衆議院

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第10号 平成27年5月27日(水曜日)

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平成二十七年五月二十七日(水曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 鳩山 邦夫君

   理事 後藤 茂之君 理事 新藤 義孝君

   理事 谷川 弥一君 理事 寺田  稔君

   理事 福田 昭夫君 理事 小熊 慎司君

   理事 石田 祝稔君

      井上 貴博君    伊藤 達也君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    大西 英男君

      鬼木  誠君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    神谷  昇君

      黄川田仁志君    小泉進次郎君

      小島 敏文君    小林 鷹之君

      今野 智博君    島田 佳和君

      新谷 正義君    田中 英之君

      高木 宏壽君    谷川 とむ君

      辻  清人君  とかしきなおみ君

      野中  厚君    平井たくや君

      福田 達夫君    藤井比早之君

      務台 俊介君    八木 哲也君

      山田 賢司君    義家 弘介君

      逢坂 誠二君    奥野総一郎君

      吉良 州司君    西村智奈美君

      重徳 和彦君    篠原  豪君

      村岡 敏英君    稲津  久君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   厚生労働大臣政務官    橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    高階恵美子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長)

   (内閣府地方創生推進室次長)           若井 英二君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室次長)         満田  誉君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            内田  要君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            氷見野良三君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 橋本 嘉一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            丸山  進君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     島田 佳和君

  加藤 寛治君     大西 英男君

  谷川 とむ君     神谷  昇君

  中谷 真一君     今野 智博君

  平口  洋君     新谷 正義君

  福田 達夫君     小林 鷹之君

  宮川 典子君     八木 哲也君

  山田 賢司君     藤井比早之君

  奥野総一郎君     逢坂 誠二君

  佐々木隆博君     西村智奈美君

  村岡 敏英君     重徳 和彦君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     加藤 寛治君

  神谷  昇君     谷川 とむ君

  小林 鷹之君     福田 達夫君

  今野 智博君     辻  清人君

  島田 佳和君     小島 敏文君

  新谷 正義君     平口  洋君

  藤井比早之君     山田 賢司君

  八木 哲也君     務台 俊介君

  逢坂 誠二君     奥野総一郎君

  西村智奈美君     佐々木隆博君

  重徳 和彦君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     大野敬太郎君

  辻  清人君     高木 宏壽君

  務台 俊介君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     石川 昭政君

  高木 宏壽君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     宮川 典子君

  岩田 和親君     中谷 真一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五一号)

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第六五号)


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     ――――◇―――――

鳩山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案、地域再生法の一部を改正する法律案及び国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 各案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長・内閣府地方創生推進室次長若井英二君、内閣府地方分権改革推進室次長満田誉君、内閣府地方創生推進室長内田要君、金融庁総務企画局審議官氷見野良三君、総務省大臣官房審議官橋本嘉一君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、中小企業庁経営支援部長丸山進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鳩山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鳩山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 私は自由民主党の山田賢司でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 地方創生は安倍政権の目玉政策でもあり、地方が元気にならないと日本の将来はないということで、大変重要な政策でございます。ただ、一方で、この地方創生という言葉、なかなかまだ何をやるかということの御理解が国民の皆様方の中にも進んでいないのではないかと思います。

 私も地元に帰りましていろいろな方にお話をするんですが、地方創生という言葉は確かに聞いたことがあるんだけれども、では実際に何をやる政策なのかということについてわからないという方がまだまだ多いというのが実感でございます。きょうは初歩的な質問も含めまして、今さらながらということを含めてお聞かせをいただきたいと思っております。

 まず、石破大臣にお伺いしたいのですが、この地方創生、これはそもそもどういう政策なのか。言葉のイメージからすると、印象を受けるのは地方の活性化、地方経済を活性化させるために、例えば地域振興のプレミアム商品券なんかを配ったりという経済対策というイメージが強いんですが、いろいろお話を伺っていますと、問題の本質としては、人口減少社会への対応、どうやって地方の人口減少を食いとめるか、こういったことに力点が置かれているかと思います。

 改めて、地方創生とは何を目指し、どういったことを行っていく政策なのかをお聞かせいただきたいと思います。

石破国務大臣 一言で申し上げれば、地方の人口減少に歯どめをかける、東京一極集中を是正するということになるわけですが、こういう議論が高まった直接のきっかけは、おととしの中央公論の十二月号、これは十一月に発売でした。ここにおいて、増田寛也さんが、壊死する地方都市、地方消滅という言葉を使われた。地方衰退とかそういう生易しい話じゃなくて、消滅とか壊死とか、かなりショッキングな言葉を使われました。私、年明けの衆議院の代表質問でこれを取り上げた覚えがあります。

 要は、このまま、兵庫県であれ、鳥取県であれ、熊本県であれ、どこでもそうですが、二〇四〇年に二十代、三十代の女性の方が八割減る、七割減る、六割減る、そういうところは持続可能性がなくなる。それは、地方の町村からやがてその地域全体に広がっていって、地方はこのままいけば衰退、消滅に向かうというまず問題意識がある。

 では東京に行けばいいではないかという話だけれども、では東京は一体この後どうなるかといえば、二〇二五年問題というのがよく言われますが、東京に昭和三十年から四十五年までの間に五百万人の人たちが移り住んできた。そういう方々が一気に高齢化をするという問題があります。

 地方では高齢者の方がいなくなる。東京では高齢化が時間を置いて後から来ますから、では、東京にはまだ高齢者の方がおられるということで、地方の若い人がまた東京に行くということになる。その東京が出生率が全国最低であるということになれば、時間差を置いて地方も東京も消滅に向かうということは、結局、日本国全体が消滅に向かうということではないだろうか。

 これは別にきのうきょう天から降ってきた話ではなくて、実は何十年も前からわかっていたことなのだけれども、不都合な真実みたいなことで直視しないで来たのではないか。今が最後の機会として、地方も東京もお互い対立構造ではなくて、この国を一体どうするのかということをともに考え実行しようということが事の本質であって、地方がどうの、東京がどうのということではなくて、日本国の持続可能性をどうやって我々が今保つのかというのがこの本質だと私は理解をいたしております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。日本国全体を考えての地方創生だということでございます。

 続きまして、御質問。まち・ひと・しごと創生本部事務局が出しておりますこのパンフレットなどによりますと、地方創生の中で、国は長期ビジョンそして総合戦略をつくるんですが、地方もまた独自に、各地方公共団体の人口動向や将来人口推計を分析して中長期の展望をつくる、そして地方版の総合戦略ということで、五カ年の政策目標などの計画を立てるということなんです。

 既に私の地元でもそうなんですけれども、西宮市にしても芦屋市にしても、総合計画とかマスタープランという形で五カ年なり何カ年なりの計画というのはつくっておるんですが、このたび政府の方で今年度中に取りまとめるというように各自治体に要望している総合戦略というものは、従来自治体がつくってきたマスタープラン、総合計画などとどのように違うのか、これを教えていただけますでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体がこれまで策定してきました総合計画についてでございますが、これは各地方団体の総合的な振興、発展を目的とした計画でございまして、対象とすると、通例、地方公共団体の行政全般に及んでおります。

 それに対しまして、地方版総合戦略、こちらは人口減少克服、地方創生を目的といたしておりまして、分野といたしましては、雇用創出、移住、定住、結婚、出産、子育て、まちづくりといったものを主な対象としておりまして、目的あるいは政策の範囲が必ずしも同一ではございません。

 また、地方版総合戦略につきましては、数値目標、重要業績評価指標、KPIを設定することとなっておりまして、こうした指標は、総合計画の場合には必ずしも義務づけられてはおらず、自治体の任意ということになっております。

 このように、今回の地方版総合戦略は、その目的や範囲等におきまして、これまでの総合計画とは性格を異にしているものでございまして、今後、地方版総合戦略の策定に当たりましては、総合計画との調和もとりながら、住民あるいは産官学金労言といった幅広い参画を得ながら、地域の創意工夫を結集して地域の実情に合ったものを策定していただきたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 続きまして、地方創生コンシェルジュ制度というものについてちょっと教えていただきたいと思います。

 今般の地方創生の考え方のベースにあるものは、中央が考えた政策を地方に実行してもらうとか、予算をつけるから何かやってくれという政策ではなくて、地方が独自に考え、創意工夫をして、それを上げてきたものを国がサポートする、これが基本的な考え方だと理解しております。

 ところが、市町村によっては、そういうものをつくることができないというところもあったり、何をやっていいのかわからない、こういうことで、地方の質問、問い合わせなんかを受ける窓口ということで地方創生コンシェルジュ制度というのが設けられたと聞いております。

 ただ、これも、例えば道路をつくるとか国土交通行政、そんな具体的なニーズがわかっているものであればいいんですけれども、そもそも何をやっていいかわからないといった、こういうニーズがある場合はどこに相談すればいいのか教えていただけますでしょうか。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方創生コンシェルジュ制度でございますが、当該地域につきまして、御出身とか、勤務経験があるとか、そういう当該地域に愛着や関心のある、あるいは意欲のある各府省庁の職員を選任させていただいているところでございます。

 現在、十七府省庁、総勢九百十八名、兵庫県では十七府省庁で五十名のコンシェルジュを選任させていただきました。

 そこで、委員の御質問でございますが、まずは、具体的に、農水省だ、国交省のここを聞きたいとわかっていればいいけれども、意欲はあるけれども何を相談していいかわからないというような場合、各府省庁が選ばれないということでございます。

 そのような場合、私ども内閣府の地方創生推進室にもコンシェルジュを置いておりまして、我々の方に御相談いただきましたらば、地方公共団体の皆さんと一緒に悩み、どの府省庁が適当かということを、割り振りと申しますか、御紹介したり、あるいは一緒に考えたりするように対応してまいりたいと思っております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 西宮、芦屋も含めて、ある程度の都市になれば人材はいるんでしょうけれども、今地方創生で問題になっている、衰退しつつある地方というと、それだけの人材もいなくて、総合戦略をつくれといっても、まずそもそもそういう人がいないというところもあるので、この辺はちょっと丁寧に御説明、サポートをしていただければと思います。

 続きまして、次のお話で、また、まち・ひと・しごと創生本部の出している資料によりますと、国の総合戦略の中で、基本目標の一つとして、地方において若者向けの雇用を二〇二〇年までの五年間で三十万人分創出する、こういうふうに書いてあるんですが、これはどのようにして実現するのか。

 これは単なる意欲的な目標なのか、もしくは、具体的にこうやってやるんだということがあれば教えていただきたいと思います。

若井政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年末に取りまとめました総合戦略では、委員から御指摘ございましたように、地域産業の競争力を強化するさまざまな施策を盛り込みまして、これを強力に推進することで若い世代の安定した雇用を地方で三十万人分創出することを目指しておるところでございます。

 どのように進めるのかというお尋ねでございます。

 具体的には、地域経済分析に基づきまして、各地域が強みを持っております産業というものが一体何なのかということを特定いたしました上で、地域での創業の支援でありますとか中核企業の育成というものを実施するとともに、各地に豊かにございます地域資源を活用し、サービス産業、農林水産業、観光産業など、地域の特性に合った産業の競争力を高めることでこの目標を実現してまいりたいというふうに考えてございます。

 さらに細かく申し上げますと、東京圏以外の地方で、地域における起業の促進で約三万人、地域を支える中核的企業の支援で約八万人、サービス産業の活性化、付加価値の向上で約六万人、農林水産業の成長産業化で約五万人、地域観光の振興で約八万人、足し上げていただきますと三十万人でございますので、こういった雇用の創出を見込んでいるところでございます。

 このような仕事を創出いたしますさまざまな施策を推進することで、仕事と人の好循環を確立し、地方創生五カ年計画に書きました、先ほど委員御指摘の、三十万人の若い世代の安定した雇用を地方に創出することを目指してまいりたい、このように考えてございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 三十万人という数字は単なる意欲的な目標ということではなくて、一応根拠があって、こういう政策で数を積み上げているということがわかりました。

 続きまして、ほかの委員の先生方からも質問があったかと思うんですけれども、地方拠点強化税制について御質問させていただきたいと思っております。

 首都圏からの企業移転を促す政策の一つとして、税制優遇措置を設けて地方へ企業の本社を移転させようという政策が盛り込まれていると承知しておりますが、移転先として、中部圏あるいは近畿圏の一部が除かれております。今回の地方創生は、冒頭に質問させていただいたように、東京一極集中の是正というのを目玉に挙げておるんですが、なぜここの項目だけ、中部圏、近畿圏というのを含めた三大都市圏からの集中の是正ということになっているのか。

 私が考えますに、名古屋とか大阪とか神戸、こういった大都市というのは既に集積が進んでいるから、そこに企業を集積させると、それ以外の周辺の土地から人が流れ込んでしまう、そうするとますます地方が衰退してしまう、こういう考えに立っているのかなとも思うんですけれども、むしろこれは逆で、東京以外のところに核を設けて、そこへ人を集中させることで人口の対流が起こる、このように考えますが、いかがでございましょうか。

若井政府参考人 お答え申し上げます。

 地方拠点強化税制の支援対象地域ということについてのお尋ねでございます。

 地方創生のためということでございますので、私ども、先ほどお答え申し上げましたように、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保することが重要だというふうに考えておるわけでございます。

 したがいまして、この地方拠点強化税制におきましても、企業誘致などに計画的、戦略的に取り組んでいる地域に対しては、できるだけ広く恩恵が及ぶように配慮することといたしておるところでございます。

 ただ、これも委員御指摘でございますように、東京圏、近畿圏中心部、中部圏中心部、こういったところは、客観的に見まして、既に人口や産業が著しく集中をしているという地域でございますので、委員からこういった考えではないかという御指摘もございましたが、私どもも、そういった周辺地域からその地域への移転が促進されてしまうのではないかという、弊害が生じるおそれがある、こういったことも勘案をいたしまして、総合的に考えまして、限定的に支援の対象外とさせていただいたところでございます。

 なお、そういった二極目、三極目を育成すべきではないかというお考えも今お話がございました。

 これにつきましては、東京圏、近畿圏、こういったところは、国際競争力を強化いたしまして、世界に伍して戦っていただくべき地区である、このように考えてございますので、国家戦略特区等の指定も受けておられますし、そういった制度、さらには先ほど来お話のあります地方創生の交付金など、さまざまな地方創生施策、こういったものを活用いただいて引き続き活性化を図っていただければ、このように考えているところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。よくわかりました。

 ただ、その趣旨自体はわかるんですけれども、もう少し丁寧にやってもいいのかなと思いまして。今除かれている地域というのは、例えば近畿でいうと、近畿圏整備法に指定されている、別表についている地域が除かれているということなんですね。これ自体、法律も昭和三十八年の法律ですし、この法律のできた目的と趣旨、それから今回の地方創生というのは、考え方が根本的に違うんじゃないかなと思っております。

 ちょうど、これは内閣府さんでもすばらしいことをやっておられるなと思ったのは、RESASという地域経済分析システムというのがございまして、これはパソコンで誰でも見られるということで私も見させていただくと、これはすごいな、こんなデータがあるのかというようなすばらしいシステムを持っていらっしゃる。せっかくこんなシステムがあるので、人の流れ、物の流れ、こういった単なるデータだけではなくて、どこからどういうふうに人が流れている、昼間の人口がどこにいて、どう動いている、こんなことまでわかるようなシステムなんですね。

 こういうものがあるんだから、であれば、地方に創意工夫をと言っていないで、国自身も、政府もこういったものを活用して、どういうふうに人が流れているんだ、だからこの地域には本社移転は必要ないんだということをもう少し丁寧に分析していただければと思うんですが、いかがでしょうか。

若井政府参考人 まず、委員におかれましては、RESASシステムを大変御活用いただいているようで、ありがとうございます。私どもも、しっかりとこうしたものを充実してまいりたいというふうに思ってございます。

 先ほどの御質問へのお答えでございますけれども、確かにこの近畿圏整備法自体は昭和三十八年に制定をされた法律でございますし、今回引用することを予定してございます政令は昭和四十一年に制定をされたものでございます。

 ただ、今回の制度の設計に当たりまして、当然こういった地域において現時点における人口や産業の集積がどの程度であるのかということについては改めて調査をいたしまして、客観的にやはり他の地域よりも集積が進んでいるということで、今回このような制度で出発をさせていただきたいというふうに考えてございます。

 ただ、委員の御指摘にもございましたように、さらに多くのデータを活用する、もしくは制度の実績を踏まえて検討するという可能性もございまして、実は、この地域再生法の中には、三年間たった後にこういった実績、実施状況も踏まえて必要な見直しを行うという規定も置かせていただいてございますので、したがいまして、どういう形で進めていくかということには、やはり虚心坦懐にその時点で判断をさせていただくことを考えてございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。ぜひそのようにしていただきたいと思います。

 続きまして、国家戦略特区についてちょっと教えていただきたいんですが、今回の地方創生の政策の一環として国家戦略特区というのがあるんですけれども、きのうもどなたか、別の委員の方の御質問がありましたけれども、特区といっても、構造改革特区、総合特区、国家戦略特区、そして、この中に入るんでしょうか、地方創生特区というのもありまして、これの違いを端的にちょっと教えていただければと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 三特区の違い、甚だ簡潔に申し上げますと、まず国家戦略特区でございますが、岩盤規制改革に突破口を開くということで、トップダウンで改革をしていくという制度でございます。

 構造改革特区でございますが、現在までに七百八十の規制改革を行ってまいりまして、うち、全国展開したものが既に五百四十四ございます。そこから見てとれますように、全国どの地域でも活用できる規制改革を措置するという、いわば汎用性のある制度と考えております。

 総合特区でございますが、前二者と比べまして、財政支援も含めて、総合的な支援制度ということでございます。

 御指摘の、特に地方創生特区でございますが、これは、御指摘のように、制度としては国家戦略特区の枠組みの中で行っておるものでございますが、規制改革によりまして地方創生を実現しようという熱意ある地方公共団体を指定するものでございまして、三月十九日に、秋田県の仙北市、仙台市、愛知県と、三地域を指定させていただいたというところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 それぞれ制度が全部違うということなんですけれども、なかなか一般の方、私も含めてまだわかりにくいところはあるんです。

 そこで、国家戦略特区についてさらに教えていただきたいんですけれども、国家戦略特区は、今おっしゃったようにトップダウンで決める、手挙げ方式ではないというふうに承っておるんです。

 今回の地方創生というのは、国からトップダウンで物事を指定するのではなくて、地方が創意工夫、意欲ある地方が自分たちでこういうことをやりたいということを言っていくというのが趣旨だというふうに理解しておるんです。

 例えば、ある自治体が、こういう規制改革をしてくれたらこんなビジネスができるので、ぜひ町おこしのためにもこういう規制を改革してうちを特区にしてほしいという場合は、どのようにして申請すればいいのか。国家戦略特区というのは諮問会議で指定するというふうに聞いているんですけれども、具体的に自分の町でこういうことをしたいというときはどのようにやればいいのかを教えていただければと思います。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区、委員御指摘のように、地方創生特区もその手続は国家戦略特区指定の手続で行っております。

 まずは、指定基準でございますが、これは平成二十六年の二月に国家戦略特区基本方針として閣議決定で定めております基準がございます。

 六つの基準がございますが、事業の先進性でございますとか、地方公共団体の意欲、実行力というような項目が入っております。これは地方創生特区にも共通する項目だと考えております。

 具体的には、御提案いただいた自治体につきまして、特区のワーキンググループにおいてヒアリングとか評価を行いまして、その上で、国家戦略特区諮問会議における審議を経た上で、最終的には政府全体の判断として選定しているところでございます。

 今この時期は、先月末より、四月二十八日でございますが、六月五日までの間に規制改革に関する提案募集を行っております。したがいまして、次回指定を御希望の自治体におきましては、ぜひ大胆な規制改革事項を含んだ熱意のある御提案をいただきたいというように考えているところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 やはり国家戦略特区というのは、何がわかりにくいかというと、国家戦略と言っているんですが、これは地方創生の政策の一環だというところがまたわかりにくくて、その国家戦略特区の中にまた地方創生特区があるということで、なかなか何回聞いてもよくわからないんですけれども。私のイメージでいうと、国家戦略特区というのは、まさに国家戦略というと、国際的に日本の競争力をどう高めるかというような、そういうイメージで捉えると思うんですね。だから東京圏なんかも入っているんだと思うんです。

 この国家戦略特区の中に、秋田県仙北市とか兵庫県の養父市とか、沖縄も含めて、その辺はわかるとして、東京圏、まあ関西圏も含めて、こういうところが入っている。東京一極集中を是正するというのが今回の地方創生の政策なのに、東京圏の競争力を高めたら、もちろん海外からも企業とかを呼んでくるんでしょうけれども、地方都市からどんどんどんどん入ってくるんじゃないかなと。

 この地方創生の考え方とその中に入っている国家戦略特区という考え方は矛盾するのではないかと思うんですけれども、石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 このまま地方が衰退すれば委員がおっしゃるようなことになるんだと思います。

 私も二十九年前に初めて国会議員になったときに、地方から出てきて、とにかく東京を住みにくくする政策でもとれないものか、当時はそんなことを思わないでもなかった。そうでもしないと地方に人は戻らないんじゃないのと日本海側の人間からすると思ったような時期も正直言ってございます。

 今、例えて言えば、東京にお住まいの五十代の方の五割、半分が地方に行きたいと思っていらっしゃる。これも何度も御紹介しましたが、十代、二十代の若い方でも、地方に行きたいという方が四七%ぐらいおられるというのは、私はこの仕事になって初めて知りました。

 そういうふうに地方に行きたいという方々があり、今回それぞれの市町村において総合戦略をつくっていただくことによって地方に魅力的な仕事をつくる、それは時代の変化によって随分変わってくるんだと思っております。例えば、ICTを使ったビジネスなんかもそうでございましょう。あるいは、地方における、いろいろな労働生産性を上げることによって、雇用の質という言葉をあえて使うとすれば、安定した就業、あるいは高い所得ということを得ることも可能でしょう。そういう形で地方に行きたいという思いを持っていらっしゃる方々のそういう思いを成就させるようなことは地域地域のお取り組みだと思います。

 一方、東京は東京として、これから先、例えば金融センターのように、日本全体を引っ張る役割は依然として果たしていただかねばなりません。これから先もさらにそうです。東京がさらに伸びていくことと地方が活性化するということは両方満たさなければならない。そうでなければ日本創生ということにはならないのだと思っております。

 今回の取り組みにおいて必要なことは、これを東京対地方の対立構造に持ち込むのではなく、両方が、あえて言えばウイン・ウインの関係というのでしょうか、そういうことをやっていくのであり、このままほっておけば、国家戦略特区に東京を指定することによって委員が御指摘のようなことが起こるのは必定だと思っております。ですから、地方がどのようにして今の状況を生かして地方創生というのをなし遂げるかということがこの問題の解の一つであるというふうに私は考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私は、何も東京が競争力を高めることが悪いとは思っていなくて、むしろ、どんどん競争力を高めて、金融にしろビジネスにしろ発展していって、日本をどんどん牽引してほしいとは思っているんですね。

 ただ、今回の、地方創生というのは東京一極集中是正だと言っているので、だったら、趣旨も目的も、やることが全然別なので、別の制度にして、まさに国家戦略特区は国家戦略、国際的にどう日本の競争力を高めるかというものに特化する、その上で、地方創生はさっきあった地方創生特区ということで、地方の力をどうやって底上げしていくか、こういうふうに切り分けた方がすっきりするし、また、政策の資源の集中配分、そういったことについても効果的なのではないかなと思うんですけれども、もし何かありましたら、もう一言お願いします。

石破国務大臣 委員の御指摘は、全くそのとおりです。

 この委員会で何度か議論がありましたが、この特区というのはよくわからぬ、実際に委員がおわかりにならないぐらいで、紙を見ずにきちんと説明してみせろと言われると、私もややどうかなと思うところがございます。

 ですので、これも前に答弁いたしましたが、政務の方で相談をいたしまして、実際に使われる側の地方の立場に立ってみてわかりにくければ、これはどうにもならないので、そういうフォーラムを開催することによって、もちろん法律の定めもございますが、より使いやすいように。それで、国家戦略特区とばんと銘打つのであれば、それはちょっとイメージが違うんじゃないかみたいなところがあって、名は体をあらわすわけですから、さらにユーザーフレンドリーな仕組みというのは私ども考えていかねばならないと思います。

 この法案の御審議は、ぜひ充実した御審議をいただき、結論を出していただきたいと思っておりますが、これから先も、実際にユーザーが使いやすいものを考えてまいりたいと思っております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も、目指すところは全く一緒でございまして、東京も発展して日本を引っ張ってほしいし、地方も頑張ってほしい。やはり総合的に、東京も地方も、それが元気になることで、日本経済の発展、日本の繁栄につなげていければと思っております。

 本日はありがとうございました。

鳩山委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 民主党の西村智奈美です。

 昨日に引き続きまして、外国人家事支援人材について、時間をいただきましたので質問をしたいと思います。

 昨日、私は最後の方で、外国人家事支援人材がハラスメントを受けたときにきちんとそれを行政的な手続で解決できるという解決制度と、それから、利用者が契約内容を逸脱した指揮命令を必ず行わないという担保が必要だということ、この二点について、どうこの法律の中では担保されているのかという質問をいたしました。

 それに対して、石破大臣は、そういったことがきちんと受け入れられるような体制でなければこの体制は意味をなしませんというふうに答弁されているんですけれども、それでは、きちんと受け入れられるような体制、この制度が意味をなすためのその体制とは一体いかなる体制なのか、そこから伺いたいと思います。

石破国務大臣 きのうの答弁と重複したら大変に申しわけございませんが、これは法的にどう担保されているかという御質問と、体制はどうなのかという御質問の二つだろうと思います。

 体制についてのお尋ねでございますので、外国人家事支援人材、いわゆるそういうような支援をされる外国人の方ですが、苦情あるいは御相談を受け付ける窓口は、受け入れ企業及び地方自治体に設置をするということが必要だと思っております。

 そのような人材の保護に関する措置につきましては、現在、関係省庁と調整を行っておるところでございますが、そういう方々がハラスメントを受けるという場合にはそういう相談が必要だ。それで、受けてから相談しても事は遅いので、そういう体制がありますよということを、人材の方にも、あるいはそれをお使いになる方に対しても、こういう仕組みがありますよということをきちんと徹底して、言うなれば抑止力というものはきちんと確保しなければならないと考えております。

西村(智)委員 私が質問した体制というのは、法的な措置のことも含めてというふうに、その意味を込めて質問したんですけれども、昨日の質問でも、労働基準法及び労働者派遣法、いずれもこの外国人家事支援人材については適用にならないということは明確に答弁がありました。

 それで、きのうの続きでちょっと質問いたしますと、特定機関が基準を満たしていない場合には、これは石破大臣、昨日、特定機関が基準を満たしていないというふうに判断をしたときには、新たな受け入れはもうできなくなるんですよ、そういうふうな答弁はあったかと思います。

 一方、問題なのは、まさに、では、外国人家事支援人材として日本に入国された方がその後どうなるのかということなんですね。

 これについてはどなたにお伺いしたらいいのかあれなんですけれども、一点お伺いしたいのは、新たな受け入れができない、そして特定機関は外国人家事支援人材を雇用し続けることはできませんよと言われたときに、そこと雇用契約を結んでいた外国人家事支援人材は、ほかの特定機関のところに移ることはできるんでしょうか。石破大臣、これは制度の話ですので、石破大臣だと思います。

石破国務大臣 ですから、それは、受け入れる人材の側に何の非があるわけでもございません。そうすると、その方が雇用契約をほかのところと締結する、そして新たなところと雇用契約を結んで働くということは、これは何らそれを妨げるものではないと考えております。

西村(智)委員 それでは、移ることができた人は、それはそれで、そのまま日本に在留することができるということでよろしいのかという確認を一つとりたいのと、それから、移る先のない場合に、その外国人家事支援人材の在留についてはどうなるんでしょうか。これは法務省にも伺いたいと思います。

葉梨副大臣 移ることができた場合、今大臣御答弁ございましたけれども、その場合は、引き続き特定活動という在留資格で在留することができます。

 では、移るところがないという外国人についてどうだということなんですが、今大臣からも御答弁ございましたけれども、その外国人の方に責めがあるわけではない。ですから、移るところがなくても、在留資格を直ちに取り消すというようなことは今のところ考えておりません。

西村(智)委員 これまでのケースですと、例えば、外国人家事支援をするということで、送り出し国のいわゆる調整機関のようなところに違約金契約というようなものを結ばされて、そして多額の、言ってみれば借金を負わせられる形でやってきて、ところが、その契約が途中で不履行になったということで、外国人労働者自身に多額のお金の支払いを求められて窮地に立たされるというようなケースが多々あるわけであります。

 これは、世界各地を見ても同様のケースがあるわけですので、そういったことはしっかりと防止をするということはやっていかなければいけない。逆に言いますと、同じようなケースが日本でも起きる可能性は、私は極めて高いというふうに思います。

 引き続いて質問したいと思うんですけれども、私、昨日も質問しました。利用者に対して、例えば、違法派遣にならないようにするために、契約内容以外のことは指示してはいけないんですよというようなことですとか、あるいはハラスメント、こういったものを防止するということのために、やはり利用者に徹底的に、徹底的にと言ったらあれですけれども、周知啓発というのはどうしても必要だと思うんですね。

 なぜならば、そういったことが行われないという前提で、この外国人家事支援人材の受け入れは制度設計されているからであります。だから、起きちゃいけないことなんですね、そういった違法派遣の状態とか、それからハラスメントだとかというのは。これは起きないように周知徹底はどういうふうにされるお考えでしょうか。

高階大臣政務官 先生御懸念の点については、私どももしっかりと対応してまいりたいと考えております。

 受け入れ先となる利用者がいわゆる偽装請負とならないような遵守すべきポイント、こうしたことをわかりやすく記載したリーフレットなどを作成させていただき、法案が成立した後には、家事支援人材の送り元となる事業者を通じまして配付する等の対応を検討してまいりたいと考えております。

 また、家事支援人材の送り元となる事業者に対しましても対応が必要ではないかと考えておりまして、この点につきましては、適正に事業を実施することができるよう、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分、これに関する基準等を記載したパンフレットを配付させていただきますとか、あるいは企業を集めての普及啓発の説明会、こうしたものの実施をあわせて検討してまいりたいと考えております。

西村(智)委員 事業者に対してだけではなくて、利用者に対して直接、例えば都道府県の労働局それから労働基準監督署で具体的な措置をとるという考えはありますか、それは必要だと思いますけれども。

高階大臣政務官 まずは、いわゆる偽装請負などの不適正な請負の発生防止に努めること、これを徹底していくということと、必要に応じて、是正等に取り組むための運用を図っていくことが必要かと存じます。

 基本的には、家事支援人材の送り元となる事業者を通じた事前の周知啓発の徹底、そしてその上で、外国人家事労働者等から、利用者が契約関係を逸脱した指揮命令を行っている、こういった情報提供が都道府県の労働局に寄せられた場合につきましては、利用者家庭に対して丁寧に是正の必要性を説明するなどの指導も行ってまいりたい、この辺の検討もこの先進めてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 今、実は厚生労働委員会では労働者派遣法の議論が行われているんですけれども、ここで、例えば労働基準監督官の行政指導等々について、もっとしっかりやれという話も今後出てくるかと思うんです。だけれども、今のお話を聞いていると、大変心もとない。

 利用者に対して、何かあったらお願いをするというベースでは、そもそもこの制度設計は、そういった利用者が違法な派遣をさせないということを前提に組み立てられているわけですから、それは何かそういったことが発生してしまったときにちょっとお願いに行ってみましょうか、しかも、極めて業務量の多い、いろいろな紛争解決にも時間がかかる傾向が極めて強くなっている監督署において、私は、そういった対応というのはやはりできないというふうに思います。

 私は、今回の制度設計そのものについては、きのうも申し上げましたけれども、まずそもそも立法の目的がほとんど議論されていません。規制改革会議の中で複数の議員の方からそういった話が出たそうでありますけれども、女性の活躍推進といいながら、本当にこの家事支援人材を入れるということの必要性、ニーズというものはきちんと検討されたのか。ニーズがきちんと検討されたのかといえば、その形跡はほとんどないということ。

 そして、この法律においては、第十六条の三を見ますと、政令という文言が三回出てきます。それから、指針に委ねるというところが一回。政令と指針に全てを委ねて、枠組みだけは決まっているけれども、実際、どういう法的規制で、どういう人たちを、どういう仕事に従事してもらうために、どういう特定機関に受け入れてやらせるのかということも全く明らかになっていない。

 これは大変大きな問題だし、このような状況で外国人家事支援人材を受け入れたら、本当に大変なことになると思いますよ。それは私は強く警告をしたいというふうに思っています。

 この種々の問題は、これから逢坂委員も質問されると思いますけれども、やはり日本がILO百八十九号条約の批准がまだできていないということにも関係をしてくると思います。この条約を批准して国内関連法を整備すれば、私が今申し上げたような懸念も、もしかしたら少しは払拭をされるかもしれない。

 この点について、考えを伺いたいと思います。

高階大臣政務官 御指摘のILO第百八十九号条約、この定めるところの家事労働者の中には、個人の家庭においてその家族の指揮命令のもとに家事一般に従事することを本来業務とする者など、労働基準法の適用除外の家事使用人も含まれている状況にございまして、我が国は本条約を批准していない状況にあります。

 そこで、本条約を批准するに当たりましては、労働基準法を含め、国内法制等との整合性について検討すべき点がありますことから、慎重な検討が今後必要であると考えてございます。

西村(智)委員 ぜひ、そのILO百八十九号条約を批准してから、外国人家事支援人材の導入については改めて考え直してもらいたいと思います。それは政務官も同じ考えなのではないでしょうか。

 最後に、時間が来ましたので一点伺いたいと思います。

 これは、受け入れる我が国の側の問題でもあると同時に、外国人家事支援人材を送り出そうとする送り出し側の問題もあるというふうに思います。本当に、今までもたくさんの人たちが、違約金なども背負わされて送り出されて、そして、その契約が不履行になったからといってその借金を負わせられる。本当に悲惨な状態に追い込まれてしまうんです。そういうことを防止するために、送り出し国側との連携というか話し合い、それを防止するために何をするかということもやはり政府間で調整を行っていくべきではないかと思います。

 違約金契約等は、日本国内では違法です。これを行わないことを担保するように、送り出し国側に働きかける考えはないか。もう一つは、人身売買、ヒューマントラフィッキング、こういった問題が起きないように、送り出し国側と調整を行う考えはないでしょうか。外務省に伺います。

中根大臣政務官 外国人家事支援人材の受け入れに関する制度設計についてということでございますが、外務省としましては、今委員からお話があったことも含めて、内閣府を初めとする関係省庁間でよく協議をいたしまして所要の調整を行ってまいりたい、きちんとした制度になるよう行ってまいりたいと思っております。

西村(智)委員 きちんとした制度、本当に、この委員会の中で、答弁の中でも何度も出てきました。それに向けて政府間調整は行うというふうにも答弁はありました。

 だったら、申し上げたいんです。もう一回調整をし直してから、改めて出してください。そのことを申し上げて、質問を終わります。

鳩山委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私も、外国人の家事支援労働について質問させていただきたいんですが、これまでの委員会の答弁、やりとりを見ていますと、やはり外国人家事労働者を入れるための準備体制が日本の国内では整っていないというふうに思わざるを得ないんですね。先ほどもありましたけれども、ILOの百八十九号条約、これはやはり最低限批准をしておかなければ、外国人家事労働者を入れるということにはならないのではないかという気がするわけです。

 若干、このILOの百八十九号条約を御紹介させていただきますけれども、家事支援労働者の特殊性により、労働、社会保障の適用対象外になることが多い、しかし、これらの方々を労働者と認定し、その労働条件改善を目指して初めて採択された歴史的な国際基準と言われているわけですね。

 家事労働者は他の労働者と同じ基本的な労働者の権利を有するべきとして、安全で健康的な作業環境の権利、一般の労働者と等しい労働時間、最低でも連続二十四時間の週休、現物払いの制限、雇用条件に関する情報の明示、結社の自由や団体交渉権といった就労にかかわる基本的な権利及び原則の尊重、促進、実現などを規定している。

 例えばの例でありますけれども、住み込み労働者のためにはプライバシーを尊重する人並みの生活条件が享受できるように確保すること、あるいは、移民労働者に関しては国境を越える前に雇用契約書などが提供されることなど、こうしたことが盛り込まれているのがILO百八十九号条約と言われているわけであります。

 したがいまして、先ほど西村委員からも指摘がありましたとおり、今回の国家戦略特区の中で外国人の家事支援労働者を入れる前に、この条約の批准ということが私は必須だと思うんですけれども、厚生労働省に確認をいたしましたところ、この条約を批准するための準備が整っていない、法整備もまだ必要であるんだということだったわけです。

 なぜ、どういう理由によってこの批准の準備、何が制約になって、何が隘路になってこの批准ができないのか、まず厚生労働省にお伺いします。

橋本大臣政務官 お答えをいたします。

 今御指摘をいただきましたILO第百八十九号条約でございますけれども、その定める家事労働者という中には、個人の家庭においてその家族の指揮命令のもとに家事一般に従事することを本来業務とする者など、労働基準法の適用が除外されている家事使用人も含まれており、我が国が本条約を批准していないというのは、先ほどの高階政務官の答弁のとおりでございます。

 具体的に言いますと、先ほど、ILO条約につきましては御説明がありましたので割愛をいたしますが、労働基準法の方はどうなっているかといいますと、その第百十六条の二項で、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。」ということで、今、我が国の労働基準法につきましては、家庭内でその家族の指揮命令のもとに従事する家事使用人の方は労働基準法の適用外という規定になっております。これは、これまでの議論の中あるいは歴史的経緯等の中でそのようになっているものと承知をしているわけでございます。

 そうしたわけでございまして、本条約を、仮にILO第百八十九号条約を批准しようということにした場合には、先ほどの労働基準法を初め国内法制等の整合性について検討すべき点がある、あるいは、そのために労働基準法改正のための議論などをしていただくということがまず先にあるんだろうというふうに思っております。

 なお、今回の国家戦略特区法においての議論に関連してのお話だと思いますけれども、今回の国家戦略特区法において受け入れることとされている家事支援活動を行う外国人については、当該外国人を受け入れる企業が労働契約に基づき労働者として雇用することとなっておると承知をしております。そうしますと、先ほどの労働基準法の適用除外の話ではなくて、労働基準関係法令が適用されて、その保護が図られるということになっていると思います。

 要するに、今回の国家戦略特区法における議論におきましては、きちんと労働基準法の適用の中に入っているということで、その必要に応じた保護が図られるものと私どもは考えているところでございます。

 以上です。

逢坂委員 説明は聞きましたけれども、やはりこれは、本則というか、本来はILO百八十九号条約をきちんと批准できる、その条件を整えてから今回のこの国家戦略特区にも取り組むべきだろうと私は思います。問題が起きてから、後になってからの対応、対策ということでは決してよいことにはならないというふうに思いますので、そのことを改めて強調させていただきまして、この点についての質問は終わらせていただきます。

 橋本政務官、ありがとうございました。

 それでは、次に移りたいと思います。

 次は、同じく国家戦略特区の中にあります、文科省の関係ですけれども、公設民営学校についてお伺いをしたいと思います。

 公設民営学校が今回出てきたわけですが、これ以前に、株式会社による学校というものもあったというふうに承知をしております。私どもが政権にいたときも、それは随分トラブルがあって、対処に苦慮をされたということを文部科学関係の皆さんから聞きました。今回も、この委員会の中でも、この公設民営学校については随分と課題が指摘されてきたのを私も議事録で読ませていただきました。

 文科省側に確認したいんですけれども、施設を設置する公と、実際に学校を管理運営する民の側との責任分担といいましょうか、どういうところで責任分担をすることになっているのか、具体的な例示も踏まえてちょっとお知らせ願いたいと思います。

 例えば、学校の中で何か事故が起こる、事故が起きたときのその原因が不確かなものがいろいろある、それは設置者の施設の管理瑕疵によるものなのか、あるいは管理運営者の管理運営上の問題によるものなのかどうも曖昧であるなんということで、バレーボールでいうと、ネット上でバレーのボールがちょうどどっちにも落ちないというような状態になったときなんかも想定されるわけですね。そういったことも含めて、管理上の責任といいましょうか、責任の限界、分担、それはどうなっているのかをお話しください。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 公設民営学校の件についてでございますが、学校の管理運営に対する、まず、例えば費用の面でいいますと、設置者であります地方公共団体から必要な経費がその法人に支払われるとともに、学校の施設整備についても地方公共団体が整備することとなっております。

 委員がおっしゃられた責任の問題でございます。学校等で不測な事態とかが発生した場合の責任の問題でございますが、やはり第一義的には法人にあるというふうに捉えております。

 さらに申し上げますと、その上で、公設民営学校を設置する地方公共団体においては、管理の基本的な方針については条例で定めることができることから、あらかじめ安全管理を十分に行うこと等について定めますとともに、法人との協定を締結する際に、事故が起きた場合の責任関係を明確にしておくことが必要であると考えられます。

鳩山委員長 委員の数が不足しておりますので。

 では、速記をとめて。

    〔速記中止〕

鳩山委員長 速記を起こしてください。

 逢坂誠二君。

逢坂委員 それでは、再開いたします。

 公設民営学校の責任の分担、それに対する基本的な考え方は伝わってきましたけれども、今、あらかじめ決めておくとか、あらかじめ責任の分担を決めておくんだとか、あるいは条例でも規定できるんだということは、言葉としては理解できるんですけれども、これは現実にやるとなると相当なかなか大変なこともあるし、必ずしも前例のあるものではございませんので、やはり丁寧さが必要だと思います。

 問題が起きてから、いや、実はここはちょっと不備でしたということであるならば、一番影響を受けるのは、設置者でもなければ管理者でもない、実際に学校に通われている皆さんが最も被害を大きく受け、しかも、その方たちは、その被害を改善するための手だてを持たない方々だというふうに思われますので、事前の取り決め、話し合い、ルール決めというのは大変大事だと思うんですが、そのことに対して文科省としてどのように対応されるおつもりなのか。これは必ずしも通告していないんですけれども、もしお考えがあれば、お知らせいただきたいと思います。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 委員おっしゃるように、例えば、学校で不測の事態が生じるケースは、特に今回のケースは初めてのケースなので、我々文部科学省といたしましてもさまざまなことは考えさせていただいておりますが、もし仮に、公設民営学校において、法人またはその教職員の不法行為等により生徒に損害が生じた場合につきましては、損害賠償請求が行われた場合には、地方公共団体が損害賠償の対象となるというふうに考えられております。

 その際、損害賠償について、法人またはその教職員に故意または重過失がある場合には、地方公共団体は当該法人に対して請求をすることができるというふうに考えておりますが、我々文部科学省といたしましても、こういったケースがないように、しっかり、この問題は丁寧に進めていきたいと考えております。

逢坂委員 ぜひ、事前にしっかりとした対応を準備して、漏れのないようにしていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問も文科省さんにさせていただきますが、地方創生の観点から、ことしの初めでしたか、文科省さんで六十年ぶりに、小中学校の統廃合に対する考え方、新たな考え方を発表されたわけであります。

 あの文科省の考え方が発表されて、地域を歩いておりますと、多くの地域で、あの基準どおりになってしまったら一つの自治体に小学校がなくなるんじゃないかとか、中学校に通うのに、八キロも十キロも遠い中学校へ通わなきゃいけないとか、そういう話がどんどんどんどん出されるわけであります。

 確かに、ある一定規模の学校を存置するということは大切なことかもしれないんですけれども、一律の基準で学校の統廃合を進めてしまったら、地方創生どころか、地方の消滅、子供たちの将来にも大変大きな影響を及ぼすというふうに思っています。

 私の経験から言わせていただきますと、確かに、学校にはある一定規模が必要だという考え方もあるんですけれども、小規模校は小規模校なりによさがあって、小規模校が全てだめだということでも必ずしもないんですね。小規模校であるがゆえに個性を発揮できて、大規模な学校にいたのでは埋没してしまうような、そういう子供たちが実は本当に生き生きと人生を送ることができたなんというケースも私はたくさん知っております。

 そういう子供たちから、今も私のところへ、私が首長をやっていた自治体で小さな学校があったんですが、あの学校の出身者であったことを誇りに思うなんというメールなんかをもらうと、私も、無理をして小規模校を続けたよさがあったなということで、涙が出るほどの思いになることがあるんですね。

 したがいまして、文科省に伺いたいのは、あの基準、それは一応、一般論としてはわかるけれども、あれをあのままやっていったのでは地域の崩壊につながるので強制的な適用はしないとか、あるいは、小規模で多様な学校の存在も地域の選択によって認めるとか、そういう多様性を持った対応をしていただきたいと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 逢坂先生も自治体で首長をやられていろいろ御経験があるというふうに思いますが、今、少子化のさらなる進展により、学校の小規模化というのは非常に進んでおります。そういった中、私の出身の自治体でも、やはり少人数学級とか学校規模が小さくなっているところも見させていただいておりますが、さまざまな課題も発生いたしております。

 例えば、子供が、クラブ活動が限られた人数しかいないのでそのクラブ活動ができないとか、さらに言えば、人間関係が固定してしまってコミュニケーションがとりにくくなるとか、集団行事の実施に制約が生じるとか、さまざまな問題がある中で、ことし一月に、義務教育段階の学校統廃合の方針を文部科学省としても出させていただきました。教育的な視点からこうした課題の解消を図っていく必要があるというふうに思っております。

 その際、学校の地域コミュニティーの核としての役割を重視する観点から、学校統廃合により魅力のある学校をつくっていくことも非常に大事だというふうに考えております。地域の活性化を図ることを選択する場合のみならず、地域の総力を挙げ、小規模学校のメリットを生かし、デメリットを緩和しつつ学校の存続を図る選択もあるというふうに考えております。市町村のいずれの選択も尊重すべきものであるというふうに思います。

 例えば、小規模学校でいい点は、やはり、その学校の子供たちと地域のコミュニティーがより一層深まるということも私は非常にすばらしいメリットだというふうに思っております。

 そういった中で、閣議決定されました、まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づきまして、ことし一月に策定いたしましたその手引において、学校統廃合を検討する場合、また小規模校を存続させる場合、さらに休校した学校を再開する場合のいずれを選択しても、文部科学省としてその選択についてきめ細かい支援を行うようにさせていただきたいと思います。

逢坂委員 最後に、いずれの選択をした場合にもきめ細かい支援をということでありましたので、安心いたしました。

 地域にとって学校は大変大事です。お話の中にも一部出てきましたけれども、コミュニティーの核になっているというのもそのとおりでありますし、また、冒頭に、例示として、クラブ活動がなかなかできないとか人間関係が固定化するという話をされましたけれども、実は、北海道なんかはその問題はもう三十年も四十年も前からそうなんですよ。高度経済成長期に過疎化がどんどんどんどん進んで、小規模校がいっぱい地域にはできてきた。

 だから、文科省さんが今突然そのことを言い出すのは、正直言うと私なんかは違和感があるんです。今さら何なんだという感じはしないでもないんです。だけれども、きょうの答弁で、それは多様性のある選択を認めるということを言っていただきましたので、少しほっとしながら答弁を聞かせていただきました。ありがとうございます。

 そこでもう一点です。

 全国で高等学校についても似たようなことが起こっておりまして、高等学校の適正配置ということが公立学校などでは都道府県の教育委員会などによって進められているわけです。この説明会などを聞くと、ともすれば、これは明示して言っているかどうかわからないんですけれども、都道府県教育委員会の説明を聞くと、国の指導であるとか、国の方針であるとか、国から言われているからみたいに聞こえる場面がたまにあるように私には思われるんですね、明示的に言っているかどうかは別にしても。

 文科省として、高等学校の適正配置について、都道府県に対して、こうせいとかああせいとか、この基準でなければ学校の存続は認めないとか、そういうことは言っているんでしょうか。

丹羽副大臣 お答えさせていただきます。

 公立高校の統廃合につきましては、設置者である地方公共団体が、法律の規定に基づきまして、生徒や保護者のニーズ、進学動向、生徒の通学の利便性、学校規模等の地域の実情を十分に配慮して適正に判断すべきものというふうに考えております。

 文部科学省として、少子化など社会環境が大きく変化する中で、地方公共団体が地域の実情に応じた取り組みを行いやすくなるよう、公立高校の生徒の収容定員の基準を平成二十三年度に廃止いたしております。それまでは、公立学校の学校規模というのがある程度決められておりまして、本校にあっては二百四十人、分校にあっては政令で定める数を下らないというふうに決められておりましたが、それを廃止いたしております。

逢坂委員 ぜひ、高等学校についても、地域の自主性を重んじて、多様性のある対応をしていただきたいと思います。

 前の基準を廃止したということで、それは多様性のある対応ということを念頭に置いたものだと思うんですが、多分、丹羽副大臣は余り、にわかには信じがたいかもしれませんけれども、私の生まれた町には町立の高等学校がありまして、一学年一クラスしかないんですね。それで、一番生徒が減ったときは一学年七名とか八名とかで、存続の危機に陥ったんです。ところが、地域でいろいろ話し合いをして、全国で初めての緑地観光科という観光と農業を結びつけた新たな学科をつくりまして、生徒募集を開始したところ、おかげさまで倍率が一倍を超えるというような状況になりました、現在はまたちょっと減っているようですけれども。

 だから、地域の創意工夫によってそういうことがやれるわけですね。そして、そこの卒業生から、やはりこの学校へ来てよかったという子供たちからの声もたくさん聞くわけですので、ぜひとも、多様性のある対応、しかも地域の自主性、まあ、全て地域の自主性というわけにはいかないところもあるとは私は思いますけれども、懐の深い対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 それでは、丹羽副大臣、これで終わりましたので、どうぞ。

 それでは、引き続き、石破大臣に質問させていただきます。

 きのうからいよいよ、衆議院の本会議で安保法制に関する実質的な審議に入り、きょうは特別委員会でもやられているわけであります。

 私はこの安保法制について石破大臣にちょっと考え方を伺いたいなと思っていたら、きのう事務方と話をしておりましたら、石破大臣はこの問題には答えないよというふうにおっしゃられまして、ちょっと残念に思うんですけれども、私は、石破大臣はこの分野に非常に精通しているし、石破大臣の思いを聞かせてもらいたいなと思っているんですが、石破大臣はしゃべりませんよと言われたのを承知の上でちょっと聞かせていただきたいんです。

 私は、昨年七月一日の集団的自衛権の行使容認の閣議決定、それからその閣議決定に基づく今回の十一本の法律の幾つかは、やはり憲法に抵触するのではないか、憲法に抵触するおそれのある法案を国会に提出する、これは立憲主義に反するんじゃないかというふうに感ずるんですけれども、これは、石破大臣、どのようにお考えですか。

石破国務大臣 それは、事務方の方から先生の方に、この問題には答えませんよと言ったとおりでございますが、昨日の総理の答弁でも、今回の法案が立憲主義になぜ反しないかということは御説明をしたとおりでございます。

 法案の中身に私があれこれ申し上げる立場にはございません。政府の一員でございますので、当然それに従うものであります。

 そこは、そもそも立憲主義とは一体何なんだという議論がまずあるべきだと私は思います、法案の中身と関係なく一般論として申し上げますが。

 だから、立憲主義といいましたときに、多分、近代憲法とは何かというお話になって、それはフランスの人権宣言までさかのぼるお話なんだろうと思っております。そうしますと、委員が御指摘になりましたように、まさしくきのう本会議であのような議論がなされる、そして委員会で今議論がなされている。この立憲主義というのは、権力の恣意を防ぐということ、権利を守らねばならないということと、もう一つは、権力の分立ということがきちんとなければならない、それをもって立憲主義といっておったというふうに、私自身、大学で習ったような覚えがございます。

 そうしますと、まさしくここにおいて、国会の場において議論がなされている、行政府と立法府、あるいは場合によっては司法という形になりますが、立憲主義の意味するところは、まさしく権力の分立によって権力の恣意性を防ぐということも立憲主義の内容というのではないか。こういうところで議論をされているということは、政府の立場は従来総理が申し上げているとおりでございますが、国会において議論がなされるということも立憲主義にきちんとかなったことだと一般的に私は思っております。

逢坂委員 この問題はきょうの特別委員会のメーンテーマではありませんので、これでやめさせていただきますけれども、いずれかの時期に、しかも早い時期に、本当は石破大臣とこの問題を、膝を交えてというか、深くやりたいなというふうに思っているんですが、いつかそういう機会が来ることを念じつつ、本題に入りたいと思います。

 今回、地方創生ということで、これが安倍内閣の非常に大きな柱だということでありますけれども、私はどうもよくわからないんですね、地方創生ということが一体何を目指しているのか、どういう目的でこれをやろうとしているのか。

 それは、地域が元気になればいいとか、アベノミクスの成果、そのお金が地方、全国津々浦々に回ればいいとか、いろいろなことが言われているようではありますけれども、何か取ってつけたような感があって、長い間自治体の現場にいた者としてみると、別に地方創生と言われなくたって、寝ても覚めてもそのことばかり考えていますよということを言いたいわけですね。

 今回の本当の心、石破大臣として、担当大臣として目指したい地域の姿、それは一体どういうものなのか御披瀝いただけますか。

石破国務大臣 最初の質問者であります山田議員にも同じような御質問をいただきました。繰り返しになったらお許しをいただきたいと思います。

 委員がそうであられましたように、地方自治体の皆様方というのは、寝ても覚めても地方創生のこと、創生というかどうかは別として、活性化のことをお考えであります。そのことはよくよく承知をいたしております。それに対して国が十分に応えてきただろうか、それぞれの地域の取り組みに十分応えてきただろうかといえば、それは私自身、内心じくじたるものがないわけではございません。

 先ほどニセコの高校のお話をなさいました。私は何回か講演で申し上げていることでございますが、北海道には、道立高校だけではなくて、町立高校、村立高校もある。音威子府の高校も私は本当にいい例だなと思っておるところでございますが、その地域地域の取り組みをどうやって横展開するかということも、もっと積極的にやってもいいのではないかと思います。

 それよりも以前に、それぞれの自治体において、経験と勘と思い込みによらない、きちんとしたデータに基づいた、我が町、我が村、我が市はどうあるべきかということを全国千七百十八の市町村が全部取り組んでいただいたかといえば、私はそうではないと思っております。そういう情報を提供すること、あるいは人材の支援を行うこと、あるいは、新型交付金の御議論はこれからあろうかと思いますが、財政的な支援をすることをもって、その地域のそれぞれのデータに基づく取り組みを政府が全力で支援するということではないだろうか。

 そして、この地方創生というのは、地方さえ元気になればいいという話じゃなくて、このままどんどん人口が地方で減る、そして、高齢化があるピークを超えると介護などに従事をしていた若い人たちが東京に来る、その東京が一番人口が生まれない、ある程度の時間差はありますが、地方も東京も全部衰退に向かっていく、そういう危機感を全国で共有したことがあっただろうかといえば、私自身、なかったように思います。

 何もおどかすつもりはありませんが、これを今とめないと日本全体が衰退に向かうという危機感を共有しながら、地方と中央が手を携えてこの問題に取り組むということが地方創生だと私は理解をいたしておるところでございます。

逢坂委員 取り組み方、手法というか、どうやって取り組むのかということについては今の話で多少見えたような気はしますけれども、それでは具体的にどういう地域を目指すのだというか、どういう地域の集合体としての国家のあり方を目指すのだというところについては、もう少し具体的に大臣が話された方が全国の皆さんに伝わりやすいのではないかと私は思います。

 多少質問の順番を変えさせていただきますけれども、今の話の中で私は重要な点が幾つかあると思っていまして、一つは、思い込みや勘によらないで、具体的な指標とかそういうものに基づいて地域をつくっていくことが大事だといったような趣旨の指摘がございました。

 私は、それは半分は同感なんです。でも、半分は、それも確かに大事なんだけれども、もう一方で、もちろん思い込みや勘と言うつもりはないんですけれども、そういう指標を離れたところでやる地域づくりというのは、実は私は大事だと思っていまして、両方をしっかり押さえることが大事だと思っています。

 というのは、地域づくりというのは、あらかじめゴールの設定を決めて、そこへ地域の全員が向かっていけるというものばかりではないんですね。だんだんだんだん、何か具体的な実践をやってみて、ああ、なるほど、これはいいことなんだなということを理解した上でまた次のステップへ進んでいくということもあるわけです。

 例えば卑近な例でいいますと、最近こそ全国で一般的になりましたけれども、農産物の直売をやろうなんということ、これは今でこそ、農産物の直売っていいですよね、農家の顔も見えるし、自分たちも直接買えるからいいですよねと多くの方が思っているかもしれないけれども、昭和四十年代なんて、なかなか、これは受け入れる地域と受け入れない地域があったんです。特に、直売なんかやると煩わしいとかですね。でも、実際にやってみて、実践して物を見せてみると、地域の人も、ああ、なるほど、これはいいものですねということを理解して、次の政策へまたつながっていくということなんですね。

 だから、計画性とかエビデンス・ベースト・ポリシーみたいなことは大事だ大事だと言われるんですが、そのことだけで地域の皆さんの理解は得られない。実践をしながら積み重ねていって次のステップへ進んでいく、まるで社会教育の学習のようなところが地域づくりにはあるという意味で、ぜひそちらの視点も忘れないでいただきたいと私は思うんです。

 何でもかんでも、指標だ、KPIだ、PDCAだとやると、地域で逆に受け入れられない。みんな体がこわばってしまって、本当は自由にやりたいこともやれなくなってしまうという可能性があるので、そこのところは大臣、懐深く私はお願いしたいと思います。この点、大臣、どうでしょうか。

石破国務大臣 それはそのとおりです。

 ですから、いろいろな数字に縛られて自縄自縛になるようなことは絶対に避けねばならないと思います。委員御指摘のような、いろいろな取り組みというものを、それはKPIに反するからとか、PDCAが回っていないからとかいうことで全部切って捨てるような、そういうことは地方においてあってはならないことだと思います。

 一方におきまして、私も副大臣や政務官、補佐官と手分けして全国あちこち歩くのですが、KPIとか言うと、何ですか、それみたいな人が圧倒的に多い。PDCAと言うと、聞いたこともない、こういうお話になるわけです。

 そしてまた、先ほどもどなたかが聞いておられましたが、どこでも第何次何カ年総合計画というのはつくっている、つくっていないところなんかない。そのとおりです。ですけれども、町で市民に聞きました、あなた、我が町の総合計画に何が書いてあるか知っていますか、そこに何の目標が定められているか知っていますか、前の計画の目標は達成されたかされないか知っていますかと言うと、多分百人のうち九十何人は知らないと思います。

 やはりそこにおいて、産官学金労言といいますが、多くの人がそれに参加する、お任せ民主主義ではなくて、もちろん責任をとるのは首長ですが、納税者が納税者としてそれに参加をするということは、私は、地方のあり方としてあってしかるべきではないだろうか。自縄自縛に陥る必要はございませんが、PDCA、KPI、何ですか、それということであっては、それはまたならないのだと思っております。

 委員の御指摘も踏まえて、両々相まってという、何かいいかげんな言い方をしますけれども、そういうような取り組みというものが今後発展をしていくのではないかと期待をいたしておるところでございます。

逢坂委員 それから、先ほどの一つ前の大臣の発言の中で、もう一つ私は大事なことをおっしゃったと思うんですが、今の人口減少などの国家のある種の危機的な状況、これを全国で共有するという話が今回の地方創生の中であるんだという話をされておりました。

 私は、それは全くそのとおりだと思うんですが、正直言いまして、私のような過疎地で生まれ育ち、過疎地でずっと自分の青春時代を過ごしてきた者としてみると、ちょっと遅過ぎやしませんかね、こんなもの、もう四十年も前から、いや、あるいはもっとそれ以上前から、実は集落の消滅の危機はあったし、実際私の住んでいた町では集落は幾つも消滅したし、皆さん、そのとき何にも言わなかったじゃないの、何だ今になってという気持ち、これは過疎地に住んでいた者のひがみと受け取られるかもしれないけれども、そういう気持ちは若干あるんですね。

 とはいうものの、全国で共有いただけるというのはありがたいことでありますので、そのときの共有の仕方が、上から目線で、何か、よそからアイデアみたいなものが入り込めば地域はよくなるんだみたいな、魔法のつえのような、一振りすればバラ色の世界が開けるみたいなものは必ずしもないんだということも頭に置いていただいて、これからのさまざまな取り組みをしていただきたいと思うんです。

 特に大事なのは、私は計画づくりだと思うんです。総合戦略という言い方を今回はしているんでしょうか。ここをやはり丁寧にやることが大切です。

 先ほど大臣が指摘しましたとおり、地域の総合計画の存在すら知らない住民がいるのも事実です。市町村の議会の議員の皆さんも、総合計画の内容について要旨を述べよと言っても、場合によっては、そらでは言えない人もいるかもしれません。それが現実だと思うんですね。であるならばであるほど、総合戦略ですか、今回の地方創生における計画づくりを丁寧にやっていただきたいと思うんですが、それはどういうことか。

 まず一つは、地域の現状把握とか課題の把握を多くの人たちが一緒にやれる仕組みをつくることです。ここがしっかりできないと、目指す姿はあやふやになってしまいます。

 自分の町のことを知っているように思う人でも、実は、本当のところ、結構知らない人が多いんですよ。例えば、私も役所に長く勤めておりましたけれども、自分の町の水源地がどこにあるか、こんなことなんてなかなか考えてみたこともないという人も結構いるんですね。自分の町の一番の東の外れはどこか、そこはどういう状況になっているかなんていうことすら、みんなはふだんは認識しないわけであります。だから、まず現状把握を丁寧にやる作業から。

 私は、計画をつくる作業というものは、先ほども言いましたけれども、学びのプロセスだと思うんです。その学びのプロセスを地域なりに大切にしてあげるという姿勢が大事だ。そのときに、KPIとかPDCAを回すことだけが目的になってしまって、本当の意味での基本認識の部分があやふやになると、地域づくりはうまくいかないんですよ。大臣、この点、いかがでしょうか。

石破国務大臣 もう一〇〇%、そのお考えに私は同意をいたします。

 これは、委員のように、役場にお勤めになって、三期町長をおやりになった方ならではのお話だと思いますが、町民がどれだけ、市民がどれだけ、我が市はどんな市なのか、我が町はどんな町なのかというのは御存じないし、小学校でも中学校でも、そういうことを教えてきたかというと、余り教えてこなかったと思うんですね。自分の町がどうで、自分の村がどうでということを知らないで日本を論じても、それは日本を論じる意味がほとんどないだろうと思っております。ですから、学びの場というのはそういうことであって。

 私は、一月ぐらい前に島根県の海士町、何度もこの例は出しますが、そこで本当にそうだなと思ったのは、まず総合戦略づくりに参加する人というので募集をする。そこで二十数人が集まる。そこには、JAの方もいらっしゃれば、漁協の方もいらっしゃれば、建設業の方もいらっしゃれば、PTAの方もいらっしゃれば、役場の職員もいる。それが単なる形式的な会議じゃなくて、みんなが仕事が終わった夜の七時、八時から始めて、おにぎりだけで十時、十一時までかんかんがくがく議論をして、それを高校生たちが、何を話しているのかなというので見ている。

 やはり、私は学びということはとても大事なんだと思います。そうしないと、できる計画は机上の空論に終わりかねないものなのであって、それぞれ住民たちが、我が市は、我が町はどうなんだろうね、そして、客観的な指標で見るとどうなんだろうね、自分の町のことはわかっていても隣の町のことを全然知らないもんねというのがいっぱいあるわけで、私は、総合戦略づくりは学びなのだというのは、委員の御指摘に一〇〇%同意するものでございます。そういう取り組みを自治体においてお願いしたいと考えております。

逢坂委員 まさに学びのプロセスが大事だと思っていまして、実は今、石破大臣がおっしゃられたので、ある話を思い出したんですが、私が首長のときに、例えば、下水道の整備率とか、水道の整備率、道路の改良、舗装の割合とか、福祉サービスの程度とか、自分の町のことすら実はよくわかっていない上に、よその町のことはすごくよく見えたり、どこか特別なところだけを取り上げて、いや、何でうちの町はあんなふうにならないのかねなんということがよくあるんですね。

 そのときに、私は、これはまずいなと思って、例えば、職員の給料とか、道路の改良率とか、福祉のサービスの程度を数字で町民の皆さんに全部を指し示して、管内の二十市町村の分を全部出して比較するということを毎年必ずやったんですね。

 それを見たら、実は町民の皆さんは驚きまして、何だ、うちの町は道路が悪い悪いと思っていたのに道路の整備水準はすごくいいじゃないか、反面、あそこの町はすごく進んでいると思っていたところが道路の整備水準は低いじゃないか、でも、よくよく財政的に見たら、道路の整備水準の低いところは基金がいっぱいありますね、反面、うちの町は随分借金があるんじゃないですか、これはどっちの道がいいんでしょうかねみたいなことを、データを示すと、やはり気づきを持って考えてくれる人が出てくるんですね。

 だから、その意味で、私は、データは大事だと思いますし、データは否定はいたしません。だけれども、データだけを出せば地域がうまくいくというものではないこともぜひ大臣にわかっていただきたいんです。

 その上で、今回の総合戦略づくりは、何をするかということを最初に決めるべきではないと私は思っています。何をするかというのは、自治体の現場では、財政的にお金が来ますとか、今度有利な制度がありますとなったら、それを活用して何をするかということをすぐ考えるわけですよ。私は、大事なのは、何をするかではなくて、どんな地域になるかということを考える、あるいは、私たちが目指す地域の中で私たちはどんな暮らし方をするか、そういうことを考えた上で、だったらどんな施設が必要なんだとか、どんな制度が必要なんだということにならなきゃいけないと思うんですね。

 全国を見ていると、例えば、地域に元気がない、だから集客のための施設をつくらなきゃいけない、働く場所がない、だから働き口をつくらなきゃいけない、では、集客のための施設といったら、道の駅をつくろうかとか、何とか物産館をつくろうかとか、水族館をつくろうかとか、そういう話にすぐなっちゃうわけです。それはわかりやすいんですよ。わかりやすいんだけれども、本当に、それをつくったときにお客さんが来て、自分たちがそれにどうかかわってどんな暮らしをするかというところまで想定がなければ、それはただつくったに終わってしまうケースがいっぱいあるんですね。

 だから、その意味で、繰り返すんですが、計画づくりに丁寧さと時間をかける。これは、大臣、法の仕組みや今のルールの中ではなかなか厳しいのではないかというふうに推察もするんですけれども、ここを丁寧に、一年かけるか二年かけるかによって最後のゴールは大幅に変わってきますよ。ここを急げば結果もシャビーにならざるを得ないと私は思うんですよ。大臣、いかがですか。

石破国務大臣 正直申し上げて、全国の自治体で随分ばらつきが出てきたという感じを持っております。だから、委員がおっしゃるようなことをまさしくやろうね、建物だけあったってしようがない、では、それが一体何をもたらすものなのか。

 かつて、竹下内閣でふるさと創生一億円というのがあった。あのときに竹下総理は、これで地域の知恵と力がわかるんだとおっしゃっておられた。あれは合併前ですから、もっと自治体としてはちっちゃかったと思うんですけれども、まさしく、その検証も行い、何をやるのかということをやり、先ほどの海士町の例のみならず、本当に産官学金労言みんなで一緒にやっているというところと、まあまあ、いろいろ言うけれども、どっかのコンサルに書いてもらえばいいさと思っているところも、物すごく差があると思っています。そのことは認めます。

 ですけれども、その地域の人々が主権者としてどんな行政を選ぶのかということも私は試されているんだと思っていて、お任せ民主主義ではない、本当の民主主義というものが地域においてワークするかどうかということだと思います。

 ですから、来年の三月三十一日で以上、おしまいということではなくて、総合戦略は常に改定をされていくものでございます。そこで、本当に一生懸命取り組むところと、まあ、そのうち国が何とかしてくれるさというところは差がつく。それはそれでいいのだ。それは、住民の方々がどういう行政を選ぶかという責任も問われているのだと思っております。

 これで以上、おしまいと言うつもりはございません。これは地域と国と一緒になってやってまいりたいと思っていますので、またいろいろな御指摘を賜りたいと存じます。

逢坂委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その考え方で、この地域創生も、国のタイムリミットとか考え方とかを必ずしも押しつけるのではなくて、懐深くやっていただきたいと思います。

 それから、大臣からお任せ民主主義という言葉がきょうの答弁の中で二度出てきましたけれども、実は、あの言葉は多分私の造語だと思います。私が多分日本で一番初めにその言葉を使って、日本の民主主義というのは人任せになっている、そこを改善していくのは、やはり自治の現場から、実践の中から改善していくしかないという思いで、二十数年前にお任せ民主主義という言葉を使わせてもらったのが多分初めてだと思います。

 それから、ふるさと創生一億円の話も出ましたけれども、実は、あのとき私はそれの担当係長でして、私の自治体では必ずしもいい仕事はできなかったんですけれども、あのことによって私は多くの学びを得ることができました。

 まず、ふるさと創生一億円のすごかったところは、財源の使途を決めなかったということです。それから、議論のお尻も決めなかったということですね。長い視点で自由に使える財源を渡して、地域みずからがみずからの力で考えてやってくださいということをやったわけです。でも、結果として、上手にそのお金を使えたところもあったし、残念ながらのところも私はあったと思っています。だがしかし、あれはやはり日本の自治を考える上では非常に大きなものだったと思っているんです。

 そのときに私が感じたのは何かというと、どんなにいい仕事をやったように見えても、そのお金の使い道を決めるプロセス、政策決定のプロセスと言ってよいと思いますけれども、そこに主権者である市民の皆さんがどれほどかかわったかによって満足度合いとか仕事に対する理解度が変わってきていたと思うんです。

 だから、上意下達的に何かを決めていい仕事をやる、それは結果としてよいことかもしれませんけれども、そうではなくて、多くのかかわりを持って紆余曲折を経て、ある一定の政策決定、合意にたどり着くということがあると、よそから見てその仕事はシャビーに見えるかもしれないけれども、地域の皆さんの満足度合い、理解度が非常に高い。私はその経験を、あの平成元年あるいは昭和六十三年にさせていただいたように思うんですね。だから、大臣、そういうプロセスも大事にしていただきたいと思います。

 もう時間が来ましたのでこれでやめますけれども、本当は、こういう話を大臣と二人で三時間、四時間やったら地方創生はもっとうまくいくような気がするんですね。せっかくの機会だから、もっと大臣のことを応援したいと思っていますので、安保も含め、こちらの分野もまたよろしくお願いしたいと思います。

 何かあれば、御発言いただければと思います。

石破国務大臣 ありがとうございました。またそういう機会をつくらせていただきたいと思います。

 私も、鳥取が選挙区で、ずっと一軒ずつ歩いて当選もし、それはずっと、今でも機会があればやっております。一軒しかない、一人しかいない、そういう集落も見てきました。なくなっちゃった集落もいっぱい見てきました。これをどうするのかというのは、私自身、委員と同じように物すごく切実な気持ちを持っております。

 一億円にしても、キャバレーをつくって失敗しちゃったところ、根拠不明のお城がいっぱい建ったところ、やはり成功事例も失敗事例もいろいろあると思っておりまして、そういうものをよく見ていきながら、切って捨てるとか上から目線ではなくて、本当に一緒にやるという気持ちを地方の方々に持っていただけるように、私どもとしても、さらに、足らざるを改めてまいりたいと存じます。

逢坂委員 ありがとうございます。

鳩山委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 維新の党の重徳和彦です。

 本日、お時間を頂戴しました。ありがとうございます。

 石破大臣は常々、地方創生の知恵は現場にあるんだということをおっしゃっています。私もこれまで大臣にも御紹介してまいりました。私がまだ公務員だったとき、青森県に行ったときなんかに大間のマグロに着目をいたしまして、若い地元の大間町のみんなと一緒に、大間のマグロ祭りを始めようということで、それまで大間のマグロは全部築地に、東京に売られてしまっていたものを、少しでも地元大間で食べられるように、そして、地元大間に人々がたくさん訪れて、大間で大間のマグロを食べられるように、こういう流れをつくっていこう、こんなようなことを十年以上前になりますが、取り組んできたことを今でも覚えているわけでございます。

 今、国会議員となりまして、私には愛知県岡崎市という選挙区の地元がございます。その現場で、最近も、本当に元気な方々がやはりいらっしゃいます。岡崎というと、家康公が生まれた岡崎城、お城があるじゃないかという、こんな話ばっかりなんですけれども、しかし、あの広い町の中には、中心部とは遠く離れたところでは、もう本当に田んぼしかない、山しかない、こういう地域もあるわけなんです。

 そういう中で、先般、岡崎市の藤川という地区において田んぼアートというのが行われました。振り返れば、これも青森県ですね。田舎館村というところで二十年ぐらい前から、田んぼにいろいろな色の苗を植えて、収穫に至るまで数カ月間、そのアート、絵を楽しむことができる、こういう取り組みが続いてきていて、これが全国に広がってきたということであると思うんです。

 田んぼがあるからこそ、都会ではとてもできない、そういう田んぼアート、このデザインも、葵の御紋だったり徳川家康公の肖像画のような、そういう絵をかたどったところに市民が何百人も集まりまして、大人から子供まで泥んこになって苗を植えている、こんなことも田舎ならではのイベントとして行われるわけです。

 この地域で少し御紹介したいのが、実はムラサキムギというのがありまして、何てことないですね、紫色の麦、へえというだけなんですが、そこでとどまらない地元のまちづくり協議会の執念がありまして、ここの鈴木忠さんという会長さんが、無から有を生む、何もなくてもまちづくりはできるんだということをぜひとも示したいんだ、こういうことで、ムラサキムギからつくった地ビールとか、それからムラサキムギを使ったお菓子コンテストを大学生を巻き込んでやっていくとか、あるいは、地元の大学と連携協力協定というのを結びまして、そのムラサキムギの、ゆるキャラというよりは、何か戦闘アクションヒーローみたいな、「武槍幻将ムラサキ」という名前のキャラクターを大学生につくってもらったり、そのようなさまざまな取り組みをしています。

 まさにこの委員会のテーマであります地方創生というのは、確かに、歴史のあるお城があったり、伝統的な町並みがあったりとか、そういうところを生かすのはもちろんのことですが、日本の原風景のようなところでも、工夫次第でいかようにも無から有を生むような、そして観光資源になり得るような、そういう取り組みができると思うんです。

 私も私なりに全国を回ってきたつもりではありますけれども、石破大臣がここ最近、全国を歩かれたりいろいろな方のお話を聞く中で、こういった無から有を生むような発想というものに思い至ったり、そういう取り組みをしているとか、何かそういったことも含めて、こうした現場での取り組みにひとつコメントをいただければと思います。

石破国務大臣 教えていただいてありがとうございました。済みません、ムラサキムギがあることは知りませんでした。紫の麦なんですね。ビールも多分紫になるんでしょう。

 というように、その地域その地域に、あっ、こんなものがあるんだというのを大勢の人が知らないということは物すごくもったいないことだと思っているのです。確かに、海外に旅行に行かれるのもいいだろう、そのことはいいことだ。だけれども、日本の中にこんなにいいところがたくさんあるんじゃないかということが、私がこの仕事を始めてからの驚きの一つ。

 もう一つは、その地域において、やはり自分たちのところに自信と誇りを持たないと、人なんか来ないんですよね。このムラサキムギもそうでしょう。岡崎なり藤川なりというところの方々が自分の地域に自信と誇りを持つからこそ、人がやってくるということになるのだろうと思っております。うちなんか何もないさというのと、いやいや、うちにはこんなものがあるよという取り組みはもう天と地ほど違うのであって、やはりその地域地域の方々が自信と誇りを持つ。

 海士町が、ないものはないとおっしゃっていたし、私、この間あるところに行ったらば、何にもないけれども何かがあるというキャッチフレーズをやっているところがあって、なるほどねと。どの市町村へ行っても、これはすごいねというのに一回も会わなかったということはございません。

 どうか、そういうものをさらにさらに活性化していくためのいろいろな方策をまた議論させていただきたいと存じます。

重徳委員 ありがとうございます。

 ない物ねだりからある物探しへとか、本当にいろいろな言い方ができるんですけれども、日本津々浦々、どこも人が住み続けてきた歴史がありますので、そういう中で、地方創生のヒントをこれからも各地域ごとに探し続けることが地方創生の永久のテーマかなと思っております。

 さて、話はかわりますが、きょうは、地域の経済を担う小規模事業者、そしてそれにさらに経営指導を常々行っている商工会の役割などについて議論をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、中小企業庁の現状認識を幾つか確認をしたいんです。

 いわゆる平成の大合併がここのところ進みまして、一段落したところでありますが、私も市町村合併に取り組む中で、ずっと気になってはいたんですが、なかなか本質に迫ることのなかった商工会議所と商工会との関係というのがございます。

 要は、市町村合併に伴って、商工会議所と商工会のある地域が一緒になるのであれば、組織も一つになればいいのかななんということを単純に考えていたころもあったんですが、実際にはさまざまな理由で合併をしないで、一つの市に一緒になっても、地域によって、市内の地域に商工会が残っている、そういう地域もたくさんあります。

 全国的にこの実態はどのような状況なんでしょうか。また、合併に伴ってそこが合併しない、この事情を改めて少し言及していただきたいんですけれども、お願いします。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の合併の問題でございますけれども、これは平成十一年以降でお答え申し上げますと、平成の大合併が始まった時期以降ということでございますが、商工会同士の合併が五百二十六件、それから商工会議所同士の合併が十三件に対しまして、商工会と商工会議所の合併が三十七件という状況でございます。

 これは、商工会につきまして申し上げますと、もともと明治期以前から各地にさまざまな相互扶助の組織がございました。こうしたものを起源といたしまして起こってきたものということでございます。それから、商工会議所は、明治の初期に民間の経済界の方々が諸外国の制度を参考として設立をしたということで、その起源がかなり違っているというような事情がまずはあろうかと思います。

 それから、現状で申しますと、商工会議所は、さまざまな規模あるいは業種の企業が数多く存在する都市部におきまして、多様な利害の調整等を通じた地域経済の振興を図ることが役割としてございます。一方、商工会におきましては、町村部を中心に、商工業者に対しまして伴走型の支援というものを重点的に行うなど、それぞれの役割にも異なる面があるところではございます。

 そうしたことがこの合併の動向ということに影響しているものというふうに認識してございます。

重徳委員 そういう意味で、今の数字をお聞きしますと、会議所と商工会の合併というのもないわけじゃないということなんですけれども、そんなに多くはない、そんな数字だったでしょうか。

 特に商工会というものが、法律が昭和三十五年にできまして、その前はまさに任意の相互扶助的な形での成り立ちだったと思うんですけれども、そういう任意の状態だったころの合併、いわゆる昭和の大合併のころには、割と当時の任意の商工会というのは商工会議所に吸収されるような形が多かったと思うんですが、昭和三十五年以降、商工会法が施行されて商工会の位置づけがより明確になってから、法律上の、制度上の位置づけの違いによっても、ここは少し違う組織だという認識が強まったんじゃないかなということも推測されるんです。

 一つお聞きしますが、商工会議所と商工会の意思決定システムの違い、制度上の違いというものを御説明ください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の意思決定の方法でございますけれども、商工会におきましては、これは一会員一個の議決権ということになってございます。これは、先ほど申し上げましたように、もともと相互扶助の組織が起源というようなことで、メンバー同士平等という考え方で、それが踏まえられてこうした制度になっているものというふうに承知してございます。

 一方、商工会議所でございますけれども、意思決定は議員総会ということで行われるということでございますが、これは会員から議決を委ねられました議員がそれぞれ一票の議決権を持って決定をするという仕組みでございますけれども、さらに申し上げますと、議員の半数以上を占めるいわゆる一号議員というのがございます。この一号議員につきましては、会員の投票で選任をされますが、その選任方法は定款で自主的に定められるということで、一般的に申し上げますと、これは、納めている会費等に応じまして、一会員当たり最大で五十個の選挙権というようなことが与えられる仕組みになってございます。

 これは、産業政策などに対する意見具申ということで商工会議所は大きな役割を担っておられるというふうに思いますけれども、そうした中で、企業規模が相対的に大きく、広範な事業を行っている企業の意見を尊重するといったような仕組みがとられているものと承知をしてございます。

重徳委員 今の説明の中にあるように、商工会というのは本当にわかりやすいシンプルな仕組みですよね。本当に一人一票で、みんなで、いわば多数決で物事を進めていこうということなんですが、商工会議所になると、今部長が言われましたような、政策に対する意見具申機能、さらには、一般的に皆さん知られているように、単に中小企業を支援するというだけじゃなくて、場合によっては国際的な活動とか、まさに地域の総合的な経済団体であるのが商工会議所だと思うんです。そこに対しましては、やはり比較的大きな企業の方が発言力があるという今御説明あったとおりの意思決定システムがありまして、一言で言えば敷居が高いんですね、商工会と比べると。ちょっと敷居が高いな、こう感じられるのが商工会議所だと思います。

 一方でこんな事情も踏まえながら、商工会議所と商工会それぞれの、地域内に存する事業所数に対する加入率の違いを御説明ください。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 現状で申し上げますと、全国の商工会の会員の組織率、これは平均で五八・九%というふうになってございます。一方、商工会議所でございますけれども、こちらも平均で申し上げますと三三・五%ということでございます。

 先ほども若干申し上げましたが、それぞれの特性の違いというものがあろうかと思います。商工会議所につきましては、さまざまな規模、業種の企業が存在しております都市部を中心の立地ということでございます。一方で商工会は、町村部を中心にいたしまして、伴走型の支援を重点的に行うというような役割でございますので、そうしたことが組織率の差にあらわれているというふうに推測をしてございます。

重徳委員 商工会は五八・九%、そして商工会議所は三三・五%という数字でございます。倍とは言いませんが、倍近い数字だということですね。

 そういう今御説明のあったさまざまな違いによりまして、実はこれも私の地元の商工会の方からちょっと聞いた話なんですが、地元ですが、岡崎市なんですが、岡崎市にはもちろん商工会議所があります。ですが、地区によって、具体的には六ツ美商工会というのがあるんですけれども、その六ツ美地区じゃない岡崎市に所在する小規模事業者のうち幾つかは、やはり六ツ美地区の商工会の方にいわば境目を越えて入っている、こういうケースも、そんなまれなケースではなくて、相当数あるというような状況があるんだと聞いております。

 これは、全国的にはどんな状況なんでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 商工会におきましては、会員制度に加えまして、地区内の商工業者以外の方、あるいは地区外の商工業者の方、今御指摘のあったような例かと思いますが、こうした方々が特別会員として加入できる制度がございます。

 具体的に申し上げますと、現時点で、数字でございますけれども、商工会におきまして正会員が約八十四万社、全国でございます。それから、特別会員が約一万六千社という状況だというふうに伺ってございます。

 この特別会員の内訳につきましては、今手元に数字がございませんけれども、一般的に申し上げますと、地区内の農業従事者の方、あるいはNPOの方々など、商工業者以外の方々が特別会員になることが多いというふうにお聞きをしてございますが、御指摘のございましたような、例えば地区外の商工業者の方であっても、商工会が行う展示会のようなイベントに出品をしたいというようなケースですとか、あるいは情報交換をもっとしっかりしたいというようなことを目的として特別会員になられるというケースも存在をしているというふうにお聞きしているところでございます。

重徳委員 ここで副大臣の御見解をお聞きしたいんですが、これはもちろん、あまたある事業者ですから、それぞれケース・バイ・ケースというのはあるんですが、一般的な傾向で一部聞くのが、やはり一言で言うとちょっと敷居が高い、あるいは、目的が必ずしも中小企業や、まして小規模事業者の経営支援だけではない、そういう商工会議所に対しまして、商工会というのは中小企業への、あるいは小規模事業者への伴走支援が本当に主な目的なんですよね。ですから、そういうところにむしろ入りたいという事業者があっても、それはエリアを越えてあっても不思議ではないと思うんです。

 まして、小規模事業者というのは、定義上、製造業でいうと従業員二十名以下、そして商業、サービスは五名以下という本当に小さなところですから、商工会議所のいわゆる役員をやっているような社長さんが、社員に仕事は任せて、いろいろなところに、会議に出席したりするのとは全然違って、その社長さんは、自分も本当に中核的な社員、プレーヤーとして仕事を一生懸命やっているわけですから、日中に会議があるとか研修会があるとかいったって、そんなものは受けられっこない、こういうところに対して、商工会は、経営指導員が地区を回って、まさに伴走型の支援を行い、経営指導、巡回指導を行うわけですから、そういう意味で、商工会へのニーズというのは商工会議所が設置されているエリアにおいても依然としてあるんじゃないかと思います。

 さらには、岡崎市の例でいうと、もう一つ、ぬかた商工会というのがあるんですが、これは森林、山林部なんですね。そうすると、全然業種が違うわけです。平地の商工業会と全く違う、木材加工業とか、そういった山特有の事業所もあります。そういうところに特化した経営指導ということも、商工会という狭いエリアであるがゆえの指導ができる、こんなこともございます。

 こういったことについてどのように認識をされているか、まず認識をお尋ねしたいと思います。

高木副大臣 今、委員御指摘のように、小規模事業者は従業員数に限りがございますので、経営者みずからがその事業で忙しい、こういう状況がございます。特に支援機関に相談に行く時間がとれない、いろいろな部分ではそういう厳しい状況にある中で、御指摘のような商工会、もしくは商工会議所もそうですけれども、小規模事業者を巡回するような伴走型の指導が大変重要になってくる、このように認識しております。

 特に、昨年の十月に、小規模企業振興基本法ができまして策定いたしました小規模企業振興基本計画におきましても、重点施策の一つとして、商工会、商工会議所は、みずからの強みである伴走型の支援の特色を生かして、きめ細かい支援を行うことが求められる、このように盛り込みました。また、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律に基づいて定める基本方針におきましても、小規模事業者の支援に当たっては、小規模事業者と一体的に伴走型で支援する、このようにしております。

 いずれにしても、このような中で、経営指導をきめ細かくやるためには、御指摘のような、商工会、その地域、しっかりと認識をしながらやっていくということが大変重要である、このように認識をしております。

重徳委員 位置づけの重要性というものは認識をしているということですが、今、法律上は、去年成立した法律においても、商工会と商工会議所というのは、いわば同列で、特段、その違いについては余り区別なく機能することを期待した仕組みになっていると受けとめられます。これはもちろん、商工会議所だってきちんと役割を、きめ細かい伴走型支援を果たすんだという目的において、そのウエートは違うと思いますが、変わりはないという面もありますので、それがおかしいとは言いませんけれども、やはりこの地方創生特別委員会でテーマになっているような、本当に衰退しつつある商店街だとか商工業の地域、過疎地域というところにおいて、もう少し商工会の役割ということを再認識してはいかがかと思っております。

 特に、商工会議所、さっきの合併の話に戻りますが、これはちょっとわかりませんが、商工会が商工会議所と一緒になると、結局、スケールメリットという言い方もできますが、経営指導員の数が今までよりは相対的に少なくなる、相対的に手薄になる、こういうこともあって、商工会の持っていた強みというものが薄まってしまうんじゃないかなと。

 具体的には、人件費の補助の基準の適用の仕方によって、やはり商工会という小さな単位の方が、小さい割にはそれなりの充実した人員を配置できた、こういう感があるんですが、このあたり、実際には、その設置基準というのか、補助金の基準はどのようになっているんでしょうか。

丸山政府参考人 御指摘の、経営指導員への人件費でございますけれども、これはまず、地方分権の改革ということが進む中で一般財源化をされておりまして、現状では全額都道府県が補助をする、こういう仕組みになってございます。

 その上で、各都道府県が、これは独自に経営指導員の設置基準というのを設けられているわけでございますけれども、一般的に申しますと、地区内の小規模事業者数が三百者以下の場合に経営指導員が一名、一千者以下で二名、以降一千者増加するごとに経営指導員の設置を一名ふやすというような算定式になっている場合が多いというふうにお聞きをしてございます。

 このため、今御指摘のあった点かと思いますけれども、合併によりまして小規模事業者数がふえていくということになりますと、その数に応じた経営指導員の数というのは相対的に少なくなるというような算定式であろうかと存じております。

重徳委員 そうなんですね。商工会の職員というのも、プロパーの職員は本当に数名というところが多いんじゃないかと思うんですけれども、やはりエリアが広くなって、その分手薄になるというのは感覚的に非常にわかる話でもございます。

 今回、小規模事業者を徹底して応援しよう、つまり、これまでは中小企業という大きなくくりだったところを、その中でさらに小さな事業者を応援しようというのが小規模事業者に対する今回の基本法であり支援法である、今回というのは去年成立をしました法律であると認識をしているんですが、例えば、まずはやはり小規模事業者の置かれた状況をきちんと把握する必要があると思うんですが、ここのところ景気が少しよくなってきて、融資件数あるいは金額がふえてきたというような話もちらほら聞くんですが、小規模事業者への融資の状況、増減傾向というものは把握をされているんでしょうか。

氷見野政府参考人 お答えいたします。

 まず、銀行全体の中小企業向け貸出残高というので見ますと、平成二十五年七月以降、毎月前年同期比で増加を記録しておりまして、本年三月末時点では前年同期比二・四%増となっております。

 お尋ねのありました小規模事業者向け融資につきましては、中小企業向け融資と区分して把握できておりませんけれども、例えば信用金庫の事業者向け貸出残高で見ますと、二十六年四月以降は毎月前年同期比で増加となっておりまして、本年三月末時点では一・四%増となっております。

 なお、全国商工会連合会で小規模企業景気動向調査を行っておられますが、小規模企業の資金繰りDIを見ますと、依然としてマイナスではございますが、平成二十六年十一月以降は改善傾向が続いているというふうに承知しております。

重徳委員 今お聞きのように、部分的には小規模事業者の状況は把握をしていますけれども、やはり融資の実態全体についてはよくわからないというか、それを取り出して調べているわけではないということであります。本気で小規模事業者を支援しようというのであれば、こういったことについてもきちんと把握をするべきだと私は思います。

 さきの商工会議所の人件費のように、分権しちゃって都道府県任せですというんだったら、任せるなら任せるで都道府県の仕事にして、国が今さら法律をつくって全面的に乗り出すなんということをしないという考え方もあると思うんですね。何も国がやるんじゃなくて都道府県が全面的にやる仕事なんだ、都道府県の力量によって、中小企業、小規模事業者、そして商工会の役割も変わってくる、こういう世界ならこういう世界を描いても私はいいと思うんですね。

 しかし、今回の、昨年成立した小規模基本法、支援法といったところでは、国がやはり全面的に計画をつくらせて、それで応援をするといういわば従来型のスキームなんですが、国が乗り出すのなら、国はちゃんと状況も把握をする、そして、先ほどの商工会の設置基準なんかについても、何かしら、少なくとも把握はするというふうに一貫しないと、分権だといって地方にやらせて、でも、やはり大変だから国が政策に乗り出す。でも、私もきのう役所の方と打ち合わせをした感じでは、何かよくわからない、手探りなところもありながら、やれることはやっていきますという印象すら受けたわけであります。

 今回のこの地方創生特別委員会では、私は昨年から再三申し上げております分権という観点が非常に欠落していると思いますが、きょうのテーマは分権かそうじゃないかということよりも小規模事業者がテーマ、あるいは商工会がテーマなんですが、それにしても何かちょっとすっきりしない状況であります。

 いずれにしても、私がきょう申し上げたいのは、商工会の役割というのは非常に重要であると思います。しかしながら、いろいろな事情で人もなかなかふやせない、そして小規模事業者はなかなか苦境から脱することができない。そういう中で、事業の評価だとかあるいは実績報告書を商工会経営指導員はちゃんと出せという中で、もうてんやわんやなんです。

 こういう事情も踏まえつつ、できれば分権といった観点も踏まえて、石破大臣から最後にコメントをいただければと思います。

石破国務大臣 ありがとうございました。

 商工会の果たす役割というのは今回の地方創生にとって極めて重要であって、いろいろな経営指導をやっております商工会が、昨年成立いたしました基本法にのっとりまして私どもも可能な限り支援を行いたいというのは、全国商工会ともお話をさせていただいているところであります。

 あわせまして、総合戦略をつくるに当たって、産官学金といつも申し上げておりますが、私はこの間も滋賀県の商工会の大会に行ってお話をしてきたんですが、商工会が、それぞれの地域の総合戦略をつくるに当たって必ず意見を述べてください、商売をやる人の立場に立って、どういうまちづくりをするかを述べてくださいというお願いをいたしてまいりました。

 やはり私どもは、これから総合戦略をいろいろと拝見させていただくに当たって、商工会の方々がきちんと意見を述べられ、それが反映されたかどうかは重要なポイントだと思っております。これから先、商工会の果たす役割は極めて大きいと思っておりまして、またいろいろな御指導を賜りたいと存じます。

重徳委員 ありがとうございました。以上で終わります。

鳩山委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 維新の党の小熊慎司です。

 きょうのみならずこれまでも石破大臣とは、ほかの委員もそうですけれども、大変いい議論が続いているなというふうに拝察をしていたんですが、特別委員会の宿命か、きょう、常任委員会も開かれていますので定足数ぎりぎりで、まあ、きょうはちょっと割れましたけれども、これは非常に残念なことであるかなというふうに思っています。安倍内閣としてもこれは根幹の政策ということでありますし、また日本においても、この地方創生、人口減少問題にどう対応していくかということは非常に重要な問題であるのにもかかわらず、この委員会が低空飛行というのは本当に改めて非常に残念に思う次第であります。

 これまでも議論を大臣としてきましたが、また改めて、ちょっと確認をしながら質疑をしたいんです。

 いわゆる企業の地方拠点強化の促進、これは東京一極集中を是正していくという一つの契機としての政策でありますけれども、改めてもう一回確認をしますが、今回のこの企業地方拠点強化の促進について、近畿の方と愛知県のところと、この首都圏以外でも除外をしたということの根拠をまずもう一回確認をさせてください。

石破国務大臣 それは除外をいたしましたのは、やはり、その地域がほかのいわゆる地方、普通にイメージします地方と比べて、人口あるいは事業所というのは集中しているということだと思います。そこは感情論でやっても仕方がなくて、きちんとした数字に基づいて言わないとなかなか御理解をいただけない。

 例えて言えば、人口密度で申し上げれば、可住地面積を分母として人口を分子とすると、東京二十三区は百四十三・六ということになります。全国平均は十・三ということでして、ついでに言えば、我が鳥取県は六・五ということになるわけですが。そうすると、では、大阪市はどうなんだろうねというと、これが百十九・五ということになります。名古屋市だと七十一・九ということになります。

 全国平均で見ても、例えば全国平均が人口密度が十・三であるのに、大阪市は百十九・五ということ、名古屋市は七十一・九ということ。やはり、ここは地方と言われるところに比べて集中度合いが高いという判断をされるのではないだろうか。

 事業所密度、すなわち可住地面積を分母として事業所数を分子とすると、東京二十三区が八・九、大阪市はこれよりも密度が高い九・四、全国平均〇・四六、鳥取県〇・三、こういうことに相なるわけで、やはり地方というものの普通のイメージからすると、今回除外をしたところに何の恨みもあるわけではございませんが、この数字から見ると、やはりそれなりにリーズナブルなものだと私は考えております。

小熊委員 その説明が政府のホームページにも載っていますけれども、こういうところで、近畿圏整備法とか、こういうことが根拠になっていると言っているんですね。

 前回の質疑でも、定量的なもの、いろいろなランクづけというか、人口規模に応じてカテゴライズされていくだろう、それに応じていろいろな施策をやっていくべきだという議論をさせていただいて、その辺の方向性として、その訴えを大臣も理解していただいた。それをどうやるかはまた別問題ですけれども、していただいたんですが、ただ、今の大臣の説明ではなくて、レクをやったときにはそんなような感じのことを担当者からも聞きましたが、根拠は、最初、我々も党内で説明を受けたときは、今の大臣の説明じゃないんですね。近畿圏整備法だ、半世紀以上前の法律、だから今回外してあるんですという説明だったんです。

 だから、これも説明を、国民向けにも、地域の人たちにも、こういうことではなくて、今言った大臣のような指標をもって、定量的にこうなんですということをしっかり言っていかなければいけないんじゃないですか。ちょっとこれは書き直す必要があると思います、国民的理解、地域の人の理解のためにも。これはどうですか、大臣。

石破国務大臣 小熊委員がおっしゃるお話は、私も実は役所の中でしたんです。

 何十年も前の整備法というものが根拠で、それから物すごく年数がたっているでしょう、この法律にこう決まっているのでこうですということではなかなか御理解、御納得は得られませんねと。だから、結果としてその法律を使うにしても、その法律ありきではない。その法律の地域というものがほとんど変わっていない。もちろん、一部変わった地域はありますが、ほとんど変わっていない。結果としてその法律になるにしても、この法律があるからこうですではなくて、こういう状況ですのでこの法律を使いますという、説明の仕方をきちんと工夫しないと、なかなか除外された方々の御理解は得られないということは、委員と同じ認識を持っております。

 金科玉条のごとく、こう決まったらこうということではなくて、当然、見直しというものもあるわけでございます。本当にこれが正しかったかどうかということは、これから先も検証していかなければなりませんし、何よりもその地域の方々の御理解を得て、けさほど来議論しております地方創生、日本創生なるものが成就をするのに資するものでなければ意味がないので、この法律にこう決まっているからこうなぞという、そういうような切って捨てたような説明はするべきではないと思っております。

小熊委員 であれば、この間の質疑でも言いましたけれども、指定都市の市長会では、これについて反対の意見が出ている。

 また、与党の中でも、党内議論の中では、名古屋の方々とか大阪の方々とかから非常にいろいろな意見が出ているというのも聞いておりますし、また、今、定量的な問題、大臣はその根拠を示されましたけれども、では、名古屋、大阪以外も、全国平均からすると密度の高いところ、ポテンシャルの比較的高いところというのをどう線引きするのか。

 線引きしちゃうと、そのはざまにあるところからいろいろな異論が出るのは仕方ないことですけれども、大阪と名古屋だけということではなくて、大臣とのこの間の質疑でもそうでした。結局、東京には行かないけれども、近くの大都市、中国地方であれば広島に行っちゃったというのであれば、それで鳥取とかがへこんだのであれば変わらないよねということを大臣も言っていましたから、その定量的な数字を用いるのであれば、より細かくやっていかないと、大臣がまさに危惧していたことになってしまいますし、私もそういうふうになるというふうに思います。

 やはり政府として、細かく市町村ごとに人口はどうだという指標を求めるわけにはいかぬし、はめるわけにもいかないんですけれども、この間からの質疑でも言っているように、そうやって定量的なものを根拠にしているのであれば、より細かくランクづけをして、いろいろな政策を打っていかなければ、結局、大臣が指摘したとおり、東京には行かないけれども、近くの都市に集中して、ちっちゃい市町村は結局何も変わらない、人口が減っていくだけになるねということですよ。

 今後、これは、これからも、コンクリートされたものじゃなくて、修正、いろいろなものをかけていくということですから、根拠をしっかり示すということを今そうやって答弁で言われているわけですから、でも、このホームページも含め、近畿圏整備法というものが根拠になっています。これをしっかり書き改めていただいて説明をしていくということ。

 あとは、定量的なものを指標にしているのであれば、よりまた細かく今後の政策について、政策をその数値に従って打っていかなきゃいけないんじゃないですか。

石破国務大臣 私どもホームページでの御説明は、国民、主権者、納税者にわかりやすいものであるように努めなければいけませんし、納得していただけるものでなければなりません。

 ですから、繰り返しの答弁になって恐縮ですが、法律がこうなのでこうなのだということではなくて、何でこうなるのということを、今回除外になるところは、それは、先ほど、私もこれははっきりと知らなかったんですが、事業所密度は実は大阪市の方が東京二十三区よりも密集しているのだということを聞くと、はあ、そうなのかというふうに思ったりするわけでございます。

 御指摘のように、時間がないので全てを挙げることはいたしませんでしたが、やはり、除外されたところというのは、それなりに密度がかなり高いというふうに言えると思います。

 よりわかりやすいような説明は、それはもう一度ホームページを見直して、常に改定していく、そういうような取り組みはこれから先も図ってまいります。

小熊委員 この事業所密度というのも一つの指標ではあるんですけれども、きょうお配りの幾つかの資料がありますが、いわゆるこれは推計値ですから、この推計が正しい正しくない、そのとおりになるかどうかはまたいろいろな変化はありますけれども、一応、これは指標にしなければいけないというふうに思っています。

 事業所ではなくて、まち・ひと・しごとというのは、仕事があるから人が来るというたてつけもありますから、大阪は意外とへこむんですね、人口が減少していくんです。

 いろいろなデータで少し変わるんですけれども、二〇〇五年を分母にすると、二〇五〇年には大阪は七割になっちゃうんですよ。そういうところがいっぱいあるから、真ん中ぐらいなんですね。決していい状況とは言えないんです。近畿圏で言うと、ほぼほぼいいんですけれども、それは、滋賀県が減る率が少ないということで、近畿圏の人口が、全国の九州圏だ、東北圏だというよりはいいという状況であります。

 ですから、今の事業所だけではなくて、いろいろな方が定量的にやる場合は、いろいろな指標をベースにして政策を打っていかなきゃいけないし、説明もしていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう意味では、これは、東京一極集中の人口問題を解消しようとしていろいろな政策をやっているわけですから、事業所の数とか密度だけではなくて、それをこの大阪圏にはめたことによってまたさらに推計以上に加速するということになれば、これはまた問題が出てくるわけです。

 ですから、今回は、企業を地方に移していきましょうということではありますが、人口ということからすると、こうした推計をもとに、またいろいろな、複眼的に、多角的にどう政策を打つか。一つの定量的な数字、基準だけではなくて、こういうこともやはりはめながら総合的に考えなきゃいけないというふうに思います。

 今回の企業移転、事業所の密度が一つの指標になっているというのは、御答弁のとおりですが、そうであるならば、またほかのいろいろな指標、推計というのも入れながら総合的に判断すべきだったんじゃないんですか。

石破国務大臣 この総合的という言葉はなかなかくせ者でありまして、何を入れるかですよね。だから、私どもが答弁するときに、総合的にとか言うけれども一体何だ、それはみたいに詰められると、答弁に窮しちゃったりすることもないわけではないのですが。

 ですから、やはり、人口と事業所密度というのは、一つの客観的な基準だと思います。あとほかに何があるんだろうかということは、また議論をさせていただきたいと思います。何かほかにもあるような気がします。

 事業所だって、それは大中小いろいろなものがあるわけで、それが悪いとは言いませんが、大体、大阪のイメージだとすると、ちっちゃくて零細なところが一生懸命、たくさん、密度を濃くやっていらっしゃるということ、そうすると、では、総生産額とか出荷額とかそういうもので見たらどうなるのだろうという議論も、それは私はあるんだろうと思っております。

 ですから、どういう要素を入れていけばより客観的で、より公平で、政策の実現に資するものなのかということは、また委員からも御提示をいただき、私どもも、それをもとにいろいろな議論をし、答えを出したいと思います。

小熊委員 前向きな答弁をいただきました。

 まさにそのとおりで、いろいろな指標、それも、客観性があり公平性があり、そして国民の皆様の納得のいく、こうだから、こういう指標があるからこういう枠がはまるんだよねとか、こういうところを優遇していくんだよねというのがわかるようにしなきゃいけないと思う。これがなかったから、御党の中でも、とかしきさんなんかは多分これは反対だと思うんです、本当はね、心の中では。

 だから、こういうことが起きるわけですよ。なおかつ、国民の理解じゃなくて、人口をどうするかということですから、やはり私は、従前から言っているとおり、こういう指標を用いながら、ある程度のカテゴリーによって、規模によって、どうしていくか、優遇政策を打っていくかということを……。

 格闘技でも階級別ですから。ヘビー級以外は全部無差別級なんということじゃなくて、ある程度の階級別にしていかないと、いわゆる人口配分では、それは多少偏りはそれぞれの努力によって変わりますから、そこまでははめるわけにはいきませんけれども、やはり数千人規模とか数万人規模とか何十万人、百万人を超える規模のところを一緒に競争といってもそれはなかなかうまくいかない。

 また、中核市となった後、その周辺の町村の連携ということを図りながら地域全体で人口を保っていくということもありますけれども、そうした意味でも、客観的な指標また推計といったものをどんどんどんどん検討いただいて、それを根拠にどうしていくかということの視点が今欠けていますから、これはぜひ御検討いただいて、また、五年間で七千五百社ということで、五年間のスパンがありますから、この中でも、いろいろな変化が、修正が、改良が加えられていいと思いますから、そうした視点を持ってぜひ今後取り組んでいただきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問に移りますけれども、三月でしたか、大臣が、鉄道は地方創生の核だという発言があって、僕は鉄ちゃんではないんですが、まあまあほぼほぼ鉄道は好きなんですけれども、のめり込むほどではないんですけれども。

 鉄道のみならず、公共交通をどうしていくかということは、地方によって、特に人口が減少している地方においてはなかなか大変なところであります。マイカーがないと暮らせないというのは、大臣の地元も私のところも一緒ですけれども、いろいろな、学校がなくなると地域のポテンシャルがなくなるみたいなのと一緒で、鉄道がだめになるとその地域のポテンシャル、過疎化が進むよねみたいな話もあるし、かといって、百円稼ぐのに千円かかるというような路線も、それをどう維持していくのかというのもなかなか大変ですし、三セクも私の地元にありますけれども、周辺町村がお金を出し合って支えていますけれども、なかなか負担も大変。では、鉄道やめますかといっても、それもまたいろいろな、後ろ向きになってしまうというところがありますけれども。

 こうした、維持していくのにも大変だけれども、なくすということも地域のポテンシャルが下がる、こういう公共交通について、ざっくりと大臣の御所見をまずお聞きいたします。

石破国務大臣 それは、一つはモーダルシフトという視点がないと、どこも、鉄道も飛行機も船も高速道路もという話になると、それは国家の資源配分として決して適正なことにならない。それぞれの交通機関に適した距離とかそういうものがございますので、モーダルシフトという観点は必要だというのが一般論としてはございます。

 一方におきまして、私が鉄道マニアだから言うわけでは決してないので誤解をしないでいただきたいのですが、鉄道だと、すぐもうからないからという話が出るんですけれども、道路でもうからないからという話を聞いたことがない。鉄道だと、もうからないからあれは廃止だの、いや廃止をするのはけしからぬだのみたいな話になるんですが、道路はもうからないのでこの道路は廃止だという話は、もちろん誰も聞いたことがない。

 それは、道路と鉄道のそもそもの性格の違いによるものであってということはよく承知をしておりますが、鉄道は、定時性、そしてまた環境に対する負荷の少なさ等々によって、それなりの役割を果たすべきなのだと思っております。

 ただ、鉄道というのも、相当インフラ投資にお金と時間を要しますので、この法律でもお願いをしておりますが、ディマンドバスとかディマンドタクシーとかいうものを、その特性を生かして、どうやって小さな拠点とそれぞれの集落間に生かしていくかというのは、これも鉄道には果たせない役割ですので、このディマンドバスとかディマンドタクシーなるものをどうやってネットワークとして活用するかという議論はしていかなければなりません。

 それぞれの特性を生かしたモーダルシフトという考え方は、やはり、地方創生においても、地域のこれから先のあり方においても必要な視点だと考えております。

小熊委員 その中で、ちょっと個別具体的な話に入っていきます。

 二〇一一年、東日本大震災があった年、新潟・福島豪雨というのがあって、私の地元の只見線が壊れて、いまだに復旧していなくて、地元から何とかしてくれという中で、自民党の方でまだ党内手続が、コンセンサスが得られていないということで、鉄道といってもこれは民間会社ですから、黒字会社に国が補填するのはどうだというところもあるんですが、ほぼほぼ、まだ与党の中では合意は得られていませんが、鉄道軌道整備法改正法というのが検討されているというところで、我々も、地元の町村長から何とかしてくれと言われても、与党さんから出てこないと我々も検討に入れないから待っている状況ですとは言っているんですけれども。

 こういう、災害でやられたとか、急に事故でなって、また復旧にすごい投資をしなきゃいけない、それは国が金を出す、黒字会社であっても、これは災害だから、ましてや地域の大事な鉄道だから。でも、鉄道も大事、だけれども道路も大事、全て包括的に考えなければ地域の足というのはないですよ。観光客が山奥の駅に行ったって、そこからどうやって周辺観光に行くのといったら、足がなければ行けないわけですから、いろいろな視点からいうと、いろいろなネットワーク化をしていかなきゃいけないんです。

 さはさりながら、黒字の会社にこうやって政府がお金を突っ込めるという法律という考え方、そうやらないと多分復旧しないんです。今の赤字路線をどうするかというのは、何か壊れたときにやるというのは、ただそれは、会社は多分何十億もかけて直せと言われれば、ではこの際廃線という方向に行きますから、実際、今そういう状況ですから、そのかわりバスを走らせてもらっていますけれども、それでいいでしょうとなっちゃっているんですよ。でも、地元としてはこれを復活させてくれと。

 私もこれは、まだ自分の中ではすとんと落とし込んではいないんです。確かに民間会社ですし、地域の足というのは鉄道が絶対条件でもない。でも、鉄道の役割、また、それがなくなることによっての総合的なイメージというのもありますから、いろいろなプラスアルファの部分も考えれば、簡単に答えの出せる問題ではないんです。

 これは議員立法でやるから大臣が答えるかどうかは別として、こういう考え方の方向性ですね、今、法案を検討されている。この方向性については何かコメントがあればお願いします。

石破国務大臣 私は国交大臣ではございませんので、こういうことで自分の所管を超えて答弁をしてはいけません。

 この只見線なるものは、たしか、何か鉄道雑誌でしたか何でしたかしら、日本で一番きれいな鉄道というような、そういう選定もなされているという鉄道だと承知をいたしております。としたところが、またやたらめったらお客が乗らなくて大赤字だということもこれまた事実であって、今の法体系からいえば、JR東日本は黒字ですから、そういうものに対して財政的な支援をしながらというのは、それは筋が通らないねということになるわけです。

 そうすると、JR東日本は黒なので、全体で見れば黒だから、これは別に東日本大震災で只見線は不通になったわけではなくて、ほかの豪雨災害だと承知をしておりますが、そこにおいて、福島県あるいは地元にどのような御負担をいただくことができるのか、ではこうすればJR東日本が経営判断として支援をしやすいようなスキームというのをつくることができるのかということを、私は、たしか閣僚になる前、党内で議論をしたような記憶がございます。

 ですので、そこは、議員立法という形になると難しいのかもしれませんが、あくまでJR東日本の経営判断を慫慂するような仕組みというものをつくるということが議論されていたように私は思っておりまして、この只見線を生かした地方の創生みたいなそういうプランも、私はこれはあり得ると思っております。

 いずれにしても、政府としてあれこれ申し上げることではないので、過去そのようなことがございましたということを申し上げました。

小熊委員 原案は自民党からいただいているんですけれども、できる規定なので、JRがやりますと言わなければ税金を突っ込むこともできない。

 今、気象の変化でいろいろな災害が起きているということであれば、今後、これは只見線だけではなくて、多分全国的にも、赤字路線がこういう自然災害で壊れる、それの復旧をどうしようかというテーマはますます出てくるというふうに思います。これは政治としてどう判断を下していくかというのは、やはりこれを契機に議論をしていかなければいけませんし、安直にやる問題でもない、後ろ向きにやる問題でもない。実際は、事業者の意思もありますし、非常に難しいというふうに私も思っています。そこでやるから、事業者が負担になれば、ほかのお客さんの運賃にはね返ってくるということもありますので。

 総合的という言葉はまさに危ういと、大臣、きのうの本会議でも大分総合的というような答弁もありましたので、ああ、いい言葉だな、使いやすいなと思って言いますけれども、これこそ、本当に総合的にいろいろ検討しなければいけないという意味では、今後も大臣といろいろ議論をしていきたいなというふうに思っています。

 最後の質問に移りますけれども、先ほど来も地域愛みたいな話が出ていました。地方創生の鍵というのも、精神的なところではありますけれども、やはり地域愛というのがなければいけないなというふうに思っています。

 沖縄は、気候の条件もいいからかもしれませんけれども、Uターン率が高いわけです。これは、失業率が高くても、賃金が安くても帰るというのは、やはりその地域愛というものがあるのかなというふうに思っています。

 この地域愛の醸成というのは、政治がそういう精神世界に関与するというのはなかなか難しいところではありますけれども、やはりその地域を愛している、ふるさとを愛しているということで人は帰っていくきっかけにもなるというふうに思いますし、単に、仕事があって、あっちの方が給料がいいから行くよというだけではないというふうに思います。

 その地域愛の醸成をどうしていくかというのはなかなか難しいんですけれども、たまさか私のふるさとの会津は、多分日本でもなかなか珍しいところで、旧藩意識、幕藩体制の意識が非常に強くて、我々の戦後は一九四五年ではなくて一八六八年で、それが総括されていないと安倍総理にもちょっと言ったこともあるんですけれども、会津人という言葉を使うんです、日常会話で。私もそれで指導されますし、私も後輩に向かって、おまえ、会津人として恥ずかしいよという言い方をするんですね。究極的に言えば、スコットランドみたいに住民投票をやって、独立しようかななんというのもないことはないんですが。

 こういう地域愛の積み重ねがまた、日本人という愛国心につながっていくというふうに思いますし、日本人といってもちょっと広過ぎますし、やはりリアリティーを持った地域愛というのは非常に必要なことだというふうに思います。そこで誇りを得ていく、また、まさに物質的な世界ではなくて、そういう精神世界の中で地域を何とかしていこうとかというきっかけが必要だというふうに思うんですね。

 これはまさに教育のところから始まらなきゃいけないんですけれども、今回、政府の方でも、会津藩の什のおきてというのを教科書に載せるように図っていただいたということで、非常にいいことだというふうに思います。

 地域愛を醸成するというのは、地域の魅力を発信していくということもありますけれども、やはり教育の中で、先ほど言った、自分の町をよく知らないよねというような、その問題があるよねというのもありました。私は、教育機関の中で、こうしたものを、もっとよりよく地域愛というものを出していくべきだというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

石破国務大臣 似たようなお話を、私、この間京都で聞いたんですけれども、京都でさきの大戦というと応仁の乱のことなんだそうですね。一四六七年でしたか。いろいろなところにいろいろな話があるものだ、こう思うわけであります。

 やはりその地域地域に自信と誇りを持つためには、その地域でどんな歴史があって、そして、応仁の乱だろうが、あるいは関ケ原だろうが、あるいは明治維新だろうが、やはり日本史でいろいろなことは習うんですけれども、そのときに、会津は会津で、もう会津は一番典型ですけれども、そこの人たちはいろいろなことに悩んで、いろいろな行動をしてきたはずなんです。

 その地域地域でそこの歴史を教える。そして、そこには必ず誇るべきものがあるはずなんです。感動させるような物語があるはずだし、その地域の歴史であり産業であり、そういうものを教えていく。やはり教育において自分の生まれ育ったところが大好きですというのをつくっていくというのは、これから先、大事なことじゃないだろうか。

 東京に行って大阪に行って仕事をしていても、常に地元に対する愛情というのを失わないのは大事なことだし、それが、何となく帰巣本能みたいな、そういうものになってはいけないんですけれども、私は、最初に東京に出てきたときにどうしてもなじめなくて、当時はブルートレインというのがあったので、石川啄木の歌じゃありませんが、東京駅に行って、山陰地方に行く列車、乗れないんだけれども、そこで地元のなまりを聞いて、すごく懐かしいなと思ったようなこともあります。

 やはり地元に対する愛情というのは、それは何もしなくて備わるわけじゃない。やはり、委員御指摘のように、教育というのが果たす役割は極めて大きいと思っております。

小熊委員 私も、ずっと意識して会津人というのは、若いときはなかったです。東京に出てきて新井将敬さんの秘書をやって、もう東京にずっといるものだと思っていたら、ある日突然、新井先生から大田区の区会議員に出ろと言われたときに、いや、僕は会津人ですから、バッジをつけるのなら地元に帰りますと、それは自然発生的に出たんですね。

 というのは、無意識のうちにそういうものが醸成されていくというのがありますから、会津はその典型でもありますので、そうした御視察をしに、ぜひ大臣、会津にお越しいただいて、地域愛とは何たるかというのをぜひ学んでいっていただきたいというふうに思いますし、そういうことでよろしくお願いをいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。まず、質問に入る前に、本来であれば、きょうは朝一番、九時半から質問させていただく予定だったのが、私自身、内閣委員会で質問がかぶっておりましたので、時間を調整していただきました。与野党の理事の皆様にまず御礼を申し上げたいというふうに思います。

 早速ですけれども、質問に入りたいと思うんですが、本日は、新型交付金について少し意見交換をさせていただきながら、今後どのように道筋をつくっていかれるのか、そしてまた、政策の深掘りについて、あるいは個別施策の深化について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まずは新型交付金でございますけれども、政府におきましては、六月中を目途に、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五を取りまとめられるとのことでございますけれども、それに向けて、全国知事会も提言案をまとめてこられました。五月二十一日には、政府にも行かれましたが、我が党の活気ある温かな地域づくり推進本部の桝屋本部長のところにも要請活動をいただいたわけでございます。

 その中にもございましたとおりですが、一般財源総額の確保に加えということで、地方創生を深化させ、地方の創意工夫等により力強い潮流をつくるための新型交付金を創設することということで御提言がありまして、その性質、これは、地域間連携であったりとか、民間と協働していくとか、従来の取り組みの隘路にしっかり対応していくとか、そういった内容についても触れられておったり、金額規模であったりとか、さまざま触れられておるわけでございます。

 ただ、その提言の中で一番触れておきたいところは、新型交付金に触れる前の段階で、その前段で、歳出削減を目的とした地方交付税の総額を圧縮するようなこと、これに対しては強い警戒感を示しておられるということでございます。

 では、一体どこでそういう議論がなされているのかという話なんですけれども、実はこれは経済財政諮問会議とかで議論されておりまして、そういう趣旨に近い議論なのかなと思うわけでございますが、五月十九日、ことしの六回目の経済財政諮問会議が開かれたわけでございます。

 この中で、経済再生と財政健全化に向けて論点整理を行われているわけでございますが、民間議員からこのような発言があったんですけれども、分野ごとに基本的な考え方と改革の基本方針という内容が示されておるわけでございます。

 地方行財政改革・地方創生というテーマにおきましては、地方交付税制度を財源保障機能重視から成果主義重視に転換するとか、地方交付税の単位費用、これは基準財政需要額のことだと思うんですけれども、これを低コスト団体に合わせるとか、交付税等の配分基準を、人口数やストック量から、人口減少の改善度合いをしっかりと見ていきたい、あるいは子ども・子育て世代重視の政策に基準をしっかりと当てていこうというような話が提言としてございました。

 この二つの話、非常に両方とも大事な話をしているというふうには思うわけでございますけれども、地方側からすれば、知事会の皆様からすれば、さまざま御懸念があるということはよく理解するものでございますし、一方で、新型交付金がないと地方創生の取り組みができないかというと、必ずしもそうではないというふうには思います。一方で、かといって財源がない中で取り組めるかというと、それもまたそうではないよねというふうに思うわけでございます。

 この新型交付金の話を進めるためには、地方創生の取り組みのための財源、その取り組みによって将来的に得られるであろう税収の伸びと地方交付税のあり方、そしてまた各省庁にまたがっているような、存在しているような補助金とのすみ分けなど、こういった論点をしっかりと整理しながら議論を進めていかなければいけないというふうに考えておるわけでございます。

 一方で、今年度中に策定する地方における地方版総合戦略は、何かしらの財源がないとなかなか総合戦略としても立てづらいという話もございますので、しっかりその辺は早急に提示していく必要があるというふうに考えるわけでございます。

 まず、大臣がよくおっしゃられております、地方の稼ぐ力をどうやってつけていただくのか、こういった議論からすると、この地方版総合戦略に書かれることが必ずしも稼ぐ力を強化するためだけに使われるとは限らない。つまり、結婚、妊娠、出産、子育て、こういったところにも使われたりするわけでございますし、そういう意味では、直接、短期的に地方の稼ぐ力に影響を及ぼすかというと、そうではないのではないかというふうに思います。

 そこで、ちょっと前置きが長くなりましたけれども、新型交付金、これを、地方の稼ぐ力を強くして地方に確かな産業基盤を残していく、そういう考え方のもと、非常に必要であるというふうに理解しておるわけでございますけれども、稼ぐ力の育成と新型交付金がどのように関係するのか、この点、大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 大変難しい御質問をいただきました。

 これは実に私自身が悩んでおるところなので、委員がまさしく御指摘になったように、実は新型交付金なんかなくても、できるところはできるんじゃないって、それはそのとおりなのです。交付金がなくたってできるところはできるはずだ。ただ、交付金が入ることによってより稼ぐ力が増す場合もあるのではないだろうか。

 これからつくっていただきます、今つくっていただいておりますがところの総合戦略の中において、いろいろなキー・パフォーマンス・インディケーターの設定があると思います。そこにおいては、御指摘のように、出生率もあるかもしれない、あるいは農業生産額もあるかもしれない、外国人観光客の宿泊数もあるかもしれない、そこは稼ぐ力に重点を置いたものと、人口に重点を置いたものと、いろいろなものがあるだろうと思っております。

 稼ぐ力というのを考えたときに、やはり民間の持っているいろいろな活力をいかにして最大限に引き出すかということがポイントだと思います。あるいは観光DMO等においては、地域間連携がなくて、それぞれの町村がばらばらにやっておってもそんなに有効な観光政策が打てるとは思っておりません。

 そういう稼ぐ力というのを念頭に置いたときに、今までの補助金、あるいは今までの結果平等を志向します、財源保障機能、財源調整機能を中核といたします地方交付税、あるいは地方単独事業、これだけではできないものがあるのではないだろうかというストーリーをつくらないと、まず最初に財源論をしても仕方がないのだと思っております。

 きのうも地方六団体の方と随分と率直な意見交換もいたしました。ですから、御指摘のように、財源確保というのは、それはそうなんですけれども、まずそれありきだと議論がおかしな方向へ行くと思うんですね。何のために新型交付金が必要なのかということを、隘路とは何なのかを明確にした上で、この新型交付金をこのように活用することによってKPIの達成が容易になる、それがその地域の稼ぐ力等々を引き出すために必ず寄与するものであるというお話をきちんとつくらないと、この議論は成り立たないと思っております。

 新型交付金というのは、単なる財源確保の道としてあるのではございません。地域の設定していただいたKPIというものをいかに達成するかというために、稼ぐ力に限らず、寄与すべきものと考えております。

濱村委員 今大臣からも、新型交付金がなくてもできることはできるのではないかというお話と、KPI、しっかりと定めた限りには、しっかりと到達できるように努力をされるということでございましたけれども、必ずしもKPIが正しいかどうかというと、それもまたわからない、不明瞭な点もあるというふうには思うわけでございますが、では、何のためにこの交付金なりを使うのか、この点が非常に重要だと私も感じているところでございます。

 ここで少し確認をしておきたいのは、新型交付金を配分する際に、その配分基準、政府が事業評価を行われるものだというふうに認識しております。

 もともと、行政マンとして極めて優秀な方々が今しっかりと役所で勤め上げておられるわけでございますけれども、そもそも稼ぐ力、言ってしまえば、ある種のビジネスマンのような形で、目きき力があって、この事業はいけるとかということを判断できるような人がいるかどうか、これは非常に大事な視点なのかなというふうにも思っております。

 そういう意味においては、この事業、総合戦略を立てて、その中でやろうとしている事業を評価する人材をしっかりとそろえて、その体制整備をする必要があるというふうに考えるわけでございますが、どのような対策を行うのか、確認したいと思います。

石破国務大臣 これは、商売をしたことがない行政マンが評価しても多分だめなんだろうと思います。そんな能力があるんだったらビジネスマンになっているかもしれません。いや、それがいいとか悪いとか言っているわけじゃなくてですね。

 そうしますと、ここにおいては、私は余り有識者という言葉を多用するのは好きじゃないんですけれども、そういうビジネスのわかる人、もちろん、総合戦略をつくるに当たっては、産官学金労言とかいって、金融機関も必ず入ってくださいと。

 それが、例えば海士町の岩ガキの話もそうですが、一番最初の初動資金といいますか、二年前、一年前のカキであっても新しくとれたと同じようなCASシステムというのを入れるのは当然補助金を入れています。その後それがビジネスとして成り立つかどうかは、きちんとそこで設計された、ばくちをやっているわけじゃありませんから、ですから、総合戦略をつくるに当たっても、そういうビジネスの視点は入っているはずです。入っていないはずはない。

 ですけれども、それをどのようにして捉えるかということは行政の責任においてやりますが、そこにおいて、外部のそういう知見を持った方々がそれを見ていただく仕組みというのは今構築をしておるところでございます。

 かてて加えて、それは公平性と公正性と透明性が確保されなければならないので、なぜこのように私どもとしてそれぞれの総合戦略を捉えたか、考えたかということが、それぞれの自治体に公平性、公正性、透明性を持って見ていただけるようにしなければなりません。そういうような仕組みをなるべく早くつくって、また委員の皆様方の御議論を賜りたいと思います。

濱村委員 今、ビジネスのわかる人ということで、海士町の事例も引かれましたけれども、私自身も昨年の九月に海士町へ行ってまいりまして、山内町長ともいろいろ意見交換をさせていただき、そしてまた、この前の委員会でも、大臣が山内町長の本を紹介されておられましたので、私も読もうと思いまして、ただ、今売られていないということで、とりあえず、まずは国会図書館で借りたわけでございます。今も私の事務所にあるので、早くお返しして皆さんに読んでいただかないといけないなというふうに思うわけでございますが、本当にいいことが書いてあるんです。

 何がいいかというと、やはりせっぱ詰まってやろうとしている。財源がない中、自分たちの給料を削ってでもやる、そこで財源、まあ微々たるものだけれども、そこから出してでも、何としてもやるという強い意思。そしてまた、その中で、ビジネスがわかる人かどうかは実はわからないんですが、課長さんで、非常に優秀な方がおられる。優秀というよりも熱意のある方と言った方がいいかもしれません。こういう方がリーダーとなって、しっかりと力強く進められた。そしてまた、建設業をやっていたような方がCASシステムを入れて冷凍保存するというようなことも、新しいビジネス展開をされている。

 非常にすばらしい取り組みをされているなと思って、私もこの取り組み、ぜひどんどんどんどんいろいろな方に目に触れていただきたいなというふうに思っております。

 そうした取り組みをしながら、地方創生の取り組み、これは地方自治体の税収を上げることも目標の一つではないかというふうに思うわけでございますが、税収が上がること、これ自体は地方交付税の側面からして非常に大事なポイントであるとは思うんですけれども、自治体からすればどのようなメリットがあるか、確認したいと思います。

橋本政府参考人 お答えをいたします。

 地方交付税制度におきましては、地方団体の自主性、独立性を保障し、自主財源である地方税の税収確保に対する意欲が失われないようにするため、基準財政収入額の算定において、標準的な地方税収入の七五%を算入することとしています。税収が増加した地方団体においては、増収分の二五%が留保財源として手元に残る仕組みとなっておりますので、一般財源である地方交付税と標準的な税収入とを合算した額がふえることになります。

 また、地方創生の取り組みにより税収が増加するということは、県民所得や農業産出額、製造品出荷額、若年者や女性の就業率など、地域における経済指標も着実に改善、向上していくものと考えられます。

 基準財政需要額の算定において、地域の元気創造事業費や人口減少等特別対策事業費では、人口を基本とした上で、これらの取り組みの成果に係る指標も加味して算定をいたしますので、需要額の面でも地方交付税の増額要因になるものと考えております。

濱村委員 今、留保財源があるのでというお話がございました。自治体の税収アップにつきましては、しっかりと自治体が自由に使える財源がふえるということで、非常に大事だということは理解するものでございます。

 一方で、経済財政諮問会議の中で出ているような提言については、少し疑問が残るところがあります。というのも、これが、不交付団体がふえると、税収がふえるから不交付団体がふえるというようなロジックを立てておられるんですが、確かに税収がふえたとしても、それが不交付団体にすぐさまこの五年間ぐらいでなり得るのかどうか、これは私は少し、まだまだそこまではいかないんじゃないかなというふうに思っておりますので、これは慎重な議論をしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。

 ぜひ、こうしたことも踏まえて、しっかりとバランスよくこの新型交付金の議論を進めていただければというふうに思っておる次第でございます。

 次に、個別施策の一つでございますが、地方大学の強化について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、地方大学、今現在、大学生等の地方定着のために、奨学金を活用して、基金をつくって財政面での支援措置というのが政府からも提示されているわけでございます。これは、要件として、地方経済の牽引役となる産業分野や戦略的に振興する産業分野に係る地元企業に就職するというようなことなど、地公体と産業界がしっかりと話し合って事業を進めるということであります。

 どちらかというと学費における支援が側面的には強いのかなというふうに思っておるわけでございますが、学生が進路を選ぶ際には、学費も大事なんですけれども、希望をかなえる進路ということも大事でありまして、質の改善こそが地方大学へ進学したくなるのではないかというふうに考えるわけでございます。

 そこで、一つ事例を紹介させていただきたいんですが、先日、京都工芸繊維大学の古山学長と森迫副学長、私は京都にもお話を聞きに行ったりしたことがあって御縁ができて、今回こういうことをやるんだよということで教えてくれました。

 どういうことかというと、もともと京都工芸繊維大学は京都市の左京区松ケ崎というところで、割と都会、都心にございます。一方で、北京都の方に、具体的に言うと福知山に分校を構えようというふうにされております。その転換をしようという前に、地元の、京都府の北部の方々にアンケートをとった。高校一年生、二年生に対して、対象者は大体三千名を超えています、三千百十九名に対してアンケートをとられたわけでございますけれども、この中で何を言われているのか。

 実は、先ほど申し上げた政府からの提案にあるような奨学金、卒業後、地元企業に一定期間就職することを条件とする、地元企業が出資する奨学金制度があった場合、その制度に申請を希望しますかというアンケート項目を設けますと、三二%が申請を希望する、残りが希望しない、あとは不明の人が百名強おられる状況でございますが、三二%だったんです。

 私は、この数字が多いか少ないかでいうと、案外少ないなというふうに感じたところなんです。つまりは、奨学金を得て地元に戻るということにはそこまで魅力を感じないのかなというふうにも思ったわけでございます。これは高校一年生、二年生なので、どこまで学費に対してシビアに感じているかという点も少し感度は違うかもしれませんけれども、一つ参考になる話ではないかというふうに思いました。

 一方で、そのアンケートの中には、ほかにもとっておりまして、進学、転勤等で地元以外に移住した場合、将来的に地元へ戻り定住したいと思うかというような項目がございます。この点について、七%が、戻ってこられるならすぐにでも戻って地元に定住したい、もう一つ、大学卒業後、戻って地元に就職し定住したい、これが一二%、合わせれば一九%で、大体二割の方がそのようにおっしゃっている。

 やはり地元に残りたいという学生さんはいるんだということで、京都工芸繊維大学、しっかりと地元で学べるようにということで考えたと。一、二年生のうちは京都市左京区にて学びます、三、四年生は福知山です。その間に、別に福知山だけにとどまるのではなくて、実はこの近隣にはさまざまな企業さんがございます。地元企業の方々、これは大体繊維関連企業であったり機械金属工業が多い地域なんですけれども、こうした地元の企業がタイのチェンマイに工場を持っている、そこにインターンシップに行かせるというようなことをもう既に大学として考えている。つまり、二拠点で学ばせるだけではなくて、海外にまで目を伸ばしてしっかりと学びをしてもらおうじゃないかということで、大変すばらしい取り組みだなというふうに思っております。

 これは、何が大事かというと、学生の視野が狭くならないこと、これが非常に重要なのではないかというふうに思うわけでございますが、学生を地元に残す地元に残すばかり考えると、少し視野が狭くなってしまいがちであるというふうに思うわけでございますけれども、視野を広く持ちながらもしっかりと地元に残す、こうした取り組み、ぜひ全国的にもやっていただきたいというふうに考えておりますが、文科省の御見解をお伺いしたいと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、京都工芸繊維大学におきましては、京都府福知山市におきまして、京都工芸繊維大学北京都分校、仮称でございますけれども、設置しまして、地域から世界を見据えた理工系人材育成機能を強化する地域創生テックプログラムというものを構想しているものと承知しております。

 その具体的内容につきましては、現在、同大学において検討中だと聞いておりますけれども、北近畿には理工系の大学がなく、また、理工系志望の若者が流出する一方で、委員御指摘のとおり、地元においてはさまざまな企業が立地しておりまして、理工系人材の育成や定着への地域ニーズが高いということを踏まえまして、地域入学枠を設定しまして、京都府北部や北近畿から学生を受け入れるとか、あるいは三年時から、分校におきまして、行政や地場産業等の地域課題をテーマとした課題解決型の学習に加えまして、地元企業や在外日系企業と連携したインターンシップなどを通じまして、若者の地域定着や地域活性化、理工系産学連携拠点形成によります産業イノベーションの創出を目指している取り組みというふうに承知しているところでございます。

 文部科学省は、こうした大学における意欲的な取り組みを、関係府省とも連携しながら、さまざまな機会を通じまして関係者に周知するとともに、例えば運営費交付金などを通じまして大学の取り組みに対する支援に努めてまいりたいと存じます。

濱村委員 限られた時間ですので、私も、もうあと一つのテーマに絞らせていただきたいと思います。

 政策として深掘りしていきたい分野として、地方における仕事をどうやってつくっていくかという話でございますが、地方における仕事を考える上で、稼ぐ力と雇用する力、これをそれぞれ意識しながら考えていくのは大変重要なのかなというふうに思っているわけでございますが、その両方をできる可能性があるのはふるさとテレワークということだと思っております。

 このふるさとテレワーク、そもそも何が問題かというと、要は、地方部にて、都心から若い世代の方々が仮に移住して働くということになったとしても、旦那さんの収入だけではなかなか食べていけない、奥さんもちょっと働きたいと言いつつも、なかなか奥さんが働けるような仕事がないというような話が、実は先ほど申し述べた山内町長の本の中にも書いてありました。つまり、女性が都心と同じような仕事ができないものかというわけでございますが、それに非常に寄与するのがふるさとテレワークであるというふうに思います。

 どういうことかというと、都市部の仕事を地方にアウトソーシングするというような話かと思います。テレワークを活用してみたりとか、ビジネスプロセスとして業務をアウトソーシングするということで、これは、地方部の雇用の確保にもつながるというふうに思うわけでございます。

 そもそも、これが企業の地方移転にもしっかりとつながっていくんじゃないか、どういう業務であれば地方に出しても我が社は業務が回っていくのかということを事前調査するためにも、自分のところの業務を、どの分は外に出していけるか、地方に出していけるか、これを考えながら試行錯誤して、では、大きく本体としても行こうではないか、こういった工程表をつくっていけるためにも非常に役立つものであるというふうに思うわけでございます。

 いわゆるふるさとテレワークの推進が、地方の雇用、稼ぐ力だけではなくて雇用する力にも非常に恩恵をもたらすというふうに考えますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

石破国務大臣 これは、地方における雇用というものを、革命的にという言葉を使っていいかどうかわかりませんが、今までできなかったことが相当にできるようになるということだと思っております。

 ふるさとテレワーク事業というのは、総務省において、どのような効果をもたらすかということを今実証事業としてやっているわけですが、委員御指摘のように、地方に本社移転をするということを決める前に、何なら移転できるんだろうねということを事前にきちんと把握しないと、これはばくちをやるわけじゃありませんから、そういうようなことを把握することは必要なことだろう。

 あわせて、高齢者の方、女性の方、育児休業中の女性の方、あるいは、男性が育児休業をとるというのはワーク・ライフ・バランスの点からも極めて重要なことだと思いますが、だけど、そんなこと言って会社はどうするんだよみたいな人は必ずいるわけで、これもテレワークをすることによって相当できるのではないか。

 地方における雇用、あるいはワーク・ライフ・バランス、あるいは企業の本社の機能移転、そういうような三つの観点、ほかにもあるのかもしれませんが、このテレワークというのは大きな要素があると思っております。

 実証事業によって、この数字がどうかわかりませんが、移住人口、あるいは地元における雇用効果、地場産業の活性化等々、いろいろな試算も出ております。政府として、それがきちんとできるように、この実証事業の実が上がるようにしてまいりたいと考えております。

濱村委員 時間が来たので終わりますけれども、このふるさとテレワーク、恐らく民間で十分進められる話ではあるかとも思うんですが、大事なのは、マッチングさせるところと、あと働く場所、それを提供するのは自治体が十分かかわれるところなのかなというふうに思っております。

 コワークする場所を提供していく。これには、空き家であったり、古民家であったり、あるいは公共の施設を貸し出していくということが可能性として見込まれますので、自治体の皆さんもぜひこれは一緒になって、そしてまた、我々もしっかりと力を込めて進めてまいりたいというふうに思うことを申し述べて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 こんにちは。吉良州司でございます。

 きょうはこの地方創生特別委員会で初めて質問させていただくことになりますけれども、石破大臣は、私、極めて尊敬しておる大臣でありまして、今、国会議員を見ても、また時間的に過去にさかのぼっても、恐らくは最も高い説明能力、そして答弁能力を持つ方だというふうに思っています。私は直接お会いしたことはないですが、恐らく田中角栄元総理以来なのではないかなというふうに思っています。単に説明能力、答弁能力が高いというか、高いことの背景にはそれだけの理念的、哲学的なバックボーンを持っておられるし、それらを背景にした、系統立った政策についての考えをお持ちなんだというふうに思っています。

 その石破大臣相手にいろいろ追及したりする気は毛頭ございません。やはり、地方が元気になるにはどうすればいいのかということについて私が思う本質論について、石破大臣の胸をおかりしながら意見交換できればいい、このような思いで質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 最初は極めて抽象的な質問になりますけれども、石破大臣、地方が抱える最大の問題というのは何だと思っておられますか。いろいろな視点があることは承知していますけれども、石破大臣が思うところの地方が抱える最大の問題点は何だとお思いになりますでしょうか。

石破国務大臣 何せ四十七都道府県、千七百十八市町村ありますので、それぞれがいろいろな課題を持っていると思います。私は、全国あちこち行きますが、やはり基本的には鳥取県第一区の感覚で物を言ってしまうところがあるんですが、地方の抱えている問題点というのは、長い間、公共事業と企業誘致によって地域の活性化というのは過去あった、やはりそういう成功体験というのか、そこから抜け切れていないところがあるんじゃないんだろうか。

 首長さんが霞が関にやってきて、公共事業ちょうだい、あるいは、大手町を初めとする企業の本社に行って、何とかうちに工場ちょうだい、そういうことがあって地方に雇用と所得があった。それから半世紀時が流れても、やはりそういう中央志向というのか、お願い体質というのか、そういうところがまだ残っているのではないだろうか。

 と同時に、財政民主主義というのは本当に機能しているのだろうか。逢坂委員との議論の中でもありましたが、お任せ民主主義で、一票を入れたらば後は首長と議会がやってくれるんだみたいなところがあり、そこの議会において財政民主主義がきちんとワークしているかどうかは、私はやや問題点がありはしないかなというふうに思っております。

吉良委員 私が感じるところと同じような思いを持っておられるというふうに受け取ったんですけれども、私自身は、地方の最大の問題というのは依存体質だと思うんですね。今おっしゃられた企業誘致もしかりでありますけれども、また、公共事業について霞が関にお願いに上がるということもそうですが、依存体質が抜け切れない、自立しようという強い意思がない、ここが最大の問題だろうというふうに思っています。

 ちょっと話が脱線して恐縮ですけれども、実は、これは地方だけではなくて、私は日本全体が抱える問題だと思っています。国自体も、今安全保障法制を議論されていますけれども、一方では米国との同盟強化、場合によっては集団的自衛権の容認も含めて大事だと思いますけれども、やはり、自分の国は自分で守るという自立というものが非常に重要だし、これは企業にとっても、地域にとっても、そして個人にとっても、依存から自立へというのが我が国の一番の大きな課題だというふうに思っています。

 その中で、一番依存体質が残っているのがやはり地方ではないかというふうに思っています。

 そのことを申し上げた上で、もう一点。今まさに地方創生の議論を進めているわけですけれども、この地方創生の議論を進めるに当たって、また、時には過去あった、今も含まれていますけれども、例えば過疎対策というようなことを議論する際に、一番大きな問題というのは何だと大臣はお考えになっておられるでしょうか。

石破国務大臣 まばらに過ぎる過疎ということでありますが、そこにおいてなぜこのようなことになるのか。私の地元でもそうなんですが、道路を整備したことによって、あるいは道路に限らずいろいろなインフラを整備したことによって過疎が進んだということがある、これをどう捉えるかというのが一つ。

 もう一つは、これも委員会の中で随分議論があったことでございますが、あの自治体のあり方、平成の大合併というものが過疎に対してどういう影響をもたらしたかということは虚心坦懐に考えねばならないことだと思っております。ですから、道州制も含めまして、自治体のあり方と過疎の問題というのは、実は一つの問題として考える必要があると私は思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私の質問の仕方も悪いので、私が思っている答弁ではなかったんですけれども、石破大臣の問題意識というのはまたよく理解できました。

 実は、私が地方創生の議論、過疎対策の議論というところで最大の問題だと思っておりますのは、議論に力を入れたつもりだったんですけれども、本音が語れない、語りづらいということなんだと思っているんです。

 この地方創生、なぜ過疎が起こるのかといったときに、正直、私も大分という地方選出の議員として言いづらいことではあるんですけれども、やはり特に若い人にとっては魅力がないんですよね。魅力があればそこにいたくなるはずなんですよ。

 例えば、今私の申し上げたような発言をすると、きょう、あしたからネットが大変ですね、火あぶりに遭うぐらい。だけれども、私があえてこのことを言うのは、それはやはり地方が真の意味で元気にならなきゃだめだと思っている。そのときに、議論の真実から逃げていては本当の解決策は生まれないというふうに思っているんです。

 私の大分県は一村一品運動ということで有名であります。これは平松知事が提唱したことになっていますが、実は大分の中の山奥の山奥の一つの町がそのモデルになっているんですね。今は日田市になっていますけれども、もともと大山町というところ。

 その大山町がかつてはどれだけ田舎だったかということを示すエピソードがあって、実はその大山の人が、日田市に出てきて筑後川を見て、日本の海は大きいなと言ったそうなんです。もうちょっとおもしろいのは、それを聞いていた日田の人が、ばか、日本の海はこんなもんじゃない、三倍ぐらいあるぞと言ったらしいんです。

 それぐらい田舎だと言われていた大山が、元祖一村一品として村おこしのリーダーをずっとやり続けてきた。その際に、ある意味ではそれを決定づけた矢幡治美という大山農協の祖、そして大山町の町長だった方がこういう話をしているんです。

 いろいろな人が来て、いやあ、大山っていいところだな、大山の人たちに会うとほっとする、のんびりしていて、非常に人がよくて落ちつくというような話をした。これに対して、矢幡治美町長はどう感じたかというと、人がいいねと言われたのはいいけれども、一方では、何も問題意識を持っていなくて、何も考えていなくて、魯鈍だと言われているんじゃないだろうか、こんな過疎地で自分たちがこういうままであったならば、とてもじゃないけれどもこの先生きていけない。

 そうですと言って、まず、自分たちが問題意識がない、勉強していないというところから始めて、そして若い人を、例えばイスラエルのキブツに派遣する、そしてリーダーをどんどんどんどん育てていって、大山町の人には、梅、クリを植えてハワイに行こうということで、もう昭和四十年代の前半に町内の六〇%がパスポートを持っていた、そういう町をつくり上げたんですね。

 だから、そういう意味で、私は、本当に地方を元気にしたいと思うのであれば、やはり本音を語らないといけない、本音の議論をしていきたいというふうに思っているんです。

 この危機感は、実はこういうことにもあらわれています。私自身は、もう三十年近く前になりますけれども、勤めていた商社で自分が提案して制度をつくって、自分が大分県庁に出向したという経験を持っております。そのときに、一番大きな衝撃を受けたのは何か。それは、例えば農政を担当している方々、過疎対策をやっておられる方が、県内の地域振興局といって、そのさらに田舎の方の支局に、支部に転勤になったときに、家族は大分市に置いていくわけです、子供の教育があるからとか。過疎対策の先頭に立たなきゃいけない人たちが、田舎に行くときにみずからが行こうとしない。

 これは、よくドラマである、やくざのよわっちい親分がさんざん悪態をついて、がんがんとやった上で、いざ、やれとなったときに、てめえども、やれと言って、自分は後ろに下がって、最後は逃げていく、これと同じなんですね。

 でも、そういうことというのは実は本質でありまして、いろいろ、過疎対策はこうすべきだ、地方活性化対策はこうすべきだと言いながら、よくある、総論はそうなんだけれども、自分がそうしろといったときに尻込みをしてしまう、これが実は本質だということをまずきちっと認識した上で、それをも踏まえて、のみ込んで、どうやったら地方が元気になるのかという議論をしていかなければいけないというふうに思っています。

 そういう中で、私自身は、今この三法案の議論でありますけれども、どれもやらないよりはやった方が効果はあるんだろうと思っています。ただ、根本的な決定打にはならないというふうに思っていまして、そういう意味で、道州制も含めた、ある種統治機構、どうやったら国全体も元気になって、その国を支える各地方地方、地域地域が元気になるのか、そういうことをやはりこの地方創生のベースとして議論をしていかなければいけないのではないかというふうに思っています。

 その意味で、石破大臣の所信表明の中でも、軽く、「道州制は、国家の統治機能を集約、強化するとともに、住民に身近な行政はできる限り地方が担うことにより、地域経済の活性化や行政の効率化を実現するための手段の一つです。国会等における御議論を踏まえつつ取り組んでまいります。」こういう所信を述べておられるわけですが、これまでの道州制の議論も踏まえた上で、石破大臣が考える道州制を導入することの地方創生、地方活性という観点からのメリット、デメリット、また、それらを含めた道州制の是非というものについて、大臣の見解をお聞かせ願いたいと思います。

石破国務大臣 また極めて難しい御質問をいただきました。

 私は、道州制というのは一つ手段だと思っていまして、そのこと自体が目的だとは全く思っていないのです。

 中央政府が、外交、安全保障、教育、財政、通貨という中央政府でなきゃできないことに専念しないと、もう冷戦は終わったわ、人口減少の局面に入ったわ、この日本というのはマネジメントできないと思っているんです。中央政府はそうあるべきだ。一方において、地域のことは地域に近いところで決まった方がスピーディーだし、現実的に正しい判断が行えるだろう。

 委員がおっしゃった地方振興局のお話ですが、私が農林水産総括政務次官、今で言う副大臣をしていましたときに、この人はこんなに困っているよという話を聞いたんです。それがどうやって本省まで来るかというのを見ていますと、そこの村から村役場に行って、県庁の地域振興局に話が行って、県庁本庁に行って、岡山の中国四国農政局に行って、それから本省に行って、ずっと上がってきて私の総括政務次官室に来たときには、こんなに困っていますという話が、みんなこんなに喜んでいますという話に。

 何でこんなことが起こるんだということを見ていると、やはり伝言ゲームみたいに少しずつ話が変わっていった、いいとか悪いとかという話じゃなくて。結節点が多いというのはそういうことが起こり得るのだろうと思っております。

 ですから、それを実現するために、道州制だろうが何だろうが、それにふさわしい仕組みがあればいいのであって、道州制でなければ絶対だめだとは私自身は思っていません、それは一つの手段ですから。

 ただ、道州制の議論をするにおいて、そうすると、では、国会というのはどうなるのだ、要するに、外交、安全保障、通貨とか財政とかそういうことしかやらないということになると、国会はどうなるの、国土交通省はどうなり、農林水産省はどうなり、経済産業省はどうなるの、それぞれの設置法をどう書き直すの、県議会はどうなるの、市議会はどうなるのという話が多分、余り精緻に詰められないまま、何となく観念論で語られているところがありはしないだろうか。

 やはり議論の仕方として、そういうところは突き詰めてやっていかないと、次のステップに行かないのではないかなということを担当大臣として、やや評論家的に恐縮ですが、そのように考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私自身も道州制についてはいろいろな思いを持っているので、それを本当は深掘りしたいんですけれども、きょうはちょっと先に進ませていただいて、今大臣がいみじくもおっしゃったように、道州制も一つの手段だということで、今の大臣のおっしゃられた前段も少し含めて、私が考える地方がもっともっと元気になる一つの統治機構改革とでもいいますか、地方分権改革、これはよく言われる二層制の地方分権。

 道州制の場合は、最終的には、基礎自治体、道州があって、そして連邦に近い国家というものがあって、三層になると思うんですけれども、二層制の方法の方が、より地域に、先ほど冒頭に言った、自立心ができて、そしてかつ、それぞれの地域が元気が出る、活性化していく、こう信じて疑わないんです。

 では、どういう地域が基礎自治体になるんだということなんですけれども、これは言葉では漠然としていますけれども、地図帳を見ていけばある程度はっきりしてきます。生活圏と経済圏がある程度一致したところが実は基礎自治体だというふうに思っています、私の言う。

 委員の皆さんのお手元にもあるんですが、日本地図、「旧国名地図」と書いてあります。これは奈良時代の国名です。

 私が先ほど生活圏、経済圏が一体化したところと言いましたけれども、この先、一つの基礎自治体としてあるべき姿というのは、その中核に、必ずまさに中核都市があること、その地域を牽引するだけの力のある中核都市があって、その周辺が生活圏と経済圏が一体となる地域ということなんです。

 例えば、私の大分の場合は、地理に案内でない方もいらっしゃるかもしれませんけれども、福沢諭吉が生まれた、石破大臣も先日訪問されておりますけれども、中津というのはその地図でちょうど豊前と書いた丸印のあるところあたりにあるんですけれども、この中津は、経済圏、生活圏という意味では完全に福岡、というより北九州圏です。ということは、これは豊前圏なんですね。

 そうやって全国を見ていくと、例外がないわけではないんですが、おもしろいことに、奈良時代につくられた国というのは大体そういうふうになっているんです。

 わかりやすい例でいきますと、静岡県を見てください。駿河の中核都市は静岡ですよね、駿府。そして、遠江、この中核都市は浜松なんです。ですから、静岡県が一つの基礎自治体を出すというのではなくて、昔で言う駿河、その中核都市が静岡市であり、遠江は浜松が中核となる。

 鳥取県も当てはまればいいなと思ったんですが、聞きますと、鳥取市も米子市も伯耆に当たる……(石破国務大臣「鳥取市は因幡です」と呼ぶ)違うんですか。鳥取はやはり因幡ですか。ならばよかった。ちょっとレクのときに確認したら。そうであるならばまさにそのとおりなんですね。

 ですから、今都道府県で一くくりにされているところも、それぞれやはり中核都市があって、古い時代でいえば、一つの国をなしていた。これを中心に二層制の基礎自治体をつくる。そして、その基礎自治体には、冒頭言いました、依存から自立というものを徹底的に、強制という言葉はよくないので、推進していくというふうに思っています。

 ちょっともう時間がなくなったので、二回に分けさせていただきたいと思っていますが、きょうは、資料も含めて、そこを先にやらせていただくと、地方が元気になる、先ほど元祖一村一品運動の大山の話をしましたけれども、実は、大山の現農協長にお話を聞いたら、大山農協は、当初は、自分たちの存在アピールも含めて、東京というか首都圏マーケットにも農産物、それから、六次産業の最先端を行っていますので、農産加工品を出そうとしたけれども、やはり一番現実的なのは福岡であったり熊本であったり大分、そこが一番いいマーケット。かつ、そこで商品を手にしてもらった人たちに大山に来てもらうためのいろいろな仕組みづくりをしているんです。木の花ガルテンという一つの販売店をつくったり。

 最近は、この前、十八日の日経新聞に大きく取り上げられていたんですけれども、桃源郷、いろいろな木々、花を植えた東京ドーム五個分に相当する地域、そこに都市部の、中核都市の人たちを呼び込むということによって、今、大山町の農協は正会員が六百人いるんですけれども、そのうちの二百人が、二百世帯が一千万円を超えている。

 何が言いたいかといいますと、一見、農山村よ、頑張れと言ったときに、何となく、農山村に直接投資をしたり、そこに支援をすることがその地域のためであるかのように錯覚をしがちなんですけれども、一番大事なのは、彼らに強くて大きなマーケットを提供することなんです。そういう意味で、さっき言った生活圏、経済圏が一体化する中核都市をより強くすることが、その周りの農山村に、つくったものを販売するいい機会を与えていくんです。

 そういう意味で、もう一つの資料、「北九州市と福岡市の戦後の人口推移」というのを見ていただきたいと思います。

 これは、赤いものが福岡市の人口推移、そしてグレーの色が北九州市でありますけれども、私なんかの小さいころは、北九州市が百万都市、当時は、福岡は百万都市でも何でもなかった。今、福岡市がもう百五十万を超える大都市になっている。そして、北九州市というのは、ある意味では製造業の代表的な都市、また、グローバル企業、ローカル企業というならば、グローバル企業が中心にあって、その下請関連の会社が多く集まっている。福岡市というのは、ある意味では商業都市ですよね。けれども、福岡市がこれだけ人口がふえている。これはもう私が申すまでもありませんけれども、先進国になればなるほど、一方ではサービス産業は比率が高まり、個人消費の比率が高まる。

 私がさっき、過疎対策なり地方対策を語るときに本音を語らなければいけない、そのために事実をきちっと見なければいけないというふうに申し上げました。これはまさにこういうことなんですね。

 栄えようとすれば、今の先進国であれば、ある程度の人口密集、人口集中がないと経済は活性化しないことになっている。それをあえて分散するということは必ずしもいいことではない。ただし、それを地方の農山村も含めた、農山村が元気になるように利用しなければいけない。そのためには、そういう地域をマーケットとして捉えなければいけないというのが私自身の考え方であります。

 その意味でも、自立するときには、それを牽引する中核都市が極めて重要になってくる。それを中心とした二層制の分権国家をつくっていくべきだろう、このように思っているわけですけれども、今私がるる申し上げたことについての石破大臣の感想、見解を含めてお聞かせいただければと思います。

石破国務大臣 いろいろとありがとうございました。

 江戸時代に、江戸幕府というか徳川幕府というか、そこが全国の諸藩のために何かやってくれたという話を聞いたことがないんですね。それは、とにかく参勤交代をやらせて、いかにしてそれぞれの地域の財政力をそぐかみたいな話であったわけで。だけれども、そうであるがゆえに、地域には独自の文化があり、独自の教育があり、独自の産業があった。

 何も、江戸時代に戻れと言うつもりはないんですけれども、江戸時代は、私どもの県は因幡の国と伯耆の国でございました。だから、そういうような考え方はやはりある程度あってしかるべきではないんだろうかという気が、私自身はいたしております。

 と同時に、奈良時代も江戸時代も余り変わっていないのかもしれませんが、やはり、我々鳥取県人でも、鳥取県でも、因幡の国と伯耆の国は全然文化圏が違うんです、どっちがどうとは申しませんが。そこのそのアイデンティティーを共有できるところというのは大事なんだろう、一つの区切りとして。

 他方、地方創生を考えますときに、市町村という基礎自治体を私どもが重視しておりますのは、目の届く範囲、どこで何が起こっているのかという目の届く範囲というものが、やはり総合戦略をつくる上では大事ではないだろうか。これが余り広くなっちゃうと、計画の立て方が漠たるものになりはしないだろうかという思いがございます。

 地方創生において必要なのはやはり本音を語ることだというのは、本当に御指摘のとおりで、何となく、大変ですねとか、頑張っていますねとか、目いっぱい褒めるようなことを言って、そのときは楽しくても、結局何も前に進まないということはやっちゃいけないことだと思っております。

 ですから、地方六団体の方々ときのうお話をしましたときも、本音でやりましょうや、隔靴掻痒のお話はやめましょうよ、その場だけ取り繕うようなお話はやめましょうよということで、どなり合いになってもいい、どなり合いぐらいにならないと本当の信頼関係なんかないんじゃないかなということを、委員のお話を聞きながら、改めて思ったことでございました。ありがとうございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 市町村を重視するのは、やはり目が届くということが重要だとおっしゃられました。

 きょうは深掘りしないというふうに申し上げましたけれども、私も分権を進めていくことは大変いいことだと思っていますけれども、道州制については、例えば、大分の人が、ある限られた投資金額を、佐賀県の鳥栖市に投資するのがいいのか、それとも鹿児島県の指宿市に投資するのがいいのか、これは判断がつかないんですね、経済圏と生活圏が別だから。ただ、さっき言った豊後の国であれば、あそこに投資するより今はここだろうという感覚がわかるんですね。そういう意味では、市町村を重視するというのは極めて大事なんですが、ただ、今ある千八百の市町村では、やはり自立ができないと思っているんです。

 だから、私が冒頭に、何が問題かといったときに、自立なんだと。自立するためには、ある程度中核になる都市が周りも含めて牽引していくことが必要、かつ、経済圏と生活圏が一緒。大臣いみじくもおっしゃられましたように、そういうところは大体言葉が一緒なんですよね。言葉が一緒ということは、文化圏が一緒です。そういうところなら、優先順位についての判断もきちっと、そこに住む人たちができる。そういう中で、自立できるまとまりをつくることによって、自立もし、まさに住民自治も充実していく。その中で、中核都市をマーケットとして、周りの農山村も栄えていく。そのための二層制の分権改革というのが極めて重要になっていくんだろう。

 アメリカのことをユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカといいますけれども、私は、県から、今言った文化圏が一緒の基礎自治体、それをまた藩というならば、ユナイテッド・藩ズ・オブ・ジャパンをもう一回つくり直して自立する、それによって中核都市と周りの農山村が栄え、結局、その集合体である日本が、常に中央政府が地方政府に頼られるのではない国づくりができるというふうに思っております。

 きょうは総論で極めて恐縮でありましたけれども、また続き、少し各論に入ったことを次回でもやらせていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

鳩山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、国家戦略特区について質問します。

 国家戦略特区については、これまで、全国六つの地域指定が受けられています。きょうは、昨年九月に認定された福岡市グローバル創業・雇用創出特区の雇用労働センターについて伺いたいと思います。

 まず、この計画に至るまでの経過を振り返ってみたいと思います。

 おととし九月二十日の第一回産業競争力会議課題別会合で、国家戦略特区ワーキンググループ八田座長から、次のような提案がありました。新規開業事業者や海外からの進出企業などが、よりすぐれた人材を確保できるよう、雇用制度上の特例措置を講ずるエリアを設ける、そして、特例措置の一つとして、特区内における開業後五年以内の企業の事業所に対して、契約締結時に、解雇の要件、手続を契約条項で明確化できるようにする、仮に裁判になった際に契約条項が裁判規範となることを法定するという、解雇ルールを定める提案でありました。

 同年十月四日にもワーキンググループとしての提言がなされたわけでありますけれども、解雇の要件、手続を契約条項で明確化、そして裁判規範として尊重されるよう制度化、一体これはどういったことを指すんでしょうか、このことについてまず説明を受けたいと思います。

内田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘の第一回の産業競争力会議課題別会合における八田座長の資料、同じく十月四日、特区ワーキンググループの提案、これは記者のブリーフィング資料でございますが、そこでは解雇のルールといたしまして、特区内におけます雇用制度上の特例措置の一つといたしまして、契約締結時に解雇要件、手続を契約条項で明確化できるようにすることが記載されていた、こういう状況でございます。

田村(貴)委員 非常に簡単な説明だったんですけれども。

 一方、福岡市は、八田座長案が示される前の九月六日、国家戦略特区ワーキンググループに対してヒアリングの資料を提出しています。新規事業の開業率を十年後に二〇%に向上することを目標とし、起業教育や起業支援を行うとするものでありました。これを受けて、国のワーキンググループが、解雇の要件、手続を契約条項で明確化との提言に至るわけであります。

 国と市を挙げて、スタートアップ期に限定して解雇規制の緩和を行うという構想に対して、福岡市民からも、私は福岡県民ですけれども、福岡県民からも、多くの批判と懸念の声が上がったわけであります。

 しかし、結果として、福岡市特区の地域計画からは解雇の規制緩和はなくなったわけであります。なぜ規制緩和の提案は排除されたのか、内閣府と厚生労働省にそれぞれお尋ねしたいと思います。

小泉大臣政務官 今、田村委員から御指摘いただいた点に、端的に結論から申し上げれば、厚労省が大変慎重だった、そういった一言に尽きるわけでありますが、少し丁寧に説明をさせていただくと、日本の雇用ルールの問題は何かといえば、厳しいことではなくて、むしろ不明確だ、そういったことに問題があると認識をしています。ですので、その処方箋として、ルールの緩和とか自由化ではなくて、まず、雇用指針をしっかりつくり、労使の契約が雇用ルールに沿っているかどうかを明確化できるようにすることでありまして、この基本方針は、今委員に御指摘いただいた一昨年の秋にこの件を議論した際と、当初から変わっておりません。

 ただ、ルールの明確化を実現するための具体策として、当初特区ワーキンググループが主張していた労働契約法の特例措置ではなくて、結果的に雇用労働相談センターの設置という形になったことについては、結論を先に申し上げたとおり、規制官庁で担当官庁であります厚労省が、雇用分野のルールについて法的に特例措置を講ずることに大変慎重だった、そういったことでございます。

大西政府参考人 厚生労働省でございます。

 私どもの御議論の経緯を御説明させていただくわけでございますが、雇用の分野の基本的なルールでございます、この場合、労働契約法などになるわけでございますが、一部の地域や企業を対象とし、試行的にルールを適用除外したり、あるいは特例措置を講ずることについては……

鳩山委員長 大西さん、もっと大きな声でやってください。

大西政府参考人 はい。済みません。

 国民の勤労権を法のもとで平等に保障する必要性、あるいは企業間の公正な競争条件を確保する観点から慎重に検討すべきということで、そういった御議論をさせていただいたわけでございます。

 そして、もちろん、国家戦略特区は成長戦略の重要な柱でございますので、雇用の分野において、産業の国際競争力等を支える労働者が意欲や能力を発揮できるようにしていく観点からどういうことが必要かということを考えまして、雇用労働相談センターの設置というものを御提案させていただいたわけでございます。

 こうしたことで、グローバル企業やベンチャー企業等を対象として、我が国の雇用ルールに関する相談、援助をしっかり行うことができる、こういうことになったというぐあいに考えております。

田村(貴)委員 厚生労働省がなぜ慎重になったのかというところが非常に大事なところでありまして、これは後で申し上げますけれども、確認します。

 解雇はもとより、雇用に関する特区を設けるということはなじまないというふうな理解でよろしいんでしょうか、厚生労働省。

大西政府参考人 先ほど私が御説明させていただきました御議論の過程での経緯のポイントにつきましては、現在も同じように考えているところでございます。

田村(貴)委員 石破大臣にお伺いします。

 今議論がありましたように、福岡市で、起業後五年以内の事業所において金銭解決などの一定の条件をつけて解雇を認める特区ができるのではないかと大きな問題になったわけであります。そして、特区での雇用、解雇について緩和すること自体、規制緩和自体がなじまないという帰結になったわけであります。

 こうした流れについて、今、大臣の受けとめはいかがでしょうか。

石破国務大臣 これは、政務官が答弁を申し上げたとおりでございますが、要は、雇用のルールがよくわからないので、これを明確化するということが必要なのであって、いかにして特区を使って雇用のルールを変え解雇しやすくするかなぞということは、そもそもなじまないお話だと思っております。

田村(貴)委員 それで、今度の国家戦略特区、福岡市においての雇用労働相談センターについて伺いたいと思います。

 昨年十一月に設置されました。雇用労働センターの設置者は、厚生労働省となっています。そこで、厚労省にお尋ねします。

 このセンターの目的と活動内容について、簡単でいいですので、述べていただきたいと思います。

大西政府参考人 雇用労働相談センターは、海外から日本に進出するグローバル企業や、新たに人を雇い入れるベンチャー企業などが、我が国の雇用ルールを的確に理解し、個別労働関係紛争を生ずることなく事業を展開しやすくなるように、弁護士等の専門家による法律相談等を実施するものでございます。

田村(貴)委員 昨年十一月から今日までの相談件数はどの程度でしょうか。また、相談者は、経営者側、あるいは労働者、どういう比率となっていますか。どんな相談が寄せられていますか。

 これも簡単でいいですから、説明をお願いします。

大西政府参考人 平成二十六年十一月二十九日から運営しております。本年四月の末時点でございますが、件数は四百二十六件でございます。事業主からの相談が三百三十六件、労働者、求職者からの相談が九十件というぐあいになっております。

 相談内容でございますが、採用関係のものが一番多くて、そのほか、法令等の内容照会、労働条件の設定変更についての相談、こういったものが多うなってございます。

田村(貴)委員 福岡が一番最初にできて、関西圏、東京圏というふうにもなっていますけれども、予算措置についてはどのようになっているんでしょうか。

 それから、個々で受ける相談料というのは、どういう定めになっているでしょうか。

大西政府参考人 予算措置でございます。福岡の雇用労働相談センターでございます。平成二十七年度、一億一千八百八十万円でございます。

 また、相談センターにおける相談、支援につきましては、無料で行っております。

田村(貴)委員 時間がないので先に進みますけれども、労働局が行っている総合労働センターの相談業務というのがあります。

 福岡労働局によれば、使用者側からの相談は一割程度だというふうに伺いました。相談員は、非常勤の国家公務員なので、中立の立場をとっているということでありました。

 雇用労働相談センターについては、先ほど、福岡市で四百二十六件の相談で、三百三十六件が使用者、経営者側からだということでありますので、圧倒的多くの相談が経営者側から寄せられているということであります。

 数からして経営者が圧倒的なんですけれども、この雇用労働相談センターというのは、経営者の立場に立った相談センターなんでしょうか。

大西政府参考人 雇用労働相談センターにつきましては、その法案の成立した際でございますけれども、事業主に対する援助にあわせて、労働者に対して十分な情報提供をするということ、あるいは、当該援助が労使双方にとって公平公正に行われるよう十分留意することというようなお話を頂戴しておるところでございます。

 したがいまして、センターにおきましても、こういった労使双方にとって公平公正な援助となるということに留意して運営をしているところでございます。

 現実問題といたしましては、この設置の趣旨から申し上げましても、事業主からの相談件数が労働者からの相談件数を上回っておりますのはもちろん事実なのでございますけれども、対応に当たりましては、先ほど申し上げましたように、公平中立な立場で行われているというぐあいに考えているところでございます。

田村(貴)委員 公平、公正、中立だという立場であります。これは当然のことだと思います。

 しかし、福岡雇用労働センターの開始に当たっての時期にセミナーが行われたんですけれども、そのときにおける出来事に照らしたら、今の答弁はどのように理解したらいいのかということになります。

 福岡の雇用労働センターで起業家を対象にしたセミナーが数回行われているわけですけれども、昨年十二月二十三日に開催された第一回セミナーで、センターの代表弁護士が行った講演記録があります。タイトルは、労働関係法令及び労務管理の実務についてという講演でありますけれども、この中身、私は聞いて絶句しました、唖然といたしました。

 ぜひお聞きいただきたいと思うんですけれども、冒頭からこういう説明です。

 私は、四十年間の弁護士生活のうち二十五年間は労働者側をやってきた、あとの十五年間は使用者側だ、主に外資系、だから、どういうことに労働者は怒るのかということを知っている。みずから使用者側であることを述べて、始めたわけです。

 懲戒のことについて、減給は、例えば月二十万円もらっている人なら、最大でも五千円くらいしかできない、これでは制裁にならない、では、何の制裁もできないのか、出勤停止というのがあるけれども、これは使える、例えば一週間出勤停止にすると、ノーワーク・ノーペイだからかなりこたえる、制裁として役立つ。制裁を指南する場にしようとしているんでしょうか。

 解雇について、こう述べておられます。人をやめさせる問題は本日のメーンと言ってもいい、実際、この雇用指針を読んでも解雇できるかどうかわからない、例えば、合理的、社会通念上と、わからない、もっとはっきり具体的に書かないと、つまり、解雇したらこのくらいお金を払うことになるよとか。整理解雇の四要件とか労働契約法十六条、こうしたことをまずもって知らせるべきではないでしょうか。

 厚生労働省は、この雇用労働センターの運営委員をされています。そして、設置者であります。この第一回目の、さまざまな問題が指摘されているこのセミナーに厚生労働省は参加されましたか。

大西政府参考人 御指摘のセミナーに関しましては、厚生労働省からは職員を派遣しておりませんでした。

田村(貴)委員 そうであるならば、もうちょっとこの中身をここで述べなければなりません。

 解雇についてです。

 人事考課をきちんとしておくことが必要だ。きちんとやっていないんだよね、日本の企業は。五段階評価なら三ばかりつけている。二や一はつけない。裁判所はすぐ勤務考課表を出せと言うんだよ。でも、見ると、三とか四とかが並んでいる。一と二をつけろ。一や二が三年続いたら首だよと言っておくんです。

 これは解雇指南そのものじゃないですか。こうしたことを、相談に当たるセミナーの第一回目で講演されているわけであります。

 解雇について、こんなくだりもあります。

 赤字の程度とか、解雇以外のやり方は模索したのかとか、人選は適当かとか、説明も必要だとか、これを整理解雇の四要件といいますが、創業者、起業家はこんなことは余り考えないよね。業績不振といっても結構赤字がひどくないと認められないし、解雇以外の方策では雇用削減とかね、全員に希望退職を募ったのかとか、全員に希望退職を募ると、やめてほしくない人がやめちゃうんだよね、引く手あまただから。やめてほしい人はやめずに頑張る。そうなると退職勧奨や指名解雇という手もある。でも、これは高度なノウハウになる。このセンターに相談してください。やめていただくうまい方法を相談して見つけていく。やめていただくうまい方法を見つけていく。センターに相談してください。

 このセンターの目的をみずから語っているに等しいではありませんか。

 そこで伺いますけれども、これが、国家戦略特区の区域会議のもとに設置された、国の機関が設立した雇用労働センターのオープニングセミナーでの中身であります。勤務考課で一と二をつけろとか、減給では制裁にならないとか、一週間勤務停止すると制裁としては役立つ、やめていただくうまい方法を見つけていく、センターに相談してください。

 このセミナーに参加して代表弁護士の講演を聞いた人からは、これはひどい、これが国のすることかとの意見も上がっています。参加者からの、おかしいではないかとの通報の声があり、共産党の福岡市議団も三月議会でこの問題を取り上げたことは厚生労働省も知ってのことだというふうに思います。

 この問題発言に対して、どう受けとめていますか。そして、どのように今対処されていますか。説明をお願いします。

大西政府参考人 福岡市の雇用労働相談センターの運営に関しましてでございますが、雇用労働相談センター運営委員会というのがございます。これは、福岡市、あるいは私どもを含めた関係省庁、あるいはその受託の事業者等、もちろん参加していただいているわけでございます。こうした会議に厚生労働省はもちろん出席しておるわけでございますが、セミナーや相談の内容について、誤解のない公正公平なものとなるように繰り返し求めているところでございます。

 雇用労働相談センターの運営に当たりましては、公平公正なセミナーや相談対応を行われるよう、今後とも、運営委員会への出席とかあるいは相談員等の研修を通じて事業の受託者やセミナー講師等に徹底してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 質問に答えていただきたいと思うんですけれども、問題発言に満ちたこの代表弁護士の講演について、どう受けとめておられますかと聞いています。

 そして、この雇用労働センターの目的は雇用ルールの周知徹底であります。この目的に照らして、解雇指南の講義と言われても仕方がない、そういう内容ではなかったのか。だから、ちゃんと検証し、是正する必要があるというふうに私は思うんですけれども、どう対処されているんですか。

大西政府参考人 その委員御指摘の件も含めまして、先ほどちょっと説明が足らなくて申しわけございませんでしたが、雇用労働相談センター運営委員会というのがございまして、これが定期的に開催されている委員会でございます。こうした場におきまして、厚生労働省として、セミナーや相談については誤解のない公平公正なものとなるように申し入れて、そういう指導をしているということでございます。

田村(貴)委員 代表弁護士のこのセミナーにおける講演は誤解を与える問題があったという認識があるんですか、ないんですか。お答えいただきたいと思います。これは大事なところなんですよ。

大西政府参考人 まことに恐縮でございますが、この第一回のセミナーについては、先ほど申し上げましたように、厚生労働省からの職員を派遣しておりませんので、この詳細な内容は私ども直接把握しているわけではございませんが、いずれにいたしましても、公平公正なものとなるように指導を徹底してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。

田村(貴)委員 その旨を代表弁護士の方にもちゃんと伝えて、要請しているということでいいんでしょうか。

大西政府参考人 雇用労働相談センター運営委員会におきましては、厚生労働省の職員も受託事業者の方も出席して会議を開催しているところでございます。

田村(貴)委員 審議官、ここを私はレクでもちゃんと聞いています。そして、そういうことがないように代表弁護士の方に要請しているというふうに私は聞いているんですよ。そういうふうにちゃんと答弁してくださいよ、それが事実なんだったら。

 それから、このときに出席していないというんだったら、出席した方からの克明な報告を私は受けているわけです。私が知らしたとおりですよ。これについてあなた方は、出ていなかったから知らないというのではだめなんですよ。それを不問にするんだったら、まさにセンターの設立前の段階からあった、さっきから議論している雇用解雇特区の構想が引き継がれているというふうになってきちゃうわけなんですよね。しっかりと対応していただきたいというふうにも思うわけです。

 センターの案内リーフには、「転ばぬ先の雇用の知恵」というふうにあるんですけれども、まさか労働相談そのものにおいて解雇指南が行われているわけではないですよね。日常の相談活動がとても気になります。

 そこで、雇用のルールの周知徹底が図られるように私の方から要求したいというふうに思います。

 厚生労働省はこれまでいろいろな手引書を発行しています。例えば「知っておきたい働くときのルールについて」、それから「知って役立つ労働法 働くときに必要な基礎知識」。また、漫画版もあります。これは漫画といっても非常によくわかりますね。根拠法も記して制度の中身も非常によくわかりやすい「知って役立つ労働法Q&A」、こうしたいいものをつくっているではありませんか。

 雇用指針は、相談員にも相談者にも、希望があれば手渡されるというふうに聞いています。しかし、これは、これまで内容の訂正もありました。これだけでは不十分なんです。厚生労働省がこれまで発行したこうした手引書も積極的に活用する。我が党の山下芳生書記局長が昨年四月の参議院内閣委員会でも積極活用することを提案し、政府も、既存のものを活用しながら、まいりたいというふうに述べておられます。

 審議官、これはセンターに置いてありますか。こうした手引書を、会社を立ち上げて人を雇う立場の人にこそやはり一読してもらう、私はそういうふうに考えます。特に使用者、経営者の方が多い。今から企業を立ち上げる方においては、やはりこういう基礎的な知識を知っていただきたいというふうに思います。

 厚生労働省が設置した機関なんだから、こうした手引書を常設して広く活用すべきだと思います。いかがですか。

大西政府参考人 今、委員から御指摘いただきました漫画等の資料につきましては、現在は配置されていない模様でございますので、早速センターにも配置して、相談に活用してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 もう一つお伺いします。

 代表弁護士が、まさに解雇指南と言われても仕方がないような、こうした基調講演をされているわけです。そうすると、その後の相談活動というのはおのずとそういう方向に行ってしまうのではないか、そういう相談がされているのではないか。私は非常に懸念を持っているわけです。

 もし、ここでそうしたセミナーでの講演を改めるように、ちゃんと厚労省として要請をする、言うべきことは言う、それだったら私は見守っていきたいと思います。しかし、そういうことをしっかりしなかったら、後はわかりませんよ。相談業務というのは守秘義務です。ここに立ち入ることはできないからです。

 雇用のルールの周知徹底というのは、相談員に対しても、弁護士や社労士さんに対してもちゃんと徹底されていますか。それだけ確認させてください。

大西政府参考人 まず、相談員に対する中立公正の観点からの指導でございます。

 相談員につきましては、委託事業者が候補者を選任した時点で厚生労働省に協議していただき、各人等の履歴を確認の上、厚生労働省で研修をしているところでございます。今後とも、中立公正な観点での説明や相談を行うようにしっかり指導してまいりたいというぐあいに考えております。

 また、相談内容につきましても、私どもの方に定期的に報告を行っていただくということになっておりますので、こうしたことを通じてしっかり確認してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 石破大臣にお伺いします。

 二十日に、この委員会で、地方の雇用という点について論議をさせていただきました。そのときに、石破大臣は、「地域に安定した雇用、そしてまた安定した所得、そしてやりがいのある仕事、それがなければ地方への人材還流は起こらない」というふうに述べられました。

 福岡市の国家戦略特区においては、解雇の定めを緩和するのは特区になじまない議論と経緯があって、雇用労働センターという形になりましたけれども、のっけから、こうした問題がある基調講演、代表弁護士による講義がセミナーで行われたわけであります。

 特区の名において国の設立した機関が解雇を指南する場になっていると言われないように、所管大臣として、今後のセンターの活動を責任を持って注視していただきたいというふうに考えます。石破大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 先般、私もこのセンターへ行って、いろいろとお話も聞いてまいりました。非常に場所がいいせいもあって、盛況で大勢の方々が来ておられる。利用された方々も非常にいいような感じを受けたということで、起業ができたという方のお話も伺うことができましたが、世の中いい話ばかりではないので、委員が御指摘のようなこと、やはりこういうのは国としてやっておるわけですから、講演等々も記録はきちんととっておかねばならないのだと思います。そうでなければ、言った言わないみたいな話になっても、議論がいっかな前に進まないということがあります。

 私ども政府として、厳正公平に、解雇指南センターなぞと指弾を浴びないようにということは心がけていかねばなりませんし、私どももきちんと見ていかねばなりません。

 これは本来の趣旨、すなわち、起業される方は労働法とかそういうことも余り御存じないので、でも正しい知識を持っていただいて、その地域に正しい雇用がさらに拡大するように、私どもとしてもさらに配意をいたしてまいります。行き届かなかった点があったとしたら、それはおわびを申し上げます。

田村(貴)委員 大臣、ありがとうございました。

 おととし十一月二十日、衆議院内閣委員会における国家戦略特別区域法案に対する附帯決議というのがあります。「労働者に対して、本法に係る十分な情報の提供等を行うとともに、」「当該援助を行うにあたっては、既存の行政組織により現に提供されている援助との関係整理を十分に行うとともに、当該援助が労使双方にとって公平・公正に行われるように十分に留意すること。」というふうに決議されています。

 この決議も遵守していただきたいし、国会決議もしっかり守って、しっかり雇用のルールを守り、またその周知徹底を図っていただきたい。強く要望して、本日の質問を終わります。

鳩山委員長 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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