衆議院

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第8号 平成28年4月15日(金曜日)

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平成二十八年四月十五日(金曜日)

    午前九時三十三分開議

 出席委員

   委員長 山本 幸三君

   理事 後藤 茂之君 理事 佐藤ゆかり君

   理事 新藤 義孝君 理事 寺田  稔君

   理事 山口 俊一君 理事 篠原  豪君

   理事 宮崎 岳志君 理事 桝屋 敬悟君

      あべ 俊子君    伊藤 忠彦君

      伊藤 達也君    池田 道孝君

      江藤  拓君    大塚 高司君

      大野敬太郎君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    菅家 一郎君

      小泉進次郎君    小林 史明君

      國場幸之助君    菅原 一秀君

      鈴木 馨祐君    田中 英之君

      谷川 とむ君    中谷 真一君

      野中  厚君    鳩山 邦夫君

      福田 達夫君    牧島かれん君

      宮川 典子君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    山田 賢司君

      青柳陽一郎君    緒方林太郎君

      落合 貴之君    吉良 州司君

      寺田  学君    西村智奈美君

      福田 昭夫君    角田 秀穂君

      樋口 尚也君    堀内 照文君

      宮本 岳志君    椎木  保君

    …………………………………

   国務大臣

   (地方創生担当)

   (まち・ひと・しごと創生担当)          石破  茂君

   農林水産副大臣      伊東 良孝君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房参事官) 米津 雅史君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局長)          佐々木 基君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中尾 泰久君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        間宮 淑夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 内藤 尚志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房技術参事官)         山崎 雅男君

   政府参考人

   (スポーツ庁スポーツ総括官)           平井 明成君

   政府参考人

   (文化庁文化財部長)   村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            加藤 庸之君

   衆議院調査局地方創生に関する特別調査室長     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  福井  照君     山口 俊一君

同月二十八日

 辞任         補欠選任

  村岡 敏英君     青柳陽一郎君

四月十五日

 辞任         補欠選任

  菅原 一秀君     國場幸之助君

  鈴木 馨祐君     あべ 俊子君

  平井たくや君     小林 史明君

  福田 達夫君     大塚 高司君

  宮川 典子君     宗清 皇一君

  柿沢 未途君     落合 貴之君

  佐々木隆博君     西村智奈美君

  田村 貴昭君     堀内 照文君

同日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     鈴木 馨祐君

  大塚 高司君     福田 達夫君

  小林 史明君     平井たくや君

  國場幸之助君     伊藤 忠彦君

  宗清 皇一君     神山 佐市君

  落合 貴之君     柿沢 未途君

  西村智奈美君     佐々木隆博君

  堀内 照文君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  伊藤 忠彦君     菅原 一秀君

  神山 佐市君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     宮川 典子君

同日

 理事福井照君三月二十四日委員辞任につき、その補欠として山口俊一君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十四日

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五二号)

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五二号)

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 地方創生の総合的対策に関する件


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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの熊本県における地震による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

山本委員長 黙祷を終わります。御着席願います。

    ―――――――――――――

山本委員長 本日の委員会でございますが、熊本県の大地震もございまして、理事会で協議をいたしまして、こういう状況でございますけれども、また、国会が機能するということも大変大事だということもございまして、与野党の皆さん方の御理解をいただいて開くことになりましたことを御承知おきいただきたいと思います。

     ――――◇―――――

山本委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に山口俊一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 地方創生の総合的対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房参事官米津雅史君、内閣府地方創生推進事務局長佐々木基君、内閣府地方創生推進事務局審議官末宗徹郎君、内閣府地方創生推進事務局審議官中尾泰久君、内閣府地方創生推進事務局審議官間宮淑夫君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、総務省大臣官房審議官内藤尚志君、文部科学省大臣官房技術参事官山崎雅男君、スポーツ庁スポーツ総括官平井明成君、文化庁文化財部長村田善則君、厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光君、観光庁観光地域振興部長加藤庸之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田賢司君。

山田(賢)委員 私は、自由民主党、山田賢司でございます。本日は、質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 まず冒頭に、先ほど委員長からもお話ありました、昨日、熊本県で震度七の大地震が発生いたしました。改めて、犠牲となられました皆様の御冥福をお祈りしますとともに、被害に遭われた方々のお見舞いを申し上げます。

 政府におかれては、発災直後、直ちに対策本部を立ち上げ、被害者救助などの対応に当たられているとは思いますが、引き続き万全の対応をお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入ります。

 まず、国家戦略特区と地方創生特区の違いについて改めてお伺いをしたいと思います。

 どちらもいわゆる岩盤規制と言われる規制を緩和することを手段としておるんですけれども、国家戦略特区はどちらかというと、世界で一番ビジネスがしやすい国を目指すというように、我が国の競争力を高めることを目指しております。これに対して、地方創生特区というのは、規制改革を通じて地域経済の活性化を目指すものであり、海外競争力の強化とは少し趣旨が異なるように感じます。

 改めて、地方創生特区の国家戦略上の位置づけについて、石破大臣からお聞かせいただけますでしょうか。

石破国務大臣 今回の地震に際しまして、政府といたしましてもその対応に万全を期してまいりたいと存じます。

 今委員御指摘の国家戦略特区と地方創生特区の関係についてでありますが、確かに、どういうものなのかといえば、今山田委員御指摘のとおりのものでございます。

 仙北市の例を本会議でも申し上げましたが、仙北市におきましては、市の面積の六割を占めております国有林野を活用し、ドローンに関する最先端の取り組みを行っておるということであります。仙台市では、津波の被災地域において、公道ではできない完全自動走行に向けた技術実証ということを行っているわけでありまして、地方において、国際的な競争力を高めるための、自動走行もそうです、ドローンもそうです、この技術をめぐって多くの国がしのぎを削っているということでございまして、地方にあるそういうような状況を生かしながら、国の国際競争力を高めていくということに資するものだと考えておりまして、そういうような関係だと御理解をいただければ幸いでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 次に、国家戦略特区を指定した効果についてお尋ねしたいと思います。

 日本市場の国際競争力が具体的にどのように向上したり、あるいは日本経済にどのようなメリットをもたらしたのか、これは政府参考人の方からお聞かせいただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区のこれまでの取り組みにつきましては、国家戦略特別区域法に基づきまして、今月十三日に開催いたしました特区諮問会議におきまして、一次指定六区域における計百十三事業を対象に、本制度として初めてとなる評価を行い、公表したところでございます。

 そこで、評価といたしましては、東京圏では、約二・五兆円の経済投資効果がある都市再生プロジェクトが、認可手続をワンストップ化し終期を決めたことでスムーズに進捗している、こういったことですとか、あるいは、地方でございますと、兵庫県の養父市では、農業分野の規制改革によりまして、市外からの進出企業が特区の指定前の十年間でわずか四社でございましたけれども、これが指定後の一年半で十社に上っている例でございますとか、あるいは、福岡市が設置した雇用労働相談センターでは、特にベンチャー企業、こういったところは人事部が手薄でございますが、全国から雇用ルールの正確な理解を求めてやってきているということが評価されているところでございます。

 このように、国際競争力の強化につながる事業が確実に実施されているというふうに考えているところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 今回の地方創生の一つの特徴というのは、KPIといって、業績評価を数値、定量的な評価で行われるということで、これもまた内閣府さんの方でもホームページに公開されているということでございます。これは大変いい取り組みだと承知しております。私もこれを拝見させていただきました。

 そこで、今回の地方創生に関してお尋ねしたいんです。

 地方創生の目的というのは、一つは人口減少社会への対応だというふうに承知しております。具体的に、例えば人口減少をこれだけ食いとめることができた、あるいは人口増加につながった、こういった地方創生、すなわち、人口減少の観点からどのような効果があったか、この辺を、定量的な評価があればお聞かせいただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 なかなか定量的な評価は難しゅうございますけれども、幾つかその実例を示して御紹介させていただきたいと思っております。

 人口減少の抑制に寄与するという観点から申し上げますと、先ほど申し上げましたような東京圏での経済波及効果が二・五兆円規模の事業でございますとか、あるいは養父市の農業改革の例がございます。このほかにも、同じ養父市でございますけれども、養蚕住宅から生まれ変わった日本初の古民家旅館が地元の若者五名によって運営されているという事例がございます。また、新潟市では、農地を転用して建てられた初めての農家レストラン、これが先月開店いたしまして、相当のにぎわいを見せているという状況でございます。

 このように、各地域におきまして、特区における規制の特例措置を活用した事業によりまして新しい雇用がもたらされて、地域の人口減少の抑制にも寄与していくものと考えております。

 また、さらに、ちょっと性格は異なりますけれども、例えば神奈川県とか大阪府などにつきましては、二回目の保育士試験ということで、すなわち、地域限定保育士試験と言っておりますけれども、これを実施することによりまして保育士合格者数の拡大を図っております。また、東京都とか神奈川県では、都市公園内に保育所等の設置を認める、こういった特例を設けておりまして、用地確保が困難な都市部で保育所設置も推進しておりまして、こうした子育て環境の整備ということについても、人口減少の抑制に寄与していくものではないかと考えているところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も、それぞれの政策が人口減少の抑制に寄与するんだろうなということはわかるんですけれども、今回一つの目玉となっているKPI、検証可能な定量評価ができるようなものがやはり必要だと思いますので、こういった観点からも、人口減少をどの程度抑制するのか、こういったこともぜひ検討の対象に入れていただければと思っております。

 そして、地方から東京への人口減少、日本全体の人口減少を抑制するためには、東京の一極集中を是正しないとということが言われております。

 教育、それから就職、結婚、子育てと、いろいろある中で、やはり一番大きな要因というのは就職、雇用の部分だと思っております。東京にビジネスがいっぱいあるから、そこへ行くために東京の大学に行ったり、東京で働いているから、そこで結婚して、そこで子育てをするということで、どうしても雇用を中心として人口集中が東京へ行われているということです。

 だとするならば、東京からの企業の移転を促す必要があるんだと思いますが、先般、地方拠点強化税制といって、東京から地方へ企業が移転することを後押しするような税制が導入されました。これも、昨年八月に制度がスタートしたばかりということなので、まだ実績値を示されるということはなかなか難しいとは思いますけれども、これまでに何社移転して、その結果、どの程度の人口移転が見込まれるのか。計画ベースでも結構ですので、教えていただけますでしょうか。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、地方における急速な人口減少に歯どめをかけるという観点から、全国津々浦々に安定した良質な雇用を確保するということを目的としまして、昨年の通常国会におきまして、地方への本社機能の移転や地方拠点の新増設を行う事業者に対しまして、設備投資減税の特例、そして雇用促進税制の特例でございます地方拠点強化税制を創設いただきました。

 この税制につきましては、昨年の八月に制度が施行されて以降、これまでに四十三道府県の地域再生計画を認定いたしました。この地域再生計画におきましては、合計で一千三百九十一件の企業の移転あるいは地域拠点の拡充の事業が予定されておりまして、また、雇用の創出といたしましては、合計で一万一千四百九十人を目標としてございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 こちらも、確かにやらないよりはやった方がいいんですけれども、一万人ぐらいの雇用ではなかなか東京一極集中の是正とはならないので、もうちょっとめり張りのある、効果のある政策をお願いしたいと思います。

 そこで、もう一つ、東京一極集中の是正という観点からです。

 今回の地方創生というのは、どちらかというと、それぞれの地方自治体がそれぞれの地域に合ったアイデア、創意工夫によっていろいろな取り組みを考え、それを国が後押しするというのが原則というふうに理解をしております。

 ただ、各地域が地域の実情に即してやる、これはもちろん大事なことなんですけれども、東京一極集中への大きなうねりを是正するにはまだまだ力が足りないのではないかなと思っております。

 そこで、企業が地方から東京に移転するのを思いとどまらせて、むしろ積極的に地方に移転したいなと思うようにするためには、先ほどの地方拠点強化税制なんかではまだまだ不十分だと考えております。国家戦略特区が日本を世界で一番ビジネスがしやすい国にするということであるならば、これは、東京を世界で一番ビジネスがしやすい地域にするのではなくて、地方を世界で一番ビジネスがしやすいようにする、そんな考え方で施策を打っていただく必要があるんじゃないか。

 例えば、石破大臣の山陰地方の法人税を東京に比べて大幅に安くするとか低くするとか、もっと強力なインセンティブを設けることが必要ではないかと考えますが、大臣、いかがでございましょうか。

石破国務大臣 それはまさしく税法の世界のお話で、私がお答えするのは決して適当ではないと思いますが、そういうふうな議論が出ると、必ず、一国二制度である、国税というものがそういうことでいいのか、以上というところでお話がとまっちゃうわけですね。これはまた財務金融委員会等々で御議論をいただきたいし、予算委員会でも御議論いただきたいし、また私ども自由民主党の中でも議論をしていかねばならない。

 だから、一国二制度だからだめです、以上ということで本当にいいんだろうかという問題意識は私自身も持っておるところでございます。

 ただ、今回の地方創生というのは、東京の富と人を地方にばらまきましょうというそんなつまらぬ話ではなくて、やはり東京は東京として、金融であるとかあるいは文化であるとか、そういう、世界の中心として、さらに持てる力を発揮していただかなければ国家のためにならないと私は思っております。

 私みたいに山陰から出てきますと、東京なんて夢の国みたいなところがありまして、東京を住みにくくする政策というのはないものかなぞということを若いころは考えたこともあるのですが、そうではなくて、東京の例えば災害に対する脆弱性でありますとか、あと、これから恐らく人類が一度も経験したことのない急速な高齢化というものに東京は対応するようにしていかなければならない。さすれば、そういう東京のいろいろな問題を解決するために地方でできることはあるはずだと思っております。

 ですから、東京と地方というものが、言うなればウイン・ウインの関係になるような、地方創生というのは、結局、日本創生の新しい姿なのだと思っております。

 その際に、地方においてもっといろいろな制度が適用できるようにならないかということ、ですから国家戦略特区もそういうような眼目でやっておるわけでございますが、さらに委員の御指摘を踏まえまして、私どもとして、地方の発意による、これはあくまで地方の発意が大事だと思っているんですけれども、そういうような地方の発展のための手だてというものをさらに考えてまいります。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 私も、地方の独自の取り組みというのは非常に大事だと思っているんですが、なかなか、東京一極集中の大きなうねりを是正するには地方の取り組みだけでは、ウイン・ウインと言っていても、地方が勝つ分と東京が勝つ分というと、やはり圧倒的に東京が勝つ分が大きいのではないかなと思っております。

 一国二制度というお話がありましたけれども、確かに言葉だけを聞くと、不公平だとか、東京が不利だとかと思うんですけれども、これはどうしようもない格差を是正するためにある程度思い切った政策をとらないと、地方に人を移転させるということは、決してこれは東京にとってデメリットではなくて、東京も今集中し過ぎて、東京の住環境も悪いし、保育所も見つからないだとか、やはり通勤も大変だとかということですので、これは地方にどんどん移転していった方が東京都民のためにもなるのではないかなと考えております。

 ちょっと観点を変えて、次の質問に行かせていただきたいと思います。

 政治も経済もあるいは流行の文化も全て東京にかなり集中しがちになっておりますけれども、実は文化、これも、地域の伝統文化、文化財、あるいは食文化といった伝統文化、伝統芸能というのは、まだまだ地方にすぐれたものがたくさん点在しております。こういったものを生かして地域活性化につなげるということは大変有効だと考えておりますけれども、地方創生の観点から、文化庁さんで取り組まれているようなことを御紹介いただければと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域における特色ある文化財、メディア芸術や各地の芸術祭を初めとする文化芸術活動など、魅力ある文化が満ちあふれている我が国におきまして、ただいま先生から御指摘いただきましたように、文化芸術資源を一層活用し、地方創生につなげていくことが大変重要な観点と考えているところでございます。

 文化庁といたしましては、例えば文化財の活用につきましては、文化財活用・理解促進戦略プログラムを策定いたしまして、日本遺産を初めとする地域の文化資源の一体的な活用、国内外に向けたわかりやすい解説の充実、多言語化、あるいは適切な修理によります文化財の修理、あるいは美しく保つ美装化などの取り組みを進めることで、文化財を真に人を引きつけ、地域の方々の心のよりどころとなるような文化資源として活用する取り組みを進めていくことといたしております。

 また、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた文化プログラム等の実施を契機として、これもお話がございました、地域における芸術祭などの文化芸術活動や食文化を含めた暮らしの文化などの文化芸術資源を掘り起こし、地域活性化につなげたいと考えているところでございます。

 さらに、公立の文化ホールでございますとか美術館でございますとか、そういった公立文化施設の活用によるまちづくりにつきましては、これも、周辺の商業施設と一体となり、地域ににぎわいをもたらしたり、市民参加型の取り組みを実施する事例が生まれておりますことから、こうした取り組みをさらに促進してまいりたいと考えております。

 今後とも、地域のさまざまな文化芸術資源を活用し、地方創生にしっかりと寄与してまいりたいと考えているところでございます。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 文化庁さんにおかれては、文化財を活用した地域活性化事業ということで補助金などもつけていただいておりまして、私の地元でも、これを利用して、だんじりに補助金を出していただきました。

 だんじりというのはすばらしいもので、単なる文化財ではなくて、小さい子供は上に乗って太鼓をたたいて、大きくなったらだんじりを引いて、そしてお年寄りになったらこれはまた年寄り衆ということで若い者を指導してということで、だんじりがあるからまた地元に戻ってこようとか、こういうこともありますので、文化財を活用した地域の活性化、これは非常に有効だと考えております。

 文化財と並んで、スポーツを利用した地域活性化、これも大変有効だと考えております。

 ただ、スポーツを利用した地域活性化というと、一つ思いつくのは、スポーツツーリズムのような、イベントを通して観光客を呼び込むということ、これも一つの地域活性化なんですけれども、地域のスポーツチームあるいはスポーツインフラを生かした地域社会のつながりの強化あるいは地域の活性化ということも重要だと考えますが、スポーツ庁さんとしての取り組みをお聞かせいただけますでしょうか。

平井政府参考人 スポーツは人と人との交流や地域と地域との交流を促進し、また地域の一体感や活力を醸成するなど、地域活性化に貢献するものでございます。

 そのためには、地域のスポーツチームの活動拠点となる、また地域住民がともにプレーすることでコミュニティーの形成の場となるスポーツ施設が各地に適切に整備されることが重要でございます。

 スポーツ庁としましては、スポーツ施設が地域において有効に活用されるよう、地域スポーツ施設の整備に係る交付金やスポーツ振興くじ助成金による施設整備に対する支援を引き続き行っていくとともに、今後、地方公共団体に対しまして、スポーツ施設の活用方策やスポーツを核とした地域活性化等について積極的に情報発信を行うこととしているところでございます。

山田(賢)委員 時間もなくなってまいりました。

 最後に、石破大臣に、文化、スポーツ、あるいは観光も含めた、こういったものを活用した地方創生に対する大臣の御所見をお聞かせいただけますでしょうか。

石破国務大臣 委員もお読みになったと思いますが、デービッド・アトキンソンさんの「新・観光立国論」というのは実におもしろい本でありまして、外国からお客様を呼ぶ場合に大事なのは、春、夏、秋、冬の四季がはっきりしていることである、自然が豊かなことである、伝統、文化、芸術、そういうものの奥が深いことである、そして最後は食べ物がおいしいことであると。この四つで日本にまさる国があるとは私は思えないのですね、それはいろいろな国にいろいろなものがありますけれども。

 そうすると、文化、芸能、芸術等々、そこが持っている力というのは相当のものがあると思っております。

 私は、この一週間で、佐賀に行って、小松に行って、館山に行ってきたのですけれども、それぞれ独自のいろいろな文化があります。いろいろなお話があります。鍋島藩の化け猫のお話があって、そして小松には勧進帳のお話ですね、弁慶と義経の。そして館山には南総里見八犬伝のお話があるわけで、そういうお話もいっぱいある。何も国宝や重文だけが文化財ではない。ほかにもいっぱいあるはずでございます。

 あるいは、ライブエンターテインメントというのを考えたときに、これが一四年の市場がたしか四千二百六十億円だったと思っております。ここ数年、二桁の伸びを示しておりまして、そういうようなライブエンターテインメントのようなもの、これも相当の伸び代があると思っております。

 委員御指摘のように、スポーツ、芸能、文化、そういうものが潜在力を発揮して、大勢の人に楽しんでいただけるような、そして地域に活力がもたらされるような、ライブの施設というのはもう決定的に足りないわけでございまして、それをどのように生かすか。スポーツだけではない、多くのものの複合的な施設ということで、箱物というようなイメージではなくて、そういうものの活用もまたあわせて考えてまいりたいと考えております。

山田(賢)委員 ありがとうございます。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

山本委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 民進党の吉良州司でございます。

 まず冒頭、昨夜からの大地震、そして余震が続いております熊本において、お亡くなりになられた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された方々へのお見舞いを申し上げたいと思います。先ほど山田議員からもございましたけれども、政府にあっては、万全の対応をお願いしたいというふうに思います。

 さて、きょうは一般質疑ということであります。これまでかなり細かい議論が展開されてきたと思いますが、きょうは一般質疑ということもあって、書生論じゃないかと批判を浴びるかもしれませんけれども、書生論と言われようが、地方が元気になるにはどうすればいいかという観点で、石破大臣の胸をかりながら、本質的議論、できればさせていただきたいというふうに思っています。その際に、持論を展開するようなケースも多くなるかと思いますけれども、委員の皆さんは、早く質問しろとか、そういうことを言わずに聞いていただければというふうに思っています。

 まず最初に、地方創生と成長戦略という観点で大臣に伺いたいというふうに思っています。それを伺う前に、私の問題意識というのを少し披露させていただきたいと思います。

 自分で自分たちのことを言うことはなんでありますが、よく、民進党にいる保守系議員と言われる人たちは、外交、安全保障を中心に、自民党と余り変わりがないじゃないかというような指摘を受けることがあります。確かに、外交、安全保障等においては、私も自民党の考え方と同じような方向性で考えることが多々ございます。ただ一方で、国内の社会政策そして経済政策においては、いろいろな意味で大きな違いがあるというふうに思っています。

 一つは、よく言われる供給者の論理と生活者の論理。

 自民党政権というのは、供給者の論理、供給する側、つまり、よく業界と言われますけれども、業界と言われるのはほとんどが供給する側の会社、業界が組織されたものである、そこの要望を聞いて、それを実現するという傾向が非常に強い。これに対して我々は、生活者の立場に立った政策を考えていきたい、国づくりを考えている、これが一つであります。

 二つ目は、これも大変恐縮な言い方なんですけれども、やはり発展途上国的な考え方、発展途上国時代の政策を色濃く残しているということであります。

 私自身は、日本の焼け野原からの戦後復興、そして高度成長を通して日本を世界有数の経済大国に押し上げて日本をここまで豊かにした、最大の功労者は頑張り抜いた国民でありますけれども、同時に、それを指導していった自民党の功績が非常に大きいというふうに思っています。大変高く評価をしております。

 けれども、一方で、その途上国的体質が、日本がある程度豊かになった、先進国になった今でも残念ながら色濃く残っているというふうに思っています。

 例えばの話ですけれども、成長戦略。幅広い成長戦略、メニューを掲げてはいますけれども、感じることは、いまだにやはり製造業が中心だ、製造業を後押しするという発想がどうしても残っているというふうに思っています。

 もちろん、製造業がさっき言った高度成長を引っ張り、日本経済を牽引してきたことも確かだし、今もリーダー的存在であることは間違いがありません。ただ、一方では、GDPに占める製造業の割合はもう二割になってきている。かつ、製造業という位置づけの中でも、例えば、製造業と位置づけられるんだけれども、メーカーの中でアフターケア、アフターサービスに従事するような人たちがふえている。だから、製造現場よりも圧倒的にサービスがふえてきているというのが先進国、成熟国の姿であり、日本も例外ではない、こういうふうに思っています。けれども、いまだに製造業中心の成長戦略が根底にある全体としての成長戦略だというふうに思っています。

 一方、地方が元気になるためには、地方の中心であるサービス業、この生産性を高めなければいけないという議論がよくなされますけれども、これも釈迦に説法ですが、製造業の場合は、特に海外展開をしている製造業の場合は、テストでいえば百点満点中九十五点、もうほとんど伸び代がない。そこを幾ら後押ししても、正直言って、日本全体の成長それから活力につながる余地というのは、ある意味では限界があるというふうに思っています。それよりも、もっともっと伸び代のある分野に目を向けなければいけない、このように思っているわけであります。

 そういう製造業を中心とした成長戦略をベースに置いているという中で、私が今危惧していることは、いろいろ安倍総理の話を、メッセージを聞いていても、成長自体が目的化している。本来なら、国民の幸せ、幸せ感を増幅していくのが政治の役割であるのに、途上国時代の、腹いっぱい飯が食いたい、もっと豊かになりたい、そうすれば幸せ感を感じた時代を今でも引きずってしまっている。

 そういう意味で、私自身が感じることは、成長というのは、あくまでも、国民が幸せになる、幸せ感を感じる、その際の一つの手段であって、決して目的ではない、このように思っているわけであります。ただ、今回の地方創生も、安倍政権の中にあっては成長の一つの手段として考えられているのではなかろうか。この辺について、私自身は懸念を持っているところであります。

 私自身も、地方が元気にならなければ日本は元気にならない、こういう問題意識を共有します。先ほど石破大臣が、地方創生ということはイコール日本創生なんだという話もされておりました。それも全くそのとおりだというふうに思っています。ただ、地方創生というこの大事な考え方、概念を今言った成長戦略の一環として捉えたならば、私は大きな間違いが起こってくる、このように思っているわけであります。

 前置きが非常に長くなって恐縮でありますが、今私が申し上げた問題意識を聞いていただいた上で、地方創生と成長戦略の関係について、石破大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石破国務大臣 委員のお考えに、私は、一〇〇%と言ってもいいです、同意をしたいと思っております。

 GDP六百兆ということを目指してそれは頑張っていかねばならない。委員御指摘のように、誰でも名前を知っている製造業、ここに雇用されている労働者というのは全体の二割しかいないわけですし、それが稼ぎ出す経済というのは経済全体の三割でしかないわけで、労働者の八割、そして経済の七割はそれ以外の産業が担っているわけでございます。

 ですから、そこに伸び代が多くあるのではないか。確かに、世界を相手に頑張っている製造業というのは、本当に伸びるところまで伸びて、少しでも伸ばそうと思ったらこれは大変なことで、ですから製造業も大変な競争の中にいるわけですが、今まで、公共事業があるものね、あるいは誘致企業があるものねということで地方が支えられてきた部分は否めないと思っております。

 平成四年、平成十四年、平成二十四年と、四十七都道府県の一人当たりの労働生産高というものをずっと表にしてみると、相当の変化がございます。お金だけをもってして幸せだと言うつもりは私は全くありませんが、そこにおいてこれだけの変化があるのはなぜだろうか。日本全体の経済という抽象的なものがあるわけではございませんで、大分県なら大分県、大分市なら大分市、別府市なら別府市、日田市なら日田市というものがあるんだろうと思います。そこでどのような産業構造になっており、どの部分が伸びていくのか。

 お金だけで幸せなのではなくて、例えて言いますと、神奈川県秦野市に鶴巻温泉というところがございます。これも有名な話ですが、あそこには陣屋という大変由緒ある日本旅館があります。これがリーマン・ショックの後、非常に経営が苦しくなりました。そこで、ホンダに勤めていた技術者の方が、四代目として後を継ぐ形で経営をされるようになったんですね。そこで私は本当に驚いたのは、今まで常識では考えられなかった旅館の週休二日制というのをやるわけです。それによって従業員の方々のきちんとしたお休みがとれるようになりましたと。お客様もこの日とこの日はお休みだよねということは知っているわけです。そのことによって従業員のお給料は上がりました。そこの経営の理念は、顧客の満足度も大事だが従業員の満足度を上げていかねばならないということでございました。それによって赤字を解消し黒字に転じたというような例というのを見て、私は非常に感心をしたところでございます。

 そこは、ITを使った経営というものがなされる。でも、ITを使うのはなぜなのかといえば、フェース・ツー・フェースの時間をふやすためにITを使うのだという考え方でございました。ですから、農業も漁業も林業もそうです、あるいはサービス業もそうです、そういうところに、労働生産性を上げながら人を幸せにしていくということが可能なのではないだろうかと思います。

 大事なのは数字ではなくて人の幸せ感でございまして、もう一つは、委員から、書かれたもので勉強したのですけれども、結局、私たちは、先人の残した遺産の上に生きているところはあるんです。だけれども、日本の場合に、例えば、家というのはローンを払い終わったら価値がゼロになる、これって本当に幸せなんでしょうかということもあります。

 ですから、何が人の幸せなのかということを第一に考えていかねばならないのでありまして、それは、生産性を上げる、GDPを上げるということが目的なのではございません。それはあくまで手段だと理解をいたしておるところでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 本当に、考え方、問題意識を共有していただいたというふうに思っております。労働生産性を上げながら幸せ感を増していく、これは、これにこしたことはないというふうに思っています。

 今、石破大臣が答弁というか話された中で、揚げ足をとるわけではないんですけれども、GDP六百兆円の話が出ました。これ自体は達成しなければならないというお話もございました。

 あえて、私が先ほど前置きした話の延長で、ちょっとそのことに触れさせていただきますと、私は、一億みんなであっちに向かっていくんだぞとか、日本人全体で何百兆円を達成するんだぞとか、こういう発想自体が、先ほど言いました発展途上国的なんだというふうに思っているんですね。

 もう大臣には釈迦に説法になりますけれども、アブラハム・マズローという心理学者が、よく人間の欲求五段階説ということを説いておりまして、もちろん、生理的欲求があって、次に安全の欲求があって、人間ですから人と交わりたいという親和の欲求がある。ある意味では、ここまでの段階は途上国的だというふうに思っているんですね。だから、みんながひもじい思いをしているときに、みんな食えるようにしようということに誰も反対しないし、一億みんなでそっちの方向に向かっていく。誰も異論は唱えない。

 だけれども、衣食住が足り、安全も足り、人とのかかわりも十分できるようになった、それ以降人間が求めるもの、人間のつくった社会が求めるものというのは、次には、自分を認めてもらいたいという欲求であって、そしてその先には、自己実現という欲求があってくる。これは、豊かになればなるほど、もう一つの方向を向かない、それが人間の心理でもあり、そして人間がつくる社会だというふうに思っているんですね。

 そういう意味でも、一億みんなでこっちに向かっていくぞとか、みんなで六百兆を達成するだとか、もうそういう時代ではないということはちょっと指摘をさせていただきたいというふうに思っています。

 そのことの延長線上で、私は、若者の意識がここに来て大きく変わっているということを実感しています。

 本来なら若者にとって非常につらいことなんでしょうけれども、自分たちが生まれて以来、一度も成長とか元気のいい社会を経験したことがない。自分の給料を見ても、正直、一部の人を除いては、本当にこれで生活できるのかという給料。将来的な展望もなかなか描きづらい。けれども、若者は、そういう中でもその現実を受け入れて、その中で、何とか幸せ感を、幸せを見つけ出そうとしている。

 その典型的な動きとして、私が見るのに二つあると思っています。

 一つは、例えば、東京のワーキングプアと言われるような若者が、自腹で東北の被災地に行ってボランティア活動をしている。十万か十数万の給料の中で、自腹で交通費を払って被災地に行くのは大変なことです。けれども、そこで被災者から一言ありがとうと言われる、その幸せを求めて被災地に行っている。もう一つは、この委員会のテーマである、都会を離れて地方に定住しようという若者たちがだんだん出てきている。これらは、今申し上げたように、成長ではない、自分たち独自の幸せ感を探し始めている、そのあらわれだというふうに思っています。

 それは、私自身の言葉で言いかえると、先進国自体が今成長というものの限界に、壁に当たっていて、いろいろ政治的に経済的に模索はしていますけれども、明らかに成長というものの限界を先進国の多くの人たち、特に若者が感じていて、そして、ポスト成長の中で幸せをどうやって見出していこうかということが問題意識として共有され始めているんだろうというふうに思っています。そういう中で、繰り返しになりますが、若者が都会ではない地方での豊かな暮らしというのを求め始めているんだというふうに思っています。

 大臣にお聞きしたいことの一つは、若者がそうやって地方に目を向け、定住を考えるようになってきている。山梨県の北杜市だとか、そういう傾向が顕著にあらわれている町々も出てきている。私は今、自分の考えを述べましたけれども、若者を中心に都会から地方へと目を向け始めている背景にはどういうことがあると考えておられるか、石破大臣のお考えをお聞きできればと思います。

石破国務大臣 委員も私もほとんど同じ時代を生きてまいりました。たしか一年違いだったと思います。私どもが小学校五年生、六年生のころに、当時はGNPと言っていましたが、GNPが世界第二位になったということがありました。西ドイツを抜いて世界第二位になりましたというので、結構日本じゅううれしかった。だけれども、そのときに、では西ドイツが、日本に抜かれた、大変だという話があったかというと、そういう話は余り聞いたことがないのであります。

 ですから、ヨーロッパ諸国で見ると、GDPは日本より低くても幸せな国というのがいっぱいあるわけで、それは、人はパンのみにて生きるにあらずであって、どういうのが幸せな暮らしなんだろうかということはやはり先進国が皆共通して抱えている問題だと思っております。

 一方におきまして、このままほっておきますと、日本の人口は二一〇〇年には五千二百万人になりまして、二百年後には千三百九十一万人になりまして、三百年後には四百二十三万人になるということになっているわけで、GDPというもの自体が自己目的だと私は思いませんが、これだけ人口が減っていく中にあって、この国をどうやって維持していくのかということを考えた場合に、やはり生産性というものを考えていかねばならないだろうと思っております。

 そして、このままこんな調子で人口が減ると、我が国の主権そのものが崩れていくと思っているんです。国家主権というのは、領土と国民と統治機構の三つでありますが、国民自体がこれだけ減っていくということは、ある意味で国家主権が溶解しつつあると私は思っておりまして、これをとめるために人口の維持ということは知恵を絞っていかねばならない。

 本題の部分ですが、私は、若い方のいろいろな価値観、成長を経験したことのない若い方々の価値観というのは確かに多様だと思っています。去年の暮れに移住女子サミットというのを東京でやりました。そんなに大きな集まりではなかったのですが、若い女性の方々で地方に行かれた方々が集まって、いろいろな議論をして、私はずっと聞いていましたが、そこにおいてあったのは、三・一一で、並んでも金を出しても物が買えないって一体これは何なの、こういう町って何なのということで地方に移住したという方が何組かありました。

 そこでは、ふなれだけれども一生懸命野菜をつくりましたと。お裾分けということで、野菜を二つか三つ、キャベツを二玉とか白菜を二玉とかそんな話ですね。そうすると、五倍返しみたいなことで、次の日にはどんと野菜が来たと。あるいは、子供が生まれましたということになると、ここの集落で何年かぶりに子供が生まれたということで、みんなの子供だというので、そのおじいちゃん、おばあちゃんたちがいろいろなお世話をしてくれる。東京でそんなことをやったらば人さらいみたいな話になっちゃうわけですね。そういう温かさとか本当の人生の価値とか、そういうものを見出せたんですよという話を聞いて、かなり私は感動したんです。

 そういう価値観というのもあるだろう。だけれども、濃密な人間関係が嫌いで、希薄な人間関係を好む方もあるわけで、そういう濃密な人間関係とかお金だけじゃない生き方とか、そういうものを実現するためのいろいろな政策というものは、やはり政府としてできるものがあればやっていきたいと思っております。

 そして、CCRCも、先般法律を通していただきましたが、これも、委員も私も五十代ですが、五十代のうちから地方に帰ろうよ、そこで第二の人生、仕事がないんだったら仕事をつくりに帰ろうよというのがあってもいいでしょう。商社で勤めた、銀行で勤めた、メーカーで勤めた、そのスキルを地方に持っていって、もう一度第二の人生というのがあってもいいんじゃないのか。

 ですから、やはりリタイア後が幸せな日本人という価値観もあっていいんだ、なければいけないんだと思っています。若い方あるいはアクティブシニアの方、全ての層の方々が、一億総活躍というのは、一億の人たち、一億二千七百万人なんでしょうけれども、それがみんな自己実現ができる、そういう国でありたいなというふうに私は理解をいたしておるところでございます。

吉良委員 ありがとうございます。

 ヨーロッパの例を引いて、GNP、GDPは低くても幸せだということと、またお金だけではない幸せというような話、また若者だけじゃないアクティブシニアの話もしていただいて、これについても問題意識、方向性も共有しているというふうに思っています。

 今大臣がおっしゃったこと、私はそこがポイントだというふうに思っていまして、どういうことかというと、先ほど地方創生というのは必ずしも成長戦略の手段ではないんだという問題意識を披露させてもらいました。

 私は、これからの地域というのは、人と人とのつながりを大事にしながら、ある意味、奈良時代の税制に戻る、皆さんも覚えがあると思いますが、租庸調という、租はお米で、それから最後の調は布、そして庸は労役と現物提供だというふうに思っていますけれども、これからは、GDPには反映されないんだけれども、お互いが物々交換でサービスを交換し合う、幸せを、幸せ感を、満足感を交換し合う、元気を交換し合う、そういうことによって、GDPには反映されないながらも幸せ感が増していく、これが一つの地域のあり方なんだろうというふうに思っているんですよね。

 ですから、マッサージが得意な人はマッサージしてあげたら、今の話じゃないですけれども、うちはキャベツをいっぱいつくっているからキャベツをどんと持っていけといって翌日持っていく。このようなあり方が、今後の地域、繰り返しになりますけれども、必ずしもGDPには反映されないけれども、幸せ感、満足感は大いに増していくということなんだろうというふうに思うんですね。

 租庸調という形をどういう形でやるか。これは国というよりも各自治体が創意工夫していかなければならない分野だというふうに思っていますが、この物々交換が重要で、それがコミュニティーの中の重要な要素を占めていくという考え方については、大臣、どう感じてもらえるでしょうか。

石破国務大臣 高校生のとき以来、久しぶりに租庸調という言葉を聞きました。改めて勉強させていただいたところであります。

 問題意識がずれていたら申しわけないのですが、私は、藻谷浩介さんの「里山資本主義」というのは、私ども中国地方の山間部というものに題材をとっていますので、大変共感を持って読んだところでございます。

 あそこに書いてありましたが、サブシステムとしての里山資本主義、決してメーンのシステムではない、決して資本主義というものを否定するものではない。ですけれども、委員の今の御指摘は、ひょっとしたら、この里山資本主義の考え方と共通する部分が多いのではないかと思って拝聴した次第でございます。

 ですから、サブシステムとしてのそのような考え方、物々交換ということをおっしゃっておられるのではないと思いますけれども、そういう経済というものがあっていいのではないだろうか。食料でありエネルギーでありというものを、円が高いと高い高いと言って騒ぎ、円が安いと大変大変という話になる。やはり、国家が生存していくために必要な食料とかエネルギーというものをいかにして外国に頼らないかというのは、大事なことだと思っています。

 そこは、エネルギー政策とか食料政策をここで論じるつもりはありませんが、そういうものがきちんとある地方において、人間の生き方の一つのモデルというものがあるべきではないだろうか。少なくとも、それが選択肢として選択可能になるような状況というものは私は大事だと思っておりまして、「里山資本主義」から私は学んだことが多いのです。

 委員の御指摘も踏まえて、また知識を深めてまいりたいと考えております。

吉良委員 ありがとうございます。

 私自身も、「里山資本主義」は何回も読ませてもらいましたし、時々、藻谷浩介さんからいろいろ教えを受けておりまして、本当に参考になるというふうに思っています。

 ちょっと次に移らせていただきますけれども、よくいろいろな政治家の挨拶で例に出される、かつてのイギリス・ブレア首相が、自分は三つの政策があると言って、一に教育、二に教育、そして三番目も教育だという話がありましたけれども、私は、地方創生の鍵というのは、一に人材、二に人材、三、四も人材、五も人材だ、このように思っております。

 そういう中で、地方創生カレッジとかいうようなのもつくり、これからそういう人材育成について国としても後押しをしていくということであります。また、地方創生人材支援制度、これもうまく成功している例も出てきているということで、これらの政策については大変評価をしているわけでありますけれども、リーダーをどう育成していくかということについて聞く前に、また私自身の持論を少し展開させてもらいたいと思うんです。

 実は、昨年のこの地方創生委員会のときに、私は、村おこしの元祖である大分県の大山町の話をさせてもらって、そこは、若手のリーダーを育てるために海外に出して、代々リーダーを育てていく、そしてそのリーダーを支えるフォロワーが育っていって、いつの間にか町全体が六次産業をみんなが実現できるような人材がそろっているというのが大山町でありました。

 そういう意味で、私が大臣にお願いしたいのは、いろいろITを使ったり、いろいろな成功事例、失敗事例を学校的に教えるというのもいいんですけれども、何とか、そこのリーダー候補を留学だったり遊学だったりさせて、かわいい子には旅をさせて、広く視野を広げて、そして自分のふるさとに戻って地域おこしをしていくという仕組みをつくれないものかというふうに思っています。

 今から申し上げることは多少地方に失礼になる部分があるんですが、私が知る限りでも、大分県において、村おこしのリーダーをやっている方々、六割とか、下手すると七割ぐらいは一度その地域を出ている方なんです。もちろん、地域にずっといらしてリーダーになられる方、また、すばらしいフォロワーになられる方もいるんですけれども、かなり大胆な、おもしろい村おこし、地域おこし、村を元気、町を元気にしている人たちというのは、大概が一度外に出ている。

 だから、そういう意味で、時に自治体は、外に出るな、ここにとどまっていろというやり方をしてしまうんですけれども、私は逆だと思っていて、サケじゃないですけれども、一回大海に放って、それでも必ず戻ってくるというような仕組みの方がより多くの地域を元気にできると思っておりますけれども、これについて、大臣、いかがでしょうか。

石破国務大臣 これは委員も随分気をつけてお話しなさっているなと思って聞いたんですが、そういうすてきな例というのは実はいっぱいあるんですよね。

 鹿屋市の「やねだん」がそうですよね。あそこのリーダーの方は、地元の高校を出て、そして東京の銀行に勤めて、帰ってきて、そして養鰻業、ウナギを育てる仕事をしていたんだけれども、頼むから自治公民館長をやってくれと言われた。今まで自治公民館長の方というのは、どの地域にも似たような話があるんでしょうけれども、六十五を過ぎた方が、おまえ、一年の辛抱だ、何とかやってくれやみたいなことで順番にやっていたのが、五十代のその方が自治公民館長になられて、サツマイモをつくろうということになり、鹿児島大学とコラボして、いい土をつくり、いい肥料でいいサツマイモをつくった。次は焼酎だということで、それは海外輸出もなされて、年に数千万稼ぐようになりましたというお話でございます。

 あるいは、島根の大田市に中村ブレイスという会社がありますが、これは、やはりそこの方が、学校を出てからアメリカに行ってアメリカで学んで、それは何の会社かというと、義手、義足、そういうものをつくっている。だから、事故とか御病気とかでそういう機能を失っちゃった、でも、あったときと同じ、なるたけそのときと近いものをつくるという物すごく卓越した技術を、本当に石見銀山の近くの山深いところです、そこで事業を起こした。

 そうすると、世界じゅうから注文が来る、そして日本じゅうから。土曜、日曜もなく働いているんです。何であなた方は土曜も日曜も働いているのと聞いたら、これをつくることで人が必ず喜んでくれる、あったときと同じ手、あったときと同じ足、なるたけそれに近い実感を得られるということで人が喜んでくれる、それを考えただけで土曜も日曜も働きたいんだというお話で、これもえらく感動物でございました。

 あるいは、島根に邑南町というところがありますが、あそこの町長さんも、学校を出て、外で、物流会社に勤めて、おまえ帰ってこいやということで町長さんになりました。

 そこで、おもしろい話は、ここはB級グルメの町はやらないと言うんですね。B級グルメというのは結局潰し合いになっちゃう、いかにして安くするかということで決して豊かにならないと。A級グルメの町だというので、ここは和食でもなければフランス料理でもないんです。和食だったらあっちこっちでやっている、フランス料理はバターとか牛乳とかいろいろなものを入れるけれども、素材の味が生きるのはイタリア料理だということで、そういう山合いの町にイタリアレストランを開いて、いっぱいお客さんが来ています。

 その地域で生まれてその地域で育ってということを私は価値観として否定するものでは全くありません。ですけれども、いろいろなところでいろいろなものを見る、そして行政ではなくて民間のあり方というものを見る。私も民間からこの世界に来ていますが、やはり感覚がすごく違ってショックを受けたことを今でもよく覚えています。時間的感覚、金銭的感覚。民間の気持ちというのを理解し、そしてまた外の文化というものを理解し、それを自分の地域で生かすというのは、やはり大きな意味のあることだと思っています。

 問題は、委員のお話を聞きながら思ったのは、どうやってその人に帰ってもらいましょうかということなんです。我々も五十代になると、おまえ帰ってこないかとお声をかけていただくことが多くなったですね。やはり見たことも聞いたこともないようなところに行くというのはかなり勇気の要ることですが、帰れば同級生もいる、親戚もいる。そこで、商社で学んだいろいろな知識、メーカーで学んだ知識、金融で学んだ知識、それを生かして一緒にやろうよという。

 地域を変えるのはよそ者、若者、ばか者だ、こう言われるわけですが、そこで育っている、それで、高校、大学あるいは勤め先がほかの地域であっても、おまえ帰ってこいやということで帰れるような、そういう状況がどうやったらつくれるかしらねというのが、今私が考えている、どうしたらいいのかなということで、またお知恵をいただければ大変ありがたいと存じます。

吉良委員 またしてもありがとうございます。私自身が次に申し上げたい、また提案したいことを、ある意味では、石破大臣の問題意識として語っていただきました。

 一つは、民間。

 地域を元気にするリーダーたちというのは、地域おこし的リーダーもいれば、それから、その地域経営全般の責任を持てるような、それこそ首長になる、それを支える人たちになるようなリーダーもいれば、また役所、役場の人たちもいる。その中で、田舎に行けば行くほど、役所の存在、役場の存在というのは非常に大きいんですね。何かイベントがあれば、真っ先に挨拶するのは必ず役場の部長さんだったり課長さんだったりするわけで、ある意味、そこの地域の人たちは役場の人たちを頼りにする。でも、役場の人たちがなかなか民間経験がない、また、さっき言った、外に出た経験がない。だから、耳学問はあるけれども、各論、ハウツーになったときに指導することができない。こういう例を私自身も見てまいりました。

 私、実は、商社に勤めていながら、ちょうど年的には三十代ぐらい、会社に入って八年目ぐらいのときに、自分で志願をして、自分で制度をつくって、大分県庁に出向した経緯があります。もうそれこそ二十六、七年前になるんですけれども、そのときに、ちょっと手前みそになりますけれども、地方が元気にならなければ日本が元気にならないということを会社にも説得して、行かせてもらいました。本当に多くのことを学ばせてもらいました。

 そのときに実は感じたことが一つあって、役場の方たちは物すごく地域のことを真剣に考えて頑張っているんですよ。ただ、発想的に限界があることもよくわかりました。

 実は、大分県のある肉牛生産が盛んな町で意見交換をしていたときの話です。ちょうどそのときというのは、牛肉の関税が下げられて、実は大分でもアメリカの車が横倒しになって燃やされたりしたことがあったような、それだけ、何で関税を下げてしまうんだ、俺たち肉牛生産者のことをどう考えているんだみたいな話があったんです。

 私がその方々と会ったときに、実は申し上げたことがあるんです。やはり役場の方と肉牛生産の方、両方です。

 皆さん方は、何となく地域を元気にするというときは、地べたが何となく元気になるという発想がないですかと。地べたじゃないんですよ、そこで生きている人、そこで生活をしている人が豊かになることが、その地域が豊かになることなんですよと。何となく、政策を打つとなったら、その地べたのどこかにお金を打つなり何かしなきゃいけないと考えていると。

 私がそのとき言ったのは、自分たちみたいな商社の人間は、こうやって関税が下がったときにどう考えるかというと、その町の畜産公社とか町そのものだったり町民からお金を集めて、オーストラリアに牧場を買いますよと。そこで、それは朝地町といったんですけれども、朝地町の種で、オーストラリアで育て、関税が下がれば下がるほど日本への輸出をふやす、そして、本土でつくった肉は高級牛として、お安いものから高いものまで。しかし、オーストラリアから輸出して、もうければもうけるほど、配当として朝地町にお金が還流されるんですよと。

 今まで、これは言い方が失礼な部分はあるんですが、なかなか海外に行けるような広がりのある仕事がないから、この町で就職するのは嫌だと言っていた若者が、一生に一回、二回オーストラリアに駐在だということで、では、その会社に入ろう、また、今度、女性も、そういうところで、そこの社員と一緒に結婚してオーストラリアへ行きたい、そうなって若者も定住していくんだ、こういう話をしたことがあるんですね。そのときに、その町の人だとか役場の人からは、何かあなたの話を聞くとキツネにつままれたような、でも確かにそう言われればそうだなと。

 こういうような話が実はあって、そういう発想をもう経験上持っている人がこの東京近辺を含めてたくさんいるんですよね。今大臣が言ったように帰ってこいよという年でもいい、またはもっと若い時分に帰れる方法もあると思っているんです。

 これもちょっと時間がもう足りなくなってきたので、場合によっては機会を改めてやらせていただきますが、私が商社時代の経験で、オーストラリアに、まさに、オーストラリア・インダストリー・ディベロップメント・コーポレーション、オーストラリア産業開発公社というのがあったんです。これは、連邦政府一〇〇%の出資、けれども、経営それから実際の社員、全部民間です。何をやっているか。投資をやる、融資をやる、経営指導をやる、技術指導もやられる、もう総合商社、総合デパートなんです。

 私は、そういう会社とつき合って、すごい会社だなと思って、大分に出向しているときに大分産業開発公社をつくろうということを提案しました。さっき言った、五十にならなくても、二十代であったり三十代であったり、それなりの経験を積んだ人がその経験を自分のふるさとに伝授するということで、そういう組織があれば戻ってこられるんですね。そこには県職員だったり市町村職員だったりも、特に将来見込みのある人をそういうところに入れて、実践の中で経験を積ませていく。それは、いわゆる世間で言う村おこしではない、その地域、村だったり町を拠点に世界を相手にしたビジネスも展開できるようになってくる。

 こういうふうに思っていて、私が申し上げたいのは、そういう豊富な経験を持っている人が都市部にいる、その人たちが戻っていけるそういう受け皿をつくる、その受け皿はまさにまた地域に還元されてそこが活性化されていく、こういう循環をつくりたい、このように思っておりまして、ぜひ石破大臣にはそのことについて前向きに検討いただければと思います。

 もう時間になりましたけれども、もし一言あればお願いします。

石破国務大臣 ありがとうございました。

 地方へ人材を還流するというのは一番大事なことだと思っております。地方人材還流のためにいろいろな仕組みをつくっておりますが、また、委員のお知恵もかりて、どうやったらば還流できるかということを考えたいと思います。

 楡周平さんの「プラチナタウン」という本があって、これは実におもしろくて、まさしく商社の人が、地方、生まれ故郷の町長になるんですな。そこで、今でいうCCRC、それを実際に商社の発想でやる。この続編が去年出た「和僑」、華僑の華という字を大和の和にかえる、これは、農業を使って、今委員がおっしゃったような、どうやって輸出をやるかということなんです。この「プラチナタウン」と「和僑」というのは一つのセットになっていて、今委員のお話を聞きながらそのことを思い起こしたことでございました。

 また委員と議論させていただければ大変幸いに存じます。

吉良委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 民進党の宮崎岳志でございます。

 本日は、昨夜発災いたしました熊本県を中心とする九州の大きな地震、この影響で亡くなった方がおられまして、また多くの方々が家屋の倒壊などの被害を受けられていらっしゃいます。心よりお亡くなりになられた方々にはお悔やみを申し上げ、また被災された方々にお見舞いを申し上げます。政府としてもどうかぜひ迅速かつ十分な対応をしていただきたいということをお願い申し上げます。

 本委員会の開催に当たりまして、私たち民進党は、災害の救助、復旧、その他の活動に万全を期すためにこの委員会は延期したらどうかという申し入れをいたしました。最終的には与党の方でぜひやりたいというお話でありましたのでお受けをしたところでありますが、そういった経過もございますので、ぜひその点も御考慮の上、十分な対応をお願いしたいと思います。

 特に、石破大臣は直接防災の担当ではないかというふうには存じますが、内閣府が防災を所管しているということもございますし、また災害対策緊急本部会議等のメンバーでもいらっしゃるだろうというふうに思います。政府においても形はともあれ、実質的には副総理的な立場で政府全般をいろいろ御指導しているところだというふうに思っておりますので、ぜひそのところの対応をお願いしたいということであります。

 また、きょう列席の役所の方々また政務三役の方々、大臣、もし災害対応で必要であるということであれば、一言言っていただければ十分離席していただいて構いませんということを申し上げたいと思います。

 まず、この点に関連して、もちろん質問通告ではございませんが、大臣の方に、今回の地震に対しての政府としての復旧、救援、そのことに関する決意を一言お願いしたいと思います。

石破国務大臣 委員会の開催に当たりまして、いろいろと御理解を賜りましてまことにありがとうございます。

 今まで、阪神・淡路大震災あるいは東日本大震災、私どもはさまざまなつらい体験をいたしてまいりました。そのときの知見というものが十分生かされるようにしていかねばならないと思っております。

 先般、熊本の知事選挙でお手伝いに行ったのですが、そこで現知事の蒲島さんが、この熊本県を九州の防災の拠点にしたいというようなお話をされておられました。

 自衛隊の駐屯地を初めとして多くのそのようなアセットがあるわけでございますが、そういうものをフルに活用して救援、救済に全力を尽くしてまいりますとともに、避難所等々でお暮らしの方がこれから出るのかもしれません、そうしますとそういう方々の、東日本大震災のときに物すごくつらい思いをされた、私も一晩泊まってきましたが、そういう方々の暮らしが少しでも旧に復するようにしていかねばならないと思っております。

 東日本大震災でいろいろなことを私どもは学びました。そういうものをきちんと生かしていきながら、この対応に万全を期してまいりたいと思っております。

宮崎(岳)委員 その関連でございます。

 恐らく、多くの家屋が被害を受けておりますので、避難所等でお暮らしになるという方々も出てくることだと思います。

 その際に、私も幾つかの災害に行かせていただきました。政治家になってからはいわゆる東日本大震災があったわけでありますが、もともと新聞記者をやっておりました。群馬県の上毛新聞というところにいたんですが、そのときに、二〇〇四年でございますが、隣の新潟県で中越地震があった。中越地域というのは、御存じのとおり、新潟県の中では群馬県に接している地域であります。長岡市を中心とする地域であります。そういうことで、私も取材に行かせていただきました。

 当時、大きいマスコミ、例えばNHKなどは中越だけで千人を動員して取材に当たった。各避難所、大きな避難所とかあるいは市町村が設ける災害対策本部、そういったところには全て張りつきで人が一人一人いて、その情報を単純に上げていくというような取材方法であります。そして、大きい組織でありますから、ロジ担みたいなところがあって、補給部隊があってそういうところに物資を落としていくんですね、張りついている記者のところに。そういう体制で当たったメディアもありました。

 私などは非常に弱小、中小の会社でありましたから、一人で行け、こういう話であったんですが、私は上司に泣きついて、ぜひカメラマンを一人つけてくれ、二人いないと自分が被災したときに対応がとれないので二人一組で行かせてほしいということで、二人で、恐らく、初動のときはわずか三日間程度の取材だったんですが、四百キロぐらい走行して、被災地全域を駆けめぐって取材をしました。

 いろいろな示唆が得られたというふうに思うんですが、一点は、やはり避難所を、何かと我々は効率を考えて大きい避難所というのをつくりたがるんですね。何とか町の総合体育館みたいなところに数百人とか何千人とかいう人を入れて、そこで避難をしていただく。これは非常に行政の立場から見ればやりやすい、効率的だ、こういう話になるんですが、実際に被災者の、中にいらっしゃる方々の態度とか振る舞いとかを見ていると、やはりこういうものには問題があるんだなというのを私はそのとき感じざるを得なかったんです。

 どういったことかといいますと、中小の、数十人とかあるいはせいぜい百人以下ぐらいの、しかも地域のコミュニティーがそのまま残っている避難所ですと、そこが自律的に機能し始めるんですね。リーダーがいて、あるいは役割分担ができて、料理の得意な人は料理をつくる、力仕事のできる人は力仕事をするということで、非常に自律的に動き出して復旧が進んでいく感があるんです。しかし、大きいところでは本当に被災者の方々は途方に暮れて、ただ上からの指示を待っているとか、補給が来るのを待っているとかということになりがちだなというのを、人間というのはやはり計算だけでははかれないものだなということを大変感じた次第です。

 また、行政の方もやはりふだんの感覚でいくと間違うんですね。東日本大震災のときもあったんですけれども、例えば物資が全部の避難所に行き渡る分がたまるまで出さない、こういうことが起こるんです。例えば何とか県の県庁の隣に防災の大きな倉庫がありますと、そこに物資を蓄積し始めるんですね。県内の全市町村に行き渡る分がたまるまで出せない、なぜなら不平等だからだ、不公平だからだ、こういう話になる。市町村もそこでためて、全部の避難所、何百カ所に少なくとも一つずつ行き渡るまでは一個も出しませんみたいなことを言い始めるんです。こういったことが実際には復興復旧のおくれにつながってくるというようなこともあろうかと思います。

 特に、例えば物資などは刻々必要なものが変わってまいります。私が新潟に入ったときは、もう三日目には既に、パンは要らない、こんなものばかり食えるかという話になっていて、それは外の人間から見るとわがままを言っているかのように聞こえる場合もあるんですけれども、実際に現地の高齢者の方々なんかだと、そんなパンなんかではもう喉を通らないから食べない方がいいぐらいの状況になっていたりということもある、こういったことだと思うんですね。そういったことに十分御配慮いただきたいということを申し上げたいと思います。

 それから、救助の方は大臣は直接御担当ではないと思うんですけれども、今後、地域の復興等を考えていかなきゃならないときに、地方創生大臣としてやはりそこに十分思いをいたさなければならないということかと思います。

 特に、二〇〇四年の中越地震では、大きな問題があったところで山古志村という村がありました。ここは全村避難になったはずであります。私が現地に行ったときも、当時、一時帰村のときだったんですけれども、危なくなったというので急遽一時帰村をやめて戻ってきたというようなこともございました。震災後十年で人口は半減しております。

 中越地震は、恐らく死者の数は七十人弱だったと思います。その後ふえたりということはあるかもしれませんが、そんなに莫大な、数千人というような死者が出たところではない。しかし、実際にその震災をきっかけに地域が崩壊をしていくということがあるということであります。

 そこも踏まえて、大臣から一言、今回ありました地震で多くの地域が被害をこうむっており、その結果として地域の衰退につながるというおそれがあるということも踏まえて、地方創生の立場からいかに復興のために力を尽くしていくかということについての御決意、御覚悟を伺いたいと思います。

石破国務大臣 山古志村のお話は、当時の村長でありました長島代議士から私もつぶさに承っておるところであります。

 また、これまた例が違って恐縮ですが、奥尻島もですよね。奥尻島は、いろいろなハードは整備をしました。港も直しました。いろいろな住宅も建てました。ですけれども、人口は物すごく減っているわけでございます。

 ですので、被災されたところをいかにして復旧ではなく復興するかというときに、政府として地元とよくお話をしながらいろいろな対策は講じてきたわけでございますが、立派にハードは直ったんだけれども人はいなくなっちゃいましたということにならないために何ができるか、これは時間との勝負もございます。ですから、それがまさしく復興になるように、いろいろな教訓を糧としながらやっていかねばなりません。

 三・一一のときには御党が政権党でいらっしゃいましたので、いろいろな知見もお持ちだと思っております。私も政調会長でございましたが、実際に政権を持っておったわけではございませんので、知見の足らざる部分があるのかもしれません。また御教示をいただきながら、被災者の方々の思いにきちんと応える形で対応してまいりたいと考えております。

宮崎(岳)委員 東日本大震災のときは、私どもは政権与党であったわけであります。いろいろ御批判もあるところかと思いますが、政府の者を初めあらゆる人間が本当に不眠不休で復旧復興に当たったということは言えると思うんですが、一方で、今から考えれば、私も、これでよかったのかなというように思うところもございます。

 例えば高台移転の話なども、そういったことはもちろんすべきことでありますけれども、そのやり方が、例えば地域のコミュニティーをきちんと維持する方向で働いていたのかどうか。仮設住宅に人に入っていただくというのは避難所から仮設住宅に移るときでありますけれども、当然、例えば高齢者の方、お子さんのいる方や、そういうことを優先で、こういうのはもちろんなんですけれども、それが逆にコミュニティーをばらばらにするということにもつながっていく。そうすると、人間関係が寸断されてしまってコミュニティーの再生が難しくなる、あるいは被災者の方々が孤立してしまう、こういうことを招いたのではないか。いろいろな反省もあるわけであります。

 今回、益城町で震度七ということでありました。私、中越に行ったときに川口町というところにも行ったんですけれども、実はそのとき、既に発災から数日たっていたんですが、震度七が川口であったということ自体が知られていなかったんですね。まだ判明をしていなかった、するのに数日、五日ぐらいだと思いますけれどもかかったんですね。ですから、逆にその川口町に関する報道というのはほとんどなされずに、報道がなされないと今度は救助、救援の手もほかの地域に比べてそれほど重点的にはなされない、こういうことになりまして、いろいろなそういう課題がありました。

 今回も含めて、非常にそういう意味では、以前に比べて対応も迅速化していると思います。過去の知見も生かされて今回も対応されていると思いますので、十分な対応をしていただけるように重ねてお願いしたいと思います。

 さて、用意していた質問に入りたいと思います。

 一点は、林業についてであります。先ほどの件で時間をとりましたので、多少内容をはしょりながら行かせていただきます。

 地方の産業は何かということを考えたときに、まち・ひと・しごとと一言で言いますが、私は、この中で政府が何をすべきかということは仕事だと思うんですね。人が地方にいればいい、町がにぎやかならいいというふうには思うんですが、その根本に仕事がそこにあるということでないと、それは一過性のもので終わってしまう。ただ一時的にそこに人が来るということはあっても、それは一時的なもので終わってしまうんじゃないかというふうに思います。

 地方に行くと私もたまにびっくりすることがあるんですけれども、地方の小さな村に行って電話帳をめくりますと、床屋さんとか美容院さんより土木建設業者の方が全然多いんですね。民需もほとんどありませんから、ほぼいわゆる公共事業的なものに頼り切っている。砂防であったり何であったり、もちろん地域にとっては必要なことなんですけれども、仕事が公共に関するもの以外に何もない。農業は別としてですけれども、そういう状況であります。

 そうすると、もちろん予算がついているうちはいいんですけれども、財政健全化等を目指して公共事業を削減するとかということになると地域が直撃される、こういうことになってしまいます。どうしても、やはり自立的に地域に産業がある、仕事があるということが地方活性化の大前提なんじゃないかというふうに思うわけであります。

 その中で、やはり林業というものは中山間地においては中心的な産業の一つであろうというふうに思います。農業というのは、実は、本当の山間地に行ってみますと、できないところというのが結構あるんですね。

 私、選挙区内にみなかみ町というところがありまして、これは三つの町村が合併して今のみなかみ町になったんですが、旧水上町というところがあります。旧水上町というところは基本的にはお米がつくれなかったところなんです、昔から。ところが、本当に一番奥の集落、藤原という地区ですけれども、ここはお米がつくれたんだと。今の我々の感覚からいうと、すごく不便なところなんです。正直なところ、選挙のときに、街宣車をそこに入れるか入れないかで議論になるような場所なんですね。なぜなら、二十分とか人がいないところを通らないと着けない、いろいろな考えがそこで発生するような場所なんです。ところが、非常に古い集落なんです。なぜなら、そこは米がつくれたからなんですね。だから、産業があるところに人がいるというのがやはり自然の摂理なのかなというふうに思うんです。

 そういったときに、結局、日本の地方の衰退の一つの原因は、やはり林業というものが廃れたからだろうというふうに思っております。これを何とか、昔のような規模でやるのは無理にしても、持続可能な産業として確立していくということが地方の衰退に歯どめをかけるというときの最大の武器になろうかと思うんです。

 まず、杉ですね。戦後、大量植林しまして、その後、木材価格が低落して、ある意味放置されているようなところもたくさんあるんですけれども、杉林について、国内の杉林の人工林の面積、そのうち主伐されている面積。そして、これは林業でありますから、一定のサイクルをもって更新していくわけですね。植樹をして間伐をして最後に主伐をする、そこに植林をしてそれをぐるぐる回していくというのが林業なわけですけれども、現在のぺースにおいて杉林の更新の期間というのはどのようなことで見積もられているか。この点についてお答えを願いたいと思います。

伊東副大臣 宮崎委員の御質問にお答えをいたします。

 国内における杉林は約四百四十八万ヘクタールございまして、このうち年間に伐採される杉林は約一・七万ヘクタールであります。したがいまして、このペースが変わらないとするならば、単純に割り返しで計算しますと、二百五十年を超える期間を要する、このように思うところであります。

宮崎(岳)委員 もう一つ伺いたいと思います。

 今、花粉症の対策で無花粉の杉を植えているということで聞いておりますが、この植林の面積は年間どれぐらいになりましょうか。

伊東副大臣 お答えいたします。

 花粉症対策苗木の植林面積につきましては、全体に占める花粉症対策苗木の割合が現在一三%ほどであります。年間千ヘクタール程度で植林をされているところでありまして、平成二十九年度までに杉苗木の過半となる一千万本にすることを目標に、今後とも生産増大を進めてまいりたいと考えております。

 ちなみに、現在、平成二十六年度では二百五十八万本でありました。これを二十九年度に一千万本を目標にしたいということでございます。

宮崎(岳)委員 結局、これが現実だということですね。日本全国に四百四十八万ヘクタール、杉があります。そして、杉はおおよそ六十年ぐらいたてば最終的に主伐を本来すべきだと思うんですね。三十年ぐらいたつと花粉を出し始めるんでしょうか。大量の花粉が今あって、昨年の参議院だったと思いますけれども、安倍総理も大変な花粉症に悩まされていて、こういうものの撲滅に取り組みたいみたいな決意もされていたと思います。

 花粉症の大きな原因は、やはり杉花粉が大量に存在しているということだというふうに思うんです。

 現実には、四百四十八万ヘクタールあるのに年間に一・七万ヘクタールしか切っていない。そうすると、本来六十年で更新してサイクルを回していくべきものが二百五十年かかっても切り切らない、こういう話になって、かつ、無花粉の杉を今植えていますということになっておりますけれども、これが今、千ヘクタール、〇・一万ヘクタールですね、万ヘクタールで直すと。そうすると、全体の五千分の一ですか、今の杉林の更新される量が。そうすると、無花粉の杉を幾ら植えても、実際に花粉の量が減るというボリュームには到底ならない。先ほど、二百五十八万本あるものを過半までふやすということですが、一・七万ヘクタールの過半で、ちょっと多目に見積もって一万ヘクタール、それが植えられたとしても、五百年近く全部置きかわるまでにかかる、こういう話になっております。

 ですから、やはりもうサイクルとして破綻をしているんですね。一般会計に国有林なんかも移されて、これを何とかしなければならないという意識は共有されているんですが、なかなか手がついていないということだと思います。

 今は杉の話でしたが、全体の話、国内の森林の蓄積量と国産材の生産量。これは面積でも構いませんけれども、なるべくわかりやすく、杉以外の部分も含めて全ての人工林が更新されてサイクルが回るという期間はどれぐらいだと見積もっておられるか、教えていただけますか。

伊東副大臣 これも杉とほぼ同様でございまして、国内の人工林の総蓄積量は約三十億立方メートルございます。面積にしますと一千万ヘクタール。一方、年間の人工林伐採量は三千五百万立方メートル、面積で約三・八万ヘクタールでございます。

 先ほどと同様にこれを単純計算いたしますと、更新するのに二百五十年を超える期間がかかるということでございます。

宮崎(岳)委員 今、木材自給率は三割です。これを五割にしようということで、森林・林業再生プラン、民主党政権のときだったと思いますけれども策定していて、そういったものを自民党政権においても同じ方向性でやっているはずでありますが、現実には、現在三割である木材自給率が仮に五割にふえたとしたところで、到底、伐採すべき量を伐採できるという形にはならない。森林を保全していくということはできない。できないというか、本来定期的に間伐をし主伐をしサイクルを回していかなければならないものを、通常どおり回していくことはできないということであります。五割になったとしても、百数十年、二百年近い期間が必要だ。

 そうしますと、現在ふえ過ぎてしまった杉林を中心とする人工林、林業のための林というもの、これをだんだん天然林に近づけていく部分が必要だというふうに思います。もちろん、全てのところを戻すというわけではありません。林業としてこのまま維持していく部分、そうではなくて天然林に近い形にして戻していく部分、こういったものを分けていって、例えば天然林に近い形に戻って広葉樹がふえれば紅葉等を楽しむということになり、それが観光振興なんかにつながる、こういうこともできるはずでありますので、森林全体のあり方をどうしていくかということを考えなければならないと思うんですね。これについて、どのような考えでこれから取り組んでいかれるのかということをお願い申し上げます。

伊東副大臣 お答えいたします。

 森林は、林産物の供給に加えまして、国土の保全、水源の涵養、地球温暖化の防止など多面的な機能を有しておりまして、森林の適切な整備、保全により、将来にわたりこれらの機能を十分に発揮させていく必要があります。

 このため、人工林におきましては、適時適切な間伐等の必要な施業を行うことに加え、自然条件に応じて、お話にありましたように、針葉樹と広葉樹が混じり合った針広混交林や広葉樹林への誘導など、多様な森林づくりを進めていくことといたしております。

 このような考え方を踏まえ、森林・林業基本計画におきまして、杉、ヒノキ等を中心とする単一的な人工林の三分の一程度は将来的に針広混交林や広葉樹林等に誘導していくことといたしているところであります。

 今後とも、広葉樹への誘導などを支援していきたいと考えております。

宮崎(岳)委員 現在一千万ヘクタールぐらいある単層人工林というんですか、私も専門家ではありませんのでよく言葉はわかりませんが、いわゆる杉林とかヒノキ林とか、そういう林業用の林でありますけれども、これを、三分の一を人工ではあるけれども天然に近い形に戻して、三分の二ぐらいに縮小していこうということだと思います。

 ただ、正直なところでいえば、これを百年とか、そういう時間をかけてやっていこうという計画だと思うんですね。だから、構想ということだと思うんです。

 私は、やはりこういう目標があるのであれば、これを例えば三十年でやる。三十年でやるために必要な予算をつけて、将来像を示して、そしてそのために人を入れて三十年かけて取り組む。今新卒で雇っても、そういう方々が五十代ぐらいになるまでの仕事はあるであろうという前提をつくる。こういうことで、ある意味林業というものを中長期的に持続させていくということが必要じゃないかなというふうに思っております。

 そのために、例えば地球温暖化対策税などをやはりそこに使うべきじゃないかというふうに思うんですね。今、森林の吸収源対策ということでは、なかなか森林のために地球温暖化対策税というのは使えないという仕切りになっていると思うんですが、私は、これをやはり森林整備のためにも使っていく、そして何十年かけて日本の森林をこういう姿にしていくんだということを示し、そのために人を張りつけお金を出してやっていくという決意を、方向性を示すべきだというふうに思います。

 伊東副大臣、通告に必ずしもあることではないと思うんですけれども、この点についてお考えをちょっとお聞かせ願えないでしょうか。

伊東副大臣 現在も、山林の所有者、この方たちの所在がわからなかったり、あるいは路網の整備がなかなか追いつかなかったり、さらにはまた林業従事者の確保というものがなかなか大変な部分がございまして、そういった面では相当やはり時間のかかる話なのかな、そんな思いがするところであります。

 また、森林吸収源対策についてのお尋ねでございましたが、昨年末に決定いたしました平成二十八年度与党税制改正大綱におきまして、安定財源確保に向けた道筋をつけていただいたところでございます。これによりますと、地球温暖化対策税につきまして、木質バイオマスエネルギーの利用の普及などへの活用の充実を図る、あるいは森林環境税、仮称でございますけれども、これにつきましては市町村による森林整備等の財源に充てる税制等の新たな仕組みを検討する、これらが明記されたところであります。

 昨年末のCOP21で採択されました二〇二〇年以降の国際的な温暖化対策の枠組みとなるパリ協定におきまして、森林等の吸収源の保全、強化に取り組むべき、こうなっているところでありますので、これから具体的な取り組みあるいは検討を進めてまいりたいと思うところでございます。

宮崎(岳)委員 木質バイオマス等については、エネルギー産業だということで地球温暖化対策税の税収が投入できるということになっておりますが、直接森林整備等に投入することは現在できないというふうに聞いております。

 私は、やはり直接森林整備に投入するということも、これは制度の趣旨に合致したものであるというふうに思いますので、恐らく農水省、林野庁はそうしてほしいということですが、相手のあることでなかなか実現はしていないと思うんですが、ぜひ実現をしていただきたいというふうに、これはお願いとして申し上げます。

 さて、少々細かい話に入ります。

 今、昔の営林署、今の森林管理署というところが伐採等を業者さんに発注するということがあると思います。その際、私が現場の方から聞くと、全省庁統一資格というのを持つ業者を対象に入札を行うということを全てやっている、しかし、そのために現地のことをよく知らないような業者さんが受注をすることもある、そして値段のたたき合いみたいなことも起こってくると。

 一方、自治体が発注をする場合、民有林だったり県有林だったり市町村有林だったりということだと思いますが、そうすると、地元企業への優先発注というのを多くの自治体が導入しているということであります。

 私は、もちろん予算削減とか効率化のために入札をして透明性の高い発注をするということは必要だと思いますが、一方で、例えばそれぞれの森林管理署みたいなところが地元発注、管内の業者さんに発注をして伐採させるということも有効じゃないかというふうに思うんですね。なぜかというと、やはり山は地形がございますので、初めて入る人とその山に百回入ったことがある人では効率も全然違うということだと思います。

 そして、予算は単年度主義でありますけれども、単年度ということじゃなくて、例えば五年間とか、その山のことをその業者さんに任せてしまう、なれた人が山に愛着を持ってその山を管理するということをやった方が、山のためにもなり、中長期的には予算の効率化にもつながるんじゃないかというようなことを思っております。

 こういう取り組みの考え方についてはいかがでしょうか。

伊東副大臣 お答えいたします。

 国有林における造林、間伐等の事業発注につきましては、今おっしゃられたように、会計法に基づきまして、競争性、透明性を確保する観点から、一般競争入札により実施をいたしているところであります。

 しかし、宮崎委員がおっしゃられたこと、私も地元あるいは関係者からしばしばお聞きする話でございます。複数年契約につきましても、今、事業体の工夫が生かせるように、三カ年の複数年契約という取り組みを進めているところであります。これをやはりたくさんふやしていく、原則これぐらいにするようでなければだめかな、私自身はそのような感覚を持っているところであります。

 現在、事業発注の数字を見ますと、二十六年度の数字では、契約金額比率で九四%を地元の事業体が受注しているということで聞いているところであります。

 今後とも、これらの取り組みを推進し、地域振興、山村振興に努めてまいりたいと考えております。

宮崎(岳)委員 大変頼もしい御答弁をいただいたというふうに思っております。

 ぜひ地元の業者に、各森林管理署というのはほとんどが地方にある、仕事が少ないところにあると思うんですね。そんなに大都会にある森林管理署というのもないと思いますし、おのおの管轄があります。その地域にそれぞれが発注していただくことで、これは地域内で競争していただければいいということだと思いますので、ぜひ、副大臣も地元が北海道でそういった林業、農業が盛んなところだと思いますので、お取り組みをお願いしたいと思います。

 もう一点、害獣駆除なんです。

 私は、何年か現場を離れていた、六年ぐらい離れていたという人が久々に害獣の対策の部署に戻りましたら、わずか数年の間で状況が一変していた、被害がウナギ登りに上がって追いつかないぐらいで大変だということで、先日、現場で働いている方にもお話を伺ったわけであります。

 この害獣駆除についても、全省庁統一資格というものがないと入札に参加できない、そして全国の業者さんを、もちろんブロックとかがあるのかもしれませんが、基本的には全国統一の資格の中で入札を行っている、そのためにやはり非効率な部分があったり、値段のたたき合いがあったりということだと思います。

 害獣駆除というようなものはなかなか産業として成立するようなものではありませんので、基本的には、多くの場合、例えば自治体などは猟友会にお願いをしているわけです。猟友会の高齢化の問題なんかもありますけれども、主に猟友会さんにお願いをしてやってもらうということがスタンダードだとは思うんですが、猟友会さんというのは全省庁統一資格は持っていないということだと思います。まあ、そもそもが業者ではありませんから。

 そうしますと、例えばある建設業者みたいなところが受けて、それを再度猟友会さんにお願いしたり、いろいろな工夫をされていることだと思うんですが、害獣駆除というのは国も国有林に関してはやっておりますし、一方で地方自治体もそれぞれ外注をしているところだと思います。そうすると、別に山林には境界線があってそこに柵があるわけではありませんので、動物は、民有林も国有林もあるいは自治体の保有する森林も、間を自由に行き来するというようなことであると思います。

 私は、こういう害獣駆除みたいなものに関しては都道府県とか自治体さんにある意味お任せをしてしまう、そしてその予算は応分の負担を国がするとか、そういった形でやった方が、相乗りをして一体的にやった方がいいんじゃないかというふうに思うんですが、これについてはいかがお考えでしょうか。

伊東副大臣 害獣駆除、私の地元北海道でもエゾシカがたくさんふえておりまして、大変に苦労しているところでございます。

 現在、森林管理署が実施しております国有林野事業の鹿捕獲事業と自治体が実施する害獣駆除につきましては、相互に連携して実施されることが望ましいわけでありますが、事業の発注を一体的に行うことについては難しい面があると承知しております。

 このため、効果的に事業を実施するということが大事でございまして、地方公共団体等で構成される協議会に森林管理署も参画する、また、生息分布情報の共有とそれに基づく捕獲の実施など、地元猟友会とも連携いたしながら捕獲を現在実施しているところであります。

 今後とも、地方公共団体あるいは地元猟友会と連携しながら、効率的、効果的な鹿被害対策を進め、森林整備を通じた地域振興に貢献をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

宮崎(岳)委員 難しい点も多いという御答弁だったと思うんですが、考え方としては共有できているというふうに思います。

 制度的な面は工夫のしようがあると思いますので、これは自治体と一体となって猟友会さん等になるべくお願いをするという方向でやっていただきたいというふうに思いますし、そうでないと猟友会さんの方が今度は、なくなってしまいますともうそういうことをやる人もいなくなってしまいますので、ぜひお願いを申し上げます。

 きょうは、経済産業省から星野政務官にもおいでをいただいております。少々災害の関係がありまして、質問については大分短くなってしまいますけれども、一言質問させていただきたいというふうに思います。

 自然エネルギーの問題についてちょっと質問させていただきます。

 今、地域で例えばバイオマス発電をやりたい、中小水力発電をやりたいという方々がいらっしゃいます。そういう方々は、まさにお金もうけのためにやろうというよりは地域を活性化したい、そういうために手弁当でも、赤字にならなければ収支とんとんでいいので、ぜひ地元の山林の切り捨て伐採の林地残材なんかを使ってバイオマスができて、地元の温泉センターのお湯を沸かして、その電気を売電するということで少しでも仕事ができればという、ある意味ボランティア的な考えの中で地域活性化に取り組みたいということで行っている。

 しかし、今、電力の系統の容量が不足してしまった。特にメガソーラーが全国各地にできて、それに圧迫をされている。私も太陽光発電を悪いとは思いませんけれども、少なくともメガソーラー発電というものは必ずしも地域の活性化につながるものではない。それは大体、大手の国際的な動きをしているぐらいの業者がまさにメガソーラーを大規模に開発して利潤を得る。温暖化対策という点では意味があると思いますが、それによって地域に雇用が生まれるというわけでも必ずしもない。そういうことで考えれば、どちらかといえばバイオマスや中小水力発電という、地域の方々が取り組めるエネルギーを地方創生の観点からはふやしてもらいたいというふうに思うわけであります。

 しかし、電力会社の系統電力の容量がいっぱいになってしまって接続ができないというような事情がいろいろあります。そして、個別の事業者が工事費等を負担してくれればやりますよというふうになっているんですが、なかなか資力のない中小の業者さんでは難しいという実態があります。

 こういうことを踏まえて、中小の水力発電やバイオマスについては費用負担というものを廃止していただくようなことはできないだろうか、あるいは何かほかの公的に負担するような枠組みができないだろうかという問題意識を持っております。星野政務官にお答えをお願いしたいと思います。

星野大臣政務官 宮崎委員の質問にお答えをさせていただきたいと思います。

 電気事業法では、接続を行うために必要な費用を発電事業者が負担しない場合などの正当な理由がなければ、一般送配電事業者は接続を拒んではならないと定められております。要するに、ちゃんとやってもらえれば接続をしなければいけないということでありますが、固定価格買い取り制度、いわゆるFIT制度における買い取り価格につきましては、発電が効率的に実施された場合に通常要する費用を基礎に算定しております。この中には系統に接続するために必要な費用も含まれておりまして、発電事業者の経済合理的な設備形成を促す制度となっております。

 加えて、系統整備に関する資金調達の円滑化のために、平成二十八年度予算におきましては、太陽光発電よりもバイオマス発電そして中小水力発電を有利な条件で補助する利子補給制度を新たに盛り込むなどの措置を講じておりまして、こうした取り組みを通じまして、引き続き小規模なバイオマスや中小水力発電の導入をしっかりと国としても支援してまいりたい、このように考えております。

 ただし、発電事業者による負担、これは特定負担と申しておりますが、この割合を減らして電力の需要家全体による負担の割合をふやすことは、国民負担の増加につながります。そして、送電設備費用の高い場所に発電設備が設置され、結果として社会的なコストが増大をする可能性があることから、総合的に考えて適切ではない。あくまでも需要家、消費者の皆さんのコストを抑える、この範囲内の中で事業者は適切に判断をして、どこに設置するのかということを判断していただきたいということでございます。

宮崎(岳)委員 時間となりましたが、最後に一言だけ質問させていただきたいというふうに思います。

 今のお答えは、なかなか難しいということだと思うんです。ただ、一般論として考えれば、巨大なメガソーラーも地元の地場の方がやっている中小のものも同じ考え方で負担を求める、そして地域によって差が出てくる、こういったことはやはり必ずしも好ましくないのではないかということで、解決をお願いしたいということも申しますし、あとは、地方創生の観点から、このようなバイオマス、中小水力その他の自然エネルギーの発電についてどのような考えで取り組んでいくか、あるいは地方創生推進交付金等で対応できないのかというようなことも含めて、できれば石破大臣にお答えをいただきたいんですが、牧島政務官が御用意されていますか。では、牧島政務官、お願いします。

牧島大臣政務官 再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度など、制度設計については今経産省星野政務官から御説明があったとおりでございまして、エネルギー政策の枠内の問題ですと地方創生推進交付金の支援対象とは想定しにくいかと思います。

 ただ、各省の補助金だけでは解決できないような、政策間の連携等を伴った先駆的な取り組みを御支援申し上げたいという精神は引き続き持ってまいりたいと思います。

宮崎(岳)委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず冒頭、昨夜、熊本県を震源とする強い地震がありました。既に九人の方の死亡が確認をされております。心から哀悼の意を表するとともに、御遺族に心からのお悔やみを申し上げます。また、負傷者は七百七十八名、三万三千人が避難されているという状況であります。政府には被害者の救出や救援に全力を挙げることを求めるとともに、被害に遭われた皆様方に心からお見舞いを申し上げます。

 こういう災害を前にいたしますと、改めて防災、とりわけ幼稚園や保育所の耐震化を一刻を争って進めることの重要性を痛感させられます。

 私は去る三月十七日、当委員会で、私の地元阪南市の地域再生計画を取り上げました。

 阪南市では、市内七つの公立幼稚園、保育所のうち一つを除いて耐震化がなされておらず、公立保育所の耐震化の補助については原則として一般財源化され、なくなっているということが公立保育所の耐震化の障害になっております。

 まず、事実関係を確認したい。

 厚生労働省、公立保育所の施設整備補助金を原則として一般財源化して、なくしてしまったのはいつのことでありましたか。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 公立保育園の施設整備費につきましては、地方六団体の提案による三位一体改革の結果といたしまして、平成十八年度に一般財源化されておりまして、それ以降、地方財政措置が講じられており、その整備に当たりましては、各自治体において地域の実情に応じて御対応いただいているところでございます。

宮本(岳)委員 小泉内閣の三位一体改革というものは二〇〇四年度から二〇〇六年にかけて行われました。

 事の発端は、小泉内閣が骨太の方針二〇〇三で、国の補助金を二〇〇六年度までにおおむね四兆円削ること、そのかわり、税源移譲で義務的経費の全額とその他の経費の八割程度を地方に移譲すること、地方交付税の規模を二〇〇六年度までに縮小することを打ち出したことでありました。

 初年度、二〇〇四年度は、小泉首相から補助金一兆円削減の指示が出されました。厚生労働省は公立保育所運営費などの国庫補助負担金を二千四百四十億円削減するわけですけれども、しかし、これはもちろん今後も継続が必要とされる事業でありますから、所得譲与税で二千百九十八億円の財源措置がなされた、こういうことであります。

 これは、総務省、間違いないですね。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、二〇〇四年度、平成十六年度におきまして、公立保育所運営費等の国庫補助負担金二千四百四十億円を一般財源化いたしまして、それに対応して、所得譲与税により二千百九十八億円を税源移譲したところでございます。

宮本(岳)委員 当たり前なんですね。保育所が今後継続の必要がない事業だなどと言えば、その瞬間に三位一体改革は吹き飛んでいたんですよ。そんな話なら、与党も含めて、国会を通るはずがない。国庫補助負担金ではなくすが、その相当額を所得譲与税で地方に渡すという約束でありました。

 国庫補助金、地方交付税、そして税源移譲、この三つを一体に改革するという建前で、小泉政権はこれを三位一体改革と呼んだわけであります。もちろん、与党が三位一体改革と呼んだということと、本当にその三位が一体であったかどうかは別のことであります。

 小泉内閣が三位一体改革なるものを初めて国会に持ち出した二〇〇四年の通常国会、私はまだ大阪選出の参議院議員で、参議院総務委員でありました。当時の総務大臣は麻生さんです。

 三月十一日の参議院予算委員会で議論したことをきのうのことのように覚えております。

 私は質疑で、麻生大臣は、三位一体改革で地方が元気になるとか自主財源が拡充するとか自由度を拡大するとか言うが、実際は、補助金を約一兆円削り、地方交付税を一・二兆円削り、臨時財政対策債を一・七兆円削り、総額で三・九兆円も地方の収入を減らす一方、税源移譲はたったの四千五百億円、削減額のわずか一二%にすぎない、これでは三位一体改革ではなく三位ばらばらの改悪ではないかと追及いたしました。

 当時の麻生大臣の答弁は、補助金という形で出ていた分を、所得税を住民税に切りかえることによって間違いなく自由度がふえる、少なくとも公立保育園の約二千億については、それは明らかに自由度がふえたというものでありました。

 総務省、こういうやりとりがあったのは事実ですね。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年三月十一日の参議院予算委員会におきまして、委員御指摘のような三位一体改革につきましての質疑があったものと承知いたしております。

宮本(岳)委員 では、このとき、税源移譲で地方が自由に使える財源はふえたのかどうかということであります。

 総務省に聞きます。

 二〇〇四年度の地方財政計画で一般財源はどれだけでしたか。それは前年度比でどのようになっておりますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十六年度の地方財政計画におけます一般財源総額は五十六・五兆円でございまして、平成十五年度に比べて二・一兆円の減でございます。

宮本(岳)委員 地方一般財源総額は二兆円も減っているわけですね。何が自主財源を拡充して自由度を拡大するだと言わなければなりません。地方は元気になるどころか、一層、財政的に疲弊したわけであります。

 もう一つ確認しておきたい。

 このとき、二千五百億円の補助金削減を求められた厚生労働省は、当初、生活保護の国庫負担率を引き下げようとし、これに批判が高まると、今度は公立保育所の運営費負担金で二千億円程度削ることにいたしました。

 当時の厚生労働大臣は公明党の坂口力大臣でありました。私が参議院予算委員会で、公立保育所の運営費の負担金を国が責任を持たなくていいとした理由は何か、こう聞きますと、当時の坂口大臣は、いや、それは持たなくていいと思ったわけではありませんと言い、所得譲与税等でこれは負担していただいていると答弁されました。

 厚生労働省、このようなやりとりがあったことも事実ですね。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 当時、議員からの御質問に対しまして、坂口元厚生労働大臣がそのように答弁を申し上げていることは承知をしているところでございます。

宮本(岳)委員 その後、二〇〇六年度には、冒頭聞いたように、運営費負担金だけでなく保育所の施設整備の補助についても一般財源化され、補助金がなくなりました。しかし、それも同じく、最終的には総額三兆円の税源移譲で手当てされたということになっております。私が三月十七日の質疑で、補助金はないとしか語らない厚労省の吉本大臣官房審議官の答弁に激怒したのは、このやりとりがあったからであります。

 三位一体改革による公立保育所補助金の一般財源化というものは、それまで国庫補助負担金として出していたものを税源移譲し、一般財源として渡すことによって自治体の自由度を高めるという建前で行われたものであります。私は、そうはならない、政府は削減分を全額一般財源で渡していないと指摘をして、反対をいたしました。公明党の坂口さんや自民党の麻生さんが、いやいや、そんなことはありません、ちゃんとお渡していますと言って進めたんじゃありませんか。

 あれから十年たって、この議論には決着がつきました。十年たてば、阪南市の市長は、公立保育所の耐震化や老朽化改修の補助金は一切ないと言い、耐震化や改修をしようと思ったら、与党衆議院議員の仲立ちで内閣府に泣きついて国から地域再生戦略交付金をとってくるしかないかのような説明をしております。

 ここで石破大臣に聞きたい。

 三位一体改革の結果は、あなた方の説明とは裏腹に、見事に、十二年前私が指摘したとおりの結果になったのではありませんか。

石破国務大臣 それは、何でも光と影というものがございます。三位一体改革ということは、国の、中央政府の財政事情というのは極めて悪いわけであって、それは相対論の比較でございますが、地方において改革というものを促すという意味合いもあったと記憶をいたしておるところでございます。

 ただ、三位一体改革で、委員が御指摘になったように、その地域の雇用でありますとか、景気でありますとか、あるいは人口構成、出生率等々、そういうものに影響が出るということ、そこには当然相当の因果関係がなければなりませんが、そういうことがないように私どもとしてこれから配意していかねばならない。

 同時に、地方において、この地方創生というのはなべてそういうことなのでございますが、稼ぐ力というふうに申し上げております。その地域においていかにして経済というものを活性化し、国の財政支援というものからの脱却とは申しません、もちろん国として財政支援をしていかねばならないのは当然のことでございますが、その地域地域の経済というものを活性化させるということによって、この国の財政、トータルの財政というものの健全化を図っていかねばならないことだと思っております。

宮本(岳)委員 今でも、ひもつき補助金などといいまして、国庫補助負担金を全て悪く言う議論があります。これは大間違いだと思うんです。補助金には、むしろひもをつけておかなければならない補助金があります。子供たちの安心、安全にかかわるようなもの、あるいは義務教育などには国がきちんと責任を持つのは当たり前のことであります。そういう点で、三位一体改革なるものは、一般財源化をやってはならないものまで一般財源化する結果になりました。

 そして、今では、阪南市のように、議会や市民に説明する前に真っ先に内閣府にはせ参じて交付金をもらうために国にお伺いを立て、そのとおりに制度設計するという、それこそ、地方にとっては何の自由度もない、最悪のひもつき交付金に頼らざるを得なくなってしまっている。愚かにもほどがあると言わなければなりません。

 では、本当に公立幼稚園や公立保育所の耐震化を進める国の支援制度は一切なくなってしまったのかを議論いたしましょう。

 まず最初に、文科省と厚労省に現状を聞きます。直近の全国の公立幼稚園の耐震化率と公立保育所の耐震化率を答えていただけますか、それぞれ。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 公立幼稚園の耐震化率は、平成二十七年四月一日現在で八六・七%となっているところでございます。

吉本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年十月一日現在の公立保育園一万七百六十棟のうち、全体の八〇・八%に当たる八千六百九十二棟が耐震性があるということでございます。

宮本(岳)委員 公立の小中学校が既に九五%を超えております。それに比べて格段におくれているわけですね。しかし、これを進めるのに、あっちでもこっちでも地域再生戦略交付金とか地方創生推進交付金とかいうものをとってこなければ進められないのだったら、日本じゅうえらいことになりますよ。

 三月末、我が党も提案者に加わって、全会派一致で、地震防災対策特別措置法を五年間延長する改正が行われました。この法律は、地震防災対策のための施設整備に係る国庫補助率をかさ上げするものであり、公立幼稚園にも適用されるものであります。

 内閣府に聞きますけれども、この法律に基づいて市町村が公立幼稚園の耐震改修を行った場合、どれだけの補助が出て、残った市町村負担分についてどのような地方債の起債と元利償還についての交付税措置がありますか。

米津政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の地震防災対策特別措置法に基づきまして、公立幼稚園に係る国庫補助率につきましては、地震による倒壊の危険性が高いものの改築の場合は二分の一、補強の場合は三分の二とされております。残りの地方負担分のうち九〇%が起債対象とされておりまして、その元利償還金の六六・七%が交付税措置されることとなっております。

宮本(岳)委員 耐震補強ならば市町村負担は三分の一で、その三分の二が交付税で返ってくるのですから、実質負担率は一三・三%の計算になります。

 今、阪南市では、あたかも一極集中のこども館が唯一の耐震化の方策であるかのように言い、反対する者は地震が来て子供が死んでもいいのかとまで言う人がいるようでありますけれども、とんでもない話です。こども館計画は、完成が二〇一八年度であり、この二年間に万一大地震が来たら間に合いません。昨夜の熊本地震を見ても、そんな悠長なことは言っておられません。この延長された地震防災対策特別措置法を使って直ちに耐震化を強力に推進すべきだと私どもは思います。

 しかし、公立保育所にはこの制度は使えません。これは、先ほど議論したように、保育所の施設整備の補助金が一般財源化されてしまっているからであります。

 では、何もないか。そんなことはありません。

 本日配付した資料一をごらんいただきたい。この資料は、厚生労働省雇用均等・児童家庭局がことし二月二十三日に開催した全国児童福祉主管課長会議で配付した保育課関係の説明資料の三百六十二ページ、該当箇所であります。

 厚生労働省、ここには公立保育所の施設整備について、耐震化の推進についてどう書かれてありますか。

吉本政府参考人 ただいまお話のございました全国児童福祉主管課長会議においてお示ししました資料の中身でございますけれども、公立保育園の施設整備につきましては、先ほど申し上げましたように一般財源化をしていることを前提といたしまして、総務省の緊急防災・減災事業費の対象に災害時要援護者対策のための社会福祉施設の耐震化が盛り込まれておりまして、公立保育園の耐震化工事も対象となっていること、また、緊急防災・減災事業債を事業費の一〇〇%に充当可能といたしまして、元利償還金についてその七〇%を基準財政需要額に算入することとしていること、この措置は平成二十八年度まで、これらを御説明し、保育園の耐震化に向けた早期の取り組みをお願い申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 当然、公立保育所も耐震化を急ぐように厚生労働省は要請をしております。総務省の緊急防災・減災事業費の対象に災害時要援護者対策のための社会福祉施設の耐震化が盛り込まれていることを紹介し、活用を呼びかけているわけであります。

 配付資料二を見ていただきたい。まさにこれが緊急防災・減災事業費についてという総務省のペーパーであります。

 下の二、財政措置、ここでは、地方債の充当率が一〇〇%であること、そして、その元利償還金についてその七割を基準財政需要額に算入すると書かれてあります。これを使えば一〇〇%地方債、借金でやることができ、直ちに耐震補強工事がやれます。七割は国が交付税措置してくれることになります。

 総務省に聞きますけれども、この事業に今年度予算では一体幾らの予算が計上されておりますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度地方債計画におきまして、緊急防災・減災事業に五千億円計上しているところでございます。

宮本(岳)委員 五千億円という予算が積み上げられているわけですね。これを大いに活用すれば、こども館がオープンする二〇一八年度まで待つことなく、直ちに公立保育所の耐震化は進められるわけであります。

 二十八年度限りの事業なので急いでくれと言っているわけですから、それこそ一気にことしの予算で進めていただきたいと思うんですが、仮に二十八年度までに間に合わなかった場合、つまり、二十九年度以降どうするのかということが問題になります。

 総務省に重ねて聞きますけれども、この事業の事業年度、二〇一四年度から今年度までのその後、来年度以降は一体どのようになりますか。

内藤政府参考人 お尋ねの平成二十九年度以降の取り扱いにつきましてでございますけれども、事業の実施状況等を踏まえつつ、地方団体の御意見をお聞きしながら、今後しっかり検討してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 二十九年度以降の取り扱いについては事業の実施状況等を踏まえて検討ということは、もちろんこれはもう今年度中に、先ほど小中学校はほぼ九五%を超えるところまで来ていると言いましたから、少なくともその水準まで行こうじゃないかと。万々々が一そうでなかった場合、これはもうしようがない、取りやめるということじゃなくて、地方の意見も聞きながら検討するというふうに理解してよろしいですね。

内藤政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、地方公共団体の御意見をよくお伺いして、しっかり検討してまいります。

宮本(岳)委員 事は子供たちの命にかかわる重大な問題です。必ず一〇〇%に達するまで事業を継続していただきたい、この機会に心から求めておきたいと思います。

 私は、そもそも、三位一体改革なるものは到底改革の名に値しない、地方財政の改悪であったと思います。一九九五年以来の地方分権推進委員会での議論を経て、二〇〇〇年には地方分権一括法が成立いたしました。機関委任事務が廃止され、仕事と括弧つきの権限が地方に移されましたが、それに見合った財源が地方に渡されず、財政面における分権が課題として残されたわけであります。

 地方から税源の移譲と自主財源の拡充を求める声が上がった。しかし、それを逆手にとって小泉政権が打ち出したのがこの三位一体改革なるものでありました。それは地方にとって自主財源の拡充にはならず、国庫補助負担金と地方交付税がばっさり減らされ、それに見合った税源移譲はなされなかった。だから我が党は反対したわけであります。

 今国会にも地方分権一括法案が提出されております。ここでもまた問われているのは、これまでの自民党政治の総括と反省があるのかということではないかと思うんですね。

 石破大臣、三位一体改革の結果は、地方の自主財源の拡充どころか、一層地方を財政難に追いやる結果になった、そのことぐらいはお認めになりますか。

石破国務大臣 それは私の選挙区もそうです。地方は極めて財政難であります。しかし一方、国も恐ろしい財政難であるということも我々は認識をしていかねばならないのであって、先ほど日本全体で考えてどうでしょうかということを申し上げたのは、そういう意味でございます。

 ですから、地方財政につきましては、所管ではございませんが、よく総務省とお話をしながら、特に、地方交付税のあり方というものをいかにしていくかということは極めて重要な課題であると認識をいたしております。

 あわせまして、今私どもは地方創生で取り組んでおります。先ほど申し上げました、それぞれの地域が補助金に頼ることなくやっていけるような、それを目指していくというのも重要なことだと思っております。

 国の財政支援の重要性は、よく認識はいたしております。

宮本(岳)委員 今の御答弁をお伺いして、また参議院議員時代のことを思い出したわけであります。

 かつて、臨時財政対策債というものに交付税を振りかえるという議論を総務委員会でやったことがあります。総務大臣は片山虎之助総務大臣でありました。本来、交付税特会に国が借り入れて渡すべきものを何で地方の借金に押しつけるんだというやりとりをしましたら、そのとき片山総務大臣の答弁は、国だってやっていけないんですよ、地方がやっていけないじゃないかと言われれば、国もやっていけないんだ、こういう言い方ですね。私は、そういう言い方で地方をどんどんどんどん財政的な困窮に追い込んできた、その責任はやはり認めなければならぬと思うんですね。

 今、地方創生ということを議論するわけですけれども、やはりまずイの一番にしなければならないのは、地方が本当に自主的にさまざまなことを創意あふれてやれるだけの財政の拡充をやるべきであって、そこをないがしろにしたまま幾ら絵を描いてみたって、それは地方はやりようがない。先ほど来、阪南市が例に出ていますけれども、そういう事態になってしまうわけであって、しっかり地方財政基盤の拡充こそ求められているんじゃないですか、大臣。

石破国務大臣 総論としてはそのとおりでございます。

 ただ、私どもとして、もっといろいろな考え方ができないだろうかと。例えばふるさと納税、これもいろいろな御議論があることはよく承知をいたしておりますが、今度、企業版ふるさと納税というのがスタートするわけでございます。どのような形でそれぞれの地域が創意工夫に基づいていろいろな財政的な基盤というものをつくっていくか、それは税の世界においていろいろな工夫をさせていただいておるところでございます。

 申し上げましたように、地方の財政が困窮をし、かえって地方の活力をそぐというようなことがないように考えていかねばなりません。そうすると何のために改革をしたのだという話になりますから、そこは、状況がどのようにして推移をしていったかということは虚心坦懐によく見ていかねばならないと考えております。

宮本(岳)委員 あなた方の地方分権や地方創生が結局かけ声倒れに終わる最大の要因は、私が一貫して指摘してきたように、これまでの自民党政治に対する総括も反省もないというところにあります。過去のみずからの政策の失敗から目をそらすことなく直視することを求めて、私の質問を終わります。

山本委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 おおさか維新の会の椎木保です。

 質問に入る前に、昨夜、熊本県益城町で震度七の揺れを観測した地震でお亡くなりになられました方々へのお悔やみと御親族へのお見舞い、負傷された方々へのお見舞いとあわせまして、心より本当にお見舞いを重ねて申し上げたいと思います。

 それでは、質問に入ります。

 政府は、地方への多様な支援と切れ目のない施策の展開という視点から、人的支援として、昨年度より、自治体の地方創生への取り組みを支援するために、人口五万人に満たない小規模な市町村に対し、当該地域に応じた処方箋づくりを支援する目的で中央省庁の官僚や大手企業の社員を派遣するという地方創生人材支援制度を創設しました。また、市町村等の要望に応じ、当該地域に愛着、関心を持った意欲ある省庁の職員を相談窓口として選任する地方創生コンシェルジュ制度もスタートさせました。

 まだ始まって間もない制度ですので、具体的な成果が直ちにあらわれるということはないかもしれませんが、地方創生人材支援制度については、受け入れ自治体の反応や派遣された方々の感想等、地方創生コンシェルジュ制度については、相談件数や相談内容等、状況を教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 まず、私の方から地方創生コンシェルジュについてお答えをさせていただきたいと思います。

 地方創生コンシェルジュにつきましては、お話がありましたように、二十七年の二月末に構築された制度でございまして、まだ一年一カ月ちょっとということでございます。

 この間に私どもに相談の報告があった件数は三百七十件ということになっておりまして、都道府県から五十七件、市町村からは二百九十六件でございます。

 この一年間ということでございましたので、地方版総合戦略の策定でございますとか、地方創生関係の交付金の活用に関するお問い合わせが多かったわけでございますけれども、一般的には、公共団体がやろうとしている事業に対してどういった補助制度が使えるのかとか、そういった御質問が多いというふうに承っております。

 以上でございます。

石破国務大臣 コンシェルジュについては、今お答えを申し上げたとおりであります。

 いわゆるシティーマネジャー、地方創生人材支援制度でございますが、御指摘のように、原則五万人以下というところへ出させていただきました。平成二十七年度は六十九市町村、二十八年度は五十八市町村に派遣をするということで進めてまいったものでございます。

 これは何度かお答えをしたと思いますが、欲しくもないところに出してもしようもありませんので、どこがそういうものを求めていますかと。何でもいいから中央の政府に顔のきくスーパー役人みたいなものを欲しいなんと言われても困るので、何をやりたいですか、そのためにどんな人が要りますかというニーズを承り、そして我々の側も、俺が東京から行って教えてやるぜみたいな人は行かなくていいので、自分としてこういうのをやりたいんだ、本当に市町村の方々と汗を流してやっていきたいんだという人、そのマッチングをきちんと行うということが第一でございます。

 そして、四半期に一度、東京に集まってもらって、実際にどうなのか、行ってみてこんな悩みがある、こういうようなことが難しい、そういうのをお互いに意見交換し、私ども政務も中に入り、また私どもの担当の者も入って相当の時間、議論をいたしております。そしてまた、常にメール等々でいろいろな相談も受け付けるという形をとっております。

 これは、全て万々歳みたいなことを言うつもりはございませんが、かなりいい御評価をいただいていると思っております。私どもとして、とにかく送りっ放しということをしないように、この四月にもいろいろな者が赴任をいたしましたが、私、また副大臣、補佐官、政務官で手分けをして市長さん、町長さん、村長さんに御連絡をして、よろしくお願いしますよということを申し上げ、対応しておるところでございます。

 大阪におきましては、平成二十七年度、高石市に厚生労働省から、岬町には国土交通省から派遣をいたしておるところでございまして、また委員がいろいろなことをお聞き及びになりましたらばお教えいただければ幸いに存じます。

椎木委員 次に、地方創生カレッジについて質問いたします。

 先般、石破大臣から、まちづくりなどの知識をインターネットで学ぶことができる地方創生カレッジを年内に開校するとの発表がありました。新聞記事によりますと、五年間で五百人以上の専門家を育成し、自治体の首長の補佐役や地域のリーダーとして地方創生にかかわる人材の輩出につなげていきたい考えだと報道されています。

 私自身、地方創生を推進していく肝は優秀な人材の確保と育成だと確信しておりますので、このたびの地方創生カレッジ事業には大いに期待しております。

 そこで、地方創生カレッジについて何点かお尋ねいたします。

 現在、自治体の幹部を養成するという目的で運営されている総務省所管の自治大学校がありますが、この自治大学校との違いは何なのでしょうか。

間宮政府参考人 お答えいたします。

 自治大学校は、今お話がございましたとおり、地方公務員の総合的な政策形成能力や行政管理能力を育成することを目的としてつくられた地方公務員に対する国の研修機関でございます。

 一方、今般、創設を予定しております地方創生カレッジにつきましては、もちろん地方公務員の方も対象になると思いますけれども、実際に地方版の総合戦略に基づき各地方公共団体はこれから具体的な事業を本格的に実施する段階に入りまして、そういった事業そのものの推進に必要な高度な専門性を有する民間の人材の確保、育成、そういったものも視野に入れてやっていこうというふうに考えているところでございます。

椎木委員 それでは、地方創生カレッジの受講者、これはどのような人が対象なのか、あるいは、どのような人が受講生となることを想定しているのか、お答えをお願いいたします。

間宮政府参考人 お答えいたします。

 地方創生カレッジにつきましては、地方公務員のみならず民間の地方創生の志のある方々を受講生として想定してございます。

 そういった受講生につきまして、実際に高度な自治体の戦略の立案に資するような、関係者間の合意を得る、高度な専門性を有するような人材の育成ですとか、あるいは、観光DMO、まちづくり、そういった個別の事業、プロジェクトに精通して、そういったプロジェクトを実際に経営、実行していくような人材、そういった人材を育てていきたいというふうに考えてございます。

椎木委員 これは、そうすると、今の答弁ですと、今の答弁のような方が受講生となることも想定しているということでよろしいんでしょうか。

間宮政府参考人 お答えいたします。

 そういったプロジェクトの実施あるいは自治体の戦略に貢献したいと考えておる人材を広く対象として、このカレッジの受講生として受け入れたいというふうに考えておるところでございます。

椎木委員 では、それはどのようなカリキュラムが今準備されているんでしょうか。

間宮政府参考人 お答えいたします。

 具体的なカリキュラムにつきましては、今後、実際に、そういった人材、どのような人材がいて、どのようなニーズがあるかといったものを、自治体あるいは民間の事例等々をスタディーしながら調査して、カリキュラムをつくることを考えておりますけれども、そのカリキュラムの目的とするところとしましては、実際にその地方で活躍したいと思われている人材の方々がみずから不足していると思う分野あるいは科目、課程、そういったものを学べるようなカリキュラムとしたいと考えておりまして、実際に、地方自治体の行政官あるいは志のある民間の若い方々にとって実地で役立つものを考えております。

 まだ具体的な内容はこれからですが、例えば、地方創生に関する各分野の第一人者などによる講義ですとか、あるいは、DMO、生涯活躍のまち、まちづくり、こういった個別分野に関する専門の講座、あるいは、まちづくりそのものの基礎講座みたいなものをつくっていきたいと考えております。

椎木委員 ちょっと時間がありませんので、もう少し聞きたいこともあるんですけれども、次の質問に入らせていただきます。

 次に、地域おこし協力隊について質問いたします。

 総務省が音頭をとって始まった地域おこし協力隊という制度があります。簡単に言えば、都市部から人口減少や高齢化等が進行する過疎地に移住して、まちづくりに貢献するという制度です。地方創生の流れの中で、自治体のニーズも高まっていると聞いています。

 平成二十一年に制度化されて以来、平成二十七年度の隊員数は約二千六百人になったということですが、隊員の期間は一年から三年となっており、自治体に対しても、国からの報償費や活動費等の財政支援がなされていますが、隊員の方たちが三年を超えた後でもその地域に住み続けることのできるような仕組みづくりも必要ではないかと思います。

 現状はどのようになっているのか、あわせて、支援の拡充について今後どのように考えているのか、答弁をお願いします。

原田政府参考人 お答えいたします。

 地域おこし協力隊は、平成二十一年度に創設された制度でございますが、平成二十七年度には、二千六百二十五名、受け入れ自治体も六百七十三自治体と大幅に増加をしているところでございます。また、隊員の四割が女性であり、女性の活躍も目覚ましいとともに、二十代、三十代の隊員の方が約八割を占めているというような状況でございます。

 先生から今御指摘のありました、いわば任期終了後の定住、定着でございますが、昨年実施した調査によりますと、隊員の六割は、任期終了後も引き続き同じ地域に定住しておりまして、同一市町村内に定住した方の約二割は、その地域で起業をしております。

 隊員に対するアンケートでは、任期終了後にもその地域に定住していく上での課題としまして、活動資金の確保、技術、知識の習得などが挙げられております。

 そのため、私どもも、任期中から商工会やJAなど地域のキーパーソンと円滑な関係を築いておくことや、任期後の活動計画の具体化を進めておくことが重要であると認識しておりまして、そのような情報も提供しているところでございます。

 私どもとしましては、隊員としての期間中から隊員向けの研修会、交流会を開催したり、いろいろな悩み事にお答えする地域おこし協力隊サポートデスクというものもつくりまして、支援をしようとしております。

 また、加えて、起業を支援するために、特別交付税によるさまざまな経費の支援、あわせまして、本年度からは、ふるさと納税を活用した、隊員の起業を応援する仕組みでありますクラウドファンディング官民連携推進事業、このようなことによりまして、隊員の起業を支援し、定住、定着にできるだけ支援をしてまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、いろいろなニーズを踏まえながら、隊員の方が任期終了後も定着していただけるよう、今後ともサポートしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

椎木委員 今の答弁のとおり、しっかり本当にサポートしていただきたいと思います。私も、これは非常にいい、成果の上がるものだと確信していますので、よろしくお願いしたいと思います。

 最後になりますけれども、大和総研の経営コンサルティング本部がまとめた「「地方創生」をいかに成功させるか」というレポート、これをちょっと拝見したんですけれども、その中身は、ローカル志向という時流を追い風に、成功モデルをつくり上げるための地方の前向きな取り組みと人材面、財政面など国の的確な支援をリンクさせることが地方創生を成功させるポイントであると指摘されておりました。まさしく私もそのとおりだと思います。地方創生には、地方のやる気と国のバックアップ体制が何よりも重要。

 私も、この地方創生特別委員会、何度もお話ししていますけれども、本当に希望して入った委員会ですし、今後も、国政に携わる者の一人として、真摯にこの地方創生に関与していきたいと思います。

 さらに、ちょっと余談ですけれども、昨日の本会議においても、地域再生法の一部改正法において、多くの野党が反対する中で、我が党は賛成という態度をとらせていただきました。ただ、これは決して自民党を応援するとか補完するとかではなくて、全ては国民にとってプラスと判断しての我が党の判断ですので、今後も、これまで私が事前にヒアリングを受けている法案についても、まさしく肯定する部分はあっても否定する部分はないというふうに私も、党の部会長なんですけれども、判断しています。引き続き、そういう認識のもとでしっかり、この特別委員会、大臣とともに頑張ってまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。石破国務大臣。

    ―――――――――――――

 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案

 国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石破国務大臣 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方分権改革は、地域がみずからの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマであります。

 本法案は、昨年十二月に閣議決定した平成二十七年の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、地方公共団体への事務、権限の移譲、義務づけ、枠づけの見直し等を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、住民に身近な行政を地方公共団体が自主的かつ総合的に広く担うようにするため、国から地方公共団体または都道府県から市町村への事務、権限の移譲、地方公共団体への権限の付与、地方版ハローワークの創設等を行うこととし、関係法律の改正を行うことといたしております。

 第二に、地方がみずからの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直しを行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。

 このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うことといたしております。

 次に、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国家戦略特区では、経済社会の構造改革を推進するため、約五十項目以上の規制改革を実現するとともに、合計十カ所の特区において、これらを活用した百を超える事業を実現しております。

 成長戦略を着実に実行するためには、この動きをさらに加速することが欠かせません。

 本法案は、特区の区域会議や全国の地方自治体、産業界からの提案を踏まえて、国家戦略特区諮問会議において検討した結果に基づき、平成二十七年度末までの集中取り組み期間の成果となる新たな規制改革事項を盛り込んだものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、道路運送法の特例として、観光客の交通手段の提供を主たる目的とした自家用有償旅客運送を、関係者が相互の連携について協議した上で、区域会議の決定により実施できることといたしております。

 第二に、農地法の特例として、農業委員会は、この法律の施行後五年間に限り、農業経営を行おうとする一定の要件を満たす法人に対し、農地の取得を許可することができることとしております。

 第三に、障害者の雇用の促進等に関する法律の特例として、障害者雇用率の通算が可能となる組合として、事業協同組合等に加えて、中小企業者を組合員とする有限責任事業組合を追加することとしております。

 第四に、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の特例として、薬剤師が、一定の要件を満たす場合に、テレビ電話等を用いて服薬指導を行うことができることとしております。

 第五に、外国人観光旅客の来訪を促進するため、民間事業者と連携しつつ、空港または港湾における出入国に際して必要となる手続が迅速かつ効率的に行われるために必要な施策を講ずることといたしております。

 第六に、革新的な医療機器の迅速かつ効率的な開発及び実用化を促進するため、臨床研究中核病院における治験等に携わる医療関係者に対する情報の提供等を行うこととしております。

 第七に、アニメーション、デザインその他のクールジャパン分野の海外展開等を図るため、当該分野の専門的知識及び技能を有する外国人が我が国において就労する機会等を充実するための具体的な方策について、この法律の施行後一年以内を目途として検討を加え、必要な措置を講ずることといたしております。

 このほか、課税の特例に係る規定の追加その他の措置を講ずることとしております。

 以上が、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案及び国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

山本委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま本委員会において審査中の内閣提出、国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案に対し、農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、委員長間で協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十七分散会


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