衆議院

メインへスキップ



鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 認定鳥獣捕獲等事業者には、高度な捕獲技術に基づく効果的な捕獲や、地域の実情に即した地域密着型の捕獲が求められることに鑑み、当該事業者の認定要件については、鳥獣の種類や状況に応じた鳥獣管理に関する知見、安全管理体制、捕獲に携わる者に対する安全や捕獲技術に関する研修の実施体制等が総合的に勘案された適切な基準を定めること。

 

二 科学的・計画的な鳥獣管理を効果的に推進するためには、鳥獣管理に関する専門的知見を有する職員が都道府県に配置されることが重要であることに鑑み、専門的知見を有する職員が都道府県に適切に配置されるよう支援を行うこと。

また、都道府県における当該職員の配置状況について把握し、毎年公表を行うこと。

 

三 捕獲体制の新たな担い手である認定鳥獣捕獲等事業者が業務を実施するに当たっては、従来その地域で活動してきた狩猟者団体との軋轢が生じることのないよう、役割分担を明確にするとともに、両者が連携して取り組むことのできる体制を構築するよう助言すること。

 

四 夜間の銃による捕獲は、適切な方法で実施しなければ危険性が非常に高いことから、効果的な捕獲方法の確立を図るとともに、安全対策について万全の措置を講じること。

 

五 指定管理鳥獣捕獲等事業の実施において認められる捕獲等鳥獣の放置については、他の野生生物への影響をはじめとする生態系への影響に加え、同事業が鳥獣の尊い命を奪う行為であるということにも十分配意して、環境省令を定めること。

 

 

六 都道府県の区域を越えて生息する第一種特定鳥獣の保護及び第二種特定鳥獣の管理については、国が主導してより効果的な広域対応を行うための仕組みを検討すること。

 

七 科学的・計画的な鳥獣管理を適切かつ効果的に推進するため、鳥獣の生息数の調査手法に関する研究開発を進め、当該手法の全国的な統一を図るなどにより、都道府県等による正確な生息数の推定等を促進させること。

 

八 生物多様性国家戦略に掲げられている自然共生社会の実現のためには、鳥獣の生息地である森林や里山等の維持・保全を進めることが重要であるとの認識のもと、関係行政機関や土地所有者等と調整を図りつつ、長期的な展望を持って生息環境管理に取り組むこと。

 

九 防護柵の設置や放置された農作物等の除去等による被害防除は、被害の未然防止のみならず、鳥獣の生息数の抑制にも資することから、当該対策が適切に行われるよう、都道府県や市町村に対し助言を行うこと。

 

十 新設される指定管理鳥獣捕獲等事業が十分に活用されるよう、指定管理鳥獣等事業に関する実施計画を作成した都道府県に対し、財政支援を行うことについて検討すること。

  また、都道府県又は国の機関が指定管理鳥獣捕獲等事業の実施を委託するに際し、認定鳥獣捕獲等事業者等による捕獲が効率的かつ適正に行われるよう指導を行うこと。

 

十一 希少鳥獣については、その生息数の著しい増加や生息地の範囲の拡大に伴い、当該鳥獣の捕獲等を実施する必要が生じた場合であっても、その個体群の長期的存続に影響が及ばないよう十分に留意すること。 

 

十二 捕獲された鳥獣を可能な限り食肉等として活用するため、衛生管理の徹底等による安全性を確保しつつ、販売経路の確立、消費拡大への支援等、関係機関と連携しながら適切な措置を講じること。

 

 

十三 本法第八十条によって適用除外とされている海棲哺乳類については、生息状況に関する最新の情報に基づく保護及び管理が図られていないと認められるときは、関係行政機関の連携により、速やかに生息情報の収集を図りつつ、本法除外対象種の見直しを行うこと。

 

十四 錯誤捕獲の発生や人への危険防止の観点から、とらばさみを用いた猟法が平成十九年一月の規則改正により法定猟法から除外されたことを踏まえ、とらばさみの一層の制限について検討を行うこと。

 

十五 本法により、鳥獣の捕殺を伴う積極的な管理が実施されることとなることに鑑み、鳥獣管理の必要性や科学的根拠を国民に丁寧に説明し理解を得るよう努めること。

 

 

rn
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.