衆議院

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第5号 平成26年10月29日(水曜日)

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平成二十六年十月二十九日(水曜日)

    午前九時五十分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 寺田  稔君

   理事 宮腰 光寛君 理事 義家 弘介君

   理事 渡辺  周君 理事 重徳 和彦君

   理事 石田 祝稔君

      伊藤 忠彦君    伊藤 達也君

      池田 道孝君    石川 昭政君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      金子 恵美君    河村 建夫君

      今野 智博君    坂井  学君

      白石  徹君    白須賀貴樹君

      鈴木 淳司君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君  とかしきなおみ君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      橋本 英教君    林田  彪君

      福井  照君    三ッ林裕巳君

      宮川 典子君    宮崎 謙介君

      小川 淳也君    後藤 祐一君

      近藤 洋介君    階   猛君

      篠原  孝君    今井 雅人君

      小熊 慎司君    坂本祐之輔君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      濱村  進君    中丸  啓君

      佐藤 正夫君    高橋千鶴子君

      宮本 岳志君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   総務大臣         高市 早苗君

   文部科学大臣       下村 博文君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   農林水産大臣       西川 公也君

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   国土交通大臣       太田 昭宏君

   防衛大臣         江渡 聡徳君

   国務大臣

   (少子化対策担当)    有村 治子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   内閣府副大臣       平  将明君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   国土交通副大臣     北川イッセイ君

   環境副大臣        北村 茂男君

   内閣府大臣政務官

   兼復興大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        内田  要君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局次長)       麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理)            山崎 史郎君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)     小野  尚君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府民間資金等活用事業推進室長)       持永 秀毅君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  佐藤 文俊君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  平嶋 彰英君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  二川 一男君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)          勝田 智明君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)          豊田 育郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)    井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)          吉野 恭司君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)   糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            本東  信君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十日

 辞任         補欠選任

  畑  浩治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 克昌君     畑  浩治君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  畑  浩治君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     白須賀貴樹君

  木原  稔君     中谷 真一君

  坂井  学君     今野 智博君

  鈴木 俊一君     橋本 英教君

  宮川 典子君     小田原 潔君

  篠原  孝君     階   猛君

  小熊 慎司君     今井 雅人君

  村岡 敏英君     坂本祐之輔君

  宮本 岳志君     高橋千鶴子君

  畑  浩治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     宮川 典子君

  今野 智博君     中山 展宏君

  白須賀貴樹君     宮崎 謙介君

  中谷 真一君     林田  彪君

  橋本 英教君     鈴木 俊一君

  階   猛君     篠原  孝君

  今井 雅人君     小熊 慎司君

  坂本祐之輔君     村岡 敏英君

  高橋千鶴子君     宮本 岳志君

  鈴木 克昌君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     白石  徹君

  林田  彪君     岩田 和親君

  宮崎 謙介君     金子 恵美君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     池田 道孝君

  白石  徹君     坂井  学君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     三ッ林裕巳君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     木原  稔君

同日

 理事宮腰光寛君同日理事辞任につき、その補欠として寺田稔君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 派遣委員からの報告聴取


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事宮腰光寛君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に寺田稔君を指名いたします。

     ――――◇―――――

鳩山委員長 内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、両案審査のため、去る二十二日、徳島県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員を代表いたしまして、私からその概要を御報告申し上げます。

 派遣委員は、私、鳩山邦夫を団長として、理事新藤義孝君、土屋正忠君、義家弘介君、渡辺周君、重徳和彦君、石田祝稔君、委員瀬戸隆一君、寺田稔君、福井照君、小川淳也君、中丸啓君、佐藤正夫君、宮本岳志君、小宮山泰子君の十五名であります。

 派遣団は、去る二十二日、徳島県立工業技術センターにおいて、地域の特性や資源を生かした事業に取り組む地元企業であるオンダン農業協同組合、株式会社ビッグウィル及び日本フネン株式会社の代表者三名と意見交換等を行った後、徳島市内のパークウエストンにおいて会議を開催いたしました。

 会議においては、まず、私から派遣委員及び意見陳述者の紹介等を行った後、特定非営利活動法人グリーンバレー理事長大南信也君、株式会社いろどり代表取締役社長横石知二君、特定非営利活動法人どりーまぁサービス理事長山口浩志君、徳島県知事飯泉嘉門君の四名から意見を聴取いたしました。

 その内容につきまして、簡単に申し上げます。

 まず、大南君からは、地域に大きな変化を起こすためには、多様な人材を誘致することが必要であること、

 次に、横石君からは、地域活性化のためには、地域に仕事をつくり、高齢者に居場所や出番を与えることが重要であること、

 次に、山口君からは、地域の福祉サービスにおいて、住民参加型の取り組みが重要であること、

 最後に、飯泉君からは、地方創生のためには、地域ならではの取り組みに対し、継続性のある強力な支援が必要であること

などの意見が述べられました。

 次いで、各委員から、陳述者に対して、人口減少社会への対応策、地域におけるアベノミクスの評価、自由度の高い交付金のあり方、地域における起業支援の課題と再チャレンジのための仕組みのあり方、政策立案方法を地方からの提案型に移行させる必要性などについて質疑が行われました。

 以上が会議の概要でありますが、議事の内容は速記により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じます。

 なお、今回の会議の開催につきましては、多数の関係者の御協力により極めて円滑に行うことができ、深く感謝の意を表する次第であります。

 以上、御報告申し上げます。

 お諮りいたします。

 ただいま報告いたしました現地における会議の記録は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕

    ―――――――――――――

鳩山委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、明三十日木曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、政府参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長内田要君、内閣官房地域活性化統合事務局次長麦島健志君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理山崎史郎君、内閣府地域経済活性化支援機構担当室長小野尚君、内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府民間資金等活用事業推進室長持永秀毅君、総務省自治財政局長佐藤文俊君、総務省自治税務局長平嶋彰英君、厚生労働省医政局長二川一男君、厚生労働省職業安定局次長勝田智明君、農林水産省大臣官房審議官豊田育郎君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井上宏司君、経済産業省大臣官房審議官吉野恭司君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、国土交通省国土政策局長本東信君、環境省地球環境局長梶原成元君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。

 早速質問に入りたい、こう思います。

 我が国の地方再生にとって、三・一一の東日本大震災からの復興は、全国全体の地域の再生にとっても非常に大きい意味を持つ、こう認識をしております。

 そこで、宮沢経済産業大臣にお伺いします。

 委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいておりますが、大臣は、この一ページ目でありますけれども、経済産業委員会の所信的挨拶で、「福島の復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策は、経済産業省が担うべき最も重い課題」と述べています。

 なぜ最も重い課題、最重要課題なのか、その理由を簡潔にお答えください。

宮沢国務大臣 委員おっしゃるように、東北大震災からの復興というのは、本当に日本の復興の一番のかなめ、これからの成長のためのかなめだと思っておりますし、特に福島の地域が少しおくれているというところもございますので、やはり福島の復興ということがこれからの日本のために大変大事だと思っております。

 そういう中で、原子力災害につきましては、まだ、除染、廃炉といったことも、これから大変な作業が残っておりますし、また、除染をして、戻っていただくということについても、大変これからいろいろな作業がございます。私どもが担う本当に一番重い課題だと思って、そういうことを申し上げさせていただきました。

近藤(洋)委員 大臣が御答弁された、また所信的挨拶でもお話しされた経済産業省の最も重たい課題の福島の復興と福島第一原発の廃炉・汚染水対策。それにもかかわらず、宮沢大臣は、震災の発生以降、今日に至るまで、福島第一原発また福島県の被災地に一度も調査、視察に訪れたことがないというのは事実ですか。

宮沢国務大臣 記者会見で最初に聞かれまして、そう申し上げました。

 そして、そのときに申し上げましたのが、その後申し上げておりますのが、私は、それこそ復興基本法というもの、石破当時政調会長から御指示を得て、たしか三月もう十五日ぐらいからつくり始めまして、自民党案をつくって、そして民主党との修正協議もきっちりやらせていただいてつくり上げたわけですし、その中で復興庁という御提案をいたしまして、復興庁の設置法というものにつきましても、近藤先生としっかりと協議をしながらつくり上げてまいりました。

 そういう中で、自民党の復興本部の、少ない幹部ということをずっとやっておりまして、復興加速化本部にかわりましたけれども、大島本部長とともにずっと協議をしてまいりました。

 そして、私自身は宮城そして岩手の方の担当ではございましたけれども、少人数の協議の中で大体の状況というものは聞いてきておりますし、特に福島原発の、福島の除染の問題につきましては、国が責任を持つというようなこととか、また、その後ろ盾となる財源をどうするというようなことはかなり中心的に働かせていただきました。

 そして、まさに御指摘のように、行っていないわけでございますので、早速この土曜日に福島第一原発を訪問させていただきまして、その後、知事が就任された後、いろいろ御相談を早急にしていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 宮沢大臣、福島県への視察または福島第一原発の調査というのは、党派を関係なく、多くの国会議員が現地を訪ねて、そして被災地と向き合っておるわけであります。

 大臣が復興の法制を担当しながら福島を訪ねなかったというのは、今の御答弁だとすると、他の地域の担当で時間がなかった、こういうことでございますか。もう一度確認です。なぜ福島を避けてこられたんですか。

宮沢国務大臣 避けたわけではございません。そうした意味では、担当等々ございましたので、私自身はほかの地域ということでやっていたということでございます。

近藤(洋)委員 大変尊敬する宮沢大臣の御答弁ではありますが、確かに、大臣がおっしゃった、御答弁されたとおり、復興基本法の制定、修正協議では、当時、野党第一党であった自民党の政策の中心人物で宮沢先生はあられました。また、復興庁設置法の修正協議でも、当時は額賀先生が復興特別委の筆頭理事であられて、そして政策の実務者としては宮沢先生であられました。私も当時、与党側の政策実務者の一人として宮沢先生と協議に当たらせていただきました。よく御指導いただいたのを私も覚えております。

 当時の議論の中で、宮沢先生は、役所、中央官庁の縦割り行政は、こういう震災、緊急時のときは、または国づくり、新しい国づくりとも言えるこういう局面においては極力排すべきである、そして自治体の発意というか意思を十分に尊重する体制をつくるべきだ、そのために政治のリーダーシップが発揮できる体制が必要だということを繰り返しおっしゃられ、そして、法案の細部に至るまで目を光らせ、そして修正を進められた。あの協議は、当時、我々与党民主党も、これは確かに正しい意見だ、こう思いましたし、閣法であった復興庁設置法についても相当な部分、大幅な修正をしたのを覚えておるわけであります。

 だからこそ、あえて申し上げたいんです。普通の国会議員ならいざ知らず、普通と言うと大変語弊がありますが、復興のまさに骨格をつくられた宮沢先生がなぜ福島を訪ねなかったのか。大変失礼ながら、ほとんど中心となる国会議員が、恐らく石破国務大臣も政調会長時代、幹事長時代、大変多忙をきわめられたと思いますが、恐らく被災地には何度も行かれたし、福島県にも恐らく何度も足を運ばれたと思います。間違いなく運ばれたと思います。当時、自民党総裁、野党総裁だった安倍晋三総裁も、イの一番にたしか福島に足を運ばれたはずであります。

 半年やそこらの期間ではなくて、三年数カ月にわたるこの期間まで足を運ばなかったというのは、大変恐縮ですが、宮沢大臣、御見識をお持ちながら行かなかったというのは、わかっていながら行かなかったというのは、残念ながら、被災地と向き合う経済産業大臣、原発事故対応大臣としては不適格ではないかと言わざるを得ないのですが、こうした指摘に対してはいかがお答えになりますか。

宮沢国務大臣 私は、そういった立場におりましたから、それなりの情報は常にいただいておりました。

 これは私の父とかおじから引き継いだ性格なのかもしれませんけれども、やはりつかさつかさというものがしっかりやっていただく、そして、私がある意味ではそのつかさでは当時なかったわけでございますけれども、そういう者がかなり忙しく必死に働いているところに行ってほかの方の時間をとらせるということは、やはり少し慎んでおいた方がいいなと実は思っていたことは確かでございます。

近藤(洋)委員 そのつかさつかさでいえば、まさに宮沢当時参議院議員は、自民党の復興の政策立案の中心人物であられたわけであります。まさにつかさではなかったのですか。そのつかさの役割を放棄されたのではないですか。

 あえて、さらに伺います。

 原発事故の現実を見ずして、どうやって原発への理解を他の地域に対して求めるんでしょうか。(宮沢国務大臣「経産委員会に行かないと」と呼ぶ)時間は十分理解しておりますので、お答えください。どのような気持ちで説得をされるんですか。お答えください。

宮沢国務大臣 所管の経産委員会がもう始まるものでございますので、そろそろ出なければいけないので。

 ともかく、私自身の、まずしっかりと、恐らく、大きな流れは知っておりますけれども、まだまだ細かい知識等々、また、現地の方との人間関係等々、できていないことは確かでございますから、しっかりそういうものをつくった上で、地元の気持ちをしっかり受けとめていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣、ここに各歴代経産大臣の所信を添付させていただいておりますけれども、枝野民主党時代の経産大臣と比べても、または前任の小渕優子大臣と比べても、宮沢大臣の福島に関する言及は非常に分量が少ないんですね。

 この分量の多さ少なさで言うつもりはありませんが、この点においてもいかがかとは思うんですが、少なくとも、大臣、経産省はこれまで、平成二十三年以降、七千二百億円の大変大きな額を福島復興の産業振興のために投じております、予算を。この額でも大きい。これは当然御存じだと思います。

 さらに言うと、人員でも、資料を添付しておりますけれども、百名を超える方々を配置している。一つの局を、しかも精鋭部隊を、この福島復興に、汚染対策さらには生活者支援に精鋭部隊を投じているんです。経済産業省のまさに中核部隊なんですね。

 これについて、少なくとも、これまで福島について一度も向き合わなかった、現場に足を運ばなかったということは配慮が足りなかった、福島に対する認識がやや足りなかったということを素直に認めるべきだ、こう思いますが、大臣、この点いかがでしょうか。くどいようで恐縮ですが。

宮沢国務大臣 近藤委員は、政務官、副大臣をやられて大変お詳しい立場でございます。今の話もしっかり受けとめながら、また、いろいろ教えていただきながら、今後、行動で示していきたいと思っております。

近藤(洋)委員 またこの点については、大臣、私は、現場を知らずして政策は語れない、これはもう、大変見識の深い大臣に申し上げるのは僣越ではございますけれども、百聞は一見にしかずであり、このことを知らずして経産大臣は務められないと。しかも、こういう局面でありますから。財務大臣としては宮沢大臣は適格かもしれませんし、十分なことができるだろうと思いますが、事この局面の経済産業大臣としては、私は、いかがかという疑念が巻き起こるのは当然だと。

 こういうことを強く指摘して、宮沢大臣、経産委員会がありますので、どうぞ、経産委員会の方に、離席をして結構でございます。

 強く指摘したい、こう思います。

 石破大臣、別紙の資料にもございますが、福島第一原発事故にかかわる体制図であります。これは経済産業省の資料でありますけれども、ここにもあるとおり、基本的には、復興庁、環境省、そして原子力災害対策本部による体制であります。原子力災害対策本部は内閣総理大臣が本部長でありますが、その事務局は、基本的には経済産業省が中核をなしておりますから、この三省庁体制、こういうことであります。

 しかしながら、石破大臣、私は、福島の事故からの復活というのは、日本全体の、東北の復興にとっても極めて大きな意味を持つと思いますし、東日本全体にとっても大きな意味を持つと思いますし、日本の地方創生にとっても大変大きな影響を与える、この行方は左右する、こう認識しておりますけれども、地方創生の司令塔を預かる大臣として、福島復興の与える影響についてどのように認識されているか、御答弁ください。

石破国務大臣 震災発災以来、福島の復興というのは最重要だ、もちろん青森も岩手も宮城も茨城も大事ですが、福島の場合には、特に原子力災害という、今まで日本人が経験したことのない災害を受けているわけであります。ですから、福島において、いかにして新しく仕事をつくっていくか。農業、漁業、林業、サービス業、そういうものをいかにして再生するか。

 私、政調会長時代も幹事長時代も、福島というものを最重要に考えてまいりましたし、幹事長室も自由民主党本部も、できるだけ福島のポスターを張り、そしてまた、福島の農産物を販売するということもやってまいりました。

 それは、口先だけで言っても仕方のないお話で、どうやって農業、漁業、林業というもの、例えて言えば、シイタケなんかもそうなのですけれども、一つ一つの産物についても大変な影響を受けているわけであります。どうやって新しい農業、漁業、林業を再生するかということは、風評被害の払拭とあわせてやっていかねばなりません。

 と同時に、委員の問題意識の根幹にあろうかと思いますが、再生エネルギーというものをどうして福島から起こしていくかという発想も極めて重要なことだと思っております。

 福島の復興なくして日本の再生なしという思いは強く持っております。

近藤(洋)委員 この点は、石破大臣と私ども、全く同じ思いなわけですね。まさに御答弁いただいたように、口先だけ言っても仕方がないということで、実態を動かしていきたい、こういうことでございましたが、もう離席された宮沢大臣のことを言っても仕方ございませんが、少なくとも宮沢大臣のこの三年間の行動は、残念ながら、どこまで政治家としての行動が伴っていたのかというのは、本当にすばらしい人物ゆえに、福島に強くかかわる、まさにつかさの長として、こういう配置は残念でなりません。

 そこで、石破大臣に続いて伺いますが、金融の話を伺いたいと思います。

 地方創生を進める上で、よく新聞には交付金の話とか予算の話とか出てまいりますが、これはこれで大事かと思うのですが、しかし、本質的に、本当に地域を民間の力で復活させようとするならば、金融のいわゆる目詰まり感というんでしょうか、金融機能を、民間の金融機能も含めて、いかによく民間資金を回転させるかという、いわゆる金融の円滑化と言われるもの、これが本当に、極めて重要だと思いますが、大臣はどうお考えでしょうか。

石破国務大臣 御指摘は、まことにそのとおりであります。

 先週だったと思いますが、地方銀行あるいは信用金庫の、そのような任にあられる方々が東京にお集まりになる会合がございましたので、私、参りまして、十分ほど御挨拶をいたしてまいりました。

 今、地方の金融機関というのがどうなっているかということを考えたときに、みずからの経営の健全性ということ、もちろんこれは最も重要なことでありますが、庭先をきれいにするというのか何というのか、そういうことには物すごい配意をしてきた。それは、国の指導も、当然そういうことはあっただろうと思います。不良債権の処理、あるいはみずからの経営の健全性というものの確保に配意をしてきた。その分、どうやってお金を貸すかというマインドがやや減退をしてきたのではないだろうか、そして、貸出先も安全なところというものに偏ってこなかっただろうかということでございます。

 それは、それぞれの金融機関の貸し出しの状況あるいは預貸率というものもよく見ていかなければなりません。そのときに、私どもも、私も昔銀行におりましたが、人を見ろということをよく言われました。そういうような企業の将来性、そういうものをよく分析した上で、預金者の利益というものもよく念頭に置きながら、どのようにして金融を円滑化していくかということに対して、国も一定の役割を持たねばならないと思っております。金融機関に対します指導の際に、そういうことも重点に置いて考えていかねばならない。

 地方における金融機関の重要性というのは、委員御指摘のように、公のお金、税制あるいは補助金、交付税と同じか、あるいはそれ以上に重要なものであるという認識は強く持っておるところでございます。

近藤(洋)委員 大臣、確かに、三井銀行御出身といいましょうか勤務されたので金融のことはよく御存じかとは思うわけでありますけれども、残念ながら、まだまだ地方において、本当の意味での目きき力、バンカーとしての能力は、バブル崩壊を経て、回復していないと思わざるを得ない部分があるわけであります。ここをいかに回復するかというのは非常に大事な点でありまして、そこでお伺いしていきたい、こう思うのです。

 まず一つ、これは復興関連でもあるんですけれども、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構、これも自民党、民主党、公明党、三党で、二重ローン問題を解決するために法案を制定した、設立させた機関であります。

 なかなか金融機能が、民間の銀行が手が届かないところを再生させようということで、二重ローン問題の解消だけでなくて、中小企業の被災地における再生のために発足をさせた機関でありますけれども、五年間の時限の中で、ちょうど折り返し地点、二年半を経過いたしました。

 累計の支援件数はどのような状況か、お答えいただけますでしょうか。

小泉大臣政務官 近藤先生におかれましては、この二重ローンの関係の東日本大震災事業者再生支援機構の設立に当たっての与野党間の調整、さまざまな連携におきましては、当時、与党時代、大変に御尽力を賜りまして、心から感謝を申し上げます。

 その上で、ただいま御指摘のありました実績についてでありますが、平成二十四年の二月の設立から本年九月末までに五百一件の支援決定を行っております。このほか、支援決定に向けて具体的な協議を行っているもの、また最終調整を行っているものも含めると二百五十九件ありますので、これからも、再生を図ろうとする事業者を積極的に支援してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 よくやっている、こう思います。自民党政権下において引き継いでいただいて、この経営者のトップもなかなか立派な方でありますし、いいことはいいと我々民主党も褒めていきたい、こう思いますし、いい実績を上げられている、こう思います。

 あわせて伺うんですが、さらに、地域経済活性化支援機構であります。これも、もともとの発想は、民主党政権下で、地銀に停滞している不良債権、分類債権について切り離して、中小企業を蘇生させるための仕組みとして打ち出して、その後、自公政権下でこの構想を引き継いで具体化させたものであります。

 地方銀行と連携をした事業再生ファンド、いわゆる地域再生ファンドの実態、これは添付資料の方にも日本地図の中でこの活動状況を記載させていただいておりますけれども、現在、七つのファンドと伺っております。ただ、残念ながら、福島、岩手、宮城のいわゆる被災三県というか、東北三県ではまだ、この地域ファンド、設立されておりません。

 この地域経済活性化支援機構による地域ファンド、地銀と連携した地域ファンドは、この福島、宮城、岩手についてどういう状況になっているのか、検討状況をお答えいただけませんか。

小泉大臣政務官 今、近藤委員が御指摘になったとおり、地域ファンドの数は七、そして全国のテーマファンドと呼ばれるものは二件、合わせて九の設立、運営をしております。

 そういった中で、今、被災地の三県においてまだファンドがない、そういった御指摘がありましたが、これは、総理の指示も踏まえまして、創造的な産業復興のため、そして、地域経済活性化支援機構と日本政策投資銀行が地域銀行と連携をして、地域の産業競争力強化等に取り組む中堅・中小事業者や地域の活性化に取り組む事業者を支援する新たなファンドの創設を検討しているところと承知をしております。

 これから関係者において早期の設立に向けて検討が進められるように期待をしているところです。

近藤(洋)委員 ぜひこれは、ファンドというと何もかも一緒に思われがちなんですが、この地域ファンドというのは本当の意味で中小企業の再生のリスクをとるための仕組みだ、こう理解をしておりますので、積極的に設立できるよう後押しをしていただきたい、こう思います。

 あわせて伺います。

 地方の小規模企業、中小企業の再生を考える上で、事業が破綻する前に、要するに、もうにっちもさっちもいかなくなる前に、早期に手を打つということが実は大事であります。

 今まで中小企業政策の中で、創業とか開業とかの支援策は積極的にやってきたんですけれども、この撤収戦略というのはなかなかタブー視してきた分野なんですね。ここは反省しなければいけなくて、しかし、撤収をきちっとできるからこそ新しい企業も生まれるわけでありまして、こういった部分についても、このREVIC、いわゆる地域経済活性化支援機構が果たす役割もあろうかと思いますが、こうした分野への取り組みはいかがでしょうか。

小泉大臣政務官 御指摘のとおり、中小企業等の再生を図っていく上では、できる限り早期の段階で経営改善や事業再生の支援を行っていくことが重要だと認識をしております。

 今、撤収戦略というお言葉もありましたが、先般の法改正によって、改めて、REVICがこれからどんな機能を使いながら経営再建をやっていくのか。その中の一つとしては、経営者保証の付された貸付債権等の買い取り、こういったこともできるようになりましたので、さまざま、この支援措置を講じて、このREVIC、地域経済活性化支援機構が有する機能を十全に発揮して、これからも引き続き、中小企業等の再生を強力に支援して、地域経済の活性化に向けた一層の貢献を行っていくことを期待しております。

近藤(洋)委員 ぜひ積極的にいろいろな可能性に取り組んでいただきたい。

 補助金というのは大事です。ツールとしては意味はあるとは思うんですが、しかし、補助金漬けになってしまうと、これは決して正しい姿ではない。やはり、お金を借りて初めて、その事業の可能性、また規律というのも生まれるわけでありまして、僕は、金融機能というのは、その意味では非常に大事だと。

 その金融機能が、それは都市銀行もそうかもしれませんが、地方においても、残念ながら薄れてきてしまっている、弱くなってしまっているというのは事実でありますので、さまざまな仕組みを使って、こうした金融の目詰まり感をなくし、必要なところに資金が流れることに取り組んで、地方再生を進めてもらいたい、こう思います。

 大臣、政策に知的所有権はない、こう考えておりますから、我々民主党も、別に知的所有権を要求するつもりは全くございません。この二重ローン機構も、これは自民党の先生、宮沢先生また片山さつき参議院議員なども当時は積極的に議論されましたけれども、一緒につくってまいりましたし、この地域経済活性化支援機構の原型は、我々民主党政権下で最初に着想いたしました。

 知的所有権は言いませんので、これからも我々はよい政策を積極的に提言をしていきたい、こう思いますし、政府におかれては、そうした度量、広い度量を持って、よい提案は受け入れるという度量を持っていただきたい、こう思いますし、くどいようでありますけれども、その上でも、その行政府の長たる閣僚の資質問題が新しい内閣になって次から次と出てきているということは非常に問題であるということを最後に指摘して、時間ですので、私の質問を終わります。

鳩山委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 石破大臣に、本題に入ります前に、一つ素朴な質問をさせていただきたいと思います。

 きょう質問しますのは、まち・ひと・しごと創生法案ですけれども、ここで創生という言葉を使われているということなんですね。創生というと、何かゼロから生み出すというようなイメージがあるわけですけれども、そうすると、今まで地方には町や人や仕事はなかったのかというふうな捉え方も、地元の人はします。

 自分たちがそう思うのはいいと思うんですよ。自分たちが、もう一度ゼロに戻って、原点からやろうというのはいいと思うんです。我々民主党も改革創生本部というのをつくっていますから、自分たちはゼロから戻って出直そうというのはいいと思うんですが、政府が上から目線で、おまえら、今まで何もやってきていなかったんだから、これから始めるんだというのはちょっと違和感があるなと。

 昔、NHKで「明るい農村」という番組があって、一時物議を醸し出したことがありました。御存じかどうか、大臣。「明るい農村」というのは、農村が暗いから明るいという表題にしているんじゃないかということで物議を醸したことがあったんですね。

 そういうことも考え合わせると、この創生という言葉よりも、例えば成長とか、もう一つの法案は再生法案ですから再生とか、今までもあったんだけれども、それをさらによくしていくんだとか、復活させるんだとか、そういうようなイメージもあったのかなと思うんですが、創生という言葉をあえて使われたところ、ぜひ大臣の御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 それは、言葉はそれぞれのお考えでいろいろな捉え方があるんだと思います。委員がおっしゃるようなことも、私もいろいろと考えてみました。

 ただ、再生というのも、今だめになっちゃっているからつくり直しましょうねという感じなんですね。創生というのは、今までのいろいろな価値観のもとにやってきた、私は、地方の創生というのは、日本の国のあり方をもう一度考え直す、そういう作業だと思っています。

 ですから、今まで正しいと思ってきたこと、今まで我々が考えてきた生き方、価値観、そういうものを変えていかなければ、地方も国全体もよくならないのではないか。そのときに、再生では弱いと思うんです。もう一度考え方を変えましょうよ、価値観を変えましょうよという願いを創生という言葉に込めております。

 ですから、階委員がおっしゃいますように、私が一番気をつけなきゃいかぬと思っているのは、まさしく上から目線ということなんです。いろいろな施策が、それを地方はどのように受け取るのかという地方の立場に立って、今回の地方創生の政策は考えねばならぬ。少しでも上から目線というようなことがないように、地方の目線に立ってやっていく、それがまた、委員の持っていらっしゃる素朴な思いにお応えをすることだと思っております。

階委員 考え方を変えなくちゃいけないというときに、私は、トリクルダウンという考え方を変えなくちゃいけないと思っていて、トリクルダウンという考え方が、まち・ひと・しごと、この三つがトリプルダウンになってしまったということにつながっていると思うんですね。

 このトリクルダウンではなくて、この委員会でも皆さん話題にされていますけれども、冨山和彦さんがおっしゃるような、グローバル企業向けの成長戦略と、あと、地方のローカル産業向けの地方戦略は変えていかなくちゃいけないということで、グローバル企業向けの成長戦略が功を奏して、それがトリクルダウンで地方に恩恵が及ぶという考え方は改めなくちゃいけないというところは私は共鳴するところがあるんですけれども、先ほどおっしゃられた考え方を変えるという中には、今私が申し上げたようなことも含まれるかどうか、確認させてください。

石破国務大臣 含まれます。そういうことだと思っております。

 ですから、グローバル経済とローカル経済と一部ダブるところはございますが、ほとんどはダブらないと思います。日本の経済はと論じるときに、誰でも名前を知っている大手企業を挙げますが、それは、雇用においてもGDPに占める比率においても、七割、八割はローカル経済が占めているわけであります。

 あわせて、今回考えていかなければいけないのは、また議論をしたいと思いますが、里山資本主義というものを日本経済のサブシステムとしてワークさせるということも今までの考え方の中にはなかったものだと思います。それは、おじいさんは山にしば刈りに、おばあさんは川に洗濯にというのを日本全体のシステムにするつもりはありませんが、外的要因に左右されない経済というものも日本のサブシステムとしてワークすべきものだと思っております。

 それと、ローカル経済とグローバル経済というのを、もちろん重複して論じなければいけないところもありますが、グローバル経済がローカル経済に与える影響というのは、明らかにかつてとは違うということは強い認識として持っておるところでございます。

階委員 トリクルダウンという考え方も変えていかなくちゃいけないというところは本当に大事なところだと思います。

 その上で、では、地方の経済をどうしていくかという中で、遊休地や廃校など地方の公共財産を民間の知恵や資金を使って活用し、町の魅力を高めたり、そこに住む人の居場所と出番をつくってあげたり、あるいは新たな仕事を生み出したりする官民連携、公民連携ないしPPPともいいますけれども、こういうことが私は重要だと思っております。PFIもPPPの一部ですけれども、それも重要だと思います。

 この委員会では、私が議事録を拝見しましたところ、共産党の塩川先生は慎重な立場で、確かにやりようによってはうまくいかない場合もあるので気をつけなくちゃいけないというのはあるんですが、積極的な立場から申し上げると、法成立後に策定される総合戦略の論点表を見ますと、このPPPやPFIが挙げられていません。大臣は、このPPPやPFIに対してどのようなスタンスをとっておられるのか、教えてください。

石破国務大臣 先ほど近藤委員が知的所有権はないとおっしゃったので、ありがたいことだと思っております。

 今の委員の御指摘のように、PPP、PFI、これは地方の経済を活性化する上において極めて重要な手法であると認識をいたしております。

 これは、一部の方には、それはもう効率主義ではないかとか……(階委員「何主義」と呼ぶ)効率主義。経済至上主義というのか効率主義というのか、そういうものの雰囲気がするよという御指摘もいただくのですが、今我々が認識をしなきゃいけないのは、地方においてこそ人手不足が起こっているということをどのように考えるべきなのか。

 地方において生産性を上げるということが、それすなわち失業の拡大につながるわけではない。今この機会に地方において生産性を上げるということが、安定した雇用あるいは安定した収入、そしてやりがいのある仕事というものを創出することになるのだと思う。それが地方に人を呼ぶことになるのだと思っておりまして、PFIあるいはPPP、それは概念の一部ではありますが、それを積極的に導入することによって、地方の仕事の質を変えていきたいというふうに思っております。それにおいて重要な手法だと認識をいたしております。

階委員 今大臣から、PPP、PFIは重要な手法だという御答弁がありましたが、小泉政務官にお尋ねします。

 先ごろ、紫波町、私の地元のオガール紫波のプロジェクトを視察に行かれたということなんですね。資料一というのを皆様のお手元に配付しておりますので、ごらんになっていただきたいんですが、オガール紫波、ちなみに、オガールというのは方言で成長するという意味です。創生ではなくて成長ということなんですが。オガールのイメージ図というのをつけております。

 真ん中の下にフットボールセンター、これが一番最初にできまして、その後に、右の真ん中ぐらいにオガールプラザ、これは図書館などの公共施設と産直やカフェ、居酒屋などの民間の施設の複合施設ができました。これができたことによって、それまでは、JRの紫波中央駅の駅前で非常に利便性のいい場所ではあったんですけれども、遊休地として何ら活用されていなかった土地に、年間七十万、八十万という人が来られるようになった。

 さらに、ことしの夏には、オガールベースということで、宿泊施設とバレーボール専用の体育館ができて、さらににぎわいが高まっている。今年度の終わりぐらいには役場庁舎もできて、さらに利便性、集客力が高まるだろうと言われています。

 小泉政務官にこのオガール紫波を着目していただいたのは、本当に私も地元の人間としてうれしいんですけれども、この視察を行った目的、そして視察によって何を学んだか、それから、これからその学んだことを政策にどのように反映していくか。先ごろ参議院の財政金融委員会でも少し御答弁がありましたけれども、この委員会でもちょっと改めて説明をいただけますでしょうか。

小泉大臣政務官 今、階委員から御指摘のあった御地元のオガールプロジェクト、これは、率直に言って、最近私がいろいろなところに視察をする中でも、ちょっと図抜けているというか、大変感銘を受けました。その感銘を受けた大きな理由が主に三点、私の中ではあります。

 一点目は、まちづくりは身銭を切らなければ成功しないという強い覚悟のもとに、補助金に頼らない、そういった姿勢を一貫して貫かれたということ。その中では、私も説明を現地で受けましたが、まず、補助金を受けないかわりに、民都機構からの出資を受けるという形で厳しい交渉もした結果、政府系の金融機関が出資をしたことで、それを見た民間の金融機関も含めて呼び水として出資を集めることで、金融面での成功に導いた。

 それに加えて、中の施設の中には道の駅のようなマルシェがありますが、その部分においても、農水省の補助金は要らない、そういった決断をして、結果的に、農水省の補助金が入ると、その道の駅に置かなければいけない制約がかかりますから、地元のものを優先的に置けと。これだと、消費者の目線から地元の方も含めて考えれば、置きたいものは自由に置きたい。この結果、補助金を使わない、こう決めたんですね。

 その結果、今マルシェの中では自由なものを置き、もちろん、地元の紫波のワインとかも置きながら、かつ、もしも補助金が入っていたらできなかったマルシェの中でのカフェみたいな、そういったものも実現をして、補助金に頼らない、身銭を切らないと、人の金では商売は成功しない、これを貫いているところは大変感銘を受けました。

 二点目は、この施設の中の一部には、日本で唯一の国際基準のバレーボールの専用床を使ったバレーボール専門体育館がありますが、これも考え方の発想が、マーケティングの世界とかで言うピンホールマーケティングという考え方をとりまして、野球やサッカーという大きな市場の中で、ライバルがうごめいているところで勝負をするのではなくて、バレーボールという比較的小さな市場の中で、負けない、ずば抜けたものになるんだ、こういった発想でバレーボールの聖地を目指して頑張っておられるというその着目点に対しては、なるほどと感銘を受けることがありました。

 三点目は、物すごい、金融とかまちづくりとか農業とか、そういった部分においてのそれぞれの専門人材を集めて活用しているという点において、これも出色だと思います。

 現地で、このまちづくりの専門家である岡崎さん、そして金融面では山口さん、そういった方々から直接お話を伺いましたが、まさに、このオガールの今の三点を含む、補助金に頼らない、自立をした、自分たちの覚悟を持ったまちづくり、そして、ほかの地域にはない、自分たちの町でしかないというものに着目をしたまちづくり、また、それをなし遂げるための人材、こういったものをどうやって、オガールはすごいね、紫波町はすごいねというそれだけでとどまらせないで、横展開、全国展開、普遍化をしていくために、地方創生の部分において何ができるかというのを、これからの戦略や施策の中で打ち込んでいかなければいけないな、そう考えております。

階委員 私がこの仕事についたのは平成十九年なんですが、その時点では、まだ大学と町との間で勉強会をしているときでした。構想はそのときから岡崎さんからいろいろ聞いていたんですが、実際にでき上がったものは構想よりもすばらしいものができて、私も感銘を受けました。

 少し補足しますと、ハードのすばらしさもさることながら、ソフト面で、産直と図書館が併設されていますけれども、産直で売っている食材を使ったおいしい料理のつくり方のレシピの載った本が図書館に並べられていて、買い物をした後、それを借りて帰ってくるみたいな、そういうことで余計に相乗効果を高めるような創意工夫というのがあって、すばらしいなと思いました。

 それで、今小泉政務官がおっしゃったように、これをどうやって横展開していくかというのが次の課題なんだと思うんです。

 小泉政務官は復興の政務官でもいらっしゃって、よく御存じだと思うんですが、岩手の被災地でも、オガール紫波に倣って、同じような官民の複合施設をつくろうという取り組みを計画中のところもあるんですが、私、ちょっと、その計画を見ますと、先ほどおっしゃったようなピンホールマーケティングのような独創性であるとか、地域の中核となるような専門人材、それから、補助金に頼らず金融によって規律づけをしていくというようなところで、やや不十分な面があって、当初は補助金で初期投資は賄えても、その後、思ったより採算が合わなくて、維持管理費がかえって地元の足かせとなって、地域の衰退につながってしまうのではないかという危惧を覚えたりします。

 そういう私の抱く危惧が現実化しないために、復興政務官として、何か手だてみたいなものは考えていますでしょうか。

小泉大臣政務官 御指摘のとおり、今被災地の中では、さまざまなまちづくり会社と言われるものも多くできています。ただ、率直に申し上げれば、私も、階委員と同様に、果たして、これから中長期で考えたときに、それがどこまで成功できるだろうかと、強い危機感を持っております。

 この紫波町で取り組まれているまちづくり会社の取り組みや姿勢、こういったものが、ほかのまちづくり会社等にやはり影響を与えて、このようにやればうまくいくんじゃないかという、そういった何か連携とか、さまざま、指導とか、そういったものというのは考えられるのではないかな、そんな思いで、何とかこのオガールプロジェクトを、今もまだエコタウンとか建築中でありますから、この事業も、やはり、これから継続して、うまくいって、今黒字化になっています、雇用も生んでいますが、これが継続的な発展に、持続的な発展につながっていくように期待をしております。

 私は、復興の政務官もそうですし、石破大臣のもとでの地方創生も、また甘利大臣のもとでのPPPやPFIの担当もしておりますので、まさにこの部分というのは、その三担当全てが凝縮されているような案件でもありますので、これからも、この動向に対して注視をしていきたいと思います。

階委員 問題意識は共有されているということなので、ぜひしっかり、このPPP、PFIが被災地でもいい方向に行くように、お取り組みをお願いします。

 国交大臣、お待たせしました。

 私から国交大臣にお尋ねしたいのは、もう一つ、その官民連携ということで、震災復興官民連携支援事業というのを国交省さんが進められていまして、その補助対象案件で、岩手の買い物システムというのが採択されました。

 この買い物システムですけれども、資料二というのをごらんになってください。資料二、二ページにわたってつけておりますので、どちらかというと、通し番号で言うと三ページ目をごらんになっていただいた方がいいかと思うんですが、要は、「「買い物システム」の概要」というところに一行で書いていますけれども、「店員なしで、商品とカードのバーコードを読み取るだけで、買い物ができる仕組み」ということで、今実際に仮設住宅ではこの取り組みがされています。

 これをこれからできる災害公営住宅にも広げていくための調査をしていくということで予算が九百万円つけられているわけですけれども、ただ、今までの取り組みの結果なんですけれども、この赤前仮設住宅では、直近一カ月の売り上げが五万四千円ぐらいで、今後公営住宅の入居者の高齢化が進むことを考えると、補助金がないとこれは持続できないのではないかというふうに思います。

 持続可能性ということを考えるのであれば、単純な、いわば、最近企業ではやっている置き菓子というのがありまして、オフィスの片隅にお菓子を置いておいて、買いたい人はお金を入れて買ってくださいみたいな、そういう無人の販売システムですけれども、それだけでは、私は、被災地、高齢化が進む地方では不十分だと思っています。

 例えば、アウトリーチで、戸別にお年寄りのおうちを訪問して見守りをしたり、あるいは電話でも注文を受け付けたり、そういう見守りサービスとして、その中で買い物の代行なども行うというようなことをすれば、遠くに住んでいる息子さん、娘さんからサービス料を徴求するということもできるだろうし、あるいは、買い物をする先は、地元の商店街と提携するなどして、地元の商店街からも手数料をいただくなどすれば、採算性も高まって、持続可能性も高まるような気がします。

 これは、介護負担の軽減や、商店街の活性化という地域の課題の解決にもつながって、単に買い物の利便を高めるだけではなくて、一石三鳥の効果があると思うんですね。

 ですから、買い物システムというだけではなくて、さらにそれを敷衍したような取り組みを私はやっていくべきではないかと思いますけれども、国交大臣の御所見を伺います。

太田国務大臣 買い物の難民ということになってしまう。そして、そのまま置いておくと、どうしても乾き物みたいなものだけになってしまう。しかし、生活するということからいくと、魚、肉、そして野菜、この生鮮三品が必要である。そして、それをどういうふうにするかという調査をする。生活という観点での調査ということになろうと思います。

 今御指摘の、先生がおっしゃった、この買い物という中で見守りをあわせてやるということは、私は物すごく大事なことだというふうに思います。それらも含めて、もとの住まいと異なる場所にいて、そして非常に小さいところもあったりして、コミュニティーをどうするかということが大事で、そうした観点からいきますと、今回の調査においてはこのような観点が私は不足しているというふうに思っておりまして、高齢者の買い物を支援する仕組みと連携した見守りシステムということも含めた検討ということ、それが必要ではないかというふうに思っています。

 今回の調査においては、そうした観点からいきまして、このような趣旨、目的に沿った調査が、幅広い観点から、そして生活するということの観点から行われるということを指導してまいりたいと思っています。

階委員 ありがとうございました。

 太田国交大臣、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 このように持続可能性ということを考えていく上で、先ほど小泉政務官は、オガール紫波の中では、民都機構の六千万の出資、この出資をする上での極めて厳しい、千本ノックと言われるさまざまな、このプロジェクトはこうした方がいい、ああしたことがいいという注文を一つ一つこなしていったことが、持続可能性、今の繁栄につながっているということであります。

 そこで、翻って、官民ファンドでありますこのPFIを推進していくためのファンドについて、ちょっとお聞きしたいと思います。

 詳しい名称で言いますと、民間資金等活用事業推進機構というものが平成二十五年にできておりますが、これは先ほど近藤委員も取り上げた官民ファンドのうちの一つでありまして、独立採算型のPFI事業に対し金融支援等を実施することにより、インフラ事業への民間投資を喚起し、財政負担の縮減や民間の事業機会の創出を図ることを目的とするということで私は理解しております。

 まず、このような理解で間違いがないかどうか、甘利大臣、お願いします。

甘利国務大臣 いわゆるPFI推進機構というのは、御指摘のとおり、民間資金が向かう事業に対して呼び水的に設定されている。民間がなかなか最初から踏み込んでいけないところの道だけを開くということでありますから、御説明のとおりであります。

階委員 そこで、このPFI機構が、呼び水とするべく、これまでどれだけの数の金融支援を行ったのか、またその金額はどれだけになるのか、この点を確認させてください。

甘利国務大臣 現時点では一件でありまして、女川町の水産加工団地の排水処理施設整備事業への出資であります。金額は百万円であります。

階委員 一件、百万円ということでした。

 実は、平成二十五年十月七日に設立されて、政府から百億、民間から百億、合計二百億の出資金があるわけですけれども、一年以上たって、まだ百万円しか出資されていないと。

 二百億の出資はほかに何に使われているのでしょうか。お答えください。

甘利国務大臣 国と民間で半々ずつの出資、国は半分以上ですから百億、民間から百億でありまして、そのうちの今申し上げた一部だけ、事業案件は決定しているわけであります。それ以外の事業案件については、今、これから採択されるであろう予定案件がかなりありますが、現実問題としては今一件だけでありまして、その資金自身はまだ使われていないというところであります。

階委員 事前に事務方に資料を出せと言っておったんですが、まだ出ていないのでお聞きします。

 損益計算書は、三月までの支出の明細というのをいただいていまして、これによると、二億四千万ぐらい経費として支出されています。営業費用がほとんどでございますから、多分、事務費、人件費ということなんだと思うんですが、その三月からまた半年以上たちまして、二億四千万が、プラスアルファあると思うんですが、合計幾ら使われたのかということを、もしお手元にあれば教えてください。

鳩山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

鳩山委員長 速記を起こしてください。

 甘利国務大臣。

甘利国務大臣 二十五年度が二億四千万、お話のとおりです。半年分だとするとこの半分ということになるわけでありまして、一億二千万ということになろうかと思います。

階委員 ざっくりお答えいただきましたけれども、二億四千万とか一億二千万とか少なくないお金が使われ、一方で出資が百万ということで、これはいかがなものかということ。

 プラスして、先ほど御紹介のあった女川の案件ですけれども、資料の一番最後に概要をつけておりますが、これは契約金額が約二十五億円というプロジェクトでございます。

 二十五億円のうち、この機構が出資しているのは百万。残りの二十五億弱はどうやって調達されているのかということもお答え願えますか。

甘利国務大臣 ほとんど復興交付金で手当てをされています。

 私も、事業規模対出資に落差があり過ぎるんじゃないのということで、何でこういうことになるんですかということを事前に事務方に確認をしたんですが、当該事業者も、申請した事業者も、これだけ復興交付金で手当てをされるということを想定していなかったようでありまして、先に申請が来たんだそうであります。つまり、出資要請が来て、呼び水として百万の出資金がある、民間資金を呼び込んでくる、そうしたら想定をかなり超えて交付金がついたということが今日までの経緯だということのようであります。

 ただし、今後とも民間資金需要が想定されることもあるのではないか。その際には、この出資した百万円が明確な呼び水となって、追加の民間資金が集められるように、しっかり注視をしていきたいと思っています。

階委員 民都機構の先ほどのオガールのケースでは、六千万という出資をすることがきっかけとなって、プロジェクトがより研ぎ澄まされて、いいものになっていったということなんですが、結局、これは、百万出資するのが呼び水となって、プロジェクトが研ぎ澄まされたというよりは、その後、補助金がどんどんつぎ込まれることによって、何かプロジェクトがかえって曖昧な、余り魅力のないものになってしまったのではないかという危惧がありますけれども、その点はどのように考えますか。

甘利国務大臣 本来のPFI推進機構の役割からすると、それが導入剤になって、その何倍あるいは何十倍の規模の民間資金が入ってくるということを想定して、本来、仕掛けができるわけでありますけれども、その前に復興交付金が相当大規模に入ったということでありますから、確かに、御指摘のように、PFI推進機構が本来目的としているスタイルとは、若干、時間軸がちょっと変わってしまっているかなという感想は私も持ちます。

階委員 これで質問は終わりますけれども、きょうは、民都機構とオガール紫波のことをケースに挙げて議論しましたけれども、やはり今のPFI機構や、あるいは被災地でオガール紫波をまねてやっているプロジェクトには多々問題があります。

 やはり私は、このPFI機構をこのまま続けるのでは、税金の無駄遣いだし、呼び水効果にもなっていないので、だったら、民都機構、実績もあるところに委ねた方がまだましではないかというふうに思っておりますし、オガール紫波の取り組みを、せっかく小泉政務官も現地まで行って学んできていただいたわけですから、これを今後のPPP、PFI、政府の取り組みに生かしていただくことを強くお願いしまして、私からの質疑を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 今国会で、地方創生をテーマにして、とりわけ人口問題、これはさきの通常国会でも、私は、常日ごろは……(発言する者あり)

 ちょっと今の、委員長、これは大臣のせいで始められなかったんですよ。(発言する者あり)それは違いますよ。

鳩山委員長 この委員会がおくれましたのは、手違いがあって、外務委員会が一時不正常な状態になって、農水大臣が外務の委員会に行かれて、それで、おわびをしたことによって、また正常化しました。そういういきさつでございます。

小熊委員 地方の問題は非常に大事で、さきの通常国会でも、私はふだんは外務委員会にいますけれども、差しかえでいろいろな委員会に行って人口問題をやったんですが、厚労に行っても少子化の部分は答えていただきますし、農水に行って農村集落の話をしても、そこは答えるんですけれども、包括的な人口問題というのを答弁していただける方がいなかった中で、今回、この地方創生、そして人口問題といったことを取り上げていただいて、これから取り組むということは非常にいいことだというふうに思っています。

 さはさりながら、非常に厳しい状況であることは言うまでもありません。さまざまな取り組みをしていかなければ、今後、二〇五〇年に一億人を維持するという話も、これは人口問題研究所でも、二〇四八年には一億人を割るという推計が出ているところでありますし、残念ながら、出生率を回復しなければならない取り組みも、これまでもやってきたんですけれども、成果がなかなか出ていないというところもあります。

 また、出産に適した年齢の方々の人口も減っているということであれば、もうそれ自体が、そこにいろいろな政策を打っても、またふえるというのが、非常に分母が少ないということであれば、非常に難しい状況の中でも、それでも諦めずに、やはりやっていかなきゃいけないわけであります。

 その中で、東京の一極集中を是正するということなんですけれども、今までも、戦後一貫して、大体、高度経済成長期、バブル期、またいろいろと流入してきた中で、とめるということではなくて、もう一回地方に人を戻すということもやっていかなきゃいけないことは、政府も認識しているところであります。

 その際に必要なことは、私も地方の人間でありますから、本当に年々減っていっている状況を考えると、医療とか仕事場というのもあるんですけれども、実は、やはり教育という観点が非常に必要だなということも地元の方々から指摘を受けています。

 もう十数年来、私の地元でも、Iターン、Uターンに取り組んでいる市町村で、ある中山間地域で二十組の御夫婦が来られたんですけれども、五年で一組だけになったんですね。それは何ででしょうかと地元の人に言われて、やはり雪が深いところだから、雪とかそういうことですかねと言ったら、違うと言うんですね。そういう地域であると、高校から、都市部に子供を下宿させて学校に通わせなきゃいけない、教育の問題が大きいと。たった一組だけ残っている御夫婦は、子供がいない夫婦だったから残って定住しているという話を聞きました。

 そういう意味では、本当にいろいろ総合的にやっていかなきゃいけない中で、一つ最初に言いますけれども、我々は、地域主権型の道州制、これは非常に重要だというふうに思っています。

 地方が地方で自分たちの問題に真剣に取り組む、国も頑張るけれども、やはり主役はその地域地域の人でなければならない、そのためにも、地方が主役になっていく一つの統治機構改革として道州制といったものが必要だということは、本会議でも質問させていただきました。

 ただ、過日、与党自民党の道州制の佐田さんの発言は、これは党内全部を代表しているとは思いませんけれども、少し後ろ向きでありましたし、広域連合というのも一つの選択肢かもしれませんけれども、あの発言、新聞の中でしか読み取れませんでしたけれども、嫌いな県とはやらないんだみたいな発言もあったような、好き嫌いでやる話ではなくて、その点についてしっかりと、広域地方自治体といったもののあり方について、改めて大臣にお伺いをいたします。

石破国務大臣 地方のことは地方が一番よくわかっているわけで、そこにおいて権限も財源も人材もそこにあらねばならぬ、そのためには道州制であるというような御党の御主張はよく承知をいたしております。

 ただ、道州制も一つの手段であって、どうやって国は国のことに集中できるか、どうやったら地方は地方のことに集中できるかという手段として道州制というものがある、広域連合もある。その特質というようなものを論じながら、一番いい姿を模索するということになるのだと思っています。

 国は国のことに集中すべきだ、地方は地方のことに集中すべきだ。ただ、そのときに、部分最適の総和が国家としての全体最適に適合するかというもう一つややこしい問題がありまして、その点をどう考えるかということも含めて、各党の中で議論され、政府は政府としてきちんと検討してまいりたいと考えております。

小熊委員 道州制については町村会は反対をしているんですけれども、ただ、これは枕言葉があって、市町村を無視するような道州制には反対と。

 今の四十七都道府県制度で市町村を大事にしているか、ちゃんと連携がとれているかといえば、これはこれで問題があるわけですから、本当の基礎自治体がどう今後やっていくかという意味では、広く深く議論をしていかなきゃいけないという意味では、今後ともこの取り組みを、政府としても御期待しますし、我々もしっかり議論していきたいというふうに思っています。

 その中で、統治機構の中で、交付税の話ですね、これまでいろいろな大臣の答弁の中で交付税も見直していくみたいなことがあったんですが、一義的にはこれは総務大臣の管轄なんですけれども、この交付税について見直す、見直さない、どうしていくという話は、どちらがどういうふうにリーダーシップを発揮してやっていくのか。地方創生担当大臣の石破大臣がやっていくのか、高市総務大臣がやっていくのか、ちょっと確認をさせてください。

石破国務大臣 それは、主管は総務大臣であります。ですから、総務大臣は総務大臣のお立場で。

 ただ、地方創生本部、まち・ひと・しごと創生本部というのが、総理のもとに、全大臣が構成員となっております。地方の活性化のためにあるべき地方交付税の制度とは何だろうかということは、創生本部全体で議論に供されることだと思っております。

 ですから、どっちがイニシアチブをとるとかとらないとか、そういう話ではなくて、地方交付税が持っているところの財源保障機能、財源調整機能というものをどのように捉え、そこに新たな機能というものを付加すべきなのかどうなのか、その制度設計はどうなのかということは、所管の総務省でもいろいろな御議論がありますが、地方創生本部の中でも議論をして、地方創生に資するような新しい仕組みというものがあれば、またそれは検討しなければならぬでしょう。

 ですから、この場におきましても、いろいろな党からいろいろな御議論を賜って、よりよいものを模索してまいりたいと考えております。

小熊委員 総務大臣もそれでいいんですよね。

高市国務大臣 現在、石破大臣のリーダーシップのもとで、各省で重複するような、同じような目的を持った事業を見直していこうとか、それからまた政策効果を最大化するための取り組みということで、連携しながらやっております。

 交付税に関しましては、やはり、これは地域の実情を踏まえて、地方が地方の創意と責任で取り組んでいただけるように、できるだけ自由に、自主的に、主体性を持って使っていただけるようにということで、しっかりと充実をしてまいりたいと考えております。

小熊委員 しっかり連携をとって、ここはまた地方の声も聞きながらやらなきゃいけないというふうに思います。

 続けて総務大臣にお聞きします。

 震災のあった年に、私、震災直後から車で寝泊まりしながらあちこち回った中で、その後に、阪神・淡路大震災のときの国土庁の事務次官であった三井さんとお会いする機会があってお話を聞いたんですけれども、あの阪神・淡路を見習うべきところもあるけれども、東日本大震災は地方の震災であったので、復興どころか復旧まで持っていくのも大変だよ、人口流出が始まる、過疎化が加速するという指摘をいただいて、それから復興に関しても、過疎というテーマでいろいろ自分でも研究してきました。

 復興の委員会の中でこれを取り上げようと思って、総務省の担当官のレクを受けたんですけれども、ちなみに、過疎地域で、昭和四十五年からいろいろ法律がいろいろバージョンアップして今来ていますけれども、これで成功したというようなものを教えてください、それを復興にも私は役立てたいという話をしたら、ちょっといいですかと言うんですね。何ですかと言ったら、小熊議員は、過疎対策が成功したというのは人口がふえたというイメージでおられますかと言われて、そんなふうに思っているんだけれどもと言ったら、違いますと言うんですね。その例はもうありません、激変緩和だったりするところが過疎対策なんだということをその担当官は言って、それだともう夢のない話になってしまうんですね。

 でも、日本全体の人口の総体が減っていきます。どこかがふえるということは、これは移民を入れない限り、少子化をやったとしても、どこかがふえるということはどこかの引き算なんですね。引き算同士の今、これから日本をどうするかということは非常に難しいという意味では、過疎はもともと脆弱な状況ですから、今後の過疎問題というのはどうしていったらいいのか。

 一方で、地方においても、一部は最初は中核都市みたいなところがコンパクトシティーと言っていましたけれども、今、私の地元でも、一万人を切るような町でコンパクトシティーの事業をやらせてもらったりしています。となると、では、限界集落に近いところは町の役場の近くに住んでくださいということであれば、過疎の維持ということとは、またある意味、整合性がなかなか難しい。

 この後、農水大臣にも聞きますけれども、農村の維持の事業もいろいろやっています。これもそうなんですね。農村にしろ過疎にしろ、これを維持しようと思ったら全体が薄くなるという話になる。では本当に、町場に全部住んでくださいという政策でいいのか。それもやはりよくない。でも、全体が減っていく。

 そういう意味で、今後の過疎対策。また、あわせて農水大臣、続けて、農村対策というのはどういうふうに考えるか。まず、総務大臣の方から。

高市国務大臣 やはり、過疎地域はそのまま放置して、ある一定の地域に人が集まればいい、そういう考え方は持ちません。特に、この日本の国土において、山を守り、そして水源を涵養し、それぞれの地域に重要な役割がありましたし、多くの方々にとっての大切なふるさとであります。

 先ほど委員おっしゃいましたように、法律ができてから、インフラ整備など一定程度進みました。地域によっては人口流出に一定の歯どめがかかったというようなことで効果は見られたと思うんですけれども、私は、これから過疎対策というのをもっと積極的にやっていかなきゃいけないと思います。あらゆる政策資源を総動員してでも、積極的にやるべきだと思います。要は、外から人を呼び込む、連れてくる、その発想が必要だと思います。

 冒頭に委員おっしゃいましたけれども、やはり、そこにまず住む場所があるか、ちゃんと住居が用意されているか。それから、子供たちの教育環境は整っているか、働く場所があるか。それから、その後、やはり、最低限きちっとした社会福祉が受けられる、また医療なども受けられる環境があるか、安全な場所であるか。さまざまな要件があると思います。

 今、総務省では、集落ネットワーク圏ということで、基幹集落を中心に、もとの小学校区とか町村合併前の村とか、大体そういう単位になるかと思うんですが、一つの基幹集落を中心に、周辺の集落も連携しながらきちっと生活基盤を確保することと、あとはやはり産業ですね、小さなビジネスを起こしていくための支援、ここをしっかりやりたいと思っております。

西川国務大臣 農村を活性化するのにどうするか、こういうことで私どもも一生懸命今取り組んでいます。

 そこで、産業政策と地域政策、これは車の両輪でやらなきゃいけないと思います。そういう中で、どうやれば農林漁業者の所得がふえて、またもう一度地域のにぎわいを取り戻すことができるか、これに私どもは焦点を絞って農林漁業政策を今考えております。

 それで、産業政策としましては、農林水産業を魅力ある成長産業にできるかどうかというのが一つですね、さらに、地域資源を活用した六次産業化等をどう進めるか、こういうことに取り組んでいます。

 それから、農村集落のコミュニティーを維持する地域政策でありますが、基幹集落へ諸機能を集約する、それから周辺集落とのネットワークの形成を図っていこう。

 さらには、日本型直接支払いでありますが、水路の維持管理等の共同活動等を支援していこう、こういうことで、集落全体の存続をどう図っていくか、こういうふうに取り組んでまいりたいと思います。

小熊委員 両大臣の答弁、何も否定するものではないですし、そういうふうになったらいいなとは思うんですけれども、現実はなかなか成果が上がらないというのが事実ですし、では私自身も何か答えを持っているのかといえば、本当になくて悩んでいるところです。

 私の地元に委員長がチョウチョウをとりに来られる奥会津の町があるんですけれども、ここはもう十年間で四分の一ぐらい、この十年ですよ、直近の十年で四分の一、人口がいなくなっているんですよ。子供たちも毎年十人生まれるか生まれないか。

 もうこれからの危機ではなくて、それぞれ両大臣ともに山間部を抱えたりすると思いますけれども、日本じゅうどこでもそんな状況ですし、集落、農村を守っていくといいながら、先ほど御紹介したとおり、今、地方のちっちゃい町でコンパクトシティーに取り組んでいるものを見てみると、うちの方は雪が大変降りますから、除雪をしたりいろいろしたりするのに大変だから、やはり離れたところから町場に、町場の人たちを集積するという考えじゃないんですよ、町全体を集積するという方向でコンパクトシティーに取り組んでいるんですよ、国交省のあの事業。

 となると、今両大臣が言われたのと、やはり矛盾してくるんですね。そこをどう整合性を図って、本当にそこに定住していただくかというのは、なかなか現実味を持って政策の成果が見えてこないというのも事実でありますし、これはもう既にこういう状況で、言ったとおり十年間で一〇パーから二〇パー減って、これから先の推計を見ると、もっと減っていくんですね。

 こういう状況の中でいうと、方向性はそのとおりですが、実態は伴わないという心配がありますから、より一層、もっとシビアに見ていかなければならないんじゃないかなというふうに私は思いますし、先ほど過疎が大事だというのは、まさに国土を守っているというのはあります。

 まして東北は、戊辰戦争の影響かどうかわかりませんけれども、白河以北、北海道にかけては、国有林が四割ですよ。中国地方や九州、農水大臣は詳しいですけれども、あっちはどんどんどんどん明治時代に払い下げていって、財をなさせたんでしょうね、明治の人たちに。森林面積なんて、国有林はもう多分二割ぐらい、二割切っているぐらいですけれども。

 今、森林環境税なんかも、もう全国で三十県以上取り組んでいる中で、私が県会議員のときに福島県もこれを導入したんですけれども、税財源の移譲と私は言っていますが、森林税に関しては、これは国税にして、森林面積割りでしっかり各地域に戻して、森林をどう守っていくかということが本当は一番理論的にはいいんじゃないかな。

 そういう意味では、国土を守ってもらっているという意味にも合致するので、そういったこともぜひ今後検討していただいて、本当の過疎対策というのを考えなきゃいけないというふうに、右肩下がりの中の過疎対策ですから、そんなに甘いものじゃないというふうに思っていますので、今後もここは議論をしっかりしていきたいというふうに思っています。

 次に移りますけれども、今は大学全入時代とも言われています。日本の三大塾と言われる慶応義塾、松下政経塾、あと河合塾というのがあるんですけれども、私も河合塾に通っていたんですけれども、予備校も今は入る人がいなくなって、変容していく時代です。

 大学が全入、定員割れという中で、一方で格差も起きているんですね。地方においては、大学に行きたいけれども、やはり都会に出すしかないから、経済的な理由で断念をするというミスマッチが起きています。世界的に見ても、これだけ都市部に大学が偏在をしている、満遍なく張りついていないという国もまた珍しくて、本当は私は大学の分散をしなければいけないというふうに思っていますが、なかなか強制的に、東京から出ていって地方に行けというのも誘導しにくいんですけれども、この教育格差ですね。

 先ほど言ったとおり、地方は、仕事や医療も整備しなきゃいけないというのはあるんですけれども、やはり教育というのは非常に大事な地方創生の仕組みだと思うんです。海士町の例を見ても、教育の部分にやはり目をつけて、それで若者たちが行っているという意味においては、地方と都市部の、まさに、賃金格差というのもありますけれども、教育の機会均等というのを目指していかなければなりません。

 そういう観点から、大臣はいないので、文科省にお聞きしますけれども、この一極集中、特に高等教育の一極集中の是正について、非常にこれは重要な地方創生の鍵になってくると思いますから、答弁をお願いいたします。

丹羽副大臣 小熊先生が冒頭にお話しされたように、地方にはやはり学ぶ場所というものも非常に大事な要素だと思っております。

 そこで、意欲と能力のある若者が地域に残り、活躍していく環境をつくっていくためには、地方大学がより一層活性化し、都市部の大学以上に若者にとって魅力のある存在となることが非常に大事なことであります。

 現在、文部科学省といたしましては、地域の課題解決や地域が必要とする人材の育成等に積極的に貢献しようとする大学を、平成二十五年度から、地(知)の拠点整備事業により支援するとともに、国立大学や私立大学に対して、地域の強みを生かした教育研究の機能強化、地域発展にかかわる積極的な取り組みへの支援を強化しているところでもございます。

 例えば、福井大学では、地元企業と連携して学生の地元の就職率を高めたり、高崎商科大学では、地元電鉄と連携して、観光のまちづくり、人材づくりを通じた地域の活性化に取り組むなど、さまざまな取り組みをいたしております。

 現在、地方大学の役割に極めて大きな期待が寄せられているところでもございます。地方創生の中核を担う地方大学の活性化に文部科学省としても全力で取り組んでいきたいと思います。

小熊委員 ちょっとかみ合っていないので。大学の一極集中をどう是正するか。それぞれの地方の大学が頑張るというのは、頑張っていますよ。それはわかっています。今ある大学を、どう集中を是正していくかというのは、これから取り組んでいただかなければいけませんし、ある意味、暴論を言えば、総量規制して、私立には補助金をやらないよとは言えないんだろうけれども、どうこれを分散していくかということは大きなテーマにはなってくると思います。

 大学だけではなくて高等教育においても必要ですし、直近の世界経済フォーラムの日本の男女格差のデータも、教育はいいと書いていましたけれども、よく見ると、識字率は世界一とかで、それで順位が上がっているだけで、女性の高等教育の進学はやはりすごい低い順位です、日本も。

 そういう意味でも、女性の社会進出を支援していくという意味でも、実は都市に集中している大学の問題を解消していくということは、女性の進学率にもやはり寄与していくという部分になってくると私は思いますから、これも、今の地方の大学を支援で活性化するじゃなくて、今あるこの集中度合いを解消していくことをこれから検討していただきたいというふうに思っています。

 続いて、有村大臣にお聞きいたしますけれども、少子化対策、まさに、今、日本創成会議でも政府でも注目している二十代から三十代の女性の人口が地域でどれだけいるかが、総体の人口が多くてもそこの年代が少なければ結局は減っていくというのは推計で出ているところであります。

 この少子化対策、私はイクメン議連というのにも入っていまして、いろいろな要因で多子化にはつながっていきます。大臣も、先日の質疑でも、親との近住率とかもありましたけれども、つまり、もう一方の要因で、男性の育児参加、家庭参加の時間が多い家庭ほどやはり多子化につながってくるという問題であれば、少子化の大きな鍵を握るのは実は男たちで、男性側の問題だ、日本社会は残念ながらそこが進んでいない文化もあるというふうに思います。

 そして、そのイクメンを、本当はイクメン議連なんというものはなくなっていいんです。それが自然でなきゃいけないというのが我々のテーマでもありますから。

 そうした観点から、少子化対策について、大臣、よろしくお願いします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、せんだって官邸で行われました会議で、民間議員の方がこのようにおっしゃいました。女性活躍というならば、まず男性の働き方を変えてくれと。大変印象的なお言葉であったと思います。やはり男性の役割が両立支援の中では極めて大事だと思っております。

 御指摘いただきました、夫による休日の育児、家事時間が長いほど第二子以降の出生割合が高いというのが、統計的にも厚生労働省から出されています。そういう意味では、女性が仕事か家庭かという二者択一を迫られるのではなくて、両立ができることを実現するために、男女の働き方改革、子育て支援の充実を図りたいと思っております。

 十月十日には、すべての女性が輝く政策パッケージということを発表させていただきました。その中にも特出しして、男性の家事、子育てへの参画、それから男性の意識と職場風土の改革ということを明確に書き込みまして、これから実行していきたいと考えております。

小熊委員 育休取得率なんかも出るんですけれども、公務員とか大企業はできる部分はありますよ。でも、日本は中小企業の国でもありますから、そういうちっちゃい事業所が、育児休暇をとっていいよといってもそれはなかなかできないというのが現実で、中小零細、小規模事業所で働いている人たちがどう子育ての時間をつくれるかという視点に合わせていかないと、大企業でこういうことをやっていますというばっかりでは追いつきませんから、ぜひその視点で、そういう対策もとっていただくようお願いを申し上げて、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、坂本祐之輔君。

坂本(祐)委員 維新の党の坂本祐之輔でございます。

 本題の質問に入る前に、西川大臣の政治資金の使い方について、メディアなどで騒がれておりますので、私からも一点、御指摘をさせていただきたいと存じます。

 政治資金による御子息や御親族の会社からの物品の購入など、国民の皆様から御理解をいただけないような使い方には十分にお気をつけていただきたいと存じます。

 特に今回は、政党交付金という国民の皆様からいただいている政治資金でもございますので、より一層の御注意をいただかなければならないのではないかと考えておりますが、このことについて御所見をお伺いいたします。

西川国務大臣 ここのところ、指摘を受けました。

 一つは、おいが経営している会社で、大きな商事会社なんですが、その一部門に文房具を扱うネット販売の大手の代理店をやっている会社があります。私は、近隣に適当な、同じようなものがあればいいと思いますけれども、残念ながら、私の町に今のところありません。それで、非常に優良店でもありますし、早くて確実で安い、こういうことでお願いをしている、こういうことでございます。

 それから、週刊誌等で自動車のタイヤの話も出ておりました。あれは、四本で五万二千円何がしという数字が発表されておりますが、ホイールつきタイヤを買って五万何がしだった、それはインターネットで購入しておったということで、私は、価格としては非常に安いものを購入したつもりでおりますが、また正常な商取引だと思いますけれども、誤解を受けないように、よく検討して、近隣に同じようなのがあるかどうかよく見ていきたい、こう思っております。

坂本(祐)委員 大臣からは、具体的な例を挙げていただいて、お考えをお伺いいたしました。

 政治資金でもあるこの政党交付金、国民の皆様方にしっかりと理解をいただく中でお使いをいただくこと、そのことをお願い申し上げます。しっかりと農政発展のために御尽力を賜りたいと存じております。

 さて、石破大臣に、地方創生全般についてお伺いをさせていただきます。

 少子高齢化、グローバル化、そして日本経済社会の成熟化、地域経済の疲弊等、地域を取り巻く環境は大きく変化をして、まさに課題は山積であります。地方創生を最重要課題の一つに取り上げて人口減少等の課題に取り組むその姿勢は、評価をするものでございます。

 私は、二十年ほど前に埼玉県東松山市長に就任をさせていただきました。石破大臣にもお見えいただいたことがございます。

 その平成六年、そしてその翌年には、地方分権推進法に基づく地方分権推進委員会が成立をいたしまして、平成十一年には、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律、いわゆる地方分権一括法が成立をして、改革が具現化に向けて進み出したと思います。地方の時代が来た、地方の時代の幕あけだ、私は、市長在職中、そのように胸を躍らせたのを覚えております。そして、その後、国と地方の関係を上下主従の関係から対等そして協力の関係に変えて、住民主導の行政システムを確立する地方分権改革に大きな期待を持ち続けてまいりました。

 しかしながら、大臣も御承知のとおり、やはり権限あるいは財源、人間、こういったものを地方分権推進の中で地方自治体に移譲するということが今の中では大変に厳しい。

 そこで、まず、縦割り行政の弊害が叫ばれて久しいわけでございますけれども、総理のお言葉の中に、各省の縦割りを排除するとともに、地域の声に徹底して耳を傾け、従来の取り組みの延長線上にはない政策を実行するとおっしゃっておられましたけれども、石破大臣、具体的にはどのようにお進めいただくんでしょうか。

石破国務大臣 これは、委員も市長をしていらっしゃったので一番よく御存じだと思いますが、政策目的は同じようなものであるが、各省ばらばらと事業があって、それが必ずしも東松山市なら東松山市にジャストフィットしているわけではないが、どれが補助率が高くて、どれが交付金で面倒を見てもらえますかしらということが選択基準になっている。例えば子育て支援だけでも、全部数えてみると二十六のメニューが各省庁に分かれている。それはやはり、使う側にとって非常に使い勝手がよくないと同時に、いろいろな省庁に似たような事業があって同時並行で進んだときに、その効果の検証は極めて難しいということがあるだろうと思っております。

 ですから、同じ政策目標で多くの事業があるものは、これは我が省だとかそんなことを言わないで、なるたけ統合した方がよろしいと思っております。

 そしてまた、いろいろなことで市町村が悩みを抱えておられるときに、どの省庁に行ったらいいんだみたいなことはよろしくないので、一つの困り事であれば、一つの案件であれば、横文字を使って余りよくないのですが、ワンストップ化というのを図っていきたいと思っております。

 体制としてはワンストップ化であり、事業のできるだけの統合を目指して、地域にとって使い勝手のいい、市町村長さんがよく来られますので、皆さん方にとって使い勝手のいい制度とは何ですかということであって、使う側の立場に立って変えていかねばならないと痛感をいたしておるところでございます。

坂本(祐)委員 ありがとうございます。

 縦割り行政というのは、小さな町でもそれぞれの部や課にまたがっておりますけれども、それは市民によく指摘をされます。しかしながら、機構が小さいわけでございますから、市長や副市長が目を光らせれば、あるいはしっかりと気を配れば、割と、縦断をしてそれぞれの課や係に即時にまたがることができますから、そういう点では簡単、必ずしも簡単ではありませんけれども、できないことではない。

 しかし、これだけ大きな省庁を抱えている中で、今御指摘がございましたように、子育て支援でも二十六、こういう状況でございますから、これを一つのまとまりとして、それを市町村に理解していただきながら応援をしていくということは、かなり難しいのではないかとも考えております。

 ぜひ、そのお気持ちは大切にされて、縦割り行政の弊害をなくしていただきたいと願っております。

 十月八日の参議院の予算委員会総括質疑で、我が党の片山議員から、ばらまきではとの質問に対しまして、大臣が、総理から、ばらまきは断固排せと、縦割りも断固排せと、異次元の取り組みだということを御指示いただいております、排すことができなければ、総理の指示に反したことになりますとおっしゃっておられますが、もしこの大変な重要な課題を排すことができなかったときに、僣越ではございますけれども、大臣はどのような責任をおとりになられるのでしょうか。

石破国務大臣 ばらまき、縦割り、重複、これをどれだけ排除できるかということにかかっていると思います。責任を回避するつもりは全くございませんで、できなければ、それはリーダーシップの欠如というお話に相なります。

 ばらまきはよくないと言うんだけれども、では、ばらまきの定義とは何ですかということだと思います。それは、各自治体の実情を全く考えずにとにかくお金を配るというのがばらまきというのであって、今回御審議をいただいております法案には、各市町村が平成二十七年度末までに総合戦略を立案してくださいというふうにお願いをいたしております。努力義務規定になっております。そこにおいて必要であれば、人材も出します、ビッグデータも提供いたします。

 それぞれの自治体が何をやりたいのかということを確立して、それに対して支援を行うということは、ばらまきだと思いません。しかしながら、市町村の実情に全く関係なくお金を配りますというのは、ばらまきだと思っております。

 重複それから縦割りは先ほど申し上げたとおりであって、どれだけ制度の統合が図れるか、あるいは重複というものを各省の垣根を越えて統合できるかということだと思います。

 ですから、これはそういう命をいただいてやっております以上、その実現に全身全霊努力するということであります。

 できなかったらどうするかということは、まずやってみるということでありまして、重複、縦割り、ばらまき、その定義というものをきちんとした上で、自治体に、これでよろしいですねということをちゃんと確認しながらやりたいと思います。

 同時に、繰り返しになりますが、総合戦略というのは、きちんと立てていただきませんと、どういうふうにして国が対応したらいいかというのがわかりません。国と地方は常に対等であるというのは、私どもも制度を改めてまいります、自治体におかれましても総合戦略をきちんと立てていただく、そういう緊張関係のもとに、検証システムまで包含した形でやってまいりたいと思っております。

坂本(祐)委員 しっかりとしたお覚悟を持って取り組んでいただきたいと存じます。

 十月十四日の衆議院の本会議におきまして、先ほど御質問をいたしました小熊議員の交付金の効果の検証の質問に対してでございますけれども、大臣は、活用した地方公共団体にアンケートを行ったところ、おおむね九割が、事業に取り組む上で有効であったと回答しており、地域づくりの上で寄与したものと考えていると御答弁をされました。新聞報道でも、検証は、有効であったとしか言わないと報じております。

 私も、十六年間市長を務めさせていただきましたけれども、今のこの仕組みの中では、国によって交付税あるいは補助をいただいている自治体が、交付金を役に立たないと言う自治体というのはまずないと思うんですね。本当に大臣が言う批判的検証というのはできるんでしょうか。

石破国務大臣 それは、お金をもらってこれは困るというところはあるはずがないと思っております。役に立ったか立たないかといえば、役に立ったという回答が圧倒的に多いのだと思っております。

 ですから、それをさらに使い勝手のいいやり方はできないかということと、それぞれの町村が理想とします姿にどうやってそれを近づけるべく運用されるかということ、そして検証システム、これをセットにするということが、よりよいそういうようなお金の使い道であろうというふうに考えております。

 ですから、今まで、この交付金のシステム、あるいは交付税と言ってもいいのかもしれません、あるいは補助金のシステムに一番欠けておったのは、検証というものが欠けていたのだと思います。それがどのように使われたのかというものを誰も検証できないということは、決していいことだとは思っておりません。

 自由に使えるというのは、それはいいことですが、それがどのように使われたのかということが地域住民あるいは納税者の目にきちんとさらされるような、そういうようなシステムをあわせてつくりたいということでございます。

坂本(祐)委員 地方自治体の理想の姿ということでございますけれども、まさに地方自治体は国に支援をしてもらう、いや、国は国でやるべきことをやっていただいて、我が町は我が町でできることをやる、この区別をはっきりとさせていただきたい。そのために権限、財源、人間を移譲する、これは同じ考えだと思いますので、ぜひそういった地方分権と一緒になって進んでいかなければ、私は、地方自治体の発展、地方の発展というのはないものだというふうに考えております。

 各地域の成功例をヒントに、今、活性化の裾野を広げる戦略を描いておられますが、市町村にはまたそれぞれの個性というものがございます。他の自治体の成功例をそのまま自分の町の事業に当てはめるというのは難しいのではないかというふうに思いますし、大切なのは、その町で成功された政策やそういった事業は、どのようなアイデアやどのような知恵によって生まれてきたかということを考えることが大切なのではないかと思います。

 大臣は、先般、知恵は地方にある、霞が関や永田町にあるとは思えないということをおっしゃっておられましたけれども、そうであるならば、やはり、国が主導して地方自治体に手を挙げさせて、その挙げたところに支援をするのではなくて、地方の自主性を大事にして、権限や税財源を一刻も早く地方自治体に与えることが大切なのではないか、地方のことは地方に任せるべきだというふうに私は考えておりますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 方向性は、委員がおっしゃるとおりでございます。

 かつて、私が当選一回のころに、竹下内閣においてふるさと創生一億円事業というものがありました。大きなところも、ちっちゃなところも、一億円ずつお金が行きました。では、それは地方で自由に使えるお金だったのですが、それがどのように使われたかというのは、それこそ、あのころはまだ合併前でしたので、いろいろな例があったと思います。全部が成功例だったと私は思いません。こんな使い方をして本当にいいんですかというのがなかったと私は申しません。

 ですから、地方に権限、人間、財源を渡すのはいいんですが、そこにおいてそれをどのように使うかという仕組みが、ビジョンがきちんと確立をされなければいけないし、それが成功したか失敗したかというのは、きちんとした検証システム、もちろん議会もあります。しかし、議会だけではなくて、第三者の目を入れた検証システムというものがきちんと動くということが必要でございましょう。

 あわせて、先ほど来同じような言葉を使って恐縮ですが、個別最適の総和は全体最適になるのか、そういうカテゴリーがあるのだろうと私は思っております。そういう場合の調整をどうするかというのも含めて、権限、財源、人間、これを地方に渡すという基本的な流れは変わっておりません。

 しかし、それがどうやってその地域地域に有効に使われるか。いつまでも時間はございませんし、財源も幾らでもあるわけではございません。限られた時間の中で、限られた財源の中で、何が一番いいシステムとして動くのかということについては、市長の経験がおありになる委員のお考えもよく承ってやってまいりたいと考えております。

坂本(祐)委員 何に使うか、その仕組み、ビジョン、そして検証する、このことは地方自治体が、議会もありますし、市長は常に、毎日のように住民の方々に接しておりますから、私は国会議員に就任をさせていただきましたけれども、住民との接し方の、時間的な多さといったら、これはもう首長にかないません。

 そういった中で、どんな席でも必ず御批判の声は受けますし、検証の声も受けますので、そういった意味では、私は、大きな心配をせずに、やはり、先ほど申し上げたように、国は国でやるべきことと地方は地方でやるべきことをしっかりと分けて、その財源を早く地方に回す必要があるのではないかと考えています。

 それでは、国家公務員の派遣についてお伺いをいたしますけれども、現状、国から地方公共団体にどのくらいの国家公務員が出向しておられるか、石破大臣は御存じでしょうか。

石破国務大臣 平成二十五年度八月現在でございますが、国から地方公共団体へ出向しておりますのは、千六百五十三名でございます。

坂本(祐)委員 確かに、国と地方公共団体との人事交流状況によりますと、平成二十五年度では千六百五十三人、そして、地方自治体、例えば都道府県であれば、出向された人が副知事や部長、あるいは市町村では副市長や課長や部長、こういうことになると思いますが、部長級以上が三百四十五人、課長級以上が八百七十人いらっしゃるわけでございます。

 今回の地方創生の目玉であります、地方が手を挙げてくれれば国家公務員を派遣すると大臣がおっしゃっておられました。既に出向している国家公務員が千六百人もいる中で、私は、彼らに任すことができないのか、あるいは、さらにふやす必要はあるのかということを考えるんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、この話がありましたときに、それでは人口が少ない基礎自治体に何人行っているんですかということを私尋ねました。そうしますと、人口が五万人以下の市町村に行っているのは、千六百五十三人のうちの五%しかいない、人数としては八十二人しかいないということなんです。

 では、一体どういうところが必要としているかと考えたときに、やる気もあるし、いろいろな資源もあるんだけれども、人が足りなくなっちゃっているちっちゃな自治体にこそそういう人が必要なのではないだろうか。

 都道府県とかあるいは大きな市とか、そういうところの局長さんとか部長さんというのは、必要だから行くというところもあるんでしょうけれども、ステップアップのためにそこに行って勉強してきなさいなみたいなところがあるのではないだろうか。むしろ、それは、その自治体のプロパーの方がやった方がいいにもかかわらず、指定席みたいな感じで中央省庁から行っている部分がありはしないだろうかということです。

 それは、あると断定は私はいたしません。しかし、どこに本当に人が求められているのかということは、まさしく使う側の立場にならなければいけませんし、俺が国から行って指導してやるというような人は行っていただかなくて結構です。本当に一緒になってやろうという情熱と、その地域に対する愛着を持った人がその地域に行くということが大事なのであって、人の質、人の量、そしてどこが求めているかということをよく精査して、この制度は実現してまいりたいと思っております。

坂本(祐)委員 国家公務員が地方に行って勉強していただく、これはいいかもしれませんけれども、今さら勉強か、よく勉強した方に来ていただきたいというふうに思いますけれども。

 実際には、給料は地方自治体が受け入れるんですね。年金も払います。そして、先ほど申し上げましたように、副市長や部長級のポストにつきますから、財政負担が高くなります。さらには、今回も小さい自治体に派遣をしたいとおっしゃっておられますけれども、小さければ小さいほど、私は、その給料等の負担が大きくなる、そういった町は職員の数も随分少なく、苦労されていると思いますので、そういった負担も多くなるのではないかと思います。

 大体、出向者が来ますと、出向者をいただいた方が国からのそういった支援を受けられやすくなるのではないかというふうに思っている自治体も多くあると思いますし、また、出向者の顔色を見て仕事をする職員もたくさんいると思います。

 ましてや、二年で戻ってしまいますので、本来であれば、区画整理事業なんというのはもう三十年も四十年もかかって、それでもまだまだ実際には全部が行われないところもありますけれども、大体のプロジェクトは十年ぐらいかかりますから、二年で来て、ある意味、かき回すだけかき回されて国に戻られたのでは後が大変だということにもなりますので、私は、いただく場合には、十年ぐらいしっかりと腰を落ちつけて仕事をしていただきたい、そう考えておりました。

 しかも、国から補助を受けて行う事業等につきましては、大抵三年ほどでそれが打ち切られますから、後でその事業が続かなくなってしまう、財政負担が地方自治体に起きますので、厳しい状況になってしまうということもあります。

 私どもも、市内循環バスを走らせた、しかし、三年、四年たって補助がなくなって、今では、私の町でも、四千万円ぐらいかけないと過疎地域にバスを回すことができないというような状況もありますし、かつては、合併処理浄化槽の設置等についても、環境を守る、あるいは下水道が整備されていないところでは、三分の一が国、県、三分の一が市、三分の一がそこに住んでいる方、しかし、県や国で補助をしなくなれば、住民からは取れませんから、市町村がそれを負担しなければならなくなるということになります。

 これらは全て、地方自治体の長が抱えている問題だと思います。だからこそ、短期的な国からの支援よりは、長期的に持続可能な予算が地方自治体にしっかりとたまっていくことが必要。まさに権限、そして税財源を地方に移さなければならないと考えております。手を挙げさせるのではなくて、独自の裁量で市町村の必要な事業が市町村の発展のためにこそ実施されなくてはならないと私は考えております。

 時間がなくなってしまって恐縮でございますけれども、今、日本にとって大切なことは、国がやるべきことは国でやる、そして地方がやるべきことは地方でやる。

 今、国がやるべきことは、もう御案内のとおり、定数削減であり、議員の歳費の削減であり、行政改革であり、あるいは財政改革であります。改革を妨げる既得権益やしがらみを断ち切って、古くなった今の我が国の仕組みを改めて、我が国の新陳代謝を図る、これこそが国がやるべきことだと考えております。

 地方でやることは地方で決める。生活を営む人々に一番身近に接して、地域の文化や伝統や芸術、あるいは住民の皆様方の地域に対する思い、こういったものを知っているのは地方自治体でございますから、ここで改めて、財源、権限、人間、これをしっかりと地方に移すことを申し上げさせていただきたい。

 そして、維新の党は、道州制の実現のもとに、我が国の統治機構を抜本的に変えていくことが必要と考えております。地方創生は地方分権とセットでなければならないと強く考えておりますが、最後に、石破大臣のお考えをお伺いいたします。

石破国務大臣 基本的にそういうことです。

 いかにして地方分権を進めていくかということです。その方向性において全く相違はございません。それが道州制という手段をとるか広域連合という手段をとるか、それはあくまで手段のお話でございます。目的は、御党が目指されるものも私どもが考えておりますものも方向性に差異はないと承知をいたしております。

坂本(祐)委員 終わります。

鳩山委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 お時間をいただきましてありがとうございます。

 予算委員会の基本的質疑のときにもちょっと申し上げさせていただいたんですけれども、私は、アベノミクスというのは、ある意味、賛同できるところがあると。第一の矢、金融緩和、そして第三の矢、法人税の改革等は日本にとってやるべきだと私は思っておりますけれども、第二の矢の財政出動に対しては私は否定的であります。

 幾つかそういう賛同できるところもあるんですけれども、当初、大胆な金融緩和をするときにも、国会でも私は申し上げたんですが、この政策をやりますと円安が普通に考えれば進行しますので、円安が進行すると、恩恵をこうむる人と負担を強いられる人が必ず出てきますから、この対策が必要ですよということをずっと申し上げてきたんですね。

 それから、法人税の改革も、これは、大企業がちゃんと利益を下に還元するという、この循環があってこそこの政策はうまくいくのであって、これをきっちりやっておかないまま税率だけ下げるというのは、これはやはり非常に、問題が起きますよということをずっと申し上げてきたんですね。

 基本的質疑のときにも申し上げました、アベノミクスをやり過ぎると、大企業と中小企業、都市と地方、それからお金持ちとそうじゃない人の格差が出ますから、一番大切なことは、格差是正をどうするかというのが政治の役割なんだと思うんです。伸ばすところは伸ばしておいて、ひずみが出たらそこをちゃんと是正するということで少しならしていく。この両方をもってやると、やはり社会は両輪で是正されていくというふうにずっと主張してまいったわけですけれども、ここに来てやはり、中小企業は大変厳しいという話も出てきていますし、対応が少し後手に回っているなということを感じざるを得ないわけであります。

 そういう観点から、少し、ちょっと細かい話をきょうはさせていただきたいと思います。

 まず、総務大臣にいらしていただいておりますので、これも実はこの二、三年、ずっと私は主張してきているんですが、軽自動車です。

 軽自動車なんですけれども、これは本当に田舎の人の足でして、うちの田舎へ行けば、軽トラに乗っている人もいれば、おじいちゃん、おばあちゃんはみんな、遠くへ行きませんから、もう本当にこれは足なんですね。自動車の取得税を廃止していくという中で、代替財源として軽自動車税の引き上げをする、そういう政策が出てきましたから、これはやはりやっちゃいけないということをずっと申し上げてきたんです。

 ただ、残念ながら、去年の税制改正で年間三千円上がるということになってしまいまして、来年度から実施されるということだと思います。

 これ自体も私は問題だと思っておりますけれども、ただでさえ、軽自動車に乗っておられる方というのは、一般的には、低所得の方、それから地方の方が多いわけですね。今、円安でガソリンの値段も上がっている、非常に生活費が上がっている、年金は上がらない。年金生活者の方も軽自動車に乗っておられる方はたくさんおられるわけです。こういう方々のために、軽自動車に対する課税、負担をこれ以上ふやすというのは私は避けるべきだというふうに思っているんですけれども、まず大臣のその辺のお考えをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今井委員のお地元でもそうかもしれませんが、私の地元でも、特に山間に参りますと、また農村地帯に参りますと、軽自動車をたくさんの方がお仕事や生活の足として使っておられます。その重要性は十分に認識しているところでございます。

 一方で、先ほどお話しいただきました税制改正に至る経緯ですが、昨年開催されました地方財政審議会の自動車関係税制のあり方に関する検討会の方から、まず、軽自動車税の税率は、その特殊性を考慮したとしても、自動車税の税率とのバランスを欠いている、それから、地方団体から軽自動車税の税率引き上げの要望がある、それから、地方部の財政が厳しい幾つかの市町村では制限税率限度である標準税率の一・五倍で課税している、こういったことが指摘されまして、軽自動車税の負担水準の適正化が提言されました。

 これを受けて、税制改正においては、地方団体の要望等も踏まえつつ、しかしながら、四輪の軽自動車については、やはりユーザー負担、これに配慮しなきゃいけないという観点から、新税率の適用を新車に限定した上で、グリーン化促進の観点から、経年車の重課を導入しつつ、税率の引き上げを行うこととなったものであります。

 ですから、委員の御指摘については、登録自動車とのバランス、地域における利用の実績、それから納税者負担、また環境政策、これらとの関係を総合的に勘案しながら実施していくもの、検討していく必要があると考えております。

今井委員 それは総務省の御見解でしょうけれども、私が申し上げたいのはタイミングなんですね。円安になってガソリンが上がる、いろいろなものの価格が上がる、年金の人たちは、支給が減っている人たちもいらっしゃいます。こういう中で、合わせわざでまたさらに負担をかける、一気にこういうことをやるということが私は大変問題なんだと。徐々にそういうのをやっていくならまだいいんですね。

 後で外形標準課税の話も時間があればさせていただきたいと思いますけれども、これも同じでして、要するに、中小企業は今、円安とかで非常に苦しいわけです。私は最終的には外形標準課税は導入した方がいいと個人的には思っていますけれども、今のこの非常に苦しい環境で入れるということになると、ダブルパンチ、トリプルパンチになってきますから、やはりそれは時期をよく、軽課をして、ならしていくということが必要であって、この軽自動車に関しても私は全く同じだと思っているんですね。

 そこで、もう一つお伺いしたいんですけれども、資料を渡していると思いますが、昨年度の与党の税制大綱のところで、自動車税については、来年、環境性能課税を今後検討するということであります。自動車税というふうになっていますけれども、ここには、自動車ですから、軽自動車というのは含まれないのか、そういうことでよろしいんでしょうかというのが質問の一つ。

 それから、その後の三番に、今回、平成二十八年度から重課ということで二〇%程度負担がふえる、試算によると百二十億弱というふうに聞いておりますが、これに対しての軽課を、要するに軽減措置を講じるというふうに書いてあります。これも、やはり重課に見合った軽課というのがなされていくべきであると思うんです。

 この二点についてのお考えをお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今、ガソリン価格も大変上がっているという御指摘がありました。そんな中で、やはり環境性能というものを考慮するということもまた一つ大切なことであると考えております。

 先ほど、与党の二十六年度の税制改正大綱において、軽自動車が今度含まれるのかどうかということですが、そもそも自動車取得税は消費税率一〇%への引き上げ時に廃止する、これを明確にしてあります。そのための法制上の措置は、消費税率一〇%段階における他の車体課税に係る措置とあわせて講ずることとされています。あわせて、環境性能課税については、自動車取得税のグリーン化機能を維持強化するもの、こうなっております。

 そうしますと、現行の自動車取得税ですけれども、これは自動車及び軽自動車を対象としておりますから、自動車取得税のグリーン化機能を維持強化する環境性能課税においても、軽自動車を除外するという特段の理由がない限り軽自動車も環境性能課税の対象となるのが自然だと考えておりますけれども、ただ、地方財政審議会に設けられた検討会におきまして、ちょうど関係団体ですとか関係省庁からヒアリングをいたしておりますので、今後検討してまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、二十七年度の税制改正プロセスの中で車体課税の見直しについては具体化が図られます。

 それから、軽課と重課について御質問がございました。

 これも、昨年の与党税制改正大綱では、軽自動車税に関してグリーン化を進める観点から、経年車重課の導入と並んで、軽課についても検討を行うとされています。

 また、自動車税、保有課税ですが、これにつきましては、環境性能に応じて重課または軽課を行ういわゆるグリーン化特例について、環境性能割の導入時に、環境性能割を補完する趣旨を明確化し、環境性能割非課税の自動車に対象を重点化した上で軽課を強化する、こういう考え方が示されましたので、軽自動車税における軽課については、これは地方財政審議会の検討会で広く業界の御意見を伺ったところであります。

 今後、やはり地方財政への影響を配慮しながら、自動車税における環境性能割の導入やグリーン化特例の見直しの検討とあわせまして、税制改正のプロセスの中で、地方団体や関係者の御意見を踏まえながら検討していくということになります。

今井委員 環境性能課税については軽自動車も入り得るけれども今後検討をしていく、そういう御趣旨だったと思います。

 ちょっと今、私申し上げましたけれども、トータルで今どういう格差のバランスが崩れているかということも含めて、もちろん、地方財政の税収というのもありますよ、それも考慮しなきゃいけませんけれども、やはり、仁徳天皇じゃありませんけれども、かまどをちゃんと見て、みんな今厳しいんだなということをちゃんと肌で感じて、あれもこれも全部負担を上げるということになったらさすがにきついなということを全体的に考えていただきたい。一つのところだけではなくて、庶民の皆さんにはいろいろなものが生活にかかわっているわけですから、それも考慮してぜひ考えていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 きょうは農水大臣に来ていただいておりますので、ちょっとお伺いしたいんですが、ことしの三月から農地の中間管理機構がスタートしたと思うんですけれども、昨年だったと思いますが、この議論をさせていただいているときに、私、地元に戻っていろいろな方とお話をしておりましたら、うまくいくのかなという声が結構あったんですね。

 それは、一つは、これは一つの意見ですから正しいかどうかわかりませんよ。

 私のところは平地と中山間地、両方あるんです、岐阜県の南の方の濃尾平野と、飛騨地方がありますから。中山間地の人たちは、ある意味、趣味でやっている方もありますけれども、なかなか専業でやっている方がおられないわけで、土地を、そういうのを誰かに任せてくれと言ったら意外と出るかもしれないねと。ただ、平地の方へ行くと、正直申し上げて、やはり転用期待をしている人が多いので、長期間貸すということに対してはなかなか出さないんじゃないか、うまくいくのかねと。

 では、逆に、どちらに借り手のニーズがあるかといえば、それはできるだけ大規模にしたいわけですから、平地の方がニーズがあるわけです。

 そうすると、借り手と貸し手がアンマッチを起こしてしまうんじゃないかという御指摘をされる方が何人かおられまして、それは重要な視点ですね、やってみながらこれはちょっと検証していく必要がありますねということをその場でお話をさせていただいたことがあります。

 そこで、今、各都道府県、公社もできて、公募もかけていろいろやっているようでありますけれども、今、農水省としまして、このマッチング等についてどういう状況であるというふうに把握しておられるか、お聞かせいただきたいと思います。

西川国務大臣 農地中間管理機構ですけれども、ことしの十月一日現在で、東京都を除く四十六道府県で指定を終わりました。そこで、各機構において、農地の借り受け希望者の公募等を順次実施しております。現在、米の刈り入れが大体終わりましたので、本格的に農地の権利移動がこれから始まってくるだろうと思います。

 それで、実際に、農地の貸し借りは非常に難しいと思うんですね。私の地元なんかも、農地解放のイメージが残っている人たちがまだおりまして、なかなか貸すというのに抵抗感があることも事実です。貸さないで何になるかというと、耕作放棄地につながってきた、こういうことだと思います。

 私は、そこへ今度は牛を、スーパーカウみたいな状況で、本当にやってくれる人に農地を貸して、蹄耕法で、ひづめで農地を起こして、また牧野や水田を取り戻す、こんなことを考えて、努力をしておるところであります。

 いずれにしましても、借り受けの希望者の応募状況は、出てくることを願っておりますけれども、出てきたら、農業委員会などの関係機関と連携してマッチングを図っていきたいと思います。

 ただ、うまくいっているのは、一件、熊本が非常にうまくいっているそうです。この熊本のうまいケースを横展開していきたい、こう考えております。

今井委員 今の御答弁ですと、まだ数字としては余り把握しておられないということだというふうに思いますけれども、農業の四大政策の一つでありますから、やはりちゃんと計数管理というか、実績がどうなっているか、しっかり管理していく必要があると思うんですね。効果検証です。

 これから、では、農水省さんとして、この数字を最初に、今度、各自治体、都道府県から集めて集約するというのは、いつやられるおつもりですか。

西川国務大臣 まだ数字の目標ができておりませんけれども、各地域の非常にすばらしい動きが始まったところを全国に知らしめることがまず一番先の仕事かと思います。それと同時に今後の目標も見定めていきたい、こう考えています。

今井委員 事前のレクでは来年の三月末に一度集約するということでありましたから、そうすると多分五月ぐらいに出てくると思いますので、そこで、今どういう状況になっているか、もう一度確認をしたいというふうに思っております。

 時間がなくなってまいりましたので、石破大臣に最後ちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、先ほど経済産業委員会でも宮沢大臣にお伺いしてきたんですが、例の再生可能エネルギーの接続の保留という問題ですね。

 私、実は、これから地方を創生させる一つの大きな鍵は自然エネルギーの活用だと、ずっとこれに取り組んできているんですね。

 これをエネルギーだけじゃなくてほかの方に波及させる。例えば、真庭市のように林業に波及させるということもあるでしょう。それから、発電とともに熱をつくって熱利用するということも、当然、非常に有効な手段で、これは異論のないところだと思うんですけれども、今回のように、こうやって接続が保留というような事態が生じますと、事業をやろうと思う人たちが、つまり、これは、認可をとって、それで接続を待っていたら、ちょっと待ってねと言われた、そうすると、その間の資金、要するに、お金を借りているわけですから、そのままその資金のコストもかかるわけですね。こういう状態が頻繁に起きますと、もうとてもこんな新規事業に入れないんです。事業者は怖くてできない。

 だから、この問題は、地方創生のためにも、どうしてもやはり解決しなきゃいけない問題だと思います。我々も議員立法をつくろうということで今取り組んでいますけれども、例えば接続の義務化等も含めて、自然エネルギーを地方の活性化のために活用するために、この問題をぜひ大臣のリーダーシップで解決していただきたいと思いますが、いかがですか。

石破国務大臣 先ほど、真庭市長も、別件ですが、大臣室にお見えをいただいて、いろいろなお話をいたしておりました。

 再生可能エネルギーの比率をなるべく上げていくということは、これは国家の大目標でありますし、これは日本経済のサブシステムというのか、原油が上がる下がる、円が上がる下がるで、その都度その都度振り回されるということはなるべく避けていきたいと思っております。

 この接続の問題につきまして、所管外の者があれこれ言うべきではございません。国が関与しておることでありますから、そこにおいてミスマッチというものが生じないように、契約に適正を期すようにすることも当然のことでございます。

 そこにおきまして、どうやって電気の品質を安定させるかということ、あるいは蓄電の技術をどれだけ高めていくかということ、それはあわせて経済産業省においてお考えのことだと思います。品質が安定しないのでとか、電気というものはためておけませんのでということになりますと、委員がおっしゃいますように、そういうような意欲を阻害することに相なります。

 再生可能エネルギーを広げていく、そしてサブシステムとしてワークさせる、日本が、外的要因になるべく左右されない国家をつくるというために、再生可能エネルギーというものは、比率を上げていくべく、政府として取り組むべきことであります。

 所管外のことでございますので、もし誤った答弁をしたとしたら、御容赦いただきたいと存じます。

今井委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 今回提案されておりますまち・ひと・しごと法案、一体何がついてくるのか、地方公共団体からするとよくわからない、何か戦略だけつくってくれと言わんばかりの法案になっているのは大変残念であります。

 都道府県と市町村にとっては、このまち・ひと・しごと創生総合戦略を策定することが努力義務になるというふうになっておりますけれども、この総合戦略を策定すると、あるいはその策定した内容の質にもよるのかもしれませんが、何らかの支援措置があるということなのでしょうか。今、新しい交付金などを検討されているようでございますが、そういったものが全部でないにしろもらえるということなんでしょうか。逆に、この総合戦略をつくらない場合、各府省のさまざまな補助金や交付金、あるいはこの新設されるかもしれない交付金、これはもらえないということなのでしょうか。

 どういった因果関係にあるのか、これは石破大臣に御答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 地方版総合戦略は、地方が直面しておりますいろいろな課題にどう地方が答えていくかということで、それは努力義務としてお願いをしておるものであります。メリットがあるからつくるとか、メリットがないからつくらないとか、そういうものではございません。

 しかしながら、その地域において、先ほど来答弁しておりますように、その地域のことはその地域の方々が一番よく御存じなので、そこは、五年を目途とした総合戦略をお立てになった場合に、それにふさわしいような支援の体制をつくるというのは国の責務だと思っております。

 ただ、メリットがあるからつくるとか、メリットがないからつくらないとか、そういう問題だとは考えておりません。

後藤(祐)委員 はっきりしない答弁ですが、少なくとも、この総合戦略をつくらない場合に、各府省の何らかの補助金なり交付金なりがもらえない、あるいは減額されるといったことはないというふうに理解してよろしいでしょうか。

 ここがはっきりしないと、小規模の市町村にとっては大変迷惑な話になりかねないんですよ。そこまでつくる余裕がないようなところについては、すごく大きな話は我々は諦めよう、だけれども、例えば、既存のいただいているものだとか、そういったものまで減額されるとなったら、これはつくらなきゃいけないねという話になるわけで、ここは、因果関係がないところはないとはっきり言っていただかないと、本当に、これは市町村、特に小さい市町村にとっては大変困る話になるので、ここは明確に答弁をいただきたいと思います。

石破国務大臣 別に曖昧なことをお答えしているつもりはございません。

 努力義務でございますので、あくまで努力義務でございます。つくらないというのであれば、そういうところもございましょう。

 しかし、つくったらいいことがあるとか、つくらないから悪いことがあるとか、そのようなことは考えておりませんし、それを迷惑だとお考えになるのであれば、そういうような考え方はないということになるのでございましょう。

 少なくとも、私が承知をしております限り、そんなことは迷惑である、つくらなければ金が来ないのであったら、そういうことは困るのでやろうというようなところは、私は寡聞にして存じません。

後藤(祐)委員 つくったらもらえるかどうかはわからないけれども、少なくとも、つくらないからといって各府省の補助金等が減額される、あるいは、もらえなくなるということはないと、そっちだけでも明言していただけないでしょうか。そこがはっきりしないと、各市町村は、みんなつくらなきゃいけないという話になっちゃうんですよ。

 つくったらもらえるというところについては、それは微妙なところがあるのは多少はわかりますけれども、ですが、つくらなかったからといって、いじめられることはないということについては明言していただけないでしょうか。

石破国務大臣 いじめるということが何を意味するか私にはよくわかりかねますが、そのようなことはございません。ですから、努力義務ということにいたしております。

 自治体に努力義務を課すというのは、この手の法律ではかなり異例のことだと思いますけれども、それは、もうなるべくおつくりをいただきたい。つまり、みずから考えみずから行うというのはそういうことなのであって、それに対して、私どもとして、データも提供いたします、必要な限りの支援を行います、そういうような迷惑だとか負担だとか、そういうことはなるべく除去をしていきたいと思いますが、そこが何をやりたいのかということを明確にしていただくということが国の支援を有効にすることに直結をすると考えております。

 つくらないからといって、いじめたりはいたしません。いじめるということは、そもそもございません。しかし、つくらないということは、なぜつくらないのかということだと思います。つくらない理由が、面倒であるとか、あるいは、人が足りないであるとか、データが少ないとか、そういうようなことでつくらないという要因は除去してまいります。

後藤(祐)委員 小さい市町村は、そんな暇じゃないんですよ。本当に少ない人数でやっているんですよ。

 今の最後のところは、いじめることはないという言葉で全部含まれていると思えないんですね。今の言い方ですと、つくらない場合はどうなるかわからない、小さい各市町村も、やはりこれはつくらなきゃいけないのかなという答弁だというふうに受けとめました。

 これは大きなお世話、そこだけはっきりしてほしいというのが、それは声を上げては言いませんよ、国に嫌われたら嫌だから。それは、いろいろな考え方を持っている市町村があっていいんじゃないんですか。そういう、国の向いている方向性とは、うちは違う形でやっていく、形ばかりの作文をやってもしようがないからという市町村があったっていいんじゃないですか。

 これは、多分、これ以上聞いても答弁は一緒でしょうから、次に参りたいと思います。

 次に、新しい交付金をつくられるお考えだというふうに伺いました。

 実際、内閣府の二十七年度概算要求では、地方の創生と人口減少の克服について、総合的に推進するための交付金の創設というものが内閣府において事項要求されています。

 これは、ハード、公共事業を含むものでしょうか。そして、もしその場合には相当な額が必要になるわけでありまして、その財源は、現行の各府省で行っている、公共事業に限りませんが、各府省の補助金を全部または一部内閣府に移して、それを財源にして、縦割りを排するような交付金をつくるということでしょうか。

石破国務大臣 済みません、私は、大きなお世話だということは聞いたことがございませんし、そう言われないようにしていかねばならない。そういう総合戦略を基礎自治体が立てていただかなければ、国の支援というものはそれにジャストフィットしたものにならないと思っております。

 私は、少なくとも、今の市町村で、大きなお世話だとか、そんなものはやらないとか、国に嫌われたら嫌だとか、そういうところはないと信じておりますし、できる限りのサポートを行います。

 その上で、今の委員の御質問にお答えをするとすれば、それはいろいろなやり方があるんだろうと思っております。今の時点でハードを除外するとか除外しないとか、あるいはどこから財源を持ってくるとか、そういうことを確定する段階にはございませんが、どういう形にすれば地方の創意工夫、まさしくつくられた総合戦略に最もかなう形の御支援ができるか、規模、財源、手法、これから考えてまいります。

後藤(祐)委員 先ほどの質疑で石破大臣は、重複、縦割り、ばらまき、これをやめていかなきゃいけないという趣旨のことをおっしゃっておられました。

 そのためには、新しい交付金をつくるのであれば、その分、それと類似しているような事業に使えるような各府省の補助金なり交付金は、全部なくすかどうかは別として、やはりそれなりに減額をして、それを財源でもって交付金をつくるというのであればわかりますが、それをしないで純粋に純増でやってしまった場合、類似するような事業が仮に読める場合、これは幅広く読めるようなものをつくるんでしょうから、読めてしまう場合があり得るわけですよ。そうしますと、既存の補助金、交付金を財源にしないと、これはまさにばらまきになってしまうんじゃないんですか。

 既存の補助金、交付金を財源にするのであれば、我々が一括交付金をつくるときは大変でした。最初、都道府県レベルで五千億つくるときに、物すごい抵抗に遭います。時間がかかります。

 これから十一月になろうとしているときに、十二月の頭ぐらいで決着をつけていかなきゃいけないということを考えると、今、現時点ではやっていないと事務的に聞いておりますが、それを確認させていただくとともに、類似の事業が可能ともなり得る各府省の補助金、交付金については、それを財源にすることもあり得るというふうに考えていいかどうか、明確に答弁いただきたいと思います。

石破国務大臣 それは可能性として論理的にあり得ることでございます。これは最終的にぎりぎりまで確定をしない、それは、予算編成にも委員は携わってこられましたから、よく御存じのことだと思います。

 最終的に何が一番いいのかということでございますが、補助金を今のままにしていわゆる一括交付金をふやすというようなことは、手法としては、それはいかがなものかと思っております。それは、そちらの方がいいという方もおられるかもしれませんが、財源が有限でございますので、そこはいろいろな手法を考えていかなければなりません。

 全て今までどおりで一括の交付金だけふやすというようなことは、それはなかなか困難なことかと承知をいたしております。

後藤(祐)委員 今のは前向きな答弁と受けとめました。ぜひ各省と早目に一括の交付金、一括交付金、こういうふうにおっしゃったので、大変喜ばしいことでありますけれども、一括交付金という名前であろうがなかろうが、その新しい交付金をつくる上での財源、これについてはそのイメージを確定しないと各省も供出できないと思いますから、そこは早くその作業に入っていただきたいと思います。

 石破大臣は、一括交付金を復活していただけるんでしょうかね、今そういう御発言がありましたけれども。

 この一括交付金については、総理が十月十四日の本会議で、「一括交付金については、手続の煩雑さなどさまざまな問題点が指摘されていたことから、昨年度廃止し、」という答弁がなされておりましたが、今配付資料で配付させていただいておりますけれども、これは、いわゆる一括交付金、地域自主戦略交付金に関する、沖縄は別の仕組みがありますから、沖縄以外の全都道府県と政令指定都市、一〇〇%、六十六団体からのアンケート調査の結果であります。

 これによりますと、「大いに評価する」と「ある程度評価する」、合わせると七九%、五十二団体あります。そして、「あまり評価しない」「全く評価しない」というところも一六%、十団体ありますが、ここで大事なのは、この「「あまり評価しない」「全く評価しない」主な理由」というのが下の方にございますが、ここには、総理が本会議でおっしゃったような手続の煩雑さというのは挙げていないんですね。

 この評価しないところの理由を見ますと、所要額が確保されていないという額に対する不満、これはいろいろあるでしょう。あるいは、対象事業が少ない。これは、だんだんふやしていくべき、より改善してくれという叱咤だと思います。あるいは、基本的な仕組みは変わっておらずという、これはもっとやるべきだという話であって、地域自主戦略交付金、一括交付金そのものの仕組みが問題であって、それを廃止して各省の個別の縦割りの補助金に戻すべきという理由で評価しないというところは、少なくともここではあらわれておらず、総理の本会議での答弁は根拠がないと思うんですね。

 我々は悉皆調査を民主党政権のときにこういう形でやっているわけですが、では、これをひっくり返すだけの廃止する論拠、これがあるんでしょうか。

 先ほど石破大臣は、検証が欠けていたというふうにおっしゃいました。一括交付金に対する検証は、我々はこういうふうにきちっとやっているんです。それに対して、廃止するなら廃止するで、きちっとした検証に基づいて、少なくとも全都道府県、政令市に対して、一括交付金はやめてほしいというような調査結果があってやっているならまだしも、そうではない。

 なぜ、これはやめたんでしょうか。このアンケートの結果について、どう受けとめますか。

石破国務大臣 それは、先ほどのお話ではありませんが、一括交付金をもらって困るとか迷惑だったとか、そういうところはないと承知をいたしております。それがさらに使い勝手がいいようにするにはどういう工夫が要るだろうかということ、そしてその財源をどこへ求めるだろうかという、余りに基本的なお話で恐縮ですが、そこを詰めていくべきなんだろうと思っております。

 使うのはあくまで地方の側でございますので、地方の側が手続が煩雑であったというのも、別のアンケートではそういうお答えも出ております。ですから、御党の悉皆的調査というのもよく私ども精査をしたいと思っておりますが、要は、こっちがいいとか悪いとか、そういう話ではなくて、使う側にとって何が一番使い便利がよいだろうか、そしてその財源をどこへ求めるべきだろうか。補助金は今のまま、プラスして一括交付金もふやしてねというのは、それは論理としてはなかなか成り立ちにくいことだと考えております。

後藤(祐)委員 そうしますと、二十五年度、二十六年度は何もない状態になっているわけですから、各省の補助金に戻っているわけですから、そっちの方がいいと言った都道府県、政令市はないわけです。そこはやはり理由になっていないと思うんですね。それは、これから新しい交付金をつくるときに、どういう設計にしていくかというときに生かすんだったらわかります。ですが、現状についての説明としては間違っている。廃止した理由としては根拠がないということについて、反論になっていないと思います。

 時間が余りないので次に行きますが、二枚目の資料をごらんいただければと思います。

 実は、一括交付金の根拠規定というのが、これは我々のときには内閣府設置法です。内閣府設置法の四条三項第七号というところで、地域自主戦略交付金に関することという固有名詞ではなくて、一般的に読めるように書いてあったんです。「地方公共団体による自主的な選択に基づいて実施されるものとして政令で定める事業又は事務に要する経費に充てるための交付金の配分計画に関すること。」という非常に広く読める形の所掌事務を書いてあったんですが、これとは全く無関係の、総合科学技術会議の司令塔機能強化を目的とする内閣府設置法改正案という目的が全く別の法令改正でもってこの所掌事務は消されております。今、なくなっております。

 今度新しい交付金をつくるときに、先ほど石破大臣は一括交付金と言い間違えておられましたけれども、名前は何でもいいです、ですが、各府省の補助金を多少なりとも財源にして、まあ、しない場合もあるかもしれません、少なくとも各省にまたがるような形で、自由度の高い、各自治体が自主的な選択でもってある程度選べる、そういった交付金をつくるのであれば、まさにここに書いてある所掌事務を内閣府が行うことになるわけです。この所掌事務は復活させるべきだと思いませんか。

石破国務大臣 経緯は今委員が御指摘になったとおりで、そういう事務がなくなったわけですから、それに対応すべき根拠規定というものはなくなりましたという事実は事実としてございます。そういう事業がないのに根拠規定が残っているという例はございませんので、そのように今までいたしました。

 では、仮に、これから復活をする、名前はどうでもいいとおっしゃいました、そうでしょう、復活する場合に、必ず根拠規定が必要であろうかということは議論のあるところだろうと思っております。そこについては、今、絶対に根拠規定が必要である、内閣府設置法でそういうような条文をつくらねばならないという意識を私自身は持っておりません。

後藤(祐)委員 既存の所掌事務で読める話だったらいいんですけれども、これは各省にまたがるような話になるんですね。場合によっては、また一括交付金のときのように各省に移しかえて実施するとか、そういった複雑なオペレーションをやる場合もあり得て、そうしますと、これは各省との関係においても、内閣府の事務であるということを明確に根拠を置かないと、本来、おかしなことになると思います。

 ここについては、条文修正も含めてぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それは法技術論としていろいろな考え方があろうと思っております。今、私がここで断定的に、法的根拠が要るとか要らないとか、予算措置で足るとか足らないとか、それだけ断定するだけの判断材料を私自身は持っておりません。委員の御指摘は御指摘として、それは傾聴に値するものだと考えております。

 今後、また委員の御見識を承りながら、政府部内でよりよく検討してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。

 次に、地方分権に関する地方提案について、九百五十三件の募集提案に対して九件なり十件しか実施がなかったという話は既に出ておりますが、ぜひこれは石破大臣が昔の安倍総理の言うところのドリルになっていただかないと、実施はふえていかないと思うんですね。たくさんあるものをたくさん実現するのはなかなか大変なことで、やはり地方公共団体の多くのところが期待しているものであって重要なものを実現すべきだと思うんです。

 先日、石破五原則なるものを十月二十二日に発表されておられますけれども、これはこれでやられたらいいと思いますが、むしろ、この地方分権に関する地方提案について、石破五案件、この五個だけは必ずやれ、まあ三個でも五個でもいいです、をむしろ大臣が、いろいろな方の、特に地方がこれを重視しているということを踏まえて、ある意味トップダウンで決めて、これだけはやれということを絞ることが、私は構造改革特区の実現のときも後ろで作業していたんですけれども、非常に重要なんですね。あのときの鴻池大臣なんかもそういう仕事をされておられました。

 特に全国知事会の「地方創生のための提言」というところでは具体的にもう挙げていて、農地転用許可権限の市町村への移譲、それとハローワークの地方移管、この二つに絞って挙げています。さらに、私が幾つか要望書を見た中では、長年の地方からの要望としては、保育園の一人当たり居室面積ですとか、そういった基準の参酌基準化、これも多くのところが挙げています。例えばこの三つあたりを石破三案件なり五案件なりにしていただいて、これだけはやれというふうに督励してはいかがでしょうか。

石破国務大臣 先般も、各省庁に対しまして、これだけできません、できませんということになると、地方も熱意がなくなるというかやる気がなくなるというか、どうも官僚組織というのは、できませんとまず言って、なぜならばというのを続けるところがございまして、できるためにはどうすればいいのかということを各省大臣のもとでもう一度考えてくれというお願いをいたしました。

 別に、比率を上げればいいとか件数を上げればいいとか、そういうことは申し上げませんが、なぜそれを守らなければならないのか、それを外したときにどのような支障が生ずると考えられるか、それに対して何か手当てはできないのかという、できません、なぜならばではなくて、それができるためにはどうすればいいのかということを考えるということで、各省にもう一度お願いをし、また、私のところで政務あるいは事務方とともに協議をいたしておるところでございます。

 ですから、岩盤規制というものはなるべく取り払っていかねばなりません。今の農地のお話、あるいは保育所のお話、ハローワークのお話等々、これに限定するということを私は申し上げるつもりはありませんが、いつまでも長々とこの議論をしておっても、それはどこかで政治決断をしなければならないものがあると考えております。そのことの責任は、官僚組織ではなくて政治が負わなければならないと考えております。岩盤規制を取り外す場合に、石破という名前はいい名前だねと言われたことがありまして、さあ、石を破るのか岩を破るのかよくわかりませんが、そのような覚悟でやってまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 構造改革特区のときはそうやっていたんですよ。そんなにいいかげんなことを言っていると石破案件に入れるぞというのが一番の事務方の折衝のときの武器になるんですよ。そうすると、少し妥協しようかというのが出てくるんですよ。ぜひそういったやり方で進めていっていただきたいと思います。

 次に行きます。

 配付資料三ページ目以降、ガソリンの話がありますが、やはり地方創生といったとき、ビジネスをやるにも消費していただくためにも、ガソリンというのは大変重要です、軽油も含めてですが。

 この三ページ、四ページ目を見ますと、東京都区部は、これは一世帯当たりです、二万一千円しかガソリンを使っていませんが、例えば、もとに戻っていただくと、三ページ目で、東北ですと八万円ぐらい使って、大体四倍近い。小都市B・町村というところを見ると九万円、四倍以上です。水戸市というところが一番多くて九万八千円。このレベルに達すると、もう一人一台なんですね。

 五ページ目を見ていただきますと、これは経済財政諮問会議の資料ですが、右下のところを見ますと、一人当たりの車保有台数がもう〇・八とか〇・九とかになっている。一人一台です。その結果、消費に占めるガソリンの割合というものが大変高くなっている。

 こういったことを踏まえて、我々が政権のときはトリガー税制というものを、一度法律をつくりましたが、復興財源のために今とまっています。きょうは財務大臣にもお越しいただいておりますけれども、このガソリンが高いということ自体が地方創生のネックになっているのではないか。特に今、一リットル百六十円、ガソリンは超えている状況です。最近ちょっと落ちついているという数字も出ていますが、せめて百六十円を超えるようなときには、何らか、当面の間税制を少し下げるですとか、あるいは予算措置というのもあるでしょう。領収書を持っていったら還付してくれるですとか、あるいはガソリンスタンドを通じて何らかの形でお金が戻ってくるとか、クーポンみたいなやり方もあるかもしれません。やり方はいろいろあっていいと思いますが、非常にガソリンが高いとき、軽油が高いときに、少しそれを軽減するような措置についてぜひ検討するべきではないでしょうか。

麻生国務大臣 これはもう御存じのように、燃料価格というものを見ますと、足元では値下がり傾向にあります、間違いなく。この十週間ぐらいで見ましても、間違いなく、レギュラーガソリンで見ますと全国平均で十四週連続値下がり、灯油でも同じように九週間連続値下がりをしておりまして、石油代金も、バレル、きょう、ドバイで八十一、WTIで八十三ドルぐらいまで下がっていると思いますので、かつての百ドルから大分下がってきた傾向にあると思います。

 これは、先ほど図をお示しいただきましたように、地域によってすごく差があるんだと思います。私どものおります九州の中でも、福岡と佐賀では大分事情が違いますので。これは都会の方こそ、公共交通機関が多いために、一人当たりの自動車が少なくて済む。地方に行けば行くほど一人当たりの車がふえてくる。山口市が何でこんなに大きいんだかよく知りませんけれども。そんなところかなと思わないでもないんですけれども。総じて、この数字を見ますと地方の方が高い。

 こういったことに関して、地方もそうですが、これは主に、業者で見ますと、こういうのもよく使います。例えばトラックとか、それから、よく出ましたのがイカ釣り漁船とか、また離島航路の船とか、そういったようなものに関してきちんと何かするべきではないかという御意見等々いろいろありますので、私どもとしては、これは検討課題として考えておるところであります。

後藤(祐)委員 また補正なんかもあるかもしれませんし、税制改正、予算措置、補正も含めて、いろいろなチャンスがあるところでぜひ御検討いただきたいと思います。

 地方で頑張っていらっしゃる企業、特に中小企業の目から見たときに、今、法人減税の議論がありますけれども、その財源として中小企業の実質増税につながる項目が検討されていることに大変懸念をされておられます。

 外形標準課税の導入、欠損金の繰越控除、ここが認められるところが少なくなるんじゃないか、あるいは、中小の八百万円以下のところの軽減税率一九%というところをもう少し厳しくしたらどうかというようなお話も出てきておりますが、こういったことについては日本商工会議所なんかも懸念をされておられますけれども、こういった中小企業の実質増税につながるような項目、これは地方創生に逆行すると考えます。

 ぜひ、こういったものを財源にした法人減税はやめていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、財務大臣。

麻生国務大臣 今回の法人税改革は、税率の引き下げと課税ベースの拡大というものをセットで行うということで、法人課税を成長志向型に変えていくということを基本に置いておりますので、その中身は今後税制改正のプロセスの中でいろいろ検討していかねばならぬ課題の一つだと思っております。

 いずれにしても、改革の具体化に当たりましては、今言われましたように、地方と言わず、東京都内、おたくの相模にもいっぱいあるんだと思いますが、中小企業というもの、なかんずく零細企業等々、先ほどトラックの話を少ししましたけれども、こういった点を考えて、少なくとも、中小企業、零細企業の負担によって大企業が恩恵をこうむるというようなことをやる気はありません。

後藤(祐)委員 やる気はありませんということで、今言った項目はやらないということで受けとめてよろしいですか。

麻生国務大臣 日本語はそういう意味だというぐあいに私は理解しているんですが。

後藤(祐)委員 これは非常に重要な答弁だと思います。ありがとうございます。

 むしろ、中小企業、そういった会社に雇用、特に正社員として雇用していただくことが地方の創生にとって大変重要であって、確かに、大きな企業が地方にいっぱい行けばいいんですが、そればかりでは進まない。地域の中小企業が正社員を雇えるような環境をつくるにはどうしたらいいかといったときに、私は一つ提案がございます。

 社長さんにお伺いすると、何で正社員で雇っていただけないんですかと聞くと、社会保険料の事業主負担が重過ぎると。例えば、月給二十万円という大変安いお給料の正社員の方を雇っても、事業主負担だけで三万円です。つまり、一五%ぐらい、プラスアルファで社会保険料負担がかかる。この部分を軽減してさしあげることが、特に中小企業にとって、正社員雇用をつくる上では大変効果があると思うんです。

 一時期、正社員のお給料を上げたりふやしたりしたところは法人税を下げますよという制度、まあ今もあるんでしょうが、これはなかなか使われていないと思いますし、企業にとっては、黒字になったり赤字になったりすると、赤字になったときはその効果というのは全くなくなってしまいますから、怖くて正社員は雇えないんですね。

 社会保険料負担については、これは企業にとっては、お給料と合わせて人件費だと考えておりますので、この社会保険料負担が、例えば、中小企業が新たに正社員を雇うときに、その社会保険料負担の半分を国が面倒を見てくれるというようなことになれば、正社員で雇ってもいいんじゃないか、今まで派遣で来ていただいた方を正社員にしたらいいんじゃないか、そういったことを考えるところが出てくると思うんです。実際これは、多くの中小企業の経営者に対してお伺いすると、非常にレスポンスがいい話なんですね。

 まち・ひと・しごとということでもありますから、これはストレートに効果がある話だと思います。財源をどうするかという問題はもちろんいろいろあると思いますけれども、ぜひ、特に地方の、特に中小企業、そういう限定をしたわけではありませんが、そういったところが正社員をふやすときに、その事業主負担分だけでいいと私は思います、本人の、従業員の方はいいと思います。事業主負担の分の社会保険料、これを何らかの形で補助してあげる。

 もちろん、保険全体に穴をあけるわけにいきませんから、予算から補填すればいいと思うんですけれども、そのことを検討すべきではないかと思うんですが、これは厚生労働大臣、きょう来ていただいておりますので、塩崎大臣にお願いします。

塩崎国務大臣 先生もお役所におられた経験があるので、レスポンスがいいというだけで政策をやるわけにはなかなかいかないことはよくわかっていらっしゃると思いますし、私も確かに、地元に行きますと、先生御指摘のようなお声はたくさん聞きます。

 しかしながら、社会保障は、給付との見合いで、報酬比例で大体会社の方々には負担をしていただいているものでありまして、正社員の雇用を増加するためという、その目的のために、事業主の社会保険料負担に限って軽減するというのはいかがなものかなと。

 やはり、社会保障は社会保障の、給付と負担という、言ってみればルールをちゃんとつくってやってきているわけであって、一方で、確かに中小企業の、零細企業の従業員が加盟する協会けんぽ、我々の事務所も協会けんぽに入っていますが、零細企業でありますけれども、この財政基盤が脆弱だということはよくわかっているので、今度は総報酬制にするかとか、いろいろなことをやっていますけれども、この協会けんぽでも、例えば国庫補助を、今一六・四%負担をして、それで補填をした上で保険財政を成り立たせているということで、これは金額にすると一兆二千億、二十五年度で入れているんですね。

 ですから、負担感があることはよくわかっていますし、この負担感をではどうやって軽くするのかというときに、ダイレクトに保険料負担を軽くするということではなくて、これは仕組みですからしようがない、それはやはりそういうものだということで、では、あとはどうやって負担感を軽減できるのかなという中で、一つは、やはり経済自体を強くする。つまり、企業一つ一つをどうやって強くするかということをやることで、言ってみれば、負担力を強化するということによって負担感を軽減するということが、やはり一番お互いにとってもハッピーなんじゃないかなというふうに思います。

後藤(祐)委員 保険料そのものを下げると、いろいろな理屈があると思いますから、保険料を形としては払っていただいて、会社に対して別途予算措置で、別の名目でその額を渡すとか、いろいろなやり方があると思いますので、先ほど石破大臣も大変うなずいておられましたので、御検討いただきたいと思います。

 時間も来ましたので、最後の質問をします。

 もう一つ大きな話として、女性に活躍していただくことが地方において大事だということから、一つ最後に聞きたいと思いますが、六月二十四日の骨太方針で、「税制・社会保障制度等について、女性の働き方に中立的なものにしていくよう検討を進める。」という表現がございます。

 今、配偶者控除をどうするかというのはこれから議論になると思いますけれども、ぜひこの配偶者控除は、私は廃止すべきだと考えます、特別控除も含めて。そうすると、財源が六千三百億出ます。この六千三百億を、我々の考えとしては、例えば児童手当に積み増すと、今千八百万人に配っていますから、一人当たり月額二千九百円積み増すことができるんですね。別の渡し方でもいいです。

 お子さんを育てながら働いておられるお母様、これを応援するにはどうしたらいいかといったときに、きれいごとだけではなかなか進まない。輝きたくても輝きにくい、そんな、特に地方で、見えないところで頑張っている女性を応援するためにも、この配偶者控除の話は避けて通れないと思うんですね。

 骨太にも書いてあることでございますから、これについて、大変厳しい話になるとは思いますけれども、ぜひ見直すべきと考えますが、厚生労働大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 税制の話なので、これは麻生財務大臣の領域であるわけでありますけれども、先生、確かに、配偶者控除の問題については、今政府としても議論をしているわけでございまして、この間も、諮問会議でもこの問題は、扶養手当を含めて議論になりました。

 女性の活躍推進の観点から、ぜひこの仕組みを見直すべきだという意見がある一方で、逆に、家族のあり方や働き方に関する国民の価値観にかかわる問題なんだということで、むしろこれはキープしておくべきだというようなことで、政府税調の方で、関連する諸控除のあり方も含めて論点を整理して、今丁寧に議論が進んでいるわけでございます。

 女性が仕事と家庭を両立しながら活躍するために必要なものというのは、これは民主党政権のときにも我々はいろいろ議論をしましたけれども、子育て中の家庭に対する支援が重要だということは当然でありますけれども、児童手当等の現金給付と現物給付とどっちが有効なのかというような議論がございました。

 このように、子育て支援には、現金と現物と、税もある意味では現金に近いわけですけれども、こういうようなものがありますし、例えば、共稼ぎの低所得の子育て家庭が、家での家事に対する労働対価を払う、そういうものに対しては今一切、何の支援もないわけであって、そういうものにターゲットを絞った税とかあるいは補助金とか、そういうこともあり得るわけであって、そうなるとなかなか、いろいろな選択肢がある中で配偶者控除をどうするかということを議論していかなければならないので、今、政府税調でも議論をし、また諮問会議でも議論をし、こういう形で先生方と一緒に議論をする中で、年末にかけて一つの方向性も出ていけばいいかなというふうに思っております。

鳩山委員長 後藤君、もう時間は過ぎていますよ。

後藤(祐)委員 きょうは、後段、具体的なやり方について提案をさせていただいたつもりであります。ぜひ石破大臣、抽象論だけではなくて、具体策を伴った地方創生を進めていただくよう御期待申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 質疑時間はなるべく守ってください。

 次に、中丸啓君。

中丸委員 次世代の党、中丸啓でございます。

 まず初めに、石破大臣に御質問させていただきたいと思います。

 地方創生を考えるに当たって、私は、やはり経済というのはマーケティング、マーケットをどう考えるかだと思うんです。その中で、東京一極集中をどうするか、こういった話がたくさん出ていますけれども、私は東京にもマーケットは大きく分けて二つあると思っています。まずグローバルなマーケット、世界経済を相手にする、世界の競争の中に巻き込まれるマーケットと、東京においてもローカルマーケットというのもあると思います。地方経済においても、やはりローカルとグローバル、私のいる広島であれば、例えばマツダのような企業と、地元で商売、サービス業なんかをやっている企業、こういったマーケットと、大きく二つに分かれて、違うと思うんです。

 もう一つ、地方か都市か、グローバルかローカルかだけではなくて、大企業と中小企業という分け方もあると思うんですね、先ほどからいろいろ出ていましたけれども。どうしても、大きいか小さいかだけではなくて、実は、地方の小規模事業にもグローバル企業はあるわけです。そして、地方の大企業でグローバル企業もある。でも、地方の大企業の中にもローカルもあるわけです。

 このローカル、グローバル、大と小の中にもローカル、グローバル、地方と都会の中にもローカルとグローバル、このセグメントをしっかりしてやらないと、大か小か、地方か都市か、こういった分け方では非常に私はマーケットとしては難しいと考えるんですけれども、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 委員もよく御案内のとおり、「なぜローカル経済から日本は甦るのか」という本を私も何度か読んでみました。あそこで書いてあるのは委員御指摘のようなお話だと思います。

 よく、日本の経済はと論じるときには、誰でも知っているような大企業を論ずることがあるのですが、大企業でも、おっしゃるとおりローカルもございましょう、中小、地方の企業でもグローバルもあるわけですが、押さえておかねばならないのは、輸出とかそういうものと全く関係のない経済の部分がGDPあるいは雇用の相当の部分を占めている、そこに対する施策というものが必ずしも十分ではなかったのではないだろうか、それは、地方、あるいは中小企業、いわゆるローカルと言われるものに多いのではないだろうかということであって、委員のおっしゃるセグメントというのはまさしくそういうことも認識の上で議論をしていかねばならないことで、そういう二項対立みたいな議論はかえって本質を誤るのだということはよく承知をいたしております。

中丸委員 そういったセグメント化をしつつどうするかというのを考えるのに、一つの方向性といいますか、今回の地方創生を考える上で、日本というグランドビジョンをどういうふうに考えるか。今から、各地方からいろいろなアイデアを出していただくに当たって、では、全体としてはどうなのか。要は、ばらばらにカオス的なものが出てきても困るわけですから、一定のそういったセグメントした中でのグランドビジョンというのを石破大臣はどのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

石破国務大臣 ここは難しいところで、例えば一昔、いや、今もあるんですけれども、高知県のユズビジネスとか、あるいは徳島県の葉っぱビジネスとか、それは一つ一つとしては物すごくすぐれたものですが、それが横展開するかしないかはまた別の問題でございます。それがサステーナビリティーを持つものかどうかというのもまた別の問題でございます。

 そういうようなものは、カオスという表現を使っていいかどうかわからないが、それぞれの地域がいろいろな発想に基づいてやるのはとてもいいことだ。しかし、我々が考えていかなければならないのは、それが横展開できるかということ、そしてサステーナビリティーを持つかどうかということもあわせて考えていきたいと思っております。

 日本全体のグランドデザインというのは、やはり、今まで必ずしもその潜在能力を十分に発揮してきたとは言えない、地方でありますとか、第一次産業でありますとか、必ずしもビジネスモデルが今に合ったとは言えなくなってしまった一部の観光業でありますとか、そういうものの潜在力をいかにして引き出すかということを考えていかなければいけないのだと思っております。ですから、そこは地方創生の地方の部分にかなり当てはまるのではないだろうか。

 考えられることはありとあらゆることをやってみるというところが、今まで、どうも、国のどの補助金が一番補助率がよくて、どれが一番交付税で見てもらえるかというところにやや偏っていたのではないかなという感じを私は持っております。

中丸委員 それでは、今のマーケットのセグメント化について、経済産業省、御所見をお伺いいたします。

山際副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、大企業、中小企業という分け方だけではなくて、グローバル、ローカル、そういう分け方が必要ではないか、そういうセグメントがあるのではないか、そういう御指摘だと思います。

 経済産業省といたしましてもそのような認識を持っておりまして、例えば製造業であれば、当然、これはグローバルの競争の中でビジネスをやっていくわけですね。また、小売業で代表されるように、本当にローカルのマーケットの中で動いているというものもございます。ですから、当然、グローバル、ローカルというものと、さらにはその産業の特性というものをクロスさせる中で、その産業一つ一つに対してきちんとしたサポートなり支援をしていかなきゃいけない、そういう考えに基づいてこれまでも経済産業省はやってまいりました。

中丸委員 ありがとうございます。

 それでは、そういったいろいろなマーケットに分かれて今から物事を考えていくに当たって、地方経済の活性化で、私は、地方の金融機関、これが非常に重要になってくると思います。

 先日ちょっとお話を聞かせていただいた西武信用金庫さんの取り組みで、普通は、私が広島で会社経営をしていたときもそうですが、信用金庫さんというのは、毎月積み立てをしてくれ、しかも現金で積み立てをしてくれと毎月集金に来られるわけです。それは毎月経営者と話をしたり、そういうのもあるんですが、確実に訪問先をつくるという前提で、営業マンはとにかく毎月自分の得意先を訪問するためにわざわざ現金の領収書を持って積み立てに回るわけですけれども、西武信用金庫さんはこういうことを一切やめました。一切、通常の信用金庫がやるそういった訪問活動をやめることによって、その企業の総務、経理のあたかも一員であるような形をとるという新しいスタイルで、中小企業、ベンチャー、それからNPOの支援を始めるということで大成功しております。

 こういった取り組みについての評価をぜひとも、今後の地方の金融というものを考える上で必要だと思うんですが、そういう意味で、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 広島の信用組合で、山本というのがやっているのを知っていますか。(中丸委員「お会いしたことがあると思います」と呼ぶ)ああ、そう。この人を知らないと、今の話だって説得力がないからね。

 あの人、あの信用組合に物を頼んで三日以内に返事が来なかったら、大体、その返事を出し切らなかった行員は、面責、譴責、降格なんてされるようなことをやっている信用組合なんて、まずあそこだけだと思います、全国百幾つありますけれども。地銀で六十、第二地銀で四十、随分銀行の数というのはあるんですけれども、そういった中で、みんな、信用金庫に限らず、第二地銀、地方銀行に限らず、やはり人口減というものに直面していくんだと思いますね。

 したがいまして、人口減していく中にあって銀行が生き残っていこうと思えば、それはよほど今までの方法とは違った手法を考えないと生き残れないというように気がつかない銀行経営者は、今の時代は銀行経営者としては無能に近い、そう思いますね。

 今までのように、この基準に当てはまらないから貸せませんなんというような、土地を担保に金を貸しているというような時代で金融機関というのは大きくなってきていますから、そういう時代じゃありませんよと。今は土地の値段が下がるんですから。この二十年間、デフレで下がりましたから。

 そういった意味では、ちゃんとその会社の事業性、やっている社長の能力、その会社の持っているポテンシャリティーといったものにある程度リスクをとって貸してくださいという意味で、金融は、私の代になってから、これまでの金融処分庁というイメージはやめてもらいたい、金融育成庁にイメージを変えてもらうんだ、それが今から私がやる仕事です、そう言って、二年前、金融庁をお預かりすることになったんです。間違いなくその方向で、各銀行もあの言葉だけは忘れられませんのでと言われますから。一応、そういう方向にならないと自分たちが食えなくなりますよ、これはこっちの都合で言っているんじゃない、あなたたちが食べられなくなるんですよという話をしているんです。

 なかなか、二十年間、土地さえ担保にとっておきさえすれば、大体、そのうち土地の値段が上がって、そのうちどうにかなるという時代を五十年やっていますから、そんな意識転換はなかなか難しいとは思いますけれども、間違いなくそういう方向で、今言われたような方向で事を進めていくような方向で、金融庁としてはそっちの方向で事を動かしていきたいというように考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 まさに今、麻生大臣がおっしゃったとおり、そういう方向に動いていかないと。やはり地方金融と地方経済は一体でございますので。

 ただ、一つ問題がございます。西武信用金庫さんのお話を伺ったときに、一つの壁がありますと。これは銀行の法律、規制でございます。

 この信用金庫さんはうまくそこを抜けていて、自社のビルの上にインキュベーターを置いてみたりとか、そういったいろいろな不動産業もどきのことができた。それはなぜかというと、顧客が全部組合員だからなんです。これは一般の地銀ではできないわけですね。一般の地銀がよく言われるのは、地方の中でも、都市部のレンタルオフィスではなくて、自社の建物のときに空間があくんです、ほかに使えないから。

 こういった規制緩和というのは、この地方創生でセットとして、現場の声というのは必要だと私は思うんですけれども、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それぞれの信金についてあれこれ言及すべきではございませんが、地銀とか第二地銀も同じ地域金融機関という意味では一緒でございますので、地元に密着して、いろいろな機能を果たすためにさまざまな工夫は要るのだろうと思っております。

 ですから、信金と地銀、第二地銀と違うというところはございますが、同じ地域金融機関として果たすべき役割というものに着目をして、金融庁においてさらに有効な対応がなされるものと考えております。

中丸委員 金融庁について、有効な対応が出されるものと思いますと、今、石破大臣にはお答えいただいたんですが、麻生大臣、大丈夫ですか。

麻生国務大臣 気管支に水を入れたもので、済みません。

中丸委員 ちょっと待っていただいて、とめていただいたらいいです。

鳩山委員長 では、速記をとめて。

    〔速記中止〕

鳩山委員長 速記を起こして。

 麻生財務大臣。

麻生国務大臣 今、銀行に、そんな意味で新しい仕事をということになった場合、一番の問題になるのは、やはり銀行というのは強いんですよ、それが自分でやり始めると、だんだんだんだんそれが大きくなってきまして、ほかの仕事をどんどん侵食していくということになる。しかも金融を持っていますから、それは非常に他業種にとりましては脅威になりますので、銀行に権限を与え過ぎるとえらいことになるという点も考えてやらにゃいかぬところは難しいところだと思います。

 お聞き苦しくて済みません。

中丸委員 わかりました。

 そういう難しいところがあるということは今の御説明でよく理解させていただきました。あとはそういったバランス感覚が大事なんだろうと思いますので、ぜひとも今後の検討材料の一つとしてお考えいただきたいと思います。

 この地方創生の、新聞等々でにぎわわしてきた市町村消滅論、自治体消滅というデータが、自分のところは減少率が五〇%を超えているとかという、この減少率データのもとになったのは日本創成会議が出されたデータだろうというふうに思うわけですけれども、このデータでいくと、地方都市の八百九十六の自治体が消滅の可能性があるというふうに言われているわけです。

 データの前提条件になっているものは二〇一〇年の国勢調査によるものであり、その中で、二十から三十九歳までの女性の人口を計算してはじき出したものであるというふうになっているんですが、これは高市総務大臣にお伺いしますが、このデータというのはどういうふうに捉えられていますか。

高市国務大臣 国勢調査は、日本に居住される全ての方を対象にして、五年ごとに実施されております。そして、調査の結果は、報告書や、それからまたインターネットでも公開をいたしておりますし、例えば衆議院の小選挙区の区割りの画定ですとか、それからまた民間でも広く活用されています。国や地方公共団体の施策を決める上でも活用されています。

 ですから、日本創成会議の今回の発表ですけれども、このオープンな国勢調査を一つのデータとして活用していただいた上での結果だと思っております。

 ただ、ちょっと、今おっしゃった数字も含めてですが、この結果を用いて、二〇四〇年に若年女性の人口が五割以上減少する市町村を消滅の可能性のある市町村ということで、その数を八百九十六と指摘されたということは極めてショッキングであります。

 ただ、これは一定の前提条件がありまして、地域間の人口の移動が将来も収束しないという仮定が置かれておりますので、何もしなかった場合にはこういう可能性がある、しかし、今手を打てばまだ間に合う、また新たに地方が発展していく可能性がある、こういうふうに私は読み解いております。

中丸委員 私は、このデータはちょっと極端かなと思っております。

 先ほど大臣もおっしゃられたように、これは二〇一〇年の国勢調査です。当然、一一年以降のUターン、Iターン、こういった数は全く反映されておりません。それともう一つ、このデータの一番の問題は、女性の人口だけで算出しているんですね。ということは、これは若い男性がお嫁さんをもらってくるということが全く計算に入っていないですよ。この人口をもとに地方は怖い、地方が怖いと言うのは、蛇縄麻といって、夜落ちている縄を見たら蛇じゃないかというようなものだと私は思います。

 というのが、このデータを見ながらいろいろ考えてあるところで、石破大臣の鳥取県のお隣の島根県に、日本で唯一だと思いますが、中山間地を専門に研究する機関、中山間地域研究センターというのがございます、御存じかどうかあれなんですが。そこの担当の教授といろいろ情報交換をしてまいりまして、その中で安倍総理が所信でも述べられた海士町の話が出ていまして、この海士町をそこの研究センターが、創成会議の人口分析によるとマイナス六四・三%というデータになるという結果が出ていたんですが、実際に今のデータでいくと、二〇四〇年よりも二年早い二〇三八年にプラス・マイナス・ゼロ、人口が全く減らないというデータが出ているんです。

 創成会議さんには申しわけないですけれども、いかに偏ったデータであるか、現実に即していないかというのを理解していただく例としてこれをひとつ考えていただきたいと思うんですが、石破大臣、どういうふうに受けとめられますか。

石破国務大臣 ここで何でその数字が違うんだろうかというのは、それはもう、統計の基礎となったデータが違えばそれは数字は違う。今総務大臣が答弁いたしましたように、人口移動の傾向の捉え方が違うということになりますと、それは数字は違います。

 ただ、私は、去年の十一月でしたかしら、中央公論の十二月号に出た増田寛也さんのあのレポートを見て、それは、数字はいろいろな考え方があるんでしょう、しかし、私自身が思ったのは、少子高齢化という言葉を一くくりにするなと。高齢化が進んでいるので人口は減らないように見えるけれども、その高齢化というものが、人は不老不死ではないので、そういう人がいなくなったときに一気に人口は減るのだということは、私は事実としてあるんだろうと思います。

 私はあれを見てはっと思ったのは、少子高齢化という言葉で、高齢者の方が長生きしていただけるようになりました、だから人口は減らないように見える、しかし、あるときを境にして一気に人口が減り始めるというのは、数字はともかくとして、傾向としては私は事実ではないかと。

 むしろ、数字に一喜一憂するよりは、その傾向をどのように考えるのか。そして、東京に人が集まる、それは別に悪いことだと決めつけるつもりはありませんが、そこにおいて人口再生産が図られないということをどう考えるか。そういう事象としての指摘として、あの増田リポートというのは大きな価値があるものだと考えております。

中丸委員 東京に人口が集まると何か東京だけが得をするようなイメージもあるのかもしれませんが、人が集まるということは、ビジネスの環境としてはよくなるとは限らないんですね。簡単に言えば、道路が混雑して時間のロスがふえる、家賃が上がる。では、東京がそれだけ世界的に見てビジネスの中心都市としてのレベルが高いかというと、意外とそうでもないという事実がある。これは石破大臣も御存じだと思いますけれども。

 先ほどの海士町のデータは、統計の仕方が違うのではなくて、実はこれは同じ二十から三十九の女性の人数をもとに算出してゼロ%になっているんです。だから、基本的な方法は一緒です。

 ただ、今大臣がおっしゃったのは非常に重要な点だと思っていまして、統計をとったり今後その検証をしていく上での計算式、統一フォーマットをつくっていく必要があるんじゃないかと私は思うんですけれども、それも、各自治体ごとにばらばらの統計ではなくて、一定の方程式というのを、これは国がつくるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それは、これから総合戦略を考えるときに、計算式がばらばらだと話になりませんので。また、私どもが各自治体宛てに提供いたしますデータにつきましても、これはこうやって読んでくださいねということ、そしてこの数字はどういう形でこういう数字が出てきましたかということ、それをできるだけ統一しませんと、全体の政策が整合を持ちません。

 そこはなるべく同じような手法を用いてこれから先の将来図を描いていただくということは、我々がよく留意をしなければいけないことだと認識をいたしております。

中丸委員 それで、私は別に日本創成会議に恨みがあるわけでも何でもないんですが、創成会議が提言する三つの基本目標、これも非常に大きな影響を与える提言になっているんだろうと思うんです。一番がストップ少子化戦略。少子化をとめましょう。二番が地方元気戦略。若者に魅力のある地域拠点都市を中核とした新たな集積構造をつくりましょう。人口三十万から四十万ぐらいの都市を想定しているということなんですが、こうすると、ではそれ以下のちっちゃいところはどうするんだという話が出てくるわけでございますけれども。それと、あとは、女性・人材活躍戦略。女性や高齢者の活躍促進、海外人材受け入れ。我が党は当然移民には反対でございますのであれなんですが。こういった意見が出て、それも一つの参考にはなっていると思うんです。

 実は、私の選挙区に安芸太田町というところがありまして、これは創成会議の予測データでいくと、何とマイナス七一・七%、ほぼ壊滅に近いぐらいの数字がはじき出されているんですが、そこでやっている取り組みで、実は成功している例があります。

 それは、何かをやったとかいうよりも、まず数値化して、定住目標を町として持つのではなくて、一つ一つの自治会、町内会ベースまで細分化して落として、これを実際に設定して、では、あなたの町の町内会はことし一年間で一世帯何とかしましょう、そのために、例えば森林セラピーであるとか民泊とかいろいろなことをやるわけなんですけれども、それで見学に来た人を町じゅうが迎えるわけです。よくぞ見に来てくれました、うちではこんな畑も使えます、こんなのもあります、町じゅうで迎えるんです。それはなぜか。その町に、ことしは一世帯ね、ことしは二世帯ねと目標を掲げます。これをクリアしたところは、この人口増加の数字を減らさないで、最低でも現状維持、実はふえたりもしています。

 これはもちろん全ての町で成功しているわけではないですが、実際、こういう取り組みでは、会社でも、営業所ごと、もしくは商品の担当ごと、細かく細分化して、営業マン一人に、あなたは今月は幾らですよ、ことしは幾らですよという目標がつきますよね。絶対、大きく持つんじゃなくて、目標を細分化する。

 定住目標、要は住んでもらわなければいけないわけですから、定住目標の細分化についてどのようにお考えか、石破大臣、お聞かせください。

石破国務大臣 なるべく細分化したいと思っております。国から見たってわからぬことはいっぱいあって、私はやはり、地方創生を議論するときに、主体となるべきは市町村だと思っておりまして、市町村を超えますと目が届かなくなります。それぞれの市町村において、今委員御指摘のように、それをさらに細分化して、どうやって人をふやしていくんだねということ。

 まさしくおっしゃるとおりで、二十代、三十代、中には十代でお子さんを産んでくださる女性もあれば、四十代で産んでくださる方もあるのですけれども、主に二十代、三十代だとしたときに、どうしたらその人たちが来てくれるか。高学歴に女性がなればなるほどなかなか地方には帰らなくなるという実態は広島でも私の鳥取でも一緒でありますが、どうやったら若い女性に帰っていただけるかとか、なるべくターゲットを絞ってやっていかないと、とにかく幾らふやせとかそんなことを言っても、実現はまず難しいんだろうと思っております。

 今のお話、またよく私どもも研究をさせていただいて、それぞれの地方で目標を立てるときに参考に供させていただきたいと思っております。

    〔委員長退席、後藤(茂)委員長代理着席〕

中丸委員 実は、イングランドでは一九八一年から二〇〇二年の間に田園回帰という人口の流れが始まっておりまして、都市から田舎に人口が流出し続けるという現象がもう起こっているんです。これは、もちろん環境がいいだけではなくて、犯罪が少ないとか、地域社会への参加が非常に容易である、こういったことが要因にはなっているわけなんですけれども、これを日本に置きかえたときに、では、その種、うねりはあるかないか。

 先ほど地区ごとのという話をしたので、一つ、島根県のデータとして。一つの定住の呼びかけの言葉は、田舎の田舎に次世代定住。まさに次世代の党が言いそうなのですが、私どもがつくったわけではないんですが、田舎の田舎に次世代定住ということで、四歳以下のお子様がふえたかどうかというのをやると、島根でも松江とかそういう都市部ではなくて、本当の田舎、とことん田舎と言われるようなところで人口がふえたところが、実は三分の一以上あります。三分の一以上あるんですね。減っている減っていると言われているのに、実は三分の一以上ふえているんです。

 こういうデータ、総務大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 委員がおっしゃったイングランドの田園回帰の動きでございますけれども、明治大学の小田切教授のレポートを私も拝読いたしております。

 やはりイングランドの方々にとって、若いころは都会に住んでいても、年をとったら田園地帯に住みたいんだ、そういうライフスタイルに関する考え方ですとか、都市の治安の悪さであったり、さまざま社会環境の違いもあると思うんですけれども、先ほどおっしゃった島根県の例と共通しているのは、やはり地域の住民が参加して人を呼び込むぞという、この動きだと思います。

 イングランドも、かなり遠隔地の農村ではちょっと厳しい状況もあって、農村対策は重要課題でありまして、むしろマーケットタウンという一定の都市機能を備えた農村などが大変な人気になっている、このように伺っております。

 島根県も、邑南町も成功しているようで、定住するための支援員を配置されていて、ことしからはコーディネーターと支援員ですね。もともとコーディネーターを配置しておられて、移住してこられた方、またこれから移住される方に情報提供をされていた。また、六月から支援員という形で、今度は地域の方と移住者をつないでいく、こういう取り組み。これもやはり行政の力だけじゃなくて、そこに住んでいらっしゃる住民の方が力を発揮して、町に人を呼び込むぞ、こういう流れが大事なんだろうと思っております。

中丸委員 本当に、まさにその地域の人。特に、集落が小さいと、新しい人が入るとどうしても、やはりよそ者、空気感が違うとかそういう問題もあったりするので、初めに迎えるときに地域が迎える。そして、迎えた場合、孤立させないように。

 益田市の匹見町の道川地区なんかですと、この五年間で小学生が五倍になっているんですよ。といっても、もとが三人が十四人になったんですけれども。ただ、そうはいっても、五倍は五倍なわけですから。

 では、何をやったかというと、子供のいない家庭も含めて、移り住んだ人全員がPTAの会員になります。神楽を一緒にやります。地域の文化、伝統、そういったもの、それから子供の教育環境を考える、こういったことを地区全体でやります。

 そして、先ほど申し上げたようなデータで、成功しているところに共通項があるのは、中途半端な田舎でないこと。中途半端な田舎はだめなんですね。中途半端な田舎でなくて、とことん田舎である方が受けがいいわけです。

 それはなぜかというと、先ほど、やはり都会から、年をとったら田舎に住みたいと。でも、実は地方の人は、年をとった人が田舎に来てほしいわけじゃなくて、若い人にも来てもらいたいわけですね。特に、子供のいる人とか、今から子供を産んでいただける人。

 そういう意味では、その人たちが今まで、都会の中で経済競争、出世競争に明け暮れるだけじゃなくて、本当に人と人とのつながりの中で日本人のよさを体感できる場所を選んで来てもらうというところで、簡単に帰省できない、一回そこに住むと、そうはいっても頑張らぬといかぬなと。いや、実はふえているところは全部そうなんですよ。これは統計のデータがありますから、公立の機関がやっているわけですから、ぜひとも調べていただきたいと思います。

 そういった挑戦があって、実績が出ているということをひとつお考えいただければと思うんですけれども、この考え方の中で、全部やると時間が足りなくなるので、ちょっと大切な部分だけ抜いていきたいと思います。

 要は、地域の活性化というのは、お金の使い方から、今まで、例えば都会と田舎と同じ感覚でお金を使っている、これに大きな一つの問題があるんだろうという意見がございました。というのは、一年間の食費の支出を見たときに、当然、例えば東京と沖縄で比べてもわかるように、都会の方がお金がかかるわけです、生活するのに。家賃、さまざまなもの、物を買うにしても。

 その中で、食費を見たときに、例えばアルコール飲料というのは一〇〇%その町から外にお金が出ていきます、当然ながら、地ビールでもない限り。意外なのが、外食もなんですが、学校で使う給食も、実はお金が外に出ていっているんです。要は、よく地産地消といいますけれども、その地域の中で、お金をいかに出さないか。これは、ヨーロッパで成功している例は、ほとんどそこから始まっています。

 消費額で見たときに、そういうところは、給食でもうパンをやめちゃおうと、極論を言えば。つくるんだったら米粉で、自分のところの米でつくりましょう、こういったこと。それから、例えば小学校の机はスチールの机だったりスチールの椅子だったりします。山があるところだったら、木を切ってつくればいいじゃないですか、自分のところで。そういったこと、そういう細かいことなんです。

 例えば、その町のGDPで考えたときに、その一%を域内に置くだけでそこの財政は劇的に変わるはずです。一%というのは、先ほど申し上げたような少しずつ小さいものを行っていく。そのために、すぐ、では道の駅をつくりましょうとかになるんですが、実はそうじゃなくて、地元にも小さなお店とかスーパーはあるんですよね。

 成功している例でいいますと、地産地消をするためにスーパーが一角を貸しました、ただで。そのかわり、スーパーも商売ですから、売れたら二割は下さいねと。要は、成功報酬式でスーパーが場所を提供したんです。そうすると、五年前に地産地消率が八・四%、これは株式会社キヌヤというところがやっていたんですが、そこのキヌヤさんに置かせてもらえることによって一四・五%で、野菜の消費率が、地産地消率が六・一%、金額にして七億円、域内の流通が変わるんです。

 国の単位で考えると七億円というのは小さなお金かもしれませんが、小さな行政、自治体においては非常に大きいんです。こういう積み重ね、域外流出している一%を取り戻すだけで、計算上によると年に三百三組の新規定住が可能になる、高津川地域、人口七万ぐらいのところでは。一%取り返すと三百三組の新規定住が可能になるという数字もはじき出されているわけです。

 こういうふうに考えていくと、この一%、まあ二%なり三%でもいい、実際これをやっているのが、例えば、土佐清水市は、四百組の中学校の机、椅子を千百六十二万で市内で調達しました。さっきのヨーロッパの話で、イタリアなんかは、やはり手打ちのパスタ、伝統チーズ、あと、まき、それからドアに使う建具、こういったものも木製にして、地元で地産地消すると。

 徹底的にやれば、こういう細かい数字を集めると、実はこれは大きな形になるというふうに思うんですけれども、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 そのとおりです。

 ですから、リゾート地に夏場だけお店が出て、来る人も東京の人、売っているものも、メード・イン・チャイナかメード・イン・コリアか何か知りませんが、売っているものもよそのもの、もうけたお金も東京へ行くというのは、何となくにぎわっているように見えるんだけれども、その地域にどんな経済活性化をもたらしたかというと、落ちたのはごみだけみたいな話になるわけでありまして、そういう地産地消みたいなものを積み重ねることによって地域の経済が急に活性化するというのはそうなんだろうと思います。

 それから、委員のお話は大変示唆に富んだお話が多くて、半端な田舎、半端ではない田舎というのはどこを指すのか私にはよくわかりませんが、鳥取県は半端でない田舎かどうかは存じませんが、私の地元でも、何だか知りませんが移住者が急増いたしておりまして、それは二十代、三十代が過半を占めているということであります。

 高齢者の方々が来ていただく。どの方に来ていただいて、どの方に来ていただかないというようなことは間違っても申しませんが、やはり若い方にも来ていただきたい。高齢者の方も、人生もう一ステージあるんじゃないかという方々にもお越しいただけるような、そういうどの世代の方々に何が提供できるかというのを考えるのは、それは地方の側であって、それをどういうふうにして発信をしていくか、そういうシステムを整えていきたいと思っております。

 いろいろ御教授、まことにありがとうございます。

    〔後藤(茂)委員長代理退席、委員長着席〕

中丸委員 ありがとうございます。

 そういう中で、食料品とか、机、椅子もそうなんですが、そういった子供さんのおられる子育て家庭で一番大きな、何かさっきガソリンの話も出ていましたが、実は、やはり電気、ガスの光熱費なんですよね。

 光熱費は、当然、そこの町から電力会社、ガス会社に対して支払われます。ということは、これも域外流出する費用なんです。これで、俗に言うエネルギーも地産地消、これは実は域内に対して、さっきの野菜の話もありますが、物すごい大きな金額になります。

 日本の国土の七〇%はもちろん森林でございます。先日、八月の二十日に、私の事務所のある、選挙区のある広島市安佐南区、安佐北区で大きな災害がありました。そういった中で、これは、もちろん治山ダム、こういったものも必要でしょう。治水対策も必要でしょう。ただ、森林をきちんと管理していけば、しっかり根を張るということでの治山もできるはずなんです。そう思って、きょうは西川大臣にお越しいただきました。

 この林業を、中国山地、これは裏と表で、私のいる広島と反対側で、中国山地ですから、石破大臣のいる鳥取も……(石破国務大臣「裏じゃないよ」と呼ぶ)失礼しました。では、日本海側と瀬戸内側ということですね。そういう中国山地は、いると、どうしても何もないというんですが、実は、何もないということは、何でもやれるということなんですよね。

 何があるかというと、今の防災の面から考えても、この林業を最先端の産業に、よく農業というのが出ます、私は、林業も最先端の産業に。国土の七〇%という非常に大きな資源を持っているわけです。実際、岡山県真庭市の建材メーカーが、CLTで、高層の木材建築に対する規制緩和、かなり実験も進んでいると聞いております。

 まさに、原発の問題もあると思いますが、打倒化石燃料、これと林業、いかにお考えでしょうか。

西川国務大臣 林業を成長産業化させようと我々も頑張っています。今、そういう御提言をいただいて、これはしっかり我々も進めていきたいと思います。

 今のCLTの問題でありますが、なかなかわかりにくい言葉ですけれども、直交集成板ですよね。これがこれからの国産材の需要にどう働くかというのは、大きな決め手だと思います。二十八年に建築基準の告示をやってくれる、それでいよいよ運用が始まるということでありますから、国産材が相当伸びていってくれるだろうと私は思っています。

 それから、木質バイオマスの利用の関係でありますが、少しデータを申し上げますと、主に未利用間伐材等を利用した施設が、現在四件稼働しています。現在はまだ四件です。しかし、今後も全国各地で四十カ所ほど新設される、こういう見込みになっています。そして、この木質バイオマスの熱利用については、既に製材工場などを中心にして千七百程度の施設が設置されております、そちらは。最近は、農業施設にもこれらを導入していこう、こういうことをやっています。

 森林の応援をせっかくいただいたのでありますから、前向きで取り組んでまいりたいと考えております。

中丸委員 前向きに取り組んでいただくと非常にありがたい。

 私は、これはエネルギー革命、今の原発問題、さまざまなこと、トータルで。さきの大東亜戦争は、石油のために戦争が起こったわけです。私は侵略戦争ではないと思っています。石油のために起こった戦争だと思っています。そういう意味で、エネルギーを外部に大きく依存する。我が次世代の党は、エネルギー自給率はやはり、できるできないではなくて、目指すべきは一〇〇%であるというふうに考えます。

 そういう意味では、先ほどから出ていました風力、太陽光、こういったものもあると思いますが、非常に不安定な電源である。私たちは、メガフロートとか、海上、要は島部、島も使って、そういったメガフロート、風力とか太陽光というのは、そのまま電気として使うのではなくて、これを使って水素をつくりましょうと。要は、火力発電を、CO2の問題もありますから、今から水素発電にどんどん切りかえていく、こういった方策も可能ではないかというふうに思いますが、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 だから、それがメーンシステムになるかどうかはわかりません。まだサブシステムではありますが、外的要因になるべく左右されない、それは日本の技術力をもってしてできないことではないと思っております。

 それは、先ほどどなたかの質問にもお答えしましたが、要は、蓄電の技術あるいは電力の制御の技術を日本でもってしてさらに高度化していけば、風力でありますとか太陽光でありますとか、すぐ不安定性だとかコストが高いとか言われますけれども、それをどうやって乗り越えるかというお話でございます。ですから、それを里山資本主義と言うかどうかは別として、つまり、中国山地、表でも裏でも、日本海側でも、太平洋側、瀬戸内海側でもいいのでありますが、そこにおいていろいろなヒントはあろうかと思います。

 先ほど委員の御質問に、ちょっと私、間違った答弁をいたしましたが、鳥取県で若い人たちがふえていると申しました。世帯数ベースでいえば、二十歳代以下が四三%、三十歳代が二三%ということでございまして、過半と申し上げましたのは訂正させていただきます。

中丸委員 今の大臣のお答えにもあったんですが、木を切るというと、環境、どこまで切っていいのか。いろいろな複雑な考え方を、やはり今から特にそういうエネルギー資源として使うとなると、ただ切ればいいというものではないと思いますので、こういう環境面、それから、特にペレット等でCO2を危惧する声もあります。

 きょうは北村環境副大臣に来ていただいていると思いますので、環境面から、こういった水素発電、それからこういったペレットを使った発電というのをどういうふうにお考えか、お聞かせくださいますか。

北村副大臣 先生御指摘のとおりでありまして、いわゆる木質バイオマス発電などによって森林資源をエネルギーとして活用することは、化石燃料の使用を減らしCO2削減に寄与するということから、温暖化対策としても極めて重要というふうに考えているところであります。

 環境省としては、林野庁と連携しながら、先導的技術を活用しつつ、原木の加工、チップ等の燃料の運搬、発電、熱利用等を一体的に行う実証事業等を今鋭意進めているところであります。

 こうした取り組みを通じて、木質バイオマスを含めた再生可能エネルギーの導入を中長期的に着実に拡大し、低炭素社会実現に努力してまいりたいと考えているところであります。

中丸委員 それから、さっき災害の話も少し触れたんですが、森林を管理してそういったエネルギーにしつつ、きちんと治山管理をすることによる、災害に対する防災にもつながるというふうに考えるんですが、北川国土交通副大臣、いかがでしょうか。

 森林を管理することが、治山管理が防災につながるというふうに考えるんですが、いかがでしょうかという質問です。

北川副大臣 森林を管理するというのが防災につながるのはそのとおりだというふうに思います。

 これは、今、土砂災害が非常に多いわけですけれども、余りにも森林が密集しますと、根が弱くなって、結局、土砂の流出につながっていく、こういうことであろうというふうに思います。それをしっかり管理することによって、根がしっかり土の中に自生して、そして土の流出を防いでいく、これは事実だろうと思います。

中丸委員 今、一連の町おこし、域外流出のお金を要は域内に押さえるというところから見たときに、先ほどの地域金融というのが大きな柱になってくると思うんですけれども、麻生大臣、地域金融を今のようにトータルで、治山もしながら地域おこしもし、そしてそういった新しいエネルギーも考えていく、これが私は、国防にもつながる、非常に大きな、国として取り組むべき、まさに横串の、大きな夢のある企画だと思うんですけれども、そういったものを、金融面、先ほどの金融緩和、規制緩和ですね、そういった観点からどういうふうに感じられますか。

麻生国務大臣 これは中丸先生、特定の事業分野に関して、金融機関の融資に関してどうのこうのというコメントはちょっとなかなか立場上難しいんですが、一般論として申し上げれば、これは先ほど言われましたように、今、木材というものは、昔と違って、尿素樹脂とかフェノールとか、ああいうものを使えば接着して、先ほどの西川大臣の話じゃありませんが、ほぼコンクリートと匹敵するぐらいかたいものになる。もうこれははっきりした技術がありますから、日本には。それを使ってやりさえすれば、中に木が見えたまま強度も出ます、耐震強度もありますというものが技術的に今できるんですよ。そういったようなものを少なくとも認めてもらう、もっと公認されていくようになれば、元セメント屋としては問題があるんですけれども、こういったようなことを言わなきゃいかぬところが政治家の少々しんどいところなんですけれども。

 いろいろな意味で、山というものは、植林したり、伐採したり、いろいろなことをきちんとメンテナンスする体力がない、人が雇えない等々によって、昔は立派な美しい山だったものが、とてもじゃないけれどもというような山になって、田舎の言葉で山がおりてくるというんですが、山がだんだんだんだん下の方にという形になってきているというのが、よく、さっきの全国七割の地域でいけば起きている、そういったところだと思います。

 こういったことをやるに当たって、どういう産業が今から出てくるかというのは、これは物すごく今から夢のある話だと、私どもにはそう見えるんですが、おたくらぐらいの若い世代の人がもっと真剣に考えるべきだといつもそう思うんです。

 要は、そういったものは、これはいくなというものを見抜ける、金融用語では目ききというんですけれども、目ききの能力があるかないかというのでその金融業の将来は決まる、特定の金融企業の将来は決まると思っているんです。

 ぜひ、そういった意味で、目ききを育てる。目ききというのは失敗もしますから、失敗したときの責任もとらなきゃいかぬ、両方やらなきゃいかぬというところがしんどいところなんですけれども、そういったときに安全パイだけをやっていると、先はもう人口減で食えなくなるんだから、これはやらなきゃしようがないでしょうがというようなものが、その地域でうまく組んでやらせるというところが、これから金融業が生き残っていく意味で、特に地域の金融業にとっては最も大きいところかなと、私自身はそう思っております。

中丸委員 時間になりましたので、最後に、質問したかったことだけ申し上げて、答弁はよろしいので、申し上げておきます。

 この地域再生法を一部改正する法律案もそうなんですが、これをやるには、今まで地域再生計画が、非常に多くの計画が立てられております、こういったものを、ぜひとも我が党は、修正案として統合していただきたいと思います。場合によっては、必要ないものは廃止していく。それから、少子化社会対策基本法、高齢社会対策基本法、こういったばらばらの法律があるもの、これも統合していく必要がある、共通化していく必要があると思いますので、ぜひとも今回の法案は修正も含めてお考えいただきたいことを申し上げまして、次世代の党中丸の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木であります。

 地方創生について、しばらく質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、最初に総理からこの地方創生ということを聞いたときに、ある意味で、年がいもなく、わくわくしました。どういうことかと申し上げますと、私は、まさに地方の声を何としても国政に届けたい、そして地方を本当に豊かな、人々が安心して住める地域にしたい、そういう思いを抱いて国政に参画をさせていただいたわけでありますが、最近はどうも政局の鈴木みたいな形になっておりまして、非常に心痛めておりますが。大変御無礼しました。要らぬことを言うと叱られますので。

 本当に、そういう意味で、ぜひ石破大臣としばらくの間、この地方創生、地域問題について議論をさせていただきたいというふうに思います。

 地方とは何か。そして、地方創生をするためには何が問題なのか。そしてまた、何をすれば問題が解決するのか。そういうことがまさに一度きちっと整理をされる必要があるのではないかな、このように思っております。

 言うまでもありませんが、私は、地方議会、それから地方の首長も経験をさせていただいて、そういった思いの中で、ちょっと長文になりますけれども、ぜひ私の思いを聞いていただきたい。これは、地方に暮らす人々、そして地方の声だというふうに御理解をいただけるとありがたいと思います。

 安倍政権は、地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服することを目標に、地方創生を実現することを大きな政策目標に掲げています。バブルの崩壊が始動して以来、二十五年の時間が経過しようとしている中で、日本経済の低迷は長期化し、とりわけ地方の停滞が目を覆うばかりの状況に陥っていることは、衆目の一致するところであります。

 二〇〇四年に国立社会保障・人口問題研究所は、西暦三〇〇〇年に日本人はこの世に一人もいなくなるという衝撃的な推計を公表しました。これが正しいかどうかはともかく、とりわけ地方の高齢化、過疎化の進行は大変激しい。そしてまた、少子化と人口流出によって、日本創成会議の話ではありませんけれども、八百九十六の市町村が消滅をする可能性もあるというようなデータすら出ておるわけであります。

 こういった日本の全ての地域が活力を取り戻し、未来に向けての明るい展望を持つことのできる状況を生み出していくことが、日本の将来設計において欠くことのできない重要課題であることは、間違いのないことだと考えます。

 そういう中で担当大臣になられた石破大臣に対する期待は本当に大きなものがあるというふうに、まずエールを送っておきたいというふうに思います。

 この意味で、日本政府は、地方の活力を回復させ、少子化、高齢化の進行に歯どめをかける抜本的で有効な方策を直ちに実行に移していく責務を負っていると言わざるを得ません。

 私は、地方の活力を取り戻す、とりわけ地方における少子化と高齢化に歯どめをかける施策が極めて重要な政策課題であることに強く同意するものでありますが、安倍政権が今推進しようとしている具体策については強い疑念を抱かざるを得ない、このように考えております。

 大臣に伺います。

 今なぜ地方創生なのかという原点に立ち返って問題の根源を見詰めることが必要でありますが、この視点をなくして、ただ単純に地方に予算をばらまけばよいとの発想は、問題の根本的な対策にならないだけでなく、地方の体質をさらに弱体化させてしまうものになりかねないと危惧いたします。

 大臣の御所見を伺います。

石破国務大臣 地方にお金をばらまけばいいとは全く思っておりません。

 何で今なのかという委員の御指摘ですが、多分、これが最後の機会ではないかという危機感を私自身持っております。

 私も議員を二十八年やっておりますが、かつての、私が議員になる前、日本列島改造論とか田園都市構想とかありました。当選一回のときには、ふるさと創生というのがありました。それなりにユニークな考えでしたし意味もありましたが、そのときには、これをやらないと日本が大変なことになるという危機感はやや希薄であったように思っております。

 今、地方もどんどんと衰退に向かって進んでいると。ただ、それは時間差を置いて東京でも起こることなのであって、地方とは何かというような議論はまたさせていただきたいと思いますが、東京が大変ハッピーかというと、東京も決してハッピーではないわけでございます。

 地方と言ったときに、人口がふえているところ以外のところみたいな考え方は、それは余り正しくないのであって、東京でも豊島区なぞというのは人口が減るということに相なっております。地方と東京というもの、あるいは東京とそれ以外の地域がお互いにウイン・ウインというか、ハッピーになるような、そういう関係を築くというのは、多分、今が最後だろうと思っております。

 二十代、三十代の女性の方の数が物すごく減る、そして女性の方の晩婚化が進んでおりますので、そのことの価値観を云々するつもりはございませんが、晩婚化が進むとどうしてもお子様は一人ということになってしまう。そこをどうやったらば二人、三人にしていただけるだろうかということは、ありとあらゆる知恵を絞っていかねばならないのだし、それが時間的には多分今が最後だろうという危機認識を持っておるところでございます。

 だから、金をばらまけば何とかなるんだったら今までどおりやればいいのであって、もっと金をふやせばそれはいいのであって、そういうような手法が正しいとは私は全く思っておりません。

鈴木(克)委員 大臣のお考えは、ある意味でよくわかりました。それだけに、本当に最後のチャンスということで、大臣の背負っておる責務というのは非常に大きいということを一つ、改めて私も訴えさせていただきたい、このように思っています。

 それで、この問題を解決するということについて、大ざっぱに言って三つの視点があるというふうに思っています。それもちょっと申し上げておきたいと思います。

 この三つの視点の第一は、結婚をして、子供を産み、子供を育てるという国民の自発的な意思、意欲、希望を生み育てる経済環境を整備するということが大事だというふうに思います。

 政府が幾ら産めよ育てよと号令をかけたところで、主権者である国民が自発的に、結婚し、子供をもうけようとし、子供を育てようとする意思、意欲、希望を持たない限り、号令は何の意味も持ちません。

 地方の少子化、高齢化が進行している根本的な原因に、地方に暮らす人々が置かれている現在の経済状況が存在します。この経済状況に目を向けず、机上の空論で、号令だけをかけたところで、事態の改善は何も見込めないのであります。

 第二の視点は、地方に暮らし、地方で活躍することに対する夢、希望が付与されることであります。

 若い人々を中心に人口が地方から都市へ移動する最大の理由は、地方に暮らすことの魅力が低下していることであります。地方に暮らしてよかった、地方に暮らしたからこそ得られる喜びの実感が共有されて初めて、人口の地方定着、地方への人口移動が促進されるものと考えます。地方の将来に夢と希望を与える施策を整備することが必要不可欠であります。

 第三の視点は、地方で暮らすことに伴う将来不安を取り除くことであります。

 地方に存在するさまざまな産業が将来にわたって永続できる明確な見通し、ビジョンがなければ、地方に基盤を置いてじっくりと経済活動を行うことは不可能になります。

 TPPなどの新しい枠組みに日本が組み込まれることとなると、当然のことながら、地方における経済活動が深刻な影響を受けることになります。先行きに対する確固たる見通しが立たない状況のもとでは、地方に基盤を置いて経済活動を本格的に展開する事業意欲、居住意欲はいや応なく抑圧されてしまうのではないでしょうか。

 地方に暮らす人々が安心して結婚、出産、子育てに進んでいけるための経済環境の整備、地方に暮らすことの希望と夢の付与、地方の経済活動に対する明確な将来の見通しの提供、この三つの視点を欠いた施策は、単なる予算のばらまき、一瞬の放漫財政によるあだ花に終わってしまうものと考えますが、先ほど、ばらまきはしないということをおっしゃいました大臣、もう一度御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 結局、あれこれ考えてみるのですが、まち・ひと・しごとと申します、まち・ひと・しごと創生法案というのを今御審議をお願いしておるところでございますが、まず仕事なんだろうねと思っております。

 地方は、確かに、空気もいい、食べ物もおいしい、人情も豊かだ、しかし仕事がなきゃどうにもならぬじゃないかということで、やはりまず仕事が先に来るんだと思います。仕事がなければ人は来ない、人が来なければ町は維持できないということで、地方において仕事だということは論をまたないのだと思います。

 今、地方において人手不足というのが実は起こっておって、人手不足というのは都会の話でしょう、地方の話じゃないんでしょうと言われたんですけれども、今、地方で人が足りない。

 では、有効求人倍率が一・〇を超えているのに人手不足とはどういうことだ、こういうふうに言われますが、そこは委員がおっしゃった核心で、仕事はあるんだけれども不安定だよね、仕事はあるんだけれども給料は低いよね、仕事はあるんだけれども何となくやりがいが持てないよねということがありまして、地方の仕事にどうやって安定性と安定した収入と、そしてやりがいを付与するかというのに私どもは全力を傾注しなきゃいかぬのだろうと思います。

 そのときに、単に金をばらまくだけのことをやっていて、やりがいのある仕事や、安定性のある仕事や、安定した収入というのが得られるかといったら、決してそうではない。その地域地域の方々が、これをやってもらいたいんだ、これを助けてほしいんだ、これを支援してほしいんだということをおっしゃっていただいて、主役は地方だ、国は余計な邪魔をせずに、それを全力でサポートするということだと思っております。

 委員は市長を御経験ですので一番よく御存じかと思いますが、地方は国にこれをしてほしいんだということを遠慮なく言っていただく。それがかんにさわったから意地悪するとか、そんなつもりは全くございません。

 地方において何が一番喜ばれるのかということですが、同時に、地方が主役であるからには地方にもきちんとした責任を負っていただくということは、地方の方々もおっしゃるところであります。

 その明確なプランと、そしてまた権限や財源の移譲と、国のお手伝いと、そしてまた、それに対する、地方自治の精神、民主主義の精神にのっとった責任の所在の明確化、検証のシステムの確立、そういうものが一体となって必要なのであって、ばらまけばいいとは全く思っておりません。

鈴木(克)委員 今、大臣のお話を聞いておって、御答弁いただけるかどうかはともかく、一つ思い出しましたことがあります。

 私が市長をやっておった町ということになると多少手前みそになりますので、ある町というふうに置きかえさせていただきます。

 ある町の中央に公園がありました。そこは、場所はいいんですけれども、余り人が寄らないんですね。それは、低木の木がずっと密生していて、何か昼間でも近寄りがたい、ある意味では怖いというようなところだったんですね。そこを、少しにぎわいのある、みんなの寄れるところにしたいということで、ある市長が、市長でも何でもいいですが、アイデアを募集しました。あなた方はどういう公園にここを変えたらいいと思いますかということで、小学校、中学校に絵を描かせたんですね、こういう公園がいいということで。結論から言いますと、花公園がいいということになりました。

 では、花公園をつくろうということになりまして、木を全部取って築山をつくった。そこまではいったんですが、では、誰がその公園を管理するのか、どういうふうに花公園をつくるのかという話になって、実はそのときに、結論を申し上げますと、市民の皆さんにやってもらおうということになりました。

 市は、花の苗と、それから手袋、軍手ですね、それとシャベル、それと、じょろだけは提供します、そのかわり、あとは自分たちでやってくださいということで、中には設計の得意な人がいまして、こういう築山がいいんだと言う人もいました。それに基づいて、その人がリーダーシップをとって、その町をやりました。今でも、現在、草が生えると、町の人たちが出てその草を取っています。

 これは、恐らく、予算でいけば、百分の一とは言いませんけれども、十分の一では上がっていると思うんですね。まさにここなんですね。地方をつくっていく、町をつくっていく、やりがいをつくっていくというのは、ここに私はポイントがあると思うんです。

 今までは行政が何でもやり過ぎるんです。市役所が絵を描きます、そして市役所が工事を発注します、そして地元の工事屋さんにやってもらいます、できた公園は、市の職員が草を取ります。そういう公園に本当に市民が愛着を持つかどうかということなんです。

 もちろん、大きな公園であれば、地域の人だけではできない部分もあります。しかし、規模によっては、そういう形の方がはるかに地域の人たちに喜ばれ、やりがいがある、そういう公園が実はできるんです。私は、そういうことを実際に体験してきております。

 地域創生というのは、まさにそこにあるのではないのかな。お金だけではない、本当に自由に裁量を持たせて、自由に夢を持たせてやるということが私はポイントになってくるというふうに思うんですけれども、大臣の御所見を下さい。

石破国務大臣 ありがとうございます。

 その地域の人が誇りを持たないで、人が来るということは、余り考えない方がいいんだろうと思います。名物にうまいものなしというのはひどい話でありまして、来るなと言っているような話でありますから、その地域の人々がその地域に誇りを持ち、愛着を持つからこそ、人は来てくれるんだということであります。

 委員が御指摘の公園にしても、自分たちの公園なんだよねという意識がある。だから、お金もみんな公が出し、管理も公がし、地域住民は文句だけ言っているというのは、絶対そんなものは長続きしないのであって、その地域の人たちが、いろいろな施設であっても、あるいは観光地であっても、食べ物であっても、これって自分たちのものなんだよねという誇りを持つということが地方創生の一番のポイントじゃないのか。

 それを何となく人ごとみたいに思っておって、その地域に人が来るはずもないし、お金が入ってくるはずもない。それでも人がたくさんいたうちはいいんですけれども、このままいくと人口がどんどん減り始める。定住人口が減る中にあってどうやって交流人口をふやすかということを考えなきゃいけないときに、その地域の人たちが、自分たちの施設であれ、あるいは名物であれ何であれ、誇りと愛着を持つということが根本だというのは、委員に御教示いただいたとおりでございます。

鈴木(克)委員 大臣の御答弁の中で触発されて、予定にないお話をさせていただいたわけでありますが、本当に、そこのところがまさに地方創生の肝になってくる部分ではないのかなというふうに思いましたので、御参考にお話をさせていただきました。

 続いて、少し本題に入りたいと思いますが、弱肉強食ということから、共生というものを基本方針に転換していく必要があるのではないか、そういう視点で少しお話をさせていただきます。

 先ほど申しました三つの視点を踏まえて、地方創生に向けての安倍政権の基本姿勢について質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一に質問申し上げたいことは、少子化、高齢化、活力低下の基本背景に、日本国民の生活環境が著しく劣悪化していることが存在する現状に対して、安倍政権が、これを是正するのではなく、むしろ推進する姿勢を強めているということではないかと思います。

 安倍政権の経済政策は、小泉政権が推進したいわゆる新自由主義イコール弱肉強食奨励の路線を踏襲しているものと理解をいたします。

 各種の労働規制が緩和、撤廃され、労働力の非正規化が激しい勢いで進行してきました。今や、労働者の四割弱が非正規労働者に陥っているのです。また、フルタイムで働いても年収が二百万円に届かないという、いわゆるワーキングプアの状況に陥っている労働者が一千万人を突破しています。

 その一方で、日本の社会保障制度においては、子育てや教育への支援に該当する、家族のカテゴリーに属する社会保障支出が極めて貧困であり、こうした経済環境及び政策の貧困が、少子化、高齢化の重要な原因になっていると考えられるのであります。結果における格差拡大を容認する、あるいは奨励する現在の政策路線を根本から変えることなしに、少子化、高齢化という看板を掲げても、まさに本末転倒であると言わざるを得ません。

 安倍政権の経済政策の基本路線となっている弱肉強食容認のスタンスを共生重視に変更することが地方創生の出発点であると考えますが、この点について、大臣の御所見をいただきたいと思います。

石破国務大臣 私どもは、新自由主義をとるものでもなければ、弱肉強食路線をとるものでもございません。

 ただ、物事には何でも順番があるのでございまして、大胆な金融緩和によって極度な円高を脱することができたということでございます。それによって輸出はふえないではないか、こう言われますが、円建てで考えますと利益は相当にふえているのでありまして、要は、それをどのように還元するかということが問われるのだと考えております。また、機動的な財政出動ということによりまして、地域の経済というのが活性化した地域は相当にございます。私の選挙区もそうでございます。

 そうすると、利益を受けるのが一部の人たちだけではないか、特に地方においては、給与は上がっているのですけれども、それよりも物価上昇のスピードの方が速いものですから、かえって暮らしが苦しくなったという地域があることは間違いない事実でございます。

 そうすると、そこの部分をどうやって埋めていくのかということに私どもとして強い問題意識を持っておりまして、全体的な経済政策が誤っていると私は考えておりません。ただ、そこにおいて時間差というものが生じておることは間違いないところであって、そこをどうやって埋めていくかということでこれから配意をしていかねばならない。

 それから、地方と中央において、あるいは大企業と中小零細において、そこに格差が広がっているということは、ある程度時間差を置いていろいろな現象が生ずるものですから、それをどうやって埋めていくかということは極めて重要な課題であり、政権全体としてその認識を持っていると私は承知をいたしております。

鈴木(克)委員 今の御答弁、ある意味では、私は大臣に本当に期待をしてまいりたい、このように思っています。

 弱肉強食ではない、それに属するものではないというお話や、そして、ある意味では時間がかかるんだということについても納得をするところでありますが、それだけに、冒頭大臣がおっしゃった、後はないんだというそのお考えで、しっかりとこの地域創生、そしてある意味では日本再生をなし遂げていただきたい、このことを心から御期待申し上げるわけであります。

 もう一つ、まち・ひと・しごと創生本部が九月十二日に決定をした基本方針を拝見いたしました。そして、その中には、地方の経済成長を促し、人口減少に歯どめをかけることが目的であるかのような印象を受けるわけでありますが、これは、大変辛口で申しわけないけれども、まさに中央の官僚、役人の机上の理論だというふうに思えるわけであります。

 ここが主客転倒にならないように、あくまでも、地方に暮らす人々の幸福の実現、地方に暮らす人々の生活の安定、希望と夢にあふれる生活の実現を目的とし、その実現によって経済成長や人口増加が導かれるという道筋を想定すべきものであると考えますが、この明確化を強く求めてまいりたい、このように思います。

 もし大臣の御答弁があれば、お願いいたします。

石破国務大臣 今、晩婚化が進んだり、あるいは結婚しない方がふえたり、子供の数が少なくなったりしていますが、国民の皆様方が、やっぱり結婚したいよね、できたら子供は二人、三人欲しいよねと思っておられるわけであります。そういう国民の皆様方の夢や希望がどうやったら実現できるかということを考えるのが、委員が冒頭に御指摘になりました我々の責務でございまして、これはもう中央から押しつけるというものではございません。

 そういう国民の皆様方の御希望をかなえられない要因は何なんだろうか、それをどうやったら除去できるだろうかということは地域地域でなければわからないことでございまして、私ども、今回の地方創生をやるに当たりまして、上から目線とか、そういうものは断固として排除しなければならないと認識をしております。

鈴木(克)委員 恐らく最後の質問になるかと思います。まだまだお伺いしたいことはたくさんあるんですが、きょうは経産省にお越しをいただいておると思います。

 地方活性化の一つのポイントというのは、やはり中小企業の活躍といいますか安定といいますか、だというふうに思っています。

 そこで、その点で最後の質問とさせていただきますが、中小企業を取り巻く環境は、人口減少、高齢化、国内外の競争激化といった長年の厳しい状況に加え、近時にあっては、円安であっても大企業の輸出に伸びが見られないことで、地方の中小企業にとっては、原材料費の高騰がそのままのしかかる状況となっています。アベノミクスにより、地方の、重要ではあるが競争力の乏しい農林漁業や零細な商工業がどんどん切り捨てられ、弱体化し、内需がますます萎縮、縮小しております。

 全国町村会がこのたび「農業・農村政策のあり方についての提言 都市・農村共生社会の創造 田園回帰の時代を迎えて」という取りまとめを公表いたしました。これは、農業を中心にということでありますが、結局その中にも、やはり雇用の場、中小企業の働く場というものをきちっとつくっていってもらいたいということが書かれております。

 民主党時代にやられました例の六次産業化、私、きょう取り組みを持ってまいりましたけれども、全国で千九百を超える事例が紹介をされております。本当に地方の人々は、何としても自分たちの地域を守りたいということで必死にもがいているということ、もがいているという言い方は語弊があるかもしれませんが、そういうふうに努力をなさっておると思います。

 そんな中で、この地方経済の活性化ということで、中小企業政策をどのようにお進めになるお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

山際副大臣 委員御指摘のとおりに、特に地方における中小・小規模事業者の疲弊というものは、もちろんこれは政府全体で共有している危機感でございます。

 その中で、地方の中小企業にスポットライトを当てて、どのような支援策を講じていけばいいかということについては、もちろん、何か一つのことをやればそれで全てがうまくいくということではございませんけれども、例えば、今国会におきまして中小企業地域資源活用促進法の改正をいたします。

 この中身でございますけれども、今現在、もう既に、地方に特有の名物、ふるさと名物と呼ばれるものが一万数千あるわけですね。しかし、それがうまく利活用されていないという状況がございます。これをもっとうまく利活用していただけるように、地域の資源を生かせるような枠組みをこの法律を改正することによってつくっていきたいと思ってございますし、もちろん、その他にも、小規模事業者の支援だったり研究開発の支援であったり、全体にかかわっていることですけれども、地方の中小企業もしっかり使えるような枠組みを用意して、全体として地方の中小企業を活性化させていくということをしてまいりたいと存じます。

鈴木(克)委員 もうこれで終わります。

 最後に大臣、私、大事なことを申し上げなかったんですが、我が国は予算の編成が単年度なんですね。これは、地方にとって長期ビジョンや中期ビジョンをつくる上においてまことに問題があるんですね。そのこともぜひひとつ大臣の今後の課題としてお受け取りいただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。

鳩山委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、地域医療について質問をさせていただきます。

 まず、石破大臣に伺います。

 地方創生とはどういう意味なのでしょうか。再生ではなく創生なのはなぜか。

 私は、地方を考えるときに、地域医療はその重要な要素の一つであると考えておりますけれども、本法案との関係で地域医療がどういう意味を持っているのか、認識をお聞かせください。

石破国務大臣 地方創生というのは、今までの考え方、価値観、そういうものを改めていかねばならないという思いを込めて創生と言っております。

 再生ということになりますと、だめになったものを直しましょうみたいな話でありますが、今までいろいろな政策をとってきて、委員とは見識、考え方が違うのかもしれませんが、日本の国は世界でもまれなる成功をおさめてきたと思っております。しかし、その政策が時代に合わないものが出てきた以上は、そこはもう時代に合わせて政策を変えるということが必要だと考えております。

 ですから、だめになっちゃったものを直すというよりも、考え方を変えて、さらに日本をいい国にしていきたいという願いを込めて創生という形にしたと私は認識をしております。

 本法案との関係でどうかということですが、本法案の第二条に基本理念というものを定めております。そこには、「日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスについて、」地域医療も含みますが、「その需要及び供給を長期的に見通しつつ、かつ、地域における住民の負担の程度を考慮して、事業者及び地域住民の理解と協力を得ながら、現在及び将来におけるその提供の確保を図る」というふうに定めておるものでございます。

 法律でございますので、無味乾燥で恐縮でございますが、現在のみならず将来においても医療も含みますサービスの提供の確保を図るということは、この法案に明記をしておるところであります。

高橋(千)委員 地域医療の将来の姿を考えていくということが、この基本理念、今大臣がおっしゃった中に盛り込まれていると思うんです。いろいろな要素が組み込まれている。

 例えば、日本創成会議人口減少問題検討分科会、ストップ少子化・地方元気戦略には、医療・福祉分野の行方が重大な影響を与えるとして、多くの産業が人口、需要の減少に伴いマイナス産業となるけれども、経済圏の規模のいかんを問わず大きな成長が見込まれるのが医療・福祉分野、こう書いているわけですね。その上で、医療・福祉分野は、地方自治体を初めとする財政負担にも大きな影響を及ぼす、こうも書いている。

 つまり、成長分野であるという位置づけと、しかし、さっきの第二条の中にもあったんですけれども、地方財政負担に大きな影響を及ぼす、これはある意味矛盾しているとも思える表現なんですけれども、この描き方によって、どこに力を入れるかということになってくるわけです。

 医師不足と医師の偏在が叫ばれる中で、少ない医療資源を集約して効率化を図ろうという議論はこれまでもされてきました。私は、その中の公立病院をどう考えるかというのが鍵の一つになるのであろう、このように思っているわけです。

 そこで、二〇〇七年から二〇一三年度までの公立病院改革ガイドライン、これに基づく改革がやられてまいりました。このことについては、二〇〇九年二月二十日の予算委員会で、私、当時の麻生総理に質問しているんですけれども、「改革の究極の目的は、公立病院、民間の病院の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることである」、こういう答弁をいただいております。そのときの総務大臣が、実は今委員長席にいらっしゃる鳩山大臣でございまして、「公立病院というものは不採算であってもやらなければならない、地域医療のためにどうしても必要だ。」こういう答弁をいただいたわけであります。

 そこで、きょうは高市総務大臣に、この地域医療を支えている公立病院の役割について、認識に変わりはないのか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 総務省におきまして、平成十九年に公立病院改革ガイドラインを策定しまして、地方公共団体に対しましては、公立病院改革プランの策定を要請しております。ここまで、経営の効率化、再編・ネットワーク化、経営形態の見直し、三つの視点に立った経営改革に取り組んでまいりました。

 公立病院でありましても、やはり経営の効率化を図ることで持続可能な病院経営を目指すということは非常に重要なことでありまして、これによって、良質な医療を継続して提供することができると考えております。

 この公立病院改革ガイドライン、総務省が策定したものですが、この中に、委員がおっしゃったとおり、改革の究極の目的は、公民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図ることであると明示しておりますので、今でもその認識に変わりはございません。

高橋(千)委員 確認ができました。公立であろうとも経営の効率化は必要だとおっしゃった。ただ同時に、不採算の医療を抱えているですとか、地域によってどうしても担わなければならない役割についてもぜひ確認をしたかったなと思って、そこはちょっと残念に思うんですが、しかし、基本は変わらないということを確認させていただいたと思います。

 そこで、骨太方針の二〇一四で、今年度中に新たな公立病院改革ガイドライン、これを策定すると書かれております。つまり、さらに改革が足りないということでしょうか、どのように進めるのでしょうか、伺います。

佐藤政府参考人 平成十九年に策定いたしました公立病院改革ガイドラインに基づいて取り組みがなされてまいりまして、例えば、黒字病院の割合が平成二十年度の二九・七%から平成二十五年度には四六・四%になるという結果もあります。また、病院の再編に取り組む病院が百六十二病院あるというような成果も上がっておりまして、全体とすれば、このガイドラインのもとでの取り組みで一定の成果があったものと考えております。

 ただし、依然として半分以上の病院が赤字であるということも事実でありますし、また、社会経済情勢の変化に伴って、この改革というのは継続的に不断に行っていくべきものとも考えております。

 そうしたことから、総務省におきましては、骨太の方針に基づいて、今年度、新たな病院改革ガイドラインを策定することといたしまして、現在その検討を進めております。現行のガイドラインに基づく取り組みの成果や課題について公立病院改革関係者や有識者などからヒアリングを実施しておりまして、さまざまな意見を伺っております。

 また、現在、厚生労働省におきまして、地域医療構想に関するガイドラインの策定に向けた検討も進められておりますので、この有識者からのヒアリングでの御意見や厚生労働省の検討結果も踏まえて、今年度中に新しいガイドラインをつくってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 例えば、今おっしゃった黒字化が四六・四%、数字を見るとかなり改善しているというか、そういうふうに見えるんだと思うんですね。

 ただ、それがどういう状態になっているのか、つまり、例えば、集約をしたことによって、集約されたもとの病院はどうなっているのかですとか、黒字を図ったことによって、要するに職員の問題がどうなっているのかとか、さまざま検証することがあると思うんですが、これが、また今年度中に新しいものをつくるって、それはちょっと早過ぎるなという印象を強く持ったわけですね。そこで質問させていただいたわけなんです。

 続けて、それがこれからは、地域医療ビジョン、厚生労働省がさきの通常国会で成立させた医療介護総合法の中で都道府県が策定する地域医療ビジョンの中で当然検討されていくことになるわけですので、それについて少し質問させていただきたいと思うんですね。

 今、十月一日から、医療機関による病床機能報告制度が始まっています。締め切りは十一月十四日です。病棟ごとに、どんな現状か、将来はどうかという実態と構想を聞くわけですけれども、高度急性期、急性期、回復期、慢性期、この四つの区分でそれぞれの医療機関から報告を求めることになっております。

 資料の一枚目は、これは、国会中に、さきの国会で出されたものなんですけれども、その流れ、ビジョンをつくるまでの流れを示しています。協議の場を設置するんだと。二次医療圏ごとに必要な医療の機能、何をどのくらいやるのかということを決めていくわけですね。

 そのポイントは、真ん中に、協議が調わず、自主的取り組みだけでは機能分化、連携が進まない場合、知事は、医療審議会の意見を聞いて、不足する医療機能に係る医療を提供することを要請する、一方、稼働していない病床の削減、使っていないんだからベッドを削減しなさい、これを要請するというふうにあるわけです。

 しかし、現在、医師不足のために病棟を閉鎖しているところも多くあります。ベッドが動いていなければ削減するとなれば、やはり、医療過疎を追認して拍車をかけることにならないかと思いますが、厚労大臣の意見を伺います。

塩崎国務大臣 先生御指摘のように、地域医療構想で病床機能報告制度によって医療機関から報告をされた情報等をもとにいたしまして、将来の医療需要と、そして各医療機能の必要量というものを決めていこうということを、それぞれで、都道府県でやっていただくということになっています。

 この病床機能報告制度においては、地域の医療提供体制の現状を把握するということで、そういう意味では、先生今御指摘になられたように、稼働していない病床というのもあるわけで、その数も当然報告をしていただくことになります。

 しかしながら、この地域医療構想は、都道府県の実情というものをちゃんと踏まえて、それに応じた医療提供体制というものを構築することを目的として行われるわけでございますので、今後、それからどうするかということについては、それは今後の地域医療構想ガイドライン策定作業というのをそれぞれ地域でやっていただくわけでありますので、その中でしっかりと検討をしていかなければならないというふうに思っております。

 ですから、稼働していない病床数も当然報告はされますけれども、本当に必要な医療というのはどういうふうな形で提供すべきかということは、またこのガイドラインの策定作業の中で考えていくということでございます。

高橋(千)委員 本当に必要な医療を誰がどうやって決めるかということなんですね。

 今、ガイドラインの検討会でさまざま議論していますけれども、二割減らそう、三割減らそうと、目安となる数字を決めているんですね。それに合わせて実態を見ていくことになるわけです。

 そこが何が問題かといいますと、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、この報告制度における報告、集計の仕組みであります。

 これは、法律には、都道府県が報告を受けて都道府県が決めるとなっているんですが、全国共通のサーバー、つまり、一括でデータを集めることになる。これは、みずほ総研に委託をされます。

 そうすると、今いろいろ言った、稼働していないけれども、それも含めて議論するんだという答弁をしていても、数字しか出ない。そうすると、数字というのはわかりやすくなっちゃいますから、機械的に処理されることになりかねないんですよ。

 なぜ一括なのか、そして、機械的に処理されることにならないか、これはいかがですか。

二川政府参考人 病床機能報告制度についてでございますけれども、病床機能報告制度は、全国知事会初め都道府県からの御要望、あるいは、法案策定に当たりましての検討会を行っておりますけれども、その検討会での議論を踏まえ、できるだけ都道府県、あるいは報告をする医療機関、そういったところの事務負担が軽減される方法で実施するということにしたところでございます。

 そういったことで、医療機関から、厚生労働大臣の委託を受けた者を経由して都道府県に提出をしていただくということでございまして、具体的には、みずほ情報総研株式会社でございますけれども、そちらを経由して都道府県の方に情報が提供される、こういった仕組みでございます。

高橋(千)委員 自治体が事務負担が大変だというのは当たり前なんですね。だけれども、それを理由にして、一括、サーバーに集約されて、本当に実態がわかるのか、機械的にしか出てこないじゃないか、そのことを重ねて指摘をしているんです。

 明確な答弁ではなかったと思いますが、これは次の質問でまたちょっと関係をしていきますので、時間の関係で、続けていきたいなと思います。

 それで、先に総務大臣にもう一回聞きたいんですけれども、先ほどの流れの中で出てきているんですけれども、これは、調わなかった場合、民間の病院に対しては要請なんですが、公立病院に対しては都道府県が指導という形になっております。そうすると、やはりベッドを削減しなくちゃいけないねとなったときに、真っ先に公立病院が削減のツールになるのではという懸念がありますが、どうお考えですか。

高市国務大臣 公立病院でございますけれども、やはり、民間病院の立地が非常に困難な僻地などにおける医療ですとか、それからまた、周産期、救急、災害、こういった不採算もしくは特殊な医療を担っていただいております。これらの医療を提供する役割というのは非常に重要でありますから、これからもその役割を適切に果たしていく、これが必要だと考えております。

 さきの通常国会で成立しました医療介護総合確保推進法、これに基づく取り組みは、公立病院だけが先行して行うようなものにはなっていないと理解をしています。民間病院、国立病院機構など、あらゆる設立主体の病院が医療機能のあり方を検討して、関係者が参加をする協議の場を活用して、連携協力をして、地域における効率的で質の高い医療体制を構築する、これを目指すためのものだと考えております。

高橋(千)委員 利害がぶつかり合う病院同士で協議をしたときに、そうしたことが起きないかという懸念でありました。まさかここで、そうです、先行してやりますとはおっしゃらなかったので、当然だと思いますけれども、ただし、非常に懸念があるということは申し述べておきたいと思います。

 県立病院が二十ある岩手県では、やはりビジョンをつくるときに、うちはもともと県立病院が多いので、そもそもそうなるんだということをおっしゃっていたわけですね。

 ただ、本当にそれで、必要な医療というのがどうなっていくのかということに大変危惧を持っております。

 そこで、資料の三を見ていただきたいんですね。これは北海道なんですけれども、二次医療圏ごとの人口十万人当たりの医師数が地図に落とされております。これは、左の資料の一番下を見ていただけるとわかるんですけれども、十万人当たりの医師数が、全国が二百二十六・五人に対し、全道は二百二十四・六人。この数字だけを見ますと、全国平均と全道平均というのは遜色がないんです。ところが、二十一ある医療圏のうち、上の二つの地区、上川中部、これは旭川を中心とした地域ですけれども、三百十四・九人。札幌が二百七十四・八人。ここに集中して、平均を上げてくれているんだけれども、三位以下は全部、平均より下なわけです。一番下の宗谷は九十・八人。これは深刻な事態になっているんですね。

 この地図を見ると、どういう地域が少ないか。人口が二十万人を割っているというところで絵を描いても、同じような絵になります。これは、北海道に行ってもらってきたものですけれども。これが、患者の流出が二割以上というところとも大体リンクしていて、医師がいるところに集約されていくのではないかということになるわけです。

 資料の四を見ていただくと、そのうち、日高地方を地図に落として、これは二次医療圏の中で患者がどこの病院に行っているかという図なんです。そうすると、外来はまだ線が少ないです。ところが、入院になると激しく移動しております。地域の中で、自治体の中で入院がほとんど完結されないからなわけです。

 私はこの浦河というところにことしの冬に行ってきたんですけれども、札幌に入院をさせると車で二時間。家族がお見舞いに行くのも本当に大変だ、そういう状況なわけです。こういう現状を機械的に見てしまうと、どこかに行っているから間に合っているとなったら困るんですよね。

 そうすると、今、三次医療圏というのは五十二あって、二次医療圏は三百四十四なんです。北海道は六なんですね。つまり、地域医療をどうするかというときに、今、ガイドラインの検討会で、まず、区域をどう設定するかを考えています。そこから検討を始めると、つまり、自分たちの圏域を超えて病院に行っていると。では、それを全部、圏域にしちゃったら、間に合っていることになっちゃうわけですよ。言っている意味、わかりますよね。それでは大変なことに、北海道は六つになっちゃう、そんな意味ではないと思うんですけれども。

 地域医療ビジョン、地域医療をどういうふうに、こういう現状を反映していくのか、伺います。

塩崎国務大臣 この地域医療構想というのは、二〇二五年を見据えて、都道府県が、その地域の事情に応じた医療機能の分化、連携を進めて、質が高く、また、効率的な医療供給体制を構築するために策定をするわけでありますけれども、今先生御指摘のように、現状どうなっているかということと、地域で望ましい医療体制はどうあるべきかというのは、やはりいろいろな議論があると私も思うところでございまして、この地域医療構想では、将来の医療需要と各医療機能の必要量を定める。しかし、それは、どう定めるのかというのは非常に議論のあるところだと思うんです。

 ですから、ちょうど地方創生ということで、石破大臣のもとで、地方を本当に、みんなが東京に集中しないで地域で生き生きと暮らせるようにするためには、やはり医療がちゃんとしていなければいけませんし、今御指摘のように、札幌と旭川に集中して、そこにみんなが、患者さんが行っているという現状を前提にやるということであると、それは間違ったことになる可能性も十分あるんだろうと思うんです。

 ですから、その際に、病床機能報告制度によって報告された地域の医療供給体制の現状とともに、患者の受診状況の客観的なデータというものをもとにした、地域間の患者の流出入などの実情を、先生御指摘のとおり、やはり考慮しなければいけないわけであって、先ほど来お話が出ているように、数字だけ、データだけを見てもわからないというところは私も全く同感でございます。

 では、具体的にどう反映していくのかということでございますけれども、これについては、医療関係者とか、それから有識者、都道府県、患者の代表などで今検討会というのが検討しているところでありまして、流出入などの実情の反映に当たって、地域の医療ニーズに的確に応えられる医療供給体制を構築する視点がこの検討会で不可欠になってくるというふうに思っております。

 こうした患者の流出入の反映方法を含め、地域医療構想策定のためのガイドラインについては、政府としてこの年度内に取りまとめて都道府県にお示しをしたいというふうに思っておりますので、先生、極めて大事なポイントだと思います。

高橋(千)委員 今、大臣、間違ったことになりかねないという趣旨の答弁をされたことはとても重要だと思っております。それこそ、札幌、旭川に集中して、現状はこうだからそれでいいというふうになっちゃうと困るということを言っています。

 地方創生は東京一極集中の打破と言っていますが、結局、地方の中で中心に寄せてしまうというだけではまずいだろう、しかし、今手を打たなければそうなってしまうということで問題提起をしています。

 そこで、その中の打つ手の一つとして、きょうは下村文科大臣にもおいでをいただいております。

 こうした中で、東北に医学部の新設が決まりました。資料の五に認可までの流れをつけましたけれども、現在、東北地方における医学部設置に係る構想審査会が、仙台市内の民間大学一校を認可することが可能だということで絞り込みました。

 民間大学では、やはり、仙台のひとり勝ちになるのではないかとか、学費が高いためにやはり偏って地域になかなか残らないのではないかとか、教員の確保などで人材が引き揚げられてしまうのではないかということで、いろいろな懸念が大きいし、むしろ反対だという声が東北の医師会などからは非常に多いんですね。

 私は、ただ反対だという議論はしておりません。もし設置するんだったら、東北の地域医療に貢献できる、自治医科大学の東北版、そういうイメージであってほしいということを強く述べてきましたし、公立大学に近い経済支援が必要だということも強く述べてきたところであります。

 そこで、八月二十八日の構想審査会では条件をつけての認可というふうな形でおっしゃっているようですけれども、考え方を伺いたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、今回の医学部新設、三十六年ぶりでありますが、既存と同じような形でのコンセプトではなく、東北地区、特に被災地の方々に対する貢献という特別な事例として医学部新設を認めるということにしたわけでございまして、そのために、有識者による専門的、客観的な審査を行ったことによって一つに絞り込むということをしたわけでございます。

 選定に当たっては、東北六県全体の医師偏在解消につながるという観点、それから、教員等の確保に当たり地域医療に支障を来さないかという観点も含めて審査が行われました。この点については、三校からというか、三カ所から応募がありましたが、どの応募者の構想も一定の配慮がなされていたというふうに承知をしております。

 今回選ばれた東北薬科大学の構想については、石巻サテライトの設置や、南三陸、登米等での地域医療実習の実施を通じた地域医療への貢献、東北六県への医師の定着を促す奨学金の設置などが盛り込まれております。

 また、選定に当たっては、教員等の確保に当たり地域医療に支障を来さないことや、卒業後の地域への定着を担保するため、各県、各大学等の代表者による運営協議会を設けて協議を行い、東北六県の医師偏在解消の枠組みを構築し、仙台、宮城への医師の集中とならないようにすることを条件としたところでございます。さらに、地域医療の実習に当たっても、宮城県内だけでなく東北各地域において滞在型の教育ができるよう、体制等を整備することも条件といたしました。

 同大学の医学部設置が、仙台市だけでなく、東北地方全体の復興に寄与するという条件でございますので、そうなるということを期待しているところであります。

高橋(千)委員 結構高いハードルを設けたと思うんですが、しっかりとこれが担保されるように、文科省としても指導、援助をお願いしたい、このように思うんです。

 それで、下村大臣にもう一問伺いたいと思うんですが、資料の最後に、この間、医学部の定員をふやしてきた経緯、全国の経過を書いておきました。全国では千四百四十四名、東北では二百十九名なわけです。

 先日、実は、福島県当局に医師不足や地域医療の問題で実情を伺いに行ったときに、修学資金で援助をする地域枠を五十二名までこの間ずっとふやしてきて、初めてことし卒業生が出たと。ですから、定員の話はずっと議論してきて、そんなすぐには医師は誕生しないんだ、十年かかるんだとか、そういう議論をしてきた中でも、頑張って頑張ってふやしてきて、とうとう最初の卒業生がやっと出た。だから、これから地域に貢献するというときなんですね。だから、その芽が出たときに、いやいや、もうこっちでは医学部ができるんだしということで、これが断たれては困るというのが共通した要望なんです。

 ですから、定員の枠をふやしてきたものをぜひ恒久的な措置にしてほしい、打ち切らないでほしいという強い要望がありますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 医学部定員増の恒久化につきましては、御指摘がありましたように、幾つかの自治体から、期限到来後も定員を維持してほしいという要望はいただいております。

 医学部定員については、毎年度、関係自治体等の要望を踏まえ増員を行ってきており、来年、平成二十七年度についても十八大学、六十五人の増員を行う予定で、各大学から増員計画を受け付けたところであります。

 文科省としては、臨時定員の扱いについては、期限が到来した時点での医師養成数の将来見通しや地域への定着状況等を踏まえ、今後、厚労省と連携し、関係自治体等の意見も参考に検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 残念ながら時間が来ましたので、続きは、厚労大臣、委員会でまたお願いしたいと思います。終わります。

鳩山委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 本日の最終バッターになりました。よろしくお願いをしたいと思います。

 まず、地方創生を実現するためには、やはり何といっても、政治家の信頼なくしてはできないものだろうと思います。そういった意味で、きょうは江渡大臣においでいただきました。お忙しい中、ありがとうございます。

 事実関係だけ質問をさせていただいて、確認をさせていただきたい、このように思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 まず、十月の十八日、まさに小渕大臣が辞任をするかしないかというような大騒ぎがあっているとき、また江渡大臣もいろいろな諸問題を抱えられて、いろいろなクレームが来ているよというような発言もあったとは思いますが、そういう時期なんですが、十月の十八日に江渡大臣は地元で大臣就任パーティーか何かに参加されたでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 十月十八日のお昼でございますけれども、ちょうど地元におきまして、地元の商工会議所とか農協等が、私が防衛大臣、安保法制担当大臣に就任したということで、その祝賀会を主催していただいたので、出席をさせていただきました。

 また、同日夜におきましては、青森県の近隣に所在する防衛省の自衛隊の幹部数名と夕食をともにさせていただいたわけでございます。

 なお、お尋ねの次の日の十九日ですけれども、これは会合には出席しておりません。

 また、これらの会合の出席というものに対して、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範に照らして問題のないものというふうに私自身は認識しているところでございます。

佐藤(正)委員 ああいう時期でしたから、もう少し配慮があった方がよかったのかなということを指摘させていただきたいと思います。

 次に、今いろいろ政治資金の問題が取り扱われているわけでありますけれども、そもそも政治資金規正法は、政治資金の授受を透明化するという趣旨があると思いますが、江渡大臣、どうでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 この政治資金規正法というものは、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするために、その収支の公開等によりまして、政治活動の公明と公正を確保するということをその趣旨とするというふうに認識しているところでございます。このような認識のもとにおきまして、私は、聡友会の収支報告書の点検の結果、その誤りを発見したことから、直ちに訂正を行ったところでございます。

 今般の訂正の経緯につきましては、これまで各委員会におきまして御説明してきたところでございますけれども、引き続き、丁寧に説明させていただきながら、御理解を得られるように努力していきたい、そのように思っているところでございます。

佐藤(正)委員 その資金管理団体から、資金の流れについて、ちょっと何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。

 大臣の資金管理団体から大臣個人へ組織活動費として、平成二十年六月十六日に二百万、平成二十一年八月二十七日三十万、平成二十二年五月二十日に百万、平成二十二年九月八日に百五十万、同年十二月二十二日に百五十万、三年間で六百三十万円というお金が、大臣の政治資金管理団体から大臣へということでありますので、組織活動費には、領収書としては大臣のお名前で載っていると思います。これは全然法に違反をしておりません。ただし、個人の名前でいただいた組織活動費というのは、どのように使われるのかというのは、全く今の中身ではわからないというのが現実であろうと思います。

 今大臣が言われたように、やはり、政治とお金の中で、どういうふうに入って、どういうふうに出ていって、何に使ったのかというのが明確になるべきだろうと私は思います。

 そういう意味では、法には触れてはいないと思いますが、大臣の方が、組織活動費としていただいたものが一体どのように使われたのかというのはやはり説明するべきところがあるのかな、このように思いますが、江渡大臣、どうでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今御指摘の平成二十年分の組織活動費につきましては、政治資金規正法においては、収支報告書の保存期限というものは、収支報告書の要旨を公表した日から三年を経過する日までと定められていることから、実際に聡友会から私に寄附があったかどうかについては確認しがたいということをまず御理解いただきたいと思っております。

 平成二十二年は、聡友会から私に対しまして、組織活動費といたしまして、五月二十日に百万、九月八日に百五十万、十二月二十二日に百五十万ということで、計四百五十万円の寄附がありましたけれども、組織活動費についてはさまざまな政治活動に使用しておりまして、また、政治資金規正法に基づいて適正に扱わせていただいております。

 なお、この組織活動費につきましては、ただいま委員から御指摘があったように、さまざまな議論があるために、平成二十三年以降は、この当該の経費を受け取っておらないということを御報告させていただきたいと思っております。

佐藤(正)委員 平成二十三年からは受け取っていないということでありますが、基本的には、今大臣も私と同じ認識を持たれて、二十三年からは、そういう組織活動費としての支出はしていない、大臣に対して支出をしていないということを確認できましたけれども、ちょっと言うならばグレーかなというふうに見えるような感じがするものですから、指摘をさせていただきました。

 次に、もう数点だけ事実確認をさせていただいて終わりにさせていただきたいと思います。

 大臣が代表を務められています自民党の青森県第二選挙区支部、そこに、政経福祉懇話会という団体から、二〇〇二年より十一年間で約三千万を超える、毎月二十五万円ですか、年三百万の献金をいただいているということでありますが、その政経福祉懇話会というものはどういう団体であるのか、御説明願いたいと思います。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 政経福祉懇話会は、その規約によれば、青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体であるというふうに承知しているところでございます。

佐藤(正)委員 これ、事実であれば事実ですよということを言ってもらえればいいんですが、事実でなければ、そうではありませんということで結構でございますが、その団体の所在は、江渡大臣の地元の事務所と同じ住所でよろしいんでしょうか。

江渡国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 政経福祉懇話会の所在地、これは私の政党支部や私の後援会と同じであるということを承知しておりますけれども、これは、同会の知り合いの方から頼まれて、便宜的に連絡先になったものというふうに聞いているところでございます。

佐藤(正)委員 事実として、所在はそこにあるということが現実として今わかりました。

 そういう中で、この任意団体はいろいろな活動をされているというふうにお聞きをしておりますが、その中で、江渡大臣も、自分のホームページ等でもそういう団体で一緒に活動していますよということも述べられているような記事もありますけれども、そもそも、この団体がそういう目的でできた、そしてなおかつ、毎月二十五万円ずつずっと献金をしているということであります。そして、江渡大臣を支援しているということは紛れもない事実だと思います。

 そうすると、この団体というのは、本来、任意団体ではなくて、政治団体で収支報告書をしっかり出すべきだというふうに私は思います。

 ぜひ、その辺も踏まえて、江渡大臣、これからも、今説明をいただきましたけれども、自分に何か疑義がありましたら今のようにしっかりとお答えをしていただきたい、このように思います。

江渡国務大臣 委員からの御指摘、しっかりと受けとめさせていただきたいと思っております。

 また、少し御説明させていただきたいわけでありますけれども、政経福祉懇話会は、その規約にも明記されているように、あくまでも、青森県の上十三地域の政治、経済、福祉等について勉強し、会員相互の親睦を図ることを目的とした団体でありまして、政治資金規正法が規定する政治団体ではないというふうに私自身も承知しております。

 また、実際、同会が、規約にあるように、さまざまな勉強会とか懇話会を開催しているということも事実であります。

佐藤(正)委員 その先はきょうの本来の質疑と違いますので、その点についてはもう終わりにさせていただきたいと思います。お忙しい中、ありがとうございました。

 それでは、地方創生についての御質問に入らせていただきたいと思います。

 先日、地方公聴会で徳島に行かせていただきました。本当にいろいろいい勉強をさせていただきました。また、新藤前大臣の話もそこでも随分出まして、地方から提案型でいろいろなことができた、そしてまた、成功している事例も随分見させていただきました。

 それは、きょうもいろいろな議論がありましたけれども、地方の金融機関が一緒になって投資をする、そこから始めて、今までのように補助金だけではなくて、地方の金融機関が一緒に相乗りをして出資をしてくれる、融資をしてくれる、そのことによって、ある意味では、もらいっ放しではない、きっちりと決算を見ながら進んでいく、こういうすばらしい事例も聞かせていただきました。

 そこで、その中でいろいろな質問もさせていただいたわけですが、せんだってのこの委員会でも総務大臣にお尋ねを一回したんですけれども、きょう総務大臣と国交大臣においでいただいたのは、これからのこの委員会も含めて、地方創生をするに当たって、縦割りの弊害をいかになくすかということだろうと思います。

 そこで、そのときに知事にお尋ねをしたんです。総務省が掲げている地方中枢拠点都市構想と国交省が掲げております高次地方都市連合、知事、どちらがいいですか、やるとしたら徳島にとってどちらがいいんですか、こういう御質問を差し上げたんです。そうしたら、すばらしい答えが返ってきたんです。どっちもいいところをとりたいですと。これが私は本音だろうと思います。

 そこで、ぜひもう一度、総務大臣からは総務大臣の所管の地方中枢拠点都市構想についての御説明を、その後は、国交大臣の方から高次地方都市連合の御説明をお願いしたいと思います。

高市国務大臣 この後、国交省の高次地方都市連合につきましては国交大臣から御説明をということでございましたので、私からは、総務省の地方中枢拠点都市圏についてお話し申し上げます。

 これは、地方圏において、相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市、具体的には政令指定都市と人口二十万以上の新中核市が、近隣市町村と連携して形成していく。そこで期待しておりますのは、やはり高次の都市機能であったり、それから医療なんかも輪番制でやっていくといった生活基盤の確保であったり、また産業の振興であったりということでございます。

 恐らく、知事さんがどちらもとりたいとおっしゃったというようなことなんですけれども、ある意味、国土交通省と問題意識を共有している、集約、コンパクト化、ネットワーク、この考え方で、民間も入れて一緒に地域をよくしていこうということで、問題意識は共有しております。

 これも、まち・ひと・しごと創生本部で、九月に、重複するような、同じような目的、効果、こういったことにつきまして、ちょっと事業を整理していく、縦割りを排するという方針が出ておりますので、これに沿って整理をしなきゃいけないということで、今、まち・ひと・しごと創生本部、国土交通省、総務省間で調整中でございます。

太田国務大臣 我々のやっているものというのは、七月四日に、二〇五〇年を目指してのグランドデザインというのを出させていただいたんです。それは、二〇五〇年という長期的な視点でまちづくり等を考えて、国土づくりを考えていかなくてはならない。そして、人口減少、高齢化が進むということ、都市間競争が激化するということ、エネルギー制約があるということ、何よりも、災害が切迫した、首都圏の直下地震やあるいは南海トラフの地震がある、そして、エネルギー制約とともに、これからさらにICTの前進もある。

 そうした未来をどうするかという観点で、今何をしなくてはいけないのか、まちづくりということをどう考えるかという場合に、一つは、コンパクトシティーということに全てが心がけていかなくてはいけない。拡散した都市というのをコンパクトシティーという形で、介護も医療も教育も、そして商店街とかそういうようなことを単発的に支援するのでなくて、町を構造的にコンパクトシティーに持っていかなくてはいけない。そして、町をコンパクトシティーに持っていくと同時に、個性ある都市というものをそれぞれが見出してつくっていかなければ、これから二〇五〇年までその都市は生き抜いていけない。ですから、我が町はどうやったら二〇五〇年に生き抜いていくかというコンパクトシティーをつくっていく。

 同時に、そこの都市の中においても、そして他の都市との連携においても、コンパクト・プラス・ネットワーク、ネットワークシステムということをつくることが大事だ。

 同時に、コンパクトシティーを個性あるものにするけれども、そのときに、その都市自体が、それぞれがコンパクトシティーということで頭を及ぼしていたのでは、人口減少がある、高齢化があるということから生き抜いていけない。

 隣接する都市との連携をどうとっていくか、あるいは、隣接するゾーンとしての、三角でもいいです、そういうものをどうとっていくかというところに、個性ある都市と個性ある都市が横にできて、そして、この温度差があるからそこに対流が起きていく。人流、物流の対流が起きる。そういうような、対流を起こすというような個性ある都市をつくる中で、ネットワークをつくっていって、二つのものが一つになって連携をとる、あるいは三つの都市が連携をとる、そういう概念を高次地方都市連合という形で私たちはイメージしたわけです。

 ですから、どちらをとるかということよりも、県なら県、あるいは県を超えるというところを、どういうふうに二〇五〇年まで生き抜いていけるかということを構想した上に、そうした構造的な問題を考える上に、私は総務省の言っている地方中枢都市圏構想というものがあると。

 だから、どちらをとるかというんじゃなくて、私たちはよく連携をとり合ってやっていきたい、このように思っておりますが、私たちはかなり構造的に考えているということだと思います。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 今の説明を聞くと、国交省の方が何かインパクトが、どおんと来ますけれども、何となくね。太田大臣の方が何か説得力があったような感じでしたよ。

 ただ、共通なのは、コンパクトシティーでも中核都市でもいいんですけれども、それが連携をとっていかないといけないということだろうと私は思います。総務省もそうだと思います。それによって、総務省の場合は、事務も全て、ちっちゃな自治体も含めて、連携をとることによって一つの自治体をつくるみたいな、そういうことなんだろうと思う。国交省の場合は、そこにまた当然ハードも起きてくるんだろうと思いますけれども、そういう中で連携をしていく。

 ところが、ぱっと聞くと、なかなかそういうふうに、太田大臣が言われるように、すっと頭の中に、総務省とばっと重なるというのがなかなか入ってこないものですから、だから、知事もいいとこ取りしたいんですよと言われたんだろうと思います。

 そういう意味では、石破大臣、こういう案件が結構あろうかと思います。そして、今、太田大臣が言われたのは、本当に、地方の町を変えちゃおうというような話ですので、ぜひ、この二つのいいとこミックスできるような、予算も含めてですが、大臣の地方創生の方でしっかりと融合できるように、融合という言葉がいいかどうかわかりませんが、二〇五〇年には人口が一億人を下回らないというようなまちづくりのために、石破大臣のお知恵と、それから、いわゆる横串を刺す、連係プレーをしっかりまとめる、キャプテン役というんでしょうか、それが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 各省とも、目指すものは大体似ているんだろうと思います。名前が違っていて、事業も少しずつ違うということだと、自治体から見て、どっちをとりましょうか、できれば一つにして、いいところだけまとめてちょうだいねというようなことがあろうかと思います。

 ただ、そこにおいて、事業をやるに当たって、時間的な差とか、事業を何年かけてやるかとか、コンパクトシティーも、太田大臣から今お話があったとおりですが、実は、今ある町をコンパクトシティーに変えるためには相当の年数と相当のお金が要るということで、そこをどういうふうにして工面していくかということもございます。

 なかなかいいとこ取りというのは、できるようでいてできないところはありますけれども、何にしても地方自治体が使いやすい制度というものを、それぞれの主管官庁の御意見をよく承りながら、私どもは地方に提示をする努力をしていかねばなりません。

佐藤(正)委員 まさに、質問でも通告はしているんですけれども、高齢者の方が、私の地元は北九州ですけれども、結構八幡とかいうのは高齢化率も高いんですね。大臣もよく北九州の方に講演に来ていただいていまして、私も何度かお聞きさせていただいたことがあるんですけれども、傾斜地は高齢者の方が住まわれているんですね。平地の方は学生が住んでいるんですよ。実は、これは逆転しなきゃいけない。

 そうなると、高齢者の方々は、やはり自分の財産というのはなかなか手放さないです。本来なら、その方々の財産を、モーゲージというんでしょうか、担保にして、そして下におりてきてもらえればいいんでしょうけれども、実は、そう口で言うほど簡単ではないのも事実だと思います。これは小さな北九州の一つの区だけでもそうなんです。

 また、徳島で知事が一生懸命言っていたことがあります。

 東京から徳島に人を呼ぶ。一つは、東京がいわゆる高齢化が進む、地方は高齢化がもう高齢化ではなくなってきたという状況で、そうすると、介護施設等を含めて、今から医療、介護は成長分野だと思います。地方においても、働く場所としては有効な産業だと思います。ところが、その介護を受ける方々が東京の方に集中してしまう。そうすると、地方にいた若い労働力はまた今度東京に持っていかれる。それをどうにかしなきゃいけないということを徳島の知事が言われていまして、ウエルカムです、東京から徳島に受け入れますよ、コアの介護が必要な方をというふうにおっしゃっていました。

 しかし、それにはまた、石破大臣が言われたように大きなネックがあります。東京で、当然介護施設は足りませんから、そこに入るのも、自分の自宅をどうするかとかいう問題もあるんでしょう。現実に、今入っている方が徳島に、介護施設に入ってきたときには、ではその負担はどうするのか。

 これを、厚労副大臣がお見えでございますのでお尋ねをしたいんですけれども、住所指定というんでしょうか、東京都で、都民でありながら、例えば徳島で、徳島の介護施設に入ったときに、その負担は、東京都であれば東京都で負担になるんでしょうか。その辺を、徳島の知事が、ぜひそれは東京でやって、それ以外は受けさせていただくというような話がありましたので、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

永岡副大臣 佐藤委員にお答えいたします。

 医療、介護の人材というのは、現状でも不足傾向でございますが、団塊の世代が七十五歳以上となりますと、これは大体二〇二五年ぐらいに向けてということでございますが、東京などの都市部におきましては、高齢者の人口が急増するために、急速に医療そして介護のニーズが高まることが見込まれている一方、地方では、既に高齢化が進んでいるものの、人口等に応じました一定のニーズが見込まれるために、都市部、地方のいずれにおきましても、地域の実情に応じて医療、介護の人材を確保することは大変重要な課題と認識をしております。

 このために、地域におけます医療、介護の人材の確保につきましては、特定の地域内での勤務を条件といたしました地域枠を活用したり、また、地域枠を活用いたしまして医学部の入学定員をふやしましたり、また、ナースセンターの機能強化によりまして看護職の復職支援、それから勤務環境改善を通じました定着促進、そして、福祉・介護人材確保緊急支援事業におきまして、都道府県が行います人材確保対策の支援などによりまして確保対策に取り組むほか、また、今年度から消費税の財源を使いまして設置されます地域医療介護総合確保基金を利用いたしまして、各都道府県がその実情に応じて計画的に人材確保を行っていくこととしております。

佐藤(正)委員 ちょっと質問と答弁がずれていたんですけれども、石破大臣は、さっきの質問、おわかりになったと思いますけれども、その私の質問した問題点ですが、これは、先ほどちょっと話をしていたんですけれども、東京都民の方が東京都から出て、どこだったですかね、火事になって大変なことになって。そのときに、生活保護の方ですから、本来なら東京都の生活保護の単価にしなきゃいけないんだけれども、実は、その地元の単価にして安くして東京都が負担をした。今言ったようなことと同じなんですね。

 だけれども、地方とすれば、受け入れるのであれば、そこは、東京都民の方を受け入れるので、東京都でその介護の負担はしていただきたいという声があるんですね。ただ、そうはいっても、基本的には大きな動きが必要になってきます。(発言する者あり)住所地指定ですかね。

 それからもう一つは、やはり一番大きなのは、若い人たちが仕事がなくなるということ。仕事をつくる意味では、先ほどから何度も申し上げましたが、一番これから、この資料にもありますように、医療、福祉で突出して働き手がふえている、働き手が必要になっているということでありますので、ここも、石破大臣、時間が来ましたので、また考えていただけたらと思います。

 最後に、石破大臣、まち・ひと・しごと創生会議、このメンバーにぜひ二十代、三十代の未婚の女性を加えていただいて、できれば二十代ですね、そして三十代、こう思っておりますが、どうでしょうか。

石破国務大臣 創生会議の構成員の選考に当たりましては、明確な問題意識を持っている方、そして長期的な視点を持っている方をお呼びしておりまして、未婚かどうか私はよく存じません、ごめんなさい。ただ、海士町の職員で、隠岐島前高校の魅力化コーディネーターとして活躍の奥田麻依子さんは非常に若い方だと承知をいたしております。

 ここはいろいろな年代にバランスをとらなきゃいけませんが、若い方の御意見を聞くというのは極めて大事なことだと思っておりまして、創生会議の場に限らず、私の大臣室で毎週、二十代、三十代の若い方を中心として、そういう現場で仕事をつくっておられる方、あるいは都会から地方に仕事をつくりに行かれた方、あるいは外国の方の視点も必要だと思っておりまして、外国の方もお呼びをいたしております。

 従来の有識者というイメージは、結構シニアな方であって、何となく大学の先生とか自治体OBとかそういう方が多いんですが、そうじゃない、それだけではなくて、若い方、女性の方、あるいは外国の方、いろいろな視点を持った方々の御意見を聞くということが実に大事なことだと思っております。

 御指摘ありがとうございます。

佐藤(正)委員 終わります。

鳩山委員長 次回は、明三十日木曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十三分散会

     ――――◇―――――

  〔本号(その一)参照〕

   派遣委員の徳島県における意見聴取に関する記録

一、期日

   平成二十六年十月二十二日(水)

二、場所

   PARK WESTON(パークウエストン)

三、意見を聴取した問題

   まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出)及び地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出)について

四、出席者

 (1) 派遣委員

    座長 鳩山 邦夫君

       新藤 義孝君   瀬戸 隆一君

       土屋 正忠君   寺田  稔君

       福井  照君   義家 弘介君

       小川 淳也君   渡辺  周君

       重徳 和彦君   石田 祝稔君

       中丸  啓君   佐藤 正夫君

       宮本 岳志君   小宮山泰子君

 (2) 意見陳述者

    特定非営利活動法人グリーンバレー理事長    大南 信也君

    株式会社いろどり代表取締役社長        横石 知二君

    特定非営利活動法人どりーまぁサービス理事長  山口 浩志君

    徳島県知事       飯泉 嘉門君

 (3) その他の出席者

    内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理           佐村 知子君

    内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局内閣参事官         笹川  武君

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鳩山座長 これより会議を開きます。

 私は、衆議院地方創生に関する特別委員会派遣委員団団長の鳩山邦夫でございます。

 私がこの会議の座長を務めさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 この際、派遣委員団を代表いたしまして一言御挨拶を申し上げます。

 当委員会では、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案の審査を行っているところでございます。

 本日は、両案の審査に当たり、国民各界各層の皆様方から御意見を賜るため、当徳島市におきましてこのような会議を催しているところでございます。

 御意見をお述べいただく皆様方におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席いただきまして、まことにありがとうございます。どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようよろしくお願いいたします。

 それでは、まず、この会議の運営につきまして御説明申し上げます。

 会議の議事は、全て衆議院における委員会議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持等は、座長であります私が行うことといたします。発言される方は、その都度座長の許可を得て発言していただきますようお願いいたします。

 なお、御意見をお述べいただく皆様方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、意見陳述者の皆様方からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答え願いたいと存じます。

 なお、御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、本日御出席の方々を御紹介いたします。

 まず、派遣委員は、自由民主党の新藤義孝君、寺田稔君、義家弘介君、土屋正忠君、瀬戸隆一君、福井照君、民主党・無所属クラブの渡辺周君、小川淳也君、維新の党の重徳和彦君、公明党の石田祝稔君、次世代の党の中丸啓君、みんなの党の佐藤正夫君、日本共産党の宮本岳志君、生活の党の小宮山泰子君、以上でございます。

 次に、本日御意見をお述べいただく方々を御紹介いたします。

 特定非営利活動法人グリーンバレー理事長大南信也君、株式会社いろどり代表取締役社長横石知二君、特定非営利活動法人どりーまぁサービス理事長山口浩志君、徳島県知事飯泉嘉門君、以上四名の方々でございます。

 それでは、まず大南信也君に御意見をお述べいただきたいと存じます。

大南信也君 神山町から参りました、特定非営利活動法人グリーンバレーの理事長をやっております大南信也といいます。

 神山町というのは、現在、人口六千十五人です。一九五五年、町ができた当時、昭和の大合併でできましたけれども、そのときは二万九百十六人。だから、三割以下に激減をしておるという、本当に典型的な町です。

 そうした中で、一九九〇年ぐらいから、仲間と一緒に、自分のふるさとが本当に過疎化で崩れるように形を変えていっている中で、せっかく生をうけてきたんだからそれを座視するというのはちょっと情けない、だから、少しでも抵抗してやろう、もうちょっと神山をわくわくするような町にしていこうというところで、いろいろな活動を重ねてきました。石の上にも三年という言葉がありますけれども、石の上に四半世紀座っておったら、神山という冷たい石も最近は少し温まってきたのかなというような感じを受けております。

 二〇〇四年に、いろいろな活動を取りまとめるために、NPO法人グリーンバレーというのを設立いたしました。ちょうど丸十年を迎えたところです。

 グリーンバレーのミッションは、「日本の田舎をステキに変える!」。それから、それを実現するため、人をコンテンツにしたクリエーティブな田舎づくり、多様な人の知恵が融合する「せかいのかみやま」づくり、さらには、創造的過疎による持続可能な地域づくりというのをビジョンにしています。グリーンバレーウエーというのは、グリーンバレーの行動規範ですけれども、「できない理由より、できる方法を!」。それから、「とにかく始めろ!(ジャスト・ドゥー・イット!)」というのをモットーにして活動しておるというところです。

 ビジョンの中に創造的過疎という言葉を使っておりますけれども、では、創造的過疎というのはどういうことかを説明したいと思います。

 普通、過疎の問題というのは、ほとんどの場合、数だけにとらわれて議論される場合が多いんではないかなと思います。我が町の人口が今後、十年後に一五%を失うから大変だというように、数に注目をするわけですよね。ところが、日本自体が二〇〇七年ぐらいを境に人口減少の時代に入っています。だから、今まで人口を失ってきておったような場所であれば、もうこれをとめるのは難しいだろう。だから、それを受け入れてしまおうという考え方です。数にとらわれるんじゃなくて、もう少し内容的なものを改善していけぬかな。

 特に、例えば首都圏なんかには、力を持っておるのにその活躍の場がないと言われる若い人たちがたくさんおるわけですけれども、そういう人たちに入ってきてもらったり、あるいは、クリエーティブな人材の人たちに入ってきてもらうことによって、人口構成の健全化を図る。あるいは、普通、日本の中山間、神山のような場所であれば、当然農林業だよねというような形で産業政策が行われてきましたけれども、うまく動いておるところというのは少ないんではないかなと思います。

 だから、そうした中で、多様な働き方を実現することによって、ビジネスの場としての価値が上がっていかぬかな。そうすることによって、農林業だけに頼らない、バランスのとれた、持続可能な地域ができないかなというところを目指しております。

 地方とか過疎地域においては、大きな課題があります。それは、雇用がない、仕事がないという問題ではないかなと思います。それがために、地域で生まれ育った若者たちがふるさとに帰ってこられない。あるいは、移住者を迎え入れようと思っても、仕事がないから迎え入れられない。結果的に、後継人材が育たないというような問題が出てきておるんではないかなと思います。

 そうしたところを解決するために、神山では、神山プロジェクトという形で幾つかのプロジェクトを進めています。

 まず第一は、サテライトオフィスという働き方です。IT、映像、デザイン会社など、場所を選ばない企業を誘致することによって、神山で生まれ育った子たちが、自分たちもそういうような技術をつければ町へ帰ってこられるんだよというような形をつくろうとしています。そうすることによって、地域における世代間の循環というのを少しずつ取り戻せぬかなというところです。現在、十一社が入ってきておって、新規雇用が三十名ぐらい生まれて、さらに今後三年間には、三十程度の新規雇用が生まれるんではないかなと思います。

 最近では、エンジニアとかプログラマーだけじゃなくて、営業、オンライン営業まで成立しておるというようなところで、営業が神山のような山の中でできるということになれば、これは日本の地方の働き方を根本的に変える可能性があるんではないかなと思います。

 では、地域における世代間の循環だけで地域は持続していくのかといったら、そうでもないと思います。もう非常にか細くなっておるので、当然、都市部から若い人たちに入ってきてもらう必要がある。ところが、仕事がないという問題に当たるわけですよね。

 そこで、神山の場合は、ワーク・イン・レジデンスというプログラムをつくっています。ワーク・イン・レジデンスというのは、地域に雇用がない、仕事がないのであれば、仕事を持った人に移住してきてもらえれば、この問題は解決がつくんじゃないのというような考え方です。

 そこで、将来、町に必要になると思われるような働き手とか起業移住者を、積極的に誘致してきています。その結果、ビストロ、カフェ、パン屋、ピザ屋、靴屋、ゲストハウスなんかがだんだんとオープンしておるというようなところです。

 それとともに、三番目に、神山塾という人材育成事業もやっております。

 これは、二〇一〇年の十二月に、厚生労働省の求職者支援訓練というのでスタートしました。大体、参加される方は、独身女性で二十代後半から三十代前半、東京周辺の出身で、クリエーター系の子たちが多いです。だから、デザインができたり、あるいは編集ができたり、さらにはカメラワークがうまいみたいな子たちが入ってきております。

 結果的に、今まで六期で七十七名が修了していって、そのうち約半数、五〇%がそのまま移住者として神山に残っております。だから、今、神山で起こっておるいろいろな変化というのを、結構この子たちが担っておる部分が大きいんではないかなと思います。さらには、最近、サテライトオフィスで雇用される子たちもあらわれてきました。その上、これは職業訓練をやっておるのに、何かカップルが九組誕生というようなことで、婚活の事業にもなっておるというようなところです。

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 では、今、神山でどういうことが起こっておるのかというような説明をさせていただきたいと思います。

 一つ、サービス産業というのが生まれつつあるのかなと思います。その中で、少しおもしろい循環が生まれつつあります。

 去年の十二月に、フレンチビストロを移住者がオープンさせました。ここで出されるパンは、別の移住者が有機小麦のパンを焼いて、ここに納めています。さらに、ここで出されるコーヒーは、デザイナーさんの奥さんが有機栽培のフェアトレードのコーヒーをハンドピックしたものをここに納めています。さらには、元IT会社に勤めておった方が専業農家になって、有機栽培の野菜を育てて、その野菜をこのビストロで使う。

 これは全て移住者の動きなわけですけれども、当然、移住者がこれぐらい活発に動き始めると、地域の人たちが刺激を受けるわけですね。

 そうした中で、四十代後半ぐらいの男性がことしの六月にジェラート屋さんをオープンして、それをまたこのビストロに納めておるということです。さらに、ことしの七月には有機小麦のピザ屋さんもオープンしました。山の中腹にあるような場所なので、地域の人たちは、こんなところで商売は成立せぬだろうなというふうな目で見ていましたけれども、結構うまく成立をしておるというようなところです。

 では、神山にどういうようなことが起こったのかというのが、この「神山モデルによる地域の創生」というところです。

 まず、一九九九年ぐらいから芸術とか文化の活動を始めました。そうすることによって、少しずつ、神山の価値が上がったり、あるいは知名度が上がってきて、今度はそこに移住者とか起業者というのが集まり始めました。

 起業者の場合にも、神山の場合には、ワーク・イン・レジデンスということで、いろいろな職能を持った人を集めておりました。

 そうした結果、今度は移住者、起業者だけでなしに、IT企業とか映像会社なんかがサテライトオフィスを置くようになったというようなところです。そういうような形で、移住者とか企業なんかの人がぐるぐる町をめぐり始めるわけですね。

 そうしたら、結果的に、今度はそれがサービス産業を育んでおるというような形です。だから、ビストロをオープンしたり、ゲストハウスをオープンしたり、あるいは今度はピザ屋さんがオープンする、それらも結構うまく回っていくというような状況になっておるのかなと思います。

 では、そのサービス産業で使われるものは何かといったら、当然、農産物が使われます。これが結局、回り回って、中山間の本丸である農業に今、多少影響を与え始めておるんではないかなというようなところです。

 これをもう少し戦略的に進めようと思えば、グリーンバレーは移住支援の窓口というのを町から預かっておりますので、今度はワーク・イン・レジデンスで有機農業者のあたりを集めてくれば、結構、このあたりの基盤が強化されて、五年後、十年後には、多分、神山は四国一のオーガニックフードの町になれるんではないかなというような気がしています。

 では、こういう動きを自分たちの力だけ、資金だけでやったのかというと、そうでもありません。もうとにかく、その都度都度、いろいろな助成金あるいは補助金をいただいて、それが、タイミングよくソフトが育っておったものだから、そこに入ってきて、いろいろな活動が速度を倍加したというようなところではないかなと思います。直接僕らが補助金あるいは助成金を受けるだけではなくて、例えば、徳島県では、飯泉知事のリーダーシップによって、光ファイバー網というのが完備をしております。だから、そういうようなことが相まって、結果的に神山にサテライトオフィスなんかがどんどんと入ってきておるということになるのかなと思います。

 視察に来られた方から、では、神山モデルというのを水平展開を図るにはどうしたらいいんですかという質問がよくあります。正直言って、私の方もわかりません。わかりませんけれども、ちょっとまとめてみました。

 まず、文化、芸術から入りました。文化、芸術というのは、時間はかかるけれども、非常に有効な地域創生の手段だと思います。創造都市とか創造農村とかいう話が出てきています。特に、製造業がだんだん衰退していったヨーロッパで、例えばスペインのビルバオ、それからフランスのナント、イタリアのボローニャみたいなところでは、やはりこの創造都市という考え方のもとで町が今生まれ変わり始めています。それが結果的に観光産業を生んでいっておるというようなところです。

 そうした場合に、例えば文化庁から助成金なんかが出ておる場合が多いんですけれども、大体が三年から五年です。ところが、変化が顕在化するのに、三年や五年では絶対無理です。だから、多分、倍増する必要があると思います。六年から十年ぐらいかければ、今まで使ったお金というのが無駄にならずに、いろいろな効果を生んでいくような気がします。

 今度、神山の場合は、そこに移住者とか起業者が入ってきました。

 ところが、結局、過疎地とか地方では、そもそも仕事がないところが多いです。そうしたところで求職者の訓練をやっても、働き口がないわけですね。ということは、今度は、求職者訓練から起業者の訓練へと少しシフトさせる必要があるんではないかなと思います。グリーンバレーのような、地域と起業者をつなぐような中間支援組織をつくったりとか、あるいは、神山塾のような、実際に起業者を訓練するような機関というのをつくる必要があるんではないかなと思います。

 そうした結果、神山の場合は、IT企業とか映像会社なんかがサテライトオフィスを置くようになった。

 ここで、先般、小泉進次郎内閣府政務官が来られて、内閣府の官僚のサテライトオフィスのトライアルを行うというような話を決断されましたけれども、非常にいいことではないかなと思います。そこで、移住とかサテライトオフィスの課題の検討であるとか、あるいは地方、現場の新しい政策の立案というのを、現場を見ながらいろいろなことができるんではないかなというような気がしています。

 さらには、中堅企業とか大企業についても、このサテライトオフィスのトライアルをぜひやってほしいなと思います。そうしたときに、普通のルーチンワークでなくて、企画とか戦略立案とか、あるいはクリエーティブな分野での実施をされた方が、地方の豊かな自然の中で、よりいい発想なんかが出てくるんではないかなと思います。

 サービス産業が成立したわけですけれども、普通、起業支援というのは、結構、ITベンチャーなんかをイメージする場合が多いのだけれども、例えばシリコンバレーに伍していくようなITベンチャー企業というのではなしに、小さな起業をする人たちに対する支援が必要なんではないかなと思います。

 だから、先ほどのビストロ、ピザ屋、カフェ、ジェラート、パン屋さんに対する、例えば、その人たちが店をオープンするときに古民家の改修をやるとか、あるいは、開業とか操業の資金の融資なんかを少し、そんなに多額でないです、少し手伝うことによってこれがうまく回って、こういう人たちが、今度、地域のコミュニティーの人たちを一緒に支えていくという形が必要なんではないかなと思います。

 それで、有機農業者を今度入れてくるというお話をしましたけれども、専業農家の新規就農者に対しては、結構いろいろな手厚い支援があるんではないかなと思います。

 ところが、いきなり、この条件不利地の神山のような場所で専業農家というのは、厳しい部分があるかなと思います。だから、兼業の新規就農者、つまり半農半Xでいかれる人に支援ということも必要ではないかなと思います。だから、そういう人たちが、結果的にXの方をもう落としてしまって、最終的に専業農家になるというようなパターンというのも考えていければいいんではないかなと思います。

 七番目にありますけれども、果樹栽培農地とか農業施設等が、いろいろな補助金とか打ち込んでできておるわけだけれども、結局、後継者がいないということで、それがそのまま継承されなかったり、あるいは、神山は日本一のスダチの産地ですけれども、その木をもう倒してしまって、もう私は世話しないからという高齢者はたくさんおるわけですよね。

 だから、そういう資産をそのまま新規の就農者に対して継承するような仕組みができぬかなと思います。そうすることによって、優良資産の継承ができて、それで参入リスクの軽減が起こるというところが出てくるんではないかなと思います。

 そういうような、いろいろな人がぐるぐる回ることによって、今、六次産業化とよく言われていますけれども、六次産業化の自乗、つまり三十六次産業化みたいな、いろいろなパターンというのがここから生まれてくるんではないかなと思います。

 人口六千人の神山で今変化を起こしておるのは百五十人。人口比二・五%の移住者であったり、あるいは、わずか十一社のITベンチャー企業です。だから、地域というのは、少しの変化で大きく変化する可能性があります。

 だから、そういうような形で、今度は、地方としては、どういうような人を地方に集めてくるのか、ローカルアベノミクスはヒトノミクスというようなところで進めていただいたら一番いいんではないかなと思います。

 以上です。(拍手)

鳩山座長 ありがとうございました。

 次に、横石知二君にお願いいたします。

横石知二君 株式会社いろどりの横石です。よろしくお願いします。

 「いろどり社会の推進」という資料がお手元にあると思うので、ごらんいただければと思います。

 私は、徳島県の上勝町という町で、株式会社いろどりというところで葉っぱのビジネスをしております。

 上勝町は、人口が千八百人足らずで、四国の中で、町とつけば最も人口が少ないところです。私は二十で上勝町に行くことになりましたが、今、きょうのテーマである地方創生という形で地域おこし、町おこしというのが話題になっていますが、ずっと昔からそうですけれども、今も、町おこしをしようとか地域おこしをしようというふうに思ったことはないんです。

 それは結果的になることだというふうに思っていて、私が一番好きなのは、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に仕事をして、ばあちゃん、こういうことできるやん、一緒にやったらおもしろいよ、こういうことを一緒にやってみようよ、そうしたら孫も帰ってきて、いろいろなつながりもいいことがあるよ、そういうふうに、今は若者なんですけれども、若い子に、こういうことができるよということを一緒になってやって、それを見ていて、相手が楽しくなったりうれしくなったりするのを一緒にお手伝いするのが大好きなんですね。それが自分の、何というか、御飯を食べなくてもそれをやっているのがうれしいというふうなことです。

 お手元の一番にあるように、上勝町という町は、二十で行くと、人口が激減をしていました。そして、高齢化がすごく進んでいて、ほとんどの人が町を出ていくという壊滅的な状況にあって、当時の町長と組合長が、私に来ないかと勧めてくれました。公務員家庭に育って、県庁の父親からは公務員になりなさいということを言われたんですけれども、全く自分が公務員に向いていないなというのを自分なりに若いときからわかっていたので、町に行ってみたいということで行きました。

 でも、行ってみたら、昼間からお酒を飲んでいるし、愚痴を言うし、そういう中で、補助金をどれだけおまえはとってこれるんだと。人に頼るということにもうどっぷりつかっているのがすごく印象的でした。

 そして、その慣習を変えていかなければいけない、このやり方がだめだと思って、みんなに、今のやり方ではだめだと思います、この慣習を変えなければ地域は元気にならないと思いますということを言ったら、出ていけ、おまえに何ができるんだ、こわかいしが、おまえ何を言うんだということで叱り飛ばされました。でも、昔から負けず嫌いで、そのときは、絶対に逃げない、自分は信用してもらえる人間になるんだ、地域の人に信用してもらえなければ何を言っても始まらないということを思って、仕事をつくることだと。

 結局、地域が元気がないのは、仕事がない、朝から愚痴を言う、何もすることがない、国や県に頼るしか方法がないというこの考え方が地域をだめにしてしまっている。だから、自分にできることは仕事をつくることだ、所得を上げることだという、もう一点でした。

 これをやっていこうということで、次々と仕事を、行商をしながら、四時、五時、車の中で寝泊まりしながら、一つ一つ仕事をつくっていくことができました。あの山の中で十六年間、ゼロからスタートして億単位で売り上げを伸ばすことができましたけれども、このときに見つけた葉っぱビジネス、葉っぱを売ろうというビジネスが、いろどり農業というところにたどり着きました。

 今、葉っぱの売り上げは、皆さんから見ると本当に小さな売り上げで、二億六千万円ぐらいしかありません。女性や高齢者が活躍するという仕事です。でも、このいろどり農業というのは、地域に与えた影響力というのが実は物すごく大きなものがあるというので、この四番目に、いろどり農業の効用ということを書かせていただいております。

 お手元の資料二枚目をおめくりいただいたら、では、いろどり農業の効用というのはどんなところがあるのかというと、地域に住んでいる人たちの、特に女性や高齢者に仕事ができた。そして、右の方に回っていただいたらと思いますけれども、居場所と出番ができたこと。そして、健康になって生涯現役、仕事をしながら、あれ、きのう死んだん、きのうまで仕事しよったやないかというふうに、ころっと亡くなるというのが人にとってどれだけ幸せなことか。そして、生活も、好きなことが、お金があると、やはり旅行にも行ったり、おいしいものを食べに行ったり、孫に家も建ててあげたり遊びもできたり、いろいろなことで効用がある。そして、コンピューターを使って商売をするということで、脳が非常に活性化されてくる。

 家族というのは、今、一緒に仕事をすることはほとんどありません。一つのことを、孫が一緒に来て、おばあちゃんやおじいちゃんが手伝うこと、これは家族がすごくうまくいくことでもあります。交流、仲間がたくさんできていきます。美しい景観や環境が守られていきます。

 たかが二億六千万というお金で見ても、その周りにこういうふうに効用的に出てくる力、そして、それを生んでいる環境、これが地域にとってどれだけ大きな成果というか大きなことかということを、ぜひきょうは皆さんには本当に知っていただければうれしいなというふうに思っています。いろいろなつながりができてきたということが、地域の今の成果だというふうに思っています。

 では、これからどうしていくのかということが三枚目にあります。

 私は、地域にとって、学校というものがなくなったときに地域は終わるというふうに自分自身では考えています。小学校がない、中学校がない、子供が存在しないところで地域が元気になるのかなというふうにずっと思っていました。そのためには、仕事があって、そこで生活できるという基盤がなければだめだという点があります。

 でも、皆さんも御存じのように、増田さんが提案された、八百六十八の市町村がなくなるということからいうと、この少子高齢化を乗り切っていかなければいけない、外から若者も入れていかなければいけない。インターンで、四年間で五百名以上うちの会社で受け入れて、二十二人が定住しています。私は、これでも恐らく地域は守れないのかなというふうに自分なりに考えています。

 ではどうするのかということで考えた私の夢が、ここの三枚目に書いた、今、皆さんも御存じのように、山は物すごく荒れています。森林は死の山と言われる状態で、木材が売れなくて、鳥獣の被害が多発し、花粉症になり、そして水害が起きる。私が上勝町に行ったときから比べると、水が出るスピードが何でこんなに速いんだろうというぐらい一気に増水するのが今の山の現状です。

 このいろどりの持った、おばあちゃんやおじいちゃんが持った知識、経験、人間力、これを生かして、杉の山をいろどり山に変えていきたい。この杉山を、全ての上勝町の山をいろどりの山に変えていくんだ。そして、伐採した杉の木を使って、燃料、トレー、お箸とか、いろいろなエネルギーに充てる。

 そして、この写真のように、こんな山になったら、日本が世界に誇れる文化、まさに和食が世界遺産になりましたけれども、この四季折々の季節感を持った日本の景観が、私は日本の文化だというふうに思っています。それをこういうふうに変えて、植物を育てる知識や経験を持っている人たちの舞台としてもう一回つくり上げ、それが地域交流へつながっていく、そして地域の起業の促進、地域の中でどんどん起業家をふやす。

 三年間で七社、上勝町に企業が生まれました。これはもう画期的だ。地域の産業を生かした起業家が七社生まれたんですけれども、こういう、下側にありますように、「地域起業促進」「観光・交流・視察客の誘致」「商品・サービスの販売促進」、こういった形の中でいろどり山をつくれば、まさに循環型の地域、そして世界に誇れる日本・上勝という形で、今、日本の中にはこういう町がどこにもありません。皆さんが想像できるラベンダーの富良野、ああいう形の山版のような形を日本でつくっていきたいな、これが私の考える、地域創生における最後の夢というか、上勝町の五十年後、百年後を考えた場合に、これぐらいのことをやらなければ多分町はなくなるだろうなというふうに考えて、花咲かじいさんとして、最後の終活にかけていきたいというふうに思っています。

 そして、最後の資料四にありますように、いろどり社会というのは、さっき言った、単に、いろどりという、葉っぱをおじいちゃんやおばあちゃんが摘んで、そしてつま物として利用していただくという形ではなくて、社会全体におけるいろどり社会というのがあるんですね。それは、この真ん中の図にありますように、人は誰でも主役になれる。役割があれば、幸せな居場所と出番があれば、産業、文化、健康・福祉、エネルギー、景気、環境、教育、生活、こういう形の社会ができてくるということなんです。

 だから、単に仕事をつくるということだけではなくて、こういういろどり社会という、人が幸せを感じる、人が幸せに生きていけるということを、この右側にある「八つの約束」ということで取り組んでいくという形で、皆さんにぜひ国内で、そんなに大きな地域おこしという形でなくていいと思うんです、小さな形の幸せをいっぱいつくっていく。家族の単位であり、地域の単位であり、集落の単位であり、それが全体の中に広がっていくという社会こそ、私は日本に合った地域創生じゃないかなというふうに考えています。

 ぜひ、この私の夢を含めて、やはり皆さんに支援もいただきながら、こういう社会を目指していきたいというふうに考えていますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 これで私の発表を終わります。(拍手)

鳩山座長 ありがとうございました。

 次に、山口浩志君にお願いいたします。

山口浩志君 特定非営利活動法人どりーまぁサービスの理事長を務めさせていただいております山口浩志でございます。

 本日は、鳩山邦夫先生を初めたくさんの先生方に御来県いただきまして、本当にありがとうございます。そして、このような場で発表させていただくことに感謝を申し上げます。

 資料に沿って御説明をさせていただきます。たくさんのスライドがあるんですが、スライドに沿って御説明させていただきたいと思うんです。

 どりーまぁサービスは、一九九七年、平成九年に私が立ち上げさせていただきました。私も、二十二歳、大学を卒業してから、特養、老人保健施設、それから一時期、病院、そういった医療、福祉の分野で働いてきまして、その中で、何か自分にできることはないかなと三十四、五歳ぐらいのときに思い始めまして、三十五歳のころにどりーまぁサービスを立ち上げたんです。

 その当時、福祉は、御承知のように、ゴールドプランのいわゆる最終局面に向かっておりました。これから先、この国の福祉はどうなるんだろうか、介護保険制度というはっきりした明確な形ができ上がっていたわけではないんですけれども、何か新しいことが始まるだろうなというような時期に始めたわけなんです。

 まだ、NPOとか住民参加型福祉サービスということがなかなか定着していなかった時代だったので、これは、汗をかいて、やはりみんなにわかってもらわなければいけないな、そういうことで、いろいろ先進県もありまして、ちょうど阪神・淡路震災で神戸とか大阪の方ではNPO団体がすごく活気があり、進んでおりましたので、そういうところによく出かけていって、リーダーの人たちに話を聞きながら、徳島ならではの仕組みを考えてまいりました。

 一ページの中で団体のいきさつを書いているんですけれども、三、四、五、六は最初のころの写真です。

 この三番のように、当初は三、四人ぐらいの人数で始めたわけなんですけれども、住民の力による助け合い活動ということで、一人一人に話をしていくと、皆さん、これは大事なことやな、これはええことやな、何かできることがあったらぜひやってみたいな、頑張ってなという、そんなのやめておきという声は全くなかったんですね。これは、何かいけるなというようなことがありましたが、なかなか資金がついていかなくて、私もその当時は、隣の横石社長のように、朝の新聞配達とかいろいろやりながら運営を立ち上げてきたわけなんですけれども、協力者が日を追うごとにすごくふえてきまして、三年後には会員数が五、六百人ぐらいになりまして、ちょっと大世帯になりかけてきたんです。

 活動も多様化しまして、家事援助ですとか移送サービスですとか、個々個々のサービスに、一人一人の思いにつながるマッチング、そういうお手伝いをしていただけることを、地域の住民側の方に訴えて、呼びかけながら協力者を求めてきたというのがいきさつです。それが、五番目、六番目のような写真です。

 次のページで、七番目は、出前デイサービスというのを一時期始めたことがありまして、町内の自治会の中で集まっている人たちを月に一回ずついろいろなところにお連れするということも試行的に取り組んでみました。

 九番、十番が、インフォーマルサービスのどりーまぁサービスの仕組みです。いわゆる双方向性の仕組みで、住民参加型福祉サービスは、大体相互扶助形式で、有償ボランティアというやり方でつくっております。サービスは、それぞれその人によるサービスを行ってきまして、これも平成九年から、今現在でも活動を続けております。

 インフォーマルサービスとまた別の一歩のところで、公的介護保険制度が始まったときに、公的サービス、介護保険制度にNPO法人格として参画させていただきました。最初は、ケアマネジャー、居宅事業所、それからヘルパー、訪問介護、その二つの事業所で、五、六人ぐらいの人数で始めたわけなんですけれども、そのうち、デイサービスを始めたり、また、拠点を沖洲という地域とか川内地区というところにふやしていきました。

 沖洲地区の方では高齢者住宅と地域密着型サービスの小規模多機能をやっております。それと、隣の民家の方、同じ敷地内に民家があいておりまして、そこで重心の子供さんを対象にしたどりーむキッズというサービスをしております。あと、訪問看護ステーションですね。

 十三番が、二つ目の拠点の、高齢者住宅をやっております。

 十四番は、ちょっとスライドの字が細かくて申しわけないんですが、十五番の方に、こういったインフォーマルサービスと公的支援以外で、行政の方と連携をする事業にも参画させていただいております。

 まず、事業所が徳島市にありますので、徳島市さんのところの連携事業が幾つかあります。その一つが、元気高齢者づくり事業というのでありまして、これは、平成十六年度に徳島市さんが、徳島市に事業所を置くNPO法人で、地域のコミュニティーセンターを活用して介護予防事業をする。介護予防の体操教室をやるんですけれども、その体操教室のメニューは、徳島大学の応用生理学を研究している先生のメニューを使って、それをNPOの指導員さんが学ぶ。それについて効果測定も半年に一度していただいたりとかいうことをやっております。

 ですから、行政、NPO、学術それから地域、そういった四者協働の事業で、体操教室を徳島市内で十九カ所、徳島市さんがやっているんですけれども、どりーまぁサービスとしては六カ所の地区を受け持たせていただいております。

 あと、十八番目は、サロン事業というのを、これは、ふるさと雇用再生事業というのが二十一年度ぐらいにありまして、それに提案させていただきまして、県行政の方に採択していただきました。

 サロンというのは、地域の中で居場所をつくる、そこで、いろいろな、高齢者とか障害者とか一般の方の集まり場所をつくる、資金をかけずに人を生かしながらそういった集まり場所をつくるということをやってきまして、三年間で県内で七カ所行ってきました。それも、徳島市さんを皮切りに、小松島市、鳴門市、阿波市という四市で七カ所のサロンを立ち上げさせていただきまして、それぞれ特色のあるサロンのモデル事業で、いろいろ提案もさせていただきました。

 そういったサロンを普及していくための普及啓発シンポジウムということもやりまして、三年間で延べ五百人ぐらいの方がサロンのセミナーを受けていただいた。そのセミナーを受けた方の中では、また地元に戻って自分たちもこういうことをやってみたいという人たちも出たという話を聞いております。

 そのサロンを三年間でやったわけなんですけれども、補助金事業が終わった後、それを誰がつないでいくのかということを考えたときに、お手元にもう一つ、「フロンティアとくしま」という資料があると思うんですが、これは、また別の、地域支え合い体制づくり事業という事業に提案させていただきまして、サロンをつないでくださるコーディネーターを養成していこうと。これは半年の事業だったんですけれども、県行政さんに認めていただきまして、コーディネーターを養成しました。

 そのコーディネーターを養成するに当たりましては、一般にコーディネーターをしませんかと呼びかけるのでなくて、ちょっと対象者を選ばせていただきました。かつて医療、福祉の専門職で働いていたOBの方で今時間があいている人というのを対象にしまして、病院で看護師として働いていた方、それから理学療法士として働いていた方、検査技師として働いていた方、介護で働いていた方と、約四十名集まっていただきました。そういう人たちは、長年ケースワークに携わっておりますので、人のケア、援助をするのになれていらっしゃいます。

 だから、そういう方たちに対して、地域福祉とか地域ケアとかコミュニティーワークというノウハウをお教えすることで、地域で自主的に、主体的に動いていただけるんじゃないかということで事業をしてきまして、その人たちが今現在、サロンのコーディネーターとしてつないでくださっております。そういう事業がありました。

 それから、二十五番からなんですが、実は、二年前にオランダに視察研修に行った話をちょっとさせていただきたいんですけれども、一週間ぐらい行ってきまして、高齢者住宅と地域包括ケアというテーマでした。

 いろいろなところを見せていただいたんですが、まず、二十六番目は、これは思い出ミュージアムというところなんですけれども、一つのフロアに昭和初期のころのいろいろな、椅子とか金具とかを置いております。認知症の方がその部屋に入るだけで、その品物を通して対話が生まれる、すごく表情が明るくなるというような、環境ケアということにオランダは取り組んでおられました。

 二十七、二十八なんですけれども、これは、農場デイということで、下にも書いていますけれども、二年前はオランダの国で六百三十カ所やっていたそうなんですけれども、昨日、一緒に行った旅行代理店の方に聞きますと、今現在、オランダでは一千カ所の農場デイが進んでいるという話です。

 これも、先ほどの徳島市さんとやっている元気高齢者づくり事業と同じように、デイサービスをやるだけでなくて、それを農場の方に委託して、開放していただく、お借りをする。そのことに対して、大学の農学部、それから福祉系の大学の人たちが学術的に研究をして、認知症の方の研究を、その後どうなっていくかということに対して考察をしていくということで、それで地域とも連携をしているということでありました。その農場に入ることによって、高齢者の方の表情が変わったり、そこで毎日毎日が、幾つも対話がある、進んでいくということを重視していたようです。

 オランダの国というのは、十年ぐらい前までは、小規模のいわゆるNPO団体がたくさんある中、NPO法人、NPO団体のMアンドAというものを国がしかけるという時代があったらしくて、それに対して、住宅をつくる。その住宅は、国が指定をしたある住宅供給公社が建てる。そこにそれぞれの、精神障害にかかわっているNPO団体、高齢者にかかわっているNPO団体、子供にかかわっているNPO団体が、一つの法人としてその住宅を運営する。

 おもしろかったのは、花屋さんとか郵便局とかバーとかビリヤードとかカルチャーセンターだとか、その建物の一階のフロアに町づくりをする、コミュニティーワークがある。そこを地域の拠点にする。だから、毎日毎日、地域の方たちが普通に通ってくる。そこに、認知症の方がいたり精神障害者の人がいたり障害者の人がいたり、そこで、毎日毎日、日々交流があるという取り組みがありまして、すごい取り組みだなと思いました。

 そういうことを学んできましたので、ちょっと御発表させていただきました。

 そういうことを含めまして、何か徳島県でも同じような発想でできないかと思いまして、徳島県のNPO団体さんに呼びかけをして、これも県行政の方の強力な御支援がありまして、NPO法人ではなくて、とくしま住民参加型在宅福祉サービス団体連絡会、NPO団体の一つの連絡会を立ち上げさせていただきました。

 それで、いろいろ、シンポジウムとか話し合い、グループワークとかをしてきたんですけれども、本年度から、これも県行政の応援があってやらせていただいているんですが、ヨーロッパ圏では、やはりボランティアが盛んなんですけれども、ただ、誰にでも、興味がある方だけがボランティアをするのではなくて、その裏ではボランティア教育というのがすごく盛んで、教育をしっかりした上でボランティアに入っていただくということでしたので、地域の支えあい担い手養成講座という、いわゆる住民ボランティア教育に本年度取り組ませていただきました。地域の方に、ボランティア活動、介護とは何ぞや、高齢者のケアということについての学びを、地域住民の教育システムとして、その中から、地域包括ケアの中で参画していく担い手を、個人を対象にして呼びかけていこうという取り組みをさせていただいております。

 そういうことで、いろいろ、地域も変わり、時代も変わる中、やはり発想、知恵を絞りながら、地域の方々と、また行政の方々とも、ともに手をとって協働しながら、これからやはり、NPOだけで頑張るというのではなくて、いろいろな産業が、協力しながら、協働しながら、一つの目的を持って進めていくというのが望ましいかなと思っている次第です。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

鳩山座長 ありがとうございました。

 次に、飯泉嘉門君にお願いいたします。

飯泉嘉門君 徳島県知事の飯泉嘉門でございます。

 本日は、鳩山委員長さんを初め、地方創生に関する特別委員会の先生方、ようこそ徳島にお越しをいただきました。そして、このような場をおつくりいただきまして、本当にありがとうございます。感謝を申し上げたいと存じます。

 それでは、徳島県、私からの資料で、「「課題解決先進県」 〜徳島の挑戦〜」、こちらをお開きいただきたいと存じます。

 まず、一ページをごらんいただきたいと存じます。

 我々徳島を初めとする地方というところは、全国に先駆けた課題にまず直面をいたします。いわゆる課題先進県であります。例えば、過疎化、人口減少、限界集落という言葉が出たとき、全国平均は一五・五、しかし、徳島県の平均は、何と三五・五でありました。

 また、急速に進行する高齢化、日本全体では二〇二五年問題とよく言われますが、徳島県では、二〇二〇年に六十五歳、つまり、高齢者の皆さん方の人口のピークが訪れてまいります。

 また、テレビが双方向になって便利になる地デジ化。しかし、四十六都道府県は便利になっても、徳島県は、アナログ時で十チャンネル見えていたものが、何と放送法上の三チャンネルになる、大きなピンチとなるところであります。

 また、南海トラフの巨大地震、これにつきましては、死者は三万一千三百、人口の四%にも及ぶこととなります。

 そこで、二ページをごらんいただきます。

 このたび、日本創成会議の方からシミュレーションが示されました。左側にありますように、今後、地方の高齢者が減少局面を迎える、これに伴い、地方は介護の職場から女性がいなくなってしまうんだ、特に三十九歳以下の女性の人口が都市部へ流出をする、この人口減少については、想定以上のスピードで減少を迎えるということで一覧表が出されまして、徳島県の那賀町あるいは神山町に至っては、減少率が八〇を超えるであろう。ちなみに、四国で那賀町が一番、神山町は三番の減少率となります。

 では、個別に見た場合はどうなっているのか。神山町の例を右の方に示させていただいております。

 神山町は、既に高齢者人口は減少局面に入っております。しかし、介護従事者に占める若い女性の皆さん方の比率は、この十年変わっておりません。また、人口の流出、あえて言うと、東京圏からの入超となっているところであります。という形で、個別をやはりごらんいただく必要があるということであります。

 三ページをごらんいただきます。

 今、日本全体の課題となりました人口減少問題にチャレンジをしていく。この処方箋を出すことによって、課題解決先進県を徳島は目指そうと考えております。

 今、政府の掲げる日本再興戦略、ここでは、やはり地域の強みを生かして課題解決の処方箋を出す、そして、徳島発の施策を日本の標準、ジャパン・スタンダードへ。かけ声はいいわけでありますが、やはり国の強力な支援あってこそということでありまして、金太郎あめではなく、あくまでも地域ならではの取り組みに着眼をして応援をしていただきたい。また、今もずっとお話がありましたように、単年度の支援ではなく、基金などを活用した継続性のある支援をぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、日本の目指す世界最高水準IT利活用社会の実現。これからは、地デジ、マイナンバーと、新しい制度がどんどん入ってくるところであります。

 また、二番目にありますように、今、生涯現役社会を目指そう。百歳以上の人口、何と五万八千八百二十名、これまでで最高の日本となっております。高齢者、障害者の皆さんは地域に支えられる存在とよく言われますが、そうではなくて、これからはまさに、地域に貢献をする、地域を支える存在へ持っていくのが大きな方向ではないかと考えております。

 三番目、女性が輝く日本ということで、女性ならではの、また、子育てなども考えた上での、やはりテレワークを導入してはどうであろうか。インターネット全盛期、これを大いに活用しようということであります。

 また、地方というところの基幹産業は、何といっても農林水産業であります。国が六次産業化を掲げる、二〇二〇年までに十倍の市場規模ということであれば、そのための人材育成の体制をしっかりと、そして、農林水産業にこそ若者の雇用の場をつくるべきと考えております。

 そこで、以下、徳島の具体的な施策を、この四点について申し上げたいと存じます。

 四ページをごらんいただきます。

 IT利活用社会についてであります。

 徳島県では、今申し上げましたように、地デジを、ピンチをチャンスに切りかえる、光王国徳島となりました。これによって、地デジ対応はもとより、ブロードバンド基盤ができ上がる。また、IP電話、同じエリアでは電話代がただであります。また、ローカル放送としてのCATV多チャンネルの活用ということで、三年連続でケーブルテレビの世帯普及率は日本第一位、しかも、後発の利ということで、各家庭は光ファイバーで結ばれております。

 また、東日本大震災発災以降、東京、大阪のITの企業の皆さん方は、クライアントから危険分散をすべきではないかと言われました。しかし、彼らにとってみますと、東京、大阪以上のブロードバンド環境はどこにあるんだと。そこで、徳島の方から、ぜひ徳島へということを申し上げたところ、左下にありますように、企業の皆さんにとってのリスク分散、また、社員の皆さんにとっては、あの通勤地獄から解放され、そして、効率よく仕事をすれば、その後、サーフィンであろうと山登りであろうと釣りであろうと、すぐそばでそうした余暇を楽しむことができるようになります。また、地域にとってみますと、若い皆さん方がその地域に来ていただける、地元雇用はもとより、地域の活性化につながることとなります。

 右側に、神山町の事例を載せさせていただいております。

 このサテライトオフィスの結果、神山町の人口は、昭和四十五年、過疎法制定以来初めて社会増が社会減を上回ることとなりました。今、既に神山町には十一社、そして美波町には六社、三好市に四社という形で、続々とICTの企業がサテライトオフィス、場合によっては本社にしてしまうところも美波町では出ております。

 また、このバックボーンネットワークを活用して、4K、次世代のスーパーハイビジョン、このイベントなどについても、昨年そしてことしと、徳島県で行われております。

 次に、五ページをごらんいただきます。

 生涯現役社会の実現ということで、アクティブシニアの状況です。

 葉っぱビジネスいろどり、今、横石さんからもお話がございました。上勝町は、実は、高齢化比率は県内最高の五四・三%です。今、日本は、最新のデータが出まして、二五・九%であります。これを見てもおわかりのように、では、医療費なども高いのではないかとお思いかもしれませんが、実は、医療費は、県内市町村で少ない方から三番目であります。それもそのはず、四世代の皆さん方が、九十歳などのお母さん方のもとで働くという形、そして、タブレット型端末を持って、このお母さんたちがまさに受発注を行うところでありまして、上勝町におきましては、既に過去十年間で五回も社会増が社会減を上回っております。

 では、どうして高齢者がICTを利活用できるのか。ICT弱者は高齢者、これが日本の常識であります。しかし、徳島では逆に、高齢者こそICTを利活用していただいております。

 県のシルバー大学校あるいはシルバー大学院の方では、一番倍率が高いのがICT講座であります。特に、大学院におきましては、卒業の要件として、シニアITアドバイザーの一級から三級をお取りいただいておりまして、結果として、卒業すると、シルバー大学校の講師を、また、場合によっては、小学校に行って子供さんたちに教える立場となっているところであります。

 次の六ページをごらんいただきます。

 女性が輝く日本の実現、徳島版のウーマノミクスであります。

 徳島県におきましては、まず、県における審議会の女性委員の割合は、六年連続で第一位、四八・六%であります。まさに行政におきましても、女性の皆様方のいろいろな英知と、そして感性を取り込ませていただいております。また、民間におきましてもどんどん進んでおりまして、会社役員の割合も全国第一位、全国平均の約一・五倍となっております。

 そういうことで、この情報通信関連産業を集積するに当たり、女性の雇用をどんどんということで、コールセンター、データセンター、今では、平成十五年四月ゼロ社であったものが、十一社十五事業所、女性を中心に千名を超える雇用が生まれております。

 しかも、コールセンター業務の特色というのは、より年を重ねるごとにベテランとなるということで、産休、育休からの復帰率が何と一〇〇%の会社も出てきております。

 どちらかというと、徳島市内が中心でありますが、昨今では、逆に、美波町であるとか東みよし町という、いわゆる中山間地域にも、サテライト型の小規模コールセンターが展開をするようになりました。

 そういう形で、新たな働き方のこのテレワーク、時間、場所、これを超えた柔軟な働き方、子育てをしている間でも十分に対応が可能と。であれば、率先垂範、県庁におきましても、ことしは試行を行っているところであります。

 また、これらをバックアップするためのテレワーク活用ネットワーク会議、こちらも、企業、NPO法人の皆様方との協力体制を既につくり上げているところであります。

 そして、今後、また女性の登用において大きな課題となる女性管理職の皆様方の介護離職問題、これについても、テレワーク、モバイル化というのが大きな光明となると考えております。

 七ページ、攻めの農林水産業の実現であります。

 まず、県土の七五%が山林である。日本も同様でありまして、そうした点を考えると、やはり林業をもう一度日本の成長産業に据える必要があります。

 そこで、地球温暖化に着眼をし、なかなか林業は難しいと全国では言われておりましたが、徳島県では、平成十七年から林業再生、十九年度からは林業飛躍と、山に高性能林業機械を入れることで、間伐そして主伐へと。今では、平成二十三年度から、次世代林業プロジェクト、十年計画を進めているところであります。

 当然、川上、川中、川下、それぞれのてこ入れが必要となるわけであります。まず、川下としては、県産材の利活用をどんどん進めていくポイント制度なども国に提言し、既に国の制度となっております。また、川中では、合板など、A材、B材、C材、それぞれを加工できる日本を代表する企業を誘致して、おいでをいただいております。

 こうすることによって、あとは生産体制、川上となるところでありまして、この高性能林業機械の活用によりまして、特に若い世代の皆さん方が、どんどん林業に入っていただいております。那賀町におります三十歳代までの山武者という若い皆さんだけで三十四名もおり、Uターン、そして大阪などからのIターンの皆さん方が多くおります。

 最後、八ページとなります。

 今回、国におきましては、東京一極集中を何とかしなければ人口減少問題の解決は難しいと言われております。しかし、これまで四全総、新全総など、国の多くの全総計画、今ではそれもなくなったところでありますが、この中で東京一極集中の打破を掲げましたけれども、逆に東京一極集中はどんどん加速するばかりとなりました。これによって多くの人々が東京へと、そして東京に行った皆さん方は、人、物、金、情報も含め、これが全て東京に集中をいたしますので、東京を出るという考えがなかなかないところであります。

 そこで、地方のよさをしっかりと知っていただくため、今回、若手のタスクフォースを徳島県、一月から築き上げました。また、東京に業を構え、そして神山の方にサテライトオフィスとして来ていただきましたドローイングマニュアル、ちょうどNHKの「八重の桜」、あのタイトルバックを行った会社でありますが、その菱川氏たちと共同作業で、県の施策の共通コンセプト「VS東京」を出させていただきました。

 これによって、東京にいる皆様方に気づきを与え、そして、徳島を初めとする地方への回帰を促していく。これによって、さらに地方が元気となり、人、物、金をさらに東京に送ることによって、いい循環をつくれればと。ちなみに、ユーチューブに流し、約一カ月で十三万回の再生となっております。

 結びとなりますが、今回は、まさに日本にとって、日本の国全体の創生の最終の機会ではないかと我々は考えております。国の本気度と我々地方の覚悟が試される。今回、ぜひ、異次元の、また大胆な、一国二制度なども踏まえた制度の創設を先生方によろしくお願い申し上げたいと存じます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

鳩山座長 ありがとうございました。

 以上で意見陳述者からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

鳩山座長 これより委員からの質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔君。

寺田委員 自由民主党衆議院議員の寺田稔でございます。

 まずもって、きょう意見陳述をされた四名の方々には、貴重な御意見、陳述をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 実は、私もちょうど十五年前、徳島県の総務部長としてまさにこの地に赴任をさせていただき、大変多くの方々にお世話になり、当時からもさまざまな先駆的なアイデアを賜りました。また、きょうは傍聴席にも、当時から大変お世話になった県議会の先生方、またマスコミ関係者初め多くの方々が来られております。本当にうれしい限りであります。

 実は、徳島県は、十五年前は人口が八十三万人、五十の市、町がありました。現在、人口も七十六万人、そして推計によりますと二十六年後には四十万人という、大変な人口減社会を迎えるわけであります。

 先ほど神山の非常に模範的な例の御紹介もあったわけでありますが、まずもって、こうしたこれから本格的に到来をいたします少子高齢化社会、あるいは、先ほど、徳島VS東京プロジェクト、知事さんの方からもお話がありましたが、この人口減社会にいかに立ち向かっていくか、そしていかなる手を打っていくかを第一問として、四名の方々それぞれにお伺いをしたいと思います。

 可能であれば、簡潔に御答弁を賜れれば幸せでございます。お願いいたします。

大南信也君 私は一九五三年の生まれです。ちょうど小学校五年生のときに東京オリンピックを迎えました。

 当時、やはり田舎の生活、神山の生活は不便だったと思います。不便な中でいろいろな生活をしておる中、もうちょっと便利になりたいというのが、常に周辺から聞こえてくる声でした。

 結果的にそこから高度成長が始まって、今度は便利が、いろいろなサービスがお金で買える時代になったと思います。そこで、それならそういう場所はどこかといったら、やはり東京になるわけですね。人々が東京に集中をし始めます。そうすると、結果的に人が集中するから、今度は不便になるわけです。

 その東京では、例えば、二年前に渋谷駅で東急と地下鉄をつなぐ。これは便利になります、一時的に。便利になったらまた人が集中する。ではまた新線をつくらぬかというような話になるんじゃないかなと思います。

 これは何かといったら、多分、回し車の中に入ったハツカネズミの状態だと思います。常に次の便利を探し求めて、くるくる回っておっても、いつまでやっても便利はつかめぬと思います。いつかこれは断ち切る必要があるんじゃないかなと思います。

 断ち切る方法というのは、もう少し東京をすかせることによって便利にするべきだと僕は思います。

 だから、不必要とは言いませんが、いろいろな人が東京に集まっておるけれども、結果的にその力を生かせていないという場合が非常に多いので、そういう人たちが東京から地方に出ていくことによって、しかも、東京で働いておる人たちは、例えば日比谷公園の中で仕事をするというようなイメージの町になれば、もっと東京は住みやすくなると思います。

 それとともに、今度は地方に目が行くわけだから、今まで解決されなかったいろいろな過疎の問題というのがそういう人たちによって解決されるんじゃないかなという考え方を持っています。

 以上です。

横石知二君 五年前にいろどり農家にアンケートをとったら、五年で三割、十年で半分になるという結果が出てきました。

 所得があれだけあっても、Uターンがない、後継者が育たない。これは、自分のやり方として、やはり時代が変わってきたなということを痛感しました。

 今の若者の考え方の中に、お金、出世という感覚でない幸せ感を求める時代になった。そこへ、東京では、誰々さんがという形で、自分の名前を言ってもらって必要とされるということが、大企業や会社とか地域にはありません。でも、地方というのは、誰々さんがいなかったら、あんたがいなかったらだめだよねとか、あんたがこれをやってくれたからできたよねという、自分との距離が物すごく近いことが幸せ感だということが社会の中に出てきました。これは、地方にとっては大きなチャンスであり、私は、そこからインターンを始めました。

 なぜインターンを始めたかというのは、いきなり都会から来て地方に入りたいと言っても無理です。それは、地方にはルールがあって、集落の中に入っていくためにはルールをある程度理解してもらわなければいけません。だから、いきなりではなくて、ちょっと一緒になってやっていく空間づくり、マッチング空間をつくっていけば、地方は、あっ、あの子いいね、一緒になってやれるね。来た子も、自分だったら、あそこの集落へ行って生活ができるという感覚をつかむことができます。

 だから、今、少子高齢化対策として、世の中の流れが、さっき言った自分との距離感を非常に求める若者の急増、これこそ地域にとって大チャンスであり、でも、それを理解する地域側が、こういうことをやってくれなかったらだめだというふうに言ってしまえば、そこで終わってしまいます。そこを理解するために、地域の人は、今の時代を学ばなければいけないというふうに考えています。それをやっていけば、少子高齢化問題はかなり改善されていくんじゃないかなということを上勝では取り組んでいます。

 今、私の後ろにおる子は横須賀から来ています。地元の子と結婚して子供が二人おります。こういう子が十人でも二十人でもできてくるだけで、すごくいい形になっていくというふうに思っています。

 以上です。

山口浩志君 先ほども少し、冒頭述べさせていただきましたが、かつてオランダで学んできたこととして、NPOの企業集合体というのがありました。福祉の中でノーマライゼーションという言葉がありますが、ノーマライゼーション、平たんということなんですけれども、やはり、同じ産業でもうまくいっているところ、うまくいっていないところがある中、そこを一緒に協働してできるような、NPO、企業が一緒にやっていけるような何か仕組み、仕掛けづくりがあればいいんじゃないか。

 例えば、高齢者では、今、買い物難民という方がいらっしゃいます。介護を受ける必要はないけれども、近所に買い物に行ける場所がない。ちょっと離れた、車で十分、十五分のところにはスーパーがあるけれども、つえをついている方とか、ようやく庭の周辺を歩ける程度の方では、スーパーまでなかなか自分で買い物に行けない。一方では、商店街がシャッター通りになっている。

 そういう、うまくいっていないこととニーズをマッチングするようなことで、例えばなんですけれども、商店街の裏の方に、アトリウムみたいな、高齢者の方が短期間だけでもお住まいできる、仮住まいができるような場所があれば、そこである程度買い物ができたりとか、そこで働く人たちもお買い物もするし、商店街と高齢者の方をマッチングさせるような何か仕組みづくりができないかなと。まだ答えがあるわけではないんですけれども、それも一つ思いつきます。

 あと、福祉の分野では今、医療・介護連携ということがすごく重要視されております。病院と在宅の連携、そういうことも大事なんですけれども、医療、介護の連携だけではなくて、他産業との連携も必要なことではないか。農業とか漁業とかと福祉の連携した、その町独自の連携ができる事業、どこか一つの拠点があって、そこから発信していけるような事業が何かあれば、そこに人が集まり、また仕事ができ、新しい町がつくれる。

 だから、今までの既成概念を取っ払って、新しい、今これからの町をつくるためには、やはり新しい発想、新しい知恵をつくって、その中で、新しい仕組みづくりで新しい人をつくっていくということが大事なことじゃないかと思います。

 以上です。

飯泉嘉門君 やはり、企業、大学それから政府機関、これを大胆に地方へ移転する、一国二制度をつくるべきだと思っています。

 例えば、企業であれば、今、法人関係税の軽減をしていこうという話があるわけでありますが、大都市部と地方とで法人税を、完全に一国二制度、地方の方を安くする、こうした形が望ましいとまず思います。

 もともと、今の企業も、多くは地方にあったものが東京に集中をしております。地方回帰を。

 また、大学につきましても、若い皆さん方がたくさんおられるところであります。これも、今、COCということで、地域貢献をせよと文科省が言っているところであります。そういうことであれば、大学そのものを地方へ、あるいは、サテライトキャンパスを地方へ持っていく、こうしたことを進めていただきたいと思います。

 そして何よりも、隗より始めよ、霞が関、政府機関を、何も東京にばかりある必要はないと思いますので、地方ならではの特色のあるところへの分散。今回、一機関でありますが、まち・ひと・しごと創生本部が神山町へサテライトで移る、これも今回の大きな一歩ではないか、このように考えております。

寺田委員 それぞれ貴重な御意見、ありがとうございます。

 時間の関係で、次が最後の質問となるわけでありますが、まさに今回の地方創生、地域発のアイデアを国にぶつけていただき、そして国がそれをワンストップで受けとめる。それはもちろん、霞が関で受けとめるのみならず、地域においても受けとめる。それに対してさまざまな支援、これは人、物、金、いろいろな資源があります。いろいろな形でそれを効率的に行っていくというのが今回の基本的なコンセプトであります。もう既に皆様方からそれぞれお持ちの、地域発の、徳島発の、またオンリーワンのアイデアも承ったわけでありますが、特に、この四名の中で、今皆様が申された以外に、こうしたアイデアをぜひ国にぶつけたいんだ、あるいは国に対する御要望をあえてぜひとも一言言いたいという方がございますれば、どなたでも結構でございます、挙手の上、御発言を賜れれば幸せに存じます。お願いいたします。

飯泉嘉門君 三人の方、挙がりませんので。

 あと一点、私として言い残した点、実は高齢者対策であります。

 日本創成会議の方から、高齢者が大都市部に集まって、そこへ若い女性が移る、このように言われています。もともと考えますと、東京を初めとする東京圏、こちらではこれから介護などを含めて施設を物すごくつくらなきゃいけない、このコストは物すごくかかるんですね。しかし、地方は逆にあいてくるということがありますので、今東京におられる方々でも、三世代東京の人というのはそんなにはいないはずなんですね。そこで、徳島御出身あるいは御両親が徳島、あるいは徳島で長らく働いた、寺田先生もそうでありますが、そうした皆さん方にぜひこの機会に徳島に戻って老後を過ごしていただく、なるべく早い方がいいわけでありますが。

 そこで一点、制度的に問題がありますのが、介護保険制度の住所地特例であります。これを拡大する、あるいは緩和する、大胆に見直す、この点だけはぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

寺田委員 貴重な御意見ありがとうございました。

 十五年前から、AIRあるいはアドプト、あるいは高齢者生きがい就労事業、観光ナビゲーション事業等々、徳島発の先駆的な取り組みを行われて、それが今にもつながっていることは大変うれしいことですし、また、実際、きょうの午前中も、工業技術センターで、LEDでありますとか、地鶏ナンバーワンの阿波尾鶏、さらには間伐材の有効利用といった全国に先駆けた取り組みも我々は見させていただきました。大いにこれからの政策の参考にいたしたいと思います。

 また、今あります徳島のすばらしい地域芸能、地域資源、阿波踊りはこれはもう阿佐谷のみならず世界版になってまいりましたし、また、たらいうどん、祖谷そば、ぞめき料理と、食の文化においてもこれはもう世界に冠たるものがあると、私もかつて徳島にいた者として痛感をしております。ぜひとも、そうしたすばらしさを伸ばしていただきたいと思います。

 終わります。

鳩山座長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也と申します。

 きょうは本当にありがとうございます。お隣の香川県から参っておりまして、いつも吉野川からお水をいただいております。この場をおかりしてお礼を申し上げ、また、自治省で勤めた経験がございます、飯泉先輩、御無沙汰しております。

 早速なんですが、まず、大南理事長、横石社長にお尋ねします。

 あえていい意味で申し上げますが、徳島の山の中からごらんになっていて、グローバル経済に焦点を当てたアベノミクスというものをどうごらんになっているか。影響があるのかないのか、いいもの、悪いもの、これが一つ目です。

 それから、お二人のお話をお聞きしていて、つくづくここに行き着くんですが、やはり、制度も政策も大事なんですが、人材、しかもたった一人の、オンリーワンのリーダー、それは横石さんであり大南さんでありという存在に行き着くなと。横石さんの著書も、葉っぱにかける長年の情熱というのは生半可なものじゃないなと思いながら拝読していました。

 そこで、横石さんや大南さんを継ぐような人材というのは育てて育つものなのか。そこに関する大上段の御意見をお聞きしたいと思っております。

 大南さんにはもう一つ、利用された補助金が余りにも各省にまたがっているというふうに拝見しております。当委員会の大きな一つの目的は思い切って縦割りを排するということもあるわけですが、より使い勝手がよくなるためにはどうか、その点をお聞きしたいと思っております。

 時間の関係もございますので、一通りお尋ね申し上げます。

 山口理事長にも、二点、お尋ねしたいと思っております。

 これから、どの町でも高齢者の数が圧倒的にふえるという大きな課題があろうかと思います。

 そこで二点なんですが、きょう、飯泉知事、横石さん、お二方から生涯現役というお話がございました。高齢者の就業率が高いほど健康寿命が長く、そして医療費が少ないという統計的な傾向があります。デイサービスを初めとした老人福祉施設を利用されているような方に、何がしか、むしろ貢献の機会とか社会参加とか、そういうチャンスがないものか、これが一点。

 もう一点は、今、待機児童が二万人ちょっとと言われていますが、待機老人は五十万人を超えると言われております。

 そこで、何とか基礎年金程度、まあ裕福なお年寄りは、これはこれで自前でできるわけですが、基礎年金程度で地域でやりくりしていけるような施設なり在宅サービス、こういうものの提供というのは何とか実現できないのだろうかという問題意識を持っております。その点について、現場の感覚でどうお感じになるか。

 最後に、飯泉知事にお尋ねしたいんですが、かつて、ふるさと創生、そして、地方分権、地域主権、さまざまな冠を掲げてこの地方創生策というのは議論され続けてまいりました。それをどう評価されるか。知事は、退路を断って、今回最後のチャンスだと再三おっしゃっておりますけれども、今回の地方創生はそれらと比較してどうあるべきかに関する御見識を伺った上で、具体的に二点。

 一つは、ちょっと私ども野党の立場から危惧をしておるんですが、現在の政府での議論に、十分に地方の意見が反映をされる機会、プロセスが踏まれているかどうか。

 そしてさらに具体的に、政権再交代後、廃止になりました一括交付金制度。もちろん課題もあったと思うんですが、私どもとしては、より改善した形で、社会資本整備、ソフト事業を含めて復活を志したいという思いがございます。この点に対する御所見。

 ちょっと駆け足になりましたけれども、各陳述者の皆様にお尋ねしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

大南信也君 まず最初の御質問は、アベノミクスをどういうふうに捉えておるかというところかと思います。正直言って、わかりません。多分、地方におる場合には直接的にはこれは関連性は余り感じないというところかと思います。

 そうした中で、先ほども一番最後に、ヒトノミクスという言葉を申し上げました。だから、今回は、長期的な日本の地方の姿を考える場合に、やはり物への投資よりは人への投資が大事だと思います。それで、しっかりとした将来の人材を育てていくというところが一番重要になってくるのではないかと思います。

 私自身は、建設業がなりわいです。建設業で飯を食ってきた人間で、公共工事も一概に悪いとは言えないと思います。どういうような方向に持っていくのかというのが問題になってくるんじゃないかと思います。特にアレックス・カーさんなんかが話されておるように、やはり今、でき上がった例えば景観を壊しておるような広告物とか、ああいうようなものを、逆に今度は壊す公共工事も必要になってくるのかなというような気がしています。

 次に、次の世代なんですけれども、例えばグリーンバレーを考えれば、次の世代はサテライトオフィスで、もう経営者自身が入ってきたりしています。あるいはサテライトオフィスで働いておる人たちの中から次の世代がまずは出てくるのかと思います。

 その次の世代になれば、今度、我々の子供たちの世代というのは結構田舎へ帰ってくるという志向がありますので、そういう人たちとサテライトオフィスなんか、あるいは移住者の人たちが一緒になって次の形というのをつくり上げていってくれるのかなというような気がしています。

 三番目に、補助金の問題ですけれども、タイミングよくいろいろな補助金をいただきました。何かといったら、とりあえず自分たちの手届きにあることを、まずいろいろなことをやるわけです。やった上で、結果的に、何かここ、資金が必要になったなというときに必ず補助金をもらうというような形になってきておるので、割とすっとそのお金の効果が、例えば一五〇%、二〇〇%出せるぐらいの、こちらの方は受け手側としての自信があります。

 結果的に、どこに補助金を出すかというのは、やはり出す側として、今現場で何が起こっておるのかというのをつかめぬかったら、うまく出せぬと思います。プレゼン能力の高いところばかりがとるというような状況もなきにしもあらずのような気がしています。

 だから、そういうようなところで、先ほど申し上げたように、霞が関の方が地方に、例えばサテライトオフィスで滞在するとかいうような頻度というのをふやしていただいて、今現場で起こっておることというのをしっかりつかんで、その中でいろいろな補助金を考えていただくとか、助成金を考えていただくという方向が一番いいのではないかなというふうに考えています。

 以上です。

横石知二君 アベノミクスというのが地方において実感が出るのは、三本目の矢の経済ではないかというふうに思います。でも、まだその実感がないから、どうなんだということになると思うんですけれども、大企業がもうかって、地方にそれだけ効果があるのかというふうな感覚をどれだけの人が持っているかということだと思います。

 日本人の風潮として、キャッチフレーズというか、風を起こすということがすごく、風に弱いと言った方がいいのか、何かのブームのようにばあっといくと、それに流されていくという感覚があります。

 でも、それは、その現場におる人の受けとめ方であって、例えば、たくさんの方が神山、上勝にも視察に来られます。ああ、あれは神山、上勝だからできたよねというのではなくて、では、できている現状を自分のところにどうやって落とし込んで、何ができるのかというところこそ成功するものだと思います。

 だから、アベノミクスという形の中で経済分野が、例えば大企業が伸びているということであれば、それをどういうふうに自分のところに捉えられるかということの方が大事であって、そこが何か、大企業がもうかって、うちはだめだよねというふうに見てしまう感覚こそだめだというか、残念なことかなというふうに私は思っています。

 ですから、風が起きれば起きるほど自分のところにはチャンスが来るというふうに、うちなんかは受けとめて、一つでもそれをやっていこうということで取り組んでいます。

 そして、リーダーですね。リーダーが大事だ、おっしゃるとおりだと思います。

 リーダーが、後継者ができるのかという御質問でしたけれども、できるのかというのではなくて、つくらなければいけない日本社会だと思います。

 地域創生において全てのことが重要になるのは、プロデューサーの存在だと思います。そのプロデューサーが、今は、出れば出るほどくいが打たれる、足が引っ張られる。だからなりたくないという社会と、先ほど私が言った、社会の中で役に立ちたい、社会貢献したい、地域貢献したいという感覚を持った今の若者。

 今、国内では、「田舎で働き隊!」、地域おこし協力隊という制度がありますけれども、これをやはりもっと下の、学生時代から現場について、能力は物すごく高い時代です、でも、現場の感覚がないので、頭ではわかっているんだけれども体がついていきません。その体がついていかない感覚の部分を現場でしっかりと養う教育といったらいいのか、その仕組みをつくれば、プロデューサーは必ず育つと思います。

 そういう思いを持った人を育てる社会を周りがつくれば、そんなに数は要らないんです、プロデューサーというのは。そんなにいっぱい必要なことではないので、徳島県でも数人いるだけで変わってきます。それを仕組みとして考えていけば、風は吹いています、だから、それを実現していって後継者を育てるという形へ行きたいなというか、目指していきたいというふうに考えています。

 以上です。

山口浩志君 御質問ありがとうございます。

 まず第一点の、生涯現役ということについてなんですが、確かに、元気なシニア世代の方の力というのは本当に果てしなくあり、それをいかに地域で役立てていただくかということは、仕組みづくりが大事かと思うんです。

 私の経験上、今かかわっている、ある若年性の認知症の方がおいでまして、五十歳過ぎでそういう御病気になられたということで、物忘れはする、仕事がなかなか手につかないと焦りがある、いら立ちがある。それで結局、会社をやめてしまうことになってしまったんですが、どうしても社会参加ができないんですけれども、その方が常々おっしゃっているのが、とにかく役に立ちたいんだと。まだまだ自分は世の中から隔離されたくない、とにかく社会に出たい、役に立ちたいんだということをおっしゃいます。恐らくこれは、お体が御不自由な方であっても、役に立ちたいという気持ちは皆さん持っていらっしゃるんじゃないかなと思うときがあります。

 デイサービスの要介護老人の方が、出かけていって何か社会参加ができるというのは、なかなか物理的に難しいことはあると思うんですけれども、例えば、高齢者の方を見ることによって情操教育ができる、子供の教育には役立つかもわかりません。車椅子に乗っていたり、手や足腰が不自由な皆さんが小学校に出かけていくというのは、いろいろ、移送の問題もあったり、手間の問題もあると思うんですけれども、そういったデイサービスの場所に、例えば小学校とか保育園とか幼稚園が移動教室をするということは可能じゃないか。そのことに関しては、今、横石社長もおっしゃられましたように、中間支援をする何かそういう仕組みが必要なことなんじゃないかと思います。

 もう一点、生涯現役という意味では、徳島県の場合は、御承知のように、福祉施設とか、医療、病院、そういう施設に対して全国的にもすごく充実をしている県であります。そういった施設がたくさんあるということは、そこで働いている人もいますし、働いてきた方、そこを退職されている方で今時間があいている人、福祉、医療のOBの方の力を何か世の中で、徳島県内で役に立てないか。そういう医療、福祉の人材バンクとかに登録していただいた方一人一人の引き出しを持つことによって、それぞれのマッチング、コーディネートという作業ができるんじゃないか。そこでも、やはりコーディネーターとか中間支援が必要じゃないかと思います。

 以上が、生涯現役ということについての回答です。

 あと、待機老人の方の、基礎年金でやりくりするということは、ちょっと私も、どこかの場所で見たことはあるんですが、コミュニティーハウスの話かなと思うんですけれども、空き家があるところで一緒に住む。ただ、その人たちだけで生活はできないので、見回りの支援とか、あと、介護、医療の相談の支援とか、そういったこともどこかの法人に委託するですとか、それも、協働作業でそういう生活の場の確保というのは、やり方によっては可能かなとは思いました。

 以上です。

鳩山座長 まことに申しわけありませんが、小川淳也君の質疑時間が過ぎておりますので、飯泉嘉門君におかれては簡潔にお願いいたします。

飯泉嘉門君 はい、わかりました。

 まず、総論でどう考えるのかといった点ですが、ふるさと創生のときには、地方が従来はいわゆる国の手足だというところが、考える機会をいただいたと思います。また、その後の地方分権、ここでは、まさに機関委任事務が廃止をされ、地方が独自に動けるようになりました。それから今度は地域主権、ここでは、国の出先機関が丸ごと移管、まさに国の業務まで地方はしっかりと視野に入れた中で日ごろの事業を行っていかなければいけない、こういう形になった。そして今回は、やはり大規模な構造改革、一国二制度をぜひ導入してもらいたいと思います。

 そこで、地方の意見を聞く場はこれで十分かということでありますが、きょうこうして重要な審議の一環として、地方公聴会をわざわざ徳島まで来ていただいている。また、先般、まち・ひと・しごと創生本部の方には私も行っているところでありますし、また、各党といたしましても、自由民主党の本部の方にも地方六団体として意見を申し述べさせていただいております。そうしたいろいろな形で、ぜひ機会を設けていただければと思います。

 そして今度は、一括交付金の関係についてでありますが、やはり我々としては、各皆さん方も言われたと思うんですが、あの省のこれとこれを、いろいろ工夫するのではなくて、まさに一本化をしていただいて、自由度の高い、大胆に緩和をした、そうした交付金を、ぜひ数千億程度よろしくお願いしたいと考えております。

小川委員 ありがとうございました。

鳩山座長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 皆様、本当にありがとうございます。お忙しい中、貴重な御意見を賜りまして、感謝を申し上げます。

 時間も限られておりますので、私からは、大南理事長と飯泉知事に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、大南理事長さんから事前にいただいておりました、熊本日日新聞朝刊のコラムのような記事なんですけれども、神山町につきまして、移住の窓口が、行政ではなく、グリーンバレーというNPO法人がやっておられるということ。それから、これはついでですが、片山善博元総務大臣のコメントが、「自治体は、国に従えばうまくいくという幻想を捨てなくてはいけない」と述べておられる、こういうような内容の記事なんです。

 私も元自治省の職員で、小川議員と同期でもありまして、同じく飯泉先輩の後輩でございますが、それはさておき、私が行政に携わっていたころから、大きな問題意識として、行政、役所に一体どこまでのことができるんだ、やはりおのずと限界があるだろうと。

 それは、縦割りでもあり、人事ローテーションが二、三年ごとにくるくる回っている、こういうことでありますので、むしろ、まさにその移住の窓口をNPOが主体にやられているということにあらわれるように、主にNPOが、地域密着、現場主義で、横断的な窓口として物事を捉え、人を受け入れ、仕組みも考え、そしてそれを、逆にある意味、下請をするのが行政だ、このぐらい逆転の発想をしなければならないんじゃないかなとずっと思っておりまして、公務員参加型NPOとか地域に飛び出す公務員とか、いろいろな仕掛けを役人時代からしておった人間として、行政とNPOとの関係についてコメントをお願いしたいということ。

 もう一つ、先ほど大南理事長がおっしゃっていましたが、タイミングよく助成を受けられるように、もっと時間をかけた支援の仕組みが必要だ、三年から五年というのを改め、六年から十年ぐらいかけた支援が必要だということなんです。

 これは、お金の話もそうですが、役所の人事ローテーションも、こんなにころころかわって、霞が関が一番ひどいんですけれども、一年もたたないうちに人事異動とか非常に多いんです。

 そういった、民間の目から見た行政のあり方についてもコメントをいただければと思います。

大南信也君 行政とNPOの関係なんですけれども、例えば、横石さんの上勝町と、神山町は、本当に背中合わせの町なわけですね。上勝町は、一九九〇年代ぐらいから、非常に熱心に町役場が動いていくというような形がとられておったのかなと思います。

 一方で、神山の方は、行政としてはそんなに活発に動いておる場所でなかったわけです。だから、結果的に、住民側とすれば、自分たちでやらなかったらいかぬというようなところで、結構、NPOとか一般の団体、任意団体というのが育っておるのが神山のケースではないかなと思います。

 神山の役場の本当にいいところは、信用して任せてくれるということだと思います。普通、移住の政策であれば、うまくいかなくても、市役所とか町役場、村役場がそのまま窓口を構えておるというのが普通なんだけれども、いや、これはもう民間でやった方がうまくいくということで、信用してくれるというような結果、うちの方も力を発揮できたということかなと思います。

 事移住に関して言えば、私たちは住民なわけですね。普通、行政の場合は、例えば町役場であれば、入ってくる人に対する公平性というのは担保するわけです。それで、文句が出ないように、抽せんでやるとか、あるいは先着順で選んでいく。移住は二面性あって、受け入れ側というのもあるわけです。その場合だと、受け入れ側に対しては、役場が選んだ人が入ってくるという状況になるわけです。ということは、結果的にそれがうまくいかなかったら、すぐに行政批判が始まります。

 ということは、どういうことかといったら、受け入れ側が選びなさいという形が大事だと思います。それが自己責任という世界ではないかなと思います。自分たちが選んで、うまくいかぬようだったら自分たちが努力して、自分たちが選んだのだからというところで進めていく必要があるのではないかなというような気がしています。

 それから、補助金とかの年限ですね。私の場合は、先ほど申し上げたのは、特に芸術とか文化に対する補助金は、いずれにしても、もうちょっと長目にとった方がいいと思います。

 経験上、最初の五年間は、自分たちも一九九九年にアートのプログラムを始めて、やっておる人間にも変化の見えない時期です。ところが、五年を超えてくると、やっておる人間には変化が少しずつ見えてきます。ところが、周りの人たちにはまだ伝わっていない段階。今度は、十年たつと、周りの人たちも、あれ、町が変わってきたなと感じるような、ある程度、時間軸というのは必要だと思います。

 だから、お金を多額にかけたからそれが短縮できるという話でなしに、やはり継続的に、辛抱強く、なぜかといったら文化を育てるわけだから、そんな、三年ぐらいで文化が育つはずないわけですね。その間に、アートとか芸術を通して、町の空気、雰囲気、土壌を変えていくという形で、結果的に十年ぐらいすれば、今までつぎ込んだお金がさらに有効に働いていく。その段階であれば、例えば補助金を切ってしまっても、僕は、もう育っておる状態にはなっておるような気がします。

 それで、人事の件ですけれども、霞が関の人事が何年ごとに交代するというものがあっても、これは僕らが言ったところで手に届くところの話でないので、常に心がけてやっておるのは、自分たちの手の届くことはとにかく徹底的にやっていくという姿勢で物事は進めております。

 以上です。

重徳委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。

 それでは次に、飯泉知事に、今の大南理事長のお話も踏まえて、特に交付金のあり方について御意見を賜りたいんです。

 自由度の高い交付金、金額もそれなりの規模ということでありますと、その自由度の高いというのは、使途が特定されない、あるいは横断的な使い方ができるということも一つあると思います。

 もう一つ、今、大南理事長がおっしゃった、息の長い取り組みを継続的に支援できるという意味では、その執行の時期も期間も、これまでも基金という考え方もありましたが、どうも私が見るところによると、補正で一発どんと出して、すぐ使えないだろうから基金で積んでおいて、あとは余りよくわからない、こういうような状況が、仕組みがこれまであったかと思いますし、それは、そうはいっても一、二年が精いっぱいというところでした。

 やはり、地域の取り組み、特に、成功例を見たときに、必ずそれは十年、二十年という長い目でようやく取り組みが実現していくということですので、そういう意味では、今までの単年度予算、それの例外としての一、二年ぐらいの基金の取り組み以上の、いわゆる異次元の仕組みが相当必要なのではないかなという気がいたします。

 さらに、今、石破担当大臣が、特にこの委員会からいろいろ建設的な提言をもらいたいということもおっしゃっておりまして、そうする上で、重要なのは批判的な検証だと。検証を漫然とするというんじゃなくて、やりましたという検証じゃなくて、過去にやってきたことは、うまくいったものもあるけれども、これはうまくいっていないんだ、こういった批判的な検証も必要だということを石破大臣はおっしゃるんです。

 今申し上げましたような交付金の期間のあり方、それから、うまくいった事例は皆さんお話しになるんですが、これはうまくいかなかったなというような国の支援の例がありましたら、忌憚なくお教えいただきたいと思います。

飯泉嘉門君 今、基金の話については、やはり中間評価という形を入れるべきではないかと思います。

 つまり、例えば五年間、今大南さんからもありましたが、その五年間の中間年、三年次目、このところで評価を入れることによって、あと残りの部分、例えば課題があるのであれば、それを解決して、いい方向に、よく進んでいるのであれば、よりそれを加速できる、こうした点がありまして、実は、大学などの競争的資金というのは必ずそういう形をとっているんですね。

 ですから、そうした点も交付金の中に新しい仕組みとして入れていく必要があるのではないかと思います。

 また、余りよくいっていない事例という話がありましたが、先ほど大南さんからありましたように、文化、私からはさらにスポーツとか、やはり人材を育成していかないといけない、こうしたものについては、ある一定の期間延ばしていく必要があるのではないかと思っております。

 しかし、そうした点についても、予算単年度主義ということで、毎年ぶつぶつに切っちゃうんですね。こうやると、せっかく事業がうまくいきそうだなとなったところで、はい、取りやめと。

 こうした点については、やはりある一定の期間、つまり、事業の内容によって、例えば、こうしたものは三年、こうしたものは五年と。実は、県の指定管理者制度についても、企画型については五年、それから単純に業務だけという場合では三年という形をとって、そして県議会の審査といった形も必ず入れているんですね。

 ですから、こうしたものもぜひ参考にしていただいて、そして、石破大臣がよく言われる、知恵は地方にこそありということでありますので、この点につきましても、いろいろな事業についてパターン化をする中で、その代表事例をどんどん公表していっていただくことが、ああ、これだったらうちができるとか、あそこができるんだったらうちもできるとか、そうした、地方がどんどん競争する環境、こうしたものもぜひ国の方で仕組みとしてもお考えをいただければと思います。

重徳委員 ありがとうございます。

 もう一点、最後になりますが、今、飯泉知事は、一国二制度という言われ方をされました。

 今までも、特区なんという形で、国のお墨つきが、非常に渋々、小出しのお墨つきがついたらちっぽけな特区ができる。これもいわば一国二制度で、それはあくまで、うまくいったら全国展開するというのが前提だとか、そういったような、依然として中央集権、一国一制度ということが前提となった仕組みが多かったんです。

 一国二制度となれば、いわゆる地方分権、さらにそれを超えて道州制、まあ、道州制も賛否いろいろありますが、きょう、各党の委員の皆さんお見えになりますが、ほとんどの党が道州制を公約に入れております。

 この道州制、地方分権、一国二制度といったことに対して、今回、特に、これから五十年間の長期ビジョンを策定するというのが地方創生の大きな柱ですので、私は、その中にぜひとも地方分権、道州制あるいは一国二制度、そういった文言を入れ、かたい決意で取り組むべきだと思いますが、知事のお考えをお願いします。

飯泉嘉門君 この道州制と、今の一国二制度あるいは今回の地方創生とは、少し異質なものなのかなと。やはり、目的と手段ということですね。

 ですから、道州制というのはあくまでも手段でありますので、道州制で一体何を実現するのか、ここの理念が、私ははっきり言って欠けているのではないかと。

 あくまでも、こういったことをやる、そのためには、では、広域連合がいいのか。既に関西広域連合、徳島も入っているところですけれども、ドクターヘリの共同運航、あるいは災害医療、危険ドラッグなど、こうした点については非常に全国の先進事例となっているところでありますので、ぜひ、先生方におかれましては、手段と目的を間違えないようにしていただければと思います。

 以上でございます。

重徳委員 ついでと言ってはなんですが、地方の魅力、情報発信が若い人たちにきちんと届くということが大事だと思うんです。首長さん方を含め、全て飯泉知事のようなプレゼンテーションができる能力があれば非常に伝わりやすいと思うんですが、今回、政府の取り組みとして、こういった、地方の魅力をできるだけ多くの、特に若い人たちに伝えるという取り組みをしたらいいんじゃないかなと、今、飯泉知事のプレゼンテーションを聞いて思ったんですが、コメントをお願いします。

飯泉嘉門君 あとは若者に届けるとなりますと、これも手段の問題だと思います。

 やはり、若い皆様方は、今、余り新聞を読まないですね、SNSを活用する。政府、あるいは各党の皆さん方、あるいは先生方も、それぞれ、ユーチューブであるとか、あるいはフェイスブックであるとか、LINEであるとか使われているわけでありますが、こうした点をわかりやすく届けていく。

 そして、できれば、静止画ではなくて動画で。今回も、本当ですとプレゼンテーションを動画でさせていただきたいところであったわけでありますが、あくまでも二次元でということがありました。

 ぜひ、そうした、若い世代であれば若い世代が受け入れやすい体制、そうしたツールをお考えいただければと思います。

重徳委員 ありがとうございました。

鳩山座長 次に、石田祝稔君。

石田(祝)委員 公明党の石田祝稔です。

 きょうは、四名の意見陳述人の皆様、大変に貴重な御意見をありがとうございました。

 きょうは、徳島でこういう形で公聴会を開かせていただきました。私も、お隣の高知県の出身でございますので、徳島県以上に人口も減ってきている、そういう地域ということで、問題意識も共有ができるところはたくさんあると思います。これからの法案の審査に、きょうは非常に貴重な御意見をいただいたというふうに思っております。

 まず、私の経験も申し上げながらお話をさせていただきたいんです。

 私も、高校までは高知県に住んでいたんですが、大学のときに、どうしても東京に行きたいと。それで、東京に行って大学を終わるときに、さて仕事をどうするか、そうなったときに、やはり仕事で地元に帰る選択肢がなかった、こういうことで東京都庁に仕事を求めたわけであります。

 ですから、私は、大学を卒業したときに、次の進路が来る、一つは、大学へ入るときもそうなんですけれども、これはなかなか、地方に大学が少ないということもありますので、仕事というのが一番のポイントかなと。

 特に、今回、法律では、まち・ひと・しごとと。町を支えるのが人、人を支えるのが仕事、こういう捉え方もできるのではないかと私は思いますが、仕事という観点で、大南理事長さんと横石社長さんにお伺いいたしたいのです。

 まず、お二人のお話を聞くと、仕事がないんだから、求職の支援ということよりも、起業、いわゆる会社を起こす方の支援をした方がいいんじゃないか、こういうお考えだったというふうにお伺いいたしました。

 これが、ある意味でいえば、大南理事長や横石社長の属人的、その人に属する力があってうまくいったのか、こういうことをやればどこでもある程度の成功ができるのではないのか、こういう、いわゆる横展開ができるものなのか。

 これは御本人を前にして聞くのも恐縮な感じもしますけれども、それぞれから、求職ではなくて起業だという点でどういう御苦労があったか、ほかのところでやられるんだったらこういう点が大事ではないのか、この点をちょっとお二人にお伺いいたしたいと思います。

大南信也君 どこでもできると思います。

 現実に、神山で二〇一〇年ぐらいからサテライトオフィスで雇用を生み始めたときに、四国の中で一番熱心に神山に視察においでてくれたのは高知県でした。知事さんが、神山へ行ってちょっと見てこいという中で、県会議長さんまでおいでてくださいました。結果的に、去年の移住者の数なんかを見てみたら、結構高知県は頑張っておられますね。

 やはり今、地方の人間は、地方の若者たちは、依然として中央に向かっています。ところが、一方で、中央の方で非常にエッジの立ったような、若い、ある面クリエーティブな人たちの地方への流れというのは、確実に、ここ十年間ぐらいずっと続いておって、今なおそれが強まってきておると思います。

 ということは、そういう人たちの行き場所というのは、神山へ来てくれるのかというと、必ずしもそうでもないわけですね。いろいろなところにいろいろな、自分たちに合った場所というのがあるので、そういう動きが当然今も続いておるということは、地方であれば、どこにもチャンスはあると思います。

 以上です。

横石知二君 おっしゃるとおりだと思います。

 私は、仕事をつくるということしか考えなかったと言うとあれですけれども、仕事がないところで、生活ができないところで地域が元気になることはあり得ないというふうに今も考えています。

 でも、自分のところの地域を見ても、全国を見てもそうですけれども、田舎で仕事をつくるというか、稼ぐことが物すごく難しい時代になりました。

 今の仕事で何が一番難しいかといったら、社員の給料がちゃんと払えること、ボーナスも出せること、そして地域の人のお役に立てる仕事ができること、この三つが私の仕事ですけれども、やはりこの稼ぐということが、私は、ある意味で、田舎でのんびりしたいから東京から田舎へ来るというのでは、まず成り立つことはないと思います。やはり、一生懸命というとあれですけれども、都会並みに働くぐらいの覚悟がなければ、田舎で生活するというのは本当に難しいなというのを私は今も実感しています。

 でも、チャンスがあるというとあれですけれども、確かに生活費なんかは安いです、住宅とかそういうのは非常に安いですけれども、ある意味で、価値観をしっかりと見つけていけば、稼げるチャンスというのはたくさんあります、資源がありますから。その資源をしっかりとビジネスとしてやっていけば、仕事があるし、稼げるということにおいて、チャンスはすごくあるなと。

 残念だなと思うのは、経済が、例えば、田舎で講演会をします、全部ただです。東京で講演会をして、ただというところはほとんどありません。お金なんか払うと言ったらびっくりしますね、田舎でお金を集めると言ったら。みんな驚きます。例えば、こういうものをつくります、デザイナーがつくっても、これはただでやってくれるんでしょうということが、地方では当たり前の世界になってしまっています。

 ですから、もらうこと、してくれることが当たり前の社会の中では、ビジネスとしては非常に難しいです。そういうことをちゃんと田舎に、こういうことには対価が発生して、価値があるものだということを、教えるというとあれですけれども、伝えていく地域社会をつくっていかなければ、私は、地方で稼ぐということが非常に難しいものだなというのを実感しています。

 でも、チャンスは必ずあります。だから、それをしっかりとやっていって、仕事をつくり、そして生活していけるということを第一に、やはりよそでも私はできるというふうに考えています。

石田(祝)委員 お二人に続けてお伺いしたいんです。

 それぞれ、企業を起こすということで、私たちから見たら、ある意味でいえば、地方で一つのモデルになるようなことをなし遂げられたと思うんです。

 その際、インフラというんですか、最低これだけはないと無理だよ、例えば、行政とか政治に、この部分だけは整備してくれ、その上で我々が努力をすることで必ず成功はできる、こういうことをおっしゃったように思いますけれども、最低限これだけは整備してくれ、こういうことがありましたら、お二人に順次お伺いしたいと思います。

大南信也君 現実に、神山の状態では、今、結構いろいろなことが、サテライトオフィスというのを中心に回って、そこから雇用を生み出してという形になっています。

 それで、現時点では、飯泉知事を先頭にITインフラをつくってくれてあるので、とにかくこれを活用しながらいいところを伸ばしていこうというところかなと思います。

 以上です。

横石知二君 ここは、大南さんと重なる部分がありますけれども、ICTだと思います。

 やはり、東京と地方と同じ環境をつくれるのはICTです。東京にいても地方にいても、ICTは同じ空間をつくることができます。

 ほとんどのいろどりのおばあちゃんたちが、タブレット端末、コンピューターを、上勝町は世界一高齢者がコンピューターを使う町です。高齢者は使えないと思っていますけれども、使えるんですね。

 例えば、このたび台風が来ました。おばあちゃんたちは何をやっているかといったら、昔だったら、台風のときはじっと家の中で怖いから寝ていました。今、台風が来ると、タブレット端末とかコンピューターを出してきて、アメダスを見て、何時から何時までが雨が少なくなるか、何時だったら自分は畑にとりに行けるか、何時に飛行機が飛んできて徳島空港に着陸するか、明石大橋が何時に通行が開始されるか、これをICTで見ているんですね。これをおばあちゃんたちはやります。

 こういう、受け身でなくて攻めに立ったICTの利活用ができると、ICTというのは、これほど強いものはありません。ビジネスとしても成功する可能性は非常に高いです。でも、それを利活用する力というか、キーボードのキは気持ちの気で、その気を起こさせることができなければ、地方ではビジネスとして、仕事として成り立ちません。

 だから、同じ空間で仕事をできるということは、絶対にICTの利活用、どううまくICTを使って、それをビジネスとして活用するかということにかかっていると私は思います。

石田(祝)委員 ありがとうございました。

 そうしたら、知事にお伺いをしたいんです。

 ことし八月、来た順番に申し上げますけれども、台風十二号、十一号と、大変な被害が四国でもありました。そのとき、私は高知県の大豊町というところに行ったんですが、そうすると、やはり山崩れがある。そこで、地元の町長さんに聞くと、ここは林野庁の所管なんです、その隣は国土交通省ですと。

 こういうことで、私は、今回のまち・ひと・しごと、これでやるのは、大事なことは、横串を刺すというんでしょうか、役所の方は、国の方は幾つか分かれているけれども、受けるところは一つの県であったり一つの町であったりするわけですね。ですから、それは知事も、総務省にいらっしゃったわけですから、よくおわかりだと思いますけれども、そのあたり、受ける立場として、県として、こうあるべきではないのかということが何かございましたら、お願いします。

飯泉嘉門君 今、砂防のお話がありました。

 実際に、砂防については、昔から、治山治水ということで、建設省と農林水産省、今は国土交通省ですが、あわせてやるとともに、エリアが違ったり、過去の歴史的な流れの中からそうなっています。

 このあたりにつきましても、県が窓口になりまして、この事業であれば国土交通省の方がいいのではないか、これだと年数がかかるのでロットが大きい、だったら農林水産省がいいんじゃないか、そうしたノウハウは持っているところなんですね。

 ただ、これから全国の市町村レベルまで活性化をしていこうということになりましたら、やはりどこかにそういうワンストップサービスを設ける必要がある。先ほど交付金の自由度のお話を申し上げましたが、これについては、ハード、ソフトともにそうした自由度を。

 ただ、これについては、しっかりと検証するという制度もやはり要るのではないか。そうしなければモラルハザードを起こしますので、そうした点はよろしくお願いをしたいと思います。

石田(祝)委員 今、知事からも率直な御意見をお伺いしたんですが、私は、これから国の役所の数が減るということは、これ以上は考えにくいので、ある意味でいえば、県が受けていただいて、県と地元の市町村、その間には、県がまとめ役になって、国からいろいろ来たものを県がワンパッケージにして、地元と連携をとってやっていただくのがいいかな、こういうふうに率直に思いました。

 最後に、山口さんにお伺いしたいんです。

 今、社会福祉法人と行政との関係もいろいろ言われておりますけれども、NPOで長くやってこられて、ある意味でいえば、行政がやるべきことをNPO法人にやっていただいている、こういうこともあろうかと思いますけれども、特に福祉の分野でこれから行政に望むことがありましたら、率直にお伺いしたいと思います。

山口浩志君 私は、いつも思うんですけれども、NPO法人というのは、本当に地域地域で活動しておりますので、きめ細かいこととか、実際に、住民の方とか患者さんとか介護を受けられている方、それぞれ個々の、いわゆるケースワークに当たってはおりますけれども、全体的な、県域全体がどうなっているかとか、そういうことは、やはり、一つ一つのNPO法人にとってみたら、目の前のことだけで、目の前にあらわれる御高齢者の方を一生懸命やっているので、いわゆる森を育て木を育てるという言葉がありますけれども、基盤整備ですとか全体の情報伝達、そういうことをNPOがどういうふうに自分たちの町で生かすかということを考える場が必要かなと思います。

 ちょっと答えになっているかどうかわかりませんが、済みません。

石田(祝)委員 陳述人の皆様、どうもありがとうございました。きょうの御意見を参考にさせていただきまして、充実した審議の上でお役に立てるようにまた頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山座長 次に、中丸啓君。

中丸委員 次世代の党の中丸啓でございます。

 きょうは本当にお時間をいただきましてありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 まず、時間も限りがありますので、我が次世代の党は、「次世代に胸を張れる日本へ。」ということで党を新しく八月に立ち上げましてやらせていただいているんですけれども、この地方創生、まさに、次の世代にどうやって、地域も含めて日本という形を残していくか、ここが一番大事な視点だろうというふうに思っております。

 そういった中で、きょうさまざまな御意見を頂戴しまして一番思ったことは、先ほどから出ていましたが、今、知事はちょっと別にして、お三方は、それぞれの分野、それぞれのところでしっかりと御苦労なさりながら活動されて、一つの成功の位置にあると言っていいと思います。しかし、こういったさまざまな多くのチャレンジを全国で行うに当たって、全てが皆さんのように成功するということは非常に難しいと私は考えます、これは、起業するとき全てにおけることですけれども。そうすると、やはり起業家が日本で育ちにくい理由の一つとして、失敗したときのリスクが非常に大きいという問題があると思うんです。

 質問を先にまとめてさせていただきます。

 まず、お三方には、一問目として、再チャレンジするために、そういった失敗があったときに、もう一度、その間に得た教訓、経験を生かしていくようにする仕組みが、現状のままでいいと思われるか、それとも、何かこういうふうにした方がいいという御提案があればお聞かせ願いたいというのが一点。

 知事には、この再チャレンジも含めて、特に起業家というのは、初めて起業して少しのお金が入ってくると、言葉は悪いですけれども、ゴルフに行ったりとか、夜、繁華街に行ったりとか、そういったことに使ってしまう傾向も非常にある人種でございます。そういう意味でも、そういったものをPDCAサイクルできちんと見ていく仕組みには、行政だけでは限界があると私は思っていまして、信用金庫、それから地元の地銀等の金融機関、こういったところが、通常の銀行業務の枠を一歩踏み越えた状況で、実際に西武信用金庫とか、そういう成功例もございますので、こういうのを知事がどういうふうにお考えかお伺いしたいというのがまず一問です。

 それから、大南理事長にお尋ねします。

 さまざまなコンセプトメーカーでありコーディネーター、行政との連携をとられながらうまく活動されているというふうに理解していました。そういう中で、文化というものといろいろなものを結びつけるに当たって、私は、大南理事長の中に、非常に遊び心、楽しみを創造する力というのを持たれているんじゃないかと感じました。

 そういう、これをやっていて楽しいなというお気持ちを、どういうふうにしてモチベーションを持たれているかということを一つお尋ねしたいと思います。

 それから、いろどりの横石社長にお尋ねします。

 先ほども、従業員さんの給料、ボーナスとおっしゃられていましたけれども、株式会社である以上、当然利益を求めていく中で、この利益と公益性のバランスを保たれている一番は、横石社長の志であろうというふうに私は思いました。

 この志を強く持たれている、これは教育で育てられるというのもありましたが、私は、自分が起業家であった経験からいいますと、実は、その裏にあるさまざまな、生き方であったり、家庭環境であったり、友人であったり、逆に、負の遺産とも言えるようなコンプレックスをプラスに変えていく能力というのが非常に必要な役割だと思います。

 そういったものをどうやって教育の中で実践していくことができるか、もしお考えがあればお聞かせ願いたいというふうに思います。

 それから、どりーまぁサービスの山口理事長にお尋ねします。

 生涯現役、まさに人間にとって最大の幸福であろうというふうに私は思います。そういう、田舎ならでは、しかしやりがいがある環境、この両立の中で、参加意識ということを非常におっしゃられたと思います。

 この中で、都市に住んでいる方々から見た、要は、今は都市に、例えばお年寄りの人は、病院がある、便利がいいから行きたいではなくて、魅力として、そういう参加意識、これは逆に田舎でないとできない部分、地方でないとできない部分があると私は思います。

 その魅力づくりに関して心がけておられること、さらに、ここを強化すれば、もっと都市部から、例えば関東圏だけで、三千万人を超える人がいれば、ほんの一%が地方に行くだけで、人口の少ないところというのは非常に大きな成果が出ると思いますので、そういった数値的な管理とかも含めて、何か思いがあれば教えていただきたいと思います。

 最後に、知事なんですが、さまざまな皆さんの力を総合力としてまとめられて、やはり知事の発信力が非常に大きく出ているんではないかというふうに私は思います。

 この発信力の中で、先ほどSNS等もおっしゃられましたけれども、やはりそのメッセージの中身が非常に大事だと思います。その中身の上で、発信に際して、ある意味虎の巻かもしれませんが、ぜひともその手のうちを明かしていただきたいというのが一点。

 それと、先ほどの地方金融との兼ね合いの中でというところで、私は、要はお金の域外流通、流域の外に出さなくて、域内、例えば徳島県あるいは神山町であれば神山町、そういった形の域内でどれだけの消費行動を起こせて、外側にどれだけお金を流通しないようにするかというポイントが、その地域の経済、流通において、要は町のGDPといいますか、それをいかに外に出さないかというのも地方にとって一つの非常に大きなテーマだと思いますので、それをお聞かせいただきたいと思います。

 あとは、こういった地方創生全体にかかわる取り組みにおいて、それぞれがさまざま個性を持ってやっていただくのではありますけれども、やはり全体統括として、知事として、発信等だけではなくて、PDCAサイクルというので評価して、今後必要な改革、改善ポイントはどこにあるか、それをどういうふうに見ていくお考えかというのをあわせてお伺いしたいと思います。

大南信也君 本当に、日本は起業しにくい社会だと思います。

 神山によく若い子たちが入ってきます。それで、何で入ってきたのと言ったら、よそでいろいろ提案したけれども断られた、友達にいろいろ話を聞いておったら、神山だったらやらせてくれるよというので来ると言うわけですね。結局、そういう場所というのは本当に日本は少ないと思います。

 これは、地域だけの問題ではなしに、結果的に日本全体がそういう状態になってしまっていて、優秀な頭脳がシリコンバレーに流出する、それで、向こうで何か起業したニュースがよく入ってくるというような状況になるんではないかなと思います。

 神山の場合は、小さなコミュニティーだけれども、町全体というか、僕らの一つの中で、とにかく手前の方で判断するのをやめようということをやっています。

 手前の方で判断というのは、いや、それはだめだからやったらいかぬということはやらずに、というのは何かといったら、この判断というのは、自分たちの今までの経験にのっとった判断をしておるわけですね。ところが、余り大した経験をしていないわけです。それなのに、小さな経験の中で、やったらいかぬというふうに決めつける。そうしたら、若い子たちは萎縮するから、それから前へ動かぬ。まずやってみなさいということを、やらせます。判断は、やった後で決めたらいいじゃないのというような形です。そういう形をとれば、結果的に若い子たちは非常にパフォーマンスを発揮します。

 だから、まず、やはり日本全体がそういうようにやわらかく見ていく必要があるんではないかなと思います。

 それから、神山の場合は、いろいろな文化のあたりからスタートしました。遊び心はたくさんあると思います。結果的に、僕のモチベーションは、やっておったらおもしろいからというのがもう単純なモチベーションです。

 これは、最初から、グリーンバレーさん、大南さん、神山をこんな町に変えてくださいと町民から頼まれておるわけでも何でもないわけです。だから、非常に自分たちが楽なわけですね。楽な中でいろいろな価値を積み上げていって、結果的にその価値が町民にとってプラスになっておるという状態が今の状態ではないかなと思います。

 そうすることによって信頼度がどんどん上がっていって、少なくともあの人たちは町にとって悪いことはしないというような妙な安心感があって、いろいろなことを任せていただけるという状態になっておるのかなというような気がしています。

 以上です。

中丸委員 あと、再チャレンジについても。

大南信也君 再チャレンジの仕組みですが、国全体とか、よその地域はわかりません。少なくとも神山の場合は、場自体が再チャレンジを許すような雰囲気というのを内蔵しておるというか、ある面、見方が緩やかなので、DNA化しておるという状態ではないかなと思います。

 以上です。

横石知二君 再チャレンジという形で、次世代ということですが、私自身も、先ほどからうまくいった話をしていますけれども、それはもう、失敗は誰よりも多いというふうに思っています。でも、それを失敗とは思わずに、経験を積み上げてきているというか、一度失敗したことを次は絶対やらないということが次への形になっているんです。

 再チャレンジという前に、私は、チャレンジしない世の中、日本の風潮、結局、教育においても、職場においても、出てはいけないというか、画一的な形の中に日本社会がある、だから、出るくいは打つ、チャレンジしなくてもいいよという、安定志向が非常に強い。ここをどう変えていけるかというか、ここをどういうふうにすれば、チャレンジ、やってみようと。

 おばあちゃんも一緒ですね。じっとしているおばあちゃんが、やってみるかというのと同じで、やってみようという気を動かす、元気をつける仕組みづくりこそ、今の日本社会の画一性ということをやはりもっと見直していく必要があるのではないかなと思っています。

 それと、いろどりの利益と公益性のバランスの中で、どういうふうに教育的にやれるかというようなことですけれども、確かに、利益と公共性は難しいです。公共性のことばかりやっていて人に好かれていたら利益は出ないです。毎日仕事をほったらかしておいて、やれ祭りだ、ボランティアだということを私はやりません。それはやってはいけないことであって、経営者がやってはいけないと私は思っています。

 だから、そこはバランスの問題であって、やはり、社員には行かせます。祭りに行けよ、地域のことをやれよということをやります。でも、それができて初めて仕事ができるからだと私は思っています。だから、会社の中でも役割をしっかり分担して、公共性と収益性を確保していく、このバランスをしっかりとっていくということを考えてやればできるというふうに思っているので、教育の中に、それを次世代へつなげるということはできると思います。

 それは、さっき言った、そういう、それぞれの役割を担う、考え方を持った人がいるので、それをしっかりと、明確に役割分担、あんたがここだよ、あんたやからできるよ、あんたは、祭りになって一緒になってやってくれたら地域の人が喜ぶよということをしっかりとやれば、教育的にも、地域的にも、ビジネス的にも成り立っていくというふうに私は考えています。

山口浩志君 まず初めの再チャレンジということに関してなんですが、絶対に再チャレンジする機会は必要だと思います。

 企業を起こして、たまたまうまくいく人、いかない人がいますし、私も今までたくさんの失敗をしてきました。これまでも、いろいろ励ましの言葉の中で、世界一のホームランバッターは世界一三振しているんだということを聞いたこともあるんです。

 三振しても次のバッターボックスがあるということがやはり大事なことであって、一人の人としたら、たまたま何らかの理由で会社を離れられる、そうしたら、ハローワークという場所があって、また別の就職をあっせんしてくださるというように、企業を起こした方が、もし失敗して、行き着く場所がないような方が駆け込めるような場所、そういうのが必要なことなんじゃないかなと思います。

 また逆に、そういった方の経験こそ、失敗から学ぶ大きな財産でありますので、それをまた次に生かす、チャレンジする場が絶対に必要だと思うんです。

 それと、生涯現役、魅力づくりについてなんですけれども、成功事例をモデルとしてつくることかなと。

 我々、高齢者の分野でいうと、例えば、九十歳のおばあちゃんが頑張れるのは、我々が言うよりか、九十五歳の頑張っているおばあちゃんを見ることで一番頑張るんですね。九十五歳のおばあちゃんが、あんた、若いのに何やっているよ、頑張らなあかんでというのが、我々若輩者が頑張ってくださいと言うよりかは余計に頑張れる。

 だから、同じ世代の同じ立場である方の成功モデル、成功者を表舞台に出せるような仕組みづくりが必要なことかなと思います。

 あと、数値目標に関してなんですが、私ども、数値管理というのはなかなか難しいところなんです。ただ、会計士さんですとか社会保険労務士さんですとか弁護士さん、司法書士さんに御指導を仰いでいるところなんですけれども、そういった異業種の方のNPOへの理解ということがあれば、そういう方の助言、アドバイスを受けながら、経営も確かなものへと、余りぶれずにやっていけるんじゃないかなと思います。

 以上です。

飯泉嘉門君 三点いただいています。

 まず、金融機関と事業者のかかわりなんですが、実は、ともにリスクを負うというのが地方の難しいところで、両方がシュリンクしてしまって二重のブレーキがかかる。

 その意味で、まずは、事業者の皆さん方には、金融機関がこれはいけるんじゃないかと思える環境を我々地方がつくるということで、徳島県では百二十五億のファンドをつくっております。中小企業の皆さん方の技術開発あるいは商品開発、販路開拓、こうしたものをまず支援させていただきまして、そして国の競争的資金にチャレンジをする、そうしたステージに行っていただく。実績が必要だということであれば、お試し発注ということで、競争入札にかけない制度も実は御用意させていただいております。

 そして、今回、総務省の地域経済循環創造事業がこの大きな壁を破ってくれました。

 つまり、金融機関がこれに絡む。総務省が交付金を出し、その裏打ちを我々県が起債でするとか、補助金を出すのではなくて、金融機関が融資をする。これに対しては金融庁がバックアップをいたしますので、リスクの部分がかなり軽くなるんですね。しかし、目ききは金融機関がしている。つまり、その事業は、そこの関係がばっちりうまくいっていれば、当然成功してしかるべきなんですね。

 そういう形で、これは三番目に言われました、町内のGDP、この中での囲い込みといった観点でも、まさに県内の金融機関、地元金融機関が、自分たちが見出したものを、国に採択になり、そして事業展開ができる。より効率が上がるわけでありますので、こうした点について、今回の地域経済循環創造のような事業をもっともっとふやしていただく。それに対して地方はしっかりと応援を地方独自でしていく、これが大きなポイントではないかと思います。

 そして、二番目にいただいた発信力の話、虎の巻をということなんですが、誰にこれを伝えるのか、ここがまず重要になります。

 例えば、今おっしゃるように、若い人たちにということであれば、若い人たちが使うツールを使う。つまり、SNSですね。その中身についても、当然のことながら、どこかのシンクタンクに丸投げをするということではなくて、若い皆さん方の発想で、その部分を出す。

 例えば、今回御説明した「VS東京」。あれは決して、飯泉がまたおもしろいことを出したんじゃないかではないんですね。我々は、一月からもう既に、県庁の若い、大体四十前の皆さん方十四名のタスクフォースをつくって、そして、東京をターゲットにするわけですから、東京の企業の皆さん方とコラボをして、そして今回の「VS東京」を実は出した。そして、フェイスブックを活用する、こんなことは私が言うまでもないんですね。

 そういう形で、やはりターゲットをしっかり、そして、その階層に対して、当然同じ、同世代の感性を持った皆さん方につくってもらう、このマッチングが重要だと思います。

 最後に一点。

 日本は、今もお話がありましたように、とにかくチャレンジを許さない、また、リスクをとらない、これが今までの国の状況でありました。前例踏襲というのは、まさにその最たるものなんですね。そういうことで、これをぜひ打破していただくという形を。

 ちょうど霞が関なんかがその典型なわけでありますが、私は、昔から前例踏襲を打破すべきだと申し上げてきて、ちゃんと二人の優秀な後輩が、今や衆議院議員で御活躍をいただいておりますので、そうした意味でも、ぜひこの点をお考えいただければと思います。

中丸委員 ありがとうございました。

鳩山座長 委員長として申し上げます。

 最初に質問をいっぱいされるのは構わないんですけれども、そうなりますと、お答えの時間の調整を皆さん方にしていただく形になりますので、できる限り一問一答に近い形でお願いをしたいと思います。

 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 委員長の仰せのとおり、時間を有効に使わせていただきたいと思います。

 まず一点、感想なんですが、やはり、チャレンジをして今上っているところの皆さんは、夢と希望があって前に進んでいるなということを実感いたしました。どんな地域でもそれができるんだろうなと思いました。できないのではなくて、やることが先だ、まず行動だということだと思いました。本当にありがとうございます。

 きょう、ずっとお話を聞いていたんですが、知事に一点。

 この徳島でも、こうやって成功事例もありますし、それぞれまた問題も抱えている点があろうかと思います。先ほど、午前中に、オンダン農協さんもすばらしい成果を上げているとはお聞きしましたが、しかし、最後に、地方に人が住まないんですよ、なかなか田舎に人が住まないんですよと発言されていました。実は、きょうお見えの皆さんは、それを実現し、現実にはふやしています。

 そういう意味では、徳島の中でも一度横の連携をとられてはどうかなと思いますが、知事、どうでしょうか。

飯泉嘉門君 オンダン農協の方からそういうお話があったわけであります。しかし、これは、若い人たちが例えばIターンで来てくれない、こうした点だったんですね。ですから、海陽町に住んでいる人の子供さんたちは来てくれるんだけれども、また海外も来てくれるんだけれども、こういう形だったんですね。

 そういうことで、それぞれの業種によってやはり状況は変わってくるのではないか、このように思っています。

佐藤(正)委員 確かにそうなのかもしれません。しかし、きょうお聞きした中では、皆さんが成功している中で、その成功している者同士がまた横串を刺す、ある意味では、情報交換をしっかりやればもっと伸びるのではないかなというのが私の感想でしたので、お尋ねをさせていただきました。

 それと、あとはもう皆さんいろいろ質問もありましたので重複しますが、やはり、霞が関は何もしない方がかえっていいのかな、もう皆さんに自由にさせた方がいいのかな、こういうふうに率直に思いました。

 それは、先ほど答弁の中で、実は頭がよ過ぎるけれども現場がわかっていないんだよという発言をどなたかされましたけれども、まさにそうじゃないかな、霞が関はやはり現場がよくわかっていないだろうと思います。

 そういう意味では、今、きょうは前総務大臣の新藤先生もお見えですけれども、提案型というのを強調されています。これからは、まさに提案型に全面的にシフトがえをした方がいいんだろうと思いますが、その点について、皆さんお一人お一人のお考えをお尋ねしたいと思います。

大南信也君 霞が関は何もしない方がというお話なんですけれども、多分、私の方から見た感じとしては、もうちょっと企画とかいろいろな政策立案に対する時間を、官僚の人にもとってあげる方がいいんじゃないかなというような気がしています。

 僕も、何度も、内閣府に呼んでいただいたり、総務省に呼んでいただくんだけれども、担当者の人はめちゃくちゃな時間働いておるわけですね。そうした中で、まだなおさら政策立案をやる時間があるのかなというような気も一方でしています。だから、せっかく能力がある人たちを、もうちょっといろいろな政策立案の時間に割けるような形にする仕組みが一つ必要なんではないかなと思います。

 そうした中で、一方で、提案型、あれは非常にいいと思います。でも、いずれにしても、今度提案が上がってきたものを選ぶのは、やはり行政の側で選ぶわけですから、そのあたりのところで、いかに現場感覚を持っておるかというのが最重要になってくるんではないかなと思います。

 以上です。

横石知二君 霞が関の方々は何もしなくてというのではなくて、国には国の役割があり、地方には地方の役割があると思います。

 家族でも同じで、夫婦、お父さんにはお父さんの役割、お母さんにはお母さんの役割が、きっちりと明確に。上勝町が変わったのは、お母さん方がお父さんに常に命令をされていて、おまえはこれをやっておればいいんだ、何もしなくていいというのが地方社会でした。でも、上勝町は、お母さんの役割がしっかりできてきて、ほぼ横にお父さんとお母さんがこう並ぶようになってくると、一足す一が三の力になっていきます。でも、命令とか、してくれるという形になると、この下の奥さんは、それがこうならないので、一足す一が二にもならない、一・五ぐらいしか力が発揮できないんですね。

 ということは、国と県と町と住民というのは、その関係が、非常にうまく役割をきっちりと担っていくことが大事だ、夫婦においても、家族においても、地域においても、集落においても。私は、一人一人の、あんたがという役割の明確化だと思います。

 でも、一つだけ提案させていただけるのであれば、してくれるという形は絶対にうまくいかないと思います。ここが地方の一番の弱い点であって、どうしてもおねだりをするようになります。やはり、この気持ちをどういうふうに。

 だから、福祉も、私は産業福祉という提案をしたことがあります。「カンブリア宮殿」でそれを言ったときに、大きな反響がありました。働く福祉。例えば、福祉施設が、元気になったらどんどんお金を上げるよと。いろどりのおばあちゃんに、幾ら稼いでも年金を上げるよ、一生懸命稼いでくれたら上げるよ、でも、税金を納めてくださいね、一番納めてくれた人は、飯泉知事か厚生労働大臣が表彰しましょう、こんな仕組みがあっていいと思います。

 もらうことではなくて、自分が活躍することによって、喜んでもらえたり、それを認めてあげる社会が必要だと思います。これをどう国としてつくっていくかということが、私は、今の日本社会において非常に必要な部分ではないかなと考えています。

山口浩志君 本当に、この中でも若輩者の私がこんなことを申し上げるのは大変失礼とは思いつつなんですが、私は、霞が関に行ったこともないし、霞が関の人に会ったこともないのでよくわからないんですけれども、やはり国の大きなかじ取りという意味では、すごく大切な、大事な、重要な役割を果たされているんだなと思いますし、また、地方には地方の役割、地方には地方の、それぞれの地方での姿形があるかと思うんです。地方で考えなければいけないことも当然あろうかと思うんです。

 昔、亡くなられた後藤田正晴先生の「情と理」という本の中にあったことを思い出したんですけれども、大事は理をもって臨み、小事は情をもって接すという言葉が書かれていたんです。

 やはり、国の大きなかじ取りは理論武装がなければいけませんけれども、その理論の中で、それを地方でどういうふうな色、姿形に実現していくかということは、それは地方でやっていかなければいけないことであって、なかなか、逆に、地方では、理屈ではようわかるんやけど、ほな、そうやけどなということはようけあります。正しい、正しくないの判断をする前に、それは誰がしよるん、あの人がやっている、ほな行くわ、ほな一緒にやるわと。誰がやっているかということが大事なことがあって、それは、情をもって臨んでいきながら、やはりその人脈とかネットワークとかが必要なことなので、そのあたりの役割分担かなと思います。

飯泉嘉門君 やはり、霞が関は使わないと損だと思います。

 というのは、今もって日本最大のシンクタンクであることは間違いないところであります。しかも、企画立案といった点について、もしある施策をつくるときに、何とか総研とかいうシンクタンクに出す場合には莫大なお金がかかります。しかし、この企画立案というところのコストを、ちょっと、皆さんというか全体的に考えていない。これは給料分だけの話なんですね。

 そうすると、はっきり言って給料はそんなに高いわけでは全然ありませんし、環境も大変厳しいという中で、横石さんからも出たように、やはりもっともっと官僚の皆さん方が、できれば若いうちに地方にどんどん出ていって、現場主義と地方目線を備える。つまり、それをもって、今度は法律の原案のところの立案、あるいはその執行、こうしたところを考えていく。補助金についても同様かと思います。

 ぜひ、これを使えるような形で、官僚の待遇といいますか、待遇というよりも、もっともっと地方、現場目線でできるような、海外も同様でありますが、そうしたことをどんどん進めていただければと思います。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 要は、国がやるべき仕事と地方がやるべき仕事を明確にしないからこうなってしまうんですね。国が、あくまでも地方の仕事にまで口を出し過ぎるんですよ。だから、基本的に、地方から見れば無駄な政策なんだけれども、補助金があるからそれに、僕がよく言うダボハゼのごとく食いついて、結果的にはどうなったのかというと、地方には借金しか残らなかったということの繰り返しがあるので、私は、その辺の仕組みを本当は変えなきゃいけないんだろうと思うんですね。

 知事さんが言われるように、地方に任せてほしいという部分は、これからも、我々も国会の場で大いに語っていきたいと思います。

 もう一点だけ、知事にお尋ねをしたいんです。

 国が今回、地方創生で縦割りの弊害をなくそう、一元化しようという中で、実は概算要求はもう始まっていて、これをどうするんだろうなと、僕は、今後また石破大臣にお尋ねをしようと思っています。概算要求の中で、小さな、地方のことでも、それこそブランド品の云々も、各省庁にまたがるようなものがあるんです。しかし、それはそれでやっているんだけれども、では、横串を刺したときにその予算はどうなるんだということもあります。これは、知事には関係ない、私がまた国会でやればいいんです。

 ただ、その中で、総務省がいわゆる人口流出を防ぐためにやっている地方中枢拠点都市構想、また、それと同じように、国交省が高次地方都市連合というのを掲げているんですね。地方中枢拠点都市は、大体二十万都市で、それ以外のところと連携をとってやりましょう、国交省の高次地方都市連合は三十万都市だと。中身は基本的にほぼ同じなんですね。これがまさに縦割りで出ている。

 両方の政策が来ましたよと、これについて知事はどういうふうにお考えですか。

飯泉嘉門君 まずは、それぞれ全く同じということではありませんので、自分のところがどちらに適するのか、まずはこれを選ぶ。できれば、その両方をうまく合わせたものがつくれるということであれば、その複合型もオーケーと言っていただければ非常に使いやすいな。そして、それを最終的には交付金でもって賄うことができる、しかも自由度が高い。これがベストの形かと思います。

佐藤(正)委員 同感です。そういうお答えが出るんだろうと思って期待をしていました。国会の中でも、これは必ず言っていかなきゃいけないと思っています。

 なぜ地方創生をやるのかというのは、今まさに知事が言われたように、地方がどれを選ぶのか、そして、それが自由度があって使えるものなのか、これが本当に今回の鍵だと思っております。

 貴重な御意見をありがとうございました。終わります。

鳩山座長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 四人の陳述人の方々のお話は本当に勉強になりました。

 それで、今回この法案が出されてきた背景というのは、やはり、地方が疲弊している、あるいは人口減少が極めて深刻だ、その事実はお互いに共有できると思うんです。ただ、そういった問題は勝手に自然現象のように起こってきたのか、では、これまでの施策がどうだったのか、やはりそういうことをきちっと一つ一つ検証しないと、どこが間違って、さっき何もしない方がいいんじゃないかという話が出ていましたが、何もしなかったわけじゃなくて、いろいろしてきた結果がこうなっているわけですから。

 飯泉知事は、平成十年ごろ郵政省におられたということですが、私ちょうど、一九九八年に参議院議員に大阪から当選をして、最初に担当したのが多分郵政だったと思います。その後、総務委員会なんかも担当しましたから、この間、地方に関してはさまざまなことを議論し、やってきたわけですよ。例えば、平成の大合併というのも随分やったわけですね。そういったものが、では、一体どういう結果になったのかということをやはりしっかり検証しなきゃならないと思うんですね。

 これはちょっと知事にお伺いしたいんですけれども、徳島の場合、平成の大合併というのは、どういう形でやられて、結果としてどんなふうな御感想をお持ちですか。

飯泉嘉門君 徳島県では、平成の大合併が始まるまでは四市を初めとする五十市町村だったんですね。これが、平成の合併とともに、八市を筆頭とする二十四市町村に再編をされました。もちろん、合併をしたところ、しないところ、あったわけでありますが、まず、合併をしたところの状況についてです。

 ここらについては、確かに、人口一万を割ってくる、もっと言うと、実は、五千を割ると交付税上大変厳しいことになってくるんですね。そうした意味で、何とか人口一万を目指していこうという形がまずあった。これに対して、やゆをすると、貧すれば鈍する合併、このようにも言われたわけなんです。しかし、そうでもしないとその地域が生き残れないというのが当時の日本全体の状況であったかと思います。

 しかし、当時危惧をされていた周辺地域、当然、新しい市町村ができ上がった場合には、中核部分と周辺部分ができるんですね。その周辺部分が想定以上に疲弊をしてしまった。人がだんだん中心部分へ移ってしまうということになるんですね。この点については、少し厳しい状況であったのではないか。

 そして、ちょうど合併十周年になりますと、その後いきなり合併特例算定がなくなることとなります。こうなると大変なことになるということで、今、その制度の改正を国の方でも行っていただくよう、我々地方六団体でも強く言っているところであります。

 では、逆に合併をしなかったところはどうなのか。ここについても、人口の少ないところは確かに厳しい面はあるわけでありますが、しかし、それはそれなりに頑張っていけた。それはなぜかというと、合併をしなかったということが、どちらかというと十字架のようになるわけなんですね。もしうまくいかなかったら、合併をしなかったからではないかと。こういった点でまた頑張りを見せたということがあります。

 そうした意味では、これから、合併をしたところと合併をせずに残ったところが、それぞれの形で切磋琢磨をしていく、また、そうしたものに対しての提言を国の方でしっかりと聞いていただいて、それぞれがしっかり頑張れる体制をぜひ制度としてつくっていただきたいと思っています。

宮本委員 ありがとうございます。

 生き残れないという問題意識でそういうことがやられた、確かにそうだったと思います。

 今またこの議論が、前出の増田レポートに出てくる、このままだともう生き残れないと。絶えず何か、生き残れない、もうこのままではだめだ、そういうことを言われて、だから、座して死を待つよりは言うことを聞け、こういうやり方が本当にどうだったのかということをすごく考えるわけです。

 それで、先ほど横石社長の方も、やはり、田舎におねだりのような体質があるとおっしゃる。確かに事実かもしれません。別に間違ったことをおっしゃっているとは思わないんですけれども、では、そういう体質がなぜできてしまったのか。

 例えば、農業でも、もともとは、日本の農業というのは決してそんなに水準が低いわけではない、農家というのは別にそんなに経済的に貧困という状況じゃなかったけれども、この間、本当に農業というのは、輸入の自由化だとか、今またTPPという議論はありますけれども、なかなかそのままでやっていけないような状況に国の施策として追い込まれてきた面があると思うんですね。そのかわりに、さまざまな補助金で手当てするから、とにかく我慢してくれということでやってきた。

 だから、それは何ももともとねだろうと思ったわけじゃないけれども、そういうことをずっと長年続けてきたということがあって、そういう体質がやはり生まれてしまっているという面もあると思うんですよ。

 ですから、これから本当に地方ということを考えたときに、今までやってきたことがどうだったのかということをしっかり考えるとともに、もうこれ以上そういうものを壊していくようなことはやはりやるべきでないと思うんですね。

 そこで、端的に、今うまくいっておられる大南さんと横石さんにお伺いするんですけれども、全国的な政治の責任としては、この間消費税を上げて、物の売れ行きは全体としてはやはりなかなかきついんですね。この先また、このままだと上げるという話もあるわけですよ。それから、今お話があったように、農業でいうと、これからTPPという議論があって、いろいろ地方は頑張ってくれているんですけれども、大きな農業としては、やはりなかなか大変な状況になるということがあると思うんですね。

 そういう方向をとっていったときに、皆さん方がそうやってすごく頑張ってくれていることが、日本全体の政策との関係で、本当に大丈夫なのかというのをすごく僕は感じるんですけれども、それぞれ、消費税の影響、TPPについてどういうふうにお感じになるか、お聞かせいただけますか。

大南信也君 非常にお答えするのも難しい問題かなと思います。

 先ほども申し上げたように、とにかく、消費税が上がろうがTPPがどうなろうが、少なくとも地域に住んでおる住民の生活は続くということだと思います。だから、もう自分らでとにかく最善のことをやっていくというのが今の形ではないかなと思います。

 答えになっていないかもしれませんが、失礼しました。

横石知二君 上勝町の人は、消費税が上がることとかTPP問題がどうなるかということには、多分ほとんど関心を持っていないと思います。

 これはどうしてかというと、さっきのコンピューターの話と同じであって、地域に住んでいる人は、国の大局的な話より、まず自分の目の前のことが一番なんですね。自分との距離感。

 だから、皆さんから見ると、消費税が上がって、地方で、ガソリンを、あんな、たった一回のためにずらっと並ぶということは信じられないことだと思います。でも、その人にとったら、一回分でも、上がるんだったら入れておこうかというのが現実だと思います。

 だから、私は、町づくり講演会をしても地域おこし大会をしても、役を持った人しか来ないのはなぜだろうかということをよく言います。それは、自分がそこに行って、自分の立場が、役割が、見えないからです。町おこしというのはすごく抽象的なことであって、もっと現場に物すごく近い、何が町おこしなのか、何を課題としてやらなければいけないか。

 おばあちゃんがタブレットを使うのは、押したら自分のことになるからです。だから押すんです。大きな、大局的なことも大事なんですけれども、もっと現場サイドの感覚をどうつくるかということを、一つ一つ、小さな、コンパクトの中で数をいくということが、私は日本の中で非常に大事なことではないかなと思います。

 北海道のTPP問題と上勝町のTPP問題は全く同じにはなりません。だから、農林省がTPP問題だということを言っても、本当に小さな、こんな何畝、何アールしかない田んぼをつくっている人に米がどうなるよと言うことより、この何畝しかない田んぼでどうやったら所得が上げられるかということを考える方が、すごく大事なことだと私は思っています。

宮本委員 ありがとうございます。

 山口さんにもお伺いしたいんです。

 介護の制度というものも、これからさまざまな議論、国の制度が変われば、幾ら地方で独自に頑張っても、国の制度に合わせて変えなきゃならなくなりますね。その点では、私たち、介護保険の制度は、これまでもさまざま、やはり、現場で事業をされている方々にとってはぐあいの悪い状況に改悪されてきたというふうに感じているわけですし、この先もなかなか十分なことをする方向になっていないように思うんですけれども、どうぞ、御感想をお聞かせいただけましたら。

山口浩志君 大変難しい問題ではあるんですが、今は、医療・介護連携という言葉がありますように、介護の問題は、決して介護だけ、福祉の分野だけの問題でなくて、やはり医療の問題にもなってきますし、医療の問題イコール介護、介護の問題イコール医療である。

 病院の診療報酬改定があった中で、今大きく医療の姿形も変わろうとしていて、病院から在宅へということで進んでいるんですけれども、果たして在宅で医療の充実が実現できるのだろうか、家族負担がますますふえるのではないかという問題もありますし、また、介護の分野で、介護に夢を持って、資格を持って福祉の世界に入った人たちが、こんな人は、私は無理だというふうにならないかとか、そういうこともあります。

 その辺の、一体となった連携、ネットワーク、それから学習会、研修、いろいろそういう新しいこれからの介護・医療連携の仕組みづくりがますます、それも地域地域でやっていかなければいけないことかなと思っております。

宮本委員 ありがとうございます。

 知事、もちろん、横石さんのように本当に小さい場所で頑張っていて、国の大きな全体状況にほとんど影響されない、そういうところもあると思うんです。しかし、徳島県全体でいうと、そういうTPPであるとかというのは、やはり影響を与える。それから、消費税だって、上がれば徳島県全体のやはり中小商工業に影響を与える。

 それぞれ特色を持って、どういうことがあろうとも頑張ろうといって頑張ってくださっていることはとうといし、それはもちろん大事なことでありますけれども、だからといって、全部が全部それで、どんなことがあろうともうちの自治体は全部やっていける、こうはなかなかなり切れないのは事実だと思うんですね。

 国の財政保障という点で見ても、この間、地方交付税が、いわばもともと財政調整と財政保障という二つの機能をきちっと果たさなきゃならないものが、なかなかそうはなり切れてこなかった。調整の方はやるんだけれども、保障の方がやはりどんどん、その中で右往左往してきたという面があるわけですよ。

 そういう点で、知事、今国がやるべきことというのはどこにあるのかということを、ひとつお聞かせ願えませんか。

飯泉嘉門君 今、宮本委員がおっしゃられたように、実はその中にお答えがあるんですね。

 つまり、地方と一言で言われましても、例えば徳島県でも、徳島県があって、二十四の市町村があります。しかも、合併をしたところは、旧市町村がまたそれぞれ息づいているところがありますので、やはりそれぞれの特色があります。その特色を、しっかりと磨きをかけて、そして、ワンステップ上がりたいんだ、向上したいんだ、そう思えるような制度改正。

 制度改正については、やはりこれは国のお力添えがないとできない話でありますし、法律をということであれば、国会の先生方の御協力がないとできないところでありますので、先ほど申し上げたように、地方に人が戻れるような、若い人たちもあるいは壮年期も、そして高齢者も、そういった形での大胆な一国二制度。

 我々は、決してお金だけをくれと言っているわけでは全然ないんですね。人が地方に流れる、そして最終的には、その地方からまた東京で再チャレンジもできるんだ、こうしたいい循環がつくれるような大胆な制度改革をお願いしたいと思います。

宮本委員 ありがとうございます。

 私、実は国会では、今度は文部科学委員会というものをやっているんです。それで、大学の方も、今実は、ミッションの再定義というようなことが文科省から言われまして、どういう役割をその地域地域で果たすかということが非常に議論になっているわけです。

 まず、大学との連携なんですけれども、徳島大学に限りません、私学もあるんでしょう。大学との連携でどういうことをされているかということをひとつ、大南さん、横石さん、それぞれお聞かせいただけますか。

大南信也君 僕らの方はNPOからスタートしたので、普通、大学と町が連携するという場合には、首長さんと学長が何か協定書を結んでみたいな形が多いんですけれども、うちの方は、一番最初から、ゼミ単位、ゼミとグリーンバレーの間でずっとやってきました。

 結果的に、大学側がインターンシップをやりたいから送らせてくれというような形で、だんだん下から成長していって、今度、武蔵野美術大学とグリーンバレーが連携するというような形に成長させていったというところで、結局、今までやってきたこと全てが形から入っていないということではないかなと思います。

 だから、最初から紡いで、結果的に最後は連携ができ上がったというような形で、割と自然な形で動いてきておるのかなと思います。

 以上です。

横石知二君 大学との連携は非常に活発にやっております。

 まず一つは、徳島大学上勝学舎というのがあって、徳島大学が上勝に学舎を持っています。

 それから、先ほど言いましたように、一年間で大体二百名以上のインターンをうちの会社で受け入れます。ほとんど大学生が多いんですけれども、地元の四国大学では一年生からインターンをさせるということで、大学に入ったすぐから現場を経験させるというふうなこともやっています。

 それから、全国の大学が、インターンを上勝町と一緒に、いろどりでやりたいという希望が非常に多いので、積極的に大学生を受け入れて、高齢者の知識や経験を学ばせる現場経験として仕組みをつくって運営しております。

宮本委員 ありがとうございました。

鳩山座長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 きょうは、意見陳述者の皆様方には大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。

 正直申し上げまして、これだけの大きな課題においてのこれだけの質疑の時間、意見交換の時間というんでしょうか、短過ぎるような気もいたしました。

 ただ、それぞれが、社会のニーズであったり地域の資源に気づいた、またそれを見出すすばらしい才能というか能力があったということ、また、そういった方がいてこそ新しい一歩が踏み出せたのではないかという意味では、先ほどから何回か出ておりますけれども、これは地域の問題ではなく、全国でできるという可能性を見せていただいたことに大変感謝を申し上げたいと思います。

 そこで、まだまだ本当に聞きたいことはたくさんございますけれども、まず最初に大南陳述人に伺いたいと思います。

 それは、神山モデルにおきまして、最初のところ、余り時間がなくて伺えなかったので、文化・芸術、この点からスタートをする、そういう意味では、地域に根差すその意義が多く含まれているんだと思います。

 どのようなことをされたのか、なぜその分野を選ばれたのか、その発想の原点というものを教えていただきたいと思います。

大南信也君 いろいろなスタートがありますけれども、一九九〇年ぐらいから、グリーンバレーの前身の組織は国際交流をやっておったというところが一番大きいかなと思います。

 一九九七年になると、徳島県が新長期計画というものを発表しました。その中で、神山を中心とした地域にとくしま国際文化村をつくりますというような新聞の記事が出たわけですね。

 その記事を見たときに、これから十年後、二十年後を考えれば、そういうような施設であっても、例えば県とか町とかがつくったような施設であっても、住民自身が管理運営するような時代が来るだろう。そうだとすれば、与えられたものだったらうまくいくはずないから、自分たちはこういうような国際文化村が必要だと思うということの中で、ある一人の人間が、若いときにいろいろな場所に行ったときに、例えば箱根町とか軽井沢町に行ったら、必ずアーティストがアトリエを構えておって、その雰囲気が何ともよかったと。アーティストは人間だから、自分らの力でも引っ張ってこれるから、では、芸術家村をつくろうよというところで芸術に入っていきました。

 結果的に、日本人だけやなしに、外国人のアーティストなんかも招くわけですね。そうすると、結局、神山の場合は、施設とかにお金をそんなに出せないわけです。あるときに、僕の方から、済みません、ごめんよという話をしたときに、いや、関係ないと。設備が悪いとかいうのは関係なくて、結局、自分たちはアーティストだから、今の施設の価値は、どれがどれだけあるかというのは全く関係なくて、自分たちが入ってくることによってその価値がどれだけ上がるかというのが我々の役目だということを言われて、それで初めて解き放たれるわけです。それで、いや、背伸びせぬでもそのままでいいんだということを学びました。

 だから、それからは、別に飾ることもなしに、全部打ち明けて、それで結果的に、神山に入ってきた人たちがいろいろな問題を解決してくれよるのが今の状況でないかなという感じがしています。

小宮山委員 ありがとうございます。

 文化というものは、大変奥深いですし、それを中心にまた多くの方が集まる。また、新しい人も、もともといた方も集まれる、起爆剤というか接着剤のような役割をすると思いますので、このやり方というのは大変興味深く、また、支援のあり方というのもこれからの参考にさせていただきたいと思います。

 次に、山口陳述人に伺いたいと思います。

 御趣旨に、在宅福祉は住民の支えがますます重要とあります。少子高齢化という中、またコミュニティーが崩壊しかけているというところがたくさんある中で、先ほど、コミュニティーハウスの話であったり、住まい方、支え方というのが家族主義から地域に変わっていくのではないかというふうに聞かせていただきました。

 今回の法案自体は、やはり人口減少に歯どめがかからない危機意識というところが大変大きくあるんですが、家族だけではなく地域とともに生きるという新しい発想が必要か。そのときには、山口さんのやっているような福祉のあり方というのは大変参考になるかと思います。

 これからの家族のあり方について、何か御意見があれば簡潔にお願いいたします。

山口浩志君 今現在、無縁社会ということがすごく問題に取り上げられていると思うんです。昔、上杉鷹山という方が、五人組という、いわゆる今の三助の功、共助、互助、自助をつくり上げたという話があるんですけれども、やはり、家族だけでできないことを、自治体、町内会、いわゆる町内会の中の自治会があり、自治会の中にまた班というのがあります、その班の活動の活性化、そういうのが家族を支え合うことになるのではないかなと思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 本当に、血のつながっている人同士だけが家族でもないし、コミュニティーでもない。新しい人のつながりというものが、福祉という中ででき上がっていくんだと思っております。ぜひこれからも頑張っていただければと思います。

 そして、大変エネルギッシュに、大変楽しくというか、経営者の使命というものを感じたのは横石社長さんなんです。

 いろどりというのが、それまでは葉っぱというものに価値観を見出せなかったのを見出し、そして、それを生かすことに意義を感じ、また生きがいを感じるという方々を育てられたというか発掘された、また、それぞれの高齢者の方の背中を押されたということは本当にすばらしいと思いますし、インターンの方を多く入れているということで、これからまたさまざまな広がりが出てくるんだと思います。

 そうなってきますと、次は、やはりそういったマネージをする経営者としての若い方々や地域の方々の人材育成というものが重要かと思います。

 この点に関しまして、今、実際にさまざまな活動をされてきた中で、行政の制度の中で、不足、そして足り過ぎているところなど、気づくことがありましたら、ぜひ教えていただきたいと思います。

横石知二君 全てがうまくいっているわけではなくて、一番の今の課題は何かというと、町内における格差だと思います。

 結局、タブレットなんかを使って一生懸命葉っぱを生産しているおばあちゃんたちと、全く何もしない人たちの中に、町内に非常に格差が生まれてきています。地方創生、地域おこしを進めていくと、その中で非常に格差が出てきます。

 では、どうしてうまくいかないのかというのは、結局、自分がその仲間に入れない意識、そして自分がよそ者扱いされるという中で、情報難民という言葉を使っていいかどうかわかりませんけれども、わからないことに対して、理解ができないわけですね。

 だから、社会がどんどん変化している中で、私はICTで何をやっているかといったら、商売も確かにやっているんですけれども、今の時代はこういう時代だから、こういうことを必要としているよ、こういうことが大事だよね、こういうことを何でやらなければいけないかねということを毎日送ります。これをやらなければ、地方創生、地域おこしを進めれば進めるほど、中で格差が出てきて、それがうまくかみ合わない社会が生まれるというふうに考えています。

 それをどうすればできるかというのは、さっき言ったICTの仕組み、構造をしっかりつくる。そして、補助金が要らないのではなくて、行動することにおける手段としては絶対に支援していただきたいんです。

 結局は、自力でできない部分があります。それは、お金をもらう目的でやるのではなくて、何かの事を起こすことによる、補助金というか支援、ある意味では応援していただけるお金というのがなければ、地方ではできないことがあります。私もそれをたくさん、大南さんのところも、先ほどこの紙が出ていましたけれども、うちも、ここには書いていませんけれども、国には大変お世話になりました。だからできたということがあります。

 ですから、そこは、しっかりとやっていくということの中が見えれば、一緒になって応援していただけるようなことが地方創生の手段として絶対に必要だという、おねだりではないんですね、おねだりではないんです。それは、やっていくために必要なお金なんです。それを理解していただいて、こういうことをやりたい、だから一緒になってお願いしたい、では一緒にやろうよと。だから、これは画一的にはならないんです。

 こんな、日本全国、北海道から九州まで、絶対に同じになるわけがないです。それを、みんなが画一的にしてきた社会が、結局は、地域が何かおかしくなったことではないかなというふうに考えています。

 だから、ぜひその点、応援をお願いしたいというふうに考えています。

小宮山委員 私も、画一的なものというのは、本当に魅力を、半減どころではなく、なくしてしまう、その地域その地域、その人その人のすばらしいところを見出せるような施策がそれぞれの地域でできるということが何より大切だと考えております。

 そういう中では、先ほどから飯泉知事もおっしゃっていましたけれども、ある意味、一国二制度とか地域主権であったり、地域の自立性というものをもっと重視する方が、それぞれの意味でさまざまな可能性ができるでしょうし、雇用というものも生まれてくるんだというふうに考えております。

 特に飯泉知事には、私がちょうど埼玉県会議員になったときに埼玉県に出向していただいて、あのころ、ものつくり大学が埼玉でありました。ドイツ等を参考にはしたんですが、一番大きな点は、大学で技術を学んだ後に数年間その土地にいなければならない。ドイツの場合は、いることによって、家庭を持ち、仕事を持つ、そこで定住になり産業になっていくという理念があったんですが、残念ながら日本はそうはいかなかったというのを埼玉県で私自身実感をしております。

 そういう意味において、知事に、本当は全員に聞きたいのは、今回のまち・ひと・しごと創生法案の目的のところ、私個人としては、三番ほどにあります、結婚、出産は個人の決定に基づくもので、希望を持てる社会だという、自由にさせてほしいなと思うところも中にはあるんですが、それよりも、本来の目的としては、急激な少子高齢化においての人口減少に歯どめをかけ、東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保する、そして、将来にわたって活力ある日本社会、地域の維持をするというのが一番大きなテーマだと思っております。

 逆に言えば、東京圏への人口の過度の集中を是正すれば、人口減少に歯どめをかけたり、地方活性化するのだろうかと、逆に考えると、何となく違和感を感じているところでもあります。

 最後でありますが、そういった中で、今回の法案に関しまして、知事から、皆様に一言ずつ、簡潔に御意見を伺わせていただきたいと思います。

鳩山座長 それでは、申しわけありませんが、簡潔にお願いします。

飯泉嘉門君 これは、まさに東京の一極集中を一つ変えることでまず地方への流れをつくるというだけの話で、もちろんそれだけで解決するものではありません。

 当然、地方それぞれが魅力を持って、今、若い皆さん方も、これは東京に限られているわけじゃないんですが、四割の人たちは地方で働きたいと言うんですね。だから、そうした皆さん方が、魅力をそれぞれのところがつくれるような、一国二制度、大胆な制度改革であるとか、あるいは、先ほど横石さんの言われた、一歩踏み出すためのリスクをとった財源といったものを自由に与えていただきたいと思います。

山口浩志君 ちょっとよくわからないんですけれども、一つ言えることは、今までの仕組み、今現在の仕組みでは恐らく実現できない、しないことを、何か新しい一歩を、新しいことを、行動を起こさなければいけないんじゃないか。そのことに関して、冒頭から申し上げていますように、協働事業、協働参画、一緒の思いを持った、同じ目的を持った方々が多産業で同じ一つのことをやる、そういうモデルをつくる、それが大きい事業であれ小さい事業であれ、そういうことが一つ一つ、人をつくるのではないかと思います。

横石知二君 この法案とかやり方については、すごく期待をしています。

 もっと子供のようにおおらかというか、何か重箱の隅をつつくような気持ちというのが日本全体の中に非常に広がっているのが私はすごく残念だと思います。

 私はよく、おばあちゃんの肩をさわりに行きます。さわって、ああ、きょうはよかったなと言うと、すごく喜んでくれます。普通の会社だったらセクハラに当たると思うんです。でも、それが、さわって喜んでくれるということが信頼関係だと思います。信頼してくれているからうれしいんだと思います。やはり人間というのは、役割があって、そして、あんたがということの信頼関係が、戦略を考えたり、前へ向かって進んでいくことだと思います。

 何か、みんなが足を引っ張っていく社会からやはり抜け出ていかなければいけない。もっと子供のように、純粋と言ったらあれやけれども、本当に、おおらかで明るく笑顔でやって前へ進めていっていただければと思っています。

大南信也君 行政、民間を問わず、先ほど再チャレンジという話もありましたけれども、とにかく失敗を恐れずに一歩を踏み出す。失敗すれば、またやり直せばいいと思います。

 いろいろな政策をやるにしても、失敗のない政策というのはないはずですから、そこの原因をきちっと突きとめて、また新しいチャレンジをするということではないかと思います。

 以上です。

小宮山委員 さまざまな御意見、本当にありがとうございました。これも参考にさせていただきたいと思います。

 また、私自身は埼玉県の川越でございますので、実を言うと、人口の過度な集中を是正せよという東京圏の議員でもございます。そういう意味においても、お互いに切磋琢磨して、すばらしい日本ができ、活性化する日本ができればと思います。

 本当にすばらしい意見、ありがとうございました。

鳩山座長 以上で委員からの質疑は終了いたしました。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 意見陳述者の皆様方におかれましては、御多忙の中、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。

 本日拝聴させていただいた御意見は、当委員会の審査に資するところ極めて大きいものがあると信じております。ここに厚く御礼を申し上げます。

 また、この会議開催のため格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 これにて散会いたします。

    午後四時十三分散会


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