衆議院

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第3号 平成27年3月27日(金曜日)

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平成二十七年三月二十七日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 福田 昭夫君

   理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君

      伊藤 達也君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    岡下 昌平君

      加藤 寛治君    勝俣 孝明君

      木内  均君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    新谷 正義君

      田中 英之君    谷川 とむ君

      とかしきなおみ君    中谷 真一君

      野中  厚君    平井たくや君

      福田 達夫君    宮川 典子君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      義家 弘介君    緒方林太郎君

      奥野総一郎君    吉良 州司君

      鈴木 克昌君    寺田  学君

      木内 孝胤君    篠原  豪君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   財務副大臣        菅原 一秀君

   文部科学副大臣      藤井 基之君

   農林水産副大臣      あべ 俊子君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房政府広報室長)          別府 充彦君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室室長代理)         富屋誠一郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           麦島 健志君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  佐々木敦朗君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         富永 昌彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           木下 賢志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  二川 一男君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            丸山  進君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           海堀 安喜君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     河村 建夫君

同月二十七日

 辞任         補欠選任

  河村 建夫君     木内  均君

  谷川 とむ君     宗清 皇一君

  平口  洋君     新谷 正義君

  佐々木隆博君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     岡下 昌平君

  新谷 正義君     平口  洋君

  宗清 皇一君     谷川 とむ君

  鈴木 克昌君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     河村 建夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房政府広報室長別府充彦君、内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室室長代理富屋誠一郎君、内閣府地方創生推進室次長麦島健志君、内閣府地方創生推進室次長末宗徹郎君、総務省自治行政局長佐々木敦朗君、総務省総合通信基盤局電波部長富永昌彦君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、厚生労働省大臣官房審議官武田俊彦君、厚生労働省医政局長二川一男君、中小企業庁経営支援部長丸山進君、国土交通省大臣官房審議官海堀安喜君、国土交通省航空局安全部長島村淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

とかしき委員 おはようございます。

 きょうは、大臣の所信に対する質問をさせていただきたいと思います。自民党のとかしきなおみでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは最初に、まずは、地方を活性化する、それを成功させるコツというのは、私は、ゴールを明確にしていくことが重要ではないか、このように考えております。ゴールを明確にするといいますと、地域に埋もれていた力、そして皆さんの気持ちも一点に集中させることができるので、その力でもって地域に力を与えていくことができるのではないか、このように考えております。

 ということで、ゴールをどう明確に見せていくのか、ここが重要ではないかなというふうに思いますけれども、では、今、地方創生をうたっている国自身はどういうふうにそのゴールを考えているのか、それをお示しいただけたらと思います。

 所信の中では、世界に先駆け人口減少・超高齢社会に向けて回答を見出すべき、こういうふうに大臣は述べていらっしゃいますけれども、国際社会の中で、日本は地方を創生してどんな国になるべきなのか、具体的に地方創生の目指すべきゴールをお示しいただければと思います。お願いいたします。

石破国務大臣 御指摘のように、所信の中で、世界に先駆け人口減少・超高齢社会に向けて回答を見出すということを申し上げました。

 この少子化とか高齢化とか人口減少とかいうものは、先進国と言われるものに共通の課題であるわけで、日本がその課題に対して課題先進国として真っ先に回答を示すということは、重要なことではないかと思っております。

 この時代に生きる我々というのは、それを世界に示す責任があるだろうし、次の時代に何とかこのいい日本を残す責任があるだろうし、この日本をつくってくださった、もう見ることがないいにしえの方々に対しても、それは我々が果たすべき責任だというふうに思っております。

 全体の人口減少に歯どめをかける。仮に急に出生率が上がったとしても、人口はしばらく減り続けます。ですから、歯どめをかけるという言い方をしておるわけであります。なかんずく、物すごく人口が減っている地方の人口減少に歯どめをかける。そしてまた、東京をさらに安全、安心で活力のある町にしていく。

 そんなことができるのかと言われますが、それをやらなきゃしようがないだろうと。先ほど来責任と申し上げているのはそういうことでありまして、我々が、次の時代に、そして世界に、そしていにしえの方々に対して果たすべき責任というのは、そういうものだと思っております。

とかしき委員 ありがとうございました。

 地方創生、地方を活性化していこうというわけですから、やはり国自身がそのゴールをしっかりアピールしていくことが結構重要だと思います。

 ゴールを明確にするときに、時々ここには落とし穴がありまして、目的と手段を取り違えてしまうときがよくあるんじゃないかなと。手段が目的化していってしまって、手段さえ手に入れれば全部がバラ色で何でもできるんだ、こういうふうに期待値を物すごく高めるような形で活動してしまう場合が結構あります。

 実は、問題なのは、手段を変えれば何でも成るというふうになりますと、みんなが抱いているゴールが別々ですので、手段を手に入れた瞬間にみんな走り出す方向がばらばらになってしまいまして、結局何も達成できなくて失敗に終わってしまう確率が高くなります。

 これは実は、私の地元であります大阪都構想がまさにこれではないかと。大阪都構想はまさに手段だと私は思っているんです。これはゴールではないんです。ですから、統治機構を変えれば全部がバラ色になる、そんなことは絶対あり得ないわけであります。

 簡単に言えば、家を建てかえるときに、わらぶき屋根の家にするのか、コンクリートの家にするのか、木造の家にするのか、全然決めもしないで、金づちとのこぎりとペンチを並べて、さあ、どの道具がいいですかと言われているようなもので、この道具を買いさえすればすごい家ができるんだ、でも、みんな思っている夢はばらばらということで、私はこれは非常に無責任な主張ではないかなと思っております。

 ですから、でき上がる家を、みんなにちゃんと共通のイメージをさせて、そこから本来、道具は選ぶべきではないか。大阪がはまってしまっているこういう落とし穴に、ぜひ国も陥らないように。

 私が心配しているのは、国は、地方創生、岩盤規制を突破するとよく出るんですけれども、これが目的化しないようにぜひしていただきたいなと。だからこそ、ゴールを明確にして導いていただきたい、こう申し上げているわけであります。

 ちょっと通告しておりませんけれども、御感想をいただければありがたいと思います。

石破国務大臣 いろいろな御議論があろうかと思います。大阪都構想については、いろいろなお話があろうかと思います。

 似たようなお話に道州制のお話があろうかと思っていまして、その道州制というのは、明らかに手段なのであって目的ではない。国はなるべく、外交とか安全保障とか通貨とか教育とか、そういう国でなければできないことをやる、地方でできることは地方でやるんだというのは、総論としてはそのとおりですが、その手段が、道州制もあれば、もっとほかの手段もあるでしょうということであって、委員がおっしゃるとおり、手段さえ手に入れれば全部うまくいくんだというような、そういうような錯覚に陥ってはならないと思っております。

 後段の御質問の、いろいろな規制を取っ払えばというお話ですが、それは、その規制はなぜできたのかというところまでさかのぼってよく考えなければいけない。

 ジョン・F・ケネディが言った言葉に、なぜその垣根がつくられたかを知るまではその垣根を取り払ってはならないという言葉がありますが、何でも取り払えばいいというものではない。なぜその規制ができたのだろうか、そしてそれはその時代に合うものなのか合わないものなのか、取り払ったとすれば、それによって生ずるリスクをどのようにして極小化するかというお話をきちんとしなければならないことなのであって、何でもかんでも規制を取り払えばいいというものではございません。

 ただ、考えてみると、時代に合わない規制というのもまた山ほどありまして、そういうのを、できません、なぜならばみたいな話をしておってばかりではいかぬのだろうと思います。

 何にしても、これは濃密な議論とスピードが要求されるものだと強く認識をしております。

とかしき委員 ありがとうございます。

 それでは次に、地方拠点強化税制の創設についてちょっとお伺いしたいと思います。

 この創設について、国が定める大都市である三都市が対象外というふうに報道されておりましたけれども、これを私は聞いて、では、地方の定義は一体何なんだろう、私の今いる大阪は地方なのか都市部なのか、何なんだろうということで、わからなくなってしまいました。

 さらに、目的なんですけれども、東京一極集中を是正したい、これを優先したいのか、地方拠点を強化したい、これが優先なのか、これは私、同時に取り組むのはちょっと無理があるのではないかなというふうに思います。

 そこで、まずちょっと現状分析なんですけれども、資料をお持ちさせていただきまして、皆様のもとにお配りさせていただいております。

 私の地元の大阪なんですけれども、平成十一年以降、百億円の大企業が激減しておりまして、平成十一年には百五十八あったのが、百十、三割減になってしまいました。

 そして、次のページ、まためくっていただいて、本社機能の増減なんですけれども、十年間で千百五十四社、大阪の本社の数は減ってしまいました。そのうち移転先は三割が東京に行ってしまっているということで、非常に大阪から東京への流れができてしまっているというのが今の現状であります。

 では、今回の税制の創設によってどういうことが起こるかと想像した場合に、多分、全く何にも地縁、血縁もないところに企業が本社を移転しましょうというのはまれなケースで、何かしら自分たちに縁やゆかりがあるところに移動したいという心理的な気持ちが働くのが大きいかと思います。

 大阪からどんと東京に移動していってしまったために東京一極集中になったのであれば、それをまず是正させるために、東京から、もともと大阪発祥の地域企業であれば大阪に戻れるような形で流してあげるという方が早いのではないか。そういう形で、東京一極集中をまずは是正する、そこからさらに地方拠点強化と、段階を踏んでいった方が流れが自然に行くのではないかなと。その方が、ああ本社が動き出したなという、その動きが国民の皆様にも目に見えてくるわけでありますから、積極的にほかの企業も取り組んでいこうかなと、こういうモチベーションを上げる上でも大きな力になるのではないかなというふうに思うんです。

 一極集中を是正してから地方拠点を強化していく、段階的に行った方がいいんではないかというこの提案なんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

石破国務大臣 そこはぜひ当委員会で御議論をいただきたいと思いますし、私どもも思うところを申し述べたいと存じます。委員の問題提起は非常に重要なことだと認識をいたしております。

 これは二つのお話がありまして、一つは、大阪とか名古屋から東京に多く移りました、それをまず大阪、名古屋に移して、そこから先、また別の展開があるんじゃないですかという御指摘だと思います。

 ただ、世の中、甲乙丙丁といいますのか、松竹梅といいますのか、ABCといいますのか、やはり、大阪あるいは名古屋というのも、かなり集中というのはあるところでございます。同じ関西広域連合といいましても、大阪と我が鳥取なんというのはかなり違うのでありまして、大阪とかそういうような地域に対しましては、国家戦略特区とか国家戦略総合特区とか、これは委員にも随分御尽力をいただいたところであります、特に医療系を中心として。そういう形で関西圏というものは支援をするという、別の手法で関西圏は支援していくべきではないだろうかということが一つ。

 もう一つは、一昨日も関経連の方とお話をしていたのですが、困ったもんや、みんな東京に行ってしもうてなあとかいう話なんですけれども、大体あなた方は何でそういう選択をしたんですかという話になるわけですね。本当に東京になきゃいかぬのだろうか、これだけ情報通信システムが発達をし、交通網が発達をしてきた中にあって、本当に大阪になければいけないのだろうかどうだろうかというお話は、もう一度関西の経済界の中でぜひしてくださいというお願いをしたところでございます。

 よくコマツの例が挙げられる。コマツは小松市発祥の企業だから小松に帰るのもそれなりの意味があるんだろうねという話ですけれども、私、ちゃんとよく調べてみようと思うんですが、東京に本社がある企業で、東京発祥の会社というのは一体どれぐらいあるんだろうかということなのですよ。恐らくほとんどないんじゃないのと。やはりそれぞれが地方にルーツを持っているのであって、あれはコマツの特別な例だからねというので片づけることは、私はよくないと思っているのですね。

 この東京の一極集中を是正するというのは、政府も目いっぱいやります、自治体も目いっぱいやりますが、やはり主役は民間なのであって、本当に、民間においていろいろな御提言をいただくのはとてもありがたいことであります。だけれども、本当に我々は東京になきゃいけないのだろうかということは、それぞれ民間企業の合理性があるはずなので、ぜひそういうこともお考えをいただきたいとお願いしておるところでございます。

とかしき委員 ありがとうございます。

 私も、何で大阪から東京に流れができるのかなとちょっと考えてみたんです。

 大阪は、正直言いますと、東京志向がかなり強いです。大阪都構想もまさにそうなんです。あれだけ選挙のときに大阪は独自の道を行くと言っておきながら、出してきた政策が大阪都構想だったので、私も驚きました。要するに、大阪の人は東京志向が強いんです。でも、本当は、大阪は大阪、上方は上方と、私は地域ブランドにもっとこだわるべきなのではないかなと。このままでは関西も、関電とか大阪ガスとか関西の私鉄など、地つきの企業だけになってしまうんじゃないかなと。

 では、対照的な動きをしているのはどこかなと考えたときに、京都なんですね。京都は、やはり京都は京都だと。私たちは京都ブランドということで勝負をして、本社もほとんど動いていないんですね。

 ということで、このブランドという視点でちょっと世界も見てみるとどうなのかというと、では、イタリアはどうか。これは、都市ごとに結構おもしろいことをしていて、デザインのいいハイエンドの商品をつくって付加価値をどんどん訴求していっております。デザインは絶対に他国に渡さないで自国でやって、生産はもちろんほかの国に出している場合もあるんですけれども、ですから、デザインの付加価値を絶対放さないために、これは、価格の競争に巻き込まれないで、かなり付加価値のある商品ということで、結構世界でも認められているわけです。

 では、振り返って見たときに、日本はどうか。

 例えば、鯖江の眼鏡のフレーム。結構有名でありますけれども、これは、では鯖江のことを世界じゅうの人が知っているかというと、全然知らないですよ、皆さん多分使っているんですけれども。これはOEMが中心ですから、結局、鯖江のサの字もみんな知らないわけです。ですから、これだけ技術がありながら、何でその日本ブランドの名前がちっとも世界に知られていないんだ、ここを、私たちはもうちょっと自前のブランドをつくらなきゃいけないんじゃないか。これからは付加価値を高めていくこと、ここが結構勝負なんじゃないかなと私は思うんです。

 では、ブランドの価値というのは何なのかと考えたときに、私はやはり世界一だと思うんです。どんな小さなことでもいいので、世界一をきちっとつくっておくこと、ここにお客さんはすごく付加価値を感じ、さらに、やっている当事者もそこに誇りを感じるんだと私は思うんです。

 例えば、高度成長のときによく躍っていたのが、新幹線が世界一とか、東京タワーが世界一とか、こういうふうに言われていた。世界一という言葉を手にすると、私たちはすごく心が躍るんですね。ですから、やはりどんな小さなことでもいいから地域それぞれの世界一をきちっと見つけていこうよ、それを育てていこうよ、そしてそれを国際社会の中で勝負できるようにしていこうよと。地方創生は、小さな世界一をしっかりと育てていくことが私は大切なのではないかなと。

 ただこれは、地域の強みをしっかり分析して、きらきら輝く世界一をしっかり見つけて育てて、さらに、大切なのは知名度を上げていくこと、ここには私はちょっと国は手をかしていくべきなんじゃないかな、一連の流れをしっかりつくってあげることが大切なのではないかな、このように思うんですけれども、地方創生の中でこの地域ブランドに対する大臣のお考えをちょっとお示しいただければと思います。

石破国務大臣 そのとおりです。それをどうするかなのですよね。

 ですから、イタリア、フランス、あるいはスイスもそうなのかもしれませんが、日本が貿易収支で必ずしもよくないというのはそういうところであって、そこは、ハイテクなものがやたら売れているかというと、むしろ、ファッションとか化粧品とか、そういうまさしくブランドで私どもは大きくおくれをとっている。

 では、日本はそういう力がないのかといえば、そんなことはない。歴史にしても文化にしても世界に冠たるものがあるのに、何でそれがブランドにならないのだというのは、私も正直言ってよくわかりません。どうしたらブランドになるのか、そこのところに、例えば、ある本で読めば、宮内庁御用達みたいな、恐れ多い話ですが、それだってもっと使えるんじゃないのというお話もありました。

 鯖江のお話もそうだろうなと思います。眼鏡フレームは知っていても、鯖江という名前は日本人だって知らないぐらいの話ですからね。だから、これがどうしたらブランドになるんだということについては、それはもう、委員はその辺の御見識も高かろうかと思います。こうすればブランド力が上がるのだ、国がその音頭をとってみたからといって上がるのかどうなのかわかりません。

 だけれども、問題は、観光でもそうなんですけれども、今だけ、そこだけ、あなただけでなきゃだめですね。いつでも、どこでも、誰にでもというのは、ブランドでも何でもないわけですよ。だから、それをどうやって売っていくかということを、ぜひこの委員会でお知恵を賜りたいと思います。

とかしき委員 ありがとうございます。

 私も化粧品会社に勤めておりまして、まさにブランドのみで勝負しておりましたので、私も、ちょっとここから知恵を絞っていきたいなというふうに思います。

 あと、地方創生のポイントは、やはり地方のやる気をどう見抜いていくかということだと思うんです。これから地方版総合戦略をそれぞれの地方公共団体に策定していただくんですけれども、では、地方のやる気をどういうふうに見抜いていこうと思っていらっしゃるのか、教えていただけますでしょうか。

石破国務大臣 まさしくそれが総合戦略の総合戦略たるゆえんであって、どこの市町村も第何次総合開発計画みたいなものをつくっているはずなんです。それを全国一斉にやるということ、そして、国と地方が危機感を共有しながら同じ目標を持って取り組んでいくということです。そのときにはいろいろな総合戦略が出てくると思います。

 見ればわかるのは、これはコンサルに丸投げしたねというのは、一目瞭然、すぐわかります。本当に、その地域の方々全てが参画をされ、金融機関の方も、あるいは労働界の方も、言論界の方も、つくって、PDCAを回し、KPIを設定しということであれば、それはわかる。

 そのときに、いやいや、時間がなかったからとか、人がいないからとか、あるいは金がないからとか、そういうことを、何でもエクスキューズを考えるところと、そうではないところと、明らかに差がつくということだと思っています。

 地方自治体というのは本来そういうものであって、みんなが同じになってしまったらば、それはインセンティブも働きません。それを、よくないことだと捉えるか、よし、やろうということで捉えるかは全く違うのであって、それぞれの地域がどうお取り組みいただくかということがインセンティブの全てだと思っております。

とかしき委員 ぜひ、やる気のあるところを選んでいただきたいんです。

 一つ、私の提案なんですけれども、このやる気のあるところを見抜く方法なんです。

 私、この間、選挙をやっていて思ったんですけれども、政治家というのは公約をがんがん言うじゃないですか、人前で。そうすると、あれだけ公約で説明しまくると、自分がもしこれを実現しなかったら大変なことになる、こういうふうに思うわけです。それが逆に自分の力になって、よし、何とか頑張っていこう、こういうふうになるわけですけれども、私、これと同じことが地方創生もあるんじゃないかなと。

 ですから、地方公共団体が企画書を策定したときに、どれだけ市民の人に説明しているのか、周りの事業者の方々に協力を仰いでいるのか、ここを見るとすぐわかる。ましてや、その説明会に行ってみれば、どれぐらいの熱意を持って話しているのかというのは見たらすぐわかるわけですから、ぜひ小まめにチェックしていただいて、そういう本当にやる気のあるところに手を差し伸べていただくようにしていただければと思います。

 ということで、本当は最後に自治体間の連携についても質問したかったんですけれども、ちょっと時間がございませんので、ぜひ、自治体間の連携について積極的な自治体には、むしろインセンティブを与えていただくようにサポートしていただいて。そこは、かなり大きな力になってくる。自治体間の協力というのは想像以上に大変ですけれども、そのハードルを越えてくるというのはかなり本気ですから、ぜひ、そういう自治体こそ評価しますよという形で打ち出していただけたらありがたいかな。

 私もこれから地方創生のために力を尽くしていくことをお約束申し上げて、質問とさせていただきます。

鳩山委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、所信についての質問ということで、二十分質問させていただきます。

 まず、地方創生は、我が党は、人が生きる地方創生ということで、地方議員としっかり団結しながら、いかにして地元を、我が町を活性化するかということに知恵を絞っているわけでございます。

 そうした中で、国家戦略特区というものも活用しながらやらなければいけない。特に私、地元は兵庫県でございますけれども、この兵庫県もしっかりと特区を活用しながら、あるいは、養父市というようなところも地方創生型の特区なのかなというふうにも思いますけれども、こうした特区、今、さまざまな地域から手が挙がっているというふうに思うわけでございます。

 そこで、その一つに、無人飛行、ドローンですね、これについても活用していきたいというような話が上がっているというふうに認識しております。特区で取り扱うということで大臣も所信でおっしゃっておられましたけれども、この特区における自動飛行、これは一体どういったものなのかということなんです。

 実は、これまでも、同様のものと捉えていいのかどうかわかりませんが、農薬を自動散布するというようなことも、無人飛行というかヘリみたいなものでやってきたというのがあります。これは恐らく、これまでも自動飛行として、定義としては入るのだろうか入らないのだろうか、こういったところも、実は、どう認識すればいいのかということがまだよく整理できていないんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひ、この自動飛行の定義についてまず確認をさせていただきたいと思います。いかがでございましょうか。

富屋政府参考人 自動飛行の定義についてのお尋ねでございますが、私ども今検討しております近未来技術実証特区につきましては、自動飛行を初めとした国内外の新技術を呼び込んで、これを大胆に実証するフィールドを確保することを目的としております。

 このため、近未来技術実証特区で取り扱う、お尋ねの自動飛行の技術を活用した実証実験の対象ですとか範囲につきましては、あらかじめ特段の限定というのを設けるわけではなくて、幅広い可能性も視野に入れているところでございます。

 そうした観点から、一月十五日から二月十三日まで、近未来技術に関する実証プロジェクトの提案を募集しておりまして、自動飛行に関して三十三件の御提案、これは複数の主体からいただいておりますから、六十三の提案主体からいただいたところでございまして、こういったところを参考にしながら今後具体的な検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

濱村委員 これは、近未来実証ということで、非常に挑戦的なことをやろうということかと思います。もちろんこれは、使い道、どうやって活用するかというところが非常に大事ですので、そこには我々もいろいろな知恵を出し合いながらやっていかなければいけない。

 例えば、本当に山間部であれば、おじいちゃん、おばあちゃん、なかなか車を運転してお買い物に行くというのが難しければ、お買い物代行みたいな形でドローンが荷物を運んでくれるというようなことも、今後そういうこともやっていければ、高齢の方は非常に喜ぶのではないかと。実は、アメリカのアマゾンとかはそういうことをやりたいというようなことを言っているというふうにも聞いております。

 ですので、ぜひ、この実証をしっかりと、地域の方でどういうところに手を差し伸べていくべきなのか、こういうことを議論し合いながらやっていければよいのではないかというふうに思っておる次第でございます。

 ところが、自動飛行は、もちろん現状の法規制にもしっかりとおさまる範囲内で、これまでも少し存在してきた。農薬散布について活用されてきたというのがありますが、一方で、航空法とかあるいは電波法、こうしたところに影響もあるというふうに承知しておりますけれども、現行制度ではどのような規制がかかっているのか、この点、まず確認をさせていただきたいと思います。

島村政府参考人 航空法関連についてお答えいたします。

 小型の無人機については、現在、航空法上の航空機としては位置づけられておらず、模型飛行機と同様に取り扱われております。このため、小型の無人機による飛行は、普通の航空機の飛行に影響を及ぼすような、空港周辺、また航空路内の地上百五十メーター以上の空域などを飛行しない限りは、特段の規制はございません。

 一方で、空港周辺を飛行する場合は国土交通大臣の航空法の許可、また、その他、他の航空機の飛行に影響を与えるおそれのある比較的高い高度の空域を飛行する場合は国土交通大臣への通報が求められておりますが、一定期間の包括的な許可の取得や通報が可能となっております。

 国土交通省では、これらの通報等の内容に基づきまして、小型航空機の飛行について一般の航空機に情報提供を行って、航空機の飛行の安全確保を図っているところでございます。

富永政府参考人 いわゆるドローンなどが自動飛行するための電波利用につきましては、現在、電波法において特別な規制があるわけではなく、一般的な無線設備として電波法の規律が適用されております。

 電波法では、電波を発射する場合は、電波の公平かつ能率的な利用を確保する観点から、原則、無線局免許を取得することを必要としておりまして、無線局免許状に記載された周波数、空中線電力の範囲内で運用しなければならないこととなっております。

 ただし、電波の出力が著しく微弱な無線設備や、総務省令で定める周波数や空中線電力等に合致しており、他の無線局へ混信を与えずに運用でき、技術基準適合証明等を受けた無線設備につきましては、無線局の免許を不要としております。

 昨今、ドローンなどでは、高画質で長距離の画像伝送などの電波利用の高度化、多様化に係るニーズが高まってきていることから、総務省といたしましては、使用する周波数ですとか空中線電力などにつきましての技術的な議論を開始しておりまして、その結果を踏まえて制度整備を進めていくこととしております。

 以上でございます。

濱村委員 今、国交省そして総務省それぞれから現行の法整備についてお伺いしましたけれども、基本的には今もその範囲内であれば活用して結構ですよというのが確認できたわけでございますので、現行の枠内もしっかりと活用しながら国全体でやっていくのもまた大事なのかなというふうにも思っておる次第でございます。

 一方で、今、地方創生特区で活用していこう、あるいは、実証実験といいますか、どのような使い道があるだろうかということを特区内で知恵を絞ってやろうとしているわけでございますけれども、この特区としてやる意義について確認をしたいというふうに思うわけです。今、どのような効果を期待して特区の中でやろうとしているのか、御確認をさせてください。

富屋政府参考人 お答え申し上げます。

 近未来技術に関する実証プロジェクトといたしましては、自動飛行のほかにも、自動走行、遠隔医療、遠隔教育など、中山間地や離島等の地域において活用することによりまして地域経済の活性化やあるいは地域福祉の向上に資するような分野が多いと考えられておりまして、先日募集をした提案の中でも、そういった分野での提案が数多く寄せられているところでございます。

 今後、地方創生特区として指定される区域というのが出てくるわけですけれども、その効果につきましては、そこで実証実験を行いまして、そこで新技術が確立されることによって地域の新規産業あるいは雇用の創出が出てくるのではないか、そんな効果を見込んだり期待をしておるところでございます。

濱村委員 ぜひ効果が上がるよう、地域と一緒になって取り組んでまいりたいというふうに思うわけでございます。

 ドローンの関連の質問で最後に少し確認したいのが、特区内でやりたいこと、これはこれでしっかりと実証していかなければいけないというふうに思うわけですけれども、国全体としても、実はこのドローン、自動飛行というものは活用していかなければいけないというふうに思っております。

 実は、この法整備の少しかぶるようなところ、あるいは境目のところ、ここがどうあるべきか。あるいは、無人でございまして、実は非常に事故も多かったりするというのも今問題点として指摘をされている。どのように安全を確保していくのか、こういったところも議論されているわけでございますけれども、これは、特区でやるという部分とそうでない部分、どのようなすみ分けをして今後議論を進めていくのかということを確認させていただきたいんですけれども、どのようなたてつけで整備を推進していくのか、この点、確認させてください。

富屋政府参考人 お尋ねの点につきまして、近未来技術実証特区という形で今募集をしておる提案につきまして、特区の観点から、これになじむものを実現していく観点とともに、そういった規制の緩和が全国的な措置としてどうかということについては、また政府全体でいろいろ検討はされていくということだと思います。

濱村委員 近未来実証特区としてやるというのは十分確認できました。

 実は私、内閣委員会にも所属しておりまして、このドローンの話を内閣委員会で取り上げようかと思っておったら、特区でやりますよということでお話しいただいたので、きょうこの場で質問させていただいておりますけれども、特区だけでとかというわけでもなくて、特区じゃないとできないことはここなんだということを意識しながら、全体の法整備のバランスをとっていくということをぜひお願いしたいというふうに思っております。

 少しテーマをかえまして、地方創生という意味では、花卉、生花ですね、この振興について少し確認をさせていただきたいというふうに思っております。

 農地あるいは農業の担い手の確保をしていくという意味では、生花についても非常に大事であるというふうに思っておるわけでございます。花きの振興に関する法律というものがございまして、花卉産業を振興するということをしっかりとこの法律内でうたわれているわけですが、実は、生花を病院などの医療機関になかなか持ち込めない、禁止するというような病院がございまして、なかなか生花をお見舞いのときに持っていくというようなことができないという状況もあるというふうに認識しております。

 実は、私のいとこは大阪の堺で花屋をやっておりまして、私も少しそこでお手伝いとかをしておったんですけれども、大阪では四四%の病院が禁止をしているというようなこともあります。

 ですので、そもそもこれは何かしら禁止しなければいけない状況があるのかというと、そうではないんじゃないか、感染症とかの心配はないんでしょうというところも少し確認をしたいと思っておるんです。

 厚労省から病院に向けて、花卉の取り扱い、生花をお見舞いとして持っていくということを自粛させるような働きかけとかを行っているのか、あるいは、療養環境を整える上で、花卉については非常に重要なツールになるというふうに考えているわけですけれども、厚労省の御見解をお伺いしたいと思います。

二川政府参考人 医療機関におきます生花の取り扱いについてのお尋ねでございますけれども、現行の法令におきまして、医療機関に生花の持ち込みを制限させるような法令はもちろんございませんし、それから、私ども厚生労働省から、生花の持ち込みを制限するような働きかけを行っていることもございません。持ち込みの制限は、各医療機関の判断で行っているものと考えております。

 ただいま委員御指摘ございましたように、花が療養環境に潤いを与えるものだということにつきましては、十分認識をしているところでございます。

 一部の医療機関が持ち込みを制限されている背景には、院内感染への懸念があるというふうに考えているところでございます。この院内感染につきましては、日本感染症学会のQアンドAによりますと、移植患者とか、あるいは重症のエイズ患者の病棟、そういったところ以外であれば持ち込みを制限することは不要である、こういうふうになっておりまして、特に一般の病棟で一律に制限する必要はないということが示されているところでございます。

 こういった生花の持ち込みに関しましては、個々の医療機関がこれらの専門家の見解も踏まえつつ判断をいただくべきものというふうに考えているところでございます。

濱村委員 病院において生花は非常に大事だということなので、個々の医療機関の取り決めだということではありますけれども、ぜひしっかりと振興していければなというふうに思う次第でございます。

 最後に、少し大臣にお伺いしたいと思います。

 日本版CCRCの必要性について議論を始められたというふうに伺っております。検討会も二回やられたというふうに聞いておりますけれども、まず、この日本版CCRC、この課題認識は何があって、だから検討を開始しましたよという、この課題認識はどのようなところにあって、それをどう解決できるような見込みがあるとお考えなのか、この点を御確認したいと思います。

石破国務大臣 CCRCといっても世の中の人はほとんど知らないので、コンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティー、つまり、継続してケアがあって、リタイアした人たちのコミュニティーですということであって、これは何度かお話ししましたが、五十代の男性の半分が実は地方に行きたいんだというふうに言っておられるということに着目をしているものでございます。

 つまり、六十代、七十代で御壮健な方ももちろんいらっしゃいますが、五十代というのはほとんど壮健なわけで、そういう方々に地方に行っていただいて、生涯学習あるいは生涯現役のような第二の人生というものを地方で築いていただきたい。

 しかし、そういう方だけではいかぬので、それがコミュニティーになって、例えば、地方の大学というのは、今、かなり学生さんが減ってしんどいわけですね。では、そういう方々が、もう一回生涯学習でそこで学習してみようか、若い世代と交流をしようか、そして、そこにおいていろいろな活動をすることによって健康な状態を維持することができないだろうかということで、アメリカでやっている一つのパターンなのですが、それは、アメリカのものをそのまま入れればそれでいいというものではない、日本に向いたそういうような活動というものができないものだろうかということで、今、多方面からやっておるところでございます。

 どういうような方なら入っていただけるのか。それが富裕層でなきゃ入れないということになれば、余り私は意味があるものだとは思っていません。そしてまた、それがコミュニティーを形成しなければ、意味があるものだと思っていません。

 このCCRCについては、私どもとして相当に力を入れて取り組みたいと思っておりますので、ぜひ、こうあるべきだという御提言を賜りますようにお願いを申し上げます。

濱村委員 もう時間も参りましたので、最後は質問はいたしませんけれども、私も実はこのCCRCは非常に大事だと思っておりまして、そもそも富裕層のみをターゲットにしているようなものではないということはまず前提としてやっていきたいなというふうに思っております。

 というのも、どうもアメリカの先例を見ていますと、そもそも、ゴルフをやりながらゆっくりと余生を過ごすというようなところに重きを置かれているような向きがありましたけれども、そこからさらに、それだけだと寂しい、飽きてくる、学ぶような場が欲しいというようなことで学びの場になっている。そして、米国でも大学生と交流をしているというような話でございますけれども、高齢の方が教える側に回るというようなことで、現役力を非常に高めておられるというふうにも承知しているところであります。

 一方で、継続的にケアをするということも非常に大事ということでありますが、アメリカと日本は公的な福祉環境が全然違うというところも非常に大きな論点であるかというふうに思いますので、まだ議論が始まったばかりであるというふうには思いますけれども、我々公明党としても全力で取り組みを推進してまいりたいということを申し述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 順序を少し入れかえまして、済みません、最初に、新型交付金の話について少し伺いたいと思います。

 まだ姿は見えていないんですが、地方版の総合戦略をつくったところに配っていくということだと思うんですが、恐らく、お金が来るということになれば、どの自治体も地方版の総合戦略というのをつくると思うんですね。

 そうしたときに、では、全部の自治体にどうやって配っていくのか。地方版の総合戦略の中にある個別の事業につけるというのであれば、従来の補助金とそう変わらない形になるでしょうし、計画全体につけていくということになれば、限りなく一般財源に近い形になっていく、交付税とどう違うんだという話になっていくと思うんですが、どういう姿を考えておられるのか。

 それから、規模ですね。補正で、先行型で千七百億円と、消費喚起型は地方創生のためと言っていいかどうかわかりませんが、地方のためということで二千五百億円、四千億円ぐらいのお金がついているわけです。来年度予算では一応それはない、再来年度以降に新型交付金、こう言われているわけですが、そこの切れ目がちょっと気になる。来年度、地方創生の種銭がちゃんとあるのかどうかということも気になります。その上で、翌年の規模がどうなるのか、あるいは財源がどうなるのか。

 ちょっとまとまりませんけれども、いろいろな疑問があるわけですが、今のところ、どういう見当で、どういうものを想定されておられるんでしょうか。

石破国務大臣 これは、二十八年度予算編成プロセスの中で、本格実施に向けて、委員が御指摘になったように問題は財源なのであって、財源をどこに求めるかということが、結局、規模感につながってくるわけでございます。

 それをつくるに当たりましては、当然のことながら、先行型交付金の実施状況、あるいは地域再生戦略交付金の実施状況、国の総合戦略における政策五原則、あるいは地方版総合戦略の内容、こういうものを見ながら決めていくことになります。

 ここは、地方の御要望は、自由に使えるお金がたくさんあった方がいいというお話になるわけで、それは確かにそのとおりだと思いますが、地方が自由に使えるお金がたくさんあればそれでよいのかといえば、それは必ずしもそういうことにはならぬだろう。ですから、今申し上げたようなことを勘案するということでございます。

 最も議論をいただきたいし、私どもも議論したいと思っていますのは、財源をどこに求めるかということでありまして、そこはひっきょう、今までのいろいろなことに手をつけざるを得ないということが起こると思います。そうすると、それはだめだ、一方において自由に使える交付金はたくさんあった方がいい、それはなかなか難しい話でございます。

 何が地方創生に一番寄与するのかという観点からこの議論は詰めてまいらなければいけません。答えを出さなければいかぬものでございます。規模感は財源に全て由来するものであります。

奥野(総)委員 今のお話を伺うと、既存の補助金の再編成みたいなニュアンスにもとれました。そして、一方で地方交付税というものがあるわけですから、これはいわば究極の一般財源ですね。それとも違うということになると、一定の政策目的の中の縛り。しかし、地方創生というのは政策目的としては広過ぎる気もするんですが、ブロック型の補助金、一定の政策目的のものについて自由に使っていいよというブロック型の補助金を、従来の補助金を再編成してつくっていくのかなというふうにとれます。

 ただ、その場合、ブロック型といったときには、どのブロックなんだと。民主党のときは公共事業というブロックを考えていましたけれども、地方創生というブロックというと、これはほとんど全てですよね。では、交付税と変わらないんじゃないかというふうにもとれます。

 ちょっとまとまりませんけれども、ブロック型の補助金を考えておられ、既存の補助金の再編を考えておられ、では、そのブロックというのはどういう単位で考えておられるのかというのを改めて伺いたいと思います。

石破国務大臣 そこにおいてはまだ議論の最中です。そこにおいて今ぱぱぱっと答えられるんだったら、話は簡単でよろしいわけでありますが。

 ただ、地方交付税の持っておりますところは、結局は、結果平等を志向するものでございます。それは財源調整機能というものが主な役割でございますが、それとは違うんだろうと思っております。従来型の地方交付税とは違うものをこの新型交付金というものでは目指していきたい。そこにおいて、それぞれの自治体の創意工夫というものがどれだけ生かされるものなのだろうか。結果として、全ての自治体が同じように発展し、同じように衰退してしまったというのは、これは私、補助金と交付税制度のプラスだった面というのは最大限評価をしますが、それが時代とは合わなくなっている部分が出てきているんだろうと思います。財源をどこに求めるかというのもこれから議論を始めるところでありまして、私は、今ここで予断を持って答弁をすることはできません。

 ただ、委員がおっしゃっておられますように、それでは、従来の補助金、それもまたハードとソフトとあるわけで、ここをどうしますかという話が実は議論の根幹だと思っております。それは各省のメンツがどうとかこうとかいう話ではなくて、何が地方の発展に資するものであるかという一点において議論を詰めたいと思っております。

奥野(総)委員 なかなか苦しいんですよね。今のお話を伺うと、地方交付税の配賦の仕方を改めても対応できるようにもとれますね。財源保障機能が行き過ぎている。財源調整機能はいいんでしょうけれども、財源保障機能が行き過ぎているから、そこで差をつけていくんだというふうにもとれます。しかし一方で、我々が志向していたような一括交付金型のものともとれますが、これは、一括交付金に戻そうという話ではないんですか。

石破国務大臣 私は、一括交付金を全て否定するつもりはございません。ですから、予算委員会でも答弁申し上げておりますが、それを十分参考にさせていただきたいと思っております。それを、さらにより使い勝手のいいもの、特にユーザーフレンドリーという観点から自治体にとって使いやすいものというものを念頭に置きながら、新型交付金の設計というものはしてまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 一括交付金も、新藤大臣がちょっと苦笑しておられましたけれども、結局いろいろ考えた末にああいうものが出てきたわけですね。だから、結局、地方交付税でいくのか、それは当然あるんだけれども、あるいはブロック型の補助金にするのか、あるいは縦割りの個別の補助金にするのか、この三つしかないわけです。

 個別の補助金は地方自治の観点からよくないんだという話になってきているわけですから、そうすると、まずはブロック型の補助金に行き、やがては交付税のような一般財源に統合していくのが流れだと思いますが、最後に大臣、そこはいかがですか。

石破国務大臣 論理的にはそういうお話だと思っておりますが、世の中、論理どおりにいけば誰も苦労しないということになるわけでございます。

 ですから、結局、議員も地方行政にお詳しいと存じますが、自治体の長が、なるべく規模の大きな補助事業、なるべく補助率が高い、なるべく自己負担が少ない、さあ、それをとりますということが何となく評価のバロメーターになっていて、それが身の丈に合わないもの、あるいは効果を現出しないものというのがたくさんありはしないでしたか、それがチェックの対象になっていなかったのではないですかということでございます。

 そこの自治体において最も使いやすいものは何だろうかということを考えたときに、お答えは、自由に使えるお金をなるべくたくさんという話になっちゃうわけですけれども、本当にそれでいいですかというところで懊悩しているわけでございまして、これはもう、与党がどうの、野党がどうのというお話ではなくて、どうすれば地方創生に一番いいのか、財源は何なのかということについて、私は今ここで断定的なことは申し上げませんが、四方八方丸くおさまるというようなことはなかなかないんだろうなと思っています。

奥野(総)委員 おっしゃるところは、まさにそれは政治の役割だと思いますが、民主党がやった一括交付金だからだめだというのではなくて、やはりロジカルにいったときに、一括交付金型のもの、名前を何と言うかはともかく、それを排除することはできないと思いますので、予断を持たずにしっかり議論を進めていただきたい、地方のためになるように御議論いただきたいとお願いを申し上げます。

 次に、地方人材支援制度、三月二十日にプレス発表になっていますけれども、これについて伺いたいと思います。

 どういう仕組みを考えておられるのか。国からの出向というのは従来からあるわけですね、私も旧郵政省から横浜市に行ったことがありますけれども。こういう仕組みは従来からあるわけでありますけれども、これとどこが違うのか、何を狙いとしているのか、伺いたい。

石破国務大臣 まさしく委員が中央官僚として横浜に行っておられたように、調べてみると、国の官僚というのは地方に行っているんですけれども、大体、都道府県か政令指定市か大きな市かということに限られておって、人口五万人以下というところにはほとんど出ていなかったということであります。

 ですから、何々県の何々部長さんは何々省みたいな形で、一種指定席みたいなところがあったんじゃないか。それを全面否定するつもりはありませんが、今回は、まさしく人材を必要としている五万人以下の自治体を中心にしたものでございます。そしてそれも、国からこの人が行きますよという話じゃなくて、どんな人が欲しいですかということで自治体から手を挙げていただき、行く側も、自分はこういうことをやりたいんだということで、うまくマッチングをしなければ行っても意味がないということでありまして、五万人以下のところに中心を置いたということと、マッチングを行ったというところ、そこが特色だと思っております。

奥野(総)委員 次の質問にも通じるんですが、レクのときに伺ったときには、百四十一カ所の自治体から手が挙がったと。しかし、実際に発表されたのは六十九カ所ですね。

 どういうふうにマッチングを行って、どういうふうに人材を当てはめていったのか、伺いたいと思います。

小泉大臣政務官 おっしゃるとおり、多くのところから、マッチングを求めるというか、人材が欲しい、そういったことがありました。

 ただこれは、おっしゃるとおり、行きなさいというものではなくて、まずその意欲を本人が持たなければ、行っても逆に自治体の御迷惑になると思いますので、自分は地方のために尽くして仕事がしたいんだ、そういった人材を、霞が関、そして民間のシンクタンク、そしてまた民間、そういったところの方々に手を挙げていただいて、なおかつ、欲しいという自治体側が、総合戦略の推進に向けてどのような施策を重点的にその人材にやってもらいたいか、そして、霞が関の人材が欲しいのか民間のシンクタンクから欲しいのか、そして、常勤が欲しいのか非常勤が欲しいのか、そういったものを含めてマッチングを、基準を設けずに、思いが合致する、まさにお見合いのような、そういったことでやらなければ、これは、最終的に受け入れる側も行く側も双方不幸なことになっては一番よくないと思いましたので、その結果、百四十一の自治体から欲しいということがありましたが、結果として六十九、そういったことでマッチングをさせていただきました。

奥野(総)委員 今のお話を伺うと、役所の方にも照会をかけて、行きたいという人を募った、そしてその自治体のニーズに合う人を選んだということですけれども、プレスを見ると、人数は大体、三名、三名、三名とか、総務省とか農水省、国土交通省が多い。地方に多く人を出しているのは、総務、農水、国交だと思うんですね。ほかの省はそれほど、文科なんかは教育委員会なんかに出している場合もあると思いますけれども、何となく従来の派遣の割合に沿う形で出ているようにも見えるんですが、これは、各省に人数を割り振ったということはあるんですか。

小泉大臣政務官 それは全くありません。本当に、それぞれの思いで手を挙げていただいた。

 ただ、役所も、なかなか人を出すというのは厳しいものですから、最初の方は二十五名ぐらいを出してきました。しかし、あけてみれば、地方自治体の方からは、相当多くのところから国家公務員を欲しいと。そういったことに基づいて、さらに上積みをこちらからもお願いして、もっと本当に行きたいという人材はいないのか、出していただけないかと。そういった結果、この四十二名が国家公務員から派遣をされることになりました。

 ですので、結果として、総務省が八名、国交省が八名、農水省が七名、これが多いところですけれども、例えば防衛省なんかが入っていないのはよく御理解いただけると思うんです、防衛省をまちづくりに下さいという形にはなかなかならないと思うので。まさにそれは、機械的に各省に何人くれ、そういったことではない形で、本当に要求ベースでこういった形になりました。

 あとは、これからこういった人材が、マッチングの末に行ったわけですから、しっかりと現地で役割を果たしてくれることを期待しています。

奥野(総)委員 重ねて伺いますけれども、従来から国から行っていたポストを振りかえるようなことはないと伺っていますが、一カ所だけあるのかな、その数を伺いたいと思います。

小泉大臣政務官 いわゆる振りかえみたいなことは、今回、来月そして再来月に派遣される人材に関しては、振りかえに当たる人材というのは一件もありません。

奥野(総)委員 国交省で一部あるというような話もありましたけれども、あっても一つか二つということのようです。

 もう一点気になるのは給与の面ですね。人口五万人以下だと、俸給もそんなに高くないんだと思うんですよ。

 そのときに、まず伺いたいのは、その給与をどちらが持っているかという話と、地方が持つんだとした場合に、国から行く場合に給与が下がってしまうんじゃないかというところがあると思うんですが、その辺、補填をするのか、あるいはそれに見合う若手が行っているのか、どうなっているんでしょうか。

石破国務大臣 給与は、国は持ちません、自治体でお払いをいただきます。

 これはやはり、そこは、自治体の皆様方の納税によって自分は働いているんだという意識は極めて重要だと思っておりまして、俺はあんた方から給料をもらっているんじゃないからねというような捨てぜりふを吐かれると、なかなかぐあいはよくないと思っております。やはり一体感を持ってその地域の方々のために働こうということであるならば、その地域において、そこの納税者の方々のために、タックスペイヤーのために働くんだというような意識は必要かというふうに考えておる次第でございます。

 待遇というものが極度に変わることがないように、そこは配慮してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 ちょっと気になるのは、係長さんまでのような若手しか行けない、ポストによって違うんでしょうけれども、待遇面が下がってしまって余りシニアの人は行けないとか、そういうことになったときに、そういう知恵が活用できないというのがちょっと気になるんですが、今度派遣されている方はどのクラスの方が行っているんですか。

小泉大臣政務官 今回、特に霞が関の人材に関して言えば、二、三十代、四十代の方々がメーンになっていますが、これは、確かに、霞が関で経験を積んでそれなりの方というのは知恵もあるし経験もありますが、一方で、まちづくりに対して本当に必要な人材というのは、国の役人だとかそういった意識ではなくて、一緒になって汗をかく、そういった人材でなければいけない、そういった思いがありました。

 当初、この制度の中で、一つ、結果として先駆的な例となったのは、東北の東日本大震災のときに、今まで国家公務員が行ったことがないような小さな沿岸の自治体にも国家公務員が派遣をされて、副首長として、また町の役場の人間として、一緒に汗をかいて働いたという事例がこの制度の参考になりました。

 それを意識したときに、やはり若い方々で、意欲を持って一緒になって汗をかく、そんな人材を送って、その方々に働いていただきたい。そして、おっしゃったように、先輩方の方が知恵やノウハウがある場合、その方々の知恵をどうやったらかりることができるのかということも若い方々はできると私は思いますので、これから、そんな、一緒に汗をかく、そういった人材としての活躍を期待しています。

奥野(総)委員 ちょっと気になるのは、やはり役所が多くて、この制度のある種新しいところというのは、民間の方もあっせんしていこうということだと思うんですが、でも、結局、見ると役所が多いんですよね。それは、行政に精通しているという意味でやむを得ない部分があるかもしれないんですが、さっき言った民間のシンクタンクとかあるいは大学とか、そういう知恵も、役所と違う視点でむしろ必要だと思うんですね。中央省庁の知恵もあるのかもしれませんが、また違う視点という意味で、地方創生をやるにはやはり民間の知恵の方が私は有効な部分があると思うんです。

 そうすると、ちょっとこれは人数が少ない気もしますが、これは公募をかけたんでしょうか。そして、何人の方の応募があって、どういう選考で二十七人の民間の方というのは選ばれたんでしょうか。

小泉大臣政務官 この民間の方々も公募をかけております。

 先生の御地元の千葉県にも今回三名が地方創生人材支援制度で行くことになりますけれども、その千葉県に派遣される三名のうちの二名は民間の方でもあります。例えば、民間のシンクタンクの方で滋賀県の米原市に行く方もいますし、徳島県の三好市、そして大学の方でまちづくりをやっている方は、三重大学から行かれる方もいらっしゃいます。

 こういった、もともと民間の中でまちづくりなどにかかわってきた方々、例えば、今回、民間の中で、あとは広告代理店の方なんかもいますけれども、そういった方々には意欲を持って働いていただきたいですし、今回、確かに霞が関の人材が多いんですけれども、やはりそれは、民間の活力を活用してくださいといってこちらが自治体に押しつけるというわけにもいかず、自治体に、民間も含めてどういった人材が欲しいですかとお伺いをしたところ、一番欲しいと言われたのが霞が関の人材だった。ですので、それに基づいて派遣をするということになった結果、六十九名のうち多くは霞が関のメンバーで、こういった構成になった、そういったことであります。

奥野(総)委員 今の質問にちょっと答えていただいていない部分があるんですが、公募したときに何名応募がありましたか、そして、そのうち、例えばどういう選考でどういうふうに選んだのか。これは、きのう、レクのときには私は話をしていたつもりなんですが。

石破国務大臣 済みません、不手際で恐縮です。今、数字を調べております。

 それは、これからこの制度は拡充したいと思っているんです。今回、シンクタンクに限りましたが、何もシンクタンクに限ることはないだろう、金融機関であってもメーカーであってもそういう方はおられるはずなのであって、やはり、委員も実感しておられるとおり、とにかく霞が関でもぎりぎりまで人数を絞っていますので、なかなか人が出しにくいというところはあります。民間でも人が余っているわけではありませんが、民間のノウハウというものを使いたいという方は、金融機関やメーカーにも大勢おられる。そして、先ほど答弁で申し上げましたが、五十代の男性の半分は地方に行きたいというふうに思っておられるわけで、これをさらに民間に拡充したいというふうに思っております。

 ただ、今回、民間にも公募をかけましたが、山ほど応募があって、その中からえらく厳選したという感じではなくて、やはり最初ですからこれぐらいだろうなというような数であったように記憶はいたしております。

小泉大臣政務官 済みません、時間がかかりました。

 大学研究者からは五十四名の応募がありました。そして、今回、結果として十五名が送られることになった。そして、民間人材については三十一名です。そして、そのうちの十二名が今回派遣される。そして、内訳になると、六十九名のうち、国家公務員が四十二、そして大学が十五、民間が十二、計六十九、そういった内訳になっております。

奥野(総)委員 ありがとうございました。

 そこそこに応募はあったということだと思うんですが、この仕組みは、ちょっと気になるのは、悪く言うと、やはり国の役人の出先がふえたというふうにもとれるわけですね。そう言われないためにも、やはり民間の比率を上げていくべきだと思うし、民間の知恵を使うべきだと思う。

 私は、国の役人は一切行くなと言うつもりはありませんけれども、役に立つのは、私自身も行ったことがありますからそうなんですが、やはり民間の人にアドバイザーで行ってもらう。

 そして今回、地方版の総合戦略をつくっていただくわけですが、コンサルに丸投げだというふうな批判も、本当かどうかわかりませんが、一部出ています。結局、それぞれの市町村、自治体できちんとそういった企画を立てられるような人材を育てていくことが大事だと思うんですね。これがなかなか育っていないということが、今回こういう制度を入れなきゃいけない問題だったというふうに思います。いつまでも、国から送って、その人がやって帰ってしまうんじゃなくて、自前でつくれるような人材を市町村がどうやって育てていくかというのが大事であります。そういう人材が育つことこそ、実は地方創生の鍵じゃないか。自分たちで考えて企画ができるような人材を育てることが地方創生の鍵じゃないかと思うんです。

 そういう人材がいらっしゃるところはやっているんですね。私もいろいろなところに行ってきました。地方を見てきていますけれども、そういうとんがった人がやっているところはやれているんですよね。そういう人をどうやって発掘し、どうやって育てていくかという意味で、民間の人材を活用すべきだというふうに思います。

 私が横浜に行ったときは、横浜市は、国の役人は要らないんだと、ラインには置いてくれません。スタッフ職として国から予算をとってこい、そういうふうに言われて、考えるのは俺たちだというのが横浜市でしたね。彼らは、きちんと人材もいるし、自分たちは日本一の町にするんだという気概を持って、今からもう二十年近く前ですけれども、やっておられました。そういうふうにしていかなければいけないと思う。

 そういう意味で、やはり民間の方、これはという方をそういう小さな町にも派遣して、彼らの知恵を吸収してもらって、自前で立てられるようにするのがあるべき姿だと私は思います。

 そこで、この質問の中で最後になるんですが、そうすると、やはり給与の問題が出てくると思うんですよ。人口五万人の町の俸給表で、例えば顧問とか参与とかで来てください、東京から、あるいは一流のところから人材に来てくださいと言ったって、なかなか来られないと思うんですよね。そうすると、例えば民間の方が行く場合、その俸給表に少し上乗せをするとか、そういう仕組みをとって、いろいろな人材を地方とマッチングさせていくべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 それは、まだ始まったばかりですから、これからまた改善の要はあるだろうと思います。

 ただ、そこの自治体に行って、その俸給表とはまた違う給与というものが、身分はその自治体の職員になるわけですから、そうすると、正直言って、それってどうなんだろうねという気がしないわけではありません。給与が下がるので俺は行きたくないという人は、行かなくたっていいんですよ。給与が下がったって俺はやりたいんだという人、もちろん極端な差が生じないように配慮はいたしますが、それは国会議員でもそうじゃないですか。給与ががんと下がるのに、俺は国会議員をやるぞという人も大勢いるわけですよね。何も人はパンのみで生くるにあらずであって、やはり自分がそういうことをやりたいということで応募をする。

 こういうことですよ、地方の自治体の職員なんですよということで、公務員ですから、俸給表も御存じの上で手を挙げられるわけです。地方に行って仕事はしたいが、待遇は国にいたときと一緒という方は、さてさていかがなものであろうかねという気が正直言ってしないではありません。

奥野(総)委員 パンのみにて生きるにあらずかもしれませんが、やはりパンも大事なので、そこは、この制度をより発展させるために考えていただきたいというふうに思います。

 次に、研究機関等の地方への移転の話ですけれども、国の機関の移転というのは過去ありました。あるいは、一極集中の是正という話も過去ありました。こういう国の機関の地方移転についての過去の経緯、それから、今回、そうした過去の制度とか過去の経緯と比べてどこがどう違うのか、どういう狙いで、どういう意図でこの政府関係機関の地方移転について今検討しているのか、伺いたいと思います。

石破国務大臣 これは、民間に対して本社機能を地方へ移転してくださいというお願いをしているわけですよね。工場については別の立法がございまして、これでやっているわけですが、民間の本社機能とか研究開発部門に地方に行ってくださいというふうに言っているわけで、民間にそう言うんだったら、国は一体どうなのよということが必ず問われる。それは国の本気度が問われるんだと思っております。

 では、国が、これはあそこ、これはあっちというふうにはなかなかならぬだろう。なぜならば、その地域に何が一番いいかは、その地域が一番御存じなのではないだろうか。先ほどのマッチングと似たような話なんですが、それぞれがごらんになって、これはうちに来た方が東京にあるよりもよほどいい効果をあらわすのだ、発現するのだということを地方の方に言っていただきたいんです。

 ついては、それぞれの国の膨大な機関が、どのような人がいて何をやっており、どういう業界と関連があるかみたいなことを全部お示ししました。それを地方の方から、そうだ、これはうちに来た方が東京にあるよりもよっぽどいいのだということをやらないと、話は前に進まないだろうということでございます。

 とにかく隗より始めよだし、地方の方から、まさしくこれはここに来るべきだということを言っていただくということが大事なのではないか。私は、やはりそういう地方からの発意というものが極めて重要だと思っておって、それが今までと最も異なる点だと思っております。

奥野(総)委員 これは、スケジュールとかプロセスはどういうふうになっているんでしょうか。どのような時間感覚で、いつまでに、あるいはどういう機関をというのを具体的に言っていただきたいと思います。

石破国務大臣 これは、三月三日、今月の三日から道府県等からの誘致提案の募集を開始し、この十三日に道府県に対して説明会を行ったところでございます。

 今後、八月の末までに条件整備の案を付した御提案をいただくということになっておりますが、議会の承認あるいは施設関係者との契約などを済ませる必要はございません。また、提出後に提案内容を差しかえることもできるということにしたいと思っております。

 その後、そのような御提案を精査し、論点を整理した上で、十一月ごろに政府としての統一的な移転の方針を決め、その後、具体の移転機関についての議論を行い、来年三月までに私どもの創生本部におきまして移転機関を決定してまいりたい。

 スケジュール的にはこのようなことを考えております。

奥野(総)委員 私も移転はあっていいと思うんですが、具体的にちゃんと成果が出るかどうかということが大事だと思うんですね。なかなか難しい話ですよね。

 例えば移転の費用の問題というのは、これは国が全部持つんですか。

石破国務大臣 国が全部持つわけではございません。基本的には自治体において条件の整備等を行っていただきたいと思います。もちろん、国が負担すべきものは国が負担をさせていただきますが、全額国が持つというわけではございません。事柄の状況に応じまして、地方に御負担をいただくべきものは当然御負担をいただくことになります。

奥野(総)委員 そうすると、地方が、身銭を切ってという言葉がいいかどうかわかりませんが、それだけのメリットがある機関、彼らがそう考える機関を誘致するということだと思うんです。

 リストの話に戻ります。予算委員会で我が党の渡辺周先生の方から質問があったと思いますが、三月三日時点のリストを見ると、種子島のロケットから「もんじゅ」まで、ここにありますけれども、いろいろなものが入っているということなんですね。これは、どういった経緯でこういうものまで入っていたのかということと、あのときたしか、改めるとおっしゃっていて、では、どういうふうに改めたのかということを伺いたいと思います。

石破国務大臣 渡辺議員の御指摘を受けまして、今回の提案募集の目的は東京一極集中の是正であるということに鑑みた場合に、そうすると、主たる検討対象は東京圏に所在をするというふうに想定をされますので、先ほど申し上げました三月十三日に開催いたしました道府県に対する説明会では、東京圏、すなわち東京、埼玉、千葉、神奈川に所在するもののリスト九十五組織、及び参考として東京圏周辺に所在するもののリスト二十八組織、これを改めてお示ししたところでございます。

 ですので、私は、渡辺さんの御質問を聞きながら、それはそうだよね、種子島というのは幾ら何でもここに載っけるのは私どもとして配慮が足りなかったなと深く反省をいたしたところであります。

 目的が東京の集中是正ということであるならば、やはりそれに沿ったような提案募集をしなければならないということで、先ほど申し上げたような改善を図ったところでございます。

奥野(総)委員 予算委員会で十分やっていますから余り言ってもしようがないんですが、そもそもそういうのが出てしまうと、やる気が疑われる、本当に絞り込んでいるのかという話になると思うんですね。

 確かに改まっているんですが、レクのときに伺った話だと、国の研究機関が主だと。独法ですよね。では、どういうメリットを考えているのというと、国家公務員が行くだけですから、雇用という意味では恐らくふえない。地域経済に若干、移住してくるので、少し消費がふえるのかもしれませんけれども、雇用という意味では恐らくふえないという中で、では、どこがメリットですかと伺ったら、研究機関などと地元の産業なんかとがうまくリンクすることがあるんだというお答えをレクのときにいただいたんです。

 しかし、国の研究機関というのは基礎研究が結構多いわけですから、その基礎研究をやっているところを引っ張ってきて、地元と本当に結びついていくのかというところもあります。

 あと、これを見ると、自衛隊の学校なんかも今回リストに載っているんですね、陸上自衛隊研究本部、幹部学校、高射学校。この高射学校というのは、うちの地元にあって、地元に結構親しまれているところなんです。

 こういったものも載っているんですが、これはどういう意図で載っているんでしょうか。このリストの考え方ですね。

石破国務大臣 我々として、予断を持ってこれは載っけるとかこれを外すとかいうことは、今回あえていたしておりません。大体考えられるものは全部載っけた。ごらんになって、これは要らないよねという御判断をいただくのは地方なのであって、私どもとして、最初からこれを外す、これを入れるというような作業はあえて行わなかったものでございます。

 自衛隊の学校にもいろいろございまして、例えて言えば、航空自衛隊の幹部学校というのは奈良にあるんですね。これを奈良基地というふうに言っております。別に飛行機があるから基地なわけではございません。その幹部学校でも奈良県にあるんだということがございます。それで、随分といい教育を行っております。これはもう地方が御判断になることでございますが、例えば目黒地区というのがございまして、ここには、防衛研究所もある、あるいはいろいろな研究機関もあるということでございます。

 ですから、それをごらんになって、これはどうなんだろう、さらに環境もいいしとか、いろいろなことがあるのかもしれません。私どもとして、予断を持たないでこのリストをつくったということは御理解いただきたいと存じます。

奥野(総)委員 例えば、うちの千葉市だと放射線医学総合研究所というのがあるんですね。結構有名なところなんですが、これは、地域医療再生計画でがん対策の中核医療施設と位置づけられている。こういうものを持っていかれると、地域としては非常に困るわけです。こういったものも載っかっています。

 言いたいのは、一極集中の是正というのであれば、これは国の話ですから、やはり国がこれは出すんだということをまず決めないと、いや、地方が手を挙げてくださいと言ったって、なかなか動くものじゃないと思うんですよ。まず、この施設とこの施設とこの施設は動かしていいという判断をきちんと国がしていかないと、実際、結果に結びつかないと思うんですよね。

 過去もそうでしたよね。さいたま新都心にいっぱい移転していますけれども、過去もそういう形で、各省に出せということでやった経緯があります。昔、首都機能の移転という話もありました、これは頓挫していますけれども。本当に一極集中の是正ということをうたうのであればそこまでの覚悟が必要だし、あるいは、首都機能移転が無理なら、あるいは国会等機能移転が無理なら、各省にこれは出せということをやはり大臣が音頭をとってやらないと、この話は進まない。地方に委ねているのは、ある種、僕は国の責任放棄だと思うんですよ。そのあたりはいかがですか。

石破国務大臣 そういう御指摘は当然あるだろうと思います。

 ですから、地方の方がどれだけ本気でこういうものが来るべきだというふうに考えていただくか、これをどう考えるかなんですが、国が何かしてくれるのを待つということだけではなくて、地方の方から、本当にこれが来るとうちはよくなるねというのがあるかもしれません。少なくとも、そういう取り組みは今まで一度もやったことがないんです。

 私どもとして、こういうものがあります、ここはこんな機関ですということを全部お示ししました。そこを地方の目でごらんになって、例えば、中小企業庁は大阪にとか、あるいは文化庁は京都にとか、復興庁は福島にとか、そういう話は今までに何度もあった話ですよね。だけれども、それが具体化されていないのはなぜだろうかということを考えたときに、それは、私は別に決まり事みたいに言っているわけじゃないですよ。でも、地方の方から、これはこうあるべきだということがあってもいいのではないだろうか。いやいや、ここになければ絶対だめなのだという挙証責任は国が負うんだと思うのですね。ですから、そこは、新しい展開というものをやってみなければ、事は前に進まないと思っております。

 平成の初めごろにいろいろな機関を移しましたが、大宮とか横浜とか、結局首都圏の中に移しただけだったということでございます。そういうところに勤めておられた方々の居所は決して動くことはなかった。霞が関に通うのが大宮に通うようになった、霞が関に通っていたのが横浜に通うようになったというだけの話であって、これをさらに一歩前に進めていくためには、地方から御提案をいただき、それがだめだというのであれば、その挙証責任は国が負うというやり方があってしかるべきではないかというふうに私は思った次第でございます。

奥野(総)委員 先ほどの民間人材の活用についてもそうですし、この件についてもそうなんですが、やはり大臣としてリーダーシップを示す、それは、財源の話もありますし、地方への移転の話もありますけれども、やるんだと、やはりリーダーシップを示すところが必要だと思うんですね。地方分権の話だから地方任せというのは、ある種聞こえはいいんですけれども、やはり責任を分けて、国がやるべき部分は国がしっかりやっていく、そういうリーダーシップを求めて、終わりにしたいと思います。

 以上です。

鳩山委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党、緒方林太郎でございます。

 地方創生特、初バッター立ちということで、大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 きょうは、地方分権、特区、さらには予算編成における地方分権のあり方といったテーマについて、四十分間議論をさせていただければと思います。

 地方分権というのは、もう長らく取り組みが行われていて、国から地方へということでいろいろな分権が行われているわけであります。

 その中で、国が取り組んでいないというわけではありませんが、一生懸命取り組んでいるということはよく知っておりますけれども、私、政令指定都市に住んでおりまして、政令指定都市というのは、五大都市制度からスタートをして、実は私の選出であります北九州市というのは六番目でありますが、そこから広がって、今、二十だと思います。そういう政令指定都市に住んでおりますと、国と地方というだけではなくて、道府県と政令指定都市という関係が非常に気になるというか、そっちの方がむしろ気になるぐらいであります。

 地元でいろいろな陳情事とかを受けたりして、それを調べていくと、途中までは、ここまでは市ですと、けれども、突然県がぽこっと出てきて、いや、政令指定都市というのは県並みの権限を持っているはずだから、これぐらいのことはうちの町でやれないのかなと思って見ると、いや、そこからは県ですと言われて、突然、頭の中に、はてなマークがたくさんできるということがございます。

 よく道府県と政令指定都市の間に二重行政があるというふうに言われているんですが、ここでお伺いをいたしたいのは、二重行政というのは同じ事務を道府県と市がやっているということを意味するんだと思うんですけれども、そういう、同じ事務を二つの地方自治体がやっているというような事例がそもそもあるんでしょうか。

佐々木政府参考人 まず、都道府県と指定都市の権限配分でございますけれども、市町村は住民に身近な基礎自治体としての事務をやっている、一方で、都道府県は広域にわたる事務、あるいは規模、性質において一般の市町村が処理することが適当でない事務を処理する、こういう形でございます。その中で、指定都市は、人口規模等が都道府県と遜色がございませんので、都道府県の事務のうち一定のものを処理する、こういうことになっておりまして、例えば、児童相談所の設置でありますとか、指定区間外の国道、県道の管理といったものを処理しているわけでございます。

 今、二重行政といった指摘でございますけれども、例えば、同一の、類似の公共施設を県と指定都市で実施している例、あるいは、行政分野が密接に関連するようなところで都道府県と指定都市がともに事務を担っている、こういった事例があると承知をいたしております。(緒方委員「具体的に何かありますか」と呼ぶ)例えば、指定都市が下水道を整備していて、一方で県が河川の管理をしているとか、こういったことが、関連をしているといったような事例があると承知しております。

緒方委員 そういう重なっているものというのがあり、けれども、多分、大宗においては、重なっているというよりも物すごく権限がふくそう化しているということであって、それを二重行政と呼ぶかどうかというのはあると思いますけれども。

 ただ、繰り返しになりますけれども、政令指定都市に住んでいると、本当に、何でここで県が出てくるのかなと思うような違和感を持つことが非常に多くて、そもそもこの政令指定都市制度というものが、何か、政府全体として統一的な考え方に基づいて、統一的な基本的な指針みたいなものがあって、それをどこかが統括していて、これは県だ、これは政令指定都市だというふうにやっている、そういう全体としての整理というのはあるんでしょうか。

佐々木政府参考人 先ほども御答弁申し上げましたけれども、指定都市が人口規模等において都道府県と遜色がないということを踏まえまして、都道府県の事務のうち一定のものを処理するということで、先ほど申し上げましたような具体例の都道府県の事務が指定都市に移譲されているということでございます。

 また、先ほど二重行政ということでございましたけれども、そういった、指定都市と都道府県が二重行政の問題があるという議論が地方制度調査会でもございまして、二十六年の地方自治法改正で、指定都市と都道府県が事務処理について必要な協議を行う場を設けるといった改正もなされたところでございます。

緒方委員 一定のものと。そこは、要件がいろいろ書いてあるんだと思いますけれども、結構幅があるんだと思うんですよね。幅がある中で、別に全てを総務省で見ているわけでもないし、それぞれの所管の法律というのは各省に分かれていて、そして、その法律の中で、それぞれの省庁が一定の要件のもと判断をした上でやっているということなんだろうと思うんです。

 第四次一括法で非常に道府県から政令市に権限を移したとかいうことがありましたけれども、やはり、それというのは、一定の仕切りをしたけれども、それはもう道府県でやってもらう必要はないと。まあ、時代の変遷もあるんだろうと思いますけれども、そういった中で、政令指定都市にどんどんどんどん権限を移していくということであります。

 例えばですけれども、地元の例を出してあれですけれども、我が町北九州の中に紫川という二級河川、二級水系が一つございます。この川は、上流から下流まで全部我が町におさまっている、そういう河川であります。ただ、二級水系ですので、県がそれを管轄する。ただ、実務上、市街地に近いところとかは政令市がやるということになっていて、そうすると、上流でダムのところを管理しているのが県で、間に市が入って、最後に海に出ていくところはまた県でやるというような、そういう仕切りになっています。

 それが河川法の仕切りなんだというふうに思いますけれども、一つの市の中に全てがおさまっていて、それを県がということになると、私は、どうしても違和感が拭えないんですね。本当にこれを県がやらなくてはいけないのかというようなことがあるわけですけれども、大臣、所管外ですけれども、今の事例についてどう思われましたでしょうか。

石破国務大臣 まさしく所管外ですが。

 要は、河川法第十条第二項というのがあって、これを読んでみると、都道府県と指定都市が十分調整した上で、都道府県知事が指定都市の長の同意を得て区間を指定することにより、指定都市の長が行うこととすることができるようになる。それは、何ができるようになるかというと、指定都市における二級河川の管理、こういうことなんだそうです、法律は。

 とすると、北橋市長と福岡県知事さんが協議をされて、もうこの管理は北九州市がやるんだというふうに言っていただき、知事がわかりましたということであれば、それは解決するのではないだろうかということです。

緒方委員 とどのところそういうことなんですけれども、なかなかその協議が進まないというか、国土交通省の方に持っていくと、国土交通省の方に法律で仕切ってくれないかと言うと、いや、もう協議してくださいというふうになっていて、何となく、この協議というところが若干ぬめっとしたところがあって、非常にやりにくいということがございます。

 この政令市と道府県の関係について、今のような話だけではなくて、いろいろなところに、ふくそうしていると私はいつも思っているんですけれども、重複しているというよりもふくそうしているということで、これを今後どうしていくのかというそのビジョンについてお伺いをいたしたいと思うんです。二つの考え方があるんだろうと思います、道府県と政令指定都市の権限関係をどう整理するかということについて。

 現在、大阪において、大阪都構想ということで議論が進んでいますが、あれは、いろいろな背景があってああいうことが進んでいるんだとは思いますけれども、府と市の権限関係というのが一つの要因であることは、これは当事者はもう皆さん方そう言っていて、大阪府というのがある中に大阪市という物すごく強い自治体があって、それがかなりの部分に、大阪府が権限を振るえるところが非常に少ないという状態で大阪市が存在している。大阪全体を見たときに、全体として調和を保っていく、全体として大阪府が見ていこうとするときになかなか難しいというような政令指定都市と府の関係を、これは、大阪都構想というのは、政令市と道府県の関係というのを、もう一度府に権限をぐっと寄せる形でその問題の解決を図っていく、そういう手法だと理解をしています。これはこれで私は一つの手法だというふうに思います。

 その一方で、政令市と道府県の権限を整理するやり方として、第四次一括法でも多くの権限が政令市に寄せられたように、いや、そうではなくて、この問題は、ふくそうしている政令市と道府県の関係を、むしろ政令市側に権限をぐっと寄せることで、さらに寄せていって、そして、本当の意味で、道府県と同等、ほぼ同じ、場合によっては道府県の存在がほぼ必要ないぐらいのところまで権限を寄せて、そして解決していく、そういうやり方もあるんだろうと思います。

 この二つについては、ベクトルが逆を向いているというか、どちらに権限を寄せることによってこの問題を解決していくかという意味においては、ベクトルが二つ逆を向いているわけでありますが、石破大臣、この件についてどうお思いになられますでしょうか。

石破国務大臣 どうも大阪都構想の話になると話がややこしくなるので、先ほどとかしき委員にも総論をお答えしたとおり、これはあくまで手法というか手段なのであって、それ自体が目的ではないということは言うまでもございません。

 ただ、基本的に言えることは、住民に身近なところに権限は移した方がいいということは、それは言えるんだろうと思います。ですから、都道府県に寄せるのではなくて、政令指定都市に寄せるという方が手法としては正しいんだと私は思っております。

 ですので、これから、地方自治体、特に政令指定都市からの御提案も受ける形で、住民に身近なところに権限を寄せていくというようなことを進めていくのが基本的なあり方だと私は思います。

緒方委員 私も政令指定都市に住んでいて、そういった形で、本当に不思議なところに浮島のように県の権限がぽこっとあって、それに戸惑うということが時々あるわけでありまして、政令指定都市の方にどんどん権限を寄せていくという方が何となくいいのかなという気がいたしております。

 特に、これは特定の道府県の名前を出すと余りよくないのかもしれませんけれども、一つの県の中に政令指定都市が二つ以上あるところというのが、神奈川県は三つですね、横浜、川崎、相模原、そして静岡県が静岡市と浜松市、そして大阪が大阪市と堺市、そして最後に我が福岡県でありまして、福岡市と北九州市ということであります。

 私、今、大阪都構想を進めておられる方のお気持ちというのも何となくわかるような気がしていて、一つの県の中に、そういう強大な、力の強い市が二つ、ばこんばこんとあると、時に、これはパーソナルな関係なのかもしれませんけれども、県知事と市長が仲が悪いとか、そういうことになったときに、県の中の全体を見た発展を考えるときに一体性を生み出すことが非常に難しい。これはどこの道府県を指しているわけでもないですけれども、そういったことがあるということで、場合によっては、国と地方だけじゃなくて、国と県と政令市と、三重行政になっているようなところもあったりします。

 私の地元で一級水系が一つあるんですけれども、それの支流のところで、非常に短い川なんですけれども、市、県、国と何か割れていて、たった数キロの川なんだけれども、その開発の話をするときになると、市の河川担当が来ました、県の河川担当が来ました、そして国土交通省が来ましたということで、それぞれ担当している方は、別に悪意でも何でもないし、みんな一生懸命に頑張っている。

 だから、それを批判するつもりはないけれども、ただ、結果として見てみると、どう見ても、この数キロの川を管理するのに三つの主体が出てくるということはおかしいなと思うので、これは答弁を求めませんけれども、これから地方分権を進めていくときに、時によってそういう三重行政が起こることがあるし、これが非常にいびつな状態になることがあるということは、大臣、ぜひ意識に置いていただければと思います。

 それでは、質問を移しまして、特区についてお伺いをさせていただければと思います。

 今国会には、国家戦略特区で法案が上がってくるというふうに理解をいたしておりますが、特区と言われるその手法というのは、小泉内閣のときから進んできていて、その呼び名はいろいろな形で、個別の特区であったり、構造改革特区、民主党時代の国際戦略総合特区、そして今の国家戦略特区ということで、いろいろな名前があるんですけれども、これは私は一度見たことがあるんですが、例えば、我が福岡県で特区というのがどれだけこれまで十何年間行われてきたかというと、物すごい数のものがプロットされているんですね。物すごい数のものをプロットされていて、それを知事に見せたら、もうびっくりして、こんなにあるんですかというぐらい行われてきた。

 特区がこれだけ行われてきたその効果がどうであったかということと、そもそもこの特区という手法というのは、やはり、国全体で本来制度改革をしていくものの、それを国全体でやることが難しいからまずここで試験的にやってみようということで、どちらかというと、基本と例外があるとすると、例外というか若干イレギュラーな形でやっていくということなんですが、この手法を本当にこれからも続けていくのがいいのかなというふうに思ったりします。

 本筋であれば、本当であれば、やはり国全体で制度をばっと改革していく、そこに取り組むのが筋だと思うんですけれども、特区制度の意義について、大臣、どう思われますでしょうか。

石破国務大臣 それはいろいろな規制があって、それはその時代には適合していたものであったとしても、時代に全然合わないということが出てきて、しかしながら、オール・ジャパンでやると余りに抵抗が強いので、まずこの地域でやってみましょうかというのが特区のやり方だと思っております。

 ただ、それが特区だけでなきゃだめかというと、必ずしもそうではなくて、「日本再興戦略」改訂二〇一四、平成二十六年六月二十四日閣議決定というものでございますが、追加の規制改革事項に関し、「全国規模又は少なくとも特区の二者択一の下で改革を実現する」ということになっておるわけでございます。それではもう全国一律にやった方がいいでしょうというものは、何も特区に限らず、全国一律にやってもよろしいということだと思います。それは手法としてあるものでございます。

 ただ、例えば、株式会社と農地とか、農業委員会とか、あるいは水産とか医療とかいう話になりますと、これはやってみなきゃわからぬだろうみたいな話はたくさんあるんだろうと思います。ほら、こういうことでうまくいくでしょう、リスクに対してはこうやって対応できるでしょうということがないままに全国でやりますということだとかえって実現が遠のくというものも、今挙げた例とは私は申しませんが、たくさんあるのではないだろうか。

 とにかく、時代に合った規制のあり方、それを追い求めていくためにどちらがいいのかということで、全国一律にやることを私は否定はいたしません。

緒方委員 まだ閣議決定されていませんけれども、今国会に上がってくる国家戦略特区の法案の詳細、大体こういうものがメニューで上がっていますというのを見せていただいたんですけれども、正直、私が見る限り、本当にこれは特区じゃなきゃいけないのかと思えるものが、そこまでそれぞれ所管の官庁の抵抗が厳しいのかということと、もう中身一個一個に触れることはいたしませんけれども、上がってきているものの中には、地域性があるわけでない、こんなものは全国でやればいいじゃないかと思えるようなものが結構含まれているというふうに私には見えたんですけれども、大臣、いかがお考えですか。

石破国務大臣 同じ印象は私も実は持っていましてと言ったら身もふたもないんですけれども、それは特区にしなきゃいかぬ理由があるので特区でやっておるわけです。これは本当に特区でやらないで一遍に全国でやっちゃいかぬのかというものも実はないわけではないが、しかし、そこはいろいろな理由があって今までそれはだめということになっておったわけで、そこは特区でやる期間をどれだけ短縮していくかということも考えていかなければなりません。

 それは、そういう印象を実は持たないわけではないのだが、しかし、そこでめげてはいけないので、各省庁の抵抗というのか、私も、何でこんなにこんなことにこだわるのというのが実はないわけではない。ただ、一つ一つクリアしていかないと、何となく、アンシャンレジームとは言っちゃいかぬな、古い時代がそのまま残るところがないとは言えないので、そこはやはり私どもが、納税者あるいは国民の代表として、きちんと省庁に対して向かっていかねばならないところだと思っております。

緒方委員 かなり本音で、ありがとうございました。

 あともう一つ、今回上がってきている規制緩和のメニューというのは、これだけじゃないんだろうと思いますが、これは、地方から上がってきたもので取り急ぎやるべきものというのを、法律改正が必要なものというのをやられると思うんですけれども、正直言って、結構案件が細かいなという気がいたします。けれども、この特区は、今、安倍政権の中で第三の矢と言われるものの一つの目玉に挙がっているというふうにも理解いたしております。

 今次国会で上がってくると言われている特区の法律のメニューの中にある十幾つの規制緩和のメニューというのは、第三の矢として日本の構造改革を促し、そして景気のブースターになり得るようなものだというふうにお考えでしょうか。

石破国務大臣 それだけでなると断言はいたしません。ただ、そういうものを一つ一つやっていかないとだめなんだろうねと思っています。

 委員が多分御指摘になっているのは、公立学校運営の民間開放とか、都市公園内における保育所設置の解禁とか、それがブースターかよというようなことなのかもしれません。ですが、それも今まで、だめ、だめ、だめといってできなかったことなのです。実際にやろうといっても、すごい議論がございました。

 そういうものを積み重ねていく。今回、大きな前進を見なかったものもたくさんございます。そこはこれからさらにやっていかなきゃいけませんが、こういう一つ一つできるものからやっていく、その先に、本当の岩盤中の岩盤というんでしょうか、そういうものがあるはずなんです。

 ただ、それはなぜ岩盤たり得たかといえば、それなりの理由があるので岩盤たり得たわけであって、それは、農業分野とか、水産分野とか、医療分野とか、そういうところにたくさんあるんだろうと思っています。そこにおいてなぜこれが岩盤たり得ているのかというのをよくよく認識した上でなければ、これはできない。

 これだけでブースターとは言いませんが、そういうものを積み重ねていくことによって、より推進力は増していくのだと思っております。

緒方委員 国家戦略特区という、いわば総合性を持った上で第三の矢とするからには、その中身も、やはり規制緩和のレベルもぐっと上がってくるものが入ってこないといけないんだろう。

 例えば、昔、どぶろく特区というのがありましたけれども、どぶろく特区というのは、別にそれを批判するつもりはないですが、これはこれで地域の活性化のためにとても重要だと思いますけれども、多分、どぶろく特区を百個集めたら国家戦略特区になるかといえば、別にそれはならないわけであります。そういう意味で、これだけ国家戦略特区といって政権の目玉ということでやっている以上は、その期待感の高さに応じただけのものをやはり持ってくることが必要なんだろうというふうに思います。

 そういう中で、かつて民主党のときも国際戦略総合特区とかそういうことをやったんですけれども、実は、それぞれの、民主党時代の国際戦略総合特区の経験等々を踏まえて申し上げさせていただくと、結構、それぞれ申請する地方自治体、心が折れちゃっているところがあるんですね。

 まず最初のところの、入り口のところというか、お題のところは物すごくきれいなんだけれども、では、それがとれました、そして、個別のメニューについて議論しましょうというときになってくると、各省庁の担当が出てきて、各省庁のこの道三十年みたいな課長補佐の人が出てきて、そして、うちとしてこういうことをやろうと思うんですけれどもと言ったら、そもそもこの制度はこういうふうにできていると、そもそも論から始まって、いや、特区で来たんだけれどもなと思う。

 実際、入り口のところがきれいで、華々しい気持ちで特区の入り口を入っていったら、中には物すごく重鎮系の怖い課長補佐が待っていて、そして、その意義を理解しているかどうかもよくわからない、そして、そもそも論から始まって、そうして言ってみると、あなたの言っている規制緩和のメニューというのは、これと、これと、これと、これがだめだから、だからだめなんですと、あなたの言っていることができない百の理由みたいなことを言われて、それで心を折っちゃっているんですよね。

 そうすると、今回の国家戦略特区については、財政措置が内閣府プロパーではないというふうにお伺いをいたしておりますが、民主党時代の国際戦略総合特区のときも、何となくそういうことが多分わかっているんでしょう、これは実は、うちの北九州市ではないですけれども、ある自治体の方と話をしていて、国際戦略総合特区に決まりましたと言ったら、まず一番最初に返ってきた言葉が、それで財政措置は幾らつくのというふうに聞かれたことがある。

 つまり、本来特区というのは、規制緩和のところが肝であって、そしてそれを後ろから押すためにお金をつけるということなんだけれども、とりあえず本筋の肝のところはもういい、何がついてくるかと。簡単に言うと、ビックリマンチョコのチョコは要らないけれどもシールが欲しいというような感じで受けとめている自治体がないわけではないんです。

 このことについて、大臣、やはり今回の国家戦略特区でそういうことを起こさないということがとても重要だと思います。大臣の御所見をお伺いします。

石破国務大臣 我々の時代はグリコのおまけは欲しいがグリコは要らないみたいな、まあ時代はいろいろと変わるものでございます。

 それは、心は折れそうになるんですよね。もうとにかく物量で圧力をかけ、人員で圧力をかけみたいなところがあって、勇んでいくと本当に心を折られて、もういいやみたいな、そういうのが私はたくさんあるんだろうと思っております。

 別にどっちに悪意があるわけでもない。生き字引みたいな方に悪意があるわけでもないが、できませんと言うのであれば、なぜできないのか、なぜそれができない方が公の利益に資するものなのかということをきちんと説明する必要があるんだろうと思います。

 それはお役人同士でやっていてもしようがなくて、実際、規制を緩和すべきだ、規制を撤廃すべきだ、これによって住民はこんな利便を受けるのだということを説明する側が行くわけですよ。それはだめだと言う側はなぜならばという話をするわけですよ。それを判断するのは、実際に利便を受けるであろう住民の方が納得をしなければどうにもならぬわけですね。これはできないと言うのならば、その挙証責任は、できないと言った側にあるのです。そこをきちんとやってくれということに尽きます。

緒方委員 非常に重要な御答弁であったと思います。

 まず大臣にお願いをいたしたいのは、さっき心を折っていると言いましたが、そもそも、特区が決まって、行ったときに、特区のそもそも論から説明しなきゃいけないような相手が出てくることが結構ある、私もいろいろな人からそういうふうに言われることがあるんですね。

 そもそも論のところなんですけれども、これから特区を進めていって、地方からも要望を募って協議をしていくときに、各省の大臣、政務等々を通じて特区ということの理念についてはかなりしっかりと周知をしてもらって、そもそも論から始めることがないように、国家戦略特区もそれぞれプロセスが進んでいくと思うんですけれども、そのときにそもそも論から議論がスタートすることがないようにぐらいの下ごしらえは、大臣の方として、全大臣にそれを言っていただくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 そもそも論、それは私は等閑視していいものだとは思いませんが、そもそも論だけで戦いが終わっちゃったらもう意味がないわけです。ですから、そもそも論から入らないで、いきなりこれは何なんだというところからやらないと時間は進まないし、そもそも論で心が折れちゃったらもう戦いはその先に進みませんので、そこはよく大臣たちにお願いをしてまいります。

緒方委員 私、大臣の所信を聞いていた中で非常にいい言葉だなと思ったのは、できません、なぜならばという発想を捨ててこれからやっていくんだという御発言がありました。まさにそのとおりだというふうに思います。

 そういう中で、先ほどの話とつながるんですけれども、今回のメニューとはまた別に、それぞれ特区と指定されたところといろいろな協議をしながら、いろいろなアイデアをまた募っていくことになるんだと思いますが、そこで私が地方に期待したいのは、地方から、これまでの行政のあり方からすると驚天動地のような、びっくりするような、けれども、確かにこれをやれば地方は変わっていくぞと思えるような提案が出てくることをとても期待したいと思います。

 それをむしろ内閣府としても促すような方向でやっていただきたいと思うんですが、ここから先が難しくて、地方がそのときにどう思うかというと、こんなに驚天動地のものを出したら、それぞれの所管官庁から目をつけられるんじゃないか、嫌われるんじゃないか、お叱りを受けるんじゃないかというふうに思う、そういう心理が実は働きます。これまでのおつき合いの中でやってきたけれども、例えば、どこどこの市がどこどこの役所の岩盤のようなところにがっと切り込むような提案をしてきたというと、何か、来年度の予算要求のときにまた嫌がらせをされるかなとか、そういう心理が働かないわけでもない。

 二つあるんですが、まず、地方から来たもの、さっき大臣が言われたとおりです、できません、なぜならばではなくて、各役所に、そういう発想に立つんじゃない、やるために何をするかという発想に立ってくれということと、驚天動地のような提案をしてきた自治体を守る側に大臣が立っていただいて、思う存分提案してくれ、それをやったことによる不利益なんかは絶対あなた方に及ぼさないし、自分がそれを守ってあげるからというふうなメッセージを発していただくこと。

 そして、ちょっと戻りますけれども、さっき、挙証責任の話だと私は理解したんですけれども、できません、なぜならばではなくて、基本的にやるという発想に立って、そのできない理由の挙証責任を全て所管官庁の方に転換する、それぐらいのやり方をしないと、なかなか地方から勇気のある提案は出てこないというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 そのようにいたします。

 ただ、地方を守る、そういう驚天動地の提案を守るということになると、あの大臣は何という大臣であろうか、あいつの言うことなぞ絶対聞かないのであるみたいなことで、私が不利益をこうむることが起こるわけでありますし、また、私のスタッフも、本当にみんな大変な思いをしながらやっているわけです。ただ、それは、これをやり抜かないと日本は変わらないのだという使命感でやるわけで、おっしゃるとおり、地方のそういうような懸念というのか、そういうものをできるだけ少なくする、それが私どもの仕事だと思っております。そういうことで不利益を受けて嫌だからやらないんだったらば、私どものような仕事はしない方がいいと思っております。

緒方委員 最後に、この特区の件でもう一件だけ。

 内閣府特命担当大臣というのは、内閣府設置法第十二条において、各省の大臣に、その所掌事項に関して説明そして資料提出を求めて、場合によっては勧告をして、そしてそれぞれの省庁から報告を求め、それでも納得がいかないときは最後は内閣総理大臣に意見具申をすることができるというような非常に強い権限があります。

 余りこれをむちゃ使いしてはいけないんですけれども、特区を進めていくときには、重鎮系の課長補佐と内閣府のお役所の人たちで議論している限りはなかなか動かないところがあって、これは伝家の宝刀だと思います、内閣府設置法第十二条、最終的に、こういった伝家の宝刀みたいなものを振るうことも含めて、この問題は、政務で、国務大臣間で議論をする用意があるのだというような姿勢を示すことが私は大事だと思いますけれども、大臣、いかがですか。

石破国務大臣 おっしゃるとおりです。

 もちろんこれは国家戦略特区諮問会議というものもセットされているわけですが、私どもは有権者に対して選挙で責任を負っていますので、やはり、選挙で責任を負う者はそれなりの働きをしなければいかぬことだと思っております。最後は大臣間ということもやっております。そこはもう事務方を全部外して大臣同士で、お互いに選挙で責任を負うんですから、そのような覚悟は必要でありますし、有効だと思います。

緒方委員 最後に、もう質疑時間が少なくなってきましたので、きょうは、菅原副大臣、ありがとうございます。

 予算編成と地方分権ということでいつも思うことがあるんですが、これは民主党政権の時代からやっていたので別に政権批判をしたいとかいうことではないのですが、最近の予算の概算要求の手法として、各省に予算要求のところで既存の予算をこれだけ削ってこいと。しかし、削ったら、それの何倍分については特別枠で概算要求することを認めるというような手法が、これは別に自民党政権だけではなくて、最近ずっとこの方法で来ていて、ただ、特別枠で指定されるものが、地方創生であるとか、環境であるとか、エコであるとか、ヘルスであるとか、いろいろなものがあるわけですけれども、昨年の概算要求においては、新しい日本のための優先課題推進枠ということで設けられました。

 これは、思うんですけれども、例えば地方創生ということも特別枠で要求するときの一つのお題目になっていたわけですけれども、それぞれの推進枠での予算要求を見ていると、本当にこれが何か新規の予算要求か、経常経費なんじゃないかとか、これまでやっていたことの看板をつけかえただけじゃないかとかいうふうに思えることがあって、そもそも論として、予算を削って例えば地方創生にということであれば、予算を削るということは、補助金であったり委託であったりとかそういったことを削るということは、やはり権限が下がるし、各省庁が持っているいろいろな地方へのグリップが下がるということだと思うんです。そういう意味での地方への国の関与を下げていくような予算の削減をした一方で、また新たに特別枠ということで、国の事業で補助事業であるとか委託事業とかそういうことが行われていく。

 本来であれば、そういう新しい特別枠みたいなものを設けるんじゃなくて、地方のことを本当に考えるのであれば、予算要求、概算要求のときに削ったものというのは、それは例えば地方交付税に充てて、そして地方に自由に使ってもらえるようにする方が地方のためになるのではないかと私は思うんですけれども、いかがですか。

菅原副大臣 先ほど来緒方委員のお話をるる承っておりまして、お考えは一部理解できるところであります。私も東京でありますから、二重行政、三重行政、その中で国民、都民、区民のために何が大事かということについては、もう一度フィードバックする必要があると思います。

 今の御質問につきましては、そもそも論でありますが、平成二十七年度の概算要求において、地方向けの補助金を含めて裁量的経費について前年度から一〇%削減をしたその額を要求するとともに、何倍とおっしゃいましたけれども、これは要望基礎額に三〇%乗せた額を優先課題推進枠として要望できる、そういう仕組みにいたしております。

 したがって、プライオリティーはいろいろとありますが、今この状況において国にとって地方にとって何が大事か、そのプライオリティーをつけて、それに沿って大胆に予算を重点化するものでありますから、今お話のあった地方創生、例えば農林水産に携わる青年の就農前後の支援、あるいは、いわゆる土曜教室あるいは子供教室、こういったものの拡充は、具体的に実際的に地方のためになっておりますし、地方の創生、女性活躍、イノベーションにつながっておりますから、こうした日本の喫緊の課題について対応を講じているところ、このように御理解をいただきたいと思います。

緒方委員 質問時間が終わっておりますのでもう終えたいと思いますが、予算要求をした結果、これは予算委員会で我が方の議員から石破大臣にも何回か質問をしましたが、結果として、地方創生枠ということで積まれた予算のかなりの部分が既存の予算等の継続物であったとかいうことがあったりして、本当に地方のことを考えるのであれば、私自身は、そういった国の関与をできるだけ外した地方交付税を上積むような形でやっていくことがいいのではないかと思いますが、これはまた後日の課題にさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 先日、石破大臣の地方創生にかける決意をお伺いいたしましたが、先行き大変だなと思いました。

 大臣は、このたびの地方創生の取り組みは明治以来連綿と続いてきた中央と地方との関係を根底から変えるものです、こう述べておりますけれども、人口六万人の市長、人口二百万人の知事を務めてきた私から見ると、穴だらけの、大きな問題点ばかりであります。

 今までに議論されたかどうかわかりませんけれども、私もこの創生特、初出場でありますので、根本的な問題から大臣と議論をしたいと思いますので、ぜひ大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

 まず、地方創生の国の総合戦略の大きな問題点についてであります。

 大きな問題点を大きく分けますと、三つあります。一つは人事です。それから二つ目は経済政策です。三つ目は国の形の問題であります。

 まず、一つ目は、人事についてでありますけれども、大臣が言うように、地方創生、ひいては日本の創生を目指していくには、やはり人事が非常に大切であります。

 おかしな人事が二つあります。地方創生担当大臣が国の大きな方向性、基本方針を定める経済財政諮問会議のメンバーに入っていない、これはまず大きな問題点の一つであります。もう一つは、やはり地方との連携が欠かせない政策を実現する上で、地方を管轄する総務大臣と兼任していない、これは実は大きな欠点であります。

 まず人事から始めなければ大きな仕事はできないと私は思っておりますが、大臣はこれをいかがお考えですか。

石破国務大臣 経済財政諮問会議は、案件に応じまして地方創生担当大臣も参加をするということで、意見も述べております。今まで何度かというか、何度もというべきか、経済財政諮問会議には出席し、意見を申し述べているところでございます。

 委員の御指摘もよく踏まえまして、遺漏なきを期したい、出るべきところに出なかったということがないようにしなければいけないと思っております。

 もう一つの、総務大臣と兼任の話は、これは誰を総務大臣にするかというのは総理の専権事項ですので、私が、いいとか悪いとか、そういうことを申し上げるべきことではございませんが、まち・ひと・しごと創生本部なるものは、全閣僚がメンバーということになっておるわけでございます。そういたしますと、これは総理が本部長で、私と官房長官が副本部長でございますが、充て職ということではございませんので、これは副本部長として総理の命を受け、あるいは総理の意を体する形で、各閣僚に対して物を言っていかなければなりません。先ほど緒方議員の御質問にもございましたが、例えば、地方分権というものがこんなことで本当にいいんですかということを申し上げて、相当に達成度は上がってきたと認識をしております。それは、今自分が置かれている役職で使えるものを最大限に使って、その実を上げていくということは心がけたいと思います。

 人事について、私から申し上げるべきことではございません。

福田(昭)委員 あえて聞きづらいことをお聞きしましたけれども、しかし、これでは、幾ら大臣が優秀でも、思うように効果を上げるのは難しいんじゃないかな、私はこう思っております。

 二つ目でありますが、二つ目はアベノミクスの評価についてであります。

 私も三本の矢を一体的に進めるのは賛成ですけれども、私から申し上げると、アベノミクスは基本的な考え方も具体策も相当間違っていると思っています。三本の矢は、財政政策を大胆に行い、金融政策の方は機動的にやる、そして、成長戦略は五年、十年かけてじっくり着実にやる、これが基本的な考え方だと思います。

 また、具体策については、私、五つ挙げておりましたけれども、トリクルダウンはないということを安倍総理も認めたようでありますから、これはこれ以上追及はいたしません。

 四点申し上げますと、今回のアベノミクスでは、デフレから脱却するのが目的なのに、インフレ期の、経済を冷ます政策がどんどん入っていて、経済を温める政策になっていないというのがまず大きな問題点。それから、金融緩和と財政出動の違いがわかっていない、効果の違いが全くわかっていないというのが大きな二点目であります。さらに、経済も財政もさせないとだめなわけでありますけれども、年収二百万以下の非正規雇用者、今四割になってしまいましたが、これをどんどんふやしたのでは、経済も成長しないし、実は財政も健全化しないのに、非正規雇用をどんどん拡大している。そして四点目、格差がますます拡大する不公平な税制、これをやはり是正しないとだめだと思っています。

 特に、景気を悪化させる消費税に偏った税制はだめだと私は思っています。しかも、日本の消費税は、ヨーロッパの付加価値税と違って、非常に重い税金であります。したがって、これは、今後さらに税率を上げていくということになると景気をよくするような役割は果たさないということでありまして、まさに、過去の税金が入ってきた歴史を見ても、所得税とか法人税とか直接課税の方がやはり税金はちゃんと入ってくるんですね、消費税よりも。そういった歴史があります。

 平成元年度に消費税を導入して、所得税や法人税などを減税しました。もしそうした税制改正なかりせば、平成二十四年度の時点で、実はあの時点でも税金は十四、五兆円入るという予測を内閣府がしたものがございます。ですから、我が党が中心でやりましたけれども、今回の消費税を五%上げたというのはそれを取り返すという意味での五%の税率だったのかなと私は想像しておりますけれども、まさに、やはり景気をよくするための、格差を拡大しないための税制というのが必要だというように思っております。

 こうしたことを考えると、トリクルダウンがないわけですから、大企業から中小企業へ、あるいは大都市から地方へ、あるいは富裕層から庶民へという形で所得が移転していかないということになれば、やはり景気はよくなっていかないということでありますし、さらに、本当に、年収二百万以下の人たちは所得税も十分納められない、さらには年金保険料、医療保険料、介護保険料、社会保険料も当然それほど納められないわけで、それから可処分所得もほとんどないわけでありますから、当然景気はよくならない、財政は健全化しない、こういう話でございます。

 こうしたことを改めないとアベノミクスはだめだ、私はこういうふうに思っておりますが、大臣はどんなお考えでしょうか。

石破国務大臣 大変多岐にわたって御指摘をいただきました。

 その全部にお答えするだけの知見を持ちませんが、日本がこんなになった一番の理由は何でしょうかといえば、リーマン・ショック後の非常に自己防衛的な政策あるいは企業のビヘービアというものが合成の誤謬みたいなものを起こしたのではないかと思っております。つまり、賃金を下げる、そして下請にさらなるコストダウン、負担を要求するというのは、一つ一つの企業的に見れば正しいのですが、それを全部が行った結果として、物すごく負のスパイラルに入っていったということがあると思っております。

 この間、諸外国のいろいろな数字を見ると、決して給料を下げるということにはなっていない、リーマン・ショックの影響はどの国も同じはずなのですが、給料を下げたり下請をたたいたりということになっていないと思っております。

 ですから、どうやって所得を上げていくかということに配意をしなければなりませんし、まさしく所得が上がることがそのまま消費の上昇に結びつく年収二百万円台から三百万円台の方々に対する手当てというものをよく考えていかなければ、消費を上げるということにはならないというふうに考えております。トリクルダウンの理論というのは、総理もそれを正面からとるということはおっしゃっておられませんし、シャンパンタワーみたいな話にはならないよということは国会でも答弁をしておるところでございます。

 これは、結局、グローバル経済とローカル経済というもの、それは一体のものではない、むしろローカル経済というのはグローバルに戦うものではないし、そして地域も限定的なものであるし、そのローカルの経済の生産性を上げるということを今まで余り考えてこなかったのではないだろうか。地方において今人手不足が起こっているわけで、地方の経済で生産性を上げる、生産性を上げることによって雇用と賃金を安定したものにする、それによってさらに消費をふやし、外からのいろいろな人と金と物の流入を図るということは、私は、委員が市長、知事を務められたので一番御案内かと思います。地方の経済というのはトリクルダウンの理論ではなくて、どうやってローカル経済の生産性を上げ、そこにおいて正規の雇用をふやし、そのことによって所得をふやして、子供をつくるとか育てるとかいうことに寄与するかということが重要なのではないかと思っております。

 ですから、機動的な財政出動、大胆な金融緩和ではないのだ、大胆な財政出動であり機動的な金融緩和とおっしゃいましたか、そこはもう少し御教示をいただきたいと思っているのですが、いずれにしても、金融緩和も財政出動もいつまでもどこまでも無制限にできるものではないということはみんなが知っているわけでございます。それによって生じた時間的な猶予というものをいかにして地方の経済の活性化に充てるか、私どもは無謬だと申し上げるつもりはございませんので、いろいろな御指摘を承りながら、さらによいものを目指してまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 結局、アベノミクスがうまく回転しないから、思いつきのように補正予算、大型補正予算を三年組んだんですよ。金融緩和主導でやって、それがうまくいかないから、思いつきのように三年連続大型の補正予算を組んで、地方にお金が回るようにしたわけです。これが金融緩和と財政出動の違いだと思います。

 きょう、内閣府がつくった月例経済報告を持ってきました。これは三月号です。黒田総裁が、異次元の金融緩和ということで、マネタリーベースを二百七十五兆円ぐらいまで拡大したそうです。しかし、何と、ここに載っておりますけれども、日銀の当座預金に幾ら積まれていると思いますか。これは、二月末現在、百八十二兆円です。ですから、幾らお金を印刷して日銀が出しても、お金が国内に循環しなければ経済を押し上げる力を発揮しないんですよ。

 しかし、財政出動であれば、国家が予算を組むわけですから、国が直接使う、あるいは都道府県や市町村、民間企業や個人を通して、ほとんど国内に使われるわけですから、お金は国内に循環するんですね。この効果は、私の方の方言では、井戸掘りと木登りの差と言うんですよ。井戸掘りは下へ行きます、木登りは上へ行くんですよ。ですから、不景気なときには、金融緩和と財政出動の効果はこれほど違うということですよ。天と地ほど違うということですよ。そこがわからないでアベノミクスはやっているということですよ。

 これから日銀総裁も大変だと思いますよ。拡大しちゃったマネタリーベースをどうやって今度は縮めていくんですか。大変ですよ、本当に。そういう違いがわからずにやっているのがアベノミクス。

 ですから、地方にお金を回すんだったら、政府が予算を組んで地方に回さなければ実は回らないということです。大企業から中小企業に回っていかないんですから、これは。そういう効果の違いというのもわからずにやっているというのが今回のアベノミクスであって、一日も早く大きな是正をしないとだめだと思うんですよね。

 そのことを、実は私、週刊東洋経済ですけれども、ことしの新春合併特大号、ここで実は、世界を代表するような大投資家、ジム・ロジャーズが言っているんですよ。アベノミクス、円安政策をこのまま続けていけば日本は破壊される、安倍総理はやがて日本を破壊した男として歴史に刻まれるでしょうと。なぜなら、自分の国の通貨をこんなに安くしておとしめた国で繁栄した国はないと言うんですよ。では、いつ危ないんだと聞かれたらば、来年、再来年、二〇一六年、一七年が危ない、二〇二〇年の東京オリンピックまでに確実に危ない、そこまでジム・ロジャーズは言っております。これは一つの警鐘ですよ。

 ですから、こうした警鐘もしっかり踏まえながら、アベノミクスはしっかり見直していく必要があると思っていますが、地方に恩恵がちゃんと行くようにするためには、実は財政出動の方が大きいということを申し上げておきたいと思います。

 次、三つ目でありますが、三つ目は、非正規雇用の拡大についてであります。

 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、これはまさに釈迦に説法になりますが、経済を押し上げる要因は、日本では、個人消費が六割、設備投資が最大二割だと言われておりますが、先ほど申し上げたように、年収二百万以下がどんどんどんどんふえたのでは、とても、可処分所得もなければ、税金もなかなか納めていただけなければ、社会保険料も納めていただけないというわけでありますから、こうした働き方をやはりやめさせなきゃならないと私は思っているんです。

 ですから、年収三百五十万から五、六百万の中間所得層をやはり最大化することによって、日本の経済もよくしたり、財政も健全化していく、そういう道が必要なんだというふうに私は思っておりますが、大臣はどうお考えですか。

石破国務大臣 アベノミクスの評価についてはいろいろなことがございます。ここでその議論をするわけでもないので、委員はそのことで御質問なさらなかったと思いますが、ただ、一つ申し上げれば、あの極端な円高のときに日本はどうだったでしょうねということをどうしても考えるわけでございます。あの円高のときに、企業の海外流出がとまらず、日本はもう本当に不景気のどん底だったのではないだろうか。

 私は、円高が全て正しいとか円安が全て正しいとか、そういう話ではなくて、そういうような外的な要因に余り左右されない日本をつくっていかねばならぬだろうと。円が高いといえば国が潰れるといって大騒ぎをし、円が安いといっては国が潰れるといって大騒ぎをし、どっちが本当だという話になるわけで、それは多分どっちも本当なんです。食料とかエネルギーとか、国家が生きていく上に必要不可欠なものを金さえ出せば外国から買えるんだというふうな国家である限り、高いの安いのによって大きく振れるということは、国家の自立を妨げるものではないかというふうに考えておる次第でございます。

 先ほど、雇用のお話ですが、答弁で申し上げましたように、年収二百万から三百万にかけての層、ここは、所得がふえれば、その分だけ消費をしていただきます。そこは年収一千万円以上の層と違うところだと思っておりまして、こういう方々の所得を上げていくということは、景気浮揚のために必要不可欠なものだと承知をいたしております。

 当面、非正規というものがふえるということは事実でございますが、そこをどうやって正規に変えていくかということを考えていかねばならないことでございます。現在、労働市場というものは引き締まりつつございまして、新たに雇用される人は増加しているわけでございますが、その中において、非正規の雇用労働者の方々が増加をしていることは間違いない事実でございます。

 これは何によるものかといえば、高齢者の方々がふえております中で、六十五歳までの雇用確保措置が実施されましたので、高齢者の方々の非正規の雇用が増加をしている。そして、景気回復に伴いまして、女性の方々を中心に、それではパートに出ようかしら、このことは総理が時々答弁で申し上げておりますが、そういう女性の方々がふえているということでございます。非正規がふえているのはそういうことだというふうに分析をしているわけでございます。

 正規社員を希望されない方を無理やり正社員にする必要はないのですが、正規社員を希望しておられる方々がそのようになっていただけるための政策というものは十分に打っていかなければなりません。私どもとして、二〇二〇年までに累計で約三十万人の若い世代の安定した雇用の創出を目指すということにいたしておるところでございまして、そういうものを、非正規雇用労働者の安定雇用を実現する、若者の安定雇用を実現するというものをKPIに定めまして、その実現に向けて自治体とともに努力をしてまいらなければいけないと考えております。

福田(昭)委員 私も、アベノミクスがデフレマインドを払拭したという効果は実は認めているんです。しかし、先ほど大臣からも話がありましたが、円がどれぐらいの程度かというのはなかなか難しいんですけれども、やはり、高過ぎても困るし、安過ぎても困る、ほどほどの値段というのは幾らぐらいなのかというのは議論をして、そこへおさめていくという政策が基本的に必要だと思うんですね。

 ですから、余りにも安くなり過ぎちゃったから貿易赤字が拡大しっ放し、大震災もありましたけれども。ですから、本当に、今までそれこそ日本の国は、中小企業も含めて海外に行くように進めてきたわけですから、当然ながら国内産業は空洞化をしていたわけですから、そこで円を安くすれば、それは貿易赤字がどんどんふえるのは当たり前ですし、しかも、余りに円が安くなり過ぎたから、今度は日本に戻ってくるという企業が出てきちゃった。

 よく農政が猫の目農政と言われてきましたけれども、この産業政策も、まさに猫の目産業政策になってきちゃっているわけですよ。ここはやはりしっかり議論をして、適切な円の値段は幾らなのかということを議論した上で、しっかりとした金融政策も財政政策もとるべきだと思うんですね。私はそう思っております。

 次に、四つ目でありますが、四つ目は、地方分権推進の基本的な考え方であります。

 先ほど緒方委員からもいい質問がありましたけれども、大臣も、地方分権改革は地方創生における極めて重要なテーマだ、こう述べております。私は、なかなか民主党政権でもできませんでしたけれども、やはり国と地方の役割分担をしっかり決めて、地方に思い切って任せるということが大切だというふうに思っておりますが、その辺についてはどんなお考えをお持ちですか。

石破国務大臣 もう三十年近く前のことになりますが、私どもが政治改革というものを一生懸命やったのは、やはり選挙制度の改革と地方分権をセットだと思っておりました。これはあくまでセットなのだと。選挙制度だけ変えたってうまくいくわけはないのであって、これは地方分権とセットにしなければほとんど意味を持ちません。

 国は国でなければできないことを集中してやるべきだ。外交であり、安全保障であり、通貨政策であり、あるいは教育でありという、国でなければできないものを国がやる。緒方議員にもお答えしましたが、地方のことは地方にお任せした方が、地方の事情は地方の方がよく知っているわけですから、できるだけ権限も人間も財源も移すべきだというのは、私は考え方が変わっておりません。ただ、それがなかなか実現しない、選挙制度だけ先に動いたので、何か制度の実を上げていないような気が私自身いたしておるところでございます。

 地方分権はそのように行われるべきですが、そのときに必ず問題になるのは財源をどうしますかということであって、財源も全部地方にお任せよと、交付税制度というものを失った場合に、地方自治体の経営というのはかなり厳しくなると思っております。それならそれでいいというふうに割り切るか、それともそれはそうはいかぬのだというふうになるかで随分と制度設計は変わってくるだろうと思っています。

福田(昭)委員 本当に、地方にできることは地方にということで、そんなキャッチフレーズで小泉政権のときからやってまいりましたけれども、私は、特に、教育、文化、スポーツの分野だとか、医療、介護、児童福祉、障害者福祉、子育ての分野、あるいは農林水産物の生産と六次産業化や観光の分野、それから太陽光、小水力、バイオマス、地熱、風力などの再生可能エネルギーの分野、こうしたものはやはり地方に権限と、それこそ財源、人材を移譲していくということが大切じゃないかなと。

 そういった意味では、簡単に申し上げると、農林水産業といいますか、そういう一次産業、そうしたまさに生産関係だとか、あるいは食料自給率の向上と言ったらいいですか、そうした食料の生産、それからエネルギーの生産、これはやはり地産地消で頑張るんだ、そういう権限と財源、人材を移譲するということで、非常に地方が元気になって職場もできる、そういうふうに考えておるんですが、そうした、この分野は特に地方に任せちゃうよというようなところを考えていただけないでしょうか。

石破国務大臣 それは、それぞれの地方において、やはりこれを達成するのだという目標をつくっていただくということが大事だと思います。

 国として、食料自給率、私は食料自給率論者ではないもので、食料自給力論者なものですから、そこは考え方が少し違うのですが、例えば栃木なら栃木、栃木の中でも、では宇都宮でどうする、さくらでどうする、いろいろな考え方があるかと思うんですね。国がどんなに立派なことを言ってみても、それはそれぞれの自治体のいろいろな成果の総和でしかすぎないのであって、逆はないのだと思っております。

 それぞれの地域において、例えば岡山県の真庭市で、自分の町の電力の中のこれぐらいは自分の町のバイオマスで賄うのだとか、自分の町はこれだけ食料自給力、というのは多分、農地面積と、農家の世代構成のサステーナビリティーと、農業のいろいろなインフラの持続可能性だと思っているのですが、これをこれぐらい上げていくとか、そういうふうにしてそれぞれの自治体がこういうものをやっていくんだということが、予定調和ではございませんが、国のものときちんと合っていく、整合するということが大事だと思っております。

 地方自治体にそのような目標というものを持っていただくからには、権限あるいは財源というものを可能な限り移譲するということがあるべきだと思っております。

福田(昭)委員 先ほど緒方君の質問にもありましたけれども、いろいろ複雑に絡み合っている問題もたくさんございますので、これからまだ後で議論する機会がありますので、ここの問題はこれから議論をしたいと思っています。

 そうした中で、安倍政権が、地方に対する考え方というのが、どうも上から目線が強過ぎるなということがあります。

 その一つの例が沖縄の問題です。やっとここへ来て、菅官房長官も、ちょっと批判が強くなってきたから、では、沖縄の翁長知事とも会う算段をしてみるかみたいなことを言い出したようでありますが、やはり地方自治体の首長とは、もし本当に大きな問題で対立しているんだったら、それを裁判所みたいなところに訴える前に、しっかり膝突き合わせて議論をするということが必要だと思うんですよね。

 私も、知事のときに、足利銀行を無理やり破綻させられました。そのとき、当時の福田康夫官房長官に申し入れて、私はお会いに行きましたよ。福田康夫官房長官に首相官邸でお会いをして、足銀を破綻させないでくれと。それは、足銀はそれこそ純業務利益を年五百億も上げるような実力のある銀行だったんですよ。ですから、トップをかえたり、経営陣をかえたり、時間をくれれば実は自力更生できる銀行でした。しかし、無理やり竹中さんに破綻させられちゃいましたけれども。そのことは実は足銀のその後の再生経過を見ればはっきりわかるんです。不良債権として処理したものがどんどん復活してしまう、簡単にですよ、あの再建の経過を見れば、潰す必要のなかった銀行だというのは実ははっきりしちゃうんです。

 まさにそうしたこともあるように、やはりしっかり沖縄の知事とはまずは会って意見交換するということが必要だということを申し上げておきたいと思います。これは答えは要りません。

 それで、五つ目でありますが、東京一極集中の是正策についてであります。

 大臣が、国が策定した総合戦略の最大の欠点は、東京一極集中是正策が何もないことだと私は思っております、基本的に。東京一極集中をどうやって是正しようとしているのか、もし考えがあればお答えいただければと思います。

石破国務大臣 足利銀行につきましては、私は違う考えを実は持っておりまして、また機会を見て検証させていただければ。

 というのは、地方創生において、金融機関が果たす役割というのは極めて重要だと思っております。ですから、いろいろな処理の仕方についてよく検証することは極めて重要だと思っておりますので、今後の金融のあり方について、また委員と議論する機会をいただければ大変幸いに存じます。

 今の御指摘の、東京一極集中是正の手法がないではないか、こう言われるわけでございますが、そのようなことはないつもりであります。

 先ほど来答弁申し上げておりますとおり、例えば、五十代の男性の五割は地方に行きたいのだと。女性が三割なのが、このギャップがなかなか悲しいもので、行きたければあなた一人で行きなさいみたいな悲しいところがないわけではないのですが、いずれにしても、五十代の男性の五割は地方に行きたい。十代、二十代の男女とも四七%が地方に行きたいというのは、私、済みません、この仕事になるまではっきり知りませんでした。

 そういうような方々がおられるとするならば、そして地方にそういう人材を求めているという状況がまさしくあるわけで、これをどうやってマッチングさせるかということで、あらゆる手法を導入しておるつもりでございます。これはこれから実効を上げていかなければなりません。あるいは、首都圏あるいは東京からの企業の移転ということで、相当に思い切った税制を組んでおります。

 そのような形で、要は、無理やり人を、江戸所払いではございませんので、東京から出ていってちょうだいという話にはなりません。

 一方において、東京をより安全で安心で活力ある世界の金融あるいは商業の中心センターにしていかねばなりませんので、それと一緒にやっていかねばならないことでございます。人、金、物という中で、今、人とそれから物にかなり集中して物事を考えておるところでございますが、地方においていかにして雇用をつくっていくかということを具体化していかなければ、だんだんと一極集中が是正されるということにならないと思っております。

 もう一つ、よく分析をしなければいけないのは、東京にどの年代の人たちがどういう理由で、男性の方が、女性の方が、どのようにして流入をしているのだろうかということをよく分析しなければならないと思っております。

 そこを年代別、男女別に見ますと、女性の方々が大学に進学するに当たって東京に大勢おいでになる、そういう方々が地方にお帰りにならないということがございます。そうすると、どうやってそういう世代の女性の方々に地方に帰っていただけるかということをそれぞれ地方において具体化し、国としてそれにふさわしい政策、例えて言えば、地元へ帰って就職をすれば奨学金を返さなくてもいいとか、そういうものをこれから早急に具体化してまいろうと思いますが、よく原因を分析しながら、東京の一極集中是正を具体的に進めてまいりたい、実効を上げなければいけないと考えております。

福田(昭)委員 私は、今回、個別具体的な政策がたくさんありますけれども、これらが全く効果を発揮しないとは思いませんけれども、考えられる政策をかなり羅列してあるなと思っております。やろうと思っていると思いますけれども。

 ただ、こうした人たちを本当に地方に定着させるというのは容易なことじゃないと思っているんですね。国も全国総合開発計画を数次にわたって立てて、北海道から沖縄まで元気にしようとして頑張ってきました。最初のテーマはたしか過疎過密の解消だったと思います。しかし、それは全く効果を発揮できずに、過疎地はどんどんふえて、首都圏を初め三大都市圏に人口が集まり、最近ではもう東京圏だけ人が集まる、名古屋圏も大阪圏も圏としては人口が減り出しているというのが今の現状だと思います。

 そんなことを考えると、やはり東京の魅力というのは物すごくあるんですよ、大臣。ですから、この東京の魅力を今度どうするんだと。国際都市という話がありましたけれども、質を高めていくという努力は必要だと思いますが、東京をこれ以上量的にはふやさない、そういう政策が私は必要だと思うんですよ。これをやらないと、相変わらず、それこそ国際都市として魅力のある東京にどんどん人が集まってくる、こういうふうになると思うんですが、どうですか。

石破国務大臣 人間は合理性の動物ですので、東京の方がいいと思えば東京に多分住むんですよね。

 私も、鳥取で幼稚園、小学校、中学校を過ごして、できたら帰りたいなといつも思っています。できたらばあそこで暮らしたい、人生の最後をそこで送りたい、親もそうでしたし、私自身もそう思っております。地方で暮らした方が東京で暮らすよりもいいんだよねという価値観も私はあると思っていて、それをいかにして満足させるかということを地方は一生懸命考えなければいけないんだと思います。

 私は委員よりも十歳ぐらい年が下なのですが、昭和四十年代の半ばから五十年代にかけて、地方が元気だった時代があったと思うんです、新幹線もないし、高速道路もなかった時代に。何でだろうと考えると、やはり公共事業と、白物家電を中心とする企業投資だったと思います。

 それと同じことが可能かといえば、そうは思っておりません、全く同じ形が可能だと思っていません。地方においてどうやって東京よりも新しい価値観に応えるか、そして、五割は地方へ行きたいと思っている人がいるわけで、そこをどうやってうまくマッチングさせるかということはとても必要だと思います。

 東京をこれ以上拡大させないというのは、私は、結果として起こるものであって、人為的になかなかできるものではないような気がいたしております。

福田(昭)委員 大臣、私も、いまだに日光市の山奥に住んでいますので、大学生のときだけちょっと離れましたけれども、地元に就職をして、いまだに地元の日光の山奥から国会の方には通って仕事をさせていただいておりますので、地方のよさはよく承知しているつもりです。

 しかし、この間、ある東北の県庁の職員と話していたら、東京の事務所がありますね、そこへ来て働いていたら、もう地元へ帰りたくないとやはり言うんだと言うんですよね。それぐらい東京というのは魅力的なんですよ。

 そこで、ぜひ大臣、参考にしていただきたいのはフランスなんですよ。フランスは何と、開発要求がいっぱい出てきたんですけれども、パリを大きくしなかったんですよ、パリスと言った方がいいかな、パリをですね。あれは約一万五百ヘクタールの中で、それ以上開発を認めなかった。そのかわり周辺に新都市を五つつくったんですね。これはフランスのまさに人口政策あるいは町政策ですね。フランスの場合は、当然パリの場合は建物に高さ制限もあります。まさに、そうした政策をとって、フランスの場合は実は地方もそれなりに元気になるような政策をとってきた。

 ですから、確かに東京は国際都市として育てたいですよね。しかし、これは、それこそ質の向上で東京を国際都市としてですね。

 これは、私が提案して、何年前でしたか、四年ぐらい前でしたけれども、当時の東京証券取引所の理事長はうんともすんと言いませんでしたけれども、例えば、東京の株式市場に、要するにヘッジファンドが一分間に何万回も取引するような株取引じゃなくて、五年以上保有していなくちゃならない、そういう中長期の投資をする証券取引所もつくったらどうですかという提案をしたんです。やはり、長い目できちっと企業を育てていく、会社を育てていく、そういうことをやることによって、それこそニューヨークやシンガポールとは違う証券取引所を日本につくるということも実は東京の国際的な魅力を高める一つになるのかもしれません。

 そういったこととか、やはり東京の質は高めても量はこれ以上拡大しない。ですから、例えば、後で具体論でやろうと思っておりましたが、グローバル企業は本社を全部地方へ持っていきなさいよと。もう世界が相手なんですから、地方に持っていきなさいよと。それから、大学も、せめて国立大学はもうみんな地方に行きなさいよとか。やはりそういう大胆な政策をとらないと、私は、なかなか東京一極集中は是正できないなと。

 先ほど大臣から言われたのも一つの方策でありますけれども、しかし、それはあくまでも希望的な誘導策ということでありまして、それが本当にどこまで実現するのかということになるとなかなか見えない、そういうことだと思うんですね。

 ですから、そういった意味で、本当に、フランスのように、東京の量的な開発はこれ以上させないというような制限がやはり必要じゃないかなと思っているんですが、御検討いただけるかどうか。

石破国務大臣 TGVに乗ってパリから出ると、パリの町中をちょっと抜けるとすぐ農村なんですよね。フランスの場合には、町と農村というのははっきりしている。ところが、東海道新幹線でも東北新幹線でも何でもいいんですけれども、東京を出てもいつまでたっても町がずっと続いて、静岡あたりで少し田園っぽくなるかなと思うとまたすぐ町なわけで、これはフランスと日本というのは明らかに違うんだと思います。

 例えば、農地の広さあるいは農地の価格でもフランスと日本は全然違うわけで、でも、四十年前、五十年前は日本もフランスも似たような状況だったわけです。そこがどうしてこんなに違いが出たのかというものは私も今研究している最中でございます、また御指摘をいただければありがたいと思います。

 多分、それは、都市開発に対する考え方、あるいは土地に対する考え方、土地の所有権について、利用権についての価値観がかなり違っているのだろうと思っております。フランスはいいなと思いますけれども、それを日本において導入するとなると相当の抵抗があるだろうというふうに考えておりまして、私どもとしても、フランスの政策はよく分析をして提示もしたいと思います。

 また、委員におかれましても、今、フランスに見習うべきだというお話がありました。その場合には、こういうような問題が日本においてはあるだろうということを御指摘いただけると、また議論が進捗するのかなと思っております。

福田(昭)委員 時間が来ましたのでやめますけれども、二枚目以降の個別政策についてはまた議論をさせていただければと思います。

 そうした中で、やはり、そういう意味では、人事の問題、この問題も大きな問題で、大臣からは言えないでしょうけれども、元総務大臣の新藤先生とかいろいろな方々からやはりしっかり御指摘いただいて、創生大臣が石破大臣じゃなくても誰でもやりやすい、そういう環境をつくるということは大事かなということを申し上げて、質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

鳩山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 午前中の質疑も、同僚委員の質問、ほかの委員会もあったりして出たり入ったりはしていたんですけれども、党派を超えて大変すばらしい質問も出ていましたし、また、大臣の答弁もすばらしい答弁が多かったと思います。これはやはり、本来であれば、多くの国民の皆さんに、国会というのはちゃんとやっているんだというのを、一回どこかで集中でテレビ入りでもしてやっていただきたいなというふうに思っていました、国会はスキャンダルを追及したり与野党がけんかするところじゃないよというのを。まさにこの地方創生、委員長を初めすばらしい委員の皆さん、そして答弁者側のすばらしい答弁で成り立っています。

 これは改選前の委員会でもお話しさせてもらいましたけれども、この地方創生、とりわけ人口問題は、本当に危機的な課題であります。私の地元で高校の世界史の先生としゃべったときに、有史以来こういうことはあるんですかと聞いたら、まずないと。疫病や戦争とかで人口が激減することはあったとしても、大きな社会的な変化でここまで人口構造が変わるというのはないと。だからこそ、これはもう既存の取り組みではなくて、本当に新しい取り組み、発想を変えてやっていくしかないんだ、そういう指導を受けたところでもあります。

 この地方創生、いろいろ多岐にわたってはいますけれども、では、それぞれの市町村、地方がこれまで何もしてこなかったのかといえば、努力してきたわけです。そういう意味では、地方創生担当の大臣をつくらなくても、総務省でも事足りた話ですが、人口ということになると、私も、厚労委員会とかに出張って少子化を聞く、また農水に行って農村の人口のあり方を聞く、そういうことをやっても、結局、総括的に人口そのものを論じるところがなかったところでありますから、そういう意味では、大臣ができてこの委員会が立ち上がったということは、これは非常にいいことだなというふうに思っています。

 それで、具体的な質問に入っていきます。

 大臣の所信の中にもありましたが、長期ビジョンの中で、移住や結婚、妊娠、出産、子育て等に関する国民の希望をかなえるために頑張るということが書いてあるんですけれども、ここをもう少し具体的に御説明願いたいと思います。

石破国務大臣 移住の場合に、午前もお答えいたしましたが、実は、移住したいという人はいっぱいいるんだ、東京にお住まいの五十代の男性の五割は移住したいんだ、意外なんですが、十代、二十代の男女とも、四七%ぐらいができれば移住したいんだというのは、私はかなり驚きでした。行きたいという希望はある、そして、地方にはもちろん、人材を受け入れたいなという希望もある。何でこれがマッチングしないんだということであります。

 そうすると、いろいろ考えてもらちがあかないので、まず、例えばある東京の五十代の方が移住したいと思う。だけれども、それって、北海道北見なのか釧路なのか、福島県会津若松なのか鳥取県鳥取市なのか、どこに自分が行くべきところがあるだろうかというのが全然わからない。そのホームページを全部引いていたら、それだけで何日もかかっちゃうということであります。

 あるいは、アンテナショップみたいなものも、島根県は日本橋にあり、青森県は飯田橋にあり、鳥取県、岡山県は新橋にありみたいな話で、まずこれがワンストップでできるようにしなきゃいかぬだろう。そこで、一体自分はどのようなところに行きたいのであり、それにふさわしいところはどこなんだろうかとわかるシステム、これをつくらなければ話も始まらぬだろうということであります。

 また、各県が移住に向けての取り組みをやっているのですが、それがきちんとわかるようにしなければならないし、どういうニーズがあって、何に応えるのか。我が町に来たら百万円上げますみたいな話は全然だめなのであって、迎える側が、こういう人が欲しいねという発信もやはりなければいけないと思うんです。移住というのはそういういろいろなものの積み重ねではないかと思っております。

 人口についての御指摘がございました。今まで政府として、人口が幾らということを数字をもって示したことは一度もなかったのであります。それは、人口政策に国が介入すべきではないという不文律みたいなものがあって、それは一種、戦前の産めよふやせよみたいなものに対する反省があったのかもしれません。

 だけれども、若い方々が、できれば結婚したいよね、できれば子供は二人以上欲しいよねと思っておられるわけです。そういう希望がかなわないのはなぜなんだろうか。所得がないからなのか、出会いの機会がないからなのか、何なんだろうということを一つ一つ取り除いていくということが大事なんだというふうに思っております。

 子育てが非常に大変だ、だから第二子以降はなかなか難しいよねということは一般論としてはあるんですが、女性の方は、三十代半ばで結婚され、出産されるというのが多いわけですが、そうすると、社会に出ていかれるというのもこれからもっと支援しなきゃいかぬ。そうすると、社会における責任も重いよね、子供が生まれたばかりだよね、そして御両親はそろそろ疲れてきたよね、要介護にもなるよねということになると、なかなか二人目という話にはならない。

 では、どうやって結婚していただく年齢を早めることができるか。これは国が押しつけることでも何でもありませんが、そういう御希望があるとすればどうやったら実現できるのかとか、そういういろいろな原因を全部調べてみて、それに対する対応を考える。私は、これに王道なんてないんだと思います。一つ一つ丁寧に、きちんとスピーディーにやることだと考えております。

小熊委員 大臣のおっしゃるとおりで、私も、政治というのは、選択をしっかりふやしていって、どういう考えのもとでどういう人生選択をするかは個々人の問題で、私は子供が三人いますけれども、それが立派だとか、いいとか悪いとかというのは、それは個人の問題であって、独身主義も認めなきゃいけないと思いますし、こうしたいという個々の思いが、もし社会的に何か阻害要因があるのであれば、政治はこれを取り除いていって、しっかり個々人が人生選択をできるようにしなければいけないというのが政治のあり方だというふうに思っています。

 それから、今大臣が言ったとおり、産めよふやせよというのは、政治が、政府がどんどん言う話でもないですし、結果として子供がふえていくということが本来の自然なあり方かなというふうには思っています。

 今の日本の現状を見てみると、非婚化、晩婚化、少子化の中には、これは、個人の思いがそういう方向にふえていったというよりは、やはり何か社会的な阻害要因があるということでありますから、これは、今大臣が言ったように、明確な正解というのはないんでしょうけれども、やはり一つ一つ丁寧にやっていかなければいけないんです。

 今ほど大臣が言ったところで、明確な人口の目標値は政府として言ったためしがないということであります。今回、二〇六〇年まで人口一億人を維持するということですけれども、国立人口問題研究所で言っているところによると、二〇五〇年を待たずして一億人を切るという推計も出ているわけです。

 これは多岐にわたるので、まず、二〇六〇年人口一億人の前提は、これは段階を踏みますけれども、出生率一・八なんですよね。一・八というのが一億人維持の試算の一つの前提になっているんです。

 少子化担当副大臣に聞きたいんですが、一・八という目標が設定してあるんだけれども、これは具体的にどういうふうにやっていくのか。今、石破大臣は、個々にやっていかなきゃいけないし、明快な答えがないからしっかり一つ一つ積み上げるという方向性を示しましたが、担当副大臣としてはどうでしょう。

赤澤副大臣 出生率向上をどのように達成するのかという御質問をいただいた中ですけれども、今、小熊委員がわざわざ触れられましたので、理想を聞くと、二・四二人子供を持ちたいというのがどうも若い方たちの理想だという統計が出ておりまして、現時点では予定としては二・〇七人というようなことになるということで、いずれにしても、委員が問題意識をお持ちのとおり、社会的な阻害要因とかがなくなって希望がきちっとかなえば一・八は超えてくるだろうということは、そういうことから、根拠がおよそないことではないということだと思います。

 それを目指していくに当たっては、御質問いただいた趣旨も恐らくそこだと思ったんですが、三月二十日に、我が国の少子化が危機的な状況にあることを受けて、新たな少子化社会対策大綱を策定したばかりでございます。

 どうやってやっていくのかということで、その内容を若干御紹介させていただくと、晩婚化、非婚化、それから晩産化、そして夫婦が持つ子供の数の減少などが大きな問題だということなので、大綱においては、まさに重点課題を五つ定めて、そこを五年間の集中期間でやっていくという枠組みの中で、若い年齢での結婚、出産の希望が実現できる環境を整備するということで、夫の家事、育児時間が夫婦の第二子以降の誕生に大きな影響を及ぼすとか、約半数の夫婦が理想の子供の数を三人以上としているなど、いろいろあるので、具体的には、多子世帯への一層の配慮を行い、三人以上の子供が持てる環境を整備するとか、男女の働き方改革、男性の意識、行動改革を重点課題として取り上げたりもしております。

 また、妊娠や出産に関する医学的、科学的に正しい知識について、教育や情報提供に係る取り組みを充実させるなど、そういったことに取り組む中で、今後五年間、集中取り組み期間において、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、関係省庁と連携しながら、総合的な少子化対策の充実強化に全力で取り組んでいきたいということで、委員御指摘の二〇六〇年に一億人程度の人口が確保される方向を目指していきたいという考え方でございます。

小熊委員 今も答弁にありましたとおり、若者の意識調査の経年変化、改選前のこの委員会でも私もそれを取り上げてやりましたけれども、この委員の中にも多分メンバーがいるんですかね、イクメン議連というものもつくって、しっかり育児にかかわっていこう。出産というのは女性しかできないものですけれども、育児は、これは夫婦ともに、また地域も含め、やっていくものでありますから、今言われたとおり、収入とかという部分の要因もありますけれども、やはり男性がどれだけ育児にかかわるか。時間が多いと第二子以降が生まれやすいというデータも出ているわけですね。

 その中で、この間、大臣も発言されていましたけれども、育児休暇を伸ばしていく、男性の出産休暇も伸ばしていくということではあるんですけれども、そこも私、いろいろ壁にぶち当たるんです。

 都市部の大企業とか公務員の皆さんであるとかというと、男性が育児休暇をとりやすかったりするんですが、この間も地元へ帰ってきてこの話をすると、やはり小規模事業所になると、かわりの人を入れるといっても、人で仕事をしているので、工場のラインみたいにAさんでもBさんでもやれるという仕事であれば、それは育児休暇をとっているときにかわりの人員を補充してやる、政府がそういうのに助成していくというので効果は出てきますが、小規模事業所は、長期に休まれたら会社が成り立たない、休ませることはできない、もし休むのであればやめてもらうしかないんだ。これは、男性だけじゃなく、女性が出産のときも直面します、小さい事業所の場合だと。

 とりわけ中小企業、小規模事業所の多い日本の経済状況の中で、小規模の企業に対して、働いている中でそういう育児とかにかかわる時間をつくらせていくというのは、私は今、見出せていないんですね。確かに、会社の経営者からすれば、長期に休まれたら大変だというのもわかります、これを見ていますから。

 その点について、有村大臣ですけれども、育児休暇向上についても言及されて、それは私は目指すべきだと思うんですが、その企業風土、企業文化、企業の体質を変えていくというのは非常に大きなハードルがあって、今、現時点では、既存の制度ではそういう流れにはなり得ないな、そういう制度があったとしても、それを使う小規模の経営者は出てこないんじゃないかなというふうに思うんですが、その点についてどうでしょう。

赤澤副大臣 済みません、必ずしも御通告いただいたわけではないかと思うんですけれども、思うところをちょっとお話しさせていただきます。

 今、小熊委員が大変高い意識を持っておられて、小規模事業所の場合は大変困難だということなんですが、私の認識では、実は官庁とかも似たところがあって、結局、一人で仕事を抱え込んで、ほかの人がカバーできないので、その人が育休をとって、あるいは三日でも、例えば奥様が子供を産まれた後、戻ってきて、その三日分の仕事がただ積んであるだけ、年休をとれとれと言われるけれども、とってみると、戻ってくると、休んだ分の仕事はただ積んであるだけ、だから結局休まない方がいいやという行動になりやすいのが今の役所で、結論、いろいろな意味で、一人の人が重たい負担になったら、お互いに連絡し合ってそれを助けるような体制に変えていかないと、企業文化としては、結局、なかなか長時間労働は是正できないし、一人で抱えて潰れちゃうみたいな感じになるんだろうと思うんです。

 そういう意味からすると、問題意識は、地方の小規模事業所でも似たようなところがあって、極力いろいろとカバーをしていただくような体制で、一人で抱え込まないように企業文化を変えていただくのは大きなところも小さなところも似ているのと、あとは、地方でいろいろなヒアリングなどしますと、子連れで、お子さんをおんぶして出勤してパソコンのソフトウエアを一生懸命つくっているような事例とか、いろいろな事例がありますので、そういう意味では、本当にこれは国を挙げて、国、県、市町村、各レベルで工夫がある中で、例の地域少子化対策強化交付金だったですか、そういったものも活用いただきながらいろいろな対策を考えていただく。

 先生御指摘のとおりで、なかなか難しい問題でありますので、即効性のある答え、正解はこれというようなものが今の時点で見出せているかというと若干苦しいところがあるわけですけれども、いろいろな工夫をして取り組んでいただくことを我々も督励していくということでやっていきたいと思います。

小熊委員 そういった意味では、本当に総合的にやらなきゃいけないと思うんですよ。子供を育てるのも地域のかかわり方とかをやっていかなきゃいけないし、なるほど、大きいところでもセクションが限られていれば人材の有効活用ができないというのがありますから、ぜひその点も知恵を出してやっていかないと、言われた男性の育児休暇はとりにくいなと。夢を語っているだけで現実世界になってこないというところがありますから。

 やはり、少子化の大きな肝は、男性が変われば、いろいろなものを変えなきゃいけないんですけれども、ここが一番手をつけてこなかった日本の文化でもありますし、私も、地方議員をやっているときに、年代が上の先輩議員は、いや、女は家にいて産み育てるのが一番の幸せだなんてぽろっと言っちゃうぐらいの、その人がおかしいんじゃなくて、それを世間の人も言いますから。

 そういう日本人の意識も変えていかなきゃいけないという部分では、しっかりとこれに取り組んでいただかないと、この一・八というのは、それはできる可能性はあるけれども、現実はそこになかなか追いついていかないというふうになってきますので、ぜひここは、とりわけそういう部分をしっかりと捉えて。

 いろいろな表彰はあるんですよ。少子化に取り組んでいる企業とかいっても大体大企業ばかりで、そういう表彰制度も、小規模の事業所が表彰されるとなったときこそ本当だというふうに思いますから、ぜひここは、さらに一層力を傾けてやって、問題解決に取り組んでいただきたいなというふうに思っています。

 大臣が移住の話をして、内閣府でとった東京在住者の今後の移住に関する意向調査、これを、我が党で今、これは復興も人口問題と大きくかかわっているので、流出人口率が激しいですから、復興と地方創生、二つあわせて対策本部を立てて、不肖私が本部長をやっているんです。この間、国会図書館でレクを受けてこのデータを示していただいたときに、みんな一様に言ったのは、東京の若者が三割も四割も地方に住みたいと言っているデータがにわかに信じがたいというのが出て、それは、何となくいいなというぐらいで、本気で行くのかといったら、それはとなるんじゃないかな。

 実際、高校を卒業した東京圏の若者たちは九割以上とどまっているというようなデータもあったり、地方になかなか行かないというのがあったりしていますから、現実問題はちょっと違うんだろうなというふうに思います。

 私のところは、雪が降って、温泉地とかに新年会とか忘年会で泊まって朝飯を食っていると、東京かどこかから来た人が、雪が降っている、こういうところで雪景色を見ながら飯を食えるのは幸せだなと言っているんですけれども、我々地元からすると、うわっ、これから帰って雪かきしなきゃいけないと。それは、何日間か住むにはいいところですけれども、ちゃんと住むとなるとやはりなかなか大変なところもあって、ただ、その大変さを、大臣も行かれた隠岐の島の海士町なんかはしっかり情報公開して、住んではみたもののというのがないようにしたというのが一つの成功事例。確かに、地方も移住のときはいいことばかり言いますから、それでは、行ってはみたもののとなっちゃうので、この情報発信をしっかりしていくのは大事なんです。

 今、私の地元である町の町長さんをやっている人が、前は合併前の村会議員で、Iターン、Uターン、Jターンにその地域で取り組んでいて、十組ぐらい移住してきたんですね。そうしたら、五年後には一組しか残らなかった。何でかわかるか、小熊君と。それはすごい山合いの村でした。何でかって、私は、雪ですかと。豪雪地帯ですから。違うと言うんですよ。教育だと言うんです。その地域では、高校もまあ近いところにはあるんですが、やはり高校を出そうとすると、下宿生活をさせて会津若松市とかに行かせてしまう。たった一組だけ残ったのは子供のいない夫婦だったと。

 今、地方に若者を定着させる、移住を促進させる、雇用とか、いろいろな住みやすい環境とか、またはその地方ならではの魅力発信というのもありますけれども、ここは一つ、やはり教育というくくりも大きくあるというふうに思います。

 大臣の地元もあるでしょうけれども、複式学級化したり、学校を統合していってそれを克服している市町村もあれば、やはり学校は地域の一つの力ですから、象徴的な施設ですから、統合しないで複式になってしまったり、一クラスしかなくて運動会を開くのもなかなか大変だというような学校も全国あちこちにあります。

 でも、子供を育てる側からすると、やはりそういう学校のある地域よりは、マンモス校ではないけれども、なるべく二クラス、三クラス、四クラスあるようなところに通わせたいというのも親心です。

 地方創生の一つの大きな肝というのは、仕事ももちろんですけれども、教育をどうしていくかというのが一つのきっかけ、大きな要因だというふうに思いますし、それがあるからこそ、なるべく都市部に、私の田舎でも、会津の中でも、隣の町村から会津若松に引っ越すという傾向もあるわけです。それはやはり学校だったりするわけです。

 そういう意味では、地方創生の中で、もう少し教育という部分に力を入れていくということが必要だと思いますけれども、よろしくお願いします。

藤井副大臣 今、小熊先生から、地方創生、地方における教育問題あるいは教育環境の整備が大切だという御指摘を受けました。私も同じ意識を持っております。

 特に地方におきましては、少子化に伴いまして、学校の小規模化という課題も大変大きな問題になっておりまして、地域コミュニティーの核となる魅力ある学校づくり、これをまずやらなきゃいけないと思っておりますし、文科省としましては、学校の種類に応じたさまざまな支援を講じさせていただいております。

 先生御指摘いただいたように、例えば小学校、中学校、これは各市町村に設置義務を課しております。ですから、学校の規模の適正化であるとか、小規模校が存在する際の教育の充実策、これらの手引を私ども今用意させていただいておりまして、地域のコミュニティーの核となるような魅力的な学校づくりが行われるよう、そういったきめ細かな支援を行っているところでございます。

 また、先生のお話にありましたように、あるいは指摘もありますが、人口が地方から都市部に流出するいわゆる一つの大きなインパクトが、実は大学の問題だというふうに指摘もされておるところでございます。

 大学については、地域における教育機会が確保されるということも重要ではございますし、また、各地方における大学教育が、質的な側面においても充実したものになることが重要だと考えております。

 文部科学省では、教育条件に関する制度的な整備でありますとか、国立大学法人の運営費交付金や私学助成といった基盤的な経費でありますとか、各大学の特色に応じた財政的支援を通じてその質の維持向上に努めており、さらに一層の地方大学の活性化に努めてまいりたいと考えております。

 大学の設置につきましては、先生御案内のとおり、最終的には各設置者の主体的な判断で行われるものだと理解しておりますが、文部科学省としまして、今後とも、地方創生の観点も踏まえまして、各地方において質の高い教育が受けられるような環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

小熊委員 大学のことはこれから聞こうと思ったら、もう答弁していて、同僚議員がこの後、大学のこともちょっと触れます。

 これはやはり大きな鍵になってきますよ。私も地方に暮らしていて、都市と地方との教育の格差というのは大きくありますし、大学が偏在しているということで、大学が地元にあれば通わせたけれども、地元にないからやはり通わせられないというデータもあります。ですから、やはり大学の集中ということもあわせてどう解消していくかというのは大きな取り組みになりますけれども、やらなきゃいけないなというふうに思っています。

 あわせて、今、コンパクトシティーとかコンパクトビレッジとかという言葉も大臣所信に入っていましたが、日本全体が、一億二千七百万、八百万から一億人ということは、二割減るわけですね。全体が二割減っていく中で、集約していきましょうという一方で、農水省の方は、国土を守るためにも集落の機能を維持していくのが大事だということで、集落の人口を確保するためにいろいろな施策をやっています。片や一方で、コンパクトシティー、コンパクトビレッジというのをやっているんですね。

 集めましょうと言って、こっちは維持させましょう、一見矛盾するんですけれども、この点について、担当の農水副大臣、どうでしょう。

あべ副大臣 委員にお答えいたします。

 特に、委員のいらっしゃる会津若松もそうだと思うんですが、中山間地域は、やはり農村の中でも非常に地理的条件が厳しいという中にあって、農業生産条件、これも同じく非常に不利でございます。そうした中で、高齢化の進展、人口の減少などもあって、私のいるところの中山間地区も、若い衆が七十代という状態でございまして、本当に、高齢化の中でも、その地域で頑張ってくださっている方々がいらっしゃる。そういう中山間地区の地域全体の所得また雇用の増大を図るために、地域内でどのように内発型の産業振興を進めていき、生活サービスの機能を維持していくかということが重要だと思っています。

 このため、農業の生産条件の不利を補正する中山間地域直接支払い、これは委員も御存じだと思いますが、また、農地、水路、これも維持していくのが本当に大変な状況でございます。この共同活動を支援する多面的機能支払いの活用、また、地域資源を活用した六次産業などの推進による所得の向上、また、基幹集落の生活サービスの機能の集約と周辺集落とのネットワークなど、中山間地区の活性化を図っていく必要が本当に今言われているところでございまして、こうした施策を農林水産省としてもしっかりと推進していきながら、中山間地区の農業、農村を支え、持続可能な地域づくりに取り組んでいきたいと思っております。

小熊委員 言っていることはわかるんです。でも、一方で、全体が減っていく中でコンパクトにしましょうということは、ではどこから持ってきてコンパクトにするんですかという話をすると、結局、そういう中山間地域、集落の人が町中に住んで歩いて暮らせるようにしてくださいよという話と、これは整合性をとっていかなきゃいけないですし、それはどっちも維持できないです。移民を入れない限り全体が二割減るんですから。出生率一・八を達成したとしたって一億人になるわけですね。二割減るわけです。ここの整合性はしっかりとっていかなきゃいけない。

 あとは、農地においては、まだ因果関係は私はほぼほぼ見出せていないんですけれども、稲作と畑作ではやはり違うんですね。稲作をやっているところは意外と限界集落がなくて、東北地方にはそういうところがあって、九州だと、九州全体で米が農業生産高の二割以下です。あと、大臣のところの中国地方もそうなんです。東北地方は、人口は少なくなっていますけれども、限界集落の比率でいえば中国地方や九州より意外とないというのは、田んぼと関係しているんじゃないか。

 今言った水路の維持というのは、これは集団でやらなきゃいけないんですね。いる意味があるんです。畑作は、もう自己完結でできる部分が多いですから。

 でも、この田んぼの意味が変わってくる。まして、大規模化を進めていくと、また、その集落に住む意味がなくなってくると、維持してくださいよといってあぜ道の草刈りのためにお金を出しますけれども、その集落の人がそのお金をもらってやる人もいないから、逆に建設会社に頼んで草刈りをやってもらうみたいなことも出てきています。

 考えると、これは、農地のあり方がどう変わるか。あとは、集約化を目指している部分、攻めの農業等で大規模化も推進している部分となると、そこで集落のありようも変わってくるということです。

 それを踏まえて、今言った集落を維持する意味は誰も否定するものではありませんが、実態としては変わってきますし、政府がやっている集約化とか大規模化ということで、集落機能維持という方向と逆の作用が生まれますから、そうしたコンパクトシティー、コンパクトビレッジだけではなくて、今言った集約化とかいろいろな大規模化ということに関しても、その流れとは逆なんですよ。だから、そういうことをしっかり見据えた上で維持していかないと、そもそも人口が横ばいであればそれもできますが、全体的に減っていくわけですから。

 全体がマイナス二割だったらいいですよ。大きな流れの中では、二〇六〇年になって、逆に東京は、この推計だけでいうと増加するんですよね。日本全体が二割減るのに、東京は維持される、東海圏も維持される、関西圏もほぼほぼ維持されるということであれば、逆に地方は、大臣のところや私のところやほかの地方の皆さんとかは、四割、五割減になるというところが出てくるわけです。

 全体で一億ということを言っていますけれども、これから後段は石破大臣にお聞きしますが、人口についてはこれまで政府は細かく言ってこなかったと言っています。総理も言っていますけれども、今まで、地方の町村ごとのいろいろな取り組みで成功している事例もありますが、それはもう町村、地域の努力の結果でありますし、国がやるべきことというのは、やはり、大きな人口の流れをどう変えていくか。大きな動きの中でやっていかなきゃいけない話です。

 先ほど藤井副大臣も言われたとおり、大学のあり方もなんですね。先ほど、午前中の福田委員も言っていましたけれども、国立大学だけじゃなくて、補助金の出し方を変えて、これはデータがありますけれども、百校以上あるんですね、東京に百三十九校です、二十六年五月一日現在で。百校を超えるのはほかにないです。専門学校ですら三百校以上あるわけです。ほとんど集中している。

 これを強制移転というのはなかなか難しいけれども、例えばの話、私、それを推進しているわけでも何でもないけれども、では、私立大学の補助金も、何々県に行ったら十校までは万全にやれ、残ったところは補助金なしねとか、極端な話ですけれども、このぐらいのことをやらないと東京集中の大きなトレンドというのは変わらないなというふうに思います。

 大臣、ここで、一億人になる、全体が二割減るわけです。これはもうよしとしているんですね。これは戦いでいえば撤退戦ですよ。世界的にもなかなかやったことがない話です。撤退戦が一番難しいです、戦の中では。

 この撤退戦の中で、それぞれの市町村、これから計画も出てきます。いろいろな成功事例も含め、また、今大変努力して頑張っている自治体も、それぞれが頑張ればいいんです、そこは。町の産物をどうするか、地産地消をどうするか、地域のブランド化をどうするかというのは、それは市町村のやることですけれども、国がやるべきは、この大きな、長期にわたって二千万人以上減り続けていく、結果として二千万人以上減ってしまう。政府が何ぼ頑張ったって、一億人というところがぎりぎりの線ですよ。

 でも、これが、日本全体、北海道から沖縄までみんな二割減だねという話であれば、十万人の市が八万人といえば、物語は描きやすいんです。ちょっとスモールサイズにして頑張ろうか、二割減ぐらいなら。でも、東京の人口が維持されるという推計が出ている以上、地方は二割減じゃ済まないんですよ。私の地元で、もう既にこの十年間で二五%減った町もあります。では、その町で頑張ってもらいますけれども、この東京一極集中の大きな流れは、やはり国でやるしかないんです。

 でも、それぞれ個々の積み上げではこれは直らないと思います。だって、世界的に都市生活者が近々六割近くにもなってしまうわけですよ。これは日本だけの流れじゃなくて、世界的な流れです。

 先ほど大臣が午前中言われたとおり、人間というのは合理的に生きたがるから都市に集まってしまう、そういう部分がありますから、この大きな流れについてどう取り組むのかというのと、一億人と捉えたときに、総体で二割減ですけれども、この格差がないように二割減にするのか、やはり都市集中やむなしとなっているのか、その辺の認識はどうですか、大臣。

石破国務大臣 これは委員と何度も議論しなきゃいかぬことだと思いますが、おっしゃるように、地方はどんどん減るのだ、結局、東京が残るのだ、それはそれで一つの選択ではないかということには全然ならない。

 つまり、地方の高齢化というのは、実は、時間差を置いて同じことが東京でも起こるのではないだろうかと思っております。それは時間的に遅いというだけですが、実は、東京を初めとする一都三県の高齢化のスピードは半端じゃないので、物すごいことが起こるだろう。

 地方において今若い人たちが就業しているのは、昔の公共事業とか白物家電、自動車を中心とする製造業から、医療、介護にかなりシフトしている。高齢化というのは、地方においてやがて終わります。人間は不老不死ではないので、人口構成からいってそうなります。そうすると、若い人たちの職場が地方から先に消えてなくなる。そうすると、首都圏にはまだ高齢者の方がおられるので、職場を求めてまたそこで大移動が起こる。その東京が一番出生率が低いのだ。何のことはない、時間差を置いて地方も東京もどんどん消滅に向かっていって、日本全体がそうなるのを何としてとめるかということになるわけでございます。

 ですから、全国各地から議員さんはいらっしゃっているわけで、出生率が高い市町村を全部並べると、一番から三十番まで、滋賀県の一つの町を除いて全部九州、沖縄なんですね。これは一体何でだと。では、何で東北は出生率が低いのだ。秋田は、子供たちの学力が小学校、中学校で一番高いにもかかわらず、何で人口がこんなに減るのだ。では、何で群馬県の上野村というのは、UIJターン、特にIターンがこんなにたくさんいるのだ。そういう一つ一つの事例をきちんと検証しないで、浮き足立ってやっては絶対間違えると思っております。

 ですから、この議論には余り与党も野党もないので、こういうふうなのはどうだろうかというようなディスカッションをぜひ行わせていただいて、いいものは、とにかくできるものからやっていきたい、やらなければいかぬという認識でございます。

小熊委員 高齢化の話はまさにそのとおりですけれども、私は量の部分だけ今はちょっと言ったので。

 そうはいっても、量としてはやはりこの東京圏は確保される、それで地方にふぐあいが生まれるということを、これはしっかりやらなきゃいけない。ある意味では、極端な言い方をしますけれども、本当に、日本の国内で、民族大移動じゃないけれども、大きな人口が都市部から地方に行くということをしないと、どこの町では人口がちょっとふえましたよという成功事例だけでこの問題が解決するわけではないですから。

 これは、本当に大きなドラスチックな改革をしなければ人の流れなんて変わらないですし、強制的に移住をさせるということもできるわけでもないので、この点については本当にこれからしっかり議論をしていきたいと思いますし、それは午前中の福田委員の質疑でもありましたけれども、大学をどうするとか、そういう大きな仕組みは国が示していかなきゃいけないわけです。

 うちの地元でも、数年前、首都機能移転と盛り上がりましたけれども、僕はそのときは冷めていました。なぜかといえば、それは首都機能移転の意味はわかるんですけれども、福島県が喜んでいたのは、それで福島県が豊かになる。では、ほかの県はどうなるんだ。首都機能移転は国がよくなるための政策ですから、そういうことではないんです。

 もちろん、やっていくべきは、国が変えていくべきは、やはり地方分権という仕組み。その箱がどこにあるかじゃない。先ほど午前中も、国の機関が大宮に行った、横浜に行ったって何も変わらないんだと言ったとおり、ハードではなくて、ソフトの部分ではどんどん分権していく。それも、道州制とか、その一里塚が私は大阪都構想だと思っています。大阪だけの問題ではありません。大阪都構想はまさに地域主権改革の一里塚だというふうに思って、私も我が党でしっかり取り組んでいるところであります。

 こうした話をして、この人口減少社会を政府としてどうしますという話をどんどん、大臣が言ったとおり我々は議論していかなきゃいけないというふうに思っています。小さな町村の成功事例は、それはそれです。でも、それは市町村の役割ですから、地域の役割でしかない。もっと大きな人口の流れをどう変えていくかというための政策の議論をぜひこれからも前向きにしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 維新の党の村岡でございます。

 通常国会では、地方創生委員会、初めての質問ですので、よろしくお願いいたします。

 午前中からずっと石破大臣の答弁を聞いておりました。与野党の人が、地方創生はこの国にとって今一番やらなきゃいけない最重要課題だということは、与野党なくしてしっかりと認識していると思います。そして、石破大臣の答弁も非常に明確であり、そしてまた、まだわからないことに関しては率直に語られていたと思います。

 その中で、質問ではないのですが、一つ、午前中の一番に大阪都構想のことを触れられましたので。

 大阪都構想、これも、新しいことをやるというときには必ず反対があるんです。しかし、この反対をしっかり説明する。あの委員は、その中で最後に言ったことは、選挙民に熱意を持って語るということを言いました。我々の最高顧問である橋下徹市長は、二時間、街頭で、もう四百回市民に説明しています。やはりこういう熱意なんです。政治の中で地方を創生しようといったらやはりこういう熱意なので、この点だけはひとつ発言を訂正していただきたいと思っております。

 それで、質問に移りますけれども、実は、私もスタッフとして、石破大臣と同じ田中派、経世会におりました。そして、大臣が初めて国会議員になられたころ、経世会ができ、ふるさと創生ということを申しました。委員長もそうだと思います。そして、委員長の上には綿貫先生、奥田先生とおりまして、何か、田中派、経世会が囲んでいるような感じですけれども。

 原点は、日本列島改造論、そしてふるさと創生。常にやってきたんです、東京一極集中を是正しようということを。しかしながら、社会的な情勢、国際的な情勢、いろいろなものでなかなか難しかった。それとともに、地方創生、東京一極集中是正というのに、やはり政治家同士の反対が多くあって、これはなかなかできなかったということがたくさんあります。

 しかしながら、この反対を押し切ってまでやったことが比較的成功している事例は、今まで政治にはたくさんあります。例えば国鉄改革、それから日本道路公団、そしてまた消費税を取り入れるとき。いろいろな議論はあった方がいいんです。議論のないもの、それぞれ全員賛成したものというのは、比較的失敗している例が多いんです。そういう意味では、この地方創生は大いに議論するべきだ、こう思っております。

 石破大臣がいろいろ語られておりますけれども、これまで地方創生や再生のためにやってきたものが、なぜ、なかなか実行、そして地方の再生につながらなかったのか、その認識を初めにお聞きしたい、このように思っております。

石破国務大臣 委員も私も大体同世代でございまして、同じ時代を生きてまいりました。日本列島改造のときに、委員が中学生、私は高校生だったと思います。あるいは、竹下登先生のふるさと創生のときに、お互いに立場は違うが永田町におったと思います。私はどっちもすばらしい取り組みだったと思うんです、正直申し上げて。

 言われるように、あの狂乱物価とかオイルショックとか、そういうものがなければ、列島改造というのは、ドイツのアウトバーンみたいな形で、インフラの整備という意味では非常に意味があったと思います。そこは、田中総理のいろいろな御意向と反して、いろいろな人がいろいろなことをたくらみ、あるいはオイルショックというものが起こって、なかなか理想が達成されなかったと思っています。

 もう一つ、ふるさと創生について申し上げれば、私は、竹下総理が総理をおやめになった後、お供して外国旅行をしたことがあるのですが、そのときに、ばらまきの標本みたいに言われるが、あれで地方の知恵と力がわかるんだということをおっしゃったことを鮮明に覚えております。すなわち、それをどう使うのか、今の言葉で言えばPDCAのチェックの部分をきちんとワークさせようという考えがあったんだと思いますが、竹下内閣もああいう形で終わりました。

 ですから、それが全部だめだったとか、そういうことを申し上げるつもりは私は全くございません。ただ、問題は、あのふるさと創生にしても、あれはバブルのころでした。あるいは、列島改造というのは高度成長期でした。これに失敗したらこの国は終わりだという危機感は、私は感じなかったです。今回は、これに失敗したら後がないという物すごい危機感を私自身持っておるところでございます。

 もう一つは、チェックの仕組みをきちんとつくる。それが本当にできたのかできないのか、それはきちんとチェックをする。そしてまた、いろいろな総合戦略を地方につくってくださいとお願いをしていますが、それは町長さんがつくるものでしょう、市長さんがつくるものでしょうではない。そこにおいて産業に携わる人、金融に携わる人、教育に携わる人、言論に携わる人、やはりみんなで取り組み、みんなで責任を負うということでなきゃ町なんかできません。もちろん責任は行政が負うものですが、そこに至るまでの過程、あるいは検証の過程にそういうような多くの方々に参画をしていただき、目標をきちんと設定するということが今までと違うものだと思います。

 時代は、バブルのころとも違うし、高度成長のときとも違うし、ですから、この取り組みは物すごくナローパスだということをよく承知の上でこの取り組みを行っているところでございます。

村岡委員 確かに、日本列島改造論も国土の均衡ある発展、そして、ふるさと創生も一億円という、何でも使っていい、地方がしっかり考えろ、そういう意味では今の発想の中にもしっかり取り入れられていると思います。そして、今は本当に危機的な状況、これはラストチャンスだということを石破大臣もよく言われております。私もそのとおりだと思います。

 そこで、シティーマネジャーといいますか、地方にそれぞれ省庁や学者や民間で派遣されました。この方々と、石破大臣、そして副大臣、そしてさらには政務官、一人一人に会っていろいろなお話をされたでしょうか。

石破国務大臣 これは、彼らも今までずっと待機をしておったわけではなくて、それぞれの省庁、あるいは大学、あるいはシンクタンクにおいて仕事をしておりました。私どももいろいろな仕事は今もしております。

 これはそのままではいかぬということで、先般、三日間ぐらいかけて研修をいたしました。そこにおいては、私も、副大臣も、政務官も、補佐官も、かなりの時間をとってお話をいたしました。そして、こういう言い方は誤解を招くという意見はあるのですが、やはり飲まないと本音は出ないというところがありまして、その後、これはまた相当の時間をとって、意見交換会と称していましたが、意見交換会には違いないんだが、飲める人は飲みながら、ざっくばらんな話をしました、それをしないと心が通いませんので。

 そこで私はいろいろな発見をしたのですけれども、こんな人たちが本当にいるんだという、そういうのは一種の感動だったですね。このまま中央省庁にいれば、ある意味レールに乗ったというのか、そういう官僚人生があるんだけれども、あえて地方に行こうという人が本当にいるんだということ。そして、彼らが言っていたことに、やはり自分は地方に行ってそこをよくする、午前中も、給料が下がったらどうするとか、いろいろなお話がございました。それはそれでよく配慮しなきゃいかぬことですが、そうであっても、自分は地方に行ってそこをよくしたいんだという熱意はすごく感じました。

 もう一つは、自分たちが何のミッションで行くんだろうか、これからまた御議論があるのかもしれませんが、経産省が今開発中で、そろそろ動かしますが、ビッグデータというのがあって、人、金、物はどこから入り、どこへ出ていくのか、それはどんな人であり、どんな物であり、どんな金であるかというのがわからないと、総合戦略の立てようがないわけです。なるほど、そういうことなんですか、ビッグデータというのはこうやって使うんですか、では、それを私、赴任先の町に行って、市に行って、本当にこれをこうやって使おうというのを広めますよというお話でした。

 私は、委員御指摘のとおり、それぞれの人たちと我々政務が心を通わすことは大事だと思います。これから先、彼らが赴任した先に、大臣、副大臣、政務官、補佐官、みんなで手分けして回ってこようと思っております。その一体感は何よりも必要だという認識を持っております。

村岡委員 非常に大事なことを研修ということでやられていると思います。懇親も必要です。二次会へ行ってカラオケも行ってください。

 それで、その方々が行って、悩むことはいっぱいあると思います。都道府県にはこれまでも省庁の方々が行きました。しかし、その中で、うまくいった人もいますけれども、いろいろ悩みを聞くと、多いのが、地方の議会であったり地方の大きな企業に反対される、余り変わったことをやると、それは、その人たちが、もうやらない方がいいという結論になってしまう。ましてや、小さい市町村に行きます。そして、若い人が行きます。なかなか大変なんです。

 やはり、その中でアイデアを、きちんとその地域の再生のためにやっていくというためには、政治の方の、国政の中でのしっかりとしたフォローがないと、なかなかそれが進んでいかない、こう思っております。

 そして、地域や組織や自治体を変えるものは、やはり昔から言われるように、若者であったり、そして変わり者であったり、よそ者であったり、そして、決断をしなきゃいけないという大変重要な役割を担っています。

 そういう意味では、私は、地方に今行っている人たちとともに、もう一つ押さえでやっていただきたいことがあるんですが、例えば、省庁を卒業したばかりのOB、この人たちを四十七都道府県の東京事務所、まあ東京は外れますけれども、東京事務所にも一人、経験を積んだ人たちを顧問なりなんなりで、そうすると、若い人たちと一緒に連携しながらその地域のことをやっていける。市町村ではありませんよ。しかしながら、この相談する窓口というのは、やはり現場も必要ですけれども、東京という窓口も必要だ、こう思っております。

 それは、各省庁の人たちにお話を聞くと、皆さんふるさとがあるんだから、省庁を卒業したときに都道府県に帰りませんかという話をします。その中で、まれに帰る人はいます。しかしながら、先ほどから大臣が言われている、男性は五〇%以上、地方に行ってもいいという人がいる。女性がなかなか、奥さんがなかなか、そういうことで、その人たちにお話を聞きますと、例えば、卒業した後、都道府県事務所に顧問とかで雇われたら、ふるさとのためにやる気はありますかというと、ほとんどの人が、それならばやってみようと。しかしながら、そういう制度もないし、そういう形が今のところない。

 こういう部分の中で、この地方創生の中にもう一つ、若い人たちを支える、政治も支える、しかし、官僚の経験を積んだ人も支える、そういうことは考えられるでしょうか。

石破国務大臣 考えてみます。

 それは私も、OBの活用というのは、随分と検討もし、OBの方々にも聞いてみました。

 私がかつて一緒に働いた農水省の局長さんとかあるいは防衛省の局長さんとか、そういう方で、地方で市長になって今活躍しておられる方々もおられます。

 やはり地元へ帰って働きたいなという方はいるはずなんです。ただ、選挙というのがありますので、なかなかみんながそれになれるわけではない。では、地方にOBの方々を派遣するというのもあるじゃないかと。午前中の議論でも、これから枠を広げたいということを申しましたが、あくまで現役に限っています。OBの方をどうだろうかということです。

 委員御指摘のように、では、東京の、例えば秋田県東京事務所でありますとか福岡県東京事務所、鳥取県東京事務所でもいいんですが、そこにその県出身の人がアドバイザーみたいな形で入ったらどうだろうか。ただ、それがどんと顧問室みたいなところにいると、面倒くさい人が一人来たなみたいな話になりかねないので、そこはまた、マッチングをしなきゃいかぬことだろうと思います。一人でいいとは限らないので、場合によっては複数でもいいのかもしれません。

 ありがたい御指摘をいただきました。ここは役所のOBの方も何人もいらっしゃいますが、どうだろうねということで、ちょっと検討させてください。またいいお知恵をいただければ幸いでございます。

村岡委員 ありがとうございます。ぜひ検討してみてください。決して顧問室にいるというわけじゃなくて、そして一人ではなく何人かいて、その県のいろいろな市町村の対策に対してフォローしていただけるような方がいれば、行った先の若い人たちも非常に勇気づけられると思いますので、ひとつ検討していただければ、こう思っております。

 それで、その中でまた、省庁にはコンシェルジェもいるんですけれども、このコンシェルジェの部分で、四人、五人という人たちが、また十人、二十人という人たちがその県にはいると思いますけれども、これはやはり、省庁の中にいると、どうしても省庁の縦割りの中で、その省庁のいろいろな法や規制に縛られてしまう。だからこそ、卒業して、その経験で県に行く、こういう意味合いでありますので、ぜひよろしくお願いしたい、こう思っております。

 そこで、次に移りますけれども、これは今、地方創生ということで、新聞やいろいろな記事で地方創生に対する意見があります。その一つの意見で、地方が減少に悩んでいるのは、地方には仕事がないことが原因だと、それはほとんどの人が思っています。でも、大臣は、そもそも経済が停滞している原因は何だとお考えでしょうか。人口減と経済の停滞は、ある程度一致することはあるかもしれませんが、必ずしもそうじゃない。そういう部分はどのように考えていらっしゃるでしょうか。

石破国務大臣 これは必ずしも担当ではないので、的外れになったらお許しをいただきたいのですが、午前中の答弁でも申し上げましたが、私は、経済はグローバルとローカルに分かれるのだという認識は持っております。その前提の上で申し上げれば、やはり、リーマン・ショックの後、縮小均衡みたいな話になったんだと思います。

 それぞれの会社が、従業員に対して、雇用を守るという名のもとに給与を引き下げる、あるいはいろいろな仕事をいろいろなところへ委託する、親会社があって子会社があって、下請という言葉を使っちゃいけないとするならば、いろいろな関連の企業があるというのに対して、とにかく大変なんだから少しコストを下げてよ、少しまけてよみたいなことで、一つ一つの企業で見ればそれなりに正しいのだが、それが全部一緒になると合成の誤謬が起こって、こんなことが起こったのではないだろうかということが一つ。

 もう一つは、当たり前の話、団塊の世代がみんなリタイアされましたので、労働力が減っております。GDPはあくまでGDPでございますが、それは、労働者の数と、そのスキルと、そして設備投資、これの集合体ということでございますから、一つ一つで考えれば、労働者の数が減りました、しかし、設備投資が相当に古くなっております、あるいは教育というものもなかなかその質が向上するに至っておりません。

 今、地方において人手不足が起こっているということをどう捉えるか。地方において人手不足が起こっている以上は、そこにおいて生産性を上げることによって所得、雇用を安定させる、それによって多くの人がそこに就業できるという一つの正のスパイラルというものをつくることができるのではないだろうかというふうに思っておるところでございます。

 GDPはなぜふえないかということと、そしてまた、合成の誤謬というものをどのように脱却するか。

 さればこそ、本当は、政府が給料を上げてくださいなどとお願いに行くのは妙な話なんですよね。給与というのは雇用者と労働者で決めるものですから。しかしながら、そこへ政府がお願いをして、労働者の所得を上げてください、それが、大会社から中小零細に至るまで上げてくださいというお願いをしているのは、そういうようなスパイラルに陥っているのをいかにして脱却するかということには、このような手法も必要だと思っているような次第でございます。

村岡委員 ありがとうございます。

 複雑にいろいろなものが絡み合って経済が停滞していることは確かなんですが、一つの考え方として、知事や大臣をやられ、そして今、慶応大学の教授の片山先生が言われていることがあります。

 県を例えると、国際収支、輸出と輸入のバランスが崩れていると。地方で、例えばエネルギーをつくったり、農産物をつくったり、また工場で、完成品じゃないけれども、何か部品をつくったり。しかし、それが東京や世界に行ったときに、その対価がしっかりしていない、国際収支が、県際収支といいますか、輸出と輸入の収支が崩れているという考え方を言っております。

 その中で一番大きいのがエネルギーだと。このエネルギーの問題で、確かにエネルギーはいろいろなベストミックスを考えなければなりませんが、自然再生エネルギーだとか、そういう部分の中で、地方でしっかりエネルギーのコストを下げていく、そしてまた、でき上がったものを使うところに売ってやる。この経済の基本的なことを直さない限り、なかなか地方の経済が上がってこない。

 経済が先なのか、人口減を抑制するのが先なのかは別にしまして、この考え方は一つの見方として正しい、私はこう思っているんですけれども、大臣はどのように考えますか。

石破国務大臣 私、不勉強で、片山教授の所説を全て読んでいるわけではありませんが、にわかに全面的に正しいかどうかは別といたしまして、真実は含んでいると思っております。

 エネルギーと食料という国家が生きていく上に必要なものを、金さえ出せば外国から買えるのだということをずっと我々は考えてきた。自給率を上げなきゃ、自給力を上げなきゃとか言ってもどんどん下がる一方で、原発事故が起こるまでは、再生可能エネルギーというのを一体どこまで考えていたかしらというような反省を私自身は持っておるところでございます。

 そういうものの供給は東京でできるはずはないのであって、これをやれるのは地方だけなのですが、そうすると、エネルギーの場合には、では今の買い取り制度というものがどこまでもつのだろうかというお話は、それはまた、政府と議員各位との間でいろいろな議論がこれから交わされるのだろうと思います。

 そして、食料自給力を上げていくためには、今の政策が正しければこんなことになっているはずはないのであって、何を変えたらいいのだろうかということだと思っております。

 ですので、貿易を考えましたときに、食料、エネルギー、もう一つ日本がほかの国と比べてかなり劣りますのは、それは観光の部分だと思っています。貿易において相当の部分を占めます観光が、日本の場合に数分の一あるいは十数分の一というのは、かなり改善の余地があると思っておりまして、これはもう円が高いとか安いとかでかなり全部の事情は変わってくるのですけれども、そういう要素というものを全部考えていきながら、地方の持てる力を最大限に引き出すということが肝要でございます。

村岡委員 その貿易収支というか国際収支というか、そういう中でいくと、今大臣が言われたように、エネルギー、農産物、そして観光とあると思います。やはり今、地方もいろいろなアイデアを総合戦略ということで出し始めていますけれども、まずは自分の地域のよさを、何か地方が新しいことだけを考えればよくなるというわけじゃない、新しいことプラス強みもしっかり認識していかないと、本当の意味で地方は再生しない、こう思っております。

 そして、国の取り組みの中で、シティーマネジャーであったりコンシェルジェであったり、そういうことをやっていただけるということの中で、新しい取り組みです。でも、国がやらなきゃいけないということの中で一番地方が期待している、期待しているといいますか、まずは国から範を示してほしいと。

 例えば、会社に対して、みずからの本社機能を地方に移してくれということを国は言います。しかしながら、まずは行政側がしっかりと地方に移していくという姿勢を示さなければ、民間や地方だけに、あなた方、大変なんだからと。でも、国全体がこの問題の大切さ、課題の解決をしなければならないということを考えているわけですから、その点でいけば、やはり行政機能を地方に分散させる、そしてさらには権限や財源を移していく、これを同時にやっていかなければ、地方も、この地方創生というのは五年が終わったら一体どうなるんだろうと。五年で解決できるとは思いません。

 その部分では、大臣は、この行政機能、また権限や財源を移していくということは、同時にこれから考えていかれるつもりだと思いますが、どのように考えられていますでしょうか。

石破国務大臣 実は、この地方創生というのは、今委員が御指摘されたことが最大のテーマなのかもしれません。

 今まで、均衡ある地域の発展という名のもとに、自治体間で余り差がつかないようにしてきたんですよね。それをもって善というふうに評価してきたところがあると思います。補助金もそうです。自己負担を少なくする交付税措置もそうです。そして、財源調整機能というものを有するようなところの地方交付税制度も、そのために大きく寄与してまいりました。

 財源も権限も人材も責任も移すのだというのは、スローガン的には確かにそのとおりです。では、それをやったときに何が起こるだろうか。先ほど来、手段と目的というお話がありますが、それも一つの手段なのだと思います。

 では、それをやると本当に地方はよくなるだろうかということを考えたときに、これは多分、物すごく反発が出るだろうと思います。真っ先に、差をつけるとは何事であるかという話がある。財源の偏在性をどう考えるのかというお話がある。ですが、それを乗り越えて、なおかつ、余りに憲法に反するような不合理が生じないような仕組みというのは何だろうかということを考えていかなければなりません。

 私は、先週、インドネシアの前の外務大臣と結構長い時間話をしていたのですが、インドネシアが開発独裁体制から何で民主主義にスムーズに移行したかというと、あの地方分権は半端じゃないですね。そして、国家公務員も、半分以上が地方公務員に身分がえになっているはずでございます。

 ですから、これは、財源のお話もありますし、地方分権ということをやった場合に、では、今の霞が関のシステムというのはどうなるでしょうか。これは道州制にも通底する議論だと思いますが、国家のあり方を根本から変えるというのはそういうことなんだと思っております。

 ですから、これが、壮大な実験というのをやるわけにもまいりませんので、そういうことをやったら何が起こるだろうかというリスクをきちんと分析しながら前に進まなければいけない。権限も財源も責任も基本的に地方に渡すべきだという私の考えに全く変わりはございません。

村岡委員 まさに石破大臣が言われたように、明治維新なんかも、廃藩置県であったり、侍の身分を取ったり、いろいろなことをやりました。その大きな目標は、日本が国際的にしっかりと一流になり、そして国際的に各国としっかりとした体制の中で貿易も外交もやっていくという大きな目的がありました。

 先ほど、午前中、石破大臣が言われたように、目的はしっかりしている。しかし、この手段が非常に大事なんです。手段がある程度大胆であり、そして、方向性が、その目的に向かっていくということが示されなければ、人間は安住の地に行きます。やはり楽な方に行ってしまうんです。そういう意味では、手段という部分は非常に大切なんです。その意味で、いろいろな手段を今、国の方で打ち出していることは確かだ、こう思っております。

 そして、先ほどの議論の中でも、高齢者の移住ということがありました。アメリカのCCRCということで、なかなかアメリカのようにはいかないと思っております。しかし、高齢者の中で、やはり地方で、ふるさとの自然豊かなところで住んでみたい、また、自分のいろいろな可能性をその地域に発揮したいという人はたくさんいると思います。

 先ほどの議論の中でも、では、どうやってその人たちに行ってもらうかというときに、例えば地方の大学とか、いろいろなことを言われました。しかし、この地方の大学も、相当特徴がなければ、そこに行ってみたいという人もなかなかいないことは確かだと思っております。

 実は、我々秋田には、一つ、国際教養大学というのがあります。大臣が知っていらっしゃるかどうかわかりませんが、十年前に開学をして、今、十年間で、偏差値を言うのもおかしいんですが、いろいろなデータでいうと七十ぐらいの偏差値なんです。秋田の片田舎です。空港から十五分ぐらいですけれども、秋田ですから、自然豊かどころか、映画館もなければ喫茶店もなければ、何もないところに大学だけ一つあって、一年間は寮生活、そしてその次には大学の中にアパートがあって借りる、三年生になれば一年間必ず留学しなければならない。

 この大学のように特色があると、高齢者や、また、いろいろな知識を持って生涯教育という中で、逆に、秋田にありながら、実は、その大学の目的は、日本のグローバルな人間をつくろうということで開学しました。そして、その中で最初の学生は、この前、実は視察に行ってきたんですが、余りその偏差値は高くなかった。ところが、その若者たちは全国から集まってきて、この大学をつくり上げるのは我々だ、我々が恥ずかしいような勉強をして、そして就職していけば、必ず後輩たちに迷惑がかかるということで、学長が言うには、一番意欲があって、そして大学を活力あるものにしたのは第一期生だという話を聞き、非常に感動いたしました。それは学生もそうだと。

 そして、もう一つあるのが、第一代目の学長が、東京外国語大学の学長が、いろいろな権力争いで敗れ、やはり理想の大学をつくろうということで秋田に行きました。そして、二代目の人も、国際基督教大学の学長だった人です。

 そのようなことで、東京にはない大学です。そういう意味では、やはり大学も、特色があれば地方創生にも役立てて、地域の再生だけじゃなくて、先ほど午前中の中で、また例を挙げるのはあれですけれども、世界一ということを目指しているような部分は、地域だけじゃない、日本全体の人口や高齢者の生涯学習のために役立つところもしっかりと見ていただきたいと思います。

 大臣も国際教養大学をどのぐらい知られているかわかりませんが、どう思われますでしょうか。

石破国務大臣 私も、物の本ではこの国際教養大学というのは随分と勉強させていただきまして、一回行ってみたいなと思っております。行かないと、しゃべっても余り説得力がございませんもので。

 これはたしか、立命館が大分の別府に、似たような大学、似たようなというのは亜流という意味ではございません、そういうようなコンセプトのもとにつくっていたと思っております。

 やはり、そこにしかないというものでないと人は来ないんですよね。全国にミニ東大みたいなものをつくってもだめで、その地域でなければ学べないというものをつくっていかないと、それは、ミニ東大をつくったら、本物の東大に行った方がいいだろうみたいなことになってしまうわけで、その地域において本当に特色ある教育をやっていただくということがとても大事なことなんだと思っています。

 CCRCとそういうような大学が融合すればベストマッチングなのですが、世の中、よい子悪い子普通の子で、全ての大学がそんなにすばらしくなるわけでもございません。

 ただ、私どもとして、文科省にお願いをし、一緒にやろうと思っていますのは、その地域でなければできない教育、そして、地域で学び、地域で就職する、何も地域で学ばなくても東京や大阪で学んで地域で就職してもいいんですが、そういう特色ある教育を行うところに対しての助成というのが厚くてしかるべきではないだろうか。いかにして東京大学に似せるかということが助成のポイントではなくて、その地域において学び、その地域において勤めるのだ。そして、大学は象牙の塔ではなくて、CCRCというのはまさしくコミュニティーのCをすごく重視しておりまして、そこにおいてコミュニティーを形成し、多くの世代に学びを与え、生きがいを与えということだと思います。

 また、その教育機関が、由利本荘なら由利本荘で結構です、秋田なら秋田でも、北秋田なら北秋田でも結構なんですが、そこの地域がよくなるためにどれだけの活動をするかということも大学の評価の基準たるべきものではないかと私自身は考えております。

村岡委員 地域の特色で、農業であったり、例えばその地域が観光であったりということであれば、そういう大学も確かに連携して大事だと思っています。

 しかし、私がこの国際教養大学に行ったのは、実はここの大学は、一年間で百八十人ぐらいの学生ですけれども、秋田県人は二十人だけです。百六十人は全国各地から来ています。しかし、秋田県が公立大学で最初にやりましたので、秋田県は相当な予算をつぎ込んでこの学生たちを育てています。

 そして、思いは何かというと、秋田から日本全体へ。世界へ行く人が秋田から生まれるのはいいことじゃないか、別に秋田県人だけじゃなくていいじゃないか、こういうことを思ってやっている大学です。そして、県も、秋田県民も、これはすばらしいことだ、大学で世界一を目指していこう、そして、ここから世界に発信していく若い人材をつくろうと。

 こういうところは、地方創生の今の目的でいけばちょっと外れるような形になるのかもしれませんが、国全体として考えて、こういう人材を育てるというのは、まさに秋田にとっても、そして日本にとってもいいことだ、こう思っていますので、ぜひ秋田に視察に来ていただければ、こう思っております。

 そして、その学生たちにこの前話を聞きました。この学生たちに心が非常に強く打たれたのが、一年間、全員が留学します。そして、その分だけ、一年間、百八十人全員、外国人がその大学に来ます。そういうシステムになっています。そして、外国に一年間留学すると、ほとんどの学生がメーカーに勤めるんです。一流企業です。なぜかと聞きました。外国に行けば、日本の基本は物づくりだということがわかると言う。また、農産物の食品加工の会社にも勤めています。

 やはりこれは、地方創生というので、自分のふるさとを大切にし、そして自分の国を知るということの中では、学校の活用というのは非常に大事だなと感じました。そして、日本のよさをわかる、ふるさとのよさをわかるというのは、やはり海外にいろいろな学生が行くというのが非常に大事なことだと思っています。

 今、視点には入っていませんけれども、地方創生の中に、ぜひ大臣の中に、各県から留学していろいろなところを見るというのも、外を見るというのも地方創生の一環で、私は、やはり地方創生は最終的には人材づくりだと思っているんです。その点はどう考えられるでしょうか。

石破国務大臣 そういう視点は必要です。御指摘ありがとうございました。

 それぞれの団体でいろいろな総合戦略をおつくりになるんだと思います。結局、地方創生というのは人づくりである。人から始まる地方創生って、何か選挙のスローガンみたいな話になりますが、それはまさしく大事なことで、海外に出て、それで初めてとは言わないが、日本のよさがわかるというところはあるし、海外に出て、日本をどうしたらいいかというのがわかるというのは大勢の人が体験されたことだと思います。

 それが人づくりにつながることであって、市町村がおつくりになる総合戦略あるいはKPIの中で、海外に出るというのは一つの項目として挙げるところがあってもよろしかろうというふうに思っております。それが、実際にメーカーにお勤めになるなりなんなり、日本の人材としてきちんと働いていただけるということもあわせて、システムというのは組み立てていかねばならぬ。先ほど申し上げた文科省にお願いしてというのは、そういうものも含んでいるつもりでございます。

村岡委員 ぜひその点も取り入れていただければと思います。

 最後の質問になりますけれども、昨年の創生委員会でも質問させていただきましたけれども、東京一極集中もあれば、秋田県でいけば秋田市一極集中、それぞれ県庁所在地の一極集中というのがあります。そこで、なかなか進まなかった一番の、県境というところを一つの単位と考えて、これを、県を越えて二十万人、三十万人単位で定住圏構想や何かでやっています。それは、いろいろな観光で協力しましょう、道路の期成同盟会をつくりましょう、いろいろなことをやっています。それを一歩進める。

 それは何かというと、やはり、その県で、いかに隣接している県との人口の交流、観光、職業、そして教育も、私、高校生ぐらいになれば、どんどん他県に行って受けたり、他県の人が来ることも全然構わないと思っている。また、企業なんかも、秋田県に住みながら山形県に勤める。そういうような県境の整備というのは非常に大切なんです。そしてその県が、一極集中じゃなくて、他県と交わっていろいろな文化を知り、他県からいろいろな刺激を受ける。そういう意味では、県境の整備にもう少し制度的に踏み込んでほしい。

 そして、そこに予算をつけたりモデル地区にするとなれば、県を越えてどうやって予算をつけるんだという話があります。そういうところに、思い切って十人や十五人、最初の部分は国から手伝いに行く省庁があってもいい、そのぐらいに思っているんですけれども、この県境の整備、ただ単にかけ声だけで終わっていないか、こう思っているんですが、大臣はどうお考えでしょうか。

石破国務大臣 委員の最初の御質問が、地方創生人材についていろいろ有益な御指摘をいただきました。それとの関係で申し上げれば、いわゆる地方創生支援人材というものが一つの町村でなければいけないのかというと、決してそうではないだろう。これは多分、もう少し検討させていただきますが、地方自治法の第二百五十二条の七というのをどう使えるかということかもしれません。

 つまり、AならAという地方創生支援人材が、副町長とか副市長とかいうことになるとこれは難しいんですけれども、いわゆるスタッフ的な人材であれば、AならAという人が幾つかの市町村にまたがって仕事をしてもいいよねと。それが県境を越えて、例えばA県B町とC県D村が、とにかく県境をまたがってそういうことをやってもいいはずなんですね。

 これは少し制度を詰めてみますが、多分、県境をまたがった形での地方創生の取り組みをエンカレッジする仕組みというのは、このことも含めまして持ち帰らせて検討させていただき、また御質問があればお答えをし、また委員のところへ御説明に参るようにいたします。

村岡委員 大変ありがとうございました。

 地方創生は一年や二年でできるんじゃないと思っておりますので、引き続き議論をしっかりさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 子供医療の無料化について、子供医療制度の助成について質問します。

 二〇一四年度補正予算で創設した地域住民生活等緊急支援のための交付金について、内閣府は、二十四日付で交付決定を発表いたしました。

 地方創生先行型は千三百四十四億円とされていますが、このうち、少子化対策として交付決定となった事業数、事業費はどのくらいになっているでしょうか。また、その中で、子供の医療費助成や保育料の助成の活用に充てる件数、自治体数はどのような状況になっているでしょうか。教えてください。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、地方創生先行型の交付金について、これは三月二十四日に交付決定したところでございますが、その中で少子化対策分についてでございますけれども、精査の結果、変更はあり得るわけでございますけれども、事業数にして二千五百二十七件で全体の約二一%、事業費にして二百三十四億円、全体の約一七%というようなウエートを占めております。

 それから、少子化対策というくくりでございますけれども、これは、地方公共団体が地域の実情に応じて自主性を発揮して、いろいろ多岐にわたってやっております。結婚、出産、子育てということで、出会いの場づくり、結婚相談、不妊治療助成、保育料軽減、あるいは保育環境、子供医療費助成と、それぞれかなりの分野に分かれておりますので、医療費助成で申し上げますと、おおまかな傾向でいうと、全体の少子化対策の中で大体一割を下回るようなウエートというような感じになっております。

田村(貴)委員 私も一つ驚いたんですけれども、地方創生先行型の少子化対策のメニューの中に、乳幼児医療とか子供医療の例がなかったんですね。この中で、自治体が手を挙げて、子供医療の拡充に乗り出すといったところであります。

 結構な割合になったというふうにも伺っているんですけれども、この制度について、やはり私は周知徹底を図る必要があると思うんです。この少子化対策の中の交付金を使って子供医療の拡充そして保育料の助成ができるのであれば、こうした自治体の申請をぜひ広く紹介していただきたいというふうに思います。

 そこで伺いたいんですけれども、全国の子供医療助成制度の実施状況について、簡単でいいですので、説明をしていただきたいと思います。

木下政府参考人 お答えいたします。

 地方の単独事業として行っておられます乳幼児等の医療費助成についてでございますけれども、平成二十五年四月一日時点の実施状況を調査したところによりますと、自治体により対象年齢が異なっていましたり、あるいは所得制限、自己負担に係る助成の範囲に違いはございますけれども、全ての自治体において乳幼児等の医療費助成を実施されております。

田村(貴)委員 四十七都道府県で見ますと、何らかの形で子供医療の助成制度に踏み切っている、今そういう状況でよろしいでしょうか。

木下政府参考人 そのとおりでございます。

田村(貴)委員 資料もいただいたんですけれども、中学卒業まででは、通院で六七%、そして入院ではもう八二%まで広がりを見せているということであります。

 子供医療費助成は、子供の健康と健やかな生育を図り、誰もが安心して子供を育てられる社会をつくるという重要な意義がございます。同時に、深刻化する少子化対策、人口減少対策の最もベーシックな施策であると考えます。

 きょうは、少子化担当の赤澤副大臣にお見えになっていただいております。そこで、副大臣にお伺いします。

 住民の願いに応えての子供医療費助成制度の全国的な広がり、そして自治体の努力についてどう受けとめておられるでしょうか。

赤澤副大臣 委員御案内のとおり、子供は、本来であれば窓口負担三割のところを国費で二割にした上で、各自治体がいろいろと御努力をされ、今御質疑でもありましたように、全ての自治体が何らかの取り組みを行っているという状態でございます。

 その前提でお話し申し上げますが、乳幼児医療費に対する支援について、それぞれの地方自治体において、他の子供、子育て支援策との優先度合いや地域の実情などを勘案して実施されているものと承知をしております。いずれにしても、子供を持ちたいという人の希望が実現できるよう、各自治体において、地域の実情に応じて、少子化対策にしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。

 政府としても、三月二十日に閣議決定した少子化社会対策大綱の中でも、切れ目のない支援ということで、結婚、妊娠、出産、子育て全てにわたっていろいろな支援をしていきたいという中でございますので、少子化対策は待ったなしの最重要課題と認識をしている中で、安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けて、今後とも、関係省庁と連携しながら、総合的な少子化対策の充実強化に取り組んでいきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 その医療費助成制度なんですけれども、これは自治体独自の取り組みとして、かなりの年数をかけて全国に広がってまいりました。実施しているところと実施していないところとの地域差の問題がこれはおのずと出てまいります。だから、国の制度として子供医療の助成制度を実施してほしいという要求もたくさん出されてきているところであります。

 石破大臣にお伺いしたいと思います。

 全国市長会は、全国一律の子供医療費の無料化について、ナショナルミニマムとして、国の制度としてすべきであると繰り返し政府に要望をしてきています。昨年十月の国と地方の協議の場でも議題となりました。森民夫全国市長会会長は、人口減少問題については、特に弱い地域が人口の取り合いをすることや競争することについて、地方は少し警戒をしている、例えば子供医療費の無料化等でそのような現象があり、苦い経験をしてきている、全国に広がった子供の医療費の無料化等については、ナショナルミニマムとして位置づければ無駄な争いはなくなるという意見は多く出ていると訴えました。

 この市長会の要望は、私は当然であると思いますけれども、石破大臣、地方創生担当大臣として、国と地方の協議の場に出席されておられたと思います。どのように受けとめておられるでしょうか。

石破国務大臣 何をもってナショナルミニマムとするかということだと思っております。

 時あたかも統一地方選挙でありますが、結局、候補者がみんな、無料化、あるいは限りなく無料化に近づけて、そういう公約を言う。Aがこう言えば、Bはもっともっと、Cはもっとだみたいなことで、もちろん、みんな負担は少ない方がいいに決まっているわけで、それが政争の具と化すことは本当にいいんだろうかという問題意識もあるんだろうと思います。

 一方において、では、それを行った場合に、この厳しい財政事情のもとでどのように考えるかという、検討すべき課題が極めて多いと思っております。だからやらないというふうに切って捨てるわけではございませんで、所管の厚生労働省におきまして、それを行うと一体どれぐらいの財政負担になるのか、それによってほかの政策効果にどのような影響が出るのかということを、これは国の財政事情もそうです、地方の財政事情もそうです、そこをよく勘案しながら、子供たちが安んじて医療が受けられるように、そしてまた御家族、御両親が安んじて子供を育てられるような環境をつくってまいることは必要だと思っております。

田村(貴)委員 次の質問に移りたいと思います。

 自治体が行う子供の医療費助成制度において、国によるいわゆるペナルティーという問題があります。現物給付を行って窓口負担を減らすなどの助成措置を行うと、国は、国民健康保険の国庫負担金と普通調整交付金を減額する措置をとっています。

 そこで伺います。

 今回の地域住民生活等緊急支援のための交付金、いわゆる地方創生先行型のこの交付金を活用して子供医療費の助成を行った場合も、国庫負担金等の減額措置となるんでしょうか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 まず、国民健康保険制度におきます国庫負担の現在の制度でございますけれども、乳幼児などに対する地方単独の医療費助成により窓口負担が軽減される場合につきましては、一般的に医療費が増加するということでございますので、国民健康保険制度におきまして、増加した医療費分の国庫負担を減額調整しているところでございます。これは、現行法令上、この減額調整措置の趣旨でございますけれども、国の負担金または補助金の交付を受けないで地方自治体が実施する医療の窓口負担の軽減のための事業について実施することとされているところでございます。

 お尋ねのありました、地方創生先行型交付金を活用して子供の医療の窓口負担を軽減した場合の対応につきましては、今後、具体的な実施状況などをよく伺いつつ、減額調整の制度の趣旨を踏まえて検討する必要があると考えているところでございます。

田村(貴)委員 この制度のもとで、国の負担金それから補助金の交付を受けた場合、受けなかった場合、これはどういうふうに変わるんでしょうか。省令があると思うんですよね。その省令をちょっと解説していただけますか。

武田政府参考人 恐れ入ります。

 ただいま省令についての御指摘もございました。

 国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令という、補助金の交付の算定に関する省令がございます。その中に、ただいま申し上げました国庫負担の減額調整措置の対象になる費用についての規定がございます。

 具体的には、この省令の第四条第二号のところでございますが、「国の負担金又は補助金の交付を受けないで、都道府県又は市町村が年齢その他の事由により被保険者の全部又は一部についてその一部負担金に相当する額の全部又は一部を、当該被保険者に代わり、保険医療機関等に支払うこととしている措置」、こういう措置の対象の医療費につきまして減額調整の対象経費とみなすという規定でございますので、国の負担金、補助金の交付を受けた場合につきましてはその対象にならないというような省令がございます。

 先ほど申し上げましたように、具体的な事例につきましては、よく実施状況などを伺って判断をしていく必要があるものと考えております。

田村(貴)委員 しかし、その省令が厳としてあるわけなんですよ。

 そして、今度の交付金というのは国の負担金または補助金の交付の中に入るわけですから、これを活用して子供の医療費無料助成制度あるいは保育料の助成制度に踏み切った自治体には、国保のこの操作をしてはだめですよ。これはすべきじゃないんじゃないですか、省令に基づいたら。どうですか。

武田政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、私どもの省令としては、国の負担金または補助金の交付ということで判断をするというような規定になってございますけれども、そもそも医療費が増加する場合における調整措置でございますので、例えば、現物給付で医療費の免除が行われている場合、後から支払われている場合といったその具体的な取り扱い、または、個々の補助金それから負担金、または交付金という名称もございます、また、それぞれの市町村での取り扱いについて私どもはまだ詳細を承知しておりませんので、そういった点も含めて、今後検討をさせていただきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 それは検討するということになるんでしょうか。

 だって、交付金を活用して、その額全額を子供の医療費の無料助成制度に使いますといったら、その原資はその交付金しかないわけなんですよ。そうした場合は国保の調整をしてはならないということになるんじゃないですか。ちゃんと答えてください。

武田政府参考人 この省令の規定の趣旨でございますけれども、そもそも、地方単独事業により窓口負担が軽減される場合に増加した医療費分の国庫負担を減額調整している趣旨というものは、限られた財源の公平な配分の観点から行っているものでございます。

 ただし、国の負担金または補助金を交付して実施する窓口負担の軽減につきましては、国が特別な財政支援を行うことを政策目的として決定したものであり、限られた財源の公平な配分という観点から支障がない場合として減額調整の対象外とするため、現行法令上、国の負担金または補助金の交付を受けないことを要件としているものでございますけれども、具体的に国の負担金または補助金の交付を受けないというところがどのような場合に該当するのかは、具体的な状況も含めまして、今後検討させていただきたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 そうしたら、国民健康保険の事務費負担金等の交付額等の算定に関する省令、これを手を挙げた自治体にちゃんと周知していただけますか。その省令について、こういう決まりになっているということを交付金申請した自治体にちゃんと周知していただけますか。

武田政府参考人 ただいま御指摘の点につきましては、そのように検討させていただきたいと思います。

田村(貴)委員 福島県のお話をちょっとします。

 福島県では、原子力災害から子供や住民の健康を守るために、国が原子力被災者・子ども健康基金を設置し、一部子供の医療費助成制度が行われています。国保の国庫負担金等の調整は、元来ある自治体の医療費助成との関係でどうなっているか、説明していただけますか。

武田政府参考人 福島県におきましては、国の補助金などにより造成した福島県民健康管理基金を活用して、小学四年生から十八歳までを対象とする医療費助成を実施しているものでございます。この助成措置につきましては、国の補助金等の交付を受けて地方自治体が実施する医療の窓口負担の軽減のための事業に該当するとの考え方によりまして、国保の国庫負担金の調整措置の対象とは扱われていないわけでございます。

 なお、小学四年生から十八歳までの事業についてはそのような扱いでございますが、小学三年生までにつきましては、通常の地方単独事業ということで、引き続き国庫負担金等の減額調整が行われている状況にございます。

田村(貴)委員 だから、省令どおりやっているじゃないですか。もともとあった医療費無料助成制度、小学校三年生までは、これはけしからぬ話なんだけれどもペナルティーをかけて、そして国の基金を活用した小学校四年生から十八歳までの分については調整をかけない。大臣、今こういう二つの状況があるわけなんですよ。

 私は、これは、やはりこういう矛盾も出てくるんだから、国の減額調整というのをやめるべきだというふうに思います。原資が自治体の税金であろうと、それから国費であろうと、子供の医療費助成制度には変わらない、充実の方向は変わらないわけなんですよね。

 大臣にお伺いします。

 地方創生で少子化対策に交付金の活用を奨励する一方で、自治体の努力分には国庫を減らすやり方を残していく、これでは地方創生の道とは言えないというふうに思います。制度の矛盾をお感じになりましたでしょうか。

 こうした国保の減額措置、ペナルティーは行うべきではない、内閣としてこの点について是正に取り組んでいただきたいと思いますけれども、御所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 先ほど来の議論を拝聴させていただきました。

 これは地方団体からの御要望があるということはよく承知をいたしております。現行制度の趣旨、それと同時に、国保財政にどのような影響を与えるかということは勘案をしなければなりません。そういうことも勘案をしながら、厚生労働省で引き続き御議論をされるというふうに承知をいたしております。

 地方創生という観点からどうだということの問題意識を委員がお持ちでいらっしゃいますので、この点は私もよく認識をしながら、主管は厚生労働省でございますが、地方創生という観点からどうなのかという意識は私自身強く持った次第でございます。

田村(貴)委員 それでは、ちょっとまた数字をお伺いしますけれども、今行われている国保の調整額の実績は、直近の数字でいいですので、どのぐらいになっているのか、全体と、それから乳幼児、子供の分、その他の分類があったら教えてください。

武田政府参考人 地方単独事業に係る市町村国保の国庫負担の調整措置でございますが、平成二十四年度で申し上げますと、乳幼児で六十七・七億円、高齢者で十八・一億円、障害者で二百二十三・四億円等、全て合計いたしまして三百八十三・六億円という規模になってございます。

田村(貴)委員 六十七億七千万円、約七十億円ですよ。これが国保の調整として自治体からまた国に吸い上げられているということです。

 政治決断すべきじゃないでしょうか。冒頭述べたように、少子化、人口減対策に自治体が取り組んでいます。そして、そのかなめの施策の一つが子供医療費助成制度、無料化制度であります。住民の強い要望を受けて大きく広がっています。政府は、頑張る自治体を応援すると言っているではありませんか。ここにペナルティーをかけるんですか。多くの地方自治体や市長会などが要望している、ここにしっかりと耳を当てて聞いていただきたいというふうに思っています。

 子供医療は国の責任において実施してください。それから、自治体が行う子供医療費の助成制度に対して国保の国庫負担を減額しないこと、このことを強く求めたいというふうに思います。

 最後に、全国組織である女性団体、新日本婦人の会から子供医療に対するたくさんの意見が寄せられて、私の方にも寄せられています。私は福岡なので、福岡の女性の方、それからお母さんの声を最後に紹介したいと思います。

 現状では大丈夫ですが、子供がふえると少しでも助成をしていただくとありがたい。ここが大事だと思うんですね。現状はいいんだけれども、やはり医療費無料制度があったら子供をもうちょっとふやせるかなという声ですね。

 近くの町では中学校卒業まで医療費の助成があると聞いたけれども、一方はお金がかかって一方は無料だというのはおかしいと思う。こういう矛盾が出ていますね。同じ福岡県でも医療費負担が異なるために、一律に無料にしていただきたいという声がある。もうたくさんあります。

 鳥取県はないのかと聞いたら、鳥取県の新婦人の会からも来たので、大臣、聞いてください。

 完全無料化をお願いします。三人兄弟で、一人が病院にかかるとほぼ三人とも同時にかかるので、窓口負担を無料にしてほしい。窓口負担を中三まで完全無料化にしてほしい。子供の歯科、弗素は病院によって違う。さまざまな声が届いています。

 ですから、今の制度のもとではやはり自治体によってバランスがとれないところもありますし、それから、今度、交付金ということで国のお金が入ってきたというところの矛盾も出てまいりました。

 その辺のところをしっかり解決していただきたい、そのことを強く申し上げて、私の質問を終わります。

鳩山委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣も先日の所信表明で、「地方創生の実現のためには、地方に、仕事が人を呼び、人が仕事を呼び込む好循環を確立していくことが必要」だと述べられました。まさに地方に好循環を確立する上で、やはり地域の雇用を支えている中小企業、地域密着企業への施策が欠かせないと私は思っております。

 そこで、内閣府に聞くんですけれども、二十一日に発表したことし一月の社会意識に関する世論調査によると、悪い方向に向かっている分野で景気を挙げた人が昨年の一九・〇%からことしは三〇・三%に、何と一・五倍にはね上がっております。

 これについて、報道では、内閣府政府広報室が増税で個人消費が落ち込んだことなどが影響したのではないかと分析していると報じられておりますけれども、こういうコメントをしたということは事実でありますね。

別府政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回の調査結果の中で、悪い方向へ向かっている分野として景気を挙げた人の割合というのは昨年の一九・〇%から三〇・三%にふえておりますけれども、その原因ということにつきましては、本調査そのものでは理由を聞いているわけではございませんので、そのものから具体的な原因を特定することはできません。

 ただし、今おっしゃられた報道等の関係で申し上げますと、本調査の記者発表の際に担当者の方から、これはあくまでも推測という前置きをした上でございますけれども、前回の調査時点が昨年一月中旬から二月初旬ということでございましたので、ちょうど消費税引き上げの駆け込み需要等もあって経済水準が活発であったということから、そういったことの影響の可能性もあり得るというお答えをしたという経緯がございます。

宮本(岳)委員 そういうコメントがあったと。

 同じ調査では、地域格差が悪い方向に向かっているという回答も六%ふえております。また、都市規模別に見ると、景気が悪い方向に向かっていると答えた人の割合は小都市で高くなっているとはっきり書かれてあります。

 アベノミクスで経済がよくなったと言うわけですけれども、それは都市部の一握りの人だけで、国民全体としては、消費税増税や個人消費の落ち込みにより、景気はむしろ悪くなっている。特に地方では、好循環どころか一層景気は深刻になっている。これが現状ではないですか、大臣。

石破国務大臣 そういうところがあることを否定はいたしません。

 私は、全国あちらこちらにお邪魔をしておる際に、なるべく直近のデータで見なければいけませんが、現金給与総額がどれぐらい上がったか、物価がどれぐらい上がったか等々のデータをできるだけ詳細に見るようにいたしております。

 しかし、一時期のように日本全国が、全部が悪くなったというときから比べれば、よくなったところというのがふえている。あるいは、現金給与総額の増加に比して物価の方が上がっているというところがないとは言いません。そういうところが地方を中心に多いことは承知をいたしております。しかし、そこにおいて、有効求人倍率は上がり、失業率は下がりということもございます。

 ですから、全部の指標が右肩下がりである、あるいは全部の地域が悪くなっているという状況から比べれば、今の状況ははるかによくなっているということは断言できると考えております。

宮本(岳)委員 地方がアベノミクスの恩恵を受けるのが少ないという認識はお持ちだと思うんですね。これは当然でありまして、客観的に現実がそうなっているということだと思います。それを解消するにはどのような対策が必要か、ここが問題だと思うんですね。

 「日本再興戦略」改訂二〇一四、この中にローカルアベノミクスという言葉が出てまいります。まず、大臣に基本をお伺いしますが、ローカルアベノミクスというのはどういうものですか。

石破国務大臣 企業収益の改善を賃金等を通じた所得の拡大と雇用の拡大につなげ、それが消費の拡大、そしてさらなる投資を生んで収益拡大につながるという経済の好循環を地方においても実現しようとすることがローカルアベノミクスの基本的な考え方であります。地方においてより深刻な人口減少問題に正面から取り組み、地域の持つ優位性を最大限に生かした地域経済の好循環を実現するということが重要であります、こういう話になるわけです。まあよくわからない、こういう話になるわけですが。

 要は、多分、ここはGの経済とLの経済というのがあって、そこは大胆な金融緩和、機動的な財政出動、この形容詞を入れかえるべきだという御指摘は福田議員から賜ったところでございますが、それはおいておいて、これがどちらかというとグローバル企業にきいた部分があるだろう、特に大胆な金融緩和はそうであったかもしれません。

 処方箋というのは、多分、グローバルの経済とローカルの経済と違うんだろうというふうに思っております。それは世界を相手に商売をしているわけでもございません。そしてまた、日本の中で、例えば鳥取のローカル経済のアクターが突如として富山のローカル経済に行くということも余り考えられないことでございます。そこにおいては、事業規模はみんなちっちゃいわけでございまして、そのローカル経済に見合った処方箋とは一体何なんだろうかということを念頭に置きながら、先ほど読んだ、いや、申し上げたところを敷衍いたしますと、要は、所得が上がらなきゃいかぬでしょうということなんです。地方において労働者の所得が上がらなければいかぬでしょうと。

 所得が上がるということはどういうことかといえば、生産性を上げるということなのでしょう。生産性を上げるというと雇用はどうなるのだという話が必ず出てくるわけですが、地方においてこそ人手不足が起こっている、それはなぜかといえばミスマッチが起こっているのだと。いろいろな求人倍率は高い、いろいろな仕事はある、だけれどもそこに応募がないというのは一体これはどういうことだと。

 それは、かつての製造業や公共事業のような高い収入が見込めないということである以上、そこは給与を上げていかなければいかぬのだろう。そこにおいて人手不足が起こっている以上は、かつてのように、雇用を維持するためには生産性が低くても仕方がないという考え方は今転換すべきものなのだろうと思っております。

 そのことによって労働者の賃金を上げる、待遇を改善する、そのことによってさらにサービスのクオリティーが増し、多くの需要が生まれるというのが私はローカル経済における好循環ではないかと理解をいたしております。

宮本(岳)委員 私はここに、自民党の政務調査会の中小企業・小規模事業者政策調査会が出されたローカルアベノミクス提言というものを持ってまいりました。

 後々に書いている処方箋はともかくとして、冒頭に、「従前のアベノミクスは、「グローバル市場で競争する企業」がまず裨益し、そこから「地域経済を支える中小企業・小規模事業者」への波及を期待するものであった。しかし、グローバル経済との接点を十分に持たないローカル経済圏では、グローバル経済圏の活況によって得られた成長の果実の波及が期待できる状況にはない。」として、これまでのグローバルレベルの成長を志向した施策とは全く異なる、経済性、産業特性を踏まえた新たな政策体系が必要だ、こうも述べているわけですね。

 今、大臣もグローバル企業への支援ということとローカルという問題はまた別の処方箋が必要だというふうにおっしゃいました。私は、その限りにおいては正しい問題意識だと思っております。

 そこで、地域密着型の企業ということを考えたときに、それは、もはや中小企業というよりも零細企業、もっと言えば小規模事業者が圧倒的なわけですね。

 そこで、中小企業庁に確認をいたします。

 昨年、小規模企業振興基本法が成立いたしましたが、五月の二十日、本会議趣旨説明で、当時の茂木経産大臣は、小規模事業者の位置づけについてどのように述べられましたか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の趣旨説明の際でございますが、茂木経済産業大臣から、「全国三百八十五万の中小企業、中でもその九割を占める小規模事業者は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在であり、経済の好循環を全国津々浦々まで届けていくためには、その活力を最大限発揮させることが必要不可欠」である、そのように申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 「地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在」としつつも、それに続けて、「しかしながら、小規模事業者は、人口減少、高齢化、海外との競争の激化、地域経済の低迷といった構造変化に直面しており、売り上げや事業者数の減少、経営層の高齢化等の課題を抱えております。」と、その重要な役割を果たし得ない重大な危機にあるということを指摘されました。

 中小企業庁に聞きますけれども、この法律は全会一致で可決をいたしました。既にそういう厳しい状況は脱したと言えるんですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国経済全体としては緩やかな回復基調が続いており、こうした中で、小規模事業者の業況も持ち直している面もあるというふうに認識をしてございますが、一方で、規模のもう少し大きな中小企業と比べますと、依然としてその水準は低く、厳しい状況から脱したとまでは言えないものというふうに考えてございます。

 こうした状況を踏まえまして、平成二十六年度の補正予算におきましても、例えば、小規模事業者の販路開拓を支援します小規模事業者持続化補助金、こうしたものを初めといたしまして、小規模事業者支援パッケージ事業、二百五十二億円というものも措置をさせていただきまして、今その公募等を進めているところでございます。

 小規模企業振興基本法の趣旨を踏まえまして、こうした施策を通じて、地域を支える小規模事業者の支援というものに全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 小規模事業者支援パッケージ事業という補正予算もしていただいたんですが、わずか二百五十億円ということでは、残念ながら、私、少な過ぎると思うんですね。

 それで、これだけではもちろんありません。今、さまざまな交付金、先ほどから議論になっている地域住民生活等緊急支援のための交付金というものも既に交付されました。

 そこで、住環境の改善と地元経済の活性化にもつながるということで、住宅リフォームの助成制度というのが全国に非常に大きく広がっているわけです。

 我が党の田村貴昭議員が、一月三十日の総務委員会で、住宅リフォーム助成制度が地域住民生活等緊急支援のための交付金の対象に含まれるのかと質問いたしましたら、内閣府の平将明副大臣は、消費喚起につながると認められれば対象になる、こう答弁をされました。

 三月二十四日には既にこの交付金の交付決定がされております。その交付対象事業には、田村議員が求めた住宅リフォーム助成にかかわるものが一体どれだけあるか、事業数と事業費を御答弁いただけますか。

末宗政府参考人 住宅リフォーム関係事業でございますけれども、今後自治体が行う事業内容の制度設計等によって若干変わる可能性はありますが、現時点で把握しておりますのは、事業数にして百五十四事業、事業総額にして約四十五億円となっております。

宮本(岳)委員 百五十四事業、四十五億円ということであります。

 一方、プレミアム商品券は二千九十九事業、一千五百八十九億円ということなんですね。この違いは、別に地方に住宅リフォーム助成制度の要望が少ないというわけではありません。

 改めて、国交省にお伺いいたします。

 現在自治体で行っている住宅リフォーム制度は全国でどれぐらいあるか、都道府県と市町村それぞれで答えていただけますか。

海堀政府参考人 お答えいたします。

 住宅リフォームに関する支援制度につきましては、耐震、バリアフリー、省エネルギー化等を支援するものがあり、全四十七都道府県及び千五百五十九の市区町村において支援制度が実施されております。

宮本(岳)委員 都道府県では全ての都道府県、市町村でも千七百四十一団体中千五百五十九自治体で実施をされております。これはよい制度だから広がってきたというのは明瞭ですね。

 例えば、京都府与謝野町では、住環境向上と町内商工業の活性化に資するということを目的として、住宅リフォーム助成制度が創設をされました。二〇〇九年から一一年までの三年間実施をいたしまして、補助金総額二億六千四百万円で、工事費総額は四十億円に達した。同町が京都大学のグループに委託して行った住宅リフォーム制度の経済波及効果の分析を見ますと、経済効果は投入した補助金の実に二十三・八四倍に上ると試算をされております。

 大臣、こういうものにこそどんどん交付金を使うべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。

石破国務大臣 そのとおりだと言いたいところなのでございますが、結局、住宅リフォームというのは半端な金ではございませんで、何百万とするもの、高いものは何千万なのかもしれません。そこにおいて、行政の公平性なるものが登場いたしまして、そうすると、とても効果はあるのだけれども、それは裨益する人が少ないんじゃないんですかということが出てくるんだろうと思います。

 ですから、自治体においていろいろなことを御判断されて、それであれば、多くの人たちにこれの効果にあずかっていただきたいなというのがあるのと、どうすれば経済的に効果があるかなというものの相克の中でこういうような結論が出てきたんだろうなというふうに思っております。

 住宅リフォームは進めていかなければなりません。経済効果が高いことも事実であります。ただ、この制度によって、交付決定を変えるとか、そういうことは極めて難しいということは委員御案内のとおりでございます。

宮本(岳)委員 全額リフォームのお金を出していただいたら助かるんですけれども、そんな制度にはなっておりません。ですから、工事総額のごく一部を助成するというだけの話なんですね。

 それで、交付決定を今から覆せということを申し上げているわけじゃないんですよ。こういう制度は極めて有効だと。

 念のために確認をいたしますが、きょうは国土交通省に来ていただいております。

 二〇一二年三月、中古住宅・リフォームトータルプランというものを策定して、中古住宅流通、リフォーム市場を二〇二〇年までに十兆から二十兆へ倍増させようというのが政府の方針になっていると思うんですね。この中でも、「地方公共団体が実施しているリフォーム助成制度等の支援制度について、一元的な情報の収集・提供を通じて、地方公共団体における取組の拡大や普及を図る。」と明記されておりますけれども、これは、国交省、事実ですね。また、今もこの方針に変わりはありませんね。

海堀政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、一元的な情報収集、提供を通じて、地方公共団体における取り組みの拡大や普及を図るという方針については、変わりはございません。

宮本(岳)委員 地方公共団体の取り組みの普及を図るというのは変わらない。

 大臣の地元、鳥取県倉吉市は、今回の交付金を活用して、一五年度から新たに住宅リフォーム助成制度を実施するんです。二月の三日に補正予算が成立をして、二月第一週には事前の実施計画の提出が求められました。これは短過ぎると我が党の田村議員が指摘したとおりでありますけれども。倉吉市でも、最初は、政府がメニューに挙げているプレミアム商品券ぐらいしか思いつかず、どうしようかという声が出ていた。そこで、我が党の議員が住宅リフォーム助成を提案して、国に申請いたしましたところ、今回、交付決定されたというふうに伺っております。

 さきに紹介した与謝野町にも直接聞いたんですけれども、この制度は一年程度ではだめで、やはり三年程度実施しなければ経済効果は見えてこないというふうに語っておられます。

 ですから、やはり、地方への好循環の拡大ということを考えれば、緊急経済対策の効果があらわれるまで、きちっと全国津々浦々までこれが広がるまで続ける必要があると思うんですね。

 大臣にお伺いするんですけれども、やはりそういう効果がきちっと津々浦々に広がるまで、この経済対策、とりわけ地域密着型の零細な事業者に対する支援というものはやるべきだと私は思うんですけれども、いかがでございますか。

石破国務大臣 この総合戦略というのは五年ということになっております。それは、日本は北から南まで広いので、それを津々浦々というからには、やはり相当の年数は要るんだろうねというふうに考えております。

 ただ、やってもやっても全然効果がないのでいつまでもやりますというのは、勝つまでやっているマージャンみたいなもので、そういう話にはなかなかならぬだろうと。そういうわけにはいかぬので、やはりきちんと効果が出るように、それはその都度その都度改めていかねばならぬのだと思っております。これを一年や二年でやめるというお話にはなりませんが、それがどのように効果を発現するものなのかということは、きちんと地域地域で検証していかねばならぬものでございまして、さればこそ、PDCAを地域において機能させていただくということが大事だと思っております。

 これは一年や二年でできるものではありませんが、いつまでもやっているということであっては、それこそ日本全体が沈みますので、そのようなことをいたすつもりはございません。

宮本(岳)委員 おっしゃるとおり、総合戦略、五カ年計画、少なくともこの期間は、地方が好評で続けたいというものについてはきちっと続けられるように進めることを求めて、私の質問を終わります。

鳩山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


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