衆議院

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第7号 平成26年10月31日(金曜日)

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平成二十六年十月三十一日(金曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 正忠君 理事 寺田  稔君

   理事 義家 弘介君 理事 渡辺  周君

   理事 重徳 和彦君 理事 石田 祝稔君

      伊藤 忠彦君    伊藤 達也君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      加藤 寛治君    金子万寿夫君

      金子 恵美君    河村 建夫君

      木原  稔君    坂井  学君

      鈴木 俊一君    鈴木 淳司君

      瀬戸 隆一君    高木 宏壽君

      津島  淳君  とかしきなおみ君

      林  幹雄君    福井  照君

      藤丸  敏君    宮川 典子君

      宮腰 光寛君    小川 淳也君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      小熊 慎司君    村岡 敏英君

      百瀬 智之君    稲津  久君

      中野 洋昌君    浜地 雅一君

      濱村  進君    今村 洋史君

      桜内 文城君    中丸  啓君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

      宮本 岳志君    鈴木 克昌君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   総務大臣         高市 早苗君

   農林水産大臣       西川 公也君

   国務大臣

   (地方創生担当)     石破  茂君

   内閣府副大臣       平  将明君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        内田  要君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局次長)       麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理)            山崎 史郎君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省入国管理局長)  井上  宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (農林水産省食料産業局長)            櫻庭 英悦君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  金子 恵美君     津島  淳君

  鈴木 淳司君     池田 佳隆君

  宮腰 光寛君     藤丸  敏君

  後藤 祐一君     岸本 周平君

  小熊 慎司君     百瀬 智之君

  濱村  進君     浜地 雅一君

  桜内 文城君     今村 洋史君

  宮本 岳志君     塩川 鉄也君

  畑  浩治君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     鈴木 淳司君

  津島  淳君     金子 恵美君

  藤丸  敏君     宮腰 光寛君

  岸本 周平君     後藤 祐一君

  百瀬 智之君     小熊 慎司君

  浜地 雅一君     中野 洋昌君

  今村 洋史君     桜内 文城君

  塩川 鉄也君     宮本 岳志君

  鈴木 克昌君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  中野 洋昌君     濱村  進君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 まち・ひと・しごと創生法案(内閣提出第一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、まち・ひと・しごと創生法案及び地域再生法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長内田要君、内閣官房地域活性化統合事務局次長麦島健志君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局長代理山崎史郎君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省入国管理局長井上宏君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君、農林水産省食料産業局長櫻庭英悦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 おはようございます。自由民主党、新藤義孝でございます。

 きょうは、私たちのこの地方創生に関する特別委員会、総理をお迎えいたしまして総括的な質疑をさせていただきたい、こういうことでございます。

 ここまで、与野党それぞれ、政策的な議論を深めてまいりましたけれども、何と申しましても、この地方創生は、現安倍内閣において、喫緊の、また重要、最大課題だ、このように思っておりますから、きょうのこの質疑を通してしっかりとした方向性というものが見えてくるように、そういった議論をしていきたい、このように思うわけでございます。

 地方創生は、言うまでもなく、これは、アベノミクスによる日本経済の再生、それにおける死活的重要度合いだと。これは、三つの要素があると思うんですね。

 まずは、個人の暮らしや企業、全国各地域に私たちのアベノミクスの温かい風をお届けして実感してもらう、そして、それは実体経済を刺激して、地域の元気をつくりながら、まさに今の経済を底上げするものに役に立つ。

 さらには、過疎化が進み、衰退する地方、一方で、人口集中がどんどんと深まって、行政コストが肥大化して、非常にあえぐ都市、この今の目の前の課題を解決するものにもなっていく。

 そして、とどめに、それは、今、日本が抱える国家的な課題である人口減少、急減、この社会への克服策にもなる。

 こういうことでございまして、地方創生は、幾つもの役割を持ちながら進めていかなくてはいけないんだ、このように思います。

 その上で、まず、ちょっとポイントだけ皆さんで共有したいと思います。パネルの一であります。

 まず、これをごらんいただきますと、出生数、出生率は、一九七〇年代の半ばから長期的に減少している、そして、人口減少が加速度的に進行するわけであります。

 国全体の人口減少は、これから三段階に分かれて落ちていく。今現状は第一段階なのでありますが、現実には、この三の下のところを見ていただきますと、日本全体では第一段階だといいながら、実際に人口がそういう動態を示しているのは東京区部だけなんです。いわゆる高齢人口がふえているが、年少、現役人口が減っていっているという状態、これは東京区部だけであります。

 人口五万人以下の自治体では、もう既に第二段階、二〇四〇年から国家的に現出されるであろう状況は、高齢人口が維持、微減するが、年少、現役人口が少なくなっていく。人口五万人以下ではもう既にこういう状態になっているんです。

 そして、過疎地においては、二〇六〇年以降発出するであろう現象がもう既に起きている、こういうことであります。

 そして、ちなみに、この人口五万人以下の自治体というのは、千七百十八自治体のうちの何と七割です。全体の七割の自治体がもう既に二〇四〇年代の、我々は状況に陥っているんだということでございまして、いかに地方創生が喫緊の課題であるか、これがよくわかると思います。

 次に、日本の人口減少、それから地方の過疎化の最大の課題は東京圏への人口集中だ、このようになっております。そのとおりなんです。

 これを見ていただくと、三のところに、東京圏への転入の大半は若年層だ、これが加速化することによって地方の人口減少が起きているということなんです。そして、震災のときに一時緩みましたが、結局、今、東京圏への転入というのはまた拡大の傾向にあるということ。

 でも、ここで、大都市圏への人口集中は先進国による運命だ、このようにお感じになっている方はたくさんいらっしゃると思うんですが、四番、首都圏への人口集中がどれだけすごいかというと、日本は約三〇%です、総人口に占める首都圏人口の割合。ところが、パリ、ロンドンでは一五%前後なんです。そして、ニューヨークやベルリンでは約五%。東京は、三〇%に集中していて、そこでの出生率が一・一三なんですから、人口を呼び寄せておいて子供を産めない状態が続いている、これによって人口減少が加速化している、これがよくわかるわけなのでございます。

 でも、これが先進国の運命かというと、もう一枚、次のパネルをお願いします。

 これはOECDのデータです。これを見ると、確かに日本は大都市のみがふえていて、二〇〇三年から二〇一一年の間ですけれども、その他、中都市、小都市、地方都市、これは減っているんです。しかし、お隣のドイツを見ますと、確かに大都市はふえていますが、中都市と大都市近郊の小都市の減少は拮抗していますね。これは、人口が多極化しているということのあらわれでもあります。

 済みません、総理、お手元の資料の三枚目です。

 それから、スペインなどは、何と中都市と大都市近郊の小都市の方がふえているんです。イングランド・ウェールズ、アメリカも、結局、地方の小都市、こういったものがふえているということがわかります。これは、明らかに政策的誘導、国家としての政策がこのようになされていることのあらわれでもあります。

 したがって、日本においてもチャンスはある。国の政策をきちんと打ち立てることによって、人口の構造や減少のスピードはコントロールできるんだ、こういうことだと思います。

 したがって、この地方創生、今まで申し上げましたように、喫緊の課題であって、かつ長期的な課題を克服できる、そういうものについて、総理として、今般まさに内閣を挙げて地方創生をやろうとリーダーシップをとっていただきました。異次元の展開をしよう、このようにもお訴えをいただいているわけでありまして、まず総括的に、総理としてこの地方創生にかける思いというものをお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今、新藤委員には、地方創生の可能性について大変わかりやすく説明をしていただいたと思います。第二次安倍政権において、委員には総務大臣として地方行政に新風を吹き込んでいただいたと思います。通常国会においては、地方自治法の改正や、あるいは地方分権一括法の制定に御尽力をいただきました。地方中枢拠点都市や連携協約制度の創設など、人口減少社会に向けた新たな地方自治制度づくりや、第一次安倍内閣で始まった一連の地方分権改革を大きく前進させ、提案型、手挙げ方式による地方の発意を重視した新たな分権改革への道筋をつけていただいたと思います。

 このように、国と地方の役割分担のあり方はいかにあるべきかという国家的な課題に大きな成果を、委員には上げていただいたものと、感謝申し上げたいと思います。

 地方創生を進めるに当たりましては、国と地方が適切な役割分担をしながら取り組んでいくことが重要であります。地方には、地域の実情を踏まえて、地域の資源を生かしつつ、雇用創出、少子化対策、移住促進などの地域に密着した施策を、まさに地域の皆さんにも創意工夫を凝らしていただいて、実行していただくことになります。

 国は、その示す枠にはめるような、今まで、過去の国の地方への支援においては、地方づくりにおいては、こうした形で国が決めた金太郎あめ的なまちづくりになる、そういう結果に陥ることも間々あったのでありますが、そうした手法は断固として排し、そして、地方の発意に基づく創意あふれる取り組みを、客観的なデータを国が提供していく、そうしたビッグデータを提供していく、あるいはまた人材支援、制度改革等により、全力で支援をしていく必要はある、こう考えています。

 このように、国と地方が適切に役割分担をしながら、両者が連携、協働して、若者が将来に夢や希望を持てる魅力ある地域づくりに邁進していきたい、このように考えております。

新藤委員 ありがとうございました。

 今総理から御答弁をいただいて、私もそちら側に座っておりましたので、何かとても不思議な雰囲気がするわけでございますけれども、しかし、とにかく安倍内閣は、日本を取り戻すんだ、あらゆる可能性、もう一回日本を根本から見直して、そして将来のステージを、新しいものをつくろう、こういうことであります。今お話しいただきましたように、国が枠をはめずに、地方の発意や自主性を持って進めていく、これが地方創生の根本だと思います。

 そこで、私は、きょう、自分の私案でございますが、まず、地方創生をどのような枠組みで進めていくか、それから、その際のまさに推進エンジンとして財源、制度、これをどういうふうにつくっていったらいいかということを、私の案でございますけれども、出させていただきました。

 まず、このパネルの左上に基本方針を書きました。

 まさに今総理がおっしゃったように、まず一として、地方の熱意や自主性を基本とするんだ、それと、大切なことは、そのかわりに地方には責任を持ってもらうということが重要です。

 そこで、では次に、国は縦割りを排するんだ、このことを総理は何度もお話をいただいております。それを石破地方創生担当大臣のもとで実現していこうではないか、このようになっているのでございます。

 この縦割りを排除する、しかし、厳然として役所は別々にあって、それぞれの権能があって、それぞれが力を発揮してもらいたいわけです。その上で、横串を刺すというのはどういうことかというと、やはり連携をしながら調整をする、そして、みんなが同じ船に乗って一つの事業に集中投資するんだ、こういう気持ちを整えること、また、その仕事を整理することが重要だと思うんです。

 今既に、もうそのテストといいますか、始まっておりまして、昨年から地域プラットホームという活性化の事業を、これは、国交省だ、農水省だ、経産省だ、総務省だ、環境省だ、いろいろなところでやっているプロジェクトの中を、地域活性化事務局がプラットホームというのをつくって、各省の人間が入って、そして自治体から出てきた中身をチェックする。

 それから、役人がやるだけじゃなくて、地域活性化プラットホームという組織をつくって、そこに有識者のワーキンググループをつくって、地方の提案を有識者もチェックして、それを同じ内閣府内で役人と学識の人たちがけんけんがくがく闘わせながら、なぜこれができないんだというようなことをやった。

 そして、今現状では三十三地区が認定されておりますけれども、地域プラットホームに認定されたものには、担当する各省の課長級職員が現地に行って、現場の市長と膝詰め協議をやっている。国の課長が直接申請された仕事の場所に行って協議するなんて、今までありません。呼ぶことはあったって、こっちから行くことはなかったんです。でも、現場に出かけていって、もっとこんなことができるんじゃないですか、こういう話があって、非常にそれは今好評を得ております。

 ぜひ、地方創生は、こういったものをベースにして、地方創生のプラットホーム、そして、それと付随するワーキングチーム、役人の連携と、そこにいろいろな指示を出す有識のグループをつくって、その上に担当大臣、これは全閣僚になります、地方創生の本部が総理をヘッドに閣僚がいるわけです。こういう構造にしていったらどうかと思うのでございますが、担当大臣として、石破大臣、このような構想についてどのようにお考えか、お願いします。

石破国務大臣 今委員がおっしゃっていただきました地域活性化プラットホーム、プラットホームというと、何か鉄道の駅かよみたいな話になるんですが、そうではなくて、仕組みのようなものだと御理解をいただければよろしいかと思います。

 委員がおっしゃったように、これは非常に好評であります。いや、こういうのを待っていたねという方々が大勢おられて、その地域は活性化に向けて着実な歩みを進めております。

 それぞれの町村が、これはどうでしょうかといってある官庁に行く、あっ、それはうちの事業に合いません、お帰りくださいというと、一体何なんだ、これはという話になるわけで、向こうから来てもらうのではない、こっちから行くということ、そして、一つの役所ではなくて、複数の役所、あるいは有識者がそれに携わるということが、今までと違う、異次元の異次元たるゆえんだと思っております。

 地域活性化プラットホームというのは今あるわけですが、これを地域創生プラットホームみたいな形にして整備をするということで検討いたしたいと存じますし、検討するだけではだめなので、実現に向けたいと思っております。

 あわせまして、霞が関全体が地方の親切な相談相手にならねばならないと思っておりまして、これもなかなかいい日本語がないんですが、コンシェルジェみたいなもの、親切な相談員みたいなもの、これを霞が関につくりたいと思っております。

 例えば、埼玉県であるとするならば、埼玉県出身である、あるいは埼玉県に出向していたことがある、あるいは私は埼玉県が大好きだ、何でもいいんですが、そういう親切相談員みたいなものを全省横断的につくって、それは埼玉県のみならず、青森県でもいいです、静岡県でもいいです、鳥取県でもいいです。ですから、そういう人たちがみんなで地方を支援しようねという形の相互の連携というものを図りたい。

 何よりも大事なのは、霞が関ができません、なぜならばということを言うなと。できるためには何ができるのか、何をすべきかという、地方の熱意や創意に霞が関全体でお応えをするというような体制をしきたいと考えております。

新藤委員 しばらくこのパネルを使って質疑をしたいと思います。資料の四でございますので、どうぞごらんいただきたいと思うんです。

 この際に、では、国の横串を刺す体制ができたとしても、今度は地方に対してばらまきになってはいけない。したがって、地方には自由で、そして包括的な事業を御提案いただくが、それに対する責任や効果の検証をしっかりやっていただかなきゃならない、こういうことだと思うんです。

 ですから、今後、この法律にもありますが、地方版の地域戦略というのを立ち上げるということになります。その際には、単に戦略を打ち出すだけじゃなくて、それは一体どんな仕組みでもって、事業は、採算性のとれるのはどれなんだ、これはどうしても必要で、ここは公的助成が必要なんだ、この仕切りをきちんと出していただきながら、それを実際に実現できているかどうか、こういう効果検証をしていかなきゃいけない。まさにPDCAを回していかなきゃいけないわけであります。

 そのためにも、では、そういう地方の自由な事業を進めるために、新型の交付金を創設してはどうかと私は思っているんです。それが、この右上にある、仮称でありますけれども、地方創生推進交付金であります。

 地方が出してくる総合戦略に基づいて、そして内容をチェックした上で、またPDCAも回していく、これが前提ではありますけれども、そこに国費でもって、各省の補助金事業、補助採択基準にのっとって出てくるんじゃなくて、地方が自由に出してくれと。これを国がどれに当て込めるかは、国側がそのプラットホームでやればいいということなんです。

 それにしても、この事業がばらまきにならないためにも、今、地方創生で最も必要なのは少子化対策です。それから、地方の仕事をつくるという意味において、起業、こういったもの、それから移住を促進する、こういったソフト事業にこの新型の交付金は枠をかけて、そしてその中でやってみてはどうか。まさに地方の単独事業を提案いただくんです。

 しかし、これが、丸ごと国がお金を出すことになれば、これまたそこに責任というものがよく見えなくなってきます。ですから、私は、この新型交付金は交付率は半分でいいと思っています。自分たちが自主的でしかも責任を持ってできるから、どうしても、これをやることで地域が変わっていくんだ、こういうものを私は今回思い切ってつくってはどうなのか、このように思うわけなのであります。

 ですから、このことを、まずは来年の予算でこの交付金を設置するという方針を決めなければいけません。もう既に今地方は、国の地方創生に合わせて、県庁や市役所の中に地方創生本部がどんどんできているんです。そして、制度ができればすぐにでも名乗りを上げよう、こういう準備ができているわけでありますから、制度設計を急いで行って、その上で、まずは地方創生の推進エンジンの最大ツールとして、この新しい交付金制度をつくったらどうかと思うわけなんです。

 大体、目の子でございますけれども、市長会ですとかいろいろなところでは最低でも数千億というような声もありますが、私は、少なくとも二千億、これは五年計画ですから一兆円、地方が自由にお金を使えるような、そういう仕組みを組んだらどうか、このように思うのでございますけれども、総理大臣として、新型交付金制度、どうでしょうか。

安倍内閣総理大臣 新藤委員らしい、まさにアイデアに富んだ御提案だと思います。

 地方創生の推進に当たっては、繰り返しになりますが、これは地方の個性を重視して、地方の活気あふれる、彼らの発意に基づく自主的な取り組みを国が応援していく、これが基本であります。

 その基本的な考え方の上に立って申し上げますと、個別補助金のように使用目的を狭く縛ることは避ける一方で、効果の高い政策を集中的に実施するため、地方みずからが客観的な分析に基づき政策目標を設定し、やる気のある地方からさまざまな御提案をいただくことを前提に必要な支援策を検討していきたいと思います。

 また、待ったなしの課題である人口減少克服、地方創生に速やかに取り組むためには、できるだけ速やかに各地方自治体で地方版総合戦略を策定していただくことが重要であります。その実施のために必要な支援策を検討していく考えでございます。

新藤委員 総理、方向性は御了解いただいているわけでありますが、もう現実の問題として、各市が一生懸命考えています。

 きのうでしたけれども、ちょうど熊本の人吉市長さんが私のところに飛び込んできました。これから地方創生の新しい交付金ができるのなら、こういうふうに使いたいんだというので御提案をいただいているんですよ。きょうはちょっと資料が間に合いませんでしたからお出ししませんけれども、既に地域プラットホームで認定されている事業なんです。フードバリューチェーンという、九州の熊本、宮崎、鹿児島、三県の合同事業です。そして、ムスリム対策としてハラールをやろう、こういう仕事なんです。

 だけれども、現状では、これは地域プラットホームで認めますけれども、結局は、牛肉の関係、屠畜場をつくるだとか、農水省に申請しなきゃなりません。それから、流通の関係は経産省がやはり絡んでくるんです。それから、物流は国交省。全部別々に申請して補助金をもらわないと動かないんですね。ですから、パッケージで地域がこういうことをやりたいんだというのを受けとめて、それの種金をつくらないと。

 三十億投資しますけれども、私は、きのう市長さんが来て、市長、中身はわかったけれども、これはでは経済効果はどうなるんですか、そして本当に自立して、持続できるんですか、こういうお話をしました。一晩で、きょう朝、経済波及効果について答えが戻ってきました。

 とりあえず屠畜場を三十億かけてつくりますけれども、もろもろ含めると、経済波及効果は二百億。そして、直接雇用などで千人。それから、さまざまな、農業生産とかハラールの関係で、牛肉を使った後、今度は化粧品もつくろう、全部パッケージなんです。そうすると、全体の経済波及効果は一千億だ、こういうようなものがもう試算で出ているんです。

 ですから、それが本当にできるかどうかは検証しなきゃなりませんが、地方が出してくれるものには必ず収支も含めて出していただく、そういうものに対しては自由に使える交付金が必要なので、これは二千億は絶対必要ですよと。これは今お答えが出るとは思えませんが、これから予算編成をしていく中でこれを決めなきゃいけないんです。

 この新型交付金は、それではどこに置きますかと。地方の創生では自分たちの直接の予算を持たないことになっているんですから、創生担当になるとすれば。でも、お金は持たなきゃなりません。

 石破大臣、もしこういった新型交付金をつくるとするならば、それを内閣として置ける場所というのはあるんでしょうか。

石破国務大臣 これは内閣全体の話でございますし、権限争いみたいなことはしたくございませんが、それは、やはり総理を長といたします内閣府が持つというのが一つの考え方だと思っております。

 これは関係省庁がございますので、私がここで断定的に申し上げることはいたしませんが、委員のいろいろな御見識を承りながら、要は、中央省庁の理屈ではなくて、どうすれば地方が使いやすいですかということですし、PDCA、すなわちプランであり、実行のドゥーであり、チェックのCであり、そしてアクションのAだと思いますが、これをどのように回していくのかということもあわせて検討していかねばなりません。

 ですから、総理からばらまきは絶対だめという御指示が出ているわけで、そしてまた、地方創生と名を冠しますからには、おっしゃるように、それが自立に資するものでなければいかぬ、将来性のあるものでなければいかぬ、結果がきちんと出るものでなければいかぬ、地域に密着したものでなければならぬ、そういうような幾つかの原則を満たし、なおかつPDCAを回し、さればこそ、それぞれの自治体に平成二十七年度中に遅くとも総合戦略をつくってくださいということを言っているわけであります。

 地方が一生懸命いろいろなことを考えたときに、それに応えるだけの仕組みというものは、委員の御指摘もいただきながら、政府で検討いたしてまいります。

新藤委員 石破大臣のもとで、地域活性化統合事務局というのがございます。ここがまさにそれを戦略的に受け付けている場所なんです。

 私は、一つの案として、この二千億円の新型の交付金を地域活性化統合事務局、ここに置いて、そして、今の地域プラットホームもそこに置いてあります。ですから、同じく、まちづくりの一環としてこれを差配していったらどうかというふうに提案をしたい、このように思っております。

 それで、あわせて、今お話が出ました、ばらまきとしないという意味において、地方に自由に頑張ってもらう。でも、この地方創生の交付金は、交付率は二分の一です。残りの半分は、これもやはり、地方で頑張ってもらうんだけれども、そこはまた国が支援をする必要があるんです。

 この半分については、もう一つ、地方交付税の中に地方創生歳出枠というものを新設してはどうか。交付税は、法定率に基づいて人口や面積などで均等に公平に分配する、そして地方固有の財源です。さらには、財政の保障と調整機能があるわけです。

 でも、そこに加えて、そういう頑張った地方が報われるような、そういう交付税の制度というものを設けるべきで、自分が大臣のときには、その最初のきっかけは地域の元気創造事業というので始めさせていただいております。今回、二千億の交付金をつくりますが、その裏負担として、地方が負担する分の裏を今度交付税でつくってはどうか、私はこのように思うわけなんでございます。

 これに、今まで、例えば地域のイノベーションサイクルとか、いろいろな既にやっているものがあります。それから子育て支援とか起業だとか、さっきのハラールだとか、そういうもろもろの、今まで一つの役所ではとどまらないような事業、それを自治体がやるんですから、自治体を総合的に支援するのは総務省の役割なんです。

 ですから、そういった意味で、地方創生の特別枠ということで一兆円ぐらい必要ですよ、既存の事業も寄せ集めてここに統合させるので。これは丸ごと一兆円ふやせと言っているんじゃありません。だけれども、単なるつけかえではなくて、こういう具体的な事業を進めるために、一兆円、五年で五兆円です。こういうものを投下するから、やる気のある自治体は出してください、そして、本当に仕事を進めるところには、集中、包括的に支援しますよ、私は、こういう制度を今回つくってはどうかということでございます。

 この際には、臨財債とか赤字の埋め合わせのようなもの、それからリーマン・ショック後の歳出特別枠だとか別枠加算とか、そういう臨時異例の措置があるんですよ、これをもう全部やめる方向に持っていって、今度の歳出特別枠の中でこれは前向きの仕事に組みかえる、今までの赤字体質は、そこの部分はもうやめていく、こういう仕組みを今回思い切って入れた方がいいと思うんです。

 となると、これは交付税をふやしていくんですから、その原資である交付税率をさわらなければなりません。交付税率は四十八年間全く変わっていない。これだけニーズが変わってきているのに、これを単に面積や人口だけで配分しているだけでは、本当に国は責任を果たせるのかというところがございます。

 ぜひ、これは総務大臣、高市大臣が所管であります。思い切って、まずは地方創生枠、こういうものを設定して、この際には、交付税の税率の引き上げ、これも検討し、一兆円規模のこういう事業をやってはいかがかと思いますが、どうでしょうか。

高市国務大臣 まずは、新藤前大臣御指摘のとおり、地方の創生、これは地方の自主性、創意、それぞれの地域の実情に応じたアイデアと責任のもとでなされるべきものだと思います。

 今回、地方創生に係る財源をしっかりと確保する、安定的に確保するということで、地方財政計画の歳出にしっかりと計上するということと、それから地方交付税の充実、これに向けて検討を進めております。

 それで、私が就任する三日前、八月の末に、新藤大臣御自身が、来年度予算に向けた概算要求の中で地方交付税の法定率引き上げ、これを事項要求していかれたことも承知をいたしております。

 国も地方も財政が大変厳しい中で、困難もあるかと思いますけれども、これを大変重く受けとめて、私も精いっぱい努力をしてまいります。とにかく継続的に地方が事業をしていただくということが必要でありますので、頑張ってまいります。

新藤委員 大変心強いお答え、ありがとうございました。

 ぜひ総理、今度の地方創生、こういういろいろな仕組みができるんだ、だから、異次元の挑戦をするんですから、新しい仕組み、新型の交付金、二分の一補助して、地方に責任を持ってもらう、そして、新しい考え方で、これまでのものを引き継いで拡充する新型の交付税、こういう中で本当に事業が動いていく、そしてまたそれを国が責任を持って地方を応援する、この仕組みを早急に、来年度の予算編成、暮れまでに行う中で、私は埋め込んでいくべきだと。もう一回お願いをしたいというふうに思います。

 その上で、地方創生を進めるんですけれども、大切なのは、今までと同じ努力であれば同じ効果しか出ないわけです。これを次元の違う成果を上げるためには、鍵は何だ。

 この間、地方公聴会で徳島に行ってまいりました。そして、葉っぱビジネスで有名な上勝、それからサテライトオフィスで一躍名前を上げた神山町、それぞれおいでいただいてお話を聞いたんです。それから知事にもお話しいただきました。三者いずれも言ったのは、これからの地方創生にとって最も必要な基盤は何ですか。一言でした。それは、ICTです。

 新しい仕組み、今までと同じ経費で数倍の効果を上げる、もしくは、今までと同じ効果を数分の一のコストで実現できる、それはコンピューターです。

 上勝の象徴的なことがあります。これはもう時間がなくなってきましたから、私、御紹介だけにします。

 葉っぱビジネスで有名。これは何で有名かというと、まず、テレビが見れなくなっちゃったんです、アナログから地デジにかわるときで、電波が届かなくなっちゃったので。CATVを引かないとテレビが見れないので、光ファイバーで引きました。結果、そこにブロードバンド環境ができたんです。神山も上勝もそれを使っているんです。

 おばあちゃんたちが、中には八十幾つの人が、私も会ってきましたけれども、iPadを持って、タブレットを持って、きょうはどこに売ろうかなとやっているんですよ。それで、一人一千万、おばあちゃんがですよ、一千万稼いじゃう方もいるんです。

 そういう中で、象徴的な話、この間、ここの「いろどり」という会社の横石さんという社長が言ったことです。これは、台風が来る、台風が来たらおばあちゃんたちは何をやっているか。今までだったら、昔だったら、台風のときはじっと家の中で怖いから寝ていたんだと。でも、今、上勝のおばあちゃんたちはどうなっているかというと、タブレット端末を出してきて、アメダスを見て、一体何時から何時までは雨が少なくなるんだ、何時になったら自分は畑にとりに行けるのか、いつ復活して飛行機が飛んできて徳島に着陸するか、明石大橋がいつ通行が開始されるかをタブレットでチェックして、どこの市場に出荷しようかというのをおばあちゃんたちがやっているんですよ。難しい仕事を簡単にタブレットでできるようになっちゃうんです。

 ですから、これからICTを活用した地域活性化、地方創生、これは必須だ、ぜひこのことをこれからの戦略の中でしっかりと位置づけていただけるようにお願いいたしまして、また機会があればいろいろな提案をさせていただきたいというふうに思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

 よろしくどうぞお願いいたします。

鳩山委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久でございます。

 きょうは、総理をお迎えして総括的な質疑ということで、私も質問に立たせていただきますが、通告に従いまして順次行わせていただきます。

 初めに、質問に先立ちまして一言申し上げたいと思うんですが、それは本会議の折にも申し上げたところでございます。

 公明党は、地方創生は、人口減少に歯どめをかける、東京圏への過度な人口の一極集中を是正する、そして地方に雇用を生み出していく、このことを行っていくときに一番大事なものは何かということを党内でも議論いたしまして、やはり人であろう、人間だ、このことに着目しまして、要約をすると、若者が地方、地域で夢や希望を持って暮らしていけるか、そういうことをしっかりやっていこう、女性が仕事と家庭、子育て、両立できる環境をしっかり構築していこう、さらにそれを言葉として要約すると、人が生きがいや誇りを持って、それぞれの地域で安心して暮らしていくことができる、そのことを最大の目的にしなければいけない、このように考えております。

 その意味で、まち・ひと・しごととありますが、やはり人がかなめであろう、こう考えておりまして、人が中心にならなければこれは意味をなさないんだ、それぞれの地域で、そこに住む人が何を望んで、どんな課題があって、そして何を期待しているのか、そのことに応えることこそが地方創生の本来の目的である、このように考えております。

 きょうもそうしたことを踏まえながら順次質問させていただきます。

 まず最初の質問ですけれども、地方創生と東京、首都圏の抱える課題について、これは総理に御所見を伺いたいと思っていますが、地方創生の課題というのはこれまでもさまざま議論してまいりましたが、やはり人口減少社会における地方の課題の解決というのが最大のテーマということは当然だと思うんですけれども、しかしもう一方で、東京、首都圏のあり方、これも密接に結びついていくことであろう、このように考えております。

 東京はこれから急速な超高齢化社会を迎えまして、二〇二〇年の東京オリンピックの年、これは推計ですけれども、その五年後になりますが、東京の人口の中で七十五歳以上の方々の占める割合、これは二百万人に達する、こうも言われています。そして、これは東京都の試算ですけれども、二〇二〇年をピークに人口減少に転じて、二〇六〇年には人口が現在よりも三百万人ほど減少するであろうと。

 そこで、これは大変大事な問題ですけれども、対応が急務なのが、高齢化が抱える課題であろう、こう考えております。現在ですら、特別養護老人ホームの待機者が、一つの施設において千人ぐらい待っているという現実もある、そういう特別区もある。だから、これからどのようにして医療、介護、それから福祉の担い手を確保していくのかということも大変大事な課題になってくると思っています。地方の方は、既に高齢化のピークをいよいよ終わりつつあってという状況だと思うんですけれども。

 そこで申し上げたいのは、東京圏における地域包括ケアシステム、これを構築して支え合う地域づくりを行わないと、地方における若者の雇用を図るという一方で、今度は、東京、首都圏における介護サービスの担い手が不足をして、多くの若年労働者が現実に必要になってくるだろう、こういったことが現実に起きてくる。

 したがって、これから東京圏が迎える高齢化社会に向けての課題について、問題意識について、総理の御所見をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我が国においては、団塊の世代が七十五歳を迎える二〇二五年には、七十五歳以上の高齢者が二千万人を超えると見込まれているわけでございます。

 今委員が御指摘になられたように、かつては、高齢化、高齢者の課題というのは大体地方の課題だ、こう考えていたのでございますが、今後は、高齢者の急速な増加が進んでいく、東京において、大都市において進んでいくと見込まれているわけでありまして、必要な介護サービスをいかに確保するかが重要な課題であると認識をしています。

 都市部では、民間企業など、生活支援サービスの提供者が多い、また、交通などの生活インフラが整備されているといった強みはあります。これらを生かしながら、地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅サービスを初め、高齢者の生活を支える体制の整備を目指すことが必要であると考えています。

 このため、市町村が定める介護保険事業計画等に基づいて、中期的な視点に立って、サービス提供体制の整備を進めていくこととしております。来年度から始まる次期計画では、二〇二五年のサービス料や保険料水準を見通しつつ策定することとしております。

 政府としても、東京を初めとする都市部において、介護サービス等が計画的に確保されるように、関係者の意見をよく聞きながら、地域の実情に応じた、これが大切なんだろうと思いますが、地域地域でそれぞれ状況が違うわけでありますから、各地域の実情に応じて体制の整備を進めていく、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

稲津委員 ぜひ、政府として、国家的な課題であるということを重んじていただいて、さまざまな取り組みを進めていただきたいと思っています。

 我が党としても、都議会で、予算要望などを通じまして、高齢者の暮らし、住まい、これをしっかりサポートしていこうということで、いわゆる医療、介護、連携したサービスつき高齢者住宅の整備を強く主張して、相当ふえてきているという実態もございまして、このようなこともまた今後とも検討していただきたいと思っています。

 次に、地元企業の広域化の効果及び支援策の重要性ということでお伺いしてまいりたいと思っています。

 今回の地方創生の取り組みの大きな柱は、当然、地方にどういった雇用をしっかり生み出していくかということは、御案内のとおりでございます。地方自治体は、これまでももう本当に、いわば血のにじむような努力をしてきたと私は認識しています。特に、企業誘致については相当努力してこられた。

 このことはもちろん大事な話なんですけれども、もう一方で、今回の地方創生の視点から考えると、例えば、その地元地域にある企業、今ある企業、ここをどういうふうに育てていくというか支援をしていくかということが一つの大きな課題であるというふうに私は思っております。

 一つ例を御紹介したいと思うんですけれども、これは大阪府なんですが、戦略本部会議公開資料というのがありまして、これを見ますと、大阪府の府外に展開する企業の経済的貢献度というのを調べております。大阪府内には大体二十一万社の企業があって、そのうち府外に工場や営業所など事業所を持つ企業は一万四千社、こうありました。しかし、全体のわずか七%程度のこの府外展開企業が、大阪府で発生する企業所得の六五%を占めているというのがありました。実に、法人事業税も六七%ということで、大変な貢献度を示しているわけでございます。

 その意味で、収益力の高い企業が外貨を稼いでいるということになると思うんですけれども、私は、こういったことを考えてやっているときに、広域展開できるような潜在的なポテンシャルを持っている企業、その地元企業をぜひ支援すべきであろうと。

 この点についてのお考えをお伺いしたいのと、もう一点は、その際には、やはり立ち上げの支援が必要だろうと。そのいわゆるメニュー、金融、人材、情報、取引先、ノウハウ等々、こうしたことに対する支援について、この点も総理にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 稲津委員がただいま御指摘になられたように、我が国の中小企業の中には、地域外に進出する可能性、ポテンシャルを持っている企業が数多く存在するのも事実であります。

 中小企業の中で、とりわけ規模の小さな小規模事業者でも、約二割の企業が地域外の市場を開拓したいという意欲を持っています。こうした意欲を持っているところがしっかりと地域外に展開をしていくことによって、雇用もふえていきますし、その企業の所在地の地域の税収もふえていくということになるのではないかと思います。

 こうした企業は、社として、商品、サービスの開発、高付加価値化、新規顧客、販路の開拓を実現していくことが必要と思います。政府としては、このようなやる気のある中小・小規模事業者を支援すべく、ものづくり・商業・サービス革新補助金を初めとした新しいチャレンジへの支援や、展示会への出展支援などの販路開拓支援など、さまざまな経営課題へのきめ細やかな相談窓口の設置などの支援策を講じているところであります。

 さらに、今国会では、各地域のふるさと名物の地域外への販売を応援する法案を提出しているところであります。

 すぐれたものをつくっても、どうやって販路を確保していくか、あるいはどのように広報していくか、これがやはり小規模事業者にとってはなかなか弱点となっているところでもありますので、そういうものを応援していくという法律でもあります。

 このように、引き続き、あらゆる政策を総動員して、中小企業、小規模事業者の支援に万全を期していく考えであります。

稲津委員 ぜひ、そうした取り組みを進めていただきたいということを申し上げておきます。

 次に、人口減少社会における公共施設整備のあり方についてということでお伺いしますけれども、我が国の公共施設は、およそ一九八〇年から九〇年代に整備されたものが多くて、今後、二〇三〇年から二〇四〇年、一斉に更新のピーク時期を迎える、このように承知をしております。道路、堤防、上下水道、そうした公共施設の維持管理・修繕費、更新費、これは固定の経費であるということ、だから、人口動態とはほとんど関係なくその修繕は発生してくる。人口減少によって税収も下がる、そうすると住民一人当たりの固定費も上がるということで、これも大変な問題です。

 そこで、機能の複合化、それから周辺の自治体とのそうした公共施設の共有化によって、投資をできるだけ抑えていくという考え方は、これから極めて大事なことだというふうに思っております。既にもう着手しているところもたくさんあると思います。

 そこで、その際に、例えばPFI等民間の活力、力、ITを使う、そうしたものも含めてやっていったらどうか。この高齢化社会、人口減少社会を迎えるに当たって、公共施設の整備のあり方を今後どう考えるか。これは石破担当大臣にお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 私のもとに基本政策検討チームというのをつくりまして、いろいろな検討をいたしておるところでございますが、委員御指摘の、人口減少を踏まえた、今あるストックをどうマネジメントしていくのかということを重要な課題として取り上げております。

 これは、ないよりはあった方がいいのでありまして、ですけれども、そういうことを言っていますと金が幾らあっても足りないということに相なります。そしてまた、我が町にあるんだから隣の町もとか、隣の町にあるものは私の町にも欲しいよというのは、それはそうなんです。ないよりはあった方がいいし、隣にあるものは自分のところにもあった方がいいが、そういうことを言っていますと財政が非常に厳しくなります。どうやって、利便性というものを最大限残しながら、こういう既存のストックを行政の枠を超えてマネジメントしていくかということについて、きちんとした検討を行い、自治体の御負担を軽減してまいりたいと思います。

稲津委員 時間が参りましたので終わりますけれども、しっかりまた詰めていきまして、具体的な取り組みを進めていきたい、このように思っております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 まず、質問に入ります前に、冒頭伺います。

 昨日の予算委員会の場におきまして、総理が捏造という言葉を使われて我が党の質問者に対して答弁をされた件につきまして、けさの新聞各社が、これは捏造ではなく、取材したものを記事化したと。けさの読売新聞では、これは記事化をしたものであるということで報道されております。

 昨日、総理が捏造とされたことにつきまして、これは捏造なのか否なのかということにつきまして、総理、いま一度、この点についての何らかの発言を求めたいと思います。それは、訂正なり、いま一度発言をされて、実はそうではないということなのか、その点について、まず冒頭伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私は、撃ち方やめと言っていないんですから。言っていないのに言ったとして報道して、これは野党との間で大きな議論になる、大きな批判を浴びると。言っていないことを言ったとして、これを問題にしろと言わんばかりの報道をするという姿勢というのは、これはまさに火がないところに火をおこして風をあおっている。これは、火がないところに火をおこしているんですから、いわば記事としては捏造だろう、こういう私の率直な感想を申し上げたわけでありまして、私のことを知っている記者は、まず私に当ててくるべきなんです。

 ですから、そういう、最初の、当てないというのは、例えば吉田調書の問題もそうですね。あるいはまた、吉田清治の証言の問題もそうですよ。こういうことを、ちゃんと裏づけ調査をしていれば防げたものを、防がなかったことで日本の名誉が傷つけられたという、これは大変な問題じゃないですか。こういう問題を果たして反省しているのかというのが、私の基本的な問題意識であります。

 吉田調書についてもそうですね。多くの人がそれは違うとわかっていたのに、自分が思う方向に持っていきたい、報道を持っていきたい、例えば、安倍政権を倒したいという方向に持っていきたいということで記事を書くから、そういう間違いが間々起こるのではないか、私はこのように考えるわけでありまして、ですから、こういうときにはしっかりと取材をしてくださいと。

 むしろ、私がこういうことについて申し上げるよりも、先方にそれを伝えていただきたい、こう思うところでございます。

渡辺(周)委員 私もかつて新聞記者を、短い間ですがしました。そして、この朝日新聞の、今御発言された吉田清治なる人物の一連の、書籍から始まった慰安婦の問題については、今日まで、謝罪、訂正をするまでの長い間、日本の名誉をおとしめたことについては、私自身も、党でもそういう会の会長をしておりますし、そしてまた各メディアでもお話をしています。ですから、この朝日新聞の従軍慰安婦に関しての問題の中のところについては、それを捏造だと言うことについては、それは総理が御発言されることはおっしゃるとおりだとも思いますけれども、私が今質問をしたのは、この予算委員会において、これはけさの新聞にも書いてあります。

 それは、総理が側近の方々と会合をした後に、どなたかがお話しされたことを複数の社が受けて、話されたことをそのまま記事にしたと。ですから、それは捏造ということではなくて、もしそうであるならば、総理の意を受けてしんしゃくをしたどなたかがそのようにしゃべったことを各紙が書いたわけでございまして、その点については、それは捏造なのかどうかということを尋ねているわけでございますから、その点についてのぜひ再答弁、確認をさせていただきたいという意味で質問をしたわけでございますので、その点についてはいかがですか。

安倍内閣総理大臣 今申し上げたように、私は言っていないんですから。言っているか言っていないかは本人に確かめるのが当たり前じゃないですか。伝聞で、では、一々それを事実として記事にするんですか。

 なおかつ、あの朝日の記事は、これは問題化すると書いているんですよ、問題化すると、たしかそういう趣旨のことが書いてありましたね。問題にせよと言わんばかりの記事じゃありませんか。

 ですから、かつて朝日新聞は、私がNHKに、中川昭一さんとともに圧力をかけて放送内容を変えさせたという記事を書いた。しかし、中川昭一さんは、その番組が放送される前に会ってすらいなかったことが明らかになった。私が呼びつけて、そう指示したということも、そうではないということが明らかになった。これはまさに捏造ですよね。

 こういう捏造というのはなぜ起こったかということが問題であって、それはまさに、安倍晋三を攻撃しようという意思があって記事を書くからこういうことになるわけでありまして、そこの中においてやるべき取材を全くやっていないというのは、これは大変な問題であって。

 しかし、それを、私は反論するチャンスがきのうあったから、そうではないということがみんなわかったわけでありますが、あれを、私がそれで反論するチャンスをいただいていなかったら、みんなそう思ったままになってしまうわけでありまして、報道というのはそういう責任感のもとにちゃんと実行していただきたい、こう思うわけであります。

 吉田調書の問題においても、安倍政権においてこれを公開するという判断をしたからこそ、朝日新聞はあのように、事実はこうであったということを慌てて記者会見したわけであります。

 ですから、こういうミスをこれから何回も繰り返すんですかという意味において、私の問題意識を申し上げたわけであります。

渡辺(周)委員 今回は各社の話でございます。この質疑は、地方創生のテーマで、限られた時間ですから、もうこれ以上はしたくはありませんが、ただそれを、総理、側近の方がもし総理の意を体してそのようなことをおとといの時点において言ったということであれば、それは、総理の意を受けておっしゃった方の、それは思い込みでしゃべられたのかもしれませんし、それは取材の手法にも、もしかしたらあったのかもしれないけれども、それは、総理の側近とまたぜひ話をして、もししかるべき対応をされるということであれば、その方にも私は話をされたい。

 もう時間がなくなりますから、次に、総理……(安倍内閣総理大臣「もういいんですか」と呼ぶ)いや、この話を長くやると、総理のお考えはよくわかりました、よくわかっています、報道のあり方についても、それは私も報道の一員にかつて籍を置いたことがありますからよくわかっております。その手法やそういうことについても、確かに本人に裏をとらないでいたのはいかがかということについては、またメディアの方々の取材姿勢としてどうなのかということはあると思います。ただ、これはきょうの本題ではございませんので、ぜひまた改めて、どこかの機会で総理のお考えを聞くことがあればと思います。

 それでもう一つ、これも私たちが大変関心があって聞きたい問題ですが、地方創生も含めて、我が国がどうこれから活性化して、日本の国として今後どうあるべきかということについては、国民の生命財産が守られて安心があってこそということについて、まず拉致の問題について伺いたいのです。

 昨晩、伊原局長から受けられた報告では、一体どのようなことが話されたのか。七月に制裁を解除した。夏には、いや秋にはと言っていた話が、ここまで来てまだ何ら拉致の進展がない。総理は、ぶら下がりの席で、新しい角度の調査という、新しい角度というちょっと耳なれぬ言葉が出てまいりましたけれども、これは、過去の死亡と発表した拉致被害者の方々のもう一遍やり直しをするということで捉えていいのか。その点について、総理、御発言を求めます。

安倍内閣総理大臣 平壌での協議では、徐大河委員長ら責任者と、二日間にわたって約十時間協議が行われたわけでございます。

 日本側から、拉致問題が最重要課題であるなど日本政府の立場を改めて直接、明確に伝え、そして北朝鮮側からは、過去の調査結果にこだわらず、新しい角度からくまなく調査を深めていくとの方針が示されたところでございます。

 また、調査委員会の体制や調査の方法、現状等について詳細を聴取して、そして北朝鮮側からは、特殊機関に対しても徹底的に調査を行うとの説明があったところでございます。

 渡辺委員もこの問題に長らくかかわってこられたことは、私も十分に承知をしております。つまり、その中で委員も御承知のように、拉致の実行を行ったのは、こうした特殊機関であるわけでありまして、そうした特殊機関に対しましても、しっかりとした徹底的な調査が今度は行われるということであります。

 北朝鮮側からは、調査の信頼性を確保するための客観的かつ科学的な方法で調査をする、過去の調査結果にこだわることなく調査を深めていくとの説明がありました。したがって、我が方としては、北朝鮮はゼロベースで調査を始めるものと理解をしています。

 今後の対応については、今回の協議で得られた情報等を分析し、拉致被害者御家族を初めとする関係各方面の御意見にも耳を傾けながら、政府全体として総合的に検討していく考えであります。

 いずれにせよ、引き続き、対話と圧力、そして行動対行動の原則に従って、拉致問題の解決に全力を挙げていきたい、このように考えております。

渡辺(周)委員 ストックホルムの合意に基づいて、早い時期にもというふうなことで、私たちも期待しました。大勢の救う会や家族会の皆さん方も、この問題について期待をしているところであります。

 しかし、今日まで全然誠意が見られないということを考えれば、今、行動対行動というふうにおっしゃいましたけれども、もう冬です、あすから十一月になる。当初は、夏の終わり、あるいは秋には、九月にはと言っていたものが、もうこれはすぐに半年たってしまいます。

 だとすれば、もし北朝鮮が不誠実な態度をこのまま貫くのであれば、制裁の再発動ということについてはお考えでしょうか。行動対行動であるならば、制裁の再発動ということも考えていらっしゃるかどうか、その点について確認をさせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まさに、行動対行動の、これは基本的な原則でありますから、我々は、さまざまな選択肢を頭に入れながら結果を出していきたい、こう考えているところでございます。

渡辺(周)委員 この問題はここで終わりにしますけれども、当初、外務省から提示されたものを見たときに、最初にまず遺骨の話が出てきました。そして、日本人妻のことが出てきました。そして、それから特定失踪者や拉致の話になった。

 これは、どういう順番で最初に、一番目に遺骨の話が出てくるのかと言ったら、これは時系列的に書いたもので優先順位ではありませんというふうな説明をされました。そして、そこにはあわせて、拉致被害者を含む全ての日本人の安否ということを、消息だったかな、書かれておりました。

 これは、ワン・オブ・ゼムにされてしまうのではないかということで、拉致が最優先だということについては、国内外でこのような文書を出すときには絶対そう書くべきだと言って、党の拉致対策本部でも、あるいは拉致議連でも、何度も言って変えさせた経緯がございます。

 行動対行動ということにおいてはさまざまな可能性があるということでございますので、不誠実な態度を貫く場合には、ぜひ制裁の再発動ということも選択肢に入れて今後交渉をしていただきたいと思います。

 さて、地方創生の中で、この大前提となりますのが、人口減少、それから人手不足社会ということが急速にキーワードとなってまいりました。

 そこで、ぜひ伺いたいのは、内閣府の「選択する未来」委員会というところが、移民ということについても協議をするということが出て、私は、ショックを、驚いたわけですけれども、少子化対策をいつの間にか飛び越えて、人口減少社会、人手不足社会になってしまっている。そして、その結果、外国人に労働力を依存するというようなことも検討される。

 そうなりますと、例えば今度の特区法案の中でも、外国人のいわゆる家事支援ということについても考えるのだということがありました。果たしてそんなニーズがどれだけあるのかと思いますけれども、これが、結果的には、出口戦略が見えない中で、長期滞在イコール移民ということになってしまうのではないだろうか。

 シニアの方、あるいはハンディを持った方、あるいはニートやフリーターと言われる方々で、正規、非正規と言われる方々の中に、さらにこの外国人の方々が単純労働者で入ってきますと、さらに実質賃金は低下する、それによってさらに格差が広がってしまうのではないかと非常に懸念をするわけなんですが、総理の、この外国人の労働力あるいは移民ということについてどういうお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 まず、安倍政権は、いわゆる移民政策をとることは全く考えていないということを申し上げておきたいと思います。国内労働者の雇用を優先していくことは当然のことであります。誰もがみずからの力を発揮できる全員参加型の社会の実現に向けて、今委員が例として挙げられた、シニアの方、障害者の方、ニート、フリーター、そうした方々も含めて、高齢者、障害者、若者などを含め、きめ細かな就労支援や職場での定着支援に取り組んでいるところでありますが、さらに、それぞれ、若い方々あるいはニートの方々、そういう方々の課題等をしっかりと、我々、十分に把握、分析をしながら、きめ細かな対応をしていかなければならないと思っています。

 その上で、現在政府が進めている、外国の方々の人材の活用や外国人技能実習制度の拡充などの施策は、多様な経験、技術を持った海外からの人材に日本で能力を発揮していただき、また我が国で技能を習得して母国で生かしていただくことによってお互いが裨益をしていくということを想定しているところでございます。

渡辺(周)委員 この点については、ぜひ国民と真っ正面から議論をしていただきたいと思うんです。これは、正規、非正規に、さらに外国人を、人手不足を補うためといって安易に入れるようなことがあれば、さらに実質賃金が下がる。そのことによって、例えば地方で実質賃金が下がってしまえば、これは都会へ出るしかないということで、また東京一極集中が進むわけでございます。

 この問題について、ぜひ、まず日本人の雇用を最優先して、可能性のある方々にはどんどんその機会をつくるということで方策を進めて、どうしても足りないという場合には、実習生や研修生のような形なのか、外国人の労働力というものを考える、そのことについては我々も正面から向き合っていきたいと思います。

 さて、農林水産大臣、きょうお見えでございますが、日本の農産物を対世界の戦略物資とすることについては、我々も、そのためにどうするかということで、六次産業化という言葉もありますが、取り組んでまいりました。

 先般、台湾で、日本政府の産地証明の義務づけを検討するというような報道がございました。大変、価値観を共有する台湾でもこのようなことが起きているのか、日本のことをよく知っている台湾でもこういう動きかということで、懸念をしています。

 そして、来年には、イタリアのミラノで万博があるんですね。この万博のテーマは食です。長寿国日本の源である日本のお茶を初めとする一次産品を売り出す大変チャンスだと思うんですけれども、こうした風評被害解消のために、世界戦略として日本の農産物を売り出していくために、こうした風評被害に対してどう取り組むのか、簡潔にお願いします。

西川国務大臣 台湾が日本からの輸入食品に対して都道府県ごとの産地証明書の添付を義務づける、こういう方向であるということが報道されました。しかし、私どもではまだ承知しておりませんで、今調査中でございます。

 それから、ミラノ万博の件でありますが、来年の五月一日から半年間、食と農をテーマとして開催される、こういう予定であります。その中で、福島県の産品、あるいは渡辺委員の地元であります静岡県も参加の予定でありますから、各自治体で連携をしながら対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 ぜひその点については、各県、各自治体が、やはり日本が国際マーケットに立つチャンスだということで捉えておりますので、風評被害については一刻も早く拭い去るようにお願いしたいと思います。

 最後になりますが、一つだけいいお話をさせていただきたいと思います。

 島根県の大田市というところにある中村ブレイスという会社に私、訪ねていったことがあります。人口五百人の町で七十人の雇用をしている。ここは何をしている会社かといいますと、世界からありがとうと言われる会社であります。日本で一番大切にしたい会社の一つでもあります。それは、障害、ハンディを持ってしまった人、病気やけがで体の一部を失った人が、欠損したところの部分、義肢、義足をつくるところなんですね。ここに七十人の方が、実は全国からそこで働きたいと来ているんです。

 こういう、地域で、国が言わなくても取り組んでいる、成功している例もありますので、ぜひ創生本部の方々に積極的に回っていただきたい。

 最後に、石破大臣にその覚悟を聞いて、終わりにしたいと思います。

石破国務大臣 委員が今おっしゃいました島根県大田市の中村ブレイス、私も、委員から教えられましていろいろなものを読みました。

 ごめんなさい、まだ行っていませんが、国からいろいろ言われなくても、そこにしかないもの、そういうものがあれば、人は来るんですね。ですから、そこしかないもの、自分でしかできないもの、そういうものが人を呼んでくるのであって、必ずしも交通至便ということが絶対条件ではないということだと思います。

 いいお話をいただきました。こういうものをみんなで見て、そういうものを生かしていく、日本の国というのはそういう可能性を無限に秘めていると思います。

 ありがとうございました。

渡辺(周)委員 終わります。

鳩山委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 この委員会のテーマは地方創生でありますが、地方を活性化しようという取り組みは、もう長年、何度も繰り返されてきました。私も長年携わってまいりました。その結果といいましょうか、そのかいなく、地方は疲弊した上に、国にも自治体にも巨額な借金が積み上がり、赤字体質になっている、こういう状況です。

 従来の政策は、国が財源を用意して地方に配る、国会議員は地元に利益誘導をする、これが仕事だ、これが古い中央集権体質だと思います。今回の地方創生も、このように国が財源を用意して地方にばらまく、こういうことをやっている限り、借金、赤字が膨らんでいくと思います。

 そういうことも意識されてでしょうけれども、安倍総理も石破大臣も、ばらまきはしない、縦割りはやめる、それから、これまでの延長線上にない異次元の政策をとるんだという御発言を連発されています。今度は違うということですね。ですが、石破大臣とのやりとりの中でも、なかなか妙案がなく苦しんでおられる感じもいたしますが、総理としてはどのような具体策があるとお考えでしょうか。

安倍内閣総理大臣 まず、石破大臣とともに私たちが進めようとしている地方創生については、今までとの違いということについては、今までは、省庁ごとの縦割りの延長線上の地方活性化策が多かったのは事実であります。また、地域の特性を考慮しない全国一律の支障が多かったことも事実であります。また、検証をしっかりと行わない、効果検証を伴わないばらまき的な施策も散見されていたことも事実でありまして、私たちは、そういうことを厳に排していかなければならないと考えているわけでありまして、まち・ひと・しごと創生本部では、こうした点を見直しながら地方創生に取り組んでいきたい、こう思っているところでございます。

 そして、その中におきまして、当面、五年後に一億人程度の人口を維持することを目指した、将来展望を示す長期ビジョンと、今後五カ年の政府の施策の方向性を示す総合戦略を策定していきます。これらのビジョンと戦略を踏まえ、各地域において地方版総合戦略を策定していただくこととしています。

 地方版総合戦略の構築に当たっては、ビッグデータが今まだ十分な分析が終わっていないわけでありますが、これはまさに国が力を使ってビッグデータを集めて、分析も行っていますが、こうしたデータに基づいて、地域ごとの特性と地域課題を抽出した上で、五カ年の戦略を策定していただくことを想定しています。また、客観的な指標も設定し、効果検証をしっかりとやっていただくこととしたいと思います。

 国としては、地方がみずからの発意で策定した総合戦略をワンストップで支援する体制をつくるとともに、小規模な自治体を中心に、人的支援も充実させていきたいと思います。なかなか五万人以下の自治体には国から人材が行かないという状況もありますから、そうした小規模な自治体もしっかりと支援をしていく、また、データの積極的な提供によって地域課題の抽出についても支援を行っていきたい。

 こうした具体的な施策、ただ、もっともっと細部にわたる具体的なものは、これは地域の発意によって起こってくるものでありますから、その中でさらにさまざまな課題も出てくるのではないか、このように思います。

重徳委員 総理は今、これまでの施策の課題も踏まえながらおっしゃっていると思うんですが、縦割りを排すとか、それから検証をしっかり行っていくなんというのは、これまでも何度も改善が行われてきたところでありますし、まして、戦略をつくる、計画をつくる、国家公務員を派遣する、こういうことも多かれ少なかれこれまでもやってきたことなんですね。ですから、これをもって異次元と言うには、私はちょっと言葉が躍っている感じがいたします。

 私は、しょせんは、やはり国が金を握って地方に配るというこの仕組みを変えない限り、これまでの延長線上だと考えております。

 地方創生と地方分権、これは表裏一体だと思っております。一体不可分であります。ですから、まして、今回、異次元という言葉に私も乗らせていただくとしたならば、今の東京一極集中の原因となっているこの中央集権体制を大転換して、地方が真に自立する、そういう分権型国家につくり変える必要があると思います。これは道州制の議論でございます。

 地方が中央に依存する仕組みというのは百四十年前に始まったと思います。明治維新で富国強兵だ殖産興業だといって官僚制度をつくって、霞が関主導の中央集権国家をつくり上げて以来なんですね。

 ここで指摘しておきたいのは、これから地方分権型の国家に転換していく鍵となるのは都道府県のあり方なんです。

 というのは、市町村は、明治の初期に七万五千あったものが、もう合併に次ぐ合併で、今、千七百しかありません。ところが、都道府県の数だけは、百四十年前からずうっと四十七なんですね。ですから、百四十年前は、平均すると一県当たり千以上の市町村があったわけなんですけれども、今や、平均しても三十幾つしかありません。一番少ない富山県は十五市町村しかありません。もはや都道府県というのは、市町村を管理したり束ねたり、そういう役割というのはもう必要ないんです。だから、ブロックごとにもっと都道府県を統合して、全国を十程度の道州に再編するという、この道州制というものを実現するべきだ、こういう考えに至るわけです。

 その上で、これまで国でしかできなかったこと、国で握っていた財源を思い切ってその道州に大幅に移譲しまして、今までよりも大きくなり力をつけた道州というのが本当の意味で自立をするというものでございます。

 さらに言うと、各道州は、人口的にも経済的にもヨーロッパの中規模諸国ぐらいの規模になりますので、今まで都道府県というと、何かというと東京を見習ってミニ東京を目指すみたいな、そういう傾向がありましたが、そうではなく、各道州ごとにそれぞれ、農業の強いところ、工業の強いところ、観光の強いところ、それぞれが他国との間で直接通商交渉を行う、世界各国と渡り合う、そして道州同士が政策を競い合う、こういう道州制を私は構想すべきだと思っております。

 道州制は、私は個人的にも思いや経緯がございまして、実は、私の地元は愛知県の岡崎市、西尾市、幸田町、愛知十二区というところなんですが、先代であります杉浦正健元法務大臣と、私は役人時代でしたが、平成十二年に、二人三脚で道州制を実現する会という議員連盟を立ち上げました。当時はまだ平成の大合併も進んでいない状況で、道州制なんてまだまだという時期でありましたが、不遇の時期もありましたけれども、しかし、これがもととなって、今や自民党の中では道州制推進本部というものができて、公約にも掲げておられます。私自身は、道州制を党是とする維新の党にいるということでございます。

 ところが、先々週のこの委員会で、石破大臣とのやりとりの中で、今回のまち・ひと・しごと創生法案に基づいて作成されます総合戦略あるいは今後五十年の長期ビジョン、この中に、石破大臣は、道州制という文言を入れるということはお約束いたしかねます、こういう御答弁をされました。

 さらにがっかりしたのが、先週末から、自民党の道州制推進本部の佐田玄一郎本部長さんが、これまで練ってこられたはずの道州制の法案を大幅に後退させるかのような、現状の都道府県、国の出先機関を温存するような案にしたいというような発言をされまして、幸いこれは一夜にして撤回されたようでございますが、こんな頼りない話を聞いていると、本当に大丈夫かという思いになります。

 そこでお尋ねいたしますが、総合戦略、長期ビジョンの論点。今、論点というのが出されております。地方分権のチの字もない、道州制のドの字も入っておりませんが、これから、論点から骨子へと十一月中に発表されるということなんです。

 石破大臣にはこの間お聞きしましたが、総理、道州制、地方分権という文言を盛り込んで、これを積極的に推進していくべきだとお考えではありませんか。

安倍内閣総理大臣 答弁する前に、先ほどの答弁の中で、当面、五十年後に一億人程度の人口を維持することをと言うべきところを五年後と発言いたしましたので、訂正させていただきます。

 道州制につきまして、この道州制の導入については、地域経済の活性化や行政の効率化などを目指し、国と地方のあり方を根底から見直す大きな改革であり、現在、与党において、議論を少しでも前に進めるべくさまざまな意見交換が活発に行われているところであります。今後、道州制に関し、さらに精力的に検討が重ねられ、議論が集約されていくものと考えています。

 一方、地方創生は、人口減少、超高齢化という危機的な現実を直視しつつ、若者が将来に夢や希望を持てる魅力あふれる地方をつくり、景気回復を全国津々浦々で実感できるようにすることを目指すものであります。

 したがって、道州制と地方創生については、活力ある地域づくりを目指すという共通点はあるものの、いずれかのみで十分というものではなく、それぞれのアプローチからの取り組みを同時並行的に行っていくことが重要である、このように考えているところでございます。

重徳委員 与党でもう既に相当議論が進んでいるはずであるというのは、私、先ほども申し上げたとおりでございまして、総理も当然認識されているはずなんですが、五十年先のビジョンを今回つくろうというときに、まだ今の時点でどうなるかわからぬというような御答弁に私は非常に不満を感じます。

 政権与党が改革にそういう意味では及び腰であるというふうになれば、野党でこれはやるしかないんです。けさ、野党四党で、ばらばら野党ではありません、野党四党がまとまって、国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案を国会に提出したところでございます。

 石破大臣もこれまで、野党の皆さんの提言、批判的検証に期待するということをおっしゃっていますので、大臣の御要望に応えて法案を出させていただきました。速やかにこれは審議入りをしていただきたいと思っております。本物の異次元の政策を議論しようではありませんか。

 ところで、今回の異次元の地方創生、これは安倍総理の本気度が少し疑わしいなというふうに私が思うのは、最近どうも言葉だけの政治になっているんじゃないか、安倍総理の政治姿勢に非常に懸念を感じております。

 本来、集団的自衛権や消費税の増税問題について議論すべき今回の臨時国会においては、地方創生、輝く女性というのを掲げた上で、今回、実際、女性閣僚二人が相次いで辞任をされました。輝く女性というキャッチフレーズのもとでパフォーマンス的に女性の閣僚を登用したからだと私は思います。

 これは、男性、女性にかかわらず、人材の育成、登用というのは長い期間をかけてきちんと実現していくべきものであるところ、言葉だけの政治に合わせて女性閣僚をたくさん登用してみせようという、どうも真剣味が本当にあるのかと疑わざるを得ないわけでありますし、今回の件をもって女性政策が失墜していくようなことになれば、全国の頑張っている女性に対して本当に失礼な話だと思います。

 その意味で、今回、地方創生、本当に異次元の政策というだけでなく、きちんと本質的な議論を交わしていきたいと思うんですが、いかがでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 本質的な議論を交わしていくということについては私も大いに賛成でございますので、当委員会においても、地方創生について、まさに異次元の地方創生とは何かということについて、これはまさに与野党の壁を取り払って中身のある実質的な議論を進めていただきたい、このように思いますし、女性が輝く社会をつくっていくということについても、我々は真剣に取り組んでいるところでございますし、また、女性が輝く社会をつくっていくことができなければ日本の未来はない、このように考えているところでございます。

重徳委員 地方創生、これは地方分権と本当に一体不可分だと思っております。本当に、本質的な議論を受けて立つという、総理も今そのような趣旨のお話をされましたので、ぜひさせていただきたいと思います。

 一応最後の問いになりますが、最後に、地方財政について少し話をしてみたいと思います。

 ごらんいただいている棒グラフは、平成に入って以降の、自治体がトータルで発行してきた地方債の金額であります。臨財債除く、つまり赤字地方債は除いている、いわゆる投資的な経費としての地方債の発行額であります。企業でいえば、これは設備投資に当たるようなものだということも言えます。これがなくなれば地方は元気がなくなってしまうという、今の地方の疲弊はこれが一つの原因ではないかとも言えると思います。平成七年は、バブル崩壊後の景気対策といたしまして二十三兆円近くの地方債が発行されたわけでありますけれども、今年度、平成二十六年度は七兆円余りという、本当に三分の一以下に金額が減ってしまっています。

 ここで問題にしたいのは、自治体がどれほど借金できるかというのは、別に平成七年の当時は、自治体が投資意欲が物すごくあったとかそういうこと以上に、国が結局、借金を返済する財源を補填するわけですね。だから、ちゃんと後で国が面倒見てやるから好きに借金をしていいよというのが平成七年当時の話だったわけであります。それが、だんだん国自体も余力がなくなってきた。そうすると、地方も、国が補填してくれないなら借金もしないよ、投資もしないよと。

 地方が今置かれているのは、ずっと三割自治と言われています。国が国税として税源を一旦集めて、それを地方に分配する、そこに国の裁量が入る、こういう仕組みなものだから、地方は国の言うことに従わざるを得ない、言われるがままに借金までしてしまう、それによって今自治体は赤字、借金に苦しんでいる、こんな状況です。

 ですから、私は、地方分権を本格的にやるなら、これは税源移譲が必要だと思います。例えば、今、消費税、基本的にこれは国税でありますけれども、これを各自治体の、あるいは各道州の地方税と置きかえる。そうすると、結局、国から降ってくるお金じゃないわけですから、自前の税収ですから、それは間違っても無駄遣いに使うこともなくなる、それから借金するときにも、返済は国の補填でなく、自分の責任と判断でする、そして税収をふやすためには、地域特性を生かした戦略的な産業政策を行って税収をふやしていく、こういう企業経営的な自治体経営というものができるようになる、こういうことであります。

 だから、先ほど申し上げました道州制という大幅な地方分権と税源移譲というものは、これもまた一体だと思いますが、ここまで来れば本当に異次元な地方創生政策になっていくと思いますが、この税源移譲ということにつきまして、石破大臣、どのようにお考えでしょうか。

石破国務大臣 道州制のかねてからの御主張はよく承っております。

 ただ、私が思っていますのは、主役であるべき町村長の皆さん方が一致して反対しているというのはどういうことなのだろうかということを私どももよく考えますが、どうぞ主唱しておられます御党におきましても、ぜひ、彼らが何を言い、いかなる懸念を持っているかということについての御見解をお示しいただければ、大変今後の参考になるのではないかと思います。

 税源については、それはもう移譲していくというのは大事なことなのでしょう。ただ、その場合に、都市と地方においてどうなのだろうか。消費税を地方に渡した場合に、地方は消費が少ない、都市部は多いということになると、ますます格差が広がらないだろうか。ましてや税率が違うというようなことになりますと、これは国税ではないわけで、それは税率が違うということも起こるのでしょうが、そうすると消費が多いところへますます集まっていくという結果を惹起しないだろうか等々。

 税源の移譲のやり方はいろいろあろうかと思います。こういう税源の移譲がよろしいのだというようなことにつきまして、私どもも考えますが、委員も総務省の立場でいろいろな地域を見ておられますので。私は、消費税を地方に移すというのは余り賛成をいたしません。どういうようなやり方があるかにつきましては、また議論をさせていただきたいと存じます。

重徳委員 きょう申し上げましたような政策、制度設計というものを改めて行っていくことが、本当に延長線上にない異次元の政策だということを重ねて申し上げまして、さらなる議論を進めてまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 次世代の党、中丸啓でございます。本日はよろしくお願いいたします。

 まず、ほかの委員と重複した質問もあるようなので、先にちょっと順番を変えて質問をさせていただきます。

 地方創生を考えるときに、地域の要は活性化をしていくわけですが、これまで、例えば今工事に着工した与那国、それから今度の奄美、そういった自衛隊の駐屯ということが地域の活性化に非常に、大いに役立つということも、私たちも、対馬を初め与那国、さまざまな離島の視察に参りまして、見てまいりました。

 そして、この地域の活性化ということでいえば、沖縄県のことについてちょっと総理にお尋ねしたいと思います。

 沖縄の辺野古、まさに今、普天間を移設しようとしている辺野古なんですけれども、この辺野古の基地が、なぜ辺野古に米軍基地があるかというのも、この間、九月に辺野古に行って、現地の方からもお伺いしました。

 当時、大東亜戦争が終わって、終戦後、普天間は土地を接収されたと。辺野古に関しては、地元の辺野古の住民の皆様が誘致を活動してつくったのが辺野古の今の基地でございます。だから、辺野古と普天間というのは、もともとの立ち上げの時点で趣が全く違うということを理解してまいりました。

 そして、今、その辺野古、埋め立てを行って、V字形の滑走路、千八百メートルのものを二本つくろうということでやられているわけですけれども、九月の十九日に、辺野古の基地内に入らせていただいて視察を行いました。そして、基地内で説明を聞いた後に基地外に我々は出ていって、六名で行っていたんですけれども、そして、辺野古の工事用車両ゲート、ちょっと資料で写真を出していますので見ていただきたいと思うんですが、これは辺野古の米軍基地の私が撮った写真でございます。

 まず、右上からいきます。右上を見ていただきたいんですが、これは米軍の基地の外側を囲っているフェンスでございます。このフェンスは当然、所有者というふうに考えれば、米軍の持ち物でございます。明らかに米軍が作成したものではないと思われるさまざまな横断幕がくくられています。

 それから、その下に行きまして、これは公な道路の歩道でございます。そして、これもフェンスに、暑さしのぎのテントを置いて、遠くから見ると何か祭りをやっているのかと思ったぐらいたくさんの人が、五十人ぐらいですけれども、座って何かマイクでしゃべられておりました。

 これは道路使用許可をとっているかどうか。普通は警察に使用許可が要るんですが、これはいつやっているんですかということを聞いたら、毎日、朝七時から設営部隊が設営をして夕方五時に撤去して帰る、こういう活動をされているそうです。

 これは、道路使用許可も含めて、沖縄県警がどうなのか。私たちがこの現場に行ったときに、道路の反対側に私たちはいて、そこで我々は街頭演説活動を行いました。横に沖縄県警の方がバスでおられまして、聞いたら、よくわからないという現場の警察官の回答でした。

 それから、その隣の二枚、反対側です。

 これは、首相官邸等にもよくある蛇腹になったゲートでございます。恐らく、これも米軍のものであろう、もしくは、各県警も同じようなものを持っているということでございますので、県警、そういった類いのものであろうと思うんですが、これは通常は閉められています。

 工事用車両が出入りするときに、当然あけ閉めを行います。そのときに、一旦停止したトラック等の荷台を、ここにいる人たちが勝手に中をのぞいたりということも行われています。このゲートを開いたり閉じたりすると、これは見たらわかるんですが、非常にカラフルな、いろいろな団体ののぼりがついておりますが、こののぼりが右へ行ったり左へ行ったり、右へ行ったり左へ行ったりしているわけです。これも誰かが許可したわけでもどうやらないようでございます。

 私は何が言いたいのかといいますと、今後、そういう自衛隊や米軍も含めた、これは地域の活性化においても必要な要素が出てくる。そうすれば、当然、賛成論、反対論、さまざまな論が出てくる。そうした活動をされることは自由でございますし、それを議論していただいたり、どんどんやっていただいたらいいとは思うんですが、ただ、明らかに違法行為と思われるものをこのままの状態にしておくことは問題だと。

 これは、安全保障委員会で私が岸田外務大臣と江渡防衛大臣に質問させていただきました。これはある意味、アメリカ側から見れば、日本の治安、日本の警察、日本の政府は何をしているんだという外交問題にもなるんじゃないんですかというお話もさせていただきました。江渡大臣がおっしゃったのは、このフェンスの周りに立て看板をして、こういう行為をしないようにというふうにはしているという御答弁をいただきましたが、ほとんど効力を発揮していません。

 これは、普天間に行くともっと実は、今回は辺野古の写真ですけれども、普天間では、真っ赤なテープとかをいろいろ結びつけて、それを米軍の人とか近所の人が外すわけですけれども、その中にかみそりを仕込んであって、子供が手を切ったり、もっとすごいのは、そこにふん尿がばらまかれたり、基地の中にペットボトルを投げ込んだり、これは明らかに反対運動を超えた違法行為、一歩間違えればテロ行為だというふうに私は思うんです。

 今後、こういった違法行為ではなく、きちんと秩序を持ってやっていただくために、何らかの、沖縄県警に対して言うのがいいのかどうかわかりませんが、総理、どのようにお考えか、お聞かせください。

安倍内閣総理大臣 まず、そもそも普天間の移設、なぜ移設をするのかといえば、これは、周りが市街地であり、住宅があり、学校があり、病院に囲まれているこの普天間の固定化は断じてあってはならないということであります。

 そして、米国との交渉の中において、辺野古に移設をするという判断をしたところでございますが、その結果、普天間が持っている機能、三つある機能、オスプレイがそこに常駐している、オスプレイの機能、あるいはKC130空中給油機の機能、そして非常時における機能、この三つの機能のうちの一つだけを辺野古に持っていく。

 さらには、今、普天間では、一万数千世帯が防音対策をしなければいけない状況になっていますが、辺野古ではそれはゼロになります。つまり、そういうことについて言えば、沖縄県全体では明らかに負担は大きく軽減されることになるだろう。

 そして、こういう交渉を進めていく中において、嘉手納以南の返還が始まっているわけでありまして、もう既にディズニーランドに匹敵する西普天間の返還が決まっているわけであります。

 こうした大きな決断を進めていく中において、仲井真知事も、これは知事としては苦渋の決断でもあったんだと思いますよ。しかし、とにかく、具体的に、責任を持って、普天間の現状を変えなければいけないという責任ある大きな決断だと思います。

 その上において、普天間飛行場の代替施設建設事業に際しては、ゲート前などにおいて抗議行動が行われているところでありまして、事業者による自主警備の実施や警察による交通整理等の所要の警備措置により、大きな混乱もなく、粛々と工事が行われているものと承知をしています。

 今後も、安全が確保されることが大切であり、警察等において引き続き適切な対応がなされていくものと考えております。

中丸委員 今、大きな混乱もなくと総理はおっしゃったと思うんですが、ちなみに、我々が行っているときに、道路の反対側で我々が拡声機を持っているところへ向けて、かなりの方がテントから出てこられました。そして、かなりきついお言葉を頂戴したり、ありましたけれども、そのときは、そこにいた現場の警察官が間に入って事なきを得たと。

 少なくとも、我々は、その現場で、次世代の党の衆議院議員の、私でいえば中丸啓ですと、全員名を名乗った上で行っているわけです。その上でそういった行為が行われる。これは混乱していないと言えるんでしょうか、総理。

安倍内閣総理大臣 私どもとしては、大きな混乱がないという認識でございまして、現場において今後とも適切な対応がなされていく、このように認識をしております。

 いずれにいたしましても、普天間の移設を行う、辺野古への移設を行う、現実的な、いわば普天間の移設を行う上における我々の決定について理解をしていただくために、もっと努力を重ねていきたい、このように思うわけでございます。

中丸委員 余り時間がないので、次の質問に移らせていただきたいと思いますが、総理にはくれぐれも、私は、間違っても、反対運動をすることがいけないと言っているわけではなくて、不法行為は適切に取り締まるべきだということを申し上げておきます。

 また別の委員会で警察庁長官等にもぜひともその辺は、ちなみに、ほかの県警の方の意見を聞いたら、こんなことはあり得ないと。場合によっては、入り口にとまっている車のボンネットの上に飛び乗ったりとか、ほかの県だったら現行犯逮捕という意見も出ている中で、それが許されている状況が、沖縄はそういった不法なことができる特区ではありませんから、これはぜひ今後の検討課題にしていただきたいと思います。

 では、次の問題にいきます。

 昨日の予算委員会で、我が党の中田宏議員の方から、日韓議員連盟の皆さんが共同声明を発表されたという質問を総理にさせていただいたと思います。その中で非常に気になっている点が何点かございますが、時間の都合もあるので、できるところまでやらせていただきたいと思うんです。

 この声明を見せていただいたら、「当事者達の名誉回復と心の痛みを癒すことが出来るような措置が早急に取られるように日韓双方が共に努力する」。ここだけ読むと、先ほど朝日新聞の話も出ておりましたが、海外の在留邦人も含めて、そういった誤った記事によって日本人の心は非常に痛みました、誇りを傷つけられました、それを韓国側が癒す行為をともに努力してくれるのであれば、これは非常にありがたいと思いますが、その次に、「さらに、両国議員連盟は、河野談話、村山談話の精神にふさわしい行動をとることにした。」。我が党は、河野洋平氏の参考人招致も含めて要求しているわけでございますけれども、「ふさわしい行動をとる」ということでございます。

 その上に、「日中韓三国共同教科書実現のために両国の歴史教科書をそれぞれ相手国の言葉に翻訳して、参考書として活用することを検討することにした。」。教育を三国共同で、しかも、日中韓。いつからそういうふうになったんだと私は思うんですが、総理、この二点について、いかがお考えですか。

安倍内閣総理大臣 日韓の議員連盟は、御承知のように、これは超党派の議員連盟でございまして、議員連盟同士の合意あるいは考え方について私が一々コメントすることは差し控えさせていただきたい、このように思いますが、一般論を申し上げれば、我が国の教科書制度は、民間の発行者が著作、編集した図書について、教育基本法や学習指導要領、教科書検定基準等に基づき、文部科学大臣が教科書として適切か否かを審査する検定制度を採用しているところであるということでございます。

 御指摘の件についても、これを前提とする必要がある、このように考えているところでございます。

中丸委員 時間が参りましたので、最後に一言だけ、答弁はよろしいので、総理にぜひ聞いていただきたいことがあります。

 この声明の中で、「永住外国人に地方参政権を付与する内容の法案が迅速に成立されるよう日本側の格別な協力を要請し、日本側は法案の実現に向けて、今後とも一層努力することを表明した。」と。

 これは、憲法十五条の、公務員の選定及び罷免に関しては国民固有の権利である、これは日本人しかできないとはっきり憲法にうたってあるわけですから、地方で今行われている住民投票の、広島なんかは早々と手を挙げて可決していましたけれども、こういったものを本当に憲法に照らし合わせて、いいのかどうか、今後の検討課題としていただきたいということをお願い申し上げて、中丸の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 先ほど来、道州制の話も出ました。時間がないので、先ほど重徳委員の方から道州制について質問が出ましたけれども、まさにそのとおりで、重徳委員の言われるとおりです。

 例えば、九州で考えたら、佐賀県というのがありますけれども、佐賀県というのは八十万人しかいない。では、大阪。今、大阪都構想、いろいろもめていますけれども、大阪市は三百万ぐらいですか、今。二百何十万でしょうかね。基本的に、それでも、佐賀県は広域行政といいながら、政令市は基礎自治体という、これ自体おかしな仕組みに現実にはもうなっていると思います。

 今、いろいろなことをやっているのは、その今の現状の仕組みの中で、だから中核市をつくってみたり、政令市の人口規模を下げてみたり、いろいろなことをやってきていますが、結果的に地方は衰退しているという事実があるということをまず申し上げて、質問ではありません。

 きょうは時間がありませんので、この議論の中で、新藤委員も、いわゆる縦割りの行政の弊害だとか、お金の使い方をどういうふうにした方がいいのかとか、例えば補助金でも、いろいろな補助金が各省庁にまたがっている部分を、どこかでしっかりと受けとめて、わかるようにしていただく。これはまさにそのとおり、地方としては一番ありがたい。これを今度は民間ベースで、やはり地方創生をやるには民間活力が必要です。民間の力がなければなりません。

 そこで、私の地元、総理のお隣になりますけれども、北九州の小倉でございまして、小倉の魚町銀天街というのを御存じだと思いますが、この小倉の魚町銀天街というのは、全国で初めて商店主がアーケードをかけた銀天街であります。

 というのは、そこは公道でしたので、本来それに屋根をかけることはできなかった。しかし、商店主が、自分たちのお金で、そして国に上がってきて、我々は屋根をかけてもらうまでは帰らない、そういうことで、試験的にということで、銀天街に屋根をつけていただきました。ところが、今は、今度、その屋根をのけようというふうになってきておる。これは時代の流れだと思います。

 そこで、私の地元、北九州小倉、小倉も一時期は、北九州も百万を超える人口がありましたが、今は九十六万ぐらいになったんでしょうか、どんどん、少し衰退の傾向があります。商店街に行っても、シャッター通りがふえてまいりました。

 そして、昔の、このお示しをしているパネルの現場は、いわゆる大きなビルで、そのビル全体をある洋装店が一括で全部借りてくれていたんですけれども、やはり、斜陽化した関係で、その店舗から撤退をしました。そうすると、これをどうやったらいいのか。この店舗を一遍に借りてくれるところは、今の時代、なかなかいない。

 そこで、実は、いろいろな方々、有志の方々、この建物を持っている地主さん、そして、そこで町の活性化をやろうと思っている若い建築屋さん、それから、その町の中で他のお店を出している方々、そういう方々が集まってきて、補助金をもらうのではなくて、自分たちの力で何とか再生をすることができないのかということを考えたわけです。

 そして、ここに、まず第一番目にやったのは、地主さんが場所を提供して、小さな区割りをつくって店舗展開をやろうと。十平米ぐらいですから三坪ぐらいの小さな店舗をつくってやったわけですが、それはまさに、官の力をかりたいところは何があるかというと、ここが一番大きなところなんですけれども、実は規制緩和です。

 民間が今欲しがっているのは、実は補助金ではなくて、何か新しいものをやろうとするといろいろな法律の規制がかかって、これを変えていただいたら補助金なしでも立派に町が再生するというようなことを今、北九州でやっています。それを今、全国展開で、国土交通省が応援をしてくれています。

 家守隊、あのヤモリではなくて、家を守る家守隊。これは、そういう若者とかいろいろな方々が集まって、これは行政も入るんですよ、入って、そこで事業計画をやっている。新藤先生がよく言われるように、収支が合うか合わないのか、そこまでしっかりして、五年で返済できるようなリノベーションをやろうというような計画をして、最終的には、国民生活金融公庫というのでしょうか、国の方から融資を受けてやっていく。これは全国に今展開しています。

 ぜひ、安倍総理、こういう民間活力を使うためには、いろいろな規制が実は邪魔になっています。

 今、民間が求めているのは、スーパー公務員。それは、民間が何かをやろうとしたときに、その窓口に行ったときに、この法律だったらこういうふうにすればできるよ、これは地方も国も県も含めて。国は、規制緩和をして、いわゆる一括で地方にいろいろな事務、権限を渡しました。それは条例でできる。しかし、実は、その条例のもとは、法律の趣旨にのっとって条例ができる。そうすると、地方はなかなか、やろうと思っても動きにくいということであります。もう時間がありませんが、要は、そういうスーパー公務員を国でも県でも市でもつくっていただきたい。

 そして、先ほどの道路の問題でも、今度は、実は、道路に芝生を敷いちゃおうかと。要するに、道路というのは車が通ると思っていますけれども、使われていない道路というのはたくさんあるんですよ、実は。そういうところに芝生を敷いて商店街の活性化に、芝生のところにいわゆるテラスをつくってと。これも、道路使用許可は行政が出すけれども、今度は警察がだめだとか、そういうときにスーパー公務員がいたらいろいろなことが解決できるのではないかな、このように思います。

 もう時間がなくなりましたので、総理、こういうスーパー公務員というのでしょうか、民間活力を生かすことに関して、御意見を聞かせていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今委員が紹介をされました、小倉都心部の遊休不動産等を大規模に改修するなどして、リノベーションを行って活性化を図る。これはまさに、そういうアイデアを持っている人がいて、意欲があって、知恵と意欲によって、だめになりつつある地域を活性化している。人に注目する必要があるんだろうな、このように思います。私も、選挙区から車で三十分ぐらいでありますから、注目をしていたところでございます。

 まさに、人に注目するということにおいては、スーパー公務員と言われる方々が地方にもおられて、そういう人たちがいることによって、多くの人たちをその地域に呼んでくることに成功している、移住をたくさん掘り起こしているということについて、成功している地域もあります。

 そういう地域、あるいはまた、国において、そういう能力を持っている人たちを地域にどんどん派遣をしていく。その際、五万人以下の都市にも、地域にも、町村にも派遣をしていくということも含めて、いわばそうしたスーパー公務員が地方からどんどん出てくる、そうした人たちのアイデアを活用していく、あるいは、そういう人たちを望まれたら国から派遣していく、こういうことが大切ではないか、このように思っております。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 ぜひスーパー公務員を重視していただきたいと思います。

 地方の創生は行政だけではできませんので、民間活力が重要であるということを指摘して、終わります。

鳩山委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 まち・ひと・しごと創生法案、地方創生法案について質問をいたします。

 まち・ひと・しごと創生法案では、東京圏への人口の過度の集中を是正することを解決すべき課題の一つとして掲げております。

 総理にお尋ねしますが、この理由は何なのか、この点について御説明をいただけますか。

安倍内閣総理大臣 現在の東京一極集中については、地方を支える人材が東京に流出するとともに、出生率が低い東京への人口集中が我が国の人口減少にもつながっている、こういう大問題があるわけであります。

 また、東京では、その過密化を背景に、住宅価格が高い、あるいは通勤時間が長い、待機児童が多いといった問題が生じています。大規模な災害リスクの問題があります。このようなさまざまな問題がある、こう認識をしているわけであります。

 こうした中におきまして、都市部、この東京においても、四割の方が、チャンスがあれば地方に住みたい、こう願っているわけでありまして、そうした願いを阻害している要因がさまざまあることも事実であります。

 そうした方々にとっては、もし地方で自分の人生を送ることができればより豊かな人生が送れるのではないか、こう考えているわけでありますから、そうした希望が実現することを阻害している要因を取り除いていくことによって、地域も活力を回復し、そして都市においても一極集中による弊害がなくなっていくということになるのではないかと思います。

塩川委員 今、総理の御答弁にありましたように、東京圏への過度の人口の集中が、住宅価格が高い、通勤時間が長い、待機児童が多いといった問題とともに、大規模な災害リスクの問題もあるというお話でございました。この東京圏への過度の人口の集中というのがさまざまな弊害を生んでいるということであります。

 そういう現状にありながら、さらに人口が集中する動きがあります。

 パネルを用意しましたけれども、超高層ビルの増加に象徴される大規模再開発プロジェクトの拡大であります。

 この棒グラフですけれども、東京消防庁の統計書によるものです。

 二〇〇二年末では、六十メートルを超える二十一階建て以上の超高層建築物は三百十三、うち百メートルを超える三十三階建て以上の超高層は七十八。これが二〇一三年末になりますと、二十一階建て以上が七百十三、三十三階以上が二百一ということで、二〇〇二年以降、十年余りで、二十一階建て以上は二・三倍に増加をし、三十三階建て以上は二・六倍に増加をしております。

 このような超高層ビルについては、全国に占める東京の割合は、今、四割に上るような大変大きなものとなっております。

 そこで、総理にお尋ねいたしますが、そもそも東京には、企業の本社が集中をし、外国法人の拠点も多く、金融機能や情報関連業務が集中、集積をしております。このような状況で超高層ビルが建ち並ぶような大規模再開発プロジェクトを進めれば、仕事も人もさらに東京に呼び込むことになり、東京圏への人口の過度の集中が一層深刻になるのではないのかと考えますが、総理のお考えをお示しください。

安倍内閣総理大臣 東京圏への人口の過度の集中の原因については、今委員が御指摘もされましたが、文化施設やイベントが豊富であること、あるいは多様な商品にあふれ、流行の先端を行く消費生活が楽しめること、あるいは大企業や会社の本社機能が集中し、就職に有利であることなどがあります。そうしたものが人を引きつけ、東京圏への人口の過度の集中につながっていると考えられますが、こうした中で、地方創生を進めることによって、生活面でも仕事面でも魅力ある地域づくりを進め、地方に住み、豊かな生活を実現したいという人々の希望を実現していきたい、こう思っているわけであります。

 東京も国際社会の中において大都市としての競争力を十分に生かしてもらいたい。ある意味では日本の経済成長のエンジンの一つでもあるわけでありますから、その意味における東京の再開発と競争力を強化していくことはしっかりとやらなければならない、このように思います。

 他方、今申し上げましたように、地域がそれぞれの地域のよさを生かして発展をしていくということについても、国がしっかりと地域が主役の政策を進めていく必要があるんだろうと思います。

 どっちがということではなくて、これは十分に両立し得ると私は確信をしているところでございます。

塩川委員 総理が冒頭お答えになりましたように、東京圏への人口の過度の集中というのはさまざまな弊害を生んでいるんです。それをさらに拡大する方向での、人も仕事も呼び込むようなこういう大規模再開発プロジェクトを進めたら、さらに弊害が大きくなるんじゃないのかという問題であるわけです。

 東京都内の超高層ビルは、港区や千代田区、台東区、この三区で五割を占めて、東京都内の五割ですよね、まさに東京都心部に集中をしているわけです。丸の内や六本木や汐留など、東京都心部での再開発が大きく進んでおります。

 大規模開発プロジェクトが進められているわけですが、その背景には、やはり二〇〇〇年代以降の規制緩和政策があります。

 このパネルにも、棒グラフのところにも書きましたけれども、二〇〇二年には、都市再生の特措法で都市再生緊急整備地域の指定ですとか、また、同じ二〇〇二年、ここには書いておりませんが、東京都の環境アセスメント条例の改正もありました。二〇一一年には、改正都市再生特別措置法があって、特定都市再生緊急整備地域の指定などが行われております。さらに、昨年、二〇一三年には、国家戦略特区法で国家戦略特別区域の指定が行われております。これらは、税制や金融や予算上の支援措置とともに、大規模再開発を可能とする規制緩和措置を行うものです。

 総理にお尋ねしますが、このような容積率や高さ制限の緩和、環境アセスメントの適用除外の拡大といった規制緩和策が、大規模再開発プロジェクトを推進し、東京圏への人口の過度の集中をもたらしてきたのではないのか。このような規制緩和政策を見直すお考えはありませんか。

安倍内閣総理大臣 まさに、先ほど申し上げましたように、東京という大都市には世界の中の東京という位置づけがあって、その中で、東京に世界から人々が集まってくる、あるいは東京からアジアにというゲートウエーの役割も果たしているわけでございます。そうした機能を生かしていくことは、日本全体にも結果的に裨益していくというふうに考えているわけであります。

 東京の活性化はしっかりと行っていきたい。しかし、先ほど申し上げましたように、東京に住んでいる人の中にも、四割、自分は地方に住みたいという人たちがいるわけでありますから、その彼らの望みを生かしていく。何も東京と地方、同じ水準で比較することは不適切であろう、このように思うわけでありまして、東京には東京のよさ、あるいは生かしていくべき点があるわけであります。例えば長野県には長野県のよさがあって、そのよさを生かしていく。むしろ長野県に住んだ方が自分の人生が豊かになる、そのために阻害要因があるとすると、それをなくしていくという努力は我々はしっかりとやっていきたい。

 同時に、東京が世界の都市間競争に打ちかっていけるような、そういう施策はしっかりと前に進めていきたいと考えているところでございます。

塩川委員 総理自身が東京圏への人口の過度の集中というのは弊害があるとお認めになっているのに、それをさらに拡大するような、人も仕事も東京に集中するような、こういう大規模再開発プロジェクトを進めるということでは、かえって深刻な事態をさらに拡大するだけだと言わざるを得ません。こういった規制緩和政策こそ見直すべきです。

 もう一つ、公共投資においても東京の比重は高まっているんです。総務省の行政投資実績を見ても、全国の行政投資額に占める東京の割合が二〇〇二年度の七・四%から二〇一〇年度には一一・三%に増加をしている。

 まさに、国際競争力強化の選択と集中によって、東京外環道や国際コンテナ戦略港湾、羽田空港拡張など、交通インフラ投資を東京に重点投資する政策が東京への集中を進めてきたし、今後もさらに加速させることになるわけで、大企業優先の国際競争力の強化が東京一極集中の弊害を拡大しているということを認識し、東京圏への公共投資の集中と大規模再開発プロジェクト推進の規制緩和政策の転換こそ必要だということを申し上げて、質問を終わります。

鳩山委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 生活の鈴木でございます。

 なぜ今、地方創生かというところから入りたいんですが、時間の関係もありますので、結論から申し上げてまいりたいと思います。

 日本の将来において、やはり、遅きに失した感はありますけれども、欠くことのできない非常に重要な問題だ、このように私は思っております。

 先日、この場で私は三十分にわたって石破大臣とこの問題について議論をさせていただきました。そのとき石破大臣は、なぜ今なのかというと、委員の御指摘のとおりですが、多分、これが最後の機会ではないかという危機感を持っております、私も議員を二十八年やっておりますが、かつて、私が議員になる前、日本列島改造論とか田園都市構想とかありました、地方と東京というもの、あるいは東京とそれ以外の地域がお互いにウイン・ウインというか、ハッピーになるような、そういう関係を築くというのは、多分、今が最後であろうと思っております、こういう御答弁でありました。

 私は、石破大臣のこの答弁を聞いて、本当に胸が熱くなりました。いかにも、今のこの改革に本当に全精力を傾けて、何としても日本の将来の課題を克服していきたい、こういう思いが実は伝わってきたわけであります。

 私は、そういう意味で、大変僣越でありますけれども、総理はいい任命をなさったな、このように思っています。ほかの大臣のことはともかくとしても、本当にいい大臣の任命をされたというふうに思っています。

 ただ、問題は、安倍政権がこの石破大臣の熱い思いに対してどういうような後押しを今なさろうとしておるのかということであります。私は、大変申しわけないんですが、若干ばらばらである、それから、場合によっては真逆の矢も射られておるような気がしてなりません。そのところを少し御指摘させていただきたいというふうに思います。

 それは具体的に何かという前に、二つ申し上げておきたいんです。

 まず一つは、過去のいわゆる検証といいますか、反省といいますか、これをなさらなければならないというふうに思います。過去も同じような形でいろいろなことがなされてきました。しかし、結果的には、今地方が問題を抱えている、疲弊をしているということは事実であります。したがって、私は、反省も含めて、過去の政策の検証をぜひやるべきではないか、これが一つであります。

 もう一つは、いわゆる三つの視点というものがどうしても必要だ、このように私は思っています。その三つの視点とは、地方の停滞、地方の活力が失われている、地方経済の力が低下している、このように言われておるわけですけれども、これを解決するには、一つは、地方に暮らす人が結婚、出産、子育てができるような経済環境の整備、それから二つ目は、地方に暮らすことに夢と希望が持てること、そして三つ目には、地方経済に対する明確な将来の見通しということであります。

 例えば、二つ目の夢と希望という意味では、私の地元でありますけれども、B―1グランプリというのを、全国大会を開催しました。人口十八万の町ですけれども、六十万人を超える人々が見えて、本当に大成功に終わりました。私の住まいするところの蒲郡では今、ガマゴリうどんというのを全国的に売り出そうということで、この前、大会で全国優勝をしたということであります。これは小さなことではありますけれども、やはり一つずつ夢につながってくることではないのかな、このように思っております。

 さて、具体的に、先ほど、政策がばらばら、場合によっては逆の矢が飛んでいるのではないかという大変御無礼なことを申し上げましたけれども、まず、日本国民の生活環境がここへ来て非常に悪くなっておる。そういう意味で、安倍政権がこれを是正するということよりも、むしろ悪化させる姿勢を強めているのではないかな、このように私は思えてなりません。

 新自由主義経済、要するに、弱肉強食を進めていく中で、労働規制が緩和をされ、撤廃をされ、労働力の非正規化が激しい勢いで進行しております。今や、労働者の四割弱が非正規雇用になっている、これは御案内のとおりであります。フルタイムで働いても年収二百万を超えない、こういう方々が非常に多くある。ワーキングプアと言われる、大変残念なことでありますけれども、そういった方々、労働者が一千万人を突破している、こういう状況の中でますます格差が拡大をしておる。

 そして、先ほど申し上げましたように、それの是正をどういう形でするということが示せないままに地方創生という言葉でいくというのは、私はやはり本末転倒ではないのかなというふうに思います。

 消費税の増税とか法人税の減税とか、まさにこういう弱肉強食型のスタンスではない、要するに、共生を重視した政策に変更する、こういうようなおつもりはないか、そして、それによってこの改革を進めるというお気持ちがあるかどうか、総理にお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 私も、鈴木克昌委員が市長を務められた蒲郡にもお邪魔をさせていただいたこともございます。あのような美しいまちづくりに市長として貢献された、尊敬する鈴木先生の言葉でございますので、我々も、我々の政策が決して弱者に厳しいことになってはならない、こう思うわけであります。

 全ての人たちにとってチャンスのある日本をつくっていきたい。障害のある方も、さまざまな課題を抱えている方にとっても、日本に生まれてよかった、こう思っていただけるような国づくりに邁進していきたい、そのための地方創生にしていきたい、このように思っているところでございます。

鈴木(克)委員 御答弁ありがとうございました。

 そういう中で、まち・ひと・しごと創生本部の関連の資料を拝見させていただきました。

 これもまた大変辛口になって恐縮なんですが、まさにこれは、いろいろ書かれておりますけれども、机上の空論であり、中央官僚、お役人がお書きになった作文だ、私はこのように思えてなりません。

 いわゆる中央の発想はだめだということがずっと言われてきておるわけですね。そういう中で、やはり現地、現場の理論というものが今一番求められているわけであります。それぞれの地方が持つ文化、そして伝統、産業、技術、そういうものを本当に総合的に出していく、それが今回の法案の最も肝のところではないのかな、私はこのように思っておるわけであります。やはり、新しい地域社会のビジョンを描くというのは地域でなければできないことだ、このように私は思っています。

 その部分について、もう一度ぜひひとつ御答弁をいただきたい、このように思います。

安倍内閣総理大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、今までの地域の活性化に課題、問題があったとすれば、霞が関の役人が霞が関にいて、自分たちが考えれば間違いがないというものをつくって、地方自治体、地域に住む人たちに、俺たちがやった政策が正しいんだからこのとおりやればうまくいくよという、いわば型にはめる省庁縦割りに大きな問題があったわけでございます。そこで、石破大臣ともよく連携、相談をしながら、まず縦割りを排していく。

 そして、現場に行けと。地方創生本部で働く職員は、現場に行って、地域の皆さんから直接話を聞く。何が課題かを一番知っているのは地域で頑張っている人々ですから、そういう方たちの要望をしっかりと聞きながら、そして、地域がこういうところについて、例えばビッグデータを集める力はないわけでありますから、そういうものは国でつくって、この地域で何をすべきかということについては、アドバイスをしてもらいたいということであればちゃんと提供していきましょう、こういうスタイルでやっていきたい。

 また、ワンストップで解決できるようにしていかなければならない。厚労省に行ったら、農水省に行ってください、それで農水省に行ったら、これは経産省ですねということはなくさなければならない、こう思っている次第でございまして、鈴木委員に御批判を浴びるようなことがないようにしっかりとやっていきたい、このように思っているところでございます。

鈴木(克)委員 終わります。

鳩山委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十一月五日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十七分散会


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