衆議院

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第3号 平成26年10月15日(水曜日)

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平成二十六年十月十五日(水曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 宮腰 光寛君

   理事 義家 弘介君 理事 渡辺  周君

   理事 重徳 和彦君 理事 石田 祝稔君

      秋本 真利君    井林 辰憲君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      大野敬太郎君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    金子万寿夫君

      河村 建夫君    木内  均君

      木原  稔君    工藤 彰三君

      坂井  学君    鈴木 俊一君

      鈴木 淳司君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      武部  新君    辻  清人君

      寺田  稔君  とかしきなおみ君

      林  幹雄君    前田 一男君

      牧島かれん君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    小川 淳也君

      後藤 祐一君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    小熊 慎司君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      濱村  進君    桜内 文城君

      中丸  啓君    佐藤 正夫君

      塩川 鉄也君    宮本 岳志君

      畑  浩治君

    …………………………………

   財務大臣         麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   経済産業大臣       小渕 優子君

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府副大臣       平  将明君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   農林水産副大臣      小泉 昭男君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   国土交通大臣政務官   うえの賢一郎君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        内田  要君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局次長)       麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理)            山崎 史郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           苧谷 秀信君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           田村  計君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月十五日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     勝沼 栄明君

  伊藤 達也君     大野敬太郎君

  加藤 寛治君     前田 一男君

  金子 恵美君     井林 辰憲君

  河村 建夫君     武部  新君

  宮川 典子君     秋本 真利君

  宮本 岳志君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     辻  清人君

  井林 辰憲君     牧島かれん君

  大野敬太郎君     伊藤 達也君

  勝沼 栄明君     工藤 彰三君

  武部  新君     河村 建夫君

  前田 一男君     加藤 寛治君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     田所 嘉徳君

  辻  清人君     宮川 典子君

  牧島かれん君     宮内 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     伊藤 忠彦君

  宮内 秀樹君     木内  均君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     金子 恵美君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長内田要君、内閣官房地域活性化統合事務局次長麦島健志君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理山崎史郎君、金融庁総務企画局審議官西田直樹君、総務省自治財政局長佐藤文俊君、厚生労働省大臣官房審議官苧谷秀信君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、中小企業庁長官北川慎介君、国土交通省大臣官房審議官田村計君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮腰光寛君。

宮腰委員 おはようございます。自由民主党の宮腰光寛でございます。

 きょうは、本委員会の質問のトップバッターを務めさせていただきます。

 人口減少問題、東京圏への一極集中問題、あるいは地方再生の問題など、今まで繰り返し取り上げられてきた問題でありますけれども、これらの課題は、いまだに国の基本的な構造問題となっている大きなものばかりであります。

 きのうの本会議の質疑で、新藤筆頭の方から、安倍総理から二法案を提出するに当たっての熱い思いをお聞きになりました。私からも、全国をくまなく回っておいでになる石破担当大臣から、地方創生にかける熱い思いをまずお伺いしておきたいと思います。

石破国務大臣 委員御指摘のように、地方をどうするかというお話はずっと前からあることであります。だから、古くは、古くはというのか、田中角栄先生が、昭和四十七年の六月だったと思いますが、「日本列島改造論」という本を出されて大ベストセラーになった。それから、大平内閣の田園都市構想というのがあり、竹下内閣のふるさと創生というのがあり、我々も選挙のたびに地方の活性化ということをずっと訴えてきたのだけれども、今どうなっているかというと、北海道から九州、沖縄、沖縄はちょっと事情が違うのかもしれませんが、至るまで、全く同じことが起こっていないだろうかと。

 昭和三十年代、四十年代のように、駅前は非常ににぎやかであった、商店街はにぎやかであった、そしてあちらこちらに自動車メーカーとか電機メーカーの工場が立地をし、農山漁村も豊かであり、そしてまた観光客もいっぱい来ていたというのが、委員の富山であっても、私の鳥取であっても、昭和三十年代、四十年代の景色ではなかったかと思っております。

 ところが、今、日本全国で同じことが起こっているというのは、駅前は寂れ、商店街はシャッター通りになり、耕作放棄地が続出をし、漁村、山村はどんどんと疲弊をし、地方の工場というのはどんどん撤退しということが同じように起こっている。というのは、一体これは何なんだと。

 多分、日本国を取り巻く状況が全く変わってきたにもかかわらず、いろいろなことを唱えているのだけれども、政策がそれに適合していないのではないか、時代に合っていないのではないかということであります。

 ですから、グローバル化というのが進みましたということをよく念頭に置いて制度や法律や組織というものを見直していかないと、地方の創生というのはあり得ない、従来の延長線上の政策をやっておっては地方創生というのはあり得ないということだと思っております。

 農業も漁業も林業もそうなのであって、委員と一緒にいろいろな第一次産業の政策をやってきましたが、本当にその政策でいいのだろうかということが根本的に問われておって、そういう仕組み自体を改めていかないと、地方創生というのはない。そのときに、東京対地方とか大都市対地方とか、そういうような設定をすると多分誤るのであって、両方が今のままいくと、地方も衰退し、やがて東京も衰退しという、時間的な差こそあれ、それは結局日本全体の衰退につながっていくという意識のもとで、法律も制度も組織も根本から見直すということが必要なことだというふうに認識をしております。

 地方創生というのは、言いかえれば、日本創生というふうに置きかえてもいい。この国の未来をどうするかということが問われておる極めて重大なテーマだと認識をいたしております。

宮腰委員 大臣がおっしゃるとおり、日本列島改造論、その前からの数次にわたる全国総合開発計画、さらには田園都市構想、ふるさと創生と、いろいろ、それぞれの時代に応じた政策のつもりでやってきたわけでありますけれども、大臣が今おっしゃったように、政策が時代に合っていなかったのではないか、根本的に今それが問われているという御認識、私もまさにそのとおりだと思います。

 これまでの政策をしっかりと検証した上で地方創生に取り組んでいく必要がありますけれども、今回は今までと何が違い、何が新しいというふうに考えておいでになるのか、大臣からお伺いをいたしたいと思います。

石破国務大臣 私は、今委員が御指摘の竹下内閣において行われたふるさと創生というのは、極めて意義のあるものだったと思っております。私はあのころ当選一回でしたが、竹下登総理から、これをばらまきと言う人もいる、しかし、大事なのは、みずから考え、みずから行うということが大事なのだということを私は何度か竹下総理御本人から聞いた覚えがございます。

 今回、今までと何が違うかといえば、主役は市町村なのであるということでございます。国からの押しつけとかそういうことをやるつもりは全くありませんで、今回の地方創生を行うに当たりましては、まず地方の意見を聞きましょうよということであります。

 そして、地方においていろいろな政策をやる場合に、それがどういう効果を発現するのかということをきちんとおっしゃっていただきたいと思います。そして、それに合うものを国としては用意いたします。そして、それを行った結果として何がどのようになったのかという効果の検証も、きちんと地方にやっていただくということであります。

 あくまで主役は地方であり、我々国としては、地方が最も使い勝手のいいものを御用意するということであって、上から目線ということは一切いたしません。

 しかし、それと同時に、地方においても、計画をきちんとつくり、そして効果をきちんと検証し、地方における民主主義、つまり、市長さんが何かやってくれるとか、町長さんが何かやってくれるとか、そういうお話ではありません。地域の住民がきちんと考えるということが重要なのだというふうに考えております。

 ですから、今回、今までと何が違うかと問われれば、それは、基礎自治体である市町村があくまで主役であるということでございます。市町村が使い勝手のいいものを、我々は、政策であれ人員であれ用意いたします。しかしながら、その検証も地域でやっていただくということであって、私は、これをやるに当たって、竹下さんが言っていた、みずから考え、みずから行うというのはこういうことなのだというふうに認識をいたしておるところでございます。

宮腰委員 次に、地方創生の哲学についてお伺いをいたしたいと思います。

 これもきのうの本会議でもいろいろなやりとりがあったところであります。全ての人の人生にあまねく意味があり、全ての国土にあまねく存在意味がある。国民の誰一人見捨てるわけにはいかない。どの土地も生かさないわけにはいかない。地方の中枢拠点都市だけではなくて、中山間地域や離島などの条件不利地域においてもしっかり目配りしていく必要があると思います。

 さきの通常国会で成立した日本型直接支払い法では、農山漁村は、国土の保全、水源の涵養、地域の伝統文化の維持、継承などの多面的機能を有している、それは都市住民を含めた国民全体に恵沢をもたらしているものであるというふうに基本理念にうたっております。

 一方、日本創成会議人口減少問題検討分科会が取りまとめたストップ少子化・地方元気戦略では、若者に魅力のある地域拠点都市に投資と施策を集中するということに焦点が置かれております。これが仮にこれまでどおりの選択と集中の論理であるとすれば、条件不利地域が政策の対象から外れ、東京一極集中の地方版になるのではないかという懸念や不安が地方から出てきております。

 この懸念や不安に対し、政府として正面から向き合う必要があると思います。もちろん、まち・ひと・しごと創生法案の第二条「基本理念」の中には、選択と集中という文言が書かれておりません。法案の中身とストップ少子化・地方元気戦略の中身とは違うと私は思っております。

 今回の地方創生は、選択と集中の論理でいくのか、そうではなく、中山間地域や離島などの条件不利地域も視野に入れた新たな哲学でいくのか、大臣から御見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 財政が厳しい中にあって、どの地域も同じようにというわけにはまいりません。財政が潤沢であった時代と財政が厳しい時代にあっては、それはおのずと政策のつくり方も異なってくるべきだと思っております。

 と言うと、では、条件不利地域はどうしてくれるんだ、中山間地や離島はどうしてくれるんだという話ですが、例えて言えば、徳島県神山町なぞというところは、もう人口が物すごく減少して、高齢化が進んでという地域でありますが、そこにおいて、光ファイバーが張りめぐらされていて、その高速性、優位性を生かして多くの企業が立地をしているというところがございます。

 では、条件不利地域ならすなわちだめかといえば、そういうお話にはならないであろう。

 何も、優良事例だけ挙げて、それを全てのように申し上げるつもりはありませんが、これもよく取り上げられる、島根県の隠岐の島にある海士町というところが、大勢の若い人たちがやってくるようになった。高等学校におきましては、今まで一クラスであったものが複数になったということで、条件不利地域においてどのようにその地域を活性化していくかということは、条件不利地域だからだめだということではない、あるいは、仕事がないから人がいなくなるということではなくて、仕事をつくりに地方に行くという、いわゆる起業というものの芽が随分と出てきたと思っております。

 ですから、選択と集中の論理をとるものではございませんが、条件不利地域と言われるところは、本当に全て産業政策や社会政策だけではだめなのかといえば、そこにおいて起業あるいは教育のあり方というものを見直すことによって、そういう条件不利地域であらばこそ活性化していくということがあるのではないだろうかというふうに考えております。

 ですから、選択と集中かそれ以外かという二極対立の概念をとるつもりはございません。

 そして、国土保全という観点からも、いわゆる条件不利地域が極めて重要な役割を果たしております。

 しかし、それは全て社会政策で見るとか、そういうお話ではない。そこにおいていかにして、まち・ひと・しごとと申しますが、やはり一番大事なのは仕事なのだと思っております。条件不利地域にどうやって仕事をつくるかということが最も重要なのでありまして、従来と考え方を転換していきながら、選択と集中かそれ以外かというような、そういう画一的な価値判断で物事を決めようとは考えておりません。

宮腰委員 私も、選択、集中という考え方、効率のみ重視というのは、これは日本の国土政策あるいは社会政策に合わないのではないかというふうに考えております。地域政策と産業政策をそれぞれの地域に合った形でしっかりと組み合わせていくというのが原点ではないかというふうに私は考えているわけであります。

 具体的にお聞きをしたいと思います。

 総理の所信演説で具体例として取り上げられている、鳥取・大山の水、それから島根県、今お話があった隠岐の海士町、根室のサンマ、これらは地域に根差した、地方創生のいい努力例であります。

 具体例として、まずは小泉政務官にお聞きしたいと思います。

 沖縄本島から三百七十キロ東にある南大東島、人口約千四百人、サトウキビ生産が基幹産業の島であります。小泉政務官は昨年、この島を訪問されております。島の製糖工場の煙突には、サトウキビは島を守り、島は国を守ると大書してあります。ことしも台風十号、十八号、十九号と、三度大きな被害に見舞われました。

 子供たちは、島に高校がありませんので、島の中学校を卒業した後、ほとんど親元を離れ、沖縄本島の高校に進学をいたします。非常に厳しい十五の春であります。出生率も高い島であります。中学生、三線と歌のボロジノ娘、演奏を聞かれたことがあるかもしれません。それから、中学生のエイサーの演奏、極めてレベルが高いものがあります。

 この国境の島を守るために、島民の皆さんは本当によく頑張っておいでになります。北にある北大東島も全く同様であります。

 小泉政務官は、南大東島を訪問された後、TPP交渉参加は賛成であるが、それでも守るべき大切なものがあることがわかったとおっしゃっておいでになりました。政務官は、その後も日本各地の離島を熱心に回られ、もちろん、震災被災地にも頻繁に足を運んでおいでになります。

 このたび地方創生担当となられたわけでありますけれども、改めて、南大東島を初め離島を回られての印象、取り組むべき課題について、小泉政務官から御見解を伺いたいと思います。

小泉大臣政務官 宮腰先生ほどの離島を回っている国会議員はほかにいないと思いますので、私が離島について語るのは大変おこがましいと思いますが、先生御指摘のとおり、昨年の三月の九日に南大東島に伺いました。

 あのときは、TPP交渉参加に向けて大変大きな議論もありまして、特にサトウキビ、それが基幹産業となっている島ですから、島民の皆さん初め行政、村長、本当に大きな不安をお持ちでした。そんな中、現場を見ずして語ることはできないだろうという思いで島に伺いましたが、一言で言えば、島の魅力に改めて感動しました。

 あの島は、もちろんサトウキビですが、そのサトウキビでさまざまなものをつくっています。例えば、一つはお酒のラムですね。このラム酒も、私はモヒートが大好きなので、そのラム酒を買って自分でつくりましたけれども、独特の、そのラムは今までにない味わいを私に味わわせてくれました。

 また、同時に、忘れられない思い出は、そのとき島民の方とお話をしたときに、小泉さん、この島に住んでいる子供たちの夢が何かわかりますかと言われました。そしたら、お答えは、映画館でポップコーンを食べながら映画を見ることです、なぜかわかりますか、島には映画館がないんですと。テレビを見ていて、よくポップコーンを食べながら映画を見ているシーンを見ると、いつかあれをやってみたい、そういう子供たちの思いをかなえるために、私たち親は、片道何時間もかけて、またお金もかけて那覇まで行って、映画を見て、それで帰ってくるんです、そういった状況なのをよくわかっていただきたいと。そのお話は、今でも忘れることができません。

 そのように、島の、島にしかない魅力、これを、日本全国私も離島を見る中で、例えば、愛知県の日間賀島では、観光業者と水産業者が組んで、タコとフグの島ということで、年間通じた観光客の誘致、産業の振興、非常に頑張っています。

 また、人のつながりというのも私は島の魅力だと思います。

 去年私が行った三重県にある答志島という島では、日本で唯一、年ごろの十五歳ぐらいの地元の子供たちが、自分の家ではない、血のつながりのない家を寝屋親としてつながりを持って、兄弟以上の、時には親以上のつながりを持つという制度が今でも答志島では続いています。そういった人のつながりというのも島の特徴なのかな、私はそういうふうにとらえています。

 一方で、島の課題としては、やはり、一つは交通アクセス、これは大変大きなものがあると思います。最近の燃料費の高騰、そして、宮腰先生おっしゃったような、自然、また災害にも大変影響される、そういった環境も一つの課題だと思います。そういったものを乗り越えながら、どうやって地方創生の中で離島を盛り上げていくか。

 今、来月島根県の海士町に実際に伺うことも調整中でありますが、これからも現場を見て、その海士町のように、島留学をつながり、特色を出しながら盛り上げているところも、地域から学ぶ、地方から学ぶというスタンスで、これから、離島も含め何が政府としてとるべき対策か、しっかりと検討してまいりたいと思います。

宮腰委員 今ほど御答弁にありました、島留学の海士町のことについて伺いたいと思います。

 この海士町、山内町長を中心にした取り組みで、島おこし、あるいはIターンの若者が多いことでよく知られるようになりました。島の名前は中ノ島といいまして、後鳥羽上皇の流刑地としても有名な、隠岐・島前の入り口の島であります。新しい冷凍技術、CAS冷凍技術を使った水産物とか、潮風ファームの隠岐牛を東京に出荷をし、大変高い評価をもらっておいでになります。

 二年前の離島振興法の改正、それと同時に行いました高校教育標準法の改正、この二つの改正によりまして、専科教員の加配に特別交付税措置が新たに講じられるということになりました。その結果、専科教員の大幅増員が実現をすることになりました。本土側からも海士町の島前高校に島留学、生徒が集まるようになりまして、以前は学年一クラスであったものが、今は三学年とも二クラスになっております。生徒数も大幅にふえました。

 そのほかに、離島振興法改正で、新たに離島活性化交付金が制度化をされまして、本土からの生徒に本土と結ぶフェリーの運賃や寮費を支援したことも効果を発揮いたしました。一過性の予算措置ではなくて、法的な裏づけのある、継続的な対策が求められると思います。

 今回、まち・ひと・しごと創生法案や地域再生法改正案が成立をいたしましても、来年以降も、地方創生に関係する既存の法律を精査した上で、ネックになっているものがあれば、きめ細かな法改正を行う必要があると思います。いわば束ね法であります。

 地方創生に関係する各種法制度の見直しにつきまして、今後どのように取り組んでいかれるのか、大臣からお伺いいたしたいと思います。

石破国務大臣 委員御指摘のとおりで、一過性のものだけやっても仕方がないということでございます。ですから、法律というもの、つまり地方活性化のための法律というものをもう一度全部洗い直してみたいと思っております。

 私が農林水産大臣のときに、農村工業導入法という法律がどのような効果を発揮し、そして、それは今どうなっているのというお話を聞いたことがありますが、農村工業導入法というものも、時代がこのように変わってきたとするならば、見直す必要がひょっとしたらあるのかもしれません。

 いろいろな制度というものを全部見直して今の時代に合ったようにしていかなければならないということであって、これは私、きのうの国会答弁でも申し上げましたが、この地方創生というのは、魔法みたいに、一年でぱっと地方が創生するということはあり得ないことなのであります。人口構成まで考えますと、多分、四十年、五十年かかるお話だと思います。

 それは、間違いなくそのときに我々は生きていないわけですが、地方が本当に創生をし、日本というものが、一番高齢化では世界の最先端を走っているわけですね、でも、日本のモデルというものがやがて世界のモデルになっていくということであって、我々がこの制度を見直すことによって新しい力強い日本をつくっていくということは、必ず世界に大きく貢献するものだと考えております。

 ですから、委員御指摘のように、法律、制度、そういうものを今の時代に合うように積極的に改めていきたいというふうに考えておりまして、どうか闊達な御提案を賜りたいと思っております。

宮腰委員 次に、中川農林水産大臣政務官にお伺いをいたします。総理の所信演説にありました、根室のサンマについてであります。

 昨年九月、農水委員会の委員派遣でベトナムに参りました。その際に、現地のスーパーで根室のサンマが並んでいる売り場を見てまいりました。すぐ隣にはほかの国のサンマも並んでおりましたけれども、形も鮮度も、根室のサンマとはとても比較にならないほど貧弱な印象を受けました。本物の和牛と豪州産和牛も、仮に並べてみれば、その違いは一目瞭然ではないかと思います。

 戦後ほぼ七十年、北方領土返還が実現していない。この問題が未解決なことによりまして長年困難な状況に置かれておりまして、人口も三万人を割り込んでしまっている根室市。特に、根室管内の漁業生産額は、二百海里問題が起きてからは、最盛期の半分にまで落ち込んでいるという状況であります。

 海外のサンマ市場を本格的に開拓しようとする根室の自助努力が継続して実を結ぶようにしなければならないと思いますけれども、どう後押しをしていくのか、中川政務官に伺いたいと思います。

中川大臣政務官 北海道根室市のサンマについてお尋ねをいただきまして、本当にありがとうございます。

 根室のサンマについては、四年前の平成二十二年からベトナム向けの輸出が行われておりまして、お刺身でも食べられるような質のよさが高い評価をいただいているものと承知をいたしております。

 宮腰先生を初めとする農林水産委員の皆様方に実際ベトナムにおいでをいただいて、スーパーをごらんいただいた、そして率直にそのような感想を持っていただいたということ、根室の漁業者また輸出関係者の皆さんはもとより、根室の地域の皆さんが、本当に励みになって喜ばれるというふうに思います。ありがとうございます。

 農林水産省といたしましては、これまでも毎年、ベトナムのバイヤーを根室市にお招きする、また、ベトナム国内での商談会を開催することについて、支援を行っているところでございます。

 このような取り組みは、農林漁業者の所得の向上や地域のにぎわいの創出に寄与するものでありますので、引き続き、水産物の輸出の目標、平成三十二年までに三千五百億円でありますけれども、その達成に向けて必要な支援を行うように努めてまいります。

宮腰委員 強力な支援をお願いいたしたいというふうに思います。

 実は、根室市は私の住む黒部市と姉妹都市でありまして、もうかれこれ四十回ぐらい根室市に足を運ばせていただいております。根室の地元の皆さん方の顔がわかる関係。ぜひ、その頑張りをしっかりと後押ししていただきたいと思います。

 それでは、地域マネジメント法人について伺いたいと思います。

 石破大臣は、農水大臣時代に、地域マネジメント法人の制度化を検討されておいでになりました。平成二十一年六月、大臣はみずから、「農政改革の展開方向」を取りまとめられました。その中に、「地域マネジメント法人の育成」、「農山漁村の機能向上」という項目があります。

 同年八月の概算要求の説明ペーパーの見出しでは、「みんなでふるさとを元気にする仕組みを立ち上げませんか?それが「地域マネジメント法人」です。」というふうになっております。具体的な活動内容例として、「スクールバスを住民の足として使えるようにしましょう。(自治体)」「売店、直売所や介護サービスならお任せ下さい。(NPO)」「食事を作ったり配ったりは私たちがやりましょう。(女性グループ)」「中山間直接支払いも複数集落で取り組めば高齢化が進んでも続けられます。(集落代表者)」などなどであります。要求額は、当時五十億円。

 これが、政権交代後、民主党政権では、要求額は二十六億円と半減され、その半減された予算も、年末の事業仕分けで廃止判定となりました。地域マネジメント法人については、このような経緯で日の目を見なかったわけであります。

 五年前に地域マネジメント法人の制度化を検討されていた石破大臣は、地方創生大臣となられた今、どのようなお考えをお持ちでしょうか。大臣、お願いいたします。

石破国務大臣 経緯は今先生から御指摘をいただいたとおりで、私は、これを廃止しなければ、もう少し違った地域があったんじゃないかなと。当時の経緯については、また民主党の方から御教示をいただきたいと思っていますが。

 農水大臣になりましたときに、市町村合併ということによって、私の選挙区でも、今は鳥取市になってしまいましたが、前は佐治村といっていた村があったんですね。人口三千人ぐらいのちっちゃな村でしたが、そこには村長さんがいて、村役場があって、職員がいて、村会議員が十人ぐらいいてということで、そこで何が起こっているのかということが県庁にも国にもすぐに伝わるということになっておったわけです。それが、平成の大合併によって鳥取市佐治町ということになり、役場もなくなり、村長さんもいなくなり、村会議員もいなくなり、今や鳥取市会議員が一人も出せないというようなことに相なりました。

 私は町村合併をもとに戻せということを言うつもりはありませんが、そういうどこで何が起こっているかよくわからないねというような状況になってくると、結局、その地域の雇用でありますとか産業でありますとか、誰がそこをマネジメントするのということに応えなければいけない。

 そのときに残っている資源というのは何だろうかという、これは社会的インフラというのか、何なんだろうなと考えたときに、一つはJAなんでしょう。一人は万人のために、万人は一人のためにというのはまさしく協同組合の理念なのであって、そこにおいて、JAでありますとか郵便局でありますとか、あるいは土地改良でありますとか社会福祉協議会でありますとか、そういう残っている資源で地域をマネジメントするということを考えていかないと、まさしく地域の切り捨てになるのではないだろうかということを考えたわけでございます。

 地域マネジメント法人というものをつくっていって、そういうところに暮らす人々の暮らしであるとか雇用であるとか、そういうものをきちんと見ていかねばならない、その思いは今も変わっておりません。

 そのように言いますと、では、JAがやると言うけれども、それは総合農協をどうするつもりだというようなお話に必ずなるわけで、だとするならば、総合農協というのは日本独特の形態でございますから、産業組合としての農協と地域組合としての農協というものをどのように考えるべきなのかということは、また党においても御議論をいただきたいことだというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、地域をマネジメントする組織というものをつくっていきませんと、地方はどんどん疲弊するままになってしまいますので、どうか、この委員会の御議論を通じても、地域をマネジメントする組織というものはいかにあるべきかということについて委員からも御提言を賜りたいと思っております。この考えは私は今も変わっておりませんし、西川農林水産大臣とよく御相談をしながら、地域をマネジメントするにふさわしい組織というものはつくっていかねばならないと思っております。

宮腰委員 大臣、今、JAのことについてお触れになりました。私も、産業政策、農業の担い手としてのJAの役割、そのほかに、よく大臣は、JAこそ地域の担い手とおっしゃるわけでありますけれども、地域の担い手、支え手としての役割、両方あるんだろうと思っております。でありますので、これからのあるべき姿をしっかりと見据えた上で、党内の議論も進めていかなければいけないというふうに考えております。

 総務省もいろいろな事業をやっておいでになります。過疎集落等自立再生対策事業を創設いたしまして、住民団体などが実施する集落維持、活性化の取り組みの支援を始めました。二十五年度補正十三億円、二十六年度当初九億円であります。

 また、地域での暮らしや生活機能を支える地域運営組織、RMOという余り耳なれない言葉でありますけれども、その実証研究が進められていると聞いております。これは、まち・ひと・しごとというよりも暮らしに着目をした、そういう事業だと思うんですけれども、これは石破大臣が提唱されていた地域マネジメント法人とも関係が密接にあると思います。

 縦割りを排し、同じような事業に横串を刺すという創生本部の基本方針からすれば、この地域法人ということについて今後どのように事業展開をすべきと考えておられるのか、大臣から伺いたいと思います。

石破国務大臣 各省庁がいろいろなことを考えますが、では、総務省はこういうふうに考える、農水省はこのように考える、国土交通省はこのように考えるというふうにやりますと、地方にとっては何が何だかさっぱりわからぬというお話になってしまいます。

 それから、先ほど来答弁申し上げておりますように、地域をマネジメントする組織というものはどういうものであるのかということについては、横串を刺すというのか、そういう形で、地方が、まさしくこういうものがあっていいのだと。

 では、それに対する財政的な支援はどうするのか、それが税においてどのように取り扱われるかということは、確かに総務省の管轄になりますが、これこそまさしく、縦割りを排して、このような組織をつくるのだという考え方をなるべく早く取りまとめたいと思っております。法的措置が必要であれば、国会で御同意を得て法的な措置を講じなければなりません。

宮腰委員 今回のまち・ひと・しごと、特に仕事に関係する部分は、この地域再生法改正案の中に一部含まれております。

 この改正は、主として地域再生計画の枠組みの変更ということでありますけれども、各種手続のワンストップ化あるいは地方からの提案制度の創設が改正内容に含まれております。そのほかに、地域の特性に応じた使い勝手のよい新たな交付金の創設、いろいろ議論になっております。税制措置、国の職員の派遣あるいはシティーマネジャー制度なども検討をされております。今回、農地法、農振法の特例ということで、六次産業化に係る施設等を整備する場合の農地転用許可の特例も含まれているわけであります。

 そこで、もう時間がないので最後の質問にさせていただきたいと思いますが、地方六団体の方から、総合的な土地利用の調整を行う権限を地域の実情をよく知る市町村が持つべきであると主張しておいでになります。総合的な土地利用の調整ということであれば、これは都市計画法上の線引きなども含めた権限の問題であるのかどうか、必ずしも地方団体の主張は明確ではありません。

 地域再生法は、地域の自主的な取り組みを推進する目的で制定された枠組みであります。認定市町村が、知事の同意を得て、地域農林水産業振興施設整備計画を定めることとしております。改正案では、この施設整備計画の中に農用地を含めた場合に、計画用地については農用地区域から除外、農地転用は許可されたものとみなすこととされております。

 この地域再生法の枠組みの中で市町村が土地利用の調整を図っていくことが適当だと私は考えているわけでありますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

石破国務大臣 今回の地域再生法の改正案につきましては、今委員から御紹介をいただいたとおりでございます。

 土地利用の調整全般において主体がどうあるべきかというのは、確かに地方分権のあり方の御議論でございます。したがいまして、各地域が地域の再生を進めるに当たって必要とする新たな措置につきまして、今回、地域から国への提案制度を改正法案に入れたところであります。そうすると、その地域が活性化していくためにそれがどういうような意味を持つものであるのかということについて、地域でよく御検討いただき、御提案をいただきたいと思っております。

 これは、もう日本の農地のあり方をどのようにしていくべきなのか、それぞれの地域が責任を持つと言いますが、国全体で一体どれだけの農地が必要であり、これから農地のあり方の高度化、利用の高度化というものをどのように考えるかということは、やはりこれは、予定調和みたいな話ではなくて、地域がどのようにしてそれを立案し、どのように責任を持ち、地域が活性化するとともに、国において必要な農地が確保されるという、両方満足するものでなければなりません。

 ですから、どっちがやるとかどっちがやらないとかそういう話ではなくて、国全体の政策目標を共有しながらどのようにして調和をさせていくかということについて、さらに検討を進めて答えを出したいと考えております。

宮腰委員 終わります。どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、まち・ひと・しごと創生法案並びに地域再生法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 昨日の本会議でもありましたとおり、地方創生というのは、東京圏と地方の対立などという問題ではなくて、東京も、住宅あるいは通勤、育児の環境などを含めて住みやすくしていくということで、魅力を向上させるということも一つ大事なことであるというふうに思っております。そしてまた、地方は地方で、東京とは違う魅力をみずからの知恵と工夫でつくっていかなければいけない、こういった問題であるというふうに認識をしておる次第でございます。

 実は私も、先ほど来宮腰先生の質問にもありましたとおり、隠岐の島の海士町は非常に注目をされているわけでありますけれども、九月二十二日から二十四日の日程で隠岐の島全四島を回ってまいりました。

 その上で実感したのは、地方創生は人こそが命であるというふうに感じた次第でございます。海士町の方々、この方々は、自分たちの島はみずから守り、島の未来はみずから築く、そういった住民や職員の皆様による地域への誇りあるいは気概というものを私は感じざるを得ませんでした。こうした、会う方々皆さんが真剣でいらっしゃる、そういう海士町に触れさせていただきまして、地元の方だけでなくて、都市部の皆さんをも巻き込んで、島を、町を活性化していく、こういった姿を拝見させていただくことができました。

 これは、まち・ひと・しごと創生会議のメンバーでもいらっしゃいます奥田さんと一緒に、島前高校魅力化プロジェクトをやっていらっしゃる方々とも意見交換をさせていただいて、本当に都会から優秀な方を集めている、そういうある種の人を巻き込む求心力があるということも感じた次第でございます。

 ぜひこうした成功例、点での成功例かもしれません、これをどんどん全国で起こしていく、これが地方創生で大事なことなのではないかというふうに感じる次第でございます。

 その上で、この二つの法案につきましては、まず一つに、創生法案におきましては、総合戦略においてしっかりと指標を定めていく、こういった具体的作業が残されているというふうに思いますし、また、地域再生法の改正においては、しっかりと特例の中身をまたふやしていくということも大変重要であるというふうに思っております。

 精神的な部分だけではなくて、考え方、これは非常に大事なんですけれども、具体的な議論を提案型としてしっかりと質問できょうはやらせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、一つ目の質問におきましては、ローカル経済圏、この言葉は創生会議の冨山委員もおっしゃっている言葉でございますけれども、グローバル経済圏とローカル経済圏、この二つの経済圏があるというふうな形でさまざま議論が進められるであろうというふうに思っておりますけれども、このローカル経済圏を担う産業というのは大体どのようなものを想定しているのかということをしっかりとイメージしてまいりたいなと思っております。

 というのは、例えば、私の地元兵庫県でも、明石市、タコで有名なんですけれども、この明石の漁協さんが、今漁業が非常にシュリンクしている状況において、どうやって自分たちが市場を開拓していくのかに知恵を絞っておられます。そうした中で、コープこうべという生活協同組合ですけれども、スーパーも経営していらっしゃるんですね。このスーパーに直接漁協から魚を納入するといったような取り組みをされているわけでございます。

 これも一つ、地域の工夫であるというふうに思いますし、こうした小売における物流コストを下げていくというようなことをやりながら、しっかりと地産地消を進めていく、こういった形というのは一つのローカル経済圏におけるモデルになり得るのかなというふうに考えております。

 そこでお伺いしたいんですけれども、ほかに、どういった産業でどういったモデルを想定されておられるのか、お答え願います。

平副大臣 濱村議員にお答えをいたします。

 今、事例を出していただきましたが、冨山さんがローカル経済圏ということを提唱されております。専ら、冨山さんは、実際に地方路線のバス事業などもやられているということもあり、いわゆる地方におけるサービス産業の生産性を上げるべきだという御意見を開陳されております。

 一方で、今委員御指摘のように、私自身は、地方において一次産業をどう活性化していくか、付加価値をどうふやしていくかといった視点、もしくは、観光事業など、外から人を呼び込んでいく、そういったことが大切であろうというふうに思っております。

 兵庫の明石のような地産地消のケースは、その分物流コストが省かれる、その分、安く調達できる、そのことによって地域の人たちのいわゆる金銭的な余裕が出てくるわけでありますから、そういった地産地消と、あと、ローカル経済といえども、外から人を呼び込んでいくという組み合わせ、これが極めて重要になろうかと思います。

 産業的には、冨山さんが指摘をされたサービス業の生産性向上、さらには一次産業の高付加価値化、一次産業を担っている人の所得をふやす、さらにはインバウンドを含めた観光事業などが挙げられるのではないかと考えております。

濱村委員 今副大臣からさまざまありました。サービス産業あるいは一次産業、観光ということでありましたけれども、実は、こういった産業は押しなべて生産性が非常に低いというデータも出ておるわけでございます。

 二〇一三年通商白書によりますと、小売、卸売業は、アメリカに比べると、アメリカを一〇〇とするならば四二・九ぐらいの生産性しかないということであります。

 私は、こういった生産性の低い産業においてしっかりと生産性を上げていただく、これが一つの大事な目標になるのではないかというふうに考えているわけでございますけれども、これをぜひ、総合戦略における客観的指標、この指標にこの生産性を加えていっていただきたいというふうに今御提案申し上げたいと考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地域におきます産業の生産性向上は大変重要な課題と認識してございます。

 そのため、現在、各省とともに検討を進めてございますが、例えば先週の各省のヒアリングの中では、経済産業省の方から、地域の六から七割の雇用を支えておりますサービス産業、この労働生産性の伸びが〇・八%ということでございまして、これを米国並みの二%に高めていきたい、こういう考え方も示されたところでございます。

 このように、生産性の向上に関しまして、効果検証が可能な具体的な政策目標について、どのように設定していくかについて今後検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。

濱村委員 ぜひ、今後も深めていっていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そして、その上で、生産性向上と一言に言いましても、では、一体、地方でどうやってやればいいんですかという話があるかと思います。

 私は、実は、地方における、とあるスーパーさんをさまざま支援してきたという経験もあるんですけれども、そのスーパーは非常に生産性がよくて、売り上げも、非常に利益率も上がっている、そういうスーパーだったんですけれども、何がすばらしいかというと、パートのおばちゃんですら非常に知恵と工夫を行っていらっしゃるということでありました。

 こうした、はっきり言いますと、会社のやり方、仕事のやり方に対して現場の人たちが物を言うということはなかなかなかったんじゃないかというふうに思っておったんですけれども、決してそうではない。

 やはり、今、国を挙げて女性の活躍という話がありますけれども、しっかりと現場では、女性も含めてさまざまな方が知恵と工夫で生産性を向上してきているということを私は認識しているわけでございますが、そうは言っても、生産性向上には特効薬はございません。特効薬がないがゆえに、地道に仕事のやり方を改善していきながら、適切な設備投資、あるいは地道にIT化なども進めながら、あるいは省エネ化なども進めながらやっていかなければいけない、こういったものであるというふうに思っておりますけれども、ただ、これは非常に多岐にわたるわけでございます。

 生産性向上、いろいろな知恵と工夫が必要でありますけれども、これはぜひ大臣にリーダーシップを発揮していただきまして、各省庁に指示出しをお願いしたいというふうに考えますが、いかがでございましょうか。

石破国務大臣 御案内のとおり、まち・ひと・しごと創生本部というのは、全ての閣僚が構成員でございます。

 生産性を上げていかないと地方がもたないという認識を持っておりまして、今までは、生産性は低いが、そうであるがゆえに多くが雇用されているよというところがあったんだと思うんです。ところが、今、地方において人手不足というものが生じてきた。いろいろなサービス産業において人が足りない。人が足りないのは何も建設業だけではございません。そういうことになりますと、生産性が低いということをもってして、それで雇用がたくさん維持されているからいいじゃないのという理屈は全く成り立たないことになってまいります。

 やはり、地方において生産性を上げていく、それによって企業が発展をする、それによって利益を得る、それによって設備投資を行い、さらに雇用をふやし、お客がふえるという好循環というものを地域においてもたらすためには、地方における生産性向上、それは第一次産業もそうでしょう、観光業もそうでしょう。そういうことをやっていくということにつきまして、各大臣に対してこれは指示を出していかねばならないものだというふうに考えております。

 基本姿勢として、中長期を含めた政策目標を設定し、効果検証を厳格に実施することを明確に求めておるところでございます。したがいまして、御指摘のような、それぞれの産業の生産性向上も含めた効果検証を行える具体的な目標設定がなされた上で、具体的な取り組みがなされるということになります。

 ですから、各大臣に対しまして、生産性を上げるということをぜひともお願いをし、各省庁において適切な対応をなされたい。もちろん民間がやることなのですが、各省庁もそれなりの対応はできるはずでございます。

 地方において生産性を上げるということは、人の切り捨てでも何でもございません。持続可能性を維持するためには生産性を上げねばならない、そういうことだと考えております。

濱村委員 今、大変ありがたいお話をいただいたかというふうに思っております。

 雇用をしっかりと確保するという意味では、なかなか生産性が上がらなかった地方の中小企業の皆さんも、ある一定の役割があったというふうには認識しておるわけでございますけれども、もう既に地方においては人手不足が始まっているわけでございます。

 これは、そもそも建設業の皆さんが非常に人手不足だと言っているんですが、もっと言うと、サービス産業においては人手不足がとうに始まっていたわけです。それが地方においては深刻になっていたわけですけれども、ずっとじり貧のまま何とかやってきたという状況でありますが、今、少し視点を変えますと、派遣の方々をもしっかりと正社員として囲い込むということも始まっているわけでございます。

 早い人であれば、そういうかじをとっていかなければいけないという認識のもと、人口減少というよりも労働力不足、このことにどう対応していくのかということをしっかりと地方で考えていかなければいけない。そのためには、IT化などを進めながら生産性を上げていっていただくしかないというふうに思っている次第でございます。

 その上で、生産性がなかなか向上しないといった中小企業も出てくるかと思います。そういった場合は、やはり廃業をしていただくなり、あるいは事業承継をしていただく、こうした取り組みも必要であるというふうに思います。

 これも、何も、先ほど大臣がおっしゃったとおり、切り捨てとかそういうものではなくて、しっかりと従業員の方々の雇用を確保しながら進めていくという方法論も見出していかねばいけない、こういった課題であるというふうに思いますが、企業としてしっかりと集約化していっていただく必要があるというふうに考えますけれども、いかがでございましょうか。

平副大臣 委員まさに御指摘のとおり、もう人手不足は恒常的になっていくということだと思います。その中で、生産性の向上は不可欠ということになります。

 今、集約という話がありましたけれども、まずは新陳代謝ということが必要であろうと思います。私も中小企業の経営をしていました。国会議員になって十年になりますが、連帯保証が外れたのは去年ですね。九年間、連帯保証を外してくれないというようなこともありました。まず、個人保証のところを、先般ガイドラインも出しましたが、しっかりとこのガイドラインを実行してもらう。

 今、金融機関などでは、入り口の部分ではこのガイドラインに沿ってしっかりやっておりますが、廃業や事業承継の段階、いわゆる出口においては、まだ事例が数少ないということもありますので、しっかりモニタリングをしていく必要があろうかと思います。

 一方で、廃業だけでは困りますので、しっかりと事業承継をしていく、もしくは第二創業につなげていく、こういったことも重要であろうかと思います。

 いずれにしても、ベストプラクティスをつくって、それをまた見習って、生産性を上げてもらうとともに、全体の新陳代謝も高めていくという政策を総合的に実施してまいりたいと考えております。

濱村委員 今、出口だけ整えても仕方ないというお話がありましたけれども、私もそのとおりだと思っております。

 そのためには、出口だけではなくて、ずっと地方において金融機関の皆様が中小企業の方々に寄り添っていただく必要があるかというふうに思っておりますけれども、そのための方策というものは、どのようなことが検討されているでしょうか。

西田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地域創生、あるいは地域経済の活性化に向けては、地域金融機関の果たすべき役割は非常に大きいと認識しております。

 特に、地域経済におきましては、今もお話がありましたように、人手不足も見られる中で、その活性化を図っていくためには、企業あるいは産業が生産性あるいは効率性を向上させて、地域における雇用や賃金の改善につながる、そういったことが重要であると考えております。

 このため、地域金融機関におきましては、まずは、さまざまなライフステージにあります企業の事業の内容であるとか成長可能性であるとか、そういったものを適切に評価、いわゆる事業性評価というものをしっかり行った上で、それを踏まえました適切な解決策というものを提案して、その実行を支援していくということが重要ではないかと考えております。

 特に、地域金融機関におきましては、担保とか保証に必要以上に依存しない、いわゆる目きき機能をしっかりと発揮した事業性評価に基づく融資でありますとか、さまざまなコンサルティング機能を発揮した企業の生産性の向上、あるいは経営改善、体質の強化の支援などの取り組みを一層強化していくことが求められていると考えております。

 以上申し上げた点につきましては、本年九月に策定、公表いたしました金融モニタリング基本方針にも明記をさせていただいたところでございます。金融庁としましては、この基本方針に基づいて、監督、検査等を通じまして、地域金融機関によるこうした取り組み状況を確認するとともに、積極的な取り組みというものを促してまいりたいと考えております。

濱村委員 もう時間が参りましたので、ちょっと質問を一問残して終えたいと思いますけれども、今、個人の保証あるいは担保に頼らないというような話がありました。しっかりと事業内容などを見た、そういった目きき機能を地方金融機関につけていただくということも含めて、しっかりと地方創生を担っていっていただきたい、このようにお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。

 地方創生に関連いたしまして、野党の立場から議論をさせていただきたいと思います。

 まず石破大臣、冒頭、この地方創生に向けた取り組み、意気込みをお聞きいたします。

 特に二点ほどフォーカスしていただきたいと思いますが、大臣は九月十九日の会見の中で、地方創生、官だけでやっても絶対に失敗します、民の意識改革というのも当然必要、それが思いつきのような話ではなくて、今、世の中はこうなっている、経済はこうなっている、世界の流れはこうなのだ、その中にあってなぜこういうことをお願いするのか。まさにコンセプトのベースになる部分を発言しておられます。それに沿って御説明をいただきたい。

 あわせて、アベノミクスが間もなく二年を迎えます。アベノミクスという全国レベルのマクロ政策では地方の再生、創生には限界があるというのがこの時期の地方創生の議論でいいのかどうか。

 特にこの二点、フォーカスを当てた上で、意気込みをお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 結局、民間の意識改革というのはどうしても必要で、これは、経済において公が占める部分というのは極めて少ないわけであって、経済のほとんどは民間が負っているわけでございます。国ができる限りのことはやりますが、大宗は民間が担っているということであります。

 そうしますと、地方の経済というものを考えたときに、どういう主体があるかというと、まず、かつて多くの雇用を実現していた第一次産業というものがあります。そして、企業誘致によって雇用を維持していたという部分があります。あとは、役場とか市役所とかいう公の部門がありまして、あとは公共事業という分野があって、そういうものを除いたサービス業というのがあるわけです。

 これから先、公の雇用というものはそんなに出てくるかというと、それはおのずと限界がございましょう。あるいは、電機や自動車のようなそういう産業がこれから先雇用をつくっていくかというと、それはグローバル経済の中で極めて難しいということがございましょう。あるいは、公共事業もこれから先どんどん伸びるかというと、そういう話にもならぬでしょう。

 そうすると、大宗を占めている第一次産業あるいはサービス業というものがおのずから変わっていかない限り、地方の創生なんぞということがあるはずがないということだと思っております。

 では、農業政策は今までのままでよかったか、漁業はそうなのか、林業はそうなのかといえば、根本から見直していかねばならない部分があります。その萌芽が地方には随分あるだろうと思います。

 先ほどの議論の中で、観光業とかあるいはスーパーとかそういうお話がありました。それも、地域地域において今までのやり方を変えていただかねばなりません。民が主体であるというのはそういうことだというふうに私自身は認識をいたしておるところでございます。

 そして、ローカルアベノミクスというのは、グローバルアベノミクスという言葉があるかないか私は存じませんが、大胆な金融緩和、そして機動的な財政出動で、経済はあの異様な円高というものも脱しつつあります。そして、株価の水準も随分と回復をしてまいりました。そこまではうまくいったんだと思います。

 その次の成長戦略において、経済の多くの部分を担っております、いわゆるローカル経済というものをどのように立て直していくか。ローカルアベノミクスの内容というものは、グローバルアベノミクスという言葉を仮に使うとすれば、それとはかなり内容が違ってくるんだろうと思っております。

 ここにおいて、アベノミクスなるものによって光と影があって、地方における影の部分をどのようにして消していくかということも考えていかねばなりません。

 そして、地方の優位性というものを最大限に生かした、要はそれぞれの地域においてうまく経済が循環をしていくか。今うまく循環しているというふうな認識を私は持っておりませんで、それぞれの地域において経済がうまく循環をしていくということがローカルアベノミクスであり、そこにおいて地域の優位性をいかに生かすかということがポイントだと考えております。

小川委員 同感な部分、多々ございます。

 これまで何かと、地域振興というと、都会のまねごとをするのが地域振興。しかし、おっしゃったように、これから、都会にまねできないことをいかに伸ばしていくか、それを国として妨げない、後押しするという姿勢なんだろうと思います。

 大臣、中身に入りたいんですが、ちょっと野党側としては、最初の機会ですので、大臣御就任に当たって紆余曲折ありましたと報道等でお見受けしております。その点をちょっとお聞かせください。

 というのも、もちろん地方創生に関する意気込みを今お聞きしました。大臣も中学までは鳥取でお過ごしなんですか。私も高校まで高松でありまして、大学進学時にこの東京のばかでかさに圧倒されて、自治省に入りました。何とか地域振興というのは自分のライフワークにしたいという思いであります。後ほど質疑に立ちます重徳理事、自治省の同期でありまして、民主党と維新の党、こういう形でも連携しております。

 一方、予算委員会等で大臣のお姿を拝見しておりますと、やはり、国防の石破茂、安全保障の石破茂というふうに自認されているんだと思いますが、安全保障の議論になったときの方が非常に目が覚めておられる、表情が生き生きしておられる、答弁の出番はないにもかかわらずです。そういう感じも受けるんですよ。

 それで、地方創生に入る前に、ちょっとこの経過だけお聞かせください。

 安保相に就任の打診があったというのは事実ですか。そしてそれは、安全保障政策は総理と一〇〇%一致する人がやるべきだということで御辞退になられたとお聞きしておりますが、それは事実ですか。どこがどう異なるから受けられなかったのか、そこをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 人事権は総理・総裁たる安倍晋三総理がお持ちであります。ですから、党の人事は総裁たる安倍総裁、そして、政府の人事は総理たる安倍総理がお持ちであります。お決めになったことには従わねばなりません。そういうことであって、紆余曲折あろうが何しようが、決まったことには従うのは組織人として当然のことだと考えております。

 また、何か防衛になると目がらんらんとしてという御指摘を頂戴いたしましたが、私もともと、本業というのかしら、ずっと農林水産をやってまいりました。一番最初に政務次官になったのは宮沢内閣でございます。その後、森内閣で副大臣、当時でいいます総括政務次官を務め、農林水産大臣もやらせていただきました。確かに、防衛というものに対しても強い思いを持っております。長くその仕事もやってまいりましたが、同時に、農林水産の仕事も随分と長くやってまいりました。

 私は、私ごとになって恐縮ですが、今から三十年前に議員になりたいと言って地元へ帰ったのです。そのときに一番最初に歩き始めたのは、県境の、本当にちっちゃなちっちゃな集落から歩き始めました。それぞれ選挙のやり方はあるんだろうと思いますが、私は、もちろん法律の範囲内ですが、一軒残らずその地域を歩き、その人たちの話を聞かなければこんな仕事はできないと思っております。

 香川県もそうでしょうが、私の鳥取県も全国で一番ちっちゃな県でありまして、スタバはないが砂場はあるとかなんとか、よくわからないお話があるところでございますが、やはり地方というものが、二十八年議員をやってきて、本当に衰退しているねというのは、いても立ってもいられない危機感が自分にはございます。

 世の中が変わってきたのに政策が変わっていないという部分が随分あるのではないかと思っておりまして、政治の力で地方を創生するというのも、自分が政治家として有権者のおかげで長くやらせていただいている者の務めとして、何とかその方向性だけは不可逆的なものにしてまいりたいと考えております。

小川委員 直接委員会所管外のことをお尋ねするのは大変恐縮でありますが、やはり、全体としてこの地方創生に対する本気度、意気込みを問うに当たっては、その経過をお尋ねしたいということでありました。

 加えて私は、つけ加えさせていただきますが、現在の安倍内閣の安保法制に関する議論については非常に危惧しておりまして、やはり、米艦船に搭乗した日本人を守らなくていいのかという情緒的な議論になったりとか、あるいは、もっと危険性をしっかり説明した上で、その上で国益のために必要だということを真摯に説明しなければならないと思いますが、そういうところをすっ飛ばしていたりとか、そういうところは非常に曖昧で、私は危険だと思っています。

 石破大臣には、閣内にあって、もちろん表で言えること、言えないことはあると思いますが、ここはぜひ閣内において、まさにライフワークでありますので、そういう意味でも存在感を発揮していただきたい、そのことは申し上げたいと思います。

 さて、この地方創生の法案でありますが、これは石破大臣御自身も満足しているとは私は思えないんですよね。法律事項がないじゃないですか。本部の設置、これは閣議決定一枚でできますよ。基本理念、計画策定の努力義務、そんなものは通知一枚でできる話であります。何か閣議決定でやっちゃいけないことは閣議決定でやるが、閣議決定で十分じゃないかということに関しては、わざわざ看板を掲げるための法律を出してくる。これは全く法律の中身がない。

 しかも、こうして特別委員会を設置して、大臣初め三役の皆さん、お忙しい中お越しいただいています。もちろん、やる以上、関係の皆様にはいろいろと御意見をお聞きしたいと思いますが、ちょっと看板が大き過ぎて中身がない、見かけ倒し、看板倒れ。この法律の中身はそうじゃありませんか、大臣。

石破国務大臣 これは委員は百も御承知の上で質問をしておられると思いますが、こういう組織を決めるというのも法律事項でございます。ですから、それは権限と関係ないではないかという御指摘もあるのかもしれませんが、組織をきちんと法律で定めておきませんと、そこから権限も出てまいりません。これは関係の教科書にも書かれていたので私は読んだんですが、やはり法律において組織を定める。

 ですから、次の内閣になりましたと、次にどういう内閣ができるか、それは存じませんが、ずっと内閣が変遷していく。では、もうこれはやめちゃおうということになると、それはやはりぐあいがよくないだろう。法律できちんと組織を定め、権限の淵源たる組織を法律によって定めるということは、法律事項たるゆえんだと私自身は考えております。

 中身がないじゃないかというお話ですが、これは基本法的な位置づけを持つものでございます。ですから、基本法を頂点としていろいろな法体系というものがあるという形では必ずしもないので、基本法的なという言い方をいたしておりますが、そこにおいては、基本法のパターンであります、理念を掲げ、そして責務を書き、組織をつくるという基本法のセオリーにのっとってこの法律はつくっているものでございます。

 ですから、この法律をまずベースとして、その後どのような政策を立案していくべきかというのは、今回で終わるお話ではございません。これは私は冒頭申し上げたかもしれませんが、日本の国のあり方というものを根本から変えるというのがこの地方創生なのだと思っております。そうすると、膨大な法体系というものも変えていかねばならぬでしょう。

 あるいは、委員の御専門だと思いますが、交付税のあり方というものも問われていくべきことだと思っております。一括交付金にすればそれでいいというお話だと私は思っておりませんで、交付税の持っている機能というのはそもそも何なのかというところから問いかけていかねばならぬことだと思っております。そこにおいては、恐らく、結果平等という概念と機会平等という概念がもう一度論ぜられるべきものだと考えております。

 そうしますと、まず、この法律を御審議いただき、この法律を成立させていただき、そしてその後に、そもそもということを見直していかなければなりません。ですから、この法律に中身がないという御批判は当たらないものと考えておりまして、しかしながら、同時に、この法律さえできれば事成れりだとも全く思っておりません。

小川委員 後段の点はそのとおりだと思います。法律ができたからそれで完成ということでは当然ありませんし、不断の政策実現に向けたさまざまな取り組みは必要だと思います。それはそのとおりだと思います。

 しかし、ちょっと野党の立場からでありますが、もともと、七月一日に先ほどの安全保障に関して閣議決定をされた。そして、この秋の国会ではその安保法制に関する議論がメーンになる予定だった、その時点では。そして、年末にはガイドラインの見直しを予定していた。ところが、七月十三日、滋賀県知事選挙で結果がひっくり返った。政権としてはたじろいだ。その安保法制を先送り、にわかに統一地方選挙前に持ってきたのが、この地方創生という看板。しかし、内閣発足後、余りの突貫工事で、基本的な理念も指針もなく、とりあえず法律をつくれと。

 大臣がお持ちの予算、自前の予算は、恐らく一銭もないと思いますね。支えておられる事務員の方々は、全部各省からの出向組、併任も含めて。極めて手持ちの資産、財産のない中で、奮闘はしておられる。そういう様子が見え隠れいたします、野党の立場から見ると。

 予算に関して、加えてお尋ねいたします。

 麻生財務大臣、お忙しい中お越しいただきました。

 内閣改造は九月三日であります。現在の政府、現内閣が提出した概算要求は、前内閣のもとで行われたんだと思います。

 一時、こういうことが話題になりました。これは、時事通信の九月の十八日の報道であります。

 政府は十八日、各省庁が八月末までに提出した一五年度概算要求について、地方創生の観点から全般的に見直す方針を決めた。まち・ひと・しごと創生本部の打ち出したばらまき排除の基本方針にのっとって、各省庁には予算の精査を要請、必要があれば再提出を求める。提出済みの概算要求を大規模に見直すのは異例だが、無駄を省き、効果の高い政策への重点的な配分を目指す。

 この報道に触れたとき、私は、ああ、本気なんだなと思いました。しかし、その後、全くそうした作業、手続はせずに今日に至っていると思いますが、麻生大臣、その点について御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 自治省だか総務省にしばらくおられたので、この種のことはよくおわかりの上で聞いておられるんだと思いますが、概算要求基準におきまして、一般論として、やむを得ない場合というような場合は、要求の出し直しをすることが理論上、実務上認められております。これは御存じのとおりだと思います。

 しかしながら、平成二十七年度予算要求に際しては、概算要求基準に定められておりますように、地方の創生と人口減少の克服に向けた取り組みを含めた要求、要望を既に行っていただいております。これはもう御存じのとおりです。

 また、その要求、要望を受けて、まち・ひと・しごと創生本部や、その下に設置されることになっておりますまち・ひと・しごと創生会議などにおける議論を踏まえて、私ども財政当局としては、まち・ひと・しごと創生本部と連携をしながら、これはさらに十二月末まで精査、磨き上げを行っていくところであります。

 したがって、内閣改造に伴って地方創生担当大臣が設けられたからといって、機械的に一律に地方創生に係る要求の出し直しを求めるというような必要性は私どもから見て乏しい、そのように考えております。

小川委員 石破大臣、同じお尋ねですが、これは同日の会見だと思いますが、余りゼロベースでやり直せというのは例として多くはないと思っているが、要は、効果を発現するためにあらゆる可能性は否定されない、今後さらによく検討してお答えいたしたいと。

 石破大臣としては、地方創生をこれだけ看板に掲げ、そして地方創生国会とまで銘打ってやっているわけです。これは、概算要求もそれに沿った形で見直したかったのが本意じゃありませんか、石破大臣。

石破国務大臣 今財務大臣がお答えになったとおりだと思っております。

 この地方創生なるものが大臣を設け本格的に稼働したのは、確かに概算要求の後でございます。そうすると、概算要求の出し直しということになるのか。予算編成のスケジュールから考えて、余りそれは現実的なことだと思っておりません。

 実際に本格的な予算編成というのはこれから行われるわけでございまして、今回法律をお認めいただければ、今でも内閣府設置法によって調整権限は私が持っておりますが、この法律によってまたそれを持つことに相なります。

 私が予算編成権を持っているわけではありませんが、総理から、ばらまきは排除せよ、そしてまた縦割りは断固排せということを言われているわけで、きのうも会見で申し上げましたが、私は結果が全てだと思っております。

 でき上がりました予算が、ほれ、やはりばらまきではないか、ほれ、やはり縦割りではないかと。私は、縦割りが全て悪いということを申し上げているのではありません。地方においてそれが使い勝手がいいのか悪いのかということなのでございます。地方に使い勝手の悪い縦割りの予算というものはあるべきだと考えておりません。また、どういうところも一律的にお金を配るという意味でのばらまきがいいとも全く思っておりません。

 これから予算を編成するに当たりまして、よく財政当局とも御相談をしながら、そういうあしきばらまき、ばらまきというのはあしきに決まっていますが、ばらまき、そして地方にとって使い勝手の悪い縦割り、そういうものを排した予算というものを実現しなければ、それは責務を果たしたことには全くならないということはよく自覚をいたしております。

小川委員 大臣、今の、結果が全てだと思うという言葉の責任は重いと思います。改めて、もちろんこれから予算の具体的な調整過程に入ると思いますので、私どもとしても結果をよく検証させていただきたい。

 しかし、ここで申し上げているのは、一度提出された概算要求がベースにならざるを得ないわけですね。麻生大臣御答弁のとおり、よほど強いリーダーシップなり、異例の事態なり、高い必要性があれば、それそのものを出し直すような見直しも可能なのかもしれません。しかし、現実には恐らくそれはないという前提に立たなければいけないでしょう。

 となれば、前内閣で、人口減少等が議論になり始めたのはまさに、「地方消滅」、増田日本創成会議議長の報告が本になって出版されたのは八月、それ以前、骨太の方針や日本再興戦略に基づいて出したのがこの概算要求でありますから、少なくともそこにメーンテーマとしてまだフォーカスはされていなかった、周辺にいた。であれば、その後やったのであれば、相当さま変わりしていたはずなんですよ。

 現に、現在の概算要求、これはよく言われていますが、百一兆円、史上最大規模であります。ふえているのは何かな。特に要望枠、特別枠との関係も含めてでありますが、厚生労働省は前年と比べると九千億余りふえています。これは、恐らく社会保障の自然増を含めて、やむを得ない数字でしょうと思います。が、メーンはやはり国交省の一兆円近い、これはほとんど公共事業だと思いますが、そこですよ。

 石破大臣は今、結果が全てだと御自身がおっしゃった。これは、この後、使い勝手も含めて、縦割り、ばらまきの要素を緩めること、なくすことを含めて、どういう結果を出されるのか、改めて野党としては注目したいと思います。

 この法案の中身のなさ、そして予算についても前内閣そのまま、これがまさに安倍内閣の地方創生。看板は立派ですよ。しかし、本気ですかと。どの程度本気でやろうとしておられるのか、その迫力なり熱意は十分に伝わってこない。

 もう一点、高市総務大臣、お忙しい中ありがとうございます。地方財政に関してお尋ねします。

 きのう、折しも総務委員会で大臣から所信的御発言をいただきました。その中で、地方財政措置、これも車の両輪ですよね、国の法律、予算と地方に対する財政措置。

 私、ちょっと気になったんです。大臣は、地方創生、人口減少はもちろんこの所信の中で触れられました。しかし、地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額については、二十六年度、今年度の計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとおっしゃった。

 これで十分ですか。これだけ地方創生、地方再生、地域の再生と議論しているときに、一般財源総額は前年並みでいいんだと早々とおっしゃっている。ここにもまさに本気度が問われる総務大臣としての姿勢があると思いますが、その点、いかがですか。

高市国務大臣 実質的に同水準をと申し上げましたけれども、まず、実質的にというのは、社会保障などによります増加分も加味して同水準をということでございます。

 地方が安定的に財政運営を行って、それから地方創生に積極的に取り組むためには、やはり地方が自由に使える一般財源というのはしっかり確保することが必要だ、これは私もそう考えております。

 ただ、地方財政における巨額の財源不足というのは恒常化いたしておりますから、地方財政の健全な運営のためには、やはり歳入においてふやしていく努力、そして歳出においてめり張りをつけていく努力、これは続けていかなければなりません。

 ですから、これは昨年ですけれども、閣議了解されました中期財政計画の中で、地方の一般財源総額は、二十六年度及び二十七年度において、平成二十五年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することに加えまして、歳出面、歳入面における改善を進めること、こういう方針になっておりますから、この方針に基づいて最大限の工夫をしていきたい、効果の最大化を図ってまいりたいと思っております。

小川委員 重ねてでありますが、リーマン・ショック以降、これは麻生政権のときだと思いますけれども、地方交付税に関して申し上げますと、地域経済基盤強化・雇用対策費として約一兆二千億積まれています。そのことは、財源の問題、あるいは地方の財政赤字、国の財政赤字の問題はさておけばですが、相当程度、地方にとっては一息つく効果をもたらしたと思います。

 しかし、今般、これは報道ベースでありますが、地方交付税に関連して、地方創生枠のようなことを交付税制度の中に盛り込むというようなことが検討されているという報道があります。しかし、それが、一兆円なり一兆二千億、まさに麻生政権後、リーマン・ショック後に設けられた地域経済基盤強化対策費とバーターになるんじゃないか。

 地方交付税の仕組みは、幾ら新たなメニュー、新たな予算を措置しても、それ以外、あるいは以前、既存のメニューと差し引きで、問題は総額がふえるかどうかですから、そういうことはあってはならないと思いますが、高市大臣、創生枠とリーマン・ショック後の経済枠との関係について御答弁ください。

高市国務大臣 週末の新聞報道で、今委員がおっしゃったバーターの話が出ておりました。約一・二兆円の分をそのまま今度地方創生のためのものにということでバーターしてしまったのでは、これは何も効果が出てこないわけでございます。

 現在、政府としてそのようなことを取り決めたという事実はございません。

小川委員 麻生財務大臣、今の点、財務大臣としてのお立場から一言御答弁いただきたいと思います。

麻生国務大臣 政府として申し上げれば、御指摘のような、報道ベースの話でしょうか、今の話は、という固めた事実はありません。

小川委員 ここは往々にして、総務大臣と財務大臣との立場が、利害が相反する部分でもございます。ぜひ、これだけ地方創生ということを看板に掲げている内閣のされることですから、ここも、その結果責任、事の結果責任、しっかり野党の側から注目をいたしたいと思います。

 今度は、法案の中身それから予算、地方財政措置についてお聞きしましたが、もう一点、プロセス等についてお聞きしたいと思います。

 地方創生法案の閣議決定、それから予算の概算要求の決定、そして地財計画等々について。

 民主党政権時代に、国と地方がしっかり協議をして物事を前に進めていく、お互い対等の立場だと、今般の地方創生にもつながり得る一つのインフラだと思いますが、この仕組みを法制化いたしました。

 石破大臣、この法案の決定、予算案の決定、そして地財計画等々含めて、国と地方の協議の場、しっかり活用いただけましたでしょうか。

石破国務大臣 この協議の場というものを、必要であれば活用しなければいけないものだと思っております。しかしながら、では必ず協議の場にかけなければいけないかといえば、そういうものでもないと考えておりまして、地方六団体の方々とは随分この間議論をいたしてまいりました。協議の場にかけるということがマストだと私は考えておりません。

 要は、大事なのは、これから先、地方六団体の方々とどれだけ意見交換を行うかであります。これから、先ほど来委員が問題意識をお持ちの予算編成というものを控えているわけでございまして、これからそういうような六団体の方々がそれぞれいろいろな会合をお持ちになります。そこにおいて、今までのような形ではない、新しい地方創生とはどういうことなのかということについて私なりの考えを申し述べ、そこから御異論があれば承りたいと思っております。

 地方との協議の場も必要であれば活用いたしますが、そこの場のみならず、いろいろな形で六団体の方々とお話をし、そこにおいて、本当に、余り遠慮していても仕方がないし、そんたくし合っていても仕方がないことであって、本音の議論というものをさせていただきながら、これから先の制度設計というのを考えてまいりたいと思っております。

小川委員 大臣、それは法律軽視の御答弁じゃないですか。事実上、実質的に議論をし、コミュニケーションをとる、それは当たり前のことですよ。しかし、それだけでは不足だ。

 政権の意思やあるいは政権の性格にかかわらず、日本の地方税財政、行政制度は極めて国と密着した形になっています。特に内政の課題について言えば、どれ一つと言っていいほど、国が独自で実行できるものはありません。ほとんどが地方の協力なくしてはなし得ないことばかりです。

 だからこそ、私たちの政権担当時代にこれを法制化して、法律によってこうした協議の場を設けるということを制度化したんですね。必要に応じてやっているからこんなものは要らないんだというのは、法律軽視の答弁じゃありませんか。

石破国務大臣 必要な場合には十分活用すると申し上げました。全くこの地方との協議の場を無視してやるということはいたしません。したがいまして、法律軽視ということではございません。

 しかしながら、その場のみならず、これは、地方六団体、あるいは総理大臣を長といたしますし、招集権者は総理大臣でございます。そういう都合がいつも合うとは限らない。これは委員も現場にいらっしゃったから御存じでしょうけれども、これを開催するには膨大な事務手続が必要となります。そういうことが必要であれば行いますが、それと同時に、実質的な議論というものを重ねていきたい。

 別に法律を軽視しているつもりは全くございません。

小川委員 それ以外の場も大事ですが、その場も大事でしょうと申し上げているわけであります、公式な場ですから。

 ちなみに、数を御紹介したいと思いますが、この国、地方協議の場、平成二十三年には十二回行われているようです。政権がかわりまして、二十四年、四回、二十五年、三回、二十六年、一回。少なくとも形の上では甚だこれは軽視されているというふうに言わざるを得ないと思います。

 今後、予算も大詰めを迎えるでしょうし、あるいは法律に書かれた具体策をこれから具体化していくんだと思いますが、より一層法律の趣旨にのっとって、開催をお願いしたいと思います。

 大臣、これはちょっと、きょう、残念ながら時間の限りもありますが、地方創生を議論される上で、民主党政権時代に大事な布石を打ったこともたくさんあるんですよね。この国、地方協議の場もそうです。そして、一括交付金制度も創設した。しかし、政権再交代後、廃止された。でも、これはまた、にわかに交付金の復活のようなことが議論されていますよ。それから、地方という観点、地方経済、農政という観点からいえば、所得補償制度、これも廃止される。

 そして、小渕大臣にも、お忙しい中ありがとうございます。

 地方の自立、再生を考える上で、エネルギーの地産地消というのはこれから鍵だと思います。これも民主党政権時代に固定買い取り制度を入れた。しかし、それが、飽和状態という名のもとにだと思いますが、現在、申請も受け付けられないような状態になっている。こういったこと、個別にきょうお聞きする予定でしたけれども、また機会を改めます。

 小渕大臣には、エネルギーの地産地消と現在の行き詰まり、これをどう解消されるか。スケジュール感、具体策、御答弁いただきたいと思います。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 御指摘のように、再生可能エネルギーの導入でありますけれども、現在、九州電力を初めとする電力会社によりまして、接続のお申し込みに対して回答の保留というような状況になっております。

 これは、昨年の年度末、三月の時点で、それまで一年間分ぐらいの申し込みが殺到してしまいまして、それによりまして、出力の不安定な太陽光が多かったものですから、電力会社によって、なかなか安定供給が難しいだろうということで、一旦、系統への影響を精査するということで、回答の保留をしているところであります。

 しかし、それぞれの電力会社の受け入れ可能量というものが、実際それが正しいのかどうか、また、受け入れがもうちょっとふやせるのではないか、そういうことを調べるために、あしたから、十月の十六日から系統のワーキンググループというものを開きまして、その内容というものをしっかり検証、精査してまいりたいと思います。

 再生可能エネルギーにつきましては、最大限導入するという方向に変わりはありませんので、できるだけ早く答えを得られるように、年内をめどに進めてまいりたいと考えています。

小川委員 また追ってこの委員会でも議論をさせていただきたいと思いますが、重ねて、やはりエネルギーの地産地消というのが、地方の経済あるいは雇用を考える上で鍵だと思います。

 固定買い取り制度がとまっているという事態は極めて大きなハードル、壁になり得る話でありまして、きのう渡辺委員も本会議でお尋ねしておられましたけれども、蓄電池なり、系統、送電網の強化なり、あるいは揚水発電なり、いろいろな対策を組み合わせることができると思うんですよね。ぜひ精力的に取り組みを進めていただきたいと思います。

 幾つか先ほど申し上げた一括交付金や所得補償の関連で、時間の関係でちょっと一つだけお尋ねさせてください。

 一括交付金はなぜ廃止したんですか。縦割りを排して地方の裁量をきかせるという意味では、極めてチャレンジングな、一つの突破口になり得る制度だったと思いますが、なぜ廃止したんですか、政権再交代後。

石破国務大臣 なぜ廃止したかといえば、地方から、手続が煩雑であって使い勝手が悪いということで御批判をいただきましたのでこれを廃止いたしたということが答えになりますが、ただ廃止をしただけでは能がないのであって、廃止をいたしました、では各省庁に戻しましょうということではなくて、細分化されていたものをできるだけ大くくり化にする、あるいは、御指摘を受けました事務手続の煩雑さというものを解消するということをやってきたわけでございます。

 ですから、何も民主党だから廃止をしたとか、そういうつまらないことを言っているわけではございませんで、地方のニーズというものをきちんと踏まえた上でやったということでございます。

 ですから、一括交付金というやり方を私は決して否定するものではございませんが、それを実際に使う側が手続が簡便になるということ、そういうことが大事だと思っております。ですから、地方にとって使い便利のいい、そういうような一括交付金という概念は、それはあってしかるべきものだと考えております。

小川委員 これは地方の要望でありますけれども、必要な予算総額を確保してくれ、知事会、指定都市会。各府省に予算を移しかえることなく内閣府に一元化してほしい、知事会、指定都市会。確かに、事務手続、提出書類の一層の簡素化、これは、しかし、常に出る要望ですよね。さらなる予算の流用弾力化、より自由度を増してほしいという要望は確かにありますよ。しかし、だからといって、廃止して二年間もほったらかすということはないんじゃないですか。

 大臣、先ほど、予算概算要求の件をお尋ねしました。確認しますが、概算要求のメニューは前内閣と変わっていないんですね。ということは、もし新たな交付金を創設するということになりますと、現在要求している予算がベースにならざるを得ない。

 ということは、民主党時代は、これは、八府省の十八事業を統合し、約六千七百億円の予算額を用意しました。そして、これは、地方の側から見て、必要とあらば、文教、交通、水道、農水、社会福祉等々、学校も含めて、いろいろと流用することができた。

 私は、推測するに、概算要求のメニューが変わっていないということは、同じ仕組みをとらざるを得ないんだろうと思います。新たに交付金の創設はできない。現在要求している予算をベースに幾つかを大ぐくりにする、その間の、役所間の流動化を容認するということ以外に選択肢はないんだろうと思います。

 廃止して、そして二年間ほったらかして、それでその程度のものができ上がってくるというのでは甚だ不十分、この地方創生に対する本気度が極めて疑わしいということと、そして、民主党に対する遺恨で国民生活や地方制度をむしろ人質にとっているんじゃないか。両面から、極めて問題点が多いということを指摘し、今後もぜひ中身について議論をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。よろしくお願いをいたします。

 石破国務大臣、閣僚として初めて質問させていただく機会だ、こう思っていますが、石破大臣はいろいろな書を出版されておって、安全保障関係の本も多いんですけれども、私は、石破先生の本を全部読んでいるわけではないのですが、この「真・政治力」という本は非常にいい本だな、こう思っております。済みません、御著者を前にあれなんですけれども。ある先輩ジャーナリストから、おまえ、これ、いい本だから読めよと言われまして、それで読みまして、非常に読みやすい。特に野党に転落した我が民主党にしてみると大変勉強になるから読め、こういうことだったので読ませていただきました。

 石破大臣が、当時なぜ自民党が野党に下野したのか、その間どういう思いで過ごされたのかといったことも書かれておりますし、そのことを踏まえてこれからどういう政治を目指すのかという思いも書かれておる、こういうことであります。

 この中で、特に私は、政治家の仕事とは勇気と真心を持って真実を語ることだ、これは渡辺美智雄先生にこのことを教えていただいたということを紹介されていて、政治家の仕事とは勇気と真心を持って真実を語ることだ、最初のときはよくわからなかったけれども、最近しみじみよくこのことを思いしめている、こういうことを紹介されています。私は、まだまだ政治経験が浅いわけであり、たかだか当選四期でありますからまだまだですが、なるほどなと思うわけであります。

 ぜひこの委員会においても、勇気と真心を持って真実を語り、御答弁いただきたい、冒頭こう申し上げたいと思います。

 同僚の小川淳也議員が大変鋭くこの法案の本質論をつかれました。私も、若干重複するところがあるので、順番を入れかえながら伺っていきたい、こう思うのですが、私もこの法案、安倍首相が今国会を地方創生国会と位置づけて、二本の法律を出されたわけでありますけれども、残念ながら、短い三年数カ月の政府・与党の経験でありますけれども、その経験からして、この法律は、大変恐縮でありますけれども、結論から言うと、中身を議論する中身がないと言わざるを得ない法律であります。

 それにもかかわらず、内閣委員会が混雑しているということもこれあり特別委員会を設置、こういう議会の判断で特別委員会を設置ということでありましょうから、問題は極めて重要。

 年間に、東京都に、東京都周辺に十万人近く人が流入する。ブラックホールのように東京が、人、物、お金をのみ込んでいくという状況。ブラックホールは、ついにのみ込むものがなくなると自分もなくなってしまう。これと同じように、東京は地方から人とお金をのみ込んで、最後には、のみ込むものがなくなった東京は、それがなくなる、東京自身も沈んでいく、いや、もう既に東京自身も沈んでいるのかもしれない。

 こういう大変国家的な重要な問題に対する答えとしての法律とすると、残念ながら、小川委員が指摘したとおり、この程度の法律であれば、わざわざ法律をつくるまでがあったのだろうかと言わざるを得ないわけであります。具体的に地域がどのように生まれ変わるのか、法文を読んだ限りにおいては心もとないわけであります。

 改めて伺います。

 東京の一極集中、驚くべきことに、この人口動態で、関西圏、広い意味での関西圏も人口が減っている、中部圏も、名古屋、愛知を除けば減っている、東京周辺のみがふえているという異常な事態。先進国では、こういった成熟した国家としては、ちょっと異様な姿を我が国は今見せているわけでありますけれども、こうした東京の一極集中にどう歯どめをかけ、そして、もう一つの大きなテーマである我が国の全体としての人口減少にどう歯どめをかけるのか。このことも恐らく石破大臣の今回の創生本部の役割の一つなんだろう、こう思うわけでありますけれども、この二つの法案でどう歯どめをかけるのか、お答えをいただきたいと思います。

石破国務大臣 東京の一極集中というのは、何も今になって議論が始まったことではありません。私が議員になった二十八年前から、そういうお話はずっとあったことでございます。

 ただ、大変だ大変だと言っておっても、一体何がどうなってこんなことになったのだということをきちんと子細に分析して国会の場で議論したという記憶が余り私はございません。一極集中であり人口集中だといいますが、では一体どの年代の人口が東京に集中をしているのか、どの年代であり、どの性別であり、どの職業でありということを子細に分析していかないと、東京の一極集中を解消することはできないと思っております。

 増田寛也さんのリポートには、消滅可能性のある市町村というものがありました。何をもってして消滅の可能性があると言うかというと、二十代、三十代の女性の方々が二〇四〇年には何人になりますか、そういうようなことから分析をしておられるわけですが、女性の方々の高学歴化に従いまして、だんだんと女性の方々が東京に来られるようになりました。そういう方々が帰らないというのは一体どういうことなのだ。女性が帰らないということは、そこにおいて結婚が行われないということであり、出生がないということであり、ではこれをどう解消するのだというのは、これは精神論だけ言っても仕方がないお話でございます。

 ですから、東京に一極集中しているのは、繰り返しになりますが、男性なのか女性なのか、どの年代なのか、そしてどういうような仕事の方々なのか、東京に来た方が帰る率は一体何割であるのかということを分析して答えを出してまいりたいと思っております。

 そのときに、恐らく議員がこれから議論されることだと思いますが、では、一極集中しているいろいろなものをどうやって分散していくのか、そのためのインセンティブとは、例えば税でいえばどういうような仕組みがあるのかというお話もしていかなければなりません。そして、仕事がないから地方にいないのではなくて、新しい傾向として、仕事をつくりに地方に行くというものを起業という観点からどうやって伸ばしていくかということも考えていかなければなりません。ありとあらゆる精密な分析の上で対策を講じませんと、精神論だけに終わると思っています。

 御指摘のように、この法律ができれば全て解消するのであれば、誰も苦労しません。しかしながら、理念を定め、組織を定め、そして、今回は市町村に新たな努力をお願いいたしております。従来は市町村にそこまで努力はお願いいたしませんでしたが、今回は、市町村が主役であるという観点から、少し異例ではございますが、市町村に努力義務をお願いいたしておるところでございます。そういうような国、市町村、都道府県の責務、そして組織、理念というものをつくりませんと、お話が次に参りません。

 委員が、それでは山形なら山形でこういう問題があるぞということを御指摘いただき、それに対して、こういう解決方法があるではないかと。私は、この地方創生というのに与野党の別があるとは考えておりませんで、また、先ほどの御質問にありましたように、別に民主党に対する遺恨でこんなことをやっているわけではございませんし、日本国にそんなに余裕があるとも全く私は思っておりません。地方創生ということについて、民主党の方々初め野党の方々からもいろいろなアイデアをいただきまして、今後に生かしたいと考えております。

近藤(洋)委員 大臣御指摘のとおり、東京への一極集中は何も今に始まった問題ではない、そのとおりなのかもしれません。いや、もっと言うと、明治という国をつくって以来ずっとそういった国づくりをしてきたのかもしれません、長いトレンドでいけば。

 ただ、あえて申し上げると、大臣の御答弁に対して恐縮ですが、ここ一、二年で東京一極集中が加速しているのは、これはまた紛れもない事実であります。もちろんいろいろな要因があろうかと思いますが、デフレから脱却した成果だというふうな言い方もあるのかもしれません。ただ、他方で、やはり安倍政権の目指してきたものの結果として、東京への人口流入が加速しているという事実。

 また、もう一つ、これから予想される事実として、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを迎えて、仕事の部分でも、大変、東京には全てのものに投資が流れている。残念ながら、私の住んでいる東北地方、山形県では、公共工事の人手も集まらない。首都圏に人が流れている。これも、ここ一、二年の顕著な状況である。復興もままならないという状況も、これは顕著な事実であります。東京一極集中が加速しているというのもやはり認めていただきたいと思います、現在の傾向として。

 ですから、それに対する国民の多くの危機感が高まり、それに対して政権が動き出されたんだろう、こう理解をしております。選挙の結果がどうかというのはともかくとして、やはり、株は上がったけれども、私の地元で座談会をやると、株を持っている人は山形県には余りいませんから、膝株だけだ、こういう話ばかりですから、それは本当に、一部のセレブリティーと東京のお金持ちだけの話じゃないですかという声が相当広がっているということなんだろうと思うんですね。

 そこで、大臣、若干お答えをいただきましたが、これまでも東京一極集中に対して、古くは田中角栄首相の日本列島改造論、その後、下河辺さんの全国総合開発計画、全総から始まり、均衡ある国土の発展ということ、最近もう全く死語になりつつありますが、まさに自民党政権というのは、ある意味で東京一極集中と闘い続けてきた政権と言えなくもないと思うんですね。

 しかしながら、いっとき政権を手放されて、また再び安倍政権が満を持して登場したら、一極集中が加速した。非常に皮肉なことだと思うんですが、一極集中と闘い続けてこられた自民党政権が、結果として一極集中がずっと続いてきているこの結果。

 特に、地方創生、地域活性化については、これまで地域活性化統合事務局がそれなりに、特区制度、規制の改革も含めて、ここ四、五年、取り組んできたと承知しております。

 これまでの取り組みに一体どこに不備が、特に地域活性化統合事務局についてはどこに不備があった、こういうふうにお考えでしょうか。

石破国務大臣 ここそこに不備があったということを申し上げているつもりはございません。

 安倍内閣におきましては、地域活性化に向けた地域の取り組みを国として後押しをするため、地域活性化の推進に関する関係閣僚等会合を設置し、ことしの五月に三十件余りの先進的なモデルケースを選定して支援をしてきたところでございますが、このような取り組みを行っている中で、地域再生を進める地方公共団体からは、現在の制度では対応できないすき間を埋めてくれ、ワンストップ化でやってくれ、あるいは、実施の段階で各省庁との協議がまとまらないときにはどこかで総合的に調整をしてくれないかというようなお声があったわけでございます。そういうのに応える形で地域再生法の改正案というものを御提案申し上げているところでございます。

 我が国が抱えております人口減少、超高齢化という危機に対応いたしますために、このような個別の論点に加えまして、我が国の人口減少克服、地方創生のための総合戦略を取りまとめることなどを定めた創生法案というものを御審議いただいておるところであって、何か問題があったという認識ではなく、さらに地方の要請に応える仕組みというものをつくったというふうなのが私の認識でございます。

近藤(洋)委員 では、もうちょっと具体的に伺っていきたいと思います。

 何といっても、くどいようですけれども、ずっと、自民党政権下でも、我々も闘ってまいりましたが、一極集中ではなくて、豊かなふるさとをつくるという思いで、もちろんそれは東京もふるさとの一つでありますけれども、そんな思いで皆この国政の壇上に上がって活動しながら、結果としてこういう状況になっているわけですから、何がまずかったのかということをきちっと分析しなきゃいかぬ、こう思うわけであります。

 そこで、小渕経済産業大臣に来ていただいておりますが、地方の衰退の一つの象徴に、中心市街地、商店街の衰退というのがあるわけですね。大店法の見直しがあり、日米構造協議があり、その構造協議を経た規制の見直しがあり、そしてまちづくり三法というものが平成十八年に制定され、さまざま肝いりで時の国会が議論をし、新しい法律をつくり、そしてさまざまな施策を打ってきたわけであります。大体、我々政治家は、地元に行くと、地域の中央商店街頑張りますと、みんなが、それは党派を超えて言っているわけであります。にもかかわらず、この結果になっておるわけですね。

 平成十八年以降も、経済産業省、国土交通省、総務省が中心になって累次の対策を打ってまいりました。ところが、百二十件の計画が認定されながら、目標を達成したのはわずか三割というアンケート結果も出ております。打率三割は、それはプロ野球だったら悪くありませんけれども、政策として三割以下というのはいかがなものか、こういうことですね。

 この春ですか、新しい法律もつくったわけでありますが、なぜこれまで、地域の顔である商店街が、各政府、時の政権がそれなりに総がかりで対策を打ち、各省連携といいながらも、手を打ちながらも失敗が続いたと、中心たる経済産業省は総括、分析をされておりますか。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 委員が御指摘になりました中心市街地の活性化でありますけれども、平成十年に、市街地整備と商業活性化を一体に進めるために、中心市街地活性化法を制定いたしました。これによりまして、百十九市、百二十二計画を認定してきたところであります。また、今御指摘にありましたように、平成二十五年末までに計画の期間を終了した七十一計画の目標達成率は、御指摘のように三割という状況にあります。

 この要因でありますけれども、やはりこれまで二十年間我が国が置かれた厳しい経済状況、また人口減少、少子高齢化の進展に加えまして、中心市街地活性化に対する民間の投資というものが十分でなかったという点。また、皆さん方が住まわれる住宅地でありますけれども、居住地域が中心市街地に集約をされずに拡散をしてしまったという点。そしてまた、中心市街地と住まい、居住地域を結ぶ交通のインフラ整備、ネットワークの整備というものが十分ではなかった。そのような要因というものを挙げております。

 このために、先ほどお話がありました、本年四月に中心市街地活性化法を改正いたしたところであります。これは、これまで以上にやはり民間の投資、民間のプロジェクトというものを大事にしようということで、各地域で手を挙げていただいて、そうした地域の民間のプロジェクトというものをしっかり認定して、そうしたものに対して、まず予算の拡充ですとか税制優遇措置ですとか、そうしたものを重点的に支援していくものであります。

 いろいろ中心市街地を活性化させるということに対しては大変難しい点もあると承知をしていますけれども、引き続きまして、各省庁と連携をしながらしっかり強力に推進をしていきたいと考えています。

近藤(洋)委員 大臣、ちょっとこれは質問通告をしていないのであれですけれども、税制の措置というふうに御答弁されましたけれども、非常にお寒い内容の税制の措置しかとられていないんです。きょうは中活法の議論の場じゃないので申し上げませんが、非常に小さな税制措置しかとられていませんね。

 ぜひこれは、寺澤商流審が来られているので、多少、今次税制改正要求では、総務省と話し合いがついた要求をしているんですか、していないんですか。財務省と話がついた要求は、深掘りの要求はできたんですか。見通しをお答えください。すぐ答えられるはずだ。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 中心市街地法の改正に伴って、投資減税措置、登録免許税の軽減措置は導入させていただきました。恐らく、委員御指摘のとおり、地方税については手当てができておりません。この点については、来年度の税制改正に向けて要望をし、今関係省庁と議論をしているところでございます。

近藤(洋)委員 一応要望はするんですが、非常にこれはハードルが高いんですね、地方税は。これができなければ全く意味がないんですね。これを強く指摘しておきたいと思います。

 そこで、要は、ちょっと幾つか論点があるんですが、一つには、中心市街地活性化について申し上げると、国土交通省がそれなりの大きな役割を、大臣の御答弁にも若干あったように、全体のまちづくりということからいくと、一つの大きな役割を果たしているのは間違いない。もちろん、ヨーロッパの地方都市と日本の地方都市を比べると、やはり明らかに、町並み、まちづくりということで、日本がやや残念なまちづくりを少なくとも戦後してしまったというのは否めないと思うんですね。そういう中で国交省の役割は極めて大きいと思うのです。

 国土交通省政務官に来てもらっておりますが、伺います。

 中心市街地再生の推進、国交省の施策ということでは、暮らし・にぎわい再生事業、まち再生出資業務、身の丈再開発、そして旧まちづくり交付金であった都市再生整備計画事業、大きく分けてこの四つの事業がある、こういうことでありますけれども、いわゆる中活法の認定区域だけで結構でありますけれども、まちづくり、中心市街地再生のために、国土交通省の施策として投じてきた国費、平成十八年以降、毎年どれだけの国費を投じてこられたのか、累計及び直近の数字をお示しいただけますか。

うえの大臣政務官 お答えいたします。

 中心市街地活性化基本計画の認定を受けました市に対する国の支援状況につきまして、現在、国交省分を含めまして、内閣官房から該当の市に対しまして実績額の調べを行っているところでございます。

 具体的には、これは内閣官房の整理になりますが、現時点で認定基本計画に基づき事業実施中の認定市及び平成二十五年度をもって事業を終了いたしました認定市、合わせて九十八の市につきまして、平成二十年度から二十五年度分まで、その実績について調査を行っているところでございます。

 大変恐縮なんですが、現在、報告をいただいております実績額につきまして、あわせて、実績額が確認できる書類の提出を同時に求めているわけでございますが、その細部につきまして確認の作業を行わせていただいているところでございまして、現段階で正確な額を申し上げる段階ではございませんけれども、関係機関とも調整をして、国土交通省としての支援の総額、これを早急に取りまとめさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 委員長のお許しを得て資料配付をさせていただいているかと思うのですが、この資料のグラフをごらんいただければと思うんですが、そうなんですね、まだ、いまだにこの額をわかっていないと。これは驚きなんですよね。一体、国土交通省でどれだけ予算を投じているのかというのをわからない、把握していないと。二十二年度までは幾ら出していると、年間一千二百九十六億円出していましたというのが出ているんですけれども、それ以降はないんですよ。統合されたから、こういう理由なんですが。

 これは驚きでして、何も急に聞いたわけじゃなくて、実は、四月に私、同じ質問をしております、国土交通省に。そのときの御答弁も、中活法の議論をするときに、そもそも新しいまちづくりの法律をつくるときに、国土交通省、経済産業省、各省が連携して、これから予算の考え方も見直しますと言っていて、では、今はどれだけ使っているのか出してみろと言ったら、わかりませんと。それじゃ議論にならないじゃないかということで指摘をさせていただいて、では、これから鋭意詰めます、出します、前向きに検討しますという御答弁があって、何と、あれから六カ月間たってまだ出てこないというのは、国土交通省、一体どういうことなんですか。やる気があるんですか。

うえの大臣政務官 委員御指摘のとおり、四月段階で御指摘を頂戴いたしまして、それを踏まえて今鋭意調査を進めさせていただいているところでございます。

 委員の問題意識は十分私どもも共有させていただいていると思っておりまして、より正確な数字を出させていただいて、それをもとに議論をさせていただきたいと思っているところでございまして、この夏に調査を発出させていただきまして、今回答を得ている段階でございますので、早急に取りまとめをして、また何らかの形でお示しをさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 毎年の数字が出なかった。民主党政権のときもわかっていないと。だから、それはいいんですよ。それは我々のときも出さなきゃいけない。

 ただ、私が指摘をしているのは、ですから、こういう地域の再生を考えるのであれば、少なくとも中心市街地の法律を出すときぐらいは、では過去の調査をすべきじゃないかといって指摘をさせていただき、そのときにはないと。では早急にまとめなさいと言って、そして今度、鳴り物入りでまた町再生をするといって、こういう本部をつくる、人も集めたといって、まだこの時点においてもないというのは、これは一体、政府のやる気というのが、基本法はできましたといって、いろいろ、うたい文句はいいし、安倍さんのややオーバージェスチャーな所信表明演説は結構なんですけれども、現実、政府として地に足のついたことをやられているのか。

 そもそも、調査なくして政策なしじゃないですか。調査もしないでどういった政策を出すのか。これは本当に、ですから、我々も反省しているんですよ、我々も反省しているんですが、鳴り物入りで言ったんだったらば、しかも国会で指摘をされたことぐらい、これは耳をそろえて、委員会の質疑が始まる前に、法案を出すぐらいのときに。だって、これはまち・ひと・しごと創生本部なんでしょう。町も入っているんでしょう、町も。町といったら中心市街地なんじゃないんですか。これは全くその根本がなっとらんと思うんです。

 まず、そもそも今ある事業がどういう効果があるのかというのを、この辺から一回、一から勉強し直さなきゃいかぬと思いますが、大臣、この事実を見てどうお考えですか。

石破国務大臣 今国土交通政務官からお答えいたしましたように、正確な数字というものを把握して、きちんとお答えをしたいと答弁をいたしました。

 私は、その正確な数字というものをきちんと出した上で、また委員にきちんとお答えをするのが国土交通省の姿勢だろうというふうに認識をいたしておるところでございます。

 きちんとした評価、分析がなくてこれから新たな政策をやろうと思っても、それは無理な話でございますので、私のもとにつくりました基本政策検討チームにおきまして過去の政策等も検証いたしておるところでございます。ただ、それが、事業仕分けみたいな形で一つ一つ当たって悉皆的にということはいたしません。それぞれがどのように事業を展開し、それが地域にとって使い勝手のいいものであったかどうか、いわゆるお客様目線に立ってやっていくという文化が、正直言って今まで余り霞が関にあったとは思っておりません。そういうような観点から、基本政策検討チームにおいて過去の政策を検証いたしておるところでございます。

 そこにおいて必要なのは、委員おっしゃいますように、これだけの金を使って一体何の効果があったんだということを検証するシステムが動いていません。それぞれの事業はまた年度が違いますし省庁が違いますから、そしてまた、そのときにはもう担当者もかわっているわけで、一体それがどういう効果があったのかということをきちんと分析しないで次の政策を打っても仕方がないものでございます。それをシステムとして確立をするのが地方創生の大きなポイントだと認識をいたしております。

近藤(洋)委員 おっしゃるとおり、いわゆるPDCAサイクルをちゃんと回すということは、基本のキ、もうこれは釈迦に説法ですけれども、それが、まずきちっとその体制をつくるための、多分事務局なんだろう、こう思うんですね。

 先ほどの小川議員の質疑でも明らかになったように、残念ながら、新しい本部は予算配分権がないわけですね。配分権は、一定のめり張りの部分は私は持った方がいい、こう思うんです、正直申し上げると。石破大臣のもとで、一定の部分の枠というのは僕は持った方がいい。

 その上で、要するに、きちんとある効果を、そしてその上で検証もして、予算配分権も持った方がいいし、かつ、執行された各省の予算がどうなっているのかというのもチェックするのは当然でありますし、政策のツールからすると、税というものに対してきちんと物申さないといけない。そして金融ですよね。大体この四つで政策というのは動かすわけでありまして、この四つを持たないで何をやるんですか、こういうことなんです。

 ぜひそこは、何も全部、何でもかんでも人を本部に張りつけさせろとは言いません、会計検査院を使うのも結構でしょう、何を使うのも結構ですけれども、そういう仕組みを早急に、法律の中身がないなら、せめてそういう仕組みをこの委員会に提示をしてもらいたい、こう思うわけであります。そうでないと、一体政府がどこまでどうやる気なのかが見えない、こういうことですし、意思決定の仕組みをぜひ具体的に今後この議論の場で提示をしてもらいたい、こう思うわけであります。

 大臣、もう一つお伺いしたいんですが、今言ったこの四つの仕組みは極めて重要なんですけれども、もう一つのツールというのが、実はビジョンなんでしょうね、リーダーシップのある閣僚による。リーダーシップのある、それは総理そのものなのかもしれませんけれども、時の内閣のリーダーシップを持った閣僚というか、によるビジョンなんだと思うんです。

 何を申し上げたいかというと、かつて、これも自由民主党政権下でおやりになられていた一つのビジョンがありました。首都機能移転という議論です。

 この議論、均衡ある国土の発展という、大都市集中、東京集中の一つの解ということかは別にして、相当真面目にいっとき議論をされていました。候補地も三つ既に決まりました。その三つの候補地が決まり、その上で三・一一を迎えたんですね。三・一一を迎えた今、今日的な意味はどうなのか。私は、ある意味で、首都直下型大地震というリスク、全て東京に集中するリスクということを考えると、首都機能の移転というのは、分散というのは、一つのありようなのかもしれない、こうも思うわけでありますが、少なくとも政府においてきちんと議論をしてきた経緯があるわけであります。

 この首都機能の分散ということについては、現在、地方創生担当大臣としてというか国務大臣として、首都機能移転論についてはどのような認識をお持ちなのか、お答えいただけますか。

石破国務大臣 これが、一つの区切りは、平成十六年十二月にまとめられました国会等の移転に関する政党間両院協議会、そこで座長取りまとめというのがなされました。ですから、国会主導でやってきて、座長取りまとめが出て、そこから先、議論はとまっちゃっているわけですね。

 では、これは政府においてどうなっているかというと、これの所掌は旧国土庁を継承いたしましたがところの国土交通省ということに相なっておるわけで、そこにおいて調査費がついているんだそうです、年間一千万円。一体そこでどんな調査をして何をやったのというのは、私もきちんと問いただしたいと思っております。

 ですから、何かかけ声倒れになっておって、私も、記憶するところ、十年ぐらい前までその議論は盛り上がっておったんですが、その後、この立派な議員会館が建ったというのは一体何なんだろうねという感じが正直言ってしないではありませんし、それから、立派なお役所もあちらこちらに建っているわけで、首都機能移転という話は一体どこへ行ったのかねという気が正直言ってしないではありません。

 そこへ三・一一というのがあったわけで、それは、議員会館が建っているのも、いろいろな役所が建っているのも、もう今すぐそういう話にならないんだから、それは首都機能というものが首都直下型で滅失してしまったらどうにもならないわけで、それを皮肉めいて申し上げているわけではありませんが、もう一度、この首都機能移転というものは、国会における御議論、座長の取りまとめが出たからそれでおしまいということではなくて、国会においてどう取り扱われるかということは、ぜひ与野党でよくお話しいただきたいと思っております。

 首都機能移転というのは本当に大きなテーマでございますので、国会において議論されることでございますが、政府において調査をしている、一体それは何の調査をし、どういうようなことが結果として出ているのかということは、また機会を見てお示しをする必要があるかと思っております。

近藤(洋)委員 余り議論を拡散させたくはないんですが、ただ、これは大事な大きなテーマでありまして、日本の国のありようの議論でもありますし、また、そのことは、ひいては日本の地域をどうするのかということにもつながることだろうと思います。

 我々、三・一一のときに政権を預かっておりましたが、その際、真剣に、福島に首都機能の一部をということを内部では議論もした経緯もございます。もちろん、ああいう状況下での議論でありましたが。

 いずれにいたしましても、もう一度、どこで整理するのかは別にして、これはやはり重要閣僚が担いでけじめをつけないといけない。国会においてとおっしゃいましたが、基本的にはやはり国会と政府、両方、国会だけに丸投げの話ではない、まさに国のありようの話で、国会移転ではないので、国会移転では国会の議論ですけれども、両方の話ではないか、統治の話ではないか、こう思うわけであります。

 小渕大臣、時間がなくなってきたので、ちょっと再生可能エネルギーについてお伺いしたいんです。

 先ほど小川議員からもありましたが、こういうことになった、買い取り中断というのは、現在、地方の事業者にとって大混乱をしておるんですね。本当に、設備投資計画をして、一億円だ、五千万円だ、三億円だという設備投資をして、経済産業省、エネ庁からの認定も受けて、あといよいよ電力会社の契約を待つばかりという事業者が大変な混乱をしている。

 これは、率直に言って予測可能だったはずなんです。なぜ、急に今になってワーキンググループを立ち上げるのか。もっと早く立ち上げるべきではなかったのか。少なくとも夏に立ち上げてしかるべきだったのではないのか。急に、北海道電力、九電、東北電力、各電力がこういう事態になってからワーキングを立ち上げるというのは余りに遅い。

 というのは、この再生可能エネルギーを進めるというのは国策として進めてきた話でありますし、こういうキャパシティーになるというのは当然予測可能だったはずであります。資源エネルギー庁も見越していたはずであります。

 このことについて、大変な不利益をこうむっている、混乱を巻き起こしている責任の一端は、やはり私は、資源エネルギー庁及び経済産業省、この一端を感じなきゃいけない、こう思うわけでありますが、大臣、この点についていかがですか。

小渕国務大臣 お答えをいたします。

 今回、九州電力を初めとする各電力会社において、接続の回答の保留という状況になっております。これは、委員が御指摘のように、再生可能エネルギーを導入しようと思っていた発電者を初め、地域の皆様方に大変な混乱また大きな影響というものを与えてしまっているということは承知をしております。

 ただ、政府としては、再生可能エネルギーにブレーキを踏んだということではなくて、これは、国策というお話がありましたけれども、引き続き最大限導入の方向でしっかりやっていきたいというふうに考えているところであります。

 この事態が予測できたかどうかということでありますけれども、先ほども御説明させていただいたんですが、年度末の三月に七万件を超える申し込みがありました。これは、四月から始まって二月までの一年間に相当するものが、三月に大変な勢いで駆け込みの申し込みがあったということであります。それによって、各電力会社、それを精査するのに一定程度時間がかかりまして、正直申し上げてこうした状況になっているのではないか。

 各電力会社から話があったのが夏を過ぎたあたりでありまして、また、九州電力から、自分のところではもう受け入れ量がいっぱいである、回答保留をせざるを得ないというような話があったのが九月の末というような状況にあるわけであります。

 しかし、これで決していいと思っているわけではありませんので、遅いという御指摘かもしれませんけれども、何よりも、各電力会社の受け入れ量というものが、それぞれの電力会社が言っている量が本当に正しいのかどうなのか、それをまず見きわめていかなければならないと思います。

 あわせて、最大限導入をしていきたいという方向でありますので、その量というものがもっとふえないのか、拡大できないのか、そうしたことも見ていきたいと思いますし、送電網を強化していくですとか、蓄電池をつくっていくですとか、そうしたことも含めてあらゆる方面で再生可能エネルギーの導入に向けて最大限のことをやっていきたいというふうに考えています。

近藤(洋)委員 時間ですのでやめますが、これはまた議論させてください。

 不作為による罪というのはあることは強く指摘をし、また、それに対して、混乱した、例えばグリーン税制の問題であるとか、適用の延長等の政府としてやるべき支援策等も出てくるのではないかということも申し上げて、時間ですので、きょうは質問を終わります。

鳩山委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 次期総理・総裁候補の石破大臣に胸をかりるつもりで質疑に当たりたいと思います。

 まず初めに、私は野党の理事という立場を与えていただいております。今まで、まだ午前中数時間ですけれども、議論を聞いておりまして、やはり、何かちょっと締まりがないんですね。そもそも何の審議を今しているのか、焦点がぼけがちです。これはやはり、今回の特別委員会の設置そのものが極めてずさんで、強引な国会運営によるものだというふうに言わざるを得ません。

 今回のメーンの法案でありますまち・ひと・しごと創生法案、これは、誰がどう見ても、これをもって地方創生が必ずなし遂げられるなどという期待感がまるでない。中身がないんですね。

 石破大臣は、なぜ、何のためにこの特別委員会が設置されたんだと思われていますか。

石破国務大臣 それは、委員会の設置は国会がお決めになることなので、何のためにできたとおまえは考えるかと言われても、お答えのしようがないということであります。

 先ほど来の議論でもあるんですが、この創生法案で全部できたら誰も苦労しないので、それは民主党がどうだの、自民党がどうだのということを私は言っているわけじゃなくて、今までやってきた政策はそれなりに正しかったが、時代に合わなくなったものがたくさんあるんじゃないんですかと。

 それは、委員が御専門の地方自治もそうでしょう、あるいは第一次産業についてもそうなんでしょう。いろいろなものを見直すという議論がここで行われずして、一体どこで行われるんだということではないんでしょうか。

 私もいろいろな委員会の委員を務めてきましたが、では、観光のことは当時の運輸委員会、今でいえば国土交通委員会なんでしょう、地方財政のことは地方行政委員会、今でいえば総務委員会なんでしょうかね、あるいは農業のことは農林水産委員会といって、ばらばらばらといろいろなところでやる。それこそ、国会まで縦割りにしてどうするんですかという話じゃないんでしょうか。

 だから、締まりがないということについて私が論評すべきお話ではありませんが、ここにおいて地方創生とは一体どういうことなのかということを集中的に議論するということでこういう委員会ができたのではないかというふうに私は思っております。

 政府の側が申し上げることではございませんが、まさしく、縦割りを排すということは、国会がみずから範を示すというような御意図がおありではなかったのかというのは、これは推測でございます。

重徳委員 今回の特別委員会の設置に当たっては、議運でかなりもめたという経緯がございます。野党の中には、最後まで設置そのものに反対をする党もございました。

 維新の党としては、最後は設置に賛成をいたしましたが、これは、議運の中で、今回の特別委員会において審議すべきことは、法案にとどまらず、今大臣が言われたように、縦割りではない、さまざまな地方創生に向けた議論を横断的に、集中的に行うということだ、このような趣旨を承りまして、であればということで、あえて賛成に回ったということなんです。

 しかし、その割には政府側に何の準備もできていないのではないかと思っております。だから、既に参議院においては、もう特別委員会なんか設置する必要はないじゃないか、内閣委員会で普通に、常任委員会でやればいいじゃないか、こんな話にもなっているわけでございます。

 そこで、この特別委員会で審議すべき事項について確認をしてみたいと思うんです。資料をお配りしておりますが、その一枚目をごらんいただきたいと思います。

 全体スケジュールが示されておりますが、これから、まず、十月には論点が提示されるということで、これはたしか十日の日に論点が提示されました。今後、長期ビジョン、総合戦略の骨子をつくり、そして長期ビジョンと総合戦略をつくっていくということなんです。

 私、こういうものを見ると、法案は中身はすかすかなんと言われておりますが、やはりこういった長期ビジョンや総合戦略全体についてきちんと国会で審議すべき、この特別委員会の審議の対象事項としてこれらを全て含めるべきではないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

石破国務大臣 それは、国会で何が議論されるかは国会がお決めになることだと思っております。

 ですから、今国会が十一月末までということに相なっております。会期のことにつきましては、これまた国会がお決めになることでございますが、この会期内におきましても、長期ビジョンあるいは総合戦略、いろいろな御提言あるいは御提案というものは承るべきだと思っております。

 これは必ずしもここで答弁するべきことかどうかは存じませんが、参議院のことは参議院でお決めになることなのですけれども、内閣委員会でやればいいというお話は、本当にこの地方創生というものをどう考えるかということについての各党の姿勢のあらわれなんだろうと思っております。

 そういうことを念頭に置いて国会において御議論をいただくことを期待いたしております。

重徳委員 自由にいろいろな提言をしてもらえばいいという大臣からの今の御答弁でしたけれども、そうはいっても、やはり国会というのは、政府が行う施策、方向性についていろいろな切り口でチェックをかけるというのが非常に重要な役割、主な役割だと思っております。

 その意味では、その政府が、論点という形で、今配付しました資料の二枚目、三枚目のような、二枚物の論点という、一枚目は長期ビジョンの論点、二枚目は総合戦略、これから五年間のですね、長期ビジョンに対して五年間に絞ったものが総合戦略ですが、その論点がここに挙げられているわけです。ですが、論点は論点ですから、何の方向性も示されていないんですよ。課題はあるねということでありますが。

 例えば、私なんかからすると、地方に若い人たちが魅力を感じ、そして暮らすためには、やはり仕事が必要である。仕事についてどんなようなことが書かれているのかなと、この論点の二枚目の総合戦略の中を見ますと、2の「政策分野ごとの取組の例」の中の二番、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」とあって、二つ箇条書きになっています。一つが「地域産業基盤の強化」、二つ目は「個別産業の基盤強化」とあるのみですよ。これをもって何を論ずることができるんでしょうか。

 それは、幅広くいろいろな角度から議論することはできますけれども、しかし、政府が何を目指しているのか、今の段階では具体的に何も見えておりませんという状況ですから、本来であれば、仕事の担当は厚生労働大臣でもありますので、この場には多くの関係閣僚に出席をいただいて、きょうはほかの委員会と重なっているからという理由で出席いただいておりませんが、厚生労働大臣にも出席していただく必要があるのではないかということを考えております。

 それから、論点は十月十日に示されたんですが、今後、ちょっとこれは石破大臣に確認したいんですが、この一枚目の紙によりますと、骨子は十一月、それから長期ビジョン、総合戦略は十二月というふうに書いてありますが、確認したいんですが、これはそれぞれいつ提示される予定でしょうか。

石破国務大臣 長期ビジョンと総合戦略の骨子につきましては、第二回創生本部会合でお示しした論点に基づきまして、さらに、まち・ひと・しごと創生会議で議論をいただき、第三回のまち・ひと・しごと創生本部会合で決定したいと考えております。日時は未定でありますが、その後、さらなる議論を経ました上で、人口減少、超高齢化を克服するための長期ビジョン及び総合戦略を、創生本部におきまして、十二月中には取りまとめるということを考えております。

重徳委員 骨子はいつかは日時未定、長期ビジョン、総合戦略は十二月中に取りまとめということなんですが、まず、はっきりしているのは、今回の国会は、会期は十一月いっぱいですから、この長期ビジョン、総合戦略が出てくるころにはもう閉幕しているわけですね。

 それから、骨子はいつになるのか未定であるということですが、この事務方からいただいた資料によれば、十一月ごろだろう。これを前提にしますと、この衆議院の特別委員会がいつまで開かれるのかわかりませんけれども、常識的に考えれば、そんな、十一月の終わりごろまでやるということはないでしょう。もしこの臨時国会の今設定されている会期中に上げるということであれば、後半は参議院がありますので、そういう意味では、衆議院においてはこの骨子すら示されない状況の中で審議をすることになり、そして、それ自体も問題だと思いますが、参議院に行ったら今度は骨子というものができ上がっていて、参議院は骨子に基づいて審議ができる。

 こういう、何か、その場その場で審議対象が変わっていくというか、よく言えば進化していくということなんですが、こんなようなあり方自体、全く政府の準備不足なんじゃないでしょうか。私は非常に大きな疑問を感じます。

 改めて、この骨子、そして、会期延長も伴うことになると思いますが、長期ビジョン、総合戦略について、この特別委員会において審議する必要があると大臣はお考えになりませんか。

石破国務大臣 それは私どもとしてかなり強い危機感を持っていまして、そういう、政府が、準備が十分できました、その上で国会で御審議を賜りますなんぞと言っている余裕はとてもないのではないだろうかと。走りながら考え、考えながら走るというのでしょうか、この場においていろいろな御議論をいただき、それがまた長期ビジョンとか総合戦略に生かされるということがあるべきだと思っております。

 おまえ、論点だけ提示しただけじゃないかという御指摘が先ほどありましたが、例えば、サービス業、製造業、農林漁業、観光、医療福祉等の個別産業の基盤強化というのは、これは一体何をやるんだいということだと思います。

 ですから、そうであれば、重徳議員のいろいろな御経験を通じて、農林漁業の基盤強化というのはこういうことではないのか、サービス業の基盤強化というのはこういうことではないのかという御指摘をいただき、それが生きてくるということだと思います。それが国権の最高機関の国会の役割でございまして、政府のみが全てを提示するわけではございません。

 私は、例えて言えば、漁業というものを考えたときに、何で日本の漁業というのはこんなになっちゃったんだと。世界で第六位の排他的経済水域の面積を持ち、水ですから体積ではからなきゃいかぬので、体積でいえば世界第四位ということなんだそうです。何で日本の漁業だけがこんなになっちゃったんだ。木の切り過ぎで困っているのがほかの国だけれども、日本だけは木の切らな過ぎで困っている。では、何で日本の林業はこんなになっちゃったんだというような、そういうテーマについて、やはり国会で御議論をいただくというのは必要なことだろうと思います。

 それぞれの委員会はそれぞれの法律を持っておりますので、それの審議がどうしても優先をすることになるんでしょう。この委員会も創生法案をお願いしているところでございますが、そういう各般にわたった、私どもが提示をしております論点に、それぞれの党、それぞれの議員のお考えをいただくというのは、日本国にとって絶対に必要なことだと認識をいたしております。

重徳委員 石破大臣は、大変大きな心でそのように私なんぞの意見についても耳を傾けてくださるということをおっしゃいますが、この国会、めちゃくちゃなんですよ、はっきり言って。

 あらゆる法案は、最後は時間切れ、審議終了、それで強行採決、こういうことが通常国会から何度も繰り返されているわけでありまして、そういう中で、今回は、中身はこれからだけれども、とりあえずこういう法案があるから審議した形にしてそのまま通すということを、これまでどおりのパターンで与党がどんどんと進めていくというような気配が既に、私も理事懇、理事会に参加させていただいて、新藤筆頭理事からいろいろと勉強させていただいて、そういう中で感じ取らせていただいているわけです。

 そういう意味で、石破大臣、いろいろな意見をお聞きになっていただけるというのはまことにありがたい言葉ではございますが、そうはいっても、政府がこういうことをやるんだということに対しまして、私ども、与野党を含めていろいろな意見を申し上げる、これがやはり本来のベストなやり方だと私は思うんです。

 今のこのやり方、走りながら考えるということも大臣はおっしゃいましたが、こんなやり方がベストだと思われますか、大臣。

石破国務大臣 世の中にベストというものがあれば誰も苦労しないのであって、ですが、今までのやり方を批判的に検証するというのは大事なことだと思っています。今までどおりのやり方でいいんだったら誰も苦労しませんし、今までの事業の予算を延ばせばいいだけのお話でございますから。

 批判的に検証するということを政府がやるというのは、結構難しい作業でございます。委員も実際政府の中におられましたから、そのことの難しさというのはよく御存じでしょう。批判をするというのは、先輩を冒涜するつもりかみたいなことで、そういうことができないのが何となく霞が関のカルチャーみたいなところがありました。そうこうしているうちに、人がかわっちゃって、何が何だかわけがわからないということがかなり積み重なっているのではないでしょうか。

 ですから、私は、これがベストだということはございませんが、この政府のやり方はどうだったんだという批判的検証において野党が果たしていただく役割というのは非常に大きいんだというふうに思っております。

 政府としても、準備不足ではないかというふうに言われないように、今お示ししました論点をちゃんと詰めるような努力は最大限いたしてまいりますが、どうか批判的検証に野党のお力をかしていただきますよう、お願いを申し上げるところでございます。

重徳委員 石破大臣から、ベストというわけではないというお話もありました。

 そういうことも踏まえて、これはむしろ委員長や与党の理事の皆さんにお願いすることですが、ベストなことではないんだ、ベストなあり方ではないんだという大臣のお言葉もありましたことを踏まえて、これからのこの委員会の進め方については、謙虚に、批判的な検証が行えるように進めていただきたいと思うんですが、委員長にこれはお願いを申し上げます。

鳩山委員長 理事会を中心にそういう話し合いをしていきましょう。

重徳委員 それでは、きょうは小渕大臣にも来ていただいております。

 もう一つだけ、この特別委員会の審議対象についての議論をさせていただきたいんです。

 実は、総理の本会議における所信におきまして、鳥取・大山の地ビール、島根県海士町のさざえカレーとか、けさ議論がありましたが、ベトナムで大人気の北海道根室のサンマのトマト煮、こういったさまざまな事例を取り上げた上で、総理の所信の中で、「地域ならではの資源を生かした新たなふるさと名物の商品化、販路開拓の努力を後押ししてまいります。」このように力強く総理が触れておられます。

 この地方創生特別委員会におきまして、恐らくこのふるさと名物の商品化などに関する法案が出てくるんだろうなと思っていたら、どうもそうではなさそうだと。よく調べてみると、この法案は、経産省が提出している中小企業地域資源活用促進法の改正という部分、幾つかの改正法案が一つにドッキングしたようなもののようですけれども、これは経産委員会で行われるのみであって、この地方創生特別委員会では取り上げられないというようなことなんですが、こんなことでよろしいんでしょうか。小渕大臣、いかがでしょうか。

小渕国務大臣 お答えを申し上げます。

 国会に提出した法案につきまして、その付託委員会というものは国会の決定事項でありますが、ただ、一般論として申し上げますと、これまで、中小企業ですとか小規模事業者の事業活動の活性化に係る法案につきましては、経済産業委員会において審議されているということがあります。

重徳委員 小渕大臣にもちょっと苦言を呈したいんですが、これもむしろ委員会、理事会の運営の問題もあるんですけれども、昨日、私はこの質問をするということを事務方に申し上げまして、大臣に出席いただけると確約をいただいていたにもかかわらず、きょうの朝になったら、大臣が出てこれるかどうかわからない、こんな話がありました。大臣、ぜひ、この地方創生特別委員会にもっと思いを持っていただきたいと思うんですよ。

 それから、事務方が何か勝手に、大臣を出すとか出さないとか、出したり引っ込めたり、それを質問者の議員に対して勝手に、勝手にというか、いいんですよ、ちゃんと大臣の指示に基づいてならもちろんいいんですが、何か、言ったり言わなかったり、こういうようなことは本当に委員会の進め方に支障を来しますので、ぜひとも、小渕大臣には、経産省の事務方をしっかりとリードしていただきたいと思います。

 今淡々と、経産委員会で先ほどおっしゃった法案は諮ることになろうかと思います、これは国会でお決めになる話ですと。それはそれで一つの模範解答ではあるとは思いますが。

 ちなみに、ちょっと今、ふと思ったんですが、総理が所信の中で、今言った大山の地ビールとか海士のさざえカレーとかベトナムで人気のサンマとか、このあたりに経産省の施策もかかわっているんですね。例えば、ふるさと名物を人気商品に押し上げる支援が今回の経産省提出の法案なわけなんですが。これは経産省と関係なく盛り上がってきたものなのか、それは経産省がこれまでも後押しをされていたものなんですか。関連を持って総理は言われていたんでしょうか。

小渕国務大臣 お答えを申し上げます。

 経済産業省におきましては、中小企業や小規模事業者など、地域の中で活躍をしているそうした方々をしっかり応援していくということでこれまでもやってきたところであります。

 今回は、地域資源法の改正案を提出させていただくんですが、これは、これまでより少し、点で支援をしていくというよりは、面で支援をしていくということを考えています。

 市町村が主体となった取り組みを応援していくということで、先ほどもいろいろと例を挙げていただいたんですが、例えば甲州ワイン、これは甲州ワインという一つのワインの、点だけでこれを応援していくということではなくて、もうこれは、地域、甲州市全体として、観光も含めて大変なエネルギーを持って地域活性化に取り組んでおられます。

 こうしたふるさと名物をしっかり支援していくとともに、販路開拓ですとか、あるいは国内外に売っていくための対策ですとかアドバイスですとか、そうしたことも含めてやってまいりたいと考えています。

重徳委員 余り直接的なお答えではなかったですが、まあいいです。

 総理が、何か我が党の幹部に言わせれば、全国の名産品展のような、そういう所信演説だったと言いますが、そうはいっても、けさ農林水産省は、サンマは農水省が応援して根室から外国に出しているんだということですし、海士町は、私の知っている範囲では、総務省が後押ししている地域おこし協力隊の方が何人か入られて頑張っておられる、こういうことも聞いております。

 結局、地域創生というのは各省全部挙げてやることなので、だからこそ、これは理事会の、内輪での見えない世界ではありますが、再三、全閣僚出席していただきたいということを申し上げておるわけでありまして、そうでないと厚みが出ないですよ、この委員会。全く、何か机上の空論みたいなことばかり、同じ話ばかりずっとやっています。きのうの本会議ときょうのこの委員会、同じような話ばかりで、一向に進んでおりません。

 このような状況を何とか変えていくためにも、委員会の運営について、関係の大臣、きょうは経産大臣にも来ていただきました、厚労大臣にも本来は来ていただく必要があると思います、そういった大臣にも出席をいただきますように、これまた委員長に強くお願いを申し上げたいと思います。

鳩山委員長 御質問の、要求大臣についてはできるだけ来ていただけるようにお願いをしたいと思っておりますが、現実に所管の委員会とぶつかっているようなケースもありましょうから、筆頭間あるいは理事間の緊密な協議の中で、できるだけ御期待に応えるようにしていきたい、こう考えています。

重徳委員 ですから、きょうは小渕大臣は所管委員会がないという前提でありましたのでお呼びしたんですが、何か、来れないとか来れるとか、そういう話だったものですから特に申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたします。

 それから、時間があと十五分程度ですので、中身のお話に入ってまいりたい、中身はないと言いながらも、中身の話に一応入りたいと思います。

 安倍総理は、よく衆議院予算委員会などでも、従来の取り組みの延長線上にはない政策を考えるんだ、こういうことをおっしゃっております。

 それから、石破大臣は、もっとハードルを上げられたと思います。具体的には、十月八日の参議院予算委員会、片山虎之助委員への答弁の中でこのようにおっしゃいました。総理から、ばらまきは断固排せと、縦割りも断固排せと、異次元の取り組みだということを御指示いただいております、でき上がった予算が、これはばらまきではないか、縦割りではないかということになれば、それは総理の御指示に反したことに相なりますと。

 それから、補助金や縦割りについてこのようにおっしゃっています。それを変えていくというのは日本のあり方を根本的に変えることになるのだと。これも先ほどこの委員会でもおっしゃっていましたので、本当に信念を持って取り組まれているとは思いますが、しかし、これは相当ハードルを上げられたと思いますよ、私は。

 今、恐らく、地方の皆さんは、今までさんざん国の支援を受けながらも、しかし、実際にはもう極端な財政難に陥って、本当に国に特段知恵があるわけではなく、あえて言えば、現場は自治体が知っているんだ、だから自由に使える財源があればそれをいただきたい、こう思っているぐらいだと思います。

 ですから、これまでさんざん国がいろいろなメニューをつくって、これに当てはまるかはまらないかということを国が審査して、ばらまきまくって大規模プロジェクトを行わせていた、いわゆる上から目線の中央集権型の地方創生というか地域活性化、もうこれは懲り懲りなんですね。やはり、長期的視点に立たずに、その場しのぎの政策をこれまで打ってきたから、これは本当に批判的な検証、石破大臣が言われる批判的な検証をしっかりと重ねるべきだと思います。

 そういう目で今回の論点を改めて拝見する中で、確かに、きょうも先ほどから議論があります東京一極集中、これの要因を取り除く必要はあると思いますが、これは、とりもなおさず、明治維新以来続いている中央集権、中央依存、この体制そのものを変えない限り、重要なことは全部東京で今決めているんですから、東京に来なきゃ何も決まらない、だから、人も物も金も情報も、全部東京に集まるのは当たり前なんです。ですから、若い人たちは、それは東京に憧れます。東京で働くのが一流だ、こういうことであります。実際、なかなか地方都市で東京以上に魅力的な都市というのは、もちろんあることはありますが、全般的に言うと、それは東京には見劣りしてしまう、こんな状況です。

 私は、地方創生と地方分権は、裏腹、表裏一体の関係にあると思います。

 つまり、明治維新以来続いているこの中央集権を、もう今度こそ根本的に、乱暴に言えば破壊して、分権型の国家に変えていくべきだと私は思うんです。

 ところが、地方分権のチの字もないんですよ、この論点を見ると。分権のブの字もないというか。こんな論点なんですよ。論点にぐらい入れていただいたっていいと思いますよ、私。ないんですよ。

 それで、問題意識はいろいろとありますけれども、東京一極集中をどう考えるか。それは中央集権だからだと私は思いますよ。少なくとも、それだけじゃないかもしれないけれども、それは重要なファクターだと思います。これが全然書いてないんですよ、今回の論点。

 私どもは、道州制を含む抜本的な地方構造改革が必要だと思います。

 具体的には、国の基幹税目を丸ごと地方に移譲する。例えば、偏在性が少ないと言われる消費税を丸ごと地方税源化する。それから、現在の中央依存体制の四十七都道府県を十程度の道州制に改める。そして、それぞれの規模が大きくなりますから、ヨーロッパとの比較がよくありますね、ヨーロッパの各国と引けをとらないような人口、経済規模を持っています。そういうところが、道州ごとにそれぞれが戦略的に通商、貿易を行える。このぐらいのダイナミックな政策こそ異次元と言うのに値するのではないかと思います。

 私は、その意味で、このたび、石破大臣は、安倍総理の御指示もあって、随分ハードルを上げられたと思います。それだけに大変期待をしたいところなんですが、今出されているこの論点、二枚物を見ても、全くそれが読み取れません。

 大臣、大いに期待をしたいところなんですが、期待を持ってよいのでしょうか。道州制、地方分権も含めて、御答弁願います。

石破国務大臣 この地方創生については、物すごく期待は高いと思います。これを外すと内閣そのものに対する期待がなくなっちゃうということだと思っております。

 明治維新というお話を委員が先ほどなさいました。常に、世の中を変えるのは中央ではなくて、地方からのうねりで世の中は変わるというのが歴史の証明するところでございます。ですから、地方地方でこのように変えなきゃいかぬよ、私がいつもお客様目線と言っているのは、地方にとって使いやすいか使いにくいか、それだけの話なんです。霞が関の論理でいろいろなことを考えても、地方が使いにくいと思ったら、だめな制度なんです。

 ただ、地方においても、何でもやればいいという話じゃなくて、何をやらんとするのか、そして、それができたかできないかという検証も地方でやっていただくというシステムを入れないと、それは単なるばらまきに終わってしまうということであって、そういうような仕組みをビルトインして地方の方から提案をいただき、検証もいただく。国として、それを、例えば権限の調整がややこしいということであれば、それは総理大臣が調整をいたしましょうさ。人が必要であるということであれば、シティーマネジャーでもコンシェルジェでもつくりましょう。

 ですから、地方が使いやすい制度とは何か、地方が責任を持てる制度は何かということが事の本質でありまして、地方の方は御期待だけでは困るんです。自分たちの方としてはこれをやる、こういう責任を持つということを言っていただいて、国は余計な邪魔をしない、必要な手助けをする、そういうことだと思っています。

重徳委員 地方分権、道州制についてはいかがお考えでしょうか。

石破国務大臣 失礼いたしました。

 国として必要なことをやる、地方でできることは地方でやる、そういう地方分権は進めていくべきだと考えております。

 地方分権というのは、本当に、三十年ぐらいずっとあるテーマでございまして、これは日々進化するものでございます。地方分権というのは基本的に進めていくべきものでありますが、それが国家としての形ときちんと整合するということは配意をしていかねばならないことであります。

 道州制の議論というのは、それぞれの党においていろいろなお考えがございます。維新の党が道州制というのをメーンに据えてこられたということもよく承知をいたしておりますし、我が党におきましても、道州制というものを、法律というものを念頭に置きながら、今、党内で手続が進んでおるところでございます。

 ただ、道州制は一つの手段なのであって、それができなければ地方創生ができないということだと私は考えておりません。道州制の議論が成熟をするまで地方創生は待ってちょうだいなというお話には全然なりませんので、道州制の御議論は御議論としてそれぞれの党においてお進めいただき、国会において御審議をいただくことになるんでしょう。しかしながら、どうやって地方を創生していくかということは、それとはまた、同時並行的に議論されるものでございまして、二者択一とか、そういうものだとは思っておりません。

重徳委員 大臣、一つの手段だとか、道州制がなければ地方創生ができないものではないとおっしゃいますが、今回の地方創生は、長期ビジョン及びそれに向けたまず最初の五年の総合戦略の前提となる法案、そしてこの内容について審議をしているわけですから、少なくとも、与党各党、野党も多くの党が公約に掲げている道州制というものについて、五十年後のビジョンまで今回示すのに、その中に全く道州制のドの字も入らないというのは、これは私はおかしいと思います。

 この後、論点の次には骨子が出て、そしてビジョン、戦略が出てくるわけですから、その中に道州制という言葉を入れていただけることをお約束いただけますか。

石破国務大臣 今ここで、言葉を入れるかどうかということの確約はいたしかねます。

 道州制というものが地方創生にとって一つの大きな鍵になるということは認識をいたしておりますが、道州制というのはこれから国会において御議論をいただくことでございまして、政府として、今政府としての公の文書に道州制というものを入れるということはお約束をいたしかねます。

重徳委員 迫力不足だと思いますね。

 今回、地方創生についてこれだけ、ハードルを上げてという言い方は余りいい言い方じゃないかもしれませんが、本当に、これまでの反省に立って、根本的な、異次元の取り組みをすると総理も担当大臣も口をそろえておっしゃっている。そして、繰り返しになりますが、五十年後までのビジョンをつくる、その中に各党とも公約に掲げている道州制も入らない。まして、地方分権のチの字も入っていない、論点の中に。こういうことでは、ここから先の議論、なかなか根本的な議論に立ち入ることはできないんじゃないかと私は思います。

 これからの対応については、仲間、同僚議員ともしっかりと話してまいりたいと思いますが、特別委員会における大きな議論として、この統治機構改革、地方分権、道州制について議論を進めていきたいなと思っております。

 それから、最後、あと五分ぐらいですので、きょうは高市総務大臣にお越しいただいておりますので、ちょっと資料もざっと用意しましたのでごらんいただきながらにしたいんですが、この資料でいうと四枚目ですね、平成元年度以降の地方債発行額の推移がグラフ化されております。これは、平成元年のころからの地方公共団体の地方債発行額総額ですね。

 これを見ますと、物すごく極端な振れ方をしています。

 平成七年が、見たとおりピークで、一番高い棒になっていますね。大宗を占める「その他」、これは地方単独事業を含む地方債であります。これだけで十八兆円。それから、下の方に、水色になっております四兆円弱、これが公共事業等債といいまして、いわゆる国の公共事業の補助金に対する裏負担ですね。地方の裏負担をとりあえず借金で賄う、こういう制度がありますが、この地方債を合わせまして、二十三兆円に上る額を平成七年に発行しておりました。

 何でこんなことになったかというと、これは全部、地方が、自治体が借金をしますと、償還するときには交付税でしっかりとその償還財源を措置するから、こういう仕組みがあったわけです。交付税という総務省、国の財源措置を当てにして地方はばんばかばんばか借金を重ねた結果が今の自治体のひどい財政状況でございます。

 同じグラフの平成二十六年、約二十年後ですね、今年度をごらんいただきますと、さっきトータル二十三兆円と言ったのが、トータルでいうと十三兆円。十兆円も減っておりますね。しかも、その半分ぐらいを占めているのは臨時財政対策債といいまして、交付税すらないから、しようがないから赤字地方債を発行するというわけで、実質、自分たちのやりたいことをやるための起債といったら大幅に、数分の一に激減をしているわけでありまして、これが、もう一枚めくっていただきますと、借金の借入残高も、二百兆円という巨額の借入金残高を抱えた状態がここ十年ぐらいずっと続いているわけであります。

 こういう中で、何が言いたいかというと、その昔、地方債を発行しても、後で償還するときには国が面倒見てあげるよ、交付税でと言っていたのがバブル崩壊後の経済対策。それで、今は地方はもうすっかり、そんなことには懲り懲りだということで、求められているのは、何にでも使える、自由に使える交付金を国からぼんとまとめておくれ、そうしたら好き勝手に使えるからと。

 好き勝手と今あえて言いましたが、もちろん、真面目にきちんとした事業に充てている団体も少なからずありますが、それが一体どのような使われ方をするかというのは、しょせんは人の金ですから、国から来る交付金、自由に使える交付金ですから、本当の本当に最後まで自分で責任を持って、先々まで考えてお金を使うとは限りません。

 今回の地方創生で交付金制度がまた新たにできるということにおいても、ちょっと私はここに、地方財政の規律という点からすると、少しくぎも刺しておきたいと思うんです。自由な交付金、それはありがたい、ありがたさ半分。だけれども、もう半分は、やはりお金が来るんだから今使っちゃえと。ところが、それで何かまた箱物をつくったら、その後のランニングとか維持補修とか、いろいろかかってくるわけです。

 ですから、人の金を使って何かをするときには、必ずその後、ツケが回ってくるときが来ます。ですので、自治体財政の規律、健全化のためにも、現状の地方財政、自治体財政の窮状に照らして、高市大臣から、今回の地方創生において、例えば地方も応分の負担をするとか、あるいは、そもそも税源を移譲する、そういうことも含めた財政規律の問題につきまして、御見解をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 地方創生につきましては、これから石破大臣のもとで調整が進められていくものと思いますけれども、一つは、やはり地方がその地域の実情に応じて創意工夫されたことを生かしていく、このポイントは大変重要だと思いますし、あと、委員が今御指摘になった財政健全化、財政規律の問題ですね、ここも大変重要だと考えております。

 今、随分、石破大臣のところでヒアリングもしていただき、各省の意見も聞いていただいておりますけれども、今後、やはり、地方と国のそれぞれの役割、責任、この分担に応じて、それぞれの責任、要は負担ですね、こういったものも変わっていくべきものであると思います。

 しかしながら、今、とにかく大切なのは、ローカルアベノミクスをどう成功させるか。昨年来、第一の矢、金融緩和があり、そして第二の矢、大胆な財政政策があり、そして成長戦略。国全体としての動きというものはありましたけれども、やはり、地方に向けて本当に温かい風が流れていくように、今、もうやらなきゃいけない。

 そのためには、地方は、場合によっては、先行投資、非常に財政状況が厳しい地方であっても、新たに税収を生み出すような、その地方の資源を使って、地方に合った投資もやっていかなきゃいけない。その分の応援はしっかりとさせていただける、そういった財源の確保にも取り組んでまいりたいと思っております。

 規律の点は、大変重要だと認識いたしております。

重徳委員 ありがとうございます。

 引き続き充実した審議を求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡でございます。

 きょうは、地方創生委員会で質問をさせていただくということで、この創生委員会は、内閣にとってこの臨時国会の最重要の課題ということで、本来であれば全閣僚そろって質問したいところですが、石破大臣は二十人分あるということで、きょうは石破大臣お一人に来ていただいて質疑をさせていただきたい、こう思っております。

 私は、政治の世界には、二十五年前、秘書として入りました。九年間、自分の力不足ですけれども、浪人生活をしながら、秋田という大変地方のところで過ごしてまいりましたけれども、農業にしても、林業にしても、水産業にしても、また商工関係にしても、いろいろなものがこの九年間の中でだんだん衰退していく姿を見てまいりました。

 そういう意味では、地方創生というこの委員会ができ上がるのが遅きに失しているような感じもしますが、しかしながら、これからやっていかなきゃいけない、こう思っております。

 特に、石破大臣そして鳩山委員長、安倍総理がいろいろなグルメの全国版をやりましたけれども、私はそこに石破カレーも入れていただきたいような感じもしますが、これは別にしまして、また、鳩山委員長も大変料理がうまいということを聞いておりますので、そういう意味では、グルメの二人がそろったということで、これはありがたいことだと思っております。

 しかし、全国物産展、そしてグルメ大会ではないことは確かです。そして、そのいろいろな成功事例というのは、ほとんどが民間の力であって、国の力をかりない方が成功しているというのが現実なんです。

 これまで九年間見てきまして、国が何か助成したり補助金をやったりしたのは、大変残念ながら、相当な部分失敗している。やはり、この地方創生という中で考えなければいけないのが、民間のアイデアのある人たちをサポートしていく、そして推し進めていくということがなければ、結局、補助金目当てだけではその事業やその地域の活性化が成らないということを見てまいりました。

 そういう意味で、我が党の小熊議員がきのうの本会議で質問しましたが、この地方創生の中の予算はばらまきにはしない、こう言っておりました。しかしながら、ばらまきにしないと過疎の地域がなかなか大変だという相矛盾することがあります。

 そういう意味で、アイデアを求めるというのは、国からアイデアを求めることはいいことですけれども、石破大臣が考えている、アイデアというのを地域から吸い上げるときに、例えば、今までですと、国が何かの、こういうモデルがあるということを示して、そのアイデアに肉づけをしてということがほとんどですけれども、今回の場合の、地方からアイデアを募集してそれを国がどう判断するかというのは、どのようなイメージを持っているのか、一番初めに聞かせていただければ、こう思っております。

石破国務大臣 地域のいろいろなアイデアというのは、地域から出てくるものであって、国が示すものではございません。

 ですから、秋田のようなところが何で全国で一番人口が減るのかということは、何か理由があるはずなので、では、秋田においてこういうようなことをやりたいということがあって、国が支援すべきは一体何なんでしょう、人なんでしょうか、お金なんでしょうか、権限の調整なんでしょうか。ですから、アイデアというのは市町村でないとわからないんですね。

 今まで、国がいろいろなものをよかれと思って示して、市町村長の能力は何で問われたかというと、補助金を幾つとれましたかということが業績の判断基準になってきた。そうではなくて、この町をどうする、この村をどうするというアイデアは地方が責任を持って出してくださいということなのです。

 それは、行政だけではないでしょう。むしろ民間が出すべきものなのかもしれません。民間がいろいろなアイデアを出す、それを市町村が国に伝えてもいいし、できれば、民間から直接国に上がってくるような仕組みも考えてしかるべきだと思っております。

 ですから、市町村長の業績評価が、補助金を幾らとったかではない。地域からアイデアを出し、それに合ったような仕組みを国の方が考える。というのは、異次元という言葉は余り軽々に私は使っちゃいけないんだと思っています。総理がおっしゃる異次元というのは、今までとやり方を変えろということだと思っております。

 ただ、それが、今までの、補助金と交付金と交付税、この三つを使ってやってきた地方の政策というものが一朝一夕に変わるものではありません。こういうふうに変えろというアイデア自体を、まさしく秋田の事情を一番御存じのお一人である村岡議員が、このようにすべきだという御提案をお待ちしておるところでございます。

村岡委員 石破大臣の認識は、本当にそれが正しいと思っております。

 しかしながら、多分、きょうは石破大臣ですけれども、これから創生委員会をやったらいろいろな閣僚の方を呼びたいと思うんですが、各省になるとそういう意識はないんです。やはり省益になるんです。そこが、やはり自分たちのメニューに予算をつけてというので、例えば概算要求も、見ていますと、やはりこの創生を目指して概算要求のものを考えていく。

 その中で、やはり地方はそれぞれ、中央省庁であったり、また政治家であったり、こういう方々が、こういうアイデアなら予算がつくぞと。また、またぞろというのが全国にあるんです、実は。そこが、これまでいろいろな政策をとってきて結果的にうまくいかなかった、先ほどの、民間が自分でやったのはうまくいった、しかし、国が入ったのがうまくいかなかった。これは、中央官僚が余りにもその事業に対して口を出す、プラス政治家の口ききがあると、事業はほとんど失敗しているんです、実は。そこを大臣がきちんと直せるかどうか。

 これは、全閣僚の人たちが、意識を持ってもらうためには、やはりこの地方創生委員会は、しっかりと全閣僚に来ていただいて、先ほどの石破大臣のような考え方を皆さんに共有してもらわなきゃいけない、そこが大切だと思っていますけれども、石破大臣は、今後、全閣僚の方々も、石破大臣のもと、この地方創生委員会に全員来ていただくようなことをやっていただけるかどうか、お答え願えればと思います。

石破国務大臣 それは、どの閣僚を呼ぶかというのは国会がお決めになることだと思っております。

 これは、全てが大臣でなければだめかというと、そうではなくて、副大臣というのを何のためにつくったかといえば、従来の政務次官とは違うんだと。副大臣というものが責任を持って答弁ができますので、できますならば、大臣がほかの委員会等々で都合がつかない場合は、副大臣はそれなりの権能を持っておりますので、副大臣をお呼びいただいて、大臣にはない視点でいろいろな議論ができようかというふうに思っております。

 私も幾つかのお役所で大臣とか副大臣とか務めてまいりましたが、やはりその役所に入ると、その役所の利益をいかに実現するかということにかなり誘惑を感じるわけですね。あの大臣はいい大臣だ、うちの言うことをよく聞いてくれるというのがいい大臣で、批判的な検証をすると大体排斥運動が起こることになっておりまして、それにいかに耐えるかというのが大臣の仕事なんだろうというふうに思っております。

 ですから、それぞれの役所に気に入られるために私どもは大臣をやっておるわけではございませんので、そこは、批判的検証という姿勢は大臣に最も求められるべきものであって、大臣がその省にあって安逸を求めてはならないのだと私は思っております。

村岡委員 閣僚の人たちがその省庁で気に入られるということは、いまだにその文化は続いてきている、こう思います。

 異次元の改革という形で安倍総理が言っているとすれば、本当の意味での省益をなくして、大臣がその省庁も改変しながら、この地方創生に内閣一体として取り組んでいるかどうかということを我々も質問していきたい、こういうふうに思っております。

 そこで、大臣は、いろいろな大臣も経験していますし、自民党の幹事長も経験されております。そして、大変地方に人気がある、地方には非常な支持率がある、こう言われておりますけれども、四十七都道府県、いろいろな地域を回って、北海道から沖縄まで、文化、風土や気候や、全部違うと思います。

 その中で、しかしながら、幹事長として会いに行ったときには、多分陳情されるのは、この道路をやってください、この河川をやってください、インフラ整備中心だと思います。そのことが、幹事長が抜けてもまた同じことをやっている。それが、地方の意識改革ということもきちんと必要だとは思っております。もちろん、地方創生にはインフラ整備も大切ですけれども、その組み合わせが問題なんだと思います。

 そういう意味で、安倍総理大臣も異次元の改革、そして今までにとらわれない改革を石破大臣がやる、そうなったときに、地方をこれまで回ってきて、先ほど言った、アイデアは地方で考えてもらってもいいです、どういう意識改革が必要なのか、大臣はどう思われているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

石破国務大臣 それは、五年先、十年先、あるいは自分たちが見ることがないであろう二十年、三十年先に、この町は、この村はどうなっているかということだと思います。政治家は次の時代を考える、政治屋は次の選挙を考えるというお話はよく言われたお話でございます。

 例えば、インフラ整備のときに、そのときは確かに工事が出る、雇用が生まれる、地域にお金が落ちる、結構なことでしょう。では、今問題となっているのは、道路にしても下水道にしてもそうですが、そのインフラの維持をどうするんですかということが問われているわけですね。十年先、二十年先にこの町はどうなっているだろうか、そして、そのインフラの整備をすることによってどういう効果があらわれるだろうか、お金の使い道としてそれが本当に最も正しいのだろうかという検証が地域地域に求められているんだろうと思います。

 ですから、地方創生の主役は市町村であるというふうに申し上げたのは、それぞれの施策をとることによってどういう効果が生まれるのかということと、十年先、二十年先、三十年先にその地域がどういうふうになっているだろうかということは、地域においてお考えをいただかねばならぬ。次の時代というものを考えてやらなきゃいかぬのですが、委員御指摘のように、じゃ、この道路はどうしてくれる、この土地改良はどうしてくれるというのがありまして、それに対してどのように応えていくかというのは、まさしく地域が問われていることなんじゃないでしょうか。

 我が党でも御党でもそうですが、地域に行きまして、いろいろな要望を受けますでしょう。そのときにそういう話を延々としても仕方がないのであって、まさしくそれが意識改革ということなんだと思います。地域においてそういうことをお考えいただかないと、地方創生というかけ声をかけても、結局今までの延長線上にしかなりません。

村岡委員 今までの、地方を再生しようという中で、古くは田中角栄先生の日本列島改造論ということで、秘書もされていた鳩山委員長はよく、詳しく、全国も歩かれていたと思いますけれども、竹下先生のふるさと創生とか、いろいろなものがありました。

 別に、一つ一つのアイデアはよかったと思うんです。しかしながら、そこがうまくいかなかったという原因は、もちろん、土地の高騰だったりバブルが起きたり、いろいろなことがあったと思います。その検証をしっかりしていただく。

 そして、日本がうまくいっているときというのは、例えば、戦後の東京オリンピック、一九六四年。このときから、新幹線、港湾、いろいろな部分のインフラ整備とともに、工場が張りついて、人が集まってきてと、日本が本当に大きく変わった時代でした。

 あとは、もう一つあるのが、これはあってはならないことでしたけれども、阪神・淡路大震災、そして今、東日本大震災、まだ三年ちょっとですけれども、こういう災害とかそういうのでは、近年ではきちんとした対策がとれる。しかしながら、日本全体の国土を描くということが、なかなか現実、難しくなってきているということがあります。

 何でできないかというと、ここには、東京にいた方が、もちろん、当たり前のことですけれども、情報も入る、利益もある、そして雇用や大学もある、いろいろなことで便利だ、そして企業活動もいい、住むにもいいという現実がある。

 そのときに、これを人口を減らしているところにある程度分散させていこうということになると、大きなビジョンを描かなきゃいけない。一年単位、二年単位では、しっかりとした対策を立てていかなければ、十年先に衰退していたら、十年先の計画があってもだめなことはわかっております。ところが、この一、二年の対策だけを描いては、十年先も見えてこないということがあります。

 そして、特に、私なんか秋田で、先ほど大臣、秋田のことも言っていただきましたけれども、少子化、高齢化、そして雇用も悪いですし、全国でナンバーワンクラスという、非常にこれは不名誉なことですけれども、しかしながら、一方、国際教養大学というすばらしい大学もあったり、また、小学生の学力が全国でナンバーワンということがあります。

 その中で、秋田だけで考えても、県庁所在地と地域の中で格差があるんです。やはりそれは、多分、四十七都道府県、どこもそうだと思います。石破大臣の鳥取にも私は行ったことがあるので、そこも見ましたけれども、秋田と近いような感じのところに行かせていただきました。

 そこで常に感じたところは、例えばインフラ整備でも、それからいろいろな部分で県境というのがおくれて、先ほど言ったことと矛盾しますけれども、例えば高速道路がつながっていなかった、ミッシングリンクがあるとか。

 でも、ここを考えると、もちろん山間部であったり、人が少ないというのも考えるんですけれども、何で県境がおくれたかという原因の中に大きくあるのが、やはり一つ、政治があるんです。それは、知事でも国会議員でも市町村長でも、やはり、人口が少ないところ、半分が違う県だとなかなかそこに力を入れてこなかったことが現実なんです。

 その現実を破るとすれば、今の県単位の予算では、なかなかこの県境は時間がかかるんです。そういう意味では、例えば我々秋田のところでいって、私は由利本荘市というところで、由利本荘市、にかほ市、酒田市とかを合わせると三十万人ぐらいの人口圏がある。文化も、いろいろな農作物も同じなんです。

 そういう意味では、県という単位は大事ですけれども、県境とかのモデル地域だったり、また、内陸部でいくと湯沢とか新庄とかあるんですけれども、新幹線は新庄まで来ていて湯沢に来ていないとかということはありますけれども、それはインフラ整備だけやればいいというわけじゃなくて、やはり県境をきちんと、その地域の住民が一緒になって、インフラの整備も必要でしょうけれども、農産物も一緒にやっていく、それから観光もやる。

 雇用の部分で、例えば、企業が来るとすれば、一つの五万人や六万人の都市だと、この都市にどのぐらい若者がいるんだろうということを考えます。そして、この中で商圏がどのぐらいあるんだろうと考えます。それが、三十万人単位とか四十万人単位で、観光から雇用から、それから若年層の人数から考えると、いろいろなことが広がってくるんです。

 そういう意味では、この地方創生というのは、実は、一年から五年の範囲でいくと、県境をどうやって再生して、そして、例えば東北であれば、秋田であれば、青森、山形、岩手とどれだけ交流できて、物流も人口も観光も、そういうことをきちんとやらなきゃいけない。市町村単位のアイデアも大切ですけれども、大きく考えるということも考えていかないと、一つ一つの市町村で考えるところには、どうしても頭はその町村のことだけ考えちゃいます。そこを少し考えていただけないかと思いますけれども、大臣はどう思われるでしょうか。

石破国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

 県が変わっちゃうと、同じような地域なのに政策が全然違うというのは、これは実に困るんです。

 県境というのは、例えばうちの県でいいますと、兵庫県、それから岡山県、島根県、広島県と県境を接しておりますが、山陰、山陽ということで見た場合には、我々山陰の人間は早く山陽に出たいと思っています。山陽の人は早く山陰に行きたいなんて思っていませんから。そうすると、全然力の入れ方が変わってくるわけですね。

 だけれども、そうすると、では、岡山の鳥取県境の人はどうしてくれる、兵庫の鳥取県境の人はどうしてくれるという話になるわけで、この県境というものをどのように考えていくかという視点は、確かに地方創生の中で入れさせていただきたいと思っております。県が違うといっても、それは同じ日本国民でございますので、県が違う、県境にいるからということで不利益を受けるようなことであってはならないと思っております。

 それから、委員の御質問ではございませんが、前段の御指摘について申し上げれば、田中角栄先生の日本列島改造というのは、あれはすごく斬新な考え方だったし、あれがあったおかげで今の日本もありますが、不幸なことに、狂乱物価ということになり、オイルショックがそれに追い打ちをかけたということがございます。

 その後もそうなんですが、結局、燃料が高騰したらば日本の経済はおかしくなるというような、外部要因によって日本の経済がおかしくならない強い地方というのはどうやってつくれるんだという視点が私は大事なんだろうと思っております。もちろん、グローバルな世の中ですから外部経済に影響されますが、グローバルになっただけに、我が国のような国はどうやって外の変動要因に左右されない、強い日本をつくっていくかということも地方創生の大きなポイントだと認識をいたしております。

村岡委員 入れていただけると。ぜひ、県境は大きな単位で考えられますから。

 当然、県という単位は大事です。しかしながら、県境で二、三十万人のところをモデル地区にした場合、では、どこに予算をやるのとか、そういう形のことが非常に難しいんです、行政的には。しかし、そういう調整をするのがまさに地方創生委員会だと思うんです。県の県境も越えて、異次元の対策というのをしっかりやっていただきたいと思いますので、そこはよろしくお願いいたします。

 そして、もう一つあるのが、太平洋側をずっと戦後整備してまいりました。これは、ある程度日本が、経済が立ち直るために大切なことですし、そして、戦後日本は、アメリカとの関係でやはり太平洋側を整備して、港、新幹線、そのほかのいろいろなものを整備してきました。

 しかしながら、日本海側は、その点、アジアとの貿易というのは、あの敗戦後のいろいろなことがあり、なかなか貿易関係、また相手国がそれほど成長していなかったということもあり、貿易額が少なかった。これは、経済的論理からいけば、例えば、アジア圏がアメリカのようにそのころから発展していたら、日本海側は、貿易港をつくって、新幹線を整備して、そして日本がそちらとの交流をしたはずなんです。それができなかった時代は別に悪かったわけじゃない。

 もう一つ、東日本大震災の中で、あれだけ物流が滞って大変な状況になりました。そのときに日本海側が整備されていたら大分いろいろな形で物流を運べた、安心、安全もあります。

 それから、アジア。これから東南アジア、今、中国や韓国との関係もいろいろありますけれども、でも、将来的にやはりアジアとしっかり貿易していくということになれば、太平洋側でアメリカとの貿易関係、それから日米同盟は重要です。もう一つ日本海側に、軸を二つ持つ、ここの考えが地方創生にちゃんと出てくるか。昔から言われていたことなのに、なかなか、これは設置法ですから出てきていないのかもしれませんが、そこも強く入れていかなきゃいけない。

 それは、決して、日本海側の地方創生を、税金をただ投入するだけじゃなくて、将来成長するところだという認識を持ってこの地方創生の中で予算もかけていくべきだと思っておりますけれども、大臣の御見解をお願いいたします。

石破国務大臣 北陸新幹線が来年開業するわけで、随分変わると思いますけれども、日本海側というのは、住んだ人間じゃないとわからないところがありますが、とにかく日本海側の町から日本海側の町に行くというのが本当に不便ですね。

 例えば、我が党で地方創生の責任者を務めておられる河村先生がおられますが、私の鳥取から河村先生の山口に行こうと思うと、何が一番早いかというと、一回東京に出て、そこから山口に行くのが一番早いんです。何か航空会社のためみたいなところがございますが。これはどう考えたっておかしいんじゃないのと。鳥取から秋田に行くなんというのは大変な話ですよね。日本海側のこういうようなネットワークの欠缺というんですかね、これをどうやって埋めていくかということは、日本全体の問題であるというふうに考えております。

 ですから、何でもかんでも公共事業をやろうというお話をしているのではなくて、日本海側国土軸というものがまだ完成しないというのは日本国にとってどういうことなのか。ああいう震災のときにバックアップ機能を果たしたのは日本海側であるわけで、そういうような国全体の経営としての日本海側のあり方というものは、それはやっていく必要があるだろうし、それはかなり加速をしていかなければいけない問題だというふうに認識をいたしております。

 これはなかなか太平洋側の方にはわからないお話なのですけれども、日本海側の人間はそのことの不便さというものを一番感じておりますので、国家としてもそれをやっていかねばならないことだと承知をいたしております。

村岡委員 大臣言われるように、私も、青森に行くのには一回東京へ来て飛行機で行った方が早いというのが現実なので、そういう状況というのは、しっかりと日本海側がインフラを整備して、決してこれが借金をふやすというわけじゃなくて、将来このぐらい成長するんだ、こういう国たちとつき合ってきて成長するんだ、その検証もしないと、やはりこれだけ財政が借金を抱えている日本ですから、その検証をしながら地方創生委員会で計画を立てていっていただきたい、こういうように思っています。

 そして、やはりこの地方創生に期待する人も多いんですけれども、しかしながら、もしこれがうまくいかなかったら非常に政治に対する不信になる、こういう側面も持っております。

 そして、あの東京オリンピックの一九六四年から、ずっと日本が敗戦から立ち上がって成功していったときには、これは東京一極集中を生んだんですが、全国民同じスタートからこの国を立ち上げようとしました。みんな大変な時代でした。そういうときと、今はある程度インフラ整備ができ、そして所得の格差ができ、いろいろな便利さができている状況の中では、国民の中で、東京の人は、必ずしも地方を創生するということに全員賛成だというわけでもないことが現実です。

 そういう中、どういうふうに国民の意識を、地方創生というのはこの国の底力を上げることなんだということを意識してもらうかどうかが大切だと思うんです。そのきっかけが今度の、二回目の東京オリンピックだ、こう思います。

 私は、一九六〇年、東京オリンピックは、三歳ですからほとんど記憶がないんですが、今度のオリンピックは、例えば日本の観光客から何から、全然違う数が来ると思っております。三十五万人だったのが何千万人単位、またその手前から、観光客や何かでいろいろ日本の中を観光で回ると思います。

 東京オリンピックは、若者に対して勇気を与え、世界に対して非常な、日本の高揚になるとは思っております。そのとき、外国人の選手そして外国人の観光客、マスコミが来たとき、成田と羽田におりて東京に来たら、すばらしい、日本はさすがだと思うかもしれません。しかしながら、六年後、四、五百キロ離れた鳥取であったり秋田であったり、こういうところに来て、商店街だ、人はいない、農地は寂れている、この状況は、世界に、日本というのは首都しか成長していないのか、何という国だと。

 民主主義、資本主義の国家で首都しか発展していないなんという国は私はないと思っております。それはむしろ、独裁国家とかそういうところは首都だけが非常に便利な生活をしているということはありますけれども。そこをどれだけ国会議員たちが同じ共通認識を、東京出身の議員も、いろいろ都会の議員がそのところを思えるか。そして、全国民が、どこの地域に生まれても、住んでも、そこの地域で、やはり日本に生まれてよかったと思えるかどうかの部分のこれは最後のチャンスだと思うぐらいなんです。

 そこで、石破大臣にお聞きしたいんですが、石破大臣、実はそこには御党の、与党内にいろいろなあつれきがあると思う。というのは、先ほど言った口ききとか、いろいろなことをやっていくと全部崩れます。

 やはり、国民一つになってこの地方創生をやり上げようといったときに、大臣は、どれほど抵抗勢力があっても一生懸命これをやり遂げるという意識があるかどうかをお聞きしたい、こう思います。

石破国務大臣 それは、何かを変えようと思うと物すごい抵抗があります。

 私、麻生内閣で農林水産大臣をしておって、農林水産政策というものを根本から変えようと思いました。そのときは、もう史上最低の農林水産大臣というような御批判をいただきました。ですけれども、十年たって、あるいは五年たって、ああ、やはりそうだったんだということはあるものだと思っております。同じようなことは防衛省でも経験をいたしました。

 ですから、今ある仕組みをどのように変えるのかということが政治家の仕事なのであって、役人の言ったとおりに乗っているんだったら何も大臣なんか要らないわけですよ。ですから、そこにいかなる抵抗があってもそれをやるんだという気概を持っているかどうかだと思います。

 委員がおっしゃいますところの、東京オリンピック、二〇二〇年というのは、それが終わったらば、何かうたげの後みたいなことになったらどうにもならない。

 例えば、今、山村というものを再生させるために、CLTという考え方がございます。では、選手村はCLTでできますかということなのかもしれない。

 つまり、東京というものがよくなっていくというのは日本の将来像を示すものですが、そこにおいて地方がどれだけそれに対して関与ができるかということです。そしてまた、東京がこの一極集中というのを打破していくということは東京のためでもあるのであって、これを東京対地方の構図にしてはならないと申し上げているのは、そういうことで申し上げてきたところでございます。

村岡委員 もう時間もないので、最後になりますが、石破大臣、ぜひ、抵抗勢力が多ければ多いほど張り切る大臣だと思いますので、そこは、与党であろうと野党であろうと、いろいろな質問はぶつけてきますし、いろいろな形で創生大臣のところが、例えば、各省庁からの寄せ集めなことは確実なんです。この寄せ集めをどうやって一本の形にしていくかは大臣の大きな責任だ、こう思っております。

 今後、この創生委員会で、会期は十一月の末ということですけれども、実は、いろいろな計画が立ち上がってからしっかり審議させていただければと思います。全党いろいろなことの疑問があることをきっちり解決して一本の方向に進むというために、ぜひともそれはやっていただきたい、こう思っております。

 きょうは、地方創生委員会の初めての質問ですけれども、ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 次世代の党の桜内文城です。

 きょうは、地方創生委員会で初めての質疑ですので、この法案についてお尋ねをいたします。

 まず、私どもの立場をちょっとはっきりさせておきますと、そもそも我が会派は、この特別委員会の設置について、議運においては反対をいたしました。

 もちろん、今の地方がこのままでいいと思っているわけではありません。少子高齢化が進み、人口減少が続く中、地方をどうやって元気にしていくのか、これは本当に大事な論点だと考えております。

 しかし、残念ながら、きょうこれから質疑をいたします対象のまち・ひと・しごと創生法案が余りにも中身がすかすかだということで、このような法案を審議するのに、わざわざ特別委員会を設置するのはいかがなものかと。

 今の日本は、まさに、アベノミクスと言われますけれども、経済の問題、一つの壁にぶち当たっているとも言われておりますエネルギー価格の上昇、円安の行き過ぎ、こういったところで地方の労働者の実質賃金がなかなか上がらない。むしろ下がっている状況。これをどう回避していくのか。その中で、消費税の増税の是非についても国会で議論すべきだというような立場から、特別委員会の設置には反対をした次第でございます。

 さて、特別委員会はこうやって設置されたわけですけれども、ぜひ大臣にまずお伺いしたいのは、このまち・ひと・しごと創生法案ですけれども、この法案の意義というか、これがないと本当に何かできないことがあるのかということについてお尋ねしたいと思います。

 実は、先週、党の政調の部会で、役所の方からヒアリングをいたしました。いわば法律事項というか、この法律がないとできないことというのは何かあるんですかとお尋ねしたら、ないというお答えでした。

 こういった法案を担がれている石破大臣の御見解をお尋ねいたします。

石破国務大臣 これは、行政に通暁された委員にお答えをするのも恐縮でありますが、用語の定義として、法律事項というのは一体何でしょうかということだと思っております。

 これは言わずもがなでありますが、法律事項というのは、人に権利を与え、または義務を課す規定のことを法律事項というわけでございます。

 では、今度の法案にそういうことが書いてあるかといいますと、それが直接書いてあるわけではございません。しかしながら、例えば、まち・ひと・しごと創生本部をつくりますという規定、これは、その創生本部がなければ、そこから出してくるいろいろな権利あるいは義務、提案をいたします権利や義務も、その根拠となるところの組織がなければ意味がないということに相なります。ですから、そういう組織法あるいは理念法、プログラム法的な意味を持つ法律でございますが、組織法的なものがあって初めてそこの組織が出しますいろいろな政策というものに権利や義務が伴ってくるものだと思っております。

 ですから、今回の法律は一種の基本法的なものでございますので、この法律を出す意味がないとは思っておりません。そしてまた、組織法的な部分も一種の法律事項というふうに私としては認識をしておるところでございます。

桜内委員 今大臣がおっしゃった、権利を与え、または義務を課すもの、これは法規概念と言われるものでありまして、もちろん法律の対象となる事項がそれに限られるものではありません。しかし、先ほど申したように、私は別に法規事項にこだわっているつもりもありません。今大臣が、本部をつくるということもおっしゃいましたけれども、本部は既に、閣議決定によって九月三日につくられているんですよね。

 ですので、私が申し上げたのは、この法律がないとできないことがあるんですかということを役人の方にお聞きしたらば、ないというお答えだったということでございます。

 そういった意味で、この法律がないとできないことがないにもかかわらず、わざわざ特別委員会を設置して、この法律を担いで、可決、成立に持っていこうとされる石破大臣の所感をお尋ねした次第でございます。

石破国務大臣 何かすれ違いの答弁のようになって恐縮ですが、確かに閣議決定でそういうことは可能でございます。これが、次の内閣というものが仮にいつの日かできたとして、引き継ぐことも可能でございます。しかしながら、次の内閣が、こんな必要はないと思えば、それはもう国会の御審議を経ずにそういうものは消えてなくなるわけでございます。

 国会の御審議を経てきちんとした法律としてそういう組織ができるということは、国民の代表である国会の御審議を経て法律上に根拠がある組織と、単なる、単なるという言い方は言い過ぎかもしれませんが、閣議決定に基づく組織というのは、それなりに意味が違うと思っております。

 法律という形で国会の御審議を経た組織というものが、これからいろいろな政策を企画立案いたしてまいります。あるいは、国民の権利義務にかかわるものも出てまいりましょう。それにはやはり法律上の根拠が組織に必要だと私は認識をしておるところでございます。

桜内委員 役所の方も似たようなことをおっしゃっていたんですが、別に、閣議決定というものは、内閣がかわったら効力を失うわけではありません。閣議決定でもない、例えば河野談話のような法的形式がはっきりしないものでさえも、これはいろいろな意見があるでしょうけれども、私はあんなものは早く撤回すべきだと思っていますけれども、ずっとあるわけですよ、もうこの二十年来。

 そういった意味で、閣議決定で設置したものと法律で設置したものの差を言っても、僕は余り意味がないと思っております。もちろん、国会を通すか通さないかというのはありますけれども、少なくとも、行政権の権限の範囲内で閣議決定でもって設置できるものを、あえてこうやってもう一度、既にもうそこの本部はつくっているわけですよ、閣議決定でもって。それを、こうやって国会に持ってきて、それを根拠に特別委員会までわざわざ設置するということの意味合いがどこまであるのかというのを我が会派は申してきた次第でございます。

 そういった意味で、お互いの意見は大分明白になったと思いますので、少し中身に入ってまいります。

 今ほど申しましたように、私どもは、こういった法律が本当に必要なのかという立場であります。

 といいますのも、非常に、使われている文言も、美しい言葉ではあるんですが、具体性に欠けるんですね。ですので、まず、一条の目的のところにあります二つの言葉の意味について大臣にお尋ねをいたします。

 一つが、「潤いのある豊かな生活」とは一体何を指すのか。そして二つ目、「魅力ある多様な就業の機会」というのは具体的にどういうことを指すのか。これについてお尋ねいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず第一点でございますが、第一条の「潤いのある豊かな生活」でございますが、これは、地方創生を考える上では生活の質が大変大事であるということからこういう規定を置いてございます。具体的には、一人一人がゆとりを感じながら物心ともに満足を感じることができる暮らし、こういう意味でございます。

 そして、もう一つの「魅力ある多様な就業の機会」でございますが、今回、地方創生を考える上では、まさに、生産年齢人口が減少いたしますので、地域の雇用におきましては、量のみならず質が大変大事になってまいります。その意味で、この「魅力ある多様な就業の機会」とは、まさに雇用の質を考えた、そういった面の就業の機会、これを確保していく、こういう意味でございます。質としましては、賃金、雇用形態等が入ってまいります。

桜内委員 どのように解釈されてもそれは御自由ですけれども。

 しかし、これは目的の条文に入っている文言ですよ。ですので、この法律を通した後に、この目的をどう達成するのか。その手段ももちろん考えていかなくちゃいけないわけですけれども、達成したかどうかをどう測定するのかということももちろん考えなくちゃいけないわけですね、政策としては。そういった意味で、今おっしゃった言葉の解釈の仕方では、そういった具体的なものは何もないんですよ。それを指摘しているわけです。

 ですので、これ以上お答えは要りませんけれども、そういった、非常に茫漠とした、具体性に欠ける文言が目的規定に入っているということを指摘しておきます。

 ところで、石破大臣の正式な職名は、まち・ひと・しごと創生担当大臣になられるんですか、それとも地方創生担当大臣か。ちょっとそこは確認といいますか、逆に、この特別委員会が地方創生に関する特別委員会と聞きますので、まち・ひと・しごと創生という法律上の文言と、地方創生という文言は、同じなのか、違うのか。違うとすれば、どこが違うのかについて教えてください。

石破国務大臣 正式な職名は、国務大臣、地方創生、国家戦略特別区域担当、こういう長いお話になっておりまして、なかなか覚えるのが大変みたいなところがないわけではありません。

 これは、違うのか違わないのかというお話ですが、一緒です、同じものです。ただ、地方創生といっても何だかよくわからないねということで、昔、ふるさと創生というのがありましたが、まち・ひと・しごとというふうにいたしましたのは、その順番はともかくとして、あるいは村が抜けているじゃないかという御指摘はそのとおりかもしれませんが、要は、仕事があって人が来る、人が来て町ができるということなんだと思っております。

 ですから、地方創生といいましたときに、やはり仕事がなければどうにもならぬねというお話でしょう。仕事がなければ人は来ないし、人が来なければ町はできないしということであって、地方創生というものを因数分解してみると、まち・ひと・しごとということになる。そちらの方が具体的なイメージが湧きやすいし、訴求力もあるということだと認識をいたしております。

桜内委員 よくわかりました。丁寧な御説明をありがとうございます。

 ところで、ちょっと細かいんですが、まち・ひと・しごとをなぜ平仮名にしたのか、その点についても教えてください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 これでございますけれども、趣旨としましては、国民の皆様に平仮名でわかりやすく表現するという趣旨で、こういうまち・ひと・しごとという言葉を使わせていただきました。

 なお、こういった平仮名を使った立法例もございましたので、それを参考にさせていただいて、こういう名前ということでさせていただいた次第でございます。

桜内委員 ちょっと話題をかえます。

 今回のこの法案、少子化ですとか高齢化への対応ということもうたわれております。もちろん、これまで政府はそれに対して全く対応をしていなかったというわけではありませんで、実際、少子化対策基本法に基づいて、内閣総理大臣を会長とする少子化社会対策会議というのが設置されて、開催も、頻繁にとは言いませんけれども、されてきております。

 他方で、高齢社会対策基本法というのも平成七年に制定されておりまして、これに基づいて、高齢社会対策会議、これも会長が内閣総理大臣という形で設置をされ、これも、よっぽど頻繁というわけではありませんけれども、今に至るもたまに開催されて、議論がなされてきておるところでございます。

 そういった意味で、既存のこういった組織を政府は設置してきたわけですけれども、スクラップ・アンド・ビルドをどうしてもしなくちゃいけないというわけじゃないとは思いますが、しかし、その権限なり議論の対象というのを整理する必要があるんじゃないかと考えております。

 今回の創生本部と既存のこれまでのこういった会議との関係について、法的というか、テーマとか、どう切り分けているのか、あるいは、もうそっちはやめちゃうのか、そういった点についてお尋ねをいたします。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、少子化対策関係では少子化対策会議、さらには、高齢社会関係では高齢社会対策会議がございます。これとの関係でございますが、まち・ひと・しごと創生本部におきましては、まさしく、少子高齢化の問題、さらには東京圏への人口の過度の集中、そして人口減少の問題、こういうもう一つ大きな枠組みにおいてこれらの問題に総合的に対応するというのが私どもの使命でございます。

 したがいまして、この本部におきましては、全体のまさに司令塔としての役割を担っておるわけでございまして、そうした関係の会議とも連携をとりながら、この人口減少克服、地方創生という大きな課題に取り組んでいく、こういう姿勢でございます。

桜内委員 先ほど、この法案にどれだけの意味があるのかというふうに申し上げましたけれども、仮に、既存のこういったものを整理統合する、そして創生本部を設置するというのであれば話はわかるんですよ。この法律でもって、既存のもの、法律に基づくものを整理していく、それも全くなされていないわけですね。そこを、これも今さら言っても仕方ないので、指摘しておきます。

 先ほど、本部をつくるというのが大事だということを大臣もおっしゃったわけですけれども、その本部におきまして、既に、九月十二日に本部決定という形で基本方針というものが定められております。

 その中に大変勇ましい文言がありまして、「従来の取組の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策」、これを実行していくということなんですけれども、これはとても、今の段階で無理なのかもしれませんけれども、具体的なイメージが全く湧かないんですけれども、これはどうなるのか、大臣、教えてください。

石破国務大臣 従来の政策というのは、要は、補助金があって、交付税があって、交付金があって、国がそういうメニューをお示しをする、あるいは、交付税というものが結果平等のようなものをギャランティーするというものであったと思います。

 ですから、幾ら言葉を並べましても、最終的にはそういうようなもののあり方をどう変えるのだということを、提供側ではなくて、受ける側の論理に立って考えるとどうなるのというのは、私は違いなんだと思っております。

 ですから、我々はこういうものを用意しましたよ、好きなものを選びなさいね、最終的に決めるのは我々ですよという話だったんですが、そうではなくて、実際にそれぞれの地域というものを所管いたします市町村にとって最も使いやすい仕組みというのは何だろうかという視点に立って考えていきたいと思っております。

 それは、一朝一夕に変わるものではございません。そんなに、魔法のようにおまじないを唱えればあっという前に変わるんだったら誰も苦労しないのでありまして、実際に必要なのは、使う側の論理に立った政策、仕組みの立案ということだと思っております。

桜内委員 今大臣がおっしゃったのも、そのとおりだと思います。

 どこかというと、補助金や交付税、あるいは交付金に頼らない、地方の新しい再生というか創生をしていく、この趣旨には私も全面的に賛同いたします。

 ただ、今回、一緒に提出されている法案、地域再生法の改正案ですけれども、これの主たる政策手段が交付金なわけですよ。この交付金、地域再生基盤強化交付金であるとか、二十七年度概算要求では地域再生戦略交付金というものが新しくつくられるというか要求がなされているところであります。

 少なくとも今の段階でいえば、概算要求の過程にあって、もちろん、来年度予算の政府原案ができてくるのは十二月でありますけれども、しかし、今、少なくとも、国会にお出しいただいているこの法案を見る限り、従来型のこういった交付金の増額のほかに、何かしら新しいものの芽がどこかにあるんでしょうか。あるとすれば、ぜひ教えてください。

内田政府参考人 お答えを申し上げます。

 交付金についてのお尋ねがございました。

 地方創生のためには、やはり、地方の特色を生かした地域の自主性と創意工夫を引き出していくということが重要と考えております。私どもは、先進的な地域活性化モデルケースを三十三件ほど選定いたしまして、横断的に支援してまいりました。その中でいただいている御意見でございますが、各省の既存の補助金では対象とならないすき間でございますが、そこの対応を求めるという要望が多く寄せられたところでございます。

 したがいまして、今年度、来年度予算で要求させていただいております地域再生戦略交付金は、このような声を反映いたしまして、先見性があり、各省の補助金とあわせて活用することで、効果的な事業というものを支援するということで、概算要求を行っております。

 一方、御指摘の地域再生基盤強化交付金でございますが、これは、道とか汚水処理、港と、三分野のハード整備に充てられるものでございまして、今年度、来年度要求しております地域再生戦略交付金とは性格を異にするというものでございます。

 以上でございます。

桜内委員 要するに、これまでの交付金と何ら変わらないということじゃないですか。先ほど大臣は、異次元の、異なる大胆な政策というものを、従来のような補助金や交付金、交付税等に頼らない、真の自立を促していく、こういった地方自治というのが私も必要だと思いますけれども、残念ながら、今のところ、この二つの法案から見えてくるものは、従来型のこういった交付金のばらまきにしかすぎないということを、あえて強調しておきます。

 大臣、何か反論があれば、ぜひお答えください。

石破国務大臣 交付金のあり方あるいは交付税の仕組みというものは、これからこの委員会の御議論もよく理解をし、承知をした上で、制度の仕組みそのものを改めるということも、私は決して否定をするものではありません。

 それから、実際に担当大臣を置いてこれが本格的にスタートしたのは九月の話でございます。そこでいろいろな議論をし、あるいはこの委員会でいろいろなお話をいただきまして、では、異次元というのはこういうものを異次元と言うのではないか、異次元という言葉を使うかどうかはともかくとして、今までの制度の延長線上では問題は解決できないという認識は、与野党とも多分一緒だと思っているのです。

 私どもも、これが異次元だというものを提案いたしてまいりますが、実際にそれが具体的に制度改変を伴って形になっていきますのは二十七年度、これから、来年御審議いただくのは二十七年度予算でございますが、二十八年度にさらに明確な形を伴ってくるものだと思っております。

 私どもも、これが異次元だという制度を一生懸命考え、御提案をいたしてまいりますので、どうぞ野党におかれましても、こうしなければだめなのだ、これが異次元なのだという御提案をいただければ、私どもとして積極的に取り入れてまいりたいと思っております。従来の延長線上ではだめだという認識は共有しているものと考えております。

桜内委員 ありがとうございます。

 方向性は同じ方向を向いているということを確認できましたが、しかし、今の御答弁、私、一つ重要な点があったと思っておりまして、今、財務省と各役所の間で、平成二十七年度、来年度の予算編成真っ盛りなわけなんですけれども、逆に言うと、もうそこはほぼ諦めるというお考えなんですか。そこを確認させてください。

石破国務大臣 諦めてはおりません。

 ですから、これがばらまきだ、あるいはこれが縦割りだというもの、それから、縦割りも、全て縦割りは悪いなんて言っているんじゃありません。使う側にとって実に使いにくい縦割り、あるいはもうどの地域も同じようにお金をお配りするというばらまき、そういうものを二十七年度予算においては極力排除をしていきたいと思っております。

 制度あるいは仕組みというものを抜本的に変えていくためには、それなりの国会の御審議も必要でございましょう。今国会だけでそれができるものではございません。ですから、この国会でいろいろな御議論をいただき、政府としてこれを考えるべきだという御指摘は幾らでも頂戴をいたしたいと思っております。

 もう諦めたと言うつもりは全くございませんで、それは私どもとして調整権能を持っているわけで、実際のいろいろな予算の査定は、委員が一番御存じの財務省がやるわけでございますが、そこは財政当局ともよくお話をしながら、ばらまきあるいは縦割りのそしりを受けないようにしてまいります。

桜内委員 余りこだわるべきところじゃないかもしれないんですが、今回、こういった地方創生というものが、特別委員会もわざわざ設置して、また担当大臣も置かれて安倍内閣が進められるというのは、ちまたではよく言われますのが、来年の統一地方選挙に向けてのいわば実績というか、それに向けての内閣の体制をつくっていくということだと言われているんですが、ただ、今お話を聞きますと、もう純粋に、よりよい制度を、国会でも審議した上で、時間は来年の春に間に合わないかもしれないけれども、つくっていくというふうに理解してよろしいんですかね。

石破国務大臣 私は、そうあるべきだと思っております。

 よく統一地方選挙対策と言われますけれども、統一地方選挙対策であれば、ばらまきはやめろとか、あるいは縦割りをやめろとか、そんなことを声高に言う必要はないのでありまして、それは、ある意味、次の選挙だけ考えれば、見境なくばらまいた方がいいのかもしれません。あるいは、縦割りのままやった方がカンファタブルなのかもしれません。

 ですが、私ども自由民主党として、次の選挙のみならず、次の時代も考えていかなければ、我々が政権をまたお預かりをしている意味はないと思っております。自由民主党として、次の選挙対策なんぞというつまらぬことを考えておるものではございません。

桜内委員 ありがとうございます。大変力強い御答弁をいただきました。

 次の世代のために、我々も次世代の党と名乗っておるところは共通しているというふうに感じた次第です。

 ぜひ、こういった補助金なり交付税なり交付金というものに頼らない、むしろ地方の自立を促していくような仕組みを、今国会あるいは次の国会かもしれませんけれども、議論させていただきたいというふうに考えております。

 我が党としては、やはり自立ということも一つ党の綱領に掲げておりますけれども、地方も自立しなくちゃいけない。そのためには、単にお金を配って、それで全くファイナンスの苦労、財源を獲得する苦労もせずに、それを地方自治体が使っていくということはやはりいけない、むしろ固有の財源をしっかり移譲した上で、その後はしっかり責任のある判断を各自していってくれというのが自立した地方をつくっていく最善の方法だと思っておりますので、具体化するような法案もいずれ提出していきたいと考えております。

 さて、ここまで議論をさせていただいて、もうあと少ししかありませんので、一点だけ、これも指摘にとどまりますけれども、実は、先ほど話に出ました地域再生基盤強化交付金というのは、行政事業レビューで、一度、「廃止を含め抜本的な見直しを行う。」とまでされているんですね。それを復活することはよもやあるまいなという確認だけさせてください。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の地域再生基盤強化交付金、これは、平成二十二年の行政事業レビューにおきまして、廃止を含め抜本的見直しを行うというような評価が出たわけでございます。そこで、私どもも、概算要求時点では計上しないこととしておりました。

 ところが、予算編成過程におきまして、地方公共団体や全国知事会等からの継続要望が非常に強くございまして、それを踏まえまして政府内で調整したところ、二十三年度当初予算に計上したこととしております。

 その後も、対象事業の実施状況を踏まえまして、毎年度所要額を計上しております。

 以上でございます。

桜内委員 時間が終わりましたので、きょうはこれでおしまいにします。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 まず、石破大臣におかれましては、大変お疲れのことだと思いますが、先ほど来御質問を聞いていますと、この委員会においては各委員から多岐にわたる意見を聞かせていただいて、異次元の政策がどんなものなのか、それぞれの地方の実情もいろいろ聞きたいというようなことを言われておりました。

 まさに、それであればなおのこと、審議時間をじっくりとって、時間を十分とって議論をさせていただきたい、このように思っております。どうぞよろしくお願いをいたします。

 石破大臣に伺う前に、赤澤副大臣がお見えでございますので、その点を先に、せっかく来ていただいておりますので、質問させていただきたいと思います。

 実は、地方創生というのは、やはり安心して子供を育てる、大きな命題があると思うんですね。やはり少子高齢化、いわゆる少子化においては、安心して産み育てることができる、そういう意味で、前回、私は、実は居所不明児童ということを青少年問題特別委員会で御質問をさせていただいたことがあるんです。当時、森大臣でありました。そのときに、まさにこれは縦割りの問題で子供の命をなくしたわけですよね。これは、厚労省も、文科省も、それから警察も、さらには総務省も大きなかかわりを持っている重大な事案があったんですね。

 そのときに、森大臣に私はこう尋ねたんです。森大臣は、いわゆる少子化担当大臣であれば、当然横串を刺した政策が必要であると。今申し上げただけでも各省庁にわたるわけですね。ですから、この居所不明の問題について、各大臣としっかりと対策を協議すべきだと。そのときに、横串の問題を話したときに、森大臣はこんなことを言われたんです。私は、横串を刺すために、いろいろな政策をするために、朝早く起きて朝食をつくって、各大臣の方々に私のおいしいおにぎりを食べてもらって、そこから始まると、本格的な、各省が書いたペーパーを読むのではなくて、生の話ができて、すごくいい会ができるんですよと。

 きょうは新藤前大臣がおられますけれども、新藤前大臣が総務大臣のときに私はそれを聞いたんです。新藤大臣、たしかおにぎりだったと思いますが、そのおにぎりを食べられましたかと。たしか食べていなかったんですよ。

 ですから、私があえてこの問題を先にお聞きしたのは、その後、こういう大きな問題の認識を持った森大臣でありましたが、実際にそういう横串を刺すようなことをやられたのか、もしくは、今回は大臣がかわられましたけれども、そういう問題についての話をしっかり聞いているのかどうか、政策についてどうなっているのか、お尋ねをしたいと思います。

赤澤副大臣 早々に御指名をいただきまして、まことにありがとうございます。

 今委員からお話のありましたとおり、六月の十日に青少年特で、佐藤委員と当時の森大臣の間で大変熱い議論、先生の熱い思い、議論をいただいたことをよく承知しております。

 きょうも、事務方も、また有村大臣にも私にも、その点で会議を持って話をしたところで、大臣、私ともども、よく認識をさせていただいております。その際に、委員から関係省庁に横串を通して連携して取り組むことが重要との御指摘をいただいた、まさに今おっしゃったとおりでございます。その際に、しかも、あしたやるか、あさってやるかはっきりしろということを言っていただいて、大変熱い思い、しっかり森大臣に伝わったようでございます。

 政府としても、この問題は関係省庁が連携して取り組むことが重要ということで、本年六月二十四日ということですので、先生が委員会で取り上げていただいてから二週間後に、森前大臣のもとに関係省庁の担当者を集め、これは厚生労働省、文科省、総務省ということでありますけれども、児童虐待とあわせて、その場合、餓死するようなことを近所の話もあったのに気づけなかったのかというようなことについて、各省庁の取り組み状況を確認したところでございます。

 また、本年八月からは、世耕官房副長官を議長とする児童虐待防止対策に関する副大臣等会議が開催され、その中で、居住実態が把握できない児童について、政府一体となって全力で把握に努めるとの方針が示されております。現在、この方針に基づいて、関係省庁の協力のもとで、厚生労働省において実態調査が進められております。

 今後とも、先ほど申し上げた副大臣等会議を通じて、関係省庁は連携をして、今の先生の御指摘にしっかり応えられるように、一体となって対応してまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 実は、そのときの議論は大臣だったんですよね、各関係大臣。それはなぜかといったら、森少子化担当大臣がわざわざ朝御飯を、おにぎりをつくって各関係大臣としっかりやっていますというお話をされたので、じゃ、すぐやってくださいと。それで新藤大臣にも、おにぎりを食べましたか、いや食べていないと。だったら、実は、私と話をしたことができていなかったということになります。ぜひしっかりやっていただいて。大事な問題です。

 これは、数年前にもこういう事案があったわけです。そのときには、マスコミが取り上げるので、わっと広がるんですが、どうもその後しぼんでしまう。本当にこの問題は、横串を刺さないと解決はできません。

 ぜひ新少子化担当大臣には、もう一度しっかりと各関係大臣と横串をとって政策を進めていただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。

 それでは、石破大臣に質問をさせていただきます。

 石破大臣、これまでの質問の中でも、歴代の政権がやはり地方政策をずっとやってきたということも述べられました。

 そこで、この歴代やってきた地方政策について、大臣はどのように、例えば反省点もあるでしょうし、こういうところもよかっただろうというところもあるでしょうし、その辺のお考えをお尋ねしたいと思います。

石破国務大臣 歴代政権といっても、私が覚えておりますのは、田中角栄内閣以降のことしか余り記憶にございませんが、やはりあの列島改造というのは非常に斬新な考え方だったと思っております。日本国じゅうに高速道路、新幹線という考え方は、それはその後いろいろな御批判を招きましたが、あれによって随分と国土の均衡ある発展というのはなされたと思っております。

 田園に都市の活力を、都市に田園の潤いをという大平先生の田園都市構想は深い哲学に基づくものでございましたし、竹下先生のふるさと創生という考え方も、後々、ばらまき、ばらまきと言われましたが、要は、まともに考えたところとそうじゃないところはこうやって差が出ますよというお話なのです。一億円で、本当にそれを生かしたところもあります、本当に雲散霧消というか、そういうふうになっちゃったところもございます。

 私は、地方の民主主義というのはそういうものだと思っておりまして、国が何でもやってくれるわけではございません。やはり、地域がそれをどうやって有効に使うかということは、地域の民主主義が問われていると思っております。

 したがいまして、今回は、私、ミッシングリンクの解消ということはやっていかねばならないことだと思います。しかし同時に、いろいろなインフラの維持管理費というものはこれから膨大にかさんでまいりますので、やはりミッシングリンクの解消と、そして、国土強靱化という語を使うのかどうかわかりませんが、災害に強い国づくりというものはやっていかねばなりません。

 しかしながら、それを費用対効果ということを考えたときに、地域の再生というのは本当にそのような公共事業だけだろうか、ほかにもっと有効な使い方はないだろうかという視点は、まさしく地方において企画立案をされるべきものだと思っております。

 地方が主役の地方創生というものは、ある意味、竹下先生がやろうとしておられたことを、今回私ども、さらにそれを具体的な形を持って、危機感と時限性を持ってやっていかねばならないと思っておるところでございます。

佐藤(正)委員 そういう中で、今回こういう法案が出てきた。

 これまでのいろいろな政策において、やはり地方にとって、マイナス面もあったり、プラス面もあったりしたんでしょうね、恐らく。私が知っている中では、これは経済産業省がやったんだろうと思いますが、FAZ法にのっとって、港を整備すること、それから倉庫をつくること、そしてまた今度は展示場をつくること、この三セットがあるとお金が出ますよと。

 ある町で、それに一生懸命食いついていっちゃう、あだ名がダボハゼ市長なんて言われたことがあるんですが、そうやってやった。ところが、実は展示場がもう今一つあるんですね。あって、稼働率が半分もいっていないのにまた展示場をつくっちゃうんですよ、つくらないと出ないから。そして、結果的にどうなったかというと、非常に大失敗した。これは、たしか全国で、大阪もやったと思いますが、皆さん、だめだったんですね。こういうことも失敗でしょう。

 ですから、そういうものをいろいろ検証しながら、今回のこの法案はつくっていかなきゃいけないんだろうと私は思っています。ですから、検証なくして予算なしだと私は思っています。ですから、しっかりとこの辺の検証をやることがまず大事。

 そして、大臣のもとに基本政策検討チームというのを設置され、十月二日から十日までの間に七つの政策テーマについていろいろやられたらしいんですが、その七つのテーマについて、大臣、どのような問題点が出てきたんでしょうか。

石破国務大臣 これは、国会審議等々ございました。先週は衆参で予算委員会をやっておりましたので、伊藤補佐官が私の命を受けてそのチームというものにおいていろいろな議論を主導していったということで、この間の日曜日に報告を受けたところでございます。

 そこにおける問題点として、私も議事録等々を速報版で見ながら思うのですが、一つは、使う側の視点というものが落ちている。上から目線という言葉は私は余り好きではないのですけれども、国の視点でしか物を考えないのは非常に多いということが問題点の第一。

 問題点の第二としては、数値目標というものが明確に位置づけられていない。数値目標というものをきちんとつくっていなければ、それは政策を羅列したにすぎないものであって、そういう数値目標についての認識に欠けているというようなことも指摘をされているところでございます。

 したがいまして、そういうような問題点というものをよく勘案しながら、この作業というものを進めていかなければなりません。できるだけ早いうちにこの基本政策検討チームの作業を了しまして、次の段階、長期ビジョンなり総合戦略なりに生かしてまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 実は、この委員会でもそういうものを出していただきたい、その中で審議もさせていただきたい、これは当たり前だろうと思います。だから、私が先ほど申しましたのは、創生総合戦略なくして予算なし。

 先ほど言われたように、予算を使って、これが検証できて、よかったのか悪かったのかもわからないまま予算化していくというのはおかしいと思います。だからこそ、この委員会は、大きな多岐にわたる問題を抱えている特別委員会だと私は思っています。決して、法案がすかすかとか言っているわけではありません。ですから、十分なる審議の時間をとらなければならない。大きな宿題をいただいた委員会に所属をさせていただいていると私は思っておりますので、ぜひとも十分なる審議をお願いしたいと思います。

 それから、先ほど石破大臣は、政治家たるもの、何をやるべきか、それはこれまでの仕組みを変えることだ、これが重要なんだということを何度か答弁の中でおっしゃっておられました。まさにそうだと思います。

 その仕組みを変える、今までやってきた統治機構の仕組みを抜本的に変える。要するに、同じコップの中で水を入れかえても、水の量は変わらないんですよ。だったら、器を変えなきゃいけないんですね。

 そういう意味で、先ほど重徳委員が道州制の話をされておりましたが、まさに大きな課題だと思います。しかしながら、大臣が言われるように、道州制はすぐできるものでもないでしょう。それも私はわかっています。わかっていますが、道州制を抜きにして国の形を変えることはできない、発展はないと私も確信をしています。

 ですから、同時進行していくのはよくわかります。その中で、重徳委員が言われたように、五十年の長期ビジョンの中に道州制のドの字も入っていないというのは、これは、石破大臣は道州制担当大臣でありますから。総務委員会でもいろいろ議論をさせていただきましたけれども、私はみんなの党の中で道州制を担当させていただいて、当時、自民党の部会長は佐賀の今村先生ですね、今村先生のところにも何度か足を運んで、一緒に議論もさせていただきました。法案を出せる寸前のところまで実は行ったことも事実です。しかし、やはり各地方団体が急遽この道州制に対して猛反対をした事実もありまして、なかなかそれから話が進まなくなったのも現実であります。

 どうか、自民党の中で、安倍総理も大きな改革である必要性はしっかり御認識をされているはずでありますから、石破大臣、やはりこの五十年のビジョンには道州制というのは欠かせないと思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 私も、党で政調会長あるいは幹事長をしておるときに、今村議員からいろいろな御提案を受けて、党内で議論をいたしてまいりました。道州制担当の大臣でもございます。

 ただ、例えば全国町村会が絶対反対だと言っているのはなぜなのだろう。今回の地方創生というのを考えるときに、市町村が主役だということを申し上げてまいりました。その市町村会が絶対反対と言っているのは、単に平成の大合併の大型版になるんじゃないかとか、そういう話ではないと思っているのですね。ですから、私は道州制を別に否定をいたしません。自由民主党の中においても真摯な議論が行われております。

 同時に、もしこの委員会であわせて御議論をいただけるとするならば、なぜ全国の町村会はあんなに反対をしているのだろうか、それの反対の理由に対してどのように道州制推進の方々はお考えなのだろうかというお話をしないと、議論は前に進まないんだと思います。

 これは好きか嫌いかの問題ではなくて、それをやることによって日本国がどうなり、そして地方がどうなるかということまで示さないと、好き嫌いが何だとか、道州制になると、我々中国地方でいえば、では都は岡山になるのか広島になるのかとか、そんな話になっちゃいますので、そうじゃない議論というものは国会においてなされるべきではないかなと思っております。

佐藤(正)委員 大臣、それは自民党の中でもそういう議論をしっかりやってほしいと思いますよね。

 それは、今までの、いわゆる地方と国の関係が上下になっているからなんですよ。だから、もらう方が楽になっているんですよ。そういった大きな問題点があるんですね。ということは、自立をしない方が楽な場合があるんです。そういった問題もありますから、これは自民党内でもしっかりと市町村会の方々とは議論をしていただきたいと思います。大きな改革です。しかし、これを無視して五十年後のビジョンはないと私は思っています。

 それから、もう時間がありませんので、あと一、二点だけ質問をさせていただきたいと思います。

 本会議で、実は私が、総理は任命権者ですから、例えば、地方創生大臣は少子化、男女共同参画大臣を兼任されたらどうですかという御質問をさせていただきました。私は、増田元大臣の著書も読ませていただきましたが、やはり一元化をして、横串を刺してやるべきだ、このように思います。

 そこの中で、例えば、少子化社会対策基本法、高齢社会対策基本法、男女共同参画推進法とあります。ほぼ、いろいろな意味で似通っているんですね。その中に、男女共同参画社会推進本部、少子化社会対策会議、高齢社会対策会議、今回、まち・ひと・しごと創生本部、当然、全て会長は総理であり、本部長は総理であります。

 大臣、ここを一元化されて、一緒に会議をやるというのはいかがですか。

石破国務大臣 これは、国会の御議論もまたいただきながら、政府において決定をしていくべきものだと思っております。

 それぞれが設立の根拠を有し、それぞれ別の任務を持っているのですけれども、実際に地方の側というか国民の側から見ると、何が何で、どれがどれだかよくわからないねというようなことがあるとすれば、それは決していいことだと思っておりません。

 現状で、今、まち・ひと・しごと創生本部というのが動き出したわけですが、これから先いろいろやっていく上において、仮に、委員が御指摘のように、統合した方がいい、なぜならばこういうことだという御議論が出れば、それを否定するものではございません。ただ、今ここで断定的に、統合すべきだとかそうじゃないとかいうことは、申し上げるだけの段階にはございません。

佐藤(正)委員 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問いたします。

 今回の創生法案あるいはまち・ひと・しごと創生本部についてですけれども、骨太の方針二〇一四におきましては、今後の四つの課題の一つとして、日本の未来像にかかわる制度、システムの改革を挙げて、人口急減、超高齢化の克服、望ましい未来像に向けた政策推進を進める本部設置を掲げています。これが、まち・ひと・しごと創生本部に当たるわけであります。

 この本部が実施する施策として、地域の合意形成のもとでの都市機能の集約や地方中枢拠点都市圏等の形成等を図り、行政サービスの集約と経済活動の活性化を実現するとあります。都市機能の集約や地方中枢拠点都市圏等の形成等を図ることによって、行政サービスの集約と経済活動の活性化が一体的に推進されるというものであります。

 そこで、石破大臣にお尋ねいたします。

 この骨太方針に言います行政サービスの集約と経済活動の活性化というのは、先週十日のまち・ひと・しごと創生本部の第二回会合におきます「「長期ビジョン」及び「総合戦略」に関する論点」の中で述べています、「地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏における地域インフラ・サービスの集約・活性化(地域の土地利用、公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化)」、これを指すのか、こういうものを含まれるものとされているのか、その点について確認をしたいと思います。

石破国務大臣 端的にお答えをすれば、それは含むものでございます。それを含んでいきませんと政策目標というのは達成しないことでございまして、端的にお答えをすれば、それは含むというお答えに相なります。

塩川委員 含むというお答えでございました。

 そこで、その中身についてお尋ねしたいと思います。

 ここで、括弧内に「地域の土地利用」とありますけれども、これはどういうものなのか。今行っているどのような施策がこれに当たるのかについて教えていただけますか。

石破国務大臣 ある意味先回りしたお答えになるかもしれませんが、こういうことを実施するに当たりましては、地域の合意形成というものが不可欠であるということは言うまでもございません。地域の合意なくしてそういうものを集約化するとか、そういうことを考えているわけではございません。限られた資源の中にあって、そして高齢化が進展していく中にあって、どうすれば最もよいサービスが提供できるかという観点からこれは論ぜられるべきものだと思っております。

 集約することによって、集約の利益というものは生かしていかなければならない。そこにおいて、最も困窮された立場にある方にふさわしいサービスが提供できるかということで考えてまいるべきものでございます。

塩川委員 そういう前提で、今言った地域の土地利用とは何かという質問へのお答えはありませんでしたのでもう一回お聞きしますが、要するに、今行っているどのような施策がそこに該当するのかについてお聞きしたいんですけれども。

石破国務大臣 地域の土地利用とは一体どういうことなのか、今どのような施策をやっているかというようなお尋ねでございます。

 ですから、十月十日に創生本部会合でお示しいたしました長期ビジョン、総合戦略に関する論点で言及をさせていただいております地域の土地利用というのは、居住機能や福祉、医療、商業等の都市機能をどのように立地するかについての地域ごとの考え方を指すものでございます。例えて言えば、国土交通省が推進しておりますコンパクトシティーにつきましては、既に通常国会において、福祉、医療、商業等の都市機能の立地誘導及び税財政、金融上の支援などを定めているところでございます。

 今後、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守る上で、具体的にどのような項目にどのような目標を設定するかというのは、実情、特性を踏まえたものとなることを前提といたしまして、創生会議の場におきまして有識者の御意見も聞きながら、十二月に決定する総合戦略に入れていきたいと考えております。

塩川委員 例示として、ことしの通常国会で改正されました都市再生特措法のコンパクトシティーの話がございました。

 あわせて、例えばこの特別委員会で審議するもう一本の法案の地域再生法改正案の中には、農地転用に係る特例措置も含まれていますが、こういう地域の土地利用についてもメニューとして当然含まれるものだと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

石破国務大臣 基本的に、そういうお考えで結構です。

 ただ、農地転用に関しましては、これはまたコンパクトシティー等々とは違った論点がございますので、全て同じ考え方のもとに行われるわけではございません。

塩川委員 そういう点では、地域の土地利用というのは、先ほど言ったコンパクトシティーの考え方、同時に、その含まれ得る範囲の中には、今回の地域再生法改正案にある農地転用の特例措置というのも含み得るということでのお話でありました。そういう点で、活性化措置としての地域の土地利用というのが規制緩和による活性化措置も含まれ得るということであります。

 それからもう一つ、「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」、これは今どのような施策として行っているものなのか、この点について御説明いただけますか。

石破国務大臣 委員御指摘の「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」は、行政や医療、福祉など、生活に必要なサービスについて、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守る見地から、今後の取り組みの例として挙げているものでございます。

 コンパクトシティーの推進につきましてはというのは先ほど申し述べたとおりでございまして、公共施設の立地誘導及び公共交通を軸とするまちづくりなどを進めておるものでございます。これから具体的にどのような目標を設定するかというのも先ほど申し上げたとおりでございます。

 いずれにしても、地域の方々の御理解あるいは合意というものが必要不可欠なものでございます。

塩川委員 ここには、「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」というふうに書いてあるものですから、例えば、今、地方自治体への技術的助言として、公共施設等総合管理計画の策定指針が出されておりますし、また、公立病院に係る公立病院改革ガイドラインもありまして、その中に再編・ネットワーク化というのも入っているわけですが、こういったメニューというのも今言った中に含まれ得るということでよろしいでしょうか。

石破国務大臣 それは今後詰めていくことになりますが、そのような御認識というのも一つの考え方でございます。

塩川委員 そういう点では、こういった「公共施設・公共サービス・公立病院等の集約・活性化」ということであれば、コンパクトシティーなどもそうですし、公共施設等総合管理計画や公立病院改革のガイドライン、その中での再編・ネットワーク化、こういうのもその措置の一つということにはなり得るだろうという話であります。

 そこで、内閣府に確認しますが、骨太方針の二〇一四で、十七ページに注記があるんですけれども、そこにおきまして、その注記六十二に、今言った、地域の合意形成のもとでの都市機能の集約や地方中枢拠点都市圏等の形成等を図りとある、「形成等」の「等」に注がついているんですけれども、この公的資産の効率的マネジメントというのはどういうもので、ここには今例示しました公共施設等総合管理計画も含まれているのかどうか、その点について確認をしたいと思います。

小泉大臣政務官 今、塩川委員から御指摘がありましたのは、骨太の方針の、おっしゃるとおり十七ページの、「魅力ある地域づくり」、これについての記載箇所のうち、「長期的な観点からの取組」とした節の記述だと思います。

 今、委員の御指摘の方は、公的資産の効率的マネジメントということですけれども、まず、公的資産の中には大きく、街路、そして上下水道等のインフラ施設と、そして、上物と言うとわかりやすいかもしれませんが、図書館、公民館等の公共建築施設があります。

 都市機能の集約で、アセットマネジメントとしての、そのインフラですが、街路、上下水道等のインフラ施設の集約と維持更新を図るほか、ファシリティーマネジメント、これが上物のことですが、ファシリティーマネジメントとして、図書館や公民館など公共建物施設の集約、維持更新、その効率的な管理運営を行う必要がある。これら二つの施設マネジメントを効率的に行って、行政サービスの維持向上、そしてそのコストの低減を図るものです。

塩川委員 そこで、今お聞きしたのは、その内容についてということと、この公的資産の効率的マネジメントには、公共施設等総合管理計画、こういうものも入っているのかどうかということなんですが、その点はいかがですか。

高市国務大臣 今お尋ねの公共施設等総合管理計画は、含まれると考えていただいて結構です。

 この計画の策定は、財政負担の軽減、平準化、それから公共施設の最適配置の実現、そしてまた、地域における将来のまちづくり、国土強靱化にもつながるものでございますので、この骨太方針二〇一四、今記載のある、さっき先生が御指摘いただいた部分、行政サービスの集約と経済活動の活性化、その策の一つとして、公的資産の効率的マネジメントに資するものであると考えております。

塩川委員 公共施設等総合管理計画も含むものということです。

 重ねて高市大臣にお尋ねいたします。

 この骨太方針でも掲げ、まち・ひと・しごと創生本部の会合でも出されています行政サービスの集約と経済活動の活性化策の一つとして公共施設等総合管理計画が入るということで、この公共施設等総合管理計画策定指針では、「総合管理計画の検討にあたっては、PPP/PFIの積極的な活用を検討されたい」とあるんですけれども、これはどういう理由なんでしょうか。

高市国務大臣 やはり、民間の活力を最大限活用していくということでございます。財政も非常に厳しい状況の中にあり、そしてまた、地方で民間の活力をしっかりと生かしながら地域全体の税収増にもつなげていく、こういった観点があると考えられます。

塩川委員 行政サービスの集約というのは、その地域の住民の合意のもとで進めるということは当然あり得ることだろうと思います。ただ、その方策のあり方として、こういったPPP、PFIとセットで進めるということが本当に求められるものなのかという点もあると思います。

 PFIについては、これは事業の破綻ですとか事実上の倒産自体も相次いでおりますし、民間資金活用のはずが、実際には税金、税財政、税財源に依存しないという事業はほとんどないと言われており、内閣府のPFIの検証報告書でも、法の目的が達成されているとは言いがたいと認めざるを得ないようなものでありまして、そういう点でのこの活性化ということで、行政サービスの集約と一体にこういったPPP、PFIを推進するというのは本当に妥当なのかということが問われてくる。

 この点については、また日を改めてお聞きしたいと思います。こういう点があるんだということを、まず、きょうの場で指摘をしておきます。

 あわせて、厚生労働省に一点お聞きします。

 九月十二日のまち・ひと・しごと創生本部の決定基本方針では、大都市圏等の地域課題の解決として地域包括ケア推進が掲げられています。第二回本部会合でも「大都市圏における高齢者医療・介護対策」とありますけれども、これは地域包括ケアのことを指しているんだと思うんですが、このように大都市圏の地域課題の解決として地域包括ケアが特出しされている、それはどういう理由なのか、この点について教えてもらえますか。

苧谷政府参考人 お答えいたします。

 医療や介護が必要な状態になってもできるだけ住みなれた地域や自宅で生活を継続できるよう、医療、介護、住まい、予防、生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築を全国的に進める必要があります。このことは、大都市圏に限らず、地方圏も含めて必要なことと考えております。

 このため、医療につきましては、大都市圏を含めて都道府県が地域医療構想を策定し、将来の医療需要と各医療機能の必要量を定め、機能分化、連携を進めることにより、二〇二五年の高齢社会に対応できる医療提供を構築すること、介護につきましては、第六期の介護保険事業計画に、二〇二五年までの中長期的なサービス、給付、保険料の水準も推計して記載し、中長期的な視野に立った施策を展開する、それから、二十四時間定期巡回サービスや小規模多機能型居宅介護など、在宅の限界点を高めるためのサービスの基盤の整備、これらの取り組みが必要と考えております。

 こうした取り組みを含め、在宅医療、介護の連携を図りながら地域包括ケアシステムを全国に広げていくため、さらに取り組みを推進してまいりたいと考えております。

塩川委員 この地域包括ケアについては、さきの通常国会で大きな議論がありました。医療介護総合法案の審議において我が党は、国民を医療や介護から追い出すものにされていると厳しく批判をいたしました。

 地域包括ケアによって、財政的な保障のないまま市町村に高齢者医療、介護対策を委ねれば、医療、介護などの行政サービスを後退させるものになりかねない。地域の実情に応じてといって、自治体の財政力で差がつくということがナショナルミニマムを壊すものとなりかねない。この法案の目指す行政サービスの集約と経済活動の活性化が行政サービスへの企業参入を進め、住民福祉の後退につながる懸念があるのではないのか、こういうことを指摘し、さらに議論をしていきたいと思います。

 その上でも、必要な資料ですとかを出していただきたいと思っておりまして、例えば先週十日の本部会合の資料、「「長期ビジョン」及び「総合戦略」に関する論点」における長期ビジョンの論点の一つに、「取組むべき「政策目標」をどう考えるか。」とあります。

 この中長期的な政策目標、数値目標を示す項目として三つ出されているわけですね。一つが、若い世代の就労、結婚、子育ての希望の実現、二番として、東京圏への人口の過度の集中の是正、三点目に、地域の特性に即した地域課題の解決。

 これら三つの項目についてどのような政策目標、数値目標を持ち得るのか、この点について少し具体的に示していただかないと今後の議論がふさわしいものにならないと思うんですけれども、この点、大臣の方ではどのように、本部の方ではどういうふうに検討されているのか、この点について教えてもらえますか。

石破国務大臣 数字がひとり歩きしてはいけないと思っております。そういう数値目標なるものは、国から押しつけるべきものではございません。それぞれの地域の方々あるいは国民の皆様方がどういうようなことをお望みであろうか、それをかなえるために国は何をしたらよかろうかという立場が必要なのだというふうに思っております。

 ですから、数字がひとり歩きすることがないよう、必要な数字はお示しをいたしますが、これから先いろいろな議論において、どういう数字を示すべきかというのがこれから固まってまいります。それが単なる絵そらごとではなくて、それを実現するためにどのような手法が必要か、それを実現することによって、例えば人口構成がどのように変わっていくべきなのかということが実感としてわかるようなものをお示ししたいと思っております。

塩川委員 必要な数字をお示ししたいとおっしゃっておられたので、その数字が欲しいんですけれども。

石破国務大臣 これは、これから先どのような数字をどのように示すべきかという議論は行ってまいります。ですから、委員の問題意識というものが那辺にあって、どういうようなものを示してもらいたいかということを御提示いただければ、また参考にさせていただきます。

塩川委員 いや、何も難しいことではなくて、本部のこの資料にありますように、目標について、「取組むべき「政策目標」をどう考えるか。」といった項目に123と三つあるものですから、それぞれ該当する政策目標、数値目標はどういう考えのもとで出されるのか、その考え方を示していただきたいと思っているわけですね。

 特に、三つ目の地域の特性に即した地域課題の解決ということについて言えば、これは基本方針の類型でも、中山間地域等があり、地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏があり、大都市圏等と三区分しています。

 例えば、では、この3について、この三区分で、どのような形での政策目標、数値目標をお考えになっているのか、こういうことについてお出しいただけませんか。

石破国務大臣 適切な時期に適切な数字をお示ししたいと思っております。

 ただ、それを、この数字を何が何でも達成せよとか、そういうことを申し上げているわけではございません。その数字を実現することによってその地域がどう変わり、一番大事なのはその地域が持続可能性を持つかどうかということであって、数字の目標達成自体が目的なのではありません。そういうことに資する数字であれば、お示しをしていきたいと思っております。

塩川委員 ぜひ、示していただきたい。

 適切な時期にということであれば、このまさに委員会審議の中で、ぜひ、きょうにでも示していただきたい。この点について、ぜひ理事会でも御協議いただければと思います。

鳩山委員長 はい。

塩川委員 終わります。

鳩山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、この法案のタイトルなんです。

 つまり、今、地方創生が課題と言われながら、本法案はそのための法案だと。しかし、そのタイトルが、まち・ひと・しごと創生法という名称になっております。きょう若干お答えもありましたが。ちなみに、本委員会は地方創生特別委員会です。

 そういう意味で、地方ということをしっかりやるのが、タイトルがこの三つに分解したということはなぜなのかも含めて、ちょっとそこをお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 先ほど政府参考人からお答えをしたとおりでございますが、平仮名の方がわかりやすかろうねと。それは、むら・まち・ひと・しごとでもよかったんですけれども、やはり、「まち」というのは村も含むという概念であって、「まち」というのを、何とか一丁目のマチという字も書けば、街路の街という字も書くわけで、それはやはりいろいろな概念を含むものだと思っております。

 ですから、「まち」だから村を除外したとか、そういうようなものではございません。

 そういうような言葉の問題も本質の一つだと思いますが、要は、先ほども答弁をいたしましたように、一番大事なのは仕事なんだと思っております。仕事を地方にきちんとつくる、それによって人が来る、それによって「まち」ができる、論理的にはそういう順番だろうと思っております。

畑委員 実は、これは町も村も含むということですが、従来、通常の用語で町というと、人の集積ですよね、御存じのとおり。

 実は、法律上、村というのは、集落整備法というのがあって、集落と言ってきた。そして、集落排水といいます、都市計画とは違ったところの。だから、厳密に言えば、「まち」に村が入るのかどうかというのは、名は体をあらわしますから、本当はしっかりした、詰めた議論が必要だと思うんです。

 なぜこういうことを言うかというと、心配なんですよ、地方は。つまり、選択と集中というのは必要だということは認めながらも、財政制約の中で無理くりやってはいけないと思いますが、実は我々は切り捨てられるんじゃないかと。まち・ひと・しごとという法律の中で「まち」と言っているんだから、あの周辺の居住地なり農村地域は、やはりそこは集中していくんだろう、だから、そこは、こういうタイトルのもとで周辺地域を切り捨てるということが背後にあるのではないかな、うがった見方もしませんが、そういう意見を聞きます。

 だから、私は、それであれば、この法律は、ちいき・ひと・しごと創生法でもいいんだと思うんです。その方がいかにも疑念を生じない用語だと思いますが、あえてここを「まち」にしたという理由をもう一度、もうちょっと伺いたいと思うんです。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、この「まち」という意味は、いわゆる町というような意味ではございません。まさしく、人が集まる、そういう場所という意味合いでございまして、今回の法律におきましても、目的規定の方で「地域社会」という言葉を使ってございますが、まさしくこれを指している趣旨でございます。

 そして、大臣の今回の法案の趣旨説明におきましても、「小さな村落から大都市まで、」と、まさしく全てのそういったものを含んだものということを趣旨説明においても御説明差し上げている、こういうところでございます。

 よろしくお願いします。

畑委員 その理屈はあるとして、その周辺も含んだ、村も含んだものを「まち」と言うのは、広辞苑なんかを見るまでもなく、なかなか無理があるんだろうと思います。

 実は、法律の中に都市、町という定義はないんですよ。なぜないかというと、当たり前だからです、人の集積だということが。周辺の村とかそういうところを含むというのは、なかなか無理があるんだろうと思います。

 この議論をするに当たって、ちょっと一つ確認しなきゃいけないのは、あるべき国土構造をどう考えているかということなんです。

 おっしゃるとおり、全てに満遍なく投資を行うことはできない、これは当たり前であります。適切な居住形態にコンパクトに集約していくこと、これも地域の了解を得ながらソフトな手法でやることは否定はされないと思います。ただ、かつての多極分散のような、ブロックに、大都市に無理くり集約するとか、今まで地方政策、地域移行がありましたけれども、国が上から目線で、そして一つに集約する、そういう粗っぽい考え方があってはならないと思います。

 実は、小泉構造改革のときには、経済原理から、人のいないところに住むのは非効率だということもちらっと、かなりそういう議論があったように聞いております。結局、そこのところの危惧があるわけです。

 その前提として、ですから、国として、政府として、あるべき国土構造、地域構造はどういうものだ、どういうものが望ましいと考えているのか、その点を確認したいと思います。

石破国務大臣 これは、それぞれの地域地域が持続可能性を持ったまちづくり、村づくりなんだと私は思っております。

 先ほど、町、村のときに何とか一丁目とか言いましたが、チョウという字は違うので、マチというのは全国町村会館の町という字を書くわけでございますが、何を町と言い、何を村と言うかはともかくとして、私どものイメージとして、村とか集落というものを無視して考えているものでは全くございません。

 ただ、そこの集落というものが、限界集落と言われるように、やがて消えてなくなっていくということがあっていいのだろうかということでございます。そこが持続可能性というものを維持していくためにはどうすればいいだろうかということなのでありまして、やはり、基本的なキーワードというのは、持続可能性があるかどうかということだと思っております。

 ただ、全ての集落を守ることができるかといえば、それは難しいのかもしれません。かつての平成大合併前の町村の役場の支所があったあたりというところにいろいろなサービスというものは集中する傾向にございます。そこに人は住むのだけれども、自分たちがかつて住んでおった集落というものにきちんとアクセスの機会がある、そこで農業ができる、林業ができる、あるいは墓参りをすることができる、そういうような集落が消え果てていいと私は思っておりません。

 しかしながら、そこを何が何でも維持するということに対して、どのような社会インフラの投資が必要かという議論は、それは避けて通れないものだと思っております。

畑委員 まさに、そこは相当丁寧にやっていかなきゃいけない議論だろうと思います。

 国土構造の議論も、大臣はおっしゃいましたが、田中総理のときの列島改造、これはその時代において正しかったと私も思いますし、その後は、一極集中はいかぬのだから、そして多極分散になった。しかし、それもブロック内の一極集中を加速するという批判もあって、その後は国土軸という概念になりましたね。地域連携です、地域と地域が連携していく。こういう議論を、私も実は以前、二十一世紀の国土グランドデザインでやらせていただいたことがありますが、そういう中で、その時代時代によって考えをしっかりとやってきたということがあります。

 今は確かに難しいんです。財政制約の中で、上から目線ではなくて、しかし地域の反発も得ずに、なおかつ地域の実情も踏まえながら、そして周辺を消さない形、消さないというのは、なくていいという意味じゃなくて、それはそのブロックとして衰退しないような形でいかにやっていくかということ、そこも含めながら考えなければいけない。

 これは後ほど議論しますが、だからこそ、財政支援のあり方の中で、ばらまきにはならないけれども、どういうやり方が必要かというのは、知恵を絞らなきゃいけないところだと思います。

 その話はちょっと後ほどさせていただきますとして、組織論の議論をさせていただきたいと思います。

 つまり、これは、まち・ひと・しごと創生法とあわせて、地域再生法の改正案が提出されている。それはそれで、今回、その実施法の側面を持つものだろうと思います。

 その実施のあり方なんですが、まち・ひと・しごと創生本部をつくってその事務局を置いたわけですが、私は、内閣官房における組織が乱立するというのは、結構、ワークしないというか、責任の所在が、所在というか機能が曖昧になるようなおそれがあるなという問題意識は持っております。

 だから、せっかくならば、地域活性化統合事務局があるのであれば、これは実際にいろいろな地域再生法の手足を持っていますので、ここから理念的なものも取り込んだ形に、つまり、まち・ひと・しごと創生本部事務局もあわせ持った形で拡充して改編、整理した方が効果的なワークがするんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 結局、そういう考え方も私はあったんだろうと思います。

 ただ、今回、全閣僚を構成員とするまち・ひと・しごと創生本部を設けたということは、一つは、全閣僚が構成員であるというところに意味がありまして、ずっと御懸念がきょうも指摘されたように、我が省は何が何でも地方創生のためにこの予算をとるぞとか、そういうことを何とかして改善をする、払拭をしていこうと思えば、我が省はという考え方をするときに、同時に、大臣、あなたもこの創生本部の本部員なのですよという自覚、それは必要なんだと思っております。それが一つ。

 もう一つは、全体的な司令塔的な役割を果たすということであれば、活性化事務局の拡充ということでは、それは限界があったんだろうと思っております。

 ですから、この法案によって調整機能というものが大臣たる私に与えられるということ、そしてまた、その総合調整機能を全大臣を構成員とするがところの本部においてどのように発揮をするかということ、それが今回の創生本部創設の意義ではないかと私は認識をしております。

畑委員 実は若干、ちょっと気になるのが、ワークするかというふうな懸念を申し上げました。この組織にどういう権能があるのかというのを、法文を見ると、きょうも議論がありましたが、ないわけです。

 こういうことをなぜ申し上げるかというと、復興ですね。復興本部、今や復興庁ですね。この復興庁というのはそういう思想でできて、全大臣が復興大臣だという気構えでやるというふうにしてやってきたわけです。うまくいっている部分もあるし、うまくいっていない部分もあると思います。

 というのは、時間がたってくるとなかなかそういう当初の熱意が冷めてくる。復興という話でさえも、実際には、復興庁に話して全てがうまくいくわけではない状態も出現しております。これはうちじゃないと言われたり、あるいは、窓口だけだけれども、本当に窓口になっちゃって、流すんだけれども、それをまた、返ってきたものを取りまとめてしっかり被災地に寄り添って返してくれればいいんですが、単なる、本当に窓口、受け取り屋、そして伝達屋になっている部分もある。こういう部分は確かなんです。

 結局、時間がたったりするとルーチン的なメンタリティーになるというのと、あと、石破大臣は大変優秀な方だと思います。ただ、人に頼るような組織のあり方であっては危険だと思います。ワークするような仕組み、そういう権能をこの法律に組み込んでおかなければ私はいけないなと思うんです。

 例えば復興特区法ですかね、これにももちろん復興大臣の勧告権があって、内閣総理大臣への意見具申権がある。地域再生法改正案もそういうのが今回あるわけですね。もちろん、昔の総理府の時代の国土庁や環境庁でも、設置法に調整権、勧告権がたしか入っていたと思います。こういうことは最低限だし、こういうことがあったって縦割りだと言われてきたのがこの二十年、三十年の歴史なんです。

 だから、本部構成員に入ったという当初の熱意はいいんですが、その後持続的にワークするための仕組み、権能としてはやはり弱いような気がするんですが、そのような効果的な調整あるいは指導の権限みたいなものをこの法律に組み込んだ形でやる方法はあるのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それを検証する仕組みというものをどのようにつくるかということは、それは重要な論点だと思っております。

 それは、復興庁をつくるときも、確かに委員御指摘のようなことがありました。当時は私どもは野党でしたが、与党に先んじて、そういうような組織が必要でしょうと。被災地の方々が農林水産省に行ったら、うちじゃない、経済産業省に行け、経済産業省に行ったら、うちじゃない、国土交通省に行けみたいな、そういうようなことをしてはいかぬのだ。だからワンストップ型の省庁が必要なのだということで復興庁をつくったんですが、かえって手続が煩雑になったというようなお叱りもございます。それは、制度の問題というよりは運用の問題だろうというふうに思っております。

 今回の創生本部も、実際に地方がどのように変わっていったのかということを検証する、それはそれぞれの自治体において検証もいただきますが、国としてどのように検証するかという論点につきましては、もう少し考えさせていただきたいと思います。

 私どもとして、縦割りがなぜだめかというと、それぞれの省庁がばらばらにやるものですから、検証する仕組みが十分ではないというところにあると思っております。地方創生を検証する仕組みにつきましては、また私ども、組織の中でさらに議論を進めてまいりたいと思います。

畑委員 実はそこが重要で、十二条にも「実施状況の総合的な検証を定期的に行う」と書いてあります。

 ただ、逆に言うと、この法律を見ると、計画をつくって、そして検証をするということが主な役割で、それがどのようになされるのかというのが、法律上、あるいは効果があるようになるのかどうかというのは、この条文だと、多分、すかすかと言われる理由はそこにあって、そこがかなり不安というか疑問を持たれるところだろうと思います。

 そこの部分の検証のやり方というのは、恐らくこれは法律を通すに当たっての前提ですから、そこをしっかり詰めた議論が必要だと思っていまして、そういう意味でも、私も、すかすかだから早く採決すればいいんじゃなくて、すかすかだったらこそ、なおかつ、その間を、すき間を埋める議論をして、そこの疑念を晴らすような議論が必要だろうと思っております。

 その議論はまたさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 あと、先ほどちょっと途中になりました財政支援の話であります。

 財政支援は必要なんですが、ばらまきというか、金太郎あめではできないし、そういうことをやってはいけないと思います。しかし、財政支援がなくていいわけでもないことも事実だと思います。

 ではどうするかというと、私はきのうの本会議でも、地方に自由度を与えるということを申し上げました。ただ、もちろん、自由度というとばらまきだという批判もあると思いますが、大臣もきょうの議論で、地域が判断することは必要だね、ただ、その判断をしっかりした上で、そのニーズに合ったものを渡して検証していく、そういうことが必要だということをたしか言ったような気がしますが、自由な財政制度をいかにつくるか、ばらまきとならない、批判を受けないようにいかにつくるかということは必要なんだろうと思います。

 なぜこういうことを言うかというと、財政が厳しい中で財政支援する場合に、地域の実情を知っている地方公共団体に任せるのが一番効率的だと私は思うんです。ただ、もちろん、そこにある程度の検証システムは、それは否定しませんけれども。そういうことは、例えば新規の一括交付金ということもあるだろうと思いますし、地方六団体からは、地域の実情に応じて資金を効果的に活用できる包括的な交付金制度の創設という要望が行われております。

 私は一つ例があると思うんです。それは沖縄振興一括交付金でありまして、これも完璧に自由に使われている仕組みではないにしろ、ソフトとハードをあわせて自主的な事業選択が行われた中で配分するということになっています。

 キーポイントは、いかに地域の自主的な判断を踏まえて配分できるかというところだろうと思うんです。そういうことをしっかりワークするような財政支援制度、交付金制度をつくる必要があると思うんですが、そこの検討はされるお考えはあるんでしょうか。

石破国務大臣 沖縄の一括交付金という制度は、沖縄が四十七年に本土復帰をした、それまで米国の統治下にあって、極めていろいろな制度等々が、本土と異なる制度を運用しておりましたので、本土というものと、そういうようないろいろな違いを埋めるために、また、距離的に離隔もいたしておりましたので、現在もそうですが、そういうようないろいろな特別な事情に鑑みまして、法律に基づきこういうような制度をつくったものでございます。

 沖縄の制度というものを全国に均てんするといいますか、それを全国に適用することが本当に正しいのだろうかといえば、そこは議論の必要があると思っております。

 沖縄とそれ以外の地域との違いというものによく思いをいたしながら、一括交付金のあり方というものはさらに詰めていきたいと思っております。

 それが何に使われましたか、わかりませんねということではいけないのであって、一括交付金というような制度を考えますときに、それも国の税金でございますので、一体それを使って何をしようとしているのか、そしてまた、それがどのような効果を上げたかということがきちんと検証される仕組みがこの手のものには必要だと思っております。

畑委員 大臣のお答え、私も否定しませんし、そうだと思います。地域の自主性に任せながら、なおかつそれをしっかり検証できる仕組みということで、ぜひとも御検討賜りたいんです。

 そこで、気にかかったのは、沖縄の特殊性とおっしゃっていましたが、沖縄というのは地方の創生が必要な最たる地域です。

 それを言うと、沖縄の地方創生は普通の地方創生でなくて特殊な、やはり国からお金をもらうためにこういうことにもなっているのかという議論になっちゃって、つまり、沖縄は先端だと思うんですよ、こういう制度というのは。それをいかに全国に広めていってやっていくかという努力をすべきであって、最初から、沖縄は特殊なんだよ、特殊事情なんだよ、そして、地方創生というくくりとはまた違うんだよというニュアンスで言われると、沖縄にはちょっと問題が起こると思うので、むしろ先端事例ということで、それができるのかできないのかというところをぜひとも前向きに御検討賜れればと思います。

石破国務大臣 それは御指摘のとおりでございます。

 ですから、沖縄というのは、アジアに近いということ、あるいは、沖縄においてこれから先いろいろな土地が自由に使えるということ、そしてまた、沖縄だけが二〇二五年まで人口がふえ続けるということ、本土とは異なるいろいろないい条件も持っております。ですから、沖縄に、今までアメリカの統治下にあった、そういうようなハンディキャップの面、そして生かしていけるいろいろないい条件というものを生かすという意味で、一括交付金というものを大きく導入しておるところでございます。

 ですから、沖縄が最先端とおっしゃったのは、それは私も同じような主張を今までいたしております。それによって、沖縄がこれから先、日本の中で一番発展していく可能性というものをさらに高めつつあるとも思っております。

 ただ、それが本土全体に適用できるものなのかということについてはさらに議論が必要ですし、沖縄と本土とは違うということをよく認識しながら、その地域において何を目指さんとするか、そして、それがどのように検証されるかということもあわせて一括交付金というものは議論をしてまいりたいと思います。

 沖縄が全国の最先端を目指して一括交付金というものを大胆に導入しているということは、そのとおりでございます。

畑委員 ありがとうございました。終わります。

鳩山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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