衆議院

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第1号 平成26年11月11日(火曜日)

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平成二十六年十一月十一日(火曜日)

    午後一時三十五分開議

 出席委員

  文部科学委員会

   委員長 西川 京子君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 福井  照君 理事 義家 弘介君

   理事 中川 正春君 理事 鈴木  望君

   理事 浮島 智子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石原 宏高君    神山 佐市君

      菅野さちこ君    木内  均君

      木原  稔君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      桜井  宏君    新開 裕司君

      野中  厚君    馳   浩君

      藤井比早之君    星野 剛士君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      山本ともひろ君    菊田真紀子君

      松本 剛明君    笠  浩史君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      中野 洋昌君    田沼 隆志君

      中山 成彬君    柏倉 祐司君

      宮本 岳志君    青木  愛君

      吉川  元君    山口  壯君

  内閣委員会

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君

   理事 平口  洋君 理事 近藤 洋介君

   理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      福田 昭夫君    大熊 利昭君

      河野 正美君    輿水 恵一君

      濱村  進君    杉田 水脈君

      松田  学君    三谷 英弘君

      佐々木憲昭君

    …………………………………

   文部科学大臣

   国務大臣

   (東京オリンピック・パラリンピック担当)     下村 博文君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (内閣官房2020年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室長代理)

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (文化庁次長)      有松 育子君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより文部科学委員会内閣委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付の資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承をお願いいたします。

 これより質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 本日は、文部科学委員会そして内閣委員会の連合審査の質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 本日は二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の特措法の質疑であります。

 二〇二〇年の本大会の開催は、まさに国としては大変歓迎すべきことであります。しかし同時に、あの感激の誘致からしばらくたって、一方で、この大会開催自体が東京への一極集中というものを加速させてしまうのではないかといった懸念が地方から出ているのもまた事実であります。

 安倍内閣総理大臣は、誘致の際に、福島第一原発の事故について、完全にコントロールされているといった趣旨の宣言をされました。この認識の是非はともかくとして、この二〇二〇年の大会は、単に東京の魅力発信ということだけではなくて、三・一一の震災、特に原発事故からの日本、とりわけ被災地、東日本地域の完全復活というものを世界に明確に示すことをもって初めて意義を持つものだろう、こう考えるわけであります。

 この点について、東北でもお育ちになった菅内閣官房長官、どのようにお考えですか。

    〔西川委員長退席、井上委員長着席〕

菅国務大臣 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、これはまさに、日本全国を元気にし、さらなる発展につなげていくための大きなチャンスであるというふうに思います。

 そういう中で、総理もあの招致活動の中で言及をしましたけれども、東日本大震災の被災地を含め、日本全体が活力を取り戻す大会になるように、震災から復興を着実に推進し、復興をなし遂げた日本の姿を世界に披露する、そういう機会でもあるというふうに思いますし、また、政府の役割とすれば、それは、この東京オリンピックを何とか日本全国のオリンピックにするというのが政府の極めて大事な役割だというふうに私どもは認識をいたしております。

近藤(洋)委員 今、官房長官から御答弁いただいたように、名前は東京オリンピックでありますけれども、まさに全国のオリンピックにする、日本オリンピックと言ってもいいのかもしれない、こういうことだろうと思います。

 そこで下村オリンピック担当大臣にお伺いするのですが、そうなるとすると、もちろん開催地は、コンパクトな開催ということも含めて東京中心ということかとは思うんですが、例えば地方へのキャンプ地の誘致であるとか、何も東北に限る必要はありませんが、例えば東北地方であるとか北陸であるとか、全国へのキャンプ地の誘致、さらにはホストシティ・タウン構想といった、自治体と参加国との連携における受け入れ体制の支援といったことを、これはまさに国の大きな役割であろうとこう思うわけでありますが、いかがお考えでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のとおりです。

 オリンピック・パラリンピック競技大会は、開催都市は東京ですから、競技そのものは東京で行うということでありますが、事前キャンプや合宿、ホストシティー、ホストタウン、これは既に、内閣府のオリパラ室を通じて全国の自治体に呼びかけているところであります。

 また同時に、日本を文化芸術で発信をしていく、地方創生にもつながるということの中、北海道から沖縄まで含めて全国で、できたらこれは二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの期間だけでなく、リオ・オリンピック・パラリンピックが終わった後、つまり四年ぐらい前から取り組むことによって、日本全体を元気にして、外国人観光客が二〇二〇年には間違いなく二千万人、それだけでなく、二〇三〇年には三千万人来るような受け皿を、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックを通じて全国が元気になるような、そういう構想をつくっていきたいと考えております。

近藤(洋)委員 ぜひそういう姿勢でお願いをしたいと思います。私の地元の山形もいろいろな形で知恵を今出しているようでありますから、それぞれの各県でアイデアを出されるでしょうし、そういったことをぜひ政府として受けとめて後押しをしてもらいたい、こう思うわけであります。

 さて、官房長官にお伺いします。

 今回の法案でありますけれども、オリンピックの担当大臣を、閣僚の増員というのを今回法案の中に盛り込んでおるわけであります。本来なら、この法案も内閣法の改正でありますから内閣委員会できっちり議論すべきなのですが、こういう経緯の中で連合審査と相なりましたが、大臣を一人増員する、時限的にふやすことが盛り込まれています。

 この法案が今国会において成立した場合、いろいろきな臭い風説も飛び交っていますが、そうでなく成立した場合、速やかに専任の大臣を任命することを予定されていますか。

 また、担当大臣を、今までの過去を調べたんですが、専任の担当大臣というのは、東京オリンピックの場合は、オリンピック担当大臣、川島正次郎国務大臣が行管担当大臣、北海道開発庁長官等々で昭和三十七年に任命をされ、そしてその後、佐藤栄作科技庁長官、北海道開発庁長官が兼務で任命をされ、そして、直前というかその年には河野一郎大臣、こういう形にはなっておりますけれども、今回は随分先駆けて、もし本法案成立後任命をされるとすれば、随分早い任命、こういう形になるわけでありますけれども、その場合は副大臣、政務官はどのような体制になるのか。今回、増員という形にはなっておりませんけれども、兼務の形で新たに体制を組まれるのかどうか、内閣のお考えをお聞かせください。

菅国務大臣 まず、担当大臣設置の規定でありますけれども、公布後これは一カ月内に施行されることになっておりますので、総理の御判断によって、法案が成立をした暁には速やかに任命されるんだろうというふうに思います。また、担当大臣は、大会の円滑な準備、運営、必要な国の支援に関する関係府省間の調整、こうしたものに当たるわけであります。

 そして、委員から御質問のありました、担当大臣をサポートする副大臣、大臣政務官でありますけれども、この副大臣、政務官においては、現在は置かないことになっておりまして、現行の枠の中でどのようなこれは体制が構築できるか、今、内閣府のもとでとにかくスタートはしたいなというふうに思います。

近藤(洋)委員 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、この一枚目、東京オリンピック・パラリンピックにかかわる政府の推進体制ですが、大変各省庁にまたがるものであるから、総合調整機能を発揮するために、現在は下村担当大臣でありますけれども、文部科学大臣と兼務でありますけれども、恐らく専任という形で置かれるということなんだろうと思います。

 そこで、三枚目をおめくりいただければと思うんですが、今回、時限的に設置されるオリンピック担当大臣でありますけれども、この時限的にという意味でいえば、民主党政権時代にこれまた時限的に設置することになった復興担当大臣と比べてみたい、こう思うんです。

 三ページ目の表をつくらせていただきましたが、復興担当大臣、根拠法は復興庁設置法でありますが、これは同じく時限であります。

 この結論から先に申し上げますと、復興担当大臣とオリンピック担当大臣では、同じ大臣ですけれども、これは全く権限において違うんです。

 例えば復興担当大臣は、添付資料で条文も添付させていただいていますけれども、「総理大臣を助け、復興庁の事務を統括し、職員の服務について統督する。」こう書いていますけれども、さらに、各省庁に対する勧告権というのを持っているんですね。さらに、総理大臣に対する意見具申をする権限を持っています。

 すなわち、各省庁が復興大臣、復興庁に対して意見に従わない場合は勧告する力を持っている。これはまさに、今は経産大臣をやられている宮沢大臣などと一緒にこの復興庁をつくるときに相当議論したんですけれども、やはり、総合調整をするときには一定の権限が必要だということで勧告権をつける。これは非常に大きかったんです。それで意見具申もできる、こういうことであります。

 ところが、オリンピック担当大臣はそうした権限が全くございません。これは、いわゆる総合調整機能というのが果たしてどこまで果たせるのかと疑問なわけであります。

 この一枚目のペーパーには、その総合調整を発揮するかのような印象の仕掛けになっておりますけれども、果たしてこうしたことで、法的な権限がないのに、これから行われるだろう体制を、各省庁を率いることができるか甚だ疑問だと思うのですけれども、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今回の担当大臣は、総理大臣の命を受けて、大会の円滑な準備及び運営に関する施策の総合的そして集中的な推進に対して行うことについて、総理を助けるということを職務とすることが今回の法案の中で規定をされております。

 具体的に、担当大臣は東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部の副本部長としての位置づけをされており、その本部は、基本方針案の作成、基本方針の実施の推進、大会の円滑な準備及び運営に関する施策で重要なものの企画立案、総合調整を所掌事務といたしております。

 副本部長たる担当大臣は、本部長である内閣総理大臣を助け、これらの業務を主導して関係省庁の施策の調整を行っていくことになるというふうに考えます。

近藤(洋)委員 ですから官房長官、総理を助けるために総合調整を行うわけですね。その総合調整を行う過程において各省を従わせるためには、必要においては勧告権が必要ではないか、こういうことを指摘したわけです。これが今ないわけです。

 さらに言うと、本部に関する事務は、この条文にもありますけれども、何とこの事務は、「内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。」掌理というのは、要するに統括する、条文上はこういうことなんですね。

 あちこち紙が行って恐縮ですけれども、このペーパーにもありますとおり、事務体制は、内閣官房オリンピック・パラリンピック室職員三十五名、これも甚だ現時点では少ない人数でありますが、それはともかくとして、この事務はオリンピック・パラリンピック担当大臣の下にはあるけれども、実際には、権限は内閣官房副長官補にあるんです。

 すなわち、大臣はどのようにこの事務に関与するのか。法的なことも含めて関与できないと思うんですが、官房長官、見解はいかがですか。

菅国務大臣 まず、先ほどの勧告の話がありました。この担当大臣というのは、総理が全閣僚出席のもとの、本部長の下で副本部長を兼ねるわけでありますので、総理の命を受けて担当大臣として調整を行うわけですから、それは各省庁の大臣が、当然、このオリンピック・パラリンピックに関しては担当大臣に調整を委ねる、そういう形になるだろうというふうに考えています。

 それと同時に、推進本部の副本部長として、大会の円滑な運営だとか準備、施策、総合的、集中的な推進、全体は総理大臣の命を受けながらこれを行っていくわけでありますし、そのための事務として内閣官房の中で手伝うことになっておりますけれども、今回は、根拠条文というのは、本法案の第六条の第一項、第二項に書かれていることになるというふうに考えます。

近藤(洋)委員 第六条第二項ですか、明確な条文だとは思えませんですね、お言葉でありますが。この明確な根拠条文、総合調整機能は、少なくとも事務は内閣官房副長官補が掌理する、こうあるわけで、オリンピック・パラリンピック担当大臣には、大臣として関与できる法的な根拠はないのであります。

 尊敬する菅官房長官を前に恐縮ですけれども、官房長官はお持ちなんですね、内閣に関する総合調整機能は。これは明確に法規で明定されています。だから官房長官は強いわけでありまして、各省庁に対する総合調整機能を持って、各省は内閣官房に従う。官房長官がそれを法的に持っているからであります。

 このオリンピック・パラリンピックに関しては、担当大臣がやはりそこは法的な権限を持つべきだけれども、それがない。かつ、あえて言うと、総合調整をしようにも、事務方も非常にお寒い。

 もう一度この横串の、復興担当大臣と比べる一覧表を見ていただきたいんですけれども、専任の政務がいないんです。専任の副大臣、政務官もいない。そうすると、実態的に、各省を束ねる、事務的にというか、大臣を補佐して局長を集めてどうのこうのするという事務方を束ねる政務もゼロ。

 復興の場合は、御案内のとおり、復興庁という二百五十名の職員がおって、これは各省から出して、そして専任の副大臣がおって、担当大臣にも権限を持たせてということであります。かつ、予算は、特別会計でありますけれども、二・二兆の復興予算というのがある。

 聞くところによると、オリンピック・パラリンピック関係の予算も、今のところ、そういう予算の枠組み方というのはまだ現在しておりません、これからどういう形になるかわかりませんが。

 となると、このままだと、大臣は置いたはいいけれども、実際どういう形で総合調整機能が発揮されていくのかというのが非常にわかりにくいと思うわけであります。

 一枚目のページに戻らせていただきたいんですが、この政府の紙によると、下村文部科学大臣のもとに、オリンピック・パラリンピックの開催そのものに係る、国としての事務を担当というところに大きく文部科学省とどんと残っているんです。本来だったら、官房長官、これは各省横並びで文科省も、これは別に字の大きさで言うつもりはありませんが、同じ大きさでいいはずなんです。ところが、文部科学省だけ大きく文部科学省、しかも、オリンピック・パラリンピック開催そのものに係る事務を担当と。要するに文部科学省は、私たちがやりますとこう宣言をしているんです。あとは他省横並び。全く文科省だけ頭一つ大きく出ている。

 さらに、オリンピック・パラリンピック担当大臣がいて、一応オリパラ室というのがある。ただ、オリパラ室は、現在三十五名、権限も何もない。こういう構図なわけであります。

 官房長官、そうだとすると、本来ならば文部科学大臣の上にオリンピック・パラリンピック担当大臣が位置づけられて、その中で各府省がいるという組織図でないと、きちんとした総合調整機能、総理を補佐するという機能が発揮できないのではないか。この紙のつくり方からして、どうも、何となく本来の姿ではないのではないかという気がしてならないのですが。

 かつて、それこそ河野一郎大臣が務められた担当大臣でありますけれども、幾ら大物の大臣がここに座られても、菅官房長官がこれをやれば別かもしれませんけれども、しかし権限がないんですね。菅官房長官でも、総合調整機能という権限をお持ちだから官房長官たり得ているわけで、何も権限がない中で、これでは全く機能を果たせないのではないかという危惧を持つのですが、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 確かに、今のその図面を見ると、何でこんなに大きく書いているのかなという思いも実はしないわけではありませんけれども、ただ、本部は総理大臣でありますから、そして、総理のある意味では名代としての副本部長でありますから、そこの本部の会合で決定したことの執行については、担当大臣の権限というのは、全閣僚がこれは参加をしていますから、したがって、そこは当然総合調整というのは可能だというふうに考えます。

近藤(洋)委員 ここは下村文部科学大臣としてお伺いをいたします。

 現在はオリンピック担当大臣として兼務をされておられます。文部科学大臣として兼務をされております。伺いますが、やはりここは、オリンピック担当専任大臣がもしつかれたらば、下村文部科学大臣は、職責上、そのオリンピック担当大臣の、オリンピック全体を見渡したときには、指揮下に入るという言葉がいいかどうかは別にしても、その総合調整の枠の中に入る。この図でいうと、何となく独立的に特出しされている感が、文部科学省の部分だけ何かサンクチュアリーのような、独立王国のような図になっているんですけれども、そうではないという意識で当たられるということが本来の行政改革といいましょうか、行政の趣旨ではないかとこう思うんですが、文部科学大臣としての御見解はいかがでしょうか。

下村国務大臣 私も、この表を今初めて見させていただいて、文部科学省だけ何で大きく書いているのかなと思いました。

 オリパラ室がつくった資料、いつつくったのかはちょっと存じ上げませんが、オリンピック・パラリンピック担当大臣が置かれれば、それは当然、全ての関係省庁の所掌義務をオリンピック・パラリンピックの成功に向けてトータル的に発揮しなければ担当大臣としての仕事はなりませんから、当然、文科省もほかの省庁と同じ横並びで、オリンピック・パラリンピック担当大臣のもとで協力をさせていただくということであります。

近藤(洋)委員 今の御答弁を聞いて少しは安心をいたしました。

 いずれにいたしましても、各省がきちんと協力をして、オリンピック・パラリンピックをめぐっていろいろな課題がございます。サイバー攻撃をロンドン・オリンピックのときに大変受けた、それに対してイギリス政府は大変苦労した、こういったサイバーセキュリティーに対する対処であるとか、各省さまざま連携をしなきゃいかぬ問題がたくさんあろうかと思いますし、この二〇二〇年の大会に向けて早目に準備するということは政府として大事なことだろうと思いますし、我々は野党でありますけれども、その趣旨には賛同するものでありますけれども、きちんと組織が機能をしてもらいたい。

 それに向けてこれからもチェックをすることを申し上げて、時間ですので質問を終わります。

井上委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。内閣委員会からこちらの方でお話をさせていただくことになりましたので、主に下村大臣にお話をお伺いしたいなと思います。十分しかないので、さっとお話をさせていただきます。

 まず最初になんですけれども、オリンピック・パラリンピックということで、全体的に考えたとき、今のお話を聞いていても、どうしてもオリンピックが強調されているように思われてしようがない。当然のことながら、規模もそれだけ大きな話ではあると思いますので、当然そうなるのかなと思ってはいるんですけれども、そうはいいながら、近年、パラリンピックで我が国の選手が相当活躍しているという状況の中で、これからのことだというふうなことなんですけれども、もっとこのパラリンピックの競技をやっている人たちを元気づけるようなことができないかなというふうに私は少し考えております。

 というのは、やはりどうしても、オリンピック、パラリンピックといって比べるのはあれなんですが、パラリンピックというふうなことだけを考えてみたときは、まだ少し、これは非常に言いにくいんですが、障害者福祉というところの要素がまだまだ強くて、本来、そうではなくて、競技者としてのサポート体制というものがもっと充実するべきだろう、それだけの実力を今のパラリンピックの日本の代表は持っているんじゃないかというふうに私は考えているので、そういうふうなお話をさせていただきたい。

 その中で、これから先、オリンピック、パラリンピックといったときに、まずそこの中で政府にお聞かせ願いたいところが、政府としてパラリンピックにどういう予算配分をしていくのか。これはまだまだアイデアレベルだというふうには思うんですけれども、どういう形の予算配分を考えていらっしゃるかということを少しお聞かせ願えればと思います。

下村国務大臣 二〇二〇年東京大会は、競技施設や選手村など多くの施設をオリンピック、パラリンピック共通で使用する予定であることから、オリンピック、パラリンピックに係る多くの運営経費については共通のものとなっております。

 これらの経費については、招致委員会が作成した立候補ファイルでは、原則として組織委員会が負担することとなっております。一方、パラリンピックのみに係る経費については、その費用の五〇%を政府及び東京都が支援することとしております。

 オールジャパンで招致をかち取った東京オリンピック・パラリンピック競技大会の準備、運営については、国としても、その成功に向けて、大会組織委員会や関係省庁、関係団体等と一体となって取り組んでいく必要があると考えまして、田村厚労大臣のとき、これはオリンピック・パラリンピックが決まる前からですけれども、文部科学省の所管に一本化、これまでの厚労省の障害者スポーツを、パラリンピックを含めて一本化させていただくことにいたしました。

 そのことによって、特に今年度からはパラリンピックの所管が文科省に移り、パラリンピック選手の競技力強化を含む、ことし平成二十六年度におけるパラリンピック関係予算は、前年度七億三千八百万円だったんですが、今度は二十一億三千五百万円ということで、かなり大きく増額したという経緯もございます。

 今後、パラリンピック競技大会の開催支援につきまして、御指摘のように、オリンピック、パラリンピックは同等の扱いで、障害を持っている人も持っていない人もスポーツに対して楽しむ、また、トップアスリートに対しても同等の支援をするということについて、しっかり対応を検討してまいりたいと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 先ほどお話をいただいたとおり、二十一億まで予算を考えられているということで、これをどんどん伸ばしていただきたいなと。

 あと、先ほどの近藤委員の質疑の中で大臣からお話をいただいていたんですけれども、やはり、東京オリンピック・パラリンピックというよりも、日本のオリンピック・パラリンピックにしていくというお話がありましたので、ぜひとも、そういった意味では、パラリンピックについても、日本のパラリンピックだというふうな思いでやっていただきたい。

 これはなぜかというと、私は、一番重要なのは、オリンピック競技それからパラリンピック競技を世界に対して発信していく、日本はああいうオリンピックをしたんだ、日本はああいうパラリンピックをしたんだということが一番大きな我が国の価値を上げるものだというふうに思っておりますので、ぜひとも、今お話しいただいたところを、またどんどんどんどん力を入れてやっていただければなと思います。

 次にお話をさせていただくのは、先ほどの近藤委員がお話があったところで、やはり、このオリンピック・パラリンピック担当大臣の役割というのがどうしても、私も今のお話を聞いていて少し釈然としない、ちょっとこれは言葉は悪いですが、釈然としない部分があります。

 ここでいろいろなことが書いてあって、各省庁間の連携を促すためにも政府として大臣を置くんだというところが一つ、一番大きな趣旨だと思うんですけれども、その大臣を置く趣旨というのをもう一度お話しいただければと思います。

下村国務大臣 東京は、今回、二〇二〇年、二回目ということでありまして、一回目の一九六四年のときには、主に、そのことによって高速道路が開通したり新幹線がスタートしたり、その後の日本の高度経済成長につながる発展途上国型のハードを中心とした基盤整備、そういう位置づけがあったと思います。

 今回の二〇二〇年は、これは、成熟国家としてのあらゆる課題、ハードだけではなくソフトの部分においてそれをしていくという意味では、多省庁にまたがることについて、スポーツとか都市基盤だけに特化するわけではなく、ありとあらゆる部分について、サイバーテロという話もありましたが、環境問題もあります。それから、文化についても日本全国で取り組むということになりますと、これは関係省庁というと、もうほとんど全ての省庁にまたがりますが、行政関係事務の広範な理解、政府内における高度な調整能力、また、各省庁の施策の総合的な連絡調整、そういう意味ではトータル的なコーディネート能力が必要だということで、担当大臣を置くというふうになったわけであります。

木下委員 ありがとうございました。

 時間がないのであとは言いっ放しになってしまうかもしれないんですけれども、先ほどの、政府の中の調整をするというところはわかるんです。ただ、そのかわり、縦割りの行政をうまく一本化するというところをやるためには、私は逆に新しいアイデアがなければならないと。

 そういう意味では、よく考えられるのは、今政府側にいらっしゃる方もしくは国会議員が今回の大臣になるかというと、これから先は、私の最初の話にもあったんですけれども、対外的に、国際的に日本がどういう価値があるのかということを発信することの方が大きな役割というふうに私は思っていて、そういう意味では、将来的に、今すぐという話にならないかもしれませんが、しかるべき時期には、私は、民間人が大臣になってもいいんじゃないかというふうに思っているんです。それが一つ、一番望むべき姿。

 結局、政府の縦割りをうまく調整するんだという、それだけが役割になっているというのは余りにも私は悲しい現実なのかなと思っているので、そういうことも視野に入れて考えていただきたいなと思います。

 それから、最後、言いっ放しになりますけれども、私、実はラグビーの経験がたくさんありまして、今回、この法案と同時に、ワールドカップが前年度にありますけれども、ラグビーに関する法案も入っておりますが、ただ、ここの、オリンピック・パラリンピックの今回の法案の中に一言も出てこないんですね。

 やはり、前年度にラグビーのワールドカップがあって、翌年度にオリンピック・パラリンピックがあるというふうなことを考えたときに、その連携が、省庁の説明にはそういうふうにして書いてあるんですが、法案の中では一言も触れられていないのが非常に悲しいかなと思っておりますので、そういったところも配慮をお願いしたいなということで、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

井上委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 維新の党の鈴木望と申します。

 それでは、引き続いて質問をさせていただきたいと思います。

 我が党の立場といたしましては、確かに、国民的な大イベントであります二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックが成功してもらいたい、これは誰しもが同じ気持ちだろうと思いますけれども、そのために専任の大臣を置いて準備万全、遺漏なきを期すということは否定するものではありませんが、一方で、同じ効果を発揮するのであれば、なるべく行財政改革という視点も抜かりなく持っていなければならない、そのことを私どもの党としては主張しておりますので、その点について、せっかく設置をするのだったら、意義のある、本当に設置をしてよかったというような役割をぜひ果たしていってもらいたいという観点から、パラリンピックについて質問をさせていただきたいと思います。

 先日、韓国の仁川で行われましたアジア大会、超党派のスポーツ連盟の調査の一員に加えさせていただきまして、行ってまいりました。国を挙げて韓国が仁川大会を頑張っている、そのためにいろいろ努力をされているというのはよくわかったわけでありますが、アジア大会のパラリンピック版については、アジア大会そのものよりも、どうも盛り上がりに欠けていたというような報道がなされているわけであります。

 率直に言わせてもらいまして、スポーツが発展してきた歴史を考えますと、これは仕方がない面もあるのかなとも思います。障害者スポーツはリハビリの一環として発展をしてきたということがございますし、そういった事柄から、まだまだ障害者スポーツ、その世界大会でありますパラリンピックについて、国民の関心、またそれに比例します報道体制等々が劣っているというのは否めない事実じゃないのかなというふうに思うわけであります。

 そういう観点から、二〇二〇年の東京オリンピック大会が、パラリンピックにとってもまた記念すべきエポックメーキングな大会となるようにする、それは意味のあることじゃないのかなと思っております。

 私ごとを言いますと、私が厚生労働省と言われる前の厚生省に入ったとき、最初に配属されましたのが社会局の更生課というところでございまして、そこは障害者福祉を担当している課でありますけれども、そのころ、障害者を単に家とかそういうところに閉じ込めておくのではなくて、スポーツもやってもらうというようなことで、障害者スポーツというものが芽生えてきたというような時期でございました。

 そのときに密接不可分に結びついていたのがリハビリということで、理由にもなるわけですけれども、障害者のリハビリにもなるから、ぜひ障害者スポーツというものはもっともっと振興しなきゃならないと、障害者スポーツの父と言われております中村先生なんかも旗を振って、大分の車椅子マラソンとか、そんなことを実施して、だんだんそれが、一つの転機となったのが五十年前の東京オリンピックで、多分、記録的にはローマ・オリンピックのときからパラリンピックが始まったと公式にはされているということでありますけれども、実際、パラリンピックという名前がついたのは、実質上使われていたのが一九六四年の東京オリンピックじゃないのかなというふうに私自身は記憶をしているところであります。

 そういう意味で、五十年後の、二〇二〇年の東京オリンピックが、一九六四年の東京オリンピックに次ぐエポックメーキングな大会になるようにということで、同時開催の可能性、いろいろ質問がこれまでも出ておりますけれども、改めて、オリンピックとパラリンピックを同時開催する、その可能性を追求すべきではないかと思いますが、その点についてお尋ねをいたします。

    〔井上委員長退席、西川委員長着席〕

久保政府参考人 お答え申し上げます。

 オリンピックとパラリンピックでは主催者が異なりますことから、実施の条件あるいは競技施設の使用方法に違いがございます。また、選手村の収容人数の制約がございますので、これらを踏まえまして、二〇二〇年の立候補ファイルでは、オリンピックとパラリンピックを別の日程で開催する計画を記載いたしまして、その計画がIOCで承認されて東京開催が決定したという経緯がございます。したがいまして、この計画の根幹部分を変更することになかなか課題があるのは事実でございます。

 しかしながら、両大会の連携は重要視したいと思っております。オリンピックとパラリンピックを一体的に盛り上げることは、共生社会の実現を図る上で大変意義深いことだと思っておりまして、大会組織委員会ではオリンピックとパラリンピックの両方を運営することになっておりますので、委員の御指摘を貴重な御提言として受けとめながら、大会に向けての準備あるいは社会的機運の盛り上げなど、さまざまな場面で何が具体的にできるかということにつきまして、組織委員会や東京都とも工夫、検討してまいりたいと思っております。

鈴木(望)委員 要するに、もう決まっちゃっているので同時開催というのは難しいという答弁だったというふうに理解をいたします。

 それでは、せめて開会式を同じにできないんだろうか。それについては、どうですか。

久保政府参考人 オリンピックの開会式は二〇二〇年七月二十四日、パラリンピックの開会式は八月二十五日となってございます。

 これの開会式を同時期にすることにつきましては、繰り返しになる面がございますけれども、主催者が別である、それから、パラリンピック競技自体がオリンピック開会式の一カ月後に予定されている、あるいは、オリンピックの参加選手とパラリンピックの参加選手が入れかわりで同じ選手村に滞在する予定であることなど、根幹部分の変更を検討する必要性が技術上ございます。

 それに加えまして、日本パラリンピック委員会あるいは国際パラリンピック委員会はパラリンピック単独の開会式を強く希望しているところでございまして、そういう意味では、その開会式が盛り上がるよう、たくさんの人が入って、パラリンピックの意義が全国に広がるように、パラリンピックの普及に取り組むことが重要であると考えているところでございます。

鈴木(望)委員 今御説明をるるされましたけれども、開会式ぐらい一緒に行進をするということはやってもいいんじゃないのかなと私は素朴に思います。すぐに納得はできないという気持ちであります。

 その理由として、主催者が違うから、主催者が違うものが開会式とかそういうイベントを同じにできないのか、それは理由じゃないな。選手村が少ない、選手村をふやせばいいじゃないですか。そのために時間を、六年前から担当大臣を設置して、やる。

 全ての競技を同じにするというのは難しいと思いますけれども、開会式を同じにして行進も同じにする、まさに共生社会の具体的な姿じゃないのかなというふうに私は思います。ぜひ前向きに検討していただければなと思うわけであります。

 次に、種目の観点で、一緒にできないんだったら具体的な知恵を出せということで、マラソンと車椅子マラソン、一緒に走っている例も大会の中にはございます。一緒に走れとは申しません。例えば男性の、また女性のマラソン競技が行われる前日に車椅子マラソンをやるというようなこと。例えば、水泳ですと同じプールを使うかと思いますけれども、水泳もまぜてやるということは、可能性としてはどうでしょうか。

久保政府参考人 パラリンピックの車椅子マラソンは二〇二〇年八月二十八日から九月六日のいずれかの日、それから、オリンピックのマラソンは八月二日が女子、八月九日が男子とする計画が、今のところIOCに承認されている状況でございます。

 パラリンピックの車椅子マラソンとオリンピックのマラソンを連携して行うと仮にいたしました場合に、パラリンピックマラソンの選手が、パラリンピックの開会式の二週間以上前に来日していただく必要がある。それから、パラリンピックの参加選手が選手村に物理的に滞在できないということなど、幾つも課題がございまして、検討が必要な部分がございます。

 いずれにいたしましても、オリンピック競技及びパラリンピック競技を具体的にどういうふうに行うかにつきましては、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、そして、それぞれの国際競技連盟の意見も十分に踏まえる必要がございますので、それらの情報交換もいたしながら、今後、大会組織委員会において検討されるように促していきたいと思っております。

鈴木(望)委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックは、今から五十年前の東京オリンピックでパラリンピックという名前が正式に使われる、正式というか、そこは正確に言わなきゃいけないと思いますので、ただ、パラリンピックと中村先生が提唱して、パラリンピックという言葉が一般的に使われるようになったと記憶しております。そういう意味で、パラリンピックにとって、五十年前の東京大会というのはエポックメーキングの大会であったかと思います。

 今度の二〇二〇年の東京大会、本当に半世紀ぶりにまた日本で行われるということでありますので、パラリンピックにとっても、これまでの大会とは質、量とも異なる次元にまで発展をさせた大会にしてもらいたいなというふうに思います。それが真の意味での共生社会に資するというふうに思います。

 事務当局に答弁を求めている段階では、今御答弁いただいたような範囲の答弁しかもらえないんじゃないのかなということは私もある程度予測をしておりました。これこそ、担当大臣を置いて、政治の力でもって、例えば開会式は一緒にやるんだ、もう決まっているかもわからないけれども、それを、こういう理念のもとに一緒にやりたいので、いろいろな困難はあるけれどもやっていくんだ、ぜひIOC、よろしくお願いしますというようなことができてこそ、また、やってこそ、やはりそれが政治の力ではないのかなというふうに思います。

 そこら辺の点につきまして、オリンピック・パラリンピックの担当大臣、これが引き継がれて専任の大臣になろうかと思うんですけれども、下村大臣のお考え、御答弁をお願いいたします。

下村国務大臣 鈴木委員と同じような質問を、今までも国会、衆参で何度も受け、また国民の皆さんからも同様の御意見をいただいて、つまり、障害を持っている人も持っていない人も一緒にやる、オリンピック、パラリンピックを一体化するというのは、それはまさに日本のこれからの象徴だということで、すばらしいことだと思います。

 それを私の方でも、組織委員会のボードメンバー、これは、組織委員会の会長とJOCとJPCの会長と東京都都知事が入っているんですが、そこでそれを私の方から提案したことがございます。

 意外だったんですけれども、JPCの会長から、国立新競技場も今度八万人入る大変大きなものであるけれども、これはパラリンピックとして単独でやれる、またそれだけの人たちを集められる、ぜひ、一緒ということではなくて、単独で自分たちはやれる力を持ちたいし、またそういう準備をすることによって、世界に対して、二〇二〇年の東京パラリンピック大会はそれだけ日本で多くの方々に支援してもらっているというあかしにしたいんだということを強く言われたので、それは無理やり一緒にというわけにはいかないかなと。ただ、せっかく、今もお話ありましたが、何か一つぐらいは、このマラソンなんかもそうなんですが、象徴的なものを何かやることについてはやはり考えたらどうですかと提案をしまして、それはいいかもしれないですねと。

 局長から答弁がありましたが、そのためにIPCとかIOCに計画変更等を提案しなくちゃいけないんですが、しかし、象徴的なものとして何か一緒にできるものについては考えましょうというのが、ボードメンバーの中でも話し合っていることでありますし、ぜひ日本から、障害あるなしにかかわらず、一体的なものの象徴的なものを取り組めたらというふうに考えております。

西川委員長 鈴木望君、質疑時間が終了しておりますのでよろしくお願いします。

鈴木(望)委員 ぜひそういう方向で御努力をお願いしまして、私の質問を終わります。

西川委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 次世代の党の田沼隆志でございます。文部科学委員会内閣委員会連合審査で質問をさせていただきます。

 ちょっと順番が通告と変わって恐縮なんですが、まず官房長官にお尋ねしたいんです。

 先ほど近藤委員の質問にもありましたけれども、私としても、それから次世代の党としても、まずこの法案は基本的にぜひ推進を申し上げたいと思っております。その意味での、よい法律にしていくための幾つかのポイントを質疑したいと思っておるんです。

 新大臣が増員されるということですけれども、先ほどの近藤委員の配付された資料でも、職員数が三十五人、しかも専任常駐十一人、権限は内閣官房副長官補だということで、大臣を本当に置く意義がどこまであるのかなというのは、正直なところ、もう一息説得していただきたいのであります。

 今までの委員さんもお話ありましたが、前回の東京五輪の際も設置をしたのは開催二年前、専任にしたのは三カ月前だったということでありますので、何でこんなに六年も前からやるのかなというのが、ちょっとまだ腑に落ちないところであります。交通網の整備ですとか、テロ対策ですとか、国際行事ですとか、地方自治体との連携で、いろいろな業務があるのは理解しますけれども、六年前から本当に必要なのかなというのは、もう一息ちょっとわからないものですから、御見解をお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 例えば、前回の東京オリンピック、一九六四年でありますけれども、当時は全く想像できなかったサイバーセキュリティーの問題だとか、あるいは爆発的に増加する外国の訪日観光客、当時は三十五万人だったんです。今回、二千万人を予定いたしております。さらに、感染症だとかテロだとか、さまざまなことが予測をされます。そうしたものについて政府全体として総合調整する大臣というのは、やはり極めて大事な役割を果たす、このように考えております。

田沼委員 ちょっと意地悪な質問かもしれないんですが、今国会では出ないと言われていますが、スポーツ庁の話もございます、これは文部科学省かもしれませんが。そのスポーツ庁設置と絡めて、スポーツ大臣というような形で、一増枠が恒久化できるんじゃないかというような意見を言う人もいると耳にしました、うわさですけれども。そういったことはない、今回はオリンピック・パラリンピックが終わったらしっかりとまた一減するということで御確認をさせていただきたいんですけれども、いかがでしょう。

菅国務大臣 全くそのとおりであります。

 スポーツ庁については、現在、文部科学省において、その外局として設置する方向で検討を進めておりまして、その場合にはやはり文部科学大臣が所管大臣になる、このように思っています。

田沼委員 了解いたしました。ぜひ、行政改革と逆行のないようにお願いをいたしたいと思います。

 続きまして、また通告の一番目になりますけれども、基本計画のおくれですね。これは下村大臣にお聞きしたいと思うんですが、もう官房長官はきょうは私は大丈夫ですけれども、基本計画のおくれ、成功したいという意味で大変懸念しております。

 十月三十一日ですか、舛添知事がロンドンに視察に行かれて、その後会見で、結構突然感があったようですけれども、やり直すと。民間の知恵を入れて最初からやり直すということを言われておるやに聞いております。基本計画は二月までに提出というふうに聞いておりますので、大丈夫かなとちょっと懸念を持つところであります。

 ただ、舛添知事もかなりはっきり言われていますね、大臣も御存じと思うんですけれども。都の職員の能力ではできない、大失敗するとはっきり言われているので、これは本当に大丈夫か、危ないのかなという心配を一国民としても思うわけです。

 この見直しというのは、本当にどのような方になるのか、今のところの思いを、大臣、お聞かせ願えればと思います。

久保政府参考人 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会のための施設でございます。全体で、東京都が整備する施設は十施設、組織委員会が整備する施設は十一施設ございまして、これらの競技会場について、会場計画は今見直しがなされている状況でございます。

 経費につきましては、立候補ファイルにおきまして、東京都が整備する施設は一千五百三十八億、組織委員会が整備する施設につきましては七百二十三億と記載してございましたけれども、現在、全体のあり方、周辺を含め、東京都及び組織委員会におきまして、コスト面、大会後の利用等の観点から、全体の見直しを今進めてございます。

 来週にはIOCの調整委員会の委員長らが来日されまして、その見直しの検討状況についても確認が行われると聞いてございまして、その場での御意見を踏まえながら、大会開催基本計画に反映させて、来年二月にIOC、IPCに提出する。それには間に合わせて、具体的な施設が二〇二〇年に間に合うように順調にやるという計画であると承知しているところでございます。

田沼委員 ちょうど私は千葉市出身で、千葉市もセーリングが来るかもと。ただ、今の話でも言われたとおり、まだわからないということで、待ちではありますけれども、こういうのがまだ決まらないということは本当に大丈夫かなというふうに懸念をいたしています。

 それで、例えば今のセーリングでいいますと、国際セーリング連盟の場合は、コンパクト五輪と言っていましたから、選手村から近い距離に会場が来ると思っていたのに、千葉はそんなに遠くないんですけれども、何か話が違うという声が上がっているそうですね。ほかの団体もそういうのがあると聞いております。

 ですので、この調整が間に合うのか、今の時点で懸念点というのは払拭できているのかが、ちょっともう一息、具体的にお答えいただきたいんです。

久保政府参考人 立候補ファイルのときに記載した会場と、今先生御指摘のセーリングなどにつきまして、会場の施設整備に要する経費がどれだけかかるのか、そして、そのためにさらにいろいろな制約があるのかどうかということを、改めて国際競技団体それから国内競技団体と組織委員会、東京都などが、ずっと水面下でいろいろな話し合いを行っているという状況でございます。

 その状況につきましては、適宜、調整会議という全体のボードの中で、文部科学大臣、JOCの会長なども出席している中で報告がなされてございますけれども、今はちょうどその見直しの状況でございまして、来週、IOCの委員が来た際に、そのあたりの状況を少し示しながら意見を伺うというような話になってございます。

 ただ、いずれにいたしましても、もう基本設計、実施設計に早く入っていかねばいけないという危機感をみんな共有しておりますので、問題を早く詰めながら、適切に間に合うようにしたいということで、国もその辺は十分サポートできるところはしたいと思っている状況でございます。

田沼委員 もちろん応援ですから、必ず、ぜひ努力をいただきたいと思うんです。

 ただ、今思うんですけれども、安倍内閣で地方創生を掲げられていて、コンパクトオリンピックということは言われておりましたが、例えば、その前のラグビーは全国各地で開催もされますし、やはり東京一極集中になってしまうのは問題があろうかなという気もいたします。

 ですので、やはり地方の発展に資するような基本計画にまとめていく、別に千葉市かどうかとかはどっちでもいいんですけれども、とにかく、当初の計画と見直しをされるならば、やはり地方創生という観点もある程度踏まえて、地方の創生、発展を踏まえての検討をすべきだというふうにも思うんです。

 例えば、競技でなくて、事前のキャンプとかも、いろいろニーズというかシーズというかがあろうと思いますので、いろいろそういう、もう少し日本全体が活力の出るようなプランにするというのもあるんじゃないかと思うんですけれども、そういったあたりの御見解を、大臣、お聞かせ願います。

下村国務大臣 御承知のように、競技は、これは開催都市でありますので、日本全国でするという、国がやるわけではありませんから、いかないと。

 ただ、コンパクトにするというコンセプトの中で、選手村から三十分以内で競技場までたどり着くというのが今回IOCに提出した東京ファイルでございますが、その三十分が距離ではなく時間ということでいえば、もうちょっと、千葉まで含めたより広範囲になったとしても、既存の施設を活用できるというところまでIOCの理解が得られるのではないかということも含めて、今見直しをしている最中でございます。

 ただ、御指摘のように、本番以外のことについては、別に拘束されているわけではありませんから、キャンプとか事前合宿とかですね。

 それから、二〇〇二年のサッカーのワールドカップのときも、全国津々浦々が、それぞれの選手の来る国に対してサポートしました。そういう形で、各国と、その競技種目とをきめ細かく、ホストシティー、ホストタウンとして全国で受け皿をつくっていただけるように、これは内閣府のオリパラ室が今まとめて、ネットワークを組みながら、日本全体が活性化するような、そういう取り組みをぜひしていきたいと思います。

田沼委員 大変力強い御答弁、大賛成であります。ぜひその方向でお願いしたいと思います。

 ちょっと時間もないので、最後に、関連をいたします質問で、文化交流なんですけれども、私、合唱団を二十四年間やっておりまして、文化の発展というのも非常に興味が強うございます。

 今回も、この東京オリンピック二〇二〇を契機として、スポーツの祭典だけじゃなくて、やはりスポーツと文化の祭典というふうにしていくことも非常に重要であろうかと思っておりますし、それは東京だけでなく全国でやる必要があろう、今大臣の御答弁のとおりかと思うんです。

 それで、文化庁さんに、この文化交流はどういうふうになっていくんでしょう、今回のオリパラでどういうふうに御計画されているんでしょうかとお尋ねしたところ、史上最大規模の文化プログラムの実現ということで、全国津々浦々で展開するということを言われています。ありがとうございます。有松さんですね。

 概算要求もいろいろ要求されているようですけれども、ぜひやっていただきたいんですが、ちょっと何かばらまき感があって、私も文化人出身ですので、文化の発展というのは、やはり育成が非常に重要ですね。それから、二〇二〇年のときにわあっとお金をかけて盛り上がっても、それで終わりじゃいけないわけですから、施設なども本当はそうでしょうけれども、継続が大事であって、やはり分権をしていくということ、各地域に自由にやってもらっていくということが、この文化のプログラムを史上最大規模にするためにも決定的に重要かと思いますが、そういった内容がちょっとよく見えないので、そういった育成、そして地方に任せるという観点での御見解をお尋ねしたいと思います。

西川委員長 文化庁有松次長。

 質疑時間が終了していますので手短にお願いします。

有松政府参考人 ただいま、既に先生からお話がございましたように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックをスポーツと文化の祭典とすることによりまして、世界じゅうの人々を日本の文化で魅了し、交流促進の機会としたいと私ども文化庁も考えております。

 ただいま御指摘がありましたように、全国津々浦々で史上最大規模の魅力ある文化プログラムを実施するためには、文化プログラムのための魅力ある文化芸術の取り組みですとか担い手の育成、あるいは地域の文化資源の魅力を再発見したり、その活用、発信を促すための取り組み、そして、文化芸術の世界への発信などといったような取り組みが重要であると思っております。

 そのために、私どもでは、まず、二〇二〇年に向けたブラッシュアップの最初の年でございます平成二十七年度の概算要求におきまして、文化プログラムの育成、地域津々浦々の環境整備、そして発信の強化、これらを重点施策といたしまして概算要求をしているところでございます。

 そして、御指摘のございましたように、二〇二〇年で終わることなく、その文化プログラムを契機といたしまして、二〇二〇年以降、さらに日本の文化力を世界に向けて発信し、二〇三〇年には真の文化芸術立国を実現させたいというつもりで進めてまいりたいというふうに思っております。

田沼委員 時間ですので終わりますが、二〇三〇年までに真の文化立国と言うからには、二〇年以降の計画もかなり具体的に、特に分権という観点をぜひ盛り込んでいただきますようお願いいたしまして、終わりとします。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは、オリンピック、閣法の合同審査ということでございます。

 オリンピックの前に、アジア大会がございました。仁川で開かれたわけでございますけれども、四十五カ国、九千五百人、一万人近い人が競ったわけでございます。かなりメダルも皆さんとられて、日本としては非常に成功した仁川大会だったのかなというふうに思いますけれども、やはり、この大会そのものが、非常に問題が多かったというような報道がなされておりました。

 特に、思い切った経費節減をしてコンパクトにやっていこうということでやられたわけでございますけれども、東京オリンピックもこれに近いコンセプトを共有して進めるということでございますので、このコンパクトな中でも、どうやってめり張りのきいたいいものにしていくのかということをお伺いしたいと思います。

 仁川の場合は、輸送と警備といったところでかなり不備が指摘されて、外国の要人が会場に着いて次の要人と会う、そういったこともままならないようなことがあったというようなことも報道されていたり、やはり、かけるところはかける、絞るところは絞る、このめり張りが大切なんだという非常に示唆に富んだ報告が多かったように思います。

 そこで、お金の規模やその配分、これはまた閣法でしっかりやると思います。私が一番大事だと思っているのは、実はボランティアの方々にしっかりと働いてもらうためにどうするのかというのをしっかり考えなきゃいけないと思うんですね。ただ、ボランティアというのは一朝一夕に育つものじゃありません。やはり育てていくものだと思っております。

 そこで、大会運営本部等はボランティアメンバーをどうやって確保していくのか、教育していくのか、そういったところをぜひお聞かせいただきたいと思います。

久保政府参考人 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの円滑な実施に当たりまして、ボランティアの協力は必要不可欠でございます。その育成及び確保は重要な課題であると認識してございます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックのボランティアの規模等につきましては、今後、組織委員会において相当の部署を設置し、検討していくものと承知しておりますし、東京都と組織委員会が連携しながら、その育成をまず図っていく部分があるところでございます。

 また、文部科学省におきましても、スポーツボランティアにつきまして、来年度から、スポーツボランティア活動を実施している個人や団体及びボランティアバンクなどの活動実態を調査いたしまして、人材と活動現場とのマッチング手法やボランティア団体創設の具体例を取りまとめまして、地域のスポーツ活動で活用できるガイドブックを作成することを考えているところでございます。

 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催も見据えまして、これらの成果を全国に普及啓発することによりまして、ボランティア人材の育成確保、活用を推進してまいりたいと考えております。

柏倉委員 ぜひ組織的、計画的にボランティアの育成に努めていただきたいと思います。

 ボランティアが非常に大切だということを申し上げました。そのほかの、お金のかからないオリンピックの施策というのも当然しっかりとお考えになられていると思います。

 二〇一二年のロンドン・オリンピックは、効率的なオリンピックという観点からは非常に成功したということも言われておりますが、ロンドン・オリンピックのそういった観点からの政府の見解並びにお金のかからないオリンピックの施策等、現在も進んでいるものがございましたらお聞かせいただければと思います。

久保政府参考人 大会開催予算につきまして過大なものとすべきでないことは当然でございまして、国際オリンピック委員会からも堅実な予算管理とコスト削減が求められているところでございます。

 このため、オリンピック・パラリンピック競技大会の準備、運営に当たる経費につきましては、大会の準備、運営の中核となります大会組織委員会が、放映権料などでございますIOCからの負担金、チケット収入に加えまして、企業によるスポンサーシップ等の外部資金の獲得を図りますとともに、ロンドン・オリンピックで多くの国民が参加したボランティアの活用などの例も参考にしながら、競技大会の適切な運営が行われることとなるものと考えております。

 一方、恒久的な施設の整備費につきましては、国と東京都がそれぞれ行うこととなってございまして、国におきましては、国費のほとんどを占めます国立霞ケ丘競技場の改築経費につきまして縮減したところでございまして、東京都及び組織委員会におきましても、現在、競技会場の見直しを検討しているところでございます。

 今後とも、堅実な予算管理とコスト削減が適切になされるよう、組織委員会と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 もう時間がないですから、端的に、あと一問だけ質問させていただきます。

 スポーツ、運動というのは、やはり心身の充実、クオリティー・オブ・ライフを高める必須の要素だというふうに思っております。

 その中で、オリンピックということで、体育、こういったものが政策の中でかなりフォーカスされているわけですけれども、私は、継続的に、運動を通した、やはり文化貢献も含めて、しっかりとスポーツというものを組織的に後押ししていく、そういった国の計画が必要だと思います。

 そこで、文科省から独立した、そして、あらゆるスポーツに関する施策を集約していくスポーツ庁、スポーツ長官というところの、政府としての今後の検討はどのようにお考えになっているのでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、スポーツ立国を実現するために、二〇二〇年以降もスポーツに関する施策を総合的に実施できる体制を構築することが重要であると考え、文部科学省では、スポーツ基本法の規定等も踏まえ、来年度の機構・定員要求でスポーツ庁の設置を要求するとともに、現在、関係省庁とスポーツ庁の業務、定員の移管について調整をしているところであります。年末には調整を終え、来年の通常国会に設置法案を提出し、来年の秋ごろにスポーツ庁を設置できるよう取り組んでいきたいと考えております。

 スポーツ庁長官については、スポーツに関して深い識見と愛情を持った方が適任と考えておりますが、どのような方にお願いするかどうかについては、今後検討してまいりたいと思います。

柏倉委員 時間が来ました。どうもありがとうございました。

西川委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日、こちら文部科学委員会及び内閣委員会の連合審査会、質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、時間も七分と限られておりますので、質問に入らせていただきます。

 まず、これは事実認識ということでございますけれども、オリンピック、IOCが特に重要視するこのレガシーとは一体何でしょうか。

久保政府参考人 レガシーといいますのはいろいろな角度から捉えることができますけれども、端的に、今、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会で検討いたしておりまして、来年二月の大会基本計画に載せていく、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを契機としてつくり出して、それを後世の方々に伝えていくものということだと思っております。

三谷委員 そうなんです。後世にしっかりとポジティブなものとして残し伝えていくもの、このレガシーというものをどのように今回の二〇二〇年の東京オリンピックにおいて理解をしていくのかというのが非常に重要なことではないかというふうに考えております。

 その中で少し質問させていただきますけれども、今回、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックにおいて、国家予算というものを主に使われるのはどちらになるでしょうか、お答えください。

久保政府参考人 予算という意味では、東京オリンピック・パラリンピックの実現のための施設、国立競技場の整備、選手がたくさんメダルをとれるようにするための選手強化費用、日本国じゅうでスポーツが盛んになりますためのさまざまな予算、こういった点がオリンピック・パラリンピックに合わせまして使われるところじゃないかと考えております。

三谷委員 先日、九月の終わりのことになりますけれども、自民党の行政改革推進本部という中で文部科学省及びJSCとの間で意見交換が行われたというふうにこちら伺っておりますけれども、その際に、今回の国立競技場の建設に要する費用、場合によっては二千億円を超えるような可能性もあるというふうな話を聞いております。この国立競技場の建設というものに今幾ら予定をしておりまして、その中で国が抱える、負うべき費用が幾らか、そしてその後の年間維持費は幾らというふうに今見積もられているか、この三点についてお答えください。

久保政府参考人 国立競技場の総事業費につきましては、概算で、現時点では競技場建設費が約千三百八十八億、周辺整備費が約二百三十七億の、合計千六百二十五億円を見込んでございます。

 今御質問の、このうち国費をどれぐらいかけるか、中には東京都にも負担を要請しているところでございまして、さらにサッカーくじの売り上げの中から幾らか支出するように法律改正をしていただいたところでございますけれども、その案分につきまして、今後具体的に詰めていくことになると思います。

 また、建設の維持費につきましては、スポーツ大会やコンサートなどのイベントの事業による運営収入により賄うことといたしておりまして、独立行政法人日本スポーツ振興センターが本年八月に公表いたしました収支計画の見通しによりますれば、年間約三億円の黒字、収入が約三十八億円、支出が三十五億円、約三億円の黒字と試算しているところでございます。

三谷委員 今、三億円の黒字というふうな話が、実際それが本当にお手盛りじゃないかどうか。今の国立競技場の年間の維持費は大体五億円から七億円というふうに伺っておりまして、その収入を今の七倍、八倍ぐらいに果たして本当にふやすことができるのか、これはもう明らかにお手盛りじゃないかというふうに思っております。

 その中で、もう時間も限られておりますので、まずは文部科学大臣といいますかこの担当大臣に、レガシーという意味で負の遺産を残さないというようなことで、今の競技場の建設というものに対してのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 今御指摘のように、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、ぜひハード、ソフトを含めたレガシーを残していきたい、国内だけではなく、世界に対するアピールできるレガシーを残してまいりたいと思います。

 そして、今、そんなに収益が上がって黒字になるのかという話がありましたが、今まで国立競技場は、屋根がないということで周辺の騒音問題がありまして、コンサート等は年一回程度しかできなかった。これを、仮設の屋根をつくることによってコンサートが今度できるようになります。こういう文化イベント等を行うことによって、運営収入等、収益が出ることによって年間三億程度の黒字になる。これは決して無理な数字ではなくて、十分ペイできるようなことができるんだろうというふうに思いますし、しっかりとしたレガシーをつくってまいりたいと思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 それから、時間が限られておりますので、官房長官に一点だけ質問させていただきます。

 専従のオリンピック・パラリンピック担当大臣をこのたび新しく新設されるということでございますけれども、この中で、果たして、先ほども近藤委員の質問にもありましたとおり、どこまでの役割を持って、どれぐらいの仕事ができるのかというところにも一つ疑問はあるんです。

 我々みんなの党といたしましては、官僚組織のあり方ということで、今回の担当大臣というものをつくる、そして今、オリパラ推進本部というものを何か下につくられるということでございますけれども、この推進本部を、オリンピック・パラリンピック推進庁ですとか、そういった省、庁に格上げをしてそういったものを常設化するということがお考えにあるのか、ないのか。これは、ぜひともやっていただきたくないということなんですけれども、この点について官房長官のお考えを伺いたいと思います。

菅国務大臣 考えていません。

三谷委員 ありがとうございます。もう今ので結構でございます。

 行政庁のあり方というものについても、しっかりと我々みんなの党として目を光らせていきたいというふうに考えております。引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 そもそも二〇二〇年の夏季五輪については、我が党は東京招致について反対をしてまいりました。しかし、昨年九月七日にIOC総会で東京開催が決定した後は、そのIOC総会の決定を尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努めると同時に、開催に当たっては内外からさまざまな不安と疑問の声が出されておりまして、無条件の信任ではない、こういう立場を明確にしてまいりました。

 国会では、昨年十月の衆参両院本会議での東京五輪成功決議に際しては、決議の提案者には加わらず、あえて反対しないという態度をとり、昨年十二月の衆議院文部科学委員会での成功決議については、「大会開催が、東日本大震災の被災地を含めた日本全体が活力を取り戻し更なる発展に向かう好機となる」との文言があったために、反対をいたしました。無条件に賛成はしておりません。

 開催計画の見直し、新国立競技場の建てかえのありようなど、国民、都民の生活や環境と調和のとれた、簡素で無理のない取り組みとすることが求められていると思います。

 そこで、新国立競技場の建てかえ問題を初め、東京オリンピックの開催には国民や都民からさまざまな不安や疑問、異論、懸念の声が出されております。オリンピック開催に対するこういったさまざまな声に謙虚に耳を傾けながら、開催計画についても見直すことなど、幅広い国民、都民の合意のもとでこの大会が開催できるように準備を進めていくことは当然だと私は思いますが、オリンピック・パラリンピック担当大臣の御見解を求めます。

下村国務大臣 東京オリンピック・パラリンピック大会の招致の実現は、国民の理解を得る努力を進めながら関係者が協力した招致活動が実を結んだものであるというふうに認識しております。

 東京大会を成功させるためには、しっかりと国民の理解と協力を得ていくことが必要不可欠であり、そのためには、御指摘のように、国民の声に真摯に耳を傾けること、これは当然のことだと思っています。

 私のもとにも、これまでに、全国の地方自治体等さまざまな立場の方々からさまざまな御提案や御要望、御意見をいただいているところであり、これらの声については、必要に応じ、組織委員会や東京都とも情報を共有しながら取り組んでいるところであります。

 今後も、こうした国民の声を聞きながら、二〇二〇年東京大会の成功に向けて引き続き努力をしてまいります。

宮本委員 そこで聞きますけれども、安倍内閣として東京オリンピック・パラリンピック大会をどのように位置づけているのか。そこには、経済成長の弾みにする、こういうことも考えておられるのか、オリンピック担当大臣にお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 二〇二〇年オリンピック・パラリンピックは、東京一極集中を加速させるものではなく、日本全体を元気にし、さらなる発展を目指すための大きなチャンスと捉えることが重要であると考えています。新たな日本の創造を果たすような総合的な対策をオールジャパンで推進することにより、東京大会の効果を日本全国へ波及させるべきであると考えます。

 このためには、日本各地の豊かな地域資源を積極的に活用しつつ、スポーツを通じた国際交流やオリンピック・パラリンピック教育の実施、そして文化芸術等のプログラムの実施、これを二〇一六年リオ・オリンピック・パラリンピックが終わった直後から幅広く展開をして、日本全国での機運を盛り上げていきたいと考えております。

 文科省としては、地方創生の視点も踏まえながら、こうしたオリンピック・パラリンピック・ムーブメント、これを全国へ波及させるためのさまざまな取り組みを二〇二〇年に向けて検討してまいります。

宮本委員 文化についてもしっかり取り組んでいく、議論があったと思いますが、そのことに私たちは異論はもちろんないんです。

 ただ、ことし四月二十二日の二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議の第一回の会合で安倍首相から指示があった。世界に日本を発信する最高のチャンスとして、我が国が活力を取り戻す弾みとするんだ、地域の活性化、観光振興等に資することを重視して取り組んでいくと。

 だから私たちは、オリンピックというのはスポーツを通じて国際平和と友好を促進するというものであって、これを経済成長の弾みにするというのはやはりそうじゃないんじゃないかということを申し上げているわけですし、こういう姿勢から、国民や都民の中には、オリンピック開催にさまざまな疑問や懸念が寄せられているという面もあると思っております。

 それで、今回のオリパラ特別措置法案は、これまでの東京オリンピック、札幌オリンピック、長野オリンピック、サッカー・ワールドカップの特別措置法とは違って、内閣に全大臣から構成される推進本部を設け、基本方針を作成、専任の担当大臣を置くというふうにしております。

 そこで、過去のオリンピック大会において、今回のような、全閣僚が参加する推進本部のような会議体が設けられたことがあるかどうか、お答えいただけますか。

久保政府参考人 過去の大会の例では、一九六四年の東京大会の際にはオリンピック東京大会関係閣僚懇談会が設置されておりましたが、主要関係閣僚がメンバーでございまして、今おっしゃられたように、全閣僚がメンバーというわけではございません。ただ、主要閣僚はメンバーに入っておられるということでございます。

宮本委員 オリンピック・パラリンピックの大会の成功に東京都、組織委員会とともに国が支援をする、これは必要なことだと思います。各省庁にまたがる行政事務の総合調整を行う、これもあり得ることだと私たちは考えます。しかし、先ほども答弁があったように、全閣僚が参加する会議体というものは、これまでのオリンピック開催に当たっては設置されていなかった。これは事実としていなかったわけです。

 そこで官房長官にお伺いするんですけれども、あえて本法案で全大臣が構成員となる推進本部を設置する理由はどういうものでありますか。

菅国務大臣 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に当たっては、まさに政府として取り組む事項というのが多数にわたっているというふうに考えます。

 先ほども申し上げましたけれども、前のオリンピックの際には訪日の外国人訪問客が三十五万人、これが二千万人と私どもは予測をしています。さらには、当時予測をされなかったサイバー攻撃、ロンドン・オリンピックでは二週間の間に二億一千二百万回攻撃があったとも言われております。

 そういう意味で、そういう状況の中、円滑な入国だとか、あるいは無線LANなど、新しい、当時考えられなかったそういう環境整備、テロもそうですし、感染症対策とか、そういうものを考えたときに、やはり、政府を挙げて二〇二〇年のオリンピックを成功させるために全構成員としてこの本部をつくるということでありますし、そしてまた、今回新たに選任をする、今法案でお願いをします担当大臣が全省庁をぜひ調整をしてこの大会を何としても成功したい、そういう思いであります。

宮本委員 なるほど、現在、いろいろな省庁の施策が二〇二〇年オリンピックに向けて並べられております。

 例えば、ことし三月二十七日に開催された二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会関係府省庁連絡会議の東京都との連絡協議会幹事会のリストというものを私はここに持ってきましたけれども、この中には、先ほど官房長官が述べられたテロ対策などもありますけれども、「輸送手段の整備」として「三環状道路の整備」というものがこれは入っているわけですけれども、オリパラ担当大臣、これは間違いないですね。これは担当でもいいです。

下村国務大臣 入っております。

宮本委員 この三環状道路というものは、圏央道、外環、中央環状の三つをいうのでありまして、外環道、東京外郭環状道路の建設計画などは、地下十六キロを通す計画に総額一兆六千億円、何と、一メートルつくるのに一億円というとんでもない道路計画であります。全閣僚から成る推進本部をつくって、オリンピックの名のもとに上からこのような事業を推し進めるなどということは、断じて許されないと言わなければなりません。

 さらに本法案は、内閣法を改正し、二〇二〇年度末までの間、国務大臣を増員し、専任の担当大臣を置くとしております。確かに、前回の東京オリンピックなどでも担当大臣は任命されておりますけれども、過去のオリンピックで担当大臣が任命されたのはどの大会で、それぞれ、任命された期間、専任であった期間はどの程度であったのか、内閣官房にお答えいただきたい。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 過去にオリンピック担当大臣が置かれておりましたのは、昭和三十九年の東京大会と昭和四十七年の札幌冬季大会でございます。

 昭和三十九年の東京大会の際には、昭和三十七年六月一日から昭和三十九年十一月九日までの約二年五カ月間、オリンピック担当大臣が置かれておりました。そのうち専任の大臣が置かれていた期間は、昭和三十九年七月十八日から十一月九日までの約四カ月間でございます。

 また、昭和四十七年の札幌冬季大会の際には、昭和四十三年十二月十日から昭和四十七年七月七日までの約三年七カ月間、オリンピック担当大臣が置かれておりました。そのうち、専任の大臣が置かれていた期間はございません。

 以上でございます。

宮本委員 東京オリンピックで二年五カ月、札幌オリンピックで三年七カ月、専任で置いたのは東京大会前から四カ月弱というのがかつての前例ですね。

 現在でも、オリンピック・パラリンピック担当大臣は既に下村大臣が任命されております。他の法律で、例えばIT基本法とか、今国会に出ている地方創生の担当大臣が設けられておりますけれども、専任させるために大臣の増員というようなことは行っておりません。

 官房長官にお伺いしますが、なぜ今回、オリンピック・パラリンピック担当をわざわざ専任にして、しかも大臣の数までふやさなければならないのか、その理由についてお答えいただけますか。

菅国務大臣 まず、オリンピック・パラリンピック大会という、世紀のこれは大事業だというふうに思います。そして、我が国が、国際社会、少子高齢化時代、そうした中にあって、世界から二〇二〇年に多くの外国の方を日本に受け入れてこの大会を開催するという、そういう意味で我が国が、文化的にも、もちろんスポーツの面においても、あるいはこの国のあり方、そうしたものを踏まえる上でも極めて大事な大会であるという考え方のもとにこのような仕組みをつくらせていただきたいということであります。

宮本委員 世紀の大事業で大事だ、こういう話でありますが、内閣の他の重要な行政事務についても兼務で担われている現状があります。オリンピック・パラリンピックの準備だけを特別視することはできないと思うんです。

 専任で担当大臣を置かなければならない必然性に乏しく、むしろ、専任させることで、先ほど指摘した推進本部の設置とあわせ、オリンピックを名目とした都市再開発や大型公共工事の推進、投資など、あなた方の言う成長戦略をより強力に推進する体制をつくろうとするものにほかならないと言わなければなりません。

 オリンピックを成長戦略に位置づけるやり方は、オリンピック精神に照らしても、また、簡素で無理のない取り組みを求める国民や都民の声にも逆行するものであることを指摘し、私の質問を終わります。

西川委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛です。

 あしたも文部科学委員会の方で質疑の時間をいただいておりますので、ここでは、問題の一つと指摘されています今回の国務大臣の増員についてを中心に淡々と質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、この国務大臣の一名増員については、本法律案の附則ではなくて、本来の手続であります内閣法の改正によって増員するべきではないかというふうに我々も考えておりまして、なぜ今回、内閣法の改正で対応ができなかったのか、まずその点についてお伺いをいたします。

菅国務大臣 今回の特措法案においては、大会の円滑な準備及び運営に関する施策を総合的そして集中的に推進をするために、内閣に推進本部を置くと同時に、副本部長としてのオリンピック・パラリンピック担当大臣を置くことにいたしております。また、内閣法の改正は、この副本部長に当たる担当大臣を専任で置くことができるよう、国務大臣を一名増員するものであります。

 このように特措法の本則において推進本部また副本部長の担当大臣を置くということは、内閣法というものを改正して大臣を置くというそういう方法とも、これはある意味では一体の内容であるというふうに思います。

青木委員 菅官房長官に大変恐縮ではございますが、内閣法の改正でなぜ対応できなかったという明確な理由がちょっとまだ腑に落ちないのではありますけれども。

 前例として、復興庁設置法の附則で増員をした前例があることは承知をいたしておるんですけれども、国務大臣の増員というのは大変大きな、重要な事項でありますので、今回、オリパラの特措法であって、関連する大臣ではあるものの、やはり内閣法の改正で対応するべきではなかったかなというふうに思っております。

 復興庁の場合はある意味緊急性も要したでありましょうが、今回まだ時間等はありますものですから、この点について、なぜ急がなきゃいけなかったのかという点について明確な御答弁をいただければと思います。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、内閣法を改正して大臣を増員することとは一体の内容である、そういう考え方からも一つの法律にさせていただいたということであります。

青木委員 一点、ちょっと素朴な疑問としてお伺いをさせていただくのですが、文科省にも確認をしていないので大変唐突な質問かもしれませんけれども、附則で今回対応する場合、この附則の記述なんですけれども、前回の復興大臣のときもそうなんですが、ある意味、臨時で、時限で増員をする大臣でありますが、平成十三年の改正では、国務大臣については「十四人以内とする。」となっております。「ただし、特別に必要がある場合においては、三人を限度にその数を増加し、十七人以内とすることができる。」と規定されていまして、これが今の原則だと思うんですけれども、平成二十三年のときに、復興庁設置法の附則で一名増員をしました。そのときには、十五人以内の国務大臣で、やはり特別に必要のある場合においては、三人を限度にその数を増加して、全体で十八人以内にするとなったんです。今回、また一名増員で、十六人以内で、やはり三人を限度に増加をして、全体として十九人以内にするという記述になるんだと思うんです。

 これは素朴な疑問で、本体の大臣の数を一人一人ふやしていくということにちょっと違和感があって、必要がある場合において三人を限度に増加をしていくということなので、前回の復興大臣にしても今回のオリパラ大臣にしても、やはり必要がある場合においてということなので、その三人の中に含まれるのではないかなというふうに思います。

 本体をどんどん一名ずつふやし、その都度、三人を限度にというのをそのまま据え置きにすると、ますます大臣の数が膨らんでいきます。いわゆる行革とのある意味逆行というふうに捉えられないかなという素朴な疑問を持ったのですけれども、この附則の記述についてはどのように理解をすればよろしいでしょうか。

菅国務大臣 まず、今回お願いしておりますのは、この東京オリンピック・パラリンピックという競技大会まで六年に差し迫っている中で、省庁横断的な課題に強力なリーダーシップで調整できるための大臣を実はお願いをさせていただいています。

 三人限度というのは、臨時で増員する場合ということであります。今回は、このオリンピックの開催まで六年間あるわけでありますので、臨時というよりも、六年間というスパンでありますので、この本文の人数十四人を増員する、そういうことをお願いをさせていただいているところであります。

青木委員 その趣旨はよく理解をしているんですけれども、附則のこの記述の仕方について若干違和感を感じたものですから質問させていただきまして、必要があればまた検討課題に加えていただければというふうに思います。

 続きまして、先ほどから何度ももう質問に出ているんですけれども、大臣間の役割分担ということで、これからこの法案が通れば設置されるオリパラ大臣がやることと、それから文科大臣がなすべきこと、そして、今設置が検討されていますスポーツ庁のスポーツ庁長官というふうになるのでしょうか、文部科学省の外局に設置をされるということでありますけれども、こうした三者の大臣の役割分担、そしてスポーツ全体の統括という部分についてどのようなイメージを持っていればよろしいでしょうか。

下村国務大臣 まずは、オリンピック・パラリンピック担当大臣は、東京大会の円滑な準備及び運営に関し、個別の事務事業を実施する各府省から離れて、政府全体として東京オリンピック・パラリンピックに関する基本方針を作成するとともに、関係省庁間の施策の総合調整を行うものであります。

 一方、文部科学大臣は、東京大会に向けたアスリートの競技力向上など、文部科学省が所管するスポーツ振興や、競技水準の向上などの個別の事務事業を担当いたします。

 さらに、文科省の外局として設置を検討しているスポーツ庁は、スポーツ政策に関する司令塔的機能を果たすことを検討しております。

 このため、スポーツ庁設置後、東京大会の準備及び運営以外のスポーツ施策全体の統括については、文部科学省のもとでスポーツ庁長官が具体的な事務を実施することを検討しております。

青木委員 ありがとうございます。

 そしてこのオリパラ大臣なんですが、今回、ある意味、この特措法で無理に附則で盛り込むというふうに捉えているわけでございますが、このオリパラ大臣は、この法案が通ったとして、いつごろ任命されて、いつごろからこの任務がスタートするのか、教えてください。

山崎政府参考人 オリパラ大臣の設置に関する規定は、成立いたしましたら、公布後一月以内という早期に施行されることとなっております。

 具体的な任命時期につきましては、総理の御判断になるものと考えております。

青木委員 それでは質問をかえまして、このオリパラ東京大会におけるホストシティ・タウンの構想について、中でも文科省との関連で、学校における教育活動、一校一国・地域運動、この取り組みについて最後にお伺いをさせていただきます。

 過去における類似の取り組みについてあったかどうか、そして、自治体への呼びかけが始まっているという先ほど御答弁がありましたけれども、今回想定する規模についてお伺いをして、そして今後の見通しについてお伺いできればと思います。

下村国務大臣 過去における類似の取り組みとしては、一九九八年、長野オリンピック・パラリンピック冬季競技大会の際に実施された一校一国運動があります。大会開催の二年前から、長野市内の小中学校、特別支援学校の合計七十五校におきまして、一つの学校につき一カ国または二カ国を選び、相手国の選手や役員と交流を行うなどの国際交流活動が実施され、大きな成果を上げました。

 なお、長野大会の取り組みを継承する形で、二〇一四年ソチ大会、また、長野大会以降のオリンピック・パラリンピック開催地においても同様の取り組みが実施をされております。

 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会についても、日本全体の祭典であるとともに、世界に日本を発信する最高のチャンスであることから、政府を挙げてホストシティ・タウン構想を推進することとしております。

 この構想は、一校一国運動など学校における活動も含め、大会の参加国・地域と全国の自治体、関係団体との人的、経済的、文化的な相互交流を図るものであります。

 このような国際交流が、一過性のものではなく、大会後も継続して行えることで、我が国のグローバル化、地域の活性化、観光振興が図られ、日本全体のさらなる発展につながるものと期待をしております。可能な限り多くの全国の自治体、関係団体の参加を得ながら、国全体としてこの構想を力強く進めてまいりたいと考えております。

 ことし七月に、私が議長となり、関係省庁連絡会議を開催いたしました。現在、ホストシティ・タウン構想に対する自治体の意向把握に努めているところでありまして、この成果を踏まえつつ、二〇二〇年に向けて、さらなる取り組みの充実を図ってまいります。

青木委員 ありがとうございました。本日の質問は以上とさせていただきます。

 半世紀の時を経てつかんだこのビッグイベントの成功を誰もが望んでいると思います。後顧の憂いなきよう万全の体制を整えていただきまして、世界に誇れる大会になりますようお取り組みいただきたいことを申し述べて、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

西川委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 連合審査ということで、ふだん委員会でお目にかかることができない官房長官にまず質問をさせていただきたいというふうに思います。

 他の委員の方と重複をしてしまいますが、今回、附則において内閣法の附則を見直し、オリンピック・パラリンピック担当大臣を新たに置くこととしております。オリンピック・パラリンピックの推進本部が設置されている間という期間限定ではありますが、下村文科大臣が既にオリンピック・パラリンピックの担当大臣を兼任されている現状で新たに大臣枠を新設する必要があるのかということについて疑問を持たざるを得ません。

 もう既に多くの方から質問がありましたが、過去三回、日本で行われましたオリンピック・パラリンピックでも、これほど早く専任の大臣を置いた例はなかったというふうに承知をしております。

 今回、この時期に、兼任ではなく閣僚枠を一つふやして大臣を置かなければならない理由をまずお聞かせください。

菅国務大臣 まず、今回の二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会に当たっては、サイバーテロへの対応だとか、あるいは当時と比較をして、三十五万から二千万人の外国訪問の方が来られる。例えばロンドン・オリンピックでありますけれども、六年前からサイバー対策の準備をしていたということだったんです。そして、大会期間中に二億回を超えるサイバー攻撃があった。

 そういうさまざまな、近年行われていますオリンピック等の問題点を精査した中で、やはり今回、省庁横断的な課題に迅速に的確に対応する、そして調整をすることのできる強力なリーダーシップを持った担当大臣というのはどうしても必要だという判断をさせていただいたということであります。

 そしてまた、大会開催の準備の基礎となる大会開催基本計画を組織委員会が来年二月までに決定をいたしますので、政府としてもこのタイミングで法案をお願いをさせていただいていることであります。

吉川(元)委員 強力なリーダーシップということでありますけれども、他の委員の方からも質問がありました、果たしてそこまでの権限が付与されているのかという疑問を私も持たざるを得ません。

 そこで、大会推進本部について少しお尋ねをいたします。

 法案の六条で、オリンピック・パラリンピック担当大臣は官房長官と一緒に副本部長に就任をし、本部長である総理の職務を助けるというふうに書いております。オリンピック・パラリンピック担当大臣は、あくまで、推進本部の中では副本部長という形で本部長を支える役割となっております。担当大臣が本部長に就任するというのであれば、確かにこれは専任というのも必要なのかなというふうにも思わないではないんですが、ただ一方で、副本部長、しかも官房長官も一緒に副本部長を担われるということであります。

 それであるのであれば、この間、オリンピック・パラリンピックの担当を兼任され、先ほど、ボードでいろいろ議論もされてきたというそういういろいろな経過を十分承知をして精通をされている下村文科大臣がそのまま任に当たり、官房長官と下村大臣、強力なツートップで十分任に当たれるのではないかというふうにも思っております。

 そこで、大会推進本部における担当大臣の役割というものをどのように御認識されているのか、お尋ねします。

菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、オリンピック・パラリンピック大会というのは、まさに、開催準備に当たって、省庁横断的な調整役の仕事というのは極めて大事だということであります。

 そうした中にあって、個別の事務事業を実施する各府省から離れて、全体の進捗状況を見据えながら政府全体としての基本方針を作成する、さらには、その推進に当たって、関係省庁間の総合調整を担う専任の担当大臣として仕事を行う、まさに、政府が一丸となって効率的、効果的に対応していく体制を整える必要があるという形でお願いをしているところであります。

 文部科学大臣は既に教育、文化、スポーツ、科学技術などの文部科学行政のほかに教育再生も担っておるわけでありますから、これ以上事務に対応するのは、幾ら何でもそれは適当ではないという判断をさせていただいています。

吉川(元)委員 下村大臣であれば十分頑張れるというふうに私自身は思っております。

 ちょっと視点を変えまして、下村大臣の方に伺いたいと思います。

 今年度からパラリンピックの選手強化事業が文科省に移管をされたと承知をしておりますが、障害者スポーツも含め縦割りになっているスポーツ行政を一元化し、裾野の広いスポーツ庁が設置をされる、そういうことであれば、またそこの担当大臣あるいは長官ということで理解もできるわけではあります。

 昨年十二月に文部科学委員会で東京オリンピック・パラリンピックに関する質疑を行った際に、参考人として出席をされました鳥原光憲パラリンピック委員会委員長も、スポーツ行政の一元化に強く期待をされておられました。下村大臣もスポーツ庁設置法案を今国会に提出することに強い意欲を示されておりましたけれども、残念ながらではありますが、現時点でまだ法案は出されておりません。

 直接今回の法案とは関係ありませんが、スポーツ庁設置法案、なぜ今国会提出に至っていないのか、何が障害になっているのか、お聞かせください。

下村国務大臣 スポーツ庁の創設に当たりましては、文部科学省のスポーツ・青少年局をそのまま庁に格上げするということではなくて、各省庁からスポーツに関連する事務を移管することなどによりまして、スポーツに関連する施策を一本化、総合化する、そういう実施できる体制に構築をするということが重要であると考えております。

 そのため、文部科学省では、来年度の機構・定員要求でスポーツ庁の設置を要求するとともに、これまで、スポーツ庁の業務、定員の移管について他省庁と調整を図ってきているところであります。

 そういう来年度の予算要求に関係するものがあるものですから、この機構の定員に関係するということで、どうしても年末ぐらいまでは他省庁との調整に結果的に時間がかかってしまうということで、残念ながら今国会では間に合いませんでしたが、年末までには調整を終えて、来年の通常国会に設置法案を提出し、来年の秋にはスポーツ庁を設置できるように取り組んでまいりたいと思います。

吉川(元)委員 既にことし四月、閣議決定によってオリンピック・パラリンピック東京大会等に関する閣僚会議が設置をされ、それに先立ち、事務体制として、大会推進室、さらには、関係府省庁の事務を調整する関係府省庁連絡会議も設置をされております。

 少し質問を飛ばしていきますけれども、法案が成立して推進本部が設置された場合、これら閣僚会議、大会推進室、関係府省庁連絡会議の相互の関係というものはどのようなものになるのでしょうか。法案では推進本部の本部員に全閣僚が就任することになっておりますけれども、そうしますと、閣僚会議は廃止をされるという認識でよろしいんでしょうか。

久保政府参考人 今御指摘いただきましたように、この法案によりまして関係閣僚会議が格上げになって推進本部を設置するということになりますので、そうなりました場合には、閣僚会議はなくなるということになると思います。

 それから、次官級の連絡会議も今置かれております。これにつきましては、関係府省庁連絡会議は推進本部の下に位置づけられるという形になると考えているところでございます。

吉川(元)委員 では関連いたしまして、推進本部が設置をされますと当然事務局機能が必要とされますが、これは既存の大会推進室が当たるものと理解をしてよろしいのでしょうか。事務局機能の規模、所管の省庁についてお聞かせください。

久保政府参考人 現在は、この閣僚会議に関する事務につきましては、内閣官房二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会推進室が担当してございます。

 本部が設置された場合の事務体制といたしましては、現段階では未定ではございますけれども、引き続きこの推進室が事務を処理することが考えられるところでございます。

 あわせまして、この事務体制の規模につきましても現在検討中でございますけれども、二〇二〇年東京大会の準備業務が適切に推進できるような必要な体制を構築してまいりたいと考えているところでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので終わります。

西川委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後三時三十四分散会

     ――――◇―――――

  〔参照〕

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法案は文部科学委員会議録第六号に掲載


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