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   地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

一 国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議で採択されたパリ協定を踏まえ、産業革命以前と比べた世界の平均気温の上昇幅を二度より十分低く保ち、一・五度以下に抑える努力を追求すること、世界の温室効果ガス排出量が最大に達する時期をできる限り早くするものとし、今世紀後半に人為的な温室効果ガスの排出と吸収源による除去の均衡を達成することが人類共通の課題であることを認識し、この目標の達成に向けた国際的役割を果たすために、長期的展望に立って積極的に地球温暖化対策を実施すること。

二 パリ協定の早期発効に向け、全ての主要国が参加する公平かつ実効性ある国際枠組みの下で温室効果ガスの主要排出国がその能力に応じた排出削減に取り組むよう国際社会を主導し、その国際交渉にリーダーシップを発揮すること。また、二〇五〇年までに八〇パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すという長期的目標の達成のためには、温室効果ガスの大幅な削減が必要であることを認識し、低炭素化と経済成長を同時に実現する経済社会システムの変革も視野に入れた二〇五〇年に向けた長期の低炭素戦略を早急に策定すること。

三 パリ協定に基づく温室効果ガスの排出削減目標の五年毎の提出及び更新に合わせ、長期的目標と整合性を図りつつ、二〇三〇年以降の野心的な排出削減目標を定めるものとすること。また、同目標には、再生可能エネルギーの最大限の導入及び省エネルギーの最大限の推進を図ることを前提とした定量的な指標を設けるものとすること。

四 我が国の温室効果ガスの排出削減目標の着実な達成のため、炭素の価格付けに関する施策について検討を行うとともに、再生可能エネルギーの導入及び普及促進に関する施策、建築物及び設備機器等の省エネルギー対策などの施策を早急に推進すること。

五 地球温暖化に起因する気候変動による我が国への被害や影響を軽減する施策の実効性を高めるため、気候変動の影響への適応計画の早期の法定計画化を図ること。

六 地球温暖化対策計画はもとより、適応計画等については、国際的動向及び最新の科学的知見を基に不断に見直しを行い、必要な追加的施策を実施するとともに、その見直し過程における公正性及び透明性を確保するため、基礎とした情報の国民への速やかな公開の徹底、議論への国民の参画の機会を十分に確保すること。また、それらの計画に基づく取組の進捗状況について、 定期的に公表 すること。

七 中核市等以外の小規模の地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定を進めるため、低炭素化を図る地域づくりの取組に十分な支援を行うこと。

八 地球温暖化対策の推進を図るためには国民の理解及び協力を得ることが必要不可欠であることに鑑み、社会的機運の醸成を図るため、地球温暖化の防止に関する教育及び学習の振興のための施策を一層推進すること。

九 二〇五〇年までに八〇パーセントの温室効果ガスの排出削減を目指すという長期的目標の達成のためにも、将来の環境・エネルギー分野における革新的な技術開発の推進に期待するのみならず、今ある技術の更なる普及による再生可能エネルギーの最大限の導入及び省エネルギーの最大限の推進を図るための取組を一層加速して進めること。

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