衆議院

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第9号 平成27年5月26日(火曜日)

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平成二十七年五月二十六日(火曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 谷川 弥一君

   理事 寺田  稔君 理事 福田 昭夫君

   理事 小熊 慎司君 理事 石田 祝稔君

      青山 周平君    井上 貴博君

      伊藤 達也君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    黄川田仁志君

      小泉進次郎君    新谷 正義君

      鈴木 隼人君    田中 英之君

      田野瀬太道君    谷川 とむ君

      とかしきなおみ君    中谷 真一君

      野中  厚君    平井たくや君

      福田 達夫君    宮川 典子君

      山田 賢司君    義家 弘介君

      緒方林太郎君    奥野総一郎君

      吉良 州司君    佐々木隆博君

      寺田  学君    西村智奈美君

      木内 孝胤君    篠原  豪君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   西田 安範君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   岡本  宰君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山崎 伸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局雇用開発部長)       広畑 義久君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 今別府敏雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           北本 政行君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十六日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     新谷 正義君

  福田 達夫君     田野瀬太道君

  山田 賢司君     青山 周平君

  奥野総一郎君     西村智奈美君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山田 賢司君

  新谷 正義君     鈴木 隼人君

  田野瀬太道君     福田 達夫君

  西村智奈美君     奥野総一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     平口  洋君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、内閣府地方創生推進室次長若井英二君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、財務省主計局次長西田安範君、財務省理財局次長岡本宰君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、厚生労働省大臣官房審議官山崎伸彦君、厚生労働省職業安定局雇用開発部長広畑義久君、厚生労働省政策統括官今別府敏雄君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君、国土交通省大臣官房審議官北本政行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田達夫君。

福田(達)委員 自由民主党の福田達夫でございます。

 本日は、地方創生特別委員会におきまして、与党議員にもかかわらず三十分のお時間をいただきましたこと、大変に、委員長、理事の皆様にお礼を申し上げます。

 私自身、政治家という仕事をさせていただく一番の目標に、地域に自立できる力をつける、このことを掲げて、主に中小企業政策を中心にやらせていただいております。

 この国というものはしっかりと伸びる力があると思っていますけれども、どうも、成長戦略等で伸びていく力を引っ張るということは政治の表舞台でもって非常に華やかにやられておりますけれども、実は、この国というものの一番の力というのは、地域にまだ顕在化していない力、この潜在力というものをしっかりと真っ正面から見据えて、それをその地域ごとの特性に合わせて引っ張り出していく、そのことによって、成長戦略という、より羽ばたく戦略ももちろんやるわけでありますけれども、足腰から湧き上がるような形でこの国の力を引き出すことができるんじゃないか。

 その観点から、この十年間、地域のあちらこちらにお邪魔いたしまして、それをやっている人たちと会ったりとか、もしくはそれをやろうとしている人たちの試みを調べてきたりとか、そういう方々を連携させたりとか、そういう仕事をしてまいりました。

 その観点から、地方の力を引き出すという方々がどういうふうな形でもってやってきたのか、また、そういう方々が、実際、今の日本の国の政治の中において、こういうふうにあったらいいなとかいうことを持った視点から今回は御質問させていただきたいというふうに思っております。

 まず、私自身が預かっております選挙区についてお話し申し上げます。

 二市一町一村、非常にコンパクトな選挙区でございます。群馬県の一番南側、関東平野の一番北側でございます。三十八万弱の大きな市、そして一番小さなところは千三百人の村、こういう非常にバラエティーに富んだところでございます。この二市一町一村だけ考えても、この二市一町一村が生き延びていく、もしくはこれから飛躍する方法というのは四通りあると思っています。

 高崎という一番大きな三十八万の都市については、仲間たちに言っておりますのは、高崎の中心市街地を中心として半径二十キロから三十キロの人たちに対しては、ああ、高崎に行けば大丈夫だ、そういう安心感を持っていただくようなそういうまちづくりをしようじゃないか。

 多少ちょっと外れていってしまうと、ここの半径に入れますと、大体、埼玉県、県境を越えると深谷とか本庄も入ってまいります。そういう方々からも期待をされる。県の境も越えていろいろな方々が期待をできる。あそこに行けば飯が食えるかもしれない、あそこに行けば子育てができるかもしれない、そういう目標を掲げた中で初めて高崎という地方都市が、東京圏という非常に大きな、世界でもとても大きな地域からも独立して光を放って生きていくことができるだろう、そういうことを申し上げております。

 また、一方で、一番小さな村であります上野村、ここはまたそういうこととは全く違う生き方があると思っています。

 ちょこっと御紹介させていただきますけれども、きょうは資料を三枚配付させていただいております。一枚目の資料にグラフをつけております。

 上野村というのは、なかなか皆様御記憶ないと思いますが、ちょうど三十年前の八月十二日に日航機が墜落いたしました。墜落いたしました場所が上野村の奥地、御巣鷹山というところがございます。実は、その事故によって一躍名前が知られた村でありますけれども、群馬県の中で一番人口が少ない村であります。

 しかし、今の村長の二代前の村長が、十期四十年村長をやっていた方でありますが、この方が、一九七〇年代、まだ過疎という言葉がない時代から、人口問題がこの村の最大の課題であるということに目をつけまして、しかも、それをやはり、政治の金は使わなければいけない、しかし経済で村民を食べさせていく、このことをしっかりと腹に据えて、過去四十年にわたって村長の代は続きましたけれども、そのことに基づいて村政をやってきた。まさに村民全員の父親という形でやってまいりました。その成果だと思います。

 この資料一は何かと申しますと、社人研なんですけれども、社人研の出している上野村の人口の推移及び予測であります。丸がついています下の方の線、これが二〇〇〇年のときの社人研の予測であります。もう一本あります三角形のついています線、これが二〇一四年段階の実績と推計でございます。

 ごらんいただいてわかりますとおり、二〇〇〇年のときの予測では、二〇一五年段階では八百八十人しかいないであろうというふうに言われていた上野村が、実際には、これは国調ベースなので千二百三十八になっておりますけれども、今現在、千三百四十人、村民がおります。しかも、その中の二割の二百四十人はIターンである。そして、さらに、そのIターンの方々が、お客様としていらっしゃるわけではなくて、しっかりと、村づくりのさまざまな場面で活躍をしていただける、そういう場面も用意して、長く定住をしていただける、そういうことをやっております。

 その結果としまして、さきの統一地方選挙におきましては、初めてIターン者からも村議会議員が誕生しました。しかも、圧倒的なといっても、しょせんと言っては失礼ですけれども、百何票で決まってしまう選挙でありますけれども、大変多くの方の支持を、Iターン者の方の支持のみならず、もとからいらっしゃる村民の方々の支持も受けて村議会議員に当選されたということで、これから先、上野村というものが、確かに昔からいた方々だけではないかもしれないが、これから新しい発展をしていくんじゃないか、そういう期待感を持てるような、そういう施策をさせていただいている。

 ある意味、経済がしっかり生きる、市場というものだけで生きるわけじゃないけれども、しっかりとそういうところに食い込んでいくことによって好循環を起こしていくということを試行錯誤している村であります。

 しっかりと地方の生きるという意思を持って、しかも経済というものを取り込んで村政をやっていく、これは、地方創生という我々が今回取り組んでいる、ある意味、政治のあり方すらも変えなければいけない、見方を全く変えなければいけないこの取り組みに対して、まさに好事例であると思いまして、実は、先般、三月二十二日に石破大臣に御視察いただきました。

 ぜひ、一番最初に、上野村を御視察いただきました大臣の御感想、御所見等をいただければというふうに思います。

石破国務大臣 福田委員からお声をかけていただきまして、上野村を拝見させていただきました。

 今委員から御紹介がありましたとおり、発電所がございますので交付金を受けていないという、多分、群馬県でたった一つだと思います。それに甘んじることなく、どうやって自立した村をつくるか、言葉をかえれば、身の丈に合ったそういう事業をやっていくかということをやっておられるところであります。

 また、委員から御紹介がありましたように、Iターン者が二百四十一人いる。何でもいいからいらっしゃいということではなくて、そこの村で何の仕事をするのかという存在感をきちんと持たれた方々で、そういう方々とお話をさせていただいたのも極めて有意義なことでありました。

 私はいつも申し上げるのですが、食料もエネルギーも東京にあるわけではない、いかにして地方が食料を、そしてまたエネルギーを供給していくのか、その地方が衰退してはどうにもならぬということを申し上げておるところであります。

 シイタケの加工で、たしか年間三億七千万ぐらい売っておられるのだと思います。雇用者は六十人ぐらいおられるのだと思います。それは、膨大な投資をしている。これは隠岐諸島にあります海士町もそうですが、最初の投資は補助金でやる、しかし、それを投資したらおしまいではなくて、それをいかにして産業として起こしていくかということ。あるいは、イノブタというのも名産品でありますが、それとシイタケとをまぜたような、イノブタソーセージでしたか、極めて絶品で、私は別に何をもらったわけでもないが、大変においしいと思ったようなことでございました。

 要は、事業をやることに意味があるのではない、それがどうやって自立をするかということ。人を受け入れればそれでいいのではない、その人たちがその村で何をするかということ。そして、ペレット発電というのもやっておられますが、どうやって再生可能エネルギーというものを地域地域で生み出していくかということ。

 これは、委員が御指摘になりましたように、黒沢村長、御存じの方も多いと思います、日航機のときに村長をしておられて、全国町村会長もなさった方でありますが、そのスピリットを、今の神田村長さんでしたか、受け継がれて、本当に村民一体として新しい地方創生の姿を具現化している、そういうような印象を持った次第でございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 まさに町、村が一体となってやっていかなければ、このことというものは確かに実現しないと思います。やはり、上野村につきましては、黒沢村長という方が四十年間にわたってしっかりと方向を示してきた、そして、それについてビジョンをしっかり出してきた、そのことがとても重要だったというふうに思います。

 ただ、実は、この十年間、あちらこちらの地方を回りまして、まさに海士町でありますとか、青森の板柳町、それからいろいろと回ってまいりました。そこでいろいろお話をさせていただいて思いますのが、やはり核となる人間が必要だということは間違いないと思います。そして、その方がビジョンを持っているというのも確かに重要というか、不可欠であると思います。

 ただ、そこで、一様にして皆さん、その核となっている方もしくはその周辺の方がおっしゃるのが、そこから先に広げるための人材というものがやはり足りない。

 今、国の方でも、地域において自主的にいろいろな計画をつくるということを奨励されていますし、また、それは基本的に自治体が中心になっていらっしゃるわけでありますけれども、一部において、民間の事業者等がこれについて、一社、二社じゃ困りますけれども、ある程度グループになってできるような仕組みをつくることも必要かと思います。

 ただ、やはり、そういう枠組みもしくは施策や何かができても、それをしっかりと理解して進める人材というものがどうしても地域においては足りない。そして、その経験を持っていらっしゃる方々も、まさに地方に残っていらっしゃる方々というのは余り、例えば大都市に出てから戻ってきた方はいらっしゃらない、やはり、経験値として高くないことが多いという中で、この人材をどういうふうに準備していくのかということは一地方自治体の枠を超えてしまうのかなというのが、残念ながら現状だというふうに思っております。

 今、政府の方でも、基本方針二〇一五の策定作業を行っているというふうに思っております。この地方の総合戦略をつくるということはもちろん地元の方にやっていただく、もしくは、先ほど申し上げたとおり地域の民間事業者等でもいいと思いますけれども、これを推進する人材であるとか、また、この十年間の大きな地方おこしの一つの特徴は、そこの地域ではないNPOが、全国的に回って経験、知見を積み上げながら、それをあちらこちらに植えていく、ある意味、お花畑を回るミツバチのようにあちらこちらを回っているというNPOの役割が非常に大きくなっていると思います。この人材とかNPOとかの組織や主体の育成支援というものが国として非常に重要な役割を持っていくと思います。

 ただ、この人材を育成するということに対して自治体がしっかりできるということについては、どういう後押しができるのかがちょっとまだはっきりと自治体の側からは見えないような気がいたしますが、これは国の役割としてどういうふうに考えていらっしゃるか。もちろん主体は地方が持つわけでありますけれども、国がここについて何かできないかどうか、ちょっと大臣の所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 国におきましては、現在、地域の中小企業の意欲を喚起し、その実践をサポートする経営人材等のマッチングを行うプロフェッショナル人材事業というものを行いまして、地方の取り組みを支援しております。

 また、今後、平成二十八年度から地方版総合戦略が本格的な実行段階に入りますので、これを受けまして、各地方においてこれを推進する人材、組織等の育成、確保が重要な課題になると考えておるところであります。

 ということなんですけれども、要は、その受け入れる側がどうするんだいということだと思っております。

 これはよく取り上げることでありますが、東京に住んでおられる五十代の方々の男性の五割は地方で暮らしたいなというふうに思っておられる。これはまだあくまで願望段階でございます。実際にそれを具体的に検討するということになると、少し数字は落ちるのだと思いますが。

 そういう行きたいなというのがあるわけですが、では、一体どこに何の仕事があり、そしてまたそこにおける教育はどのようになっており、医療はどのようになっており、介護はどのようになっているかと、仕事だけではなくて、そのほかのファクターも極めて重要なことだと思っております。

 これは、総務省が主導いたしまして、東京駅の八重洲口の近くに移住・交流ガーデンというものを開設いたしておりますが、そこへ行くと、四十七都道府県というべきか四十六道府県というべきか、そこのいろいろな情報が全部手に入るようになっている。

 先般の日曜日は鳥取県のフェアをやっていましたので私も行ってきましたが、そこにおいては、専門の相談に乗ってくださる県の職員がいて、非常に細かく丁寧にいろいろな質問に答え、あなたはここへ行ったらいいですよというようなことを紹介してくださるということが、これはネットでもそういうような情報が手に入るようにしておりますが、それだけのみならず、本当にマッチングというものをどう行うかということを地方自治体においても具体的にやっていただいていると思っています。

 自治体だけではなくて、委員御指摘のように、そこにおいてNPOとかあるいはファシリテーターとかそういう方々が果たしておる役割も大事ですので、そういう方が全国に大勢おられます。私どもとして、そういうファシリテーターの方々にお集まりをいただいて、何が問題なのかということもきちんと把握をしながら、行政あるいはNPO、それぞれ個人の方々、そういうような総力をうまく融合する形でマッチングを適切に行ってまいりたいと考えておるところでございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 実は、私の地元の高崎においても、ゲットバックという単語をつくりまして、それをしっかりと地域でもやっていこうという話が、これは、行政ではなくて、いわゆる民間ベースでもって起きております。

 まさにおっしゃるとおり、外から帰ってきたいという淡い思いを持っている方々に対してこちらの側から手を差し伸べる、ある意味、これは国内におけるおもてなしだと思いますけれども、そういうきめ細やかさを地域が持つことによって初めて、もう一歩前に、思いを持った方に出てきていただく。それをしっかりやっていこうということを、高崎においても、これは実は若い連中が始めたわけでありますが、ゲットバックという形でもってやっております。

 ただ、やはり手法というものがここには必要であります。先ほどおっしゃっていただきましたファシリテーターというものにしっかりと集まっていただいて、それを融合するということを指導していただくことが、本当に地方の側からするとなかなか域を越えてはできないことでありますので、これはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 また一方で、地域を回っていますと、そうはいっても、ファシリテーター、コンサルタントと名乗る人たちも結構います、組織も結構いる。ちょっと話を聞くと、本当にいいかげんなことをやっている人たちも随分います。実は、地域再生にかかわるそういう方々について、まともな方も、ちゃんとクライテリアが必要かなというふうに思っています。どこまでできるかわかりませんけれども、ここについても、ファシリテーターを集めるときには、ぜひ国の方からもお墨つき等ができるとありがたいなというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 さらに、人材ということでいいますと、ちょっと視点が変わりますが、この国全体でいっても、いわゆる経営者がどんどん減っていくというのが非常に大きな問題だと思っています。

 実は私、中小企業施策で、地域に働く場をつくるという仕事を主にやっておりますけれども、その一方で、働き方も変えていかないと効果が出ないなということで労働行政も少し勉強させていただいております。その中で気がつきますのが、この国の労働行政というものは、失業対策から出ている関係か、やはり働いてもらおうということをずっと主軸に置いているというふうに思います。

 ただ、この国の問題点は、過去二十年間、群馬県でも実はもう五万人ほどですけれども、二百万人県民に対する五万人は相当大きな数でありますが、経営者及び役員さんというのがこの二十年間で減っております。

 経営者、役員さんとなるべき人が減っているということは、当然、働き場をつくる方が減っているということであります。そこに同じ数の働く人を働かせようとしても、当然、二人でやれるところを三人でやるという話になれば、マクロでいえばやはり所得は下がっていく方向になるであろう。特に、地域の人口が少ない中においては、働くという支える側の人間よりも、働いてもらう場をつくるという方々が出てくることの方が非常に大きな効果があると思っています。

 その点におきまして、今回、移転型で本社機能を地域で充実するという施策については、実は、地域において雇用をつくるということだけじゃなくて、都会で働いていた、都会で仕事をしていた会社が入っていくことによって、外の常識であるとか、物の見方であるとか、もしくはセンスであるとか、そういうものが地域に移植されるということでもって、中長期的に、僕は非常に意味があることだと思っています。短期的に、これで多くの企業が移らないからといってぜひやめないで、地道に地道に長く続けてほしいと思っております。

 そもそも、やはり、労働行政の中において、働かせることを主眼に置くよりも、働ける人の働く場をふやすという観点から、もう少し経営者というものに軸足を置いた施策に足を踏み込めないものかという問題意識を持っております。

 実際、失業保険の適用範囲を創業段階の方にも広げていただくということはしていただいています。薄くではあるけれども、厚労省でも扉を少しあけていただいているというふうに思っていますけれども、もう少しこれを、もう一歩か二歩か前に進めないかどうか、厚労省の方から御説明をいただきたいと思います。

広畑政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、全国平均を下回る有効求人倍率で雇用情勢の厳しい道府県が産業政策と一体的に雇用の創造を行います戦略産業雇用創造プロジェクトによる取り組みを、現在、二十三の道府県で支援しております。

 この取り組みでは、福岡県の次世代自動車分野や鹿児島県の食の関連事業など、県の重点産業分野での創業や新分野への進出による雇用の取り組みに係る経費につきまして、八割を上限に補助を行ってございます。

 また、こうした事業等の取り組みも踏まえまして、内閣府予算の地方創生先行型交付金のメニューに、地域しごと支援事業が盛り込まれました。地方公共団体が、この事業を活用して、経営者の育成等を目的とした事業をすることができます。この事業は、有効求人倍率のいかんにかかわらず実施することができます。

 ただいま議員御指摘のとおり、地方で安定した雇用を創出して地方創生を推進するためには、求職者の就業支援だけではなく、地域雇用を支える主体となる事業主を支援する観点からの雇用対策が重要でございます。市町村が実施主体となる実践型地域雇用創造事業を含めまして、これらの事業を活用しながら、地方の自発的な取り組みを支援してまいります。

福田(達)委員 ぜひよろしくお願いいたします。私がやっています中小企業の政策の方からも、ぜひいろいろと御協力をお願いしたいというふうに、また御相談したいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 またちょっと視点を変えます。

 今までは、どちらかというと地域に着目をしていたわけであります。確かに、地域創生というものは、地域の自主的な努力に基づいて自分自身の生きる道を模索していただく、しっかりと責任を持って考えていただくということでありますけれども、ただ一方で、そこだけに任せていいのかなという、実は問題意識を私は持っております。

 と申しますのは、先般、大野議員も質問されておりましたけれども、一応この国は、社人研の予測に基づいて、二〇五〇年には一億人を目指すというか、漠然とした目標かもしれませんけれども、そういう数字が出ております。また、二〇六〇年に九千万人台まで行くけれども、そこからはしっかり力強く反転をしていく、そういう大きな道程を描いているというふうに思っております。そうであれば、二〇五〇年までに二千七百万人人が減っていくという状況を踏まえた上で、国政としては、やはり大きなロードマップというものを示さなければいけないのかなという、実は問題意識を持っております。

 というのは、二千六百から七百万人の方が日本人としていなくなる、減少する中で、千七百の地方自治体が、幾ら全ての自治体が正しい努力をしても、今と同じだけの自治体規模は維持ができない。それに伴って、当然、頭数でくくっていくマーケットについてはマーケットが小さくなっていく、そういうことを踏まえた上で、ある程度大きな方向性というものを国政が、もしくはタイムスケジュール感というのを出さなければいけないのかなという問題意識を実は持っております。

 というのは、地方を回っておりまして、実は、先ほどから申し上げているような町村というものは非常に危機感を強く持っている。また、規模が小さいので、一人の方が手を挙げて頑張るぞと言うと、皆さん、ついてくる可能性も高いんですけれども、実は、六万から七万もしくは十万弱程度の市においては、何とか現状でも食えていけるという状況があったりするものですから、なかなか危機感が高まり切らないところが多いのかなという印象を持っております。

 そこに対して、やはりもう今が覚悟のしどきだ、ぜひここでもってしっかりやらなければいけないんだということを覚悟していただくためにも、大きなスケジュール感は必要なのかなというふうに私自身は考えております。

 実は、その中において、今、国交省において取りまとめが進んでおります国土形成計画というものに、私自身非常に強く着目しております。

 前回の国土形成計画が出されたときに、時の総理が言っておりましたけれども、この国土形成計画というのはあれだな、国交省だけじゃなくて本当に全政府が一まとまりになって書くぐらい、今の日本という状況はエポックなので、そういうことをするぐらいして力強くやって、日本国民全体に一般方向を示す、そういう重い役割があるんじゃないかなというような話をしていたということを思い返しております。

 また、前回の国土形成計画が出た後、国交省においてやっております長期展望などでも、しっかりと長期の指標を使って、三十年後には日本はこうなっているぞということを、人口のみならず、気候であるとか、もしくは産業がこうなるであろうという予測も含めて、展望を出していらっしゃったわけであります。

 そういう観点から、実は今回、この国土形成計画がどういう形で出されてくるのか、どういう形で、地方で必死にやっていらっしゃる方々に対しても、国としてはこういう大きなメッセージを出すんだということを出すのかということに大きく着目をしていたわけでありますけれども、この国土形成計画の今の進捗状況と、地方創生の観点というものをこの中にどういうふうに取り込んでいらっしゃるのかということについて、御説明をいただければと思います。

北本政府参考人 お答え申し上げます。

 国土形成計画の見直しにつきましては、急激な人口減少、巨大災害の切迫等、国土を取り巻く状況の変化に対応するため、昨年九月に国土審議会に計画部会を設置いたしまして、着手いたしたところでございます。

 現在、本年夏ごろの閣議決定に向けまして、国土審議会計画部会において御議論いただいておりまして、関係省庁の御協力もいただきながら、三月には計画の基本的考え方を中間取りまとめとしておまとめいただいたところでございます。

 この中間取りまとめにおきましては、国土の基本構想といたしまして、多様な個性を持つさまざまな地域が相互に連携し生じる地域間の人、物、金、情報等の双方向の流れを対流という言葉で表現いたしまして、全国各地で活力とイノベーションが創出される対流促進型国土の形成というものを目指すこととしてございます。また、これからの国土構造、地域構造といたしまして、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方を示してございます。

 そして、これらの国土の基本構想を実現するための具体的な方向性といたしまして、最初に、個性ある地方の創生というものを位置づけておるところでございます。

 その中では、地域構造、仕事の創出、人の対流という三本の柱を掲げまして、地域構造といたしましては、コンパクト・プラス・ネットワークの考え方を基礎として、中山間地域における小さな拠点の形成、都市間連携による連携中枢都市圏の構築等について記述してございます。

 また、魅力ある仕事の創出という柱のもとでは、移輸出型産業の競争力強化、地域消費型産業の付加価値生産性の向上等について記述してございます。

 さらに、人の対流の推進という柱のもとでは、人の対流の原動力となる地方の魅力、強みの強化、地方への移住、住みかえ、二地域居住、二地域生活、就労の推進等について記述してございます。

 このほかの地域創生に係る事項といたしまして、災害に対し粘り強くしなやかな国土の構築、交通、情報通信インフラ等国土基盤の維持、整備、活用、地域を支える担い手の育成及び共助社会づくり、こういった点を掲げまして記述しておるところでございます。

 今後とも、まち・ひと・しごと創生本部事務局初め関係省庁とも十分連携を図りながら、国土形成計画の見直しに取り組んでまいる所存でございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 やはりこの数年、定住自立圏でありますとか、コンパクトシティーであるとか、国土の中をどういうふうに活用していくかということについては、いろいろな形でもって施策が出ていると思います。また、先般の増田論文「地方消滅」という話もございました。こういう大きな流れを国民の側もしくは地方の側は、多分別々に耳にしていると思います。

 この国土形成計画というものは、これを全部踏まえた上で国土をどうやってつくっていくのか、非常に大きなメッセージだと思っておりますし、地域をやっている側からしますと、これは本当に大きな強い目線でもって見ているということを思っていただいた上でもって、本当に施策をしていただきたいというふうに思っています。

 今、コンパクトシティーの話をちょっといたしましたけれども、実は、この国土形成計画もしくは国土の利用について考えるときに、例えば定住自立圏もそうでした、コンパクトシティーもそうでありますが、コンパクトシティーは国交省でもって進めていらっしゃるわけでありますが、一方で、町の形でありますとか機能ということを考える裏側に、やはり稼ぎというものも一緒に考えなければいけない。ある意味、省庁を超えて、そういう町というもの、もしくは地域というものをデザインするというときに、省を超えても検討するという必要があるというふうに思っていますし、まさに今回、担当大臣がつくられたということは、そういうものを全て超えて議論をする場を提供するというものができたものと思っております。

 それぞれ抱えている役所がある中で、なかなか難しい問題もあるかと思いますけれども、省庁横断でもって検討するということについて、そういうことについてちょっと大臣から御所見がいただければというふうに思います。

石破国務大臣 我が国は当分、人口は減ります。どんなに出生率が上がっても、お子さんを産んでくださる女性の数が当分減り続けますので、日本人が一番苦手な撤退戦というものをやらなければなりません。

 そこにおいて、各省庁が、国交省は国交省の主張をし、経産省は経産省の主張をし、農水省は農水省の主張をし、総務省は総務省の主張をしていると、自治体にとっては何が何だかさっぱりわからぬというようなことになるんだろうと思います。

 これから先、特にコンパクトシティー、コンパクトビレッジの設計に当たっては、各省庁のいろいろな言っていることを調整しながら、それを総合戦略とそごのない形で策定をして、それぞれの自治体が、結局何を選んだら得なのかみたいなお話ではなくて、一体これから先十年間、福田康夫総理のときに、平成二十年七月に現在の国土形成計画が策定をされておるわけでありますが、今度の夏に閣議決定になるんだと思いますが、新しい国土形成計画においてはその点をよく配意しながら、自治体が将来を見通して、何をやるべきなのか。そして、それぞれの自治体が頑張らないとこの国は倒れますので、それぞれの自治体が国家の行く末にいかなる責任を持つべきかというような意識を持っていただけるように、私どもとして、各省庁とよく連携をとって、各自治体にわかりやすいようなものを示してまいりたいと存じます。

福田(達)委員 ありがとうございました。

 まさに我々は今、戦略的撤退をしている、これは撤退ではない、しっかりと戦略的撤退をして反転攻勢をする、そういう期間にあるというふうに思っておりますので、ぜひ御指導の方、よろしく申し上げます。

 質疑時間が終わってしまいましたけれども、一点だけ申し上げます。

 実は、地方がしっかりとやるときに、地方は今データが本当に少ないという状況がございます。添付資料でも資料二、資料三で示しましたけれども、実は、どれだけのお金が地域に入ってきているか、出ているか、この細かいデータというものも全くない。その中で、RESASシステムというものをつくったわけでありますが、まだまだこれは一部であり、途上であります。ぜひ、このRESASシステムにつきましても、しっかりとこれから拡張していただくようにお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 きょうは、地方分権と地方再生と特区という、この三つを所管するこの委員会で質問をさせていただきますことを感謝申し上げます。

 いずれの法律も一定の時間が経過をしておりまして、それの実績と、そして、地方創生という形で新たな方向性というものを探っていかなければならないということでこの委員会が設置をされているんだというふうに思います。三十分しか時間はありませんけれども、ぜひ政策通の石破大臣にいろいろ御示唆をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 最初に、地方再生法についてお伺いをいたします。

 まち・ひと・しごとということで、二つの大きな流れ、政策があります。企業の地方拠点強化と小さな拠点、コンパクトビレッジという二つがありますが、主にコンパクトビレッジについてお伺いをいたしたいというふうに思います。

 この地方創生が成立をした百八十七国会は、私は長期出張中でございましたので、そのときのことについて詳細に存じているわけではありません。

 なぜ地方創生ということをスタートさせなければいけなかったのか。この法律は地方再生法でありまして、再生なのか創生なのかよくわからないというところもあって、再生と創生ではちょっと意味が違うと思うんですね。

 私は、基本的に、地方を元気にするためには、地方を支えている農業や中小企業を再生させるということが何よりも必要だというふうに思っているんですが、何か創生というと、それらは一回チャラにして何か新しいものをつくろうよというようなイメージもあるんですけれども、この意義、それからもう一つ、集落、いわゆるコンパクトビレッジ、どういうものをイメージしているのか、あわせてお伺いをします。

石破国務大臣 委員が長期出張であられました昨年の国会におきましても、創生と再生は何が違うんだいというような御議論を随分といただきました。

 私どもとして、昭和三十年代あるいは四十年代、五十年代に、地方はもっと元気だったと思っております。再生といったときに、夢をもう一度ではありませんが、それと同じものをもう一回というのは、それは無理なんだろう。やはり、公共事業と企業誘致というのが、あのころ地方が元気だった二本の柱で、それは委員の北海道は少し事情が違っていたかもしれません、そのことをよく承知した上で申し上げておりますが、あれと同じ手法で再生をすることは難しかろう。

 そうしますと、今まで、企業誘致、公共事業で雇用と所得があるね、だから、農林水産業とかサービス業とかそういうものが持っている潜在力というものを生かし切れないままで来たのではないかという反省を持っておるところでございます。

 もちろん、必要な公共事業はやります。必要な企業誘致もやらねばなりません。しかし、それだけで再生ができるわけではなくて、また、農林水産業のやり方も変えていかねばならないわけですし、サービス業も生産性を上げていかねばなりません。そういう新しい手法でもって、創生、クリエーティブな考え方をしていこうというのが、何か言葉の遊びみたいでまことに恐縮ですが、手法は全く違うのだ、同じことはもう一度できないのだというような認識を持って、創生と申し上げているところでございます。

 そのほか、やり方も、今までのように、国の補助金の中からどれを選ぶかなとか、どれが自己負担が少ないかなとか、そういうことではない、地方のもっと主体性を発揮していただきたいというお願いもしております。

 コンパクトビレッジでどのような範囲を考えているかという御質問ですが、これは、私どもとして、昭和の大合併前の町村というものをイメージしておるところでございます。平成の大合併ですと余りに広過ぎますので、これも地域によって事情が異なりますが、基本的には、昭和の大合併の以前の町村というものを念頭に置いているところでございます。

 その場合に、それぞれの、かつての町村というものの役場のようなものが中心となっていくのですが、それぞれの集落とのネットワークもきちんと配意をしながらやってまいりたいと思いまして、さらに議論をさせていただきたいと存じます。

佐々木(隆)委員 農業や中小企業ということの、そういう単位ではなくて、手法の違いだということでありますので、そこもこれから少し議論をさせていただきたいと思います。

 ビレッジの範囲を、今大臣は大合併前の町村というふうに御答弁いただいたんですが、よく集落というときに、旧小学校区というイメージを僕は持っていたんですが、それよりもかなり広いということになるわけでありますので、そうなると、少しまた別な視点からも議論をさせていただかなければいけないかなというふうに思います。

 それで、このまち・ひと・しごとの中には、もちろん政策を実現するための幾つかの特例があるわけでありますが、一つには土地利用の計画、それから二つ目には公共交通網、そして三つ目には、何かしばらくぶりに聞いた言葉ですが、農村地域工業等導入促進法の復活といいますか、蘇生といいますか、というようなことが言われてございますが、これらについては計画をつくっていただかなければならないということになるわけですね、地方がそれぞれ。この計画をつくらせるということの意味が一つ必要なのと、それから、予算措置がこれらについては当然伴ってくるんだと思うんですが、それの考え方。

 その中に、片方で工場三法を廃止するといいながら、昭和四十六年にできた法律を蘇生させるということでありますが、この中で、大臣が今お答えをいただいた理念というのは生かされていくのかということが少し不安でございますが、御答弁いただきたいと思います。

内田政府参考人 特例につきまして、まず事務的に御答弁させていただきます。

 委員御指摘のように、幾つかの特例を設けさせていただいております。おのおの、開発許可の特例、地域再生拠点区域に生活利便施設等を再編していくというものでございましたり、農地転用等の特例、当該計画に載ったものは都道府県知事の同意をもって農転の許可があったとみなすというように、委員御指摘のように、地域再生計画を土台として設けられております。

 したがいまして、地域政策にこれらの特例をぶら下げるといいますか、そういう意義は、やはり、地域再生計画は公共団体がつくりますが、その間にいろいろな関係主体、農業者、工業者、商業者等々関係主体が、合意の一つの舞台として地域再生計画をつくるというように考えております。

佐々木(隆)委員 これに伴って、当然、予算措置とか税制とかという、優遇措置といいますか促進策もあると思うんですが、それらについては、何か具体的に、少し例示をいただきたいと思います。

内田政府参考人 お答えを申します。

 先に御質問いただいていましたのに、申しわけございませんでした。

 予算措置でございますけれども、コンパクトビレッジを形成するには、関係各省さまざまな予算を持っておりますので、それを有機的に連携させていく必要があると思ってございますが、私ども自体といたしましても、交付金といたしまして、さきの地方創生先行型交付金でございますとか地域再生戦略交付金、後者につきましては、各省の補助金のすき間を手当てしていくというような交付金、こういうものを用意させていただいております。

 以上でございます。

佐々木(隆)委員 かつての何か一括交付金みたいなイメージが私はしたんですが、いずれにしても、枠を超えてやらなければ、地方創生の担当、三つを合わせてせっかくの担当大臣をつくった意味がありませんので、そこら辺はぜひ促進をしていただきたいと思います。

 次に、先ほども申し上げましたが、この地方再生、創生でもいいんですが、における農協の役割というのは私は非常に重要だと思うんです。同時に、農地の利用ということも、先日論議をさせていただいたことについて大臣からも触れていただきましたが、いわゆる地域農協という考え方、農協にはそういう意義があると思うんですが、地方にはまさに農協と郵便局しかないようなところもたくさんあるわけでありますので、地域における農協、地域農協としての役割、意義ということが一つ。

 もう一つは、定住をしていただくというために、農地を守っているという視点だけではなくて、農地はイコール国土ですから、国土を守っている、そういう視点が必要だと思うんですね。まさに中山間なんかは国土保全の対価だと私は思っているので、そういうことと、同時に、例えば海だって、海岸だって漁民の皆さんがいなければ国境は保全できないわけですから、そういった意味で、定住という意味での土地利用、それと地域農協、この二つについて、大臣のお考えを伺います。

石破国務大臣 恐らく佐々木先生も、委員として今回の農協法の改正にもいろいろな質疑に立たれることかと思います。ここは、農林水産省において、農協の果たす役割というのは、林大臣あるいは当局の方からいろいろな御説明があるものだと思っております。

 私は、麻生内閣で農林水産大臣をしておりましたときに佐々木先生ともいろいろな議論をさせていただきましたが、農業協同組合というものは、産業組合としての位置づけと地域組合としての位置づけと二つ持っていると思います。それが今、総合農協という形で機能しておるわけでございます。

 これがどういうような役割を果たしていくかは、それぞれ農協で御議論いただき決めることでございますし、政府として、またそれにふさわしい法体系を用意することになるのだろうと思っておりますが、協同組合の本旨たる、一人は万人のために、万人は一人のためにという協同組合の理念というものは、まさしく地域のために生かされるものではないだろうかというふうに私自身は理解をしておるところでございます。

 地域組合としての農協のあり方を議論いたしますときに、それでは、委員がおっしゃいますように、地域によっては農協と郵便局ぐらいしかないということでございます。そういうところはたくさんございましょう。そこにおいて、農協と郵便局がどういうような役割を果たしながら地域の維持に参画をしていくのか。

 やはり、どんどんと人がいなくなるところから農協がどんどん撤退していくというのが今あるわけですね、現に。いいとか悪いとかいう価値観を議論しているのではありませんが。では、そこにおいて、農協がとどまるということを、どうやって財政的に担保するのか。幾ら、一人は万人のために、万人は一人のためにといっても、経済的に全く成り立たなくてはどうにもなりませんので、そこにおいて、そういうような農協の活動を可能たらしめる財政的な裏づけは何なのかというような議論も、これからなされることになるのだろうと思っております。

 私は、野党のときに自民党の政調会長でしたが、JAこそ地域の担い手ということを自民党で決めたことがございます。おまえは農協にこびるのかと言われましたが、そんなことを言っているわけではなくて、やはり農協の理念というものが地域を守っていくために生かされるような、そういうような取り組みが必要だと私自身は認識しております。

佐々木(隆)委員 ありがとうございます。

 私も、農協の二つの機能という点については、大臣と全く同じ考え方でございます。

 農協が合併をずっと繰り返してきていますので、そういった意味では、地域は支所という形でしっかり残っていただく。農協の合併の理念というのは、小さな本所、大きな支所というのが本来の理念なんです。経営上、なかなかそうもいかないというところはありますけれども。

 同時に、農地というのは、どうも産業のツールとしてしか考えられないところがあるんですが、私は、やはり国土としてもう少し大事にされるべきだと。同時に、先ほども申し上げましたが、海岸は国境だという考え方、そこに人が住んでいなくなっちゃったら、では、それは全部自衛隊で守るんですかなんということにはならないわけで、そういう定住のための役割もこの地方創生の中では担っていかなければならないのではないかということもあわせて申し上げておきたいと思います。

 この地域再生のもう一つ大きな意味が、雇用の質の確保ということだと思います。雇用の確保という中でも、とりわけ質。

 それで、資料を配付させていただいてございますが、資料の二というところです。これは五月十八日の日経新聞で、地方創生の記事の中で、人口減少への対応策というものをアンケートしているわけでありますが、上から三つとも、労働にかかわったところが、必要なものとしての答えが圧倒的に多いわけであります。

 その中に、例えば農業の六次化というようなものがありますが、これは民主党時代につくったものでありますけれども、ちょっと意味が変わってきているのを私は非常に残念に思っているんです。

 この六次化をもともとつくったときの理念というのは、離農しても離村しない政策、要するに、地元雇用をどうやってつくるかということがもともとの理念だったわけでありますが、そういう意味では、産業としての側面が大きくなり過ぎているようなちょっと心配をして、その基本は何かというと、地元雇用ということになるわけであります。

 この雇用について、地元雇用も含めて、どういう質の雇用をこれからこの創生の中でやっていこうとしているのか、お伺いをしたいと思います。

石破国務大臣 そこは、離農しても離村しないということは、非常に重要なポイントだと思っております。私どもとしても、そのようなことを全く捨象し、等閑視をしているわけではございません。

 地域における質の高い雇用とは何かといえば、やはり高い所得、そしてまた安定した就業環境の実現ということだと思っております。そこにおいて六次化が果たす役割というのは極めて大きくて、委員の御地元の北海道というのは、これは有名な話で、六次化率は全国で一番低いということでございます。それは、やはりいろいろな、最初のプロダクトだけで相当の規模もありますし、相当の金額になりますので、六次化しなくてもやっていけるという事情がある。

 この議論は、気をつけなければいかぬのは、六次化率が一番高いのは東京というのは一体どういうことだという話になるわけでございます。そこに数字のマジックもあるのでございますが、やはり、そこにおいて付加価値を上げ、そしてまたコストを下げるというような観点は極めて必要なことだと私自身思っておるところでございます。

 これまた有名な話で、島根県の雲南市の株式会社吉田ふるさと村というのがあって、ここは、卵かけ御飯専用しょうゆ「おたまはん」、不思議な言い方でございますが、あるいは水道事業ですとか観光事業ですとか、いろいろなことをやっております。従業員数六十八人、平均年収二百三十万。もちろん社員のほとんどの方は兼業なのでございますが、どういう形で地域で雇用を生んでいくかということは、その地域地域でいろいろなアイデアがあるだろうと思っております。

 この雲南市の吉田村なんというのは、物すごく山間地でございますが、そこでもいろいろなアイデアによって雇用と所得を生み出している。それはやはり、旭川なら旭川、あるいは名寄なら名寄で、どういうように付加価値をつけ、どのようにして所得をふやすかということは、それぞれの地域でお考えをいただきたいと思っております。

 国として、それに対して必要な支援はできる限りさせていただきたいと考えております。

佐々木(隆)委員 ありがとうございます。北海道についても御心配をいただいて、大変恐縮でございます。

 私は今地元の方々に言っていることが一つあって、言われるように、北海道は、六次化率、付加価値率が低いんじゃないかというふうに言われているんですが、私は、北海道の農産物、海産物もそうですが、でいえば、最高の付加価値は何かというと、鮮度を届けることだと思っているんです。何か物の形を変えるということだけが加工とか付加とかというふうに言われちゃうんですが、あの鮮度をそのまま届けることができれば大いなる付加だというふうに言って、それを研究してほしいということを今私は申し上げているんですが、ぜひ、そのときはまた相談をさせていただきたいと思います。

 地方再生については、時間がなくなってまいりましたので、次の地方分権についてお伺いをしたいというふうに思います。

 裏側の資料三というところに、これまでの地方分権の経過についての資料を添付させていただきました。これは、平成七年の地方分権法成立、その前の衆参の決議から始まっているんですが、相当年数がたってきてございます。

 地方分権の一連の、第一次分権と第二次分権とずっと改革を進めてきているんですが、この地方分権の原点というのは、国民がゆとりと豊かさを実感できる社会をつくるというのがこの原点であって、権限移譲や義務づけ、枠づけの見直しを進めてきたんですが、一つには、この分権というものを、一定の経過を経ている中で、成果をくくってどのように思われているのか。そして、この分権というものを、地方創生の中のこの原点というものをどう生かしていくのかということが一つ。

 もう一つは、有識者会議あるいは地方六団体がいろいろと提言をしているんですが、三つのことが挙げられているんですね。一つは、国が主導する短期集中型の改革スタイルから息の長い取り組みに転換すべきだということが一つ。二つ目は、地方に共通する基盤となる制度はある程度確立した、今後は多様性を重んじた手挙げ方式を導入すべきだということ。そして三つ目には、住民自治の充実や、財政的な自主自立などの分野の踏み込み不足は否めない。この三点を主に提言しているわけでありますが、これらを受けて、国、都道府県、市町村の役割分担についてどう考えているのか、この二点についてお伺いします。

石破国務大臣 地方分権改革も随分と長い時間が経過をいたしました。それなりに成果も上げてまいりましたが、委員御指摘のように、平成二十六年六月の分権改革有識者会議におきまして、委員が御指摘になりましたような三つの点、提案募集方式、手挙げ方式、あるいは真の住民自治の拡充、これが一番難しいんですが、財政的な自主自立性の確立、こういうことが挙げられているわけでございます。

 今まで相当の成果を上げてまいりましたが、これから先、地域地域に合ったような分権がなければいけないということで、手挙げ方式でありますとか提案募集方式でありますとか、そういうものを導入いたしております。

 私といたしまして、地方からいろいろな提案がなされます。それは役所のさがとして、「検討する。」とか、そういうようなことで終わっちゃうわけですが、できないならできないで、何でできないかということを御説明しなければ、提案をした意味がございません。

 これは参議院の本会議でもお答えをしたことでございますが、できません、なぜならばという説明をするのではなくて、どうすればできるかを考えるのが私どもの責務であると考えております。

 ですので、私は、この手のことに関しましては、「検討する。」というような文章の終わり方はだめで、検討し、いついつまでに成案を得る、もしくは、検討した結果、だめだとすれば、納得していただけるまできちんと御説明をするということが重要なことだと思っております。

 権限を渡したからにはどうやって財源を確保するかというのは、これはなかなか難しい問題でございまして、権限が来るならば財源もよこせということは、地方財政の観点からもさらなる検討をし、成案を得ることが必要だと認識をいたしております。

佐々木(隆)委員 ぜひ、検討から一歩進めていただいて、実現をしていただきたいと思います。

 そこで、もう少し論議したいところがあるんですが、先ほどの地方再生法あるいは地方分権、そしてこの委員会は地方創生の委員会でございまして、そういった意味では、ぜひともこれは委員長にお願いでございます。

 地方公聴会とか参考人とか、あるいはまた総務大臣も、地方分権はもともと総務省ですから、こうした総務大臣も出席をする締め総とか、地方創生委員会なのに地方の人たちが一緒に一堂に会したという論議がないまま物事を決めていくというのは、やはりちょっと国民に対して役割を十分果たしていないのではないかというふうに思いますので、ぜひ御検討をいただきたい。委員長にお願いを申し上げます。

鳩山委員長 その件は、委員会前の理事会でも野党からお話がありましたので、理事間で協議を願いたいと思っています。

佐々木(隆)委員 ぜひお願いをいたします。

 時間がなくなってまいりましたので、最後に、特区法についてお伺いを申し上げたいというふうに思います。

 資料一の方に特区法についての参考資料をつけさせていただきました。

 二つお伺いしたいと思います。

 一つは、国家戦略特区といいながら地方創生特区がその中にあるという、何かちょっと違和感を私は感じるんですが、国家戦略特区に地方創生特区があるというこの意味をまずお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 正確を期すために読ませていただきますが、地方創生特区は、規制改革により地方創生を実現しようとする熱意のある地方自治体を指定するものでございます。

 これは、国家戦略特区をさらに進化させて、手続の簡素化や専門家の派遣など、国が総合的な支援を行うというようなことを企図しておるものでございます。

佐々木(隆)委員 そこに総合特区の概要というものを載せさせていただいたんですが、その下に、三つの特区の目的というものを、概略ですが、載せさせていただきました。

 構造改革特区の目的は、地域の活性化を図りというのが目的であります。総合特区は、国際競争力の強化及び地域の活性化というのが目的になっています。国家戦略特区というのは、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点を形成するということが目的になっていて、特区は同じ特区なんですが、少しずつ目的が違うんですね。

 これは年数も相当経過をして、そういう言い方をしたら申しわけありませんが、当初のころから見ると少し中身も変わってきている、それ以上申し上げると手挙げをしてくれた市町村に失礼になりますから申し上げませんが、という気がいたしますので、私は、この三つは一つの特区にして、そして、この三つのメニューのいずれでもやれますよというような仕組みにした方が、自治体の皆さん方が手を挙げるにしても、より挙げやすいし、所管部署としてはワンストップになっていると聞いておりますので、ぜひここは見直すべきではないかということについて、大臣の所見を伺いたいと思います。

石破国務大臣 これを一つの法律にまとめたから使いやすくなるとかそういうものではありませんで、それぞれの特区にはそれぞれの特性がございまして、一番使いやすいものを選んでいただくという形でやっておるものでございますが、では、自治体の側からして、わかりやすいか、使いやすいかというと、何が何だかよくわかりませんというようなお声も聞くところでございます。

 したがいまして、私どもとして、今、中で議論をしておりますのは、やはり特区についてのフォーラムみたいなものをやって、自治体にとってこれが本当にユーザーフレンドリーなんだろうか、国としては、これが一番いいんです、きちんと御説明するから、皆さんお選びくださいという話なんですが、選ぶ側として、一体どの制度が何なんだか、随分歴史が長くなって非常に複雑な、怪奇とは申しませんが、複雑なことになっているのも事実でございます。

 ユーザーフレンドリーという観点から、やはり特区制度なるものを自治体が本当に有効に活用していただけるための工夫は必要なものだと思っておりまして、またいろいろな御提言をいただきながら、よりよく期してまいりたいと存じます。

佐々木(隆)委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、地方創生の委員会でありますので、やはり地方の視点というものをより大事にするところにこの委員会の大きな意味があるというふうに思いますので、今、「御検討いただける。」ではないと思いますので、「御検討…」で、ぜひ御検討いただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部改正案について、きょうは私、三点質問をしたいと思っています。一つは臨床修練制度を活用した国際交流の推進、それから地域限定保育士の創設、そして外国人家事支援人材の活用でございます。

 まず、臨床修練制度を活用した国際交流の推進から伺いますけれども、今回は、現在、指定病院との間で緊密な連携体制が確保された診療所から、指導医による指導監督体制を確保したところであれば単独の診療所にも拡充するという書きぶりになっておりますけれども、私、これを見ましたときに、本当に単独の診療所に指導医という立場の人が確保できるのかということが非常に不思議に思ったわけであります。

 まず、指定病院との間で緊密な連携体制が確保された診療所という現行の診療所と、それから単独の診療所、この違いについて伺いたいと思います。

高階大臣政務官 お尋ねの臨床修練制度でございますが、医療分野における国際交流の進展等に寄与することを目指すものでございまして、昭和六十二年から始まってございます。

 そして、現行では、診療所が活用を行うためには、医学に関する知識あるいは技能等を有する臨床修練指導医が外国医師を実地に指導監督すること、そして厚生労働大臣の指定した病院との間で緊密な連携体制が確保されている、これは先生御指摘のとおりでございまして、これを今度は、診療所において臨床修練指導医による指導監督体制が確保されていることと、医療の分野における国際交流の推進に主体的に取り組んでいることによって受け入れができることとするものでございまして、診療所の大きさやら中身やらそういったようなことで、単独でできるかどうかというふうなことを現に今回の緩和の中で仕分けしているものではございません。

西村(智)委員 今現在、この指導医がいる単独の診療所というのは厚生労働省では確認できているんですか。つまり、立法事実があるかどうかということです。

高階大臣政務官 全ての診療所でそういったことが期待できるかという問いでもあろうかと思います。

 実際に、平成十六年から国内では医師の臨床研修制度というのが始まってございますけれども、その臨床研修の制度の上でしっかりと医師の教育をやってきた、経験を踏んだ方が、実際に現在は診療所に勤務しているという例もございますし、私は東京医科歯科大学の卒業なんですけれども、卒業生の中でも、指導を十分にやるに足る、そういう現場の医師が診療所で勤務をしている単独のところを把握してございます。

西村(智)委員 私、ただ、単独の診療所に拡充するということが言われている今回の臨床修練制度というものは、今の政務官の説明とはマッチしないものだというふうに思うんですね。つまり、本当にこの修練制度をそういった単独の診療所なりが活用したいと思っているのかどうか、そこは私はやはりすれ違っているところだというふうに思うんですよ。

 だから、私はやはり、そもそも、指導監督体制が確保されているような、この制度の中で求められているそういう診療所があるかどうか、これは甚だ疑問だというふうに思っておりますので、今回のこの拡大は見送るべきではないかというふうに思っております。その点は申し上げておきます。

 二つ目について、地域限定保育士の創設について伺うんですけれども、今回これは第十二条の四で、保育士不足を解消するためということで創設されるということなんです。

 保育士不足といえば、ここにいらっしゃる皆さんは恐らく、潜在保育士は多い、だけれども、その保育士の方々がなかなか就労継続できなかったり、一旦離れた後に職場に復帰できなかったりということで、むしろその潜在保育士の方々にどうやって対応していくのか。これは賃金の問題も含むと思います。保育士の方はなかなか賃金が上がっていかないんです。そういったことも含めて、継続して就労していく、そういった対策をとるということの方がよほど保育士不足解消につながるのではないかというふうに思いますが、なぜこれを創設することになったのでしょうか。

高階大臣政務官 まさしく、御指摘のとおり、保育士の処遇を改善し定着していっていただく、そのための施策も強化をしていく。その一方で、実は、保育士になりたいということで試験を受けるときに九科目の科目について合格をしていかなければいけないということになるんですが、なかなか一発で合格というふうな率の高さまでいっていないものですから、合格するまでの時間をなるべく短縮させることによってこの道に入っていただく方の確保もあわせて進めたいということで、今回はこのような工夫をさせていただいたということでございます。

 先ほど御指摘いただきました処遇改善につきましては、実は、平成二十五年から、消費税引き上げの財源確保の先取りということで二・八五%の処遇改善ということを始めさせていただいておりましたこと。それから、平成二十六年度末に、人事院勧告でベースアップの引き上げが行われておりますので、ここのところでおよそ二%の引き上げ。そして、さらにこの四月からは、公定価格上三%相当の処遇改善を行うなどの取り組みを進めさせていただいておりますこと。

 また、この一月に公表させていただきました保育士確保プラン、この中で、保育士・保育所支援センターの充実、こういった策によりまして、潜在保育士の復帰支援、あっせん拠点をしっかり強化して、続けてもらえるようになろうといったようなことも引き続き確実に実施していく予定でございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、地域限定保育士制度の活用に加えまして、この確保プラン、これもしっかりと進めていくことによって、総合的に確保策に取り組んでまいりたいと考えてございます。

西村(智)委員 なぜこの制度が必要なのかという質問にはお答えいただいていないと思うんですね。

 継続、職場定着策については少しずつ取り組んでいられるという答弁でしたけれども、今の御答弁を聞いていますと、試験の回数が少ないから保育士の資格を取れる人が少ない、回数を多くすれば合格者がふえるというふうに言っていられるように聞こえるんです。そうすると、新たな疑問は、では、年に二回、複数回やるという保育士試験の質が変わるんだろうかということなんですね。

 一回目の試験は一定の水準、そして二回目の試験は保育士の数を確保するために少し中身の違うものというふうに言っているのかというふうにも聞こえるんですけれども、その点についてはどうなんですか。試験の質、内容、これについては、年二回行われることになっても変わらないというふうに理解してよろしいですか。

高階大臣政務官 御指摘のとおり、資質の確保というのは非常に重要な点だと考えております。

 今回の法案で提案させていただいております地域限定保育士試験制度、これは、通常の保育士と同等の質を確保しながら、自治体による試験機会、二回目の保育士試験実施を推進するために創設をするものでございまして、試験基準そのものについては、通常の保育士の試験基準と同等の内容とする予定でございます。資質の確保には私どもも今後も一層取り組んでまいりたいと思います。

西村(智)委員 続いて、外国人家事支援人材の活用について伺いたいと思います。

 第十六条の三、ここを拝見いたしますと、政令に委ねられるものが三つ、そして指針に委ねられるものが一つ。といいますか、逆に言いますと、例えばどういう家事支援活動に対して外国人家事支援人材を受け入れるのかということも政令に委ね、どういう外国人を受け入れるのかということも政令に委ね、どういう機関が受け入れるのかという基準についても政令で委ね、そして、特定機関が守るべき基準も指針に委ねということですから、正直言うと、この十六条の三には、外国人家事支援人材を受け入れますけれども、その中身については何も決まっていませんよということを言っているに等しいものだというふうに思うんですね。

 この外国人家事支援人材についてなんですけれども、やはりもう既に、諸外国を見ますと、例えば、送り出し国から、かなりの巨額な違約金だとか契約金だとかというのを取って、ブローカーが、言ってみれば本当の意味でピンはね、そういうのをやって送り出すということが人身売買、搾取だということで、非常に大きな国際問題にもなっているし、家庭の中ということですから、言ってみれば誰の目も入らないところであります。そういった中で、人権侵害が起こるリスクも非常に高い。

 そして、受け入れる特定機関の中身についても、水準についてもほとんど何も明らかになっていない。ILO百八十九号条約では、しっかりとこういった家事労働者等々の内容を定めておりまして、日本はまだこれは批准していませんけれども、こういった条約を批准する中で家事支援人材の国内法整備も図っていくべきではないか。しかし、それが全くなされていないという状態では、私はこれを導入するということに対しては大きな疑念、懸念があるし、今の時点ではとても賛成はできないというふうに思っています。

 ただ、審議ですので、中身についてきちんとした答弁が返ってくればそれなりに考えたいというふうに思ってお伺いをするんですけれども、一つ一つ伺いたいと思います。

 政令にどういうふうに書き込むのかということなんですけれども、家事支援活動について今回の法案では、「炊事、洗濯その他の家事を代行し、又は補助する業務で政令で定めるものに従事する活動」というふうにしていますけれども、これはどのような範囲までその活動に含めるというふうに考えているんでしょうか。お願いいたします。内閣府にお願いしたいんです。これは法案のまさに骨格のところですので、大臣、お願いいたします。

石破国務大臣 外国人家事支援人材として受け入れる外国人の方々をどういう方にするかということでございます。

 委員御指摘のように、法案成立後に政令で定めることになるわけでございますが、質の確保の観点から、年齢、職歴のほか、家事支援サービスに関する一定の研修の修了等を定める方向で調整を行っております。

 まだ検討中でございますが、年齢でありますとか、家事支援サービスに関する職歴でありますとか、あるいは研修の修了についての確認ですとか、基礎的な日本語の理解ですとか、そういうものについて、これから先、政令で定めるということになろうかと存じます。

西村(智)委員 それは私が今質問したこととは違います。二番目に通告した質問について大臣はお答えになりました。一番目について答えてください。

石破国務大臣 家事支援業務の範囲でございます。これも政令で定めるということになります。

 これにつきましては、さまざま御意見をいただいておるところでございますが、厚労省におきまして、関係府省庁と十分に協議をし、検討して決めていくというようなことになるというふうに承知をいたしております。

西村(智)委員 今後議論するということでは私はとても納得できませんということは冒頭申し上げたわけであります。

 それでは、ダイレクトに聞きますけれども、この対象、家事支援活動の中には介護などは含むことになるんでしょうか。

高階大臣政務官 今ほど石破大臣の方から答弁させていただきましたとおり、この業務の範囲については今後政令で定めていくということになっておりまして、さまざまな御意見をいただきながら、厚生労働省としても、関係府省庁としっかり協議をいたしまして、検討を進めさせていただきたいと考えております。

西村(智)委員 政府はこれまで、単純労働者は日本国内では受け入れないというふうにたびたび答弁をしています。先日の参議院の厚生労働委員会でも小泉政務官がそのように答弁していますけれども、これはそのまま今後も維持されるというふうに確認をしてよろしいですか。厚労省と法務省に伺います。

葉梨副大臣 お答えいたします。

 平成十一年の第九次雇用対策基本計画、読み上げますと、「いわゆる単純労働者の受入れについては、国内の労働市場にかかわる問題を始めとして日本の経済社会と国民生活に多大な影響を及ぼすとともに、送出し国や外国人労働者本人にとっての影響も極めて大きいと予想されることから、国民のコンセンサスを踏まえつつ、十分慎重に対応することが不可欠である。」と定められています。

 委員御指摘のように、業務の範囲等々、政令で定める部分は残っておるわけでございますけれども、今回の家事支援外国人の受け入れは、この政府方針を転換したということではなくて、女性の活躍促進などの観点から、国家戦略特区において限定的に家事支援サービスを提供する企業に雇用される家事支援外国人の受け入れを可能とするものであり、受け入れる外国人は質の高い家事支援サービスを提供できる者に限ることなどを想定しているものと承知しています。

西村(智)委員 そうしますと、家事支援人材は高度人材になる可能性もあるというふうに私は理解をいたしました。

 家事支援活動を行う外国人を雇用契約に基づいて受け入れる特定機関、これはまた、第十六条の三の三で規定する指針に照らして必要な措置を講じることその他の家事支援活動を行う外国人の受け入れを適正かつ等々、適合するかどうかというのを見ていくというふうになっているんですけれども、この指針は、特定機関の指針に書くことになる基準ですけれども、これは一体どういうものを考えていられますか。

関大臣政務官 お答え申し上げます。

 一義的には内閣府が、先ほどいろいろお答えがございましたけれども、そのお答えする事項となるところでございますが、国家戦略特別区域法案の段階で第十六条の三の第三項に定めておりますとおり、国家戦略特別区域内で家事支援外国人の受け入れ事業を行うに当たりまして、特定機関につきましては、一つとしましては、受け入れ外国人に対します研修の実施及び処遇等の情報の提供、二つ目としまして、特別区域の自治体などの関連行政機関との連携の確保などの措置を行うことと理解しております。

西村(智)委員 今何を答弁していただいたのか全くわからないんですけれども、指針に書く基準です。基準はどういう基準を考えているんですか。答えられなかったら内閣府担当大臣でも結構です。

関大臣政務官 指針でございますが、我が国におきまして一定期間の家事支援サービス提供の実績を有しているということと、外国人家事支援人材と十分なコミュニケーションを図ることができる体制を整備していること、そしてさらに外国人家事支援人材の日本滞在期間中の住居を確保していることなどと伺っております。

 これは内閣府による特定機関に係る政令について定める事項の内容でございますけれども、いずれにしましても、政令に定める具体的基準の内容につきましては内閣府を中心として検討していくこととなるんですけれども、経済産業省としましては、家事支援サービス業の健全な発展の観点から、関係省庁と連携して、詳細な制度設計をしてまいりたいと思っております。

西村(智)委員 つまり、何も決まっていないということなんですね。どういう外国人を受け入れるのかも決まっていない、どういう対象家事活動に受け入れるのかも決まっていない、どういう特定機関にその受け入れを委ねるのかも決まっていない、こういった状態で、次の質問として、指針、政令の内容について具体的にどういう項目が盛り込まれるのか明らかにしてもらいたいという質問も考えていたんですけれども、それについては答弁が返ってこないだろうというふうに思います。

 次に、労働関係法令との関係で伺いたいと思うんですけれども、ちょっとこれはイエスかノーかで答えていただきたいと思います。

 外国人家事労働者を雇い入れる特定機関と実際にその家事サービスの提供を受ける利用者との間には請負契約が締結されて、それに基づいてサービスを利用者が受ける、利用を受けるということでよろしいでしょうか。請負契約ということでよろしいですね。

高階大臣政務官 そのとおりです。

西村(智)委員 それで、特定機関と外国人家事労働者との間には雇用契約がある、そしてそこには労働基準法の適用があるということでよろしいですね。これもイエスかノーかでお願いします。

高階大臣政務官 そのとおりでございます。

西村(智)委員 他方なんですけれども、では、実際の外国人家事労働者は特定機関との間で結んだ請負契約に基づいてサービスの提供を行うということですから、外国人家事労働者とその利用者との間には雇用契約などは存在しないという理解でよろしいですね。イエスかノーかで。

高階大臣政務官 そのとおりでございます。

西村(智)委員 そうしますと、家の中のことです。家事、例えばお掃除、お洗濯、炊事とか、介護も入ってくるのかもしれません。そうすると、利用者が現場で、特定機関を通さずに、例えば、そこをちょっと一緒に掃いておいてくださいとか、そこも一緒に拭いておいてくださいとかいう形で直接外国人家事労働者に対して作業内容なんかについての指示を行ったら、そこには指揮命令関係が発生するわけです。そうすると、労働者派遣法が規制することになる労働者派遣に、そこはかわるというふうに考えてよろしいですか。

高階大臣政務官 雇用契約に基づく使用従属関係にはないわけですから、その関係に基づく指揮命令を受けるような位置づけにはない、こういう理解になろうかと存じます。

 そうやってまいりますと、例えば請負契約の中で具体的な中身が示されていなかったがために、外国人家事労働者に対してその具体的な業務の内容が明確ではなくて、都度都度指示がないと業務が完結できないといったような問題が、確かに現場で起こり得る可能性があるなというふうに考えます。ですから、そういったことが想定されますので、業務に支障を来すことのないような請負契約、適切な契約をしていただくということがその前提として必要になるかと考えます。

 いずれにしましても、都道府県の労働局におきまして、法違反の事態が生ずることのないよう、適切に対応を行ってまいります。

西村(智)委員 つまり、個々の契約内容によるということだという今の答弁なんですけれども、そうすると、相当細かく契約内容を書かないといけませんよね。そういうことを特定機関が本当にできるのかどうか。そうすると、やはり最後のところは、この制度でいえば、特定機関はどういう基準を満たすものでなければいけないか、どういう質でなければいけないかということが問題になってくると思います。

 EPAでは、公益社団法人国際厚生事業団が、看護師とか介護福祉士候補生を受け入れるときに、調整機関として、施設に対する調整をさまざま行っているわけであります。それを通して候補者の資質ですとか受け入れ機関としての適格性を判断するというところが一定程度担保できていると思うんですけれども、今回の外国人家事支援人材の受け入れについては、こういった受け入れ調整機関を設ける考えはありませんか。

石破国務大臣 EPAによる外国人看護師、介護福祉士候補者の受け入れにつきましては、二国間の経済連携協定の枠組みの中で、あっせんを一元的に行う受け入れ調整機関を設けることで合意されたということでございます。

 他方、外国人家事支援人材につきましては、これは特区において限定的に受け入れるものでございますので、受け入れ調整機関を設けるのではなく、関係府省及び地方公共団体の連携によって受け入れ企業に対する適正な管理体制が確保されるということによって対応したいと考えております。

西村(智)委員 きのうレクに来ていただいたときに、受け入れ調整機関がない、では、特定機関の質はどこで担保しますかというふうに聞きましたら、結局のところ、みんな、関係府省が顔を見合わせて、何も決まっていない、これからの議論なんですと。何かお互いに押しつけ合っているような感じも私は受けました。

 こういう状況の中で外国人家事支援人材を受け入れたら、私は、本当に大変なことになると思いますよ。日本も人身売買の当事国になるのではないか、こういう懸念が言われている。実際に、ILO条約も批准をしておりませんし、今まさに本当に世界各地で問題になっていて、女性の活躍促進といいながら、どういう家庭に入れるのかも全く明確になっていない、女性がいない家庭であってもそれを入れることが可能になっているということですから、目的と立法の中身とそして効果とがねじれにねじれた、本当に私は問題の多いものだというふうに思っているんです。

 質問は、特定機関が継続的に基準を満たした状態にあるということを管理監督する国の機関は一体どこになるんでしょうか。また、どういうふうに管理監督するんでしょうか。

 私がさっき申し上げたように、これは家庭の中での話です。労基署も、監督官も、家の中までは入っていけないんですよね。そういう制度設計になっていないからです。請負契約しか存在をしていないわけだから、監督官は入っていけない。では、どうやってその特定機関の質を維持し続けることができるんでしょうか。

石破国務大臣 これは、受け入れ機関が指針に照らして必要な措置を講じているかどうかということが確認をされなければなりません。これは、それぞれの所掌に基づき関係省庁が確認を行った上で、法務省におきまして在留資格認定証明書というものを交付することになるわけであります。

 継続して要件を満たしていることの確認についても同様でございまして、仮に外国人家事支援人材を受け入れる機関が要件を満たさなくなった場合には、新たな外国人家事支援人材の受け入れができなくなるというのは当然のことであります。

西村(智)委員 そうすると、利用者が必ず契約内容を逸脱した指揮命令を行わないということが必要だということと、それから、外国人家事支援人材が、例えばハラスメントなどを受けたときに、きちんとそれを行政的な手続で解決できるという解決制度、この二つが担保されていなければならないわけですよね。そうでないと、経産省はできませんよね。これはどうやって担保するんですか、今の二つの点。

 利用者が必ずその契約以外のことについては命令してはいけないということの担保をどうやってとるのか。それから、ハラスメントを受けたときの紛争解決、これをどういうふうにするんでしょう。

石破国務大臣 これは、外国人がきちんと保護されるということが、人権の確保という点からも大事でございます。したがいまして、そういうようなことに携わります企業あるいは自治体、それと外国人との間で、きちんとした連携がなされる、そしてまたそれがきちんと受け入れられるような体制でなければ、この制度は意味をなしません。

西村(智)委員 その体制を整えるための法整備が何もなされていないということを私は申し上げてまいりました。

 残念ながら時間になりましたので、この後の質問については、またぜひ機会をいただいてさせていただきたいと思います。

 終わります。

鳩山委員長 次に、木内孝胤君。

木内(孝)委員 維新の党、木内孝胤でございます。

 前回の委員会におきましては東京の国際金融センター化ということをお伺いいたしましたが、本日は、地方創生におけます資金の流れについて質問させていただきたいと思います。

 地方創生を実現するためには、当然のことながら人、物、お金、この三つが必要でございます。きょう、けさの福田委員の質問の中にも、どのように人を確保するのかというような視点での質問がございましたけれども、興味深く拝見をしておりました。

 資金の流れにつきましては、大きな予算を確保しておりまして、税制面での後押し、物につきましては、規制緩和とか、あるいは各地域地域でのさまざまなアイデアを酌み取ったり、こうした丁寧な作業により、いろいろいいアイデアが出てきていると思っております。

 一方で、実は先ほど福田委員の資料二、資料三、ここまで質問がたどり着いたらおもしろいなと思って楽しみにしておったんですが、ちょっと時間切れで話が聞けなかったのが残念なんですが、やはり資金面での手だてを考えた場合、税制面そして地元の民間の金融機関あるいは公的金融機関、いろいろ資金を調達する手段があろうかと思います。

 しかしながら、一点私の問題意識としてございますのが、いわゆる資本性の資金、資本性のリスクマネーの供給が十分ではないのではないかという問題意識を持っています。

 やはり新しい産業、雇用を生むためには、成長の三要素である資金、リスクマネーが大変重要だと考えておりますけれども、若干弱いと思われるリスクマネーを、地方創生あるいは地元の企業に供給する仕組みをどういうふうに整えているのか、お聞かせいただければと思います。

石破国務大臣 これは、日本におきまして、プライベートエクイティー投資の金額というのは少しどころか、アメリカに比べて規模は四十分の一であります、イギリスと比べても十五分の一であります、こんなことでいいのですかという御指摘だと思います。

 このリスク性資金の充実が必要だということでございますが、なぜ限られているかということは、リスク回避志向というものが定着をしましたね、企業経営のガバナンスが十分に機能していませんね、そしてまた、御指摘いただきましたように新しい資金供給システムの構築、その担い手の確立がおくれているということがございます。

 これをどうするかは、また官民ファンドについてはいろいろな御指摘があろうかと思いますが、やはり、成功例を積み重ねていかないと、一足飛びということにはならないだろう。リスクマネーと聞いた途端に腰が引けちゃうところもいっぱいあるわけでございまして、官民ファンドは民業圧迫にならないように運営をしていかねばなりませんが、それで成功例を着実に積み重ねる。そしてまたリスクマネーなるものが、言い方は難しいのですが、健全に活用されるような、そういうような環境を整えていきたいと考えております。

木内(孝)委員 まだファンド等が十分に成長し切っていない中で、経過措置としてさまざまな形である程度の官民ファンドが生まれるというのは、それはそれで理解はするところでありますけれども、やはり官民ファンドというのは明らかに資本市場の規律を阻害するものだと、私は明確に反対の立場でございます。逆にこうした官民ファンドがあるがゆえに、健全な独立性のファンド、こうしたものがなかなかきちんと成長してこないのではないかという問題意識を持っております。

 きょうはちょっと、地方創生という点なので、余り深くは触れたくないんですけれども、例えば産業革新機構等でも、個別の民間の電機メーカー等に資金を入れたりということで、健全な、これはたとえ外国のファンドであったとしても、リスク性の資金を供給するこうした箱がある中で、国産にこだわっているのかよくわかりませんけれども、こうした民間の会社に国が介在するというのは、私は自由主義経済に反する動きというふうに考えております。

 この点についてもし御意見がございましたら、お聞かせいただければと存じます。

石破国務大臣 御指摘のようなことは、確かにそういう面があろうかと思っております。

 この官民ファンドの位置づけですが、これは、民間資金の呼び水として効果的に活用される、それ以上でもなければそれ以下でもないということだと思っております。

 委員御案内のとおり、ガイドラインというものを策定しております。その内容を一々申し上げることはいたしませんが、あくまで官民ファンドというのは呼び水としての位置づけであります。

 ですから、官民ファンドの所管府省庁というのは、このガイドラインに基づいて、これはサンセット条項もございますけれども、きちんとした監視も行う、そしてまた横串チェックも徹底をするということでございますし、関係閣僚会議におきましても検証作業を的確に行うということが必要だと思います。

木内(孝)委員 今、大臣の御答弁で、呼び水程度というコメントを頂戴しましたけれども、明らかに、官民ファンドは、利益相反の問題、あるいは、特に日本の場合、銀行系のファンドというのも非常に多うございますけれども、こういう銀行系のファンドも、呼び水とは言えない状況で、明らかな利益相反が起こっているケースが多々散見されております。

 例えば地方創生をやる上で何とか資金を引っ張りたいということでこういう資金の流れをやろうというお気持ちはよくわかるんですけれども、こういう市場経済、自由主義経済を阻害することを続けているがゆえに、健全なファンドを、本当であれば、大分時間も経過して、そろそろいい形でテークオフするところが、結局それの邪魔をしているというふうにしか私には見えません。

 この点につきましても、利益相反の視点から、もしファンド等の問題がございましたら御所見をいただきたいんですが、お願いします。

越智大臣政務官 木内委員から利益相反につきまして御質問をいただいたところでございます。

 まず、地銀を初めとします銀行の関与する事業再生等のファンドにおきましては、一般的に適正な投資判断を行うための委員会を設置して、投融資先の資金使途等を含めた投資計画等を精査、確認して案件の選定を行っているというふうに承知しているところでございまして、実態、今こういう状況が終わるんじゃないかというふうに思っております。

 この当該の委員会について申し上げますと、例えば外部専門家、弁護士や公認会計士を委員に加える、また加えまして、委員全員の賛成によって決議を行うというようなことを決められておることがございまして、ファンドの適切な運営を確保するための措置が講じられているというふうに承知しているところでございます。このような枠組みのもと、ファンドにおいて適切な投資判断がなされることが重要であるというふうに考えているところでございます。

 先ほど申し上げました委員会の設置についてでありますけれども、投資事業有限責任組合モデル契約というものを経産省さんが弁護士事務所と一緒になってつくられておりまして、そこで委員会の設置が示されているということでございます。

 実態につきましていろいろと見てみますと、今、公表ベースでは、地域金融機関が出資しているファンドが事業再生ファンドで六十ぐらい、地域活性化ファンドで百二十ぐらいあるというふうに承知をしておりまして、その中で、実際にどういう形で、先ほど申し上げました委員会の設置が行われているかということを見てみますと、委員会の規約がそこで定められていて、その中で、投資委員会のメンバーが、例えばこのケースですと、GPが二人、LPが二人で、そして利益相反がないようにということを当投資委員がしっかり見きわめるということが示されているということでございます。

 以上でございます。

木内(孝)委員 いろいろ組織とか形は整えていらっしゃるのかもしれませんけれども、まだまだ、利益相反の問題や、こうした市場の規律を阻害している問題というのは全くクリアできていないという問題意識を持っておりますので、ぜひそこの監督等をしっかりお願いできればと思っております。

 大臣の御地元におきましても、三億円のとっとり地方創生ファンドというのが、先週の記事で、一つの個別の案件ですので、大臣が、これも質問通告はしてございませんが、そういう三億円のファンドが誕生しました。このファンドにつきましては、そうした利益相反の問題ですとか、あるいは官民ファンドの弊害ですとか、あるいは市場の規律を阻害するとか、そうした問題がないファンドというふうに捉えていらっしゃいますでしょうか。

石破国務大臣 これは、私どもの地域におきまして、なかなか、まだこのファンドの活用というのが十分になされておりません。まだ初期段階でございますので、これは決して民間金融というものを圧迫することがないように、このファンドの趣旨にのっとって活用されるということにしていかなければなりません。

 私自身、直接の担当ではございませんが、このファンドというものが有効に地域産業の発展に資するように私自身も見てまいりたいと存じます。

木内(孝)委員 何点かその問題点等は指摘させていただきましたが、問題点を指摘すると同時に、一つ御提言を申し上げたいというふうに思っております。

 これは予算委員会等でも、前に質問をさせていただいたことがあるんですが、我が国にはGPIFという世界最大級の年金基金がございます。昨年の十月末に資産配分を大きく見直ししました。

 この年金基金というのは、皆様の年金を効率的かつ安全に運用するということですので、必ずしも地方創生に使うとか、あるいは国の産業活性化に資すればベターではありますけれども、やはり効率性や安全性というのが当然優先されるという前提の上で、私、GPIFが、昨年の十月、一部オルタナティブ投資にも、五%以内の範囲において、あるいはこういうリスク、リターンの関係が十分に加味された場合において、こうした投資を始める可能性があるというような答申が出ていると理解しております。

 多くの国の年金を見てみますと、一定程度の割合、例えば五%とか一〇%、一五%、これぐらいの一定割合は、そのリスクとリターンを十分に加味した上で、資産配分のポートフォリオ理論の観点から、ある程度分散投資をしているケースが多いというふうに理解しております。

 もちろん、これは国民の大切な年金資産でございますので、十分な検討とか体制の整備とか、いろいろ必要とは思いますけれども、このGPIFのお金が、もし一定程度プライベートエクイティー等に流れますと、私は、回り回って地方創生、こうした地域の再生にも行き渡るというふうに考えております。

 こうした中で、このGPIFのプライベートエクイティー投資等についての考え方、今いろいろ年金部会等でも議論されているのは承知しておりますけれども、この進捗状況、議論の内容、今後、プライベートエクイティーへの投資の可能性について状況を教えていただければと思います。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御案内のとおり、年金積立金の管理、運用は、厚生年金保険法等に基づき、専ら被保険者の利益のために、安全かつ効率的に行うものとされておりまして、被保険者の利益以外の他事考慮をすることは法律で禁止されておるところでございます。

 この年金積立金の運用は、必要な利回りをしっかりと確保しつつ、分散投資によってリスクを抑えていくということが重要でございまして、御指摘のプライベートエクイティー投資を含めまして、具体的な運用手法につきましては、専ら被保険者のために、資産の管理及び運用に関し一般に認められた専門的な知見に基づきGPIFで検討されるものということにされてございます。

 さきのポートフォリオの見直しにおきまして、中期計画で、運用体制の整備に伴い管理、運用されるオルタナティブ資産、インフラストラクチャー、プライベートエクイティー、不動産その他運用委員会の議を経て決定するものは、リスク・リターン特性に応じまして国内債券、国内株式、外国債券及び外国株式に区分して、資産全体の五%を上限とするという記載がされているところでございます。

 これにつきましては、オルタナティブについて、従前から、基本ポートフォリオ上は株式や債券といった資産のいずれかに位置づけて対応を図ってきたところ、この取り扱いについて、中期計画上、ルールを明確化して対応することとしたものでございまして、この中期計画に沿ってGPIFの方で具体的に検討がなされるものと承知しているところでございます。

木内(孝)委員 二月でしたか、予算委員会でも、塩崎厚生労働大臣にGPIFにつきまして質問させていただきました。その後、いろいろ検討がなされるというお話で、いろいろな法案との整合性とかタイミングとかあろうかと思いますけれども、今のGPIFは、新たに最高投資責任者が一月に就任してから、たまたまその最高投資責任者はプライベートエクイティー分野でも経験がある方でございます。

 私は、GPIFがみずから直接いろいろな企業に投資をするとか、そういうことはイメージはしておりませんけれども、やはり、十分な経験のある最高投資責任者が来た中で、私は、その体制をきちっと整備した上で、有望な、健全で独立性のある、利益相反の問題もない、こうしたファンドに資金を任せて、そうしたファンドからきちっと地方創生等にも資する資金の流れ、こうしたものを徐々に組み立てていく取り組みというのが大切だと思っております。

 これは、GPIFを管理する方から、当然そういうことも意識しながらやっている部分もあろうかと思いますけれども、こうした地方創生委員会の立場から、こうした百三十兆円の資金、それはそれで安全に効率的に運用されてはいるかもしれないけれども、こちらに一部、安全な形で効率的に地方創生に回る形のプライベート・エクイティー・ファンドとしても資金が十分に運用できるのでという、私は、こちらの委員会の立場からこうした問題提起をしながら、一部、将来的に、徐々にでも資産が再分配、見直されればというふうに思っております。

 GPIFのガバナンス改革等、まだ道半ばというふうに理解しておりますので、これは今後の検討課題としてぜひ御検討いただければと思います。

 ちょっと地方創生に関する財源等のことをいろいろ考えておりまして、前回質問したので、またしつこくて大変申しわけございませんけれども、私は前回、日本たばこさんの株式売却をなぜしないんですかという質問をさせていただいて、それからいろいろ御答弁をいただき、その御答弁いただいた結果、大臣にもコメントを求めました。大臣が非常に明快に自信満々に御答弁をなさっていたので、一瞬、その自信満々さに、何か非常にたじろいだといいますか、私が何か間違ったことを言っているのかなというふうな思いで、そこで質問を引っ込めたわけでございますけれども、議事録をもう一回読み直しましたところ、余りにも理解不能でございましたので、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 この問題は、一年前も、参議院の予算委員会でも、当時、松沢参議院議員が質問されたり、質疑の内容はいろいろ議事録に残っておりますので、余り重複しないようにしたいと思いますけれども。

 なぜ、三兆円もあって、葉たばこ農家を保護する手だてがいろいろ、特に農林水産大臣の御経験のある大臣であれば、いろいろアイデアが浮かぶと私は思うんです。

 ここ四年間を見てみましても、日本たばこさんが負担したと思われる額が、内外価格差が公表されております。四年前が四百六十六億円、三年前が三百六十九億円、二年前が二百九十九億円、そして直近が二百五十億円、こういう内外価格差がございます。

 私は、繰り返しになりますけれども、日本には日本の国柄というものがあり、何でもかんでも自由化して全てが入れるべきとか、日本には守るべきものがたくさんあるというふうには思っておりますけれども、この二百五十億円の内外価格差、これが担保さえできれば、三兆円の、遊んでいるとは私は言いません、配当も入っております。しかしながら、何度聞いても、三兆円の株式を売却しない理由、これが前回の答弁で理解できませんでした。大臣は、できません、なぜならばとは言わないとおっしゃっておりましたけれども、まさに前回の大臣の御答弁は、できません、なぜならばというふうにしか私には聞こえませんでした。

 改めてお伺いいたしますけれども、なぜ日本たばこの株式を売却して、地方創生に限らず、今本当に必要な財源に使わないのか、これをお伺いいたします。

石破国務大臣 別に自信満々に答えたつもりはありませんが、そんな答弁とお受け取りになりましたらお許しをいただきたいと存じます。

 これは実際に委員も葉たばこ農家というものをごらんになったことがあるだろうと思います。そうですね、もう今から三十年ぐらい前は私の選挙区にもたくさんありました、葉たばこ農家というものが。多分、感覚として五分の一以下になったと思っております。随分と葉たばこ農家というのは減りました。

 実際に葉たばこの生産というのはかなり過酷なところがございまして、そしてまた葉たばこをつくる適地というものがほかのものに向いているかというとそうではございません。砂地が多うございますので、ほかのものに作物を転換してうまくいったという例を私は寡聞にして存じません。そうしますと、可能な限り合理化をし、可能な限り規模拡大を行ってきた葉たばこ農家に対して、それではもうこれをやめなさいと言うことがいいのかどうかというお話でございます。

 一方におきまして、さて五兆円もあるのだよと、そういうような葉たばこ農家に対して、内外価格差を補填していくということが国の財政としてどうなのかということは、それは議論の余地があろうかと思っております。

 同時に、これは最近は必ずしもそうではございませんが、たばこ小売店の方々というのは、どちらかというと弱い立場におられる方をいかにして保護するかというような観点も入っており、今でもそれは完全に消えたと私は思っておりません。国の税収という点のみならず、葉たばこ生産農家、あるいはたばこ小売店の方々に対する配慮等々もございまして、一気にこれを全部売却ということには私としては賛成しかねるところでございます。

木内(孝)委員 葉たばこ農家は、一九八五年の時点で七万八千六百五十三戸、直近の数字ですと二十六年ですか、約三十年たって五千九百十一戸、統廃合されたりとかいろいろございまして、十三分の一ぐらいの数になっております。

 私は、きちっと保護はしたらいいと思いますし、でも、逆に言えば、例えば十年間ぐらいの長期契約を結んだり、途中で選択権を与える形で見直しオプションを入れたりとか、そうすることによって幾らでも保護する手だてというのはあります。大臣の御答弁は、見捨てるわけにはいかないので守ると。私は、守ることを否定しているわけではございません。守った上できちっと株式を売却する手だてというのは幾らでもできるのではないですかというのが私の質問なんです。

 私は、保護する手だてというのは、大臣のような御経験があれば幾らでもアイデアは出ると思います。今申し上げた長期契約というのも一つの例でございます。何か保護をする手だてをきちっと確保した上で、三兆円。これは、もし国内からの購入をやめた場合、収益が、単純計算でいえば、営業利益ベースで二百五十億円改善します。そういう単純な話ではないかもしれませんけれども、二百億円プラス、収益が改善するのは間違いございません。当然、株価にも反映されると思います。反映された株価で財源もよりふえるという構図もございます。

 私は、きちっと財源さえあれば保護する手だてというのは幾らでもあると思っておりますけれども、それでも保護はできないというふうにお考えでしょうか。

石破国務大臣 これは、地方創生担当大臣の立場で余り断定的なことを申し上げることは、立場上、差し控えたいと存じます。

 結局、株を売ります、そうするとワンショットでお金が入ってくることになります、その後保護するということが国の財政支出としてどうなんだろうかなという論点はあるだろうと思います。つまり、その際に、株は売却いたしました、なお保護し続けますというときの正当性をどこに求めるかという点、あるいは、長期契約になりましたときに、この契約自由の世の中において長期契約を結ぶということがどうなのだろうか、長期というのはどれぐらいの期間なんだろうかということだろうと思います。

 と言うと、おまえは、もうできません、なぜならばということをとうとうと述べておるではないかというお話になるわけですが、委員の御指摘というのは、私は検討に値するものだと正直言って思っております。

 私の選挙区でもそうですが、たばこ農家の方々に後継者が今おりません。この過酷な労働を喜んでやるという人はそんなに大勢いるわけではございません。そこにおいて、これから先の葉たばこ産業というものがどうあるべきかということは、これは、たばこの性質上、財務で論じられていることでございますが、農水の観点からも、これをどうやってこれから先維持していくのか、そのための財政負担はいかにあるべきかということは虚心坦懐にまたこれから先検討し、この問題には答えを出さねばならないものだと考えております。

木内(孝)委員 検討に値するという前向きな御答弁、もちろん御所管の大臣ではない立場の中で、そういう前向きなコメントを頂戴して、ありがとうございます。

 最後に、地方創生とセーフティーネット、あるいは再分配ということについてお伺いをしたいと思います。

 きょうの委員会におきましても、大臣は、都市部にいる若い人たちが山間部等地方に移転をするニーズというのがあるというお話を頂戴しております。そうした中で、個別に、さまざまな、地域再生法もそうでございますけれども、結局、東京の一極集中を是正するという意味で、ほかの地域に移動するというと、なかなか公正さに欠けるというふうに思われます。

 私は、先般の、地域再生法において、各地域の意見を聞くというところで、一回、各政令指定都市あるいは関係者を参考人として、そうした意見をこの委員会においても聞く場を持ったらいいのではないかというふうに思っているわけですけれども、委員会、大分時間も経過してなかなか時間もないかもしれませんが、そうした場の設定というのは、なかなか時間もないし、時間調整も困難ではありますけれども、至急、答弁者はおりますので、そうした参考人を招致するというのは御検討いただけるようなものでしょうか。

鳩山委員長 それは理事会で協議いたします、理事間でですね。

木内(孝)委員 最後に、私は、先ほどのセーフティーネットが地方創生においては大切ではないかと思っております。

 なぜセーフティーネットが大切かというと、私は、自由主義経済が日本の活力を取り戻すために大切だという考えでございます。ただ、自由主義経済というのは、ややもしますと、やはり弱肉強食であり、場合によっては、弱者切り捨て的、あるいは格差の拡大につながることもある、構造的につながることもあり得るという問題意識も同時に持っているわけでございます。

 したがいまして、私は、きちっとした形のセーフティーネット、維新の党としましては給付つき税額控除などをうたっているわけでございますけれども、給付つき税額控除と非常に似た制度でベーシックインカムというのがございます。このベーシックインカムにつきまして、ちょっと制度自体を御存じかわかりませんけれども、こうしたきちっとした徹底したセーフティーネットを張るのと同時に自由主義経済を徹底する、この両面でやらないと、なかなか自由主義経済というのも進めづらい。

 こうした中で、ベーシックインカムにつきまして、この制度についての考え方、セーフティーネットについての考え方、もし御意見がございましたら頂戴したいと思います。

今別府政府参考人 先生とは四年前の財金で年金について比較的かみ合った議論をさせていただいた記憶がございますが、きょうのベーシックインカムというのは、例えば今の所得保障を全部やめて一律に幾らか国民全体に給付をするということであると理解をしておりますが、これは、今の日本の社会保障制度の自助、共助、公助、所得でいえば就労、年金、生活保護という考え方をいわば否定する、革命的な御提案でありますので、まず、働けるのに働かないという生き方を肯定するのか、あるいは高所得のある人に給付を一律に配るのか、さらには、給付水準と絡みますけれども、財源をどう考えるのかというようなことがすぐ想起をされますし、何よりも、特に年金のような信頼を前提とする制度を変えるというようなことをやるエネルギーがどこから生まれてくるんだろうかというようなことがありまして、なかなか今の日本では実現困難ではないかというお答えになってしまいます。

木内(孝)委員 時間も参りましたので終わりとしたいと思いますけれども、ベーシックインカムは、いろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、セーフティーネットを講ずる一つの手段として私は非常に有効だと思っております。ここ三年ほどずっとベーシックインカム研究会というのを続けておりまして、否定的な意見の方がどんどん肯定的に転じていっているという制度だとも理解しておりますので、今後、委員会等でもこの点について御提言を申し上げてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪でございます。

 本日は、主に第五次一括法案について伺います。

 今ある地方分権改革の議論の原点は、平成五年の地方分権の推進に関する決議を契機に始まったものです。取り組みが進められて、もう二十年になります。国民が待望するゆとりと豊かさを実感できる社会づくり、中央集権的行政のあり方を問い直す、地方分権のより一層の推進を望む大きな声などを背景に、地方分権を積極的に推進するための法制定、そして、抜本的な施策を総力を挙げて断行することが必要だとして始まったものです。

 しかし、二十年たって、今、住民の皆さんがその成果をどれだけ実感できているのかといえば、余りそうではないのかなというふうに思います。

 そこで、まず、二十年たった今、この分権改革がどれだけ国民の強い期待に応えてきたのか、そして成果として果たしてどれだけ国民が実感できたのかどうか、大臣に所見を伺います。

石破国務大臣 これは、成果を一つ一つ申し上げていたらば時間が幾らあっても足りません。

 しかしながら、全国一律の基準が定められていた道路勾配において、条例において国の基準よりも急勾配の道路整備ができるようなことになりまして、車による買い物、通院等の日常生活の足の確保ができるようになりましたとか、救急搬送の通行の確保が図れるようになりました。私は、これによって国民の方々が豊かさを実感していただけたかどうかというのとは正直言って乖離があるような気がします。

 ただ、全国一律の基準であるがゆえに、その地域に合わないよね、これは何とかならないかねというようなことが一つ一つ改善はされてきたというふうに思っております。それが豊かさを実感できるようになるまでにはまだ一工夫、二工夫も要るんだろうなというふうに思っておりまして、委員からストレートにそういう豊かさが実感できるようになったかと言われれば、それはまだ道半ばというふうにお答えせざるを得ません。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 構造の転換をどういうふうに図っていくかという話なので、これはなかなか大変なことだと思いますが、今回は第五次でして、大きく意味づけが変わったのが、そういう意味でも、地方創生との関係が出てきたということだと思います。これをどうしていくかということです。

 昨年十二月に閣議決定、まち・ひと・しごと創生総合戦略が行われて、地方分権改革の推進は、地域の発想と創意工夫による課題解決を図るための基盤であり、地方創生の重要なテーマとしています。もう二十年、地方分権についてやってきたことについて今伺いましたけれども、これからの地方創生のあり方は、これまでの二十年の地方分権改革の取り組みとどうすみ分けていくのかというところに今立ってきているんだと思います。

 そこで、これからの地方創生のあり方、今豊かさの話もありましたけれども、どういうゴールを最終的に目指そうとしているのかについて伺います。

石破国務大臣 これがゴールだということを明確に申し上げることはできませんが、この地方創生の取り組みというのを何のためにやっているかというと、東京の一極集中を是正し、地方の人口減少に歯どめをかけるということをやっておるわけでございます。

 それは、東京のために地方に移転するとかそんなけちなことを言っている話ではございませんで、この国家の持続可能性をどうして維持するかということと、ずっと議論がありますように、しばらくは人口減少が続いていくわけでありまして、その間に、どのような地方というものをつくっていくかということが論点になっておろうかと思います。

 そうしますと、地方に分権を行うことによって、例えば農地転用の権限なぞというものは、今までできなかったことを都道府県に移す、場合によっては政令市ということもやっておるわけでございますが、それによって、農地転用というものが、別に規制を緩和したわけではありませんが、時間が相当に短縮をできる、そこにいろいろな企業が入ってくる、雇用が生まれるというようなこともございましょう。

 例えて言えばそういう例でございますが、地方のいろいろな創生といいますか、地方に人、仕事というものができる、そしてその町が維持をされるということに有用な地方分権というものはこれからもやってまいりたいと思います。ただそれが、国家の統一性を損なうようなことではいけませんが、それが地域の方々にとってプラスになるということであれば、これから先も地方分権というものはさらに進めていく必要があるものと考えております。

篠原(豪)委員 地方分権改革は、これまで第一次、第二次と二段階で地方分権改革が行われてきて、ここに至るまで、委員会が勧告を四回していて、その都度、四次にわたって細々と、国から地方への権限移譲や義務づけ、枠づけを見直して、そして、第四次分権一括法で委員会の勧告に基づいてきた仕事は終わってきたんだというふうに思います。

 今おっしゃったことも、いろいろなことを細々と、地方からの声もあったかもしれませんけれども、やってきた。そうはいっても、では次、どうしましょうかということで、今回の第五次一括法案になっていて、実に中身をこれからどうしていくかという話が今の話につながるのかもしれませんけれども、これからは、地方の発意に根差した息の長い地方分権改革を、地方からの提案一つ一つをやりましょうということで、今回の提案方式の募集に至ったというふうに理解しています。

 そこで、具体的な内容について、法案の審議でもありますのでちょっと伺っていきたいと思うんですけれども、まず、資料の一枚目をごらんいただければと思うんですが、これは、今回のスタートが、昨年の四月三十日に地方分権改革に関する提案募集の実施方針を決定して、これに基づいて五月二十日から七月十五日まで提案募集を受け付けてきました。その後のスケジュールも、そこに書かせていただいているとおりです。

 あわせて、資料の二番目をごらんいただければと思うんですけれども、これは、地方提案等への実際の対応状況の推移をまとめさせていただいたものです。これは、八月二十九日、政府から第一次回答をしていて、そこでは、手挙げ方式を含めて実施するが十件しかありませんでした。そして、これを踏まえて、提案元の自治体関係などに打ち返して再度説明を求め、さらなる実施の必要性を各省庁に対して再検討させたということになっています。

 資料の二番目の方のこの後ろの表の図ですけれども、第二次回答、十月二十九日に「実施」が四十件にふえた一方で、「対応不可」が依然七百四十一件ありました。

 右の図、「当面の方針」というところなんですけれども、同じ日に、これを見ていただきますと、地方分権改革有識者会議が、「対応不可」はなしにしましょうよということで、全て再検討方針を決定したと聞いています。

 そして、最終的な調整を経て、一月三十日の閣議決定時には、「提案の趣旨を踏まえて対応」が三百九十二件、「現行の規定で対応可」が百三件、そして「実現できなかったもの」が三百七十一件となりました。

 この表を見れば、素朴な疑問で思うのが、なぜこのように対応方針が大きく変わってきたのかということです。そこで、結果として全体像が大きく変わってきた経緯について、まずは政府に伺います。

満田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地方からの提案、これは第一次回答のときは各省にとっても検討時間が少なかったという事情がまずスタートのところではあったかと思いますが、それ以後、政府を挙げて検討してきたものでございます。

 平成二十六年度の特色といたしましては、提案の実現に向けて、地方分権改革有識者会議の提案募集検討専門部会、これは行政法や行政学の先生方六名によるものでございますが、この部会において合計八十五時間のヒアリングを行いました。

 このヒアリングは、重点項目一つ一つについて、地方団体及びその所管いたします省庁をお招きして一件ごとに行ってきたものでございまして、この中におきまして、どのような対応をしていくかということを詰めていき、このような結果につながった、これがことしの一つの特色だろうというふうに考えております。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 八十五時間の審議をやって、一件一件丁寧に重点事項に対してはやっていくということでこういうふうになったということでありますけれども、最初十件だったものが三百九十二件ですね。

 それで、気になるので、その内訳はしっかり見なきゃいけないと思っておりまして、この三百九十二件は、提案どおり実施するものが一つ、二番目に、提案どおりではないが一定の対応をするもの、そして引き続き検討するものなどが入っています。このように、対応の中身、類型は実際はどういうふうに分けていって、それぞれが何件になっているのか、伺います。

満田政府参考人 お答えいたします。

 まず、分類でございますけれども、最終的に「提案の趣旨を踏まえて対応」となっております三百九十二件、これを全体といたしまして、この内訳でございますけれども、この中に検討という文字が含まれているものは二百一件ございます。これは、原則といたしまして、対応のスケジュール等々も全部決めて、そして検討の方向性も具体的に書くことを原則としておりますものでございまして、それぞれの対応方針の取りまとめに向けて十分フォローアップを内閣府の方でしながら実現に結びつけていくというもの、これが三百九十二の中に二百一件、検討と書いているものがございます。

 それから、提案どおり実現したものとそれから一定の対応を行ったものとの区別も論理的には確かにあるものでございますが、しかしながら、今回の提案の募集では、提案の背景にある支障、課題を踏まえて、地方公共団体から提案された当初の内容にこだわらず、ともかく課題を解決するという方策を探ったところでございます。

 また、地方からの提案も、非常に限られた形で何々をしてこのようにしてほしいという提案、例えば、建築審査会の委員さんの任期、法定で二年となっておりますが、これを法定を外してほしいという非常に明確に一点に絞られているものから、片や、例えば、ビジネスジェットを地方空港で受け入れる際に、検疫、税関、出入国管理というCIQと言われているものなどを全て地方に任せてほしいというような非常に総合的なものまで、多岐にわたっておりました。

 提案の内容はさまざまですので、そのとおり、書いてきたとおりだったのか、それとも、ともかく趣旨を実現したのかという区分は行っていないところでございますが、ともかく、当該課題、地方から提案のあった課題の対応に何らかの形でこぎつけていったということで三百九十二件を御理解いただけたらというふうに思っております。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 「提案の趣旨を踏まえて対応」、これは後ほどお話ししますけれども、実態、今お話があったように考えれば、実はいろいろな提案があって、事項数で見てみると、ベースで考えると、複数の自治体からも同じようなものが出ているということになれば、この件数は、一つの個別として、事項の一つとしてまとめるんだと思います。そうなると、実態像をより把握するとなると、やはり事項数というものがどういうふうにカウントされているのかというふうに思います。

 そこで、この事項数を四つに仮に分けたとして、一つは、義務づけ、枠づけの見直し、権限移譲が実現したもの、そして、通知、周知をするとされているもの、そして、引き続き検討するとされているもの、その他一定の対応を行ったもの、対応方針に盛り込まれた事項のうち、私たちで数えてみると大体二百五十ぐらいあるんですけれども、これはそれぞれどれぐらいになっているかということを教えていただければと思います。

満田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、この提案の趣旨を踏まえ対応することとされた三百九十二件でございますが、今回、地方からの提案は、求める措置の内容が微妙に各団体、各提案でそれぞれ違っておりました。その関係上、同様の提案だということで、言ってみたら、最大公約数でくくって事項数の形で集計するということは困難でありましたし、また地方側からもその要請がなかったもので、今どういう分類かというのはただいまから申し上げますが、この三百九十二件の内訳としてこのような状態になっていると。地方団体側からは、全て個々の提案がどうなったかということに非常に関心がございましたので、三百九十二の提案がどのような形になったかということで御報告にかえたいと思います。

 三百九十二件のうち、義務づけ、枠づけだったのか、あるいは権限の移譲をしたのかということで申し上げますと、義務づけ、枠づけを見直したもの、この系統が二百七件、残り、事務や権限を移譲したというものが百八十五件で、足すと三百九十二になります。

 そして、その次に、通知ですとか周知という文言が入っているものというものでございます。これは、ある意味、この三百九十二件ほとんどに共通してですが、一定の、各省庁で何らかの対応をするというものでございますので、何らかの対応をしたことを地方公共団体にお知らせするということ自体は行われるものでございますが、ただ、閣議決定上、あえて通知や周知するよということを明示しているものという観点で申し上げますと、三百九十二の中に百一件ございます。内訳は、義務づけ系統で四十件、事務権限移譲系統で六十一件、足しまして百一件が、この通知、周知という、この三百九十二の「提案の趣旨を踏まえて対応」の中にこれだけのものが含まれているというものでございます。

 そして最後に、検討の文字が入っているものは二百一件で、これは、義務づけ系統のところで九十六件、事務権限移譲系統のところで百五件、足しまして二百一件が含まれているというものでございます。

 その提案どおり実現か、あるいは一定の対応をとったのかということの区分は先ほど申し上げたとおりで、ともかく課題の解決に至ったものを全て挙げているところでございますので、この両者の区分はしていないというところでございます。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 対応するというところに入っていて、いろいろそれぞれの分類というものが、今私が質問したような幾つかの項目で明確になかなか分けられないということです。

 しかし、私たちの方で計算してみると、一番最初に言った義務づけ、枠づけの見直し、権限移譲が実現したものというのは大体五十項目であろう、通知、周知とされるものが七十項目であろう、引き続き検討するというものが大体七十項目であろう、その他の一定の対応を行ったものが七十項目で、大体二百五十項目じゃないかなというふうに考えていまして、こういったものはやはりきちっとわかった方がいいのじゃないかというふうに思います。

 というのは、提案して、ああ、これが通った、対応に入っている三百九十二件に入っているといって喜んでしまって、では、具体的にどう進めていくんですかといったら、今後検討していきます、引き続き検討していきますと。これは先ほどもおっしゃられたかもしれませんけれども。

 そういったことを考えれば、本当にこの三百九十二件という数字がひとり歩きして、これは果たしていいのかというのは思います。別に水増しじゃないでしょうけれども、こういった疑問が、これは提案側の人たちも実際どうなっているかということを知りたいでしょうし、国民の皆さんから見ても、十件が三百九十二件になっているという、今お話を伺いましたけれども、であるならば、やはりここは、二十七年の提案募集の成果は、提案件数別、項目別にもっと詳細な分類をして、結果を追加して公表するべきじゃないかと思いますが、大臣に御所見を伺います。

石破国務大臣 それはおっしゃるとおりで、自治体が勘違いなんかを起こされると非常にぐあいが悪いねというふうに思っております。

 この公表の仕方は、やはりホームページということにならざるを得ないのですが、その提案をなさいました自治体のみならず、ほかの自治体の方々にもよく状況を理解していただくことが必要でございますので、そういう情報発信は、誤解されることがないように、丁寧に情報として発信をすることは必要だというふうに考えて、そのようにいたします。

篠原(豪)委員 済みません。ありがとうございます。では、ぜひよろしくお願いいたします。

 もう一つ、引き続き検討という項目があって、「提案の趣旨を踏まえて対応」ということでして、これはどのように検討していくのか。これは多分、先ほどの、参議院の方でも話されたとかいった答弁にかかわってくるのかもわからないんですが、もう一度確認させていただきたいんですけれども、各省に対して期限を区切ってやっていくということをきちっと言っていかなきゃいけないと思いますし、その具体的なスケジュール感をやはり自治体に示していくことが大事だと思いますので、ここも再度確認させてください。

満田政府参考人 引き続き検討としたものについてのお尋ねでございます。

 今回、検討の文字が含まれていたものに関しましては、二十七年の一月三十日の閣議決定におきまして、「引き続き検討を進めることとしたものについては、関係府省とも連携しつつ、内閣府において適切にフォローアップを行い、検討結果について、逐次、地方分権改革有識者会議に報告する。」というふうに明記をしております。

 したがいまして、我々内閣府の方で、有識者会議の御議論もいただきながら、そして、常に、定期的に各省の方に丁寧に連絡をとり、調整を行っていって、成案を得るまで粘り強く頑張っていきたい、このように考えております。

篠原(豪)委員 ぜひよろしくお願いします。

 話を一つ進めますけれども、今回の目玉は、やはり手挙げ方式です。このうち、提案があった中で、本当に手挙げだったというのは九件。先ほど私たちの方から申し上げたことでいいますと、四つの項目だと思うんですね。この程度にとどまっているということに対して、どういうふうに考えていらっしゃるかを伺います。

満田政府参考人 手挙げ方式の件数についてのお尋ねでございます。

 手挙げ方式により、二十六年の対応方針におきまして移譲することとしております具体的な事務、権限といたしましては、農地転用権限あるいは市町村の水道事業の許可、監督の権限がございます。

 農地転用の権限では、農水大臣が指定する市町村に都道府県と同様な権限を移譲する。あるいは、市町村の水道事業の認可、監督の権限では、これは、広域化の計画などを策定して、業務の監督体制を十分に整えている都道府県の指定されたところに権限を移譲するというものでございます。

 これらは、全国一律で行おうとした場合には困難であろうということが調整過程であったわけでございますが、手挙げ方式によりまして、地方公共団体において懸案となっていたことが初めて実現するということに至ったものだというふうに考えております。

 二十六年は九件で、制度がスタートして間がないところですので九件でございますが、この方式による分権が、実績を一つずつ積み重ねて、関係者に定着していくことによりまして、全国の多様な需要に今後応えていく、そのための選択肢となるのではないかというふうに考えております。

篠原(豪)委員 全国一律で改革提案できないものは手挙げ方式を積極的に活用すべきかどうかということであるならば、やはり件数が少ないと思っているんですが、提案も実は、千七百基礎自治体があって六十七団体のみというふうに今回なっています。

 手挙げ方式というのは、例えば国から見れば、効率性の観点から見ると導入しづらいのか、あるいは、デメリットがあって、結果この程度の件数ということになるのかと、いろいろと考えるわけです。

 そこで、手挙げ方式についてのデメリットとメリットについてどう評価して、これからどう活用していくかを石破大臣に伺います。

石破国務大臣 手挙げ方式のメリットとは何かというお尋ねでございます。

 これは、意欲や執行体制を整えている地方公共団体に対する移譲が可能となる、移譲後も円滑な執行が期待できるということが挙げられます。また、ほかにも、全国一律の移譲が困難な場合にも対応できる、地域の多様性に応じることができるというのが手挙げ方式のメリットであるというふうに考えております。

 他方、デメリットもないわけではございませんで、手挙げ方式により移譲を受けた団体とそれ以外の団体とで、担当する機関がかわることになります。そうすると、これは、事業者が申請などを行う場合にはそれはどうなんだろうねというような注意が必要なことになるわけでございます。

 ですので、これもメリット、デメリット等々ございますが、地方の提案を踏まえながら、移譲する事務の性質に応じて、手挙げ方式というものも選択肢としなければなりません。これを選択肢としながら権限移譲を推進するということでございますし、導入した手挙げ方式の運用状況につきましては、これは、デメリットというものが余り強く出ませんように、必要に応じて検証を行う必要がございます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 今も二十七年度分を募集しているわけでありまして、先ほどから申し上げているように、選んできた過程とか、それがどういう判断でどういうところに入ってきたというのがわかりづらいと、自分たちはどうしたらいいんだろうというふうになりますので、今の数の少なさがありましたので、そういったことも含めて、しっかりと御対応いただければと思います。

 今この話をするに当たって、いろいろな方にお話を聞いたんですけれども、各省が地方分権改革というものに対してなかなか動きづらいということ、組織として相当難しいなということも仄聞しております。

 根本的な問題意識として、各省が回答してきたようなものをこの地方分権一括法において束ねるようなものであると、今のやり方だと余り進まないかもしれない。もちろん、内閣府がそれをきちんと把握して、問題点を指摘しつつ、各省に球を打ち返さなきゃいけないわけで、この地方分権一括法の役割を担うのが、地方分権改革推進本部の推進室だと聞いています。

 そこで、この部署の人員配置は具体的にどういうふうになっているか、その現状について伺います。

満田政府参考人 お答えします。

 現在の内閣府地方分権改革推進室の体制といたしましては、全体として四十九名でございます。内訳は、内閣府が三人、それから総務省からの者が十六人、これは併任等でございますが十六人、そして、その他の省からの方が十五人、地方公共団体より派遣をいただいている方が十五人となっております。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 地方創生、地方分権の改革は、本当にこの国の大切なテーマであると同時に、しっかりとやり切るためにはそれなりの体制が必要だと思います。やはり、これはもう、政務の側がしっかりと指示をしていって、お尻をたたくとは言わないかもしれませんけれども、やっていかないとなかなか難しいだろうというふうに思っています。

 このことについて、大臣、今後どういうふうにされていくかということについて伺います。

石破国務大臣 今お答えいたしましたように、今は四十九人ということになっておるわけでございます。これは、平成七年七月、随分昔の話になりますが、発足時二十一人、最大で三十人ということでございました。第二次分権改革時、平成十九年四月より始まっておりますが、これも発足時三十三人、現在四十九人ということでございます。

 私が見ておりまして、この地方分権改革推進室の仕事というのは、そんなにみんながもろ手を挙げて喜ぶ話ではありません。地方はいろいろなことをおっしゃいますが、それはまた、その地方公共団体で温度差もございます、意見が違うこともございます。そしてまた、中央省庁も大喜びで分権したいというわけではなくて、本当に地道な、ですけれども必要な作業というものを、少ない人員の中でよくここまでやってきたなと、身内を褒めても仕方がありませんが、そんな感じを私自身持っておるところでございます。

 今までしっかりやってきたと思っておりますけれども、体制の確保というものにはこれから先もよく配意をいたしてまいります。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、地道な努力が必要ですし、いろいろと団体、個々にやはり言ってくるのと違いますから、さっきデメリットの中であったように、こっちを認めれば、隣の団体はどうなるんだという話も実際出てくるんだろうと思います。そういうことも含めて、周りも含めてしっかりとフォローしていかなきゃいけないような案件がいっぱい出てくると思いますので、その辺、しっかりとやっていただければと思います。

 権限と財源移譲の話をしようと思っていたんですけれども、時間の関係で、ちょっと先ほども出たんですが、今回の個別の、第四次に対しての権限、財源移譲じゃなくて、これまでの財源移譲について、本格的にやろうとしてきたことが、この国はどうだったのかということで、これは小泉内閣のときの閣議決定である骨太の方針を受けて行われている。

 そのときは、三位一体の改革ですけれども、国庫補助金改革、税源移譲改革、そして地方交付税改革というのがありましたけれども、当時は、地方の側は、分権という趣旨とは関係なくて、五・一兆円の地方交付税額が削減されて、多くの地方公共団体が、地域活性化のための独自施策を断念せざるを得なかったと言っていて、地方交付税に対する強い不満が表明されてきたわけです。

 そこで、先ほども、自立的な財源、どうしていくのかといったこと、お話があったと思うんですけれども、いま一度根本的なところに立ち返って、三位一体改革についてどのような声が上がっていたのか、そして、大臣は今どういうふうにこの今の立場で思われているかを伺います。

石破国務大臣 これは、三位一体改革が地方において大歓迎されて大評判だったという話は聞いたことがございません。地方にとっては、特に私どもみたいな財政窮乏県にとってはあんまりではないかというような、そういう声が多かったことは間違いないことで、ここはよく認識をしていかなければいけないと思っております。

 ただ、小泉内閣の三位一体改革も何も好きこのんでやったわけではなくて、当時の国の財政事情等々も考えれば、あのころに塩川財務大臣の御発言もありましたが、そういうことがあったことも事実であります。

 地方交付税は減る、そして公共事業は減る、その中において初めて、どういうふうにして我が町をこれからやっていこうかというような機運が生じているところがあったこともまた事実でございます。

 ですので、それぞれの地域においてみずから考えみずから行うということのきっかけに結果的になったということはあろうかと思いますが、それが、地域の産業の創出、あるいは雇用の維持、人口の維持、そういうものに全くつながらないような削減というものは、それは財政の論理だけで行うべきものではないと思っております。

篠原(豪)委員 これから、総括と展望においても、財政的な自主自立、これをやっていかなければいけないと。先ほど、検討していかなければいけないというお話だったと思います。きょうは時間ですので、これは今後また議論させていただきたいと思いますけれども、やはり、どのような方向、スケジュールで検討していくのかということ、これは本当に今から詰めていかなきゃいけない問題だと思いますので、また引き続きお話を、議論をさせていただければと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

鳩山委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 前回の質疑で、私は、静岡県浜松市の天竜区旧龍山村の事例を挙げて、歴史と文化を学習し伝承する場である龍山郷土文化保存伝習施設が打ち捨てられていたこと、そしてその背景には、村内にあった幼稚園、小学校、中学校の全てが廃園、廃校となったことがあるという事実を示して、子供がいなくなり学校をなくしたときに、もはやその町には未来がなくなると指摘をいたしました。

 私は、地方創生にとって極めて重要なのは教育だと思っております。

 きょうは文部科学省に来ていただいておりますけれども、文部科学省はことし一月二十七日、公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を策定し、全国の教育委員会に通知いたしました。

 ここでは、「小学校の学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」という学校教育法施行規則第四十一条の規定を引きながらも、学校の地域コミュニティーの核としての性格への配慮にも触れておられます。

 文部科学省、手引では、地理的要因や地域事情による小規模校の存続についてどのように書いてありますか。

小松政府参考人 御指摘の箇所につきまして、文章を御紹介申し上げます。

 特に山間へき地、離島といった地理的な要因や、過疎地など学校が地域コミュニティの存続に決定的な役割を果たしている等の様々な地域事情により、学校統合によって適正規模化を進めることが困難であると考える地域や、小規模校を存続させることが必要であると考える地域、一旦休校とした学校をコミュニティの核として再開することを検討する地域なども存在するところであり、こうした市町村の判断も尊重される必要があります。

というふうに記載をいたしております。

宮本(岳)委員 手引は、決して、適正規模とされる十二学級を下回ったから機械的に学校統合を行えというような趣旨ではありません。文部科学大臣も、ことし三月の衆議院文部科学委員会で、地域事情に応じた丁寧できめ細かな対応をするよう周知したい旨答弁をされました。

 石破大臣、昨年末閣議決定された、まち・ひと・しごと創生総合戦略でも、地域コミュニティーの核としての学校の役割を重視する、あるいは、小規模校の活性化、休校した学校の再開支援にも触れております。

 私は、たとえ十二学級を下回っても、地域コミュニティーの核としてしっかり学校を守ることは非常に大事だと思いますし、安易に廃校、廃園せずに、休校にして学校の再開を目指すことが町の未来を失わないためにも重要だと考えます。石破大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 全くそのとおりでございます。

 休校もやむを得ないということはございましょう。それはいろいろな理由であろうかと思います。ただ、地方創生ということに取り組むことによって、やがて人がふえる、子供たちがふえる、それで休校であったものがまた再開される。

 ですから、文科省において、必ずしも統廃合だけが一つの選択肢ではない、休校という選択肢もあるのだ。休校しているときに、では、そこをどう利活用するかということはまた地域によってお考えをいただくことですが、そこにおいて、例えば、土曜、日曜に前あった学校の子供たちが集まるとか、春休みや夏休みや冬休みに集まるとか、あるいは地域コミュニティーの場として使うとか、いろいろなものはあるのだろうと思っております。

 私は、全て廃校にせず休校にすべきだなぞという乱暴なことを申し上げているわけではありませんが、休校という選択肢もあり、そしてまた、それをどうやって利活用し、そして、これでこの学校はなくなっちゃいますよというのと、再開を目指して頑張りましょうねというのは、子供たちの受け取り方も違うのだろうというふうに思っておりまして、休校という選択肢もそれぞれの地域においてより真剣に考えられるべきものだと思います。

宮本(岳)委員 当然の答弁だと思うんですね。

 ところが、総務省はどうか。総務省は、現在、地方自治体に公共施設等総合管理計画というものの策定を求めております。過去に建設された公共施設等が大量に更新時期を迎える一方で自治体財政は依然として厳しい状況にある、人口減少で今後の公共施設の利用需要が減っていく、市町村合併を行った自治体では合併後の施設全体の最適化を図る必要性が生じている、だから公共施設を整理統合せよという計画であります。

 昨年四月二十二日、新藤義孝総務大臣名で要請が出されました。これは、地方自治法二百四十五条の四第一項に基づく技術的助言だというのでありますけれども、ことし四月一日の時点で、全都道府県及び指定都市と九八・四%の市区町村で策定が予定され、策定予定なしはゼロということになっております。

 総務省に聞きますけれども、この公共施設には公立の小中学校も入っておりますね。

橋本政府参考人 お答えをいたします。

 公共施設等総合管理計画は、地方公共団体が整備、管理する公共施設等を幅広く対象としており、公立の小中学校も含まれております。

宮本(岳)委員 入っているわけですね。

 そして総務省は、この計画を立てるに当たって、全国の自治体に、記載事項や留意事項をまとめた公共施設等総合管理計画の策定にあたっての指針というものを示しました。このガイドラインでは、公共施設や自治体を取り巻く現状や将来にわたる見通し、課題を客観的に把握、分析せよとして、その検討に寄与するものだとして、ホームページ上に更新費用試算ソフトというものまで公開をしております。

 総務省に聞きますけれども、このガイドラインの二つ目に挙げられている、「総人口や年代別人口についての今後の見通し(三十年程度が望ましい)」というところに各自治体はどういう数字を入れるんですか。

橋本政府参考人 公共施設等総合管理計画の策定指針におきましては、今後の人口見通しに関して特定の推計方法を指定はしておりません。

 計画の策定済みの自治体を見ますと、国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いている自治体が大部分ではありますが、中には、当該推計を踏まえつつ、一部の数値に地域の実情に応じたより適切な数値を用いるなど、独自の方法により推計を行っている自治体もございます。

宮本(岳)委員 私、各自治体がどういう計画を策定しているかということで、私の地元大阪では三自治体ということでありましたから、守口、松原市、岬町、三つの計画を取り寄せて調べてみました。今御答弁があったとおり、この三つの自治体は、国立社会保障・人口問題研究所の平成二十五年三月推計というものを使ってこのソフトを動かしております。

 総務省のガイドラインで、総人口や年代別人口についての今後の見通しを三十年程度が望ましいとわざわざ注記すれば、各自治体は、社人研が平成二十五年三月に推計した自治体別三十年間推計のデータを用いるのはほとんど間違いのないことだと思います。

 ところが、この数字を入れてソフトで計算をしますと、軒並み非常に厳しい結果が出ることになっております。なぜか。当然、この数字を入れれば本当に地獄のような結果が出るのは当たり前だと言わなければなりません。

 なぜなら、この社人研の平成二十五年三月推計というものをもとに「地方消滅」という増田レポートが出され、その推計どおりになったら大変なことになるといって地方創生が叫ばれ、石破大臣が任命され、我々は今、当委員会で、その推計どおりにならないようにしようじゃないかという議論をやっているわけですよ。この推計どおりにいかないように議論しているまさにそのときに、総務省はわざわざソフトまでつくって、国立社会保障・人口問題研究所の推計どおりに人口が減少することを前提としてデータを入力させ、いわば地獄絵図を描いてみせて、公共施設も学校も統廃合をあおり立てる。

 大臣、これでは、石破大臣は無能である、地方創生特は無力である、こう言われているようなものじゃありませんか。

石破国務大臣 私は無能ではないと開き直るほど度胸があるわけでもございませんが、まさしく委員御指摘のとおり、そうならないようにしよう、こう言っているわけでございます。ですから、さっきの休校の話でも、努力をして人口がふえましたね、子供たちがふえましたね、だから再開できてよかったですねというふうにしようというのが、これは目的なのでございます。

 そうしますと、国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いている自治体もございますが、この推計を踏まえつつ、その地域の実情により、独自の方法による推計を行うものもあるということであって、総務省として、この社人研の数字を何が何でも使えというふうに言っているものとは承知を私自身いたしておりません。

 つまり、その地域地域で、これは荒唐無稽な話をしても仕方がありませんが、このように地道な努力でこういうことがあり得るのだということは、それぞれの地方自治体の独自性が当然発揮されてしかるべきものだと私は思っております。

鳩山委員長 宮本委員、社人研の予想どおりにならないように頑張るのがこの委員会の仕事だと思っております。

宮本(岳)委員 はい。

 総務省に重ねて聞きますけれども、やはり、公共施設等総合管理計画をつくる際には、また更新費用試算ソフトを使用する際には、国立社会保障・人口問題研究所の推計をそのまま使うのではなく、今後の地方創生の努力をきちんと反映させた推計で行うべきだと改めて全国の自治体に徹底すべきじゃないですか。

橋本政府参考人 お答えをいたします。

 今後、公共施設等総合管理計画の策定が本格化いたしますが、人口推計につきましては、それぞれの自治体の判断に委ねられております。国立社会保障・人口問題研究所の推計を用いる自治体もあれば、地域の実情に応じた独自の推計方法を用いる自治体もある、このように考えております。

宮本(岳)委員 ぜひ、機械的に用いるべきではないということは総務省から徹底していただきたい。

 文部科学省の手引には、将来的な学校再開の可能性も念頭に置いて、学校設置条例の改正は行わず、休校という扱いができるということ、また、その場合には、休校した学校への再開の工夫、教員の加配、これも国の支援を行う、こういうふうになっております。

 ところが、これに真っ向から攻撃を加えているのが財務省であります。

 きょうは財務省にも来ていただいております。

 主計局に聞きますけれども、財務省は、五月十一日の財政審議会に、「標準学級当たり加配教員数の推移」というペーパーを出して、少子化の進展により標準学級数が減少しているのに加配定数がふえているのはおかしい、加配定数は減らせるはずだ、こういう主張を行いました。事実ですね。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 教育は日本の将来にとって重要な課題である一方で、現下の厳しい財政状況のもと、教育予算についても、重点化、効率化を図りながら質の向上を目指すという工夫が必要であると考えておりまして、今回、児童数の減少を踏まえた教職員定数の合理化について問題提起をさせていただいたところでございます。

 具体的には、少人数指導などの現在の教育環境を維持するということを前提として、少子化等による基礎定数の自然減に加えて、標準学級当たりの加配教員数を維持した場合でも、少子化に伴う標準学級の減少に伴った加配定数の合理化は可能であるとの試算をお示ししたところでございます。

 中長期的な教職員定数の合理化の見通しを立てた上で、それを踏まえた外部人材の活用、教職員採用等を計画的に進めることで、厳しい財政事情の中であっても効果的な教育環境の改善ができるものと考えております。

宮本(岳)委員 中長期的な見通しに立ってやったとおっしゃるけれども、では、その子供の人口推計は何に基づいてやりましたか。

西田政府参考人 お答えを申し上げます。

 お尋ねは、同日提出いたしました今後の十八歳人口の見通しというものであろうかと思いますが、当該資料の平成四十五年以降の十八歳人口の予測につきましては、厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所が推計を行って公表している日本の将来推計人口をもとにしたものでございます。

宮本(岳)委員 間違っているんですよ。それは後の答弁なんですけれどもね。

 一枚目に、あなた方が義務制の学校の教員加配を論じたときの平成三十六年度までのこのグラフだって、これは国立社会保障・人口問題研究所の平成二十五年三月推計を使っているとはっきり財務省から答弁をいただいております。

 財務省は、血も涙もないと言わなければなりません。子供たちと学校にとって総務省と財務省は冷血コンビだと、私は、きょうはっきり申し上げたいと思います。直ちにこんな主張は取り下げるべきだとはっきり申し上げたい。

 さて次に、地方創生を考える上で、地方国立大学の果たす役割は極めて大きいと思います。

 石破大臣も、地方版総合戦略の策定に当たっては、「住民や産官学金労言等の参画を得つつ、」と、大学の役割に触れられました。

 先日の質疑では、東京から地方へ若い人が移住したとき、やはり最先端の情報が欲しい、もう一度勉強したいというときにどうするかという質疑が交わされましたけれども、地方国立大学は、地方の人材育成とともに、まさにそういう地方における知の拠点としての役割を担っていると思います。石破大臣、そうではありませんか。

石破国務大臣 御指摘のとおりでございます。

 産官学金労言と申し上げましたのは、その地域地域における国立大学が象牙の塔と化し、難しい話ばかりして浮世離れしたことをやられても困りますので、その地域における特性を踏まえながら、どのようにしてその地方の雇用あるいは所得の向上に寄与するかということは極めて重要なポイントだと思っております。

 どこもかしこもミニ東大みたいなものをつくると地方大学の意味が全くございませんので、今、先駆的な取り組みが福井大学、高知大学あるいは鳥取大学等々において行われていると承知しており、そういうような大学に対する必要な支援というものが、今後政府において、文部科学省を中心に行われるものと承知しております。

宮本(岳)委員 ところが、その国立大学が、今、存立の危機に立たされております。

 現在、地方国立大学をめぐっては、来年四月からの第三期中期目標・中期計画期間の運営費交付金の配分のあり方をめぐって、政府レベルで枠組みの議論が進んでおります。

 資料一を見ていただきたい。

 これが国立大学の運営費交付金。年々減らされてきたという事実がこのグラフで読み取れます。基盤的経費である運営費交付金の削減は、今や国立大学の存立さえ脅かす状況になっております。

 資料の二に、石破大臣の地元鳥取県の鳥取大学の、ことし二月十日に開催された第三回経営協議会の議事要旨をつけておきました。

 下線部、「平成二十七年度運営費交付金交付額は百六億八千万円(対前年度比三億二百万円減)」とあり、「研究経費を前年度の二分の一の額とすること、文部科学省より、大学改革促進係数対象事業費の五%で学長裁量経費を設けることを義務づけられていること、管理的経費において、例年対前年度比二―三%減としているが、一〇%減とする予定である」となっております。

 この会議で、豊島学長は、大学数を減らす流れにある中で、いかに本学の強みや特色を生かして、機能強化を進めることにより、本学を存続させていくかが重要と述べております。

 文部科学省に聞きますけれども、小中学校のみならず、いよいよ国立大学まで減らそうというんですか。

義本政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学の数を減らす、具体的には再編統合という問題でございますけれども、国立大学の再編統合につきましては、これまでも、各大学の自主的な検討、判断を尊重しながら、教育研究上の大きなメリットがある場合に進めてきたものでございます。

 現在、各国立大学において具体的にそのような検討が行われているとは承知しておりません。

宮本(岳)委員 冒頭、大臣ともやりとりしたように、やはり、地方大学というのは、その地方の知の拠点としてかけがえのない役割を持っているわけですよ。自主的な検討だと言うんですけれども、まさに大学からは悲鳴のような声が上がっております。

 資料三に、私の母校和歌山大学の経営協議会外部委員が連名で、ことし一月六日に発表した声明をつけておきました。

 下線部、「とりわけ、特任の教員は、身分は不安定ではあるものの、正規の教員に伍して地域社会の発展に大きく貢献し、安倍内閣が推し進める地域創生に重要な役割を果たしてきた。 しかしながら、いまそのような経営努力も限界に達してきており、これ以上の運営費交付金の削減がなされると、」「大学現場はますます疲弊し、大学における教育研究の質の低下を招くことはおろか地域への貢献も十分果たせなくなる。」こうなっております。

 石破大臣、こんなことで地方創生が進むと思われますか。

石破国務大臣 それは、それぞれの大学においてそれぞれの御事情があろうかと思います。

 ただ、和歌山大学からこのような悲鳴のような声が上がっているということを、私どもは、とにかく金がないのだ、我慢しろということで片づけるということがあってはならないと思います。

 ただ、私は文科省の立場で申し上げているわけではありませんので、無責任に聞こえたら大変申しわけないのですが、この和歌山大学にせよ、これは和歌山大学に限ったことではない、いろいろな大学がそういうようなことがあるのだろうと思っております。

 こういうような状況を文科省において適切に判断をされて、対応されるものというふうに考えております。

宮本(岳)委員 この声明を発表したのは経営協議会の外部委員なんです。私は反対しましたが、文部科学省は、大学のガバナンス機能の強化などと称して、学校教育法と国立大学法人法を改正してまで学長権限を強化し、国立大学法人の経営協議会の外部委員の割合を過半数にふやしたんですね。これは、外部の目が入れば大学の無駄や非効率が正される、象牙の塔と先ほど大臣がおっしゃったようなところを正すために外部委員の数をふやすんだという理屈でありました。

 しかし、実際に入ってみたら、外部の目から見ても、もう無駄などどこにも残っていない。それどころか、このままだと地方国立大学の存立を危惧せざるを得ない、こういう声が地方経済界からも上がっているというのがこの外部委員からの声明の中身なんですね。

 外部委員連名の声明が発せられた大学は和歌山大学だけではありません。その後も続々と続いております。文部科学省、今までに何大学の外部委員の声明が出ておりますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 本年一月以降、これまでに十七の国立大学の経営協議会の外部委員から連名で声明等が発せられたと承知しております。

宮本(岳)委員 既に十七大学。今後も続いています。私は手元に十七全部を持っていますけれども、続々と外部委員が連名でそういう声を上げておられる。

 山形大学の学外委員声明には株式会社ファミリーマートの代表取締役会長が名を連ねておられますし、名古屋大学ではトヨタの会長、中部電力や日本ガイシの相談役、日本IBMの副会長、静岡大学ならヤマハの顧問など、そうそうたる経済人が、このままでは地方国立大学が大変なことになると声を上げておられるわけです。

 文部科学省に聞きますけれども、あなた方は、学外委員をふやし、社会の目を取り入れ、地方経済界の声を入れれば大学のガバナンスが強化されると言ってきたわけですから、ゆめゆめこれらの声明を無視するというようなことはないでしょうね。この声を尊重いたしますね。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、本年一月以降、これまでに十七の国立大学の経営協議会学外委員が連名で声明を出されたことについては承知をしております。国立大学の多様な教育研究活動の基盤を支える国立大学の運営費交付金の役割は大変重要である、これらの声明についてはそうした観点からの御意見であるということを承っております。

 文部科学省におきましては、委員が先ほど御指摘のとおり、今後の運営費交付金のあり方を検討するとともに、これに並行して、研究成果を持続的に最大化することを目的とした競争的研究費の改革の検討も一体的に進めているところでございます。運営費交付金と競争的研究費の一体改革を進めつつ、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

 国立大学の強み、特色をしっかり生かしていく教育研究、また、喫緊の課題である大学改革を強力に推進していくためにも、マネジメント改革による学長のリーダーシップの確立、各大学の強み、特色の最大化など自己改革に積極的に取り組む国立大学に対して、めり張りある重点改革をしてまいりたいと存じます。

 ちなみに、委員先ほど御指摘の鳥取大学なんですが、確かに全体としては減ってはいるわけでありますが、実質、よくよく見てみると、義務的経費が四億五千万減らされておりますが、実質的な教育研究に関してはプラス、一・五億円ふえている。各大学の個別の事情もございますので、一概にはなかなか言えないのではないかと考えている次第です。

 以上です。

宮本(岳)委員 そういうことを言っているから、財政審で、いやいや、運営費交付金は減らしていると言うけれども、今おっしゃった競争的経費、科研費補助金がふえて、両方足せば大学は引き続き金を使い続けているではないかと財務省に指摘されるようなことになるわけですよ。

 来年度の概算要求では、当然、基盤的経費、運営費交付金、増額要求するんですね。

赤池大臣政務官 当然、社会、経済が高度化、複雑化して、国際交流が進んでまいりますので、委員御指摘のとおり、国立大学というのは新しい社会、産業に対応した重要な拠点である、特に地方国立大学はそう考えている次第でございます。その一方で、自己改革もしっかり進めていただきたいということは考えている次第でございます。

 多様な教育研究、さらに地方貢献を含めて、国立大学法人の運営費交付金の役割は重要であり、来年度の概算要求につきましては、当然、これは政府全体の概算要求の方針というものがございますので、それに基づいてしっかり検討してまいりたいと存じます。

宮本(岳)委員 財務省は、先日の財政審で、国立大学についてもさらなる運営費交付金の削減を主張いたしました。その根拠になっているのが、十八歳人口は減少傾向にあり、今後もその傾向が続くものと予想されているというグラフであります。先ほど答弁していただいたのはこのことなんです。このグラフは、先ほど答弁があったように、これまた国立社会保障・人口問題研究所の将来推計に基づいて、もっともっと大学の予算は減るはずだということを財務省は主張しているわけですね。私は本当にこれはひどいと思うんですよ。

 委員長、私は、当委員会に総務大臣と財務大臣の出席を求めて引き続きこの問題の質疑を進めなければならないと考えます。また、声明を発せられた地方国立大学の経営協議会関係者並びに前回私が大臣とやりとりさせていただいた、三位一体改革と平成の大合併が失敗だったとお認めになっている西尾勝第三十次地方制度調査会会長をお招きして参考人質疑を行うことも必要だと考えます。

 ぜひとも御検討、お取り計らい願いたいと思います。

鳩山委員長 それは、けさ、委員会前の理事会でも幾つかの提案がありましたので、それらを含めて理事間で、オブザーバーなども入って結構ですから、議論をしてください。協議をしてください。

宮本(岳)委員 先日の財政審での財務省の主張たるや、十八歳人口が減るのに大学教員の数が多過ぎる、運営費交付金は減っているが、科研費補助金などを足せば合計額はふえている、東大や京大は産学連携でもっと金を稼げ、あげくの果ては、大学の授業料を値上げしろ、そこまで言っているわけですよ。そんなことで我が国と地方の未来が守れますか。

 大臣、最後に、石破大臣の、地方創生の観点からも地方国立大学をしっかり守っていくという御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

石破国務大臣 私も、小学校、中学校は鳥取大学附属というところで学びました。ですから、鳥取大学の学生さんと接する機会も多かったです。また、鳥取県庁なんかも鳥取大学の出身者がたくさんおりましたし、私どもの秘書も鳥取大学の出身者がほとんどでございます。ですから、地方大学に対する愛着というのは物すごく強く持っております。

 地方大学がこれから先、地方において果たすべき役割は、大きくなることこそあれ、小さくなることがあっては絶対にならないと思っております。

 同時に、しばらく人口が減り続けるということは間違いない事実であるということ、そしてまた、今文科省と総務省で最終的に詰めていただいておりますが、地方で就職するお子さんに対しては奨学金を全額あるいは一部免除する等々、いろいろな工夫があるのだろうと思っております。

 学ぶ側、そしてまた教える側や地域、そういうような意見交換がなされながら、地方大学の役割がより発現されることが望ましいと考えております。

宮本(岳)委員 終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次回は、明二十七日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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