衆議院

メインへスキップ



第7号 平成28年3月23日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十八年三月二十三日(水曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 福井  照君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    安藤  裕君

      伊藤 達也君    池田 道孝君

      江藤  拓君    大野敬太郎君

      勝俣 孝明君    小泉進次郎君

      菅原 一秀君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      野中  厚君    鳩山 邦夫君

      平井たくや君    福田 達夫君

      古川  康君    牧島かれん君

      宮川 典子君    宮澤 博行君

      八木 哲也君    山田 賢司君

      緒方林太郎君    柿沢 未途君

      吉良 州司君    佐々木隆博君

      篠原  孝君    寺田  学君

      稲津  久君    角田 秀穂君

      濱村  進君    田村 貴昭君

      宮本 岳志君    遠藤  敬君

      村岡 敏英君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (国家戦略特別区域担当) 石破  茂君

   文部科学副大臣      義家 弘介君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     酒井 庸行君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 伊藤 明子君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中島  誠君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室長)            佐々木 基君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  菅家 一郎君     古川  康君

  福田 達夫君     青山 周平君

  福田 昭夫君     篠原  孝君

  角田 秀穂君     稲津  久君

  樋口 尚也君     濱村  進君

  椎木  保君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     八木 哲也君

  古川  康君     高橋ひなこ君

  篠原  孝君     福田 昭夫君

  稲津  久君     角田 秀穂君

  濱村  進君     樋口 尚也君

  遠藤  敬君     椎木  保君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋ひなこ君     宮澤 博行君

  八木 哲也君     福田 達夫君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     安藤  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     菅家 一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 この際、石破国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石破国務大臣。

石破国務大臣 三月十五日の本委員会における地域再生法の一部を改正する法律案の提案理由説明におきまして、誤った内容の原稿を読み上げてしまうという、あってはならない誤りを生じさせてしまいました。

 このため、問題点を検証し、再発防止に必要な対策をとることが急務であると認識し、三月十六日、牧島大臣政務官を主査とする誤り事案再発防止チームを立ち上げました。

 誤り事案再発防止チームでは、誤った手持ち読み上げ原稿が作成されたこと、委員会の場における対応が不十分であったことという問題点について原因を分析し、昨日、再発防止策を取りまとめ、私に報告がなされました。

 この報告書を受け、私から、事務次官以下、内閣府の事務方幹部に対して、ヒューマンエラーを排除するためには、最終的に人の目によるチェックが重要であることを強く認識し、複数人によるチェック体制を確立することなどを訓示いたしました。

 職員だけでなく、私、福岡副大臣及び牧島大臣政務官も監督責任を痛感しているところであります。また、私自身、行き届かなかったところを深く反省いたしております。

 内閣府のほかの政務三役ともども、今後、二度とこのようなことが起こらないよう、職責を果たしてまいります。今後、一層の緊張感を持って審議に臨みたいと考えております。

 大変御迷惑をおかけして申しわけありません。何とぞよろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

山本委員長 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長伊藤明子君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、内閣府大臣官房審議官中島誠君、内閣府地方創生推進室長佐々木基君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長香取照幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)委員 おはようございます。維新の党の篠原豪です。

 本日は、三度目の地域再生法関連の質疑となります。これまでと引き続きの議論をさせていただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、これまでも企業版ふるさと納税については多くを伺ってまいりました。その中で感じたことですけれども、やはり地方自治体がどんなにアピールをして頑張ろうとしても、肝心の企業側に、寄附する、そういう気がなければ、何も始まらないんだろうということです。

 大臣は、先週の私とのやりとりで、企業版ふるさと納税によって寄附が増加しますかといった質問に対しまして、これはやってみなければわからないといったことを御答弁されております。これは、ふえないとやる意味がないというふうに思いますので、少し驚きの答弁でございまして、これについては、正直、ふえていくんだろうという答弁があるのかなというふうに思っていました。

 また、地域再生法の支援措置の中には活用されていないものが多いというのは、私だけじゃなくていろいろな委員がこの間の質疑でお話しさせていただきました。

 この企業版ふるさと納税ですけれども、やってみなければわからないのであれば、活用されていない支援措置の仲間入りをまたしていってしまうんじゃないか、これはやはりあってはならないことだろうというふうに思っています。そうであるならば、今回の法改正にしっかりとした意味がなければいけないというふうに思っています。

 そこで、まずお伺いいたしますけれども、政府は今回の制度設計に当たって企業に対するニーズの調査を実施したのでしょうか。また、実施しているのであれば、その結果についてお教えいただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 今回の地方創生応援税制の制度設計に当たりましては、経済三団体に御協力をいただきまして、企業にアンケート調査を行って、この税制が創設された場合の企業の考え方を伺ったところでございます。

 具体的に幾つか申し上げさせていただきますと、新たな寄附を検討するのかという問いに対しましては、地方の活性化に積極的に貢献をしていきたいですとか、あるいは、応援すべき取り組みがあれば寄附することが考えられる。また、どのような地方公共団体への寄附を検討するのかにつきましては、創業地、あるいはグループ関連会社の工場あるいは事業所が所在する地域、あるいは自社のビジネスと関連のある事業を行う地方公共団体。さらには、制度の活用によりどのようなメリットがあると感じるのかという問いにつきましては、地方創生に貢献する企業としてPRすることができる、子育て支援の活性化が自社事業に間接的にメリットをもたらす等々の御回答をいただいているところでございます。

篠原(豪)委員 ニーズ調査をしていただいていたということには少し安心しました。やはり、寄附したい、そして地方自治体の取り組みを支援したいということを企業がある程度つかんでいるならば、それは大事なことだと思います。

 その中で、例えばNPOへの寄附などが減少するのではないかとか、寄附をきっかけとして企業と地域の間で癒着が起きるのではないかといった懸念も解決しなければいけないと思います。その調査では、寄附の見返りとして経済的利益を与えないように規制することが前提だということなども伝わっているのかということを、これは通告していないので、わかる範囲で教えていただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 その調査をいたしました時点では、先ほど申し上げたような、どういう団体への寄附だとか、どういう分野だとかというようなところの御回答が多かったんですが、その他お気づきになる点があれば何でもというような形でも調査をいたしましたけれども、その中で、見返りの禁止などに関するような点についての御意見は特段なかったと思います。NPOについての御意見も、特段、その中にはございませんでした。

篠原(豪)委員 わかりました。

 やはり、この辺がこれから気になってくるところだというふうに思いますので、後ほど少し触れさせていただきたいと思いますけれども、新しい制度をつくるときには、当事者からニーズをよく聞いて、さまざまなケースを想定して、可能な限りしっかりとした制度設計をしていただくということが大事だと思います。ここまでの質疑を通じて、それが果たして本当にできているのかということが気になるというところだと思っています。

 また、改訂版の総合戦略においては、企業ふるさと納税について、KPIの設定が、重要業績評価指標ですけれども、されていないということも気になります。その一方で、改訂版総合戦略では、効果検証の仕組みを伴わないばらまき型の施策は採用しない、目指すべき成果が具体的かつ適切な数値で示され、その成果が事後的に検証できるようになっていなければならないとしています。

 これは、矛盾しているのかしていないかということが気になりますので、この点を踏まえて、できるだけ早くKPIを設定する必要があると思います。また、KPIとして設定をするのであれば、どのような指標が大事になってくるというふうに考えていらっしゃるか、政府のお考えを伺います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 この企業版ふるさと納税制度につきましては、対象が、雇用の創出、移住、定住、働き方改革、まちづくりなど、地方創生の事業全般に及んでいるところでございます。それぞれの地方公共団体がそれぞれのさまざまな地域課題に応じて、自主的、主体的にどの事業を中心に取り組むのかという形で制度設計をしているところでございます。

 地方公共団体といたしましては、地方創生応援税制を使うに当たっては効果の高い事業を対象とすることとしておりますので、その事業ごとにKPIを設定し、PDCAサイクルを整備していただくということになっておりまして、これを通じて、地方版総合戦略の目標設定、目標達成に取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

 以上申し上げましたとおり、この応援税制は、地方の自主性、主体性を尊重して、多種多様な事業を対象として、施策横断的に活用されるというものになってございますので、国としてあらかじめ画一的、統一的なKPIを設定するというのはなじみにくいと考えているところでございます。

篠原(豪)委員 やはり、今の御答弁を聞いていて矛盾を感じるのが、地方自治体には、この寄附活用事業によって寄附があるかがやってみなければわからなくても、KPIを設定しなさいと。一方で、国は、KPIを設定したい、あるいは、いずれ、地方版総合戦略が出てからじゃないとKPIを設定しないと言うかわかりませんけれども、やはり国は、地方に求める以上、国もしっかりとやっていかなければいけないんだろうというふうに思います。

 今、PDCAサイクル、KPIは大事だというのはそれはそのとおりなんですが、果たして国がどうしていくのかということが課題として残っているというふうに思っていますし、きちっとやっていただきたいと考えています。

 次に、これもこれまでの質疑でお話しさせていただいたことでもありますけれども、企業版ふるさと納税の懸念事項の一つに、この納税の創設によってNPO等への寄附が減少するのではないかという点があります。

 これは先週の最後の質問のところで申し上げたことなんですが、この企業版ふるさと納税の優遇措置が強力過ぎると、自治体間で寄附を、奪い合うというか、一生懸命競い合って努力するんだと思いますけれども、そのときに、NPO法人等への寄附も奪ってしまうのではないかという懸念があります。

 地方自治体が強い税制優遇措置をアピールして寄附を募ると、これまで例えば日本赤十字であるとか認定NPO法人であるとか公益法人などへ寄附していた企業も、この企業版ふるさと納税の方が税制優遇措置があるから税制優遇されるし、地方創生にも貢献できるという理由で、こういった従来型の法人への寄附を地方自治体への寄附に振りかえていく可能性があるんじゃないかと思います。仮にそうなれば、認定NPO法人、公益法人にとっては死活問題になっていくんだろうというふうに思います。

 これは、フェアな寄附の争奪戦になりませんし、そもそも、NPO法人の活動が停滞することは地方創生にとって決してプラスにならないということは、今まで、この間質疑を通じて石破大臣も、NPOの役割に対してはいろいろと期待するところが大きいし、地域の声をしっかりと吸い上げてやっていくときには必要なんだろう、そのときに重大なプレーヤーだということをおっしゃっています。

 これについて、先週大臣にお伺いしたところ、個人版ふるさと納税ではNPO法人に対する寄附が減ったかといえば、数字を見ると必ずしもそうではない、そして、そうは言っても、よく検証していきたいというふうに御答弁いただきました。検証するのはやはりいいことだと思います。ただ、本当に重要なのは、検証した後それをどうするかだというふうに考えております。

 そこで、検証されるということになっていますが、結果、NPO法人や公益法人への寄附が大幅に減ってくるとなった場合に、例えば、この優遇措置を引き下げたり、あるいは制度自体をやめるといったことも視野に今入れているかどうか、大臣に伺います。

石破国務大臣 これは、制度そのものが違ったものですし、これをやることによって、当たり前の話ですけれども、NPOからこういうような企業版ふるさと納税に行くことを当然意図しているものではございません。そのようなことを考えているわけではないんです。

 実際にやってみて、そういうことが起こるのか、また、数字はそうであっても、それが因果関係を持つものであるのかどうかということはよく検証してみなければいけないことだと思っています。

 この企業版ふるさと納税というのは、何度か答弁申し上げましたが、かなりハードルは高いものなのであって、単に、得をするからなどということでわらわらと企業版ふるさと納税にお金が集まるかというと、そうでもないぞと。経済的利益を与えてはいけないというのは、きちんと内閣府令で書きますので。

 そうすると、よほど魅力的な総合戦略があって、それに企業が呼応するということですから、制度の趣旨がそもそも異なるNPOに対する寄附と重複するとは私はちょっと考えていないんです。

 ですから、検証はします。そのことに本当に仮に因果関係があったとして、NPOから企業版ふるさと納税に対する振りかえみたいなものがあったとすれば、それは問題なんでしょう。ただ、今のところそういうことは想定もしていないし、企業にもそういうところはよく御理解をいただきたいと思っております。

篠原(豪)委員 これをなぜ伺ったかといえば、実際にそういうふうになってしまった場合には、法人にとっては、NPOにとっては死活問題です。

 今、法施行後五年以内の見直しが規定されているんですけれども、通常、このような規定では、五年以内といっても前倒しで見直されることはほとんどないというふうに聞いています。この制度は三十一年度までの時限措置であることもあって、その延長も含めて五年後に見直すかどうかということが起きてくる議論なのかもしれません。

 それではやはり遅いということで、今申し上げましたように、経営に行き詰まるようなNPOが出てくるのであれば、毎年度、寄附の動向をしっかりと公表していただいて、因果関係も、やろうと思えばいろいろと出てくるでしょうから、やっていただきたいというふうに考えております。

 もう一つ、今、内閣府令の話がありましたので、そちらのお話をさせていただきたいと思いますけれども、内閣府令で、地域再生法施行規則において、地方公共団体が法人に対して、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することを禁止するというふうに書こうと思っているというふうに前回御答弁されています。

 実際の改正案には、この防止のための地方自治体に関する行為規制を内閣府令で定めなさいという具体的な委任規定が見当たりません。現行法の三十七条に「この法律の実施に関し必要な事項は、内閣府令で定める。」との包括的な委任規定があるだけだというふうに理解しています。

 そこで、改めて伺いますけれども、今回の改正案に、自治体に対する行為規制について具体的に内閣府令に委任している規定がありますでしょうか。これは、時間がないので、あるかないかだけで結構です。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 私どもが今度内閣府令に書こうとしておりますのは、地域再生法三十七条の規定がございますので、この規定に基づいて設けることを考えております。(篠原(豪)委員「包括的な委任ですよね」と呼ぶ)三十七条が委任規定ということでございます。

篠原(豪)委員 そこは包括的な委任規定でありまして、具体的な委任規定はありません。

 そうなると疑問なのが、法律による具体的な委任がないのに内閣府令で地方自治体の行為を規制する、そういった規定を設けていいのかということがまず一点。これを認めると地方自治体の行為を規制する内閣府令や省令がどんどんできてしまうんじゃないかということで、地方分権を所管している内閣府がこれを率先してやってしまっていいのかなということが二点目に気になります。

 そこで、現行の内閣府令で、法律の具体的な委任がないのに地方公共団体の何らかの行為を禁止した事例があるのかという点と、これが地方分権の法制的な観点から望ましい形かということについて、簡単にお答えいただければと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 現行の内閣府令につきまして、地方公共団体が何らかの行為をしてはならないと規定している例がないか、これを検索したところ、該当するものは存在しませんでした。

 具体的な事例がなかったところでございますし、地方分権の観点からについては、所管ではございませんので、お答えすることは差し控えたいと思います。

篠原(豪)委員 本来、ここは、自治体への行為規制を法律で定めるか、法律の具体的な委任に基づいて政令で定めるかが筋だというふうに思っています。

 では、どうすればよかったかということなんですが、具体的な委任規定がないならば、モラルハザードの防止を内閣府令で規定しなくても法律上問題ないということになりますと、調べてみて、定めなくても法律上はもしかしたら問題ないのかもしれませんが、実態の形としてはそれでいいのかということであります。

 もう一つ、企業版ふるさと納税をやってみて、例えば、余り活用されなくて、企業版ふるさと納税が活用されていないのは内閣府令に経済的利益を与える行為を禁止する規定があるからだと政府がいって、この規定を削除するということが仮に起きたとします、これは法律の話ですから。そのときに、これは絶対ない話だとは思えないんですけれども、この内閣府令の規定の削除については国会の議決や閣議決定が必要となるのかどうか、これはあるなしだけで結構でございます、お教えください。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、第一点目でございますけれども、この応援税制の創設に当たりましては、地方六団体から、モラルハザードを招かないようにするべきとの御意見をいただいておりましたので、これについては何らか規定をしなければいけないと考えたところでございます。

 地域再生法につきましては、地域再生を総合的かつ効果的に推進することを目的とする法律でございますので、他の地域再生の諸制度がございますけれども、その規定ぶりとの整合をとった結果、今回の地方公共団体の特定の行為を禁止する規定は内閣府令で定めるということとし、その根拠規定を地域再生法第三十七条の委任規定に基づいて規定をしたところでございます。

 第二点目でございますけれども、地方創生応援税制、これは、この後、制度が成立いたしますれば、経済的利益の供与を禁止する前提で十分な周知を図って企業からの寄附を求めていこうとしているところでございますので、御指摘の内閣府の規定を削除することを今の時点で想定してございませんので、その点についてはお答えすることを差し控えたいと存じます。

篠原(豪)委員 きょう、何を申し上げたかったかといえば、我々がこの法案をこのままの形で認めるということは、企業版ふるさと納税の運用の中で最も重要なモラルハザードの防止について規定するかしないか、その内容をどうするか、規定されたものを削除するかしないかも含めて、全部政府に白紙委任することを意味します。将来どんな政府ができるかわかりませんので、石破大臣はしっかりとやっていただけるというふうに思っておりますけれども、こういった懸念が残るのであれば、やはり一定の縛りをかけていくという必要があったんじゃないかと思っています。

 そこで、最後に、寄附の代償として経済的利益を与える行為であって政令で定めることをしてはならないなど、具体的な委任規定を改正案に入れるべきだったのじゃないかと思いますが、その点をお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

石破国務大臣 それは、担保たり得るかどうかということでございます。

 政令等々に委ねているところが多いのは政府の恣意を招くのではないかという議論はずっと昔からある話でありまして、これは具体的に歯どめになり得るか、担保になり得るかということ、私は、なると思っています。根拠規定が三十七条というふうにあるわけでございますから、私はそういうものだと思っていますし、どんな内閣になろうとその運用には気をつけねばならない、そのためにきょうの質疑もあったのだというふうに思っています。

 一言申し上げれば、企業版ふるさと納税を行うことによってNPOが裨益することもあるのではないかということでございます。そこで自治体にお金が行く、それによってNPOの活動がエンカレッジされるということも、それは想定されることでございまして、いずれにしても、NPOを初め地域を担う方々がさらに強力に活動を展開していただけるように努めてまいります。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 ぜひしっかりとした制度にしていただきたいと思います。ありがとうございました。

山本委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民主・維新・無所属クラブの宮崎岳志でございます。

 民主党も今週でおしまいということでありますので、私も民主党議員としては最後の質疑になるかもわかりませんけれども、質疑をスムーズに進めていきたいというふうに思います。

 まず、冒頭ですが、本委員会の冒頭におきまして、石破大臣から、先日の誤った内容の提案理由説明を読み上げたという問題について御発言がございました。改めてこの点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 内容についてはそれほど詳しく言う必要もないと思うんですが、先日、提案理由説明を、同じ法律の前回改正、昨年の改正のときのものを読み上げた、そして、昨日、当委員会の理事懇談会に対して報告書が公開をされました。

 それを拝見しますと、まず、担当者が誤った原稿の電子ファイルを添付してメールを送付した、そして、それを地方創生推進室の総括班あるいは大臣官房総務課及び大臣秘書官、そういった方々がそのファイルを開いたけれども、転送することに気をとられて内容をチェックしなかった、また、地方創生推進室及び大臣官房総務課の幹部等も、そういう原稿を紙ベースで配付されたけれども内容をチェックしなかったという形で、大臣のお手元に誤った原稿が送られたと。

 そして、当該委員会当日においても、この委員会において、そういう紙を持って、間違った紙を持って、多くの方が立ち会った。チェックをしなければならないという気持ちで聞いていた人もいたが、そのチェックに責任を持つ者が誰であるかは明確でなかった、あるいは大臣が正しい原稿を読み上げているというふうに思い込んでいたというようなことであります。

 かかわる人が恐らく十人以上いたということで、しかも、何日かにわたって行われたにもかかわらず、二日ですかね、二日間ぐらいだと思いますが、行われたにもかかわらず、誰もこれに気づかなかったと。そして、当日、読み上げをしている最中に、誤っているということに気づいたのに、誰もとめようとしなかったということは、かなり深刻な問題だろうというふうに思います。

 そして、これは与党の筆頭理事にお願いをして過去の先例を調べていただきましたが、憲政史上、このような例は、前回一回あったきりだということであります。昭和四十六年十一月五日、佐藤栄作内閣、発言者は福田赳夫外務大臣であります。内容は日米協定であります、本会議。

 それで、きょう、お孫さんもこの席にいらっしゃるのかな、委員でいらっしゃると思いますけれども、福田外務大臣が日米協定の趣旨説明について誤ったものを本会議で読んだ、こういう例がありますが、私もこの年、まだ一歳でございまして、もう非常に歴史的な事実であります。

 そして、委員会で間違ったのは、憲政史上初めてということであります。

 もう責任の方は既に痛感していらっしゃるかと思いますが、報告書の方には、そういう担当の官僚、役人、そういった方々の責任というか、そういうことについては表記をしてあるわけでありますが、担当政務のことについては必ずしも表記してあるわけではないというふうに思っております。

 冒頭、御発言もございましたが、大臣そのものの責任というのはもちろんでありますが、そこに、内閣を担当する主任の大臣は内閣総理大臣であろうかと思うんですが、こういった方を初めとしてそれぞれの官房、あるいは内閣府を担当する内閣総理大臣、あるいは内閣官房長官を初めとするそれぞれの監督責任のある大臣、また副大臣、政務官等の責任も免れないことと思います。この責任について一言お考え方をお示しください。よろしくお願いします。

石破国務大臣 冒頭の発言で申し上げましたとおり、それはもう事務方の責任であって俺たちは知らぬというようなことを申し上げるつもりは全くございません。

 いろいろな理由がございまして、私自身、もう長くこの仕事をやっていますし、大臣も何度もやりましたが、このようなことは初めてであります。

 やはり、ここで読んでおって、同じ法律の改正案なものですから、書き出しがほとんど一緒なもので、私も途中で、これはおかしいねと思うわけですが、当たり前の話。ただ、幾重にもチェックを経ているものが間違うはずはない、これは自分が何か誤っているのだという、一種の安全神話みたいなものにとらわれたのは、これはもう全て一にかかって私の責任であります。幾重にもおわび申し上げる次第であります。

 このことは、今も福田赳夫外務大臣のお話がございました、先例が全くないわけではないのですが、委員会においては憲政史上初めてということであります。ほかの事例もよく見まして、対応はやっていかねばならないと思っております。

 だから、私は人のせいにするつもりは全くなくて、いずれにしろ、私はそこで気づいていたわけですから、安全神話にとらわれることなく、そこで発言を中止して、委員長の御許可をいただいて、そこで対応すべきであったということは深く反省をいたしておるところであります。ほかの事例等々も検証いたしまして、適切に対応したいと考えております。

宮崎(岳)委員 済みません、質問の趣旨がちょっと伝わっていなかったようであります。

 大臣については、既に陳謝をいただきました。それは十分こちらも認識しております。しかし、内閣官房あるいは内閣府ということになりますと、内閣総理大臣初めそれぞれの御担当の大臣も共同して監督責任を負うということかと思います。また、副大臣、政務官という方も監督責任を負うということかと思います。そういったことを含めて、全体としての発言を一言いただきたいということで、冒頭でも発言いただきましたが、重ねての確認ということでお願いいたします。

石破国務大臣 これは、御指摘のとおり、内閣府の長は内閣総理大臣でございます。また、官房長官も当然かかわってくるわけでございます。したがいまして、それは、監督責任という意味でいえばそうだと思いますが、これは過去の例も含めてと申し上げたのは、それもあわせて申し上げたつもりでございます。

 要は、責任というのは何であるかということを考えたときに、それは結果責任というものもございます。ただ、その監督し得る状況にあったかどうかということもあります。別に裁判ではありませんので、そこを微に入り細にわたって検証するつもりも私はございませんが、過去の例もあわせて検討したい。

 ただ、これは私がきちんとしていればよかっただけの話でありまして、そこは私自身が負うべきものが大きいなというふうに思っているところでございます。

宮崎(岳)委員 わかりました。これは改めてお願いでございましたが。

 今、世間で報道では、おごり、緩み、たるみというような言葉もたびたび見られるようになってまいりました。これは、私ども野党が緊張感を持たせることができないような国会情勢をつくり出してしまったという責任もあるというふうに思っております。我々も、自分たちのことをこれも反省もしつつ、さらに緊張感のある委員会をつくり上げていきたいというふうに思います。

 続きまして、法案についての質問でございますが、それに関連をして、昨日発表されました政府関係機関の地方移転についてお伺いをしたいというふうに思います。

 昨日の発表によりますと、文化庁については京都に移転をする、消費者庁及び総務省統計局については八月までに移転の是非について検討する、その他については基本的に移転はしないで現地機関の体制整備等で対応する、こういう話であろうかと思います。

 まず伺います。

 文化庁の移転について、これは、私は常々心配していることは、これまでの委員会でもたびたび申し上げました、移転をするすると言って、するする詐欺のようなことになってはいないか、こういう話であります。特に、研究機関、研修機関についてはそういう面が見られるんじゃないか。今回、文化庁の移転ということはお決めになったわけですが、一方で、多分、いろいろなところで反対論はあるんだと思います。

 そういったことについて、今、文化庁の定員は二百三十三人だというふうに考えておりますが、このうちどの程度が京都に常駐するのか、あるいは東京にはどの程度残すのか、あるいは、今後どのようなスケジュール感で移転を進めるのかということについて、お示しを願いたいと思います。よろしくお願いします。

義家副大臣 お答えいたします。

 昨日決定された政府機関移転基本方針を踏まえれば、文化庁につきましては、京都への移転の意義が大きいという一方で、外交関係や国会対応の業務、関係省庁との調整等々が必要な政策の企画立案業務の事務について、現在と同等以上の機能を発揮するため、東京での事務体制を確保する必要があると考えております。

 今後、文化庁移転協議会において、これはまだ仮称でございますが、具体的な移転の内容等について検討を行い、八月末までに結論を得ることとしておりますが、現段階では、移転の人数規模をお示しすることは困難であります。

 と申しますのは、移転先をどうするのか、あるいは、これは文化庁だけではありませんし、先般もスポーツ庁、観光庁、文化庁で連携協定の調印を行いましたけれども、他省庁とどのような連携をしていくのか、それから日常の国会対応の体制にどれだけのマンパワーが必要であるのか、そして、京都のみならず日本じゅうの文化あるいは世界の文化と連携していくためにどのような体制をしいていく必要があるのか等々も勘案した上で進めていかなければならないと考えております。

 ちなみに、現在、定員は二百三十三名でありますが、非常勤百名、それから大学の研究者や地方からの出向者を含めて現員で三百六十三名で回しているところでありまして、これが京都に移転することによってどのような体制強化やあるいは連携強化というものができていくかは、今後の検討になっていくと考えております。

宮崎(岳)委員 私は、何も一人一人細かい数字を挙げろと言っているのではないんです。ただ、その全体の規模感というものを伺いたいということです。

 つまり、全面移転だと言っておきながら、一割しか行かないとか二割しか行かないとか、そういうことはないんでしょうねということを言っているんです。全面移転というからには、やはり七割、八割行って、こっちに一割、二割、三割、その程度残る、こういうことならわかるんですが、きちんと移転の形式は保たれるのかどうか。もう一度御発言願えますか。

義家副大臣 まず、我々が考えているのは、人数ありきではなくて機能ありきであります。守りの文化から攻めの文化、日本の文化を世界に発信していくためには、当然、観光庁とも連携していかなければならないし、外務省とも連携していかなければなりませんし、もちろん文部科学省との連携もさらに強化していかなければならないという意味で、人数ありきでというよりも機能ありきで、しっかりと責任を持って議論してまいりたいというふうに思っております。

宮崎(岳)委員 機能というのは人間に付随するものでありますから、それは、そんなことを言ったら、機能だけ全部移しました、人間は一人もやりません、データサーバーか何かを京都へ置いて、機能だけ移りましたね、あるいは、窓口の人だけ置いて、機能は全部移りましたよ、こういうことだって言えてしまうわけであります。

 そもそも、人数ありきではなく機能ありきというのは、これまで、研究機関、研修機関の移転の際にも大変多用された言葉でありますが、はっきり言えば、人数が移せなかった場合の言いわけとして使われるケースの方が多いように私は認識しております。ですから、伺ったわけであります。

 これはあれですか、少なくとも半数以上は行くんだということは明言できますか、この場で。

義家副大臣 この場での明言はできません。

宮崎(岳)委員 半数以上行くということが明言できないという、私は大変残念に思います。

 全面移転ですよ。全面移転をして、定員でいえば二百三十三人、先ほど言った非常勤の方等を含めれば三百六十三人という御説明でありましたけれども、この半分の人間が移転するかどうかをこの場で明言できないというのは、これは質問通告も詳細に出しているものですから、少々これは問題なのではないか。

 というのは、過去のさまざまな移転計画が骨抜きに終わってきた、そういう歴史を踏まえて私は言っているわけであります。かつ、京都でこれから補欠選挙も行われるわけですね。その選挙の前に移転するという花火を打ち上げておいて、参院選も終わった八月になって、やはりこの程度でしたというようなことにならぬとも限らない、わざわざやっているとは思いませんけれども、結果的にそういうことだってないとは限らないというふうに疑うのは普通の感覚ではないかというふうに思うんですね。

 文化庁がそういう御説明をできないということでありますと、例えば消費者庁が今移転に向けた検証を行っているということであります。ことしの八月までに結論を出すということだと思いますが。定員が三百九人おります。そのうち何人程度を移転するということをシミュレーションして検証を進めているのか。もちろん、これは未定のことでありますから、当然、最終的にどうなるかはわかりません。しかし、どの程度の移転を行うのかということを最初にある程度想定しなければ、検証もできないわけでありまして、シミュレーションもできない、そういうことだと思います。

 今、消費者庁についてはどの程度の規模で移転の検証を進めているのかということについてお伺いできますでしょうか。

酒井大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今委員からお話ございましたように、どの程度の人数を移転させるシミュレーションでというお話とその検証という御質問でございますけれども、現実には、今、何人ということは申し上げられません。その上で、さまざまな機能の移転というのを考えていかなければならないというふうに思います。

 その意味で検証を行っていくということでありますけれども、御承知のとおり、徳島への移転の提案については、この十三日から十七日まで、消費者庁長官を含めて、実は、職員十人が試行的に滞在して業務を行ったところでございます。

 今回のその試行を踏まえて課題を整理して、それを踏まえた上で、夏には第二弾を試行していこうというふうに思っておりまして、少し大き目な、長い規模でやっていこうというふうに実は思っております。

 引き続いて、七月以降にもその試行と検証を行って、消費者庁の機能の確保や向上が図れるといった観点から、先ほどちょっとお話がございましたけれども、八月までに結論を出していきたいというふうに考えておりますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

宮崎(岳)委員 これもやはりちょっとよくわからない話でありまして、最大でどの程度の規模の移転をするのかということを想定しなければ、検証自体ができないではないかというふうに思うわけであります。これが、支社をつくるとかという話であっても、例えばその出先に三十人規模のものをやるのか、五十人規模のものをやるのかというようなことによって変わってくることかと思います。

 さまざまな実験等を今取り組んでいらっしゃると思うんですが、例えば、最大でいえば九割は移転するんだ、しかし、結論とすればゼロかもわからない、これは検証ですからゼロかもわからないことだと思います。しかし、そういう規模感を全くなしに検証というのは行うものなんでしょうか。私はそこが疑問なのであります。

 もう一度、最大でどの程度だということについては、もちろん、詳細に何人かということを聞くつもりはありませんけれども、その規模感についてはもう一度御説明願えませんか。

酒井大臣政務官 お答え申し上げます。

 何度も申し上げますけれども、検証している状況でありまして、委員がおっしゃるとおり、規模的なということでございましょうけれども、これは徳島県とも御相談をしながら、順次やっているところであります。

 その上で、今、しながら、ある程度のシミュレーションをつくっていきたいということで考えておりますので、またぜひとも御理解をいただきたいというふうに思っております。

宮崎(岳)委員 徳島県とも相談しながらということですが、徳島県は、当然、全員移してくれと言いますよ、言い値ではね。それは当たり前ですよ。だって、向こうが移転を希望しているんですから。しかし、それに対して、東京に残りたいという方も必ずいる。あるいは、各種団体でも、消費者庁に関係する団体では東京に機能を残してほしいというところもたくさんいる。それは私は否定しませんよ。例えば、我々民主党を支持していただいている団体の中にも、当然、消費者庁を残してくれというところもあるんです。

 ありますが、私は、そういうところを超えて、今、地方創生を進める、そういう理念の中で地方移転をやっているわけですから、そういったことについては利害得失を超えて応援しなきゃならぬと思っているから、こういう質問をしているわけでありますし、そういった中で、今、徳島県との調整中だから規模感についても言えないとか、これは御説明になっていないんじゃないかというふうに思います。

 その移転の実証実験の中で、テレビ会議等でふぐあいがあったという御報道もあるようですが、その原因とか対策等は今わかりますでしょうか。お願いします。

酒井大臣政務官 お答えをいたします。

 先ほど申し上げましたように、せんだって、徳島でいわゆるICTを活用したテレビ会議やテレワークを試行したところでありまして、本当にテレビ会議等で意思の疎通や業務遂行が円滑に行えるかということの検証も行ったところであります。

 実際、板東長官の記者会見で少しふぐあいがあったということでございましたけれども、これはいわゆるウエブを使ったということで、パソコンを使ったということでありまして、これはやはり少し課題があるのかなということも実際にわかったということでありますので、その点も含めてまた対応していかなきゃならない。

 もう一つは、テレビ会議専用のシステムを使ってやった、これは機能性食品に関する有識者会議で使ってお話をしたんですけれども、大規模な会議になると、実際に、臨場感といいますか、そういうものが本当にきちんと伝えられたかなという感もあるというふうに長官からもお話を聞いておりますので、こうしたこともあわせながら、また対応していきたいというふうに実は思っておるところでございます。

宮崎(岳)委員 正直に言えば、ウエブを通じた会議とか、それによる記者会見を行うとかということが技術的にそれほど困難を伴うものだとも思えません。実際に、記者会見の生中継なんというのは、各省庁あるいは大臣において行われているケースもたびたびあるわけでありますし、例えば、民主党においても、各都道府県の政調の担当者と、全員が参加するようなテレビ会議を、政調でやったりもしております。地方の意見を吸い上げろ、こういう話もありますから。

 もちろん、臨場感において一堂に集まるより劣るというのは、これは当たり前の話でありますが、実際に、全員が顔を合わせて、臨場感が満ちあふれる会議をするというケースは、各省庁でもそれほどないのではないかというふうに思いますね。もちろん、少人数の会議で臨場感が必要な会議もあると思いますが。

 少なくとも、各局長がずらりと顔をそろえる庁議のようなものは、どちらかというと、ある意味、儀式性が強かったり、あるいは内容を伝達するという意識が強かったりというものが多いのではないかというふうに思いますので、これが必ずしも課題というほどの課題なのかなという気はちょっといたしております。

 続いて、総務省の関係について伺います。

 総務省の統計局について、和歌山県への移転を検討するということで、八月に正式決定をするということで、そこに向けて検証するというふうに聞いております。

 統計局の現在の規模はどれぐらいでありましょうか。そのうちどの程度を移転先に常駐すると想定しての検証を進めているかということであります。また、今後の検討の進め方についてお伺いをしたいと思います。

古賀大臣政務官 御質問の総務省統計局の移転についてお答えさせていただきます。

 先ほど来お話が出ておりますように、昨日、政府関係機関移転基本方針が決定されておりまして、その中で、総務省統計局におきましては、統計データ利活用に関する業務の地方実施について、ICTも活用した実証実験を行い、八月末までに結論を得ることを目指すこととされております。

 御質問の統計局の職員数でございますが、現在四百七十三名となっておりますが、今後、八月末までに結論を得るべく、実証実験の規模、内容、スケジュール等詳細を速やかに検討していきたいと考えております。

 以上です。

宮崎(岳)委員 これについても、規模感、どの程度を想定して実験を進めるのかということは全く考えていらっしゃらないということですか。もう一度お願いします。

古賀大臣政務官 規模感についてですが、これから八月末までに結論を得るという中で、実証実験をどういった形にするのか、人数も含めて、検討していきたいというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 私は、これから検討を進めるということでありますけれども、これまでのお答えを聞いていますと、では、一体、これまで何をしていたんだというふうに思うんですね。これが今回初めて出てきた話ならわかりますが、昨年の夏に応募を締め切っている話ですよ。そこから、移転を、是非を、どうするかについてずっと検討してきたわけですね。ことしに入ってからも、もう二カ月以上この検討を進めて、内容について、消費者庁をどうするんだ、文化庁をどうするかみたいな話で、報道も含めてこれだけのニュースになってきたわけですね。

 そのときに、一応、基本方針というのを決めるときに、どの程度のものを移転するかというものを全く考えなしにこの結論が出るわけがないんですよ。規模感についても、そんなに詳細なことを言うわけじゃない、五割なのか、七割なのか、三割なのか、そういった規模感についても全く御説明できない。既に全面移転をすると言っている文化庁についても、半分以上なのか以下なのかについても明言できない。

 こういう話でありますと、結局、これはつまり、そういうことを明言してしまうと移転が実現してしまうから、させないために言わないんじゃないか、そういう感じを私は抱かざるを得ないんです。これはいちゃもんではないと思いますよ。過去にこういう例がいっぱいあったから言っているんです。

 私も、政権についているときの話ですけれども、いろいろな特殊法人等の内容を精査させていただいたことはありますけれども、例えば、昔の移転計画で、横浜に行くと言われていたのに、もう二十年とかたっているのに、いまだに現地の東京にあったままというようなケースも、しかも、別に移転方針が必ずしも撤回されたわけでもないみたいなものがいっぱい過去にあるわけですよ。そういうことを踏まえて申し述べているんです。

 義家副大臣、文化庁は全面移転をすると言っているわけですから、全面移転をするという基本方針なんですから、全面移転というからには、最低でも半分以上は行くんだろうというふうに、まともな日本語であれば理解すると私は思います。改めて、これは半分以上は行くんだということで明言できませんか。もう一度お願いします。

義家副大臣 まず、丁寧に御説明するために、先般発表された方針について改めて確認させていただきます。

 外交関係や国会対応の業務、政策の企画立案業務の事務についても現在と同等以上の機能が発揮できることを前提とした上で、地方創生や文化財活用など、文化庁に期待される新たな政策ニーズ等の対応を含め、文化庁の機能強化を図りつつ、全面的に移転する。このため、抜本的な組織見直し、東京での事務体制の構築や移転時期、移転費用、移転後の経常的経費への対応などを検討するために、これには現在の定数のままでいいかどうかも含まれておりますが、文化庁移転協議会を文部科学省と内閣官房、関係省庁の協力のもと政府内に設置する。また、ICTの活用等に関する検証実験を行いつつ、八月末をめどに移転に係る組織体制等の概要の取りまとめ、そして年内をめどに具体的な内容を決定し、数年のうちに移転する。これが方針であります。

 つまり、現在定員二百三十三名ですが、この二百三十三名の定員でいいのかどうか、あるいは移転先の大きさや場所や費用負担等々も詰めていかなければ、ちっちゃなところでは半分以上あるいは全員行ったところで入れない、これは機能として果たせないというふうに考えております。

 いずれにしても、数年をめどに移転するという形で方針が明言されているものですから、応分の人員の移転というのはこれは当然のことであろうと思います。そのためには強化をしっかりとしていかなければならない、これは同時に議論していかなければならないものなので、八月までに慎重な議論をした上で年内に方針を取りまとめるという形になっておりますので、何とぞ御理解を願いたいと思っております。

宮崎(岳)委員 また今、箱の大きさの話ですね。京都の中のどこに移転するかわからないから、その建物の大きさがわからないから人数は言えないみたいな話も出ましたけれども、京都は全員よこしてくれと言うに決まっているんですよ、普通は。だって、地方創生のための地方移転なんですから。スタートが地方創生のためなんですよ。地方に機能を移すということ、特に地方に人数を移す、物自体を移すということが目的となって募集をかけているわけですから、地方はなるべく大きいものを大きい規模でうちにくれと言ってくるのは、それは当たり前の話であります。

 当然、具体的に場所がどこになるかというのはこれからありましょうけれども、これまで半年以上検討を続けてきた結果として今言うのが、半分以上移すかどうかも言えないみたいな話というのは、私は、さすがにちょっと、なぜそこまで明言できないのかというのは全くわからないというふうに感じております。

 この間いろいろ聞いてまいりましたけれども、結局、こういった移転問題については、これは中央省庁であれそのほかの機関であれ、当然、抵抗とか反対というのはあるわけであります。その抵抗とか反対への逃げ道を残すような格好になっていないかということが大変危惧されているものでありますし、実際、研究機関や研修機関については既にそういう状況になってしまったというふうに理解をしているところであります。

 さて、その他の中央省庁の移転について、体制整備等を挙げられております特許庁、中小企業庁、観光庁、気象庁、こういったところでありますが、この中央省庁の移転については、移転はしないけれども、現在の拠点、既にある拠点について体制整備等をするということであります。これについては、常駐の人数がその出先にふえるということなのか、ふえるというのはどの程度の規模のことなのかということについて御説明願えますでしょうか。お願いします。

高木副大臣 ただいま御指摘いただきましたように、経済産業省所管におきましては、特許庁と中小企業庁の問題であると思います。

 昨日決定されました政府関係機関移転基本方針、これにおきましては、まず、特許庁については、各府県における知財総合支援窓口を抜本的に底上げすべく、独立行政法人工業所有権情報・研修館の近畿地方の統括拠点を整備する方向、一方、中小企業庁については、近畿経済産業局での地域中小企業の実態把握機能を抜本的に強化するための体制を整備する方向、この二つの方向をもって、八月末までに具体的な結論を得るというふうになっております。

 先ほどから、委員、規模感、規模感とずっとおっしゃっておられます。ただ、きのう決まりました方針で、そういうそれぞれの機能をしっかりと充実させろという話でございますから、それを充実させるためにはどういった方策があるかをこれから検討する、こういう段階でございます。そういった部分では、具体的に人数をふやすだとかまたは減らすだとか、そういったことはまずこれからの議論であると思います。

 一方で、よく言われます、機能だけ移転して逆に焼け太りにならないか、こういう批判もございましたので、近畿の方にそれぞれ特許庁または中小企業庁の機能の部分を充実させるために、焼け太りにならないように、ここをしっかりと押さえながら検討を進めてまいりたい、このように考えております。

宮内大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 国土交通省といたしましては、昨日決定されました基本方針のとおり、検討の結果、観光庁については、運輸局におきまして、新たに、関係省庁の地方支分部局をメンバーとする観光立国地方ブロック戦略会議、仮称でございますけれども、これを設置、運営して連携強化をするということになっております。地域の観光行政のワンストップサービス化を推進しまして、そのために必要な機能の充実強化のための体制整備という方向になっております。

 また、気象庁につきましては、津地方気象台における防災支援等の機能の充実強化につきまして、三重県や地域の関係機関と協議をいたしまして、三重県の防災人材育成や住民に対する安全知識の普及啓発の推進等を進めることとする方向になりました。

 国土交通省といたしましては、基本方針で示されたとおり、地方創生を推進するために、地域に密着した各地方支分部局等の強化を図りまして、地域のさまざまな課題の迅速な解決を図ること等が必要であると考えており、今後、基本方針の内容を踏まえまして、八月末までに具体的な結論を得たいと考えております。

 委員御指摘のように、このことが結果的に焼け太りになったということでは全く方向性を異にするということでございますので、大事な観点として考えると同時に、特に観光庁については他の省庁との連携をしっかりとって、そして一つの力が二倍にも三倍にもなる、こういう取り組みをすることが一つの大きな結果を結ぶんじゃないかというふうに考えております。

宮崎(岳)委員 今、それぞれ御説明をいただいたわけですが、答弁の中で、焼け太りにならないようにという話がありました。

 私は、今回の質問では焼け太りという話はしていないんです。なぜなら、地方に何人人が行くのかということを重点的に話しておりますので、その結果、組織全体が焼け太りになるかどうかということの是非はまたこれは別の話。ただ、地方に全く人が行かない、それなのに移転だというふうに強弁するようなことはやめてもらいたい、こういう話をしているわけであります。

 今、経産省あるいは国交省の関係で御説明をいただきました。しかし、この点について、私は二点だけ確認をしておきたい。つまり、最低でも一人は常駐人数が地方拠点にふえるということは明言をしていただきたい。もう一つは、例えば、近畿の拠点を強めるというときに、近畿圏内の他の拠点から引き抜いて、あるいは関係ない東北とか四国から引き抜いてそこを強化するというようなことで東京にいる人数は減らない、そういったことはないんでしょうね。

 この二点については、経産省あるいは国交省の方から明言をしていただきたいんですが、明言できますか、この二点。

高木副大臣 まず、一つの具体例をちょっと挙げたいと思うんですけれども、例えば、日本は特許庁の審査官が千七百人おります。米国は七千九百人もおります。一方で、年間の処理件数は、日本は四十万件で、米国は六十五万件。つまり、米国の三倍。これをヨーロッパに当てはめますと、五倍生産性がいい。そういうような中で、少ない人数の中でやっているという現実があります。

 それをさらにいわゆる充実させていこうということでございますけれども、定員というのがありますので、そのまま移転をするのであれば、そこの人数というのはふえますけれども、逆に言ったら、いわゆる省庁全体の定員の枠の中でそれをどういうふうに配分するかというのも含めてこれからやりますので、ふやすもしくは機能を強化するというのは、人数をふやすだけが機能強化ではないと思いますので、その点についても含めてこれから検討をするということでございます。

 委員が望んでいるような、例えば一人でも多くふやす、こういうことは今の段階では明確には申し上げられない、こういうような形でございます。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 地方創生の理念、それに基づいて政策を遂行しようとしているわけでありますから、その趣旨に沿ってしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

 残念ながら、今から検討をしっかりするという段階でございますから明言することはできませんけれども、委員のお考えの趣旨に沿ってしっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

宮崎(岳)委員 大臣、今のお話を聞いていて、私は大変悲しい思いをいたします。私は、これが例えば分散による機能強化のための決定が行われたというのであれば、こんな言い方はしません。移転だと言っているから、だったら一人でも人数がふえるんですよねと言っているだけの話です。

 確かに、機能強化は大切です。しかし、機能強化は移転ではありません。移転だと言うからには、地方に人が行くというのが最低条件です、たった一人でもということであります。しかし、そのことも明言なさらない。

 今伺いましたが、では、ほかの地方から引き抜いてそこにふやすみたいなことはされないんですね、そのことも明言なされない。これで地方創生だ、地方移転だというふうに言えるのかというふうに思います。

 定員の話もいろいろ出ました。しかし、これは政府として取り組んでいることですから、定員が足りなければ政府全体の定員の中で調整できる話であります。別に今の定員のままやれと言っているわけじゃない。各省庁の定員もありますけれども、それだって、少なくとも石破大臣が担当大臣として仕切っているんですから、できない話ではないはずであります。

 そこも含めて、この話で、人数の問題ではない、機能の話なんだということはもう私は聞き飽きました、そんなことは要らないです。移転の実を人としてはっきり出していただきたいということについて、石破大臣の御見解を伺います。

石破国務大臣 政府の基本的な方針は、今、副大臣、政務官からお答えをしたとおりであります。

 実際、これから八月に向けて、消費者庁あるいは統計局は実証実験を行って答えを出す。文化庁につきましては、政府部内に協議会をつくって具体的な議論を始めるということです。ですから、これから先、国会の議論にたえるものでなければそれは国民の御批判を浴びることになります。ですから、パフォーマンスだとかそういうことをしようと私たちは思っていません。

 冒頭から申し上げておりますように、これは政府が身をもって範を示さなければ、民間の方にお願いしてもそれは説得力を欠くものである、そして、テレワークだのワーク・ライフ・バランスだの多様な働き方だの何だのかんだの言って、政府が範を示していかなければ国全体は変わらないという思いが地方創生とともにございます。だから、ここできちんとした結果を出さなければ、政府の言っていることは一体何なんだという御批判を浴びますし、それは私どもとして、そんなものには耐えられないと思っておりますので。

 だから、ここで今、副大臣や政務官として、人数はこれだけとか、確定はこれだけとかいうのは言える立場に彼らもおりませんので、委員の御意向にきちんと沿ったお答えができないかもしれませんが、今、国土交通政務官からお話がありましたように、委員の御意向はきちんと体してやっていかねばなりませんし、立場が違いましても、委員がまた民主党さんが、労働組合も民主党の応援をしておられることかと思いますが、そういうことは捨象して応援してやるというふうにおっしゃっているわけですから、その御趣旨を体して私どもはやらせていただきたいと思っております。

 今ここで確定的なことは言えないという副大臣や政務官たちの立場を委員にはよく御理解をいただけるかと思います。

 移ることによって国民の利便が上がらなきゃしようがないわけです。そこへ人を移さなければ利便が上がらないということであれば、それは当然移すことになると思います。

 ですから、これはこれからそれぞれの部局で真摯に議論をして答えを出してまいりますので、ぜひ今後ともよろしくお願いを申し上げます。

宮崎(岳)委員 この問題の最後に、研究、研修機関の移転について伺います。

 私も、予算委員会を初め何度か大臣にこの点で質問をさせていただきました。内容は、今、中央省庁について伺っていったのと同じ話であります。五十件移転するというふうに決められたそうですが、二十三組織、件数でいうと五十件ということですね。

 これを、では、移転先に職員が常駐するんだ、常駐の職員がふえるんだというふうに明言できるものはこの五十件のうち何件あるのか。あるいは、この五十件の移転全ての合計で、どの程度の規模感で常駐の人間は移転するんですか。この点についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

石破国務大臣 基本方針を決定したばかりの時点でありまして、中央省庁と一緒でございますが、何人移転するかということはこれからの議論の中で決まっていくものでございます。

 人も大事だが機能も大事だということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ですので、今の時点で規模感ということを明確にお示しはできませんが、これも一つ一つまた検証していただくことになるんだろうと思います。

 実際に人が移らなかった、それで機能は本当に強化をされたのかという御議論は、当然、国会の中であるものでございます。ですから、そこは、人が動くということは基本だと思いますが、人が動かなくても本当に機能を強化したのというふうにお尋ねがあったとしてきちんと答えができなければ、それは何を言っているんだということに相なります。

 だから、基本的に、人が動くということは、人と機能は不可分な部分がございますので、人が動かなければだめだということだと思いますけれども、逆に、人は動いたんだけれども機能はちっとも強化されていないということであれば、それはそれで御批判を賜ることだと思っております。

 このことは、国会の御議論、あるいは世の中の御議論にきちんと応えられるような形で、形だけ整えたというそしりを決して受けることがないように、政府として努力をいたしてまいります。

宮崎(岳)委員 この問題について、私は、大臣との議論はもう何度目かわからないぐらいことしに入ってやらせていただいていると思うんですね。

 趣旨はずっと同じです。人は何人移るんですか、地方創生ですよね、地方移転ですよね、ということは人が行くんですよねということで質問させていただいていて、その都度、きちんとしたお答えが、少なくとも数字という面においては全く出てこないというのは、非常に寂しい思いがいたしております。

 きょうの中央省庁の話も同じであります。それは、各副大臣、政務官、大臣じゃないんだから、答えられない立場でここへ来て、今さらここで自分の判断で答えられませんよね、それはわかりますよ。

 しかし、少なくとも、移転とかあるいは充実とかそういう方針を決定しているわけですよね、それも半年程度の検討を経て。ということは、それぐらいのことはもう決まってなきゃいけない、決まっていて当然だと思って聞いているのであって、別に、ここで蛮勇を発揮して、独自の判断をして、俺の権限を踏み越えて言えなんてことを迫っているわけじゃないんです。

 当然、一人行くのは当たり前じゃないですか。一人ですよ、一人。充実だと言うんだから、一人行くのは当たり前じゃないですか、あなたは何を聞いているんですかと言ってもらうぐらいのことじゃなきゃ困りますよ、きのうきょう決まった話じゃないんだから。私はそういうことを申し上げたい。

 ですから、地方移転のことについて、先ほど大臣が言われたとおり、私自身も、あるいは我が党自身も、これが実現しようがしまいが、個人的あるいは党派的な利害得失には必ずしも絡むところではない、私はそういうふうに思っています。

 しかし、地方創生という理念を掲げて、大臣初め、安倍内閣初めやると言っているんですから、それは実のあるものにしていただきたいというふうに思って質問をさせていただいているということであります。

 特に、先ほども申し上げましたけれども、京都で補選がある、北海道でも補選がある、夏には参院選もあるという中で、地方に鼻薬だけ嗅がせて、八月になってふたをあけたら、何もありませんでしたということはやめていただきたいということはここで申し上げておきたい。(発言する者あり)

 今、そんなことはないよというやじが飛びましたけれども、そんなことが本当にないのならないでそれはありがたいことなんですけれども、ありそうだから言っているということは御理解いただきたいというふうに思います。

 さて、日本版CCRCについてお伺いをしたいと思います。

 もう時間も大分なくなってまいりましたが、これは基本的に住所地特例というのは適用されません。住所地特例というのは、御案内のとおり、もともと住んでいた自治体が健康保険や介護保険の費用負担をするというようなものでありますが、例えば直接地方の特養に入るということになると、もともと住んでいた自治体がそれは負担する。しかし、日本版CCRCで、元気なうちに一度地方に移り住みます、そして、そこから数年たって例えば施設に入るということになりますと、引っ越した先の地方にいわゆる社会保障の費用負担がのしかかるということになると思われるんですが、この点についてはどのような対処をお考えになっているのか、お教え願いたいと思います。よろしくお願いします。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 生涯活躍のまちでの移住先の自治体における介護費用の負担については、全体の五割を公費で負担しており、地方負担分は地方交付税で措置しております。地域住民の保険料負担について、保険者間の格差を是正するため、財政調整、調整交付金を行うほか、一定のサービスつき高齢者向け住宅であれば住所地特例が適用され、移住元の自治体が将来発生する介護費用を負担する仕組みとなっております。

 さらに、この介護保険における財政調整については、今後、特に年齢が高い高齢者が多い自治体により重点的に配分するよう見直しを検討することとしております。

 また、移住先の自治体における医療費については、介護保険と同様に給付費の約五割を公費で負担し、公費のうちの地方負担分は地方交付税で措置するほか、前期高齢者につきましては、国民健康保険、被用者保険の各保険者が加入者数に応じて費用負担するよう調整が行われております。また、後期高齢者については、都道府県単位で安定的な財政運営が行われているところであります。

 このような仕組みにより、移住先自治体において医療や介護の負担が過大に増加しないよう配慮しているところでございます。

宮崎(岳)委員 三ッ林厚生労働大臣政務官、今、非常にもっともらしい言葉、難しい言葉で言われたんですが、つまり、これは今やっていることのままですよということですね。

 それは、例えば国保の半分を税金で負担していますなんというのは当たり前の話で、地方交付税で財政調整しています、そうでしょう。そうなんでしょうけれども、かといって、それを全部財政調整しているようなら、それは各保険者が独立したり各地方で独立して保険運営している意味がないじゃないですか。

 それはやはり、今のお答えというのは、CCRCについて、特段そういうことについては検討していないというふうに、つまり、既存の制度がありますよという御説明をされただけで、この問題について新たに問題が発生するということを認識して、その対処をするような検討は今のところしていませんよという意味だというふうに認識をいたします。もし違えばおっしゃっていただければいいんですが、違わないと思いますので、特に御要望がなければ答弁は求めませんけれども。

 私は、少なくとも、この生涯活躍のまち、日本版CCRCを普及させていくとすれば、当然、社会保障の地方負担についてどのような調整を新たに行っていくかということは考えていかなければならないだろうというふうに思っておりますので、それは改めて御検討願いたいということでいいですか。反論ございますか。CCRCについて、新たに何かあれば言っていただきたいんですけれども、時間もないので、ない、これまでの御答弁の繰り返しということであれば、やめていただきたい。どっちでしょうか。ありますか。

三ッ林大臣政務官 お答えいたします。

 この日本版CCRC、これはこれからもしっかり取り組んでいかなくてはならないことであります。

 ただ、財政負担、やはり、都会から地方へ移住した場合、また地方から都会へ移住した場合、これは大きく違うと思います。地方から都会に移住した場合には、普通に移住した場合に、またその移住元の負担がふえるということとなりますとこれは大きな問題がありまして、現在では、施設に入居する、そういったところで線を引いて、その上でこの日本版CCRCをしっかりと確立していくことが必要であると思っております。

 そういうことで、この日本版CCRCをしっかりと確立するために、厚生労働省としてもしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

宮崎(岳)委員 どうも趣旨が伝わっていないようです。

 生涯活躍のまちで、今回のものは、ただ地方に、例えば特養があって寝たきりの方を地方に送るという話じゃなくて、元気なうちに行っていただきますよ、元気なうちに行っていただくというところから始まるんだと思います。

 しかし、元気なうちとはいっても、ある程度お年を召した方だと、五十代から六十代だというふうに思います、そうすれば、当然、その人の現役収入がある時代というのは限られてくるわけです。数年という単位だと思います、現役的な収入がある時期は。そして、比較的早く皆さん社会保障のお世話になる、特に医療や介護という面でなるということになると、地方の負担がふえるけれども、今回、国策として日本版CCRCというのをやろうということに当たってそういうことを考えていらっしゃいますかということについて、今のお話も既存の、つまりサ高住とか特養とかそういうところに入るときには住所地特例がありますよという御説明をなされただけなので、その説明にはなっていない。

 私は、当然、こういう制度を導入する上では、社会保障を地方がどの程度どういう形で負担するのか、あるいは国がそれについてどのような面倒を見るのかということについて、もし国策として日本版CCRCを進めていくのであればきちんと検討しなきゃならないだろうというふうに、これはくぎを刺しておきたいというふうに思います。

 さて、ちょっと時間もありませんので先を急がせていただきますが、地方創生推進交付金についてお伺いをしたいというふうに思います。

 重要業績指標でしたか、KPI、あるいはPDCAサイクル、こういったものを重視して地方創生推進交付金を行う。

 この前段で、本年度の補正予算に入っています地方創生加速化交付金というのがあります。先日、三月十八日だと思いますが、その交付先が公表されたところであります。その中で、私も地元のこともあるのでいろいろざっと見せていただきましたが、ちょっと首をかしげるようなものも入っている。

 推進交付金と加速化交付金、形は違いますけれども、基本的には、二十七年補正の加速化交付金というのは募集の期間が非常に短いものですから、結局、私は、まち・ひと・しごと創生本部から説明を受けたことでは、各自治体が二十八年度本予算の推進交付金の方で予定していたものを前倒しで加速化でやっていただくというケースが多いんだという御説明を受けておりますから、実質的には、内容的にはかなりかぶっているものが多いんだと思います。

 前回、じゃないですね、その前に大臣と議論をさせていただいた中で、地方活性化の伝道師の木下斉さんのお話が出ました。木下斉さんがインターネット上に書き込みを公開されておられまして、この加速化交付金についてであります。「地方創生加速しちゃって困っちゃうよー。」という題でやっておりますが、例えば、「以下、真剣に書くと辛くなるので、明るくお伝えします。」と書いてあります。

 内容は、もう一々自治体とか事業の名前は申し上げません、いろいろ地方もお立場があるでしょうから。三千二百万円かけて初年度二十人の外国人と百人の日本人という目標設定の事業です、物すごい高いKPI設定ですね、僕なら怖くて設定できませんと書いてあります。あるいは、初年度二件の創業とかで三千八百万円、すごいですねとか。ふるさと県民を募集する、本来の県民ではないけれども、ふるさと県民というのを募集して、関係を深めて将来来てもらおうとかそういうことだと思いますが、ふるさと県民制度で三・九億円、初年度目標が千人、一人三十九万ですね。

 例えば、三千二百万かけて、初年度二十人の外国人と百人の日本人、一人呼ぶのに十何万とか百万とか、そういう世界だと思うんですね。

 結局、地方がKPIを設定しPDCAサイクルを回し、それを国が最終的に検証もするんだというようなことでありますが、単年度で終わっちゃう事業ももちろんある、長年続くものもあるかもしれませんが、最終的に、恐らく、最終のKPI設定の結果が明らかになる前にはこの制度自体もなくなっている可能性が高いということでありますが、どう検証して、何をどこにフィードバックするのかということについてお教え願いたいんですが。

石破国務大臣 誰が検証するかといえば、当該自治体でございます。いつやるのかというのは、次年度、次の年度以降の交付金の審査もいたしますので、その前に検証していただくということになります。

 この制度は、継続的、安定的に運営をいたしたいと思っておりまして、五年でおしまいというものだとは思っておりません。五年で済めばこんな簡単なことはないんですが、世の中そんなに簡単にはいかぬだろうと思っております。

 もちろん、これは、法律に定めることでございますので国会で御審議をいただいておるわけでございますが、やるのは自治体でございます。そして、また新しく交付金を申請しますときに審査というものはしていただくことになります。

 そこにおいて、やはり自治体の責任において定めたKPIですから、私どもずっと自治体と議論していて、ちょっとこれは荒唐無稽ではありませんか、実際にこんなKPIをどうやって設定するんですか、住民の方々にどうやって御理解いただくのですかみたいなやりとりはずっとしてまいりました。

 その上で、責任転嫁とか押しつけをするつもりではありませんが、責任は自治体においてやっていただくというものでございます。

宮崎(岳)委員 国の予算を出すけれども、検証は自治体がやっていただいて、自治体がその責任を持ってもらうと。全部地方の予算ならいいと思うんですが、国がわざわざ鳴り物入りでKPI、PDCAと言っているのに、最後は地方がそれを検証してくださいということだと、私は、ではそれは何のためにそんな要件をつけたのかなと。地方は地方で勝手にKPIを設定すればいいじゃないか、PDCAを回せばいいじゃないかというふうに思ってしまうわけであります。

 最後に、ふるさと納税について一問だけお伺いします。

 電力会社による原発立地自治体への地元対策として寄附をするということについて、これは最初から質問しておりますけれども、控除が適用されるということについて、つまり、既存の寄附について控除が適用されるということには問題があるんじゃないかという質問をさせていただきましたが、ちょっと明確なお答えがないんですね。結局、使えるということでしか私は理解できないんですが、それでよろしいのかどうか。

 それからもう一点だけ。名誉村民や名誉博士号の授与など非経済的な利益を企業版ふるさと納税の返礼として提供することは禁止されないということでありますが、競争が過熱して、うちの県立大学では寄附金一千万円以上の方には漏れなく名誉博士号をプレゼントとかそんなことになったときでも、それは本当に構わないということなのか。

 この二点について、一応、最後に御確認させていただきます。

石破国務大臣 企業版ふるさと納税は新しい制度でございますので、今まで電力会社が地元に対してやってきたものというのは当然対象になりません。それぞれの原発立地自治体がこんなことをやりたいんだ、それにまた呼応して電力会社がやってくださるというものまで妨げるものではありませんが、もう既存のものですから新しい制度とは関係ないので、既存のものはもちろん対象になりません。これから新しいものがそれになじむものであれば、それを排除するわけではないということでございます。

 それから、名誉村民、名誉博士というものでありますが、それは排除はいたしません。ただ、常識で考えてみて、そこにもう大体条例があるんです、名誉町民、名誉村民、それにふさわしい人かどうか。名誉村民になっても、ふさわしくなければ誰も尊敬しないわけですから、そんなものは余り意味がないねと思いますし、名誉博士というのも、どうなんでしょうね、そういう人も私は随分知っていますが、講義をしたという話も寡聞にして余り存じませんで、そういうものを与えたからといってそれが経済的利益ということにもなりませんし、それで寄附をしてくださるのであれば、それは経済的利益でもないので、企業がそれに賛同するということが本質ですから、そこをどう評価するかということであって、名誉博士とか名誉町民まで排除はいたしません。

宮崎(岳)委員 時間となりました。

 おのずから常識的なことがあるんじゃないかということをおっしゃいましたが、実際に、牛一頭とかマグロ一本とか、ふるさと納税で常識外れのことが行われているということだけ指摘させていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、石破大臣に質問をいたします。

 石破大臣の、三月十五日、地域再生法の一部改正案の提案理由説明の原稿が、去年使われたものを読み上げたという問題についてであります。

 この件については、誤り事案再発防止チームからの報告書がきのう示されて、きょうの委員会の冒頭、大臣からもお話がありました。事務方のミスの再発防止が必要なことは言うまでもありません。しかし、私は、その責任が問われなければならないのは、やはり大臣御自身にあるというふうに思うわけであります。

 報告書は、その一ページ目の冒頭で、「大臣が誤った内容の提案理由説明原稿を読み上げてしまうという、あってはならない誤り事案が発生した。」というふうにあります。ところが、報告の二ページ目には、「大臣は途中で内容が誤っているのではないかと疑問を抱いたが、最後まで読み上げるに至った。」というふうにあります。

 私は本会議でもこの委員会でも提案理由説明を聞いていたんですけれども、あの説明文書は、大臣が日ごろ講演とか答弁で使われる大臣御自身のフレーズが入っているんですね、独特なやはり説明文書であったというふうに私は思っていたので、なぜ途中で大臣がそこの内容の誤りに気がつかなかったのかなというのが私は自席で感じたところなんですけれども、なぜ最後まで読み上げてしまったんでしょうか。

石破国務大臣 これは御迷惑をおかけしました。幾重にもおわびを申し上げます。

 これは法案説明でございますので、私の言葉にはなっておりません。所信表明というか、それは私は自分で書きますし、事実関係以外は全部自分で書いておりますが、法案の趣旨説明というのは事務方が用意したものをそのまま読むということにいたしております。

 無味乾燥といえば無味乾燥の文章でありまして、聞いている人が本当に理解できるかなというと、私は何ともよくわからないところもあるんだろうと思うんですね。できれば、私自身、法案の趣旨説明も自分の言葉で書きたいというふうに思っていますが、正確を期さねばなりませんので、余り自分の委曲を尽くしたようなものを読むとかえって国会に御迷惑をかけることになるかと思い、そのまま読んでいたものでございます。

 実際、そこで読んでいて、何しろ同じ法案の改正案でございますから、去年とことしとそんなに違うはずはないんですね。ただ、書き出しの背景説明みたいなものはちょっと違うなと思いながら、何か事務方が書きかえたのかなと思いながら読んでいて、実際に法案の内容になってくると明らかにおかしいということに気がつくわけです、私でも。そこで、先ほど申し上げたように、委員長に御許可をいただいて、中断をして、どうなっているんだということを確認するということを私自身がやらなかったということの責任は、当然、私にございます。

 ただ、今までこんなことが一度もなかったものですし、何度もチェックを経たものが間違っているということは絶対にあり得ないんだという安全神話というものに自分がとらわれておったことは深く反省をしておるところでございます。

田村(貴)委員 そうですね。大臣御自身の言葉は所信表明の原稿の中にあったというふうに思います。

 法案審査の提案理由説明というのは無味乾燥なものだといったところだというお話があったんですけれども、私は聞いていて、大臣はやはり早口だったというふうに思います。何か、さっと読み上げてしまって終わろうというような感じがちょっと見受けられたんですけれども、そうであるならば、これからはやはり急がず、そして言葉を一つ一つ確信しながら提案していただきたい。

 今回の件は、結果として、大臣が誤った内容の提案理由説明原稿を読み上げてしまうことがあってはならないとしたんだけれども、その基本認識がやはり欠落されていたのではないかなと、私たちからもそのことを指摘させていただいて、次の質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 次は、地方創生応援税制、いわゆる企業版ふるさと納税制度についてお伺いしたいと思います。

 大臣、ちょっとA市とB市の例えをします。A市に所在するある企業が、B市の地方創生事業に共感して寄附金を出したという想定であります。そうすると、B市の地方創生事業への寄附金による損金算入と税額控除は企業が所在するA市においてされるので、A市の税収は下がってまいります。これはそうなりますね。いかがでしょうか。どなたでもいいですけれども。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございます。

田村(貴)委員 A市の税収は下がるわけなんですね。

 それは、つまり、損金算入による軽減効果の三割、それから税額控除による三割のメリットは、A市にとってみれば六割のデメリットになるということになるんじゃないでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、損金算入の方は国税でございますので、直接市の方には影響はないと存じますけれども、税額控除の地方税部分については影響が出てくると考えております。

田村(貴)委員 税額控除については影響が出てくると。つまり、所在地はA市にあるその企業がB市に寄附をしたら、A市の税収が減ってしまう。これはびっくりする話になってくると思うわけなんです。

 結果として、A市は税収が下がります、B市は寄附金によって収入が上がります。これは、言いかえてみると、実質的な税源移譲という形になるんじゃないでしょうか。いかがですか。

末宗政府参考人 お答えをいたします。

 税源が移譲するものではございませんけれども、寄附を行った結果、一方の市町村が寄附金収入が入る、他方で税収が減少するという意味では、地方公共団体間で財源が移転する効果をもたらしていると考えております。

田村(貴)委員 地方自治体間で税源が移動する、移譲する、効果と言われましたね、その効果というのはどういうことなんでしょうか。

末宗政府参考人 一方の自治体で寄附金収入が入り、他方の自治体で税収減が生じるということになります。

田村(貴)委員 よくわかりませんので次に進みますけれども。

 自治体の収支の面でおきますと、これはやはり税源移譲ですよ。そうしたことを一企業に、私法人にそういう意思をもたらして、行っていいんでしょうか。これはちょっと税制上の問題になってくると思うんですけれども、いかがですか。

末宗政府参考人 お答えをいたします。

 今回の地方創生応援税制でございますけれども、あくまでも、その狙いといたしましては、地方公共団体が地方創生を推進する上で効果の高い事業を練り上げまして、それに賛同する企業が寄附を行うというたてつけになっております。あくまでも事業に着目して寄附をするという政策税制でございまして、企業の判断によって税源を、財源を移していくという視点からつくっているものではないということについて、御理解をいただきたいと思います。

田村(貴)委員 法人事業税や法人住民税の税額の一部を、議会で審議することもない、議決することもなしに、法人の意思において、事業所のある自治体に納めないでいいということになるのが、今度の地方創生応援税制になってくる、ここが基本なんですよ。だから、これはやはり住民自治の及ばない税制になっていくのではないかと危惧するものであります。

 地方税制のあり方としても私は問題だというふうに感じます。実質的に、企業の争奪戦になっていくのではないか、寄附金の争奪合戦が起こってしまうのではないかというような懸念も湧いてくるわけであります。

 個人版ふるさと納税制度は、自治体間の税金の奪い合いで過熱して、総務省も過度の返礼を自粛することを要請しています。企業版の場合も、自治体間の税源の奪い合いという性格を持ち込むのではないか、この過度の競争が地方税制の基本をゆがめてしまう、そういう問題に発展するのではないか。

 いま一度、御答弁いただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。大臣でも結構ですよ。

石破国務大臣 先ほど来お答えをしておりますが、寄附額の全てが税額控除されるというものではないわけですね。民間企業にも四割の負担が残るということでございます。この企業が負担をする部分は、地方財政全体に対するプラス財源となりますので、奪い合うということにはならぬのではないか。

 ここは、結局、応益原則というものをどのように考えるかというお話でございます。地方税というのは基本的にサービスに対する対価というふうに考えておりまして、それを応益原則ということだと考えるとすれば、税額控除は法人住民税及び法人事業税の税額二〇%というのを限度としているので、地方税の本質たるこの応益原則、すなわち行政サービスを提供する地方公共団体に税を納めるというものに反するものではないと思っております。

 ずっとお答えをしておりますように、この企業版ふるさと納税というのは、これに企業が乗るということは、企業としても、株主に対して説明をしなければなりません。経済的利益を与えちゃいかぬ、こう書いてあるわけですから、それがどれだけ企業にとってメリットがあるものかというのを説明もしなければなりませんので、これは相当にハードルが高いと思っております。企業の恣意によって、委員が御指摘のようなことが起こるというような制度設計にはそもそもなっていないものでございます。

田村(貴)委員 いずれにしても、その寄附において、税額控除が立地自治体、企業の立地する自治体においてはマイナスになっていくということは、税収対策それから税収見込み、なかなか難しい話になってくるということは間違いない話であります。

 そのほかに、やはり企業と自治体の間での癒着を生むのではないか、これはもう多く指摘されています。本委員会でも何度も論議があっています。こうしたいろいろな問題点があります。

 税制の基本をゆがめてしまう、それから、自治体と企業の癒着を招いてしまうのではないか、そういう懸念があるこうしたやり方は、私はやはりやめるべきではないかなというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 子供の貧困対策について伺いたいというふうに思います。

 育ち盛りの子供に対しておなかいっぱい食べさせてやることができない、今、子供の六人に一人が貧困状態にあります。中でも、一人親の世帯では五割以上という、先進国の中でも最悪の水準になっているのがこの日本であります。

 生まれ育った環境で子供の将来が左右されないことを目指す子どもの貧困対策法が一昨年一月に施行され、同年八月には対策大綱が閣議決定されました。この中では、貧困率の目標を設定しないとかあるいは対策は従来型であるとか、いろいろ問題があるんですけれども、国を挙げて子供の貧困対策に一歩踏み出したということは、やはり大事なことだというふうに思います。

 そこで、子供の貧困対策は、教育、生活、それらを支援すること、あるいは、保護者の就労支援それから経済的支援、自治体においては実態把握、さらに大綱に沿った施策の推進など、これはもう多岐にわたってまいります。限られた時間でありますので、きょうは、新年度に展開される内閣府と厚生労働省の二つの事業について伺っていきたいというふうに思います。

 内閣府と厚労省の施策について、資料を二枚お配りしていますので、ごらんをいただきたいと思います。

 まず、内閣府に伺います。

 子供の未来応援地域ネットワーク支援事業について、予算額も中に入れていただいて、簡単に事業の説明をしていただけますでしょうか。

中島政府参考人 委員お尋ねの地域子供の未来応援交付金についてでございますけれども、三つの趣旨を含ませていただいてございます。

 第一に、当該地域の貧困状況にあるお子さん等の実態把握、そしてそれを踏まえた支援体制の整備計画をしっかりつくっていただく。第二点でございますけれども、その計画を実現していくため、地域において核となっていただく方または関係機関等から成ります具体的なネットワークをしっかり整備していただくということが第二点。それから、第三点、こうした計画の策定、体制整備を前提に、地域の資源を生かして先行的なモデル事業を実施していただく。この三点でございます。

 こうしたことについて支援するということで、平成二十七年度補正予算で国費二十四億円、事業規模では四十億円程度となりますが、そうした予算を確保させていただいたところでございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 では、次に、厚生労働省に伺います。

 子どもの生活・学習支援事業について説明をしていただけますか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘いただきました一人親家庭の子供に対します生活・学習支援事業でございますが、これは昨年の十二月に決定いたしました、すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト、私ども、すくすくサポート・プロジェクトと呼んでいますが、これに基づきまして、平成二十八年度から取り組んでいるものでございます。

 本事業は、一人親家庭の子供に対しまして、放課後児童クラブ等の終了後に、児童館や公民館等において、地域の学生ボランティアあるいは先生のボランティア等を活用しながら、基本的な生活習慣の習得でありますとか学習支援、あるいはお話のありました食事の提供といった事業を行うものでございます。

 本事業につきましては、一人親家庭支援に関する補助事業、統合補助金の事業がございますが、このメニュー事業の一つとして実施することを予定しておりまして、平成二十八年度予算では、その額は百十二億円の内数ということになってございます。

田村(貴)委員 私、福岡の北九州市に住んでいるんですけれども、その北九州市で、子供食堂が新年度、開設の予定であります。子供食堂は今、全国的に広がっているんですけれども、自治体の食堂設置は北九州市が初めてだとのことであります。担当部署にお伺いしましたけれども、食堂だけではなく、学習を支えたりするなど、子供の居場所づくりをつくっていく、そのモデルケースを市内二カ所でつくっていきたいというお話でございました。

 今御説明のあった地域ネットワーク支援事業や子どもの生活・学習支援事業も、子供の居場所づくりをつくっていく、そうしたものを想定したものだというふうに考えるんですけれども、内閣府、厚労省におけるこの二つの事業の違い、子供の居場所づくりという点におけますとどういった違いがあるんでしょうか。説明していただけるでしょうか。

中島政府参考人 子供食堂については、全国的に今、整備が進んでいるということで、北九州市さんの方においても積極的に取り組んでいただいて、大変ありがたいと思っておるところでございます。

 まず、私どもの内閣府におきますいわゆる地域子供の未来応援交付金につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、整備計画をつくっていただく、具体的なネットワークを構築していただくということを前提に、子供食堂などのモデル事業を展開したいということであれば、この交付金の対象となるというふうに考えておるところでございます。

 そして、今委員御指摘の厚労省さんとのすみ分けにつきましては、内閣府におけます事業につきましては、厚労省さんの、先ほど香取局長から御答弁させていただいたような生活・学習支援事業を初め、各府省でそれぞれ実施していただく事業だけでは必ずしも包摂できない、例えば、教育と福祉をつなぐそういう連携事業など、いわゆる縦割りを超えた総合的な取り組みをやっていくというものを支援するものであると考えておるところでございます。

田村(貴)委員 地域で子供の貧困対策事業を行っていただいている団体、ボランティア組織、たくさんあるんですけれども、やはり悩みは費用面であるというふうに思います。家賃とかあるいは食材とか、それから人件費とか、そうしたところが悩みの種だというふうに伺っています。

 それから、新しくこの二つの制度で、やはり行政が計画もつくって子供の貧困対策に本格的に乗り出していこうというわけでありますから、全国でこの二つの事業に手を挙げてやろうとしたときに、御説明のあった内閣府二十四億円、事業費四十億円、それから子どもの生活・学習支援事業、これは額がよくわかりませんでしたけれども、これで足りるのかというような懸念もあるんですけれども、その辺はいかがでしょうか。

中島政府参考人 私どもの内閣府の交付金につきましては、今委員御指摘のように、いわゆる民間団体への財政支援といったものを一義的な目的とするものではないということでございます。

 ただ、先ほどから御説明しておりますように、地域の実態把握、地域におけるネットワークの整備、さらにはモデル事業の実施というものを市町村がおやりになる際に、民間団体とともにそれに取り組もうとする場合、または、そうした取り組みを行っていただいている民間団体を市町村が支援していこう、そういう場合には、この交付金というものは民間団体への財政的な支援にもつながるものだと考えておるところでございます。

 また、この交付金の活用によりまして地域におけるネットワークの整備が行われましたら、民間団体も当然その中に含まれることになりますので、当該民間団体御自身の円滑な事業運営にもこの交付金は資することになるのではないかと考えておるところでございます。

田村(貴)委員 そうはいっても、総額として私は少ないのではないかなと。今から計画を策定して、コーディネーターも位置づけて、体制を組んで、そして事業展開していく中で、やはり全ての自治体の計画に照らして予算はこれで妥当なのかなという思いもしますので、ぜひその辺は検討していただきたいなというふうに思っております。

 時間も限られています。最後に石破大臣にお伺いしたいと思います。

 一億総活躍担当大臣の所管だというふうに伺いましたけれども、私は、子供の貧困対策というのは、これはもうオール・ジャパン、どの地域においてもあり得ることだし、あっているし、そして必要なことだというふうに思っております。

 子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのない社会を実現する、これが基本であります。それは、子供の将来が生まれ育った地域によって左右されないことでもあるというふうに思います。あそこは子供対策事業をやっている、あそこに行ったら御飯を食べさせてもらえる、しかし、ここの自治体では何もやっていない。

 きのうもきょうも報道されて、子供が児童相談所に救いを求めたのに命をつなぐことができなかったという問題も起こっています。そうした中で、やはり地域で、子供の貧困対策を全ての自治体において漏れなくやっていくことが大事だというふうに思います。

 貧困対策も、それから居場所づくりも、法と大綱に基づいて、行政が率先して取り組んでいく課題であります。また、行政の力のみでもできない、地域の力をかりないと、地域の住民の支援なしにもできない事業でもあります。

 そういう意味では、大臣、子供の貧困対策事業というのは、地域の力を引き出していく取り組みでもあるというふうに私は解釈をしています。まさに、地方創生を論じるときに、それから、地域再生を論じるときに、地域運営の組織のあり方などを論じるときに重要な事項であるというふうに思いますけれども、議論させていただきました、大臣、御所見を伺いたいというふうに思います。

石破国務大臣 今の時点での子供の貧困を解消するとともに、貧困の連鎖というものをとめていかなければならないという意識は、委員と共通でございます。

 政府として、北海道から九州、沖縄までオール・ジャパンでやっていかなければならない対策はもちろんあります。それは、加藤大臣のところを中心としていろいろな施策を打っておるところでございますが、あわせまして、何度か当委員会でも御紹介を申し上げましたが、先行型交付金、平成二十六年度補正であったと思いますが、浜田市において、シングルペアレント、これは別に女性に限りませんが、シングルマザーの方を浜田に来ていただく、住居等々手当てをする、いろいろな技能を習得していただく、また経済的な支援もする、それに呼応した民間企業が、浜田は結構雪深いところですから車が要るでしょうということで、中古車ではありますが、四輪駆動の車を提供していただく。やはり、民間と行政とそしてまた国の支援というものが一体となってそういうようなことをやっていく、そういうような取り組みもまた重要なことだと思っております。

 子供の貧困防止ということは、貧困撲滅というんでしょうか、それに対しては、地方創生という観点からも、自治体の創意工夫というものを政府として支援してまいりたいと考えておるところでございます。

田村(貴)委員 子供の貧困というのは、すなわち親の貧困であります。格差と貧困を正していかなければなりません、解消していかなければなりません。

 大臣、内閣の一員としてお聞きいただきたいと思うんですけれども、やはり、安倍政権はその方向とは真逆の道を進んでいるというふうに思います。正規雇用が減りました。非正規雇用がふえています。生涯派遣の労働者派遣法の改悪が行われました。格差と貧困はそれに拍車をかけるものとなります。消費税の増税や相次ぐ社会保障の負担の拡大において、これまた貧困と格差を助長させるものと言わなければなりません。

 そうした安倍政権の格差と貧困とは真逆を進む政治とは、やはり大きく大もとから転換すること、これが何よりも大事だというふうに思います。そこを強く求めて、きょうの質問を終わらせていただきます。

 終わります。

山本委員長 次に、村岡敏英君。

村岡委員 改革結集の会、村岡でございます。

 今国会、地方創生委員会で初めての質問をさせていただきます。

 読み間違いの件、大臣、大分お疲れなんじゃないか、こう思っておりますけれども、これは事務方も含めて今後このような読み間違いがないようにしっかりとしていただきたいと思います。

 そういうわけじゃないんですが、きょう、実は、大臣が対談した、「地方は活性化するか否か」ということの、こばやしたけしさんも傍聴で来ております。先ほど私が読んでいると、ほかの人たちが何か、漫画を読んでいるような形ですけれども、女子高生をキャラクターとして、女子高生たちが自分の市を、町を振り返ってみるという、非常に若い人たちが興味を示し、若い人たちが地方創生とは何かといろいろ考え始めた、これは非常にすばらしいことだと思っています。

 やはり、なかなか、高校ぐらいの時代ですと、そこに生まれて育っていくのは当たり前のように市にいるわけですけれども、このごろニュースで地方創生というのが出てきて、人口減、そして少子化、雇用環境が悪い、そして大学やまた就職で地方を離れる、そういうときに、若い人たちが一番自分の将来の市や町を考えるというきっかけになったことは、この地方創生という言葉は非常に影響力を与えた、こう思っています。

 実は、官僚の方々や自治体が考えるときに、制度は大切です、制度がなければ地方創生は成りません、しかしながら、将来どんな市になっていただきたいかというのを若い人たちに意見を余り聞いていないんじゃないか、こういう面が非常にあるんじゃないかと思いますが、大臣の認識はどうでしょうか。

石破国務大臣 こばやしさんのこの漫画は、私、読んで余りにおもしろかったので、あちらこちらで紹介をし、今、来年度、平成二十八年度に地方に派遣をする地方創生人材の研修をやっているんですが、そこでもこの本を読んでねというふうに紹介をしていますし、あらゆるところで御紹介をしているものでございます。

 この本でおもしろいのは、市長が出てこない、市会議員が出てこない。出てくるのは女子高生たちと先生方なんですね。そこにおいて、彼女たちが自分のこととして地方創生を考える。私はもう高校を出たら東京に行くもんねという女の子と、私は地元に残りたいなという女の子のいろいろな対話を通じて議論がなされるというのがこの本のすごくいいところで、私は、この本から多くの感銘を受けたところであります。

 委員御指摘の、女子高生、別に女子高生でなくてもいいです、男子高校生でもいいんですが、高校生や中学生の意見というものを取り上げるのはとても大事なことで、昨年の暮れに、RESASシステムを使った政策コンテストというのをやりました。優勝したのは福島の女子中学生でしたし、入賞したのは鹿児島の女子高生だったと思っています。

 つまり、パソコンが自由自在に操れるということと、現世にしがらみがないんですよね、今の社会にしがらみがないということ、そして、自分たちのこととして考えるということはとても大事なことで、多くの自治体において、高校生あるいは中学生の参加によって総合戦略がつくられているということは、私は非常に画期的なことだと思っておりますし、この流れをさらに加速したいと思っております。

村岡委員 大臣の認識、本当にそうだと思うんです。やはり、どうしても大人が考えると、危機感は必要です、しかし、危機感の先に考えることが、こんな町に、市に、制度やまた箱ものをつくって、住みたいのか、それとも、これでは東京の方が便利かなと考えるのか、そこのところの視点が、若い人たちの視点をやはり聞きながら地方創生をやってこそ、将来にこの地方創生が続いていく。一年や二年でできないと大臣もおっしゃっているとおり、これは五年、十年、永続的に続けなきゃいけないと思っています。

 そして、特に、大臣もおっしゃっていますが、日本の場合はどうしても、都に行きたい、都で生活したい、都で成功したい。これは別に今始まったことじゃなくて、もう平安時代、戦国時代から都を目指していく。もちろん、朝廷に権威をもらうということもあります。しかしながら、ずっと続いてきたこの日本の歴史というのを簡単に変えることはできないことは確かです。

 ですから、相当な挑戦になる。吉幾三さんの歌、わかるかわかりませんが、べこまで銀座で飼いたい、それが成功だ、こういうふうな表現があるように、やはりムーブメントを変えなきゃいけない。そのためには、思い切った税制改革と、先ほどの若い人たちの考えを取り入れるということをやっていかなきゃいけない、こう思っています。

 この本の中で、少子化のことに触れています。我々の同僚の小熊議員が生涯未婚率というのを大臣に聞いたと思います。本当に驚くべきことは、一九七〇年代、五十歳で、それから結婚する人もいるかもしれませんが、五十歳で結婚していない人、一九七〇年は一・七%。ところが、二〇一〇年の調べでは、何と二〇・一四%。もう一九七〇年の二十倍です。こんな調子でいくと四〇%になったり。これには雇用や教育やいろいろなことがあると思います。もちろん個人の考えもあります。

 この未婚率というのは、やはり日本の大きな問題の人口減にどんどんつながっている。この部分は、大臣はどのようにお考えですか。

石破国務大臣 このこばやしさんの本の中でも、女子高生たちが社会科の女性の先生に、何でこんなに子供が減ったんだろうねと聞くんですね。女性の三十代とおぼしき先生が、私がその原因だと知っての質問かと言う場面があるんですけれども。そこはいろいろな理由があって、ただ、結婚したいのにできない、価値観として、結婚したくない、子供は要らないという価値観は、それは価値観としてあるんだと思うんです。

 でも、結婚できたらしたいね、子供は二人以上欲しいね、そういう希望がかなえられない理由が、例えば、非正規であって正規の雇用ではないからとか、安定した就業ができないからとか、あるいは、親御さんの介護で大変で配偶者がもらえないとか、そういう政治の力によって希望を妨げている理由を除去できるものはたくさんあるんだと思っています。

 だから、政治の努力によってそういう希望を妨げている原因を除去するということによって、未婚率が下がり、価値観はいろいろありますが、初婚年齢が下がるということは、それだけ二人目、三人目が生まれるという状況を可能にする面もございます。

 もし仮に、早く結婚したいなという価値観がありとすれば、それを実現するような、政治としてやるべきことはたくさんあると考えております。

村岡委員 石破大臣、よく熟読されていまして、私も場面を思い出すという感じですけれども。

 この生涯未婚率というのは、各国から比べるとやはり異常なんです。物すごい伸びなんです。こんなことは伸びなくてもいい。ただ、価値観がありますから一概に言えませんが、やはり日本に何か原因があるんです。

 それは、雇用環境が悪いとか、インフラ整備が悪いとか、いろいろなことがありますけれども、この分析をしっかりしながら、例えば結婚したくても結婚していない人たち、そこにはこういう原因があるというのをしっかり分析されていないような気がしています。

 私もいろいろなデータを見てそれぞれ分析していますけれども、これはやはり地方創生、他国と比べてこれだけ、未婚率が二十倍になるような形というのは、決して価値観だけじゃない、大きな理由があるということを内閣府の中で真剣に分析したかどうかというと、どの資料を見ても、まあ、分析し切れないと言えば終わりになってしまいますので、やはりそこは内閣府がしっかりともう一度ここの部分も分析するべきだと思っておりますが、大臣、どう思いますか。

石破国務大臣 内閣府でも分析はいたしますが、例えば由利本荘なら由利本荘のいろいろな事情があると思うんですね。仙北なら仙北、大館なら大館、秋田の多くある市町村でも事情は違うはずです。

 私どもとして、北海道から九州、沖縄まで全ての市町村に、例えば出生率、あるいは男女別平均初婚年齢、そういうのを、そこの市だけではなくて全国全てを提供しております。そこで何でこうなっているんだろうかという分析は、やはりその地域でないとわからないところがございます。

 ですから、政府としてもやりますが、静岡県のように県庁として静岡県全ての自治体のデータを分析して、こういうふうに考えていますが皆さんどうですか、そういうようなやりとりがなされているところもあります。ですから、内閣府もやります、都道府県もやっていただきたい、基礎自治体もやっていただきたい。そこにおいていろいろな議論が巻き起こってくることによって、気づかなかったことというのはいっぱいあると思うんです。

 ですから、行政がやりっ放しで、民間が頼りっ放しで、市民が全然無関心ではという言葉もその本の中に出てきますが、それぞれが、これはあの人がやるんだとか、俺は知らないとか言っていてもどうにもならないので、みんなができることをちゃんとやりましょう、日本に残った時間はそんなに長くないんですよという危機感と問題意識を共有してまいりたいと思っております。

村岡委員 私の選挙区も全部挙げていただきまして、ありがとうございました。

 その中で、昨年の委員会で私が質問した中で、大臣も検討してみるということだったんですが、東京一極集中もありますけれども、各県とも、県都、県庁所在地一極集中というのがあるんです。その中で分散県もあるんですけれども、秋田の場合だと分散していないんですね。秋田市だけ三十万近く、あとは四、五万、合併しましたから八万、九万になっていますけれども、現実には旧市でいけば三、四万の市しかない。

 そういう中でいくと、県境整備をいろいろやっているんですが、やはりある程度、便利なところ、そして雇用環境のいいところ、教育環境のいいところというところの中で、分散して県内につくるということが大切だ、こう思っております。

 その中で、前に質問しましたけれども、アメリカの制度の中で、州境の中に、それぞれの州がお金を拠出して、また市や町も拠出して、そこで、期成同盟会ではなくて、しっかりとした国からのお金もそこにつぎ込むということができるような制度があります。

 日本は、やはりもちろん、これは通常であれば国から県へ、県から市へ、国から直接市もあるんですけれども、地方創生は。しかしながら、前にも言いましたが、県境というところで、農業でも、量が多い、また例えば同じ作物をつくっているというときには、価格勝負なんかも少量だとやはり勝負できない。それから、教育なんかは、もしかすれば、接しているところだと、こちらで学校で人数が足りなくなった、また隣の接しているところで足りなくなった、そうすると、遠いところに学校をつくって、それでわざわざバスを出している、そのところで、両方かなえる近いところで建てれば、それは協力すればできる。それからまた、観光なんかでも同じ山のところで県ごとに争っている、それは少しずつ解決されつつありますけれども。

 何か、急に道州制だとかそんなことを言っているわけじゃないんです。県境を整備していくということが非常に大事だ、こう思って昨年も質問しましたけれども、その点はどうでしょうか。

石破国務大臣 それは重要な視点であって、別に県境が何が何でも大事だという話じゃなくて、府県境を越えて連携した方がよっぽど地域の再生、創生のためになることがあるわけで。例えば、私の選挙区と岡山県と兵庫県が境を接しているところがあるんです。そうすると、岡山県の子が鳥取県立高校に行ったっていいわけですし、鳥取県の子が兵庫県立高校に行ったっていいわけです。そういうような連携はあってしかるべきですし、国としても支援をしていきたいと思っています。

 また、観光でも、私、不勉強で余りよく知りませんが、真田幸村の子孫が秋田県に逃れてきた、そういう御縁で、由利本荘、宮城県白石市あるいは蔵王が連携をして新たなルートを築くとか、県境があるがよってにそういう地域の活性化が妨げられることがないように、県境を越えた取り組みというのは支援したい。

 同時に、一極集中は、秋田もそうです、鳥取もそうです。ただ、この間、熊本に行きましたときに、熊本市、政令市ですが、熊本市のみならず八代市にもそういう機能を持たせようと。やはり人口のダム機能というのはどこかでとめなければいけませんので、そういう取り組みもまたいろいろな県においてなされていくことだと思っております。

村岡委員 これは別に県境だけがいいというわけじゃなくて、県の中で一極集中があると、分散していくときに、その接する県との物流も人的交流も教育も農業も、いろいろな意味で、やはり刺激し合うことによって地方というのは成長していかなきゃいけない。ともすれば、どうしてもその自治体に、あんた方何でも考えろと言うけれども、一つだけで考えられないことが、二つの市や三つの市で考えていく、大きな視点で考えていけばこれは変わってくる、こういうところはぜひ見ていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪です。

 私は、民主・維新・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました地域再生法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。

 以下、具体的な理由を申し上げます。

 初めに、地方創生推進交付金についてです。

 政府は、当初、自由度の高い交付金を創設するとしていましたが、実際には、地方創生全般に使用できる本来の意味での新型交付金は五百八十四億円、残りの四百十六億円は使用目的が縛られた旧来型の施設整備交付金です。しかも、取り組みの成果が出るには相当の時間がかかるにもかかわらず、交付金をいつまで、どの程度の規模で継続するのかが明らかではありません。

 また、会計検査院報告で、地域再生計画に設定された目標のうち、達成したとしているものは約半分という状況から見ても、これまでの施策同様に、予算を国からおろしていく手法をとる新型交付金は効果の薄いことが明白です。使い勝手が悪いとして廃止された一括交付金の方がよほど使い勝手のよい交付金と考えています。

 次に、地方創生応援税制、企業版ふるさと納税についてです。

 最も懸念されるのが、寄附企業と地方自治体との癒着といったモラルハザードです。この防止について、結局は、法律には何の規定もなく、政府に自由に全部任せる形になっています。たとえ寄附に関する企業と地方自治体の関係を議会や住民がチェックしたいと思っても、寄附企業の企業名と寄附額の公表の義務がありません。これで寄附に対するチェック体制が十分と言えるのでしょうか。NPO法人や公益法人への寄附が減るかどうかもわかりません。企業ニーズについてもやってみないとわからない。このような状態で成立させるべきではないと考えています。

 次に、生涯活躍のまち制度についてです。

 本制度では、事業の継続性の確保が重要ですが、事業者の破綻、撤退も想定されますので、必要な措置を検討すべきです。また、本構想の検討に当たっては、高齢者の移住によって、介護保険給付の負担など、移住先自治体の社会保障費が増大するのではないかといった懸念が残ります。構想を進めた結果、数年後に地方負担が増大し、財政を圧迫したとしても、入居者がいるために途中でやめることはできません。移住先地方公共団体の中長期的な財政負担の状況等について推計を行った上で、地方自治体に制度を推進するかどうかを判断してもらうべきだったのではないかと考えます。

 最後に、本来ならば熟議をすべき本委員会において、石破大臣による本法案の提案理由説明を読み違えるところから始まったことは、あってはならないことであり、大変残念なことだったと考えています。

 以上の理由から我々は反対いたしますが、本日の終局を迎えるに当たり、この点も深く御反省をいただき、その上で、四月から制度がスタートすることになるのであれば、当委員会で各委員から示された懸念をしっかりと受けとめていただき、見直すものは可能な限り見直し、本当の意味で、頑張っている地方自治体を応援する制度、地方創生に資する制度にしていただきたいと思います。このことをお願いいたしまして、反対討論とさせていただきます。(拍手)

山本委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 私は、日本共産党を代表して、地域再生法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 まず冒頭、三月十五日の法案の提案理由説明で大臣が誤った内容の原稿を読み上げるという失態を演じたことは前代未聞のことであり、ましてやそれを最後まで読み上げるに至っては、そもそも政府はみずから提案している法案の内容を理解しているのかとの疑念さえ抱かせるものです。これは決して事務方のミスなどで済まされない重大問題であることを指摘するものです。

 法案に反対する理由の第一は、地方創生推進交付金の創設は、地方自治体の自主性、主体性が発揮され、十分に活用できるものではないからであります。

 自治体からの申請を選別し、政府が先導的であると認定する事業に優先交付する仕組みは、政府の政策パッケージどおりに誘導するものにほかなりません。そのようなやり方が、結果として、いかに住民や子供たち、地元中小企業などの要求や実態と乖離した計画になるかは、私が指摘した「阪南 こども子育て みらい計画」の実態が如実に示しているではありませんか。

 反対理由の第二は、企業版ふるさと納税です。

 これは、本来、営利を目的とする企業が行う地方自治体への寄附行為です。現行の寄附税制では、公共性の高い国や地方自治体への寄附については、一定の限度額まで全額を損金算入の対象にしています。しかし、それを超える寄附を容認することは、自治体との癒着を生むことにもつながりかねません。また、寄附の対象となる地方創生事業は政府が指定するとしています。自治体の事業が企業の広告活動の場となる点でも、国の特定政策への誘導に利用されるという点でも問題であり、到底賛成できません。

 第三に、日本版CCRCの問題です。

 これは、東京圏では今後十年間で七十五歳以上の高齢者が百七十五万人増加することが見込まれることを受け、日本創成会議の東京圏高齢化危機回避戦略をもとに構想されたものです。増大する社会保障の支出を抑制することを目的に、中高齢者を施設や地域に囲い込み、自助、共助を迫り、公的責任を投げ捨てるものにほかなりません。今、国と地方が行うべきことは、全ての住民が住みなれた地域で安心して老後を送ることができる環境を整備することです。生涯活躍のまちを国策として位置づけ、自治体を誘導するようなやり方では、決して地域の再生はできません。

 地方から活力と魅力を奪ったこれまでの自民党政治への総括と反省もなしに、財界、大企業の意に沿った成長戦略を進める地方創生は、東京への一極集中の是正にならないばかりか、地域経済の疲弊を一層進める結果にしかならないことを厳しく指摘して、私の反対討論を終わります。(拍手)

山本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.