衆議院

メインへスキップ



第6号 平成26年10月30日(木曜日)

会議録本文へ
平成二十六年十月三十日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 寺田  稔君

   理事 義家 弘介君 理事 渡辺  周君

   理事 重徳 和彦君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    伊藤 忠彦君

      伊藤 達也君    石川 昭政君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      金子 恵美君    坂井  学君

      末吉 光徳君    鈴木 俊一君

      鈴木 淳司君    瀬戸 隆一君

      高木 宏壽君    武井 俊輔君

      とかしきなおみ君    中村 裕之君

      林  幹雄君    福井  照君

      三ッ林裕巳君    宮腰 光寛君

      泉  健太君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      寺島 義幸君    若井 康彦君

      小熊 慎司君    村岡 敏英君

      稲津  久君    濱村  進君

      桜内 文城君    中丸  啓君

      佐藤 正夫君    宮本 岳志君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   参考人

   (富山市長)       森  雅志君

   参考人

   (一橋大学大学院法学研究科教授)         辻  琢也君

   参考人

   (公益財団法人地方自治総合研究所所長)      辻山 幸宣君

   参考人

   (前横手市長)      五十嵐忠悦君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     青山 周平君

  宮川 典子君     中村 裕之君

  小川 淳也君     泉  健太君

  畑  浩治君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     木原  稔君

  中村 裕之君     武井 俊輔君

  泉  健太君     寺島 義幸君

  小宮山泰子君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  武井 俊輔君     末吉 光徳君

  寺島 義幸君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     三ッ林裕巳君

  奥野総一郎君     若井 康彦君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林裕巳君     宮川 典子君

  若井 康彦君     小川 淳也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 本日は、両案審査のため、参考人として、富山市長森雅志君、一橋大学大学院法学研究科教授辻琢也君、公益財団法人地方自治総合研究所所長辻山幸宣君、前横手市長五十嵐忠悦君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て発言していただくようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 それでは、まず森参考人、お願いいたします。

森参考人 おはようございます。

 きょうは、大切なお時間にお呼びをいただきまして、大変光栄に思っております。委員長の方からお許しをいただきましたので、十五分程度、所感を述べさせていただきたいと思います。

 そうは申せ、地方創生と最近言われています地方の活性化ということについては、各先生方の方がよっぽど御認識が深くて、釈迦に説法みたいなお話になりますが、お許しをいただきたいと思います。

 人口減少の問題が大変大きな課題だと思って、十二年ほど前からいろいろな形で富山市は取り組んでまいりました。

 端的にわかりやすい例でいいますと、恐らく、東京で働いて、御結婚されて、夫婦でダブルインカムがあるとしても、二LDKを買うのが精いっぱいなんだろうというふうに思います。そもそも、商品が売られていないのではないか。一億を超えないと、三LDKとか四LDKにならないんだろうと思います。それでは夫婦の寝室と子供部屋が一部屋しかないわけですから、それで子供を三人、二人といっても、どだい無理な話だと思っていまして、同じ価格で、例えば地方都市ですと、私どもの市ですと四LDKぐらいが取得できる、こういうことに着目していくことが大変大事だと思っています。

 ただし、それでは、部屋さえあればそれで人は来るのかというと、決してそんなことはないわけですので、何といっても、雇用をどうつくっていくかということだろうと思っております。

 この雇用をつくるということについて、企業経営者の多くの方、特に大手の企業の多くの方とこの十年、いろいろなお話をしてまいりましたが、ポイントは、単身赴任ばかりが行くような都市には魅力がない、家族が一緒にシフトしてくれるような町をつくってほしいということを強く言われております。

 東京に本店のある企業の社員が北陸支社へ転勤を命じられたときに、金沢だと奥さんも一緒に行くけれども、富山だとお父さん一人で行きなさい、そういう町をつくっていたのではだめなんだ、こういう思いで、特に御家族、奥様、配偶者の方から魅力があるねと言われるような町をつくろうということで腐心をしてまいりました。

 結局、人が居住を考えるときの要素としてどういう要素を考えるかというと、さまざまにありますが、教育水準、福祉の水準、文化度、安全、犯罪が少ない、生活保護率が低い、災害が少ない、そういうさまざまな面での総合力を高めていくことこそが大事だ、こういう認識でまちづくりに取り組んでまいりました。特に、地方都市にとって、文化というのは非常に大事だというふうに思っております。

 増田リポートで言うところの、人口のダムというような議論にのっとって言えば、中山間地で仕事をつくることも大変大事な取り組みではありますが、これで抜本的に地方からの人口流出をとめることは無理だと思っています。例えば、北海道の人口を各都市、旭川も釧路も根室も函館も頑張って、そこに雇用をつくるということと同時に、札幌の魅力を高めていくことが大変大事だというふうに思っております。

 例えて言えば、札幌や仙台ではGLAYのコンサートができますけれども、富山や金沢ではできません。しかし、富山や金沢であっても、山下達郎さんのコンサートを毎年やれるような、そういう文化性みたいなものをつくっていくことが中核都市としての町の魅力を高めることだろうと思っています。

 そこで、金沢や富山は頑張って北陸の人口流出というものをその北陸の中でとめていく、富山県の中で富山市が頑張っていく、そういう取り組みをしていくことが大変大事ではないかというふうに思っております。

 例えば、富山市は、十二年ほど前から公共交通に積極的に公費投入をして、公共交通を使い勝手のいいものにする、そして公共交通の沿線に人を緩やかに誘導する。これは補助金を出しております。駅から五百メートル以内に質のいい居住環境をつくった人には補助金を出す、六百メートルの人には出さないという大変不公平感あふれる施策をやってきましたが、結果的に、富山市の中心市街地は、これで七年連続転入超過となっておりますし、富山市自体の人口も六年連続転入超過です。

 しかしながら、死亡と出生の差を埋めることにまで至っておりません。平成二十四年度の数値でいいますと、全国の人口減少率は〇・二一%です。富山県の人口減少率は〇・五四%ですが、富山市は〇・二%にとどまることができました。社会的動態をプラスにするということをまず第一の目標にしながら、これからも、これをぶれずにやっていくことが必要なのかなというふうに思っております。

 加えて、先般の県の地価調査で、二十二年ぶりに富山市の平均地価が上昇しました。地価を落とさない、できれば上昇させるということは、地方行政の財政運営にとって大変重要なことです。

 リーマン・ショック以後、法人市民税も個人市民税も総額が落ちていますので、相対的に固定資産税と都市計画税の重みが増しております。こういう中で地価が下がるということは財政構造をますます硬直化させていくということになりますので、地価が上昇気流になってきたということは大変いいことだと思っていますし、個人にしてみても資産価値が上がるということですので、ここをしっかりやっていかなきゃいけない。民間の投資を呼び込むようなまちづくり、施策というものをしっかりやっていくということが大事だというふうに認識しております。

 その際に、私たちの取り組みは、公共交通を軸としたコンパクトなまちづくりを標榜しながら、歩行歩数を伸ばし元気な高齢者をつくる、さまざまな形で、気がついたら歩いている都市構造、そういうものを同時に進めてまいりました。

 先月号の「プレジデント」に、富山市の高齢者はなぜ死ぬまで歩くのかというショッキングなタイトルの記事が出ましたが、県全体の平均値は、国が発表されている平均値よりも一人平均千三百歩ぐらい多く歩いているというデータもとれましたので、こういうことをしっかり、ICTを使ってもっと緻密な数字を出していくことが大変大事だと思っています。

 この健康寿命を延ばすということがこれからの地方都市にとって大変大事なことで、医療費、介護保険費をどう抑えるかという点でこれを進めていく。そういう議論をしていくことによって、交通政策に公費投入することの妥当性は、単に移動の効果だけではなくて、市民生活そのもの、市の財政運営そのものにかかわる大きな全体的な利益、ベネフィットをもたらすものだという議論ができるというふうに思っています。

 ぜひ、これからも、さまざまな取り組み、各省庁にまたがるようなさまざまな施策をパッケージで考え、パッケージで提案していきたい、このように思っています。この地方創生の取り組みの中で、ぜひ、パッケージで捉えていただいて、省庁横断的な評価をしていただいて、独自の施策が十分に生かせるような形で交付金などをつくっていただければ大変ありがたいというふうに思っています。やはり内閣府に予算がないと機動性が発揮できないと思いますので、そういう交付金について御検討いただければ大変ありがたい、このように思っております。

 先般読みました本におもしろい言葉がありまして、戦前の海軍中将大西滝治郎という人の言葉ですが、日本海軍は全力で日本陸軍と戦い、余力で米軍と戦っている。つまり、セクショナリズムということを打破していくことがいかに大切か、それをやらないと戦略性は出てこないというふうに思っていますので、ぜひお願いしたいと思っています。

 さらに、ここからは言うべきかどうか迷っているんですが、最近の各省庁で創設されています交付金の多くは、都道府県に渡っています。都道府県が自由度の高い交付金を持っているというのは、基礎自治体から見ると、よりブラックボックス化しているという気配がありますので、ぜひ、さまざまな制度について、直接基礎自治体に届くような交付金制度という点で考えていただければ大変ありがたい、このように思っています。

 いずれにしましても、きょうまでのところ、かなり大胆な、見ようによっては不公平感も漂うような取り組みをやってまいりました。かつての人口が右肩上がりの時代にはそうであってよかった、例えば市域全体に平均的で平準的な同じようなサービスを提供する、そういう時代はもう過ぎ去ったと思っていますので、地域特性に着目をして、その特性を生かす、伸ばすために、めり張りのきいた、温度差もあってもいい、そういうさまざまな施策を展開していく、そこがこれからの地方自治体、基礎自治体にとって大変大事な視点ではないかというふうに思っています。

 加えて、福祉の担当が福祉の領域で物を見るということでとどまっていてはだめなのだと思います。先ほど、気がついたら歩いている町と申し上げましたが、これは健康寿命をつくるための取り組みですけれども、交通の部門も都市計画の部門も農政の部門も教育委員会も、そういう各セクションが一緒になってチームを組んで仕事をやっていく、そういう時代に入ってきていると思っています。

 不公平感が若干感じられるとしても、市域全体にとって必ず税で還流してくるということだと思っていますので、全ては将来市民全体の利益につながる、このような思いで、これまで進めてまいりましたことを、これからもぶれずにやっていきたいと思っておりますので、ぜひ、いろいろな面で、制度論、あるいは交付金、補助金その他財政的な面からもお支えをいただければということをお願い申し上げて、御挨拶とさせていただきます。

 よろしくお願いいたします。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 次に、辻参考人、お願いいたします。

辻参考人 本日は、地方創生に関する特別委員会におきましてお話しできる機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、行政学、地方自治論を専攻しております一橋大学の辻でございます。本日は、よろしくお願い申し上げます。

 まず、まち・ひと・しごと創生法案を中心にお話しします。

 私は、現在の日本にとっての最大の危機の一つは人口減少であると考えております。高度成長期やそれに続く安定成長期におきましても、過疎や辺地といった条件不利地域は人口減少に悩ませられてきましたが、地方圏全体や地方都市においては、人口の自然増加に支えられて、一定の人口水準を維持することができました。

 しかし、今後は、死亡者数が出生者数を大幅に上回る、人口の自然減少の時代となります。これまでは人口を維持できていた地方都市や地方圏全体でも、著しく人口減少が進むことが予想されます。現時点では、日本全体の総人口が、約五十年後には現在の三分の二程度、百年後には現在の三分の一程度にまで減少することが予測されております。人口減少は日本全体にとっての喫緊の課題であると思います。

 先ほども言及がありましたが、実際、ある民間機関の調査は、半数の市町村が消滅可能性都市であると指摘をしました。また、この調査結果はさまざまなメディアで広く取り上げられるなど、今後の地方のあり方を強く問われる状況となっております。こうした警鐘を、よい意味で今後のまちづくりに生かすことが求められていると思います。

 今日の人口減少問題は、出生率の低下に伴う人口の自然減少に起因するものです。そして、出生率が最も低い東京圏に相対的に出生率の高い地方圏から人口が流入することによって、日本全体で人口減少がさらに進むと同時に、人口の社会減少と自然減少が同時進行する地方圏において人口減少問題が顕著になります。

 したがって、地方圏から東京圏への人口流出に歯どめをかけ、今でも相対的に出生率の高い地方から、出生率をさらに高めていくという政策が最も効果的であると考えられます。

 今回は、人口減少に歯どめをかけることを初めて明記した画期的な法案であると思います。そして、この画期的な法案が、総人口のピークを若干過ぎたばかりの現時点で早くも提起されているという点に御留意いただきたいと思います。

 かつて、過疎に歯どめをかけるために過疎法が制定されました。過疎地域の自治体にとっては、今日に至るまで、過疎債は最も強力な事業手法の一つです。しかし、過疎法が制定された一九七〇年は、歴史的に振り返りますと、既に農村から都市へという人口移動が大きくピークを過ぎた時期にあり、やや遅きに失した感があります。

 これに対して、現時点で懸念されている人口減少や超高齢化は、今後、さらに加速度的に進行することが予測されています。今であれば、まだ、レトロアクティブではなく、プロアクティブな対策が可能であると考えられます。時期を逸することなく今回の法案が提出されましたことは、後世、高く評価されるものであると私は確信しております。

 出生率の回復は、政府の政策によっては困難との見方もあります。しかし、フランスは、半世紀以上の長い時間をかけて、じっくりと出生率の回復を図り、今や二%程度の水準を確保しております。また、スウェーデンは、経済的支援等を充実した結果、一九九九年の一・五から二〇一〇年の一・九八へと劇的に合計特殊出生率を回復させています。出生率の回復は、決して実現不可能な政策課題ではないと考えております。

 ただし、仮に劇的に出生率が回復に転じたとしても、一定程度の人口減少は避けられません。医療、福祉を初めとする日常生活の基盤となるサービスを確保していくためには、法案第二条第二号にあるとおり、その需給を長期に的確に見通した上で、地域住民の負担の程度も考慮し、事業者や地域住民の理解と協力を得ながら、改革を進めていくということが重要になります。

 さらに、人口減少社会において、住民サービスの提供を効果的、効率的に行うためには、あらゆる局面において、地方公共団体間の連携が重要となってきます。法案においては、その趣旨を第二条第六号で定めており、この点も評価できます。

 ところで、今回の法案は、国に、まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定を求めており、それは五カ年計画とされています。人口減少克服や地方創生は構造的な課題であり、その達成のためには、効果の高い取り組みを継続的に実施することが必須です。

 人類史上かつてない超高齢大国となる日本が、今後、高齢化が進む各国の先進事例となるためには、しっかりとPDCAサイクルを回して、関連施策の検証と改善を不断に行い続けることが必要です。この点も今回の法案には明示されており、高く評価できます。

 ところで、超高齢社会において地方創生を図るためには、単にリスクと責任を地方に押しつけるのではなく、国を挙げて、国も一緒に取り組むことが必要です。その際、各地域にはそれぞれの特性があり、その特性を踏まえて、地方と国が一体となって取り組むことが肝要です。国が一方的に方向性を示すということではなく、地方の声を積極的に聞きながら対策を検討していかなければなりません。

 さらに、今回の法案は、国とともに、地方にも総合戦略の策定を求めています。この地方版総合戦略は、地方創生のかなめであると思います。地方の提言を受けた国の制度の改善や、規模が小さい自治体への体制面での支援など、地方の創意工夫を生かすための支援策も欠かせないものと考えられます。

 法案は、市町村に関しては、総合戦略の策定について努力義務を課しています。これには、国からの適切な情報提供や支援が必要です。特に、規模の小さな市町村には人的支援も含めたバックアップ策を国が講じていく必要があると私も考えております。

 以上、まち・ひと・しごと創生法案は、地方への人口流入と出生率の回復を前提に、個性あふれる地方の創生を求めるものです。このためには、縦割りの所管争い意識を超えて、国と地方が一丸となって継続的に取り組む必要があります。このことから、まち・ひと・しごと創生本部を法定設置し、内閣を超えて長期間、継続的に推進できる政府体制を整備したことにも大きな意義があるものと考えます。

 さて、まち・ひと・しごと創生法案は、創生の基本理念や政策推進の体制等の基本的な事項を定めるもので、これに続き、各種支援策が法制化、具体化されていくことが期待されています。そして、その一つが、本日提案されているもう一つの地域再生法改正案にほかなりません。この二つは相互に補完しながら、地方創生という課題に取り組むことになります。

 さかのぼって言えば、地域の取り組みを国が後押しするために設置された地域活性化の推進に関する閣僚等会合が本年五月に三十三件の先進的なモデルケースを選定しました。私もこの選定作業の一端にかかわりましたが、各省庁の縦割りの支援策に地方、現場の目線から横串を刺すという役割を一定程度果たすことができました。

 こうした地域政策のプラットホームの実績を生かし、意欲ある地域を政府一体となってさらに強力に支援する仕組みを構築する必要があると私は切に感じています。

 現在の制度では対応できないすき間を埋めてほしい、各省所管の地域活性化の関連計画を各省ばらばらではなくワンストップで運用できるようにしてほしい、事業実施に当たっての各省との協議がまとまらないときにどこかで総合的に調整してほしい、こういった地方の切実な願いに的確に応えていくことが必要です。

 この点に関して、地域再生法改正案は、大きく二つの点を提起しています。

 一つは、認定・提出手続のワンストップ化です。地域再生計画に記載し認定を受けることによりまして、中心市街地活性化基本計画、構造改革特別区域計画、産業集積形成等基本計画と地域再生計画を同時発効させることができます。また、地域再生計画に記載することによって、都市再生整備計画、立地適正化計画、地域住宅計画、農山漁村活性化計画、広域的地域活性化基盤整備計画、地域公共交通網形成計画、観光圏整備計画と地域再生計画の認定申請とを一括で提出できるようになっております。

 今日、ともすれば、ふえるばかりの支援メニューに、そのための計画策定ばかりに地方が追われがちになる可能性があります。これに対して、地域再生計画は、そのワンストップ化を図ろうというものです。単に行政事務コストの削減につながるばかりではなく、住民にわかりやすく情報提供を図るという意味でも私は評価すべきであると考えます。

 さらに、高いハードルを越えて地域再生に取り組む地方公共団体への支援を強化することも考えなければなりません。必要とされるのは、財政的支援ばかりではありません。内閣総理大臣が地方公共団体からの照会や提案を一元的に受け付けるとともに、事務の調整や勧告を行うなど、国が地方の声に耳を傾け、その自発的な取り組みを政府一体となって支援する仕組みが必要であり、そうした地方創生を進めるための重要な環境整備を行うというのが今回の改正案の骨子であると受けとめております。

 以上、世界で先頭を切って超高齢化に取り組む日本に必要不可欠な今回の二つの法案が成立しますよう、改めて切にお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わりたいと存じます。

 本日は、御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 次に、辻山参考人、お願いいたします。

辻山参考人 おはようございます。地方自治総合研究所で所長をやっております辻山でございます。

 慌ただしいお呼び出しで、詳細にわたる検討がまだできておりません。そこで、今回は、私なりに考えている、まち・ひと・しごと創生法案等についての意見を述べさせていただきます。

 とはいうものの、今自分で言いながら、まち・ひと・しごと、言いにくいなと思うんですね。何人かの友人と話をしたときにも、間違えて、ひと・まち・しごとと言っておりましたけれども、やはり「ひと」が上に来た方がいいんじゃないかなというようなことも考えておりまして、この法律のタイトルについても御検討が可能であればお願いしたいものだなというふうに思っているところでございます。

 さて、今、辻参考人からも、さまざまな人口減少の傾向等についてお話がございました。

 今回の法案の第一条に、「人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、」云々というふうにあります。言ってみれば、日本創成会議のレポートに言われている人口減少、消滅自治体論というものを背景にした今回の法案だったという気がしています。

 去る六月には、いわゆる骨太の方針、経済財政運営の指針においても、五十年後も人口一億人の目標というものを設定しよう、こういうことを言っています。この背景には、言ってみれば、人口減少が日本社会に大きな問題を引き起こす、放ってはおけない、だから人口減少にストップをかけないといけないという認識があるように思われます。

 さて、御承知のように、我が国は、明治維新を実行したとき、人口は三千二百万人余りでございました。それが一億二千を超え、そして今減少に向かっているわけでございますけれども、果たして、例えば人口が一億人を切ったら、我々のこの社会にどのような困難が襲ってくるのか。

 想定されることは、もちろん私も幾つか考えました。例えば税収が減るとか、さまざまな問題が発生するだろう。しかし、人口がどれくらいになったらこういう困難があらわれるのだという意味での研究も検討も余りなされておりません。ただ減ることを恐れ、ただ減ることをとめるというその一点だけでいいのかどうか。

 同時に、この問題は市町村にとっても、一体人口がどれくらいになったら市町村行政というものは立ち行かなくなるんだ、こんな議論はまだきちっとなされておりません。もちろん、市町村という基礎自治体と住民の数というものの観点、これまでも例えば適正人口規模論とかそういったものが登場したりしておりましたけれども、実は、確立した研究業績というものは示されていないという状況にあるのでございます。

 その点での検証といいましょうか検討を放置したまま、とにかく人口減少ストップという政策でいいのかどうかということの再検討は必要だというふうに思っております。

 さらに、先ほど辻参考人も触れましたが、私たちの国は過疎対策を大変たくさんやってまいりました。法律的な手当てもなされてまいりましたし、自治体ごとの努力もなされてきたところであります。一九八八年には、竹下内閣のときに、ふるさと創生事業をやりましたね。このような取り組みを通じて、何とか過疎から脱却したい、これ以上の人口減少をとめたいという思いは、実は地域にございました。

 しかし、にもかかわらず、今日のように人口の問題に直面しているのはなぜか。この間提供されてきたさまざまな政策、これは一体何だったのかということの検証作業が必要なのではないかという気がしております。そのことをきちっとやらないままに、また、いわゆる今回の地方再生というようなスローガンの政策がまかり通っていく。恐らく、その先には、同じ結果、つまり失敗ということも念頭に置かなければならないことになりそうでございます。なぜ数十年にもわたる過疎対策が成功しなかったのか、ここにこそ、この法案の成否を分ける鍵があるんだという気がしております。

 さて、そろそろ、まち・ひと・しごと創生法案の中身について触れることにいたしますけれども、この法案が示しているもので唯一具体的なのは、創生総合戦略をつくる、国がまず総合戦略をつくる、これを勘案して都道府県でもつくったらどうだい、つくる努力をしてもらいたい、市町村は国の総合戦略と都道府県の総合戦略を勘案して市町村ごとにつくってもらいたい、努力してもらいたい、こういうことになっているわけでございます。

 さて、そこで、こういうことが取り沙汰されています。この間、第何次の地方分権改革とか、何次かというのは確定できませんけれども、近年の地方分権改革においては、いわゆる義務づけ、枠づけということの見直しを進めてまいりました。今回のこの総合戦略についても、いや、策定の義務づけはしていない、だから、義務づけ、枠づけの議論には当たらないというような言説があります。つまり、自治体に戦略の策定を義務づけていない、自治体の創意に任せているんだ、こういう話でございます。

 ただ、この地方再生という政策全体が、まず計画をつくって、その計画の中に盛り込まれた事業、これに見合った財政の手当てを考えていくということになりそうであります。この辺は余り詳細にはまだ示されていないんだろうというふうに思いますが、そのようなことが既に自治体の中にも認識されつつあって、ということは、義務づけしなくても、計画づくりをやるということに邁進する自治体がふえるであろうというふうに考えられるんですね。ということは、義務づけしていなくてもこぞって策定に手をつけるという、一種の義務づけの変形のようなことがここで実現していくんだということになります。

 そうすると、要するに、成功の見通しとかあるいは計画の緻密性とかというものを欠いた計画でとにかく手を挙げるという自治体がふえてくると、必ずやこの事業は失敗し、下手をすると消滅を早めてしまう可能性さえもあるのでございます。

 したがって、この計画策定を通じた誘導、そして、そこへ金をつけていくという手法の相当な見直しが必要だと私は思っております。

 先ほど申しましたが、五十年後に人口一億人を下回らない、五十年後と言っているにもかかわらず、この地方創生は五年という年限を想定しているようでございます。余りにも短期的過ぎないか。人口がふえるというようなこと、例えばそのことに成功したとしても、五年、十年でその成果が出てくるようなものではなかろうという気がいたします。

 週刊誌などでは、来るべき統一自治体選挙に向けて地方向けのメッセージを発しているんだというようなことも言われておりますけれども、それでは余りにも早計に過ぎないか。やはり、じっくりと中長期的な視野を持って、国民的議論を積み上げていった上に、これから地方は、そして私たちの暮らし方はどのようにすればいいのか、そういう合意をつくっていくことが必要ではないかという気がしております。

 法案の次の問題は、法案第二条の第二号というところに、日常生活、社会生活の基盤となるサービスについて、需要、供給を長期的に見通しつつ、住民負担の程度を考慮して、事業者、住民の理解、協力を得ながら、現在、将来における提供を確保していく、こういう書き方になっておりますけれども、この条文の解釈というものをどうしていくかということが一つございます。

 既に述べましたように、あの過疎法以来、地方創生に取り組んだらどの自治体も人口維持ができるということにはなりません。当然ながら、法案の中にも含まれている、自治体同士の競争という状態も想定されるわけでございます。問題は、人口がどんなに減少していっても、そこに今いる住民たちに必要なサービスを自治体が提供していく、持続的に提供していくという体制を充実すること、このことがまずもって急務なんだという気がしています。

 そのためには、私の私見でありますけれども、地方一般財源の充実、今回のまち・ひと・しごと創生法案においても国の財政措置ということが義務づけられているようでございますけれども、まさに、国からの財政出動によって地方の動きをコントロールするのではなくて、自治体自身が多彩な計画を、事業を生み出して、その地域を再生させていく、そういう位置関係にあるべきだと考えています。

 それで、どうするんだという話になりそうですが、例えば、地方交付税の総額決定は、いわゆる法定率というものが決まっていて、一定の、国税収入に対して百分の何十何、つまり何十何%とやっているわけですね。

 御承知だと思いますが、何と一九六六年、今から四十八年前に実は交付税法は改正されていまして、所得税、法人税及び酒税の収入額の百分の三十二、三二%を交付税財源として地方へ回す、こういう条文になっています。その後、新たに消費税等が創設されたりして、若干条文は変わりましたけれども、この三二%、所得税及び酒税についての三二%は何と四十八年間も変わっていません。私は、一種の立法怠慢または立法不作為、問題があるのではないかというふうに考えておりまして、この法定税率を引き上げることが、実は地方一般財源の充実ということにつながっていく。

 もちろん、国全体として財政が逼迫しておりますので、今のような地方財政対策という形で、つまり借金含みになっておりますから、この税率だけでいくとは思いませんけれども、しかし、その姿勢をきちっと示して、そして自治体に、安心してさまざまな施策に取り組むことができるような、そういう条件を整えるべきではないかというふうに考えています。

 最後に一点申し上げます。

 それは、さきの国会で成立した地方自治法改正法との関係でございます。

 さきの自治法では、その改正動機というようなものは、恐らくこのまち・ひと・しごと創生法案と変わりがないだろうというふうに見ることができるわけでございますけれども、どんなことを決めたかといいますと、自力で公共サービスを提供し続けることができなくなった市町村は、地方中枢都市と言われる、人口もあり集積もある、その中心都市と連携協約を結んで、公共サービスをそこから提供してもらうというような道を開いたわけでございます。それは、今回の創生法案の第二条第六号にもうたっています。地域の実情に応じ、地方公共団体相互の連携協力による行政運営の確保ということを言っています。

 さらに、地方創生本部が作成したまち・ひと・しごと総合戦略の趣旨という文書がございますが、この中にも、もっと具体的に、「地域と地域を連携する」「地方中枢拠点都市及び近隣市町村、定住自立圏における「地域連携」の推進」ということがうたわれています。地方創生も連携を軸にして考えて、広域連携ということであります。

 そこで考えていただきたいのでありますけれども、このことは何を意味しているかというと、必要な行政サービスを提供できない自治体は、近隣の中枢拠点都市と連携して持続的にサービスを提供していく道を選ぶんだということを言っています。つまり、周辺自治体の行政機能を中枢都市に集めて、そしてそこへ財政的なてこ入れをしていく、これがまさに地域の経済を牽引する地方中枢都市という構想でございます。

 私はこれをなぜ問題にしているかというと、結局、人口が減り消滅自治体と指定されたようなそういう市町村は、中枢の大都市にすがってしか生きていけないような地方制度でいいのかどうかということなのでございます。それだったら、むしろ、都道府県の代替執行という補完行政、そちらの方を選ぶべきではないかと実は考えています、個人的にですが。

 理由は何かというと、市町村の住民は同時に都道府県の住民であって、その主権の発動は、実は住民自身が決定できるのです。つまり、都道府県の補完を受けようという決定を市町村住民がしても、そこには主権関係の乱れはないと言えますが、中枢拠点都市に機能と財政が集中して、そこにぶら下がる周辺は、住んでいる人たちの自己決定、自治の権利はどこへ行ってしまうんだろうか、このことを今大変危惧しております。

 そういう意味では、地方創生という名のもとに、人口減少、消滅可能性をちらつかせて自治を奪うことだけはやめにしていただきたいということを最後に申し上げて、陳述を終わります。

 どうもありがとうございました。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 次に、五十嵐参考人、お願いいたします。

五十嵐参考人 おはようございます。

 昨年の十月まで秋田県の横手の市長をいたしておりました五十嵐でございます。

 一年たちましたけれども、ストレスレス社会にどっぷりつかっておりました。ところが、突然呼んでいただけまして、薄れ行く記憶を必死に探り当てながら本日ここに立った次第でございまして、そういう意味では、資料を準備できなかったことをまずおわび申し上げたいというふうに思います。

 私は、平成九年に平成合併前の横手市長になりましてから、一貫して、働く場があれば地方は元気になれるという私の命題のもと、仕事をしてまいったところでございます。

 全国的な傾向の中で、人口減少は横手も当然でございます。平成の合併は平成十七年十月でございましたけれども、そのとき、十万四千の人口がございました。八市町村で合併した市でございます。現在、九万六千を割っておりまして、毎年、千人ずつ減っておる。これは、全国的な傾向と軌を一にするわけでございます。

 そしてまた、合計特殊出生率も、望ましいという数値が二・〇七と言われておりますけれども、それよりもはるかに低く、全国平均よりも低い秋田県でございますが、一・三七。さすがに東京都よりはよろしいようでありますけれども、そういう状況。

 そしてまた、結婚されていない方がどのぐらいいるか、未婚率という切り口で調べたデータがございましたけれども、全国的な傾向と多分ほぼ同じかなと。いや、ちょっと進み過ぎかもしれませんけれども、二十から二十四歳までの方、もちろん、まだまだ若いですから結婚しない方もどこへ行っても多いのでありますが、この年代の未婚率が八七%でございます。そして、二十五歳から三十四歳、結婚適齢期と言っていいかなという世代でございますが、これでも結婚しない方が四六%おられます。そして、三十五歳から三十九歳の世代が未婚率二六%。四十歳から四十四歳でも、まだ二一%の方が結婚されておりません。できないということの現象がございます。

 さまざまな理由は考えられるわけでありますけれども、ここではそれを深く追求するわけではなくて、雇用の創出について、過去の取り組みを少し反省を込めて申し上げ、事例とさせていただきたいと思います。

 私は、平成十五年に、旧横手市の時代でございますけれども、横手市の産業戦略ビジョンというものを策定いたしました。これは、地域の宝を五つの切り口で、五つの柱を立てて、地域が元気になるためには産業振興の観点からどんな取り組みができるかということの研究、検討でありました、ビジョンでありました。

 これについては、やはり地方の課題に詳しい中央省庁の方をお迎えしようということで、私は、農業地域でございますので本来であれば農水省にお邪魔すべきところでありましたが、あえて農水省ではない官庁にお邪魔して、そういう人材をぜひ迎え入れたいということでお願いして、来ていただきました。

 いい人材に来てもらったなと喜んで、ビジョンをつくりました。そして、このビジョンを実践するための第三セクターをつくりました。地元の経済人、農業人からも多くの出資をいただきながら、動きました。特に注力した事業は、当時、今も健康志向の中で一定の評価をされておりますけれども、発芽玄米事業に取り組みました。そして、見事に大失敗をいたしました。

 これは、全く私の監督不十分の話でありますけれども、国から迎え入れた方に社長をお願いしました。ビジョンをつくったんですから、新しい会社の社長にもなってほしいと。しかし、いろいろな事情が重なりまして、大暴走をいたしました。それをとめられなかった私の不徳のいたすところでありまして、この三セクは見事に倒産をいたしました。多くの株主の皆さん、金融機関の皆様にも多大な御迷惑をおかけしたところでございます。

 このときの反省は、立派な絵を描く人はあまたいると思いますけれども、やはり、実際にそれを実践する、経営、マネジメントできる人間はなかなかいないものだなということであります。このことが大きな反省でございました。

 いま一つは、平成二十五年、これは昨年でありますけれども、食と農と観光の三つをセットにいたしました未来づくり構想というものを策定いたしました。これは、秋田県がつくりました県と市町村の未来づくり協働プログラムでございました。五十億の基金で、コラボして、地域の雇用創出、元気づくりをしようということでございました。これに手を挙げようということで計画をつくったところでございます。

 そして、これについては、先ほど申し上げた大失敗をした教訓をもとにいたしまして、プランニングから推進役に至るまで一人の人間を民間から招聘いたしました。将来、社長をお願いするということを念頭に置きながら進めてまいりました。これは、平たく言えば、六次化の拠点と交流人口対策の拠点をつくろうという十四億ほどの事業でございました。しかし、これは、昨年つくった構想でありましたけれども、昨年の十月の選挙戦の結果、私は落選いたしましたので、日の目を見ないでおります。そしてまた、これは、残念ながら、没になった計画ではございます。

 しかし、地域の乏しい資源を生かすためには相当思い切った、尋常なことではできないんだということを身にしみて感じておりますので、何とかいい方向に生かしていただければなと思っております。

 以上、二つの事例を申し上げました。平成十五年につくった産業戦略ビジョンは、大暴走の末、大失敗をいたしました。そして、今度また二十五年につくった計画も、途中で、日の目を見ないでしまいました。

 ここでさまざまな教訓を得ました。

 まず一つは、人材でございます。

 こういう地域おこしをする人材は、産業振興に取り組むには、民間の人間でなければ絶対だめだなということを感じました。さまざまな知識経験が豊富な方はたくさんおられます。コンサルティングでよその事例をいっぱい知っている方もおられます。しかし、実際の経営をわかる方というのは、まず地元では皆無に近いということであります、横手の場合でございます。したがって、こういうよその人、よそ者の経済人を引き受けても待遇面できちっと担保できる、そういう仕組みが欠かせないだろう。

 もう一つ申し上げますと、経営の責任でございます。

 三セクをつくってやるにしても、あるいは民間主導でそこに市がさまざまな補助金を出すにしても、結果が伴わなければ、責任を問われるのは当然でございます。私もたくさんの結果責任を問われた経験がございますけれども、私は、今日のこういう状況の中では、結果責任を恐れる余り、多分、どこの市町村長も余り危ないことはやらないだろうと思います。議会も怖い、住民も怖い、マスコミがもっと怖い、そういう状況がございます。

 私は、そういう経営のリスクを限定する異次元の対応というものがどこかになければ、これだけの厳しい雇用創出が必要とされる時代においては無理だなと思っております。そういうリスクをあえて冒す方には、それなりの対応をしなければいけないのではないかなと思います。

 そしてまた、雇用創出にかかわる、あるいは人口減少にかかわるさまざまな予算というのは、各省庁から出ておりますけれども、やはり渡し切りでお願いできた方がいいんじゃないかなと。交付金としてお渡しいただかないと、とてもではないけれども地域のアイデアは生かせないだろうと思います。だから、アイデアがないところには出さないというのは当然だというふうには思います。

 それから、地方分権の時代と言われて久しいわけでありますけれども、私ども、秋田県と一部機能を合体して仕事をいたしております。横手市は県の出先機関と同じテリトリーの中にございました。しかし、これは構想はよかったのでありますけれども、なかなか進みません。県の職員も、なかなか、地方分権で、基礎的自治体に対する考え方に、無理解がまだまだばっこしております。国においても、そういう側面は否めないのではないかなと思います。そういう意味では、道州制の問題だとか、一国二制度の問題には果敢に切り込まなきゃならないのではないかなというふうに思うわけでございます。

 そして、もう一つ、八市町村で合併いたしました横手市でございます、合併新市の難しいマネジメント上の実態というものに多くの御理解をいただかなければならないのではないかなと思います。

 いまだに、大きな声になっているところ、なっていないところがありますけれども、平成の合併を検証するということを声高に言っている方もおられます。もとに戻って何ができるかわかりませんけれども、しかし、平成の合併がもたらした負の側面というのは、いまだに、あるいはこれからもずっとあるんだろうというふうに思います。そういう意識をどうやって取り除いていくのか、また、それに対してどんな温かい手を差し伸べていただけるのかということも大事かなと思います。

 そして、最後でございますけれども、これは私の私論でございます、一国二制度の中で論ずる話として適当かどうかわかりませんけれども、これから人口が減り、そして職員の数も減り、さまざまな地域の課題に迅速果敢に、タイムリーに対応するためにも、私は、地方自治体の、基礎的自治体の二元代表制というのに大いなる疑問を持っております。欧米にも一部まだ残っておりますシティーマネジャー制の導入も含めた新しい自治体経営の仕組みというものも、やはり、新しくないかもしれないけれども、今日的課題として検討するに大いに値するのではないかなと思います。

 地方議会の議員の皆さんも大変苦しんでおられます。それ以上に首長は苦しんでおるわけでございます。その両方を解決する道とすれば、やはり、民意を二元代表の中に求めてやることの難しさ、そして、合併新市でありますとなおさらでございまして、そういう意味では、頑張る首長、あるいは頑張る議員の皆さんのためにも、新しい仕組みというものもぜひ御検討をいただく必要があると思います。憲法九十三条の改正というような大変な問題もありますので簡単ではないと思いますが、そういう議論も必要ではないかなと思います。

 大変拙いお話でございましたけれども、御清聴、感謝申し上げます。ありがとうございます。(拍手)

鳩山委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 おはようございます。自民党のとかしきなおみでございます。

 本日は、地方創生に関する特別委員会に参考人としてお越しいただきまして、本当にありがとうございました。

 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、森市長にお願いしたいと思います。

 富山市といいますと、私は、実は薬剤師なので、薬の町として有名なのですごく親近感を覚えてしまうのですけれども、富山市は、いろいろ調べさせていただいたら、最近すごく頑張っていらして、ついこの間も、OECDで、コンパクトシティーの政策のすぐれた町ということで世界の五つの町の中に選ばれていて、まさにこれは日本の誇りだな、このように思っております。この場をかりてお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。

 それでは、すばらしい手腕を発揮なさっています森市長に、幾つかお伺いしたいと思います。

 森市長が雑誌とか新聞とかにいろいろコメントを出していらっしゃるのを拝見させていただいて、二〇一〇年の十月号の「ガバナンス」で、人口減少時代に入って、「地域に残された人口力を最大限発揮できる都市構造に転換しなければ、地方都市の衰退は避けられない。」このように市長はおっしゃっているんですけれども、市長がおっしゃっている人口力を最大限に生かすには、条件は一体何なのか、そして、この人口力を最大限に生かすために、今回出ておりますこの法案のどういう部分を最大限活用していけばいいのか、その辺を御示唆いただけたらと思います。

森参考人 御評価をいただいて、ありがとうございます。甚だまだまだ不十分ですが、いろいろなところから注目をいただくようになりましたので、よかったと思っています。

 そのときの発言を子細に覚えておりませんけれども、日ごろ思っておりますことは、人口減少の流れの中で、手をこまねいている都市と、しっかりと布石を打っていく都市とでは、人口力に差がついていくだろうというふうに思っています。

 雇用をしっかりつくっていくということを中心に据えながら、産業政策をちゃんとやる。と同時に、先ほども言いましたが、教育水準ですとか文化度ですとか福祉の水準ですとか、そういう都市の総合力を高めていくということが、少なくとも、市民が余り流出していかないということにつながると思いますし、外からシフトしていただく方も単身赴任よりも家族で来る人がふえる、そういう視点を持つことがすごく大事だというふうに思っています。

 加えて、どんどん人口が減少していく時代にもかかわらず、旧来の拡散型のまちづくりをやっていくと、行政維持管理コストが物すごく増嵩します。それを三十年後、四十年後の少なくなる人口で支えるということですから、一人当たりの負担が大きくなる。そういう不安のあるところは人口力を発揮できないというふうに思いますので、そういうことも含めて、さまざまな角度から安心感が生まれるような取り組みをしていく、これが人口力につながるものだと思っております。お答えになったかどうかわかりませんが。

 そのためには、先ほども言いましたが、市域に同じような水準のサービスを提供していくという時代は終わったと割り切る必要があると思っておりまして、それぞれの地域特性を発揮させるためにそれぞれのその施策を尽くしていく、このことにかじを切ることが大事ではないかというふうに思っています。

とかしき委員 ありがとうございました。

 市長がよく雑誌等でおっしゃっているのは、選択と集中をどうしていくか、ここが重要だというふうによくコメントを出していらっしゃいますけれども、まさにそのとおりだと思いますし、地域に合った選択と集中をどうしていくのか、ここが、今回、地域の再生の上で大きなポイントになっていくのではないかな、このように思います。

 私も、実は、東京で議員をやっていたときに、町の商店街の活性化、ちっちゃな商店街なんですけれども、活性化にちょっと手を、皆さんと一緒にやらせていただいたんですけれども、そのときに、実際にやってみて思ったんですけれども、自治体が出してくる補助金というのは、結構、物に出していくというのが多くて、実際に経済活動をその中に入ってやってみると、お金を生み出していく仕組みの方に本当はもっと補助金というものは出していくべきなのではないかなと。なかなかその仕組みの方にお金を出すことがなく、さらに、それを評価する基準もなかなかないということで、ここが難しいところだなと思います。

 その点、私が富山市さんはすごいなと思いましたのは、まずは、公共交通をしっかり、ライトレールの基盤整備、これも思い切って投資なさって、運行頻度を高くしていって、利便性を物すごく一気に向上させていく。普通だったら、使う人が少ないと本数を減らしていくところを、逆に、思い切ってアクセルを踏んでいった。これによって、脱車が実現できて、沿線の住宅が活性化して、地価が上がって、さらに高齢者や障害者に優しい町になるという施設がどんどん、そして民間の投資を呼んでくる、そして最後は死ぬまで歩いて暮らせる富山市ということで、いい流れをつくっていったんだと思うんですね。

 こういう、お金の回るというか、いい循環をつくっていく、こういうふうにしていくにはどういうふうに持っていったらいいのか。富山市のように、さっきおっしゃったように自治体によって事情が違うと思うんですけれども、そういういろいろな悩みを持っているほかの自治体の中でこの流れをつくっていくのにどういうふうな発想を持っていったらいいのか、コツがあったら、ぜひ教えていただけたらと思います。

森参考人 私たちが最初に取り組んだライトレールを整備したときは、総額で五十八億、資金がかかっています。JRからの寄附ですとか国の補助ですとか、さまざまなものを控除しますと、富山市の純粋な負担は十七億でした。

 しかし、それをやることの妥当性ということを市民としっかり議論する、当時は、交通政策基本法は昨年できたばかりですので、民業である交通事業に公費投入することの妥当性ということをしっかり議論する必要がありましたが、そこを説得できたことがよかったと思っています。

 ポイントは、はっきり言うと上下分離ということですね。上下分離で、民業でありながらやっていくということによって、まず、民間事業者は人件費も含めた運行経費を運賃収入だけで賄う、そこには補助金を入れない、しかし、上下の下の部分は公費を入れて公設にする。このことによって減価償却と固定資産税が発生しませんので、経営は一気に改善されることになります。

 地方のこれからの交通政策ということのポイントはここにあると思っていまして、この上下分離の対象事業を拡大していくことによって、地方交通というのは十分維持できる、復活させられる可能性が出てくると思っています。まずはそういうことをし、そこに人を誘導するための施策をさまざまに展開することでにぎわいが生まれ、地域経済に元気が生まれてくる、こういうことを目指してやってきました。幸い、今のところ順調に推移してきていて、よかったというふうに思っています。

 もう一つ、先ほど先生がおっしゃった、地域の商業のみにとどまらず、地域経済のために必要な視点が、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、信用保証協会の制度を抜本から見直す必要があると思います。

 与信能力が、もうみんな目いっぱい与信判断されてしまっていて、借りかえだけで動いているというのが地域の経済の実態ですので、もう少し事業の中身ですとか個人の信用とか、あるいは起業にかかわる将来性とか、そういったものについて今までの与信判断とは違う基準でしっかりと見通していく。失敗があってもいいと思います、信用保証の作業に。そこをしっかりやらないと、今はただ失敗することを恐れて保証しない、あるいは金融機関も融資に及び腰、小さな金融機関はひたすら国債を買っているだけというようなことだと思います。ちょっと言い過ぎましたが。

 しかし、いずれにしても、そこらあたりに手をつけることで地域経済を動かすという取り組みが大事ではないかというふうに思っています。

とかしき委員 ありがとうございました。

 まさにおっしゃるとおりで、お金の回るそういった環境をつくっていく、地域の信用保証、しっかりつくっていって、将来の事業の中身とか将来性とか、地域にどう生かしていくのか、その辺をしっかり見ていくことが大切なのではないかな、このように思います。

 実は、今回、地方創生のことについて、国も同じようなことでありまして、いろいろな自治体から提案が来るときにどう評価するのか、ここも結構重要なポイントになってきます。ですから、市長と同じように、選択と集中を国も今回この法案によって求められてくるわけであります。

 そこで、今回は、評価基準をしっかりしようということで、今、五つの評価基準が出されております。まず一つ目が自立性、これは外部の人材活用など自立をきちっと支援しているか。二つ目の座標軸が将来性、地方が主体となった夢のある前向きな施策になっているか。三番目が地域性、客観的なデータによりその地域にきちっと根差した施策になっているのか。そして四番目が直接性、これは人や仕事の移転、仕事の創出とか、そういったものに効果が本当にあるのかどうか。最後が結果重視ということで、目指すべき成果が具体的に想定されているかどうか。

 ですから、五つですね、自立性、将来性、地域性、直接性、結果重視ということなんですけれども、この五つの評価基準で今国の方は評価していこうと考えているんですが、そのことについてどういうふうにお考えになるのか。

 あともう一つお伺いしたいのが、評価する時間軸、市長は性急に結果を求めるべきじゃないんじゃないかということをよくおっしゃっておりますけれども、では、どれぐらいの時間軸でこれをはかっていったらいいのか、その辺についても御示唆いただければと思います。

森参考人 今おっしゃいましたこの五つの視点というのは当然のことだろうと思いますし、ここをしっかり見ていく必要があると思います。特に、結果の検証ということが非常に大事ではないかというふうに思います。

 したがって、計画を進めていく過程過程におけるチェックということが非常に大事で、加えて、データだと思っています。きちっとデータで裏づけしていくということが大事で、皮膚感覚だけで議論してきた嫌いが今までの地方行政にあったと思いますけれども、今、精査すればかなりいろいろなデータがとれますので、そのことを説得材料として市民に説明をして、新たな計画に取り組むということが大事と思っています。

 時間軸に関して言いますと、私がしばしば使うのは、今、現在市民だけの声が市民の声ではないということの視点を持つことが大事だと思います。過去の、先人の人たちの苦労してきたこと、例えば、富山市は空襲の被災都市ですので、町の中は非常に広い道路で、歩道も広い道路をつくってくれた当時の人たちの都市計画に対する思い、そういうことにしっかり感謝しながら、そして将来市民にとって何が利益なのかということを、施策を考えるときに絶えずそれを同時に考えていくことが大変大事です。

 時間軸、どれくらいだということは根拠は何もありませんけれども、日ごろ思っているのは、三十年後ぐらい。三十年後ぐらいだと、一定程度推計値が出せると思いますので、そのあたりを意識して仕事をしております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 それでは、次は辻参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 先ほど人口減少の話が出てきたんですけれども、国も少子化対策に今まで物すごく力を注いできたんですけれども、残念ながら余り効果が上がっていない。これは、私は、もしかして方向性が少し間違っている部分もあるんじゃないかなと最近思うようになってきたんですけれども、辻参考人がごらんになって、日本の少子化対策、人口減少を食いとめる政策で、この部分が特に欠落しているのではないかな、そういうものがありましたら、教えていただけますでしょうか。

辻参考人 少子化対策というのは大きく分けると二つに分かれていると私は思いまして、一つは、いわゆる子育て当事者の経済負担の軽減に関するもの、それからもう一つは、文字どおり、子供の数をふやしていくようなことに帰結するもの、この二つがあると思います。

 直接子供の数をふやすというのは、いろいろな個人の選択の問題その他がありまして、今まではどちらかというと、子育て負担を軽減するというところを中心に行ってきたんだと思うんですね。

 子供を財に例えて言うとあれですけれども、子供が結局劣等財だとすると、つまり、劣等財というのは所得が高ければ高いほど必要なくなるものという財だと考えると、というのは、過去の日本から考えますと、昔は子供がたくさんいて、今は子供は少ないわけですから、日本はずっと所得が上がってきていますよね。ということは、所得が高くなればなるほど子供が減ってきた、こういう経緯があるんです。

 一方、先進国だけ見ると、経済的負担を軽減すれば、やはり子供の数は一定程度復活するんじゃないかというところがあって、要するに、子育て世代の経済的負担の軽減政策が結果的にその世帯の所得効果にとどまっているのか、実際に子供の増加に結びついているのか、そこにまず根本的な問題があって、それから個人の選択の問題があるということで、なかなかかゆいところに手の届くような政策までには至っていないという経緯があるんじゃないかというふうに思います。

 子供をつくるということにつきましては、経済政策以外に、子供をつくっていくことが歓迎されているという雰囲気づくり、特に、これが将来にわたっての大きな投資になりますので、そういうような、子育てが安心してできるような国全体の雰囲気づくりというところにもう一度力点を置き直して再構築するのも一つの方法じゃないかというふうに考えております。

とかしき委員 最後に一つだけお伺いしたいんです。

 日本は高齢社会に今結構なってしまって、すっかり肩を落として自信を失っているんですけれども、私は、高齢社会は決して悪いことではなくて、これはもっと強みにするべきじゃないかな、世界で一番というのはビジネスチャンスは幾らでもあるので、これを国として日本の国の創生のために武器にするべきではないかな、このように思っているんですけれども、先生の考えを最後にお聞かせいただければと思います。

 以上です。

辻参考人 それは全くおっしゃるとおりで、何でこれだけ高齢化しているかというと、長生きになったから。やはり長生きになったことはうれしいですよね。私ももう五十を超えましたので、昔だったらあと十年ぐらいで人生が終わったんですけれども、ちょっと寂しい。

 ただ、長寿命化の中で、子供の数が減るのも当然なんだけれども、それが一時的にたくさんの高齢者が滞留する経過時期を今経つつある。これを何とかくぐり抜けると、すばらしい日本になるんじゃないかというふうに思います。

とかしき委員 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。きょうは、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど、辻山先生の冒頭のお話なんですが、まち・ひと・しごとじゃなくて、ひと・まち・しごとじゃないかというのが私は非常に心に響きました。やはり、計画を立てるというのではなかなか動かない。結局、動かすのは人であります。また、お金で縛っても、あるいは権限で縛っても、結局、人が考えてみずから決めていかないといいものはできない。まさに、地方で自分で決めないとうまくいかない、人が主役だというふうに私は理解をしました。そういう意味で、法案の名前をひと・まち・しごとにするのは非常にいいことじゃないかと思うんですね。

 また、五十嵐前横手市長も、人の重要性というのをおっしゃっておられました。やはり、横手の焼きそばもそうですけれども、人を得てうまくいくということだと私は思うんですね。

 ですから、まず辻山先生に、最初に、ひと・まち・しごととおっしゃったお考えについてもう一度伺いたい。それから、五十嵐前市長には、ひと・まち・しごとというこの御提案についてどうお考えになるかということをまず伺いたいと思います。

辻山参考人 お答えします。

 私は、直観的に「まち」が最初に来ているということの違和感を感じて、この違和感は何なんだろうかというようなことをさまざまな法案の条文とかを見ながら考えてまいりましたけれども、結局、先ほど触れた地方自治法の改正も、町としての単位が消滅することをどう防ぐかということに視点があって、そこで暮らしている人たちの暮らしが既に破綻しているのかどうか、あるいは、もうそこを捨てて大都市へ移りなさいというようなことを言っても、やはり私はここがいいんだという人々の思いをどうやってすくい上げていくのかということを考えると、順序が違うんじゃないかなというようなニュアンスなのです。そういう意味では、余り法律的な意味とかはございません。

 以上でございます。

五十嵐参考人 先ほど私、地域で、まともという言葉は適切ではありませんけれども、さまざまな難しい課題に立ち向かえる、ビジネスにたけた人間がなかなかいないということを申し上げました。これは、経済的な規模がその地域で大きくない、育っていないというようなこともあるのでありますけれども、私は、今の若い方々が、高望みはしない、将来に対する非常に冷めた目を持ちながらも、今住んでいる町を元気にしたいという思いを物すごく持っている方が多うございます。

 私、その方々の行動というのは、例えばSNSを使った交流であったりだとか、あるいは若者が、地域を元気にしたいというような、そういう若者会議をつくって動いたりだとか、あるいは、今、地方はFM放送で一生懸命頑張っているところも多い、横手もそうでありますけれども、そういう中で若い人たちが頑張っている、これをやはりいろいろな意味でサポートする必要があるのではないかなと思っております。

 秋田県は、御承知のとおり、小中の学力、成績が大変上位でございますが、どうも秋田県人は、そのことだけを誇って、その先についてはほとんど目をつむっている状況にございます。本当の実力ではない、ましてや、大都市に有為な人材を送り込むための教育に落ちているというような、率直にそんな感想を持ちます。

 そういう意味では、地域に残るさまざまな能力、多様な能力、飛び抜けた高い能力ではないかもしれないけれども、そういう方々を、義務教育だけではなくて社会教育も含めて支援していく仕組みというものが、今、自治体はどこもその必要性を感じていますので、そこに手厚い応援をしていただければ、これは、まち・ひとがひと・まちにつながるのではないかなというふうに思います。

 以上でございます。

奥野(総)委員 非常にいいお話でありました。

 今のお話を伺うと、やはり人が大切、その地域地域で活躍できる人材が大切だということだと思います。そういう意味で、計画を立てて、交付金を配っておしまいというのではなくて、もう少し時間をかけて中長期で、人材の発掘、育成まで含めた視点が必要かと思います。

 そういう意味で、この法案の名前も、私は、「まち」が先に来るんじゃなくて「ひと」を先にするというのは、非常にすばらしい御提案だと受けとめさせていただきます。

 そして、次に辻先生に伺いたいと思いますが、人口が減少しようとするこのタイミングで対策を打つというのは、まさに時宜を得ている、プロアクティブな対策が打てるんだと。私も全くそこはそのとおりだと思います。しかし、その政策が果たして有効かどうかということが一番重要だと思うんですね。

 先ほど辻山先生もおっしゃっていましたように、これまでもさまざまな地域おこしの政策が打たれてきた。しかし、シャッター通りはそのままでありますし、人口の流出もとまらない、出生率も上がらないということがこの二十年、三十年続いてきたわけであります。

 過去の反省というのはもちろん必要だと思いますが、先ほど、この法案を非常に高く評価すると先生はおっしゃっておられました。例えば、定住自立圏と中枢拠点都市と一体どこがどう違うのか。あるいは、今も地域再生法には交付金が幾つかあります。あるいは、さまざまな補助金がいっぱいあります。こうしたものと、今回、全容は明らかではありませんけれども、新しい交付金という言い方がされていますけれども、それはどう違うのか。

 この法案によって今までと何がどう違って、どういうふうにワークして地方創生が実現するのか、それについてどうお考えかということを伺いたいと思います。

辻参考人 お尋ねの点、大変難しい、本質的な問いだと思います。

 今までの政策とこれからの日本の政策、まず考えなければならないことは、これまでの高度成長の過程においては、目指すべき欧米先進諸国という形で、やはり見えやすい正解が一つあって、それに基づいて日本をどうやって近づければいいかという話が比較的組み立てやすかったんだと思います。

 これに対して、これからは、先ほども言いましたように、一億人も超える国で将来二〇五〇年に約四〇%の高齢者になる、しかも、その高齢者を前提に、皆年金、皆保険の制度を維持していく、こういう制度をつくっていくわけですから、今までの他国の知恵がなかなかストレートに使えず、日本として、国と地方が一緒に試行錯誤してやっていかないとできない、こういう状況だと思うんですね。

 したがって、先見的に一つ正しい政策がぱっと見えて、それに基づいて真っすぐ国も地方もぶつかっていくなら費用対効果は非常に高いかもしれませんけれども、現実問題は、国も地方も解答を模索しながらやっていく。その過程の中には、今後もある程度、失敗は必ずつきものになるというふうには思います。

 しかし、先生御指摘のとおり、今までの失敗から学ばなければならないこともありまして、その学ぶべきことの一番は、仮にいいことをしたとしても、時期が遅いとやはり効果が限定されるということだと思うんです。今回、ともかくこの時期に、とりあえず体制を整えて、超高齢化に取り組む、人口減少に取り組むという体制をつくったということは、これまでの失敗を踏まえて、それに対してより積極的な施策を出す一つになっているんじゃないかというふうに私は思います。

 こういう形で、今回の施策の中に、一つずつ、少しずつ解決していく方向がありまして、先ほど議論のあった中にも、何年の検証期間で今回の事業を評価すべきかということがあると思うんですね。

 結果が必ず正しければ、私は、三十年後の評価で十分だと思います。しかし、未知なことに挑戦して、三十年後に、やって失敗しました、それではもう取り戻しができないということになると、やはりある程度年月を切って考えなきゃだめだ。しかし、では、毎年成果を出せというと難しい。

 そうなると、やはり、五年、十年、十五年と五年タームぐらいで、しかし、五年後と十年後、十年後と十五年後で基準を少し変えていくというような形でしっかり検証を進めていく。この検証を進めていくというのが、もう一つ、これまでの失敗に対する今回提起されている新しい施策の一つではないかというふうに思います。

 ちょっと今回の法案とは離れますが、定住自立圏と地方中枢拠点都市圏構想について言及がありましたので、これについて簡単にお話ししますと、定住自立圏構想につきましては、今までの、圏域を国で指定するという考え方から、自治体の中で中心市とそれぞれの近隣市町村が一対一で提携を結んで、その中で必要なことをやっていく、こういう制度でした。これは、医療ですとか公共交通ですとか、一定の効果を上げているんですが、今回問題になっている雇用対策については、なかなか目に見えた成果が出ない。

 それで、今度の地方中枢拠点都市圏構想で、市を中心に雇用をつくり出せるような大きい圏域で、中心市の中に全てを集中するのではなくて、圏域全体の経済にプラスになるような施策をしっかりリーダーシップをとってやってほしいということで、新中核市以上を中心に今度の地方中枢拠点都市圏構想が出てきているという経緯がありまして、広域行政圏、それから定住自立圏、それから定住自立圏のできなかったところを補う形で地方中枢拠点都市圏構想と、一応これまでの成果を踏まえた政策構成になっているんじゃないかと私自身は考えております。

奥野(総)委員 定住自立圏については、基本的に財源がきちんと担保されていなかったという面もあると思うんですね。ですから、一般財源たる交付税をきちんと交付していくということが私は大事だと思います。先ほど辻山先生も、やはり一般財源たる交付税をきちんと保障する、法定税率の引き上げを含めて考えるべきだとおっしゃっておりました。全く同感であります。

 もう一度辻山先生に伺いたいんですが、地方創生のあるべき姿というのは、今打てる政策としてはどういうものがあるのか。先ほど交付税とおっしゃっていました。あと、一括交付金ですね。我々が政権のときに一括交付金をつくりました。先ほど富山市長も、内閣府で束ねて配るべきだと。まさにこれは一括交付金と同じだと思うんです。

 交付税を厚くした上で、既存の補助金を束ねて使い勝手のいい一括交付金を再度復活させるべきだと思いますが、その点について、辻山先生、いかがでしょうか。

辻山参考人 趣旨は私も全くそのとおりだというふうに理解しています。恐らくそのことが今回のこの法案の成否を分けるのではないか。

 つまり、さまざまな意欲を引き出し、計画化し、そしてそれについて財政的な手当てをしていく、その手当ての仕方のところが、まさに今あちこちで批判されている、これはやはり上意下達的な、集権的な計画体系ではないかというふうな批判に対してきちっと応え得るような交付の仕組み、これは民主党政権時代の一括交付金というのも当然検討に値するものだと思いますが、それも含めて、言ってみれば、財政資金の交付の仕方というものを編み出していく必要があるんじゃないかという気がしています。

 ただ、議員御指摘のように、現行では一括交付金方式というものが一番近いかなという気持ちには変わりありません。

 以上です。

奥野(総)委員 我々も対案として一括交付金あるいは地方分権についての法案を出して、しっかり審議してまいりたいと思います。

 時間が参りました。最後に、分権について、私は、人と分権が鍵だと私なりに思っているんですね。今の政府の分権の取り組みについて、きょうも、提案募集型のものについて二割しか政府は認めていないというような話が新聞に出ていますけれども、今の政府の分権の取り組みについてどうお考えか、辻山先生そして五十嵐前市長に伺って、終わりたいと思います。

辻山参考人 実は私、きのう、きょうのための準備をしておりました。そこへ共同通信から電話で取材が入りまして、その件でした。二十数%なんだけれども、これをどう評価するかということでございましたが、余り内容にまで踏み込んで検討しておりませんので、私がそのとき申し上げたのは、例えば、第一次の回答のときにわずか十件ぐらいしか容認がなかったということを考えれば、もしかすると安倍内閣自身が掲げている地方創生という考え方への寄与というようなことを各省が考えたのかもしれない、そういう意味では一つの流れができてきたかなという、多分、彼は一定の評価と書くんだと思うんですけれども、そういうふうにお答えした気があります。

 これまでの各省と地方自治体の関係でいえば、ある意味では二割幾つでも結構画期的なことで、決めるのは中央省庁なんだよと言ってきた文化からいえば、いろいろな提案をして、それを検討してみる、検討して何とか実現してみようということになる、そういう機運というのは、私は大切だというふうに思っています。

 ただし、いつまでも、これをやらせてくれ、これをやらせてくれというふうに懇願するスタイルでいいかどうかというのは、そろそろ考えなければいけないかもしれません。

 以上です。

五十嵐参考人 どこの選挙区とは申し上げませんけれども、国会議員の方とお話しする機会がもちろん過去に何度かあったわけでありますが、その都度感ずることは、きょうのこの特別委員会のメンバーの方は多分そういうことはないと思いますけれども、御自分の選挙区であるにもかかわらず、地方の実情を余りおわかりになっていない方が大変多うございます。そういう印象を持ちました。

 ということは、要望は聞く、そしてその実現に努力する、大変ありがたいことでありますが、その背景にある根本的な問題だとかということについて胸襟を開いて意見交換する、そういう努力を、首長の側も、もしかしたら議員の方も、そういう時間をつくる努力を怠ってきたのではないかなというふうに思っております。そこら辺がやはり、分権が進まない一つの大きな、唱えていることはそのとおりです、立派なことではありますけれども、なかなか進まないところはその辺にも一つあるのかなというふうに思います。

 今、道州制の議論もいろいろ迷走しておるようでありますけれども、ぜひ、地方の首長と胸襟を開いて話し合える環境があれば、満座の席ではなかなか言えない話がたくさんあるわけでありますので、そういう機会を積極的に持つことによって議論は深まるものだというふうに思います。

 以上であります。

奥野(総)委員 森市長にも伺いたかったのでありますが、時間が来てしまいましたので、以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、四人の参考人の方々、大変急遽な出席、ありがとうございました。なかなか国会は、昔からその日暮らしということがありまして、大変御迷惑をかけたことをおわび申し上げたい、このように思っております。

 私も秋田出身でありますので、ずっと地方創生を言ってまいりました、地域活性化とか地方創生と。遅きに失した感じですけれども、やっと政府が地方創生をしようと。しかしながら、先ほど参考人の方々からも御意見がありましたが、これまで、過疎法であったり、ふるさと創生であったり、古くは日本列島改造であったり、いろいろな施策をやってきました。全てがこれは国土の均衡ある発展といってやってきたはずです。しかしながら、うまくいかなかった。下支えにはなったとは思います。

 そして、今、ここで創生本部をつくって、そして再生法の改正をしてやっていくということになっております。辻参考人は大変評価をされていましたけれども、先ほど、その中身で、今、違ってきた中身はお答えいただいたので結構でございますが、しかしながら、この後の方向性について、ではこの法案が成立した後にどういうふうに進んでいくかというのが実際にはっきり見えていないわけです。

 そして、これはどうしても、臨時国会という短い時間ですけれども、設置だけすると。そして、その設置だけで、総理の所信表明演説なんかも、いろいろな全国味めぐりみたいな形の演説をされていましたけれども、それならば、内閣府か何かに設置するより、全県は入っていないですけれども、都道府県会館に創生本部を置いて、都道府県の皆さんの意見も全部聞くような形がいい。

 そういう意味では、一つ具体性がないと思っているんですけれども、どう感じていらっしゃいますでしょうか。

辻参考人 先ほども申し上げましたが、一つは、今出されている政策は、やはり、全部既にでき上がっているというよりも、国と地方でつくっていかないと効果的にできないものがあるというのは事実だと思います。

 したがって、今回でまず体制をつくるということで、しかも、今回重要なことは、長期にわたって継続的にこういう政策をちゃんとやっていくんだということをしっかりお約束する。そういう意味では、法律を通して、それから法律設置をしてしっかり物をつくっていくというのは、最初の事始めとしては必要なことだったというふうに思います。

 これはやはり、国がしっかりやるべきことと地方がしっかりすべきことがありますので、今の体制の中で両者それぞれ役割と責任を分かち合いながらしっかりやっていくというのが効果的じゃないかというふうに思います。

 今後の政策の中身の方向なんですが、単純に言うと、やはり、少子化対策に資するようなところと雇用対策に資するようなところ、この二つに分かれてくるんじゃないかというふうに思います。

 しかし、少子化対策のことについては、先ほどもありましたが、子育て世帯の負担軽減と並んで、やはり実際にどうしたら安心して子供が産める地域社会をつくれるかということを再び考えなきゃだめだということと、雇用についても、一方で少子高齢化が進んできていますので、地方でもぜいたくを言わなければ仕事があったりします。しかし、ではその人が生涯かけて子育てを安心してできるぐらいの安定した職と安定した雇用になっているかどうかということも含めて、そういう本格的な雇用をちゃんと地方にもつくっていく。この二つをどうやったら有効にできるかということだと思います。

 もう一つ、ただ、これを考えるときにポイントだと思うのは、確かに国の役割も大きいんですけれども、経済の中で、やはり民間経済がGNPのもう八割を占めています。仮にど田舎といえども、民間が頑張らないと有効に雇用がつくれない。思い切った投資はなかなか行政ではできないんですけれども、民間だと可能だと思います。地方で民間が頑張るためにどういうことができるか、それをぜひ考えていきたいというふうに思っております。

村岡委員 お答えいただきましたけれども、我々は、中央集権のままこれを進めて、今までの対策も全て、明治以来、中央集権で対策を進めてきた、そこを変えなきゃいけないんじゃないか、こう思っているわけです。やはり制度的なものを変えない限り、ある程度の下支えになっても、本当に地方の再生、創生というのはでき得ないんじゃないか、こう思っております。

 そこで、森市長さんにお聞きしたいんですけれども、先ほどの中で、省庁横断で進めると。実際の行政をやっていて、先ほど、言いにくいけれどもということで、これは基礎自治体に直接と。逆に言うと、国にも言いにくいことで、国の仕組みの中で、国との関係で大変困ったことがあるとか、そういうのがあれば一言お願いしたい。

森参考人 一言で言うと、やはり、岩盤規制というような言葉で表現される、特に農林水産省のお考えということが現場とかなり乖離しているということだろうと思います。

 私の方であらかじめ用意しました資料の一番末尾を見ていただくとわかるんですが、そういう御質問があればと思って、具体の例を持ってきました。

 これは歴史的な背景がありまして、二十四ヘクタールの一団の耕作放棄地があります。ずっと江戸時代から、周辺の土地改良区から水をもらわないまま、余り水と雨水で耕作してきたわけです。しかし、それは平場にありまして、隣接する圃場整備済みの農地と連担しているものですから、農林水産省の担当の方の目から見ると、これは回復可能な農地だというふうにしか見えないわけです。十分耕作が可能だというふうな目になる。

 しかし、それは現場と大きく乖離していまして、もう数十年放置されているわけです。全く農業投資が入っていない。したがって、人の農地を通らないと自分の耕作地に入れないというようなところ。これはもはや農地じゃないと思いますが、しかし、鳥の目で見ると連担しているので、これは優良農地だ、こうなってしまう。ここは大きな問題です。

 先ほどのお話もありましたが、今度の新しい法律の議論の中で、計画を認定してもらうと、例えば総理大臣の調整とか勧告とか、いろいろなことが入るというようなことなどがあって、一つの省庁の中の判断だけにとどまらない視点で見てもらうというようなことなどが、今度の改正ができれば可能性を期待していますので、そういうようなことについてもお考えをいただければというふうに思います。

村岡委員 ありがとうございました。

 この計画はいろいろな問題があると思うので、そこはぜひ、この委員会の中で議論しながら、規制緩和も進めていかなきゃいけないと思っています。

 そこで、地元秋田県横手市前市長の五十嵐さんにも来ていただきました。ありがとうございます。

 先ほど、失敗例と、途中で挫折といいますか、その例を挙げておられましたが、秋田県の中では、市長をやられた当時、市役所に、マーケティング課ということで、市場調査をする中で職員が意識改革をするような課をつくって進められてきたと思います。そして、秋田県の中の農産物を香港や台湾、そして全国各地に売り出すというところに市役所の職員がみずから行ってという意識改革を進められてきたと思います。

 どんな制度や法律があっても、やはり直接、行政であれば市長、そして職員の意識改革、そしてさらには、そこに住む市民の意識改革というところに心がけてきたと思いますが、この十六年の間、どういう形での意識改革が成功し、また、なかなかうまくいかなかったのか、その辺を教えていただければと思います。

五十嵐参考人 横手市役所の中に産業経済部マーケティング推進課というのをつくったのが今から八年前でありましたけれども、今御指摘ございましたとおり、横手市の産業振興のための先兵となるべく、単なる市場調査にとどまらない、マーケットの開拓ということまでやろうということで動きました。

 入り口としてはそれでよかったのでありますけれども、残念ながら、それに呼応する地元の経済界の動きがなかなか伴わないということで、道半ばではあります。しかし、御指摘があったとおり、職員に、産業振興とはいかに難しく、いかに重要か、そして外に出ていくことの重要性ということをかなり浸透できたものだというふうには思ってございます。

 ただ、残念ながら、率直に申し上げて、八市町村で合併した市でありましたので、旧八市町村の組織文化を、みんなそれぞれ固有のものを引き継いでおります。およそ、中身の格差というのはございます、意識の格差もございます。そういう中で、私が取り組んだ八年間のそれは、もっともっと長く継続してやらなければ根づかない、そういうある種、時間の限界というものを感じたところでございます。

 しかし、首長が確固たる信念のもとにそれを推し進めることが、いい仕事をする職員を養成するためにも、単なるマーケティング推進にとどまらず、ニーズは現場に聞け、現場にあるんだということを徹底できるための大きな一歩であったというふうに自画自賛いたしておりました。

村岡委員 前市長さん、ありがとうございます。

 といったように、横手市という基礎自治体ぐらいの大きさでも、なかなか現場をしっかりと把握できるということは難しい。そうすると、この地方創生本部、各省庁からみんな集まってきています。各省庁の、必ず帰るという約束の中で集まってくるこの創生本部が、果たして本当に、それぞれの地方から出てきたアイデアを見て、どこを応援すればいいのか、どこをサポートすればいいのか、はっきり見抜けるかというと、大変心配なところが実はあります。

 そして、もちろん五年間ということがありますけれども、将来、三十年後でも、三十年後なんてとても創生本部にはいないことは決まっているんです。五年後もいないんです。それがほとんどだという状況の中で、これが成功するのかどうかというのは非常に不安があります。

 そして、制度的に見て、やはり中央集権の中で地方を発展させるというのは、これまでは、人口がふえてきて、それは成功したでしょうけれども、これからは、中央集権の中で地方を創生するというのはなかなか相矛盾するような形の中で、やはり将来的に道州制を見据えながら、地方分権をまずは進めていくという方向性を出さないと、なかなかこれがうまくいかない、こう思っておりますが、五十嵐参考人に一言お願いしたいと思います。

五十嵐参考人 現役時代に霞が関の省庁にお邪魔いたしますと、ああ、そういう課題であれば直接来てください、県を通さなくて結構です、こういう話をよく言われました。確かにその方が話が早い。いたずらされたことも逆にございましたけれども。

 事ほどさように、中二階の組織というのは、ありがたいときもございますけれども、なかなか厄介なときもございます。これは本音でございます。

 そういう中で、道州制がそれを全て解決するかどうかというのは、制度設計がしっかりしていない段階では言えないかもしれません。しかし、私は現役時代に基本的には反対でありました。それはなぜかと申し上げますと、国土交通省の地方整備局が持っている防災であるとか災害支援の機能が、なかなかそれは担えないだろうというふうなことで反対をいたしました。

 しかし、そのことは一部でございますので、いろいろな工夫があると思います。そういう意味では、もう一度、道州制がなぜ必要かという議論を、基礎的自治体の目線で見てぜひ進めていただきたい、現在、そのように思っております。

村岡委員 大変ありがとうございます。

 やはり、異次元の改革、そして異次元の対策をしていくとなると、制度設計も、地方分権をしっかり進めていく、その先には道州制がある、いろいろな問題がありますけれども、そこまで踏み切って地方に対して言っていかなければ、なかなか地方創生はうまくいかない、こう思っております。

 もう時間が参りましたのでやめますけれども、四人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。大変参考になりました。地方創生は、異次元というよりも日本の将来のためにしっかりと頑張っていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

鳩山委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、四人の参考人の皆様から大変貴重な御意見を伺うことができました。大変にありがとうございます。

 まず、最初にちょっと、質問自体は森市長にさせていただこうと思っておるんですが、辻山参考人から、先ほど民主党の方からもありましたけれども、「ひと」を最初にした方がいいんじゃないかというようなお話がありました。実は、我々公明党は、「人が生きる、地方創生。」というキャッチフレーズを掲げて、統一地方選挙もしっかりと戦うぞというようなところであるんです。

 人が大事というのは非常に共感するところではあるんですけれども、まち・ひと・しごと、実はこの順番というのはすごくすばらしいと思っております。なぜならば、町と仕事の中心に人がいるという意味では、この順番でいいんじゃないかというふうに思っているわけでございまして、人を大事にするぞという思いが皆さんと一致していれば問題はないのではないかというふうに思っております。

 その上で、人こそ肝要でして、人を大事にすると。先ほど五十嵐参考人からも少しあったんですけれども、どういう人が大事かということでいうと、絵を描く人ではなくて、それを実現していく人、こういう人が大事であるということをおっしゃっておられました。

 そういう意味では、都会にだけそういった実行するような人たちがいるのではなくて、しっかりとその地域を支える人たちがどんどん育っていく、こういう人材が育っていくことが大事かなというふうに思っているわけでございます。

 ここから少し森市長にお伺いしたいと思います。

 その上で、富山市は、非常に先進的な取り組みをされて、転入超過となっておられると。これはそもそも、転入していらっしゃる方々、精緻なデータが今直ちにお手元にあるかどうかというと、ないかもしれませんけれども、世代でいうとどういった世代の方々が多くて、転出される方々もどういう世代の方々が多くて、結果的にどういう世代の方が人口としてふえていらっしゃるのか、この点について教えていただけますか。

森参考人 富山市の特徴は、高等教育機関のキャパが小さいということがあります。したがいまして、高校を卒業する時点で多くの若者が転出をしてまいります。近くは金沢ですし、私も東京へ出てきました。

 しかし、富山の若者たちは、ふるさとへ帰るという人が非常に多くて、私も帰っていったわけです。三世代同居率が高く、親と一緒に暮らすという意識が底流として流れていますので、二十三、四歳から以降は転入超過になります。四十歳代までも転入超過となっています。ですから、例えば、ある年度の若者たちを高校一年から追いかけた資料をつくったことがありますが、十八歳から大幅に転出していったものが、最終的に、例えば三十歳ぐらいですと七割ぐらいは帰っております。同じ者かどうかはわかりませんが、年齢をずっと追っかけていくとそういう状況です。

 したがって、手を打っていけばきちっと転入超過ということが維持できるだろうというふうに思って頑張ってきました。

濱村委員 ありがとうございます。

 転出するタイミングに合わせてどういう手を打っていくべきかというのも非常に大事な論点であるかと思いますので、今、十八歳以降からずっと追っかけてみたという、個別で、右を見てというわけではないとは思うんですけれども、そういう意味では、大体そういう流れが見えるということでありますので、非常にデータとしてしっかり分析をされているのだなというふうに思いましたし、それができる市の体制というのもまたすばらしいなというふうに感じますし、これはぜひ各地で行っていくべきことなんじゃないかなというふうに感じた次第でございます。

 その上で、高等教育機関が乏しいと。実は、私の同級生でも、大学は関西だったんですけれども、富山県から来て、富山県庁に就職するということで帰っていったという子がいるんです。結果的に、今、なぜか東京で働いているという状況なんですけれども、県庁から出向でというような状況ではありますが。そういう意味では、富山の方は富山に帰るということが非常に見えた話だなというふうに思いました。

 実は、そういう経緯が非常に強い地域かもしれないんですけれども、この地方創生の話をするときに、その地域のことはその地域の地元の人が一番よくわかるんだというような意見があります。これは実は、一面正しいように思うんですけれども、企業で考えれば、どんどんガバナンスを強化するという意味で社外取締役を入れるというようなことが進んでいる。つまり、生え抜きの人だけではなくて、ちゃんと外から血を入れて、どういうことをやっているのか、それは世間的にいって正しいのかというようなことをやっているというふうに聞いております。

 そういう意味合いからして、セクショナリズムを排除するとかということを先ほど市長はおっしゃっておられたんですけれども、もう一点、セクショナリズムを排除するためにどのような工夫をされておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。

森参考人 例えば、橋梁の専門家を東京から任期つき職員として採用しましたり、三年前から、弁護士も、都市の規模としてはちょっと身の丈を超しているかもしれませんが、法務能力をしっかりつけていくということが必要だと考えて、これも任期つきで採用したり、あるいは、建築家の隈研吾さんですとかイラストレーターの長友啓典さんですとか、さまざまな専門家の方を政策参与としてお願いしておりまして、しょっちゅう来ていただいて会議をしてもらっています。

 地元の者では見えないものを外部の人から御指摘いただくということは大変大事だと思っていますので、特にこの任期つき職員の採用というのは、いろいろな面でこれからも多用していきたいというふうに思っています。

濱村委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、本当に、任期つき職員の採用をどんどん活性化させていくというのは、一つの地域あるいは自治体を活性化させていく、そういう大きな手段になるのではないかということで、非常に貴重な御意見をいただいたなというふうに思っております。

 続いて、辻参考人に少しお伺いしたいと思います。

 地方中枢拠点都市に関連してお伺いしたいと思うんですけれども、基本的には、この地方中枢拠点都市というのは、近隣の市町村同士が連携してさまざま行政サービスを効率化していくというような話であると思うんですけれども、基本的には人口は減っていきます。その人口が減っていくということに関して、連携協約を結んだりして地方中枢拠点都市をやることによって、財政措置をしますと言っている。財政措置をする割には、人口が減っているところに対してお金をつぎ込んでどうするんだというような話もあるかもしれません。

 本来であれば、自立して自主的に運営していけるようにするのが非常に大事だと思うんです。地方中枢拠点都市とはいえ、財政措置に頼るというものではなくて、しっかりと自分たちで税収を確保できる、こういうことを進めていく必要があるというふうに思うわけでございます。

 これは、言葉で言うのは非常に簡単なんです。ただ、おやりになられている森市長が横にいらっしゃいますけれども、ちょっと第三者的な視点で、財政措置をなくしていくべきというふうに私はまず考えておるんですけれども、その点について辻参考人の御意見をお伺いしたいなというふうに思います。

辻参考人 地方中枢拠点都市圏構想の財政措置の子細については私もまだ詳しくは知りませんので、これからまさに皆さんに御審議いただいて、どこの委員会かわかりませんけれども議論されることになると思いますが、二つ、大前提で考えていただきたいことは、地方中枢拠点都市圏構想は、狭い意味での事務の共同化の話ではなくて、民間事業も含めた広域の経済活性化を考えるということが中心です。

 したがって、特に現在、この地方創生もそうですけれども、経済対策、雇用対策、景気活性化ということが主眼ですから、これらの雇用をつくるに当たって、その仕掛けとなるようなお金を講じていくというようなのが今の地方中枢拠点都市圏構想のメーンの事業というふうに考えています。

 もちろん、この枠を使って事務の共同処理の体制をリシャッフルしていく、見直していくということも十分あり得ることだと思いますが、今は、これまで行政がやってこなかった、それから、民間に十分支援できなかったために民間が成長しなかったけれども、立ち上げ資金その他で民間にうまく橋渡しをすると、その後、民間の方で自立的に経済活動してくれる、こういうようなものを中心に圏域全体で何かできないのかというのが事業のメーンになっているということですね。

 したがって、先生御指摘のように、例えば、従来までも財政措置をしてやっていたものを、仮にこの枠組みでやり直して、それで、ではお金がさらにふえるかというと、それはやはりちょっと違う話かもしれませんので、これは、どちらかというと、新たに圏域全体で進めていくような事業を中心に、それに新たに財政措置を講じていく、こういうイメージで捉えていただくと先生の御主張と一致するんじゃないかというふうに思います。

濱村委員 ありがとうございます。

 実は私、地元が兵庫県でして、地方中枢拠点都市の姫路市を抱えているわけでございます。その姫路市も、民間の方々を巻き込んで、播磨圏域としてしっかりと力強く成長していこうということで構想しているわけです。

 そういう意味では、スタートアップ、最初走り出すときのため、変な例えになるかもしれませんけれども、自転車に乗るとき、最初はなかなか一人で難しいから補助輪をつけるというようなイメージなのかな、それが少しした財政措置なのかなという程度です。自分で、自力で真っすぐ進めるようになるんだったら、もうその補助輪を外しましょうよというような仕組みが大事なのかなというふうに思っておりますけれども、これは、期間的にどれぐらいかと言うのが難しいと思うんです。

 どれぐらい見てあげれば補助輪を外してもいいよということを言える判断要素、どのタイミングで補助輪を外そうということを判断するべきかという点についても少し御意見をいただければと思います。

辻参考人 まさにその補助輪のイメージ、的確だと思うんですが、多分、行政がやらない限りなかなか自立できない、ずっと補助輪をつけなきゃだめだというのは、なかなか、継続的に支出していかなければなりませんので、それはそれで、公共事業としてやっていかなきゃならないというつもりでやらなきゃならないと思うんですね。

 どのぐらいの期間支援したらいいかということに関しては、多分、民間事業でやると、短期で回収せざるを得なくてなかなかできないけれども、行政が応援すると、もう少し長期にわたって回収できて、それで事業的に自立するようなものですとか、そういうようなのが行政支援のイメージに比較的合いやすい。それから、初期コストを軽減するようなものにそれを投じるということもなりやすい。

 では実際それは何年かということになるんですが、これは地方創生法案の総合戦略の計画と同じなんですが、なかなか全部一括五年でというわけにはいきませんが、やはり一つの目安としては、五年ぐらいの期間で成果が出るか出ないかというのが、今までの日本のやり方の中では評判になっています。

 しかし、本音で言うと少子化対策のような時間のかかるものについてはもう少し長期で成果を見たいという政策主体の気持ちはあると思うんですが、税金に対して非常に目線が厳しくなっているという今日を考えると、やはり五年程度か何かで一定の成果を一度は検証するというような仕組みがどうしても必要になるんじゃないかというふうに思います。

濱村委員 時間が参りましたのでもう質問はいたしませんけれども、人口をどうしていくか、出生率をどうしていくかという目標と、あるいは地域を活性化させるという目標に対しての効果検証、結果が出たねというのは、ちょっと時間軸が違うのではないかというふうに私も感じているところであります。

 非常に貴重な御意見を伺うことができました。また、辻山参考人、五十嵐参考人にも質問をしたかったんですけれども、時間の都合上できませんでした。

 本日は大変にありがとうございました。以上で終わります。

鳩山委員長 次に、桜内文城君。

桜内委員 次世代の党の桜内文城です。

 まずもって、きょうは、四人の参考人の皆様、貴重なお時間を頂戴しまして大変高い識見のお話を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。

 まず、森参考人にお伺いしたいと思います。

 市長がおっしゃっていらしたお話の中で、最後あたりに、恐らく一括交付金のことを指していらっしゃるんじゃないかと思ったんですけれども、要は、都道府県にまず交付金なりが行って、そこから市町村、基礎自治体に対してお金が回ってくる、この仕組み自体、私も少し疑問に思っておったところであります。

 といいますのが、一括交付金自体、ちょっと評価が相半ばするところがあると感じておりまして、よかったと主張される方ももちろんこの中にもいますし、私はむしろ、これはちょっと、何だったのかな、趣旨はいいんだけれども、実際の行政の仕組みとしてどうだったのかというふうに考えておるところでございます。

 というのは、一括交付金の仕組みというのは、一応窓口は内閣府にワンストップ化する、しかし、実際の査定自体は、各役所がこれまでどおり査定をしていく。ですので、政治家の立場からすれば、恐らく市長もそうだと思うんですけれども、霞が関の役所で行くところが二カ所になる。さらに、まず県に来るわけですから、県の配分になりますから、今度は県庁にも行かなくちゃいけない。ややこしいだけで、ちょっとこれはどうだったんだろうと。

 一括交付金というその趣旨、一括化するというのは確かに必要なことだと思うんですけれども、直接基礎自治体にお金が来る仕組みというものに変えられないかなというふうに私も感じておったんですけれども、その辺、実際に市長をやられていてどのようにお感じなのか、お聞かせください。

森参考人 例えば、グリーンニューディールの基金とかが都道府県に来ます。それで、配分される。ことしの富山県への交付金は八億円でしたが、四億円は県が使う、残りの四億円を市町村に分ける、こういうことが往々にして起きるわけですね。一番最初の社会資本整備総合交付金は、三百億富山県に来ましたが、百八十億を県が使う、残りの百二十億を市町村で配分する、鉛筆をなめるというようなことなどが起きます。

 同じことが、石川県では、市町村の意見を聞いて、まず市町村の要求から充当していくというようなことなどをやりました。そこに違いがあるわけで、これは制度論だけではなくて、対応という面もあると思います。

 一方、民間企業に直接入る補助金みたいなものもここ数年の間ふえてきていますし、市町村に直接行くものもあります。これを全国知事会は、空飛ぶ補助金と言って、よろしくないというトーンでお話があるわけです。

 県に入ることによって県は全体像が把握できる、それは県政を進める上で必要だというスタンスもわからないではありませんけれども、勢いブラックボックス化してしまって、どこで誰が配分案を決めているのかがわからないというような側面もあります。

 その点で、今度の今議論されています法改正の中で、計画を認定して、内閣府なり総理大臣なりの勧告、調整みたいなものも働いて、そして規制緩和などもあって、そこで、では具体的な交付金をどうするんだというときに、例えば、同じ厚生労働省の中でも、局が違い、課が違い、担当が違えば、それぞれ入り口を入り直していかなきゃいけないわけで、この課の持っているこの補助金を使って、この課の持っているこれも使って、この課の持っているこの交付金を使えというと、入り口をそれぞれ入っていかなきゃいけないわけです。

 そういうことがスピード感をなくすので、内閣府で、一括交付金とは言いません、ある種の交付金制度みたいなものをつくっていただければ、厚生労働省にも確かに類似のものがあるんですけれども、操作しやすい、ハンドリングしやすい、そういうようなものをつくっていただくとありがたいという趣旨で先ほど申し上げました。

桜内委員 現場のお話をしていただきました。本当にありがとうございます。

 次に、辻山参考人にお伺いしたいんです。

 先ほど、交付税の仕組みが、昭和四十一年から四十八年間、法定率が変わっていないというお話をされました。恐らく趣旨は、自主財源としての交付税を中心に、まずこれを増額していくべきだというお考えだと思いますが、私、大賛成でございます。

 この委員会で石破大臣に対して議論させていただく際に、異次元の新しい政策ということをよくおっしゃいます。いろいろ聞いていきますと、これまでのような、交付税を初めとして、あとはやはり補助金、交付金、こういった中央省庁の、これまで地方振興なり地方創生、地方をよくしようというのに使ってきた政策ツールとは違う形でとよくおっしゃっております。それは一体何かというと、私自身は、やはり自主財源としての交付税制度を、もっと使い勝手のいいお金を一定額、機械的に自治体に渡してあげる。

 例えば、今、交付税といいましても、二百近くですか、いろいろ算定の根拠とかややこしいのがありまして、そこでむしろ総務省が、ある種、さじかげんが若干はきくものですから、それが地方をコントロールするツールになってしまっていると思います。

 ですので、そういった、交付税制度が地方をコントロールする手段になってしまっているというところをなくすために、まずシンプル化する、機械的に配分して、むしろ、そのシンプル化した交付税に、例えばこれまでつけていた補助金の財源であるとかあるいは交付金の財源であるとか、もう一緒くたにまとめてしまって地方の自主財源にしていくという方向が私は望ましいのではないかなと考えておるんですけれども、こういった点についてどうお考えになるか、お答えください。

辻山参考人 お答えします。

 私、必ずしも地方財政の専門家ではないのですけれども、簡素化するというときに、いわゆる基準財政需要額というようなものを、あんなに細かく費目を挙げて計算しなければならないものなのかどうかということは、財政学者に尋ねたこともございます。まずそこからかなと思います。

 問題は、一時期取り沙汰されたように、例えば、人口と面積によってざくっと配分したらどうだというふうなことはございました。しかし、それも、いろいろな議論が多分あるんでしょう。人の住んでいない面積もカウントするのかどうかとか、いや、それをカウントしなければ河川の管理とかに響くよとか、いろいろな議論がありますが、そこのところをもう一回議論を始める時期かなと。

 議員おっしゃるように、幾ら法定税率を引き上げて総額をふやしても、今のようなやり方だと、やはり計算の中で枠にはめられていく、そういう発想と政策に陥りがちだということを考えると、やはりそこまで手をつけていくことが必要だと考えます。

 以上です。

桜内委員 ありがとうございます。

 確かに、地方財政健全化法というのもありまして、実質公債費比率ですとか、実質とつくのは本当に眉唾だなと私はいつも思っておるんですけれども、要は、交付税措置が後年度あるものについては、仮に地方債を発行したとしても負債にカウントしないですとか、ちょっと、これは余りにも恣意的なのかなと。

 逆に言うと、交付税措置のある事業を総務省の言うとおりにやる自治体は健全化の指標がよいふうに出て、単独事業をたくさんやろうとしたところはそういう指標が悪く出てしまう、今、そういったバイアスがかかってしまう制度になっておりますので、そういった点も改めていくべきだと考えております。

 森参考人と辻山参考人に、似ているんですけれども、改めてちょっと別の観点からお聞きしたいのが、基礎自治体にとって都道府県というのは一体何の役割があるのか。

 恐らく、今後、道州制なども議論していく上で、広域自治体と基礎自治体と二つというのは、いずれにしてもある議論なんですけれども、私も、地元は愛媛県ですけれども、県と基礎自治体との関係等々を見ておりますと、県というのは一体何をやっているのかなというのが正直なかなかわかりづらいところがあると思います。

 都道府県の果たすべき役割を市長としてどうお考えになるのか、そして研究者としてどうお考えになるのか、お二方にお尋ねしたいと思います。

森参考人 基礎自治体は警察を持っていません。部隊を動かせるのは消防だけです。まさにそこが言い得て妙だと思っております。全県的にコントロールが必要だというものについては、やはり県の存在が必要なんだろうと思います。

 しかしながら、最近の都道府県、都道府県までと言うと、全然実情を知らないところがほとんどですから、どことは言えませんが、ある県は、ほとんど市町村の仕事みたいな、基礎自治体の仕事みたいなこともやり出しているわけです。予算総額が減っているのに職員総数がそう減ってはいないので、手続にかえって時間がかかっているということや、仕事の内容も、基礎自治体がやるべきようなことをやる。本当は基礎自治体を支える立場だと思うんですが、同列に並んで競い合うような仕事をするという傾向があって、このあたりは改善を望みたいと思います。

 もう一つは、例えば廃県置藩して旧加賀藩にしてしまうと、金沢とツインシティーでいろいろなことができる、このように思いますが、県境があることによって連携がとりにくいという側面もあります。例えば、先ほど来、辻先生のお話などを参考にして言えば、米子と境港とか、豊橋、豊田と浜松とか、そういう連携というのがやはりある意味必要なんだろうと思いますが、県をまたぐということになるとそこら辺が難しい、そういう課題もあると思います。

 しかし、冒頭言いましたような形で、警察に象徴されるように、県を一気になくして市町村が警察業務をやれるかというと、ここはやはり問題だというふうに思います。

辻山参考人 大変難しい質問をいただきました。

 学界では都道府県広域団体論が主流でございます。私は、それに対して都道府県補完団体論というのをとっています。そういたしますと、広域団体として固有の仕事は何かというようなことが議論になりますが、結局、その先に出てくるのは、道州制への距離だというふうに実は考えています。

 広域団体、基礎団体の区別をはっきりさせて、市町村でできるものはなるべく市町村に移譲していくということをやっていきますと、都道府県の空洞化ということが起きます。現にそのことはもういろいろな指摘がございます。したがって、この都道府県の空洞化ということは実は道州制への道に近いというふうに私は考えておりまして、そうじゃないんだ、今、市町村の窮状を支えるのは隣近所じゃなくて都道府県という政府なんだということをきっちりと原則に打ち立てて、地域における政府として貴重な役割を果たし続けているんだ、そういう立論が必要だというふうに考えておりますけれども、なかなか多数派にはなれないという現状でございます。

桜内委員 ありがとうございます。

 ほぼもう時間がないのでこれで終わりにしますが、大変勉強になりました。きょう、五十嵐参考人、辻参考人には御質問できなかったんですけれども、五十嵐参考人の成功、失敗事例、現場に即したお話も伺いました。また、辻先生からも、法律の評価についていろいろお話を伺うことができました。

 お礼を申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 済みません、ちょっと風邪を引いているものですから、声が……。日ごろはいい声をしているんですけれども。

 今、桜内委員の方から質問があったことなんですけれども、私も、県議会議員を四期、十五年ほどやっていました。そのときに、本当に自問自答していました、県というのは要るのかなと。それから、私は福岡県ですから、政令市が二つあって、政令市に県会議員は要るのかなとか、こういうのをずっと自問自答していました。

 最初は、県議会議員が要らないんだろうと思っていました。しかし、わかりやすく言うと、二つの政令市があって、それ以外のところを県が見る。今回、教育委員会も変わりましたけれども、警察と教育ぐらいが県域全体をやるという状況です。

 しかし、これもどんどん移譲してまいりました。教員のいわゆる国庫負担も、県から市に入るのではなくて、もう直接入るよと。これはどんどん進んでいるんだろうと思いますが、そういう中で、先ほど森市長が言われたことが一番響いたんですね。

 県議をやっているときに、国からいろいろ、いわゆる基金が来たりするんですよ、雇用調整の基金だとか。そのときに、大きな金額が来ますが、まず県が先に何かやろうというので、ばっとやるんですよ。しかし、やっても、実はそんなに効果があるかないかわからないようなことをばっとやって、残ったものを今度は市町村にばっと流すんですよ。そうすると、市町村の方もやる気がなくなっちゃうんですね。実は、本当は市町村には県よりももっといいアイデアがふんだんにあるんです。それは、県の仕事として言えることは、国の中間マージンというんでしょうか、中間マージンを取って各市町村に投げているような状況があることも間違いないと私は思います。そういう反省をしっかりしていかなければならないと思います。

 そこで、辻参考人と辻山参考人の違いは、中枢都市をやるときに、いわゆる連絡をつくって今の市町村の中でやっていくのと、そうするとどうしても、コンパクトシティーもそうでしょうけれども、その枝葉は、ある程度吸収される部分というのは出てきているんだろうと思いますね。そのときに、では、事務を中枢都市の方でやっていこうという案と、今、辻山先生の場合は、それはもう県だと。なぜ県なのかといったら、県民だからと。すごくわかりやすい話でありますが、どちらも欠点もあれば長所もあるのかなと思います。今の県という組織でいくと、辻山先生の言われたことの方が、今の時代からすると、大変失礼ですが、逆にちょっと違うのではないかなと思います。

 その点について、辻参考人、辻山参考人、御両人に、どういう考えなのか、もう一度お答え願えればと思います。

辻参考人 今後の県の役割ということの提題が根幹にあると思いますが、先ほどから議論がありますとおり、県の職員の数でいいますと、一番多いのが県費負担教職員になります。これが大体半分ぐらい。それから、四分の一ぐらいが警察職員になりまして、県費負担教職員の場合は、教育委員会という、知事部局とは別建て。それから、警察の方も公安委員会で別建てになっているというところがあって、県としては、たくさんいる職員のところに必ずしも知事部局直轄で話をしているわけではないというところが、県の仕事を非常に難しくしているというところがあるというのが事実だと思います。

 今、地方中枢拠点都市の話も出ましたが、地方中枢拠点都市圏の話を考えるときにも大前提で頭の中にぜひ置いていただきたいことは、地方中枢拠点都市の中でも人口は減るんです。やはりこれだけ人口が減りますから、周辺町村も減りますけれども、地方中枢拠点都市も減る。だから、周辺町村が集約化しなきゃならないところもありますし、中枢拠点都市の真ん中でもやはり集約化しなきゃならないところがある。これを、地域を越えて、経済圏で、基礎自治体同士でどれだけできるかというのがここのスキームだと思うんですね。

 最後に一問お尋ねの、そこからなかなか圏域が結べない条件不利なところ、それに対して都道府県の補完はどうかという話もあるんですが、実は、現行で都道府県による補完を一番積極的にやっている都道府県はどこかというと、東京都なんです。それは、もともと二十三区があるということと、財政的にも余裕があるということがあるかもしれません。恐らく、二番目にやっているのは大阪府、その次にやっているのは神奈川県とか愛知県で、どちらかというと、平野の真ん中で、市街地が連担して、広域でいろいろな都市整備をやらなければならない県、なおかつ、そこは税収も豊かですから、県も、頑張ろうと思ったらかつてはできた。ここで多くなっていまして、田舎をたくさん抱えている財政力指数EですとかDのグループは、逆に、非常に都道府県による補完に消極的という傾向があります。

 また、幾つかのモデル事業のところにお邪魔すると、市町村の方もそれはよくわかっていまして、基本的なところは自分たちで頑張ってやります、できないことは広域でやりますと。県には、雇用をつくってくれですとか、根本的な経済振興を何とかしてくれだとかいう形があって、なかなか絵にはまったように代行事業を制度設計できないという状況になっていまして、これら周辺で、なおかつ、仮に本当に自立できない市町村があったとしますと、そこの行政サービスをどうしていくかというのは、今後やはりまだ検討していかなければならない課題ではないかと思います。

辻山参考人 御指摘いただいたように、確かに、私も難点は自覚しています。その難点が発生したのは、実は実態を反映しているんじゃないかというのが一点。

 さきの地方制度調査会で、都道府県の事務を市町村に移譲しましょうという動きが出たときに、二つの流れがございました。一つは、法律で市町村に移していくという事務配分論ですね。私は、実はそれに反対いたしました。なぜか。事務処理特例というものがあって、都道府県と市町村が話し合いの上で、それぞれの県の条例で、これは市に移しますよ、町村に移しますよということができるように地方自治法に書かれているんだから、それを使えばいいじゃないかというのが私の見解でした。

 ところが、答申は、法律による事務配分論をとったんです。なぜかというと、実は、その審議の記録を見ておりましたら、市長会の会長さんがこう言っているんですね。事務処理特例という制度はあるけれども、都道府県が渡す気なんか一個もないぞという姿勢をとったら進まないんだ、我々の方からこれをおろせと言ったって振り向きもしない、だから、事務処理特例はほとんど意味がない。それで、法律による事務配分を要求するということになったわけですね。

 このことを考えると、私の都道府県補完論もちょっと怪しくなるなということがわかります。

 もう一点は、例えば、都道府県に補完してもらうことを住民が県民としての主権の行使で決定したとしても、そのやり方に異議があるときに、そこの住民は県民統制の力を発揮できないんです、ごく一部の住民にすぎないから。この点がやはり今私が申し上げているところの難点かなというふうに思っております。

 なお勉強させていただきます。ありがとうございました。

佐藤(正)委員 辻山先生、ありがとうございました。

 その気持ちもよくわかります。自分と違う町の問題になってしまうということだろうと思います。しかし、そこはまた連携をとりながらやれば、打開点は出てくるんだろうと思います。

 それから、今言った、県から市町村へ、いろいろな権限の移譲なんですが、本当に県はやらないんです。先ほどの教員の問題も、もう長々やってきました。ただお金が入ってくるだけで、スルーして人件費を払うだけなのに、なぜそうしないのかというと、予算規模が減るからなんですね。簡単に言うとそういうことなんですよね。だから、それでもうずっと県とも随分やってきました。

 例えば、河川の問題もそうですね。私は政令市ですけれども、政令市に流れている二級河川なのに、県がやると言うんですね。こんなものは政令市に全部やってもらったらいいじゃないかと。今回、一応、いろいろな指導があって、政令市と県が協議をしたらできるようになりました。といっても、まだなっていない。辻山先生、これが実際でございます。

 それから、森市長に聞きたいことがあるんですけれども、結局、人口が減ってくると、今までつくってきた公共施設が、人口に合わせると、当然、要らない公共施設、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドが出てくるわけですよ。

 我々、北九州市というのは、たしか全国一多いんです。なぜかというと、世界で初めての五市合併をやって一つの市になって、そのときの公共施設がいっぱいあって、なおかつ、五市合併の弊害で、区ができたんですけれども、その市に住んでいた方々は、隣の町にあるものはうちの町にもつくれといっていっぱいつくっちゃったんですよ。だから、今、できてちょうど三十、四十年たっていますから、これから朽ちてくるところ。このスクラップ・アンド・ビルドが非常に難しい。

 政治家は、自分の選挙区に公共施設があったら、これを壊しますとなかなか言えない。こういうところは、私たちみんなの党はしかっと言うんですよ、要らないものは要らないんだと言うんですけれどもね。共同で使えばいいと言うんです。

 森市長さんは、これから恐らくそういうことが起きてくるんだろうと思うんです。それに対してどういうお考えがあるのか、お尋ねをしたいと思います。

森参考人 まず、二つに分けて考えなきゃいけないと思います。

 生活インフラとしての道路、橋梁というものについてどう考えていくかということ。今、私どもの市でいいますと、市民一人当たりで道路の維持費、除雪費を除いて一人当たり四千円についていますが、このまま放置していくと、二十年後に七千円ぐらいになると思います。人口がシュリンクしていくことに合わせて、例えば、道路であっても、誰も使わなければ使用をやめるとか、橋梁のかけかえをしないとか、そういうことについて決断していく時期が来るだろうと思って、今、橋梁は、全ての橋梁の長寿命化のための調査を終えたところです。

 一方、箱物についてファシリティーマネジメントをちゃんとやるというのは当然でして、数年前から役所の中にプロジェクトチームをつくりまして、全ての調査が終わりました。床面積も全部把握しております。一定の方向性は既に市民に出しました。既に廃止したものもつくっております。

 私の任期はあと二年半ありますので、これが終わるまでに、全てについてどうするか、更新をしていくべきもの、今の状態で使える限りは使って更新はしないもの、期限を切ってなるべく早目に取り壊して使用をやめるもの、この分類の作業を今やっていますので、それを示した上で市民と議論をしていきたいというふうに思っています。

佐藤(正)委員 すばらしい市長さんだなと思います。我が町の市長さんのことを考えたら、ちょっと恥ずかしくなるなと思いますけれども。(発言する者あり)いやいや、いいんです、それぐらい言っていいと思いますから。

 なぜなのかというと、一番、市民サービスが目に見えてわかることを明確に数値目標をつくってやらなきゃいけないというのは、本当に大変だと思います。

 それで、森市長、今言ったスクラップ・アンド・ビルドもそうですけれども、結果的に人口はやはり減っていくわけですね。そこが、今までみたいに、今の町や市、人口は減らないという想定でつくったものと、人口が減っていくとなってこれから考えていくこと、大きな違いがあると思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それから、僕は総務委員会にいたんですけれども、各地方の市町村が、解体をしたい、解体したいけれども解体するお金がないんだよと。これは、今度、起債を起こせるような形になってまいりましたけれども、実際、解体するにもお金が要るんですね。生産性はないけれども要る、そういうところもあります。

 あともう一点、質問じゃありませんが、民間活力を使うという意味では、富山は僕はわからないんですけれども、私の町だけのことを言ったら、シャッター通りがたくさんあって、空き店舗がたくさんあって、古い大きな店舗が、ビルがあったりする。昔は五階まで一つの洋装店が全部借りていたけれども、もうだめだと逃げてしまう、いなくなった。

 では、古いけれどもどうするんだといって、そこに若者が集まってきて、設計士だとかいろいろなジャンルの方々が集まってきて、そこをリノベーションしました。どんなリノベーションをするかといったら、そこを小さく区分けして、安くて、若い人がどんどん入ってこられる、そういう店舗をつくりながらやって、今、ある程度明かりを出したところであります。

 市長、もしよかったらぜひ北九州へおいでいただければと思います。

 終わります。

鳩山委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、四人の参考人の皆さん、大変勉強になるお話をありがとうございました。私の方からもお礼を申し上げたいと思います。

 まず、森参考人にお伺いするんですけれども、最初のお話でも、不公平感の漂う対策をやってきた、こういうお言葉もございました。

 本年四月十一日の衆議院国土交通委員会にも森参考人は参考人として出席をされて、「駅から五百メートル圏域に質のいい居住空間をつくった方には補助金を出す。それはつまり、裏返して言いますと、六百メートルのところにつくった人には出さないという非常に不公平感漂う施策ですが、しかし、これぐらいをやらないと、誘導というのはなかなか実を結ばない」と。そういう意味では、確信を持ってやっておられるということだと思うんです。

 しかし、そういうふうになってきますと、逆に、それ以外の場所に住んでおられる方々にとっては、住みなれた町に住み続けるのは諦めてくれ、はっきりそういう政策にならざるを得ないんじゃないかと思いますけれども、そのあたりのところは、参考人、どういうふうにお感じになっておりますか。

森参考人 私たちの計画は、居住推奨エリアに住んでいる人の全人口に占める構成比を、仕事を始めたときには二八%だったわけですが、これを約四〇%にしたいというのが目標です。達成しても、六割は郊外に住むわけです。郊外居住を全否定しているわけでは決してありません。私自身も、専業農家の長男ですので、梨畑の真ん中に住んでおります。大型犬を飼いたい人もいれば、スキー場の近くに住みたい人もいれば、郊外にある工場に接近して職住接近で暮らしたい人も当然いるわけですから、そのこと自体は選択肢として一人一人の判断です。

 しかし、居住推奨エリアに住んでいただく方が一定程度ふえていくということになれば、それだけ拡散を防いだことになりますので、除雪の延長を延ばすことを抑えたとか、ごみの収集エリアの拡散を抑えたとか、将来、市民に対して維持管理コストを一定程度抑えることになりますので、それが目標です。それは、全市民に利益として返ってくるというふうに捉えています。

宮本委員 全否定されないということですから、そうなりますと、やはり六割の方々がお住まいになられるわけですから、物の言いようでしょうけれども、不公平感が漂うと表現されましたけれども、不公平であってはならないわけであって、やはりそういうところにお住まいの方々の権利というものについても行政としてはきちっと責任を持っていく必要があると思うんですね。

 それで、こういう議論が進む前提ですけれども、四人の参考人の方々が、最初にも、今日最大の問題は人口減少だと、人口減少をどうするかというところから話が始まるわけですが、私は、この人口減少の原因というものは、それ自身としてちゃんと議論しなければ、東京一極集中だから人口減少しているというわけじゃなかろうと思うんですね。辻参考人も、フランスの例、それからスウェーデンの例をお挙げになりました。これは何も、どこかの都市への一極集中を是正したから出生率が戻ったという話ではなかろうと思っているんです。

 ですから、そういう意味では、これらの例から学ぶのであれば、やはり子育ての条件を国全体としてどうしたのかということがそれ自身として議論されなければならないと思うんですが、このあたりを辻参考人と辻山参考人にお伺いしたいと思っております。

辻参考人 私が今回の地方創生の法案の新しいところと思うのは、これまでの国の施策というのは、どちらかというと社会動態対策、要するに、社会移動に関して何とかしよう、専らこういう施策だったと思います。それは、今回の法案の中でも一つ社会移動の点について問題提起はありますが、同時に、子育て環境も含めて、全体で、自然動態対策も含めて、人口減少問題について正面から立ち向かうというところが今回の法案の新しい点だと私は思っていまして、まさに今先生の問題意識にもかなった点がこの新しい点として出てきて、専ら社会動態対策に全てを起因させるという構成ではないと私は考えております。

辻山参考人 私は、最初の陳述のときに、要するに、人口減少はやばいというスタートは問題だぞというふうに申し上げました。どれぐらい減ったら何が起きるかという議論もやられていないんじゃないか、そういう意味だったんですが、しかし、人口減少をいいでしょうとは思っていません。

 千葉大の広井良典先生のように、定常型社会に向かうんだ、ごみごみしていないゆっくりした社会をもっと希望を持って受けとめようという意見もございます。しかし、恐らく、地方行政の現状は、人口減少とともにやはり緊迫化し、そして窮迫化してきたんだろうという気はいたします。

 振り返ってみますと、戦後、日本の政策は、先ほど来幾つも出ていますけれども、過疎対策の前に、一部事務組合の活用というのがやられたんですね、広域行政として。それはどんな狙いを込めていたかといったら、人口の都会流出をとめようと。そこで言ってみれば人口のダムをつくろうというようなことを言って、それで政府が中心としてつけた予算は、実は道路予算だったんですね。道路予算で一時期そこは潤うんですけれども、嫌みではありませんけれども、その道路を伝って人々はまた出ていった、これの繰り返しだ。

 今、広域行政圏そのものも廃止されておりますけれども、恐らく、そういう戦後政策の反省とか検証というようなことがやはりもう一回必要だなという趣旨でございます。

宮本委員 私も全く同感でありまして、これまでやってきた政策の検証ということがやはり足りないんじゃないかというふうに思うんですね。

 実は、当委員会、先日、徳島市で地方公聴会を開きました。そこには徳島知事の飯泉嘉門さんも参加をされておりました。それで、実は私、こういう話を聞きますと、つまり、人口が減って大変なことになるという話を聞きますと、平成の大合併ということを思い起こすんだ、あのときもこのままでは大変だといって合併をしたじゃないか、その結果どうなったのかということも、私、率直に問わせていただいたんですね。

 知事からは、あのときの合併、やゆする者からは貧すれば鈍する合併と言われてやった、そうしないと生き残れないと言われてやったけれども、新しい市町村ができ上がった場合には、中核部分と周辺部分ができて、その周辺部分が想定以上に疲弊をしてしまった、この点については少し厳しい状況だと。

 この公聴会には、徳島の神山町、上勝町という二つの町からも公述人が来られていました。こちらは元気に頑張っていまして、知事は、むしろ合併しなかったところではどうなのかといえば、人口の少ないところは確かに厳しいんだけれども、しかし、それなりに頑張っているんだ、こういう非常に皮肉なお答えでありましたし、現実もそうなっていると思うんですね。

 そこで、こういった点について、先ほど、人口が減ったら本当に破滅的なことになるのかということ自身から問わなければならないと辻山参考人からありましたけれども、こういう平成の大合併の検証、やはりこういうものをどう見るかということ、このあたりについて、辻山参考人と、それから首長を経験された五十嵐参考人に御意見をお伺いしたいと思います。

辻山参考人 議員が感じておられるように、というよりも、徳島での発言ですか、合併しなかったところなんだと。

 さきの安倍総理の所信表明演説で名前が出てきている、よくやっている自治体、ほとんど合併していません。その関係については御承知なんだろうかとかと私たちも話題にしたんですが、なぜそんなことが起きたんだろうかというと、結局は、合併というのはどこかに寄り添っていくという行為になりますので、自分で立っていくという気持ちをそのときに捨てるわけですね。そして、せいぜい、大きくなった町の発展と、旧町村、我が地域を見捨てないでもらいたいというぐらいの関心しかない。

 やはり、そういう意味では、合併しなかった、その決断をしたときに、恐らく住民たちの合意も取りつけているはずなんですね。私は、実は、合併をしない宣言をした矢祭町に学生を連れて調査に参りまして、調べたんですね。そうしたら、住民の方たちの回答率が高いのは、私たちが町の行政や地域のことに力を出す、こういう答えだったんですね。

 やはり、合併を契機としてそういうことを既に住民たちが決意し、合意したということの大きさ、それが今御紹介になったような自治体になっているんだろう。ただし、そこでやられているんだから、全国の町でも頑張ればできるよというわけにはなかなかいかないです。特に大きな合併をしたところは、いろいろと悩みを抱えるだろうなという気はしております。

 以上です。

五十嵐参考人 私ども、八つの自治体で合併いたしまして、今現在も大変難渋をいたしております。金でつられた合併というわけでは決してなかったのでありますけれども、私は、合併することによって地域の自治体経営のマネジメント能力は高まるだろうと思いました。それで推進しましたけれども、見事に八市町村それぞれの組織風土、組織文化、レベルのばらばらに翻弄された八年間でございまして、これは当分続くだろうと思います。

 そういう意味で、その欠点を克服するために、私は、総務省さんも推奨された地域づくり協議会なるものを八つの地域につくりまして、年間総額二億円の予算をつけて、地域のさまざまなソフト事業、一部ハードを含む事業は地域で予算をつくってくれ、私は全部のむということでやりました。それを最初は一億で始めましたけれども、それを七年やりました。

 だけれども、それには議会の議員の皆さんの関与は一切排除する中で進めました。しかし、残念ながら、その地域づくり協議会の委員になった方の意識とレベルもばらばらでございまして、相当うまく機能したところと機能していないところがございます。しかし、これは、これからもしっかりやるべき、合併した新市にとっては地域内分権は必要だというふうに思いますので、それは決して間違っていなかったと思います。

 ただ、合併しなかったらどうかというと、私は、そういう選択は、多分、今日に判断してもあり得なかっただろう、いろいろ困難はあっても合併すべきであったというふうに思っています。

 以上です。

宮本委員 私は、やはり首長さんは財政という点では随分御苦労いただいている、国が地方に本来保障すべき財源がこの間きちっと本来の役割、責任を果たすことになっていないという状況のもとで、ずっとこういう議論が繰り返されてきたと思うんですね。

 それで、ではそういう形でどんどん地方の財源が減っていっていいのか、それから、少子化だって、東京が少子化だからできるだけ東京に行かない方がいいと言うけれども、東京の出生率が低いままでいいのか。ここにそもそも迫っていかないと、幾らやってみたって、これはずっと永遠に続くわけですよ。

 これは最後に森さんに聞きたいんですけれども、今、中枢部に集めてということで頑張っておられる、富山を何とか北陸地域でということで頑張っておられるが、金沢の大事さ、札幌の大事さ、仙台の大事さということもおっしゃいました。

 もしこの調子で続けば、やがて、では今度は金沢に、札幌にという話になり、そしてそれもさらに苦しくなれば、結局最後は、東京、名古屋、大阪というまさにスーパーメガリージョンだけしか残らないんじゃないか、こう思うんですが、市長はどうお感じになりますか。

森参考人 先ほど私、冒頭に申し上げましたが、東京で暮らしている限り、二LDKしか買えないと思いますよ。これで子供を三人持てといったって、そういう家庭は生活できないです。それを、少し離れた地域であっても、そこに雇用があって、文化も育っていて、魅力的な空間をつくって、住んでいる人の幸福感というものをつくり上げることができれば、そこに人が暮らすということは十分考えられます。同じような費用負担で四LDKぐらい買えるところを伸ばしていくということが、東京で子供をふやすことよりも容易だという認識に立っております。

宮本委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

鳩山委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。本日最後の質疑者となりましたので、どうぞよろしくお願いします。

 まず、議会人として参考人の皆様には本当におわびをしなければならないと思うところは、地方創生のこの法案は、臨時国会を今回召集する大きな理由の一つでもありました。それにもかかわらず、多くの議員が、実を言うと定足数ぎりぎりの時間も随分あるという中での参考人の御意見というもの、大変申しわけなく感じております。

 また、今回、また改めて伺わせていただいて、多くの意見を聞くということがこれからの地方分権そして地域の活性化には大変重要であるということを、本日の参考人の皆様方の意見から改めて実感したところでもあります。

 先週は、地方公聴会ということで、徳島に行かせていただきました。その中で大変感銘した言葉というのは、地方自治体の可能性というのはどこにでもあるんだ、やはりそういった思いを強くしたところでもあります。山村におきましても、山里においても事業は起こせるし、また、きょうのお話を聞きながら、そうでなくてもさまざまな工夫ができるんだ、その可能性を見出させていただいたというふうに確信をしております。

 さて、最初に、森参考人そして五十嵐参考人からお伺いしたいと思います。

 たびたび出てまいりましたが、お二方は、首長として地方自治体の実際の経験をお持ちであり、その中で、恐らく、縦割り行政の壁や、無駄だとか使いづらいというさまざまなことを経験されてきたかと思います。その中で創意工夫されて、コンパクトシティーという新しい向かい方を森参考人はされております。

 私の住んでおります川越市におきましても、恐らくここに触発されたのか、今、自転車、レンタサイクルを市民が大変有効に使い、大変いい施策だなと思っているところでもあります。

 また、日経グローカルの二〇〇四年の記事になりますけれども、五十嵐参考人におきましては、横手市行政での組織内分権型予算というものを試されまして、「各部に配分した予算枠の範囲で使い道の決定を任せた。初年度は物件費を八・九%、二億二千万円削減。市単独補助金も一四・五%、七千三百万円あまり圧縮した。」という記事がございました。

 やはり、各地方自治体、基礎自治体の創意工夫、また、職員を含めまして、努力をすることによってさまざまな可能性があるんだというふうな記事だと読ませていただきました。

 そこで、お二方にはぜひお伺いしたいと思います。

 一国二制度のお話もありましたけれども、今回、縦割り行政を解消する、また、地方自治体にとり、基礎自治体にとり本当の意味で有効なものにするためには、大きくは、先ほどちょっと提案がありました、まち・ひと・しごとや、内閣府などを一括した窓口にする、そういった横串を刺すというようなやり方とともに、もう一つは、そもそもの省庁が既に時代に合っていない課などを持っていたりする。

 そういった意味で、地方から見て、国の省庁のあり方、組織のあり方というものに対し、お二方のお考えを聞かせていただければと思います。

森参考人 国の省庁のあり方に発言する立場ではないように思いますので、難しいことは言えませんが、基礎自治体を運営してきている実務者としての感覚でいいますと、まず、多くの基礎自治体は上限税率で課税をしています。自主判断で税率を上げるということはもうできない財政状況の中で、交付税総額が確保されないということは大変憂慮すべきことです。事実上は臨時財政対策債をどんどん毎年発行しながら起債残高をふやしているわけですので、先ほどもお話がありましたが、みずからの判断による正味の負債というものをどう減らしていくのか、そして基金をどうふやしていくのか、その二つのことを絶対命題としながら運営をしてきています。

 そういう中で、国の交付金ですとか補助金とかというのはやはり大変有効なものです。こういうものを使いながら、経済運営というものも含めて、地域を元気にしていくことによって税収増につなげていかなければならないというふうに思っています。

 リーマン・ショック前に私どもの市の市税総額は七百二十億でしたが、六百八十億まで落ちました。ことし、七百六億ぐらいまで回復をしてきております。非常にいい傾向になってきていますが、ここへ来て、今の改正で法人市民税の上限税率を下げられましたので、富山市でいうと通年ベースで十二億減ります。これがそのまま交付税で埋まるのかどうか。制度設計上はそうなっているんですが、きっとそうはならない。このあたりが問題かなという思いでおります。

 したがって、結論として、御質問のお答えとしては、やはり、使い勝手のいい制度、規制緩和、そして省庁の横串を刺すようなものをつくっていただくことによるスピード感、そういうことをぜひ求めたいというふうに思います。

五十嵐参考人 組織内分権型予算配分についての御紹介がございましたけれども、かなりの成果があったものと思います。

 ただ、それは基礎的自治体の中だけの話でありまして、国とのかかわりで申し上げますと、今、富山市長さんもおっしゃいましたけれども、地方にとって最もハンドリングのしやすい予算、交付税交付金とか、さまざまな創意工夫がやはり一段と求められるのかなというふうに思います。

 その背景にあるのは、どうしても、これは県と市の関係もそうですけれども、お互いを信用していないんですね。マネジメント能力に対して、えらく不信感を持ちつ持たれつです。これをどこかで払拭する何かがないとなかなか厳しいのかなと思いますが、そのためにも、基礎的自治体は立派にやっているんだということを実績で示し続ける必要があるだろうと思います。

小宮山委員 率直にありがとうございました。

 また、私自身も、ひもつきではなく、やはり地方の、地域の、基礎自治体の創意工夫が生かせる、また、地域の職員がさらにその能力を生かせるための一括交付金、そういったものをふやせるような形をとるべきだというふうに実感をいたしました。ありがとうございます。

 また、この法案で、私、質疑者の中で唯一、東京圏の質疑者となります。今回の法案は、「人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、」ということから目的は入るんですが、正直申し上げまして、東京圏への人口の過度の集中を是正すれば人口の減少をとめられるのかというと、私はそれはイコールではないと思いますし、何となくよくわからない法律だなと。であるなら、もっと明確に目的を置けばよかったのにと思うんです。

 辻参考人に伺いたいのは、先ほど、出生率というのは、フランスなど、また上がる、そんな施策をとることが可能であるというお話がございました。

 この法案の基本理念の三番のところにございますのは、基本的には個人の決定に基づくものであると言いながら、結婚、出産または育児について希望を持つことができる社会が形成される環境を整えるとあります。

 出生率を上げるということに関するならば、実際の統計的には、日本の場合は結婚をされる方から生まれる子供が多いというのは確かでもありますけれども、フランスや、またヨーロッパにおきます出生率を上げた国々を見ますと、やはり個人というものに力点を置き、出生率を上げるということもよく言われているところです。

 この点に関しまして、私自身は、結婚ということは法律に書き込まなくてもよかったのではないかという思いもしております。御意見を伺わせていただきたいと思います。

 また、辻山参考人におきましては、私自身も、今回の法案名、まち・ひと・しごとという、このわざわざ平仮名にした名前というのは、いま一つしっくりこないものであります。それであるならば、最初からずっと自民党さんも言っておりますが、地方創生という法案で素直に言えばよかったのになという思いをしているところであります。

 人口の過度の集中が是正された東京圏の将来像というのも、私自身はいま一つ見えないところであります。

 何か御意見がありましたら、お聞かせいただければと思います。

辻参考人 今回の目的の、結婚に関すること、家族に関する観点ですが、別角度で二つお答えしますと、一つは、統計上予測すると、いわゆる片親の世帯も含めて、今後、増加の予測になっています。多分、それに対して加速も阻害もしていない、自然体で今臨んでいるんじゃないかということがあると思います。

 ただ、もう一つ今後の大きな課題として高齢化の問題もあるんですが、同時に、単独世帯の増加という問題があります。

 二〇五〇年で全世帯の大体四割が単独世帯に転じるということになりまして、基礎自治体のサービスは基本的に世帯単位で行政サービスをしていますので、仮に二人の人がいたとして、その人がそれぞれ別々に一世帯ずつ構成しているのと一家族で一世帯を構成しているのでは、それに要する行政費用は大きく変わってきますし、生活保護その他の問題にも直結してくる課題になってきます。

 こうした中で、なるべくみんなが楽しく暮らせるような社会を無理なくつくっていくということは、民間レベルも含めて重要なことかなと私自身は考えております。

辻山参考人 私が最初にひと・まち・しごとでしょうと言ったのが、こんなにも取り上げていただけるとは思いませんでした。

 この問題はむしろ、議員おっしゃったように、委員会などでそもそもの立案者にただす、この言葉が出てきた背景は何なんだというようなことはどこかで明らかにしていただきたいものだなという気はしていて、逆にお願いしておこうかなというふうに思います。

 ただ、おっしゃられたように、東京への過度の一極集中というようなことを抑えればいいのかどうかということはありますけれども、実は私、先ほども述べましたが、道州制という制度には反対の立場なんですが、例えば、それにしても、東京で暮らしている私たちが消費するものと、生産地の人々が消費する価格が一緒なのはおかしいという考え方を持っています、当然、輸送費などがかかりますので。

 それで、地産地消の精神から、外へ持ち出すときには、あるいはそれを入れるときに税を取るというような制度は可能ではないかといろいろ考えましたら、いやあ、県ごとには大変だろうな、そういうとき道州ぐらいだったらいいかなということで一度発言したことはございますけれども、もちろん、議論するときにはそのような目標をはっきり持ってやる必要があるというふうに思っております。これからもいろいろ考えていきたいとは思っています。

小宮山委員 ありがとうございます。

 辻参考人のお話を聞きながら、やはりもう一つの問題としては、賃金の格差の問題であったりするかと思います。

 今回、派遣法の改正案が出ておりますけれども、一生派遣や低賃金という中においては、結婚ができたとしても子供を持つこと自体を諦める、さらに、複数持つことも諦めるというような現実も起きております。こういう意味においては、今回、大変矛盾した法律が、ここでは、ふやせるように、子供たちが持てるようにとしておきながら、一方で、現実にはそれも難しい、どちらかというと人よりも企業を優先に考えるという、非常にダブルスタンダードな法案の出され方をしているなという実感をしております。

 私で最後でございますので、本当は皆様方にも一言ずつ今後の期待を伺いたかったのですが、時間がやってまいりましたので。ぜひ、この法案が、来年春の統一地方選向けのひと・もの・かねの法案とやゆされないように、しっかりと国会も見てまいりたいと思いますし、地方からも、また専門家の立場からも見ていただき、真におのおのの地域で住みよい環境の確保につながるように願いまして、私の質問とさせていただきます。

 本当に、貴重な時間、皆様ありがとうございました。

鳩山委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.