衆議院

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第5号 平成28年5月12日(木曜日)

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衆議院情報監視審査会規程第二十九条第四項に基づく会議録

    ―――――――――――――

平成二十八年五月十二日(木曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   会長 額賀福志郎君

      岩屋  毅君    平沢 勝栄君

      松本  純君    大塚 高司君

      後藤 祐一君    井出 庸生君

      漆原 良夫君

    …………………………………

   参考人

   (有人宇宙システム株式会社技術顧問)

   (元内閣衛星情報センター所長)          國見 昌宏君

   参考人

   (一橋大学国際・公共政策大学院非常勤講師)

   (前駐マレーシア大使)  中村  滋君

   参考人

   (特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長)          三木由希子君

   衆議院情報監視審査会事務局長           山本 直和君

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四月二十六日

 特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する報告が本審査会に提出された。

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本日の会議に付した案件

 行政における特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する件(平成二十七年年次報告書)


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     ――――◇―――――

額賀会長 これより会議を開きます。

 本日の審査会の傍聴並びに撮影及び録音につきましては、去る四月二十日の審査会において許可することに決定しております。

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額賀会長 行政における特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する件、特に平成二十七年年次報告書について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、有人宇宙システム株式会社技術顧問・元内閣衛星情報センター所長國見昌宏君、一橋大学国際・公共政策大学院非常勤講師、前駐マレーシア大使中村滋君、特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長三木由希子君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に対しまして一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本審査会に御出席を賜りまして、まことにありがたいと思っております。参考人各位におかれましては、今般私どもが提出をいたしました平成二十七年年次報告書につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をいただきまして、今後の審査会運営に役立てていき、国民の期待に応えていきたいと思います。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 國見参考人、中村参考人、三木参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと思います。

 なお、参考人各位に申し上げますけれども、御発言の際にはその都度会長の許可を得て御発言くださるようにお願いをいたします。また、参考人は委員に対しまして質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願いたいと思います。

 なお、御発言は着席のままでお願いをいたします。

 それでは、まず國見参考人にお願いいたします。

國見参考人 本日は、このような席にお招きいただき、私の意見を述べることを光栄と存じます。

 以下、五点につきまして私の意見を申し上げます。

 一点目は、現場における特定秘密文書等の取り扱いの状況及び保全の重要性についてであります。

 先生方は既に内閣衛星情報センターを御視察されたというようにこの報告書等から承っております。

 内閣衛星情報センターにおきましては、画像情報の分析、分析レポートの作成並びに情報収集衛星の管制等は電磁波の遮断が可能な二重ロックのシールドルームにおいて行っております。

 暗号を取り扱う部屋は、シールドルームの中にさらに部屋を設け、別の暗号キーを使用して入室し作業を行うように厳重に管理をいたしております。

 画像情報の配付を受ける情報コミュニティー省庁におきましては、内閣衛星情報センターと同様の保全施設を作成し、その中で画像レポートの確認等を行っております。

 防衛省情報本部や陸上幕僚監部では、特定秘密の文書等を文字盤鍵のかかる金庫に保管し、閲覧等作業の必要があるときは、文書等の出し入れの日時、件名、取扱者名などを備えつけの簿冊に記入させて管理をしております。

 金庫から取り出した書類等を扱う部屋は、ロックのかかった部屋に限定をしております。

 これらの書類の決裁、閲覧などの場合は、担当者が朱色の箱に入れて一件ごと閲覧等に供し、他の書類と混交しないように注意して、極めて慎重に取り扱っております。

 このような秘密文書の保全に失敗し、手痛い打撃を受けた事例の一点目は、昭和五十五年の宮永・コズロフ事件であります。

 私が陸上幕僚監部調査部の所属になって一年未満のときに、私の所属する部でこの事件が発覚し、その後、長期間にわたって、当時の防衛庁や陸上幕僚監部の中で調査部が孤立状態にあったのみならず、国内情報コミュニティーや同盟国、友好国の情報機関との接触が一切できなくなり、情報業務上多大な支障を来しました。

 保全の二件目は、昭和五十八年の大韓航空機撃墜事件であります。

 現在の情報本部電波部に相当する組織が入手した電波情報で、大韓航空機を樺太沖で撃墜した旧ソ連邦戦闘機の情報を、政府の方針で国連において公開しました。その結果、旧ソ連邦は直ちに暗号システムを変更し、その後、日本は長期間にわたって旧ソ連の電波情報の解読ができなくなりました。

 これら二つの例から得られた教訓としまして、情報業務は、国家、省庁ごと秘密保全の体制を構築し、その厳格な運用を図ることによって、同盟国、友好国及びその情報組織、そこで活動する組織の責任者間のそれぞれの信頼関係によって成り立っております。一旦この関係が崩れると、情報の共有、情報交換が困難になり、国の安全保障に必要な情報活動にとって大きな障害になります。だからこそ、情報の保全が重要であることを痛感いたしました。

 二点目に、実務に携わってきた者から見た特定秘密保護法の成立、施行の意義について申し上げます。

 国内的には、特定秘密保護法の成立、施行及び国家安全保障会議、国家安全保障局の設置に伴い、国家の安全保障にかかわる情報の共有と官邸を中心とする情勢の把握や政策決定が迅速に行われるようになったと感じております。

 特定秘密保護法の成立、施行以前は、国家としては国家公務員法にある守秘義務関連が唯一の規則であり、秘密保全に関する実行は各省庁が定める政令等に委ねられていました。このため、国家として情報活動を調整し、情報を共有して保全を統一する等の措置が必ずしも組織的、効率的に行われず、ストーブパイプの状態が続いていました。

 特定秘密保護法の施行に伴い、関係省庁の情報活動及び情報の共有、情報の保全に関する意識が着実に向上しつつあると仄聞をしており、喜ばしいことと感じております。

 国会の行政府に対する一般的な監視、監督は、従来、与党の府省ごとの関係部会や国会の委員会を中心に行われてきました。この点、情報は関係省庁にまたがる情報コミュニティーの活動であるため、関係する全省庁を横串的にチェックする活動はこれまでほとんどありませんでした。

 特定秘密保護法の施行に伴い、衆参両院に情報監視審査会が設置され、国会が行政府の行う特定秘密の指定、解除及び適性評価の実施状況について常時審査、調査することを通じて行政府の情報コミュニティー全体の活動を把握することは、立法府として重要な役割であると認識をしております。

 外国政府との関係について申し上げますと、従来、私が現役で活動していたころ、国家として秘密保護に関する法律が制定されていなかった場合においては、外国政府とより緊密な情報交換を実施する場合、国家として秘密保護法の制定が必要である旨、外国の情報機関から指摘をされておりました。

 秘密保護法の成立に伴い、国家として特定秘密の保護体制が整ったことから、諸外国との情報交換、情報共有が従来に比して一層緊密に進展し得るものと考えております。

 三点目に、特定秘密保護法において、国家の安全を保全する必要性と国民に対する情報公開との折衷をいかに担保するかについて申し上げます。

 衆議院情報監視審査会の発足に伴い、国会が行政府に対して、調査や審査を通じて、行政府が行う特定秘密の指定、解除及び適性評価の実施状況等が規則にのっとり正確に行われているかを国民の代表として確認し、保全上可能な範囲で公表することによって国民の知る権利に応えることは、民主国家として極めて重要であります。ここに、立法府に情報監視審査会が常設された意義と重要性があると認識をしております。

 四点目に、平成二十七年年次報告書を公表した意義について申し上げます。

 情報監視審査会が監視活動を常時行っていることによって、行政府に対し、緊張感を持って特定秘密保護法にかかわる業務を厳正に実行させることができ、同時に、行政府の特定秘密にかかわる関係者の認識を統一することができます。

 国民に対しては、国会が法に定められた行政府の特定秘密に係る監視活動を常時行っていると認識させることによって、行政府が国民の知らない闇の中で恣意的に特定秘密にしているのではないか、あるいは特定秘密と称して人権などにかかわる怪しげな活動をしているのではないか、一部マスコミ等で法案審査のときに指摘をされましたようなそのような誤解を抱かせることをなくし、国民に安心感を与えることができます。

 諸外国に対しましては、日本が特定秘密保護法の実行を厳正に行っていることを明確にすることになり、日本の民主主義に対しても、情報活動の実施に関しても信頼感を与え、より緊密な情報交換を行い得る素地を与えることができると考えます。

 五点目に、平成二十七年年次報告書に対する全般的な意見を申し上げます。

 まず、報告書を拝見して感じることは、法律施行から間もないためか、行政府各省庁の審査会に対する対応に認識の不統一やばらつきが見られ、対応の落差が大きいことであります。この原因は、省庁が特定秘密保護法の運用や当審査会の調査等になれていないことによるためと思われます。

 報告書の発行を通じてその内容を関係省庁が十分に理解すれば、各省庁も勉強を積み、試行錯誤を脱して、今後は審査会の調査等に対する対応もスムーズにいくものと思われます。

 同時に、行政府と立法府の間での信頼感の積み上げを通じてチェック・アンド・バランスをとることも重要であると考えます。

 保全上の観点からの意見を申し上げます。

 報告書の発行によって、行政府のどこの部局がどのような特定秘密を取り扱っているのか、その概要が明らかになりました。我が国の安全保障に対して関心を寄せる対象国と申しますか特定の国の情報機関から見れば、どこの省庁のどの部局の人を対象に工作を行えばどのような情報に接することができるかが明確になったと言えます。

 このような意味から、報告書の発行の際、審査会の活動を記述する上で、国民の知る権利に応えるとともに、行政府と協議するなど、保全上の配慮にも着意されてはいかがかと考えます。

 保全上の配慮の必要性は、特定秘密文書の件名についても同様であります。その内容を明確に類推できるような件名にすると、件名そのものが秘密、いわゆる省庁の秘で取り扱う必要が生じる場合が出てまいります。

 次に、報告書の「政府に対する意見」、八、九ページでございますが、その(2)項について申し上げます。

 陸上自衛隊で師団長や連隊長を務めさせていただいた経験から申し上げますと、現場に混乱を生じさせない調査等の方法について御検討いただきたいと思います。

 防衛省では、陸海空の部隊レベルごとに、防衛出動等、我が国の安全を確保するための部隊の行動に関する情報を特定秘密文書等として作成し、保有しています。文書等の作成は連隊、大隊レベルまでであり、海上自衛隊にあっては護衛艦ごとで、ペルシャ湾で海賊対処に当たっている護衛艦も含まれます。関係する部隊等は数千に及び、文書の保有件数は、ことしの四月に発表されましたこの報告書によりますと、昨年十二月三十一日時点で七万二千三百二十五件に及ぶというようにあります。これら部隊は、特定秘密文書等管理簿をその部隊ごと管理しており、審査会に提出させることになれば、部隊の現場では大変な混乱を生じることも危惧されます。

 例えば、中央省庁で保有している特定秘密文書等管理簿は審査会に提出させ、部隊等地方機関で保有しているものは審査会が抽出的に現地で調査を行うなど、現場の実態に応じた対応をお願いしたいと思います。

 次に、報告書の「政府に対する意見」(5)項についてであります。

 国民の知る権利に対し国は積極的であるべきであり、その意味で(5)項の指摘は重要であります。

 同時に、特定秘密は、国の安全保障に関する情報のうち、特段の秘匿の必要性があるものであります。公表に当たっては、国民の知る権利に積極的に応えると同時に、国の安全保障を毀損することのないよう、関係文書の表現について特段の注意を払うようにお願い申し上げたいと思います。

 以上で終わります。(拍手)

額賀会長 ありがとうございました。

 次に、中村参考人にお願いいたします。

中村参考人 まず、本日、本審査会の場において意見陳述の機会をいただいたことに感謝申し上げます。

 平成二十六年十二月に本審査会が発足し、本年一月までの約一年二カ月間の活動を経て、今回初めての年次報告書が発出されたと承知しました。

 特定秘密の保護に関する制度は新しい制度であり、かつ極めて複雑であることから、この制度について、政府による制度の運用を適切に監視するという作業を確立することは困難であったと想像されます。この困難な作業を見事に果たされました額賀審査会長初め各委員のこれまでの御尽力に敬意を表したいと思います。

 十一年前、平成十七年九月にさかのぼりますが、当時町村外務大臣の指示で対外情報機能強化に関する懇談会が設置され、対外情報機能の強化に向けての提言が行われました。その中で、「秘密保全に関する法体系が未整備である現状は、情報が漏洩される危険性のみならず、国内外の関係機関間の情報共有を妨げる大きな要因ともなっている。秘密に接する者を対象に法的義務を課する制度の確立や、外部からの侵入に対して安全な情報伝達方法の確保を含め、秘密保全の法体系の整備は、国家として必要な情報の共有、総合調整を可能とする必要条件である。」との提言がなされております。このような問題提起が今ここに特定秘密保護法という形で運用されることは、重ねて喜ばしく思う次第でございます。

 本報告書に関しての気づきの点を申し上げたいと思います。

 本報告書には、本審査会における調査を通じて委員間で問題点や改善すべき点として認識が共有できた六項目について、本審査会の意見という形で記されております。傾聴すべき内容であると考えます。

 以前に政府内にいた人間として申し上げれば、新たな制度の導入に当たっては、国民への説明責任を果たす必要性と守るべき情報を適切に管理する必要性とのバランスをどうとっていくか、難しい要素があると考えます。

 特に外務省は、相手国や機関との関係上、非公表、秘密の扱いがなされる文書が多いわけですが、これは、情報自体を秘匿する必要性のみならず、相手側との信頼関係を守るという観点からも重要であります。例えば、相手側から秘密を維持する前提で情報提供を受けた場合、これを漏らしてしまえば、今後の情報提供が受けられなくなります。場合によっては情報提供者の立場を悪くすることもあり得るので、情報提供者との信頼関係は、情報活動において極めて重要であると考えます。

 例えば、特定秘密指定管理簿や特定秘密指定書など、基本的には公表を前提として作成される文書において、具体的にどのような内容の文書が含まれているかがある程度想起されるよう記載するということは、ある情報を提供したこと自体を厳に秘匿してほしいと我が国政府を信頼して情報を提供してきた相手方との関係では、相入れない問題となるおそれがあると考えられます。

 こうした点につき、漏えいすれば我が国の安全保障に著しい支障がある情報を的確に保護するという特定秘密保護法の趣旨との関係でどのように扱うべきか、慎重に検討していく必要があると思います。特に、非公開という性格を有する審査会の場で冷静に審議していただくことが適切と考えます。

 今後の調査方針及び課題について、一言申し上げたいと思います。

 本報告書には、「今後の調査方針及び課題」として、本審査会の今後の方針を明らかにされており、率直に評価いたしたいと思います。その上で、気づきの点を以下のとおり述べさせていただきます。

 本報告書は、特定秘密の指定の適正性を審査するには二つの側面からのチェックが必要とした上で、一つに、本来国民に開示されるべき情報が省庁による恣意的な運用により特定秘密に指定され、隠蔽されていないかをチェックすることと、二つに、本来特定秘密に指定すべき情報を極秘や秘に指定するなど、省庁が適切に指定しないことについてチェックすることの二面を挙げておられます。

 前者については、適切な対応であると考えます。

 後者については、個人的に違和感がございます。特定秘密は、最も高度な秘匿の扱いを要するべきものであり、特定秘密を超える秘密は存在しないとのもとで、極めて限定的に指定されるべきものであり、詳細な指定の基準を設けて指定を行っていると解しております。本審査会が特定秘密の運用を監視するとの趣旨から見ても、特定秘密に指定すべきものがさらに多くあるのではないかとチェックし、さらに特定秘密に指定されるものをふやす審議を審査会が行うということは果たして適切かどうか、疑問なしとはしません。

 特定秘密制度は、特に秘匿することが必要である情報に限り、その漏えいに対する処罰を通常の秘密の漏えいに対する処罰と比べて重くするなど、かなり厳格かつ厳重な管理を求めるものであります。この上で、特定秘密の指定は厳に抑制的であることが求められるのではないかと考えます。

 最後に、冒頭申し上げたとおり、特定秘密の保護に関する制度は、全く新しい制度として運用が開始されてからまだ一年半であり、運営を定着させるために丁寧な取り組みが求められていると思います。まずは、審査会などを通じ、立法府と行政府間の公式、非公式のコミュニケーションを継続して、両者間の認識のギャップを埋め、特定秘密の保護に関する制度がより円滑に機能することが望まれます。本制度の適切な運用に向けた関係各位の努力に改めて敬意を表するとともに、本制度がさらに有益なものとなるよう祈念する次第でございます。

 ありがとうございました。(拍手)

額賀会長 ありがとうございました。

 次に、三木参考人にお願いいたします。

三木参考人 情報公開クリアリングハウスの三木と申します。

 本日は、このような機会をいただいて、大変ありがとうございます。

 私は、特定秘密保護法案の国会審議においては、反対の立場から意見を参考人として申し述べる機会もいただきまして、基本的には賛成ではございませんが、一方で、特定秘密に限らず、政府は秘密指定というものをこれまでもやってきておりまして、秘密と公開というものは、従来から情報公開における大きな問題であったというふうに認識をしております。

 秘密がある以上は、どのように民主的にコントロールしていくのかという視点で制度そのものを見ていく必要もあるというふうに考えておりまして、特定秘密保護法が施行され、運用されている現状において、どのように国会あるいは政府の中で監視活動が行われていくのかということには非常に大きな関心を持っております。

 その一環といたしまして、私たちは外から運用を見るということしかできませんので、公開情報で制度の枠組みなり実態がどの程度わかるのかということを、この間、情報公開請求を通じていろいろと資料を収集しまして調査をしてまいりました。その結果をまとめたものが、皆さんのお手元に冊子としてまとめた形でございます。

 要は、公開情報でわかる以上のことをぜひ監視活動としてやっていただきたいというところで、公開情報でどこまでわかるかということをまず自分たちが学ばなければいけないという趣旨でまとめてございます。ですので、きょうは、多少細かいことになりますが、ぜひ、ここまでは監視活動できるのではないかということから意見を申し述べたいというふうに思います。

 それから、この間、政府から二つの報告書、先日公開されましたので三つになりましたけれども、それと、あと衆参両院の報告書というのが出てまいりまして、実は衆議院が一番報告書として内容があり、かつ特定秘密の状況を理解するのに有意な情報を提供いただいたということで、監視結果の報告がこのような形で公開されない限り、私たちは実態についてよく知ることができないということがございますので、ぜひ衆議院の情報監視審査会はこのまま頑張っていただきたいということを思っておりまして、そういう観点からも、大変細かいことで恐縮なんですけれども、きょうは意見を申し述べさせていただきたいと思います。

 監視活動について、二つの視点が必要だというふうに私は思っております。一つは、特定秘密に関する監視活動をどのように行うかということであります。もう一点は、特定秘密の実態を効果的に把握できる仕組みと運用をどのように構築していくかということ。二つの視点が必要だと思います。つまり、運用が監視にたえる形で行われていないと、逆に監視がしにくいということになるかと思いますので、二つの視点から、ぜひ特定秘密の運用に関して審査会として取り組んでいただきたいというふうに考えております。

 最初に、監視活動をどのように行うかという点で意見を申し述べさせていただきます。

 秘密は勝手に生まれるものではないと私、理解をしておりまして、政府の活動や方針、政策に伴って、必要な情報が作成され、収集、取得をされてくるということであると思います。ですので、特定秘密が妥当かどうかということは、政府活動そのものが適切かどうか、妥当かどうかということと切り離せない問題ではないかというふうに考えております。ですので、特定秘密の指定情報だけを見てそれが妥当かどうかを判断することは、恐らく非常に困難なのではないかと思っております。

 報告書を拝見しますと、政府活動について大分皆さんが御質問されているという様子がうかがえまして、恐らく委員の皆様も同じような御認識をお持ちで活動されているのではないかというふうに思っておりますが、そもそも政府の活動が妥当、適切であれば、秘密の妥当性もそれなりに信頼性を持ってくるということであると思いますので、そういう説明を行政機関もしなければならないという認識を持っていただいて、ぜひこの場に来ていただくということをしていただければと思います。

 と申しますのは、報告書を見ますと、行政機関側から、答弁を差し控えるという場面が幾つかございまして、それはやはり準備として、みずからの活動の適切性を秘密の適切性とともに説明しなければならないという御認識を持っていらっしゃらないのかなというふうに思うところがございますので、そういう行政機関側の準備についても、ぜひ審査会としてのお考えを十分に示していただければというふうに考えております。

 監視すべきと考えるポイントについて申し上げます。

 特定秘密は、指定と表示と二つのものを通じて形のある秘密ができるという構造になっております。両方とも法律上は行政機関の長が行うというふうになっておりますけれども、表示に関しては保全責任者が行うというふうに特定秘密保護規程上はなっております。

 お手元に別紙として参考資料を提供させていただきましたが、これは内閣官房から情報公開請求を通じて公開された文書でございます。一ページと二ページが保全責任者ということになっておりまして、基本的には課長級が保全責任者となっております。この保全責任者が特定秘密を含むと判断した文書に特定秘密と表示をして初めて実体のある秘密ができるという構造になっているということであります。

 ですので、情報を審査するだけでは、秘密が適切な範囲で実体化されているかということを確認することができない構造になっているということだと考えております。指定する情報が明確であるということは大前提でございますが、それとともに、それが適切な範囲にとどまって表示をされているかということの確認をどうしてもしていただかなければならないということになろうかと思います。

 そう考えますと、特定秘密保護法のもとではさまざまな簿冊類が作成をされますし、独立公文書管理監の監視活動というものもございますので、そういう情報をぜひ十分に御活用いただけないかというふうに考えております。

 作成される簿冊類としましては、指定管理簿というものは皆さんのところに届くものだと思います。それ以外に、報告書にも言及がございますが、特定秘密文書等管理簿というものもございます。それから、指定理由点検記録簿というものもございます。それから、特定行政文書ファイル等というのは、行政文書ファイルの中で特定秘密が含まれるものということになっておりますので、こうしたものを十分に御活用いただいて、全ての秘密を皆様にごらんいただくということは合理的ではないと私、思いますので、効果的な監視の方法をぜひ御検討いただきたいというふうに考えております。

 それから、特定秘密の情報の性質への着目というものは必要ではないかというふうに考えております。

 特定秘密に指定された情報を拝見しますと、技術的情報であったりとか、それから、収集した情報とそれを分析した情報ですとか、交渉や政策に係る情報とか、あるいは手段に関する情報など、ある程度カテゴリー化できそうな秘密の指定というものがあるというふうに考えますし、一方で、多様な性質の秘密が含まれているというふうにも理解をいたしました。

 ですので、情報が定型的なものであれば、それをどう監視するかという方法論をつくっていくことは可能なのではないかなというふうに考えています。

 例えば衛星画像などは、割と多くの案件がこれに該当しているのではないかというふうに言われております。

 別紙の資料をごらんいただきますと、これは特定秘密保護法施行前のものでありますので、現時点でも生きているかどうかわかりませんが、内閣衛星情報センターにおける秘密指定に関するガイドラインというものをお配りさせていただいております。

 右下のページ数、五ページから見ていただきますと、かなり具体的な機密区分というものが出ておりまして、割と定型的、定性的にこういうものがあるということが説明できる状況なんだということが、過去に情報公開された資料から私自身が理解できているところでございます。ですので、このようなものを監視する方法をぜひ確立していただけないかなというふうに考えてございます。

 それからあと、十一ページ、十二ページをごらんいただきますと、これは特別管理秘密という特定秘密の前段階のものになりますが、これについても、実は、十二ページの方は、衛星情報に関してはこのような形で数字をかつて出していたということがございます。割と把握しやすいのではないかなとも思っておりますので、ぜひその辺は、性質に着目した監視活動というものもお願いをしたいというふうに考えております。

 それから、特定秘密に関しては、どの事項に該当するかというものが公表されております。

 指定している事項なんですけれども、これは主たる指定事項についての取りまとめが現在されているという状況でございます。

 ただ、指定管理簿をごらんいただきまして皆様御承知だとは思うのですが、複数の事項、細目を実は一つの特定秘密に対して適用させているという状況がございます。これはどの範囲で秘密を使うかという意味でもあるのかなというふうに私自身は理解をいたしまして、それを整理したのが、レジュメの方の二ページに一覧にしたものでございます。

 主たる指定事項は、二〇一四年十二月末は三百八十二件でございますが、副次的に指定されているものを見ますと、かなりいろいろなところにばらけて存在をしているということがわかりましたので、どの範囲で用いられる情報であるのかということの特定も十分かどうかということが、これは監視すべき対象であるのかなというふうに考えているところでございます。

 それから、ぜひ御活用いただきたいというふうに考えているのが、行政機関は特定秘密の管理に関して点検等を行うというふうに規定上なってございます。年に一回以上、指定理由の点検を行うということになっていること、年に二回以上、定期検査を行うということになってございます。検査の結果は必ず書類にまとめられるという構造にございます。さらに、内閣衛星情報センターにおける内規を拝見しますと、保全責任者が月に一回、保管状況の検査を行うというふうにもなってございました。

 ですので、いろいろな形で検査を行政機関の内部で行っているということがございます。検査を内部でしっかり適切に行っていただくことは監視活動にとって非常に有益ではないかというふうに考えておりますので、この辺も一つ着目点ではないかというふうに考えてございます。

 特定秘密の実態を把握するために、ぜひ改善をしていただきたいという点がございます。

 指定管理簿でございますが、特定秘密指定書の方には、指定理由の中に解除の条件というものを記載するということになってございます。これは指定管理簿には記載がないということになっておりますので、解除条件が記載をされている特定秘密に関しては、ぜひ指定管理簿に記載をしていただきたいというふうに考えているところでございます。

 それから、先ほど定期点検について申し上げましたが、実は、異なりますが、公文書管理法でも定期的な点検と監査を行ってございます。その点検、監査項目を私、調べましたところ、別紙の資料の十七ページをごらんいただきますと、行政機関ごとに、どの程度の点検が行われているかをスコア化した一覧表がございます。例えば金融庁は、点検すべき事項のうち九点しか点検をしていないなど、各行政機関ごとにかなり点検項目にばらつきがあるということがわかってございます。

 ですので、何を点検、監査するのかということなども、ぜひ実態を把握いただいて、適切に対応していただけるように行政機関側に注文をつけていただきたいというふうに考えてございます。

 それから、文書の保存期限の問題につきましては、報告書で意見として述べられておりましたけれども、最大の問題は、特定秘密を含む行政文書ファイル、あるいは特定秘密だった情報を含む行政文書ファイルに関しては、どこが廃棄の審査を行うかといいますと、現状の仕組みですと、公文書管理課という内閣府の一部門になります。特定秘密が含まれていたことを知らずに廃棄審査を行うという構造に今なっております。

 私は、これは独立公文書管理監が責任を持って廃棄審査を行うべきというふうに考えてございます。ですので、ここも、制度上の改善、運用上の改善でできることであると私は思っておりますので、ぜひ改善をお願いしたいというところでございます。

 細かくなり恐縮でございますが、以上でございます。(拍手)

額賀会長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

額賀会長 これより自由質疑を行います。

 本日の自由質疑の方法について確認いたします。

 質疑を希望される方は、挙手の上、会長の許可を得て発言されるようお願いいたします。また、発言の際は、着席のまま、氏名を述べた上で行っていただくようお願いいたします。なお、運営協議会の協議によりまして、一回の発言時間はおおむね三分を目安とすることとなっておりますので、御協力をお願いいたします。

 それでは、質疑を希望される方は挙手をお願いいたします。

岩屋委員 岩屋毅です。よろしくお願いします。

 きょうは、参考人の先生方、大変ありがとうございました。

 國見先生は防衛省で情報本部長、そして衛星情報センター長ということで情報を主に取り扱ってこられましたし、また、中村先生も外務省において情報を専門に扱っていただいたという、行政の中で情報を扱っていただいた両先生と、また、市民、国民の立場から情報公開に熱心に取り組んでこられた三木先生、非常にそれぞれ参考になるお話をいただいたと思います。

 時間も短いので、それぞれ一つずつぐらいになろうと思いますが、まず國見先生に、それまで防衛省の秘密保全というのは、確かに他省庁に比べれば厳格に行われていたと思います、MDA法があったり自衛隊法があったり。しかし、そのときは、防衛省独自の判断で廃棄もできるようなことになっていて、それは相当の数に及んでいたと思うんですね。

 しかし、この特定秘密保護法ができたことによって、まさにおっしゃるとおり横串が政府の中に通って、廃棄についても統一されたルールに基づいて行われるようになったということは、私は評価していただいていいんじゃないかなと思っておりますが、それまでの問題点、そして法施行後の改善点について御意見を賜れればと思います。

 それから中村先生には、先ほどお触れになりましたが、我々も、最初の審査で、どこからどう手をつけていいのか悩み苦しみながら、この一年間、額賀会長のもとでやってまいりました。その中で、外務省が扱っている情報が機微なものであるということはよく承知しておりますし、サードパーティールールということもよく承知しているんですけれども、実際に文書名を見ただけでは全く中身がわからないものがある。そこで、審査会に限って、やはりある程度内容が想起し得るようなものにしていただかないと、審査そのものが不可能であるというような壁にも我々はぶつかってまいりました。そこを乗り越えるためにどういう方法があるのか、先生の御意見が賜れればありがたいと思います。

 それから、三木先生の、それぞれの情報は実はかなりカテゴリー化できるのではないかという御指摘は非常に重要な御指摘だと思いまして、我々、ぜひそれに取り組んでみたいなというふうに思っておりますが、先生が書かれた文章の中で、審査会が特定秘密の開示を決議する場合は過半数よりももっとハードルを下げた方がいいんじゃないかという御指摘がありました。この監視審査会は、できるだけ与野党という意識を持たずに、あくまでも立法府対行政府ということでやろうじゃないかということで、これまでいい文化をつくることができてきたんじゃないかなと思います。

 余りハードルを下げると、逆に開示要求が乱発されるようなことになって、かえって審査会の運用上困難を来すのではないかなという感じもしているんですが、その点についてはどうお考えか。

 以上でございます。

國見参考人 國見参考人であります。先ほどの岩屋先生の御質問にお答え申し上げます。

 防衛省、私が所属しておりました陸上監部あるいは情報本部におきまして、この特定秘密保護法ができる以前におきましては、それぞれ、当時は機密、極秘、秘というような形で秘密文書を作成いたしておりました。

 そして、これらの秘密文書、いつ、どのような条件でこれを廃棄するのか。

 これは一つは、その文書を指定する場合におきまして、それぞれ管理者が決定をいたしておりました。それは、一定の一つの期間を通じて新しい特定秘密に相当するものが作成をされる、そうすれば旧来のものは必要なくなるということで、これは破棄をしてよろしいというようなものが一つでございます。

 二つ目は、大きな情勢の変化に応じて、情勢の変化があればこれはもう必要なくなる、したがってその場合において破棄をするという一つの特定の条件がございます。

 そういったような意味におきまして、事前に一つの条件を付して保存期間を規定するということをいたしておりました。

 現在、この特定秘密保護法の中でどのようにこれが行われているかということについては、現場については、私自身まだ、そこのところに入る資格がございませんので、十分承知はいたしておりません。

 以上でございます。

中村参考人 御指摘いただきました、具体的に、文書がどのようなものかある程度想起されるような形で提起できないかという御指摘でございます。それにつきまして、私の方の意見陳述ではかなり極端な形での答弁だったと思いますけれども、これは非常に実務的に難しい問題だと考えております。

 一方で、やはり情報機関と一言で申し上げても、今回、外国の情報機関は、本日議論されている特定秘密保護法の関係、まして情報監視審査会の活動内容、これははたから十分検討し、研究されていると思います。

 そうした際に、審査会の中での議論、これは非公開ということで、率直な意見を述べられる機会であり、行政、立法関係でもって特定秘密についての指定、そしてその解除を含め内容が議論されることは当然好ましいことではありますが、それがどのような形で公表される、特に報告書の形で公表されるか。

 これは、万人が見られるものであるということを考え合わせますと、先ほど私が申し上げたような若干のヒントという意味でも、一つの事案が、総論的な表現と各論に至った形の表現、そして各論に至った表現の際に、国名、地域名含めまして、ある意味で限定的な内容が、一般的にはそれは非常に解釈しやすい、理解しやすいとは思いますが、やはりこれは、一つは特定秘密の域を超えた形で、その内容が想定される。そしてそれは、情報活動において、日本の情報活動、海外においての活動というものはこういうものなのかといったことが推定されてしまうというところまで懸念が生じてしまうような気持ちがするわけでございます。

 ですから、私としては、審査会の中での議論、これは活発にやっていただければという気持ちは持っております。ただ、それをどのような形で、加工するのかあるいは外向けに提出して、審査会として、国民の知る権利の代表として、まあ代理としますか、それがこなされているといった認識を示していただければよろしいのかと。

 ですから、一方では審査会の今後の活動、内部での非公開の活動における取り組み方の問題と、外での表現の仕方ということを少し区別するなりして対応を考えていただければと思います。

三木参考人 三木でございます。

 御指摘は、特定秘密文書の提出について、三分の一で提出を認めるべきではないかという、私が発言なり書いていることについてであると思いますが、私自身は、制度上何を保障するかと、実態としてどう運用されているかということは少し区別をして考えるべきだというふうに考えてございます。

 三分の一と申し上げていますのは、制度上の保障としてそうすべきではないかと。ただし、例えば参議院では残念ながら提出要求が拒まれたということが審査会であったようでございますが、衆議院はそうではなく、全体一致で運用していくということで中で合意がなされているのであれば、三分の一の提出要件であっても、恐らく全体としての提出要求ということで調整をしていくという運用をされるのではないかと考えております。三分の一で乱発をされるとしますと、そういう前提が崩れている場合であるということであると思っております。

 もちろん、少数が要求をするよりは全体として要求をした方が、より強い監視活動であり、適切に、提出を受けた文書に対して対応ができると思っておりますので、審査会としての合意で行動していくことは非常に意味があると思っておりますが、一方で、それが成立しなくなった場合のある種の予防策のようなものは私はあった方がいいのではないかと考えておりまして、それが、一つが、三分の一で提出の求めができるというような仕組みを制度として保障したらいかがでしょうかということを申し上げておる次第でございます。

 ここでの活動で、それをしないと成り立たないという認識で申し上げているというわけではございません。

岩屋委員 ありがとうございました。

後藤(祐)委員 民進党の後藤祐一でございます。きょうは本当にありがとうございます。

 今、岩屋先生から中村参考人に対してあったお話の若干続きになりますけれども、世の中にオープンになる話とこの審査会の中でというものはきちんと区別してというお話、そのとおりだと思うんです。

 それで、報告書の八ページの「政府に対する意見」というところで、特定秘密の名前の話、名前は世の中にある程度公表されるので、恐らく、中村参考人は、この名前が、ある程度想起されるような形になると若干問題があるのではないかということをおっしゃったんじゃないのかなと思うんですが、これは一部黒塗りになっているものもあるんですね。黒塗りになっているものは我々は示していただくことはできるんですが、そういうやり方で対処する。すなわち、外に対しては黒塗りにした上で、我々に対しては見えるような形にして対処するということについてどうお考えかというのが一つ。

 あと、意見の二つ目は、先ほど岩屋先生がまさにおっしゃった文書名の話なんですけれども、これは世の中にオープンになりません。この情報監視審査会に対して、我々が審査をしていく段階で、まず文書のお名前がわからないと、その先に全く行けないものですから、このお名前ぐらいは示してくださいというところは、これはなかなか、我々として仕事ができなくなってしまうのでぜひ出してくださいという意見なんです。

 これについては、先ほどの区別という意味においては、外に対して示すものではないので、情報監視審査会に対して文書名を示すということについてはそれほど問題ないと我々は考えるんですけれども、実際に外務省におられた経験から、それでもなかなか難しいんだという、いわく言いがたい面もあるのじゃないかなと思いますので、そこを一つ伺いたいというふうに思います。

中村参考人 今御紹介の二点、第一点目の、黒塗りと申しますか、一応の情報開示を行った上で、外部的にはそれは秘匿という趣旨での黒塗りということ、手法としては、多分、特定秘密以外にも、情報公開関係でもやってきていることだと思います。それはそれで、技術的な意味ではしかりだというふうに思いますし、黒塗りの手法によってそれが提示できるのならば、それは別に差し支えないものだと思います。

 ただ、いろいろな件名にかかわりまして、どの部分がどういうふうに黒塗りになるかといったところで、脈絡のないような件名の趣旨といいますか、どこまで理解ができるのかといったような、文言としての整合性といいますか、それは、見る国民側にしても、あるいはメディアにしても、そもそも黒塗りの趣旨自体がわからなくなってしまうというのは、かつてやられたことがございますので、黒塗りの手法というのは、やはり内容的には、本来は余り多くやらない方が私はよろしいのではないかという気はしております。

 あとは、やりようの問題として、黒塗りの本当の心髄、外に出さない部分の黒塗りは、適切な形でやって差し支えないと考えます。

 第二点目でございます。

 おっしゃることはよく了知するものでございます。まさに具体的な内容を例にとって言うわけにもいけませんけれども、ある某国のことについては、某国名が出るにかかわって、その下にいろいろな、その某国名に係る情勢の中身を、ある特定の指導者名を付し、あるいはその活動名を付しというような形で細目を件名的にやっていきますと、もう御理解いただけると思いますが、まさに何をもってしての情報収集活動かということがおおむね外部において了知され、想像され得るとした場合には、これは各外国情報機関におきましては、日本側の姿勢というものがそういうものを前提にした上での接触ということであれば、その中身について、当然、そういうことの延長線上で議論の中身が推定されるというふうに捉えられますので、第三国ルールや何かの話はちょっとおきましても、どこまで文書名の詳細と申しますか、わかる範囲ができるのか。

 ちょっと私自身、現実問題として、この審査会との関係で行政府との間で今どのようなすり合わせが行われているか存じ上げませんのでわかりませんが、やれるところまではやっていただいても結構だと思いますが、ぜひ、外に出すときの形では、やはり想定できる範囲といったことは差し控えていただければと思います。

漆原委員 公明党の漆原でございます。

 きょうは、本当に、三人の貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

 時間がありませんので、國見参考人に一点だけお聞きしたいと思うんです。

 それは、議院内閣制における行政と立法のあり方、緊張関係のあり方になるわけですけれども、ある指摘も受けまして、これは将来我々の中でもしっかり考えていかなきゃならない大きな問題だなということで、少し次に考える議題にしておるんですけれども、こういう指摘を受けたんです。

 要するに、重要な国家安全保障会議の四大臣会合などの結論は基本的に公開されないということになれば、行政府は立法府に対してどのように説明し、責任をとるのか。立法府に一切責任を負わないで、内閣がその方針を決め、後で立法府に責任を持ってくれと言われても、その関係をどう考えたらいいのか。

 本来は、立法府も、決まったことは連帯して責任を持つということになる。それが本当のシビリアンコントロールの観点から正しいことなのではないのかな。そして、そういう大きな問題があるときにどう考えるかということは、国家の運営あるいは立憲主義の観点から非常に難しい問題ではあるけれども、しっかりとこれは考えていかないと、内閣が勝手に独走してしまうという問題がある。

 これをどういうふうに考えるかというのが今我々の共通の課題になっているんですけれども、御意見があれば教えていただきたいと思います。

國見参考人 大変難しいお話を賜りまして、いかようにお答えをしようかというように今困っております。

 私ども情報にかかわっていた者は、その情報を公開しなければいけない場合におきましては、よく、サニタイズをすると。サニタイズという片仮名、英語でございますが、例えば数が幾らというとき、ア・フューとかサムとか、あるいは数十とか数百とかということで、いわゆる本当の、正確なことではなくて、一定の一つの範囲内でその数字を、数字といいますか文書を表現する。それによって、いわば文書そのものをオブラートに包むことによって、しかし、そのおおむねの活動がわかるような表現方法をよく用います。

 そういった意味からしますと、今、漆原先生がおっしゃられた、行政府が独走して立法府に対して責任を負わないといったようなことではなくて、そういったような意思疎通ができることが私は国家として極めて大事じゃなかろうかというふうに考えます。

 こんなところで、足りませんけれども、よろしくお願いいたします。

漆原委員 ありがとうございました。

井出委員 民進党の井出庸生です。

 きょうは、三人の皆さん、ありがとうございます。このお話をもっと早く聞いておけばという思いを今率直に思っておりますが、三人の先生に、皆さんに伺いたいことが一つあります。

 それは、私たちは一年間この調査をしてきまして、報告書にも書かせていただいておりますが、全省庁からまず一通りのヒアリングをした、それから、必要に応じてさらなるヒアリングをした。そうした調査活動の中で、三木先生がおっしゃるように、私、個人的には、特定秘密というものをカテゴリー化もしたつもりでございます。それでも、現実として我々は特定秘密というものを、衛星センターへの視察というものはございましたが、何か我々の方からピンポイントに、これはきちっと確かめなければいけない、これは確認しなければいけない、そういうところは私は大変苦労をしました。

 ですから、これは報道でも言われておりますが、我々が一年間の中で、そういう特定秘密にアクセスすることが非常に困難な中での活動であったことに対しての皆さんの御意見をそれぞれいただきたいのが一点。

 それと、國見参考人に伺いたいのは、お話の中で、報告書に部局の名前が出ていたことですね。報告書にこの省庁とこういうやりとりというところ、そこは、実は私も部局を出していいものかどうかちょっと迷うところがあったんですが、もう一度、もしまずいというのであれば、はっきりと言っていただきたいと思います。

 それと、中村参考人のお話の中で、信頼関係というものがございました。

 それはちょっと誤解があると思うんですけれども、この報告書で出している意見というものは、何も国会や世間一般に報告しろということではないんですね。我々に報告をしてくださいと。我々と政府との信頼関係もあると思うんですね。我々審査会は、当然、秘密を守らなければいけない部分というものはきちっと法律で定めております。そういう中でも、相手国との関係、どこの国にも政府の持っている秘密というものをチェックする機関はあると思うんですよ。そういうことをもってしても、相手国との信頼関係で御理解がいただけないものなのかどうか、そこについて御所見を教えていただきたいと思います。

中村参考人 まず、冒頭の質問の関係でございますけれども、審査会の活動、この一年余、私も詳細はちょっと勉強不足なところがございますので誤解があるかと思いますけれども、やはり行政府との関係で、それぞれ聴取を行って、収集活動、特定秘密の指定等を含めましてそれが適切に行われているかどうかの活動は非常に活発に行われてきたと了知しております。

 ただ、一点申し上げますと、行政府といった場合には、確かに横串にはなりましたけれども、たしか、各省庁における活動内容自体が、あるいは情報収集活動自体がかなり差異を持って行われているというところがございますので、その取り扱いについては、各省庁間でのやはり特異性というものを踏まえて、審査会との関係で、意見聴取あるいは協議といったものを行っていただければという気はいたしております。

 それは、特に海外活動に関してもそうでしょうし、あるいは特定の技術的な分野においての議論というものも、そういうことで違った審議というものが出てくると思います。やはり一つの共通項をもってして各省庁を全部連ねるということは、できる分野はあると思います、ただ、各省庁の中における活動分野で特定秘密が指定される中身の過程あるいは成果物については、各省庁特有の問題として、そこを吟味してこれから議論していただければという気がしております。

 それから、もちろん、審査会が設立された経緯、その前提に特定秘密保護法ができ上がった経緯、これは非常に、私どもとしては、これまで情報関係を扱った者としては、特段の飛躍した内容だというふうに思っております。

 私どもも、かつて行政におりましたときも、関係各国においては、情報機関とそこの立法機関、特に議会との関係で、いかに切磋琢磨に、情報がちゃんと適切に収集され、あるいは運用されているかといったチェックが行われているということは目にしておりますし、かつ、各国における特定秘密保護法の内容についても調査した結果、その情報機関の活動自体への監視という目も、適切に、立法府の方から、議会から行われていると思います。

 典型的な例は、多分、イラクにおける大量破壊兵器問題などのような情報収集活動において、行政府における説明のしようと実際のイラク戦争が終わった後の対応の仕方というのは、大いに議会において政府の行動を糾弾する内容でもあったわけでございます。あえて言えば、これはもう周知の事実でございますが、米国議会あるいは英国議会において、その当時の行政府の指導者に対しての極めて厳しい見方が出たというふうに考えております。

 そのような趣旨で、やはり行政府の、特に特定秘密保護法を今後運営するに当たりまして、審査会の役割というのは非常に大きいものがあると私自身は思っております。そういう意味で、審査会の中での議論というのは、各国並びでも十分、私は胸を張って世界に説明できるものだと思います。

 一方で、特定秘密、あるいは秘匿性、非公開性を含めますと、その性格というのはどうしても一定の限界を生ぜざるを得ないという意味では、まさに報告書にまた出てくるのでございますけれども、外にどのような形で提示されるかどうかというのは、一工夫また必要じゃないかということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 ありがとうございます。

國見参考人 私が仮に日本に好意を寄せない外国の情報機関の責任者であったとすれば、今回出されたこの報告書は大変ありがたく、極めて精密に分析をし、どのような対策を講じて日本に部下を乗り込んでいかせようかというようにしっかり考えると思います。

 そういった意味におきまして、国民に対する知る権利をしっかり担保するということも極めて大事でありますが、また、今申し上げたような外国からのそういった魔の手が伸びてくる可能性も考えれば、先ほど御質問がありました、部局を出すか出さないか、これは、省庁の大きさあるいは省庁の中の部局の大きさにもまたよるだろうと思います。比較的人数の小さい部局であれば、大体そこのあたり、当たりをつけやすいところもあるだろうし、その付近は先生方にも御考慮いただければというように思います。

 以上でございます。

三木参考人 三木でございます。

 ピンポイントで確かめることが非常に困難というのは、そのとおりであると思います。恐らく、審査会の委員の先生方の中には特定の行政活動にお詳しい方もおられるかと思いますが、一般的には、特に秘密の多い政府活動分野の中身にたけている、詳しいという人は政府外になかなかおらないということであると思いますので、具体的にこの文書の提供を求めるということを特定していくことそのものが非常に困難であるというのは、それは想像にかたくないというふうに思っております。ですので、全体を見て特定秘密を監視しようと思うと、逆に具体的に監視ができないということになってしまうのではないかなと思っております。

 報告書の十四ページの「今後の調査方針及び課題」の中に、「特定課題についての調査結果報告書を作成するなど、」というふうに書かれておりまして、ある程度課題を絞って監視あるいは調査を行うということは、見るべき情報を絞っていく、あるいは監視すべき対象を絞っていくという意味では、一つの方法ではないかなというふうに考えております。

 それからもう一点、現在、特定秘密の指定、解除に不適切なものがあった場合であっても、国会の方にはその通報を受ける権限が制度上ないということになっております。問題があるということを情報提供していただくことは、国会として非常に重要なのではないかというふうに考えております。

 ですので、もう一つの方法としては、特定秘密の指定、解除等で不適切な案件があった場合には国会にも通報ができるような仕組みを設けるということも一つの方法ではないかと考えております。

平沢委員 自民党の平沢勝栄でございます。

 きょうは、三人の参考人の皆さん、ありがとうございました。

 國見参考人と中村参考人は、行政機関におられて、そしていろいろな情報の入手に当たられたということで、私も同じく情報入手に当たったことがありまして、私の場合は警察にいたんですけれども、一九七〇年代に日本赤軍が世界各地でテロ活動を起こしました。とりわけ、一九七七年の九月にダッカ事件を起こしまして、そして、そのとき日本は、六百万ドルを犯人に与えて、獄中の凶悪犯六人を釈放して犯人側に渡した。これは世界じゅうから、日本はテロまで輸出するのかということで大騒ぎになったというか、まさに日本の威信、面目は全く丸潰れという事件があったわけです。

 それ以来、外国に行っていろいろ情報入手に当たろうということで、私もその一員として中東とかヨーロッパとかいろいろな国を回りまして、インテリジェンスの機関と、いろいろ情報を入手したんですけれども、そのときに向こうから言われたことが三つあるんです。

 一つは、なぜ警察から来るのかということ。それからもう一つは、情報の世界はギブ・アンド・テークだけれども、ギブ情報は何があるんだということ。それから三番目に言われたのが、情報というのは保全が大事だと。自分たちは命がけでとってくるんだ、もしこの情報が漏れたら、自分たちの情報をくれた人の命が危なくなる、その情報をきちんと守ってくれるのかどうか、日本はどういう法律があるんだということを言われた記憶があります。日本は、当時はまだ情報保全といっても全く不十分なわけで、そういった中で、今回秘密保護法ができて、一歩そこに近づいたな、外国の常識に一歩近づいたなという感じがしますけれども、まだそれでも不十分だなと。

 おととしの一月、衆議院でドイツとかイギリスとかアメリカの情報保全体制というのをずっと見てきて、私もその一員として行ったんですけれども、そこから比べたら、日本のこれはまだ不十分も不十分も、向こうからすれば、本当に日本に情報を渡して大丈夫かなという感じを恐らく持つんじゃないかなという心配がありまして、とりわけ、例えば適性評価なんか、諸外国から比べたら日本のはまだ幼稚園みたいなものでございまして、全然不十分だなという感じがしますけれども、それでも一歩前進であることは間違いないんです。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、國見参考人、中村参考人、今までの御経験からして、今回のこういった日本の情報保全体制、これが諸外国の信頼を得られるかどうか、そして情報を渡してくれることになるかどうか。それについては、今までの御経験からどうお考えになられるか、ちょっとお聞かせいただけますか。

國見参考人 私は、諸外国から見た場合に、日本の国家の情報保全体制が、この新しい特定秘密保護法が成立したこと及び先生方のこれまでの御活動、そしてこの報告書を通じて、一段階高いところに進んだんじゃないかというように認識をいたしております。

 そういった意味で、私は、特に適性評価に関しましても、人によったら、個人情報保護法に抵触するんじゃないかとおっしゃる方もおられます。しかし、国家の安全にかかわる重要な仕事をする場合におきましては、その期間においてはそのような個人情報に関してのある一定の我慢をしていただかなければ、国家に奉仕する者とは言えないんじゃなかろうか。また、そういったことを諸外国にわかっていただきながら、日本としてこのような適応をやり、このように保全をし、そしてまた情報公開はこのような範囲でやっているといったようなことで理解を得ることが私は極めて大事だろうと。

 先ほど申し上げましたように、今回のこの報告書を通じて、諸外国から見た場合に、日本の民主主義の体制は一歩進んだというように評価をしていただけるんじゃなかろうかというように思います。

中村参考人 平沢先生の御指摘のとおり、ある意味では紆余曲折しながら、我が国のインテリジェンス活動あるいは情報収集活動というものが行われてきた。その中には、他国の情報機関活動に比して欠陥が非常に多いものがあった。

 一つには、若干私のしゃべったことと矛盾することとなりますけれども、やはり日本には確固たる情報機関というものはまだ存在していないということが厳然としてあるわけですね。

 ですから、本来の特定秘密、そしてその保護法における対象たる情報活動というものも、諸外国から見たら、どういう形で国家の意思として収集活動をしているかということ自体、疑問に思うところがまだ残っているという気はいたします。正直なところ、そういう気がいたします。

 それゆえ、一歩一歩、インテリジェンスあるいは情報収集活動におけるシステム、そしてその運営、それを担保する法制、法の制度というものを確立していくといったことは、諸外国との関係において我が国の情報活動をまさに一つ、二つ、三つ上に上げていくということだと思いますので、今回の特定秘密保護法、そして審査会の設置、はたまた国家安全保障会議、ここにおける情報収集のある意味での一元化とまでは言えないかもしれませんけれども、これなどは、外国機関から見れば、もう本当に我が国への信頼度というものは従来に比して多分に増したものだというふうに考えております。

額賀会長 時間も参ったようでありますので、これにて参考人に対する質疑は終了いたしたいと思います。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 参考人各位におかれましては、体験に基づいた極めて貴重な御意見をいただきまして、心から感謝を申し上げる次第であります。

 また、いただきました御意見につきましては、今後の審査会の運営、審査においてきちっと反映をさせていただき、充実した審査会の内容にしていきたい、こう思っております。

 審査会の委員メンバーを代表いたしまして、心から感謝を申し上げる次第であります。ありがとうございました。(拍手)

 では、参考人の皆さんは御退室をしていただいて結構です。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

額賀会長 この際、お諮りいたします。

 次回の審査会におきまして、去る四月二十六日に提出されました特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する報告について、政府から説明を聴取することとしておりますが、当日の審査会の傍聴についてお諮りいたします。

 衆議院情報監視審査会規程第二十六条第二項により、傍聴を許すことに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 次に、撮影及び録音の申し出がありました場合には、これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

額賀会長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

 なお、傍聴、撮影及び録音の詳細につきましては、運営協議会における協議に従って取り扱うものといたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十七分散会


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