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   民法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 他人の窮迫、軽率又は無経験を利用し、著しく過当な利益を獲得することを目的とする法律行為、いわゆる「暴利行為」は公序良俗に反し無効であると明示することについて、本法施行後の状況を勘案し、必要に応じ対応を検討すること。

二 職業別の短期消滅時効等を廃止することに伴い、書面によらない契約により生じた少額債権に係る消滅時効について、本法施行後の状況を勘案し、必要に応じ対応を検討すること。

三 中間利息控除に用いる利率の在り方について、本法施行後の市中金利の動向等を勘案し、必要に応じ対応を検討すること。

四 個人保証人の保護の観点から、以下の事項について留意すること。

 1 いわゆる経営者等以外の第三者による保証契約について、公証人による保証人になろうとする者の意思確認の手続を求めることとした趣旨を踏まえ、保証契約における軽率性や情義性を排除することができるよう、公証人に対しその趣旨の周知徹底を図るとともに、契約締結時の情報提供義務を実効的なものとする観点から、保証意思宣明公正証書に記載すること等が適切な事項についての実務上の対応について検討すること。

 2 保証意思宣明公正証書に執行認諾文言を付し、執行証書とすることはできないことについて、公証人に対し十分に注意するよう周知徹底するよう努めること。

 3 個人保証の制限に関する規定の適用が除外されるいわゆる経営者等のうち、代表権のない取締役等及び「主たる債務者が行う事業に現に従事している主たる債務者の配偶者」については、本法施行後の状況を勘案し、必要に応じ対応を検討すること。

 4 我が国社会において、個人保証に依存し過ぎない融資慣行の確立は極めて重要なものであることを踏まえ、事業用融資に係る保証の在り方について、本法施行後の状況を勘案し、必要に応じ対応を検討すること。

五 定型約款について、以下の事項について留意すること。

 1 定型約款に関する規定のうち、いわゆる不当条項及び不意打ち条項の規制の在り方について、本法施行後の取引の実情を勘案し、消費者保護の観点を踏まえ、必要に応じ対応を検討すること。

 2 定型約款準備者が定型約款における契約条項を変更することができる場合の合理性の要件について、取引の実情を勘案し、消費者保護の観点を踏まえ、適切に解釈、運用されるよう努めること。

六 消滅時効制度の見直し、法定利率の引下げ、定型約款規定の創設、また、個人保証契約に係る実務の大幅な変更など、今回の改正が、国民各層のあらゆる場面と密接に関連し、重大な影響を及ぼすものであることから、国民全般に早期に浸透するよう、積極的かつ細やかな広報活動を行い、その周知徹底に努めること。

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