衆議院

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第1号 平成27年4月24日(金曜日)

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平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    午前九時十五分開議

 出席委員

  内閣委員会

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 泉  健太君

   理事 河野 正美君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      加藤 寛治君    神谷  昇君

      木内  均君    新谷 正義君

      武部  新君    寺田  稔君

      長尾  敬君    ふくだ峰之君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      若狭  勝君    佐々木隆博君

      篠原  孝君    辻元 清美君

      古本伸一郎君    小沢 鋭仁君

      高井 崇志君    升田世喜男君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      池内さおり君    塩川 鉄也君

  農林水産委員会

   委員長 江藤  拓君

   理事 加藤 寛治君 理事 齋藤  健君

   理事 宮腰 光寛君 理事 吉川 貴盛君

   理事 渡辺 孝一君 理事 玉木雄一郎君

   理事 松木けんこう君 理事 石田 祝稔君

      井野 俊郎君    伊東 良孝君

      伊藤信太郎君    池田 道孝君

      勝沼 栄明君    瀬戸 隆一君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中川 郁子君    中谷 真一君

      西川 公也君    古川  康君

      堀内 詔子君    前川  恵君

      宮路 拓馬君    簗  和生君

      山本  拓君    金子 恵美君

      岸本 周平君    小山 展弘君

      佐々木隆博君    福島 伸享君

      井出 庸生君    村岡 敏英君

      稲津  久君    佐藤 英道君

      斉藤 和子君    畠山 和也君

      仲里 利信君

    …………………………………

   農林水産大臣       林  芳正君

   国務大臣

   (経済再生担当)     甘利  明君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   農林水産大臣政務官    佐藤 英道君

   農林水産大臣政務官    中川 郁子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 宇山 智哉君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         今城 健晴君

   政府参考人

   (農林水産省生産局長)  松島 浩道君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

   農林水産委員会専門員   奥井 啓史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 内閣の重要政策に関する件(TPP等)


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより内閣委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣の重要政策に関する件、特にTPP等について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福島伸享君。

福島委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの福島伸享でございます。

 甘利大臣におかれましては、火曜日の三時半までの、屈強そうなフロマン代表との交渉ということで、本当にお疲れさまでございます。本日は、短い時間でありますけれども、交渉の現状についてお聞きをしたいと思っております。

 また、本日、このような連合審査会を開いていただきました両委員会の委員長、理事各位の御努力に関して、心から感謝を申し上げます。

 さて、一昨年の二月に、安倍総理が米国を訪問いたしまして、オバマ大統領と会い、聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったといって、三月十五日に交渉参加を表明して、交渉が始まりました。

 そのときの総理の会見で、総理は、TPPはアジア太平洋の未来の繁栄を約束する枠組みなんだ、新しいルールづくりをリードしていくことができると確信しているんだ、交渉力を駆使して、我が国として守るべきものは守り、攻めるものは攻めると、勇ましい、前向きな明るい決意表明をされているんですが、この間のさまざまな報道を見ていると、攻めるべきところは攻めるといっても、何か守ってばかりで、一体何を得ているんだ、この交渉は、アメリカのフロマンにいじめられるためにやっているようなものであって、何のためにやっているんだと思われるような交渉になってしまっているんですよ。

 そこで、冒頭、甘利大臣、一体、アメリカとの関係で、何かとれているものはあるんですか。何かとろうとしているものがあるんですか。具体的なものがありましたら、ぜひ、まずお答えいただければと思います。

甘利国務大臣 フロマン代表にいじめられ続けているということで同情を買っておりますけれども、こっちがいじめているところもありまして、双方痛み分けかと思っています。

 TPPの交渉の参加の際に、TPPというのは、従来よりももっとマルチの交渉である。もちろん従来の物品の関税交渉からEPA交渉というのはかなり広がっているんですけれども、それよりもかなり拡大をしている。つまり、物だけじゃなくて、サービスや投資や、あるいは、いわゆるルールと言われている知財とか、それから金融のサービスとか電子商取引とか国有企業の規律、かなり幅広いわけです。そこの枠組みの中でバリューチェーンをつくる。そのバリューチェーンに参加しないとTPPの適用を受けないわけでありますから、そのバリューチェーンに参加しなければならないということ。

 それから、これが域内の、人、物、金と言われますけれども、情報も含めまして、それが行き交う経済共同体みたいな形になるわけですね。経済だけじゃなくて、もっと大きな意味、将来にわたっては、その地域の安定、経済の側面から安全保障の一翼を担うということまで言われているわけであります。

 そういう中で、お互い、二国間で守るもの、攻めるものだけではなくて、多国間で、この国からはこれは余りとれていないけれども、こっちの国からはむしろこれが利点になるというようなことがあるわけであります。

 日本は、米を中心とする農産品について守らなきゃならない。原則、TPPに入るときには、例外なきというのがついていますけれども、その中にあっても、どういうふうに例外をとるかは交渉の結果次第ということで入っているわけでありますから、守るべきはしっかり守れるように農産品について今取り組んでいるところでありますし、各国からは、日本が攻める、攻める分野というのは工業製品やサービスだと思いますけれども、それをマルチの場でとるべく、今一生懸命取り組んでいるところであります。

 もちろんアメリカにつきましても、自動車や自動車部品というのは、向こうが守るということはこっちが攻めるところでありますから、制約がある中で、とれるものはとっていっているということであります。

 まだ全部がセットされているわけではありませんから、これがとれましたというのはこの時点ではまだ言えませんけれども、また、これを譲りましたというのもまだ確定をしているわけではありませんけれども、できるだけ、トータルとして、入ってよかったと言われるものにしていきたいというふうに思っております。

福島委員 二十分しかないので、できるだけ簡潔に答弁いただけたらありがたいと思っております。

 今の答弁を聞いて、ああ、なるほど、TPPはいいなと思う人はいないと思うんですよ、少ないと思うんですよ。サービスとか投資とかそういうのは、もう既にTPP交渉参加国のほとんどとEPAを結んでいて、そこで規定されているようなことと、今までの説明を聞く限りは大して変わらない。

 結局、言っているのは、自動車の二・五%の関税だけなわけです。自動車の二・五%の関税と、仮に米とした場合に、それは日本国の価値として同じだと思いますか。二・五%の自動車関税をとるために、仮に米で、一粒たりとも入れるとは言えないと甘利大臣はおっしゃっていますけれども、米の輸入の拡大をすることと二・五%の自動車関税をとることは、大体同じぐらいの見合った価値だと思われますか。甘利大臣、お答えください。

甘利国務大臣 これとこれを比べてどうするということではないと思うんですね。もちろん、自動車以外にも、自動車部品も関税がかけられているままでありますから、それも含めて全体として市場アクセス、アクセスというのは、関税だけじゃなくて、その市場にどうスムーズに入っていけるかという、関税とルールの間みたいなことも、いわば物におけるルールみたいなところもありますけれども、そういうことについても壁をなくしていくということであります。

 これは、日米間のことだけであれば、日米間の二国間交渉を、日米EPAをすればいいだけの話であります。しかし、日米EPAではなくて、なぜTPPをとっているのかといいますと、この枠組みの中で、全体としてバリューチェーンをどう組んでいくかということに重みがあるということと、それから、このTPP交渉が、言ってみれば、これで終わるということではなくて、これが基礎になって展開していく、その際に基本哲学となっていくわけですね。その基本哲学となっていく、これから拡大していく経済連携のチャーターメンバーとして日本がいることがいいのか、後から入った方がいいのかという判断もあるわけでありますから。我々としては、基本ルールをつくるチャーターメンバーに入っていた方がいいという判断で、今、交渉しているわけであります。

福島委員 そういう抽象的な話ばかりだから、何か多くの人は心配をし、納得のいかない思いをしているんだと思うんですね。

 報道はいろいろな具体的なことが提言されているし、交渉では実際にさまざまな具体的なやりとりをされているんだと思います。甘利大臣自身も、フロマン代表との会談後、双方の夜を徹した努力によって二国間の距離は相当縮まってきたというわけですから、全体のパッケージではあるにしても、個々のものについては、こちらから提案をしたり、相手から提案を受けたりというようなことをやっているんだと思います。

 その中で、一つだけちょっと端的にお聞きするんですけれども、米についてさまざまな報道がなされております。聞けば何も決まっていないとおっしゃるんでしょうけれども、少なくとも、日本側から米に関して、こういうところまでは行けますよとか、こういうところまでだったらまあまあというような提案をしているという事実はありますか。結果ではありません、その交渉の途中をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 これが細目が決まったということではありません。向こう側はできるだけ大きい数字を並べてきますし、我々は、これはいわば、言ってみればゼロからスタートしているわけであります。これならばいい、あれならばいいということは、最終的には全てがセットされて帰着するものであります。我々は、できるだけ現状から踏み出さないということを訴えておりますし、向こう側は、できるだけ現状から踏み出すということを主張しているところであります。

 私は、米の重要性はセンシティビティーの中でもウルトラトップクラスに入るものである、アメリカにとっての米の利益、国益に及ぼす影響と、日本にとっての国益に及ぼす影響では、少なくとも百倍以上は違うと思うぞということも含めて主張しているところであります。そういう中で、今、綱引きがずっと続いているというふうに御理解いただきたいと思います。

福島委員 その中で、何らかの輸入枠の設定とか、一粒たりとも入れないと言っているわけですから、一粒ぐらいは入れていいよと言うのか、何万トンかはわかりませんけれども、こちらとしては何らかのことをやる可能性はあるんだよということはお伝えになっているんでしょうか。

甘利国務大臣 一粒たりともというのは、私は言っていないので。私は、一粒たりともと言うことは難しいということを言っているんです。大体、今の枠だって、やはり三粒や五粒ずれることはあると思いますから、それは一粒たりともとは言えないよと。その中で、私は、できるだけこちら側、現状を変えないという方向に引っ張っていきますけれども、しかし、全く変えないのであれば、全ての交渉は、TPP交渉をやること自身が何の意味を持つのかと。それじゃ、現状を全員何も変えない交渉にしましょうと言ったら、TPPに参加する意味がないのでありますから。

 国内の事情、アメリカはアメリカの事情、日本は日本の事情を踏まえて、できるだけそちらの事情には配慮を当然するところはするから、だから、こっちの事情にも配慮してもらわなきゃ困るよと、お互いが言っているところであります。

福島委員 ということをお聞きしたのは、実は、農林水産委員会で行っている決議の解釈をお聞きしたいからであります。

 農林水産委員会の決議では「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。」と書いてあって、米は除外とか再協議するように交渉するのが政府に与えられた決議での言葉なんじゃないですか。何トン入れるとか三粒入れるとかというのじゃなくて、一粒たりとも入れないんですよ、除外または再協議ですから。

 除外または再協議しないと再生産可能ではない品目について例示をして、除外または再協議を求めた交渉をしてくださいと言っているのが農林水産委員会の決議だと思いませんか。認識をお伺いします。

甘利国務大臣 除外とか再協議という言葉はWTO交渉上でもよく使われる言葉でありますけれども、では、WTO上、除外と再協議の定義が細目にわたって、これであって、これの一歩でも外に出るものではないというふうに規定されるかというと、そこはかなり曖昧なものであります。要は、やはりどの国も全体のパッケージを議会が承認するかしないかです。

 我々は、全体として、衆参農水委員会の趣旨を踏まえて一生懸命交渉しているつもりであります。その踏まえたものが、いや、これは踏まえていないじゃないか、いや、これはぎりぎり踏まえているなという最終判断は議会でしていただくしかないわけでありまして、その議会で承認をいただけるように一生懸命厳しい交渉をしているつもりであります。

 これは、日本に限らず、アメリカも含めて各国とも、最終的に議会で承認されなければそれは発効しないわけでありますから、了解をいただくために非常に苦労をしているというところであります。

福島委員 しかし、決議を見れば、除外または再協議の対象とすることですよ。これまでの日豪EPAやさまざまなFTA、EPAでも、米はまさに除外であったわけですよ。関税撤廃も、削減も、あるいは輸入枠の拡大も、何もやっていないわけですよ。

 恐らく、多くの関係者の皆さんは、この委員会の決議を見たときに、ああ、米は初めから交渉の対象外なんだなと思ったと思いますよ。それを交渉の俎上にすらのせている。しかも、それは、除外や再協議にするための交渉ではなく、何か工夫をして、入れる方法を考える条件闘争をやっているという段階で、私は決議違反だと思っております。

 しかも、もう既に再生産可能じゃないんですよ。農水省のデータで見ると、平成二十五年産の米の全算入生産費、生産コストというのは一万五千二百二十九円です。今、米の値段は一万を切っているんですよ。もう既にコスト割れして、再生産可能な価格じゃないんです。それに加えて、さらに輸入の一定の枠を仮に設定するとすれば、長期的に見れば、需要が減っていく中で一定量の輸入がふえるわけですから、価格はさらに下がって、ただでさえ再生産可能ではない価格の中で、さらに再生産が不可能となるような価格になるわけで、いろいろな意味で考えて、米を一粒たりとも入れることは決議に違反すると私は考えますけれども、林農水大臣、認識はいかがでしょうか。

林国務大臣 福島委員には農林水産委員会で何度もお答えをしておりますので、またかと思われるかもしれませんが、国民の主食でありまして、最も重要な基幹的農作物である、こういう認識をしておりまして、我が方の立場をしっかりと主張しまして、交渉を進めていただいているところであります。

 まさに、甘利大臣からもお話がありましたように、農林水産委員会決議が守られた、こういう評価をいただけるように、政府一体となって全力を尽くす考え、変わらずにやっていきたい、こういうふうに思っておりますが、この決議は立法府である国会の意思表示でございますので、私の方から具体的なこの決議に関する解釈、これを示すことは適切ではない、こういうふうに考えております。

福島委員 いつもと同じ答弁をありがとうございます。

 決議にはこう書いてあるんですよ。「農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする」。米を入れるということは、まさに脱退をするということだと私は思いますよ。

 私は甘利大臣にお願いをしたいのは、米を一粒でも入れたら脱退をするということを今アメリカに伝えることだと思うんですよ。焦っているのはアメリカなんじゃないんですか。オバマ大統領なんじゃないんですか。TPA法案がどうなるのかわからない、大統領選も迫っている、レガシーをつくらなければならない。その中で、いや、国会で我々は米を入れるとするならば脱退しろと言われているんだ、このままだったら脱退するよと。三時半まで交渉するのは本当に大変な話だと思いますけれども、私はその決意をしっかり伝えるべきなんではないかと思うんです。そして、それを受けた上で、我々が判断するんですよ。

 各地の選挙区で、別に資料じゃないですけれども、こういういろいろな看板、ポスターが張られていたじゃないですか。うそをつかない、TPP断固反対、ぶれないとか、TPP交渉参加に反対。まだ現場では、多くの自民党の先生方、与党の先生方は、街宣車やチラシで、TPP交渉には断固反対しますというチラシを配ったり、街宣車を回しているんですよ。それは、強力な交渉力でこの決議を完全に守るということをみんな信用しているからだと思うんですよ。

 そうだとするならば、大臣、与党の一員として、脱退も辞さない、米の、重要五品目のこの点について除外または再協議じゃなければ脱退する覚悟だということをぜひフロマン代表に伝えるべきだと私は思うんですけれども、いかがでしょうか、お答えください。

甘利国務大臣 我々はアメリカのためにやっているわけではありません。アジア太平洋に、新しい価値観のもとに、新しい枠組みをつくろうとしているわけです。そしてその中で、チャーターメンバーとして、そのルールに我々の意思を反映させようとしているわけであります。

 そしてその上で、TPPに参加したことは、まとめるために参加したのでありまして、壊すために参加したわけではないです。まとめていく中で、どれだけ我々が、衆参両院委員会の決議に抵触しないように、その枠内でどう交渉力を発揮していけるか。だから苦労しているわけです。だから午前三時半までかかるんです。前回も午前三時までかかりました。単に、中に入って、自分たちの主張をして終わり、後は野となれ山となれということであるならば、もともとこの交渉には参加をしません。厳しい制約の中で、我が国の国益を踏まえながら、なおかつまとめていくという、狭い針の穴を通すような作業を今やっていると御理解ください。

福島委員 その御努力は多といたしますけれども、ただ、言うメリットは全部抽象的なことばかり。報道される、攻められていることは具体的なことで、明確に、これだけ困るというのがわかることばかり。きょうも地元から、心配して、いろいろな方が傍聴にいらしていただいているんですよ。あるいは、きょうは田植えで忙しいから来られないという人も、メールでいただいております。

 そういう方の思いを受けとめて、もうちょっと具体的に、メリットがあるんだったらこういうメリットがあるんだということをしっかり説明いただくことをお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 民主党の佐々木でございます。

 私は、農水委員と内閣委員と両方入っているんですが、TPPについての質問をする機会を逸しておりまして、きょうは、両大臣おそろいのところで共有認識ができれば大変ありがたいし、国民の皆さん方にもそのことをしっかり伝えることができればという思いで質問に立たせていただきました。

 連日の交渉、私も報道等で拝見をさせていただいてございます。結果はともかくとして、頑張っておられることは評価をさせていただきたいというふうに思いますが、それにしても、今ほど福島委員からもお話がございましたが、全体的に少し抽象的過ぎてよくわからないというのは、国民みんなの思いではないかというふうに思います。

 それで、今も福島委員からお話がありましたが、TPPにおいて、聖域と同時にもう一つよく使われる言葉に、国益という言葉で表現をされるわけでありますが、安倍総理が参加を決意されたときにも同じように、守るべきものは守りというくだりの中で、国益にかなう最善の道を探っていくんだ、こういうふうに言っているんです。その国益とは何かというと、美しい田園、農村の伝統、国民皆保険と、国民皆保険だけ具体的なんですが、あとはほとんど具体的じゃないんですね。

 少し具体的なイメージで、この国益というのはどういうもので、どういうふうに守るんだということを甘利大臣からお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 総理の御発言は、制約されている時間の中で、全体的なイメージ、特に、日本が強調すべきところについて、あるいは御心配をおかけしているところについて表現したんだというふうに思います。

 先ほど来申し上げていますとおり、TPPはアジア太平洋地域の新しい枠組みです。この枠組みは、これをベースにして、さらに拡大をしていくものです。既に、国名を申し上げていいかどうかわからないのでちょっと控えますけれども、具体的に、直ちに参加したいという十三カ国目、十四カ国目があります。それは、参加国がふえればふえるほど拡大をしていくと思います。

 その拡大していく新しい枠組みの中で、共通の価値観に基づくものをつくっていかなければならないわけです。例えば、日本の企業が、ある国に、A国ならA国に投資をしたと。ところが、それが、当初はウエルカムで、税金も下げます、何もしてあげます、それで、途中からルールが変わっちゃったとか、いろいろなことが起きていると、投資の予見性が損なわれてしまいます。あの国に投資していいものか、悪いものか。そういうときに、問題があった場合には、企業はその国を相手に訴えができるISDSというようなことで、予見可能性が高まってくる。そして、一度決めた投資に関するルールが、途中で、相手の都合で変更にならないというようなことも確定をしていくわけであります。

 でありますから、この基盤になるルール、人や物や金や情報が自由に行き交うことに関するルールを決める、あるいは、関税をその国の事情が許す限り引き下げていく、あるいは、物やサービスがその国に入っていくに従って非関税障壁について解消するルールをつくる、そういうことは、その域内に参加している国にとって付加価値を積み上げていく、いわゆるバリューチェーンの参加資格を得るわけです。その参加資格を得ていないとその適用を受けられないということになっていくわけでありますから、単に、物品の税金、関税が下がって、売り込む国は得をするというようなことだけではなくて、幅広い価値の共有というのがあるんだと思います。

 あわせて、アジア太平洋地域の貿易、経済全般に関する仕組みができますと、それがそれ以外のその地域の安定要因を左右してくるんだと思います。TPPは、安全保障の取り組みではないですけれども、地域の安全保障、安定を側面から支えていくような役目にもなっていくのではないかというふうに思っておりまして、だから、TPPが従来とは違う幅広い価値を有していて、その価値を共有するルールをつくるときに、最初から参加していた方がいいのか、では、よさそうだから後から参加するのがいいのかというところの判断をした場合に、このTPPに関しては、日本は、九カ国で動いた時点で参加すべきという判断をしたところであります。

佐々木(隆)委員 TPPの説明はよくわかりましたが、守るべき国益というものについては今もお答えはなかったというふうに思います。

 それで、資料を皆さん方のところにお配りさせていただきました。これは、国益の一つだというふうに私は思っておりますのでこの資料を提示させていただいたんですが、TPP加入による影響試算であります。これは公表されているものであります。

 これはGTAPモデルという手法で計算をしたものでありますが、四角で囲ってある、二の試算結果のところでありますが、日本経済全体で見ますと、輸出だとか消費だとかいろいろ計算をした結果として、〇・六六%増加の、三・二兆円の増加になる。片や、農林水産物の生産額は三兆円マイナスになる。下に、参考で三・四兆円という農水産物の試算もあります。

 これは、その裏のページを見ていただきたいのでありますが、三・二兆円プラスになるんですが、三兆円のマイナスというのは、結局、そのうちの三兆円というのは全部農業がマイナスになるわけですよね。だから、マクロで三・二兆円プラスになるんですけれども、といってもわずか、農業だけでいうと三兆円のマイナスですから、結局、日本全体としてプラスになっても、そのマイナス分は全部農業と農村地帯が背負うということになっちゃうわけですね、この計算でいくと。一部、産業集積のベルト地帯だけがその恩恵にあずかって、あとほとんどの、九十数%の日本は全部沈没するということになっちゃうわけですよ、この試算のとおりだとすると。

 このことについて、この試算、これは内閣府で出した試算ですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 TPPに関するその種の試算をする適切なモデルというものがなくて、御提示しているのが唯一であるのか、GTAPモデルというものであります。これは極めて単純化されたモデルでして、関税が即時全面撤廃されたらどういうことになるか。即時全面撤廃されることはないのであります。そういう前提つきで計算をされている。しかも、農業については、現状で守っている部分がどんどん狭くなってくるだけということで、農業については攻めはないんだという前提になっているんじゃないかと思います。

 今我々は、農業を新しい成長分野に据えていく、そうしないと、地域の再生は一次産業にもかなりかかって、一次産業と中小企業、サービス業でありますから、そこの部分が非常に重要である。現に、日本の農産品は、輸出がかなり伸びてきているわけであります。ごく近い将来、今の六千億を一兆円に引き上げるというプランもあるわけでありまして、そういう場合に、日本の農産品も相手の市場に入っていきやすいような関税そして非関税の障壁についての話も行っているところであります。

 でありますから、GTAPモデルは、極めて限定した前提条件をつけてはじくとそういう数字が出たということであって、これが即そのままTPPに適用されるものであるということは、ちょっと極端な話になってくるんじゃないかというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 確かに単純化した計算であることは承知をしてございます。ただし、今ほかに参考になるものがありませんから、内閣府もこれで提示をしているわけでありまして。

 加えて申し上げれば、例えば、では、サービスの分野はこれにどうやって計算されたのかというと、これはないわけですよね、物品だけでやっているわけですから。あるいは、もっと言えば、農業の多面的機能なんというものも、これは本来一兆六千億ぐらいの多面的機能効果があると言われているんですけれども、それも全くこの中には入っていないわけです。ですから、これは対策をしなかった場合という前提ですが、もっと影響力は大きくなるという可能性もないわけじゃないわけですね。

 そういう意味でいうと、やはりこれは一つの指標として、参考値として、これからの対策を打つ上で、輸入が前提ではありません、これが妥結することが前提ではありませんが、格差が拡大をしていくということを防ぐという前提で、私はきちっと対策をしていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 現に、一九六四年に木材が自由化されました。結果として、いわゆる山間の集落というのはどんどんと消滅をしていったわけです。今、人口の約三%ぐらいしか林業を担っている人はいないというふうにも言われておりまして、それで国土の四七%を山村が賄っているというような現実があるわけで、約八千の集落が消滅したとも言われているわけであります。そのほかにも、例えばTPP参加交渉から即時脱退を求める大学教授の会などが出した試算は、もっと極端な試算が出ております。

 三ページ目のところには、一次産業の雇用の割合というものの数字を出させていただきました。これを見ておわかりのように、一次産業の割合、多いのは、当然のことながら北海道とか東北とか、あるいは九州、四国というところが圧倒的に多くなるわけでありますが、同じように、右側の方にあるのは県内総生産に占める一次産業の割合であります。これも同じような傾向にあるわけであります。地方の議員の皆さん方は、これを見て、まさにそのとおりだというふうに思うと思うんです。

 それで、四ページ目を見ていただくと、これは毎日新聞が四月十七日に出した、格差が拡大しているという記事であります。これは所得の結果として出されているものでありますが、これはもう小泉時代よりもある意味では広がっておりまして、一番所得の多いのが東京の港区で千二百万円、一番低いところは二百万も切っているというような現実があるわけであります。

 産業別あるいは地域別にこの結果が出るのであればいいんですが、残念ながらGTAPモデルというのは日本全国でしか出せないということなんですが、こういう状況を見ると、地方にさらにそのしわ寄せが行ってしまうのではないかということが懸念をされるわけであります。これは、今TPPに参加をしなくてもこういう状況ですから、そういう中で、そういうことに対して、甘利大臣がこれから交渉に臨むに当たって、このことを踏まえて、どういう決意で臨まれるか、考えを伺いたいと思います。

甘利国務大臣 先ほど御提示されました平均所得とジニ係数の推移云々というお話であります。

 これは、どの段階でどんと下がっている、下がっているというか、ジニ係数が下がる、要するに平等化が進んでいるかというこのグラフを今見ますと、時期が、リーマン・ショックでどおんと経済が落ちた、要するに、みんな貧乏になっちゃった、それでこの係数が下がったということが直観的に言えるんじゃないかと一つ思うのであります。

 そして、その後上がってきているということは、経済が好転をして、もちろん、全体、底上げがいきなり全部いけばいいんですけれども、まず伸びていくところからかなり伸びていったということで、落ちたところから上がっていったのではないかというふうに思っております。

 この記事が言及していないポイントというのは、再分配機能の前、社会保障給付、現物給付等がカウントされていないとか、交付税を通じた自治体間の格差の是正ができていないとか。もちろん地方と都市部では高齢化要因の差等もあります。もろもろのことが言えるんじゃないかと思います。

 御質問の、地域間格差にTPPが背中を押してしまうのではないかということであります。

 TPPについては、バリューチェーンを構成する、つまり、その枠内に入っていけば、中小企業といえどもバリューチェーンに参加をできるわけです。そして新しい付加価値の創造に参加できるわけでありますから、言ってみれば、大企業だけじゃなくて地域の中小企業もそういうチャンスを得るということと、それから、農産品に関しても、TPPとあわせて、成長戦略の中で成長産業化の対象としているわけでありますから、これを機として、地域の底上げに地域の産業が資するように、TPPが成長戦略と相まって組み込んでいかれるように努力をしていきたいというふうに思っております。

佐々木(隆)委員 時間がなくなってまいりましたので、最後の質問にしたいと思うんです。

 今大臣が答弁されたように、右肩上がりで上がってきているとおっしゃっておられたんですが、見ていただくとわかるように、下の方は変わっていないわけです。伸びる方だけが伸びていて下の方はずっと変わっていないということは、格差がどんどん広がっていって、だから、さっきのGTAPモデルと同じですが、日本全体としては膨らんでいるけれども格差が広がっていくというのは、TPPを語るときに、この格差の問題と同じような理屈で物事が進んでいってしまうのではないかということを懸念して質問させていただいたわけであります。

 そういう意味でいうと、地方にとっては、国益の益というのはほとんど、このままでは、まさに滴り落ちてくるどころか、むしろ大きな被害が起きてくるのではないか。

 それと、TPPについて、私も当時担当していた立場でいうと、これは日米のFTAで本当はやればよかった話、これをあえてTPPに逃げ込んだのではないかというふうに思っているぐらいであります。現に、ドーハ・ラウンドはもう十四年も交渉を続けているわけでありますから、その分だけ非常に難しい課題をたくさん抱えているというのが今のTPPの現状だというふうに思っております。

 そこで、最後に一つだけ。地方を支えているのは、農林漁業の皆さん方と、中小ではなくて小企業の皆さん方であります。中にも至らない。そういう人たちをしっかり支えるというのが地方を支えるということであって、私は、地方創生という言葉は少し疑問符を持っておりまして、創生ではなくて再生をしていただければいいんであって、そういう意味では、ぜひ、甘利大臣は経済再生担当大臣でもございますので、そうした意味での、地方にどういう目配りをしながらこれから進めていくのかということを最後にお伺いして、質問の最後にしたいと思います。

甘利国務大臣 地方創生の総合的プランについては石破大臣にお尋ねになるのが一番適切だと思いますが、地方の牽引役というのは、一次産業と中小企業、サービス産業であります。その地方の牽引役が牽引力を発揮できるように対応しているところであります。

 例えば、企業の内部留保を賃上げとそれから下請代金の改善に向かわせるように、異例のことでありますけれども、政労使の取り組みを今進めてきているわけであります。賃上げは昨年を上回る勢いで今改定がなされています。そして、大企業の賃上げに加えて、下請代金の改善の要請をしました。これは、中小企業やさらに規模の小さいところに賃上げ原資を与えなきゃならない。賃上げ原資はやはり下請代金の改善でありますから、そのルールもつくったわけであります。あわせて、再分配機能の強化を今、税制等でしているわけであります。

 もろもろあわせまして、地域を支える担い手が元気を出して、地域の経済の主体になっていくような取り組みを総合的にやっているところであります。

佐々木(隆)委員 終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民主党の篠原孝でございます。

 このような場を設定していただきましたことを関係者の皆様に御礼を申し上げます。

 それから、農林水産委員でもないのに質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 ストップTPPのネクタイとノーTPPのバッジをつけまして、二重で武装して、また質問させていただきたいと思います。

 甘利大臣も御苦労さまでございます。フロマンさんはなかなかしぶとい方でして、甘利さんだからもっているような気がいたします。なかなかアメリカというのは交渉上手でして、最後になってきたら何を言い出すかわからないし、途中ではもう頑固でどうしようもないですし、こういう相手と交渉するのはなかなか大変だろうと思います。

 今、TPA法案が佳境に達しています。これを見ていますと、内容が変わってきているんじゃないかと思います。TPA、トレード・プロモーション・オーソリティーと言っていましたけれども、二〇〇二年のときは確かにそういう名前だったんですけれども、二〇一四年のときにもう、何か、トレード・プライオリティーズ・アクトとかいうものに変わっていたんですよね、キャンプ・ボーカス法案のときに。今度出てきたのを見たら、バイパーティザン・コングレショナル・トレード・プライオリティーズ・アンド・アカウンタビリティーと。直訳すると貿易優先事項・説明責任法。つまり、議会がこれを優先すべきだ、それをちゃんと国民にも議会にも説明するんだぞ、そういうニュアンスが相当出てきた。それで、それが素直に法律の名前になっている。

 TPAというのは、一括承認権限を与えるのにもかかわらず、議会が言った要件を満たしていない場合にはTPAを中断できるというか、与える法案でもって与えないということを書いているという、非常に矛盾した法案になっているような気がするんです。

 私は、これは仮に通ったとしてもなかなか大変で、後で再交渉させられるおそれがあると思う。もう、これは、米韓FTAのときに経験済みなわけですね。パナマとコロンビアのときもそうでしたし、アメリカというのは、そういう意味では、なかなか勝手な国だと思います。

 私は、今の段階では、絶対日本の姿勢として、ちょっと変なふうになっていますけれども、それでも法案は出たんです、ですから、TPA法案、TPA法案と言ってきたので、TPA法案でやり通すしかないのでそう言っておきますが、本当は名前が違っているんですけれども、これが通らなければ、TPPの妥結もないし、日米の二国間協議、農産物と自動車をやっていますけれども、その合意もないというふうに考えておるんですが、大臣は、そのことはいろいろなところで明言されてきておられますけれども、その点は変わりないんでしょうね。

甘利国務大臣 TPA法案が上院の委員会を通りまして、先ほど下院の委員会も通ったという報告がありました。いよいよ主戦場は上下両院の本会議に移るわけであります。

 TPA法案が、いわゆる貿易促進法、一括権限を大統領に与えるという法案を、形が変わってきていると私も説明を受けておりますが、一番大きい主要なところは、両院がそろった場合にはこれを拒否できるというのから、一方の院だけでいいというのが一番大きな点のようであります。

 もともと、TPA法案は、何のために出すかといえば、協定が妥結をした、円満に妥結をしました、それを国会が承認するときに、ここはいいけれども、あっちはだめだというようなことをいろいろ注文をつけたら、妥結の意味が全くないわけで、では、何のための妥結かということになりますので、各国とも、そのパッケージを一括して承認するわけであります。

 基本的に、アメリカだけがあちこちまたいじくり出して、やり直しだということをされたのでは、各国が乗ってこない。日本もそうでありますし、ほかの国も、TPA法案が成立をしていないとどうなるかわからない中で、十二カ国全体妥結をすることはないと言っているわけであります。日本もそのとおり主張をいたしております。

 後段の御質問でありますけれども、TPA法案が若干形を変えている。仮に再協議みたいなことに、私はならないと思いますけれども、なった場合には応ずるのか。これは、従来から、一旦まとまったものを一国の都合だけで全部ぶち壊しにするというような協議には応じませんと申し上げてきました。これは、その思いは変わりません。

篠原(孝)委員 ぜひ、その姿勢を堅持していただきたいと思います。

 それから、ちょっと気になるのは、結局、ムードを、安倍総理が訪米されますし、妥結に向かってそういう空気が醸成されつつあるというので、日本側も多少手助けしていると思いますけれども、アメリカ側は相当そういう演出をしていますよね。だけれども、私は、うっかりそれに乗るべきじゃないと思っています。

 どういうことかといいますと、法案が提出された、上院の財政委員会でこれは、ハッチ・ワイデン法案と呼ばれているぐらいですから、ハッチ委員長と民主党のワイデン筆頭理事と話し合っているわけですから、当然通る、上院は通る可能性がある。下院に行ってどうか。日本と同じで、両方で通らなくちゃ法律にならない。成立の見通しと成立は、私は、全く違うと思うんです。

 日本の場合は、法案を提出したら、我々のときはちょっと下手くそで、余り法案が通らないときがちょっとありましたけれども、それはしようがないとして、大体、法律は、内閣提出法案だと七割から八割、九割通りますね。私もちょっと役人をやっていたことがあるんですけれども、法案が通らなかったら課長は左遷されていましたよ。修正だって左遷で、これはよくないことだと思いますが、そこは改善されたと思います。だから、成立と成立の見通しは全然違う。

 アメリカは、名前がついて、シノハラ法案とかタムラ法案とか、勝手に、勝手にというんじゃない、いい案なんですけれども、出して、一万本も毎年出る。そういう法案とちょっと違うといえば違うんですけれども、法案通過率は二%から五%です。ですから、上院だけで通ったからといって、下院も通るんだから、成立の見通しがついたからというのは全然違うと思うんです。これはもうお答えいただかなくて結構ですから、そこは違うということをぜひ認識していただきたいと思います。

 次に、二つの懸念、問題点についてお伺いしたいと思います。

 一つは、通貨操作条項あるいは為替操作条項と言われている、カレンシーマニピュレーションというもの。実は、これは前々からあると言われていて、それで、本当は、中国や韓国がちょっと通貨を操作して、自分の国の通貨を安くして輸出攻勢をかけているんじゃないかということで、六、七年前さんざん言われた。それが、今言われ出しているんですね。これは安倍総理にとっては大問題だと思います。アベノミクスがそうだというんですね。意図的に円安に誘導して輸出攻勢をかけていると。日本は為替操作国だ、そういうふうには言っていません。

 それで、今資料をお配りしてあると思います。これは私がつくった資料ですけれども、二ページの方に、「TPAを通すためのUSTRの議会対策」というところに書いてあります。ここの中で、前々から入っているんですけれども、下の七番目に、「TPAへの為替操作条項を維持」と。だけれども、これは、ルー財務長官とかイエレンFRB議長も反対していますし、オバマ大統領も明確に反対しています。ですから、こういうことはないとは思いますけれども、私はこれは重大なチャレンジだと思います。ISDSは国家主権にかかわることですけれども、これは通貨主権を踏みにじるようなものなので、非常によくないと思うんです。

 これは、今まで日米ではないと思いますけれども、TPPの協議の中で、多分出てきていないと思いますけれども、出てきているのかきていないのか。日本は、これを当然突っぱねるんでしょうね。というのは、これは国家主権にかかわる問題ですし、こんなことをやられていたら困るんですけれども、この点についていかがでしょうか。

甘利国務大臣 ただいま御指摘の議論は、TPP交渉、十二カ国の中で全く出てきておりません。二国間でも、TPP交渉の中で出てきておりません。

 そもそも、この種のことは、通商協定で本来扱うものじゃないわけです。話があるとすれば、IMFとか、あるいはG20とか、そういう場があるんだというふうに思っております。もちろん、冒頭に申し上げたように、TPPの中で今後とも取り扱うべきことではないというふうに思っております。お話がありましたように、米国議会においてもさまざまな意見があるということも承知をいたしております。

 また、二十二日、米国時間ですけれども、上院の財務委員会において可決をされたTPA法案では、為替操作を適切に回避することを規定するということにとどまっておりまして、TPA法案中の為替条項を強化して、為替操作国からの輸入に相殺関税の賦課を認めるための修正案というのは否決をされております。

 二十三日、先ほど、下院の歳入委員会におきましても同様の修正案は否決されたというふうに承知をしております。

篠原(孝)委員 この点についてはアメリカもリーズナブルなんだろうと思いますけれども、ピーターソン研究所のフレッド・バーグステンなんかが前からこれを言っていて、何か変な条件で、外貨準備高をいっぱい持っている国が自動的になるような感じで、日本なんかは完璧にそれになるというような、とぼけたものなので、そういうことは絶対にないようにしていただきたいと思います。アメリカは何を言い出してくるかわからないので、警戒が必要だということです。

 もう一つ、これは実際に議論されているのに、日本の新聞、マスメディアは全然書かないし、この間ちらっと時事ドットコムのところで報じていましたけれども、これでやっとちょこっと出始めましたけれども、ルール・オブ・オリジン、原産地規則。

 原産地規則は、当初、我々がTPPの交渉に入ったばかり、ベトナムのテキスタイル・アンド・アパレルというので、中国産の糸、布でもってベトナムが繊維製品をつくってアメリカに輸出すると、これはベトナム製品じゃないと言っている、何かとアメリカは中国のことを気にしていますから。そのことでどんちゃかどんちゃかやっていたはずなんです。

 それが、日米自動車協議でも、二・五%の関税問題とは別に同じようなことが起きている。これはなかなか賢いなと思いますよ。日本が海外移転をしている中間財とか部品を、中国、韓国、タイ、インドネシア、みんなTPP非加盟国です、そこから持ってきて日本で組み立てて輸出するのは日本製品としない。日本のEPAは四〇%にしている。FOB価格で計算している。それに対して、アメリカは、NAFTAでは六二・五%も義務づけている、原産地に。計算の仕方もネットコストとかいって違う。

 これをやられると、自動車だけじゃなくて、日本の工業製品全てにおいて、産業用機械とかいうのも、部品が、アキュムレーションというので、累積で、TPP加盟国、マレーシアやベトナムとかだったらいいんですけれども、それ以外の国の部品というのが排除されるというふうになって、貿易立国を今でも任じている日本にとっては大問題だと思うんです。

 これはどのように対処されておるんでしょうか。僕は、こういうことをのんでまでTPPを妥結する必要は絶対ないと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

甘利国務大臣 ROO、ルール・オブ・オリジン、原産地規則というのは個々の品目ごとに決められていて、つまり、それは何を意味するかというと、その枠内で付加価値を積み上げていく、それにその外側の人が参加しづらいような仕組み、だから、それが参加している人たちに参加国内のルールが適用されるための一つの前提になっているわけであります。

 ただ、おっしゃるように、品目によって、域内で完結できるというものもあれば、調達がうんと広範囲に広がっていて国際調達になっていて、そんな、枠内で何か余り限定的に厳しいのを決められるとかえって制約されるよというものと、いろいろあるわけであります。

 物によっていろいろと違ってくると思いますが、これはルールですから、マルチの場で議論をされるものであります。二国間で決めました、ここはこうだけれども、よその国は違いますねというようなものとは違う、全共通ルールになるわけでありますから、十二カ国で決めるものであります。

 そこで、私が非常に注意をしておりますのは、そのことによって日本の産業界が制約を受けて、何か大きな変更をしなきゃならないとか、各企業に大きな負荷をかけるというようなことになっては元も子もないわけでありますから、そこは最大注意を払って交渉しているつもりであります。

 いずれにしても、全ての原産地規則、ルールはマルチの場で決まっていくものであります。

篠原(孝)委員 それでは次に、米と牛肉と豚肉に入りたいんですが、これは福島議員と佐々木議員がとっぷり聞かれたので、あちらに任せまして、最後に情報開示のことについてお尋ねしたいと思います。

 資料の一ページの方を見てください。これはいろいろなところで質問を受けておられると思いますけれども、私が初めてなので、ちょっと。

 USTRのホームページにこれだけきちんと出ているんです。それから、TPAの法案の中にも、議会協力というのでこれだけ書いてあるんですよ、懇切丁寧に。いかに議会に気を使っているか。これは新しく入った部分なんです。よく見ていただきたいんです。

 アメリカの議員は幸せだなと思うんです、これだけ丁寧に扱われているんですから。我が国の国会議員は、私のようにおとなしい議員ばかりのせいかもしれませんけれども、これを見てください、TPA法案の議会協力部分の概要。これだけやってもらったら、私だったら反対できなくなっちゃいます。だけれども、全然こういうことをされていない。

 TPAを通すためのUSTRの議会対策、後ろを見ていただくと、これだけ一生懸命、気を使ってやっている。日本までフロマンさんが来て、甘利さんと土曜日から三日間もやった。これはアメリカ側に対するアピールですよ。ですけれども、私は、日本でもこれは絶対やってもらわなくちゃいけないと思うんです。

 それで、我々は、これは前から気にしていまして、この後、長い名前ですけれども、国民経済及び国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案、これを提出したいと思っております。これは、本当に真面目に考えていただきたいと思います。

 レベル・プレーイング・フィールド、同じ競争条件にというのは、いつもアメリカ側とやっていると出てくるんです。だけれども、議会の審議において、アメリカの議員と日本の議員と、全然情報量が違ったら勝負にならないですよ。同じように議論してやっていかなくちゃいけない。

 例えば、署名する六十日前に貿易協定を公開するとともに、交渉全体を通じて米国提案の詳細な概要を発表することを求める、これはなかなか大したものだと思いますよ。我々、英文でどさっと出されたって困りますけれども、日本文でちゃんと出されたら、ちゃんと速読して理解できます。この情報公開は絶対にやっていただかなくちゃいけないですし、アメリカがやっているんだったら日本もということで、ぜひしていただきたいと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

 これの答弁をいただいて、私の質問を終わらせていただきます。

甘利国務大臣 守秘義務ルールとそういう情報開示と、どう整合性をつけるかというのは、各国、みんな悩んでいて、アメリカが、そういう情報が出ている、開示する。一方、では、我々が示している以上の細かなものが出ているかというと、出ていない。それから、相も変わらずアメリカの議員からは、見せてくれと言ったら概要しか見せてくれなかったとか、そういう不満が出ているということは、アメリカも苦労しながらぎりぎりの調整をしているんだと思います。

 我々もできるだけ、十二カ国間で、いいのではないかと思う開示のところを探りながらいたしておりますし、可能なら、概要がどうやってつくれるかを、ちょっと頭の体操をしてみたいというふうに思っています。

篠原(孝)委員 以上で終わります。

井上委員長 次に、村岡敏英君。

    〔井上委員長退席、江藤委員長着席〕

村岡委員 維新の党、村岡敏英でございます。

 きょうは、内閣、農水委員会の理事の皆さん、こういうTPPの質問の機会を与えていただいたことを心から感謝申し上げます。

 甘利大臣、十五時間に及ぶフロマン代表との外交交渉といいますかTPP交渉、三時半までかかったということで、大変お疲れかと思いましたら、大変意気軒高でお元気そうなので、安心いたしました。

 この交渉は本当に難しい、誰が担当しても難しい。その中で、甘利大臣はフロマン代表に対して、米国にとっての米の重要性の百倍以上の重要性が日本にある、それほどの価値が米国にとってあるのか、農家の不安は最大値に達している、議員の緊張感もピークだ、狂気の沙汰の中での重みがわかるか、こういうふうなことを言ったと新聞で報道されていますけれども、そのような会話はされましたでしょうか。

甘利国務大臣 会談に入るときの、にこにこして握手をしているイメージだけ伝わっているかもしれませんけれども、すべからく、会談というのは、にこにこして入って、だんだん険悪になってきて、最後どなり合いになるということです。私とフロマン代表との場合は、大体、毎回そういうパターンでありまして、語気荒く言い合いをする、時に机をたたくというようなことにどうしてもなってしまいます。しかし、それがないと膠着状態が全く動かないというのも事実であります。

 私は、交渉の中で、中身は余り言っちゃいけないのかもしれませんけれども、それぞれのセンシティビティーにはそれぞれの国柄がある、その中でも重要度の濃淡は高い、米はウルトラ最高度のセンシティビティーがある、そのことをアメリカは理解しているのかということは言いましたよ。それはよく理解していると。アメリカにとって米は、日本が思っている重要性の、それこそ百分の一以下じゃないのか、そういうことを踏まえて対応してもらいたいということは強く申し上げたのは事実であります。

村岡委員 そのような姿勢で臨んでいただいていることは大変、いい結果を求めたいわけですけれども、林農林大臣は甘利大臣に、こういうふうに交渉してくれ、こういうことなんだということはどういうふうに申していますでしょうか、フロマン代表と会談するにおいて。

林国務大臣 政府全体として、国益を最大限追求する。また、私の立場からは、まさに農林水産委員会での決議がございます。これを守ったと御評価いただけるような交渉をしていかなければならないということを常々お願い申し上げているところでございます。

村岡委員 林大臣、優しいお言葉で言っていては、この交渉は農業者全体のもう死活問題にかかわりますから、ぜひ甘利大臣には、しっかりと農水委員会のいろいろな議論を伝えて、これはもうぎりぎりなんだということをお伝え願いたい、それをぜひお願いしたい、こう思っております。

 そこで、甘利大臣、新聞報道なので中身は言えないということですけれども、新聞報道を見ると、TPP交渉というのは、関税を低くして、自由貿易をTPPの参加国でやっていこうということですけれども、今この交渉は、中身はいいです、米は関税ではなく量で買い上げる、そういう方向性で交渉しているということでしょうか。

甘利国務大臣 マスコミによって報道されているところは、アメリカが今のミニマムアクセスで得ているものに加えて、あとどれくらい拡大できるか。そこが、これは報道ベースで言いますよ、日本はプラス五万トンだと言い、アメリカは十七万五千トンだと言っているという報道がなされています。

 結論は全く出ておりません。そして、我々が申し上げているのは、米をこれ以上、外に向けて輸入する枠をつくることについては、極めて厳しい状況の中なんだということを申し上げております。アメリカは、その事情はわかるけれども、我々も農業者を抱えている、そして輸出余力はある、アメリカとしては、できるだけアメリカの農業者、米生産者が日本向けに物を出せるようにしていきたいということを言っているわけであります。そこの攻防戦が続いているというところでありまして、結論はまだ出ておりません。

 とにかく、妥結をするためには、お互いが歩み寄りが必要だという議論があります。ただ、私は、米については、センシティブ品目の中のセンシティブ品目である、超センシティブ品目だ、アメリカにとってのこの交渉に占める米の重要度と、日本がこの交渉に占める米の重要度では、百倍以上の開きがあると思う、それを踏まえて交渉することが基本なんだというようなやりとりをやっているというところであります。

 まだ決着がついておりませんから、引き続き事務折衝でやっていこうということになっておりまして、それが続いているというところであります。

村岡委員 新聞の報道のとおり、米は、輸入して、備蓄米の方でという、これは決着がついていないこと、そして、牛肉や豚肉は、関税での交渉で、EPAを参考にして、大体そういう交渉をしているようであります。

 林大臣、お米、水田フル活用ということで、その対策で、転作作物、加工品、飼料米、特に飼料米は、水田フル活用の一番の政策だと思います。飼料米をどんどんつくってくれという中で、日本全国の農家に募集をして、そして、いろいろなキャラバンもつくってこの飼料米をやっている。そのときに、この米が入ってきたときに、そのお米を飼料米にしていくことというのは矛盾しませんでしょうか。

林国務大臣 水田フル活用、餌米、そして加工用米等々、それからさらには麦、大豆等、水田をフル活用していただくということで、しっかり進めていかなければいけない、こういうふうに思っております。

 畜産の方がどうなるか、また、米がどうなるかというのは、まだ交渉は途中で、今、甘利大臣から御答弁がありましたように、全てがパッケージで、何も決まっていないという状況でございますから、何らか仮定を置いてお答えするのが難しいわけでございますが、TPP交渉いかんにかかわらず、これは大事な課題だ、こういうふうに認識しておりますので、しっかりと進めていきたい、こういうふうに思っております。

村岡委員 最終的に大事なのは、再生産可能かどうか。

 今、お米を種まきから何から始めようとしている最中です。そして、転作作物や加工米や飼料米を含めて、経営をどういうふうにしていこうかと考えている最中であります。そのときに、大きな米が輸入される、そういう報道をされると、もう農業はやめようかとか、いろいろなことの状況が起きてきます。ぎりぎり、昨年も米価が下がりました。その影響は、またことしも下がるんじゃないか、大変な状況が、農家の中に不安が広がっています。

 そこは、決議の中、また、再生産できる交渉を必ず甘利大臣がやってくれる、こういうふうなお気持ちで、林大臣はしっかり甘利大臣に言っていただけるでしょうか。この政策を進めていくためには、ここがぎりぎりのラインだ、中身はもちろん交渉事だから言えなくても、はっきりと言わなきゃいけないんじゃないかと思っていますが、どうでしょうか。

林国務大臣 今、村岡先生からお話がありましたように、決議にもそういう文言がある。先ほど申し上げましたように、決議を守ったと評価していただくということは、今のところも当然入って、そういう意味で申し上げておるところでございます。

 今御指摘のあった、餌米も含めた水田フル活用でこういうことをやっているんだ、また、米の状況はこういうことだということを、逐一、直接また事務レベルを通して甘利大臣にはお伝えをしているところでございまして、そういうことも踏まえて、先ほども百倍というお言葉がありましたけれども、そういう御発言をしていただいているもの、こういうふうに承知をしております。

村岡委員 百倍どころか、千倍でも二千倍でも、本当に大事なものだと思っております。

 そこで、先ほど各委員からも質問がありましたが、TPAの件ですね。

 先ほど、いろいろな議員が閲覧できると。これが、透明性向上の中では、全議員に加えて、機密文書の閲覧許可を持つ議員秘書についても交渉の文書を閲覧することを可能とする、こうなっている。スタッフまで全部可能になっている。

 その中で、我々、農水委員会や内閣委員会にも、今、交渉している過程なので、全く何もわかりません、それは言えません、そのような状況で、我々議員も不安を持つわけですから、農家の方々はもっと不安に思っている。その状況に対して、やはり、TPAみたいな形で、しっかりと情報を公開していく。それは秘密会でもいいです。その中で、こういう状況になっている、そういう情報を提供するという機会を設けるつもりはありませんでしょうか、甘利大臣。

甘利国務大臣 どういうふうに情報開示をしていくかというのは、先ほど来申し上げているとおり、非常に各国とも悩ましい中で模索をしています。

 議会においてどういう会を設定するからどうだというのは、それは議会でお決めになっていただくことだと思いますから、政府として、ああじゃなきゃいけない、こうじゃなきゃいけないと立ち入るつもりはないのでありますけれども、ただ、アメリカもいろいろな制約をかけて情報開示をしているようでありますし、先ほども申し上げましたけれども、議員の中でもいまだ不満がある。テキストを見られると思ったら実は概要集じゃないかとか、係がついていて、ぱらぱらっとめくって終わったじゃないかというような不満がいまだに議会から出ております。ですから、アメリカもアメリカなりに秘密保持についての難しさを認識しながら取り組んでいるのかなというふうに思います。

 これは、アメリカ側から、議員から、次から次へ個別の情報、個別というのは、まだ数字が全く出ていない交渉かと言われると、最初からちっとも進展していないじゃないかと言われるんでしょうけれども、頭の体操として、もちろんいろいろな数字は出ていますよ。ただ、それが完全にフィックスしてこう決まったということではないということで、まだ全体パッケージですから決まっていませんと申し上げているわけであります。

 では、頭の体操として飛び交っているようなものがアメリカから出てきているかというと、それは一切出てきていないわけでありますから、むしろアメリカからは、日本の新聞やテレビではこんなことを報じて迷惑を受けているとかいう抗議が向こうから来ているような状況ですから、アメリカはこんなに開示しているというのと実態はちょっと違うのかなとも思います。

 日本としてどこまでできるか、アメリカが概要は示していると言われたら、では日本でどこまでそれが対応できるのか、それが守秘義務とどう抵触をしないのかは、今、部内で検討中であります。

村岡委員 決議の中にも、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」と入っているんですね。このことに関しては、TPPに入ったら秘密交渉なので全くそれはできない、そういうことになれば、決議というのは何だったのかと、全ての国民が聞いていて、また農業者の人が聞いていて。

 そして、決議は、このTPP交渉が始まってから二回衆議院選挙があって、参議院選挙があったわけです。そのときのそれぞれの選挙で与党の議員の人たちが訴えていたことは、必ず聖域五品目は守る、こういう訴え方をしていたわけです。

 選挙のたびにそう言っておきながら、情報も公開しない、そして、ぎりぎりの交渉で頑張ったんだからと。頑張ったとは、それはアメリカとの交渉ですから、甘利大臣、頑張っているとは思います。まだ結論は出ていない。しかしながら、それは選挙でそう言ったこととたがえることにならないでしょうか。そういう交渉の結果にならないようにしっかりやっていただくということの中で考えていただかなければならない、こう思っています。

 そして、最初に甘利大臣が言ったように、TPP交渉というのは、意欲的に参加国で自由貿易をやって日本の成長戦略をやるということで、我々は選挙のときにTPP交渉参加ということを公約で言っています。しかしながら、農業対策はしっかりしなきゃいけない、農業は日本にとって大事な産業であり、そして日本の美しい田園風景を守るためには必要だということは言っております。

 そこのところで、選挙で何回も言っていたことと違うことになるというときに、甘利大臣はそうはならないと自信を持って与党の議員の方々に言えるような交渉をしているとお考えでしょうか。

甘利国務大臣 私は、日米でやるとき、そしてマルチでやるときも、それぞれの国にはその抱えている国情があって、当然制約もあって出てきている、日本でいえば、衆参農水委員会で決議をされている、この決議は、国会の決議だから重いものであって、その国会に最終的な条約をかけて承認をいただかなきゃならない、だから、そういう制約の中であるということはよく理解してもらいたいというのは、かなり番たび申し上げています。

 私としては、その農水委員会の決議に、ぎりぎり了解をいただけるというところはしっかり踏まえて交渉しているつもりであります。もちろん、最終的な御判断は、おまえがそう思ったって、これは決議に抵触してしまっているではないかという判断をされるかどうかは、これは委員会、議会の皆さんの御判断であります。

 それから、情報開示にいろいろ今頭を悩ませているという点で、どういうことが検討できるかは、もし必要なら事務方に少し答弁させますが。

澁谷政府参考人 お答え申し上げます。

 TPPの参加十二カ国の中で、情報開示の問題は常に各国悩んでいるところでございまして、この情報開示の問題を中心に、担当を決めて話し合いをしております。私が主としてその担当をしておりますけれども、いろいろな国で、こういうような外部からの要請があって、どこまで現時点でそれを出すのが適当だろうかということを、実はお互いよく相談しながらやっております。

 アメリカの状況もそういうことで把握はしておりますけれども、どの国も、対外的にいろいろ言っている部分と実態面というものが必ずしも一致していない国もあるようであります。

 そういう意味で、どの国がこうだということを私の方からこういう場で申し上げることは差し控えなきゃいけないんですが、各国の取り組みを今十分理解しており、そういうことを踏まえて、我が国として最大限どこまでできるかということを、今引き続き努力、検討していきたいと思っております。

村岡委員 これはぜひ情報開示というのを、アメリカの方が先に行っていて、それは交渉が不利になりますから、こちらの方にもしっかり開示することをお願いしたい、こう思っています。

 そして、公約でいろいろ言ってきた、やはり政党が選挙で言うということは大切なことだと思います。先ほど甘利大臣が、皆さんにそう思っていただけるかどうかは後の判断、そんな弱気ではだめだと思います。しっかりと、やはり、この決議を踏まえて、これを守ったと言える自信を持ったことを交渉結果で出す、そういう意欲がなければ、私が今やっていることはもう不安で、もしかしたら皆さんが評価していただけないかもしれない、こういう不安で外交交渉に臨まれたら、それは農家の方々も、また日本国民の方々も不安になりますよ。やはり強気でいってくださいよ。ぜひもう一回答えてください。

甘利国務大臣 鼻っ柱の強いことだけは誰にも負けないと思っておりますから、アメリカとの交渉も、時にどなり合いになるわけであります。

 交渉事ですから、自分としてはしっかり思いを込めてやっております。ただ、申し上げたのは、おまえがそう思っても、俺たちにはそう見えないぞという評価の違いは、これは当然あろうかと思います。しかし、その評価の違いが決議の外側に行ってしまうということがないように、毅然たる姿勢で臨んでいきたいというふうに思っております。

村岡委員 交渉事ですから、相手とのやりとりの中で、いろいろな途中過程はあると思います。しかしながら、日本の農業も、成長戦略、改革だということで、農協改革も含め、いろいろなことが始まっています。そして、農業者は今、大変不安を持ちながらも、歩き始めて、スタートし始めている最中です。そこだけはぜひ頭の中にしっかり入れていただきたい、こう思っています。

 林大臣も甘利大臣に対して、私も応援しているんです。TPP交渉はぜひ参加し、そして日本の成長戦略につなげていただきたい。

 そのときには、アメリカの国益はアメリカで考えるでしょう。そして、アメリカの農業の方は、自分たちの米、余剰につくっているわけですから日本に入れたいと思っているでしょう。そして、米韓のFTAの中で米だけが全く交渉事にのらなかったということで、アメリカの場合はそれぞれ生産の品によって団体が決まっていますから、米業界が、アメリカ大統領を初め、交渉のフロマン代表にもどんどん圧力をかけているでしょう。

 でも、甘利大臣は日本の大臣です。しっかりとそこは踏まえなければ、向こう側は業界が挙げて、よし、十万トンだ、二十万トンだ、日本に売れる、これをどんどん言っているわけです。しかし、こちらにも、農業をやって、これから改革も、農協改革も含めて一緒に頑張っていこう、そういう日本で農業を支えている人たちがいるということもしっかりと考えていただきたい、こう思っております。

 林大臣、農業団体や農家の方々と会ったと思います。その思いを、甘利大臣を含め、この委員会で、こういうことを守っていき、農業を進めていくんだということを一言ぜひお願いしたい。

林国務大臣 まさに今委員からも御議論いただきましたように、いろいろな改革をしっかりと進めていこうということで、需要フロンティアの拡大、これは輸出促進等が含まれますが、それからバリューチェーンの構築、六次産業化をやっていこう、また、生産現場の強化で農地中間管理機構の本格稼働、多様な担い手を育成していこう、さらには、こういった産業政策的なものと多面的機能の発揮、地域政策的なものを車の両輪として、農山漁村の活性化もやっていこう、こういうことを一体的に進めている時期でございます。

 そういう中で、まさに先ほど御指摘いただいた決議というものがありまして、ここに網羅的にいろいろなことが書かれておりますので、まさにこの決議が守られたと評価をいただけるように、政府全体となってしっかりと当たっていきたいと考えておるところでございます。

村岡委員 大事な米の話をしましたけれども、新聞報道によると、もう畜産関係は終わったかのように、これは畜産関係者が、どうなっているんだろうと相当な不安があるんです。日豪EPA、あのレッドラインだと言われたところからまたさらに大変厳しい交渉をしているんじゃないか、そして、もう既にそこは合意したんじゃないかと。

 パッケージですから、一つ一つはまだ決まっていないと言っていますけれども、畜産関係では、中身じゃなくて、もう終わったんですか。大体終わったという認識なんでしょうか。

甘利国務大臣 結論からいえば、終わっておりません。当然、いろいろなシミュレーションはできておりますけれども。

 しかしながら、従来、よく連立方程式と申し上げていますけれども、関税を下げるにしても、エンドポイントの割合とセーフガードの割合というのは連立方程式で決まってくるものであります。ステージングもあれば、いろいろな要素を組み合わせながら最終着地点に向けていくわけです。

 それの収れんがなされつつあることは事実であります。しかしながら、全体パッケージとして、こっちがこうだったらこっちはこれでは難しいんじゃないかというような議論が当然出てくるわけでありますし、全体が収れんしつつある、それがかなり進んできたことは事実でありますけれども、これはもう決着して何もなし、細目にわたって全部決着済みということは、少なくともセンシティブ品目についてはないということで御理解をいただきたいと思います。

村岡委員 もう終わったかのような報道というのは、前進した、幅が縮まって首脳会談では歓迎すべきことができるだろうと。そうすると、何も決まっていないで、大体方向性が、前進するも何も、それは表現としてはおかしいので。

 大体こう決まっていくという中でいけば、畜産はまだ決まっていないということであれば、畜産は農業の中で引っ張っていく存在です。農業の成長戦略で非常に大きな分野を占めます。この畜産の方々も、農林省のそれぞれの政策に従って、機械化や何かも含めて、どんどん農村地帯で伸びていくための大事な畜産業です。そこの部分もひとつ忘れないでぜひ交渉していただきたい、こう思っています。

 そしてもう一つ、米で、農家の方々で大変不満があるのが、ミニマムアクセス米で七十七万トン。しかしながら、毎年八万トンずつ国内の需要が落ちているわけです。そして、このときのMA米の算定基準というのは、一人当たりの消費量が七十五キロだったんです。でも、現在、五十七キロなんです。二割以上減少しているんです。このMA米に関しても不満があるところに、さらにお米が入ってくる。

 これをどういうふうにするかというのは、まだ大臣は言っておりませんけれども、また五万トン入ってきて、量がふえる。この米対策の中で、結局は、米の量がふえていけば、当然価格は下がる、そして、その処理に財政的な負担を相当かけなきゃいけない、そういうことをしっかり考えながらこれは交渉していかなきゃいけない。

 これ以上、米が日本でも余っている状況の中、海外から、アメリカ初め十二カ国、それぞれ、いろいろな米をつくっている国がたくさんあります。もちろん、今は輸出余力米がないとかという報道もありますけれども、それは、豊作になったり、日本に売れるとなれば、いろいろな意味で今度ふえてくる状況があります。そういうことも考えていかなきゃいけない。この交渉一回限りじゃなく、一度そういう形の交渉をすれば、日本にとって一番大切な米の部分にどんどん海外から入ってくる、この状況をやはり考えておかなきゃいけない。

 そして、参加する国の中の東南アジア系統には、日本の農機具メーカーがどんどん入り込んで、水田や米をつくっています。そういう中でいくと、だんだん広がってくるんです、今のところは余剰米がなくても。そのことは踏まえて、しっかり交渉していただきたい。

 こういう東南アジアに進出している日本の農機具メーカーやいろいろな企業、それは、技術支援や食糧援助の部分の中で行くのはいいんですけれども、そういう状況も、林大臣、ちゃんと甘利大臣にお伝えしているでしょうか。

林国務大臣 農機具メーカーや、農家そのものもいろいろな国に行ってやられているということも、この間、まさに村岡委員とのやりとりの中だったと思いますが、そういうこともあるわけでございますので、もろもろ、さまざまな状況は、なるべく直接また事務方を通じてお伝えをしておるというのは、先ほど申し上げたとおりでございますので、さらにアップデートするべきは常にアップデートを心がけていきたいと思っておるところでございます。

村岡委員 この交渉いかんによって、これまで、大規模化、そして飼料米に転換していく、転作、日本型直接支払い、そして輸出を伸ばしていこう、いろいろな農業が変わるための対策をとってきました。しかし、これが全部、ゼロからもう一回やり直さなきゃいけない可能性も出てくるわけです。今までの、安倍内閣ができてからの、三年目に入りますけれども、農業をしっかりと成長産業にしようというこの政策が根底から崩れてしまうという危険性があります。

 それをしっかりと考えながら、大変タフな交渉だと思いますけれども、甘利大臣のお力にかかっています。日本の国民、農業者の人たちも、決して責めるわけじゃなくて、頑張れという中で、最後に、その覚悟をお聞かせください。

甘利国務大臣 総理から託されました私の使命は、国益を踏まえ、攻めるは攻め、守るは守る、その中で、TPPが早期妥結に向けていくように貢献をせよということであります。

 参加した以上、妥結を目指すわけであります。しかし、その妥結に向けては、しっかり国益を踏まえて取り組んでいく、そして、衆参農水委員会の決議をしっかり頭にとめながら交渉を続けていくということでありまして、その姿勢でしっかり取り組んでいきたいと思います。

村岡委員 アメリカとの交渉というのは、まあ言えば、日本は黒船来航からアメリカとの交渉は大変だったわけです。その黒船が来たことによって、江戸幕府は、いろいろな理由はあるけれども、末期に維新が起きました。そして、その維新のときに、日本は不平等条約を直していかなきゃいけない。決してTPPは不平等条約ではありませんが。

 しかしながら、向こうの論理だけを受け入れて一つをかち取ったといっても、日本の農業が崩壊するような状況になれば、その利益は、逆に言えば、日本全体の地方創生を考えるときも、またさらには日本の人口減の問題に取り組んでいくときにも、全く違う方向性に行く。一つの経済的利益を得ることによって、都道府県が全部沈んでしまう、農村社会が全部崩壊してしまう。そういうことになれば、決して、TPPが交渉の中でたとえ妥結したとしても、それがその方向性に行かないということになれば、これは本当に歴史に汚点を残すことになりますので、ぜひそれは交渉事で頑張っていただきたい。農業はやはり地方創生にとって大切なものだということの認識はぜひ持っていただきたい、こう思います。

 林大臣も、この農業政策、もう改革で三年目になりましたけれども、ずっと担当しておられます。ぜひ甘利大臣と一緒になって、この交渉事、最後の妥結のときまで、日本にとって、これは決議を守り、そして日本国民もいい形だということのための交渉事をぜひお願いして、終わらせていただきます。

 よろしくお願いします。

江藤委員長 次に、畠山和也君。

畠山委員 日本共産党の畠山和也です。

 きょうの最後ですので、よろしくお願いいたします。

 甘利大臣がフロマン代表との協議後の記者会見で次のように語りました。TPPを十二カ国間で妥結するための重要な二つの要素が動き出しました、一つはTPA、貿易促進権限法案であり、一つは日米協議でありますと。

 きょうは、この二つ、それぞれにかかわって質問をしたいと思います。

 まず、TPA法案です。きょうも議論はされてきましたけれども、改めて、順を追って確認していきたいと思います。

 まず、なぜこのTPA法案がTPPの妥結に重要なのか、確認したいと思います。

甘利国務大臣 おっしゃられたとおり、TPP十二カ国が妥結へと話を進めていくためには、前提が二つあると申し上げました。一つはTPA法案が成立をするということ、そしてもう一つは、日米の大筋合意が見えてくる、大筋合意がかっちりできましたというのも見えてくることということが大事だと申し上げました。

 後段の日米合意が見えてくることというのは、TPP十二カ国のうちの経済領域でいえば日米で八割を占めますから、八割の国がまとまっていないのに残りの二割が何でまとめるんだという話になると思いますから、まとまる方向が見えてきた、それに最終的な着地点を合わせるようにちゃんとほかの国も協議を加速していくということが必要であるし、それを共有しているんだと思います。

 それから、御質問のTPA法案がなぜ大事かということについては、各国とも、最終的なカードを切る際に、TPA法案が成立しているということが前提だというふうに思っているわけであります。というのは、交渉している最中でありますから、最後のカードをまとめるために切った、ところが、まだ法案が成立をしていなくて、ということは、そのカードが、さらに追加カードを求められる危険性がある、TPA法案が成立をしていれば、最終合意がより安定的なものになるという判断をしているんだというふうに思います。

畠山委員 大臣、今なかなか言いませんでしたけれども、安定的なものになると。つまり、大統領に貿易権限が必要であるから、このTPA法案の行方を注視していたということで、もう一度確認したいんですけれども、それでよろしいですね。

甘利国務大臣 基本的には、全体のパッケージを議会が了解するかしないかで、その後、細かいところにいろいろな注文がつけづらいということで、まとまったものを、その後、注文がいっぱいつくのであればまとまったことにならない。つまり、大統領に一括権限が付託されるということが非常に大事だという点で、各国は注視をしているんだと思います。

畠山委員 今ありましたように、大統領への貿易権限が必要であるということであります。

 それで、この間、改めて確認すれば、昨年、TPA法案が一度廃案になり、ことし、新しい法案が出されたということは先ほどからありました。ただ、これが、中身が違うということも御存じのとおりです。

 重要なことに、一つは、議員に対する情報公開があり、さらにもう一つに、手続否認決議において新たに加わったものがある。一言でこれを言えば、上院か下院で拒否の決議をすれば、TPAが適用されずに、議会がTPPについても修正できるというような内容に読めるわけです。

 昨年の法案とこの点が違うということで、これは事務方で結構ですけれども、確認してよろしいですね。

宇山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一五年、ことし提出のTPA法案には、廃案になりました二〇一四年提出のTPA法案同様、大統領が議会への通知または協議を怠った、または拒否した、あるいは、協定が本法律の目的、政策、優先事項及び目標を達成することに進展を見なかった、こうした理由によって、両院の一方が、実施法案の審議に迅速な審理手続を適用しない旨の決議、手続否認決議をし、その後、六十日以内に他の院がこれに同意した場合、迅速な審理手続が審議に適用されないことになる旨の規定があるというふうに承知をしております。

 これに加えまして、このたびの二〇一五年提出のTPA法案におきましては、上院の財政委員会、または下院の歳入委員会のいずれかが、さきに述べた場合に該当するなどとして、迅速な審理手続を適用しない旨の決議、手続否認決議をし、同決議がなされた院の本会議において同決議が採択された場合、その院における実施法案の審議に迅速な審理手続が適用されないこととなる旨の規定があるというふうに承知をしております。

畠山委員 きょう、資料を配付しておりまして、外務省の資料ですけれども、これの最後の下の黒丸のところに、今説明されたものを簡単にまとめれば、こういうふうに書いてありまして、「二〇一五年法案で新設。」と。つまり、大統領は全権が委任されていない、議会の関与が生まれるということであると理解できます。

 これまで日本政府は、TPAが成立しなければ、政権が合意に至っても、議会は内容についてさまざまな修正ができる、これでは各国が安心して交渉を進めることができず、これが交渉停滞の原因の一つになっている、先ほど甘利大臣も同じようなことを答弁されましたが、このような考え方を示してきたわけです。

 ところが、今話がありました新しいTPA法案は、議会が内容についてかかわり、修正も可能になるかもしれない。ということは、今まで懸念していたものそのものではないのかというふうに思います。

 甘利大臣はこのことをわかってフロマン氏との協議を進めてきたのでしょうか。

甘利国務大臣 TPA法案の違いは、委員御説明のとおりであります。つまり、要すれば、両院がノーと言った場合に本来のTPA法案の本質が適用されないというのから、片方の院、片方の委員会がノーと言ったらその効果を発するということであります。

 しかし、上下両院の委員会はTPA法案そのものを、その重要性に鑑みて、いち早く可決したわけであります。その必要性、TPA法案の必要性というのは、一括してイエスかノーかを意思表示するということ、その法案の重要性は認識して提出をされたというふうに理解をしておりますし、通過をしたものというふうに思っております。

 従来から、TPA法案の本質というのは、基本的には議会に共有されて委員会を通っているものと思っておりますし、何より、日本もそうですし、他の国も、交渉が妥結をしました、しかし再協議を求められました、その協議には日本も含めて各国は乗っていきません。

畠山委員 私の質問にお答えになっていないんじゃないかと思いますが、改めて確認しますが、フロマンさんとの協議のときに、このTPA、新しい法案で議会が関与できるということを承知して協議に臨んだのか、もう一度答弁してください。

甘利国務大臣 TPA法案の果たすべき意味、本質、それを前提に議論しております。そして、TPA法案の本質が今回の変更によって著しく損なわれるということではないというふうに理解しております。

畠山委員 本質が損なわれていないと。今まで、議会の関与がないようなことが、あってはならない、日本政府でそういう考え方を示してきて、今回、明らかに議会がこのように関与できるということですが、本質的に大きな、違う中身でないかというふうに思いますよ。

 資料を引き続き見ていただきたいんですが、その後のプロセスがどうなるかといったときに、交渉の妥結以降、協定の署名まで少なくとも九十日、そして期限の定めなく進んだ後に下院での審議が、最大九十日、上のフレームにはないんですが、黒丸の四番目のところに、国際貿易委員会が報告書を出す期日の規定がありまして、それが百五日以内。普通は大体この報告書を受けてから審議が始まるというふうに考えられますから、協定発効、最後まで進むに当たっては、九カ月から最大で十カ月程度かかるであろうというふうには思われます。もちろん、それよりは短くなるかもしれません。

 先ほども質問が出ましたけれども、議会のところで承認されずに要求などが出た場合、再協議が迫られることがあります。確認ですが、再協議が必要となった場合に、それに応じますか。

甘利国務大臣 先ほど、議会が関与、従来も、両院がその必要性があると言ったら、その時点で関与になるんです。今回の修正は一院がということでありますから、議会が関与するという状況は、今までの法案も今回の法案も変わらないわけであります。しかし、基本的に一括して承認するかどうか、そのための法案ですから、その根幹が全くなし崩しにされたら、大体その法案を出す意味がない、出さなければいいだけの話になってしまうわけであります。

 そして、委員御指摘の後段のお話……(畠山委員「再協議」と呼ぶ)再協議の話ですね。再協議については、もともと我々は、あらゆるベースで、一度まとまったものを一国の都合で再協議するつもりはないというふうに申し上げていますし、この点は各国が一番強く主張している点だと思います。だから、ほかの国は、TPA法案が成立しない限り最終的なカードは切らないといって、交渉がとまっていたわけです。

畠山委員 応じないというふうになれば少し心配になるのが、逆に言えば、最初から議会が了承するような内容へと譲歩を重ねていくことになりはしないか、つまり、合意できるような内容をつくっていかざるを得なくなるのではないかという心配があるわけです。そうならないと言えないのではないか。

 九カ月から最大十カ月かかるとなれば、今後のアメリカの政治スケジュールで見れば、大統領選の具体的な日程も入って、先に進まないのではないかということも言われています。

 日米だけでなく、マルチで、交渉参加国の中でも交渉がさまざまに難航しているものがあることも報じられています。どのようなもので今難航していると認識されますか。

甘利国務大臣 どのようなことで難航、ちょっとその意味が、具体的にはかりかねるんですが、二国間交渉について言えば、それぞれの国がセンシティビティーを大なり小なり抱えています。物品の関税について抱えている国もあれば、ルールで抱えている国もあります。知財であるとかあるいは国有企業の規律等で、物品では問題がないけれども、しかし、ルールでは問題があるという国も多々あるわけでありまして、それぞれが抱えている国のセンシティビティーを最終的に決着させるということで、終盤になればなるほど難航するというのは、そういう点であります。

畠山委員 さまざまな点が報道されてきていますけれども、例えば、知的財産についても、新しい医薬品のデータを守りたいアメリカと、後発医薬品に頼るそれ以外の国々とで大きな開きがあるような報道なども見受けられます。もうお互いに譲らない状況にあるのではないかと。

 ほかにも、これは日経新聞の一月二十三日付ですが、マレーシアのムスタパ貿易産業大臣が、国営企業の改革についても政治的に敏感な問題があると、応じない考えを示したというふうにあります。

 今後の大統領選のスケジュールまでも含めて見たときに、本当にまとまっていくんだろうか、日本の方でいえば、拙速な判断をするのではないかというふうに心配されるわけです。そこに、多くの国民からの不満や批判、あるいは心配の声が上がっているというふうに思います。

 そこで、日米協議の中身について、もう一つの側面で聞きたいと思います。

 ことしの一月九日ですが、大臣が記者会見でこのようなことを述べています。日本側としては相当譲歩してきたという思いがあります、途中略しますが、妥協点、我々はできることはほぼ全てやり尽くしたと私個人は思っておりますという会見の内容でした。その後から、今議論されているような米の別枠輸入の問題ですとか、牛肉、豚肉の関税引き下げの数字などが報道されてきているわけです。

 これは報道ベースだと甘利大臣はいつも言いますけれども、ただ、こういうふうにすると、符合して見える。この中身こそが、甘利大臣の言う、譲歩や妥協点と記者会見で述べていた中身ですか。

甘利国務大臣 お聞きになりたいことの趣旨が、いま一つ理解していないのかもしれませんけれども、私が常にバイの会談やあるいはマルチの会談で申し上げているのは、交渉事というのは、一方が一方に一方的に寄っていくことを交渉とは言わない、双方が歩み寄ると言わないと差はもう絶対に埋まらないというわけですので、各国とも自分は最大譲歩しているということの言い合いでありまして、それを客観的にどう評価されるかということになってくるんだというふうに思っております。

 私は、一月の九日でしたか、その会見で、それまでの、まだ、そのときに交渉が全部終わっているわけでは全くありませんから、今日までの過程において、日本としてはやるべき譲歩はしっかりしてきたと思うという日本の立場を表明したわけでありまして、日本がかたくなでちっとも動かないからTPPがだめになったなどというそしりは受けないように、しっかり情報発信したつもりであります。

 ただ、その譲歩も、具体的に、数字の細目にわたって全部かっちり決まりましたというのは、最終的な十二カ国の妥結の場面でありまして、それまでは、収れんをさせていくための方程式とか考え方とか、いろいろなケースを示しながら、いろいろやりとりがあるわけであります。

 先ほど来申し上げていますように、あくまでもTPPというのはパッケージ合意でありますから、全体がしっかりフィックスして、全体に縛りがかかるという種類のものであります。その間には、いろいろなシミュレーションなり頭の体操でいろいろなことが飛び交うということでありまして、そういう飛び交っていく数字も含めて収れんをさせていくということであります。

畠山委員 私は、歩み寄りのよしあしを聞いたつもりもありませんし、頭の体操やシミュレーションなどという言葉もありましたけれども、ただ、大臣は、できることはほぼ全てやり尽くしたと記者会見で述べていたわけです。その後に、先ほど言った数字のさまざまなものはありますけれども、具体的な、米や豚肉や牛肉のところでの進展がもう報じられてきているわけですから、その中身こそがやはり重大だというふうに思うわけです。

 改めて、TPAにちょっと戻りますけれども、一月九日のこの時点で新しいTPA法案のことも、まだ当時ですから見通せなかったはずでありますが、それでも大臣の言う譲歩や妥協点などでほぼやり尽くしたという判断だったのですか。

甘利国務大臣 TPPの交渉過程で、いきなり全部の最終着地点にどおんと行くわけじゃないんですね。ステージワンとかツーとかスリーとかいうことがあって、ここを目指していこうみたいな形で言っていくわけであります。

 だから、一月の時点で、日米間について、そこまでの協議の中で日本側が譲るべきは譲る、これは最大取り組んできたつもりですということは、当然、交渉担当大臣として言うはずであります。まだ我々には譲る余地がたくさんありますがねとか、そんな会見をする大臣を見たことはありません。我々としてやることはやってきたということで言ったつもりです。

畠山委員 確認したかったのは、もう一度今聞きますけれども、この時点で、先ほど言ったTPA法案が、まだ新しいものが出されていないときに、ほぼやり尽くしたということは、では、どういう意味なんですか。

甘利国務大臣 TPA法案がなければ、そこまで、ある部分、具体的な数字でなくても、考え方で収れんをさせてきたものについても、法案がなければみんなパアになりますねという話です。

畠山委員 ちょっと時間が限られてきていますので、先に進みますけれども、多くのところから、やはりきょうも出ていましたけれども、結局、こういう問題でさまざまなことが何に由来しているかというと、やはり、情報も秘密、交渉過程ももちろん秘密、決断の理由もなかなか明らかにされないところも出てくる、これでどうして一国の将来が判断できるのかというふうになるわけです。

 日経新聞の四月二十二日付に、安倍首相が、オバマ大統領との首脳会談で、TPPについては、新しい貿易圏をつくっていくといった前向きなメッセージを出したいと語ったとされています。秘密、秘密、秘密で、首相一人が前向きだと言っても、国民からすれば、前を向いているのか、右を向いているのか、後ろを向いているのか、何もわからないわけです。だから、全国から不安や批判が上がってきたわけで、TPP反対とか、あるいは慎重にとか、拙速に進めるななどが、この間、地方議会で意見書がたくさん上がってきたわけです。

 これは事務方で結構ですが、これまで、内閣府宛てにその意見書はどれだけ上がってきていますか。

澁谷政府参考人 二〇一三年の四月に内閣官房TPP政府対策本部が設置されて以降でございますが、地方自治法第九十九条に基づき、自治体の議会から政府に提出されたTPPに係る意見書の数は、四百四十七件でございます。

畠山委員 内閣府だけで四百四十七件。

 それで、これは議長において受理されたものがそれぞれのところに割り振りされますので、私の事務所の方で、改めて議長宛てのものも数えました。百七十六国会から始まって、今までに二千二十六に上ります。私は北海道の選挙区選出ですが、百七十九市町村のうち百七十六市町村、九八%にも及ぶわけです。もちろん、二度三度意見書を上げている自治体もありますけれども、二千を超える意見書ということは、背景に数千万を超える国民からの意見の反映があるということを改めて述べたいと思うんです。

 そういう国民の不安を反映したのが、きょう資料の二枚目につけましたが、国会の衆参のそれぞれの委員会の決議です。きのうも農林水産委員会で、やはりこの決議を常に持って交渉に臨む必要があるということが議論されました。

 改めて、第一項目に、「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。」。

 この間、農林水産委員会では、米価の下落もあわせて、今でさえ再生産可能な水準にないということを議論してきました。その中に五万トンとか具体的な数字が出てきて、さらに米価が下落するのではないかという心配が広がっていくのは当然だというふうに思います。再生産できなくなってしまうではないかと。

 首相が、あさってからですか、訪米をして、オバマ大統領との会談だけでなく、議会演説もされるようです。きのうも委員会で私は述べましたが、それで思い出すのが、四年前、韓国の李明博大統領がアメリカの議会演説をして、韓米FTAについても、これが同盟のあかしであるかのようなことを言ったわけです。しかし、この中には毒素条項が入っているとか、牛肉もどんどん輸入されるじゃないかと声が上がって、韓国に戻ってきてから、国会で同じ演説をするなと厳しく批判がされました。

 最後に、決議の第六項目、「農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとする」ということを改めて確認し、日本共産党は、これだけ各自治体からの決議、そして国会の決議、なお国民の不安がどんどん広がっていくことを置き去りにするようなTPP交渉はやめるべきであることを求めて、質問を終わります。

江藤委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午前十一時十七分散会


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