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   刑法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

政府及び最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。

一 性犯罪が、被害者の人格や尊厳を著しく侵害する悪質重大な犯罪であることはもとより、その心身に長年にわたり多大な苦痛を与え続ける犯罪であって、厳正な対処が必要であるものとの認識の下、近年の性犯罪の実情等に鑑み、事案の実態に即した対処をするための法整備を行うという本法の趣旨を踏まえ、本法が成立するに至る経緯、本法の規定内容等について、関係機関及び裁判所の職員等に対して周知すること。

二 刑法第百七十六条及び第百七十七条における「暴行又は脅迫」並びに刑法第百七十八条における「抗拒不能」の認定について、被害者と相手方との関係性や被害者の心理をより一層適切に踏まえてなされる必要があるとの指摘がなされていることに鑑み、これらに関連する心理学的・精神医学的知見等について調査研究を推進するとともに、司法警察職員、検察官及び裁判官に対して、性犯罪に直面した被害者の心理等についてこれらの知見を踏まえた研修を行うこと。

三 性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の過程において、被害者のプライバシー、生活の平穏その他の権利利益に十分な配慮がなされ、偏見に基づく不当な取扱いを受けることがないようにし、二次被害の防止に努めるとともに、被害の実態を十分に踏まえて適切な証拠保全を図り、かつ、起訴・不起訴等の処分を行うに当たっては、被害者の心情に配慮するとともに、必要に応じ、処分の理由等について丁寧な説明に努めること。

四 性犯罪被害が潜在化しやすいことを踏まえ、第三次犯罪被害者等基本計画等に従い、性犯罪等被害に関する調査を実施し、性犯罪等被害の実態把握に努めること。

五 刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十四号)附則第九条第三項の規定により起訴状等における被害者の氏名の秘匿に係る措置についての検討を行うに際しては、性犯罪に係る刑事事件の捜査及び公判の実情や、被害者の再被害のおそれに配慮すべきであるとの指摘をも踏まえて検討を行うこと。

六 性犯罪が重大かつ深刻な被害を生じさせる上、性犯罪被害者がその被害の性質上支援を求めることが困難であるという性犯罪による被害の特性を踏まえ、被害者の負担の軽減や被害の潜在化の防止等のため、第三次犯罪被害者等基本計画に従い、ワンストップ支援センターの整備を推進すること。

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