があると思いますけれども、こういった違反事件の捜査に当たっては、この法案の趣旨をしっかり踏まえて、取材の自由というものに十分に配慮がなされるということを私どもとしても警察にしっかり指導していく必要がある、こういうふうに考えております。

大口委員 委員長、ありがとうございました。

 次に、取材源の秘匿についてお伺いします。

 民事訴訟におきましては、最高裁の決定、平成十八年十月の三日、取材源の秘匿を認められているわけでありますけれども、刑事訴訟手続におきましても、私は、取材源の秘匿を認めるべきである、こういうふうに考えております。公務員の特定秘密漏えい罪について、取材源について、記者を法廷に喚問した場合、通常、記者は取材源の証言を拒否するわけでありますね。その場合も、証言拒絶罪、刑訴法百六十一条とならないと解すべきではないかと思います。そういう点で、検察としても、取材源の証言をその記者に求めるべきではないと考えますが、いかがでございましょうか。

谷垣国務大臣 今の大口先生の御質問は、現行の刑事訴訟法の解釈としておっしゃっているのか、あるいは、立法論としてそういうものを求めるべきだとおっしゃっているのか、私ちょっと今よく理解いたさなかったのでございますが、いずれにせよ、先ほど申し上げたような、昭和四十四年の博多駅事件の判決、それから、今度の法案の二十一条ですか、そういうものを前提としますと、当然、今のような証言拒絶罪についても、今のような法の精神というものは十分に尊重されなければならないものであろうと思います。

大口委員 今答弁を聞いておりまして、この法の二十一条の一項、二項というのは、ただ単に訓示規定ではなくて、本当に、捜査機関あるいは裁判所等々が遵守しなきゃいけない解釈の指針であるということが明確になったと思います。

 大臣、ありがとうございました。

 次に、指定解除についてでございますけれども、法第四条四項により、行政機関の長は、特定秘密の要件を満たさなくなった場合には、速やかに指定を解除することとされています。

 この解除のためには、特定秘密の指定について不断のチェックが必要と考えます。例えば、特定秘密の定義として、公になっていないものがあるため、例えば米国等他国において情報が公になれば、我が国でもすぐに指定を解除する必要があるわけです。例えば戦闘機のコックピットについて、米国では撮影基準が変更され撮影可能となったにもかかわらず、日本では撮影制限があったという事例がありますように、指定の解除をすべき情報が指定されたまま、解除すべきものが指定されたままになってはいけません。

 本法案の施行後、各省庁にどのようにして不断のチェックを行うのか、また、その際、国民主権の観点から、可能な限り公開するとの立場でチェックする必要があると思いますが、森担当大臣、お願いいたします。

森国務大臣 委員御指摘のとおり、可能な限り公開するとの立場で不断にチェックをしていかなければならないと思います。

 そのため、本法案では、有効期間を一たん指定いたしますが、その期間内であっても、別表該当性、非公知性などの三つの要件、その要件を失った場合には、速やかに解除すべきというふうにしております。この解除について、具体的に有識者の意見を反映させた基準をしっかりと定めてまいりたいと思います。

大口委員 そういう点で、有識者会議は非常にいろいろ重要な任務を負っているわけでございます。

 そこで、この有識者会議のメンバーなんですが、例えば、安全保障の情報に関する保護ということを一つとりましても、データリンクでありますとか、陸海空、宇宙、サイバー空間の、その装備の構造とか性能でありますとか非常に幅広うございます。そういう点で、運用統一基準を作成するに当たっては、こういう安全保障に関する各分野の専門家の意見も聞かないといけないと思います。そういう点で、このあたりの選任についてどうお考えなのか、お伺いします。

 もう一点は、有識者会議は、各省庁が特定秘密に関する運用統一基準に従っているかについて、内閣情報調査室が監督を行うわけですね、運用基準にのっとっているかどうか、それを点検するということも有識者会議でやる、こういう仕事だと聞いております。

 有識者会議が、特定秘密の指定、更新、解除等の状況について定期的に報告を受けることになるのでしょうか。また、有識者会議が報告を受けて、意見を述べることになるのでしょうか。お願いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 有識者につきましては、安全保障に関する情報の保護や、情報公開、文書管理、報道、法律等の幅広い分野の専門家の中から適任者をお願いしたいと考えておりますが、先生御指摘のように、安全保障のそれぞれの分野につきまして、適任者の選任も含めまして、今後鋭意検討してまいりたいと考えております。

 それから、実施状況の監督でございますが、特定秘密の指定、更新、解除等の本法案の実施状況につきましては、件数その他参考となる事項を定期的に公表することを検討いたしております。

 こうした本法案の実施状況につきましては有識者会議にも報告をいたしまして、有識者会議の方からも御意見を伺いまして、運用基準の見直し等の参考としたいと考えております。

大口委員 もう時間も参りましたのでこれで終わりたいと思いますが、有識者会議というのは極めて権威のある会議にしなきゃいけない、私はこう思っております。その点、大臣、一言。

森国務大臣 有識者会議は、権威のある会議にしてまいりたいと思います。

大口委員 以上をもって私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。

額賀委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 まず冒頭、きょうは警察庁の長官と公安調査庁の長官にもお見えをいただいていますので、まず最初に質問をさせていただきます。

 その間、もし大臣、あれでしたらどうぞ。

 まず、警察庁の長官にお伺いをしたいんですが、現在の都道府県の秘密情報のやりとり、これはどれぐらいあるんですか。例えば、警察庁と道府県警、あるいは自治体を超えた広域的な形での県警レベル同士の秘密情報という枠でいきますと、どれぐらいの数があるものでしょうか。

米田政府参考人 警察庁と都道府県警、あるいは都道府県警間の情報のやりとりは、大変膨大なものがございます。その中で、秘匿を要するものの件数をお尋ねでございますが、ちょっとその数を数えているわけではございませんので、数についてはわかりません。ただ、かなりの件数があろうというように思っております。

渡辺(周)委員 それもお答えできないということでありますか。それとも、私の質問通告が、秘密情報のやりとり、共有はどうなっているというテーマでございまして、ざっくりした聞き方ですから件数まではということかもしれませんが。その場合は、これは秘密の情報のやりとりであるということは、やはり何らかの指定をしてやっているということでしょうか。実際、共有していることはどういう例ではあるんでしょうか。例示していただければと思います。

米田政府参考人 今、特定秘密保護法案のようなものがあるわけではございませんので、これはどういう秘密というような区分があるわけではございませんが、秘匿の程度はいろいろあろうかと思います。

 その中で、特に秘匿を要するとすれば、例えば、外国の情報機関、治安機関から警察庁が得た情報、これを都道府県警察に、その一部でしょうが提供をするというような場合、あるいは、各県警それぞれではさほど重要ではないかもしれない情報を警察庁に報告されます。その報告を集約した場合にかなり重要な情報になる場合があります。それをまた都道府県警に提供するというようなことはございます。

渡辺(周)委員 残念なことに、捜査情報がいわゆる対象となる方に漏れた、相手方に漏れてしまっている、あるいは、漏れてしまっているというよりも意図的に流して、捕まることを見逃すといいましょうか、実際、こういう残念なケースが近年にも何件も散見されるわけであります。今、もしこの秘密保護法ができた場合には、そういう事例というのはなくなるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

 ただでさえ、実は私の身内も元警察の人間がおります、義理の父親でございますが、ですから、警察官にも一定の守秘義務といいましょうか、捜査情報は絶対漏らしてはならない、やはりその立場に立つ者はひときわ厳しい規範が求められているということはもう重々承知の上で伺っていますが、最近、余りにも、言いたくはないんですが、残念なことに警察の不祥事というものが頻発というか続いている、なくならないという中で、この点について、この秘密保護法ができたらこういう件はなくなるというふうに期待をされているんでしょうか。

米田政府参考人 もとより秘密情報につきましては、その共有範囲をできるだけ限るということは現在でもやっているところではございます。この特定秘密保護法案が成立、施行されましたならば、かなり厳格な管理がなされますので、漏えいというおそれはかなり少なくなるとは思います。

 ただ、制度だけでそういう漏えい防止というのは図られるものではございませんで、例えば、そのシステムを厳格なものとする、あるいは人的な教育訓練といったものも行うということをあわせて、そのような漏えい事案の絶無を期していきたいというように思っております。

渡辺(周)委員 今でもある一段高い機密保護の規則があることはよくわかっています。しかし、残念ながらこういうことが起きて、当然、贈収賄等の対価があれば、収賄等の対価を得たことによって刑事罰にも問われている方々もいらっしゃるということも承知をしております。

 今、お考えを伺いました。

 それで、ちょっと伺いたいんですが、この後の質問の中で伺うのは、通告がないんですけれども、実は法案の罰則にございますが、もし長官が今手元に御答弁の用意がなければ、どなたか参考人の方でも結構でございます。

 この後の、きょうの質問に限らずですけれども、第二十三条、罰則ですね。「人を欺き、人に暴行を加え、」云々。その中に「有線電気通信の傍受、」というのが、これは罰則ですが、「有線電気通信の傍受、」というのは、これはいわゆる固定電話、入った場合は刑法で住居侵入の罪に問われる。そして、それを第三者にしゃべった場合は有線電気通信法という法律に触れるんですが、携帯電話がこれだけ普及している中でここには携帯電話が出てこないんですが、一般論で言うと、携帯電話の傍受、携帯電話の盗聴、これはいかなる罪に問われるのか。

 これを得た人間が第三者に他言しなかった場合、他言した場合は電波法に問われるということはわかっておりますが、その場合は罪に問われるんでしょうか。一般論でも結構です、お答えいただければ。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 電気通信事業法におきましては、電気通信事業者の取り扱い中に係る通信の秘密を侵した者は、二年以下の懲役に処されますので、処罰対象となります。

渡辺(周)委員 今の関係ですと、携帯電話の中身を、例えば、秋葉原へ行くと盗聴できるようなトランシーバーが売っていますよね。実際、それを持って人の携帯電話のやりとりを聞いていることをしている人たちもいます。実際、そういう例というのは私も見たことがあるんですが……(発言する者あり)いや、いろいろなそういう器具を持っている方がいるんですけれども、本当に聞けるんですね。

 これは、例えば、極端な言い方、趣味で聞いている人はいいんですか。つまり、それを他言したりした場合、これは電波法に問われます。「その存在若しくは内容を漏らし、」ということがありますけれども、盗んだ場合は、これはいかがですか。要は、聞いてしまった場合というのは、これは罪に問われるんでしょうか。

鈴木政府参考人 ちょっと御質問があれですが、先ほどの電気通信事業法は故意犯でございますので、故意、認識を持ってやった場合にのみ処罰対象になろうかと思います。

渡辺(周)委員 わかりました。この点は、ちょっとまた改めてやります、きょうはこれは本題ではないので。

 もう一回、警察庁長官に結びに伺いますが、最長三十年にわたって公開すべきでない情報というのがあるとすれば、警察としてはどの分野だというふうに、どういう情報であるというふうに考えていらっしゃいますか。

米田政府参考人 これは、特定秘密に該当するかどうかにかかわらずということでよろしゅうございますでしょうか。

 例えば、人的情報源に関する情報などが考えられます。警察の情報作業は、非常に息の長いものもございます。その間の人的情報源の安全確保、あるいは、それが知られることによって相手方に対抗措置をとられることを防止するために、それは相当の期間秘密にしておかなければならないと考えております。中には三十年を超えるものもあり得ると思っております。

渡辺(周)委員 それは恐らく、警察への協力者、あるいは、何らかの組織犯罪の内情を知る人間が、例えばそれを伝えた場合に、その人間に対して危害が加えられる、もしくは捜査における情報源がなくなるということなんだろうと理解をいたしました。

 警察庁長官、もう結構でございます。

 続けて、公安調査庁に伺いますが、公安調査庁の特定秘密というのはどういうものが想定されているかということが一点。それから、三十年を経過して公開できないというものはどういうものか。同様の質問でございますが、お答えいただければと思います。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 公安調査庁は、破壊活動防止法及び無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づきまして、破壊的団体または無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する調査などを行っております。

 そのような所掌事務との関係で、別表第三号、特定有害活動の防止に関する事項、あるいは第四号、テロリズムの防止に関する事項、これらの事項に関しまして特定秘密があり得るところと考えております。

 それから、三十年経過後の情報の取り扱いでございますけれども、情報によりましては、三十年を経過した後もやはり指定の要件を満たして、有効期間の延長が必要となるものがあり得るというふうに考えております。

 具体的には、今後策定される統一的な運用を図るための基準を踏まえながら検討してまいりたいと考えておりますけれども、例えば、統一基準におきまして、情報提供者に関する情報、情報源に関する情報、こういったものが指定から三十年を超えても特定秘密とされ得ると整理された場合には、その基準に従って対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 どうもありがとうございました。公安調査庁長官、もう結構でございます。

 今いろいろな意見を受けて、今度は、担当大臣に残りの時間で伺いたいと思います。

 前回、法案については代表質問で私も述べましたけれども、私どもも与党を経験し、そしてまた私自身も防衛省の三役を十三カ月務めましたから、世の中には表にできない秘密がある、機密がある、これはもう私自身も承知をしております。それによって、他国との信頼関係あるいは国の外交、安全保障、国家の治安維持、これに対して国益を損ねるようなことがあってはいけないということは、承知の上ではございます。

 その上で、あえて聞きます。そもそも論です。きょうは委員会ですから、各論を伺いたいのは、情報というのの、範囲じゃないです、形状を伺いたいんですね。

 つまり、情報というのは、この法律案を見ますと、第三条の二項に出てきます。「政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録若しくは」云々、こう書いてありますが、これは、つまり、落とし込まなくても、情報ということでよろしいのか、紙媒体であるとかフロッピーディスクであるとか記録映像とか、そういうものは別にして。

 つまり、会議であるとか、これは後ほど小野寺大臣にも伺いたいのは、例えば演習であるとか、今からこれは特定秘密にしますよということで、何らかに集約したものでなくても、それも情報ということで理解されているのか、理解していいのかどうか、そこはいかがですか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 電磁的記録が対象となっておりますので、媒体に化体していないものも含まれます。電子的状態の情報も、そのままの情報として特定秘密の対象になり得ます。

渡辺(周)委員 つまり、私が例示した会議だとか、例えば、どこかで演習をやった、あるいは図上演習でもいいですよ、こういうものも特定秘密になり得るということでいいですか。それも情報だということでよろしいですか、今の答弁だと。大臣、いかがですか。

森国務大臣 紙に記録されていなくても情報でございます。

渡辺(周)委員 それは、つまり、この法案でいくと、特定秘密である情報を記録する、記録されるものであれば、全て情報だということでよろしいですか。確認です。

森国務大臣 三条でございますけれども、先ほど委員がお読みになった、「特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録」と書いてありますけれども、二号の方も、「前号に掲げる措置によることが困難である場合」というものもありまして、落とし込まなくても情報でございます。

渡辺(周)委員 ということは、会議であるとか演習であるとか、そういうものも情報であるということだと思います。

 そうしますと、これは小野寺大臣にも伺いたいのですが、例えば事前に特定秘密に指定することはできるのでしょうか。つまり、この項には、事後に指定するとは書いていないんですね。「行政機関の長は、前項の規定による指定」とありますが、指定というのは、事前に指定することもできるというふうに読めますけれども、それでよろしいですか。

 つまり、今これから行う会議は特定秘密の会合です、そこに出てくる、見るものの資料が特定秘密であると。いや、それ以上に、この会議は秘密であると。ですから、いつ、どこで、誰が集まって、やったかやらないかについても、これは特定秘密だということができるか。つまり、会議録が秘密なんじゃないんです。その行った会議自体も、会議として、もうそれ自体も情報とすれば、特定秘密に指定できる。ならば、これを事前に指定することができる、前もって、今から行うことは特定秘密です、あった、なかったことも言えません、言ってはなりません、言った場合は懲役十年になりますということになる可能性もあるんですか、そこはいかがですか。

 大臣、どちらの大臣。

森国務大臣 会議については、通常、会議録に落とし込んだもの、つまり文書に落とし込んだものが特定秘密になると思いますけれども、本法案で、事前に、まだ落とし込む前の段階で情報が特定秘密になる場合としては、このような場合があります。

 例えば、自衛隊の装備品の製造業者に性能等に関するデータを計測させる。データが、計測させた時点で、直ちに特定秘密として保護の対象としなければならない。そういう場合に、事前に指定をして、データになったときには、そのデータ自体が特定秘密になるという場合が考えられます。

渡辺(周)委員 いえ、ですから、中身は言わないけれども、全てここから起きることは特定秘密に指定しますよということで事前に指定されることは、当然あり得るわけですか。あり得るわけですね。

森国務大臣 三条の二項の二号に指定してある「前号に掲げる措置によることが困難である場合」ということで限定的になっていますが、そのような場合は事前に指定を行うことが可能でございますが、一号で措置をすることが困難である場合に限ります。

渡辺(周)委員 私が聞きたかったのは、では、どこからどこまでというか、範囲の話がされていますけれども、事前に指定をしてしまえば、その会合自体があったこと、そういう協議がされたこと、誰と誰がいつ会ったかということまでも特定秘密とすれば、中身の問題以上に、その中身を扱うものすら全部がこれは特定秘密になるのではということを申し上げているのですが、小野寺大臣、要求しましたので、その点についてはどうですか。防衛省の中において、そういうことはあり得るんでしょうか。

小野寺国務大臣 通常、今防衛省は、特定秘密の移行前に防衛秘密という形で対応しているのは、委員も大変御存じだと思います。

 例えば、何かの作戦計画を考える場合、この作戦計画がいわゆる事項指定の中に含まれる場合は、その作戦を作成していく段階自体で既に中身自体が現在でいえば防衛秘密に当たりますので、当然、事前に防衛秘密という形で指定をするということが可能だと思っております。

渡辺(周)委員 ほかにも質問がありますから同じ質問はしませんが、その会合すらあったなかったということも日程表に全く載ることもなく、中身については答えられませんということは我々も何回も経験しています。しかし、例えばその会合があったことすらも、要は特定秘密とされると、それは全く日程の中から削除される、なかったことになるということじゃないのかなと思うんです。

 もっと言えば、例えば演習をやる。しかし、これは対外に余り公表していない。ましてや、相手国を、例えば近隣国を刺激することになるから、何らかの演習を公表しない。しかし、してはいないけれども、実際大規模にやっていれば、当然そこを通っている船舶やら何やらは知っている。どこからか、あったんですねと言われたときに、それについてもお答えできませんと特定秘密にしてしまう。

 つまり、やったことはある、ないとは言わないけれども、中身については言えませんというなら、まだわかるんです、何の目的でというのは。ただ、それすらもあるかないか言えませんということは起こり得るということでいいんでしょうか、もし特定秘密にされれば。

小野寺国務大臣 私どもの防衛秘密は、いわゆる事項の中で整理をされております。

 そして、例えば作戦等につきましては、その計画や中身については、内容によっては防衛秘密ということに指定されると思いますが、例えば演習をやっているかやっていないかということについては、私どもとしては、聞かれれば、演習をやっているということは当然、内容は別にして、明らかにすることになると思います。

渡辺(周)委員 聞けば聞くほどいろいろ質問の次の材料が湧いてくるので、きょうはこれ以上やりません。もう残り時間の中でやりますが、あと、第四条四項を聞きます。

 「要件を欠くに至ったとき」というのがありますね、秘密でなくなるときですけれども。例えば、報道がスクープをした、あるいは相手国でもスクープされた、しかし公には認めていない。よくあるのは、報道は承知しているけれども、事柄の性質上、詳細についてはお答えしませんというお答えをいただきましたし、では、私たちの政権のときになかったかというと、同じ答弁をしたことも、もうちょっと工夫して答弁したと思いますけれども、あります。

 そうすると、どの時点で要件を欠くというのが、つまり、公が認めたとき、それとも表に出てしまったとき、どちらでしょうか。

 例えば、ある方が本を書きました。自分の半生記で、引退された国会議員が実はと、何とか秘話みたいなものを書きました。それはその方が書いたんだけれども、公には認めていない。その場合に、これは「要件を欠くに至ったとき」になりますか、なりませんか。

森国務大臣 非公知性の要件を失った場合の判断基準ですけれども、当該情報が不特定多数の人に知られていない状態にあるか否かにより判断をするものです。

 お尋ねの具体事例においては、総合判断だとは思いますけれども、同一の情報が不特定多数に知られた場合には、それは非公知性を失うというふうに考えます。

渡辺(周)委員 例えば、報道のスクープはどうなりますか。

森国務大臣 報道のスクープにおいても同じだと思います。

 特定秘密に指定されている情報と同一の情報が不特定多数の者に明らかになった時点で、非公知性が失われると考えます。

渡辺(周)委員 それは一社だけのスクープではないけれども、後追いをして、例えば抜かれた報道機関が同じように関係元に当たったら実はそうであった場合は、これはいわゆる「要件を欠くに至ったとき」であるというふうに理解してよろしいんですね。

森国務大臣 特定秘密と同一の情報であるかどうかの判断は、行政機関の長が判断するものだと思います。

渡辺(周)委員 非常に抽象的ですが、もう時間がなくなってきました。これは、次のときにまた伺います。

 では、ちょっと具体的に答えていただきたいのは、第五条関係です。

 この法案に出てきますが、第五条四項です。「物件の製造又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していること」云々とありますが、この物件の製造もしくは役務の提供を業とする者とは具体的にどういう職種がありますか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 自衛隊の装備品の製造や修理を行う防衛産業の企業であるとか、情報収集衛星を製造する企業などが当たり得ると考えます。

渡辺(周)委員 それでは、防衛省と取引をしている、私も防衛装備品工業会なんというところの皆さんとも何度もお会いしました、例えばこういう会社がある。

 これは本会議でも申し上げましたけれども、大臣は、適性評価を行った場合に、そもそも人事考課等に影響がないと言うんですけれども、今答弁されたような民間事業者に対して、例えば適性評価に同意しなかった、あるいは適性評価をやったらはねられた、それによってその会社の中で特定秘密を扱う部署の仕事はできなくなってしまったということになった場合に、そもそも人事考課等に影響はないと。もしかしたら、これは公務員の中だったらそういうことができるのかもしれませんが、民間の人間に対してどのようにそれを担保できますか。大臣にちょっと。

森国務大臣 特定秘密を取り扱う民間事業者の従業員の適性評価は、適性評価自体は民間事業者が行うものではございませんで、行政機関の長が行います。民間事業者にはその結果のみ、または、同意をしなかった場合には同意をしなかった旨のみが知らされます。その結果と、同意をしなかったということで、人事考課等に利用することができないというふうに、十六条の二項においてそれを禁止しております。

 もしそういったことが行われた場合に法律上適切な措置がなされる、例えば民事上の不法行為として会社に対して損害賠償責任訴訟を起こすといったことが考えられると思います。

渡辺(周)委員 民間にどう担保できますかと言ったんです。

 民間の方が、具体的に言いますよ、渡辺さんという人が、今度防衛省の例えばシステム開発にかかわる。ところが、防衛秘密にかかわるところだから、彼はそういう適性評価が必要だ。いやいや、私の酒の量まで調べられても困る。ここに出てくるような「知人その他の関係者」というと、行きつけの地元の居酒屋さんから私の飲み仲間まで全部洗われる。会社の同僚に、あいつは酒癖どうですかと聞かれて、いやいや、そこまでされるのは勘弁してくれ、そんなことまでするんだったらこの部署を外れたいといって、例えば同意しなかった。彼は何だ、この会社でチャンスをやったのに自分から断った、ではちょっと悪いけれども彼はリストラ部屋の方に行ってもらおうとなります。そういうことが起きる可能性はあるわけです。

 そのときに、どう人事考課に影響しないように、その長は、ここまでやるんですから、やはり何らかの人事考課に影響のない担保というのはどうするか。そもそも起きないではなくて、どうするかということ、どうできるかということは、会社に民法、損害賠償なりを行うのは、これは本人ですよね。それは、最後は本人の責任なんですか。そこまで自分でやってくださいということになるんですか、今の答弁だと。

森国務大臣 これは、本法案上、十六条二項において、通知された適性評価の結果または適性評価の実施に同意しなかったことを民間事業者が特定秘密の保護以外の目的のために利用または提供することができないということで禁止をしておりますので、そのことをもって担保しているということでございます。

渡辺(周)委員 確認ですけれども、それでは、こういう法律に基づいて、おたくの社員の渡辺さんという方がこうなりました、しかし、この方を不利益な処分にしたら、人事考課に影響を与えたら法律違反になりますから、それはありませんねということを相手方に言うということですか。つまり、どう担保をとるかということなんです。そこはいかがなんですか。

森国務大臣 委員の今の御質問の趣旨は、相手方というのは事業者のことでしょうか。(渡辺(周)委員「そうです」と呼ぶ)はい。

 この法案に禁止をされていることを、委員の御指摘もありますので、しっかりと徹底してまいりたいと思います。

渡辺(周)委員 時間が来ました。

 徹底してまいりたいじゃなくて、そこのところをちゃんと答弁されないと、ここのところはどうも納得がいかないわけであります。

 また次の委員会質問があるときに、この続きをやりたいと思います。

額賀委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民主党の近藤昭一でございます。質問の時間をいただきましたことをまず感謝申し上げたいというふうに思います。

 今、同僚であります渡辺議員もいろいろと質問をしていて、質問の趣旨は、いろいろな懸念がある、そのことをどう担保しているか、法律的にどう担保しているか、こういうことであったと思うんですが、私も大臣に質問しますので、提案者の後藤さんは退室していただいても結構であります。いいですか、委員長。

額賀委員長 はい、どうぞ。

近藤(昭)委員 懸念を持っていることについて質問したいと思います。

 この法案は、国の安全保障にかかわる秘密の漏えいを防ぐ管理体制が不十分という理由から策定されております。

 安倍首相は、十月二十一日の衆院予算委員会で、同法案について、各国の情報機関との情報の交換、政策における意見の交換を行っていく上では、秘密を厳守することが大前提だ、NSCの機能を発揮させるにはどうしても必要ではないかと考えていると説明をしておられます。

 私も、国家が安全保障上の機密を有することは否定されるものではないと考えます。また、国家機密を扱う以上は、機密を扱う者の適性を審査することも必要でありましょう。

 であるからといって、守秘義務に関する国家公務員法や国会規則の見直しを経ずに、不十分な情報公開法や公文書管理法を現状のままにしておいて、行政府が立法府の言論や監督権限を一方的に制約する機密法制が正当化されることにはならないと思うわけであります。安全保障上の理由で国家がさまざまな情報を秘密に指定し、国民の知る権利、いわば主権在民とのバランスが崩れていくことに危惧をしておるわけであります。

 特に、八日の本委員会で町村委員が、国民の知る権利について、国家や国民の安全に優先するという考え方は基本的に間違いであると述べておられますが、私はいささか違和感を抱いた次第であります。本法案のままでは、国家による人権侵害や官僚の不正行為までが隠蔽されるかもしれないからであります。

 閣議決定に先立って九月に行われたパブリックコメントでも、わずか二週間という短い時間でありましたが、九万件以上の意見が寄せられました。そして、そのうち八割近くが反対意見であったということであります。

 市民の危惧するところは本当に法案に反映されているのでしょうか。本法案は、本当に国民の知る権利を侵害しないのか、人道や人道主義に反しないのか、まず私はこの原則的なところから大臣に質問したいというふうに思うわけであります。

 それで、この間も委員会のやりとりの中でもいろいろと出ているわけでありますが、改めて、一般論として、国家にとって機密にすべき情報とはどういうものかということをお尋ねしたいと思います。

森国務大臣 政府はさまざまな情報を持っていると思います。個人に関する情報もあれば、国の安全に関する情報、他国との信頼関係に関する情報、公共の安全と秩序の維持に関する情報など、さまざまな情報を保有しておりますが、これらの情報のうち、特に、非公知の事実であって、実質的にそれを秘密として保護するために、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要なものを特定秘密として保護したわけでございます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 冒頭申し上げましたように、私も秘密があるということを否定するわけではないですし、国家として機密、秘密にしておくものがあるということは、必要、あるいは必要な場面、必要な時間というものがあることは否定しませんし、そうあるべきだというふうに思います。

 ただ、今おっしゃったこと、大臣の答弁の中には漠然としたものが多いわけでありまして、今も少し例は挙げられましたが、国家として特に秘匿すべきものである、それが秘密にすべき情報だ、こういうふうにもおっしゃったわけでありますが、そうすると、考え方として、この秘密はどういう目的で、何のために秘密にしなくてはならないからこういうふうに機密に指定するんだということ、この間にもそれぞれの委員がおっしゃっていることでもありますが、改めて、私としての考え方をちょっと申し上げたいと思います。

 国家の秘密というのは、国民の生命、財産、安全を守るために必要なものである、これは大臣もおっしゃっているようなことでありますが、そして、それをやはり秘密にするというのは、国民のために秘密にするということであると思いますね。そしてまた、こうした中で、ある種の機密が指定されて、そこにアクセスすることが制限される、いわゆる制限を受ける国民の側があるわけであります。

 ただ、そういう意味でも、究極的には、ある種アクセスが縛られる、そうした国民もしっかりと、その秘密がなぜ秘密にされているのか、あるいは将来的に、時間がたった後に、ああ、なるほど、こういうことで秘密になっていたのか、こういうことが共有されなくてはならない。冒頭申し上げましたように、この国の主権者は国民であるわけでありますから、縛られる主権者である国民がやはりきちっとした情報を持っている必要がある。

 しかし、その中で、時間的に、場面的にそうしたものがある種の制限を受けるということは、やはり私は、秘密が守られても、その中で、ある種平穏な国民生活が根底から崩されるような人権侵害が起こってしまうようなことがあってはならないと思います。

 そして、そういうことに対して、必ずしも十分にそういうことが担保されているのか。先ほど同僚の委員の質問の中にもありました。そういう過程で、いわゆる民間の中で調査を受けないということによってその人の立場が、不都合な処遇を受けないとか、そうしたことも含めて、いろいろな意味で担保がされていないのではないかと思うわけです。

 少々長くなりましたが、もう一度お伺いをしたいのは、その秘密というものはなぜ秘密にするのかという最大の目的。

森国務大臣 この委員会でも繰り返し述べていることなんですけれども、国民の生命、国民の財産の安全と、国家の存立のために秘密にする必要があるものでございます。それを、例えばということで別表に規定をいたしましたけれども、別表に規定したもの、さらに国家安全保障上必要であるもの、それから非公知性があるものという三要件を挙げて、特定秘密に行政機関の長が指定できるものとしております。

 私も、先ほどもほかの委員の御質問にお答えをしましたけれども、国民のためであると。特定秘密、国家機密の保全というものも、究極的にはもちろん国民のためです。そして、一方では国民の知る権利というものがございますので、その知る権利を害さないように、そこの究極のバランスをとっていかなければならないということで、さまざまな措置を講じたわけでございます。

 特定秘密というものが例えばどういうものに当たるのかということであれば、テロとかスパイとかというようなものに関する情報で、それが時間的にこの瞬間に明らかにされた場合に、テロに手のうちをさらすことになって国民を危険にさらすとか、それから、他国に情報が漏れてしまって、その間隙をついて何かしらの危機的な状況に陥るとか、そういう場合には国家機密として保全をされなければならないということなんだと思います。

 しかし、委員御指摘のとおり、それがなぜ秘密にされているのかということ、そして、具体的にどの秘密、どういった事項が秘密にされているかということは、できるだけ国民に明らかにしていく、秘密というものをできるだけ狭くしていく、少なくしていくということが必要であると考えております。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の決意といいましょうか、できるだけそういう幅を狭くしていく、それが知る権利を阻害することのないように、できるだけそういうことをしていくというのは、決意としてはよくわかります。

 ただ、先ほどのことと同じなんですが、これは、まさしく国民の権利、基本的人権の中の一つである知る権利というものに制限を加えていくわけでありますから、それは慎重といいますか、きちっとしたシステムがないといけないと思うんです。それを、できる限りそういうことをしてまいりますということでは、なかなか私は納得できないわけであります。

 そして、この間の答弁の中にもあるわけでありますが、特定の秘密を何にするかということは、専門家の意見をこれから聞くということであるようでありますけれども、では、これからというものが、どういうことの基準がつくられてくるのか。そして、その基準がつくられて特定機密と判断しても、それがまさしくその基準でそう指定されているのかどうか、これをチェックする機関がないんだと思います。ありますか。

森国務大臣 これから明らかにされていくという御指摘でございましたけれども、別表で明らかにされていき、先ほどのような非公知性の要件も加わっていますが、今さまざまな具体例を挙げて御質問、御懸念が寄せられておりますので、有識者の御意見を聞いてさらに細目、具体化していくということでございますので、広がっていくということではないということは確認をさせていただきたいというふうに思います。

近藤(昭)委員 大臣、これからというのがまず問題だと思うんです。この法案で国民の知る権利を制限するわけでありますが、しかし、その基準はこれからつくると。まず、これからというのが問題だと思います。そして、これからどういうものがつくられるのかまさしくわからないわけでありますが、そうしたことを前提に国民の知る権利を縛っていく、このことを通すということは、私は理解に苦しむわけですね。

 そして、その基準がつくられて、それのとおりに指定されているかどうか、それをチェックする機関はないんですよね。

森国務大臣 その基準のとおりに指定をしていくのは、行政機関の長が責任を持って指定をしていくわけでございます。さらに情報公開法の適用もございまして、それは、不服申し立てをした場合に、インカメラ手続もございます。刑事訴訟法、民事訴訟法上のインカメラ手続もございます。また公文書管理法の適用もございます。

 さまざまなところでしっかりとチェックを受けながら、また、行政機関の長自体も、五年以内の有効期間ごとにチェックをしていくわけです。わざわざその三要件があるかどうかをしっかり確認して、更新していく。そして、三十年たったときには必ず、もうこれは原則解除というその原則の上に立って、延長するときには内閣の承認を得なければならない、閣議決定をしなければならないということで、重層的なチェックの仕組みを設けているわけでございます。

近藤(昭)委員 大臣、この法律の中にそういう仕組みがあるということはわかっているわけです。ただ、それが幾つか、幾つかというか、全く懸念を持つから言うわけです。基準はこれからつくられるということですし、そして、その基準をチェックする、公文書法との問題とか、五年ごとにチェックするんだ、五年ごとに延長すると。

 ただ、そうしたもののあり方として、これは多分、五年ごとに何万件ということのチェックが来るわけですよね、それぞれの長が判断するということでありますが。

森国務大臣 有効期間はその特定秘密の性質に応じて決められますので、五年以内でございますので、全ての文書が五年ごとに一斉に来るというわけではございません。

近藤(昭)委員 五年以内ということでありますけれども、私は、国民の知る権利というところでいうと、きちっとしたそういうシステムがつくられていかなくちゃいけないということで、さらにいろいろと聞きます。

 大臣は、いろいろなところで、それはしっかりとチェックするシステムをつくっていくんだ、あるいは、五年ごとにまたチェックをしていく、そして、三十年以上の場合は、総理大臣ですか、内閣全体ですかね、内閣のチェックがあるんだ、こういうふうにおっしゃるわけであります。

 今回、そうしたことをチェックするに当たって、今おっしゃった基準を設けて、有識者の人の基準を設けて、それに沿って省庁の責任者が決めていく、こういうことであるわけでありますが、これをきちっとチェックしていくということでいうと、いろいろな国が機密保護法というのをつくっておりますが、そうしたところでいうと、諸外国の例なんかはどのように研究なさったでしょうか。

鈴木政府参考人 諸外国の例でございますと、アメリカであれば、情報保全監督局というものがありまして、基準等について監督をしていると承知しております。

近藤(昭)委員 済みません、審議官、諸外国の例をどのように研究なさったか。

鈴木政府参考人 アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスについて調べまして、アメリカにつきましては、先ほど申し上げました情報保全監督局、それから秘密指定に関する省庁間上訴委員会というのが一定の範囲内で承認等の行為を行っております。

 また、イギリスにおきましては、内閣官房政府保全事務局が、セキュリティーポリシーの枠組みの修正や連絡調整に責任を持っていると承知しております。

近藤(昭)委員 大臣、今お聞きになっていたと思いますが、この法案をつくるに当たって、諸外国の例も研究している。アメリカの例もおっしゃったわけでありますが、アメリカには、機密指定の裁量の濫用を防ぐために、さまざまな機関、上院と下院にも特別委員会があるようでありますし、行政機関内部からの異議申し立て、情報保全監察局、必要的機密解除審査。

 情報は、本来は国民のものであり、それを公開するんだ、しかしながら一定の期間は機密にせざるを得ない、だから公開が前提だと思うんですが、今、この法案の中でいうと、五年以内ではあるかもしれませんが、逆に言うと、五年ごとに見直していって、どんどんどんどんそういう中でやっていく。何か機密を公開する前提というものが私は不十分だと思うんですね。

 このことについては、私はもっともっとまたこの委員会の中で質問してまいりたいと思いますが、間もなく質問の時間でもありますので、一つだけお伺いしておきたいことがあるんです。

 本法案における立法事実となる秘密漏えいの件数は、主要なものでも数件しかないということであります。

 例えば、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議に提出した報告書、秘密保全のための法制のあり方の資料として添付されている主要な情報漏えい事件は、十三年間で八件ということであります。うち、有罪判決二件、実刑判決となると一件。最大で懲役十年を科そうという秘密法制の立法事実としては余りにも根拠が弱いのではないか。

 二〇〇八年に起きた中国潜水艦に関する空自士官による情報漏えい事件についても、東京地検は、防衛秘密に係る問題を公判で立証するのは難しいとの理由で不起訴処分にしていることからも、厳罰化すれば大丈夫という話ではないだろうと思うわけであります。

 手続を重視する、こういうことならば、まず、国家公務員法を改正して守秘義務を強化するとともに、運用面や国家機密の指定と管理のあり方を見直すべきだろうと考えるわけであります。秘密漏えいに対する捜査や起訴、公判のあり方についても改善に向けた検証がなされなければならないと考えますが、大臣、いかがでありましょうか。

 特に、もともと、この間非常に情勢が厳しい、だから、秘密保護法をつくらなくてはならない。繰り返しますが、秘密保護法をつくることを否定しているわけではないんです。ただ、その間起こってきた今の事件の数等々、そしてまた、それに対する、それを真に防いでいくことのシステムに対して懸念を持っているということであります。

森国務大臣 立法事実でございますけれども、今御指摘になったのは漏えいの防止の方でございまして、もう一つ、情報共有、つまり情報の入手の方もございます。

 まず、漏えいの防止の方について申し上げますと、近年、今御指摘のように、国際情勢が複雑化をしておりまして、国家間の関係が多様化してまいりました。その中で、国際テロ等の新たな問題が発生し、またそれが国をまたいで発生するなどの、安全保障に関する重要性がより増大をしております。

 この外国情報機関等から工作を受けた公務員における情報漏えい事案は、従来から発生をしておるということで今御指摘を受けましたけれども、過去十五年間で公務員による主要な情報漏えい事件が御指摘の件数発生したこと自体、私はこれは大変ゆゆしき問題だと思っております。

 そして、さらに、今日以降、今、高度通信ネットワーク社会が発展をしているという現状を踏まえますと、こういった情報漏えい事件が今後もし起こったとするならば、その被害は甚大なものとなるわけでございます。これが漏えいの防止についての答弁でございます。

 もう一つ、御指摘以外に、外国との情報共有という問題がございまして、また、国民の安全、国家の存立に対する重要な情報も入手をしなければいけないわけでございますが、外国との情報共有をする上で、情報が各国において保全をされていることが前提に行われていることに鑑みますと、秘密保全に関する法制を諸外国並みに整備し、人的、物的管理制度の整備と罰則の強化を図ることは喫緊の課題であるというふうに考えます。

近藤(昭)委員 大臣、さまざまな懸案に対して、しっかりと国としては対処していく、それは当然必要であります。ただ、そこは冷静な事実に基づいてやっていかなくてはならない。なぜならば、知る権利を制限するからであります。

 そして、その知る権利を制限するということで申し上げますと、私は、これからまた違う角度からも質問してまいりたいと思いますけれども、国民の権利を制限するという中で、何人かが質問しているわけですが、きちっと担保されているのか、本当にそれが秘密にすべきものだったかどうかということをチェックするというもの。よく、ちまたといいましょうか、何が秘密かはそれは秘密ですということでは、まさしくその秘密の中身がわからない。そして、これは本当に主権者である国民が、自分たちのために秘密にされているのか、そのことをチェックすることができないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

額賀委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 日本維新の会の桜内文城です。

 きょうは、特定秘密保護法について、主に森大臣にお伺いをいたします。

 森大臣とは、参議院の法務委員会で長らく野党の理事として御一緒しておりまして、その有能ぶりには常に舌を巻いておりましたが、今回、こういった大変重要な法案を所管されるということで、きょうはしっかりと法律論、解釈論、それから立法論についてお聞きしたいというふうに思っております。

 まずお伺いしたいのが、よく指摘されるところではありますけれども、特定秘密の指定ということなんですけれども、そもそも、特定秘密の可能性がある部分というのが非常に広いのではないか、恣意的な行政機関の長による指定がなされてしまうおそれがあるのではないかというのは、多方面から指摘がなされているところなんですけれども、特に、もろもろ限定をされようという努力もされているとは思うんですけれども、率直なところ、どういった方針でそこの限定をお考えになっているのか、まず大まかなところをお伺いしたいと思います。

 それから、民主党の後藤議員が提案者として座っていらっしゃいますけれども、今回、政府案のみの質問ですので、そこに座っていらっしゃらなくて結構です。

    〔委員長退席、今津委員長代理着席〕

森国務大臣 特定秘密に指定される範囲でございますが、これは、もう必要最小限に限定されなければならないことは当然のことです。そこで、本法におきまして、別表該当性、非公知性、そしてさらに国の安全保障に特に必要なことということで、三要件で限定をしているわけでございます。

 この別表の該当性につきましても、民主党政権下の有識者の報告書にありますものに、さらに限定を加えております。詳しく申し上げますと、民主党政権下の有識者の報告書では、「1国の安全」「2外交」「3公共の安全及び秩序の維持」の三分野になっておりましたけれども、本法案は、御承知のとおり、別表に四項目ということで、さらに絞り込んだ範囲にしております。

桜内委員 この特別委員会で先般可決されました安全保障会議設置法、今後、国家安全保障会議になっていくわけですけれども、その法案の中では、我が国の安全保障ということで「国家安全保障」という文言を使われておるんですけれども、今回のこちらの特定秘密保護法案では、国家安全保障というような文言にはなっていないんですね。今おっしゃったとおり、例えば一条のところで「我が国の安全保障」という文言はあるんですけれども、ここは、やはりしっかりと定義をした上で、限定を加えるという意味でも国家安全保障という文言をしっかりと定義した上で、限定を加えていくべきではないか。

 なぜならば、先週、私もこの委員会でNSC法案について質疑をさせていただいたんですけれども、その際、国家安全保障という概念、要件といいますか、定義といいますか、こういったものをお尋ねしたところ、菅官房長官からは、国の存立にかかわるような外部からの脅威ですとか、そういった限定的な文言を使われておりました。そういったものを取り入れていくような修正案を我が党としても現在検討しておるところなんですけれども、その辺について、森大臣の御意見をお聞かせいただければと思います。

森国務大臣 定義を明確化していくという委員の御指摘を重く受けとめたいと思います。

 ここで、私どもの安全保障に関する定義を申し上げますと、安全保障とは、一般に、外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障することということで、先ほど御指摘の菅官房長官の御答弁と変わりないものと考えております。

桜内委員 ありがとうございます。

 我が党としても、しっかりと、この点については今後とも建設的な意見を述べていきたいと考えておるところであります。

 今、外部からの侵略等ということもおっしゃいました。それの関係で、少し条文の中身についても触れていきたいんですけれども、この中でいえば、もちろん、別表の中に、例えばテロリズムの防止に関する事項というのが四号に掲げられておりますし、また、これは十二条二項、適性評価のところで、テロリズムに関して括弧書きでもって定義がなされております。「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動をいう。」という定義づけがなされているわけです。

 例えば九〇年代半ばに大変日本国じゅうを震撼させましたオウム事件、地下鉄のサリン事件、どちらかというと、これは国内的なテロリズムだったと思うんですけれども、そういったものについては、そのようなテロリズムの防止というものが、この別表の四号のテロリズムの防止ということに該当するのか否か、御答弁をお願いします。

森国務大臣 国内のテロリズムについては、別表の中に含まれる場合もあると考えております。

桜内委員 そこが恐らく、先ほどから申しております、国家安全保障という意味でのもし限定を加えるとすれば、先ほど御答弁いただいたように、外部からの侵略等に対してと、等で見るのかもしれませんけれども、やはり、外部からの侵略と、外部ということをおっしゃっている以上、余りそこのところを拡大し過ぎるとかえって危険なのではないかとも感じるんですけれども、その点、いかがでしょうか。

森国務大臣 特定秘密の範囲がいたずらに拡大しないようにすることは当然のことだと思いますけれども、本法案の目的が、国民の生命財産、そして国家の存立にかかわるものでございますので、国としての基本的な秩序が平穏に維持されている状態を脅かすということになる場合には、我が国及び国民の安全を確保する観点から、本法案の対象となることもあり得ると考えております。

桜内委員 もちろん大変な大事件でもありましたし、今思い返しても、国内的なテロリズムであったとはいえ、国家としてその存立にもかかわるような大変大きな出来事だったと思うんです。

 しかし、余りここのところで国内的な安全保障、国内的な安全保障というと結局は治安維持になってくるわけですよ。その治安維持に関する秘密を保護するとなると、かつての治安維持法のような法の執行がなされる危険も大きくなっていくと思うんですけれども、それでもなお、国内的なあのような事例についても適用する場合があり得ると。その境目は一体どこなのかということになると思うんですけれども、これについてはどのようにお考えになりますでしょうか。

森国務大臣 かつての治安維持法についての御指摘がございましたけれども、本法案は現体制を否定する運動を取り締まるといったようなものではございませんので、治安維持法とは全く性質が異なることは確認をさせていただきたいと思います。

 その上で、特定秘密にどこまで含めるか、国家機密として情報保全をするものがどこかという御議論でございますが、それの解釈については先ほど申し述べたとおりでございますけれども、桜内委員の御意見は重く受けとめさせていただきたいと思います。

桜内委員 そこのところは、やはり立法上もそれなりに歯どめをかけていく、明確化していくということが逆になければ、なかなか国民の賛同も得られにくいのではないかなというふうに考えております。

 そういった点についても、我が党の内部でありますけれども、現在、より限定的に立法化していくための修正案を用意しておるところでございます。これについてはまた今後議論を重ねていきたいというふうに考えております。

 そして、少し重なりますけれども、三条で、ここで特定秘密の指定についての条文があります。少し該当する部分を読み上げますと、「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定」していくということであります。

 ここでも我が国の安全保障という文言になっておりまして、先ほどおっしゃった外部からの侵略等という意味がちょっと読みにくくなっているんですね。こちらも、一条とあわせて、もう少しその境目といいますか、国内の治安維持というものと外部からの侵略等というものをどのように区別していくのか、ここについてもう一度お答えください。

森国務大臣 安全保障の定義ですね。他の法律との関係も考えながら、国民にわかりやすく明確化していくという桜内委員の建設的な御意見については、前向きに検討させていただきたいと思います。

桜内委員 では、少し趣向を変えるといいますか、民主党さんに、情報公開法改正案についてはきょう質問のつもりはないんですけれども、民主党時代に、「秘密保全のための法制の在り方について」という報告書が出されております。その中で、情報公開法との関係が述べられている部分がありまして、恐らくこの辺が、特定秘密とすべきものの範囲と、それ以外の、知る権利なり情報公開の対象となるものとの区別を示していると考えております。

 報告書でいうと二十二ページの第一段落、「第一に、」から始まるところなんですけれども、情報公開法の、その段落の下から五、六行目ですけれども、同法五条三号、国の安全等に関する情報及び四号、公共の安全等に関する情報の、そもそも情報公開法の不開示情報に含まれるものであって、仮に、このときは特別秘密という文言を使っておりますけれども、特別秘密は、そもそも情報公開法のもとで開示対象とされる情報に該当しないということがありますので、情報公開法が対象とする分野とそれからこの特定秘密保護法で対象とするものというのは、基本的に重なっていないという解釈だと考えております。

 そういった意味でも、特定秘密保護法で指定の対象となる範囲がもし情報公開法で開示情報にしなくちゃいけないものと重なっているところがあるとすれば、それはまずいわけでして、それが先ほどからずっと申しております特定秘密の範囲という問題にかかわってくると考えております。

 ですので、ちょっとざっくりしたことになってくるんですけれども、もうちょっと具体的に言えば、別表がございます。別表で、今ほど言いました、情報公開法上そもそも開示すべき情報に当たらない、やはり政府として国民の安全を守るために絶対に守らなくてはいけない秘密、開示してはいけない秘密というのがあるわけですよ。

 それが、例えば一号の防衛に関する事項、これは当たり前の話であります。例えば、敵国といいますか他国の潜水艦の音の情報ですとかそういったデータ、これは大変貴重なものですし、こんなのが情報公開法の対象にそもそもなるはずもない、知る権利の対象になるはずもないものです。あるいは、ステルス機能ですとかそういったものも、当然、これは特定秘密として保護すべきものであって、全く情報公開法とは関係のない情報であります。

 境目ぐらいになってくるのが、次の二号の外交に関する事項になってくると少し微妙な部分が出てくるんですね。

 この条文でいえば、二号、外交に関する事項の「イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」、ここもその他の安全保障となっているんですね。ここが問題なんですよ。ここが、例えば領域の保全といったときに、領海を侵犯した外国船に関する体当たりの映像、動画、ビデオ流出、これが特定秘密の対象にこの文言を素直に読めば入ってきちゃうんですよ。そういうような条文の立て方で本当にいいのかということについて、森大臣にお尋ねします。

    〔今津委員長代理退席、委員長着席〕

森国務大臣 本法案の別表第二号についてのお尋ねでございますが、安全保障に関する外国の政府との交渉について規定をしておりますけれども、外部からの侵略に対する我が国の防衛のほか、外国の情報機関が我が国の政府が管理する情報等を不当に入手する場合や、大規模な破壊を伴うテロや、政府高官の暗殺、無差別爆弾テロ等の活動が行われる場合は、国としての基本的な秩序の平穏が脅かされることとなるため、これらの活動への対処も本法案に言う安全保障に含まれると考えます。

 これらの活動には、外国のみならず国内の組織等によるものも含まれ、また、国境を越える活動を含めてさまざまな態様があることから、安全保障の定義の前提となる脅威を単純に国外からのものに限定することは困難でもございます。

 ただし、桜内議員から御指摘のあった、さらに明確性を求めるべきではないかということについては、重く受けとめて、前向きに検討してまいりたいと思います。

桜内委員 ありがとうございます。

 少し外交の事項を超えて、今スパイ活動についても触れられましたけれども、まず外交に関して言えば、私も役人時分に大使館に書記官として出向しておった経験があるんですけれども、やはり経済交渉と軍事といいますか安全保障に関する交渉事というのは、もうこれは質的にも違います。

 この文言、別表二号の外交に関する事項のイのところ、ここのところが、先般も問題になっておりましたけれども、ではTPP交渉はどうなんだといったときに、TPP交渉の中で、もちろん、特定の武器輸出等々についてどうこう言っているわけじゃないとしても、やはり貿易、条約の関係ですので、そういった軍事的な目的に転用可能な技術ですとか、そういったものの貿易というのももちろんあり得るわけですよ。そこについて特定の秘密というのが必要だというのもわからなくはないんですけれども、その境目ですよ。境目をどう立法論として書き分けていくのかという意味でいえば、この外交に関する事項の特にイのところの書きぶりが、やや限定、厳密さを欠くのではないのかという指摘でございます。

 関連して、この別表について、三号の特定有害活動の防止と、それから、四号のテロリズムの防止に関する事項についてお尋ねをいたします。

 これは、諸外国のスパイ防止法、もちろん、この法案自体はスパイ防止法と同等と言うつもりはありませんけれども、少し違和感のある条項なんですね、この二つの事項。

 特定有害活動の防止に関する事項。この特定有害活動というのは何かというのは、先ほど、十二条でしたっけ、これも長ったらしい定義が、長ったらしいと言っては失礼なんですけれども、一生懸命書かれた定義がありまして、適性評価のところの十二条二項一号ですね。少し、これは重要なところなので、その定義を読み上げますと、括弧書きで書いていますけれども、スパイ活動ということです。「特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動」、ここだけ見るとめちゃめちゃ広いわけですけれども、そこから先、目的で限定がなされているんですね、「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。)」

 この定義ぶりがちょっとややこしくなっているので、それ自体がいいかどうかは別といたしまして、こういったスパイ活動を防止するというのは当然必要なことなんですよ。そのためには、通常であれば、他国の立法例を見ますと、スパイ活動というものを構成要件としてしっかりと定義した上で、それを処罰していく、こういったたてつけの立法がなされているのが一般です。これに対して、なぜかこの法案では、特定有害活動、スパイ活動というふうに言いかえますけれども、この防止に関する事項を特定秘密に指定していく。それが本当にスパイ活動の防止につながるのか。

 あるいは、同様に、テロリズムはもちろん防止しなければいけません。テロリズムの防止というのは、例えばテロリストが国内に侵入した、こういった情報について、あるいはテロリズムの手段、爆弾を持っているですとか、こういったものを、犯罪の防止なり、ないしは、仮にその端緒があったときにはしっかりとつかまえていく。テロリズムを防止することが大事なんですよ。でも、テロリズムの防止に関する事項を特定秘密に指定していくということがやや立法趣旨として意味がわかりにくいんですけれども。

 ここのところ、なぜ、スパイ活動の防止に関する事項、テロリズムの防止に関する事項、この二つが別表で挙げられているのかについてお尋ねをいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 別表第三号の特定有害活動の防止に関する事項及び別表第四号、テロリズムの防止に関する事項として指定する情報は、我が国が講じるテロ対策等の手のうちに関するものや、我が国が有する情報収集能力等に関するものでございます。

 したがって、これを入手することができれば、その間隙をついて攻撃等を行ったり、対抗措置を講じて我が国が効果的な措置を講じることができなくなることから、外国情報機関等を初め、テロ組織や大量破壊兵器関連物質の不正取引を行う者が入手を企図する事項であり、常に漏えいの危険にさらされているものでございますので、この保全を図る必要がございます。

桜内委員 わかったような気にもなるんですけれども、もう一度お尋ねしますが、大事なのは、スパイ活動を防止することなんですよ、スパイ活動自体を。そして、テロリズムが発生することを防止することなんですよ。

 ここで書かれていますのは、例えばテロリズムでいうとわかりやすいと思うんですけれども、どうやらテロリストが国内に入ってきたですとか、こういった手口で諸外国でテロがなされているので、我が国でもこういった場所が危ないんじゃないかとか、そういった情報に基づいて捜査活動を警察なりがしっかりと行っていく、これはすごい大事なことですよ。また、警備というのも警察の機能としてしっかりとやっていかなくちゃいけない。

 でも、これはまさに警察官職務執行法ですとか、通常の警察官なり警察の仕事なんですよ、それ自体は。捜査して、そして警備をしていく。それに関する情報が漏れると、それはまずいですよ。捜査情報ですし、警備情報ですから。だから、これはもう別にこういった特定秘密の保護の対象に仮にしなくとも、当然のごとく警察の活動として、こんなの、捜査情報を漏らしたら、それだけでアウトですよ。警備情報を漏らしたらアウトですよ。そういう当たり前のことを、わざわざこうやって新しい法律で指定をしていこうとする。

 今回、特定秘密の範囲が広いというのは、多分こういうところにあるんですよ。ですから、むやみやたらと、もう当たり前のようにこれまでも秘密としてやってきたし、漏えいがあってはならない、守秘義務がかかってしっかりと処罰もされてきたというものについて、こういうふうな条文を入れてきた。その立法趣旨をもう一度しっかりと、今指摘した点を踏まえてお答えください。

鈴木政府参考人 別表第三号の特定有害活動の防止に関する情報であるとか、別表第四号に関するテロリズムの防止に関する事項につきましては、現行法におきましても、国家公務員法の百条に基づきます守秘義務が課せられる場合がございますが、この二つの情報につきましては、その性格から、我が国の安全に及ぼす影響が漏えいした場合極めて大きく、厳格な管理が必要であるということから、本法案の対象としているところでございます。

桜内委員 何でこんなことを言っているかというと、この特定秘密の指定が、行政機関の長と、大変広くなっているわけですよ。警察庁長官に限ってできるわけじゃないんですよ。もし警察庁長官のことを今考えていらっしゃるのであれば、今のお答えでいえば、まさに関連の法律だけを改正していけばいい話で、守秘義務について特に加重していく、そういう対応でいいわけですよ。

 でも、これは一般法なんですね。特定秘密を指定する範囲が、全ての行政機関の長というたてつけになっております、二条によって。そこまで広げておいた上で、こういった三号、四号というふうに広げていくという趣旨がわかりにくいんですよ。特定秘密の範囲を限定していくという趣旨からすれば、ここの三号、四号について、今お答えになったようなことではなかなか説得力がないと言わざるを得ません。森大臣、この点について感想をお願いします。

森国務大臣 桜内委員の問題意識はよく理解できます。

 まず、特定秘密の対象の事項が明確ではないんじゃないかということとあわせて、指定する主体が全ての行政機関の長になっているということで、あわせて拡大してしまう懸念を引き起こしているのではないかというような御指摘だと思います。

 私としては、この別表三の、テロリズムとスパイのことに限って申し上げますと、これについては、例えば暗号の解読技術など、日本がどのぐらいの情報収集能力を持っているかというようなことは、これがやはり外に漏れると、その間隙をついてきたりするわけですので、ここは特定秘密にする必要があると思っています。

 そして、現行も、特別管理秘密文書と申しますが、これによって、実際に今、特秘にされています。今、特秘にするのは、法律でなされていないんですね。単なる省庁間の申し合わせ文書にすぎないんです。それがそれぞれの行政機関の長によって、言ってみれば、共通のルールがないままに自由になされているわけです。そのことがかえって特秘の限定を不明確にしている、そして、それが漏れたときの処罰も非常に、国家公務員法という一般職にだけかかっていく、一年という低い罰則でございます。

 ですので、私は、やはりこの特別秘密というものを法定で、しっかりと共通ルールを決めた上でしていくということが大事だとは思いますが、桜内委員の御懸念は理解できますので、今後、有識者の御意見を聞いて基準をしっかり定めていったり、またその基準を公開したり、それから、どの程度の件数の特別秘密が指定されたかというような、できる限り国民の目に明らかにしていきたいというふうに思います。

桜内委員 横からもお声が上がりましたが、確かにわかりやすい、いい答弁だったと思いますが、そういった意味で、特定秘密の範囲については、これはよほどしっかりと検討の上、限定的に解釈できるような立法をしていただきたいということをつけ加えて申し上げておきます。

 今、特別管理秘密について言及になられました。これについて、先ほどの二条で、私、行政機関の長全体になっているじゃないか、ちょっと広過ぎるんじゃないかということを申し上げました。そのわけは、今現在の特別管理秘密について、きょう、この後質問に立たれる赤嶺委員が質問主意書を三月に出されておりまして、その中で、今現在の特別管理秘密が何件あるのかとか、どの役所が指定しているのかということについて、その後、閣議決定がなされて答弁が出されております。それによりますと、現在の特別管理秘密というのは、全部で四十万件超ぐらい、特に防衛省を中心としてあるということであります。

 先週の本会議での安倍総理の答弁をお聞きしておりますと、今後、特定秘密は、むしろ数としては限定されていくんじゃないかという趣旨のことをおっしゃっております。

 少しこれはわかりにくいんです。というのは、このカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針というもので言われております特別管理秘密の定義が、各行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものという定義なんですね。どっちかというと、ぱっと見ではなかなかわかりにくいんですけれども、今回の特定秘密とどこがどう違うのかなと。

 さらに言えば、行政機関の長全てが特定秘密の指定ができるというたてつけのこの二条になっておりますので、数が減るというのはちょっと理解しづらいんですけれども、この点について、森大臣、どう考えればよろしいんでしょうか。

森国務大臣 本法案におきましては、別表該当性、そして非公知性、それに必要性ということで、三つの絞りをかけておりますので、現状よりも少なくなるというふうに認識をしております。

 二条について、行政機関を全て主体というふうにしているところについて、限定すべきではないかというような御意見だと思いますけれども、先ほどのところに戻るんですが、現状の運用基準が、全ての省庁が、カウンターインテリジェンスに関する基本方針を定めたことに従ってそれぞれ自由にやっているところを、本法案によって共通ルールを定めるというところも一つ目的でございますので、共通ルールの確立ということから考えると、これは全てを対象とさせていただきたい、そして特定秘密の範囲のところで絞らせていただきたいというふうに考えております。

桜内委員 そこはいろいろなたてつけの仕方があると思いますので、ぜひ検討していただきたいんですが、例えば、報道によりますれば、歴史学者が、こういった特定秘密の範囲が恣意的に拡大された場合、歴史的な資料であるとか、そういったものの検証ができなくなるじゃないかということをおっしゃっているとも聞いたことがあります。

 そういった意味でいえば、例えばの話、文科省所管の文化庁長官が何かしら特定秘密の指定をしてしまったというときに、もちろん国家安全保障に関する事項であるとかそういった別の縛りはあろうかと思いますけれども、しかし、特定秘密に関する基準を厳格にやったとしても、後ほどまたこれは質問いたしますけれども、その基準がしっかりと運用されているかをモニタリングする仕組みが、今のところ、この法案の中ではないんですね。

 そういったときに、今言ったような懸念に対して、例えば文化庁長官とかは最初から外しておくとか、そういったこともできないのか。今現在、特別管理秘密を指定している役所というのは非常に限定されているんですね。ですので、そこを基本にしていくとか、いろいろな制度のつくり方があると思うんですけれども、その辺についてはいかがお考えでしょうか。

森国務大臣 委員の御指摘の問題意識はわかるんですが、先ほど御説明申し上げたとおり、私としては、全てに共通ルールをかけていくという考え方から、現法案を維持させていただきたいというふうに思っています。

 現行では、特別管理秘密が相当広い範囲で指定をされていると思いますので、本法案が成立しますと、その数は少なくなるものと考えています。

桜内委員 ずっと同じようなことを聞いているんですけれども、秘密の範囲が広いんじゃないかという意味で。

 今度は具体例について少しお尋ねしたいと思います。先週の安倍総理の本会議場での御答弁もありましたけれども、もうちょっと詳しく明確にお答えいただきたいなと思っているところがあります。

 例えば、既にもう終わった話ではあるんでしょうけれども、いわゆる密約というのが外交上あったりします。沖縄返還であるとか、民主党政権のときに核の持ち込みに関する密約ですとか、こういったいわゆる外交上の密約というものはどう考えるべきなのか。

 そして、もう一つ事例を挙げますと、例えば、福島第一原子力発電所事故について、そもそも当時の政府の対応自体が特定秘密に当たるかどうかというのも議論があるところだとは思うんですけれども、少なくとも、先週のNSC法案の審議の中で、国家安全保障会議での審議事項に当たるというふうに菅官房長官が答弁されています。

 そういったものが、例えば原発事故に対する対応、政府がどう対応をとったのか、もちろん設計図とかそういう話じゃないとは思うんですけれども、あのとき自衛隊を十万人も動員して対応に当たったということなんですけれども、そもそもそういったものが特定秘密の対象になるのか否かについて。

 この二点、過去の密約ですとか、今言いました東日本大震災における政府の対応ですとか、こういったものが当たるかどうか、ちょっと具体的にお答えいただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のいわゆる密約問題等につきましては、外務省において徹底した調査を行い、その結果及び多数の関連文書を平成二十二年に既に公表済みでありますが、それぞれの事案につきましては、当時我が国が置かれた状況や我が国を取り巻く国際情勢の中で考えられるべきものであり、現在の情勢を前提として提案された本法案における特定秘密に該当するか否かを明確にお答えするのは困難と考えております。

 第二点の、東日本大震災に関連しました自衛隊等の行動につきましては、特定秘密の対象になりません。

桜内委員 総理と同じ答弁をここでしてもらってもいけないので、だから、別に、既に現時点で公開されているからという話じゃないんですよ。私が尋ねたのは、まだ公開されていないとして、当時、そういったものが特定秘密の対象になり得るのか否かということを尋ねたんです。

 福島第一原子力発電所事故について、今、特定秘密に該当しないというふうに明確にお答えになったんですけれども、幾つかやはり、先ほど冒頭、国内的なテロリズムの話で、特定秘密に該当し得る場合もあるという答弁を森大臣がされました。だから、国内的な事象だから必ずしも当たらないということではないと思うんですよ。まさに国家安全保障会議にかかるような事項なわけですから、それについて該当しないというふうに言い切れる、その理由についてお示しいただけませんか。

 例えば、この別表のどこにもひっかからないというのはいいんですけれども、この辺は可能性があるけれども、こういった理由でひっかからないというところを。

 この二点、過去の密約についても、今現在まだ仮に開示されていないとしたらどうなのかということと、それと原発事故について、もう一遍お答えください。

鈴木政府参考人 密約につきましては、恐縮ですが、先ほどの繰り返しになりまして、現在の情勢を前提として提案された本法案において該当するかどうかを明確にお答えするのは難しいと考えております。

 それから、東日本大震災の関連につきましては、基本的に災害に関する情報というのは別表のいずれにも該当しないと考えております。

桜内委員 災害なんですけれども、自衛隊を十万人も動員したわけですよ。だから、国家安全保障会議にかかるであろうというふうに官房長官は答弁されているんですね。それは全然関係ないというと、国内的な治安の問題は関係するというお答えがあって、一方で国内的な災害の場合には全然関係しないというのは、やや矛盾しているように感じます。

 一点目について、今ここでどうしても答えろと言うつもりはありませんが、もう少し丁寧に、今度、別途でいいので説明に来ていただきたいなということは申し上げておきます。

 では、次に参りますと、国政調査権との関係についてお尋ねをいたします。

 今現在のこの法案のたてつけですと、秘密会の場合は出せるというようなたてつけになっていたと思うんですが、十条一項の一号のイで、秘密会にする場合は、この一号にもうちょっとだらだら書いてありまして、次に掲げる業務については、「保護するために必要なものとして政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。」というふうな文言があるわけです。

 まず、文言のそのままの解釈として、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたときというのは、各行政機関の長が判断すると考えてよろしいんでしょうか。

森国務大臣 はい、そうです。

桜内委員 とすれば、次に問題になってくるのが国会法の百四条との関係なんですけれども、一旦、行政機関の長が、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがあると判断して、秘密会であったとしても出せません、特定秘密を提供できませんということになった場合に、国会法の百四条であれば、これは二項ですけれども、「内閣又は官公署が前項の求めに応じないときは、その理由を疎明しなければならない。」というふうにありますが、この二項は相変わらず生きている、要は、疎明があると考えていいのか。

 それで、疎明をしたとして、三項については、「内閣の声明を要求することができる。」とあるんですね、出さないときには。この内閣の声明というのは、閣議決定をもって通常やる慣行になっていると聞きますけれども、要は、本法律十条一項一号に基づいて行政機関の長が出しませんということをまず判断した上で、そのときに国会法の百四条二項で疎明がなされるのか否か、そして、疎明がなされたとしても、それは納得できないというふうに国会の側が言ったときに、三項に基づいて内閣の声明を求めることができるのか否か、この適用関係についてお尋ねいたします。

森国務大臣 本委員会において何度か答弁をさせていただいておる国会の秘密会との関係でございますけれども、この十条一項一号というのは、国会以外も、刑訴法、民訴法、情報公開法とありますが、特にイの国会との関係においては、これまでも答弁させていただいているとおり、国会が保護措置を講じた場合には、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがなくなったというふうに解釈をいたしまして、提出させていただくというふうに解釈をしております。

 ですので、保護措置が講じられない場合には、今御指摘のような手続に移行すると思われます。

桜内委員 なかなか斬新な解釈というか、この新しい法案で政令で定める措置を講じ、それがちゃんと国会ができるかどうかというのが今議論もされているところなんですけれども、措置ができるときには、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと判断するということでよろしいですかね。

 では、そのときに、政令で定める措置はあったとして、でも、内容が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある場合、大変、本当に機微に触れる、軍の機密に触れるようなものであって、秘密会というそういった対応のあり方についてのしっかりした措置がとられたとして、でも、内容が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすから、秘密会であったとしてもとにかく出せないというふうに判断することはあり得るんですか。それとも、それはもう一切ないと考えるんですか。

森国務大臣 そもそも、特定秘密というのは、それが漏れたときは、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすものなんです。およそ特定秘密とはそういうものなんです。

 しかし、一たび国権の最高機関である国会からその提出を求められた場合には、機微にわたる情報であったとしても、国会がその特定秘密を利用するという、ここに書いてありますが、そういう利用目的があって、そして、利用し、または知る者の範囲をしっかり制限し、そして、目的外の使用の禁止、業務以外に特定秘密が利用されないようにする、その他しっかりとした保護措置を講じた場合には御提供するというふうに定めたものでございます。

桜内委員 なぜ国会法の百四条二項、三項の適用があるか否か聞いたかといえば、秘密会の措置があるからいいという判断だけじゃないと思うんですよ。

 これまでも、中身が、情報の内容が秘密会であったとしても出せないものがあった場合には、この国会法の百四条二項、三項が適用になって、疎明、そして内閣の声明という段取りを踏むことになっていたわけですね。ですので、政令で定める措置がしっかりと国会でできたからといって、それで国会法百四条二項、三項の適用があるかないか考えなくて済むという話じゃないと思うんです。私が聞いているのは、まさに国会法百四条の適用が依然としてなされるものか否かという点ではどうなんでしょうか。

森国務大臣 保護措置がしっかり講じられれば、原則として要件を満たしているというふうに考えますが、余りないこととは思いますが、サードパーティールールというふうに言われるんですけれども、外国から提供を受けるときに、その提供する外国が、これはもう本当に国会にも出してはいけないというような限定をする場合ですね。ただ、そういう場合はほとんどないと思います。そのような本当に例外的な場合に限って、それを適用してしまったら、それは海外との信頼関係を失いますので、そういう場合は、この百四条の二項の理由を疎明して、これはサードパーティールールなんですというふうに言うと思います。そして、理由を疎明したときに、その理由を国会が、いや、それであっても受諾できないと言う場合には、声明を出すというふうに移行するものであります。

桜内委員 ありがとうございます。

 時間が大分なくなってきたのでちょっと急ぎますけれども、取得行為について少しお尋ねをいたします。

 取得行為の中には、もちろんスパイ活動というものもあると思うんですけれども、先ほどもだらだらと読み上げましたが、十二条の二項で、適性評価に関する規定の中で、特定有害活動の定義があります。その中で、目的のところが後段にありまして、目的での限定というか、「外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるもの」というふうな定義になっているんですけれども、これは、私ももろもろ、今回、外国の法制を調べてきたんですけれども、かつという文言になっているものがないんですよ。他国のスパイ防止関連の法制度によれば、ここは、またはなんですね。あえてここを、かつとした意味は一体何なのかということ。

 それから、これは罰則に関するところになるんですけれども、二十三条のところで、取得行為については、「人を欺き、」「暴行」、それから「脅迫」ですとか、そういった手段の違法性に着目して規定ぶりがなされております。しかし、スパイ行為というのは、必ずしもこういった、手段が違法だからだめだという話じゃなくて、適法な手段であったとしても、こういった特定秘密、国の存立を脅かすような秘密をとりに来る有能なスパイが多分いるわけですよ、世の中には。それがこの東京都内でさんざん活動をしているので、スパイ天国などと言われたりもする場合があるわけですけれども。

 他国の例でいえば、こういった手段の違法性のみならず、むしろ、手段が適法であったとしても、目的が日本の国益を害し、あるいは他国を利するものというものも、しっかりと本当はつかまえていかなくちゃいけないんですよ。それがないから、日本が、外国と軍事上の秘密についてしっかり共有して日本の安全保障を図っていくことができないという指摘があるわけなので、ここのところはもっとよく考えていく必要があるんじゃないでしょうか。

鈴木政府参考人 最初に、特定有害活動の定義の「かつ、」の部分でございますが、本法案第十二条第二項の特定有害活動は、我が国の内外を問わないテロリズムとは異なり、外国との関係で、我が国及び国民の安全を著しく害し、または害するおそれのある活動を定義したものであります。

 具体的には、「外国の利益を図る目的で行われ、」の限定をつけずに、単に、我が国及び国民の安全を著しく害し、または害するおそれがある活動とすると規定するのであれば、テロリズムを含め、広くこれに該当し得るところでございますので、このような活動を含まないようにするため、「外国の利益を図る目的で行われ、」との条件を「かつ、」という表現で付したものでございます。

 二点目の、適法目的のスパイ活動の取得については、本法案は、公務員が適正に情報を管理することを前提としまして、その漏えいを主として罰することを目的とする法律でございます。取得罪につきましては、適法な管理をされていても漏えいしてしまう外部からの不法な行為の取得の場合にだけ限定して処罰の対象としているところでございます。

桜内委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、我が党としても、しっかりと建設的な修正案というものをつくって提出してまいりたいと考えております。

 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

額賀委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 みんなの党、信州長野の井出庸生です。きょうはよろしくお願いをいたします。

 先週、本会議で質問させていただいて、その流れから質問したいんですが、この法律は、私は、政府の情報漏えい対策、管理、それと知る権利をどうやって両立していくか、非常に難しい両立だと思いますが、そこで議論を尽くしていかなければいけないものだと思っております。

 まず、大臣にお伺いをしたいのは、私が本会議でも伺いました、大臣のこれまでの御答弁で、犯罪や違法行為といったものはそもそも特定秘密にはならないんだ、一般論として、犯罪、違法行為を内部通報、告発した場合は処罰は当然されません、そういう御答弁をこれまで拝見してきております。

 私が本会議でお伺いをしたのは、秘密の中身、内容が違法かどうか、違法の疑いもあるんじゃないか、司法の判断に委ねられるような問題もあるんじゃないかと。例えば、取材でいえば、社会観念に照らして、いけないものはいけない、そういう判例があるということは知っております。それは、逆に、政府、またさまざま捜査機関がいろいろ情報をとってくる上で、情報をとる側にとっては、取材だけではなくて、捜査上、情報収集においては、社会観念に照らしておかしいというものは当然議論があるべきだと思います。

 そういうグレーなものを義憤を持って告発するような人が出てきたときに、その人を罪に問わないことができるのかどうか、公益性のあるような情報であったときに、その人をどうやって守るのかというところを、また答弁をお願いします。

森国務大臣 御質問の趣旨は前回と同じということでしょうか。ちょっと今、質問が長くて、質問の趣旨がはっきりと明確にわからなかったんですが、申しわけございません。

 本会議と同じような御趣旨ということで御答弁させていただきますと、そもそも、特定秘密には違法な情報または犯罪行為を指定するということが前提とされておりませんけれども、一般論として申し上げますと、これは犯罪行為であるということを、義憤を持って、それを明らかにしようということで通報した者が保護されないということはありません。保護されますし、処罰をされません。

井出委員 私、本会議のときに、総理大臣に、警察がGPSの端末を捜査対象者の車に無断で取りつけている、その問題が今裁判で争点になっていると申し上げました、一例として。このGPSの問題をどうこうここで議論するつもりはないんですが、そういった、裁判で違法性が争いになるような捜査手法というものが現実に存在する。それが今の法の枠組みで、今度それが、捜査対象がテロ、スパイということになってくれば、当然、特定秘密にそういった捜査手法が入ってくると私は思っているんです。

 ですから、大臣が今もおっしゃいましたが、そもそも違法性があるようなものが特定秘密になるようなことはないというそこの御認識が、もう一歩謙虚に臨まれた方がいいのではないかと思うんですが、そこはいかがでしょうか。

森国務大臣 もちろん謙虚に解釈をしておるつもりなんですけれども、行政機関の長が責任を持って、別表に該当するもの、そして、非公知性その他特別秘密にする必要性を勘案して指定するものであり、犯罪行為等を指定するということは要件に入っておりませんので、もし万が一、そういった犯罪行為を特定秘密に指定しても、それは無効でございます。

井出委員 私も、犯罪行為が最初から特定秘密になるということは断じてあり得ないことだと思っておりますが、裁判で争点になるようなものが告発として明らかになった場合、そういう可能性はあると思っておりますし、そうであれば、もし事件として捜査、裁判になるのであれば、秘密が公になっていれば、また世論でも、社会的な議論にもなると思いますから、そこも含めた捜査、司法判断を我々は見守っていくことになると思うんですが、疑わしいものが特定秘密にはならないというこれまでのところを、いま一歩謙虚に取り組んでいただければと思います。

 私は、この法案が、知る権利が侵害されるのではないかと多くの不安、さまざま報道で出ておりますが、その一番大きな肝の部分は、やはりこの秘密保護法案の罪に該当する事件が起こって裁判になったときに、先ほど申し上げた、それが仮に正義、公益性をもって告発したのであれば、どう守るか。

 また、もう一つは、特定秘密が明らかにされないで、漏えいの事実を捉えて事件化、裁判になったときの裁判についても大きな危惧を持っております。これも安倍総理大臣に本会議でちょっとお伺いしたんですが、特定秘密の内容が裁判の争点になったときに、安倍総理大臣は七日の答弁で、当該秘密の内容そのものを明らかにしないまま秘密性を立証する方法がこれまでもとられている、特定秘密の漏えい事件においても、このような立証方法をとることにより、秘密性を立証することが可能であると考えますと御答弁をされていて、秘密を明らかにしないで裁判を進めていくということ。

 私は、総理大臣の答弁を聞いたときに、秘密を明らかにしないでも立証責任を果たせるんだよ、それが可能なんだよと言葉どおり受けとめたんですが、その後、法律のたてつけをもう一度調べてみますと、そもそも裁判で特定秘密というものは弁護人に開示ができないので、特定秘密に指定されたものは、刑事裁判においてはその中身は明かさないというたてつけになっている、そういうことを確認したんですけれども、それはそのとおりでよろしいでしょうか。

森国務大臣 秘密については、外形立証という方法ですけれども、その秘密の中身をそのまま明らかにするとまさにそれは皆さんに公にされてしまうので、その秘密を、中身を明らかにしないままで、その秘密の文書の立案、策定過程や秘指定を相当とする具体的理由を明らかにするという外形立証で、実質的に秘なんだよということを立証する方法がとられています。

 そしてまた、後半の御質問の証拠開示につきましては、証拠開示請求をもしした場合には、その証拠開示が適切かどうかを審査する中で、裁判官がインカメラで審査をすることはできるようになっております。

井出委員 裁判官がインカメラで審査をする、それは証拠開示請求をするかどうかの一歩前の判断材料だと聞いておりますが、この法律のたてつけとしては、裁判においては、特定秘密は原則として外形立証でやっていく、中身は明かさないでやっていく、そういうスタンスなのかどうか、いま一度確認をしたいんですが。

森国務大臣 刑事裁判においての立証方法について、私が述べるべきではないと思いますけれども、現行の刑事訴訟法におきましては、特定秘密に限らず、秘とされている文書については外形立証するというような慣習になっております。

井出委員 そうであるとするならば、七日の本会議で、安倍総理大臣が、そういった当該秘密の内容を明らかにしないで秘密性を立証することが可能であると考えておりますと。だから、私は、私が人がいいのか、あほなのかわかりませんが、そのまま、可能性の一つだと受けとめているんですね。

 でも、その法律のたてつけは、特定秘密情報漏えい事件においては、原則、特定秘密を明かさないで立証していくという、秘密を明かす明かさないのスタンスが全然違うんじゃないかなと思うんですが、そこをもう一度確認したいんです。

 基本的には外形立証のみで特定秘密法の刑事裁判をやっていくのか、そこをもう一度、確認、お願いいたします。

森国務大臣 特定秘密の内容を明らかにする、つまり、特定秘密を提供する場合については、十条に書かれている場合に限られておりますので、刑事裁判についても、そこに記載をされている証拠開示のインカメラ手続に限るということになります。

井出委員 私も、私のこれまでいろいろ調べたところですと、原則は外形立証でやっていく、インカメラを経て、それでも裁判官が、証拠開示をしろ、弁護士に出さなきゃいけなくなった、そうなったときは、特定秘密の指定そのものを解除しなければいけないぐらい、今回は外形的な立証方法をとることが、この法律の場合、前提になっていると受けとめているんですが、そこは私が間違っていますでしょうか。

森国務大臣 御質問の趣旨が必ずしも明らかではないんですが、インカメラ手続について、裁判官に文書を提示いたします。特定秘密の内容をお見せします。その場合は、裁判官だけが見られるわけでございまして、その他の者は見ることができません。ですので、特定秘密を解除する場合とイコールではございません。

 特定秘密を解除する場合というのは、三要件が整っていない、別表該当性もない、非公知性も失った、そして特に秘匿する必要性がないというふうになった場合に、それは、有効期間内であっても、行政機関の長がいつでも解除いたします。しかし、裁判官だけに見せる場合には、もちろん、まだ、非公知性もあるし、特に秘匿する必要性もあっても、裁判官だけが見るのであるから、裁判手続の中で、裁判官が、これは証拠開示しなさいというような命令があれば提示することが、この条文上、予定されておりますので、それが、今の委員の御質問の中で、特定秘密を解除する場合と同等であるということは言えないと思います。

井出委員 済みません、私の質問が悪かったら申しわけないんですが、インカメラの手続が秘密を公にするものではないということはわかっております。インカメラの手続を経て、裁判官が、やはりこれは証拠として弁護人にも開示をしなければ立証責任を果たせないと開示請求があったときに、特定秘密の指定そのものを外さなければそこに提出できないんじゃないか、そういう問題意識を私は持っていて、それだけ、今回の特定秘密法案が通った場合、この罪で刑事裁判があるとき、だから、私は、端的に言うと、大原則、原則的に、情報の中身は明かさないで刑事裁判を闘っていくというのが今回の法案ということで受けとめているんですが、それでよろしいですか。

森国務大臣 裁判を闘っていくときに、証拠を開示しないでずっと闘っていくというふうに認識をしているんですが、それでよろしいでしょうかというような御質問でございますが、私は、この法案の中にインカメラ手続が組み込まれておりますので、そのインカメラ手続をした暁に証拠開示命令が出されることも予定されているから、このインカメラ手続があるんだと思います。

 それは、特定秘密の指定が、先ほど委員が、犯罪行為のようなものは特定秘密になるんですかとおっしゃいました。私は大臣としての立場では、それはありますとは言いません。それはもう予定されていませんと言います。しかし、一般的に、もし万が一そういうことがあった場合にはというふうに私も申し上げましたけれども、そういう場合には、裁判官がインカメラで中を見て、これは特定秘密として指定するものの有効性がないだろう、なので開示というふうにすることもございますよね。これは、証拠を開示するかしないかということの判断のためにだけ裁判官が見るものです。

 ですから、これは国民に保障された裁判上の手続でございますので、この手続がここに書いてあっても、手続があっても全くそんなものが使われないで裁判を闘うものだという御質問に対しては、私はそうではないというふうにお答えをいたします。

井出委員 法案担当大臣として法案への責任感はすごく伝わってくる御答弁をいただいたとは思っているんですが、インカメラは、そもそも裁判官だけが秘密を見るわけですよね。その結果、秘密が公にならないで裁判で有罪判決が出ても、被告人また我々社会の人間は、その秘密がどうであったかということはわからない。

 私がここにこだわるのは、特定秘密保護法案で最高懲役十年だと。これまでの公務員法、自衛隊法から量刑が大きく上がっている。当然ここは、秘密の中身、情報を漏らしたことは認めます、それは特定秘密だという印もあった、だけれども、これは特定秘密に当たらない、せいぜい国家公務員法違反だ、そういう争点が必ず出てくると思いますし、それで懲役十年と懲役一年じゃ、物すごい違いになってくると思うんですね。

 そこで、私は、あくまでインカメラというものは、今お話もありましたし、義務規定ではないし、裁判所だけが見るというものだと思っております。ですから、ここは再三の確認になってしまうのでもう一回だけ確認したいんですが、特定秘密を公判で証拠として開示することは、この法律では想定をしていないということでよろしいですか。

森国務大臣 繰り返しの御答弁になりますが、インカメラ手続というのは、刑事訴訟法手続において、証拠を開示するか開示しないかの判断を裁判官がするものです。これは、できる規定であっても、できるんですから、それをする可能性はあるわけです。そして、その裁判官が開示命令を出した場合には開示するんです。そのときに特定秘密は当然解除されて開示されます。ですので、その場合には特定秘密が開示されるということになるんです。

井出委員 インカメラで開示されるのと、その後、裁判所からやはり証拠として出してくださいと言われて、被告人に、または公判廷、社会に開示されるのとでは、私は全然違うと思うんですね。インカメラをやって、では開示しなくていいですよと裁判所がそう言って、それで有罪判決が、その秘密の内容が明らかにならないまま出る。秘密の内容を争点にした被告にそういう判決が出れば、それは社会から秘密の内容はわからないままだったという話になってしまうと思うんですね。

 ですから、私が今、再度申し上げたいのは、公判廷に、インカメラで出せと言われれば出す可能性はありますということは今わかりました。でも、この法律は、今のたてつけはインカメラどまりであって、そもそも公判廷、弁護人に対して証拠を開示する仕組みにはなっていないということでよろしいですね。

森国務大臣 今委員の御質問に対しては、ノーと答えます。

 つまり、インカメラで裁判官が見た後の話を私は先ほども答弁しているんです。インカメラというのは、証拠を開示するか開示しないかを裁判官が秘密を見て判断して、その場合に、そのときに、裁判官の判断、それさえも信じられないと言われたらもう究極の質問になってしまいますが、裁判官が見て、これは証拠開示しなくてもいいと言った場合には開示されません。しかし、インカメラで裁判官が見て開示を命令したら、それは公判廷に証拠が開示されます。そういうふうにお答えをいたしました。

井出委員 わかりました。また次回以降に、もう一度この問題は聞かせていただきたいと思います。

 大臣、どうぞ。

 きょうは、警察庁の長官にもお越しをいただいているので、長官の方に質問をさせていただきたいんですが、この法案、一番秘密の範囲が広い、秘密の範囲が曖昧だと言われているのは、私は、警察の捜査の部分を多くの人が不安に思っているんじゃないかと思っております。

 きのうの日曜日、十日の毎日新聞でも、そういった社説、テロ、スパイ捜査について、「歯止めが利かぬ懸念」というタイトルの社説がありました。その社説では、「公安捜査が暴走し、歯止めが利かなくなる恐れはないか。そちらの方が心配だ。」と。

 私はそこまで言うつもりは全くないんですが、捜査情報と特定秘密をどう分けていくのか。私は、この今の法律のたてつけだと、やはり対テロ捜査、対有害活動捜査というものであれば、ある程度特定秘密になる、殺人事件や刑事事件、知能犯、そういったものであればならない、そういうくくりで解釈をしていますが、それでよろしいでしょうか。

米田政府参考人 済みません、質問の御趣旨がちょっといまいちよくわかっていないんですが。

 警察が収集する情報の中には、例えば、外国の治安機関、情報機関との情報交換の中で得たものもございますし、国内捜査の中で得た情報も多うございます。それが何か特定の犯罪名の捜査であるというような限定はできないだろうと思います。あくまで、それによって収集した情報が、例えば特定秘密に当たるかどうか、そういう判断かと思います。

井出委員 警察の方々が治安維持のために日々いろいろな情報収集活動をしているということは、私もよくわかっております。

 ただ、この法案はさきに通過をしたNSCともセットだ、そういう話もNSCのときには与党の方からも出ておりました。

 NSCというのは、外交、安全の政策を、省庁縦割りじゃなくて、トップを一元化してやっていくんだ、NSCには入らないけれども、そこに並列で危機管理があって、そこは今まで警察の皆さんが大変御尽力いただいてきた部分だと思うんですが、私は、この特定秘密に警察の仕事の枠組みが入らなくても、警察のこれまでどおりの、よく警察の皆さんは粛々とという言葉を使われますが、十分業務が成立するのではないかと思いますが、警察として、例えば特定秘密に入らないと業務に支障が出るというようなことはありますでしょうか。

米田政府参考人 要は、国の安全保障にかかわる問題というのは、多くやはり国内の治安問題とも関係がございます。したがって、警察が収集した情報を例えば官邸とか防衛省とかに提供するということもあろうかと思いますけれども、片や提供された方は特定秘密である、提供する方はそうではないというのは、やはり制度としてはいかがなものかというように思います。

 また、外国の情報機関との活発な情報交換を行っておりますけれども、それが、省庁によってセキュリティーの制度的なレベルが違うということになると、やはり支障が生じるのではないかというように思います。

井出委員 この法案は、テロ捜査、また、いわゆるスパイに対しても対策が必要だと。

 きょうも少し話が出ましたが、日本はスパイ天国だ、そういう意見もこれまでずっと言われてきているんですが、このスパイ天国という言葉は、調べてみると、報道などによれば、一九八〇年代にソ連の工作員が日本のことを評した言葉だと。

 そのことが書いてあったイギリスの報道を見れば、今では、日本の場合、政治家や官僚は外国のスパイよりマスコミに情報を流すことの方が多いと痛烈な批判を我々がいただいているわけですが、私はむしろ、今情報の脅威が高まっている中で、情報のシステムの方をもっと警察の方にはしっかりやっていっていただきたい。

 そういったシステムの方で、パソコン、情報へのアクセス管理などで情報管理を徹底してきたということはこれまでもかなり伺っているんですが、三年前に警視庁の公安の情報と思われるものがインターネットに流出をした、先月時効を迎えた。あのときも、報道によれば、担当の外事課内に、いわゆる警察がしっかりと情報管理しているクローズの情報と別に、独立したパソコンがあったというようなことも報告として出ているように聞いております。

 法律もそうですが、まずそういったシステム上の対策は特に警察はこれからも大事だと思いますが、そこのシステム上の対策について、長官から御答弁をお願いいたします。

米田政府参考人 委員御指摘のとおり、システム上の対策は大変重要であると思っております。

 もともと警察の内部では、外部のネットワークと完全に物理的に遮断されたネットワークで情報のやりとりをしておりますけれども、それだけではなくて、外部記録媒体への出力ということもやはり問題になります。きっちりした証跡管理あるいは自動暗号化というような措置を今はとっているところでございます。

 今後とも、技術的な動向とか情勢を踏まえながら、こういうネットワーク等の情報管理については徹底を期してまいりたいというように考えております。

井出委員 ありがとうございます。

 長官、もう大丈夫ですので、ありがとうございます。

 きょうは、この法案の必要性についても、情報の一元化がこれから進んでいくのではないか、情報に接する人を決めることによって情報管理ができるのではないか、そういう肯定的なところも少しお聞きしたいなと思っております。

 一つだけ伺いたいのですが、各役所の長官、大臣が特定秘密を指定する、そのときに、各省庁のトップが情報を決めて、上に上がっていく、それを官房長官や総理大臣が、もっとこうした情報はないのか、もしくは、これは秘密に当たらないんじゃないか、いや、これは秘密にした方がいいんじゃないか、そういう意思疎通、一元化というのはしっかり可能なのかということだけ、最後に森大臣にお伺いをします。

森国務大臣 国家安全保障会議において、特定秘密が提供されて、そこで意思疎通を図れるということが一つあると思います。

井出委員 時間になりましたので、また次回に。

 どうもきょうはありがとうございました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官藤山雄治君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

額賀委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 秘密保護法案の委員会審議、きょうが私は初めてであります。この法案は、国民の基本的人権の制限を初め、国民主権、平和主義という日本国憲法の基本原理にかかわる極めて重大な法案であります。先週の与党議員の質疑でも、国民の基本的人権の制限にかかわるさまざまな懸念が出されております。

 国民がこの法案の内容を知ったのは、九月三日に法案の概要が発表されてからでありました。法案提出が十月の二十五日。この間、政府が十五日間と期限をつけたパブリックコメントには九万件の意見が寄せられ、その八割が反対意見でありました。日本弁護士連合会、日本新聞協会、日本ペンクラブを初め、各界各層から立場を超えて反対の声が急速に広がり、過半数を超える国民が反対、八割が慎重審議を求めております。

 こうした国民の声に対して、政府は、なぜ秘密保護法を提案したのか、その内容や経緯も含めて、国民に説明する責任があります。そして、本委員会は、憲法にかかわる重大な法案を徹底審議していくことが求められているのであります。

 質問に入りますが、最初に、法案の検討経過について聞きます。

 秘密法制は、第一次安倍内閣で情報機能強化検討会議が設置されて、政府内で検討が始まりました。二〇一一年十月の、政府における情報保全に関する検討委員会で、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の内容を十分に尊重の上、法案化作業を進めることとされました。そして、法案化の作業を進めてきた、こういう経緯と理解してよろしいでしょうか。

森国務大臣 はい、そのとおりです。

赤嶺委員 法案化に当たって内容を十分に尊重する、このようにされた有識者会議報告書は、二〇一一年八月八日に発表。この報告書に至るまで、第一次案から第六次案まで六つの報告書案が作成をされ、その過程で幾つもの修正が行われました。その中には、罰則の最高刑を懲役十年にするのか五年にするのかなど、法案をめぐる重要論点も含まれております。

 この報告書の作成過程では、有識者委員だけではなく、各省庁にも意見を求めております。各省庁は秘密保全について一体どんな意見を出したのか、情報公開請求に対して政府が開示した文書の一部を配付いたしました。皆さんのお手元にもある配付資料であります。

 内閣情報室からの照会を受けて、内閣官房安危室、防衛省、外務省、経産省、法務省、警察庁など関係省庁が意見を提出し、やりとりをしております。一つ一つを見れば、各省庁とのやりとりだということがわかりますが、中身は全部真っ黒なんですね。法案作成過程においてどういうやりとりが行われたか、情報公開をしても、真っ黒に塗られていて全くわからないわけです。

 何で各省庁の意見を明らかにしないのか。これは内閣委員会で先週六日にも取り上げましたが、法案審議の前提として、法案化作業のベースになった報告書の作成過程で各省庁がどんな意見を出したのか、当然明らかにすべきだと思いますが、いかがですか。

森国務大臣 民主党政権下、平成二十三年八月八日に出された報告書について各省からいただいた御意見につきましては、法案の検討中であったところから、情報公開法の第五条五号により、行政機関内部における検討に関する情報であって、公にすることにより、意思決定の中立性等が不当に損なわれるおそれ等があるということで、不開示にしたというふうに承知をしております。

赤嶺委員 民主党政権のときに真っ黒に塗られたから、自民党が政権に戻ったら全く見えないというわけじゃないですよね、これは。

 真っ黒の部分、わかると思うんですが、法案の検討過程とおっしゃいました。もう法案は提出されております。この真っ黒を明らかにすべきではありませんか。

森国務大臣 それは開示をできるというふうに思います。

赤嶺委員 それは全部開示するわけですね。いつやるんですか。

鈴木政府参考人 お答えします。

 先ほど大臣が御答弁しましたように、法案作成中の理由によります不開示事由という必要は該当いたしませんが、それ以外の、情報公開法の個人情報やほかの非開示事由が該当するかどうかを精査の上、対応を決めたいと考えております。

赤嶺委員 大臣、対応を決めたいと言って、開示すると言っておりませんよ、今は。おかしなことじゃないですか。開示すべきじゃないですか、大臣の判断で。

額賀委員長 鈴木審議官、きちっと説明してちょうだい。

鈴木政府参考人 お答えします。

 法案を検討中であることを理由とする非開示事由というのはもう既に成立しませんので、それを理由とする非開示といたしません。

赤嶺委員 ほかの非開示の理由を探すかのように今聞こえたんですけれども。

 法務大臣がいらっしゃっております。各大臣いらっしゃって、きょう、実は官房長官や外務大臣もと、このように申し上げていたんですが、いらっしゃっておりません。

 法務大臣がいらっしゃっておりますので、谷垣法務大臣に伺いたいと思います。

 法務省の意見というのは、配付した資料では一枚です。後ろのページから五枚目にあります。ごらんになっておられると思いますが、これは一枚目のものだけ提出して、実際は二十三枚の黒塗りの文書があるんですよ。二十四ページ分の意見を出したように見えます。法案は、国民の権利制限、罰則、量刑、裁判など司法手続、法務省の所管にかかわる重要問題を含んでおります。当然、相当な意見を出されたと思います。

 法務大臣はどのような意見を出したのか、内容を明らかにしていただきたいのですが、いかがですか。

谷垣国務大臣 委員がおっしゃった報告書の作成に当たりましては、法務省としても協力してきたところでございます。

 それで、例えば、この報告書の作成過程で、特別秘密を含む捜査資料の取り扱いについて、例えば裁判官等が接する場合が出てくるわけですね、そういう場合に関連してどういう問題が起こるか検討する必要があるであろうとか、あるいは、そのほかいろいろな表現ぶりについて意見を伝えたと聞いております。

赤嶺委員 法務大臣は、これを公開するというおつもりはないですか。

谷垣国務大臣 法案の作成過程には、この法案に限らず、いろいろな意見が出てまいります。いろいろな懸念も出てくる、いろいろな意欲も出てくる。しかし、いろいろな問題点を調整して、最後、案にまとめるわけでございますから、それを全部公表する必要があるかどうか、私は疑問に思っております。

赤嶺委員 全部非開示にされたままだから、今申し上げているんですよ。

 法務大臣は、一九八五年の国家秘密法に反対したというのは、私もこの報道に接して初めてわかったことではあるんですが、今回の場合には情報公開が進んだからということで、そういうコメントを出されてきているわけですけれども。

 私、これを見て、情報公開は全く進んでいないんじゃないか、このように思いますよ。法案作成でどんな意見を出したのか、やはりきちんと開示をしていく、後でもう一度聞きますが、そういうことでないといけないと思うんです。

 外務大臣はいらっしゃいませんけれども、ちょっと外務省にも聞きたいんです。

 外務省の配付資料も一枚だけであります。その後ろには、真っ黒なページが何枚も続いております。

 外務省はどのような意見を述べたのか。二〇一一年六月二十一日に日米の2プラス2が開かれているんですが、その中では、情報保全制度のさらなる改善の重要性、情報保全のための法的枠組みの強化について合意をしております。日米協議で出されたアメリカ側の要求を述べたのではないか、米軍の機密並みにするよう求めたのではないか、このように考えますが、外務省はこの黒塗りの部分でどんな意見を述べられたんですか。

岸副大臣 お答え申し上げます。

 本件の報告書に対しましては、外務省からは、秘密指定された文書の関係省庁間での共有のあり方等について意見を述べさせていただいたところでございます。当該文書を作成した省庁がその秘密水準を決定することが通常である等の御意見を述べさせていただいたところでございます。

赤嶺委員 ちょっと中身を理解しにくいんですが、国家公安委員長は、警察庁からも黒塗りの意見書が出ておりますが、どんな意見を出されているんでしょうか。

古屋国務大臣 まず、警察ですけれども、適性評価の実施に関する質問は出したことがございますが、お尋ねの、意見の提出は実は行っておりません。質問の提出を行っています。

赤嶺委員 森大臣、改めて確認いたしますけれども、この黒塗りの部分は、開示をするという立場で検討するという理解でよろしいですか。先ほどの事務方の答弁だと、開示しない別の理由を考えているように見えますけれども、いかがですか、大臣。

森国務大臣 開示を前提にしていくということは当然でございます。個人情報等と言いましたので、本当に個人情報とか開示できないものを除いては、原則すぐに開示をすべきものと思っております。

赤嶺委員 もう一問という声もありますが、別の質問もちょっとありますので、少し前に進ませていただきます。もっと十分な時間があれば、もっとやっていきたいと思います。

 私の手元に、秘密取扱者適格性確認制度で実施されている調査項目で、対象者に提出をさせている身上明細書があります。陸上自衛隊と海上自衛隊のものであります。これらは内部告発で寄せられたものです。

 これらの身上明細書には、本人と並んで、家族、同居人の人定事項、刑事処分歴、薬物乱用を原因とする治療またはカウンセリングの有無、精神面を原因とする治療またはカウンセリングの有無、アルコールを原因とする治療またはカウンセリングの有無、負債など、今回の法案と同じ調査項目が並んでいます。さらに、交友関係、所属団体の項目があります。所属団体には、括弧書きで、クラブ、連盟、宗教、趣味などと書かれております。

 さらに、この身上明細書の陸上自衛隊の記入要領では、所属団体については、政治、経済等の団体も記入することとなっております。政治活動、個人の思想、信条も調査することになっております。さらに、この記入要領には、親族、交友関係について、本人に確認してはならないが、努めて記入する、このようにあります。つまり、自衛官の親族や友人、知人は、本人が知らないうちに、氏名、生年月日、国籍、職業、勤務先、現住所などの個人情報を防衛省に把握されることになります。

 こうした調査は、まさに思想、信条など、洗いざらいのプライバシーを調査するものですが、人権侵害に当たるということは明白だろうと思います。防衛大臣、このような身上調査、どのように考えられますか。

小野寺国務大臣 委員が何をもとにそのようなお話をされているか、つまびらかに承知はしておりませんが、防衛省におきましては、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針を踏まえて、秘密取扱者適格性確認制度について必要な事項を定めているということであります。

赤嶺委員 その必要な事項を明らかにすれば、私が内部告発で入手したものとのそごがあるのかないのか、わかると思うんですが、明らかにするお立場はありませんか。

小野寺国務大臣 いずれにしても、委員が何をもとに今のようなお話をされているか、私どもとしては承知をしておりません。

赤嶺委員 この配付資料の一番最後に、誓約書というのがあります。これは、防衛省が情報公開で出してきたものであります。こういう誓約書を防衛省は提出させているのですね。

小野寺国務大臣 今回、情報請求で出させていただいた内容でございます。

赤嶺委員 誓約書は出させているということでありました。

 今回、内部告発の記入要領というのがありまして、誓約書の記入要領があるんです。これでは真っ黒でわかりませんけれどもね。全くわからない。

 だけれども、記入要領ではこう書いてあります。「別紙様式第二の内容を全て書き写した上で、署名捺印をします。(「誓約書」「年月日」の部分を含めて、全て手書きです。)」と書かれた上で、その下に別紙様式第二の内容が示され、それをそのまま書き写した誓約書をつくるというやり方が図式されております。

 その別紙様式第二の内容を読みますと、「私は、秘密にかかわる職員としての重い責任を自覚し、」と始まり、中ごろから以下の文章が続きます。「情報保全部署から求めがある場合には、携帯電話通話記録等自己に関する個人情報を提出するほか、保全事故が発生した場合に行われる調査や捜査に対しても、ポリグラフ検査の受検を始めとした必要な協力を行うことをあわせて誓います。」

 防衛大臣、携帯電話通話記録等自己に関する個人情報の提出も制約をさせているんですか。

小野寺国務大臣 委員が何をもってそのようなお話をされているか承知をいたしませんが、防衛省においては、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、平成十九年八月九日に会議で決定されたことを踏まえて対応させていただいております。

赤嶺委員 だから、大臣、はっきり答えたらいいんですよ。こういう携帯電話等の履歴の個人情報とかは提出させない、誓約書には書かれていないとおっしゃればいいんですよ。そうおっしゃれないんですか。いかがですか。

小野寺国務大臣 委員が何をもってそのようなお話をされているかは承知をしておりません。

赤嶺委員 結局、何をもってというところだけをおっしゃって、否定すれば済む問題を否定されませんでした。

 今後、この問題は徹底して追及していくことを申し上げまして、質問を終わります。

額賀委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 森大臣、ラストバッターですので、よろしくお願いいたします。

 さて、早速ですが、今般政府がこの法案を提案したその目的、これは第一条の方にも書かれてはいるんですが、その冒頭に、国際情勢の複雑化に伴う我が国及び国民の安全に係る情報の重要性の増大と、高度情報通信ネットワーク社会の発展に触れております。そして、漏えいの危険性の懸念、安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて適確に保護する体制を確立して収集し、整理し、活用するために、特定秘密の指定、取扱者の制限その他を定め、その漏えいの防止を図り、国及び国民の安全確保に資するということを目的として述べられています。

 つまり、情報を漏えいしない、守るというふうなことが主眼に書かれていて、そのために、高度情報通信ネットワークのこの社会にあっては、なお一層しっかりと取り組まなければならないということがここで書かれているわけですね。

 私が、この法案が提出されていろいろと調査をしてみましたら、安全保障に関する秘密事項の保全については、当然ではありますけれども、これまでも、国家公務員法第百条における守秘義務、それから自衛隊法九十六条による別表の第四で示された項目のほか、特に外国の、アメリカとの関係ではMDA秘密保護法など、特定される秘密の保全に関する運用は、やはりこれまでも厳しい管理、監視の中にあったというふうに思われます。

 そこで、まず総論的な話でお伺いしたいんですが、今回の特定秘密保護法案の提出によって、この幾つかの法律で条文の削除などを行い、いわゆる包括的に、一体的に秘密の指定及び保護を強化することになっているんですね。本法案を包括的に、一体的に強化して制定することが、では、国民の側から、国民の安全確保に、安全保障の確保にどのような役割を果たすのか、憲法が保障する知る権利などを有する国民の側に立った利益になり得るのか、その意義についてまずお聞かせください。

森国務大臣 委員の御指摘の第一条のところ、情報の漏えいも御指摘いただきましたが、その前の部分のところに、外国との情報共有についても書いてあるわけです。つまり、漏えいを防止するとともに、今の複雑化した国際情勢の中では、我が国及び国民の安全にかかわる情報も入手して、未然に事態を防止するということも大変大事でございます。そういった意味で、外国と情報共有をする上で、情報保全が確立されていること、つまり、諸外国と同等の保全体制が我が国の中でも確立をされているということが大事です。

 もう一つ、政府部内の情報共有を促進していかなければなりません。今御指摘のように、今まで、現行法もございました。そして、現行法以外の部分で、特別管理秘密ということでルールもありましたが、これは運用指針にすぎません。つまり、各省庁の申し合わせ事項にすぎず、それぞれの省庁でそれぞれまた別のルールが定められておりまして、政府内で統一されておりませんでした。そういう共通ルールの確立も不可欠でございました。そこで、今般、現行法を、自衛隊法などは一部削除もして、こちらの方にも移行しましたけれども、本法案を出したということでございます。

 そして、最後に御指摘なさいました国民の知る権利とのバランスでございますが、国民の生命、そして国家の存立を図ることが重要である一方で、その国民の知る権利、これをしっかり保障していくことが重要であることは言うまでもありません。

 ですので、国民の知る権利を確保する上で、特に二十一条を設けたほか、行政機関の長が恣意的に秘密を指定したり延長したりすることがないように、チェック体制を重層的に設けた次第であります。

玉城委員 その目的の中には、当然ですけれども、この法案の全体像というものがしっかり書かれているということが今大臣の答弁からもうかがえたと思います。

 今ほど、諸外国との、いわゆるお互いの情報の漏えいがないように、共通した取り組みといいますか約束といいますか、そういう体制をつくるということをおっしゃっていましたが、では、お伺いいたします。

 この特定秘密の保護に関する法律案における諸外国との関連性について伺いたいと思いますが、国と国民の安全保障に係る法律であることから、我が国と同盟関係にあるアメリカを初めとする諸外国とも、その連携の強化が一層重要となってくると思います。現に、安全保障に関する秘密等の情報を共有するために、日本として一体かつ重層的な保護法が必要ではないかというような、これは外国側から法の整備が求められていることも仄聞しております。

 そこで、お伺いいたしますが、諸外国との情報及び資料等の提供や保護等、どのような運用の状況になっているかということをお聞かせください。

森国務大臣 諸外国におきましても、各国の国内法や大統領令等により、秘密指定の対象の範囲、指定権者、セキュリティークリアランス及び罰則等を規定し、国家にとって重要な秘密をしかるべく保全しているものであります。

 外国との情報共有は、先ほども申し上げましたとおり、各国においてしっかりと保全されていることを前提に行われるものでございますので、こういった各国の法制を踏まえましても、我が国で本法案が成立することにより、安全保障上の外国との情報交換が一層促進され、我が国及び国民の保護に資することが期待されます。

玉城委員 特に、私は、これは外務大臣にまた質問させていただきたいと思いますが、例えば、これまでのこの委員会の中でも発言がありましたが、機密文書なるものが、アメリカの情報公開制度によって、これが三十年たって公開される、あるいは五十年たって公開されるというふうな形になってくると、そういう国民が知る権利を一義的に考えると、先ほど赤嶺政賢委員の質問と答弁の中で、やはり今までも本当は出すべき情報が開示されてこなかったということが今般大きな問題にもなっているのではないかと思います。

 そういうことも外国と比較するといいますか検討した上で、それらの諸外国との細部にわたる連携については、これまで関係省庁のそれぞれのセクションが担当し、適切に運用している状態にある、私はそのように思料しております。

 国家安全保障会議並びに安全保障局が設置されて、情報などの一元管理等を行うとするならば、現行のそれらの各省が所掌している運用及び提携についてどのようになされようとしているのかについて、お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 本法案が成立した暁には、各省共通の保護体制が共通のルールとして確立しますので、外国との情報交換は、特定の省庁に限らず、政府全体で行うことができるというメリットがあるところでございます。

玉城委員 では、続いて、それにお答えいただきたいんですが、ということは、感覚的に考えてみますと、今までは十センチ角のネットで十分キャッチできていたものが、これからは一センチ角のネットにしなければいけない。よりきめ細かい、そういう情報が漏れない体制にするんだということを想像した場合に、十センチ角から一センチ角に網目を小さくするということは、それだけ結び目がたくさんできるわけですね、結束点が。そうすると、私がそれを聞きたいのは、一括的に管理をすることは実は逆にコストがかかる、そういうことなんですね。

 これも後で質問しますけれども、例えば、システムが複雑化し、担当者がふえる、その受け持つセクションとの連係プレーを頻繁に行わないといけないというふうなことを考えると、この場合、諸外国との運用と同じようにすれば、それだけ情報もしっかりと得ることができ、活用することができるということの答弁であったかと思うんですが、その運用上の体制とかそういうことについては、これも日本の法令の中で十分検討されたということでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 運用につきましては、本法案にも書いてありますように、基準を設けまして、各省庁共通に行っていきたいと考えますので、今後の検討課題かと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、今回、特定秘密の保護に関する法律案、特定秘密の範囲、指定する内容等々、有効期限、期限の解除などがあるんですが、まずは、この別表で、第一号、二号、三号、四号とそれぞれ、防衛に関する事項、外交に関する事項、それから特定有害活動の防止に関する事項、テロリズムの防止に関する事項というふうになっています。その有効期限が来ると、それを上限五年で更新可能の期間を決めて、有効期間をまた延長するかどうかということも決めていくわけなんです。

 大臣、一点お聞きしたいんですが、この中に、四条に「指定の有効期間及び解除」という項目がありまして、ここに、指定の要件を欠くに至ったときは速やかに指定を解除するという項目があります。「要件を欠くに至ったとき」という、この定義といいますか、どういうことをあらわしているのかについて御説明ください。

森国務大臣 この要件は三条の指定の要件でございます。

 三条で、特定秘密の指定について、別表該当性、そして非公知性、そして特に秘匿することが必要であるということを挙げておりますので、この要件を欠くに至った場合には速やかに解除するということを定めております。

玉城委員 もう一つ、つけ加えてお聞きしたいんですが、では、要は、特定秘密といいますか、それで保護しておく必要がないということがその要件の欠格に値すると思うんですが、その場合には、当然ですけれども、情報公開法にのっとって公開していくというふうな流れになると考えてよろしいですか。

森国務大臣 はい。特定秘密が記録されている文書についても、他の行政文書と同様に公文書管理法の適用を受けておりますので、例えば、保存期間が満了した場合については、歴史公文書等については国立公文書館に移管されることになります。

玉城委員 ありがとうございます。情報公開についても、本委員会でまた後日質問させていただければと思います。

 先ほど私が少し質問をさせていただきたいという、情報を管理するシステムについてお聞かせいただきたいと思います。

 一体的に、包括的に情報及び資料を集積し、整理し、活用するためには、物理的に、物的に管理するシステム、そのシステムネットワークが精密に構築されていかなければならないものというふうに、誰もがそういうふうに想像すると思います。

 安全保障にかかわる情報を一元的に取り扱う以上、その量は膨大になって、公的機関、それから民間の安全保障に関する契約企業、それから、当然、ITネットワークシステムを利用するのであれば、それに関連するIT関連企業等、その適用範囲も膨大なものに広がってしまうことも予想されます。

 外側ではなくて内側の情報を収集して整理、管理する、そのシステムに関する構築をどのように考えていらっしゃるのか、お聞かせください。

鈴木政府参考人 お答えします。

 行政機関の長は、特定秘密の保護に関しまして必要な措置を講ずることとされておりまして、特定秘密を電磁的にネットワーク上で管理する場合には、例えば端末へのアクセス制御やデータの書き出しの制限等、情報保全上必要な措置を講じることとしております。

 また、特定秘密を利用する適合事業者への特定秘密の提供に際しましても、特定秘密の保護に関して必要な措置を講じる必要がありますが、その漏えいのリスクの観点から、インターネットを利用した特定秘密の提供については想定しておりません。

 また、特定秘密の提供を受ける適合事業者は、契約に従いまして、特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じることとされておりまして、政府として、適合事業者の管理、セキュリティー体制について具体的な契約で定めることとされております。

玉城委員 そうしますと、これからそういうネットワークシステムをしっかりとつくっていく、しかも、外側に漏れないようにきちんと専用線でそれを管理されるということは当然なんですが、同時に、やはり、サイバーテロなどへの対応もとるとは思うんですが、局内といいますか部内における管理体制、いわゆる情報の端末の管理といいますか情報の集積されているその管理体制、そこも大変重要になってくると思うんです。

 そこには、この場合、セキュリティー専任の担当者、担当官を置くというふうでよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 秘密を取り扱う区画ごとにそれぞれ担当者がいると承知しております。

玉城委員 そうすると、そういう方々も、先ほど別の委員からも質問がありましたように、その適格者になり得るかどうかという対象に、その方もその方の家族も対象になるというふうに承知してよろしいですか。

鈴木政府参考人 秘密の取扱者の範囲に入りますので、適格性審査の対象となります。

玉城委員 ありがとうございました。

 私が最後にこのシステムの件について聞いたのは、やはり、今までは専門の担当者が省内にいて、人間的な関係もしっかりでき上がっている、しかもお互いの信頼関係の上にシステムが乗っかっている。逆に言うと、人間関係ができ上がっているということが一番のこの基礎になるわかりやすい部分だと思います。

 ところが、それがいろいろな形で外部と広がってくるというと、先ほど少し話をしましたが、ネットワークは結び目をつくればつくるほどそこにかかわる人間がふえていく、その作業もやはり膨大な量になるのではないかということが懸念されるわけですね。この点に関しては、また後日改めて質問をさせていただきたいと思います。

 きょうはこれで終わります。ニフェーデービタン。

額賀委員長 次回は、明十二日火曜日午後零時四十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をします。

    午後五時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.