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水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

一 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故による影響が広範囲に及んでいる現実を直視し、放射性物質による環境汚染については、環境の保全を図るべき環境省が、国民の負託に応える行政を法に基づき遂行できるよう、現行水質汚濁防止法第二十三条を含む関連環境法令における放射性物質に係る適用除外規定等の見直しを含め、その体制の在り方について総合的に検討を加えること。

二 放射性物質に係る環境モニタリングに関しては、原子力発電所周辺住民を始めとする国民及び諸外国の信頼を確保するためにも、水、大気、土壌、生態系などの総合的なモニタリングとその結果の評価及び情報公開について、責任及び権限を明確にした制度設計を行うとともに、広範囲で長期間にわたるモニタリングに対応するため、関連する知見の集積や人員確保などの体制整備に努めること。

三 放射性物質に係る環境モニタリングにより得られた結果を基に、原子力発電所周辺地域はもとより、それ以外の地域の住民においても健康被害が生じないよう、関係省庁は密接に連携して対応すること。特に放射性物質による子どもへの健康被害については、その感受性の高さにかんがみ、関係省庁はそれぞれの責任を明確にして対応に当たること。

四 原子力発電所の敷地外にある放射性物質に汚染されたがれきや土壌などについては、地下水を含む周辺環境への汚染が拡大しないよう、関係省庁が連携して早急に処理方法を検討し、適切な保管、管理及び処理を行う制度を早急に構築するなど、一般環境中の放射性物質による人の健康被害や生態系に係る被害を防止するために最大限努力すること。

五 有害物質使用特定施設等の構造等に関する基準については、地下水汚染の未然防止対策が確実に行われるよう、事業者の取組状況も踏まえ、的確かつ速やかに策定すること。また、中小の事業者に過度の負担とならないものとすること。さらに、基準の遵守を徹底するため、事業者への周知や地方公共団体職員に対する研修の実施等、施行に向けた体制整備の強化を図ること。

六 施設以外の有害物質の貯蔵場所や作業場所、指定物質に係る指定施設等についても、ガイドラインの策定等により地下水汚染の未然防止対策の推進を図ること。また、本法の適用対象ではないガソリン等の貯蔵施設が原因となって地下水汚染が発生した場合にも効果的な対応が行われるよう、地方公共団体に対する指導に努めること。

七 地域住民の安全・安心を確保するため、日頃からのリスクコミュニケーションの推進に加え、地下水汚染が発生した場合の速やかな情報公開の重要性について事業者の理解が促進されるよう努めること。また、リスク管理の観点から、排出段階における濃度規制のみでなく、有害物質の代替化や低減により環境中に排出される有害物質の総量を減らしていく取組を促進すること。

八 公共用水域の水質を保全する汚水処理システムについては、地方行財政改革の中、より一層の経済合理性が求められることにかんがみ、市町村設置型浄化槽や浄化槽汚泥濃縮車の積極的導入など、地域のニーズに合致した浄化槽の導入・普及拡大を検討し、効率的なシステムを構築すること。

九 公共用水域の水質を保全するため、赤潮の原因となるシャットネラ等の有害プランクトンの特性や、それらによる赤潮の発生メカニズムの解明等に関する調査研究を早急に進め、その成果を踏まえて効果的な赤潮防除のための措置を講ずること。

十 水質汚濁防止法全般に関して、その実施状況を見ながら、見直しに係る検討条項に規定する検討時期を待つことなく、不断に見直しを行い、適宜適切に制度の改善を図ること。

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