衆議院

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第5号 平成27年5月29日(金曜日)

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平成二十七年五月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浜田 靖一君

   理事 今津  寛君 理事 岩屋  毅君

   理事 江渡 聡徳君 理事 松本  純君

   理事 御法川信英君 理事 長妻  昭君

   理事 下地 幹郎君 理事 遠山 清彦君

      井林 辰憲君    石崎  徹君

      小田原 潔君    小野寺五典君

      大西 宏幸君    大野敬太郎君

      勝沼 栄明君    金子万寿夫君

      木原 誠二君    熊田 裕通君

      笹川 博義君    白石  徹君

      武井 俊輔君    中谷 真一君

      橋本 英教君    原田 義昭君

      平沢 勝栄君    星野 剛士君

      宮川 典子君    宮崎 政久君

      宮澤 博行君    武藤 貴也君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      盛山 正仁君    山口  壯君

      山田 賢司君    若宮 健嗣君

      緒方林太郎君    大串 博志君

      後藤 祐一君    辻元 清美君

      寺田  学君    長島 昭久君

      青柳陽一郎君    太田 和美君

      丸山 穂高君    伊佐 進一君

      岡本 三成君    佐藤 茂樹君

      浜地 雅一君    赤嶺 政賢君

      志位 和夫君    宮本  徹君

    …………………………………

   法務大臣         上川 陽子君

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛大臣

   国務大臣

   (安全保障法制担当)   中谷  元君

   防衛大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    石川 博崇君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  黒江 哲郎君

   衆議院調査局我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別調査室長     齋藤久爾之君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  木原 誠二君     熊田 裕通君

  笹川 博義君     石崎  徹君

  白石  徹君     井林 辰憲君

  武井 俊輔君     宗清 皇一君

  佐藤 茂樹君     岡本 三成君

  志位 和夫君     宮本  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     白石  徹君

  石崎  徹君     笹川 博義君

  熊田 裕通君     木原 誠二君

  宗清 皇一君     務台 俊介君

  岡本 三成君     佐藤 茂樹君

  宮本  徹君     志位 和夫君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     金子万寿夫君

同日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     武井 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七二号)

 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(内閣提出第七三号)


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     ――――◇―――――

浜田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官土本英樹君、内閣官房内閣審議官槌道明宏君、外務省総合外交政策局長平松賢司君、外務省北米局長冨田浩司君、外務省中東アフリカ局長上村司君、防衛省防衛政策局長黒江哲郎君、防衛省運用企画局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。江渡聡徳君。

江渡委員 おはようございます。自由民主党の江渡でございます。

 時間も余りないものですから、早速質疑に入らせていただきたいと思うわけであります。

 今回の平和安全法制の整備の意義あるいはメリットについてまず初めにお聞かせいただきたいと思っているわけでありますけれども、今回の法整備、なぜ今行う必要があるのかということが一番大きな命題であろうかというふうに私は思っているところであります。

 それは、我が国をめぐる安全保障環境というものがますます厳しくなっている、それゆえに、こういう危機管理ということを考えた場合においては、できるだけ平時の段階でしっかりと議論を尽くして、よりよいものをつくっていく必要があるのではないのかなというふうに私は思っているところでございます。

 特に今、日本を射程におさめる北朝鮮のミサイルとかあるいは核兵器の開発状況ということを考えていった場合においては、私は法整備を進めるということは大切だろうと思っておりますし、また中国の増大する国防費は、毎年毎年大変大きな金額でふえていっているわけであります。あるいは、九・一一テロの事件とかISILの台頭など、まさに国際的な不安定要因というのは本当にふえてきている、そういうような要素があろうかというふうに私は思っているところであります。

 このような厳しい安全保障環境を受けまして、いかにこの日本の安全を確保していくのか。

 戦後七十年間、我が国は、我が国自身による防衛力整備と日米同盟によりまして抑止力を高めてまいりました。また、外交努力によって周辺環境を好転させることで日本の安全というものも確保してきたわけであります。厳しさを増したこの安全保障環境のもとにおきまして、日本の安全保障政策は今のままでよいということではないというふうに私は考えております。

 そこで、大臣にお尋ねしたいわけでありますけれども、平和安全法制、今回の法案、法律の意義あるいはメリットというものについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国を取り巻く安全保障環境というのは、ますます厳しさを増してまいっております。

 具体的には、まず、アジア太平洋地域におけるグローバルなパワーバランスの変化、非常に各国の軍事費が急激に伸びている面がございます。

 また、日本の大半を射程に入れる北朝鮮の数百発に及ぶノドンミサイル、また、SLBMといって、海中からミサイルを発射するような実験も進めております。そして、三度にわたる核兵器の実験、こういった事象。

 そして、中国の台頭。東シナ海、南シナ海における活動の急速な拡大、活発化は、周辺国にとって大きな懸念となっております。

 また、テロに関しては、二〇〇一年の九・一一、ニューヨークのテロによって二千九百七十七名の、ビルにいた人、飛行機に乗っていた人、犠牲がありました。これは人ごとではございません。日本人、七十名近くのビジネスマンが犠牲になっているわけでございます。そして、この二年間を見ましても、アルジェリア、シリア、チュニジアにおいて邦人が犠牲となった国際テロの脅威もございます。

 さらに、宇宙空間、サイバー、海洋、こういった空間に対する自由なアクセス及びその活用を妨げるリスクというのが拡散して深刻化をしておりまして、もはや脅威というのは容易に国境を越えてやってくる、そして、もはやどの国も一国のみで平和を守ることができない時代になってきております。

 このように我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容する中で国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、あらゆる事態に切れ目のない対応ができるような平和安全保障法制の整備が必要不可欠でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

江渡委員 ありがとうございました。

 まさに、今大臣がおっしゃられたように、危機管理ということを考えていった場合においては、よりよい法整備をきちんと進めていく。特に、その時代時代の変化、それらのことに対して対応がきちんとできるようなことをつくっていかなければ、また我々が汗を流していかなければ、国民の安心と安全というものをきちんと守っていくというのは私は難しくなろうかと思っております。それゆえに、今回の法案をしっかりと審議して、よりよいものができればというふうに考えているところでございます。

 さて、昨日あるいは一昨日、本委員会におきまして、リスクについての議論というものが多く交わされておりました。

 私は、ある意味、リスクというものは周辺国や国際社会の動向であって、法律によってリスクが高まるということがあるとは思えないわけであります。特に、国民の安心と安全と国の存立を守るという法整備をすることというのは、これは国家として当然のことであろうと私は考えております。よりよい法整備をすることによって抑止力を高めていく、その抑止力を高めることによってこそ国民の安心と安全を確保することにつながるだろうというふうに考えております。

 そこで、質問させていただきたいと思うわけでありますけれども、自衛隊員のリスクというものがきのうにおいてもおとといの委員会においても取り上げられていたわけでありますけれども、ただ、質問等をお聞きしていきますと、幾つかの論点で、混在しているなというような感じがしているところでございます。

 まずは、先ほども言いましたけれども、法整備をきちんと行うことによって、抑止力を向上させ、国全体のリスク軽減となる効果があるということ、これは押さえていかなければいけないだろうというふうに思っております。

 次に、自衛隊員のリスクについてでありますけれども、法整備に伴う制度の変更、例えば後方支援の実施区域の問題とか、PKO等においての任務遂行型の武器使用が可能となるといったようなことがあるわけでありますけれども、今回の新たな法制において、自衛隊の海外での活動等を踏まえながら、より合理的な制度を整備し、これまでの活動と比べてリスクを上げることなく、積極的に日本の平和を守るために、あるいは国際社会の平和と安全を守るために活動できるようにするとの判断のもとにおいて私はつくられたものであろうというふうに考えているところでございます。

 この点におきましての大臣の御認識をお聞かせいただきたいと思います。

中谷国務大臣 今委員がお話しされましたように、自衛隊員というのは、我が国の国家防衛、そして国際社会の平和と安定のために、これまでも厳しいリスクを負って必死の訓練を行ってまいりました。

 私もかつてレンジャー訓練をしましたけれども、岩登りとか、またヘリコプターからのリペリングとか、真夏には持続走を行って、非常に厳しい中でも、みずからの力を上げることによって、いろいろな能力をつけることをやってまいりました。また、不発弾の処理、パイロット、潜水艦、いずれも危険な業務に携わるということで、細心の注意を図りながらこういったものに対処をしてまいっております。

 また、海外においてもPKOや海賊対処の任務も実施をいたしておりまして、従来から、自衛隊の活動に当たっては、平素から待機部隊の指定も含めた事前の準備を行いつつ、派遣後には、派遣訓練、教育を専門とする国際活動教育隊等により、現地を模したさまざまな状況を想定しまして、隊員がいかなる状況においても落ちついて適切かつ安全に行動するための訓練を実施いたしております。

 また、派遣中においても、日々の活動の実施について、常に十分な情報見積もり、リスク分析を行った上で決定するとともに、複数の輸送経路を選定しておくなど不測の事態に備えた回避策というものを設定して、リスク対策というものを行っております。

 さらに、派遣後には、活動の教訓や反省を蓄積して次の派遣に対する体制を整備するなど、平素から、派遣の終始を通じ、自衛隊は、与えられた任務を完遂するために、リスクを極小化する措置をしっかり実施いたしております。

 また、大事なのは運用です。運用によってリスクを下げられるわけでございます。

 これまでも自衛隊の任務は拡大してきました。その都度都度ごとに、自衛官は、服務の宣誓をしたプロフェッショナルとして厳しい訓練を重ね、リスクを極小化してきたわけでありまして、今回の法改正に当たっても、法律に規定された措置によるリスクがございます。しかし、これに対する軽減策に加えて、このような努力を継続してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、隊員のリスクをゼロにすることはできませんが、我が国と国際社会の平和と安全、国民の幸せな生活を守り抜くため、自衛隊は、与えられた任務を着実に果たしてまいります。

江渡委員 ありがとうございました。

 今、自衛隊員のリスクのこともしっかりとお述べいただいたわけでありますけれども、もう一度この点を少しお聞かせいただきたいと思うわけであります。

 この自衛隊員のリスクを、ある意味、きのうもおとといも委員会での各党の質疑を聞いておりますと、観念的とかあるいは抽象的に論じているという感があるように私は感じまして、どうしても少し違和感を拭えないというところもございました。

 私自身も少しの間でしたけれども防衛大臣を経験させていただきまして、自衛隊員が、我が国防衛のために、国際社会の平和と安全のために、これまでも常に厳しいリスクを負ってきたわけであります。そのリスクに対応するための必死の訓練も行っているわけであります。自衛官は、そのような活動に誇りを持ってコミットしている貴重な存在であるわけであります。

 この点につきまして、もう一度、自衛官出身であります中谷大臣からお答えをいただければありがたいというふうに思っております。

中谷国務大臣 おっしゃるように、自衛隊員というのは、国を守る、世界平和のために貢献する、そういうことに従事することにおいて、誇りを持って、また使命感と覚悟を持って勤務いたしております。きのうも長妻委員から御紹介がありましたが、事に臨んでは危険を顧みず、この与えられた任務を遂行し、国民の負託に応えますという宣誓を行いまして、日々、いかなることがあろうとも、与えられた任務を遂行できる能力の構築のために訓練をいたしております。

 これまでもさまざまな任務が与えられましたけれども、国民の皆様方のためにという思いで、国民の皆様方から評価をいただき、非常に自衛隊自身もうれしい面がございますが、おっしゃるように、国民の皆様方に信頼をされ、そして期待をされてこその自衛隊の活動があるわけでございまして、今後とも、国民の皆様方から理解をいただくように体制を整えてまいりたいと思っております。

 今回の法律の審査におきましても、確かに自衛隊の任務はふえる、活躍の場はふえるという点におきまして、リスクの問題は非常に大事な問題でありますが、先ほど御説明をいたしましたように、法律をつくる過程でさまざまなリスクについての対応策、また軽減策を講じて送り出しができるように考えておりますし、大事なのは運用であります。さまざまな状況、さまざまな事態において国として派遣するかしないか、こういうことを判断するわけでありますが、当然、派遣を決定した後の運用におきましても隊員が安全に任務が果たせるような、そういう観点で、リスクを極小化しながら、任務が達成できるように今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。

江渡委員 ありがとうございました。しっかりと頑張っていただければありがたいなというふうに思っているところでございます。

 さて、次の質問に移りたいと思います。新三要件のことについてお伺いしたいと思っております。

 今回、政府は、武力攻撃事態法を改正いたしまして、我が国が集団的自衛権を行使できる事態として存立危機事態を設けたわけでありますけれども、どのような事態が存立危機事態に当たるのか、国民への丁寧な説明というのが必要であろうというふうに思っております。

 また、国民が法制の意義を理解するためにも、この存立危機事態においてなぜ集団的自衛権を行使しなくてはならないのか、行使しないとどうなるのか、やはりこの辺のところがよくわかっていないという部分が一番大きいと思っておりますので、ここもわかりやすく御説明いただきたいと思っております。

中谷国務大臣 国の責務というのは、国民の命そして平和な暮らしを守っていくということでありまして、将来我が国に生起し得るような事象に対して政府としての責任を果たしていかなければなりません。

 そういう場合に、存立事態というのは、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況のもと、武力を用いた対処をしなければ国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況をいいます。

 では、どういう事態かといいますと、例えば我が国の近隣において、我が国と密接な関係にある他国、例えば米国に対する武力攻撃が発生したといたします。その時点では、まだ我が国に対する武力攻撃が発生したと認定はされていないものの、攻撃国が我が国も射程に捉える相当数の弾道ミサイルを保有しており、その言動から、我が国に対する武力攻撃の発生が差し迫っている状況にあるわけでありまして、こういった他国の弾道ミサイル攻撃から我が国を守り、これに反撃する能力を持つ同盟国である米国の艦艇への武力攻撃を早急にとめずに、我が国に対する武力攻撃の発生を待って対処するのでは、弾道ミサイルによる第一撃によって取り返しのつかない甚大な被害をこうむることになるという明らかな危険があるという場合でございまして、こういった場合において今までは対処できなかったわけでありますが、この法律をつくることによって対処することができるということでございます。

江渡委員 時間もあと残り少なくなっておりますものですから、最後に、外務大臣に御質問させていただきたいと思います。

 今、中谷大臣の方から御説明のあったこのようなケースというのは、日本自身への武力攻撃が差し迫っている状況も含まれているわけであります。一部には、集団的自衛権の行使を認めなくても、武力攻撃の着手に関する今までの解釈を見直して、このようなケースに対応するのに個別的自衛権を適用できることとすれば、わざわざ集団的自衛権の行使に踏み切らずともよいというような主張もございます。この考え方は、ある意味深刻な問題をはらんでいるというふうにも私は考えております。

 国際法上は個別的自衛権と集団的自衛権をはっきりと区別されていると承知しておりますけれども、このような我が国独自の個別的自衛権の拡張論を展開するということは国際法上も問題でありまして、また国際社会から理解を得られないものではないかというふうに考えておりますけれども、その点につきまして外務大臣にお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 国際法上、一般に個別的自衛権というのは、自国に対する武力攻撃を実力をもって阻止することを正当化させる権利であると解されています。一方、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないのにもかかわらず実力をもって阻止すること、これを正当化する権利であると解されています。要は、自国に対し発生した武力攻撃に対処するものであるかどうかということによって明確に区別をされています。

 この区別は大変重要なことでありまして、これは、本来集団的自衛権となるべき事例において、我が国が独自の判断で個別的自衛権を拡張して説明する、このことが国際法違反につながる可能性があるということであります。自国に対する攻撃がない、なおかつ他国からの要請もない、しかし個別的自衛権であるといって武力を行使すればこれは国際法違反につながってしまう、こういったことになりますので、この区別というのは大変重要であると認識をしています。

江渡委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 持ち時間が二十分でございますので、きょうは、米軍部隊等の武器等防護と、新しく新設されます自衛隊法九十五条の二について、テーマを絞って御質問させていただきたいと思っています。

 その前に、先日、この審議に臨むに当たりまして、この法案を審査する我々の責任として、自衛官の方のお話を私は聞いてきました。この中には、実際に海外の任務をされた方もいらっしゃいました。今回の審議に一番望むもの、それを私はお聞きしましたけれども、我々自衛隊の活動がどう国益にかなうのか、これを一番に論じてほしい、そのような彼らの意見でございました。我々は国益にかなうための活動のために日々訓練している、ですから、リスクばかりでなくて、国益、必要性をしっかり話してほしいと。私の胸に刺さる言葉でございました。

 その上で、今回の九十五条の二の国益、必要性について、まず私の方からお話をさせていただきたいと思います。

 例えば、今までの事例ですと、公海上でアメリカの船と自衛隊が連携して監視活動また情報収集活動をしているときにアメリカの船が襲われた場合、このときに、実際、アメリカの船を守れるという法律の根拠はございませんでした。

 唯一できるとすると、我が国に対する、我が自衛隊の船に対する武力行使というふうにみなすことによって、その反射的効果としてこれを守れる場合があるんじゃないかというような答弁がこれまでございました。ですから、我が国の自衛隊の船に対する武力攻撃がないと守れないということは、いわゆる平時、通常の情報収集や警戒監視活動をしているときにはやはりこれは守れないという法の穴、まさに切れ目があったわけでございます。

 今回、この法を整備しますと、いわゆる平時から有事に至る直前のこういった情報収集や警戒監視活動について、米軍等と連携した非常に有効な情報収集ができることになるというのが、今回の国益であり必要性であろうと思っております。それで、この九十五条の二については、そういったことから、昨年の閣議決定で、九十五条の自衛隊自身の武器等防護の考えを参考にしつつ今回は法整備をするということで決まったわけでございます。

 そこで、では、九十五条の考え、まさに言ってみれば法的性質や趣旨は何であるかといいますと、私の手元には、当時、平成十一年の、この法案をつくるときの当時の大森法制局長官の答弁がございます。九十五条、自衛隊自身の武器等防護の考え方は、我が国を防護するための物的手段である自衛隊の武器等を守ることは人命を守るための自然権に匹敵する権利というふうに当時の法制局長官は言っております。つまり、これは自然権的な、自己保存的な権利であるというふうに整理できるであろうと思っております。

 ですから、参考にしつつといっても、我々公明党としては、今回は、アメリカ以外の外国部隊も認めたいという要望でございましたので、参考ではなく、やはり九十五条の自衛隊自身の武器等防護の趣旨をしっかり踏まえて九十五条の二をつくってくれということで、党内議論、また与党協議でも強く主張をさせていただきました。

 そうなりますと、今回の九十五条の二、米軍部隊等の武器等防護の趣旨、これをどのようにお考えかをまず中谷防衛大臣にお聞きします。

中谷国務大臣 おっしゃるとおりの理由で法律の改正をお願いするわけでございますが、まず、我が国の防衛を考えますと、純然たる平時でも有事でもない事態、これが生じやすく、これによってさらに重大な事態になりかねないリスクを有している、そのような安全保障環境になっております。

 我が国の防衛に資する活動に従事する米軍部隊に対して侵害行為が発生した場合において、自衛隊と米軍が緊密に連携して切れ目のない対応をすることが我が国の安全にとって重要でございます。また、同盟国である米国のみならず、域内外のパートナーとの信頼及び協力関係を深めることが重要でございまして、我が国と米国以外の他国との防衛協力の進展を踏まえますと、我が国の防衛に資する活動に現に従事する国は米国のみには限られない。

 このような認識のもとで、新たに規定する自衛隊法九十五条の二は、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に、共同訓練を含みますが、現に従事している米軍等の部隊の武器等の防護について規定をするものでございます。これは、現行の九十五条の規定を踏まえて新設いたしました。

 すなわち、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に現に従事している米軍等の部隊の武器等は、我が国の防衛に資する活動に現に用いられているものである以上、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当すると評価することができると考えられることから、これらの防護をするため、現行の自衛隊法第九十五条による武器の使用と同様の、極めて受動的かつ限定的な必要最小限の武器の使用を認めたものでございます。

浜地委員 今、大事な言葉が出てきました。我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当するというのが、やはりもともとの自衛隊法の九十五条の趣旨をしっかりと踏まえているというふうに私は認識しております。ですので、相当するかどうか、我が国の防衛力の構成に相当するかどうかという、そのキーワードはやはり大事だろう、そのように思っています。

 では、実際にどのような場合、我が国を防衛するための重要な物的手段に相当する場合、まさにこの言葉は、先ほど大臣がお答えになったような要件の中の、我が国の防衛に資する活動の中にあらわれているわけでございますが、この趣旨を踏まえての我が国の防衛に資する活動の具体的な例、今どのようなことをお考えか、お答えください。

中谷国務大臣 我が国の防衛に資する活動として当たり得る活動といたしましては、例えば、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に際して行われる輸送、補給等の活動、情報収集・警戒監視活動、自衛隊と米軍等が各種事態、状況のもとで連携して行う活動を想定した共同訓練、これが該当すると考えられます。

 このような我が国の防衛に資する活動に自衛隊と連携して現に従事している米軍等の部隊の武器等は、我が国の防衛に資する活動に現に用いられているものである以上、我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当するものと評価できると考えたからでございます。

浜地委員 今、主に三つの具体例を答えていただきまして、かつ、最後に、それは我が国の防衛力を構成する重要な物的手段に相当するというお言葉もいただいております。

 そうなりますと、アメリカはわかるんだけれども、その他の他国、オーストラリア等々が想定されているとは思いますが、やはり日米安保条約によって我が国の防衛義務を負っているアメリカと他国は違うんじゃないかという議論もさせていただきました。ですので、防衛に資する活動というのはアメリカやアメリカ以外の他国についてはやはりもっと限定的にしっかりと当てはめを行うべきだという主張もさせていただきました。

 米国軍隊以外の他国軍隊、これが我が国の防衛に資する活動に当たる場合は、どのような場合をお考えか、お答えいただきたいと思います。

中谷国務大臣 我が国の防衛に資する活動は、現に従事する米国部隊に対して侵害行為が発生した場合において、自衛隊と米軍が連携して切れ目のない対応をするということがこれまででございましたが、やはり米国のみならず域内外のパートナーとの信頼関係、協力関係を深めることが我が国の防衛上必要でありまして、我が国と米国以外の他国との防衛協力の進展を踏まえますと、我が国の防衛に資する活動に現に従事する国は米国に限られないということでございます。

 このような中で、米国以外の外国の軍隊の部隊と自衛隊が連携して行い得る活動と申しますと、先ほど挙げた三つの事例もございますし、また共同訓練のもとに実施をされる行為も含まれておりまして、そのような状況の中、その他の外国の軍隊の部隊の武器等であれば我が国の防衛に資する活動に用いられるということが評価できるということでございます。

浜地委員 済みません、もう少し本当は具体的に答えていただきたかったんですが。

 いわゆる今回の九十五条の二は、相手の防護してほしいという要請があるわけですね。ですから、日本に要請をできるような国じゃないといけないということです。そうなると、やはり守り守られ合う関係がお互いに構築できるようなパートナーでなければいけないと思います。

 ですので、防衛分野において我が国と密接な協力関係にあることがやはり要件になるとは思うんですが、そういったことが認定できる国じゃないとだめだと私は思うんです。それについて、もう一度お答え願えますでしょうか。

中谷国務大臣 そのとおりでございまして、本条に基づく警護の対象となるその他の外国の軍隊は自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に従事する部隊でありまして、また自国の武器等の防護を我が国の自衛隊に依頼するという事柄の性格から、防衛分野において我が国と密接な協力関係にある国の軍隊におのずから限られると考えられるわけでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 今、おのずと限られるという言葉が出てきましたが、今大臣に御答弁いただいたのは、パートナーはいろいろあるんだけれども、米国軍隊以外の他国についてはやはり防衛分野において我が国と密接な協力関係があることという、その御答弁が、この国会の場で明らかにしていただくことが、やはり対象が過大に広がらないということだと思いますので、その言葉をいただけたことは大変重要であった、そのように思っております。(中谷国務大臣「ちょっと一点だけ」と呼ぶ)どうぞ。

中谷国務大臣 最後に、おのずと限られると申しましたが、正確には、おのずから限られると考えられるということでございます。訂正いたします。

浜地委員 次に、適用場面が大事だと思っています。この法整備をやろうといって閣議決定をしたときに、いわゆる集団的自衛権の裏口入学という批判がありました。私はそうではないと思っていますが。ですので、この九十五条の二、いわゆる平時から有事に至るまでの適用場面であるということが、しっかりとはっきりさせることが私は大事だろうと思っています。

 例えば、重要影響事態になった。重要影響事態になったときに、前線でアメリカが実際に武力行使を開始した。このときに武器等防護をしてしまえば、やはり武力行使との一体化という評価を受けかねません。また、事態がどんどん深刻化して、これが武力攻撃事態であるとか存立危機事態になったのにまだ九十五条の二を根拠として行いましたということになりますと、まさにこれは事態認定をせずに、そして国会承認を経ずに自衛隊が行動するということになりますので、そういったことがあったとするとそういった批判を受けるわけでございます。

 ですので、我々、党内で議論をしたときに政府側に申し上げましたのは、我が国の防衛に資する活動の中に共同訓練という言葉はそもそも入っておりましたが、現に戦闘行為が行われている現場を除くという、明確な適用場面がわかるようにこの条文の文言を入れてほしいというふうに主張いたしまして、これが入ったわけでございます。

 ですので、実際、その上で、大臣としてはこの適用場面はどこと考えているのかを、しっかりと国会の場で答弁していただきたいと思います。

中谷国務大臣 自衛隊が武力の行使を行うことができるのは憲法上新三要件が満たされる場合に限られており、米軍等が武力の行使を行っている場合に、自衛隊が米軍等の部隊と連携して行う活動は、新三要件が満たされている場合を除き、これと一体化しない範囲に限られなければなりません。

 また、新設する自衛隊法九十五条の二は武力攻撃に至らない侵害に対処するために設けるものであることから、相手方の侵害行為が武力攻撃である場合は本条の適用場面から除いております。

 具体的には、米軍等の部隊の武器等を防護するに当たり、我が国の防衛に資する活動から現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除くことにより、武力攻撃に対応することがないことを明らかにしているところでございます。

浜地委員 大事な御答弁であったと思います。

 ちなみに、自衛隊自身、九十五条は当然、PKOや、自分たちの武器を守るわけですから、海外でも適用になりますが、海外のいわゆる国際支援活動等をしているとき、後方支援をしているときはまさに我が国の防衛力を構成するとは言えませんので、海外では適用にならない、いわゆる支援法の世界の後方支援では適用にならないということも明らかにしておきたいと思っております。

 次に、この九十五条の二の機能として、先ほど、情報収集、警戒監視が効果的に行えるようになる、アメリカとのパートナーシップまた同盟の強化になるという機能がある、その必要性があるという話をしましたが、私、もう一つ必要性があると思っています。我が国周辺の海域における警護についても、この九十五条の二が非常に機能的に発揮されるのではないかと思っています。

 先ほど、私が自衛官の方と話をしたという話をしました。実際、海を守っている方もいらっしゃいまして、やはり同じことを言われていました。きのう安倍総理も。不法占拠してくるような、相手がまだ武力行使をしていないようなものに対して、急にこれが展開していくことはなかなか厳しいだろうということでございます。ですので、やはり平時においてしっかり情報収集を行えることがまさに我が国近海の領海の警護にも資するんじゃないですかというお話も伺っております。

 そこで、私、先ほども御質問しましたけれども、九十五条の二の規定が我が国周辺海域の警護に果たす役割をどのようにお考えか、大臣にお答えいただきたいと思います。

中谷国務大臣 生の御意見を聞いていただいて、ありがとうございました。

 自衛隊法の九十五条の二が新設されることによりまして、例えば、平素から我が国の周辺海域において自衛隊と連携して我が国の防衛に資する情報収集・警戒監視活動に従事している米軍部隊の艦艇を自衛官が警護できるようになるとともに、当該の艦艇を防護するために武器を使用することができるようになります。

 このように、本条の新設は我が国の周辺海域における自衛隊と米軍による連携した警戒体制等の強化につながるものでございまして、日米同盟の抑止力、対処力、これが一層強化をされることになります。

浜地委員 ありがとうございます。

 この九十五条の二の規定が我が国の周辺海域の警護に果たす役割として重要だという御答弁をいただきました。

 今回、いわゆる海上警備行動については下令の手続が迅速化されるということで閣議決定がされました。それに加えて、この規定があることによって、よりこの周辺海域の警護は万全になるものだ、そのように私は評価をしておりますので、しっかりそのような機能も果たせるように、法律が通りましたら、運用面においてそういった点も考えていただければと思っております。

 以上で終わります。ありがとうございました。

浜田委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず冒頭、昨日、五月二十八日の当特別委員会におきまして、辻元委員の質問時間に安倍総理が自席において「早く質問しろよ」と不規則発言したことについて述べたいと思います。

 安倍総理は、その後確かに「しかし、言葉が少し強かったとすれば、それはおわび申し上げたいと思います。」と述べておられることは理解しておりますが、それでも反省が足りないと思います。

 国会における質疑のあり方をやや誤解されているのではないかと思いますので、以下、三点申し上げたいと思います。

 まず、安倍総理は「指名権については委員長が持っているということは申し上げておきたい、」というふうにお述べになられましたけれども、安倍総理は、委員長の指名前に立ち上がって、まだ委員長が指名していないのに答弁席に向かっていくということが散見されます。指名権が委員長にある以上、指名されるまで総理は立ち上がるべきでないというふうに思いますし、委員長には、このことをできれば御徹底いただければというふうに思います。

 二つ目に、辻元議員が時間が来たのに延々と自説を述べてと安倍総理はおっしゃいました。あのときは、その後、緒方林太郎議員の質問でございました。つまり、辻元議員の質問時間が過ぎても引き続き民主党の持ち時間の範囲内でありまして、この範囲内で我が党がどういう時間配分をするかは我が党が判断することができるはずであります。つまり、総理はこれに対して意見をする立場にないはずでございます。

 むしろ、一昨日、延々と答弁することで批判されたのは安倍総理の方であって、昨日の委員会の冒頭、浜田委員長より「総理を初め、各大臣におかれましても、国民にわかりやすい簡潔な答弁をされるようお願いを申し上げます。」という御指摘を受けているところだったと理解しております。

 三つ目に、安倍総理は「いわば私に質問をしないというのは答弁をする機会を与えないということでありますから、」というふうにお述べになられております。しかし、質問時間のうち全く質問をしないというのは確かにどうかと思われますけれども、どの程度を自説を述べる時間に充てて、どの程度を質問の時間に充てるかは、それは質問者の任意であります。「質問をしないというのは答弁をする機会を与えないということでありますから、」ということをおっしゃる資格は総理にはないというふうに考えます。

 このように、総理は「言葉が少し強かったとすれば、それはおわび申し上げたいと思います。」とはおっしゃっておられますが、議会における審議の仕方のルールをどうもわきまえておられない部分がございます。この「早く質問しろよ」という発言は、特に立法府に対する冒涜であります。まともな審議には応じられない状態に既に至っている、このようになっているということを警告しておきたいと思います。

 それでは、次に行きたいと思います。

 まず、政府見解。私も一つ、きのう求めさせていただきました。残念ながら、きょうの理事会でもまだ政府から提出をいただいておりません。

 また、我が党の岡田代表からも政府見解の要求が二つありました。さらにもう二つほど政府見解の要求をしているところでございますが、理事会でここが明確でないという御指摘もありましたので、改めて、二つ政府見解の要求をしたいと思います。

 岡田委員のおとといの議論のときに、個別的自衛権における必要最小限度と集団的自衛権における必要最小限度の相違点、新三要件に該当する場合の外国領域における武力行使の可否についての政府見解、これについて政府から提出いただけるよう、委員長に御配慮いただきたいと思います。

浜田委員長 理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 もう一つ、同じく岡田委員の御指摘で、先制攻撃は国際法違反であり、先制攻撃を行った国との集団的自衛権の行使はあり得ないという岸田外務大臣答弁についての政府見解を求めていただきたいと思います。理事会で御協議いただきたいと思いますが、委員長、お願いします。

浜田委員長 理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 ありがとうございました。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 まず、昨日の、軍事的な影響のない重要影響事態はないということについての議論をしたいと思いますが、岸田大臣ときのう議論をさせていただきました。

 まず、確認されたことから確定したいと思いますけれども、周辺事態については、平成十年二月二十六日の当時の外務省の局長の答弁によって、軍事的な波及のない事態は周辺事態に該当しないという答弁があります。これについては、現法律のもとでこの答弁は維持されていると昨日岸田大臣は答弁されました。

 もう一つ、周辺事態が、地理的概念ではない、性質に着目した概念である、こういった点につきましては、現在の法律においても、また改正された重要影響事態法においてもこれは何ら変更もないと考えます、このように岸田外務大臣は答弁されておられます。

 まず、この点についてはよろしいでしょうか。

岸田国務大臣 まず、私がお答えした点については、そのとおりであります。

 ただ、一つ確認ですが、御指摘いただきました外務省局長の答弁ですが、当時、平成十年の予算委員会でのやりとりを御指摘いただきました。周辺事態確保法は、その後、平成十一年に法案が提出されておりますので、答弁自体は、周辺事態確保法が提出される前の発言であったと承知をしています。

 その上で、今御指摘がありました二点、周辺事態という概念について、事態に着目した概念である、これは重要影響事態法においても変わらないということについては、御指摘のとおりであります。

後藤(祐)委員 二点目は明快なんですが、一点目はちょっと曖昧なところがあるのでもう一度確認しますが、「軍事的な波及というのは日本にはない。こういう場合にもこのガイドラインの適用になる、そういうふうに考えていいわけですね。」と当時岡田委員が質問したのに対して、政府委員である外務省の局長は、「今の御質問に対しては、そういう事態は周辺事態には該当しないということでございます。」というふうに答弁しておられます。

 軍事的な波及というのは日本にない、そのような事態は周辺事態に該当しない、法律が成立したのはその後かもしれませんが、周辺事態法に言う周辺事態には該当しないということで、岸田大臣、よろしいでしょうか。

岸田国務大臣 その点については、きのう申し上げたとおりであります。

 こうした重要影響事態に関しましては、そもそも、武力の行使という軍事的な観点が存在いたします。こうした軍事的な観点が全くなく、経済面のみの影響が存在することのみをもって重要影響事態となることは想定していない、きのう答弁申し上げたとおりであります。(後藤(祐)委員「いや、周辺事態について述べてください。まだ重要影響事態の話はしていません」と呼ぶ)

 その点につきましては、これは周辺事態法においても、事態に着目した概念であります。そして、今申し上げた点については、変わりはないと思っています。

後藤(祐)委員 まだ重要影響事態の話はしていませんから、大臣、混同されないようにしてください。

 最後の答弁ではっきりお答えいただいたと理解しますが、もう一度確認のために聞きますが、軍事的な波及というのが日本にはない、こういう事態は周辺事態には該当しない、周辺事態法に言う周辺事態には該当しないということでよろしいですか。

岸田国務大臣 昨日のやりとりの中で、軍事的波及という用語を委員は使われました。そのやりとりの中でさらに私の方から確認をいたしましたが、軍事的な波及、軍事的な影響、軍事的な観点、昨日のやりとり中で幾つか言葉が出ていたと思いますが、私が申し上げているのは、あくまでもこうした軍事的な観点について申し上げて、観点が全くない経済的な要素のみでこの重要影響事態を想定しているものではない、そして、そのことは周辺事態においても同じであると考えます。

後藤(祐)委員 観点という曖昧な言葉を持ち出さないでいただきたいんですが、少なくとも影響についてはよろしいですか。まず、答弁が維持されているかどうかをもう一度確認します。

 平成十年二月二十六日の外務省の局長の答弁で言う周辺事態というのは、周辺事態法に言う周辺事態とは違うということなんでしょうか。それとも、周辺事態法に言う周辺事態であって、現行法であります周辺事態法に基づく周辺事態は、軍事的な波及というのが日本にない、そのような事態は周辺事態には該当しないという答弁は、引き続き維持されているということでよろしいでしょうか。もう一回確認をお願いします。

岸田国務大臣 周辺事態安全確保法における周辺事態の概念、同法に関する国会審議を受けて、平成十一年四月二十六日に政府見解を示しております。この中で、「「我が国の平和及び安全」の意味するところは、その性質上、軍事的な観点を始めとする種々の観点から見た概念である。」、このようにしております。この政府見解は現在も維持されていると考えます。

後藤(祐)委員 ということは、答弁が変わったということなんでしょうか。今の平成十一年の政府見解は、それはそれであるんでしょう。しかし、その政府見解でもって、平成十年の政府委員の答弁、外務省の局長の答弁は修正されたということなんでしょうか。

 後ろからまた秘書官の方が来られていますけれども、大臣ときちんと議論させてください。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたが、まず、平成十年のこの政府委員答弁ですが、周辺事態安全確保法の法案提出は、その後、平成十一年でありますので、周辺事態安全確保法が制定される前のやりとりであります。

 その上で、今申し上げましたように、周辺事態安全確保法とそして現在の重要影響事態法、これにつきましての考え方は維持されている、こういったことを申し上げております。

後藤(祐)委員 平成十年の答弁は維持されているんでしょうか、されていないんでしょうか。今のお答えだとはっきりしません。それを明確にお答えしていただけないでしょうか。

岸田国務大臣 平成十年の発言につきましては、議事録にあるとおりであります。

 その後、平成十一年四月二十六日に政府見解を示させていただいております。この政府見解を現在まで維持していると申し上げております。

後藤(祐)委員 質問にお答えいただけないので、もう一度お願いします。

 平成十年二月二十六日の政府委員の答弁は、現段階において維持されておりますか。もう一度明確にお答えください。平成十一年の政府見解とは別にです。

岸田国務大臣 平成十年の政府委員の答弁は、一つは、日本の平和と安全に重要な影響を与える場合ということは、単に経済的のみならず、軍事的な観点も含めて日本の平和と安全に重要な影響を与える場合を言うということ、そして、ある事態が周辺事態に該当するか否かは、事態の態様、規模等を総合的に勘案して判断する、こうした趣旨を述べたものだと承知をしております。これが平成十年に答弁をされました。

 その後、平成十一年、それにつきまして政府として見解を示しました。それを今回まで維持しております。

後藤(祐)委員 今、二回聞きましたけれども、質問にお答えいただけません。

 平成十一年の政府見解とは別に、平成十年の質問では、観点とかそういう言葉はないんですよ。しかし、「軍事的な波及というのは日本にはない。こういう場合にもこのガイドラインの適用になる、そういうふうに考えていいわけですね。」と岡田委員が聞いたのに対し、政府委員の方の答弁は、「今の御質問に対しては、そういう事態は周辺事態には該当しないということでございます。」と答弁しているんです。

 この平成十年二月二十六日の答弁は、現時点で維持されていますか。それは平成十一年の政府見解とは関係なく、この平成十年の答弁が維持されているかどうかを明確にお答えください。三回目であります。

岸田国務大臣 この政府委員の答弁がありました。そしてその後、平成十一年として、政府見解を示しました。そしてその後、法律が提出をされています。この法律においてこの考え方は維持されている、そしてその後も維持をされている、そういったことを申し上げさせていただいております。(発言する者あり)

浜田委員長 後藤祐一君、もう一回質問をお願いいたします。

後藤(祐)委員 四回目、同じ質問をいたします。

 平成十年二月二十六日の岡田委員の質問、「軍事的な波及というのは日本にはない。こういう場合にもこのガイドラインの適用になる、そういうふうに考えていいわけですね。」という質問に対し、当時の政府委員は、「今の御質問に対しては、そういう事態は周辺事態には該当しないということでございます。」と答弁しておりますが、この答弁は、周辺事態法における周辺事態という意味において、現時点でもこの答弁は維持されておりますか。平成十一年の政府見解とは別に、この平成十年の答弁が維持されているかどうかを明確にお答えください。

岸田国務大臣 周辺事態安全確保法においてどのような認識が維持されているかという質問であります。

 平成十一年四月に政府見解を示しています。それをこの法律において維持しております。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 それでは、岸田外務大臣。

岸田国務大臣 さまざまな議論がありました。だから、政府見解をしっかり示したわけであります。そして、平成十一年に政府統一見解を示して、その見解は今日まで維持されていると申し上げております。(発言する者あり)

浜田委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 それでは、岸田外務大臣、答弁願います。

岸田国務大臣 まず、御指摘の政府答弁についてですが、当時の議事録を見ますと、さまざまなやりとりが行われています。

 そして、高野政府委員も、御指摘のような発言があるわけですが、一方で、この周辺事態の認定に当たりましては、単に経済面だけでなく、総合的に勘案して日本の平和と安全に重要な影響を及ぼしているかどうかでございます、これは軍事的な観点も含めて総合的に判断することでございます、こういった発言もしています。

 要は、こういったやりとりがありました。政府見解はどうなのか、こうした議論があったからこそ、平成十一年、政府としてこれを明らかにしなければいけない、だからこそ統一見解というものを示す必要があったと思っています。

 そして、さまざまな議論のやりとりを整理するために、平成十一年、政府見解が示され、それを今日まで維持しているという御説明をさせていただいております。(発言する者あり)

浜田委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 民主党・無所属クラブ、維新の党、日本共産党の所属委員が退席をいたしました。

 理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

    〔委員長退席、御法川委員長代理着席〕

    〔御法川委員長代理退席、委員長着席〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして出席を要請いたしております。しかしながら、いまだ応じていただけず、再度要請をいたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三分開議

浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 民主党・無所属クラブ、維新の党、日本共産党所属委員が退席をいたしましたので、理事をして出席を要請いたさせますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

浜田委員長 速記を起こしてください。

 理事をして出席を要請いたさせましたが、民主党・無所属クラブ、維新の党、日本共産党所属委員の出席が得られません。

 本日は、これにて散会いたします。

    午後一時十八分散会


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